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1997-12-03 第141回国会 衆議院 逓信委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十二月三日(水曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 坂上 富男君    理事 住  博司君 理事 野田 聖子君    理事 古屋 圭司君 理事 山口 俊一君    理事 河合 正智君 理事 河村たかし君    理事 小沢 鋭仁君 理事 矢島 恒夫君       石崎  岳君    木村 義雄君       河本 三郎君    佐田玄一郎君       佐藤  勉君    坂井 隆憲君       園田 修光君    竹本 直一君       中谷  兄君    野中 広務君       船田  元君   吉田左エ門君       石垣 一夫君    遠藤 和良君       神崎 武法君    永井 英慈君       原口 一博君    福留 泰蔵君       伊藤 忠治君    横光 克彦君       岩國 哲人君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 自見庄三郎君  出席政府委員         郵政政務次官  中谷  元君         郵政大臣官房長 天野 定功君         郵政省通信政策 木村  強君         郵政省放送行政          局長      品川 萬里君  委員外出席者         文化庁文化部         著作権課長   板東久美子君         会計検査院事務         総局第四局長  牛嶋 博久君         参  考  人         (日本放送協会          会長)     海老沢勝二君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事・技師         長)      長谷川豊明君         参  考  人         (日本放送協会          専務理事)   河野 尚行君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     石渡 和夫君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     酒井 治盛君         参  考  人         (日本放送協会         理)      松尾  武君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     芳賀  譲君         参  考  人         (日本放送協会         総合企画室〔経         営計画〕局長) 中里  毅君         参  考  人         (日本放送協会         経理局長)   笠井 鉄夫君         逓信委員会調査         室長      丸山 一敏君     ――――――――――――― 委員の異動 十二月三日  辞任         補欠選任   越智 伊平君     佐田玄一郎君   大島 理森君     河本 三郎君   赤松 正雄君     福留 泰蔵君   小坂 憲次君     岩國 哲人君 同日  辞任         補欠選任   河本 三郎君     大島 理森君   佐田玄一郎君     越智 伊平君   福留 泰蔵君     赤松 正雄君   岩國 哲人君     小坂 憲次君     ――――――――――――― 十一月二十五日  郵政事業現行経営形態堅持に関する請願(逢  沢一郎紹介)(第七五六号) 十二月一日  郵政事業現行経営形態堅持に関する請願(小  坂憲次紹介)(第八八七号)  同(堀込征雄紹介)(第八八八号)  同(小川元紹介)(第九八一号) 同月三日  郵政事業現行経営形態堅持に関する請願(宮  下創平君紹介)(第一〇五九号)  同(北沢清功紹介)(第一二〇二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十一月二十六日  高度情報化対策の推進に関する陳情書外三件  (第一三四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  日本放送協会平成年度財産目録貸借対照表  及び損益計算書  日本放送協会平成年度財産目録貸借対照表  及び損益計算書      ――――◇―――――
  2. 坂上富男

    坂上委員長 これより会議を開きます。  日本放送協会平成年度財産目録貸借対照表及び損益計算書日本放送協会平成年度財産目録貸借対照表及び損益計算書の両件を議題とし、審査に入ります。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両件審査のため、本日、参考人として日本放送協会出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 坂上富男

    坂上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 坂上富男

    坂上委員長 まず、郵政大臣から説明を聴取いたします。自見郵政大臣。     —————————————  日本放送協会平成年度財産目録貸借対照表及び損益計算書  日本放送協会平成年度財産目録貸借対照表及び損益計算書     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  5. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 ただいま議題とされました日本放送協会平成年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書並びに監事意見書国会提出につきまして、その概略を御説明申し上げます。  これらの書類は、放送法第四十条第三項の規定により、会計検査院検査を経まして国会に提出するものであります。  日本放送協会から提出されました平成年度財務諸表によりますと、平成七年三月三十一日現在、一般勘定につきましては、資産合計は五千七百二十一億九千百万円で、前年度に比し百七億六千二百万円の増加となっております。  これに対しまして、負債合計は二千二百六十三億四百万円で、前年度に比し四十五億一千万円の減少となっております。  資本合計は三千四百五十八億八千七百万円で、前年度に比し百五十二億七千二百万円の増加となっております。  資産内容は、流動資産一千三百六十三億九千六百万円、固定資産四千百六十九億八千五百万円、特定資産百八十八億八百万円であり、負債内容は、流動負債一千三百七十七億三百万円、固定負債八百八十六億百万円となっております。  また、資本内容は、資本二千七百四十億五百万円、積立金五百六十六億九百万円、当期事業収支差金百五十二億七千二百万円となっております。  受託業務等勘定につきましては、資産合計負債合計とも、六百万円となっております。  次に、損益について御説明申し上げます。  一般勘定につきましては、経常事業収入は五千六百八十一億五千百万円で、前年度に比し百十八億七千百万円の増加となっております。  これに対しまして、経常事業支出は五千五百二十八億二千八百万円で、前年度に比し三百一億四千万円の増加となっております。  この結果、経常事業収支差金は百五十三億二千三百万円となり、これに経常事業外収支差金二十五億一千二百万円の欠損を加えた経常収支差金は百二十八億一千百万円となっております。  これに特別収入四十億一千八百万円を加え、特別支出十五億五千六百万円を差し引いた当期事業収支差金は百五十二億七千二百万円となっております。  受託業務等勘定につきましては、経常事業収入は五億三千五百万円であり、これに対しまして、経常事業支出は四億三千九百万円となっております。  この結果、経常事業収支差金は九千五百万円となり、これに経常事業外収支差金一千五百万円の欠損を加えた当期事業収支差金は七千九百万円となっております。  なお、監事意見書におきましては、監査の結果、財務諸表は、日本放送協会財産及び損益状況を正しく示しているものと認めるとされております。  引き続きまして、日本放送協会平成年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書並びに監事意見書国会提出につきまして、その概略を御説明申し上げます。  これらの書類は、放送法第四十条第三項の規定により、会計検査院検査を経まして国会に提出するものであります。  日本放送協会から提出されました平成年度財務諸表によりますと、平成八年三月三十一日現在、一般勘定につきましては、資産合計は五千九百三十一億四千九百万円で、前年度に比し二百九億五千七百万円の増加となっております。  これに対しまして、負債合計は二千四百四十二億六千万円で、前年度に比し百七十九億五千六百万円の増加となっております。  資本合計は三千四百八十八億八千八百万円で、前年度に比し三十億円の増加となっております。  資産内容は、流動資産一千五百八十億一千五百万円、固定資産四千百七十三億七千七百万円、特定資産百七十七億五千六百万円であり、負債内容は、流動負債一千五百五十一億六百万円、固定負債八百九十一億五千四百万円となっております。  また、資本内容は、資本二千八百八十五億九千五百万円、積立金五百七十二億九千二百万円、当期事業収支差金三十億円となっております。  受託業務等勘定につきましては、資産合計負債合計とも、六十三万円となっております。  次に、損益について御説明申し上げます。  一般勘定につきましては、経常事業収入は五千七百八十三億八千三百万円で、前年度に比し百二億三千百万円の増加となっております。  これに対しまして、経常事業支出は五千七百二十六億三千八百万円で、前年度に比し百九十八億一千万円の増加となっております。  この結果、経常事業収支差金は五十七億四千四百万円となり、これに経常事業外収支差金十三億一千五百万円の欠損を加えた経常収支差金は四十四億二千九百万円となっております。  これに特別収入六億七千七百万円を加え、特別支出二十一億六百万円を差し引いた当期事業収支差金は三十億円となっております。  受託業務等勘定につきましては、経常事業収入は三億一千六百万円であり、これに対しまして、経常事業支出は二億六千万円となっております。  この結果、経常事業収支差金は五千六百万円となり、これに経常事業外収支差金八百万円の欠損を加えた当期事業収支差金は四千七百万円となっております。  なお、監事意見書におきましては、監査の結果、財務諸表は、日本放送協会財産及び損益状況を正しく示しているものと認めるとされております。  以上のとおりでございますが、何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。
  6. 坂上富男

    坂上委員長 次に、補足説明を聴取いたします。日本放送協会会長海老沢勝二君。
  7. 海老沢勝二

    海老沢参考人 ただいま議題となっております日本放送協会平成年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並び監事意見書概要につきまして御説明申し上げます。  まず、一般勘定当年度末の資産総額財産目録貸借対照表で見ますと五千七百二十一億九千百万円で、この内訳は、流動資産一千三百六十三億九千六百万円、固定資産四千百六十九億八千五百万円、特定資産百八十八億八百万円、このうち固定資産内容は、建物一千百六十一億四千五百万円、土地二百四十億二千百万円、機械及び装置一千二百三十四億四千四百万円、放送衛星百八十八億二千三百万円、その他の固定資産一千三百四十五億五千万円でございます。  当年度資産総額を前年度末と比較しますと、百七億六千二百万円の増加となっておりますが、これは建設計画に基づく衛星放送設備番組制作設備整備等によるものでございます。  一方、これに対する負債総額は二千二百六十三億四百万円で、この内訳は、流動負債一千三百七十七億三百万円、固定負債八百八十六億百万円、このうち固定負債内容は、放送債券三百九十一億八千万円、長期借入金百七十九億二千百万円、退職手当引当金三百十五億円でございます。  当年度負債総額を前年度末と比較しますと、四十五億一千万円の減少となっておりますが、これは長期借入金減少等によるものでございます。  また、資本総額は三千四百五十八億八千七百万円で、この内訳は、資本二千七百四十億五百万円、積立金五百六十六億九百万円、当期事業収支差金百五十二億七千二百万円でございます。この資本総額は前年度末と比較し、百五十二億七千二百万円の増加となっております。  次に、受託業務等勘定について見ますと、当年度末の資産総額及び負債総額は、それぞれ六百万円でございます。  次に、損益計算書について申し上げます。  まず、一般勘定経常事業収支について見ますと、受信料等経常事業収入は五千六百八十一億五千百万円で、前年度と比較し、百十八億七千百万円の増加となりました。  これは主として、受信契約維持増加に努めた結果によるものでございます。  なお、有料受信契約件数は、三十一万件増加し、当年度末には三千四百十二万件となりました。  次に、経常事業支出は五千五百二十八億二千八百万円で、この内訳は、国内放送費二千百六十九億二千七百万円、国際放送費四十五億七千六百万円、契約収納費五百十六億七千九百万円、受信対策費十六億二千九百万円、広報費二十六億六千四百万円、調査研究費七十二億四千六百万円、給与一千四百三十七億円、退職手当厚生費四百七十七億五百万円、一般管理費百三十二億七千五百万円、減価償却費四百七十五億九千三百万円、未収受信料欠損償却費百五十八億二千九百万円となっております。  これは前年度と比較し、三百一億四千万円の増加となりましたが、主として、放送番組充実に伴う事業運営費増加等によるものでございます。  以上の結果、経常事業収支差金は百五十三億二千三百万円となり、これに経常事業外収支差金二十五億一千二百万円の欠損を差し引いた経常収支差金は百二十八億一千百万円であります。さらに、特別収入四十億一千八百万円を加え、特別支出十五億五千六百万円を差し引いた当期事業収支差金は百五十二億七千二百万円となりました。このうち、債務償還に充てた資本支出充当は百六億七千二百万円、建設積立金繰り入れば三十一億三千八百万円であり、事業収支剰余金は十四億六千二百万円であります。  なお、この事業収支剰余金は、翌年度以降の財政安定のための財源に充てるものであります。  次に、受託業務等勘定経常事業収入は五億三千五百万円で、経常事業支出は四億三千九百万円となりました。  その結果、経常事業収支差金は九千五百万円となり、これに経常事業外収支差金一千五百万円の欠損を差し引いた当期事業収支差金は七千九百万円となりました。この当期事業収支差金につきましては、一般勘定経常事業収入へ繰り入れております。  なお、監事意見書では、貸借対照表等は、監査の結果、協会財産及び損益状況を正しく示しているものと認めるとされております。  引き続きまして、平成年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並び監事意見書概要につきまして御説明申し上げます。  まず、一般勘定当年度末の資産総額財産目録貸借対照表で見ますと五千九百三十一億四千九百万円で、この内訳は、流動資産一千五百八十億一千五百万円、固定資産四千百七十三億七千七百万円、特定資産百七十七億五千六百万円、このうち固定資産内容は、建物一千百八十一億二千五百万円、土地二百八十五億五百万円、機械及び装置一千二百六十四億二千七百万円、放送衛星百四十三億一千百万円、その他の固定資産一千三百億六百万円でございます。  当年度資産総額を前年度末と比較しますと、二百九億五千七百万円の増加となっておりますが、これは建設計画に基づく衛星放送設備番組制作設備整備等によるものでございます。  一方、これに対する負債総額は二千四百四十二億六千万円で、この内訳は、流動負債一千五百五十一億六百万円、固定負債八百九十一億五千四百万円、このうち固定負債内容は、放送債券三百六十一億六千万円、長期借入金二百九億九千四百万円、退職手当引当金三百二十億円でございます。  当年度負債総額を前年度末と比較しますと、百七十九億五千六百万円の増加となっておりますが、これは長期借入金増加等によるものでございます。  また、資本総額は三千四百八十八億八千八百万円で、この内訳は、資本二千八百八十五億九千五百万円、積立金五百七十二億九千二百万円、当期事業収支差金三十億円でございます。この資本総額は前年度末と比較し、三十億円の増加となっております。  次に、受託業務等勘定について見ますと、当年度末の資産総額及び負債総額は、それぞれ六十三万三千円でございます。  次に、損益計算書について申し上げます。  まず、一般勘定経常事業収支について見ますと、受信料等経常事業収入は五千七百八十三億八千三百万円で、前年度と比較し、百二億三千百万円の増加となりました。  これは主として、受信契約維持増加に努めた結果によるものでございます。  なお、有料受信契約件数は、二十五万件増加し、当年度末には三千四百三十七万件となりました。  次に、経常事業支出は五千七百二十六億三千八百万円で、この内訳は、国内放送費二千二百七十五億一千百万円、国際放送費六十三億三千九百万円、契約収納費五百四十四億二千三百万円、受信対策費十八億円、広報費二十八億四千三百万円、調査研究費七十八億八千三百万円、給与一千四百五十億九千百万円、退職手当厚生費四百六十億九千八百万円、一般管理費百三十六億四千八百万円、減価償却費五百八億五千八百万円、未収受信料欠損償却費百六十一億四千万円となっております。  これは前年度と比較し、百九十八億一千万円の増加となりましたが、主として、放送番組充実に伴う事業運営費増加等によるものでございます。  以上の結果、経常事業収支差金は五十七億四千四百万円となり、これに経常事業外収支差金十三億一千五百万円の欠損を差し引いた経常収支差金は四十四億二千九百万円であります。さらに、特別収入六億七千七百万円を加え、特別支出二十一億六百万円を差し引いた当期事業収支差金は三十億円となりました。  なお、この当期事業収支差金は、翌年度以降の財政安定のための財源に充てるものであります。  次に、受託業務等勘定経常事業収入は三億一千六百万円で、経常事業支出は二億六千万円となりました。  その結果、経常事業収支差金は五千六百万円となり、これに経常事業外収支差金八百万円の欠損を差し引いた当期事業収支差金は四千七百万円となりました。この当期事業収支差金につきましては、一般勘定経常事業収入へ繰り入れております。  なお、監事意見書では、貸借対照表等は、監査の結果、協会財産及び損益状況を正しく示しているものと認めるとされております。  これをもちまして、概要説明を終わらせていただきますが、今後の協会経営に当たりましては、公共放送としての使命と責務を深く認識し、放送事業の一層の発展に努力してまいる所存でございます。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  8. 坂上富男

    坂上委員長 次に、会計検査院当局から検査結果について説明を求めます。会計検査院牛嶋第四局長
  9. 牛嶋博久

    牛嶋会計検査院説明員 日本放送協会平成年度及び七年度決算につきまして検査いたしました結果を御説明いたします。  まず、日本放送協会平成年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書等は、平成七年七月四日内閣から送付を受けましたが、その検査を終えて同年十二月七日内閣に回付いたしました。  次に、同協会平成年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書等は、平成八年六月二十五日内閣から送付を受けましたが、その検査を終えて同年十二月二日内閣に回付いたしました。  同協会の両年度決算につきまして検査いたしました結果、特に法律、政令もしくは予算に違反しまたは不当と認めた事項はございません。  以上、簡単でございますが、説明を終わります。
  10. 坂上富男

    坂上委員長 以上で説明は終わりました。
  11. 坂上富男

    坂上委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉田左エ門君。
  12. 吉田六左エ門

    吉田(六)委員 私は、委員長と同じ日本海側地域からの出身でありますし、当選をさせていただいたときに、これから向かう新しい世紀は情報がその国の何より重要な部分を占めるであろう、こう考えたのと同時に、どうしても、まあ裏日本という名称はおかげさまで何とかここのところ払拭させていただきましたけれども、これからもっともっと光の当たる地域になりたいという地域思いも込めて、逓信委員会に籍を置くべくお願いをし、それを許されて今にあります。そして、この逓信委員会で、きょうは海老沢会長にわざわざお出ていただいて、NHK決算審議ということであります。  そのNHK決算も含めて、過ぐる省庁再編のこの折のことを私は忘れるわけにはいかないのであります。と同時に、自分が夢を描いて、大きな思いを膨らませて籍を得たこの逓信という委員会の名前に少しこだわってみたいなという思いがいたします。かつて大正の、日本の国が短時間ではありますけれども弾むように、そして今とまた同じような状況で、世界に向けて国の発展を夢見たときに、逓信省なるその省庁はいかがなものだったのかなと。  私たち新潟県の飛行場、これは運輸省マターですけれども、何とかひとつ三千メートルにしてもらいたいと今一生懸命運動しているのですが、この飛行場も、かつて逓信省航空機乗員養成所として砂丘をならして始まったのがあの新潟空港の始まりであります。そして、船も当時は逓信省主管下だったと思うのですね。今のような情報時代までは当時想像もし得なかったかもしれませんけれども、こうしたもので島国日本世界に雄飛していくための何よりの省だったと私は認識しています。  私ごとを言えば大変に恐縮ですが、我が家もおじいちゃんの時代に、新潟郵便局から麻袋に入った郵便物を阿賀野川の河畔まで新発田の方向に向かって運送する請負をしていました。このときのことを運送屋と言わずに、土方が下請しているんだというのじゃなくて、このことを逓送とたしか言っているはずであります。  車で運送するような時代になって、これは土方が片手間でやる仕事じゃないということでその任は解かれたのですけれども、そうした思い、あるいはもっと言えば、働く人たちもいまだに全逓といって、やはりこの逓の字を大事にしていられます。この逓が、もともとあの郵政省の〒の字のマークは、あれは片仮名のテだというふうに私は伺っていますね。  そうすると、情報通信行政総務省へということで何とか方向が定まったように見えますけれども、実際に、我々があのときに多くの仲間と一緒に運輸通信と言って、かつての逓信を夢見はしませんけれども、あの世界規模に視野を広げた省に思いを合わせたことも、何か決して間違いでないような気がするんですね。あのときは族議員だなどと言って、心ないというか、国民を割といい方向に誘導しないマスコミからそんな呼称で呼ばれたりもしましたけれども、これは呼べば呼べ、呼びたければ呼べということで、もっともっとその運輸通信に向ける思いや情熱は高通なものであって、思想にも似たような考えでやった運動だと今でも自負しています。  それで、大臣には大変に恐縮なんですが、これからのことでなんですけれども、総務省というところで果たして座り心地はいかがなものなのかなということを一言、ひとつ伺わさせていただきたいと思います。
  13. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 吉田委員に答弁をさせていただきます。  今回の中央省庁再編の過程で情報通信行政は、まさに今先生がおっしゃいました逓信省の逓という字は、私は学者の方から、駅と駅とを結ぶネットワークだという意味の古い中国の言葉からとったという話も聞かせていただいたことがございますが、まさに今吉田委員が熱い思いで述べられましたネットワークという行政という点では、運輸行政と多くの共通点、親和点があることから、運輸通信省の創設について、本当に国を思い国家を思う大変熱心な御論議があったことは承知をいたしております。また、吉田委員もその場で大変主体的な熱い御論議をされたということは、私は政治家として大変敬意を表させていただきたいと思います。  しかし、その後の政府・与党の協議の結果、最終的には、情報通信行政に関し、郵政省の通信政策局、電気通信局、放送行政局は二局に再編し、総務省の内局とする旨の合意がされたところでございます。  言うまでもなく、まさに情報通信が大変大事だということを今吉田委員が述べられたわけでございますけれども、これは一日本だけの現象ではございません。御存じの、アメリカでもクリントン、ゴア副大統領が情報スーパーハイウェーですね、まさに新しい国家をつくろう、そしてヨーロッパでもTEN計画だ、あるいはお隣の韓国でも、あるいはシンガポールでもマレーシアでも、情報通信に対するすばらしい熱気と申しますか、息吹があるわけでございますから、そういった中で、二十一世紀の根幹となるべき重要分野でございますこの情報通信行政を、総合的、戦略的、機動的かつ一元的に、一人の大臣のもとで行政を展開すべきだ、こういうふうに思っております。  今、吉田委員から、総務省に行って一体座り心地はいかがなものか、こういう話もあったわけでございますが、そういう決定でございますから我々は従わせていただきますと同時に、総務省ということになれば、もう先生よく御存じのように、地方自治あるいは行政管理等々を今所管している官庁でございまして、行政情報化の推進あるいは地方情報化、まさに地方の時代でもございますし、地方分権の時代でもございますから、そういった意味でも地方の情報化にお役に立てるのかな、こう思うわけでございます。  また、まさに二万四千六百の郵便局の明治四年以来のネットワークがあるわけでございますから、約三千三百の市町村すべてにあるということでございますから、それらの郵便局において、まさにワンストップ行政サービスの推進、そういったところにも、総務省になれば、そういった観点において円滑にこういった行政展開もできるのかなというふうに思うわけでございます。  いずれにいたしましても、大変今回、まさに国家の中の省庁再編でございましたが、本当に献身的な実質的な熱気のある御論議をいただきまして、改めてお礼を申し上げる次第でございます。
  14. 吉田六左エ門

    吉田(六)委員 大臣、ありがとうございました。  せっかく会長においでをいただいているのに、この質問は何だというのは、やはり思いのたけが余るものですから、どこかでひとつこれは話をしてみたいなと思いつつ日夜暮らしていたものですから、結果としてちょうどこの場所ということなので申しわけないと思っています。  会長は、就任会見で二十一世紀まで受信料は上げないということを明快にされたと聞かせていただいています。そして、NHK内に改革と実行委員会を設置され、この改革と実行の名のとおり、いわゆる今の時代に即応していこうという、このことでなかろうか、そのように私は考えています。  デジタル化の推進、それから映像国際放送の拡充、これからに向けてのNHKは大変にその役が重いと考えています。そうした中にあって、みずから効率化に向けての努力をする、その姿勢を、値上げをしない、わかりやすい言葉で表現される。このわかりやすさが今NHKにも政治にも大事なことだろうと思うのですね。  そうした姿勢を見聞きしておりまして、これからに向けての会長さんの所見をもう少し聞いてみたいなという思いがしたものですから、一言お聞かせいただきたいと思います。
  15. 海老沢勝二

    海老沢参考人 今、吉田先生から、今はどういう時代か、いわゆる時代認識に基づいてNHKも改革せねばならぬだろう、そういう励ましの言葉だと思います。私、就任して四カ月たちますけれども、長い間NHKに勤め、そしてやはりNHK公共放送というものはいつの時代でも日本国民にとって必要であるし、その存在理由はあるだろうというふうに確信しております。  御承知のように、今、デジタル化の技術が進歩し、あるいはまたボーダーレス化、国際化の時代になりました。そういう時代の潮流が大きく転換をしている時代であります。そういう中で、御承知のように、今、日本の経済ひいては世界の経済も非常に足踏み状態といいますか、非常に苦しい時代を迎えている。そういう中で私ども公共放送が国民に新たな負担をかけるということは、とてもできる問題ではないだろう。そういう面で、これからデジタル化時代を迎え、また国際放送を充実するなど公共放送の使命を達成するためには、幾らあっても金が足らない時代だろうと思っています。  ただ、安易に値上げに頼るということは国民にとって非常に失礼なことでありますし、やはり我々内部の自己改革によって新しい時代に対応していかなければならぬだろう、そういう認識であります。  具体的に申しますと、今、受信料の収入は、衛星放送が順調に伸びております関係で、年二%程度の伸びであります。この受信料二%の中でどういうふうに仕事をしていくかということに尽きるわけであります。  御承知のように、二〇〇〇年にBSのデジタル化を進めようという郵政省の方針でありますし、また、郵政省の考えでは地上デジタル放送も二〇〇〇年をめどに放送のできるような体制、環境整備していこうという流れになっております。そういう中で、私ども、こういうデジタル時代に対応した施設なりあるいは番組制作能力を高めなければなりません。そういう面で、内部の改革をして、そしてその資金をデジタル時代に対応する設備に投入していきたい。そういうことで、今、十年度、十一年度、十二年度、三カ年の事業計画を練っているところであります。  そういう面で、職員に対しては厳しい対応になると思いますけれども、この辺はそういう時代認識を十分にして、国民にできるだけ負担をかけないという方針で、とりあえず二〇〇〇年までは受信料を値上げいたしません、頑張っていきますということを表明したわけであります。
  16. 吉田六左エ門

    吉田(六)委員 わかりやすく御説明いただき、それもスリム化を進めながら、しかしハイクオリティーな目標は是が非でも確立していこうという決意のほどを聞かせていただいて、安心をさせていただいたり、また期待を膨らませているわけであります。次に、NHKはどうも官僚的だというようなことをとかく耳にいたします。ですけれども、私は、テレビの画面を見たりなんかしている限りにおいては、随分と努力をしておられるなという気がします。テレビのキャスターやあるいはニュースを読む女性なんかでも、あそこまでそのことに気を配りながらという努力までせぬでもいいのになとかえって思うような部分があるのですね。しかし、これはその方向に向けてしていただいていることですから、結構だと思います。  ただ、時々、余り画面に出ない役、いわゆる割と芸術的な連中ですね、こういう人たちが、NHKの番組に何か質問なんかがあったときにそれをやりとりする番組、ああいうときにディレクターとか制作担当なんかが出てきますと、この人たちがどうもやはり時代考証の違うものに対して、この人は次には何日か後の分として出るのだけれども、同じときに撮るものだから、ついこれでわかってもらいたいというような説明をされたりするときには、ああ、そのあたりの人たちは、やはり芸術的なあるいは制作的なスタッフとか立場にあるものだから、NHKの表の顔として会長さん以下首脳部が本気に気を配っているあたりがまだ少し届き切らぬのかなというような思いがしたりするのですね。  それで、それは私の最近の雑感を申し上げたわけですけれども、会長は、公開と参加ということを標榜されて、視聴者の的確な声を吸い上げていきたいということを大表題として正面に掲げておられる。NHKの方からの営業状況のディスクロージャー、これがどんどんとオープンにされていけば、どうしてもやはりすべてがつまびらかになってくるものですから、今ちょっと私が申し上げたあたりも心するようになるのではないかな。我々がいいものをつくり、いいものを見てもらおう、それなりに職人ぼく立ち働くのだけれども、しかし、それは最後にお客様、見てくれる視聴者があるからだというところにつながっていくのではないか、そんなふうに思うのです。  これまでどのようなディスクロージャーを行ってきたのか。また今後、マスコミですからこの辺が一番難しいところだと思うのですね。ですけれども、敢然とこれに立ち向かうというあたりをちょっとお聞かせいただきたいなと思います。
  17. 海老沢勝二

    海老沢参考人 先生御案内のように、NHKというのは、国民の理解といいますか、支持と信頼によって成り立っている特殊法人であります。そういうことで、国民が株式会社に例えれば株主でありますし、協同組合に例えれば組合員であります。そういうことで、我々は、国民一人一人が我々と一緒になって番組を制作し、そしてお互いに理解し合いながら発展していく企業体だろうと思っております。  そういう面で、ディスクロージャー、今財務等の公開、あるいはいろいろな公開をできるだけしょうということで、各放送局、いろいろな事業所に財務諸表なり業務報告書なり番組審議会の審議のやりとり、いろいろなあれをだれでもいつでも見られるようにしておりますし、また、ことし四月から総合テレビで「あなたの声に答えます」という形で、いろいろな疑問、苦言、そういうものを視聴者から受けて、それに対して懇切丁寧に答える。あるいは、最近はパソコン通信なりインターネットという新しい技術も開発されましたので、そういう新しいインターネットなども使って、NHKの業務内容を知らせるようにしております。  そういうことで、我々はやはり国民の支持なくして成り立ちませんので、そういう面で、できるだけ多くの機会に、NHKの財務の状況、仕事のやり方、あるいは職員の仕事、制作の仕方などをオープンにしていきたい、そういうふうにしておりますけれども、さらに一層努力しなければならぬだろうと今痛感しているところであります。  それと同時に、我々、「のど自慢」とか「小朝が参りました」とか、いろいろな番組を地方でも、派遣番組と言っておりますけれども、やっております。それからもう一つは、私ども五十四の放送局を各都道府県ごとに持っております。そういう中で、やはり地域住民との結びつきを強化する、地域住民と一緒に仕事をする、汗を流すというような姿勢でいろいろなイベントをやっております。去年一年間でも二千件を超えるそういうイベントをやりました。そこに参加する人員が、国民の皆さんが、七百五十万人参加が来ました。私は、これを一千万に持っていこう、そういうことで、できるだけ地方にもそういう番組なりイベントを持って国民との結びつきを強化したいと思っております。  それから、先ほど先生から、NHK職員は官僚的でなかろうかという御指摘がありましたけれども、そういう面もなきにしもあらずだと私は思います。そういう面で、私どもNHKというのは受信料によって支えられているわけでありますから、やはり受信料を大事にする、国民一人一人が株主だ、そういう姿勢でやっておりますので、できるだけ国民のそういう要望、期待に沿うように、謙虚な姿勢で、節度を持って業務を展開するように今後も努力したいと思っております。
  18. 吉田六左エ門

    吉田(六)委員 いま一つ聞かせていただきたいと思います。  放送のデジタル化ということをことし一年、この委員会で随分と議論をさせていただいたり、あるいは先輩の議論を学ばせていただいたのですね。そして、昨年の六月からはパーフェクTV、十二月一日からはディレクTVがスタートしました。また、二〇〇〇年以降には、BS放送や地上放送もデジタル化が進む予定だということで、やはり国内の、国内のと言うと会長はそうじゃないよ、世界的にもだとおっしゃるかもしれませんけれども、とりあえず国内のNHKはトップランナーで、これらを引っ張っていく立場だろう。  新しいものに対するチャレンジですから、そうした多チャンネル時代を迎えるに当たって、デジタル化、デジタル放送の時代をも迎えるに当たって、NHK公共放送としてどんなふうな対応をしていかれるおつもりかをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  19. 海老沢勝二

    海老沢参考人 今、世を挙げてデジタル化というふうに言われております。これはもう先生御案内のように、世界的な潮流になっておりますし、これのメリットというものは大変なものがあります。それに向かって私どもも、放送技術研究所を中心にかなり前から研究開発を進めて、ようやくここまで来たというのが実感であります。  そういう中で、NHKは御承知のようにBS衛星放送の開発、あるいはテレビの王様と我々称しておりますHDTV、ハイビジョンの開発もNHK世界に先駆けて研究開発を進めてきたものであります。そういうNHKの開発研究の成果がようやく今花を開いてきた時代だろうと思っております。  そういう面で、私ども公共放送は、先導的役割という言葉を我々使っておりますけれども、放送業界の発展のために、国民から預かった受信料をもとに、そういう研究成果を社会に還元するのが我々の役目だろうと思っております。  そういう面で、今、二〇〇〇年のBSデジタルについてもいろいろな面で研究開発を進めておりますし、また、地上デジタルについても周波数の問題、あるいはどのくらいの設備がかかるのか、あるいはまた低廉な、簡単なアダプター、デコーダーといいますか、そういうものの研究開発等、いろいろ努力しているところであります。  そういう面で、私は民間放送とも、またCSの事業者とも競争的共存を図ろうということを言っております。これはやはり国民の生活向上、福祉の向上に役立つということが基本でありますから、そういう面で、それぞれの役割があると思います。NHKNHKの役割、あるいは民間放送はその役割、あるいはCSの役割、そういう役割を十分わきまえながら仕事を進める。  我々はそういう中で、こういう多メディア・多チャンネル、デジタル化ということを新たなまたチャンスととらえて、そういう新たな時代に向けてNHKも新しくひとつつくり直して、そういうデジタル時代に即応した体制を整えていきたい、今そう考えております。
  20. 吉田六左エ門

    吉田(六)委員 会長のこのジャンルのリーダーとして、民放、それらにも思いをめぐらしながら行くんだという強い決意、私は大変にありがたくさえ感じます。この決意を受けて、行政に一言伺ってみたいと思うのです。  今まさに、なかなか面倒なんです、税調の真っ最中ですね。大変な細かい議論を毎日させてもらっています。今私が会長のこの決意を聞いてふと感じたのは、視聴者、国民に大変なメリットを与えるという多チャンネル、デジタル化がもうそこに来ようとしている。その放送の長い間積み重ねてきた研究ですとかいろいろ御苦労、御負担もあったと思うのですね。  先回のNHKの予算のときに私、字幕スーパーのことを伺ったと思うのですね。おかげさまで早速あれの施設に対しての補助あるいは税的な措置をとっていただけたので、私なりに感謝をしているのですけれども、これからもああしたいわゆる税だとかあるいは補助だとかという行政マターでの厚きものが今こそタイムリーに大事なのじゃないか。要らないときもらったって、夏でも小袖といって、夏は小袖は要らないのですね。浴衣の方がいいのですね。ですから、本当にこのときというときにぴたっとしたものを、あるいはぴたっとした税制、税調でなにしていただくというようなことが大事だと思うのですが、この方向に向けてのお考えをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  21. 品川萬里

    ○品川政府委員 お答え申し上げます。  先生、ただいま放送のデジタル化、放送分野のデジタル化につきまして大変御理解ある御質問を賜りましてありがとうございます。  御指摘のとおりでございまして、放送分野におけるデジタル化の効用と申しますか、メリットというのは大変はかり知れないもの、深いものを秘めているわけでございまして、多くの文献を見ましても、またNHKの技術研究所、あるいはさまざまな最近盛んでございますエキシビジョンを見ましても、本当に放送のデジタル化というものが大変なポテンシャリティー、可能性を秘めているなというふうに存じております。  したがいまして、私どもといたしましては、国際的なデジタル化のスピードというものにおくれをとらないように、国際協力を進めながら、国際貢献をしながら、そして関係者の方々とよく意思疎通をいたしまして、行政としまして税制の面、あるいは今問題になっておりますけれども、財投の有効な活用とか、さまざまな政策ツールにつきまして十分意思疎通を図りながら、また有効な手だてについて各種研究してまいりたいと思いますので、よろしく御支援のほどお願い申し上げます。
  22. 吉田六左エ門

    吉田(六)委員 どうもありがとうございました。  御奮闘を御期待申し上げますと同時に、強力な行政のバックアップをお願い申し上げて、終わります。ありがとうございました。
  23. 坂上富男

    坂上委員長 次に、石崎岳君。
  24. 石崎岳

    ○石崎委員 自由民主党の石崎岳であります。  同僚の吉田委員から大所高所からの質問がありましたので、私は、放送の現状と将来像について、少し各論で御質問をさせていただきます。  今吉田委員からもデジタル化についていろいろ御質問がありましたけれども、私は、今後十年間あるいは十五年間ぐらい、かなり日本の放送業界も激変に見舞われるのじゃないかというふうに予想をしております。その一つはやはり多チャンネル化であり、一つはデジタル化ということが要因になるだろうというふうに思います。  そのデジタル化について、郵政省の方針といいますか、方向性でいいますと、大ざっぱに言って、BSの後発機も二〇〇〇年にデジタルでやる、それから地上波の方も二〇〇〇年以前にデジタルにせよということでありますから、ほぼ同時並行でデジタル化を進めよ、衛星と地上波と同時並行でデジタル化せよという方向性であります。これには放送業界も大変戸惑い、今対応に追われているというのが現状であろうというふうに思います。  地方放送局の場合ですと、例えば経常利益の数十年分といったような投資が必要になるということでありますから、これは大変な大事件でありますが、その莫大な投資が強いられるデジタル化ということを、衛星、地上波同時並行で二〇〇〇年以前というタイムスケジュールで本当にできるのかどうか。また、それを可能たらしめるためのどういうインセンティブが、税制とか法制とかいろいろな面が考えられますけれども、大臣としてはどういうふうにお考えでしょうか。
  25. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 石崎委員の御質問に答えさせていただきます。  先生御専門でございます情報通信分野においては、まさにデジタル化は大きな潮流と申しますか、トレンドであるというふうに思っております。この有効性につきましては、先生御存じのように、放送分野にデジタル化によりまして放送文化の豊かな発展、豊かな国民生活の実現あるいは経済生活の効率化など貢献していくことがデジタル化のプラスの面だ、私はこういうふうに思っております。  そして、今先生も言われましたように、郵政省といたしましては、地上デジタル放送が平成十二年、二〇〇〇年以前に開始できるよう、行政として制度整備について検討しているところでございます。  そのような中で、今先生から、地方の放送局が大変デジタル化に対して投資がたくさん要るというお話、御指摘もあったわけであります。そういった声も私はよく聞いております。  しかし、こういった中にあって、やはり地上デジタル放送を円滑に導入するにはどうすればいいかということを検討していただこうということでございまして、地上デジタル放送懇談会というのをまさに学識経験者そして事業をやっておられる放送事業者等の参加を得て今開催をさせていただいておりまして、この制度のあり方、そして行政として必要な今先生が言われました財政上あるいは税制上等々の支援を含めて御検討いただいていることでございます。  こういった英知を集めて検討しているところでございますので、今二〇〇〇年以前に地上デジタル放送ということでございます。その目標は今掲げさせていただいておるわけでございますが、それに向かっていかに円滑にやっていくかということは、まさに財政上、税制上のことを含めて、鋭意、本当に親身になって検討させていただいているということを御理解をしていただきたいというふうに思っております。
  26. 石崎岳

    ○石崎委員 かなりの政策誘導がないと二〇〇〇印以前にというのは大変難しいと私は思います。  それでは会長放送事業者の立場としてはどうですか、衛星、地上波同時に進めるということは大変難しいと思いますが。
  27. 海老沢勝二

    海老沢参考人 今私ども、BS4後発機を二〇〇〇年を目途に民放さんあるいはほかの事業者と一緒にやっていこう、そういう方向に向かってきております。我々は、とりあえず二〇〇〇年のBS後発機にデジタル化をまずやっていこう。それと同時に、今郵政省の発言にありましたように、二〇〇〇年以前に地上の方もデジタル化できるように一つの制度、環境整備をしていこうということであります。そういうことで、私どももどういうスケジュール、どういう段取りでやれば国民に過分の負担をかけないで円滑に移行できるか、今検討しているところであります。  今、私どもの技術局を中心に試算したところによりますと、御承知のように、日本は山国でありますから、いろいろな辺地にサテライト局、放送局をつくっております。これがNHKだけで、総合、教育だけで七千局、民放さんが合わせて八千、合計一万五千本のアンテナを立てるという状況であります。  NHKは今七千本、これをデジタル化するために、すべて同じものでなくてもいいだろうということで六割程度を見ますると、六、七、四十二で四千本ぐらい立てればいいだろうと見ております。そのうち、東京、大阪、いわゆる基幹局ですね、これを百局と見た場合に、一局大体十億と見て一千億、あとの四千局を五千万として二千億、合わせて三千億ぐらいの新たな設備投資が必要だろうというふうに算出しております。これはあくまでも試算でありますから、これからの技術の発展あるいは社会情勢の変化によればさらに安くなるだろうと見ておりますけれども、いずれにしても、今私どもの試算だけでも新たな設備投資が三千億という価格。  それと同時に、技術的には周波数をどういうふうに確保するか、また新しいデジタルが見えるようなアンテナあるいはデコーダー、いわゆる接続器ですね、これをどういうふうに開発するか、あるいはまたデジタル時代になった場合の放送サービス、いわゆるソフト、どういうふうにまた新しいソフトを開発するか、いろいろな課題があります。この辺を含めて今慎重に検討しているところであります。  とりあえず、私どもの今の財政状況から見て、以前のように経済成長の伸びが非常に高い、あるいは国民生活もそれに負担できるという経済情勢になれば別でしょうけれども、今のような経済情勢が二〇〇〇年前後まで続くならば、二〇〇〇年前に地上デジタルをするのは非常に不可能だろうと見ております。  ですから、とりあえず私が申し上げておりますのは、まず目の前の橋を渡っていきましょう。つまり、BS4後発機にまず全力を挙げて、これをきちっと立ち上げて、そしてこれが視聴者、国民に受け入れられる、そこを見きわめた後、地上デジタル放送の方へ移行した方が非常にスムーズにいくのではなかろうかということを今申し上げているところであります。  ただ、これは、あくまでも、これからの日本世界の経済見通しがどうなるかに非常にかかっているものだろうと思っています。ですから、私どもの今の受信料制度、私、二〇〇〇年まで値上げしないと申し上げておりますけれども、この財政状況の中では無理だと思います。ですから、新しい財源をどうするか、その辺の見通しというものをきちっと立てないと、今、二〇〇〇年以降にできるかどうかというと、非常に難しい情勢だろうというふうにきょうはとどめておきたいと思っております。
  28. 石崎岳

    ○石崎委員 会長の発言ですと、BS4の後に、二〇〇〇年以降ということです、その財源問題がまた浮上してくるだろう。そうすると、それが徴収率等にどういうふうにはね返ってくるのかというまた大きな問題になってきます。  そこで、デジタル化、デジタル化というふうにどんどん言われていますけれども、テレビを見ている人にとって、デジタルになったら何が変わるのかといったことがいま一つはっきりしていないという面もありますけれども、会長は、アナログと違うデジタル放送というのはどういう付加価値が出てくるのでしょうか。
  29. 海老沢勝二

    海老沢参考人 御承知のように、デジタル技術によっていわゆるチャンネル数が、圧縮技術でありますので一つの周波数で多くのチャンネルができる。それから、高画質、画面がいい、画像がいい、あるいは音声がよくなる、そして、いろいろな機能を持ったものができるわけであります。同時にまた、デジタル技術によって、番組の制作なりあるいはいろいろな応用ができるということで、かなりのメリットが出てくるだろうと見ております。  ただ、ソフトというものは一朝一夕になかなかできるものではありませんし、やはり相当の人材の育成、勉強というのが非常に大変だろうと思っております。そういう面で、デジタルのそういう技術的なメリットを生かし、また、それに伴うソフトをつくる人材の育成というものをあわせてやっていきませんと、デジタルメリットの成果はなかなか上がりにくいという面もあります。  それと同時に、また、私どもは、HDTV、ハイビジョンというものを昭和四十年から開発して、ここまで進んできたわけでありますけれども、やはりマルチメディアの基本は、私どもが開発したHDTV、ハイビジョンが各家庭に行き渡って初めて実を結ぶものだろうと思っております。  要するに、ハイビジョンはすべてデジタルででき上がったものであります。したがいまして、一台の受像機、ディスプレーでいろいろな付加価値がつく。例えばデジタル放送を活用できる。つまり、我々は、統合デジタルサービス、ISDBと言っておりますけれども、これは、デジタルビジョンというふうに言いかえた方がいいかどうかわかりませんけれども、いずれにしても、受像機の中に貯蔵庫といいますかサーバーを入れて、いつでもニュースを見られる、あるいは天気予報なりあるいは番組表が見られる、あるいは過去のデータを引き出せる、異次画面でそういういろいろな情報が簡単に見られる、そういう研究を進めておりますけれども、そういう面でいろいろな付加価値がこれから出てくるだろうと思っております。そういう面で、これも一朝一夕でなくて、いろいろな積み重ねの上で成り立ってくるのではなかろうかと思っております。  いずれにしても、技術の進歩は早いものがありますから、そういう面で、我々も、一つ一つクリアしながら、段階的に着実にそういう開発研究を進めていきたいと思っております。
  30. 石崎岳

    ○石崎委員 そこで、ちょっと私、個人的に疑問に思っているのは、ある日突然デジタル放送に変わるのじゃなくて、時期的に徐々に、あるいは地域的にも徐々に広がっていくのだろうと想像されますけれども、その移行期間においては、デジタルとアナログと両方の放送が行われる、サイマルが行われるというふうな予測がされております。そうすると、今見ているテレビで放送が見られるのであれば、デジタル放送対応の受像機を新たに購入するというマインドが起きないのじゃないかという素朴な疑問が起きますけれども、大臣、その点いかがでしょうか。
  31. 品川萬里

    ○品川政府委員 お答え申し上げます。  今先生御指摘の点は、いわゆるサイマル放送ということで、デジタル放送の普及、あるいはデジタル放送の受信機が普及する過程で、過渡期の状況としてサイマル放送ということを実施するということを考えるのが妥当ではないかというふうに今私どもも一般的にイメージしておりますけれども、このサイマル放送の期間がどの程度になるのか、それからまた、どのように移行していくかというのは、まさに手順と段取りの問題ではなかろうかと思います。  その際に、放送衛星の方は二〇〇〇年にデジタル放送が始まるわけでございますけれども、いろいろな説がございまして、これと同時並行的にやった方が受像機の普及が早いのではないかとか、そういった議論がございます。あるいは、手順を踏んで、さっき会長が申されましたように、放送衛星をやってから地上という段取りもあるだろうし、あるいは、説によりましては、同時並行にやった方がかえってデジタル受像機の普及も早いのではないかというような説もございます。  そういった点を、今、先ほど大臣から答弁申し上げましたように、デジタル懇談会、これは海老沢会長にも、それから民放連の氏家会長にも入っていただいておりますけれども、ここで、そのような手順と段取りについて、いろいろ可能性、現実性というものについて御議論いただいているということでございます。  同時に、デジタル化につきましては、日本だけの現象ではなくて、世界じゅうで放送のデジタル化ということが同時進行的に議論されているということでございまして、つい十月のITUの国際会議でございますが、ここで、地上の放送のデジタル化につきまして、日本方式、アメリカ方式、ヨーロッパ方式というITUの勧告の三案が採択されまして、それぞれのメリット、これから各国でどれを採用するかということでいくわけでございます。  私どもとしましては、政府として整備すべき制度というものを、政府の制度整備あるいは放送方式決定というのが遅いためにデジタル化ができないということがないように、これを二〇〇〇年目途ということで順に進めまして、今先生御指摘のようなサイマル放送のありようというもの、それから問題はデジタル受像機、これがスピーディーに普及するにはどうしたらいいかといったこと、そして、それはもちろんそのこと自体が目的ではなくて、より豊かな放送文化、国民生活の発展というものに貢献するということが目的でございますが、そのような総合的な観点から、このサイマル放送についても考えてまいりたい、かように存じております。
  32. 石崎岳

    ○石崎委員 もう一つ、個人的に考えている点は、チャンネル数の問題です。特にNHKのチャンネル数の問題ですけれども、地上波の方は、デジタル化によって六メガの帯域免許の付与というのが予想されております。普通にいくと、一チャンネルが三チャンネル分とれるということでありますけれども、これをNHKとしてはどうするのか。あるいは、今言っていたサイマル放送でアナログとデジタルと両方を放送するということは、両方チャンネルを持つということでありますから、またそれによってチャンネル数がふえる。  現状でももうかなり多くのチャンネルを保有しておりますけれども、今後さらにそれをふやして、それでまた経費がふえて、財政的にやっていけるのかどうか。あるいは、そもそもNHKのチャンネル数というのは多過ぎないか、肥大化批判というのは随分前から一貫して長年ありますけれども、その点は会長はどうお考えでしょうか。
  33. 海老沢勝二

    海老沢参考人 NHKの巨大化といいますか、いろいろ意見があることは存じております。  御承知のように、年々、私どもNHKのシェアといいますか、放送業界におけるシェアというものは減ってきております。といいますのは、去年の試算によりますと、日本の放送業界全体の売り上げというものは三兆三千八百億円と言われております。そのうち、私ども、去年のNHKの受信料収入は五千八百億円ぐらいです。民放さんは、御承知のように、合わせて二兆五千億円、七四%を占めております。NHKは、だんだん減って、今一七%という現状であります。そういう面で、多メディア・多チャンネル、チャンネルがふえますと、やはりNHKの放送業界における役割といいますか、電波の活用というものは相対的に減ってきているというふうな現状だと思います。  私ども地上二波、衛星二波、国際とやっておりますけれども、それぞれの役割をきちっと明確にしながら、国民に情報の格差がないように、いつでもどこでもだれでも簡単に安く見られるように、そういうようにしておるわけであって、NHKがいたずらに肥大化する、巨大化するとは私は思っておりません。ますますこういう多メディア・多チャンネルになればなるほど、そういう基幹放送といいますか、報道、教養、教育、娯楽という四つの分野を総合的にバランスよく、国民に情報を格差なく届けることがますます要求される時代だろうと思っております。  今先生から質問ありました、衛星でなくて地上の方のデジタル化を進める場合に、NHKは、総合と教育、これはサイマル放送といいますか、並行してやっていきませんと、今テレビは四千五百万世帯近くに、ほとんどの家庭にテレビが普及しているわけであって、これはCSとかBSとは比べ物にならない、国民全体の大きな課題だろうと思っております。  そういう面で、今の地上波というものをやはりきちっと大事にしながら、また、デジタルに向かって、多チャンネルあるいは高画質の方へ向かうような時代の趨勢でありますから、そういうもので同時並行にサイマルをやりながら普及していくという方針ですけれども、その場合に、一波はやはりHDTVといいますか、高画質高音質のHDTV、我々が言うハイビジョンを放送いたしたい。  もう一波の教育波というものは、これは私の全く個人的な意見でありますけれども、これだけチャンネルがふえながら教育関係のチャンネルは、NHKの教育というのはたった一つなんですね。やはり、これだけ青少年に与える番組が問題になり、また高齢化社会を迎え、また耳の不自由な方、障害者の方、そういう少数者向けの放送というものをさらに充実させなければならない時代に、一つの波でいろいろやることは、私はこれからの日本発展のためにいかがなものかと思っております。  そういう地上の方がデジタル化すれば三つのチャンネルが今のところとれる予定であります。場合によったら四チャンネルになるかもわかりません。そういう面で、私は、できれば教育テレビというものを三チャンネルなり四チャンネルやるべきでないかと思っております。  一つはやはり乳幼児向けのチャンネル、もう一波は小中高のいわゆる学校放送あるいは語学関係の講座とか、そういうものを一波持つ。あるいはもう一波は、高齢者あるいは生涯教育といいますか、いろいろ家庭で学べる、あるいはいろいろな文化の非常に高いもの、そういうものをやって、今のものを再放送するとかいろいろやれば、それほど新しい財源を使わなくても知恵と工夫で私はできるだろうと思っております。それがやはりデジタル化の大きなメリットだろうと思っております。  そういう面で、いろいろなやり方が挙がっておりますけれども、当面私が考えているのは、やはりそういう教育、教養関係のものを我々もっとひとつ真剣に検討しなければならぬだろうと思っておるところであります。
  34. 石崎岳

    ○石崎委員 ちょっと残り時間が少なくなってきたので、お答えを簡潔にお願いしたいのですが、そうすると、将来像として二〇〇〇年以降のメーンの波というのはBSですか、地上波ですか、どっちでしょうか、簡単にお答えください。
  35. 海老沢勝二

    海老沢参考人 メーンはやはり地上波であります。
  36. 石崎岳

    ○石崎委員 デジタル化とちょっとそれる話題になりますけれども、国際放送のことでちょっとお聞きしたいのですけれども、国際放送の充実が叫ばれております。自民党の方でもいろいろ要望を出しておりますけれども、年々、放送枠、対象地域が広がってきております。その財政的な裏づけといいますか、国から少し交付金が出ているようでありますけれども、その対象地域、枠というものがどんどん広がっていきますと、それに要する経費というものもどんどん広がっていく、予算がふえていくのだろうというふうに思います。実際ふえていると思います。しかし、それをNHKの財政の中で全部負担していくのかどうかという問題が出てくるのだろうと思います。  どんどんこれから広がっていって、どんどん予算がふえていっても、それはNHKの仕事として、本来業務としてやっていくのか、日本の視聴者の負担として賄っていくのかどうか、将来像はどうでしょうか。
  37. 海老沢勝二

    海老沢参考人 国際放送、音声、ラジオとテレビだけ、ちょっと答えさせてもらいます。  ラジオの方、いわゆる音声、いわゆる短波による国際放送と我々言っております。これにつきましては、もう先生御案内のように、国から交付金として十九億五千万国会いただいております。NHKの短波による国際放送は、平成年度予算では九十九億二千万円の金を使っております。交付金は、率としますと一九・七%ということで運用しております。そういう面で、これは長い間、国の命令放送という部分でちょうだいしているわけであります。これは、NHKの国民から預かっている金と一緒になって、今それを使っているということになります。  それから、テレビによる国際放送は、平成七年の四月から放送を始めました。現在、この映像による国際放送にかかっている費用が三十億ちょっとであります。これは全部NHKの予算の中から支出している、国からの交付金はないというのが現状であります。  といいますのは、なかなか映像による国際放送に国の金が出ていますと、NHKの国際放送は国営放送なのか、あるいはまた、我々アジアに今番組配信という形で放送しておりますけれども、これについてもやはり文化侵略なり、あるいは文化摩擦というようなことでいろいろ問題がありますので慎重に扱ってきました。  来年度からは、文字どおり、映像国際放送ということで新しい展開をするわけでありますけれども、これをさらに拡充する。あと一年から二年かけて、南アフリカを除いて全世界で二十四時間NHKの国際放送をやる方向で今準備を進めておりますけれども、最近、PANAMSATという衛星があります。アメリカの衛星会社ですけれども、これをPAS2、PAS4、PAS5という三つの衛星が一括して契約するほど条件が整ってきました。これはばらばらでやってきましたけれども、一括契約できると同時に、海外放送向けの衛星もデジタル化することができました。そういう面で、デジタル化しますと回線料が非常に安く上がる。今、私どもの試算では、二十四時間全世界に発信しても五十億前後の金でできるのではなかろうかという試算をしております。  そういう面で、これを全部二カ国語放送にするとか、あるいはラジオのように、今二十二言語で六十五時間放送していますけれども、そういう各国別に放送するとなりますと、これはもう天井知らずに上がっていきますけれども、日本語と英語の二カ国語放送でやっていけば、それほど大きな支出にならないだろうと思っております。  いずれにしても、その辺は先生方の御意見あるいは関係方面のいろいろな意見を聞きながら進めておりますけれども、国民に理解を得て、受信料収入の中からNHKの本来業務として映像による国際放送をやっていきたいというのが私どもの考えでございます。
  38. 石崎岳

    ○石崎委員 ちょっとまた別の話になりますけれども、政府の行革会議のことでありますが、本日最終報告が行われるという予定になっておりますけれども、行革会議委員に一年前からNHKの川口前会長会長在籍時から委員として参画をしておられます。  きようで最終段階ということですから、もう終わった話といったことになりますけれども、郵政省と関係の深いNHKのトップが省庁再編の論議に加わるということ、行革会議では、郵政省のあり方、郵政省をどうするかという議論をしてきたわけですから、そのNHKのトップが、郵政省のあり方あるいは放送行政のあり方について、その方向性を決める議論に参画をするということは、その議論の公正を害しないかという危惧を私は持っております。その点、前会長は、それは個人として参加しているのだということをおっしゃつていたそうでありますけれども、NHKのトップが個人として参加する、公的な機関に個人として参加するという表現はちょっと不適当ではないかと私は思いますけれども、現会長の見解をお伺いします。
  39. 海老沢勝二

    海老沢参考人 川口前会長は、この逓信委員会の席上で、個人の資格で委員に就任したという答弁をしたというふうに聞いております。これは川口会長意見でありますので、私がこれについて論評を加えることはいかがかと思っております。  そういう政府の委員会公共放送NHKの責任者が参加することはいろいろ問題があるかどうかということでありますけれども、それはなかなか難しい問題で、そういう委員会の役割なりあるいは委員会の及ぼす影響なり、いろいろな面があろうかと思います。そういう面で、やはりそのときの政治情勢、社会情勢を十分勘案しながら判断していかなければならない問題だと思います。私も、具体的に今どうかと言われますと、なかなか答弁しにくい課題だと思います。いずれにしても、いろいろな意見がありますので、そういう意見を十分我々も勘案しながら考えていかなければならない問題だろうと思っております。  何か答弁になるかどうかわかりませんけれども、今どうかと言われましても、これから先生の御意見あるいはほかの方々の意見があると思いますけれども、そういうことを受けとめて判断していきたいと思っております。
  40. 石崎岳

    ○石崎委員 もう時間が参りましたけれども、先ほどのデジタル化等でいろいろ出費が今後増嵩していくという方向性でありますけれども、視聴者の聴取料にはね返るはね返り方がなるべく少ないような内部努力、検討というのに御尽力していただきたいと思います。  質問を終わります。
  41. 坂上富男

    坂上委員長 原口一博君。
  42. 原口一博

    ○原口委員 新進党の原口一博でございます。  本日は、海老沢会長初めNHKの皆様に決算に御参加いただきましてありがとうございます。  数点質問をさせていただきますが、まず、六年度決算で指摘をしておかなければいけないことは、阪神・淡路大震災に対して、地震の発生当初から、NHKさんが大変なその被害の実態、生活情報、復興への動きを克明にお伝えになったことであります。ともすればこの大災害のパニックに陥りがちなところを正確に、しかもそれをあまねく報道をされた。そして、避難所にテレビ受信機やさまざまな機材を速やかに設置されて、被災地における受信の確保にお努めになった。このことは高く評価をしなければいけないというふうに思います。  また、平成年度決算については、これは中長期の計画に基づいて、新しい情報通信の時代に中長期でNHKをどうやって開いていくのか、ハイビジョンを中心とし、あるいはデジタル技術を中心とするメディア界のリーダーとして大変なお役割を果たされた、このように評価をしています。  そういう中で、先日新しく会長に就任された海老沢会長は、改革と実行を掲げて、そして、視聴者の意見、聴取者の意見を真摯に聞いていこうということを前面に出されています。二〇〇〇年までに受信料を上げない、このことも私は明確なメッセージとして評価をしたいというふうに思っています。そして、特に海老沢会長が指摘をされているのは、NHKの意識改革をやるのだということも伝えておられます。  そこで、会長に、新会長のその決意と、意識改革というのは、どういうところをどのように改革をなさろうとされるのか、お尋ねを申し上げたいというふうに思います。
  43. 海老沢勝二

    海老沢参考人 私、就任に当たって改革と実行というのをスローガンとして掲げました。それはやはり職員に対して、日本は、世界は今どういう時代なのか、十分に時代認識を持ってもらうということが大事だろう。  つまり、今の経済情勢下において、バブルが崩壊し、不良債権が非常に解消されない、そして株が安くなる、倒産がふえる、そういう状況の中で、我々公共放送も、もう一度、こういう時代をきちっと認識をしておかなければだめだということと同時に、我々放送業界も、単なる国内放送ではなくて、外国の資本日本の放送に参入する、そして国際化、ボーダーレス化で、いろいろな世界の放送局が日本の空に電波を流してきている、そういう新しい時代を今迎えているんだ、そういう時代認識をきちっと持ってもらうということが大事だろうということであります。  それと同時に、この経済情勢の中で、先ほどもお答えしましたけれども、NHKの受信料、日本の経済成長も一%なり二%、あるいはマイナスというような状況と言われている中で、私ども、おかげさまで二%台の伸びを持っているわけでありますから、これを維持しなければならない。これを下げてしまえば、NHKの縮小再生産になってしまう。そういう面で、この二%以上の受信料収入を確保しなければならない。  その中で、国民に負担をかけないで事業展開するというためには、やはり経費の節減、コストの削減、いわゆるリストラをしなければならぬだろう。私は、ただ単なるリストラだけではだめなので、そういうデジタル化時代、マルチメディアを迎えて新しい仕事をしていくんだ、と同時にまた、NHKもこういうデジタル時代をきっかけに大改革をして、きちっとした機構にもう一度積み重ねていこうではないかということを今意識改革ということで言っておるわけであります。  御承知のように、NHKも大正十四年に発足して、七十二年の歴史を持っております。そういう七十二年の歴史の積み重ね、重みがあります、夢もあります。また、マンネリ化になってしまった面、あるいは、やはり仕事が非常に安易に流れている面、いろいろな面が七十二年の中にはあると思います。その辺を一つ一つ検証して、新しい時代にふさわしいNHKに立て直そう、そういう意味での意識改革ということを言っておるわけであります。
  44. 原口一博

    ○原口委員 その歴史認識を新たにして、その中からNHKを改革していくんだ、大変評価すべきことだというふうに思います。  また、番組内容についても、「ハッチポッチステーション」だとか、創造的な教育、子供のための創造的な番組や、あるいは報道についても、この間も予算のときも私指摘いたしましたけれども、中東の危険な地域から、自分の大変な危険な状況の中で冷静に報道を伝えてこられる若い記者さんの姿に私も感激をしておるところでございます。  さて、この決算書を見ておりますと、監事が三名おられる。この監事の三名というのはどういう方なのか。そして、意見書についても、しっかりとNHKのさまざまな活動を評価する形で意見書がつけられていますが、まず、この方々がどういう身分なのか、お尋ねをしたいというふうに思います。
  45. 酒井治盛

    ○酒井参考人 お答えします。  三人の監事の身分はどういう身分かということでございます。  ただいまNHK監事、三名おりまして、NHKのOBがお一人、それから郵政省出身のOBの方がお一人、それから学識経験者お一人というふうになっております。
  46. 原口一博

    ○原口委員 そうですね。今お話しになったように、お一人は郵政省の方であり、お一人はNHKさんの方であり、もう一人が大学の名誉教授をなさっている方だと思います。  やはりこういう監事についても、特殊法人について会計検査院国会でのさまざまなチェックもございますから、NHKさんは大変オープンな財務内容であるし、しっかりとしたことをなさっているというふうに思いますが、この監事についても、私たちは、中からの方がお一人おられ、あるいは郵政省の方がおられる、このことについても、もう考慮をしていくときが来ているのではないだろうかというふうに思います。  また、資産並びに損益状況というのを見ておりますと、平成年度で有価証券資産というところを見ますと、百三億もの減額があるのですね。これは平成年度でございます。それに対して、平成年度は三百三十六億も有価証券資産がふえている。一体これはどういうわけなのか。そして、この有価証券の区分というのは一体どういうものになっているのか。そして、だれがどのように判断して、これを運用されておられるのか。また、運用益というものがあるのかどうか。その辺についてお尋ねをしたいというふうに思います。
  47. 石渡和夫

    ○石渡参考人 お答えいたします。  有価証券による資金運用につきましては、受信料前受け金等、一時的な資金の運用でございまして、先生御指摘の有価証券並びに貸借対照表に計上してございますが、預金、主に大口定期預金でございます。これと一体となって運用しておりまして、一時的な運用ではございますが、時の金利動向あるいはNHKにおきます資金繰りなどを見きわめながら、運用に当たっております。  御質問の百三億円の減少についてまずお答えいたしますと、五年度末の有価証券につきましては確かに減っておりますが、先ほど申し上げましたとおり、預金と一体となって運用しております。預金と有価証券を合わせた増減を出してみますと、受信料前受け金などの増によりまして、百五十三億円の増になっております。  こうなっておりますのは、五年度末におきます金利情勢、債券の金利が一時的ではございましたけれども向上する、上向くという見通してございましたので、年度末での有価証券による資金運用を見合わせまして、定期預金で一時的に運用した。このようなことによりまして、有価証券だけ見ますと、五年度末では対前年度減少ということになっております。  一方、七年度では、御指摘のとおり、三百三十六億円増加しております。  この増加要因につきましては、繰り返しますが、受信料前受け金等の負債の増によるものでございまして、これも預金と有価証券の合計で申し上げますと、七年度末では対前年度百九十七億円の増加でございます。でありますが、現金・預金の項を見ていただきますとおわかりのとおり、この当時、七年の九月に公定歩合が一%から〇・五%に引き下げられまして、短期金利が急激に低下いたしました。このために、預金との比較で高い金利でありました有価証券の方に、持っている預金も組みかえた。このようなことによりまして、預金が三百三十六億円増加したということになっております。  受信者からお預かりしました大切な資金でございますので、資金運用に当たりましては、安全、確実ということを基本にいたしまして運用しております。この運用は、NHK内経理局の財務部に資金運用グループを設けておりまして、部長を配置して、部長以下九人で資金の運用に当たっております。  なお、お尋ねの受け入れ利息を六年度、七年度で申し上げますと、六年度は八十一億九千三百万円、七年度は八十一億八千万円の運用益を上げております。  以上でございます。
  48. 原口一博

    ○原口委員 御丁寧に御説明いただいてありがとうございます。  これでもってわかることは、大変なビッグプレーヤーだということですね。資金の運用、運用益も今八十一億九千三百万円。私たちのお金も預かっていただいて、NHKさんに運用してもらった方がはるかに運用益が出るのではないかと思うぐらいビッグプレーヤーでございます。  私たちは、公共放送としてのNHKの基本的な役割は一体何なのかということをもう一回ここで考え直すときに来ているのではないのかというふうに思うわけでございます。  先ほど石崎委員の方から、川口会長が政府の行政改革会議委員に御就任になった、そのことについての基本的な認識を問う御質問がございました。  私も、きょう総理府の方から政府の行政改革会議の議事録をもらいました。こんなに厚いのです。この議事録の速記録を出していただいたわけですが、これにNHK会長さんがお入りになつて、そしていろいろな意見を御開陳になっている。この委員になられた経緯というのを御説明いただきたいというふうに思うのです。
  49. 酒井治盛

    ○酒井参考人 お答えします。  経緯の詳しいつまびらかなところまでということは承知しておりませんけれども、川口会長が述べられておられるところを、推察はしてはいけないと思いますけれども、就任につきましては、内閣の方から、行政改革推進に当たっては各界の幅広い見識を集めて推進する必要がある、そういうことで、マスコミ界の方から有識者の一人として個人の立場で参加してほしいと要請があった、こういうふうに川口会長から私じかにお聞きしております。そういうことで引き受けたよ、こういう御返事がございました。  そのほかの、それを超える詳しい経緯についてはつまびらかではございませんけれども、私はそういうふうにお伺いいたしております。
  50. 原口一博

    ○原口委員 この政府行革会議は、きょう結論を出す。ただ、これは来年の六月まで存続するのですね。  NHKが受信料でその経営が維持されている、このことをもう一回私たちは深く考えなければいけない。この制度は、私は、今日極めて正しいし、今後そうあるべきだというふうに思いますし、公共放送として、国民の皆様から広く広く受信料をいただくことによって、政府からの距離をしっかりと確保して、言論の自由をあわせて守る、そしてNHKの自主自律、これを担保する、このことに大きな意義があるというふうに思うわけであります。  政府の行革会議の議事録、こんなに厚いので読むだけでも大変なのですが、この中には、先ほど石崎議員が御指摘のように、郵便事業の国家独占を定めた郵便法五条の削除、郵便貯金を完全自主運営するというようなことも議論をされています。  NHKさんは特殊法人でありますから、本来であればこの行革会議の対象であるはずであります。その対象であるところのトップがここにお出になって、そして大変国民的議論があるところの郵便事業の議論もこの中でなされている。あるいは、郵便事業だけではありません、国立病院・療養所についての一つの結論も出ています。大変政治的な、右や左あるいはこれを是とするか非とするかという大きな大きな問題がある。  ですから、この行革会議の問題についての政府・与党の中でもかんかんがくがくの議論があるし、私は、こんなことではだめだ、郵政省は電気通信政策をやるためにもしっかりと独自性を持つべきだし、先ほどお尋ねがあったように、総務省の内局の中にこういうものを入れていかがなものかというふうに思うわけでございますが、そういう大変政治的なものの中にNHK会長さんがお入りになっているということを、私は、先ほど海老沢会長が意識改革というお話をされました。意識改革の一つは、メディア自身が権力である。メディア自身が媒体であるけれども、それはただただ意見をそのまま伝えるのではない。例えば、NHKの視聴率が一%上がれば百万人ですかね、二〇%だと二千万人の人がこれを見て、そしてNHKブランドというのは大変国民から信頼を得ている、このトップがある会議に参画することによってその会議をオーソライズしてしまう、このことの恐ろしさ。  本会議の中で、ある議員が大政翼賛というお言葉をお使いになりました。国家の権力とそれにメディアが一緒になってきたときに、私は非常に不幸なことが起こってしまうのじゃないかというふうに思うわけでございますが、この委員会でも私どもの同僚の河村委員の質問の中でただされていました。そのことに対して会長は、一個人としてのお願いだというふうに言われています。  私も、行革会議の名簿を出してくださいということで、今名簿をいただきました。しかし、ここにはしっかりNHK会長ということで書いてあるわけですね。また、ここは厳しく、だれもが、一個人としてこれに参加しましたなんということは公人としてはあり得ないことである。  これは、なぜこんなことを言うかというと、メディアの独立性、受信料で成り立っているんだということ。私は、民放のある社長さんがここにお入りになったこと、これとNHKさんの会長さんがお入りになったこと、これは同列ではないと思う。民放の会長さんはそれぞれの営業努力の中で自由に御発言なさって結構だし、政府・与党の行革会議を支えられる、これも一つの態度でしょう。しかし、受信料で賄われている  例えばある政党の支持の方、国立病院は維持すべきだと一生懸命運動している人たちもいらっしゃる、あるいは郵便局は残すべきだ、ネットワークとして二万四千六百のネットワークが大事だと思っておられる方々もおられる。それなのに、こういうものに力をかすということはどう考えても私は納得がいかない。  今の会長として、前会長のことをお尋ねするのは非常に忍びないです。しかし、NHKさんとして、僕は大事な岐路に立っているというふうに思います。このお答え次第では、私たちはこの公共放送に対する態度を変えなければいけないかもわからない。こんな巨大なものが政府のある審議会の中に入って御発言になるのだったら、分割しなければいかぬという議論が出てくるかもわからない。お答えを待ちます。
  51. 海老沢勝二

    海老沢参考人 NHKは、御承知のように放送法に基づいて運営されている企業体であります。そういう面で、いわゆる受信料もいただき、国民の支持を得て運営される会社でありますから、当然私どもは、時の政府から直接かかわることなくて距離を置いて、いわゆる不偏不党の立場で放送するというのがきちっと規定されております。  御承知のように、NHKは、予算、きょうの決算もそうでありますけれども、事業運営については国会が中心になって規制を受けている企業体であります。できるだけ時の政府からのかかわりというものを少なくしようというのがこの放送法の趣旨だろうと思っております。そういう面で、NHKは不偏不党の立場から自主自律ということが大事だということは、もう言うまでもありません。先生御指摘のとおりであります。  そういう中で、今行革委員の問題が指摘されておりますけれども、私は、やはりそういう政治から中立を保ち、そして不偏不党の精神に基づいてNHKの事業運営をするのは当然だろう、その精神で今後も引き締めやっていきたいと思っております。
  52. 原口一博

    ○原口委員 今後のことについて、今会長の御決意を述べていただきました。  今国会のメーンテーマ、これはやはり何といっても財政構造改革であったわけです。その財政構造改革の会議の中で小泉厚生大臣がこんなことをおっしゃっています。これは、財政構造改革と行政改革を今パラレルに橋本総理は進めておられます。僕は、これは結構なことだと思いますが、   財政構造改革会議に出てこいという会議がありまして厚生大臣としてその会議出席しました。その時に、政府歳出を削減しなさい、しなさいというのをみんな賛成しているけれども、厚生省予算というのは大変なんですよ。みんな総論賛成というけれども、もし来年の予算を一般会計歳出マイナスするということで各省庁マイナスにやるんだったら一番反対が出るところは厚生省予算だと思う。本当にできるのですか?厚生省関係予算を前年度マイナスにするのは容易ではないというかほとんど不可能ですと申し上げました。どうしてもやるんだというのでみなさんが決めて一番反対するのはおそらく与党ではないかと言ったことがございます。  しかし最終的に恐らく私のそういう発言も取り入れてくれたのでしょう。来年度予算は、九年度に比べて一般歳出はマイナスにするけれども厚生予算は、マイナスにしない。三千億円増を認めるという結果がでました。これでみんないいですね。いいというならやりますけれども、やって、後で驚かないでくださいよということは申し上げておきました。というふうに厚生大臣は、ちょっと長い引用になって恐縮ですけれども、おっしゃっています。  これは、政府・与党や私たち政治家が結果が出て驚く、この分は私たちの責任ですからしようがない。しかし、この予算が通ってしまって一番驚き悲しむのは一般国民の皆さん。難病の四百億についても削るんだという審議会の答申が出たり、本当に病気の人やあるいは障害で困っておられるような皆さんあるいは文教の予算まで削るというようなことをこの改革会議、この方は財政構造改革会議ですね、で議論をされています。極めて政治的なものの中に飛び込んでいるんだということを認識をしていただいて、自分たち自身が一つの権力であるということを忘れたときに、そしてそののりを越えたときに大変な不幸なことが起こるということを指摘をいたします。  そしてそういう中で、私たちはこの逓信委員会で、極力政治からのメディアに対する圧力を排除していこう。ただ、メディア自身も御自身を自主規制する必要がありますねということで、放送と人権等権利に関する委員会というものをおつくりいただきました。NHKさんと民放さんがそれぞれお知恵やお力をお出しになってできたわけでございますが、この委員会が今どのようになっているのか、そして取扱基準というのをお決めになりましたけれども、そのことについてこれから少しお尋ねをしたいというふうに思います。  委員会の運営方法、それから人員あるいは予算がどのようになっているのか、お尋ねをいたします。
  53. 河野尚行

    ○河野参考人 お答えします。  この放送と人権等権利に関する委員会機構というのは六月から仕事を始めたわけですが、これをつくる過程におきましてはNHK並びに民放等が入っていろいろな形で議論をしたわけですけれども、ここの運営については独立する形で、放送と人権等に関する委員会が運営規則をみずからつくってやっております。  そして、予算は一年間一億九千万円ぐらいの予算でやっているというふうになっておりますが、三分の二を民放連、それから三分の一をNHKが負担をしてやっておりまして、その委員を選出する評議員会というものをまず理事会が選んで、それでその評議員の先生方五人程度が委員をさらに選出して、その委員が独自に運営規則をつくって、放送と人権に関するさまざまな仕事をしているということになっております。
  54. 原口一博

    ○原口委員 私は、もう少しこのことについてのPRを国民の皆様にするべきではないかというふうに思いますし、今、規約を手元にいただきましたけれども、この規約についても、これはNHKさんが出資されたところですから、本来だったらその委員会に聞かなければいかぬことでございますが、まだ立ち上げの時期ということで、郵政省さんそれからNHKさんにお尋ねをしたいのです。  この規約が「放送前の番組にかかわる事項および放送されていない事項は、原則として取り扱わない。」ことになっている。あるいは、申立人の範囲が、当分の間でありますけれども、直接利害を有する者、「当分の間、その放送により権利の侵害を受けた個人またはその直接の利害関係人を原則」としている。  どうしてこのような原則になったのか。当事者ではございませんから、お知りになり得る範囲で結構です。お尋ねをしたいというふうに思います。
  55. 河野尚行

    ○河野参考人 原口委員のただいまの御質問にお答えします。  先ほども申し上げましたけれども、運営規則の制定に当たりましては、NHKとしては関与しておりませんので、具体的にどういう理由でそういうふうになったのかは述べる立場ではございませんが、これまでの記者会見等の内容から見ますと、放送前のものとか直接放送したもの以外にはかかわらないということは、やはり当事者の申し出を待って審議するということから、放送することによってそれが周知されるということになると思いますから、そういう面で当事者の申し出を待って審議するという大原則に立っているということだろうと思います。  それから、苦情を申し立てることができる者は、当分の間、それに被害を受けた個人または利害関係人を原則とすることについても、スタートした直後のことでありますから、まず個人のレベルから救済していこうという考えではないかというふうに受けとめております。
  56. 原口一博

    ○原口委員 私たちは、この委員会については大変な期待を持って受けとめておったわけでございます。  先日、ある民間放送局でございましたが、Aという男性、タレントさんなんですが、ビルの十階からパラシュートで飛びおりるというような放送をしていました。  これを子供たちが見たときに、その放送があって、私のところにぽっと電話がかかってくる。テレビを見たわけですけれども、ビルの十階からパラシュートで人が飛びおりればどうなるのか。これは、ある意味では殺人にも等しいようなことを映像でもって流している。後で、まねをしないでくださいと。そんなもの、まねするどころか、そんなことを企画すること自体が大変な非見識であり、非常識であります。そういったものについての苦情というのは、一体どこでやるのか。  また、先ほど国際放送の話がありましたけれども、これからメディアが、電波が国境の枠を越えて世界に飛んでいく。そのときに、私たちは、私たちの国の誇りやあるいは私たちの国のアイデンティティーや私たちの国の文化をこの電波が、例えば今お話ししたのは大変極端な事例でございますが、こんなものが外に出ていくことによって著しく国益を損なうのではないかというふうに私は考えます。  この人権等の委員会で一番最初の審理が行われています。これは、アメリカのサンディエゴの日本人教授の親子が射殺されたという大変痛ましい事件でございますが、これに対して、人権侵害を受けたとされるその奥様から苦情が入って、それに基づいて審理が行われています。  この中に、NHKがこの四つの苦情を受けた放送局の中の一つとして入っておりますが、どのような審理が行われて、またそれはNHKのどの取材、どの報道について言われているのか、お尋ねをいたします。
  57. 河野尚行

    ○河野参考人 この放送と人権等権利に関する委員会については非公開でありますので、具体的にどのような審理が行われているのかについては不明でございますが、九月九日にこの被害者の教授の夫人から権利侵害の申し立てがございました。  法律関係で争われていることについては この放送と人権等権利に関する委員会では取り上げないということになっておりますから、法廷に持ち込まれない範囲で、NHKと民放三社が権利侵害の申し立てを受けたわけですが、既にNHKは十月三日にそれに対する答弁書を委員会に出しておりますし、それから十月二十八日に教授夫人から答弁書に対する回答書が出されまして、それに対して再答弁書を十一月十七日に出しまして、現在、この放送と人権等権利に関する委員会で審理が継続されているというふうに聞いております。
  58. 原口一博

    ○原口委員 要するに、どのような内容、どのような報道が不服申し立ての対象となったのかということをお願いします。
  59. 河野尚行

    ○河野参考人 失礼しました。  この事件は、平成八年五月に大学教授とそれからその娘さんが殺害された、アメリカのサンデイエゴで起こった事件でございます。  それで、このことについてはNHKとしても、現在のアメリカの銃規制の問題等、いろいろなことが言われている中で報道に値するニュースだということで放送をいたしました。  放送に当たりましては、NHKは、現地の警察当局、それから今回申し立てを行っている被害者の夫人本人及び被害者の知人の関係者に直接取材をいたしまして、推測でなくて、裏づけのとれた事実関係に限って、関係者の人権に配慮をして伝えたというふうに思っております。  その異議申し立ての部分につきましては、これは警察関係の取材の流れの中で、不動産関係の取引を行っていたというふうな面もあって、そういう観点からも、どういう利害関係があったのかということも含めて警察が調べているというふうなことをお伝えしておりますが、そのような部分に対して、被害者の人権に対して配慮が足りなかったというふうな申し出を受けているというふうに理解しております。
  60. 原口一博

    ○原口委員 これは、報道を一回してしまえば、それは記録に、私たちがそれを記録で見ることはできるのかできないのか、それが放送法で何らかの枠がかかっているのか。現物を見ないと、これはどういう人権侵害が本当に行われているのだろうか、そうでないのかというのはわからないのですね。  私が、きょう、この決算審議の過程で、NHKさんの番組やあるいはさまざまな報道姿勢、これは高く評価すべきだし、国民の公共放送としての役割をしっかり担っておられる、このことを強調しつつも、一方で申し上げたかったのは、大きな、ビッグプレーヤーであるし、しかもまたこれはメディア自身が権力である、そのことをきょうの審議の中で申し上げたかったわけでございます。そして、これは、それがただ単にメディアを規制する方向ということに進まないように、私たち国会議員、政治家も一つの自己規制をしなければいけない。  そこで私は、メディアリテラシーと申しますか、メディアに対するさまざまな考え方をしっかり教育していくこと、メディアが伝えていること、そのことがすべて正しいと思えるようなそういう態度、そのことについても反省的に教育をしていくこと、そのことが大変必要なことではないか。  マルチメディアという世界になって、コンピューターとそれから放送波と、さまざまなものが融合をしてまいります。このメディアにどう向かい合うのか。あるいはメディアから影響を受けている。私は、文教委員会でシミュレーションシンドロームのお話をしました。バーチャルリアリティーと実際のリアリティーがわからなくなっている。  私たちは未曾有の少子・高齢化社会の中に生きているわけでございますが、その少子・高齢化の時代認識とともに、もう一つ時代認識を持っておかなければいけないのは、パートタイム労働者の方々が一千万人を超えて、幼児期、おぎやあと生まれて育つまで一対一で親子の間で自我形成をしていた今までの私たちの人の営みが、それがお父さんやお母さんが仕事に行って、親とは違う人の間で自我形成が行われている。このことは、大変大きな社会問題、問題認識を持っておかなければいけない。  ですから、今自我形成がなくて、自分を抑える自分というものを持たなくて、欲望だけの情報がはんらんしますので、自分をコントロールできなくてばっと殺人に走る、こんなことが起こっている。そういう中で、私たちはこの巨大なメディアに対してどういう取り組み方をするのか、あるいは何を学習をしていくのか、このことが大変大事な時代になっているというふうに思います。  各国の例を引くと、もうこのメディアリテラシーの関連のNPOというのは随分ふえてきました。メディアが子供たちに与える影響、メディアがさまざまな教育に与える影響、そういったものを多角的に分析して、メディアとどうつき合えばいいかということをNPOでもってさまざまなグループが取り組んでいます。また、メディアのその権力の部分についても、市民団体の方は一定のチェックをする、それは直接政治家がチェックをするのではなくて、NPOという形でチェックをしていく、そういう動きも広がっています。(発言する者あり)私は、与党案だめだと今河村委員がおっしゃいましたが、本当に政府の下請的なNPOではなくて、またそれをチェックできるような、分権した、多様な価値を実現できるような、そういうNPOが必要であるというふうに思います。  この新しいメディアの時代において、私は、郵政大臣にお尋ねをしたいのは、どういう形で取り組んでいかれるのか。また、今度、省庁再編ということで先ほど吉田委員がお話しになりましたが、郵政省は私たちの思った方向とはちょっと違う方向に進んでいきそうであります。新たなメディアの時代に向けての郵政大臣の御決意をお尋ねをします。
  61. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 原口委員御存じのように、この放送というのは大変大事なもめでございまして、民主主義の発達に資する大変大事なものだというふうに私は思っております。  また、その中で、放送が国民に最大限普及されその効果を保障すること、これも私は放送に与えられた、あまねく公平にできるだけ国民が放送に接するということも大事であると同時に、今、委員NHK会長も言われましたように、放送の不偏不党、また真実を報道すること、あるいは委員も何度も強調されました、事実を保障することによって放送による表現の自由を確保すること、そういったことは私は大変民主主義の発達に資する、こういうふうに思うわけでございます。  また同時に、社会が大変多様化をいたしまして、たくさんの価値観を持った人もふえてきたわけでございますから、そういった中で、やはり同時にまた、よく御存じのように、放送番組は法律に定める権限に基づく場合でなければ何人からも干渉されまたは規律されることはない、これがまさに言論の自由の保障でございます。  同時に、一方、表現の自由というものもございますが、先生御専門でよく御存じのように、放送法の第一条は、今私が言ったような原則に従って、「放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的とする。」というふうにあるわけでございますから、それで多様化する価値観なんかがどういうふうにバランスをして、まさにマルチメディアの時代でございますが、この規律を保ちつつ、なおかつ表現の自由を保障するということは、まさに私は、最終的にはこの国権の最高機関である国会の御審議を経ていろいろな御意見をいただきながら決めていくことだろう。今後のマルチメディアの時代、民主主義国家において大変重要なものであるというふうに認識をいたしております。
  62. 原口一博

    ○原口委員 本当に丁寧な御答弁、ありがとうございます。  その中で、やはり必要なのは民間部門、私ここにカナダの行革の例を、これはもう総理にも御提出させていただきましたけれども、まずプログラムビューというものをやっている。  それはどういうものかというと、私たち審議をしているこのNHKの予算、決算についても、国民のウイッシュリスト、国民が何を望んでおられるのか、どういったことをこの公共放送に望んでおられるのか、そのことがまず前提にあるべきだというふうに思います。  カナダの行革は、五つの点においてプログラムビューをつくっている。一番目は、国民の関心がどこにあるのか、国民のウイッシュリストがどこにあるのか。あるいはこれを公共部門でやる必然性がどこにあるのか、そして民間部門やあるいはさまざまな委託ができないのか。あるいは効率性を上げるためにはどうすればいいのか。そしてこれらのプログラムをずっと継続するとしたら、その経済性は確保できるのか。こういったことを、この五つの点から行革を進めています。  私は、もう一回このNHK公共放送としての役割についても、ここで再確認をしておく必要があるのじゃないか。それは、不偏不党の報道姿勢であり、あるいは国際放送という形で日本のアイデンティティーを世界に広げていただくということであり、また放送ソフトの振興の先頭に立っていただいて、これからの新しいメディアの時代を開くそのリーダーとなっていただくこと、あるいはデジタル技術、特にハイビジョンですね、そういったものの技術の先頭に立つことだというふうに思っています。  ですから、何回も繰り返すようでございますが、自分たちの権力性にしっかりと意識を持ち、自覚を持ち、のりを越えず、そして公共放送としての基本的な役割を全うしていただきたいというふうに思います。  結びになりますけれども、会長に、公共放送としての基本的な役割、そして二〇〇〇年にはBS4を打ち上げて、そしてデジタル化、地上波もデジタル化をやるということで大変、三千億ぐらいのお金がかかるということでございますけれども、その中で、果たしてそのBS4というようなもの、そういうハードの面をNHKさんがなさるのか、あるいはソフトの面は民間に委譲することもできるのではないか、その辺の仕分けについてもこれから私たちは議論をしていかなければいけない。  今お考えになっていることで結構でございますから、以上の二点、一点目は公共放送としての基本的な役割と決意について、それから二点目はBS4に向けたソフト、ハードの仕分けについて、お尋ねをしたいというふうに思います。
  63. 海老沢勝二

    海老沢参考人 今、原口委員から、公共放送の役割について御見解が述べられました。  御承知のように、私どもNHK、いわゆる放送業界の国民に与える影響というのは、本当に大きいものがあると思っています。そういう面で、こういう放送、マスコミというのは、一種の権力を持っている機関ではないかというような御指摘もありました。  御承知のように、私ども、日本国憲法において、表現の自由、言論の自由が保障されております。その一方で、我々は、この表現の自由を守るためには、やはりそれぞれの責任があろうかと思います。そういう面で、マスコミの影響力というものを考えながら、節度を持って、そして謙虚に対応しなければならないことは言うまでもありません。  そういう面で、基本的には、我々放送事業者自身が自主自律の精神をきちっと持つこと、それを土台にしながら、やはり国民の意見を謙虚に聞きながら、国民の公共の福祉の向上に役立つ、そういう番組を提供していくのが我々の役割だろうと思っております。  それと同時に、我々、放送法に、民主主義の健全な発展に資する、あるいは国民の生命財産を守るためにいろいろな仕事をやるべきだとか、あるいは日本の伝統文化を継承し、また新しい日本文化を創造する、あるいはまた障害者等の聴取者向けの番組の技術なり、あるいは指摘されておりますように、日本の国際理解に役立つようなテレビによる国際放送の拡充と、いろいろな役割があることはもう十分承知し、それと同時に、デジタル化に向けての技術の研究開発も先導的役割として果たさなければならぬだろうと思っております。  そういういろいろな役割を担って、今後とも、不偏不党をもとに、節度を持ちながら、そして国民のそういう生活に役立つような豊かな質のいい番組を提供するように努力したいと思っております。  それから、BS4後発機の問題でありますけれども、これは、ハード、ソフ十分離、いわゆる受託、委託を分離するという方向が今示されております。そういう面で、BS4後発機については、我々放送事業者が一体となって運用できるようなそういう組織づくりを今現場では検討しております。ソフトについては、NHK、民間放送、また新しく参入する業者がそれぞれの立場から、やはり基本は質のいい番組をつくらなければなりませんから、そういう面で、質のいい番組をできるだけ多くつくる、そういう方向で努力しなければならぬだろうと思っております。  それと同時に、先ほど先生から指摘がありました、いわゆる人権に関する問題、私どもも、おごり高ぶらず、やはり謙虚な姿勢でいなければならないわけでありますから、そういう面で、いろいろ指摘されていますように、人権あるいはそういうものを守るために、私ども、放送倫理と人材育成の委員会を部内に設けて、やはり人間尊重、プライバシーを守っていく、そういうことをきちっとやっていこうということで、各現場ごとにいろいろな勉強会、研修を続けております。  そういう面で、できるだけ国民のニーズにこたえるような放送に心がけたいと思います。
  64. 原口一博

    ○原口委員 ありがとうございます。  川口前会長の輝かしい実績が私のきょうの質問で汚されることは決してないというふうに思います。陣頭指揮をとり、そして新たなNHKの基礎をおつくりになった前会長を引き継いで、しっかりと国民の期待にこたえられるように、ますます御尽力いただきますように心からお願い申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございます。
  65. 坂上富男

    坂上委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十五分休憩      ————◇—————     午後一時三十分開議
  66. 坂上富男

    坂上委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。石垣一夫君。
  67. 石垣一夫

    ○石垣委員 新進党の石垣でございます。  平成六、七年度NHK決算関係の資料に基づいてまず最初申し上げたいと思うのですけれども、この四十四ページに、受信料の収入、収納率、欠損等の推移が載っております。これは平成二年から平成七年にかけて、当年度末収納率ということでそれぞれ数字が記載されております。平成年度は収納率が九六・五八%、三年度が九六・六五%、平成年度が九六・八二%、五年度が九六・九二%、平成年度が九六・七七%、平成年度が九六・九三%、大体九六・五から九六・九という範囲で推移しております。収納率の問題は、今後の問題もしかり、また税の問題もしかり、非常に難しい問題でございますけれども、この決算の推移を見まして、当局としてどのようにこの収納率の向上に努力されておるのか。
  68. 芳賀譲

    ○芳賀参考人 お答えいたします。  私ども、受信料で成り立っている特殊法人でございますから、お客様方の御理解をいただいた上で契約と収納に努めさせていただいておりますけれども、一方で経費の節減等もございますので、まず第一に、全国の営業体制を支える、私ども契約収納取次員というふうに呼んでおりますけれども、この方々の体制を整備をしてございます。それから、間接集金率を高めることによりまして、できるだけ収納の安定を図るというふうに考えております。それから、郵便局とか銀行、それからコンビニエンス等々で間接的にお支払いをいただくという方策についても努力をしてまいりました。そういう中で、今回御提出をしているような数値になっているわけでございます。
  69. 石垣一夫

    ○石垣委員 今の答弁は答弁になりませんね。全額免除、半額免除、それぞれそういう対象者に対しては手厚い配慮をしているわけです。それはそれで理解いたします。ところが、今の答弁は、この決算の推移を見てどういう努力をされているのか。今は徴収の方法をお述べになっただけでありまして、これでよしとしているのか。あるいはまたNHKに対して、これはだめだ、もっと収納率を上げろ、そういう取り組みをされているというような答弁ではないわけです、今の答弁は。その点ひとつさらに納得のいく答弁をしてください。
  70. 海老沢勝二

    海老沢参考人 御承知のように、受信料収入、これは公平負担といいますか、各世帯からひとしく負担してもらうというのが我々の姿勢であります。そういう面で、今、日本の世帯は四千数百万ありますけれども、そういう面で生活保護世帯なりいろいろな面での減免措置をしておりますけれども、できるだけNHKの仕事の理解というものをいただいて負担をしてもらうということで、今NHKの職員並びに委託取次収納員、合わせて四千数百人で全国くまなく収納しております。  そういう中で、どうしても今九十九万九千世帯の未収が出ております。できるだけこれを少なくしようという努力をしておりますけれども、残念ながらそういう状態が続いているということであります。我々としては、先生御指摘のように、公平負担ということが原則でありますから、今後できるだけ収納の向上に努力したいと思っております。
  71. 石垣一夫

    ○石垣委員 やはり公平負担の原則ですね。やはりまじめに払っている人が報われるような、そういう実態でなければいかぬと思うのですよ。それはいろいろ個々に事情があるにしても、現場の収納に上がった人の御苦労はよくわかります。しかし、その中でやはり企業努力というものは必要でございますから、今後ひとつこの点を踏まえられて鋭意努力されるよう要望しておきます。  観点を変えまして、私は先般、たまたまあるところでいろいろとお話ししておったところが、ことしの紅白歌合戦にいわゆるベテランのA女性歌手が落選をしている。この方は、自分が乳がんになってそれを見事克服してカムバックした、こういう報道が伝わっているわけですね。同じような悩みを持つ女性が全国にたくさんいます。現実、乳がんとか子宮がんとかいろいろ女性特有のそういう病気を持って病床で闘っておられる多くの同志がおるわけです。この方から、これは非常に残念だ、この歌手は我々の希望の星だ、こういう感覚でこの歌手の紅白登場を願ったところが落選だ、こういうことで、これはどういうことなんですか、一遍ぜひそういう機会があればNHKに聞いてくれ、こういう話がありまして、あえて私はこの問題についてお伺いしたいと思うのです。  紅白歌合戦に対する大臣の評価というのは立場上非常に難しい。こういう話が来ましたけれども、どうですか、率直な御意見は。
  72. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 紅白歌合戦の選考基準についての御意見だと思いますが……
  73. 石垣一夫

    ○石垣委員 いや、そんなことでない。選考基準はいいとか、そんなことは質問していませんよ。紅白歌合戦を聞かれてどういう感想か。
  74. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 恐縮でございますが、私も実は毎年紅白歌合戦だけは欠かさず子供のころから見ておりまして、先生も一緒だと思いますが、日ごろなかなかテレビを見る機会は我々ございませんが、あれを見せていただきますと、この一年どういう歌がはやったのか、どういった歌が国民の心をつかんでいるのか、また非常に流行的な歌もあります。少し私も古くなったのかな、こういったいろいろな一年間の感想を持ちながら紅白歌合戦を大変興味を持って見させていただいている。感想ということでございますから、そういったことを述べさせていただきたいと思っております。
  75. 石垣一夫

    ○石垣委員 率直な御意見だと思うのですね。やはり全国民が、いよいよ年末が来たな、いよいよ新しい年が始まるな、こういう思いで今日まで紅白を皆ごらんになっておると思う。  そこで、どういう基準でこれが選考されるのか、会長どうですか。
  76. 海老沢勝二

    海老沢参考人 本当に紅白歌合戦は国民の支持を得てこれだけ関心が高まっているということ、私もうれしく思っております。  ことしの紅白歌合戦のテーマは「勇気、元気、チャレンジ…歌いだそう未来へ」というのをキャッチフレーズにしております。といいますのは、やはり世紀末を迎えてどうも不景気な話ばかりが多いな、そういう面で、まだ日本国民、もっと元気よくしましょう、そして二十一世紀へ向けてひとつ第一歩を踏み出そう、そういう意味合いを込めて、ことしは「勇気、元気、チャレンジ…歌いだそう未来へ」というテーマにしたというふうに現場から報告を受けております。  御承知のように、紅白歌合戦は、今や非常に国民的な行事になっておりますし、歳末の風物詩というふうにもなっております。  これは現場の、NHKの番組制作局の中に芸能番組部というのがありまして、これが歌謡コンサートとかいろいろな歌番組をつくっております。そこの八人のチーフディレクターといいますかプロデューサーが企画委員になりまして、ことしの企画のテーマに合っている歌なり、あるいはNHKの音楽番組への貢献度なり、あるいはCDやレコードなどの売り上げといいますか、国民の支持がどれぐらいあるのか、つまりことしの活躍度、そういうものを見ながら、それと同時に、また、私どもは公共機関でありますから、世論調査といいますかアンケートをしております。全国三千六百人を対象にして世論調査をやりました。  そういう中で、ことしはどういう歌手、どういう歌を希望するか、そういう調査。あるいは、全国にかなりの営業部員を抱えております。こういう集金人の人たちが各世帯を回っていろいろな意見を聞く。そういう人たちのアンケート、そういうものを総合しながら決めているということであります。  それと同時に、やはり今、新旧交代といいますか、いつも同じメンバーでは歌謡界も伸びませんので、そういう面で、若干、人の入れかえといいますか、人気度なりあるいはことしの活躍度、そういうものを含めながら総合的に判断して、これは現場に決めさせておりまして、我々経営陣は余り口を出さないように、現場に任せているというのが現状であります。
  77. 石垣一夫

    ○石垣委員 今、いわゆる芸能委員といいますか、現場で八人のメンバーで審査する、それは三千六百人の世論調査に基づいていろいろやっている、これは私も初めて聞いたのですけれども、こりいう選考基準の公開というものがやはり必要ではなかろうかと私は思うのですね。今まさにディスクロージャーの時代であります。だから、特定の人が特定の、結局、言うたら、中で選考するということであってはならぬと思うのですね。特にこの紅白歌合戦は、これだけ国民的な大きな期待を受けているわけですから、支持を得ているわけですから。  例えばプロ野球では、私がプロ野球におったから言うのじゃないのですけれども、オールスターのファン投票がありますね。ファン投票の枠と監督としての枠と二つで盛り上げているわけです。だから、紅白歌合戦も、そういう国民投票の枠、しかも年代別、そういう枠と、それとまたNHK独自の専門家の基準もありますから、二つの枠を設けて取り組まれれば、またこれはちょっと変わった一つの大きな展開になってくると私は思うのですが、どうですか。
  78. 海老沢勝二

    海老沢参考人 国民の要望というのは、そういう三千六百人のアンケート調査で割合に公平に選ばれるだろうというふうに思っております。  ただ、先生御指摘のように、プロ野球のオールスターを選ぶとかしますと、組織票数があるのですね。例えば歌の世界でも、そういうものをやりますとかなりの組織票が入って、ある面ではかなりゆがめられた投票動向になるということも我々十分承知しております。  いろいろなやり方がありますが、いろいろ検討した結果今のような選考基準に落ちついたというふうに我々は引き継いでいるわけであります。これを一般にやりますと、本当にどこまで本当の国民の意見が反映されるか、非常に微妙なところもありますし、それについてはいろいろ今後も研究課題として検討させてもらいますけれども、なかなか一般投票というのは難しい面があります。  御承知のように、今、BSの普及のために一千万人投票というのをやっております。もう一千万曲を超えましたけれども、これもやはりかなりそういう組織的な票も入っておりますし、それをいろいろ組み合わせながら各年代別あるいはジャンル別にやっております。  いろいろな選考の仕方がありますけれども、ひとつ参考にさせてもらいますが、今私どもがやっていることについては、いろいろな機会に、NHKがこういう選考基準でやっておりますということは、いろいろな番組なりあるいは記者会見でも発表しております。また、透明度を増すというのが我々の役目でありますので、できるだけそういう選考の基準についてはさらにわかりやすく公表を拡大していかなければならぬだろうと思っております。
  79. 石垣一夫

    ○石垣委員 紅白歌合戦の視聴率の推移はどうなっていますか。
  80. 河野尚行

    ○河野参考人 お答えします。  かつて、テレビがそれこそ国民の相当有力なエンターテインメントだった時代で、しかもチャンネルが余り多くない時代は、七〇%、時に八〇%視聴率をとった時代がございますが、最近のようにいろいろな趣味、趣向が広がるとだんだん下がってきておりますが、それでも五一、二%の視聴率は現在でもとっております。
  81. 石垣一夫

    ○石垣委員 時代は大きく多様化してきましたから、メディアもいろいろたくさんふえてきましたから、これをつくった時点とはかなり環境が違いますから、当然視聴率の低下はやむを得ないといたしましても、やはり私は、今の紅白歌合戦そのものがマンネリ化してきているんじゃないか、こういう気持ちを持っているわけです。  したがって、ちょっと難しいかもしらぬけれども、いわゆる国民投票、オールスター投票に準ずる、そういうひとつ思い切った発想の転換というのはどうか、こういう提言をしたのです。  この紅白歌合戦は、NHKの芸能番組の中で特殊な扱いをされているんじゃないかと私は思うのですけれども、大体この制作費はどれぐらいかかっていますか。
  82. 海老沢勝二

    海老沢参考人 ことしは三億二千万を計上しております。
  83. 石垣一夫

    ○石垣委員 出演者のいわゆる出演料、これはどういうふうにして決められるのですか。
  84. 河野尚行

    ○河野参考人 紅白歌合戦という番組はNHKの中でも特別な番組だと思っておりますが、出演者に対する出演料については特別な扱いはしていません。  通常の番組と同じように、それぞれの基準の出演料がございます。それから再放送料がございます。それから、ハイビジョンでもやっておりますから、ハイビジョンの放送料もそれにプラスしております。それからそのほかに、比較的長時間拘束をいたしますから、長時間の拘束料及びリハーサル料を加味してお払いしておりまして、紅白だからといって特別な料金を設定しておりません。
  85. 石垣一夫

    ○石垣委員 出演料のいわゆるランクづけはあるんですか。A、B、Cとか、天は幾らで下は幾らなんですか。
  86. 河野尚行

    ○河野参考人 歌手も俳優さんと同じようにランクはございます。このランクにつきましては、外部には公表はしておりません。
  87. 石垣一夫

    ○石垣委員 いろいろあるから公表はしない、これはわかるのですけれども、いわゆる庁内で何ランクに分けているんですか。ランクづけはないんですか。皆同一ですか。
  88. 河野尚行

    ○河野参考人 それぞれランクはございますが、今何ランクに分けてあるかというようなことは、ちょっと記憶にございませんで、データを持ち合わせておりません。
  89. 坂上富男

    坂上委員長 調査して、後から答弁してください。
  90. 石垣一夫

    ○石垣委員 記憶にないと。これは質問通告しているんですけれども、出演料の問題。出演料の質問を出した以上は、当然、そのあたりまで質問を想定せねばだめなんですよ。ただ単に、出演料はどうなっていますか、国会の答弁を答えるのにそんな用意をしていないで、ちょっと私は不手際なんじゃないかと思うんですよ、別に後でもよろしいけれども。  私は、秘密にしなければいかぬ部分とある程度ここで発表できる部分と、それは区分けして結構ですから、やはりきちっと答えられるように用意してもらわねば困ります。それはこちらの主たる目的じゃありませんから、それはそれで結構です。  次は、いわゆるビッグスポーツの放送の件なんですけれども、来年のワールドカップ・フランス大会、めでたく日本が参加するようになったということで、この放送権について、いろいろNHKとして非常に深く関与した関係から、ほっと心和んだというところだと思うんですよ。もし日本が出場しなかったらこれは大変なことになったな、そういう気がするんですけれども、これの取り組みはどういうふうに考えておられますか。
  91. 河野尚行

    ○河野参考人 今御指摘がありましたように、私どももフランス大会に日本代表が参加できたことを非常に喜んでおりまして、このフランス大会のワールドサッカーに対しての放送権につきましては、ラジオ、テレビともNHKが取得しておりますから、総合テレビ、衛星放送、ラジオ、全体のメディアを使って、六十四試合予定されておりますから、それをほぼくまなく放送しようというふうに今のところ計画を立てております。  これから試合の組み合わせが決まるものですから、具体的には、年末から年始にかけて放送計画は決めようと思っています。
  92. 石垣一夫

    ○石垣委員 いわゆる二〇〇二年の日本・韓国共同主催の大会と、その次の二〇〇六年の大会がありますね。これについては、ドイツの大手メディア企業のキルヒが巨額な金額で放送権利を落札している、こういうふうに聞いているのですけれども、その放送権は大体幾らぐらいの金額になりますか。それに対して、NHKはどういうふうに対応されるのですか。
  93. 海老沢勝二

    海老沢参考人 御承知のように、ワールドカップサッカーの放送権利は、ABU、アジア・太平洋放送連合とか、EBU、ヨーロッパ放送連合、いわゆる世界の五つの放送連合が一括してこれまで契約しておりました。私どももABUの正会員でありますので、これまでずっと日本ではNHKが単独で放送権利を取得しておりました。  今度の二〇〇二年の日韓共同開催につきましては、私ども放送連合が破れまして、外国の民間の業者が私どもの提示したものよりもかなりオーバーして取得しました。今我々が聞いているところによりますと、十億四千万ドル、我々のこれまでの放送権料の十倍という値段でございます。今度、来年六月から七月にかけて行われますフランス大会は、日本円で六億円足らずでして、そこからわかりますように、今度は十億四千万ドルですから、今のレートでいいますと千三百億ぐらいになるわけですね。  それを私ども放送業者にこの民間の業者がどれくらいな値段で売ってくるか、これは売買になります。我々の意思ではできませんし、そういう放送権を取得した業者が我々日本NHK、民放を含めて放送業者、あるいは韓国に対してどれくらいな要求をしてくるかはこれからだと思います。いずれにしても、予想されるところは、これまでのやはり何十倍という値段になって、とても我々公共放送でこれに耐えられるかどうか非常に今頭を痛めているというのが現状であります。  いずれにしても、オリンピックにしても商業化の方向へ進んでおりますし、ワールドサッカーも十倍もはね上がるということで、そういう面で、これから多メディア・多チャンネル時代になりますと、そのように市場原理に基づく激しい自由競争の時代を迎えるわけでありますから、その一つの大きなあらわれがスポーツ放送権料の高騰問題だろう、そういうふうに認識しております。
  94. 石垣一夫

    ○石垣委員 スポーツ放送権の高騰は、ワールドカップサッカー問題に限らず、いろいろの面で非常に高騰しておりますね。NHKとしても非常に頭の痛いことだと思うのですけれども、公共放送の立場から、国民の十分納得する選択を今から検討していただくようにひとつお願いをしたいと思うのです。  最後に、NHK総合のいわゆる二十四時間放送について、特に、NHKは緊急事態に対応するということで、ことしの四月から総合テレビで二十四時間放送をやっておりますね。私もこれは非常に評価いたしております。  ペルーの大使公邸人質事件では、たまたまかけたテレビがちょうど五時二十三分にぱっと現場が出まして、私も、何これ、えっと思ったのですよ。これは現実の問題だということで、まざまざとそのニュースを目の前で見て、この放送の評価を私自身大きく持ったのですけれども、今後、NHKは緊急報道に対する対応をどうお考えになっていますか。
  95. 海老沢勝二

    海老沢参考人 総合テレビの二十四時間、ことしの四月から始まったわけでありますけれども、その前に衛星第一、第二、ラジオ、それに続いて総合テレビということでいたしました。  これは、私も二十年前から、国民の生命財産を守るためには、災害が非常に多い我が日本にとって、いつ地震が来るのか、津波が来るのかわからない日本列島であります。そういう面で、国民の生命財産を守る上からも、いつでも放送できる体制をとるのが至当だろうということで主張してきた問題であります。  御承知のように、ことしは六月、七月に三回にわたって台風が日本に上陸するという不幸に見舞われました。やはり災害を未然に防ぐ、被害を最小に食いとめるというのが我々放送事業者の使命だろうと思っております。そういう面で、早い段階から的確な情報を国民に示し、そして避難なりあるいは防災のために準備をする、そういうことで二十四時間放送に踏み切ったわけであります。  それと同時に、また、地球の二十四時間で世界のどこの国でいつ何が起こるかわからない状態でありますので、こういう二十四時間放送をすることによって国民が安心して夜を過ごせる、そして何かあれば、スイッチを入れてもらえばニュースが伝わる、そういう体制をとったわけであります。  その間、やはり国民の心安らぐような番組なり、あるいは前に放送したすぐれた番組を、これはまあ今録画時代でありますから夜でも録画できるように、そういう面でこれまで放送した内容豊かなすぐれた番組も再放送する、そういう中でそういう緊急事態に備えるということであります。  そういう面で、我々公共放送の使命というものは、やはり国民の生命財産を守るという上からもそういうことが必要だろう、いわゆる安心第一と言いますけれども、総合テレビは安心テレビ、そういう姿勢で今後も二十四時間放送の内容充実に努めてまいりたいと思います。
  96. 石垣一夫

    ○石垣委員 会長の二十年の主張、それがリーダーシップをとれる立場になられたわけですから、ますますの充実をひとつ御期待申し上げたいと思います。  最後に、郵政大臣にお聞きしたいと思うのですけれども、放送権もそうですけれども、放送ソフトの高騰、これは放送の多チャンネル化もその背景にありますし、CSデジタル放送の登場によって我が国も三百チャンネル、四百チャンネルと言われる多チャンネル化時代が現実になってきた、これは世界的な動向です。  その中で、いわゆる放送ソフトの絶対的な不足、あるいはまた一層の価格の高騰が懸念されるわけでございますけれども、国民視聴者が真に豊かないわゆるデジタル時代を迎えるに当たって安くソフトが享受できる、そういう番組制作の円滑化が必要だと思うのですけれども、これらいわゆるソフトの振興策について、郵政大臣としてどういうふうにお考えになりますか。
  97. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 石垣委員にお答えいたします。  もう委員の言われるとおりでございまして、放送ソフトの充実ということは、私は極めて大事なことだというふうに思っております。  現在、デジタル技術の進展等による多チャンネル化の進行、急速に進行しておりますが、多様で良質な番組ソフトが提供されて初めて視聴者に利益をもたらすものでございます。そういった中で、放送番組ソフトの制作、それから流通循環の整備は、ハードの整備と並ぶ、私は車の両輪だというふうに申しているわけでございますが、大変重大な課題だというふうに思っております。  そういった中で、しかしながら今先生御指摘のように、放送番組ソフトの制作に多くの関係者が関与いたしておりますし、その調整が必要であること等、多くの視聴者に多様な放送番組ソフトを提供するにはさまざまな実は課題がございます。関係者の相互理解、努力が何よりも不可欠でございますが、行政といたしましても、関係者の意見調整の場を設けるなど、環境整備の努力が必要であるというふうに思っております。  また、これらに加えて税制上あるいは財政上の優遇制度を創設しよう、こういった考えもあるわけでございますし、また放送番組の二次利用、一度使った放送番組をどこかでまた新たに使用していただく、そういったことが非常に大事でございますが、そういったことを促進するために、放送番組の権利情報等を有効活用できるような方法のあり方についての調査研究費の要求、この辺は御存じのように著作権の問題も絡んでまいりましてなかなか複雑な問題もございますから、そこら辺もやはり研究をさせていただこう、こういうふうに思っております。  それから、円滑な放送番組流通環境を整備していくために、今申し上げました権利処理問題等の諸問題を検討する放送番組流通促進協議会の活動の支援等々を行っているところでございますが、いずれにいたしましても、この放送ソフトの充実なくしては、幾らハードが整備されましても、これはまさに国民の番組提供ということがかなわないわけでございますから、その点を今答弁したと同時に、私も先生からいただいた宿題だと思いましてこれを鋭意検討させていただきたい、前向きに検討させていただきたい。大変このことが重要であるという認識は、今先生御指摘のとおりでございますが、しっかり持たさせていただいているつもりでございます。
  98. 石垣一夫

    ○石垣委員 終わります。
  99. 坂上富男

    坂上委員長 伊藤忠治君。
  100. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 私は、NHK会長さんあるいは幹部の方でも結構でございますが、まず最初に二点、基本的な問題についてお伺いをさせていただきます。  これは見方が分かれると思うのですが、一九八〇年ですか、アメリカの未来学者のアルビン・トフラーですが、「第三の波」でこう言っていますね。「農業社会から工業社会に歴史が移りかわって、」工業社会、産業社会とも呼んでいますが、「情報化社会にこれから移行していくであろう。」恐らく、二十一世紀、私どもの今のこの時点というのは、情報化社会に移行する、その移行期のただ中にあるのではないか、私はこのように時代認識として持っているわけでありますが、まさしくそれを象徴しますように、情報メディアの社会においても技術革新が急速に進んでいると思います。  これは、通信と放送の融合問題、そのことから、当然マルチメディアの社会に既に突入したと言ってもいいと思うのですが、研究者のレベルではインターネットが出現をしまして、通信、情報のあり方がそれこそグローバル、大きく変わったと思うのです。しかし、巷間言われていますとおり、インターネットも万全ではありませんで、今のインターネットは早晩頭を打ちますから、これは第二世代というのですか、次なるネットワークというものが形成されていくでありましょうし、それはGIIの構想がグローバルな範囲で確立をされていく中で、さらに大きな高度情報化社会というのですか、世界的な規模でマルチメディア社会が花開いていくのだろう、私はこのように常々考えているわけでございます。  そういう意味からしまして、情報メディアの世界もその中心的な役割を果たすわけですから、今日さまざまな分野で大きな転換期を迎えておりますし、NHKも放送分野では国を代表する、言うならば、まありーディングカンパニーとは言えませんが、そういう重要な使命を担っていただいているわけでございます。したがって、とりわけ午前中の議論にもございましたとおり、デジタル革命、これはハードの分野でございますが、今非常な勢いでメディアの世界を変えつつあると思うのです。  それで、放送の世界でもそのようにドラスチックに変化していくわけでありますから、より便利になるという反面、番組の質の均一化や低下などが、私はそれはマイナスの側面ととらえるわけですが、このことについても私の考えも後で申し上げたいと思いますが、避けられない面としてあるのではなかろうか。そういうことを想定しましたときに、NHKの果たす使命、責任というのはますます重くなるのではないのか、こんなふうに考えております。  したがいまして、結論的にお伺いをしたいのですが、デジタル時代公共放送としての使命、責任をどのようにお考えになっていらっしゃるのか、会長さんの方からお伺いをいたしたいと思います。
  101. 海老沢勝二

    海老沢参考人 今、伊藤先生から、時代認識といいますか、これからの情報時代に対応して、いわゆるデジタル革命というものが現実に来ておるわけであります、そういう中で公共放送NHKはどういう役割と責任かということでありますが、私は、やはりいつの世の中でも国民生活にとって必要な情報あるいは心をいやす番組というものは余り変わらないのではないかと思います。  そういう中で、市場原理に基づく自由競争時代になりますと、一方では商業主義といいますか、コマーシャル主義といいますか、それが行き過ぎますと、どうしても視聴率第一主義になる、あるいは先生が指摘されるように番組の画一化をもたらす、いろいろな弊害が出てくるのは、もうこれは歴史が示すところであります。  そういう中で、私ども公共放送といいますのは、国民一人一人からひとしく負担金をいただいて、情報に格差がないように番組を提供するというのが使命でありますから、そういう面で、そういう市場原理になじまないもの、そういうものはやはりきちっと精査しなければならぬだろう。  具体的に申しますと、先ほど申しましたように、耳の不自由な方、いわゆる障害者の方への字幕放送なりあるいは手話放送なり、そういうこともやらなければいかぬだろうし、また、高齢化社会に向けての生涯教育的な問題、あるいは二十一世紀を担う子供たちのための、やはり暴力なりあるいは性的な問題が青少年に与える影響は大きいわけでありますから、そういうものにならないような、やはり子供たちの将来のためになるような番組の制作とか、そういう商売に左右されないような、コマーシャリズムに云々されないような番組づくりが我々公共放送の責任、使命だろうと思っております。  それと同時に、述べればいろいろありますけれども、国際放送の充実、これもやはり、私ども、今こういう地球が一つと言われる時代であります。そういう面で、日本の国際社会での役割も年々高まっているわけでありますから、そういう面で、日本に対する国際理解をさらに促進する意味からも、国際放送の充実にも努めなければならぬだろうと思っております。  いずれにしても、そういう商業主義になじまない、市場原理に左右されないような、情報に格差が出ないような、そういう番組づくりが我々の使命だろう、そう思っております。
  102. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 基本的な問題を総括的にお答えをいただきましたので、余り重なってはいけませんから、次の問題について、これは郵政省にお伺いしたいのですが、局長さん、非常にお詳しいので、具体的な問題を聞かせていただきます。  例のデジタル化の話でございまして、二月の二十八日ですか、検討会がBSの後発機でデジタル放送の導入を提言をされまして、BSでデジタルをやっていかなければいかぬな、こういうふうな気合いがほぼそろいつつあったときに、三月の十日ですか、放送行政局長が記者会見で、地上放送のデジタル化の前倒しということで表明をされたわけですね。  このことについての、これは放送業界全体もそうだと思うのですが、やはりハレーションがあると思うので、放送行政局長が地上放送のデジタル化も急ぐのだというように態度表明をなさった、その理由ですね、心、一体これは那辺にあるのか、その点について御説明をいただきたいと思います。
  103. 品川萬里

    ○品川政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘のございました、三月十日における地上波放送のデジタル化、いわゆる前倒しの方針を表明した理由は何か、また心は何かというお尋ねでございますけれども、御案内のように、地上放送のデジタル化につきましては、昨年、平成久年五月に、情報通信高度化中期計画におきまして、我が国の地上デジタル放送については、二〇〇〇年から二〇〇五年にかけてデジタル放送を導入することが適当ではないかという一つの目標といいましょうか目印をちょうだいしたわけでございます。  その後、大変技術革新のスピードあるいは世の中の動きも激しゅうございまして、まず、国内では、BS後発機につきまして、デジタル化を前提に、かつデジタルハイビジョンでBSを活用していくという方針も示されました。  あわせて、もともとこの地上放送のデジタル化ということが議論になりましたのは、振り返ってみますど、一九八三年、ITUの場でこの議論が始まっております。その当時はどういう時期かというと、我が国内ではいわゆるISDNの話が始まったころでございまして、以来十五年近くたつわけでございますが、そういう十年以来の議論の蓄積がある中で、国際的に、アメリカでもイギリスでも、やはり地上放送のデジタル化という時期ではないかということになってきたわけでございます。  御案内のように、情報通信の技術にしましても、それから機器の流通にしましても、基本的にグローバルスタンダードというのが前提になります。そういうことになりますと、我が国の通信機器、あるいは放送機器産業にとりましても、また、我々の誇るべきこのハイビジョンに基づく映像ソフトにつきましても、やはり国内でどうかということだけではなくて、グローバルに、両面において、ハード、ソフト、番組ソフトとも、国際的に流通していくにはどうしたらいいか、こういうことを考えますと、二〇〇〇年から二〇〇五年にかけてということではなしに、やはり少なくとも行政のすべき措置としては、二〇〇〇年までにすべて制度的な整備をする。もちろん、その中には技術的側面、法的側面ございますけれども、両面、二〇〇〇年までに準備を整えて、そしてNHKさんであれ、あるいは民放さんであれ、いかようにでもデジタル化を活用した放送体制がとれるようにということで、いわゆる前倒しという方向に踏み切ったわけでございまして、まあ、流れから見ますと、早いという感じではないというふうに私ども受けとめて、このような決断をしたわけでございます。  以上でございます。
  104. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 欧米の取り組み、その流れというのは、私も資料を読ませていただいたりして理解をいたしているわけですが、それまでが、我が国の運びぐあいというのが、どちらかというとそんなペースで来ていなかったと思うのですね。ここに来て急遽ということになりますと、そこにやはりちょっと無理が出るのじゃないでしょうか。私はそんなふうに全体の感じを受け取っているわけです。  だから、局長さんのおっしゃられるのはグローバルスタンダードの話なので、世界の流れに、先進国の流れに合わせていかなければ、ITUの関係もあって、これはうまくないよということがどうしても前面に出ると思うのです。  そうすると、これ、二〇〇〇年までに地上もやっていこうということですと、郵政省としては、これはガイドラインか何かで示して、具体的には、放送業者の皆さんに、言うならば、おれのところだけやるわ、あとはやってないというか、取り組みは段差ができても困るのでしょうね。そうしますと、そのあたりの具体的な政策を実現するための指導というのですか、どのように手法としてはやられていくのですか。
  105. 品川萬里

    ○品川政府委員 大切なことは、放送分野におけるデジタル化の技術というもののメリットと申しますか、そのポテンシャリティーをいかに国民生活に反映していくかということでございます。ということは、放送事業者の皆さん、あるいは受像機をつくられるメーカーの皆さん、そしてまた、これを生活の中で活用される国民の皆様に、いかに段取りよく、手順よく広がっていくかということでございます。  そのためには、いろいろ放送方式でございますとか法制度の整備が必要でございますが、大体二〇〇〇年までに、私どもとしては、その点は、各国の技術開発の動向、あるいは技術開発の成果を活用させていただくとか、あるいは国内における、大変今関係の方々、いろいろ議論とともに、とにかくこれは実際に電波を出して、あるいは実験なりしてみなければならないのではないかということで進めておりまして、着々とその手順と段取りを踏んでおる状況と私は認識しております。  例えば、日米欧間で、このデジタル技術の開発について国際共同研究をしようではないかというととにつきまして、事務レベルで大体の共同研究をすることについて合意が見られておりますし、また、日韓間、日中間でも、アジアにおける放送のデジタル化ということで、共同研究をしていこうというようなステップも踏んでおりまして、こうしたもろもろの動きをただいま地上放送のデジタル化懇談会というところで、先ほども御答弁申し上げましたけれども、海老沢会長あるいは民放連の会長にも入っていただいて、各界の有識者の方々に入っていただいて、いかにこの技術基準の整備、あるいは放送制度の整備、それからまた放送業界の方々に、行政としては二〇〇〇年までに、行政として、宿題と申しますか、整備すべき条件は整備してまいりますが、それ以降、どのように手順よく、段取りよく、円滑にデジタル化体制に移行していくためにどうしたらいいかということを今この懇談会でいろいろ御議論いただいているということでございます。  その勉強会の中では、できるだけ多くの御意見をいただきながら、また、既に暫定放送方式も決めておりますので、これが実際に電波を発した場合どのようになるか、理論上のデータばかりではなくて経験上のデータも踏まえまして、そして、この懇談会の中でこの手順とそれぞれの課題というものについてできるだけ明らかにしていこうというようなスケジュールで考えておる次第でございます。
  106. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 そうすると、結論的に申し上げれば、二〇〇〇年までにBSの後発もやるわ、地上のデジタル化もやる、結局、同時になるのですな。
  107. 品川萬里

    ○品川政府委員 放送衛星の後発機のデジタル技術によりますハイビジョン、高精細度放送を始めるというのが一つの方向でございまして、それまでに地上放送もできるように諸準備を進めていこう。ただ、地上放送が始まるにつきましては、確かに全国一斉にということは難しゅうございますから、どのような段取りで進めていくか、そのことも含めまして二〇〇〇年までに、あるいはさっき申し上げました懇談会の中では、来年の六月までに大体その道筋はつけたいというふうに考えておる次第でございます。
  108. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 私がしつこく聞くように思われるかもわかりませんが、こういう気持ちがあるからです。  BSが先行するのですか、そうしまして、後、地上は早く行くところはもちろんトップランナーで出ると思うのですが、それが一つのゾーンだと思うのですね。しかし、その間隔が非常に詰まっておれば詰まっておるほど、放送事業者の皆さんは大変ではないでしょうか。僕はそういう意味で聞いているのです。  同時に行くのか、五年の開きがあるのか。もちろん一番遅い事業者もあるかもわかりませんから、地方の皆さんは資金力がなければ、中にはそれは数年以上の差が出るということだって考えられますけれども、問題なのは、一番先頭に切りかえて走られる方は、どれぐらいBSと地上のデジタル化の期間があきがあるのか、間隔があるのかということあたりなのですよ、これは大事なところなのです。できるところからやっていけというのだったら話は別ですよ。これは相当やり方は違うと思うのです。そうではなくて、おたくが積極的に問題提起をされて、言うならばグローバルスタンダードのことも頭に入れながら、さあ行こうじゃないかと旗を振るわけですから、ついてきてもらわなければ困るわけです。  そうすると、それはどういう構想のもとに、先頭からいうならこのあたりというふうにイメージがなければ、それはうまくいかないと思うのですよ。検討会でみんな御自由にと言ったって、それは、検討会の委員さんも、郵政省がどういうお考えなのかということがやはり頭になければ議論ができませんから、そのことを聞いているわけです。
  109. 品川萬里

    ○品川政府委員 この課題と申しますのは、それぞれ行政の役割、放送事業者の方々の役割、そしてまたメーカーの方々の役割、あるいは視聴者の役割というのはないのかもしれませんけれども、視聴者の方々にも大いに期待するところはあるわけでございます。  しかし、私どもといたしましては、今先生もおっしゃったようなところを御検討いただくためにも、できるだけ早く行政としてお示しすべきものを示しまして、それで放送会社の方々に、どのように自分たちが準備をしたり考えたらいいのかという判断材料をどんどん御提供申し上げよう、そういう場としてこのデジタル化懇談会を今開かせていただいております。  その中で、今先生の御心配になっておられる放送会社、いろいろな規模、経営状況の放送会社がございますから、そうした方々のことも十分配慮した中で、いかに円滑に放送デジタル化に移行できるかということについて、この研究会の中で、そういう意味では、目下先生の御指摘になったような問題意識を持ちながら、例えばサイマル放送をするにしましてもどのぐらいの間隔を考えたらいいのかとか、これを来年の六月ぐらいまでにぜひ成案、結論を関係者の御理解と御協力を得ながら出していきたいというふうに思っております。  この分野は、やりましょうと言ってできるものではありません。関係者の方々の、よしやろうという、やらんかなという相互の理解と意欲があってできることでございますので、その辺が環境整備されるように十分な配意をしてまいりたい、かように存じておる次第でございます。
  110. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 局長の御答弁で、放送事業者、関係者の皆さんの気持ちがやはり合わないとできないというのはそのとおりだと思うのですね。その方がいいと思うのです、また、そうでなければできませんから。  そうするためには、午前中の議論にも出ていましたとおり、いや、自前でやれやと。それは、事業者にとってみれば濃淡がございまして、おれのところはそうはかからないわ、おれのところはもう大変、そんなものを負担したらこけるわというところだってあると思うのですよ。そうだとしたら、それはやはり国として、それのフォローアップがやはり最大限のものができていかなければ、僕は事実上、目的というのはなかなか達成できないと思うのですよ。  国民の負担は別ですよ。国民の負担というのはもちろん端末機の部分で出てきますから、受像機の部分で出ますが、これはやはり国民との合意だと思うのですよ。国民の皆さんが、そんなの一方的に業者がやってくれて、サイマルだからいいけれども、それはいつかで切りかえられるという過程では、メーカーはどんどん売りますわな。端末をつくってどんどん売りますよ。そうしたら、いずれにしてもその部分は負担が出てくるわけです。  それは、メーカーにしてみれば、これは二十一世紀の新商品だというので位置づけは非常にいいと思います。ところが、国民の皆さんは負担するわけですから、だからそこのところは、国民との合意がなければ、思いが先に立ってもなかなか全体が動かないと僕は思うのですね。動くようにしていかなければいかぬ。そういう意味で、フォローアップをやはりきちっとしてもらわないといかぬのかな。  これはやはり、最近はアメリカなどが目立っているじゃないですか。国策でやるという手がある。そうでしょう。すごいですよ。NIIでもGIIでもすごいじゃないですか。これは大統領府がかなりこめかみに力を入れまして、お金の部分もフォローアップをしていく。どんどんやるわけでしょう。だから、あれだけいくわけです。これからもうGIIの世界になると思うのですが、それに対して我が国は、はっきり言って弱いですよ。だからその点をきちっとやはり全体が成果を上げることができるように、フォローアップの施策を私は郵政省としても指導力を発揮していただきたいと思います。  時間がすぐ来てしまうのですが、大臣に最後にお伺いしたいと思います。  それで私、基本的に疑問を持っておるのですが、確かにアナログよりもデジタルの方が、言うならば放送技術や通信技術の面からいいますと、これはやはりすぐれているのでしょうね。画像も鮮明に出ますし、それから圧縮技術ですから非常に効率がよろしいし、それはよくわかるのです。しかし、そういうバラ色ばかりではありませんで、影の部分だって出てくると思うのです。チャンネルがどんどん広がりまして、ふえまして、百チャンネルだって行けると思いますよ。  ところが、私は前回も申し上げたのです。これは食堂で、飲食店でいったら何でもつくる大衆食堂と一緒だというのです。ラーメンはつくってくれるわ、すしは握ってくれるわ、ウナギどんぶりだって出てくるとか、メニューがいっぱいある。ところが、専門店と違ってやはり味が落ちるということになると思うのです。結局、飽きられたら、そのチャンネルは消えていきまして、また新しいチャンネルが出てくる。それはもちろん、視聴者が選択するならそれまで、こういうふうに言ってしまえばもう終わりなのですけれども、しかし、やはりそれだけではいけないと思うのですね。  ですから、そこに僕は、NHK会長さんがおっしゃいましたとおり、NHKとしての役割が、教育番組を非常に重視したいというのは私はなるほどと思いましたけれども、何もかもそろっている時代ですけれども、やはり放送分野で、このことはこれから二十一世紀を展望したときに強調していかなければいかぬな、その役割は採算で合わない部分があっても担わなければいかぬなというのがあるわけですから、そういうふうなことを考えますと、大臣としては、全体を指導いただくというか統括をいただいているわけですから、その辺の基本的な見解を最後にいただいて、私の質問を締めくくりたいと思うのですが、どうでしょう。
  111. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 伊藤委員から本当に適切な御指摘、また洞察をいただきまして、大変ありがとうございます。  マルチメディアの時代はなぜ出現したか。ある教授に言わせますと、三つの技術革新だ。一つ目がデジタル信号と申しますかデジタル化、二つ目がコンピューターのダウンサイジング化、三つ目が御存じのように光ファイバーだ、普通の導線の一万倍以上の情報を送れる、私も玄人ではございませんが、そういう話を聞かせていただいておるわけでございます。  まさにデジタル化というのは大変大きな技術革新でございまして、今先生も言われたように、大変電波を有効に利用できる、あるいは情報を圧縮できる、そういったことで、高画像あるいは高機能のサービスができる。しかし、また同時に、そういった意味で、視聴者においては能動的に放送をたくさん選ぶ機会がふえるわけでございますから、よくいけば大変豊かな国民生活になりますが、先生今影の部分もあるという、大変政治家としての長い間の経験に基づく洞察ある御指摘でございます。  そういったことも踏まえて、また同時に、機会もふえますけれども、コンテンツ業界等々においても多大な番組ができるということもあるわけでございますが、同時に今、一方、地方の放送業者あるいはそういった方々のいろいろな意見もあるということでございます。  しかし私は、そういうような面を踏まえて、やはりデジタル化というのは大きな世の中の流れでございまして、それに向かって世界もそういった方向に動いております。しかし、そういった中、やはり今までの従来のいろいろな日本の国内の事情もあるわけでございますから、やはり地上デジタル放送懇談会で、今海老沢会長も、また民放連の会長委員として入っていただいている、あるいはいろいろな方々が入っておられるというふうにお聞きいたしております。  その辺を踏まえて、まさにこのデジタルに向かっての放送業界、あるいは放送と通信が融合するマルチメディアの時代における大きな道筋、それからまた、デジタル化によりまして、個々のいろいろな事業者に、経済的なこともいろいろあるわけでございますから、税制、財政上の負担等々も含めて総合的に、来年までに今局長が申しましたように結論を出させていただきたい、こういうふうに思っております。
  112. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 終わります。
  113. 坂上富男

    坂上委員長 矢島恒夫君。
  114. 矢島恒夫

    ○矢島委員 日本共産党の矢島恒夫でございます。  きょうも何回も論議されてきたNHK会長としての基本姿勢だとかあるいは抱負だとか、お話が出ておりました。会長が就任のあいさつそのほかで、きょうも出されましたが、改革と実行、こういうことを言われ、今NHKの改革を進めるときだ、こういう認識を示されている。  その就任のあいさつの中で、同時に会長はこういうことも言われました。NHKの原点は放送法にある、きょうもお話しになっていらっしゃいました。放送による健全な民主主義の発達と文化の向上をうたい、公共放送であるNHKは、政府の御用機関ではなく、政府から独立した不偏不党、公正公平をモットーにした機関というのが基本である、このようにも言われている。また、受信料を集めるのに公権力が働かないんだ、そしてこれは罰則はないんだ、そういう受信料制度によって支えられているNHKというのは、国民の強い支持と信頼がないと成り立たない機関だとも言われました。  会長の言われるNHKの改革というのも、この原点、これによって進めていくということだろうと思うのですけれども、それでよろしいでしょうか。
  115. 海老沢勝二

    海老沢参考人 今矢島先生から指摘されましたけれども、私どもNHKといいますのは、放送法に基づいて運営されている企業体であります。そういう面で、国民の支持と理解が基本であります。そういうことで、やはり国民の信頼を土台にしながら、不偏不党といいますか公正な立場から、的確な報道、そしてより豊かな番組を国民に情報の格差なく提供するのが我々の使命だろう、そういうふうに思っております。
  116. 矢島恒夫

    ○矢島委員 その会長の言われる原点という点から、幾つかお尋ねしたいと思います。  本委員会でも、午前中からたくさん出ておりますが、いわゆる放送のデジタル化についての問題であります。今いろいろな論議がこのデジタル化の問題では出てきております用地上放送を含めたデジタル化というのを二〇〇〇年だとか、あるいはさらにそれを前倒ししろとか、こういうことも言われているようであります。この問題でも、私、何のために、だれのためにこのデジタル化を進めるのか、ここの原点を見誤ったらいけない、このように思うわけです。  最近の議論を見ますと、デジタル化そのものが目的であるような傾向があるようにも感じるところであります。何よりもやはり、視聴者、国民によりよい放送サービスを提供するために、新しい技術であるデジタル化を進める、ここに原点があると私は思うのですけれども、会長のお考えをお聞きします。
  117. 海老沢勝二

    海老沢参考人 このデジタル化の問題、もう少し整理しますと、CS、BSのデジタル化は、もうこれは現実的に今動いております。これは、御承知のように、国民が選択して視聴できるというわけでありますけれども、地上デジタルになりますと、地上放送は、四千五百万世帯と言われるほとんどの家庭にテレビが普及しているということであります。これを今のアナログ放送を続けながら、また新しくデジタル放送をやるということでありますから、そういう面で、地上波をデジタル化するということは、やはり国民のコンセンサスといいますか、国民的な合意が必要な大きな課題だろうと思っております。  そのためには、私ども、国民に対して、地上波をデジタル化した場合にどういうメリットがあるのか、どういう貢献ができるのか、国民にとってはどう役に立つのか、その辺をやはり詳しく説明して理解を得なければ、これは普及は非常に遅くなるだろうと見ております。  そういう面で、先ほど郵政省当局から答弁ありましたように、今、郵政省の中にあります地上デジタル放送懇談会でいろいろ論議しております。その面で、我々もそういう場で私どもの考えを述べて、そして合意を得ながら、国民の納得を得ながら、また先生方の御意見も聞きながら進めなければならぬ課題だろうと思っております。  そういう面で、地上デジタル化については、いろいろな経済の見通し、その辺も十分分析しながらやっていかなければならぬだろう、そう思っております。
  118. 矢島恒夫

    ○矢島委員 それで、やはりこれも就任のごあいさつの中の部分ですけれども、「いずれにしても新しいデジタル化対応といった課題に向けて、われわれも設備投資やあるいは新しいサービスの開発など、いろいろな面で資金も必要ですし、」きょうもそういう問題も一部触れて、設備投資だけで三千億円ぐらいと見込んでいる、精査したものではないけれども、こういうこともお話しになりました。  NHKの予算を見ますと、おおよそ年間六千億円ぐらい、受信料収入が約九割を超えている、こういうわけですから、新しい財源をどうするかということをこれから考えるんだという会長のお話も午前中ありました。受信料の大幅な値上げということをするとか何かしないことには大きくふやすことは、今の現状の中でそのままであったらなかなか難しいというように思います。  そういう中で、デジタル化に向けてどの程度の資金を投入できる、このようにお考えになっているか、具体的な金額というよりも基本的なスタンスとして、このデジタル化への設備投資だとかあるいは新しいサービスの開発、限られた予算規模の中でどの程度であれば許容範囲か、こんなことをお考えになっていらっしゃるかどうか、お聞かせいただきたい。
  119. 海老沢勝二

    海老沢参考人 地上デジタルの前に、BSデジタルを二〇〇〇年から我々参入して仕事をしていこうと思っております。このBSデジタルに、電波を送るための送出設備等で大体百億程度かかると今見ております。これは来年度ではなくて十一年度、十二年度の予算に計上しようと思っております。そこが一つあります。そこをまずクリアしていかなければならない。これは建設資金でありますから、あとは均等で割っていけばいいわけです。  先ほどの地上デジタルについては、今のアナログ放送の六〇%程度ということで見て一応三千億円という試算をしたわけでありますけれども、これを十年で割っていきますと、大体年間三百億円ぐらいが必要でしょう。御承知のように、新幹線でも一遍に引きたくてもなかなか財政事情等があっていろいろな面で延び延びになっているというのと同じように、一遍にこれはできませんから、まず東京、大阪等の基幹局から始める。それでいきますと、やはり年間二百億か三百億の資金を投入しないといかぬかなと思っております。  そういう面で、その財源をどうするかは、先ほど言いましたように、非常に難しい問題だろう、そういう認識であります。
  120. 矢島恒夫

    ○矢島委員 ことしの九月のことだと思うのですが、NHKの編成や制作にかかわる部署で、こういう文書、「デジタル時代にふさわしい体制への転換を図るため、全部局で業務改革を推し進めると同時に、来年度は今年を大幅に上回る経費を削減する」という方針が示されたという文書が、制作にかかわる、あるいは編成にかかわる部署やスタッフのところに配付された。  その中で、番組制作現場では、来年度の制作費を七%削減せよ、こういう指示が出ているとも聞いているわけなんですが、番組制作に当たって大幅に経費削減せよ、あるいは七%削れということがデジタル時代にふさわしい体制への転換に必要だとされているのだろうと思うのですけれども、NHKとしてはこういう方向で今進めていらっしゃるわけですか。
  121. 海老沢勝二

    海老沢参考人 御承知のように、受信料の増収というのが年二%程度と見ますと、来年度、今編成しておりますけれども、大体百三十億ぐらいでしょう。そういう中で、やはり新しい仕事をしなければいかぬ。出演者の出演料の増額なり、あるいは今非常に低いわけでありますけれども、物価の上昇、あるいは給与を上げるとか、そういう面でかなり固定費がかかってしまう。そういう中で新しい事業を展開するためには、やはり新しい財源を見つけなければいかぬ。なかなかその財源が難しい。  そうしますと、やはり自己改革を進めて、今までの番組制作のやり方を少し見直してみようではないか。これまでの積み重ねでいい面は残しながら、やはり我々はぜい肉がつき過ぎていないのか。あるいは、現場に甘えがあるのではなかろうか。その辺を十分点検して見直すことによってひとつ財源を生み出そうということで、今、放送総局では七十億程度の財源を新しく生み出してもらいたい、いわゆる削減、それによってまた新しいものを生み出す、いわゆるスクラップ・アンド・ビルドの考え方を我々も導入してやっていこうということであります。  ただ、これによって番組の質の低下を招いてはいけませんので、番組の質の低下を防ぎながら、そういうぜい肉を落としてスリムな体制でやっていこう、そういう考えで今業務を進めているところであります。
  122. 矢島恒夫

    ○矢島委員 大変御苦心、御苦労をされていることはわかりますが、最後に今会長が言われた、番組の低下の問題、やはりこれを来してはいけない、これは全くそのとおりだと思うのです。  ただ、制作現場で七%削れといいますと、やはりいろいろ苦心はするでしょうけれども、そっちへつながらないかなという心配があるということもぜひお考えの上に立って、やはり会長が言われておる「質の良い、国民の生活を豊かにし、心を豊かにする番組を間断なく送り届ければ、この支持と信頼はさらに増していくだろうと思っています。」こういうごあいさつがありましたけれども、まさにそのとおりだろうと思うのです。  そういう意味からすれば、無理なデジタル化をやって、設備投資で財政を圧迫して、番組の質が低下していったといったら、何のためのデジタル化かということになるし、そのことは国民の支持や信頼を損ねることにもなるわけであります。そういう点は重大な関心を持って進めていただきたいと思うわけです。  そこで、デジタル化が技術進歩の流れですし、豊かな放送サービスや文化の向上に資する、この新しい可能性を持っている、これは事実でありますし、デジタル化に向けた確かな歩みを続けていかなければならないと思いますが、しかし私は、早ければ早いほどいいというものではないと思うのですね。とりわけ、この設備投資というものについては節度あるものにしていかなければならないだろうと思うわけです。また、現場のスタッフがデジタル化だから経費削減をするんだ、こういうことを当たり前だという感覚になっても、これまた困ることだと思うのです。  原点は、やはりそういう形でのデジタル化ではなくて、国民へのサービスあるいは信頼、ここにあると思うのですけれども、原点の点からいえば、やはり会長もそのようにお考えだと思いますけれども、それでよろしいですか。
  123. 海老沢勝二

    海老沢参考人 やはり我々は、いいソフトといいますか内容豊かな番組を提供するのが使命でありますから、そういう面で質をさらに向上させるという熱意を持たなければいけません。そういう面で、やはり現場の士気も高めながら、もう一つはやはり安易な仕事を避けながら、緊張感を持った仕事を国民に示すべきだろう、そういうことで現場を指導しております。
  124. 矢島恒夫

    ○矢島委員 郵政省にお聞きしますけれども、今、地上波のデジタル化という問題については、景気対策として推進するということだとか、あるいは前倒しすべしという議論も出ております。先ほど品川局長が既にお答えになっていらっしゃるので、確認ということの一つとしては、いわゆる環境整備、条件整備、これを二〇〇〇年までにやっていくんだ、これを前倒しするというお考えがあるのかどうか。先ほどの答弁でいえば二〇〇〇年までということでやっていくということだろうと思います。  それからもう一つは、景気対策ということになりますと、実際に放送が始まる、あるいは放送事業者が免許を受けて設備投資を始めるということにならないと、景気対策にはならないのではないかと私は思うのです。  そこで、地上放送のデジタル化のいわゆる経済効果として考えられるのは、一つは放送事業者による設備投資だろう。もう一つが視聴者によるテレビの買いかえということになるかと思うのですけれども、これはどれくらいあるというふうに郵政省はお考えでいらっしゃいますか。
  125. 品川萬里

    ○品川政府委員 お答え申し上げます。  まず、御質問の一点目の二〇〇〇年という一つの目安が動くのか動かないのかということでございますが、これは先ほどお答え申し上げましたとおり、いわば巡航速度の目安かなというふうに考えております。  それから、景気対策の観点から見てどうかということでございますが、いろいろ御議論はございますけれども、今私どもの手元にある試算、これは平成九年六月、ことしの六月の電気通信審議会で試算いただいた数字でございますけれども、市場規模と申しますか、デジタル化によりまして、受信機の方が大体二兆円、これは二〇一〇年でございますけれども、二兆円。それから、同じく二〇一〇年で、いろいろな送信システムでございますとかその他含めまして、今の受信機を含めまして十兆二千億という数字をいただいております。  ただ、私ども、デジタル化による効果といった場合に、単に投資額が幾らになるかということではないわけでございまして、最終目的は、先ほど から御指摘ありますように、いかにこれが国民生活に役に立っているか、あるいは放送事業に役に立っているかということでございます。そういう点から見ますと、例えば、デジタル化によりましてメンテナンスコストが非常に下がるという御指摘もございます。  現に、今私どもが地上放送のデジタル化と申しておりますのは送信部分でございまして、既にスタジオの技術はもうデジタル化にどんどん進んでおります。実際にデジタルスタジオ化された方々の御意見を伺いますと、大変運営が楽になったという話も承っております。  それから、このデジタル放送によりまして、例えば、先生に大変御指導いただいております字幕放送につきましても非常に導入しやすくなるということで、視聴者に対してまさにユニバーサルサービスと申しますか、ユニバーサルアクセスと申しますか、そういった大変な大きな効果もございますので、デジタル化に伴うコストというのは、それに伴う、デジタル化によるコスト低減の部分もございます、それから視聴者が得られる大きなメリットもございますが、これはトータルとしてコストというものをとらえるべきではなかろうか、かように存ずる次第でございます。
  126. 矢島恒夫

    ○矢島委員 地上波のデジタル化については懇談会で検討中であって、衛星と地上の方式をどうするとか、あるいは標準化の問題もありますし、設備投資の規模といったって、これは概算であって、精査したものでもないでしょう。メーカーの方も、デジタル対応の受信機の生産というものも一定の条件整備や環境整備がきちんと、いわゆる行政的な部分ができない限りは手がつけられない、こういう段階にある。ですから、緊急経済対策などというふうな銘を打ったものもあるようですけれども、当面の景気に対する経済効果ということが出る以前の問題だろうと私は思うのです。  しかも、肝心の視聴者の問題、国民にとってこのデジタル化によってどのような新しい放送サービスが受けられるのだろうかとか、あるいは、テレビの買いかえというものも含めて経済的な負担がどのようになるのだろうか、これは全く今のところはっきりしない、不明と言っていいと思うのですね。このような段階で、景気対策だからと前倒しという議論、こういうものはいかがなものかと私は指摘しておきたいと思うのです。  その意味では、先ほど来お話がありますように、二つの面でやはり不安が現在ある。事業者の負担という問題もあります。質の低下や番組の中身ということも、やはりこれも考えていかなければならないことだろうと思います。前倒しなどをすれば、もっともっとそれらが影響を受けることは間違いないと思います。  もう一つは、視聴者、国民の側としては、地上波のデジタル化ということになりますと、一億台はあると言われているテレビ受像機の買いかえも求められるわけであります。このデジタルの移行にはいわゆるアナログとの並立のサイマル放送の期間があるわけですが、それはどれくらいになるのだろうかとか、いろいろなわかりにくいところがありますから、買いかえの経済効果を求める余りに国民にそういう買いかえを迫るような事態があっては、これはもういけないことだと思うのです。  大臣、私思うに、国民にデジタル化がどのようなスケジュールで、どのような新しい放送サービスを伴って進めるのかという点が今非常に不鮮明なんです。ですから、これが来年の六月なり、あるいはさらに二〇〇〇年になれば相当はっきりしてくるわけですけれども、そういう状況の中で、デジタル化の将来像をきちんと国民に提起したり、あるいは国民的な合意を進めるという基本がないがしろにされて、そして急げ、急げ、こういうことは私はいかがなものかと思うのですが、大臣、その辺についてのお考えがありましたらお聞かせいただきたいと思います。
  127. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 矢島委員の御指摘でございますが、今さっきも私も申しましたように、デジタル化といいますのは大きな世界的な流れであろうというふうに私思っておりますし、それに日本国一国だけが高度情報化社会の中で頑としてそのことに応じないというのも、これはやはり文化的にも経済的にも社会的にも孤立をする。  そういった中で、今さっきからお話を聞かせていただきますと、デジタル化ということがどういうように、これはもう委員御存じのように、多チャンネル化をもたらしますし、高画質化、あるいは性能が非常に上がりますし、一方的にだけ要するにテレビを国民の方が受ける、受信をするということでなくて、やはり双方向になりますし、数百チャンネルになる、大変チャンネルがふえるということにもなるわけでございます。そういった意味で新たなやはり放送文化の創造ということを、私国民に、視聴者の選択の機会も飛躍的に拡大することによって、ただただ今まで受動する、能動的に受けるということだけでなくて、積極的に選ぶという時代になる、こういうプラスの面もあるわけでございますから、ひとつ大変矢島委員から適切な指摘、そういったことをきちんと国民に述べて、そして来年の中ごろまで結論を出すということでございますから、その辺を、時代の流れ、そして国民の現状、そしてどういうふうに国民の生活、文化にかかわるのか。そして一方、景気の回復ということも大変大事な今政治家に与えられた要因でございますから、そこら辺を勘案させていただいて、また皆様方の御意見も聞かせていただいて、適切な判断をさせていただきたい、こういうふうに思っております。
  128. 矢島恒夫

    ○矢島委員 先ほど来、急ぐことによってのデメリットの問題、それから、景気対策と言うけれども、本当にそうなのかというあたり、十分大臣もおわかりのことだと思いますし、御判断の材料にしながら進めていただきたい、こんなふうに思います。  次に、もう一つ、私毎回取り上げている問題ですけれども、字幕放送の問題でお聞きしたいと思います。  会長就任のあいさつでやはりまたあれですが、「年次計画でだんだん増やして」いく、「障害者の方に十分配慮しながら、人にやさしいNHKならではの番組の開発も進め」たい、こう述べられていらっしゃいます。  私が知る範囲では、歴代のNHK会長の就任あいさつという中で字幕放送の拡充が取り上げられたのは初めてだと思うのです。そういう点では非常に心強いことですけれども、同時に、川口前会長が本年度の予算案の審議のときに、NHKの字幕放送は相当まだ低率であり努力も足りなかった、時代の認識も弱かった、せめてイギリスとかカナダとか、アメリカまではともかくも、早く達したい、こういう答弁がありました。会長の就任あいさつでは、年次計画でだんだんふやすとされているんですが、この年次計画ではイギリス、カナダのレベルにいつごろまでに達するのかというようなこともぜひ視聴者に明らかにしながら進めていただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  129. 海老沢勝二

    海老沢参考人 我々公共放送の使命の一つとして、障害者向けの字幕放送、手話放送、いわゆる人に優しい放送をさらに充実させようというのが私の基本的考えの一つであります。  そういう中で、九年度も、総合テレビ二時間数十分ふやしましたし、また、十月からは衛星第二でも始めました。来年は教育テレビでも字幕放送したいということで今準備を進めております。そういうことで、やはり段階的にこれを拡充したいと思っております。  御承知のように、欧米の場合はアルファベットなものですから非常にやりやすいという面があります……(矢島委員「わかりますので、少し、申しわけございません、時間がなくなりますから」と呼ぶ)そういう面で、できるだけ先進といいますか欧米各国並みにできるだけ早くということで今準備を急いでいるということであります。
  130. 矢島恒夫

    ○矢島委員 そこで郵政省にお聞きしたいのですが、十一月十七日に字幕放送普及行政の指針、いわゆるガイドライン、こういうことで出されておるわけですが、ことしの通常国会でこのガイドライン問題を論議したときに、前の楠田局長から研究していくという答弁をいただきました。その研究の成果がこういう形になったということを歓迎したいと思います。  その上で幾つか質問したいのですけれども、時間の関係でまとめます。  まず、このガイドラインでは、十年後の二〇〇七年までにほとんどの地上波では字幕付与可能な番組のすべてで字幕をつける、こういうことになっています。しかし、下の方に、欄外にいろいろ書いてありますが、ニュースやスポーツ中継などの生番組などが技術的に字幕をつけることができない番組として除外されているということ、その他、外国語の番組だとか音楽番組だとか、あるいはこれによりますと権利処理上の理由により字幕を付することができない番組とか、いろいろ出ているわけです。こういうものを除いてしまいますと、午前七時から午後十二時までの全番組で字幕がつくのが四割程度、こういう報道がありました。  これを見た障害者の方々から、これから十年間、二〇〇七年までずっと行ってもやはり四〇%か、こういう失望の声だとか、あるいは一番大切なニュースだとか情報番組、こういうものに字幕をつけてほしいのだけれども、最初からこれが除外されてしまっているのかな、こういう不満の声も実は上がっているわけなのです。  私は、この四割だという報道、これは正確でない面も含まれていると思うのですが、こういう疑問や声に郵政省はどうこたえるのか。現状ではこの字幕付与から除外された番組、実際どれぐらいあるかも含めてお答えいただければと思うのです。
  131. 品川萬里

    ○品川政府委員 お答え申し上げます。  この字幕放送というのはいわばライフライン的な機能を持っておりますので、特にニュースでございますね、これが字幕放送として速やかに放送されればと思っておりますが、この点につきましてはやはり技術開発が必要でございまして、これまで平成八年からずっと続けておりますが、音声も、音がすぐに字幕になるような、そうした新しいソフト開発ということを進めておりまして、これによりまして字幕放送可能な番組が急速にふえるのではないかと思っております。  今御指摘の、何%かという数字でございますが、これは非常に、放送時間によりまして、時期によりましてなかなかとりにくいもので、一概に申し上げられないのですが、別途一定の期間に限りまして数字を調べまして御報告申し上げたいと思います。
  132. 矢島恒夫

    ○矢島委員 最後に、大臣に決意をお聞きしたいのですが、そういうことで、必ずしも固定しないで、技術開発というものがありますから、それに伴って字幕放送もふえていく、このガイドラインが固定的なものでない、私もそう思いますし、そういう御答弁だったわけですが、ぜひその技術開発などの進展も見ながらニュースに字幕をつけるとかそういう方向に力を入れていただきたいし、また、ぜひこういう条件をつくることができるように御努力いただきたい。決意のほどをお聞かせください。
  133. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 矢島委員に、この問題につきましては、本当にかねがね先生からいろいろな関心を持っていただきまして、敬意を表する次第でございます。  もう今先生が言われたように、高齢化社会に伴いまして難聴者が増加することが予想されることから、字幕放送というのは、まさに独居老人にとりましても、いざというときにはまさに情報はライフラインとしての役割を果たすものと考えております。  また、今ガイドラインの話が出ましたが、ガイドラインの策定には、厚生省、障害者団体からも高い関心が寄せられておるわけでございまして、私としても、先生の御主張を体しつつ、ぜひ関係者の期待にこたえてまいりたいというふうに考えております。
  134. 矢島恒夫

    ○矢島委員 終わります。
  135. 坂上富男

    坂上委員長 横光克彦君。
  136. 横光克彦

    ○横光委員 社会民主党の横光克彦でございます。アンカーを務めさせていただきます。  まず、海老沢新会長、御就任おめでとうございます。公共放送の重職ということで、大変な重い職にっかれたわけでございますが、これまでの実績、またそのバイタリティー、また先見性に大変私たち期待しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。  新会長の抱負といいますかスローガンに改革と実行ということが言われておりますが、具体的に何を改革して、何を実行していこうと思われているのか、そこのところをちょっとお伺いさせてください。
  137. 海老沢勝二

    海老沢参考人 先生御案内のように、今、世界の潮流はマルチメディア時代、いわゆるデジタル化時代、そういうふうに大きく転換しております。  そういう中で、NHKの今の公共放送維持し、さらに発展させていくためには、やはり内部の改革をしていかないとこういう大きな時代を乗り切ることは難しいだろうという認識です。  つまり、受信料収納の伸びというものが二%前後というような状態でありますから、そういう面で、これまでの七十数年の歴史を我々は持っておりますけれども、そういう中でスリム化できるものはスリム化し、あるいはスクラップ・アンド・ビルドの精神でこれまでの仕事のやり方、システムというものをもう少し見直してみよう、それによって新しい財源を生み出していこう、それが大きなねらいであります。  そういうことで、国民に新たな負担をかけないように、そのためにはやはりみずから改革を進めねばならぬ、それを間断なく実行しなければならぬ、ただ議論のしっ放しでなくて、一つ一つできるものから実行に移していこう、そういう精神でやっているところでございます。
  138. 横光克彦

    ○横光委員 国民に負担をかけないでスリム化を図っていくというお話もございましたが、となりますと、これはリストラにつながりかねません。となりますと、それが番組の質の低下にもつながりかねません。どうかそこのところは、番組の質というのはNHKにとりましても命でございますので、配慮していただきたい、このように思います。  そしてまた、放送の分野もどうしても一極集中になりがちだと思うのですね。でも、地方の改革といいますか、地域放送、県内放送、こういった方向にも力を入れていただきたい。そして地方の住民の、地域住民の生活の向上やあるいは文化の振興とかそういった面にも公共放送を通じて貢献していただきたいと思いますが、そこのところはどうでしょうか。
  139. 海老沢勝二

    海老沢参考人 私どもの改革の中には、もちろん地域放送の改革ということも大きな眼目に入っております。  御承知のように、日本には三百の諸侯がいた。したがって、そこには三百の文化があったというふうに言われます。今の日本の体制というものは四十七都道府県体制になっております。一部道州制という話がありましたけれども、この四十七都道府県体制というのは当分変わらぬだろう。それでまたその地域にはそれぞれの文化が大きく育っているということであります。そういう面で、私はもう一度この四十七都道府県体制というものをきちっと位置づけて、それで今、各県にはそれぞれ放送局を置いております。そういう面で、地域放送がこれからますます多メディア・多チャンネルになればなるほど重要さが増してくるだろうと思っております。  そういう面で、地方の文化の育成、地方の活性化のために我々の放送が役立つように、そしてまた地方のいろいろな産業なり文化を全国に発信する、その全国発信が世界の発信につながるわけでありますから、そういう面で、全国への発信一それと同時にまた地域の中でのそういう意思の疎通といいますか情報を提供していく、そのためのいろいろな改革を進めていきたいと思っているわけです。
  140. 横光克彦

    ○横光委員 どうかひとつよろしくお願いいたします。  先ほど同僚議員から紅白歌合戦の出演者のギャラ等の御質問がございました。あの方たちはある意味ではトップランクの方ですね。私が質問したいのは、俳優等の実演家です。この実演家の二次利用の件で、文化庁お見えですので、ちょっとお聞きします。  昨年の十二月に、世界知的所有権機関、WIPO、ここにおきまして、音楽家の権利保護を定めたWIPO実演・レコード条約が採択されました。これで音楽家の権利保護は大きく前進したわけですが、残念ながら映画や舞台で演技する俳優等の実演家にはまだまだ権利の保護が認められておりません。  先ほどからお話がありますように、これからは多チャンネルの時代になります。そうしますと、衛星デジタル放送やあるいはデジタルビデオディスク、DVD、こういうところで次から次から二次利用が始まる、圧倒的な勢いで私は二次利用というものが広がると思うのです。  ところが、映画監督やあるいは脚本家、制作者はもちろんですが、そういう人たちに比べて実演家、つまり俳優は、経済的な利益還元のようなものが権利保護として認められていないのです。つまり、再放送料が入らない。自分が出た番組が無条件に再放送されるのですが、一切権利がないわけですね。一つのドラマをつくるには、制作者、そしてまた脚本家、監督、そして俳優が一体となって創造するわけですよ。ところが、そういった同じ創造する場にいながらも、片や権利がありながら、俳優等の実演家には権利がない、非常に厳しい状況があるわけでございます。  これは国内の著作権の問題になるのですが、こういった整備がどうしても必要でございます。この映像分野の実演等の保護のあり方について、文化庁は今どのように対応されているのか、ちょっとお聞かせください。
  141. 板東久美子

    ○板東説明員 ただいま先生御指摘のように、音楽にかかわります実演家に比べまして、俳優など映像にかかわってくる実演家の保護が十分ではないのではないか、メディアのいろいろな発達に伴い二次的な映像の利用というのがますます広がっていく中で十分ではないのではないかという御指摘が最近非常に内外で強くなっているところでございます。  今先生からもお話がございましたように、世界知的所有権機関、WIPOにおきまして、今後、来年末の条約策定を目指しまして、この俳優などの実演家の保護のあり方についての検討が始められたところでございます。  我が国におきましても、この問題は非常に重要な問題であるというふうに受けとめておりまして、文化庁といたしましても、文化庁の中にこの問題を検討するための懇談会を新たに発足をさせたところでございます。映像分野の著作権等に係る諸問題に関する懇談会という名前の懇談会でございますけれども、映像関係者、学識経験者、あるいは郵政省などを初めとする関係省庁の御協力もいただきまして、今後、非常に複雑な問題ではございますけれども、鋭意検討を進めたいというふうに思っているところでございます。
  142. 横光克彦

    ○横光委員 その懇談会ですか、私はすごい意義があると思うのですね。これは今どれぐらいのペースで会合が持たれておるのですか。
  143. 板東久美子

    ○板東説明員 まだ十一月二十一日に発足したばかりでございますけれども、月一回ぐらいのペースで、一年半ぐらいで結果を出したいというふうに思っております。
  144. 横光克彦

    ○横光委員 どうか、その懇談会でいい形ができ上がり、そして本当に、同じ番組で同じように仕事をしていながら、まだまだ権利の保護におきましてはいろいろな差があるわけでございますので、何とかしてそういった人たちの二次利用に関しての権利を保護する道を開いていただきたい、このように思います。  次に、もう一問お尋ねいたしますが、本年六月にNHKと民放連とで共同設立されました放送と人権等権利に関する委員会、この機構が設立されたわけですが、今活動状況はどうなっているか、お聞かせください。
  145. 河野尚行

    ○河野参考人 お答えします。  六月から活動を始めたのですが、これまでに六百三十五件の問い合わせがあるというふうに聞いております。ただ、この機関をつくった前提は、視聴者からの苦情、意見等は基本的にはそれぞれの放送事業者が責任を持ってやりなさいということでありますから、この中で、人権等に関する委員会審議の対象になったのは、先ほど来取り上げられておりますアメリカのサンディエゴで発生しました教授親子殺害事件の一件でございます。
  146. 横光克彦

    ○横光委員 終わります。どうもありがとうございました。
  147. 坂上富男

    坂上委員長 これにて両件に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  148. 坂上富男

    坂上委員長 これより両件について討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、日本放送協会平成年度財産目録貸借対照表及び損益計算書について採決いたします。  本件について異議がないと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  149. 坂上富男

    坂上委員長 起立総員。よって、本件は異議がないものと決しました。  次に、日本放送協会平成年度財産目録貸借対照表及び損益計算書について採決いたします。  本件について異議がないと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  150. 坂上富男

    坂上委員長 起立総員。よって、本件は異議がないものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  151. 坂上富男

    坂上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  152. 坂上富男

    坂上委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時十六分散会      ————◇—————