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1997-11-26 第141回国会 衆議院 農林水産委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十一月二十六日(水曜日)     午後一時一分開議 出席委員   委員長 北村 直人君    理事 赤城 徳彦君 理事 鈴木 俊一君    理事 松岡 利勝君 理事 松下 忠洋君    理事 久保 哲司君 理事 矢上 雅義君    理事 小平 忠正君 理事 藤田 スミ君       石破  茂君    岩永 峯一君       大島 理森君    金田 英行君       木部 佳昭君    岸本 光造君       久野統一郎君    熊谷 市雄君       栗原 博久君    杉山 憲夫君       住  博司君    園田 修光君       高鳥  修君    仲村 正治君       丹羽 雄哉君    二田 孝治君       御法川英文君    目片  信君       茂木 敏充君    渡辺 具能君       一川 保夫君    上田  勇君       木村 太郎君    木幡 弘道君       佐々木洋平君    城島 正光君       達増 拓也君    宮本 一三君       安住  淳君    石橋 大吉君       鉢呂 吉雄君    春名 直章君       前島 秀行君    堀込 征雄君  出席国務大臣         農林水産大臣  島村 宜伸君  出席政府委員         農林水産政務次         官       岸本 光造君         農林水産省経済         局長      熊澤 英昭君         農林水産省農産         園芸局長    高木  賢君         農林水産省畜産         局長      中須 勇雄君         食糧庁長官   高木 勇樹君         林野庁長官   高橋  勲君         水産庁長官   嶌田 道夫君  委員外出席者         文部省体育局体         育課長     玉井日出夫君         農林水産委員会         調査室長    黒木 敏郎君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月二十六日  辞任         補欠選任   木部 佳昭君     茂木 敏充君   熊谷 市雄君     岩永 峯一君   杉山 憲夫君     久野統一郎君   中尾 栄一君     大島 理森君   佐々木洋平君     木村 太郎君   菅原喜重郎君     達増 拓也君 同日  辞任         補欠選任   岩永 峯一君     渡辺 具能君   大島 理森君     中尾 栄一君   久野統一郎君     杉山 憲夫君   茂木 敏充君     木部 佳昭君   木村 太郎君     佐々木洋平君   達増 拓也君     菅原喜重郎君 同日  辞任         補欠選任   渡辺 具能君     熊谷 市雄君     ――――――――――――― 十一月十七日  国営川辺川土地改良事業の促進に関する請願  (園田博之君紹介)(第五七一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十一月二十六日  農業振興対策強化に関する陳情書外二件  (第九一  号)  国際化対応し得る農業農村対策拡充・強  化に関する陳情書外二件  (第九二  号)  中・長期的視点に立った農業農村政策確立  に関する陳情書  (第九三号)  農業農村整備事業の着実な推進に関する陳情書  外二十件  (第九四号)  農業農村整備事業ウルグアイ・ラウンド農業  合意関連対策の実施に関する陳情書外十六件  (第九五号)  中山間地域振興対策拡充強化に関する陳情  書外三件  (第九六号)  株式会社の農地取得による農業参入反対に関す  る陳情書外二件  (第九七号)  国土保全奨励制度関連する施策充実に関す  る陳情書  (第九八号)  口蹄疫対策に関する陳情書  (  第九九号)  ふるさと農道緊急整備事業ふるさと林道緊急  整備事業事業期間延長等に関する陳情書外  一件  (第一〇〇号)  食糧自給率向上に関する陳情書  (第一〇  一号)  食糧自給率向上を図る農業食糧政策に関する  陳情書  (第一〇二号)  森林、林業・木材産業に関する陳情書外五件  (第一〇三号)  国有林野事業維持・再生に関する陳情書外五  件  (第一〇四号)  国有林野事業の発展と機構充実に関する陳情  書外三件  (第一〇  五号)  大田原営林署の存続に関する陳情書  (第一〇六号)  私有林公益性評価拡大と支援に関する陳情  書  (第一〇七号)  水産業振興対策充実強化に関する陳情書  (第  一〇八号)  漁港漁村整備事業及び沿岸漁場整備開発事業の  着実な推進に関する陳情書外一件  (第  一〇九号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する  法律案内閣提出第九号)      ――――◇―――――
  2. 北村直人

    北村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。金田英行君。
  3. 金田英行

    金田(英)委員 本題に入ります前に、先ごろ政府の方で決定いただきました新しい米政策、今回自主流通米価格相当暴落したというようなことにおいて、農家の現実の所得減という問題が発生してきておりますし、このような米余り現象にどのように対処していくかということで、島村農林大臣を初め大変立派な対策を立てていただきました。農協を初め農家皆さん方から、本当によくやってくれたという形でいろいろとお褒めをいただいておるわけでございます。確かに、この新しい米政策については、従来の農政と違った大きな転換点だというふうに私評価しております。  そういったことで、これからの米政策について、新しく所得補償制度が導入された。そして、米余り現象に対して新たな減反強化されて、農家の御協力のもとに現在の三百七十万トンというような米余りに対する対策も講じた。それから、新しい減反対応して、共補償制度を初め減反協力していただける農家皆さん方にも一応の手厚い対応をしていただけたというようなことで、画期的なことではないのかというふうに思うわけであります。  特に、所得補償方式で、価格下落に対する処置、一定の銘柄ごと基準価格を決めて、実際の値段が下がった場合にはその差額の八割を補てんするというような所得補償制度を取り入れていただいた。私は、米についてこのような制度確立したということは、これからの稲作経営の安定に対して、価格の乱高下に対して担保されたという形で、大きく前進した農政だというふうに思うんです。  問題は、これは米だけこんなことをやるのでなくて、麦についても、あるいは大豆についてもというような形で、他の農産物にも適用していくんだと申しますか、同じような制度をつくり上げていくんだというようなことになれば、将来、総合所得補償制度と申しますか、米をつくっても豆をつくっても、あるいは麦をつくっても、年間の農業所得が過去三年間これくらいあるのであれば、例えば千五百万あるのであれば、千二百万までは補償しましょう、そして保険料はこれくらい払ってくれよというような形で、いろいろな、気象条件だとか価格に左右されていて経営が安定しない農家について、本当に安んじて農業にいそしむことができる制度に向かっていけるのではないのかというふうに考えているわけでございます。  とにかく、これからの新しい米政策が大きな問題を、問題と申しますか、将来にわたる契機を含みながらスタートすることができるということを高く評価させていただいております。  それで、新しい米政策、本当に農家皆さん方は、ああ何とかことしも年を越せるというような状況になっておりますので、こういった新しい米政策に取り組んでいただきました島村農林水産大臣のこの取り組みに対する、今後の取り組みも含めて、御決意のほどをまずお話しいただきたいというふうに思います。
  4. 島村宜伸

    島村国務大臣 お答え申し上げます。  米の需給は、御高承のとおり、この四年来豊作続きでございまして、そのことを反映して、自主流通米価格の停滞や、あるいはまた計画外米増大等、大変厳しい状況にあるわけであります。  そこで我々は、この米を取り巻く厳しい状況を踏まえまして、食糧法の目指す米の需給価格の安定を図るために、生産調整稲作経営あるいはまた計画流通制度運営改善等米政策全般の再構築に向け検討を行ってきたところであり、その成果として、先週新たな米政策大綱を決定したところであります。  本大綱は、稲作転作一体となった望ましい水田営農確立を図るとともに、我が国稲作経営の将来を切り開くことを基本理念に据えているものであります。今後、本大綱に即した各般の施策を総合的かつ的確に推進することにより、稲作に携わる農業経営者方々の不安を払拭するよう全力を傾注してまいる所存であります。
  5. 金田英行

    金田(英)委員 ありがとうございました。  次に、本題であります貯金保険機構でございます。  この農林水産委員会と同様に、大蔵委員会では、銀行あるいは信用金庫に伴う預金保険機構の審議が進められているわけであります。今の金融不安の中で金融システムの安定を目指すためには、どうしてもこの預金保険機構並びに農協漁組についての同様の組織であります貯金保険機構整備を急がなければなりません。  預金保険機構につきましては、きょうの新聞でも御存じのとおり、新たに徳陽シティ銀行が破綻したというような形で、金融機関破綻が相次いでいるわけであります。金融の安定を目指して、もう何としても政策的な手を打たなければならない。党の方でも金融政策緊急対策本部というのをつくって、とにかく金融安定を図るためにいろいろな措置を講じようということで、もはや手おくれだと言う方もいますけれども、これから一生懸命な対策をとっていかなきゃならないというふうに思います。  それで、貯金保険機構預金保険機構預金保険機構ではもう相当赤字が出ているわけでありまして、八年度末では三千九百五十一億円ですか、そういった赤字が出ておりまして、日銀からの借り入れが行われている、そういった事態でもございます。それから、預金保険機構についての保険料率で見てみましても、先般七倍に保険料率預金保険機構で上げまして、今〇・〇八四ということでございます。ところが、貯金保険機構は〇・〇三というような保険料率でとどまっているわけであります。  そういったような形で、預金保険機構と比べて貯金保険機構責任準備金等、まあ何とかあるわけでございますけれども、将来を考えて、こういったもので十分間に合うのかどうか、財源的に問題はないのか、そういったことについてお尋ねしてみたいと思います。
  6. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生から御指摘がございましたように、私ども農水産業協同組合貯金保険機構は、農漁協から徴収いたしました保険料財源として運営しておるわけでございまして、保険料率は、先ほど先生の御指摘がございましたように、預金保険機構よりは低い料率で徴収をしているわけでございます。現在、この機構準備金でございますけれども平成九年の三月末現在で千三百六十二億円というふうになっております。  この貯金保険機構におきましては、経営破綻に陥りました農漁協合併等に対しましてこれまで四件の資金援助を行ってきておりますけれども責任準備金を取りますことなく対応できているという状況にございます。  今回の貯金保険法改正に当たりまして、資金援助対象となる範囲を、現在は吸収合併の場合に資金援助対象といたしておりますけれども、今回の法改正で新たに新設合併の場合も資金援助対象にするという法改正をお願いしているわけでございます。こうした保険機構業務拡大というのは、結果的には保険金の支払いをある意味では抑制するという効果もございますので、私ども貯金保険機構のこれまでの運営状況あるいは今後の運営等考えますと、当面財源に支障を来すことはないというふうに考えております。
  7. 金田英行

    金田(英)委員 これから起こるであろういろいろな農協あるいは漁組等々の経済的破綻に備えるためには、大体今の状況で十分だというようなお話であります。  何といっても、農協漁組についてはその経済基盤強化しなければならないという形で、その合併推進するということが指導されているわけでありまして、この合併推進する意味からも、新設農協あるいは漁組等についてもこの貯金保険機構が機能するような形での今回の改正については、ぜひ実施する必要があるなというふうに考えているわけであります。  大体大丈夫だというふうな見通しだということですけれども農協不良債権、どんな実態になっているのだ。私が聞き及ぶところでは、膨大な借金を抱えてそれが返せなくなって営農が成り立たなくなっている農家が結構あるというふうに聞いております。また、農協系統資金といいますと、ついつい頭に思い浮かべるのが住専の問題でありました。ああいった住専に象徴されるような運用の中で、貸し先が不透明だというようなこともあるのではないのかな、そういうふうに思うわけです。  農協あるいは漁組について、総額七十兆とも言われているこれらの資金が、実態としてどういう形で、本当に安全に運用されているのかどうか、そういったことをしっかりと踏まえないと、現在の貯金保険機構、この責任準備金等で十分だというようなことにならない、そういう回答が出てこないと思いますけれども一体どのような状況だというふうに御認識なんでしょうか。
  8. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 お答え申し上げます。  農協系統不良債権についてのお尋ねでございますけれども、年二回公表されております。一番最新の時点で、本年七月に、ことしの三月、平成九年三月期の不良債権状況が公表されております。それは農林中金信連でございますが、この農林中金信連の合計で二千八百九十億円というのが不良債権でございます。  なお、単協につきましては現在公表しておりませんけれども、ほかの業態と比べまして不良債権の率が低いというのが私ども認識でございます。  なお、単協不良債権につきましては、十年三月期決算、つまり今年度の決算でございますが、来年の三月期決算におきまして、すべての組合につきまして不良債権開示を義務づけておりますので、そうしたことから、夏ごろには全体として単協を含めた不良債権の額が確定できるというふうに考えております。
  9. 金田英行

    金田(英)委員 預金保険機構貯金保険機構対象、それは、片っ方は一般金融機関信用金庫ということでありますが、片方農協であり、漁組である。  この違いは一体どこなのかなというようなことですが、農協漁組総合事業体と申しますか、金融だけやっている、あるいは信用事業だけやっているという預金保険機構の方と違いまして、貯金保険機構では、信用事業のほかにいろいろな事業を総合的にやっているわけであります。購買だとか共済だとか、あるいは営農指導だとか販売事業だとかいろいろとやっているわけでありまして、それを総合的にやっているのが農協であり漁組だということになるわけであります。  そこで、農協貯金する人あるいは漁組貯金する人、そういった貯金する人の立場から見たら、自分たち信用事業だけやっているのでなくて、総合的に、総体的に農業協同組合総合事業だ、あるいは漁業協同組合総合事業だ、信用事業オンリーでございませんので、おれたち貯金は果たして大丈夫なんだろうか、Aコープの方におれたち貯金は使われて、どうもあそこは片方赤字をおれたち貯金で埋めているのではないかというような、そういった不安が募るわけであります。  そういった意味で、総合事業の各種の事業信用事業に影響を及ぼさないというような形の中でしっかりと運用できるのかどうか、そこら辺についてしっかりしないと、農協も危ないぞというようなことになって、また郵便貯金郵便局にお金を入れかえるというようなことにもなりかねませんので、そこら辺をしっかりと透明にする、各事業ごとにしっかりと透明性の高い資金運用が必要だというふうに思うわけでありますが、この点についてどのようにお考えでしょうか。
  10. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 先生指摘のとおり、農協漁協、総合的な事業体でございます。信用事業のほかに、経済事業あるいは指導事業を総合的に行っているという事業体でございます。  従来は、確かに信用事業等が生み出す収益経済事業赤字あるいは指導事業赤字を埋めていくという経営が行われてきたという、これも実態としてそういう面があることは否めないというふうに思います。特に指導事業については、収益を生む事業ではございませんので、どうしてもやはりほかの収益で埋めていかざるを得ないという実態にもあるわけでございます。  ただ、昨今の信用事業を取り巻く経営環境の厳しさということで、従来のように信用事業が高収益を上げていくということはなかなか期待しがたいという面もございます。そういう意味でいえば、それぞれ信用事業以外の、経済事業あるいは指導事業がきちっと機能していく、役割を果たしていくということを確保していくことは大変重要になっているわけでございます。  そういう意味でいえば、昨年臨時国会で成立をさせていただきました農協改革法におきましても、部門別収益開示ということを義務づけているわけでございまして、そういうことによりまして、各部門ごと収益組合員方々にも目に見えるようになる。そういう中で、一体当該組合員方々が所属している組合が、信用事業以外に、経済事業あるいは指導事業でどのような活動をしてどのような収支状況になっているかということが目につく状況になるということでございます。  そうした中で、経済事業あるいは指導事業につきましても、効率的な事業運営をしていくということが重要になってくると思います。そうした不断の経営に対するチェックを通じて、全体として農協あるいは漁協運営が適切に行われるように私どもとしても指導してまいりたいというふうに考えております。
  11. 金田英行

    金田(英)委員 この貯金保険機構農協漁組という形の信用事業を担保していこう、その信用不安を解消していこうということでございますけれども農協と比べて漁組につきましては相当資金規模が小さい。農協さんは約六十六兆とか六十八兆、七十兆弱の金を持っているのに比べて、漁組については二兆円弱だ。総資金量はそんなものだ、預金量はそんなものだというような形で、漁組については組合員の数も相当小さいし職員の数も小さいわけであります。  漁組についての信用事業をしっかりとこの小さい規模で担保していくと申しますか、運用していくということは大変だろう、そしてまた、漁組合併を急がなければならないということで一生懸命対策を講じていることは承知しておりますけれども、こういった信用事業に対する今後の漁組指導方法、あるいは基本的な考え方、どのようにお考えでございましょうか。
  12. 嶌田道夫

    嶌田政府委員 漁協系統信用事業は、組合員漁業生産流通と密接な関連を持ちながら展開しておりまして、また、水産制度金融の担い手といたしまして、漁業政策上も重要な役割を担っているところでございます。  しかしながら、今先生指摘のように、漁協経営規模は非常に小そうございます。平成八年度の貯金額で見てみますと、全体で約一兆八千億円、一漁協当たりにしますと平均貯金残高は約十億円ということになっておりまして、これは他業態に比べまして、また農協に比べまして規模が小さい。したがいまして、収益力が低いという状況にございます。  近年、金融自由化が急速に進展する中で、金融業務高度化専門化対応いたしました体制整備が重要な課題となっておりまして、漁協系統におきましても信漁連への信用事業譲渡推進しておりまして、平成四年度から十一月一日現在で見てみますと、三百四十二の漁協から二十二の信漁連事業譲渡が行われているところでございます。  農林水産省といたしましても、これらの取り組みを支援しているところでございますが、さらに、本年五月に成立させていただきました水協法改正によりまして、最低出資金制度の導入、監査体制強化など、信用事業を行う漁協体制整備推進することとしているところでございます。  今後とも、漁協系統信用事業漁業漁村活性化に重要な役割を果たすことができますように、適正な指導を行ってまいりたいというふうに考えております。
  13. 金田英行

    金田(英)委員 御苦労さんでございます。  それから、いろいろと金融システム安定化という形で、金融機関の足腰を強化するためにというような形でへ自己資本比率に対する早期是正措置を来年の四月から講じるというようなことがされているわけでございます。国際基準BIS規制ということで、八%はないともう国際的には信用できないよというようなこともあるわけでございますけれども農協系統あるいは漁組系統についてもこういった基準をクリアできるのかどうか、そういったことについてもいろいろと検討していっていただきたいというふうに思うわけであります。  ちょっと時間がないので、最後ですが、今バンクーバーでAPECが行われております。早期自由化しようということで、九分野が決まったというわけであります。この九分野の中に、農林水産省関係では林産物あるいは水産物、こういったものを二〇一〇年あるいは二〇二〇年に向けて早期自由化を図るんだというようなことでございます。  そういった中で、特に水産物につきまして、これ以上の外国の魚が日本に入ってくることを本当に漁家の皆さん方は心配しております。そういったことについてどう考えておられるのか最後にお尋ねして、私の質問を終わりたいというふうに思います。
  14. 嶌田道夫

    嶌田政府委員 今先生お話しのように、APECにおきましては、各国自主的自由化計画を作成いたしまして自由化に取り組むこととされておりますけれども、この実行過程で、早期に実施する分野を特定するべく昨年から事務的な検討が行われておりまして、今回の閣僚会議において水産物林産物ほか十五の分野が確定されたわけでございます。  そのうち、水産でございますけれども水産物を含みます九分野の今後の具体的な対応につきましては、今回の閣僚会議におきましても、あくまでも各国が自主的に行うものであることが確認されたところであります。したがいまして、今後、来年六月までに具体的措置を作成することとなっておりますが、我が国といたしましては、一貫して水産物につきましては関税・非関税措置は実施できない旨明言してきておりまして、関税・非関税以外の項目で、例えば経済技術協力等分野で何らかの対応ができるかどうか検討していくこととしているところでございます。
  15. 金田英行

    金田(英)委員 以上で、時間が来ましたので終わります。
  16. 北村直人

    北村委員長 次に、園田修光君。
  17. 園田修光

    園田(修)委員 金田先生から大枠の話は出ましたけれども、私は数点に絞って質問をしたいと思います。  まず、今回の貯金保険機構は、農協あるいはまた漁協が万一経営破綻した場合に、その貯金者貯金を保護することを目的とした公的な保険制度であると私は認識をしております。このような制度が存在することは、貯金者金融機関に対する信頼、さらにはまた信用秩序維持に資するものであり、金融機関をめぐる状況の変化に伴いその仕組みの見直しを図ることは、もちろん必要なことであると思います。  こうした観点からこれまでも制度見直しが行われてきたものと考えますが、昨年の六月に抜本的な改正が行われたところであって、なぜ今また新たに法改正をしなければならないのか、そこのところが必ずしも国民には理解をされていないように思えてなりません。また一方、貯金保険法と同様の改正を行う預金保険法の改正案については、具体的な名前を挙げて改正規定の適用の対象となる金融機関が取りざたされておりますが、今回のこの法案、法改正を行うこととした必要性について、大臣にお伺いをしたいと思います。
  18. 島村宜伸

    島村国務大臣 お答えをいたします。  今回の貯金保険法改正は、資金援助対象といたしまして、経営の健全な組合経営の困難な組合との新設合併の追加、そしてまた平成十三年三月末までの時限的措置といたしまして、経営の困難な組合同士による新設合併に対する資金援助を可能にすることを主な内容とするものであります。後者は、御承知のように離島とか何か地理的にそういう場合を考慮せざるを得ないというものを内容としたものです。  また、今回の法案は、二〇〇一年に向けた金融システム改革が既にスタートしていること、また平成十年四月から農漁協についても早期是正措置が導入されること等にかんがみまして、貯金者の保護、信用秩序維持のための環境整備を早急に図るための所要の改正を行うものであります。
  19. 園田修光

    園田(修)委員 次に、経営の困難な組合同士の合併についてお伺いをいたします。  農協漁協は、農家あるいはまた漁師の皆さんの協同組織として発展してきた経緯がありますから、中山間地域、今大臣が述べられたように離島地域といった条件不利な地域にも存在して、この点では一般金融機関とは異なるわけであります。  また、私の地元の離島地域にも幾つかの農協あるいは漁協があります。確かに、中山間地域や離島地域の経営困難な農協あるいは漁協の場合は、身近に、近接するところに経営が健全な農協がない場合も考えられるわけでありますが、経営の悪いもの同士が合併しても経営がよくなる保証があるのかどうかです。経営困難な組合同士の合併について、資金援助をする際に経営の改善をいかに確保をしていくのか大変疑問に思うのですが、そこのところ、どうなのでしょうか。
  20. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 お答え申し上げます。  まさに先生指摘のとおり、経営の困難な組合同士を合併して大丈夫かというお尋ねでございますが、そういうこともございまして、私ども、この法案の運用に当たりましては、まずは、経営の困難な組合がある場合に原則として経営の健全な組合合併をする、そういうことによって経営困難な組合を改善していくということを基本的な運用といたしております。  ただ、御指摘もございますように、農協の場合には、離島とか中山間地域とか地理的な制約がございまして、そういうところの農協経営困難に陥った場合に、隣接の農協合併させる場合に、たまたま近隣の農協経営が困難であるという場合もあり得るということで、今回の特例的な措置を入れさせていただいたわけでございます。  その際に、確かに御指摘のように、その経営困難な組合同士が一緒になって果たして大丈夫かという問題が基本的にございます。  そこで、この特例措置につきましては、まず知事があっせんをするということを法律の要件といたしております。  その趣旨は、やはりそういう組合同士の合併につきましては、合併後の経営をきちっと確立していくということが基本的に重要でございますので、まず知事があっせんをいたしまして、そうした二つの組合が一緒になった場合に、例えば、合併することによって重複する施設を統廃合するとか、あるいはリストラをしまして職員を削減していくとか、そうした全体としてのリストラによって経営効率を高めていく。なお、その場合に処理し切れない不良な債権等につきましては、別途資金援助によって処理をし、一定の経営できる状況にして経営確立していこう、そういう趣旨でこの法律を作成しているわけでございますので、できるだけ、そうした実施計画につきましても、具体的な改善内容を都道府県知事がきちっとチェックをして、合併後の経営がきちっと立ち行くように、そうした指導をしながら運用してまいりたいと考えております。
  21. 園田修光

    園田(修)委員 本年の六月現在で、二千百五十八の農協、そしてまた千二百八十五の漁協貯金保険制度対象となっておりますが、この中で、経営困難な農漁協も少なからずあると思います。  そこで、私は農協についてお伺いをいたします。  農協系統については、規模が他の金融機関よりは総じて小さいこともあり、経営状態が厳しいと一般的には受けとめられておりますが、実態はいかがなのでしょうか。  特にまた、十年の四月から早期是正措置が導入されることになれば、相当数の農協早期是正措置の発動の対象となるのではないかと思うのであります。自己資本比率が〇%を下回る農協業務停止命令までも行われることとされておりますが、こうした農協の一部には、自助努力のみでは再建が困難なものもあるのではないかと思うのであります。  そこで、どの程度の農協早期是正措置対象となるのか、現段階での見通しをお聞かせいただきたいと思います。
  22. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 お答え申し上げます。  来年の四月から早期是正措置が導入されるわけでございます。これはその時点で、既に算定の方式は示しておりますけれども、当該金融機関、つまり農協がみずからの責任におきまして資産の自己査定を行うということで、そうした資産内容を客観的に反映した財務諸表を作成する。その算出されました自己資本比率に基づいて、今御指摘のございましたような措置命令を出すということになるわけでございます。  そこで、最近の私どもの試算でございます。これは、基本的には、方式に従いまして農協自体がみずから算定をするのが原則でございますけれども、私どもその原則を示しているわけでございますが、私どもが現在試算している状態で申し上げますと、平成九年三月末現在で信用事業を行っております農協が二千二百八十四ございます。この二千二百八十四農協のうち、自己資本比率が〇%未満、つまり、自己資本を算定上割っている農協の数が八十四ございます。それから、自己資本比率が〇%以上二%未満の農協が十四ございます。それから、二%以上四%未満の農協が五十一農協というふうになっておりまして、合計で百四十九農協自己資本比率四%未満ということで、今回の早期是正措置対象になるという農協の数でございます。
  23. 園田修光

    園田(修)委員 現在、地元の農協が最も心配をしているのは、この早期是正措置の導入であります、今数も述べられましたけれども早期是正措置は、その名のとおり、早目早目に行政庁が適切な命令を行うことにより、農協経営破綻に陥ることを未然に防ぐことを本来の目的とするものと私は理解をしております。しかしながら、地域の実態を見ますと、農協は、早期是正措置が適用されることによって経営が立ち行かなくなるのではないかと大変心配をしている状況も現実にあります。  早期是正措置は、自己資本比率に応じ、行政庁がいわば機械的に命令を出さざるを得ないものとは理解をしているのでありますが、その前段階として、自己資本比率向上のために行政庁として十分な指導を行っていくことが急務であると私は思っております。自己資本比率向上等の早期是正措置に向けた現在の取り組み状況をお伺いいたします。
  24. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 お答え申し上げます。  確かに、この早期是正措置の趣旨は、早目に各金融機関、特に農協経営状態をきちっと把握をして経営の健全化に向けての措置をとる、計画を進めるということがねらいでございます。  そこで、現時点、先ほどお示しいたしましたように、私どもの試算で、全体で百四十九の農協対象になるわけでございます。この百四十九の農協のうち、先ほど申し上げましたように、これは早期是正措置の区分といたしまして第一区分から第三区分までございまして、自己資本比率が二%以上四%未満、これは五十一農協ございます。この農協につきましては、基本的には、経営の改善を行うという計画を出していただくということでございます。  第二区分の〇%以上二%未満の十四農協につきましては、経営内容をかなり相当大幅に改善をしていただく。例えば、自己資本比率の増加に加えまして、職員の給与の問題とかあるいは施設の合理化の問題とか、そういった内容まで計画の中にきちんと提示をしていただこうというふうに考えております。  特に、第三区分の自己資本比率がマイナスの農協が八十四ございます。こうした農協につきましては、基本的には自己資本比率、自己資本の増加によって対応できる農協もございます。と申しますのは、この八十四の農協も自己資本のマイナス率に相当格差がございますので、組合員の出資等によって対応できる農協相当数ございますが、なお、そうした自己資本の増強だけでは対応し切れないという農協相当存在していることは事実でございます。  そこで、現在私ども、既に系統組織あるいは県、単協の場合には直接には県が農協法に基づいて指導監督権限を委任されておりますので、県あるいは系統組織と連携をとりまして、現在具体的な改善のプロセス、改善計画の樹立に当たって具体的な詰めを急いでおりまして、来年三月までの間にすべての組合につきましてそうした改善へのめどが立つ。これは必ずしも自己資本の充実だけではなくて、自己資本の増加だけで対応し切れない場合には合併というのが大変大きな手法の一つになるわけでございますので、そうした合併も含めまして、改善の方向を打ち出したいというふうに考えているところでございます。
  25. 園田修光

    園田(修)委員 来年の三月までの指導、これもしっかりとやっていただきたいと思っております。  これに少し関連して、私の地元のことでありますけれども、鹿児島市農協の問題をお伺いいたします。  ちょうど私は、これは県議会のときにこの問題に直面をいたしました。ちょうど経営困難に陥った鹿児島市農協と田上農協吸収合併というのに対して貯金保険機構資金援助が始まったのが昭和六十二年のことであります。貯金保険機構あるいはまた預金保険機構を通じて初めての発動事例であり、しかもまた農協としては未曾有の不良債権を抱えた、大変に県議会でも苦労した案件でありました。  今現在、鹿児島市農協吸収合併をして、名称はかごしま農協として経営が行われているわけでありますけれども、特に、貯金保険機構による資金援助により経営の改善が現在どのように進んでいるのか、お伺いをいたします。
  26. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 先生指摘のとおり、大変多額の不良債権を出しまして、貯金保険機構としては初めて資金支援を発動した事例でございます。  このかごしま農協経営の改善状況でございますけれども、昭和六十二年から貯金保険機構、鹿児島県、農協系統によりまして毎年三十億円を二十二年間にわたって支援するという全体のスキームが策定をされまして、現在まで実行されてきている途中でございます。  これにつきましては、旧鹿児島市農協吸収合併する、さらに、不良債権を引き継いだかごしま農協につきましては、この処理スキームのもとで経営の改善を図ってきているところでございます。改善の状況、進捗状況が順調でございますので、平成九年度以降につきましては、このスキームを早期に終了させたいということで、鹿児島県、農協系統の努力によりまして、二十二年間という計画の大幅な前倒しを行うということを決定いたしまして、残り十二年間の計画、まだ現在十二年間ということでございましたが、それを残期間を五年間に短縮をして経営の安定を早期に図っていこうということで現在鋭意進んでいるところでございます。
  27. 園田修光

    園田(修)委員 予定より五年間早く回収が終わるということでありますから、これはちょうど私、鹿児島県のことでありまして、そのときの県議会の模様を言えば、今公的資金の導入という形で大蔵省はいろいろ考えておられますけれども、その当時も我々、一般会計の中から五十億を預託して、その利ざやを返していく、それも二十年間にわたって返していくという形で、大変議会でももめた、苦労した案件でありました。しかしながら、全国系統の支援もあり、また保険機構もあり、そういう形を出していただいて、今予定より五年間早く終わるという状況でありますから、大変ありがたいことであります。  今回、金融ビッグバンとの関係について少しまたお伺いをいたしたいと思います。  金融ビッグバンはすべての金融機関を巻き込むものであり、農協金融機関である以上はこれとは無縁というわけにはいかないと思うのでありますが、農協の場合には、残念ながら金融ビッグバン以前の問題があるのではないかと思います。必ずしも全国段階でマスコミで取り上げられることはありませんけれども、地方紙では日常茶飯事に農協の不祥事が取り上げられております。例えば、信用事業の担当職員が貯金を着服したとか、そしてまた、販売代金を横領したとかなどであります。  これまでの貯金保険制度の発動事例など、組合長みずからが横領あるいはまた背任に手を染めている。このような状態の中で、貯金保険制度充実貯金者保護のために必要なことは理解をするわけでありますが、その前段階として、農協職員のモラル向上や管理体制の確立が不可欠ではないかと思うのですが、その辺のところは局長、どう思われますか。
  28. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 確かに、金融情勢が大変厳しくなってきておる、環境がますます厳しくなるという状況の中で、先生指摘のように農協信用事業におきましては特に、管理者、そして職員のモラルの向上というのは大変重要だというふうに認識をいたしております。そのために一番大事なことは研修事業ではないかと思いますけれども、現在、農林中金を中心に信用事業担当者に対する研修が実施されております。  同時に、さきの臨時国会で成立をさせていただきました農協改革二法の中でも、業務執行体制の強化あるいは監査体制強化ということで、常勤監事の設置あるいは員外監事の導入、そういった監査部門からの強化も図っているということでございます。  さらに、系統組織全体といたしましても、役員の専門的な研修をする、それから職員教育を再度徹底するために教育体系の再編成をするということで、現在、人材の再教育、経営者の養成ということに取り組みを始めたというところでございますので、私どもも、検査体制の充実とあわせまして職員の研修、養成について、そうしたJA自体の取り組みとあわせましてしっかり指導してまいりたいというふうに考えております。
  29. 園田修光

    園田(修)委員 最後に大臣にお伺いをいたします。  現在、二〇〇一年のいわゆる金融ビッグバンに向けて、銀行あるいはまた証券、保険の相互乗り入れで、新商品の導入などのさまざまな金融システムの改革が進められているわけであります。こうした中で、一般の金融機関では、ホールセールを目指すものとリテールで勝負をするもの、あるいはまたさらにプライベートバンキングなど特定業務に特化するものなど、さまざまな取り組みが芽生えているのも事実であります。  農協系統の組織も、金融機関である以上は、金融システムの改革の進展に伴い、金融機関の再編の大きなうねりに無関係でいるわけにはいかないわけでありまして、一方で、農協農業者の協同組織であって、それに伴う限界があろうと思うのでありますが、今後の金融ビッグバンに向けて、農協系統金融が生き残っていくためにどのように取り組んでいこうとしているのか、行政庁としてどのように指導をしていく考えなのか、お聞かせ願いたいと思います。
  30. 島村宜伸

    島村国務大臣 園田委員の御質問にお答えいたします。  二〇〇一年の金融ビッグバンに向けて、農協系統においても他の金融機関との競争がますます激化し、経営環境が厳しくなることが予想されます。銀行あるいは保険あるいは証券、まさに入り乱れてのことでありますし、今までの非常に背景のしっかりした農協経営の中では大変にいろいろな不安がつきまとうこと、当然だろうと思います。  そこで、農協系統につきましては、事業、組織の改革の必要性を認識し、二〇〇〇年に向けて、農協の広域合併及び信連農林中金の統合を推進するとともに、経営の効率化、健全化に取り組んでいるところであります。  農林水産省といたしましても、昨年末に成立した農協改革二法におきまして、農協の広域合併信連農林中金との統合による組織運営の合理化、効率化、あるいはまた、業務執行体制、監査体制強化、自己資本の充実等による経営の健全性確保のための措置等を講ずるとともに、経営悪化の未然防止のために、平成十年四月からの早期是正措置の導入、業務、財務内容のディスクロージャーの推進等を図っているところであります。  以上のような措置を講ずることにより、今後、農協系統金融機関金融ビッグバンの中で信用事業を健全に運営し、他の金融機関と同様に我が国金融システムの一員としての責任が全うできるよう、一層事業機能の強化と効率化、健全化を目指し、強力に指導していく考えであります。
  31. 園田修光

    園田(修)委員 今大臣より御答弁をいただきました。金融ビッグバンの波に農協がしっかりと立ち残っていけるように指導をしていただきたいと思います。  これで終わります。ありがとうございました。
  32. 北村直人

    北村委員長 園田修光君の質疑は終わりました。  次に、宮本一三君。
  33. 宮本一三

    ○宮本委員 きょうは、農水産業協同組合貯金法一部改正についての問題について質問をさせていただくわけでございます。この問題は金融関連の問題でございまして、非常に広範な問題が関連いたしておりますので、個々の問題に入る前に一言お伺いをしたいと思いますが、ちょっと大臣が出られました。最初に大臣にさせてもらう質問をちょっと後に回しまして、この法律の問題点について経済局長にお尋ねをしたいと思います。  今回の改正は、吸収合併、あるいは信用事業の全部譲渡、これは認められていたわけでございますけれども、救済を行う組合経営困難な組合との新設合併、これについても資金的な援助ができる対象にしようということが改正点のまず最初のポイントだと理解をいたしております。  それで、そういうことでございますので、このような改正、あくまでも貯金者保護ということに重点を置いていかなければいけないし、経営破綻した組合について資金援助が行われるよというからには、そういった経営破綻に至る過程での経営者の責任の問題、これは逃れるわけにはいかないということであっていただきたいと思うわけであります。  既にさきの質問者の中にも出ておりましたように、特に農協経営破綻という場合に、景気動向を見誤ったというようなこととか、そういうこともありますけれども、そういうことよりも、純粋に経営者の、あるいは組合長や役員がその役職を利用して自分の関係者に便宜を図って、それが変になったというようなこととか、非常に犯罪的な不正というようなものに起因する場合が多々あるわけでございます。  そういう意味で、今回法改正をいたしまして資金援助対象拡大するということではございますけれども、こうした経営責任があいまいになつてはいけないと私は思うわけであります。一般に、農協は他の一般の企業と異なりまして、役員は無限責任を負うというふうに言われているわけでございますけれども組合経営破綻に当たって経営責任は十分問われているのかどうかということでございます。  また、今回の改正によりまして拡大される資金援助について、役員の経営責任はどうなるのか、この点をひとつ局長の方にお尋ねしたいと思います。
  34. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 お答え申し上げます。  確かに、先生指摘のように、この貯金保険法の基本的な目的は貯金者の保護ということでございます。そうした貯金者の保護とあわせて、経営困難な組合に対して資金援助するということでございますけれども、その趣旨も、あくまでも貯金者の保護ということが基本的な命題として存在しているというふうに考えております。  ただ、破綻をさせて貯金を払い戻すということよりも、農協あるいは漁協が地域において果たしている、信用事業を含めました総合的な事業体としての機能、効果、そういったものを存続させる、あるいは合併によって全体として存続させるということが基本でございます。したがいまして、そのような場合に、経営者が、そうした経営困難に陥る、またあるいは経営破綻するといったことに対して責任を負うというのは当然のことというふうに考えております。  もちろん経営破綻に至る原因につきましては種々の要因がございます。個々のケースでいろいろございますが、いずれの場合にいたしましても、経営者がきちっと責任を負うというのが基本的であろうかというふうに考えております。これまでの貯金保険機構が発動した事例を見ましても、経営者が、その経営破綻に対しまして、民事、刑事双方でかなり厳しい責任追及が行われているというのが実態でございます。  今回のこの法改正によりまして、従来の吸収合併に加えまして、新設合併の場合も資金支援の対象にするということで改正をお願いしているわけでございますが、そのような場合の資金援助につきましても、当然のことながら、経営困難に陥った組合に対する経営者の責任というのは、従来同様、民事、刑事を問わず厳しく追及されるべきものというふうに考えております。
  35. 宮本一三

    ○宮本委員 今お答えをちょうだいいたしましたように、経営者あるいはその役員の方々の責任ということを特に重く考えて、そのように指導をしていただきたい、このように思います。  それから、今回の改正のもう一つのポイントは、やはり、これは平成十三年三月末までの時限立法ということではありますけれども、非常に経営内容の悪いもの同士が合併する場合においても資金援助をできるようにしようというポイントであります。  この点は、確かに、今の、前の方の質問に対するお答えを聞いておりましても、離島であるとかいろいろな問題がございますので、どうしても必要だというニュアンスの返答が既にありましたから、その点は、ある程度そういう場合はやむを得ないのかなとは思うのですけれども、しかし、経営の内容が悪い、どうしてもうまくいかなかったというのが二つ三つ集まって、そして新しいものをつくったところで、こんなものはよくなるわけがない。やはり合併して新設するという場合でも、全経営者が入れかわるというようなことが前提でないと、こういった、今までうまくいかなかった経営者が集まってもう一度一緒にというようなことに資金援助を行うというのはどんなものだろうかと私は思うわけであります。  極端に言うと、悪いもの同士、マイナスとマイナスを足したところでマイナスだというような議論もよく聞くわけでございますだけに、私が今言いましたように、やはり全役員は更迭するという基本方針がまず根っこにないことには、そういう合併についての資金援助対象にならないというふうに考えるべきではないかと思うのですが、この点について、局長、どうお考えでしょうか。
  36. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 お答えを申し上げます。  経営者の責任につきましては、ただいま申し上げたように考えておりまして、今御指摘経営困難な組合同士の合併に当たりましても、やはりそのような経営に至った経営責任というのは厳しく問われるべきだというふうに考えておりますので、このような経営困難な組合同士の合併に対しましても、当然、両組合経営者としての責任はきちっと追及されるものというふうに考えております。  ただ、先生指摘のように、経営困難同士の組合合併してもなかなかうまくいかないではないかということが、同様に私ども一番懸念しているところでございます。したがいまして、今回の法改正におきまして、経営のいい組合経営の悪い組合合併をするというのをこの改正案の基本的な運用の方針としたいというふうに考えております。  ただ、先ほど申し上げましたように、農協あるいは漁協の場合には、離島でありますとか山間部に位置をしている農協があるわけでございますので、そうした組合を再建する場合に、自力で再建するのがかなり難しい場合が考えられます。そうしますと、どうしても近隣の組合合併をして再建を図るということにならざるを得ないと思いますけれども、そのような場合には、単に経営の困難な組合同士が合併をするということではなくて、必ず都道府県知事のあっせん行為をまずこの法律の手続として置いております。  これは、経営のいい組合と悪い組合合併推進しようと思っても、どうしても地理的にできないような場合に恐らく現実には限られると思いますし、そのような場合でも、都道府県知事がきちっと合併後の経営改善計画につきましてチェックがきく。今、先生から御指摘がありましたような経営者の交代でありますとか、合併後の施設の効率化、人員の効率化、あるいは農協が行っております事業の縮小、そういった内容も含めまして、合併後の組合がきちっと存立していける、そういう計画のもとに合併を認めるということが実態運用として考えられると思います。  先ほど申しましたように、いい組合経営の悪い組合との組み合わせというのを基本的な考えとしておるわけであります。  なお、この経営困難な組合同士の合併につきましては、平成十三年三月、つまり二〇〇一年までの特例措置として考えておりまして、特に、来年の四月から早期是正措置が導入されますので、それまでの間に、早期是正措置対象となるような組合につきまして、全県にわたりまして、自己資本の増強あるいは合併、そういったことによりまして、すべての組合が何らかの経営改善の道を樹立するということで、今後、県あるいは系統団体とも連携をとりながら推進してまいりたいというふうに考えております。
  37. 宮本一三

    ○宮本委員 確かに、基本的にはいいのと悪いのでというか、悪いのだけではなしにやりたいという気持ちはよくわかりますし、山間部だとか離島で、どうしても皆悪いんだ、それをくっつけなければしょうがないという事態を考えてという御説明もよくわかりますが、普通そういう場合の経営者には厳しく当たりますと言われても、ちょっと注意するのも厳しいし、全員解雇も厳しい。  私が要求したいのは、これからいろいろな指導計画といいますか、そういったものに都道府県知事の承認も要るようになっていますから、知事と相談しながらいろいろやっていくのかなと思うのですが、そういう基準づくりが省令で定められてくるのだろうと思いますけれども、ぜひ、私が言いました、要するに悪い組合経営者は全員新しいものには入らないという精神でそういう指導をやっていただきたい、このように思う次第でございます。  それから、この質問に入る前に、冒頭で大臣にちょっと質問をさせていただきたいと思っておりまして、今、大臣、お戻りになりましたので、お伺いしたいと思います。  この農水委員会、実力大臣をお迎えして、私もその委員会の一人として非常に心強く思っておる次第でございます。けさも徳陽シティ銀行の破綻のニュースが流れてまいりましたし、この一、二週間、三洋証券、北拓、山一というふうに、本当に大変な事態に今なっている。そういうときだけに、農協系統関係の組合の信用部門がどうやって生きていくか、非常に大変な事態を迎えたと思うわけでございます。  そういうこともありまして、それに関連いたしまして、確かに、最近の山一の問題等に見られるように、経営破綻の責任は経営者の側にあることは、もちろん重々そのとおりでございますけれども、振り返って、一体、我々国会なりあるいは政府の側において政策のミスはなかったか、本当に我々がすばらしいというか間違いない政策をとってきたのにああいう事態になつちゃったと言い得るだろうかということを、これは国会議員の一人として私も、また有力閣僚としての大臣も同じ気持ちだと思います。  これに関連いたしまして、私ちょっとお伺いしたいのです。  それは、確かに財政再建が必要だということはそのとおりでございますし、私自身も二十年ほど前から財政再建の必要性について新聞に文章を載せたり、いろいろ主張してきた一人でございますだけに、何としても日本のこの財政、そのままじゃいかぬという気持ちは十分わかっている一人だと思っております。しかし、他方、中長期の財政再建と同時に景気対策ということ、差し当たっての景気をどうするのかという問題とこれは非常なバランスが必要になると思うのです。  そういう中で、最近の政策、ややもするとアクセルを踏まなければならない局面でブレーキを踏んでいるのじゃないか、飛行機が着陸寸前にエンジンをオープンにしなきゃいかぬ段階で逆噴射をかけたような状況になって、失速しかけているのじゃないか、そんな疑問が非常に強いわけでございます。  と申しますのは、御承知のように、ことしの四月一日から消費税が二%引き上げられました、特別所得減税の打ち切りもやられました。そしてまた、健康保険等社会保障負担が非常に増額されまして、計算の仕方はいろいろありますけれども、約九兆円と言われている額が民間部門から公的部門に吸い上げられる。これは当然民間部門の支出がうんと抑えられるわけでございますし、この九兆円というのは国民所得の二・三%に当たるわけですから、これはちょっとやそっとの数字ではない。  これだけの逆噴射をやりますと、相当な勢いで飛んでおる飛行機でないと失速する。現に今日本経済は失速しかけてやしないか、こんな気持ちを私は持っているわけでございます。  加えまして、去る十一月六日に我々衆議院の方で、反対、賛成いろいろありましたが、財特法が通過いたしました。この中身は、もちろん言うまでもないわけですけれども、今後三年間財政はぐっと締める、特に公共事業七%減というふうなことも含めて相当厳しい、抑制ぎみの、いわばブレーキをかける予算を今後三年間続けますという意思表示を国会でしたわけであります。  果たして正しかったのかどうか。六日の衆議院通過の後、七日には株が暴落いたしました。これは、日本の国内でどう受け取ったかというよりも、外国から見て日本の政策はどうなんだろうか、外国の投資家や経済関係者が日本のやっている政策を見ていて、これはどう見てもかなり低空飛行が続いているときに逆噴射をかけたな、これは売りだという反応だったのじゃないかと私は思うわけであります。  この問題について、大臣、所管外であればもちろん結構でございますけれども、私は、やはり今は与党、野党関係なしに、日本経済は大変な事態になっている、ここをどうすべきだろうかということを真剣に考えていただきたい。そして、このままほっておいたら本当にきりもみ状況になりはしないか。けさの徳陽シティもそうでございます。これでとまるという保証はない。それだけに、きょうこうして重要な貯金法の改正問題を議論しているわけでございますから、何とかこの事態に対処するために、場合によってはいろいろな行きがかりを忘れて、少しここからは経済の方向といいますか政策の方向を、ブレーキを少なくともかけない状況へ戻す必要がありはしないか、そんなことを非常に強くけさも感じたものですから、ちょっと所管外で、大臣、申しわけないのですけれども、もし許されればお言葉をちょうだいしたいと思います。
  38. 島村宜伸

    島村国務大臣 先ほどはありがとうございました。  経済学御専門の宮本博士の御質問ですから、余り軽々しい答弁もいかがかと思いますが、私の今感じているままのことを申し上げて、答弁にかえさせていただきたいと思います。  なるほど、景気が悪くなれば、従来ならば、減税をやり、あるいは金融の道を開き、あるいは金利を引き下げ、公共投資を盛んにする、それぞれカンフル剤を打てばまた日本の経済は右肩上がりで上昇を続ける。戦後五十年、でこぼこはありましたけれども、総じて言えばそういうカーブを描いてきた。国民もまたそれを当然と受けとめて、かなりの意味で自信を持ってやってきたと思います。  また、かつて、ついこの間までの大蔵省あるいは銀行といえば、絶対の権威を誇ったものでありますし、これは不沈艦でありました。  しかし、最近はそういう常識も塗りかえられようとしているくらい、まさに銀行とか証券とか大手にがたがきていることは、さきの三洋証券また山一証券等にも見られるし、きょうの徳陽銀行の話にも見られるところであります。  そこで、逆噴射という御指摘でございますが、果たしてこれを、もしこの後公共事業を盛んにしたら日本の景気がすぐ上向いてくるということが確信が持てるかどうか。あるいはまた、減税において同じくでありますが、少なくも大蔵省や経済企画庁、先生御出身の大蔵省等の調査でも、現状ではそれはむしろプラスに転じないという判断をしているところであります。  現にことしの税収は六十兆七千億を予測しましたけれども、組んだ予算は七十七兆四千億、昨年は五十五兆四千億の税収を予定しながら、七十七兆八千億の予算、いわば借金財政であります。さかのぼって、ことしが十七兆、去年が二十二兆、その前が二十一兆、十七兆、十六兆、十兆、平成四年以来この六年間だけでも百二兆五千億の借金の積み上げであります。平成年間に入っては、たしか百二十三兆一千億と記憶いたしますが、このように先行き返す当てのない、あるいはそれを取り戻す当てのない借金を重ねて、いわばアクセルを踏んでいって、果たして将来に責任を持てるかどうか。  そういうことごとを考えますと、私も相当楽観論者でありますが、今回ばかりは相当引き締まった気持ち、少なくも戦後五十年、我々は、健康体を確信し、さらに体力が増すものと、あるいは体が大きくなるものと信じて伸びてきましたけれども、少し食べ過ぎ、飲み過ぎの中で糖尿病をいわば発病したのかな。だとすれば、これは逆に、余り栄養をとることがかえって体のためによくないという面もあるわけですから、国民の皆様のお苦しみというのは、私は下町に住んでおりまして零細企業者に囲まれておりますから嫌というほど知っておりますし、つい先般は農業関係者の大変な苦しみを目の当たりに見てきたわけでありますから、十分理解するところでありますが、ここはある意味でお互い知恵の出しどころ、我慢のしどころ、少なくも私たちの愛する子や孫には自信を持ってバトンを渡すというのが私たちの責務ではないか、そういう苦しい選択をしているのが現状である、そう受けとめております。
  39. 宮本一三

    ○宮本委員 大臣の非常にはっきりした御答弁、感謝をいたします。  さらに議論はしたいわけでございますけれども、この場は農水委員会でございますし、その問題に余り時間をとるべきではないと思いますが、一言だけ。  これは質問じゃなくて私のたわ言として聞いていただきたいのでございますけれども、日米首脳がお会いになっておりますし、これからの日本の経済についても篤と話されていると思います。やはり日本の考え方ももちろんよく外国にわかってもらわなければいけないけれども、外国の方が、日本はこのままでは、こういう状況では無理かなという判断をみんながしたら大変なことになる、そして今そのがけっ縁に来ているということを私は心配していることだけちょっと述べさせていただきたいと思いますし、恐らく近いうちにブレーキを少し緩めていただけるのかな、このように期待をいたしております。  そこで、ちょっとそれまして済みませんが、もとの問題に戻らせていただきたいと思います。農業経営の問題について伺ってまいったわけでございますが、十年の四月から早期是正措置が導入されるということになっております。さっきの議論の中でも、百四十九農協対象になりまして、それをABCというか、三つの段階ぐらいに分けて考えておるというお話がございました。  非常に的確な対応だとは思いますけれども、これは、県と連絡をとりながら、そういった非常にマイナスの自己資本比率というふうなところのものも含めて、早期是正措置に向けて具体的にどんな指導をされておるのか。これは三つ分類がありますから、三者にはそれぞれ対応が違うのだとは思いますけれども、具体的にどんな対応で来年の四月へ向けて準備が進んでいるか、御説明願いたいと思います。
  40. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 お答え申し上げます。  早期是正措置対象となる農協数につきましては、先ほど申し上げましたけれども、現在平成九年三月末で二千二百八十四農協ございますが、そのうち自己資本比率で二%以上四%未満の農協が五十一ございます。〇%以上二%未満の農協が十四農協ございます。〇%未満、つまり自己資本比率がマイナスの農協が八十四ございます。合わせて百四十九が来年四月からの早期是正措置対象になるということでございます。  これは、それぞれの農協の分類ごとに対応が違うわけでございます。第一段階の二%以上四%未満の農協につきましては、いわば農協経営の合理化の計画をきちっと出していただいて、自己資本の増強なりで四%を超えるように努力をしてもらいたい。また、〇%から二%未満の農協につきましては、さらに具体的に人員の削減、業務の縮小、施設の縮小等も含めまして、具体的に四%を超えるような経営に持っていっていただきたいということが基本でございます。  特に問題になりますのは、自己資本比率がマイナスになっている農協でございます。ただ、自己資本比率がマイナスになっている農協でも、その農協の態様によりまして自己資本比率のマイナスの程度がかなり格差がございます。その場合に、自己資本比率を割っている状態が小さい農協、例えば、数千万円とか一億前後の農協相当ございます。  そういった農協につきましては、基本的には増資とか、よく言われております回転出資とかあるいは後配出資、配当を後回しにする出資でございますが、後配出資とか、そういった手法で自己資本比率を高めていくという指導になるわけでございますが、なかなか自己資本の増強だけでは対応し切れない農協相当数あるということも事実でございますので、現在各県で、それぞれ現在の状況で試算をされます自己資本比率状況に応じまして、具体的な対応策を県内で取りまとめておる最中でございます。  私ども、県それから県の系統組織、県の中央会なり信連でございますが、特に特定の県につきましてはもちろん県と県の中央会、信連が中心になるわけでございますけれども、そういったところとも十分に連携を現在とっておりまして、来年の三月までにそういった農協の再建あるいは合併につきまして具体的に推進をするように、特にそういった具体的な合併まで含めた計画を作成するようにということで現在鋭意取り組みを進めているという状況でございます。
  41. 宮本一三

    ○宮本委員 ありがとうございました。  現在、農水産業協同組合貯金保険法では農協経営破綻に当たって一貯金者当たり一千万円までということになっておりますが、その限度を超えて、幾らでもというか、貯金全額について保障します、保護します、こういうふうになっております。これはしかし二〇〇一年までという時限立法でありますから、それ以降になりますと、一千万円まではとにかく保護されるけれどもそれ以上の額はもうアウトということになってくるわけでございます。  そうなりますと、貯金者の側では、自分の命の次に大事な金ですから、どこに預けたらいいのかということを真剣に考える時代がいよいよ来るわけでございますが、そのときに、どこが確かなのかというのがどうもはっきりしない。ここでディスクロージャーの問題が出てくるわけでございます。  最近、いろいろ破綻金融機関等が出ますと、破綻する直前まで発表していた不良債権といいますか、その額が、時には十倍になったりするようなことがあるわけでございまして、なかなかディスクロージャーといいましても、そして幾らしりをたたいても、そう簡単に困ったことは表に出したがらないというのが現状でございます。これは系統の金融機関におきましても同じでございまして、情報の開示とかいわゆるディスクロージャーを一生懸命やりましょうということが言われているんだけれども、これはなかなか進まない。  しかし、進まない状況では本当に貯金者は困るわけでございますが、これは一体、あと限られた時間内にどのように推し進めていくような指導をしていくのか、御答弁願えればありがたいと思います。
  42. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 確かに、これからの金融情勢が厳しさを増す中で、農漁協と他の金融機関との競合、競争ということが激化するという環境になるわけでございます。その意味では、先生指摘のように、組合員あるいは地域の住民の方が信頼できる金融機関にお金を預けるということになろうかと思います。  そこで、従来から農協系統につきましても、地域の住民の方々そして組合員方々の信頼を得る、特に信用事業について信頼を得るということは大変重要でございます。そのような意味では、組合員あるいは地域住民の方に経営内容を開示していくということが基本的に重要なわけでございます。  これまで、経営内容のディスクロージャー、特に不良債権のディスクロージャーにつきまして、逐次私ども段階的に開示を進めてきております。既に、農林中金につきましては、平成八年三月の決算から不良債権開示いたしております。また、信連につきましても、平成九年の三月期から不良債権開示を義務づけてきております。農協につきましては、来年三月の決算からすべての不良債権開示するということにいたしております。  こういうことによりまして、それぞれの農協経営の内容を公開することによりまして、組合員あるいは地域住民の方々の信頼を得ていく、そのためにも、今後とも経営改善を進めるとともに、地域住民あるいは組合員の方にしっかりした信用事業あるいは経済事業についてきめの細かいサービスを通じて、地域住民、組合員の方の信頼をかち得ていくということがますます重要になるというふうに考えております。
  43. 宮本一三

    ○宮本委員 今局長の方からいろいろ御説明を伺っておりまして感ずることは、農協系統において、本当にこれから二〇〇一年まで、また二〇〇一年以後においても大変な難しい問題を抱えてきている。特に最近のこの経済の混乱というふうな問題をも考え合わせますと、これからの農協系統組織の確立ということは非常に難しい、しかし、急速にやらないかぬ問題だというふうに思うわけでございます。  大臣、現在の農協系統の組織整備、いろいろ取り組まれておりますけれども、大臣の目から見て、その進捗状況をどんなふうに見ておられるか、また、非常に困難な時代に立ち向かっていく農協系統組織の整備という点で、大臣は、どういう心構えといいますか、決意を持っておられるかをお述べ願いたいと思います。
  44. 島村宜伸

    島村国務大臣 お答えいたします。  農業、農村、やはり土地柄、仕事柄、非常に保守的、ある意味で堅実な性格を持っていると私は思います。そういう従前からの長い歴史をはぐくんでずっと、どちらかといえば保守的な生活をしてきた方々、そして、その方々の組織である農協組織、これが新しいビッグバンに向けて新しい対応をするというのは、言うべくしてなかなか大変なことでございます。  恐らく、委員はその辺を御心配なさって御指摘いただいたと思いますが、その意味で、二〇〇一年に向けた金融システム改革の進展に伴いまして、農協系統においても金融機関等の一般企業との競争が激化するなど、いわば経営環境が一段と厳しくなっております。むしろ従前、どちらかといえばのどかな堅実な経営の中に安心していたものが、にわかに何か外の風にさらされているような感じがしていると思うわけであります。  このような中で農協系統が今後ともその役割を的確に果たしていくためには、事業機能の一層の強化経営の効率化、また健全化を図ることが急務であります。  このため、農協系統におきましては、農協の広域合併構想の実現、具体的には本年四月、二千六十四のものを二〇〇〇年までに約五百五十に合併していただくということもありますし、また、県連と全国連の統合の推進、すなわち、信連が十五、経済連が二十、共済連が三十一それぞれ統合も決定しているところでございます。  また第三には、人員の削減、施設の統廃合、業務執行体制の強化ということでございまして、人員に関しましては、平成七年度三十五万人を二〇〇〇年までに三十万人にしようということで、五万人をいわば削減するわけですから、相当思い切った対応であります。これらの取り組みを今しているところでございます。  農林水産省といたしましても、昨年末の臨時国会で成立した農協改革二法等に基づきまして、このような農協系統における取り組みを強力に支援してまいりたい、こう考えております。
  45. 宮本一三

    ○宮本委員 ありがとうございました。  水産庁長官見えておられますか。漁協信用事業に関しまして一つ質問させていただきたいと思います。  御承知のように、漁協信用事業のほかにもいろいろなことをやっております。魚の販売、それからまた資材の購買等々いろいろやっておりますし、我が国漁業の発展に非常に大きな貢献をいただいております。しかし、最近の漁業を取り巻く環境というのは非常に厳しくなってきておりますことは言うまでもありません。そういう中にあって、信用事業自由化の進展等非常に大変な事態になっているわけでございますが、正直言いまして、漁協、一つ一つ、規模が非常に小さいわけでございますし、また、預金量も最近むしろ減っているような状況にあるというふうに伺っております。  実は私、明石市と淡路島の方の出身、選出でございますけれども漁業が非常に盛んで大きいわけでございます。やはり合併しなければいかぬというような声は確かにあるのでございますけれども漁協の場合は漁業権の問題、こういった問題も抱えておるものですから、非常に小さい漁協だけれども合併ということになりますとこれはなかなか難しい。現にそういう意味でなかなか進んでいないという現状もまた一つあるわけでございますが、かといって、このままで本当にうまく信用機構が持ちこたえられるだろうかというふうに考えますと心配でございます。  そこで、漁協合併促進のために今までいろいろな措置を講じてこられたと思いますが、特に今後どのような方策を、あるいは助成策というか、そういうものをやっていかれるのか、水産庁長官の方から御説明をお願いしたいと思います。
  46. 嶌田道夫

    嶌田政府委員 今先生の方からお話がございましたように、最近の我が国漁業を取り巻く状況は、非常に資源水準が低下していますとか、漁獲量が減少するというようなことで厳しさを増しておりますし、非常につらい立場にございます。  このような中で、漁協役割は非常に大事になってきていまして、一つは、ことしから、TAC制度といいまして、漁獲可能量制度を導入したわけですが、それに基づきまして協定制度というようなものも導入したところでございます。  そういう意味で、漁協が中心になりまして、組合員に対します経営指導でございますとか資源管理への取り組みというものが非常に期待されているところでございますし、また、最近の特徴といたしまして、例えば漁業と他の、例えば海洋性レクリェーションなどの海面利用、いろいろ問題もございます。そういう意味で、漁協役割が重要になってきている中で、今先生お話しのように、経営規模も非常に小さいというような問題もございます。  そういう中で、漁協がこれらの役割を十分果たしますために、漁協系統の方におきましては、一県一漁協または一県複数自立漁協ということで、その実現を目指しまして、漁協系統事業・組織改革のための指針というのを本年五月に機関決定しております。そういう意味で、系統自体も漁協合併に積極的に取り組むということになっております。  水産庁といたしましても、これら漁協合併、非常に重要な問題でございますので、従来から、漁協合併助成法でありますとか合併促進のための予算措置によりまして、その促進を図ってきたところでございます。  今後とも、平成十年三月三十一日、来年の三月三十一日でございますが、この合併助成法の適用期限が切れますので、この漁協合併助成法につきまして適用期限を延長させていただきたいというふうに考えておりまして、所要の措置を講じるよう今検討しているところでございます。これらによりまして、引き続き漁協系統取り組み水産庁といたしましても支援していきたいというふうに考えております。
  47. 宮本一三

    ○宮本委員 ありがとうございました。  以上で質問を終わります。
  48. 北村直人

    北村委員長 宮本一三君の質疑は終わりました。  次に、木村太郎君。
  49. 木村太郎

    木村(太)委員 委員長を初め、皆さん本当に御苦労さまです。  また、大臣におかれましては、九月二十八日、私の地元青森県におきましての全国育樹祭に主催者として参加してくれましたことに、この場をかりて厚く御礼申し上げたいと思います。ありがとうございました。  まず、この提案になっております、審議しております法案についてお伺いしたいと思いますが、既に各委員先生方が質疑されておりますので、内容的には重複する点もあろうかと思いますけれども、私なりに素朴に思う点あるいはまた基本的に確認したい点がありますので、御答弁いただきますことをお願いしたいと思います。  それで、ここ最近の、三洋証券あるいはまた北海道拓殖銀行、さらには山一証券と、大きな破綻が相次いでおりまして、しかもけさの朝刊には徳陽シティ銀行の破綻が報じられておりまして、いわゆる信用の不安というものが我が国金融の不安へつながり、そしてそれが経済そのものへの不安へ波及していくのではないか、そういった危惧が一挙に今この時点において露呈してきた感を私は持っております。  一連のこれらの動きに対して、今法案で審議になっておりますけれども、農水産業協同組合、これらに対しての何らかの影響があるのかどうか、このことをどのように認識しているのか、まずお伺いしたいと思います。
  50. 島村宜伸

    島村国務大臣 木村委員にお答え申し上げます。  昨今、確かに金融機関の大型の経営破綻が生じておりまして、農協系統においても、今後他の金融機関等との競争が激化する中でこういう問題が生じては大変だと、毎日が大変に身の引き締まる思いのするわけであります。  このような中で、農協系統におきましては、事業機能の一層の強化経営の効率化、健全化のため、本年四月現在で二千六十四ございます農協平成十二年までに約五百五十に合併をさせたい、こう考えておりますし、また、県連と全国連の統合推進、現在決まっているだけでも、信連が十五、経済連が二十、共済連が三十一、既に統合することが決まっております。また同時に、人員の削減にいたしましても、本年度が今三十五万人でございますが、これを二〇〇〇年に当たる平成十二年までに三十万人、五万人の削減を予定いたしております。  このように、いわば合理化をどんどん進めておる段階でございまして、これらの動きに対し農林水産省といたしましては、農協系統における取り組みを適切に支援、指導し、その体制の強化を図ってまいりたい、そう考えております。
  51. 木村太郎

    木村(太)委員 今答弁いただいたことに対して、この後質問しようとしたことに対して御答弁いただければ一番適切な場所だなと今思ったのですが、もう一回聞きます。私は、今の一連のこの金融機関破綻の影響、農協を初め水産業協同組合に対しての影響をどのように考えているかお聞きしたいということであります。
  52. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 基本的には、先生指摘のように、農協経営全体をめぐる環境というのは大変厳しくなってきているわけでございます。そういう意味で言えば、信用事業に限らず、経済事業営農指導事業、共済事業含めまして、農協経営全体として効率化を図っていかなければならないというふうに考えております。  それの影響につきましては、それぞれの事業部門によって違うということは御承知のとおりでございまして、例えば営農指導などは、基本的には農協の本来的な仕事として、農家に対して基本的な事業の中の一部門としてあるべきだと思われますが、他方で、共済事業信用事業につきましては、従来のような環境から比べれば大変厳しい環境になっていくということは否めないところでございます。  そういうためにも、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、全体として経営の効率化、組織全体としてのリストラ、そういったことを図っていくことが基本的に重要だというふうに認識をいたしているところでございます。
  53. 木村太郎

    木村(太)委員 いや、影響があるのかないのか、そういうことを聞こうと思っていたのですが、農協とか組合としてのそういった努力、それも後で私違うことで聞こうと思っていたのですが、要は、今のこの金融破綻の動きが、もちろん農協も信用部門があるわけですから、そういった農協そのものに対しての影響が、今のこの一連の金融破綻の動きによって何らかの影響があるのですか、ないのですか、そういうことを認識していますかということを聞いているのです、私は。
  54. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 最近の銀行あるいは証券の破綻につきましては、基本的には農協系統農林中金を初めといたしまして、具体的な内容については申し上げられませんけれども、取引があることは承知をいたしております。  ただ、山一証券について具体的に申し上げれば、現在私どもが承知しているところは債務超過ではないということで、顧客や取引先に損失が生じる事態ではないというふうに大蔵大臣の談話の中でも述べられているところでございます。  他方、現在まだ山一証券、自主廃業が認可されるまでの間、制限的に業務を行っているわけでございますので、そういう意味で、大蔵大臣の談話にありますように、既往の取引の決済は完全に履行されるというふうに理解をいたしておりますので、現時点で私の口から大丈夫と言うわけにはまいりませんけれども、そういう大蔵大臣の談話をそのように理解をしているところでございます。なお、今後事態の推移は見守ってまいりたいというふうに考えております。
  55. 木村太郎

    木村(太)委員 正確にはこの時点でということでしょうし、また皆さんの方から見た場合にも、大蔵省の考え方、それを信じてと。そういう点では、さほど影響ない、そういった認識を持っているように私は今答弁からは読み取りましたけれども、それでいいですね、どうですか。
  56. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 最近起きました金融機関あるいは証券の破綻につきまして、今、特に山一証券について申し上げましたのは、大蔵大臣の談話を引用して申し上げたわけでございます。その意味で、債務超過ではないということから大きな影響はないというふうに存じております。  なお、他の銀行の経営破綻につきまして、具体的な例について、ちょっと私現在申し上げる資料を持ち合わせておりませんので、コメントは控えさせていただきたいと存じます。
  57. 木村太郎

    木村(太)委員 今後、農水産業、農協を初め、皆さんの方がその所管を持っているわけですので、その点、影響があるのかないのか、またあった場合にはどう対応していくのか、そういうことも十二分に把握して対応していただきたい、こうお願いしたいと思います。  農協初め協同組合におきます信用事業部門、これに関して、現状どのように認識しておりますか。
  58. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 お答え申し上げます。  これはもう先生の御承知のとおりでございますけれども農協事業におきましては、信用事業、共済事業、購買事業営農指導事業、種々幅広い事業を総合的に行っているわけでございます。その中でも、特に信用事業は従来から農協事業の基本的な柱の一つとして運営をされてきているわけでございますし、また、それが組合員の方のみならず地域住民の方にも大きな貢献をしてきたというふうに認識をしております。  また、信用事業収益が、他の経済事業あるいは営農指導事業の活動を支援してきたという面も否めないところだと思っております。ただ、昨今の金融事情の変化の中で、今後とも信用事業が従来のようにある意味では高い収益を上げていくかどうかということについては、なかなか厳しい環境に置かれつつある、置かれているというふうに考えております。  そのような意味でいえば、信用事業のみならず経済事業あるいは営農指導事業につきましても、先ほど申し上げましたように、各農協がそれぞれ事業部門ごと事業の収支の内容を開示して、組合員の方に農協経営の内容を開示していく。その上で、組合員方々農協経営についてもしっかり目を光らせていただく、チェックをしていただくということが重要だというふうに考えております。  しかしながら、やはりいろいろな決済、農協組合員方々に限らず地域の住民の方々貯金をする、そしてそのお金を農業そして地域の活性化のために活用していくという信用事業は、今後とも農協の、総合事業とはいえ、その中ではやはり基本的な事業、基本的な柱の一つというふうに理解をいたしております。
  59. 木村太郎

    木村(太)委員 信用事業については、厳しい状況にもあるだろう、しかし、農協などでいいますと、他の部門において信用事業部門がかなり重要な役割を果たしているというふうに今御答弁がありましたけれども、そういう意味でも、この信用事業部門に対して農水省としてもこれからも適切な指導対応をお願いしたい。  今の一連の金融破綻の原因を見た場合には、モラルの問題あるいは情報開示の問題等々、これは全く農協、農水産業の協同組合信用事業部門にも当てはまることでありますので、こういう点もしっかりとこれからも国としての対応をお願いしたい、こう思っております。  次に、先ほど既に御答弁いただいたような形になりましたけれども、今回の改正ということ、私の印象としても、合併ということも一つの視野に入れてのことなのかなという印象を持っております。  先ほど宮本委員もおっしゃっていましたし、またそれに対しての御答弁もありました。大臣からも今御答弁ありましたが、全中みずからが定めました合併に対しての目標というものが、二〇〇〇年を目標年次にして五百四十六の農協数にする、これに向かって今現在努力が続いているということだと思います。これに対して、各都道府県においてもみずから立てた合併構想に対して努力が続いている。農協系統と、あるいはまた都道府県を初め地域が一体となって取り組んでいる、これは確かなことだと私も思っております。  既に、農協合併助成法、これはもう制定されているわけですけれども合併ということを考えた場合に、改めて今回のこの法案の改正のねらいとしてどう位置づけているのか、また、合併以外にもこの改正におけるねらいというものがあれば、いま一度確認をさせていただきたいと思います。
  60. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 お答えを申し上げます。  ただいま先生が御指摘になりましたように、系統組織全体としてリストラを推進しようということで、農協につきましては二〇〇〇年、平成十二年を目途に約五百の農協の数までに合併をしていこうということで、それぞれ各県で合併構想を持って進めているところは先生指摘のとおりでございます。  それで、その際に、通常、経営のいい農協同士の合併ですと、ある程度スムーズに円滑に手続が進められているということもございます。他方で、確かに一部の地域におきましては、どうしても経営困難に直面をしている農協を包含して合併せざるを得ないという地域もございます。そういう場合に、そのような経営困難な農協の存在が合併の手続を推進する上で一つのネックになるという場合もございます。  そのような場合には、やはり基本的には、そうした経営困難な農協が自助努力によりまして資本増加をする、資産を処分する、不良債権を処理する、そういった自助努力がまず必要でございますけれども、それでもなおかつ処理し切れないという場合には、通常、系統組織、特に県の系統組織全体で支援をするということが実態としてございます。さらに、そのような県一円での支援にもかかわらずどうしても処理し切れないという場合も生じてくるわけでございますし、従来貯金保険機構が発動した事例もそのような事例であったわけでございます。  今後もそういう事態は想定されるわけでございますが、他方で、現在の農協系統の再編が、吸収ということではなくて幾つかの農協が集まって合併をする、その場合に、経営困難な農協も包含せざるを得ない場合があるということでございますので、そのような場合もこの貯金保険機構の支援の対象とするということで、全体として系統の信用事業の秩序を維持するという観点と同時に、あわせて組織全体の合理化、そうした推進にこの法案の手法が適用されるという意味で、本法案の効果が期待されるというふうに考えております。
  61. 木村太郎

    木村(太)委員 そこで、この法案の中にもありますが、平成十三年三月までの特例措置というものを加えております。  この平成十三年三月までの特例措置を加えたという意味合いですけれども、要は、いわゆる金融ビッグバンということにも並行して、農協初め農水産業協同組合が抱える不良債権などのマイナス面の処理を平成十三年三月までに一挙にすべて片つけてしまう、そういうねらいが農水省としてもあるということ、そういうふうに理解していいのか、お尋ねしたいと思います。  もう一つ、貯金保険機構のことも今答弁にもありました。  一般金融機関破綻に対しての預金保険機構、これに対して大蔵委員会の方に既に法案が付託されている形になっておりますが、その預金保険機構の現状の姿が本当にいいのかどうか、体力があるのかどうかということが既にクローズアップされております。  これに対して、今審議しているこの法案にも関連してまいります貯金保険機構の今現在の中身というものがどうなのか、大丈夫なのかどうかということを確認したいし、今後の見通しみたいなものもあれば、お聞かせいただきたいと思います。
  62. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 お答え申し上げます。  特に、経営困難な組合同士の合併、これは先ほど申し上げましたように、基本的には経営のいい組合経営困難な組合との合併を基本的な運用の原則としたいというふうに考えておりますけれども、地域的な制約からどうしても経営困難な組合同士の合併推進せざるを得ないという場合はあり得るということで、この特例措置を設けているわけでございます。  この期限を平成十三年三月までに限定した理由についてのお尋ねでございますけれども、確かに先生指摘のように、全体として、金融ビッグバンのスタートが二〇〇一年、平成十三年でございますので、それを一つ念頭に置いております。  それから他方で、ペイオフの特例措置も、そうしたビッグバン、二〇〇一年から始まる、スタートさせるということで、それまでの間はペイオフの特例を設けるということになっておりますので、それも一つの期限として念頭に置いたということは事実でございます。  他方で、同時に、早期是正措置が来年の四月から導入をされることになっておるわけですので、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたような早期是正措置対象になるような組合につきましては、来年の四月までに、合併を含め、あるいは自主再建を含めてすべての組合について再建の道筋を立てたいというふうに考えております。それにつきましても、できればというよりも、原則としてやはりこの期間、平成十三年三月までに自己資本比率が四%を超えるようにということで指導をしてまいりたいというふうに考えております。  ただ、不良債権の処理につきましては、多額な場合には必ずしも一年ないし三年の期間で処理し得るかどうかというのは疑問もございます。それは、きちっと処理のスキームを決めた上で、五年、十年かけて処理をするという場合もあろうかと思います。  なお、そうした場合におきます貯金保険機構が発動するような事例、事態におきます貯金保険機構財源についてのお尋ねでございますけれども平成九年三月末現在で、責任準備金として千三百六十二億円を用意しております。これまで貯金保険機構が発動した事例が四件ございますが、この四件の事例、先ほど先生からお尋ねのございました鹿児島の例も含めまして四件の発動事例につきましては、責任準備金を取りましてはおりませんで、毎年の保険料収入及び運用益の範囲内で対応してきているところでございます。  現在の、あるいはこれからの早期是正措置対象となるような組合の態様を考えますと、私ども、この貯金保険機構財源については当面支障を来すことはないというふうに考えております。
  63. 木村太郎

    木村(太)委員 貯金保険機構の方は預金保険機構と違って大丈夫だということでありますので、一つの安心を今持ったところでもあります。先ほど来答弁のあったその基本的姿勢を持って、ぜひ十二分に対応していただきたい、こう思っております。  次に、あしたの委員会で主に米についてを予定しているということは聞いておりますけれども、この機会でありますので、政府が先般打ち出しました新米政策について、幾つか確認したい点だけをお伺いしたいと思います。  その一つが、平成十年度以降の政府買い入れ銘柄について条件がつけられております。  わせ、極わせ品種の作付をして、さらには政府米として出荷している地域があります。特に中山間地域に多いと思いますけれども、私の地元にもそういった地域がかなりあります。こういった地域に対して、私は、今回政府が打ち出した考え方は大きな影響を与えるのじゃないかな、こう思っております。今までわせ、極わせの作付をしてきた地域が、ある面では中生品種を作付するような動きになって、いわゆる適地適品種の基本的なものが崩れて、そのおかげで時々にある冷害なんかに遭って大きな被害が出るということも、考えれば考えるほど心配するところであります。  私は、今回このことについて国が打ち出した考え方、もう少し地域の実情というものを把握して、いわゆる緩和条件あるいはまた猶予期間の設定とか、こういったものを配慮する必要があるのではないかな、こう思いますが、この点どうでしょうか。
  64. 高木勇樹

    高木(勇)政府委員 お答え申し上げます。  御案内のとおり、政府の新しい食糧法のもとでの役割というのは、備蓄の適確な運営ということでございます。  現在の状況を見てみますと、いわゆる政府米銘柄と言われているもので、全く売れていないというものが多数ございます。今先生の御指摘のような点というのは確かにあるわけでございますが、ただ今回もいわゆる六割ということを一つの条件にしておりまして、その銘柄について、やはりみずから生産した米でございますから、それなりの評価をみずから得て、今おっしゃられたそういった地域におきましても、いわゆる付加価値をつけた米生産ということもやっております。  そういった工夫をされるなど、対応が可能でありますし、また、今申し上げたようにいわゆる六割ということでございまして、一般の、普通の銘柄は自主流通米にほとんど流れているわけでございますから、そういった面では、一つのそういった配慮も私どもこの考えを導入するに当たって取り入れているというふうに考えております。
  65. 木村太郎

    木村(太)委員 米は厳しい状況にありますから、今まさに国全体としてこの米問題に全力で取り組む、そういう時期でありますので、それはそうなのですけれども、しかしやはり地域の実情というものを根底には忘れてはならないということを私から強く要望しておきたいと思っております。  次に、政府買い入れ数量についてでありますが、十年度以降、一つのルールというものが出てきたような感を持っております。  政府米の販売が計画を下回った場合には数量調整する、このことがある面では毎年下方修正されていく可能性があると私は今思う、その印象を持つわけです。ということは、政府の買い入れ数量というのがいわゆる固定化しない、そのことがある面では農家経営計画を立てるに当たって難しい面が生産者農家に対して出てくるのじゃないかなという危惧も一方ではするわけですが、この点についてはどういう認識を持っていますか。
  66. 高木勇樹

    高木(勇)政府委員 お答え申し上げます。  現在の政府役割というのは、先ほども申し上げましたように、備蓄の適確な運営ということでございます。  仮に今おっしゃられたようなことをやり続ければ、政府の備蓄米は際限なく積み上がります。そのことが結局価格にも悪影響を及ぼし、さらには農家にとっても悪影響を及ぼすということでございますので、現在のような需給状況の中で、既に政府の備蓄の上限をかなり大幅に超えているという状況のもとで、今もお尋ねのような備蓄運営ルールによって対応しようというものでございます。  むしろ、米の流通の大宗は自主流通米でございますし、そういった点で、先ほども申し上げましたとおり、市場の評価をそういったことで得て、みずからの米の位置づけをしていくということもこれからは必要になっておるのではないかというふうに思います。
  67. 木村太郎

    木村(太)委員 答弁、それを否定するものではありません。しかし、その前に尋ねた地域の実情ということを考えた場合に、こういう点でも、ことしまで政府米に大きく頼ってきた地域が、来年からはというふうに、急に経営考え方もあるいはその体制もすぐ一年で変わることはできるかどうか、その辺を私は心配するわけですよ。ですので、今のこの点についても、地域の実情というものもやはり農林水産省としてきちっと把握しながら対応すべきだということをお願いしたいと思います。  米についてもう一点だけ。  この新米政策の中でありますけれども、学校給食における米飯についてであります。これについては段階的に廃止していくということでありますが、私は、このことを見たときに、果たして、こう思いました。まず第一印象としてそういう思いを持ったわけです。例えば私の地元なんかでは、県産米を米飯学校給食の中で一〇〇%供給して、今まで努力をしてきております。いわゆる米の消費ということを考えた場合にどうなのかなと。  それで、調べてみますと、昭和三十年代の日本人が食べた、消費した量から見ると、今は半分近くまで落ち込んできている。そういう状況の中で、子供たちが学校の中で、教育の中で御飯を食べる機会が少なくなるおそれがある。その子供が大きくなって、大人になって、ますます御飯を食べる機会がなくなるのじゃないかな、今回のこの皆さんの米飯給食についての考え方に対して、私は今そういう印象を持っているわけですが、この点はどう考えているのか、御答弁いただきたいと思います。
  68. 島村宜伸

    島村国務大臣 学校給食用のいわば米穀の値引き措置を廃止することにつきましては、財政構造改革推進についての六月三日の閣議決定において、廃止の方向で見直すこととされたところであります。値引き措置という手法ではこれ以上米飯学校給食の進展が期待できないこと、あるいはまた、保護者の負担軽減額も一人当たり月額百四十二円にすぎないことなどから、集中改革期間中に段階的に廃止することとしたところであります。  実はこの制度、私、十四年前に農林水産省の政務次官をいたしまして、その当時一生懸命運動をしてつくった制度でございます。しかしながら、米飯学校給食の推進は、米の消費拡大を図る上でまだまだ重要な課題である、私はこう認識をいたしておりますので、今後、値引き措置にかわる新しい視点に立った対策を適切に講ずることにより、米飯学校給食の積極的な促進に努めてまいりたい、こう考えております。  具体的な措置といたしまして少し言及いたしますが、例えば、御飯食による家族の団らんとか、あるいは家庭での食生活の充実を図り得る弁当持参のための環境整備支援、あるいはまた備蓄米の無料交付等、あるいはまた関係教材の支援等々、いろいろなことを考えております。  また一方では、これから転作を奨励し、国内の生産量の低いものについてできるだけ国内生産量も確保していこうという動きをいたしますが、その転作作物の中で、例えば野菜とか、現実に学校で使用されているメロンなどがあるようでありますが、いろいろな角度から学校給食に対する支援策は講じていきたい、こんなふうに考えているところであります。
  69. 木村太郎

    木村(太)委員 大臣からの御答弁で、これにかわっての施策をこういうふうに考えているというような答弁が今ありました。  ちょうど私とか達増委員が小学校に入ってきたころに米飯給食が始まった。我々が初めて学校で御飯を食べた世代であります。それで、私は、その体験者としても、今大臣の新たにこういうことを考えているというよりは、ある面では今までのこのシステムというかやり方の方が、米の消費、あるいは米と日本の文化、歴史的なことを考えても、今までの方がむしろいいような印象を持っているのです、認識の差ということになるかもわかりませんが。ただ、大臣の答弁ですと、かつて政務次官をされたときということでもありますし、私は、もう一回考えてみる必要があるのじゃないかな、現場の声も聞く必要があるのじゃないかな、こう思います。  そういう点で、きょう、急速でありますが、文部省の方にもお願いしましたけれども、文部省として教育の中での考え方を、簡単でいいですのでお答えください。
  70. 玉井日出夫

    ○玉井説明員 お答えを申し上げます。  いわゆる米飯給食の持つ教育的意義でございますけれども、私どもとしては、食事内容の多様化だとかあるいは我が国の伝統的な食文化の継承という意味、さらには農業への理解を児童生徒にも深めさせていく、こういった点から大変教育的意義がある、こう考え、米飯給食の推進を図ってきたところでございます。  御案内のとおり、米飯給食はパン給食に比べましてやや手間暇もかかりますし、コストも高いということはありますけれども、その意義があるということで推進を図っているところでございます。  一方、先ほど島村大臣からお話がございましたとおり、閣議決定において廃止の方向で見直すということが指摘されており、そして今、値引きの措置の段階的廃止が検討されているやに聞いているわけでございますが、私どもとしては、その段階的廃止による米飯給食の実施への影響というものはやはり懸念されるところでございまして、この問題を率直に言って深刻に受けとめているわけでございます。今後とも、農水省と協議し、適切な対応に努めてまいりたい、かように考えているわけでございます。
  71. 木村太郎

    木村(太)委員 深刻に受けとめていると文部省からの御答弁がありましたので、大臣、そのことを深刻に受けとめていただきたいなと私はお願いしたいと思います。お願いします。  もう一つ、時間がなくなってきましたし、前に委員会でも聞いておりますので前段を省いて聞きますが、要は、我が国の植物検疫制度、これについて大きな動きが続いております。  アメリカ側が、日本の制度が余りにもかた過ぎる、もう少し緩和しろということでありますけれども、そのアメリカ側の主張が通った場合には、リンゴを初め多くの果実、あるいはまた生鮮野菜等にも影響がある、私はそう認識しておりますけれども、このアメリカ側の主張が仮にそのまま通ったときにはどういう影響があると認識しているのか、時間がないので簡単で結構ですので、お答えください。
  72. 高木賢

    高木(賢)政府委員 今月の十八日にパネルが設置されるということが決定されました。これから米国側の主張の具体的内容が、今後提出される意見書の中で明らかにされるということになりますけれども、目下のところは内容がわかっておりません。  それからまた、私どもとしまして、パネルの審議はこれから始まるわけでありまして、目下、我が国の主張展開のために細部にわたる整理、検討を行っております。  したがいまして、こういう時点におきまして、仮定にいたしましても、農業生産に与える影響がどうかということに言及することは必ずしも適当ではないのではないかというふうに考えておりますので、御了解をいただきたいと思います。
  73. 木村太郎

    木村(太)委員 そういう答弁になりますと、何も聞きようがなくなりますよ。仮にこうなった場合どうなのかということに対しての対応も準備するのが、行政であり我々政治の役目でしょう。私は、ちょっと今の答弁は納得いかないと思うのですけれども。  もしアメリカ側の主張が通った場合にはこういうことが予想されるから日本の主張はこうだという、きちっとした対応を持っての今回のパネルに対しての日本側の態度もあってしかりでしょう。私は、その答弁は納得いかないと思いますよ。  では、もう一回、パネルというものが今出てきましたので加えて質問しますけれども、今までの日本の主張というものを変えないでこれからも臨んでいくのか、これもお聞きしたいと思います。  もう一つ、そのパネルは、パネリスト、三人の委員から成る。しかし、このパネリスト三人は、植物検疫制度の専門的な知識、技術がない。むしろ貿易とか経済的な知識を持っている人たちによって構成されている。私は、ぜひここでお願いしたいのは、植物検疫制度に対して専門的な知識を持つ人たちの意見を三人のパネリストが聞く、その機会を持つように、農水省として、国として強く求めるべきだ。  前に、オーストラリア産のたしか輸入解禁の動きの中で、全く話は違いますけれども、皆さんがリンゴの生産地に行って現地説明会をやっている最中に、橋本総理があたかも輸入解禁に前向きに答えたというような報道も伝わったことがあったわけですよ。そのとき生産地は、私の地元青森県のリンゴの生産者も大きな憤りを持ったのです。説明会をやっている最中に、まだ決まっていないのに、あたかも一国の最も責任ある立場にある人がそういう発言をしたという報道が伝わったわけですよ。そういうことが、せっかく大臣を初め皆さんがおのおのの立場で全力を傾けていることが事実としても、そう見えなくなっていくのですよ。  ですので、次元は別の話ですけれども、このパネルに対してもこういう努力を皆さんがすることが、生産者に対して一つの皆さんの立場を明確にすることになりますので、このことに対しても御見解をいただきます。
  74. 島村宜伸

    島村国務大臣 我が国のとっている品種ごとの輸入解禁措置は、科学的根拠に基づいて行っているものであります。また、これはWTO協定の関連協定であります衛生植物検疫措置の適用に関する協定、俗に言うSPS協定を遵守したものであるというのが我が国の基本的な立場であります。  また、農林水産省といたしましては、この基本的立場を堅持し、米国から意見書が提出された後、パネルの場において我が国の主張を十分展開していく所存でありますし、今御指摘がありました件につきましても、我々は既にそのことの話し合いもして、可能な限り我々の主張というものが理解され、また、それが通るような努力をしているところであります。  なお、橋本総理の発言につきましては、それらしい報道も聞きましたけれども委員も御存じのとおり、報道、必ずしも正確でありません。時には何かの推測に基づいて報道をして、後で混乱を招くようなこともないではありませんので、これらについては、我々なりに十分総理とも話を詰めていきたい、こんなふうに考えています。
  75. 高木賢

    高木(賢)政府委員 影響の問題で重ねて申し上げますけれども、相手の主張がまだわかっておらないわけです、具体的に。これは、相手の主張を過小評価しても問題でありますし、過大に評価したらもっと問題だ。こういうことで、今、言及を差し控えているわけでございます。  それからもう一つ、パネリスト、パネルの審議においての専門家の意見を聞く件でございますが、これは、もちろんこの問題が技術的、専門的な性格を有する問題であることは御指摘のとおりでございますので、パネルの審議の場におきまして植物検疫の専門家の意見が反映されるようにということで主張してまいりたいと考えております。
  76. 木村太郎

    木村(太)委員 時間が来ましたので、予定していたあと数点はやめたいと思いますが、今答弁がありましたので、ぜひそういう真摯な姿勢で御努力をお願いしたいと思っております。  また、既に、WTO提訴とはまた違う通常のデータ提出でのリンゴの五品種の輸入解禁も迫っておりますので、既に日本側から現地調査等々努力をしていると聞いておりますので、そういった過程において情報が入り次第、生産者、生産地、あるいはまた都道府県、市町村等々、関係方面に適切に情報を流していただきますことをお願いして、終わりたいと思います。御答弁ありがとうございました。
  77. 北村直人

    北村委員長 木村太郎君の質疑は終わりました。  次に、鉢呂吉雄君。
  78. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 民主党の鉢呂吉雄でございます。  私は、まず大臣に御質問を申し上げます。  私も先般、本会議で、金融機関の罰則強化に関する法案で質問をさせていただきました。その際、三洋証券についてはこれは特殊な事例であるので、今後証券会社でこのような不祥事は起こらないということの大臣の発言もあったわけでありますけれども、案に相違して、山一証券がこういう自主廃業、実質は経営破綻、こういう事態になったわけであります。  そこで、まず最初に、このような金融システムの危機的な状況が続出をしておるわけでありますけれども、まず大臣に、農水省とかかわりのあった住専についてどのように認識をしておるか、率直なところでよろしいです。私は、一年前の十二月十二日にも前農水大臣、藤本農水大臣にお聞きをいたしましたけれども、答弁書を離れて、率直な住専問題に対する農水省あるいは農水大臣の考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  79. 島村宜伸

    島村国務大臣 私どもは、二〇〇一年の金融ビッグバンを控えまして、最近、金融機関経営破綻が見られますが、農協系統においても、他の金融機関との競争がますます激化するわけでありますから、環境が厳しくなってもこれに対応し得るような、今いろいろな配慮を進めているところであります。  また、住専問題を機に、農協系統事業組織のあり方について抜本的な見直しを行い、大胆なリストラを進めることが必要ではないかとの指摘を受けたところでありまして、我々は今、それらの教訓に立ってこれらに対応しているところであります。
  80. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 私は、住専問題と農水省、いわゆる監督庁との関係をお聞きをしたわけでありますけれども、今回の北海道拓殖銀行の場合もそうでありました。いわゆる政府金融行政のもとにこういう決断を行われたわけではなくて、むしろ市場が反応して、市場から金融資金調達ができなくなってきたというところに決定的な差異があったわけであります。  そういう意味では、まず第一に、金融行政の抜本的な改革というものが今求められておるのではないか。先ほど来、質問者の皆さんも、来年四月の早期是正に向けて指導を徹底してほしいとか、あるいは皆さんも、各県知事を通じて指導を行いたいという姿勢が出ておるわけであります。  あるいはまた、住専問題も結局のところ、あの住専各社に対して、さまざまな経過はありましたけれども、貸し込みをして、その後の経緯を、いわゆる大蔵省とどういう幕引きをするのか、そういうところに時間を要してああいう大きな痛手をこうむった、六千八百五十億という公的な資金を投入せざるを得なかったというところにあると思います。  そういう意味で、大臣にもう一度、率直なところでいいですから、余りそこの役人さんが書いた答弁書にこだわらない、私は何も言質をとろうと思っておりませんから、きょうは、もうだれもいなくなったのですけれども、国民の皆さんが注視をしておるわけでありますから、部署は違いますけれども、大蔵省が今回適切な措置をとれなかったというところのものを踏まえて、農水省として、監督官庁、主務大臣としてどういう金融行政に対する対応をしていくのか、率直なところを聞かせていただきたいと思います。
  81. 島村宜伸

    島村国務大臣 お言葉ではございますが、なるほど、官僚諸君がいろいろな意味で基礎づくりをいたしますけれども、私はこれを全部大体精査しまして、文章その他についても日本語らしくしまして自分なりのものをつくらせておりますので、御理解いただきたいと思います。ただ、肝心なことを言い漏らしたり、あるいはふなれのために自分が知らずに言い違えることがあるといけないので、これを参考にするということをお許しいただきたいと思います。  まず、一般の銀行にしても証券にしても、あるいは農協系統金融機関にいたしましても、従前はディスクロージャーの義務づけがある意味では非常におろそかであった、また監査的な行動がなかったという面が指摘されると思いますが、従前のような護送船団方式あるいは右肩上がりの経済を背景にした、いわば強力な背景を持たなくなっている現状でありますから、何といっても国民の信頼をかち得るためには内容をきちんと開示し、そして何か思いがけない大きな倒産事故などが起きないようにこれからは鋭意努めなければならない段階に来ている、こんなふうにまず受けとめております。  そこで、農林水産省といたしましては、農協系統金融機関につきまして、農協改革二法に基づいて、まず第一に農協の広域合併信連農林中金との統合による組織運営の合理化、効率化、あるいは業務執行体制、監査体制強化、また自己資本の充実等による経営の健全性確保のための措置等を講じますとともに、経営悪化の未然防止のために、平成十年四月からの早期是正措置の導入、さらに業務、財務内容のディスクロージャーの推進等を図ることとしております。  これらにより、系統金融機関について一層の事業機能の強化と効率化、健全化を目指すとともに、自己責任原則の徹底と、市場規律に立脚した透明性の高い金融行政が確立されるよう努めてまいりたい、こう考えております。
  82. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 そこで、先ほど経済局長は、段階的にディスクロージャーをしておるという趣旨の発言もされました。私は、来年の四月になりますと金融機関は一斉に、いや、四月を待たなくても、どこが悪いのか、悪いところにはもう全都市場も資金調達をオミット、いわゆる消費者である貯金者もそこから引き揚げるかと。金融機関といったら、今全部郵便局に集まっていますね。統計的にも郵便貯金は七%増加をしています。系統は〇・八%程度やっと今プラスに転じた、そういう状況でして、私はもっと積極的に情報開示をしていくという姿勢がなければならないというふうに考えます。  そこで、まず一番目に、農林中金の体力の問題であります。  例えば、今都銀は一斉に中間決算を発表いたしました。しかし、農林中金は発表しておりません。これはやはり、こういうことをすぐ発表させるというのが農水省の指導でなければならないと思います。これについてどういうふうに考えるか。  それから、例えば今都銀は、来年三月に向けて不良債権償却率を一〇〇%以上にしよう、富士銀行なんかは一〇〇%いかないというふうにもう既に認めざるを得ない局面でありますけれども農林中金は現在五三%です。これを早い時期に一〇〇%以上にするという、そういう指導をやはり行うべきであると私は思います。  ところで、いわゆる単体として、農林中金だけで修正後の自己資本比率は三%というふうに聞いています。これは通算で、単位農協あるいは信連、中金合わせて今九・何%になったというふうに公表されておりますけれども農林中金だけでは自己資本比率は三%なんですね。これはもう国際基準のBIS基準でいけば、八%以上にしなければならないという段階であります。これは早急にやらなければ、市場は農林中金に不信感を持ってはありませんか。この三つについて、まずお聞きをいたしたいと思います。
  83. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 お答え申し上げます。  三点お尋ねかと思います。  最初の農林中金の中間決算についての点でございますが、確かに株式を上場しております銀行とかいわゆる株式会社につきましては、証券取引法上におきまして年二回の決算、通常ですと九月に中間決算を発表するというのが定着した実態、実務というふうになっています。他方、農林中金、これは農協系統組織のいわば中心銀行としての位置づけでございます。御承知のとおり、農林中金は株式を上場しておりません。系統機関等が会員でございますが、そういう意味で、農協系統組織全体、年一回の決算ということで統一をしているわけでございます。ただ、株式を上場してないわけでございますが、他方、適宜といいますか、適切に、経営状況につきましては理事会に報告をしておるということでございます。  次に、不良債権についてのお尋ねがございました。  議員がお示しになった数字と私がこれからお話しする数字がちょっと違うのではないかと思いますが、平成九年の三月末で、農林中金不良債権額が千百二十六億円でございます。これは開示をいたしてございますが。これに対しまして、債権償却特別勘定は千百七十億円を計上いたしておるところでございます。  それから次に、自己資本比率でございますけれども平成十年四月からの早期是正措置、これは中金にも適用されるわけでございますけれども農林中金といたしましては、自己資本増強のために後配出資あるいは劣後ローンを導入するということによりまして、平成十年四月には、八%を超えて一〇%強になる見込みとなっております。
  84. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 大臣、理事会に報告しておるから、あるいは法的にないからというような状況では今はありません。先ほど言いましたように、各金融機関がいかにみずからの金融機関が健全化されておるかということを競い合っておるわけであります。ですから、積極的に農林中金も、農林中金がだめになったら、これはもう系統は全部だめになるというぐらい再預けをしておるわけですから、この中身はやはりきちんとディスクロージャーするべきだ。そういう点で農水省は指導しなければ、むしろ世の中からおくれるという状況になっておるわけです。ですから、理事会に報告しても、これは世の中に全然あらわれてきません。農水省には来るのかもわかりませんけれども、世間の人はだれもわからないわけですから。  それから、例えば不良債権の引き当て率の分母になるものについても、ほかの金融機関は全部、経営支援先に対する債権を入れてはじいているのですね。それを型にはまった公表不良債権だけを示すということ自体が、もうきょう、きのうの新聞を見たら、ごらんのとおり、いわゆる経営支援をしておる債権も含めて出しておるという状況なんですから、そこは経済局長、きちっとしてもらわなければならないと思います。同時に、三%の自己資本比率ということを今認めたわけでありますけれども、これは大臣御案内のとおり、国際的な活動をする金融機関は八%ということですから、これはもう早急にやらなければ大変なことになります。  一つ、一番不安なのは、先ほど経済局長は、今回のさまざまな金融の自己破綻に対して、どういうことになるか直接的にもっかまえておらないというふうに言われました。私は、これは非常に残念でして、もっと農水省当局は危機感を持って当たっていただきたい。  その一つが、農林中金は、大臣も御案内のとおり、いわゆる貸出金が余り多くない、それでも十四兆円ぐらいやっておるのですけれども、同時に、いわゆる有価証券を相当引き受けています。国債ばかりでなくて有価証券を随分引き受けております。  そういう意味では、日本経済が、例えば株価がどんどん暴落してくるということになりますと、含み益がもうぐっと少なくなって底をついてしまう。逆に今言われておるのは、含み益どころか含み損になってしまって、吐くにも吐けない。各都銀は、何とかそういう、先ほど言った引当金を充てて当期決算赤字になってもやろうという形になっておるわけでありまして、そういうところをきちんと、私は農林中金大丈夫だというふうに思いますけれども、それは示さなければ世間が納得しないわけでありますから、そこのところはやはり積極的にやるべきだ。農林中金は有価証券が多いんだ、そのかわり貸出金は少ないわけですから、いわゆる貯貸率は低いわけですから、系統全部、三段階合わせても低いわけですから、いわゆる不良債権、引き当てだけではならないところにもあるという視点もやはり持って当たるべきだというふうに私は思うわけであります。  次に、信連状況であります。信連につきましては、昨年の委員会で堤経済局長に対して質問いたしましたら、当時の自己資本比率、いわゆるこの四%に対して、それに至っていない信連が二十七あるというふうに表明しました。平均で三・七九%でありました。当時は明らかにされませんでしたけれども、今信連協会では、去年の三月期で、低いところ、宮城県は〇・三%です。栃木県〇・五%、埼玉県〇・五%、青森県信連は一・六%、群馬信連は二・〇%、鹿児島信連は二・三%と、押しなべて極めて低いのであります。修正の伯己資本比率でやるようにこの七月に改正をされましたけれども、今その信連状況はどういうふうになっておるのか、経済局長から端的にお答え願いたいと思います。
  85. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘のように、平成八年度の自己資本比率は確かに、低い信連、四%を切る信連もございます。私ども現在手元に持っておりますのは、平成九年九月末時点において私ども把握し得るデータで試算したものでございますが、それによりますと、四%未満の信連はございません、すべて四%以上の自己資本比率になっている。これは修正国内基準で算定したものでございます。
  86. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 実は、その算定方式は変えたわけでありますから、局長が胸を張って言うほど信連状況はよくない、悪いというふうに思いますよ。そこを言わなければ、修正後のものは合わないのですね。  もちろん、それはそれとしてやることはいいですよ。しかし、やはり実際の、生の自己資本比率というのは極めて低い。〇・三、宮城県に私も選挙で行ってきたわけでありますけれども、今宮城県下の単位農協の皆さんは、むしろ県信連の方にいわゆる出資増勢をして大変な苦労をしておるわけであります。そこが安定しなければ単位農協はみんなつぶれるわけでありますから、四%にいっておるというだけでは私はならないというふうに思うわけであります。  そこで、次に、単位農協経営状況でありますけれども、先ほど百四十九の単協が、自己資本比率がいわゆる四%未満、第一、第二、第三区分に相当するというふうに御答弁をされました。このあたりもやはり早急にディスクロージャーをしなければ、来年三月までに何とかするということではならないところに来ていますよ。むしろ年内ぐらいに、今皆さん正式に発表されたわけでありますから、きちんと早急にこの改善策を講じられなければ、どういう事態が起こるというふうに思いますか、局長
  87. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 単協不良債権のディスクロージャーにつきましては、来年三月期の決算から義務づけるということにいたしております。先生指摘のように、同時に来年四月から早期是正措置が導入されるということで、先ほど来お示しをいたしました早期是正措置対象となる農協の数につきましては、私どもが現在把握している、これは県なりの協力のもとに把握した数字でございますけれども、そうしたことで試算した数字として、農協の数、経営内容を把握しているわけでございます。  したがいまして、正式なと申しますか、不良債権のディスクロージャーは三月期の決算ということでございますけれども、同時に、そうした実態の数字に基づきまして基本的な経営再建策を樹立するということが基本的に重要だということかと思います。  そのために、私ども、そうした具体的な農協を念頭に置きまして、現在、県それから県内の系統組織、全国段階では中央会、農林中金を初め私ども連携をとりまして、来年四月からの早期是正措置の導入に向けまして、個々の農協の再建策について具体的な内容の審査、協議、調整に入っているところでございます。  そういう中でいえば、基本的には、自己資本比率がマイナスといっても数千万円あるいは一億前後の農協相当数ございます。そういったところは基本的には増資あるいは劣後債務、回転出資金等で自己資本率がプラスに転じ得るという農協相当ございますが、他方で、合併の手段によりまして経営再建をせざるを得ないという農協も多々ございます。  そういうところにつきましては、合併の具体的な手続、さらには、これも単年で合併というわけにはまいらないところがございます。そういったところにつきましても、少なくとも一年ないし三年の間に具体的な再建のめどが立つようにということで、現在、県、系統組織とも連携をとりながら鋭意調整を進めているという状況でございます。
  88. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 大臣、席を立った間、単協の段階の自己資本比率について今論議をしておりました。単位農協のことについてです。  そこで、先ほど局長からもお話があったとおり、自己資本比率がマイナス、要するに、自己資本としては金額はあるんだと思いますけれども不良債権が控除されますから、いわゆる分子になる分がマイナスになっておる、端的に言えば、貯金者が全部支払いに来たら払い出しを停止しなければ債務超過になってしまうという農協が八十四ある。そのうち相当数はマイナス程度が数千万から一億程度だという局長のお話でありますけれども、しかし同時に、相当数はこのままで置いてはどうにもならないという農協だろうというふうに推察をするわけであります。  通常、農協は市場との関連が、市場から資金を調達するというのはそう多くはないわけであります。通常は自己資本を組合員の皆さんに増資を願う、そういう形でやってきています。こういう形になりますと何が起きるかといいますと、組合員が、農協には先ほど言いましたように地域的なつながりもありますから、そこは起こるかどうかは必ずしもはっきりしませんけれども、准組合員なんかは、この出資金を全部払い下げをして脱退をするという現象が起こりかねないわけであります。  それから二つ目には、やはり貯金の払い出しをする、どういう規模農協がそういう事態になっておるか、はっきりしませんけれども、そういう事態になる。言ってみれば、今の拓銀が債務超過になってしまうだろうというふうに言われておりますけれども、そういう事態が、もう既に八十四のうち数農協はあると見なければならないという形であります。  したがって、これは来年三月までに何とかすればいい、あるいは合併をすればいいという形ではなくて、場合によっては合併にもいかない、今金融機関で行われているように、どこにも助けてもらえずに、自主廃業なり金融機関としての停止をするということになりかねないような農協相当数存在をしておるというところに、やはり大変大きな問題があるというふうに私は思います。  この点について、大臣、細かいことは別ですけれども、どういう姿勢で臨むのか、端的にお答え願いたいと思います。
  89. 島村宜伸

    島村国務大臣 戦後伸び続けた日本の経済を背景に、銀行とか証券あるいは農協を初めとする農協系統にも非常に信頼の厚い金融機関があったわけでありますけれども、今般の山一証券の廃業宣言というのは大変大きな衝撃でありましたし、また、いろいろ聞いておりますと、間際まで何らそういう報告らしいものもなかった。また同時に、ある意味で大変信頼の大きいということを背景に、ディスクロージャーの義務づけも、あるいは監査機能にも欠けるものがあったと。それがここへ来て、そういう問題が大きく一気に噴き出している感じでありますから、我々はこういうことを教訓として可及的速やかに監査機能を強化し、ディスクロージャーの義務づけ等を行い、先ほど来委員指摘の問題についても我々は対応すべきだ、そう考えます。
  90. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 私の知っているところでも、不良債権が多額で合併が進まない、同時に、今までやってきたのは市町村を初め地方自治体の資金援助をいただく、このこともやはりそれなりに繰り返し行われてきておるのですね、陰に陽に。したがって、もうこれ以上はできないというところに来ておるところも大変あるのですね。そういうところは、今、信用不安になるということになりますと、一気に傷口が大きくなるということでありますから、まさに自己資本比率がマイナスであるということは、相当重大な局面にあるというふうに考えています。  単に合併をすればいいと。もちろん信用部門以外にさまざまな事業をやっておるのが農協ですし、また、地域とのかかわりあるいは農業とのかかわりが大きいわけですから。しかし、そうはいっても、経営困難といいますか自己資本比率もマイナスという農協合併で切り抜けていくということは、やはりこの際大変危険な状況になるのではないかというふうに思いますから、冒頭言ったように、農水省の金融行政に対する基本的な考えも変えなければ、今までのように、行政機関、地方自治体と合同で各関係機関、農林中金やあるいは各県の信連、中央会と協議をして、何がしかの、奉加帳式というふうに言われていますけれども資金援助をして乗り切るということは、これからはそうできなくなっていく状況にある。  また、先ほどありましたように、全国でこれまで四つしか機構では発動はしておらないのですけれども、なかなかこれは県民の理解を得るというのもできないことになってきていますし、今まさにこういう局面ではなおさらそういう事態が出てくると思いますから、そこは農水大臣として、基本的な金融行政についての監督官庁としての考え方を改めなければ、やはり住専のような大きな禍根を残すことに結果としてならざるを得ないというふうに私は思います。  そこで、次に移りますけれども、現在こういう形で貯金保険法改正案が出ておるわけであります。大臣も御案内のとおり、預金保険法というのが別途一般金融機関という形でありまして、そこではもう預金保険機構財源が底をついてマイナスになっておるという形で、公的な資金の導入も政府・与党で出されておるというのがきのう、きょうの状況だろうというふうに考えておるところであります。  そういう意味で、私ども、今回のこの法案も預金保険法改正案と横並びであろうというふうに考えています。そういった形からいけば、今のこの預金保険法の体系でいけるのかどうか。今、農協関係は財源が一千三百億程度あるから預金保険料も上げなくてもいいというような言い方をされておりますけれども、根本的にやはりこの中身も変える必要があるのではないかというふうに私は思わざるを得ません。  例えば、よく言われておりますように、アメリカで、貯蓄貸付組合、SアンドLが多額の累積債務で倒産を繰り返すということで処理をされたのですけれども、その際も、全体の金融機関の処理の枠組みというものをつくりました。同時にまた、そこに手を染めた経営者の責任というものは徹底して追及されたわけであります。  これまで、行政がさまざまな経営者責任というものを問うような形もありましたけれども、なかなか行政は、この間ずっと監督もしながら、検査もしながらやってきた、やはり何とかうまいこと切り抜けることができないかという思惑がどうしても入らざるを得ないということですから、私ども経営者責任を追及するにも、例えば預金保険機構貯金保険機構に告発するものを、今回の住専機構はそういう形で持たせていますけれども、そういう仕組みをきちっとつくるということもひとつ出てくるだろうというふうに思います。  そういう意味では、この貯金保険機構というものは、今回、合併という形で、しかも特定合併ということで経営困難組合を合わせて救うというようなことのスキームを法案として出したわけでありますけれども、これではとても全体の形に間に合わないというふうに私は思うわけでありまして、むしろもう一度この法案を再提出をするというふうな考えを農水大臣として持つのかどうか。  私は逐次質問したいと思っておりましたけれども、今の貯金保険法では、四十七都道府県にあります各信連農林中金、これは救済の対象にならないのですよ、大臣。七十兆になんなんとする農林中金については。ほかの都銀は全部あります、今の預金保険法で全部対象になっておりますけれども農林中金はこの対象外なのですよ。  私は、そういった意味からいっても、この貯金保険法は、もうこの時代の今の厳しい局面からいって、やはり再提出をするという形にならざるを得ないというふうに思いますけれども、大臣の率直なところのお考えを聞かせていただきたいと思います。
  91. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 大臣からのお答えをいただく前に、ちょっと私から事実関係等について御説明をさせていただきたいと思います。  貯金保険機構経営者責任の追及の機能を持たせるべきではないかというお尋ねがあったと思いますけれども、基本的に、貯金保険機構貯金者の保護を基本的な使命といたしております。貯金者の保護、つまり農協破綻した場合に貯金者貯金をすべて保護する。ただ、それはかなりなコストがかかるわけでありますから、資金援助ということで予防的に支援をすることによって、経営困難な農協経営を再建することによって総体としてコストが安く済む。そういうことで、資金援助の手法も備えているということでありますので、これはあくまでも最終的には貯金者の保護という機能を持った機構であるということでございます。  従来、経営破綻に至ったような農協経営者につきましては、刑事、民事を問わず厳しい追及がなされているというのが、過去の農協系統経営破綻した場合の事例でございます。  そういう意味で、今後とも、経営破綻農協につきましては、経営者に対しましては、そうした民事、刑事からの厳しい追及がなされる、それはもう必然であろうというふうに考えております。貯金者の保護を目的といたします貯金保険機構に、あえてそうした責任追及の機能を与えることについてはいかがかというふうに考えるところでございます。  それから、もう一点。農林中金貯金保険機構対象になっていない、他の銀行が対象になっているということでございますけれども、基本的に、預金保険機構貯金保険機構も、目的は貯金者、あるいは預金保険機構の場合には預金者の保護、預金、貯金の保護が目的でございます。したがいまして、預金保険法の場合におきましても、銀行の救済が目的ではないというふうに理解をしております。  貯金保険法につきましても、貯金者の保護、さらに、それを支援する意味での資金支援措置があるということでございますが、農林中金の場合には、農林中金の大層の資金信連からの預け入れ、さらに、信連の場合には、これも相当部分が単協からの預け入れ、これはもう先生御承知のとおりでございますので、結果といたしまして六十八兆、農協系統資金全体として系統資金貯金者貯金の保護というのは、この貯金保険機構で保護されるということになるわけでございます。
  92. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 後段の方ですけれども、それはもちろん貯金者保護です。しかし同時に、やはり金融システムを守るということで、資金の支援をするというスキームが貯金保険機構にあるわけであります。  例えば、一番不安定なのは、信連がパンクをするといったときに、今は農林中金との合併ができるようになりました。しかし、その際の資金援助というもののスキームがなければ、例えば、宮城県の単位農協がそれに連鎖倒産をするという形で貯金者を保護するということはできますけれども、それでは宮城県下全体の大変大きな被害になる。そういうものを阻止するというスキーム、枠組みをつくっておくという必要が私はあるのではないか。  こういう大変大きな日本の金融システム全体が問われておる中で、ひとり農協系統だけが枠外だということは言えるときではないわけでありますから、そういう点でそれは検討する課題ではないかというふうに私は思います。これは深刻に受けとめておらなければ、農林中金信連がいったときには一切そのスキームから外れるというふうに思わざるを得ません。  それから、そのことも含めて大臣にお聞きいたしますけれども、今、破綻金融機関救済、処理のために公的資金もという考えがいろいろ出てきております。やり方はいろいろあります。日銀の資金に対して国が担保するというようなことについても具体的に今論議をされておるわけであります。私は、大臣に、この点について率直なところ、率直なところといってもこれはなかなか簡単には答えられない問題かもわかりませんけれども、基本的に、預金、貯金、系統あるいは一般金融も含めて、財政資金の投入に対してどういうお考えを持っておるのか、お聞きをいたしたいと思います。
  93. 島村宜伸

    島村国務大臣 何しろ突然何が出てくるかわからない御質問でございますので、内容等について、急でございましたので準備が悪くて恐縮でございましたけれども、我々は、金融システム安定化のための追加的方策としては、一般金融機関経営問題を契機に各方面で議論がなされ、大蔵省においても検討が開始されたところと承知をしております。  いずれにしても、今後、各方面において十分に議論が尽くされるべき問題であると考えており、その検討の推移を見守りたい、こう考えております。
  94. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 それでは、次に移ります。  今回の貯金保険法改正の問題点について、二、三、質問いたします。  まず、特定合併のあっせんについて、法案の第六条の三ですけれども、先ほど来お話がありますように、平成十三年三月三十一日までの限りで、次に掲げる要件すべてに該当する場合には、二以上の経営困難農水産業協同組合に対して、書面により、特定合併のあっせんを知事、あるいはまた、主務大臣の監督に係るものについては主務大臣が行うことができるということであります。  まず一つは、経営困難な組合というのは法律に既に明記をされていまして、業務、財産の状況に照らして貯金等の払い戻しを停止した組合、あるいはまた停止をするおそれのある組合に限られておるわけであります。先ほど来お聞きをいたしておりますと、広域合併推進するために特定合併のあっせんが使えるかのような御答弁もあるわけでありますけれども、これはあくまでも経営困難という、先ほど言った、きちんと明記をされた、貯金等の払い戻しを停止したではちょっと遅いのでありまして、停止するおそれのあるものというふうに明記をされておるわけでありまして、ここは厳格に守っていただきたい。  同時に、三つの要件が掲げられております。端的に言えば、その地域または分野における資金の円滑な需給及び利用者の利便に大きな支障が生ずるおそれがあるものということで、このおそれというのは具体的に、これは局長でよろしいですけれども、どのようなことを指し示すのか。私は、ここに知事あるいは主務大臣の裁量が入るおそれがあるのではないかというふうに思うわけで、ここは明確にきちんとしておかなければならないというふうに思います。
  95. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 先生が御指摘になりました経営困難組合基準という点につきましては、まさに御指摘のように、貯金の支払いを停止した場合あるいはおそれがある場合、特に、おそれがある場合についてのお尋ねだと思いますが、確かに判断の基準としてなかなか難しい点はございますけれども、基本的には、当該組合業務状況、資産の状況、それは具体的に個々のケースで違うと思いますけれども業務状況、資産の状況、それは具体的に個々のケースで数字が出てくる、あるいは状況が出てくるというわけでございます。  そういう状況の中で、仮に支援措置なしに放置をした場合には、払い戻しの停止にまで至るであろうというような状況が判断されるということで、言葉としては抽象的にならざるを得ないわけですけれども、個々具体的なケースにおいて、業務状況、収支の状況というのはかなり個別具体的数字としても出てまいると思います。そういう場合において県知事が判断をする、私どもも、従来ですと、連絡をとりながら具体的な判断をするというのが実態だろうというふうに考えます。
  96. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 これは、あっせんの手続を知事の側からするわけであります。同時に、計画を提出させて、そして承認という行為が働くわけであります。局長が言うように、まさに貯金が払い戻し停止をする状態というところからこのあっせんに入って間に合いますか。私は非常に難しいことをここに書いてあるなというふうに思っています。  時間がありませんので、続いて言います。  この法の附則第六条の六に、先ほど言ったように、申し込みによる特定合併について、組合が申し込みをさせるのですけれども、その際には計画を提出させることになっています。主務省令で定めるものの計画を出させるということで、私は、主務省令というような言い方は非常に、貯金の払い戻し停止する同士の合併ですから、こういうあいまいな形で省令に書かせるというのはおかしいわけで、基本的にはやはり法律で定めるべきである。同時に、この省令ではどういうことを明記させようとしておるんですか。そこを答えていただきたいと思います。
  97. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 都道府県知事の実施計画の基準でございますけれども、まず、ちょっと内容について、私どもが省令に記すべき事項について、私どもの基本的な考え方を申し上げますが、一つは業務執行体制を改善するための措置、それから経営、これは事業収支を含みますが、経営を改善するための措置、基本的にはこの二点であろうかと思います。  もちろん、全体として、農協経営の基本方針、どのような基本方針のもとに経営再建をするかということは大変重要なことですから、そういった基本方針は当然でございますが、具体的には、業務の執行体制を改善するための措置と、経営事業収支を改善するための措置、それが基本になろうかと思います。  業務執行体制を改善するための措置として具体的に考えられますのは、業務執行体制の強化、これは、理事なり、そうした役職を果たし得る人を持ってくるということでありますが、これは、裏返して言いますと、経営陣を刷新する、かえるということにもつながるかと思います。さらに、信用事業の場合には、信用事業担当の役員を置くということも重要な要素になろうかというふうに考えております。  さらに、業務執行体制の強化とあわせまして、監査体制強化ということが必要かと存じます。この内容といたしましては、員外監事、常勤監事を必置する、あるいは中央会の監査を受ける、さらに、貸付部門と審査部門を分離独立させる、検査・監査担当部門を設置する、そういった内容が検査体制の強化につながるというふうに考えております。  他方、経営改善をするための措置というのを省令の事項として置きたいというふうに考えておりますが、その内容、意図するところは、例えば人員の削減でありますとか、支所の統廃合でありますとか、給与の抑制でございますとか、不採算部門の縮小、あるいは、子会社があるような場合には不採算子会社の業務の縮小、そういった内容を考えているわけでございます。  なお、こういった事項を法律に定めるか、省令に定めるかというのは、法技術的な点もございますが、私どもとしては、法の精神のもとに、省令にこの規定を置きたいというふうに考えておるところでございます。
  98. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 特に、二以上の現行の組合が提出をするわけでありまして、そういう際に、現役員の退陣ですとか、あるいは現役員の民事、刑事上の責任というようなことが果たして現実にやれるかどうか、そういうことについてもきちんと明記をして、省令であれば省令で定めていただきたいと思います。  同時に、これを審査するわけでありますけれども、あっせん、審査というのは全く同一の知事が行うわけでありまして、私は、そういう点でも、牽制といいますか、やはり、違う者が行うとかいうものをきちんとやる必要がある。また同時に、実施計画承認後の当該計画の実行、進捗動向というものについてもきちんと法律等に明記をすべきである。これは大変な事態を想定してやるわけでありますから、特定合併というのは。そこも一切明記をされておらないわけでありまして、そこはきちんと行うべきである。  同時に、行政、知事がこういう形であっせんをして行うわけであります。これがうまくいかないで傷口を広げて、最終的に貯金者に大きな迷惑をかけるという場合もこれまで多々あったわけであります。ということでありますから、そこの行政の責任というものもやはりこれから問われる時代になるというふうに思いますから、行政の責任の明確化を行うシステムをきちんとつくっておくべきだろうというふうに私は思うわけであります。  時間がありませんので、次に参ります。  次は、昨年の金融二法に基づいて行われますいわゆる金融機関早期是正措置の問題であります。  このことにつきましては、農協法の第九十四条の二第三項の規定に基づき省令の一部を改正するということで、農水省令の第五号を改正したわけであります。同時に、九月三日付で農水省の経済局長名で各県知事に通達を出しておるわけであります。  ここに述べられておりますことは、もちろん自主努力というものを求めつつ、同時に、行政当局が金融機関取り組みを適時に促すことを目的とするということで、自己資本比率状況に応じた金融機関取り組みを適時に促すことを目的とするという表現を使っておりますけれども金融機関経営が極度に悪化することを防止することを目的として、万が一破綻が免れない場合の処理コストの軽減に資するものという観点でこの措置を行うものである。同時に、「行政当局が講じる措置の内容及び措置基準を明確化することにより、行政の透明性を高めるものである。」というふうに経済局長は通達の中で出しておるわけであります。  そこで、この省令の第十五条等を見ますと、極めてあいまいな表現があるわけであります。  例えば、先ほど言った〇%未満の自己資本比率、これはいつ倒産してもいいというような状況の区分に入るわけでありますけれども、この第三区分に入った組合が、合理的と認められる計画を知事に提出している農協にあっては、自己資本比率が〇%未満の場合は、自己資本比率が毎年向上するものであり、かつ、自己資本比率が、原則として一年以内に〇%以上の水準を達成したというときには、例えば第二区分に入るということを言っておるわけであります。  ここに書いてありますように、「原則として」とか「一年以内」というような表現を使っておるわけでありまして、私は、ここに行政の裁量の余地を生んで、結果として貯金者に大きな迷惑をかけるということが入る可能性が強いというふうに思うわけでありまして、これは大臣にお聞きをしたいのですけれども、大臣、率直に御答弁されてもいいのですけれども、どういうように思われますか。
  99. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 ちょっと技術的な点にもわたりますので、私からお答え申し上げます。  確かに先生指摘のように、早期是正措置の発動基準につきましては、三段階につきまして省令で規定したところでございます。経過措置運用基準につきましては、都道府県知事に対しまして通達で指導しているところでございますが、それは先生指摘のとおりでございます。  その中で、原則として一年ないし三年の間にというふうに指導いたしているところでございますが、これは先ほど申し上げましたように、二〇〇一年、十三年三月末までに、ペイオフの特例もございます、金融システムの改革をそれまでに終わらせて、スタートさせようという一つの期限でもございます。そういうこともございまして、私ども、原則として、この早期是正措置対象になる組合につきましては、三年をめどといたしまして四%を超えるところまで何とか持っていくような計画を具体的に立てさせたいというのが基本的な姿勢でございます。  たまたま「原則として」というのはございますけれども、私どもは基本的に、ここにございますように、例えば自己資本比率が〇%未満の単協につきましては、少なくとも一年以内に具体的に自己資本がプラスになるように、これは先ほど少し触れましたけれども単協によりましては自己資本比率がマイナスと申しましても、数千万ないし一億という自己資本の増強だけで是正し得る農協も多々ございます。  他方で、どうしても、合併その他、ほかの組合との連携によってでなければ経営改善ができないという単協もございます。そうしたところは、県ないし県の系統組織と連絡をとりながら、来年三月までに具体的な再建計画を立てる、あるいは合併計画を立てるということで、具体的に現在進めているという状況でございます。
  100. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 「原則として」というふうにつけた理由がちょっとわからないわけでありますけれども、それは、「原則として」というのは、例外はないというふうに理解をしてよろしいのですか。
  101. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 文字どおり、そういう意味では、原則としてということでございますので、全く例外がないのかと問われますと、法的解釈としては例外はあり得るというふうになるわけでございますが、私どもの意図、気持ちといたしましては、まさに一年ないし三年、この通達にお示しをしました期限内に具体的な計画、その計画が実現性を持つような計画として樹立され、実行されるように、県あるいは系統組織とも密接な連絡をとりつつ推進してまいりたいという意思でございます。
  102. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 大臣、率直に言いまして、〇%未満というのは、債務超過といいますか、貯金の払い出しを停止せざるを得ないような金融機関ということになるわけであります。したがって、これが三月末日に公表された段階で、今の日本の国民の皆さん、貯金者は、それは農家組合員であっても、払い出しを停止されるようなところに組合員の出資をしていいのか、まず一つは。あるいは、このまま貯金をしておいていいのかということが起こり得る、起こるのは必至だというふうに見るのが当然でありまして、通常はこういう〇%未満ですとか、あるいは二%ぐらいでも大変な事態なのですけれども、そこを、原則としてとかということを認めてはならぬところにやはり来ているというふうに思います。  ですから、我々、貯金者の立場に立ってみればよくわかる話でありまして、そこに二年なり三年でこの自己資本を積み増しするというスキームをどんなにつくって社会的に訴えても、これは今言われているとおりのような状況と同じ形で、一日にして払い出しが済むかどうかわかりませんけれども、大変な貯金の流出が起こらざるを得ないと思うのですね。  ですから、これを軽々しく、こういう法律をつくったから、〇%未満のものについて一年以内にこの形がきちっとすれば二区分に上げておいて、そして三年以内に積み増しができればよしとするようなことの現実的な発動は、私はできないというふうに思いますけれども、この点について、大臣のお考えだけは聞かせていただきたいと思います。
  103. 島村宜伸

    島村国務大臣 私、就任前のこれは経済局長の通達の内容でございますが、今いろいろ御指摘いただきましたこと、それなりに私たちはよくこれから検討させていただきたいと思います。  また、最近のいろいろな、相次ぐ事件等もございますので、さらに、いわば預金者の不安というものが募っていると思いますから、そういうことが起こらないように我々なりの対応をしたいと思います。
  104. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 時間が来ましたので、最後質問をさせていただきたいと思います。  きょうは水産庁長官もお呼びをいたしておりましたけれども、このように農協も信用部門にさまざまな問題を抱えております。また同時に、農家の皆さんは、今回の米の価格の下落等で大変農業経営も厳しいということで、既往の制度資金の償還元利金の繰り延べですとか、あるいはさまざまな資金の手当ても、そういう御要請はあるというふうに思っています。  他の民間の金融機関では貸し渋りの現象が起きておる。私も北海道ですから、去年は年末の資金を同じような経営の不安定さの中でも貸していただいたのに、ことしは大変厳しくて、なかなか貸してもらえるような状況にならないという中小企業者のつぶやきが聞こえるのであります。農業の場合においてもこういうことにならないように、今さまざまな論議をしてきましたけれども、もちろん貯金者の信頼をきちっとしておくという意味で、農協自己資本比率を含めて、経営的なものをきちんとしておかなければならない。  同時に、やはり農協の使命という観点で、農家組合員の皆さんに対する貸し付けについてもきちんとした対応をしていただきたい。このことについての農水大臣のお考えをお聞きいたしたいと思います。
  105. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 まさに先生指摘のとおり、農協農家組合員の協同組織でありますし、農家のために機能するというのが基本的な役割でございます。もちろん、最近でこそ地域住民あるいは地域社会における機能の役割が増大しているということではございますけれども、基本的にはやはり農家農家経営のために果たすべき役割が基本だと思います。  先生指摘のような趣旨を踏まえて、農家への融資については十分の指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  106. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 終わります。
  107. 北村直人

    北村委員長 鉢呂吉雄君の質疑は終わりました。  次に、春名眞章君。
  108. 春名直章

    ○春名委員 日本共産党の春名眞章でございます。  最初に、法改正についての質問をさせていただきます。  まず最初に、この法改正は当事者となる漁協とか農協の皆さんからの強い要望が、要請があったのかどうか、そのことから、まず事実確認ですが、お答えください。
  109. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 お答え申し上げます。  基本的に、現在の農協漁協をめぐる状況、特に信用事業金融事情をめぐる厳しい状況の中で、貯金者の保護あるいは信用事業の健全な経営維持ということについての認識は大変強いというふうに考えております。そういう中で、今回の法改正をお願いしておるわけでございますが、同時に、現在、農協合併が複数の合併推進されておるということがございます。  そこで、現行の貯金保険法吸収合併だけを資金援助対象といたしておりますので、そういう意味では、現下の合併実態から見ましても、やはり新設合併の場合もこの法案の対象にするということが経営の健全化、さらには合併推進ということからも効果がある、そういう意味で、農協漁協系統組織から要請があったことを踏まえて、本法案の提出をいたしておるところでございます。     〔委員長退席、鈴木(俊)委員長代理着席〕
  110. 春名直章

    ○春名委員 合併推進のためにこの法律を改正するのですか。ちょっと私、驚くような答えだと思うのですけれども
  111. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 合併推進の前に、私が申し上げましたのは、この農協漁協をめぐる金融事情の厳しさを申し上げたわけでございます。  そういう意味でこの法案、もともとは、基本的には貯金者の保護というのが最大の目的でございます。しかしながら、貯金者の保護という場合に、最終的にペイオフ、貯金の払い戻しという手法をとる前に、経営困難に陥った組合を再建する、従来ですと吸収合併でございますけれども新設合併によっても再建する、それが最終的には全体としてコストの削減になるという面もございます。  先ほど申し上げましたのは、あわせまして、現在、農協系統組織全体として合併が進められております。それは広域合併実態でございますので、そのような場合には複数の組合合併が一般的でございますが、そういう際に、経営困難な組合がそうした合併構想の中に含まれているという場合に、その処理の一環としまして、この保険機構の発動の対象足り得るという意味で、この貯金保険機構の支援対象新設合併の場合も含むということを追加するということでこの法案を提出させていただいたという意味でございます。
  112. 春名直章

    ○春名委員 わかりました。  八六年の改正で、経営困難の農漁協組合資金援助によって吸収合併する、自力再建させることで貯金者を保護するという手法が導入されました。それから、九六年の改正では、信用事業を譲渡する場合も資金援助対象とする。そういうふうに機構の機能を拡充してこられました。二回にわたってこういう改善といいますか、改定をしてまいりました。  だから、これを見ますと、今の現行法で吸収合併と、信用事業の譲渡によって貯金者を保護するということはできると思うのですね。今おっしゃられましたけれども、今回新設合併ということで、健全組合経営困難な組合との合併については、今の吸収合併によって救済できる道筋があります。  さらに、特定合併ということでいいましても、経営困難組合が複数発生した場合でも、信用事業信連に譲渡した上で合併するとかそういう手法がありますから、現行法を適用すれば十分対応できるのであります。  漁協の場合は、信用事業信漁連への譲渡による一県一信用事業統合、これが方針だと思いますけれども、この場合も、経営困難に陥った場合に、信漁連への事業譲渡がされれば、現行法で支援対象となりまして信漁連への資金援助が行われていく、こういう道筋がきちっと決められていると思います。  だから私は、貯金者を守るというこの一番大事な観点、方針といいますか、その目的からいえば、あえて今法改正を行う必要を感じないわけなんです。なぜあえてするのか。だから最初に質問したように、漁協の方や農協の人たちからの強い要望もあるのかどうかということもお聞きしたわけですけれども、なぜあえてこれをやる必要があるのかということが不思議でならないわけです。  その点を改めて再度お答えいただきたい。
  113. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 お答え申し上げます。  経営困難な組合を救済する場合に、確かに先生指摘のように、現行法では吸収合併あるいは事業の譲渡というのがございます。確かにおっしゃるとおりでございます。過去の事例ではそういう形態によって救済したわけでございますけれども、他方、先ほど私が御説明申し上げましたのは、系統組織全体で進めております組織再編は、現在二千以上ある農協を二〇〇〇年を目途に約五百五十に集約、再編していこうという目標を掲げまして推進しておるわけでございます。そういたしますと、実態としては、通常、数組合が解散をしまして一つの新しい組合を設立するというのが現在の合併実態でございます。  したがいまして、そういう数組合合併する場合にその中に経営困難な農協が存在する場合に、その経営困難な農協の救済の手法として、そのような数組合合併して新組合をつくる場合、そういう場合もこの貯金保険機構資金支援の対象にしたいということで、そういう実態も踏まえた上で、この法改正を提出し、御審議をお願いしている次第でございます。
  114. 春名直章

    ○春名委員 今おっしゃられたとおり、広域合併対応できるようにしたいというのが真の目的だといいますか、真の目的と言ったら失礼ですけれども、そういうことが大きな目的になっているということはおっしゃられたとおりです。  それで、金融ビッグバンに対応する改正なわけですよね、横並びで。私たち金融ビッグバンそのものに厳しく反対しています。一部の巨大金融機関のみが生き残って、体力が弱い漁協やあるいは農協信用事業、共済事業が淘汰される危険があるからです。私はそのこと自身を問題にすべきだと思っております。今の農協経営の黒字の部分はこの部分で担っております。経済活動などは赤字で大変なわけです。この部分に荒波がかぶさってくるわけであります。だから、農水省としては、こういう荒波をかぶせるような金融ビッグバンそのものに対して批判的に戦ってもらいたいというように私は考えております。  それを前提にして、それをいかに乗り切るか、対応するかということで、今度の改正が出されてきていますし、その改正の行き着く先は、やはりもう合併して、リストラしていくじゃないですけれども、広域合併していく。今八割が新設合併ですよね。だから、それに対応してお金もつぎ込めるようにしていこうということであって、そういう意味でいいますと、私は到底承服できない改正案の中身であります。  中身のことを一言ちょっとお聞きしますけれども、今回の新設合併のケースのように、経営困難な農協を含んでいるがためにそれが障害となって合併に消極的になっている、そういうケースは一体どれぐらいあるでしょうか。
  115. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 お答え申し上げます。  私どもはこの法案を提出するに当たりまして、基本的には、本則でございます、経営のいい組合経営の困難な組合合併するというケースを基本的なケースとして運用したいというふうに考えております。しかしながら、農協あるいは漁協の場合には、どうしても島頭部、離島でございますが、あるいは中山間地域に立地をしている農協漁協がございます。そういう農協漁協を再建する場合に、自力でなかなか再建が困難である、近隣の農協合併をした上でリストラをし、事業縮小をし、施設の効率化を図り、そういったことで経営を健全化していく、そういう場合もあり得るということでこの特例の措置を入れさせていただいたわけでございます。  したがいまして、私ども、基本的には本則の、いい組合経営の困難な組合との合併を本則として運用してまいりたいということでございます。具体的に、特例の適用について現在の時点で考えているということではございません。
  116. 春名直章

    ○春名委員 私が質問したのは、その前の段階でして、健全組合と困難組合の、原則的にはそれに対応するということなんですが、そのケースがこれからどれぐらい生まれようとしているのか、こういう困難な組合があって広域合併新設合併がなかなか進まないというケースが今どれぐらいあるのか、それを把握したいということで質問したのです。
  117. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 現在、系統組織全体では、二〇〇〇年に向けまして二千二百から五百五十へ向けての広域合併合併推進を図っているところでございます。  私ども、直接には関係ございませんけれども信用事業の世界では来年四月から早期是正措置が導入されるということで、信用事業面での強化ということが同時並行的に進んでいるという状況にございます。  そこで、早期是正措置の観点から申し上げますと、先ほど申し上げましたように、百四十九の組合自己資本比率が四%以下ということで是正措置の命令になるわけでありまして、特に、そのうち自己資本比率がマイナスの組合が四十九ございます。そのような組合も、先ほど来申し上げましたけれども、自己資本のマイナスの程度がかなり格差がございまして、自己資本比率、自己資本のマイナスが数千万円あるいは一億前後、多くても二、三億、五億、そういった組合が恐らく過半を占めておるというのが現状ではないかというふうに思われます。  したがいまして、かなり大きな事故、初歩的な事故ではありますが、事故で不良債権を有している、そういう組合は数はかなり絞られてくるとは思いますけれども、そういう組合につきましては、やはり当該組合の自助努力、さらには県内におきます系統組織全体としての支援措置、そうしたものを経た上で、なお処理し切れない部分についてこの貯金保険機構資金支援の対象になるというプロセスを踏むというふうに考えております。  現在、先ほど申し上げました数字の中で、具体的にどの程度の組合がこの貯金保険機構対象になるかというのは、確定的には言えない状況にはございます。     〔鈴木(俊)委員長代理退席、委員長着席〕
  118. 春名直章

    ○春名委員 最後の一行が結論でしたね、それは。結論的には言えないということなので、次に進みたいと思います。  先ほどお話が出ました特定合併についてなのですけれども、さっき特定合併ということが特例的なやり方であって、原則的にはそういうやり方はしないが、予断を許さないじゃないけれども、そういうこともあり得るかもしれないということでおっしゃいました。  そこで、先ほどの鉢呂委員もちょっと質問されましたが、私も非常にこの点で、あっせんという言葉が出てまいります。知事のあっせんというのが出てまいります。そのときに、経営困難な農漁協の定義として、おそれがある組合貯金等の払い戻しを停止するおそれがある組合ということが述べられているわけであります。  知事や主務大臣の裁量が入らないかという御質問に対して、一つ一つ具体的に連絡もとりながら判断していく、抽象的にならざるを得ないというように最後はおっしゃったわけなのですが、どこに歯どめをかける措置があるのか、裁量が入らない歯どめというのはどこにあるのか。このことをはっきりさせないと、私が言いたいのは、二〇〇一年の三月までに、早期是正措置のようなそういう組合を、あっせんという裁量が入る中身でどんどん淘汰していくといいますか、合併していくというようなことにもなりかねないなという危険も感じていますし、そういう点で裁量が入らない歯どめはどこにあるのか、その点を明確にもう一度お答えいただきたいというふうに思います。
  119. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 お答え申し上げます。  基本的には、御指摘のとおり、払い戻しを停止するおそれのある農協の判断につきましては、具体的な数字の問題というよりも、むしろそれは当該対象となる組合が置かれている地理的な条件あるいは経済規模、収支の状況組合員の数、そういったことでかなり具体的にケース・バイ・ケースで判断しないとなかなか難しい。むしろ一律に数字で示す方がなかなか難しいのではないかというふうに考えております。  そのような意味で、私どもは、やはり個々のケースにおいてそれぞれの持つ、当該対象になった組合のその地域における規模事業収支を具体的に判断せざるを得ないというふうに考えております。  その際に、基本的には都道府県知事が第一義的な判断をするわけでございますけれども、私どもも、このような経営困難な組合同士の合併というのは、大変その後の、合併後の経営についても懸念が生ずるわけでありますので、それは当然のことながら都道府県知事もそこを十分に見きわめた上であっせんをする。  かつ、あっせんした上で、具体的にかなり厳しい経営の改善、例えば人員の削減あるいは事業の縮小、重複している施設の統廃合、そういったことも含めて厳しい実施計画を樹立させる。さらに、樹立して合併した経営困難な組合がさらにきちんと経営維持していく、そういうことを都道府県知事がきちっと指導監督をするということが極めて大事だと思いますので、そういうことを念頭に置きながら具体的なケースで判断をする。その判断に当たっては私どもも協議をするというふうにして、厳格な運用をしてまいりたいと考えております。
  120. 春名直章

    ○春名委員 先ほど、早期是正措置の中で、マイナスの組合が四十組合あるというふうに言われましたが、例えばそういうものを対象にするとかそういうことも考えていないわけですか。数字は出ないというふうにおっしゃいましたけれども、ケース・バイ・ケースですが、そういうことはないと。
  121. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 数字につきまして、ちょっと先ほどの私の発言で数字を訂正させていただきたいと思いますが、早期是正措置対象となる組合について百四十九と申し上げました。そのうちの自己資本比率が〇%未満、マイナスの組合について、たしか四十九と申し上げたかもしれませんが、八十四でございます。百四十九のうちの八十四が自己資本比率〇%未満です。  お尋ねはこのような組合対象になるかということかと思いますが、先ほど申し上げましたように、この自己資本比率がマイナスの組合、八十四の組合資金の内容でございますけれども自己資本比率がマイナスと申しましても、数千万円の単位あるいは一億から数億の単位の農協が実は過半を占めておるということは先ほど御説明申し上げたかと思います。そういった組合は、自己資本の増加だけで対応できる、自主再建ができるという組合もございます。  しかしながら、全体として言えば、やはり合併によって再建をせざるを得ないという組合がかなりあると思いますが、その際にも、本則の経営のいい組合と悪い組合の組み合わせ、あるいは複数の経営のいい組合の中で経営の悪い組合を吸収していく、そういうことを基本に指導してまいりたいというふうに考えております。
  122. 春名直章

    ○春名委員 お話をお聞きしていまして、やはりこの法案そのものが、余り必要性を感じないですね、改正すること自身に。やはり今のお話を聞いていると、流れは広域合併が今ぐんぐん進められていて、その流れに乗っかって、悪い言葉で言いますと、貯金者の保護を目的にしている、そのお金が合併を促進する呼び水に使われるようなことになりかねないという危惧を非常に感じます。  そもそもの大もとには金融ビッグバンという問題がありますけれども、そこに横並びで対応して、大きな要望もないこういう改正は、私は不必要だということを指摘をしておきたいと思います。  それから、あすも藤田議員が質問をさせていただくわけですが、新米政策について続いて質問をさせていただきたいと思います。  私は、この新米政策を読みまして愕然といたしました。適正備蓄水準の上限二百万トンまで備蓄を縮減するということで、二年間、十七万六千ヘクタールの生産調整面積の拡大を行うとしています。九十六万三千ヘクタールにその面積が膨れ上がります。これは、全水田面積の三六%、北海道、東北、新潟、北陸、四国、十五道県の作付面積を合計したものになります。私が住んでいる高知県は、四七%が生産調整減反率になると悲鳴を上げております。十二県が四〇%を超える莫大なものであります。昨年、身を切るような思いで、十一万ヘクタールふやされた目標を必死になってやりましたが、十二県が目標も達成できない、こういう事態でした。もう限界だと悲鳴が上がりました。  昨年十一月二十八日の私の質問の中で、これ以上の減反上乗せはやめるべきだという質問をしましたが、皆さんは、現実実態として限界感があるので前年度と同様にしますという答弁を昨年十一月にされました。限界感があるわけであります。その上に十七万六千ヘクタールを拡大するというのは一体何事でしょうか。どういう認識をされているのでしょうか。これがどんな事態を生み出すのでしょうか。その辺の認識をお聞きしたいと思います。
  123. 高木賢

    高木(賢)政府委員 生産調整は、食糧法におきまして米の需給均衡を図るための重要な手段として位置づけられておりまして、米の需給状況に応じて着実に実施する必要がございます。  ところで、現在の米の需給状況を見ますと、来年の十月末の国産米の在庫見込みは三百七十万トンということで、大幅な緩和基調となっております。これは昨年と大いに異なっている事態でございます。これを背景といたしまして、自主流通米価格も一万九千円とか二万円というところから一万七千円台ぐらいに最近はなっているという状況で、大いに価格が低迷をしておるという状況でございます。  こういう状況に対処いたしまして、米の需給価格の安定を図るということからいたしますと、これは生産者団体とも十分に意見交換をした結果でありますけれども、早急なる需給均衡の回復が必要であるということで、二年間での需給均衡の回復とそれに見合った生産調整規模拡大を図る、こういうことにいたしたわけでございます。
  124. 春名直章

    ○春名委員 いみじくも昨年高木局長が、ことしはもう限界感があるから同じにすると言われました。私はよく覚えております。一年前です。しかし、それを、こういうことになったので十七万ヘクタールふやすというふうに言われました。私は、これが一体どんな事態になるのかを本当に地に足をつけてお考えいただきたいと思います。  全国では、今耕作放棄地が十六万一千五百七ヘクタールあります。水稲の作付面積の十二分の一が既に耕作放棄地になっています。私の住んでいる高知県では千五百三十六ヘクタールが耕作放棄地で、既に稲作作付面積の十分の一が耕作放棄地になっている状況でございます。  私、別のときに、飯米農家にも減反を押しつけるのはおかしいではないかということも質問させてもらいました。部落がこのままいけばつぶれる、価格の安定などの恩恵にあずかっていないのに飯米農家がなぜ価格安定のためにと減反協力させられるのか、こういう怒りが噴き出してまいりました。  こういう状況で身を切るような減反をこれからやるわけでありますが、この十七万六千ヘクタールの減反をやって一体農家は利益が上がっていくのでしょうか。収入は上がるのでしょうか。そのことを、この米政策ではどうなっているのか、手短にお答えいただきたいと思います。
  125. 高木賢

    高木(賢)政府委員 米の生産調整面積を十七万六千ヘクタール拡大するということにいたしておりますが、その前提といたしまして、やはりこういう需給緩和の状況で、仮に逆に面積をふやさないで放置といいますか、そのままで推移をいたしますと、ただいま一万七千円程度で済んでいる米の値段はさらに下がっていかざるを得ないと思います。  生産調整を、たくさんの量をせざるを得ないという判断をしたのも、まさにこの面積の増加をしないでおきますと、いわば需給バランスがとれないという状態がさらに拡大をいたしまして価格も下がっていく、こういうことに対処して、まさにそういう状況に歯どめをかけ、さらには反転を期待するということで取り組んでいるわけでございます。これは一つに私ども官側が言っているだけでなくて、生産者団体、それぞれの皆様の、何といいますか、合意であるというふうに私どもは受けとめております。  そういうことで価格の下落の防止、さらには反転を期する、こういうことから取り組んでいるわけでございますが、一方で、その分、生産調整によりまして米からの所得がある程度減るということもやむを得ざるところだと思います。  そこで、米にかわりまして、需給率の低い大豆、麦、飼料作物というものの作付をふやす、さらに、農業者にとってはそれらの作物からの所得をふやすということで対応いたしたいと考えております。  そういう中で、農業者が合理的な営農をすれば、転作作物による所得の向上あるいは助成金などの交付ということをあわせますと、米と遜色のない所得の確保が可能となるということで対応しているわけでございます。
  126. 春名直章

    ○春名委員 今、遜色のないものだというふうに御答弁されたので、私は本当に遜色がないのかどうかということを調べてみました。  それで、委員長、一枚資料を配らせていただいていると思いますが、御容赦ください。この新しい米政策で十七万六千ヘクタール減反面積を拡大した場合、実際の農家収入はどうなるのか、減収額の試算というのをちょっとやってみました。この新たな米政策大綱の全部、隅々をよく読ませていただいて、これのとおりやったらどうなるかということをやってみました。  米価は、この三年間の基準額が一万九千百五十円、農水省の方が言っておられました、一万九千百五十円。十アール当たりの収量を八・四五俵、五百七キログラムとおっしゃっていましたので八・四五俵で計算をしますと、この十七万六千ヘクタールの中である収入は二千八百四十七億九千八百八十万円という金額になります。  それに対して、新政策で一番割のいい、一番率の高い大豆に全部転作したというふうに計算をしてみました。この六十キロ当たりの大豆価格は一万四千円で、十アール当たりの収量が約百七十三キロであります。生産調整助成金の最高単価、今度新しい政策で五万円になると思います。  この五万円というものの割合は、米需給安定対策の一般作物転作二万五千円、それと地域集団加入促進というのにも入って一番高いランクで五千円、合わせて三万円であります。それから、水田営農確立助成金の高度水田営農確立助成で二万円ということになるわけであります。  それから大豆助成金、新しく、先ほど言われましたお金ですが、水田麦、大豆、飼料作物の生産振興緊急対策というのが組まれております。この中の、これも一番上のランクの地域特認技術実施タイプというので見てみますと、この最高限度額が一万七千円であります。これを全部、単純なんですが、計算してみました。  そうすると千八百八十八億八千三百二十万円という金額なんです。だから、差し引きしますと九百五十九億一千五百六十万円、農家所得は実際減収するという数字になるのですよ。驚きました。とんとんでいくんじゃないか、遜色ないものが得られるんだというふうにおっしゃっております。  あす質問しますけれども、二・五%政府米を下げる、それからことしの減収分、物すごい暴落をしています、それも一部しか補てんされない。そういうのを全部合わせますと、さらにその減収額は膨らむわけであります。これで、どうして遜色ないと言えるのでしょうか。これは農家に対する負担増じゃないでしょうか。明確にお答えいただきたいと思います。
  127. 高木賢

    高木(賢)政府委員 ただいま数字を見せていただきましたが、その限りで、まず大きく二つ問題があると思います。  まず一つは、一万九千百五十円という前提をとっておられますが、生産調整をした場合としない場合との比較でございますから、生産調整拡大をしない場合に幾らになるかということでないと、これは公正な、あるいは公平な比較にはならないと思います。  一万九千百五十円は現在もう既に一万七千円台でありますし、このまま生産調整拡大しないでいて需給緩和のままで放置すればさらに下がるでありましょうから、その後幾らになるかという点についての見方は若干変わると思いますが、これを大幅に下回る価格になると思います。そういった価格を前提としないで比較をするというのはいかがかという点が第一点でございます。  それから第二点は、これは定量的になかなか難しいのですが、逆にこの生産調整をしたことによって価格の下落が防止されるという効果をどう見るかという点が抜けていると思います。  それから三番目には、収入と所得といいますか、これは全部一緒に足しておりますが、例えば米の収入はすべて所得にならないことは御案内のとおりでありまして、所得率は現在のところ四割ないし四五%ということでありますから、この数字から見てみますと、まあ千二百億前後ぐらいというのが実際の所得であろうと思います。  一方、助成金というのは、これは丸々所得になるものでありますから、こういう収入と所得という性格の異なるものを一緒に足し上げて議論するというのはいかがかと思います。  そういう点で、なお、この減収額試算を示されましたけれども、これの、まあ何といいますか、正確のほどはいかがかと思うというのが今の感想でございます。
  128. 春名直章

    ○春名委員 費用の点でいいますと、この大豆のあれだって、そんなことは全然捨象しているのですよね。  それから、一万九千百五十円ということがいかがなものかという話ですけれども、確かに、今の新食糧法の、あの欠陥だらけの新食糧法でどんどんどんどん低下していくということであれば、それはやはりこの金額が下がっていくということになりますから、私は、だからそれを言うんやったら、この新食糧法の下支えを放棄したその欠陥を正すべきであります。そこが最大の問題じゃないですか。  そして、これは確かにいろいろ、もっといろいろなことを加味しなければならないかもしれない。しかし、遜色ないことができるのだということをもうにしきの御旗にして、そういう言い方で農家の人たちを、まあ丸め込むと言ったら失礼な言い方ですけれども、そんなことになれば、私は踏んだりけったりだと思う。  先ほど最初に言いましたけれども、もう耕作を放棄するような土地すらたくさん今全国に生まれてきている。高知県の農業協同組合の人が私のところへ何回も来て、四七%減反されて一体どうするのですか、もう本当にこのままいけば縮小、再生産の道をたどることになると私は思います。  その一つの試算として出したものですので、そういうものとして見ていただければ結構ですけれども、本当にこの新米政策がそういう問題を持っているということをぜひ真摯に受けとめていただく必要があるのではないでしょうか。  さらに私の思いで言いますと、九七年、この十月末の在庫量は三百五十二万トンだということをお聞きをしております。そして、来年は三百七十万トンにこのままいったらなる、大変だ大変だというふうに言われているわけですが、調べてみますと、九四年から九六年までの米の総輸入量は、九四年を緊急輸入米の売れ残り分というふうに計算しますと、九四年から九六年までの総輸入量は百九十二万トンであります。九七年が六十万トン、これは入れていませんけれども、九四年のものを売れ残り分ということで入れているので、そこでまた御意見があるかもしれないけれども、しかし、規模としてはそれぐらいの規模のお米を外国から輸入をしているわけでしょう。  この輸入は一粒たりとも減らさないわけでしょう、これから。これからふえ続けていく。二〇〇〇年までふえ続けて、WTO協定の改定という問題がこれから議論になっていくわけですが、もう完全自由化になるのじゃないかというようなことが言われておりますけれども、そういう方向に対してはどういう努力をされたのですか。十七万ヘクタールを拡大しながら、輸入米に対してはどんな対策をとろうとしているのですか、どんな努力をしているのですか。そのこと、大臣どうですか。
  129. 高木勇樹

    高木(勇)政府委員 ちょっと数字的なこともございますので、私の方からまずお話を申し上げたいと思います。  今お話のあった中で、平成五年の大不作のときに輸入したもの、これは平成七年の十月末で在庫はゼロになっております。その後の、いわゆるミニマムアクセス米の輸入、これがあるわけでございますが、ことしの十月末で、いわゆる一年たってまだ販売が未達というのが二十九万トンあります。したがいまして、この二十九万トンにつきましては、私どもとして、国内産米の需給に影響を与えないように、今回その大綱の中にもきちんと書いてありますように、飼料用備蓄等として取り扱うということを決定しているわけであります。  そういったことでございまして、また、このミニマムアクセス米については、いわゆる加工用を中心に、かつて他用途利用米というものがございましたが、その需要が一部ございます。それにミニマムアクセス米を基本的には充てている。しかし、なかなかはけない部分が、今申し上げたようにこの十月末で二十九万トンある。これは飼料用備蓄等として扱うということであります。
  130. 春名直章

    ○春名委員 売れ残りのことを言っているんじゃなくて、これだけ輸入してきたという事実を言っているのでありまして、そして他用途米で対応しているといっても、それが日本の米の市場に影響しているのは明らかじゃありませんか。  その点で、私はやはり結論的に言えば、十七万ヘクタール拡大させて収入はどうなるかといって、さっきのお話がありましたけれども、外国からの米はそのままで、農家にやはり一番犠牲を背負わせていることになりませんか。大臣はその辺はどういう認識を持っておられるのか、ぜひ大臣の御認識をお聞きしたいと思います。
  131. 高木勇樹

    高木(勇)政府委員 済みません。他用途利用米のことでございますが、他用途利用米はかつて制度としてあったわけでございますが、生産者側がなかなかそういう安い米についてはつくりたくない、こういうことで、七年度から廃止をされたわけであります。その需要をミニマムアクセス米が、主として加工用でございますが、賄っておるということを申し上げたわけであります。
  132. 島村宜伸

    島村国務大臣 先ほど来お伺いしていると、生産調整によって農民が迷惑だけしているように受けとめるのですけれども、現実に私は最近全国を回る機会が多いのですが、どこへ行っても農民の方々には、今回我々のとった措置については非常に誠意を感じるという評価をいただいておることを、まず申し添えたい。  第二には、我が国の水田面積、まさにこれはフル生産、生産調整をやらなければ千四百万トンぐらいできる計算になります。我が国の米の需要というのは一千万トンを割っているわけですから、生産調整をやらなかったらどういうことになるのか。現に、自主流通米価格基準価格を大きく割り込んで九割前後、九〇%ぎりぎりぐらいまで落ち込んでいることは御存じのとおりで、現状でもこういうことですから、もしこれを野放しに生産をさせたらどういうことになるのか。結局御迷惑をなさるのは農民の方々であり、それこそ稲作についての自信を完全に失墜してしまうのじゃないか。  また、ミニマムアクセス米というのは、これはまさにウルグアイ・ラウンド農業合意に基づく国際約束でありますから、これをやめるということになれば、まさに約束違反。その背景には、やはり自由貿易というものを維持し、最大の受益国としての日本の現状を維持していくためには、こういう国際的ないわば協調もやむを得ないという判断からここに踏み切っている、こう理解していただきたいと思います。
  133. 春名直章

    ○春名委員 それでは、もう時間がありませんから、最後に大臣にお聞きしますが、先ほど木村委員も御質問しましたけれども、同じこの政策の中に需給ギャップがたくさんあるのに、それに冷水を浴びせるような措置を入れているわけですよね。  これは、六月三日の財政構造改革会議の閣議決定の中で、米飯の推進についての例の給食のですけれども、先ほど、その質問に対して大臣は、値引き措置では米飯の推進に進展ができない、効果がないという議論が閣議決定の中であって、なくなることになったというのを第一理由に挙げましたけれども、これは一体どういう意味ですか。
  134. 島村宜伸

    島村国務大臣 私の答弁、ここに今記録はありませんが、少なくも閣議決定の際に、値引き措置というものが米飯給食、学校給食の進展に影響がないというふうに言ったのではないはずであります。  ただ、私ども農林水産省の判断では、なるほど日本人の主食である米、そしてまた稲作経営に依存する農家実態等を踏まえまして、いかに手間暇かかってもやはり米食というものを維持していこうという考え方から、先ほども申したとおり、私はかつて十四年前の政務次官当時このことに一生懸命努力した記憶があるわけでありまして、その後、学校給食がこのまま継続して、それがそのまま米食の進展にそう大きな影響がない、事実、金額にいたしまして月間百四十二円ということでございますから、これは別の角度から何か支援すべきものというふうな判断をしたというふうに申し上げたところです。
  135. 春名直章

    ○春名委員 時間が来ましたので、最後に言わせていただきますが、大臣は参議院の特別委員会で、この財政難のときに、百九十二億円のこの金額も全体で見れば非常に大きな額になると言っておられるのです。大きな額なんだ、しかし、大きな額だから削るんだと言っているわけです。大臣はそういうふうにおっしゃっていました。  私に言わせれば、先ほど百数十円だというお話が出ましたけれども、全体の国の財政から見れば、ごくわずかなこれぐらいの金額をも削るというところに問題があると私は思っております。むしろこれをふやすべきだ、そういう措置に効果がないというのであれば、値引き措置をもっと引き上げて、もっと米飯ができるようにするというのが当然の方向じゃありませんか。なぜそれがなくすということになるのですか。この考え方を撤回していただきたい。米を本当に消費拡大するためにぜひ撤回していただきたいと私は強く訴えたいと思います。  最後に御答弁をいただいて、終わりにしたいと思います。
  136. 島村宜伸

    島村国務大臣 百九十二億は確かに巨額でありますけれども、学校体育予算が百九十億、そして社会体育予算が百七十六億とたしか記憶をいたします。私は、なるほど米飯学校給食も続けたらよりよいとは思いますものの、国家のこの財政事情にかんがみまして、大所高所の判断でそういうことになったというふうに思います。あなた方のおっしゃるように一つ一つ全部思う存分おやりになったら、国家はまさに破産する、私はそう思います。
  137. 春名直章

    ○春名委員 質問を終わります。ありがとうございました。
  138. 北村直人

    北村委員長 春名眞章君の質疑は終わりました。  次に、前島秀行君。
  139. 前島秀行

    ○前島委員 三十分ですので、後半で国有林のこともちょっと聞きたいので、数字的なことを最初にまとめて聞きたいと思うのです。  数字でなるべく言ってほしいのですが、先ほどから議論になっている不良債権実態、これは中金とか信連の方は出ていますから、特に単位農協レベルのその辺のところをどう掌握しているのかということが一つ。  それから、自己資本比率の問題で、中金は何%か。それから県信連、これは県によっていろいろ違いますので、平均的に何%か。それから、一つのバロメーターである四%を基準にして、下、上がどのくらいなのか。国際金融業務にかかわる一つの基準として八%、一〇%以上でないとその辺のどころは国際競争にたえられないなというのが大体の標準的バロメーターのようでありますけれども、その辺のところの、系統金融不良債権状況自己資本比率状況について数字で示してほしいということです。  それから、昨年だったですか、農協改革で法改正しましたね。そのときに、業務執行体制の強化という意味で代表理事の兼任の規制だとかあるいは経営管理委員会の選択的導入だとか、あるいは監査機能の強化等々を言われて法改正したわけでありますが、その辺のところがどのように進んでいるのか。一般論じゃなくして、可能な限り数字で出してほしいということ。  もう一つ、これは私、事前に言ってなかったかもしれませんけれども、中金と信連合併といいましょうか、強化状況がどのように進んでいるのか。ちょっとその辺のところを数字的に最初に示してほしいと思っています。
  140. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 お答え申し上げます。  何点か御質問がございましたので、順不同になるかもしれませんが。  最初に、不良債権のお尋ねかと思います。本年の三月期の時点におきます不良債権状況でございますが、信連と中金合わせて二千八百九十億でございます。  お尋ねの単協でございますが、これは来年の三月の決算期から不良債権開示するということになっておりまして、現在、私ども集計を承知いたしておりません。  ただ、先ほど来申し上げておりますように来年四月から早期是正措置を導入するということで、そのために試算をいたしておるわけでございますが、それによりますと、自己資本を下回る農協が八十四ございます。それが私どもの承知している数字で、具体的に全体の不良債権の額としては把握していないところでございます。来年三月期の決算開示をされるという状況にございます。  なお、私どもが承知している限り、他の業態、他の金融機関に比べまして、不良債権の比率は低いというのが私ども認識でございます。比率でいいますと低いというのが認識でございます。  それから次に、自己資本比率でございますけれども平成九年三月末現在で、信用事業を行っております二千二百八十四農協のうち、自己資本比率が二%以上四%未満の農協が五十一でございます。〇%以上二%未満の農協が十四でございます。〇%未満の農協が八十四でございます。合計百四十九ということで、この百四十九の農協早期是正措置の改善命令の対象になるということでございます。  次に、中金と信連自己資本比率でございますが、中金につきましては、来年四月からの早期是正措置の導入を控えまして、平成九年度、本年度におきまして、信連から後配出資の導入、これが一兆円でございます。それから劣後ローン、劣後債務の導入が五千億円ということで、これは国際基準を、農林中金の場合国際基準が適用されるわけでございますが、さっき三段階での集計も申し上げましたけれども農林中金自体で国際統一基準の規律、ルールでございます八%を超えるという状況になるというふうに承知をいたしております。  それから、信連自己資本比率でございますが、平成九年、本年の九月末の状況で申し上げますと、四十七の信連におきまして、四十七すべての信連が四%以上という修正国内基準をクリアしている、超えているということでございます。平均で申し上げますと、平成九年九月末、今年の九月末におきまして、自己資本比率が一二・〇七%というのが平均でございます。  それから、業務執行体制の整備状況でございますけれども、これはなかなか申し上げにくい点がございますのは、先生の御指摘がございました業務執行体制の強化、自己資本、内部留保の充実監査体制充実ということで、特に自己資本の充実につきましては、現在、来年四月からの早期是正措置の導入を控えて充実に努めているところでございますが、今申し上げました中で、常勤監事の必置あるいは中央会の監査の義務づけ等につきましては、実は来年四月一日からの施行ということもございますので、まだこれから取り組むということでございます。  そういう意味でいえば、むしろ、具体的な業務執行体制あるいは監査体制強化、これも、現在の早期是正措置に合わせます農協の改善計画あるいは合併計画の中におきます合理化、現在それを推進しているところでございますので、そういう中で、私どもも県あるいは系統組織と連携をとり、ともに推進してまいりたいというふうに考えております。
  141. 前島秀行

    ○前島委員 自己資本比率というのは、かなり修正している基準でのやり方ですから、実態はもっと厳しいというのが率直なところだろうと私は思います。しかも、単位農協ですと〇%未満が八十四、こういう数字、あるいは県信連も地域、県のレベルによったらかなり厳しい自己資本比率というのはいっぱいあるわけですね。  私が言いたいのは、この厳しい状況、しかも、ここ数日来の北海道拓殖銀行の動きだとかあるいは山一証券の動き、その他の金融機関への市場の対応というところを見ていますと、一年、上年前、要するに、住専のときの状況からさまざまな改革が論じられ、法改正もしたけれども、しかし、下部の実態はその動きに合っていないではないかというところを私は言いたいのであります。逆に、市場が農協の系統金融対応を乗り越えてしまう事態ということがあり得るのではないだろうか、二度と住専のような公的資金を導入して対応というようなことはない、こう見るべきではないだろうか。  あえて私がここでもって数字を、自己資本比率の問題だとか、あるいは不良債権の問題だとか、あるいは一年前に法改正した執行体制の問題、監査体制の問題等々がどれだけ進んでいるかということを数字で言ったのは、そういうところなのであります。したがって、監督官庁としてそう悠長な状況にはないと見るべきだろうと私は思いますね。  そこで、今度の保険機構対応も、正直、マイナスのところとマイナスのところをくっつけて果たしてプラスになるのかなとか、あるいはもともと赤字のところと赤字のところをくっつけてプラスになるのかな。いろいろ、どこまで突っ込むのか、何かずるずる突っ込んでいってしまって、結果的にはもう際限なくいってしまって残るものはなかったというふうに、先ほどの議論等々で、どこで歯どめをかけるのだというようなところを見ますと、心配の種がいっぱいあるわけでして、保険機構改正等々で事が済むというものではないような気がします。私はこう思います。  そこで、組織の改編あるいは系統金融の体質の改善ということを監督官庁としてかなり強力にやらないと、私は市場の動向に追いつかないということではないだろうかなと思います。  その一つとして、やはり体質を強化する、大手金融機関と対抗できるためには、いわゆる中金と信連合併を中心として、もっと足腰を強めていくとか、かなり根本的なことで対応しないと、私は追いつかない事態になってくるような気がいたします。  そういう面で、今度の法改正法改正としていろいろ問題点はあるのだけれども、これでは事は済まないなという感じがしますので、中金と信連合併を含めた系統金融の組織的強さみたいなものをどうやっていくのかということが一つ。  それから私、地域で見て、農協系統の強さというのは地域に密着しているということですね。しかし同時に、これがマイナスに作用する面も多々あるわけでして、ある地域には、その地域企業といいましょうか地域と余りにも癒着してしまって、ずるずる引き込んでいるところも私は何件か農協を知っています。あるいは、ある企業に大幅に資金融資した形でもって、ある農協の金庫にはある企業の株券がいっぱいある、株の動向によってはその債権が膨らんだり云々するという話があります、具体的なところは言いませんけれども。そういう組織の大改革を基本的にやるということと、それから体質についてやらないと、私は大変な事態になるような気がいたします。  そこで、監督官庁としての基本的なその辺のところの心構えといいましょうか、姿勢みたいなものを聞かせてほしいと思います。
  142. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 まさに先生が御指摘になったとおりの状況の中、大変厳しい状況にあるというふうに私ども認識をいたしております。これは系統組織におきましても、そのような厳しい認識は有しているというふうに私ども考えております。  と申しますのは、そういう中で、組織全体としてはやはり再編、つまり事業二段、組織二段にしていくという基本方針が系統組織全体として決議をされておるわけでございますし、御承知のとおり、組合の数も減らしていこう。ただ、それも単に組合の数を減らすだけではやはり体質の強化にはならない。そういうことで、人員の削減も三十五万人体制から三十万人体制に削減していこう。そういう目標を掲げて、系統組織全体として取り組んでいるというふうに承知をいたしております。  また、私どもそういう動きを支援しているわけでございますが、時同じく、金融事業につきましては、来年の四月から早期是正措置が導入される、さらに三年後の金融ビッグバンに向けて特例期間が切れるという時期にございます。  そういう意味でいえば、私ども、系統組織全体で取り組んでおります現在の組織全体としての再編、これは先生指摘のとおり、中金と信連の統合、経済連と全国連の統合、そういったものを含めてということでございますが、そういう動きの中で、信用事業につきましては、とにもかくにも来年四月の早期是正措置の導入に向けては、現在対象となり得るであろう百四十九の農協、特に自己資本比率がマイナスになっている農協、そういった農協については、具体的に大体私ども想定し得ますので、各県、それと県の組織を挙げて具体的な対応をつくり上げていく、既にそういう時期にございます。  私ども、県あるいは県の組織、さらに中央の中金あるいは系統の全国団体と現在連絡をとりながら、具体的な対応についての詰めを急いでいるところでございます。県によりましてかなり進んでいるところもございます。ややおくれぎみというところもございますが、いずれにいたしましても、来年三月までに全組合につきましてきちっとした再建の方途が示せる、そういう状況に持っていきたいということで、これから鋭意努力してまいりたいというふうに考えております。
  143. 前島秀行

    ○前島委員 個別のその百有余の、自己資本比率ゼロ以下のところはそれでいいのですけれども、それはある意味でいったら緊急措置みたいなものなので、もっとこれからのビッグバンに対応して、大手金融機関が都市銀行を初めとしてかなり小口金融の方に出てくることは間違いないのですし、それからもう一つは、郵政三事業がどういう方向に行くのかなという問題、やはりこれも郵政の一つの特徴というのは地域密着型というところがあるわけで、当面は恐らく長期の公共的なものとの対応になってくると思いますけれども、いずれはかなりの部分が地域に密着した形の金融活動という形になることは、私は間違いないと思っています。  そんなことを考えると、先ほど言った中金と信連合併だとか、あるいは信用金庫、信組等々のいわゆる協同組合金融との連携ということも、やはり模索をしたり検討する時期に来ているだろう。その辺のところを早目早目に監督官庁としてやっていかないと、市場が乗り越えてしまうという事態が、必ずここ数年の間に来る可能性が強いということですので、ぜひその辺のところはお願いをしたい。特にその辺のところを、大臣、決意として気持ちを聞かせてほしいと思うのです。
  144. 島村宜伸

    島村国務大臣 先ほど来、御意見を承っておりまして、私は同感であります。
  145. 前島秀行

    ○前島委員 具体的なことはまあいいです。いずれにせよ、これは、市場に追い越されてしまわないように真剣に取り組む緊急の事態だというふうに思いますので、指摘しておきます。  それで、ちょっと国有林のことについて最後に聞きたいのですが、大臣、国有林はこれからも国の責任で一元的に管理をしていくのだ、よろしゅうございますか。
  146. 島村宜伸

    島村国務大臣 まさに我が意を得たりでありまして、私は終始この主張を貫いてまいりました。まずそのことが認められるのだろう、そう考えております。  改めて釈迦に説法をする気はございませんが、国有林の果たす役割は極めて大きいものがございますし、特に、国土や環境の保全あるいは空気の清浄化、水資源の保護、いわばすべての面で国民生活に必要不可欠でありますし、我が国の森林面積の約三割を占める国有林の管理、これは極めて重要であります。  また、森林は、育成、管理を適切に行うことによってその有する機能が高度に発揮されるものでもありますので、我々農林水産省といたしましては、国民共通の財産である緑と水を守っていくという観点から、国有林は一体的に育成、管理することが必要であり、森林施業の技術を有する林野庁が一元的に保有管理することが適切かつ効率的であると考えております。
  147. 前島秀行

    ○前島委員 改めて私が聞いたのは、何かここのところの集中審議の過程で多少ふらふらしてという部分も感じたものですから、改めて、国の所有、国の責任で一元管理するのだ、これからの国有林のあり方とそこのところは密接に結びついてくるから、私はそこのところを確認をしたわけです。  それで、それなら、どうこれからの国有林を整備しようとするのかということなのですね。  財政構造改革会議へ出した資料等々を見ますと、いわゆる国有林の公益性を重視した部分と、生産活動といいましょうか、そこを重視した部分を大きく比率を変えている。このことは、どういうことをやろうとしているのか、どういう意味なのかというところが大事で、ここをちゃんと方法として明確にしてもらわないと困るわけでして、この農林省が財政構造改革会議へ出した資料の中でみずからこう言っているのですね。  森林は国土保全、多面的な機能を発揮している。これらの機能を発揮するためには、人工林であれ天然林であれ、間伐、除伐等の手入れを通じて健全な森林状態にすることが必要なんだ、こうみずから言っているわけで、天然林であれ人工林であれということなんですね。  ここが私は非常に大事だと思いますので、この公益林の四六%から七九%に比重を変えた森林の整備はどうするのか、それを保証するための制度措置はどうしていくのかというところを、施業の方法を聞いているのじゃないのです。要するに、四六%から七九%になった公益林の部分の森林を管理するための仕組み、公益性を発揮するための制度的仕組みはこうします、具体的に言うとどれだけ金をつぎ込みますという部分を含めて、ちょっとその辺のところの管理の仕方といいましょうか、整備の基本的な枠組みを示してほしいと思います。
  148. 高橋勲

    ○高橋政府委員 先生お話しのように、国有林の管理を従来の木材生産機能重視から公益的機能重視に転換する。量的にいいますと、従来、木材生産林として五四%ぐらいを考えておりましたけれども、これからはその利用を二一%ぐらい、つまり、国土保全とか水源涵養あるいは森林と人との共生というふうな公益的な機能を発揮させる森林について七九%に比率を高めていきたい。  その森林につきまして、もちろん木材生産林で従来のように木材を生産しつつ、手入れをしながら、これまで植えて育ててきた部分を間伐をしたり手入れをする、これはもう当然でありますけれども、公益林といえども、やはりその中で人工林もあれば天然林もあるわけですが、やはり手入れは必要であります、森林施業としての手入れが必要であります。  従来、木材の収入ですべてを賄うということで、木材生産林に対しての経費をその負担でカバーし、公益林についてなかなか経費の出どころがなかったという点があったわけでありますが、今回考え方を抜本的に変えまして、独立採算制を前提とした企業特別会計制度はこれを廃止しまして、一般会計繰り入れを前提とした特別会計制度に移行します。そして、そういう形で公益林という形になった森林にもちろん一般会計からの繰り入れを行って、管理運営をしていきたい。  それから、国土保全や水源涵養、こういう森林の施業につきましては、これまで従来も助成がありましたけれども、その従来の助成を拡充しつつ、一般会計から繰り入れて、経費を負担して森林を整備していきたい。  こういうふうな抜本的な改革を、平成十年度予算要求をしているというところでございます。
  149. 前島秀行

    ○前島委員 その制度的なことで、具体的にそれを一般会計の金の面で確認したいのです、仕組みを。  いわゆる水土保全の対象として分けたおおむね三百九十万ヘクタールの部分、この部分に対する事業費、人件費の国庫補助の比率はどうなっているのか。それから、おおむね百六十万ヘクタールと言われているいわゆる資源循環利用、要するに人工林といいましょうか、生産林の部分に対する人件費、事業費の国庫補助の比率はどうするのか。ここのところをちょっと示してほしいのです。
  150. 高橋勲

    ○高橋政府委員 具体的に水土保全と木材生産林、循環林について区別して、その中の人件費とかその比率とか、その計算までは持ってきておりませんけれども、従来、一般会計から入れていた造林や林道を実行する助成の資金は、平成九年度でいいますと二百七十億という計算でありましたけれども、それを新しい仕組みでは通年ベースで五百三十億の一般会計からの繰り入れを予定して、従来ベースからいいますと約二倍の一般会計の繰り入れを要求しているところであります。
  151. 前島秀行

    ○前島委員 そうではなくて、三百九十万ヘクタールの水土保全地域については、人件費に該当する部分は全額、事業費の部分については四分の三ですか三分の二ですか、これと、それから木材生産林の方の百六十万ヘクタールの部分については、事業費は民間並みに二分の一国が責任を持つ、一般会計からです。この方針を確認していいですか。
  152. 高橋勲

    ○高橋政府委員 公益林につきましては、人件費を繰り入れて、その中での仕事につきましては三分の二の助成比率にしよう。それから、木材生産林については、事業費は二分の一でいこう。それは、そういう予算要求をしております。
  153. 前島秀行

    ○前島委員 そういう方針である。したがって、公益性というところはそういう形で確保していくのだ、こういうことだろうと思いますが、問題は、これは現実にこの予算措置が保証されなければ絵にかいたもちであってどうしようもない、こういうことになるわけであります。問題は、そういう基本方針でこういうふうに公益林と木材生産林の方を分けたけれども、それを実施するための財政補てんがなければ、すべての話はパアになってしまう、戻ってしまう、こういうことだろうと思うので、その辺の財政的な保証ということをちゃんと責任を持って約束してもらわないと、これは絵にかいたもちなんだ、こういうことだろうと思っているのです。  そこで、最後に大臣、確認をしたいのです。  要するに、国有林というのは、今までどちらかというと、農村地域における生活基盤という歴史があった。それがその後、生産基盤といいましょうか、材木を提供するという形に変化をしてきて、そして今、自然環境的基盤といいましょうか、そういう方向に国民の要求というのが変わってきた、こういうふうに見ていいと思うのですね。それにこれからどうこたえていくかというのが、公益性を重視するという森林の管理のあり方だということになるだろうと私は思っています。  そこで、公益性を重視するから仕事のやり方を変えたことによってというのでは困るのです。すなわち手間暇を抜いてもらったら困るということなんですね。そういう面で、手間暇をかけた国有林の管理という原則、そのためには財政の保証をちゃんとしますよということが一つ。それから、地域に密着した国有林の管理でないと今の時代にこたえられない。国民の国有林だとは言えない。もう一つは、健全な環境と資源を一体的に、永続的に維持していくための国有林の管理。そういう意味で、私は、一体ですね、国の責任でやりますねと。この三つの基本的な方針があって、そして先ほど言われたような仕組みと財政の保証があって初めて、我々はそれなりに理解をするというところなのであります。  そこの最後の財政の保証といいましょうか、これは大臣がちゃんと約束してもらわなければこの方針は全部すっ飛んでしまうわけなんですが、その辺のところの責任を持つ、財政保証はする、担保するからというところの決意みたいなものを認識と一緒に聞かせてもらって、私の質問を終わります。
  154. 島村宜伸

    島村国務大臣 委員指摘になられましたように、確かに初めは地域に根差すというだけであったかもしれませんが、その後は木材の販売等で国家の財政にも経済的に貢献した時期も実はあったわけであります。それが三十年代に入りまして、木材が輸入の自由化を見まして、三十九年からは完全自由化ということから、輸入材木が大量に国内に入り、価格が低落し、また国内的には賃金が大きく上昇したこと等もありまして、大変に財政上の負担が耐えられなくなり、現状三兆五千億のいわば借財が生じている。  このままいきますと、こちらでは自立できないで、ただいたずらに財政上の赤字が累増するだけでございますので、我々とすれば、当然のことに、高い公益性に照らして、これはもう採算が合わないからやめるというものではありませんので、やはり国民の安全な生活を守るために不可欠であるとの判断から、これからも国有林の管理に関しては万全を期してまいりたい、こう考えます。当然のことに、地域に密着した管理でなければならない、これは改めて申すまでもないことだ、こう思います。
  155. 前島秀行

    ○前島委員 終わります。
  156. 北村直人

    北村委員長 前島秀行君の質疑は終わりました。  次に、堀込征雄君。
  157. 堀込征雄

    ○堀込委員 最後質問をさせていただきます。先ほど来議論がありまして、いろいろ問題点の指摘がありました。多少不明確な点について質問させていただきます。  今日、金融情勢が大変な状況になっているわけでありますが、昨年の住専国会、公的資金導入についてさまざまな議論があったわけでありますが、談合的な手法といいますか、公的な処理ではなくてそういう手法で、預金者のいない六千八百五十億円という公金が投入された。あのとき、もしもう少し母体行責任なるものと一般出資者の責任はいかにあるべきか、あるいは大蔵省と農林省の間にあった念書というようなものは一体、法的にどういう責任になるのかとか明確にされて、公的資金投入のルールについてもう少し議論が詰まっていれば、今日の金融危機に対して、あるいは不良債権の処理に対して、もう少し有効に機能し得たのではないかというふうに私は思うわけであります。  今、拓銀の処理などなど行われているわけであります。預金保護は本来、預金保険機構役割でありますが、財源がありませんから、日銀特融という、これも紛れもない公的資金が投入されているわけであります。これも最終的な負担者がはっきりしない国債みたいなものでありますから、国債の日銀引き受けなんということになると、これは財政法で禁じられている措置だというようなことになりまして、やはりここはきちんとした国際的にも通用するルール、それから日本政府の断固たる姿勢というようなものがフェアに形成されるようなルールをつくり上げていかなければいけないのではないか、こう思うわけであります。  そこで、本法は預金保険法と一体的に提案をされ、一体的に処理をされるものだろうということなんでありますが、先ほど来の質問で、仮に貯金保険機構が財政難に陥った場合、保険料を引き上げたり、あるいはほかの資金を投入したりということに普通はなるわけでありますが、そういうことは想定していないという先ほど来の答弁でありますし、例えば県からの公的な資金投入というようなケースは想定していない、こういう答弁でございました。  しかし、先ほど鉢呂議員から、信連あるいは中金というような系統金融全体を考えた場合に、やはり貯金保険機構というもののあり方を考える必要があるのではないかという指摘がございました。私もそう思うわけでありまして、けさの新聞では一斉に、預金保険法について、自由民主党が改めて通常国会に新しく、保険金の支払い原資を日銀から借り入れる場合の政府保証をつける措置を講ずるんだ、つまりこの国会でこの法律を通して、もう一度次の国会でそういうことをやりますよ、こういうことが報道されているわけですね。そういうことになりますと、やはり我が貯金保険法もそういう流れを見ながら、全体的に安定したシステムにつくりかえるような措置検討すべきではないか、こういうふうに思います。  ちょっと前段の質問がございましたので、余り予告していない質問でございますが、御答弁をお願いしたいと思います。
  158. 島村宜伸

    島村国務大臣 経営の困難な農協について貯金保険機構資金援助等で対応しておりますが、貯金保険機構については、先ほど来お話し申し上げておりますように、責任準備金を取りましたことがなく、平成八年度末責任準備金で一千三百六十二億円であることからすれば、当面財源的な心配はないという判断に立っております。  仮に貯金保険機構財源に不足を生じるような場合には、短期的には農林中金または日本銀行から借り入れを行うことにより対応し、長期的には保険料率を引き上げることにより対応することとなります。  なお、ただいま御指摘がありました一般金融機関経営問題を契機に、大蔵省等において検討が開始されている金融システム安定化のための追加的方策につきましては、今後各方面において十分に議論が尽くされるべき問題であると考えており、その検討の推移を見守りたい、こう考えております。
  159. 堀込征雄

    ○堀込委員 ですから、この国会でこの法律は預金保険法とあわせて議論するわけですが、さらに公的資金導入のルールなどについてもきちんとした仕組みを次の国会でもう一度議論して上げましょうという法律を既に自民党さんが検討を始めているということでありますから、ぜひ貯金保険法についてもそういう抜本的な仕組みについてやはり検討すべきではないか、こう思うわけでありまして、その辺についてはひとつ検討を要望しておきたいと思います。  そこで、これも先ほど来の質問で明確でないのでありますが、要するにこの法律は恒久的措置と時限的措置がありまして、貯金保険機構が、二〇〇一年三月までは救済農協がない場合でも直接資金援助することを可能にしているわけであります。あるいは経営悪化のJAが合併する場合は新JAを、新しい農協を設立する、それぞれ不良債権貯金保険機構が時価で買い取って、そして資金援助をする、こういうスキームだろうというふうに思うのです。  先ほど来、都道府県知事のあっせんということについてどうも基準が明確でないという御指摘がありまして、ちょっと角度が違った答弁なんかもあったのですが、私も先ほど来のやりとりを聞い  いまして、裁量行政といいますか、そういうことが結構日本の今日の金融システムのいろいろな問題を引き起こしてきている。あるいは住専なんかも、私自身覚えているのですが、もう二年も前に実はこの委員会質問しているが、手をつけないできてああいうことになってきている。それから大和の問題だ。最近では、山一の簿外債務の問題は、富士は十月五日に知っていて、大蔵ももう少し前に知っていたのではないかなんという話もあるわけであります。  そういう裁量行政みたいなことをどうやって避けながら、市場のルールに基づいてあっせん措置を講じられるかというところだと思うのですが、そこはいかがですか。
  160. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 お答え申し上げます。  まさに先生指摘のとおりだと思います。こういう大変厳しい金融情勢の中でございますので、系統の金融機関として、これは中金を筆頭としまして、信連単協と系統金融全体が力を発揮していく、そのためにはやはり貯金者の信頼を得るということが一番重要だと思います。そのためにも、基本的なところを、やはり業務内容の公開、開示、ディスクロージャーが一番重要な問題であろうというふうに考えています。  そういう点からいえば、これまで不良債権につきましては、農林中金信連というふうに開示をしてきておりますし、単協につきましても来年四月、つまり、今年度の決算期から不良債権について開示をするということで既に進めているわけでございます。  同時に、ちょうど同じ時期に早期是正措置が導入されるというタイミングになっているわけでございまして、不良債権開示は正式には三月期からでございますけれども、私ども、資産内容について、業務内容についての試算をいたしております。  そういう意味で、多分早期是正措置対象になるであろう農協について、百四十九の農協対象になるであろうということで、具体的な内容を、県あるいは県の系統組織、あるいは全国の団体、つまり中金なり信連協会なり、お互いに具体的な内容を把握しつつ、来年三月までに向けて、そうした単協も含めまして、合併なり資本増強によって経営内容を改善していく。そういうことによって、地域の金融機関として役割を果たしております系統金融機関が、さらに健全な形で、より一層地域の住民の方々の、そして組合員方々の信頼を得るような形での経営が継続していけますように、関係団体、そして県あるいは県の組織、そういったところと密接な連携をとりつつ進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  161. 堀込征雄

    ○堀込委員 そこで、これも先ほど来質問がありますが、農協法を改正したり、要するに農協側の業務執行体制だとか、自己資本の内部留保の充実だとか、監査体制だとか、いろいろなことを法改正をやってきたわけですね。先ほど話を聞いていまして、進んでいるといえば進んでいるのでしょうが、来年四月なのですけれども、なかなかうまく進んでいないのではないかという実感を持つのですね。何というか、仲間意識みたいなところがやはりJAはあるのだろうというふうに思うのですよ。ですから、外部監査なんかも、中央会監査もいいことにはなっているけれども、社会の金融機関としてはちゃんと公認会計士を入れなくてはだめよというような、これはせっかく法改正したのですから、余り仲間内でやるということではなくて、今日の、まさに橋本総理が言っているような三原則に基づいた、フェアな、開かれたJAの金融体制をつくるために、強力な行政指導といいますか、やはり相当やってもらう必要があるのではないかというふうに私は思うのですが、いかがですか。
  162. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 確かに、系統組織の扶助と申しますか、助け合い、協力というのが一つの組織として力を発揮する際の利点にもなっているというふうには考えますけれども、他方で、御指摘のように、業務内容のチェックといった面では、やはり甘い点が出る懸念があるということはそのとおりだと思います。  そういう点から申しますと、昨年に改正をしていただきました農協改革二法の中でも、検査体制の強化ということを掲げまして、常任監査あるいは員外監査、さらには、中央会におきましては公認会計士を必ず置くというような義務づけをつけまして、検査の能力アップに努めているというところでございます。  また、私どもこれまで、検査につきましては、それぞれの指導監督部局、すなわち、農協でありますと経済局、漁協でありますと水産庁、林野なら林野庁ということでそれぞれ検査を所管していたわけでございますけれども、やはり指導監督部局からある程度距離を置いて、検査は検査としてした方がいいということで、官房に検査部を設けまして、農協担当、林野担当、水産担当、それぞれが一体となって総合的に検査をするということで、検査機能の強化を図ったということでございます。これは、各県におきましても、やはり同様に検査体制の充実ということが重要でございます。  人数につきまして、ちょっと具体的な数字は申し上げられませんが、最近ではやや増加という状況でございます。必ずしも人数的に大幅な増加は見られません。しかしながら、私ども、検査員の資質の向上ということで、検査員の研修についてかなり質を高め、頻度を多くして、現在研修も行っているところでございます。  県、私ども一体となってそういった検査体制、検査能力の向上に努めておりますけれども、これは現在、そういった点の重視を系統組織も考えておりまして、中央会におきましても研修の強化を図っているということでございます。  そういうことと相まちまして、系統組織の経営の健全化にさらに努めてまいりたいというふうに考えております。
  163. 堀込征雄

    ○堀込委員 最後に、一部の報道で見たわけでありますが、JAとちぎの場合、経営破綻不良債権処理をする際に、債権管理回収機関というようなものを栃木県内に設立をして不良債権の回収に当たるんだ、こういうことが報道をされているわけでありますが、これから不良債権の回収ないしは破綻農協の債権回収にそういうものを各県に設立していくという意向があるのかどうか、そういう指導をしていくつもりがあるのか、あるいは全国にそういうものをつくるということなのか、ちょっとそこのところをお聞かせをいただきたいと思います。
  164. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 お答え申し上げます。  確かに、栃木県の場合には、不良債権の処理の手法として債権管理回収機関を設立いたしまして、そこに不良債権を譲渡いたしまして、その不良債権を一定の期間で償却をしていくという手法をとるというふうに、報告というか話を聞いておるところでございます。  経営困難な農協を救済する場合の手法といたしましては、幾つかございます。新設される農協が吸収し得る場合もあると思います。それから、この栃木の場合のように、特別に債権の管理機関を設立をいたしまして、そこを受け皿として不良債権を処理する、こういう手法をとるところもございます。  これは系統組織では、こういう手法が現実的にとり得る手法の一つであるということで、具体的な設立の内容、手続等につきましても検討を終えて、全国的にはこういう手法もあるということで指導と申しますか、そういう実施の方法については示しておる、開示をしているという状況かと思います。
  165. 堀込征雄

    ○堀込委員 終わります。
  166. 北村直人

    北村委員長 堀込征雄君の質疑は終わりました。  次回は、明二十七日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二分散会