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1997-11-06 第141回国会 衆議院 本会議 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十一月六日(木曜日)     ―――――――――――――  議事日程第四号   平成九年十一月六日     午後一時開議  第一 財政構造改革推進に関する特別措置法     案(内閣提出)  第二 漁港法第十七条第三項の規定基づき、     漁港整備計画の一部変更について承認を     求めるの件  第三 中小企業等協同組合法及び中小企業団体     の組織に関する法律の一部を改正する法     律案内閣提出)     ――――――――――――― ○本日の会議に付した案件  議員辞職の件  日程第一 財政構造改革推進に関する特別措   置法案内閣提出)  日程第二 漁港法第十七条第三項の規定基づ   き、漁港整備計画の一部変更について承認を   求めるの件  日程第三 中小企業等協同組合法及び中小企業   団体組織に関する法律の一部を改正する法   律案内閣提出)  許可等有効期間延長に関する法律案内閣   提出)  持株会社設立等の禁止の解除に伴う金融関係   法律整備等に関する法律案内閣提出)、   銀行持株会社の創設のための銀行等に係る合   併手続の特例等に関する法律案内閣提出)   及び罰則の整備のための金融関係法律の一部   を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明及   び質疑     午後一時四分開議
  2. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。      ――――◇―――――  議員辞職の件
  3. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 議員森成二君から辞表提出されております。これにつきお諮りいたしたいと思います。  まず、その辞表を朗読させます。     〔参事朗読〕     辞 職 願   今般一身上の都合により衆議院議員辞職いたしたく御許可願います。    一九九七年十一月四日           衆議院議員 正森 成二   衆議院議長 伊藤宗一郎殿
  4. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 採決いたします。  正森成二君の辞職を許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、辞職を許可することに決まりました。      ――――◇―――――  日程第一 財政構造改革推進に関する特別措置法案内閣提出)  日程第二 漁港法第十七条第三項の規定基づき、漁港整備計画の一部変更について承認を求めるの件
  6. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 日程第一、財政構造改革推進に関する特別措置法案日程第二、漁港法第十七条第三項の規定基づき、漁港整備計画の一部変更について承認を求めるの件、右両件を一括して議題といたします。  委員長報告を求めます。財政構造改革推進等に関する特別委員長中川秀直君。     ―――――――――――――  財政構造改革推進に関する特別措置法案及び同報告書  漁港法第十七条第三項の規定基づき、漁港整備計画の一部変更について承認を求めるの件及び同報告書     〔本号末尾掲載〕     ―――――――――――――     〔中川秀直登壇
  7. 中川秀直

    中川秀直君 ただいま議題となりました財政構造改革推進に関する特別措置法案及び漁港法第十七条第三項の規定基づき、漁港整備計画の一部変更について承認を求めるの件につきまして、財政構造改革推進等に関する特別委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  まず、財政構造改革推進に関する特別措置法案について申し上げます。  本案は、国及び地方公共団体財政危機的状況にあることを踏まえ、財政構造改革の当面の目標、主要な経費に係る量的縮減目標政府が講ずべき制度改革及び地方財政健全化に関する事項等を定めるものであります。  その主な内容は、  第一に、財政構造改革の当面の目標として、平成十五年度までに国及び地方公共団体財政赤字の対国内生産比を三%以下とすることに加え、国の一般会計について特例公債から脱却すること等を定めております。  第二に、社会保障公共投資文教等歳出分野ごとに、改革基本方針量的縮減目標を定め、歳出改革縮減枠組みを明らかにしております。  第三に、地方財政健全化につきましては、地方公共団体は、国に準じ、財政構造改革に努め、財政の自主的かつ自立的な健全化を図る責務を有すること、政府は、地方財政計画における地方一般歳出抑制されたものとなるよう、必要な措置を講ずること等を規定しております。  次に、漁港法第十七条第三項の規定基づき、漁港整備計画の一部変更について承認を求めるの件について申し上げます。  本件は、我が国財政危機的状況もと漁港整備計画計画期間平成十三年度まで二年間延長することについて国会承認を求めようとするものであります。  両案件は、去る十月十七日本委員会に付託され、同日三塚大蔵大臣及び島村農林水産大臣からそれぞれ提案理由説明を聴取いたしました。同月二十日から質疑に入り、連日質疑を重ねたほか、同月三十日及び十一月四日には参考人からの意見聴取び質疑を行いました。また、十一月四日には民主党から量的縮減目標に関する規定削除等内容とする財政構造改革推進に関する特別措置法案に対する修正案提出され、趣旨説明を聴取した後、原案及び修正案について質疑を行う等慎重に審査を行い、同日質疑を終局いたしました。  主な質疑内容は、財政構造改革緊急性必要性並びにその手法の妥当性我が国経済現状認識景気対策あり方、本法案国会予算審議権との関係ウルグアイ・ラウンド対策費等補正予算取り扱い方針特別会計財政投融資改革方針国債管理政策あり方財政赤字の対国内生産比三%目標が達成できなかった場合の責任の所在、社会保障関係及び文教並びに中小企業対策予算抑制妥当性公共投資基本計画公共事業関係長期計画公共事業量的縮減目標との関係防衛予算妥当性政府開発援助あり方地方公共団体財政構造改革方針漁港整備計画進捗状況など、広範な観点から熱心な論議が交わされましたが、その詳細は会議録に譲ることといたします。  かくて、昨五日討論に入り、自由民主党野田聖子君から原案賛成修正案反対新進党原口一博君から原案反対修正案賛成民主党生方幸夫君から原案反対修正案賛成日本共産党矢島恒夫君から原案及び修正案反対社会民主党市民連合濱田健一君から原案賛成修正案反対太陽党粟屋敏信君から原案反対修正案賛成意見表明がありました。  討論終局後、採決に入り、まず、民主党修正案について賛成少数をもって否決し、次いで、財政構造改革推進に関する特別措置法案賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決し、漁港法第十七条第三項の規定基づき、漁港整備計画の一部変更について承認を求めるの件は賛成多数をもって承認すべきものと決しました。  以上、御報告を申し上げます。(拍手)     ―――――――――――――
  8. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 両件中、日程第一に対しては、池田元久君外一名から、成規により修正案提出されております。  この際、修正案趣旨弁明を許します。海江田万里君。     ―――――――――――――  財政構造改革推進に関する特別措置法案に対   する修正案     〔本号末尾掲載〕     ―――――――――――――     〔海江田万里登壇
  9. 海江田万里

    海江田万里君 私は、提案者を代表し、議題となりました内閣提出財政構造改革推進に関する特別措置法案に対する民主党提出修正案趣旨弁明をいたします。  民主党は、将来の世代に過大な負担を残す放漫財政とは決別し、予算のむだをなくして、本当に必要なところには十分な手当てができる財政に立て直すための財政構造改革推進することを基本方針としています。この観点から見ると、政府案は、財政収支つじつま合わせを優先し、予算重点配分という構造改革をなおざりにしたと言わざるを得ません。そこで、財政健全化構造改革を両立し、景気対策などにも柔軟に対応できる、与野党が合意可能な枠組みとして修正案を提案いたしました。  第一に、政府案では、財政赤字指標として中央政府地方政府貯蓄投資差額合計額を用い、これを二〇〇三年度までに国内生産の三%以内にするとしています。この貯蓄投資差額には外国為替管理特別会計など為替相場次第で変動する事業会計収支も含まれており、政府の恣意的な操作で毎年の赤字幅が大きく動くことになります。貯蓄投資差額は数字の確定に二年を要し、予算審議段階では財政赤字が確定することはありませんし、対国内生産比目標が達成できたかも検証できません。これでは、法律財政健全化目標を決めても、国会予算を民主的にコントロールすることは不可能です。  修正案では、財政健全化指標を国全体の借金を最も端的にあらわす国と地方自治体の公債発行及び借入金総額に改めています。これにより、財政健全化指標はわかりやすくなり、予算審議段階で容易にその達成状況を確認できます。  二〇〇三年度までに赤字国債ゼロというもう一つ目標も、国民に誤解を与え、財政構造改革を進める上でかえって有害なので削除しています。赤字国債を悪者扱いし、建設国債は野放しにするという財政運営のやり方こそが、隠れ借金を含めて五百二十兆円に上る今日の累積債務拡大を招いた大きな原因であることは、特別委員会議論を通しても明らかになりました。  また、財政健全化には、国全体の公債発行借入金総額を国の経済規模に対して一定以内に抑制することが重要です。赤字国債という部分ではなく、国債全体を管理することで、新たな財政運営規律を確立する必要があります。公債発行総額管理、国と地方債務総額管理という英国のコントロールトータルの考え方を導入すべきです。修正案では、国及び地方公共団体公債発行額及び借入金総額を毎年削減するよう努め、二〇〇三年度までに国内生産比で三%以内に抑制していくことを財政健全化目標としています。  また、政府案のように、集中改革期間と称して三年間にわたる分野別歳出上限キャップを設けることは、予算重点配分という本来の財政構造改革を阻害し、かえって財政硬直化を招くおそれがあるので、修正案では関連条文をすべて削除しています。分野別キャップ方式債務総額管理方式に改めることで、初めて財政規律の確保と予算重点配分を両立できると考えます。  財政再建の抜け穴を防ぐ意味で、補正予算編成は、災害や予想を超えた景気の悪化など、予算編成後の緊急な事由に基づ経費に限定すべきことは言うまでもありません。修正案では、公債発行及び借入金の増額を伴う補正予算国会提出に際して、目標年次までの残りの期間に必要な歳出減または歳入増のための計画国会提出するよう政府に義務づけています。これは日本版のペイ・アズ・ユー・ゴー、収支相償原則と言えるものです。これにより、国会で十分な情報をもとに、場合によっては財政健全化目標年次を動かすといった柔軟な議論もできるようになります。  公共事業教員配置等に関する計画の一律二年延長も、むだな公共事業などを温存する一方で、必要な予算手当てができないことになり、構造改革にはつながらないので、関連条文をすべて削除しています。  各歳出分野別方針については、公共事業予算は、入札制度改革公共事業に関する計画見直し等を前提に抑制する方針を明記しました。文教予算は、三十人学級の導入等を急ぐ観点から、矛盾する政府案の文言を削りました。防衛関係費は、肥大化する後年度負担抑制を図る観点から、国庫債務負担行為縮減に努める旨の規定を追加しています。医療保険年金制度改革など、何ら構造改革方向性を示さない努力義務規定も、不要なので削除しています。  こうした柔構造財政健全化枠組みの中で、修正案では毎年その執行状況に照らした見直しを行うことにしています。  以上が民主党提出修正案の概要であります。  現在の日本は、百年に一度の大転換期、大変革期を迎えています。そうした中で、財政構造改革を行うのはまさに国家百年の大計であります。二十一世紀日本社会が平和で自由で安心できる社会となるよう、その礎を築く民主党修正案にどうか与野党を超えた御賛同をいただけますよう心からお願いして、修正案趣旨弁明を終わります。(拍手)     ―――――――――――――
  10. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 討論の通告があります。順次これを許します。白川勝彦君。     〔白川勝彦登壇
  11. 白川勝彦

    白川勝彦君 私は、自由民主党社会民主党市民連合新党さきがけを代表して、ただいま議題となりました財政構造改革推進に関する特別措置法案及び漁港法第十七条第三項の規定基づき、漁港整備計画の一部変更について承認を求めるの件に賛成し、民主党提案修正案に対し反対討論を行うものであります。(拍手)  我が国は、戦後、焦土の中から、国民のたゆまぬ努力により、一人当たりの国民所得が米国の一・三倍になるなど、豊かな経済社会を築き上げてまいりました。しかしながら、高齢化の急速な進展、それに伴う生産年齢人口の大幅な減少が見込まれるもとで、従来のような単純な右肩上がり経済成長が望めない状況となっております。  一方、二次にわたる石油危機バブル崩壊後の景気調整財政政策に大きく依存した結果、長期債務残高は、国と地方を合わせて今や国内生産額に匹敵するまでの巨額なものとなり、主要先進国の中でも最悪と言われる危機的な財政状況となっております。  さらに、今後、少子・高齢化進展に伴う財政支出増加が確実視され、現状を放置したままでは、経済の活力が著しく低下し、将来世代に背負い切れない負担を残すことは明らかであります。  本法案は、こうした我が国財政の危機的な状況を踏まえ、早急に財政健全化を図り、多様な財政需要に対応できる財政構造を実現するため提出されたものであり、まことに時宜にかなった措置であります。  以下、賛成する理由を具体的に申し述べます。  第一は、財政構造改革緊急性かつ必要性についてであります。  我が国平成九年度の長期債務残高は、国、地方合わせて約四百七十六兆円に達する見込みであります。このまま財政赤字の累増を放置すると、国の財政破綻し、本来国が果たすべき役割を果たせなくなるばかりでなく、社会保障制度崩壊が懸念される等、深刻な社会問題が生ずるおそれがあります。その意味で、一刻も早く財政構造改革に着手し、その着実な実行を図ることが強く求められているところであり、本法案はその期待に沿うものであります。  野党は、財政構造改革よりも景気対策を優先すべきとの主張をされていますが、バブル崩壊後の累次にわたる経済対策が、財政赤字を急速に拡大させた要因であったばかりでなく、経済社会構造改革への取り組みをおくらせてきた原因となつたことは周知の事実であります。さらにつけ加えるならば、主要先進国においては、安定した経済成長を達成するためには、健全な財政を維持していくことが不可欠であるとの認識が常識化しております。  その第二は、本法案において、量的縮減目標を設定するとともに、制度改革及び基本方針を定める等、財政構造改革具体的方策を明らかにしていることであります。  本法案において、これまでの概算要求基準にはない、例えば、公共事業費七%削減政府開発援助費の一〇%削減を初め、防衛費社会保障関係費等抑制を明示し、個々の歳出の中身にまでも踏み込んだことは、財政健全化に向けた改革を確実に行い得る方策として評価すべきものであります。  また、財政運営の当面の方針において、特別会計を含むすべての歳出分野対象として改革を進めるものとされており、さらに地方財政健全化についても積極的に取り組むこととされております。特別会計あるいは地方財政に言及していないとする野党の指摘は、的外れなものと言わざるを得ません。  その第三は、財政構造改革目標を明確にしているところであります。  財政構造改革推進する上で重要なことは、政府みずからが目標を掲げ、実行するという強い決意を示すことであります。  本法案において、西暦二〇〇三年度までに財政赤字国内生産比三%以下にするなどの目標を定めたことは、財政改革に対する政府の並々ならぬ意思を示したものであり、高く評価するものであります。また、この目標達成によって長期債務残高上昇にも歯どめがかけられることになり、この点においても財政健全化に資することとなります。  野党からは、本法案は当初予算のみに限定されているとの批判がありますが、本法案における財政健全化目標はいずれも補正予算を含めた実績値をもって示すこととなっており、補正予算についてもその枠内にあることは明白であります。  賛成の第四の理由は、本法案は、中長期的には、国民負担率上昇を抑え、公的部門簡素合理化などにより経済活性化に資するものであることであります。  現状を放置すれば、財政赤字を加えた潜在的な国民負担率は、西暦二〇二五年度には七〇%を上回ると試算されております。所得の七割が税と社会保障で消え、自分が実際に使えるお金は三割しかないということになると、勤労意欲が喪失するなどの深刻な問題が生ずることは明らかであります。本法案においては、この国民負担率が五〇%を上回らないよう、歳出分野対象とした改革推進することにより、その抑制を図ることといたしております。  豊かさを維持し、自由で活力ある経済社会を築くことが国民に対する私たちの責務であります。真剣に国の将来を憂えるならば、この目標に向けて命がけで努力することが、まことの政治家の姿であります。(拍手)  なお、承認案件については、漁港整備計画計画期間を二年間延長するものであり、財政構造改革を着実に推進する見地から賛成であります。  寒風に耐えて梅花開く。いかにつらく困難を伴おうとも、今財政構造改革を断行することが、二十一世紀における我が国の活力ある経済社会の実現に結びつくものであります。ここで財政構造改革をちゅうちょすることは、医療年金制度破綻、ひいては我が国財政崩壊につながりかねず、将来に大きな禍根を残すこととなります。その意味で、財政構造改革に取り組んでいるさなかに、景気対策として所得税大幅減税等を要求する野党の態度は到底理解できません。(拍手)  なお、民主党提案修正案については、量的縮減目標に関する規定を削除する等、財政構造改革の道筋を何ら示しておらず、非現実的であり、反対いたします。  以上をもちまして、私の討論といたします。(拍手
  12. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 北側一雄君。     〔北側一雄登壇
  13. 北側一雄

    北側一雄君 私は、新進党を代表し、ただいま議題となりました政府提出の両案に反対し、民主党提出修正案賛成する立場から討論を行います。(拍手)  当面する景気情勢は、ますます深刻化しております。我々新進党は、政府に対し、ここ数年来、内需拡大経済政策へと大きく踏み出すことを幾度となく要求してまいりました。しかし、住専処理を初め、景気判断や数々の政策誤りなど、この間の政府経済失政は目を覆うばかりであります。  第一に、今年度、私どもが、日本経済はまだ病み上がり、今はまず経済を自律的な回復基調に乗せることが先決と何度も申し上げ、反対した消費税率引き上げ特別減税の廃止、医療費自己負担引き上げによって、国民に約九兆円もの負担増を強いました。その一方で、公共投資削減した九年度予算。その上、極めて異常な超低金利が二年を超えて継続。年金生活者などの生活を不安に陥れ、基金などの運営に大きな打撃を与えているではありませんか。これでは経済が悪くなるのは当たり前、せっかく芽生えかけてきた景気回復の芽をしっかり摘んでしまったことは、火を見るより明らかであります。  第二に、住専処理の仕方の大きな誤りであります。昨年の住専国会で私どもは申し上げました。ノンバンクの一つにすぎない預金者のいない住専不良債権処理公的資金を使ってはならない、通常の法的手続で処理すべき、それで銀行等金融機関破綻するならつぶす、経営者責任もきちんととってもらう、ただし、断じて預金者貯金者だけは守る、そのためには公的資金導入もやむを得ない、そのようなセーフティーネットをつくるべきだと強く申し上げ、現に我々は、日本版RTC具体案を提案いたしました。  ところが、我々のこの主張を聞き入れず、この住専処理で六千八百五十億円もの税金を投入し、一方、金融三法の中で、信用組合の破綻の場合にのみ公的資金を入れるとのシステムにしました。  こんなこそくな、また中途半端な対策しかとらず、条件、環境を整備しないまま、金融機関早期是正措置や外為の自由化導入し、金融不安を助長しているではないですか。その結果、いまだに金融機関不良債権処理を泥沼化させ、またいまだに異常な超低金利を続けざるを得ない。さらには、金融機関の貸し渋り、また強引な債権回収企業経営を一層困難にしているではないですか。日本経済が立ち直らない一番の原因がここにあります。  以上、述べましたように、現在の経済不況原因は、明らかに橋本政権のとった政策にあります。今の景気低迷は、政策不況と言わざるを得ません。その意味で、我々新進党は、政権交代こそ最大の景気対策であると強く訴えるものであります。(拍手)  以下、具体的に、本法案反対する理由を申し述べます。  第一の問題点は、本法案景気に与える悪影響についてであります。  我が党の委員の、この法案に従って財政構造改革をやったときに日本経済にどういうインパクトを与えるかとの質問に対し、何と、シミュレーションはないとの答弁でございました。経済に与える影響の具体的な検討なしで、何が二〇〇三年度財政赤字三%ですか。極めて無責任と言わざるを得ません。  現在の経済情勢景気状況の中で、来年度からの歳出削減国債発行縮減を専らその内容とし、財政出動の手足を縛る本法案をこの時期に成立させてしまったならば、まさに政策不況だめ押しとなってしまいます。  財政再建財政改革反対する人は一人もおりません。しかし、日本経済あっての財政再建です。経済が失速すれば財政も悪化します?  アメリカ財政赤字がなぜ急激に減ったのか。確かに九四年に大幅な歳出削減増税に踏み切ったのですが、アメリカでは規制緩和を初めとする経済構造改革が八〇年代から先行し、これによる景気拡大企業に高収益を、個人に所得増加をもたらし、そして税収を大きく押し上げていったのです。そうした中で、思い切った歳出削減増税政策を九三年に打ち出したのであります。財政赤字の縮小に向けての貢献度は、景気拡大効果による税の増収が五五%を占めておるとの試算もございます。経済再建なくして財政再建なし、このことを改めて銘記すべきであります。  さて、一昨日の自民党総務会では、複数の有力な議員から次のような意見が出たそうであります。  今の景気経済状況を考えると、これは自民党総務会議論です、本法案を成立させ、財政運営の手を縛り、枠をはめることでいいのか、庶民に不安の声が沸き起こっている、この法案を納得して参議院に送れるだろうか。また、財政再建財政出動は矛盾しない、当面の問題と中長期の問題を分けて考える必要がある、政府経済見通しも変わったのだから、財政出動はしないなんてばかなことを言わず、割り切った処方せんを用意すべきだ。これは自民党議員発言です。さらには、法案を撤回することが景気対策になるとの発言まであったそうであります。  また、当委員会質疑でも、自民党委員から次のような質問がなされました。  そのまま引用しますと、かなり激しく日本経済の現況を深刻に受けとめて、とにもかくにも景気の先行きが予断を許さない状況にある中で、景気対策を先行しなければならないんじゃないか、経済がおかしくなって改革も何もあったものではないとの自民党議員質問があったのです。そしてその上で、二兆円の所得税特別減税や法人税の引き下げなど、財政出動によって景気対策をやるべきだと提案をされたのであります。極めて見識のある発言であります。  先ほどの自民党議員発言のとおり、現在の経済情勢景気状況から見て、本法案を撤回すべきと強く主張するものであります。(拍手)  次に、本法案反対する第二の理由は、財政の構造の改革にふさわしい内容は何も入っていないということであります。  例えば、各種の公共事業計画について、事業量を変更することなく二年また三年と先延ばしをしただけであって、何ら各公共事業内容あり方を検討したわけではありません。これで何が構造改革ですか。  また、財政改革という以上、歳入である税制のあり方、また第二の予算である財政投融資あり方、また累積する長期債務についての目標について、せめてその理念、改革方向性について法案の中で明示すべきであるにもかかわらず、何ら触れられておりません。  さらには、この法案内容では、当初予算作成への拘束力となっても補正予算に対する拘束力になっておりません。  第三に、二〇〇三年度対GDP比率財政赤字三%以内という目標への筋道、過程が極めて不明確、あいまいだということです。  大蔵省の作成した「財政事情の試算」によれば、この法案内容に従い、個別の歳出削減した来年度予算の概算要求額でも、要調整額、歳入と歳出のギャップが約二兆円から三兆円であるという計算となっております。それも十一年度以降、さらにこの要調整額が増加してくるというものであります。  この要調整額を、政府は一体どのように処理をしようというのですか。これに対して委員会では何ら具体的な答弁はありませんでした。本法案量的縮減目標によって、既に社会保障も、公共投資も、文教予算も、ODAも、歳出削減された概算要求額であります。これをさらに数兆円も削減しようというのでありましょうか。  さらには、国鉄や国有林野の長期債務の処理も来年度から始まる。一方で、九年度の税収は、この景気状況の中で思ったように現に入っていない、九年度は税収欠陥になる危険性もある等々、この要調整額が減るどころか、ふえる要素の方が多いという状況であります。政府は、いずれまた増税をやってこの要調整額を処理しようとしているのではないかと疑わざるを得ません。  その他、この法案には、数値目標が達成できないときの責任内容、所在がなきに等しいこと、また量的数値目標そのものの根拠が全くないこと、行政改革による歳出削減について何ら触れられていないこと等々、この法案問題点は枚挙にいとまがありません。  一方、民主党提出修正案は、政府原案の主要な問題点を削除するとともに、財政赤字の定義も国と地方債務合計額の対GDP比率として簡明にし、また財政構造改革国民共通の目標とすることに目的を絞って、財政の機動性を確保しています。財政改革目標を法文として明記し、宣言することは重要であり、賛成をいたします。  以上、政府原案反対し、民主党提出修正案賛成する主な理由を申し述べました。議員各位の賢明な御判断と、とりわけ社会民主党所属の委員各位におかれましては、その主張は、二兆円の特別減税主張されておられるわけでございますので、政府原案と全く相反する内容であることを御留意されまして、自己の政治信念に忠実なる御選択をされんことをお願いしまして、私の討論といたします。(拍手
  14. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 石毛鍈子君。     〔石毛鍈子君登壇
  15. 石毛えい子

    ○石毛鍈子君 私は、民主党を代表し、議題となりました内閣提出財政構造改革推進に関する特別措置法案及び同法案に対する民主党提出修正案、並びに内閣提出漁港法第十七条第三項の規定基づき、漁港整備計画の一部変更について承認を求めるの件について、法律案政府原案反対し、修正案及び修正後の政府案賛成するとともに、承認案件反対する立場で意見を申し上げます。(拍手)  民主党は、将来の世代に過大な負担を残すような放漫財政とは決別し、予算のむだをなくし、必要な手当てはしっかりできる財政に立て直すという意味で、財政構造改革を積極的に推進することを基本方針としています。景気動向などに配慮しながら着実に財政構造改革を進めていくことが、長い目で見て、日本経済の足腰を強くし、成長力を回復することにつながると確信しています。  ところが、政府案は、とても財政構造改革につながるものとは思えません。従来シーリングとして閣議で決めてきた分野別歳出上限を三年間にわたって法律で決めてしまうことは、将来の政策選択の幅を狭め、国会予算審議権を奪い、財政硬直化、既得権化を進めるおそれがあります。毎年数兆円規模の要調整額の処理、国鉄長期債務や国有林野事業の赤字の抜本的な解決策について、政府は、年末の予算編成に先送りして、何らの展望も示してはいません。  二〇〇三年までに財政赤字国内生産の三%以内にするという政府目標も、中央政府地方政府貯蓄投資差額指標にしているために、幾らでもごまかしができます。貯蓄投資差額には為替相場次第で変動する事業会計収支も含まれ、予算審議段階では確たる見通しも立ちません。これでは、法律財政健全化目標を決めても、国会予算を民主的にコントロールすることは不可能です。  二〇〇三年度までに赤字国債ゼロという政府案のもう一つ目標も、財政構造改革の役に立たないことは明らかです。赤字国債を悪者扱いし、建設国債は野放しにするという財政運営のやり方では、隠れ借金を含めて五百二十兆円を超す今日の累積債務拡大を防げませんでした。  政府案の各歳出分野別改革方針には全く具体性がありませんし、行政改革への熱意も感じられません。公共事業に関する計画の一律二年延長も、むだな事業をやり続けるのでは構造改革にはつながりません。この観点から漁港整備計画変更も認めることはできません。  公共事業予算は、入札制度改革や「時のアセスメント」の観点から時代に合わなくなった公共事業を見直す仕組みを導入することで大幅に抑制していく必要があります。公共事業に構造的なメスを入れない一方で、展望もなく社会保障関係費を削り込むことは許されません。  政府案は、本当にやらなければならない構造改革を避け、三年分の予算編成をがんじがらめに縛っているだけです。これでは、いずれ国民負担増加という安易な路線に走るであろうことは明らかではありませんか。私たちは断じて政府原案を認めるわけにはいきません。(拍手)  財政健全化には、国全体の公債発行借入金総額を国の経済規模に対して一定の範囲内に抑制することが重要だと民主党は考えています。そのためには、赤字国債という部分ではなく、国債全体を管理する新たな財政運営規律を確立する必要があります。公債発行総額管理、国と地方債務総額管理という英国の予算編成のルールであるコントロールトータルの考え方の導入です。  修正案では、国全体の借金を端的にあらわす国と地方自治体の公債発行及び借入金総額財政健全化指標とし、二〇〇三年度までに国内生産比で三%以内に抑制していくことを当面の財政健全化目標としています。  財政構造改革を進める上で重要なことは、財政健全化予算重点配分という構造改革の課題を同時に実現でき、与野党が合意できる柔軟な枠組みをつくることです。債務総額管理方式導入することで、初めて財政規律の確保と予算重点配分が両立できるのです。  財政健全化の抜け穴を防ぐ意味で、補正予算編成は、災害や予想を超えた景気の悪化など予算編成後の緊急の事由に基づ経費に限定すべきことは言うまでもありません。  修正案では、公債発行及び借入金の増額を伴う補正予算国会提出に際して、目標年次までの残りの期間に必要な歳出減または歳入増のための計画国会提出するよう政府に義務づけています。これにより、国会で十分な情報をもとに、場合によっては財政健全化目標年次を動かすといった柔軟な議論もできるようになります。  こうした枠組みもとで、毎年その執行状況に照らした見直しを行うというのが民主党の提案です。与党の多数で押し切るのでなく、与野党が合意できる内容に修正すべきです。  民主党の提案に与野党の枠を超えた賛同をお願いして、私の討論といたします。(拍手
  16. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 児玉健次君。      〔児玉健次君登壇
  17. 児玉健次

    ○児玉健次君 私は、日本共産党を代表して、財政構造改革推進に関する特別措置法案及び漁港整備計画の一部変更について承認を求める件について反対討論を行います。(拍手)  反対する第一の理由は、この法案が、財政の浪費の構造を温存したまま、国民の命や健康にかかわる医療社会保障の分野を初めとして、国民生活のあらゆる分野にわたって全面的な予算切り捨てを連続的に強行するという、過去に例のない大改悪だということであります。  社会保障について、来年度は、高齢者の増加等、社会保障の現在の水準を維持するのに必要な経費、いわゆる当然増だけでも八千五百億円とされるのに、これを五千五百億円も削減して三千億円増にとどめる、九九年度以降の二年間も二%の伸びにとどめることとして、来年度と同額程度の削減を義務づけています。二兆円の負担増国民に強要した九月からの医療保険制度の改悪でも、国庫負担削減額は平年度ベースで三千億円です。この法案内容を実行すれば、ことしを上回る国民負担増が今後三年連続して押しつけられることになるのは明白であります。  政府・与党が検討している削減内容を見ても、難病患者の命の綱である医療費の国庫負担削減する、現在は扶養家族となっている三百四十万人のお年寄りからも新たに保険料を取り立てる等、弱者に容赦なく負担を押しつけるものです。また、教育、中小企業、農業、地方財政など、予算の縮小、切り捨ては国民生活のあらゆる分野に向けられています。  その一方で、今日の財政危機を招いた根源であるゼネコン奉仕の公共投資や軍事費などの浪費は温存するものとなっています。最も国民の批判を集めている公共投資の浪費について、法案にわざわざ「事業の量を変更することなく」と書き込んで、浪費的内容見直しをしないまま、計画期間を若干延長するだけです。また、欧米諸国では軍事費を減らしているのに対して、この法案では軍事費を前年度並みに据え置き、米軍への思いやり予算には何らメスを入れておりません。その上、新たな思いやり予算というべきSACO経費を別枠とすることによって、実質増加となる道を開いています。  財政構造改革というのなら、こうした浪費にメスを入れるのが当然です。それをしない本法案は、財政構造改革法案の名に全く値せず、単なる国民生活予算切り捨て法案にほかなりません。(拍手)  しかも、国会提出された大蔵省の試算によっても明らかなように、本法案に盛り込まれた国民生活予算削減をすべて実行しても、政府が掲げた赤字国債ゼロなどの目標が達成される見通しは極めて困難であります。浪費の根源にはメスを入れないまま赤字国債ゼロの目標達成を目指すとすれば、社会保障などの一般歳出をさらに削り込むか、地方交付税の削減地方自治体に負担を転嫁するか、それとも消費税率の再引き上げなどの新たな増税を行うか、この三つの選択肢しかありません。これではいずれにせよ、国民は二重三重の負担を押しつけられるだけであります。  反対理由の第二は、この法案が、憲法の予算単年度主義の原則を踏みにじり、今後三年間の国民生活切り捨ての予算の骨格を法律であらかじめ定めてしまい、これを問答無用で国会国民に押しつけるという前代未聞の悪法だからであります。  憲法第八十三条は「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。」と財政に関する議会主義の原則を定めた上で、国会予算に対する審議権を確保するための保障として、第八十六条において、「内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会提出して、その審議を受け議決を経なければならない。」と予算単年度主義の原則を明確に定めております。  ところが、本法案は、来年度予算の一般歳出総額を今年度以下に抑えることを初め、今後三年間にわたる主要経費ごとの上限の設定など、予算の基本的骨格についてあらかじめ法定してしまうものになっています。実際に各年度の予算国会で審議される段階では、もう法律で決まっているからとして、有無を言わさず国会国民予算が押しつけられることになります。これは実質的に国会の審議権を奪うものであり、財政民主主義に反するこのような法案を断じて認めるわけにはいきません。(拍手)  反対の第三の理由は、九兆円の国民負担増という政府の誤った経済のかじとりによる深刻な不況が続いている現状もとで、本法案による新たな負担増は、不況に一層の追い打ちをかけ、税収の伸び悩みによって財政再建にも逆行するものになることが必至だからであります。  今求められているのは、財政危機の真の原因である公共投資や軍事費の浪費にメスを入れ、社会保障の公費負担は二十兆円、公共投資は五十兆円という、欧米諸国には例のないゆがんだ財政構造を根本的に改めることによって、国民生活の向上と景気の回復、高齢化社会に向けて社会保障の充実を図りながら財政再建を進めることです。日本共産党が昨年発表した財政再建十カ年計画で示した方向こそが、財政危機から脱出する確かな道であります。この道と正反対の本法案では、国民生活破壊、財政破綻という最悪の道を進むことは明白であります。  なお、民主党修正案は、集中改革期間における主要な経費量的縮減目標その他を削除していますが、政府案に明記されている「人口構造の高齢化等に伴う社会保障関係費の増加額をできる限り抑制するものとする。」政府案第七条ですが、この部分など、本法案国民生活切り捨ての骨格をそのまま容認するものであり、賛成できません。  最後に、私は、本法案の撤回を強く要求して、反対討論を終わります。(拍手
  18. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 岩國哲人君。     〔岩國哲人君登壇
  19. 岩國哲人

    ○岩國哲人君 私は、太陽党を代表し、政府提出財政構造改革推進に関する特別措置法案反対し、池田元久君外一名提出の同法案修正案賛成し、漁港法第十七条第三項の規定基づき、漁港整備計画の一部変更について承認を求めるの件に反対の立場から討論を行います。  今や五百兆円を超える財政赤字を抱え、世界最大の財政赤字国となっている我が国にとって、財政再建が現下の急務であるとの認識は、政治に携わる者すべてがひとしく共有するものであると考えます。  しかし、本法律案は、歳出削減のみに偏し、財政構造改革には歳入増加の方策も必要だとの視点が欠如しております。歳入増加とは、経済活性化による税収の増加であります。つまり、経済成長による税の増収なくして財政の再建はあり得ないということです。  ことしの四-六月期の国内生産は年率換算でマイナス一一・二%と二十三年ぶりの減少となったことは、既に各議員からも指摘され、回復基調にあると言い続けてこられた政府も、足踏みとの表現で景気が停滞していることを認めざるを得なくなっております。ことしの成長率について、世界最大の投資銀行の一つ、メリルリンチの調査リポートでは、年初の予測は一・六%であったものを九月初めに〇%と下方修正し、その他の各調査機関も軒並み下方修正をし、上方修正をした調査機関は一社もありません。  消費税の引き上げ特別減税の廃止、医療保険負担増等で九兆円ものお金が国民の財布から減ってしまい、その上、株価の下落で一年間に五十兆円の損失による逆資産効果が加わって、消費が冷え込むのは当然であります。十月の自動車の新車販売台数が前年同月比で一三%も減ったことを初め、ほとんどの消費財の売り上げが減っていることは、あらゆる指標からも明らかであります。消費の停滞が景気を冷やし、さらなる停滞を呼ぶという悪循環に入っているのではないでしょうか。  一方、日本の潜在的体力に目を向けますと、経済の現況とは違ってそう悲観したものではありません。千二百兆円の個人資産があり、輸出競争力もあり、世界最大の債権国であり、外貨準備も最大であります。しかし、もしこのまま実体経済がなえていくような事態となれば、取り返しがつかぬこととなってしまいます。今求められているのは、経済活性化のための構造的経済対策ではないでしょうか。それは、減税以外にはありません。  財政再建を優先し財政出動はしないというのが政府の基本姿勢のようですが、公共投資と減税を混同してはなりません。公共投資は大きな政府を生む要素をはらんでいますが、減税は民間経済活性化を通して税の増収につながり、民間活力の活用等で規制緩和が進めば、大きな政府を必要としなくなるのです。  何度も申し上げておりますが、赤字国債が問題なのは、赤字がさらに赤字を生むような硬直化した財政構造があるからであり、国債の使途を公共事業主導から減税主導にして経済発展が伴うものとすれば、将来の税の増収につながることになるのです。減税と財政構造改革は全く矛盾しないところか、財政再建のためには避けて通れぬ選択と考えます。  単純化した言い方で恐縮ですが、例えば金利六%のときに二兆円の国債を発行するのと、金利二%のときの六兆円の国債発行は同じコストとなります。低金利の今こそ、所得減税と公共投資を含めた経済活性化を目的とした国債を発行すべきではないでしょうか。そして、所得制限も借入制限も、すべての制限を撤廃したわかりやすい大胆な住宅減税を行って、景気の浮揚を図るべきだと考えます。  本法案では三・五%の名目経済成長率の達成が前提となっておりますが、この数字は、平成七年十二月に閣議決定の構造改革のための経済社会計画期間中の三・五%の名目経済成長率見込みに準拠しているものと思われますが、この二年前の計画で描かれた経済の姿と現在の実体経済は大きく乖離しております。果たして三・五%を達成できるのでしょうか。現在の危機的状況にある景気の回復についてもいまだ明確な対策を示さず、さまざまな措置を講じてといった抽象論で当面を糊塗しているばかりでは、三・五%の達成は不可能と断じざるを得ません。  十月一日に財政構造改革会議企画委員会提出された「財政事情の試算」では、名目成長率を半分の一・七五%とした場合でも、六年間歳出の伸びをゼロにして、それでも要調整額は生じることになっておりますが、この処理についても明確な答弁をいただけませんでした。国鉄や林野の債務の処理についても、一向に明確な策は見えません。計画期間六年間の経済運営の指針はもとより、国民に多大な我慢を強いておりながら、民の財布の状況がどうなるのか、何一つ示されておりません。  肝心な景気対策には手かせ足かせをはめ、大事な数字は口任せ、責任は先送りの人任せ、それを絵にかいたような本法案には賛成できません。  以上申し上げましたように、両案については、財政再建の方向づけが不十分であり、反対いたします。  なお、池田元久君外一名提出修正案については、財政の透明化、その他問題の解決に資するとの見地から賛成であることを申し上げて、討論を終わります。(拍手
  20. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  21. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) これより採決に入ります。  まず、日程第一に対する池田元久君外一名提出修正案につき採決いたします。  池田元久君外一名提出修正案賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  22. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 起立少数。よって、修正案は否決されました。  次に、日程第一につき採決いたします。  この採決は記名投票をもって行います。  本案の委員長報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参されることを望みます。――議場閉鎖。  氏名点呼を命じます。     〔参事氏名を点呼〕     〔各員投票〕
  23. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開票。――議場開鎖。  投票を計算させます。     〔参事投票を計算〕
  24. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 投票の結果を事務総長から報告させます。     〔事務総長報告〕  投票総数 四百七十五   可とする者(白票)      二百六十六   否とする者(青票)        二百九     〔拍手
  25. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 右の結果、財政構造改革推進に関する特別措置法案委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)     ―――――――――――――  財政構造改革推進に関する特別措置法案を可とする議員の氏名       安倍 晋三君    相沢 英之君       逢沢 一郎君    愛知 和男君       赤城 徳彦君    浅野 勝人君       麻生 太郎君    甘利  明君       荒井 広幸君    新井 将敬君       井奥 貞雄君    伊藤 公介君       伊吹 文明君    飯島 忠義君       池田 行彦君    石川 要三君       石崎  岳君    石破  茂君       石橋 一弥君    石原 伸晃君       稲垣 実男君    稲葉 大和君       今村 雅弘君    岩永 峯一君       植竹 繁雄君    臼井日出男君       江口 一雄君    江渡 聡徳君       江藤 隆美君    衛藤征士郎君       衛藤 晟一君    遠藤 武彦君       遠藤 利明君    小川  元君       小此木八郎君    小里 貞利君       小澤  潔君    小野 晋也君       小渕 恵三君    尾身 幸次君       越智 通雄君    大石 秀政君       大島 理森君    大野 松茂君       大野 功統君    大原 一三君       大村 秀章君    太田 誠一君       奥田 幹生君    奥野 誠亮君       奥山 茂彦君    加藤 紘一君       加藤 卓二君    嘉数 知賢君       柿澤 弘治君    梶山 静六君       粕谷  茂君    金子 一義君       金子原二郎君    金田 英行君       亀井 静香君    亀井 久興君       亀井 善之君    川崎 二郎君       河井 克行君    河村 建夫君       瓦   力君    木部 佳昭君       木村 隆秀君    木村 義雄君       岸田 文雄君    岸本 光造君       北村 直人君    久間 章生君       久野統一郎君    鯨岡 兵輔君       熊谷 市雄君    熊代 昭彦君       栗原 博久君    栗原 裕康君       栗本慎一郎君    小泉純一郎君       小杉  隆君    小林 興起君       小林 多門君    古賀  誠君       河野 太郎君    河野 洋平君       河本 三郎君    佐田玄一郎君       佐藤 孝行君    佐藤 静雄君       佐藤 信二君    佐藤 剛男君       佐藤  勉君    斉藤斗志二君       坂井 隆憲君    坂本三十次君       阪上 善秀君    桜井 郁三君       桜井  新君    櫻内 義雄君       桜田 義孝君    笹川  堯君       自見庄三郎君    実川 幸夫君       島村 宜伸君    下地 幹郎君       下村 博文君    白川 勝彦君       新藤 義孝君    菅  義偉君       杉浦 正健君    杉山 憲夫君       鈴木 俊一君    鈴木 恒夫君       鈴木 宗男君    砂田 圭佑君       住  博司君    関谷 勝嗣君       園田 修光君    田中 和徳君       田中 昭一君    田中眞紀子君       田邉 國男君    田野瀬良太郎君       田村 憲久君    高市 早苗君       高鳥  修君    高橋 一郎君       滝   実君    竹下  登君       竹本 直一君    武部  勤君       橘 康太郎君    棚橋 泰文君       谷  洋一君    谷垣 禎一君       谷川 和穗君    谷畑  孝君       玉沢徳一郎君    近岡理一郎君       中馬 弘毅君    津島 雄二君       塚原 俊平君    戸井田 徹君       東家 嘉幸君    虎島 和夫君       中川 昭一君    中川 秀直君       中曽根康弘君    中谷  元君       中野 正志君    中村正三郎君       中山 太郎君    中山 利生君       中山 成彬君    中山 正暉君       仲村 正治君    長勢 甚遠君       丹羽 雄哉君    西川 公也君       西田  司君    額賀福志郎君       根本  匠君    能勢 和子君       野田 聖子君    野田  実君       野中 広務君    野呂田芳成君       葉梨 信行君    萩山 教嚴君       橋本龍太郎君    蓮実  進君       浜田 靖一君    林  幹雄君       林  義郎君    原 健三郎君       原田昇左右君    原田 義昭君       桧田  仁君    平沢 勝栄君       平沼 赳夫君    平林 鴻三君       深谷 隆司君    福田 康夫君       藤井 孝男君    藤波 孝生君       藤本 孝雄君    二田 孝治君       船田  元君    古屋 圭司君       保利 耕輔君    穂積 良行君       細田 博之君    堀内 光雄君       堀之内久男君    牧野 隆守君       増田 敏男君    町村 信孝君       松岡 利勝君    松下 忠洋君       松永  光君    松本 和那君       松本  純君    三ツ林弥太郎君       三塚  博君    御法川英文君       宮澤 喜一君    宮路 和明君       宮下 創平君    武藤 嘉文君       村岡 兼造君    村上誠一郎君       村田敬次郎君    村田 吉隆君       村山 達雄君    目片  信君       持永 和見君    望月 義夫君       茂木 敏充君    森  英介君       森  喜朗君    森田  一君       森山 眞弓君    八代 英太君       谷津 義男君    保岡 興治君       柳沢 伯夫君    柳本 卓治君       山口 俊一君    山口 泰明君       山崎  拓君    山下 徳夫君       山中 貞則君    山本 公一君       山本 有二君    与謝野 馨君       横内 正明君    吉川 貴盛君       吉田六左エ門君    米田 建三君       渡辺 具能君    渡辺 博道君       渡辺 喜美君    綿貫 民輔君       萩野 浩基君    伊藤  茂君       上原 康助君    北沢 清功君       辻元 清美君    土井たか子君       中西 績介君    畠山健治郎君       濱田 健一君    保坂 展人君       前島 秀行君    村山 富市君       横光 克彦君    伊藤 達也君       上田 清司君    鴨下 一郎君       園田 博之君    武村 正義君       今井  宏君    山本 幸三君  否とする議員の氏名       安倍 基雄君    愛野興一郎君       青木 宏之君    青山  丘君       青山 二三君    赤羽 一嘉君       赤松 正雄君    東  祥三君       井上 喜一君    井上 義久君       伊藤 英成君    池坊 保子君       石井  一君    石垣 一夫君       石田 勝之君    石田幸四郎君       一川 保夫君    市川 雄一君       岩浅 嘉仁君    上田  勇君       漆原 良夫君    江崎 鐵磨君       遠藤 乙彦君    遠藤 和良君       小沢 一郎君    小沢 辰男君       大口 善徳君    太田 昭宏君       近江巳記夫君    岡島 正之君       岡田 克也君    鹿野 道彦君       鍵田 節哉君    川端 達夫君       河合 正智君    河上 覃雄君       河村たかし君    神崎 武法君       神田  厚君    木村 太郎君       北側 一雄君    北脇 保之君       旭道山和泰君    久保 哲司君       草川 昭三君    倉田 栄喜君       小池百合子君    木幡 弘道君       古賀 一成君    古賀 正浩君       今田 保典君    左藤  恵君       佐々木洋平君    佐藤 茂樹君       佐藤 敬夫君    斉藤 鉄夫君       坂口  力君    坂本 剛二君       笹木 竜三君    笹山 登生君       塩田  晋君    島   聡君       島津 尚純君    城島 正光君       白保 台一君    菅原喜重郎君       鈴木 淑夫君    田中 慶秋君       田端 正広君    高木 義明君       達増 拓也君    谷口 隆義君       玉置 一弥君    冨沢 篤紘君       富田 茂之君    中井  洽君       中川 正春君    中田  宏君       中西 啓介君    中野 寛成君       中野  清君    中村 鋭一君       永井 英慈君    並木 正芳君       二階 俊博君    西  博義君       西岡 武夫君    西川太一郎君       西川 知雄君    西田  猛君       西野  陽君    西村 章三君       西村 眞悟君    野田  毅君       原口 一博君    平田 米男君       福岡 宗也君    福島  豊君       福留 泰蔵君    藤井 裕久君       藤村  修君    二見 伸明君       冬柴 鐵三君    桝屋 敬悟君       松崎 公昭君    松沢 成文君       松浪健四郎君    丸谷 佳織君       三沢  淳君    宮地 正介君       宮本 一三君    村井  仁君       矢上 雅義君    山中 燁子君       山本 孝史君    吉田  治君       吉田 幸弘君    米津 等史君       若松 謙維君    鰐淵 俊之君       安住  淳君    赤松 広隆君       伊藤 忠治君    家西  悟君       池田 元久君    池端 清一君       石井 紘基君    石毛 鍈子君       石橋 大吉君    岩田 順介君       生方 幸夫君    枝野 幸男君       小沢 鋭仁君    大畠 章宏君       海江田万里君    金田 誠一君       川内 博史君    菅  直人君       北村 哲男君    桑原  豊君       玄葉光一郎君    小平 忠正君       小林  守君    五島 正規君       佐々木秀典君    佐藤謙一郎君       坂上 富男君    末松 義規君       仙谷 由人君    田中  甲君       辻  一彦君    中桐 伸五君       中沢 健次君    葉山  峻君       鉢呂 吉雄君    鳩山 邦夫君       鳩山由紀夫君    日野 市朗君       肥田美代子君    藤田 幸久君       細川 律夫君    前原 誠司君       松本 惟子君    松本  龍君       山花 貞夫君    山元  勉君       山本 譲司君    横路 孝弘君       渡辺  周君    石井 郁子君       大森  猛君    金子 満広君       木島日出夫君    児玉 健次君       穀田 恵二君    佐々木憲昭君       佐々木陸海君    志位 和夫君       瀬古由起子君    辻  第一君       寺前  巖君    中路 雅弘君       中島 武敏君    春名 直章君       東中 光雄君    平賀 高成君       不破 哲三君    藤木 洋子君       藤田 スミ君    古堅 実吉君       松本 善明君    矢島 恒夫君       山原健二郎君    吉井 英勝君       粟屋 敏信君    岩國 哲人君       熊谷  弘君    小坂 憲次君       羽田  孜君    畑 英次郎君       堀込 征雄君    前田 武志君       吉田 公一君    北橋 健治君       樽床 伸二君    土屋 品子君       平野 博文君    細川 護煕君       渡部 恒三君     ―――――――――――――
  26. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 次に、日程第二につき採決いたします。  本件を委員長報告のとおり承認するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  27. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 起立多数。よって、本件は委員長報告のとおり承認することに決まりました。(拍手)      ――――◇―――――  日程第三 中小企業等協同組合法及び中小企   業団体組織に関する法律の一部を改正す   る法律案内閣提出
  28. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 日程第三、中小企業等協同組合法及び中小企業団体組織に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。商工委員長斉藤斗志二君。     ―――――――――――――  中小企業等協同組合法及び中小企業団体組織   に関する法律の一部を改正する法律案及び同   報告書     〔本号末尾掲載〕     ―――――――――――――     〔斉藤斗志二君登壇
  29. 斉藤斗志二

    ○斉藤斗志二君 ただいま議題となりました法律案につきまして、商工委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、事業協同組合及び商工組合等の組合員たる中小企業者をめぐる経済環境の変化にかんがみ、組合が適切に組合員の事業活動を支援できるよう、その機能の充実強化を図るための措置を講じようとするものであります。  その主な内容は、  第一に、事業協同組合及び商工組合等の行うことのできる事業に、組合員の新たな事業分野への進出の円滑化を図ることを追加すること、  第二に、事業協同組合及び商工組合等の事業を組合員以外の者に利用させる場合の特例に関する新たな規定を設けることであります。  本案は、去る十月二十四日当委員会に付託され、昨十一月五日堀内通商産業大臣から提案理由説明を聴取した後、質疑を行い、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ―――――――――――――
  30. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 採決いたします。  本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ――――◇―――――
  32. 田野瀬良太郎

    ○田野瀬良太郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。  内閣提出許可等有効期間延長に関する法律案議題とし、委員長報告を求め、その審議を進められることを望みます。
  33. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 田野瀬良太郎君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。     ―――――――――――――  許可等有効期間延長に関する法律案(内   閣提出
  35. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 許可等有効期間延長に関する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。内閣委員長谷津義男君。     ―――――――――――――  許可等有効期間延長に関する法律案及び同   報告書     〔本号末尾掲載〕     ―――――――――――――     〔谷津義男君登壇
  36. 谷津義男

    ○谷津義男君 ただいま議題となりました許可等有効期間延長に関する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、行政改革の一環として、許可等の申請に係る国民負担軽減を図るため、十六法律四十九事項を改正し、許可等有効期間延長を行おうとするものであります。  その主な内容は、薬局開設の許可、医薬品の販売業の許可などの有効期間を三年から六年に倍化するとともに、不動産鑑定業者の登録、旅行業の登録などの有効期間を三年から五年に延長すること等であります。  本案は、十月三十一日本会議において趣旨説明及び質疑が行われ、同日本委員会に付託され、本日小里総務庁長官から提案理由説明を聴取し、質疑を行い、採決いたしましたところ、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。  なお、本案に対し附帯決議が付されました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  37. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 採決いたします。  本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ――――◇―――――  持株会社設立等の禁止の解除に伴う金融関係法律整備等に関する法律案内閣提出)、銀行持株会社の創設のための銀行等に係る合併手続の特例等に関する法律案内閣提出)及び罰則の整備のための金融関係法律の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明
  39. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) この際、内閣提出持株会社設立等の禁止の解除に伴う金融関係法律整備等に関する法律案銀行持株会社の創設のための銀行等に係る合併手続の特例等に関する法律案及び罰則の整備のための金融関係法律の一部を改正する法律案について、趣旨説明を求めます。大蔵大臣三塚博君。     〔国務大臣三塚博君登壇
  40. 三塚博

    ○国務大臣(三塚博君) ただいま議題となりました持株会社設立等の禁止の解除に伴う金融関係法律整備等に関する法律案銀行持株会社の創設のための銀行等に係る合併手続の特例等に関する法律案及び罰則の整備のための金融関係法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、持株会社設立等の禁止の解除に伴う金融関係法律整備等に関する法律案について御説明申し上げます。  本法律案は、持株会社設立等の解禁に伴い、銀行業、保険業または証券業を営む者を子会社とする持株会社について、銀行等の経営の健全性の確保、投資者保護等の観点から必要となる監督上の措置を講ずる必要性があること等にかんがみまして、銀行法、保険業法、証券取引法、その他の関係法律について所要の規定整備を図った上、銀行持株会社等の設立等を可能とするものであります。  以下、その大要を申し上げます。  第一に、銀行持株会社について、銀行持株会社設立等に係る認可、銀行持株会社の子会社の範囲の制限、国内のいわゆる一般事業会社の株式等を銀行持株会社またはその子会社が合算して一定割合を超えて所有することの制限、銀行持株会社及びその子会社に対する報告徴求、立入検査等、所要の規定整備を行うこととしております。また、破綻金融機関の株式の取得を行う銀行持株会社等が預金保険機構に資金援助の申し込みを行うことができることとしております。  第二に、保険持株会社について、保険持株会社設立等に係る認可、保険持株会社による子会社の所有に係る承認、保険持株会社及びその子会社に対する報告徴求、立入検査等、所要の規定整備を行うこととしております。  第三に、証券持株会社について、証券持株会社に対する報告徴求、立入検査等、所要の規定整備を行うこととしております。  その他、所要の措置を講ずることとしております。  次に、銀行持株会社の創設のための銀行等に係る合併手続の特例等に関する法律案について御説明申し上げます。  本法律案は、銀行持株会社金融業務の効率的な運営に資するものであることにかんがみ、銀行等による銀行持株会社の創設を円滑にするための措置として、銀行等の合併手続の特例その他の所要の措置を講ずるものであります。  具体的には、銀行等による銀行持株会社の創設のための合併手続について、合併の条件、合併契約書の承認等に係る特例を設ける等、所要の措置を講ずるものでございます。  次に、罰則の整備のための金融関係法律の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。  本法律案は、最近における金融不祥事を踏まえ、その再発防止を図るとともに、今後の金融システム改革に向けて、金融機関等の経営の健全性と証券市場等の公正性及び透明性の確保を図るため、金融機関等による検査忌避、虚偽報告等に係る罰則、証券市場等における不公正取引、企業内容等の開示義務違反に係る罰則その他の罰則の整備を行うものであります。  以下、その大要を申し上げます。  第一に、銀行、保険会社、証券会社等による検査忌避、虚偽報告等に係る罰則の強化を行うこととしております。  第二に、相場操縦行為、損失補てん、内部者取引等の不公正取引に係る罰則及び重要事項に虚偽記載のある有価証券報告書提出等の企業内容等の開示義務違反に係る罰則の強化を行うことといたしております。  第三に、いわゆる総会屋対策観点から予定されている商法の改正に伴いまして、金融関係法律について所要の罰則の整備を行うことといたしております。  これらの法律案は、金融システム改革の一環として、金融の基本的枠組み整備を図るものでございます。  以上、提案の三法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第でございます。(拍手)      ――――◇―――――  持株会社設立等の禁止の解除に伴う金融関係法律整備等に関する法律案内閣提出)、銀行持株会社の創設のための銀行等に係る合併手続の特例等に関する法律案内閣提出)及び罰則の整備のための金融関係法律の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  41. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) ただいまの趣旨説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。並木正芳君。     〔並木正芳君登壇
  42. 並木正芳

    ○並木正芳君 新進党の並木正芳です。  新進党を代表して、ただいま議題となりました持株会社設立等の禁止の解除に伴う金融関係法律整備に関する法律案銀行持株会社の創設のための銀行等に係る合併手続の特例等に関する法律案及び罰則の整備のための金融関係法律の一部を改正する法律案について質問を行います。  これらの法案は、抜本的金融制度改革、いわゆる日本版ビッグバンに備え、遅まきながらも、世界に通用する競争的体質の金融システムをつくろうとする制度整備の一環ではあり、我が新進党も、かねてより、独禁法の改正、金融持株会社の解禁について主張し、新進党日本再構築宣言の中でも取り上げています。その点から一定の評価はできるものの、あくまで制度整備の一部がようやくなされようとしているにすぎないものであり、ビッグバンに向かっての日本金融機関日本経済が置かれている現状認識においては、我が党との甚だしい違いがあります。  ビッグバンのフロントランナーと位置づけられた改正外為法の施行まで既に五カ月とないわけでありますが、不便で使い勝手が悪く、コストも高いと言われる日本金融システムや金融・資本市場をこのままにして来年四月を迎えれば、日本企業や個人は、決済口座や運用資産を、外貨建てはおろか円建てでも、便利でコストが安く、利回りの高い海外の金融機関に移してしまい、日本金融空洞化は急激に進むと考えますが、まずこの点について総理の見解を、今後の有価証券取引税、取引所税などの金融関係諸税への対応を、ビッグバンのスケジュール方針も含めてお伺いいたします。  次に、折しも三洋証券が系列ノンバンクの不良債権の重みで倒産し、総理の日ロ外交のせっかくの成果も国民に明るさを与えるには至らず、話題は、次なる危機はどこかと、証券、ゼネコンなどの経営不安が取りざたされています。思えば、住専処理の失敗による不良債権問題の未解決が、今日までの金融不安、企業の経営不安をなお増大させているわけですが、地価が再上昇するまで不良債権を先送りすればよかった従来の手法は、困難の度を増すだけであることは明らかであります。  現在も金融機関は不良債権の処理を懸命に行っているところですが、相変わらず、これまでの銀行破綻事案で露呈する、公表と実態の不良債権の乖離が見られますが、この原因とともに、二十兆円余りとも、あるいは実際は百兆円を超えるとも言われる不良債権の現状についても明らかにし、この際、法的責任基づく不良債権の早期処理の道筋を明確にすべきときと考えますが、総理の見解をお聞きいたします。  また、景気現状については、二年にもわたり緩やかな回復と唱え続け、さすがに昨今では足踏み状態と言いかえたものの、緩やかな回復でも二年もたてば相当景気がよくなっていなければならないはずであり、こうした言葉の繰り返しが国民の実感と乖離し、説得力を失っているばかりか、日本の先行きに対する悲観論は増すばかりであります。  特に、日本の繁栄を下支えしてきた中小業者の困難は著しく、町の八百屋さんや家庭の主婦までもが景気の問題を話題としています。今や日本丸は豪華客船とは言いがたく、船底に穴があいている状態ですが、それに気づかず甲板でベンチの譲り合いをしているようなありさまでは、まさに民のかまどを見ずということであり、民の心知らずということであります。  ここは、目先の現象にとらわれた近視眼的な景気対策でなく、行政のリストラと、民間経済活性化に重点を置いた真の経済構造改革と、日本経済を潜在的成長軌道へと引き戻すべく、景気浮揚を優先した思い切った財政出動を含む景気対策をどうしてもするべきといま一度考えますが、総理の見解をお聞きいたします。  さらに、財政構造改革法によるデフレ予算の次は増税と大幅な国民負担増との声も聞かれ、高齢化社会の進行くの不安などと相まって、これまた先行きの不安感を増していますが、今後、二〇〇三年までの改革期間中は、増税国民負担の増大のない財政再建を進め、真の構造改革へとつなげられるのか、心もとないところではありますが、この点についても総理の見解をお聞きしておきます。  さらには、泉井石油商による現職閣僚、自民党幹部を中心とする巨額献金疑惑、野村、第一勧銀等の金融スキャンダル、税務署汚職、第一勧銀の大蔵検査の最中に、当の検査官が銀行側からゴルフや飲食の接待を受けていたという不祥事などなど、政官財の腐敗は、多くの国民が、生活を通じて、日本の政治、経済社会が不健全なものとなり、深刻な制度疲労に陥っていることを実感し、怒っております。  こうした日本のリーダーシップヘの極度の不信が、経済の不況とともに社会の閉塞感を増幅していることも否めないと考えますが、政治倫理を主とした日本のトップ層の腐敗について、総理の見解をお聞きいたします。  こうした国民の心理、すなわちマインドに不安と閉塞感を与える要因を除かずして、日本経済は活況を取り戻し、日本金融界が制度整備の効果を十分に発揮し、地球規模的な大競争、いわゆるグローバルメガコンペティション時代に生き残ることはできないと考えますが、こうした要因克服のため、総理がいま一度火だるまとなって進める決意があればお聞きしたいと存じます。  さて、これらの法案が、金融システム改革、いわゆる日本版ビッグバンに備え、日本金融界がグローバルメガコンペティション時代に生き残るための方策とするなら、いささか不十分という感を否めません。  例えば、銀行持株会社の同一企業に対するグループ全体の株式保有制限は、上限を一五%とするということでありますが、政府は決定を与党協議にゆだね、結局、自民党二〇%と社民党一〇%の中をとって一五%になったとも聞きますが、いかがでしょうか。  大蔵省の試算によれば、これを超過するのは三菱商事など四社だけであり、このレベルなら株式処分に奔走せず持株会社を設立てきるといいますが、逆に言えば、既に今の時点で超過するケースがあり、将来、合併、買収でグループ外の金融機関を傘下にしたり、今後の法整備により生保を傘下に入れるときには、上限を大きくオーバーし、保有株の調整を迫られることは必至となります。こうしたことでは一五%制限は将来のケースに対応していると言えないと考えますが、大蔵大臣、いかがでしょうか。  また、銀行による過度の産業支配に対する警戒からか、銀行持株会社を首相の認可としたり、子会社の業務を制限するなど、銀行に対する制約を強くしていると考えられますが、マーケットの変化や金融技術の革新により、銀行だけがとりわけ資金調達が優位ではなくなっていることからすれば、旧財閥のように独占的に産業を支配する可能性は小さく、これまた国際標準に照らして、銀行への規制をとりわけ強く考える必要はないのではないでしょうか。  また、大蔵大臣が、設置後は金融監督庁長官でありますが、銀行、保険持株会社に対し、グループ全体の経営をチェックし、問題があれば経営改善命令を出すということですが、立入検査や経営改善命令の基準が明確ではありません。大蔵省の裁量で、ノンバンクや事業会社の経営に過剰に介入しては持株会社の自主性を損なうと考えますが、大蔵大臣、いかがでしょうか。  子会社に資産を移して持株会社に脱皮する通常の営業譲渡方式、いわゆる抜け殻方式では、数十万件の債権についた根抵当権を移すときに、全債務者の同意を必要とすることや現物出資に際して裁判所選任の検査役調査が必要で、半年もかかる調査期間中は事実上営業を停止せざるを得ないなどの問題から、持株会社の設立は、事実上実現不可能となります。  そこで、アメリカ型のいわゆる三角合併方式を認めていますが、既存銀行がペーパー銀行と合併する際の税の特例措置がなければ、資産譲渡益課税や登録免許税など数千億もの税負担がかかり、設立は困難との指摘もあります。この税の特例措置導入についてはどのように考えるのか、お聞きいたしておきます。  また、連結ベースで効率を極大化していけるのが持株会社の最大のメリットであり、連結納税制度の導入なくしては持株会社の設立は絵にかいたもちであるとの指摘もあります。ディスクロージャーについても連結ベースを求めているのであるからして、将来にわたり、グループ内での税の連結納税制度を可能とすることが必要と考えます。  平成十年度税制改正においては、法人税率の引き下げを念頭に置いた法人税改革が予想されるところであります。この法人税の見直し作業の中で、連結納税制度の導入に向けた検討が政府税制調査会などで行われているのか、またはこれから年末にかけて検討を行う予定があるのか、その見通しについて大蔵大臣にお聞きいたします。  また、海外における債権債務及び許認可の継承について、現地当局との交渉に相当の負担がかかり、国内の根担保についても消滅銀行の債権を担保しないので、被担保債権範囲の変更登記が必要であるなどの問題もあります。したがって、既存銀行が存続銀行となり、ペーパー銀行が消滅銀行となるいわゆる逆三角合併方式も認めることはどうでしょうか。アメリカでは、模範事業会社法で株式交換制度も認められていますが、そうした基準にのっとっていくべきではないでしょうか。この点も大蔵大臣の見解をお求めしておきます。  さらには、今回積み残した、証券会社が持株会社を設立する際には抜け殻方式をとらざるを得ないという問題は、今後どう対処していくつもりか、お聞きいたしておきます。  金融機関犯罪に対する罰則の強化についてでありますが、そもそも罰則の強化で経済犯罪を抑制し、再発防止ができるのか疑問もあり、また人権問題にかかわる刑罰の強化は慎重でなければならないと考えますが、昨今の金融不祥事やアメリカ流の国際標準を考えると、罰則の強化も必要とせざるを得ません。  アメリカの場合、OCC、いわゆる通貨監督庁やFRB、連邦準備制度理事会の検査官をだます目的で帳簿や報告書に虚偽の記載をすると、連邦刑法で、行為者は百万ドル以下の罰金または三十年以下の禁錮に処すとあり、金融システムは銀行同士の信頼の上に成り立っており、信頼に対する裏切り行為はシステム全体を崩壊させる危険性がある、こうしたことから、行為者は厳罰に処すべきという考え方が徹底しております。  大和銀行事件などを見ても、日本ではこうした考えにはほど遠く、この法案も多分にバランスを重視した裁量性が感じられますが、今後、いわゆるアメリカ流、アングロサクソン流の国際標準に沿っていかざるを得ないとも考えますが、大蔵大臣、いかがでしょうか。  また、警察も、民事不介入の原則があることも理解しますが、民事事件に潜む、企業をむしばむ犯罪に積極的に取り組むとともに、債権回収などに絡む刑事事件に機敏に対応する方策をとってほしいと考えますが、この点については総理からお答えをいただきたいと思います。  以上で質問を終わりますが、ぜひ積極的な答弁をお願いいたします。ありがとうございました。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇
  43. 橋本龍太郎

    内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 並木議員にお答えを申し上げます。  まず、金融空洞化についてお尋ねがございました。  我が国金融・資本市場を利用者にとりまして国際的にも魅力のあるものとするためには、我が国の市場が活性化し、利便性が高まることが必要であることは御指摘のとおりであります。そうしたことから、政府としては、本国会提出しております法案を初め、二〇〇一年までの改革のスケジュールに沿い、金融システム改革推進に全力で取り組んでおるところであります。  その進め方につきましては、本年六月の関係審議会の報告書に示されましたスケジュールに沿って改革を進めることとしており、実現可能なものから実行に移しております。法律改正が必要な事項につきましては、本国会提出させていただいておる法律案のほかに、大半の事項につきまして次期通常国会に所要の法案提出を目指すこととしておりまして、改革の多くの事項を平成十一年度までには完了することといたしております。  なお、有価証券取引税、取引所税などの金融関係諸税につきましては、金融システム改革趣旨も踏まえながら、平成十年度税制改正において、金融・証券税制全体の中で総合的に検討してまいります。  次に、不良債権についてお尋ねがございました。  金融機関破綻時に、関連会社の整理などによりまして、不良債権額が開示額と比べて増大する例も、御指摘のように確かにございます。しかし、金融機関は現在、不良債権の早期処理に取り組んでおり、全体の状況は改善してまいりました。政府としては、昨年の国会で成立をいたしました金融三法の基本的な考え方を踏まえ、預金者保護を基本として、その早期処理に努めてまいります。  次に、行政のリストラと民間企業活性化に重点を置いた経済構造改革、そして思い切った財政出動を含む景気対策を行うべきという御指摘をいただきました。  今後の経済運営は、安易に財政に頼るのではなく、民間需要中心の自律的な安定成長を図っていくことが基本だと考え、そのためには、財政構造改革と並んで、規制緩和を初めとする経済構造改革などの実現が一層必要だと私は思います。  こうした観点を踏まえ、本年五月に閣議決定をいたしました「経済構造の変革と創造のための行動計画」、これを着実に実行するとともに、可能な限りの前倒しと新たな施策の追加も含めましたフォローアップを年内に行うなど、内閣を挙げて経済構造改革を強力に進めていく覚悟であります。  また、我が国経済の体質改善を行い、企業や消費者の経済の先行きに対する不透明感を払拭し、我が国経済回復基調を確実で力強いものにするためにも、経済構造改革の前倒しなどによる効果的な経済対策を早急に策定することとしたいと考えております。  次に、増税国民負担の増大なき財政再建構造改革につながるのかという御指摘がございました。  今般の財政構造改革法案は、財政構造改革の当面の目標達成に向けて、歳出改革のための具体的な方策を定めており、国民負担率が五〇%を超えないようにするといった観点も踏まえまして、財政構造改革推進することによって真の構造改革を実現できるものと確信しております。  また、税制面については、引き続き公平、中立、簡素という幅広い観点に立って改革に取り組んでまいりますが、いずれにせよ、まずは歳出改革縮減に最大限の努力を傾注すべきだと考えております。  次に、幾つかの例をお引きになりながら、政治倫理を主とするトップ層の腐敗、そしてメガコンペティション時代に生き残るためにどうやって不安と閉塞感を取り除くかといった点についての御指摘がございました。  昨年末に法規範性のある公務員倫理規程を作成し、また、与党政治改革協議会におきまして政治家個人の倫理問題等について鋭意検討を行っております。  一人一人のみずからの行動に対する責任とともに、我が国経済社会システムを根本から見直し、個人の創造性やチャレンジ精神が存分に発揮される、そうした活力ある社会を構築すべく、六つの改革に全力で取り組んでまいります。  最後に、民事に係る刑事事件への取り組みについて御意見をいただきました。  警察当局におきましては、債権回収などに絡む刑事事件を初め、民事にかかわるものでありましても、刑罰法令に触れる行為に対しては厳正に対処しており、さまざまな事犯を検挙していると承知しております。今後とも、刑罰法令に触れる行為を認めれば、私は、厳正かつ的確な対処が警察当局によって行われるもの、そのように確信しております。  残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)     〔国務大臣三塚博君登壇
  44. 三塚博

    ○国務大臣(三塚博君) 並木議員の御質問にお答えを申し上げます。  銀行持株会社グループによります株式保有制限についてのお尋ねでございますが、法律案では、金融機関の株式保有の状況等を総合的に勘案をして、グループによる一般事業会社の株式保有についてその一五%を上限とし、また、銀行持株会社が新たな子会社を保有する場合等には、この上限を一定期間緩和する特例を設けたところでございます。今後想定し得る銀行持株会社の形態についても対応のできるものと考えておるところであります。  次に、銀行持株会社の認可、子会社の業務制限についてのお尋ねでございます。  銀行持株会社は、子会社の経営管理を行う会社であり、業務のあり方によっては子会社たる銀行の経営に多大の影響を与えることから、海外での規制のあり方等を踏まえ、その設立等に関し認可による適格性審査を行いますとともに、銀行経営の健全性確保の観点から銀行に他業制限が課せられている趣旨にかんがみまして、子会社が営む業務について制限を設けるものであります。  次は、持株会社グループに関する立入検査や経営改善命令についてのお尋ねでございます。  持株会社の子会社に対する立入検査は、銀行または保険会社の健全性を確保するため、必要がある場合にその必要の限度において限定的に実施するものでありまして、また、子会社は経営改善命令の対象となっていないため、御指摘のように、経営に対する過剰介入により持株会社の自主性を損なうといった問題はないのではないかと考えます。  次に、税制について、二問であります。  まず、三角合併方式による銀行持株会社の設立に伴う税制の措置についてであります。  その設立形態を考慮しつつ、銀行以外の持株会社との課税のバランスなど、課税の公平等の観点を踏まえながら検討してまいります。  連結納税制度については、個々の法人ではなく、企業集団を一つの課税単位、すなわち納税者と見て、その企業集団に課税する制度でありまして、その導入は、我が国の法人税制の基本的考え方を変えるものであります。  したがって、連結納税制度については、企業経営の実態や商法等の関連諸制度、さらに租税回避や税収減の問題といった諸点について慎重な検討が必要とされます研究課題であると認識をいたしております。  次に、持株会社の創設の特例方式についてのお尋ねであります。  今回の法案では、株主の保護の観点から、商法上それに関する規定が比較的整備されておる合併手続を基礎とする制度が適当であると考えまして、三角合併方式を採用したものであります。他方、株式交換等については、我が国の商法にはこれに類する制度が全くなく、その導入に当たりましては、株主と債権者の保護を含めた幅広い観点からなお慎重な検討を要するものと考えておるところでございます。  次に、証券会社による持株会社の設立に関する御質問であります。  証券会社に関しては、銀行のような特殊事情はないことから、一般事業会社と同様、抜け殻方式等により持株会社を設立することとなりますが、証券会社による持株会社の設立が円滑に行われますよう、関係省庁と十分に相談してまいりたいと考えております。  最後に、罰則の件であります。  本件につきましては、取り組んでまいり、法律といたしたわけでありますが、今後の金融システム改革に向けて、公正かつ透明な金融システムの構築を図る観点から、例えば銀行等の検査回避、虚偽報告等に係る罰則につきましては、現行の五十万円以下の罰金を、一年以下の懲役または三百万円以下の罰金に引き上げるとともに、法人に対しては二億円以下の罰金とするなど大幅に強化したところであり、この水準は、主要先進国と比較をいたしましておおむね遜色のないものと考えておるところでございます。  以上であります。(拍手)     ―――――――――――――     〔議長退席、副議長着席〕
  45. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) 鉢呂吉雄君。     〔鉢呂吉雄君登壇
  46. 鉢呂吉雄

    ○鉢呂吉雄君 民主党の鉢呂吉雄です。  私は、民主党を代表して、総理並びに大蔵大臣に質問をいたします。  私は、最近の第一勧業銀行や四大証券の小池スキャンダル、大手メーカーと総会屋の癒着関係など、金融機関企業と総会屋の間の不祥事が連日報道される状況を、まさに日本の異常事態と非常に憂慮しております。質問の冒頭に当たり、総理はこうした不祥事の続発をどうとらえ、どう対応しようとしておるのか、基本的な考え方を聞かせていただきたいと思います。  今国会では、総会屋対策観点から商法改正も予定されておりますが、私は、総会屋問題は、単に法律のみで解決できる範囲を超えていると危惧しております。総会屋を排除することについて、警察も含めて国家的に取り組む姿勢が重要であり、そのためには、何よりも総理のリーダーシップと断固たる決意が不可欠だと思います。この点について、総理の覚悟をお聞きしたいのであります。  次に、今般提出された罰則の整備のための金融関係法律の一部を改正する法律案のねらいは、繰り返される金融不祥事の再発防止を図り、同時に、今後の金融システム改革に向けて、金融システムの健全性を確保し、公正かつ透明な金融・証券市場の構築を図ることにあると理解をしております。  本法案の罰則強化は、ただいま三塚大蔵大臣もおっしゃいましたけれども、例えば銀行の監督官庁の検査回避、虚偽の報告については、行為者は懲役なしから一年以下に強化をされます。また、罰金については五十万円以下から三百万円以下に強化をされ、法人は罰金五十万円以下から二億円以下へと、確かに従来よりは厳しいものになっております。  しかしながら、皆さん、例えば今回の第一勧銀の検査回避は、罰金が五十万円から三百万円に引き上げられ、懲役刑が導入されていれば防止できたでありましょうか。私にはとてもそうは思えません。  そもそも、本法案議論されている種類の罰則強化のみによって金融不祥事がなくなり、金融システムの健全性が確保されるのか、私は大いに疑問であります。例えば、第一勧業銀行は、小池グループへの不良債権化した融資を隠ぺい工作し、二度にわたる大蔵省検査での発見を免れていました。いかに金融検査の実効性を高めることができるのか、また、ディスクロージャーの強化、取締役会や監査役の本来の機能強化をいかに達成していくのかが、今政府にも問われておるのではありませんか。  総理、一九九一年に相次いで明るみに出た証券会社による大口顧客への損失補てん等、一連の証券不祥事を覚えておりますか。あのときも証取法改正など一連の法的措置がとられましたが、結局不祥事は繰り返されたのであります。私は、今回も、本法案による罰則強化だけでは金融不祥事の再発防止が達成できるとは到底思えません。悪質な違反行為に対するペナルティーは、当該企業の存続に致命的な打撃を与える厳しいものでなければ本当の効果を持ち得ません。  大和銀行が債券取引での不正ディーリングにより巨額損失を喫し、経営陣も実態把握後速やかにアメリカ当局に報告しなかったことから、結局アメリカでの営業活動が禁止をされてしまったことは、皆さんも記憶に新しいところであります。我が国においても、悪質違反者に対しては銀行免許取り消しという断固たる処置をとることを明らかにすべきであります。金融当局が、護送船団方式的に一度免許を与えた銀行は守るという前提で金融機関に対していたのでは、金融不祥事を根絶することなど、できるわけがありません。この点についての総理の断固たる決意を伺いたいのであります。  次に、来年四月に導入される早期是正措置は、金融システムの健全性確保の観点から、金融機関の自己資本比率の改善を監視することによって、金融機関の資産内容を向上させる効果を持つものと言えます。  しかしながら、大蔵省令や通達によれば、経営内容の悪化した銀行であっても、大蔵大臣が合理的と認める経営改善計画提出することによって、本来定められた厳しい措置を猶予する道が残されております。このことは、債務超過に陥った銀行に延命措置をとることにもつながりかねません。  私は、このような早期是正措置の猶予措置を撤回すべきだと考えますが、大蔵大臣の決断を求めたいのであります。  さらに私が問題にしたいのは、このような措置金融当局による裁量行政を温存することにならないかということであります。通達によれば、経営改善計画の合理性の判断基準は具体的な資本増強計画等が必要だということですが、一方で、今般の三洋証券や日産生命、さらにはこれまで破綻した金融機関については、大蔵省による関係金融機関への劣後ローンや増資引き受け等の要請があったと言われております。早期是正措置の運用に当たっても、金融システムの秩序維持を大義名分に金融当局が弱小金融機関の延命策を弄し、結果として、再建に失敗した場合、傷口を広げるというような事態が起こらないかどうか、大蔵大臣のお考えをお聞きしておきたいのであります。  また、民間金融機関については、今回の法案によって罰則が強化されるわけでありますが、行政当局が裁量によって結果的に破綻金融機関の処理コストを増大させた場合には、行政当局がどのような責任をとるのか明らかでありません。行政当局が、職務遂行上犯罪があると思料し、かつ告発しなかった場合には、当該官吏に罰則を科す規定を設けることなど、裁量行政の責任を明確に示す段階に来ておると考えますが、大蔵大臣の考えを伺いたいのであります。  私は、金融機関の情報開示を徹底させ、破綻に際しての公正かつ透明な処理ルールを確立することがビッグバン時代の金融行政のあり方だと思っており、橋本総理を初め金融当局もその覚悟だと信じてまいりました。しかし、昨今の破綻金融機関処理をめぐる大蔵省の動きや、早期是正措置金融当局の裁量を持たせる今度の規定を残していることを考え合わせると、ビッグバン時代においても、金融当局は金融機関に対する権限の保持に腐心していると断定せざるを得ません。  民主党は、必ずしも総理の省庁再編という考え方に同意しているものではありませんが、省庁再編の文脈の中で、大蔵省と金融行政のあり方についてどのように考えておるのか。とりわけ行政改革会議中間報告で、総理の裁定によって大蔵省の金融行政を市場信用秩序維持の企画立案として打ち出した考え方について、これを貫き通すのか、まさに総理の指導性が問われていると考えますが、総理の決意をお伺いいたしたいのであります。  次に、負債三千七百三十六億円で会社更生法を申請し、事実上倒産した三洋証券に関して、証券会社の破綻に係る投資家保護のスキームについてお伺いいたします。  三洋証券の経営破綻に当たっては、会社更生法の一部例外措置適用に加えて、寄託証券補償基金の制度を改変し、一社当たり補償限度額の枠を撤廃した上で同基金に外部からの資金借り入れ機能を導入し、さらに大手証券会社に資金拠出をさせてしのぐというようでありますが、これは極めて場当たり対応の感を免れません。三日の大蔵大臣談話では、三洋証券の破綻は特殊事情によるものだと述べておりますが、私は、これからビッグバンの時代を迎えて、同様の破綻が生じる可能性は十分あると思います。今後、同様な証券会社の破綻が生じた際には政府はどのように対応するつもりなのか、大蔵大臣にお伺いをいたします。  とりわけ寄託証券補償基金の法律整備とその強化、顧客預かり金の分別管理、証券会社のディスクロージャーの徹底、自己資本規制比率の厳格化等、証券会社の経営強化と金融当局の検査機能強化などについてどのように考えるのか、お答えをいただきたい。  次に、ビッグバンによる競争激化や不良債権問題による金融機関の倒産が、阪和銀行、日産生命と続き、大量の失業者が生じております。今般の三洋証券の事実上の倒産でも、従業員二千七百二十九名が雇用の危機に直面しております。私は、内閣において、金融破綻に関連した雇用問題対策本部と特別の救済システムを創設したり、労働市場の流動化を促すなどの施策を検討すべきではないかと考えます。  また、今後、規制緩和、行財政改革等に伴う大型倒産による雇用不安が続出することが懸念されますが、労働行政の質的転換の必要性についても総理のお考えをお伺いいたします。  次に、持株会社設立等の禁止の解除に伴う金融関係法律整備等に関する法律案に関連して質問いたします。  私は、金融持株会社の設立については、金融機関の経営形態についての選択肢を広げるという観点から、基本的には望ましいことと考えます。  ところで、アメリカ金融制度改革法案は、金融持株会社を認めるに当たって、銀行は十分な自己資本比率を達成し、良好に経営されていなければならないとされております。我が国における金融持株会社の解禁に当たっても、大蔵大臣は経営の健全性を判断するための厳しい基準を示し、高い自己資本比率を達成した銀行等金融持株会社という経営上の選択肢を持つことができるというインセンティブを各金融機関に与えるべきだと考えます。この点について、大蔵大臣の御答弁をちょうだいしたいと思います。  最後に、金融機関社会責任について質問いたします。  御承知のとおり、アメリカでは、地域再投資法に基づき、低所得者層や小ビジネス向けに別枠を設けて融資を行う制度がございます。少なくとも、日本の銀行が社会責任に鈍感である現状に対して、我々は強い警鐘を鳴らすべきだと思います。特に、来年四月の早期是正措置導入を控えて、金融機関が自己資本比率の向上を競い、結果として、特に中小企業に対して貸し渋りの現象が見られ、倒産件数の増加にもつながっているとの指摘がございます。  総理大臣並びに大蔵大臣は、金融機関社会責任と貸し渋りの状況についてどのように考え、またどのような対策を講じるつもりなのかお伺いをし、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇
  47. 橋本龍太郎

    内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 鉢呂議員にお答えを申し上げます。  まず、総会屋対策への取り組みについてどのような決意で臨むのかという御指摘をいただきました。  議員が御指摘になりましたような不祥事が後を絶たないこと、これは本当に遺憾なことでありまして、何としてもこの際、いわゆる総会屋などと企業との関係を断ち切るために全力を尽くさなければならないと考えます。  政府としては、さきに関係閣僚会議を開催いたしまして、経済界への要請、また、特に議員からも御指摘がございました警察による支援、商法の改正などの対策を取りまとめた「いわゆる総会屋対策要綱」を申し合わせたところでありまして、これに基づいて、政府を挙げてその排除を徹底してまいろうと努力をいたしております。  また、悪質な違反者についての法的措置についての御質問がございました。  金融不祥事に対する罰則を、議員は不十分と言われますけれども、この際強化をさせていただきたいと考えております。そして、今後とも、不正があれば、これに対し法令に基づき厳正に対処していきたいと考えます。  次に、大蔵省と金融行政のあり方についてのお尋ねがございました。  金融行政につきましては、既に日銀法改正によりまして日銀の独立性を強化するとともに、金融監督庁の設置による検査監督の大蔵省からの分離により、市場規律を基軸としたルールづくり、透明かつ公正な金融行政への転換を図ろうとしております。  さらに、行政改革会議において、議員がお触れになりましたように、中間報告として、「大蔵省の金融に関する企画立案は、預金者保護という観点も踏まえ、市場信用秩序の維持に関する企画立案に限定する。」という取りまとめを行いました。その後の検討の中で、市場信用秩序の維持に関する企画立案という言葉が誤解を生じやすい、そうしたことから、金融破綻処理制度ないし金融危機管理に関する企画立案と表現すべきと今手直しをいたしております。  また、金融機関の倒産に関連した雇用対策についてのお尋ねがありました。  これにつきましては、関係省庁や地方公共団体などとの間で情報交換を行うなど十分連携して、できる限り失業を経験することなく円滑に再就職できるよう支援を行いますとともに、大型倒産に関連した失業の予防のための措置を講ずるなど、今後とも適切な雇用対策に取り組んでまいります。  なお、今後、その増大が見込まれる産業間、企業間の労働移動を円滑なものとすることが非常に必要、言いかえれば、水平移動をいかに行うかということが非常に必要だと考えております。そして、例えば、そのためにも、労働者派遣事業制度の見直しを進めるなど、適切な対応を図ってまいりたいと考えております。  次に、金融機関社会責任と貸し渋りについてお尋ねがございました。  金融機関は、その業務の公共性にかんがみ、社会的役割を自覚した業務運営を行うことが求められており、各金融機関においては、経営の健全性を確保しつつ、その資金仲介機能を十分発揮することが期待されるわけです。  同時に、金融機関におきましては、競争力の強化や、バブル期の反省を踏まえ、リスク管理の強化に向けた努力が一般化しつつあり、このような変化が貸し渋りと映っている部分もあろうかと思います。  こうした状況の中におきまして、政府としては、こうしたときこそ政府金融機関が役立つべき時期、そうしたことを考えまして、中小企業に対する金融につきましては、既に、適切な対応をとるよう、通産、大蔵、両大臣にも指示をいたしてまいりました。政府金融機関がこうしたときに十分役立つように、なお努力をしてまいりたいと思います。  残余の御質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)     〔国務大臣三塚博君登壇
  48. 三塚博

    ○国務大臣(三塚博君) 鉢呂議員の提言を交えた御質問にお答えをさせていただきます。  早期是正措置の猶予措置についてのお尋ねでございます。  御案内のとおり、この措置は、金融機関の自主的な経営改善努力を適時に促し、その健全性を確保することを目的とするものでありますので、金融機関の自己資本比率が短期間に回復することが明らかであります場合、それを勘案して命令の内容を決定することは、本措置趣旨にかんがみまして必要であると考えております。  さらに、早期是正措置の運用についてのお尋ねでございます。  早期是正措置は、当局の裁量を排し、市場メカニズムの中で自己資本比率という客観的指標を用いて金融機関の健全性を確保することを目的とした制度でありますので、当局といたしましては、このような制度の趣旨を十分に踏まえ、適切な運営に努めてまいりたいと考えております。  さらに、官僚が告発を行わなかった場合も含めた行政責任についてのお尋ねであります。  今般の野村証券及び第一勧業銀行に係る不祥事におきましても、大蔵省としては、法令に基づき、告発を含む厳正な処分を行ったところであります。今後とも、金融機関の法令違反行為が判明した場合には厳正に対処をしてまいります。  証券会社の破綻についてのお尋ねであります。  証券会社につきましては、これまで自己資本規制比率に基づく財務の健全性のチェックに努めているところでありますが、今後、同規制の見直しやディスクロージャーの充実等を図ってまいります。  あわせまして、顧客資産の分別管理の徹底、寄託証券補償基金制度の充実など、証券会社の退出の際の枠組み整備を図る所存でございます。  銀行等の自己資本比率と金融持株会社関係についてのお尋ねであります。  法律案では、銀行持株会社設立等に許可を要することとし、銀行持株会社及び銀行を含むその子会社の資産等に照らし、自己資本の充実状況が適当であることを認可の基準といたしておるところから、基本的には、銀行持株会社設立等が銀行の自己資本比率を高める一つの要因になるものと考えておるところでございます。  最後に、金融機関社会責任と貸し渋りに関するお尋ねでございます。  先ほど総理大臣から基本的な問題について答弁がありましたとおりでありますけれども金融機関は、その業務の公共性にかんがみまして、社会的役割を自覚をいたしました業務運営を行っていくことが求められておりますこと、言うまでもございません。  私からも貸し渋りの問題について一言触れますと、企業間の資金需要の低迷に主たる原因があるとの見方があります一方、バブル期の反省を踏まえた金融機関におけるリスク管理の強化が、借り手の立場から見れば貸し渋りと映ることもあり得ると考えられるのでありますが、いずれにせよ、各金融機関の経営の健全性を確保しつつ、その資金仲介機能を十分に発揮することが期待されておることは間違いございません。  なお、大蔵省としては、通産省を初めとする関係省庁と協議いたしまして、政府金融機関の活用など、中小企業に対する金融については適切かつ万全の措置をとってまいる所存でございます。(拍手)     ―――――――――――――
  49. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) 佐々木陸海君。     〔佐々木陸海君登壇
  50. 佐々木陸海

    ○佐々木陸海君 私は、日本共産党を代表して、議題となっております三法案に関して、橋本首相に質問をいたします。  持株会社に関する二法案は、政府が進めようとしている金融改革、いわゆるビッグバンに向けて、銀行法、保険業法、証券取引法などの規定を改め、持株会社という形を通じて、銀行、保険、証券の各業態間の垣根を大きく取り払おうとするものであります。  法案はまた、銀行が銀行持株会社をつくり出す特例手続を定めております。法案によって、銀行持株会社、保険持株会社、証券持株会社がつくられることになりますが、銀行持株会社の創設こそがその影響などからいっても中心問題であります。  総理、まず伺います。何のための持株会社なのでしょうか。金融持株会社を解禁する目的は何でしょうか。銀行持株会社の創設のための合併手続の特例法案によりますと、その第一条では、銀行持株会社について、その創設が「金融業務の効率的な運営に資するものである」と規定しています。一体、何がどのように効率的になるのでしょうか。何よりも、それが国民にとってどのような利益をもたらすというのでしょうか。お尋ねをしたいと思います。  以下、法案に関して幾つかお聞きいたします。  第一の問題は、銀行が事実上証券などのリスクの大きな業務に乗り出すことになるという点についてであります。  法案によると、大銀行が中心になって銀行持株会社を創設し、親会社である持株会社が、銀行、証券を含むグループ全体の経営戦略や財務などを一元的に決定することになります。グループは全体として一体のものになります。その結果、銀行が事実上証券業務を兼業することになるのであります。  戦後の日本では、銀行業務と証券業務を切り離す、いわゆる銀・証分離の制度がとられてまいりました。それは、銀行が多くの国民の預金を預かり、社会に資金を供給するなどの極めて重要な社会的役割、公共性を持っていることにかんがみ、リスクの大きい証券業務をもあわせて行うことは望ましくないという考え方に基づくものであり、アメリカで大恐慌の教訓を受けてとられた制度に学んだものでありました。  そこでお聞きしたい。今回の金融持株会社の解禁、銀行持株会社の創設は、戦後の銀・証分離の原則を根本から変えることではありませんか。銀行と証券の分離の原則、歴史の教訓は、もう必要ないということでしょうか。お尋ねをしたいと思います。  銀行が証券まで含む金融業務を行うことは、銀行経営の健全性を損ない、預金者保護を弱め、銀行の公共性、社会的な役割を大きくゆがめる危険を生み出します。利益相反やインサイダー取引などの不正取引の横行の危険が広がります。消費者に対しては、抱き合わせ販売やリスクについての不十分な説明、過大な信用供与など、重大な不利益をもたらす危険が増大することは明らかであります。  総理、例えば、あのバブルの時期、大銀行が融資の拡大のために他業種と事実上提携してハイリスク商品を販売し、多数の国民に大きな損害を与えてきたことは周知の事実であります。大銀行は、それに関してまともな反省の姿勢も見せておりません。銀行持株会社の創設によって、こういう事態が一層野放しになるのではありませんか。その危険がないと言えますか。  アメリカでは、早くから銀行持株会社が認められております。しかしながら、いわゆるグラス・スティーガル法のもとで、いろいろな経過や議論はありますが、銀行持株会社の傘下に主として証券業務に従事する会社は置けないとしており、例外的に認められている証券子会社と銀行との関係でも、二十八項目に及ぶ厳しい規制を課しております。銀行の証券への融資の量なども具体的に規制されております。銀行と証券との兼業を認める場合は、その間に厳しい隔壁、ファイアウォールを設けることが常識であります。  ところが、本法案は、このアメリカの銀行、証券関係あり方をも大きく超えて、銀行持株会社の傘下に証券を公然と入れることを認めながら、その一方で、持株会社や銀行に対する規制は極めて緩やかであります。銀行と親会社、兄弟会社との取引に関して、取引の通常の条件に照らして銀行に不利益を与えると認められるものを禁止する規定、そして役員の兼任に関して、銀行の業務の健全かつ適切な運営を妨げるおそれがあると認める場合の禁止規定がありますが、到底有効とは考えられません。  総理、この程度の規制で十分だと考えているのでしょうか。銀行、証券の兼業を認める以上、なぜもっと厳しい規制をしないのですか。お尋ねをしたいと思います。  第二の問題は、持株会社を通じて巨大銀行の力が一層強まり、金融機関の再編をもたらさざるを得ないという点についてであります。  日本金融制度は、これまで、業務や分野あるいは地域により、特色を持った銀行などがそれぞれ役割を果たすという、いわゆる専門性、分業性を一つの特色としてまいりました。しかし、金融持株会社導入を進め、ビッグバンを推進するならば、こうした金融システムが大きく変えられ、弱肉強食の激しい競争が行われることになります。公正で自由な競争は一層抑圧され、巨大銀行本位の金融再編を促進することは明らかであります。  総理、この法案によって一握りの金融機関金融コングロマリットだけが生き残り、特色ある信用組合、信用金庫などを含む中小金融機関、地域金融機関などの大幅な整理淘汰が促進されることになると危惧されますが、そうならないと言えますか。法案の言う効率化とは、まさにこの整理淘汰を指すのではありませんか。いわゆるビッグバンを進める中で、政府はこうした中小金融機関の果たす役割をどう考えているのでしょうか。はっきりとお答え願いたいと思います。  第三に、銀行持株会社の産業全体への支配力の強化にかかわる問題です。  日本の大銀行は、いわゆるメーンバンク制のもとで、今現在、既に株式保有や役員派遣などを通じ、企業に対して大きな影響力を行使しています。さらに、株式の相互保有が広範に行われていて、六大企業集団や企業系列が形成されています。その現状もと金融持株会社を認めることは、企業に対する銀行の支配力を一層強め、企業集団を強化することになる、これは明白であります。  この法案は、金融機関による経済力の集中を規制し、金融と産業との癒着を制限する独占禁止法の趣旨に反し、それを骨抜きにするものであります。銀行が会社株式を五%まで保有できるとする現行の規定自体問題ですが、法案は、銀行持株会社グループによる、子会社にできない会社の株式保有を一五%まで認めるとしています。アメリカでは、銀行による株式保有を禁止し、銀行持株会社グループによる他の会社の株式保有を五%に制限しています。  総理、日本の産業界にも、銀行の産業支配を抑制するために五%に抑えてほしいという声がありました。なぜグループの保有限度を、この法案で一五%と緩めたのですか。また、なぜ銀行の株式保有総量を規制しないのですか。理由を明確にしていただきたいと思います。  第四に、持株会社グループの中での労働条件などにかかわる問題です。  銀行持株会社は、効率的な金融業務の運営を目的とするのですから、傘下の子会社を自由に売買することができるようになります。そのたびに大幅な人員整理や労働条件の切り下げが行われるでしょう。子会社が倒産した場合に、その子会社の労働者は、親会社である持株会社責任をどこまで問えるのかという問題も生じます。  要するに、持株会社は、都合のいいときには子会社を自由に使い、そこから発生した損失については都合よく責任を回避できる、そういう無責任な経営体制になりかねないのであります。それは雇用や労働の問題だけでなく、本来の金融業務についても言えることであります。銀行という公共性を持つ分野でこういう事態が生まれることは、ゆゆしいことであります。  総理、金融持株会社という形態のもとで、雇用や労働の条件が悪くなるのは確実ではありませんか。政府として、それにどう対応するつもりでしょうか。また、この制度のもとで、子会社に対する親会社の責任というものを明確にしておくべきだと考えますが、いかがでしょうか。  法案は、また、預金保険法を変えて、破綻金融機関を救済しようとする銀行持株会社などに対し、預金保険機構が資金援助を行うことができるようにするとしています。これが破綻金融機関の救済を容易にするということで、銀行持株会社設立の利点にさえ数えられています。しかし、まさにこれは、さきに述べた弱肉強食の金融機関再編を促進するものであります。  同時に、これは預金保険機構の出動を一層安易にするものであります。別途提案されている預金保険法一部改正案も、預金保険機構の資金援助の対象を大きく拡大しているところであります。  こうして資金援助の対象拡大することは、今でさえ責任準備金が枯渇し、日銀や民間金融機関からの借入に頼っている預金保険機構の収支を一層悪化させることは間違いありません。信用組合の特別勘定だけでなく、機構全体の収支が危うくなる。財政資金投入の危険を強めることになります。  総理、信用組合特別勘定に財政資金を投入するという危険が現に存在するのではありませんか。信組特別勘定への財政資金投入はすべきではありませんが、さらに、信組以外への新たな財政資金投入は行わないと断言できますか。  罰則の整備に関する法案について一言触れます。  金融界の最近のさまざまな不祥事を見れば、罰則の整備は当然であります。しかし、既に触れたようなバブル期の大銀行などのあの野蛮な振る舞いには、何の罰も与えられてはいません。そして今、自由化規制緩和の名のもとにそのルールそのものさえがさらに弱められつつあるのであります。  貯蓄広報中央委員会の最近の世論調査によれば、ビッグバンの進展によって予想されることの第一に、国民が第一に挙げているのは、金融商品が複雑になるなど生活負担がかかるということでありました。貯蓄をする際、何を基準にしてその種類を選ぶかという質問への答えでは、収益性、もうかるかどうかというのがたった一五・三%に対し、安全性が実に四九・三%という結果でありました。多くの国民が、銀行など金融機関がますます国民から離れた、国民に不利益をもたらす存在になりつつあると感じていることがここにはっきりと示されております。  総理、この国民の不安にこたえる道は、大銀行、金融機関への一層の規制緩和や投機的商品の拡大あるいは大銀行本意の金融再編ではなく、金融消費者保護制度の確立はもとよりのこと、銀行の公共性、社会的役割を重視し、その責任を果たさせて国民を守る、そういうルールをしっかりと確立することではありませんか。はっきりとお答えを願いたいと思います。  金融持株会社解禁に関するこの二法案は、そうした国民の求める方向とは全く逆行するものであるということを私は強調をして、質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇
  51. 橋本龍太郎

    内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 佐々木議員にお答えを申し上げます。  まず、金融持株会社の目的についてお尋ねがございました。  金融持株会社の解禁は、銀行など金融機関の経営形態の選択肢の拡大をもたらすものであり、その活用により、金融分野での競争促進や経営の効率化が期待をされるとともに、専門化、高度化した金融サービスの開発、提供が促進され、利用者である国民の利便の向上に資するものと考えております。  次に、金融持株会社に関する銀行業と証券業の関係についてお尋ねがございました。  法律案では、親子関係にある銀行と証券会社と同様に、持株会社傘下の兄弟会社の間にも、利益相反取引防止の観点から、公正な取引を確保するための措置を講じており、今回の解禁が直接銀行業と証券業の関係を大きく変更するものではないと考えております。  次に、銀行のハイリスク商品の販売に関するお尋ねであります。  金融システム改革により多様化、高度化した金融サービスを利用者が享受できるよう、利用者保護のための公正な取引ルールのあり方の検討は必要であります。  御指摘の、銀行が持株会社を活用し、業務展開を図り、さまざまな商品を扱う場合におきましても、例えば、顧客が商品の内容について誤認しないためのルールづくりが必要であろうと思われます。  次に、ファイアウォール規定についてお尋ねがございました。  今回の法案では、銀行とその持株会社または兄弟会社との利益相反取引により銀行経営の健全性が損なわれることなどの弊害を防止するための措置を講ずることとしております。弊害防止措置については、実効性のある必要最小限のものを確保することが大切であると考えております。  次に、中小金融機関の果たす役割について、御意見を交えてのお尋ねがありました。  持株会社の活用を含む金融システム改革は、商品、業務、組織形態の自由化、多様化を通じて、各金融機関の特性を最大限に生かした経営を可能とするものであります。中小金融機関につきましても、これに伴い、今後とも一層地域のニーズにきめ細かく対応することにより、その役割を十分果たすものと期待をいたしております。  次に、銀行持株会社グループ及び銀行による株式保有についてのお尋ねがございました。  銀行持株会社グループの株式保有限度につきましては、銀行経営の健全性の確保や金融機関の株式保有の状況などを総合的に勘案して一五%としたものであります。また、銀行の株式保有総量のあり方につきましては、銀行経営の健全性や株式市場に与える影響などの観点から検討していくことも必要であると考えております。  次に、金融持株会社の解禁に伴う雇用・労働条件について、悪くなるのが確実だという御見解が示されました。しかし、雇用・労働条件は関係労使間の話し合いで決定をされるものでありまして、これが確実に悪くなるというのは予断ではないかと思います。  なお、さきの独禁法改正の際の附帯決議で、持株会社解禁に伴う労使関係の対応については、労使関係者を含めた協議の場を設け、今後二年をめどに検討するとされましたことを受け、現在、労働省でそのための懇談会を開催し、検討を進めております。  次に、金融持株会社制度における親会社の子会社に対する責任に関するお尋ねがございました。  一般的には、子会社に対する親会社の責任を追及することはできないと考えられておりますけれども、例えば、子会社たる銀行の違法行為が銀行持株会社の指示により行われるなど、金融持株会社に不法行為責任を追及できるような特殊な事情がある場合には、その責任を追及できると解されております。  次に、預金保険機構に対する財政資金の投入に関するお尋ねがございました。  今回の法改正によるその措置自体が機構の財源状況を悪化させる原因となるものだとは考えておりません。また仮に、現在見込まれる機構の財源で対処が困難な状況が発生した場合には、平成十年度末までに保険料率の検討を行うことといたしております。  最後に、金融における消費者保護や金融機関がその責務を果たすためのルールの確立についてお尋ねがございました。  今回の金融システム改革におきましては、利用者の保護を図る観点から、ルールの整備に向けて検討を進めていくとともに、金融機関などのルール違反に対して厳正な処分を行うことなどにより、透明で信頼できる我が国金融市場の構築に努めてまいります。(拍手)     ―――――――――――――
  52. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) 吉田公一君。     〔吉田公一君登壇
  53. 吉田公一

    ○吉田公一君 私は、太陽党を代表いたしまして、金融関連三法案につき、総理並びに大蔵大臣に質問をいたします。  今回、政府提出されている金融関連三法案は、来年四月の新外為法施行に続く日本版ビッグバンに向けて、橋本総理の掲げる六大改革一つであります金融システムの改革一つに位置づけられており、また、金融システムを守り、再編を円滑に進めるには、法的な受け皿づくりなど環境整備が必要であります。  さらに、今回の証券業界準大手の三洋証券の倒産は、政府、大蔵省の護送船団方式の見通しが狂い始めているのだと考えております。それに加えて、我が国の銀行、証券、保険などの金融市場は、今日、国際的な流れの中で、国際標準から立ちおくれて競争力が低下してしまうなどの危機感が強くなっております。  橋本総理は、金融システムの改革の方向として、市場原理の働く自由な市場、透明で信頼できる公正な市場、国際的で時代を先取りする市場、いわゆる自由、公正、グローバルの三原則を掲げ、今後五年間で規制の撤廃、緩和、財務内容の開示の充実、国際標準に沿った会計制度の転換などを示しております。しかし、二〇〇一年までの五年間で行うという改革であるだけに、焦点が定まらず、これらの改革の実現が懸念されているところであります。  そのような中にあって、総理自身が、金融システム改革への今後の日本版ビッグバンに向けての具体的スケジュールを国民の目に見える形で明示すべきであります。総理の見解をお伺いしたいと存じます。  次に、改正法案であります金融持株会社設立関連法案について、大蔵大臣に質問いたします。  大蔵省は、銀行を一〇〇%保有する持株会社を当該銀行が設立することを可能とするために、いわゆる米国型の正三角合併方式を導入するとし、海外に支店を展開し、膨大な債権債務を持つ銀行の場合について、NTTの持株会社で利用される抜け殻方式では、海外における債権債務の譲渡にかかわる実務的対応が極めて困難であることから、銀行に対して特別にこうした特例を認めるとしたことは評価できますが、既存銀行の株主に対する株式譲渡益課税や有価証券取引税の免除、持株会社の設立登記等の登録免許税の免除、根抵当権の変更登記等の登録免許税の免除が認められませんと、コストがかかり過ぎて銀行持株会社設立は現実には困難ではないでしょうか。  今回の商法の特例法により銀行の持株会社化を実現するためには、税法についても改正する必要があると考えております。  金融持株会社方式の導入は、銀行、証券、保険など金融サービスを総合的に提供し、顧客の利便性に供するというのが第一義的なものでありますが、それに加えて、金融再編にとっても有効でなければなりません。例えば、破綻銀行を引き取って金融機関の整理統合を進めることができるような体制を整備しなければならないと思います。  さらには、長期信用銀行や信託銀行は普通銀行に転換して、金融持株会社を設立し、地銀を傘下に置くことによって、支店網と業務の拡大を図るというメリットがある反面、金融持株会社方式を進める場合には、銀行、証券、生保、損保の間に厳格な業務の隔壁を設定する必要があると考えております。  それに加えて、生保業界は相互会社の傘下に金融持株会社を置いて、その下に各種金融機関を抱えた場合、相互会社であります生保は、経営内容の開示、透明性、社内監査制度の充実強化、破綻処理の手続が十分ではなく、これが金融持株会社の株主になりますと、形式的には戦前の財閥本社のようになりかねないと憂慮されております。金融持株会社は、その株式が公開され、分散していることが大前提であり、大蔵大臣の御見解を伺いたいと存じます。  次に、罰則強化法案について質問いたします。  今回の法案を見る限り、罰則強化によって守るものが何なのか判然といたしておりません。金融機関か、それとも金融システムなのか。後者であれば、不正融資程度で揺らぐほど日本金融システムは脆弱なのか。現在の不良債権問題は、資産価値の急激かつ大幅な下落が原因であり、抽象的にせよ、金融システムの安全性を害する行為を罰するという考えならば、その対象をもっと広げる必要があるのではないでしょうか。  また、罰金や懲役の強化で経済犯罪を抑制することが果たしてできるのか。人権問題に直結する刑罰の強化は慎重でなければなりません。つまり、罰則強化による投資コスト引き上げには限界があり、むしろ懲罰的損害賠償などの制度導入を図るべきであります。今回の罰則強化は、住専問題などに端を発した問題解決としては理解をできますけれども、法体系のあるべき姿という点ではいかがなものかと思います。大蔵大臣の御見解を伺いたいと思います。  最後に、金融・資本市場改革の、いわゆるビッグバンと称される諸々の改革は、我が国の税制、金融制度を初め金融機関及び証券、生保等の金融・資本市場の中核をなす企業の経営そのものに、またユーザーとしての国民企業の行動に変化をもたらすものであります。私は、金融システムの改革は、橋本総理の主張されるように、我が国の活力ある発展にとって必要不可欠な措置であるということを総理に申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇
  54. 橋本龍太郎

    内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 吉田議員にお答えを申し上げます。  私には、金融システム改革への今後の具体的なスケジュールという点についてのお尋ねをいただきました。  この改革につきましては、本年六月、関係審議会の報告がまとまり、改革全体の具体的な措置とスケジュールを明らかにいたしました。今後はこのスケジュールに沿って改革を進めることとしておりまして、実現可能なものから実行に移しております。  法律改正が必要な事項につきましては、今国会提出しております法案のほか、大半の事項につきまして次期通常国会に所要の法案提出を目指すこととしており、改革の多くの事項を平成十一年度までには完了することといたしております。  今後とも、この改革内容などにつきましても、御指摘のように広く国民の理解を得るよう努めてまいりたいと思います。  残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)     〔国務大臣三塚博君登壇
  55. 三塚博

    ○国務大臣(三塚博君) 吉田議員にお答えを申し上げます。  銀行持株会社の設立に係る税負担についてのお尋ねであります。  銀行持株会社の設立に伴う税制上の措置につきましては、その設立形態を考慮しながら、銀行以外の持株会社との課税のバランスなど課税の公平等の観点を踏まえながら、検討してまいります。  金融持株会社方式を進める場合の業務隔壁についてのお尋ねであります。  金融持株会社方式を進めるに当たりましては、金融持株会社の意義等を損なわないようにしつつ、利益相反等の弊害の防止を担保するため、御指摘のような、銀行、証券等の間において実効性のある、必要最小限の業務の隔壁を確保していくことが大切であると考えております。  相互会社が傘下に金融持株会社を置くことは問題ではないかとのお尋ねでございます。  相互会社についても、保険業法上のディスクロージャー規定、会計監査人による監査制度等、経営の透明性確保のための措置整備をされております。  なお、保険会社が子会社として持株会社を保有することについては、今後、検討を行い、必要な措置を講じてまいりたいと考えております。  罰則強化法案について、何を守るということかというお尋ねであります。  本法案は、今般の金融不祥事を踏まえまして、その再発防止を図りますとともに、今後の金融システム改革に向けて、公正かつ透明な金融・証券市場の構築を図ることを目的といたしており、このような観点から、金融機関等の検査回避、虚偽報告に係る罰則や不公正取引、ディスクロージャー違反に係る罰則など、金融関係法律全般にわたり、広く罰則強化を図るものであります。  最後に、罰金や懲役の強化で経済犯罪を抑制することができるのかというお尋ねでございます。  今回の罰則強化においては、銀行等の検査回避、虚偽報告については、現行の五十万円以下の罰金を、一年以下の懲役または三百万円以下の罰金に引き上げますとともに、法人に対しては二億円以下の罰金とするなど、大幅に強化をしたところであり、違反行為に対し、十分な抑止効果を上げるものと考えております。  なお、御指摘の懲罰的損害賠償の導入につきましては、刑事罰は厳格な裁判手続によって初めて科することができるとする憲法上の趣旨に反するおそれがあると考えられ、慎重な検討が必要と考えております。  以上でございます。(拍手
  56. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) これにて質疑は終了いたしました。      ――――◇―――――
  57. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。     午後四時六分散会      ――――◇―――――