運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1997-12-04 第141回国会 参議院 運輸委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十二月四日(木曜日)    午前十時二分開会     —————————————    委員の異動  十月十七日     辞任         補欠選任      鈴木 政二君     岡  利定君  十月二十日     辞任         補欠選任      岡  利定君     鈴木 政二君  十一月六日     辞任         補欠選任      鈴木 政二君     木宮 和彦君  十一月七日     辞任         補欠選任      木宮和彦君      鈴木 政二君  十一月十三日     辞任         補欠選任      鈴木 政二君     斎藤 文夫君  十一月十四日     辞任         補欠選任      斎藤 文夫君     鈴木 政二君  十一月二十六日     辞任         補欠選任      戸田 邦司君     都築  譲君  十一月二十七日     辞任         補欠選任      都築  譲君     戸田 邦司君  十一月二十八日     辞任         補欠選任      鈴木 政二君     松浦 孝治君  十二月一日     辞任         補欠選任      松浦 孝治君     鈴木 政二君  十二月二日    辞任          補欠選任     鈴木 政二君      村上 正邦君  十二月三日    辞任          補欠選任     村上 正邦君      鈴木 政二君  十二月四日    辞任          補欠選任     寺崎 昭久君      益田 洋介君     渕上 貞雄君      梶原 敬義君     —————————————  出席者は左のとおり。    委員長          泉  信也君    理 事                 馳   浩君                 二木 秀夫君                 及川 順郎君                 中尾 則幸君    委 員                 芦尾 長司君                 亀谷 博昭君                 佐藤 泰三君                 鈴木 政二君                 野沢 太三君                 溝手 顕正君                 吉川 芳男君                 戸田 邦司君                 益田 洋介君                 梶原 敬義君                 渕上 貞雄君                 筆坂 秀世君                 末広まきこ君                 栗原 君子君   国務大臣        運 輸 大 臣  藤井 孝男君   政府委員        運輸大臣官房長  梅崎  壽君        運輸省運輸政策        局長       土井 勝二君        運輸省鉄道局長  小幡 政人君        運輸省自動車交        通局長      荒井 正吾君        運輸省海上交通        局長       岩村  敬君        運輸省海上技術        安全局長     山本  孝君        運輸省港湾局長  木本 英明君        運輸省航空局長  楠木 行雄君        海上保安庁次長  田口 弘明君    事務局側        常任委員会専門        員        志村 昌俊君    説明員        環境庁大気保全        局自動車環境対        策第二課長    三宅 哲志君        外務大臣官房審        議官       本村 芳行君        建設省道路局企        画課道路経済調        査室長      藤本 貴也君    参考人        日本鉄道建設公        団総裁      塩田 澄夫君        日本国有鉄道清        算事業団理事長  西村 康雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○運輸事情等に関する調査  (国際ハブ空港としての中部空港整備をめ  ぐる諸課題に関する件)  (大規模油流出事故の予防及び事後処理に際し  ての国の対応強化策に関する件)  (海外渡航安全確保策に関する件)  (米国による港運事前協議制改善要求日本船  社への制裁に対する対応措置に関する件)  (旧国鉄長期債務本格的処理策に関する件)  (日豊本線の複線化等推進に関する件)  (日米防衛協力ガイドライン周辺事態におけ  る港湾空港分野での協力項目に関する件)  (運輸部門におけるCO2排出削減策に関する  件)     —————————————
  2. 泉信也

    委員長泉信也君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  運輸事情等に関する調査のため、本日、参考人として日本鉄道建設公団総裁塩田澄夫君及び日本国有鉄道清算事業団理事長西村康雄君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 泉信也

    委員長泉信也君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 泉信也

    委員長泉信也君) 運輸事情等に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 鈴木政二

    鈴木政二君 おはようございます。  藤井大臣運輸大臣就任おめでとうございます。  特に、大臣には以前長く参議院に籍を置かれておりまして、皆さん御存じのように大蔵委員長、そして我が党の国対委員長も務められまして、そういう面では各党各派に長い長い期間の中でたくさんの人脈を持っていらっしゃいますし、また閣僚の中でも参議院を一番愛していただいて、そしてまた一番よく理解をしていただいていると思っております。それゆえに、党派を超えて各質問皆さん方に誠実かつ情熱的な御答弁をいただけるものと確信をしておりますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  御案内のように、この二カ月間、橋本総理はもう本当に国会審議の中、ロシアとかサウジアラビア、そして中国、カナダと、土日を挟みまして、時には、中近東へ行かれたときには二日間で帰ってこられた。大変強行な日程を務められました。これも飛行機によって縦横無尽に行ったわけであります。私もこの間びっくりして、皆さんもびっくりされたと思うんですけれども、例のワールドカップですね、予選で日本が勝ったらフランスへ行けるという話。パリへ行けるという話のときに、二万人という日本人の方が応援にマレーシアへ行かれた。これも飛行機で行かれたわけであります。  こうした飛行機航空機の利用というのは、まさに人の動く中心的な存在になってきた。よくいろんな雑誌やいろんな方が言われるように、まさに大航空時代を迎えたなという感じがいたします。御存じのように、植民地時代から二十世紀の初頭までは、スペイン、そしてポルトガルとか大航海時代を迎えて、どちらかといいますと港対港の戦いでありました。こうして飛行機の発明から、二十世紀の中盤にかけて大量な航空機の出現によって今やまさに飛行機時代になってまいりました。こう見ますと、私はもう港から港、当然港もいろんな輸送や何かの関係で大変重要でありますけれども、人的につきましてはまさに港から空港時代に移ってきたなという感じがいたします。  そこでお伺いをいたしますけれども、特に最近アジアにおける航空需要の増大は大変目をみはるものであります。特にソウルとか香港、またシンガポールと、国際ハブ空港大変整備が進んでおります。その中で、私どもの日本航空ネットワークというのは、核になるのはやはり国際ハブ空港だと思います。運輸省におきましては、この国際ハブ空港整備、どんな取り組み方をしておるのか、まずお伺いをいたしたいと思います。
  6. 楠木行雄

    政府委員楠木行雄君) アジア状況におきましては、今先生おっしゃるとおりでございまして、まずそういった状況について御説明させていただきたいと思います。  私ども日本を取り巻く国際航空需要につきましては、これからもかなりの勢いで伸びていくということが予想されておりますけれども、特にアジアオセアニア地域におきましては、二十一世紀の初頭、二〇一〇年ぐらいになりますと、国際的なエアラインで構成されますIATAの予想におきましても、アジアオセアニア航空需要世界の半分以上を占めるというような状況が予測されておるわけでございます。こういう状況を踏まえまして、韓国香港等東アジア地域におきましては、二十一世紀に向けて増大する航空需要に対応するために、国際空港建設が進められているところでございます。  その主なものをちょっと御説明いたしますと、韓国仁川の沖でございますが、二〇〇〇年の開港を目指しまして、面積千百七十四ヘクタール、そして滑走路は三千七百五十メーターのものを二本、仁川国際空港ということで建設中でございます。それから第二に、香港でございますが、一九九八年の開港を目指しまして、面積千二百四十八ヘクタール、三千八百メーター滑走路一本のチェク・ラップ・コック空港建設中でございます。それから三番目といたしまして、中国上海でございますが、一九九九年の開港を目指しまして、面積千二百ヘクタール、四千メーター滑走路一本の上海浦東国際空港建設中でございます。最後になりますが、四番目に、シンガポールチャンギ空港におきましては、面積千六百六十三ヘクタール、四千メーター滑走路二本で現在供用中でございますが、これを拡張すべく第三旅客ターミナルビル建設中であるとともに、第三の滑走路及び第四旅客ターミナルビルの用地を埋め立て中でございます。  我が国といたしましても、二十一世紀に向けて、今後とも国際社会の中で安定した発展を続け、このような国際的な地位を維持向上させていくためには、交流の基盤であります国際ハブ空港等整備を時期を失することなく進めることが不可欠であると考えております。  第七次空港整備五カ年計画の基本的な考え方に従いまして大都市圏における拠点空港整備を最優先課題として推進していく方針でございまして、今後、成田東京国際空港及び関空関西国際空港の二期事業整備、そして中部空港事業推進等に全力を挙げて取り組む所存でございます。
  7. 鈴木政二

    鈴木政二君 世界は本当に厳しい国際競争の中で空港を各国がつくって大変いろんな面で戦っているという感じがいたします。  今局長の話がありましたように、成田関空、そして第七次の中で中部国際空港も入れる、こういう話でありました。これはその二つ成田関空に続いての国際ハブ空港位置づけという感じを受けたわけでありますけれども、これは当然なことだと思うんです。地理的に見ましても、シンガポール香港もそうでありますけれども、やっぱり極東というか北の方にあるという位置づけの中で、このハブ空港の役割というのは一つ二つ、また人口から見ましても大変中部も必要だということは言うに及びません。  そこで、こうして事業推進を受けて今度の平成十年度予算で新規の事業化を進めていると。大臣、当然積極的にやっていただいておると思いますけれども、この中部国際空港我が国航空ネットワークにおけるきちっとした位置づけをもう一度確認の意味で、そして皆さん御存じだと思いますけれども、概略の事業計画をちょっと説明していただけませんか。
  8. 楠木行雄

    政府委員楠木行雄君) 中部空港につきましては、現在の名古屋空港処理能力が二十一世紀初頭に限界に達すると予想されることから整備が必要とされているものでございます。また、昨年閣議決定されました第七次空港整備五カ年計画におきまして、国際、国内の航空ネットワーク形成拠点となる大都市圏における拠点空港位置づけられております。  それから、現在の予算要求整備計画案の概要でございますが、愛知県の常滑沖海上滑走路三千五百メーターを一本、面積約四百七十ヘクタールの空港ということで建設しようというものでございます。
  9. 鈴木政二

    鈴木政二君 関空に引き続いて海上空港であります。今お話しのように、ある雑誌で読みましたら、前の航空局長であります今の黒野事務次官がうまいことを言いました。ちょうど今NHKの大河ドラマ「毛利元就」の、要するに成田関空中部国際空港、これは三本の矢だ、アジアに対しても世界に対してもこの三本の矢でこれから日本を引っ張っていきたいと。私は非常に適切なすばらしい表現だなという感じがいたしております。  当然ながら、成田もそうでありますし関空もそうでありますように、この空港ができても、一番大事なのはやっぱりアクセスですね。そうしますと、この間関空も見させていただきましたけれども、公共的な事業でインフラがきちっと整備されて、非常に周り都市も発展しておりました。  そういう面では、道路だとか鉄道だとか、海上でありますから船の関係も当然必要になると思いますけれども、きょう建設省の方に来ていただきましたけれども、今後の道路アクセスについての整備、特に私は中部圏中心とした広域的な道路アクセス鉄道アクセスが重要だと思います。大臣岐阜でありますから当然よくおわかりをいただいておりますけれども、そういう面で、まず建設省の担当の方に道路の予定、それから鉄道関係もひとつ、とりあえずこの二つを聞かせていただきたいと思います。
  10. 藤本貴也

    説明員藤本貴也君) 中部国際空港へのアクセス道路の件でございます。  建設省におきましては、平成六年度から、関係五県一市と一緒になりまして環伊勢湾地域整備連絡会議というものを設置いたしまして、中部国際空港に関連しました道路アクセスについて検討を進めているところでございます。  また、平成七年十二月から、中部国際空港関連プロジェクト全体の推進につきまして調整を行う場ということで、中部国際空港推進調整会議というのが三県一市並びに経済界、それから運輸省建設省を含めて設置されているところでございまして、そこでも並行して道路アクセスについて検討している、こういうことでございます。  この調整会議におきまして、平成九年の三月でございますけれども、空港計画案、それから空港事業推進方策案等々とあわせましてアクセス整備方策案につきましても取りまとめ、公表されたところでございます。  アクセス整備方策案の内容につきましては、まず一点目といたしましては、名古屋都心地域から空港まで三十分ないし四十分でアクセスできるようにするということ、それから二点目といたしましては、空港中心として六十キロ圏域内の主要な都市から空港まで大体一時間ぐらいでアクセスができるようにしようということ、それから北陸地域なり関西地域なり少し広域的な観点からも高速道路アクセスを確保しようということ、そういうようなことについて検討を進めているところでございます。  具体的には今後さらに詳細な検討を進めるというようなことで取りまとめをさせていただいているところでございます。  いずれにしましても、中部国際空港利便性向上の上でアクセス道路整備というのが非常に不可欠な重要な要素ではないか、こういうふうに考えておりますし、また地元からも非常に強い要望があるということも承知しておりますので、建設省といたしましても、厳しい財政状況の中ではございますけれども、新空港具体化に合わせまして所要のアクセス道路整備につきましても計画的に支援をしていくというふうに考えております。
  11. 小幡政人

    政府委員小幡政人君) 中部空港へのアクセス整備につきましては、先ほど建設省からもお話しございましたけれども、地元関係者から成ります中部国際空港推進調整会議におきまして、今年の三月三十一日、アクセス整備方策取りまとめられたところでございますが、その中で、鉄道アクセスにつきましては、まず、開港時までに名鉄の常滑線、これの延伸ルート整備するということ、それから加えまして将来の需要動向を勘案した西名古屋港線延伸整備ということに向けて検討を進めることとされております。  また、この十月二十二日には、地元自治体経済界鉄道関係者等から成ります中部国際空港連絡鉄道施設整備協議会というものが設立されまして、アクセス鉄道事業化に向けました検討事業主体となる第三セクターの設立に関する調整協議が開始されたところでございます。  また、この九月二十四日こま、中部運輸局中部国際空港関連シティエアターミナル整備等調査委員会というものを設置いたしまして、この委員会におきまして、中心シティエアターミナル整備のあり方でございますが、それに加えまして名古屋駅におきます鉄道関係等々の乗り継ぎ利便向上のための方策についても検討していくこととしております。  御指摘のとおり、空港の機能を十分に発揮させるためには何といっても利便性の高いアクセス整備が重要でございます。こういう観点から、運輸省といたしましては、さまざまな議論に耳を傾けつつ、また地元協議会参画等によりまして地元における鉄道アクセス計画取りまとめに可能な限り協力してまいりたいというふうに考えております。
  12. 藤井孝男

    国務大臣藤井孝男君) 今建設省、そしてまた運輸省局長からも答弁申し上げましたけれども、この中部空港推進するに当たりまして、今鈴木委員の方から大変重要な視点の御質問がございました。  私も中部圏岐阜県の選出の議員といたしまして、この中部国際空港をどう位置づけるか、岐阜県といたしましても県民が大変大きな期待とまたそれに対しまするある面で不安、これはアクセスというものが大変大きく注目をされているところであります。  今御答弁申し上げましたとおり、鉄道それから道路、各種のアクセス整備することによりまして中部空港がより機能的、効率的な国際ハブ空港として成り立つように最善を尽くしていきたいと思っております。
  13. 鈴木政二

    鈴木政二君 今藤井運輸大臣から力強い御答弁をいただいたわけでありますけれども、考えてみますと、成田もそうでありますけれども、関空もそうでありますけれども、ここには大都市という、東京大阪圏を持っているわけであります。そういう面ではこの中部国際空港、今大臣が御答弁のように、愛知県とかそれだけじゃなしに、本当に周りの広い中部八県を抱えた空港なわけです。そういう面では、まだ鉄道整備が非常におくれておる段階で、私は道路重要性というのは非常に大きいと思うんです。今大臣答弁のとおりであります。そういう面で、特にトヨタもあるところで、よその空港よりも恐らく開港したときには自動車関係が非常に大きい私は空港だと思うんです。  そういう面で、ひとつ頼みますよ。力強い答弁をいただきましたけれども、ひとつぜひ、もちろん鉄道も。名古屋市も積極的に臨港のことも今考えておりますし、積極的にお願いをしておりますから。  これは、まさに今財政構造改革の真っただ中で、先輩、同僚の皆さん方議論をしている最中であります。この中に、こうした大きな金額を持つ国家プロジェクトです。  私は、どういうふうにこの事業化を進めるのにスキームをつくるのかな、枠組みをつくるのかなと思っていましたら、先日提示をしていただいて見させていただきましたけれども、本当に運輸省は知恵を出したな、運輸省は本当によくひねったスキームをつくったなというのが私の実感であります。運輸省というのは、結構という言い方は失礼ですから、本当に頭のいい方が多いなというのを実際感じました。そういう面では、このモデル事業、まさに行政改革財政改革の私は今後のモデルプロジェクトだと思っております。  そういう面で、とのスキーム、特に民間資金の導入にかなりウエートをかけた、民間活力を目指した一つスキームだと私は思っておりますけれども、局長、かいつまんで説明してください、皆さんにわかるように。
  14. 楠木行雄

    政府委員楠木行雄君) 中部空港概算要求の前提としている事業方式を御説明したいと思います。  これにつきましては、株式会社方式建設運営を行うということを眼目にしておりまして、民間活力の活用ということを考えているわけでございます。  その出資構成といたしましては、運輸施設整備事業団から十億円、地方自治体から十億円、そして民間からはかなりの額でございますが五百三十億円ということになっております。  また、事業採算性を確保することによりましてこの事業の長期的な安定性というものを持っていくことは重要でございますので、四割の無利子資金が必要と見込まれております。その負担割合関西国際空港の一期と同様と考えまして、このときには国が二割で地方、民間がそれぞれ五%ずつでございましたので、四対一対一となっておりますが、これと同様に、国、地方自治体民間を四対一対一というふうにしておるわけでございます。  また、この事業スキームを長期安定的に確保していくためには、実は税制措置も大変重要でございまして、関西国際空港で認められておりますものと同様のものをお願いしたいということを今御要望を申し上げておる次第でございます。  例えば、法人税につきまして準備金制度の創設を要望しておりますし、登録免許税不動産取得税あるいは特別土地保有税の非課税、さらには固定資産税都市計画税の二分の一の特例措置、こういったものを現在要望しておるところでございます。
  15. 鈴木政二

    鈴木政二君 税制の問題、非常に大切だと思うんです。ただ、私はこのスキーム、実は皆さんに聞いていただきたいのは、今の名古屋空港は将来大変狭いという見通しがありまして、実は十年以上前から、地元民間と三重、岐阜愛知名古屋市と、金を出し合いまして、現在の名古屋空港がもうパンクすることはわかっていますから、将来の空港をどうしたらいいかということをずっと研究調査をしておったわけであります。  今、実は調査の中で百億ぐらいもう地元皆さんは使って熱狂的につくっておったわけであります。たまたまこうしてこういう時代になって、国との合作という形では、地元も非常に喜んでおります。特に、この十年以上の地域の情熱というのは、御存じかもわかりませんけれども、前の中経連の会長でありました松永亀三郎さんが非常に真剣に取り組んで、各界の皆さんによくお願いをしてこういう形になった。残念ながらこの間お亡くなりになったんです。この人のためにという言い方はしませんけれども、本当にこの地域のために、ぜひ、今言いました概算要求、本当にきちっと財政当局に御理解をいただきたい、そして実現をしたいというのがもう本当に心からのお願いの気持ちです。  次に、当然、先ほど言いましたように、空港は港と同じように都市都市戦いアジアにおいては国対国戦いになってくると思います。空港競争力というのは非常に重要であります。そういう面では、いろんな財政問題がありますから言いづらいところでありますけれども、ただ心配をしておりますのは、今の時点では成田関空使用料が非常に高いんです。世界の国に比べますと、もう皆さん御存じのとおりであります。  こういう非常に高いというのはやっぱり今後考えなきゃならない。特に、財政構造改革の下で社会資本を安く整備したり、コストの小さい維持運営を行うことが私は最も重要だと思っています。そういう面では、平たく言いますと、空港は安くつくって、そして飛行機に安く売る、この感覚でないとこれからの国際競争には私は勝てない。  そういう面では、今回の民間スキームの中で、今話題になっておりますPFIなどを新しく導入して、この仕組みをきちっと民間活力の中で入れていただきたい。まさにそれが私は今後中部国際空港のキーポイントになるし、これからの大きなプロジェクトの指針にもなると思うんです。そういう面では、民間の経営のノウハウを十分踏まえなきゃならないし、そういう面で仕組みをきちっとしなきゃならない。仕組みができなければいいものができないということであります。  そういう面で、関空関西国際空港法、これは特殊法人でありました。私は、今回この形の中で、将来概算要求が通ったとして、やっぱりきちっとした立法、仮称はどうなるかわかりませんけれども、中部国際空港会社法になるのかわかりませんけれども、特に民間の株式会社の精神をこの会社に入れていただきたい。ぜひ要望しますけれども、御所見を伺います。
  16. 楠木行雄

    政府委員楠木行雄君) ただいま先生からもお話がございましたように、この中部空港につきましては、地元では中部方式とどうも言っておられるようでございますけれども、国とそして地方と民間とが互いに連携をして調査をし、計画を進める。そして、十年ぐらい前からでしょうか、もう十二年ぐらいたちますでしょうか、中部空港調査会という、そのような公益法人もおつくりになって、百億を超える調査をもう既にしておられるという実績があるわけでございます。  このようなことから、私どもといたしましても、そのような御趣旨を踏まえた検討というものをしてきたわけでございますし、今般も政府といたしましても緊急経済対策の中にこれを取り上げておりますので、こういった点を踏まえてよく検討してまいりたいと思います。  今お尋ねの中部空港につきましてのいわゆる株式会社の法律がどうなるのかということでございますけれども、中部空港整備運営に関しましては、法律上の措置が必要な事項につきましては立法措置を講ずることになると思われますけれども、何といいましても、私ども今、予算それから税制、こういったところの獲得がもう第一、手いっぱいという状態でございますので、仮に事業の採択がなされた場合には、法案の内容等につきましてよく政府部内で検討をしてまいりたいと思います。
  17. 鈴木政二

    鈴木政二君 私は、今そういうお話ですので、感謝いたします。ぜひ積極的にその意思というかメンタルというか、精神を入れていただきたい。  関空で私はびっくりしたんですけれども、特殊法人という関係があるかもわかりませんけれども、関空の場合、経営者というのが開港当時十二人いらっしゃるわけでありまして、その中で国の方や地方自治体の方が九人なんです。二人が民間人でありました。これは調べてみますと、この九人の方につきましては二、三年で交代されちゃうんです。ローテーション大事なんです。これをもっと調べてみますと、それはもう出向元が全部決めていく人事だったんです。  こうしますと、今盛んに山一やいろんな問題が出ておりますけれども、経営者の責任の所在というのが非常にあいまいになってくるわけであります。ですから、今度つくられる会社というのは、さっき言った民間のスピリットを入れていただくにしましても、あくまでも、国家事業でありますから、大局観、国家的見地がなきゃいけません。適材適所、非常にやわらかい言葉で言います、適材適所に国と民間地方自治体の人事をバランスをとっていただいて、国家事業、また国家の大事な空港をそんな二、三年のローテーション人事じゃとても私はいい経営はできない。そういう組織をきちっとすることによって、人事をきちっとすることによって競争力のある、また地域のいい空港ができると思っておりますけれども、そこらの御所見もあわせて伺います。
  18. 楠木行雄

    政府委員楠木行雄君) 先ほどお答えいたしましたように、これは地元中部方式と言っておられる関係三社の連携によって進めてきたものでございますので、新会社の大事について適材適所の配置をして、そういったことで会社を運営していくことが必要ではないかというお尋ねでございます。  私どもの方も、新会社の人事も含めまして、事業会社の内容、法律上の位置づけ等につきましては、事業の採択がなされた場合に十分政府部内で検討してまいりたいと思います。
  19. 鈴木政二

    鈴木政二君 ありがとうございます。  そして、私さっきからちょっと気になっていることが一つあるんです。例えば、私どもの地元の方でもそうですけれども、空港の名称をさっきから楠木局長中部空港とおっしゃっている。うちの方は中部国際空港という名前でやっているわけです。この間の十一月十四日の我が党の緊急国民経済対策の中の「国際拠点空港整備」の中にも、「中部国際空港については」と、こう書いてあるんです。中部空港中部国際空港、今局長ずっと聞いておりましたら、中部空港という話で、これはどこが違うんですか。どうしてこうなったのか、ちょっと聞かせてください。
  20. 楠木行雄

    政府委員楠木行雄君) 実は、私ども概算要求中部空港という名称を使いましたので、それをそのまま今も使っておるわけでございますが、もともとは民間活力をより生かした株式会社という新しい形態をとっておりますので、それにふさわしい名称等について検討をする必要があるということで、仮の名前といたしまして中部空港としておるものでございます。  中部国際空港というようなことになるかどうかという点につきましては、これから法律案を次期の通常国会に出して、そこでどうするかとか、あるいは予算折衝の中で空港整備法上の位置づけとか、そういった点で何が適切か検討してまいるということで、現在は仮の名前としてこうしておるわけでございます。
  21. 鈴木政二

    鈴木政二君 現在は仮の名前という話ですね。別にそこの裏に全然他意もないと、こういう話ですね。わかりました。安心しました。  一つ非常に感じていますのは、空港御存じのように航空事業収入、要するにさっき言った飛行機使用料等とかそういう収入と、もう一つ忘れてはならないのは非航空事業収入、簡単に言いますと、空港のテナント料をもらうとか駐車場の料金をもらうとか、それからホテルとか、もろもろの空港以外の収入。これに世界空港では非常に大きなウエートをかけておりまして、このサービスに非常に力を入れていることはもう御案内のとおりであります。  そういう面で、成田とそれから関空と、今その比率というのは大体どのくらいかわかりますか。
  22. 楠木行雄

    政府委員楠木行雄君) 成田関空についてだけお答えいたしますと、平成八年度で申しまして、成田空港におきましては航空関係の収入が約五四%、非航空収入が約四六%、つまり航空収入の方が多いというわけでございます。一方、関西国際空港におきましては、航空の収入は約四五%、非航空収入が約五五%、逆に非航空収入の方が多いということになっております。
  23. 鈴木政二

    鈴木政二君 これは空港によって違うと思うんですけれども、概略こういう比率というのはどういう判断をしたらいいか聞かせてください。
  24. 楠木行雄

    政府委員楠木行雄君) 世界の主要空港で見ますと、例えばロンドンのヒースローとか香港とかあるいはシンガポールとか、そういったところは非航空収入の方がかなり多いということになっておりますが、ソウルとかあるいはフランクフルトとか、そういったところは今度は逆に航空収入が非常に多いということでございます。  割と成熟した大都市なり、それから中継になるようなところでお客が非常に集まって滞留するところ、こういうところはいわゆる免税売店の収入とかそういうのがかなりありまして、非航空収入の方がかなり多いということではないかと思います。
  25. 鈴木政二

    鈴木政二君 これ私は大切だと思うんです。後ほど我が党の馳理事からも御質問で地方空港の話が出ると思いますけれども、この非航空の事業収入というのはやっぱりこれは私は重要な空港の経営管理の一つだと思っているんです。  その中で、私がいつも気がつきますのは、空港のテナントの料金だとか駐車場の料金だとか、いろんな施設をつくる場合すべて国の許認可が要るんですね。これは、これからの空港をやるときには、そこの空港の会社の自由な裁量の範囲の中で経営的なものをもっと入れて緩和をすべきじゃないかと思うんです。  特に、二十四時間空港でありますから、もう皆さん、先生方はもうしょっちゅう視察に行かれておりますからわかりますけれども、待ち時間が非常に多いわけです。そういうときに、待つサービスというのも私は大切だと思うんです。極端な言い方をすれば、常滑空港名古屋の近くであります。本場のパチンコがあるんです。パチンコを入れてもいいぐらいの感覚を、待っているときにそういうものも入れてもいい感覚が私は必要じゃないかと思うんです。  そういう面では、細かい料金の設定だとか許認可というのは、こういう裁量はやっぱりそこの会社に裁量を任せていくというような考え方はどうでしょうか。
  26. 楠木行雄

    政府委員楠木行雄君) 今御質問ございましたように、空港事業主体が非航空収入をふやす工夫をするというのは大変大切なことかと思います。  中部空港の場合はまだちょっと法案の内容とかそういう点が検討中でございますのではっきりしたことを申し上げる段階ではございませんが、こういった中部空港事業主体が非航空収入をふやす工夫を行うことはやはり当然のことであると思います。  これに関して今お尋ねの空港内での関連事業の規制の程度につきましては、現在法案の内容につきまして検討中でありますことから、その中で検討してまいりたいと思います。
  27. 鈴木政二

    鈴木政二君 時間も迫ってまいりました。  ともかく空港建設、また、九州の方々から御要請のある大きな空港建設も聞いております。これからこうして財政の厳しい状況の中で国家のプロジェクトをつくり上げていく、これは空港だけに限らないかもわかりません、特に民間の活用といいますか、こういうものが私はこれから重要なウエートがかかるんではないかなという気がいたします。  そういう面で、今までの議論大臣、短い時間でもっとたくさん質問したいわけでありますけれども、時間が参りましたから、お聞かせ願いたいんですけれども、二〇〇五年に幸いにも愛知県の瀬戸というところで国際博覧会が開催できるようになりました。これも委員皆さん方のお力添えだと思っております。二〇〇五年でありますから、地元としては二〇〇五年に本当に開港して、世界の中の日本日本の中のこの地域をぜひ理解していただくとともに、万博の趣旨を大いに踏まえてアピールしていきたいなと思っております。そういう面では、私どもと一緒に地域から出ております末広まきこさんも当然だと思っていただいております。  そういう面で、空港の今までの議論を踏まえて、藤井大臣は私ども以上にひょっとしたら願望してみえるかもわかりませんけれども、大臣の立場として、今度の概算要求を踏まえて強い気持ちといいますか、大臣の所信をお聞かせ願いたいと思います。  質問はこれで最後になりますので、お願いいたします。
  28. 藤井孝男

    国務大臣藤井孝男君) ただいまの御質問にお答えする前に、冒頭、鈴木委員から私に対しまする大変御丁重な言葉を賜りまして大変恐縮をいたしております。  私も、三期目の途中で衆議院に移りましたけれども、約十三年間参議院の皆様方に大変お世話になりましたことを心から感謝を申し上げる次第であります。また、自民党の国会対策委員長のときには、及川順郎委員がたしか当時の公明党の国会対策委員長で、とりわけいろいろ御指導いただいたことも記憶に新しいところでございまして、本当にいろいろお世話になりました。今後とも一層運輸行政に邁進してまいりますので、参議院委員の先生方の御指導をいただきたいと存じます。  先ほど来鈴木委員から、中部空港中心としたこれからの二十一世紀を目前といたしました国際ハブ空港としての位置づけ、それからいろいろな御要望を拝聴いたしておりまして、もう当然のことながら、これから二十一世紀国際化社会はまたある面では大変厳しい競争の時代に入っていくわけでありますから、これからますます増大する人的あるいは物流、そうした交流がどんどん増大いたしますので、そういうものにしっかり対応し得る空港をつくっていかなきゃならない。これは第七次空整の五カ年計画でもそこははっきりとして中部空港位置づけをなされたところでございますし、また先般の自民党・与党におきましての緊急経済対策におきましても盛り込まれておりますし、また緊急経済対策の閣議決定の中でもこの新空港位置づけをよりはっきりさせております。  今御質問にございましたように、二〇〇五年には愛知万博が開かれるわけでございます。これも岐阜県の土岐市、笠原町とまさに隣り合わせのところで開催されるわけですから、これは確かに愛知県で開かれるビッグイベントでございますけれども、岐阜県にとりましても大成功に導きたいということで協力をいたしておるところでございます。  そういったいろいろな観点から、これは何も愛知万博に間に合わせるためにつくるわけではございませんけれども、先ほど来の御質問のとおり、中部圏が二十一世紀により活力のある、活性化した地域としての一つの基盤としてこれを整備していかなきゃならない。来年度の概算要求に対しましても事業着手に向けての概算要求をしたところでございますので、まずはこの予算の獲得に全力を傾注し、事業化を促進し、そして地域皆さん方あるいは国としての役割、それから民間としての御協力、そうした三位一体の中で、着実に二〇〇五年には間に合うように最善の努力をしていきたい、このように思っておる次第でございます。
  29. 鈴木政二

    鈴木政二君 どうもありがとうございました。
  30. 馳浩

    ○馳浩君 自由民主党の馳浩です。よろしくお願いいたします。  ことしの一月二日にロシア船籍ナホトカ号が事故によりまして油を流出いたしましたが、ほぼ一年たちまして、また寒い季節がやってまいりまして、どうしても我々日本海側の住民としてはあの忌まわしい事故を思い出さざるを得ません。その後国も大変な対策をたくさんとってきていただきましたが、きょうは具体的にその防除、回収、今後の対策等々について改めてお伺いを申し上げますので、運輸省として、政府としての対策の今後の方針というものをお聞かせいただきたいと思います。  まず、関係閣僚会議のプロジェクトチームがまとめました「大規模油流出事故への即応体制検討報告書」などを見ましても、例えば、災害対策基本法に基づく非常災害対策本部は現実の被害が発生しなければ設置できないところを状況によっては直ちに設置できるようにしたり、被害が広域的に予想される場合は警戒本部の設置をまず認めたり、意欲的に対処をしようとする姿勢が伺えます。しかし、まだまだ改善していただかなければ現実に今回の事故を処理した石川県サイドから見て不十分なところが幾つもありますので、指摘させて提言をさせていただきたいと思います。  まず、海洋汚染防止法上防除措置義務のある船主側は、サーベイヤー、海防センターを含めて政府や自治体の対策本部のメンバーでないため、自治体や国側との具体的防除活動について協議する場がなく、共同の戦略、戦術を立案することができなかったという反省があります。  その結果、どういうことが起きたかと申しますと、民間からのアイデアによる油回収用の大型資材、機材の調達等についての了解を得ることができませんでした。さらには、漂着油を含んだ海水を吸い上げるのに威力を発揮した高圧ポンプの使用も、石川県の再三の要請にもかかわらず船主側は了解せず、最終的には了解を得ないまま実行いたしました。これによる回収は二千六百キロリットルにも及んでおります。  この点は現場では最も困った点でありました。目の前に油がどんどん迫ってきておる、何をしてでもいいから早く回収したい。けれども、調整機関がないために十分な、要は費用対効果の問題がありまして、ゴーサインが出ないので手をこまねいている。住民は早くやれ早くやれとせっつく、県の対策本部としては板挟みになって困ったと。事故の第一の原因はナホトカ号でありますけれども、第二の災害の加害者は国であるというふうな認識まで持たざるを得ないぐらいに地元の住民としては大変困ったわけであります。  私もボランティアの一員として能登地域に油の防除に参りましたけれども、手袋をしていても体じゅうに油が張りつくような大変な作業を高齢者の皆さんがなさっておられて、ボランティアの方には死者まで出てしまった。これはある意味では人災の面もあるのではないかという認識があります。  そこで、一点目の御提言といいますか御所見を伺いたいと思いますが、具体的な防除活動について船主側と協議する総合調整の場を設置できるように制度化すべきと思いますが、いかがでしょうか。現に、石川県におきましてはサーベイヤーや海上災害防止センターも参加する総合調整機関の設置を先ごろ海上保安庁の了解のもとに決めており、参考になると思いますが、この点についてお伺いいたしたいと思います。
  31. 田口弘明

    政府委員(田口弘明君) お答え申し上げます。  油の防除活動の実施に当たりましては、原因者側の関係者も含めて関係機関等が相互に有機的な連携のもとに必要な防除活動を実施することが極めて重要であると認識しております。  このために、海上保安庁では、海上保安庁長官が作成する各海域ごとの排出油防除計画というものがありますが、ここにおきまして、できる限り早期に関係者等と対策会議を開催して関係者間の意思の疎通を図ることとするとともに、原因者またはその代理人等を対策本部に極力常駐させることとするなど、従来から関係者間の連携に努めてきているところでございます。石川県において災害対策要綱を策定していることは承知いたしておりますが、海上保安庁といたしましても関係者間の連携、調整が円滑に図られますよう今後とも適切に対応してまいる所存でございます。
  32. 馳浩

    ○馳浩君 それはぜひお願いしたいですね。  情報の一元化につきましても、石川県の場合にはお隣の福井県と管区がちょうど分かれておりまして、情報を集めるのに現場の、加賀市というちょうど境の市になるんですけれども、目の前に油が来ておるのに、福井のあそこは第十でしたか九でしたか管区が違うわけですから、本部に行って、そこからまた県の対策本部に行って、そこから加賀市の方に行くという、二重三重の、情報が現地に入ってくるまでに非常に何回もストップしなければいけないという現実がありましたので、いろんな点を含めましての総合調整機関のあり方についてより一層研究をして、速やかに設置ができるような対応を常にとっておいていただきたい。これは要望ですので、申し上げておきたいと思います。  次に、第二の提案として、国際油濁補償基金は補償事例集を作成するなどして、具体的な補償範囲を明らかにすべきではないのか。さらに、事故発生時に自治体等から採用すべき防除活動の提案や相談がなされた場合、補償の可否の判断根拠を具体的に明示して十分な説明をしておくべきと思いますが、いかがでしょうか。これは、要は国際油濁補償基金に対して我が国として今般のナホトカ号の事件、ダイヤモンドグレース号の事件等々、一番の被害を受け大変な御苦労をなされた運輸省としても政府として働きかけをしていただきたいという私なりの御提言であります。  関連して、その両者の調整がつかないときには、国が高度な知見を有する委員会をあらかじめ組織しておいてその調整をする体制を整えるべきと思いますが、いかがでしょうか。  この三点について、我が国としての強い働きかけを期待するものでありますが、いかがでしょうか。
  33. 岩村敬

    政府委員(岩村敬君) 第一点目の、油濁基金が補償を行っていく場合の手続とか範囲を被害者に明らかにするようにということでございますが、御承知のように、国際油濁補償基金におきましては、被害者が同基金に補償請求を提出するための手続、さらにはその補償の範囲などを示しました請求の手引きという冊子を毎年発行しておるところでございます。また、この冊子につきましては毎年その内容の充実を図ってきております。それから、今般のナホトカ号の事故に際しましては、この冊子について日本語版も発行したということでございます。  それから第二点でございますが、そういう冊子だけではなくて具体的にその判断根拠等について明らかにすべきじゃないかということについては、補償となります防除活動の判断根拠についても、ナホトカ号の事故に際しましては同基金の日本におきます代理人等によりまして説明会等を開いたところでございます。  運輸省としては、国際油濁基金のこうした活動がさらに充実されるよう、基金に対して必要な働かけを行ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。  また、第三点目の、国が補償問題について調整する体制をとるべきではないかという御指摘でございますが、御承知のように油濁損害に対します補償は、いわゆる油濁二条約、それから国内法でございます油濁損害賠償保障法に基づきまして、船主及び国際油濁補償基金、それと被害者との間で民事上の問題として当事者間の話し合いにより解決されておるわけでございます。そういう当事者の間で話がつかない場合には司法手続によって解決が図られるということになっております。そういうことでございますので、先生が御指摘されたように国が直接その調整体制を整えるというのは適当ではないというふうに考えております。  しかしながら、こうした民事上の手続が円滑に進められるよう、運輸省としても、説明会の開催、さらにはQアンドAを発行しておりますが、そういったPR活動等によりまして、情報提供等、支援そして助力に努めていきたいというふうに考えておるところでございます。
  34. 馳浩

    ○馳浩君 まさしくそのとおりで、当事者同士の争い、争いといいますか相談事でありますので、国として中に入っていくことはできないということは重々承知しておるのでありますが、いつどこでどのような状況で起こる事故かわかっておる問題ではありませんので、その点、運輸省の政策局なのか海上保安庁、現場になるのかわかりませんが、十分対応できるように常に心がけはいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  次に、海防法に基づく船主に対する防除措置の義務づけは我が国固有の措置であり、当然我が国の領海外で油を流出させた外国船には適用できませんが、領海外で油を流出させた外国船に対する防除体制はどういうふうな状況に現在なっておるのかといったところを御質問したいと思います。
  35. 田口弘明

    政府委員(田口弘明君) 船舶からの油の排出があった場合でありますが、それが領海の中でありましても外でありましても、船舶の所有者にはそれによる損害を回避すべき責任、これはあるというふうに考えております。このために、保安庁では、船舶所有者に対して適切な防除措置を講ずるように指導することとしております。また、海上保安庁では、海上保安庁法に基づきまして、領海、公海を問わずみずから油防除措置を講ずることといたしております。  保安庁といたしましては、今後とも必要な資機材の整備などを図り、油の排出事故があった場合には全力を挙げてこれに対処していく所存でございます。
  36. 馳浩

    ○馳浩君 できるところまでのお答えをまずいただきたいんですけれども、要は、シーレーンを中近東の方から大変タンカーがたくさん通ってきておるわけであります。沿岸国は多岐にわたって複雑に絡んでおるわけでありまして、その国際的な枠組みというのは現在どうなっておるのか。その法体系があるのか、その裏づけがあるのかというふうなことは、国際的な動向という大きな言葉でありますけれども、要は、我々一番心配なのは、我が国が一番頼っておる中近東からのシーレーン、そして日本海側を通ってロシアの方まで行っておるわけでありますから、この辺、日本海沿岸諸国との連携が十分うまくいっているのかという点をお聞かせいただきたいんですが。
  37. 土井勝二

    政府委員(土井勝二君) お答え申し上げます。  国際的な枠組みについてのお尋ねでございますが、これにつきましては、油による汚染事故に対しまして迅速、効果的な措置をとるための条約がございまして、名前は千九百九十年の油による汚染に係る準備、対応及び協力に関する国際条約、略称でOPRC条約と呼んでおりますが、これがございまして、我が国は一九九五年十月十七日に締結をしております。これに基づきまして、我が国といたしましてはこの条約を大変重要なものと認識しておりまして、国家緊急時計画の策定など積極的に対応をしております。  それからまた、関係国との関係でございますけれども、協調体制の確立を図るということで、国連環境計画というのがございまして、この提唱のもとで日本海などの海洋環境の保全を目的といたしまして、現在我が国とロシア、中国及び韓国中心となりまして北西太平洋地域海行動計画という計画をつくっております。この中で、ナホトカ号のような重油流出事故などの際の対応に関しまして沿岸国の協調した行動のあり方をかなり我が国の主導のもとに現在積極的に検討をしております。  具体的には、海洋汚染緊急時対応に関する第一回目の会議を本年七月に我が国におきまして開催し、これからの作業内容の明確化などについて検討を始めておりまして、我が国としても油汚染の防除に対する国際協調を積極的に推進してまいる所存でございます。
  38. 馳浩

    ○馳浩君 環日本海の経済圏ということを考えますと、要は、油資源を大量供給できる体制を整えておくということが必要不可欠でありますので、今後とも引き続きその点に関しまして安全対策というものについての取り組みは日本がまずリードしていただきますようにお願いを申し上げたいと思います。  次に、来年度の概算要求で大型しゅんせつ兼油回収船の整備費十四億円を計上しておられますけれども、この内容について御説明いただきたい。今般の事故の場合には清龍丸というのが余り役に立ちませんでしたので、大変荒天でも対応できるような油回収船というものを日本海側にも十分配備していただきたいという一つの担保措置でありますけれども、これはどういう内容になっておるかお伺いしたいと思います。
  39. 木本英明

    政府委員(木本英明君) 大型しゅんせつ兼油回収船の建造でございますけれども、現在、関門航路のしゅんせつ工事に従事しております大型しゅんせつ船、海鵬丸という名前の船がございますが、この船はもう既に三十年以上たちまして大変老朽化しておりますので、これを代替建造しようということで、あわせまして油回収機能を備えたそういった兼用船で整備をいたしたいということで、現在大蔵省等の方に予算要求をいたしております。一応三カ年で建造したいという要求でお願いをいたしておるところでございます。  なお、関門航路に従事するしゅんせつ船になりますので、配置は北九州港に配置するという考え方をいたしておりまして、現在名古屋港に配備しております清龍丸と比べれば日本海側のそういう油事故に対しては速やかに対応できる、そういった位置関係になるという特色、一つメリットが出てくるわけでございます。  それから、今先生御指摘されました、非常に日本海というのは冬場はしけた状態になりますので、清龍丸は大体三メートルちょっとの限界波高に対応できるわけでございますが、今度つくる船につきましては、今いろいろ技術的な検討を進めておりますけれども、現段階では四メーターぐらいまでの波に対応できるような、そういった油回収能力を持つような形にしたいというふうに考えておりますし、また、油回収方法につきましても、清龍丸の事例を非常に参考にしながらいろいろ工夫を凝らした形にしていきたい、こういうふうな考え方で進めております。  なお、清龍丸、ナホトカ号の事故では大変私ども大活躍したというふうに思っておりますので、ひとつ御理解をいただきたいと思います。
  40. 馳浩

    ○馳浩君 御努力はやっぱり多として、労をねぎらいたいと思います。  次に、ダブルハルについて質問させていただきます。  IMO、国際海事機関のMARPOL条約では、九六年七月以降引き渡しのタンカーはダブルハルを義務づけしておりますし、さらに船齢二十五年以上のシングルハルのタンカーの航行を原則禁止いたしました。これにより、世界のタンカーは二〇二一年には原則ダブルハルになります。これを前倒しできないかという働きかけをしていただきたいということと、そのためのMARPOL条約の改正を改正案でもつくって取り組んでいただきたい。  二〇二一年まであと二十何年もあるわけでありまして、その間に、また改めて言いますが、日本海側を中近東から油を積んだソ連のシングルハルの老朽船が通っていくというのはやっぱり非常に不安を抱えますので、一年でも早くこれはダブルハルにしていただきたい、あるいはシングルハルについては早く禁止していただきたいと思うのですが、いかがでしょう。運輸省としてはそのお考えはありますでしょうか。
  41. 山本孝

    政府委員(山本孝君) 油タンカーのダブルハル化につきましての国際的な取り決めは、ただいま先生から御紹介があったとおりでございますが、このできるだけ早期の実現につきまして、今回例えばダイヤモンドグレース号の事故がございました。そういったことを踏まえまして、政府におきましても、本年九月のIMOの会議でダブルハル化を促進することの必要性をアピールいたしたところでございます。我が国もダブルハル化の促進策を進めることに取り組んでおりまして、その内容もあわせてIMOにおいてアピールをしたところでございます。  なお、IMOの場でダブルハル化の前倒しの条約改正の提案を実現するということに関しましては、この条約が四年ほど前にできたばかりであるというようなところもございまして、残念ながら現実的にはかなり難しい点もあろうかと思いますが、私どもは、むしろこういったダブルハル化の前倒しの誘導ということで、こちらの方に早く誘導していって、大勢がそういったダブルハル船になるように持っていくことが先決で現実的であろうかと考えております。
  42. 馳浩

    ○馳浩君 次に、ダブルハル化に対するこれは海運会社に対してインセンティブを与えるべきだと思います。その理由は、ダブルハルには二十億から四十億円の工費がかかると言われているからでありまして、その点どういうインセンティブを与える施策を考えておられるのか。  加えて、これは七月十六日付の日経に出ておりますけれども、具体的な税制優遇の中身として、入港時に徴収されるとん税、特別とん税、入港料、係留施設使用料等の減免が必要と思う、それだけのインセンティブを税制優遇の面からも与えるべきだという提言も出ておりますけれども、この点も踏まえて、運輸省としてどの程度ダブルハル化に対する優遇策をお考えなのかお聞かせ願いたいと思います。
  43. 岩村敬

    政府委員(岩村敬君) 我が国の商船隊のタンカーは、世界の船会社に比べますと船齢、すなわち建造してから比較的日が浅い船が多うございます。このため、自然に任せておきますと、なかなかダブルハル化は進みにくい、すなわちリプレースがそう近いうちに行われないということで、ほうっておきますとなかなか大幅な進展は見られないという状況にございます。このため、運輸省としてもダブルハル化の促進のために、先生御指摘のように何らかのインセンティブが必要であるというふうに考えておるところでございます。  現在、平成十年度の財政投融資計画の要求の中で、日本開発銀行による融資制度の拡充、すなわちダブルハルタンカーについて超低利融資制度を創設する、さらには融資比率を拡充する、こういったことを要求しておるところでございます。また、税制改正要望の中におきましても、特別償却制度の拡充、すなわち適用対象船舶、現在外航船舶はございませんが、これを追加する、さらには特別償却率の引き上げ、こういったことをお願いしておるところでございます。この実現に向け、今頑張っておるところでございます。  御質問の第二点目にございました、入港料などそういったものの減免という御提言でございますが、ダブルハル化促進のために公租公課などを減免するということについては、欧州の一部においてそういう入港料を減免するといった事例もあることは承知しておるところでございます。ただ、我が国におきましてこういった措置を講じようとする場合に当たりましては、まず、入港料を徴収しているのは港湾管理者、多くは地方公共団体でございますが地方公共団体等、そういったところの理解も必要でございますし、また、それぞれ公租公課などにつきましては目的があるわけでございまして、ダブルハルであるかシングルハルであるかということの理由で公租公課に差をつけることが可能かどうか、こういった幾つかの検討する点が残されておりまして、慎重に検討をしていく必要があるのではないかというふうに思っておるところでございます。
  44. 馳浩

    ○馳浩君 次に、ポートステートコントロールについても強化をすべきだと思いますが、どの施策を立てたりあるいはIMOで主張しておられるのか。  具体的には、ダブルハル化の義務づけがIMOでなされるとはいいましても、そのチェック機能はどうなっているのか、あるいは制裁措置はあるのかどうか、この点をちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  45. 山本孝

    政府委員(山本孝君) ダブルハルの義務づけを受けているタンカーも含めまして、船舶について基準をどのように守るべくやっているかを簡単に申し上げますと、船舶が条約に定める要件に適合しているか否かにつきましては、一義的にはその船舶の登録されている国、すなわち旗国政府が船舶検査を実施しましてこれを確認することとなっております。そして、その結果、検査に合格した船舶には国際条約証書というものを発給して持たせております。  しかしながら、船舶が条約証書を保有しておりましても、外国の港に寄港した場合には、その入港国の立入検査、これがポートステートコントロールでございます、これに服することとなっておりまして、この検査の結果、条約に定める要件に適合していないということが明らかになりました場合には、改善命令とかあるいは航行停止の処分が課せられることとなっております。これが一種の制裁、制裁といいますか懲罰ということになっております。  それから、こうしたポートステートコントロールの強化につきましては、各国ともその拡充を図っておるところと伺っておりますが、我が国におきましても、本年四月に、これを専門に行う四十六名の外国船舶監督官という制度を設けまして全国に配置しております。さらにその体制の強化を図るべく今後とも努力をしていきたいと考えております。  また、国際的でございますが、このIMOにおきまして、ナホトカ号の事故原因が私どもは衰耗による船体強度の低下であるという結論を得ておりますが、こういったことにかんがみまして、船体構造の健全性に関するポートステートコントロールを強化するための提案を我が国から行いまして、各国の賛同を得てこの実施体制を現在検討しているところでございます。
  46. 馳浩

    ○馳浩君 次に、地方空港問題について質問させていただきます。  この四月から参入規制が廃止されまして、路線の参入、撤退の自由が航空会社に与えられました。さらに、七月以降、羽田と結ぶ国内線につきましても既存枠の転用が認められました。  さて、それ以降、とりわけ十月以降、路線変更の概要というのはいかがな傾向が見られるでしょうか。
  47. 楠木行雄

    政府委員楠木行雄君) 今先生御指摘がございましたように、ダブル・トリプルトラック化の基準を我々四月に廃止いたしましたし、また、三月に新しく滑走路が供用されます羽田空港の増便枠の配分に当たりましては、配分枠の転用といったことができるように規制緩和をしてまいりました。  その結果、この十月以降どんな形で増便、減便あるいは休止といった状況になっておるかということでございますが、実はこの時期は冬期に入りますので、一般的に季節波動によりまして増減便が行われる場合がございますので、これをちょっと除外いたしまして純粋な意味でのお尋ねの数字を申し上げますと、全部の航空会社合計でございますが、対前月に関する増減という意味で、十月は三十二路線でございます。内訳は増便が十四、減便が八、休止が十、合計三十二ということでございます。それから、十一月には四十九でございまして、内訳は増便が十五、減便が二十二、休止が十二。それから、十二月は三十八路線で、内訳は増便が十、減便が二十二、休止が六。年末年始になりますと増便がふえまして、全体で三十五、うち増便が二十一、減便が十四となっております。
  48. 馳浩

    ○馳浩君 いわば自由競争原理が導入されて、もうかる路線はできるだけ増設しなさいよ、そうじゃないところは切り捨てよというところなのでありますが、これは関係する自治体にとってみれば、安全上の問題は私はそんなにないと判断いたしますけれども、切り捨てられる地方空港、地方都市にしてみれば、その自治体にしてみれば大変困る点が多いと思うんです。  その点は、ある部分、自由競争原理導入という一つ運輸省としての規制緩和の方針については私は大賛成するものでありますが、切り捨てられる自治体に対する配慮、中長期的な配慮というものも必要であると思います。自治体としては、利用される方に補助金によって航空運賃を少し安くなるようにいたしますよとかいろいろ工夫をされておるようでありますが、それも長続きするようなものでは私はないと思うんです。  そういった点につきまして、運輸省としては切り捨てられそうな自治体に対しての一つの方向性も示していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  49. 楠木行雄

    政府委員楠木行雄君) 先ほども申し上げましたように、ダブル・トリプルトラック化基準の廃止や、あるいは昨年の六月から実施しております幅運賃制度の実施によりまして、航空会社間では競争が激化をしております。その結果、航空会社各社において不採算路線の見直しとかあるいは高需要路線へのシフトといった動きが見られておるのは事実でございます。  航空分野におきましては、ほかの運輸分野と同様に需給調整規制を廃止していくこととしておりまして、需給調整規制の廃止後は、国内航空運送事業において市場原理に基づいた競争が一層激化することが予想されるわけでございます。このような状況のもとでは、航空会社による赤字の負担のもとに路線を維持していくことにはやはりおのずから限界があるものと認識しております。  先生お尋ねのような点に関しては、現在は路線の撤退等に先立ちまして、利用者の利便性にかんがみまして、航空会社は事前に需要の喚起策などを地元と話し合うといった努力を行っていると聞いているところでございます。  また、先ほど最後にお尋ねがございました自治体が補助金といった方策で便数確保をすることが多いけれども、こういったこと以外に何か対策は考えられないのかという点でございますが、離島路線等の地方路線につきましては採算性の確保等の種々の問題が存在いたしますが、その導入及び維持のためには、地方自治体を初めとする地域関係者による支援が今後とも行われることが重要であると認識しております。  特に、地方自治体におきましては需要喚起に役に立つような各種施策を講じるなどの努力をしていくことが重要でございまして、それでもなお旅客数がふえていかない場合には路線設定について航空会社の経営判断を尊重しているという、こういう現状におきましては、やむを得ず航空会社が減便等に踏み切らざるを得ないことも出てくることがあるというふうに考えております。
  50. 馳浩

    ○馳浩君 次に、地方空港整備のあり方について、今後のビジョンについて大臣にお伺いしたいと思います。  六月に決定された財政構造改革推進方策の中でも、地域の振興、地域間の格差の是正という観点にも留意すると盛り込まれておりますが、この点を踏まえて今後の地域空港整備についての御所見を伺いたいと思います。
  51. 藤井孝男

    国務大臣藤井孝男君) 第七次空港整備五カ年計画におきまして、地方空港につきましては、やはりこれからの国際化、また人の流れ、物の流れということの観点から、地方空港におきましても航空ネットワークを充実させなきゃならない。そういった観点から、継続事業中心といたしましてその整備を図っていきたい、このように思っておりますし、また効率化、高質化等を進めていきたい、このように思っております。  しかしながら、先日成立をいたしました財政構造改革推進に関する特別措置法に示されておりますように、総事業費は変えませんけれども、二カ年間延長ということになっておりまして、そうなりますと、各年度の事業費が圧縮されるということは、これはそうならざるを得ない。  しかし、そうであっても、やはり地域間格差というものをどう是正していくか、そういった点を私ども重視いたしておりまして、また、効率的な、効果的な公共事業をもっともっと充実せよという声の中で、建設コストも縮減を図っていかなきゃならない。そういう大変限られた厳しい財政状況の中ではありますけれども、そうした事業費の確保、有効利用につきまして今後とも努めてまいりたい、このように思っている次第でございます。
  52. 馳浩

    ○馳浩君 まさしく費用対効果を考えた上で運輸省として厳しくそれに取り組んでいただければいいのであります。  その次の観点で、私ども石川県としては、先ほどの財政構造改革推進方策の中でも言われましたように、地域間格差の解消のためにも、能登空港予算についても計上していただいておるわけでありますが、三点、地域事情を御理解いただきたいと思います。  一点は、建設に反対する人が一人もいないということ。二点目が、もしこの着工の予算が盛られなかったということになれば、地権者は本体用地分について公共事業の特別控除、これは五千万円ありますけれども、これを受けられず、生活設計に支障を来たし、政治問題化するのが必至の状況であるということ。もう一つは、総事業費について、当初三百二十億円と言われておりましたものが、計画上の工夫等によりまして二百七十億円近くまでに圧縮する姿勢を示しているという、大変な努力をしているということであります。  その点、社会的な便益と社会的な費用と、その差額をもってして費用対効果を算出するという新たな運輸省の公共事業に対する取り組み方というのもあると思いますし、それを当てはめてくださっても結構ですので、この点を踏まえて能登空港に対する御所見をいま一度力強くお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  53. 楠木行雄

    政府委員楠木行雄君) 運輸省として能登空港の必要性についてどう考えておるかというお尋ねでございますが、能登半島地域というのは空港の空白地域であると思います。地理的な制約から高速交通体系の整備がおくれておりまして、最寄りの空港へのアクセスにも長時間を要し、東京、大阪といった大都市圏との交流にも困難を来している地域であると認識をしております。  一方、この地域には、二十市町村だと思いますが、約三十万人の人々が生活をしておるとともに、多くの観光地も有しておりまして、空港建設するのに必要な航空需要は十分確保されているものと考えております。  さらに、昨年の経緯でございますが、平成九年度におきましては新空港事業化準備調査というものを実施し、建設コストの縮減方策にもめどが立ったものと理解をしております。  以上の情勢を踏まえまして、能登空港の必要性は高いものと考えておりまして、平成十年度の概算要求におきまして、先ほど大臣も申し上げましたが、地域間格差の是正という観点を踏まえて、生活関連等重点化枠、こういうものも含めまして新設に必要な経費を要求しているところでございます。
  54. 馳浩

    ○馳浩君 最後に、また大臣にお伺いいたしますが、昨日でありますか、国鉄長期債務問題の処理策というものが与党の方から出されたようであります。これはひとえにまずは隗から始めよで、運輸省としても公共事業予算を圧縮していくのは当然のことでありますけれども、それによってすべての予算が圧縮されていくということではない。私の言いたいのは、整備新幹線の問題でありまして、これは新たな需要、経済波及効果を生み出すものでもありますし、この点に関してしわ寄せが行かないように、とりわけ、三塚大蔵大臣は凍結というふうな言葉をお使いになったようでありまして、とんでもないことだと私たちは思っております。  そんな点の整合性も含めながら大臣には力強く運輸行政を進めていただきたいという御要望を申し上げて、最後に御決意を伺って、私の質問を終わらせていただきます。
  55. 藤井孝男

    国務大臣藤井孝男君) 先ほど鈴木委員の御質問は、空港観点からの国際化に対応するいろんな視点からの御質問でございました。今、馳委員のお話ですと、整備新幹線、これは鉄道高速化、もとより私どもは国土の均衡ある発展という中で、やはり着実に高速鉄道網の整備を進めていかなきゃならない、今後ともこの方針には変わりはございません。  ただ、委員御案内のとおり、ただいまの財政状況というのは大変厳しいものがございまして、聖域なきそれぞれの省庁が公共事業を抑制する中で、この整備新幹線、とりわけ新規着工区間につきまして、政府・与党の整備新幹線検討委員会で今検討されているところでございます。そこで一定の方向が先般出たわけでございますけれども、こうした厳しい財政状況の中でも何とか着実にその整備が進められるよう、これから年内の予算編成に向けて、その予算獲得に向け、確保に向けて最善の努力をしていきたい、このように思っておる次第でございます。
  56. 馳浩

    ○馳浩君 どうもありがとうございました。
  57. 及川順郎

    ○及川順郎君 質問に入ります前に一言新しい大臣に申し上げたいわけでございますが、先ほどもお話が出ておりましたが、参議院に籍を置かれてともに国家国民のためにということで汗を流していた方が大臣になるというのは、参議院に所属する者として、党派、信条を超えましてうれしいものでございます。多事倉皇の時世ではございますが、ぜひ健康に留意されて御活躍されますことを心からお祈り申し上げたいと存じます。  なお、国対委員長時代のお話が出ましたので、私はそのときの印象を申し上げたいと思いますが、与党の国対委員長といたしまして、立場は変わって野党の国対委員長、国民の側に立って国民のためにということであるテーマにつきましては、立場を超えまして懐深く意見を聞いていただいたという印象を私は非常に深く印象に残っております。今、運輸行政を担当する大臣といたしまして、ぜひ国民の気持ちというものを大切にする、そういう指導性、リーダーシップを発揮いたしまして成果をおさめていただきたい、こういう思いでいっぱいでございますので、どうぞよろしく御活躍をお祈り申し上げます。  なお、本日は塩田鉄建公団総裁ありがとうございました、おいでいただきまして恐縮でございます。それから西村算事業団理事長にもおいでいただきましてありがとうございました。  きょうは一般質疑でございますが、私は、幅広い運輸行政の中から何点か絞りまして、限られた時間の中で質疑をさせていただきたいと存じます。  まず初めに、最近の事故発生にかんがみまして、海外渡航の安全管理体制につきまして質問をいたしたいと存じます。  過日のエジプトのルクソールにおける観光客襲撃事件の教訓を踏まえまして、当委員会におきましても、委員長のもとで理事並びに理事会出席皆さんで御報告をいただいたところでございます。この所管は主に外務省で所管している事項が多うございまして、外務省の渡航者に対する安全管理体制につきましては改めて質疑の機会があればそこで伺いたいという思いでございましたので、きょうはおいでいただきました。  そういうことを踏まえまして、まず一つは、外務省では渡航情報というものをつくられまして、危険度の高い順に渡航自粛勧告、観光旅行自粛勧告、注意喚起、こういう三つの視点から安全管理に対して指導性を持っておられる。  日本は国民性におきましても大変旅行の好きな国民性でございますので、目配り、気配りで大変御苦労されることがあろうかと思いますが、この三つの勧告に該当するような事態発生というのが過去一年間で各項目別にどのぐらいの件数になっているのか、まずお教えいただきたいと存じます。
  58. 本村芳行

    説明員(本村芳行君) お答えいたします。  先生御指摘のとおり、海外における邦人の安全対策というものは外務省の所掌事務の中で非常に重要な柱の一つでございまして、私ども外務省といたしましても、海外における邦人の安全確保のための体制の強化に努めております。  今の御質問の点につきましては、渡航情報につきましては、注意喚起、観光旅行自粛、それから渡航自粛勧告と三点ございますが、十一月十八日現在で注意喚起の地域・国は三十七件ございます。それから観光旅行自粛は二十二件、渡航自粛は二十件でございます。
  59. 及川順郎

    ○及川順郎君 この安全管理に強制力がどこまで及ぶかということなんでございますが、今状況をお伺いする中で、具体的な徹底の仕方、これにつきましてはどういうマニュアルといいますか手順をもっておやりになっているのか、御説明いただきたいと存じます。
  60. 本村芳行

    説明員(本村芳行君) 外務省といたしましては、邦人の安全対策の一環としまして渡航情報を発出しておりますが、渡航情報につきましては、発出しました直後に運輸省、警察庁等の関係省庁、それから都道府県の旅券の発給事務所がございますので、そちらを通じまして情報提供を行っております。  他方、領事移住部の邦人保護課の下に海外安全相談センターというものを設けまして、国民の皆様方が電話あるいはファクス、インターネット等によって直接アクセスできるようにしてございます。  また、報道機関に対しましても、渡航情報が出ました後は、すぐに外務省の中で張り出しを行いまして、周知徹底に御協力いただいております。  それから、海外におきましては、在外の日本大使館の方から現地の主要な旅行会社であるとか、あるいは主要なホテルとか、あるいは日本レストラン等を通じまして、一般の旅行者に対しましても渡航情報の周知をさらに徹底させる方針でございます。
  61. 及川順郎

    ○及川順郎君 最近の傾向を見ておりまして、アジア地方における観光客の増加という状況の特徴が目につくわけでございますが、先日のルクソールにおけるテロ事件、大変亡くなられた方にはお悔やみとお見舞いを申し上げたい気持ちでいっぱいでございますが、現地の状況によりますと、犯人側から事前に通告発言あるいはまたそうした通告の通知を行っていたという情報も一部に流れておるわけでございます。  このルクソールの事件につきまして、例えばそういうことが現地で起きている場合、その場合の情報は大使館等を通じて今の外務省の所管のところに全部集約されるようになっているんでしょうか。
  62. 本村芳行

    説明員(本村芳行君) エジプトにつきましては、近年イスラムの過激派による各種テロ事件がたくさん起こっておりましたので、平成五年と平成六年に注意喚起を出しております。他方、平成七年以降はエジプトの南部を除きましてテロ事件の発生件数が若干減少した次第でございますが、平成八年にはギリシャ人の観光客が十八名殺傷されるという事件が起こりましたので、平成八年の五月に再度注意喚起を発出した次第でございます。  この注意喚起の発出につきましては、毎回、現地の日本大使館の方でエジプト当局との意見交換あるいは主要国との意見交換を通じまして、現地の状況を判断して本省に報告しまして、私どもも種々の状況を勘案しながらどのような対策を講じていくのが重要であるかということを考えまして、やはり当時の状況では、治安当局の取り締まりで過激派は多数逮捕されておりましたが、完全にはテロは封じ込められていないという状況がございましたので、やはりこの種の各種のテロ事件が再発する可能性もあって、かつ日本の旅行者の方等が巻き込まれる可能性があると判断しまして、平成八年の五月に再度注意喚起を発出した次第でございます。
  63. 及川順郎

    ○及川順郎君 非常に難しいところだと思いますが、そうした注意喚起等含めた三点、それぞれの状況に基づいて旅行者に対してきちっと指導徹底していると。ところが、それを言うことを聞かないで行くところまでは強制力が及ばないというこの現実。その点をどう改善したらいいかというところは我々も客観的に見て思案をするところなんですが、これに対して意見交換なり対応策等の検討がなされておられるのかどうなのか、おられたらその状況をまず一つお聞きしたいということ。  もう一つは、今三つのランクでそれぞれの関係の方面に徹底をしておりますと。その徹底している先からいろんな状況を逆に外務省の当局の方に連絡が、情報がフィードバックされるとかあるいはまた新しい情報が逆に入ってくるとか、こういう交流はございますでしょうか。
  64. 本村芳行

    説明員(本村芳行君) お答えいたします。  渡航情報につきましては、先ほど御説明しましたように、発出後まず運輸省の方にも提供させていただいております。それから外務省におきましては、海外邦人安全対策官民協力会議というものをつくっておりまして、これには運輸省もオブザーバーとして入っておられまして、また日本旅行業協会が正式メンバーになっております。  いずれにしましても、渡航情報につきましては、外務省と運輸省との間で連携を深めましてさらに周知徹底を図っていきたいと思っております。特に、このルクソールの事件を踏まえまして、私どもとしましては、先生御指摘のとおり強制力というものは渡航情報にはございませんので、やはり広報というのが非常に重要であるという認識に立ちまして、運輸省と連携いたしまして渡航情報の周知徹底というものをさらに強化し、かつまた緊密な連携体制というものをつくっていきたいと思っております。  また、フィードバックのお話でございますが、私ども外務省といたしましても、大手七社との意見交換等を踏まえまして、現地における状況でありますとかあるいは日本人旅行者を保護するためにどういうことをやっていったらいいかというような情報を旅行業界の方からもフィードバックしていただきまして、それを参考にしている状況でございます。  いずれにしましても、渡航情報につきましては、特に海外の安全という問題は非常に重要な問題でございまして、渡航情報自身が必ずしも知られていないという局面がございましたので、外務省といたしましても運輸省と協力しながら渡航情報の周知徹底ということで頑張っていきたいと思っております。
  65. 及川順郎

    ○及川順郎君 先日、運輸省関係の報告を承りましたが、大臣、外務省の今のお話の中でも出ておりますように、旅行業界所管は運輸省ということになりますから、業界に対する指導徹底というのは非常に重要な立場でございまして、やはり外務省との連携、それから旅行業者に対する安全情報に対する指導徹底というのは非常に大事になってくると思います。  それで、私は、当局の方の説明は先日承りましたので、今度のルクソールの事件を通しまして、外務省との連携、それから安全管理体制の強化について御所見があればこの件について承りたいと思います。
  66. 藤井孝男

    国務大臣藤井孝男君) 国際相互交流と申しましょうか、こうした中で我が国から海外へ出かける、観光を含めての旅行者の方々が出ていかれること自体、また海外から日本を訪れる観光客の皆様方が来られることは大変これは歓迎すべきことだと思っておりますし、これからますます人の交流というのは深まっていくところでございます。  しかしながら、今御指摘のございましたように安全の確保というのをどう維持していくべきか、万全な措置をしていくべきか、大変これは難しい問題でもございます。  今般のルクソールの事件、大変残念で遺憾である事件だと思っております。また、個人的なことで恐縮ですが、私も十年ほど前、家内と二人でルクソールを訪問したことがありまして、大変歴史的な遺跡に感動いたしましたけれども、私どもの行ったところでああいう事件が起きたと、本当に痛ましい限りであります。  運輸行政というのは、やはり最大の基本は安全の確保、安全が最大のサービスだと認識をいたしております。そういった中で、先般、このルクソールの件につきましては、書面におきまして各旅行業者に対しまして情報提供に遺漏なきを期すため、すべての営業所窓口で販売時に書面でその旨説明するよう、注意地域ですね、そういったことを徹底するよう指導したところでございます。  いずれにしましても、何が決め手か、余り制限いたしますとかえって、これは相手国との信頼関係というものも損ねますので非常にこの辺が難しいところでございますけれども、その点につきましては外務省ともまた今後密接に連携をとりながら、また情報の周知徹底をしながら安全の確保に邁進してまいりたい、万全を期してまいりたい、そういう決意でございます。
  67. 及川順郎

    ○及川順郎君 安全確保に関連しまして、鉄道輸送における最近の状況を踏まえまして若干質問も用意をいたしました。ただ、この状況につきましては、今大臣の心情を承りましたので、私の方からは、ちょうど山梨リニアが有人走行で時速五百キロを超えたと。技術陣は実用化に向けて一つの節目を越えたと、こういう状況でコメントしておりますけれども、そんな状況の反面、住民の人たちの意見を私も承ったんですが、振動による被害が出ておりまして、十一月二十八日の走行実験でもやはりあったという状況がございます。  一方、鉄道の中におきましては、沼津のJR東海や山梨における大月駅での衝突事故等がございまして、その後、大臣も各社の社長さんや民鉄の代表をお呼びになられてよく安全確保についてお願いしたという状況も伺っております。  国の内外で、今おっしゃいましたように安全がまず第一という状況の中で、全体状況をにらみながら今後もぜひ安全管理体制の強化に格段の御配慮をお願いしたい、このように思いますので、よろしくお願いいたします。  審議官、どうもありがとうございました。これで結構でございます。  それでは、持ち時間の後半をちょうだいいたしまして、旧国鉄債務処理問題について質問させていただきたいと存じます。  けさの新聞あるいはまたきのうの夕刊等でも出ておりますけれども、三日に政府・与党の財政構造改革会議企画委員会の座長報告の骨格が固まったということが報道されております。その骨格につきましてのまず固まった基本を確認しておきたいと思いますが、運輸省の方から御説明いただけますか。
  68. 小幡政人

    政府委員小幡政人君) 御指摘のとおり、昨日の財政構造改革会議の企画委員会におきまして、国鉄長期債務の処理策として座長案が示されたわけでございます。  この座長案につきましては、運輸省としては、国鉄改革の総仕上げのための最重要課題である国鉄長期債務問題について、その本格的な処理を実施していくためのスキームが確立されていること、特に有利子債務十五兆二千億と無利子債務八兆三千億につきましては国の一般会計において処理が行われることになること等が示されておりまして、我々としても高く評価させていただいているところでございます。
  69. 及川順郎

    ○及川順郎君 年内にという閣議決定の方針に基づきましてこれから内容をさらに固めていかれる段階だろうと思いますし、一方におきましては概算要求の中で、平成十年度予算でこの長期債務関係も運輸当局初め運輸省内で検討されまして、これも十二月の予算編成の本格論議の中で煮詰めていくと。ですから、きょうなかなかそういう結論を踏まえた議論というのはいかないだろう、こんなことを承知の上で問題点を私の所見を含めて申し述べまして、なお来年の通常国会に議論を深めていきたい、こんなぐあいに思っているところでございます。  そこで、平成十年度当初におけるそれぞれ債務の総額に基づいて議論がなされていることは承知しているんですが、会計検査院が先月の二十七日まで検査した結果が報道されております。この報道によりますと、一つには、国鉄清算事業団の長期債務が最終的に三十五兆一千百億円に達すること。それから二つ目には、事業団が所有する現有資産を売却しても差し引き三十兆円が国民負担になる可能性が強い、こういうことが明らかになっております。  この報道の内容というのは最終における見通しだろうと思いますが、その点の確認をまず運輸当局にいたしたいことと、あわせまして、二項目めの、事業団が所有する現有資産を売却しても差し引き三十兆円ぐらいは税によらざるを得ないという見通し、これにつきまして、清算事業団の西村理事長にもあわせて見解を求めたいと存じます。
  70. 小幡政人

    政府委員小幡政人君) 平成十年度首におきます国鉄長期債務は、二十七兆八千億でございます。一方、新聞報道によります三十五兆円でございますけれども、これにつきましては、平成九年度首以降平成七十二年度までの約定に基づきます債務償還あるいは利払い、年金等将来費用を合計したものというふうに推定してございます。  なお、現在清算事業団に残っております資産等の処分の見込みは五兆円前後と見込まれておりますので、この三十五兆から五兆円引きまして三十数兆円という報道になっているものと推定しております。
  71. 西村康雄

    参考人西村康雄君) ただいまの御質問の御趣旨が長期債務そのもののこれからの見通しであるといたしますと、ただいま鉄道局長からお答えしたところでございます。  なお、国民負担が実際にどうなんだというような点になりますと、実際に現在の債務、これから私どもが資産充当をどれだけできるかということ、そしてまたこれからの利払いがどうなるかということとの関連で決まってまいります。現在のところはまだ資産処分が一応五兆円と見込んでおりますけれども、そういうことを含めまして、二十兆円を超えるということは現在の段階で見込んではおりますが、それ以上どういうふうになるかということについては、まだお答えできるような状況ではないと思います。     —————————————
  72. 泉信也

    委員長泉信也君) この際、委員の異動について御報告いたします。  ただいま寺崎昭久君が委員辞任され、その補欠として益田洋介君が選任されました。     —————————————
  73. 及川順郎

    ○及川順郎君 国有鉄道事業の分割・民営化が行われまして昭和六十二年四月一日のスタートと、こういう状況になったわけでございますが、初めて国鉄の純損失が発生したのは昭和三十九年と承知しております。その後人件費、設備投資によって長期債務が増加をいたしまして、六十一年度末で総額三十七兆一千億円になったと承知しております。  この民営化というのは、そういうぐあいに破綻をいたしました国鉄の起死回生の手段としてスタートしたわけでございますが、この三十七兆一千億と承知しております総額とその内訳について御説明いただけますでしょうか。
  74. 小幡政人

    政府委員小幡政人君) お話しの昭和六十二年四月一日時点におきます国鉄長期債務の総計は三十七兆一千億でございました。内訳は、いわゆる国鉄長期債務が二十五兆四千億、それから鉄建公団それから本四公団債務が五兆一千億円、経営安定基金が一兆三千億円、雇用対策費が三千億円、年金負担等が五兆円、こういう内訳になってございます。
  75. 及川順郎

    ○及川順郎君 そうしますと、その債務の中で国鉄長期債務の二十五兆四千億、それを引き継いで清算事業団が具体的な業務を行ってきたと。  清算事業団の本来の趣旨といいますか、それは六十一年の閣議決定や六十三年一月二十六日の閣議決定でも明らかにされておりますが、日本国有鉄道から運輸業務を新事業体に移行した後の長期債務の処理、用地の処分、余剰人員対策等を行う清算法人的組織、このように承知しておりますが、この趣旨に基づいて清算事業団の業務が行われてきたと理解してよろしいですか。これは理事長にお伺いした方がいいと思います。
  76. 西村康雄

    参考人西村康雄君) ただいまお話の趣旨で、事業団としては一義的には最近では資産処分、土地、株式の処分ということに全力を挙げてまいりますと同時に、鉄道共済組合に対して追加費用を毎年出すということ、これをいたしてまいりました。
  77. 及川順郎

    ○及川順郎君 それでは、六十二年度首における清算事業団が処理することとなった総額の中で、この売却収入関係、これを各項目別に、例えば株式とか土地とか、新幹線保有機構からの収入等を含めて全体から差し引いて最終的に国民負担で賄う以外ないなと、こういう金額、その内訳はスタート時点ではどういう認識を持っておられましたですか。当局の方からこれはお願いします。
  78. 小幡政人

    政府委員小幡政人君) 昭和六十二年度首における試算でございますけれども、当時、合計十一兆八千億円の収入を見込んでおります。内訳は、土地売却収入が七兆七千億、JR株式等の売却収入が一兆二千億、それから新幹線保有機構に対する債権二兆九千億となっております。  また、最終的に国において処理するものとされた自主財源を充ててもなお残る債務等の額は、十三兆八千億と見込まれておりました。
  79. 及川順郎

    ○及川順郎君 それから丸十年たったわけでございますが、それでは、きのうまで議論されている平成十年度首における全体の債務状況、そして今の土地あるいは株式等の売却等を見込みまして最終的に債務総額から国民負担がどのぐらいになるのか、この内訳はどういうぐあいになっていますでしょうか。
  80. 小幡政人

    政府委員小幡政人君) 先ほど申し上げましたように、平成十年度首における債務見込みでございますが、二十七・八兆円でございます。これを返していくことになるわけですが、先ほど申し上げましたように我々として清算事業団に約五兆円前後の資産を有しておりますので、その残りのものをこれからどういう形で償還していくかということについて企画委員会において議論していただいているということでございます。
  81. 及川順郎

    ○及川順郎君 金額はそうしますと差し引き二十四兆前後、そうなりますね、税金等で賄うという計算のところは。
  82. 小幡政人

    政府委員小幡政人君) 先ほど申しましたように二十七・八兆円が十年度首の債務残高見込みでございますけれども、一方、我々が清算事業団に残しております資産というものは、実はいつ売れるかという時系列的な議論もございまして、概数として申し上げますと二十七・八兆円から約五兆円前後を引いた額ぐらいが大まかなめどになるかなと、こういう理解でございます。
  83. 及川順郎

    ○及川順郎君 どう言いましても、一般会計で賄わなければならないのはこの十年間に倍増しているわけですよ。この事実。今まで隠れ借金だったのを公に出してきちっと努力すべきところは努力してその処理を本格的にやろうと、内閣としてこれを決めてこられた。  理事長においでいただきまして大変恐縮ですけれども、私は、清算事業団のそうしたこの十年間の推移、清算事業団の当初の状況から見ましてこの事業団の業務総括をいたしますと、これは成功したとは割り引きしても言えないんじゃないか。やっぱりこれは失敗だったなと、厳しい言い方かもしれませんけれども、そう言わざるを得ない。いろんな要素があることは私たちも承知しております。これは清算事業団だけじゃなくて、政治的配慮あるいは内閣としてこれを決めたわけですから、政府の政治責任も免れないところと、こう判断をせざるを得ないわけです。  問題は、一般会計の処理といいましても、国民の税金であるわけです。ですから、日本国有鉄道のかつてのそういう状況が、今、民営化からもう一回の節目を迎えなきゃならない、こういう状況に立たされている。  こういう現実を見まして、私は、いろんな状況の中で、きょうの新聞あたりで、もうJRが反発しているとかたばこ公社が反発しているとか、やっぱり請け負わなきゃならないところは非常に反発をしている、こういう状況です。国民は反発したくても税金として納めたものがそこから一般会計として払わなきゃならない、反発してもそういう声を出すところがない。そういう思いを分かち持たないとこの処理というものは私は非常に難しいんじゃないだろうか。  最後に、私は、鉄建公団がスタートのときにも鉄建公団と本四公団の債務が五兆一千億円ぐらい先ほどの説明でもあったと。大変御苦労をされてこられたと思うんですね。その状況がどうなっているのか、今度の決定についてはどういう思いを持っているのかを私はぜひ伺っておきたいと思ってきょうおいでいただいたわけです。  それで、大臣、私が今申し上げたことは、決して無理なことを申し上げている気持ちはないんです。一般会計で処理する状況についてやはり国民の納税者の気持ちというものを踏まえて、所管省、今こういうときに大臣に就任されたわけですから、その国民、納税者にどういうメッセージを持っておられるのか、これを最後にお伺いしましてきょうの質問は締めくくりたいと思います。よろしくお願いします。
  84. 塩田澄夫

    参考人塩田澄夫君) ただいま先生の御質問に対しましては、まず鉄道建設公団が持っておりました債務を日本国有鉄道清事業団が引き継いでいただいているということは事実でございます。今回の運輸省概算要求におきまして、国鉄清算事業団の残る債務、権利義務等につきましては日本鉄道建設公団が承継することになるという概算要求をしておられることにつきましては、私どもも承知をいたしております。  今後、国鉄長期債務の具体的処理方策につきましての政府案が決定されました場合には、それを踏まえまして日本鉄道建設公団といたしましても適切に対処してまいりたいと存じます。
  85. 藤井孝男

    国務大臣藤井孝男君) 国鉄長期債務の本格的な処理につきましては、昭和六十三年一月の閣議決定に基づきまして、まずは国鉄清算事業団の土地、株式等の資産の適切かつ効率的な処分を進め、自主財源の増大を図り、極力国民の負担を軽減すべきであるというそういう閣議決定がなされたわけであります。  以後、そうした閣議決定を踏まえまして株式、資産処分に当たってまいったわけでありますが、及川委員御案内のとおり、バブルの崩壊等々いろいろな経緯がございまして、バブル崩壊後の土地あるいは株式の低迷等々いろんな事情がありました。  運輸省といたしましては、そのときそのとき最善だと思われた措置を講じてきたつもりではございますけれども、今委員御指摘のとおり、結果的においてはこれは成功ではなくどう割り引いても失敗だったという御指摘がございましたけれども、結果的に見ますと、私どもは今次の事態につきましては謙虚にこれは受けとめなければならない。そしてまた、今後この処理をもはや先送りができない、後世の世代にツケを回すことができないということから、何とかこれを本年中に処理案の具体案をまとめまして、来年度以降から具体的処理に当たっていかなきゃならない。  そのときに大変大切なことは、今委員御指摘でございましたけれども、やはり国民の御理解というものをいただかなきゃならない。しかし、これはなかなか厳しいものがあろうかと思います。しかし、一方ではこれ以上先送りできない。  そういう中にあって、今座長案というものが出てまいりましたけれども、これも関係各方面の御協力、御理解、そしてともかくやはり国民の皆様方の御理解、御協力をいただきながら、これは国の債務という観点から、今後とも処理案につきまして運輸省といたしましても最善の努力をしてまいりたい、そういう決意でございます。
  86. 泉信也

    委員長泉信也君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時三分休憩      —————・—————    午後一時開会
  87. 泉信也

    委員長泉信也君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、渕上貞雄君が委員辞任され、その補欠として梶原敬義君が選任されました。     —————————————
  88. 泉信也

    委員長泉信也君) 休憩前に引き続き、運輸事情等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  89. 戸田邦司

    戸田邦司君 平成会の戸田でございますが、及川委員の残りの時間について質問させていただきたいと思います。  きょうは一般質疑ということでございますので、幾つかのトピックスについて大臣の御高見をお伺いできれば、あわせて運輸省皆さんからもお話をいただければと、こういうことで質問に立ちました。  藤井大臣御就任以来、私はきょう初めて質問させていただくと、そういうことでありますが、私も元運輸省の職員で、内閣改造があるとだれが大臣になって来てくれるかということについては、いつもそれは運輸省の職員にとっては最大の関心事でありますから、大きな期待もし、あるいははらはらとしながらといいますか、そういうような場面もあったように記憶しております。  今運輸省は、先ほど国鉄の長期債務の問題が出ておりましたが、そういった非常に大きな問題を抱え、また一方で行政改革への対応、さらに規制緩和、そういったことに対応していかなければならない本当に大きな問題が山積しているときに、実力大臣、やる気のある大臣がおいでになられたということは、運輸省にとっても非常に幸いなことではなかったかと私は思っております。職員の皆さんも、盆と正月が一緒に来たようなというのがありますが、盆と正月が一緒に来て非常にうれしいことであればいいと思いますが、なかなか先ほど申し上げました諸問題への対応については厳しい点もおありかと思います。そういうときに、大臣に対する信頼、これが非常に大事ではないかと私は思っております。  そこで、一つ伺いしておきたいと思いますが、運輸省の職員倫理規程というのがございます。これは平成八年十二月二十六日に前運輸大臣、古賀大臣時代に出されたものですが、大臣は中身をよく御存じだろうと思いますが、いかがですか。
  90. 藤井孝男

    国務大臣藤井孝男君) 今戸田委員から職員の倫理に関する規程についての御質問がございまして、私も承知をいたしております。運輸省におきましては、昨年十二月十九日の事務次官等会議申し合わせに沿いまして、行政及び公務員に対する国民の信頼を回復するための取り組みといたしまして、今委員おっしゃられましたように、同年十二月二十六日付で運輸省職員倫理規程を制定いたしたところでございます。  この訓令では、いろいろうたわれておるわけでございますけれども、とりわけ関係業者等との接触に当たっての禁止事項が具体的に列挙されております。またさらに、その例外となる場合の手続や違反行為に対する処分等の方針、その他訓令の実効担保体制等につき必要な定めがなされているものと承知をいたしておるところでございます。
  91. 戸田邦司

    戸田邦司君 いささか嫌みな話にもなりますので、こういうテーマを持ち出さない方がいいのかなとも思っておりましたが、今運輸省の職員の皆さん行政改革で新しい省庁再編の中に組み込まれていく、そうすると、自分は一体どこに行くんだろうか、どういうような部署についてどういう仕事をすることになるんだろうか、そういったことについての不安などもこれあり、そういう中で大変多忙な毎日を送っているということですので、大臣に対する信頼とか、大臣自身が本当に率先垂範してそういうことも守り、それから職員の皆さんのそういった気持ちも酌んでくれる、そういうことが非常に大事なときではないかと思いまして、私は運輸省OBの一人として大臣にそういったことをこの際お願いしておきたいということでこの話題を持ち出したわけであります。  本当はこういうものは日本の土壌ではきちっと決めてそれを守れというのは望ましくないように思いますが、厚生省事件、その他ああいったことが起こってみれば、こういうことを決めざるを得ないというようなことでしょうから、やはり政府サイドに行っている政治家の方々にもそういうことをよく理解していただいて、職員の信用を得て仕事をしていただく、そういうことが非常に大事な時期になってきているんじゃないかと思いまして、あえて一言申し上げました。  次に、最近の話題、話題と言ったらあれですが問題の中で、非常に大きな問題として港湾運送事業関係の問題があります。  これは先ほども話に出ておりましたが、アメリカの連邦海事委員会日本港湾運送の荷役の際の事前協議について非常に大きな介入をしてきた。基本的な問題のとらえ方として、私は日本港湾運送事業も全く問題ないということではなかろうと思いますが、アメリカ自身だってアメリカの労働組合が港湾運送を牛耳っている、そういうような現実があるわけですから、これは比較してみるとどっちがどっちとも言えないような話ではないかと思いますが、アメリカ政府はこういうような介入を時々することがあります。  なかなか解決の糸が解けないような問題ではなかったかと思いますが、海上通局長あるいは運輸審議官がアメリカ側と忍耐強い交渉をされて、それで一応の決着を見られたということは、皆さんのそういう努力の結果そういうものが得られたということではないかと思います。  日本船に対する課徴金という非常に横暴な対抗措置を彼らはとっていったということですが、その辺も含めて交渉の経過、それから結果がどういうふうになったか、またこれからの対応などについてもお話しいただければと思います。
  92. 岩村敬

    政府委員(岩村敬君) 先生今御指摘のとおり、米国の連邦海事委員会、FMCと略しておりますが、我が国におきます港湾の労使慣行でございます事前協議制度の改善を求めるということで、直接に関係のない日本の船社に対して制裁措置を講ずるという決定をいたしましたのは本年の二月二十六日でございます。  そういう意味でこの経緯、非常に長い経緯がございますが、ここ数カ月とりましても非常に大きな動きがございました。制裁の決定はいたしましたが、その後いろいろ改善が進んだということで幾度か制裁の期限の延長等も行われたわけでございますが、結果的には九月四日に日本の船会社三社に対して制裁措置を発動したところでございます。その後も関係者である船社、日本港運協会等といろいろ協議をしながら改善策を見出すべく努力をしたわけでございますが、最終的には政府間で議論をしなければいけないということで、十月十日からワシントンで日米の政府間協議を行ったわけでございます。  この際には、二つの目的を持って協議を行いました。すなわち、一つはこの制裁措置自体が日米友好通商航海条約に違反するということで、即時無条件の撤回を申し入れるという、それが一つの目的でございました。もう一つは、この制裁の発端となっておる我が国の港運問題、戸田先生も問題なしとしないという御指摘ございましたが、その改善を図るということで、その問題解決のための協議という二つの目的を持って始めたわけでございます。  十月十七日に港運の問題については以下のような内容で大筋合意を見たところでございます。すなわち、三点ございますが、一つは、現在行われております事前協議制度の意味のある改善を図ること、その具体的内容。  それから、現在行っております事前協議制度にかわる別方式について、日本政府は労使問題不介入の原則のもと、法令の許す範囲内で最大の支援をするということ。  この第二点目の労使問題不介入の原則、さらには法令の範囲の問題、ここが日米政府間で非常に対立をしたというか、なかなか理解が得られなかった。彼らとしてはそういうことではなくてとにかく何でもやれと、アメリカの船社が望むことは政府は何でもやれというような交渉態度でございまして、それに対して、労使問題には政府としては介入できないのはアメリカと同様であるというようなことを主張いたしまして、結果的に我が方の主張が受け入れられて、労使問題への不介入の原則ということははっきりうたわれておるわけでございます。  それから三番目が、港湾運送事業の免許でございますが、当然のことながら免許基準に合致する場合でございますが、そういう場合であれば、現在、行政手続法等で標準処理期間が決まっております。二カ月ということで処理をするということになっておりますので、きちっと免許基準に合うのであれば外国の企業であろうと免許はおりるということを確認いたしたわけでございます。  その後、細かいところでまた政府間でいろいろ議論がございましたが、最終的には十一月十日に斉藤駐米大使とオルブライト国務長官との間で書簡の交換が行われまして、本件の協議が終わったところでございます。  そういうことで、港運をめぐる事前協議制度の問題については改善が図られたわけでございますが、また日米の政府間でその改善についての合意が図られたわけでございますが、FMCは日本船社に対して九月分の課徴金として百五十万ドルを徴収したということ、それから、じゃそれですべてが終わりかというふうに我々は考えておったわけですが、制裁措置は無期限の停止ではあるが撤回はしないという決定をしたわけでございます。  これに対する対応でございますが、運輸省、外務省も一緒に今動きをしておりますが、これまでもFMCの一方的な制裁措置が日米友好通商航海条約に違反するということで、直ちに撤回すべきであるという要請を繰り返し繰り返ししてきたところでございます。今後とも、条約違反だということで、日米友好通商航海条約に基づきます二国間協議を速やかに開催をする、そしてその場で制裁措置の全面的撤回を求めていきたいというふうに考えております。  また、先ほど御説明申し上げましたように制裁措置が撤回されているわけではございませんので、撤回されるまでの間は再度制裁が発動されるおそれがございます。そういうことのおそれがございますので、制裁の発動を牽制して日米で対等な立場で交渉ができる、議論ができるというふうにするためにも制裁への対抗措置が必要であろうというふうに政府としても考え、対抗立法の整備を強く希望しておりましたところでございますが、今般、衆議院の運輸委員会におきまして法律の改正草案を提案していただきまして、先ほど衆議院の本会議において対抗立法の一部改正が可決したということでございます。これまでのことについては条約に基づく協議で撤回を求め、今後はそういう新たに法整備していただいたものを使いまして、対等な立場での議論を粘り強くやっていきたいというふうに考えておるところでございます。
  93. 戸田邦司

    戸田邦司君 アメリカのこの手の措置というのはアメリカが時々やっている常套手段でありまして、例えば通商法の三〇一条、これはスーパー三〇一条というのもありますが、これを発動して、ある部門で問題を起こすと全然違う部門に制裁措置が行く。先ほど岩村局長からも御説明ありましたように、これは明らかに日米友好通商航海条約十九条違反ということになると思いますが、我が方がそれに対抗できる何らかの措置を持っていないとなかなか交渉上うまく進まないというような点があるかと思います。私も造船問題なんかでアメリカのUSTRと長い長い交渉をやったことがありますが、まことに腹立たしい場面が幾つかありました。  そういうことですから、先ほど御説明ありましたように対抗法案が衆議院で可決されているということですから、こちらに回ってくることになるかと思いますが、当委員会委員皆さんにもその辺の重要性をよく御認識いただければということを私の方からお願い申し上げておきたいと思います。  海上通局長はほかに問題ありませんでしたら御退席いただいて結構です。  では次に、昨今の金融問題についてちょっと運輸省の御見解などもお話しいただきたいと思いますが、最近の金融問題、これ非常にゆゆしき問題でありまして、特に中小企業に対する金融の問題が表に立たないだけに非常に注意していなければならない問題ではないかと思っております。  そもそもの問題をするつもりはありませんが、やはり景気がここまで悪い、バブルの後始末が十分でなかった、そういったことで、いわゆる株が下がって資産デフレになってきていたというようなところで外為法の改正がありまして、大蔵省の通達によっていわゆる各銀行のBIS基準、これは資産に対する自己資本比率の規制でありますが、そういった基準に合わせなければならないということで各銀行が貸付金の回収に回ったりあるいは融資を渋ったり、いわゆる貸し渋り、クレジットクランチと言っておりますが、これが起こってきているという現状があります。  それで、運輸省所管といいますと非常に幅が広いんですね。いろんな産業がありますし、特に中小企業も非常に多い。これは把握するのはなかなか大変だろうと思いますが、先日予算委員会で、通産関係について通産省は調査を始めているというような答弁がありました。これから暮れに向かって、あるいは年度末に向かってさらに一層そういう傾向が強まると、破産しなくてもいい事業まで破産してしまうというようなことも起こりかねないということですが、運輸省としてこの現状などについて何か把握になっておられる点がありましたらお話しいただきたいと思います。
  94. 土井勝二

    政府委員(土井勝二君) 先生ただいまお尋ねの運輸関係の中小企業に対する金融機関のいわゆる貸し渋りというんでしょうか、融資が今までどおりにはなかなかいかないといった問題につきまして、今先生もお話しになったんですが、なかなか具体的な把握が難しいというのが率直に言ってございます。  それで、私どもとして所管業種にもその辺の状況を聞いたりあるいはそれぞれの局で調べ始めてはおりますが、全体的な把握というのはまだできていないということでございます。それから、通産省ともよく連絡をとりながらその辺の状況把握に努めているというところでございます。その中で、確かに一部業種においてそういう雰囲気というのがあるんじゃないかということは感じております。  状況がそういうことでございますので、これからも引き続き状況の把握に努める、それが第一だというふうに思っております。
  95. 戸田邦司

    戸田邦司君 今運輸政策局長からお話しいただきましたように、この問題、把握が非常に困難な面があると思います。実際に現象になって出てこないと、水面上に出てこないととらえられない点があるかと思いますが、大臣、これから暮れになっていって、ほかの産業との横並びもあるかと思いますが、非常に重要な問題になると思いますので、ひとつその辺通産大臣とも連携をとっていただいて注意深く見守って対応していただきたいと思います。
  96. 藤井孝男

    国務大臣藤井孝男君) 戸田委員の御指摘は大変重要な御指摘でございまして、今運輸政策局長からなかなかその状況の把握が難しいというお答えをいたしましたけれども、とりわけこれから年末にかけましていわゆる貸し渋りということによりまして事業者が資金繰りに支障を来す、こういうことがあってはならないし、お話にもございましたように運輸関係事業者はそのほとんどが中小企業でございますので、そうしたことがないように、今お話がありましたように通産省また関係当局ともいろいろ連携を密にいたしまして、またさらに各種支援制度、これはいわゆる民間金融機関の貸し渋りということで公的金融機関においてその支援の制度の拡大と申しましょうかそれを図っているところでございますから、そうしたことの周知徹底等を図ってまいりたいと思います。
  97. 戸田邦司

    戸田邦司君 話題が次々に変わって申しわけありませんが、先ほども議論になっておりました国鉄の長期債務の処理案に関してですが、政府・与党の財政構造改革会議の企画委員会、昨日、座長案というのが提示されております。  私どもとしましても、この長期債務の処理の問題につきましては政府が責任を持って処理しなければならないという基本方針がありましたので、  一つは、長期債務の管理を運輸省から財政当局、国そのものに移して、運輸省でもうこれ以上全体について何かできるような余地があるわけじゃないですから、そういうような措置をとっていただく。それからもう一つは、国鉄清算事業団をできるだけ早く解散していただく。そういうようなことを私どもも申し上げておりました。  この長期債務の処理のための具体的方策、これは提示されたばかりでまだ運輸省として確たるコメントをするのはなかなか難しいことではないかと思いますが、大きなフレームワークとしてはなるほどと、こうも思いますけれども、それぞれの具体的な方策についてはまだまだ非常に難しい問題をはらんでいるというような点が多々あると思います。  それで、この具体的方策運輸省としてどう受けとめておられるか、お話しいただければと思います。
  98. 小幡政人

    政府委員小幡政人君) 御指摘のとおり、昨日財政構造改革会議の企画委員会におきまして、長期債務の処理策としての座長案が示されたところでございます。  この座長案につきましては、運輸省としては、国鉄改革の総仕上げのための最重要課題である国鉄長期債務問題について、その処理を実施していくためのスキームが財源を含めて確立されるということ、特に、有利子債務、これは十五・二兆円ございますけれども、これと、無利子債務の八・三兆円、これにつきましては国の一般会計において処理が行われるということになっておるわけでございまして、そういうことで、この基本スキームにつきまして我々としては高く評価させていただいておるところでございます。  今後、御案内のように財政構造改革会議などの論議を経た上で最終的に処理方策が決定されることになりますけれども、運輸省としてもその決定に従いまして長期債務の本格的処理に向けて最大努力していきたい、こういうことで考えております。
  99. 戸田邦司

    戸田邦司君 来年度予算要求の中で、運輸省のその予算要求かなり思い切った形で出されていたと私は理解しております。  この問題、運輸行政上の最重要課題ではないかと思います。今回、こういう大きなフレームワークが示されておりまして、これから年末に向けて予算要求したものを財政当局との間で一つ一つ決めていかなければならない。また、いろいろ問題のある点については与党の中でも検討が進められることになると思いますが、他省庁にかかわる部分というのはまさしくこれからの交渉の問題といいますか、それだけではなくて、一方でこれは国民の理解を得られなければ到底このようなものについての最終的な回答が出てこないという面があるかと思います。  まさにこの問題は予算の最後まで残って、大臣折衝課題ということになるんじゃないかと思いますが、ほかにもいろいろ忙しい問題があって大変ではあるかと思いますが、大臣、まさに正念場でありますから、この問題に対する対応についての御決意をお伺いしたいと思います。
  100. 藤井孝男

    国務大臣藤井孝男君) 先ほど戸田委員から御指摘いただきましたように、運輸省はさまざまな課題が山積をしているという御意見がございましたけれども、まさにそのとおりでございまして、御質問にありましたように日米の港運の問題あるいは整備新幹線の問題、そして来年度予算編成に向けてのさまざまな課題、そういった大きな課題が山積している中で、とりわけこの国鉄長期債務の問題については最重要課題として私どもも受けとめているところでございます。  先ほど小幡鉄道局長の方から、昨日示されました財政構造改革会議の企画委員会での座長案というのがなされたわけでありますが、この点につきまして、いろいろまだこれから財政構造改革会議などの議論を踏まえて年末に向けてまとめていかなきゃならない、まだまだ乗り越えなきゃならない課題がたくさんあるわけであります。そして、その中には来年度の予算にかかわるものも当然出てまいりますので、我が省だけでなく、また他省にも大きく御協力をいただかなきゃならない、また財政当局にも御理解いただかなきゃならない。そして、先ほどのどなたかの御質問にもありましたように、やはりこの問題は国民の理解も、あるいは協力も得ていかなきゃならないという問題がございます。  そういったことで、これから年末、もう時間が限られておりますので、本当に大変な、一日一日をむだにすることなくこれに全力を傾注いたしまして、ぜひとも、委員も元運輸省に在籍していただいていろいろ運輸行政に御貢献いただいたわけですけれども、その在籍当時からのこうした大きな問題、それがいよいよもうこれ以上先延ばしすることができないという状況の中で私大臣を拝命いたしまして、重大な決意を持ちながら何としても具体的な解決策を見出していきたい、このように考えておる次第でございます。
  101. 戸田邦司

    戸田邦司君 かたい決意で臨んでいただけるということです。私も期待しております。  一つだけコメントさせていただきますと、この具体的方策の中には、運輸省予算で負担する部分がございます。全体の枠の中で考えればそう大きな額じゃないかもしれませんが、運輸省予算の中で考えるとなかなかそういうところにほかのところから金を出していく、それ自身も難しい点があるかと思います。一方で、港湾とかあるいは空港とか物流関係整備を急いでいかなければならない、重要視していかなければならない課題もありますので、それらの点も踏まえてひとつ御配慮いただければということを一言申し上げておきたいと思います。  次の問題で、公共事業関係の問題でありますが、先般、財政構造改革推進に関する特別措置法というのが成立いたしました。御案内のとおり、私どもはこの法案に反対でありました。  反対の理由はいろいろありましたけれども、そもそも考えますと、アメリカでも似たような法律がありますが、アメリカでは大統領府に対して立法府、議会筋が勝手な金の使い方は許さぬということでたがをはめた。今回の場合は、行政府が立法府にたがをはめてくれと頼んだというようなことではないかと私は思っております。それはそれでそういうことならよろしいわけですが、こういうような経済状況の中で、一体この法案を改正しないでいつまでもつんだろうか、もう少し自由度を持っていてもよかったんじゃないかというような考え方を我々はしてまいりました。  その点について議論するつもりではありませんが、この法案の中に公共事業関係としまして港湾整備五カ年計画、あるいは空港整備五カ年計画、この計画を二年間延長するようなことが挙げられております。これについてはどのような予定でお進めになられるか、お話しいただければと思います。
  102. 木本英明

    政府委員(木本英明君) 今国会で先生御指摘の財政構造改革推進に関する特別措置法が成立を見まして、いわゆる公共事業に関する五カ年計画計画期間を延長するという方針が決まりましたので、私どもこれを受けまして港湾それから空港の五カ年計画につきましては年内をめどに閣議決定を行うように諸準備を今進めております。両五カ年とも平成八年度を初年度といたします七カ年計画に閣議決定をするということにさせていただくようになっております。
  103. 戸田邦司

    戸田邦司君 五カ年計画を七カ年にしますと、平均的に考えますと大体三〇%減ぐらいの予算額ということになっていくんじゃないか、相当金額的に圧縮されるというようなことではないかと思います。  これは一般論でありますが、建設関係が主体になるかと思います。公共事業のコストが非常に高い、コスト削減にもっと力を注いでもいいじゃないか。これはいろんな方法があるかと思いますが、そういうようなことでぎりぎりとコストを削減していけば五カ年を七カ年にしたところで各年度の達成率はもとの計画に近いレベルで維持できるんじゃないかという議論がありますが、この点についてはいかがお考えでしょうか。
  104. 木本英明

    政府委員(木本英明君) 港湾空港の五カ年計画におきましても、計画の実施に当たっては建設コストの低減等により効果的、効率的な整備に努めること、こういったことが既に盛られていたわけでございます。また一方、今御指摘の建設コストの低減の問題につきましては、平成九年四月に公共工事コスト縮減対策関係閣僚会議におきましてこういうコストの低減に向けた行動指針が決定されておりますので、これに向けまして私ども工事コストを少なくとも一〇%以上縮減するという目標を目指しまして、平成九年度から十一年度までの三カ年でございますけれども、所要の施策をいろいろ取り決めて現在進めておるところでございます。  私ども運輸省といたしましては、こういったコストの削減といいますか低減のほかに、投資の重点化だとかあるいは他事業との連携だとかあるいは費用対効果分析の活用等によりまして効果的、効率的な事業実施を図りつつこの五カ年計画の目標が達成されるように努めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  105. 戸田邦司

    戸田邦司君 もう時間もなくなってまいりました。  最後に一言だけ申し上げますが、私は公共事業罪悪論というのにはくみしておりません。日本社会資本整備というのは先進諸国の中では相当低い方であります。ただ、公共事業費が高いことは確かでありまして、それはやっぱり整備がおくれているからだということでありますから、これからの公共事業整備につきましてはやはり優先順位をつけて、するべきものは進めていくというようなことが重要ではないかと思いますが、大臣にその辺についての御見解をお伺いしまして私の質問を終わりたいと思います。
  106. 藤井孝男

    国務大臣藤井孝男君) 我が国の経済社会の基盤をなす運輸関係社会資本整備というのは、私はまだますます今後ともこれは必要性がふえてくると思います。  そうした中で、国際化に対応するあるいはまた地域間の連携等による空港ですとか港湾ですとか、今戸田委員御指摘のとおりまだ我が国国内のいわゆる公共事業社会資本整備というのはおくれているという、御指摘のとおりでございますので、そうした国内でのいろんな交通網のネットワーク化を促進するとか、また通勤の混雑の緩和ですとかさまざまなまだ社会資本整備を進めていかなきゃならないし、さらにはそうしたことをより効果的な、また効率的な整備を進めていかなきゃならない。そのためには重点的な地域を設定する場合もございますし、また都市部と地方という関係のいわゆる地域間格差をどう是正しながら進めていくかという問題もございます。  そういう中で、着実に進めていかなきゃなりませんけれども、やはり御指摘のございましたように国民の皆さん方からむだでない、また非常に整備してくれてよかったなと思われるような公共事業を進めていかなきゃならない。そのためには、建設コストの縮減を図っていき、また、どちらかといいますとこれまで縦割りの公共事業という御批判をよくいただいておりますので、将来、行政改革の中で省庁再編という一つの基本方針も出てまいりましたし、そういった中でやはり他の公共事業間との連携も深めていかなきゃならぬ。より効率的、効果的な社会資本整備を進めてまいる所存でございます。
  107. 戸田邦司

    戸田邦司君 ありがとうございました。
  108. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 民主党・新緑風会の中尾でございます。私は、先ほど来から御質疑のありました、国鉄の長期債務処理問題について質問したいと思います。  まず、質問の前に、藤井運輸大臣大臣御就任、心からおめでとうございます。大臣には就任早々、私は北海道でございますから、北海道の大変厳しい経営環境に置かれている私鉄バスの関係者の皆さん大臣にお会いし、実情を訴えさせていただきました。その折、大変大臣から励ましのお言葉、あるいは力強いお言葉を賜りまして心から感謝申し上げます。これからの運輸行政、多端な折でございまして、大臣の手腕に期待するところ大でございますので、頑張っていただきたいと思っております。  さて、昨日、旧国鉄長期債務処理問題につきまして財政構造改革会議の企画委員会で座長案が示されました。藤井運輸大臣もそのメンバーの一人でもございます。その骨子でございますが、約二十三・五兆円の有利子・無利子債務の元本と利払いを一般会計で引き継ぐというのが主な骨子であろうかと思います。六十年間で返済をするということでございます。  先ほど来の御質疑の中で、鉄道局長がこの座長案をどう評価するのかということを伺っておりましたら、国の一般会計として処理される、我々もこの案を高く評価しているというお答えでございました。ただ、昨日出た座長案ですね、鉄道局長、果たしてそのお答えでいいのかなと私は若干疑問に思っているのでございます。  と申しますのは、運輸省は現在も平成十年度の予算編成においてこのスキームとは若干様相を異にした処理スキームを出されております。つまり、一般会計にそのままつけかえるのではなくて、特別会計として処理するという案でございます。これは八月の末に出された。私は、その運輸省が出された特別会計において処理するというのはそれなりの理由があったと思います。つまり、一般会計に安易につけかえるのではこの国鉄長期債務の処理が国民の目に明らかにされないという私は哲学があったと思います。  私も、せんだっての通常国会からこの問題について幾度か質問をさせていただきました。先に運輸大臣にこのお答えをいただこうかと思ったんですが、先ほど来の鉄道局長の認識が私はちょっと違うんではないかと。一般会計でという、座長案が示されたから喜ぶのはわかりますけれども、私はそうではないと思うんです。  先ほど及川先生からもお話がございましたが、やはり最終的には国民負担、国民がツケを払うことになる。それについて明確ではない。確かに今はそれどころじゃないから、こういう財源案を示すのが先だと言われるかもしれないけれども、国民に理解を求めるためには、やはり運輸行政あるいは財政当局、我々政治の世界も含めてきちっとここに至った経緯をまず反省すべきだと私は思っております。  その点について、まず平成十年度の予算編成時における運輸省の哲学と、今回の一般会計処理の哲学の違いについて鉄道局長からの御答弁を賜りたいと思います。
  109. 小幡政人

    政府委員小幡政人君) お答え申し上げます。  先生御案内のように、我々の平成十年度の概算要求の考え方をレビューさせていただきますと、まず、この国鉄長期債務を国の債務として位置づけるというのが大原則での要求でございまして、その際に、国の債務とした場合に、先生お話しのように処理の状況を国民に明らかにする意味で、国の預かり方としては特別会計でお願いしたいというのが我々の概算要求お願いでございます。  今回、座長私案が昨日出たわけでございますけれども、その中で我々が一番評価させていただいている点というのは、国の責任において元本、利払いともお預かりしていただいて処理するというここの点でございまして、先生お話しのように処理の状況を国民に明らかにするという意味での特別会計の部分については正直抜けております。そこにつきましては、一般会計において債務の処理を行うということになった場合には、その処理の状況を明らかにするための措置としてどのような方法があるのかについては、今後我々の課題として検討させていただこうというふうに考えておるところでございます。
  110. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 出されたばかりでございますからこれからだろうと思いますけれども、表にあらわれただけでも少なくとも二百五十兆円になんなんとする国の借金、この中に潜り込ませてはならないというのが恐らく今回の処理スキームの基本ではないかと私は思っております。  続いて、まだこの運輸省案は消えてないわけですね。私がこだわっているのは、運輸省案では五十年償還になっているわけです。六十年、それは今の国債の六十年という償還ではあるけれども、少なくともこれまで先延ばししてきた旧国鉄の長期債務を何とか一年でも早くという意味がこの運輸省案にはあるわけです。五十年でも遅いぐらいなわけです。  ところが、今回の座長案では六十年償還。これは後世代、後世代といっても二世代にわたる先送りなわけです。そしてこれを読ませていただくと、元本の償還が始まるのは恐らく二〇〇〇年ごろだと思うんです、いろいろな手続を経て。財源が三千五百億とか四千億とか言われていますけれども、さっぱり見えてこない。整合性がとれないわけです。つまり、二〇〇三年度までに赤字国債発行をゼロにするという方針があるわけです。その整合性に大変問題が生じるんではないか。  それからまた、郵貯特会の黒字、これは四兆三千億ありますけれども、二千億円掛ける五年、この五年というのはちょっと微妙なので余り触れませんけれども五年、その後の財源をどう確保したらいいのか明らかにされない。  私は、今回の、座長私案でありますから、これを受けて運輸省がどう判断されるかということで、これからの検討になると思いますけれども、少なくとも現段階において大臣、こうした問題について明らかにされていない。これは抜本処理策と言えない。平成九年度中にまとめるということはとても大変だろうなと思っておりますが、その点について大臣の所見を伺いたいと思います。
  111. 藤井孝男

    国務大臣藤井孝男君) 中尾委員から幾つかの指摘がございましたけれども、今、元本処理の財源については何ら示されていない、これは先送りではないかといった趣旨の御質問だと思います。  企画委員会の座長案では、元本償還のための財源につきましては、当面は一般会計の歳出歳入両面にわたる努力によって対応しながら、最終的には年金負担が減少していくことに伴い確保される財源等を充てることとされたところでございます。  いずれにいたしましても、国の財政につきましては、この元本償還分を含め財政構造改革法に基づき平成十五年度までに赤字国債の発行をゼロとすることとされておりますので、座長案が処理の先送りになるということはないと理解をいたしているところでございます。
  112. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 それでは伺います。  隗より始めよということでしょうか、ここで運輸省の六百五十億円程度、これは運輸省予算の削減、まず手本を示そうというような話でございます。そこから捻出するといいますが、これ鉄道局長伺います。一体どこをどの程度どう削減するのか。検討は始まっているという新聞報道もございますが、六百五十億円程度削減。  ただ、ちょっと気になりますのは、清算事業団へ今でも四百億円の補助金、今回は四百一億円が入っているわけです。これは差し引くはずだろうと思うんです。ですから、表向き六百五十だけれども、四百はもともと入っているからそのまま回すと。そうしたら二百五十億円程度でございますね。そうしますと、当の運輸省が頑張って歳出削減といいますけれども、七%公共事業もカットしなきゃいけないようになっている。その時代の中で、元本の四千億円なんかとっても出ない。これ借金で、やっぱり赤字国債発行することに決まっているわけです。いや、決まってないと言えば私も答えようがありませんけれども。  ただ、この運輸省の財源をどうやって捻出するのか。例えば空港なり鉄道なりの公共事業を削っていくと思うんですが、それについての検討はされているんでしょうか。
  113. 小幡政人

    政府委員小幡政人君) 運輸省の六百五十億円程度の補助金の捻出でございますけれども、先生お話しのように、我々清算事業団に対する補助金四百一億円を抱えておりますので、これは当然シフトさせていただくということになりますと、残り二百五十億円が我々の目標ということになるわけでございます。この目標につきましては、今後我々予算編成過程の中で具体的に財政当局調整していきたいというふうに考えておるところでございます。
  114. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 それから、今回の企画委員会の中で大変まだ積み残しになっているのは、JR各社の追加負担、これをどうするかということだろうと思います。  JR各社の追加負担については、私ども民主党もこの財源をどうするかという論議の中で、基本的にはJR各社の追加負担はあり得ない、それは筋が通らないという話で今党内の議論を煮詰めているところでございます。  つまり、どういうことかといいますと、御存じのようにもう既に分割・民営時の中で十四・五兆円を負担している。あるいは現在、法人税一千億円、固定資産税を含めて二千億円余りのいわゆる収支改善効果を出している。当時は六千億円の補助金をもらっていた。差し引き八千億円のいわゆる収支改善効果をもたらしている。さらには、株式の売却、これは当時五千億円程度だと見込まれていたのが今二兆円ぐらいある。大変株が乱高下している中で、JR東、それから西、ことし上場しました東海という中で、大変な健闘をしていると思われます。  大臣にお伺いしたいんですが、こうしたJR各社の経営努力をどう認識、評価されておられるのか。そして、当時の経緯を振り返って、JR三社にはやはりそれ相応の最大限の負担をさせたと私は思っておりますが、それについて大臣の認識を伺いたいと思います。
  115. 藤井孝男

    国務大臣藤井孝男君) 御指摘のとおり、このことにつきましては中尾委員の方が私よりよく御存じかと思いますが、昭和六十二年の国鉄改革の際におきまして、JR等につきましてはその発足に当たって最大限の効率的経営を行うことを前提として、当面収支が均衡し、かつ将来にわたって事業を健全に経営できる限度の長期債務を負担することとされ、実質的には昭和六十二年度首において約十四・五兆円の債務を処理することとされたところでございます。  その後、JRの努力によって現在の経営状況でございますけれども、そうした中で今回の座長案が出まして、私どももJRに対しまして御協力を今お願いしているところでございますけれども、そういった過去の経緯等々、またJR側はJR側としての御主張は十分我々も承知いたしておりますけれども、私どもも、先ほども御答弁申し上げましたように、各般にわたる御協力を得ながらこの問題を何とか本年中に具体的な処理をまとめていきたいという中で、JR各社に対しましても御協力をお願いしているところでございます。
  116. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 確かに大臣の御答弁わからないわけでもないんです。つまり、民間会社に対して国が国の借金を負担せいということ、これはルール上からもあり得ないことだと私は思っています。ただ、年金負担ならいいだろうということも、私はちょっと違うと思うんです。  その前に、大金になりますのでお伺いしますけれども、先ほど株式の話をいたしました。JR東、JR西ともに株主が三十万人おられるそうです。そして、両社とも外国人株主が一〇%を超えるという状況にございます。例えば追加負担について、それがたとえ年金費用負担、追加負担であれ国が要請することになれば、こういう株主に対して信頼を大きく損ねる。つまり、今好調であるJRの株についても大変影響を与えるんではないか。元も子もなくすようなことになっては何のための私は財源論かと思うわけです。  それについて、鉄道局長あるいは大臣の認識を伺いたいと思います。
  117. 小幡政人

    政府委員小幡政人君) 運輸省といたしまして、長期債務の本格的処理に当たりまして清算事業団を整理することになるわけでございますが、その際に、鉄道共済年金の厚生年金への統合に伴い生じた移管金債務のうち事業団負担分とされていたものの取り扱いについては、まず実は鉄道共済年金関係者でございますJR等々の中での議論になるわけでございまして、そういう意味でJRが一切の負担をしなくてもよいという問題ではないというふうに我々は理解しておるわけでございます。  そういう意味で、移管金債務のうちJR社員となった者の分についてはJRが負担することとしても、JR社員の年金制度の安定のための負担でございますので可能と認識しておりますし、JRに対してそういうことで負担を要請しておるということでございます。  なお、株価につきましては、当然先生御案内のように、株自体における、会社の経営動向、社会、経済の状況等さまざまな要因によって影響されるわけでございまして、運輸省として一概に申し上げることができないというふうに考えておるところでございます。  いずれにいたしましても、その負担すべき理由がある場合は負担を要請すること自体が必ずしも投資家の信頼を失わせることにならないんじゃないか、こういうふうに我々は理解しておるところでございます。
  118. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 困ったからって、そういうふうなルールを変えたりしては私はいけないと思うんです。例えば鉄道共済年金の移管にしても、これは四月から厚生年金に統合された。その際の移管金の負担割合は清算事業団八千億それからJRが二千億。これもちゃんと決まっているんです。例えば移管の不足額について、国鉄勤務時代事業団が出した、JR勤務時代はJRが払ったんです。これを決めたのは去年なんですよ。これは勝手に決まったわけじゃないんです。国鉄改革や年金統合の際に負担区分や責任が明確に整理されているわけです。そうして成り立ってきているわけです。例えば試合の途中に点数が入らないからといってサッカーのルールを変えるようなもので、いかぬと言うんですよ。  それじゃ、お金をどう出すか。きょう時間もありませんので、私も愛煙家の一人でございますが、たばこをまず火をつける、手をつけるですか。大変この右往左往ぶりについて国民が見て一体何ということなんだということを、これはきちっと大臣も整理されなければいけないと思っております。  最後、あと一分半しかありませんので、一言大臣に。  私ども民主党、じゃどこからお金を出すかというようなことで、総合交通体系基金として財源の一元化を訴えてまいりました。鉄道港湾空港等々、道路建設省だからという時代ではない。そして、今回の企画委員会の話の中でも道路特定財源の話が消えちゃった。これはある族議員なんかが抵抗して消えちゃった。自動車重量税は私のかねてからの主張でございますが、一般財源化してこれはその一部を使うべきだと私は主張してまいりました。  最後になりますが、そうした交通体系の一本化について大臣の考えを伺って私の質問を終わります。
  119. 藤井孝男

    国務大臣藤井孝男君) 中尾委員、今般の座長案に対して非常に厳しい御意見を披瀝されたわけでありますが、私もその点については十分認識をしているところでございます。  物事が抽象的な言い方になってまことに恐縮でございますけれども、国鉄の長期債務という問題はもう長い間論議されてきた。しかもその債務がどんどん膨らんでいくという中で、何とかこれをこれ以上先送りしないという観点からさまざまな議論が政府・与党の財政構造改革会議の企画委員会でなされてきた。その座長案が出てきたところであります。  これにつきまして、今御意見がございましたけれども、また中尾委員の方から総合交通特別会計と申しましょうか、そういった創設も一つの案ではないかと。そういったことも私ども今後の問題としてこれは考えていかなければなりませんけれども、わかりやすく言えばというか、抽象的になるかもしれませんけれども、だれが得したとかだれが損したとかというんじゃなくて、国民をも含めましてみんなが痛みを分かち合うという中でこの問題を処理していかなければ、とても対応できる問題ではございません。  御案内のとおり、運輸省だけで到底片づく問題ではございませんので、そういった中でこの座長案を軸に、そして取りまとめられた中で、皆様方のさまざまな意見を体しながらよりよい方向に持っていきたい、このように考えておる次第でございます。
  120. 梶原敬義

    梶原敬義君 きょうは渕上議員の代理で来まして、余り運輸委員会になじみがないんですが、ちょっと地方のことを質問させていただきたいと思います。  私は、国鉄の分割・民営化をするその前夜に、当時の橋本運輸大臣に二時間ばかり質問した経緯があるんです。そのときに物の考え方として私なりに整理をしたのは、将来石油資源や石炭、こういう資源が枯渇してくるだろうということで、ずっと調べてみますと、今の時点でいいますと、石油資源は掘り出せる、使える資源というのは恐らく四十二、三年ぐらいしかないんじゃないか。新しく油田を発見したり何やらしても、それはもう消費量のふえ方には追っつかないんじゃないか、こう言われております。私はそういうことをずっと考えてきましたが、今でも変わらないんですが、石油危機がやはり近いうちに来るだろう、それは何回かの石油危機を経過して恐らくもう底が見えてくるだろう、こう見ております。  じゃ、石炭があるじゃないかと。石炭を石油にかわるだけ掘っていけば、これもあっという間。じゃ、ガスは、こう言っても、ガスもこれは集中していくとすぐなくなる。ウランがあるじゃないかと。ウランも六十何年ぐらいしかない。こういうことですから、この調子でいくといずれ近いうちにエネルギー危機というのは押し寄せてくるだろう。これは何年かたったときに、そうなるかどうかというのは歴史で見なきゃわからないわけですが、私はそれを予見して対応していくというのが政治に課せられた使命だと思います。  そういう点からしますと、船舶による物の輸送あるいはレール、鉄道による輸送というのは、これは今はうまくいかないけれども、しかし将来のことを考えるとどうしてもやっておかなきゃならない問題だろう、このように考えております。  それはそれで、もう一つは、分割・民営化をするときに当時の橋本運輸大臣議論をしたんですが、大臣は、分割・民営化するとよくなりますよくなりますと、これだけです。私は、当時議論をしたのは、それはよくなるところとよくならないところがあるだろうと。分割・民営化した場合には独立採算でそれぞれやるわけですから、九州とか四国とか北海道というのは、これは当然厳しくなる。  我々九州に住んでおりまして、東京や周辺でもうかった分でぼつぼつ複線化とかあるいは高速化とか、そういうものの工事がじわじわ進んでおったわけです。これが恐らく分割・民営化したらぱたっととまる。日豊線、小倉からずっと大分、宮崎、鹿児島に抜ける線も、以前は我々は新幹線が走るだろうという淡い期待を持っておりましたが、分割・民営化されて今日に至って、これはもう無理だとほとんど県民はあきらめの状態になっている。  だから、非常にいいところと悪いところと分割・民営化によって国民の中に差がついてきた。こういう状況にやっぱりなっているということを冷静に大臣日本地図を見て判断をしていただきたいと思うんですが、最初に御感想を伺いたいと思います。
  121. 藤井孝男

    国務大臣藤井孝男君) 今梶原委員のお話をお聞きいたしておりまして、私の地元岐阜県でございます。高山本線というのがまさに岐阜県の唯一の基幹鉄道でございます。この高山本線も、もう以前から長い間単線、ディーゼルです。これは東海地方と北陸地方を一番最短距離で結ぶ幹線鉄道でありますが、今JR東海さんの方にいろいろお願いをいたしておりますけれどもなかなか改善がなされていかない。  今委員のお話のとおり、九州の日豊本線においても同じような趣旨。これは、ちょっと一言で申し上げますと、今規制緩和であるとかあるいは分割・民営化であるとか、このことは非常によいことだと、利用者の立場あるいは消費者の立場からすれば選択の幅が広がるとかあるいは値段が安くなるとか、そういったいわゆる光の部分だけを見てしまいますとこれはいいことだと思いがちでございますが、その影になる部分をしっかり見ていかなきゃならない、そういったことの今御指摘ではなかろうかなと思っております。  そこで、JR九州も民間会社でありますから、梶原委員におかれましても熱心にJR九州の方にこの点について要望されていると思います。私がJR東海の方に高山本線のいわゆる改善に向けてと同じことだと思います。  そういったことで、いつも言われることは、民間会社でありますから、まずその需要がどう伸びるのか、そういった点が第一であるという返事が返ってまいります。確かに民間会社でありますから、福祉だけを求めていくわけにはまいりません。やはり採算性の問題、そこの基本の需要増というものを見きわめていかなきゃならない。このことが多分私の想像するに、JR九州さんでも言われているところではないかなと思っております。  したがいまして、私どもはそういった点を踏まえながらも、やはり影になった地域、そうした地域鉄道整備というものはどうあるべきかということは大変難しい問題でありますけれども、JR各社ともいろいろ協議をしながら、また需要をどうやってふやしていくか、そのためにはどういった交通網の整備が必要であるか等々について今後しっかりとやはり検討をしていかなきゃならない大きな課題だと認識をいたしておる次第でございます。
  122. 梶原敬義

    梶原敬義君 時間がありませんから具体的なことに入りたいと思いますが、実は日豊線の大分−小倉間は当時分割・民営化するまでにほぼ複線化されてきたんです。残ったのは日出−杵築駅八キロ、それから中山香−立石間の五・二キロ、これはもう用地買収もほとんど済んでいるんです。これが当時分割・民営化するときに残っているから、分割・民営化したら恐らくこれまでやらなくなるんじゃないかと詰めたんです。運輸省は、何度も部屋にも来るし、たしか委員会の中でもこれは承継事項だと、引き継ぎます、必ずやりますと、こうたびたび言ってきたんですが、分割・民営化してもう今何年になりますか、依然としてこれはとまったままなんです。これは一体どうなっておりますか。
  123. 小幡政人

    政府委員小幡政人君) お話しのように立石−中山香間、それから杵築−日出間を含みます立石−亀川間の複線化につきましては、公企体でございました国鉄から民間会社となったJR九州へ承継されたわけでございますけれども、民間企業として再出発しましたJR九州として、経営的判断から、最近の輸送需要あるいは線路容量というようなことで、十分単線で対応できるという判断から現在複線化の計画はない、今こういう状況でございます。
  124. 梶原敬義

    梶原敬義君 大臣、これは承継をします、引き継ぎます、必ずやりますと、分割・民営化するときにそういう話が出た話でありまして、JR九州だけの判断だけじゃなくて、運輸省は一体どういう判断をするかというのはこれは逃げられないと思うんですね。大臣、これはそういうことだけでは、だからずっと経過があって、そして運輸省はJR九州のことだからというのでは、経過からいって済まされないんじゃないですか、まだ単線で容量があるといって。  きのう全国大会がありまして、町村会長が来たから、皆さん関係町村長と話をしたんです。もう特急はJR九州が言うように容量がないんです、特急はもうあれ以上はだめだと。それから普通の通勤電車は、山香町から日出町という大分の方向へ向かって行くときに、八分で日出町まで行って日出町で九分待たされるというんです。だからもう少し、これは運輸省もやると言った話ですから、JRだけに任せることはないと思うんです。  しかも、分割・民営化するときに、国は三千八百億円の経営安定基金を渡しているんです。三千八百億円、これで利子補給やなんやでこの資金運用で赤字は埋めてくれと。だから、いずれにしても、これは運輸省にも責任があるからやってもらわなきゃ困るんですが、大臣、どうですか。
  125. 藤井孝男

    国務大臣藤井孝男君) ただいまの区間の現況につきましては、先ほど鉄道局長が申し上げたとおりでございます。  しかしながら、今梶原委員のこれまでの経緯、そういったことについて運輸省についても責任というお話でございますが、私どもは責任を逃れるつもりはございませんけれども、この問題につきましては、運輸省といたしましても現況をさらにもう一度把握いたしまして、また私、大臣といたしましても、JR九州とよく話を詰めた上で、もし前向きな解決策等々出てまいりましたら、それに向けての努力をしていきたい、このように思っている次第でございます。
  126. 梶原敬義

    梶原敬義君 ぜひよろしくお願いします。  それから、同じく日豊線のことを申しますと、今大分から東京に来るのはもう三時間ぐらいで飛行機で来るんです。宮崎に行くのは、道路から行っても電車に乗っても四時間ぐらいかかるんですね。隣の県が一番遠い地域、地方になっている。私も、宮崎から大分へこの前帰ってくるときに汽車に乗っていろいろはかってみたんですが、待ち合わせで四回か五回とまるんです、単線ですから。  だから、国土の均衡発展という観点からいうと、大変おかしい。それで、九州の西側は今整備新幹線でやろうかと、こう言っているんです。東側は単線でぼつぼつ行って、うちの知事なんかがよく人前で話をするのは、墓石が見えると言うんです、特急で走りよって読めるというんです。そういう状況ですからね。だから、光の当たる部分と当たらない部分というのはもうくっきり明確になってきているわけです。  だから、それはただ単に独立採算だけでやっていいものかどうなのか。昔、日本の先輩たちが日本国土に線路を引いたときに、今のような会計原則みたいなやり方でやっていたのかどうかわからぬけれども、採算を度外視してあまねく線路を引いて道をつくってやってきたんです。国家というもののあり方というのは、やっぱりそういう打算あるいは採算、合理性だけで割り切っていいものか。  私は将来、そうなってほしいとも思っているんだが、食糧問題とエネルギー問題でこういう大都市に何千万という人が住めるような状況は恐らく変わってくる、厳しくなってくる。そうしたときに、地方に彼らを分散させなきゃならないような事態が来る、こう読んでおりますよ。これは、私は頭にそういう声なき声が響いてしょうがない。  だから、今目先だけで判断してやるんじゃなくて、墓石が見えるような状況、こういうのは、もう実態は恐らく運輸省もわかっていると思うんです。あえてそこに挑戦する勇気というものをやっぱり運輸省の職員も大臣も持ってもらいたい。国家とは一体何かというところから考えてもらいたいと思うんです。いかがでしょうか。
  127. 藤井孝男

    国務大臣藤井孝男君) 今京都におきまして環境に関する国際会議が行われておるところであります。そうしたことをも踏まえてまいりますと、やはり鉄道というものがいかに環境に優しい交通機関であるかということも私どもは十分理解、認識をいたしているところでございます。  また、今、具体的な大分以南の宮崎までの間につきましての高速化等々についてのお話がございました。実は、この件につきましては、私、参議院時代から、現在の上杉自治大臣からもしょっちゅう梶原敬義委員と同じ趣旨のことを聞いておりまして、私も十分理解をいたしておるところでございます。  やはりこれは、今何遍も繰り返して恐縮でございますが、基本的にはJR九州がどう考えるかということに帰着するわけでありますが、それだけでは前へ進みませんので、地元の自治体とJR九州との調整等々も行われておるようでございますし、そこに対しまして運輸省といたしましても、適切に対処するよう指導なりまた協力をしていきたい、このように考えている次第でございます。
  128. 梶原敬義

    梶原敬義君 だから、そういう観点から物を逆に見ますと、国鉄清算事業団の二十七兆円ですか、もうかっている東日本とか東海とか、そういうところに僕はもっと金を出させていいと思いますよ。それは、線路から何から全部、あの土地は計算に入っていないんでしょうけれども、つけてやっているんだから。これは負担させてください。要望して終わります。
  129. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 私は、新ガイドライン問題に関連してお聞きしたいと思います。  ある専門家が、新ガイドラインに基づいてこれから国内法の整備を図る、いわゆる有事立法もつくるということになれば、その八割は恐らく運輸省所管じゃないかという指摘もあります。  湾岸戦争というのがありましたけれども、この戦争で後方支援を統括したパゴニスという中将がおります。この方の「山・動く」という著書があるわけですけれども、この中でも後方支援というのがいかに大事か、特にあの湾岸戦争で後方支援が成功したのはフセインがサウジアラビアの港湾であるとか空港であるとかをたたいていなかったからだと、こういう指摘もされています。  今度の新ガイドラインでも、周辺事態における米軍の活動に対する支援として、民間空港港湾、この使用が挙げられています。今資料をお配りいたしましたけれども、新ガイドラインで示されている協力項目空港港湾についてどういう協力項目があるかというのをまとめたのが今お配りしたこの資料であります。  まず港湾関係ですけれども、協力項目というのは大きく分けて二十四項目あります。単に港湾を使用する、岸壁を使うというだけではないんです。当然積みおろしもあれば、それを保管することもある。米船舶の入港支援、人員、物資の海上輸送、積みおろしに必要な場所、保管施設の提供、米船舶に対する物資、燃料等の提供、米船舶の修理、整備、修理部品の提供、整備資器材の提供等々、文字どおり港湾運輸関係は総動員をしているというのがこの新ガイドラインでいう港湾の使用、提供ということになるわけです。  この協力内容については間違いありませんか。
  130. 土井勝二

    政府委員(土井勝二君) ただいま先生の方からお配りいただいた資料で、確かに港湾、あるいは二枚目の空港、たくさんの協力項目とそれから関係機関名が挙がっておりますが、私どもこの中身についてまだ当然精査はいたしておりませんが、運輸関係につきまして、この新ガイドラインに関する協力項目の中で当省関係の項目が非常にたくさんあるという認識はしております。
  131. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 前もって渡しておいたんだけれども、港湾でいえばこの二十四項目について、こんなものは全然間違っているというものはありますか。
  132. 土井勝二

    政府委員(土井勝二君) 特にこれは間違っているという項目については、ただいまのところ気づいておりません。
  133. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 空港も、今おっしゃったように協力項目約二十一項目。当然これは空港そのものの離発着の使用ということだけではなく、人員、物資の航空輸送、積みおろし、そのための場所の確保、米航空機への物資及び燃料等の提供、米航空機の修理、整備、修理部品の提供。これも同じように、先ほど空港もおっしゃったんでもう聞きませんけれども、これ大変なものですよ。まさに空港港湾、総動員体制というのが新ガイドラインで決められていることだ。  もう一つ聞きますけれども、ガイドラインの中には港湾空港の運用時間の延長ということも入っています。これは、アメリカの側からそういう要求があれば二十四時間、これはもう戦争をやっておるわけですから、矢臼別とか北富士とか王城寺原で米軍演習を今やっていますよ。夜間演習をやるんです。夜間演習なんか沖縄じゃやっていなかったじゃないかと言って抗議すると、夜は戦争はしませんなんということはないと、こう言っていました、米軍は。つまり、二十四時間体制ということも、この運用時間の延長の中には入る、こういうことですか。
  134. 土井勝二

    政府委員(土井勝二君) まだ現在のところ、運用時間の延長につきまして、二十四時間になるのか、あるいは現在の例えば十時間であればそれの数時間の延長であるのかとか、そういう具体的な要求というか希望というか、そういうものについてはまだ具体的には私ども承知しておりません。
  135. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 当たり前の話じゃない、これからだもの。延長はあり得るのかということです。
  136. 土井勝二

    政府委員(土井勝二君) 一般論で申し上げまして、この協力項目の中に「民間空港港湾の運用時間の延長」というのが協力項目例として入っておりますので、延長ということについて検討しなきゃいけないという可能性はあります。
  137. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 そういうことですね。つまり二十四時間体制だって、これは戦争をやっているんですからあり得るということです。  もう一つ、「訓練・演習区域の提供」ということも入っている。これは、今でもウオーニングエリアとか米軍専用空域を日本は提供していますね。この米軍の訓練空域の新たな拡大も、可能性としては相手方から求められればあり得る、こういうことになりますね。
  138. 楠木行雄

    政府委員楠木行雄君) 運輸省といたしましては、新ガイドラインの別表に列挙されている事項については、具体的内容を現段階では承知しておりません。したがいまして、今お尋ねの件につきましての米軍の訓練・演習区域の拡大についても、検討は行っていないということでございます。
  139. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 何を承知してないと言ったの。ガイドラインは全部出ているよ。読んでないと言うの。そんな無責任な態度がありますか。新聞を読んでいる人間なら皆わかるじゃないか、そんなことは。衆参本会議で新ガイドラインについて集中審議やったばかりでしょう。運輸省航空局長が知りません、そんなばかなことがありますか。もっとまじめに答えなさい。
  140. 楠木行雄

    政府委員楠木行雄君) 別表の中に「訓練・演習区域の提供」というのが含まれておるのは承知しておりますけれども、具体的な内容がどうなるかということを承知しておらないということでございます。
  141. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 何を言っているんですか。「訓練・演習区域の提供」ということが入っているんでしょう。提供を求められればどうするんですか。何も考えていない、そんなばかな話がありますか、そんな無責任な話が。
  142. 楠木行雄

    政府委員楠木行雄君) 仮に米軍から訓練・演習区域の拡大の意向があった場合というお尋ねかと思いますが、運輸省といたしましては、これまでどおり航空交通の安全確保を最優先として空域の調整に当たっていくつもりでございます。
  143. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 だから、航空の安全性確保を留意しながらさらに拡大するということもこれは当然あり得ると。そうでなかったら、日米間で何でこれ合意したんですか、新ガイドライン。できないものを合意するわけないじゃないですか。  次に、ガイドラインで、港湾空港など施設の新たな提供を適時かつ適切に行うということだけではなく、「一時的使用を確保する。」ということもガイドラインの中に書かれていますね。  そうしますと、今いわゆる民間空港あるいは民間港湾は、地位協定五条、いわゆる五条使用というふうに言われていますね。こういう施設を、事態の推移によっては二4(b)、地位協定二条四項(b)、これは運輸省、自治体管理のもので、そういうものを米軍が一時的に使用する、そしてそのために五条のものを二4(b)にいわば切りかえていくということもこれは可能性としてはあり得るわけですか。
  144. 土井勝二

    政府委員(土井勝二君) 先生今御指摘のように、地位協定に基づきまして米軍が施設ないし区域を使用するというケースは、二条による使用とそれから五条による一時使用と、町方あると思います。私どもとしては、その両方の使用の可能性というのは一般論としてもあるんだろうと思います。  ただ、具体的にそれについて何か現在のところ求められて検討しているということはございません。
  145. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 要するに二4(b)もあり得るということなんです。これは非常に重大なんですね。もちろんよく御存じだと思いますけれども、二4(b)と五条の決定的な違いはどこにあるかというと、二4(b)になれば米軍の排他的使用権が発生するんですよ。  これは民間空港ですよ。今二4(b)で提供しているのは、空港でいうと福岡空港ですか。あとはそうじゃない、みんな五条使用になるわけです、あとの民間空港は。関空だとか羽田だとか成田だとか。ここを二4(b)に変えれば、そこに米軍の排他的使用権が生まれるということにならざるを得ないわけです。そういう重大な問題も検討されているということであります。  さっきも言いましたけれども、戦争をやったときに後方支援というのは最も大事なんですよ。湾岸戦争になぜ勝利できたか、後方支援がうまくいったからだというふうに言われているぐらいなんです。中でも、大量の物資を運ぶ、大量の兵員を運ぶ、大量の兵器、武器、弾薬を運ぶ、これはもう全部拠点になるのは港湾であり空港なんです。  朝鮮有事を想定したときに米軍の太平洋軍の準機関紙がどういうように書いたかというと、もし朝鮮で何かあれば、アメリカ本土と日本の間に空にかけるような橋をつくらなければいけない、それぐらい大量の物資を輸送しなきゃいかぬと。  例えば湾岸戦争でいいますと、サウジの空港に到着した貨物は一万五百機分です。発着数はしたがってこの倍ですから二万一千回の離発着がある。今、例えば米軍が施設提供を求めていると言われる関空、これを例にとりますと、一日当たりの発着回数は百四十回です。成田空港で一日当たり百七十回。ですから、もしこういう空港を提供するということになれば、これは完全に麻痺状態、こういうことになります。  港湾でいいますと、貨物輸送は大体あのときには六百隻分四百七十万トン。これは沖縄の那覇港の貨物取扱量にほぼ匹敵する。後方支援というとえらい気楽そうに見えるけれども、港湾の場合もまさに兵たん支援ですから、戦争と直結する兵たん支援なんです。  大臣、ガイドラインの米軍支援というのは、港湾空港の使用というのはこういう危険な内容をはらんでいる、こういう認識はおありでしょうかね。
  146. 藤井孝男

    国務大臣藤井孝男君) ガイドラインの実効性の確保のための措置につきましては、九月二十九日の閣議決定の趣旨を踏まえまして、政府全体として真剣に検討していく必要があると理解をいたしております。  米軍の航空機、艦船については、日米地位協定に基づき、我が国空港港湾の一時使用が可能ではありますが、使用の態様及び地元に与える影響等についても十分考慮した慎重な対応が必要と考えております。
  147. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 こうした港湾空港での協力支援をやる場合に、自治体の同意というのが、例えば私、この前仙台に行って仙台新港というのを見てきましたけれども、これはたしか県が管理していますね。こういう県なり自治体の同意が当然私は必要になると思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。
  148. 土井勝二

    政府委員(土井勝二君) このガイドラインの協力項目につきましては、ただいま大臣も申し上げましたように、実効性確保のための措置というものにつきまして政府全体として真剣に検討していく必要があるということは第一に考えております。  それで、お尋ねの米軍に港湾空港等の施設を提供するについて、仮に地元が拒否した場合どうするかということでございますけれども、日米の先ほどの地位協定に基づきまして米軍は航空機、艦船について我が国空港港湾の一時使用をすることができるということがまず書いてあるということでございます。  それで、他方、それではこの使用の態様あるいは地元にどういう影響を与えるかという問題も大臣先ほど申し上げましたように大変重要な観点でございまして、ここのところを十分考慮して慎重に対応をしていかなければならないというふうに考えております。
  149. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 例えば港湾でいいますと、船が入港する、これ許可が要りますよね。もちろんそこへ火薬類など危険物を持ち込もうと思えば、これも許可が要る。今ほとんど許可なしには入れないですよ。そうしますと、可能性の問題として、自治体がだめと言うことだってこれはあり得るわけですよ。あるいは民間を動員しようと。トラックなんか物すごく必要ですからね、おろした物資を運ぶためには。このトラックを確保する、民間業者に頼んだけれども拒否されたと。これじゃ役に立たないわけですから。  そうしますと、確実に入港できる、確実に着陸できる、確実に民間業者の協力も得られるというためには、今の法律を変えていく、場合によっては罰則もつけるというふうなことも今検討されているんでしょうか。
  150. 土井勝二

    政府委員(土井勝二君) 九月二十九日の閣議決定の趣旨を踏まえまして、現在政府全体として関係局長会議なども含めまして慎重に検討を始めているという段階でございまして、先生ただいまお尋ねの自治体なり民間業者が拒否したときにどうするんだ、確実に協力するにはどうするんだと、そういうようなお尋ねと理解いたしましたが、その点につきましてはこれからの検討対象であるというふうに理解しております。
  151. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 その際に、例えば罰則規定は設けないということを前提にした今慎重なる検討なのか、要するにそういう前提はない慎重な検討なのか、その点はどうなんですか。
  152. 土井勝二

    政府委員(土井勝二君) その点につきましては、私自身が関係局長会議に参加をしておりますが、現段階でその点についてどういう方向であるかということについては承知しておりません。
  153. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 つまり、前提はないということです。  もう時間が来ましたから終わりますけれども、港湾空港を提供するといりのままさに兵たん支援なんですね。そうなればどうなるか。さっきも言いましたけれども、もしフセインがサウジの港や飛行場を制圧していたならアラビア半島を奪回しようというその後の作戦ははかり知れないほど高くつくものになっていただろうとこの後方支援を統括したパゴニス将軍は言っています。つまり、相手からすればここをたたくというのは、前線で、しかも最近はミサイルでどんどんやるわけですから、ここをたたくというのが最も有効な手段になるわけです。  今、例えばサンレモ・マニュアルというふうに呼ばれていますけれども、日本の軍関係者とか局長御存じだと思いますけれども、海上武力紛争法、これはもちろん公的な機関のものじゃありませんけれども、ここで海上戦争についての法律をどうするか、これまでの全部を踏まえて専門家が集まって一九九四年に一つの結論を出しました。  この中でどういうことを言っているかというと、戦争が始まりました、そのときに港湾を提供しました、空港を提供しましたというのはこれはまさにいわば敵対行為になる、したがってそこは攻撃されても国際法上やむを得ないんだというのがその結論になっている。やはりそういう危険なことを今新ガイドラインに基づいて政府はやろうとしているんだと。  私、このことについてやはりよく考えないと、これは本当に大変な事態になる、こう思いますけれども、最後に大臣の御所見を伺って、質問を終わりたいと思います。
  154. 藤井孝男

    国務大臣藤井孝男君) 今筆坂委員の御質問を聞いておりましたけれども、大変戦略家と申しましょうか、軍事的に大変たけた御示唆がありまして、私は専門家かと勘違いをいたしましたけれども、大変湾岸戦争を中心にいろいろ御指摘がございました。  いずれにしましても、私ども運輸省といたしましては、先ほど来申し上げているように、このガイドラインに含まれる日米協力の実施に当たっては政府全体で協力して作業に取り組むということが極めて重要であるという認識でありますが、現行憲法の範囲内で、緊急事態の程度に応じ民間活動にも留意しつつ適切に対応していくことが必要であると考えております。
  155. 末広まきこ

    末広まきこ君 自由の会の末広まきこでございます。  ことしの運輸白書には、車を環境に優しくつくりかえ、車に頼り過ぎる社会を変えていく必要があるというふうに書かれております。私たちは今、車社会にどっぷりとつかっておりますが、環境問題への関心が高まりつつある中で、運輸部門でのCO2対策はどれくらいできているのかということについてきょうはお伺いしてまいりたいと思います。  例えば、配送会社間の共同輸送や配送によってトラックの便数を軽減したり、あるいは郊外でマイカーからバスに乗りかえるパーク・アンド・ライド方式を採用したり、それから駐停車時のアイドリングストップ、これはトラック業界で今大いにやっておられるようでございます。また、今まさに京都では地球温暖化防止京都国際会議というのが開かれておりまして、私も十二月一日の合同会議出席してまいりましたが、目を引きますのはNGOです。ヨーロッパから飛行機鉄道を乗り継いで、その後は自転車に乗って京都会議場入りをしております。ニュースでごらんになったかと思いますけれども、これはまさに運輸部門のCO2を減らす必要があるんじゃないのというパフォーマンスだと私は受けとめております。  ところで、我が国では一九九五年度の一年間に約三億三千二百万トンのCO2が排出されております。そのうちの二一%、約六千七百万トンにも及ぶ膨大な量のCO2が運輸部門から排出されております。しかも伸び率がすごい。年平均四・二%の勢いでふえてきております。この二十年間でおよそ二倍に達しております。このまま放置できる問題ではないと思いますが、運輸大臣の御所見をお伺いいたします。
  156. 藤井孝男

    国務大臣藤井孝男君) 今末広委員御指摘のとおりでございまして、まことにこれは残念な結果と申しましょうか、その排出量が二十年間で総量が約二倍になっている、これは大変深刻な状況でございます。このままいきますとまさに取り返しのつかない環境破壊につながるということは十分承知をいたしております。  こういう観点から、運輸省におきましても、現在のモビリティーの高い社会を維持し、これを二十一世紀に継続するために、地球温暖化の主要な原因である二酸化炭素の排出削減に努めていきたいと思っておりますが、委員は自転車でたしか選挙運動をされておられたことを私承知いたしておりますが、私は隣の岐阜県でありますけれども、私のところは鉄道網が未発達でございますから、どうしても車に頼るということでございます。そして、各自治体ともバスを利用してほしい、あるいは公共交通機関を利用してほしいということを訴えておりますけれども、どうしてもやはり便利さを優先すると申しましょうか、一家について岐阜県の場合ですと大体二台か三台ぐらい車を持っている状況でございます。  そうしたことで、一方では地球の温暖化という大変厳しい環境破壊にどう対応するかという問題があり、もう一方では、とりわけ山間地におきましては、その地域をどうしても守っていく、また若い世代につなげていきたいという観点からいいますと、やはり利便性の高い生活環境を維持しなきゃいけない、その辺のバランスが物すごい難しいと思っております。  いずれにいたしましても、運輸省といたしましては、環境に優しいと申しましょうか、交通体系の整備に積極的に取り組んでまいる所存でございます。
  157. 末広まきこ

    末広まきこ君 ありがとうございます。  例えば産業部門では年平均伸び率が〇・三%とCO2の排出を非常に抑えた努力の跡が見受けられます。その一方で、運輸部門におけるCO2の排出が先ほど申しましたように四・二%、努力の跡が見られないという現状でございます。運輸部門におけるCO2対策が日本全体の温暖化防止にとって大きなかぎを握っているということは今大臣の御答弁にもございました。  そこで、運輸省にお伺いしてまいりたいと思いますが、運輸部門におけるCO2削減の具体的方法とその数値目標をお伺いします。
  158. 土井勝二

    政府委員(土井勝二君) お尋ねの件でございますが、まず運輸部門におけるCO2削減の具体的方法につきましては、三つに分けることができます。この三つとも基本的に、運輸部門の二酸化炭素排出量の約九割が自動車でございますので、自動車を主眼に置いた対策でございます。  第一は、自動車中心とした個別輸送機器のエネルギー消費効率の向上及び低公害車の技術開発、普及促進でございます。特に自動車の燃費の向上を積極的に推進いたしまして、ガソリン乗用車の新車につきまして二〇一〇年度までに九五年度比で約二〇%程度の燃費改善を目指すということを考えております。  それから第二は、旅客、貨物両部門におきまして、自家用乗用車やトラックより単位輸送量当たりの二酸化炭素排出量の少ない輸送機関の利用を促進することでございます。具体的には、旅客輸送では鉄道、バス等の公共交通機関の利用を促進する、それから貨物輸送では長距離貨物輸送を鉄道、内航海運に転換するいわゆるモーダルシフトを促進する。このほかトラック輸送におきまして、トラックの積載効率を向上させるといった特に物流の効率化を推進していくということでございます。  それから第三番目でございますが、環境に配慮した運転方法、いわゆるエコドライブと申しましょうか、環境に配慮した運転方法の推進をいたしたい。駐停車時のアイドリングストップ、急発進、空吹かしの抑制等環境に配慮した自動車の使い方をこれは国民全体でお取り組みをいただきたいということで推進をしてまいりたいと思います。  それで、これらの対策をするとどういうような数値目標になるかということでございますが、先ほども大臣の方から申しましたが、なかなか運輸部門というのは産業、民生と比べてもこれが難しい部門でございます。その結果、例えばただいま申し上げましたような三つの対策を講じない場合は二〇一〇年度に九〇年度比では約四割程度増加をしてしまうという予想をしております。しかしながら、ただいま申し上げましたような対策を講じていくことによりまして、この四割を一七%程度の伸びに抑制可能だというふうに見込んでおります。  いずれにいたしましても、この地球温暖化対策を運輸政策の中心的な課題一つとして取り組んでいきたいというふうに考えております。
  159. 末広まきこ

    末広まきこ君 その三つの対策のうちのまず燃費、そこに非常な技術的な問題があるようでございますね。  温暖化現象を防止するためには二酸化炭素の排出を抑える必要がある。例えばそのためには自動車のエンジンをより低燃費なものに改良しなければならない。ところが、低燃費技術と低排出ガス技術はこれは両立が難しい、今のところとても難しい。  それは、エンジンを完全燃焼させると高温であるがためにNOxが発生する、不完全燃焼させると燃料がたくさん必要になって今度はCO2が出てしまう。CO2を抑えるためには燃費をよくして完全燃焼させる必要があるんですが、この点NOxと両立しない。非常に難問です。つまり、CO2を抑えようとするとNOxが発生する、NOxを抑えるとCO2が出るという。これでは地球温暖化防止もやりにくいなと、現実的に。NOxの排出ガス規制もこれは規制ができました。大事なんですが、CO2対策というのもこれと同様に力を入れるというか、どっちに力を入れるのかお聞きしたいところなんですが、CO2対策はNOxとは違って法律面でのサポートがないんです。  低燃費エンジンの開発は、温暖化対策のみならず庶民の懐を助けるというありがたい効果がございます。低燃費型自動車を盛んに売り込んでおります。ある自動車メーカーは、期間を区切った対策ということを申しております。つまり、短期的にはCO2対策技術の育成をまずは優先して、長期的には両方の方向を目指していくような抑制策のあり方が必要ではないか、こういうふうに言っておりますが、この点について環境庁は具体的な方針をお持ちでございましょうか。
  160. 三宅哲志

    説明員(三宅哲志君) お答えいたします。  今後のガソリン自動車の排出ガス規制につきましては、先月の二十一日に中央環境審議会から二〇〇〇年を目途とする答申をいただいたところでございます。この答申におきましては、二〇〇〇年の排出ガス規制の目標値は低燃費技術の障害とならないよう配慮されておりますし、また、その後におきましても低排出ガス技術と低燃費技術とが両立する方向で技術開発が促進されるよう指摘されているところでございます。
  161. 末広まきこ

    末広まきこ君 もう一点環境庁にお伺いしておきたいんです。  最近は自動二輪車が四輪自動車とともに町にあふれてまいりました。大臣も自動二輪車の排ガスのすごさはもう十分御経験済みだと思うんですが、自動二輪車は排ガス対策がおくれておりまして、昨年の大気汚染防止法の改正でようやく規制の対象に含まれてまいりました。ところが、自動二輪車はエンジンの排気量が小さいために低燃費対策がとりにくいと伺っております。CO2対策は事実上野放しと言っても言い過ぎではないと思うんです。どうしても四輪自動車ばかりに目が向いておりますが、これ自動二輪車も大変問題があると思います。  自動二輪車から排出される温暖化ガスの現状と将来予測について把握していらっしゃるかどうかという点と、もし把握していらっしゃらない場合は、今後調査するおつもりがあるかどうか。
  162. 三宅哲志

    説明員(三宅哲志君) 一般に二輪車は、四輪自動車と比較しまして車両重量やエンジンの排気量が小さく燃費が格段にすぐれております。また、年間に走行する距離も四輪自動車と比較しまして八分の一から四分の一と大幅に短い状況にございます。したがいまして、二輪車から排出される二酸化炭素の総量は、環境庁の試算の一例では、運輸部門全体の排出量の中で一%に満たないという状況になってございます。  いずれにいたしましても、環境庁としましては、今後とも二輪車から排出される温暖化ガスの排出実態の把握と排出抑制対策の推進に努めてまいりたいというふうに考えております。
  163. 末広まきこ

    末広まきこ君 運輸省の方に今度はお尋ねしますが、地球温暖化防止を考えるときに、自動二輪車による影響も無視できないと私は考えます。今後は低燃費技術などといった新たな技術開発が自動二輪車には欠かせないのではないかと思いますが、運輸省としてはいかが取り組んでいかれるおつもりでしょう。
  164. 荒井正吾

    政府委員(荒井正吾君) 二輪車の低燃費度というのは、環境庁がお答えになったように運輸省でも認識しております。基本的には非常に排気量が少ないものですから、燃費の点では非常に効率的かと。  一方、先ほど委員が申されました区分で言いますと、排出ガスの方は少々問題があるんじゃないかという認識。例えば炭化水素、ハイドロカーボンというものの排出は割と多うございまして、自動車全体の中の二割程度は二輪車が占めているんじゃないかというふうに見ております。したがいまして、とりあえず排出ガスの規制を強化するということをプログラムに組んでおるところでございます。
  165. 末広まきこ

    末広まきこ君 ということは、今のところ、そうしますと自動二輪車は温暖化防止の中には入っておりませんから問題はないという御認識でございますね。  ことし七月に開かれた環境フォーラムで、ある自動車メーカーの社長は、二十一世紀は環境の時代であると宣言しまして、CO2対策と排出ガス対策に全力投球するとおっしゃいました。各自動車メーカーは、低公害車の登場を新たなビジネスチャンスととらえて新製品の開発にしのぎを削っております。現段階では一部のメーカーでハイブリッドカーが商品化されまして評判もなかなかよろしいというふうに伺っておりますが、ところが値段が高いんです。一般ユーザーには手が出ないという声が多うございます。  消費者に対しましては車両取得税の軽減、そして車検費用での優遇、またもう一方のメーカーに対しましては開発費用の助成という、両方への配慮が必要ではないかと思いますが、この点大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  166. 荒井正吾

    政府委員(荒井正吾君) 大臣答弁される前に、施策の現状をごく簡単に御説明させていただきます。  低公害車の普及、特に最近出ております低公害車と言っておりますのは、メタノール、電気、今申されましたハイブリッド、それからCNGと申します圧縮天然ガスが低公害車のカテゴリーで政策措置を講じております。政策措置の中身は、今委員申されました自動車取得税の二・四%軽減というのが税制では非常に大きな柱、あと予算措置運輸省といたしましては低公害バスの普及をわずかな予算でございますが図っておる面がございます。さらに、開発についての予算、それから普及についての予算の拡充、それから特に自動車取得税について、新しいハイブリッドタイプが出ておりまして、それを税制の対象にするというようなことは十年度で今要求しているところでございます。ちょっと実情を。
  167. 藤井孝男

    国務大臣藤井孝男君) 末広委員、二十一世紀は環境の時代だというお話でございましたが、私もそのとおりだと思います。もう一つ産業構造の中で大事なことは、一般廃棄物、産業廃棄物、こういった処理をどうするかという問題も同時にあるんじゃないかと私は思っております。そうした中で、やはり環境を守るという中で、低公害車を一部導入、もう販売した企業もありますけれども、さらにこれを普及させなければならない、そういう気持ちを運輸省といたしましても持っております。  そうした中で、やはり普及させるためにはメーカー側のいわゆるコストダウンを図るための技術開発もお願いしたいところでありますけれども、低公害車に対する自動車関係税制の軽減措置等々、そういった普及のための施策を充実してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  168. 末広まきこ

    末広まきこ君 大臣おっしゃるように、産廃処理の問題、これも大事な問題だと思います。今、京都国際会議でも代替フロンを温暖化防止の中に入れるかどうかというのが非常に微妙なところになっているというふうに認識しております。  京都会議では、ヨーロッパ型の節約、省エネ、エコ思想と、それからアメリカのいわゆる大量生産大量消費維持という考え方の間に立って、我が国は持続可能な経済発展、これをキーワードにしまして、この二つの意見の調整、着地点を探しているところでございますね。そんな時期だからこそ、温暖化問題に対する日本の取り組みに全世界の目が注がれていると思います。単なる調整役ではなくて、実行する姿を各国は見ていると思います。特に立ちおくれております運輸部門での対策に積極的な姿勢を見せていかれることが議長国としての日本の責務ではないかと思います。国民の一人一人が強い意思と自覚を持って地球温暖化防止に協力していけますよう、政府には迅速な対応をお願いしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  169. 泉信也

    委員長泉信也君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時散会      —————・—————