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1997-10-28 第141回国会 衆議院 本会議 第6号
公式Web版
会議録情報
0
平成
九年十月二十八日(火曜日)
—————————————
平成
九年十月二十八日 午後零時三十分 本
会議
—————————————
○本日の
会議
に付した
案件
商法
及び
株式会社
の
監査等
に関する
商法
の
特例
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣
提出
)の
趣旨説明
及び
質疑
午後零時三十三分
開議
伊藤宗一郎
1
○
議長
(
伊藤宗一郎
君) これより
会議
を開きます。
————◇—————
伊藤宗一郎
2
○
議長
(
伊藤宗一郎
君) 御報告することがあります。 永年
在職議員
として表彰された元
議員森中守義
君は、去る一日逝去されました。まことに
哀悼痛惜
の至りにたえません。
森中守義
君に対する
弔詞
は、
議長
において去る二十六日既に贈呈いたしております。これを朗読いたします。 〔
総員起立
〕 衆議院は 多年憲政のために尽力し 特に院議 をもってその功労を表彰され
さき
に
石炭対策
特別委員長
の要職にあたられた
従三位勲一等
森中守義
君の長逝を哀悼し つつしんで
弔詞
を ささげます
————◇—————
商法
及び
株式会社
の
監査等
に関する
商法
の特 例に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
)の
趣旨説明
伊藤宗一郎
3
○
議長
(
伊藤宗一郎
君) この際、
内閣提出
、
商法
及び
株式会社
の
監査等
に関する
商法
の
特例
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
について、
趣旨
の
説明
を求めます。
法務大臣下稲葉耕吉
君。 〔
国務大臣下稲葉耕吉
君
登壇
〕
下稲葉耕吉
4
○
国務大臣
(
下稲葉耕吉
君)
商法
及び
株式会社
の
監査等
に関する
商法
の
特例
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、その
趣旨
を御
説明
いたします。 この
法律案
は、最近の
社会経済情勢
及び
株式会社
の
運営
の
実態
にかんがみ、いわゆる
総会屋
の
根絶
を図るとともに、
株式会社
の
運営
の
健全性
を
確保
するため、
商法
及び
株式会社
の
監査等
に関する
商法
の
特例
に関する
法律
の一部を
改正
しようとするものでありまして、その
改正
の要点は次のとおりであります。 まず、
商法
につきましては、第一に、
株主
の権利の
行使
に関して
利益
を
供与
する罪及びこれを受ける罪の
法定刑
を引き上げるとともに、
利益供与
を
要求
する罪と、
威迫
を用いて
利益供与
を
要求
したりこれを受ける罪を新設し、また、
利益供与
を
要求
したりこれを受けたりした者に対しては、
懲役刑
と
罰金刑
の併科を可能とすることとしております。 第二に、
会社
荒らし等に関する
贈収賄罪
、
取締役等
の
特別背任罪
及び
取締役等
の
汚職
の罪の
法定刑
を引き上げることとしております。 第三に、その他の罪の
罰金刑
の上限を引き上げることとしております。 次に、
株式会社
の
監査等
に関する
商法
の
特例
に関する
法律
につきましては、
会計監査人
の
汚職
の罪の
法定刑
を引き上げることとしております。 以上が、
商法
及び
株式会社
の
監査等
に関する
商法
の
特例
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
の
趣旨
であります。(
拍手
)
————◇—————
商法
及び
株式会社
の
監査等
に関する
商法
の特 例に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
)の
趣旨説明
に対する
質疑
伊藤宗一郎
5
○
議長
(
伊藤宗一郎
君) ただいまの
趣旨
の
説明
に対して
質疑
の通告があります。これを許します。
上田勇
君。 〔
上田勇
君
登壇
〕
上田勇
6
○
上田勇
君 私は、
新進党
を代表し、ただいま議題となりました
商法
及び
株式会社
の
監査等
に関する
特例
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
及び今回の
法改正
の背景となっているいわゆる
総会屋
問題について、
総理
並びに
関係大臣
に御
質問
いたします。 本年に入り、
企業
といわゆる
総会屋
との
関係
をめぐる
事件
が次々と明らかになっています。
大手銀行
や
証券会社
を初めさまざまな
業界
の代表的な
企業
が、反
社会
的な
勢力
と深い
関係
を持ち続け、違法と知りつつ多額な
利益
を
供与
し、結果的にやみの世界を助長させていたことは、
我が国
の
企業
、
経済
に対する
信頼
を著しく損ねるものであります。しかも、多くのケースでは、
経営トップ
も
事件
に関与しており、
企業
の
経営陣
、
従業員
に
法律
を守るという基本的な
モラル
が欠如しているという極めて深刻な
事態
を浮き彫りにしております。 また、政界においては、
橋本総理
が過去に
収賄
で刑が確定した人物を
閣僚
に任命いたしました。また、
自民党
に所属していた
国会議員
が
収賄
の
容疑
で
有罪判決
を受けたにもかかわらず、何ら
責任
をとろうとせずに
国会
に居座っている現実があります。 さらに、
刑事被告人
である泉井氏から
政府
・
与党
の中枢が多額の
政治資金
の提供を受けていることも明らかになっています。このように、
政府
・
与党
においても
法律
を守るという基本的な
モラル
が失われており、
国民
の
政治
に対する不信は一層高まっております。 さらに、
行政
においても、
大蔵省幹部
による不祥事の続発や厚生省、運輸省の
次官経験者
が
収賄容疑
で逮捕されるなど、
モラル
の低下は信じがたいほど進んでおります。
政治
、
行政
、
経済
、これらの分野における著しい
モラル
の欠如が次々と明らかになっていく
事態
に接し、多くの
国民
は
信頼
できるものが何もなく なってしまったと希望を失っているのではないでしょうか。こうした国の危機とも言える深刻な
事態
に直面しながら、
橋本総理
の言動からは
責任感
も意思も全く伝わってこないことがまことに残念であります。
総理
は、
政治
、
行政
、
経済
において、
法律
を守るという最低限の
倫理
が失われている
事態
についてどのように認識されているのか、国の
最高責任者
としての
責任
をどのように感じられているのか、また
国民
の
信頼
と自信を回復していくためにどのようにしようとされているのか、明確な御
答弁
を求めます。 とりわけ、
政治家
には最も高い
倫理性
が求められており、だれよりも
法律
を守る
精神
が必要とされています。その意味で、
新進党
は、民主党、
太陽党
と
共同
で、藤波氏、中村氏、両
議員
の
辞職勧告決議案
を
提出
しております。当然、
橋本総理
には御賛同いただけるものと理解しておりますが、御
所見
があれば承りたく思います。
企業
といわゆる
総会屋
との
関係
については、かなり以前から問題が
指摘
されてきました。
昭和
五十六年には、
総会屋
の
排除
を目的として
商法
が
改正
され、
総会屋
への
利益
の
供与
を禁止する条項が新設されました。また、
法改正
時には、
法務委員会
におきまして「
総会屋
の絶滅に一層の努力をすること。」との
附帯決議
が付されています。しかしながら、その後も
企業
による
利益供与
は後を絶たず、明らかになった
事件
だけでも三十件を超えており、これらは氷山の一角とも言われております。このように、これまで
効果
が十分上がらなかった
原因
は、
法制度
に不備があるためなのか、
政府
としての
取り組み
が十分でなかったためなのか、明らかにするべきだと考えます。 また、
法律
で禁じられているにもかかわらず、
企業
による
総会屋
への
利益供与
が後を絶たない現状から見て、今回の
法改正
で
罰則
の
強化
や
利益供与要求罪
を新設したとしても、それだけで
総会屋
を
排除
できるものとは考えられません。
政府
を挙げての本腰を入れた
対策
が必要と考えますが、
法務大臣
の御
所見
をお伺いします。 多くの
企業
が
総会屋
との
関係
を絶てない
原因
の
一つ
に、
経営陣
が
株主総会
を形骸化させてしまっている
実態
があります。
上場企業
の九割近くが
特定
の日に
株主総会
を
集中
させ、
一般株主
の出席を困難にさせている上、多くの場合は
経営
に関する
質疑
を極力抑え込み、短時間で
総会
を形式的に済ますことだけに腐心しているように思われます。
社員株主
を使って
株主
の
発言
を封じ込めたり、時には
与党総会屋
と言われる
経営陣
に友好的な
総会屋
を利用することもあると言われております。また、
総会屋
から
経営内容
について
質問
するとの
脅迫
にろうばいし、安易に
利益供与
の
要求
に応じている
実態
が明るみに出ています。
企業
がこのように
総会屋
につけ入られるのは、
総会
で開示されては困るような不透明な
経営
を行っていたり、談合に代表されるように
違法行為
を許容する
倫理観
が依然としてはびこっているなど、
企業経営者
の
意識
や
コーポレートガバナンス
の
あり方
に問題があると考えます。
総会屋
を
排除
していくためには、批判にたえ得るしっかりとした
経営
と、違法な
行為
は絶対許さないとの
企業倫理
を確立するとともに、
株主総会
で
経営
の
あり方
についてオープンに討議する姿勢が必要であります。そのためには、
企業経営陣
の
意識改革
を促すとともに、
取締役会
の役割と
責任
の
明確化
、
社外取締役
の登用、
監査役
の
独立性
の
確保
と機能の
強化
など、
現行
の
商法
の
改正
を含む
制度
の見直し、整備を至急行う必要があると考えますが、
総理
のお考えをお聞かせください。 なお、
新進党
といたしましても、
コーポレートガバナンス
についてはこれまで
検討
を行ってきており、今後より具体的な提言を明らかにしていく予定であることを申し添えます。
企業
が
総会屋
との
関係
を断ち切れないもう
一つ
の大きな
理由
に、
総会屋
が
暴力団
と通じているなど、
経営陣
や
担当者
が
暴力行為
や
脅迫
に対して身の安全が
確保
できないとの
恐怖感
があるのではないでしょうか。
要求
をのまなければ家族に危害を加えることを示唆する
脅迫
があったとの
担当者
の証言も
報道
されています。また、
企業サイド
には、
総会屋
の
要求
に応じなければ、
株主総会
で嫌がらせの
発言
を連発されたり
暴力行為
が行われて、大混乱に陥ってしまうのではないかという懸念もあるように聞いています。 こうした
事態
に適切に対処していくためには
企業
と
警察
との間の連携を一層深めていくほか、
警察
が
企業関係者
の安全を守るための万全の
対策
を講じ、
株主総会
の
警備体制
を
強化
するなどの
取り組み
が必要と考えます。
企業関係者
の中には、いざ
総会屋
と毅然と対峙した場合に
警察
がきちんと
対応
してくれるのか、心配する声があります。
総理
及び
国家公安委員長
の御
所見
を伺います。 また、現在でも
株主総会
の
集中日
には一万人に及ぶ
警察
官が動員され
警備
に当たっていると聞いております。今後、
総会
の
特定日
への
集中
が改められて分散して開催されることとなり、しかも
内容
の充実によって長時間に及ぶ
総会
がふえたとしても、
警察
では十分な
対応
ができるのか、
国家公安委員長
の御
見解
を求めます。 次に、法案の
内容
について一点
お尋ね
いたします。
利益供与要求罪
などの
罰則
が「三年以下ノ
懲役
又ハ三百万円以下ノ
罰金
」となっています。この
罰金
の額は、
利益供与
の
金額
が百億円を超える
事例
がある中で、余りにも少額なのではないかと感じます。この程度の
罰金額
で果たして
総会屋
の暗躍を抑止する
効果
があるのでしょうか。
法務大臣
の御
見解
をお伺いいたします。 次に、今回の
法改正
とは直接
関係
ありませんが、
さき
の
通常国会
での与野党六党の
共同提案
による
商法
の
改正
によって導入された
ストックオプション
の
税制
についてお伺いいたします。
ストックオプション
の導入は
経済界
の
要請
にもこたえるもので、既に多くの
企業
で活用されております。
現行制度
では、
購入権
を
行使
し株式を取得する際に、
行使価格
と
実勢価格
との差額が所得とみなされ課税されておりますが、そのために新たな
資金
の手当てが必要となっております。
法務委員会
の審議においても、
新進党
の考え方に十分御理解をいただき、
税制
上の
措置
について
検討
する旨の
附帯決議
が採択されました。
ストックオプション制度
の一層の活用を促すためにも、現在
一定要件
のもとでのみ認められている
税制措置
を全般に適用されるよう拡大することを御提案いたしますが、
総理
の御
見解
をお伺いいたします。 最後に、
総会屋
のように反
社会
的な
勢力
を追放していくためには、
国民全員
が
法律
を守るという
モラル
を共有することが不可欠であります。また、国として、
法律
を守る
行動
が安心して行え、報いられる
環境づくり
に全力を傾注していく必要があります。そのためにも、最も高い
モラル
を求められる
政治家
がまず模範を示していく必要があります。 ところが、
新聞
によると、
警察庁出身
のある
自民党国会議員
は、法に抵触する
寄附
行為
を百件以上行っていることを認めながら、みんなやっていると開き直り、改善は将来の課題と、全く反省がありません。法を守らせる
警察
に長年在職した
経験
がありながらこのような
発言
をされるとは信じがたいことです。
国会議員
が
法律
を
承知
の上で破り、平然としているようでは、
国民
に
遵法精神
を求めることはできませんし、結果的に、
総会屋事件
を初め増加する
犯罪
と対決し、安全で公正な
社会
をつくっていくことは不可能と考えます。
総理
、
法務大臣
、御
所見
があればお聞かせください。 これまで申し上げたことから、
倫理
も
遵法精神
も全く欠如してしまっている
橋本内閣
と
自民党政権
に、
総会屋
を初め反
社会
的な
勢力
と対峙し、庶民が安心して生活できる公正な
社会
をつくっていくことを期待することは不可能であることを御
指摘
し、
質問
を終わらせていただきます。(
拍手
) 〔
内閣総理大臣橋本龍太郎
君
登壇
〕
橋本龍太郎
7
○
内閣総理大臣
(
橋本龍太郎
君)
上田議員
に
お答え
を申し上げます。 まず、冒頭、
政治
、
行政
、
経済
の面で
法律
を守るという点についての認識、
対応
について
お尋ね
がございました。
経済面
におきましては、例えば、いわゆる
総会屋対策
のための
閣僚会議
を設置し、
罰則強化
のための今回の
商法改正
などを初めとして、
政府
を挙げてその
対策
を実施いたしております。 また、
政治面
におきましては、
与党
三党の
政治改革協議会
におきまして鋭意
検討
を進めるとともに、
行政面
におきましては、昨年末、
公務員倫理規程
の制定などをいたしました。
議員
は
モラル
の点のみを御
指摘
になりましたけれども、私は、御
指摘
の
モラル
の点は当然のことでありますけれども、幅広い視点から、内外の
環境
が変化をする中で、
我が国
が活力を持ち続けながら、自律的な、
個人
を基礎とする、自由で公正な
社会
を形づくっていきたいという思いで六つの
改革
の実現に努めております。
議員各位
の御
協力
を心からお願いを申し上げる次第であります。 次に、
議員辞職勧告決議
についての
お尋ね
がございました。
国会議員
の
政治活動
に関し疑惑を招かないよう、それぞれの
政治家
そして政党が十分心して
政治活動
をすべきことは当然であります。
議員辞職勧告
につきましては、
議員
の身分にかかわる重大なことであり、院においても慣行があると
承知
をいたしております。院においてお決めいただくべきものと考えます。 次に、いわゆる
総会屋対策
と
企業
の
あり方
についての
お尋ね
がございました。
政府
は、いわゆる
総会屋対策
のための
関係閣僚会議
を設置しながら、
経済界
の
協力
をも得て、
政府
を挙げ、その
対策
を実施いたしております。
罰則強化
のための今回の
商法
などの
改正
も、その一環をなすものであります。 なお、
監査役制度
につきましては、いわゆる
大会社
につきまして、
平成
五年の
改正
で、
監査役
の人数の増加、
監査役会
及び
社外監査役
の創設などを行ったところであります。 今後も、
制度
上の問題を含めて、どのような
対策
が必要であるのか、幅広い角度から取り組んでまいります。 次に、
企業側
の安全の
確保
についての
お尋ね
がございました。
企業
と
暴力団
、
総会屋
などとの
関係遮断
を進めていく上で、
企業
やその
役職員等
の安全の
確保
は非常に重要な
事柄
であると考えます。
警察当局
におきましては、今後とも、
企業
やその
役職員
などに対する
保護対策
、
株主総会会場
における
警戒等
について必要な
措置
を講じていくものと考えております。 次に、
ストックオプション
についての御意見がございました。 その
税制
上の取り扱いにつきましては、
ストックオプション制度
の
趣旨
や、適正、公平な課税の
確保
の
観点
から、
平成
十年度の
税制改正
の議論の中で適切に判断してまいります。 次に、
政治家
の
寄附
についての
お尋ね
がございました。
公職選挙法
第百九十九条の二におきまして、
公職
にある者は、
当該選挙区内
にある者に対し、いかなる名義をもってするを問わず
寄附
をしてはならないとされております。
議員
の御
指摘
になりました
報道
については、具体的な事実
関係
を
承知
しておりませんのでコメントをすることは差し控えたいと思いますが、いずれにせよ、
政治家
は、法の
規定
に従い適正に
行動
すべきことは当然であります。 残余の
質問
につきましては、
関係大臣
から御
答弁
を申し上げます。(
拍手
) 〔
国務大臣下稲葉耕吉
君
登壇
〕
下稲葉耕吉
8
○
国務大臣
(
下稲葉耕吉
君)
上田議員
に
お答え
申し上げます。 まず、
昭和
五十六年に
商法
が
改正
された後も、いわゆる
総会屋
の
排除
について十分な
効果
が上がっていないとの御
指摘
があり、その
理由
や今回の
罰則強化
の
実効性
についての御
質問
がありました。 いわゆる
総会屋
をめぐる
事犯
につきましては、
昭和
五十六年の
商法改正
以来、これらの罪により二百名近くが起訴され、また、いわゆる
総会屋
として把握されている者の数も
昭和
五十六年以降減少していると聞いており、
現行法
のもとにおける
捜査当局
の
摘発活動
は
一定
の成果を上げていたものと考えております。 しかしながら、今なお
総会屋
の
活動
が
根絶
されていないことは事実であり、これらの
罰則
の
犯罪抑止力
に問題があったことも否定できないところであります。そこで、今回の
法改正
により
罰則
の
強化
を図りたいと考えた次第であります。 他方、
議員
からも御
指摘
がありましたように、
抑止力
に問題があったとはいえ、
罰則
があるにもかかわらずこの種の
事犯
が後を絶たなかったことにかんがみますと、その
違法性
を十分に知りながら、
総会屋
と癒着し
利益供与
を行う
会社
の側、特にその
幹部
の
意識
に大きな問題があったこともまた事実であり、
会社幹部
の
意識改革
が図られる必要があると考えております。 ところで、
会社側
と
総会屋
との間で
利益
の授受が行われ、双方がこの事実を隠ぺいしようとする場合、
捜査当局
としては、
犯罪捜査
の端緒を得て摘発することが極めて困難であります。 今回の
法改正
では、こうした
観点
から、
利益供与
を
要求
する罪を新しく設けて、
会社側
がいわゆる
総会屋
から不当な
要求
を受けた段階でこれを
捜査当局
に届け出、その処罰を求めることを可能とすることとしておりますが、これによって、
会社関係者
が
総会屋
に対して毅然たる
対応
をとることも容易になると考えられます。 もちろん、これらの
罰則
の
強化
だけではなお十分ではございません。
罰則
の
強化
と
会社幹部
の
意識改革
とが両々相まって初めて
総会屋
の
活動
の
根絶
ができるものと考えます。 なお、本日開催されたいわゆる
総会屋対策
のための
関係閣僚会議
でも、
政府
として
業界団体
における
企業経営者
の
意識改革
を支援するなどの諸
対策
を一層推進していく、その旨の合意がなされたところであります。 次に、
利益供与要求罪
の三百万円以下という
罰金
の額は、最近の
事例
で
供与
されている
金額
を考慮すると少額過ぎるのではないかという御
質問
がございました。 一般的に申し上げますと、
利益供与
を
要求
したり、これを受け取ったりしたいわゆる
総会屋
に対しては、その
事案
の軽重にもよりますが、
運用
上は、
罰金刑
よりもむしろ
懲役刑
が科される場合が多くなっているものと考えております。 また、
会社
から
利益
の
供与
を受けた
総会屋等
に対しては、
商法
の
規定
により、
供与
を受けた
利益
を
会社
に返還すべき義務が課されております。さらにまた、その
利益
を
刑法
の
規定
によって没収、追徴することも可能であります。その上に、いわゆる
総会屋
に対しては、本
改正
により、
懲役刑
とあわせて
罰金刑
を併科することも可能となります。 このようなことからすると、
個人
に対する三百万円以下という
罰金額
は、不当に低過ぎるものとは言えず、適切なものであると考えております。 なお、今回の
罰金額
の引き上げは、
罰金刑
が
懲役刑
と相まって発揮する
抑止効果
や、これまでの
経済変動
、
刑法
上の
罰金額
との均衡などを考慮して、現在の
刑罰体系
の中で最大限の額とするという見地から行うものでありますが、その
抑止効果等
につきましては、今回の
法改正
後もその
運用
を見守ってまいりたいと思います。 次に、
議員
が
法律違反
を平然とやるようでは、 国全体の
モラル
が低下するのは当然ではないかという御
指摘
がありました。 御
指摘
のような
新聞報道
のあったことは
承知
しておりますが、具体的な
発言
の
内容
や
趣旨
を
承知
しているわけではなく、また、個別的な
案件
に対する
事柄
でもありますので、
法務大臣
としての
所見
を述べることは差し控えたいと思います。 なお、
一般論
として申し上げますと、
選挙区内
にある者に対する
公職
の
候補者等
による
寄附
については、
選挙
の
公正等
の
観点
から、
公職選挙法
上、原則として禁止されているものと
承知
しており、
公職
の
候補者等
においては、このような法の
趣旨
を踏まえ、適切な
行動
をとることが求められていることは当然のことと思います。(
拍手
) 〔
国務大臣上杉光弘
君
登壇
〕
上杉光弘
9
○
国務大臣
(
上杉光弘
君)
お答え
をいたします。
企業側
の
安全確保
のための
警察
の
対応
についての
お尋ね
でございますが、
警察
におきましては、
企業
の
役職員等
に対する
不法行為
の
未然防止
を図るため、
企業
によって若干のばらつきはございますが、おおむね六月より、
企業幹部等
を
保護対象者
に指定をいたしまして、連絡を密にし、
自主警戒
の指導を行うとともに、
身辺警戒
やパトロールの
強化
など
所要
の
措置
を講じております。 また、
株主総会
におきましても、
企業
からの
要請
を受け、積極的に
臨場警戒
を実施するなどして、
会場
における
不法事案
の
防止
に努めているところであります。 今後とも、各
都道府県警察
に対しまして、設置をいたしました
企業対象暴力対策本部
を基軸とし、
暴力団
、
総会屋等
に対する取り締まりを徹底いたします。
企業
の
暴力団
、
総会屋等
の
排除対策
への支援を
強化
してまいる所存であります。
株主総会
が分散して開催され、しかも長時間に及ぶ
総会
がふえた場合の
警察
の
対応
について
お尋ね
がございました。 そのような場合でありましても、
警察
におきましては、
所要
の
体制
を確立して、引き続き積極的な
取り組み
により
株主総会会場
の
不法事案
の
防圧
に努めていくものと
承知
をいたしております。(
拍手
)
伊藤宗一郎
10
○
議長
(
伊藤宗一郎
君) これにて
質疑
は終了いたしました。
————◇—————
伊藤宗一郎
11
○
議長
(
伊藤宗一郎
君) 本日は、これにて散会いたします。 午後一時五分散会
————◇—————