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1997-12-04 第141回国会 衆議院 内閣委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十二月四日(木曜日)     午前九時開議 出席委員   委員長 谷津 義男君    理事 植竹 繁雄君 理事 久野統一郎君    理事 小林 興起君 理事 穂積 良行君    理事 倉田 栄喜君 理事 西村 眞悟君    理事 佐々木秀典君 理事 瀬古由起子君       稲垣 実男君    今村 雅弘君       岩永 峯一君    大村 秀章君       熊代 昭彦君    佐藤 信二君       近岡理一郎君    虎島 和夫君       野田  実君    平沢 勝栄君       石井 啓一君    石田幸四郎君       西村 章三君    萩野 浩基君       藤村  修君    坂上 富男君       中沢 健次君    中林よし子君       深田  肇君    熊谷  弘君  出席国務大臣         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 村岡 兼造君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 小里 貞利君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)     鈴木 宗男君  出席政府委員         内閣官房内閣内         政審議室長   田波 耕治君         内閣法制局第一         部長      秋山  收君         内閣総理大臣官         房広報室長   上村 知昭君         内閣総理大臣官         房管理室長   榊   誠君         総理府賞勲局長 平野 治生君         行政改革会議事         務局次長    八木 俊道君         行政改革会議事         務局参事官   坂野 泰治君         警察庁警備局長 伊達 興治君         総務政務次官  熊代 昭彦君         総務庁長官官房         審議官     大坪 正彦君         総務庁長官官房         審議官     西村 正紀君         総務庁長官官房         審議官     瀧上 信光君         総務庁人事局長 中川 良一君         総務庁恩給局長 桑原  博君         北海道開発庁総         務監理官    小野  薫君         北海道開発庁計         画監理官    青木 東雄君         外務省総合外交         政策局国際社会         協力部長    朝海 和夫君  委員外出席者         郵政省通信政策         局政策課長   元女 久光君         自治大臣官房総         務課長     木寺  久君         内閣委員会調査         室長      新倉 紀一君     ――――――――――――― 委員の異動 十二月四日  辞任         補欠選任   虎島 和夫君     大村 秀章君   鹿野 道彦君     藤村  修君   寺前  巖君     中林よし子君 同日  辞任         補欠選任   大村 秀章君     虎島 和夫君   藤村  修君     鹿野 道彦君   中林よし子君     寺前  巖君     ――――――――――――― 十二月一日  元日赤救護看護婦に対する慰労給付金に関する  請願藤木洋子紹介)(第八一三号)  同(藤田スミ紹介)(第八一四号)  同(瀬古由起子紹介)(第九二七号)  同(松本龍紹介)(第九二八号)  国民祝日に関する法律改正に関する請願  (小坂憲次紹介)(第八一五号)  同(堀込征雄紹介)(第八一六号) 同月三日  恩給欠格者救済に関する請願石井一紹介  )(第九八五号)  同(河本二郎紹介)(第一一三七号)  元日赤救護看護婦に対する慰労給付金に関する  請願倉田栄喜紹介)(第九八六号)  同(瀬古由起子紹介)(第九八七号)  同(山原健二郎紹介)(第九八八号)  同(辻第一君紹介)(第一〇七五号)  同(吉井英勝紹介)(第一〇七六号)  同(青山二三紹介)(第一一二九号)  同(北橋健治紹介)(第一一三〇号)  同(倉田栄喜紹介)(第一一三一号)  同(寺前巖紹介)(第一二三二号)  同(藤田スミ紹介)(第一一三三号)  同(山本幸三紹介)(第一一三四号)  国民祝日に関する法律改正に関する請願  (小川元紹介)(第一〇七七号)  同(北沢清功紹介)(第一一三五号)  同(宮下創平紹介)(第一一三六号) 同月四日  人事院勧告凍結抑制等反対に関する請願  (瀬古由起子紹介)(第一二一八号)  元日赤救護看護婦に対する慰労給付金に関する  請願古賀誠紹介)(第一二一九号)  同(渡辺具能紹介)(第一二二〇号)  同(稲垣実男紹介)(第一四〇五号)  同(古賀正浩紹介)(第一四〇六号)  同(金子一義紹介)(第一四七七号)  同(金田誠一紹介)(第一四七八号)  同(穂積良行紹介)(第一四七九号)  同(池端清一紹介)(第一六二八号)  同(木島日出夫紹介)(第一六二九号)  同(児玉健次紹介)(第一六三〇号)  同(萩野浩基紹介)(第一六三一号)  同(春名直章紹介)(第一六三二号)  同(穂積良行紹介)(第一六三三号)  同(松本善明紹介)(第一六三四号)  同(萩野浩基紹介)(第一七一五号)  国民祝日に関する法律改正に関する請願  (村井仁紹介)(第一二二一号)  恩給欠格者救済に関する請願浅野勝人君紹  介)(第一二二二号)  同(久野統一郎紹介)(第一二二三号)  同(渡辺具能紹介)(第一二二四号)  同(砂田圭佑紹介)(第一三四六号)  同(村山達雄紹介)(第一三四七号)  同(森田一紹介)(第一三四八号)  同(伊藤英成紹介)(第一四〇七号)  同(亀井善之紹介)(第一四〇八号)  同(吉田六左エ門紹介)(第一四〇九号)  同(稲葉大和紹介)(第一四八〇号)  同(小川元紹介)(第一四八一号)  同(大村秀章紹介)(第一四八二号)  同(戸井田徹紹介)(第一四八三号)  同(原健三郎紹介)(第一六三五号)  同(宮下創平紹介)(第一六三六号)  同(木村隆秀紹介)(第一七一六号)  同(栗原裕康紹介)(第一七一七号)  同(杉山憲夫紹介)(第一七一八号)  同(中山利生紹介)(第一七一九号)  同(葉梨信行紹介)(第一七二〇号)  同(平沼赳夫紹介)(第一七二一号)  同(村田敬次郎紹介)(第一七二二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十二月二日  人事院勧告凍結反対賃金改善部分早期完  全実施等に関する陳情書外六件  (第二〇一  号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  行政機構並びにその運営に関する件  恩給及び法制一般に関する件  公務員制度及び給与に関する件  栄典に関する件      ――――◇―――――
  2. 谷津義男

    谷津委員長 これより会議を開きます。  行政機構並びにその運営に関する件、恩給及び法制一般に関する件、公務員制度及び給与に関する件及び栄典に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。倉田栄喜君。
  3. 倉田栄喜

    倉田委員 新進党の倉田でございます。  昨日、行政改革会議において、いわゆる省庁再編案等行政改革についての最終報告が出されたということであります。総務庁長官、この間、いろいろ経過がある中で、大変御苦労なされたことだろうと思いますけれども、きょうは、内閣委員会、昨日の最終報告を受けて、私の方から、特に行政改革等についてお尋ねをさせていただきたい、こう思います。  まず、昨日の最終報告でありますけれどもマスコミ等さまざま議論がありましたし、各界各層からいろいろな意見が出されておったようでございます。取りまとめに当たられました長官として、この最終報告をどのように、総括という言葉が適切かどうかわかりませんけれども総括をしておられるか。また、長官として、いろいろな方の御意見を取り込んだ中で、必ずしも長官本来の所信どおりになったのかどうかわかりませんけれども長官自身としてはこの最終報告というものをどのよう評価をされておられるのか、点数をつけるとすれば何点ぐらいつけられるのか。この点からお尋ねをいたしたいと思います。
  4. 小里貞利

    小里国務大臣 各民間団体、あるいはまた学者、専門家皆様方が、一年間の長期にわたりまして真剣に行革会議取りまとめのために御討議をいただきましたおかげさまによりまして、お話しのとおり、昨夜最終報告取りまとめるに至りましたこと、大変感激深く、関係各位の御協力に感謝を申し上げております。  なおまた、ただいまお話がございましたように、政党を初め国会内外皆様方からも、去る九月三日に中間報告を申し上げまして以来、特に自由濶達議論をお聞かせいただきました。可能な限り政党あるいは内外国民の声に耳を傾けながら、さらにまた、行政改革本来の基本精神あるいはその理念を堅持しながら、これが調整と申し上げましょうか調和を保ち、そして、これからの一世紀と申し上げましょうか、いわば百年の大計というその大きな目標を失わないようにこれが取りまとめに当たってまいったつもりでございます。  しかしながら、ふなれな私どもの取り扱いでございまして、必ずしも皆様方の眼力に相こたえられるものであるかどうか、大変そういう意味におきまして、何と申し上げましょうか、とりあえず、まとめましたものを率直に御批判をいただくと同時に、また御協力をいただきたい、さような気持ちでございます。  なおまた、将来の戦略を見据えた新たな省庁再編の実現と、現行省庁の半減というようなことなどを中心にいたしました。言葉をかえて申し上げますと、一府十二省庁のこの大原則などを守り抜く、そしてこれを軸にいたしまして、できるだけ合理的な、そしてまた簡素で国民本位一つの柱を組み立てていくというその基本などは貫かれたものである、私はさように思っておる次第でございます。しかしながら、中身は、これからまた先生お尋ねになろうかと思いますが、これからの研究、研さん、間断なき研究、研さんである、さように思っております。
  5. 倉田栄喜

    倉田委員 今、長官お話お答えの中に、二つ要点があったように私は思います。一つは、この行政改革の本来の理念精神、これをいかに堅持するかということと、同時に、新聞報道でもさまざま出ておりましたけれども各界各層意見を取り入れながら調和をさせていかなければならない、そこに長官御苦労もあったのかと思います。  私は、各界各層意見を取り入れていく中で、行政改革本来の理念精神というのがこの最終報告の中にどのように堅持をされたのか、そして、では行政改革精神理念というのは最終報告にどのような形であらわれているのか、それが検証されなければならない、このように思っております。  今、長官は、ともかく一府十二省、この基本を崩さない、ここだけは何とか守れた、こういうふうな御答弁であったように思いますけれども、私は、長官にこの間お尋ねさせてもいただきましたけれども、今回の行政改革目的理念、それは何だったのか。一府十二省という、そういういわば省庁の姿を圧縮する、あるいは場合によれば看板の書きかえに終わる、これが本来の目的であったのかどうか。それは形だけの議論に終わっていないのかどうか。  私は、行政改革の本来の目的は、今ある現状省庁でやっておられる仕事、その性質、そして戦後ずっとキャッチアップ体制の中で行政肥大化をし続けてきた、それを見直すことの中で、その機能というものに着目をし、その性質というものに着目をし、本来こうあるべきだという姿に戻さなければならなかったのではないのか、こういうふうな気がいたしてなりません。  そういう意味で、今回の一府十二省ということが、いわば、今ある現状省庁の形を大体大枠そのままにして、各界各層のいろいろな御意見を聞く中で、どことどこをくっつけたらみんなが納得をするんだろうか、そういう議論に終始しているのではないか。今我々が、日本の二十一世紀にあるべき行政システムとして本来どうなければならないのか、その中身議論からまず始めて、その上で実は、省庁の姿、あるべき組み合わせの姿が決まらなければならないのではないか、こういう気がいたしておりますけれども、その点、長官は、一府十二省というのは守られた、こうお答えになりましたが、その中身はどうでしょうか。
  6. 小里貞利

    小里国務大臣 大変至当なお尋ねであると思う次第でございますが、ただいまお話がございましたように、現在の一府十二省、一行政委員会、八庁を、ただ単純に一府十二省庁に答えとして持ってきました、そしてそれがありきでございますという進め方は、私は、一番正しからざる、改革理念から申し上げまして最も乏しいやり方である、そのように最初から私なりに認識をしてかかったつもりでございます。  申し上げるまでもなく、今回の省庁再編というのは、いわば明治十八年に始まりました内閣制度を、百十二、三年でございましょうか、その歴史、伝統、業績、人脈、そしてそれぞれなりの国民評価を得たいとした機能を、今回、全面的に見直さなければならない。殊に、戦後五十年余りを経て肥大化いたしました、そして硬直化いたしました政府組織というものを、思い切ってこれを改革いたしまして、戦略的で簡素効率的、かつまた透明性を得たいわば政府を実現するというところに私は根本があったと思う次第です。  もっと言葉をかえて申し上げますと、現在の日本社会情勢下において行政というものは何を果たすべきなのか、それを基本に置きまして、お話がございましたように、排除するべきものは勇気を出して排除する、そして維持するべきものはこれを大事に維持する。あるいはまた、将来の展望に立ってもう少し加えておかなければならないものがあるのじゃないかと予想せられる確たるものは加える。私はそのような抜本的な、前向きで大胆に切り込んでいく一つの姿勢というものが大事であった、さように思う次第でございます。  もう一つこの機会に申し上げたいのは、中央省庁再編に当たりましては、やはり政策企画立案機能というものを最も大事に考えなければならない。したがいまして、政策企画立案機能実施機能をはっきり言って分ける、ここがまた一つの大きな基本であると思います。  本省は、いわゆる前者の方に重点を置くべきである。と同時に、縦割り行政も長い間の指摘事項であり、これはむだである。これは、もう国民、各世論が一致した話でございますから、この弊害をきちんと排除をする。そして、高い視点と広い視野から政策立案機能を発揮させるための大くくりのいわゆる一府十二省庁というものの枠を決めた。  そして、その決める前後におきましては、先ほど先生からお話がございましたように、横の方の、私も申し上げましたように、簡素化、あるいは中央から民へ、あるいは民にゆだねられるべきものは積極的にゆだねる、あるいは統廃合、整理合理化できるものはこれを断行する、あるいは地方分権も進めますよ、規制緩和もやりますよ、そういうさまざまの極めて大きな要素がありますから、それも総体的に進め、それを横にらみしながら、そして、次の省庁再編というものばいかにあるべきか、それも見据えながら、総体的に今次その作業がスタートをいたしました。そして、その一基軸が昨夜決定をいたしたものであります。  さよう認識をいたしておるところでございます。
  7. 倉田栄喜

    倉田委員 今長官からお答えいただいたことは、州府十二省という大枠をくくることからスタートすることが果たしてよかったのかどうかという、こういう問題意識も含めて、私はおおむね納得できる話であります。  しかし、問題は、今長官が総論的にお話しになったことが今回の最終報告の中でどこまで生かされているのかということであります。  例えば今、長官は、企画立案部門執行部門、いわゆる独立法人化、エージェンシーの問題も出されました。いかに機能化するか。これはまたもう一度議論をさせていただかなければいけないと思いますけれども、要するに、この問題であったとしても、形をどうするかというよりも、今長官お話ように、まさに機能化するかどうか。そこに行政評価をどうきちっと位置づけるか、外部監査をどうきちっと位置づけるか、その執行部門自律権をどう与えていくか、そこが問題でなければならなかったはずであると思います。単に組織を切り離して、新しい独立法人形式のものにすれば済む話ではないわけであります。それは、今長官お答えになった問題意識のとおりだと私は思います。  その一点から見てもわかるように、ちょっと私は細かく申し上げますけれども、例えば海上保安庁という役所がある。今回、国土交通省になる。その機能論とか性質論着目していくならば、いわば取り締まり海上保安庁というのはある意味では取り締まり的な部分ですから、そういうところが、いわば建設省を主体としていく今後の国土交通省の中に入って、それがよかったのかどうか。  本来の行政改革視点からいけば、機能面性質面着目していくならば、また、時代の要請である事前裁量型業者行政と言われるものから事後監視型行政というものに転換をしていくということが一つの、これはいろいろ意見はあるかもしれませんけれども、要望だとすれば、実は今、行政自体の中に組み込まれているそういう性質論にも、機能論着目して省庁再編がなければならなかったのではないのか。  例えば、もう一つ細かな例を申し上げますけれども麻薬取締官厚生省の中にありました。今回は労働福祉省ですか、そういう省の中に、従前厚生省にあったから、厚生省がさらに大きくなって、そのまま労働福祉省の中に入っていく。しかし、麻薬取締官というのは、それは、薬というのが厚生業務の一環であったとしても、しかし取り締まりというのは、本来、先ほど申し上げましたように、事前裁量的行政から事後監視型行政転換をしなければならないというもし基本方向があるのだとすれば、この際、そこだってそうではない、その監視型行政システムの中で位置づけなければならなかったのではないかという気が私はするわけです。  今、二点だけ例を申し上げましたけれども、そういう視点から考えたときに、長官お話しになりました一府十二省という大枠の形の中でいかにおさめるか、そこだけが先行をして、戦後ずっと肥大化し続けてきた行政、いわば権限縄張り争いの中で、各省庁がいかに自分たちのところに権限、権益を取り込んでいくかということの中で、さまざまな性質のものを何か関係があるからということで取り込んできたもので、めちゃくちゃになってきてはいないのか。そこに着目しなければならなかったのではないかと私は思うわけです。  今、この二点の例を申し上げさせていただきましたけれども、本当に長官中身の問題、長官自身としてこれでいいとお考えになりますか。
  8. 小里貞利

    小里国務大臣 ただいま議員お尋ねをお伺いしながら、率直に申し上げまして、海上保安庁あるいは麻取の問題等、複雑な経緯があったな、そういう感想も持っておるところでございます。  議員が御指摘になりまする点も、必ずしも私は否定するものでもございません。いろいろ議論の起伏がございましたが、最終的には、昨夜、最終的に取り仕切らせていただきました結果が妥当である、そういう判断をさせていただいた次第です。  殊に、もう国土交通省の中に入りましたことなど御承知でございますから、例えば海上保安庁業務は、法令違反取り締まりに加えまして、領海警備海難救助、あるいは海洋汚染防止灯台業務水路測量等、多岐にわたっておりまして、しかも、これらの業務海上保安庁のいわば活動の中心でありますことも御承知のとおりでございまして、海上保安庁海事行政を担う国土交通省のもとに置くことが至当であろう、こういう判断をいたしました経緯でございます。  正直申し上げまして、申し上げましたとおり複雑な経緯もございましたけれども、二者択一は避けて通れないところでございまして、私どもは、このようにきちんと整理をさせていただきました経緯も御了承願いたいと思います。
  9. 倉田栄喜

    倉田委員 複雑な経緯があって、妥当な結論だったと思っている、長官のお立場としてそう答えざるを得ないのかもしれません。しかし、長官自身も、先ほどのお答えの中にありました、縦割り行政弊害をなくす、単に今ある省庁をくっつけることによって大きな窓口になったから縦割り弊害がなくなるということでは私はないのだと思います。  先ほどから繰り返して申し上げておりますけれども機能性質着目した中で、二十一世紀行政システムはどうあるべきなのか。もう随分前になりましたけれども、いわゆる垂直型思考から水平型思考へ、いわば、縦割りの発想の中から、横割りという、分野別にきちっと大きくくるめた中で新しい省庁の姿というのは考えなければならないのではないか、そこがどうも私にはまだ見えにくいわけであります。  そこが見えにくいのだとすれば、例えば、国民の皆さんが期待をしている今度の行政改革によって、私は、行政仕事というのは、単に減らせばいいというものではなくて、今の仕事をきれいに整理して、行政におられる方々も仕事がしやすくなる、非常に効率的になった、非常にコスト的になった――親方日の丸だからお金は幾らでもあるということで、行政がやることについてはコスト意識なんか考えなくてもいいんだということではないと思うのです。いかに効率化していくのかということも今回の行政改革の、さっき長官お話しになりました簡素で効率的で透明なそういう政府行政システムをつくる。  私は、マスコミ等々、批判立場に立てばいろいろな厳しいこともあるのかもしれませんけれども長官立場で、お取りまとめ立場にあられる方は本当に多くの御苦労があるのかもしれないけれども、しかし、効率化という側面から見た場合でも、どうも今回の省庁再編案最終報告、余り見えていないな、どうしてなんだろうという気がしてなりません。  長官は、この点はどうお考えになりますか。
  10. 小里貞利

    小里国務大臣 まず前段の方からお答え申し上げますが、お話がございましたように、縦割り行政弊害というのはもう申し上げるまでもございません。言葉をかえて言いますと、従来の垂直型の所管システムと申し上げましょうか、いわば特定の省庁が専権的に所管するそのような姿が、行政縦割り硬直化弊害を招いてきたということはもうお認めでございます。まさに私どもはそういう判断に立ちまして、行政目的あるいは機能別省庁を大くくりに再編いたしますよ、これが一つあります。  縦割り行政が幾つもある。そしてそれが、同じ目的、あるいは広い意味で申し上げますと同じ役割を担っておる。そういう一つの実態がございましたから、これを合わせましょう。そして合わせまして、そこで重複したものは合理的に整備できますね、それからまた横の情報がよくとれるようになりますね、大くくりという一つの枠組みでやかたに入っていくわけでございますから。  そういう意味におきましても、従来と比較をいたしまして、各省庁が、みずからの任務に照らしまして、必要な政策提言を他省庁にも行い得るシステムを導入することができるわけでございますから、そのよう意味で、いわば従来の省庁の垣根を超えた情報交換の、あるいは同一業務推進の軸のもとに集約化できるわけでございますから、そこにいわゆる建設的な政策論議あるいは遂行の役割というものを期待する、期待できる、さよう判断をいたしておるわけです。  もう一つは、内閣官房や内閣府など内閣の機能強化によりまして、多様な行政分野にまたがる複合的な行政課題への対応も合理的、効果的にできるのではないか。それらによりまして、総合性のある、いわばダイナミックな政策展開を図り得る中央省庁体制の構築ができる、さように思っておる次第です。  なおまた、今回の再編は、先ほども申し上げましたけれども、単なる現行省庁の組み合わせでは決してないのでありまして、今申し上げましたように、横割り思考をも十分に取り入れた新たな体制を提案できる、期待できる。いわば幾つもありました縦割りを一緒にしまして、そして、情報交換もするし、効率的な業務の体制も施策も組み得るし、いわゆる従来の幾つもあったその縦割りの間においてありましたものを横ぐしで、幾らこれを機能的に連携させようとしてもできなかった縦割り行政一つの悪い随習がありましたから、そこを破りました。ここにもひとつ御理解をいただきたい、さように思います。
  11. 倉田栄喜

    倉田委員 今、長官お答えは、単に今ある省庁を組み合わせたということではありません、縦割り弊害をなくすために先ほど申し上げさせていただいた横割りの思考というものをもって考えたのです、そういうお話でありました。  しかし、そこがどうも見えないのです。確かに、縦割り弊害の中で、省庁をくっつけて大きな窓口になって、今最後の方に長官お話しになりましたけれども、内閣の機能をもって総合的に調整をする、巷間さまざま言われている縦割り弊害をなくす、そういう効果はあるのかもしれません。しかし、今私たちが求められているのは、二十一世紀にあるべき行政の姿はどうなければならないのかということであります。  そうだとすれば、もうこれは繰り返しになりますけれども機能性質着目をして、垂直型というよりも水平型に、機能的に、あるべきところはもっと強化し、なくしていいものはもっと大胆になくす。長官お答えの中にありました、総理のお話の中にもありました、中央から地方へ、官から民へ、こういう大きな流れの中で実は国民は今回の行政改革を期待したわけであります。  ところが、そこが見えない。同時に、国民から見れば、一府十二省となりまして省庁がくっつきました。では、今回のこの一府十二省案でどれだけの行政仕事が減ったのですか。スリム化だけということはないかもしれないけれども、スリム化される部分はどこなんですか。あるいは機能強化の面は内閣法のお話をされるのかしれませんが、そこはお答えにならなくていいと思いますけれども、どこがスリム化されたのですか、どこが行政仕事が減ったのですか。そこが私にはわかりません。
  12. 小里貞利

    小里国務大臣 まさに先生からこの時点で御指摘いただきますことは、これまたよくぞお尋ねをいただいた、私はそういう実は感じを持つ次第です。議員が御指摘になりますことは、私は決して否定は申し上げません。まさにそのとおりだと思うのです。  今、私どもは、先生も御承知のとおり、行政改革会議という諮問機関から内閣として答申をいただきました。そして、内閣といたしましては、けさほどの閣議におきまして、行政改革会議最終報告はまことにもって至当でございます、最大に尊重いたします、これを一つの台本にいたしましてこれから実行にかかりますと。その実行の第一なるものは、いろいろございますけれども、とりあえず省庁再編、そして内閣機能の強化、このことを、焦点と言えば言い過ぎかもしれませんけれども、まず当面の喫緊の課題として実現方に努力を尽くしますという意味の閣議をけさほどいたしました。  したがいまして、おかげさま、一府十二省庁という一つの枠組みが、一応政府の正式の作業日程化することができましたから、きょうからその努力を尽くしてまいります。そして、一府十二省庁中心にいたしました改革の骨組みなるものが、でき得れば越年いたしまして三月、四月ごろは国会に御相談できればいいがな、そういう念願のもとに作業をしてまいります。  あわせまして、今先生から御指摘がありましたように、縦割りを超えて、そして全体的に効率的に、また簡素で、そして国民本位のものをつくりますよという目標を持っておりますから、その目標のもとに、今までもさまざまな、規制緩和を初め、あるいは民間にゆだねるべきもの、あるいは公社化してこれをスリム化するもの、あるいは地方分権なり、それぞれ作業を始めておりますから、これらの作業とあわせまして、お話がありました新しい省庁のそれぞれの中身におきまするはめ込みを、具体的に精力的に尽くしていかなければならぬ。  そのときに、前々段階でお尋ねがありましたように、排除するべきものはきちんと排除する、そしてとるべきものはとりますという、この基本方針で対処していく作業が積み上がっていく過程で、先生から要請が、御指摘がありまする行政改革のいわば作品というものが目に見えてくる、具体的姿というものが目に見えてくる。その間におきましてもぜひただいまのそのような建設的、前向きの御提言を、御忠告をいただきたいものだ、こういう気持ちでございます。
  13. 倉田栄喜

    倉田委員 長官お答えの中に、この最終報告、内閣として至当なものでございます、こういうお答えがありました。しかし、その後段、今お話しになったこと、それがまさに求められている課題なんだろう、こう思います。  それを受けて、今後内閣として、本当に、ああなるほど目に見える形になったなと。キャッチアップ体制と言われる、集権化体制と言われる状況の中で行政仕事が本当に大きくなり過ぎた、中央自身も本当に仕事を抱え過ぎた。前回のこの内閣委員会で、中央政府の純化あるいは専門化ということも私は申し上げさせていただきました。やはり橋本内閣として、そして総務庁長官として、この部分は、この仕事はもう民に返しますよ、この部分はもう地方に全面的に、委託ではなくて移譲をいたしますよ、そういうことが形として姿として見えなければならないのではないか、そこがまだ見えていないと私は申し上げているわけであります。  そこで、官房長官お尋ねをいたします。総務庁長官のお考えは、大体私はわかりました。ぜひその決意で、具体的な中身で今後勝負をしていただきたいと思うわけであります。  今回の行政改革を取り組むときに、官から民へ、中央から地方へという大きな流れがありました。総理も本会議でそのことはお話しになりました。しかし、そういう大きな部分があったとしても、具体論になるとなかなか見えてこない。それは、立てるべき原則のところに、私は、基本原理原則として欠けているものがあるのではないか。  例えば、補完の原理、補完の原則というのが今言われています。つまり、民ができることは、民間でできることは官はやりませんよ、行政はやりませんよ、そして、地方でできることは中央はやりませんよ。中央でやらなければならないこと、行政がやらなければいけないことは、もちろん中央政府自身が持つ本来的機能はあるべきだとしても、地方ができないこと、あるいは全体的に総合的に中央でやった方がいいこと、効率的であること、そういうことに徹しなければ、なかなかこれだけ肥大化し続けてきた今のシステムを根本的に改革することはできないのではないのか、こういう思いを持っているわけであります。  官房長官、今私が申し上げました補完の原理、補完の原則、このことについては長官はどういう御認識をお持ちでございますか。
  14. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 私、官房長官になって間もないのでございますが、行政改革会議のメンバーではございません。小里総務長官からいろいろお話がございました。行政改革会議最終報告については、官民の役割分担の適正化の観点から、この基準を基本とし、国の事務、事業は民間活動の補完に徹する基本考え方をとるべきものとされたと承知をいたしております。  先ほど来の議論を聞きまして、実は昭和に入ってから五十年、一府十二省庁、大くくりした。いろいろ御批判もありますが、例えば国土交通省にいたしましても、今まで陸海空、今度一緒になったとか、あるいはごみの行政についても数省でやっておった、交通行政にいたしましても十一ぐらいの省庁でやっておった、こういう一つの問題が出てくるわけであります。  ただ、先が見えない、確かにそうでございます。私は、これからだ、こう思っております。来年の三月には、この一府十二省庁基本法案を出さなければいけない。  それから同時に、片一方で規制緩和というのがございます。ところが、相当張りめぐらされた規制ですね、相当なくしましたけれども、また経済対策でもなくしましたけれども、まだまだあるわけであります。やりますといっても、まだ一年二年かかるものがあるわけであります。こういうものも、規制緩和というものは根強く絶え間なく一つずつやらないと、国際社会に対応もできない。しかし、今まで業界としてこれになれ親しんできましたから、抵抗もございます。先生方にも御協力いただいて、この国際化社会に合うような規制の撤廃または緩和、これもしていかなければいけない。  それから、地方分権と言われておりますが、第四次の地方分権の勧告が出ました。五百何十本という報告を聞いておりますけれども、莫大な作業でございまして、これらを、地方分権をどうしていくのか。私が聞いておりますところは、何千人かの人によって一年ぐらい作業がかかる。  だから、正直申し上げまして、この一府十二省庁にしたから見えないというのもごもっともだろうと思いますが、私どもも、それから先生方にも御協力いただいて、これからがこの行政改革あるいは六大改革を上げていく一番の大事なところに差しかかってきている。私どももそのよう考えまして、行政改革の実を上げるべくこれから最大の努力をしてまいりたい、こう考えております。
  15. 倉田栄喜

    倉田委員 官房長官からお答えいただきました。  質疑時間が終了したということでございますので、まだ質問を大分残すことになりますけれども長官お話しように、規制の撤廃、緩和についても、検討して、いろいろ各界各層意見を聞いて出てくるもの、それで果たして十分なのかどうか。この際思い切って、規制の根拠となる法令、通達等々も含めて、一回全部廃止する、そしてその上で新しく組み上げる。そしてさらに、規制の撤廃、監視の検討を続けている間に、各委員会でさまざまな法律がつくられて、また新たな規制が出てくる、そんなことでは私はどうしようもない、こんなふうに思います。そこはどうぞ総務庁長官、官房長官、大胆に国民に見える形でやっていただきたい、こう思います。  外務省の二重払いの問題がありましたけれども、時間が参りましたので、次の機会に譲りたいと思います。  終わります。
  16. 谷津義男

    谷津委員長 御苦労さまでした。  西村眞悟君。
  17. 西村眞悟

    西村(眞)委員 私の質問は、行政改革等々でも関連するのですけれども、この点は大丈夫なのか、つまり、我が国の国家機関は、外国人の日本における諜報活動に対する対処能力は大丈夫なのか。  なぜなら、橋本総理自身が、十月三十日の予算委員会で、自分が交際していた中国人の身元が諜報部員であるかどうか、調べるのか否かの質問に答えて、そんなのわかるか、調べてわかるなら諜報部員、スパイとは言えないだろうと、我が国の国家機関があたかもその点で無能力である、全く対処能力がないのだという発言を行い、それが今や海外のマスコミの注目するところとなっておるから、これはどうしても調べねばならないという問題意識から出発しているのです。  また、今、委員長のお許しを得て、私が提出した質問主意書とそれに対する回答書を委員の皆さんにお配りしておりますが、なぜお配りするかといえば、この回答書こそは、内閣が内閣総理大臣の名前で衆議院議長に書いた、空前絶後の虚偽の文書であるからです。  なぜ虚偽かといえば、この橋本総理が交際を認めた中国人は、現在日本に帰化しております、平成八年に。それも異様な速さで、申請から数カ月で帰化が認められておる。私も弁護士時代に帰化に携わったことがありますけれども日本国の国家機関は、帰化するに際しては徹底的に調査するのだ。サッカーで有名な呂比須選手でさえ、帰化は申請から一年を要している。この中国人の帰化申請は数カ月だ。政府としては、帰化においては徹底的に調査する。しかし、この内閣の文書では調査したことはないと断言しておる。したがって虚偽だという、この前提からお聞きいたします。  調査能力は大丈夫なのか。二十年前にはレフチェンコ事件というのがあって、彼がKGBのスパイで、日本では政党マスコミを操作して情報を得たと。そして、アメリカではインタビューに答えて、日本はスパイ天国だと言っている。  また、ソビエト崩壊後に出てきたクレムリンの文書では、中公新書に「クレムリン秘密文書は語る」という本が出版されておりますけれども、我が国の政党、複数の政党は、クレムリンの指示どおりの政策を流すように工作して、それは成功したと書いておる。  ソビエトが崩壊して、冷戦が終わったと言われている。しかし、アジアには三つの共産主義独裁国家がある、これは事実ですね。  北朝鮮の在日秘密工作機関の元機関員が、文芸春秋に「「洛東江」の二十年」、我々は日本人を拉致したんだと書いておる。学習組という、いわゆる北朝鮮の方々の在日の組織が、三千名から五千名の党員を擁して、学習組とある。それで、今、日本のラジオの短波に入る乱数表による暗号を受ける者は、工作員ですね、日本国内に二百名ほどいるだろう。このターゲットは在日アメリカ軍基地と日本の原発である、こういうふうに言われておるわけです。  したがって、日本人があれほど速やかに北朝鮮に拉致されるのは、外から来て連れていくのではなくて、日本国内に拉致をする組織があるから、それと連動して、あれほど速やかに連れていかれた。  では、中国ではどうか。天安門事件の際、日本でも中国のデモがあった。それを公然と、中国の官憲らしき私服を着た人物が、写真撮影、ビデオ撮影している。それは我々のテレビで流れて、国民公知の事実となっておる。  これが、大丈夫かと言う私の前提の事実の概略なんです。大丈夫かという疑問を持たざるを得ない。  もしレフチェンコの言うよう日本がスパイ天国なら、我が国は国家の体をなしていないだろう。橋本総理が言うように、自分のつき合っていた中国人の人物の身元が我が国では調査できない、内閣総理大臣自体が調査してわかるはずがないだろうと言うなら、国家の体をなしていない。同盟国は、我が国に重要な情報ほど提供しなくなる。  しかし私は、我が国国家機関は、地味な仕事でありますけれども日本が国家の体をなしていないという、対外的信頼が全くないという状態に陥るのを回避するために、活動は、努力は続けていると信じておるのですが、官房長官、その私の確信というものは正しいのでしょうか。それとも、橋本総理が言うように、全く調査してもわからぬのですか、我が国は。この前提からちょっとお聞きします。
  18. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 西村先生、外国諜報部員のいろいろな事例を挙げたり、お詳しいようでございますが、私に対する質問は、我が国に対する外国の諜報活動については必要な対応をしている旨の答弁をしているが、本当に我が国のかかる能力はきちんとしているのか、こういう趣旨であろうと思っております。  我が国の関係機関は、我が国に対する外国の諜報活動についてもちろん重大な関心を持っており、これらの活動に関連して検挙した事例もありまして、私はきちんと対応していると考えております。
  19. 西村眞悟

    西村(眞)委員 回答書によると、橋本総理が交際していた中国人を調査したことはない、今後も調査する必要はない、今度も調査しないんだ。ということは、この中国人の身元が中国の公安部つまりスパイであるという報道は、九月に入って、週刊文春、アエラ、夕刊フジ等々が相次いで核心的に、ドキュメントを握っているという前提で報道しておる。この報道を日本政府は否定も肯定もできないんだ、こういうことですな。  これは、イギリス、アメリカも報道しておる。同盟国の、向こうから見れば同盟国の内閣総理大臣の信頼にかかわることで、かつ、西側諸国では、過去の事例で見れば、こういう疑惑があれば衆議院自身が徹底的に究明する、内閣の組織自体が徹底的に究明する。そして、その事実を国民に公表する。こういう事例なんです。  我が国は、西側及び我が国国内で今報道されている、橋本総理がつき合っていたのは中国の諜報部員だ、スパイだという報道を、否定も肯定もせず、このまま放置するということなのですか。放置するのですか。
  20. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 先生いろいろ言われましたけれども先生は、中国の諜報部員ではないかと。しかし、私の承知しておるところでは、質問主意書の答弁で答えているとおり、現在具体的容疑がないので調査の必要がない、こういうふうに私は承知しております。
  21. 西村眞悟

    西村(眞)委員 官房長官、具体的な事例がないとかあるとか、回答書には調査していないからわからないと書いておるのですよ。調査して具体的な事例があるならば、調査の必要はない、それはいい、納得する。ないと書いておるじゃないですか、調査したこともないと書いておるじゃないですか。  それからもう一つ。  私は、自分の提出した質問主意書に対して、いやしくも国家の機構としてこの問題を重視しているならば、本件は公開の場で答えられない、こういう回答があってしかるべきだ。それと、翻って、わかっていることは徹底的に公表する。この二つに一つしかない。この回答書こそは虚偽の回答なんだ。内閣の閣僚が閣議で決定して、衆議院議長に虚偽の回答をしたんだ。なぜなら、先ほど言ったように、この女性は帰化しているじゃないか。帰化しているということは、徹底的に調査しているということだ。調査していない、これは虚偽だ。  だから官房長官調査していないのに調査する必要があるかどうか決定できないでしょう。何を答弁されているのですか。昨日、この方は、北京の公安局の出身だと法廷で証言したのですよ。いまだにその答弁を繰り返されるのですか。  橋本総理は、既に、我が国の国家機関が本件問題に関しては無能力だ、調べようがないという発信をして、ワシントン・ポスト、それからイギリスの新聞社、私に取材に来るのは、なぜ日本マスコミ、週刊誌等ではない、ニュースペーパーの方ですよ、ニュースペーパーの方はこの問題を取り上げないのか、なぜ日本の国会議員はこの問題が国益に関する重要なことだという意識がないのかと。なぜ西村一人がかっかしておるのだ、それがわからない、それがある意味では報道すべき価値ある内容のように私に取材に来ている。こういう事態なんだ。  橋本総理が、情報部員であるかどうか知らない、日本政府調査したこともない、だから今報道されていることを否定できない。これほどの国益上の損害はありますか。  調査するのですか、しないのですか、どっちなんですか。政治の判断です。
  22. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 先ほど来、先生いろいろ私を責めておりますが、それぞれ担当がございます。私の答弁は先ほどのそれ以上でもございません。
  23. 西村眞悟

    西村(眞)委員 官房長官、違う。閣議でこの回答書をあなたは決定したのです。橋本総理大臣の名前で衆議院議長に出ているのです。だから聞いておるのだ。虚偽でしょう、これは。虚偽でしょう、この回答は。(村岡国務大臣「あなたが言っているだけじゃないか」と呼ぶ)発言は発言で、委員長の許可を求めてからにしてください。  これは虚偽なんだ、明らかに。調べているでしょう、帰化しているのだから。帰化している人物を調査していないという、うそを閣議で決定して、内閣総理大臣の名前で国権の最高機関たる衆議院議長に送ってもらったら、これは内閣の責任だ。だから官房長官に聞いておるんだ。何がつかさつかさですか。私が送った質問主意書に対する答弁書を前提として聞いておるのじゃないですか。
  24. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 答弁書のとおりであろうと思っています。
  25. 西村眞悟

    西村(眞)委員 答弁書のとおりであれば、虚偽であるということを認めるということですか。
  26. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 この答弁書が虚偽とは思っておりません。
  27. 西村眞悟

    西村(眞)委員 では、今手を挙げている方に聞きましょう。  我が国政府は、外国人が帰化するに際して、申請に対して、その方がどういう人物であるか調査はしないのですか、するのですか。
  28. 伊達興治

    ○伊達政府委員 帰化の前提としての調査等については、必要があれば法務省の方で行われるものと承知しております。
  29. 西村眞悟

    西村(眞)委員 必要はあるのですよ、帰化は。帰化というのは重要な国家の裁量行為となっておるんだ。だから、調査したのです。調査したから帰化されて、今、日本人になっておる。だからこの答弁書はうそだと言うのです、だから委員の皆さんに配付させていただいている。将来この人物を調査するか否かを私は尋ねておるけれども、もし調査しないのならその理由も回答されたいということで尋ねておる。しかし内閣は、理由も付さずに、調査しないという回答をよこした。  しかし、考えてみれば理由なんか付せるはずないのです、調査していないと認めてしまったから。今まで調査しなくて、関心を示さない。橋本総理自身が、内閣の親分だ、橋本総理自身が、調査などできるか、調査してわかるようならスパイとは言えないだろうと言っているから、理由など言えない。  理由を付せず、何ら示すことができずに、調査しないということだけで突っ張ろうとしているけれども、彼女は昨日の裁判で北京公安部の出身であるということをみずから認めたから、日本政府調査していないけれども、彼女はスパイだということは認めたんだ。北京の公安部というのは、天安門事件以来わかるように、民主活動家を逮捕し、外国人の中国国内におけるスパイ活動を調査し、そういう部署の出身だということを認めたんだ。  調査していなくても、向こうが認めた以上、その前提で調査するのか否か。官房長官、いかがですか。
  30. 谷津義男

    谷津委員長 警察庁伊達警備局長。
  31. 西村眞悟

    西村(眞)委員 いや、委員長、ちょっと待ってください。
  32. 谷津義男

    谷津委員長 ちょっと答弁させてやってください。
  33. 伊達興治

    ○伊達政府委員 調査等といろいろお話にありますが、捜査機関として、私ども考え方を述べさせていただきたいと思います。  警察としましては、具体的犯罪事実があるという、その疑いがある場合には当然捜査を行うものでありますが、現時点では本件につきまして具体的犯罪事実の疑いがあると判断できず、したがって、捜査を行う必要がないものと考えます。これが基本であります。  それから、先ほど来言われております、北京市公安当局に女性が勤務するから諜報員ではないのかというお話でありますが、当該女性が北京市公安局に勤務していたかどうかは警察としては承知しておりません。なお、北京市公安局につきましては、警察組織であり、我が国のような一般警察業務よりも担当分野が広いようでありまして、消防、戸籍管理、外国人登録などの業務を含んでいるもの、このよう承知しております。
  34. 西村眞悟

    西村(眞)委員 お務めはわかりますし、また私も質問内容を事前に言っているので、そういうふうに言われるのはわかるけれども、私が聞いておるのは、官房長官、これは内閣が内閣総理大臣の名前で衆議院議長に渡した回答書で、この女性のことは調べていないんだと。将来調べるかどうかは、予定はないんだと。今警察の方も言われたように、この女性が公安部に属していたことは承知しておりませんと。調べていなかったから内閣はわからなかっただろう、この回答を出す前には。しかし、今わかった、昨日裁判で証言した。どうなんですか。  国民は、また同盟国はこの問題を注目している。普通の民主主義国家の常識を共有する我々の国家間の関係で、決してこの問題を軽視すべきことではないのです。また、橋本総理が調べてわかるかということをおっしゃるなら、せっかく行政改革をやっているのだから、我が国が、先ほど概要としてお伝えした、スパイ天国かというふうな汚名を払拭するような方向での行政改革の問題点の指摘というのもあってしかるべきだ。どうなんですか。  この回答書で突っ張られるのですか。これは虚偽なんだ。しかし、過去のことは問わない。将来どうするのですか。  内閣官房長官、この回答書を出した責任者のスポークスマンとして、これから新たに、公安部の人間であるということを本人が認めた以上、橋本総理とどういう交際をしていたのか、どこで会っていたのか、何を話していたのか。それと、橋本総理が、天安門事件以来援助再開に努力して初めて北京に行った西側閣僚であるということ、尖閣諸島では弱腰であるということ、靖国神社には首相になってから中国に配慮して行かなくなったこと、これらすべてがこの問題と関係あるのか否か。  因果関係まで含めて調査して、国民に公表する、同盟国に説明する、この予定はあるのですか、ないのですか。
  35. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 いろいろ、先生、この答弁書は虚偽だと。私は虚偽であるとは思っておりません。このとおりだと思っております。  それから、今答弁されたように、北京の市役所の公安局の複数の事務所に勤めたことがある、パスポート検査や外国人登録手続業務を行っておる、それからまた、根も葉もないうわさで迷惑していると本人も言っているようでございます。  したがって、今調査するのかしないのかと。この答弁書のとおり、虚偽だと私は思っておりません。
  36. 西村眞悟

    西村(眞)委員 時間が終わったから、規則どおりやめます。
  37. 谷津義男

    谷津委員長 御苦労さまでした。  今村雅弘君。
  38. 今村雅弘

    ○今村委員 おはようございます。自由民主党の今村雅弘でございます。  私も、内閣委員会は、つい先般こちらに入れていただきまして、まだまだ勉強等が不十分でございます。所轄官庁等のことももう少し勉強しなければいけないと思っておりますが、とりあえず、時間をいただきましたので、質問させていただきます。特に、ただいま申しましたように私もこの委員会中身等をよく存じていませんが、きょうは、議員というよりもむしろ一国民の目といいますか、そういった立場から、率直な疑問といいますか、そういったものについてお伺いしたいと思う次第でございます。  私、議員になりましてから一年たつわけでございますが、随分いろいろ驚くこともたくさんあるわけでございます。そういう中で、意外なこともたくさんあるわけでございますが、最近、国民の皆さんが政治に無関心ということをよく聞くわけでございます。  しかしながら、果たしてそうかなということもよく思うわけでございまして、特に私、田舎が九州の方でございますが、そういう田舎の方でも、例えば国会中継があったりとか、そういったときにはよく見ておられる。あるいは、いろいろなニュース番組でも、たまたま私の顔がちらちら映っていたりすると、この間は出ていましたねとか、テレビに映っていましたねとか、そういう声を聞くわけでございます。そういう意味では、国民の皆さん、政治のあり方あるいは世の中の動きについて決して無関心ではなくて、意外としっかり見ておられるなという感じを深くしているわけでございます。  そういう中で、最近とみに、この国のあり方ということをめぐって、まさに二十一世紀にしっかりした国をどうつくっていくかということで、六つの改革ということで構造改革を進めていっているわけでございます。これについては、ちまたでいろいろ言われておりますように、国民の皆様にもよく理解をしてもらい、そして痛みは痛みでしょってもらう、みんなで次の時代をつくっていくのだということがどうしても必要なわけでございます。  そういう意味では、国民の皆様に広く、やはり現状認識、そしてどういうところに問題があるのか、あるいはどういう方向に今持っていこうと橋本総理が考えておられるのか、そういったことをもっともっと情報を提供して、正確な認識といったものが必要ではないかというふうに思うわけでございます。  そういう中で、よく最近は、新聞等はいろいろ行財政改革を含めてたくさん書いてありますし、ゆっくり読めるということでございますが、一方、テレビ等を見ていますと、民放系のニュース番組がたくさんあって日曜日などもいろいろやっていますが、そういう中で出てくるのはどうしても、政府の声、考えといいますか、そういったものがよく見えないねという感じを強くしているわけでございます。  つまり、政府政策に対して、いろいろ御意見を、ニュースキャスターの方あるいはそこの解説に来た方がそれぞれ述べられるわけでございますけれども、肝心かなめの政府が、あるいは橋本総理が一体どういうふうに考えておられるのか、そういったことがどうも弱いような気がいたしております。  そういう観点から、ひとつきょうは、第一点目に政府広報のあり方ということについて御質問したいと思っております。  まず第一に、概況といいますか、政府の広報は、お聞きしますと、一応企画会議みたいなことをやって方針を立てて、そしてそれぞれ各省庁中心にいろいろなことをやっておられるというように概略伺っております。その辺の進め方、当然これについてはお金もかかるわけでございますけれども、そういったものについて、例えばテレビ等はどういう番組が幾つだとか、あるいは出版物等の発行部数、種類等々あるかと思いますが、その概要についてとりあえずお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
  39. 上村知昭

    ○上村政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生から御指摘ございましたところでございますが、私どもも、政府広報というものの重要性を十分認識いたしているところでございます。私どもといたしましては、今お話ございましたように、当面いたします諸課題、それからこれに関連いたします大変重要な施策につきまして、その背景や必要性、具体的内容等に関します情報を広く国民の皆様に的確にお伝えをする、そういうことによりまして政府施策に対する皆様方の理解と協力を確保する、こういう観点といいますか目的、ねらいを持ちまして、政府広報を実施いたしているところでございます。  今お話ございました総理でございますが、総理は節目節目に記者会見をやっていただいているところでございます。それからまた、テレビのお話がございましたが、テレビでは「総理と語る」ということで一時間ほどの番組がございますが、これを民放とNHK交互でやっていただいているということがございます。  それから官房長官には、日々、午前午後二回の記者会見をやっていただいておりまして、政府のスポークスマンとされて、その時々の閣議あるいは政府の重要政策についての考え方、方針等につきまして、国民の皆様に、マスコミを通じてということでございますが、知っていただくようにしているわけでございます。そしてまた、それは日常的にテレビでも放送され、新聞でも報道されているところであるというふうに考えております。  それからまた、お話ございましたが、政府の直接提供いたしております番組でございますが、まず第一に、大臣の方々に、それぞれの所管の行政のその時々の重要施策につきまして国民の皆様に直接お話をしていただくということで、私ども政府提供番組として毎週やっている番組がございます。  それから、「もっと知りたいニッポン」「さわやかニッポン」「クローズアップにっぽん」等々、これはドキュメンタリーなタッチで、政府がそのときの施策や課題についてどう対応しているかということ、それからまた各省庁の担当の部局長等に出席をしてもらう、あるいはその課題につきましてお詳しい有識者の方々に出ていただいて、いろいろと国民皆様方にわかりやすく解説をしていただくというような番組を定時的にやっているわけでございます。  それからまた、状況に応じまして、テレビのスポット、現在COP3、京都で温暖化防止京都会議が開催されておりますが、これにつきましても政府のスポットを十一月中旬から実施をいたしております。  今申し上げましたように、私ども、いろいろな形で広報活動に努めているわけでございますけれども、まだまだという感じは十分持っておりますが、今後ともいろいろ御指導をいただきながら、さらに頑張っていかなければならないと思っているところでございます。
  40. 今村雅弘

    ○今村委員 今いろいろやっているということはお伺いしたわけですが、どうも、今言われましたような、例えば「総理と語る」にしてもあるいはいろいろな番組云々にしても、これが政府番組ですよ、あるいは何曜日の何時にこういうことがやられている、そういう認識度といいますか、非常に薄いような気がするのですよ。  私たちはもちろん昼間はおりませんから余りテレビを見ないのでございますけれども、一般の、うちの家内なんかに聞いても、そういえば何か見たような気もするけれどもと。おまえ「あまから問答」というのを見たことはないかと聞いたら、それはあると言うのですよ。ところが、よく聞いてみると、それはNHKでやっている「甘辛しゃん」と勘違いというようなことで、どうもその辺の、本当に、やっているのはわかるけれども、果たして見てもらっているのかなと。  この辺は、もう少し力を入れる、あるいは定時定型でやってもらう。例えばその「総理と語る」にしても、これは定例的にやっているわけではないわけでしょう。だから、そういったもののアピールがもっと必要ではないか。  ちなみに、先ほど質問でも言いましたけれども、これは予算面ではどうなんですか。その点について、今お伺いした点も含めてちょっとお伺いしたいのです。
  41. 上村知昭

    ○上村政府委員 お答え申し上げます。  予算でございますけれども、平成九年度の予算でございますが、百十二億四千万ほどでございます。前年度が百二十四億でございますが、こういう財政事情の中でございます、一〇%減ということで、これは一律の広報予算の削減という形でございます。  こういう中でございますけれども、私ども政府の六大改革、それから安全保障問題、沖縄の米軍基地への取り組みに対する広報、それから環境  問題等々につきまして、問題を絞りまして重点化、集中化、効率化をいたしまして、できるだけその中で最大限の効果を発揮いたしますように、ただいまいろいろな方々の御意見、民間の専門家の方々の御意見等も十分伺いながら、一生懸命努力をいたしているところでございます。
  42. 今村雅弘

    ○今村委員 百十二億ですか、これは、例えばテレビとか出版物とかいろいろウエートがあると思うのですけれども、テレビに限って言えば、たしかここもちょっとお伺いしたと思ったのですが、ほかのいろいろな会社がCMをやっていますね、そういった中で、金額的にどの程度のウエートなのか、あるいは順位といったら何でございますけれども、その辺はどうなんですか。
  43. 上村知昭

    ○上村政府委員 お答え申し上げます。  これは平成七年度の数字なんでございますが、私ども政府広報予算百十二億と申しますのは、会社の予算を、広報関係の経費を上から順に並べてまいりますと、大体六十八位というところであろうかと存じます。個別の会社の名前を挙げるのは控えさせていただきますが、そういうことでございまして、民間の会社の中で見ますと六十八位ぐらいのところかな、平成七年度の数字でございます。現在は、またちょっと予算の額が落ちておりますので、あるいはもっと順位が落ちているかと存じます。
  44. 今村雅弘

    ○今村委員 ついでに聞きますけれども、この額は、例えばこの十年なりなんなり、どういう変化をしていますか。
  45. 上村知昭

    ○上村政府委員 ここ十年といいますか、平成元年からの数字をちょっと申し上げさせていただきたいと存じます。  平成元年から平成五年度までが百二十二億でございます。それから、六年度から三億増額になりまして百二十五億、平成八年度までが百二十五億弱でございますが、平成九年度が、先ほど申し上げましたように一〇%減ということで、百十二億ということになっております。
  46. 今村雅弘

    ○今村委員 次の質問もございますので少し急ぎますけれども、要するに、極端に言うと絶対額で十年近く前と余り変わらないということですね。  それで、先ほど言ったように、額の問題も含めて、もっともっと広報活動、特にテレビというのが大変なマスメディアであるという認識は持っていると思いますので、そういったものにもつと力を入れてほしいなというふうに思うわけでございます。  これは何にもない右肩上がりのいい時代だったらそういうこともないのでしょうけれども、当初申しましたように、こういう非常に厳しい政策といいますか、次の時代に向けての前向きの政策をやっていく中で、どうしてもこれは国民の皆さんによくわかってもらわないと大変なことになるのじゃないかと思うわけでございます。  そして、また一方では財政も非常に厳しいということであれば、いろいろなことをやっているようですけれども、どうもよくわからない、どこで何をやられているのか。この辺は恐らく、どの程度そういう番組を見ておられるのかという調査等もやっているとは思いますけれども、そういったものを参考にしながら、もう少し、これが政府の提供番組です、政府が提供するニュースですと、アイデンティティーが高まるやり方。  このニュースの題も、いろいろ四つ五つほどのチャンネルで流しているようでございますけれども、それぞれ名前が違っている。思い切ってもうこれも統一して、要するにこれは政府考えを聞きたい人に聞いてもらう、そのためにはこのチャンネルに、あるいはこの番組に回せばいいということをはっきり打ち立てるようなことをやってもらうことが、この経費をもっと生かす上でも必要なのではないかなという考えがいたしております。  この辺について、今後どういう進め方をされるのか、考えがあれば最後に伺いたいと思います。
  47. 上村知昭

    ○上村政府委員 先生今御指摘ございましたことは、全くそのとおりだと存じます。  私どもも、これまでもいろいろな形で、広報の専門家の御意見を伺ったり、それから視聴者からの御意見、それからまた、モニターを依頼しておりますが、そういう方の御意見等も伺って、広報効果の把握、測定に努めてきているところでございますけれども、ただいまの先生の御指摘を十分拳々服膺いたしまして、今後ともそれを私ども政府広報に反映させてまいりますように努力をいたしてまいりたいと存じます。
  48. 今村雅弘

    ○今村委員 ひとつ、久米宏さんに総理が負けないように頑張ってもらいたいなというふうに思っております。  次に、叙勲の関係についてちょっとお伺いしたいと思います。  この辺は天皇陛下がやられることなので、我々、下々がいろいろ言う話じゃないかなというふうにも思うわけでございますが、これも私が議員になってびっくりしているのですが、大変関心が深い問題だなということを痛感しております。私自身も、勲章なんてという気が強かったわけでございますが、正直申しまして、この勲章をいただいた方の喜びといいますか、加えて、やはりこういった方を支えてこられた皆さんがお祝いをやられる、そういった光景を見ていますと、本当に麗しいなと思うわけでございます。  人生も七十を超して、山登りに例えれば、ちょうど峠道から、峠に立って、自分の歩いてきた人生の航跡を振り返るとか、小高い丘でそうやって周りをもう一回見直してみるとか、そういう一つの機会をある意味では与えてくれて、いただくのかなというふうに思うわけでございます。そういう中で、これは褒めるにこしたことはないわけですから、悪いことではないので、ぜひこれからもしっかり拡充強化といったことをお願いできないだろうかなというふうに実は思って、少し質問といいますか、御要望等も申し上げたいということでございます。  特に最近はいろいろと、先ほども言いましたように、行財政改革とか、将来日本はどうなるのだろうかとか、そういう暗く厳しい話も多い中で、ひとつこういうことをやりますとみんながやはり元気を出して、勲章をもらった人がまさに戦後を築いたわけでございますから、そういう人の例に倣って一丁頑張ろうじゃないかという元気も出るのじゃないかというふうに思っております。  ちなみに、昨日、全国町村長大会がやられましたけれども、その中でも要望書で、これはまあ町村長さんの要望書ということで、町村長さんたちの叙勲についてもう少し重く見てくれないだろうかという要望書でございまして、これについても行っているかと思いますが、やはりこのくらい皆さんの関心も高いということでございます。これについては、また時間があればお願いしようと思っております。  それで、今現在お聞きしておりますと、春秋合わせて九千人程度ということでやられておるようでございますけれども、この辺、正直申しまして、七十歳以上、この人口は平成八年度なりで見ますともう一千三百万人近くなっていると思うのです。これは、十年ぐらい前に比べると恐らく五割ぐらいふえていると思うのですね、たしか八百万人ぐらいだったと思うのですが。それに比べて、この叙勲の対象者というのは余り変わってきていない、ふえていない。つまり、対象になる母集団がふえた割には余りふえていないので、どうかなと。  この辺の考え方をもう少し拡大できないか、多くの人にやれないかといったことでまずお聞きしたいと思いますが、その辺はいかがでしょうか。
  49. 平野治生

    ○平野政府委員 御承知ように、いわゆる高齢化社会ということで、高齢者の方が多くなっていることは十分承知しているわけでございます。一方、叙勲というのは、今さら申し上げるまでもないわけでございますけれども、国家、公共に対して功労のある人を対象とするということで昭和三十九年以来やってきたわけでございまして、当初は二千人台、三千人台ということでございましたけれども、最近では、先ほど先生がおっしゃったように、年間おおむね九千人ぐらいということでございます。  また、亡くなられた方で功労のある方もいらっしゃいますので、そういう方に対しても死亡時にさかのぼってということで、大体おおむね同じような数の方々を叙勲の対象にしているという実態でございます。  さらにまた、いわゆる高齢者叙勲と私ども申し上げているわけでございますけれども、八十八歳という一つのかど、機会をとらえまして、非常におめでたい数字だということで、そういう方々も対象にしているということでございます。  ただ、そういう状況ではございますけれども、総体的に数をふやせばいいのかということにつきましてはいろいろ問題があるわけでございます。私どもも、この問題、非常に重要と思って種々いろいろ検討しているのでございますけれども、私どもは今の状況では、この春秋四千五百人、年間九千人、それ以外に死亡叙勲とかあるわけでございますけれども、そういうことの中で、そのぐらいの数が適当ではないかというふうに今は思っているわけでございます。つまり、例えばたくさん出せばいいかということについても、これまたいろいろ意見があるわけでございます。  ただ、先生がおっしゃったように、これからそういう時代になり、また勲章の置かれる立場といいますか意義というものがさらに重くなることは私ども承知いたしておりますので、先生の御指摘の点等も踏まえて、今後なお検討してまいりたいというふうに考えております。
  50. 今村雅弘

    ○今村委員 ひとつよろしくお願いしたいと思っておりますが、そういう中で、なかなかそう簡単にはふやせませんよというニュアンスでございますが、この積極的な理由というのは、例えば何でございますか。財政的な理由とかそういったことも何かあるのですか。
  51. 平野治生

    ○平野政府委員 私ども、財政的な理由というよりは、むしろ先ほど私が申し上げたいろいろな問題をどう考えていくかということになるかと思います。  ただもちろん、叙勲の数、叙勲対象者の数をふやせれば、予算と申しますか人員、体制からしてたくさん組んでいかなければいけないということになりますので、そういう問題がございますけれども考え方の基本は、先ほど申し上げた、どういうふうに考えていくかという点にあるかというふうに思っております。
  52. 今村雅弘

    ○今村委員 実は、このことは次の質問とも関連があるのです、少しふやしたらどうかというのは。と申しますのは、よく、勲章、叙勲関係については官高民低ということが言われますし、それから同じ官の中でも、例えて言えば警察関係の方が多いとか、自衛官の方が多いとか、あるいは大学の先生が多いとか、そういうことをちょっと私は感じるわけでございます。一方、民の方でも、やはり何となく、新興産業と昔からの伝統的な産業、こういったものを比べると、どうも昔からある伝統的な産業の方が多いんじゃないかなという印象を受けているわけでございます。  これについては、この批判批判としていろいろ事情はあるかと思うのですが、この選考の手続は、お伺いしたところによると、各省庁を通してといいますか、いろいろな関係団体の御意見等を聞いてということのようでございます。そういったことの中で、今のままでいくとなかなか数が限られている。前例主義といいますか、去年はここは数がこれだけだったからことしもというようなことで、どうしても、今言った官高民低、あるいは官官格差といいますか、そういったものも解消できないのじゃないかと思うのですね。  だからこの際、その辺を変えるのがなかなか難しいのじゃないかと思うので、そういうことの中で、むしろこういう母数はふえてきている、あるいは世の中も随分、社会経済情勢は十年前、二十年前とも変わってきているわけだから、それに合わせた選考の仕方なり数のあり方もあってもいいのじゃないかという気がいたしておるわけでございます。  ちなみにお伺いしますけれども、官民格差あるいは盲官格差といいますか、そういったものについてはどういうふうにお考えなのか、あるいは今後どういうふうにその辺の問題に取り組んでいかれるのか、そのお考えを聞かせていただきたいと思います。
  53. 平野治生

    ○平野政府委員 ただいま先生指摘のいわゆる官民格差の問題は、数の面からおっしゃっているのだというふうに理解しておりますが、その問題に限って申しますと、確かにおっしゃるように、官民を比較いたしますといわゆる官の方が多いということでございます。  それから、ただいま先生から御指摘ございましたとおり、その官の中でも、いわゆる私どもみたいな一般事務官は非常に少のうございまして、警察とか消防とかあるいは学校の先生とか、教育職、医療職についている方が多いということは事実だというふうに思います。ただ、その点につきましては、私ども、叙勲の対象者を広くいろいろな分野から対象にするという観点からいたしまして、特に社会のいろいろな分野でそれぞれ地道に努力していらっしゃる方を対象にするという観点からいたしますと、私どもは、そういう点はやむを得ないと申しますか、そういう人こそ叙勲の対象にすべきではないかというふうに実は思っているわけでございます。  ただ、一方におきまして、先生がただいまおっしゃいましたように、いわゆる民間におきまして、分野というものをもう少し広く広げていかなければいけないという問題ももう一方にあるわけでございます。  またさらに、先生おっしゃった中で、私どもも実はそう思っているのでございますけれども、私どもの叙勲制度というのが一つは先例に負う点が多いという点から申しますと、例えば学校の先生はどんどんふえてまいりまして対象者がいっぱいいるということになりますと、いわば数の面で申しますと、先生の数をふやすということはあるとしても、なかなか減らすというわけにはいかない。そうなると、先生がおっしゃった新しい分野の民間の方々、そういう方を対象にしていくという点について及ばない点があるのではないかという点は、私どもも実はそう思っているわけでございます。  また一方におきまして、民間におきまして、例えば産業の盛衰等を考えておりましても、かつては非常に一流企業であったものが今は別の分野になっているということはよくあるわけでございますので、私ども、御指摘がございましたとおりに、そういう新しい分野と申しますか、新しい社会経済情勢というものを考えながら、叙勲ということを考えていかなければいけないというふうに思っているわけでございます。  先生の御指摘を十分踏まえて、今後とも対応していきたいというふうに考えております。
  54. 今村雅弘

    ○今村委員 ありがとうございます。それで、今の格差問題に加えて、もう一つは男女格差ということもやはり言われるわけですね。  これは、お聞きしましたところによりますと、平成八年度で春秋合わせて九千人受章されているうち、女性は五百二十三人ということで、やはり大変少ない。今後、戦後の女性の活躍は目覚ましいわけでございますから、またふえてこられると思いますけれども、これもまた先ほど言いましたように、どうしても、全体の表彰者の数が絞られていると、女性が割り込んでいくという問題もこれまたなかなか難しいのじゃないかなというような気もします。  いろいろ御事情はあるでしょうけれども、ひとつぜひ、こういった叙勲の数といいますか、ふやすということで、今後とも我々もぜひ応援したいと思いますので、政府の方でもそれをお考えいただきたいというふうに思っております。  最後になりましたけれども、ちょうど今、小里大臣がお見えになりましたので、一つだけお願いしておきます。  先ほど来、この厳しい世の中で、こういった行革等々を進めていく中で、政府広報の重要さ、あるいはこういった本当に世の中のために頑張って  いただいている方々を褒める、こういったことが、いろいろな形で国民の皆様の理解も得て、また元気も出て、この改革も進んでいくものじゃないかというふうに思うわけでございます。そういう意味で、ちょっと所管は違うかもしれませんが、こういった政府広報の強化並びに叙勲制度の充実といったことについて、格段の努力をされることを心よりお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  55. 谷津義男

    谷津委員長 御苦労さまでした。  大村秀章君。
  56. 大村秀章

    大村委員 おはようございます。  内閣委員会におきまして、貴重なお時間をいただきまして質問をさせていただきます。自由民主党の大村秀章でございます。よろしくお願い申し上げます。  大変貴重な、お忙しい中、小里大臣、そしてまた鈴木大臣にお越しをいただきまして御質問させていただくわけでございまして、後ほど、行政改革中心にじっくりまた御意見、御見解をお伺いをしたいと思うわけでございますが、まずは小里大臣には、給与担当大臣ということもございますし、公務員制度の一環でもございます恩給制度につきまして冒頭御質問をしたいと思っております。  国家公務員給与につきましては、一部の幹部職の方、大変申しわけないと思うわけでありますが、一年間据え置きということになったわけでございますけれども、多くの方は予定どおりということでございまして、無事法案が成立をいたしまして一安心ということではないかと思うわけでありますけれども、忘れてはならないのはこの恩給の問題でございまして、特に、さきの大戦におきまして戦死をされた方の御遺族、また負傷された方々、さらには、長期にわたり軍務にお務めになられました旧軍人の関係の方々に対する処遇でございます。  私は戦後の生まれでございまして、実際に私のむしろ親の世代がその戦争を経験をされたということであるわけでありますけれども、戦後五十年たちまして、今の平和、そして繁栄というものを築いたのは紛れもなく、さきの大戦でそうした御苦労をされた方々の汗と血、そういうものの積み重ねであるというふうに私は思っております。そういう意味で、そういった方々に報いていくのが政治であると思うわけでございます。  いよいよ十二月になりまして、来年度の予算編成、今最後の詰めということになってくると思うわけでありますが、財政再建、大変厳しい財政事情の中であるわけでありますけれども、こうした方々、戦没者の遺族に対する恩給を初めといたしまして、当然のことでありますけれども、軍人恩給は、かつて苛烈な戦場で命をかけて国家国民そして社会のために頑張られた、そうした方々に対する国家補償であるわけでございます。そういう意味で、こうした方々にどうしても報いていかなければならない。  そして、残された時間が余りないというわけでございます。私の地元の軍人恩給会の方々も、平均年齢が大体七十七から七十八ということでございまして、そういう意味では、そうした方々の生活の支えばもちろんでありますが、心の支えであると思っております。ぜひ、そうしたことを踏まえれば、やはり、そうした方々のささやかな願い、そうしたものにはどうしても報いていかなければならないと思うわけでございます。  そういう意味で、ことしの恩給改善に向けての小里大臣の所管大臣としての御見解を、ぜひこの際お伺いしたいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。
  57. 小里貞利

    小里国務大臣 恩給に対する基本的な認識をお聞かせいただいたところでございますが、私も議員と全く同じ認識に立つものでございます。  お話にございましたように、国家補償的な性格を有しておりますよ、まずこの基本を大事に、いわばその特殊性を十分考慮しながら処していかなければならない。いわんや、恩給月額と申しますか恩給年額の実質的な価値というものを、維持を図りながら、それを念頭に置きまして、年末の予算にも誠意を持って対処してまいりたい、さように思っております。
  58. 大村秀章

    大村委員 ぜひその方向で頑張っていただければと思っております。我々も一生懸命頑張っていきたいというふうに思っております。  恩給につきましてはまずそのことについてお聞きをしたわけでございますが、続きまして、行政改革議論の前に、公務員制度につきまして、何点かお伺いをしたいというふうに思っております。  昨日最終報告が出されました行政改革会議の報告の中にも、最後の方に「公務員制度改革」という章が起こしてございまして、そこでいろいろと、御提言といいますか、今後の進むべき方向について指摘があるわけでございます。  当然のことながら、行政運営しているのは公務員の方々でございまして、もちろん機構をしっかり整理することは当然大事なことでありますけれども、実際にその仕事をされるのは公務員の方々でございます。ですから、こうした方々が本当にやる気を持って、士気を持って、目標に向かってやっていただくということのためにも、この公務員制度をしっかりと整備をしていかなければならないというふうに思うわけでございます。  昨日の報告をつらつらと見ますると、いろいろなことが、指摘が書いてあるわけでございます。内閣機能の強化、そのためにも人材を確保する必要があるとか、一括管理の話でありますとか、いろいろな人材、任用の制度の方向といったことが取りまとめをされているわけでございます。そうしたことを着実に、この制度改革もどうしても進めていかなければいけないと思うわけでございます。  と申しますのは、近来、いろいろなマスコミ報道等も含めて、公務員に対する信頼といった点がいろいろ取りざたをされておるわけでございます。この何年かに限って見ても、一部の不心得な者の事件、いろいろなことがございまして、そういったことが言われておるわけでございます。  実際、私も二年半前まで公務員の端くれとして仕事をしてきた人間でございますし、そうしたことからいたしましても、大変残念だなと思うわけでございます。そしてまた、現実問題、その後、実際自分が選挙という形で地元の方々と、地元を回っていろいろなお話をし、そしてまた支持を訴える中でも、公務員出身ということにつきまして大変厳しい目で見られたということは事実でございます。これはやはり、実際にそういう形で肌で感じた者でなければわからない面があるわけでございます。  そういう意味でもぜひ、公務員制度公務員のあり方というのをもう一度問い直すといいますか、そして、ほとんどの公務員の方が一生懸命仕事をされておられるのはもう当然であるわけでありますけれども、そういった不信感を払拭する意味でも、公務員制度をどう進めていくか、どういうふうに改革をしていくかということにつきまして、その基本的なお考えをぜひお聞かせいただければというふうに思います。
  59. 小里貞利

    小里国務大臣 議員も御承知いただいておりまするように、本来、公務員あるいは公務員制度というのはいかにあるべきか、この辺をできるだけ合理的に正当に運営、そしてまたこれが促進を図るために、公務員制度調査会で、造詣の深い観点からいろいろ議論をお聞かせいただいております。  先生先ほどお話がございました、昨夕取りまとめをいたしました行政改革最終報告をいたすについて、とりあえず今次の行政改革に何か公務員制度調査会としてお聞かせいただくことはございませんかという一つの問いかけをいたしました。これはこれで、行政改革につながるものを先刻御答申をいただいたと申し上げましょうか、意見をお聞かせいただきました。そのあらわれが先ほど先生お話しのとおりでございます。  それからもう一つは、今次、本来の公務員制度のあり方というものはいかなるものでございましょうかということを、根本的な問題として問いかけをいたしておりますことも御承知いただいておるところでございます。  これらにつきましては、諸情勢の変化、あるいはまた国民の信頼性、先ほど先生お話しになりました。あるいはまた総合性の確保、あるいは公務そのものの活性化、業務の活性化。そういうような、言うなれば人事管理システムを構築しておこたえしなければならぬというような見地から、後段で申し上げておりまするように、公務員制度調査会で目下検討をいただいておる最中でございます。  この取りまとめ、答申は、平成十年度中に結論をお聞かせいただく予定でございますので、その答申とあわせまして、昨夜行いました行政改革視点からの取りまとめ等を十分総合勘案いたしまして、新たな、次代の行政を支える人事管理システムをきちんと整備していかなければならない、さよう考えているところでございます。
  60. 大村秀章

    大村委員 その公務員制度なのでありますけれども公務員制度調査会の意見というのは、ことしの十一月ですか、取りまとめられておるわけでありますが、これをさらに深めて来年度中にということでございますね、それもぜひお願いしたいと思います。  そしてその中でも、特に昨日の行革会議最終報告に盛られております点で、ここ何年かといいますか、最近大変言われておりますのが公務員の一括管理ということでございます。今回、二十二の省庁を十三に集約するわけでありますけれども日本中央省庁はどうも縦割りがひどいということを言われておるわけでございまして、実際私も霞が関で十何年仕事をさせていただきまして、縦割りという点で大変苦労したといいますか、時間を費やすことが多いのも事実でございます。そうした点を自分なりにひしひしと感じておりまして、やはり、行政改革をやるのであれば、この縦割り、戦後五十年同じような枠組みでやってきたのを、壁を低くしていくということがどうしても必要じゃないかというふうに思うわけでございます。  確かに、何十万人という国家公務員全体を全部一つのところで管理できるかという難しい問題はあるのだろうと私も思っております。しかしながら、今のままであれば、組織を動かしたところでやはりまた同じ縦割りの問題が出てきてしまう。どうしても、国家公務員公務員自身に、いわゆる同僚といいますか、仲間意識がなかなか生まれてこないというふうに思うわけでございます。  そういう意味で、この人材管理のやり方、一括管理のシステムをぜひ実効が上がるように導入をしていただきたいというふうに思うわけでございますが、その点についての御意見、御見解をぜひお伺いしたいというふうに思っております。
  61. 小里貞利

    小里国務大臣 貴重な経験から一つの参考意見をお聞かせいただいております。  今次の行政改革取りまとめるについて、特に官邸機能の強化、そういう視点から、公務員制度調査会、何かひとつ御意見をお聞かせいただきたいな、こういう一つの問いかけ。いわゆる官邸機能の強化が中心で、そのほかもありますけれども、それに対しまして、今お話しのとおり、一括管理、あるいはもっと仕分けて申し上げますと一括採用等々、この辺をお聞かせいただきたいという希望のもとに御相談をいたした。  その結果、具体的に責任局長から答弁させますが、私の感じを率直に申し上げますと、なかなか厳しいものなんだなと。我々も全く同じよう一つ視点で計画を進めなければならないけれども、殊に一括採用というのはなかなかまた厳しい研究を要するものなんだなという感じを私は受けておりますが、ちょっと事務局の方から答弁させます。
  62. 中川良一

    ○中川政府委員 国家公務員の人材の一括管理の問題につきましては、行政改革会議中間報告が出た段階でその中でも触れられておりましたので、公務員制度調査会では、その中間報告を踏まえまして、セクショナリズムの是正、あるいは政府全体としての弾力的な人材の登用といったような観点から、検討をしていただいたところでございます。  十一月十一日に公務員制度調査会として意見をお取りまとめいただきましたが、その中におきましては、人材の一括管理といってもいろいろ概念があるわけでございまして、各任命権者から任命権を取り上げまして、いわばどこか一カ所で集中的に任用面を含めて管理をするという大変強いものから、もう少し幅広いものまで、いろいろあるのではないかということでございます。  公務員制度調査会におかれましては、そういったいろいろなシステムにつきまして、それぞれメリットあるいはデメリットを比較いたしまして検討した結果、最終的な意見といたしましては、実効のあるシステムとしては、例えば、まず幹部職員等の人材情報について総合的に管理すべきではないかとか、あるいは幹部職員昇任等について総合調整をより強化すべきではないか、あるいは人事交流をさらに促進すべきではないか、あるいは省庁間の移籍制度というようなものを新たに設けるべきではないかといったような多様な御意見を出されておるわけでございます。  こういったものを組み合わせまして、セクショナリズムの是正等に向けて政府としても努力してほしいというのが意見の御趣旨かと思いますので、今後私どもといたしましては、この調査会の意見を踏まえまして、具体的な方策について検討を進めてまいりたいというように思っております。
  63. 大村秀章

    大村委員 確かに実務的になかなか難しい点があるのは事実だろうと思うのでありますが、これをやらないとどうも行政改革の実が上がらないのではないかというふうに思うわけでございまして、ぜひこれは一歩でも二歩でも進めていただけるように、引き続きましての御努力をお願いしたいというふうに思っております。  それからさらに、今回の行政改革会議最終報告公務員制度のところにおきまして触れられておりますことに、退職管理の適正化ということがあるわけでございます。これは、公務員を退職した後の関連企業、団体への再就職、いわゆる天下りといったものへの批判に対することだろうというふうに思うわけでございます。これも、確かに日本公務員の方々は、なかなか定年までお勤めにならずに、その前におやめになるケースが多いわけでございまして、そういう意味で、そのこととの絡みもある問題であると思うわけでございます。  私も役所におったことでいろいろそういった面も見てきたわけでございますが、私は個人的には、まさか、こういう形で役所をやめる前でありますけれども、役所を勤め上げたら生まれ育った故郷に帰ってその家に住んで、田畑を耕して、村の役でもやって、神社の役でもやって、それで自分の墓に入るということで一生過ごしたいなというふうに思っておりました。そういう意味では、正直言って、役所におって後輩の方々に世話になるということは嫌だなというふうに思っておったわけでございますけれども、そうなる前にやめてしまいましたので、そうならなかったわけであります。  それはそれといたしまして、現実問題、すべての方がそんなことができるわけではありませんので、当然、この再就職という問題は、公務員、もちろんいろいろな民間企業にもあるわけでありますけれども、そうした点はどうしてもこの問題としてあるわけでございます。  この点について、やはり各界各層からの御批判、御指摘をいただいたのも事実でございますし、今後どういうふうに進めていくのかといったことにつきまして、御見解をお伺いできればというふうに思っております。
  64. 中川良一

    ○中川政府委員 公務員の退職管理、あるいはその前提となります人事慣行につきましては、行政改革会議におきましてもいろいろ議論が出ておるところでございまして、この問題は、今後、公務員制度改革考える上でかなり重要なウエートを持つ問題になるのではないかというふうに考えております。  退職管理の問題と、一方におきましては、高齢社会の到来を控えまして、公務部門におきましても高齢職員の知識とか経験をなるべく活用していくべきではないかという御議論もございます。こういった観点から、今後、いわば公務をライフワークとしてできるような、そういった人事管理のあり方につきまして、公務員制度調査会におきまして、行政改革会議におきます報告の趣旨なども踏まえながら、国家公務員の人事管理全般を見直す中で御議論いただくことを期待しておるところでございます。  なお、若干この退職管理の問題とは離れますけれども、もう一つの問題として、今後、年金の支給開始年齢がだんだん引き上げられていくという問題がございます。これにつきましては、現在、国家公務員の六十歳代前半の雇用をどうするかという問題がございまして、それについて積極的に取り組むという閣議決定が既になされておりますが、この問題につきましても、総務庁といたしましては、関係機関と協議しながらそのあり方を検討してまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  65. 大村秀章

    大村委員 ぜひ、こうした問題も含めまして、先ほどから申し上げておりますが、行政改革の実を上げるためには、どうしても、この公務員制度をしっかりと整備して、公務員に信頼を取り戻し、そして公務員の方々が引き続き士気を持ってしっかりとやっていただくことが不可欠だというふうに思っております。  そういう意味で、この公務員制度を取り扱う総務庁人事関係の使命といいますか、その責務は大変重いと私は思っておりますので、実が上がる、そして対外的にも評価を受ける、そうした方向をぜひ打ち出していただきたいということをお願いさせていただきたいというふうに思っております。  それでは、公務員制度につきましての御質問はこれまでとさせていただきます。  続きまして、行政改革につきましてお伺いをしたいというふうに思っております。  昨日の最終報告、手元に昨日の夜いただいたわけでありますけれども、大変大部なものでありますが、これをつらつらと眺めさせていただきました。  まさしく、冒頭の「行政改革理念と目標」というところは大変格調高い文章であったわけでございまして、特に、司馬遼太郎先生言葉をかりて「この国のかたち」を再構築をするんだということを高く掲げておられるわけでございます。そして、その理念として、より自由かつ公正な社会の形成を目指すといったようなこと、そしてまた、肥大化硬直化した政府組織改革し、簡素効率的、透明な政府を実現するといったようなこと、それから、自由かつ公正な国際社会の形成、展開を目指して、国際社会の一員としての主体的な役割を積極的に果たすというようなことが目標に掲げられておるわけでございます。  まさしくそのとおりであると思いますし、昨年の総選挙を経まして、第二次橋本内閣が最重要課題としてこの一年間取り組んできたのがこの行政改革でございます。まさしく、今後の二十一世紀の国家ビジョンをつくるという、大変重要な、それも歴史的な役割を担ったわけでございます。そういう意味で、昨日、本当にこれだけのものをおまとめになりました小里大臣初め関係者の皆様の御労苦に本当に敬意を表する次第でございます。  いずれにいたしましても、今回、一定の方向がこれで示されたわけでございます。これにつきまして、現段階での行政改革についての基本的な考え方、もちろんこれからどう取り組んでいくかということも含めて、政治家としての御所見を、ぜひ小里大臣と、そして鈴木大臣にもお伺いをしたいと思っております。まず小里大臣の方から、この行政改革につきましての現段階での御所見をぜひお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
  66. 小里貞利

    小里国務大臣 議員、大変高い視点から、しかも厳正に、そしてまた御丁重に御評価をいただいておるところでございますが、去る九月三日に中間報告を公表いたしました。その間においてさえも、関係委員皆様方、あるいは会長たる橋本総理大臣を初め、それぞれ真剣なる御討議をいただいてまいりました。中間公表をいたしまして、以来、各政党あるいは国会の内外各位、あるいはまた広く国民各階各層から、自由濶達議論もお聞かせいただいてまいったところでございます。  私どもは、再々申し上げましたように、中間報告、これをもってして完全無欠なものであるとはまかり違っても思っておりません、謙虚に皆様方の御意見をお聞きしますよ、そういう姿勢で、総合的にこれが調整も図らなければならぬし、また同時に、ただいま先生の方からお話がございましたように、本来の行政改革の目標、役割、そしてその使命感というものは絶対に失ってはいかぬ、そういうような気持ちで取り組んでまいったわけでございます。  昨日、行政改革会議として最終報告書をまとめていただきました。これもまた同じく、決して十分なものであるとは当事者として思ってはおりません。しかしながら、現段階におきまする行革会議あるいは政府としては、なし得る、あとう限りの、いっぱいいっぱいのものであったのではないか、そういう一つの自負はさせていただいておるところでございます。  御承知のとおり、けさほど、私ども内閣といたしましては、これを、行革会議の報告を正式にお受けいたします、そして最高にこれを尊重いたします、同時にこれが実現のために全面的に力を傾注いたしますという趣旨の、閣議をもって、きちんと政府の方針としてこれをいわば制定させていただいた、こういう状況でございます。  今後は、さらに、国会の皆様方議論を初め広く国民の御意見もお聞きしながら、百年の大計でございますから、当初の改革理念、そしてその役割を確固不動のものとして堅持しながら対処していかなければならない、さように思っております。  最後に申し上げたいのは、このようなことに至りましたけれども行政改革全体の一つの責任、日程から申し上げますとまだ一里塚にすぎないのでありまして、これから中央省庁、一府十二省庁そのものを、遅くても六月、早ければ四月ごろにはどうしても中央省庁再編推進基本法案なるものをまとめまして、国会の審議に付さなければならぬと思っておりまして、これからこそが間断なきまさに不撓不屈の努力を重ねていかなければならない、さように決意をいたしておるところでございます。
  67. 鈴木宗男

    ○鈴木国務大臣 きのう行革会議最終報告が出され、きょうまた閣議でもそれを認めたわけでありますけれども、振り返れば、昨年の十一月二十八日の第一回の会合以来、五十数回の会合がなされております。関係先生方に私は心から敬意を表したい、こう思います。同時に、この最終報告をまとめ上げた橋本総理のリーダーシップにも敬意を表したいし、最高のサポートをした国務大臣小里総務庁長官にも私は心から敬意と感謝を表したいと思います。  同時に、私自身、国務大臣として、五十年に一回あるか百年に一回あるかの大改革であります、ある人の言葉をかりるならば、革命と言ってもいいぐらいの大きな出来事だ、こう言われておりますから、この決定を重く受けとめながら、これから設置法あるいは関係法案等を整備しなくてはいけませんから、それに向けて不退転の決意で取り組んでいきたい。同時に、二十一世紀日本のあるべき姿というものをしっかり頭に入れて取り組んでいきたい、こう考えております。
  68. 大村秀章

    大村委員 両大臣から御決意をお聞かせいただいたわけでございます。ぜひその方向でといいますか、この行政改革を不退転の決意で取り進めていただきたいというふうに思っております。  それで、行革につきまして、今回、一応中央省庁再編の枠は固まったわけであるわけでございますが、今後この中身を精査して、実際に例えば局の数を、百二十八あるのを九十ですか、それから課とか室とかそういったものは、大体千四百ぐらいあるものを一割とか二割減らしていくというようなことを漏れ承るわけでございます。もちろん、それに至るためには、ただ機械的にということではなくて、仕事中身を精査して、スリム化をしてということになるわけでございますが、そうしたこと。  そしてまた、当然のことながら、本省が変われば次は出先機関も統合したり、一部、この中にも公共事業関係でそういった方向は示されておられるわけでありますが、トータルとして、そうした国の本省、そしてまた出先機関、それぞれの、今後どういうふうに見直しといいますかスリム化を進めていくか、スケジュールも含めて、もしお聞かせいただけるならお聞かせいただければというふうに思います。
  69. 小里貞利

    小里国務大臣 まず、きょうをもってと申し上げていいと思うのでございますが、いよいよ政府の施策、事業がスタートをした、かように申し上げていいのじゃないかと思います。  申し上げましたように、省庁再編成推進にかかわる基本法の策定がまず出発点だ。その基本法案の作成のために、委員会も、ここ一両日中にと申し上げていいのじゃないかと思いますが、内閣総理大臣を委員長として、関係閣僚が委員となりまして組織していただく段取りでございます。同時にまた、それをサポートいたします事務局も発足をいたします。来年の六月までが一応の設置期限となっております今まで苦労をいただきました行政改革本部も、並行して、お互いに協力し合いながらこれが準備にかかってまいります。  したがいまして、省庁再編の推進にかかわる基本法、あくまで仮称でございますが、この作業に鋭意集中しなければならないかと思っております。  それからもう一つは、先ほども若干お触れいただきましたように、また倉田議員の御指摘もございましたように、ただ単に、一府十二省、そして一行政委員会、八庁あったものを、こういうふうに一府十二省庁にしましたよなんという、そんな単純なものではないのでございまして、しからば、そのよう省庁を縮減合理化したが、その縮減合理化せんとするその升の中に何をたたき込んでいくかという、この中身を、現行体制より峻別をいたしまして、加除修正を厳粛にやらなければならぬ。それを行うところに、この一府十二省庁の存置したる役割というものがきちんと姿を順次あらわしてくる、そのように思っております。  またもう一つは、そのほかに大きな要素があるわけでございまして、お話がありましたように、現行体制で、国の行政機関にかかわるものも相当排除できるものがありますし、あるいはまた民にゆだねられるべきものも相当ございますから、このあたりも徹底的にメスを入れなければなりません。  あるいはまた、独立行政法人化して、この際、国がやるまでもないけれども直ちに民営化できないもの、公的な役割国民に対しまして果たさなければならないものもございますから、そういう意味で、独立行政法人化等の適用団体等もこれから峻別していかなければならない。  あるいはまた、御承知のとおり、先ほどもお話がございました地方分権という、この推進も極めて大事でございます。四次にわたる地方分権委員会の勧告をいただきましたものの、またこれから新しい相談を申し上げ、新しいそのための推進策を講じなければならないものも相当ございますから、このようなものをそれぞれ、あるいは規制緩和もそのとおりでございますが、一緒に、総合的に、既に実行に入っておるものもございますし計画中のものもございますし、総体的に、有機的にこれを推進するということが必要であろう。  それらを進めていくことを横にらみをしながら、そして、越年をいたしまして、来るべき四月ないし六月ごろを見据えて、まず次の舞台を迎える。あわせましてまた、今日申し上げるのはどうかと思いますが、当然のこと、各省庁のいわゆる存置するその関係法律等も整備をして運ばれるべきものである、さように思っております。  前途は決して楽観できるものではございませんで、従来賜りました皆様方の御協力、そしてまた、きのう行革委員の皆さんは、述懐談として、本当に一年前はここまで来れるとは思っていなかったけれども、やっとここまで来れましたなという、涙を流しながらそれぞれの委員の方々が最終会議一つの感想談を述べておられましたが、そういう努力を、これからいろいろな痛みや摩擦もありますけれども、やり抜かなければならぬ、さように思っております。
  70. 大村秀章

    大村委員 そういう行政改革をぜひ具体的にこれから進めていかなければならないわけでありますけれども小里大臣の方からも今お話がいただけたわけでございますが、国の行政改革をやっているわけでありますので、当然、行政というのは国、県、市という形で流れていくわけでございますし、また、地方自治体、実際にその国民、そしてまた市民、県民、住民にとりましてやはり一番身近な行政機構は地方自治体でございます。  ですから、国はスリムになったけれども地方自治体はふえたというのでは、これは一体何のこっちゃという話になるわけでございまして、そういう意味でぜひ、もちろん今回の行政改革の大きな理念として、やはり、身近な行政は身近な基礎的な行政単位である地方自治体でやるという地方分権を進めていくことは、これはもう当然であるわけでございますし、今その御決意も小里大臣にお述べをいただいたわけでございますが、あわせて、地方自治体の行政改革、これも、国だけがやっておって、それは人ごとだというようなことでは困るわけでございますので、ぜひ地方自治体についても行政改革を真剣に取り組み、そして進めていただきたいというふうに思うわけでございます。  その点につきましてのお考えをぜひまたお聞かせをいただければ、これは小里大臣にお願いします。
  71. 小里貞利

    小里国務大臣 先生のおっしゃるとおりでございまして、地方分権も先ほど申し上げましたように積極的に進めなければならない。ただ、進める場合に、地方分権を進めるがその受け皿はいかにあるべきか、これはまた地方自治の問題でもございますから、その辺は私どもも十分配慮をしながら進めなければならないことであろう。  それから、今お話がございましたように、国民に身近な行政は、国民の生活に身近な機関に、あるいは身近な自治体にゆだねるということも大きな原則であろうと思っております。  もう一つ申し述べさせていただきたいのは、私は、やはり今次の国の行政改革が、国としてやるべき役割、事務事業というものをこの際まずきちんと、言葉をかえて言えば果たすべき役割というものを厳粛に選別をしていく必要がある。その場合に、四つだけ行革会議ではお聞かせをいただきました。また、私もそうだと思っております。  その一つは、国家の存立に直接かかわる事務、これが一つだ。もう一つは、全国的に統一されていることが望ましい基本ルール、これが一つだろうと思います。もう一つは、真に全国的規模あるいは視点で行われることが必要な施策、事業に、いわゆる純化と申し上げますか、限るべきである、さように私は思っております。  その辺の国の仕事役割が整理されてきますと、先生が先ほど御指摘になりました地方分権というものもいかにあるべきかというものがおのずから傾向として整理されてくるな、そう思っておる次第です。
  72. 大村秀章

    大村委員 時間が大分参りまして、まだ少しありますけれども。それで、中央省庁再編の今回の枠組みの中で、北海道開発庁につきましてお伺いをしたいというふうに思っております。  これは今回、国土交通省の中に位置づけられまして、予算の一括計上も認められるというふうに書いてあるわけでございますけれども国土交通省の中の内局という形になるわけですね。そこのところは、ちょっと何かそこまでは書いてないわけでありますけれども、私はそういうふうに理解しておりますが、その点も踏まえて、これはちゃんと、再編後といいますか、その中に位置づけられてうまく機能するのかどうか。  もちろん、うまく機能するかどうかということじゃなくて、しっかり機能していただかなければいかぬわけでございますが、この点について、御地元といいますか、北海道をこよなく愛する鈴木大臣の御見解をぜひお聞かせいただければというふうに思います。
  73. 鈴木宗男

    ○鈴木国務大臣 今度、北海道開発庁国土交通省の内局に位置づけられまして、特に、現在ある北海道開発局の機能はそのまま現行どおり、予算の一括計上権も含め、さらに補助率の特例もあわせて維持させてもらったということで、少なくとも能力的には、機能的には、何ら私は問題ないと思っています。  同時に、北海道は日本の二二%の面積を有しておりますから、食糧基地だとかさらにはエネルギーの集積基地だとか、北海道の果たす役割はたくさんあると思っておりますし、さらに、北海道の場合は、より効率的に、特に今の北海道開発局は、運輸省、建設省、農林省、この三つの役所を束ねた仕事もしておりますから、特に縦割り弊害というのはない機能を持っておりますから、私は、さらにさらに充実をして、これは国益に資していきたい、こう思います。  同時に、この今回の決定に当たって、国土交通省は建設省と運輸省が一体となるものですけれども、北海道開発局は今言ったように農林水産省の仕事もやっているんですね、農業土木、さらには漁港、林野公共もですね。この点、また裂きになっては困るものですから、小里大臣には特にお願いして、事北海道開発局に関しては一括して現行どおり予算要求する、予算計上できるというふうにもしてもらっておりますので、私は、これからブロックごとにそれぞれ予算の一括計上、さらには執行等の議論が出てくると思いますけれども、北海道開発局は少なくともモデルにしていっていただきたいと、こんなふうに思っております。
  74. 大村秀章

    大村委員 まさしく今鈴木大臣おっしゃられたように、これから各地方支分部局を、公共事業関係、特に整理統合をしていく中で一つのモデルになるのではないかというふうに思うわけでございまして、そしてまたその機能が、今大臣言われたように維持されるといいますか、ますます発揮できるように御努力をお願いできればというふうに思っております。  私も役所におったころ、北海道の関係のいろいろな行政もやらせていただきました。そういう意味で、北海道はまさしく日本に残された本当に最後のフロンティアだというふうに思うわけでございます。もちろん、それにあわせて日ロ関係という大変大事な関係もございます。そういった点も踏まえて、北方問題もあるわけでございまして、そういう意味で、北海道の、日本における、国政における重要性というのはいささかも変わりはないと思うわけでございます。  その点について、そういったものも含めて、そして、今回の行政改革会議、先ほど鈴木大臣言われたように、まさしく歴史的な節目にこの担当大臣をされておられるということも踏まえて、二十一世紀の北海道の開発に向けた御決意といいますか、お考えをぜひ鈴木大臣にまたお聞かせをいただければというふうに思います。
  75. 鈴木宗男

    ○鈴木国務大臣 大村先生は、農林水産省在籍中も北海道にはいろいろ関係あって、いろいろ施策も講じてもらっておりますから、よくおわかりかなと思うのでありますけれども、私は、二十一世紀日本をつくるのは北海道だ、こういう決意のもとで施策を展開していきたい、こう思っているのです。  同時に私は、今回の行革で一つ小里大臣初め総理に将来的展望に立って配慮してもらったのが、内閣府に沖縄及び北方担当大臣、特命相を置くという一つのポスト、位置づけがあります。沖縄の重要性もさることながら、そこに北方という言葉を入れてもらったことに、私は、大変先を読んだ、また夢のある対応をしていただいたなと思っております。  十一月一日、二日のクラスノヤルスクでの橋本・エリツィン会談でも、二〇〇〇年までに平和条約締結に向けて最善を尽くすという取り決めもあります。この省庁再編は二〇〇一年からのスタートでありますから、私は、間違いなく橋本総理の手でこの戦後五十二年の国民の悲願である領土問題も必ず解決してもらえる、しからばさらに北海道の役割、北海道開発局の果たす役割はふえてくる、こう思っておりますので、そういったことも頭に入れながら、堂々たる政策を展開していきたいと思っております。
  76. 大村秀章

    大村委員 北海道の開発、そしてまた北海道を振興するその機能をしっかりとこれからも発揮していただけるよう行政改革であってほしいと思います。ぜひよろしくお願いしたいと思います。  それで、この省庁再編関係では、自治省のことだとか情報通信のこともお聞きを、まだ時間がありますからお聞きしますかね。  今回、総務庁と自治省と郵政省が一つになって総務省という形になるわけでございまして、その点いろいろ、先ほど小里大臣も言われましたように、今回の行政改革一つのキーワードが地方分権であるということであれば、それを一つにしていくということでちゃんとその機能が発揮できるのかどうか、そういうことを言われる声もあるわけであります。  また、その中にさらに情報通信という分野も入ってくるわけでございますが、私は、二十一世紀の国家戦略の大きな一つとしてやはり情報通信というものがあるというふうに思っております。日本はまだまだ情報通信の分野では後進国だということも言われておるわけでございまして、これをどういうふうに進めていくのか。どういうふうにインフラを整備し、そして民間活力を導入してこの情報通信をもっともっと使い勝手のいいものにしていくかということが、国際競争力のある日本であるためにどうしても必要だと思うわけでございます。  今後できる総務省というのは、今の総務庁と自治省と郵政省、そういうのを全部合わせるわけでありまして、そういう意味で、そう合わせていったとしてもどういうふうに相乗的に、むしろ合わせることによって相乗的にいい効果を発揮していただきたいし、発揮できるようにこれから中身を詰めていただきたいと思うわけでございまして、そういうことにつきましての、この新たにできる総務省、自治、情報通信、そうしたものを入れた中でどういうふうに持っていくか、その点についてのお考えをぜひまたお聞かせいただければというふうに思っております。
  77. 小里貞利

    小里国務大臣 まず私の方から考え方を若干申し上げまして、具体的な役割については、新しい役割に対する構想については、自治省、郵政省が参っておりますから。  要するに、ただいまお話がございましたように、二十一世紀にかける我が国の国家社会像というものを視野の中軸に置きました。これが私は前提であると思うのです。そこで国の具体的な改革像というものを描いてまいった。そして、具体的な一つのあるべき改革像あるいは実像というものを考えますときに、すぐれてただいま国家施策の面では、先生指摘があったよう情報通信という国の施策は非常に重要な位置があるな、こういう認識を持ったことをまず申し上げまして、お答えといたしたいと思います。
  78. 木寺久

    木寺説明員 行革会議最終報告におきましては、地方行財政につきまして、新たに設けられる総務省において所管することとされたものと承知をしております。  各省の具体的な事務の執行体制につきましては今後検討されることになると思われますが、自治省といたしましては、憲法に一章設けられている地方自治の重みを踏まえ、新たに設けられる総務省において、地方自治の確立、一層の発展が図られるよう適切に対応してまいりたいと考えております。
  79. 元女久光

    ○元女説明員 情報通信の持っている意味づけにつきまして、本当に大変ありがたい御指摘をいただいたところでございますが、昨日の行政改革会議最終報告によりまして、私ども情報通信三局が一体として総務省に移行するということでございますので、今後とも、情報通信が二十一世紀の我が国の社会基盤として重要な役割を果たすべくいろいろな政策を推進してまいりますが、そのために必要な総合的、戦略的、機動的な行政対応を積極的にできるというような枠組みをいただいたのではないかと思っております。
  80. 大村秀章

    大村委員 最後に一言。いろいろな御答弁、本当にありがとうございました。  行政改革につきましては、さらに、情報公開とか規制緩和、そういったキーワードもあると思います。昨日の行政改革最終報告を契機といいますか出発点といたしまして、さらに行政改革の実が上がるようぜひ御努力をいただきますようにお願いをさせていただきまして、また、我々も一生懸命頑張っていきますことをお誓い申し上げまして、御質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  81. 谷津義男

    谷津委員長 御苦労さまでした。  瀬古由起子さん。
  82. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。  昨夜、行政改革会議最終報告書を受け取らせていただき、読ませていただきました。  最初に、私自身の率直な思いは、一体この行政改革の問題はどこから出発したのか、国民が求めていた行政改革というのは一体何だったのか、こういう問題です。  超低金利の政策、また住専問題で大銀行の利益優先という大蔵行政のゆがみ、薬害エイズ事件にも見られますように、また高薬価の問題では厚生行政のゆがみ、こういうものが出されておりました。ゼネコン型公共事業に偏った建設行政のゆがみ。こういう行政のゆがみを正す、そして業界との癒着を断ち切って、浪費を削り、また国民奉仕の行政をするということが本来国民に求められていたものではなかったのかということだと思うんですね。その国民の願いは一体どこに行ってしまったのかと率直に思わざるを得ないわけです。  今、日本共産党は、こうした国民の願いにこたえて、本当の行政改革のためには企業献金、団体献金の禁止が必要だ、天下り規制が必要だ、情報公開、こういうものが必要だという立場から今七法案を提案しておりまして、国民のための真の行政改革を訴えてまいりました。この立場から、今回の最終報告について幾つかの点を質問させていただきたいと思います。  まず、先ほど言いましたように、国民の願う行政改革、この金権腐敗の根を断ち切るという問題、癒着の構造を断ち切るという問題なんですけれども、今度の行政改革会議最終報告は、政財官の癒着をどう断ち切るのかということを、どのように論議されて、どういう方針を出されたのでしょうか、お聞きしたいと思います。
  83. 小里貞利

    小里国務大臣 今次の行政改革推進におきまして、昨夜、最終報告取りまとめていただきました。政府も直ちに、けさ方、閣議でもってこの役割、目標をきちんと確定いたしたところでございます。  ただいまの議員お尋ねは、政官財ですか、等の癒着をどういうふうに整理したのかというお話ようでございますが、私どもは、そのようなことなども若干念頭に入れましたということを否定するものでもございませんけれども、一切が、この際そのようなことが仮にありせば断固排除する一つ行政組織でなければならない、さような不撓の信条で当たりましたことだけはひとつ評価をいただきたいし、また、そのことは自信を持って説明できる話であると思います。  まずそのよう基本から、いささかたりとも国民に疑念を抱かせること自体、私は、行政改革というものは進められない、さように思っておる次第でございまして、御理解いただきたいと思います。
  84. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 少しは頭の中に、こういう癒着問題は、全くないとは言わない、あったと。あったけれども、具体的にそれを断ち切るための行政改革が必要なわけですよね。  そういう点では、国民に疑念を抱かせることになってはならぬということですけれども、実際には、はっきり言って、こういう政財官の癒着をどうするのかという点で、要するにそのもとを断ち切るという点では、企業・団体献金、どうしてもそれによってお金で動かされる。こういう政治はやめてもらいたいというのが大蔵行政の問題でもあるし、厚生行政の問題でもある、建設行政の問題でもあるわけですね。  こういう企業・団体献金中止という問題や天下り、癒着問題の一番根本ですね、これはどうなったのかということを聞いているわけです。これはどのように論議されたのか。
  85. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 私、行革会議のメンバーでもございません。先生がおっしゃいます政官財の癒着、これはもう議論する前に当然のことでございまして、国家公務員法におきましても、私ども政治家にとりましても、政治倫理の問題で、当然でございます。  行革というのは、今まで何十年も続いて金属疲労を起こして、縦割り行政の悪いところ、例えば同じ仕事を四省庁か五省庁でやっている、交通安全なんか十一省庁でやっている、みんな現場へ行ってつき合う、こういうもののむだをなくする。そして同時に、一方で規制の撤廃、緩和。国際社会についていけない、こういうものも同時に進めて、今結論が出ようとしております。  一方、地方分権の第四次勧告を受けました。これも具体化するには膨大な作業が要りますが、勧告を受けまして、これを一緒にやっていって、行革、これは明治以来、あるいは昭和に入ってから五十年以来、第一には既成権利との闘いでもあろう、業界その他の癒着もこういうようなことでなくなっていくであろう、こういうふうに思っているところでございます。特に、これは当然のことだ、しかしそういうことからもなくなっていくのじゃないか、こういうふうに私は思っております。
  86. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 縦割り行政をなくす、省庁再編する、そして地方分権を進める、規制緩和を進めると。しかし、肝心の、どんどん天下りは引き続き行われたり、企業献金をどんどん政治家が受け取る。こういうようなことをやっていれば、幾ら省庁を小さくしようが大きくしょうが、地方分権といっていろいろな仕事の分担をしようがそのなくなるという保証はどこにあるのですか。
  87. 小里貞利

    小里国務大臣 私は、議員が今指摘し糾弾されようとしておりまする、政治倫理なりあるいは公務員倫理というものは厳粛でなければなりませんよということは、先生に劣らず意識をし、かつまた自覚をしておるつもりでございます。  しかしながら、今次の行政改革を行うについての原点と、先生が今おっしゃる、そういうような正しからざることが行われておるとせば、そういうことをどうするのか、あるいはまた今後どういう気持ちでその改革案というのをつくったのかということとは、私は、結果としてきちんとその辺を抑止される、あるいはそういう雑念が入ってくる余地がないような厳粛にして筋の通った、そして国民に対しまして常に行政や事務事業が公開されるような状態をつくることがむしろ基本であって、その推進過程の中において大いにひとつ期待をしていただきたい、かように申し上げる次第です。
  88. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 今、先生、天下りの問題を言われました。これは、事件が起きるたびに前々から御指摘されておりまして、たびたび問題になる。総務庁長官とも、私、就任してから、この今の行政改革がある程度まとまってから、公務員制度全体について、この天下り問題も含めて見直していこうじゃないかと。  ただ、今の状況で、六十というものを五十二、三歳で肩たたきをして、どこにも行くな、勤めるな、こういう制度はやはり精査をして、私の個人的気持ちでございますが、もう少し年齢を上げて、事務次官だけ上げるのでなくて、そういうよう公務員制度の抜本的な見直しをして、天下り制度弊害をなくしていこう。総務長官とも相談をし、小里さんも、これはこの後すぐ取りかかろうと。  これは今後先生方の御協力を得て、批判を受けないようにやっていかなければならぬ、こういうふうに考えているところでございます。
  89. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 企業献金の問題も天下りの問題も、時間がかかる問題ではないのです。本当に、もうやめようといえばやめられる問題なのです。  では、具体的にお話ししたいと思うのですけれども総務庁長官は、政治倫理というのは厳粛であらねばならぬ、雑念が入ってくる余地のないように、こう言われているわけですけれども、具体的に言いますと、例えば先日、全国労働組合総連合が、ビクトリーマップ九七年度版、こういうものを発表したわけです。  これはどういう内容かといいますと、大企業はこの間、数千人から数万人の規模で人減らしをやっている。ところが、内部留保、利益は、何と四百三十七社で九十六兆円、九十六兆五千五百三十六億円もため込んでいるというわけですね。この内部留保は、ことしの政府予算の大体一・二五倍に相当する、それも一年間に三兆円も積み増している、こういう内容を報告しました。  その中で一番ふやしたのはどこかというと、銀行なんですよ。銀行は、大手九行で全体の増加額のほぼ四割、一兆二千億円の積み増しをしている、内部留保は十兆円を超えるとなっております。山一のメーンバンクでありますあの富士銀行は、千七百六十七億円の内部留保をふやしている。ですから、今銀行や証券会社の倒産ということが問題になって、公的資金をなどという話がありますけれども、銀行業界や証券業界というのはみずからの責任で処理する能力をしっかり持っている。  ところが、驚くことに、自民党がこの銀行業界、金融機関から七億円も企業献金を集めていたということが明らかになりました。これは、ことしの九月十八日に一九九六年の政治資金収支報告書の中で明らかになったわけです。もちろん、銀行からのお金を集めたというのは自民党だけではありません。大金の借り入れという形でいえば他の党もございます。そういう点で、金融機関との癒着というのは問題になっているわけです。  また、公共事業のむだを見直せという問題が国民批判として大変大きいわけです。ところが、ゼネコン、建設業界にも自民党への献金が急増しております。製薬業界はどうか、これも前年比一・五倍です。国民には財政構造改革で大変だ大変だと言う割には、こういう大事なところ、企業のために、銀行のために、ゼネコンのために、製薬会社のために仕事をする、こういうところにもつと私はメスを入れるべきだと思うのです。しかし、もらっていれば全然メスが入らないということは明らかだと思うんですね。  例えば自民党でいえば、金融関係でいいますと、例の住専の問題がありましたよね、当面自粛していた。ところが、もう直ちに、それがちょっとほとぼりが冷めたなと思うと金融業界から献金を集める、こういう仕組みになっているわけです。ですから、こういうところの癒着をなくしてほしい、この仕組みを変えてほしい、こういう声が行政改革をやってほしいという国民の声ではないのかというふうに思うわけですね。  その点では、いろいろ、政治倫理は厳粛にとか言われるんだけれども、具体的には、今問題になっている業界からたっぷり献金もらっていてどうしてこれが行政改革できるのかという点で明らかじゃないかと思うんですけれども、その辺はいかがですか。
  90. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 今、政治資金規制の問題で、いろいろな企業から、自民党初め、あるいは他の党も、もらっているじゃないかと。私は、今の政治資金規正法の中で許されている範囲で献金を受けていると思っております。それが直ちに癒着につながるとは私は考えておりません。私ども厳正に、いただいたからどうのこうのということではないと考えておるわけでございます。  しかし、批判もあるところでございまして、与党三党でいろいろ、この企業の献金あるいはその他については協議中のことと聞いておるところでございます。
  91. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 例えばゼネコンの問題にしましても、バブルがはじけて大変な業界としては、経営危機に陥ってもなおかつ多額のゼネコンの企業献金はふえているという実態もございます。  それで、今度の財政構造改革の中でも、ゼネコン、公共事業だけは枠を減らさない、こういう流れになっているわけです。製薬会社だって、今私たちは、健康保険の財政の一番のポイントは薬価にメスを入れなさい、こういうことを言っているんですけれども、これについてはほとんどメスが入らない。銀行では、もう言いましたように、銀行は大変なんだ、だから公的資金をと、どうしてこれで行政がゆがめられていないと言えるんだろうか。これは、国民の率直な感想だと私は思うんですね。  ですから私は、こういう癒着構造を持ったまま幾ら省庁再編をやっても、これは結局機構いじりだとか数合わせにすぎない。だから、ある意味では、行革だと言いながら、すりかえているんじゃないか。  かつて、あの金権腐敗事件が起きたときに政治改革だと言った、あのときには何があったかというと、選挙制度を変えるんだといって小選挙区制をやったのと全く手法は同じではないか。ましてや、利権官庁を集中したら、肝心のそういう金権腐敗構造をなくさなければ余計に汚職や腐敗が大きくなる可能性がある、私はこのことを指摘しておきたいと思います。  もう一点、では天下り問題について聞きましょう。  天下り問題でいえば、いわゆる特殊法人が、本体は赤字なのに子会社や孫会社は大もうけ、今こういう問題が特殊法人などについては出ておりますね。それで、今度の独立行政法人に幾つかしていこうという流れもあるわけです。しかし、こういう問題を、この今の特殊法人などにきちんとメスを入れないと、これも幾ら独立行政法人をつくるといっても同じ内容になってくるだろうと思うのですね。  例えば、今問題になっております住都公団ですけれども、この住都公団は、九七年度末の見込みで十五兆一千百億円の固定負債がございます。既にもう六十二億五千万円の欠損金が生じている。道路公団の場合は、九七年度末の見込み負債額は二十五兆四千二百四十六億円に上っております。欠損金は出ないようにしているけれども、資金収支で見ますと、財投などの借り入れが二兆四千百四十九億円、政府出資金、補給金が二千五百億円、業務収入をはるかに超えているわけですね。  つまり、国民の税金の投入がなければ大幅な欠損になる。この二つだけでもう既に四十兆円を超える固定負債があって、第二、第三の国鉄になっているわけです。ところが、いずれも子会社は大幅な黒字になっているわけですね。  最大の問題は、なぜこうなっているかというと、官僚の天下りというのに問題があるわけです。住都公団は、十五名中十一名が建設省を中心とした天下りになっています。それで関連子会社、関連財団、この役員のうち四割近くが天下りや出向者だ、こういうふうに言われております。日本道路公団は十名中七名が天下り、そしてその子会社、孫会社にこれもまた多くの官僚が天下っている。建設省や道路公団のOBが居座っております。  しかもひどいのは、例えば道路公団の総裁になって、その次には子会社の施設協会の理事長になる、さらにもっと違う財団に、ずっと天下りのルートができているわけですね。退職金は六年間で五千万円程度。建設省などをやめて、もらった後、まださらに五千万円以上もらえる。こういうやり方で、ともかく天下りのために子会社をどんどんつくっていっている、こういう実態があるわけですね。それで、利益はその子会社で吸い上げるようにして、肝心の親会社の方は、親の公団の方は赤字で、国民が負担させられている。  こんなところに本当はメスを入れなければ、行政改革と言えないでしょう。こういう点では、今度の最終報告には、「営利企業への再就職規制を強化する。」こういう抽象的な表現がありますけれども、特殊法人への天下り規制、こういうものについては全く書かれていない。これはどういう論議をされたのでしょうか。
  92. 小里貞利

    小里国務大臣 議員が言われるそういう特殊法人、八十六事業体ぐらいあろうかと思います。ここに癒着がありますよ、あるいはまた正しからざることが余りにもはんらんしておりますよというようなことを象徴的にお話がございますが、私はそういうことを視点には置きません。むしろこの際、純粋に、本来の行政改革という基準に立って、視点に立って、ただいま感覚的にお知らせをいただきました業務のあり方、あるいは事業体全体の姿勢の問題、あるいは財務効率性の問題等々、御指摘がありましたが、それらのことについては大事に配慮をしながら、今次改革を加えていかなければならない、さように思っております。  したがいまして、そういう本来の一般論から申し上げますと、今ある特殊法人は、余りにも御承知のとおり多種多様あります、そして混在をいたしております。それから、共通の運営の原則もありません。ですから、そのような事業運営の非効率性あるいは硬直性、経営内容の不透明なところなどがあるとすれば、これをきちんと指摘をいたしまして、そしてこの際、統廃合あるいは民営化など、勇気を出して全般的な見直しを進めていく必要がある、かように思っております。  この際、そのよう一つの方針を実行するためのおぜん立てば、最小限、基礎的にいたした、さように思っております。その一つが、独立行政法人の形態とはこういうものですということをきちんと担保いたしたつもりでございます。
  93. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 これは企業献金の問題も同じなんですけれども、こういう根本的な問題をきちっと据えて改革というのを考えていかなければ、これはこれでおいといてみたいなことは、本当の国民の願う改革にはなっていかない、根本的なところからずれていると私は言わざるを得ないと思うのですね。  もう一つの問題について言いましょう。例えば動力炉・核燃料事業団、動燃の問題があります。これは政府の監督が余りにもずさんだということで大変問題になっているわけですけれども、何でこんなひどい状態が放置されていくのかということなんですね。  問題を引き起こしました動燃の事業団、このトップをどういう人たちがやっているかというのを調べてみたのですよ。そうしますと、例えば歴代の理事長ですけれども、順番に言いますと、どういうところがやっているかというと、中部電力から来ている、それから日立、その次は通産省、関西電力、中部電力、科学技術庁、関西電力、東京電力と、ずらっと理事長は電力会社からの出向、電力会社から派遣されている。そして副理事長も、三菱金属鉱業とか中電、東京電力、東芝、こういうところがずらっと並んでいるのですね。  こういう人たちが今の動燃のこうしたずさんな問題を放置してきたし、国民から批判されることをやってきたわけですね。こういう場合に、財界人をトップに据えて民間活力を活用する、こう言うのだけれども、実際には民間に任せた結果やりたい放題のことがやられているというのが、この動燃の結果でも明らかなんですね。  それだけじゃありません。例えば、今問題になっております総会屋と呼ばれる暴力団、右翼との癒着の問題や、違法行為をやっている財界、金融・保険業への国民の不信というのは蔓延しているわけです。  今度の最終報告書の中でも、独立行政法人がもっと自由にやるためには、主務官庁による強い事前の関与とか統制により自主性が欠如しているので、もっと規制を外していく、こういう流れで報告されているわけですけれども、逆にもっときちんと主務官庁が見なければいかぬ、こういうものだって今幾つかあると思うのですね。  その点でも、私はこの独立行政法人のあり方の問題も、こういう動燃の問題をあわせますと問われているのじゃないかと思うのですけれども、それはいかがでしょうか。
  94. 小里貞利

    小里国務大臣 私は、独立行政法人の私どもが掲げておりまする目的、あるいは事業形態、あるいは業務の、ただいまお話がございました自由性、裁量性、弾力性を持たせるこの仕組みが、決して否定されるものであるとは思っておりません。  ただ、議員指摘になりますように、正しからざること、あるいは大事におきましても国民の納得いただき得ないようなことが仮にあるとせば、そういうばっこは許してはならぬわけでありますから、仮にあるとすればこの際そのばっこは断固排除する、この方針が政府になければならないと思う次第です。  時間の関係もおありでしょうからこれ以上申し上げませんけれども、要するに、ただいまお話しになることと、私どもが本来本質的に国の従来事業としてきたものを、民間にゆだねていいものはゆだねる、あるいはまた行政法人であっても、もっと体質改善をするべきものはきちんとすることとは、おっしゃることとはきちんと峻別をしてかかればそれでいいのじゃないか、さように思います。
  95. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 民間にこれ以上ゆだねてはならない、きちんと主務官庁がそれなりに監督を強化しなければいかぬというものもあるということはお認めいただけますか。
  96. 小里貞利

    小里国務大臣 特に、癒着とかあるいは正しからざることとか、業務運営上の話をおっしゃいましたから、そのようなことが仮にありとせばそういうばっこは断固排除して、本来の改革改革で、自信を持って、きちんと国民の納得を得ながら進めるべきものである、かように申し上げております。
  97. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 要は、そういう事実があるから私の方は言っているのです。あるとすればじゃなくて、もう現実にこういう民間任せのやり方でめちゃくちゃなことをやられているという問題について、きちんとそれは、必要な監督や、主務官庁の監督指導というのは当然あり得るのじゃないかというふうに思うわけですね。その点を言っているわけです。  なぜそういうことを指摘するかというと、今度、独立行政法人が行革会議で打ち出されているわけですけれども、根本的な問題、きちっと必要なところは監督するということや、癒着関係、こういうものをなくさない限り、今特殊法人がこういう問題をいっぱい起こしているわけです。ですから、結局、新しい独立行政法人をつくるといっても、また第二、第三の特殊法人をつくるのと同じじゃないか、こういう指摘もあるわけですね。  そういう意味では、きちんと監督をすべきは監督して規制するということが必要ですし、同時に、そういう癒着関係を断ち切るためにも天下りというものを排除するというのは、これは将来的な問題じゃなくて、直ちに行革会議の内容として検討しなければならない内容だったのじゃないか、私はこのことを指摘したいと思います。  さらに、この独立行政法人にかかわって大変問題があると思っているのは、国立研究機関の独立行政法人化の問題なんですね。例えば農業試験場だとか工業技術研究所、国立の美術館とか国立病院・療養所、こういうものが検討されているわけですね。  本来、環境、安全、防災、文化、医療、こういうものは国がきちんと責任を持たなければならない分野でもあり、また、研究という点になりますと、私はかなり国の責任というのは重いと思うのです。国民からも当然期待されておりますよね。そういう場合に、効率性の向上とか質の向上というのを言われているのですが、こういう例えば基礎的な研究をする場合に、効率性だけで果たしてそういう基礎研究なんかは確保されていくのだろうか。  そういう点で、研究者の方々からも関係者の方々からも随分不安が出ているのですが、その点はどのように検討されたのでしょうか。
  98. 小里貞利

    小里国務大臣 今、末尾の方で御指摘になりましたことは、まさにそのとおりであると思います。行革におきましても、我が国のいわゆる科学技術への取り組みというものは充実させなければならぬ、これは基本としてきちんと踏まえながら、同時に、国として重要かつ総合的に取り組む必要のある研究分野、あるいは広範な行政目的関係する、横断的なと申し上げましょうか、研究分野を担う中核的研究機関を育成することは必要であります。その中には基礎研究分野も当然含まれております。  こういうことでございまして、あわせまして、このような観点から、行政改革会議といたしましては、国立試験研究機関についても、独立行政法人の制度を活用できるものは活用いたしまして、その運営等の改革を図ることが適切であると判断をいたした次第であります。
  99. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 例えば農業試験場だとか工業技術研究所だとか基礎的な研究を行うところで、独立行政法人化した方がいいという御判断は、何を根拠にこの方がいいということなんですか。国立てない方がいいというのは、どういう意味でしょう。
  100. 小里貞利

    小里国務大臣 今お話しの固有機関名を挙げてのお話でございますが、それらのことにつきまして行革会議で、一通りと申し上げましょうか、検証をいたしましたことは経過にあります。  しかしながら、まだ省庁再編法そのものが、原案もできておりませんし、これから先ほど申し上げまするように越年いたしまして取りかかって、これが成案化、法制化を進めていくわけでございまして、その過程におきまして関係筋と十分協議をして詰めていかなければならない話であると思います。
  101. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 具体的に名前もずっとこの報告の中に挙がっておりますから、私も心配をしているわけですね。その点では、もっと、なぜこれが独立行政法人化でなければならないのかということが不十分なまま名前だけ挙げるなんというのは、私は、大変、何といいますか、めちゃくちゃなやり方ではないかというふうに思うのです。  そういう意味では、よく関係者の御意見を聞くということはありましたけれども、特に研究者の皆さんですね、実際に地道な研究に携わって、そう成果がぱあっと一年ごとに出るなんというものではないものはたくさんありますよね。医療機関でいえば、難病なんかを研究されている方なんかそうでしょう。そういう場合には、本当に国として責任をきちんと持つ、身分もちゃんと安定したものでやるということは、私は当然あると思うのですね。ぜひそういう点での関係者や研究者の意見というのは聞くべきだと思うのですけれども、その点はいかがでしょうか。
  102. 小里貞利

    小里国務大臣 ただいま先生からお話がございました難病等の問題は、改革を進めることも大事であるが、しかしながら、ただいまお話がございましたそのよう一つ判断において、慎重に検討するべきだなと。少なくとも国の直接責任で研究し施策を進めていくべきであるということは、率直に言いまして、橋本総理自身も何回も行革会議で言及された問題であるということを含めて、答弁申し上げておきます。
  103. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 では、官房長官に聞きます。  内閣機能の強化の問題なんですけれども、今回の改革の大きな柱の中に、官邸、内閣機能の強化という問題が出てまいります。その中で、閣議の議決方法に、合意形成のプロセスとして多数決制を採用する、このようになっていまして、また、総理の基本方針の発議権を内閣法上明記すべき、こういう内容も出されております。  実際には、閣議の議決方法に多数決制を採用するという場合に、憲法六十六条には「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。」こういう規定がございますけれども、この整合性は一体どうなるのか。  また、発議権の場合は、現在、行政を各大臣が分担していますでしょう。そういう場合に、総理大臣が独自に発議できる、そうすると、何か、関係大臣との意見が違っていても勝手に総理が自由にやるなんということになったりしますと、行政上混乱というのは起きてきませんか。その点いかがでしょうか。
  104. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 時間もございますので、簡潔に申し上げたいと思います。  今までの総理の発議権でございますが、「各大臣は、案件の如何を問わず、内閣総理大臣に提出して、閣議を求めることができる。」内閣法第四条第三項でございますけれども、「現行の内閣法はこの点を明らかにしておらず、内閣総理大臣のこのような発議権を内閣法上明記すべきである。」まあ、現在もできるのでございますが、それが書いていないからひとつ明記すべきであるという意見が出た、これが一点でございます。それから、もう一つの多数決制でございますが、閣議の議論を活性化するため、必要であれば、合意形成に至る運営上のプロセスとして多数決の採用も考慮すべきであるということで、行政改革会議の提言でございます。  もう一度言いますと、合意形成に至る運営上のプロセスが前提でありまして、行政上の混乱とか憲法との整合性といった問題は生じないと私は考えているところでございます。しかし、これをやるとかやらないとかは、また今後の問題であります。
  105. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 本来、多数決制でとらなくても、大臣の意見が違うという場合は罷免することができるわけですよね。そういうものができるのに、あえてそれに、こういう多数決制をとるとか、今、大臣同士で率直に閣議で論議はできるわけですよね。それをあえてこう書き込むといいますか、書きかえるといいますか、そういう点で私は、やはり本当の民主主義といいますか、今の内閣機能を強化するということに何らかの、やはり強引に押し切るような流れがあるのではないかということを率直に私は指摘せざるを得ない。  最後ですけれども、時間がございませんので、行政改革会議の今回の最終答申で、何でこんなに国民からかけ離れたものになってしまったのかという点で言いますと、例えば、今回の諮問といいますか、今回の行政改革会議は、第二臨調のときなどは例えば調査会の設置法とかつくって法的な根拠があるわけですね、国会として決めている。ところが今回は国会にもかけないで、閣議決定の政令だけになっている。そして、委員会委員の構成も、決して国民的な基盤を持っている人たちが並んでいるとは言えない。  この行政改革を諮問した人が首相であり、そして首相自身会議に乗り込んでいってリーダー的な役割を果たす。それで、それを受けて、今度は閣議でそれを首相も入れて決める。何だか、自分で決めて自分で進めていくという大変強引なやり方だ。何でこんな強引なやり方をしたのでしょうか。
  106. 小里貞利

    小里国務大臣 内閣の首長たる内閣総理大臣がみずから会長をお引き受けになったということは、それだけ、行政責任者である総理大臣として、強靱なリーダーシップ、あわせまして責任と申し上げましょうか、それを持って、その諮問機関である行政改革会議国民からして最も尊厳なるものにいたしたい、国民からして重要な関心を持っていただきたい、そのような私は目的もあったと思う次第であります。  結果としてその行政改革会議から出されたものを、総理大臣たる政府の最高責任者がどのようにそれを受けとめられるか、私はそこに大きな意義があると思っておりまして、したがって、行政改革会議の皆さん御苦労さんだった、これを私どもは最大に尊重し、これが実現に向かって全力を傾注しますというけさ方の閣議をもって、きちんと各級機関、段階が進んできた、私はそのよう判断する次第でございます。
  107. 谷津義男

    谷津委員長 持ち時間が過ぎています。
  108. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 行革会議の内容がやはり国民の願っている真の行政改革の方向とは違っている、そういう立場で、本当に国民の声を聞いて、真の行政改革の方向をぜひ目指していただくことを述べて、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  109. 谷津義男

    谷津委員長 御苦労さまでした。  本会議散会後、直ちに再開することといたしますが、もし本会議が早く終わるような事態がありましたならば、二時から再開するということで、この際、暫時休憩いたします。     午後零時九分休憩      ――――◇―――――     午後二時十一分開議
  110. 谷津義男

    谷津委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。佐々木秀典君。
  111. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 民主党の佐々木です。  昨日発表されました行政改革最終報告、これを中心にして三大臣にお尋ねをさせていただきたいと思います。  けさほどから議論が行われておりますけれども、昨年の十一月に行政改革会議が設置をされました。もちろん、その前にも、行政改革のあり方をめぐっては何次にもわたる臨調もあったわけですけれども、昨年からちょうど一年間、この設置された行革会議で検討されて、ここに一応の形が発表された。これについては、私としても関係者の御努力に敬意を表したいと思います。とりわけ小里総務庁長官、最終段階でこの担当大臣として、また橋本会長の代理的な役割もあって、本当に御苦労だったろうと思います。そのことについては敬意を表したい、こういうふうに思うのです。  しかし、これもまた御指摘がありましたように、この報告が本当に、この行政改革目的あるいは理念などというものが土台になってできたものだろうかという点については、いささか疑念なしとしないような感じもいたします。  私は、特に九月三日に中間報告が出されて以降というもの、残念ながらこの行政改革の論議がいわゆる省庁再編、一府十二省庁ということはそのときにも出ていたわけですけれども、それがどういうようになるかということに論議が少し集中し過ぎて、行政改革の本来の目的というのはどうなのか、あるいは行革の理念はどうなのか、それとの照らし合わせでこの省庁再編がどういうふうにつくられていかなければならないのかなこということについての論議が、少しく薄まったのではなかろうかというように感ぜざるを得ないのであります。  もちろん、会長でありました橋本総理大臣は十一月段階で、これは二十一日だったでしょうか、記者会見での総理の談話もございますけれども、この段階で、この行政改革の骨格をおおむね決定したということで、みずから自賛をされておられる向きがあった。確かに御苦労もあったわけですから、一応形ができたということについてはわかるのですが、ただ、この談話の中でこういうことを言っていらっしゃるのですね。政府行政改革会議における集中審議、与党との精力的な協議、調整を経て、二十一世紀に向けて、この日本という国の将来の形を決定する行政改革の骨格をおおむね決定いたしましたので国民の皆さんに御報告したいと思います、こういう御発言があります。  ここで言われている、この日本という国の将来の形、「この国のかたち」という言葉は、たしか亡くなられた作家の司馬遼太郎さんのつくられたというか、よく使われた言葉だった。そのことを恐らく意識されたのだろうとは思うのですけれども、私は、この行革の姿が日本の国の将来の形を決定したものだというようにとらえるのは、いささかどうかなという気がいたします。  そもそも、行革が目指したものというのが日本の国をどうするかということであるとすれば、その議論がまずなければいけなかったろうと思うのです。とにもかくにも、今度の報告の中でも、明治以来三つの大きな転換期を経てきた、この経過の分析などについては私もそうだろうと思うけれども、これから目指す日本の二十一世紀のありようというのは、まるで我々の今まで予想もつかなかったようなことになってくるのだろうと思うのですね。  そこで日本の国が、そしてそれを形成する日本国民が、どういう生活のスタイルを求め、何を人生の目的とし、それに対して国がどういう対応をするかというようなことについては、まだまだはっきりしていない。このことについても本当はもっと国民的な議論がなされるべきだと思うのですけれども、その上での行政改革のあり方というものが考えられるべきだとすれば、その前段のものについては、私は必ずしもまだ十分な議論があったとは思えないのですね。  しかし、それはともかくとして、要は行政改革目的というのは、今度の報告書の中でも一応、確かに「理念と目標」というように示されてはいるわけですけれども、しかし私をして言わしめれば、国は要するに国民にどんな公共のサービスを保障するのか、この行革は国民にどういうような将来を約束するのかということが示されるものでなければならないのではなかろうかと思うのですね。  もちろん、今度の行革が、この報告書の中でも言っているように、戦後の日本のありよう、その中から生まれはぐくまれたさまざまなひずみ、あるいは非合理あるいは非効率化などなどの反省の上に立って、それからまた、午前中からも同僚議員から指摘がありましたような、政官財の癒着というものが形成され、その中から望ましからざるものが生まれてきたということの反省の上に立って、それを払拭できるようなものにしていこうというところにやはり一つのねらいがある、大きなねらいがある。だとすれば、それにこたえられるよう省庁再編でもなければならないと思うのですね。  そしてまた、それは報告書の中でも書かれてもいるわけですけれども一つには、地方との関係でどうするのか。中央の集権を排して、地方の分権、地方の自主性、自律、これを大切にしながら、中央権限を財源とともに地方にゆだねて、そして地方の活性化を図り、総じてバランスのある国の発展を期するのだということが一つの眼目でなければならなかろう。  それからまた、そのためには、政治や行政への国民の参加あるいは監視のシステムというものが、今までにないぐらい大きく大きく考えられていかなければならない。そのためには、どうしても徹底した情報の公開というものも必要であろうということだろうと思うのですね。  ところが、そうだとすれば、この省庁再編にしてもそうですけれども、まず、今言ったようなところをどうするかという仕組みをつくって、その上で省庁再編というものがあるべきではなかろうかと思うのですが、どうもその順序が逆になっているのではなかろうか。これは後でまたお尋ねをしたいと思いますけれども情報公開にしても地方分権にしても、政府としてもそれなりの手だては立てられているのだろうと思うけれども、しかし、まだそれがはっきりしたものになって示されていないように思うのですね。そういうことから考えても、少しく順序が逆ではなかろうかと思ったりはするのです。  そこで、まず官房長官総務庁長官お尋ねをしたいと思いますが、この橋本行革の理念と目標にしたところを考え、今回示された御報告の行革案というものは、どのぐらいこの目標を達成したとお考えになっておられるか。もちろん、総理大臣も、これは最終ではなくてスタートなのだということは言っておられるわけですけれども、とりあえず、その評価をお示しいただきたいと思います。
  112. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 戦後五十年を経て、我が国の行政システムというものが時代に合わなくなった、あるいは金属疲労したのじゃないか、こういうことは、国民の大方の人々が今の行政でいいのかなと大きく疑問を持っているところだと私も思います。  その証拠に、昨年総選挙があったわけでございますが、各政党とも、行政改革、いろいろな改革をしなければならぬと。内容はともかくとして、それぞれ違うと思いますが、将来の日本のあるべき姿というものを見据えて、効率的な、かつ透明性、そしてまた縦割り行政の打破というよう政府組織をつくり上げていくということが、今回の行政改革基本的な目的であったと思います。さらに加えて、国家公務員、多いのじゃないか、年次計画をもって削減すべきではないかと。  したがいまして、いろいろ先生批判もあろうかと思います。中間報告のとおりにいかなかったのはまずいのではないかとか、いろいろな新聞とか雑誌等でけなしているところもございますが、二、三日前に私が見た本で、これからの日本どうする、目下公人さんの本でございますが、この行政改革、いろいろな問題があるけれども、進んでいるんじゃないか、これからの日本は元気になるぞと、教授ですか学者ですか、こんな意見も出ているわけでございます。  この最終報告、今までは外圧で変えてきたが、自前で、橋本総理が非常な決意を持って、これは議院内閣制ですから、すべておっしゃったとおりできないかもしれませんが、私は、大きな仕事であったと。将来を見据えた新たな省庁編成の実現と、そして現行省庁の半減、政治のリーダーシップを発揮する。総理ばかりでなく、私ども、そして皆さんもリーダーシップを確立していけるような情勢になったのではないか。同時に、これが実現すれば内閣機能も強化されていくのではないか。  私は大きく評価をいたしておりまして、この実現に向けて今第一歩、これからが大変だと思います。今後とも、先生方の御協力を得て最大限の努 力を払ってまいりたい、このよう考えているところでございます。
  113. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 確かにおっしゃるようなことはわからないではないのですけれども、しかし、なおかつ、やはり私どもとしては危惧もしなければならないし、まさにスタート台だと思いますので、これから私どもとしても積極的に論議に加わって、よい行政改革というか、国民の望む行政改革を実現しなければならないとは思っておるわけです。  そこで、いろいろな方面からも指摘をされているように、今もお話があったように、一つ中央集権を排除するということだろうと思うのだけれども、この省庁の改編によって、今まで以上に大きな大きな権限と、あるいは財源まで関与する巨大省庁が新しくできるではないかということが言われているわけですね。その一つが、例えば国土交通省であり、それからまた郵政事業、あるいはそこから入ってくるお金を扱うお役所も、これまた今まで以上に大きくなるではないか。  それからまた、今官房長官おっしゃるように、確かに行政を官僚から政治家に、政治家主導でなければならないということから、内閣府の機能が強化されるということを目指しておられるのだろうとは思うけれども、逆に心配する向きは、そういうことによって中央集権がかえって進むのではなかろうか、あるいは、統合され、新しく生まれようとする幾つかの省が非常に巨大な権限を使うということになりやしないか、そういう心配があるわけですね。  これに対しては、そうじゃないよという歯どめというか、担保というか、その仕組みはどういうことになるのだということについて、これは小里総務庁長官からお話をいただきましょうか。
  114. 小里貞利

    小里国務大臣 先ほどから議員がお聞かせいただいておりまするように、まず一つは、二十一世紀の我が国のあるべき国家社会像、これを大きな視野の軸に置かなければならない、おっしゃるとおりでございます。したがいまして、改革も具体像、実像を、私どもは志を高く持って、なおかつ具体的に掘り下げながら対応をしてまいったつもりでございます。  例えば、省庁再編にいたしましても、この行政改革をして、もろもろの高い志を持った改革の突破口とする。そういう一つの姿勢に立ちまして、国家あるいは社会経済のシステムを全面的に改革ようというぐらいの意気込みで、そして少子化社会あるいは大競争の時代に挑戦のできるような二十一世紀の国の行政体制をつくらなければいかぬ。  こういうような理想から始まりまして、先ほど官房長官お答え申し上げましたように、省庁再編というものを、官邸機能の強化もあわせまして、この際きちんとそれを布陣をしていきますよ。さらに、先生も御承知のとおり、省庁再編におきましても、あるいは国の事務事業あるいは予算規模もできるだけ絞り込んでいきますよ。そして、それを推進するために、民にゆだねるべきものはゆだねます。お話がございました地方分権も徹底して行います。  あるいはまた、国の国家行政からは直ちに全面的に手放すわけにはいきません、政府として公的責任がありますから。そういうものはできるだけ行政法人等でこれを開放し、弾力化をしていくというような心得を持って総合的に進めていくわけでございますから、先生からただいま御指摘がございましたように、中央集権という方向は決してあってはならないし、またその方向ではございません。きちんと御指摘ような趣旨に沿って、合理化そしてまた簡素化されるべきものであります。これを大きな不動の方針に置かなければならぬと思っております。
  115. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 もちろん、大臣おっしゃられたようなことが考えられた上での提案であることはわかるのですけれども、しかし現実としては、何といっても新しくできる国土交通省などは、権限などにしても、三十兆近い公共事業を実行するという能力を持つことになるわけですね。そして、建設省、運輸省、国土庁、北海道開発庁などが加わるわけですから、確かに非常に巨大な役所であることは間違いない。  ですから、一つこの動き方が間違えば、これは今まで以上に大変なことになるよという心配はないではないわけですから、この辺についても、私どもとしてもこれからまた議論をしていきたいとは思っておりますけれども、その点を御指摘させていただきたいと思います。  先ほど申し上げましたように、また今も小里長官からもお話がありましたように、どうしても行政改革は、地方分権それから情報の公開と結びつくものでなければいけないだろうと私は思っております。  地方分権の方については、さきに、地方分権推進委員会が本年の十月九日に第四次の勧告を出されております。それから一方、情報公開についても、これは政府だけではなしに各党も情報公開法の提案をしておりまして、私ども民主党としても、ことしの六月十日、民主党の行革本部として議員立法による情報公開法の提案をしております。ほかの党もしておるわけですね。それだけ非常に注目をされているわけですけれども、この地方分権の取り組み、そして情報公開法の作成の進捗状況などについて、どうなっているか。  これは、実は私は法務委員会も所属しておりますけれども、昨年、民事訴訟法の改正問題がありまして、裁判資料としての公務員作成の公文書、これについてどう扱うかということについても議論になったのですが、これは政府の方で今情報公開法の作成をやっておる、一つは、このできぐあいも見ようではないかということでペンディングになっておりまして、民事訴訟法の一部その部分は様子見で置かれているのですね。  そういうこともありますので、二つの問題の進捗状況などについてお示しをいただきたいと思います。
  116. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 情報公開法の政府の取り組み状況につきまして、お答え申し上げます。  政府は、従来から……(佐々木(秀)委員「余り詳しくなくていいですから、結論的なものを簡潔に示して」と呼ぶ)はい。  昨年十二月の行政改革プログラムにおきまして、行政改革委員会意見を最大限尊重し、情報公開法案を平成九年度内に国会に提出するということを政府として閣議決定をいたしております。ただいま総務庁内に情報公開法制定準備室を設けまして、法案の立案に全力を挙げて取り組んでいるところでございます。  具体的には、行政改革委員会意見を最大限に尊重しまして、行政改革委員会意見で示されました新しい考え方や仕組みを具体的に法律の条文にするための作業に加えまして、行政情報の公開、非公開等を定める多くの関係法律との調整、情報公開に対応をした政府全体としましての文書管理につきましての改善方策の検討等、膨大な作業に全力を挙げて取り組んでいるところでございます。  今後とも、こういった政府の方針に従いまして、できる限り早期に法案を取りまとめるべく、全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
  117. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 そうすると、年度内にこれは確定されるのですか。そう聞いていいのですか。情報公開法の骨格は年度内に提示されるのかな。
  118. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 政府方針としまして、平成九年度内に、情報公開につきましての所要の法律案の国会提出を図ることといたしております。
  119. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 九年度内ということですから、来年の三月いっぱいがめど、こういうことですね。私ども、それを期待しております。また、それが出てまいりましたら、私ども民主党としての情報公開法案も提案していますから、これとまた突き合わせたりしながらよりよいものにしていきたい、こんなふうに思っております。  地方分権関係は、これはさっき言ったように第四次の勧告が出たわけですけれども、この先ほどうなっていくのでしょうか。簡単に結論だけで結構です。
  120. 小里貞利

    小里国務大臣 去る十月二十一日、分権推進委員会、お聞かせいただいたところでございますが、この勧告を最大に尊重いたしまして、平成十年の通常国会には間に合わせる、その方針で今取り組んでおるところでございます。
  121. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 それでは次に、この行革の具体的な問題としての北海道開発庁関係の問題について、私も北海道の議員なものですから、特に関心を持っております。これはさきにも同僚委員からお尋ねがあって、その答弁で、鈴木長官、私ども同じ道産子でございますけれども、また長官は、新聞などでも、今度のこの改革案が非常に結構なものだということで評価をされておるようです。  一つは、これまでの北海道開発庁の果たしてきた役割、いろいろな意見はありますけれども、私たちはやはり大きな役割を北海道開発の点では果たしてきたと。それからまた、この果たしてきた役割機能あるいは機構、こういうものは今後も維持されるべきだと私は思うのです。その議論としては、やはりこれからの北海道の日本における位置づけというものが、私は非常に必要になってくるんだろうと。それなしに、ただ単純にどうする、ああするということではいけない。  それについては、先ほども鈴木長官からお話がありましたけれども、そもそも北海道というところは、先住民族としてはアイヌの方々で、今から百数十年前、まだ歴史としては非常に新しいわけですけれども、それこそ全国の至るところからいろいろな事情で、あるいは開拓の志を持った方々が集まって、みんなでそれこそ苦労しながら、風雪に耐えて今日の北海道をつくってきた。そして、戦後は、この開発行政が大きな、縦割りでないやり方で役割を果たしてきたのですね。  これから考えた場合に、先ほど同僚委員からも、これからの発展の可能性を持つ唯一のところというようお話があったけれども、私もそうだと思うのですよ。国土の二〇%以上の面積があって、それこそ四国と九州とを合わせたぐらい広い北海道に、人口としては東京の半分の人口しかいないのですからね。六百万人までいないのですから。それでは人の住めないところかというと、そうではないので、すばらしい快適な居住地にもなっている。だけれども、人が少ない。しかし、さまざまな資源も提供し、農産物においても、それからまた海産物においても全国消費量の二〇%ぐらい提供しているわけですね。  私の住んでいる旭川市なども、今人口が三十六万です。札幌は少しく飽和状態かなと私は思うのですけれども。かつては旭川も五十万都市を目指そうと言ったこともあるのですが、なかなかそうはならない。しかし、可能性としては十分持っているのですね。  そういうことを考えると、もちろん自然環境の点でも結構ですし、本当にこれからの日本ということを考えた場合に、北海道というのは非常に重要な位置づけを持っている、特に北方圏との国際的な関係ども考えた場合には、国際的な関係でも重要な地域になるところだと私は思っております。  そういうような北海道の日本における位置づけを考えるときに、やはり開発庁が今まで果たしてきた役割は、開発庁という役所がなくなるにしても必要だというように思うし、それについて長官が今度の改革を一定評価しているということはわかるのですけれども、また予算の一括計上権も認められるということもわかるのですけれども、しかし、一体その具体的内容はどうなのだろうか、本当に変わらないのだろうかということなのですね。  この辺を、まず北海道開発庁長官からお尋ねします。
  122. 鈴木宗男

    ○鈴木国務大臣 佐々木先生おっしゃるとおり、私は、北海道の果たすべき役割はこれからもますます重いと思っております。日本の面積の二二%を有しまして、そこに住んでいる人口は日本の二十二分の一であります。まだまだ国のサポートが必要だと私は思っているのです。そのことは強く主張してまいりました。幸い、橋本総理、また行革担当の小里大臣の賢明な御理解、御判断を得まして、予算の一括計上権、そして、特に北海道開発局というのは、まさに運輸省、農林省、建設省を束ねたモデル的な、行革の先端を行ったものだという評価もいただきまして、北海道開発局の機能はそのまま残ることになりました。  同時に、国土交通省というのは建設省と運輸省が合体したものでありますから、これは港湾だとか河川だとか道路というイメージがありますけれども、幸い、小里大臣からも総理からも、北海道開発局に限っては現行どおり特例も認めるし、同時に農業基盤も、さらに林野も漁港も、北海道開発局はそこで一括計上するというふうに判断をしてもらいましたので、道民が心配している、懸念している機能の弱体化というのはないと私は思っております。  同時に、担当大臣は、国土交通省の大臣が責任を持ってやるわけでありますから、大臣が間違った判断をしない限り、何ら心配するものでもない。同時に、官房長官は秋田でありますけれども、北海道は秋田の人がたくさんおりますし、また総務庁長官は鹿児島でありますが、鹿児島の人もたくさん北海道には来ておりますから、私は、心優しき配慮はちゃんとしてもらえる、こう思っております。
  123. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 心優しき配慮をいただけるのはありがたいのですが、いつまでも小里長官長官であるわけはないですし、そういう心配もないではない。まあ、それは冗談ですけれども。  しかし、今大臣のお話が出ましたのですが、今、鈴木長官が北海道の開発を主管する省庁の大臣としておられるということではなくなるわけでしょう。これは先ほどもお話がありましたけれども、内閣府の中での内局という位置づけだというのですね。内局であるわけですね。ただ、そうすると、大臣は置かれるというけれども、これで見ますと、内閣府でしょう。(鈴木国務大臣「いや、国土交通省」と呼ぶ)ごめんなさい、国土省か。  それで、大臣の方は、内閣府に沖縄対策と北方対策、こうあるのですね。③のところで沖縄対策、「内閣府に沖縄対策の担当大臣を置く。」それから、④として北方対策、「内閣府に北方対策担当大臣を置く。」こうなっていますね。そして、⑤として「沖縄・北方対策(仮称)担当大臣を置く。」こうなっていますね。  そうすると、この③④と⑤の関係、大臣というのは、これはどういうことになっているのですか。
  124. 鈴木宗男

    ○鈴木国務大臣 先生おわかりのとおり、今、建設省、運輸省、農林省のやっている部分は、これは国土交通省、そこで一括して、現行どおりということになります。  私は、今回の行革で、希望というか夢があるといいますか、また思い切った総理、小里大臣の判断、さらには村岡官房長官のサポートもいただいたのですけれども、内閣府の中に沖縄及び北方担当相、特命大臣を置くというふうに位置づけてもらいました。  この北方というのは、領土問題がありますね。少なくとも十一月一日、二日のクラスノヤルスクでの橋本総理とエリツィン大統領との会談では、東京宣言に基づき、二〇〇〇年までに平和条約の締結に向けて最善を尽くすという極めて明確な意思表示がされました。  しからば、この省庁再編は二〇〇一年からでありますから、そういった意味でも、国土交通省の担当大臣で北海道の開発振興もやる、さらに北方領土問題等は特命大臣が当たる。二重に重ねた、重みのある、また万般の配慮をした今回の行革決定ではないか、私はこう思っているのです。そういった意味でも、私は何ら懸念するものでもないし、少なくとも今以上に機能は生かされるし、また動きやすくなるのではないか。  同時に、内閣府の北方担当大臣も、二〇〇〇年までに平和条約が締結できたならば、さらに北海道開発局の役割は重みを増す。北海道開発局のノ ウハウをもってまた四島の振興開発等に当たるわけでありますから、そういった先々を見据えた今回の行革の最終報告だったということで、高く評価をしてもらっていいのではないか、私はこう思っているのです。
  125. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 ただ、おっしゃるように、北海道開発の機能権限、一括計上権も残るとはいいながら、これは局ですから、北海道開発行政関係については、トップは局長ということになるのではないでしょうか。  そして、ほかにも、北海道開発庁機能を同じように各地方でブロックをつくって、地方組織局ですかというようなものをつくっていくのだ。これは、この過程の中で、私は行革本部の事務局長の水野さんともお会いしたときに、そうするのだ、むしろ北海道開発庁の今までやってきたようなことを参考にしながら、全国各地にブロックをつくって、こうやってやっていくのだというお話もあったのだけれども、そうすると、北海道開発の関係というのも、地方のブロックに横並びの一つになってくるのではなかろうか。  そうすると、その最高の責任者というのは、上に大臣がいるとはいいながら、北海道的に言うと局長でとまってしまう。そうすると、閣議で発言できないというようなことから、実際には、一括計上とはいっても、今までとはやはり違うのではないかなと心配する向きがあるのですよ。この辺の心配はないのですか、本当に。
  126. 鈴木宗男

    ○鈴木国務大臣 恐らく、もう佐々木先生はわかっていて、また念には念を入れてのお話かと思うのでありますけれども、私は、こう考えております。  今、たまたま私は北海道開発庁長官でありますけれども、この名前が国土交通省で、国土交通大臣が、最終的には一括して大臣折衝もやれば予算の要求もするのです。ですから、ブロック化する、そのブロックは北海道開発局がまとめて予算要求もするし、また執行権も持っていますけれども、最終的な閣僚折衝なんかでは国土交通大臣が北海道のことをまとめてやるわけでありますから、今の北海道開発庁長官がやることと同じであるということで、この点は何ら心配するものではない、こんなふうに思っているのです。
  127. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 時間が大分迫ってまいりましたけれども、もう一つ北海道開発庁長官お尋ねをしたいのは、実は、私も現在、北海道開発審議会委員をやらせていただいている。長官もこの間までそうだったわけですね。  それで、今策定作業中のいわゆる新計画、平成十年度の北海道総合開発計画ですね。これが、今度国土交通省ということになるとすると、どういうように位置づけられていくのか、この辺についてはどうなのでしょう。
  128. 鈴木宗男

    ○鈴木国務大臣 この新しい省庁再編は二〇〇一年からでありますから、新しい総合開発計画、十カ年の計画は来年スタートしなければいけないわけでありますから、今はもう整々と、先生にも委員になってもらって議論を進めているところでありますけれども、その流れは流れできちっとまとめていきたい、こう思っております。  同時に、私は、少なくとも二十一世紀日本をつくっていくのは北海道だという感じを持っておりますから、その考え方の中できちっとした十カ年計画をまとめていきたい、こう思っております。
  129. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 どうも、この開発計画の作成作業が、行政改革絡みで何かちょっとびびっているのではないかと見られる向きもあるのです。審議会の方では、答申を得て、一応お答えもしているわけですけれども、今までも随分それぞれ知恵を絞り、皆さんの意見を聞きながらやってきたことであるわけですから、この基本計画ができるとすれば、それが今度の行革の組織がえによってまた変わってくる向きがあるのか、そうではなくて、そのできたもので基本的にいくのか。  あるいは、場合によったら、やはり今度の行革との絡みで変えなければならないところも出てくるんじゃないでしょうか。特に地方分権なんかの関係もありますけれどもね。  この辺については、どうお見込みですか。
  130. 鈴木宗男

    ○鈴木国務大臣 この省庁再編につきましては、これから基本法だとか、設置法だとかさらには関連法案も出てまいりますから、私はきちっとその中で精査していきたいし、逆に、北海道の位置づけというものもきちっと担保させてもらっていきたい、こう思っております。
  131. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 いずれにいたしましても、何十年に一度あるかないかの大改革だというように意識をされておられるようです。だとすると、私は、やはりこの行革には理念あるいはしっかりした目標というものが据えられて、それが国民的な合意を得た上で行われなければならなかろうと思っている。そういう点では、冒頭申し上げたように、少しく省庁再編に力点が置かれ過ぎているのではなかろうかとも思います。  橋本総理が言われるように、これがスタートだとすると、それこそ国民の皆さんの多くの多くの議論への御参加をいただきながら、本当にみんなが納得できる、そして日本の将来が確かなものになるよう行政改革をみんなで実現したいものだ、こう思っておりますので、また一段の御努力をお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  132. 谷津義男

    谷津委員長 中沢健次君。
  133. 中沢健次

    ○中沢委員 民主党の中沢でございます。  たまたま出身が北海道でございまして、そうはいいましても内閣委員会では三回目の質問に立ちまして、しかも、きょうはわずかな時間でありますから、行政改革問題、なかんずく独立行政法人に焦点を絞って、総務長官あるいは行革会議の会長代理の小里さんに、具体的な内容についてお尋ねを申し上げたいと思うのです。  まず、非常に長い間時間がかかる、しかも、小里さんは武藤総務長官の後を受けまして、後半の非常に大事な場面でそれぞれ役割をしっかり受けとめて頑張ってこられた。行革に対する理念あるいは残された課題の大変な質量の規模の問題等々を考えまして、私も含めて我が党は、決して政府あるいは行革会議の内容そのものにはもろ手を挙げて賛成する立場ではもちろんありませんが、長い間の御労苦に対しまして、まずそのことを心から御苦労さんということで申し上げておきたいと思います。  さて、昨日は最終報告が出る、本日はそれを受けて閣議決定をされた。今ほど、関係委員の方からもさまざまな角度で議論がありました。私はその中で、特に独立行政法人、これにスポットを当てたいと思います。  なぜかといいますと、確かに省庁再編成の問題、それから残された課題でいうと、地方分権あるいは官から民という規制緩和の問題、総理の言葉で言えば、ようやく道半ばだという表現があったようでありますが、私の印象ではやっと第一歩を踏み出した、これから百歩ぐらい相当苦労をして山坂を越えなければ、国民の全体の理解と信頼を得られるよう行政改革の内容にならないんではないか、そんな思いがまず前段するわけです。  中でも独立行政法人というのは、日本的にいうと初めての試みであります。実は私もこの夏、予算委員会の海外調査でカナダ、イギリスにも行ってまいりました。そして、イギリスのエージェンシーの関係についてもそれなりに勉強してまいりました。あるいは、前の武藤総務長官も、九月にはわざわざ御本人がイギリスに行かれまして、相当詳しい内容の現地の調査もされている。  したがって、今度出されてくる独立行政法人というのは、私の予想では、いわゆるイギリスのエージェンシーを相当参考にされて出されてくるんではないか、このように当初は考えておったのであります。  昨日の最終報告を見る限り、いろんなことが書いてありますが、私の第一印象としては、イギリスのエージェンシーを参考にしながらも、やはりそこのところは、いろいろ問題を抱えております我が国の特殊法人、そういう既存の特殊法人の問題はいろいろあるけれども、このエージェンシーと特殊法人を二つ合わせてまあミックスをする、ややチャンポン料理みたくなっているんじゃないか、そんな率直な印象を持ちます。  したがって、まず、そういう私の印象に対して、総務長官としてあるいは行革会議の会長代理として、そういう私の印象、指摘についてどういう見解あるいは御認識をお持ちか、まずそのことをお示しいただきたいと思います。
  134. 小里貞利

    小里国務大臣 独立行政法人は、今次の改革の中におきまして大変重要な役割を果たすものである、さよう判断いたしております。  ただいま議員からお話ございましたことですが、議員もよく御承知のところでございますが、イギリスにおきましては行政組織に関する統一的な法典がないな、どうもその辺の原則がひとつ物足りないなと。あるいはまた、各組織の設置根拠も御承知のとおりさまざまであります。あるいはまた、公務員もいわゆる労働三権を有しておりまして、労働法制上の位置づけにおきましても、民間労働者との間におきまして差がない、そういうようなものが整理できるのではないかと思う次第です。  今次の、私どもが昨夜まとめました、そしてまたこれから御検討いただくことになるわけでございますが、独立行政法人は、まさに御承知のとおり、弾力性あるいは裁量性、そしてもっと具体的に申し上げますと、独立採算性も結構ですよ、あるいはまた、単年度主義ではございません、これは多年度主義でもよろしゅうございますよと、さまざま事業形態について、また後ほど御指摘あるいはお尋ねがあるでしょうから、ここでは詳細申し上げませんけれども。  そういう基本的に、まあ言葉がちょっと過ぎるかもしれませんけれども、新型独立行政法人、あるいは日本型と申し上げるのは言い過ぎでございましょうか、できるだけひとつ国内外のことも参考にしながら、そして新時代の要請にこたえられるものをと、そういう創意工夫を加えましたということが言えるのではないかと思う次第でございます。
  135. 中沢健次

    ○中沢委員 おっしゃるように、イギリスと我が国は、国情の違い、あるいは国のいわゆる公的サービスの質量の違いがありますから、一概にはなかなか律し切れないということは私も承知をしています。  ただ、いずれにしても、時間がありませんから、この辺の議論はまた後ほど時間をいただいてじっくりやりたいと思うのでありますが、せっかく独立行政法人という一つの構想、具体的な骨組み、出されておりますけれども、やはりかなり消化不良の向きもある。もっと言うと、やはり最終報告を受けました政府側として、もっと専門的な観点で問題の整理をする、肉づけをする、場合によっては骨格も一部変えていく。  そして、それをもって国会に、恐らく具体的な法案として出ると思いますから、その際には、国民を代表する立場の国会の議論を十分尊重して、もっと言うと政府自身も、この際ですから、先ほどもありましたように独立行政法人にリストとして既に出されている、私からいえば、何でこんなものが今の段階で必要なのか、いたずらに関係者に不安を与えるだけではないか、こういう思いがするのでありますが、そういう当事者、あるいは広く国民の声を聞いて、国民の目線でやはり独立行政法人の最終的な結論を出すべきだと私は思う。  したがって、これからの議論としては、今まで以上にもっともっと政府みずから、あるいは国会もそうだと思うのでありますが、積極的に国民の声を聞く機会をどんどんつくるべきだと思うのでありますが、その辺についてはいかがでしょうか。
  136. 小里貞利

    小里国務大臣 議員指摘のとおりであると私も心得ております。  昨夜、かような形で独立行政法人あるものなりにけりという一つ取りまとめをいたしましたけれども、独立行政法人がこれから活躍をする機会というのは限りなく多いと思っておりますから、それだけに、ただいま議員から御指摘がございましたように、その性格といい、目的役割といい、あるいはまた組織の仕組みといい、あるいはまた労働者の関係の分野についてももちろんでございますが、根本的に、広く内外の声を聞いて、そして創意工夫をして、より十分なものに近づけなければならない、さように心得ております。  それから、もう一つ、いわゆる独立行政法人の適用事業団体、組織等についてお話がございました。  もとより、御注意がありましたようなことは留意しなければならないと思っておりますが、私どもがたまたま最終報告でいただきましたその適用団体の一覧表のことについてであろうかと思うのでございますが、これも、独立行政法人の対象として一応検討せられるその候補の一つでございます。候補でございますというよう一つ判断で例示をいたしたものでございます。ここに出しましたから必ずそれをその客体として限定しておるものではございませんでして、その意味で御理解をいただきたいと思います。
  137. 中沢健次

    ○中沢委員 関連をいたしまして、今お答えがあったことにも共通をすると思うのでありますが、独立行政法人の職員の身分、制度設計、こういうことで、最終報告に幾つか具体的な指摘があります。  そこで、まずお尋ねをしたいことは、この最終報告にも、文章的にもぴしっと明文化をされております。「独立行政法人の対象となる業務及び当該業務に従事する職員の身分の類型を具体的に決定するに当たっては、これまで維持されてきた良好な労使関係に配慮することが必要である。」こういう最終報告の文章も明文化をされています。  同時に、私の聞いている話によりますと、実は与党三党の関係者の間で、さて、政府側としてこの問題をどうやって受けとめてこれから基本的に対処をするか。一部の与党からは、もっと踏み込んで、職員の身分の問題でいいますと、当局と職員団体の合意、納得を得ることをぜひやろうではないか、そういうことを一つの前提条件にしながら、これから政府側として基本的なこの種の問題について対応をしよう、こういう与党間の話が進んでいる。場合によっては、与党の党首会談までにその辺のまとめをやるのではないか、その話し合いの中に総務長官もメンバーとして入っていらっしゃる、こういう話を聞いております。  私としては、この際改めてお尋ねをしたいのは、最終報告ですらこういう文章表現で、職員団体との関係、良好な関係を維持するという配慮がある。ましてや与党三党の中では、一歩踏み込んだ、もっと当局と当該の職員組合、労働組合との話し合いを十分やって、納得ずくでやれ。これは与党の今の連立政権の性格からいって、そういう議論があってしかるべきだと私は思うのです。そういう内容について、事実を含めて、あるいは総務長官のこの問題についての基本的な見解、これが一つ。  もう一つは、先ほど業務の内容について簡単に触れて、今お答えがありました。先ほどほかの方からもちょっと指摘があったのですが、国が責任を持っている試験研究機関、これはほとんど独立行政法人に移行する対象のリストに入っているわけですね。やはり日本のこれからの将来を考えましたならば、率直に言って、これは非常に大変な誤りだ。  もともと釈迦に説法ですから余り多くを申し上げませんが、今NASAで、スペースシャトルが打ち上げられて、日本人の土井さんも参加をされている。これはそれなりの国内的な一種の技術の集積があって、ああいう具体的な、国際的な活躍をされているのではないでしょうか。  やはりこれからの日本の将来を考えた場合に、人材あるいは技術立国、頭脳立国、こういうことを考えると、やはり試験研究機関については、一律とは言いませんけれども、非常に大事な部分で言うと、国が最後まで責任を見る。こういう基本的な態度は、仮に、行革会議がこういうことでやりましたけれども、それを受ける政府としては、そういうきちっとした基本的な態度を、まずきょうの段階で総務庁長官の決意のほどをぜひ明らかにして、そういう関係者に、いわゆる科学者にいたずらに不安と動揺を与えることは避けた方がいいのではないか。  そのことを二つ、お願いを申し上げます。
  138. 小里貞利

    小里国務大臣 基本的な概念、私の方から申し上げまして、具体的中身については、必要があれば当局の方から説明をさせたいと思います。  一つは、今次の最終取りまとめを取り運ぶに当たりまして、各機関の理事者なり、あるいは関係職員団体等との関係における話はどうだったのかということを話しておられるようでございますが、私は、できるだけ関係機関の理事者なり、あるいはまた職員団体等の意見は寛大にお聞きするべきであるという姿勢を貫いております。  例えば、今次の改革作業に当たりましても、最初から、例えば三十万人の大部隊が移行しますよ、これは郵政事業、大変だなと思いましたから、あるいはある政党のごときは、そこまであなた、足を運ぶ必要はないではないかという話がないでもなかったけれども、労働組合の本部まで足を運んで、こういう重要な国の施策にかかわることを行いますよ、だからごあいさつを申し上げておきますが、諸君の話もお聞かせをいただきたい、こういうような、胸襟を開いて当たりました一つの経験もあります。  したがいまして、今次の、数日前からの取りまとめに当たりましても、その団体の直接の話は最後の機会にはお聞きすることはできませんでしたけれども、それを代表せられる、まあ言うなれば一つのチャンネルではないかと思われる窓口を通じまして、話を十分お伺いをいたしたつもりです。  したがいまして、例えば最終報告でも、職員団体との良好な関係は大事にしなければいけませんよ、それも書き込んでくれということでありますから、当然だと。あるいは、従来の良好な労使関係にも十分配慮しながらということも書いてくれということでございましたから、書き込んだ次第です。  ただ、きちんと節度を持ってこの機会に申し上げておかなければならないのは、そういう姿勢で、しかも具体的にお話はお伺い申し上げますけれども、それは、協議をいたしましょう、協議をいたします、この一つの概念で整理をさせていただきましたいきさつも御理解をいただきますし、さらにまた、先生がただいま、これからも関係団体あるいは関係機関とはそういう気持ちでやれよということでございますから、まさにそういう姿勢で対応するべきである、さように思っておる次第でございます。
  139. 中沢健次

    ○中沢委員 もう時間がありませんから、ちょっと別な問題、関連がありますけれども、簡単にお尋ねをしたいと思います。公務員制度調査会の関係です。  先般も質問に立ちまして、小里長官からもお答えをいただきました。結果的には、いわゆる公制調の預かった内容について、ほとんど全文にわたってこの最終報告に入っている。私は、極めて妥当なことだというふうに考えます。  問題は、いよいよこれから先、この公務員制度調査会というのは、非常に重たい内容、もっと言うと労働基本権の議論をこれから本格的にやっていかなければいけない。もっと言うと、独立行政法人なるものについて、公務員型と非公務員型ということが二つ例示されている。であれば、この問題はやはりこれからは避けて通るわけにはいかない。  主たる議論の場というのは、私はやはり公務員制度調査会だと思うのです。基本的な、労働者の労働基本権の問題と、今指摘をした独立行政法人に限定しても、そういう議論は公制調で専門的にやっていただく必要があるのではないか。  したがって、今までも随分長官も御配慮もいただいているのでありますが、これから先も、いわゆる公務員制度調査会の運営に当たって、より民主的に、関係委員意見がより具体的な形で反映されるように、ぜひひとつ、担当の大臣として御配慮もいただきたいと思うのでありますが、いかがでございましょう。
  140. 谷津義男

    谷津委員長 もう時間が来ておりますので、端的にお願いします。
  141. 小里貞利

    小里国務大臣 概括して申し上げますが、公務員制度調査会の審議、そして今後の推移については、私も重要視してまいりたいと思っております。
  142. 中沢健次

    ○中沢委員 時間であります、終わります。ありがとうございました。
  143. 谷津義男

    谷津委員長 石井啓一君。
  144. 石井啓一

    石井(啓)委員 新進党の石井啓一でございます。  昨日は、行政改革会議最終報告取りまとめられました。小里長官は会長代理でいらっしゃいますか、会長代行でいらっしゃいますか。代理で、大変御苦労されたこと、評価をいたしたいと存じますが、でき上がったものに対する評価はまたおのずから異なりますので、きょうは行革会議最終報告につきまして、御質問を申し上げたいと思うのです。  まず最初に、恐縮ですが、質問通告にない御質問を申し上げたいと思うのですけれども基本的な話ですから、質問通告になくてもお答えできると思います。  今回のこの行革会議の一番中心といいますか、要請ということで、これも書いてございますけれども、「今回の行政改革の要請は、肥大化硬直化し、制度疲労のおびただしい戦後型行政システムを根本的に改め、自由かつ公正な社会を形成し、そのための重要な国家機能を有効かつ適切に遂行するにふさわしい、簡素にして効率的かつ透明な政府を実現することにある。」こういうことで、これが要請だと。実際にこの報告の中で、果たして本当に簡素で効率的な政府ができているのか、易しい言葉で言えば、小さな政府が本当に実現できているのか、このことに対して、私は大いに疑問があるわけであります。  これまでの本日の質疑の中でも何人が御指摘があったようですけれども、確かに役所の数こそ減ってはおりますけれども、その役所が行う業務権限あるいは財源、この中身議論がほとんどされていない、先送りされている、こういうことであります。  こういう中身がそのままであって、先ほどありましたけれども、役所が統合するということになりますと、これは、それぞれの役所を見ますと、従来の役所より権限、財源が大きくなる役所になりますから、そういう役所ができるということは、かえって行政改革の流れに反することになると思いますし、本質的な簡素化というのは、やはり規制緩和、撤廃、あるいは地方分権、また業務の民営化、民間委託、こういう仕事中身をきちんと詰めること、そこを簡素化することが本質的な議論のはずなんですね。だが、残念ながら、器の議論が先行していて、そこに盛るべき中身議論がされていない。  したがって、さまざまな報道機関もそうですし、各党の評価もそうですけれども、今回の中央省庁再編というのは数合わせ、役所の数減らし、看板のかけかえにすぎない、こういう評価になっていると思うのです。そのことにつきまして、大臣、どういう御見解でございますか。
  145. 小里貞利

    小里国務大臣 時間の関係もありましょうから、私なりに、議員のただいまのお尋ねをお聞きしながら感じましたことを、整理して申し上げたいと思います。  一つは、ただいまお話がありましたように、一府十二省、一行政委員会、八庁ありまする現在の姿、これを形の上でいいますと約六割に圧縮いたします。そして、その中身に、一体どのような、国としての国民に対する行政の事務あるいは事業を果たしていかなければならないのか、現段階におきます国としての果たすべき役割をきちんと検証しなければいかぬ、これこそ私は厳粛に、具体的に切り込まなければならない。  では、今までの段階で切り込んでいないかといえば、その辺は横にらみをしながら、現状一つの基準にして、行革の委員皆様方はこの升の圧縮をやっていただいた。また、私どももそれは心得てまいったつもりです。総理大臣も、二時から七時半ごろまでのあの数十回に及ぶ会議にもずっとつき合ってもらいまして、具体的に、言うなれば、日ごろ各役所の部長、課長、係長が発言しそうなことまで発言をしながら、いろいろな角度から切り込んでまいったつもりでございますが、その集積がとりあえず一府十二省庁でありました。これをひとつ御理解いただきたいと思うのです。  それからもう一つは、したがいまして、昨夜を受けまして、政府の一府十二省庁の具体的な省庁再編という法律をつくります。これから、これはきょうからつくり始めておるわけです。そして、でき得るなれば、越年いたしまして、四月、五月ごろには間に合わせたい、こう思っております。  その間におきましても、ただいま申し上げました、中に詰め込む作業、例えば今ある省の仕事の中で、これはもう時代に合わない、必要でない、これはきちんと淘汰をする。必要なものは残します。あるいは、他の省庁と同類型の仕事だから、これはやかたも一緒になるし業務も一緒にドッキングせしめるべきであるというものも相当あると、私どもは一応整理をいたしかかっております。  そのように、国としての予算、人員あるいは事業、事務というものをきちんと切り込んでまいるところに、ただいま先生から御指摘がありました、いわゆる形も、あるいは質も中身も緊縮され、そして合理化された姿というものが日にちとともに出てくる、こういう一つの展望を持っております。  あわせまして、その外野におきましてと申し上げましょうか、お話がありましたように、規制緩和も徹底して行います。これも二千二百四十六項目でございますか、目下決定をして、これをもってして十分とも思いませんけれども、これも具体的に今進みつつありますから、それに応分のいわゆる政府の事務量も相当切り込んでこられるはずでございますから、あるいは民にゆだねるべきものも、今御案内のとおり、この作業が進んでおりますから、あるいは国の行政組織から外に出すべきものも、八十六の特殊法人を初めそのほか試験研究機関等もかなりございますから、これらも皆様方と相談しながら外に出していきます。  こういうような形で進んでまいりますし、もう一つは、地方自治の関係で、御案内のとおりでございますが、地方分権も積極的に進めてまいりますから、いわゆる数多くのそのよう改革の要素の上に立った作業を総合的に進めていくところに、この省庁再編基本法が国会で御審議をいただきましてでき上がる前後には、相当数の中身を持った一つ改革というものが具体的に姿を出してまいりますということを御理解いただきたい次第です。  もちろん、その間におきましては、このような機会を通じまして、あるいはまた日ごろの情報交換を通じまして、徹底的に前向きの議論もいただきとう存じますし、また、私どもはそのためには寛大な気持ちを持ちまして、当然のこと、各界の意見を取り入れていかなければならぬ、さように存じております。
  146. 石井啓一

    石井(啓)委員 形の議論と並行して中身議論もやっていく、こういうお話かと存じますが、そこは、先日の委員会でも私申し上げたのですけれども、本来は中身議論が先行してあるべきだったのではないかと思うのですね。  といいますのは、地方分権にしろ、規制緩和にしろ、ここ数年言われ続けているわけですが、なかなか進まない。あるいは行政組織の民営化、民間委託という問題も、今回のこの中間報告最終報告との対比をしてみても、相当変わってきている。こういうことを見ますと、本来この中身議論をし出すと、役所の抵抗あるいはいわゆる一般的に言われる族議員の抵抗というのは激しくなるわけですから、そこをまずやるのが私は本来の行革の姿なのではないか、これは指摘をしておきたいと存じます。  続いて、独立行政法人につきまして御質問をしますけれども、今回この独立行政法人の職員の身分について、国家公務員型と非公務員型、両方設けておりますけれども、なぜこういう形になったのか、これについて御説明をいただきたい。
  147. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 今回の最終報告で独立行政法人の職員の身分については、御指摘のとおり、公務員のタイプと非公務員のタイプ、両様を提言いたしております。  この独立行政法人は、法人格を付与され国家行政組織の外に置かれるものでございますから、通常ならば、公務員でない形の職員類型を考えるのが普通だという趣旨の御質問ではないかと思うのでございますけれども、同時に、この独立行政法人を考えております。その対象は、現に行政機関という場で行われております業務を念頭にも置いて考えてきておるわけでございます。いわば業務には公共的な性格があるということ、同時にまた、身分の問題についても継続性等の問題も考えなければならぬ、そういうことがあるわけでございます。  全く新しい制度として設けられるものでございます。円滑に新しい制度に移行していく上で、この身分についても、法制上可能ならば国家公務員の身分を与えるという道もこれは閉ざしてはならない、そういう考え方から検討いたしまして、私ども行革会議としては二つのタイプを提案した、そういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  148. 石井啓一

    石井(啓)委員 私は、これは、二つのタイプを設けたばかりに極めて中途半端、あいまいな性格になってしまったのではないかと思うのです。  事前にいろいろお話を伺ってみますと、国家公務員型にするというのは、何か、業務の性格上スト権を与えられないといいますか、そういうものはやはり国家公務員型にする、こういう御説明だったわけでありますけれども、そもそもそういう業務は、独立行政法人でなくて、やはり国の行政組織でやるものではないかと思うのです。  私が言いたいのは、国家公務員型でというのではなくて、国家公務員だったらこれは国の組織であり、独立行政法人だったら非公務員、こういうことなのではないかと思うのですね。国とは別の法人格を与えながら、そこに働いている職員が国家公務員というのは極めてわかりにくい。  もう少し言いますと、独立法人における国家公務員というのは、説明を聞いていきますと、先ほど言いましたように、極めて中途半端になっているといいますのは、例えばスト権を与えられないでいながら、人事院勧告は受けないわけですね。人事院勧告の対象にならないわけですよ。給与とか勤務条件はどこで決まるかといったら、何かこれはすなわち労使交渉で決まるということみたいですけれども、スト権も与えないでおきながら、協約で決まる、最後は調停か何かでやるというお話ようですけれども、結局、妥協の産物のため中途半端な性格になってしまったのではないか、私はこういうふうな印象を深くするのです。  例えば、今回、現業の扱いはこれから検討するということになっているようですけれども、この現業というのは、考えてみれば、独立法人になるものよりもっと民間に近いものですね、本来。採算性があり、あるいは企業的な性格があるもの。それが独立行政法人にならずに国の組織として置いておきながら、現業であっても国の組織として置きながら、かつまた独立行政法人みたいなものを設ける。だから、本当に何かわけがわからなくなってしまっていると思うのです。  この点について、大臣、いかがですか。
  149. 小里貞利

    小里国務大臣 昨夜最終報告を受けた直後でございますだけに、私は、今議員の御質疑なり御指摘をお伺いしながら、これは細やかに御分析いただいておる、率直に申し上げまして、そう思っております。また、私ども行政改革会議議論経緯におきましても、このことにつきましては、率直に申し上げまして、大変起伏のある論議があったところでございます。  そこで、ちょっとおわかりいただくためにあえて申し上げるのでございますが、これは先ほどいろいろ中沢議員等からも御指摘いただきましたところでございますが、なぜこの独立行政法人という制度をつくるか、そして、その目的なりあるいは期待からいたしまして、今次の国の行政組織簡素化するについて、その受け皿としてどのよう役割を果たさせるのかというようなことを議論していきますと、相当な一つの対象と申し上げますか、客体が出てきた。  それは、例えば八十六の行政法人も一つの対象の候補でありました。あるいはそのほか試験研究機関、あるいは文教研修施設、あるいは医療厚生施設、あるいは検査検定関係の施設なり事業体なり、そのほかさまざま出てまいりまして、それらを行革会議におきまして、一通りと申し上げましょうか、あるいは二味ぐらい議論をしてもらった、そのいきさつがございます。  そのようなさまざまな議論をいたしました結果、申し上げられることが私は二つあったと思うのです。  これは、やはりこの際、百年に一回の大改革をやるのだから、今の時代に国が直接やるにはふさわしくないものがたくさんありますな、だからその仕切りをやらなければいかぬなと。それからもう一つは、これを推進するについては、現在の組織に志を持って就職をされた、そして働いておられる、雇用問題等について決して不安を与えてはいかぬなと。これはきちんと国の責任において、これからの就労先がいかなる形に変わるにしても、きちんとした一つの担保が必要だ、こういうよう一つ基本も大変大きな比重をかけて議論をされた。  今申し上げましたようなそういう二つの基準に立ちまして、この独立行政法人の実体とは、人格とは、組織とはいかにあるべきかということをいろいろと論議いたしましたといういきさつがございます。  このような、申し上げまするなれば、国に貢献をしていただいておりまする数限りなく多くの職員の皆様方の問題にかかわることでございますから、可能な限り、いかなる形にこの改革が進むにしても対応できる一つ制度というものが必要ではないか、こういうよう視点も論じられたことは事実であります。  先ほど話がありましたように、あるいは公務員を望まない、改革後の一つ組織形態というものが希望をせられるかもしれませんよという議論も相当出てまいったところでありまして、要するに、制度をつくっておくことによって、決して弊害はないなと。公務員型でいきますよ、あるいはそうでないですよ、その辺の分類はきちんと原則をつくっておいた方がいい、こういう話もあったことは事実であります。  かなり複雑なことを説明いたしておるようでございますが、そういう経緯があったということは、全容を明らかに申し上げた方が理解をいただきやすいのかな、そう思ったから、あえて説明を申し上げておる次第でございます。
  150. 石井啓一

    石井(啓)委員 経過としていろいろあったということはわかりましたけれども、ただ、結果としては、私はやはり、重ねて申し上げますけれども、性格が極めてあやふやなものになってしまったと思うのです。  今長官は、公務員にならない方もいらっしゃるかもしれないということなんですけれども……(小里国務大臣「希望されない人」と呼ぶ)公務員を希望されない方もいるかもしれないと言うのだけれども、国家公務員型だと法律で身分保障されるんですよね。非国家公務員型だと法律による身分保障はないのですよ。だから、あえて公務員を望まない人がどれだけいるのか、私はそういう意味では非常に疑問といたします。  それから、公務員型から非公務員型へ移るのも可能だというのだけれども、そんな、あえて公務員にならないことを希望するような人がいるのか。そもそも公務員になったというのは、やはり身分を保障されるというのが非常に大きなメリットといいますか、そういう点で希望されている方が大半だと思うのですよ。  そういう意味では、私は、こういう二つの型をつくったために逆に非公務員型になるのは非常に少なくなってしまうのではないかというふうに思いますし、そもそも独立行政法人でありながら国家公務員というのがやはり理解に苦しむ、こういうことは申し上げておきたいと思います。
  151. 小里貞利

    小里国務大臣 私が先ほど申し上げましたのは、舌足らずであったかと思うのでございますが、人の単位の話ではございませんでして、組織の単位で申し上げておるわけです。  この機会に、公務員型という一つの従業員を擁する組織、すなわち国営型の組織体でスタートをいたしましても、途中で、いや、これはこんなに中身の経営において弾力性があり、かつまた時の社会経済状態に非常に適合性を持った我々の事業体だ、ここでひとつ民営化をしょうじゃないか、そういうような希望があったときには、それに対応できる道をあけておいた方がいいのではないか、こういう行革会議における整理をいたしたということでございます。
  152. 石井啓一

    石井(啓)委員 いや、私は逆に、個人だったらそういうふうに希望をするかもしれないけれども、団体だったら、団体としての意思を統一しなければいけないわけだから、むしろなりにくいんじゃないかと思いますよ。まあ、その点は、これでまた議論し出すと、これで終わってしまいますから 別の質問に移ります。  ところで、この独立行政法人と特殊法人、先ほど御質問もありましたけれども、この違いがどうなっているのだ、この点につきましては、いかがですか。
  153. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 独立行政法人は、先ほども若干申し上げましたが、大くくりの省庁編成をし、あわせて本省はできるだけ政策機能に集中させる、その意味では、実施機能組織的に分離して効率的な運営を確保する、そのために考えたものでございます。したがいまして、現に行政機関の場でいろいろ行われている業務ども考えて、そういう制度考えたということでございます。  ところで、現在の特殊法人と言われますものの内容を見ますと、特殊会社あるいは金融機関、共済組合あるいはNHKなどの特別な法人、さまざまなものがそこに含まれておるわけでございます。そういうさまざまな内容を持った特殊法人に対して、一律に比較することも困難かと思いますけれども、あえて申し上げますれば、そういう現在の特殊法人には一つの定まった共通的な枠組みがない。  その結果、例えば政府による非常に強い事前のコントロールのもとに置かれて硬直的な運営になっているとか、あるいは必要性の薄れた業務をなお現在維持しておるとか、あるいは、最近言われておりますが、子会社等の方式による業務の自己増殖の弊害もあるとか、そういうさまざまな問題があるわけでございます。  それで、この独立行政法人の制度考えましたときには、そういう弊害は生じないように、むしろ本当に自律的な、効率的な運営ができるよう制度をこの制度設計の中に埋め込んで、そういう弊害の発生は防げるよう考え方を盛り込んだということでございます。  なお、蛇足ながら、現在ある特殊法人については、基本的には、まずその存続の必要性を見直し、業務の合理化等を徹底的にやっていただく。その上で、なおどうしても必要な特殊法人等がある場合にあって、この独立行政法人制度を活用していただくということも可能性としては閉ざされていない、そういうふうに私ども考えておるわけでございます。
  154. 石井啓一

    石井(啓)委員 独立行政法人それから特殊法人、どちらがより民間に近い仕事をやっているかというと、これは特殊法人だと思うのです。独立行政法人は、もともと国にあった業務を、ここから実施機関を独立行政法人にした。特殊法人は、もともと特殊法人としてあるわけですからね。(小里国務大臣「違うのです」と呼ぶ)違いますか。まあ、それはあれとしまして。  私は、独立法人の議論の前に、今のお答えの後半の方にありましたけれども、特殊法人の問題点をまず先に改めるべきじゃないかと思うのですよ。そういう意味で、独立行政法人と特殊法人の大きな違いは、やはり運営の違いなんですよ。政府等の関与だとか、あるいはその独立性だとか、そういう運営方法を改めることをまず第一に考えるべきである。  そもそも私どもは、特殊法人については、この際サンセット方式で見直しをして、基本的には特殊法人は民営化をして、そして、どうしても特殊法人として必要なものだけは改めて法律をもって設置をする、こういうサンセット方式を訴えておるのです。  非公務員型の独立行政法人というのは、特殊法人と形態はほとんど似通っているのですよ。運営方法は違うかもしれないけれども、形態はほとんど同じなんです、非公務員型の独立行政法人と特殊法人というのは。そういう意味では、私は、独立行政法人というのは、つまるところ、第二の特殊法人をつくるのと同じになってしまうのではないか、そういう大きな懸念を抱えております。  大臣、いかがですか。
  155. 小里貞利

    小里国務大臣 先ほど坂野参事官ですか、申し上げましたように、今度は各事業体共通の原則をつくろうといたしておるわけです。  先生は、ただいま、それよりも特殊法人の方がより民営化に近いんじゃないかというお話でございますけれども、今は特殊法人という一般に共通する法律はないのですから、これがあれば、先生のおっしゃる論理が私は適切であると思うのでございますけれども、今は特殊法人法というのはないのですから、ばらばらでございますから、しかも、業務の形態も組織の編成原則もばらばらでございますから、非常にその辺が、国の一つの窓口から見ましたときには、大変雑然といたしております。  ですから、この際、きちんとこれを独立行政法人という一本のチャンネルのもとに整理しよう、そして、その整理しようとするものは、これはちょっと私がこの機会に申し上げるのはどうかと思うが、できるだけ弾力性のあるもの、民営化に近いもの、そしてそれは、例えば財務の形態においても、いわゆる独立採算制を求めますよ、あるいは多年度主義を求めますよ、そういう一つの仕組みを考えております。  今特殊法人がさまざまありますが、あの実態は、財務、運営上、制度的に非常に制約をされておりますから、その意味におきましては、今度お諮りしょうとしておりまする独立行政法人の方がよりはるかに弾力性があり、かつまた民営化に近い新しい形態であるということを御理解いただきたいわけです。  したがいまして、職員の皆様方もあるいは事業体の理事者の皆さんも、任意制、裁量制ですよ、いっぱい働いてみられたらどうですか、知恵を絞ってみたらどうですかと。そして、それ相当の一つのメリットが出てきたときには、事業体にもあるいは職員の皆さんに対しましても、還元せられることしかるべきものなりにけり、そういう一つの仕組みになっておりますから、その辺を一応御理解いただきたいと思います。  それから、もう一つこの機会に申し上げておきたいのは、三事業の公社は、これは独自のものをつくれという皆様方の要望が強いでしたから、そのような三党そろっての要望でもあったし、また、関係理事者あるいは職員間等においてもと申し上げていいのではないかと思うのでございますが、独自の郵政公社をつくってくれという要望が俄然出てまいりましたから、その趣旨に沿って編成いたしたものである、こういうことでございます。
  156. 石井啓一

    石井(啓)委員 今、大臣、最後にお答えいただいた郵政三事業の新公社はどういう制度になるのでしょうか、この最終報告を読んでも、ほとんどわからないのですけれども
  157. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 最終報告をお読みだということでございますが、改めて最終報告の内容を御説明させていただくことになります。  この郵政三事業につきましては、三事業一体として、法律によって直接に設立される新たな公社とする。その公社の内容としては、当然、公社でございますから、法人格を持つということがまずございます。  それから、その事業の運営につきましては、要点としては、一つは、独立採算制のもとに自律的、弾力的な経営が可能になる仕組みを中に盛り込むということでございます。例えば国による予算統制につきまして、旧公社でございますれば、毎年度、国会による議決の対象になっていたというような面についても、この新たな公社については、それをできれば要しないような形にできないだろうかということも、この提言の中に盛り込んでおるわけでございます。  それからもう一つは、経営、財務、運営その他、公社の事業内容に関します情報公開を徹底的に行わせるということを中身に盛り込んでおるわけでございます。  それから三点目は、職員の身分については、国家公務員とするということでございます。この国家公務員とするということの考え方は、基本的には、郵政事業が国が責任を持って経営する企業体、その職員であるという性格は、法人格を付与されても変わらないという考え方からでございます。したがって、公務員の資格を与えます以上、現在の現業の公務員と同様に労働三権については、一定の制限を付与されるということもここで考えておるわけでございます。  以上、その他ございますが、答弁を省略させていただきます。
  158. 石井啓一

    石井(啓)委員 時間がなくなりましたので、最後に指摘して、終わりにしますけれども、今聞いた説明でも、要は、郵政三事業の新公社と国家公務員型の独立行政法人というのはほとんど似通った性格なんですね。何でこういう新公社という名称を使ったのか、これは極めてよくわかりません。実態が極めて不明確であります。これから制度の概要を設計するということかもしれませんけれども、残念ながら、新公社という言葉だけが先行しておって、その中身は極めて不明確になっている。私は、独立行政法人とどこが違うのか全くわからない、このことを指摘しておきたいと思います。  以上で終わります。
  159. 谷津義男

    谷津委員長 御苦労さまでした。  藤村修君。
  160. 藤村修

    藤村委員 新進党の藤村修でございます。  きょう一日、昨日の行政改革会議最終報告中心議論されてきたところでありますが、今もちょっと話題になっておりました、一点だけ、この件につきまして。  特殊法人は、最近の閣議決定等々で合併をしたりで、数は若干今減ってきております。我々の主張はもう御承知のとおりでありますが、今度役所がこうして少なくなると、結局、今までの、役所にくっついているというか、特殊法人がそのまままたこっちへ合併するのか。この機会だから、さっき百年に一度とおっしゃいましたから、この機会だからこそやはり特殊法人を思い切ってここで数を減らす、削減をする、要らないものはなくす、あるいは民間に移す、そういう御方針かどうか。  今後の特殊法人に対する展望のみを、まず長官お答え願いたいと思います。
  161. 小里貞利

    小里国務大臣 ただいま議員もお触れになりましたように、八十六の特殊法人の中身組織運営及び業務等、再点検する必要はあると思います。それは、あくまで改革視点に立って行うべきである、さように思っております。  同時にまた、今付言されましたように、独立行政法人の形態へ整理統合、あるいは話が合意せられるものは促進してしかるべきものである、行革会議はその方向で集約をいたしました。
  162. 藤村修

    藤村委員 ありがとうございました。  長官、それでちょっと個別の問題で、私、総務庁の所管の今度は財団法人であります。  私考えるのは、役所があって、そして特殊法人があって、あるいはさらに役所から大半の事業費を補助金で受けている公益法人があってという縦のピラミッドをやはりこの際に大きく崩していく、そういうことが今回の行革会議の中でも一つの流れとして、官から民へとか、あるいは中央から地方へという、そういう流れであろうかと思います。  その中で、長官の直接の御担当であります総務庁の所管の公益法人、これはたしか社団、財団で三十一あるそうでありますが、その中の一つの問題点について、今からちょっと触れたいと思います。  まだ御就任になって間もないわけで、中身については多分余り御承知ではないと思いますので、最終的にはまた御意見を伺いたいと思いますが、やや事務方にお答えを願いたい。本来議員同士の議論とはいいますものの、事が余りに具体的な細かい話でございますので、ちょっとお聞きをいただければ幸いかと存じます。  それで、今申しました総務庁所管の財団法人交通遺児育英会という団体がございます。これは、交通遺児、つまり交通事故で親を亡くした子供たちに奨学金を出そう、昭和四十四年に発足ですから、今から二十八年ぐらい前です。  四十五年が交通事故のピークの年でございました。年間に二万人を超える死亡者が出た。そして、その大半が働き盛りの四十代、三十代、そういう方が亡くなられる率が当時は非常に多かったわけで、その子供たちというのは、翌日から母子家庭になって、お母さんはそれまで働いていなかったのが、いきなり働きに出るけれども、いい職もない。そんな子供たち、交通事故による犠牲者、被害者の子供たちが高校へ進学するのもままならない。こんな事態が昭和四十四、五年当時にございました。  それで、交通遺児に奨学金をという、これは民間の運動でございます。そんな運動が結実をして、財団法人交通遺児育英会というものが発足をいたしました。そして、以来、これは実は民間から出て、街頭募金で毎年春秋、交通遺児の募金、あるいは最近はあしながおじさんの募金、あしなが募金という名前に変わっておりますが、全国の街頭できょうまで、春秋春秋ずっと五十何回の募金運動を重ねた。そういう運動の中から交通遺児たちが奨学金を受けて高校へ、そして大学へ進学できた。こんなすばらしい、これはボランティアな運動でございます。  今の街頭による募金運動というのは、実は、過去もう二十数年になりますが、学生の街頭による募金だけで三十億九千万ぐらい集めております。そしてその中で、また新しくあしながおじさん、御承知のとおり、名前を伏せて子供の進学を陰からそっと支えるという、あのあしながおじさんに倣って日本版あしながおじさんを提唱したところ、これはまた非常に国民の皆さんに受け入れられました。  そのあしながおじさんは、月々五百円とか千円を、大半は匿名でお金を送ってくださる。それを奨学金にプールして、出していくのですが、このお金だけでも過去百二十一億円ぐらい、そのあしながおじさんからの浄財、善意が集まって、それで子供たちが今日までに高校、大学に四万四千人進学をしました。彼らが受領した奨学金の総額は三百億円という非常に大きな、民間の運動としては、多分戦後で、それも学生が中心で行う運動でほかには例がないかと思います。実は私自身も学生時代からこの募金運動にずっと立ってきた、こういう運動の中から国会に出ている、こんな一人でございます。  その財団法人が、昭和四十四年以来ほぼ四半世紀、そうして、世間のあるいは国民の皆さんの善意によって育てられ、大きくなり、そして遺児が進学できた。それで、その遺児たち自身が、事業としては、日本育英会は奨学金を貸与しますが、それと同じなんですが、もう一つ、親を亡くした子供たちのための心の教育といいますか、あるいは進学相談、彼らが困っていることを親がわりになって育英会がいろいろな指導をしてきた。  夏や冬には、子供たちを集めて、高校生を集めて、集いという二泊三日とかの研修をしたり、そんな中で、このお金は一体どこから来たかというのを彼らにも知ってもらう。すなわち、これは国の税金ではないのですよ、善意のあしながおじさんとか、学生たちが毎年街頭に立って募金を集めて、そういうお金が集まっているんだよ、そういうことも彼らに教えたりする。  そうすると彼らは、非常にあしながおじさんたちの愛に感動し、では自分たちもできることは何かないかということで、彼ら自身も募金運動に立ったり、さらに、今度は運動が広がりまして、災害遺児、つまり交通事故で親を亡くした人以外はその募金の奨学金は受けられない、だから、災害遺児、災害で親を亡くしたのも一緒ではないか。あるいはまた、さらに広がって今度は、いや、病気でも、最近三分の一の人の死亡はがんですが、がんでお父さんを亡くしたらやはり同じ状況ではないだろうか。  そういうことで、彼ら自身が今度は災害遺児とか病気遺児たちの進学を支える、そういう運動を提唱し、スタートしたのですね。それで、交通遺児という段階からあしなが育英会、そんな大きな団体に育ってきたわけでございます。  そんな団体が、実はこのところの三年余り、少し団体内部が変になっている。世間で言うところのお家騒動と言われることもございますが、そのことをちょっと指摘し、それは総務庁の監督の所管でもございますので、お話をしたいと思うのです。  その財団は当初、文部省と総務庁の共管ということで、二つの役所が所管する団体としてスタートしました。ただ、総務庁というのは交通安全対策という分野をお持ちなので、非常に直接的なものですから、全く理事者とかを出さなかったのですが、過去ずっと二十数年理事などは出ていなかったのですが、平成三年になりまして、元総務副長官、宮崎さんという方ですが、この方が理事に出ました。初めてのことであります。さらにその三年後、つまり平成六年に、その方が今度は理事長となられました。  だから、最初のうちは、そういう形で、遠くからある意味では見守っていただいていたのが、この六年来急激に総務庁が、ある意味では、介入という言葉はよくないかもしれませんが、立ち入ってこられた。これはどういう変化なのかということを、総務庁の側からもし意見がありましたら、お伺いしたいと思います。
  163. 大坪正彦

    ○大坪政府委員 先生の方から、交通遺児育英会の最近の理事あるいは理事長についてのお話があったわけでございますが、御理解いただきたいのは、こういう財団の役員の人事というものにつきましては、御承知と思いますけれども、寄附行為によりまして、理事はまず評議員会で選ばれ、理事長はその選ばれた理事の中からの互選ということになっているわけでございます。  それで、どういう経緯で総理府総務副長官をされた方が理事となり、あるいは平成六年から理事長になられたかということにつきまして、理由を問われても、ちょっと私ども申し上げにくいわけでございますが、基本的には、理事会の中におきます。そういういろいろな人選の中で、財団の運営、あるいは財団の趣旨、目的、こういうものに照らしてどういう方が役員にふさわしいかという議論がなされた上で、互選というスタイルでなったものだろうと考えている次第でございます。
  164. 藤村修

    藤村委員 建前の世界ではそういうことでございますが、天下りという言葉だって別に役所の用語でも何でもなくて、ただ、世間はやはり、監督官庁から人が入ってくるとそういうことを想像したりする。それは、やはりそういうことがそれなりに力が働いたりすることは当然あるのだと思うのです。  私が問題にしたいのは、特に、この元総務副長官理事長になられての三年なんです。平成六年四月からなのですが、この財団が過去そうして非常に国民的な支持を得て育ってきたものが、今や、お家騒動ではないかということで、みんな他の理事、財界から出ている方とか、他の役所からも出ていらっしゃいます、そういう方がどんどんやめていったりということが起こっている。  あるいは、この三年来、先ほど申しました高校生を集めて心の教育をするような、金貸しだけでなしに親がわりになるような、そういう集いといういわば指導教育事業が完璧になくなってしまっております。今四年目になりますが、ことしもないようであります。これはこの前文部省の方に確認をいたしました。  それからもう一つは、民間のそういう善意のお金で運営される財団ですから、過去、運営資金なども非常につつましくやっていたわけですが、この総務庁からの理事長さんが来て以来、財団の経費の問題が非常におかしくなってきた。  例えば、総務庁からほかにも職員のOBの方が職員として入っていらっしゃいますが、非常に高給である。庶民が聞くとびっくりするような高給なのです。例えば、六十歳前後で役所をやめて入ってこられる、あるいはほかのところからも来られるケースはありますが、年収九百万円。それで、その方が今度は六十五歳になりまして嘱託になるのですが、年収が八百万円。  これは、私、労働省に一般的に聞いてみますと、六十五歳男子常用労働者の月給というのは二十五万程度で、年収ベースで四百万円ぐらいでありますから、ちょっと世間の常識からいうと高いし、かつその団体自体が、本当に国民の一円、十円、百円の募金を集めた、そういう資金で運営されているということから考えると、ちょっと常識外れではないだろうか。  さらに、平成六年にこの理事長が就任して以来、理事長職というのは無給であります、その以前の理事長は元警察庁長官の方で、二十五年来ずっと務めていただいたのですが、全くの無給でおられたのですが、この新しい理事長が就任して以来、非常勤ですけれども、出勤すると手当が、これは一時間出ようが二時間出ようが三万円。それで、出勤するに当たってハイヤーを使う。  これは、例えば平成六年度でいいますと、手当が二百六十七万円、ハイヤー代二百九十四万円、計五百八十二万円。昨年度、平成八年度でいいますと、ハイヤー代と手当の計八百三万七千円。八百万とかという額になると、もうこれは無給とかという話ではなくなっているわけであります。そんなことが今、この三年来起こっている。  さらに、その新理事長就任の平成六年には、その運営がやはり問題だということで、職員組合、組合ができたわけです。初めてのことであります。この組合の対策費用というのをまたその財団が予算をつくりまして、それで何とこの三年来で二千四百万円ぐらいの弁護士費用を払っているのですね、組合対策のために。それから、結果、訴訟が起こって、和解になって、つまり経営者が職員をいじめていたということが認められて、和解金も財団が五百万円払っているのですね。こんなことが起こっております。  それで、この団体は、実は会計監査をするのは全国でも三つの指に上るようなある監査法人でございますが、その監査法人の監査報告書、これはことしの四月に出て、そこで触れているのですが、「寄付者がこの事実を」、つまり弁護士費用の非常な大きな額、「知れば、どのような思いをいたすでしょうか。また厳しい社会からの糾弾を受けるばかりでなく、当会の存続基盤さえ脅かすことになりかねません。」会計監査法人がこういう異例の注意をしている。こんなことが起こっているわけでございます。  それからもう一点、この三年来で指摘することは、職員のいじめというのは、結局、当初からいた、学生募金の運動から入ってきたような若い人たち、まあ、それももう四十代になっていますけれども、実はそういう人たちを全部締め出しにかかって、それがいじめになって、裁判になったのです。それとともに、当初から会計を担当する、今現在の理事さんなのですが、この方も追い出そう、どうもそんな動きが中であったようでございます。  それで、これは、財団の説明によりますと、総務庁の交対室から業務及び財産の状況を検査したいと申し入れがあったので、みずから過去十年にさかのぼって銀行取引などの業務検査をやったと。二十四の銀行に、あるいは一つの証券会社に、過去十年さかのぼって資料を出せと。一つの銀行では例えば八千枚のコピーをしたとか、そんなちょっとむちゃくちゃな自己検査といいますか、これはまあ交対室からの指示によってやったと財団は言うわけですが。  それはたまたま、これは多分平成八年の九月にそういう公益法人の監督に関して新しい基準ができる、そのころであったのですね。それにひっかけてやったと理解はできるのですが、ただ、公益法人に対しては、それ以前は「公益法人設立許可審査基準等に関する申し合せ」それから「公益法人の運営に関する指導監督基準」というのはちゃんとありましたから、それに基づいてやっていたわけで、平成八年九月二十日の閣議決定によって、その後は「公益法人の設立許可及び指導監督基準」さらに「公益法人に対する検査等の委託等に関する基準」をもって行うことが決められた、そういう理解を私はしております。  ちょっと一つ確認したいのは、こういう理解でいいかどうかということと、この閣議決定は過去にさかのぼって適用するようなものなのかどうか。あるいは、その中身には、例えば「財務及び会計」というのがありますが、これについても過去にさかのぼって適用するような性格のものかどうか、お伺いしたいと思います。
  165. 榊誠

    ○榊政府委員 今先生の御指摘のございました監督基準の関係でございますが、確かに、昨年の九月に閣議決定で「公益法人の設立許可及び指導監督基準」というのを定めてございます。  これは、それ以前にもやはり同様の内容のものを含んだような基準がございました。例えば、設立許可に関しましては、昭和四十七年に今先生お話のありました申し合わせができてございます。それから、運営に関します指導監督基準につきましては、昭和六十一年にできてございます。  したがいまして、去年の九月に閣議決定いたしました基準は、これまであった基準等と、いろいろな問題も指摘された関係もございまして、新たにつけ加えられたもの、両方合わせたものが閣議決定で指導監督基準として決定されたということでございます。  それから、この基準の適用の関係でございますが、形式的に申しますと、この基準の適用につきましては、当然この基準が決定された日以降になるわけでございます。ただ、今申しましたように、実態といたしましては、以前の基準がこの閣議決定の基準にそのまま引き継がれているものがございますものですから、引き続き以前の基準が適用されるものもあるという状況でございます。
  166. 藤村修

    藤村委員 それが実は、さっき申しました発足当初から会計担当をしていた人をある意味では追い出そうというか、そういう意図が見え見えでありまして、これは内部の問題ではありますが、そういうことがあった。  それから、そういったことを私、文教委員会で、文部省の方の所管でもありますので、この六月に内容的に同じような質問をいたしましたところ、その翌日に朝日新聞が「総務庁が「乗っ取り」?」という見出しの記事を書きまして、これはまあクェスチョンではありますが、役所がそうしてえらく介入しているのじゃないかという内容でございます。  そうしまして、その後、こういう一般の雑誌なんですが、ここで「交通遺児育英会の資産に」云々というふうなえらい派手な見出しで、お家騒動みたいなことで書き上げているのです。その中に、私が文教委員会で質問したときにお答えになった総務庁の参事官の方がこの中で幾つかコメントをしております。私は、国会議員として国会の中で質問をすることは絶対的な免責があるわけで、外で何だかんだ言われる筋合いはないわけですが、この方は担当者で、答えて、答えることが悪いとは言いませんが、「交通遺児以外に奨学金を出すのはまずいですよ。災害や病気に拡大するなら寄付行為を変えてやるべきだ。」という発言があるのです。  この発言が、つまり何か交通遺児以外に奨学金を出したことが大きなお家騒動に発展しているというトーンで書かれているのですが、こんな発言を本当にしているのかどうか。それから、本当にこの財団は交通遺児以外に奨学金を出したのかどうか。この点だけ、ちょっと確認したいと思います。
  167. 大坪正彦

    ○大坪政府委員 ただいま先生の方から、雑誌実業往来の記事についての御指摘があったわけでございます。  私、当の担当にちょっとお話を聞いたわけでございますが、先生が今言われたところのここの表現の問題と申しますか、この全体につきましてちょっと聞きましたら、やはりこういう取材というものは常にどうしてもそうなるんじゃないかなというふうに思うのですが、例えば抽象的に言ったつもりのことが、記者がいろいろなことを考えながら、ある意味で推測で書いているよう部分、あるいは、一つ一つの事実は間違いないんだけれども、それを文脈として言った場合に事実とちょっと違うような受け取りをされるよう部分、こういうのはどうしても出てくるというような話でございまして、今先生が言われましたここの部分も、どうもそういう文脈の流れとしての受け取りの誤解がしかねない記事の表現なのかなというような受け取りを、実は私しているわけでございます。  記事にありますのは「交通遺児以外に奨学金を出すのはまずいですよ。災害や病気に拡大するなら寄付行為を変えてやるべきだ。玉井専務が辞めた平成六年以降はやっていない」、こういうようなところの指摘であるわけでございますが、先生が言われました趣旨は、要するに災害や病気に拡大、もう既に奨学金を出しているんじゃないかという受け取りをされるのじゃないかということでございます。  本人に聞きましたら、ここはそういう意味ではなくて、当然のこととして奨学金は交通遺児しか出していないというのは説明してある、ただ問題としましては、奨学金以外に、交通遺児以外の災害遺児の方を学生寮に入れていたという事実はあった、そういうものについては平成六年以降はやっていない、こういうような説明をしたのですが、それが縮められてこういう記事になったというようなのが事実のようでございます。
  168. 藤村修

    藤村委員 事実はそういうことなんですが。  ただ、この記事全体が、つまり最初の方から、寄附行為を変更してやらなければいけないことを前の専務理事がやったという流れで書かれているので、非常にこの記事の決定的な部分なのです。そこを取り違えて言うようなあいまいな言い方を、それも国会質問のあったすぐ後、担当者がやるというのは、これはやはりちょっと問題がある。これは、総務庁の広報室を通してやるとか、そういうことをしないといけないんじゃないですかね。国会の中で私が言ったことで私自身は外で責任は問われませんけれども公務員の方は多分そうじゃないと思うのですよね。  だから、こういうあいまいな発言で、そしてそのあいまいな部分を実は間違って解釈したかどうかは、これはこの雑誌の記者とあとはけんかしてもらったらいいのですが、そういうことがないようにしていただきたい。  実は、それにかかわらず、私、その他、誹議中傷の文章とか、あるいは中には、これは右翼の名前をかたった手紙で、一人一殺、殺すと言っている。こんな脅迫まで受けるような、これは役所とは関係ありませんけれども、こんなことまで起こっているわけでございます。だから、この三年来、本当に何が起こっているのだろうかということが非常に心配なわけです。  ただ、これだけ話しますと、ちょっと皆さんに理解がいただけないかと思うので、私、過去の経緯を非常にかいつまんで、ちょっと申し上げたいと思うのです。  先ほど申しました財団法人交通遺児育英会というのは、交通事故遺児を励ます会というボランティア団体の提唱、活躍で昭和四十四年に設立されました。交通事故遺児を励ます会は、昭和三十六年に、親がわりの姉を酔っぱらいトラックにひき逃げされた当時の高校生岡嶋信治さん、この方は今育英会の理事でありますが、この方がその怒りを新聞に投稿した結果、全国からの励ましの手紙によって生きる勇気を与えられ、その経験をもとに、岡嶋さんらを中心に発足したボランティア組織です。  岡嶋さんらは、昭和四十二年から、交通遺児の高校進学を支える奨学資金の募金運動を始めました。初めての募金は、わずか十人足らずのボランティアが、東京の数寄屋橋と池袋で、朝の十時から夜の八時まで八日間立ち続けたものです。集まった浄財は、一円玉、十円玉などで三十万円。このお金が二年後の財団設立の資金となって、その後、四万四千人の交通遺児が高校、大学へと進学する奨学金三百億円の種ともいうべきお金となりました。  交通遺児のための募金運動には、育英会発足後、全国の大学生が参加しました。私自身は、当時広島大学の学生でしたが、岡嶋さんや学生募金の先輩たちからの呼びかけで、広島の街頭でも交通遺児救済を訴えて募金を開始しました。以来、二十七年余りになります。この運動は、あしなが学生募金の名で、今や赤い羽根募金と並ぶ春秋の風物詩ともなって、民間ボランティア活動の元祖とも言える運動となり、今も学生たちに引き継がれています。  最近では、小里大臣が担当大臣として御苦労いただきました阪神・淡路大震災の中で、震災遺児、この人たちへの奨学金貸与とか、あるいはさらに、彼らの心の傷をいやすためのケアハウス建設のための募金運動が行われ、土地を購入し、既に来月の一月、震災の十七日にはケアハウスの建設着工の運びとなっております。  財団法人交通遺児育英会は、設立以来、日本商工会議所会頭の故永野重雄さんが亡くなるまで会長を引き受けられていました。永野さん御自身も母子家庭で育ったこともあって、交通遺児への理解が深く、会の発展に多大の尽力をいただきました。  続いて会長になられたのが、新日鉄の社長、会長をされた武田豊さんです。武田さんは、平成元年五月の創立二十周年の記念誌に次のように寄稿しています。  初めの十年間は、一人でも多くの交通遺児を高校に進学させることと、意欲のある学生には大学進学の道を開くことを目指してやってきた。次の十年は、奨学金の貸与にとどまるだけでなく、交通遺児一人一人に愛情を持って接し、永野初代会長の、温かい心、広い視野、行動力、その育成に取り組んできたことを振り返って、その上で、こうした歩みの中で、奨学生による自発的な恩返し運動が生み出され、募金や寄附をしてくださるあしながおじさんの無償の愛に感動した奨学生が始めたこの運動は、さわやかなボランティア活動を全国的に広げ、昭和六十三年春には、災害遺児育英制度の発足へと結実した。多くの方々から受けた恩を、今度は他者の幸福のために生かそうとするこの行為は、自他の幸せ創造の輝かしい実践にほかならず、武田会長として、この子らの活動を誇りに思う、こういうふうに述べていらっしゃいます。  この二代の会長を支えていたのが、発足から平成六年に亡くなるまで四半世紀の問、育英会の理事長を務めた元警察庁長官石井栄三さんです。私も石井理事長をよく存じ上げていますが、週に一回か二回事務局に来られて、その存在感によって、民間から生まれた育英会と、いわゆる官庁である総務庁や文部省との調和を絶妙に図っていただいておりました。  石井理事長が亡くなって、後任に元総理府総務副長官の宮崎清文氏が就任。それから今日までの三年半余りの間に、マスコミでも大きく取り上げられたりするいわゆるお家騒動とも言えるごたごた続きで、学生時代からこの運動の一翼を担ってきた私としては、募金運動のOBとしても、とても心の痛む思いです。  宮崎理事長の就任以来、財団内部の事情で交通遺児に対する奨学金の送金がおくれ、これがマスコミで取り上げられて、監督官庁からも注意をされたわけですが、この問題は財団内部の事情そのものであります。  武田会長が誇りと思うと述べた、遺児たち自身の恩返し運動が災害遺児から病気遺児の救済にまで拡大していくとき、これをよしとする遺児奨学生OB、支援者のあしながおじさんの側と、あくまで交通遺児だけのことを考える側との対立が起こりました。  総務庁は、交通安全対策の一環ということで、災害遺児や病気遺児は関係ないわけです。それが厚生省にも及ぶ話となって、役所の管理監督権限が縮小すると考えたのでしょうか。あるいは単なる縄張りの問題でなしに、この財団の、今や三百五十億もの資産があります。その資金管理権限につながると考えたのでしょうか。宮崎理事長就任以来、職員の総務庁OBを育英会事務局のナンバーツーの役職に異例の昇格をさせ、権限回復を意図して行動を開始しました。  一方で、交通遺児の発生そのものが事故の減少で少なくなり、かつ自動車賠償責任保険の上限アップや任意保険の充実に相まって、これは幸いなことでありますが、貧困な交通遺児はうんと減少して、奨学金需要は激減しています。まさに民間的発想からすれば、災害遺児や病気遺児の奨学金制度にも道を開く環境が整う中で、これはまかりならぬと監督官庁が乗り出してきたものではないでしょうか。  具体的には、財団発足以来の中心メンバーの追い出し、学生募金から参加してプロパー職員になった人たちの締め出しです。これは結果として、職員組合が発足して、労使紛争にもなって、法外な弁護士費用の支出といじめに対する和解金の支払いになりました。あるいは、無給であったはずの理事長も有給職にしようという動きや、実際にハイヤー代あるいは報酬が支払われています。さらに、過去の決算に疑義があるという不当な理屈をこじつけて、理事会、評議会の過去の決定を無視して、過去十年もさかのぼっての自主監査など、指摘のとおりであります。  そして、これら問題点を去る六月に文教委員会指摘しますと、私に対して、脅迫文書や誹謗中傷の怪文書攻撃を受けています。また、同僚議員で元交通遺児育英会事務局長の方や、あるいはこの奨学金を受けた交通遺児OBで、今は自民党代議士として活躍している議員にもこれら怪文書が送られてきている事態になっています。  いわゆる公益法人は、官庁が主導でつくる下請的な財団、社団と、逆に民間から起こってそれに法人格を与える財団、社団がありますが、この交通遺児育英会は明らかに後者であります。この際、官から民の実践としても、役所の仕事を減らす意味でも、二つの官庁による共管というのから、育英事業ですから文部省の単管にするとか、そして総務庁OBが理事に就任した平成三年度時点に一遍戻って出直しをされたらどうか、こんなことを私は提案したいのです。  こういう過去の運動の流れ、そして今後のこの財団の運営について、監督官庁でもございますので、一つは過去の運動の御所感、それから、今後どうしたらいいか、監督官庁としての立場お答えを願えればありがたいと思います。
  169. 小里貞利

    小里国務大臣 財団法人交通遺児育英会の日ごろの運営につきまして、さまざまお話をお聞かせいただきました。率直な感想と申し上げまして、かなり刺激的な起伏もあるのだな、そういう感じを持ちます。  申し上げるまでもなく、交通遺児育英会は、社会的にも大変大きな一つ役割を期待されておる組織でございます。いろいろお聞かせいただきましたことも参考にしながら、可能な限り私どもの筋におきましても調査をさせていただき、そしてまた適正な公的役割を遂行していただくべく、助言申し上げるべき必要があれば申し上げなければならぬ、さように思います。
  170. 藤村修

    藤村委員 長官、よろしくお願いします。  以上で終わります。ありがとうございました。
  171. 谷津義男

    谷津委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十八分散会