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1997-10-30 第141回国会 参議院 厚生委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十月三十日(木曜日)    午前十時二分開会     ―――――――――――――    委員異動  十月二十八日     辞任         補欠選任      和田 洋子君     水島  裕君  十月二十九日     辞任         補欠選任      但馬 久美君     山本  保君      今井  澄君     朝日 俊弘君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         山本 正和君     理 事                 上野 公成君                 南野知惠子君                 浜四津敏子君                 清水 澄子君     委 員                 石井 道子君                 尾辻 秀久君                 田浦  直君                 中島 眞人君                 中原  爽君                 長峯  基君                 宮崎 秀樹君                 木暮 山人君                 水島  裕君                 山本  保君                 渡辺 孝男君                 朝日 俊弘君                 西山登紀子君                 釘宮  磐君    国務大臣        厚 生 大 臣  小泉純一郎君    政府委員        厚生大臣官房総        務審議官     田中 泰弘君        厚生大臣官房審        議官       江利川 毅君        厚生省健康政策        局長       谷  修一君        厚生省保健医療        局長       小林 秀資君        厚生省社会・援        護局長      炭谷  茂君        厚生省老人保健        福祉局長     羽毛田信吾君        厚生省保険局長  高木 俊明君    事務局側        常任委員会専門        員        大貫 延朗君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件委員派遣承認要求に関する件 ○介護保険法案(第百三十九回国会内閣提出、第  百四十回国会衆議院送付)(継続案件) ○介護保険法施行法案(第百三十九回国会内閣提  出、第百四十回国会衆議院送付)(継続案件) ○医療法の一部を改正する法律案(第百三十九回  国会内閣提出、第百四十回国会衆議院送付)(  継続案件)     ―――――――――――――
  2. 山本正和

    委員長山本正和君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二十八日、和田洋子君が委員辞任され、その補欠として水島裕君が選任されました。  また、昨二十九日、但馬久美君及び今井澄君が委員辞任され、その補欠として山本保君及び朝日俊弘君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 山本正和

    委員長山本正和君) 委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。  介護保険法案介護保険法施行法案及び医療法の一部を改正する法律案につき、現地において意見を聴取するため、委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山本正和

    委員長山本正和君) 御異議ないと認めます。  つきましては、派遣委員派遣地派遣期間等の決定は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 山本正和

    委員長山本正和君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  6. 山本正和

    委員長山本正和君) 介護保険法案介護保険法施行法案及び医療法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 おはようございます。自由民主党の宮崎秀樹でございます。大臣初め厚生省皆様方、連日大変御苦労さまでございます。  私は、この介護保険法、やはり必要だということは十分認識をしておりますし、また、いろいろとこの作成に当たっても議論を重ねてきた者の一人でありますので、その内容等についてこれから御質問を申し上げ、そして国民に本当にわかりやすい、介護保険というのはこういうものだということが認識できるような立場での議論を進めていきたいと思います。  ただ、私、皆様方議論を聞いていまして、聞けば聞くほど大変いろいろな問題を内蔵しているなというふうに思っております。厚生省令で定めるところが非常に多いということも一つでありましょうし、それから、国民方々の本当にこの保険はどういう保険かと理解をしているその度合いというものは大変温度差がある。  私は、今週の月曜日でありますが、往診をしてまいりました。これは私がかねがね診ている患者さんでありますけれども、二年前に脳血栓で私が身体障害者認定をしました。このときはまだ立つことができた。数歩歩けた。これは二級ということで、体幹障害ということで私は書きましたけれども、実は、今週の月曜日に行ったときには完全に寝たきりであります。  これは七十五歳の御婦人でありまして、御主人がひとりこれにつきっきりで面倒を見ております。私に、先生、テレビで見ていますよ、介護保険ができたら私も楽できますよ、これで解放されると。私は、とんでもない話だよ、あなたは解放されませんよと。おむつが積んであるわけですが、これはとてもそんなわけにはいかないんだよという話をしたら、そうなんですかと、こういうことであります。  そこで、こういう寝たきり状態の人を在宅ケアしたときに、一体一カ月で何時間介護者の人が来て見ていただけるか、平均的なもので結構ですから、実態をお教え願いたいと思います。
  8. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 要介護状態になりました方につきましては、申請を受けて、介護認定審査会で要介護状態にあるかどうか、あるいはまた要介護状態程度はどうかを決めていくわけでございます。そして、その要介護度程度に応じて給付限度額が異なりますし……
  9. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 そういうことはわかっている。寝たきりになったときにはどうか、実態的なことを教えていただければ結構です。
  10. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) では、最重度ケースでどういうモデルを提示しているかということでございますが、審議会議論がありましたときに一つモデルとして私どもが示したものでございますけれども、例えば自分で寝返りをすることができない、日常生活介護を要しまして、夜間の巡回、訪問看護が要ると……
  11. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 そういうことはわかっている。時間ありませんから、どのぐらい来てくれるか言って。
  12. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 最重度ケースですと、例えば訪問介護は週十四回、合計しまして九時間二十分ぐらい。それから日帰り介護、デイサービスデイケアでございますが、週三回、合計しまして十八時間。それから訪問看護週二回、短期入所月一回七日間というサービスの組み合わせを一つモデルとして示しているところでございます。
  13. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 そうしますと、だれかが全くそばから離れることはショートステイの七日間以外はないんですよね。そういうことがわかってないですよ、一般国民は。  だから、あくまでもこの保険支援サポートなんですね。片方、在宅介護支援センター、これは「支援」がついているんです。それから今度つくるという介護支援専門員、これも「支援」ですね。ところが、介護保険だけは「支援」が入ってないんですね。だから、私はむしろ介護支援保険と、国民にわかりやすく、これはあくまでもサポートなんだよということを徹底的に今言っておかないと、保険料を取った、申請を出した、何だ約束違うじゃないかと、こういう話になってくると、私がそのとき話したその御主人が、それなら保険料払うことないね、今までとそう変わらないね、私どもはもっと大きなことを国が、市町村がやってくれるのかと思ったけれども、という話が出てくるわけですね。  大臣国民にわかりやすくするために、支援ということを大いに今から言っておかないと大変な誤解を招くということを私どもそうやって実感的に感じてきましたので、この辺に関しての大臣御所感をお伺いしたいと思います。
  14. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 介護保険よりも介護支援保険の方がより適切ではないかという御指摘だと思いますけれども介護保険制度というのはもともと介護支援する保険制度ですから、私はむしろ用語というのは短い方がいいと思う。厚生省保健医療福祉を担当しているんです。保健医療福祉省よりも厚生省の方がわかりやすい。老人保健福祉局も呼び名は老健局ですね、老健局長。大体、日本人というのは四文字でも二文字に省略しちゃう。できるだけ私は用語というのは短い方がいいと思う。介護保険介護支援ですよという説明の方がいいんじゃないか。長ったらしい名前はできるだけ短くしよう、要約するというと、介護支援保険より介護保険の方が私は適切ではないかと思っております。
  15. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 私に言わせると、それは一つのへ理屈ですが、国民はやっぱりわかりやすい方がいい。そういうふうに誤解を招くんです。だから、それはそれできちっとそこを徹底的に厚生省やってもらわないと困るわけです。現場はそう思っていませんよ、実際私ども窓口で全部一対一で話をしますと。だからそこはひとつ徹底的にそういう御主張ならばやっていただきたいと思うわけであります。  それでは具体的な問題に入りますけれども、この法律の第七条の第二十三項、これちょっと読ませていただきます。療養型施設とは、療養型病床群、第一条の五第二項に規定する療養型病床群を有する病院であって、当該療養型病床群等に入院する要介護者、この要介護者が問題でありまして、括弧して「(その治療の必要の程度につき厚生省令で定めるものに限る。以下この項において同じ。)」というんですね。その治療の必要の程度につき厚生省令で定めるものに限る。この厚生省令はどういうことをお考えなのか、お教えいただきたいと思います。
  16. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 厚生省令におきましては、長期療養を目的とする施設に適した状態としまして、病状が安定期にあり、定型的医療看護介護機能訓練を主眼とする治療を必要とすることを具体的に定めることを予定しております。現在の療養型病床群に入院すべき方と同様の状態の方を想定しているということでございます。この厚生省令につきましては基本的にそういうことでございまして、十年度中にそういう内容を公布する方向でやっていきたいというふうに思っております。
  17. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 これ非常にあいまいでありまして、この判断というのはどなたがするんでしょうか。
  18. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 介護認定審査会がございます。ここは、医療保健福祉の方が要介護度を判定する、その人の状態を見てするわけでございます。そういう中に、この人は療養所ケアが必要であるということになりますとそういう指示をすることがございます。当然、今申し上げましたようにその中にはお医者さんも入ったところでございます。あるいは、かかりつけ医意見書をいただくということがありますが、その中にそういうかかりつけ医として注意すべき事項を記入していただくということがございます。この資料も介護認定審査会にかけられます。そういうことを踏まえてそのサービスを受けていただくことになろうかというふうに思います。
  19. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 それじゃ介護認定審査会がするということですね。そういうふうに理解してよろしいですか。
  20. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) そういう指示をすることができるということでありますが、もちろんそういう指示のないケースもあるわけでございます。そしてその場合には、本人が施設入所を希望する場合は選ぶわけでありますが、その人の状態を見て、例えばその施設のお医者さんがここはいいでしょう、どうぞというふうな形で判断する。そういう個々の両者間でのその状態を見ての判断、そういうこともあります。
  21. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 どうもその辺がもそもそ言っているというふうに感じるんですね。  これはやっぱりルールをきちっとしておかないと。私がなぜそれを申し上げるかというと、デイケアの場合は、厚生大臣もこの間の田浦議員との話の中で、人に介護もすれば医療も行えますよと、こういうことですね。ところが、施設入所になりますと、療養型病床群に入りますと、これは介護保険だけで見ると、こうなっているんですよ、医療保険給付は行われないでしょう。老人保健施設もそうでしょう。そこをはっきりしておかないとこれは人権問題になるんですよ。  というのは、医療保険で面倒を見ればこれは傷病手当金というのがついているんですね、給付内容に。介護保険になったら傷病手当金はその日からもらえなくなりますよ。それをだれがどこで、バックに国家権力か何だか知らないけれどもそういうものがもしあったとして、そういうものをすぽんとそこでやられたらその人は大変困る。と同時に、労災保険は六十五歳以上の人でも労災保険ありますから、労災保険適用を受けている人が、おまえ介護保険だよと言われたら、これはまた問題が起きてくる。  いろんな関連性があるものですから、やはり私は、施設に入っても、デイケアと一緒に医療の分は医療保険で見ましょう、介護の分は介護保険で見ましょうと。ただ、介護医療と同じ行為をするときには、これはダブっちゃいけませんよと。こういうふうにするシステムをつくらないとこれは私は大問題になると思う。だからそこら辺はどういうふうにお考えになっているのか、これから御検討してそのような方向でいくのか、どんなふうにお考えでしょうか。
  22. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) お話がありましたように、例えば療養型病床群、そういう施設に入りますということになりますと基本的にはまず介護保険適用になるわけでございます。ただ、急性増悪等が起こる場合には、原則としては療養型病床群の場合には医療施設も持っていますので、医療施設の方に移っていただいて医療保険治療をしていただくというようなことになります。  ただ、緊急やむを得ないような場合で、なおかつ医療を必要とするようなケースというものもあり得るわけでございます。これにつきましては、例外的なケースとそれから介護保険で対応するケースと区分けしていかなくちゃいけませんが、介護保険の方で上乗せして見るか医療保険で見るか、これは厚生大臣が定める形になっておりますので、それによりまして医療あるいは介護ともに受けられるような形にしていくということでございます。
  23. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 そうすると、医療介護と両方受けられるというのは、給付も両方からできるということですか。ということはここにきちっと書いてあるんですね。二十三項の後ろの方に、「「介護療養施設サービス」とは、介護療養型医療施設療養型病床群等に入院する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて行われる療養上の管理看護医学的管理の下における介護その他の世話及び機能訓練その他必要な医療をいう。」と書いてある。これ明示されているんですね。ですから、そこは今どうもあやふやなんで、もう一回はっきり、人に対して医療の分は医療保険から給付するし、介護の分は介護保険から給付する、入所している場合ですよ、それはきちっとできるんですね。
  24. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 入所している場合ですが、入所している人が医療を要するとなりましたら、例えば療養型病床群の場合には当然介護施設部分医療施設部分があるわけでございますので、その場合には医療施設部分に移っていただいて医療保険適用を受けていただく、通常はそういう形だろうと思います。  ただ、緊急やむを得ない理由があってどうしても動かせない、なおかつそこで適切な医療ができるということもあるわけでございまして、その場合には、ある特定のものにつきましては医療保険で対応する、そうでないものにつきましては介護保険で対応する。ただその介護保険の中には、包括的な介護給付のほかに、サービスに見合った部分も含めて提供する形にする。  いずれにしましても、その人に必要な介護サービス部分医療サービス部分が提供される、そういう形にするということでございます。
  25. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 何かどうもそこら辺がはっきりしないので、特定なものとおっしゃるけれども特定なものって何でしょう。
  26. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) これから検討して定めていくことでございます。非常に典型的なわかりやすい例で言えば、例えば、その療養型病床群に入院している人に歯科治療が要る、そういうようなものであれば、これはもう介護保険ではなくてそういうものは医療保険で見るとか、そういうようなものを定めていくということでございます。
  27. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 中耳炎なんかどうなんですかね。いろいろ出てきますよ。だからそんなこと言わないで、医療部分医療で見ざるを得ない、これは。そんなもの一々全部挙げていったら、病名全部で二万幾つあるんですからね、病気は。それを全部おやりになるつもりならいいけれども、それはとてもできませんよ。だからそこはもっと柔軟性を持ってひとつこれから御検討いただきたいというふうにお願いいたします。  それでは次に進みます。  介護支援専門員の問題でございますが、介護支援専門員研修を既にもうおやりになっていると、そしてその指導者ももう決めて進まれているというお話を伺っているんですが、それは都道府県がやっているんだというこの間来のお話ですが、どういう人を指導者として、だれがどこでその指導者をお決めになったか。その指導者介護専門員資格試験を受けた人、それはまだやってませんよね。どういうお考えでそれを、勝手に決めたと言っちゃ失礼ですけれども、我々何も知らされておりませんし、どういう方がやっていらっしゃるかお教え願いたいと思います。
  28. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 介護支援専門員研修都道府県が行うということでございますが、現在行っておりますのはその介護支援専門員研修指導者養成でございます。この指導者養成は国の事業として行っております。現在まで第一期の指導者養成が終わっているわけでございまして、受けました人の数は四百八十名でございます。都道府県から推薦をいただいて研修をしたわけでございますが、職種としましては、医師歯科医師薬剤師保健婦看護婦理学療法士作業療法士社会福祉士介護福祉士などの方々が受講されております。  それからもう一つ介護支援専門員お話もございました。これはこれから都道府県において養成することになります。養成の仕方といたしましては、保健医療福祉の分野について知識を有し、かつ介護について経験を持っている者、こういう人を対象にするわけでございますが、その人が介護支援専門員として必要な専門的知識等を持っているかどうか、そういうことを調べるために試験をしまして、一定の知識を持っている人を対象都道府県において研修を行うと、こういう形でございます。
  29. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 各都道府県推薦というんですけれども、これは広くどういうふうに公募したのか、どんな方法で出したのか、その経緯はおわかりでしょうか。
  30. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 高齢者介護サービス体制整備検討委員会、こういうものをいわゆるモデル事業の一環として設置していただきまして、そういうところの意見を踏まえて選定をしていただいているわけでございます。都道府県におきまして県下の保健医療福祉サービスに従事してその内容に精通している、そして指導的役割を担っている者、そういう者をそういう委員会意見などを踏まえながら選定をして、各都道府県が十名推薦をして研修を受けたわけでございます。
  31. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 そうすると、一本釣りですね。
  32. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 推薦をするに当たりましては各職能団体意見を聞いて、職能団体からこういう人をという推薦を受けて、手続というか事実上の行為でございますが、各職能団体等と相談しながら人選をしたというふうに聞いております。
  33. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 どうもそういう話は私は聞いていないんですけれども、まあいいですよ。今記録残りましたから実態をうちの方もちゃんと調べておきます。  私は、できるだけこういうのは公募して、本当に密室でそういうことをやらないで、こういう制度をつくるんならスタートが大事ですから、スタートを誤るとこれは大変な誤解を招きますから、何でもガラス張りにやるというのは厚生大臣主張でありますから、そこら辺は明快にだれでも納得のいく方法でひとつおやりいただくようにお願いいたします。  それから、介護支援専門員でありますが、今のところは歯科医師さんも薬剤師さんも医師も、それから介護福祉士とかいろいろ書いてありますね。それで最後に「等」となっている。この「等」はどういうことをお考えになっていらっしゃるのか。
  34. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 介護支援専門員は、先ほど申し上げましたように、研修を受けるに当たりまして試験を受けていただく、それである程度介護支援専門員として必要な幅広い基礎知識を持っているかどうかをチェックするわけでございます。ですから、この「等」を含めまして書いてありますのは、その試験の受けられる人ということでございますから、私どもは幅広く認めてよろしいんではないかというふうに思っているわけでございます。  先ほど国家資格のようなものを持っている方を例示したわけでございますが、それ以外に、実際介護実務経験を持っていて、十分勉強して幅広い知識を持っておれば、特定的な国家試験資格者だけじゃなくて、幅広く認めていきたいというふうに思っております。
  35. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 現場で五年以上の実務経験があるとか、いろいろそうやってホームヘルパー等も含めておやりいただくのは大いに結構だと思います。  ただ問題なのは、医師ホームヘルパーも同じ試験を受けさせるという話は、これはやっぱりちょっと私は問題があるんじゃないかと思うんですよ。医師にしてもいろいろまた種類ありますよ。例えば整形外科医師理学療法専門のことを二十年もやっている人とホームヘルパーさんと同格で資格を与えてケアプランをつくれといったら、それは専門家ケアプランと、そう言っちゃ悪いけれども素人さんがちょっと資格を取った人がつくったのとこんな差が出てきます。これは公正、公平の面から私は大変問題が出てくると思うんですよ。  だからそれは、いろいろな人がチームを組んで、そして皆さんの合意で一つケアプランをつくるというシステムにしないと、単独でそんなことを同列に並べたら、恐らく医師はこの試験は余り受けないと思いますけれども、私は、やっぱりそうやって長年の経験がある人には黙っていても資格を与えるとか何かやらないと、余りばらつきがひどいと問題が出てくるんじゃないかなと。そこら辺を危惧していますので、それをひとつ御検討願いたいと思います。これは御返事はできないと思うので結構だと思いますが、頭の中へ置いておいていただきたいと思います。  時間もないので先に進みます。  私は障害認定をしていますし、またがって県の再審査委員をやっていたんです。そのときに体幹障害認定がありますね、一級、二級、三級、四級がなくて五級なんですが。介護ケアプラン、また認定その他が、例えば三級の人の方が介護内容が濃くて二級の人が介護内容が低いなんということが起きると、これやっぱり大変また問題が出てくるんですね。ですから、体幹機能障害の一級、二級、三級、五級というものといわゆる介護内容、これがある程度整合していないと私は問題が出てくると思うんですよ。だから、その辺のところは障害者手帳というものをやはり参考にしてもらいたいと思うんです。  それと、リューマチやなんか、こういう病気はいわゆる審査をするときの状況で非常に変わるんですね。きょうは天気が悪いというと、私も今一人寝たきりのリューマチの患者を往診していますけれども、やっぱり天気の悪いときは痛くて身動きできない。ところが、天気がよくて調子がいいと自分で横へおりて大便もできると。その日によって違うんですよ。こういうように非常に変わる病気がいっぱいありますから、そういうことを考えるとやはりある程度連絡をとってやってもらわないと困るなというふうに思っています。  そこら辺は、いわゆる身体障害者認定とこの介護の問題をどういうふうにお考えになっているか、お聞かせ願いたいと思います。
  36. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 身体障害者の、特に体幹障害のある方についてというお話でございました。体幹障害のある方の等級を見ますと、一級というのは座りていることもできないとか、二級であると座位とか起立位を保つことが難しいとか、そういう状態が書いてあるわけでございます。こういう要介護認定といいますのは、その人に対する介護サービス量の大きさで判断していくものでありますが、そういう状態から見まして考えますと、一般的な要介護認定からするサービス量と障害等級、特に体幹障害の場合ですが、大きな不整合は生じないのではないのかなという感じがするわけでございます。ぴたりと合うかどうかというのはあれでございますが、余り大きな不整合は生じないのではないかというふうに思います。
  37. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 あなたは素人だからそういうことを言うんですよ。患者さんを見てないでしょう。患者さんを見てない人に何がわかりますか。実際に行ってみて現場介護内容を見ると、それは整合しなきゃおかしいですよ。動く範囲は全部一緒なんですから。あなた方は机上で何でも考えてやるからとんでもないものが出てくるんです。現場と全くそぐわないものが出ちゃう。一回私と一緒に往診に行きましょう。それで見て一回やろう。そうしないとだめだ、私はそう思うんですよ。あなた方も現場をきちっと見て、そして実際におやりください。技官の方が来られたから、あなたは患者を見ているかと聞いたら、見ていないと言うんですよ。幾ら医者でも見てない人にはわからない。やっぱり現場へ行ってこなきゃいけない。だから、議論するときには、一度それをしてからぜひ御返事をいただきたいと思います。  問題は、医学的管理の側面というものをやはりそこで考えていかなきゃいけない。介護介護と言っても、介護になるにはバックグラウンドがあって介護になるんです。病気があったり、いわゆるけががあったり、外傷があったり。ですから、そことの因果関係というのは、これは必ず調査してその側面を見なきゃいけない。結果的な機能障害だけでとらまえると介護介護ということを、あなたみたいなことをおっしゃるんで、そのバックグラウンドには必ず疾病があるわけです。だから、そこら辺をきちっと見た中で御判断いただきたいということだけ申し上げておきます。  それからサービスでありますが、民間会社に介護サービスを委託するというようなことをおっしゃっているんですが、認定をして、認定した内容によって介護サービスを実はするわけです。そのサービスが実際そのとおり行われているかどうかということをどこでだれがチェックするんですか。
  38. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 先ほどの障害者の関係につきましては、ぜひ先生にお供させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。  それから、今の民間事業者の関係でございますが、介護サービスを受けるということになりますとその人にケアプランをつくるわけでございまして、介護サービス計画をつくり、その計画に従ってサービスを受けるわけでございます。  そして、これが適切に行われているかどうかといいますのは、一つには、サービスを受けている本人が計画どおりになっているかどうかというのを見ることができる。それからまた、介護支援専門員がときどきフォローアップを行うということになっておりますので、そういう形でその計画どおりサービスを受けているかどうかをチェックすることができる、こういうことになっております。
  39. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 それは、そういうシステムを具体的にどこでどうつくるかというのは全く何も書かれていませんよね。それはどこでそういうことを決めるんですか。あなたが今思っていらっしゃるのか、そうじゃなくてもう議論をしていて具体的にこういうことをするんだということなのか、これからそういうふうになるであろうという話なのか、そこら辺はどうなんですか。
  40. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 介護サービス計画をつくるということは法律に書いてございますし、そういう形で受けるわけでございます。そうしますと、どの事業者からいつどういうサービスを受けるというのはその計画の中に書かれますので、その事業者が来てこういうサービスをやったかどうか、これは受ける本人もわかるわけでございます。苦情、問題がありますと、苦情処理等の仕組みがありまして、それで指摘をすることができるということになります。  また、介護支援専門員介護サービスを行う人と一緒に会議をしながらケアプランをつくるわけでございますが、そのケアプランサービスが計画に従ってきちんと行われているかどうか、これをその後チェックするというのも介護支援専門員一つの業務でございます。ですから、どういうサービスを受けているか、これも介護支援専門員が一定の間隔で確認していきますので、業務としてそのチェックも行われるということでございます。
  41. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 そうすると、介護支援専門員というのは非常に忙しいですね。これは、何人受け持って、そして何週間に一回チェックするのか。それから、今の内容介護サービスは、一月もたったら認定したときよりもよくなっちゃった、全然違う状況になっちゃったということもこれまたチェックの対象でしょう。そうすると、例えば施設介護の場合はいいですが、それは一体具体的にどうなんですか。
  42. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) サービスを受けまして要介護度が改善をしていくということはあるわけでございます。そして、これは三カ月ないし六カ月ぐらいに介護認定を更新していきますので、重くなっていれば重くなったように、軽くなっていれば軽くなったように、そういう形でその人の状態に合わせて介護認定が行われていくことになります。  また、軽くなったときになかなか申請はないかもしれませんが、重くなったような場合には、これは変更はどちらでも構わないわけでございますが、本人が再認定申請をすればまた改めて要介護度の変化に応じて再認定をし直す、三カ月ないし六カ月という期間とは関係なく、変化があれば申請をして再認定をすることができます。
  43. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 今あなたは六カ月とおっしゃったですね。六カ月だったらこれは膨大な数になるんですよ。  それで、これは介護サービスをしている人たちが一月ごとにレセプトとか、そういうもので実態をお出しになるんですか。これはどういう方法になるんですか。それと、それを審査する機関というのはおつくりになるんですか。そこはどうなんでしょうか。
  44. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 介護保険に基づいてサービスを受けるということになりますと、でき上がる仕組みとしましては、基本的には市町村が保険者でありますが、審査、支払いを国保連に委託することができるということになっておりまして、実際は国保連が審査、支払いをするんだろうと。  そのときに国保連はどういう形で審査、支払いをするかといいますと、国保連の方にその人の介護サービス計画というものを届けてもらい、チェックする材料として国保連が持っていると。一方で、介護サービス事業者がいっこういうサービスをしたということで請求を出していく。その請求と計画との突合をしながら、的確に行われているというのをチェックした上で国保連の方から支払いが行われる、こういう形になります。
  45. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 これはもうちょっと細かく詰める必要があるので、ひとつ検討しておいてください。  それから、きょうは時間がないから詳しく突っ込みませんけれども、この前、今井先生がおっしゃっておりましたが、内科的には確かに急に介護状態になるようなことはないんですよ。ところが、外科的にはあるんです。  この間も私のところへひとり暮らしのお年寄りのおばあさんが転んで骨折をして来ました。きき手を骨折しちゃった。これは入院することはないですね。シーネでやって一週間ぐらいしたらはれがひける。ギブスを巻けばいいんだから。ところが、きき手だから飯もつくれない、動きがとれない、介護をだれか欲しいですよと、こう言うんですね。ところが、申請して一月もかかったら治っちゃうんですよ、申請している間に。だから、そういうときに介護保険へ入ってお願いしますといった何か早急に対応できるようなシステムというのはおつくりいただけるんですか。
  46. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 介護保険制度を創設します趣旨といいますのは、いわゆる寝たきり老人等を家に抱えて、ずっと家族が介護サービスをしてそれはもう大変だと、そういう介護支援していこうということでございます。  ですから、要介護状態がある程度の期間継続する人を対象にするということでございまして、そういう意味では、骨折等で一カ月ぐらいという場合にはこの法律対象にはならないのではないのかなという感じがするわけでございます。
  47. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 あなた、重大発言ですよ。そんなことで欺瞞的にやったら国民は怒りますよ。それならそれで、それはやりませんと言えば話はわかるけれども介護保険というのはそんなことを一つも書いてないですよ。一月ぐらいのものは対象にしませんとか、そんなことは法律のどこへ出てくるんですか。例えば、足の骨折なんかはやっぱり三カ月ぐらいかかりますよ。動きがとれない。こういうときなんかもやっぱり考えてもらわなければいけない。これはきちっとひとつ検討してください。  最後に、私、健政局長さんにお尋ねしたいのは、地域医療支援病院のことをぜひ聞きたいんです。これは医療圏に二つぐらいをめどに地域医療支援病院というものを医療法の中でつくると言っていますが、地域というのはいろいろな実情があるんですね。あれを読むと割かし公的病院を中心にお考えのようですが、既にもう民間病院がそれにかかわってそういうものが全く必要ないという地域もありますし、これから何にもなくてつくらなきゃならない地域もある。いろいろ地域格差がある。  それはやはりその実情において、地域の特性ということを考えてひとつこの問題は検討していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  48. 谷修一

    政府委員(谷修一君) この地域医療支援病院の整備については、最終的には都道府県医療計画の中で決められていくわけでございますが、私どもが複数ないしは複数以上と言っているのは、いろいろ申し上げておりますのは、一つに限定をしないという意味で申し上げているつもりでございます。何かもう一方の意見として、一つしか認めないんじゃないかとか、そういうような意見がときどきあるものですから、そういう意味じゃないという意味で申し上げておりますので、最終的にはそれぞれの地域の実態に合わせて判断をしていくということだと考えております。
  49. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 まだ一分半ぐらいありますから先ほどに戻りますけれども、この法律で、「身体上又は精神上の障害があるために、入浴、排せつ、食事等の日常生活における基本的な動作の全部又は一部について、」ということが書いてあるんですね、要介護状態とは。だから私は、先ほど言ったことは、やはりお考えいただく中でそういう緊急な、救急的なものに関しての一つの道というものはつけておいてもらいたいと思うんです。  そういうような場合、国民からお金を取るわけですから、それに対する給付をきちっとできるようなシステム、体制づくりをぜひお願いしたいと思います。最後に大臣に一言だけいただいて、私の質問を終わります。
  50. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) お話のように、国民もこの制度の趣旨、内容というものをよく理解してもらわないと協力は得られないということでありますので、この保険制度内容等、どのように国民に理解していただくか、パンフレット等あるいはいろんな機関を通じて今後理解を深めるようにいろいろな方法を工夫して、できるだけ多くの方々からの協力を得られるように今後一生懸命努力していきたいと思います。
  51. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 終わります。ありがとうございました。
  52. 山本保

    山本保君 平成会の山本保です。先週に続きまして御質問させていただきます。  私は、今、宮崎先生も本当に御経験に基づいた級密な厳しい御指摘があったと思いますし、厚生委員会はぜひ、これは党としてじゃなく私個人の考えですけれども、与野党問わずこの保険制度の問題点はきちんと直すなり、そういう話し合いをやるべきだと思っております。今、与党の方もこの委員会じっくりとやろうということで進めておられると聞いておりますし、まさにそのように進んでおりますので、非常に結構なことだというふうに思います。  私は、先日厚生省がもとにしている介護量、総量というか、そのための費用というものが極めて脆弱というか根拠のないものではないかというお話を理論的なところだけ原理的なところだけさせていただきましたけれども、きょうはもう一度それを少し数字も入れてお話ししたいと思います。  といいますのは、この介護保険が必要だということの一番根底は厚生省の試算によれば平成十二年度ですか、四・二兆円のお金が要るんだ、国費は二兆円程度しか出ないんだ、そこでどうするんだと、こういうことがその根本にあったわけであります。これが本当にそうなのかどうか、ここが崩れてしまえば、どうしてこんなに問題が多い、また反対が多い、また事務も大変である、保険料を払わなかった人は今まで受けていたサービスも受けられなくなる、こういう制度が導入されなければならないのかということの根底が崩れるのではないかと思うわけです。  御存じのように、私どもは、今ある現状の措置費制度を、国の責任でこの費用を賄う制度を基本にしつつ、今持っている処分という措置制度のさまざまな問題点と、それからこの介護を実際に行う場合の運用上のいろんな問題を直していくような制度で行った方がいいのだという考え方を発表しまして、介護保障制度という形で法案化を今やっているところであります。その発想のもとにも実は私はこの保険制度というものの、みんなが常識として考えていた、本当にそんなにお金がかかるのかということについてもう一度きちんと議論をすべきだ、研究者の人にもやっていただきたいと思っておるわけです。  うがった見方をしますと、これだけ各委員が、私どもを初めとしまして、こんな二千五百円ではとても済まないんじゃないか、権利意識が芽生えればもっともっとお金が要るんじゃないかということをたくさんおっしゃいますのに厚生省は平気な顔をしているというのは、私は自分も福祉に携わった身として隠し玉で持っているんだなということはわかるわけです。  つまり、この前申し上げ、これから言いますが、民間のサービスを導入していけばそれは実際にはそんなにお金をかけなくてもいいと。ですから、これはもちろん予測ですからわかりませんが、減るのかふえるのか、いずれにしても試算どおりうまくとんとんになれば結構でしたねと。しかし、これは結果よければいいというわけにはまいりません。国民から大変なお金をいただくということを厚生省が出す以上、そのもともとの積算根拠をきちんとして国民に示さなければ、そんなお金を取るというようなことはしてはならないと思います。  そこで、最初に、もう一度確認でございますけれども、現在、例えば在宅で一・三兆円要るという費用推計が資料にあるわけですけれども、この一・三兆円がどのような形で、特に民間か公的なサービスとして行われているのか、こういう割合などについて詳しい分析というのはされているのかどうか、これについてお答えをいただきたいと思います。
  53. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 在宅介護費用がどうかかるかということでございますが、これにつきましては、私ども施設に入る人と在宅サービスを受ける人とを、施設に入る人を除きまして、除いた人たちが在宅サービスを受ける対象になると。そして、年齢ごとに発生率、どのぐらい対象者がいるかというのを推計し、それに現在の補助基準とかそういうものをもとに単価を設定して計算しているわけでございます。  これは、介護保険制度ができますと、費用の実態等を調べて、地域差等も踏まえて介護報酬を設定すると。それで出てくるのがある意味では本当にかかる費用ということになるわけでございますが、まだそういう仕組みになっておりませんので、そうすると一定の前提を置いて推計するしかない。その推計としましては、現在の補助単価とかそういうものを前提に計算したということでございます。この中で民間の割合がどのぐらいになるかというところまでは推計はしておりません。
  54. 山本保

    山本保君 先の将来予測の辺までもお話があったのでまとめて考えてみますと、今おっしゃったとおりだとすれば現在の〇・五兆円の内訳についても特に調べていないと。そして、それが平成十二年度ではこの前のお答えで一・三兆円になるであろうと、こういうふうに推測されたけれども、これは基本的にこの前のお話もまた資料も含めて結論を言えば、老人人口がふえていくであろう、そしてそれにGDPの伸び率を三%として掛け算をしていく、こういうことが一番大きなものでなった数字だというふうに思います。それでよろしいですね、もう一度確認でございます。
  55. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) そういう対象者がふえていくということに加えまして、新ゴールドプランができ上がりますとどういうサービス体制になるか、どれだけのサービス量が提供できるか、そういうことも踏まえて、あるいは療養型病床群のように、今の新ゴールドプランには入っておりませんけれども介護保険施設になっていくわけでございますので、こういうものがどのぐらい整備されるか、こういうサービス量も踏まえまして推計しているものでございます。
  56. 山本保

    山本保君 それで結構です。というのは、つまり今よりももう少し使う人がふえるであろうというところも入れているということですから、私は最初に申し上げましたように、この額が余りふえないのではないかということを言いたいわけですからそのことで結構でございますが、多く見積もってこれぐらいである、こういうふうに言われているということです。  ここが、この前も申し上げたわけですけれども、非常に現実のお金、全部これ信用いたしますが、そうしますと、今約〇・五兆円ですから、一・三兆円になるということは二・六倍になる、こういうことですね。ですから、これをこのまま信用して考えてみますが、しかし、民間サービスと公的なサービスの間には現実には非常に費用の差があるということが言われておるわけです。坂田教授の調査では、いろんなことをやられていますが、例えばホームヘルパーなどでは二二・一%というような数字があって、大ざっぱに二割から五割ぐらいというふうに言われて、これは御存じだと思います。  それでちょっとお聞きしますが、ホームヘルパーなどについてはある程度のデータがあって、公的な、市町村が独自でやっているサービスと、それから民間、特に法人その他がやっているサービスについての調査結果があるというふうに聞いておりますので、それをお示しください。
  57. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 今、先生のお尋ねは、いわゆる在宅サービスで民間に委託している実態等についてのお尋ねでございます。それにつきましては、現在の状況につきまして御報告申し上げますと、訪問介護、いわゆるホームヘルパーサービス事業、それから訪問入浴介護事業等につきましては、営利法人等も含めました民間事業への委託を進めております。  それで、現状でございますけれども、平成八年の八月でございますが、訪問介護につきましては三十七市町村、いわゆるホームヘルパーでございます。それから、訪問入浴につきましては四百十八市町村におきまして委託ということが行われております。そういった民間事業への委託を進めております。現状はそんなところが今わかっているところでございます。
  58. 山本保

    山本保君 これは先回のときにも細かく数字を出してくださいというふうに言っておきましたのですが、今すっきりした数字じゃないようですから私がいただいているものをちょっと言いますと、平成八年三月三十一日現在で、訪問介護、ホームヘルプサービス事業を委託している市町村数は、それを実施しているのは三千二百五十一、ほとんどですね、そのうち委託をしているのは二千七百十一市町村であると。そして、ダブりもあるが、その中でいわゆる社会福祉法人にやっていただいているのは六百五十七、その他が二百四十九というような数字をいただいております。間違いございませんか。
  59. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 失礼いたしました。  訪問介護事業全体の委託、民間等に限らず委託の実態というのは先生お挙げいただいた数字のとおりでございます。
  60. 山本保

    山本保君 それで、私、厚生省の方にこの前もちょっと申し上げたように、実際こういうノウハウを全部持っているのは官僚なんですから一度これで試算をしてくださいとお願いしたんですが、どうもやっていただけないようなので、自分で、小学校の力でできるだろうということで計算してみました。  といいますのは、ほかに数字がないわけですからこれはやむを得ないわけで、今出た数字を、余り厚生省に酷な数字では悪いのでちょっと丸くして、今委託について簡単に言えば七対三というふうに、もっと少ないですけれども、ちょっと多目に見て七対三ということになるでしょう。それから、坂田教授の二二%という数字がありますけれども、これもちょっと低過ぎるかもしれないので仮に三割と。公的なサービスを十とすれば民間サービスの費用は三割であると。こういうふうに仮定しまして、そして、もちろん委託数と実際のサービス量というのは違いますけれども、これはもう全くわからないということですから、大きな町から小さな町まで込み込みにして全部同じだと考えますと、そうすると実施量については七対三、そしてその費用については十対三ということになります。  これで計算をしますとどういうことになってくるかというと、例えば現在〇・五兆円ですが、このうち民間に払っているのは、このお金をもとにして考えますと〇・〇五七兆円、つまり五百七十億なんですね。〇・四四三兆、四千四百三十億が公的なサービスに使われているというふうに考えられます。これをもとにして、平成十二年には現在の二・六倍になると。この二・六倍は、今の構造とは関係のない全体規模の話ですから、これをそのまま信用したとしますと、民間は全部で今申し上げたのの二・六倍ですから、約三千四百億円で済むんじゃないかと。  ごめんなさい、今ちょっと途中を飛ばしました。私は平成十二年に全部もう民間でやるというふうに仮に仮定して計算してみますと、大体三千五百億弱、これで済むような数字になってくるんですね。間違いがあるかもしれませんが、これはどうぞ専門家の方できちんとやっていただきたいんです。  そうしますと、実は一・三兆円というのは、今ある七割から八割が公的なサービスで、そして三倍からそれぐらいのお金を払っているという今の現状、今の福祉がよくないと言っているこの公的なサービスだけが優先していて民間がちっともできないというこの現状をそのままにしておいて、それを平成十二年に持っていった数だということなんですから、これはもともとそんなことはあり得ないわけですよ。ですから、丁三兆円は要らないんじゃないか。もっと極端なことを言えば一兆円要らないんじゃないかという数字も出てくる。厚生大臣、これ、今の数字、そんなに難しくない数字なんですが、どうお思いですか。
  61. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 私は数字が苦手なもので、それは専門家にちょっとお任せしてみたいと思います。
  62. 山本保

    山本保君 どうも失礼しました。突然で申しわけありません。  ただ、私ももちろん数字が得意なわけではありませんので、計算機でやっただけで難しいことはない。ただの比例計算をしてみただけなんです。そうしましたら私も驚いたんですよ。大変な額が、実は一・三兆ではなくして、〇・三兆少しで済むと、全部民間に今の規模でやっていただければ。そういう数字になってきたわけです。  それから続いてもう一つ、次に進みますけれども、これに加えて実は日本の社会福祉というのは民間施設がほとんどなんですね。ほとんどこれはもう明治以来のいろんな状況によって、国家がやるよりも民間の方が一生懸命やってこられたという歴史があるわけです。そして、小泉大臣おられるからあれですが、よく郵貯のことを言われますけれども福祉分野においてはほとんど民間型なんですね。ところが、民間型だといってもその費用はほとんど国が持っている、こういう形であるわけです。これは非常に外国と比べますと特異な形である。  私どもアメリカが一番わかりやすいので、アメリカについて資料がないかということで厚生省にお願いしましたら、ジョンズ・ホプキンス大学の研究会、これは日本人も有名な人が入った研究会で、六カ国をずっと調べたものなんですけれども、それを見ますと、社会サービス分野というのがあるんです。日本はそのサービスの運営に関する収入割合でいきますと、民間の寄附金は〇%であって、アメリカは二八%。イギリスでは四〇%という数字が出ております。つまり、民間の寄附がこの分野には二割から三割と言っていいと思うんですが、入っているわけですよ。日本の方はほとんど入ってない。  これも、先生方はもう御存じだと思いますが、今の実情をごらんになればすぐわかることでして、措置費が四億円、五億円いくような施設でも、年間どれだけ寄附金を集めましたかと。この前、長野に一緒に行かせていただいたときに聞いたんですが、もう百万円から二百万円集めるので精いっぱいなんですね。ですから、この〇%というのは全く正しい数字だと思うわけです。  ですから、もしこれを民間の寄附が、公益寄附金がこういう分野にきちんと入ってくれば、さっき申し上げたお金、約〇・三と言いましたけれども、〇・三兆、四兆でもいいですが、これもまた実は七掛けで済むかもしれない。公的に用意しなくても、つまり税金や保険料全部でやらなくちゃいけないものの七掛けで済むんだと。簡単に言えば、大臣、一生懸命大蔵省と交渉してほかの省にとられないように何とか持ってこようと努力されていると思いますが、こんな簡単な方法があったわけですね。  つまり、大蔵省に全部与えてしまえば大蔵省は今までどおり分類しますけれども、寄附金という形で、そしてこの寄附金は非課税がありますので、この非課税の寄附金をこちらへ持ってくれば何てことない、最初から福祉の方にそれだけのお金が来るんだと。こういうことをきちんと計算をして示すべきではないかと私は思っておるんです。  大臣、この公益寄附金についてはこの前ちょっと資料もお見せしたんですけれども、どういうふうにお考えでしょうか。
  63. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) この前資料をいただきまして、今事務当局にそのアメリカ等と日本との寄附金に対する税制上の措置と相違点、類似点、またいろいろ今までの創設された背景等を調査して研究しようということで今その作業に取りかかっているところであります。今のお考え等も含めまして参考にさせていただきながら、現状を改善する上においてどのようなことが必要かということを勉強させていただきたいと思っております。
  64. 山本保

    山本保君 前向きのお返事をいただいたわけなんですが、しかし事は急を要するわけでありまして、まさに先ほどの四・二兆円要るという数字で国民の皆様から二兆円負担してくださいと、こう言っておられるのはちょっとこれはまずいんじゃないかと思うわけですよ、こういうことになりますと。  もちろん、これはおわかりだと思いますけれども、寄附金だって保険金だって同じじゃないかと、これは全然違いますね。保険金であれば、これは公的強制保険ですからお金持ちもそうでない人も、今まで何回もこの中で話が出たように年金生活者からもいただかなくてはならない。いただかなければ保険給付はできない、これが当然保険考え方ですから。ところが、寄附金というのはそうじゃなくて、簡単に言えばお金を持っている方が自分の善意で出すわけですから、ない方はもちろん出さなくてもいい。税と同じですが、税は強制的に使われるしその使い道が全くわかりませんけれども、この場合は自分の気に入った施設に出せばよろしいから施設間の競争が広がりますし、そして当然役所の方を見るのではなくして施設が市民の方を見るようになる。途中途中のお金のむだもなくなるということです。  ですから、この制度について、特に今までこういう議論をしますとよく出てきますのは、日本ではそういう寄附金などというのは集まらないんだ、風土が違うとかそういう話があるんです。でもそれは違うんですね。つまり風土ではなくして、一つの例を言うと、今度はお金を強制的にいただきましょうと言っているときに、強制的に払うのがいいか自分で払うのがいいかという選択になります。  それから、これはもう先生方なら御存じのように、社会福祉法人に対する寄附は、限度額がありますけれども、これは非課税になります。個人ですと収入の二五%だと思いましたが、法人ですといろいろ規模によって違うようですが、二%から三%でしょうか。アメリカですとこれが法人収入の一〇%まで今寄附ができるんですよ。一〇%まで損金算入ができるんです。だから寄附がふえるんです。風土じゃないんですね、制度なんですよ。  こういう制度をきちんと我が国に導入すれば、今これだけ大変になっている介護問題も、解決と言ったらおかしいけれども、お金の部門が最初にこの問題のもとであったということを考えますと、これは大至急検討しなくちゃならないと私は思いますけれども大臣もう一言お願いします。
  65. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 今のお話、十分参考にすべきだと思いますし、そういう考えを我が党の税制調査会でも何人かの方々主張しているということも私聞いております。その点も含めまして、今の寄附金が集まらない、制度面によって奨励すべきじゃないかという点も、アメリカの例等、また今の御意見を参考にしながら、今後早急にしていくべきではないかというお考え十分わかりますので、もう少し勉強し、どの方法がいいかという考えをまとめる時間を少しいただきたいと思っております。
  66. 山本保

    山本保君 今そういうお話ですので、その結果を見守りたいと思います。  そこで、ちょっと観点を変えまして、私はこの前も、なぜ措置ではいけないのか、そして保険制度がすぐれているのか、もう少し客観的に両方にどういう違いがあるのかということをお聞きしまして、局長さんからお答えいただきました。結論的に言えば、特に措置の問題点とすれば、サービスが画一的であるとか、または行政的な処分であって非常な悪いイメージを伴うとか、また運用が手続がというようなことが出てきたのではないかなと思うんです。  個々について私は説明といいますか反駁をしたいとは思うんですが、きょうはちょっとその観点を変えて考えてみますと、今出たような問題点というのは、これは役所がやるからということよりはサービス量が非常に少ないからだ、独占されているからだ、独占の弊害とほとんど同じじゃないかという気がするわけですよ。つまり、この分野のサービスがもっと競争的にたくさん出てくれば、今まで福祉にまつわる、措置にまつわる問題点だと言っていたことは、実はそうではないんじゃないか。もちろん、処分をするとか措置をするとかいうこの老人福祉法の規定がおかしい、こんなものはすぐ直すべきだということもこの前申し上げたわけですけれども、そういう法形式の問題、法制度の問題はおくとしまして、それ以外にこの部門におけるサービスが非常に限定されているんじゃないかと思います。  ここで少しお聞きしたいんですが、社会福祉法人というものが、我々、一般の方が一番安心できる、厚生省また県がその基準も立てて責任を持ってやる、今までは措置ですが、安心できる福祉サービスを提供できる主体だと思うわけですけれども、社会福祉法人というのはどういう実態にあるのか。特に介護分野でどのぐらいの法人がこれに参加されているのか、どういうサービスをされているのか。わかる範囲で結構ですから、少し御説明をお願いいたします。
  67. 炭谷茂

    政府委員(炭谷茂君) 社会福祉法人のうちで介護に関する事業をどれだけ行っているかという点につきましては、社会福祉法人に着目した統計は現在とっておらないわけでございます。したがいまして、先ほど山本先生自身が御披露していただきましたように市町村が社会福祉法人に委託をしているという実態はつかんでいるわけでございますが、先ほどの数字の繰り返しになりますけれども、委託している市町村数が二千七百十一、そのうち市町村社会福祉協議会、これも社会福祉法人でございますけれども、二千四百四十九、それから社会福祉法人に委託しているというものは六百五十七あるわけでございます。このような実態をつかんでいる程度でございます。  あと、個別の県におきまして一、二調べてみましたところ、例えば東北の岩手県でございますけれども、岩手県ではデイサービスでは六十九法人、全体で二百六法人岩手県にございますけれども、六十九。また、ショートステイにおいては五十八。ホームヘルプサービスでは五十七。こういうような実態でございます。
  68. 山本保

    山本保君 調査といいますか、厚生省にその資料がないということですから、これ以上それについては言えませんけれども、私は、こういう介護という問題が今大変な問題になり、この五年間ぐらい厚生省介護保険一本で突っ走ってきたわけですから、そうなりますとこういう基本的な実際どういうサービスを法人がやっているのかということなどは、幾ら県の所管であるとしてもやっぱり調べておくべきだったんじゃないかということだけは、残念ですけれどもこういうことは主旨申し上げますし、ぜひ調べていただきたいと思います。  岩手県の状況がそうであるということを言っていただきましたので参考にはなりますが、考えてみますと法人をなかなかつくらせないんじゃないかということです。私も、地元の方からいろんな障害の方とかそれから保育関係とか、いろんな問題があって相談を受けますけれども、なかなか法人をつくろうと思ってもつくらせてくれない。社会福祉法人をつくるというのはそんなに難しいことなのかという気がするんですけれども、今、社会福祉法人というのはどういう形でつくることができるのか、その考え方とか要るお金であるとか、この辺を説明してください。
  69. 炭谷茂

    政府委員(炭谷茂君) 社会福祉法人は当然社会福祉事業という極めて公共性の高い事業を目的に設立されるわけでございます。現在は大体一日に一件程度社会福祉法人が設立されているという実情にございます。  そのときの審査のポイントというものは、やはり財政的な基盤、また役員が公正であるかというような二点が非常に重要なポイントではなかろうかというふうに考えているわけでございます。
  70. 山本保

    山本保君 この前突然お聞きして、正確だったかどうかはちょっと別として、もう一度お聞きしますが、社会福祉法人をつくろうとするときに基本基金というものが要ると思うんですけれども、それは一体幾らぐらいで、また設立のときにそれ以上要るのかどうか。これは民間の方がやる場合、それから例えば社会福祉協議会がつくろうとする場合どういうふうになっているのか、これについてもお願いします。
  71. 炭谷茂

    政府委員(炭谷茂君) 社会福祉法人にもいろいろな形態があるわけでございます。まず、現在設立されている社会福祉法人の大半は社会福祉施設をつくるというものでございます。こういう法人につきましては施設自身が基本財産ということになりますので、特別の現金といいますか、そういうものは特に要らないわけでございますけれども施設を経営しない事業につきましては基本財産として一億円というものを求めることを原則にしております。  この一億円の根拠でございますけれども、これは、社会福祉事業法の中に、例えば助成を行う場合、施設経営以外の事業につきましては最低年間五百万円以上の助成を行うということを原則にいたしております。そのようなことを勘案いたしまして基本財産はやはり一億円以上必要じゃないかなということが出てきているわけでございます。  しかし、今、先生御説明されましたように、事業の性質によりまして確実な収入が見込める、例えば委託費などで市町村から確実に参るというものにつきましては弾力的な取り扱い、必ずしも一億円ということにこだわっているわけではないわけでございます。
  72. 山本保

    山本保君 では、もう一つ重ねてお聞きしますが、施設を経営する場合にはということでした。この場合、国として認めている最低限の施設、特にこの老人介護ということについては何大規模以上の、そして面積はどれぐらいというようなことであったのか。大まかな数で結構ですけれども、お答えいただけますか。
  73. 炭谷茂

    政府委員(炭谷茂君) これは、当然社会福祉施設でございますからそれぞれの、例えば老人福祉施設であれば最低基準というものが決められているわけでございます。それは、面積また収容の人数というものは定められておりますから、それに基づく規制を基準にいたしているわけでございます。
  74. 山本保

    山本保君 一般に五十人以上であるとか三十人以上というようなことがあると思いますが、じゃちょっとそれを。
  75. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) お尋ねの点を特別養護老人ホームに例をとって申し上げますと、現在のところ、私ども国で補助を出しまして整備を進めております基準といたしましては、原則五十人以上の規模ということを一つの原則にいたしておりますが、先生も今お挙げになりましたように、僻地だとかあるいは都市部だとかということでもう少し小規模に弾力的にやるべきところにつきましては三十人ということにしております。さらに、個別の事情で今後弾力的に対応する必要のあるところ、例えば在宅サービス等の拠点になるような形でいわば収容部分も要る、入所部分も要るというような場合につきましてはさらに今後弾力的に考えたいと思いますが、原則としましては五十人あるいは三十人という数字を示しておるところでございます。
  76. 山本保

    山本保君 それは、ちょっとさっきの炭谷局長と今の羽毛田局長のこれをクロスさせますと、例えば単独で三十人の施設をつくるということで法人を申請しますとできますか。どうですか。
  77. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 私どもが特別養護老人ホームをそれでつくっていただいて結構でございましょうということで補助金をつけるような場合につきましては当然法人はできるということで、入所施設の場合には社会福祉法人の取り扱いもしていただいているはずであります。
  78. 山本保

    山本保君 一つここでそのことについての問題点は、今小規模の施設をつくりたいという声がたくさん上がっていると思います。大規模で生活の場から切り離されたような生活を人生の最後に送らなければならないということが非人間的なものだということはもう想像がつくわけですから、なるべくこれまで生きてきた、生活してきた場で小さないわゆるグループホームなどをどんどんつくるような形でもっと広げていかなくちゃいけないだろうという一つの問題点があります。  それにもう一つ、もっと大きなことは、これから在宅支援サービスをするときに一億円のお金を積まなくてはならないという根拠はないと思うんです。つまり、今おっしゃったように、これは施設経営をするための、簡単に言えばたくさん人がおり、職員がいて、そして国からも措置費が出る、こういうことを前提とした制度だと思うわけですけれども、先ほどからも申し上げていますように、これからこの分野においてはそういうものはメーンじゃなくさなくてはもうできないわけですよ。そういうときにこの社会福祉法人をもっと柔軟につくりやすくしなければならないのではないかと思いますけれども、この辺についてはどうお考えですか。
  79. 炭谷茂

    政府委員(炭谷茂君) 今、先生が御指摘されましたように、例えば在宅福祉サービス、これが市町村からの委託ということを主たる財源にしている、そしてほぼ恒常的にある程度の収入が得られ財政基盤がしっかりしているということであれば、繰り返しになりますけれども、必ずしもこの一億円とかという多大な基本財産は必要としないというような弾力的な取り扱いをしているところでございます。
  80. 山本保

    山本保君 ただ、その弾力的というのが非常にわからないわけですね。言うならば法人理事長に役人のOBが来ればいいとか、それからこの前非常に忌まわしい事件があったわけですけれども、設立認可よりは国の補助金が行くか行かないかによって実際には運用されるというように非常に不明朗だと思うんですね。だから、これはもっとはっきりと、例えば在宅支援のさまざまなサービスにおいては、有限会社であれば三百万円、しかもこれはそのまま凍結するんではなくして使えるわけですから、そのお金を持ってくればできる、こうなっているわけですね。  さっき言わなかったんですけれども、私、いただいた資料で、社会福祉協議会ですか、何か役所がかりであれば三百万円で済むといったしかそんなのがあったと思うんですけれども、それはどうですか。そういう資料をいただいているんですけれども、ここでちょっと確認させてください。
  81. 炭谷茂

    政府委員(炭谷茂君) 今、先生が言われましたように、現在の私どもの認可基準では社会福祉協議会は三百万円以上というような基本財産ということで統一的に運用しております。
  82. 山本保

    山本保君 言うならば、県や市の役所がかりでやっているようなところには三百万円で優遇しておいて、そうでなければ一億円持ってこいと。しかも、この通知を見ますとこの一億円は使っちゃいかぬみたいですね。これはいわゆる基金として置いておいてそのお金で運用するんだと。こんなの民間の事業体としては全くナンセンスですよ。何のためにそんな死に金を一億円積んでおくんだと。これは考えれば簡単なことですね。こういうことを今までやってきたということ、これは保険をつくる前にもっとどんどんやって民間の方たちが入ってくるようにしなくちゃいかぬ。  では、話を先へ進めますが、先ほどもお話があったと思います。きょうテレビを見ていましたら、経済企画庁だったんですか、きょうのことなのかきのうのことなのかちょっとわかりませんが、いわゆる営利の法人なんでしょうか、もっと民間を導入させようということを厚生省に申し入れるとか入れないとかという情報をちらっと見たんですけれども、この辺は何か、新しいことですから、もしおわかりだったら教えてください。
  83. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 私ども、今後の介護サービスに対する民間事業の参入につきましては、やはり積極的にそういう方向考えていきたいということで申し上げておるとおりでございまして、そういった方針に沿いまして、特に在宅サービスにつきまして今後民間の事業者、その中には営利法人も含めまして、民間事業者の参入というものについて今まで以上に規制緩和を進めていきたいということを考えております。  そういった事柄を今の介護保険導入に向けましてのこととして、今までも御説明させていただきましたが、そのことではなかろうかというふうに思います。
  84. 山本保

    山本保君 その問題で、私はもう本当に福祉をやっていた者として情けない気がするわけですが、そんなことを経済企画庁から言われなくちゃならぬのかと思うわけですけれども、ちょっとそれはおきまして、この場合、民間と言っている場合に営利会社、営利団体というものを考えているんじゃないかと思うんですよ。しかし、これは話一が逆でして、さっきから申し上げているように、まず社会福祉法人をもっと厚生省がきっちり中身について責任を持てる、みんなが安心できるものを広げていくということを先にしなければだめだと思うんです。  そのためのひとつ論証というか証拠としてちょっとお聞きしたいんだけれども、株式会社で例えばこういうサービスをやるときと社会福祉法人の認可をいただいてやるときとでは税制上どういう差がありますか。
  85. 炭谷茂

    政府委員(炭谷茂君) 税制上につきましては、社会福祉法人については大変優遇措置がございまして、例えば各種の法人税、所得税、また固定資産税その他のものが非課税になっておると。また、社会福祉法人に対して寄附を行うという場合につきましても、前半のところに御議論がありましたように、我が国においてもこれを損金扱いとしてできるというような優遇措置がとられております。
  86. 山本保

    山本保君 これは、もう御存じの方は当たり前じゃないかということですが、確認でぜひ委員の先生方も御承知おきいただきたいんですけれども、この営利法人というか社会福祉法人というのは非常に優遇されているわけですね。これは私、悪いと言うんじゃないですよ、いいことなんです。当然のことであって、まず法人税は非課税です。一般の会社であれば小規模であっても二八%、もっと大きくなれば三七%以上の税が、まさに今税調などでやっておる、大臣御存じのとおりですね。  それから、言われませんでしたけれども、例えばみなし寄附というようなのがあって、今の社会福祉法人であれば、例えば給食サービスを利用して地域のレストランをやったり、それから喫茶店をやったり図書館をやったりとか、いろんなことができるわけですね。いろんなことをやったときのその収益事業に関しても、たしか二〇%がみなし寄附としてこれはもう収入から除外できて法人が使えるということもあるはずですね。  今申し上げたのは特増法人の話なんですが、このみなし寄附についてもちょっと確認させていただきたいんですけれども、何か聞きましたら、社会福祉法人はもっと優遇されているとかいうことを聞いたんですが、その辺御説明願えますか。
  87. 炭谷茂

    政府委員(炭谷茂君) 社会福祉法人において、例えば余裕のある部屋を事務室として貸すとか、また空き地を駐車場に貸すと、このようなものは収益事業ということでくくられているわけでございますけれども、収益事業についてはすべてこれは社会福祉事業に充てなければいけないという縛りがかかっているわけでございます。  その場合、この収益事業に係る法人税の扱いでございますけれども、その収益事業の二分の一につきまして損金扱いという形になっております。ただし、その額が二百万円を下回る場合は二百万円まで損金として扱えるという制度になっております。
  88. 山本保

    山本保君 そうですね。きのう私も初めて知ったんですけれども、一般の特増法人よりももっと優遇されているんですね。一般はたしか二割だと思いましたから、これでいきますと二百万円までは全額、二百万円以上でも半分まではみなし寄附としてその事業から出せる。ところが、ちょっと局長の話にもありましたけれども、どうもいろいろ縛りをかけているような指導をされているようですね、本来事業より規模を超えてはいけないとかなんとか。でも、それは全部今までの古いタイプの古い福祉のやり方じゃないかと思うんです。  例えば、社会福祉法人がやっている営利事業といいますか、本来事業でない部門でどれぐらい各施設がそういう事業でお金を集めているのかという数字もありますか、ないですか。
  89. 炭谷茂

    政府委員(炭谷茂君) この資料につきましては、現在、全国社会福祉施設経営者協議会というところで今年の一月に調べた資料が一つございます。これはアンケート調査でございますけれども、この調査によりますと、収益事業を実施している法人の割合というのは五%未満という状況でございます。  また、これは平成七年度の実績でございますけれども、これはやはりアンケート調査でございますので必ずしもすべてがカバーされているわけではありませんけれども、例えば年間の収益額が百万円未満のものは十法人、百万から百九十九万のものは十四法人というような実態ということになっております。
  90. 山本保

    山本保君 私、もっと多いと思っていまして、きのう夜遅くなって厚生省の担当からそういうのがあると聞いたんですが、その結果については、何かずれて私の前にいただけなかったので、ここで大変大きな数字が出てくるのかなという、半分期待と半分ちょっとびびっておったんですけれども、たった五%ということでびっくりしてしまったわけです。  先ほど寄附のことも言いました。寄附もほとんどない、それから地域の中で地域の皆様と一緒にやらなくちゃいけない、その社会福祉をやっている団体が、その地域とのかかわりというのは、こういうサービスをやり、それについて対価をいただく。当然のことですね、それだけの資産とかいろんなノウハウがあるわけですから。そういうものもほとんど活用していないということですね。  ちなみに、先ほどのホプキンス大学の数字を言いますと、アメリカでは、これはやはり二割から三割がそういう収益事業でもってソーシャルワークのところも動いておって、言うなら国からの公的なお金は五割ぐらいなんですね。これは当然なんです、考えてみれば。  今までの福祉が、最初に申し上げましたように九割方公費で全部お金をもらって、施設で一生懸命やっている方もたくさん知っていますので全部押しなべてということは言いませんけれども、しかしここであらわれてきたイメージというのは、やはり社会福祉施設というのは全部役所のお金で動いて、そしてそれをサービスではなくて言われたとおりやってあげるよと、こういう形で施設も動いてきたんじゃないか。ここを変えなければだめなんだということですよ。例えば三百万円なら三百万円、五百万円なら五百万円以上をどんどん法人としてきちんと認めて、厚生省がその基準をつくり参入させると、こういうことでなければ、結局何だかわからない会社がいっぱい出てくるだけじゃないですか。  大体、福祉でお金がもうかるわけないわけですね。福祉でお金がもうかったら、サービスを低下させるか働いている人を搾取するかどっちかしかないじゃないですか。そんなものはもともと、実際は会社などができないから、社会福祉法人をちっともつくらせないからやむを得ずシルバー産業だ何だと言っているだけですよ、これは。本来、きちんと法人として国が責任を持って見て、そしてその中身を保証しなくては安心してサービスなんか使えないじゃないですか。今まで国は、法人をつくるということは即措置費を出す、補助金を出すことだと、こういうふうに思っていたから全然やらなかったわけですよ。  それからもっと言えば、サービスにしても、ある地域で一個だけやればもう独占であって、それ以外のサービスなんて認めなかったわけですよ。ここが一番いかぬわけです。これがなかったら、僕は保険をつくるのは反対ですけれども、もし保険ができたって同じじゃないですか。ある町で社協がやっているサービスしかなかったらどうやって選択するんですか。選択でき、競争し、皆さんのためになんて、何にもできないじゃないですか。そういう方は隣の町へ移ってくださいと言うんですか。そんなばかなことはできないですね。  だから、私はもう一回これ言いますけれども、まず第一にやらなければならないことはサービス量をふやすことだし、そのサービス量はきちんとした内容を持ったサービス量をふやすことであり、はっきり言えば社会福祉法人という規制緩和をもっと大至急やって、そのサービスによっては、今までのように入所型できちんとやらなくちゃいけないというものはこれは仕方がないとしても、小規模の施設を認めることと、そして在宅サーピースについてはもっと柔軟な、三百万とか五百万でできるようなものを大至急つくって、そしてこの地域の中でサービスが競合できるようにする。  これを最初にやらなかったら、どんな保険をつくってこようが何しようが、使う方にしてみれば保険金であろうが国の金であろうがやっぱりお上がやることであるということになってしまって、決して保険がすばらしいなんという論理にはならないと私は思いますけれども大臣、これまでの議論をお聞きになって、御感想をお願いいたします。
  91. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 福祉事業に対して民間の熱意とか活力をもっと導き出せという御意見、賛成です。どういう基準の見直しがいいか、今言ったように、一億円が妥当なのかどうかも含めて、規制緩和は今一つの時代の流れでありまして、多くの民間人の参入を促して福祉サービスの水準を向上させるということを考えますと、今の御指摘は私は大変重要なことだと思っています。  厚生省としても、今の趣旨が生かせるように、早速検討して、もっと民間の活力を導入する、福祉事業に大いに国民の皆さんが参加してもらうというような観点から見直すべき点は見直していきたい、そう思います。
  92. 山本保

    山本保君 どうもありがとうございます。  今のことで二点だけちょっと御指摘をさせていただきますと、一点は、もう先ほどから申し上げたことですが、民間の導入といったときにすぐ営利会社の方というふうに行きますが、福祉の場合はこれは非常に危険があります。  それはだめだという意味じゃありませんけれども、先ほども具体的に出していただいたように、法人をつくればこれだけ所得税だって三割か四割違うとなってくれば、これは当然お金も安くなりますし、働く人にとってもプラスになるわけですね。会社をつくればそれだけお金がなくなるんですから、その分どうやってお金を持って来るんだということになってくる。寄附金は集まらない。もちろん寄附を集めるためには厚生省も中心になってキャンペーンを張らなければならないと思いますけれども、申しわけないが、介護保険で強制的に取られるよりは、この方がいいのではないかと思います。  それから、もう一点は、三百万円とか五百万円でやったときに、実務家の方からは、そうしたら何万というか、一万とかそんなのがいっぱい出てくるんじゃないか、それをどうやって役所がチェックするんだと、こういうのが必ず出てきます。しかし、私は、役所がチェックをするという体制がもう古いんじゃないか。  もちろん責任を持たなくちゃいけませんが、今の法人が信用されていないのは、その経理だとかその内部が全然もう透明性がないからなんですね。ここは特例として小さいものを認めるのであればきちんとその中身が、関係ない人に、暴力団に入ってこられてやられてはそれは困りますから、この辺はきちんと仕組みをつくりますけれども、しかし、例えば私たちの政治家のお金が全部オープンになっているのと同じように、各法人の経理の状況についてもきちんと公開をする。役所が一定の基準をつくるなり、または役所に出させた書類を公開する。こういう形をとれば、今の世の中、そんなチェックがうまくいかないなんということはない。  あの嫌な事件だって、今の法人だって、あんなことが何億円も動いたってわからなかったじゃないかと言いたいわけです、逆のことを言えば。あれは役所任せだったからああなったわけでして、あんなことがもっとオープンになっておれば、どうしてこの企業からこの法人にお金が入っているんだなんてことが明確になっておれば、あんな問題は絶対起きなかったと思うわけですので、その辺もぜひ進めていただきたいということを申し上げます。  次の質問に移ります。先ほども宮崎先生の方からもちょっとお話があったことでございますので、ダブりはやめまして、訪問看護ステーションというものと在宅介護支援センターというものが、両方が今のプランであるわけですけれども、これ私などが見てもちょっとわからないんです。この二つはどういう関係の機能を持ってどういう関連になっておるのか、今後これはどういう形で動いていくのかということについて、一般的な御説明で結構ですが、お願いいたします。
  93. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 訪問看護ステーションは、御案内のとおり、在宅におきまして寝たきり等で看護婦さん等によります看護が必要な状態でおられる方に看護婦さんが行って療養上の指導等をするということを主体にした施設で、そういうサービスを提供するということ。これは、今後の介護保険のもとにおきましてもそういったサービスは非常に大事であるというふうに思いますので、介護保険サービスとしても位置づけておるわけでございます。  それから、在宅介護支援センターでございますけれども、これについては現在二つの機能があろうかと思います。一つは、寝たきり等でサービスを受けたい、あるいは受けなければならないという需要のあるお年寄りに対して、いわば相談をする。相談をして、次にそれを今度は地域のそういったサービス資源と申しますか、サービス主体とどう結びつけていくか、そういう役割が在宅介護支援センターには現在あるわけでございます。  そうしますというと、今度の介護保険ができました場合には、一つにはいわゆる介護支援計画、つまりケアプランとよく言っています。そういったものをつくる主体としての役割というものが一つあると思います。それ以前に、現在でも担っておりますような地域の介護需要、あるいは介護需要にとどまりませんでもうちょっと広い需要かもしれませんが、そういった地域の何らかの介護等のニーズを持っておられるお年寄りと地域のそういった資源あるいは提供主体とを結びつける相談あるいは調整的な業務というものは非常に必要になってまいります。そういった人たちを把握し、それからその人たちの相談に乗り、そしてそれが介護保険に結びつくものであれば介護保険サービスに結びつきますよという相談に乗ってあげ、あるいはそのほかの、例えば一番広く申し上げれば健康づくりだとか生きがいづくりみたいなところに結びつけるようなものであればそういうふうな方向に持っていき、あるいはヘルス事業と言われるいわゆる保健事業に結びつけるものはそういうふうに持っていく。  そういった相談支援事業というのは、今後の介護保険制度後におきましても、それは介護保険そのものというよりは、介護保険の周辺にありましてそれをバックアップする施設として今後も必要になってくるだろう、そういうような位置づけになってこようかというふうに思います。
  94. 山本保

    山本保君 ちょっと聞いておりまして、私の理解がうまくいかないのかと思うんですが、わかりにくいんですけれども。ちょっと簡単に整理してみますと、こういう分野については、直接的にその方たちにケアサービスを行う、実際看護婦さんたちがやっているそういうことも含めた、そういうものとそれから社会福祉士さんができたときにあったような、いわゆる相談であるとかケースワークと言われているような、その他の資源を調整したりする、その中に例えば今度ですと認定をするというようなことも入るのかもしれませんけれども、こういう周辺的なものを組み立てていく。今お聞きしていてこういう二つの機能があるんだということかなと思うんですが、これは両方の機能がどういう関係なのか。  というのは、実際私もいろんな町へ行ったり聞いておりますと、特に市が直営しているようなステーションに行きますと、何かお役所の係長さんみたいな人しかいなくて、あなたここへ行きなさい、ここへ行きなさい、こういうことしか言わない。この書類書きなさいと。逆に今度、施設が一生懸命やっている民間の施設の方が持っているところへ行きますと、そうすると、もう即、その中にはないかもしれないけれども、大体併設型ですから、その施設の方へ行って例えば必要なチェックをすぐしたり、具体的なことをやってくださったり、またこれは必要だというんですぐ飛んできてくれたり、こんなようなことをやっている。  何か中身が、まず、ステーションじゃなしにセンターの方からいきますけれども、センターが何か分かれているんじゃないかという気がしておるんですけれども、この辺の実態はどうなっておりますか。
  95. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 理想的には、先ほど申し上げましたように、やはりその需要を持ったお年寄りの方がそれにふさわしいサービスにいかに早く、いかに的確に結びつけていくか、その結びつけ役としての役割というものが在宅介護支援センターには大きなものがございます。そのときに、やはりそこでのいわば今のようなサービス内容というものはできるだけどこの支援センターであってもそういうことであるべきだろうと思いますし、そういう意味から言えばまだまだ改善の余地のあるものはたくさんあると思います。  それから、今お話しのことで言えば、現実問題として言えば、介護支援センターのいわばバックグラウンドとしての場所がどういうところにあるか、どういう施設あるいはサービスをバックグラウンドとして持っているかというようなことがその業務の濃淡であったりあるいは得意分野であったりする部分に影響するというのは、これは現実にやはり出てくると思います。  そういったことを補う仕組みというものをやっぱり考えなければならないということで、実は在宅介護支援センターをいわば仲立ちにしまして、先ほども出てまいりました訪問看護ステーションでございますとかあるいはホームヘルパーのステーション、こういったもの三つを総合的にやるというような形のモデル事業もつくって、まさに先生今おっしゃったような問題意識のもとに立って、それが総合的に発揮をされて、いかに迅速に、いかに的確に介護を要するお年寄りのニーズがそういったサービス部門に結びついていくかということについての改善の方向を見出していきたいという努力を今いたしておるところでございます。
  96. 山本保

    山本保君 結論のところはよくわかりますが、ちょっとその前に、この在宅介護支援センターというのはどういう規模でどういう方が置かれるのか、この辺についてお願いします。
  97. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 現在、在宅介護支援センターは、身近な地域において在宅介護に関する総合的な相談に応じますほか、各種の保健福祉サービス等が総合的に受けられるように、あるいは関係行政機関への連絡調整というようなことを担うという趣旨からやっているわけです。  設置主体につきましては、社会福祉法人等でやられているもの、市町村が直接やっているもの、あるいは医療法人等がやっているもの等で、必ずしもどこのどういうところでなくてはいかぬというところまでは縛っておりませんし、これについても、今後の方向として言えば、できるだけ幅広い設置主体を認めていくという方向での緩和も図っていきたいと思っております。  また、そこにどういうスタッフなりを置かなければならないかという点につきましては、例えば社会福祉士等のソーシャルワーカー、保健婦方々看護婦、あるいは介護福祉士の方を置くというような形で、いわゆる職員の配置につきましてこういうスタッフを置いてくださいというような指導をいたしておるところでございます。
  98. 山本保

    山本保君 今どれぐらいセンターがあって、目標はどれぐらいですか。
  99. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 現状でございますが、平成七年十月一日現在で総数が二千二十八カ所ということになっております。  そして、これを今度の新ゴールドプランの中におきましては、先般来お話がございますように整備がややおくれているというサービスのたぐいになっておりまして何なんですけれども、全体で一万カ所に持っていきたいということで今やっているところでございます。
  100. 山本保

    山本保君 介護支援専門員はこのセンターに置かれるというような規定ではなかったですか。ここもちょっと確認でございます。
  101. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 法律上、当然に置かれるということになっているわけではございません。ただ、一般的には在宅介護支援センター介護支援専門員が置かれることになるだろうというふうに思います。
  102. 山本保

    山本保君 支援専門員の目標数というか、予定数は何人だったのでございますか。
  103. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 介護支援専門員につきましては、制度実施までに四万人ぐらい養成する必要があるだろうというふうに思っております。
  104. 山本保

    山本保君 済みません、数字ばっかり並んでしまったんですけれども、私は、この介護支援センター、名前はともかくとして、地域の方が最初に行くところであろうし、それから、さっきから言っていますように、いろんなサービスが出てきたときにそれに対して公平な情報を教えてくれなくちゃ困りますし、それからもっとはっきり言えば、先ほどもお話がありましたが、認定というのはお役所の仕事としてやるわけですから、お役所の仕事に対して一般の、しかも動けないような方が互角に渡り合えるなんということはないわけですね。  だから、コンピューターを使ってチェックをやられたり、ただもう機械的にやられてしまっては不満が出てくる。不満が出てきたら委員会をつくればいいとか訴えればいいとかそんなものじゃないわけです。そんなことが起きないようにあらかじめ、この場合ですとお年寄りの側に立つ専門家がきちんといて、また一方役所の方の専門家、これはお金を出す方ですから、そっちの方の方と公平な形でやり合う。そうすれば、先はどのようないろんな問題にしても、もっと専門家同士の話し合いがなされればそんな問題は起こらないんじゃないか。それが一番大事であって、それを抜きにしておいて後から問題が起こったらというのは、これは話が前後逆だと思うわけです。  ですから、これはさっきからお聞きしていても、内容がまだはっきりしないとか、それから私がお聞きする前にお答えがありましたけれども看護ステーションとヘルパーのステーションとを一緒にすると言うけれども、具体的には何もないようですし、この辺は保険のあるなしにかかわらず、ここはまず現在困っている方のために一番最初に役所がやらなくちゃいけないことじゃないか。それが、御自分で言われましたように、非常にその整備がおくれているというのは心配なわけです。この辺もきちんとやっていただきたいということを申し上げます。  あと時間が余りありませんので、ちょっと飛ばしまして、こういう問題について、じゃどうやってだれが検討するのかということ。たしかそのための審議会が前回の保険法の、医療保険のときのことでできた医療保険福祉審議会ではないかと思うわけですけれども、認識が違うかどうかはあれですが、たしか二つの審議会はもうなくなったはずですからここしかないはずですが、どういうふうに今動いておられるのか、その辺について教えてください。局長で結構です。
  105. 高木俊明

    政府委員(高木俊明君) 介護保険絡みといいますか、介護部分の検討の部会はむしろ老人保健福祉局長の方から御説明した方がよろしいかと思いますが、全体の状況を御説明いたしますと、このたび新たに設置することになりました医療保険福祉審議会、関係政令は本年九月に施行いたしておりますが、委員の人選等の事務手続がおくれまして、去る二十八日に委員の名簿を公表させていただきました。  この医療保険福祉審議会でございますけれども、これは三つの部会で構成をすることになっておりまして、一つ医療保険制度等の抜本的な改革を御議論いただく部会といたしまして制度企画部会を設けることにいたしております。この制度企画部会につきましては、来月十二日に第一回の部会を開催する予定でございます。  それからまた、現行法における医療保険制度あるいは老人保健制度、これらの運営的な事項につきまして御審議いただく場として運営部会というのを設置いたします。  それから、介護等の関係あるいはまた老人保健法におけるいわゆるヘルス事業等でございますが、医療を除いた部分、こういったものにつきましては老人保健福祉部会というのを設置することにいたしております。  介護保険法を成立させていただきますと、この老人保健福祉部会において関係の御議論、御審議というものをお願いする、このように考えております。
  106. 山本保

    山本保君 いつも委員会で、中身について全く全部政令、省令任せじゃないかということであり、法律ができなければできないというのは、それは全く役人答弁であって、この審議会などがもっともっと具体的なものを早く出していただかないと審議もできないことになるということなので、努力していただきたいということだけ最後に申し上げます。  どうもありがとうございました。
  107. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 平成会の渡辺孝男でございます。前回に引き続きまして質問をさせていただきたいと思います。  医療団体の中にも、公的介護については、国民に不公平感を与えないためには全国均等な施策の展開が求められるが、それには租税による公費方式が最良である、介護に要する費用の調達には消費税を充てるべきである、そのように税方式での公的介護制度を推奨しているグループがあります。  この医療団体は公私病院連盟でありますけれども、政府提案の介護保険法案には次のような理由で反対を表明しております。  一つは、ドイツを除く西欧、北欧、北米、オーストラリアなどの先進諸国では介護保険をつくらず高齢者介護をきちんと行っている。日本においては、ドイツと異なり健康保険介護部分が既に含まれており、その上、老人保健福祉制度も併設されております。これら既存の制度の有機的連携、合理的運用によって十分対応できるのではないか、そのような意見であります。  第二番目には、新制度創設は行政簡素化の国民的課題に逆行する、そのような意見であります。  第三番目には、介護認定の困難さと介護の人的、物的基盤の不足により、国民の不満は噴出し、訴訟の多発が予想され、混乱が起こる、そのような理由を挙げて反対を表明されております。  したがいまして、このような意見を勘案しますと、私としましては、早急にしなければならないのは問題の多い社会保険方式を含んだ介護保険の拙速な創設ではなくて、介護の人的、物的基盤を早期に充実することであり、ゴールドプランの完全達成であると考えます。  そこで、まず小泉厚生大臣にお伺いしたいのですが、先進諸外国では、ドイツと異なり、介護保険というシステムではなくて高齢者介護を十分に行っているという指摘であります。先ほど山本委員からも、米国のNPOのような方式でもやれるのではないかというような発言もありました。諸外国と異なって、またなぜ日本でどうしても介護保険を導入しなければならないのか、その点に関してもう一度厚生大臣の見解をお聞かせいただきたいと思います。
  108. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 社会保障制度の先進国でありますヨーロッパと日本の背景はそれぞれ違うと思います。人口においても、あるいは租税制度につきましても考え方が違うと思いますが、保険ではなくて税でもできるのではないかというのは、私はあえて否定はいたしません。  しかしながら、今、保険を導入しなくても介護問題に対応できるのではないかというお話ですが、私も方法によってはできると思います。ドイツ以外でも、いろいろ介護基盤整備をしている国は消費税が一五%以上ですね。日本も今、消費税を一五%にしろと言ったら、私は保険を導入しなくてもできると思います。  しかし、国民性からいって、それを国民が許容できるかどうか。むしろ、私は難しいのではないかなと。五%でもこれだけ抵抗が強い。それを一五%以上に引き上げろと言うならば十分財源は確保できますけれども、私は日本ではそのような状況にないと。むしろ、年金も医療も社会保障制度の基幹をなすものはやっぱり保険制度だ、これが望ましいという現状から考えると、日本では消費税を一〇%以上、上げるよりも保険で対応した方が国民の理解を得られるのではないかなと思っております。
  109. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 第二番目の指摘に関しましてお聞きしたいと思うんです。  新制度創設は行政の簡素化の流れに反するのではないかという指摘でありますけれども、政府提案の保険制度では、何回も今までも言われてきておりましたけれども、導入に伴う新規事務などに関しまして二千億円程度の費用を要するというような試算もなされております。このような国費を投ずる覚悟を政府が決めているのであれば、この費用を新ゴールドプランの未達成部分の基盤整備に充て、二〇〇〇年までに目標を達成することがより重要なのではないかというふうに私は考えるわけであります。私は、このように新ゴールドプランの目標とした介護基盤を整えた上で、できれば税方式で介護保障をすべきである、そのように考えているわけであります。  先日行われた参議院の公聴会でも、伊藤周平参考人も同様の趣旨で発言をされておられますけれども厚生省としまして、そのような新規事務の負担というものに対しまして、それを基盤整備に充てた方がいいんではないかというような意見に関しまして御意見をお伺いしたいと思います。
  110. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 介護保険を導入しましたとき事務費がどのくらいになるか、これは私どもも国保の事務経費などをもとにしまして推計しているわけでございますが、これは八百億円ぐらいかかるだろうと。ただ一方、老人福祉関係の措置の事務がなくなっていくわけでございますので、そういうことを考えていきますと、いわゆる要介護認定などの業務を中心に新たに必要となる新規増分、これは五百億円ぐらいではないか。既存事務の振りかえで三百億円ぐらいは賄えるのではないかということでございます。  二千億円という数字は、恐らく武蔵野市で言っていることをとらえておっしゃられたのではないかと思うわけでございますが、武蔵野市の推計の仕方を聞きますと、武蔵野市の国保の事務費が今二億円かかっているんだそうでございます。そして、武蔵野市の人口は十三万人ぐらいでございまして、ちょうど日本全国で一億二千五百万人でありますから、大体千分の一だと。国保の事務が武蔵野市で二億円かかっていて人口比率が千分の一だから、全国で見れば二千億円かかるだろう、こういうことで二千億円と言われている数字でございまして、何というか非常に目の子算で出したものではないかなという感じがするわけでございます。  介護保険制度は、事務費もさることながら、今医療福祉とに制度が分立しておる、その中に例えば社会的入院などの非効率な部分というのがあるわけでございまして、こういうものを効率化して、社会保障制度全体として介護部分を中心に効率化を図ろうということでございまして、事務費の増云々だけでは制度の効率化にはならないのではないかと思うわけであります。  そしてまた、この制度を的確に運営するということになりますと、仮に税方式でやるにしても、例えば要介護認定に関係する事務が要るとか、あるいは給付関係の事務費がかかるわけでございまして、私どもの見込んでいる八百億円そのものが全く要らなくなるということではないわけでございます。どういう方式であっても事務費は要するわけでございますので、すっと全部ほかのものに回せるということはなかなか難しいのではないかと。  ただ、御指摘の介護サービス基盤を整備する、これは確かに絶対必要なことでございまして、再三ここでも御指摘を受けお答えしているところでございますが、まず新ゴールドプランを計画どおり達成していくように最大限努める、これがまず第一でございます。  そしてその際には、介護保険制度ができますとさまざまな民間活力の活用ということも行われますので、介護保険制度の実施に向けてそういう民間活力を活用する工夫も行っていく、そういうことをやりながら基盤整備を進めていくということではないかと思うわけでございます。  そしてまた、その後の基盤整備は、介護保険法に基づきます介護保険事業計画に基づいて整備を進めていく。これもこの委員会でも御指摘を受けたわけでございますが、介護保険制度を導入することによって公費の効率化される部分があるではないか、そういうものを基盤整備に充てていくべきだという御指摘があるわけでございますが、そういう御指摘を踏まえながらその後の整備を進めていくことが適当だというふうに考えているところでございます。
  111. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 今、新ゴールドプラン達成後の計画、そういうものも厚生省としては考えているということでありますけれども、衆議院のときの審議の中でも、新ゴールドプランが終了する平成十一年度末に、引き続いて平成十二年度を初年度とする新計画を策定するとの見解が示されたと考えております。  二〇〇〇年時点では要介護者の予想数が二百八十万人でありますけれども、その十年後の二〇一〇年にはその数が三百九十万人と約一・四倍に増加する見込みであります。単純に計算しましても新ゴールドプランの四〇%増しの計画が必要になるのではないかというように考えますけれども、その間にまた少子化も進むわけであります。また、この間も御指摘がありましたけれども介護ニーズの掘り起こしによって二〇〇〇年度に四〇%ぐらいの方が利用するのではないかと言われておりますけれども、二〇一〇年の段階では八〇%の介護ニーズが起きてくるというような予想も当然されているわけであります。  そのようなことを考えまして厚生省の方では、平成二十二年度、二〇一〇年でありますけれどもホームヘルパー五十八万人、デイサービスデイケア五・四万カ所、それからショートステイが二十四万人分、それから訪問看護ステーション二・一万カ所ぐらいが必要になるのではないかというような試算も既になされているところであります。  具体的な計画の骨格みたいなものが、国として整えるべき骨格的なものがなかなか見えてこないということでありますけれども厚生省として二〇〇〇年後の、十年間計画になるかどうかわかりませんが、その次の新介護基盤整備のための計画、もしそういうものの骨格というものをもう厚生省考えておられて準備を進められているのであれば国民に対して示していただきたい、そのように考えておりますが、いかがでしょうか。
  112. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 新ゴールドプランが終わります平成十一年度末に引き続きまして、平成十二年度、すなわち介護保険法が施行されるということになりますと、それに合わせましてその介護保険法の中の枠組みとして、今、先生お挙げになりましたように、介護保険事業計画を市町村レベルでまず需要を把握した上でつくっていただいて、それは五年を一期とする計画にする、三年ごとに見直しをしていく仕組みにしようということは、既にこれは法律の中の仕組みとしてとっております。それをまたバックアップする都道府県介護保険事業支援計画をつくる。国は当然そういった計画に基づく整備につきましてそれを今後も、従来の公費によって基盤整備等を図ってきた部分については引き続き公費による基盤整備を進めていくという大枠組みのもとで支援をしていくという、その大きな枠組みというものは決まっております。  そのときに、介護保険の計画をつくるときの、いわばどういう考え方に立って、どういう要素を入れてその計画をつくるかということにつきましても、これはその時点までに国が示すことになっております。基本方針を示してそれにのっとってやっていくということになっております。お話のございましたこの基本方針なりで具体的にどういうことを示していくかということにつきましては、法律の施行後におきましてさらに具体的には詰めていかなければなりません。  先ほどお挙げをいただきました試算でございますけれども、将来を見越したときにどういうふうに要介護方々がふえていくか、そのふえた要介護者方々に見合ったサービスをつくっていくという点は、当然それはそういうこととして織り込みますし、その際には、単純に高齢者人口の増加に伴う要介護人数の増加だけではなくて、介護保険というものができることによるサービス需要のいわば掘り起こしと申しますか、顕在化というような要素を当然そこに入れてまいります。  それから、介護保険自体が目指しております在宅サービスの重視という考え方に立ちまして、在宅サービスの希望率というものも上がっていくであろうと先般来お答えを申し上げておりますような思想というものも、これはやはり具体的に詰めた上で基本方針としなければなりませんけれども、試算の説明として申し上げましたような考え方は、当然今後の介護保険計画をつくる場合にも基本方針として生かしていく方向になるであろうというふうに思っております。
  113. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 この法案が通るとすれば、今後の市町村の介護保険事業計画あるいは都道府県支援計画の策定の積み上げで、今回予想されたホームヘルパーであれば五十八万人、少し変わってくる可能性があるかもしれませんが、それを国の責任としてきちんと整備していく、そのような発言ではないかというふうに思うわけでありますけれども、やはりそれは最終的には国が責任を持ってきちんと整えていくべきである、そのように考える次第であります。  では、次の質問に入らせていただきます。  平成八年度から平成十四年度までの七カ年を計画期間とします障害者プランでは、障害介護サービスの充実のために、最終年度の平成十四年までに四万五千人のホームヘルパーを上乗せ配置する目標を立てております。介護保険が導入されますと高齢者介護のためのホームヘルパーのニーズが高まり、両制度間でホームヘルパーの取り合いとなり、結果的にホームヘルパー不足が一段と厳しくなるのではないか、そのような心配もしているわけであります。  平成十四年度段階で、厚生省としましてはこの介護保障と障害福祉でそれぞれホームヘルパーの必要数をどの程度考え、その充足のためにどのような計画で養成に当たっていくのか、その考え方をお聞きしたいと思います。
  114. 田中泰弘

    政府委員(田中泰弘君) ホームヘルパー養成のお尋ねでございますが、障害の関係の方からお答えをしたいと思います。  障害者プランにおきますホームヘルパーの確保につきましては、平成三年度から、老人と共同いたしまして、ホームヘルパー養成研修事業においてその養成に努めているところでございます。その際、新規学卒者のみならず、家事の従事者、他の職種からの転職者であって介護の仕事に関心を持つ方々に対しましても声をかけ、養成研修事業の推進に努めているということでございます。  加えまして、このホームヘルパーの中からガイドヘルパー、外出介護員でございまして、重度の視覚障害者や脳性麻痺等全身障害者の方々が外出する際の移動の介護を行うガイドヘルパーでございますが、この養成を今年度から都道府県、指定都市にお願いをいたしましてガイドヘルパー養成研修事業を開始しているところでございます。  それで、来年度予算の関係で申し上げますと、障害関係のホームヘルパーといたしまして二万四千百人分でございます。目標の四万五千の中で、来年度予算で二万四千百人分の予算要求をしているという段階でございます。
  115. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) あわせまして、十四年時点における高齢者分のホームヘルパーの数ということでのお尋ねでございました。  私ども、先ほど御説明申し上げましたように、ホームヘルパーの数、当然新しい介護保険事業計画の中で、それぞれ先ほど申し上げましたような要素を織り込んでいただいて、まず市町村段階から積み上げていただいて必要数というものを出していくという考え方に立っておりますので、十四年時点での見込みというのは具体的に出しておりません。むしろ長期的な見込みとして、先ほど先生お挙げいただきましたような例えば二〇一〇年での五十八万人というようなものを見込んでおりますので、現時点では十四年度で幾らというところは見込みはいたしておりません。  ただ、養成につきまして、やはりそれにしても当然先はどのようなことで増加をしなければならないわけでございますから、養成研修なりあるいは特に潜在的な人材の掘り起こしというようなことについて意を用いていかなければならないというふうに考えております。
  116. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 先ほど、二〇一〇年度で五十八万人ぐらいのホームヘルパーが必要なのではないかというような一応の仮の目標値が出されていたわけでありますけれども、単純の比でやりますと十二万人ぐらい平成十四年度までに必要になるのではないか、これは高齢者介護の分野でありますけれども。  厚生省としましては、そういう障害対象ホームヘルパーとそれから高齢者介護のためのホームヘルパーで取り合いみたいな形になるというふうな心配は抱いてはおらないんでしょうか。その点に関しましてもう一度お聞きしたいと思います。
  117. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 障害者の方々にとっても、また介護を要する高齢者の方々にとりましてもホームヘルプ事業あるいはホームヘルパー方々の需要というものは大事でございます。したがって、やはりその両方の需要にこたえていくようにやっていかなければならない。そうなれば、どういうふうにベースになる人材を掘り起こし、またそれを養成研修という形で育成をしていくかということにかかってくると思いますので、そういう意味では、現在も進めております養成研修等をさらに力を入れてやっていくということがこれに対する回答になろうかと思います。  それから、先ほど来のお話で言えば、そういった部面におきましてもできるだけ、これは営利に限らず、非営利の方も含めました民間活力というようなことも大いに活用してそれをやっていくという努力が一方においてなされないと先生御懸念のようなことになり得ますので、そういった努力を並行してやっていくということでやりたいというふうに思っております。
  118. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 障害対象ホームヘルパーさんとそれから高齢者、要介護者に対するホームヘルパーさんと業務は多少異なることもあると思いますが、ある面では共通する業務内容で働くようなホームヘルパーさんも当然おられると思います。  そうしますと、障害者の方のプランは平成十四年度目標でありますけれども、ある程度介護報酬といったものが両者に違いがあれば、やはりホームヘルパーの偏りがどちらかに起こってしまうのではないか。介護報酬単価が高い方にどうしてもヘルパーさんが流れていく。特に、民間業者が参入した場合には当然そういう形になると思います。そういう意味で、ホームヘルパーの報酬単価、そういうもので高齢者、要介護者対象ホームヘルパーとそれから障害対象ホームヘルパーさんのそういう介護報酬に関しまして何らかの調整を考えておられるのかどうか、その辺の厚生省考え方をお聞きしたいと思います。
  119. 田中泰弘

    政府委員(田中泰弘君) お答えします。  現在、障害者のホームヘルプサービス事業では高齢者と同じ単価で実施しているところでございます。  介護保険後のことでございますが、衆議院の附帯決議の中で、若年障害者に対する介護サービス介護保険給付と遜色のないものとするという附帯決議がございまして、私どもとしましてはこの趣旨を踏まえまして、若年障害者の方々に引き続き必要なホームヘルプサービスが確保されますよう、介護保険におきますホームヘルプサービスの単価を考慮しながら適切に対応してまいりたいというふうに思っております。
  120. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 次の質問に入らせていただきます。  政府案の介護保険サービス開始時点であります二〇〇〇年の時点では、虚弱高齢者は要介護者二百八十万人中百三十万人、約四六%を占めると推定されております。しかし、平成八年度の要介護認定モデル事業では要支援者と判定された構成比は九・四%と小さな比率であります。  寝たきりの人は当然要介護者と判定されることとなると思いますが、虚弱高齢者の場合、要支援か否かを判別、判定するのは非常に難しい作業と思います。九月二十六日に行われました介護のシンポジウムで厚生省介護保険制度準備室の唐澤次長は、虚弱老人に対しまして日常生活動作における虚弱の線をどこに引くかは、今後症例数を多く集めれば見えてくるのではないかというような見解を示されておりました。  具体的に今後症例数をどのくらい集めて、またいつごろまでにこのような要支援の虚弱者の判定基準を詳細に詰めていくつもりなのか、厚生省の方針をお聞きしたいと思います。
  121. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 介護保険法案におきましては、常時介護を要するような要介護者のほかに、常時介護を要するわけではありませんが、日常生活を営むのに支障がありまして何らかの援助等が必要な状態にある人、そういう要支援者に対しましても、介護認定審査会でそう判定されますと介護保険からのサービスが受けられるようになるわけでございます。  先ほど、推計値では半分近く要支援者がいるのに、モデル事業で出てきたのは数%であったというお話がございましたが、現在行っておりますモデル事業は、現に介護サービスを受けている人を対象にその要介護度はどうかということを判定して、その中で要介護というより要支援に属する人がそれだけおったということでございます。パーセントが少ないのは、基本的に要介護と思われてサービスを受けている人を対象にしているからでございます。  ただ、平成八年度は六土地域でありましたけれども、今年度は四百地域を超えるところで同じようなモデル事業を実施するわけでございます。一地域百人の対象者をもとに要介護判定をしていき、その中には当然ある程度の割合で要支援者が含まれると。こういう実績を踏まえながら、要介護者あるいは要支援者の基準というものを明確にしていくように努力をしてまいりたいと思っております。
  122. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 要支援者と認定されるかどうかというのは大変な違いがあるわけで、要支援者と認定されれば介護サービスを受けられる、要支援認定されない虚弱高齢者の場合はサービスを受けられないということで、認定されない方からは不満も起きてくるのではないかというふうに考えるわけであります。  そういう意味で、介護保険法案がもし通るとすれば、通った後、厚生省としましては要支援者の構成比といいますか、今はモデル事業での構成比はこれはまた別だというようなお話がありましたけれども、予測としましては要支援者と認定される構成比というものを大体どのくらいに予想されているのか、ちょっとこれ質問通告に入っておりませんでしたので申しわけありませんけれども、もし予想というものがありましたらば、要支援者の構成比がどのようになるかお教えいただければと思います。もし今すぐにわからなければ、この次のときにでもお教えいただきたいと思いますがいかがでしょうか。
  123. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 二〇〇〇年におきます要介護者、要支援者の合計が二百八十万人ぐらいいるということでございますが、これは今までの調査の中で各年齢ごとの要介護、要支援の発生率に人口を掛けて計算をしているものでございます。ですから、私どもは、先ほど先生の御指摘にもありましたけれども、二〇〇〇年におきましては要支援者そのものは百三十万人ぐらいいるのではないかというふうに思っております。  ただ、要支援者全員が例えば介護サービスを受けるという形で申請するかどうか、それはまたその人の置かれている状況や考え方によって変わりますので、比率として言えば、恐らく要介護者よりは多分申請率は少し下がるのではないかという感じはするわけでございます。そんなふうに考えているところでございます。
  124. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 時間がありませんけれども、少なくともモデル事業で行われました九・四%を下回るようではやはり不満が大きくなってくるのではないかというふうに思いますので、要支援者の認定をきちんとして、サービス提供で国民に不満が起こらないように十分配慮すべきであるというふうに考えます。  以上で質問を終わります。
  125. 山本正和

    委員長山本正和君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時十五分まで休憩いたします。    午後零時十九分休憩      ―――――・―――――    午後一時十五分開会
  126. 山本正和

    委員長山本正和君) ただいまから厚生委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、介護保険法案介護保険法施行法案及び医療法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  127. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 民主党・新緑風会の朝日でございます。  まず冒頭に、私は、現在審議されております介護保険法案外二法案に対して基本的に賛成をし、これらの法案の一日も早い成立を求める立場であることを明らかにしておきたいと思います。しかしながら、今日なお各方面から寄せられている幾つかの不安や危惧にかかわる事項を中心に幾つか質問をさせていただきたいと思います。  もちろん、今回提案されております介護保険制度の創設は、高齢者のための新たな介護システムの構築に向けて従来の保健医療及び福祉の両制度にまたがる構造そのものを改革し、新しい制度の創設を意味するものでありますから、多少の戸惑い、危惧の念が伴うことはやむを得ないことかもしれません。  とはいえ、これまでの審議の経過をお聞きしますと、どうしても法律の条文では必ずしも明確にし切れていない部分が数多くございます。言いかえれば、政令や省令にゆだねられている部分が多い、あるいは今後の予算措置がどのようにとられていくのかということにかかわる課題もかなり多いだけに、どうもこれまでの各委員からの質問に対して政府側は必ずしも明確には答え切れていないのではないかという感じを持たざるを得ません。この際、今後の検討にゆだねざるを得ない部分については、その考え方を明確に示すということを含めて、可能な限り明確な答弁を求めたいと思います。  そこで、まず第一点に、改めて私から申し上げるまでもなく、介護保険制度は主として介護が必要な状態になった高齢者あるいは虚弱で要介護状態に至らぬよう支援を要する高齢者のための制度だというふうに私は理解をしておりますが、その要介護状態にならないようにするためには何が必要なのか、あるいは政策としてどういう政策を優先しなければいけないのか、こういう点がまず介護保険の中身に入る前に重要な問題ではないかというふうに思っております。  そこで、この介護保険制度と現在、老人保健法に基づいて実施されております老人保健事業、いわゆる医療以外のヘルス事業との関連についてお尋ねいたします。  言うまでもなく、高齢者が要介護状態に至る主な原因といいますか誘因は、かつては成人病と呼ばれた、最近では生活習慣病と呼ばれている一部の慢性疾患が多いというふうに言われております。そのことを考えるならば、私はこうした生活習慣病の予防、あるいはその進行を可能な限り食いとめるためのヘルス事業の重要性はいよいよ高まりこそすれ決して弱まるものではないというふうに考えます。そのためには、いわゆる現役の世代において職場における安全衛生活動や健康増進の活動はもちろんのこと、市町村が実施主体となっている老人保健事業が果たしてきた役割は極めて重要だというふうに認識をしております。  したがって、新たな介護保険制度の創設とあわせて、この際、改めて現役時代の健康増進の活動、退職後の老人保健事業に基づくヘルス事業、そして介護保険制度の中に組み込まれている虚弱老人に対する支援事業、これらの施策を一連のものとして体系化を図りつつ、より一層拡充強化すべきであるというふうに思います。少なくとも新しい介護保険制度の導入によって、これまでの老人保健事業の中身が、あるいはその事業の範囲が後退するようなことがあってはならないというふうに思っています。  この点に関する厚生省の基本的な考え方をまずお聞かせいただきたいと思います。
  128. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) お答えを申し上げます。  先生今お挙げになりました老人保健法に基づきます保健事業、いわゆるヘルス事業と申しております事業につきましては、老後におきます健康保持という大きな目的のもとに、市町村におきまして、要介護者であるということになる前の段階と申しますか、要介護者であるかどうかということにかかわりませず、しかも四十歳以上ということでその高齢者になられる前の段階から地域住民を対象にして行う総合的ないわば保健活動でございます。  今度の介護保険法の中におきましても、先ほど来の御議論にも出ましたように、いわゆる虚弱老人に対する保険給付ということで、要支援者に対する給付というものが、その選択に基づいて必要なサービスというものが位置づけられておりますけれども、その対象におきまして、今申し上げましたようなことで、いわゆるヘルス事業対象者やサービス内容は違っております。  しかし、言ってみればこの二つを有機的な連携のもとにするということがまず一つ大事だろうという点は先生御指摘のとおりでございまして、介護保険制度創設後におきましても、老人保健法に基づきます保健事業、これは引き続き充実し実施をしていくということにしたいと考えておりますし、その際には、介護保険法におきます虚弱老人対策を含みます他の事業との連携ということに意を用いながら、その着実な推進ということをやはり心がけていきたいというふうに考えております。  介護保険、ある意味からいうと、寝たきりあるいは介護を要するお年寄りに対する対策と、それ以前にやはり寝たきりにならない、あるいは健康でいるためのヘルス事業というものの重要性は、むしろ介護保険ができていよいよ重要になってきているというふうに認識をいたしております。
  129. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 今、特に老人保健事業に基づくヘルス事業介護保険制度の中における虚弱老人に対する支援事業、より連携をとってと、こういうお話でございましたが、きょうは厚生省の皆さんしかお呼びしておりませんのであえて御質問という形では出しにくいんですが、ぜひ現役時代の職場における安全衛生あるいは健康増進の活動、そして老人保健事業におけるヘルス事業、それから介護保険制度における虚弱老人に対する支援事業、やはりこれがどうも制度的にばらばらに行われていて、必ずしも十分連携といいますか、連続性を持った形で展開し切れていない面があるのではないかと思いますので、この点はぜひ今後の課題ということでお受けとめをいただければありがたいというふうに思います。  それでは次に、今回、介護保険制度対象者について高齢者の介護及び老化に起因する疾病に伴う介護に限定されているという問題点がございます。この点については衆議院及び当院においても再々議論一つになってきているというふうに理解をしておりますが、ぜひ私からも確認のために二、三伺っておきたい点がございます。  正直申し上げて、介護保険制度スタート時点においてその対象を高齢者の介護の問題に絞らざるを得なかったという経緯については私なりに一定の理解を示すものでありますが、当面、障害者プランの着実な推進、そしてその後の介護保険制度の円滑な実施、これを見きわめつつ、可能な限り早い時期にその介護保険対象範囲を含めた制度全体の見直しを行われることを強く期待しておきたいと思いますが、その上で具体的に障害者の問題についてお尋ねをいたします。   ‘  多くの障害者の皆さんから寄せられている不安の一つは、若年期から引き続く障害者のための介護施策が六十五歳から一体どうなるんだろうか。仮に、六十五歳までは障害者プランに基づいて、あるいは従来の障害福祉施策に基づいてさまざまなサービスを受ける。六十五歳になりますと、当然そういう障害者の皆さんも介護保険制度適用になるというふうに考えられます。しかし、そのことによってサービスの水準がかえって低下するとか、あるいはサービスの種類、範囲が狭くなってしまうのではないかという不安が訴えられております。  私は、こうした不安は決して理由のないことではないと思います。率直に申し上げて、今回提案されている介護保険制度に基づくサービスメニューの中身は、どちらかといえば医療モデル、例えば典型的には寝たきり老人を中心にした医療モデルにちょっと引き寄せられたサービス内容になっているような気がしてなりません。逆に言うと、障害者プランの理念でもございますノーマライゼーション、一人一人の生活を支え活動を支援するという、そういう要素がいささか薄いのではないかという点を指摘しておかねばならないというふうに思います。そういうこともあって、障害者の皆さんがみずからの老後のさまざまな介護サービスのあり方についていささかの不安をお持ちなわけであります。  そこで、この辺は今後の障害者施策のあり方とも絡んでくる問題ですのでぜひ大臣にお伺いしたいと思いますが、若年期から引き続く障害者が六十五歳に達した場合、どこまでの範囲のサービス介護保険制度でカバーすることができるのか。仮に、その介護保険制度でカバーできないサービスがあるとすれば、当然に従来の公費に基づく障害福祉施策によってカバーされていくものだというふうに理解しますが、それを一体どんなふうに組み合わせていこうとされているのか。その場合に、両者のサービスの連続性といいますか、一体性といいますか、そういう点はきちっと保たれるのかどうか。仮に、サービスの種類が重複している場合には、そのサービスの中身について本人の希望に基づいての選択が可能なのかどうか。  この辺、具体的なサービスの中身に踏み込んで御説明をいただくよりも、基本的なお考えとそれから大臣の御決意をお聞かせいただきたいと思います。
  130. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 介護保険が導入されることによって今までの障害者施策によるサービスが受けられなくなるんじゃないか、あるいは低下するのではないかという危惧だと思うんですけれども介護保険が導入されれば、障害者施策による介護サービスから介護保険によるサービスに移行するわけでありますので、それ以外のさらに障害者の施策が必要であれば、当然そのサービスが低下することなく努力していかなきゃならないと。  個人個人に差がありますからケース・バイ・ケースだと思いますけれども、ともかく、むしろ介護保険を導入することによって障害者のサービスができないというようなことはないように最大限の配慮をしなきゃいかぬ、また努力をしていかなきゃならない、そう思います。
  131. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 今、明確にお答えをいただきました。  具体的に言えば、ガイドヘルパーの問題とかさまざまな形でむしろ若い時期からの障害福祉サービスを受けてこられた人たちは、仮に六十五歳になったとしてもぜひその地域で活動したい、こういう方もおいでだと思いますので、ぜひその両方のサービスの一体的な提供というか、あるいは連続的な提供ということをぜひ具体的に検討され、またもしそういう不安をお持ちの方があれば十分に説明をいただきたいなと、こんなふうに思っています。  それでは次に、これまでの審議の中では必ずしも焦点を当てて取り上げられていなかった課題でありますが、精神障害者の問題について、これを介護保険制度との関連で幾つかお尋ねをしておきたいと思います。  といいますのは、皆さんも御存じのように、精神病院には今日でも約三十五万人の入院患者さんがおいでであります。その入院患者さんのおよそ三分の一近い数、二八%程度だったと思いますが、この三分の一近い数が六十五歳以上の実は患者さんであります。言いかえれば、精神病院の問題の少なくとも三分の一は実は高齢者問題なんだと言っても過言ではありません。  そういうことをまず踏まえた上で、しかもその六十五歳以上の精神病院に入院している患者さんのおよそ六割はいわゆる痴呆性老人とか痴呆性疾患ではないのであります。もちろん、高齢になって痴呆性疾患にかかって入院されている方もおいでですけれども、しかし六十五歳以上の入院患者さんのおよそ六割は実はもっと若い時期に精神分裂病などの精神疾患で入院をして、さまざまな理由によってそのまま長期入院を強いられてきた結果、病院で高齢化してきた、こういうのが実態であります。  ところで、介護保険制度サービスメニューの中には痴呆性老人のためのメニューも在宅あるいは施設を含めて含まれておりますから、著しい精神症状さえ落ちついてくれば、痴呆性疾患の患者さんについては当然に介護保険制度対象になっていくものと考えます。  問題は、そうではない、それ以外の人たち、つまり先ほど申し上げたように、精神疾患のために入院をして長期入院を強いられてきた結果、病院で高齢化してしまった人たち、この人たちのほとんどはもはや著しい精神症状があるという状態ではなくて、むしろある意味では後遺症といいますか二次的な障害が残り、しかも長期入院による日常生活上のハンディキャップを持っている、そういう方が多いと思います。そのためになかなか自立した社会生活が困難な人たちであるというふうに私は思います。こういう層の人たちについては、まだまだその数は決して多くはないわけですが、精神病院から例えば特別養護老人ホームの方へ入所するという形で退院をされている方も相当数ございます。  新たな介護保険制度のもとでこうした人たちが要介護状態というふうに認定をされ、その状態と目的さえ合致すれば介護関連施設の利用もできるものというふうに私は受けとめております。この点について、まず基本的な考え方をお尋ねしておきたいと思います。
  132. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 介護保険制度におきましては、六十五歳以上の第一号被保険者の場合には、その理由のいかんを問わずに、要介護状態あるいは要支援状態、そういう場合に一定の手続を経て認定されますと、介護保険制度から介護サービス給付を受けることができるということでございます。  したがいまして、今、先生が例に挙げました、若い時代に精神疾患を有していたけれどももう著しい精神疾患状態にはない、しかし要介護という意味ではそれに当たるのではないかと。そういうことでありましたら、これも手続的には申請をして要介護認定を受けてということになりますが、介護認定審査会で要介護にある、あるいはまた要介護程度はこのぐらいであるということになれば、またそれに基づいて介護施設の方のサービスを受けることは可能でございます。  ただ、判定に当たりましては、お医者さんであるとかあるいはかかりつけ医師の意見をいただきますので、そういう意味で医学的見地からの的確な判断、そういうものに基づいて判断されることになろうかというふうに考えます。
  133. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 今のお話のように、制度的にはちゃんと利用できるんだと、こういうふうに私も思います。  ただ、実際にそういう人たちを介護保険制度のもとでの要介護状態というふうに認定されることがごく普通に行われるのかどうかやや心配をしております。つまり、要介護状態認定に関して、どちらかといえば寝たきり老人あるいはそれに近い状態とか、痴呆性老人あるいはそれに近い状態ということが念頭にあっての要介護状態であって、どうもそれ以外の要介護状態のことについては必ずしも十分認識されていない面があるのではないかというふうに思います。これは運用の問題でございますから、今後の具体的な要介護状態認定に当たって、このような観点というか視点もどこかできちっと押さえた取り組みをぜひしておいていただきたいなと。これはお願いでございます。  それでは次に、介護保険制度に基づく介護報酬の設定の仕方と関連して、特にこの委員会でも再々論議になっているようですが、施設介護サービスにかかわる部分介護報酬をどのような考え方に基づいて設定しようとしているのかということについてお伺いしておきたいと思います。  そこで、この質問の本題に入る前にぜひ御説明をいただきたいと思うのは、この介護保険法とセットで医療法の一部を改正する法律案が提出されておりまして、この医療法の改正案の中で、従来は病院を前提として療養型病床群という新しいいわば病棟あるいは病院群をつくってきたわけですが、今回の改正では、新たに有床診療所が療養型病床群への転換を図っていくということが盛り込まれているように理解をしております。  今回の改正でそのような項目が盛り込まれたことの意図するところは理解できるわけですが、しかし率直に申し上げて、有床診療所の実態あるいは現状を考えれば考えるほど、仮に有床診療所が具体的に療養型病床群に転換を図っていくという場合に、これまでの療養型病床群が求めていた水準の療養環境とか生活空間の確保とか、そういう点はかなり難しいのではないかと危惧せざるを得ません。  そうした観点から、今回提案されております有床診療所の療養型病床群への転換に当たって、一体どの程度施設要件を想定して提案されているのか、現時点におけるお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  134. 谷修一

    政府委員(谷修一君) 療養型病床群を有床診療所に設置をするということの前提といたしまして、長期療養にふさわしい介護者の人員配置あるいは構造設備を決めていくということが必要だと思っております。そういう意味では、基本的には病院の療養型病床群に求められております人員配置あるいは構造設備を十分に勘案して考えていきたいというふうに思っております。  具体的な基準につきましては、これから国会での御審議あるいは関係方面の御意見、そういうものも踏まえながら検討をしていくことといたしておりますけれども、問題はどの程度、現在の病院の療養型病床群にも認められております転換の特例というのをどこまで勘案するかということだろうと思っております。例えば廊下幅、これについては現在の有床診療所から転換をしていくということを前提にして考えていく場合には、やはり既存の建物からの特例というのは認めざるを得ないんじゃないかというふうに思っております。  ただ基本的には、先ほどの繰り返しになりますが、現在有床診療所には求められておりません人の配置基準あるいは構造設備、こういうものは決めていくという考えでございます。
  135. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 基本的な考え方は今お答えいただいたとおりで、私もぜひその基本的な考え方はきちっと守りつつ、さはさりながら現実的にどこまで何をどう対応するかという問題が課題になってくるんだというふうに思います。都市部の中にそれほど大規模ではない、しかし気軽に利用できる療養型病床群というのはぜひとも必要だというふうに思いますので、そういう観点から具体的な要件等についてはきめ細かい配慮をぜひお願いしておきたいと思います。  そこで、本題に入りますが、介護保険法では、その施設介護サービスにかかわる介護報酬のことについてこのように規定されております。施設サービスの種類ごとに、要介護状態区分、所在する地域等を勘案して定める。その施設サービスの種類としては、介護福祉施設介護保健施設及び介護療養施設の三種類が挙げられております。しかし、今ほど御説明いただいたように、介護療養施設として位置づけられる療養型病床群については、その施設要件については必ずしも同じレベルが保障されているわけではありません。全く新しくつくる場合は当然求められる水準をきちんと確保された形でつくられていくと思いますが、その移行型などについていえば、決して十分な条件ではないのではないかというふうにも私は思います。また、仮にハード面というか、構造面では同様の要件を満たす施設であっても、そこで提供されるサービス内容は必ずしも一様ではないだろう、こういうことを想定しておかねばならないと思います。  とすれば、介護報酬の設定に当たっては、例えば一人当たりの居室面積や廊下などの生活空間の広さの違いとか、あるいはその施設がリハビリテーション機能をどこまで充実した形で持っているのか、早期に在宅介護が可能となるような取り組みをどこまで積極的にやっているのかなと、そこで提供されるサービスの質的な違いを一定程度評価することができるような仕組みを、介護報酬の設定に当たってその仕組みとしてあらかじめビルトインしておく必要があるのではないかと思います。  この点について、ぜひ厚生省のお考え方をお聞きしたいと思います。  なお、念のため申し上げておきますが、私は介護報酬の設定に当たって、現在の医療保険制度における出来高払い制度のような、ある行為について何点何点と、こういうことを求めているのではありません。今、議論になっておりますように、診療報酬制度のこれまで果たしてきた役割と現在直面している問題点などが指摘されておりますので、そのメリット、デメリットを十分見きわめた上で考えなければならないと思います。  要は、よりよい療養環境、より良質な介護サービスの提供を介護報酬の面で積極的に評価するという仕組みをあらかじめ考えておく必要があると思いますが、そういう観点から、ぜひ厚生省のお考えをお尋ねしたいと思います。
  136. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 介護報酬につきましては、具体的にはこれから審議会に諮って決めていくという手順になるわけでございますが、施設サービスにつきましてはサービスの種類ごととか要介護施設の所在地ごとに決めていくわけでございますけれども、今、先生の御指摘の質の評価、同じ療養型病床群であっても質の違いがあるのではないかと、そういう評価ができないかというようなことでございます。  これは大変難しい御指摘だというふうに思います。一定の人員基準あるいは運営基準、これを定めると。これを満たしているものについての評価というのが一つあると思いますが、その基準がいろんな事情で一定まで行っていないという場合にどう評価をするか。これは確かに一つの論点だと思います。  それからまた、一方、今度は積極的な評価でございますが、例えば早期退院にうまく結びついている施設であると、こういう努力というものをどう評価するかということになりますと、これはなかなか介護報酬の中で評価し切れるだろうか。これは一定の基準を満たしていれば当然そのサービスができるような介護報酬でなければいけないわけでありますが、そういう一つ一つの成果を踏まえて評価していくと出来高払い的な議論にどうしても陥ってしまうのではないだろうか。そういう施設であれば、その施設の評価というのがまさに利用者の選択という中で生かされていくのではないだろうか。こういうようなことによって質が評価されるというのも一つのあり方ではないかというふうに思うわけでございます。  ただ、これはまさにこれからいろいろな分野の専門家意見を集めて、御指摘の問題点というものを十分そういう審議会に諮りながらよく検討させていただきたいというふうに思います。
  137. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 時間が参りましたので終わります。
  138. 西山登紀子

    西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。  一昨日、私は施設介護報酬の問題で質問をいたしましたので、きょうはその続きを質問したいと思います。  施設経営者やとりわけ働く労働者にとって施設運営の財源は死活問題です。この死活問題である財源が非常に明らかになっていないということがこの法案の重大な欠陥の一つではないかと思います。  一昨日お示しをいたしましたけれども、「現場から公的介護保障を考える会」の方々が、大変不安なので在宅介護報酬を当てはめて試算をされていらっしゃるわけですね。現在の在宅介護報酬を当てはめた場合に現在の特養ホームでは一体どれぐらい減収になるのかということを非常に綿密に試算をされているわけです。一人当たりの減収額もさることながら、それがまとまりますと五十床のホームだと一カ月約六百万円減少するだとか、それが年間になると七千二百万円減少になるだとか、百床のホームでは一カ月に約百二十万円減少になる。一年になりますと約一千四百万円減少になる。定数でも違いますし、また入っていらっしゃる方の介護の度合いによっても違ってくるわけですけれども厚生省は一昨日の答弁で、在宅施設介護報酬は当然異なるんだと、こういうふうに言われたわけですね。  そこで、お伺いしますけれども、特養の介護報酬の単価、今一カ月当たり二十九万円程度ということで情報が流れているわけですが、これは平均値なんでしょうか、それとも上限なんでしょうか。平均だとするならばどの程度介護報酬を考えてのことなのか、またその根拠、基準を教えてください。
  139. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 現在の特別養護老人ホームにおきます一人当たり平均の措置費というんでしょうか、それは二十七万円ぐらいであると。  ただ、介護保険制度ができました後の特養のサービス水準でありますが、これは老人保健施設療養型病床群と同じように、要介護者サービスを提供するスタッフとの比率を今の約四対一から三対一ぐらいにサービス水準を高めたいということも考えておりまして、そうなりますと二十七万円より少し高い二十九万円ぐらいの水準になるのではないか。これも平成七年度価格における全国の平均値ということで出しております。それを前提に二〇〇〇年の費用を推計しているということでございます。
  140. 西山登紀子

    西山登紀子君 それでは、その平均値ということなんですけれども、上限はどのぐらいを考えていらっしゃるのでしょうか。
  141. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 平均値と言いましたのは、現在の特別養護老人ホームにおける一人当たり二十七万円かかっておりますというのが平均値ということでございまして、その考え方の延長線上に立った上での平均値というものでございます。  介護報酬につきましては、これは今の二十九万円というのも、基本的には将来費用を推計するときの一つの前提条件を何か置かないと計算できませんから、そういう意味で置いたものでありまして、実際、施設の費用につきましては実勢価格というものを調べてそういうものを勘案しながら、地域ごとの格差も勘案しながら介護報酬で定めていくわけでございます。ここは定め方としては、これから検討する話でありますが、恐らく施設であれば一人当たり共通してかかる経費というのはあるんだろうと、そういうことと、要介護度に応じて一人ごとに違うサービス量があるんだろうと、そういうものを組み合わせていくことになるのかなというふうに思っているわけでありまして、今の時点で、例えば上限が幾ら下限が幾らということを決めているわけではございません。
  142. 西山登紀子

    西山登紀子君 私が示しました試算は、二十九万を最高の額として試算をして、それでもなおかつ減収額が非常に大きいということで、施設の皆さんは非常に不安に思っていらっしゃるわけです。施設長が不安に思うだけではなくて、そこに働いていらっしゃる労働者の皆さんも本当に不安だと、どうなるんだろうかと。もちろん、自分たちの処遇もさることながら、入所されている方々介護はどうなるのだろうかという不安感を持っていらっしゃるわけですよね。  今、介護度Ⅴの場合三十六万というような情報も流れているんですけれども、これはどうですか。
  143. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) そういう数字を議論したことはございません。
  144. 西山登紀子

    西山登紀子君 事ほどさように、情報が非常に限られたものですからいろんな情報が出ておりまして、大変皆さん不安に思っていらっしゃるわけですね。私があちこちの特養ホームを訪問させていただいたときにも、これは海図なき航海のようなものだとおっしゃった施設長さんもいらっしゃるわけですね。  どのような仕組みなのか今検討中だということですけれども、今の施設の運営が成り立つような水準を必ず確保するということはお約束できますか。
  145. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) その施設において行われます人員の配置基準や構造基準、サービス水準というのはそういうものによって確保されるわけでありますが、そういうサービス水準を前提に、かつ要介護度においてサービス量が違うだろうというのを加味していくわけでございます。  これをこれから議論するわけでありますから、審議会の各専門の先生方にお集まりいただいて議論していただくわけでありますので、幾らになりますと申し上げるのは今の時点ではできないわけでありますが、議論していく中におきまして、少なくとも現在の施設の経営がどうなっているか、これは十分踏まえて議論が行われるものというふうに思います。
  146. 西山登紀子

    西山登紀子君 審議してみなければわからないということでは困るわけですね。ですから、検討するんだけれども、それは今の施設の運営が成り立つ水準を必ず確保する、その方向で検討すると、少なくともそれぐらいは言っていただかないと、皆さんが大変不安なのは当たり前だと思います。  ところで、今の措置費も決して十分じゃないわけですけれども、私が引用させていただいているこの資料を見ますと、自治体の補助があって運営が何とか回っているというのが現状ですね。措置費に上乗せして、例えば私が挙げました例のこの五十床のホームでは一人当たり都や市の補助金を合わせて十万五千二百六十八円、これが措置費に加わって一人当たり四十三万三千百四十八円になっています。百床の場合は、いろんな補助金が十一万六千八百三十八円出ていて、合わせて三十八万四千五百七十円ということでその施設が運営されているわけですが、自治体の補助金が支給されて初めて運営が成り立っている、こういうことはお認めになりますね。
  147. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 現在の特別養護老人ホーム運営のための措置費でございますけれども、私ども考え方では、やはり適切な入所者処遇が行える、そのことのために必要な人件費でございますとか、あるいは入所者の生活費として支弁をされておるわけであります。この中で人件費につきましては、必要な職員数を確保するための費用を算定いたしまして、毎年、人事院勧告等に準じまして改定を行うような形でその単価を実勢に合わせるようにやっておるわけであります。  今、先生お挙げになりましたように、東京都等の一部の自治体におきましては、措置費とは別に自治体で単独の補助金を施設に交付しておられる事例があることは承知をいたしておりますけれども、こうした場合につきましては、これもいろいろな事情がそれぞれにおありでございますけれども、自治体が独自の御判断でもって自治体の職員との給与格差の是正を図りたいとか、あるいは基準を上回るような職員配置を行うといったようなことでやっておられると承知をしておりまして、現在の措置費によりまして私どもが想定をしておりますような経営が成り立たないというようなことではないというふうに考えておるところでございます。
  148. 西山登紀子

    西山登紀子君 やはり、現実をしっかり見詰めていただきたいと思いますね。自治体の補助が加わってもなかなかそれでも経営が大変だと、運営が大変だというのが現実でございます。  入所者の高齢化とか重症化というのは年々進むわけですけれども、今回の介護保険法案を機会に設備の基準とか職員配置とか運営の基準、こういったものを抜本的に高めていくと。現状、例えば老人福祉法というのがありますが、これは三十八年に決められた以降、最低基準が改善されていないというようなことで、現場の皆さんからは少なくとも、先ほどお話がありましたが、四・一対一というのを三対一に改善してほしい。でも、それでも足りないと。というのは、最重度の場合は一対一にしてほしいと、こういう要望も出ているわけですが、そういうことも含めて、最低基準を引き上げるということも含めて検討していただきたいと思いますが、どうでしょうか。
  149. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 特別養護老人ホームにつきまして、介護保険制度が導入されました後、その施設は要介護度の高い人に対する専門的介護を行う施設、あるいはそういう介護力を強化する、そういう観点から必要な人員を配置するということは必要だというふうに思っているわけでありまして、先ほどもちょっと申し上げましたが、現在の四対一というような職員と要介護者の割合、そういう割合を三対一という水準に引き上げていきたい、こういうことを目標として、その運営に必要な費用というものを勘案しながら介護報酬を考えるということにしていきたいというふうに思っております。  ただ、一対一というのはなかなか大変すごい水準でございまして、大体今の四対一というのを三対一に引き上げて、そしてその中で全体的な運営をしていただくということができるのではないかというふうに思っておるところでございます。
  150. 西山登紀子

    西山登紀子君 今一対一がすごいと言われたんですけれども、しかし現場では、例えば私はお伺いしましたけれども、二人の職員の方が、夜ですけれども、七十人近いお年寄りのおむつがえをずっと二人でやるんですよ。そうすると、もうおむつがえだけで空が白んでくると。そして、腰痛バンドも常時しているとか、大変な現実があるので、一対一にしてくれと言ってびっくりしたと言われたのでは困るんですよね。それは現実を見ていただきたいと思います。  大臣にお伺いしたいんですけれども、現行の措置制度というのは、施設長さんに伺いましても、運営を安定するという点では確かにメリットがあるというふうなことは多くの施設長さんもおっしゃるわけです。保険制度の導入ということで、特別養護老人ホームの運営財源が非常に不安定になったり、あるいは低くなったりするということではこれはいけないと思うんですね。  それで、さらに運営費を補助するだとか、あわせまして十分な介護が保障できるような介護報酬額にすべきではないかと思いますけれども大臣の御意見を伺います。
  151. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 今後、サービスに係る費用、どういうものかということについては実態をよく把握して、平均的な費用の額はどういうものか、地域の実情においても違うと思います。審議会等の意見も踏まえた上で、この介護保険制度導入後におきましても適切な運営費が確保されるように努力をしていきたいと思っております。
  152. 西山登紀子

    西山登紀子君 長野に視察に当委員会で行きましたときにも、長野県の老人施設事業連盟の理事長さんの方から要望がありまして、要望の一つに、施設利用、介護給付額の定額化というようなのが出されておりまして、要介護度区分による格差を設けないでほしいと、非常に不安定になるからというような要望も出されておりましたが、私もそういう方向がやはり必要じゃないかなというふうにも思います。  ところで、介護費用というのは施設の問題だけではなくて、今度は入所者の利用料に今の法案ではリンクしてまいります、一割負担ということで。そこで、介護報酬額を上げるということになりますと、それがリンクされていると直接もう利用者の利用料が高くなるというふうになってしまう。それが一つこの法案の重大な問題であり、欠陥じゃないかと思います。  私たちは、利用料は無料ということで主張をしているわけですけれども、例えば先日の参考人の方の御発言の中で、特養の費用四万七千円が払えない入居者が七割いるという報告がございました。生松参考人の報告でしたけれども。ということで、私もいろいろほかのところもどうかなと思って調べたんですけれども、私がいただいているこの会の十六施設の入所者千二百三十七名の調査であるわけですが、入所者の年収は五十万円以下が五〇%、うち無収入が一三%いるということなんですよ。  こういう矛盾というのはどのように解消するんでしょうか。施設の運営をきちっとしていくための介護報酬、それと入居者の利用料がリンクしているという問題、そして払えない人が施設の中に現在入居者の五割とかいると、七割、三割、いろいろあるんですけれども、しかしやはり五割近い人がいるというのがこの会の資料でございますが、この矛盾はどのように解消するんでしょうか。
  153. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 介護保険制度ができますと、被保険者には保険料を納めていただく、またサービスを受けるときには一割、施設に入ります場合にはさらに食費の一部を負担していただくということになっているわけでございます。これは制度全体の公平性、負担する側あるいは利用する者、しない者、そういう全体の公平性を考えてこういう一部負担を織り込んだ制度考えたわけでございますが、一方で低所得者に対する配慮もまた必要だということはそのとおりだと思います。  低所得者としての利用者負担が無理のない負担になりますよう、そういう意味で高額介護サービス費、定率負担でありますとサービス量が大きくなれば負担額は大きくなるわけでありますが、こういうものにつきまして低所得者には一般の場合よりも低い限度額を設定する、あるいは食事の標準的な負担につきましても低い額を設定するというようなことで配慮を行うということにしているわけでございます。  また、今御指摘のありました現に施設に入っている人ということにつきましては、法施行後五年間の経過措置を設けているわけでございまして、その場合には所得に応じて利用者負担の減免措置を講ずるということになっております。こういう形で対応してまいりたいというふうに思っております。
  154. 西山登紀子

    西山登紀子君 今のお答えでは、本当に収入の少ない、五十万以下というような方が五〇%もいらっしゃるとか、これは今入所されている方の統計数字ですけれども、これから入りたいというニーズを持っていらっしゃる方の推定というか、実相もあらわしているんじゃないかというように思いますので、本当にこの矛盾が私は一つこの法案の重大な欠陥であると。ですから、やっぱり利用料は無料にするということで対処しなきゃこの矛盾というのは解消できないんじゃないかというふうに思うわけです。  それから次に、先ほど言われました五年間の経過措置の問題なんですけれども、これも非常に重大な問題じゃないかなと思っております。介護保険法施行法第十三条、これは経過措置というのが決められているわけですけれども、これは何のための経過措置なんでしょうか。
  155. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 介護保険法施行法の十三条の経過措置は、特別養護老人ホームにいわゆる介護保険法施行前に入所している人に対する経過措置でございます。  内容は、そういう人につきましての自己負担、第四項が自己負担の関係の経過措置でございますが、その自己負担につきましては、所得の区分ごとにいわゆる本来なら一割負担ということになっていますが、一割から全くゼロまでの間において厚生大臣がその割合を定めて、そういう形で、その所得に応じて、一割ではなく、一番所得のない人の場合には自己負担なしということも含めて経過措置を定めるということになっているものでございます。
  156. 西山登紀子

    西山登紀子君 自己負担じゃなくて、五年間入所を継続するという場合には、介護の度合いとかそういうことは関係なく五年間の経過措置をとるという、そういう意味でしょうか。
  157. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 今のは経過措置の中の自己負担についてお答え申し上げましたが、要介護認定にかかわらず、五年間、現に施設に入っている人については継続して施設に入ることができるという経過措置でございます。
  158. 西山登紀子

    西山登紀子君 なぜ五年間なんでしょうか。
  159. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 特別養護老人ホームに入っております方は、基本的に要介護状態にある方あるいは状態が重い方ということだと思います。したがいまして、現に特別養護老人ホームに入っている方の多くは要介護状態にあり、当然引き続き施設に入れるんだろうということであります。  ただ、施設に入所するときは要介護状態にあった人がその後の生活指導や訓練を経て介護度が軽くなっていると、例えば自分の家に戻れるとか、特別養護老人ホームの中にいなくても生活できる、そういう人もいるわけでありまして、そういう人につきましては、基本的には、例えば自宅に戻って、必要があれば在宅サービスを受けるなり、あるいはケアハウスのような施設に移ってそこで生活を行うなり、そういうふうにすることが基本なのではないかと。ただ、介護保険制度が実施されましたときに直ちにそれに移るとなりますと、これは準備がかかりますから、元気で、体が丈夫で、ある程度自立して生活できるのであれば、この五年の間に、例えば自宅に戻れるなら戻れる準備をして戻っていただく。あるいはそうではなくて、別の住居室を探す必要がある、ケアハウスなどを探す必要があるという場合にはそれを探して入っていただくと。そのために必要な期間ということでございます。
  160. 西山登紀子

    西山登紀子君 私は、そのことをお伺いいたしますと、これは要するに退所勧告をするというふうな感じに受け取られるわけですね。より軽い人は、あなたは在宅に戻れませんか、あるいはケアハウスに移れませんか、あるいはもっと軽い老人ホームに移れませんかというようなことをまず勧告して、そして猶予期間を上げますから五年の間にそのことを検討しなさいというふうに受け取れるんですよね。私もいろいろ考えてみたけれども、これは非常に過酷な経過措置ではないか、入っている人のために本当になるのかなというふうに思いました。これは特養からむしろ追い出すような追い出し条項というふうに、極端に言えばそんなふうになるんじゃないかなと思ったわけです。  それで、私もたくさんの特養ホームを訪問させてもらいましたけれども、ほとんどやっぱり車いすだとか、それからほとんどベッドの上だとか、あるいは目が見えない方とか耳が聞こえない方だとか、大変な状態のお年寄りがほとんどだと思います。その方々に、あるいは少し軽い方に、五年猶予があるからその間にいろいろ考えなさいよというふうなことを言うこと自体が私は非常に非人道的といいますか、そういうことまで言っていいのかなと思うわけです。もちろん本人の御意思で、よくなったから家に帰りだいとかいうのはそれは全く別ですけれども、今入所されている方々の状況を見てもそれは非常に過酷ではないかということです。  それから、これは東京都の社会福祉法人、東京都社会福祉協議会老人福祉部会の方が平成九年十月に出された報告書なんですが、現在入所されている方一万六千四十人の分析をずっとしていらっしゃるわけですね。どの程度介護度、困難な方々かという分類をしております。  その中で、要介護度Iというのは構成比はわずか四・一%です。非常に少ない方々です。その少ない方々に、どういう状況で特養ホームに入所なさったかという理由を一人一人からお聞きしているのを見ましても、六十六歳の方で交通事故で後遺症があるだとか、あるいは下半身麻痺で、介護者の加齢により在宅生活は不可能だとか、るるいろいろな困難な事情が事細かく書かれております。  私も実際にいろいろなところを見させていただいて、平均年齢はもう八十歳以上です、皆さん、入っていらっしゃる方は。ついの住みかとして選んだ、そして行政が適当だと思って措置をした、そういう人たちに、介護保険が導入されたからといって、あなたの次のついの住みかを探しなさいというふうなことを言っていいのか。むしろ、それは非常に人道的な問題も含めて問題があるんじゃないかというふうに思います。  無条件に本人の意向を尊重するというふうにこの部分は運用すべきじゃないかと思うんですけれども、いかがですか。
  161. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 今、先生が例を挙げましたようなケースは多分要介護度ありと認定される方だと思いますので、当然その人たちは施設にずっと入っていけるわけですね。要介護度IからⅤまでの要介護にあるという人は施設利用が可能なわけですので、その人たちは施設に入れるわけであります。  虚弱というんでしょうか、いわゆる要介護度という意味では要介護度はなくて、そのちょっと手前の、常時介護を要するのじゃなくて若干の支援が要る、そういう虚弱の人たちになれば五年間は入れるけれども、ある意味で自活もでき、若干応援すれば生活もできる人ですから、そういう人は自宅に帰れるのなら帰ってもらうし、いろんな事情で自宅に帰れなければ、例えばケアハウスとかそういうところを探して、そこで生活をしてもらうということでありまして、要介護者施設から出ていってもらうという趣旨のものではありません。そういうことをぜひ御理解賜りたいと思います。
  162. 西山登紀子

    西山登紀子君 この間の特養ホームに対する厚生省のいろいろな指導を見ておりましても、できるだけ出られる人は出して、そして待機者を入れていくと、こういうのが見えるわけで、その点はこの五年間の経過措置については、私の懸念しましたように、むしろこれは特養からお年寄りを追い出すと、極端に言えばそういうふうになる危険性があるということを私はぜひ指摘をしたいと思います。  次に移りますけれども、この間、特養ホームをいろいろ回らせていただいた中で、個室の問題と八人部屋の問題を考えてみたいと思うんですが、ちょっと時間がなくなってきましたけれども、八人部屋も含めて二十九万人のこの整備目標の中に入っていますよね。現行、特養ホームの八人部屋の現状はどうなっていますか。
  163. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 八人部屋の現状でございますけれども、現在の統計では八人という区切りにしていなくて七人以上ということになっておりますので、七人以上ということで御報告申し上げることをお許し願いたいんですが、平成六年の社会福祉施設等調査報告によりましてあれしてありますが、特別養護老人ホームの七人以上用居室が七百六十四室ということで、全部の部屋の中に占める割合が一・一%ということでございます。  これは経過的に申し上げますと、昭和六十二年以降は原則として四人以下というふうにしているのでございますけれども、それ以前がございましたものですから、そういうものが残っております。
  164. 西山登紀子

    西山登紀子君 およそ居室の割合にいたしますと一・一%ということなんですけれども、全国的に見ますと、およそ百ぐらいの施設がこの七人以上の居室を持っているんじゃないかと思います。
  165. 山本正和

    委員長山本正和君) 西山君、時間ですので簡単に願います。
  166. 西山登紀子

    西山登紀子君 はい。  八人部屋で果たして入居者のプライバシーが守られるのかということなんです。  最後に、大臣にお伺いいたしますけれども、この八人部屋の解消などを重点的に図るべきじゃないかなと、介護保険の基盤整備の一つ上して解消を重点的に図っていただきたいということをお伺いいたします。
  167. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 過去に整備された施設の中には八人部屋という大部屋があるということを承知しております。しかし、これらについては今後増改築の際にそのような点をできるだけ解消していくように対応を図っていきたいと思います。
  168. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 前回に続いて施設サービスについてお伺いをしてまいりたいと思います。  今回の介護保険の導入に伴って、福祉分野、医療分野に加えて、民間の営利法人を在宅サービスに加えていこうということが今回の法案の中でも認められておるわけです。  そこでお伺いをいたしたいんですが、今回施設サービスについて在宅サービスのような多様な法人の参入を認めない理由、これについてお伺いをいたしたい。また、将来的にこの施設サービスに設置運営主体の拡大があり得るのかどうか、その点についてもあわせてお聞かせ願いたいと思います。
  169. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 施設サービスに対する民間営利法人の参入の件でございますけれども、典型例で特別養護老人ホームの例で申し上げますと、介護を必要といたします高齢者を処遇いたします施設、いわばそういう性格という意味での機能の施設といたしますれば、現在介護専用型の有料老人ホームという形での民間企業の参入ということは現に可能となっておりますし、現実にもそういう施設はございます。現在の特別養護老人ホームという形態での参画でございますけれども、これは現在はいわゆる営利法人は認められていないわけでございます。  その理由は、特別養護老人ホームというような施設については現在行政庁の責任で入所を決定し、また必要な運営費も公費で負担をしているという姿の中で、またそういうことを実現するために建設費につきましても公費を導入してやっているという姿になっているわけでございます。そういうことでやっておる施設でございますから、民間営利法人につきましては、これは厳密な議論をしてまいりますと、公の支配に属しない慈善または博愛の事業に対する公金の支出の禁止というような憲法上の制約といったこともありまして施設整備費の助成もできないというようなことから、特別養護老人ホームを同列で現在の体系の中に入れていくということについては無理があるということで現在はそうされております。  それで、今度は介護保険ができました後でございます。これにつきましても、やはり今の民間営利法人に対して施設建設費を直接補助するということが難しいということになりますと、その部分保険で賄う費用の中に入れていくということになりますとまた保険料はその分高くなるというようなこともございます。  また、それよりも基本的なこととして、在宅サービス施設サービスの場合にはやっぱり利用者のいわばかかわりぐあいといいますか、が違ってくるのでありまして、在宅サービスにつきましては利用者が居宅に生活基盤が一応あるということでございますから比較的自由にサービス事業者を選択して、少し砕けて申し上げればそこのサービスが気に入らなかったら変更するということも一応可能でございますけれども介護サービス施設サービスになりますと生活基盤そのものを移してしまうということがございますのでより安定性なり公益性なりということについての配慮が必要だというような点はきちっと押さえていかなければならないということがあろうと思います。  したがいまして、そういったことを考えまして当面はやはり営利法人という形の参入ということは想定をしない形で介護保険スタートさせていただきますけれども、しかし施設サービスといわず在宅サービスもやはりできるだけ多くの参入を得てそこにサービス競争が起こる、あるいはサービスがそういう形で自由に選べるような状態をできるだけつくっていくということが非常に大事だという点はそのとおりでございますので、一つの工夫として現在介護保険の中で取り入れましたものといたしましては、有料老人ホームのいわば住むという部分以外の在宅サービス的な部分を提供している部分については有料老人ホームのサービスそのものを保険給付対象にするというような工夫をまず一ついたしました。  それから、将来に向けてどういうふうに施設サービスの運営主体を考えていくかという点につきましては、きょう午前中来の御議論でもございましたその運営をいたしまする法人のあり方の問題等も含めまして、場合によりましてはそこはやはり税制のあり方の問題も含めて、あるいは今の助成の問題も含めまして検討した中で今後慎重に対応を決めていきたいということで、当面は今申し上げたようなことでございます。
  170. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 局長の立場とすれば今のような答弁しかできないんだろうと思います。  大臣大臣は大体民活論者でありますから、この施設サービス、これから介護保険が成熟化していく中である程度はそういう部分も予測をしておかなきゃならぬのじゃないかなというような気持ちを、私自身は社会福祉法人の関係者にはそういうお話はしたことがあるんですけれども、その点について大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
  171. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 午前中の議論にもありましたけれども、できるだけ民間がこういう福祉事業に参入しようという意欲というものをむしろ奨励する方が私はいいと思います。  ただし、普通の営利法人に対して国が補助とかそういうことはできませんから、その点、既存の非営利法人と営利法人との違いをどうするか、また公的な資金と民間の活力、慈善なり博愛的な気持ちからの寄附金をどうするかということも含めましていろいろまだ検討の余地があると思いますが、基本的には民間の方々がこの福祉事業に参入したいという意欲をそがないように対策をとることが私は必要だと思っております。
  172. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 今回、施設サービスが現状では当面民間参入を認めないというようなことですけれども、どうも厚生省の施策というのは、ある程度将来が見通せるというような中でこういった問題について示唆をしていかないと、その都度審議会に諮らなければならないというようなことで、ある意味では逃げの答弁に終始しているように思われてならないんです。  私はなぜこのことを問うかといいますと、きょう午前中の議論の中にもありましたけれども、社会福祉法人には今いろいろな恩典があるわけですね。例えば、施設整備費については公費四分の三を補助しておりますし、それから、午前中の御議論の中でもありましたけれども、免税措置もあります。こういう恩典があるがために一方では建物の減価償却というものを今のところ認めていない。さらには、さきの委員会でも私は強く指摘を申し上げたんですが、規制緩和どころか、六八、六九号通達だったですか、厚生省の不祥事を境に逆に社会福祉法人に対して規制を加えていくような、そういうある意味では矛盾したことを行政指導としてやられている。  こういうふうなことを考えたときに、少なくとも民間参入は当面ないまでも医療法人と社会福祉法人である程度同じ土俵でこれから施設サービスというのは進んでいくわけですから、そういう意味で施設関係者にとっては施設整備費が将来どうなっていくのか、さらには免税措置はどうなのか。  今、実際施設を経営している皆さんにしてみれば、職員は現実におるわけですね。介護保険スタートした時点から全く制度の違う中から収入が入ってくるわけでありますから、その時点から始めるのではなくて、今までずっと経営をしてきて、ある日突然新しい制度になっていくということになりますと、それで職員の給料体系というのは果たして今のままでやっていけるのだろうか。御承知のように、今、民間の社会福祉施設には職員の勤続年数に応じて民間給与改善費というものが出されているわけです。これは一体、この介護保険スタートしたときはなくなるのか、なくならないのか、それから退職金制度はどうなっていくのかというようなことは、やっぱり施設関係者にとっては制度が二〇〇〇年からスタートしたその次からどうなっていくのかというのは非常に不安に思っているわけです。  ですから、ここで私が今申し上げたことについて若干整理してお答えをいただきたいんですが、この社会福祉法人の公的補助というのはある程度厚生省としては介護保険スタートしても続けていくおつもりなのか、また免税措置についてはどうなのか、その辺のところを少し整理して聞かせてください。
  173. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 介護保険制度のあり方を審議していました老人保健福祉審議会、この最終報告でこの辺の考え方が示されているわけでございます。  特別養護老人ホームの施設整備の関係でございますが、最終報告書におきましては、「介護保険制度導入後も公費の助成が必要」という指摘でございまして、そういうことを踏まえて私どもは現在の基本的な枠組みを介護保険制度導入後も維持していきたいというふうに考えているところでございます。  それから、税制の関係でございますが、税制の関係につきましても同じように老人保健福祉審議会の最終報告の中で触れられておりまして、施設整備に関する税制については、「それを維持する方向で検討する必要がある。」というふうに言われているところでございます。  これを踏まえまして、現在の基本的な枠組みを直ちに変更することなく進めていきたいというふうに思っているところでございます。
  174. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 今、私が聞いた中で、民間給与改善費というような今の制度、これはもう措置費じゃなくなるわけですから基本的にはなくなると考えた方がいいのか、その点はどうなんですか。
  175. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 民間給与改善費とかあるいは先生が先ほど社会福祉施設職員の退職手当共済の話を言われました。この取り扱いにつきましては、全体の介護保険施設の運営というのを一体どう考えるべきか、そういう中で介護報酬を検討するときの考慮していくべき事項になるんだろうと思います。  今の段階で具体的には申し上げられませんけれども、そういう御指摘を踏まえて審議会で御検討いただいて方向を出していきたいというふうに思います。
  176. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 そうすると、基本的認識として、今の特別養護老人ホームが措置費によって運営をされているわけですけれども、これが措置費という税からの収入ではなくて介護保険保険からの収入ということで、基本的には今の社会福祉法人が経営する措置費体系での特養の運営とさして変化はないというふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  177. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) そこまで断定的に言われますとなかなかあれなんでございますが、介護報酬といいますのは施設サービスの種類ごとに、それから要介護状態の区分、あるいはまたそういう地域の実態などを踏まえた平均的な費用、これをもとに考えていくわけでございますので、施設経営の平均的な費用というのがつかまえられるわけでございます。そういう中にはもろもろの要素が入っているというふうに思います。そういう実態を踏まえて……
  178. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 その点はいいんです。  私が今お聞きしたいのは、先ほどから言いますように、社会福祉法人にある程度与えられた恩典というようなものが先ほどの答弁の中では担保されているようにお見受けをしたので、そういうふうにお聞きしたわけです。  ここで私は、そういう恩典があるから一方で規制があるわけで、それはやむを得ない部分はあるんだろうけれども、そのこと自体がいわゆる民間活力というものをある意味では阻害していくことになりはしないのか。一方で恩典を与えているから規制は加えるよということもわかるんですが、そのことが規制を生み、規制が結果的に活力を生まない、その点について私は一番指摘をさせていただきたかったわけです。  これについてはきょう午前中に山本委員が非常にいい議論をしましたので、私はそういうことも勘案しながらぜひその辺の調和を十分考えていただいて、しかし社会福祉法人というのはいわゆる私財をなげうってスタートした民間の善意から始まったところですから、それが医療法人とまた民間が入るというようなことになったときに、そこの部分の最低限の社会福祉法人のアイデンティティーというのは私はやっぱり尊重していくべきであろう、そのことは指摘させていただきたいと思います。  それから、先ほど西山委員からの質問の中にもあったんですが、在宅サービスについてはいわゆる介護区分によってある程度の報酬額が出されているんですが、施設サービスについては先ほどの議論の中でもまだかなりこれからというような感がしておるわけです。  先ほどの議論を聞いて私も大体のめたわけですけれども、いわゆる施設サービスには管理費とかいろんな部分が、共通経費というのがあるんだろうと。その共通経費の上にある意味では介護度に応じて保険点数が支払われる。そういうことになればいきなり在宅のような急斜面にはならないんだということなんですが、先ほど西山委員がおっしゃられた中で、今の措置費で足りないのか足りるのかという議論については私は西山委員とは若干違う見解を持っております。  ただ、これから施設を経営していくときに、少なくとも介護度Ⅱの人は何%、Ⅲの人は何%、Ⅳの人は何%、Ⅴの人は何%というような、ある程度施設としてはそういうふうなものを当然考えると思うんですね。例えば、Ⅴの人ばかり入れれば確かに点数は高いですけれども施設自身がやっていけるのかどうかというところがあるんだろうと思うんですけれども、緩やかな斜面になるとはいいながら実際問題どれぐらいIの人と、Iの人は余り特養には入らないのかわかりませんけれども、ⅡとⅢ、Ⅳ、Ⅴぐらいでどれぐらいの金額の差が考えられるんだろうか。  その辺、ちょっと数字としてまだ出せないのであれば、今私が申し上げたようなことが施設経営側としては当然考えられるんだろうと思うんですが、厚生省としてはどういう御認識を持っていらっしゃいますか。
  179. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 基本的な考え方は先生のおっしゃるとおりではないかと思います。  介護報酬というのは、施設の場合には共通経費と要介護度に応じて決めると。ただ、要介護度Iという人は多分余り入らずに在宅が多くて、施設に入る人というのは要介護度ⅤであるとかⅣであるとかⅢであるとか、そういう人が中心になるんだろうというふうに思います。  当然、介護度が多くなればそれだけ手間もかかるわけでありまして、そういう介護サービス部分がきちんと評価される報酬でなければならないと。ですから、仮に介護度Ⅴばかりの人が入っても、そこはそれなりの体制を組んで施設経営ができる、そういうものでなくちゃならないのではないかというふうに思っております。
  180. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 そうすると、それは施設自身が描く施設の像なんだと思うんですけれども、例えば今、特別養護老人ホームを実際に経営されている施設長さんが二〇〇〇年から介護保険を導入したそのときに、さっきも言いましたけれども、今の職員の給料をとにかく確保しなきゃならないという経営サイドからの、介護というハートの部分は別にして、施設サイドとしてはそこをまず考えなきゃならぬ。  そうすると、今言う特養の中にはやっぱりⅡの人もⅢの人も現実に入っていますよ。ですから、そういう人たちの計算を今の在宅の点数で計算すると、これは足りなくなる。さっきの一千二百万だとか一千四百万減収になるとか、そういうような話になっていくのでここのところは非常に誤解があるんですよ。  だから、やっぱり私は厚生省としては、そういう意味での施設が転換するときにこういう金額で大体出るんだというのを早く示してやっていただきたいと思うんですよ。そうしないと、今施設は非常に混乱しています。このままいけば職員の首を切らなきゃならないんじゃないかと。  この前も私は五年間の経過措置の間のいわゆる保険点数の支払いの問題について意見を申し上げました。それについては非常に前向きな御答弁をいただいたんですけれども、やはり今、現実に二〇〇〇年からスタートする施設、そこで職員を新たに採用するならいいんですけれども、そこがある程度スタートしたときにどんと下がるというようなことになると大変なことになるので、その部分を早く私は示していただきたいというふうに思います。  それから、今度スタートした場合に、施設サービスというのは特養と老健と療養型というようなことになるわけですけれども厚生省は立派なパンフレットの中に現行ベースで挙げていますよね。特養が二十七万、老健が三十三万、療養型が四十万強ですか。そうすると、私はちょっとここのところがまたよくわからないんですが、少なくとも保険点数がそれぞれ介護度によって決まるんですけれども、この金額の違いというのはそこに医療行為というのが加算されているということですか。
  181. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 老人保健施設療養型病床群医療施設でもあるわけでございます。それで、現在診療報酬でそこにおける総合的なサービスの評価がございます。費用推計に使いましたのは、現在の診療報酬における評価というものを前提に費用推計の数字として使ったということであります。  特別養護老人ホームと老人保健施設療養型病床群、これで金額に差異がありますのは、そこにおける施設設備あるいは職員の配置状況、そういうものの差異が反映されているものというふうに思います。
  182. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 職員の配置でもって金額が違うと。この中にはいわゆる基本的な、特養はもう介護だけだ、老健の場合は若干医療行為が必要な人たち、それから療養型の場合はもっと医療を求めている人が多いということなんだけれども、そうするとこの金額の違いというのは医療行為そのものをするからということじゃなくて、お医者さんは給料が高いからとか、そういうふうな中でこの金額が違ってきているわけですか。
  183. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) この数字はいわゆる将来の費用推計をするときに、本来なら介護報酬で決まった数字で計算するのがいいわけでありますが、推計するに当たりまして既存の予算であるとか診療報酬であるとかという既存の数字をもとに推計する、そのために使ったものでございます。  差異がありますのは、やっぱりその施設ごとに行われるサービス内容が違う、そういう内容の違いを反映しているものだというふうに思います。療養型病床群であれば医療的な管理の色彩が濃くて、通常の介護プラスそういう医療的なサービスも行われる、そのために必要な職員の配置が必要である、そういうことを反映して高くなっているということでございます。
  184. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 僕はどうもその辺がよく見えてこないんです。  自分の親がいわゆる特養に入るか療養型に入るか、その差というのが今の現行ベースで十三万ぐらい違うわけですよ。ということは、一割負担なら一万三千円違うわけですよ。その一万三千円の違いというのは何なのかなというのがよくわからないんですよ。  はっきり言って、私はどちらを選ぶかというのはある意味では本人とその施設との契約だということをこの前からの議論の中でも言っているわけです。本人が入りたいと言えば四十万の療養型がいいのか二十七万の特養がいいのかといったときに、ただお医者さんが給料が高いとか看護婦さんの方が給料が高い、介護の人の方が給料が安い、施設長さんも給料がそんなに高くない、だから安いんだというところの違いだけでは、どうもこの金額の違いというのは私も説明をしにくいんですけれども、そこのところはどうなんですか。
  185. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 介護施設、三タイプあるわけでございますが、これのどこを利用するか、基本的には要介護認定を受けた人の意向を踏まえて選択していただくことになるわけであります。  あわせまして、例えばこの人は療養上の注意が必要である、医療が必要であるというような場合には介護認定審査会意見を付すということができます。例えば、病気を持っている人は特養ではなくて、同じ施設だったら療養型病床群の方に入るように、こういうような意見が付せられるということになるわけでありまして、その辺は単に好きで選ぶというよりはその人の需要に合ったものが基本的には選ばれていくのだろうというふうに思います。  職員の配置でございますが、医者だけが表に出るのは先生のお話を聞くと余りよろしくないかもしれませんけれども、特別養護老人ホームでありますと、基本的には医療施設ではございませんので、非常勤の医師が一人いて健康管理等を行う。それから、入所者百人当たりの職員の配置基準でございますが、老人保健施設でありますと常勤の医師を一人置くとかあるいは看護婦をある程度の数を置くとかいうふうになっておりますし、療養型病床群でありますと医師看護婦の数がさらにふえていくわけでございます。これはその施設で行われるサービスの中身が違う、そのサービスの中身が違うことを反映した結果が現在の予算単価や診療報酬ではこういう数字になっているということでございます。
  186. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 質問をたくさん用意したんだけれどもできなくて残念なんですが、今の問題はちょっと私は非常に今の説明では納得がしにくいんですね。  確かに、医療行為があるというのであれば別ですけれども、そこに医者がいるというそれだけで何か今の話だと金額が十三万高いという、そのところがどうもよく理解できない。当然、介護の中に医療というものも含まれているというなら私はわかりますよ。しかし、お年寄りならいわゆる特養に入っている人も老健に入っている人も大体病気は持っていますよ。そこのところの整理が本当にできるのかなと。そして、この十三万の差は何なのかなと。そして、その十三万というのは一割負担であれば一万三千円違うわけですよ。そのことによっていわゆる介護認定を受けた人たちの流れがどういうふうになっていくかというのは、これは実際スタートしてみなきゃわからないんじゃないかと。逆にいえば特養にどっと行くかもわかりません。  その辺のところは、厚生省としてある程度考えておかなきゃならないことではないのかなということを御指摘させていただいて、私の質問を終わります。
  187. 山本正和

    委員長山本正和君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  188. 山本正和

    委員長山本正和君) 速記を起こして。
  189. 清水澄子

    ○清水澄子君 本日は要介護認定のあり方と保険料を中心にお伺いしたいと思います。  介護保険法では、被保険者が保険証を持っているだけでは直ちに介護を受けることはできないわけでして、いわゆる要介護認定を受けて、そして要介護度の判定がなされて、その上でケアマネジャーによるケアプランが作成され、初めて介護サービスが受けられるというシステムになっております。  また、介護認定を受けるには一時間程度の調査員の訪問聞き取り調査、マークシートによるマル・バツ調査が一次判定の場合に行われるわけですけれども、それが訪問調査員によって記述調査をして、さらにかかりつけ医意見書を受けた介護認定審査会による二次判定の二段階になっております。  ここで厚生省は、要介護認定の「要介護度分類毎の高齢者の状態像」というので平成九年度の調査票は七十三項目になっておるわけですけれども、このマークシート方式の基本調査項目には要介護者の心身状況のみに限定されていると思います。  そのために、例えば東京の品川区役所のホームヘルパーの方ですけれども、実際にこのマークシートをずっとつぶしていく、これで介護の必要度が本当にわかるのかなという疑問が出てきたと言っています。その作業の仕方ではいわゆる介護を必要とする人の生活が見えてこない、そういうことに気がついてきたと。例えば、援助サービスを組み立てようとするとき、自分たちはまず家族や近隣との関係も含めてその人の生活全般を見て考えるのだと。例えば介護を必要とする方の近所の人で毎日のぞいてくれる人があるのかどうか、あるいは買い物だけはやってあげようと、そういう声をかけてくれる人がいるのかどうか、そういうことを調べた上で、それがあればその力を大切にしながらその他のことのサービス内容を組み立てていっていると。そういうのを見たとき、このマークシートのつぶしの作業の中ではそういうものが全然見えてこないと。これは寝返りができるか排せつができるか、そういうマル・バツであるわけですからここでは全然その生活というのは見えないわけですね。さらに、二次判定の記述方式の調査でも生活環境に関するそういう設問は全然ございません。  要介護者の身体状況を中心にしたこのような調査だけで果たして要介護度認定を行うということが適切であるのかどうか。これは非常に不十分ではないかと思います。もっと居住の環境とか家族の環境とか近隣の環境を加えた生活全般を踏まえた調査を行うような介護認定方式に改めるべきだと思いますが、その点、厚生省はどのようにお考えになりますか。
  190. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 要介護度を一体どういう形で把握をするかということでございますが、この要介護度の把握の仕方につきましては、平成八年度からモデル事業を実施しながら研究をし、先生先ほど御指摘いただきました調査票は八年度の実績を踏まえ改善した九年度の調査票をごらんになりながら御指摘されたのではないかというふうに思うわけでございます。  私どもの基本的な考え方は、要介護度の判定はその人の状態に着目して、その人に対する介護サービス量はどれだけ要るか、そういうことで判断すべきなのではないだろうかと。ただ、そこで要介護状態にあるということで認定されました場合には、今度は介護支援専門員がアドバイザー役になってその人に介護サービス計画をつくるということになります。介護サービス計画をつくるときは、本人の意向や家族の意向も大切ですし、その人の生活環境も大事です。そういうものをさらに細かく調べまして、調べる方法も私どもの報告書では五つの手法が触れられておりますが、非常に多い、三百五十項目ぐらいの多い項目を調べて、それでその人に必要な介護サービス計画をつくる、そのときにはその人の生活の状況であるとか家族の状況であるとかを踏まえてつくる。  ただ、要介護度があるかどうかの判定は、家族がいるからいろいろ支援してもらえるから例えば要介護度が軽くなるということであってはかえって的確なんだろうか、要介護度というのはその人の状態に着目した客観的な判断で行われてしかるべきなのではないかと、そういうことでこのようになっているわけでございます。
  191. 清水澄子

    ○清水澄子君 先ほども、午前中の御発言もあったんですが、もう少し現場で働く人の、実際にこの法律を施行するとき、今厚生省から出されているそういう問題、いろんなやり方が出ているんですが、それをやってみて、これではできないということが幾つも出てきている、こういうことにはやっぱり真剣に耳を私は傾けるべきだと思うわけです。  特に、このマークシートでマル・バツだけでコンピューターで第一次はやるというとき、本当にそういうことでできるのかなという心配を私どもも非常にしていますけれども厚生省の方自身がある会合で、これは平成十二年にこの法律が施行されるときは二百何万というたくさんの人たちから一度に申請が来るだろうと、そのとき追いつかないからこのマークシートで早く、前年の十月から平成十二年の三月の六カ月までにある程度の処理をしなきゃいけないんだと報告をされておられるわけですから、何のためにマークシートになったかという理由は厚生省みずからが御説明をしていらっしゃいます。  ですから、そういうことで現場の人たちはそのマークシートでやってみているわけです。そして、これではやれない、そこには生活が見えないという大変大事な部分を指摘されているわけですから、そういう四角四面の机上の計画ではなくて、ああそういう問題があるのかということでもう一度やっぱり確認し直すということをぜひ私はここで強く要望しておきます。  そして二番目に、介護認定の調査票の項目にはとても高齢者の人権とかプライバシーに触れる微妙な設問があるわけです。例えば、虐待が疑われる状況と思われるかとか、周囲が迷惑する性行動があるかなどということがありますね。そうすると、介護認定に当たっては高齢者の人権やプライバシーをどのように守っていくのかということは非常に重要なことだと思うわけです。  ですから、厚生省介護認定に当たって、それを機械的に行うのではなくて、もっと人間的に接するような方法、それから高齢者の人権やプライバシーが損なわれないような配慮、工夫、努力をすべきだと思いますが、それについてはどのような対応を準備していらっしゃるんでしょうか。
  192. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 介護認定の関係の調査票の作成あるいは実施の仕方、これにつきましては現場で実践を踏んでいる方々委員会のメンバーにして検討しているわけでございます。そして、その新しい調査票につきましても、自分の施設でやってみた、これで前の八年度にやったものよりも非常に記入しやすく、かなりわかりやすくなっているのではないだろうかと、そういうようなやっていただいた方の経験ども踏まえながら九年度の調査票をまとめていったわけでございます。  それから、この調査票の中に確かに先生のおっしゃるような人権の面、プライバシーの面、そういう面での配慮を要する項目も入っております。これは調査の仕方の問題もあるわけでございまして、これもまた八年度のモデル事業を通じて寄せられた意見でありますが、調査員に対してきちんと研修をする必要があるということでございます。そして、そのために調査員用のビデオテープをつくって、これは各県でまた研修してもらわなくちゃいけませんので、テープをつくり、記入要領もかなり細かく書きまして、そういうことでその配慮をしてもらうようにやっているわけでございます。さらに、この事業を通じて例えばこういう改善をした方がいいということがまた出てさましたら、十年度の事業に向けてさらに改善ができると思いますので、そこはそういういろんな意見を踏まえて改善をしてまいりたいと思います。  また、市町村の職員が調査するときは、公務員ですから職務上知り得た秘密は漏らしてはならないという公務員の規定が働いております。そうではなくて、市町村が職員以外の介護支援専門員に調査を委託するような場合、この場合にも介護保険法の中に当該委託業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならないという規定を設けているわけでございます。そういうことでプライバシーの保護が図られるような法的な措置も講じております。
  193. 清水澄子

    ○清水澄子君 指定居宅介護支援事業者には、これは市町村は民間の事業にも委託することができるわけですから、ぜひそういう人権侵害にならないような教育のシステムを十分に強化していただきたいと思います。  次に、介護認定を受けるとき、第二十七条の二項では、訪問調査員というのは被保険者のみに面接する、調査するということになっております。しかし、さっきの認定モデル事業では、痴呆が進んだ被保険者に対しては実際に日常の介護に当たっている家族や介護している者にも聞いています。それはそうしないと調査にならないと思うわけですが、厚生省はやはりこの事実に合わせて介護認定に直接影響を与える面接調査対象者としては家族や介護者をやっぱり面接の対象に明確に位置づけておくべきではないかと思いますが、その点いかがですか。
  194. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 介護保険という保険制度の運営でございますが、法律の構成上は被保険者というような形になっておりますが、要介護認定がより公平、客観的に行われることが必要であることは御指摘のとおりでございます。  そういう意味で、モデル事業におきましては要介護者だけじゃなくて家族に、八年度は家族からの聞き取りの項目は少なかったわけでありますが、ある程度の期間を含めての情報が入りますように家族とかあるいはかかりつけ医師から御意見をいただくというような様式にしたわけでございます。  こういうモデル事業の成果を踏まえて、事業の実施の仕方としましてはできるだけその要介護者状態を的確にはかる方法、これを大事にして運営してまいりたいというふうに思います。
  195. 清水澄子

    ○清水澄子君 次に、これは大臣にお伺いしたいわけですけれども、被保険者が受けた介護認定に不服があった場合には第百八十三条に基づいて審査請求を都道府県介護保険審査会にできるようになっております。  しかし、その前提として自分がなぜ介護認定から外れたのかとか、そういう介護認定を判定した際の資料というのはほとんど被保険者本人はわからないわけですね。ですから、やはりぜひ被保険者本人が要求した場合は判定の資料というものを開示すべきだと思うわけです。それがないと、これは行政不服審査法がもう一つあるわけですから、そういうところで裁判問題が起きてくる可能性が非常に多いと思うわけです。また、自分がどういうふうに認定されたのかが全然自分でわからない、情報がないという場合には非常に審査請求そのものも権利としては行使しにくい。ですから、介護認定審査会における判定資料を被保険者が要求した場合には、例えば今日医者にかかってもインフォームド・コンセント、やはり説明する、また説明を求めるということが当たり前の権利になっている時代ですから、この判定資料の情報開示をするということをぜひ検討いただきたいと思いますが、厚生大臣のお答えをいただきたいと思います。
  196. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 判定資料については、個人情報そのものですから第三者に開示するというのは適当でないと思いますが、申請者本人が請求した場合には本人に開示するよう、その方向で検討していきたいと思います。
  197. 清水澄子

    ○清水澄子君 ぜひそれを皆さんにわかるようにしていただきたいと思います。  次に、審査請求に関してですけれども、被保険者本人は当然なんですが、被保険者が痴呆状態のような場合、この審査請求を本人にかわってできる者、例えば後見人というのがやはり必要だと思います。これは被保険者の権利としてこういう法律を設定するとき非常に必要だと思いますが、この介護保険法ではそれがないわけです。ですから、その点では厚生省はこの法律施行までに再度この問題を検討されるつもりはないかどうか、ぜひ検討していただきたいんですが、いかがでしょうか。
  198. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 痴呆等によりまして意思能力が十分発揮できないという人のために、その人がみずからの権利をきちんと行使できるために先生御指摘のような新たな仕組みが何か要るんだろうということはそのとおりだというふうに思います。  これは、恐らく民法の特例をさらにつくるという形になると思います。現在、法務省で法制審議会におきまして成年後見制度、こういうものが検討されていると伺っておりますが、この検討状況を踏まえて対処すべきものではないかというふうに思います。  ただ、審査請求につきましては、恐らく県庁の方に文書で申請するということになりますので、そうなりますと要介護者の家族がかわって審査請求をしたり、かわってというのは代筆してというのでしょうか、代理人になって申請したり、あるいは介護支援専門員が専門的な立場でアドバイスをしたり、そういう形で実質的にそういう手続が行われるような運営にしてまいりたいというふうに思います。
  199. 清水澄子

    ○清水澄子君 民法の分野がそういうふうに介護の問題だけじゃなくて改正されるのはそれでいいわけなんですけれども、この介護保険法が施行される年、平成十二年には介護を必要とする痴呆性の高齢者数二十万人というのが対象として出ておるわけですし、また痴呆性の人を含む寝たきり高齢者数を入れると百四十万人と厚生省自身が数字を出していらっしゃる。そういう方々が結局介護保険法対象になるわけですから、それは民法が改正されたらそれでおやりくださいじゃなくて、介護保険法の中でやはり代理人の設定をしておいた方が私はむしろ混乱が起きないんじゃないか、そういうふうに思いますので、この点はぜひ私は再度検討していただくことを要請したいと思います。
  200. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 今申し上げましたように、痴呆等でありますと例えば家族がその立場になって不服があれば審査請求をかわって行うとか、あるいはそういうことを介護支援専門員が、常日ごろ要介護者と接しているわけでございますので、そういう方がアドバイスをするとか、そういう形で事実上それが行われるような運用ができるのではないかというふうに思っております。
  201. 清水澄子

    ○清水澄子君 次に、保険料の徴収についてですけれども介護保険法では第一号被保険者と第二号被保険者の保険料納付では保険料の性格が違うんですね。二つ、同じような給付を将来受けるはずなんですけれども、性格が違っている。  まず、百三十二条では、六十五歳以上の第一号被保険者の保険料を普通徴収する場合に世帯主あるいは配偶者が連帯で納付義務を負うとあるわけですが、ここで言う「連帯」とは何を指しているのか、御説明いただきたいと思います。
  202. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 介護保険制度では六十五歳以上のすべての高齢者を被保険者というふうにしているわけでございまして、そして所得に応じて五段階を設けて無理のない範囲で保険料を負担していただくということになっているわけでございます。  ただ、高齢者も生計は世帯で一体として営まれていること、それから国保等の制度におきましても世帯主の連帯納付義務が規定されているようなことなどを踏まえまして、世帯主や配偶者に連帯納付義務を百三十二条で規定しているところでございます。
  203. 清水澄子

    ○清水澄子君 ちょっと説明が違っているんじゃないですか。この「連帯」というのは民法で言う連帯債務の考え方ではないんですか。これは本人が払えなかったら、例えば母親の保険料が払えなかったときに息子さんが払わなかったら、それは連帯責任になるということじゃないんでしょうか。その場合に、後期高齢者になっているときは息子さんといっても高齢者の場合があるわけですが、そういう意味で連帯責任が果たせなかったなら今度はペナルティーがあるわけですね。そういう点で、この保険料の取り方というのは非常に高齢者に対して厳し過ぎると思います。もちろん、払わなくていいという意味じゃありません。だけれども、そういうことだけは条文でしっかりと書いてあるという、この介護保険法の中に一つ厚生省の姿勢が余りにも露骨に出ておりますので、私はその点について非常に気になりますので、「連帯」の意味をもう一度聞きたいと思います。
  204. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) まず、第百三十二条第一項では、第一号被保険者がそれぞれ保険料を納付しなければならないという義務があるわけでございますが、それ以外に世帯主あるいは配偶者の一方、それが先生おっしゃいますように連帯債務を負うというのでしょうか、そういう形で納付義務を課しているところでございます。
  205. 清水澄子

    ○清水澄子君 そうしますと、この百三十二条で、連帯で納付義務を負う世帯主が滞納した場合には、今度被保険者は第六十七条で滞納した場合は保険給付は七割にしますと、そして自己負担は三割になりますということになるわけですね。そうすると、物すごく故意にというのは別として、本当に後期高齢者の場合で払えなかったときに、払えない人が今度三割も自己負担をしたり、そういうことができるとお考えでしょうか。だから、非常にここには何か個人の責任に帰せない理由でペナルティーを受けるというやり方というのは、やはり私は被保険者を納得させることができないと思います。  厚生大臣、この点についてどうお考えになりますか。
  206. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 協調と連帯という言葉があるように、社会保障制度におきましても協調と連帯というのが大事な観念だと私は思います。そして、今、保険料を払っている人と払っていない人の公平性というものを考えて、当然払っていない人と差をつけるのは、これはやむを得ないことではないか。払わなくても払っても同じだというのじゃ、税金もおかしいですし保険料もおかしくなっちゃう。払っている人と払っていない人の差というのはどういう程度かというのは、それは検討する問題でありますけれども、同じだというのだったら保険でも決める必要はなくなつちゃうのじゃないかと。その辺はどうお考えになりますか。
  207. 清水澄子

    ○清水澄子君 払っても払わなくても結構ですとは言っていません。今、この介護保険法についてこれだけ真剣に、どうこれを政策として、また今度は受ける者は権利としてこれを一日も早く保険料を負担しつつここで出されているモデル的な介護給付を受けたい、そういう制度にいかにしたらできるかということで議論していると思います。  そういう中で、故意に滞納ではなくて、そうなっている後期高齢者の場合もあると思うんですね。もう寝たきりになって自分の所得もない。世帯主ではあるかもしれませんね。そういう場合もあるし、それから連帯というときに、子供との関係という場合には必ずしも子供との関係で連帯にならない場合もあります。ですから、これはそれじゃ子供に責任を持たせるということであると、後にお伺いしますけれども保険というのは世帯単位でずっとやるのか。本来、保険というのは個人単位だと思うのですけれども、ここでは特に第一号被保険者の場合には、特に後期高齢者でどうしても生活に困る人にこういうペナルティーをかけるべきではない、このことはまた後ほど御質問いたしますけれども、その点を私は大臣にお伺いをしたわけです。ですから、公平とかそういうことは当然私の方も承知しております。むしろサービスが早く公平になるようにこそ努力をすべきだと思っております。  次に、第一号被保険者の保険料は第百二十九条の規定に従って市町村の介護保険事業計画の給付サービスの進展状況といいますか、見込み量によって設定されることになるわけですが、この第一号被保険者の保険料というのは市町村ごとに非常にばらばらといいますか、違うわけですね。一見合理的に見えるわけですけれども、被保険者の立場から見れば住んでいる市町村によって介護サービス内容保険料も違うというのでは非常に戸惑いがあると思います。  ですから、厚生省は各市町村に自分の市はこの程度しか給付できないから保険料は当分この程度ですということをきちんと、自分の町ではなぜこういう状況なのかということが被保険者にわかるように説明をするということをある程度市町村に義務づける必要があるんじゃないでしょうか。そうしないと、皆とても混乱が起きると思いますので、その点についてはどのようにお考えになりますか。
  208. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 介護保険料は、先生御指摘のように、その市町村における介護保険事業計画、これで給付サービス量がわかりますので、そのサービス量をもとに保険料を幾らにするかというのが決まるわけでございます。  この介護保険事業計画を策定するに当たりましては、衆議院でも修正があったわけでございますが、広く被保険者の意見が反映されるようにする、そういう意味で被保険者の代表も参加して計画策定を行うということになっているわけでございます。いろんな形の意見を聞くと。そういう意味で、その市においてこの五年間にどういう介護基盤整備が進むかということがその計画で明らかになります。  また、保険料はその計画をもととして条例で定めるわけでございますから、当然議会で議論をされるわけでございます。その議論は公開ということになるわけでありますので、そういうことを通じて基本的にはそこに住んでいる住民に十分わかるものになっていると。さらに加えて、積極的にそういう情報を提供するということもまた大事だと思いますが、仕組み上もそれができるようになっているというふうに思っております。
  209. 清水澄子

    ○清水澄子君 第百四十二条では、市町村が条例で保険料の減免ができるということを定めておりますけれども、ここで言う「特別の理由」というのはどのような範囲を含んでいるんでしょうか。
  210. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 基本的にすべての方から負担能力に応じて保険料をいただくということになっているわけでございますので、ここで定めます保険料減免の特別な理由は、災害などのそういう特別な理由によりまして一時的に被保険者の負担能力が低下する、そういう場合のことを定めたいというふうに考えております。
  211. 清水澄子

    ○清水澄子君 じゃ、失業しているときはどうなりますか。
  212. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 高齢者でございますから、その失業というのを一体どうとらえるか、無職というのを全部失業というふうになかなかとらえられないと思うんですね。例えば、交通事故等に遭って働けなくなったとか何か企業を経営していたけれども倒産をしたとか、そういうようなこともいわゆる一時的な負担能力の低下というようなことになれば、それは特別な事由として書くことができるのではないかというふうに思っております。
  213. 清水澄子

    ○清水澄子君 そういうことは省令か何かに書かれるんですか。
  214. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 保険料につきましては、市町村が条例で定めるというようなことになっておりますので条例で定めてもらうことになるわけでありますが、今のような考え方は例えば条例準則のような形でこういう考え方がとれるのではないかということはお示しをしていきたいというふうに思います。
  215. 清水澄子

    ○清水澄子君 第一号被保険者の保険料の最低額は基準額の半分という考え方が示されておるわけですけれども、市町村によっては国保の均等割よりも介護保険保険料の方が高くなるケースが出てくると思います。  この場合、国保の保険料よりも介護保険料が高くなるということになるとまたこれも高齢者の第一号被保険者にとっては、別々の保険制度なんですけれども、均等割よりも介護保険料が高くなるという、これもまた高齢化社会といいながら、それは払える人は当然払ってもらわなきゃいけないんですけれども、やはり所得のない人とか年金だってとても少ない人が多いわけですね。月四万円なんという人が非常に多いんです。  こうした場合、せめて国保の均等割と同額に設定するというふうなことが考えられないのかどうか、その点はどのようにお考えになりますか。
  216. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 国保につきましては、各市町村において均等割と応能割を組み合わせて保険料を取っている、そしてまた所得に応じてその軽減措置が講ぜられているところでございます。  ただ、医療保険介護保険、同じように保険料を取るわけでありますが、それぞれその制度の中で保険料の取り方を考えるということだと思います。特に介護保険制度の場合には、市町村単位で見たときに全体的に所得水準の非常に高い市町村もあれば市町村単位で見たときに全体的には所得水準の低い市町村もあるわけで、そうしますと同じ基準で保険料を課していっても保険料の格差というのが出てくるわけでございます。  こういうものは国の国庫負担の中の一部を交付金として出すことによって調整しようと思っているわけでありますが、そのときに市町村ごとに全く違った考え方で保険料を取るということになりますと調整が非常に難しくなるわけでございます。ですから、そういうこと全体を考えまして、前から御説明しておりますが、五段階で同じような考え方に従って軽減をし、あるいは所得の高い人にはより多く負担をしていただく、こういう形で運用をさせていただきたいというふうに思っております。
  217. 清水澄子

    ○清水澄子君 それでは、第二号被保険者の保険料は条文の中で厚生省令により算定されることというふうになっているんですが、なぜそうなるんですか。この条文を読むだけでは非常にわからないんですが、第二号被保険者の保険料の算定方式というのはどういう意味を持つんですか。なぜ厚生省令で定めるんですか。
  218. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 第二号被保険者の保険料の取り方といいますのは、基本的に一人当たり制度スタート時は七年度価格で二千五百円ということになるわけでありますが、四十歳以上六十五歳未満の方がある保険者の中に何人いるか、その人数に二千五百円を掛けて、それを全体の被保険者の総報酬で割り戻して保険料率を決める、その分を医療保険に上乗せするというふうになっているわけでございますので、その考え方に従って保険料を徴収させていただくということになります。
  219. 清水澄子

    ○清水澄子君 第一号被保険者と第二号被保険者の保険料の取り方がとてもおかしな仕組みになっているんですね。これはまた次のときに聞きます。  最後に、厚生大臣、この第二号被保険者でサラリーマンの妻の保険料というのは夫の保険料に含む形になっております。男女共同参画二〇〇〇年プランのみならず、社会保障制度審議会の報告においても税制とか社会保障制度、賃金制度の総合的な検討に入るべきだと。それはこの制度を世帯単位から個人単位に組みかえるということを前提にしているわけですね。介護保険法は新しい制度の導入であるにもかかわらず古い世帯単位に立った保険料の徴収をやるシステムになっているわけですが、やはり保険料というのは、ある程度一本にしていかないと非常にわかりにくい面だけじゃなくて、今後この法制度を見直す中で個人単位の保険料に変えていくという、そういうお考えはお持ちでないのかどうか、厚生大臣のお答えをいただいて終わります。
  220. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 社会保障を考える場合、今後個人か世帯かというのは大変大事な問題だと思っています。  今、国民年金も学生は親が負担している方、結構多いですね。今回の介護保険におきましても、一つの生計を世帯で一体として営まれているということからこういう世帯の連帯責任という観念があると思いますが、今後個人の問題、世帯の問題、十分検討されるべき課題だと考えております。
  221. 清水澄子

    ○清水澄子君 終わります。
  222. 長峯基

    ○長峯基君 自由民主党の長峯基でございます。  いろいろと議論が進んでおりますけれども、私は、一日も早く実行して、そしていろいろ問題点があればそれを積極的に改善していく、そういう姿勢でぜひやっていただきたいというふうに思います。  昨年でしたか、ある報道でちょっと読んだことがあるんですけれども、スウェーデンの専門家が、日本からは毎年国会議員を初め地方議会あるいは専門家が何百人とスウェーデンのいろいろな福祉政策を学びに来る、しかし一向に実現の気配がないというようなことを言っておられた記事を私読んだことがあります。  つまり、北欧の高齢者介護の大きな柱、これはいわゆるグループホームというのが中心だというふうに言われておりますけれども、日本でもいよいよグループホームがスタートしたようでございますが、介護保険法案の中でグループホームの役割はどういうふうに位置づけられておるのか、またその補助制度はどのようになっているのかということをまずお伺いしたいと思います。
  223. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 先生お話しの、特に痴呆対応型の老人共回生活援助事業、つまり痴呆性老人向けのグループホームでございますけれども、スウェーデンそのほか北欧諸国を中心に非常に先駆的に行われていて効果が上がっておるというふうに私どもも承知をいたしております。  そうしたことから、我が国におきましても、少人数の、これ中期程度の痴呆性老人の場合に有効だということのようでございますから、余り重度になりますと、いわば共回生活、家庭的な環境のもとで共回生活をされるということが症状の改善にも資するということからやられておるようでございますので、中期程度の痴呆性老人を対象にいたしまして、そういった家庭的な環境のもとで一日じゅう共回生活をしていただく、そういうようなことを内容とする事業でございます。  私どもの方もこの平成九年度から国庫補助事業で取り上げまして、これをさらに介護保険につないでいこうということでございます。
  224. 長峯基

    ○長峯基君 二点ほど伺います。  まず、グループホームの定員が八人程度というふうに定義されておりますけれども、その理由について。それからもう一点は、現行のグループホームでは十人以上の入所者を抱えているところもあるわけでありますけれども、定員を超える場合にどのような対応を考えておられるか。二点ちょっとお伺いしたいと思います。
  225. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 痴呆対応型の老人共回生活援助事業、グループホームにつきましては、やはり小規模な生活の場において共同して家庭生活を送られるということがこの施設の非常にいいところ、つまり効果を上げているところというふうに言われております。  したがいまして、その人数については、やっぱりある程度少人数でということを考えていきますと八人、これは八人がちがちではございませんけれども八人程度ということで、少し幅を持たせて五人から九人ぐらいのところで利用定員を設定するという中で今補助事業スタートさせていただいております。そういったある程度今後に向けてのひとつのスタートでございますから、そういった効果の上がるものを推奨し、広めていきたいという趣旨で入れたものでございます。  そうしたことでございますので、十人以上の方、たくさん一緒に生活をされるということになりますと、そこはグループホームということのよさ、グループホームとしての効果という点からするとどうだろうかというところが出てまいりますので、私どもとしてはまだ、今補助事業をしてそれを推奨していくという側面からいえば、できればそういうところにつきましては利用人数をある程度分けていただくなりなんなりするというようなことをも考えていただかなきゃいかぬのじゃなかろうかと。  ただし、それも八人がちがちでなくちゃいかぬということではございませんで、ある程度弾力的に考えながらそこらのところをしていきたい。無際限にあれしますと、もうお年寄りの共同の住まいというだけのことになってしまって、それをグループホームとして推奨するのでは、いわば有料老人ホームみたいな話になってしまいますので、やはりおのずとそこは小規模の人数で家庭的な雰囲気の中で共回生活をされると中期程度の痴呆性の老人の方々等については非常に効果があるというところはきちっと押さえたいなという気がいたしております。
  226. 長峯基

    ○長峯基君 次に、介護支援事業について伺いたいと思います。  まず、ケアマネジャーが約四万人必要だというふうにされておりますけれども、これはどのような推計に基づくものか、また将来的には増減はどのようになるのかということについてお伺いしたいと思います。
  227. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 介護支援専門員は、一定の知識経験を有する保健医療福祉専門家、これを都道府県研修をしまして養成するということになっているわけでございます。制度実施までに四万人ぐらい必要であるというふうに申し上げておりますが、これは在宅サービスであるとか施設利用者、そういう数につきまして、一人の介護支援専門員が四十人ないし五十人担当するというふうに考えますと四万人程度は必要になってくるんではないかということでございます。  もちろん、介護支援専門員制度実施後もずっと養成し続けていくわけでございまして、リタイアしていく人もいるでしょうし、あるいはまた全体としての質を高めるために、いろんな業務に介護支援専門員知識を持っている方が携わった方がよりいいということもありますので、そういう意味で制度施行後も計画的に養成を進めていこうというふうに考えております。
  228. 長峯基

    ○長峯基君 このケアマネジャーの受験資格、これは保健医療福祉分野で合計五年以上の実務経験を有する者となっております。これは具体的にどのような職種が含まれるのかについてお答えいただきたいと思います。
  229. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 介護支援専門員は、基本的に介護支援専門員としての役割を果たすに必要な幅広い知識があるかどうか、これを試験いたしまして、一定の水準以上の方にさらに研修を受けていただいて介護支援専門員になっていただくということになるわけでございます。  したがいまして、一たん試験でその知識等を確認するわけでございますので、受験資格はかなり幅広くていいんではないかというふうに思います。もちろん、当然国家試験資格を取っております医師とか歯科医師とか薬剤師とか保健婦看護婦理学療法士作業療法士社会福祉士介護福祉士等、そういう資格を持っておる方も当然でございますが、さらには一定の実務経験を有している例えばホームヘルパーであるとか、幅広くそういう方に受けていただいたらいいのではないかというふうに思っております。
  230. 長峯基

    ○長峯基君 それと、その試験に合格した方に実務研修を行うということでございますけれども、その実務研修の具体的な内容について伺いたいと思います。
  231. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 介護支援専門員は要介護認定にかかわる知識を持っている必要がある。特に、要介護認定に当たりまして、市町村から委託を受けて要介護者の調査をしたりすることもあるわけでございますので、そういうことも含めまして要介護認定にかかわる幅広い知識が必要であると。それからまた、要介護者介護サービスを適切に受けられるように、要介護者の希望等を踏まえてその実態を分析した上で介護サービス計画をつくっていただく、そういう介護サービス計画をつくる能力が必要であると。さらには、介護サービス計画をつくる上でいろんなサービス提供者と話し合いをしながらまとめていくわけでございますので、そういうようなことにつきましての知識が必要であると。そういうような中身につきまして演習、実習を主体として実務的な研修を行おうというふうに考えております。
  232. 長峯基

    ○長峯基君 その実務研修期間が原則として六日間という話があるわけでございますけれども、ちょっと短過ぎるのではないかという指摘もあるようでございますが、そこら辺はどのようにお考えになっていますか。
  233. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 介護支援専門員で実務研修を受けていただく方は、現に保健医療福祉現場実務経験を持っている、そういう意味では大変知識経験の豊富な方であろうと。そして、試験を受けてから研修を受けるわけでございますので、そういう意味で一定の知識を有しているということが確認されているわけでございます。  この実務研修は六日間ということでありますが、前期と後期三日ずつに分けまして、まず前期の三日間で要介護認定であるとかあるいはケアプランの作成であるとかについて勉強をして、そしてその人たちは、多くの人は恐らく現場を持っていて、そのフィールドに戻りまして、そういう勉強したもので実際それを活用してフィールド、現場でやってみる、そしてやってみた経験を踏まえてまた後期の研修を受ける。そういう形でございますので、単に六日間知識だけを受けるということではなくて、かなり実践的なものを織り込みながらやっていくものでございます。  最初に申し上げましたように、受ける方がかなり実務経験なり知識なりを持っている方というふうに考えますと、これで適切な研修が行えるんではないかというふうに思っております。
  234. 長峯基

    ○長峯基君 次に、要介護認定について伺いたいと思います。  介護サービス認定調査は七十三の調査項目があると聞いております。それらの項目はどのような経緯で決められたのか、もととなる研究はどのようなものであったのか、また研究はどこで行われたのか、そういう点についてお聞きしたいと思います。
  235. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 要介護認定介護サービスを受ける入り口になる部分でございまして、大変重要なところでございます。これが公平に客観的に行われるということが大切であります。  私どもは、平成四年度以降、高齢者の介護の必要度をどういうふうにはかったらいいか調査研究をしてきたところでございますが、厚生省試験研究機関等が中心となりまして、特別養護老人ホーム、老人保健施設、それから介護力強化病院、そういうところに入所している人あるいは入院している人、約三千五百名でございますが、三千五百名の高齢者に対して具体的にどういうサービスが行われているか、これをタイムスタディーのような形で細かく把握をしまして、かつそのサービスと高齢者の心身の状態がどういう相関関係にあるか、こういうことをあわせて把握をしまして、そういう調査に基づいて要介護度を把握する方法を組み立てたわけでございます。  これをもとに、平成八年度におきまして、そのチェック項目だけを挙げますと四百近い項目があるわけでございますが、これを全部やっていってはなかなか調査も大変でありますので、その項目の中の特に状態と要介護度との相関の高いものを中心にピックアップをしていきまして七十数項目を合理的に絞り込んだわけでございます。これをもとに、平成八年度に全国六十カ所でモデル事業を実施しまして、一地域百人ということでございますから六土地域でありますと六千人ということなのでございますが、一部百を割っているところもありましたので、五千五百ぐらいの事例を蓄積したと。この作業をやりながら、なお改善すべき点も指摘されましたので、そういう改善を行いまして今年度のモデル事業につなげているところでございます。
  236. 長峯基

    ○長峯基君 一次判定と二次判定の誤差、これが問題となっているわけであります。調査項目の配点はどのようになっているのか、また調査票の項目や配点を再検討する考えがあるのかどうか伺いたいと思います。
  237. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 平成八年度にやりましたモデル事業でございますが、この要介護認定をどういうふうに行っていったかといいますと、判定調査票というのをつくりまして、いわゆる要介護者の生活状態をその調査票に基づいてチェックをすると。多くの項目がありますから、その項目をざっと見ていってもなかなか全体像がっかみにくいものでございますが、その相関関係をもとにコンピューターで分析をして全体像が見えるような形にした、これが第一次判定と言われるものでございます。これによりまして要介護度がどのくらいかという判定をすると。  一方、正式な要介護の判定は、介護認定審査会医療福祉専門家方々が見ていると。その判定する場には、その調査結果だけじゃなくて、かかりつけ医師の意見とか、そういう寄せられたものをもとに見ているわけでございます。  その結果、平成八年度におきましては、一次判定、コンピューター処理したものと介護認定審査会判断したものとが一致した、これが七一・五%ということでございまして、変更されたものが二七・六%でございます。ただ、その変更されたものの多くは一ランク上であるとか一ランク下ということで、極端に離れているケースは皆無ではございませんが少ないということでございます。これにつきましては、いわゆるランクが二段階以上、例えば要介護度Ⅲと言われた人が要介護度Ⅴであったとか要介護度Iであったと、こういう二ランク以上離れている割合というのは全体の三%でございまして、一ランク以内には全部で九七%が入ってくるということになるわけでございます。  この中身につきましては、モデル事業をやりましていろんな意見が寄せられました。これを改善して今年度やっておりまして、今年度はこの乖離率がさらに小さくなることを期待しているところでございます。
  238. 長峯基

    ○長峯基君 調査項目によっては調査員や家族の主観が大きく影響することが予想されるわけですね。その調査の客観性をどのように確保するのかという点について伺いたいと思います。
  239. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 平成八年度のモデル事業を通じましても先生御指摘のような御意見が我々にもあったわけでございます。専門家を集めている委員会におきましてどういう改善ができるのか意見を踏まえながら検討したものでございますが、その中で、例えばいろいろと調査票がありますが、少しあいまいな概念、時々とか、そういうあいまいな概念についてできるだけ明確化を図って、調査員によってとらえ方が変わらないようにする、そういう概念の整理が一つございます。  それから、調査員がきちんと調査できますように調査員を研修することも重要だということで、先ほどもちょっと御答弁申し上げましたが、例えばビデオテープを作成しまして、そういうもので実際どういうふうにやるかというのを勉強してもらう。こういうようなことを通じまして調査の客観性、正確性を高める努力をしているところでございます。
  240. 長峯基

    ○長峯基君 それでは、介護認定における不服審査請求、これはどのような仕組みになっているのか。また、不服審査機関と認定審査会との関係、これはどのようになるのかということをちょっと伺いたいと思います。
  241. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 市町村に要介護状態ではないかと申請をして介護認定を受けるわけでございますが、その結果に承服しないというケースもあり得るわけでございます。その場合には不服審査請求をしていただくことになりますが、これは都道府県介護保険審査会というものを置きまして、ここで不服申し立ての審査、裁決をしていただくということになります。  介護保険審査会は、構成を法律に規定しておりますが、市町村代表の委員が三名、それから被保険者の代表が三名、それから公益代表、この人につきましては別の基準で人数を置いていくわけでございます。なぜこういう形になっているかといいますと、普通の権利義務的なものについての不服審査につきましては、そういう市町村や被保険者の代表などいわゆる三者構成で審査していただくことになるわけでございますが、要介護認定のところにつきましては非常に専門性の高いものでございますので公益委員だけで要介護認定部分は判定できるようにする。そして、要介護認定についての不服が多ければ、公益委員だけの審査会というものを幾つかつくって迅速に処理できるようにする、そういうふうになっているわけでございます。  都道府県に置かれます介護保険審査会とそれから市町村に置かれます介護認定審査会、これは基本的に全く別の機能を果たすものでございますが、介護保険審査会で要介護の判定が正しいかどうかを判断するということになりますと、当然、介護認定審査会に出ていますいろいろな資料、必要に応じてその判断の理由などを聞きながらやっていくということになるわけでございます。それからまた、介護保険審査会で審査請求に理由がある、要介護認定は取り消されるというようなことになりますと、改めて市町村に置かれております介護認定審査会審査判定をしていただくということになります。
  242. 長峯基

    ○長峯基君 次に、介護保険制度での薬局あるいは薬剤師の役割について伺いたいと思います。  薬剤師が行う居宅療養管理指導というのはどのような概念でお考えになっているのか、伺いたいと思います。
  243. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 薬剤師が行います居宅療養管理指導でございますが、在宅の要介護者あるいは要支援者に対しまして薬剤師がその家を訪問して、服薬の指導であるとか服薬歴の管理、そういうものを行うサービスだというふうに考えております。  サービスの具体的な内容につきましては、保健医療サービス福祉サービスが総合的に受けられるというようなことを念頭に置きながら、介護報酬を検討する中で検討してまいりたいというふうに思っております。
  244. 長峯基

    ○長峯基君 それでは、現在訪問薬剤管理指導というのがあるわけですね。それと、新しく出てくる居宅療養管理指導というのはどのような関係になりますか。
  245. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 訪問薬剤管理指導は、治療を要する人に対しまして同じように服薬指導等を行っているわけでございます。そして、これの対象者はすべての国民医療保険対象者がなっているわけでありますが、介護保険制度ができまして、要介護者に同じように薬剤管理指導を行うということになります場合には、医療保険の訪問薬剤管理指導と介護保険の居宅療養管理指導は中身が大体オーバーラップするのではないかというふうに思います。そう思いますので、介護保険制度ができましたときは、要介護者に対しましては介護サービスの一環というふうにとらえまして、それは介護保険制度から給付をするということになると考えております。
  246. 長峯基

    ○長峯基君 それでは、老人保健施設薬剤師の問題について、私は五月二十七日の厚生委員会薬剤師を配置すべきではないかという質問を申し上げました。局長から、「今後とも老人保健施設における職員配置のあり方につきましては、よく実情を聞き、また関係者の御意見も聞きながらやってまいりたい」という御答弁があったわけであります。  それから五カ月が経過しておりますので、どのように実情をお調べになったか、どういう関係者から御意見をお聞きになって、今どういう御判断を持っておられるか、お聞きしたいと思います。
  247. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 老人保健施設における薬剤師の方の配置の問題につきましては、先生今お話しのございましたように、五月の時点で先生から御意見をちょうだいいたしました。  私どもといたしましては、その後の実態ということをまず御報告申し上げたいと思いますけれども、実情につきましてはその時点以降で平成八年の十月一日現在の配置状況が新しく調査として出てまいりました。その中では、全国の千五百十七の老人保健施設に専任が三十一人、兼任が四百三十一人、合計四百六十二人の薬剤師方々が配置をされているということで、前回御報告を申し上げましたところと数字的には動いておりますけれども、その傾向はほぼ同じ状態が続いております。したがいまして、先生から少ないではないかという御指摘をいただいたその実態とは基本において変わっておりません。  そこで、私どもの方の検討でございますが、そのときにも御答弁を申し上げましたように、やはり老人保健施設というものは、入所対象者が急性期の治療が終わりまして病状安定期に入ったということで、積極的な入院治療というよりはリハビリテーションでありますとかあるいは看護介護というようなことを中心としたいわゆる医療ケア日常生活上の世話というようなことを主体とした形態になりますので、そういう意味での濃厚な投薬治療は要らないというところから、いわゆる通常の病院等における配置と異なる扱いにしておるわけであります。  そうした中で、この前も御報告申し上げましたように、入所者数が三百人以上の場合を除きまして施設の設置形態等の実情に応じた適当数ということの配置を指導しておりますものですから、今申し上げましたような実態に実はなっておるわけでございます。  そのときも御報告申し上げましたように、やはりそれでもそういった老人保健施設については投薬があるではないかという点につきましては、老人保健施設の場合は医師が必置でございますので、薬剤師が配置されておらない老人保健施設にあっては通常の調剤や服薬指導は医師によって行われているということでありますが、そのことにつきまして先生から問題提起がなされたわけであります。  私どもの方も今老人保健施設協会等の関係者の御意見も伺っておりますけれども、これは長期にわたってそういう職員配置をどうするか、そのことは介護保険法後における老人保健施設のあり方にもつながってまいる問題でございますので、なお検討を進めたいというふうに思っておりまして、老人保健施設協会の協力も得て今年度研究費という形で進めていきたいということですので、結論はまだ得ておりませんし、なお今申し上げたことしの調査を見ましても実際に投薬のウエートというものは小そうございますので、そこらあたりのところをどういうふうに踏まえていくか、その両面を考えていかなければならないであろうというふうに思っております。
  248. 長峯基

    ○長峯基君 ただいまの答弁を聞いておりまして、五月二十七日から全然変わっていないのですよ。こういう答弁では私は不満であります。  薬事日報というこれは医薬業界の専門紙、御存じと思いますけれども、これの記事に、これは厚生省が発表なさったんだろうと思いますが、老人保健施設の入所者の七七・六%が薬を投薬されていると。つまり、約八割の方は老健施設に入っていても薬を投薬されているんですよ。これは御存じだと思います。高血圧もあれば糖尿病もあるし、お年寄りにはいろいろな病気がある。同じことを二度は言いたくないのでありますけれども、八割の人が薬を投薬されていると。そして、従事する薬剤師数は百人当たり〇・三人であるという数字が出ております。これはもう御存じと思います。つまり、お医者さんに任せているからいいという御発想をなさるんですよ。  それで、きょうはドクターもいらっしゃいまして、これは大変失礼があるかもわかりませんけれども、文部省で調査しますと、医師は六年間で薬について百七十時間勉強するんですよ。薬剤師は四年間で千七百時間勉強するんです。これを六年やったら二千五百時間。当たり前ですよ、薬剤師という国家試験の免許があるんだから。薬のことは専門家だというのは当たり前。私は素人ですけれども、もうペーパーで、使っておりませんからね。しかし、それは専門家なんですよ。そして、この老健施設においては八割の人が薬を飲んでいるんですよ。それをあなたが、これは軽い薬だ、これは重い薬だと、そういう判断ができますか。  私は、現場医者施設長、そういう人を何回も訪問して聞いて、百人の患者がいると、後からこの医療法改正にもつながりますけれども、病棟という単位がどのくらいかという議論になると思うんですけれども、今、病棟というのは三十か四十、病棟に一人薬剤師が要るという病棟薬剤師考えがございますね。三百床以下には薬剤師は要らないと言っているんですよ。そんなことは医療現場で通らないんですよ。いや、これは福祉だ、医療じゃないとおっしゃれば、またこの議論になってまいります。しかし、患者が病棟にいて、それが特老であろうが入院であろうがいて薬を投薬している。  ドクターに聞きますと、今、もう薬というのはゾロゾロ品からいろいろあるんです。そして、一般の開業医にかかった人が老健に来るんですよ。そうしますと、こんな処方でいいんだろうかとその施設長の方がびっくりするような、高血圧の薬が二倍になっていたりする。それはゾロ品ですから、知らないんですよ、薬の種類が多いから。だからもう心配でたまらないという御意見もあるんです。  ですから、実態を調査されれば、絶対薬剤師が要るというのはみんな言うと私は思うんです。だから、もう少し考えていただきたいと思いますが、いかがですか。
  249. 山本正和

    委員長山本正和君) しっかりと答弁して。
  250. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) これは五月の時点でもお答えをさせていただきましたように、この点については実態を踏まえ検討したいということは申し上げたとおりでございますので、検討させていただくつもりで、今年度の研究費でそのようなことをしたいということで今やっておるところでございます。  ただ、そこにつきまして、私どもなりにこの五カ月の間に、そういう意味では体系立ったことではございませんけれどもいろいろ意見等を聞いてみますと、先生のような御意見の方は確かにございます。それから、やはりそうはいっても、この老人保健施設というものの性格なり実態、確かに先生から先ほどお話のあったように、施設内投薬を受けられた者が八割弱あることも事実でございます。ただ、例えばその一施設当たりの施設事業収益に占めます医薬品費の割合ということになりますと一・八%ということで、老人病院の一四・五%と比較しましても老人保健施設における医薬品の使用はかなり限定的であるということもまた事実でございます。それは先ほど申し上げましたように、老人保健施設の性格というものからくるんであろうと思います。  そうしますと、薬剤師の方、そのほかの方々についてもその施設の機能に応じての職員配置ということになるんでございますけれども、どこまでをどの程度の強さで求めるかというところは、やはり総合的な判断というものが一方において要るであろうと。そういうことも踏まえまして、少し時間をちょうだいするような格好にはなっておりますけれども老人保健施設におけるいわば医療行為のあり方全体を含めたところのことしの研究ということで今やらせていただいているというところでございます。
  251. 長峯基

    ○長峯基君 これ以上議論しても平行線のところもありまして、全然納得しません。これはしかるべく答弁をまたいただくとか、ここで一生懸命局長議論してももうこれ以上はないでしょうから、委員長に一任しますのでよろしくお願いします。委員長薬剤師ですから、よく御配慮いただきたい。  これは薬剤師のために言っているんじゃないんですよ、患者さんのために言っているんですから。しかも施設長にいろいろ聞いて、みんなそうだと納得しているんですよ。だから、局長が老健施設に行って、そうじゃないという意見があれば、その老健施設を教えてください。私が行って施設長と話してみます。よろしくお願いします。  それから次に、余り時間もありませんので、病院の薬剤師の員数の算定基準、先ほどちょっと触れましたけれども、近年、薬剤師の病棟活動というのを、私も最近、京都大学の附属病院ですとか日赤病院とかを何軒か回ってみました。非常に病棟活動が高い評価を受けているようでありますけれども厚生省はどのように考えておられるか、お聞きしたいと思います。
  252. 谷修一

    政府委員(谷修一君) 病院におきます薬剤師さんの業務というのは、従来は病院の中の薬局の業務が中心であったと考えておりますが、今、先生がおっしゃいましたように、最近では入院患者に対して直接薬歴管理ですとか、あるいは服薬指導、さらにそこで把握をされました患者さんの情報を医師看護婦に還元するといいますか、そういうことで、薬剤師の臨床の場におきましての役割というのが、医療チーム全体の一員という形で積極的に取り組むという形になってきたんじゃないかというふうに考えております。
  253. 長峯基

    ○長峯基君 それで、医療審議会基本問題検討委員会では「病棟単位に薬剤師一人を配置するなど入院患者数等を考慮した基準に見直すことが適当である。」という意見が提言されたわけであります。  それで、この病棟数というのをどのくらい、これはいろいろ病院によって違うと思いますけれども、どのくらいの一つの基準、病棟薬剤師が必要であると、病棟数は大体どのくらいの数をお考えになっているのか、適切な薬歴管理や丁寧な服薬指導を行うためには病院の薬剤師員数の算定基準を見直して必要十分な員数を確保することが必要だと思うのでありますけれども、もっと審議会でいろいろ詰められると思いますけれども、現段階で局長はどのように理解しておられるか、お聞きしたいと思います。
  254. 谷修一

    政府委員(谷修一君) 今、先生お触れになりました医療審議会意見書の中では、例えば病棟単位に薬剤師を配置することを考えたらどうかと、またあるいは入院患者数を考慮した基準に見直すというような意見が出ております。そういう意味で、従来の調剤数に応じた薬剤師の配置という考えではなくて、この前の御質問にもございましたような薬剤師の役割は変わってきたということから、入院患者数等を考慮した基準に見直すことが適当だと考えております。  なお、今お話しになりました病棟の数でございますが、私たちの理解は大体四十から五十、多いところで六十というようなことだと考えております。
  255. 長峯基

    ○長峯基君 じゃ、以上で終わります。
  256. 中原爽

    ○中原爽君 引き続きまして、自民党の中原でございます。私の分担は、今回の医療法の一部改正の部分につきまして少し御質疑をちょうだいしたいと思います。  私も臨床から離れまして少しく年がたっておりますので、隣の同僚議員と同様にペーパードライバーでございますけれども、直接臨床に即したお話はできないかもしれませんが、お許しをいただきたいと思います。    〔委員長退席、理事上野公成君着席〕  それで、今回の医療法の一部改正の一番先に書かれておりますことは「医療提供に当たっての説明に関する事項(第一条の四第二項関係)」だということになっております。手っ取り早く申し上げると、いわゆるインフォームド・コンセントの関係のものが条文として取り入れられたと、こういうことのようであります。それはそれでよろしいわけでありますが、現在、別途の法律といたしまして、現行の医師法二十三条、歯科医師法二十二条でありますが、おのおの保健指導を行う義務という条項がございます。この意味が、今回導入されました医療提供に当たっての説明に関する事項の医療法の一部改正とどうかかわりがあるのかということを、まず行政側の見解として御意見がございましたらお聞かせいただこうと思います。  少しく説明をつけ加えますと、医師法の二十三条というのは、「医師は、診療をしたときは、本人又はその保護者に対し、療養方法その他保健の向上に必要な事項の指導をしなければならない。」、こういう規定でございます。医師法につきましてはそういうことでありますが、歯科医師法は医師歯科医師に置きかえただけで、あと以下同文であります。    〔理事上野公成君退席、委員長着席〕  そうしますと、今回の医療法の中に入りました問題については、先般五月に行われております衆議院の厚生委員会の場等におきまして、インフォームド・コンセントの在り方に関する検討会、あるいは医療審議会の最終答申等、「等」と言いますのは、そのほか社会保障制度審議会の勧告、こういった中にインフォームド・コンセントを徹底させたい、そういう趣旨の答申等があってのことであろうかというふうに思います。  しかし、私ども医師歯科医師という立場から申し上げますと、医師歯科医師の基本法であります医師法、歯科医師法に患者さんに対して保健指導を行えという義務規定があるわけであります。  ここの関係について、御担当になるわけであります厚生省の御見解をまず伺いたいというふうに思います。
  257. 谷修一

    政府委員(谷修一君) 医師法二十三条それから歯科医師法二十二条、とれは今、先生お触れになりましたように同様の内容が書かれているわけでございます。  この医師法あるいは歯科医師法の解釈というか基本的なこの条文についての考え方でございますが、もともとは医師の責務あるいは歯科医師の責務ということで医師法、歯科医師法第一条にそれぞれ書かれております。「医師は、医療及び保健指導を掌ることによって公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保する」というこの第一条に掲げる任務を医師あるいは歯科医師は持っているわけでございます。したがって、患者の診察に当たっても、単に疾病、病気に対する手当てをするだけじゃなくて、日常の療養方法、その他の保健指導を行う義務を課したというふうに解釈をしております。  今回、御提案をさせていただいておりますこの医療法の改正案におきましては、これらの規定も踏まえつつ、基本的には患者との信頼関係に基づいて医療が提供される、また医療従事者が個々の医療内容について十分患者さんに説明を行い理解を得るということが重要である、そういうような考えのもとに、今申しました医師法二十三条あるいは歯科医師法二十二条の規定も踏まえつつ、医療従事者全般、医師歯科医師のみならず医療従事者全般が医療を提供するに当たって適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るように努めなければならないということを法文上明らかにしたものでございます。
  258. 中原爽

    ○中原爽君 お話を伺いまして安心いたしました。  今回の医療法改正に伴いまして、今御指摘の医師歯科医師薬剤師看護婦、その他の医療の担い手は医療を提供するに当たり適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るように努めろ、こういうことであります。  これが出てくる基本に、私は、やはり医師たる者あるいは歯科医師たる者という人たちが自分の法律でありますこの義務をどのように理解しているかということが一番大事な基本であるということを、口幅ったいことでありますけれども、この関係の免許を持っている立場から申し上げたいというふうに思ったわけでございます。ありがとうございました。  それでは引き続いて、先ほどやはり同僚議員の方からお話がございました成年後見制度につきましてお尋ねをしようかと思っております。  介護保険実施、それとのかかわりがどうということではありませんけれども、いずれにしても高齢社会が到来いたしますと、その高齢化に伴いまして痴呆症等の判断能力、理解力をに欠く高齢者あるいは障害者がふえていくわけであります。自分の権利擁護ということが自分自身でできないということでありまして、諸外国、イギリス、スウェーデン、ドイツ等におきましてはそれぞれやり方は違うと思いますが、成年後見制度の必要性が認められているわけであります。  先ほどのインフォームド・コンセント、そういう言葉は使いたくありませんけれども、説明に対して理解と同意を得るということでありますが、説明をいたしましても御本人が御理解いただけない、まして同意もいただけないという、医療を提供する側から言えば、そういう患者さんがふえていくというのも一つの現実の問題であります。  そういう意味で、先ほどお答えもございましたけれども、法務省関係から成年後見問題研究会の報告書が出ているという御説明がございました。それの状況を踏まえて厚生省としては判断をされるという趣旨のお答えもあったかというふうに思います。  しかし、この報告書を読んでみますと、報告書の(3)のところでありますが、「成年後見の事務」というのがありまして、「ア 身上監護」、身の上の監護をすると。それで、「医療に関する事項」という項目がございます。そこの主たる結論は、ちょっと読んでみますが、少しわかりにくい文章でありますけれども、「医療行為について本人の判断能力に問題がある場合における第三者による決定・同意全般に関する問題として、将来の十分に時間をかけた検討に基づいて立法の要否・適否を判断すべき事柄であり、当面は社会通念のほか、緊急性のある場合には緊急避難等の法理にゆだねることとせざるを得ないとの意見が多数であった。」、こういうことであります。結果的にはこの成年後見制度、民法上から検討されているということが主体でありますけれども、しかし医療現場というのは日々即その時点の問題でありまして、それがすべて緊急避難の法理に当てはめて処理ができるというはずもないのであります。  そういう意味で、先ほど後見問題の研究会の報告書が出ているということでございましたけれども、その中で特に医療にかかわった後見の問題について、厚生省の御見解を説明していただきたいと思います。
  259. 谷修一

    政府委員(谷修一君) 成年後見制度は、現在法務省、厚生省でも検討しておりますが、今、法務省の研究会がまとめられた報告書を引用されました。  確かに現在、例えば高齢者のみの世帯が増加している、また現行の成年者の保護制度でございます禁治産あるいは準禁治産制度というものが現実にいろいろ問題がある、また非常に利用しにくいというようなことから、先ほど申しましたように法務省を中心にして、例えば痴呆性の高齢者あるいは知的障害者等の財産管理などの権利擁護の新しい枠組みをなす新しい成年後見制度の検討が進められているということでございます。  一方、医療現場におきます問題としては、例えば精神科医療あるいは先ほどお触れになりました痴呆性老人、それから救急医療、そういうような何らかの理由で一時的にあるいはかなり長い期間、理解をする能力あるいは同意をする能力が問題となる場合がございます。具体的な問題として、今回提案をさせていただいておりますいわゆるインフォームド・コンセントの問題、説明に対する理解と同意、あるいは十分な説明をして理解をするかどうかということで、これをどうするかということでございます。  成年後見制度の研究会の中では、先ほど先生がお触れになりましたように、医療については幾つかの留保条件がつき、なおかつ今後必要な検討をしなきゃいけない、それから意見が分かれているということでございますので、この成年後見制度については、私ども厚生省全体としては、医療の問題だけじゃなくて障害者の関係、そういうようなことも含めて法務省の検討に合わせて研究会等でも検討しております。当面の話として、この医療法の一部改正案が成立をした段階で、いわゆるインフォームド・コンセントの問題について、そういう説明に対して事実上理解ができない、それはいろんな事情があると思います、場合があると思いますが、そういう方に対してこの法律の解釈をどういうふうに適用するか。  例えば、イギリスなんかの例を見ますと、これはいわゆるカルテ等の情報開示に当たっての解釈でございますけれども、当然のことながら患者本人に対してやるけれども、患者本人が未成年者である場合、あるいは理解する能力がない場合については、保護者等の例示を挙げているようでございます。また、これは大分以前でございますけれども、日本医師会がいわゆるインフォームド・コンセントについて検討をした報告書の中でも、同様な場合における取り扱い、例えば配偶者、父母、その他本人にかわる適当な人に説明をするとかというような考え方も示されておりますので、そういうことを参考にしながら対応をしていきたいというふうに考えております。
  260. 中原爽

    ○中原爽君 ありがとうございました。  通常の高齢者あるいは痴呆性の方は、大体主治医がおられるというのが通例であろうかというふうに思いますので、そう緊急避難というような状況がたびたび起こるということにはならないかもしれません。しかし、医療における診療の契約あるいは医療契約というものはいろいろ解釈がございますので、緊急避難だけで事が処理できるというような状況にはならない場合が多いわけであります。  診療の契約というのは、病気を治してほしいという患者さんの委任あるいは依頼がございまして、それに対して医療担当者側がお引き受けをしましょうという、いわば双務的な委任契約が成り立つという形になるわけであります。しかし、病気を完全に治すというお約束はできない場合がほとんどであります。したがって、治すために努力をするという事務的なお約束になるということでありますので、通常は医療の契約は準委任の契約だと、こういう形を言われているわけであります。基本となるのは、やはりその病気に対して結果を予見するということ、それから起こってしまった危険を回避するということ、それからその時代に即した医療行為を行っている、十人の医師が十人とも同じ処置をするだろうという普遍的な医療行為が行われ、それと同時に患者さんに対して説明と同意、あるいは保護者に説明と同意を得る、これだけの条件を整えた上で緊急避難に対応するということにならざるを得ない部分があります。  したがって、せっかく介護保険制度が出発いたしますときに、やはり介護保険の出発と同時にこういった後見制度の実施を進めていただくということは、先ほど同僚の議員が御発言になりましたことと同じことを申し上げたいというふうに思っております。  それではもう一つでありますが、今回、医療法一部改正にかかわりまして、医療計画に関する事項の条項の中で、都道府県が定める医療計画においては、病床の整備を図るべき地域的単位として区分する区域の設定を定める、これに掲げる事項は二次医療圏ごとの医療提供体制が明らかになるように定めるものとする、こういうふうな形で表現されております。  現行の医療計画というのは、その医療計画にのせるべき必要事項がありまして、それは医療計画の単位となる区域の医療圏を定め、その中で特に二次医療圏については主として一般病床の病床の整備を図るという地域単位として区分する区域だと、こういうふうになっているわけであります。  平成八年三月末の時点で三百四十四圏、現在は三百四十八にふえているということだそうでありますけれども、こういったエリアと、それから今回ここにかかわってくるのが必要病床数、それについて一般の病床、それが二次医療圏で設定されるわけですけれども、今回はその中にこれから出てまいります地域医療支援病院が加わってくるということになるわけでありますので、今度設定されます地域医療支援病院と従来の二次医療圏のあり方のかかわりはどういうふうに整理をされるのか、このところを御説明いただきたいと思います。
  261. 谷修一

    政府委員(谷修一君) 今、提案させていただいております医療法の一部を改正する法律案の中で、地域医療計画にかかわる圏域の二次医療圏の問題については、私どもは二次医療圏という圏域についての基本的な考え方は現行のものと変わっていないというふうに考えております。ただ、二次医療圏の中で都道府県知事が審議会意見を聞いて決めるべき事項として、今、先生お触れになりましたように、従来の病床数にかかわるもの以外に、地域医療支援病院の整備、あるいは介護保険との関係がございます療養型病床群に関する整備の目標、その他従来いわゆる任意的な記載事項でありました救急医療あるいは僻地医療あるいは医師研修等の具体的な内容を二次医療圏ごとに決めていくということを盛り込んでいるところでございます。  それで、そういう意味で特に今、先生がお触れになりましたような地域医療支援病院との関係でございますが、地域医療支援病院につきましては、基本的にかかりつけ医を中心にした医療を行っていくに当たってかかりつけ医支援するという考え方で地域医療支援病院の整備を図っていきたいということでございます。そういう意味で基本的な考え方といたしましては、二次医療圏ごとの医療を提供する体制を明らかにすると同時に、やや抽象的な言い方ですが、ほぼ日常的な医療については二次医療圏の中で完結をする、そういう考え方のもとにこの医療計画というものを充実していきたいというふうに考えています。
  262. 中原爽

    ○中原爽君 ありがとうございました。  そのところを明確にいたしませんと、地域医療支援病院の内容というのは国、都道府県、市町村、それから特別な医療法人の病院がかかわるということに恐らくなると思いますし、そう説明されているわけであります。それが今回廃止をされます総合病院、その総合病院がそのまま地域医療支援病院として移行するという程度にしか考えられないということでありますと問題でございまして、今御説明がありましたように、かかりつけ医支援するという意味での二次医療圏の中の地域医療支援病院であるというところを明確に御説明いただきたいというふうに思っておりました。  それでは引き続きまして、同じく療養型病床群の件でございますけれども、これもたびたび御質問等、御意見の交換が出ておることでございますが、ごく簡単にお聞きしておこうと思います。  このたびの有床診療所は、医療計画上の療養型病床群へ転換病床が出てくるということ、その療養型病床群の中でやはり高齢者対応の病床というのもあるでしょうし、療養型という意味では若年者の患者さんに対する病床もある。それから、相変わらず有床の診療所という意味では、同一の患者さんを四十八時間を超えて収容しないように努めなければいけない部分もあるでしょうし、また今後これから医療提供体制の抜本的な改革が行われる中で、たびたび御説明がありますけれども、急性期用の病床、慢性期用の病床、病棟の区分、わずか十九床以下の病床数の中での有床診療所が管理上どういう形で対応していくのかということについてはっきりとした御指導をちょうだいしたいというふうに考えておるところでございますけれども、この辺のところはいかがでございましょうか。
  263. 谷修一

    政府委員(谷修一君) 有床診療所というのは、現在ベッド数にいたしまして二十六万床ぐらい。しかし、実際に稼働しているベッドは、患者調査等によりますと大体半分でございます。  今、この十九床以下の有床診療所を療養型病床群に変えていくという際に、私どもの理解は、これは先ほど朝日先生の御質問の中にもございましたけれども、構造設備、それから人の配置、これの基準も決めていかなきゃいけませんので、十九床そのままが療養型病床群に転換されるとは考えておりません。当然のことながら、スペースを広くしていかなきゃいけませんので、二分の一なり三分の一あるいは三分の二になっていくだろう。その場合に、これは今、先生お触れになりましたように幾つかの類型が現実にはあるかもしれませんが、十九床のものが三分の二なりあるいは二分の一になった場合に、さらにそれを細分化するようなことが実際に起きるんだろうかと。それは理論的には起きると思いますが、しかし、当然のことながら、改築なり必要な構造設備を変えていかなきゃいけないということになれば、やはり有床診療所が療養型病床群に変わる場合には全体として療養型病床群に変わっていくということが多いんじゃないかというふうに考えております。  そういう意味からいいますと、当然のことながら、有床診療所が現在果たしているいわゆる地域のかかりつけ医としての機能、そういうものと療養型病床群を設置するということによって介護保険施設としても地域に身近な施設として機能していくということでございますので、ある意味では施設側の立場に立てば選択肢が広がってくるということになるのではないかと。  なお、先生がおっしゃいました病床の区分ごとの管理という点に関しましては、構造設備基準を決めていく中で具体的に詰めていかなきゃいけないと考えております。
  264. 中原爽

    ○中原爽君 ありがとうございました。  お話しのように、十九床そのままが施設基準の中で療養型病床群に移行するという場合もあるでしょうし、病床数を減らさないとその基準に合わないということも当然起こってくると思います。基本的には、いずれにしても有床の診療所の機能として、御説明がありましたように地域のかかりつけという意味合いをいかに位置づけていくかということでありまして、ここが大事な今回の医療法の一部改正のポイントであろうというふうに思っておりますのでわざわざお尋ねをしたということでございます。  それでは次になりますけれども、立場上、歯科医業にもかかわっておりますので、そのところを少しお聞きしようかと思います。  このたび、二次医療圏と地域医療支援病院の制度が創設されるわけでありますが、現在、全国で国公私立の歯科大学、歯学部附属病院が二十九あるわけであります。この地域医療支援病院の制度と二次医療圏の設定に当たりまして、歯科医療の中心的役割、教育的な役割を担っております歯学部の附属病院の位置はどのような形で地域の医療にかかわるのか、あるいは地域の歯科医療にかかわるのかということが、歯科医業にかかわった立場の者からいいますと非常に問題意識を持っているわけであります。  この地域医療支援病院の中身は、いわゆる地域に対してオープンシステムがとれる、あるいは救急医療の実施ができる、それから地域の医療従事者の研修、卒後の研修あるいは生涯研修を行える、さらに施設的な条件として、厚生省令で定める病床数以上一定の病床数を収容施設として持っている、こういった条件が書かれているわけでありますけれども、この中で、全国の歯科大学の附属病院、歯学部の附属病院がクリアできない、承認の要件に満たないという条件は、恐らく病床数、ベッドの数がクリアできないということになるだろうと思います。  また、二次医療圏という考え方からいいますと、三百四十幾つの医療圏に対して二十九の施設しかないということでありますから、全国的な展開という、歯科医業に対する支援、かかりつけ歯科医師に対する支援という意味でも充足できないということになるわけであります。しかし、歯学部の附属病院というのは、やはりその附属病院が存在している地域にとっては、その地域のかかりつけ歯科医師に対する中核的な病院であろうかということがあります。  別途、今回の改正の説明の中に三つのポイントがございまして、一つは地域医療支援病院の整備の目標ということで、もう一つ療養型病床群に係る病床の整備の目標、その次にその他機能を考慮した医療提供施設の整備の目標に関する事項、この三つが掲げられておりまして、都道府県が定める医療計画の中身は、今申し上げた三つの事項について定めるんだ、こういう趣旨でございます。  そういう意味では、わずか二十九しかございませんけれども、歯学部附属病院は、医療提供施設相互の機能の分担及び業務の連携等に関する事項を二次医療圏ごとに定めるという趣旨を踏まえて、その他機能を考慮した医療提供施設の整備の目標に関する事項、こういったところに該当させていただければ、その地域にとって、医科の病院、医学部の病院というところと施設等の相互の機能分担ができるというふうに考えているわけでございますけれども、今申し上げたような考え方について御意見がございましたらお願いしたいと思います。
  265. 谷修一

    政府委員(谷修一君) 大学病院の位置づけをどうするかということだと思います。  今、先生が引用になられましたこの地域医療支援病院の整備の目標、療養型病床群に係る病床の整備の目標その他機能を考慮した医療提供施設、これは、がん、歯科も入ると思いますが、要するに専門病院、専門機能を持った病院というような位置づけで一応具体化していくというふうに考えております。  歯科大学の附属病院が地域医療支援病院であってはならないということは私はないと思います。ただ、専門医療機関としての位置づけと、いわゆるかかりつけ医支援していくという機能と、どういうふうに考えていったらいいのか。それから、先生もお触れになりました数の問題もありますから、最終的には、これはこの地域医療支援病院をどういうふうに当てはめていくかというのは、県段階での医療圏ごとの整備になると思いますけれども、歯科医療の特殊性というか、いわゆる医科の医療に比べて病院が非常に限定されているというような事情も考慮して、今後具体的な問題について詰めてまいりたいと思っています。
  266. 中原爽

    ○中原爽君 ありがとうございました。  もう一点、やはり歯科診療にかかわりましてお尋ねをしたいと思います。  先ほど来のこの地域医療支援病院は、国あるいは都道府県、市町村あるいは特別な医療法人の病院ということが該当するようであります。かなり大型の病院であろうかと、中小病院ではないというイメージがあるわけであります。そうしますと、その規模の病院については必ず歯科の診療科が存在しているはずであります。その地域医療支援病院に該当する病院の機能として、先ほど御説明申し上げましたけれども、臨床研修が行えるということが承認要件の大きなポイントであろうかと思います。  そういう意味で、その地域医療支援病院になりました医科の病院、当然研修医を受け入れるという研修施設でもあろうかと思います。しかしその中の歯科診療科はどういうふうな立場になるかということでありまして、もちろん、昨年から歯科医師法上も、歯科医師の卒業直後の臨床研修ということが法制上行われるわけであります。親の病院と申しますか、その地域医療支援病院が医師の臨床研修病院になっている。しかし、その中の歯科診療科において歯科医師の臨床研修ができるのかできないのかということになるわけであります。  今の歯科医師法の条件といたしましては、歯科の臨床研修施設の指定要件がございまして、歯科大学はもちろんでありますが、医学部の附属病院の中の歯科施設、これは自動的に研修施設に法令上はなるわけでありますし、また単独で十二カ月研修を行うということができます。しかし、一般病院あるいは歯科の単独の診療所というところは十二カ月間単独で研修はできません。厚生大臣の指定によりまして従の施設、歯科大学あるいは医学部の附属病院を主という病院にいたしますと、診療所等の研修施設は従の研修施設になるという規定でございまして、その比率は研修期間四カ月ということが従の施設であります。しかしその中間程度のものがございまして、一般病院の中の歯科診療科で一定の要件を満たしますと単独で研修を引き受けることができるということであります。  それにはいろいろ条件があるわけでありますけれども、その条件を満たすために、先ほどお話がありましたように、都道府県単位というところでのこういった地域医療支援病院のあり方、大変問題でありまして、例えば三名の常勤の歯科医師が必要だというときに、県立病院で歯科医師数をふやさない、人件費上の問題もあってふやさないということになりますと、我々歯科の研修施設はそこには存在しないという形に追い込まれるわけであります。  そういう意味で、厚生省として、こういった新しくできてまいります地域医療支援病院の中の歯科診療科というところにも一応目をとめていただくということをお願いしたいと思っておりますが、いかがでしょうか。
  267. 谷修一

    政府委員(谷修一君) 地域医療支援病院についての、いわゆる医療従事者の研修という項目がございますが、これは今、先生がおっしゃられました意味での、いわゆる卒後医師ないしは卒後歯科医師の臨床研修というものとは必ずしも同じものだとは位置づけておりません。かかりつけ医を中心とした地域のお医者さんなり歯医者さんの研修なり研究をその支援病院が提供していくという趣旨でございますので、そういう意味では、昨年から始まりました歯科医師についての臨床研修施設であります主たる病院あるいは従たる病院とは概念としては別だというふうに考えております。  ただ、先ほどの歯科大学のお話とも関連いたしますが、歯科の診療科を持っている病院というのは全体としては非常に数が少ないということでございますので、地域医療支援病院の要件を考える際に歯科というものをどういうふうに要件の中に入れるのか、それがなければだめだとするとなかなかこれはまた難しい。したがって、歯科については、別の一般的なルールとは別に歯科についてのある程度当てはめる要件というものを考えた方がいいのではないかと。またそれが、そうすることによって、歯科のためだけじゃございませんが、歯科も含んだ支援病院ということができれば、歯医者さんだけじゃなくて一般のお医者さんにとっても役に立つ病院になるんじゃないかというふうに考えております。  そういう意味で、先ほどの歯科大学の取り扱いも含めまして、この地域医療支援病院の具体的な要件ということについては、今後、法案を成立させていただきました後に、国会での御審議も踏まえまして医療審議会の中で具体的に詰めてまいりたいと考えております。
  268. 中原爽

    ○中原爽君 ありがとうございました。  今お答えをいただきました内容で本日のところは十分なお答えであろうかというふうに思っております。  御指摘がございましたように、歯科医師の臨床研修は昨年から出発したばかりでありまして、臨床研修の実施率を高めるということが当面の我々歯科医業にかかわります者の目的でございます。したがって、主たる病院という研修施設は限られた数でございますので、やはり主と従の従の研修施設ということもこれから確保していくということも踏まえて、今申し上げたように地域医療支援病院の中の歯科診療科という位置づけを今後重要視していきたいということで発言をさせていただきました。どうもありがとうございました。委員長、少し早いんですが、大体お答えがスムーズに進みましたので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
  269. 山本正和

    委員長山本正和君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後四時五十分散会