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1997-11-27 第141回国会 衆議院 内閣委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十一月二十七日(木曜日)     午前九時三分開議 出席委員   委員長 谷津 義男君    理事 植竹 繁雄君 理事 久野統一郎君    理事 小林 興起君 理事 穂積 良行君    理事 倉田 栄喜君 理事 西村 眞悟君    理事 佐々木秀典君 理事 瀬古由起子君       稲垣 実男君    今村 雅弘君       岩永 峯一君    木村 隆秀君       熊代 昭彦君    小杉  隆君       佐藤 信二君    近岡理一郎君       虎島 和夫君    野田  実君       平沢 勝栄君    石井 啓一君       石田幸四郎君    鹿野 道彦君       島   聡君    中野 寛成君       萩野 浩基君    坂上 富男君       中沢 健次君    辻  第一君       深田  肇君    熊谷  弘君  出席国務大臣         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 村岡 兼造君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 小里 貞利君  出席政府委員         人事院総裁   中島 忠能君         人事院事務総局         管理局長    尾木  雄君         人事院事務総局         任用局長    角野 敬明君         人事院事務総局         給与局長    武政 和夫君         人事院事務総局         職員局長    佐藤  信君         行政改革会議事         務局次長    八木 俊道君         総務政務次官  熊代 昭彦君         総務庁長官官房         審議官     西村 正紀君         総務庁長官官房         審議官     瀧上 信光君         総務庁人事局長 中川 良一君         大蔵省主計局次         長       寺澤 辰麿君  委員外出席者         内閣委員会調査         室長      新倉 紀一君     ――――――――――――― 委員異動 十一月二十七日  辞任         補欠選任   今村 雅弘君     木村 隆秀君   西村 章三君     島   聡君   寺前  巖君     辻  第一君 同日  辞任         補欠選任   木村 隆秀君     今村 雅弘君   島   聡君     西村 章三君   辻  第一君     寺前  巖君     ――――――――――――― 十一月二十六日  一般職職員給与に関する法律及び一般職の  任期付研究員採用給与及び勤務時間の特例  に関する法律の一部を改正する法律案内閣提  出第一六号)  特別職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第一七号) 同月十一日  元日赤救護看護婦に対する慰労給付金に関する  請願石毛鍈子君紹介)(第三一三号)  同(稲垣実男紹介)(第三二八号)  同(寺前巖紹介)(第三二九号)  同(野田実紹介)(第三三〇号)  同(石井啓一紹介)(第三五二号)  同(稲垣実男紹介)(第三五三号)  同(大野松茂紹介)(第三五四号)  同(植竹繁雄紹介)(第三八二号)  同(金田誠一紹介)(第三八三号)  同(矢島亘夫君紹介)(第三八四号)  同(深田肇紹介)(第四〇五号)  同(土井たか子紹介)(第四四九号)  同(西村章三紹介)(第四五〇号)  同(深田肇紹介)(第四五一号) 同月十七日  元日赤救護看護婦に対する慰労給付金に関する  請願西村章三紹介)(第四八一号)  同(西村章三紹介)(第五〇六号)  同(瀬古由起子紹介)(第五三五号)  同(西村章三紹介)(第五三六号)  同(西村章三紹介)(第五五三号)  同(西村章三紹介)(第五七三号)  同(松本善明紹介)(第五七四号)  人事院勧告完全実施に関する請願石橋大吉  君紹介)(第五〇五号) 同月二十五日  元日赤救護看護婦に対する慰労給付金に関する  請願西村章三紹介)(第六五二号)  同(藤木洋子紹介)(第七二三号)  同(藤田スミ紹介)(第七二四号)  同(穀田恵二紹介)(第七八〇号)  同(東中光雄紹介)(第七八一号)  非核法法制化に関する請願金田誠一紹介  )(第六九九号)  同(土井たか子紹介)(第七二五号) は本委員会に付託された。 十一月十日  軍人恩給改善に関する陳情書外一件  (第一号  )  国民の祝日に関する法律改正に関する陳情書外  二件  (第二号)  青少年健全育成対策に関する陳情書  (第三号)  情報公開法立法化に関する陳情書  (第四号) 同月二十六日  京都迎賓館建設促進に関する陳情書  (第四六号)  平和憲法擁護等に関する陳情書  (第四七号  ) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  一般職職員給与に関する法律及び一般職の  任期付研究員採用給与及び勤務時間の特例  に関する法律の一部を改正する法律案内閣提  出第一六号)  特別職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第一七号)  公務員制度及び給与に関する件(人事院勧告  )      ――――◇―――――
  2. 谷津義男

    谷津委員長 これより会議を開きます。  公務員制度及び給与に関する件について調査を進めます。  去る八月四日の一般職職員給与等についての報告並びに給与改定に関する勧告につきまして、人事院から説明を聴取いたします。中島人事院総裁
  3. 中島忠能

    中島政府委員 人事院が、去る八月四日、国会と内閣に対して行いました公務員給与に関する報告及び勧告概要について、御説明いたします。  初めに、職員給与に関して御説明いたします。  本年も、公務員給与に関する判断材料を得るため、民間企業給与を的確に把握するとともに、厳しい経営環境もとにおける企業の対応について調査を行い、また、広く各界から御意見を拝聴し、公務運営改善についてもさまざまな角度から検討いたしました。  その結果、賃金については、大部分事業所において、低率ではあっても引き上げが行われていることが認められました。  まず、本年四月時点における官民給与の較差は、公務員一人当たり平均三千六百三十二円、率で一・〇二%となっております。  本年は、給与改定基本的な考え方として、民間動向等を踏まえ、職員職務基本とし、能力実績を重視した給与体系への転換を表明しました。  改定具体的内容について順次御説明いたします。  まず、俸給表につきましては、職務個人能力実績を重視し、世代間の給与配分適正化する観点から、早期立ち上がり型への昇給カーブの修正を行うことを念頭に置きながら、中堅層職員改善を中心として、全俸給表改定を行うこととしております。  次に、期末勤勉手当につきましては、民間賞与等特別給支給割合との均衡を図るため、期末手当支給月数を〇・〇五月引き上げることとしております。  また、管理職職員については、能力実績に応じた給与配分をより重視する必要があることから、期末勤勉手当に占める勤勉手当割合を高め、その分、期末手当を下げるとともに、成績率の幅についても一般職員より広げることとしております。さらに、指定職職員については、懲戒処分を受けるなど勤務成績が明らかに良好でないと認められる場合には、減額して支給することができるよう期末手当を改めることとしております。  これらのほか、一般職員についても、優秀な成績を上げた職員懲戒処分を受けるなど勤務成績が良好でない職員に対し、それに応じた取り扱いができるよう勤勉手当成績率の幅を拡大するなど、勤勉手当制度についてより適正な運用を図ることとしております。  また、扶養手当特地勤務手当等について、民間動向社会環境の変化に対応した給与配分適正化観点から改定を行うこととするとともに、在外公館以外で初めての国外官署として米国ハワイ州に国立天文台ハワイ観測所が設置されたことに伴い、同施設で勤務する職員について新たな手当を支給することとしております。  実施時期につきましては、本年四月一日としております。  次に、公務運営改善に関します部分について御説明いたします。  社会経済等のさまざまな分野において、従来から続いてきたシステム見直しが求められている状況もとで、人事院は、行政を支える公務員人事管理システムについて、その見直しを積極的に進める必要があると考えています。  まず、公務におきましては、これまで以上に高い専門的知識能力等が求められていることにかんがみ、内外の学位取得者民間企業経験者等部内育成では得られない高度の専門性や多様な経験を有する者を確保するため、給与等処遇を含む弾力的な採用システムについて、平成十年度からの実施めど人事院規則等整備を図ることとしております。  次に、省庁間交流等を推進する閣議決定が行われていることを踏まえまして、本省庁課長級以上への昇任等審査選考に当たって、今後、計画的な人事交流等経験を重視することとし、このための具体的な審査選考方法について、平成十年度からの実施めど検討を進めることとしており、あわせて、民間等から幹部職員採用する場合の審査選考方法についても整備を図ることとしております。  また、Ⅰ種採用者数原則三割縮減等にあわせ、Ⅱ種試験等による採用者からの人材の活用を図るとの閣議決定を踏まえまして、能力適性等に基づく人事管理を徹底していく一環として、Ⅱ種、Ⅲ種等採用職員幹部職員への登用を推進するため、早期選抜に活用できる措置導入について、平成十一年度からの実施めど検討を進めていくこととしております。  このほか、高度の専門的能力を有する職員について、個人能力と成果を反映させる処遇の枠組み、弾力的な勤務形態などについても整備を図ることとしております。  営利企業への就職制限制度等につきましては、昨今、公務公務員を取り巻くさまざまな問題が生じ、公務員の再就職あり方が厳しく問われている現状等を踏まえ、再就職の規制を見直すこととしております。所属省庁が強い行政権限を有している営利企業への就職は、局長以上の幹部職員の場合や代表役員へつく場合には認めないものとし、契約関係がある場合についても、承認しない場合の基準を強化することとしています。一方、資格等を生かした早期退職教育研究職員の再就職については、弾力的に取り扱うこととしております。  また、専門的知識能力を有する退職公務員を広く活用するという観点や、官民癒着との批判にこたえる面から、透明度の高い再就職の仕組みについても今後検討することとしております。  また、公務における高齢者雇用制度として、定年退職者を再雇用する形態による継続雇用制度導入を図ることとしております。既に、任用勤務時間・休暇、服務等の各制度についてはおおむね検討を終えており、今後、給与について、関係者意見を聴取しながら、適正な水準の設定と体系整備に向けて検討を進め、年内をめどに成案を得て、別途、意見申し出を行うこととしております。  最後に、昨今の幹部公務員の不祥事につきましては、人事院としてもまことに遺憾と考えております。公務員倫理の確立のためには、懲戒制度が適切に機能することも肝要でありますから、地方公共団体等へ辞職出向し復職した職員に係る懲戒処分あり方や、人事院の関与を含めた懲戒手続整備等について検討を行うこととしております。  人事院といたしましては、公務員あり方に関する各方面の提言や指摘を真摯に受けとめ、以上申し上げた施策の着実な実施を通じて、今後とも公務員が全体の奉仕者として国民の期待にこたえ得るよう、人事管理システム全般にわたる改善を進めてまいる所存でございます。  内閣委員の皆様におかれましては、人事院勧告制度が果たしている役割、職員が真摯に公務に精励している実情に深い御理解を賜り、速やかに給与改定を実現していただくよう衷心よりお願い申し上げる次第でございます。
  4. 谷津義男

    谷津委員長 これにて説明は終わりました。      ――――◇―――――
  5. 谷津義男

    谷津委員長 次に、内閣提出一般職職員給与に関する法律及び一般職任期付研究員採用給与及び勤務時間の特例に関する法律の一部を改正する法律案及び特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。小里総務庁長官。     ―――――――――――――  一般職職員給与に関する法律及び一般職任期付研究員採用給与及び勤務時間の特例に関する法律の一部を改正する法律案  特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案      〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  6. 小里貞利

    小里国務大臣 ただいま議題となりました一般職職員給与に関する法律及び一般職任期付研究員採用給与及び勤務時間の特例に関する法律の一部を改正する法律案及び特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  まず、一般職職員給与に関する法律及び一般職任期付研究員採用給与及び勤務時間の特例に関する法律の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。  本年八月四日、一般職職員給与改定に関する人事院勧告が提出されました。政府としましては、その内容検討した結果、人事院勧告どおり改定を行うが、指定職俸給表適用を受ける職員については改定を一年延伸することが適当であると認め、一般職職員給与に関する法律及び一般職任期付研究員採用給与及び勤務時間の特例に関する法律について所要改正を行うこととし、ここにこの法律案を提出した次第であります。  次に、法律案内容について、その概要を御説明申し上げます。  最初に、一般職給与法改正関係について申し上げます。  第一に、俸給表のすべての俸給月額を、人事院勧告どおり改定することといたしております。  第二に、初任給調整手当について、医師等に対する支給月額限度額を三十一万二千二百円に引き上げること等といたしております。  第三に、扶養手当について、扶養親族でない配偶者がある場合の扶養親族たる子、父母等のうち一人についての月額を六千五百円に引き上げるとともに、満十五歳に達する日後の最初の四月一日から満二十二歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にある扶養親族たる子に係る加算額を一人につき月額四千円に引き上げることといたしております。  第四に、特地勤務手当に準ずる手当について、支給割合限度俸給及び扶養手当月額合計額の百分の六に引き上げることといたしております。  第五に、新たにハワイ観測所勤務手当を設け、官署を異にする異動により国立天文台ハワイ観測所勤務することとなった職員に、俸給及び扶養手当月額合計額に百分の八十を乗じて得た額を月額として支給することといたしております。  第六に、宿日直手当について、通常の宿日直勤務に係る支給額限度額勤務一回につき三千八百円に引き上げる等、所要改善を図ることといたしております。  第七に、期末手当について、三月期の支給割合を百分の五十五とするとともに、行政職俸給表(一)の適用を受ける職員でその職務の級が九級以上であるもの等の特定幹部職員に対する支給割合を、六月期は百分の百四十、十二月期は百分の百七十とすることといたしております。  第八に、勤勉手当について、特定幹部職員に対する支給割合を百分の八十とすることといたしております。  第九に、指定職俸給表適用を受ける職員に対して、期末手当にかえて新たに期末特別手当を設け、勤務成績が良好でない場合には、勤務成績に応じ各庁の長等が定める額を減じた額を支給することといたしております。  第十に、非常勤委員、顧問、参与等に支給する手当について、その限度額日額三万八千九百円に引き上げることといたしております。  次に、任期付研究員法改正関係については、任期付研究員適用する俸給表のすべての俸給月額改定することといたしております。  以上のほか、施行期日適用日、この法律施行に関し必要な経過措置等について規定することといたしております。  なお、指定職俸給表適用を受ける職員については、俸給表及び期末特別手当支給割合改定を一年延伸し、平成十年度から行うこととしております。  引き続きまして、特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。  この法律案は、ただいま御説明申し上げました一般職職員給与改定にあわせて、特別職職員給与について所要改正を行おうとするものであります。  次に、法律案内容について、その概要を御説明申し上げます。  第一に、内閣総理大臣等特別職職員俸給月額を、一般職職員給与改定に準じて引き上げることといたしております。  第二に、特別職職員である常勤及び非常勤委員等に支給する日額手当限度額を、一般職職員給与改定に準じて引き上げることといたしております。  以上のほか、この法律施行期日適用日等について規定することといたしております。  なお、一般職指定職職員と同じく、別表第一の適用を受ける内閣総理大臣等並びに別表第二の適用を受ける大使及び公使に関しては、俸給表及び期末手当支給割合改定を一年延伸し、平成十年度から行うこととしております。  以上が、これらの法律案提案理由及び内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  7. 谷津義男

    谷津委員長 以上で両案についての趣旨説明は終わりました。
  8. 谷津義男

    谷津委員長 これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。石井啓一君。
  9. 石井啓一

    石井(啓)委員 おはようございます。新進党の石井啓一でございます。  まず冒頭、私の質問におきましては、原則として答弁大臣答弁を求めたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。  今回の人事院勧告の扱いでありますけれども、十一月十四日の閣議決定、今回の給与法の法案によりますと、一般職職員給与については人事院勧告どおり改定を行うが、指定職、そして特別職公務員については、ベースアップを一年おくらせる、一年凍結する、こういう内容になっております。まず、そもそも人事院勧告についていかに取り扱うべきか、この点につきまして官房長官の御見解を伺いたいと思います。
  10. 村岡兼造

    村岡国務大臣 憲法上の労働基本権制約代償措置の根幹をなす人事院勧告制度を尊重するとの基本姿勢もと財政事情を初めとする国政全般との関連を考慮して適切に対処すべきもの、こう考えているところでございます。
  11. 石井啓一

    石井(啓)委員 今回の人事院勧告取り扱いをめぐる経過の中でも、いろいろと報道されておりますが、財政当局の方からは、ボーナス、期末手当の〇・〇五カ月分の凍結、あるいは一般職のベアの半年間の凍結というのがこの経過において出された、こういうふうに報道もされております。  過去も人事院勧告完全実施されてこなかった歴史はございますけれども、その折々の政治情勢等によりいわば値切られている、こういう状況があるわけでありますけれども、この点については長官、いかがですか。どういうふうにお考えになりますか。
  12. 村岡兼造

    村岡国務大臣 先ほど、憲法上の人事院勧告制度お答えはいたしたわけでございます。  私、官房長官になりましてから、給与関係閣僚会議、四回でございますが、そのうち私は二回目から四回まで、最終決定、十一月の十四日、給与関係閣僚会議で決めて、閣議で決めたわけでございます。  今回決定をいたしました国家公務員給与改定についての政府取り扱い方針については、良好な労使関係維持等にも配慮しつつ、危機的財政事情もと財政構造改革の推進についての閣議決定趣旨等を踏まえ、国民的課題である行財政改革を推進している中における国民世論動向をも勘案し、指定職以外の一般職員勧告どおり改定する、指定職及び特別職については改定を一年延伸する。三回私も関与いたしておりますが、その間にいろいろの議論がございましたけれども、最終的にはこのように決定したものでございます。  完全実施をすべきじゃないかという意見もありました、いや管理職以上も一年延期にしたらどうか、こういうような意見も出たわけでございますけれども、私自身としては、特別職あるいは指定職現下のいろいろな状況を見て、これは我慢すべきではないか。その後、金融とかあるいはいろいろな問題があって、指定職とか特別職は遠慮すべきじゃないか、こんなつもりで私自身はおるところでございます。
  13. 石井啓一

    石井(啓)委員 ちなみに、指定職特別職を一年おくらせることによります人件費節減効果がどれぐらいあって、今、半分以上お答えになったと思いますけれども、一般職の方は完全実施しておいて、指定職特別職の方は実施しないというその理由を、もう一度確認したいと思います。
  14. 村岡兼造

    村岡国務大臣 指定職特別職改定を一年延伸することによりまして、歳出の節減見込み額は十億円と承知をいたしております。  先ほど、指定職以上というもので一年延期した理由についてはお話ししたつもりでございますけれども、従来、一回か二回で決まったことがありましたが、このような経済情勢もとでございますから、いろいろな意見がございましたけれども、結果的には、雇用で、あるいは不況というかその状況が続いている中で、やはり特別職指定職は一年延伸、こういうふうに、私、座長をいたしておりますが、座長決定権というのはございませんで、関係閣僚会議が一致して、指定職以上は一年延伸する、こういうことになった次第でございます。  以上でございます。
  15. 石井啓一

    石井(啓)委員 今お聞きいたしましても、実際の節減効果は十億円ということでありますから、人件費を大幅に抑制あるいは削減しょうという目的でおやりになったというのではなくて、むしろ政府姿勢を示す、厳しい経済情勢の中にあって、いわば民間企業でいえば役員ともいえる指定職あるいは特別職については一年間凍結する、こういう御趣旨であろうかと思います。  私は、指定職凍結して文句を言う声は、恐らくほとんど出ないと思うのですよね。まあ、民間企業でいえば役員クラスの方ですからね。ですけれども、先ほど官房長官がおっしゃいましたように、私は、原則はやはり完全実施をすべきだと思っておるのです。やはり、労働基本権代償措置ということから考えますと、公正ということを考えると完全実施をすべきだと思うのですが、政府姿勢を示すという意味では、むしろ政治家の方がまず真っ先に範を示すべきじゃないか、こういうふうに思うのです。  要するに、総理大臣あるいは国務大臣、これは特別職でいらっしゃいますけれども、指定職云々という前に、まず政治家みずから、閣僚みずから、一年間凍結ではなくて、例えば閣僚については引き上げ自体を遠慮しますよ、そういうふうな姿勢をまず政治家みずからが示すことが、まさに、現下情勢にあって、橋本内閣姿勢を示すことになるのではないかと思うのですが、長官いかがでしょう。
  16. 村岡兼造

    村岡国務大臣 「公務員給与改定に関する取り扱いについて」で、特別職国家公務員、私どもでございますが、おおむねこの趣旨に沿って給与改定を行うものとするとなっております。  同時に、橋本内閣の、第一次もそうでございますけれども、第二次改造に当たりまして、閣僚俸給の一〇%を返上するということも決めて、もう既にこれは、何日でしたか私どもの、九月になりましたけれども、そのときに一〇%返上するということは率先して決めている、こういうことも御理解を願いたいと思います。
  17. 石井啓一

    石井(啓)委員 閣僚が一割返納されているというのは承知しておるのですけれども、それはまあ従前からおやりになっていた。私は、この厳しい情勢になって、さらに返納しろと追及はしませんけれども、何らか新たな措置といいますか、そういう姿勢を示すというのは必要なんじゃないかと思うのですよ。といいますのは、一割返納しているということも世間ではほとんど知られなくなっていますよね。そういう意味で、まず政治家が範を示すべきではないかということを、この際私は指摘をしておきたいと思います。  さらに、今回の給与改定に伴って歳出がどれぐらいふえて、その財源をどのように賄うのか。この点について、長官、御答弁をお願いいたします。
  18. 村岡兼造

    村岡国務大臣 今回の給与法改正に伴う九年度歳出増加額は、約一千四百十億円の見込みでございます。完全実施をいたしますと千四百二十億。したがいまして、十億円減りますので、一千四百十億。  その財源については、まず、九年度当初予算に計上されています給与改善費一千五十八億円を充当いたしまして、不足額につきましては既定経費の節約、不用をもって賄いたいと考えておりますが、なお不足する場合には、補正予算へ計上するなど適切に対処してまいりたい、こう考えております。
  19. 石井啓一

    石井(啓)委員 私ども、現下経済情勢にかんがみて二兆円規模の所得税減税が必要だ、こういうふうに主張しております。この人事院勧告給与改定というのも、二兆円から比べますと額は小さいわけでありますけれども、景気に対して多少なりとも上向きにさせる、消費を上向きにさせる効果があると思いますので、補正予算、必要であるとするならば、これはやはり時期を見て適切に対処をいただきたいと思います。  次に、今回の人事院勧告の中では、特に期末勤勉手当に関しまして、勤務実績をより適切に反映させるということで、例えば管理職期末手当の一部を勤勉手当に振りかえたり、あるいは勤勉手当成績率の幅の拡大をしたり、指定職職員期末手当について懲戒処分者等の減額措置導入したりということで、勤務実績をより反映させよう、こういう方向が打ち出されておりまして、給与勧告の中にも盛り込まれているわけであります。  この方向を私は評価をいたすわけでありますけれども、ただ、そもそも公務員勤務実績をいかに評価していくのか、これは非常に大きな課題だと思います。長官の見解を伺いたいと存じます、総務庁長官
  20. 谷津義男

    谷津委員長 中川人事局長
  21. 石井啓一

    石井(啓)委員 長官に聞いているのです。
  22. 谷津義男

    谷津委員長 今、局長説明を先に。
  23. 中川良一

    ○中川政府委員 現行の制度概要だけ説明をさせていただきたいと存じます。  一般職国家公務員には勤務評定制度というものが導入されておりまして、具体的には、所轄庁の長あるいはその指定した部内の上位の職員が、職員勤務実績職務遂行の基準に照らして評価をするということになっております。なお、評定を行うに当たりましては、評定を三段階以上にするとか、あるいは上位の評定者はおおむね十分の三以内にするとか、いろいろ細かい実施方法が定められておるところでございます。  なお、六月と十二月の勤勉手当につきましては、職員の在職期間の期間率とかあるいは成績率に基づきまして個別の額が決められていくわけでございますが、この成績率決定するに際しましては、先ほど申しました勤務評定の結果等を考慮いたしまして、勤務成績に応じて支給をするという制度になっております。
  24. 石井啓一

    石井(啓)委員 勤務成績をいかに評価するか、その成績をどうするかということをお聞きをしたいのですけれども。  といいますのは、私の問題意識としましては、これはどの職場もそうだと思うのですけれども、非常に成績のいい人、これは大体だれが見てもわかる。成績がいいといいますか、非常によくやっているなという人はよくわかるわけですね。あるいは、こいつはちょっと怠けているなといいますか、余りしっかりやっていないな、こういう人間もわかるわけでありますけれども、その中間層の方をどう評価をしていくのか、これは非常に難しい問題だと思うのですね。  特に、民間のいわゆる営業職であれば、その営業成績というのではっきりわかるわけですけれども、公務の場合はそういう評価というのをどうしていくのかというのは、実は非常に大きな課題だと思っておりまして、その点について、長官、いかがでしょうか。
  25. 小里貞利

    小里国務大臣 一つの基準については先ほどお答え申し上げたところでございますが、ただいまお話しの点、現在、各省庁におきまして、職員の執務について、人事院規則で定めるいわゆる根本基準に基づきまして勤務実績を評定いたしておるところであります。  これまでの評定のいわば積み重ねを踏まえまして、今後とも一層、勤務成績本位の人事運用が図られるように心がけなければならない、さように思っております。
  26. 石井啓一

    石井(啓)委員 これは非常に大切な課題だと思いますので、今後、より検討を行っていただきたいと思います。  それから、今回の人事院勧告に附属する報告の中で、ちょっと天下り問題に関連をして人事院総裁にお尋ねをしたいと思いますが、今回の中で非常にいい指摘をされていると思います。  私は従来からこの委員会で天下り問題に関して述べてまいりましたけれども、天下りを批判するだけではなくならない、むしろ天下りをしなくても済むような人事制度をつくるべきだ、こういうふうに主張をしてまいりました。  問題としては大きく二つございまして、一つは、現在でも六十歳定年制をとっておるわけでありますけれども、その六十歳まで勤務がし続けられない。早期勧奨退職制度ですか、そういうものもございますし、あるいは、いわばキャリア組でいえば、同期の中で一人上に出れば、ポストがなくなるから、必然的に退職せざるを得ないような、そういう状況にある。定年まで勤務が続けられるような人事制度にすることがまず第一であると思います。  第二番目には、今、六十歳定年制をとっておりますけれども、今後の高齢化社会の進展、あるいは年金と雇用との問題、年金の支給年齢も徐々に上がっていく、こういう状況を踏まえますと、私はやはりこの定年年齢自体も徐々に引き上げていくべきではないか、こういうふうに考えております。  この二つの点、勤務をし続けられるという点、それから定年年齢を引き上げていくという点、この問題をかねてからこの委員会においても指摘をしてまいりました。今回の人事院勧告の中で、在職期間の長期化ということで指摘がされておりますし、また、高齢者雇用制度検討ということで、非常にいい内容報告がされていると思います。こういう点について、これを具体化させるための検討の方策というのを人事院総裁にお聞きします。
  27. 中島忠能

    中島政府委員 二つの御質問がございました。  一つは、長期在職ということでございます。  先生自身公務の中におられましてよく御存じだと思いますが、大体、幹部職員というのは、五十二、三歳になると退職していくのがかなりおります。しかし、幹部職員になる職員というのは、もともと非常に能力のある職員公務の世界に入ってきたのが多いわけですから、そういう人間を五十二、三歳で退職させるというのは、人物経済的に考えてどうだろうかというふうにかねがね考えております。一つは、そういう観点からも考えなきゃならない。  もう一つは、公務の世界の中におきましても、需要というものが大変変わってきておる。今から十年前、二十年前と比べまして、一つの事柄を進めるに当たりましても、非常に多方面の政党に対して御説明申し上げなければならない。あるいはまた、各種団体に対して非常に丁寧な御説明を申し上げて、そして御理解を得なきゃならないというように、いろいろ行政需要そのものも変わってきておる。そういう需要に対して、公務の世界においても適切に対応する人物が必要になってきているだろうというふうに思います。  そして三番目に、先生も今少しおっしゃいましたけれども、再就職環境が徐々に厳しくなっていくというような関係もございますので、どうしても、この三つの状況というものを総合的に判断いたしますと、公務の世界の中でもう少し長く働いていただくような慣行というか、システムというものをつくっていかなければならないというふうに思います。  そのためには、何といいましても現在の中央官庁の人事というのが年次主義でございますので、これを改めていただく必要があるだろうというふうに思います。そして、今申し上げたような行政需要というものを考えますと、スタッフ的に使っていくという観点も必要ではないかというふうに思います。この対応というのは、ひとり人事院だけでできるものでございませんので、総務庁等関係方面と御協力していかなければならないというふうに思いますが、そういう対応をしまして、公務の世界でできるだけ長く働いていただくようにしようというふうに考えております。  私たちがことしの初めに、事務次官の定年というのを六十二歳にして、そして局長等もそれに準じて長く在職していただくようにしようというふうに考えたわけでございますが、そういうような施策というものもこれから進めていかなければならないと思います。  それからもう一つの、第二番目の御質問でございますけれども、定年延長絡みの話でございます。  現在、六十歳定年でございますけれども、これをどのように公務の世界で長く勤務していただくようにするかということですが、今、民間企業におきまして、六十一歳以上の定年というものをしいている企業が少のうございます。ただ、平成十三年から年金の支給開始年齢が六十一歳ということで、三年に一歳ずつ延びていきますから、そういうことを考えますと、六十歳以降の雇用をどのように確保していくかということを考えなければならないわけでございます。  その場合に、将来、六十五歳定年とか六十三歳定年というものを視野に置きながら、新たに開始する新しい雇用制度もとにおける、長期在職していただく職員につきまして制度を構築していかなければならないというふうに思いますが、私たちの方では、平成十三年から年金の支給開始年齢が六十一歳になるということを見込みまして、新再任用制度というものを考えております。これにつきましては、任用とか勤務時間とか服務等につきましてはぼ検討を終えております。あとは給与とかそういう関係制度でございますけれども、これにつきまして、現在関係省庁といろいろ意見を交換いたしまして、できるだけ早く成案を得たいというふうに考えております。
  28. 石井啓一

    石井(啓)委員 非常に力強い御答弁でありますから、期待をいたしたいと思います。私は、事務次官の六十二歳定年、非常に評価しておるのです。今の状況の中では、事務次官だけがメリットを受けるというわけではなくて、事務次官が上がれば、それに伴って、ほかの局長クラスあるいは審議官クラスの方も少しずつ定年年齢が上がっていくわけですから、そういう方向は非常に結構だと思うのです。  公務員全体を一遍に定年年齢を上げるというのは非常に難しいと思いますし、総裁おっしゃいましたように、民間企業でも六十一歳以上の定年というのはなかなか現状少ないようなのですが、ただ、民間でも一般職員役員との定年年齢というのは全然違いますよね、役員には定年年齢がないようなものでありますから。私は、指定職に限っては、いわば民間企業でいえば役員と同じ位置づけでありますから、事務次官のみならず指定職は徐々に定年年齢を引き上げる、こういう方向で御検討されてはどうなのかと思うのですね。  特に、天下りで問題だったのは、いわばキャリア組の方の天下りというのが非常に世間では問題になっておりますので、そういうこともぜひ御検討をいただきたいと思います。  それから、公務員制度の改革で御質問を申し上げたいと思いますが、行政改革会議、まだ最終報告が出ておりませんけれども、この行革の会議の案を私どもも入手しております。  この行革会議の案あるいは公務員制度調査会の意見、この中で、公務員制度の改革について幾つか挙げられておりますが、特に公務員の人事の一括管理システム、これにつきまして、まず総務庁長官の見解を伺いたいと思います。
  29. 小里貞利

    小里国務大臣 今お話がございましたように、行政改革会議におきまして一括管理の話がまとめられておりますこと、御承知のとおりであります。まとめるというより、付言されておりますこと、御承知のとおりであります。これを受けまして、公務員制度調査会におきまして、いわゆるセクショナリズムの是正、あるいは政府全体としての弾力的な人材の登用方はいかにあるべきか、そういう見地から検討をいただいてもらいましたし、あるいはまた、今検討中でもございます。  特に、今申し上げました、十一月の十一日でございましたか、取りまとめられました同調査会の意見は、同システムについての、幹部職員等のいわば人材情報等の総合的管理、あるいはまた幹部職員昇任等に関する総合調整、さらには人事交流の推進、そしてまた省庁間の移籍制度の新設等について、一つの基本的な方向を出していただいた、提示をしていただいた、そういう状況でございます。  今後、同意見を踏まえながら、さらにこの問題は検討をいたさなければならぬ。しかもこれはもっと前向きで、積極的に行ってしかるべき話じゃないかな、そういう気持ちを持っているところでございます。
  30. 石井啓一

    石井(啓)委員 行政改革会議の中間報告の中では、「新たな人材の一括管理システム導入」といたしまして、「省庁再編の機会を捉え、基本的には人材の一括管理の方向に向けて踏み出すこととすべきである。」こういうふうにされておりまして、「事務系、技術系を問わず、課長など一定の職以上の職員について、政府全体として一括管理を行うべきである。」こういうふうに、非常に前向きといいますか、積極的な中間報告であったのです。  大変期待をしておったのですが、ところが今回、この公務員制度調査会の中身を見ますと、どうも、当初考えていた一括管理というのが、何かちょっと方向が違ってきているのじゃないか、こういう印象を受けるのですね。  といいますのは、この一括管理については、これは非常に幅広い議論だと。それで、任命権そのものを一カ所に集中するような一括管理を導入することには慎重だ、それはやめるべきだと。むしろ、何といいますか、従来の、人事権は各省庁の大臣に置きながら、各省庁を超えた立場からの調整的人材管理ですか、その調整的人材管理を強化するということで、今大臣が幾つかおっしゃられたような提言がなされた、こういうことなんですね。  私どもは、そもそもこの中間報告が出されたときには、総理大臣あるいは内閣でこの人事権をまとめて管理をしていく、少なくとも管理職以上はそういう形でやっていく、こういうふうに思っていた。ところが、この調査会の意見が出てみると、そうではなくて、いわば従来型の人材管理システムの延長といいますか、確かに、情報の一元化でデータバンクをつくるとか、あるいは省庁間の交流をもっと盛んにする、そういうことはうたわれておりますが、それはあえて言えば従来型の延長線上でありますから、私は、そういう意味では当初期待されていたのと大分後退しているのじゃないか、この中身で果たして本当に省庁の縦割りを、セクショナリズムを打破できるのかどうか、大変疑問に思っているのです。  長官、いかがですか。
  31. 小里貞利

    小里国務大臣 率直に申し上げまして、ただいまの議員のお話の趣旨は私も同感でございます。  殊に、御承知であろうかと思うのでございますが、行革会議におきましては、今具体的にお話がありましたように、いわば省を超えて、そして全体として、もっと言葉をきわめて申し上げますと、任免権をも含めてというような感覚で、相当具体的に前向きで中間報告をまとめられた、私はそういうふうに認識をいたしております。  その後、先ほど申し上げましたように、公務員制度調査会でひとつ客観的に、また専門家の皆さんもおいでになるのだから、これを議論してみてくださいと。その結果を待ったわけでございますが、殊に公務員採用などにつきましては、肯定的意見あるいは否定的意見、両論ありまして、なかなか、先ほどの集約をなさるには苦渋の経過があったな、そういう事実もございます。しかしながら、今お話しのように、私どもはそれをもって行革会議にもお伝えをいたしました。  けれども、以上をしてすべてが終わったとは思っていないのでございまして、今後ともひとつ、先ほど申し上げたように、この点は特に留意しながら、検討に値する、さように思っております。
  32. 石井啓一

    石井(啓)委員 これはぜひお願いしたいと思うのです。  といいますのは、現在の省庁ですら縦割りの打破というのは難しいわけですけれども、今、一府十二省庁にする、大くくりの省庁にいたしますと、それぞれの大くくりの省庁間の調整というのは今よりもっと大変になるということが容易にこれは想像されますよね。したがって、先ほど申し上げましたように、従来型の延長の人事管理では到底縦割りの打破というのは難しい。大くくりの省庁になるからこそ、より強い形の一括管理が必要だ、こういうふうに私は思いますので、ぜひそういう方向でさらに御検討いただきたいと思います。  それから引き続いて、今、総務庁長官もちょっとおっしゃいましたけれども、公務員の一括採用導入については、これは長官、いかがな見解でございますか。
  33. 小里貞利

    小里国務大臣 今も若干申し上げたところでございますが、賛否両論ありました。しかしながら、私どもは、引き続きこれは検討しなければならない。殊に、賛否両論ありましたことなどもございますが、新たな人材の一括管理システムに関する具体的な検討状況を踏まえながら、今後引き続き検討を行う必要がある。同意見を踏まえ、新たな人材の一括管理システムに関する具体的な検討も、先ほど申し上げましたように進めていかなきゃならぬ。  殊に、ただいま議員の方から御指摘がございましたように、一府十二省庁再編などがこれから前後して実践をされていかなければならないわけでございますから、それらを基礎的に想定いたしますと、なおその必然性と申し上げますか積極的根拠というものを認識しなきゃいかぬ、さように思っております。
  34. 石井啓一

    石井(啓)委員 この一括採用については、一括管理のまず前提といいますか、導入だとまさに思いますので、ぜひこの点についても積極的な導入を御検討いただきたいと思います。  それから、先ほど人事院総裁にもお尋ねをいたしましたが、この行革会議報告の中でも公務員の退職管理につきましてコメントがされているわけでありますが、「退職管理の適正化」としまして、「社会経済情勢を踏まえた定年年齢の見直しを行う。」さらに「定年まで公務部内で勤務できる条件・制度整備(年功序列型人事管理体系見直し、高齢職員専門性経験に着目した処遇体系の創設など)を図る。」こういうふうな非常に適切な指摘がされていると思います。  政府として、これは文書に書いてあるだけではだめなのでございまして、これをどういうふうに具体化していくのか、この点につきまして長官の見解を伺いたいと思います。
  35. 小里貞利

    小里国務大臣 まさにこの点こそ行政改革という視点からも考えなければならぬ、こう思いますし、さらにまた、お話がございますように高齢化という面からもこの対応は大変重要な意味を含んでおる、さように考えております。  殊に、公務をライフワークとできるような人事管理あり方というものは、私どもが最も注目をしなければならないところでございまして、今後、公務員制度調査会におきまして、国家公務員人事管理全般を見直していく中で十分議論を進めていかなければならぬ、さように思っております。
  36. 石井啓一

    石井(啓)委員 この点についてもよろしくお願いいたします。  あわせて、天下りに関しまして、行革会議報告案の中では、「再就職管理を各省庁単位でなく政府全体として統一的かつ公正・透明に行うための仕組み(人材バンク等)を導入する。」こういうふうにされております。私はこれも非常に大切な指摘だと思うのです。  といいますのは、もう御承知のとおりでありますけれども、再就職の世話まで各省庁が行っているということが、結果として省庁ごとのセクショナリズムを生む大きな原因になっている、こういう指摘もございますし、私はそのことも非常に大きな要素だと思います。  そういう意味で、再就職管理を政府全体として行うというのは、縦割り、セクショナリズムの是正のために非常に重要な政策ではないか、こういうふうに思っておりまして、この具体策についてもぜひ前向きに御検討いただきたいと思いますが、長官の見解を伺いたいと思います。
  37. 小里貞利

    小里国務大臣 全く同感でございますが、在任中、青雲の志を持って国家に貢献する、これはもう、一意専心、後顧の憂いなくやっていただける一つの環境をつくるということは大事であります。  同時にまた、退職後のこと等につきましては、それなりに、管理者と申し上げましょうかあるいは政府側におきまして、ただいまお話がありましたように人材バンク等々の話がございましたが、そのことにつきましても行政改革会議におきましてしばしば議論をなされてまいっております。今度御案内のとおり最終報告をまとめさせていただきますが、その中におきましても、ただいま御指摘のとおり、相当力を入れまして今後の方針を示唆している、求めている、こういうことが申し上げられると思います。
  38. 石井啓一

    石井(啓)委員 この点につきましてもどうぞよろしくお願いしたいと思います。  それでは、公務員制度に非常に密接に関連をいたします組織機構の整理、あるいは定員の削減の問題につきましてお伺いしたいと思います。  行革会議のこの案の中で、組織機構の整理簡素化といたしまして、本省の内部部局について、現在、総数は百二十八あるのですか、これをなるべく九十に近づける。あるいは本省の課について、これは報道で伝わっておりますけれども、今現在約千二百ある課を約一五%程度減らす、こういうことを伺っておりますけれども、どういう方針でこれを整理されていくのか。それと、九十にする、あるいは一五%削減をする、こういう削減目標はどういう根拠でつくられたのか。この点につきまして確認をしたいと思います。
  39. 小里貞利

    小里国務大臣 まず、御承知いただいておりまするように、基礎的なところを若干申し上げなければならぬと思うのでございますが、現段階におきます政府として果たすべき役割はいずこにあるか、ここからまず私は出発しなければならぬと思うのです。そしてその上で、簡素で、そして効率的で、そして国民本位の行政というものを組み立てていかなければならぬ。言いかえますと、小さな経費で大きなサービスを国民に提供する。要約いたしますと、そういう基本姿勢基本認識から始まりました話の延長線上のお話でございます。  そこで、今お話がございましたように、十一月の二十二日未明でございましたが、橋本総理大臣が記者会見で、ただいま先生がお話しのとおりのことを申し上げたわけでございます。その記者会見で総理が申し上げました中身につきましてはもうただいまお話がありました。例えば局数におきまして百二十八あります、これを九十に近い水準まで持っていきます、あるいはまた千二百ある課を一五%程度減らしますよ、こういういわば思想の、行政改革を通じての決意を述べられたわけでございます。  しからば、その算定根拠と申し上げますか、ただいまお話がございましたが、積極的に、現在の一府十二省、一行政委員会、八庁でございますか、この体制の中におきましても、当面、あすから我々はこういう縮減を図らなければならないというもう本当に緊迫した環境にあるわけでございますから、より積極的に可能なものを求めていこう、こういう視点が一つございます。  それからもう一つは、申し上げておりまするように、行革会議というものが最終的に取りまとめられますね、ぜひそうなければならぬわけでございますが、したがいまして、これが決定をいたしますと、政府としてそれを受け取り、そして行政改革についての基礎的な方針あるいは大綱が間髪入れず決められるはずでございますから、それに基づく具体的作業が始まっていく。  その辺の一つの進展も見ながら、そしてまた見据えながら、私どもは、総理が記者会見で申し上げました一つの努力目標と申し上げますか、こういうものをきちんとおさめたいというものの最小限のところを総理は表現なさった、私はさように思う次第でございまして、さらにさらに関係方面とよく協議をしながら、積極的な姿勢で詰めていかれるべきものである、さように思っておる次第でございます。
  40. 石井啓一

    石井(啓)委員 続けてお尋ねしますが、公務員の定員削減、この方針、それから、これもやはり総理の記者会見では、二〇〇一年に今の総定員法を改定をして、十年ベースで一〇%の削減をされる、こういうふうに伝わっておりますけれども、この削減目標の根拠も続けてお尋ねをしたいと思います。
  41. 小里貞利

    小里国務大臣 お答え申し上げます。  私が申し上げました千人削減というのは実は当面の話でございまして、人勧が出まして、先ほども官房長官答弁ございましたように、これは代償措置ですよ、しかも代償措置の根幹ですよ、これをできるだけひとつ実行しなければいかぬ、そういうような内閣におきまする閣僚関係者間の会議の中で、平成十年度は一体どうなるのですかという話が出てきましたから、私が、必ずしも人勧とその縮減の問題と論理的に直結するものではないけれども、しかし求められるなれば申し上げましょうというような感覚で申し上げた次第です。千人前後は何とかしなければならぬなと。  それは私一存の単純なる思いつきではもちろんのことございませんでして、それ相当の機関に相当の積極的な協議をしていただきまして、その結果を申し上げた次第でございます。しかも、千人と申し上げましたのは、御承知のとおり、非現業の五十二、三万人を分母に置いた話であったわけでございます。  それから、総理が申されました、公務員を一割減と発表いたしましたのは、これは十年単位の話を申された、そういうふうに御認識をいただきたいと思います。
  42. 石井啓一

    石井(啓)委員 今、組織機構あるいは公務員の削減目標の根拠を聞きましたけれども、どちらかといえば精神的な規制といいますか、正直言いまして根拠は余りよくわかりませんでした。(小里国務大臣「申し上げていいですよ。ちょっと時間の関係があるもので」と呼ぶ一いいですか、ではお願いします。
  43. 小里貞利

    小里国務大臣 私は、先生から端的にお尋ねがあったものですから、それに直結してお答えしたわけでございますが、やはり、総理が申し上げましたことも、行政改革会議の論議の中におきまして、その取りまとめに際し、まず国みずからスリム化、効率化を率先して実行するべきである、こういうことが基本でありまして、省庁再編の開始の年である二〇〇一年には新しい定員削減計画を策定します、そしてまた、十年間で少なくとも一〇%、できればそれを超える削減を実現したい、そういう悲願を込めて明らかにされた、こういうふうに御理解をいただきたいわけでございます。  なおまた、私の方が先ほど申し上げましたのは、平成十年度の定員審査に関しまして、現下の厳しい行財政事情も踏まえ、申し上げるなれば自分としての基本的な心構えを申し上げた、そういうことでございます。
  44. 石井啓一

    石井(啓)委員 私がお聞きしましたのは、部局を九十にするとか、課を一五%削減するとか、あるいは公務員を一〇%削減する、そういう数字がどこから出てきたのか、どこから算出をされたのか、そのことを聞いているのです。
  45. 小里貞利

    小里国務大臣 先ほども申し上げたつもりでございますが、例えば私が、平成十年に一千人いたしますよと。これは議員も御承知のとおり、平成九年度は三百名前後であったかと思うのでございますが、それを平成十年は一千名に持っていかなければなりません、また持っていきます、こう申し上げたのは、決して思いつきではないのでありまして、先ほども申し上げたとおり、関係機関で十分精査をさせまして、その結果を根拠として申し上げた。  純減と申し上げますか、抑制と、そして定員を抑えることとのプラス、マイナスの関係におきまして、純減を計算の結果、さようなことを申し上げました、こう説明をいたしておるところでございます。
  46. 石井啓一

    石井(啓)委員 いや、私が聞いていますのは、千人のものは長官がおっしゃるとおりだと思うのだけれども、そのほかのものがわからないということを言っているわけですよ、九十にするとか。千人はもういいです、長官がおっしゃった千人は結構なんですけれども、行革会議報告案の中の方の組織の整理の目標とか定員削減の目標の根拠がよくわからない、このことを申し上げているのです。
  47. 小里貞利

    小里国務大臣 実は、総理が記者会見で申しましたあのことに関連して、悲願という言葉を私が使ったから案外漫然としたかと思うのでございますが、総理自身がかような記者会見をなされる以前に、行革会議でも相当議論をされました。それから、その専門行政機関も、いわゆる総務庁でございますが、日ごろ人事管理行政管理をやっております総務庁におきましても、私がもう何回その推移の状況を集中的に議論しなさいと指示したかわからないぐらい、相当力を入れまして検討をしていただきました結果を総理に報告いたしました。そして、総理がかくのごとく把握をしていただきまして、記者会見に臨んだ。さようなものでございまして、言うなれば国民に対する公約でありますから、これを、信に背くようなことがまかりあってもならないわけでありますから、そういう基本認識で臨んだ、さようなことでございます。
  48. 石井啓一

    石井(啓)委員 こればかりやっていると時間がなくなってしまいますから。残念ですけれども、結果として、よくわからないということがよくわかりました。これについては、また別の機会に質問をいたしたいと思います。  一つだけちょっと申し上げておきたいと思いますのは、従来から私ども、中央省庁の行革の進め方について、実は進め方が後先じゃないかということを随分申し上げております。といいますのは、まず組織機構の再編を先にではなくて、霞が関の役所の仕事自体をいかに減らすべきなのか、その仕事減らしの内容の議論をまず先にすべきではないか、その上での大きな意味での再編ではないかということを随分申し上げてきたのです。  実は、この仕事減らしの議論を先にやれば、それに伴って組織機構がどれだけ減るかとか、あるいは人員がどれだけ減るかというのは、これはもうおのずから出てくるのですよ。そういう意味で、私たちはもっと、まず具体的な仕事をいかに減らしていくかという議論をきちんとやれば、より精緻でまた大胆な、組織機構の、あるいは定員の削減というのができるのではないか、こういう指摘をしておきたいと思います。ちょっと時間がなくなりましたので、またこれは別の機会に議論したいと思います。  独立行政法人の点につきましてお尋ねします。  これは行革会議の中でも目玉の一つだとは思うのですけれども、非常にわかりにくいのですね、この独立行政法人というのが。独立行政法人の制度概要、特に、これが行政の効率化、歳出の削減にどういうふうに寄与していくのか、このことにつきまして、長官、ちょっと説明していただけますか。
  49. 小里貞利

    小里国務大臣 かなり時間が必要かと思うのでございますが、時間もおありのようでございますから整理して申し上げます。  一つは、国の行政機関とは別の法人格を持つ独立行政法人、これがまずございます。今、国が実施しております事務事業のうち、一定のものをそれに移していきますよということであります。したがって、独立行政法人なるものは、弾力的な組織、業務運営を可能といたしますし、効率性やサービスの質の向上、透明性の確保を図っていかれるものでありますということでございます。  具体的には、まず国民のニーズに的確にこたえられる、成果を追求できる一つの事業的体制を持とう、これが一つございます。したがいまして、会計も、これは企業会計の導入を行います。そして、財務運営の思い切った弾力化についてもできる。そして効率的な、効果的な業務運営を可能といたします。  あるいはまた、組織や定員配分等におきましても、機関あるいは事業体そのものが自主性を持って、自律性を持って柔軟に対応して結構でございますよと。  あるいは、もっとうがって申し上げますと、給与等におきましても、現場のやる気を引き出させるような一つの仕組みに持っていきます。  あるいはまた、法人の全般にわたる情報公開を徹底していただきます。これによりまして透明性が確保できます。  あるいはまた、定期的に事業全体の評価を行うことにより、組織、業務の自己増殖等を抑止できます。合理化を推進することができます。  こういうような仕組みを通じまして、国の行政機関である場合に比べまして、より弾力的で効果的な業務運営が可能となり、効率化が図られる、こういうことが申し上げられると思います。特に財務面におきましては、企業会計の導入、あるいは繰り越し、移流用、あるいは剰余金の留保等が可能になりますし、目標と評価の仕組みなどを通じまして資金の効率的な運営が求められる。  そのようなことがいわゆる独立行政法人の骨格であるということでございます。
  50. 石井啓一

    石井(啓)委員 私が特に確認をしたいのは、独立行政法人の中でも、職員の身分が公務員型と非公務員型とありますよね。なぜこういうふうに同じ独立行政法人で公務員型と非公務員型があるのか、この点が非常に疑問なんです。  ちょっと時間がなくなりましたから聞きますけれども、特に、国の行政機関とは別の法人格を与えておきながら、それを国家公務員にする、これがよくわからないのです、非常に理解しにくいのですが、この点については。
  51. 小里貞利

    小里国務大臣 質問の順序を変えまして、まず後ろの方からお答え申し上げます。  三郵政事業に対しまして、この組織形態を変えなければいけませんよという声は御案内のとおりでございます。殊に、預託金制度等については、義務的に預託せしめられていたものを全廃しなければいかぬと。これは、特殊法人の企業状況等々を考えて、大きな見地から強い指摘があったことも御承知のとおりであります。  あるいはまた、若干話が混乱いたしますが、中間報告におきましては、郵便事業は国営でいいだろう、しかしながら簡保あるいは貯金の関係は民営であるべしというような、過程におきますいきさつ等もございまして、その後、申し上げてまいりましたように、政党関係を初め、あるいは国内外のお話を十分お聞きをしてまいりました。そのような議論を十分踏まえながら、いかにして今次の本質的な事業体の合理化というものを求めるかということも大きな基本にいたしました。  したがいまして、今、最後の方でお話がありました、公務員あるいは公務員の一つの類型を幾つかに分別をしたごとくあるがというお話でございますが、自由濶達な一つの事業形態というものを先ほど申し上げたような形にするために、現在ある国家行政組織法あるいは総定員法の対象外に置く新しい型の公務員を、概念として幅を広げて、公務員の概念を幅を広げてもう一つ創設することがそれを乗り越えていける一つの手段である、こういう判断をいたしたのが行政改革会議のいわば結論であります。したがいまして、新しい公務員の概念に基づく、いわば新型公務員的なものを創設をいたした。  また、率直に申し上げまして、関係事業体、三郵政事業体関係の皆様方の声も、それが非常に強かったと私どもは判断をいたしております。もっと言葉をかえて申し上げますと、三十数万人に及ぶ大部隊の組織上のあるいは身分上の大移行でございますから、そのような判断をいたしたということも御理解いただきたいと思います。
  52. 谷津義男

    谷津委員長 時間が来ております。
  53. 石井啓一

    石井(啓)委員 時間が来ましたので、最後にちょっと申し上げて終わりにしますけれども。  長官、私、郵政三事業のことは全然聞いていないのですよ。(小里国務大臣「関連することですから」と呼ぶ)関連していますけれども、独立行政法人のことをお聞きしたのであって、郵政三事業は独立行政法人じゃないのでしょう。独立行政法人のことをお答えいただきたかったのと、実はきょう、私、もっとたくさん質問を用意しておったのですけれども、長官が非常に御丁寧に御答弁いただきましたので質問を随分余らせました。改めて、きょうもまだまだお聞きしたいところもありますので、機会を改めてまた御質問したいと思います。  以上で私の質問を終了いたします。
  54. 谷津義男

    谷津委員長 御苦労さまでした。  中沢健次君。
  55. 中沢健次

    ○中沢委員 おはようございます。民主党の中沢でございます。  まず冒頭、総務庁の長官に、私は北海道の出身でありますから、今度の行革会議、なかんずく北海道の開発庁の問題について、率直にお礼を申し上げたいと思うのです。  ついこの間の内閣委員会でもこの問題を取り上げまして、その時点で小里長官からも決意のほどを含めてお答えをいただきました。その後の推移はもう御案内のとおりでございまして、結果的には国土交通省の中に現在の北海道開発庁の機能が集約をされる、しかし、実態的には、予算の一括計上、そして北海道の特例補助は存続が約束をされる、このように聞いておりまして、大変な御努力をいただいたこと、まず質問の冒頭に当たりまして心からお礼を申し上げておきたいと思うのであります。  さて、別な日程で大臣に対する一般質疑がある、このように聞いておりますから、きょうは、提案されました給与法内容につきまして幾つか具体的に、それぞれ関係大臣あるいは人事院総裁にお尋ねをしたいと思うのであります。  まず最初に、今月の十四日に人事院勧告閣議決定がされました。内容は改めて申し上げません。私流にやや客観的に考えましても、結果的には、残念ながら、十一年間続きました人事院勧告完全実施部分的であってもそれが不完全実施になった。内容としては、指定職に限定をして対象者がおよそ五千人、財源的な一種の効果からいいますと十億、こういう内容でありますが、確かに部分的でありましても、十一年間定着をした、安定性を守った人事院勧告が、結果的に不完全実施になった。私は、非常にそのことは遺憾であるし問題だ、まずそのことを明確に申し上げておきたいと思うのであります。  しかし、この間も、関係閣僚会議、きょうは官房長官にも出席をいただいておりますが、関係閣僚会議座長として大変御努力をいただいた。あるいは総務長官が、大蔵大臣から大変厳しい人勧全体に対する切り込みの提案があったけれどもそれをしっかり防いで、結果的には指定職に限定をされるこういう内容になった。そういう努力については一面では評価をしたいと思うのです。  しかしいずれにしても、冒頭申し上げましたように、残念ながら不完全実施になった。指定職といえども一般職特別職が若干おりますが二百人程度でありまして、ほとんどが一般職指定職でありますから、そういう点でいうと、先ほど来議論がありますように、人事院勧告制度の本来の目的からいって極めて問題のある閣議決定であったのではないか。  したがって、まず最初に、閣僚会議座長役を務められました官房長官からその見解をお聞きしたい。そして、給与担当大臣小里総務長官から、給与担当大臣としての見解を改めてお尋ねをしたいと思います。
  56. 村岡兼造

    村岡国務大臣 先ほど石井委員にもお答えしたところでございますが、憲法上の労働基本権制約代償措置の根幹をなす人事院勧告制度を尊重するという政府基本姿勢は不変でございます。  しかし、今回決定いたしました国家公務員給与改定についての政府取り扱い方針においては、このような基本姿勢もとで、良好な労使関係維持等にも配慮しつつ、危機的な状況にある財政事情もと財政構造改革の推進についての閣議決定趣旨等を踏まえ、国民的課題である行財政改革が推進されている中における国民世論動向をも勘案し、指定職以外の職員勧告どおり実施指定職については改定を一年延伸するということで、そのために給与関係閣僚会議を四回開きました。  大蔵大臣からは、財政その他の非常な御意見がございました。また、総務庁長官はおりますけれども、完全実施をしろと。こういういろいろなことで、異例の、従来は二回ぐらいで決まりましたけれども、四回の関係閣僚会議を開きまして、いろいろな現下状況、あるいは、完全実施しなければ今の不況について景気もよくないぞ、しかし一切の聖域なしで見直しだよ、姿勢も問われるよ、こんな議論もあったあげく、特別職の私ども、あるいは指定職の方、十億円でございますけれども、これは閣僚会議の結果延伸する、こういうことに決まった次第でございまして、御了解をいただきたいと思っております。
  57. 小里貞利

    小里国務大臣 官房長官の方から御答弁あったとおりでございますが、申し上げるまでもなく、労働権制約の代償措置でありますよ、しかもそれは根幹ですと、人勧に対する私の認識は、一貫してあらゆる場所におきましても述べてまいりました。しかも、良好な労使関係あるいは職員の士気関係等も配慮いたさなければならない私の機関としての立場もございましたので、さような見解で臨んでまいったわけでございますが、ただいまお話がございましたように、国の危機的財政状況、あるいは財政構造改革を推進しなければならぬという、目下の国政上大きな課題を横にらみしながら検討しなければならないところに一つの起伏もあったわけでございます。  結果として、長官としての見解をということでございますから申し上げますが、この集約は、やむを得ない、苦渋の一つの集約であったな、そういう感じを持っております。
  58. 中沢健次

    ○中沢委員 言うまでもありませんが、財政構造改革は来年度からスタートをする、ようやくその法案が明日参議院の本会議で成立をするという日程にもなっているわけでありますから、釈迦に説法だと思いますけれども、それに先駆けて本年度の人事院勧告を、部分的であっても不完全実施をした。  総務長官は苦渋の選択という表現をされました。それはそれでしっかり受けとめたいと思うのでありますが、特に官房長官、やはりそういう意味では、遺憾の意といいましょうか、大変多くの皆さんに犠牲というか影響を与えた、こういう官房長官としての関係者に対する思いというのは、談話の中では全然触れられていない。  私は、これはもう少し、政治家として、官房長官として配慮すべき内容ではないか。あえてそのことを指摘して、何かあればお答えをいただきたいと思います。
  59. 村岡兼造

    村岡国務大臣 議論の中でいろいろ、与党の中でも、この財政の問題は来年からではないか、こういう話もございました。また、財政当局の方からは、来年といえどもことし上げればこれは皆オンしていくんだ、いろいろ聖域なしで見直す、こういう話もございました。こんな状況で、先ほども申し上げましたが、三回ぐらいで結論が出ないのかなと私は思いましたが、異例の四回やりました。  私の談話にそういうことがないと。実は、私、この座長というのは決定権のない座長なのでございます。中沢先生からおしかりを受けるわけでございますが、そういう決まったということも出しましたけれども、どうぞ、その気持ちも十分ありますし、私いろいろな関係閣僚会議座長をいたしておりますが、決定権がない座長ばかりでございまして、何か調整役と申しますか、そんなところでございまして、それは甚だ申しわけないと思っております。  しかし私は、現下情勢、大方の方々に聞いてみますと、先生みたいな御意見もあります、ちょうどこのあたりでよかったかなという御意見も聞いておりますが、いずれにしても、先生の御意見を踏まえながら、労働基本権というものを重視しながらやってまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  60. 中沢健次

    ○中沢委員 そこで、人事院の総裁にお尋ねをしたいと思います。  総裁は、総裁に就任以来、結果的には勧告をされた内容閣議でも国会でも完全実施という、そういう経験しかお持ちでないと思うのですね。今回は、先ほど言いましたように、部分的であっても不完全実施になった。やはり、人事院という、そういう性格、目的。しかも、そこの最高責任者の人事院の総裁としては、今回の不完全実施に対してどういう見解をお持ちか。  あるいはこれから先、いずれにしても来年また八月に人事院勧告ということになると思いますけれども、それについての総裁としての基本的な決意、あるいは政府や国会に対する積極的な御提言があれば、ぜひこの際お聞かせをいただきたいと思います。
  61. 中島忠能

    中島政府委員 勧告を申し上げました。その勧告の一部が完全実施されないということで、遺憾の意を表明しない総裁はいないと思います。  ただいまの官房長官とかあるいは総務庁長官あるいは先生の議論を聞いておりまして少し気にかかりますのは、財政再建は来年からじゃないかとか、あるいは財政が苦しいからというような話がございましたが、そうすると、来年からは完全実施しなくていいのかいという話にもなってこようかと思います。  したがいまして、そういう議論ではなくして、もう少し、公務員給与というのは国民の税金によって賄われておる、国民の世論がいかなところにあるのかというような観点も含めて御議論いただければというふうに思います。
  62. 中沢健次

    ○中沢委員 今、思わぬ反撃といいましょうかね、私はそういう意味で今までお二人の大臣と議論をしたつもりでは全くないのです。  ただ、いずれにしても部分的に不完全実施をした、まずそれに対して、そのことについて批判を申し上げて、しかし、最低でも、財政構造改革というのはことしからやるわけじゃなくて来年からじゃないか、もっと言えば、なぜ完全実施をしなかったのだ、こういうことを申し上げたいばかりに言ったわけでありますから。総裁がおっしゃるようなことは、私はもうずっとそういう世界で生きていますから、おっしゃるまでもなく全く同意見であります。  さて、次の質問に移りますが、実は勧告が出てから、閣議決定が十一月の十四日まで約三カ月もずれ込んでいるわけですよ。例えば過去二年間は、勧告が出た翌月の九月に閣議決定をされる。国会日程がありますから、国会の給与法の成立はそれぞればらつきがありますが。  ここで特に総務長官にお尋ねをしたいのは、なぜことし、過去二回は九月決定、あるいはもっとさかのぼって言えば、十一月決定というのは六年前に逆戻りをするわけですよ。つまりは、自民党の単独政権、それから連立政権の時代を含めて今日まで、勧告が出たら早く閣議決定をする。それは、基本的に人事院制度の根幹にも触れる。  つまり、民間準拠ということは、民間は春闘ですべて確定をして、新しい賃金は五月ぐらいにもうほとんどが支給をされてくる。公務員に限ってこういう制度があって、結果的には、遅くなれば年末にならざるを得ない。ですから、せめて閣議の意思として、政府の意思として、早く、ことしは完全実施をするんですよ、御安心くださいと。そういう意味で、いろいろな議論の積み重ねがあって、そして早期閣議決定ということがほぼ定着をしてきた。私は、そのように認識をしているし、評価をしたいと思うのですよ。  しかし、ことしに限って言うと、結果的に十一月十四日になってしまった。やや私の偏見かもしれませんが、今度は財政構造改革法案が臨時国会に出された、それをめぐって非常にいろいろな意味での複雑な絡みがあって、政治的に引き延ばしをしたのではないか。これが私の思い込みであれば、それはひとつ真意を聞かせていただきたいと思いますが、せっかく今まで、勧告が出たら九月、十月に閣議決定をしてきた、そういうよい慣行は、いろいろな事情があってもそういうところをきちっと積み上げていくことが非常に大事ではないか、私はそのように考えるわけであります。  そういう点について、なぜ十一月十四日までかかったのか、その具体的な理由について、総務長官の方からお答えをいただきたいと思います。
  63. 小里貞利

    小里国務大臣 お話がございましたように、十一月にかかった年というのは近年ございません。過去、近年五カ年を見ましても、おっしゃるとおり十月いっぱいでその実施方が決定されておる、さようなことでございます。  ことしの場合、先生もお話しのとおり、財政構造改革推進という大きな国の課題があったことは紛れもない事実でございます。しかしながら、私ども政府の立場といたしましては、だからといってそのことを直接的な原因なり事情にして人勧問題を議論をしてはならないということは、これはもう十分認識をいたしておるわけでございます。ただ、結果として十一月にかかってしまったということは、お話のとおりでございます。  先ほど官房長官の方からもお話しいただきましたように、重ねて私も申し上げたわけでございますが、構造改革におきまして、総人件費を極力抑えるよという方針は、先生も御承知のとおりございましたので、さようなことなども、決して、先ほどお答えいたしましたように、直接的に結ばって議論するべき話ではございませんけれども、一般的に、財政は厳しいな、したがって、国民あるいは使用者それぞれの賛成を得られる形を集約しなければならぬ、そういう一つの目標のもとに議論をさまざまいたしたということでかようなことになってしまった、こういうふうに御理解をいただきとう存ずる次第でございます。
  64. 村岡兼造

    村岡国務大臣 今、総務庁長官お答えいたしましたけれども、確かに中沢先生のおっしゃるとおり、六年前、十一月の十九日とかがございました。その前、実は指定職六カ月おくれというのは、この給与関係閣僚会議を八回も開いているわけですね。あるいは五回開いた例もございます。  そういうようなところを十分私ども承知いたしておりまして、三回目ぐらいで、十一月の初めにやっておるわけでございますが、できないかなと。それで決まらずに、私、記者会見やっておりますけれども、この十二月には地方の問題もある、したがいまして、いろいろ決定してから法案の作成あるいは国会での審議、こういうものも大体一カ月はかかるな、どうしても十一月の中ぐらいには決めなきゃいけない。こういうことで、政治的では全くございません、誤解のないようにお願いをいたしたい、こう思っておるところでございます。
  65. 中沢健次

    ○中沢委員 この問題を余りやりましても、平行線のところもないわけではないと思いますから、今のお答えは一応しっかり受けとめておきたいと思うのです。  さて、質問をまた別な角度から申し上げたいと思いますが、先ほども若干人事院総裁からもお答えがあったことに関係をすると思いますが、特に総務長官給与担当大臣で、今回もそういう基本的な姿勢は堅持をして、苦渋の選択であったと。さて問題は、例えば来年どうするのか。来年のことは来年やれ、こういう議論もあるのかもしれませんが、しかし、せっかくでありますからこの時点で明確にお尋ねをして、しかも明確にひとつ歯切れのよい総務長官お答えをいただきたいのです。  内容は、人事院勧告というのは、もう故事来歴は一切言いません。政府としては、あるいは内閣としては、完全実施を行う義務がある。法律上そのようにはなっていませんが、今まで十一年間ずっとそのことが続いたということは、実態的にそういうことを物語っている。日本特有のこういう人事院という制度がある。それがもう十二年ぶりに、今申し上げましたように部分的に不完全実施になった。  一方では、来年度から本格的な財政構造改革が始まる。財政当局の大蔵省というのは、立場からいえば、同じ内閣であっても同じ大臣であっても、財政当局ですからそれなりのことは言うと思うのですよ。  例えば来年の人事院勧告が出て、その扱いをどうするか。そのときそれぞれの皆さんが現職で在任されるかどうかは別にいたしまして、私としては、人事院勧告ということは基本的に、内閣として、法的な裏づけはないけれども、実態的にそれを完全実施する義務がある、責任がある。  一方において、財政構造改革で、確かに人件費の抑制ということは、我が党は法案に反対していますけれども、しかし結果的にはそういう内容になっている。しかし、あの中身においても、人事院勧告は尊重するという文言も明確にあるわけですね。そうしますと、人件費の抑制ということと、人事院勧告をどうやって取り扱うかということは、完全に別な問題だ、別次元の問題だ。それを一緒にしてしまって、大蔵省が言うように財政的な効率論だけでこの問題を律するということは、私は、絶対あってはならない。  したがって、そういう観点で、ことしも基本的にはそういう立場だということを小里長官はおっしゃいましたけれども、来年に向かって、現在の総務長官としてのしっかりした決意、ぜひ改めて確認の意味で聞いておきたいと思います。
  66. 小里貞利

    小里国務大臣 くどいようでございますが、労働権制約の代償措置であります、それは根幹です、これが一つございます。  来年度の人事院勧告についての取り扱いのお尋ねでございますが、当責といたしましてはなかなかいわく言いがたいところでもあるわけでございますが、厳しい財政構造改革の集中改革期間中にいよいよ入っておるという背景はあります。それからまた、総人件費極力抑制の要請を含め、国政全般の一つの課題もあるわけでございますけれども、私は、いずれにしても、いわゆる総務庁としての立場からいいますと、今後とも人事院勧告完全実施に向けまして最大限の努力を尽くす責務がある、こう思っております。
  67. 中沢健次

    ○中沢委員 今の小里長官お答えを私としては受けとめて、きょうはこれ以上深追いをすることは避けたいと思います。  さて、そのことに関連をして、実は新年度予算案、十二月の末に向けていよいよ編成作業が大詰めを迎えると思います。給与改善費につきまして簡単に、関係をいたしますから、お尋ねをしたいと思います。  例年の場合は、予算編成の大詰めで大蔵省が各省庁といろいろ相談をしながらも、大蔵省の判断で、本年度は一%の給与改善費を当初予算に計上するとか、あるいは一・五にするとか、場合によっては、当初予算には組みまぜん、こういうことをやってきたわけですね。完全実施をされた十一年間について、大蔵省からあるいは総務庁から資料をもらいましたが、昭和六十一年から平成二年までは、当初予算には計上していないけれども完全実施をした。  ですから、余り取り越し苦労というか心配しなくてもいいのだということになるのかもしれませんが、いよいよ大蔵省と予算折衝、大詰めを迎えてくると思います。したがって、総務長官に、この際ですから、やはり来年の人事院勧告完全実施という基本姿勢のある意味での裏打ちとして、関係者がやはりそのことを非常に期待をしていると思いますが、給与改善費、当初予算一%組め、組んでほしい、こういう積極的な立場で、大蔵大臣と、あるいは大蔵当局と、予算折衝を責任を持ってやる立場にあるのではないか、私はやっていただきたい。いかがでしょう。
  68. 小里貞利

    小里国務大臣 お話は二つあると思うのでございます。  果たして平成十年の予算に計上するのかどうかというお話でございますが、これは、いわばその時々の財政事情なりあるいは財政方針等を踏まえまして、総合的に勘案して適切に判断されるべきものとも思いますけれども、私の立場から申し上げますと、今御指摘がありましたその気持ちも十分留意しながら対応しなければならぬな、そう思っております。  しかしながら、総務庁といたしましては、人事院勧告取り扱いというものは、先ほどもお答え申し上げましたように、当初予算の有無やあるいはその額の多少によって左右されるようなものであってはならぬ、あくまで、今後とも人事院勧告完全実施するという基本的な考え方に立って、これはこれとして尊厳にしてこれが実効を期していかなければならぬ、私はさように思っております。
  69. 中沢健次

    ○中沢委員 持ち時間も大分なくなってまいりましたから、最後の質問に入りたいと思います。  それは、国家公務員の定数問題でありますが、総務庁長官は、大蔵大臣とかなり激しい応酬をされた。そして、閣議決定の前に、総務長官の談話として、やはり平成十年度に向かって予定をされている公務員の縮減をもう少し規模を拡大する、具体的には、九年度の実績よりも一千名ふやしたい。非現業の職員についても、改めて一千人を目標にして削減をしたい。これは、いわゆる行革会議の二〇〇一年からの本格的な行政改革には直接は関係がない、先ほどもそういう御答弁をされておりました。  それに関連をしてお尋ねをしたいわけでありますが、もう言うまでもありませんが、総定員法が昭和四十四年五月に定まって、五年計画でやや中期的な計画があって、そして単年度は、それぞれ総務庁が具体的な各省の増員の要求、あるいは減員を含めて、いろいろ査定といいましょうか、そういう査定をされている、こういう仕組み。それが結果的に、例えば平成九年度、目標としては二千二百十九人の純減を図る、こういう内容になっていると思うのですね。  しかし、この中身を見ますと、この五年ぐらいの間で非現業と現業がどういうような推移をしていたかということを資料としていただきました。詳しくは申し上げませんが、平成九年度は、非現業は二百八十九人減らす、現業が千九百三十で、トータル二千二百十九。  私は、まず第一にお尋ねをしたいのは、非現業千名を目標にするということは、九年度の目標からいいますと約三倍強なんですよ。これは非常に大変じゃないか。行政改革が本格的にスタートをするということは一応念頭に置きながらも、そこは非常に大変ではないか。トータルで、そういう内容も含めて一千名減らすということも、これは大変ではないか。  確かに、総務長官としては、行革担当大臣であって、国の行政の改革、前回も申し上げましたように、本来は国の事務事業量の見直しから始まるべきところ、順序は逆でありますが、そのことは別にいたしまして、行革担当大臣としての思い込みといいましょうか積極性は私はわかりますけれども、しかし、数字を談話として出すことのいろいろな意味での悪影響も逆にある。  ついでに申し上げますが、もともと、この定数問題でいうと、関係の労働団体との間では交渉事項でない。労働組合としていろいろな希望があればそれは受けますけれども、団体交渉事項ではない。それは、似たようなことが地方自治体でも管理運営事項だからということで正式には団体交渉にはなっていませんが、しかし、結果的に、定数がふえるか減るか、これは重大な労働条件の変更につながる。したがって、ところによっては交渉事項に実態としてはなっているところが結構あるわけですよ。  ですから私は、その数字の問題が一つあるのと、現状においては定数問題は中央の段階では交渉事項ではないというけれども、これは本来はおかしいのではないか。  長官は労働大臣もされておりますから、民間経験や、あるいはかつての三公社五現業の経験に照らしましても、そういう意味でいうと抜本的に、今、公務員制度調査会をやっている最中でありますから、こういう課題についてもぜひ議論をしてくれという投げかけぐらいは私は長官の積極姿勢として期待をしたいのでありますけれども、数字の問題と、そういう基本的な問題について、お答えをいただきたいと思います。
  70. 小里貞利

    小里国務大臣 一般論として、あるいは政治的感覚と申し上げていいのじゃないでしょうか、先生から今さまざま、五項目、六項目ぐらいお話がございましたが、私も決して否定するものではございません。  ただ、先生もお触れいただきましたように、今次の人勧に対する私どもの作業の過程で、お話しいただいておりまするように、いわば財政当局と私どもとはかなり厳しい起伏がございました。その過程におきまして、先生の方からお話があったように、いわゆる人勧問題と定数問題を、これは同じ一つの基準で、同じ次元でと申し上げましょうか、議論することは、私は納得できません。このことだけはきちんと仕分けて、実は各般の交渉に臨んだつもりです。  平たく申し上げますと、定員を削減すれば完全実施するよとか、あるいは人勧を完全実施しないなら定員を削減しなくていいよというようなものではないよ、これはきちんと、論議の次元が違うよということだけは、しばしば私は主張をいたしたつもりであります。  ただしながら、先ほどお話がございましたように、今せっかく、省庁再編等に伴うスリム化を進めよう、そういう段取りもいたしておるところでございまして、その辺のことも私の胸をよぎったことだけはもう率直に申し上げなければならぬと思いますけれども、それにしても、人勧というものは、先ほど申し上げるように、完全実施されることが一番妥当なんだ、そういう信念で対応いたしたつもりです。  それから、もう一つお尋ねの数値の問題でございますが、私もここに数値を持っておりますが、過去の平成四年度以降を見ますときに、大変峻厳なるものであります。なるほど、昨年ごときにおきましても、現年度、平成九年度におきましても二百八十九という数値でありますから、私もこれを基本に置いて平成十年も議論したつもりであります。  正直申し上げまして、財政当局から、一体本当に非現業でどこまで詰められるのか、少なくともその辺を聞かせてくれないかという再三の話があったことも事実であります。しかも、その同時点におきまして財政当局が私どもに示しました人勧にこたえる一つの分子なるものは、大変なものを持ち込んでおりましたことも御承知のとおりでありまして、もう私はあの返事を聞きましたときに飛び上がったと申し上げたぐらいであります。  もっとひとつ厳粛に、かつまた私なりに具体的に財政当局に聞かせるものがなければならぬな、そういうものも感じましたので、あえて一千という数値を、いろいろ深夜にわたりまして、二晩でございましたか、関係職員の皆さんも動員しまして、連夜午前二時、三時ごろまで議論を詰めた結果を申し上げたわけでございまして、ひとつそういういきさつがありましたことも御理解いただきたいし、また、当責といたしましてかく申し上げましたる以上は、これに対して信に背くことがないように関係方面とよく相談をして進めていかなければならぬ、さように心がけておる次第でございます。
  71. 谷津義男

    谷津委員長 時間が来ておりますので。
  72. 中沢健次

    ○中沢委員 わかりました。  それでは、答弁漏れがありますが、これはまた次回いろいろお尋ねをすることにして、時間が参りました。ありがとうございます。
  73. 谷津義男

    谷津委員長 御苦労さまでした。  小林興起君。
  74. 小林興起

    ○小林(興)委員 それでは、お時間をいただきましてありがとうございます。余りこの分野に詳しくございませんので、基本的なことから御質問をさせていただくことをお許しいただきたいと思います。  本年度の人事院勧告取り扱いにつきましては、八月四日に勧告が出された後、八月五日、十月三日、十月二十九日、そして十一月十四日と、計四回にもわたって給与関係閣僚会議が開催されたと聞いているわけであります。そして、十一月十四日に閣議決定が出された。内容といたしましてはそんなにびっくりするような案が出たわけではないわけでありますが、四回にもわたって、通常はお聞きいたしますと二回か三回で終わっているということでございますが、四回も開かれたということで、長官の方から、もう少し、給与関係閣僚会議での問題点を披瀝していただければありがたいのですが。
  75. 小里貞利

    小里国務大臣 人勧に対する政府基本方針は、先ほども若干申し上げたところでございますが、あくまで労働条件の制約に対する代償措置である、そしてこれは重要な政府の果たさなければならない責任の一つだ、そういう観点から対応をいたしましたことが一つございます。  同時にまた、我が国の財政も御案内のとおりでございまして、殊に財政構造改革を推進いたしますよという大きな題目の中におきまして、総人件費を極力抑制しようという政府の方針もこれありまして、総合的なそのような関係者の、言いかえますと給与関係閣僚会議を、今先生の方からお話がございましたように四回にわたって持たれまして、活発なる議論をいたしたところでございます。  そのような結果、厳しい事情下であるけれども、あとう限り人勧を尊重しなければならぬという目標のもとに努力をいたしまして、そして、国民あるいは公務員双方の理解をより多く得られる一つの接点として、指定職あるいは指定職相当職の皆様方にこの際我慢いただこう、さような決定をいたしたわけでございます。
  76. 小林興起

    ○小林(興)委員 今の長官お答えですと、財政の問題が背景にあったというお話でございますが、指定職について完全実施をすることができなかった、一年間ずらした。しかし、お聞きしたいのですが、指定職の人数といっても大して多いわけでもありませんので、これを節約したぐらいで財政に対するどれほどの実際的な効果があるのか疑問でございますが、その点についてはどうなんでしょうか。
  77. 小里貞利

    小里国務大臣 概数でございますが、指定職及び指定職相当職、これを含めまして五千二、三百だろうと思っております。その中に指定職の一千三百前後が含まれる、さように記憶をいたしております。したがいまして、その一年間の延伸による相当額が大体十億前後、さような状況でございます。
  78. 小林興起

    ○小林(興)委員 十億を節約すると、全体的な流れの中でどのくらい財政に貢献するのか、私は余り納得できないわけでありますが、しかし、問題はむしろ姿勢だというようなことでありますと、やはり国家というのは最高幹部が責任をとるということが正しいと私は思うわけであります。給料で、給料といいますか、俸給で生活をしております普通の公務員の方々は、別に地位がトップの方にあっても、今までの積み重ねもあるわけでありますから、そこをカットするということは、やはり情において忍びないものもあろうかと私は思うのですね。  カットしても一番問題がないのはもう一つの特別職という形で、指定職に準じて特別職を見る、こういうふうに内閣決定でもありますが、例えば総理大臣とか大臣とかそういう政治家で、大体、政治家が、国会議員が大臣をやっていることが多いわけでありまして、民間から登用された方は別でありますが、今はいないわけでありまして、そういう国会議員の給料をカットするということが一番望ましいのではないかと私は思うのです。  純粋な国会議員についてはまたどういうところで給料が決まるのかわかりません、これも教えていただきたいのですが、やはりそういう大臣クラスだけでよかったのではないですか。
  79. 小里貞利

    小里国務大臣 先ほどはどうも失礼申し上げました。私は数値だけ申し上げまして、大事な基本姿勢のところは申し上げなかったのでございますが、議員の方から重ねてお話ございましたような視点でございますので、御理解いただきたいと思います。  それから、ただいまのお尋ねの総理大臣等々云々の特別職の話でございますが、これも同じく一年延伸でございます。
  80. 小林興起

    ○小林(興)委員 そうすると、我々国会議員の方も当然そうなるのでしょうか。
  81. 小里貞利

    小里国務大臣 私の認識では、国会議員は、国会におきまして自主的にと申し上げましょうか、協議をなされるべき筋合いのものではなかろうか、さよう思います。
  82. 中川良一

    ○中川政府委員 ちょっと補足をさせていただきます。  国会議員の歳費につきましては、国会議員の歳費に関する法律の方で規定がございまして、基本的に両院議長は内閣総理大臣と同じ額、それから副議長につきましては国務大臣と同じ額、国会議 員につきましては政務次官と同じ額という定めがございますので、今回、特別職給与法改正いたしましてこれがこのまま通りますと、基本的には総理大臣等と同じ扱いになるわけでございます。  なお、過去におきましては、国会議員の歳費につきましては政府の提案いたします特別職とはさらに異なる形で抑制措置を講じようというような話が出たときもございました。そのときは、議院における修正におきまして、例えば政務次官等につきましても同様の扱いにするというような修正がなされたこともございまして、まず国会議員の方をどうされるかという御判断があってから、こちらの方をどうするかというお話になるのではないかということでございます。
  83. 小林興起

    ○小林(興)委員 行政府と立法府が違うということで、国会議員の給料についてはここでは議論しないということかもしれませんけれども、やはりそういう政府としての強い方針を、国会議員の給料を決めるところにも影響させるべきだと私は思っているところでございます。  いずれにいたしましても、本当に何年ぶりかで人事院勧告完全実施されないということになったわけでございますが、これについて、人事院総裁としての所感を伺いたいと思います。
  84. 中島忠能

    中島政府委員 私たちは、民間給与改定状況というのを精密に調べまして、その資料に基づいて勧告をしているわけでございます。  勧告内容といたしましては、一般職員にも給与改定勧告しておりますし、指定職職員についても勧告しております。その勧告内容につきまして、一般職員の場合に重くて、指定職職員の場合には軽いということはございません。全く同じ重さで勧告を申し上げているわけでございますから、その一部が完全実施されないということになりますと、人事院としては遺憾に考えざるを得ないということでございます。  ただ、今回の給与改定閣議決定に至るまでの間の総務庁長官の大変な御苦労というのは、私も総務庁長官にたびたびお会いいたしましてよく存じておりますので、総務庁長官が大変苦労されたなということもよく認識いたしております。
  85. 小林興起

    ○小林(興)委員 指定職について、全省庁、全部の公務員について同じような扱いをされたわけでありますが、今日の日本の経済状況を見ますと、景気の、もちろん普通の分野もある、しかしひどく悪い金融等の部分があるというようなこともあるわけであります。国民の目から見まして、普通のところまで影響を及ぼさなくてもいいかもしらぬけれども、今日の金融・証券の余りにもばたばたといく姿を見て、そういう担当分野、言ってみれば大蔵省幹部の給料は減らすべきではないかという意見があるわけでありますが、そういうことはできるのでしょうか。
  86. 中川良一

    ○中川政府委員 国家公務員給与というのは、法律に基づき、それに従いまして支払われるということでございますので、特に特定の省の所属の職員についてだけ別の取り扱いをするというのはできないというふうに思っております。
  87. 小林興起

    ○小林(興)委員 きょうは、こういう人勧の問題、あるいは給与の問題ということが主たるテーマでございますが、今総務庁長官のお顔がここにあるわけでありますが、御承知のとおり、総務庁長官は、今般の行革会議でも大変御活躍を、もちろん仕事柄もございましょうが、してこられたわけであります。  公務員の問題につきまして、特に行政組織につきまして、もちろんスリム化、効率化は国民が求めるところでありますが、国民から見た目ということだけではなくて、中で働く公務員の生きがいということもあろうかと思うわけでありますが、もちろん給与もしっかりと確保して、職にふさわしい、あるいはそれ以上の仕事をしてもらうということも私は大変必要だと思うわけであります。  ここに来まして、指定職の方々とはいえ、給料は完全実施されないということに加えて、行革会議で官庁がこれからどうしていく、ああしていくということが議論されるのは当然といたしましても、中で働く人たちの声もまた、私は、これからの行政組織のあり方を議論していくときに、やはりその声も聞いていかなければいかぬと思うわけであります。  行革会議のメンバーについてどうこう申し上げようとは思いませんけれども、しかし、あそこでいろいろと議論がなされる中には、官庁の責任者が、自分たちの声がなかなか行革会議で取り入れられない、つまり聞いてもらう時間が不十分であったということの中で、どう結論があろうともそれは従うけれども、決定をする前に我々の声も聞いてもらいたいと。結局、聞くところがないので、自民党の政治家たる我々のところに、党に聞いてもらいたいと言って駆け込んできた人たちもいるわけであります。  行政改革会議の議論を進めていく中にあって、省庁のいわゆる事務方の最高幹部からの意見はどれほど聞かれたのでしょうか。
  88. 小里貞利

    小里国務大臣 先生も経過は大体御理解いただいておると思うのでございますが、私の立場から率直に申し上げますと、相当な回数、相当な時間、そして、より可能な官庁内外の判断資料を導入したな、そういう感じは持っております。  私は、もとより行革担当大臣といたしましてはいわば補欠入学でありまして、途中からだったものですから、それまでの経過も議事録等によりましてほとんど目を通してみました。そういう感想から申し上げますと、よくぞここまで腰を入れて、しかも相当な時間をかけて議論いただいたなという一つの評価を申し上げております。  それから、今お話がございました、今の官庁の職員やあるいは組織の話をどの程度聞いたのかというお話でございますが、これは私は可能な限り聞き入れてあげたんじゃないかと。しかしながら、行政改革会議という諮問機関が、言うなれば日ごろの官庁とはいささか距離を置いた独立の諮問機関であったがゆえに、あるいは意思を疎通する機会が、若干距離があったのかなということは否定いたしません。  私は、長官に就任いたしましてから、特定のまとまった意見が耳に入ったときには、あるいは各省庁から話がありましたときには、率直に、その話は文書で持ってきなさい、直ちに行革会議に移しますよと言うことは心がけてまいりました。特に、中間報告を出しまして以来、マル政事項的なもの、特に国会議員の皆様方があるいは官庁の諸君が関心が強いなと、そして何らかの風圧を感ずるというものは、積極的にお話をお聞きすることに心がけたつもりであります。  それからもう一つ、最後に申し上げますと、一般的に言われました族議員とかあるいは出身省益とか、そういう立場の意見は、私はそんなに多いものではなかったと。あくまでみんな国の将来を考えて話を持ってきていただいた。たとえそういう紛らわしいものがありましても、行革の基本できちんと整理をいたしました。さように報告申し上げる次第です。
  89. 小林興起

    ○小林(興)委員 我が党の先輩でもあります長官の方から、自民党には族議員がほとんどいなかったというお話を伺いまして、うれしく思っているところでございます。  いずれにいたしましても、官庁の機構、行政組織を考えるときに、よく、中にいる役人は行革なんというものをやらせてもやりっこないんだ、自分たちのことだからやりたくないと思っているはずなので、彼らの考えなんか聞いても意味がないというような、世間受けしやすいような話が流れることがあるわけでありますが、私は、日本の行政官、特に責任ある人たちはそんな考え方ばかりではないと思っております。  そういう意味では、また今後とも今のような行革会議が続くのかどうかわかりませんが、そこでまた議論をされていくときは、ぜひ、役所のOB、立派な役人であったという評価のあった人でOBになったような方も行革会議のメンバーに入れて、中から見た行政改革の考え方というものをもっともっと、政府として意見決定するときにぜひ取り入れてほしいということをお願いしておきたいと思います。  それからまた、せっかく長官がおられるわけでございますので話をさせていただきたいのですが、一番大きなテーマになりました郵政三事業の問題というのもございますが、これも最後は国営で維持するということが一応行革会議で方針が出されながら、一方で、何か新しいタイプの公社も考えるというような話もあったわけであります。  しかし、我々が接触しております一般の郵便局の方々は、国家公務員としてやはりプライドを持って自分たちは仕事をしているのだと。公の仕事でありますから、公の仕事をする以上は、やはり公務員というきちっとした地位があって初めて、公の仕事をする場合によりプライドが出る、彼らはそう申しているわけでございます。彼らから言いますとわけのわからない公社化というようなものは、そういう我々のプライドをひどく傷つける、こういうお話もあるわけでありますので、新たなタイプの公社とかいうことを考えておられるといたしましたら、普通のところで、直接現場で働く一般公務員の士気の問題がどうなるかということについてもぜひ御賢察のほどをお願いしたいと思うわけであります。  まだ煮詰まっていないかもしれませんが、もし新公社というものについて何かもう少しお話ししていただけることがあれば、長官にお話をいただきたいと思います。
  90. 小里貞利

    小里国務大臣 結論から申し上げまして、大変恐縮でございますが、私は、ただいま議員の御発言の節々をお聞きいたしておりまして、行革会議の流れ、あるいはまた今取りまとめようといたしておりまする概況について、基礎的に御認識をいただき、そしてまた非常に大事なところを御指摘いただいておるな、そういう感じがいたします。  三事業一本で国営でありますよ、これも大方の、内外の皆さんが支持をされた方向であったと思っております。  それからまた、事業形態、事業の中身、あるいは業務計画、あるいは職員の身分、定数、労働三権等に関する話も相当数お聞かせいただきました。そして、概して申し上げますと、現在の体系ではいけませんねと。少なくとも、三本一体で国営でやるとはいうものの、中身は、組織の形態においても、あるいは業務計画等においても、特に今お話がありましたように、三十数万に及ぶ労働者の諸君の身分保障等についてはきちんと担保せられるものでなければなりませんよと。  そういうような要請あるいは御意見等々がありましたから、それらを消化するために、構築をするために、考えられる知恵をぎりぎりいっぱい、限りなく可能性に近いもの、それに近いものを求めましたと申し上げましても言い過ぎでないぐらい考えたつもりであります。  どうかひとつ、願わくは、広く国会内外の皆さんに、今取りまとめようといたしておりまする実態をよく吟味をいただきたい、そして御批判をいただきたい、さような気持ちであります。  細やかに申し上げることは時間の関係もございましょうから、以上申し上げまして、御理解いただきたいと思います。
  91. 小林興起

    ○小林(興)委員 きょうのテーマの本質は公務員給与のことでございますので、今の話はこのぐらいにさせていただき、またお時間をいただいて詳しくお話を伺いたいとも思うわけでございます。  さて、人事院勧告完全実施ができなかった、その背景に財政の問題があるということでございます。来年度以降、政府としてはさらに一層、公務員の定数の削減、あるいは新規増員の抑制を図っていく、こういうことを言っておられますが、例えば、来年採用するような人については、公務員試験も終わって内定していくという段階になるのでしょうけれども、各省庁としてもう具体的に来年の新規採用は抑制しているのでしょうか。
  92. 中川良一

    ○中川政府委員 国家公務員採用の抑制につきましては、Ⅰ種の職員につきましては、閣議決定をもちまして、従前の規模の三割減ということで各省庁が対応しょうということでやっております。  Ⅱ種、Ⅲ種につきましては、特段、閣議決定レベルで取り決めがあるわけではございませんが、かつて武藤総務庁長官から、一般的に新規採用を抑制してほしいというような要請を各閣僚にお願いしたような経緯もございまして、私ども、今時点で最新の数字は持ち合わせておりませんけれども、前の年に比べれば若干減少した数で採用をするということを各省庁ともお考えになっているというふうに承知をいたしております。
  93. 小林興起

    ○小林(興)委員 今、Ⅰ種について三割も削減するという話がございましたけれども、どこの組織も若くフレッシュな人材を入れていかないと組織がもたないということも事実であり、特に国家公務員のような公の分野で非常に重要な仕事をしている人たちは、余り新規を抑え込むということについては将来の問題ということがあろうかと思うのですけれども、三割というのはどこから出てきた数字でしょうか。
  94. 中川良一

    ○中川政府委員 特に三割について具体的に算式上どういう根拠があったということはなかなか説明が難しいかと思いますが、言ってみれば、全体として国家公務員の縮減を図っていく上で、その中核的な存在であるⅠ種の職員について、まず従前の規模の三割というところでやってみよう。初年度は、既に内定段階にあったというようなこともありまして、一割程度の縮減ということになりましたが、平年度ベースでは三割程度を目安にしてやっていこうということを決めたということでございます。
  95. 小林興起

    ○小林(興)委員 重ねてお伺いするわけでありますが、そのような重要なことをどなたがお決めになったのでしょうか。
  96. 中川良一

    ○中川政府委員 これは、閣議決定ということで決めたわけでございます。
  97. 小林興起

    ○小林(興)委員 わかりました。  閣議で決めたということであれば、政府がその責任において決めたということになるわけでありましょうが、私は、国民が求めている公務員の定数削減という問題につきましては、必ずしもそういうこれからの国家を担う若い人材をカットしろということではないのではないかと思うわけであります。  むしろ、国家公務員にもいろいろな仕事をしていらっしゃる方がいるわけでありまして、もちろん、かつて重要であったからそこにその仕事をされる方がいるわけでありますが、時代の変遷とともに、今ではもうその仕事は要らなくなったのではないかなというような、特に出先で仕事をしている分野があろうかと思うのですね。  もちろん、今まで大事な仕事をしてきたわけでありますから、急に要らなくなったということはなかなか難しい点があろうかと思いますが、そういうものについて徐々に削減をしていくというような、国民から見てここは必要なくなったのではないかという分野の大幅な削減こそ重要な全体の定数の削減であって、新規の人について安易にカットしてお茶を濁すということについては問題があろうかと思うのですが、いかがでしょうか。
  98. 小里貞利

    小里国務大臣 一番最後の方で御指摘ありましたお話は、私は大事な要請だと思っております。  したがいまして、わかりやすく申し上げますと、抑えられる場所、大局的に見て国民が要請しないところは、これはもうきちんと御相談をする。また、時代の変遷とともに新しく必要な部署もありますから、その必要な部署はよく慎重に判断をして、弾力性を持って対応せざるを得ぬ、そういう気持ちでございます。
  99. 小林興起

    ○小林(興)委員 わかりました。ぜひとも私は、新規をいたずらに削減するということよりも、現在ある部署について整理を進めてもらいたいということを重ねて要望しておきたいと思います。  さて、人事院が、給与改定基本的な考え方として、これから、職務基本能力とか実績を重視した給与体系へ転換を進めていくんだというようなことを報告で述べておりますが、ということは、これまで余り能力実績と関係なしに給与が支払われていたのでしょうか。
  100. 武政和夫

    ○武政政府委員 お答え申し上げます。  人事制度でありますから、民間と共通の側面というのが多いかと思います。現在民間企業におきましては、厳しい経営環境もとに、年功的要素を縮小したり、あるいは能力実績主義といったようなことで人事制度を進めております。私どもも、従来、そういった民間動向を見ながら対応してきたつもりでございますが、特に近年著しいそういう傾向がございますので、私どもとしてもそれに対応する必要があるのではないか。  そういう意味で、例を申し上げますと、本年におきましても、期末勤勉手当につきまして、より成績主義を進める。あるいは、管理職につきましては民間より厳しくする。そして、指定職につきましては、従来一律支給でありました期末手当を、性格を変えまして期末特別手当として、本来、指定職につきましては職責を全うするのは当然のことでございますが、そうでないような場合につきましてはこれを減額して支給する。そういった措置を講じたいということであります。  さらに、今後、昇級カーブといいますか賃金カーブ、そういった面につきましても能力主義といったようなことを踏まえましてカーブをつくってまいりたい、そのように考えております。
  101. 小林興起

    ○小林(興)委員 能力といっても、民間であれば営業成績が上がる、上がらないということで、よくわかりやすい基準もあるわけでありますが、公務員については難しいものもあろうかと思います。  したがってということになるかどうかわかりませんが、ポストにつきまして、例えば課長になると給料が上がる、そしてまた部長になるともっと上がるとか、局長になるともっと高いとかいうような、ポストによって給料が目に見えて上がるような仕組みになっているように思うわけでありますが、そういう管理職だけが大事ではなくて、やはり国の行政の中にあって、公務員として専門的な知識を非常に必要とする分野もある。  そういう分野で働く方々にとって、専門分野で何年も一生懸命やっていれば当然力もつくのでしょうが、しかし管理職にはならないような専門職についての給与体系というのは、報われるような形になっているのでしょうか。
  102. 武政和夫

    ○武政政府委員 現在、私どもの給与体系でございますが、職務給、いわゆる職務に応じて支払うということで、今先生挙げましたようなライン官職といいますのは、職責がはっきりしておるものですから、御指摘のようにポストが変わるごとに給与が上がる、そういった体系になっておるわけでございますが、一方、今後の行政ということを考えますと、御指摘のように専門職ということがふえてまいると思います。  現在におきましても、航空管制官とか特許審査官といったようなものにつきましては専門行政職俸給表というのをつくっております。その他の専門職、いわゆるライン官職、あるいは非常に特定分野に携わるものにつきましても行政(一)の中で個別に職務を評価するということをやっておるわけですが、さらに今後は、政策立案といいますか、あるいは国際関係業務といいますか、高度な専門職というのはふえてまいるのではないか。  私どもとしましては、そういったものの、任用面におきましてふえるような手続をとるとともに、給与面におきましても、そういった個人能力と成果を反映して処遇できるような、そういった給与制度を現行の中でも進めてまいりますし、場合によっては、必要性が高いような場合におきましては、民間から招聘するような場合を含めまして、新たな枠組み、給与につきましてはある程度の水準を確保できるような、そういった制度といったものも検討していく必要があるな、そういうことで内々研究を進めております。
  103. 小林興起

    ○小林(興)委員 それから、今、公務員採用につきましては、各省庁ごとに、公務員試験が受かったという前提のもとに希望を聞いて採用しているようでございますが、学生時代、つまり省庁に入る前にはこういうところで仕事をしてみたいと思っていても、入った後、社会人として、公務員として勉強を進める中に、より自分の適性もわかり、また自分の興味もわいてくるということもあって、途中で役所をかわりたいという人もいるかと思うのですね。  そうでなければ役所をやめてしまうということにもなりかねないわけでありまして、そういう人たちが違う役所に行って働くような場というものを供給されるシステムが今あるのでしょうか。
  104. 中川良一

    ○中川政府委員 先生おっしゃいましたように、現在は、各省庁に採用されますと、人事交流等で若干異動することはあっても、基本的にはその省庁で仕事をしていくという仕組みでございます。制度的には特にございませんが、現在でも、採用された省庁から途中で、いわば転籍というような形でほかの省庁に移って仕事をされている方もいらっしゃいますが、これはごくまれなケースでございます。  このいわば省庁間移籍の話につきましては、去る十一月十一日に公務員制度調査会から意見をいただいておりまして、その中でも、人材の一括管理に関連をいたしまして、そういった潜在的な需要というものはいろいろあるのではないかということで、省庁間で移籍を促進できるような仕組みを、何らかのものを考えたらどうかというような御提言がございます。  具体的には、人材管理のための情報のデータベースみたいなものを構築することを考えておりまして、その中にそういったような個人の希望のレベルの情報をどうやって取り入れられるか、それからそういった情報をもとに各省庁がいろいろ話し合いをする、そういうような場をどんな形で設けていくかというようなものが今後の課題になろうかと思っておりまして、総務庁といたしましては、そういったようなことについて今後具体的に検討してまいりたいというふうに思っております。
  105. 小林興起

    ○小林(興)委員 それからまた、人材はたくさん民間にいるわけでありますが、そういう民間の方々を専門的な知識があるということで途中で省庁に迎える、本人も行ってみたいというようなことがあるときに、民間からの途中採用というのは進んでいるのでしょうか。
  106. 中島忠能

    中島政府委員 ことしの八月四日の勧告の際の報告の中にも私たち提言をいたしましたけれども、やはり官民の交流ということの一環といたしまして、今先生がおっしゃいますように、公務の世界では、原則として学卒者を採用して、それを鍛えて公務の世界の中の行政需要というものに対応するというのが今までのやり方でございますけれども、経済社会の変化というのが非常に急激でございますので、いろいろな専門的な能力経験を持っている人を公務の世界に迎え入れる、いわゆる中途採用というものの道を開いていく、そのための任用システムあるいは処遇システムというのを現在研究しております。近々そういうものを体系として発表したいというふうに考えております。
  107. 小林興起

    ○小林(興)委員 質問時間がなくなってまいりましたので、その中でこういうことを聞いてみたいと思うのです。  公務員という場合、国民から見ますと、国家公務員も地方公務員もわからないということもあるわけであります。したがって、公務員論、また給与の問題を論ずるに際しましても、本当は国だけではなくて地方のことも考えていかなければいかぬと思うわけでありますが、今よく聞きますのは、国家公務員より都道府県の公務員の方が給料が高くて、さらに市町村の方が公務員の給料が高いという話がよく言われるのですが、これは本当でしょうか。
  108. 中島忠能

    中島政府委員 現在のところは、国家公務員と地方公務員全体の給与水準を比較いたしますと、私の記憶によりますと、もうその水準差は三%を切っていると思います。したがいまして、それほど人事の交流をするに当たって差し支えない水準だというふうに考えております。  いずれにいたしましても、地方公務員給与水準のあり方については、地方自治というものとの関連もございますので非常に難しい問題がございますが、徐々に国民の地方公務員給与水準に対する意識も高まっておりますので、やはり国家公務員との給与水準というのは徐々に縮まっていくのじゃないかというふうに思います。
  109. 小林興起

    ○小林(興)委員 それから、公務員給与の問題の中で大事なことは、御承知のとおり高齢化社会にどんどん急速に入っていく中にあって、定年退職をした後、年金で生活をするというふうに思っている公務員の方も多いのでしょうが、この年金が支払われるのがやがて六十五歳以上になる、しかし自分の定年の方は六十歳、五年もギャップができてしまうわけでありますが、そういうことに対してとても生活の不安を持つ公務員の方も多かろうと思うのです。  この高齢者対策について、どういうふうに今政府あるいは人事院としてはお考えになっているのでしょうか。
  110. 中島忠能

    中島政府委員 先ほども御答弁申し上げましたけれども、平成十三年から、三年間に一歳ずつ年金支給開始年齢が引き上がっていきます。したがいまして、雇用と年金の支給開始年齢との間に差があると、今先生が御心配のように、公務員が行く先不安を持つようになるだろう。  したがいまして、そういうことがないように、新しい任用制度というものをつくりまして、意欲と能力のある人間は公務の世界の中で働いていただこうじゃないかということで、それに必要な公務員に係る諸制度というものを現在詰めております。そんなに遠くない時期に、この詰めた内容を発表してまいりたいというふうに思います。
  111. 中川良一

    ○中川政府委員 政府におきます検討体制でございますが、平成六年の三月に閣議決定公務員の六十歳代前半の雇用問題に積極的に取り組むという基本方針を定めておりまして、その閣議決定に基づきまして、公務員制度等を所管いたします関係省庁の局長クラスで検討委員会を設けてございます。  この検討委員会から既に中間的な報告がなされておりまして、ただいま人事院の方からもお話ございましたが、人事院の方にも御参画いただくような形で、さらに課長レベルでの検討を今進めておりまして、なるべく近いうちに最終的な報告を取りまとめられるようにしたいというふうに考えておるところでございます。
  112. 小林興起

    ○小林(興)委員 時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。丁寧な御答弁、敬意を表します。
  113. 谷津義男

    谷津委員長 御苦労さまでした。  瀬古由起子さん。
  114. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。  人事院給与勧告実施についてですけれども、先ほどから指摘がございますように、この実施に向けて大変長い時間がかかっている、そして同時に、今回の給与法改正案は値切りになっているということが再三指摘されておりました。  こういう事態というのは 私は やはり何といっても人勧制度そのものにかかわってくる。今後人勧制度がどうなっていくのかということも本来なら問われるような内容の重要な事態だというふうに思っているわけですが、その点で、人事院総裁と、そして、官房長官はいらっしゃらないのかな。
  115. 谷津義男

    谷津委員長 官房長官は今記者会見で……。
  116. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 一応官房長官答弁を求めるように事前に言ってありますけれども。
  117. 谷津義男

    谷津委員長 理事会で了解をとっている時間でまず進めていてください。
  118. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 では、とりあえず総務庁長官とお二人に、今回の事態への所見と、そしてもう二度とこういうことを許さないという決意のほどを御披歴いただきたいと思います。
  119. 小里貞利

    小里国務大臣 指定職及び相当職を除きまして人勧は実施いたしたわけでございますけれども、一部さような形になりましたことは、先ほどもお答え申し上げましたが、大変、私の職責、立場から申し上げますと苦渋の集約であった、そういう気持ちでございます。  しかしながら、申し上げるまでもなく、人勧は制約に対する代償措置であり、かつまた極めて重要な根幹でありますから、これは尊厳にして一貫されるべきものである、そして、一たびこれが発動になったときには完全実施をいたすべく最大の努力を払うべきである、さように思っております。
  120. 中島忠能

    中島政府委員 今までもたびたび御答弁申し上げましたように、私たちは、一般職員についての勧告指定職職員に係る勧告も同じ重みを持って申し上げているわけでございますから、やはり同じように取り扱っていただきたいというふうに考えております。
  121. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 この人事院勧告そのものが、憲法上の要請である代償措置、そしてその根幹だと再三長官も言っておられるわけですけれども、これは絶対値切りがあってはならないものだと。しかし同時に、今まで話があった中で、長官も苦渋の集約と言われましたけれども、財政事情というか、こういうものが幾つか取りざたされておりますよね。  財政事情そのものについては、私たちも意見を持っております。なぜこんなに財政事情が厳しくなったのか、一体どこにメスを入れれば、私たち日本共産党でいえば、軍事費や公共事業のむだ、こういうところにメスを入れれば、公務員給与の実態に見合った引き上げは十分可能だという考えを持っております。同時に、たとえどんな経済事情があっても、労働基本権代償措置である、またその根幹であると言われたように、これは、本来ならどんな事態があってもこの人勧の制度そのものは守られなければならないものだというように思うわけですね。  そういう点では、今後、これから財政事情でというのが繰り返されるでしょう。しかし、そういう場合でも、きちっと、財政の都合でこういう代償措置が制限されていいのか、これはもう絶対あってはならないという立場で、お考えを、これも人事院総裁総務庁長官に伺いたいと思います。
  122. 小里貞利

    小里国務大臣 私は、人事管理行政管理という一つの大事な職責を持たせていただいておりますが、今議員がお話しになりました国家財政あるいは財政という視点からのお話になりますと、政府全体として、そのことも含めましてこれに対応いたさざるを得ないという要因もあることもまた、ひとつ御理解をいただきたいと思うのです。  ただし、私の立場からは、そういう事情もあろうけれども、しかし、一たび人勧が発動された以上は、これをきちんと完全実施するべく努力をいたすべきものである、さように申し上げておるところでございます。
  123. 中島忠能

    中島政府委員 今、総務庁長官から非常に力強い御答弁をいただきました。恐らく来年の勧告後の扱いについても、今の総務庁長官のお話のような対応をしていただけるだろうというふうに思います。
  124. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 私は、確かに総務庁長官としてはきちんと貫いて、人勧完全実施給与部分完全実施については貫くという立場はわかりますけれども、政府全体としてというふうに言われますと、何か、自分は貫くけれども、政府は全体事情を考えるからそういうこともあるのだと。あなたは、政府全体でも責任を持たなければいかぬ立場でしょう。それで、結果としては値切りになったり、ずるずるおくれたりということがあるわけです。  私の言うのは、憲法上の労働基本権制限の代償措置ですから、これは総務庁長官であっても、政府であったって、本来守らなければならない問題だ。どんなに財政事情があってもこれを守るというのが憲法上の要請なのだという立場を、私は、ぜひ長官としては貫いていただく。使い分けをしてはやはりだめだと思うのですね。その辺はいかがでしょう。
  125. 小里貞利

    小里国務大臣 使い分けという評価はいかなるものでございましょうか。私自身、議員がお話しのように、橋本内閣の一翼を担う国務大臣という立場は十分認識をいたしておるつもりです。であると同時に、人事管理行政管理、行政監察を通じて、これらの問題について大きな責任があるということも自覚をいたしております。  その基礎の上に立ちまして、例えば人勧というものが一たび発動されたときには、これを最大に尊重する専らの責任がある、そういうふうに自覚をいたしておりますから、今次も全精魂を傾けて努力をいたしました。そして、その目標は、完全実施を実効あらしめるべく最大の努力をいたした、さように申し上げておるわけです。  なお、先ほどは中沢議員の質問に対しまして、その努力をする責務も感じておりますということを申し添えました。そういう経過等も御理解をいただきたいと思う次第です。
  126. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 あなたは努力してきたと言われるわけですけれども、しかし、政府全体でいえば、たとえこれが憲法上の措置であったとしても、財政事情があればやむを得ない、政府全体がそういう立場をとるならやむを得ないというように考えるわけですか。それはあってはならないと私は言っているのです。政府全体でも、こういう代償措置として設けられたこの勧告については、きちんと政府は従うというのは当たり前じゃないですか、こう言っているのです。
  127. 小里貞利

    小里国務大臣 それは、私はもう、私の権限、機能では、今お話しになる財政という大きな国の根本施策からいいますと、ここで直ちに明快にお答えするわけにはいかないと思うのです。しかしながら、私の職責からいたしまして、国の財政事情が厳しいことだけは基本的に否定するわけにはいきませんから、その中におきましてぎりぎり可能なものを求めて努力するのは私の責任だ、こう申し上げておるわけです。
  128. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 もっと本当に、担当大臣としては、政府全体でもこの人勧の制度のある位置をはっきりさせていただく、きちんとそれを主張していただくという立場に私はぜひ立っていただきたいと思うのですね。  では、次に入りたいと思いますが、今回の給与引き上げというのは、三年ぶりに一%台に乗ったということになっていますが、実態としては消費税の増税負担にも追いつかないものになっています。国家公務員法の第六十四条では、俸給表は、生計費、民間における賃金その他を考慮して定められるとあります。民間との較差はもちろんあるわけですけれども、それ以前に生計費の問題が考慮されるということが私は大事だと思っています。  そこで、人事院の言う標準生計費は、例えば東京でいいますと、三人世帯は二十四万六千二百九十円、四人世帯が二十八万七千百十円、五人世帯が三十二万七千九百円、こういうふうになっています。公務員でつくっております公務労組の連絡会が実施した家計簿調査によりますと、三人世帯で三十五万二千四百二十円、四人世帯は三十九万六千八百四十三円、五人世帯が四十九万二千三百三十七円となっています。  実に十万円ぐらい差があるわけですね。これは、標準生計費と言われているものと実際の公務員の生活実態、この辺が、一定の感覚のずれといいますか、実感のずれといいますか、こういうものもあるのではないかというふうに思うわけですね。  そういう意味では、いろいろな生計費を調査をして、標準はこうだからと計算されるのはいいですけれども、やはり私は、公務員労働者の生活実態がどうなっているのかということも人事院としてはきちっと見ておく必要があるのではないか。その点ではいかがでしょうか。
  129. 武政和夫

    ○武政政府委員 公務員給与ですから、国民の理解と納得を得るというのは基本だと思います。  私どもは、標準生計費としまして、国民一般のいわゆる世間並みの生活水準を把握した上でそれを算出し、配分の妥当性、俸給表をつくる際の配分の妥当性を検討するための資料として標準生計費を活用しております。現在の標準生計費の算出方法は、先生御存じかと思いますけれども、家計調査に基づいてやっているわけでございまして、最も客観的な資料で、それに基づいて出すのが適切ではないかというふうに思っております。  その際に、私どもは国民の納得を得るという一つのあれとしまして民間準拠ということでやっておりますが、民間における給与決定におきましても、そういった生活実態あるいは生計費という要素を勘案しまして民間給与は決められているのではないか。私どもはその民間給与を把握して俸給表をつくっているということからすれば、そういった国民一般の生計費の実態というのは公務員給与にも適切に反映されているのではないか、これがまた最も妥当な方法ではないかというふうに考えております。
  130. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 労働者を経営者が雇う場合には、いろいろな賃金を決めるという問題はありますけれども、少なくとも、自分のところの労働者がどういう生活実態になっているのかというのはつかんでいるのが、経営者でいえば当然必要だと思うわけですよ。  それで、いろいろな指標を集めて、生活実態はこうなっております、民間はこうでございますというのももちろんその資料としては当然あるでしょう。しかし、少なくとも、一体、自分の足元の、そこに働いている人がこの給料でどういう生活をしているのかということだって、私は一つの大事な指標として調査をするべきだと思うのですけれども、人事院総裁、どうでしょう。  今後、公務員の実態調査をぜひしていただきたい。これからの政策課題ですから、ぜひ総裁、その辺の決意を伺いたい。総裁にお願いします。
  131. 中島忠能

    中島政府委員 公務員給与というもののあり方を考えるときに、いろいろな指標というものがあると思います。先生のおっしゃるような生計費というものを調査する、そういう方法もあると思いますが、先ほど給与局長が御答弁申し上げましたように、国民の理解と納得の上に給与が成り立っているわけでございますから、結果として、私たちが勧告し現在国家公務員が受けている給与水準というものが、民間労働者の給与水準と比べていかがなものだろうかという観点からも評価していかなければならないというふうに思います。  その結果、私たちは、現在の国家公務員給与水準というのが民間労働者の給与水準に比べて低いとか、あるいは劣っているというようなことはないというふうに考えております。
  132. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 民間の賃金と、そのほかいろいろ考慮してということはわかるわけですけれども、少なくとも公務員労働者がどういう実態にあるのかぐらいはつかんで、そして施策を進める、人事院勧告内容にも反映するというのは当然のことじゃないかというように思うわけですね。その点ではぜひ今後検討していただきたいと思います。  では、民間給与の実態調査民間との比較の問題について質問したいと思うのですけれども、現在、一般職の場合には、企業規模百人以上で事業所規模五十人以上、こういう調査がされております。この規模の根拠といいますか、これが国家公務員給与と比較するにふさわしいと言われる根拠は何でしょうか。
  133. 武政和夫

    ○武政政府委員 給与調査する際にどの程度の規模を対象とするかという大変基本的なことでございますが、公務の組織あるいは人員構成等から見てどの程度とすべきかという問題につきましては、いろいろな意見があります。組合等からは規模の大きな事業所とすべきであるという一方、小規模事業所も含めるべきだという多様な意見がございます。  その中で、私ども、現行方式を昭和三十九年以来からとっておるわけですが、これは、当時の池田総理と太田総評議長のいわば政労のトップ会談の合意を踏まえまして、公共企業体等労働委員会が三公社五現業に対して仲裁裁定を行った。その際に、現在の企業規模百人以上ということを基本にしまして始まったわけでございます。したがいまして、昭和三十九年以来ですから、長年の経緯において、私どもとすれば定着をしているもの、国民の大方の納得を得られているものというふうに考えております。  さらにつけ加えますれば、この調査規模によりまして、会社組織で働く労働者といいますか、勤労者の約過半数のものを調査対象としているということも申し添えたいと思います。
  134. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 指定職の場合は五百人以上の規模、こういうふうになっておりますけれども、それはなぜでしょうか。
  135. 武政和夫

    ○武政政府委員 指定職俸給表がつくられましたのはやはり昭和三十九年でございます。指定職給与をどう考えるかということにつきましては公務部内の組織上の位置づけ、職務の複雑困難性、職務内容の広さ、職責の重みということを考えますと、民間企業としましては相当程度の組織規模を有するものが適当ではないか、そういう意味におきまして、従来から調査対象規模は五百人以上というふうにしております。
  136. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 一般職事業所調査についても、実態としては、結果としては、この調査にふさわしい内容のところを探すと五百人以上の規模になってしまう、こういうケースも結構ございます。実際には根拠というものが、この根拠でなければならぬというものは、三十九年以来の、そこで話し合ってそのままずっと続いているというのが実態だと思うのですね。そういう意味では、改めて、公務部内で、一般職については百人以上、事業所規模五十人以上、指定職は五百名以上、こう分けるのではなくて、やはりこういう企業規模の格差についても今回見直してやっていく必要があるのではないか。  公務員給与引き上げという問題は、高給の管理職とは違いまして、全体的には一般の労働者の賃金引き上げにも影響するわけですよね。そういう意味では、ある意味では今かなり不況の中で、労働者の懐が厳しくなっている、こういう状況の中で、一定、公務員労働者の賃金引き上げの中で全体の給与引き上げの水準を上げていく、こういう政策的な取り組みが本当に今求められているのではないかというように私は思うわけです。  そういう意味では、一般職給与についての調査をされる場合の規模も、やはり検討をしていく必要があるのではないかというように思いますけれども、いかがでしょうか。
  137. 武政和夫

    ○武政政府委員 再三で恐縮でございますが、調査規模をどの程度とするかというのは多様な意見がございます。三十人以上とすべきというのも片一方にありますものですから、結局、国民の理解と納得をどの辺で得られるかということに尽きるのかと思います。私ども、勧告をまとめる際に各方面に出向きまして、あるいは各界の方々に私どものところに来ていただきまして、意見を聴取しております。そうしますと、全部と言ってもいいくらい、現在の方法が妥当という意見を得ております。  またさらに、参考のため申し上げますと一国の職員は全国に散らばっております。そういったもので、仮に五百人ということで規模を特定しまして調査対象としますと、県によっては五百人以上の規模というのはごくわずかしかないといったような状況も見られてくるわけであります。そういう意味におきまして、いかがなものかというふうに考えております。
  138. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 ちょっと時間がございませんので、次の質問に行きます。  勧告では、特定の部署においては恒常的な超過勤務がなされている実態が見られる、そして、職員の健康や福祉の観点からも、長時間の超過勤務の縮減に向けて検討するというように書かれております。実態が見受けられる、そういう超過勤務の恒常的な実態があるというのは、どこの省庁のことを指しているのですか。具体的に御調査なさっているのでしょうか。
  139. 佐藤信

    佐藤(信)政府委員 先生今おっしゃいましたように、超過勤務の縮減といいますのは、職員の健康及び福祉という観点からも極めて重要な課題だというふうに思っております。  私ども、超勤の実態につきましては、数字的には国家公務員給与等実態調査によって把握しているわけでありまして、平成八年の実態調査の結果によりますと、超過勤務が最も多い月の平均超過勤務時間数は、本省庁で平均四十三時間、それからその他の機関では三十・二時間というふうになっているわけであります。ただ、これは全職員の平均でございますから、個々の職員ごとに見ますれば、あるいは特定の部署ということで見ますれば、かなりの長時間の勤務を行っている職員もあるのではないかというふうに考えられます。(瀬古委員「どこの省庁ですか」と呼ぶ)  本来、超過勤務の縮減といいますか、超過勤務自体は各省各庁の長が命ずるものでありますから、その縮減につきましても、本来的には各省庁において、それぞれの実情に応じた対策を講ずるべきものというふうに思っておりますけれども、私どもとしても、今のような数字、それからまたさまざまなヒアリング等の機会を通じまして、その把握に努めている。それによれば、各省庁においてもいろいろな対策は講じておられるけれども、とりわけ本省等の特定の部局においては、残念ながら、長時間の超過勤務がなされているものというふうに考えられる。このようなことから、恒常的と言い得るような超勤の実態が見られるのではないかというふうに我々は判断をいたしたということでございます。
  140. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 どこの省庁かと聞いているのです、私の方は。ちゃんと答えてください、こちらは質問しているのですから。この実態はどこの省庁を指しているのですかと聞いているのです。
  141. 佐藤信

    佐藤(信)政府委員 私ども、個別にどこの省庁が云々というところを特に申し上げることに意味があるということではなくて、職員の健康なり福祉という観点から見て、今の実態から考えたときに超勤の縮減がさらに必要なんだ、その前提として恒常的とも言い得るような超勤の実態というものもあるのではないかというふうに考えられるという前提で申し上げたということであります。
  142. 谷津義男

    谷津委員長 時間が来ておりますので。
  143. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 時間はありませんけれども、きちんと質問に答えていただきたいと思うのですね。要は、どこの省庁がどうなっているかわからない。全体としてはそういう超過勤務の実態が見受けられる、こんないいかげんなことで指摘されれば、実際にどこをと言って指導できないでしょう。そういう点でも、もっときちっとした一人事院としての責任ある勧告をやはりしなければならぬと思うのですね。  そういう点では、もう時間がございませんので、先ほどの人勧の給与部分完全実施の問題についても、労働者の実態を本当にきちんとつかんで、そしてきちっと姿勢を正していくという問題でも、もう少し人事院としては毅然とした態度で頑張っていただきたいということを御要望申し上げまして、質問を終わります。
  144. 谷津義男

    谷津委員長 以上で瀬古由起子さんの質問は終わりました。  深田肇君。
  145. 深田肇

    深田委員 先輩、同僚議員のお話を全部伺っておりますので、私の質問とも重複しますから、なるべく早く終わるように努力いたしますので、いま少しの間おつき合いのほどをお願い申し上げます。  それにしましても、総務庁長官の大変な御苦労話はやりとりの中でよくわかりましたので、それは敬意を表した上で、若干の意見を申し上げながら御質問しておきたいというふうに思います。なおかつ、持ち時間が短うございますから、人事院勧告完全実施のことだけに絞ってやりたいと思いますので、これもひとつ御理解いただいて、次の委員会で行革全般のことについては話をさせていただきたいと思っている次第でございます。  実は、社民党の中では、本年度は人勧の勧告の中身は完全実施されるだろうと実は思っておりました。総務庁長官は、先般の委員会でも努力するよとおっしゃっていただいたわけだし、加えて、私どもとは連絡を密にしてる公務員の労働組合といいますか、連絡会の文献などを拝見いたしますと、三月ごろから人事院政府当局との話し合いもどんどんやっているようでございましたし、人事院総裁に至っては大変丁寧な回答があったり、ずっと積み重ねの中で八月に勧告が出てきている。  一言で申し上げるならば、働いている者の側からいうともう少し欲しいんだよというのがあったのだろうと思いますけれども、そこはいろいろな判断のもとに、今回はこれだけよと言われたことについて、それを了承する立場の中から、これはもうひとつ完全実施で早期にやってもらおうというところに、おのずから物事は方向として流れておったわけでありますから、そんなこんなを含めますと、スムーズにばっと行くだろうと実は思っておりました。ところが結果は、あえて言わせてもらいますが、不完全実施だと思いますね。  政府当局の文章は、勧告どおり行います、ただし云々という文章なので、私は説明をもらったときも申し上げたのだけれども、勧告どおりやりますよという表現から入るのは、これは一種のごまかしじゃないか。人事院勧告どおりはいけない、それはこんな理由であるからできないと、まあ理由を私は納得できないのでありますけれども、そういう立場を明らかにされた上で、どこだけをどうした、こういうふうになるのなら別ですが、勧告どおり行います、こう書かれてしまうと、我々の日常用語で言えば完全実施論ですよ。さすがは総務庁長官、やってくれたな、橋本内閣も英断を下したな、こう思ったら、事実はそうでないということが出てくるわけでありますから。  そうなりますと、春以降今日までの、あえて言いますが、労使間や政党との話し合いや院内での話し合い等々はどうなるのかというふうに思いますし、ここでできる不信といいますか、理解できないというところからくる不安感というものは、これからの日本の政治等々について絶対にプラスにならぬだろうというふうに思います。  しかしながら、そうは言いましても、ひょっとしたらそれなりの決断をされるようなものが、人勧の勧告側に何かそういう幅のある発言があるのかと思って、もう一度いろいろ、八月四日の勧告に当たっての人事院総裁の談話なども読ませていただきますなら、これはもう明確に、先ほどから盛んに出ています憲法の立場からいうところの労働基本権の代償としての問題であることはもちろんのこと、民間との関係も考えて今回はこれだけだよと。これだけだというのも、実は働いている公務員の側からいうともう少し欲しいのだが、そこは、少し足らぬけれども大体こんなところだろうというふうに、まさに人事院が決断されたという意味もここで読み取れるわけであります。  同時にこのことは、幾つかの文章を読めば読むほど、人事院は実に正確にやられたなということで高く評価する立場で申し上げるのでありますが、職員団体の意見も十分聞いたとお書きいただいているし、そのようにも聞いてもおりますし、同時に、「行政各部に勤務する職員の士気を高め」と。これから行革をやろうというのですから、職員の士気を高めないと。  行革は、今のところ何か偉い人だけがぱっとやられてしまうようでありますが、十億円で。しかし、今度は一般の人にもばんばん来るのではないかというので、雇用問題は次に回しますけれども、不安があることは事実ですよ。日本的土壌からいえば、行革になったらこれは首切りかな、賃金を抑えられるかなと。上がらぬ方がまだいいけれども、これから支払いがとまる、民間がどんどん倒産していますからね、民間が倒産しているのを見ておるとそういうふうになるだろうという不安感があるところを、しゃっきり抑えられて、職員の士気を高めるのだ、こういうことも言われている。  それから、「労使関係の安定に寄与する」と、これもいい言葉がばっと明確に書いてある。これはもう総務庁長官はわかっているのだとおっしゃるけれども、あえてそのことを言いたい。それで、その意味からすると「国の行政運営の安定を図るための基盤である」と。ここまで全部書かれているものが、なぜ今回不完全になったのかということを気にしながら、いろいろと見させてもらいました。  そこで、先ほど先輩の中沢議員の方から出ておりましたけれども、確かに法的にはそういう根拠はないのかもわからぬけれども、我々の社会的常識、あえて言います、社会的常識から言えば、人勧はもう出たら完全実施だという意味合いで、人勧でつくってもらうためには、いろいろと事前にお話し合いをさせてもらったり我々の意見を言うたりする時期が春から夏までずっとあるわけでありますから。夏に出れば直ちにいただきたい、こうなるのは当たり前であります。  そういうふうに、もう慣例として戦後定着しているわけだし、ストレートに労働基本権を取り戻してもう一遍構えるかというのは、一部そういう政党があるかもわからぬけれども、今そういうのは常識的になくなっているわけだから。  そうすると、いい慣習ができて、それで、政府なり働いている労働者や公務員たちも一緒になって国のために頑張ろうという状況ができ上がっている状況の中で、しかも、十一年間そのことは何もなく、昨年に比べればことしは零コンマ幾らが一・幾らまで上げてもらったということでよかろうというふうに、組合側なり働いている側はよかろうというところまで来ているわけですから。  そうすると、そこだけでもう、今回はもう全部オーケーだ、こうやるのが総務庁長官のおっしゃるとおりだし、これはやはり官房長官や総理が決断して、大蔵大臣が本当にわからぬことを言っているなら、大蔵大臣をこの間不信任してもよかったかなと思いますけれども、それはそうはいかない面もたくさんありましょうけれども。いずれにしましても、きちんとそういうふうに仕上げるべきだということを感じます。  そういったことを、最後の項目の中では「給与勧告実施の要請」という項目もあって、現在までの人事院勧告制度の果たした役割をきちんと書かれ、これで民間給与の水準に追いつかせることになるのだよと、したがってこれは今後の国のためにいいことなんだというところまで書いて、強い要請をされていることを、若干、まあおわかりのことでありますが、引用をしながらお話をした次第でございます。  そこで、これほど立派なものを出したのに、人事院総裁に先に伺うのです。皆さん、大先輩たちは皆、先に総務庁長官に伺っておりましたが、私は、むしろ人事院総裁の立場からして、皆が質問したらいい御答弁をいただいておりますけれども、その御答弁では来年も危ないなという感じがしますよ。  したがって、本当に遺憾なことなんだ、何のために人事院ができているのだと。人事院がこれだけのデータを集めてきちんとつくったものを、総務庁長官も御苦労だとおっしゃったけれども、総務庁長官がよければあとの人が悪い、こうなるのだから。悪い人はだれなんだ、こうやっていかなければいけませんから、よしあしをするのが目的じゃありませんから。  何が何でも、やはりこれだけ人事院をつくり上げた歴史的な経過と、そして人事院がこれだけ今回はきちんと分析してつくり上げた、まあ今回だけじゃないのでありますけれども、そのことが慣例として十一年間あったということを含めて考えたら、今度の不完全というのはどう考えても納得できない、遺憾なことである、したがって、来年はきちんとやってもらいたいということを委員会でお話しいただいて、そのことを総務庁長官はぜひひとつ総理大臣官房長官に伝えてもらって、閣議できちんと意思を言ってもらうのが、公務員のためにも、日本国の国民のためにもいいのではないかということを思いますので、もう一度、大変恐縮でありますが、人事院総裁の本件に関する所見を伺いたいと思っている次第であります。どうぞよろしく。
  146. 中島忠能

    中島政府委員 今までたびたび御答弁申し上げました。  私たちは、民間給与改定状況というのを子細に調べまして、それをもとに官民比較いたしまして、今回の勧告をいたしました。その勧告をいたしました内容というのは、指定職職員部分一般職職員部分と 軽重に差があるわけではございません。したがいまして、指定職職員部分についても完全実施をしていただきたいという考えでございます。  特に、指定職職員行政組織の中において極めて重要な地位を占めておること、そしてまた、指定職職員民間の対応職種との給与較差というものが相当あるということを考えますと、指定職職員についての部分完全実施をしていただきたいという気持ちは非常に強く持っております。  したがいまして、そのことは総務庁長官も十分御承知の上で今回非常に努力をしていただいたということを、私もつぶさに承知しております。来年に向かっても、ことしと同様、それ以上、また総務庁長官に御努力いただかなければならない、私もまたできるだけ努力をしてまいりたいというふうに思います。
  147. 深田肇

    深田委員 ありがとうございましたと申し上げておきましょう。そこまでなんでしょうね、実際御答弁いただくとするならば。  そこで、時間の関係もありますから、長官、ちょっとやりとりをさせてください。  やはり気になりますことは、ここにも閣議決定という文書もありますし、先般私どもに対する説明要旨もいただいたのでありますが、その中でやはりどうも引っかかるのは、「八月四日の人事院勧告どおり改定を行うものとする」こういうのが第一番にありまして、危機的状況という説明があって、指定職俸給表のところだけはこうするよと、こういうふうになるわけでありますから。  残念ながら、歴史的経緯は書かないにしても、人事院勧告どおりはできないんだと明確に言った上で、しかし、ここだけだめだからここはこうするんだよと。量の問題ではないというふうに思いますから、その点ではそういうふうにするべきだということを意見として持っています。これは別に今答弁をいただかなくていいわけでありますが。  こういう文書を出されますと 完全 不完全の言葉にこだわるわけじゃありませんが、きょうは何人かの方々から不完全実施ではないかという言葉が出ておりますから、私たちは、本当にこれは不完全実施で、人事院の権威すら、日本の憲法の精神すらぐらつくことにならへんかというふうに思いますから、その点ではひとつ意見として申し上げておきたいというふうに思います。  いま一つは、これももう御承知でありますから、御答弁いただくことはないかもわかりませんが、公務員職員団体や労働組合等々連絡会がありますが、そこから幾つかの声明や談話等々が出ておりますけれども、大変厳しい意見ですよね。前段申し上げたように、今回の勧告の中身を全部よかろうと言っているわけではなくて、もちろんもっともっとという期待もあるのだが今日の状況ではというところで落ちついているところを、どうして受けとめることができなかったかということを大変感じます。  そこで、ずばり聞きますが、これは長官お答えいただくとありがたいのですが、公務員関係の労働組合連絡会との間では、事前にどの程度こういうことについて話をされたか。それで、もっと言えば、了解を得られたかどうか。了解を得られていないのではないかと思いますが、その点は長官の側の受けられた感じでも結構でありますから、ひとつ伺っておきたいと思います。私はそこのところは大変大事だと思うのですね。  今のような状況の中で、国会の状況を考えたときには、せっかくこういう状況になっておるわけでありますから、したがって、ぜひひとつ政府当局と公務員職員団体、労働組合との間も友好的に話し合いをして、それできちんとやっていく、これまさに憲法精神だと思いますから、そのためには、このことによってつまずきが起きないようにすることが大事だろうというふうに思います。  とはいっても、最近、集会で労働者がたくさん集まってきて、鉢巻きして歩く人も、また演説する人も激しくなってきておりますよ。そういうことがいいか悪いかの評価は別にして、そうならなくても物事うまくいけば一番いいわけでありますから、いきかけたものがいかなくなることのないように、長官としてはお力添えもいただくことが大切ではないかということで、このことをひとつ申し上げておる次第でございます。  いま一つ、ついでにお答えいただけばいいのでありますが、指定職だけをやった理由は何ですか。  金が足らなくなるという話があります。それから、あちこちやろうということだったから、まあまあと押さえていって、それで指定職だけやったよ、指定職は幾らかというと十億円だよと。十億円ぐらいかなと思ってみたり、そのぐらいでと思ってみたり、いろいろありますけれども、要するところは、そういう経過なり、そういうふうな今までの、苦渋の決断とおっしゃるのだから、これは前の総理大臣が使った言葉で余り非難もできないのだけれども、苦渋の決断という形でこういったことがさばかれるものだかどうだろうか。  では指定職の次はどこなんですか、金が足らなければ次はどこに行くのか、一般公務員の方をばんばんとやってしまうのか、こういうふうにならないとは限らない。  それで、これはこういう理屈があってと。例えば、商法とは違いましょうけれども、民間の会社の役員たちをばっさりやりましょうとか、みずからどうやるかということは特別職的な扱いをする。これはまた別でしょうけれども、職員という中での、一般職で皆認めている方々について見れば、それなりの実績があって今のポストについておられるのでしょうから、その方々をばんとやってしまうというのは、どうも、俗っぽく言えば、会社などの重役並みにやったのだよというふうに聞こえます。これが本当に公務員の姿としていいことかどうかということは、先ほど自民党の先輩も御指摘ありましたが、本当にわかるようでわからない理屈だと思いますね。  したがって、このこともちょっと、できれば今までのお話以外の新しい説明内容があれば、例えればありがたいと思います。
  148. 小里貞利

    小里国務大臣 人勧前後のことなども含めまして、人勧が発動されまして以来、私どもが対応してまいりましたこと、あるいはまた政府全体として対応いたしましたその経過等につきまして、さすが専門家の先生から、適切かつまた傾聴に値するお話を数多く御指摘をいただきました。  そこで、労働組合との関係でお話がございましたが、そのことこそ、率直に申し上げまして私がこの問題に限らず日ごろ心がけておりまする一つでございまして、今次の人勧の問題につきましても、公務員連絡協の皆さんがおいでになりました。どうぞいつでもおいでください、そしてまた、人勧を受けて目下政府検討中でありますが、あなた方の当該者としての意見もひとつ整理をしてお聞かせいただきたいということを申し上げました。おいでをいただいた次第でございます。  あるいはまた、いよいよ人勧を、若干起伏がありましたけれども政府として決定をいたしますよと、政党関係におきまして最後の集約をいたしました段階で、おいでをいただきました。そのときにも経緯を率直に御報告申し上げた次第でございますが、先生お話しのとおり、それでオーケーよというお話があったわけではございません。政府の努力は努力として評価するけれども、おれたちの立場から言うなれば、もう奮発できないのか、そういう意味合いのお話で終わった、こう思っております。  それから、最後の話の、指定職あるいは指定職相当職の対応の問題でございますが、これは、先ほどもお話し申し上げましたように、金額の多寡の問題ではなくて、むしろ私は、今時の厳しい財政事情下におけるということも、一般的な行革等を含めまして国民に対する呼びかけも政府姿勢としてあるものですから、そういうことなども背景にしながら、国の姿勢を理解いただく意味で、特定職相当の皆様方にはこういう一つの御心頭を煩わせた、こういうことでございます。
  149. 深田肇

    深田委員 もう時間でございますから、多くを申しません。我が社民党も与党の末席で努力しておりますから、どうぞ率直な意見交換をさせてもらって、それでお互い合意ができることが大事だと思います。特に私どもの立場から申し上げるならば、公務員労働者の意見を十分聞いてもらって、それが全国民の理解に直結するものだと思っておりますから、そういう運営をきちんとやっていただきまして、来年の人勧の方は、ぜひひとつ、人事院の総裁は決意を込めていい結果を導き出してもらいたい。  加えて、いま一度お願いしますが、御答弁いただく問題ではございませんでしょうけれども、ぜひひとつ人勧完全実施のためにまた来年度も頑張っていただくということをお願いして、終わっておきたいと思います。ありがとうございました。
  150. 谷津義男

    谷津委員長 御苦労さまでした。  これにて両案に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  151. 谷津義男

    谷津委員長 これより討論に入ります。  両案中、特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案についてのみ討論の申し出がありますので、これを許します。瀬古由起子さん。
  152. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 私は、日本共産党を代表いたしまして、ただいま議題となっております特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案について反対討論を行います。  本法案の対象となっております総理、国務大臣や高級官僚を初めとするほとんどの特別職国家公務員給与は、一般勤労者の賃金、収入と比べても現状でも高額であり、一年間の先送りをしたとしても、一般職に準じて引き上げること自体、長期の不況と低賃金に苦しむ国民勤労者の理解を得られるものではありません。  また、特別職国家公務員には多数の委員会審議委員の報酬月額も含まれておりますけれども、この金額も大変高額であり、勤労者の生活実態から見ても、一層の引き上げは賛成できません。  以上の点から、本法案に反対して、討論といたします。  ありがとうございました。
  153. 谷津義男

    谷津委員長 これにて討論は終了いたしました。     ―――――――――――――
  154. 谷津義男

    谷津委員長 これより採決に入ります。  まず、一般職職員給与に関する法律及び一般職任期付研究員採用給与及び勤務時間の特例に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  155. 谷津義男

    谷津委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  156. 谷津義男

    谷津委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     ―――――――――――――
  157. 谷津義男

    谷津委員長 この際、ただいま議決いたしました一般職職員給与に関する法律及び一般職任期付研究員採用給与及び勤務時間の特例に関する法律の一部を改正する法律案に対し、穂積良行君外五名から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を聴取いたします。佐々木秀典君。
  158. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 ただいま議題となりました自由民主党、新進党、民主党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び太陽党の各派共同提案に係る附帯決議案につきまして、提案者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     一般職職員給与に関する法律及び一般職任期付研究員採用給与及び勤務時間の特例に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、人事院勧告制度労働基本権制約代償措置であることにかんがみ、公務員給与改定については、人事院勧告を尊重する姿勢を堅持し、完全実施するよう努めること。  本案の趣旨につきましては、当委員会における質疑を通じて既に明らかになっていることと存じますので、説明は省略させていただきます。  よろしく御賛同くださいますようにお願い申し上げます。  以上です。ありがとうございました。
  159. 谷津義男

    谷津委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  160. 谷津義男

    谷津委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、総務庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。小里総務庁長官
  161. 小里貞利

    小里国務大臣 ただいまの一般職職員給与に関する法律及び一般職任期付研究員採用給与及び勤務時間の特例に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきましては、その御趣旨に沿い、努力してまいりたいと存じます。  どうもありがとうございました。
  162. 谷津義男

    谷津委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任いただきたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  163. 谷津義男

    谷津委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     〔報告書は附録に掲載〕
  164. 谷津義男

    谷津委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十二分散会      ――――◇―――――