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1997-10-02 第141回国会 衆議院 本会議 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十月二日(木曜日)     —————————————  議事日程 第三号   平成九年十月二日     午後二時開議  一 国務大臣演説に対する質疑(前会の続)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  国務大臣演説に対する質疑  (前会の続)     午後二時三分開議
  2. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 御報告することがあります。  永年在職議員として表彰された元議員渡辺栄一君は、去る六月十六日逝去されました。  永年在職議員として表彰された元議員瀬戸山三男君は、去る六月二十三日逝去されました。  永年在職議員として表彰された元議員小林進君は、去る八月六日逝去されました。  永年在職議員として表彰された元議員堀昌雄君は、去る八月二十九日逝去されました。  まことに哀悼痛惜至りにたえません。  渡辺栄一君に対する弔詞は、去る六月二十一日、瀬戸山三男君に対する弔詞は、去る七月十七日、小林進君に対する弔詞は、去る八月二十九日、堀昌雄君に対する弔詞は、去る九月八日、議長においてそれぞれ既に贈呈いたしております。これを朗読いたします。     〔総員起立〕  衆議院は 多年憲政のために尽力し 特に院議をもってその功労を表彰され さき建設委員長懲罰委員長決算委員長要職につきまた国務大臣重任にあたられた正三位勲一等渡辺栄一君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます     …………………………………  衆議院は 多年憲政のために尽力し 特に院議をもってその功労を表彰され さき法務委員長予算委員長要職につき またしばしば国務大臣重任にあたられた正三位勲一等瀬戸山三男君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます     …………………………………  衆議院は 多年憲政のために尽力し 特に院議をもってその功労を表彰され さき逓信委員長物価問題等に関する特別委員長要職にあたられた正三位勲一等小林進君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます     …………………………………  衆議院は 多年憲政のために尽力し 特に院議をもってその功労を表彰された堀昌雄君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます     —————————————
  4. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 元本院議長福田一君は、去る九月二日逝去されました。まことに哀悼痛惜至りにたえません。  福田一君に対する弔詞は、議長において去る九月二十五日既に贈呈いたしております。これを朗読いたします。     〔総員起立〕  衆議院は 多年憲政のために尽力し 特に院議をもってその功労を表彰され さきに本院議長要職につき またしばしば国務大臣重任にあたられ終始議会政治の発展に貢献された従二位勲一等福田一君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます      ————◇—————  国務大臣演説に対する質疑 (前会の続)
  5. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) これより国務大臣演説に対する質疑を継続いたします。坂口力君。     〔坂口力君登壇〕
  6. 坂口力

    坂口力君 私は、新進党を代表して、日本が直面する諸問題について、橋本総理の真意をお伺いをしたいと存じます。  今、私たち政治家の前には、三つのガイドラインが重要な検討課題になっております。一つは政治改革指針であり、他の一つは日米防衛協力指針であり、残りの一つは少子・高齢化社会指針であります。  まず、政治改革指針には、国民に信頼される政治家としての自己改革国民が公正な政治を享受できるシステムづくりと、二つの側面を持っています。特に、信頼される政治家としての自己改革が急務であり、第二次橋本内閣における人事のつまずきは、その象徴的な出来事でありました。あらゆる疑獄事件も結局は政治家と金の問題に集約されますだけに、明確な姿勢が必要であります。政治には金がかかるという言い方は、政治改革を叫ぶ人が口にする言葉ではありません。これこそ改革の第一歩であり、これができずして、他の改革ができるわけがありません。私は、政治倫理のかなめとも言える政治資金制度脱法行為に絞って質問をしたいと思います。  去る九月十九日に公表されました政治資金収支報告によりますと、後援会などで発行する機関紙企業広告を多数掲載し、その破格の広告料で多額の政治資金を賄っている実態が明らかになっています。政治資金規正法の改正で企業からの寄附などは規制が厳しくなりましたが、広告料には何の規制もなく、抜け道になっています。しかし、特定少数の会員にしか配付されない後援会誌に常識を超える破格の掲載料が支払われるということになれば、それは広告料に名をかりた寄附金であると言わざるを得ません。それは明らかに政治資金規正法に違反するものであります。ある評論家は、総会屋の雑誌に企業がおどされて広告を出すのに似ていると書いています。しかも、指導的立場にあるはずの自民党の三役が名を連ねているのは一体どうしたことでありましょう。  李下に冠を正さず、これが国民の声であります。この事実を前にして、自民党の総裁でもあります総理がどのように判断をされるのか、お伺いをしたい。石油卸商泉井被告政治献金疑惑の解明は当然過ぎる問題でございます。  第二のガイドライン日米防衛協力指針見直しについてでありますが、日本とその周辺地域における平和と安全の維持はまことに重要であり、世界平和に果たす日本の役割も大きくなっています。このときに当たり、有事に備えて日本行動指針を策定することは大きな意義を有するものと考えます。  しかし、今政治が示さなければならないのは、いざ有事となった場合に、我が国に何が欠けていたのか、そのためにどういう対策が必要なのか、国連の平和を守る活動に今後どのような役割を果たしていくのか、世界を舞台に活動する邦人の保護をどう図るのかといった日本安全保障基本方針、国家としての危機管理あり方であり、日米ガイドライン見直しもその一環として位置づけなければならなかったのであります。  こうした基本方針を明確にすることなく作成されたため、ガイドラインは多くの点であいまいさを残しているのであります。  第一には、このガイドラインは条約でも協定でもなく、また、いずれの政府にも立法上、予算上または行政上でもその措置をとることを義務づけていません。日本国連を左右する重大な内容を盛り込みながら、立法上も予算上も国の重要施策として位置づける義務がないというのは、一体どういうことなのか。新進党は、国会での承認を求めているのであります。日本国民に対する説明と、米国に対する約束と、そして近隣諸国に対する報告と、それぞれ違った内容になれば、日本政府の信頼は完全になくなってしまいます。加藤幹事長が中国に対して発言をしました内容は、その可能性を示したものであります。  第二には、今回の見直しでより具体化されました周辺事態への対応であります。日本の平和と安全に重大な影響を与える事態としておりますが、軍事的なオペレーションの適用範囲があいまいであることは、シビリアンコントロールの観点からも問題があると言わなければなりません。政府は、地理的概念ではないと繰り返し述べておりますが、それではどのような概念なのでしょうか。  個別的自衛権行使は、当然のことながら、我が国の領土、領空、領海を中心にしている点で地理的概念をも含んでいます。政府説明では、その地理的概念を持った個別的自衛権の範囲内で周辺事態に対処することになっています。それなのに、周辺事態がなぜ地理的概念を持たないのか、論理的矛盾を来していると言わざるを得ません。また、極東より広い範囲と言っているのも矛盾をいたしております。  この問題は、個別的自衛権が領土を守ることに主眼があるのか、それとも国益を守ることに主眼があるのかという重大な問題に発展することを指摘しておきたいと思います。  御見解をお伺いし、あわせて、周辺事態をだれがどのように判断するのかもお答えをいただきたいと思います。  次に、集団的自衛権との関係で、これまでの政府見解のままで対応が可能なのかという問題について伺いたいと思います。  米国の後方支援を、戦闘地域と一線を画される地域での活動に限定すれば、武力行使との一体化ではなく、憲法に違反しないとの見解であります。しかし、これらの活動が他国から、武力行使そのもの、または一体化したものと見られる可能性もあります。情報通信、ミサイルが発達した今日、前線と後方の区別を明確にすることはもはやできなくなっております。実態を踏まえた議論からは大きく遠ざかったものと言わざるを得ません。五五年体制下で行われました神学論争から抜け出さなければ、世界から理解されない国になってしまうものと考えます。憲法論議を含めて、もう一度論理を再構築する必要があると思いますが、総理のお考えを聞きたいと存じます。(拍手)  第三のガイドラインは、少子・高齢化社会への対応であります。  長寿もさることながら、予想以上に少子化が進み、合計特殊出生率が一・四三からさらに悪化する傾向にあります。このいびつな人口構成がどれほど我が国の将来に影響するかを正確に予測することはできません。しかし、高齢化率三〇%を超 えている市町村が直面している困難の数々を見ましたときに、日本全体の高齢化率が三〇%に近づいた状況を想像することができます。それは、今日の予測をはるかに超えた厳しい社会であり、日本沈没可能性を秘めた事態ではないかと思います。  その超高齢化社会を二十年ないし三十年後に控え、今我々は何をなすべきか。年金医療介護システムを整備することも必要ではありますが、もっと大きなグランドデザインを描く必要性を痛感するのであります。少子・高齢化社会の問題は、社会保障制度の問題として矮小化したのでは解決することができません。政府の施策は社会保障制度というコップの中の問題として提案されていると思いますが、いかがでしょうか。  日本は、閉ざされた、日本民族による社会を形成してまいりましたが、もっと他民族を受け入れる政策は必要としないのかどうか。あるいは七十歳まで働くための人間と機械の人間工学をどう発展させるのか。あるいは労働形態をさらに多様化して、育児や介護と両立させるためのテレワーカーの充実など、超高齢化社会に対応できる総合的な施策を検討しなければなりません。  政府には、社会保障制度改革する前に、社会仕組みそのものを見直す作業が欠落をいたしております。その上で現在の医療制度年金制度を再構築しなければなりません。政府は、介護保険法案を提出し、医療制度抜本的見直しを提案しましたが、まだ年金改革については何ら方向性を示しておりません。介護保険医療保険を考えるときに、現在の高齢者年金で裕福な人が多いという前提で保険料の負担が検討されています。しかし、その年金の前提を将来崩すようなことがあれば、介護医療考え方をまた変えなければなりません。少なくとも、年金医療介護は三位一体として構築していく必要があると思いますが、考え方伺いたいと思います。  介護保険についてでありますが、介護保険について、「もう一度考えてみましょう。まだ間に合います」という東京武蔵野市からの提言が届けられました。二百十五条ある法案の中には、政令、省令に委任している事項が二百九十六カ所もあります。制度の根幹はすべて国が決めることになっています。市町村が条例で定めることができる事項は二十数カ所しかなくしかも、それすら政令で定める基準に従い条例で定めることになっていて、市町村には実質的な権限はほとんどありません。地方分権推進委員会において原則廃止が打ち出された機関委任事務を新たに創設することに匹敵するもので、地方分権に反します。また、給付水準や、あるいは保険料率が法律には明記されず、国会の議論なしに厚生省の意向だけで決定されることになっています。  以上のような武蔵野市の文章には、何らつけ加えるところがありません。地方にもゆだねず、国会にもかけず、厚生省だけで、地方の特殊性を顧みず、すべて決定していくことが許されるのでしょうか。それならば、それほど厚生省国民から信頼をされているのでしょうか。あえて再検討を迫るものであります。新進党として対案を示していますことを申し添えておきます。(拍手)  さて、その他当面する重要な課題についてもお伺いをいたします。  行政改革は、単なる省庁の数減らしや経費の削減のためだけに行うものではありません。二十一世紀の我が国の状態を、超高齢化社会といえども十分な活力があり、安心して暮らせる社会にすることであります。そして、中長期的な財政赤字削減に焦点を当て、行財政の構造を改革して、効率的で簡素な政府を実現することにあります。換言すれば、これまでの日本社会の隅々まで行き渡っていました官による規制と過剰介入をなくし、これまでの中央集権から地方分権へと制度を改革して、民間の活力向上と、自由で秩序ある自立社会を創造することにあります。  今回の行政改革会議中間報告は、規制撤廃、緩和や地方分権への考え方、行政の仕事のあり方、必要な人員及び組織のあり方など、前提となるべき事項が明らかになっていません。数合わせ、看板のかけかえなどという言葉が発生するゆえんであります。どういう原理原則で新しい政府組織を構成しようとしているのか、お伺いをしたいと思います。  私たちは、行政的には互いに利益が相反する、利益相反関係にある担当部署は分離をし、補完関係にある組織は統合することを基本にすべきであると考えています。しかし、政府案は、この当然の原理原則を無視しています。例えば、利益が相反します、相反の関係にある財政部門金融部門が分離されず、大蔵省に残ったままとなっています。これは、与党三党で合意をされました内容とも明らかに矛盾をしているところであります。三党合意にある財政と金融の分離を採用しなかったのはなぜなのか、伺いたいと思います。  総理を会長とする行政改革会議中間報告を行いました。さらに最終報告に向けた政府・与党の議論が行われ、その内容が変更されたとすれば、理解が得られなかったとお茶を濁して済む問題ではありません。そうでなければ、行政改革会議はただ無責任なことを言い合っている会議であった、総理の単なるパフォーマンスであったとしか表現の仕方がありません。総理の見解を伺いたいと思います。(拍手)  経済財政運営基本姿勢について質問いたします。  国会の休会中、各地域を回りましたが、どの職種の企業からも、経済状態が非常に厳しいという声が充満をしていました。恐らく、与党の皆さんも同じ声を聞かれたことと思います。政府の、緩やかな回復過程にあるという表現は、昔の軍隊の大本営発表と同じであることを多くの国民が思っていることをつけ加えておきたいと思います。  九七年四月から六月期の実質GDP前期比年率マイナス一一・二%となりましたことは御承知のとおりであります。七月以降は過剰在庫減らし生産調整が始まっています。この厳しい景気の状況は、決して政府の言うような消費税引き上げの一時的な要因ではありません。原因は、財政赤字削減だけを最優先にした政府の硬直的な経済財政運営にあると言うことができます。  政府は、四−六月期は一時的に悪くても、今年上期を平均すれば年率〇・七%の成長になるので、景気回復の基調には変わりがないと言っております。しかし、半年ベースの年率成長率でさかのぼって見ても、九六年上半期には五・二%、下半期が一・三%、そして今年の上半期が〇・七%と、景気は急激に悪化をしているのであります。昨日、中野議員への答弁で、年度後半には回復できるはずと述べられましたが、回復できる根拠をお示しいただきたいと思います。  本年度政府見通しの一・九%成長は、もはや望むべくもありません。最近の墓承市場における円安、株安、長期金利安は、政府の強弁に対する市場の反乱を示すものであります。経常収支の黒字の急拡大に対して、既に米国政府外需依存型の景気回復に懸念を表明し、内需拡大を求めております。国際的な抗議も一層高まりを見せているところであります。  ここで確認をしておきたいのは、当面する厳しい景気に対する措置としてどのような対策を考えていられるのか、とりわけ外需中心から内需中心への転換策をお聞きをしたいと思います。  政府は、財政構造改革法案を国会に提出しますが、このことは、来年度も引き続き支出抑制型の予算を編成することになり、さらに今世紀中デフレの打撃を与え続けることを内外に改めて宣言することになります。景気の停滞が続き、超低金利から脱することができず、年金基金の破綻や金利生活者の困難は続かざるを得ません。  まずは日本経済潜在成長力並みの経路に引き上げて、雇用と企業経営を改善し、税収と対外黒字正常水準に戻し、それを前提に財政赤字削減するという基本原則に立つべきであると思います。  新進党が繰り返し訴えていますとおり、法人課税を減税し、実効税率を五〇%から四〇%へ引き下げ、最低二兆円の所得税減税を実施することにすれば、先行きは大きく好転するものと思います。財政構造改革法案の提出が、短期中期的経済に与える影響についてどう認識していられるのか、お伺いをしたいと思います。  財政構造改革は、単なる予算の圧縮や事業の先送りであってはならず、行政改革による政府支出削減とあわせて、行政経費が膨張する原因になっている公共事業補助金社会保障などの仕組みそのもの改革することによって長期的に財政を安定させるものであることをつけ加えておきます。  後世にツケ回しはしないと昨日お答えになりましたが、このままでは後世へのツケ回しをふやさなければならなくなるということを一言つけ加えておきたいと思います。  外交問題についてお伺いをいたします。  我が国国際貢献国際協力への総理の姿勢についてお伺いいたします。  地球環境、人道、教育、社会開発などの分野は、我が国が特に国際的貢献を期待されている分野であり、総理は、さまざまな機会に協力と支援の強化を訴えておられます。しかし、九八年度の予算において、政府は、国連環境計画拠出金を四五%減、国連児童基金ユニセフに対しましては四一%減、国連難民高等事務所に対しましては三七%減、国連開発計画が三七%減など、大幅な削減を予定していると聞いております。  政府は、財政構造改革の一環として、九八年度のODA予算を前年度比一〇%削減することを決めておりますが、これとて国内の削減率から比べていささか安易な決め方ではないかと思いますが、国連児童基金国連難民高等事務所など、弱いところにより厳しくなっていることを憂うるものであります。  ユニセフは、一九四八年から一九六二年まで、日本子供たちに粉ミルクなどの援助物資、当時のお金で六十五億円を提供し、百五十万人の子供が恩恵を受けたことはまだ記憶に新しいところでございます。今までのように毎年ふやし続けることは不可能であるとしても、急激に削減することは国際的に問題を残すことになります。アナン国連事務総長は強い懸念を表明し、再考を促す書簡を総理に送られたと聞いております。総理はどのような御見解をお持ちなのか、伺いたいと思います。  対ロシア政策について質問をいたします。  我が国の対ロシア外交における最重要課題は、北方領土問題の解決と日ロ平和条約の締結を図ることにあることは明らかであります。冷戦時代、領土問題の交渉はほとんど進展が見られず、冷戦後の九三年、エリツィン大統領の訪日における東京宣言でようやく領土問題解決の新たな基礎ができたものと理解をいたしております。  ところで、橋本総理は、去る七月二十四日の経済同友会での講演の中で、信頼、相互利益長期的視点という三つの対日外交方針を示し、関係改善の意思を表明されました。この三方針は、言葉としては理解ができますが、北方領土問題解決に向けたこれまでの方針、すなわち政経不可分原則を転換したとも受けとめられますが、真意をお伺いしたいと思います。  我々新進党代表団が先月ロシアを訪問しましたとき、ロシア側は当然ながら新方針を歓迎をいたしております。しかし、カラーシン外務次官は、会談の席上、領土問題解決の意思は示しつつも、スケジュールを決めるべきではない、余り急ぐと東京宣言と逆行する可能性があると、先送りともとれる発言をいたしております。そしてさらに、総理の三原則に基づき具体的な一、二の共同開発プロジェクトの実現が必要だと述べ、経済開発優先の姿勢を強めています。エリツィン大統領も、九月十八日、島は返せない、社会の理解が得られないからだと述べ、さらに、この問題は次の世代、次の世紀に解決されるだろうと発言をいたしております。橋本総理の新たな三原則は、ロシア側に対し、領土問題の先送り経済協力優先のサインを送る結果となったのではないかと危惧をするものであります。  十一月に予定される日ロ首脳会談に当たって、どのような方針で臨まれるのかも伺いたいと思います。ロシア側は、ノーネクタイで会談し、難しい話は抜きだと言っていますが、どうされるのでしょうか。  次に、環境問題について質問したいと存じます。  総理も地球温暖化問題に触れられ、極めて重要な問題であるとの認識を示されました。確かに、十二月に京都で開かれます気候変動に関する国際連合枠組条約第三回締約国会議通称地球温暖化防止京都会議は、西暦二〇〇〇年以降の二酸化炭素などの温室効果ガス排出量について削減目標等を目指す重要な会議であります。しかも、我が国は、この会議開催国として、会議を成功させる責務とともに、国際社会に貢献する機会を与えられたと言っても過言ではありません。そして、国際社会からは、地球温暖化防止問題に対する我が国の積極的な役割について、注目と期待が集まっているのであります。  日本では、気象変動の結果、暴風雨が激しくなり、干ばつと豪雨の頻発が心配をされております。総理は、演説の中で、「地球温暖化防止に、意味があり、衡平で、実現可能性のある目標が合意されるよう、我が国開催国として最大限努力いたします。」と述べられました。  私の手元にもう一人の政治家演説要旨があります。  私たち皆が行動様式を変えるだけで、既存の技術によって、コストを全くかけずに温室効果ガスを最大二〇%削減することができるということが今の時点でわかっています。既存の技術で、ノーコストで、今すぐにこのようなことを行い、しかもアメリカ経済成長させる方法を私たちは見つけられないとは決して思わない。そして、米国を含むすべての国が温室効果ガスを次の世紀の早い時期に十分に削減するというゴールを今年十二月に日本で受け入れなければならないというのが現実なのです。  これは、既にお気づきのとおり、クリントン大統領の九月九日ビジネスカウンシルにおける演説であります。一般論ながら、最大二〇%削減と具体的な数字を挙げ、次の世紀の早い時期に十分に削減するというゴール日本で受け入れなければならないと決意を述べています。  このクリントン大統領演説と比較をして、橋本総理演説具体性に欠けているのが残念でなりません。「実現可能性のある目標が合意されるよう」とはどういう意味なのでしょうか。この文章からは、削減目標も達成時期も読み取ることはできません。  本日のマスコミ報道によりますと、一九九〇年水準から五%減を固めたと報道されております。これは事実かどうかをお伺いをいたします。もし事実であるとすれば、その根拠は何かもお伺いをしたいと思います。  これは私個人の私見ではありますが、いささか五%というのは不十分ではないかという気がいたします。総理が先頭に立って、削減議定書の採択に向けて強いリーダーシップを発揮されることを期待したいと思います。(拍手)  自然破壊や地球の汚染は、必ず人間生命にはね返ってまいります。エイズを初め、新しいウイルスの発生も、決して自然破壊と無関係ではありません。総理の決断を要請します。  最後に、農業問題に一言触れておきたいと思います。  ことしは、六月から九月にかけて多くの台風に見舞われましたが、農家の皆さんの御努力によって、平均作況指数は一〇二という平均以上の状況になっています。豊作は喜びでありますと同時に、米の在庫が四百五十万トンにも及び、税金を大量に投入したかつての過剰米処理の悪夢がよみがえりつつあります。また、在庫の増加によって米の市場は低迷する一方であります。  他方、今なお農家に半強制的に割り当てられました減反は、中規模以上の農家の生産意欲を著しく低下させており、もはや限界に達していると言わざるを得ません。本来、新食糧法のもとでは、減反への参加は自由なものとなったはずであります。  今日の米を取り巻く状況は、政府の中途半端な政策にあると言わざるを得ません。農家に自由な選択を与えるわけでもなければ、国がすべての責任をとるわけでもありません。新食糧法の精神を生かして、より自由な生産と流通に移しつつ、専業農家や中山間地域に対する所得補償制度を組み合わせながら、農家に企業としての発想と生産の喜びを持ってもらえるよう改革するべきであります。総理の見解をお聞きしたいと思います。  これで質問を終わりたいと思いますが、昨日の各党に対する答弁をお聞きをいたしましたが、何となく内閣の元気のなさが目立ちます。自信のなさか、人事のつまずきの後遺症かよくわかりませんが、元気はともかくとして、歯切れのよい答弁を求めまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
  7. 橋本龍太郎

    ○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 坂口議員にお答えを申し上げます。  まず、冒頭、政治資金に関連する広告料についてのお尋ねがございました。  政治資金規正法におきまして、広告料の支払いについては、それが広告の掲載に対する対価の支払いとされている場合に、事業収入として取り扱われるべきものと承知をいたしております。(発言する者あり)  次に、新たなガイドラインの位置づけについてお尋ねがございました。(発言する者あり)  追加をしてあえてお答えを申し上げますならば、お答えを正確に申し上げたところでありますが、広告料としての名目でありましても、その代金が著しく高額で社会通念上の価値を超える場合においては、寄附に該当することがあるのは当然であります。  次に、周辺事態についてお尋ねがございました。  周辺事態とは、日本の平和と安全に重要な影響を与える事態であり、地理的概念ではなく、事態の性質に着目した概念であることを繰り返し申し上げてまいりました。  なお、周辺事態とは、我が国個別的自衛権を行使する事態ではありませんが、いずれにせよ、周辺事態への対応に対しては適切な措置をとってまいります。その判断につきましては、ある事態がこれに当たるか否かは、日米がそれぞれ主体的に判断をいたします。他方、日米間におきましては密接な情報交換、政策協議が随時行われており、このような事態に対し、それらを一層緊密に行い、日米が共通の認識に到達するための努力を払うこととなります。  次に、新指針憲法との関係について、幾つかの例示を挙げてお尋ねをいただきました。  新指針協力項目に掲げられております行為につきましては、我が国が行うことを想定している具体的な内容及び態様に関します限り、それ自体は武力の行使に該当せず、また、米軍の武力の行使との一体化の問題が生ずることも想定されないものであり、したがって、憲法との関係で問題が生ずるとは考えておりません。  次に、少子・高齢化の問題を社会保障というコップの中でとらえているのではないかという御指摘をいただきました。  私は、今、国会を通じ国民の皆様方に対し、我が国のすべてのシステム改革していく六つの改革を内閣の最重要課題として掲げ、全力を傾けております。  これはまさに、少子・高齢化と経済のグローバル化が予想された以上の速さで進んでいる中におきまして、今改革をしなかったら社会活力が失われてしまう、この国のあすがなくなってしまいはしないかというその思いからであります。少子・高齢化は決して社会保障だけの問題ではありません。そのような思いから経済、財政、教育などの改革に取り組み、活力ある高齢化社会というものを構築すべく、まさに社会仕組みそのものを考え直すときに入っている、そのような思いで取り組んでおります。  次に、年金医療介護改革についての御質問をいただきました。  給付と負担の公平を総合的に確保していくという観点から、制度間の整合性に配慮しながらも、全体として効率的な制度を構築していく必要があります。こうした視点に立ちながら、年金医療介護など、制度全般にわたり総合的かつ段階的に改革に取り組んでいくことといたしております。  また、介護保険についてお尋ねがございましたが、この制度案では、地方分権の観点から市町村を保険者といたしております。具体的なサービス水準介護保険事業計画で、保険料率条例で定めるなど、事業運営上の重要事項は、地域の実情に応じて市町村が定める仕組みとしております。本法案は、市町村など関係者の幅広い御議論を受け、その意見を踏まえたものでありまして、今国会での成立にぜひとも御協力をお願いしたいと思います。  次に、行政改革会議中間報告について御質問をいただきました。  御指摘をまつまでもなく、地方分権規制緩和が重要であることはそのとおりであり、現に、近く出されます地方分権推進委員会の第四次勧告をいただき次第、地方分権推進計画の策定に本格的に取り組んでまいりますし、また、規制緩和につきましては、これまでも一生懸命取り組んできたところですが、さらに、前倒しを含めて規制の撤廃と緩和に強力に取り組んでいこうとしております。  行政改革会議は、そのような徹底的な規制の緩和、撤廃というものを断行し、民間にゆだねるべきものはゆだねる、また、地方分権を推進していくことを大前提として、国の機構、人員を絞り込みながら国の果たすべき役割というものを有効かつ適切に執行できるよう、中央省庁を行政目的別に大ぐくり再編をしていこうといたしております。  財政金融あり方につきましては、さまざまな角度からの議論が行われた上で、「大蔵省の金融に関する企画立案は、預金者保護という観点も踏まえ、市場信用秩序の維持に関する企画立案に限定する。」「市場信用秩序の維持は、基本的に市場の自主性・自律性に委ねられるべきものであり、行政の関与は、必要最小限のものに限る。」という中間報告を取りまとめました。  なお、中間報告を骨子としながら、精力的に政府与党の意見調整に努力しながら、行政改革会議において十一月末までに最終報告を取りまとめたいと考えております。  今回の中間報告は、これまでの会議における真剣な検討の成果を取りまとめたまさに中間報告でありまして、これからの行政改革を進める際の出発点をなす基本的な枠組みであります。これを骨格としながら、強い決意を持って最終報告の取りまとめに当たってまいります。  また、景気対策についてお尋ねがございました。  景気回復に従来のような力強さを感じることができない、まさに構造的な問題のあらわれではないかと考えております。規制の撤廃と緩和を初めとし、経済構造改革に関する政府の行動計画の可能な限りの前倒しと新たな施策の追加も含めたフォローアップを年内に行うなど、内閣を挙げて経済構造改革を強力に進めていくということは今までも申し上げてまいりました。そして、土地の有効利用や土地取引の活発化を促進する方策を検討していくと申し上げております。これらはいずれも内需中心の経済運営に資するものでありまして、このような努力を全力を挙げて続けてまいりたいと考えており、どのような形が最も効果的かについて検討を急いでおります。  次に、財政構造改革が経済に与える影響についてのお尋ねがございました。  この改革は確かに短期の痛みを伴います。しかし、国民負担率の上昇を抑えること、公的部門の簡素合理化などにより、中長期的には経済の活性化に資するものと考えております。同時に、今後の経済運営は、安易に財政に頼らず、民間需要中心の自律的成長を図っていくことが基本だと考え、この改革と並び、規制緩和を初めとする経済構造改革実現が一層必要であると考えております。  次に、国際機関への拠出金についてのお尋ねがございました。  私としても国連等を通じた国際貢献の重要性は認識いたしております。来年度ODA予算につきましては、定められた金額の範囲内で各施策内容などを吟味し、所管の枠を超えた総合的な調整を行いながら、重点的、効率的な予算配分を行うよう指示したところであり、今後とも財政改革必要性についても、国際機関の理解を求めつつ、適切に対処していきたいと考えております。  次に、日ロ関係についてのお尋ねをいただきました。  政治対話を維持強化していく、さまざまな分野協力を積極的に進めるとともに、北方領土問題を解決し、平和条約を締結するために一層の努力を傾けるという従来の基本方針に何ら変更はありません。私が示しました三つ原則というものは、その基本方針を踏まえた日ロ関係改善に対するその意欲のあらわれであります。十一月の初めの首脳会談におきまして、まずエリツィン大統領との信頼関係の一層の強化を図りたいと考えているところであります。  また、地球温暖化防止京都会議に向けて幾つかの御提言をいただきました。殊にクリントン大統領演説を引きながら、京都会議に向けたお尋ねをいただいたわけでありますが、現在、残念ながら、米国内においてもさまざまな意見がございます。  しかし、日本議長国としてこの会議を成功させるように国際的なリーダーシップを発揮する責任を負うていることは御指摘のとおりであり、現在意見の分かれておりますアメリカ、ヨーロッパ、さらには途上国など、各国の立場をどう収れんさせ、国際合意の形成が進むようにと、そうした視点から具体的な削減目標、達成時期についての検討を進めております。  CO2の削減対策につきましては、省エネ法の強化を通じまして、産業部門におけるエネルギー原単位を大幅に改善する、自動車の燃費を二〇%以上改善する、国民生活においても、国民に冷暖房の温度を、冷房は二十八度から、暖房は二十度に、さらにエネルギー供給面においては、原子力発電所を二十基増設するといったぎりぎりの政策努力を重ねても、CO2の排出量をようやくゼロにできるかというところであることは既に御記憶のことと思います。  さらに、CO2だけではありません、メタンあるいは亜酸化窒素について、計測技術を含めてどのようなことができるか。CO2につきましても、産業、運輸等の分野で将来どのような技術開発を見通せるかなど、現在、ぎりぎり最後の詰めを行っておる状況であります。  しかし、我々が責任を果たしていくために、全力を尽くしていく、国会にもぜひとも御協力を心からお願いを申し上げる、国民各位にも御協力をお願いを申し上げる次第であります。  最後に、新食糧法についてのお言葉をいただきました。食糧法の精神を生かした改革必要性、これは当然のことであり、米につきましては、現下の大幅な需給緩和等の厳しい状況を踏まえ、農家が意欲を持って稲作に取り組めるように、現在、備蓄運営、生産調整、稲作経営等、米政策全般の再構築に向け検討を進めているところであります。(拍手)     —————————————
  8. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 金子満広君。     〔金子満広君登壇〕
  9. 金子満広

    ○金子満広君 私は、日本共産党を代表して、橋本総理質問をいたします。  まず初めに、総理政治姿勢基本についてであります。  総務庁長官に任命された佐藤孝行氏は、国民世論の厳しい批判の中で辞任をいたしました。しかし、問題の核心は、受託収賄という権力犯罪で有罪が確定し、今日に至っても全く反省していない政治家橋本総理が閣僚に任命したことであります。これこそ絶対に許せない、政治倫理の最低のルールを破ったということであります。  ところが総理、あなたは、一度誤りを犯した者は二度とチャンスは与えられてはいけないのか、もう有名な言葉になっています、と言い、そして、熟慮の結果、確信を持って任命したというのでありますから、あなたの政治倫理観が間違っていたということであります。  総理は、所信表明でも反省とかおわびとかいう言葉を繰り返しましたが、自分の政治倫理観が誤っていたということは認めていません。改めて、何を反省しているか、明確な答弁を求めるものであります。  また、本当に反省するというなら、今閣僚や自民党首脳まで広がっている泉井献金問題で、どのような責任をとり、どのように解明されるかを明らかにしていただきたいと思います。  さらに、昨日、東京地裁で、中村喜四郎元建設大臣に対してあっせん収賄罪で実刑判決が下されました。中村議員は、直ちに議員を辞職すべきであります。  今問われているのは、族議員による利権政治そのものであり、ゼネコン疑惑の底の深さを示すものであります。この際、金権腐敗政治の根源である企業・団体からの献金を全面的に禁止すべきでありますが、明確な総理の答弁を求めます。(拍手)  なお、その法的措置がとられる前でも、総理自身、みずからが一切の企業・団体献金を受け取らないことを決断することはできます。これができるかどうか、できないというなら、その理由を明らかにしていただきたい。責任ある答弁を求めます。  ここで、今我が国の平和と安全にかかわる重大問題となっている日米防衛協力指針、つまり新ガイドラインの問題について質問をいたします。  このガイドラインの最大の問題は、日本が何ら武力攻撃を受けていない場合でも、アメリカが日本周辺事態という名目でアジア太平洋地域で軍事行動を起こした場合、日本が自動的に参戦していく体制づくりにあります。このことについて、今、国内はもとより、アジア諸国からも痛烈な批判の声が相次いで上がっています。  そこで伺います。  第一は、見直しされた新ガイドラインでは、周辺事態での日米共同の軍事行動を行うことになっていますが、これは現行日米安保条約のどの規定に根拠を持っているのかという問題であります。  安保条約では、武力攻撃に対して日米が共同で対処するのは、第五条の日本への武力攻撃があった場合のみであります。極東有事での米軍の軍事行動には、第六条で日本の基地の使用が許されているだけであります。日本への武力攻撃がないのに、周辺事態対応で自衛隊が海外に出動して米軍の行動に協力するなどの規定はどこにありますか、伺います。まさに安保条約の大きな変質、重大な改悪ではありませんか。  新ガイドラインが安保条約を事実上改定するものであるなら、当然国会にかけ、審議を尽くし、その是非を求めるべきであります。これは当然のことでありますが、総理の明確な答弁を求めます。(拍手)  第二は、アメリカが武力介入した場合に、日本が自動的に参戦する仕組みになっているという問題であります。  周辺事態対応ということで米軍が武力介入する場合に、この新ガイドラインに基づいて「日米両国政府は、適切な取決めに従って、必要に応じて相互支援を行う。」このようになっております。自動的に協力する仕組みがつくられているのであります。しかも、米軍と自衛隊の統合司令部ともいうべき日米共同調整所まで常設することになっているではありませんか。そして、その協力内容は一体何なんだと。機雷の除去であります、情報の交換であります、米軍への物資の補給、輸送などではありませんか。いずれも戦争行為であります。これをやることは、国際法上日本が参戦国の立場に立つということではありませんか。  しかも、周辺事態について日米間で協議しても、武力介入の決定権はアメリカが持っているのであります。これでは、周辺事態で米軍が武力介入した場合、国権の最高機関である国会も何ら介入の余地ない、文字どおりの自動参戦体制づくりではありませんか。  周辺事態対応ということで米軍が武力介入したら、日本はどんな場合でも協力するのか。日本協力しない場合があるというならどんな場合なのか、はっきりお答えいただきたいと思います。  そこで、これまでアメリカは、何を有事として武力介入をしてきたかであります。過去を見れば明白です。一九六〇年代から七〇年代にかけては、あのベトナム侵略戦争であります。八〇年代には、グレナダ侵略であり、パナマの侵略であります。そして、昨年の九月には、一方的なイラク攻撃を強行したではありませんか。  当然のことながら、このような無法な干渉、侵略行為は、国際的にも厳しく糾弾をされました。この中で、グレナダ、パナマ侵略は、国連で非難決議が採択をされました。この採択に日本政府はどのような態度をとったのか。また、これまで日本がアメリカの武力介入にノーという態度を一度でもとったことがありますか、どうですか。あわせてお聞きいたします。  そもそも国連憲章で各国の武力行使が許されているのは、外からの侵略に対抗するときだけであります。それを、周辺事態だと勝手に解釈して対外的な軍事行動に出るということは、それ自体、国連憲章にも反する国際的な無法行為ではありませんか。総理のはっきりとしたお答えを求めます。  第三は、いわゆる周辺とは何かという問題であります。  新ガイドラインでは、「周辺事態概念は、地理的なものではなく、事態の性質に着目したものである。」こういう表現をわざわざ加えました。地理的なものでないというのであれば、周辺事態と認定すれば、どの地域であろうと日米共同作戦が発動されるということじゃありませんか。  そこで、総理、新しいガイドラインでの周辺には、はっきり伺いますが、台湾及び台湾海峡も含まれているのかどうかという問題であります。総理は、個々の地域については論じないなどと言ってあいまいにしようとしています。しかし、アメリカは、台湾防衛に責任を負うという台湾関係法を持っており、現に昨年の台湾危機の際、アメリカは空母インディペンデンスを台湾海峡に派遣したではありませんか。日本も、航空自衛隊と海上自衛隊が厳戒態勢をとったではありませんか。  日本が中国は一つの立場をとる以上、台湾問題は中国の内政問題であり、そこに武力介入する権利は、アメリカを含めいかなる国にも認められていないのであります。総理がこの立場を貫くなら、それをあいまいにするのではなく、アメリカがどんな武力行動をとっても日本協力しないということをはっきりさせるべきであります。  以上の点について、総理の明確な答弁を求めます。  次に、第四は、日米両国政府が今度のガイドライン見直しを第一歩として位置づけ、これを突破口にして日本の軍事協力内容をさらに強化させようとしている問題であります。このガイドラインにも「適時かつ適切な見直し」ということが明記されています。  しかも、事態ガイドライン見直しを先取りして、具体的なことが現実に次々と進められているではありませんか。自衛隊機のカンボジア派遣であります。アメリカの空母インディペンデンスの小樽寄港であります。アメリカの艦船の東京や鹿児島など民間の港湾への相次ぐ寄港ではありませんか。さらに、民間空港利用の日常化です。自衛隊機による米軍の輸送、そして日米共同演習の拡大などがまさにそれであります。  しかも、米軍は既に全国の民間の空港や港湾の詳細な調査を重ねていることは周知の事実ではありませんか。このような実践的具体化は、自衛隊だけでなく民間を含めた総動員体制づくりが大規模に進められているということではありませんか。  総理、あなたは、ガイドライン見直しの日米合意のときに、これは終わりではなく始まりだと述べました。そしてさらに、これに関連した法案の整備を進める意向をも表明していますが、それは民間動員を強制的かつ優先的にやろうとするものではありませんか。  さらに久間防衛庁長官も、有事立法について通常国会への提出を予定しているとまで国会で答弁していますが、憲法の平和原則基本的人権を正面から踏みにじる有事法制は断じて容認できません。総理の明快な答弁を求めます。(拍手)  今、我が国の平和と安全にとって最も基本的なことは、日米安保条約をなくし、独立・主権、非同盟・中立の日本の建設であります。そして、アメリカに対しても、敵視ではなく、また従属でもない、真に対等、平等、平和の関係を打ち立てることであります。このことを強く表明して、次の質問に移ります。  次は、医療社会保障国民生活の問題についてであります。  第一に、さき国会で、消費税の増税、特別減税の中止、医療制度の改悪で九兆円もの新たな負担を国民に押しつけ、国民生活に耐えがたい困難をもたらしましたが、今、さらにこれに追い打ちをかける社会保障の連続改悪をなぜ強行するのかという問題であります。  今国会に提出された財政構造改革法案は、財政危機を口実としていますが、財政悪化の最大の根源である浪費型の公共事業はわずかばかりの削減にとどめ、その一方で、社会保障医療、教育、農業、中小企業など国民生活に直接かかわる予算を大幅に切り捨て、しかも九八年度、九九年度、二〇〇〇年度予算と三年間連続でこれを強行しようとしているではありませんか。  総理は、所信表明演説の中で財政構造改革法案の成立を強調いたしましたが、一体国民の苦しみをどのように考えているのか、まず率直に伺います。  とりわけ社会保障については、九八年度予算で八千億円の当然増経費のうち五千億円もカットし、それ以降も、高齢者の増加などによる数%にも上る当然増も二%以下しか認めないというひどいものじゃありませんか。言うまでもなく、当然増というのは、制度上当然必要となる予算のことであります。これまでをカットするというのは、社会保障制度の改悪を今後も連続してやっていくということではありませんか。  医療保険制度については、既に今年九月一日から、患者本人の負担一割を二割にしました。老人医療費負担を大幅にふやしました。薬代の二重取りも行うという大改悪を押しつけたばかりであります。その結果、病院の窓口では支払う金額が三倍、四倍となり、病気になっても医者にかかれないという悲劇まで広がっているではありませんか。総理はこうした現実をどう認識しておられるのか、改めて伺います。  こうした中で与党三党は、さらに、老人医療費を定率負担とする医療保険制度の導入に加えて、扶養家族となっている全国三百四十万人の高齢者からも新たに保険料を取り立てるという改悪案を既に八月にまとめているのであります。厚生省も、患者本人負担を三割にするという負担増の押しつけ案までまとめているではありませんか。しかも難病対策では、来年度から、全額公費負担制度を改悪をして自己負担制度を導入しようとしています。まさに弱い者いじめの改悪です。冷たい政治と言わなければなりません。  総理、このような医療の三年連続改悪は、戦後、国民の粘り強い努力の中で積み上げてきた既得権を次々に奪い取ることであります。このようなことはきっぱりとやめるべきであります。異常に高い薬価にこそメスを入れるのが当然のことではありませんか。総理の答弁を求めます。  第二に、財政構造改革というなら、財政支出の構造をこそ問題にしなければなりません。  つまり、日本では、社会保障に対する公的支出は国、地方で年間約二十兆円であります。一方、国、地方公共事業費は、その二倍半の何と五十兆にも上っているではありませんか。しかも、政府財政構造改革法案でやろうとしている改革なるものは一体何か。社会保障予算を大幅にカットするということではありませんか。逆に公共事業費は、削減するといっても、総額六百三十兆円は変えずに、三年延ばすだけであります。その結果、十年間で四百七十兆円、年平均四十七兆円であります。年五十兆円体制はそのままではありませんか。全く逆立ちした財政構造を長期固定化させるものであります。  国民の税金をこんな逆立ちした形で使っている国は世界のどこにもありませんよ。ありますか。日本公共事業費は、国内総生産に占める比重がヨーロッパ諸国やアメリカと比べ、三倍からそれ以上になっているじゃありませんか。ところが、社会保障の公的負担の比重は、反対に二分の一から三分の一という状態です。つまり、諸外国は、社会保障費に公共事業費の数倍の予算を使っているのであります。これが国際政治の流れなんです。これが国際政治の常識なんです。  日本の現状は、これと全く逆ではありませんか。ゼネコン栄えて福祉が枯れるということではありませんか。今、冷たい医療、福祉の中から、せめてヨ一ロッパ並みの社会保障をという声が広がっているのは当然であります。  総理、こうした逆立ちした財政の仕組みを根本的に改めることが急務であり、国民の願いにこたえる道ではありませんか。はっきりと答えていただきます。(拍手)  第三は、政府財政構造改革がねらう医療制度年金制度の大改悪が強行されれば、二十一世紀日本国民生活への支えを失った社会になるという点で重大でありますが、それと同時に、日本経済の健全な成長にとっても深刻な事態を招くという問題であります。  日本共産党は、消費税増税など九兆円もの負担増が、国民生活に耐えがたい困難をもたらすとともに、日本経済の柱である国民の消費と中小企業の経営に大きな打撃を与え、経済情勢に否定的な影響を及ぼすものと指摘をしてまいりました。  結果は指摘したとおりになっているではありませんか。経済企画庁が九月に発表した統計で、四月から六月期の実質国内総生産が、前期比二・九%のマイナス、年率に換算すると一一・二%減です。第一次の石油ショック以来二十三年ぶりの大幅な低下ではありませんか。個人消費の落ち込みは、年率に換算して実に二一%のマイナスであります。九兆円の国民負担増が、いかに不況を深刻なものにし、我が国経済のかじ取りを誤ったかは、今では明らかではありませんか。  総理、誤りを認めて、医療改悪や、もともと公約違反の消費税の増税をやったんですから、これをもとに戻すべきではありませんか。やらないということを皆さん公約したでしょう。だから、もとに戻せばいいんです。  日本共産党は、国民生活を圧迫する財政構造改革法案の撤回を求めるとともに、ゼネコン奉仕の公共投資や軍事費、大企業への特別な優遇税制という三つの聖域にメスを入れることを強く要求して、総理の責任ある答弁を求めます。  最後に、行政改革に関連して、国際的にも注目されている我が国の食糧、農業問題について質問をいたします。  昨年十一月、ローマで開催された、そして我が国も参加した世界食料サミットでは、世界の八億を数える飢餓人口の問題を正面から取り上げました。その中で、主食を含む食糧増産とともに、飢えに泣く人々に対する国際援助も、あの宣言の中で明らかにしています。  そこで、我が国の農業、食糧事情はどうなっていますか。自給率は、カロリーベースでわずかに四二%じゃないですか。六割近くを外国に依存している状態ではありませんか。しかも飼料、家畜のえさでありますが、飼料を含む穀物の自給率はわずかに三〇%ですよ。先進国では例がないじゃありませんか。この異常な事態が目の前にあります。今こそ日本農業を国の基幹産業として再建をする、そして自給率を大幅に引き上げる、さらに国際的にも課せられている責務を果たすことはますます重大になっています。  ところが、政府は、国民の食糧を守り、農業を発展させる専門省である農水省を解体して、国土保全省の添え物にしようとしているのではありませんか。このようなことは先進国には例がありません。事は重大であります。これでは、食糧の自給率の向上も、飢餓の人々の援助もできないではありませんか。総理、どうされるのか、具体的な考え方を示していただきたいと思います。(拍手)  また、政府は、今年三月に決めた米需給計画では、よろしいですか、政府備蓄米として百二十万トンから百三十万トンを買い上げることを国民に公約しているのであります。しかし、六カ月後、収穫を前にしたこの九月になって、一方的に七十万トンに減らしたのではありませんか。今、農民は生産者米価の大暴落に苦しんでいるのであります。(発言する者あり)知らないはずはありませんよ。政府は、当初の計画どおりに備蓄米を買い上げるべきであります。それは、最低の政府の義務であり、公約を果たすことであります。  さらに、政府は、外米の輸入を拡大しながら、農民には減反を強制してまいりました。その結果、輸入米の在庫は、この十月末には、何と皆さん、四十万トンに達する見込みではありませんか。  総理、この際、輸入米を含め政府米を海外援助に充てるべきであります。これまで政府は、国会答弁でも、輸入米については、備蓄した後それを援助用に活用していくと述べてきましたが、今こそこれを積極的にやるべきときではありませんか。これは、世界食料サミット宣言で言う飢餓に泣く人々に対する国際援助の実行でもあると思いますが、総理、答えていただきます。  今、悪政の連続多発は、国民各層から痛烈な批判となって日々拡大しています。悪政には未来はありません。日本共産党は、国民の生活と民主主義、平和を守るために、広範な国民とともに奮闘する決意を表明して、質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
  10. 橋本龍太郎

    ○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 金子議員にお答えを申し上げます。  まず、佐藤孝行氏の総務庁長官と政治倫理観についてのお尋ねがありました。  繰り返し本院でも申し上げましたが、政治により高い倫理性を求める世論の重みに十分思いをいたさなかったことを深く反省すると同時に、多大な御迷惑をかけたことをおわび申し上げるという率直な気持ちを繰り返し申し上げます。  与党三党間で合意をいたしました政治倫理等に関する三党確認に基づいて、政治倫理の確立に向け、国民信頼回復に最大限努めたいと存じます。  次に、泉井問題についてお尋ねがございました。  現在裁判中であり、立ち入って申し上げる立場にはありませんが、昨日、私自身がみずからの言葉で申し上げたとおりの内容であります。  次に、企業・団体献金についてのお尋ねがありました。  政治倫理等に関する三党確認に基づきまして、「政治資金規正法附則第九条及び第十条については、その趣旨を確認し、平成七年一月施行後の実施状況を十分見極め、入念な検討を加え、今国会中の合意に努力する。 その際、わが国民政治における政党及び政治家政治活動あり方検討しつつ、国民の浄財である個人寄附拡大など政治資金について、諸外国の政治資金制度などを参考に、具体的な方途を講ずる。」とされており、このとおりに忠実に努力をしていきます。  また、周辺事態への対応と安保条約関係について御意見をいただきました。  周辺事態に際し、自衛隊が日本領域外で、憲法の制約の範囲内で、適用のある国内法令に従って活動を行うことは、我が国の主体的判断によるものでありまして、安保条約の改定ではありません。他方、指針につきましては、国会でも十分御議論をいただきたいと思います。  次に、周辺事態と国際法上の側面についてお尋ねがございました。  新たな指針で想定しております日本協力は、武力の行使には該当せず、また、米軍の武力の行使との一体化の問題が生ずることも想定されていないものであります。いずれにせよ、我が国が行うこのような活動が国際法の基本原則に合致するものであることは言うまでもありません。  次に、周辺事態における我が国協力についてのお尋ねがございました。  周辺事態に際し、我が国後方地域支援などの対米協力を行うか否かについては、我が国の国益確保の見地から自主的に判断を行うこととなります。我が国として、個々の事態においていかなる対応をとるかについて、あらかじめ一般的に想定することはできません。  次に、米国の他国に対する武力介入とこれに関する国連総会のいわゆる非難決議についての御質問がございました。  まず、グレナダについては我が国は棄権をしております。また、パナマについては反対票を投じております。  なお、我が国は、米国による武力行使を含めまして、国際法上違法な武力行使には一貫して反対の態度をとってきております。  また、国連憲章で各国の武力行使が許されるのは外からの侵略に対抗するときだけであるという視点からの、周辺事態における我が国の行動についてお尋ねがありました。  既にお答えをいたしましたとおり、指針で想定している日本活動は、武力の行使には該当せず、また、米軍の武力の行使との一体化の問題が生ずることも想定されないものであります。いずれにせよ、我が国が行うこのような活動国連憲章等に合致するものであることは言うまでもありません。  次に、周辺事態の対象についてお尋ねがございました。  日本周辺地域は、我が国の平和と安全に重要な影響を及ぼす事態が生起し得る地域であり、地理的に一概に画することはできません。ある事態周辺事態に当たるのかどうかは、その事態の態様、規模などを総合的に勘案して判断をいたします。  また、台湾についてわざわざお尋ねがございましたが、仮定の状況について一々申し上げることがいかに困難であるかは、今、周辺事態概念で申し上げたとおりであります。また、我が国が台湾をめぐる問題の関係当事者間での話し合いでの平和的解決を強く希望しておりますことも、累次申し上げてきたことであります。  次に、新たな指針に係る国内法整備についてのお尋ねでありますが、政府としては、新たな指針の実効性を確保するとの観点から、九月二十九日の閣議決定の趣旨を踏まえて、今後、法的側面も含め具体的な施策について検討していく考えであります。民間の能力の活用に際し、基本的人権を不当に制約することが許されないことは当然であります。  次に、歳出削減国民生活への影響についての御意見をいただきました。  しかし、財政構造をこのまま放置すれば、経済の活力が低下し、将来に背負い切れない負担を残すことは明らかであります。こうした観点から、財政構造改革を進めなければなりません。  医療保険制度改革影響につきましては、本年九月の改革は、医療保険制度の破綻を防ぎ、安定した運営を確保していくために、給付と負担の見直しなどを行ったものであります。  また、財政構造改革の集中改革期間中には、一切の聖域なく、歳出の改革と縮減を進めてまいります。  今後の高齢化の進行などに伴いまして社会保障に関する費用が増大していくことは当然避けられないことでありますが、経済の活力を損なわず、また、国民に過重な負担を課すことなく、必要な給付を確保することができるよう、社会保障構造改革に取り組んでまいります。  医療保険改革についても御意見をいただきました。  二十一世紀においても国民皆保険制度を維持していこうと考えるとき、医療保険制度全体について抜本的改革実現させる必要がありまして、政府としては、新たに設けられる医療保険福祉審議会で検討していくこととしています。  また、薬価制度につきましては、抜本改革の中で薬価基準制度を改めて、いわゆる薬価差が生じないような新たな仕組みを検討してまいります。次に、我が国財政の仕組みについてお尋ねがございました。少子・高齢化の進展に伴って歳出の自然増が見込まれる現在において、財政構造をこのままに放てきすれば、経済の活力が低下するだけではなく、将来に背負い切れない負担を残すことは明らかであります。こうした観点から、公平な受益と負担の実現、経済活力の創出などの理念を踏まえ、公共事業費や社会保障費など各種の経費について、めり張りをつけながら、一切の聖域なく、歳出構造見直しを進めることといたしております。  その財政構造改革が経済に与える影響についての御意見をいただきました。  しかし、この改革は、将来にわたり安定的に運営することが可能な社会保障制度の構築を図りながら、国民負担率の上昇を抑えることや公的部門の簡素合理化等により、中長期的には経済の活性化に資するものと考えております。  今後の経済運営は、安易に財政に頼らず、民間需要中心の自律的成長を図っていくことが基本だと考え、この改革と並んで、規制緩和を初めとする経済構造改革等の実現を一層必要とすると思います。  次に、医療保険改革及び消費税率の引き上げについてのお尋ねをいただきました。  医療保険改革は、今も申し上げてまいりましたように、現行の医療保険制度の安定を確保していくため、給付と負担の見直しを図ったものでありますし、消費税率の引き上げは、少子・高齢化の進展という我が国構造変化に対応した税制改革一環として実施されたものであり、これらの改革我が国にとって真に必要な改革だと考えております。  財政構造改革法案を撤回せよというお話でありますが、私どもは、将来の世代に対する我々の責務として、この改革を着実に実施していくために、速やかに法案を成立させていただくことがぜひとも必要だと考えております。  その改革に当たり、公共投資や防衛関係費を含めまして、一切の聖域なく見直しを行い、また、法人税については、租税特別措置も含めて、課税ベースの適正化を図ることとしております。  次に、食糧自給率についてのお尋ねがありました。  農政の推進に当たり、食糧自給率の低下傾向に歯どめをかけることを基本とし、可能な限り我が国農業生産の維持拡大を図ることとしております。  なお、食料・農業・農村基本問題調査会においても議論が行われているところでありまして、そのあり方につき、さらに検討を深めていくことといたしております。  行政改革会議中間報告における国土保全省構想についてのお尋ねがございましたが、食糧の安定的供給につきましては、国土保全の機能と一体化し、国土保全省がその機能を担うこととされております。これらの省庁の名称については現段階ではすべて仮称であり、今後引き続き審議を進めていくこととしております。  最後に、九年産米の政府買い入れ数量のお尋ねがございました。  九年産の最終的な買い入れ数量は、今後の備蓄運営、調整保管、生産調整の規模などと密接に関連するものでありまして、現在進めている米政策全体の再構築に係る検討結果を待って決定することとなります。ただ、九年産米の集荷が始まりつつあることから、とりあえず、九月十日に七十万トンを配分いたしました。  政府米を活用した食糧援助につきましては、平成年度には十万トン程度を行うことにし、現在実施中であります。このような食糧援助については、食糧不足国などからの要請を踏まえ、WTO協定など国際ルールとの整合性、財政負担等に留意しながら、適切に対応してまいりたいと考えております。(拍手)     —————————————     〔議長退席、副議長着席〕
  11. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) 伊藤茂君。     〔伊藤茂君登壇〕
  12. 伊藤茂

    ○伊藤茂君 今、私たちは、歴史的な変動のときに直面をいたしております。政治基本が問われております。未来への責任が私たちに問われております。それにどうこたえるか、その気持ちを込めながら、社会民主党・市民連合を代表し、橋本総理並びに関係閣僚に質問をいたします。  私は、まず最初に、連立政治についての総理の見識を伺いたいのであります。これは、連立与党の私たちだけではなく、多くの人々にとって関心のある問題であります。  日本でも四年前から連立政治の時代になりました。最近の世論調査でも明らかなように、自民党一党支配の復活を望んでいる人々は少なく、現在の連立政治を多くの国民が支持しており、いわゆる保保の政治を望んでいる人々は極めて少数であります。私は、今回の内閣改造大事など緊張した経過、強く高まる世論の中で痛感をいたしましたが、連立政治基本をどう認識するかが大変重要になっているという思いを深くいたします。  長い連立政権の経験を持つ西欧など国際的な共通の認識として、連立の原則は二つ、政策の一致と信頼関係であります。それがかたく守られるときには連立の政治は大きな役割を果たすことができますし、それが崩壊したら連立政治は終止符を打たれることになるでありましょう。これは基本的なルールであります。  私は、橋本内閣と比較するわけではありませんが、最初の自社さ三党連立の村山内閣は、貴重な経験を果たしたと思います。最初の組閣に当たりまして、村山さんは、我が内閣に腐敗やスキャンダルは許さないと宣言して人選をしました。三党首、村山さん、河野さん、武村さんは、政治家としても人間的にもかたい信頼関係がありました。ハト派としての誇りを持って、戦後五十年に当たっての八・一五声明など、近隣諸国我が国との信頼を高めました。  この一年間、私たちは真剣な議論をしながら、政府協力してさまざまの成果を上げてきたと思います。しかし、今、三党連立の構造は変化したという声も聞かれますし、組閣の翌日の多くの新聞は、おごりという言葉が大見出しになっておりました。総理、連立政治のこれまでとこれからについて、率直に気持ちをお述べください。  私は、この臨時国会政治倫理国会とする決意を持つ必要があると思います。私は、民主主義の国としての我が国を誇りにしたいと思います。土井党首が組閣を前にして総理会談をしたときに、国民の皆様の御理解を最優先にと申し上げたのも、三党首の間で倫理と政治資金についての協議における我が党の提案も、そういう私たちの気持ちからであります。そういう意味で、私は、三党首間で行われた政治倫理政治資金の協議の結果は非常に重要なことであり、私どももこれからの協議に真剣に取り組む決意であります。  昨日、中村喜四郎議員があっせん収賄で懲役刑、しかも執行猶予なしの判決を受けました。昨日の、またきょうの本会議での議論を聞きましたが、私は、本人がみずから議員を辞任するのは当然であると考えます。それだけではなくて、重要なことは、今私たち政治自体が問われているということだと思います。  判決文を読みますと、国政に対する国民信頼を著しく損なったものであって、その意味で一層厳しく非難されなければならないと書いてあります。信頼を傷つけられた政治、私たち自身が毅然と決断をしなければならないのであります。我々議員の中からこういうことを今後絶対に起こさない、こういうことを完全に根絶する、そのような鮮烈な意思と行動が今、国会に、政府に、我々に問われている、これが肝心なことだと思います。いわゆる泉井問題も同じ姿勢で解明をしなければなりません。  英国の政治腐敗防止法や米国政府倫理法は、こういう問題に大胆なけじめをつけた政治の決断でありました。三木元首相の三木試案もその貴重な提案であります。  三党首の協議で自民党の皆様は、政治倫理綱領、行動規範の遵守の具体化について、今国会中に決断することに消極的でありました。総理、もう待ったなしであります。今国会中にはっきり行動することを決断してください。そういう議論を積極的にやりましょう。きれいな政治では日本世界の最先進国と言われるような国にしたいと思います。お答えをいただきたいと思います。  平成六年の政治改革の真剣な議論の中で、政治と金を清潔に透明なものにしようと努力し、その一つ政治資金規正法附則九条、十条に規定された企業・団体の政治献金禁止が、あの法律の施行から二年半も過ぎたのに、忘れ去られたようになっている現実を深く懸念して、前倒しの決意で実行するのが国民の皆様の信頼をつなぐ道だと思います。国民の皆様の信頼を基礎にした浄財の寄附基本となれるように、真剣な自己改革の努力をやるのが政治家に求められていると思います。総理、どうお考えですか。  二十一世紀日本の進路にかかわる重要な問題として、私はガイドライン問題について伺います。  世界もアジアもポスト冷戦の時代に大きく変化しました。今私たちにとって最も重要なことは、そういう変化の中で、憲法前文に書かれている、国際社会に名誉ある地位を占める、そういう誓いの言葉を具体化することだと思います。そういう精神で世界、アジアに向けて新時代の平和の戦略を発信する、そういうメッセージを送る日本になることが求められていると思います。  優先すべきは外交戦略であり、新時代の世界に誇りを持って生きる道であります。有事をなくする努力が優先すべきであります。残念ながら、その鮮明な印象が政府にありません。ひたすらに軍事的な有事の備えの努力だけという印象であります。  私は、さまざまの備えについて、全面的にそれを否定するものではありません。しかし、大戦争の危険性が消滅した現在、必要なのは地域紛争などをどう未然に防ぐのかという新しい努力であります。  アジアは今、新しい時代に入っています。そういう中でのアジア・ビジョンを提唱すべき歴史的なチャンスが今であります。今、インドネシア各地で頻発している山林火災の煙害による影響などに環境の貢献を行うべきであります。そういうことを大胆に提唱するのが我々日本総理大臣の見識というものではないでしょうか。総理、どうお考えですか。(拍手)  近隣諸国懸念を招かない努力と言われておりますが、日米間でやったことを積極的に説明するだけではだめだと思います。私は、アジア・ビジョンとして三つを提唱したいと思います。  第一は、新しい集団的平和保障のシナリオを鮮明に提案することであります。そして第二は、非核のアジアであります。その条件は、南太平洋に、ASEAN地域にも広がっております。第三には、経済、社会、文化での相互協力の促進であります。二十一世紀はアジアの時代と言われているように、世界で最も成長率の高いこの地域は、連帯、共生、協力必要性が高まっています。それを推進する日本の使命は大なるものがあります。  総理、このような構想をどうお考えですか。また、新しい外務大臣はどういう抱負と見識をお持ちでしょうか、お伺いいたします。  さらに、ガイドラインにおける周辺とは概念であって地理的なものではないという態度をとっておられますが、日米の軍隊の共同行動について範囲を特定しないということは重大だと言わなければなりません。台湾を範囲から除くことについては、日中間の国交回復以来の基本関係からいっても当然のことであります。  さらに、報告には、読んでみましたら、上陸侵攻対処作戦という言葉が書いてあります。日本に上陸侵攻してくる国がどこにあるとお考えなのでしょうか。それは宇宙からでありましょうか。国内法の準備を急ぐという方針のようですが、民間空港、港湾の米軍使用や武器弾薬輸送など、国民理解地方自治や財産権との関係をどうお考えになっているのでしょうか。  それにつけても、沖縄の基地縮小と振興策に全力を挙げて支援協力しなければなりません。朝鮮民主主義人民共和国との国交正常化交渉の早期再開など、朝鮮半島の緊張緩和と平和的統一、四者会談の順調な進行のために積極的な努力をしなければなりません。どう努力をしていくのか、総理伺います。  また、地球温暖化防止京都会議について伺います。  総理は所信表明で、各国の妥協が大切と言われましたが、地球市民が未来を託そうとする京都会議議長国として、もっとはっきり、何年を目標に幾ら削減するのかはっきり提示をして、また我が国施策も明らかにすべきだと思いますが、いかがでしょう。  二十一世紀日本の設計に関係する大きな問題は行政改革であります。まさに二十一世紀日本の形をつくる大事業であります。政府の行革会議中間報告を見て、幾つかの問題を感じます。私は、行革の理念と目標をまず鮮明にすべきだと思います。行政改革の目的は、長く続いた官僚行政を大胆に転換して、分権時代にふさわしい、国民の身近にある民主的、透明なものにすることであることは言うまでもありません。一言で言うならば、国民理解と参加の行政への改革であり、ベースは国民であり、民主主義日本の構築だと思います。  私は、そういう立場で優先的に実行すべきことが三つあると思います。その一つは、国民の知る権利を保障する情報公開法であります。薬害エイズでの国民の怒りにこたえなければなりません。第二は、公務員倫理法であります。相次ぐ高級公務員のスキャンダルへの国民の怒りに鮮明にこたえなければなりません。さらには、分権型の行政にすることではないでしょうか。中央省庁の再編にだけ集中する発想と違います。どうお考えでしょうか。  具体的な幾つかの問題があります。  財政金融分離について、与党大蔵改革プロジェクトチームは、明確に、分離基本にするとの報告を三党幹事長、政策責任者で合意しましたが、政府の行革会議はそれを否定をいたしております。与党が一致してまとめたことを首相がキャンセルしたのでしょうか。郵政三事業についても、民営化を急ぐのではなくて、利用者である国民の立場で判断すべきことであります。防衛庁を省に格上げするかどうかなどは、提起すること自体もおかしいと思います。情報通信分野、これは戦略的にもっと重視をしなければなりません。  これらの問題について総理はどうお考えでしょうか。また、新しい総務庁長官はどういうお考えをお持ちですか。私どもは、これから行革与党協議の中で、きょうから始めますが、真剣に議論したいと考えております。  さらに、私は、国民の皆様の大きな関心の焦点となっている福祉と医療財政構造改革景気、経済の今後について伺います。  福祉日本の総合計画をどうするのか、医療保険改革と福祉、医療保険制度改革日本国民の注目と視点が集まっています。この国会でも、介護保険医療保険、抜本改革のトータルビジョンが問われております。医療保険の抜本的な改革では、その基本視点として、弱者を守り、患者本位に考えることが必要であり、負担とサービスの総合的なデザイン、薬価の大胆是正、診療報酬制度改革高齢者医療保険信頼される改革が求められております。福祉と医療に長い経験をお持ちの首相はどのようにお考えでしょうか、見解伺います。  最後に、財政構造改革と経済の先行き対応について質問します。私どもは、与党財政構造改革会議で真剣な議論を展開した上で、報告をまとめ、この臨時国会法案を提出する運びとなりました。今国会でその成立を望んでいることは言うまでもありません。  同時に、私は、これは財政改革の第一歩だと思っております。公共事業などにつきましても、まだ、全体の日程を延ばす、年次ごとの金額を減らすということであることも否めません。本格的な構造改革、切り込みはこれからという思いがいたします。むだを大胆になくするための改革の切り込みをしなければなりませんが、どういう姿勢対応しますか。  財政構造改革政府与党議論の中でも、財政再建の努力の後にどういう財政と税制と国民生活と我々の国と社会があるのか、それを示すことが国民の皆様の御理解を得るために大事なことだという指摘がございました。それを示すことが私たちの責任であると思いますが、いかがでしょうか。  また、経済の先行きは回復基調と言いますが、地域や中小企業に好転の実感がないという声が聞かれます。先行きの不安も言われております。本当の景気と暮らしに明るさをつくるために、今特段の努力をしなければなりません。総理、どうお考えですか。  ここで一つ提案があります。  この際、与党間の経済対策協議ももちろんであります、政府としても景気、経済の先行きと緊急の対策について集中した議論対応をすべきだと思いますが、いかがでしょう。  また、今年度予算衆議院での可決に当たりまして、我が党と新党さきがけの申し入れに対する自民党の回答で、予算執行の過程の節減を、従来の実績額を大きく超える最大限の取り組みを行うこと、その使途について、国民生活を最優先にし、国民負担増に対応する措置をとることを約束し、自民党院議員総会で確認した上で政府に申し入れたと聞いております。特別減税に関連した協議と約束でございましたが、大蔵大臣、その後どうなっておりますか。まさか約束をほごにするつもりではないと思いますが、いかがでしょう。  以上、当面する重要な課題について、今、連立与党、閣外協力の立場から質問を申し上げました。  今、日本は歴史的な転換のときであります。国民の皆様は、二十一世紀日本にふさわしい、世界に誇りを持つ新しい政治のドラマを今求めていると思います。私は、日本でも、イギリスのブレア労働党政権の勝利やフランスでのジョスパン政権の樹立のように、特に、昨年イタリアで我々の友人が実現したオリーブの木運動の勝利のようなドラマを実現したいと念じております。そういう姿勢で二十一世紀のドアをあけたいと思います。それは、私たちが未来への責任を語り合い、共同で努力するならば必ず実現する、また、しなければならない大事業だと確信をいたしております。  そのような私たちの気持ちを、信条であることを表明をいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
  13. 橋本龍太郎

    ○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 伊藤議員にお答えを申し上げます。  まず、伊藤議員の冒頭の御質問、連立政権のこれまでとこれから、そして三党首間における政治倫理政治資金についての協議、また、中村喜四郎議員の身分に触れられた部分まで、関連をいたしますので、一つのまとめた形でお答えをすることをお許しいただきたいと思います。  私は、三党連立体制というものが、開かれた民主的な協議のもとに、議員が御指摘になりましたような数々の成果を上げてきたと思います。そして、その中において、信頼関係というものと同時に、大いに議論を行いながら結論をお互いに出していく、そしてそれを力を合わせて実行していくという考え方のもとでそれぞれの成果が上げられてまいった、政策中心政治が行われたと思っております。そうした点におきまして私が御批判を受ける点がありましたなら、これはおわびを申し上げますし、今後ともに我々努力をしていかなければなりません。  そうした思いの中で、先般、三党首による会合の中で政治倫理あるいは政治資金についての議論が行われました。  これは与党三党間で合意をいたしました政治倫理等に関する三党確認という形に結実をいたしており、その中で、政治資金規正法附則第九条及び第十条につき、その趣旨を確認し、施行後の実施状況を十分見きわめ、入念な検討を行い、今国会中の合意に努力したいと考えている、これは私自身が確認をしたことであります。そして、その際、我が国民主政治における政党及び政治家政治活動あり方検討しつつ、国民の浄財である個人寄附拡大など政治資金につき、諸外国の政治資金制度などを参考にし、具体的な方途を講じたいと考えております。  こうした点について率直な議論が行われ、それが幹事長レベルで今申し上げたような文章として結実をいたしました。党として、当然ながら、これに誠実に対応し、三党間の協議を進めていくことになり、その中でお互いの信頼関係を確認し合えれば、そう願っております。  次に、中村喜四郎議員の判決につきましては、これを本当に重く受けとめております。  政治倫理等に関する三党確認、これをまとめます際におきましても、こうした問題についてさまざまな論議をお互いに交わしてまいりました。引き続き、政治倫理の確立に向けて、国民信頼回復に最大限努力をしてまいりたいと考えております。  また、新時代のアジア・ビジョンを今提唱すべきであるという御提言のもとに、特に新しい集団的安全保障のシナリオ、核を持たないアジア、経済、社会、文化の相互協力の促進、こうした視点からの御質問をいただきました。  我が国が、日米安保体制を堅持しながら、域内の信頼醸成のために、ARFなど各種の安全保障対話や地域協力を推進しておりますこと、またAPEC等、経済、社会、文化協力を一層促進していくと同時に、核のない世界実現に向けて現実的な努力を行うことが重要であることは言うまでもありません。  そうした中におきまして、信頼醸成の一助として、文化という面につきましては、既にある程度の計画がアジアの多様性を踏まえた上で今進行しつつありますし、テロという問題をとらえた会合も近々開かれようとしており、そうした積み重ねの中から私どもが互いの信頼関係をつくっていくことが大事ではなかろうか。むしろ、私自身は新しいユーラシア外交というものを考えておりますけれども、いたずらに大きく看板をかざすよりも、こうした地道な活動の積み重ねの中からよりよいものを得ていきたいと考えております。  議員から御指摘がありました問題でありますけれども、インドネシアの山林火災につきましては、既に我が国は、この煙害の影響を受けております、インドネシアばかりではありません、マレーシアとの間で十分相談をいたしました上、日本にこうした協力が得たいと両国から求められましたものを、消火用資機材を供与すると同時に、既に緊急援助隊、専門家チームとしての環境専門家及び消防専門家を派遣をいたしております。また、防煙用マスク等の供与も決定をいたしておりますが、今後、専門家チームの情報も踏まえて、さらにいかなる支援が可能か、また相手側が求められるのか、十分検討してまいりたいと思います。  次に、ガイドラインについて幾点かのお尋ねがありました。  一つは、自衛隊と米軍の行動についてのお尋ねでありますが、周辺事態地理的概念ではなく、事態の性質に着目した概念である、そしてその発生し得る地域を地理的に一概に画することはできないということは繰り返し申し上げてきたところであります。  したがいまして、周辺事態での自衛隊と米軍の活動の地理的範囲を一概に申し上げることはできませんけれども、自衛隊の行動は、日本憲法、専守防御、非核三原則などの基本方針、国際法の基本原則や関連する国際約束に合致するものであります。  また、日本に上陸侵攻する国があるのかというお尋ねがございましたが、既によく御承知のとおり、指針見直しは特定の国や地域における事態議論して行ったものではございません。我が国が、着上陸侵攻を含め、日本に対する武力攻撃に即応して行動し、米国と適切な協力のもとに極力早期にこれを排除するという趣旨の記述は、一般的な大枠及び方向性を示すものであります。  第三に、新たな指針に係る国内法整備についてのお尋ねがございました。  政府としては、新たな指針の実効性を確保するという観点から、九月二十九日の閣議決定の趣旨を踏まえ、法的側面も含め、今後政府全体として具体的な施策について検討していく考えでありますが、国民理解を得ることに努めることは当然のことでありますし、地方自治あるいは財産権との関係についても十分に留意しながら検討していくことは当然であります。  また、沖縄の基地縮小と振興策についてのお尋ねがございました。  沖縄をめぐる課題は引き続き内閣の最重要課題でありますし、普天間飛行場の全面返還を初めとするSACO最終報告内容を、地元の方々の御理解と御協力を得て着実に実施していかなければなりません。現実にはさまざまな問題に逢着をいたしておりますけれども、私どもはこれを乗り越えていかなければなりません。これを実行するために、ぜひ院の御協力をもお願いを申し上げたいと思います。  また、沖縄振興策につきましては、沖縄政策協議会での検討をより深め、沖縄の地理的特性や伝統、文化を生かした振興策を策定できるよう最大限努力してまいりたいと思います。  次に、朝鮮半島についての御質問をいただきました。  この地域の平和と安定のためには、北朝鮮の国際社会への一層の開放、そして南北関係の改善を初めとする国際社会との対話の促進が重要であります。我が国は、四者会合提案を引き続き支持いたしますし、また、KEDOにも積極的に取り組んでまいります。南北対話の進展によって朝鮮半島の緊張緩和が図られ、ひいては平和が一日も早く実現することを心から願っております。  その意味におきまして、ようやく日朝の政府レベルにおける審議官級の交流までが具体化し、予備的な対話が動きつつあることを喜びながら、これが一層拡大していくことを今願っているところであります。  次に、京都会議に向けた我が国の排出削減目標及び施策についてのお尋ねをいただきました。  先刻も御答弁を申し上げましたことで、長々と繰り返すことはいたしませんが、CO2だけではなく、メタンあるいは亜酸化窒素といった複数ガスを対象として議論をしなければならない状況の中で、計測技術を含め、どのようなことができるか、CO2自体につきましても、産業、運輸などの分野において将来どのような技術開発を見通せるか、現在、最後のぎりぎりの詰めを行っております。  これに関連いたします国内対策に関しましては、現在、関係審議会合同会議で御議論をいただいており、この結果も踏まえ、国内における対策の強化にも努力していきたいと考えております。  次に、行政改革に関連して、情報公開法、公務員倫理法、分権型行政優先すべきではないか、そういう御指摘をちょうだいをいたしました。  議員は議員としてのお立場からの行政改革の目的をまとめられましたが、私は、行政改革目標というものは、より自由で公正な社会の形成を目指す、そうして、「この国のかたち」の再構築を図り、そのために、簡素で、より効率的で、より透明な政府を構築することだと思っております。  また、御指摘をいただきました情報公開法につきましては、今年度中の国会提出に向けて準備を進めておりますし、公務員倫理の確立につきましては、昨年十二月の事務次官等会議申し合わせに基づいて各省庁で制定されました公務員倫理規程の厳格な遵守などにより、政府を挙げて信頼回復に向けて努力をいたしております。  また、地方分権につきましては、先刻来も繰り返して申し上げてまいりましたが、今までに第一次から第三次までの勧告を地方分権推進委員会からちょうだいいたしました。間もなくちょうだいをいたします第四次勧告を受け、住民に身近な市町村に業務と権限をできる限りゆだねることを基本としながら、地方分権推進計画の作成に本格的に取り組み、進めてまいります。  こうした取り組みを大前提として中央省庁の再編がある、この点はどうぞ御理解をいただきたいと思うのであります。  その上で、行革会議中間報告につき幾つかの御質問をいただきました。  財政金融につきましては、会議の委員の間でさまざまな角度から議論が行われました上、「大蔵省の金融に関する企画立案は、預金者保護という観点も踏まえ、市場信用秩序の維持に関する企画立案に限定する。」「市場信用秩序の維持は、基本的に市場の自主性・自律性に委ねられるべきものであり、行政の関与は、必要最小限のものに限る。」とされております。  また、郵政三事業について申し上げますなら、これは申し上げるまでもなく、行政改革の目的は、簡素であり、効率的であり、かつ国民本位の行政実現することにあります。郵政三事業につきましても、利用者の利便性に配慮しながら、具体的な改革あり方につき今後さらに検討が行われていいものと考えております。  防衛庁につきましては、議員の御意見とは異なるようでありますけれども、省に昇格すべきという御意見と、現状どおり庁とすべきとの御意見、双方がありまして、両論併記となっております。  また、情報通信分野は戦略的に重視すべきもの。これは、中間報告におきましても、通信放送委員会は電波監理等を含む通信・放送行政を担当、ただし、情報通信産業の振興に係る事務は産業省の所管、このようになっておりまして、いずれの点につきましても、今後、中間報告を骨格としながら、精力的に政府与党間の意見調整に努力をしつつ、行政改革会議において十一月末までに最終報告をまとめたいと考えております。  次に、福祉と医療改革についての御質問がございました。  急速な少子・高齢化の進行に伴う負担の増大の見込まれます中で、経済の発展、社会活力を損なわないように、給付と負担の均衡を図ると同時に、利用者の選択の拡大や民間事業者の導入なども含め、制度の効率化、合理化を進めつつ、必要な給付は確実に確保していかなければならないと考えており、そのような視点から、年金医療介護など、制度全般にわたり総合的かつ段階的に改革に取り組んでいくことといたしております。  次に、財政構造改革についてお尋ねがございました。  これは、もう議員にも大変な御努力をいただきましたが、今世紀中の三年間の集中改革期間中、一切の聖域なしで、歳出の改革や、方策や、具体的な枠組みを定めました財政構造改革法案を提出したところであり、この法案の趣旨にかんがみて、将来世代に負担を先送りすることのない財政体質とともに、安心で豊かな福祉社会、健全で活力ある経済を実現していく必要があると考えております。  その中において、集中した議論景気、経済の見通しと緊急の対策にという御指摘をいただきました。先般来申し上げておりますように、景気回復に従来のような力強さを感じることができない最大の問題点は、私は構造的な問題のあらわれだと思っております。  それだけに、従来から申し上げてまいったことと重複をいたしますけれども、規制緩和、撤廃を初めとする経済構造改革に関する政府の行動計画を可能な限り前倒ししていく、新たな施策を追加していく、内閣を挙げての努力をしてまいりたいと考えており、さらに、土地の有効利用、土地取引の活性化を促進する方策を検討しているところであり、こうした御議論が、院におきましても与党の中におきましても御提案をいただきますし、積極的な御論議をいただくことは、私どもとしても、知恵を拝借できるという点でお礼を申し上げます。  残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)     〔国務大臣小渕恵三君登壇〕
  14. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) アジア・ビジョンにつきまして、かねて伊藤議員が御主張されておられることは承知をいたしており、また今日、三点の問題につきまして御提案ございました。一つは新しい集団的安全保障のシナリオの提唱、第二に非核のアジア、第三に経済、社会、文化での相互協力の促進の三つについて、新しい外務大臣としての抱負と見識を問う、こういうことでございました。  一と三につきましては、ただいま総理から御答弁がございましたので、私も同じ考えでございますので、そのように御答弁させていただきますが、二の非核アジアの問題についてございました。  本件につきましては、唯一の被爆国である我が国は、核兵器が二度と使われることがあってはならないという基本的な立場でございますが、アジアにおいては、依然として不安定要因が存在をしておりまして、引き続き核抑止力がなお必要とされておる状況が存在しておると考えておりまして、非核アジア、望ましいことではございますが、現時点では、私ども政府といたしましては、従前の考え方にのっとって対処いたしてまいりたいと思います。  以上でございます。(拍手)     〔国務大臣三塚博君登壇〕
  15. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 伊藤議員にお答えを申し上げます。  質疑の中にありました、段々の経過で、従前の実績額を大きく超える最大限の取り組みをということの御趣旨、その後の対応という御質問でございますが、予算成立後の四月一日の閣議におきまして、私から、徹底した経費の節減合理化に最大限の取り組みをしていただきたい旨、各大臣にお願いいたしたところであります。また、七月八日でありますが、閣議におきまして、徹底した経費の節減合理化について、重ねて各大臣にお願いを申し上げておるところでございます。今後も取り組んでまいります。(拍手)     〔国務大臣小里貞利君登壇〕
  16. 小里貞利

    国務大臣(小里貞利君) 行政改革会議中間報告を念頭に置きながら、多面にわたりまして御提言をいただきました。中でも、財政金融分離の問題、あるいは郵政三事業に関連するお話、あるいはまた防衛庁を省に格上げする問題、そしてまた情報通信分野の戦略性等について、総理大臣とあわせて、私に対してもお尋ねがございました。  御案内のとおり、さき総理大臣からそれぞれこの諸点につきまして回答がございました。私も、ただいま総理方針をお述べになりました、手がたくこれを基調にいたしまして、これが推進に努力をしてまいりたいと思っております。  なおまた、今後、行革会議検討及び推進に当たりましては、同会議の会長代理として、会長たる総理大臣をお助け申し上げながら、しかも、ただいま申し上げておりまする中間報告基本にいたしまして、政党、とりわけ与党合意を取り得られるべく最大の努力を進めてまいりたいと思っております。  なおまた、今次の中間報告の最終的取りまとめ及びこれが実行につきましては、謙虚に広く国民の御意見をお伺いしながら、不退転の決意で対処してまいりたいと考えております。(拍手)     —————————————
  17. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) 羽田孜君。     〔羽田孜君登壇〕
  18. 羽田孜

    ○羽田孜君 太陽党を代表いたしまして、国民が抱いている今日と未来への不安、要望を中心に、橋本総理に対して質問と提言をさせていただきます。  総理、あなたは常々、六大改革に火の玉となって取り組むと発言されてきました。多くの国民は、この言葉日本が未来に向けて変わるんだという期待をかけてきたのではないでしょうか。  しかし、今回の内閣改造は、この期待を裏切り、あなたの言葉が本物でなかったことを露呈する結果となりました。その象徴が佐藤孝行氏の入閣でした。佐藤氏が自民党にあって行政改革を成功に導かれたならば、歴史が評価する日があったであろうし、また、名誉も回復され、政党政治も確立されたのではなかったでしょうか。  また、改革の継続性を訴えるのであれば、何ゆえわずか十一カ月で内閣改造をする必要があったのでしょうか。目まぐるしい改造に国民は大臣の名を覚える間もなく、国際社会もあきれているというのが実態なのであります。  また、少子・高齢化、介護、環境、雇用、行革等の問題を抱えるこのときに、何ゆえ女性の入閣がなかったのでしょうか、お伺いいたします。また、国民協力を得るためには、民間人の登用もあってしかるべきだったというふうに考えますけれども、この点はいかがでしょうか。  しかし、改造大事について聞こえてきたのは、世代間、派閥間の醜いののしり合いだけであったと思います。  それに加えて、脱税などで起訴された泉井被告が記者会見で自民党首脳に多額の献金をしたと語っていることは、聞き逃すわけにはいきません。事実だとすれば、名指しされた人によって自民党執行部が構成されているということになります。  また、泉井発言が事実でないとするならば、自由民主党が率先して、事実解明のため、積極的に喚問を求めるべきではないでしょうか。(拍手)  総理自民党は世論に逆行する権力の乱用はありませんか。全国各地にありまして、予算の配分等を武器に強引な党勢拡大を図ろうとしてはいないでしょうか。御注意申し上げたいと思います。  改革には痛みが伴うものであります。国民に痛みを求める以上、政治に高度な信頼感が求められることは当然であり、政治倫理で疑いを持たれては、改革は一歩も進まないでありましょう。以上、総理見解伺います。  私たち政治家は、政治改革の出発の原点に立ち戻り、国民の負託にこたえなくてはなりません。私は、この機会に改めて政治改革への提言を申し上げたいと思います。  まず、政治家みずからが改革への姿勢を具体的な形で示すために、次期総選挙からの衆議院の定数百名削減と重複立候補制度の廃止を含めた見直し、選挙権の十八歳への引き下げ、海外在住日本人に対する選挙権の付与の実現、参議院のあり方や選挙の方法等抜本的な改革、そして国会改革などを直ちに進め、同時に、抜本的な政治システム改革に勇気を持って取り組むべきであろうと思います。総理政治改革に対する見解をお伺いいたしたいと思います。(拍手)  次に、経済運営について伺います。  国民は、景気の先行きに大きな不安を持っております。政府は、景気拡大が九三年十一月以来、既に四十五カ月も続いているとしておりますが、この判断そのものに疑いを持たざるを得ません。昨日発表された日銀短観も、政府景気判断と違う結果を示しているのであります。  景気回復のかけ声をよそに、一部の輸出産業等を除けば、企業の経営実態は低迷を続けており、長期にわたる不況で体力を消耗し尽くした企業の倒産が確実に進んでおります。このことは、政府の経済見通しと実態が大きく乖離している証拠であり、今日まで続く景気低迷の責任は政府の楽観的な景気判断と経済運営にあったと申し上げることができます。  総理は、所信表明において、景気停滞は構造的問題などと評論家的に述べられておりますが、不況の波に洗われ、日々の生活にあえぎながら必死の思いで働き続けている多くの人たち実態をどれほど把握されておられるのでしょうか。  また、公定歩合〇・五%という超低金利が丸二年も続いている状態は極めて異常な事態であります。世界でもまれな超低金利にもかかわらず、企業の投資は拡大せず、国民の可処分所得は確実に減少を来しております。  ここで村山内閣以来の自、社、さきがけ政権がとってきた経済政策を振り返ってみると、愕然とする事実に突き当たります。三党政権はこれまで、国民に対し消費税の引き上げ、特別減税の打ち切り、医療費の引き上げなどの負担増に加え、超低金利政策によって、一般の預金者の得られるべき金利収入を金融機関の不良債権処理のためにつき込み続けてまいりました。一言で言えば、一般国民からの富の吸い上げが三党政権の基本的な経済政策だったということを申し上げられます。(拍手)  今実施されるべきは、法人税の減額、土地税制の改革などを速やかに行うことにより空洞化を防ぎ、むしろ海外からの直接投資をも誘導することであり、同時に、サラリーマン層や金利生活者中心とした所得税減税であり、加えて、新しい時代の産業を興すための金融規制の緩和であります。このことが景気の回復や税収回復にも効果を発揮すると考えます。  総理自身の現在の景気に対する認識と具体的な景気刺激策についてお伺いいたします。  次に、行政改革について申し上げます。  行政改革は、自由、公正、グローバルな経済社会に即応し、複雑で大きな政府から簡素、効率、透明で小さな政府実現を目指し、情報公開、規制の撤廃、緩和を大胆に進め、何といっても、権限、自主財源を伴う地方分権の推進によって国と地方役割の分担を明確にした上で、行政事務の整理、人員と経費削減を行い、民間の活力を引き出し、政府のスリム化を図りながら、財政改革と一体となって進めるべきであります。このことによって地方活力が生まれ、国全体もよみがえると信じます。  先ほども地方分権に関して総理は、地方分権推進委員会の勧告を受けてから本格的に取り組むと述べておられましたが、総理御自身、地方分権についてはどのような考え方をお持ちなのか、お聞かせいただきたいと思います。  今回の行政改革の進め方は未来の展望が見えず、これでは単なる機構いじりと数合わせとなり、必然性も感じられず、実施する官僚のやる気を失わせ、一方で、数だけが少なくなった役所に権限が集中することになると考えます。まず、行革後の日本の姿を国民に示すことが必要であると考えます。総理の御見解伺います。  次に、財政再建について申し上げます。  平成二年の日米構造協議の際、米国市場開放を求めたのに対し、我が国米国財政赤字と貿易赤字の双子の赤字の解消を求めましたが、今やその関係は逆転しております。米国は、財政収支改善のため包括財政調整法を制定し、歳出削減に努め、また思い切った経済構造改革、減税等による好景気により単年度収支は目に見える改善を示し、二〇〇三年には赤字ゼロを実現するに至っております。  これに反し、我が国は、バブル経済の崩壊に伴う不況対策として従来と変わらない手法により公共事業中心とする六十兆円余の経済対策を実施しましたが、これが十分な効果を発揮せず、しかも、国、地方を通じて赤字増加の原因となったことは明らかであります。  聖域なき歳出削減は当然でありますが、同時に、財政構造抜本的見直しと早急に取り組むべきであります。政府が提出を予定している財政構造改革法は、構造そのものには全く切り込んでおらず、その名に値しないものと考えられます。財政再建に対する総理のお考えを伺いたいと存じます。  医療保険改革について伺います。  先般、与党三党で医療保険の抜本改革の構想をまとめられましたが、薬価、診療報酬の改革はもちろん、保険集団の見直し等、問題を先送りすることなく果敢に取り組むことによって、これ以上患者のみに負担を課するような改定は断固避けなければなりません。また、診療の適正化、予防医療の徹底等の追求が医療コストの軽減にもつながると考えます。  これらの改革は、国民の健康を守り、医療に従事する皆さんのやる気と安定を守るもので、ぜひとも実現しなければなりません。総理改革への決意をお伺いいたします。  次に、日米防衛協力ガイドラインについて伺います。  政府は、六月のガイドライン中間報告後、国会周辺事態地域との関係後方支援等、日米協力の各項目、これに伴う国内法整備について濃密な議論をすべきであったにもかかわらず、これを行っておりません。また、ガイドラインの改定は、従来の米軍と自衛隊との協力を、日本社会全体の協力へ変えるという大転換を含んでいるにもかかわらず、国民に対する説明も十分でなく、いまだに理解も得られていないままに最終合意したことは遺憾と言わざるを得ません。  与党三党内でもガイドライン適用範囲をめぐって合意がない中、果たして今後与党内での一致は可能なのであるか。それに加えてアジア諸国のガイドラインに対する危惧をどのように払拭するのか。総理見解伺いたいと思います。  また、最終合意を受け国内法整備が進められると考えますが、この過程がむしろ重要であり、その際に必要なのは、従来の抽象的議論神学論争に終始せず、日本の安全にとって何が必要かについて、具体的でまやかしでない真っ正面からの説明と論議こそが国民と周辺諸国の理解を深めることになると考えます。この点について、総理見解と今後の具体的な法整備に向けたスケジュールを伺いたいと思います。  アジア太平洋の平和と安定を維持し、我が国が持続的な平和と発展を確保するには、しっかりとした日米協力の枠組みとアジア太平洋諸国との友好関係及び信頼醸成が不可欠であります。折しもことしは日中国交正常化二十五周年の年に当たり、私も結党後初めて中国を訪問し、江沢民主席以下中国首脳と密度の濃い意見交換を行ってまいりました。  所信表明で述べられたユーラシア外交の推進は私自身の持論でもあり、賛意を表します。韓国、中国、ロシアとの信頼を深め、真の協力関係を結ぶことは、それぞれが隣国であることからも必然であります。  加えて、韓国の理解を得ながら北朝鮮との国交についても真剣に探るときと考えます。日朝間の懸案を解決するのは当然ですが、北朝鮮への食糧支援は人道支援として条件をつけずに対応すべきと考えます。今大事なことは、国際社会に門戸を開き協調することが、直面する困難を克服する道であることを北朝鮮に知ってもらうことにあります。このことに成功するならば、北東アジアの安定を確保することにつながるからであります。  我が国の外交は、過去の悲惨な戦争の体験に加えて、資源のない国であることからも、平和創造の先兵になることを基本とすべきであり、それこそが我が国のこれからの生きる道でもあると信じます。総理のお考えをお聞きしたいと思います。(拍手)  我が国は、成熟した先進国として、また高度に進む情報通信時代に適合する国家としての構造改革を迫られています。私たちの目前にあるのは過去の常識とは大きく異なる新しい現実であり、二十一世紀に向けた改革は待ったなしの課題であることを認識しなければなりません。  私たちが求めるのは、時代に適合しなくなった部分の改革を大胆に進めながらも、歴史や伝統の中に培われた家庭のあり方社会の連帯、信頼関係が確保され、世界との共生ができる活力ある新しい日本システムの構築であると確信しています。  総理におかれましても、そうした使命、危機に直面している我が国の現状を十分に認識され、真の改革に直ちに取り組んでいただくことを希望して、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
  19. 橋本龍太郎

    ○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 羽田議員に対してお答えを申し上げます。  まず、政治倫理に関連し、幾つかの御質問をいただきました。  まず、佐藤孝行氏の大事につきましては、所信表明に申したとおり、あれが私自身の率直な気持ちでありまして、心から御迷惑をかけたことをおわびをする、世論の重みに対して十分思いをいたさなかったという点に対しての反省とともに申し上げたことでございます。  また、内閣改造につきましては、自由民主党の総裁の任期の交代ということもありまして、これは率直にそのとおりであります。しかし同時に、改革を進めていく、それぞれの政策課題を進めていく上に必要と考えたことも事実でありまして、女性また民間人の閣僚がいないという御指摘をいただきましたが、これは結果として御理解をいただきたいと思うのであります。  次に、泉井被告の証人喚問について、これは私は国会がお決めをいただくべきことと理解しておりますが、その上で、先般も申し上げましたように、私は、国民政治不信の払拭のためには、政治家が常に自戒をし、襟を正さなければならないと考えております。その意味で、明らかにしなければならないことは適切な場で政治家がみずからの判断で明らかにされるべきものと考えております。  いずれにいたしましても、政治家は常に国民の中でみずからを見詰め、みずからを戒め、その倫理を高めていかなければなりません。  政治倫理等に関する三党確認に基づいて、政治倫理の確立に向け、国民信頼の回復に努力をしたいと考えておりますが、同時に予算執行等について御注意をいただきましたこと、私も十分気をつけてまいりたいと思います。  また、政治改革に関する見解を問うという御質問をいただきました。  まず、衆参両院の選挙制度につきましては、与党三党の政策合意におきまして、議員定数の削減前提とし、民意がよりよく国政に反映されるよう、早急に選挙制度見直しを開始することとされており、与党三党の選挙制度協議会を中心にその検討を行っているところであります。また、先日の三党首の会談におきましても、これらの問題についての議論はより深められたと考えております。  次に、選挙権年齢の引き下げにつきましては、民法上の成人年齢あるいは刑事法上での取り扱いなど、法律体系全般との関連も十分考慮しながら検討すべき事項もあろうと考えております。  また、在外選挙につきましては、さきの通常国会に在外選挙法案を御提案をいたしました。御党また新進党からも法案が提出をされておるところと承知をいたしており、その内容には食い違っておる点もございます。国会において御審議の上、いずれにいたしましても、在外投票というものが行える状態が早く生まれるように、早急に法律が成立するよう念願をいたしております。  いずれにいたしましても、選挙制度見直し政治倫理の確立、国会改革など、政治システム全般の改革を行うという方向は各党各会派の共通のものであると理解をいたしておりまして、十分御論議をいただきたい、また、その結果を踏まえ適切に対処していきたいと考えております。  また、景気の停滞という問題を構造的問題とおまえは述べたけれども、実感があるのかという御指摘をいただきました。  日銀の短観等も十分存じておりますし、また、中小企業の厳しい経営状況というもの、特に非製造業においてその傾向が著しいことも、同時に、技術を持っておりながら、親企業が海外に転出してしまった結果、新たな親企業を見つけることができないでいる製造業につきましても、私はそれなりの認識は持っているつもりであります。  その上で、現下の景気回復に対し従来のような力強さが出てこない、これは私は本当に構造的な問題ではないだろうか、そうとらえております。もとより、国民生活の向上と安定を図ることは重要な課題でありますし、適切な経済運営に努力していく、各種の経済構造改革を進めていくのは当然の責務、そのように考えております。  また、では、その認識と具体的な対策という御質問がございました。そして、例えば直接投資を呼び込むようなという御指摘もいただきましたが、こうした点につきましては、例えば金融システム改革そのものもそうした努力のあらわれという部分があることは御承知のとおりであります。そうして、これは何回も申し上げてきていることでありますけれども、我々は、これを構造的な問題としてとらえ、内閣を挙げて、規制の撤廃、緩和等を含めまして経済構造改革を推し進めようとしており、また、土地の有効利用、土地取引の活性化を促進する、その方途を検討しているさなかであります。  今、土地が動かないというのが一つの大きな問題という御指摘も受けておりまして、特に、大都市部における土地がいかに動いていくのか、こうした点については一層の努力をしてまいりたいと考えております。  次に、地方分権について、おまえ自身はどう考えるのかというお尋ねがございました。  これは、あるいはお目にとまっておるかもしれません、何回かの閣議あるいは閣僚懇談会で、地方分権の推進の中で、都道府県レベルでその権限がとまってしまわず、できるだけ多くの権限が市町村におりるように閣僚各位にも努力を願うということを私が繰り返して申し上げておりますのは、住民に身近な行政ほど、できる限り住民に身近な自治体に責任を持っていただける体制をつくることが必要だからと考えております。分権推進委員会にお願いをいたしておりますのも、例えば、すべての自治体、三千三百の市町村までが全部ができるというのではなくても、例えば二十万以上なら、三十万以上なら、そういった分権の仕方も考えていただきたいということでありまして、そうした意味からも、国と地方役割分担の明確化というものに努めていきたいと考えております。  次に、その行政改革の後の、改革の後の日本の姿、一体どのようなものを想定しているのかというお尋ねをいただきました。  大変甘い言葉を使いますなら、これは、個人の尊厳と幸福に重きを置いた、自由で公正な社会を目指すといった言葉になろうかと思います。しかし、なぜそうしたことを言わなければならないのか。それは、我々が予想しておりました以上に少子・高齢化というものの進展が急ピッチでありまして、また、経済のグローバル化というものも予想された以上の速度で進んでおります。そうした中で、どうやれば、どうすれば社会活力が失われないか、国民の一人一人が将来に夢や希望を持ち、同時にそれにチャレンジしていくだけの創造性とチャレンジ精神を持つことができるか、そういうことを申し上げてまいりましたが、こうした思いが、この六つの改革、殊に行政改革を私が訴える出発点であります。  そのためには、徹底的な規制の緩和と撤廃、同時に官から民、中央から地方へ、同時にいわゆる民民規制と言われるものまでを含めて、考え方を転換していただかなければならない、そのための努力を続けてまいりたい、そのように思っております。(拍手
  20. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) これにて国務大臣演説に対する質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  21. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十五分散会      ————◇—————