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1997-12-24 第141回国会 衆議院 逓信委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十二月二十四日(水曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 坂上 富男君    理事 住  博司君 理事 野田 聖子君    理事 古屋 圭司君 理事 山口 俊一君    理事 河合 正智君 理事 河村たかし君    理事 小沢 鋭仁君 理事 矢島 恒夫君       石崎  岳君    大石 秀政君       佐藤  勉君    坂井 隆憲君       阪上 善秀君    園田 修光君       竹本 直一君    中谷  元君       野中 広務君    赤松 正雄君       石垣 一夫君    遠藤 和良君       神崎 武法君    原口 一博君       横光 克彦君    小坂 憲次君  委員外出席者         警察庁刑事局捜         査第一課長   松尾 好將君         厚生大臣官房障         害保健福祉部長 田中 慶司君         神保健福祉課長         通商産業省産業         政策局製品安全         課長      古賀 洋一君         郵政政務次官  中谷  元君         郵政大臣官房長 天野 定功君         郵政省放送行政         局長      品川 萬里君         参  考  人         (株式会社テレ         ビ東京代表取締         役社長)    一木  豊君         参  考  人         (東映動画株式         会社東映アニ          メーション研究         所担当取締役) 山口 康男君         参  考  人         (埼玉医科大学         精神医学講座教         授)      山内 俊雄君         参  考  人         (社団法人日本         民間放送連盟専         務理事)    酒井  昭君         参  考  人         (日本放送協会          専務理事)   河野 尚行君         参  考  人         (株式会社テレ         ビ東京専務取締         役編成局長) 岡  哲男君         逓信委員会調査         室長      丸山 一敏君     ————————————— 委員の異動 十二月二十四日  辞任         補欠選任   越智 伊平君     大石 秀政君  吉田左エ門君     阪上 善秀君 同日  辞任       補欠選任   大石 秀政君     越智 伊平君   阪上 善秀君    吉田左エ門君     ————————————— 十二月十二日  一、逓信行政に関する件  二、郵政事業に関する件  三、郵政監察に関する件  四、電気通信に関する件  五、電波監理及び放送に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  逓信行政に関する件(テレビ東京系アニメ番組  「ポケットモンスター放映問題について)      ————◇—————
  2. 坂上富男

    坂上委員長 これより会議を開きます。  逓信行政に関する件、特にテレビ東京系アニメ番組ポケットモンスター放映問題について調査を進めます。  本日は、参考人として株式会社テレビ東京代表取締役社長一木豊君、同専務取締役編成総局長岡哲男君、社団法人日本民間放送連盟専務理事酒井昭君、日本放送協会専務理事河野尚行君、埼玉医科大学精神医学講座教授山内俊雄君及び東映動画株式会社東映アニメーション研究所担当取締役山口康男君、以上の方々に御出席をいただいております。  なお、本日出席予定しておりました東京都立神経病院神経小児科医員繁友律子君は、急病のため出席できないとの申し出がありました。御了承願います。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を述べていただきたいと存じます。  次に、議事の順序について申し上げます。  まず、一木参考人から十分程度意見をお述べいただいた後、郵政省厚生省から順次説明を聴取いたします。その後、委員からの質疑に対しお答えをいただきたいと存じます。  なお、念のため申し上げますが、参考人委員長の許可を得て御発言を願います。また、委員に対しましては質疑ができないこととなっておりますので、あらかじめ御承知おき願います。  それでは、一木参考人にお願いいたします。
  3. 一木豊

    一木参考人 テレビ東京社長一木豊であります。本日は、「ポケットモンスター事件参考人として出席をしております。  十分程度ということでございますので、早速、今回の事態について、経緯内容その他我が社がとった対策等を簡単に御説明をいたしたい、こう思います。  その前に、不測事態、我々にとってはまことに不測事態と言うしかないのでありますが、不測事態とはいえ、テレビごらんになった多数の方々に非常に健康に影響を及ぼすというような事態を惹起いたしまして、特にいたいけなお子さんたち被害が多かったということについて、衷心よりおわびを申し上げます。また、まだ入院されている方もおりますので、一日も早く退院されて、御快癒されることを祈念いたしますとともに、原因究明について全力を挙げてこれから取り組んでまいりたい、こう思っております。  今回、事件のもととなりました「ポケットモンスター」、アニメ番組でありますが、これはそもそも九六年に任天堂テレビゲームとして発表されたものでございます。  サトシという主人公がおりまして、それがポケモン図鑑といいますか、全百五十種類余モンスター図鑑を完成するために全国を、全国というか宇宙全体を旅する。旅をしながら、さまざまなモンスターをとらえて、それを育成して、その中で、たまごつちのようにほかのものに変えていくとか、またある場合はそのモンスターと戦いをして、そういう紆余曲折を経ながら図鑑を完成していくというゲームでありまして、これがほかのゲームボーイ通信が可能であるとか、友達同士で対戦ができるとか、モンスターの交換が可能であるとかということで非常に人気を博したものであります。  我が社の場合はアニメをかなり重視しておりまして、例年、アニメでは高い視聴率をとっておりましたが、この「ポケットモンスター」につきましては、これまでの実績から、任天堂さんの方より小学館プロダクションを通じて話がございまして、九六年、昨年の末、アニメ化を決定したということでございます。ことしの四月一日より、火曜日十八時三十分から十九時の三十分間を放送枠としてスタートいたしました。  アニメ放送になってから、野っ原とか森の中にいるモンスターを探し出して、それを育成したりとらえたりというようなこともあり、どんどんつけ加えましたりして、作者の意図の中には映像を通じて自然に親しんでもらうというようなことができればなというようなことがあったように思います。  それがある程度奏功いたしまして、また、中に出てくるピカチュウとかミュウとかいうモンスターがおるわけでございますが、そのかわいらしさというのが特に小学校低学年のお子さん方に非常な人気を博して、視聴率がウナギ登りに上がってきた。系列六局で、これは同時マイクロ放送しておりますが、視聴率は平均で一四%、最高の場合は、十一月十一日には一八二%を記録するという我が社の番組としてはドル箱番組になっておりました。今回問題となりました第三十八話につきましては、これは十二月十六日に放映いたしましたものですが、視聴率は一六・五%。これは概算で申しますと、これはあくまでTX系列中心にはかったものでありますが、全国で四百十四、五万世帯関東だけで申しますと二百四十五万世帯程度。なお、ビデオリサーチの個人視聴率調査によりますと、関東では四歳から十二歳までのお子さん百六十五万人がこれをごらんになったという計算でございます。  これまで、三十七話まで極めて順調にまいったわけでございますが、この問題になった三十八話というのは、コンピューター系モンスターであるポリゴンというものと主人公などが要するにコンピューターの中で新しい敵と遭遇し戦うという設定になっておりまして、その中で敵が発したミサイルピカチュウというモンスターが電撃的にこれを打ち落とすというイメージでございます。  コンピューターの中ということのイメージを強調するためにかなりスピード、フラッシュというものが多用されまして、赤と青の一こまが百回交代して、ちょっと見ていると画面のほとんどが赤と青になるというような画面が現出する、それからさらに出口でミサイルが爆発して、赤と青に光った後で真っ白な閃光が出る。これが十八時五十一分三十四秒から約四秒間続いたわけでございまして、その間に、ほとんどのこの被害に遭われた方はこの四秒間のショックで被害を受けておられるということでございます。  普通、この三十八話も含めまして、制作会社から作品が納入されますと、会社プロデューサーがこれをプレビューいたしまして、内容その他に問題がないかということをやってから放映するわけでございますが、この三十八話につきましても、当該のプロデューサーがこれをプレビューをした結果、問題なしとして放映をしたものであります。  これについては、後刻、そのプロデューサー初め映画部それから技術部関係の社員にこれを問いただしましたところ、アニメゲームという中では光の発信ぐあいによって被害が出るということは承知しておった。それからまた、一部の人は、知識としては、イギリスなどで何かテレビがひっかかったようなことがあったというような知識もかすかにはあった。しかし、現実に今やっているテレビでこういう技術作法の問題が害を及ぼすようなことになるということはつゆ思い至らなかった。と申しますのは、色彩を交互に点滅させる、通称これはパカパカというのだそうでありますが、パカパカという技法は、これまで大半のアニメがこれを使っておって、むしろこれを使わなければアニメができないというようなものなんだそうであります。そういうことで、これをプレビュー段階で問題なしとして通してしまった、こういうことでございまして、この点については、後の祭りでありますが、まことに遺憾であり、我々としても深く反省しているところでございます。以上が今回のポケモン内容でございますが、事件経緯につきましては、十六日の二十時ごろ、横須賀市民病院より視聴者センターへ緊急の番組内容の問い合わせがございまして、直ちに、二十一時過ぎに映画部プロデューサーがその病院電話をかけて、初めてそういう事態があるということがわかりました。  二十三時には、関係者を招集し緊急対策を開き、まず、原因究明全力を挙げる。それから、三十八話、問題となったもののローカル放送、これは三十一局が翌日ないし翌々日に時間をずらして放映することになっておりましたので、全国の三十一カ所のローカル放送に対して放映休止を要請する。  それから、十一時過ぎから十一時半ごろに、私のところは「ワールドビジネスサテライト」というニュース番組をやっておりますが、その番組で、こういう事故が起きたということを報道するとともに、キャスターの口を通じて、皆さんビデオを撮っておられる方がございますので、ビデオも見ないようにしてほしいというようなことを徹底させました。  明けて十七日、十時に緊急対策会議を開きまして、まず、原因究明のために、医師など専門家を含めた局内調査チームを結成するということを早くやろうではないかということを決める。それから、何よりも被害者の処置が大切でございますので、正確な患者数の把握に努める。それで、患者がわかり次第、誠意を持ってこれに局として対応するという基本方針を決めまして、同じく十三時半、郵政省報告をする。十六時には記者会見で、いろいろな経緯説明して記者発表をするということでございました。  患者のことについては後刻触れますとして、この原因究明のためのチーム、お医者さんを含めたチーム、何よりもこれはまずお医者さん、いいお医者さんを入れていただくということが肝要だと考えました。たまたま時を同じくして厚生省研究班を発足させるということで、我々が当てにしておった、お願いしようと思っておったお医者さんの何人かがその厚生省の指定とぶつかった。  そのお医者さんの話では、厚生省の方から、民間のこうこうこういうものに加わってもらっては困る、こういうお話があったということでございますので、これは我々としてはなかなかお医者手当てがつかないということでございまして、十八日にたまたま民放連理事会が開かれましたので、私からその民放連理事会の席で、かくかくの理由で非常に肝心のお医者手当てがつかない、この上はまず医者の調達を含め、それから調査の全容、これはちょうどNHKもそういう事故があったというようなこともございましたので、NHKも含めていろいろな資料を出し合って民放連全体として協議してもらえないだろうか、とてもこれはテレビ東京単独ではなかなか十分な力が及ばない、この際徹底してやらないと悔いを千載に残すというようなことを申し上げて、民放連にお願いをいたしました。幸い、氏家委員長がそれはもっともであるということで、その場で緊急提案となりまして、これを民放連理事会で承認されたということでございます。  後刻、氏家氏と海老沢NHK会長との会談がありまして、NHKもこの調査委員会協力するということになったと聞いております。  それを受けて、私どもの方では、まず我々としてできることとして、技術面局内調査チームを編成する、技術面からいろいろ検討を加える。それから、これは欧州、特にイギリスでございますが、そういう先例があって、いろいろなレギュレーションというものが先行しているということなので、アメリカイギリス調査団を派遣するということで、これは一月六日にイギリス、一月十二日にアメリカにそれぞれ二人ずつの専門家を派遣、これを調査することにいたしております。  十九日には調査チームの初会合を開いて、これはアニメ全般について今の段階で考え得る暫定ガイドラインというものをつくりまして、そのガイドラインにのっとって、ほかに、私ども今リピートを含めて約二十番組アニメをやっておりますので、その全体についてそういうパカパカその他の弊害がないかというようなことについて、今ガイドラインに合わせてそれを必要とあれば手直しをしたり、審査をしているというぐあいであります。  最後に、被害者の問題でございますが、十七日、これは事件の起きた明くる日でありますが、十七日早朝から総務局中心調査をスタートさせました。この場合は、まず都道府県緊急災害対策部局救急車出動状況というものを集計いたしまして、それから、患者搬入病院をまず特定する。それが特定できた後で、それぞれ駆けつけて、被害状況を聴取して被害者の特定をするという順序で行いました。  十七日の午後三時現在には、大体三十都道府県で七百人余、入院が百三十人近くというような数がつかめました。これは、その後警察庁が発表された数字とほぼ同等、近い数字であったと思っております。  その数字に基づきまして、十八日早朝から入院患者戸別訪問を、これは系列局も動員して、全国戸別訪問をし、お見舞いをするということで、今、それをなお続けております。  このほかに、社の視聴者センターというところに電話申し出があった被害への対応、これはテレビ東京の場合で六十四件、系列全体で百三十五件という数字でございますが、テレビ東京としては、その六十四件につきまして、今日まで、お見舞いを受けていただける方にはお見舞いをするとか、治療費の問題その他についてもいろいろ話し合いをさせていただいているということでございます。  本日の今の時点入院されている方は、私どもの知る限りでは、テレビ東京TX関係一人、テレビ九州関係一人、これは九州でございますね、福岡だと思います、その計二人でございます。当初は、十二月十九日段階では十九人、二十二日段階では四人というような数字でございましたが、本日の段階、今私の知り得る段階では二人というふうになっておると承知しております。  以上、簡単でございますが、御説明を申し上げます。
  4. 坂上富男

    坂上委員長 ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。     —————————————
  5. 坂上富男

    坂上委員長 次に、政府より説明を求めます。品川郵政省放送行政局長
  6. 品川萬里

    品川説明員 テレビ東京番組の「ポケットモンスター」の事案につきまして、概要を御報告申し上げます。  今日時点まで、私どもテレビ東京側から事情を伺い、また報告も伺ったわけでありますが、その中で、事実関係、それから今後の対応等について御報告申し上げます。  お手元に資料をお届けしてございますので、これに基づきまして御説明させていただきます。  まず、この番組放送状況でございますが、アニメ番組ポケットモンスター」というタイトルで承知しております。この事案が発生しましたのが平成九年十二月十六日の十八時三十分から十九時までの番組であったというふうに聞いております。  それから、この放映状況でございますが、テレビ東京系列六局、それから予定としましては、この番組販売三十一局で行われる予定だったようでございますが、実際にはこの六局のみで、番組販売三十一局については、放送は取りやめられて、放送はされておらないということでございます。  それから、この番組を見まして病院等に運び込まれた方、これは、私ども消防庁から伺った範囲でございますけれども、十二月十七日十七時現在で、搬送件数六百八十三件、搬送人員六百八十五人というふうに聞いております。これは、消防庁さんの方ではこれが最終のデータで、その後はとっておられないということでございます。  大変な事態と私ども受けとめまして、翌日午後にテレビ東京田村常務においでいただきまして、テレビ東京側でどのように今回の事案を受けとめ、また対応されようとしているのか伺ったわけでありますが、その十二月十七日午後の時点での報告のポイントは以下の五点でございます。  一つは、今回の事態大変テレビ東京側としても重大に受けとめていること。それから、事案のケースからしまして専門家協力が必要だということで、医師、学者など外部の専門家を含む調査チームを早々に設立して、速やかに原因究明及び対応策検討するということ。それから、先ほど申し上げましたけれども、未放送の局については番組放映を行わない。次回の番組、二十三日、昨日の番組のことでございましたが、これは二十二日月曜日までに扱いを決定する。それから、調査の進展に応じて郵政省にも報告をいただく。このような御報告をいただいたわけでございます。  二ページに、その下にございますように、十七日午後の時点でいただいた報告の続き、関連で申し上げますと、二十二日を待たずに十八日に、二十三日以降の放送についてもこれは中止をするということを御連絡いただきました。先ほど一木参考人からお話がございましたように、二十二日月曜日には、民放連調査結果が出るまでこの番組は中止するというふうに承っております。  それから、十九日午前十一時に局内チームを発足されまして、制作技術面でのガイドラインを作成する、それから来年の一月十五日を目途に英米調査団を派遣し、実態調査を行い、一月末までに報告をまとめるというふうに承知しておる次第でございます。  当省の対応でございますが、私ども放送事業の健全な発展を願う立場から、この事案につきまして、やはり調査をし的確に対応する必要があるということから、また、この事案中身にかんがみまして医師等専門家の御協力を得る必要があるということから、三ページにございますように、放送視聴覚機能に関する検討会というものを設けることにいたしました。今月の二十六日に第一回の会合を開く予定でおります。そうしまして、中身から大体半年ぐらいはかかるかなという感じでございますが、大変、事は、できるだけ早く、しかるべく私ども対応がとられる必要がございますので、年度内に中間報告をこの検討会で出していただければと思っております。  なお、この検討会には民放連それからNHK側からも参加をいただきまして、十分、役所の立場政府立場、それから放送業界立場からのそれぞれの知見あるいは役割を果たしてまいろうということでおります。それから、関係省庁の御協力も得ながらこの検討会を充実させてまいりたいと思っております。  なお、この過程におきまして、イギリス等では既にこのような事案がありまして、いろいろな検討もあるようでございますので、私どもも広く内外に担当課長を派遣いたしまして調査をする予定でおります。  簡単でございますが、以上で御報告を終わります。
  7. 坂上富男

  8. 田中慶司

    田中説明員 厚生省精神保健福祉課長でございます。  事件概要、それから症状厚生省としての対応の順番に御説明を簡単に申し上げます。  各委員等も御存じのとおり、本年十二月十六日午後六時三十分より放送されましたアニメ番組ポケットモンスター」の視聴者の間で、気分不良、意識障害けいれん等発作等健康被害全国的に発生し、各地の救急医療センター等医療機関を受診したところでございます。  被害実態については、詳細は明らかでありませんが、消防庁の行った調査によれば、救急要請を行い医療機関に搬送された人数は全国で六百八十五名、最年少はゼロ歳から最年長は五十八歳の方まで被害が生じております。被害者のうち六歳から十歳の児童が百六十五名、十一歳から十五歳までの児童が四百十八名であり、低年齢層中心被害が発生したというふうに聞いております。また、医療機関に搬送された者のうち二百十八名が入院いたしましたが、全般的には症状は比較的軽微であったというふうに聞いております。  なお、消防庁による調査は、あくまで救急搬送された患者を対象にしておりますので、実際には自分で医療機関を受診された方、あるいは気分不良等を訴えても医療機関を受診しなかった者も多数おるというふうに考えられております。これらの者全体の現在の状態等については把握できておりません。  次に、症状についてでございますが、今回の事例については、その詳細については今後の調査が必要であると考えておりますが、専門家等意見を伺いましたところ、光感受性発作によるものではないかという御意見でありました。  光感受性発作のメカニズムについては、後ほど専門家から御説明もあると思いますが、光刺激を含みます知覚刺激に対しては脳のレベルでさまざまな反応が発生しますが、このうち、光感受性に対する反応に異常があることが要因の一つであるというふうに考えられております。具体的には、画面のちらつき、図形の変化、反復する閃光等刺激によって誘発されます発作でありまして、症状につきましては、場合によって意識を失ったりけいれん発作を起こしたりするということがあるということでございます。  また、これとは別に、閃光刺激とかあるいは素早く動く色模様だとか強烈な図形反転などのスクリーン映像を長時間にわたって凝視していますと、目まいとか吐き気とかあるいは冷や汗、動悸等症状兆候を自覚することがございます。これらの兆候症状というのは急に始まりまして、数分の間に症状が消滅するというものでございまして、この場合には、必ずしも先感受性発作とは言えないというふうに考えております。  光感受性発作の予防策等の保護的対応については今後の検討課題でございますけれどもテレビ等を見過ぎない、一定の距離を置いて画面を見る、部屋を明るくするといったような基本的なことが大切であるというふうに考えております。  なお、事件直後にはマスコミ報道等において光過敏性てんかんであるという報道もなされておりましたが、中にはてんかん症状を持っておられる方も含まれているとは思いますが、今回の被害者については、脳波検査等を行っててんかんの診断をするということではございませんので、てんかん発作の既往もまた不明でありますので、もう少し幅広い方々症状を発症したというふうに考えているところでございます。  次に、厚生省対応についてでございますが、お手元の資料ごらんください。  光感受性発作につきましては、今回たまたま大量の被害者が発生したところでございますが、今後とも起こり得るものでありまして、発作についての予防や発作が起きた場合の対応についての保健相談体制を整備するということが大切であるというふうに考えておりまして、厚生省としては、まず健康被害を受けた方々が各都道府県の精神保健福祉センター等において十分な相談を受けられるようにするために、都道府県・政令指定都市の衛生部局長に対しまして十二月十八日付でその旨の指導通知を発したところでございます。  精神保健福祉センターと申しますと、これは精神保健及び精神障害者福祉に関する法律において定められており、各都道府県・政令指定都市に現在五十四カ所が設置されております。精神保健福祉センターは、精神保健や精神障害者の福祉を中心に広く国民の心の健康について調査研究や相談事業等を行う施設でありまして、精神科医、精神科のソーシャルワーカー等の精神分野の専門家が配置されて、各種相談活動に従事しているところでございます。  厚生省といたしましては、引き続き、精神保健福祉センターを中心に、保健所とかあるいは医療機関関係行政機関、さらに今回の被害者等に対しまして必要な情報提供や指導を行っていきたいというふうに考えているところでございます。  また、今回の事件につきましての被害状況を把握し、その原因調査するために、厚生科学研究において光感受性発作に関する臨床研究班というものを設けまして、今月の二十六日に第一回研究班を開催したいというふうに考えているところでございます。  研究班員につきましては、現在選定作業中でございますけれども、精神科、小児科あるいは神経内科、視覚生理学のお医者さん等を中心に構成しまして、今回の事件実態の把握、それから光感受性症状の因果関係、それから光刺激の脳波等に対する影響等について早急に研究を行うことを予定しておりまして、本年度中を目途に、来年三月でございますけれども報告を出す予定でございます。  今後、本研究班の成果を精神保健福祉センターにおきます今後の相談活動や医療機関光感受性発作を起こした人たちなどへの必要な情報提供に活用してまいりたいというふうに考えておるところでございます。  また、他省庁や民間等の放送会社等において番組作成のためのガイドラインづくりを行う等の動きがあると聞いておりますけれども厚生省としても、必要な情報提供を行い、その取り組みに協力していきたいというふうに考えておるところでございます。  簡単ですが、御説明を申し上げました。
  9. 坂上富男

    坂上委員長 これにて政府からの説明聴取は終わりました。     —————————————
  10. 坂上富男

    坂上委員長 この際、委員各位に申し上げます。  先ほどの理事会の協議により、本日の質疑は、最初に各会派の代表が順次質疑を行い、次いで、各委員からの発言の申し出により、自由に質疑を行うことといたします。  それでは、質疑に入ります。古屋圭司君。
  11. 古屋圭司

    ○古屋委員 古屋でございます。  本日は、参考人の皆様方、本当に御苦労さまでございます。  それでは、質問させていただきます。  きょうは、参考人テレビ東京社長さん、あるいは説明聴取で品川局長田中課長説明されましたが、せっかくきょうおいでいただいている関係者の方で、意見陳述をされておられない方もいらっしゃいますので、まずその意見陳述を兼ねて、私は、東映動画株式会社山口取締役にお伺いをしたいと思います。  三点ほどございます。  まず一点は、過去に任天堂ゲームソフトのようなもので光感受性発作あるいは光けいれんというものを起こした症状が実際に報告をされていますけれどもアニメ制作をする現場において、そういった事例を認識していたかどうか、あるいは研究していたか。また、イギリスではITCのガイダンスに従ってやっているわけですけれども、そういったものを認識しておられたか、承知しておられたか。これがまず第一点でございます。  第二点は、いわゆるパカパカとか、回数をふやしたり色を工夫することによるような特殊技術を使った場合は、通常の作成費と比べてどれぐらいその作成費に差が出るものなのか、これが第二点であります。  それから、やはり何といっても放送事業者は視聴率アップというものをねらっておりますので、そういった効果をねらってシーンを瞬間的に切りかえる技法、いわば今度のものだと思いますけれども、こういうものを使っていると思いますが、このような技法を放送事業者から強く要請されているのかどうか、これが三点目でございます。  以上三点につきまして、意見陳述も含めてお聞きしたいと思います。
  12. 山口康男

    山口参考人 東映アニメーション研究所の山口でございます。  まず、今般「ポケットモンスター」が多くの視聴者に体調異常をもたらしたことに対しまして、同じアニメの制作に携わる者といたしまして大変遺憾であり、心よりお見舞い申し上げます。  日本でアニメが初めて映画として制作、公開されましたのが一九一七年、大正六年、今から八十年前でございます。それから、テレビという媒体でアニメーションが初めて登場いたしましたのが昭和三十八年、一九六三年、今から三十四年前ということになります。その間、御質問にありましたような本件のような視聴者の方が体調異常を来し、しかも病院にまで運ばれて治療を受けたという例は全く聞いたことがございません。それだけに大変な驚きを禁じ得ません。  放送されましたポケモンパカパカする部分ということでありましたが、これは赤と青の背景画が強い輝度を持ちまして激しく点滅している箇所が続いておりました。この部分に一番反応したのではないかというふうに言われておりますが、ただいま御指摘にありましたイギリスのITCのガイダンスを見ますと、色がパカパカする分には問題がないのだというふうな記述がありまして、これも大変ショックを受けております。  通常、テレビアニメ画面の撮影というのは、背景画やセル画などのいわゆる被写体に照明を当てまして映すわけでございますけれども、このパカパカというのは透過光という手法によるものでございます。この透過光というのは、反射光ではなく光源そのものを被写体として撮影いたします。このように撮影いたしますと、その部分が露出オーバーの状態になりまして、画面効果といたしましてはその部分がまぶしく光り輝いて見えるわけでございます。例えば、星が瞬くとかまばゆい太陽の表現、それから雷の稲光、水面のぎらつきなどの画面効果が得られるわけでございまして、この技法は、アニメが始まって以来もう何十年も前から行われているアニメ撮影技術のごく初歩的かつ一般的な手法でございます。  一九七〇年代に入りまして、いわゆるSFアニメというのが盛んに制作、放映されるようになりまして、いわゆるロボット物などの戦闘シーンなどにおきまして、光線ビームとかあるいは激しい爆発が行われるとかそういった部分あるいはまた宇宙船とかのコンピューターの計器パネル、そういった場面の表現に多用されるようになってきたように認識しております。それから最近では、魔法物でありますとか怪奇物、それから異世界物はもちろん、スポーツ物とか学園物とかいったジャンルのアニメーション作品でも利用されるようになってきております。今では、一本のアニメで透過光撮影のない作品はないのではないかというふうに思われるぐらい多用されております。  私どもは、アニメ作品の中でとりわけテレビアニメの作品の制作には特段の配慮をしてまいりました。なぜならば、テレビ電波というものは、性質上、広範でかつ多様な視聴者層があるという点でございます。したがいまして、特定の思想、宗教それから人種等を描く場合に不偏不党を貫くとか、職業の問題等についてもその貴賎を表現しないように配慮してまいりました。また、その時代その時代の世相に触れるテーマもあるいはまたストーリーの展開においても細心の注意をしてまいりました。  民放連が定めております放送コード、それに加えまして各テレビ局ごとの放送コードといったようなものがありまして、それを十分参考にいたして制作してまいりました。いじめを助長したり身体的なハンディキャップ等に対する問題、それから言葉遣い、身ぶり等にも、私どもの制作では何段階かのチェック機能を持っております。  また、技術的な画面効果についてでございますが、例えば真っ黒な画面を長く表現する、あるいは真っ白な画面を長く表現するとか、十数秒間にわたって音が出ないとか、あるいは電波障害によって生じる雑音のような画面がございますけれども、こういったものをテレビアニメの中で表現しないというふうな自粛といいますか制作のマニュアルをつくっております。  一昨年でありましたか、サブリミナル効果というものを御存じかと思いますが、これは大変社会問題になったことがございまして、あるアニメシリーズの作品の放送中に、たった三十分の二秒の間でありますけれども、ある実在の人物の写真が挿入されていたわけでございます。これはよほど注意して見ていても知覚できないわけでございますけれども、しかし、その作品とは全く関係のない異種映像が入っていたというわけでございまして、これが知覚されるかどうかは当時いろいろ話題になったことがございますけれども、人間の潜在意識域の中である種の影響を及ぼすという専門家の指摘がございましたので、アニメ制作プロダクションが大変混乱を起こしたことがありました。  この影響の正式な学説が出ていないように聞いておりますけれども、私どもは、疑わしいものはこれを排除しようということで対策をとってまいりまして、二重三重のチェック機構を設けましてこれの防止に努めてまいりました。  今回のチカチカあるいはパカパカという現象は、映画とかテレビのメカニズムそのものが間欠光によって成り立っておりますので、本質的には避けられないメディアとも言えますけれども、今改めてそのことを基本的に認識し直すことが大切であると痛感いたしております。  また、アニメーションは本来、生命のないもの、動くはずのないものを生きているように、あるいは動いているように見せる媒体でございます。したがって、描かれたキャラクターは抽象化され、単純化され、戯画化され、そしてそれが線と色とによってセルロイドに転写され、必要な部分のみ意図的に動かし、そしてとめて表現するということができる大変すぐれた媒体であります。このようなアニメーションの特質によりまして、子供たち、特に幼児に最もよく知覚されやすい映像であるということが言われております。  それがゆえに、古くからアニメーションは、コマーシャル、PR映画、教育映画、そして最近ではゲーム等の分野におきましても盛んに利用されるようになってまいりました。しかし、近年、一部マニア向けの媒体等によって、過激でかつ突出した表現がもてはやされる傾向が指摘されるようになってまいりました。それが今回の問題と直接の因果関係があるかどうかは別といたしまして、この際、我々アニメの制作現場では、行き過ぎた点がないかどうかを厳密に再点検する必要を感じております。  とりあえず私ども東映動画といたしましては、緊急措置といたしまして、イギリスのITC、独立テレビジョン委員会が一九九四年の十一月に出したITCガイダンスノートの五項目を参考にいたしまして、行き過ぎた透過光表現を避けるよう、全作品の担当プロデューサー等に通達いたしまして、この問題が二度と発生しないように留意しております。また、任意団体であります動画連盟というのが九社によって結成されておりますが、そこでも独自に専門委員会を設けたという報告も聞いております。  御質問の任天堂テレビゲームの問題でございますけれども、この光過敏症の問題は私ども聞いておりましたが、このメディアが双方向メディアということでありますので、個人によって非常に差があるのかなということで、問題は承知はしておりましたが、アニメの今の態様による放送に直接つながるものとは思っておりませんでした。  それから、二番目のITCガイダンスにつきましては、私どもは、今度の問題が起きるとすぐITCからこういった資料を取り寄せまして、これをすぐ制作の現場にフィードバックしてまいっております。  それから、三番目のパカパカの特殊技術で制作費が安くできるかどうかという問題ですが、安くできる部分もございます。大半は手で一枚一枚かくものなんですが、このパカパカという技術は、カメラの撮影台の上で、アニメーターの手によらないでカメラ操作によってできるものですから、作画が間に合わないときにこれをやると、かくよりも効果があるということで多用されている面があるかと思います。しかし、非常に凝ったものについてはかいた方が早いというようなことがありまして、それは担当の演出家、各話ごとの演出家の判断に任されているように思います。以上でございます。
  13. 坂上富男

    坂上委員長 次に、河合正智君。
  14. 河合正智

    ○河合委員 新進党の河合正智でございます。  ただいまは、山口康男参考人から番組制作といった観点から貴重な御意見を賜りました。心から感謝申し上げます。  本日御列席のすべての参考人の皆様に御礼申し上げますとともに、私は、とりわけ埼玉医科大学精神医学講座教授の山内俊雄先生にぜひとも御意見をお伺いさせていただきたいと思います。  本日の朝刊各紙によりますと、USニューズ・アンド・ワールド・リポート最新号で報ぜられていることが報道されております。同誌によりますと、アメリカの「国防総省は点滅するストロボ光線を非殺傷兵器として利用することを研究」している、また「ロシアは人体機能に影響を及ぼす特定の光の配合をパソコン画面に出現させるコンピューターウイルスの開発を完了したといわれる。」と報ぜられております。  したがいまして、私は、単にこの問題というのは番組制作といった問題にとどまらない、むしろ科学技術文明が人間の生存を脅かし、生命の危険すら眼前のものにしているということに対して、人類がいかに対応するか、政府がいかに対応するかの問題ではないかと考えます。  先ほど来、一木参考人の御意見を伺っておりまして、きょうはこれは非常に大事な御意見を陳述されたことだと伺っておりました。といいますのは、三月のNHK放映の問題、そしてイギリスで一九九四年にこういう問題があるということは認識されておりましたけれども、当番組に影響があるということは考えていなかったというお話でございます。これは、今後非常に検証されていく論点だとは思います。  しかし、NHKでは静岡で起きた問題に対して部内に徹底されている、また、テレビ東京さんが民放連さんと連携をとって今後対応されていくという問題のように御意見として陳述されておりますが、このITCガイダンスというのは、私は、これが単にそういったものじゃないと認識いたしております。  といいますのは、イギリスの文化大臣のもとにITCという政府機関、商業テレビ規制監督機関として位置づけられておりまして、これは商業テレビに免許を付与し、免許制度を監視、管理する機関として、政府機関として存在しているわけでございます。民放の自主機関ではございません。  そして、そのITCでガイダンスとして示しておりますのは、「テレビ会社は、ITCとともに、この分野で主流となった医学上の意見に基づき、潜在的に有害な刺激にさらされる危険性を減らすことを目指してガイドラインを策定した。」ここに、「ITCとともに、」という文言が明確に位置づけられているわけでございます。  したがって、ここで書かれております、例えば「フラッシュするライトや急速に変化・明滅する画像が、三ヘルツ以上で変化することは、避けられるべきである。」また、「画像の大部分を占めるはっきりした規則的な模様を、表示することも避けなければならない。動いていたり、明滅している規則的な模様は特に危険である。」  今回のポケモンは、このITCガイドライン、英国基準の実に三倍を超えるという報道もけさの朝刊でなされているところでございますが、ここで最も私たちが取り組まなければいけないのは、単に国家権力から人権を守るといった観点のみならず、現在私たちが直面しておりますのは、むしろ科学技術から人間の尊厳と生存そのものを守るということも政府の役割ではないかと私は考えるところでございまして、ただいま予算編成の時期でございますが、むしろそういうところに第一優先順位で予算配分していくべき問題であると思います。  この委員会におきまして特に私が指摘して、ぜひともそれを実現させていただきたいとお訴え申し上げるのは、このITCという政府機関、こういうシステムをこの国に明確に位置づけるべきであると思います。そして、その監督機関がきちっとフォローアップして、民放連の皆様、またそこでの番組制作を通じて、成長過程にある子供そして人間そのものの尊厳を守っていくべきそのシステムを構築するために、この委員会は最も努力を傾注すべきであるとお訴え申し上げまして、山内俊雄参考人の御意見をお伺いさせていただきたいと思います。
  15. 山内俊雄

    山内参考人 埼玉医科大学山内でございます。  私は、精神医学が専攻でございますが、特に、てんかん学について長年にわたって研究してまいりましたので、ただいまの御質問にお答えいたしたいと思います。  基本的には河合理事のおっしゃるとおりでございまして、我々は、普通は、日常のごく当たり前の光の中で暮らしているわけでございますが、科学技術が進むに従って、非自然の人工的な刺激の中に暮らすことになるわけでございますので、これにつきましては、我々はいろいろの方法によって自分たちの生命あるいは生き方を守るということが求められているということにつきましては同感でございます。  ちょっと一言この際つけ加えたいのは、私どもは、長い間、てんかんという病気が光によって誘発され、刺激が引き起こされるという事実については知っておりましたけれども、今回のような、ごく一般の視聴者の中にこのような形で多数出現するということについては、余り経験もありませんでしたし、予測もしていなかったことであります。  ちょっと数字をつけ加えますと、てんかんという病気を持った人の中では、全体として二%くらいは光に過敏で発作を誘発されるということが知られておりましたし、特に幼少時、七歳から十九歳といったような報告がございますが、その中ではてんかんの患者さんの一〇%くらいがそういう光で誘発されるということは知っていたわけでございます。  ただ、イギリス報告によりますと、一般人口でいいますと十万人に一人、七歳から十九歳という年齢で区切れば数名から十名くらいの光過敏性あるいは光によって発作様の症状が引き起こされるということは知られておりましたので、先ほどの四百十五万世帯が見ていた、その中の何人が見ていたかは別でございますが、計算しますと、ほぼそのような十万人に数名といったことで計算が合うものかというふうに思っております。  一応、御答弁を終わります。
  16. 坂上富男

    坂上委員長 それでは、小沢鋭仁君。
  17. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 民主党の小沢鋭仁でございます。  私は、社団法人の日本民間放送連盟専務理事酒井さんに御質問をさせていただきたいと思います。  まず、私は、このポケモンの事例は一過性のものというふうにぜひ考えていただきたくはない、こういうふうに冒頭申し上げたいと思います。河合さんからさきに発言もありましたが、軍事兵器で、非殺傷兵器として研究もされている、こういうふうなある意味では極めて技術的、現代的な現象が、これはもちろん皆さん方は意図していなかったと思いますけれども、たまたまテレビに出てきた、こういうことだと思うのですが、これは、そういった意味がありますから、今後も起こり得る可能性があるのだという意味で、一過性のたまたま起こっただけの問題だというふうにとらえて終わってしまいたくはない、こういうことをまず申し上げておきたいと思うのです。  私の方は、この逓信委員会でもかつてから、テレビといじめの問題、こういった問題を申し上げてまいりました。そういう中で、テレビの子供に与える影響、特に悪影響をどういうふうに削除していくか、どういうふうに考えるか、これが我々にとっての課題だ、こういうふうに申し上げてきたわけでありまして、しかしながら同時に、憲法で保障されているいわゆる報道あるいは表現の自由、それはしっかり我々政治の側も守っていかなければいけない。そうなってくると、ではどうしたらいいかというと、まさに酒井さんたちがお進めいただいているような自主的な対応というものが極めて大事になるのではないですか、こういう議論がこの逓信委員会でもなされてきたと思います。  そういう中で、いわゆる民間放送連盟の放送基準等がございますね。私も、改めてそれを読ませていただいたのですが、今ここで問題になっているような、先ほどのお話にも出ているようなパカパカという技法というのでしょうか現象というのでしょうか、そういうものとか、あるいはサブリミナルであるとか、そういった問題意識を持ってこの放送基準がつくられているかというと、若干そこは、まだそこまで至る前の段階の基準ではないのか、こういう気がするわけですね。  ですから、私の質問は、この問題に関して、民間放送連盟として、今回起こった問題をきちっと受けとめていただく中で、そういった放送基準の中に現代的な課題としてそういうものを取り込んでいかれるお気持ちはあるか、私はぜひそうしていただきたい、こういうふうに思うわけでありますけれども、それを御質問させていただきます。
  18. 酒井昭

    酒井参考人 民間放送連盟の専務の酒井でございます。  最初の質問といいますか、人類の尊厳に対する科学技術文明の挑戦であるというのは、そこまで過激に認識してよろしいのかどうかわかりませんけれども、科学の進歩が映像表現を通じて子供たちに大きな影響を与えるというのはそのとおりでございますし、今回の事態につきましては、これからどういう対策を講じていったらいいのか、私ども放送基準審議会の中に倫理小委員会というものがございますけれども、そこで検討を開始しているところでございます。  ただいまの御質問の放送基準の中に入れるかどうか、これは、このパカパカといいますか、アニメの問題につきましては、これまで私どももまさかこういう事態が発生するというふうには思っておりませんでした。  放送基準の中には、青少年に対する配慮とかあるいは表現の演出の問題についての注意事項というものはございます。それから、コマーシャルに関しましても、特に、子供、青少年に対する配慮ということで留意事項というのを別項で設けております。  これは、自分が物を持っていないと何となく引け目を感じるような、そういう形の表現はやめるとか、あるいは懸賞、景品類につきまして、不当に子供たちに購買意欲を持たせるようなことはやめるとか、そういうものは留意事項にございますが、今回の事態につきまして、放送基準の中に入れていくのか、あるいは細則といいますか申し合わせ事項の中に入れていくのか、とにかく条文化することは必ずやりますけれども、どこに入れるかということについては、放送基準審議会、これは会長の直属機関でございますが、ここで審議した上で決定させていただきたい、かように思っております。
  19. 坂上富男

    坂上委員長 次に、矢島恒夫君。
  20. 矢島恒夫

    ○矢島委員 日本共産党の矢島恒夫でございます。  先ほどからの参考人からの意見陳述や、あるいはほかの委員からの質問の中で、原因とかあるいは今後の対応、対策の問題等出されてまいりまして、お答えがありました。  私は、この際、別の角度から何点かお聞きしたいと思うのです。それは、放送界には今回の事件を生み出すに至った構造的な問題があると思うのです。  二つの点でお聞きしたいのですが、時間の関係で、まず最初に一つの点だけお聞きしたいと思います。  それは、先ほど一木さんからの発言の中にございましたけれども視聴率競争という問題。端的に言って、現代の子供の文化の一つであるアニメーションが、大人のビジネス、いわゆる金もうけの手段になっているということ、つまり日本の子供文化のあり方の問題であるという点とのかかわり合いで質問させていただきたいと思います。  例えば、このポケモンというのは、ゲームやコミックなど関連する商品市場で四千億円の利益を上げているとも書かれておりました。そうしたビジネスのために、アニメは子供を画面にずっと引きつけておく、このことが要求される。そのためにはあらゆる手段が駆使される。  私が聞いた現場の関係者はこんなことも言っておりました。今やアニメは絶叫マシン化している。恐らく、光の刺激が規制されれば、新たな刺激的手法が開発されるだろう、こんなことも言っていらっしゃいました。  そうした中で、このポケモンというのは、残酷なシーン、こんなものはほとんどない。今までの、従来型の刺激手段が少ない。こういう点では、お母さん方も、安心して見られるアニメ一つだ、こう考えていらっしゃった。そのポケモンでさえ、刺激的手法とは無縁ではなくて、今回のような事件に至ったと思うのです。  そこで、テレビ東京一木さん、それから民放連酒井さんにお聞きしたいわけなのですが、今回の事件の根底には、アニメ関連ビジネスのための視聴率獲得競争、そのためのより刺激的画像づくり、こういった構造的問題があるのではないかと思うのです。つまり、アニメをビジネスの手段と見るのか、それとも子供の重要な文化と見るか、テレビ局の根本姿勢が問われている問題だと思うのです。アニメをビジネスの手段と考える限り、形を変えたいろいろな刺激的手法というものが繰り返される危険があると私は思うのです。  そこでお二人にお聞きしたいのですが、今回の事件を機に、光の刺激についてのガイドラインをつくると言われておりますが、それだけではなくて、キャラクタービジネスとの関連を改める機会にすべきだと私は思うのです。その点についてどうお考えか、お尋ねしたいと思います。
  21. 一木豊

    一木参考人 ただいまのお尋ねにつきまして、お答え申し上げます。  我々は、それは確かにアニメは重要な収入源になる番組ではございますが、アニメの占める割合というものは、やはり全体として見れば極めて一部でありまして、それから、アニメの場合は、対象がどうしても児童、子供であるということで、これは内容その他いろいろな面で間違ってとられたり、今度たまたま被害が出ましたが、そういうこともできるだけないように、万全の注意を払って常々やっております。  私どもは、アニメ放映は非常に長い歴史がございますが、いまだかつてそういう問題が起こったことはございませんし、また、内容につきましても、非常にもうけ主義一辺倒でけしからぬじゃないかというような御批判もいただいたことはございません。我々は、内容的にもかなり、そんなにためになるかと言われますと、それは娯楽的な要素も多分にございますので一概には申せませんが、もうけ主義一辺倒であるとか、どぎついとかというようなことを意図したことも、現実にそういう番組になったこともない、こういうことを確信しております。  また、今後につきましても、アニメについてはできる限りの、やはり内容が一番問題だと思いますし、今度のような技術手法につきましては、原因さえわかれば幾らでも改善できるわけでございますが、内容については、ともすれば先生御指摘のようなもうけ主義、興味主義、何とかと走ってはならないということは、常日ごろ局内、社内にも戒めておりますので、その点もこれから厳重に注意してまいりたいと思っております。
  22. 酒井昭

    酒井参考人 御指摘ございましたアニメをビジネスの手段と見るか、あるいは子供文化と見るか、私は、基本的に子供文化というふうに思っております。  日本のテレビの国産第一号は、あのときはアトムでございました。このアトムが子供たちにどれだけの夢を与えたか。手塚治虫さんの作品というのは、その後「ジャングル大帝」というのも出てまいりましたし、長編のアニメの中には、野坂昭如さんの原作の「火垂るの墓」というのもございます。  歴史的な事実を述べながら一つのストーリーを展開するという手法もありますし、幻想的といいますか、空想的な事柄を紹介していくということで、飛躍はありますけれども、子供たちに夢を与えるということからしますと、アニメ制作というのは、日本の子供文化を養成するために必要な手段であるというふうに私は思っておりますし、ビジネス手段であるかどうかは、これは結果として子供たちがそういうグッズを必要とするというニーズがあるときにこたえるということであって、当初からあくまでもビジネスというふうに考えている放送事業者はないというふうに私は思っております。  以上でございます。
  23. 坂上富男

    坂上委員長 次に、横光克彦君。
  24. 横光克彦

    ○横光委員 社民党の横光克彦でございます。  まず、郵政省にちょっと一言お聞きして、そしてその関連する質問をさせていただきたいのですが、今回のような特殊な映像によって起きた事件、これは放送法に抵触するかどうか、そこのところをまずお聞きしたいのです。
  25. 品川萬里

    品川説明員 お答え申し上げます。  今現在承知しておるところでは、私どもが承知している事実関係からいたしますと、直ちに放送法違反というところには判断いたしておりませんが、なお、それは今後、詳細、事実関係を伺いまして判断すべきところと思っております。
  26. 横光克彦

    ○横光委員 今いろいろ御質問なりお答えがあったのですが、私もいま一度、民放連酒井参考人テレビ東京一木参考人にお伺いしたいのです。  矢島委員の質問にちょっと関連するのですが、やはり、今回こういったことが起きた、一番今関係者そして我々がやらなければならないことは、まず再発の防止ですね、再発の防止。そのためには原因究明ですね。  今までのお話の中では、直接的な原因は、いわゆるパカパカである。四秒間の間に赤と青が四色、百こま点滅、これが直接的な原因だということは、ほぼ間違いないと思うのです。  私も、この前も、きょうも改めて見せてもらったのですが、すぐそばで見たら、あの赤と青のものが私には青く見えた。それでずっと下がって、もう一回見せてもらったら、今度は赤く見えた。そういった経験をしました。そして、あれは大人、我々には、それは長く見ていれば影響はあるのでしょうけれども、子供にとってはやはり相当大きな影響があったのだな、あれだけの被害者が出たわけですからね。ですから、この直接的な原因究明しなきゃならない。  しかし私は、ちょっとお尋ねしたいのは、この直接的な原因がなぜ起きたのか。いわゆるいろいろな、それが加味されてあのような映像を作成したということにつながったのじゃないか。それは、先ほど言いますように、視聴率至上主義、あるいは視聴率が一%あるいは〇・一%によって、あらゆる関連の業種がする企業戦略にまで影響を与えるということが今の映像の世界の実態だと思うのですね。そのために、いろいろな視聴者に対してショッキングな映像あるいは刺激的な映像がどんどんエスカレートしてしまう可能性がある。  ですから、放送法というのがありますね。これは、性的な、暴力的な、そういったシーンには、モラル、道徳性の面から放送法というものがあります。しかし、技術的な面では、ついそこが見過ごされているのではなかろうか。それは、子供たちをより楽しませようという映像がついエスカレートして、結果的には今回のような映像作成につながったような気がしてならないわけです。  ですから、本当にこういうことが、再発防止ということでは、技術革新が非常に進んでいるわけですから、今回のこのようなパカパカじゃなくて、いろいろな形で技術は映像の分野では進むと思うのです。そうすると、新たなこういった被害が出ないとも限らない。その根底には、先ほど言いました視聴率至上主義というものがあるのじゃないか。これに対する御認識をいま一度、民放連酒井さんとテレビ東京一木さんにお伺いしたいのです。
  27. 酒井昭

    酒井参考人 私は、順番はどうも逆だというふうにちょっと思っているのです。  映像表現における技術的な方法というのは、制作者自身が考えることでございまして、今回の事態につきましても、例えば従来も、驚きとか、雷鳴が響けばそこで光線のぐあいといいますか、パカパカするのは入ってまいりますね。私も三十八話拝見いたしましたが、距離を置いて見ている、それから明るいところで見ているということで、私自身はそんなに集中的には見ませんでしたけれども、子供にとってはどうかなという感じは持ちました。  ただ、制作者、プロデューサープレビューしたときに別にどうということもないという感覚は、大人の感覚では多分そうであろうというふうに思いますし、視聴率至上主義ということよりも、制作者の芸術的センスというか、こういうことが可能であればやってみたいという意欲は当然あると思うのですが、それが子供にとって悪い影響を及ぼしたということからすれば、これはやはり規制せざるを得ない。  そこに視聴率競争があるのかどうかというのは、制作者がそこまで考えているかどうか私にはちょっと理解しかねますけれども、先ほど子供の文化ということでお答えいたしましたとおり、制作者の中には、こういう新しい手法もあるのじゃないかということをそれぞれ放送基準を頭の中に入れながらおつくりになっているわけで、今回、最後の四秒間というのが問題になっておりますけれども、赤と青の原色を利用したということについて、私はよくわかりませんけれども、ある程度インパクトを与える映像表現として制作者は考えたのではないかというふうに思います。  ただ、その場合に、ITCのああいうコードが頭の中にあったのかどうか、その辺はわかりかねますけれども視聴率競争によって今回の事態が生じたというふうには私は思っておりません。  以上でございます。
  28. 一木豊

    一木参考人 私どもも、作者がやはり技術者としてどこまでその状況をおもしろいものにつくれるか、全くそういう面からつくったものだと解釈しております。  それについて、本来であれば、今度プロデューサー段階でこれが妥当であるか、そこまで技術でいっていいものかというところにいくわけでございますが、それがいかんせん、アニメゲーム段階では問題があるけれどもアニメ放送段階には問題ないんじゃないかという認識であったものですから、そこが手落ちだったと思います。  決して視聴率を上げるため、大体その現場の技術者それからプロダクション関係視聴率を上げるためにこれをやろうというそこまでの意識を持っている方はございませんし、仮に我々がそう言っても、それはできるものとできないものがあるわけでございますから、それはそういうふうにはまいらない。  また、視聴率至上主義ということはよく言われますが、私は、これは負け惜しみではないのでありますが、我が社は視聴率が先発各社に比べて相当低いのでありますが、視聴率で勝負する、視聴率はもちろん大切だけれども、問題は視聴質なんだ、長い目で見ればテレビの勝負は質だ、こう常日ごろから社内で言っているものでございまして、先と言われるような、とにかく追いつけ追い越せというようなことでハッパをかけるということは毛頭やったことがございません。それは、社内にもそういう意識は徹底していると確信しております。
  29. 坂上富男

    坂上委員長 次に、小坂憲次君。
  30. 小坂憲次

    ○小坂委員 太陽党の小坂憲次でございます。  私は、本日の逓信委員会で私どもが議論をすべき点というのは、責任者はだれかという点を暴き出すというようなことではなくて、むしろ今回の事件を契機として、テレビ、ラジオなど人間の視聴覚を刺激するようなこういったマスメディアの持つ潜在的な危険性というものがあるのかどうか、こういうものを検討して、この同種の、あるいはこれから発生するような観点で、今後こういうような事件が起こらないように再発防止体制を構築するにはどのようにしたらいいか、そしてまた、その際の報道の自由と表現の自由というものとの調和というものをどのように図っていったらいいか、これはやはり、お互いの認識を深めることが大切であろうとまず思っております。  このような観点から、私は、今までに認識されている幾つかのことがあります。まず第一にお答えをいただきたいと思っておりますのは、三月のNHKアニメの中でストロボ点滅シーンがあって、四人の子供が同種の、今回の光感受性発作に近いような状況が起こったということが一部報道されておりました。この点からNHKの方でとられた社内対策はある程度存じておりますが、これを民放連の方に、こういうような事例があった、こういう対策をうちはとったという報告をされたのかどうか。これは、いわゆる共通の連絡を密にしていただきたいという観点からお答えをいただきたいと思っております。  それから、今回の光感受性発作のみならず、サブリミナル効果というのも先ほどお話が出ましたが、この場合には、以前問題になったときは、これを知っていてそれを使ったという点において若干状況が違うと思っておりますが、しかし、このサブリミナル効果、あるいは光感受性発作が今回追加をされ、そして一般的には、電磁波の影響、それから低周波による影響、こういうものが人体に何らかの影響を与えるらしいということが最近言われております。  こういった一般的な不安を解消し、そしてマスメディアをもっとより高度なものに、我々身近なものとして発展させるために、こういったものを専門的に研究をする、言ってみれば、NHKと民放が共同して放送と人権等権利に関する委員会を設立されましたけれども、この同じような機構をつくるか、あるいはその中につくるか。あるいは別の方でやるにしても、独立した機関で、こういったマスメディアとして、影響を与えるのは当然マスメディアですから、広範かつ大量に生じるということがあるわけですから、こういった危険性を除去するための研究機関を設けて内外の事例を研究し、また医学的な見地から、あるいは社会科学的な見地から、あるいは精神医学的な見地から、あらゆる角度から検討して、それから生じてくる結果を放送業界アニメ業界、それぞれの関係業界に対して定期的に通知をするというようなシステムを構築すべきだ、このように思っております。  このような観点に対して、郵政省放送行政局長、そしてまた民放連の専務さん、NHKの専務さん、それぞれから御回答をいただきたいと思っております。
  31. 河野尚行

    河野参考人 NHK河野でございますが、最初の小坂委員の御質問についてお答えいたします。  ことしの三月三十一日に静岡県のお医者様からお電話をちょうだいしまして、三月二十九日の夜に子供四人がぐあいが悪くなって来院した、その原因一つNHKテレビアニメーションを見ていることが考えられるので、ぜひそのVTRを送ってほしいという電話がございました。  それで、番組の担当者はその日に直ちに番組をもう一度試写しまして、担当プロデューサーに、こういう電話があったので、まだ因果関係その他はわからないけれども、過激な映像表現は避けるように伝えました。  それで、そのVTRのことについては、医学的なことでもございますし、それから我々も因果関係をぜひ知りたいということで、病院の先生にVTRのコピーをとってお届けいたしました。  それで、四月の十一日になりまして、シナリオ会議というところで、今度は直接担当プロデューサー並びにアニメーションを制作している監督に事情を説明し、過激な映像表現は避けるよう申し合わせをいたしました。  けれども、その後、全国放送であるのにほかの場所では報告がないということ、それから先ほど来説明がありますように、この番組にとられていた手法はこれまでもアニメーション番組全体で使われていることで特別な演出手法ではないということ、それから参考資料としてVTRを送った病院の先生から、番組との関連性はわからないということ、それから子供さんはその後異常が見られないというふうなことがございまして、我々としては、番組担当者、担当部門の申し合わせで、今後注意するということを申し合わせたのですが、それをもって民放連に連絡して世の中に警鐘するまでに至らなかった。我々としては、今度のような事件にまで発展する可能性があるということを、その当時としては深く認識していなかったというのが正直なところでございます。
  32. 酒井昭

    酒井参考人 今河野さんの方からお答えがございましたように、直接的な連絡はございませんでした。  今回の事態を非常に重く見まして、NHKさんと一緒になりまして、今回、アニメーション番組に関するNHK民放連検討会というものを設置いたしました。そこでアニメ番組制作におけるガイドラインをつくりますが、技術的な面につきましてどこまで踏み込んでお話ができるか、当然、技術、制作部の人も入っていただきますので、先生おっしゃるようにBROのような組織になるのかどうか、それはまだ予断の限りではございませんけれども、十分検討させていただきたいというふうに思っております。  以上でございます。
  33. 品川萬里

    品川説明員 お答え申し上げます。  先ほど先生から御指摘ありましたけれども、おっしゃるとおり、我々は今まで放送視聴者という関係につきましては、どちらかというと放送番組中身といいますか、そういった観点からの議論が委員会の御議論でもあったかと思いまして、今回の事案のように、いわば心理学の角度からどうかとか、あるいは医学の角度からどうか、いわば視聴者の人間科学と申しますか、そういった観点からの私ども行政は行政なりの対応というのはどうあるべきかということについては十分な検討ではなかったかと思いますので、その辺、十分検討の範囲を広げ、また深めたあり方を研究してまいりたいと思います。  そういう観点でこれから検討会を開いてまいりますけれども、先生の御指摘のあった点を十分念頭に置いて検討してまいりたいと思います。
  34. 坂上富男

    坂上委員長 これにて各会派代表による質疑は一応終了いたしました。  引き続いて質疑を行いますが、質疑のある委員は、挙手の上、委員長の許可を得て発言するようお願いをいたします。それでは、質疑を続行いたします。
  35. 竹本直一

    ○竹本委員 竹本でございます。  ただいまの小坂委員の質問と少し類似した面もございますが、より詳しくお聞きする意味で発言いたします。  まず、オウム事件のときにも問題になりましたけれども、サブリミナル効果というのはその後検討されているのかどうか。特にこういった光とかあるいは特定の刺激が特定の人々にどのような影響を与えるのか。先ほど来いろいろ議論されておりますけれども、その辺の医学的、心理学的効果をきちんとやはり検証しておく必要があるのではないか。  冒頭の質問では、兵器に使っている、使おうとしている国もあるやの話もございました。日本において兵器に使うとかそんな研究をする必要は全くないと思いますけれども、少なくとも一億二千万の人が見るこういった媒体につきまして、政府としてどのような検討を今までしてきたか、そして今回の事件一つのきっかけとして、医学的あるいは心理学的そして何よりも放送行政の立場において、政府としてきっちりとした対応をやはりしておく必要があるのではないか。  そのことにつきまして、放送行政局長のマターかどうかはっきりしないところもございますけれども郵政省に第一点お聞きいたしたいと思います。  それからもう一つでございますが、これは以前の逓信委員会でも私御質問いたしましたけれども、こういったアニメで特定の技術を使ったものについては、一般の人にはそのような弊害は出ないけれども、特定の人々には必ず出る、光てんかんのような素質を持った方には過激に反応するわけでございます。同じことがポルノについてもやはり言えるわけでございまして、ケーブルテレビあるいは衛星放送、こういったところで特定の視聴者の家庭についてはポルノも流されておるわけでございます。しかし、一つの家庭には大人もおれば子供もおります。また、感受性の高い高校生もおるわけでございまして、そういったものが自由に見られるというこの行政上の環境というものをどのように考えておられるのか、この点についても放送行政局長にお聞きしたい。  それからもう一つ、同じ趣旨の質問を民放連専務理事酒井さん、それからNHK河野さんにお願いいたしたいと思います。  この質問は、要は、ケーブルテレビ等の契約をいたしますと家庭に流れるわけでございますが、流れる画面の一部について、もちろん修正、あるいは音声について修正はしておりますけれども、その辺の審査民放連あるいはNHKにおいてどのようにしておられるのか。そういう意味において、現体制がそれで十分かどうかということもお聞きしたいと思います。  以上であります。
  36. 品川萬里

    品川説明員 お答え申し上げます。  まず、一点目のサブリミナルの手法の点でございますが、今回の事案は、テレビ東京側からのお話ではこのサブリミナルの手法は使用していないということでございますので、今回の事案は別問題ではないかというふうに私ども認識しております。  サブリミナルの手法そのものにつきましては、実はこれまでも事案として問題になったことがございまして、既に民放連あるいはNHKそれぞれにおきまして、いわゆるサブリミナル手法は適当でない、あるいはこういった手法は用いないという番組基準を設けて対応しておられるというふうに承知しております。それは、それぞれ平成六年から七年にかけましてそのような方針が明確にされておりまして、私ども、その後はこの基準どおり放送されているというふうに認識しております。  なお、郵政省におきましても、この問題になった過程で、平成七年から八年にかけまして放送番組におけるサブリミナル効果に関する調査研究を行いまして、一定の報告、研究は取りまとめておるところでございます。  それから、いわゆる風俗と申しますかポルノ的な番組でございますが、CS放送につきましてはCSの協議会の中でいわばCS放送映倫とでも申しましょうか、そういった委員会をつくりまして、自主的に番組の正しい放送について対応しておられるというふうに聞いております。  以上でございます。
  37. 酒井昭

    酒井参考人 サブリミナル的な手法につきましては、昨年の段階で、民放加盟社はこれをやらないというふうに申し合わせ、理事会決定で決めております。  それから、ポルノ的なものについて、これはCS放送でございますので、民間放送連盟は地上放送放送事業者を会員にしておりまして、この会員が放送基準の遵守ということで放送しておりますので、CSのポルノにつきましてはちょっとお答えしかねますので、この辺は御了承いただきたいと思います。  以上でございます。
  38. 河野尚行

    河野参考人 サブリミナルにつきましては、NHKは、番組基準並びにそれを解説しました番組基準ハンドブック、それからさらに現場にわかりやすくしました番組ガイドラインという三つの方法でもって、そういう映像手法はとらないようにというふうにきちんと昨年から決めております。  それから、その他の番組のことですが、通常、暴力とかセックスとかそういうものについては、NHKとしましては相当厳しい基準で指導しておりますし、それから特にアニメーションの場合は子供たちが見るということがございまして、アニメ委員会とかアニメ作業部会というところで、企画の段階、キャラクターの設定の段階、それからストーリーの展開等について、そこは厳しく指導し、その中身については自信を持っておるところでございます。
  39. 河村たかし

    ○河村(た)委員 河村たかしてございます。  私は、御承知のようにNPO論者でございますので、本来はこういう問題は寄附金を中心としたNPOなんかが出て、常にいろいろな多様なチェツク、メディアウオツチドツグというのですか、そういうものが出てきてやるべきだと思っておるのですが、日本にはありませんので、ではどうしたらいいか、これはやはり国会で厳しくやらなければいかぬということになると思います。  それで、ジャーナリズムの自由というのは当然守らなければなりませんが、御承知のように、テレビについては、これは大量に伝達される、それから非常に真実性が、迫真性があるということで、放送事業者には一定の厳しい責務が課せられている、これは通説ですね。  ところで、私、今テレビ東京さんとそれから民放連さんにお伺いしたいのだけれどもテレビ東京社長さんの話を聞いておりまして、不測事態であった、それから現場はつゆ思い知らなかった、それからたまたま被害が出た、こういうふうにおっしゃられましたけれどもテレビから国民というか消費者を守る立場からすると、不測事態というのは、これはどういうことなのか。  イギリスアメリカでいろいろな指摘がある、それから学会でも報告されている、ゲームで問題が出ている、NHKも三月に何かあったはずじゃないか。これは、一体こんなことで放送事業者として社会的責任を全うしているのだろうか。テレビの責任というのは、それだけ大きいのですよ。  ですから、ちょっとお聞きしたいのは、まずテレビ東京さんには、知り得る可能性があったのかなかったのか。こういうテレビをやればこういう事態が起こるということを知る可能性があったのかなかったのか。それから、知るための努力をすべきではなかったのか。それから、社員教育なんか社内ではしているのかしていないのか。社員の話をして、つゆ思い知らなかったと言っておられますけれども、社会的責任があるなら、社内で、電波はやはり公器であるということを言っておかなければいかぬと思うのですね。そういう社員教育というものをしているのかしていないのか。それで、最後に、テレビ東京としては不測事態の発言は取り消すべきではないかということです。  それから、民放連さんにもお伺いします。  民放連さんのレポートによりますと、こういう事態が生じた問題はテレビ四十年の歴史の中で初めて生じたものである、えらい冷たいことを書いておりますけれども、今言ったように、既に英米でも指摘をされておる、それからゲームである、学会も報告している、NHKが三月に何かあったじゃないですか。そういう状況のもとで、こういった四十年の歴史で初めて生じたものであるなんて、こんな白々しいことを言っていいのですか、これも取り消すべきではないかと思います。  以上。
  40. 一木豊

    一木参考人 ただいまの河村先生の御質問についてお答えいたします。  不測事態と申し上げましたのは、これは我々にとって思いもっかなかったことであるという意味で申し上げたわけでございまして、それがイギリスでこういうことがあったではないか、NHKがあったではないか、それを不測とは何だ、こういうことでございますが、イギリスであったかどうかということは、私は、今度事件が起きて初めてITCというものがあったということがわかった。それから、NHKのものも、新聞で今度のことに関連して報道されて初めてそういうことがわかったわけでございます。  したがって、冒頭で申し上げましたように、ITCのガイドラインがあったということを私が知らないのは別としまして、そういう任に当たる技術それからプロデューサーという者がそういうことを知らなかったということは、まことにもって私は申しわけないことだと思っております。  それから、知るための努力というもの、もともとそういう認識が欠けておったわけでありますから、ちょっとでもそういうことを勉強せねばいかぬなということであれば絶えず我々も勉強したのでありましょうが、これがあくまでテレビゲームの範疇の話であると思い込んでおった節がございまして、そこに抜け穴といいますか落とし穴があったのではなかろうかと思います。  また、社員教育につきましては、私どもはあらゆる機会をとらえて、課長研修、部長研修それから一般の社員研修、いろいろな意味で、それは先ほども申し上げましたような視聴質の問題はどうかとか、いろいろな面で社員教育はやっておるつもりでございます。
  41. 酒井昭

    酒井参考人 お答えします。  発表資料で四十年の歴史というふうに書いてございますけれども、あれは民放テレビ四十数年の歴史の中でというふうに読みかえていただきたいと思います。  認識が不足しているというのは、確かにそうかもわかりませんが、テレビゲームではそういう事態はありましたし、NHKさんの三月の問題は、先ほどお答えをいたしましたように、ことしになって、後になって聞いたということでございますから、民間放送テレビではそういう事態が全くなかったということでございます。  以上でございます。
  42. 住博司

    ○住委員 自民党の住でございます。  一点お尋ねをしたいことは、この事件が発生をいたしましてから一週間、当然先ほどからITCの話も盛んに出ているわけで、まず、一木参考人とそれから酒井参考人河野参考人、簡単でいいですからお答えをいただきたいのです。  問題のシーンというものは、最後の四秒間の映像処理の問題が実を言うときっかけになったのだろうということはおおよそ蓋然性として推測できるということは皆様方のお話でわかりました。  だとすれば、こういった同じようなシーンが過去に放映された、例えば「ポケットモンスター」でも結構ですけれども、そういう番組の中でそういう映像処理が行われていたことがあったのかどうかということは、既に一週間たったのだからもうわかっているはずですね。  そのことについて、もしあったのだとすれば、それはどういうふうにするのか。それから、これからの放映分についても、恐らく毎週毎週の放映分については既に放送局の方に入っているはずですから、その点についてはどういうふうにお考えになっているのか、調査をされたのかどうなのかということも含めて、その点をお答えをいただきたいと思います。
  43. 一木豊

    一木参考人 ただいまの点は、ポケモンの既放送分、これから放送するストック分を含めまして、すべて点検をいたしました。それから、ポケモンだけでなく、先ほど申し上げましたような二十番組ございますので、そのすべてについて一応ITCの基準に照らしてどうだというようなことで検討を今鋭意やっております。  やっておりますが、今までの結果では、今度のような赤と青が百回も交錯して発作症状を起こすような激しい画面はなかった。ただ、それにやや近いような交錯して使っている部分は、確かにパカパカとかそういう手法はかなりあるので、その激しいものについて、これからやる部分で、これはもうやったものでもまたどこかへ売って再放送というケースがございますので、そういうものについては色を和らげるとか上に何かをかぶせるとか、そういう手法をとってこれを順次直していくということを今やっておる最中だと承知しております。
  44. 河野尚行

    河野参考人 この十二月十六日の翌日、NHKの技術研究所にヒューマンサイエンス部というのがございまして、そこで徹夜をして、この問題になったポケモンと、それから三月二十九日のNHKの「YAT安心!宇宙旅行」につきましてはカットごとに分析しまして、神経医学的なこととの関係はわかりませんが、どういう技術が使われたかという調査は直ちに夜を徹して行いまして、翌日報告がございました。  そこで、NHKとしましては、現在のところ、これから放送するものについては、かなり可能性が薄いものであってもその範囲を広げてチェックしておりまして、これから春先にかけてのアニメーションについてはチェックが終わっております。  それで、さらにNHKの中にアニメ検討プロジェクトという組織、それからそれと連動しまして、専門部会それから調査部会というものをつくりました。  それで、既に十二月二十二日にNHK内部の関係者は集まりまして一回目の会合を開いておりまして、これから専門部会の方には専門の先生方の御参加を願っておりますので、その三つの機能を十分働かせて、光を使った過剰演出に対してはこういうことが起きないような形で対応していきますし、外国のイギリスの例等も文化研究所並びに現地の特派員を通じて事情について調べておるところでございます。
  45. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 新進党の赤松正雄でございます。  先ほど来の今回の問題につきましてのお話を聞いておりますと、技術的手法、いわゆるパカパカというふうな技術的な問題に集約させておられるような感じがするのですが、私が先ほど事前にビデオを見させていただいたときの感じでは、もちろん大人でありますから子供の受けとめ方とは違うのでしょうけれども、恐らくストーリー、内容との連関性というものがかなりあるのではないか。子供はああいう番組、全神経を集中させて一生懸命見ておりますから、単純にああいう技術的な部分だけ取り出してやっても何のインパクトもないだろう。恐らくずっとこの三十八話にわたる、全部見た見ないにかかわらず、ストーリーとの関連性があるのではないか。  そういうふうにまず思った上で、今の観点に関しまして山内先生に、先ほどいわゆる光過敏性てんかん、それから光感受性発作の話がございましたけれども、そういう心理的な部分との関係性についてのお話を聞かせていただきたいのが一点。  それから、一木社長お話を聞いておりまして、私は、先ほど河村理事が質問したと同じことを感じまして、少し気になることがございます。  といいますのは、プロデューサーが見て問題なしと言ったというお話がございましたね。私がプロデューサーをやっていても問題なしと技術的部分については言うと思うのです。  問題は、さっき社長お話の中で、もうけ主義ではないかと指摘があったときに、ためになるとは言わないけれども、もうけ主義に走ったというものではないという確信をしているというお話がありましたけれども、そのいわゆる技術的手法の問題に関しての問題はないというのは、恐らく基準が明確にされていなかったんだろうと思うのですが、その内容について、ではどういう基準をお持ちなのか。いわゆるアニメ全般に対して、そのアニメを位置づけするのは、その内容についてある程度自信があるというお話を先ほど来おっしゃっておりますけれども、ではどういう基準を持ってその内容には問題ないと思っておられるのか、これが二点目。  あわせて、今度外国に調査団を出されるということですけれども、何を調査しに行かれるのか、その調査中身をはっきりさせてほしい。  それから三点目、NHKの方にお聞きしたいのですが、三月のことはいいのですけれども、実は千葉とか山形にも同じような問題が発生したというようなことを今回の事件があってからそういう発表をなさったようですけれども、なぜそれを今ごろになってこの事件をきっかけにしておっしゃったのか、その点についてお聞かせ願いたい。  以上、三点。
  46. 山内俊雄

    山内参考人 お答え申し上げます。  おっしゃるように、これまでは光との関係が非常に問題にされておりますが、当然、内容との関係もございまして、いわゆる情緒性の発作といったような形で情緒によって引き起こされるものもございますので、私どもはその辺も視野に入れまして、数百名に上る今回の症状発現者の中に本当に光と関係がある人はどのくらいいるのか、あるいはもう少し、自律神経系の症状を含めて情緒性の症状発現がどのくらいいるかということを厚生特別研究において検討する予定で、今プランを組んでいるところでございます。  以上でございます。
  47. 一木豊

    一木参考人 ただいまの御質問にお答えいたします。  まず、その内容についてどういうあれがあるかということでございますが、もちろん技術的なことのほかに、当然内容についてもプロデューサーがある基準に基づいてやっているわけでありまして、それはやはり、子供の射幸心をいたずらに刺激しないとか、暴力の度が過ぎないとか、倫理的な逸脱がないとか、これは我々の一般の大人の常識としてわかる、それを逸脱していないという立場で、これは検査といいますか審査をしているわけですね。それで問題がないとなればこれでいいというのがずっとやってきたことで、今度の場合も、専らその点に注意をして番組を通してしまった、こういうことでございます。  調査チームは、これは御指摘のとおり、技術的問題だけであればほぼ我々にもその今のITCの指摘、ガイドラインにある点で足りるのではなかろうかという気がしておりますが、先生御指摘のような、いろいろな国によってその内容についても基準が違うと思いますし、この際、すべてにわたって、どうせ調査をするわけでございますから、徹底的にそういうものを調べてこようではないか、それで、もうちょっと幅広い、技術に偏らないものがあるとすれば、そういうものも含めたものを民放連協力してつくっていきたい、こう思っております。
  48. 坂上富男

    坂上委員長 次に、テレビ東京専務取締役編成総局長岡哲男参考人から、補充答弁をいただきます。
  49. 岡哲男

    ○岡参考人 テレビ東京の岡でございます。  今の内容のことについてちょっと御説明させていただきたいと思います。  今回こういう問題が起きました一番の問題は映像の手法だというふうに我々は認識しております。それにつきましては、ある程度想定箇所はわかっておりまして、その辺の分析を今いたしております。したがいまして、この手法は今まで使っていない手法ではなくて、むしろ今のアニメではほとんどの番組で使っていると言ってもいいというふうに思います。  もちろん、ポケモンにおきましても、過去三十七話の中でもたびたび使用しております。したがいまして、担当のプロデューサーが事前のチェックをするにつきましては、そういうことで、特殊な新たな手法を使っているということがあればそれはチェックすると思いますが、むしろ内容についてのチェックが優先されるのだろうと思います。  内容につきましては、民放連の「放送基準解説書」というのがございます。この第三章に「児童および青少年への配慮」ということで、幾つかの具体的な事例が挙がっております。我々は、これを基本に、お子さんたちに対する番組ですから、さらにより神経を細かくして制作しておるつもりでもおります。そういう意味で、プロデューサー内容に問題ないというふうに判断したのだというふうに私は思っております。  以上です。
  50. 河野尚行

    河野参考人 三月二十九日に放送した以後の時点でございますと、静岡の一カ所からの連絡がございました。そして、十二月に入ってから、「ポケットモンスター」のことで一般に報道されてから、山形その他数県、電話がございまして、うちの子供が三月の末にこういうことがあったのは、ひよっとしたらやはりアニメーションと関係したのではないかというお尋ねがございまして、お話をよく伺って、電話番号等を控えておりますので、今後事態原因等がはっきりしましたら、追って詳しくお知らせするということになっております。
  51. 石垣一夫

    ○石垣委員 新進党の石垣でございます。  今回の一連の問題は、メディアの持つ将来の方向性について、対人間との関係について大きな警鐘をもたらした、このような受けとめ方をしてはならない、私はこう考えております。  そういう観念に立って、先ほど河合委員からも御質問がありましたけれども、いわゆる英国の商業テレビを監督するITCの存在、これについて問題がございましたけれども郵政省として、いわゆる日本製のITC、こういう設置についてどのようにお考えになっているのか、これが一点。  それから二点目は、再発防止について、民放連NHKがそれぞれ来年の三月までに一つガイドラインをつくりたい、こういう報道がなされておりますけれども、一九九四年にITCが一つガイドラインをつくりまして、そういうことが既にありながら今日までこれが無視されてきたと言われても仕方ない現状だと思うのですね。  この間、NHK民放連も、こういうITCのガイドラインについてはどういう認識を持っておられたのか。さらに、来年の三月までにガイドラインをつくられるのですけれども、その間に、いわゆるポケモンの再放送、これについてはどうされるのか、あるいはまた類似のアニメについてはどのように対処されるのか、この二点、お伺いしたいと思うのです。
  52. 品川萬里

    品川説明員 お答え申し上げます。  このイギリスのITC、独立テレビ委員会というのは、組織的には、文化・メディア・スポーツ大臣の任命する委員会ということになりまして、法律でこういったコードをつくる権限を付与されておる、いわゆる独立行政機関という性格がかなり強いと思います。これはそれぞれの、イギリスイギリスでお考えがあってこのような組織をつくられたかと思いますけれども、我が国は、議院内閣制の中でこういった組織が、特に放送の分野についてこのような組織が適当かどうかということについては、私どもとしましては、日本の国政の中ではなかなか難しい組織ではなかろうか、かように存じております。
  53. 酒井昭

    酒井参考人 九三年につくられたITCのガイドライン、これはわかっておりましたけれども、私どもの認識が甘いといいますか、イギリスではそういう方式だけれども、日本の場合には、プロデューサー、ディレクターの良心がありますので、ここまではいかないのではないか、今にして思えば非常に甘い認識で申しわけないという思いでいっぱいでございますが、これからはNHKさんと協力して、しっかりしたガイドラインをつくってまいりたい、かように思っております。  以上でございます。
  54. 河野尚行

    河野参考人 民放連協力しましてガイドラインはしっかりつくりたいと思いますが、それ以前として、先ほどお話し申し上げましたように、NHKの内部でできることは、さまざまなことの面を考えて、直ちに実行に移しているところでございます。
  55. 石垣一夫

    ○石垣委員 その間、放送はどうするのか。ガイドラインをつくるまでの間、放送はどうするのか。来年の三月までにガイドラインをつくると言っているわけでしょう。その間にポケモンとか、類似のアニメはどうするのかと聞いておるのです。答弁がないです。
  56. 一木豊

    一木参考人 私の社の立場として申し上げますが、これは民放連ガイドラインができるまでは、ポケモンについては一切放送はいたしません。  それから、他のものにつきましては、我が社の中で今その基準の策定をもう終えました。それはITCのガイドラインを主として参考にしておりますが、それに加えて少し何かあるかもしれません。私もまだ詳しく存じませんが、その基準に沿ってすべての番組をチェックして、それに当てはまるように、直せるものは直し、直せないものは放映しないという方針は確認してございます。
  57. 石崎岳

    ○石崎委員 自民党の石崎岳です。  テレビ東京の岡専務にまずお聞きしたいのです。  アニメは大体プロダクションの制作で、外部制作で完全パッケージの持ち込みだと思いますが、それをプロデューサーがチェックするのは放送に先立ってどれくらい前の時期なのか。  それから今後のこととして、今回、こういうパカパカという手法によって被害が出たわけですが、今後においてはそういう手法を抑制するということになるのかとも思いますけれども、そういうことを制作段階でプロダクションと協議をする、事前にもっと早くチェックをするというようなことになっていくのかどうかということをお聞きしたいと思います。  それから山内先生には、テレビゲームを常時やっているような子供たちと今回テレビを見ていて被害を受けた子供たちの関連、連関といったものがあるのかどうか、ありそうかどうかといったことを御質問します。
  58. 岡哲男

    ○岡参考人 アニメの制作に関しましてはいろいろな形がございますが、完全にでき上がったものを持ち込んでもらってうちでチェックするということもございます。ただ、このポケモンに関しましては企画の段階からプロデューサーがかみ込んでおります。したがって、内容のチェック、それから、そのほかもろもろの音楽づけからエフェクトの効果まですべて立ち会って作業をしておりますので、チェックという段階では最初からすべてできます。  ですから、先ほども申しましたように、今回この手法そのものが事前に非常に危険のある手法だということがもしわかっていれば、それは当然そこでチェックされただろうというふうに思いますが、今まで全くそういうことが予測できなかったということの中では、それは多少のやむを得ない部分があったのじゃないかなという気がいたします。  ただ、今回の中で一つだけ今考えて反省しなければいけないのは、従来使われていた手法ではありますが、内容的にパソコンの世界というようなことからいって、多少今までよりも量的に多いかな、あるいは今までと色が多少違ったかなということは言えるのじゃないかと思いますので、今うちの調査チームの中でも原因の追求でその辺を解明していこうというふうに思っております。  それから、今後その防止ということでございますが、先ほど社長の方からも申し上げましたが、私どもではとりあえずガイドラインが、これは民放連と今共同で作業させていただいておりますが、ガイドラインができるまで暫定的な措置ということで社内でガイドラインをつくっております。  それは、ある程度ITCの今までのデータを参考にしておりますが、例えば今回のケースでいきますと、一秒間二十四こま、二十四こまがそれぞれのこまがそれぞれの色を出していた、こういう手法でございます。これはいわゆるパカパカというような手法です。  ですから、この手法そのものは特に今まで大きな問題を起こしているわけじゃありませんが、それが今回は四秒半、こま数にして九十六こま続いたということです。これが多少長いかなということは考えられます。それから、色が赤と青を使った、これはポケモンの中でも初めてのケースでございます。この色に問題があるのかなということについても、これも研究いたします。それから、この全体的な長さが四秒半というのは、これはひょっとすると長いかな、したがって、この辺のところは今後のものについてもうちょっと短く行う、そういったような色の明るさ等を含めて十九日に暫定的なテレビ東京としてのガイドラインをうくりまして、これを現在うちのアニメを制作している全制作会社に配付いたしまして、今後の制作についてはこれの基準に沿ってもらいたい、ガイドラインができるまではこれに沿ってもらいたいということを今お願いしております。  既に上がっているものもあります。上がっているものについては、よくチェックいたしまして、もしも余りにも過激なものがあれば、部分修正してもらうか、あるいは放送のときに光のぐあいを調整することでできるか、そういうようなことで全作品について再発防止のためのチェック体制をとっております。  以上です。
  59. 山内俊雄

    山内参考人 お答えいたします。  実は、一九九三年に、イギリスでもっててんかんを持っている少年がテレビゲームをやっておりまして、その際に発作が頻発して死亡した報告がございまして、それをもとに国際的にもあるいは日本の国内でもテレビゲーム発作との関係についての研究が盛んに行われるようになりまして、国の研究の班も形成されたりしておりました。  まだ研究は終わっておりませんが、その中でわかったことは、テレビゲームをするときにいろいろの判断をしたり操作をしたりするわけですが、そういうことと関係する発作誘発はそう多くはなくて、かなりの部分が光によって誘発されるものであるといったようなことがだんだんわかってきておりますので、その意味では今回のことと共通点はかなりあるかというふうに考えております。  ただ、これまでの研究は、専らてんかんという病気を持っている患者さんについての光誘発効果の研究でございましたので、今回のような場合には、聞き及ぶところによりましたら、今まで発作もなかった方にそういう症状が出ておりますので、多少範囲を広げた研究も必要だというふうに認識しております。  以上でございます。
  60. 山口俊一

    山口(俊)委員 自民党の山口でございます。  先ほど住理事の方から質問がございましたけれども、これまでいろいろ調査なさったというふうなことで先ほども答弁ありましたね。今回のポケモン放映が、例えばお話があった四秒間に九十六こま云々、これはやはりポケモンが特にこの技法の多用というか、それはもう特定されておるわけでしょう。先ほどのお話ではそういうことであったように思うわけです。  同時に、そういうふうにいろいろ検討なさって、しかもテレビ東京さんとしていわゆるガイドラインをとりあえずおつくりになった。民放連NHK等々で三月にある程度でき上がるまでの暫定措置というふうなことではありますけれども、当然、テレビ東京さんのガイドラインにのっとったやり方をすれば大丈夫という自信を持ってやっておられると思うのですね。  そうしたことを考えた場合、お話のように、例えば「ポケットモンスター」の放映ガイドラインが出る三月までは中止というふうなことですけれども、かなりの部分そういうふうに自信を持って社内でガイドラインをつくられたのであれば、それにのっとって放映することも検討なさっていいのじゃないか。というのは、今回、このような形でもう放映中止というふうな格好になっていった場合に、かえって子供たちの間にしこりが残るというか何というか、ああ、自分が病気だったんだな等々のことも心配されますし、そこら辺はもっと自信を持ってやっていかれたらいいと思うのです。  それと、もう一点が、恐らく、これは今から、警察の方もいろいろな調査をなさっておられるというふうに聞いていますが、事実、見られた方々の中で入院をなさったというふうな方もおいでになるわけですね。そうした方々に対してテレビ東京さんとしては今後どういうふうに対応していくおつもりなのかというふうなこと。  それともう一点。やはり先ほど来、質問の中、お話の中にも出ておりましたけれども、これはもうまさにテレビというのは不特定多数を相手にかなり凶器になる部分もあるわけなんですね。同時に、テレビ会社としてもあるいは関係者の皆さん方としても、イギリス等々でそういうふうなガイドラインがあったということにもかかわらず、まず心配ないということでほとんど無視をしてこられたというふうな現実があるわけです。  しかも、こういうふうなことになった場合にはたばたやって、果たしてどこまでちゃんとした調査ができるのか、基準というのができるのか、よくわからないというふうな中で、やはり相当、例えば行政としてもいわゆるそこら辺の技術的な部分、もう少し真剣にやっていく必要があるのじゃないか。果たして放送事業者の皆さん方にすべからくお任せをして、中身は別ですよ、中身じゃなくて、今回のような問題を果たしてちゃんとクリアできるのかなというふうな心配も実はあるわけであります。  そこら辺については、郵政省の方からお話をお聞きしたい。前段に関してはテレビ東京さんの方からお話をお伺いしたいと思います。
  61. 一木豊

    一木参考人 お答えいたします。  基準を通過すれば、基準に合えばポケモンといえども放映していってもいいではないかというお話でございましたが、我々は、やはりポケモンについては、これだけの騒ぎのもとになっている被害の元凶であるということで、また、これがそのポケモンであるかといって改めてごらんになると、今までとかく見過ごしていたものでも、急になるほどというようなことがある、そういう懸念も全くなしといたしませんので、ポケモンにつきましてはやはり正直言って自信は持てません。したがいまして、基準がしっかりできるまではこれはやれない。  ほかのものにつきましては、物語の性質上、ポケモンほどのそういう光の効果とか刺激効果とかがあるものがそうございませんし、今までの例からいってもこれは大丈夫である、もちろん基準に合わせて必要であれば手直しいたしますが、ほかのものについては、その基準を見ながらやっていきたいと思っております。  それから、入院された方に対しましては、私どもの方から直接お伺いをいたしまして症状その他についてお伺いする、それでいろいろ話し合いを、お見舞いをさせていただいておるわけでございますが、まだ私どもで捕捉した以外にいらっしゃるかもしれない、それをどうやってとらえるかということも一つございます。  また、私たちが接触した中で、これまた、確かにうちは入院したんだけれども、名前も何も言いたくない、子供がちょっといじめに遭ったりするおそれもあるのでこれはもう勘弁してくれ、こういうお方もございますので、いろいろ千差万別でございますので、我が社としては、それにケース・バイ・ケースでとにかく篤実に対応し、必要なお見舞いをしていこう、こう思っている次第でございます。
  62. 品川萬里

    品川説明員 お答え申し上げます。  本件の事案は本当に視聴者の健康にもかかわることでございます。それからまた一方で、放送文化のより自由な発展というのもございまして、極めて慎重に考えるべきこととは存じます。ただ、現にこのような事案が生じたわけでございますから、拙速でなくしかしかつ慎重に、十分精力的にこの問題を検討してまいりたいと思います。  イギリスのITCのガイドラインというのが九四年の十一月に出されておりますが、今承知している限りでは九三年に、一年前ぐらいに起きた事案というのが一つのきっかけになっているようでございますので、そういったITCにおける検討状況等も見ながら、そしてまた、できるだけ関連すると思われる専門家方々にお知恵をいただきまして、郵政省における検討を進めてまいりたいと思っております。
  63. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 私は、警察庁、それから通産省、最後にテレビ東京に単純な質問をしますから、明確に答えてください。  まず警察庁にお伺いしますが、今回の事件についてどういう関心を持っているかということです。  一つは、刑法上の犯罪要件に該当していると思っているかどうか。これは業務上過失という問題もあるでしょうし、業務上当然予測すべきものについて配慮が足らなかった、結果として七百人ものいたいけな子供たちが病院に行くことになってしまったわけですから、そうした観点から、どういうふうに今感じていらっしゃるのか。また、きょうの質疑をお聞きになっておりますから、そういうことを通して今後さらに捜査をしていく考えがあるかどうか。こういうところについてお伺いしたいと思います。  それから、二点目は通産省ですが、もし今回のような事例がコンピューターソフトで販売されていた場合に、PL法の対象に私はすべきだと思うのですけれども、PL法の対象と考えるかどうか、こういう問題が二つ目です。  それから三点目ですけれどもテレビ東京にお伺いしたいのですけれども、やはり今回の事件の最終責任はテレビ東京にあり、これははっきりしていただかなければならない問題だと思います。その上で、いわゆる社会的責任についてどう考えるか。もう一点は、個別の被害者に対する損害補償、そういうものを具体的にどう考えているのか。こういうことをお伺いしたいと思います。
  64. 松尾好將

    ○松尾説明員 御案内のとおり、今回の事案によりまして全国的に多くの子供が健康被害を受けたわけでありまして、その事実を踏まえまして、警察といたしましては、被害実態を把握するとともに、現在、犯罪構成要件に該当するかどうかも含めまして、その原因究明等のために幅広く情報収集を行っているところでございます。
  65. 古賀洋一

    ○古賀説明員 お尋ねの今回のようなソフトによる問題がPL法の対象になるかどうかという点でございますが、PL法におきましてソフトウエアは無体物ということになってございまして、これは対象になっておりません。
  66. 一木豊

    一木参考人 今度のものを放送してこういう事態を引き起こしたということについては、私どもに責任があると思っております。その社会的な責任につきましては、二度とこういうことがないような万全な対策を我が社が中心に立てることによってこれを果たしていきたいと思っております。  また、入院されている方の補償につきまして、これは先ほども申し上げましたように、個々の事例でいろいろなケースがございますので、じっくりといろいろ話し合いをさせていただいて、その過程の中で対処していきたいと考えております。
  67. 野田聖子

    ○野田(聖)委員 自民党の野田でございます。  先ほど来各委員からのお話があったのですけれども、私は、アニメということを考える中で、国内的には、子供のためのものという意識があって、割とアニメーションについては評価が低いわけですけれども、世界的に見ると、日本のアニメーション技術というのはもう群を抜いていて、多くの各国が日本に追いつけ追い越せということで頑張っているということを聞いておりますし、承知しているところであるわけです。  しかし、今回のこのポケモンのことで、逆に、日本が世界に対して誇っているアニメーションが元気をなくしてしまうということは大変残念なことでありまして、先ほど山口委員からも、やめることが解決ではない、やはりそうやってきちんと基準をチェックし、そして内容的にも問題がないものであればやっていけばいいんじゃないかということに私も賛成の立場にあるわけであります。  私の場合は「鉄腕アトム」の世代なんですけれども、最近、ことしでは「もののけ姫」が大ヒットをしたということで、私もその映画を見に行きましたけれども、やはり今、日本が元気のない中で、アニメーションというのは本当に世界から評価されているということをみずから実感したところであります。  むしろ問題なのは、先ほどもイギリスの話が随分出てくるわけですけれどもイギリスを初めとした先進国と日本の大きな違いというのは、今まで国の中で青少年保護ということについて極めて鈍感であったのではないかということなんです。  先ほど来話に出てきましたとおり、今まではアニメについても、コンテンツ、内容、暴力シーンがあるのではないかとか、いたずらに子供に対して性の刺激をあおっているのではないかというようなことも議論はされているものの、きちんとした、国民に対して日本の国としてはこういうことを守っていくよということが明らかにされていませんし、今まさに技術の面で子供たちの体に影響を及ぼすことも出てきた。  私とすれば、できればこの時期に、ガイドラインをつくることも大事ですけれども、やはり日本の国として、世界各国、先進国がもう既に努力をしているように、青少年保護、これはやはり大人の責任であって、子供がみずから自分でやることができない部分に関しては、やはり国としてもきちんと責任を持っていきたい。そういうことをやはり郵政省はもう少し、ゆっくりではなく早急に考えていくべきではないかと思っているのですが、それについて放送行政局長にお尋ねしたいと思います。
  68. 品川萬里

    品川説明員 今まで青少年対策と申しますか、今回は青少年といいましても児童生徒といいましょうか、その年代のことでございました。確かに今までもいろいろな委員会等でもまさに内容、暴力的な場面がどうであるとかということは議論になったことはございますが、先ほどもお答え申し上げましたように、青少年の視覚、知覚、そういった生理的な面、健康の面と放送というものの関係はどうなのかということについては、必ずしも十分な検討というものはなされてこなかったということが私ども一つの今回の得られた貴重な教訓と申しますか、反省事項でございます。  政府挙げて、青少年対策本部もございますし、いろいろ情報化社会における有害情報と青少年という関係も議論されておりますが、今回また新たな観点から青少年と放送という問題も研究、検討していかなければならないと思います。先生から今ございましたように、日本の映像文化の一つでございますから、拙速にわたらず、しかし現にこのような事案が起きたわけでございますので、集中的に検討してまいりたいと思います。  以上でございます。
  69. 原口一博

    ○原口委員 数点にわたり、ちょっと質問をしたいと思うのです。  まず、先ほどテレビ東京社長は、責任の所在は自分のところにあるというふうにおっしゃいましたが、この責任のとり方について、それはガイドラインをつくって、そして再発防止が責任をとるその道だということでございますが、果たしてそれで十分なのか、まず一点目の御質問でございます。  二点目は、私は専門が知覚心理学なので、郵政省にお尋ねをします。  これまでもこの委員会で何回もシミュレーションシンドロームについて、あるいはメディアリテラシーについて、メディアと子供とのかかわり方について随分議論をしてきたつもりでございます。しかし、コンテンツについては今までやってきたけれども、知覚については議論がなかったというその認識については、私は大変な不満を持っています。  また、今回のポケモンゲームは、ロールプレイングゲームですね。ですから、刺激の強さもさることながら、そこに対する子供たちの集中度、これが大変大きな影響を与えできます。これは、ただ知覚の刺激だけを問題にしていればいいものではない。むしろ、逆にそこにどれだけ子供たちが集中しているのか、あるいは画面の外の自分と画面の中の主人公とをどれだけ投影しているのか、大変大事なことだというふうに思います。  私は、郵政省が早速検討会を開かれて、六月までの期間を区切ってなさる予定で、これは開かれることは大変結構なことだと思いますが、これはまだまだスタートだというふうに思います。これからもっともっと組織的にメディアと子供たちのかかわりを検討していかなければ、また同じことが起こってくるというふうに思います。このことについて、対応をいかになさろうというのか、お尋ねをします。  それから三点目は、山内先生にお伺いします。  私は、被害者がたくさん出てきて、先ほど一木社長お話にもありましたけれども、自分たちは特殊な病気なんだ、あるいは特殊な感受性を持った人なんだ、そういうふうに子供たちが思われてしまう、この人権がどのように守られるか。あるいはまた、これを特殊な事例だというふうに決めつけてしまう、その危険性は、私は十分にあるというふうに思います。  私たち知覚心理学の世界では、ある一定のフリークエンシー、ある一定の周波数を与えてしまうとだれにでも起こる知覚障害が認められています。ですから、ここで、てんかんではないということでありますが、一つの結論めいたことで子供たち、特にこれだけ被害を受けた子供たちがさらに差別やさまざまな偏見という被害を受けることについては慎重に守っていかなければいけないというふうに思うのですが、御所見をお伺いします。
  70. 一木豊

    一木参考人 社会的責任のとり方の御質問でございますが、やはり私どもとしては、これを機会に一日も早く結論を出して、いい番組をつくっていく、安心してアニメ全体が見られる体制を整えていくということが最大の責任を果たすことになろうか、こう思っております。これで全く万全とは申しませんが、まずそこに全力を注ぐべきであると繰り返しております。
  71. 品川萬里

    品川説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生から御専門のお立場から大変貴重な御示唆、御指導を賜りまして、そうした観点も含めて、この検討会の中で検討してまいりたいと思います。  それから、長期的にいかがかということでございますが、これは最終的には国会で御審議いただいてのことを待たなければなりませんけれども、十年度の予算におきまして、視聴者政策と申しましょうか、視聴者保護政策の観点から十分研究を深めていこう。特に、これは先ほどお話もございましたように、これから映像文化の国際交流の時代でございますから、我が国の中でどうかということだけではなくて、広くアメリカあるいはヨーロッパ各国との間のこういった番組交流についての、そのためのいろいろな必要な条件整備等についての研究もしてまいろうというふうに考えておりますので、この問題につきましては慎重かつ迅速に対処するとともに、平成十年度においても十分な研究体制をとってまいりたい、かように存ずる次第でございます。
  72. 山内俊雄

    山内参考人 今度の事件といいますか事象を境にして、一部には自分の子供が病気ではないかといった心配、それから一方では何も起こらなかったので安心して見られる、そういう二分法が行われておりまして、ある意味ではこれは差別につながるということは御指摘のとおりだと思います。  これにつきましては、症状が出た人は一体どういうことであったのかといったことを科学的に明らかにして、皆さんが納得できるように、またこれから安心してテレビを見られるような状況をつくっていくべきだというふうに考えておりますので、厚生省の特別研究班ではその辺のことも踏まえて、大きな心理的効果というものを踏まえて、明快な答えを出せるように努力したいというふうに思っております。
  73. 坂上富男

    坂上委員長 申し上げますが、まだ質問の申し出がたくさんあるのでございますが、予定した時間を超過いたしておりますので、甚だ申しわけありませんが、これにて質疑は終了させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。  この際、参考人に一言お礼を申し上げます。  参考人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表して、厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。 本日は、これにて散会いたします。    午後零時三十九分散会