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1997-12-02 第141回国会 衆議院 地方行政委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十二月二日(火曜日)     午前十時開議  出席委員   委員長 加藤 卓二君    理事 谷  洋一君 理事 平林 鴻三君    理事 宮路 和明君 理事 持永 和見君    理事 古賀 一成君 理事 富田 茂之君    理事 葉山  峻君 理事 春名 直章君       石橋 一弥君    熊谷 市雄君       菅  義偉君    滝   実君       中山 利生君    西川 公也君       平沢 勝栄君    藤本 孝雄君       八代 英太君    保岡 興治君      吉田左エ門君    渡辺 具能君       川端 達夫君    笹山 登生君       白保 台一君    福留 泰蔵君       松崎 公昭君    石井 紘基君       桑原  豊君    田中  甲君       穀田 恵二君    畠山健治郎君       今井  宏君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     上杉 光弘君  出席政府委員         地方分権推進委         員会事務局長  東田 親司君         警察庁長官   関口 祐弘君         警察庁長官官房         長       野田  健君         警察庁長官官房         総務審議官   金重 凱之君         警察庁生活安全         局長      泉  幸伸君         警察庁刑事局長 佐藤 英彦君         警察庁警備局長 伊達 興治君         法務省訟務局長 細川  清君         自治大臣官房長 谷合 靖夫君         自治大臣官房総         務審議官    嶋津  昭君         自治省行政局長 松本 英昭君         自治省行政局選         挙部長     牧之内隆久君         自治省財政局長 二橋 正弘君         自治省税務局長 湊  和夫君         消防庁長官   佐野 徹治君  委員外出席者         内閣官房内閣内         政審議室内閣審 井原 好英君         議官         大蔵大臣官房審         議官      中井  省君         大蔵省主計局主         計官      川北  力君         農林水産省構造         改善局計画部地         域計画課農村整         備・活性化対策         室長      田口 尚文君         農林水産省構造         改善局建設部開         発課長     江頭  輝君         建設省河川局水         政課長     阿部  健君         建設省河川局砂         防部砂防課長  池谷  浩君         建設省道路局地         方道課長    村岡 憲司君         地方行政委員会         調査室長    黒沢  宥君     ――――――――――――― 委員の異動 十二月二日  辞任         補欠選任   中野 正志君    吉田左エ門君   桑原  豊君     石井 紘基君   古川 元久君     田中  甲君 同日  辞任         補欠選任  吉田左エ門君     熊谷 市雄君   石井 紘基君     桑原  豊君   田中  甲君     古川 元久君 同日  辞任         補欠選任   熊谷 市雄君     菅  義偉君 同日  辞任         補欠選任   菅  義偉君     中野 正志君     ――――――――――――― 十二月一日  現行行政書士制度維持に関する請願(小坂憲次  君紹介)(第八一七号)  同(堀込征雄紹介)(第八一八号)  同(小川元紹介)(第九二九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十一月二十六日  銃器犯罪根絶に関する陳情書  (第四八号)  市町村合併促進のための国の支援措置の強化に  関する陳情書  (第四九号)  兵庫県出身者行方不明事件に関する陳情書  (第五〇号) は本委員会に参考送付された。 本日の会議に付した案件  地方自治地方財政警察及び消防に関する件      ――――◇―――――
  2. 加藤卓二

    加藤委員長 これより会議を開きます。  地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。滝実君。
  3. 滝実

    滝委員 自由民主党の滝でございます。  先輩、同僚の御配慮によりまして、質問をさせていただきたいと存じます。  幾つかの点をお尋ねしたいと思うのでございますけれども、最初に、地方分権につきまして、基本的なことからお尋ねをさせていただきたいと存じます。  地方分権推進委員会勧告は一次から四次まで出そろったわけでございますけれども、この勧告を受けて、政府におきましては、分権推進計画をおつくりになることになります。つきましては、この推進計画なるものはだれがいつまでにつくるのか、このところが必ずしも明らかになっていないわけでございます。  聞くところによりますと、内政審議室取りまとめ作業は担当される、こういうふうにお聞きしているのでございますけれども内政審議室ではどういうようなスケジュールでお考えになっているのか、その辺のところからお尋ねを申し上げたいと存じます。
  4. 井原好英

    井原説明員 地方分権推進計画はだれがいつまでにつくるのかということでございますけれども地方分権推進計画は、地方分権推進法によりまして政府作成することとされており、また、内閣総理大臣がその案を作成して閣議決定を求めるということとされております。このため、具体的な作成につきまして、内閣に、関係省庁による地方分権推進連絡会議を設置いたしました。その場等を通じまして、関係省庁が連携を密にして、その作成作業を進めているところでございます。  次に、いつまでにということでございますが、地方分権推進委員会勧告を最大限に尊重して、次の通常国会が終了するまでのできるだけ早い時期に計画作成いたすことといたしまして、総合的かつ計画的に地方分権を推進してまいりたいと考えているところでございます。
  5. 滝実

    滝委員 ありがとうございました。  分権推進委員会勧告につきましては、推進委員会事務局が担当されていたわけでございますけれども、今度は、具体的な推進計画ということになりますと内政審議室取りまとめに当たられる、こういうことになるわけでございます。  しかし、今も御答弁いただきましたように、内政審議室は手足のない組織でございます。したがって、計画をつくるに当たっては、それぞれ関係省庁を集めて、関係省庁計画を出させた上で取りまとめをする、こういうことになるだろうと思うのでございますけれども、その際にやはり一番問題になりますのは、大蔵省自治省がどれだけこれに力を入れて計画作成にバックアップさせていただくか、こういうことだろうと思うのでございます。  現在の第一次から四次までの勧告を見ますと、その中で三つぐらい、大きく分けて問題点があるように思います。  一つは、この勧告中身と申しますか、国の権限地方権限との調整の問題で、勧告自体ペンディングにしている問題がございます。  どういうものかといいますと、代表的なものは、廃棄物処理について、今後の成り行きを見て最終的な決着を図りたい、こういうことを勧告そのものに実はうたっているわけでございまして、勧告そのものが、廃棄物にだれが責任を持つかということについてはこれは今後の推移を見て決めるのだ、こういうようなことを言っている点がございます。したがって、そういうものも含めて、内容的にどうするかというものが一つございます。  それからもう一つは、地方団体の受け皿の問題で、推進委員会委員長さん以下、当委員会でもお漏らしになりましたけれども都道府県から市町村への事務移譲については、今回の勧告では、人口二十万人の都市が要するに規模としては最低の規模でございまして、二十万人を割るような、例えば十万都市、五万都市については、今回の分権推進委員会勧告では何も触れていないわけでございます。  なぜ触れていないかと申しますと、それは、協議段階関係各省が、十万人程度ではどうも心細い、あるいは、十万人程度の問題については、個々地域の事情によるのだから、それは地方自治法の二百五十二条の十四でそれぞれの地域が県の仕事を市町村に移譲する道が開かれている、それで進めたらいいのであって、何も国の方針として個々事務を取り上げて市町村に移譲するまでもない、こういうようなことをお漏らしになっているわけでございます。  したがって、二番目の問題としては、この地方自治法二百五十二条の十四の事務委託、これをどこまで市町村が認識を持って当該県との間で事務移譲について今後推進していくのか、こういった点についても自治省は少し力を入れる必要があるのじゃなかろうか、こういう感じがいたします。  三番目の問題としては、補助金整理の問題、税の問題、これについてはやはり今後の予算編成過程を通じて、あるいは今後の推進計画取りまとめ段階で具体的に事が運ばれる、こういうことにもなろうかと思うのでございますけれども、こういった点も含めて、まず行政局長さんの方から御感想があればひとつお漏らしをいただきたいと思うのです。
  6. 松本英昭

    松本(英)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま三つばかり御指摘いただいたわけでございますが、第一の、勧告中身でまだペンディングになっているものがある、これは事実でございます。  産廃につきましては、今、一応の方向を出してさらに制度検討をしなさいということで勧告をいただいているわけですが、純粋にペンディングになっているものもございますし、それから、機関委任事務整理の中には必ずしも地方自治法別表に載っていないようなたぐいのものもございますので、そういうものもすべて整理をするということで、私どもの方といたしましては、それぞれの法律所管省庁においてそれを詰めていただいているところでございます。ペンディングになっているものは、必ずしも直ちに同時に施行するということにはいかないかもしれませんけれども、鋭意、制度あり方等を詰めていただく、こういうことになろうかと思います。  第二点の、都道府県から市町村への権限移譲でございますが、特に、御指摘いただきました、都道府県が自主的に市町村権限を移譲する仕組み、これは実は、今二百五十二条の十四の規定、いわゆる事務委託規定を御指摘になりましたけれども、今考えておりますのは、あの規定ではなくて、機関委任事務が廃止になりましたときに、現在、地方自治法の百五十三条で機関委任いたしておりますものが機関委任できなくなります。  したがいまして、法律に基づきまして都道府県が特別な権限移譲をする規定を置こうということで、これは分権推進委員会でも勧告をいただいております。いわゆる二百五十二条の十四の事務委託規定事務委託規定として、別途に、都道府県から市町村に、百五十三条にかわる権限移譲ができる規定を置こう、そういうことで検討いたしておるところでございます。  補助金整理等につきましては、また予算段階で詰めていかれるのではないかと考えているところでございます。
  7. 滝実

    滝委員 今の御答弁のように、百五十三条にかわる条文の検討を進められている、こういうことでございますけれども、この点は、県、市町村がそういう問題について特に関心を持って当たっていただきますように、要するに、国における分権推進計画ではそれは出てまいりませんので、別途、県、市町村が自主的な事務配分の問題を御検討いただくように、これは自治省が音頭をとっていただかないとなかなか事が進まない、こういうことになろうかと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと存じます。  それからもう一つ、今の三つの問題を挙げたほかに、若干細かいところで気になる点がございます。  それはどういうことかといいますと、これはあらかじめ質問通告をしてございませんでしたけれども、これも行政局長さんに御答弁をいただけたらありがたいと思うのでございますけれども、第三次勧告で、例の地方事務官の廃止問題を取り上げておいでになるわけでございます。これは長年の検討課題でございましたから、一応三次勧告で一通りの決着がついたというふうに理解すべきものだとは思いますけれども、子細に見てまいりますと、なかなかそうでもないような感じがするわけでございます。  例えば国民年金につきましては、三次勧告で割と具体的に考え方をお示しになっているわけでございます。  どういうふうに示しているかというと、国民年金手帳は、現在、市町村役場で交付しているわけでございますけれども、この交付事務市町村役場から撤去して国の事務官が直接交付事務に当たるということを一つ言っていますね。  それから二番目には、毎年毎年、年一回、年金受給者には、いわばちゃんと生存しているぞという意味を込めての恐らく確認通知を出すわけでございますけれども確認通知も、従来問題になっておりましたのを、今度は確認通知はもう要らないということにしようということになっているようでございます。  こういうようなことを見てまいりますと、例えば年金手帳交付事務を、市町村役場から、もうやらなくてもいい、国が直接やるのだということになりますと、これは、これだけ社会的な流動性の高い時代に、住民登録変更をしたついでに国民年金手帳とか国民健康保険の取り扱いを役場で今まで一緒にやっていたのが、違うところへ行かなければならぬ、こういうような事態にもなるわけでございます。  したがって、住民としては、移動のたびに、今まで役場で一本で済んでいたものが、今度はそうでなくなるような、こういう感じを受けるのでございますけれども、この辺はどういうふうに自治省としてはおとりになっているのかということでございます。  それからもう一つ、これは自治省プロパーの問題ではありませんけれども国民年金受給確認事務は、これは大変評判が悪かったのですね。年寄りが毎年一遍役場へ行って、生きているぞという証明書をもらって、送り返さなければいかぬ。こういうことは、年寄りはなかなかたえがたい。特に寝たきり老人になると、これはだれかがかわってやらなければいかぬ。  こういうことでございますから、今度は、この勧告で、そういう事務はいいじゃないか、もうやめた方がいいという勧告そのものは結構なんですけれども、聞くところによると、この事務はやはり必要なんですね。必要なものを廃止するものですから、そのかわり何かしなければいかぬ、そこで、別途、指定統計情報をもってこの確認に充てる、こういうことでございますから、何となくプライバシーの問題からしていかがなものだろうか、こういうような感じがあるわけでございます。  この問題については自治省行政局長さんの守備範囲を超えると思いますけれども、この点について御感想があればお述べをいただきたいと思います。
  8. 松本英昭

    松本(英)政府委員 第一点の、国民年金に関します市町村事務の問題でございます。  第三次勧告地方事務官制度を廃止するということになっておりましたので、従来は都道府県組織を通じて行っておりました年金関係事務が、国の直接執行ということで二元化することになってまいります。  そういたしますと、厚生年金関係割合すっきりするのでございますが、国民年金関係におきましては、現在、市町村長機関委任事務として、御指摘になりましたような、いわゆる国民年金印紙検認等事務がございます。このことは、実は、検認等につきましては、既に実態がかなりかけ離れたものになっているということがございまして、市町村の間でも大変膨大な手間をかけている、直接に国の方に納付するような形にした方がもうこういう時代でございますのでいいのではないかというようなことから、現に行っております機関委任事務としての市町村長国民年金に関する諸事務整理しよう、こういう考え方分権推進委員会は臨まれたわけでございます。  そういうことで、できるだけ年金関係というのは、これは国の直接執行、窓口は社会保険事務所ということになってまいりますが、国の機関として新たになります社会保険事務所の方に一元化をしていく、その方がいいのだろう、こういう考え方ではないかと思っております。  次に、年金現況確認の問題でございます。  今御指摘のように、現況確認につきましては、いろいろと年金受給者の御不満も多いわけでございまして、早急にこれは何とかしなければならないということで、厚生省の方と私どもの方も、私どもの方なりの考え方でいろいろこれまでも御協議をしてきたところでございます。  私どもといたしましては、現在、私ども考えておりますいわゆる住民基本台帳ネットワークシステム、これを通じて確認するのが最も確実で、かつプライバシー保護の目的をも達成するということになろうと思っておるわけでございますが、また厚生省さんの方は厚生省さんの方の考え方もあるようでございますので、御指摘のような個人情報保護等の観点も踏まえながら、厚生省の方とよく協議してまいりたいと考えているところでございます。
  9. 滝実

    滝委員 以上、分権推進委員会の四次までの勧告について、問題点といいますか、これから作業を詰めなければならぬ点について大まかなことを分類して申し上げたわけでございます。  そこで、補助金、税と言うわけにはまいりませんけれども国庫補助金負担金に関連して、特に、これから予算編成も行われる時点でございますので、そういう意味で、きょうは建設省道路局、そして河川局課長さん方においでをいただいておりますので、特にこの補助金負担金につきまして、若干御意見を伺わせていただきたいと思うわけでございます。  まず、道路事業でございます。  実は、国鉄の長期債務処理に関連いたしまして、この道路特定財源を一部拝借したらどうか、こういうような議論も行われているわけでございますけれども、その原因たるところを探ってまいりますと、道路事業のうち、国費の中で道路特定財源の占める割合が非常に高いわけでございます。平成九年度、十年度になりますと、国の道路事業費の中で道路特定財源は恐らく九五%ぐらいまでいってしまう、もう少しすると、国費全額特定財源で賄える、こういうような国費の中における特定財源比率というものに着目して出てきた議論だろうと思うのでございます。  ところが、目を転じて地方道路事業費を見てまいりますと、地方道路事業費というのは、これは特定財源比率が極めて低いのですね。基本的には大体三分の一、地方道路事業費のうち三分の一ぐらいだと思うのです。ちなみに、地方道路事業費平成九年度で見ますと大体七兆五千億ぐらいになると思うのでございますけれども、そのうち三分の一ぐらいが特定財源扱いができる。それにもう一つ地方道路整備臨時交付金というのがございますから、これを入れても大体四〇%ぐらいが地方道路事業費に占める特定財源ではなかろうかな、こう思うのでございます。  したがって、道路局課長さんにお伺いしたいのは、こういった点について、建設省として、余りにも国費傾斜的な特定財源をどうお考えになっているのか。もう少し地方の方に回すような配慮が必要じゃないだろうかな、こういう感じがいたします。  というのは、今、事業費比率を申し上げましたけれども比率に関連して、同じように、例えば道路改良費を見ても、一般国道は相当進んでいるのですね。一般国道道路改良率なんというのは、もうそろそろ九〇%ぐらいになるのです。ところが、都道府県道あるいは市町村道改良普及率なんというと、これはもう大変低い。これが現状でございます。  これからはむしろ、一般国道は大体一服して、まあ一服しないところもたくさんあるのですけれども都道府県道市町村道改良率が相当低いものですから、そういうところに重点を置かなければならない、こういうような時期に来ているようにも思うのでございますけれども、まずこの点について、御意見があったら伺わせていただきたいと思うのです。
  10. 村岡憲司

    村岡説明員 まず、整備の状況についてお答えいたします。  平成八年四月一日現在の統計で見ますと、道路の延長が全体で約百十四万キロございまして、そのうち、国道が五万キロ、都道府県道が約十三万キロ、市町村道が約九十六万キロ、全体では市町村道が大変多いわけでございますが、今御指摘の、改良が実施された区間割合ということで見ますと、国道が約八八%、都道府県道が約六〇%、市町村道が約四九%ということになってございます。  したがいまして、地方道整備に対するニーズは非常に高いわけでございますが、一方で、既にこれらの改良が実施された区間におきましても、交通量の大幅な増加あるいは渋滞等の発生によりまして、さらに四車線化が必要な区間国道あるいは地方道ともに約半分ぐらいございまして、その意味では、緊急に解決しなければいけない道路課題は大変多いということが言えます。
  11. 滝実

    滝委員 私も一般国道が数字的な改良率のことだけで事足りるとは思っていませんけれども、それにいたしましても、地方道改良率というのは、これから、こういう数字でもございますので、この点についてはなお御検討いただきたいと思うのでございます。  そこで、問題になりますのは、今も少し申し上げましたけれども地方道路整備臨時交付金、これは昭和六十年から始まったと思うのでございますけれども、例のガソリン税の四分の一を限度にして地方道緊急整備のために交付金を出している、こういうことでございますね。  したがって、片や、都道府県市町村道路事業の中では臨時交付金の額が相当潤沢というか、従来以上にいわば財源として使えるものですから、昭和六十年以降、格段に市町村道あるいは都道府県道整備がそれなりに進んできたというふうに思うのでございます。  そこで、問題になりますのは、例えば、都道府県道はいろいろ問題がありますからさておいて、市町村道を見てまいりますと、市町村道については、都道府県道もそうなんですけれども財源構造が二重になっているのですね。例の建設省が直接所管されている補助金負担金対象でもございますし、それから、この交付金対象でもございます。  こういうことになるのでございますけれども、特に市町村道は、恐らく、道路改修費の中で、建設省補助金の中では市町村道に向ける部分というのはそんなには多くないだろうと思うのですね。課長さんからおっしゃっていただいたらありがたいのでございますが、恐らく数字的には全国で二千億か三千億の話だろうと思うのでございますけれども、片やこの道路交付金があって、なおかつ市町村道についても補助金があるというのはどう見ても何となく煩雑じゃないか、もう少し、それは交付金に統合するとか、そういうふうな考え方があっていいのじゃなかろうかな、こういう感じがするわけでございます。  一挙にはいかないかもしれませんけれども、これからの考え方方向として、分権委員会でせっかく整理をしようとする段階ではそういうこともお考えいただいて、できたら道路交付金交付率を操作してでもそういうものに一般化した方が市町村道はいいのじゃなかろうかな、こういう感じがするのでございますけれども、これについて、お考えがあればお述べいただきたいと思うのです。
  12. 村岡憲司

    村岡説明員 都道府県道及び市町村道整備全体は、道路管理者でございます地方公共団体が主体的に進めることが基本でございますけれども、国は、国の観点として重要な要素として考えております、広域交流ネットワークの形成、特別立法等の法律による地域の支援、大規模プロジェクトの支援、それから特定の施策、新技術の促進、大きく四つの観点で重点的に支援をさせていただいております。  補助金の見直しにつきまして、今御質問があったわけでございますが、先ほど来お話の出ております、ことし六月三日の閣議決定、これにおきまして、「社会経済情勢の変化、官と民及び国と地方の役割分担の在り方等の観点から、聖域なく見直しを行う。」こととされてございます。  御指摘都道府県道、特に市町村道についてのお話があったわけでございますが、建設省としましても、これまでもかなり重点化あるいは統廃合、メニュー化などの制度整理合理化等に取り組んできさせていただいておりまして、今後とも、今御指摘交付金の問題も含めて、補助金、両方あわせまして、不断の見直しを行いまして、必要な整理合理化を進めていきたいというふうなことでただいま検討しているところでございます。
  13. 滝実

    滝委員 ありがとうございました。  交付金化の問題は、今までの歴史がありますから、なかなか簡単にはいかない問題だと思いますけれども、ぜひこの際、検討を進めていただきますようにお願いを申し上げたいと思うのです。  それからもう一つ、それにつけ加えて申し上げたいのは、この道路臨時交付金補助金適化法の対象になっているわけでございますね。したがって、全くフリーな補助金交付金というわけではございません。いわば補助金に近い交付金だろうという感じがするのでございますけれども、その辺の事務処理のあり方につきましても、従来とは違った新しい処理の方法があれば、そういうものもあわせて御検討いただきますようにお願いを申し上げたいと思うのでございます。  次に、河川あるいは砂防関係についてお尋ねをいたしたいと思うのでございます。  基本的には、本日は河川関係課長さんがおいでいただいているわけでございますけれども、実は、今回の分権推進委員会勧告ではどうもはっきりしないところが二点ほどございます。  一つは、砂防関係でございます。  これは、関係課長さんがおいでになっていませんから答弁は結構なんですけれども、砂防関係については、分権委員会勧告では何か触れておられないような印象を受けるわけでございます。  具体的に、河川と砂防は同じようであって、実は同じような体系になっていないところがございます。  なぜかといいますと、砂防法の立て方は、基本的に、砂防というのはどうも国の直轄事業のような印象なんです。砂防地域の指定は建設大臣が行う、こういうことでございますから、当然、国が前面に出ているのが砂防事業でございます。したがって、地方庁は何をやるのか。地方庁というのは恐らく都道府県のことを指すのだろうと思うのですけれども都道府県は、建設大臣が指定された砂防地域のいわば事業とか維持管理を常に監視しながら行うというのが都道府県の仕事なんですけれども、同じ地域について、今度は、市町村はその地域について県と同じように事業ができるような仕組みになっています。  要するに、砂防の場合は、国が前面に出ているのですけれども、監視は都道府県がおやりなさいよ、しかし、同じ地域について、市町村は場合によっては都道府県に許可を得ればいろいろな事業ができますよ、こういう感じになっているものですから、直轄の砂防地域、砂防堰堤をつくってやりますと、その後の流路工は必ずしも直轄事業じゃなくて、小さな事業は、市長さん、地元でやりなさいとか、都道府県が地元でやりなさいとかいうことで、甚だ権限というか責任分担が明確でないのが砂防でございます。  したがって、この辺のところは今回の分権委員会でどうなっているのか、必ずしも明らかでないのでございますけれども、これはひとつ今後の問題として、整理する際に、砂防についても何かそこのところは明確にした方がいいのじゃないかという感じがするわけでございます。  その延長線で申し上げるのでございますけれども、河川事業についても同じようなことがどうもあるのじゃなかろうかという感じがいたします。  河川局お尋ねしますと、いや、河川は非常に伝統ある事業でございますから明快に割り切っています、こういうふうにおっしゃるのでございますけれども、しかし、河川法の条文上の問題と分権委員会勧告で必ずしも明らかでない点が一点ございます。  どういうところかと申しますと、今度の勧告では、一級河川については、一級河川のうち県管理の指定区間は恐らく都道府県の法定受託事務になるだろうと思うのですね。それから、二級河川も一法定受託事務。それから、少し飛びますけれども、準用河川は市町村の自治事務であるということをはっきりと言っているのでございます。  問題になりますのは、実は、一級河川、二級河川についても市町村が事業できる区間がありますね。上流の末端のところは市町村ができるところがあります。恐らく、市町村がおやりになるところは法定受託事務だろうと思うのでございますけれども、ここのところがどうも行き過ぎではないかなと。  といいますのは、準用河川については市町村の自治事務といたしておるわけでございますから、幾ら水系単位でもって一級河川、二級河川の指定をしたといえども、その末端の上流のところまで市町村の法定受託事務というふうにする必要は必ずしもないのではなかろうかな、どうもその辺のところが、この勧告では余りにも細かいところまで相変わらず法定受託の考え方を貫いているのではなかろうかなという感じがするのでございますけれども、この辺について御意見があったらお聞かせをいただきたいと思うのです。
  14. 阿部健

    ○阿部説明員 河川法におきましては、国土保全上あるいは国民経済上特に重要な河川につきましては一級河川、また、それ以外の、その他で公共の利害に重要な関係がある河川につきましては二級河川というふうになっておりまして、それぞれ、河川の治水、利水の観点から、管理する必要性に応じて一級河州あるいは二級河川としております。また、その他の小河川につきましては、市町村が指定したものにつきましては準用河川ということになってございます。  また、一級河川、二級河川の指定に当たりましては、関係都道府県知事の意見を聞いた上でそれぞれ指定する、二級河川につきましては、市町村長意見を聞いた上で指定するというような形になっておるわけでございます。  なお、今お話ございました一級河川あるいは二級河川の上流の方にも準用河川がございまして、それは市町村の自治事務ということになっておるわけでございます。  いずれにいたしましても、これらの指定につきましては、河川がはんらんしたり、あるいは枯渇したりするというようなことで国民の生命財産に重大な影響を及ぼすことのない小さな河川につきましては、河川法の適用がなく、普通河川または準用河川というような形になっておるわけでございます。  地方分権推進委員会勧告におきましても、準用河川は自治事務ということになりまして、また、これらとあわせまして、今般施行されました河川法の改正におきましても、今後、河川整備計画につきまして、一部、大臣の認可を原則廃止するとか、あるいは、河川整備計画におきまして関係公共団体の意見聴取を行うことというような改正を行ったところでありまして、今後とも、河川行政の推進に当たりましては、地域の意向が十分反映されまして、適切な河川管理が行われるように努めてまいる所存でございます。
  15. 滝実

    滝委員 ありがとうございました。  なぜこういうことを申し上げるかと申しますと、砂防の関係でも関係があるのでございますけれども、例えば砂防につきましては、先ほど申し上げましたように、山の中の小さな堰堤でも直轄事業で築くわけです。ところが、砂防法上、責任関係があいまいなものですから、堰堤は築いても、その下の流路工は今度は事業費が小さいから直轄事業でやらずに地元でやれと、市町村がまずやれとか、あるいは県がやれとか言っているのでございますけれども、その責任区分がはっきりしないものですから、これは財源措置がないのですね。例えば砂防の流路工を市町村がやれと言っても、市町村はそういう仕組みになっていないものですから財源措置がない。ところが、片や直轄事務所に行っても、そんな細かいことは地元でやってよと、こういう話でございます。  その辺のところは、上流になって細かい事業になってまいりますと地元がやらなければいかぬ、しかし、どうもそういう仕組みには必ずしもはっきりしないものですから財源措置があいまいである、こういうことにもなりますので、細かいようでございますけれども、少し明確にしていただいた方が市町村もやりやすい、こういうことになろうかと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思うのでございます。  河川、道路の問題はこれで終わりにさせていただきます。建設省、何かありますか。
  16. 池谷浩

    ○池谷説明員 御説明申し上げます。  先ほど砂防事業については市町村というお話が大分出ておりましたが、基本的には、先生先ほど御指摘のように、砂防法の第二条で、「砂防設備ヲ要スル土地又ハ此ノ法律二依リ治水土砂防ノ為一定ノ行為ヲ禁止若ハ制限スヘキ土地ハ主務大臣之ヲ指定ス」ということで、まず砂防指定地は責任を持って大臣が指定しておりまして、この仕事の方は、基本的には都道府県知事、「地方行政庁」というのは都道府県知事と読みまして、知事が行うというのが基本であります。それから、管理もそれが行う。  ただ、御承知のように、法六条がございまして、「他府県ノ利益ヲ保全スル為必要ナルトキ、」それから、利害関係が一府県にとどまらないとき、もしくは工事が至難、工費が至大というような条件を満たす場合は、区域を定めまして、国が砂防設備の工事、管理をすることができる、こういうことで直轄をやっている、こういう状況でございます。  先ほど先生おっしゃいました、上流砂防ダムは直轄だけれども、下の小さい流路工は直轄じゃなくて市町村じゃないかというお話でございますが、そういうことではございませんで、その流域全体を国がきちんと土砂の流れを見て、災害が下流に及ばないかどうか、それから、下流への河川の影響度合いがどうか、こういうことを見て直轄を決めていくわけでございますので、部分的に片方を市町村でやれということはまず基本的にはありませんし、国が責任を持って計画を立てやっていく。  ただ、今、行政の事情で財政事情が大変厳しいということから、なかなか地域の御要望はたくさんあるのですけれども、それにおこたえできていないというところは事実でございまして、そういうお話が出ているのじゃないかというふうに解釈しております。
  17. 滝実

    滝委員 建前としては今の課長さんのおっしゃるとおりだと思いますけれども、現場へ行くとそうではないのです。  私も現場へ連れていかれまして、砂防堰堤も見せられまして、流路工も見せられました。流路工は、直轄事務所に行っても、小さな事業は地元でやれと言われているからどうしようもないのです、こうなっているのだけれども、おかげさまで、私の見に行ったところは、国土庁の事業調整費をもらって流路工も直轄でやるというところまでなりましたので、まずは一件落着なのでございますけれども、地元の市町村は、そういう細かいところになりますと、そこでもってあちこち駆けずり回らなければならぬ。こういう問題がありますので申し上げているわけでございますので、その辺のところはよろしくお願いを申し上げたいと思うのでございます。  それじゃ、建設省河川局道路局課長さん方、ありがとうございました。結構でございます。  次の点に移らせていただきます。  次は、見方を変えまして、予算とか何か、当面の問題とは余り関係ないかもしれませんけれども、少し農村問題について御所見を承らせていただきたいと思うのでございます。  今までの地方団体の関心というのは、農業のいわば生産面についての、もちろんそれが主軸でございますから、そういうものに専ら関心があったのでございますけれども、どうも最近は、単なる農業の生産面だけじゃなくて、農村のいわば美しさと申しますか、魅力ある農山村という立場から、景観の保全でありますとか、あるいはもう少し立場を変えて、いわば国土保全という問題にも力を入れていかないとこれからの魅力ある農村というのは成り立っていかない、こういう観点が出てきているのじゃなかろうかなという感じがするのでございます。  それに関連いたしまして、農水省では、ことしから美しい村づくりをスタートさせてやられている、こういうようなことをお聞きいたしておるのでございますけれども、ことしスタートを始めた美しい村づくり、これがどういう格好になっているのか、あるいはどういう格好で市町村に受け取られているのか、その点についてお聞かせをいただきたいと思うのです。
  18. 田口尚文

    ○田口説明員 美しい村づくり対策事業につきまして、お尋ねをいただきました。  本事業は、農山漁村におきます水や緑、文化を生かしました景観形成や、環境、生態系の保全、さらには農水産物等の地域資源の有効活用によります地域づくりを推進するために、今年度からスタートした事業であります。  本事業は、大きく、普及啓発等を行います全国事業と全国五十カ所のモデル地区の整備推進事業から構成されておりますが、このうち、モデル地区の整備推進事業につきましては、市町村におきます美しい村づくり計画の策定や推進活動といったソフト事業と農林水産業関係のハード事業の一体的な実施を通じまして、御指摘のございました、地域の景観、さらには環境の保全、形成等が図られて、他の地域に対しましてモデル効果を期待できる地域対象といたしております。  今回指定いたしましたモデル地区は、こうした視点を持ちまして、美しい村づくりに対して意欲的に取り組もうとしております市町村でございまして、今後のモデル地区の整備推進に当たりましては、こうした美しい村づくりが持続的に推進されますよう、地域の創意工夫、さらには住民の主体的な参加の促進に意を用いてまいりたいと考えております。
  19. 滝実

    滝委員 これに関連いたしまして、今の問題はいわば景観の問題、環境の問題であるわけでございますけれども、来年度の予算要求に関連いたしまして、農水省では、棚田の保全事業、いわば中山間地域の段々畑、水田ですね、棚田の保全事業について概算要求をされている、こういうことをお聞きしているわけでございます。  これはやはり、国土保全ということになりますと大変意義のある事業だろうと思うのでございますけれども、ことしはどうも、予算的に厳しい時代でございますから、要求はしたものの、農水省も、どういう格好で落ち着くのか、今の段階ではなかなかコメントしていただけないと思うのでございますけれども、この棚田の概算要求の基本的な考え方、そういうふうなことを承らせていただきたいと思うのです。
  20. 江頭輝

    ○江頭説明員 御説明いたします。  御指摘のありました棚田の整備でございますけれども、棚田地域の多くは中山間地域の最上流部等の傾斜の非常に厳しい位置にございまして、農業の生産活動の一環として行われますいわば管理、農地や土地改良施設、すなわち農道だとかため池、農業用の用排水路等の管理を通じまして、国土や自然環境の保全など多面的な機能を果たしているというふうに認識しております。  しかしながら、棚田地域は、地理的あるいは地形的な条件が非常に不利なところに存在しておりまして、生産基盤等の整備が非常におくれておる、加えまして、過疎化や高齢化も進行しておりまして耕作放棄地等が拡大している、こういった状況にございます。  また、今先生から御指摘ありましたように、棚田地域は、農山村の原風景や歴史文化の保全、こういう役割も果たしております。近年、都市部からその保全活動や支援への重要性を支持する声が大変高まっている、そういう状況もございます。  このような背景を踏まえまして、お尋ね予算でございますけれども、農林水産省といたしまして、景観や自然など棚田地域が有します特性を十分に生かしながら、しかも、きめの細かい保全整備が実現いたしますように、緊急保全対策事業というものを要求しております。また、これとあわせまして、棚田の持続的な保全活動や利活用を支援する、それに都市住民の活動や参加も促進する、こういう観点から基金事業をつくるべく要求をいたしているところであります。
  21. 滝実

    滝委員 ありがとうございました。  今の、美しい村、あるいは棚田の保全事業、こっちの棚田の方はこれからの概算要求でございますから、どうなるかはこれからの問題でございますけれども、ひとつ農水省としても景観保全あるいは国土保全の関係から御検討をいただきたいと思うのでございます。  それから、これに関連いたしまして、ことしの九月でございましたか、OECDの農村開発プログラムの理事会が我が国で開催されまして、これにつきましては、日本の開発状況について、奈良県の明日香村、三重県の紀和町、そして大分県の湯布院町の農村開発に関する取り組みについて報告がされておりますし、また、これに関連して、参加国の中ではオーストリアの開発の状況についても報告があった、こういうことでございます。  これも大変お聞きしたいのでございますけれども、時間の関係上、そういうような世界的な状況に今なっている、こういう中で一つ問題提起をさせていただきたいのは、これは自治大臣に御意見を承らせていただくのでございますけれども、こういったいわば環境保全、景観保全あるいは国土保全、こういったことがこれからの、農村地域を抱える市町村では大変大きな課題ではないだろうかな。特に自治大臣はこういう観点について大変力をお入れになっている、こういうふうにお聞きしているわけでございますけれども、これからの国土保全と申しますか景観保全と申しますか、そういう問題について自治大臣のお考えをお聞かせいただければありがたいと思うのでございます。
  22. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 お答えをいたします。  国土保全という定義は非常に難しいわけでございまして、しかし、国家的な見地から申し上げれば、国家存立の基盤は国土でございます。その国土を守るというか保全することは、当然、国の責任であり、政治の責任だと私は思っております。  ところが、我が国は、特殊な国土形成、気象状況というものがございまして、国土の約七三%は山林原野でございます。南北に非常に細長い火山列島でございますから、山が急峻である上に、谷のひだが大変多く、そこに無数の河川がある。覆っております表土は、火山国でありますから火山灰土が大宗を占めておるわけでございまして、土質的には、水分を含むとすぐ土砂崩れを起こすという土質を持っておるわけでございます。また、気候的には、準亜熱帯地域でございますから非常に雨が多い。そういう国土の形成、位置づけになっておると私は思います。  また、南北に細長いということは、雨が非常に多く降りましても、降った雨が、山が急峻であるがために太平洋と日本海に一瞬のうちに流れ出てしまう。したがって、大陸のように悠々と流れる大河は我が国にはないわけでございまして、そのような中で国土をどう保全していくかというのは、二千年以上の歴史で瑞穂の国と言われるゆえんはそこにあると私は思っております。  そのようなことも踏まえて、国土保全をどうするかというのは、これはこれまでの我が国の大きなテーマであり、また、今後の国づくりの大きなテーマであるという認識に立って申し上げますが、非常に山が荒れ、中山間地が荒れておるわけでございます。したがって、もう一つの大きな特徴は、我が国は国土保全に世界一コストのかかる国になってしまいました。  例えば、長期計画で国土保全にかかわる長期計画が三本ございます。治山事業、治水事業、急傾斜地崩壊対策事業等、長期計画がございますが、これで長期計画は、見ますと、約二十兆でございます。五年計画で来ました。今後対応が変わると思いますが、五年計画で見ましても年間四兆円の、国土保全等にかかわる、災害対策等を含めたものに財政負担を求められる国になってきたわけでございます。これは非常に増大をしてきておるわけでございます。  しかも、災害危険箇所が二十万カ所を数えるわけでございますから、国の存立基盤であります国土は極めて荒れ、また、国民の生命財産というものは非常に危険にさらされておると言っても過言ではないくらいでございますが、そのような実態は国民に広く知られていないということは極めて残念でございます。そういう意味で、二つ目の特徴があろうかと思います。  三つ目は、財政問題から切り込めば、辺地対策が昭和三十九年から始まりました。過疎対策が昭和四十五年から始まっております。そこに投ぜられた金額は、これまで平成八年度の時点で四十九兆六千億ですから約五十兆、四十五年から過疎対策が始まったものも含めますと膨大な巨費が投じられておる。また、平成九年、十年、十一年という過疎対策の含みをいたしますと六十一兆八千億という多額の金額に上るわけでございます。これだけ投じましてもなおかつ災害危険箇所は減少を来していない。このような状態は何かといえば、これだけの巨費を投じても過疎に歯どめがかかっていないということは一つの基本だ、こう私は思うのです。  それからもう一つの問題は、農山村におけるありようというものは、おおよそ食糧を生産するという経済活動というものだけが評価をされてまいりました。しかし、水資源の涵養でありますとか、あるいは国土保全、災害を未然に抑止するというもの、あるいは空気の浄化、そういう多面的な機能と役割、国はこれを公益的機能と役割と言っておりますが、私は多面的な機能と役割と申し上げてきたわけでございますが、そのことに対する国民の大方の正しい認識と評価というものは、最近は非常に高まっておりますけれども、これまでなかった。  したがって、私は、国土保全というものが展開する場が農山村であり漁村である、また、そこに農林業というものが、一つの経済的な行為を通じて、自然の摂理といいますか国土保全にかかわる多面的な機能と役割を維持管理しておる、そう申し上げても差し支えなかろうと思うのです。  しかし、過疎がどんどん進みましたから、過疎農山村に住むわずか四%か五%の国民が国土の七三%を守れというのは、私はどだい無理な相談ではないかという思いも強くいたしておるわけでございまして、そういうものも含めまして今後これらのことに対応してまいらなければならない、このように考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、あすの国づくりを目指します場合、あるいは国土の均衡ある発展というものを私どもが求める以上は、農山村や漁村というこの場に公益的機能と役割というものがしつかり維持されなければならない。それが極めて年々低下しておるところに問題があるわけでございまして、豊かで活力ある地域社会の振興というものは地方行政を預かる自治大臣として責任も感じ、このことに対する対応をしなければならない、こう思いをいたしておりまして、就任いたしましたときに、自治省の中に、農山村や漁村の活性化を練り上げる、どういう政策をしたらいいかということを練り上げるプロジェクトチームの設置を直ちに指示いたしたところでございまして、今そこでいろいろなことを協議いたしておるところでございます。
  23. 滝実

    滝委員 大臣の大変熱のこもった御意見を伺わせていただきまして、まことにありがとうございましました。つきましては、これまでのふるさと事業に匹敵するようなひとつお取り組みを自治省としてできますように、大臣のリーダーシップをお願い申し上げたいと思うのでございます。  それでは、少し時間が迫ってまいりましたので、次の問題に移らせていただきます。  当面の経済状況にかんがみた点を二、三お尋ねしますので、ひとつ税務局長さん、財政局長さん、続けて簡単に御見解を承りたいと思うのです。  一つは、こういう状況でございますから、この平成九年度の税収見積もりは、相当というか、それなりに下回っているだろうと思うのです。今、地方税の収入見込みというのはどの程度下回るのか、これが第一点でございます。  それから、ついでに税務局長さんにお述べいただきたいのは、今、来年度以降の税制改正に関連して、外形標準課税というのがどうもマスコミに出ているようでございますけれども、この地方税における外形課税の導入ということについて一体全体どういうふうなことになっていくのか、その辺の見込み、見通しがあればお述べをいただきたいと思うのです。  それから、財政局長さんには、当然、税が減れば交付税の原資も減ってくるわけでございますけれども、この税収の低減、低落に伴いまして交付税の交付金の確保についてどういうふうに考えているのか。それが第一点。  それから第二点は、来年度の予算編成に関連しまして、地方単独事業というのは今の見通しではそれなりに相当圧縮をする、こういうことが予想されるわけでございますけれども、現在の経済状況の中で地方単独事業を圧縮していくことは地域の経済にとっては大変大きな問題ではございますけれども、その辺のところについてどうお考えなのか。  これが税務局長さん、財政局長さんに対する質問でございます。  それから、ついでに申し上げまして恐縮なんでございますけれども消防庁長官には、現在のガソリンスタンドのセルフサービス化について三年間検討をしてきた結果がそろそろ出た、こういうことでございますから、その辺の考え方について、最後に消防庁長官から承らせていただきたいと思います。  それから、農林省の課長さんはもう結構でございます。ありがとうございました。
  24. 湊和夫

    ○湊政府委員 最初に、平成九年度の地方税収の動向につきまして、簡単に御説明させていただきます。  現在、都道府県についてのデータ、九月末現在の徴収実績をもとに、私ども、いろいろ分析をいたしておるわけでございますが、都道府県の税収、平成八年度の決算見込み額で約十四兆三千億ぐらいの規模でございまして、地方財政計画の上では、今年度の見込みといたしましては十六兆円ほど見込ませていただいております。  これは、地方消費税が今年度から新しく加わったことによって、見かけ上、伸び率は大変高くなっておりますが、地方消費税を除いたところで申し上げますと十五兆円ほどということになりまして、伸び率にして五%強ぐらいの伸びを見ておったわけでございますが、九月末現在の地方税収、都道府県の税収動向は九八・八%対前年比という状況でございまして、目下のところ対前年で一・二ポイントぐらい減収の状況でございます。主たる原因は法人関係税、特に事業税、これが都道府県税の三分の一を占めているわけでございますけれども、この事業税が目下のところ七・七%対前年比でマイナスというところで推移をいたしております。  今後の九月末決算の状況等も踏まえなければ、最終的なところ何とも申し上げにくいところはございますけれども、これだけの減収分をこれから後半部分でカバーし得ないだろうというふうに思っておりまして、今年度の地財計画で見込みました額をかなり下回る結果になるのではないかというふうに心配をいたしておるところでございます。  それから、事業税の外形課税についてお尋ねでございました。  従来から都道府県挙げての強い要望……(滝委員「時間がないから簡単に頼みます」と呼ぶ)現在、政府税調あるいは自民党の税調等でもいろいろこの問題の御議論を賜っております。いろいろ検討すべき課題もあるというふうに考えておりますが、私どもといたしましては、実現に向けてなおさらに検討を深めてまいりたいというふうに考えております。
  25. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 二点お答えいたします。  平成九年度の地方交付税でございますが、国税の見込みは今まだこの段階では確たるような状況を申し上げることはできませんが、いずれにいたしましても、地方財政の円滑な運営に支障を来さないように、地財計画に計上いたしました地方交付税の総額は確保する必要があると考えております。  今後、仮に、今年度、九年度の国税の減額補正が行われるような場合でございましても、平成八年度の国税の精算増がございますので、その処理とあわせまして所要の地方交付税の総額が確保できますように、国庫当局と協議してまいる所存でございます。  それから、単独事業でございますが、財政構造改革の推進におきまして、平成十年度は九年度に比べてマイナスにするということは決まっておりますけれども、具体的にどの程度のマイナスにするかということはこれからでございまして、今委員から御指摘ございましたように、地方にとって非常に大事な事業でございますし、また、地域経済に与える影響という意味でも重要な役割を果たしておるわけでございます。  それらの点を十分考えあわせながら、最終的に十年度の単独事業の額を決めてまいりたいと考えておりますし、また、それに伴います財源措置をいたしまして、計画的な事業の執行に支障が生じないように考えてまいりたいと思っておりまして、このような趣旨につきましては、財政構造改革の法案の審議の過程で、自治大臣からも再三そういう方針を申し上げておるところでございます。
  26. 佐野徹治

    ○佐野(徹)政府委員 いわゆるガソリンスタンドのセルフサービス化の問題につきましては、消防庁では、平成七年度より、給油取扱所の安全性等に関する調査検討委員会というのを設置いたしまして、検討を行ってまいったところでございますけれども、この委員会は、先月、最終の会議を開催いたしまして、報告書を取りまとめたところでございます。  この結果、いわゆる有人セルフサービス方式、これはどういうものかと申しますと、ガソリンの取り扱いについての知識を持つなどの一定の資質を有します監視者が所在をして、必要な監視、指示、制御等を行う、これを有人セルフサービス方式と言っておりますけれども、これにつきましては、適切なハード面の対策を講ずることによりまして、従来の給油取扱所と同等の安全性が確保できる、こういうように結論づけられたところでございます。  一方で、監視者が所在せず、ドライバーが自由に機器を操作するいわゆる無人セルフサービス方式につきましては、ハード面の対策だけでは有効な対策のとれない事故の要因が幾つか残って安全性が低下する、こういうことから実施は困難とされたところでございます。  私ども、この報告書の考え方に基づきまして、今後の所要の措置を講じてまいりたいと考えておるところでございます。
  27. 滝実

    滝委員 大変ありがとうございました。時間が参りましたので、終わらせていただきます。
  28. 加藤卓二

    加藤委員長 古賀一成君。
  29. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 新進党の古賀一成でございます。  きょうは、我が党、一時間三十分をいただきまして、私は前半の三十分、主に、大きい流れといいますか、基本的なことにつきまして質問をさせていただきたいと思いますし、二番手の松崎公昭議員からは、地方分権推進委員会勧告を中心に具体的な質問をさせていただきたい、そういう分担できょうは質問に立ったわけでございます。  私は、新進党の明日の内閣の、このたび自治担当ということでお仕事を仰せつかりまして、地方自治、とりわけ私にとってはライフワークの一つでもございまして、張り切って頑張ろうと思っております。  まず第一点でございます。  前回の通常国会で、実は、我が党のみならず全党から、これからの地方自治の活性化、あるいはもっと言えば、これからの国の運営全体を考えても、地方分権、とりわけ市町村の合併促進が不可欠だという議論が各党から出たと私は思っております。私も、三度にわたりまして、この問題を当時の白川大臣及び政府の方にお伺いいたしましたけれども、この点につきましては、私は今でも強い執着を持っておりまして、まずこの市町村合併の促進についてお伺いをいたしたいと思うわけであります。  まず、基本的に申し上げれば、前通常国会の冒頭、二月でございましたか、私は、政府あるいは大臣の姿勢というものは、大変後ろ向きというか受け身というか、そう簡単ではないというようなスタンスであったと思うのですが、本委員会の重なる審議を通じまして、大臣及び政府の方、つまり自治省の方も、これはやはりやらねばならぬという機運が大変強くなってきたというふうに、そういう面では高く評価をしてまいりました。  そこで大臣に、今回初めて新大臣にお伺いをするわけでございますが、市町村の合併推進について、前国会以降、相当政府も熱を上げて取り組まれてきたと思うのです。その動き、私は、次期通常国会というあたりが本当の出すべきタイミングだろうと思うのですね。そういう意味で、次期通常国会へ向けて市町村合併促進にかかわる法制の提案をされるのかどうか、そこら辺につきまして、御所見、お考えを大臣にお伺いいたしたいと思います。
  30. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 御案内のとおり、地方行財政の改革と地方分権の推進、それから、委員が今強く求め、主張されております地方行政体制の整備は三点セットだと、私は認識をいつも申し上げておるわけでございます。地方行財政改革をするにいたしましても、地方分権推進をいたしますにいたしましても、地方行政体制がきちっとした整備ができなければその実効を上げることは難しいわけでございまして、仰せのとおり、地方行財政の体制の整備は当面最大の課題だという認識を私は持っておるわけでございます。  そのような意味で、最近の市町村合併の取り組みでございますが、自治省といたしましては、地方公共団体等を対象にした各種セミナーや会議の場など、あらゆる場を通じまして、市町村合併の必要性を訴え、積極的な取り組みをいたしておるところでございます。  先般、地方自治法施行五十周年の記念式典をいたしましたが、その折にもシンポジウムを開きまして、広く国民にも御参加をいただき、また関係者の御参加をいただき、大変盛り上がったシンポジウムで大いに成果を上げたと理解をいたしておるところでございます。このような取り組みを積極的にいたしておるところでございます。  また、地方制度調査会が、市町村長や議長を対象にいたしました市町村の合併に関するアンケートを実施いたしておるわけでございますが、その結果を見ますと、市町村長と議長の約三分の二の皆さんが、今後合併を検討する必要があるとされておるわけでございます。機運は非常に盛り上がりつつある。しかし一方、合併の阻害要因等も明らかになっておるところでございまして、この阻害要因に対してどうするかという問題が一つあると思うのです。  現在、地方制度調査会の中にある専門小委員会におきまして極めて濃密な審議がなされておるところでございまして、ここにおきましても、ただいま申し上げましたアンケート調査等の結果も参考にしながら、市町村合併の必要性やメリット、そして合併の阻害要因が明らかになりつつあるところと理解をいたしております。  その中身は幾つかございますが、主なものは、住民発議の多様化、それから国、都道府県の役割の充実、三つ目が財政措置の充実等でございます。このようなことが今後の合併の進め方や合併推進のために方策として御審議をいただいておるわけでございまして、あすも小委員会が開かれると聞いておりますし、また、近々総会等もお開きいただきまして中間の取りまとめがなされるものと理解をいたしておるところでございます。  私といたしましては、自主的な市町村合併を積極的に推進することはもとより必要でございまして、今後、地方制度調査会や国会、地方団体等の御意見も十分お聞きをしながら、市町村の合併が推進される実効ある方策を取りまとめまして、積極的に御支援をしてまいりたいと考えております。
  31. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 政府の方で市町村合併について取り組みがこれまでも行われてまいりましたけれども、この行革の時代といいますか、日本の過渡期の中にあって、さらに一歩一歩やろうという姿勢が強まっていることはわかります。それは高く評価したいと思うのですが、今一番問われているのは、もっと大変大きな話で、この行革も、どこそこの権限をどっちに移そう、そういう話だけじゃなくて、まさに国の形というものを本当にどうつくりかえるかというところまで問われているのじゃないか、私は実はそういう気がしてならないのですね。  その場合、やはり一番重要なのは、今般、中央省庁の行政改革というか、行政整理じゃないかという批判もありますけれども、そういう中央省庁の省の形をくっつけたり割ったりじゃなくて、本当を言うと、一番肝心なのは、地方の基礎的公共団体をどういうふうに再編するかというのが国の形を決めるスタート台じゃないかと私は思っていたし方ないのですね。  そうしますと、取り組みが始まったということは高く期待をするわけでありますけれども、今、地方制度調査会、あるいは先ほど五十周年を機にシンポジウムがやられたということがありますけれども、私は、もっとダイナミックにといいますか、激しくといいますか、骨太にといいますか、そういう対応をしていい時代じゃないだろうかということで、この委員会でも前大臣に申し上げたのですが、シンポジウムじゃなくて、昭和二十八年、自治庁のころでございますが、あのときは、二十八年十月から三十一年四月のわずか二年六カ月の間に、もう有名な話でございますけれども昭和の大合併と言われる、たった二年半の中で五千二百の市町村を減らしたという例の昭和の大合併、それを自治庁が、あるいは政府が音頭をとってやった。あのときは、実は自治庁の方がミスコンテストまでやったとか、三越で博覧会までやったと、そこまで激しくやったという話をしたことがあるのです。  私はやはり、そういう激しい、反対派の町会議員さんも私の地元にもおられますけれども、そういう人がやらねばならぬと思い込むまで国が音頭をとってやるべき時代じゃないかと思うのです。そうしないと、介護の問題だって老人福祉の問題だって、恐らく一千名、二千名の町村で老人ホームもできない。これほどの高齢化が山村を中心に進んでいけば、私は、道の改修すらできない時代がもうそこまで来ているのじゃないかと思うのですね。  そういう面で、私は、基礎的自治体の市町村合併というのは、単なる地方自治の問題というよりも、国の財政まで関係してくる、あるいは国民の福祉なり生きがいまで関係してくる最重要な突破口だと思いますので、ぜひとも、これまでのやり方にこだわらず、大臣のもとで自治省一丸となってこの点に取り組んでいただきたい、かように思います。これは要望ということで、もうくどくいつも申し上げておるわけでございますが、私の気持ちを披瀝しまして、次に移りたいと思います。  二点目でございます。  地方分権推進委員会の四次にわたる勧告が出たところでございまして、膨大な資料を何度もいただきました。しかし、先ほども滝議員の方からも一部御指摘がございましたけれども、これをつらつら眺めるというか読んでみて、これで本当に地方分権の本格的な到来があるのだろうかという懸念もまた私は強く持った次第であります。  まずは、この地方分権推進委員会のわずか二年三カ月におきます審議の中で四次にわたる答申を出されたという点については、本当に敬意を表したいと思いますし、その精力的な努力については本当に脱帽いたします。  けれども、この内容の面については、私は、私のみならず、諸井委員長が、二度ほどお話を聞く機会を得ましたけれども、この委員会でもございましたけれども、不十分だけれども小さいところから一つ一つやるしかないじゃないか、そういう発想でこの勧告はせざるを得なかったという気持ちが私はにじんでおったような気がいたします。  もう一点は、もっと大胆に踏み込みたかったと。地方分権という、この分権推進法がねらう政策目的を達するためには、もっと大胆に踏み込みたかった、しかし、各省庁及び政府税調等の壁は非常に高くてここまでしか書けなかったという、無念と言ったらちょっと言い過ぎかもしれませんが、そういう気持ちも残っておられたのではないか、そういう感じを実は私は持ちました。  そこで、私は、この一件一件を御指摘申し上げますと長くなるのではしょりますけれども、今回、この分権に関する四次にわたる報告、評価すべき点もたくさんございます。とりわけ、その労の大きさには敬意を表するわけでございますが、私自身はこれで本当の意味での地方分権推進というものの起爆剤、スタート台になるのかなという懸念も持ちますけれども、大臣としてこれをどう評価しておられるか、その基本的なところを、私は大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。
  32. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 お答えいたします。  今まで、徳川幕藩体制から廃藩置県が行われまして、幾多の歴史、変遷をたどってきておるわけでありますが、中央集権、国、県、市町村という縦の系列で取り進められておりました行政体制が、総理が常々おっしゃっておりますように、市町村、県、国も横並びだ、こういう一つ考え方は大転換だ、地方行政と国の関係からいえば大改革ではないかという認識を私は持っておるわけでございます。  また、そのような意味からいたしますと、非常に、それだけに、初めての経験でもございますから、地方分権の推進というものについては、法律の問題もありましょうし、新たな行政の仕組みもありましょうし、地方分権を推進しますがために発生をするでありましょう問題や、問題というかトラブル等があるかもしれません。そのような対応、そういうものも含めて、今後、十分目配り、気配りというものをしながらこの地方分権推進というものは取り組んでいかなければならないということを、まず認識を申し上げてお答えしたいと思うのです。  地方分権推進委員会におかれましては、平成七年の発足以来、精力的な審議が進められて、委員御承知のとおり、四次の勧告がまとめられ、一応の区切りがここでついたわけでございます。地方分権推進委員会のこれまでの四次にわたります勧告におきましては、関係省庁との間に踏み込んだ議論が重ねられておりまして、機関委任事務制度の廃止など、国と地方公共団体の新しい関係とそのルール、都道府県市町村の新しい関係、国庫補助負担金整理合理化と地方財源の充実確保、権限移譲の推進等に関しまして、地方分権を推進するための具体的な指針の全体像が示されておるわけでございます。  こうした一連の地方分権推進委員会勧告における国と地方公共団体関係の抜本的見直しは、まさに国と地方公共団体関係を対等・協力の関係に改めますとともに、地方公共団体の自己決定権と自己責任を高め、分権型社会を実現するために、積極的に評価すべきものと考えておるところでございます。  政府といたしましては、これらの勧告を最大限に尊重いたしまして、次期通常国会が終了するまでのできるだけ早い時期に地方分権推進計画作成いたしまして、地方分権を総合的かつ計画的に推進してまいりたいと考えております。  なお、地方分権推進委員会勧告は第四次勧告一つの区切りを迎えたところではございますが、委員会におきましては、引き続き地方分権推進に向けました検討がなされると伺っておるところでございまして、与党の協議分権推進委員会検討等を十分見守ってまいりたいと考えておるところでございます。
  33. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 ただいま大臣の方から、次期通常国会の期間内にできるだけ早く計画をという御方針が出ました。  これは本当に、最近この一連の日本の経済なり社会の変化を見ても、山一証券が、倒れるはずがないと思われたあの企業も、金融の秩序も、いろいろな意味で大変化が、国際化が一番大きいと思うのですが、そういう波をかぶって変化してきています。私は、ある面では、そう余裕はないというような感じがしてなりません。  私は、そういう意味で、本地方分権推進計画の策定につきましては、ぜひとも今大臣が御答弁になりましたように、次期通常国会の早い時期にこれをまとめる、それに国会もまた参画し、かかわっていくということを強く確認し、また、希望いたしたいと思います。  その中で、時間というものは早いものでもうあっという間にたちましたけれども、私は、この行革の議論の中で、根本的にこれでいいのかな、一国会議員としてこれでいいのかなと悩むというか、考えることがございます。  地方分権についても、あるいは行革にしても、規制緩和にしても、ある面では、この数十年、政府内で大騒ぎの議論をしてきたけれども、どうもぱっとしないというのが一般的な評価ではなかろうか。やはり、こういう地方分権なり行革なりについての基本的な方針なり、そういうものは、総理府というか、行政の内部に一つ委員会をつくって、行政の方でこれを論議し、各省調整をさせて、それが出てくるというシステム自体に限界があるのではないかという気を強く持っております。  これは私の私見でございますけれども、本来は、国会内に、衆参両院に通年で議論をする、行政改革というかあるいは行政の形、そういうものを議論する予算委員会並みの、あるいはそれ以上の、何せ国の形を議論する委員会でありますから、やはり国会というものがそういうものを通年で議論していく、常に議論していくというシステムをつくらない限り、私は、なかなか根本的なところは、行政の形というのは変わらないのじゃないかという気がしてなりません。これは私の私見を勝手に申し述べさせていただきたいと思うのです。  しかるに、今般の地方分権推進計画及び地方分権推進委員会、これは、根拠法は地方分権推進法でございますけれども地方分権に関する基本的事項の調査審議をこの審議会にゆだねる、国会はいわばらち外、法律はつくったけれども地方分権に関する基本的なことは国会は関係がないというところでスタートしたところに何か限界があるように思えてなりませんので、私は、関係議員各位あるいは政府関係者の皆様方に一つの問題提起として申し上げたいと思います。  最後になるかもしれませんが、もう二つございましたけれども、今般、あしたでございますか、正式に行政改革会議の最終結論が出るということでございます。これまでの流れの中では、一府十二省ということで、いわゆる自治省という名前が消える行革会議の案になっております。  先ほど言いましたように、地方分権、とりわけ一番基礎的な行政主体のその規模なり形というものが、行政にとっても、財政にとっても、地方自治にとっても、規制緩和にとっても、あるいは省庁のスリム化にとっても一番かかわる重要事項である地方分権あるいは地方自治の形であるにもかかわらず、こうして自治省というものはなくなる、そういうことに関して非常に疑念を持つわけでございます。  総務省に編入される、総務省職員は三十万人を超える、放送行政もあるいは郵政行政もこの中に入ってくる、こういう体制になるわけでございますが、地方自治というものが国の形を決めるまず最初のスタート台という点から見て、大臣、この点いかがお考えでありましょうか。
  34. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 あした行革会議が開かれまして、総会等で取りまとめをされた最終報告というものをよくよく見させていただき、これを重く受けとめた方向になると思うのでございますが、各省の具体的な事務執行体制については、今後検討されることとなるのではないかと私は思っておるわけでございます。  私の認識としては、憲法の一章に設けられております地方自治の重みは十分踏まえなければならない。新たに設けられる総務省において、地方自治の確立につきまして、その機能、組織、いささかもここに、これまでの自治省の中でありましたものと低下するようなことがあってはならない。  一層、地方自治の本旨を踏まえた発展が図られるように適切に対応してまいりたいと考えておるところでございます。
  35. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 総務省ということになりますと、大臣は当然一人でございまして、ここに地方行財政、選挙制度それから電気通信、放送行政、郵政事業の管理など、こうあるのですね。ところが、一緒になりますところの、つまり一人の大臣が所管するほかの業務に電気通信がある。国際的な電気通信の大臣会議なんというのがあれば、自治大臣でもある方がしょっちゅう外国に行かなければならぬというようなことも多々生ずるのではないかと私は思うのですね。  そういう意味では、この地方自治の重要性、分権の必要性、まさにこのときこそという分権のときを迎えたときにこういう形になったことについて、私は大変な懸念を持っておりますと再度申し上げます。  もう一点だけ、あと三分ありますので、最後に、これは行政局長にちょっとお答えいただければと思うのです。  あげつらうわけではございませんけれども、先ほど言いましたけれども、今度の地方分権推進委員会勧告でもそうでございます。それから、これまでの一連の行革論議、規制緩和論議あるいは分権論議、いろいろ項目が出されてくる。土光臨調あるいは今度の諸井さんの委員長の提言、いろいろ出てきますね。これを全部見てみますと、先ほども指摘ございましたけれども、私が一点御指摘申し上げたいのは、これがいかにも国から地方へ、都道府県から市町村へ、あるいは中核市へと移譲されましたというような形をとっているのがたくさんあるのですね。  でも、これは、よくよく見ると、例えば都市計画のものもそうでございます。あるいは、市町村規模による権限移譲というのがたくさん出ていますけれども、今まで一定規模以下しか市町村にはおろさない。今まで十ヘクタールだったのを今度十五ヘクタールに拡大しておろしますというような話があるのですね。あるいは、今までおろしていなかったけれども、今度、例えば中核市にはおろしましょうと。  そうしますと、一定規模という中途半端な、小出しのそういう権限移譲になりますと、国なり都道府県にはその担当の係は残るのですね。そして、今度初めてその役割を権限移譲の名のもとにもらった役場なりはその担当が要るということで、これは、本当の意味で行政のスリム化というか、あるいはもっと言えば、本当の自主独立の地方分権ということにはなっていないのではないか。そういうことがたくさんあるのですね。  だから、私は、今後、こういう面積要件とか人口規模要件で、中途半端に何十件、何百件の権限を譲りましたといういわば見せかけに近い、あるいは行政のスリム化というよりも肥大化につながる、こういう面についてはしっかりとチェックするというか、単に権限を下におろせば行政が活性化する、スリム化するということにはならぬという厳しい目を持って地方分権の細かいチェックをしていただきたいと思うのでありますが、その点について、局長のお考え、御感想をお聞かせ願いたいと思います。
  36. 松本英昭

    松本(英)政府委員 基本的には、今先生おっしゃいましたとおりだと思います。  ただ、現実に、地方分権権限の移譲ということを考えますときに、単にスリム化ということだけを考えてやっていいかという議論もあるわけでございまして、やはり住民に身近なところで処理することが住民のニーズにも合い、事業の適切な選択ができるだろう。あるいは、よく言いますが、住民との距離が短ければそれだけ能率的だという一般的な考え方があると思います。  今先生おっしゃいましたように、都市計画を、今度の勧告でも出ておりますような、例えば今まで十六メーターの道路だったものを、四車線以上のものを市町村権限にするというのでは、また都道府県権限を持ち、市町村権限を持つということで、不十分だと言われれば、そういう点は多々あろうかとは思います。  ただ、今度の勧告の中にも、例えば工場立地などは、今まで五万平米以上が国で、五万平米以下が都道府県知事であったものを全部都道府県におろすというような勧告もいたしておりまして、これからもそういう点を十分配慮しながら権限移譲には臨んでまいらなければならないのではないかというように考えているところでございます。
  37. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 もう終わりますけれども、今局長がおっしゃったこともよくわかるのです。しかしながら、今度の第四次勧告で出てきた権限移譲のものでも、これは大臣にぜひこういう実態があるということを知っていただきたいのです。  例えば、村立学校の学期の決定を、現在は都道府県が決めておる、何とか村の二学期を何月何日から始めるなんというのも県がやる、これを市町村へ移譲するとか、もう一つは、ある村で害虫駆除をする、その害虫駆除のための他人の土地への立ち入り許可を、これは今まで県が許可するのを市町村に移譲する、こんなものはもう当たり前なんですね。これが今の実態であるという点を申し上げまして、終わります。  以上でございます。ありがとうございました。
  38. 加藤卓二

    加藤委員長 松崎公昭君。
  39. 松崎公昭

    ○松崎委員 新進党の松崎公昭でございます。  上杉大臣には、初めてでございますので、よろしくお願いをいたします。  きょうは、推進委員会の東田事務局長さん、わざわざ出ていただきまして……。と申しますのは、分権推進委員会勧告を中心にお聞きするわけでありますけれども、これは第二次勧告が一番骨格でした。それは七月だったと思いますね。それ以後、この前、推進委員会委員の皆さんをお呼びしましたけれども、我が党でも十五分しかなかった。ですから、今回は大変重要な委員会だということで、地方へ予定があったということでありますけれども、この辺はやはり国会の審議というものを大事にしていただいて、もっとも、議員さんが少ないものですから、こういうありさまでは軽視されるのかなと思いますけれども、我々もそれは気をつけながらやりたいと思います。本当にきょうは、遠くから戻ってきていただきまして、ありがとうございました。  さて、分権推進委員会の四次にわたる勧告で、既に大臣もお話しになりましたので、その意味づけでありますとか重さ、そんなことは今さら申し上げるわけではありませんけれども、今、国会では、与党も野党も、まさに第三の改革、そして新しい時代へ向かっての大改革をいろいろな場面でやっていこう、そういうことでありますので、この大切さ。  そしてまた、戦後、民主主義が十分に育っていない、あるいは、ポツダム民主主義とも言いますけれども、敗戦の後に民主主義をいただいた、そういうところに、私は、憲法の問題も含めて、木に竹を接いだのかなと。ですから、憲法の中で地方自治の本旨を言っておりますけれども、なかなか実現しなかったというところは、憲法上あるいは理念上は自治が確かにうたわれておりましたけれども、この五十数年間、実際の問題では、戦前以来からの中央集権体制がしっかりと根づいて、その下の木から枝が出たために、幾ら真ん中の憲法で地方自治地方自治と言ってもさっぱりそれが機能しなかった、そんなふうに私は解釈をしております。  ですから、ここで初めて、分権推進委員会の諸井さんの最終報告にもありましたように、これからまさに出発である。ですから、これから新しい民主主義をつくるために、上下・主従の関係から対等・協力の関係へと、私は、これは正しい出発点であろうと。ですから、古賀先生も大変悲観的なお話をされましたけれども、一定の評価をすると同時に、やはりこれは新しい出発であるということを、それぞれが、国も地方も、そして議会も、市民も国民もそれをしっかり考えていかなければいけない。  ただ、分権推進法ができて、そして委員会の皆さんの熱心な、特に中間報告の熱意を感じますと、もっと踏み込んだ、しかも、本質的な議論に踏み込めるのではないかという期待が余りにもあったために、財源の問題とか一番大事なところが残念ながらまだまだ至らなかったというところが、逆に落胆といいましょうか、少し肩を落としたという印象になっているのではないか。しかし、私は、入り口であります機関委任事務を、しっかりと入り口からやり直しをしていったというところは評価をしておる次第であります。  私は、特に、これからの時代の日本が抱えております、当然、中央でも行革会議、あるいは財政の問題でいけば財政構造改革会議、いろいろ政府の方々もやっていらっしゃいますが、大きな時代転換のキーワードというのは、中央から地方へ、これが分権であります。それから、公から民へという、これは規制緩和を含めた公から民間へ。もう一つ私が挙げているのは、営利から非営利へ。つまり、NPO法案も不十分ながら政府案がこの国会で通るようでありますけれども、いわゆる営利団体、株式会社でありますとか、そういう営利、そしてまた非営利、この非営利団体の活動なりをバックアップし、大きくしていくことが実は行革につながる。そんなことで、三つのキーワードを持ちながら、特にこの三つのうちの一つであります地方分権をぜひとも実現したいものだ、そう思っております。  さて、突破口であります機関委任事務の見直し、そして、木に竹を接いだと私は言いましたけれども、私も実は大臣に所感をお伺いしたいと思っておりましたが、先ほど古賀先生の御質問でそれなりの御回答をいただいたものでありますので、次には、この過程の中で、分権推進委員会の自己評価、再点検の中で、この勧告をしっかりと次の大綱に生かし、そして推進計画に生かしていくわけでありますけれども、この辺はしっかりと勧告をどのくらいまで−諸井さんは、一〇〇%当然実現するはずだという話をしていました。それだけ、省庁との攻防戦の果てに実現できるものしか書かなかったから一〇〇%できるはずだ、そういうお話でありましたが、この辺はこれからの大綱、そして計画の中に一〇〇%という数字で実現できるかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  40. 松本英昭

    松本(英)政府委員 政府は、第一次勧告から第四次までの勧告を受けまして、既に、これを最大限尊重するという閣議決定を行っているところでございます。  したがいまして、この地方分権推進計画、先ほどもお答えがありましたように、この次の通常国会の終了までのできるだけ早い時期につくることといたしております。この勧告中身地方分権推進計画に反映されますように、私どもも最大の努力をいたしてまいりたいと思っているところでございます。
  41. 松崎公昭

    ○松崎委員 それでは、少し具体的な問題に順次入っていきたいと思っております。  まず、機関委任事務の廃止であります。  これは当初八割というお話であったのですけれども、実際には六割になってしまった。なかなかこれも、国の力、各省庁のお力が強かった、そんなふうに思っておるわけでありますけれども、大臣は、分権推進委員会のもくろみ、情熱、その割にはこれだけ後退してしまったということを政治家としてどんなふうにお考えになりますか。
  42. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 機関委任事務制度、国と地方公共団体とを従来の上下・主従の関係から、中央集権、縦の関係から市町村、県、国と横並びということで、私は大改革だということは先ほど申し上げましたが、この制度を廃止いたしまして機関委任事務が法定受託事務として六割残ったじゃないか、どう評価しておるか、政治家の見識と、こういうことでございますが、御案内のとおり、この点につきましては、政府、各関係省庁含めたいろいろな議論というものが当然なされたと思うわけでございます。  また、この機関委任事務を廃止いたしましたその折にこのような結論になったわけでございまして、初めての経験でございますから、法定受託事務が二百七十五で四〇%、自治事務が三百九十八で六〇%というのはまあ十分協議した結果のものかな、こういうふうに考えておるわけでございまして、むしろ今後の、こういうふうにまとめましたものをどう、横並びという哲学があるわけですから、縦の系列、中央集権を、そうではなくて、市町村も県も国も横並びだ、こういうことにしたわけでございますから、むしろ今後の取り組みいかんというものが非常に重要ではないかというふうに理解いたしております。
  43. 松崎公昭

    ○松崎委員 見方によって、私も皆さん、担当の方ともお話ししたのですけれども、私は地方議会から出てきましたので、地方から見ますと、機関委任事務というのは既に仕事としてはほとんどやっていることであります。もちろん、権限とか関与でありますとか、いろいろ重要な点では国が全部持っておるわけでありますけれども、実際の末端の行政でいくと、確かにスムーズさとかいろいろ違うことはわかるのですけれども、一見しますとそう変わらない、今までどおりの仕事を続けるのだと。  国から見ますと、大変な権限を渡していく、それから、最終的な決断も全部渡していくのだ、だから相当な形だというふうに思えるかもしれませんけれども、実際上、機関委任事務というのは確かにキーワードで大変重要なんですけれども、一般の国民とか我々から見ますと、それほど思い切った分権に進むのかというところに認識の差があります。ですから、私どもは、若干その辺が弱いという感じをこの推進委員会勧告を全体的なイメージではとらえてしまう。  まして、お金の問題がどうもよくわからない。つまり、機関委任事務を廃止したことによって財源が、財政措置、今まではどうなっていて、今後どうなるのだろう、そういう心配がありますが、その辺はいかがでしょうか。
  44. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 補助金、税財源の問題かと思いますが、おっしゃるように、地方分権をどんどん推進していくと、市町村長さんあたりとお会いしますと、どんどん仕事がふえて人手が足りなくなるのじゃないかという心配が一つあります。それからもう一つは、それに伴う財政の裏打ちがないのじゃないか、こういう心配があることは私も十分承知いたしておるわけでございます。  この補助金と税財源につきましては、国庫補助負担金整理合理化に関して、国庫補助削減計画の策定、運用、関与の改革等について具体的な整理合理化方策を示すとともに、地方財源の充実確保につきましてもその方針を示しておるわけでございまして、私は、ある一定の評価をすべきだ、こう思っております。  問題は、補助金整理合理化といいましても、国が国債に依存しております財政運営をいたしております以上は、地方は、例えば交付税を三千三百に配るにいたしましても、国からいただいた交付税額では到底足りませんから、足りない分は借金をしておる。また、補助事業は国、各関係省庁で決めますが、地方の分担金といいますか、地方財政で負担をしなければならない。それが財政的に足りなければ地方債に依存をしなければならない。  そういう国の財政運営と連動した問題もあるわけでございまして、ゆえに、国の財政構造改革とあわせて地方もそこいらを改革していかなければならぬわけでございまして、国、地方を通じた歳出の抑制といいますか、それはそういう点に十分この考え方というものが置かれておる、こういうふうに私は理解をいたしておるわけでございまして、そういうこと等も十分踏まえた上でこの地方分権の推進というものは対応していかなければならないと考えております。
  45. 松崎公昭

    ○松崎委員 御丁寧にお答えいただいたのですが、私の御質問は、機関委任事務の廃止に伴って、今までいろいろ出ているものも出ていないものもあったわけでありますけれども、それが廃止になった場合にどうなるかというそちらの財源で、大臣せっかくお答えいただいたので、それでは補助負担金の方に移ります。  今、お答えいただきました。ただ、今回の勧告の中で、補助負担金、これが国、地方の従属の一番の手段だった、ですからここが問題だということも財源の問題と絡めながらあったわけでありますけれども、残念ながら、今回、この部分は、実は国庫補助負担金の廃止が九件、一般財源化が十四件しかない。あとの交付金化とか重点化とか見直し化というのは多分、私は素人でありますけれども、この文面でいく限り、相変わらず国が持っていて、形を変えたり出しやすくしたり、そういう程度でありますので、九件は廃止、十四件の一般財源化だけが私から見ると地方に渡した財源である、そんなふうに思いますので、国全体から見ますと、大変大きな補助負担金、これはほとんど手がつけられていないというふうに私は見ております。  ですから、勧告の中にも十年で見直しをする、これではもう、ということはほとんど、分権を進めながら片方では財政構造改革の法案もありますので、六年間は起債はそのまま今までどおりのやり方、十年ぐらいで見直しをする、これではさっぱり、分権は進むのかどうか、財源の一番大事なところをこういうありさまで進むのですか、私はそう言いたいのであります。  特に、ついででありますので、財政再建計画で三年間の一〇%、これは公共関係ですけれども、今お聞きしようとしたのは起債ですね、六年間、今までどおりまた許可をもらわないといかぬ。この辺、本当に分権をしよう、財源の問題に触れようというところで財政構造改革の期間でありますので、非常に難しいとは思いますけれども、どういうふうに解釈していいのか、ちょっとその辺をお願いします。
  46. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 地方債、今、許可制度になっておるわけでございますが、この問題につきましては、分権推進委員会からは、地方団体の自主性を高めるという観点から、許可制度を廃止して、原則として事前協議制度に移行するということにしてはどうかという勧告をいただいております。  あわせてまた同じ勧告の中で、今委員もお挙げになりました財政構造改革期間中のことについて触れておりまして、国、地方の財政赤字を縮減していくという目標をつくっておるわけでございますが、地方の場合には、この地方債の発行総額がまさに財政赤字そのものでございますので、それを結局、GDP対比で国、地方合わせて三%以内に抑えていくという目標をつくりますと、何らかの形でその財政赤字を全体で管理していくという必要があるわけでございまして、そういう観点から地方債の発行額をその財政赤字の縮減に合わせて考えていく必要があるということで、この期間中は許可制度を維持した方がいいという勧告をいただいたところでございます。  そこのところは、そういう調整の上でこういう勧告が出ておりまして、私どももそういう勧告に沿って対応してまいりたいというふうに考えております。
  47. 松崎公昭

    ○松崎委員 ということは、地方は余り信用してないということですか。というふうになりますね。確かにわかりますよ。私どもの政党は財政構造改革のあの法案を反対しておりますから、財政再建あるいは経済の活性化というのは違うやり方でやろうという提案をしておりますので、なかなか難しいのですけれども、ただ、一応決まった以上はそれを容認しながら、しかもまた、それをチェックさせていただこうということでありますので、その観点からいきますと、やらせてもいいのじゃないですか。  勧告が出ているのですから、自由にやらせて、そのかわり——それこそ何のために機関委任事務を突破口に権限を渡そうとしているのですか。分権をしようと。そうしたら、この財源の一番厳しいところを信頼して、そして、任せましょう、そのかわり、違う形で何かチェック方法はあると思うのです。せっかく勧告でもう自由にやりなさいと言いながら、片方の——全然違う組織ですから厳しいのはわかりますよ。だから、これはもう総理大臣が来ていただいて答えていただかなきゃいけないくらいの問題かもしれません。自治大臣、その辺どうでしょうか。
  48. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 おっしゃる気持ちはよくわかるのですが、しかし、国、地方の双方の歳出を抑制するという建前にも立っておるわけでございまして、そのような意味で、財政構造改革期間中におきましては、国も地方も赤字の縮小という目標を達成しなければならない。  そのためには、これまで地方財政、百四十七兆という借金を抱えるようになりましたのも、地方債を公共事業や特に補助事業その他で、あるいは地方単独事業でどんどん増発してきました。そのために地方財政も非常に苦しくなっておるわけですから、せめて財政構造改革期間中の六年間は、国と地方と連動いたしまして、地方債の発行についての抑制を図る必要がある。  この六年間は許可制というものを維持して、そして、国も地方も六年間のうちに健全財政になるわけでございますが、向かうわけでございますが、自治省といたしましては、地方の財政の健全化をできるだけ早期に達成いたしました後は、達成しなきゃならぬわけでございまして、健全化とともに、できるだけ早い時期に勧告のとおり新しい制度に移行できるようにこれは努力をしていかなければならない、そのように考えておるところでございます。
  49. 松崎公昭

    ○松崎委員 許可制は、地方債は国が許可していたのですよね。チェックしているのは国なんですよ。だから、地方が勝手に百四十七兆借金を抱えているのじゃないのですよ。これはもう本来的に、七割のお金を国がとって、仕事は七割ですか地方にやらせて、そこの構造が問題だったわけですよ。しかも、地方債は国が許可しているのですよ。だから、野放しにしておいて地方自治が百四十七兆円借金をつくってしまったなら信頼できないかもしれないけれども、そうじゃないでしょう。  だから、私は、もっと信頼をして、今回せっかく入り口をつくって分権を始めようということなんだから、だったら信頼して、今度は私どもはチェックしませんからあなた方自由にやってください、しかし自分の財源は——それは市民がチェックしますから、これから。妙な行政をやれば、これから市民がちゃんとチェックするのです、これが民主主義の原則なんですから。  その辺の基本の形が、何か地方が全く勝手に悪いことを、百四十七兆も出してやってきたと。しかし、それはもう財政構造上で全部の財源が抑えられてしまっていたわけですから、それを変えなきゃだめですよ。仕事を七割やらせていて金は三割やるということでは、これじゃやはりできない、だから借金をしたい、そのかわり国にそれは全部お願いしていた、国が全部チェックしてオーケーしていた、そのツケが百四十七兆。  だから、大臣、ちょっとこれは議論がおかしいのじゃないのでしょうか。だから、私は、これ以上、今の体制の中でどうこうしろと言うのはできません、ただ、これからの分権推進計画に向けてやはりそういう余地を、六年間も凍結してしまうのじゃなくて、もっと早く地方に任せられるような体制を分権推進計画の中にもぜひ盛り込んでいただきたい、地方を信頼してあげてほしい、そういうふうにお願いしたいと思います。
  50. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 もう一つだけ申し上げておきますと、地方財政、教育関係、社会保障関係、公共事業で地方財政の約七割を占めるわけですね。これは全部、国と連動しております、制度的にも法的にもそうでありますが。そこのところが今後の地方財政運営というか、健全化に向けた大変難しいところであり、また、そこをどうするかということであろうかと思っております。
  51. 松崎公昭

    ○松崎委員 それでは、さっきちょっと伺った機関委任事務財源の問題、お答えいただけますか、どういうふうになっていくのでしょうか。
  52. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 今の、機関委任事務と財政の関係でございますが、現在の地方財政法におきましては、団体事務であると機関委任事務であるとを問わず、その事務を実行する主体のところが基本的に財政負担をするということになっております。  したがいまして、団体事務でございましても、機関委任事務でございましても、実行する団体のところが財政負担をするということで、交付税の計算もそういうふうにいたしておりますので、今度、機関委任事務が廃止されて自治事務あるいは法定受託事務ということになりましても、財政的な面では基本的なことの変更はないわけでございまして、現在既に、それぞれの実行主体が基本的に財政負担をするということになっておりますので、そういう意味では財政的な面では基本的な変更はないということに御理解いただきたいと思います。
  53. 松崎公昭

    ○松崎委員 そうしますと、仕事は来てもお金は来ないという状況ではないというふうに見てよろしいのですね。先ほど大臣は、私どももそう思っておりました、大臣と同じように、仕事は来るけれどもお金は来ないのじゃないかと。ところがどうもそうでもなさそうなので、どうでしょうか。
  54. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 機関委任事務関係につきましては、今委員がおっしゃいましたように、基本的な財政の変更はございませんので、そのことで財政負担がふえるということはございません。  ただ、これから地方分権でいろいろな事務が、例えば国から地方に移譲されるとかということになってきます場合には、当然、それに伴って財源が必要になってくるわけでございますから、そういう意味では財政問題というのは非常に重要な課題でございます。
  55. 松崎公昭

    ○松崎委員 今いみじくもおっしゃいました、これから移ったときにと。  というのは、今度は権限の移譲の問題に移りますけれども、この権限の移譲も分権推進委員会の大事な視点の一つだったわけでありますけれども、国から県へ移譲されるのは実際は十四件なんですね。橋本総理も熱心におっしゃっていたのは、市町村への分権をしろと。それで勧告の中に入ったのが三十六件。これは機関委任事務の範囲の中でいけば、もともとその範囲というか地方自治体の範囲でいけば、県から市へ移譲しただけですからそう変わりはないのですね。一番私ども期待をし、また注目をしていた権限移譲、これは十四件なんですね、国から来たのは。  ここの辺が、やはり分権推進委員会の皆さんが、確かに委員の皆さんは無念さを持っていましたね。中間報告では大変理想的なものを出せた、しかし、残念ながらまだまだ日本の官僚体制の、中央集権の力は強過ぎるというふうに、最終報告の中でも、後書きでも前書きでもそれはにじんでいますよ。これが実態。これは十四件という形なんですね。  だから、この辺、分権推進委員会の皆さんの無念さもとらえながら、今度、計画に入っていってしまいますと今回の勧告を中心に入っていくのでしょうから、これ以上、すぐに計画で、例えば権限移譲が進むとか、そういうことはないと思いますけれども、今後、二〇〇〇年で時限立法で切れます、そして、推進計画ができますとそれだけがひとり歩き、これは、先ほど古賀先生のおっしゃったように、何かはかの形で補完をして、何かの委員会をつくるとかあるいは分権推進委員会そのものを強化していく、あるいは変質させながらさらにチェック機構あるいは提案機構を続けていくということをしませんと、今回の勧告で出てきたものをベースに推進計画だけをつくったのでは、本当の分権が進んでいくにはまだまだ遠いのですよ。  ですから、それを継続するような組織、あるいは分権推進委員会を継続するのでもいいし、あるいは先ほど古賀委員がおっしゃったように国会の中にそういう組織をつくるということ、そんなようなお考えは、大臣、いかがでしょうか。
  56. 松本英昭

    松本(英)政府委員 大臣がお答えになります前に、若干説明をさせていただきたいと思います。  ただいま先生御指摘のように、地方分権という場合に二つの側面がございます。それは、国のものを地方に移すという側面、これは権限であれ財源であれ、そういう側面と、それから、地方において処理する際に、その自主的自立性を高める、自由度を高める、そういう側面とがあります。分権推進委員会は、この両面にわたって御検討をしていただいたわけでございます。  ただいま先生、権限移譲、いわゆる移すという側面が非常に弱いというお話をなさいましたし、現にそういう御批判があることも、私どもも十分受けとめております。  ただ、分権推進委員会が取り上げられました権限移譲、それはやはり地方の六団体とかあるいはこれまで関係方面でいろいろと御指摘のあったことを取り上げられておりまして、そういう点で、時間的な制約もございましたけれども、かなり成果もあったのではないかと私どもはそれなりに思っているところでございます。  ただ、今も御指摘がございましたように、さらなる国から地方への権限移譲、これはやはり私どももこれからも引き続いて検討されるべきであろうという考えを持っておりますし、現に分権推進委員会あるいは政府においても、そういうことで検討を続けていただくようなことも伺っているところでございます。
  57. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 地方分権に関して国会の中に何かつくる必要はないか、こういうことでございますが、地方分権推進委員会でもこの分権の問題については引き続き協議するとされておりますし、まさにこの地行が国会の中の最高の議論の場だと私は理解をいたしておりますので、どうぞよろしくお願いをいたしたいと思います。
  58. 松崎公昭

    ○松崎委員 この辺でそれはやめさせていただいて、次に、同じ分権推進委員会から出されたものを受けて新行政改革大綱が策定され、十一月に各地方に出されたと思います。その中の幾つかに触れてみたいと思います。  地方行革が本当に大事なんですけれども、その中で、私ども問題にしております中央の特殊法人、それと同じように、地方の所管する公益法人の整理合理化があります。この問題、別途指針というふうに勧告や大綱の中では公社のあり方が書いてありますけれども、その辺はどのように今後検討していかれるおつもりでしょうか。
  59. 嶋津昭

    ○嶋津政府委員 お答えいたします。  今御指摘地方公社は、全国で、私どもが調べている数で九千三百四十四ほどございます。今御議論ございましたように、国も行政改革において特殊法人の改革を重点的に取り組んでいるわけでございます。  したがいまして、この行革大綱の中でも、私ども、社会経済情勢の変化を踏まえて、既存の公社等の設立目的とか業務内容、活動の実態、運営状況について検討を行っていただきまして、統廃合等、地域の実情に応じた見直しを積極的に進めていただきたいというふうに考えております。  ただ、そういう場合に、新聞報道で見られますように、もう既にそれぞれの団体で独自に取り組みを進めておられるところもございますけれども、やはりオールジャパンの形で何か公社を見直す際の指針といいますかガイドラインみたいなものがあった方がいいのじゃないかということは考えておりまして、私どもの方では今、学識経験者等にもお願いいたしまして、研究会をこれから組織いたしまして、例えば、地方団体が出資をする関与のあり方というのはそれぞれの業務目的に応じてどういうものがいいのか、あるいは議会や住民への情報開示のあり方、こういうものもやはり統一したような一つの基準みたいなものが考えられないのかとか、あるいは経営指標につきましても、単に赤字黒字ということだけではなくて、どういう機能を果たしているのかというような経営指標、それから、統廃合をするといっても、廃止する場合の方法論というのは非常に難しいと思うのです。そういうことについての何か全体のオールジャパンで基準となるようなガイドラインを早急に取りまとめていただきまして、そういうものを情報として地方団体に提供いたしまして、それに沿った見直しをさらに一層進めていただくことが必要じゃないか、こういうふうに考えております。
  60. 松崎公昭

    ○松崎委員 ありがとうございました。  やはり地方、私も県にいましたから、見ていますと、かなりいっぱいあるわけですね。これは中央の右に倣えかどうかわかりませんけれども、その辺ひとつしっかりと、研究会をつくられて指針を出していただいて、この辺は御指導が必要だろうと思っております。  事務局長さんに来ていただいて何にも答えていただいていないで、申しわけない。紛争処理委員会、これはそちらの答弁ですか。  紛争処理委員会権限が裁定から勧告になりましたけれども、裁定から勧告になったということは、なぜ変わって、どういう意味を持っているか、お願いします。
  61. 東田親司

    ○東田政府委員 お答え申し上げます。  国地方係争処理機関権限につきまして、当初の試案では裁定の権限であったものが勧告という権限に変わったということで、どういう考え方のもとに変えたのかというお尋ねかと思います。  まず、私ども委員会といたしましては、この国地方紛争処理の仕組みというのは我が国には全くない初めての制度でございますので、関係各方面の意見を慎重に聞く必要があるという基本的なスタンスに立って審議を進めたわけでございますが、その際、三回にわたりまして試案を提示いたしまして、各方面の意見を伺いました。  その中に、先生御指摘のとおり、最初の段階では権限は裁定という権限であったわけですが、これに対しまして、各方面の意見、主として中央省庁の意見の中に、法的拘束力を有する裁定を行うということにした場合には、行政事務を分担管理する主任の大臣の権限との関係で我が国の内閣制度に適合するのか、このような御疑問が強く出された経緯がございます。  それから、それに対しまして、私ども委員会といたしましては、それじゃ、国の行政機関が裁定にどうしても不服があって従えないという場合には総理に裁定の取り消しを求めるようにしたらどうかという修正案を第二次案という形で提示したわけでございますが、これに対しましても、それじゃ、総理がその不服の申し立てを受けて判断をする際に閣議にかけるということにしたものですから、閣議にかけて総理が新しい判断を下すというのは実際上機能するのは難しいのではないか、大臣の罷免の問題等まで発展するのではないか、このような懸念も示されたわけでございます。  最終的に、今回の私ども勧告では、この権限につきましては裁定ではなくて勧告という形にしたわけでございますけれども、その考え方は、やはり現行の法制度あるいは行政運営の慣習、慣行、これとの調和を最大限に重視する仕組みを新しく設けることが最善の方策だろうということで、このようなことにいたしたものでございます。  したがいまして、勧告でございますので法的拘束力はございませんが、勧告にもし従えないという場合には、世論の厳しい評価を受けるし、それから、その後、訴訟に行く道が残されておりますので、そちらに移行していくということからしても、勧告ということでも決して機能としては不十分だとは言えない、十分ではないか、こういう考えのもとに勧告に至ったわけでございます。
  62. 松崎公昭

    ○松崎委員 ありがとうございます。  私は法律家としては全く素人なのでわかりませんけれども、私は、それはかえってよかったのかなという感じはしているのですね。第三者機関であるところへ、司法に上げて争う、第三者がしっかり裁定をするということになるので、私は、それは一定程度の評価をしているわけであります。どうもありがとうございました。  次に、同じこの行革大綱策定指針の中の公共工事、きょうは建設省じゃないので聞きづらいのですけれども、公共工事に関するコスト縮減というものも出ているのですね。建設省の公共工事コスト縮減対策に関する行動指針を参考にして行動計画を策定しなさい、これはどのように指導されるのでしょうか。
  63. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 公共工事のコストにつきましては、本年四月の関係閣僚会議におきまして行動指針が決定されまして、各省庁が一致協力してこの問題に取り組むということになったわけでございます。  自治省といたしましては、地方団体に対しまして、地域の実情等を勘案しながらこの行動指針を参考にした行動計画をつくって、公共工事の縮減に積極的に取り組んでいただきたいという要請を行ったところでございます。  その結果、本年度内にはほとんどすべての都道府県、政令指定市におきましてこの公共工事のコスト縮減に関する行動計画がつくられる、そういうふうな見込みに今なっております。  今度の新しい行革指針におきましても、積極的な取り組みをさらに要請したところでございまして、今後とも、地方公共団体におきますこうした取り組みに対しまして、いろいろな情報提供等の支援をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  64. 松崎公昭

    ○松崎委員 これもまた難しい問題でありますけれども、この公共工事コスト縮減対策に関する行動指針を見ても、私ども、なかなかよくわからないのですけれども、私の地方議会なんかでの経験でいきますと、日本の建設関係のコストは二割から三割高い、あるいは、この前の日曜日の田原さんのテレビでは二〇〇%だ、倍だという意見も極端にありました。要は、高いのですね。なぜか。  これは本当は建設省なんでしょうけれども、「物価版」だとか「積算資料」、こういう基礎資料がありますね、この単価の問題。それから、土木では「赤本」、これは建設省が出している。「赤本」は年に一回、あとは「物価版」は毎週、「積算資料」は毎月だ。財団法人経済調査会、これはちょっと私、よく調べておりませんけれども、多分、外郭団体、建設省の方だろうと思います。こういうものを基本に、地方でも国でも談合を含めて単価がかなり高い金額で据え置かれている。この辺に本当はメスを入れなかったら、これからのオープンな日本の経済、ましてこれから金融版ビッグバンだけじゃなくて建設関係もどんどん入ってくると思います。もう既に一部入っているわけでありますけれども、WTOですか。ですから、こういうものを整理して、本当にコストを下げるという意識を持たないと、私は無理だと思いますよ。  これはちょっと答弁する方が建設省じゃないといないと思いますので、問題提起ということにしておきます。  さて、それでは、分権推進の方はそろそろ終わりにさせていただきまして、要は、最後は、私は、ある意味では分権推進委員会の皆さんにとっては不幸だったかもしれません。財政構造改革会議それから行政改革会議、足かせをはめるようなことが同時的にありましたから、思い切ってやれることがやれなかったという歴史的な不幸があったかな、そんな感じはしますけれども、追加勧告もやるときはやりますよということを分権推進委員会の方はおっしゃっているわけでありますので、これからも、分権推進委員会の皆さんが元気になって、そして政府の方とも、あるときにはもっともっとぶつかることもあってもいいと思うのですね。ぜひひとつ、推進委員会の方、頑張っていただき、そして、これからの推進計画に向けて新しい入り口、分権推進の入り口だという認識で頑張っていただきたいと思います。  次に、残り時間を、総会屋の利益供与問題ということをちょっと取り上げたいと思います。  もう新聞等で既によくわかっておることでありますけれども、五十六年の商法改正をやってもまだまだ同じようにだめだ、現在はまだ総会屋さんが千人ぐらいいらっしゃるということであります。総会屋さんと言うのはちょっとおかしいですけれども。最近では、もう目に余る。いわゆる大企業の、世界に羽ばたくような、日本を代表する企業がぞろぞろと、三菱系でありますとか、もちろん四大証券もあったわけでありますけれども、こんなありさまで、今回、法案が、これは参議院も通ったのでしょうか、全会一致で商法の改正が通りまして、厳しく罰則が決まった。  果たしてこれで本当に減らすことができるのでしょうか。それから、残った総会屋の特色というのはどんなものでしょうか。ちょっとお教えください。
  65. 佐藤英彦

    ○佐藤(英)政府委員 二本とも大変難しいお尋ねでございますけれども、ただ、これまで、委員御承知のように、総会屋につきましては、取り締まりのほかに、総会屋に対して利益を供与する企業側に対していろいろな指導を行ってきたというぐあいなことから、徐々に総会屋の人数は減ってきております。  現在のところ、今おっしゃったように千人程度ということでありますけれども、例えば暴力団員である総会屋の数も減ってきておりますし、だんだん世論の空気の厳しさに暴力団の方も、この総会屋活動の場が果たして暴力団としての資金源先として有効なものかどうかというようなことなどから、いろいろ思惑も生じてきているのではないかというぐあいに推測もされるところでございまして、私としては、このたびの法務省提案の法律が施行され、また、現在行われておりますようなそういう政府挙げての取り組み、そして企業のトップの決断と取り組みが進められてまいりますならば、必ずやこの総会屋というものは排除できるのではないかというぐあいに考えております。  そして、現在残された総会屋の特徴はいかがかということでありますけれども、従前の総会屋というのは、企業の株主総会の運営に資するという役割を担っていた、そういうグループもありました。しかし、現在におきましては、もう大半の総会屋が、企業に対して巧妙なおどしをかけて利益の供与を受けるのみと言ってよい、いわば恐喝グループと言ってよろしいのではないかというぐあいに思いますが、まさにこれらは不法集団といいますか、反社会的集団に成り下がっているというぐあいに言ってよろしいのではないかと存じます。
  66. 松崎公昭

    ○松崎委員 ありがとうございました。  それで、見ますと、会社のトップの方々、本当に人格識見も立派な方々がどうしてああいう形をせざるを得ないのか、役職上かもしれませんけれども。そして、総会屋対策をやったような総務関係の方が必ず上へ上がっていくという、この辺の、経団連も随分集まったりいろいろやっておるようでありますけれども、私は、経済界の方にも相当問題があるし、それをもっと突き詰めていくとどうも日本人の体質にも問題があるのかなと。侠客でありますとか、昔はやくざさんでも土地のためになったというような有名な方々がたくさんいるわけですね。そんな辺がどうも体質のどこかにみんな血の中に残っていてなんというのも、ついついそういう方をうまく利用しちゃおうなんという安易な、これは日本人の問題かもしれませんけれども、そういうこともあるようであります。  もう一つ、やはり危険性とか怖さから企業人がなかなか思い切ってできないというのがどうも私はあるのではないかと。  ですから、保護をする必要が、あるいは警察がそういう民間企業の上の方の方々、総会を仕切るような方々にどういうような保護策があるか。それは今までも考えていらしたと思いますが、今後また、これだけ罰則が厳しくなりますと、もっとやみに、あるいは下に潜ってくるかもしれませんので、陰湿になるかもしれませんので、その辺の保護策は何か考えていらっしゃいますでしょうか。
  67. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 企業の役職員等に対する不法行為の未然防止を図るために、警察といたしましては、保護対象者を指定いたしまして、その指定をした皆さんと連絡を密にし、自主警戒の指導を行いますとともに、身辺警戒やパトロールの強化など所要の措置を講じておるところでございます。  今、総会屋対策、暴力団対策を含めまして、今回いろいろな事件が起こっておるわけでございますが、警察は一万人態勢をしきまして、そういう保護というか、守らなければならない人は警察の威信にかけてもきちっとしなければならない、こういうことで頑張っておるところでございます。
  68. 松崎公昭

    ○松崎委員 わかりました。  やはりこれは、これからオープンになっていく日本の経済、特に国際信用力という点では早急にその辺をしっかりやっていただかないと、個人の命とかそれだけじゃなくて、世界に対する信用問題でありますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。  さて、この総会屋に絡みまして自治省の方にちょっとお尋ねをいたします。  かつては、たしか、野村さんだとかこういう問題を起こしたところは起債の引き受けを除外するとか、そういうことがあったと思うのですけれども、今回の四大証券、一つなくなりましたけれども、四大証券に関してはその辺はどうなんでしょうか。
  69. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 市場公募債の発行に当たりましては、金融機関とかあるいは証券会社がシ団を構成して引き受けるということを行っておるわけでございますが、今回の一連の不祥事件に関連いたしまして、第一勧銀あるいは野村、山一、大和、日興という証券会社につきましては、地方債の引受団体から除外するという旨の通知を出しておるところでございます。国債と同様な扱いをいたしておるところでございます。
  70. 松崎公昭

    ○松崎委員 よくわかりました。  それでは次に、時間がないのですけれども警察の方なんですけれども、この前のエジプトの問題、ちょっとこれに触れたいのです。  というのは、私どもペルー連盟で、ことしの七月、八月、ペルーを独立記念日に訪問して、あちらでテロで亡くなった方々のお墓参りも含めて、大統領ともお会いしたりしてきたのですね。海部さんが団長で行ってきた。そのときもつくづく、現場も見ましたけれども、やはりああいうテロの問題、大変根深い。そして、国情の違うところで、我々は外務省を中心に情報を得なければならないわけでありますけれども、その辺一つ、こういう同じような危機管理、国外での危機管理も、旅行者に対しても同じようなところがあると思うのですね。  今回のこと、エジプトで新婚さんを含めて十人犠牲になった、この場合には、観光会社とかそれから行く方に対してどういう注意を喚起したり、そういうことをやった上でそれでも行ってしまうのじゃしょうがないのですけれども、今回のエジプト事件、これを契機に何か教訓とか、国際テロに対する観光客をどう守るか、そんなようなことを考えていらっしゃいますでしょうか。
  71. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 今回、多くの方が亡くなられましたが、心からお悔やみ申し上げ、傷つかれた方に対しましては心からお見舞い申し上げたいと思います。  今回の事件には捜査権が及ばないものでございますが、我が国はペルーから今回と、テロ事件における重大な、国際社会を震憾させるような事件に巻き込まれておるわけでございまして、そのような意味で、警察といたしましては、犯行の経緯、背景それから犯人グループ等について、エジプト当局との情報交換を行うなどして情報収集に努めておるところでございます。画期的というか異例でありますが、事件が起こりました直後に、警察は人員を派遣いたしまして、直接情報収集に当たっておる、対応いたしておるところでございます。  今後、我々としては、テロに屈することなく、断固として戦っていく決意でございますが、そのもとに、今後とも、国際テロリストに関する情報収集活動、これを怠りなく一層推進いたしますとともに、将来テロ行為を行うおそれのある集団等の把握にも努め、また、旅行関係、そういうところにも十分情報の公開をして注意を喚起していくべきだと考えております。  細かなことは当局から説明させます。
  72. 伊達興治

    ○伊達政府委員 今回のエジプトでのこうした事案を見てみまして、私ども、一層、海外渡航者など在外邦人の安全に資するために、国際テロ情勢に関する情報を真剣に入手していかなければいけない、また、その分析をしていかなければいけないと強く思うところであります。  また、こうした情報を入手した場合には、外務省、運輸省あるいは民間航空会社等、適宜適切に提供していかなければならない、今までもやっておりますけれども、さらにそういう決意で臨まなければならない、そういうふうに考えるところであります。  また、海外進出企業の安全対策についてでありますけれども警察庁として努力できる範囲というものも限度はあるのでありますけれども、例えば、公共政策調査会というようなところと提携しまして、国外で海外安全対策会議、これまでバンコクとかマニラとか香港、ジャカルタ、クアラルンプール等、こういうところでこうした会議を開催しておりますが、その際に講師を派遣したりしておりますし、また、国内においても、同じ団体が主催しております海外邦人安全対策セミナー、こうしたたぐいのものがいろいろ企画されておりますので、こうしたところへも担当職員を講師として派遣する、こういう努力をしまして、在外邦人の安全確保のために、心構えといいますか、留意事項といいますか、そういうものを徹底するようにも努力している。  今後とも、こうした動向に努めていきたいと思っているところでございます。
  73. 松崎公昭

    ○松崎委員 機敏な対応をされたということで、大変心強く思います。  外務省では、何か三段階勧告をしているそうでありまして、今回は注意喚起だった。それでもお客さんが自分の責任で行ってしまった場合、しょうがありません。ですから、やはり国民へのそういう国際テロの怖さ、そういったものもひとつ今後もPRをしていただきたい、そんなふうに思います。  時間がありませんけれども一つだけ、自治省ですから選挙のことを。  これも既に公選特で二十七日に終わったので審議をする気はないのですけれども、私ども、過日、ブラジルへ行きまして、ブラジルの海外有権者ネットワーク、あるいはブラジルの日本の県人会の会長さん、網野さんから頼まれてきまして、どうしても在外邦人の選挙をやってくれというお話があったものですから、一点だけ。  既に法案は、これからですね、十分審議されております。ただ、政府案と我が党、太陽党の共同提案の二つの案が若干違います。それは、衆議院の比例代表と小選挙区と両方できる、それから参議院も、選挙区も比例も両方やる、ところが政府案は比例区だけだ。非常にこれは憲法上も片手落ちじゃないかということが議論になっております。  そこで、五十九年に出された法案では、これは政府案ですよ、中選挙区でもやるという案だったのです。それがどうしてこうなったのか。  それから、「当分の間、」比例選にするのだと。しかし、「当分の間、」というのは、自治法で起債の許可、それこそ五十年たっても「当分の間、」なんですね。こういう前例がありますと、今回通してしまったら、当分の間、五十年また比例選だけだと。これはいろいろ問題があります。これはちょっとお答えいただけますでしょうか。
  74. 牧之内隆久

    ○牧之内政府委員 いわゆる在外法案の政府案におきまして、本則では衆参両議員のすべての選挙を対象にいたしておりますが、附則で「当分の間、」比例代表選挙に限っております。  これは、小選挙区選挙あるいは参議院の選挙区選挙が個人名投票ということでございまして、投票に当たりましては、候補者の氏名それから所属政党、政策等を有権者に周知しておく必要があるということでございますが、我が国から遠く離れておりまして、短い選挙期間の中で世界各地の有権者の方々にそういう情報を周知するということは極めて困難である。  一方、比例代表におきましては、政党名でございますが、政党がどういう主義主張、どういう政策をお持ちであるかということは、日ごろから、海外におきましても、ラジオあるいは新聞等を通じまして、かなりの程度周知をされているということで、選挙期間におきましてとりたててそのような情報を周知しなくても、相当の情報は有権者の方々に伝わっていくであろうということがございます。  また、在外公館投票が原則でございますが、在外公館にとりましては選挙事務は全く初めての事務でございますので、まずは比例代表から始めまして、その執行体制というものを見きわめる必要もあるのではないかということで、「当分の間、」比例代表選挙に限らせていただいたところでございます。  五十九年法案におきましては、当時は小選挙区ではなかったわけですけれども、衆参の選挙を対象にいたしておりましたが、当時といたしますと、非常に邦人の方が、倍以上にふえておりまして、世界各地におられるということがございます。そういうこともございまして、投票方式としましても、郵便投票というものを認めざるを得なくなったというような事態があるわけでございます。  また、選挙制度も変わって、三百という多数の選挙区ができた、こういうもろもろのことを考えまして、このような案にさせていただいたところでございます。  「当分の間、」はそれじゃいつまでかということにつきましては、現段階におきましては具体的なめどを申し上げることはなかなか困難なわけでございますが、今申し上げましたような選挙情報の伝達の状況なりあるいは在外公館の執行体制、こういうものを見きわめながら検討させていただきたいと考えております。
  75. 松崎公昭

    ○松崎委員 ありがとうございました。公選特でまた、次の通常でやるのでしょうから、しっかり頑張っていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  76. 加藤卓二

    加藤委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十七分休憩     —————————————     午後三時二十五分開議
  77. 加藤卓二

    加藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。石井紘基君。
  78. 石井紘基

    石井(紘)委員 私は、最近、こういう御時世柄、詐欺事件というものが大変ふえているという、一つの事件を取り上げまして、自治省並びに警察庁の御見解を伺いたいと思います。  ちなみに、最近、警察庁にお調べいただいた数字を見ましても、平成七年と八年と、この詐欺事件の認知件数、つまり警察で取り上げて認知をしたという件数というものが、例えば平成七年は四万五千九百数件、八年になりますと約四万九千四百件、そのうち告訴の事件になったもの、告訴したもの、平成七年が八百五十四件、平成八年は千百五十一件というふうに、まだ九年はわかりませんが、こういうふうに、私がざっと感じるところを見ましても相当ふえていると思います。これは警察で認知をしただけでありますから、私が後ほど申し上げますように、警察でまだきちっと取り上げていないというものは相当数に上っております。  そういう中で、この詐欺事件というものについて、私はちょっと考えていきたいと思うわけです。  そもそも、この詐欺という犯行は、善良な市民を、その善良な心につけ込んでだまし、そして陥れるという極悪非道な行為でありまして、決してこれは放置されてはならないことでございます。しかも、健全な社会を維持するためには、これに厳しく処罰をしなければならないというふうに思います。私は、これまでも国会でしばしばこうした霊感商法等々の詐欺事件等の問題を取り上げまして、政治家として追及活動を院内外で行ってきたのでございます。  多くの場合、この詐欺の被害に遭って人生を決定的に傷つけられる、こういうのは弱い立場のまじめな市民なんですね。立場が弱いがゆえに、あるいは力がないがゆえに、法的にも行政的にも救われるべきものが救われない、こうしたケースは一般社会においても少なくないわけであります。私は、政治家として、こうした矛盾を正すということを大きな使命の一つというふうに考えて行動してきたわけであります。  こういう私の立場から、ここに一つの大きな事件を初めて明るみに出させてもらいたい。この事件を明るみに出すことの是非とか、あるいはプラス、マイナスとか、いろいろ私も悩み考えた末、重大な覚悟を持ちまして、きょうはその大筋だけを時間の関係もありますので明らかにする次第であります。明らかにするというか、明らかにせざるを得ないということであります。  その事件と申しますのは、かの有名なおもちゃ類の製造販売等をやっている株式会社バンダイという会社があります。このバンダイという会社は、ごく最近も新聞にも、私が取り上げる以外の事件等でも何かと問題になっている、あるいは訴えられている、事件に絡んでいる、こういう会社のように見受けられます。このバンダイに関する一つの新しい事件として、今、警視庁に訴えられている事件であります。  その概要を申し上げます。  株式会社バンダイ、一方、有限会社光商会という、バンダイというのは、これは台東区駒形に本社がございます。それから光商会というのは、新宿区西新宿にある、比較的小さな会社です。これはアニメーション映画の製作等々をやっている会社でありますが、ここの間に、若乃花とか貴乃花のアニメキャラクターグッズに関してその商品化権許諾契約を結んだ。  どういうものかといいますと、アニメキャラクターグッズというのは、タオルだとかクッションだとか人形とかセーター、Tシャツ、パジャマ、のれん、ハンカチその他のアニメグッズ、これをこの両社が契約をして、そしてそれに基づいてバンダイが製造販売した、こういうことです。  しかし、この株式会社バンダイは、故意に契約数量をはるかに上回るアニメグッズを製造販売 し、聞くところによると、これは数十億円という規模であります。この契約の相手方である光商会に対しては、実際の販売数量を大きく下回る虚偽の報告をして、ごくわずかな許諾料しか支払わず、不当に多額の利益を得た犯罪行為を行ったというのが、この警視庁に出されている告訴状その他の関連資料、私が入手した資料によるところの概略であります。  さらに、このバンダイという会社を告訴している光商会は、これを詐欺利得罪及び著作権法違反ということで訴えているわけであります。  事件の内容と経緯をもう少し詳しく説明させていただきますと、光商会という映画フィルムの製作や販売などを行う小さな会社が、平成三年十月ごろ、「どすこい!わんぱく土俵」というアニメーション映画の製作を行うに当たりまして、日本相撲協会と花田勝治氏、当時の二子山理事長らから、若乃花、貴乃花ら力士をモデルにしたアニメ像、各力士のしこ名を使用したアニメグッズの商品化権の許諾を得たわけであります。そして、平成六年五月ごろから六月ごろにかけて全国の百館以上の松竹系映画館で上映され、また、小学館発行の雑誌等にも映画先行漫画として連載をされました。  一々の経緯は省きますが、これらのキャラクターのイラストやそのデフォルメをグッズに使用する上での光商会に帰属する著作権については、バンダイや相撲協会など関係者の共通に認めるところで、全く問題とはなっていないところであります。  そこで、光商会とバンダイは、平成五年五月十日に、この著作権の商品化権使用許諾契約を結びました。その内容は、概略、光商会はこれらキャラクター及びその名称を用いたグッズの製造と販売を向こう一年間バンダイに対して与える。さらには、許諾料や数量、製品に貼付する証紙、ラベルですね、これを定めた。さらに、光商会から請求がある場合には、バンダイは許諾商品の製造数量、販売数量、在庫数量、売上金額等を報告しなければならないなどの約束を双方が交わしたわけであります。これによってバンダイは、多量の商品の製作と販売会社等への流通活動を開始しました。  しかるに、花田勝治氏らとバンダイとの直接の接触、話し合い等が行われる一方で、花田氏らが光商会とバンダイの契約数量を大幅に減らすように求めた。そのことに呼応してバンダイは、光商会に対して、著作権許諾商品、そうしたグッズですね、これの数量と品目を大幅に減らしたいという虚構の事実を申し向けまして、光商会を欺こうとしたといいますか、だまそうとした。そして、光商会に許諾商品の、大幅に少なくするわけですから、それを調整数量といいますと、その調整数量に合意をさせたわけです。それで、そのときはもう既に最初に契約をした大量の商品、グッズを製作して流しておったということも後ほど申し上げたいと思いますが、この私のところにある資料によりますと、当初の計画で予定されていた数量というのはどのくらいかというと、金額にして約七十五億円ぐらいです。そして、調整された後のものは約三十七億円ぐらいであったということであります。  しかし、告訴状の資料によりますと、このとき既にバンダイは、少なくとも当初予定の数量のグッズや証紙を製造して流通に乗せ、販売の行動を進めておった。実際に変更したりあるいは削減した数量の商品を回収するというような意思は全く持っていなかった。この告訴人の訴えによりますと、バンダイは当初予定の数量をすべて販売したのみならず、一部の商品は約束量を超える追加製造までして販売をし、さらに、バンダイは、約束に違反して光商会に無断でシールや下げ札を貼付し、かくして莫大な利益を不法に得たのみならず、光商会には、売り上げは五億五千万円のみであったというふうにでたらめな報告をして、許諾料わずか二千数百万円を支払ったのみであったというものであります。  この事件は、光商会によって、昨年ですから平成八年の一月ごろ、警視庁に訴えられておるようであります。そして、その後、何度も警視庁で説明等を行っているし、また、警視庁もその犯罪性にかんがみて捜査を行ったといいますか、一定の捜査をしておるということのようでありますが、捜査の内容までは私も立ち入るつもりはございませんが、今るる私が申し上げました事件並びに訴えに関する経過については間違いございませんでしょうか。
  79. 泉幸伸

    ○泉政府委員 ただいま御質問にありました事案に関しましては、その間の事実関係につき詐欺罪に当たるのではないか、あるいは著作権法違反ではないかということで、御指摘の光商会の関係者から、告訴したいという旨の相談を警視庁に寄せられるところでありました。  警視庁におきましては、その事件相談を受けまして、事実関係を特定しての告訴の受理に向けまして、関係者の事情聴取等、必要な調査等を行って検討しておるところでございます。
  80. 石井紘基

    石井(紘)委員 必要な捜査を行って検討をしておるところであるという御答弁だったと思います。まあ、捜査の具体的なところまで立ち入るつもりではございませんので、その件についてはそれで了解をいたしました。  さて、こうして警察にこのことでもって訴え出たのがもう既に約二年近い前でありました。どうしてそんなに時間がかかっているのか。特に刑事告訴の場合には、やはり証拠隠滅のおそれだとか時効の問題だとかいろいろなこともございますので、そう長々と本格捜査にかからない、結論を出さないというのはいかがなものか、こう思われるわけであります。  しかも、私の知っている限りでも、ほかにもこういう、受理をしてからも二年ぐらい音さたがないといいますか、放置をされている事件がまた東京都内にもございます。そういうのは恐らく私の知っている範囲をはるかに超えてあるのではないかと推測されるわけであります。  警察に訴えが出ても本格捜査にかからないで、そういうふうにあいまいなままいりまでもなっているということは、これは私は、かなり社会的にも、何といいますか、社会生活の秩序を守る上で好ましくないことであろうと思うのですね。こうした善良な市民をだまして悪質な金もうけをたくらむという者に対して、やはり厳しく、しかも遅滞なく処断をされなければならない。どうも警察は、お忙しいせいもそれは一方にはあろうかと思いますが、それは言いわけにはならぬわけでありまして、そうした詐欺の告訴に対してどうも少し消極的過ぎるように見受けられてならないわけであります。ですから、そういう捜査の対応を見越しちゃって、そして犯罪を行おうとする者が、取り込み詐欺などが横行してくるのではないか、それが現実ではないかと思われます。  そこで、私は、この捜査のあり方に少し注文をつけさせていただきたいと思うわけであります。このさまざまな詐欺事件の中で、比較的単純な事件というものは、これは捜査も容易でありましょう。私は、むしろ、複雑な知能犯への対応、こういうものがより重要だと思うのですね。しかも、取引というようなものが絡んだ詐欺事件こそ、今日、我々は重要視しなければならないのだと。契約があるからそれじゃ民事でというのはまた全然別の次元の問題でありまして、民事では、それは強制捜査もできないわけですし、証拠も出ないわけですし、こうした詐欺事件というものはやはり証拠を徹底的に調べるということが重要であります。  今日のこうした高度化した、要するに、だまそうという技術も高度化しているというそういう中において、警察の方の対応、つまり、手の込んだ取引絡みの事件捜査に必要な専門能力を充実させるとか、あるいは体制の整備を進めるとか、そういうことが必要になっているのではないかと思われますが、いかがでございましょうか。
  81. 泉幸伸

    ○泉政府委員 ただいま御指摘のように、特に経済取引に関しまして、巧妙に行われる詐欺事件の捜査の重要性というのは、私どもも十分認識しておるところでございます。  ただいま御質問で御指摘になりました告訴の受理においての問題点、あるいは告訴受理後の捜査が進展しないという点の御指摘について、状況といいますか、若干御説明申し上げたいと思いますが、当然ながら、告訴は、一定の事実行為について、どのような犯罪であるということで、告訴権者が訴えるということでございます。  冒頭御指摘になりました事案も含めまして、一定の経済取引の中には、非常に事実関係が複雑になっておりまして、告訴人として訴えられている方においても、どの事実をどの罪に当たるとして確定して告訴をなされるのかということが必ずしも未整理の場合がございます。そういうものの整理というのが事実関係を前提にして若干の時間がかかるというのが、受理をなかなかしないという受けとめられ方をする一つの要因であると思っております。  それから、告訴後の放置というお言葉がありましたけれども、告訴事件を放置することが許されないことは申すまでもありません。  ただ、御理解いただきたいのは、私どもの捜査は、証拠に基づいて事実関係を認定して、その上で法適用をしていくという作業でございます。どのような事実が証拠によって認定されるかということにつきましては、事案が複雑であればあるほど、また、いろいろな関係者が多ければ多いほど時間がかかるという状況も御理解願いたいと思います。
  82. 石井紘基

    石井(紘)委員 いずれにしても、これは遅滞なく、犯罪か否かということを判定をして、そして告訴人に対しては、弱い告訴人というのは、いつまでもそう取りかかって、お金もかかることですし、たえられないわけでありますので、告訴人に対して、告訴を受理するとかしないとか、しない場合にはその正当な理由を示すとか、そうした国民の権利として納得できるようにしていただきたいということを強く御要望申し上げたいと思います。  この問題、時間がございませんので、今後とも、事件の行方を重大な関心を持って私は見守らせていただきたいと思います。  あと二、三分、残った時間で、今、オウム真理教の破産管財の作業が破産管財人によって進められているわけですが、この被害者の債権ですね、要するに地下鉄サリン事件、松本サリン事件の被害に遭った人たちの債権、つまり、破産管財の立場からいいますと、負債の合計額が五十一億円余りある。それに対して、破産管財人がつかみ出した資産の合計というのは十二億円しかない。  にもかかわらず、国とか地方公共団体は、労働者災害補償保険やあるいは公務員共済組合とか健康保険及び国民健康保険などの求償債権と、オウム真理教に対する解散命令に基づく清算手続の予納金などで五億五千万以上も債権の届け出をしている。こういうものに優先権があるということで、そうすると、この地下鉄サリン、松本サリン事件の被害者の債権というものは本当にわずかに十数%しか配当率としてなくなってしまう。これは交通事故の被害者なんかと比べるとはるかに少ないもので、非常にこれは社会的にゆゆしい問題といいますか、気の毒な問題である。  あのオウム真理教なんというのに許可をしたのは、まさに東京都というもともとは自治体でありますし、国も大きな責任があるわけでありますので、ひとつ自治省、この債権を私は放棄すべきだというふうに思いますが、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  83. 湊和夫

    ○湊政府委員 オウム真理教の被害者救済に関連して、今委員お話しになりましたような御事情がありますことは、私どもも重々承知をいたしておりますが、租税でございますので、現在の租税体系の中では、法律上の根拠なしに逆に租税の債権を放棄するということもできないわけでございます。現在、破産の手続に入っておりますし、国税、地方税問わず、強制換価手続に入りますと、交付要求をしなければならないという、国民の逆に負託を受けたそういう立場もございまして、本来の地方税債権そのものが消滅し得る法的な根拠がない限り、この交付要求をしていかざるを得ないという立場にあることを御理解賜りたいと思います。  御承知のように、地方税法の上でも減免等の手続もございますけれども、今回の場合について申し上げますと、納税者直接の事情といいますよりも、納税者に係る債権者、被害者の皆さんも債権者の立場になるわけでございますが、ワンクッション入った債権者側の事情に配慮しての諸事情でございますので、こうした事情が、現在の天災等を前提にいたしました減免の制度としては、理由として成立し得ないものと考えております。  おっしゃるように、租税債権が消滅すれば、結果として納税者の債権者でございます被害者がより多くの弁済を受けられるという諸事情、重々承知いたしておりますが、同様の事情は、一般的に、同様の破産手続にあります場合の債権者にも同じような状況がございまして、これらと法的になかなか区別することはできないものだというふうに考えております。
  84. 石井紘基

    石井(紘)委員 それは納得できないということを申し上げて、終わらせていただきます。ありがとうございました。
  85. 加藤卓二

    加藤委員長 田中甲君。
  86. 田中甲

    田中(甲)委員 十五分間の質問の時間をいただきました。民主党の田中でございます。  この臨時国会中、何かぽっかりと胸に穴があいてしまったような、そんな心境は何だったのだろうかとよくよく考えてみましたら、お世話になっていた地方行政常任委員会を外れてしまった。あいつ、田中がいなくなって本当によかったとほっとされている理事の皆さん方もたくさんいらっしゃると思いますが、正直そんな心境でありまして、きょうは与えていただきましたこの時間、有効に活用させていただきたいと思います。  ちょうど一年になります。昨年の十二月五日に、初めてダンス競技に関する質問をさせていただきました。正確に申し上げますと、風適法の中のダンススクールというものが早く風適法から適用除外になるべきではないか、そういう質問を一年前にさせていただいて、その後、当時は白川国家公安委員長でありましたが、議会側の問題としてもひとつとらえて積極的に対応されたらいかがですか、そういう答弁をいただいたものですから、ダンススポーツ推進議員連盟という議連を発足させまして、島村宜伸会長以下、現在約八十名のメンバーで運営をさせていただいているところです。  その後、五月十三日、泉生活安全局長から非常に前向きな答弁をいただきました。少し議事録を読み上げさせていただきますが、私の、なるべく早い時期にこのダンススクールというものを風適法から除外するような動きというものを望んでいますという質問に対しまして、  風俗営業の許可対象外とすることができるのではないかという判断を一応持っております。  なお今後とも、関係団体、関係者の意見を広く聞きながら、また地元住民意見も伺う必要がございます、そういう作業を詰めながら、適正に対処してまいる所存でございます。という答弁をいただきました。大変にうれしい気持ちでいっぱいでありました。  続けて、私は、国家公安委員会規則に基づく特定の団体を優遇するという措置、これを行わないということも、実は自立したダンス業界の姿をつくるためには大切なことではありませんかという質問をいたしたところ、  一定の資格を有する教師が置かれていることを基準の一つとすることが必要不可欠であるのかどうかということにつきましては、また同じように、  先ほど申しましたように、業界全体の御意見を聞きながら検討していくこととしております。ということでありました。特に私が大変に感謝したのは、  時を徒過することなく早急に所要の作業を詰めて、できるだけ早い時期に実現するよう努力してまいりたいと考えております。  また、六月十日には、さらに前向きな答弁をいただいたところでありますが、現在、警察庁の方ではどのように対応されているか、状況の報告をまずいただきたいと思います。
  87. 泉幸伸

    ○泉政府委員 具体的な進展状況につきましては、今の御質問の中にも含まれておりましたので、重複を避けまして、それ以外に、風適法、風俗行政というものの見直しは、私どもだけの判断じゃなくて、広く国民、業界団体を初め、また、業界と離れた広く識者の方の御意見もちょうだいして、その中で決めていくということが極めて大事であるというふうに考えまして、本年七月に有識者による研究会を設置いたしまして、非常に速いペースで検討をいただいて、年内にもその検討状況について御報告いただく運びになっております。  今御質問にもありましたように、当委員会を初めとした御指摘あるいは業界の要望あるいは今申しました検討会の御報告等を踏まえまして、早い時期に法改正に向けての作業を進展させてまいりたいと考えております。
  88. 田中甲

    田中(甲)委員 私の方では、今局長が申された、時代の変化に対応した風俗行政の在り方に関する研究会が、四つの項目について検討を進めているというように聞き及んでおります。その中間報告が二月の十日前後に出されるのであろうというお話も承っておるのですが、それでよろしいのかどうか、確認をさせていただきたいと思います。  持ち時間が少ないものですから、その先の要望を申し上げますが、ぜひ、研究会の動きと連動して、この地方行政常任委員会理事の皆さん方に情報公開をして、十分な、見える、法改正に向けての状況づくりということに努めていただきたい。あわせもって、ダンススポーツ推進議員連盟という八十名余りの議員の方々に対しても、それよりも幾らかおくれるような形になることはやむを得ませんが、情報公開をしていただき、私たちにもどのような状況に至っているかということをお知らせいただきたいという要望であります。
  89. 泉幸伸

    ○泉政府委員 ただいま御指摘の研究会の報告を、私の聞き違いかもしれませんが、二月というふうにお話あったと思いますが、本月の半ばに検討結果をいただくという運びにいたしております。  先ほども申し上げましたように、この風俗行政のあり方というものは、当然ながら、私ども、所管する者だけで考えるというよりも、広く国民の意見を伺い、そしてそれを反映させた形へ持っていくことが大事だと思っておりますので、当研究会の報告につきましても、タイミングよくマスコミ等を通じまして国民の皆さんに広報いたしまして、また、きょうを初めとして、当委員会等においてはいろいろの御指導を賜っておるところでございます。そういうのを含めまして作業を進め、最終的には委員会の御審議でありますので、それに向けての作業を進めてまいりたいと思っております。
  90. 田中甲

    田中(甲)委員 局長、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。  実は、こういうルールになっておりまして、国家公安委員会規則のもとでダンス教師資格者登録証というものを発行している、こういうことであります。その団体は全ダ連という団体でありまして、全日本ダンス協会連合会、ここが一任をされて、今お話を申し上げましたダンス教師資格者登録証を発行している。この姿で本当に今後いいのかどうかということも、ぜひその研究会を通じてしっかりと審議をしていただきたいと思います。  私は、好んでこういう資料を入手したわけではありませんが、手元に風俗営業等におけるOBの一覧表というのがございます。これを見てまいりますと、私は、一つ一つこれを指摘して、きょう、この場所でどうこう言うつもりはございません。しかし、この風俗営業という中における、いわゆる法律上風俗営業とされている業種に大変多くの警察官の方が天下りをされているという姿が見られます。これは風営法というものの許認可権限を背景に業界を支配しているという構図に思われかねないという部分を少し危惧しているのであります。  ですから、ダンスのスクールに限って申し上げるならば、国家公安委員会規則というものが全ダ連に一任されているという構図自体が、許認可権あるいは規制のもとに一つの団体が規制緩和ということをやはり阻害している姿というのがここに見えてくるのではないか、こういうことを同時に思うわけであります。  業種その他は、私はここの場で申し上げることは避けます。しかし、この中には、警察庁長官という職歴を持っている方も風俗営業における天下りという姿がはっきりと出されているわけでありまして、この点に関しまして、警察庁長官に御所見を賜りたいと思います。
  91. 泉幸伸

    ○泉政府委員 先ほどの御質問で御答弁の漏れた部分も関連いたしますが、いわゆるダンススクールについて許可の対象外とするという方向では検討しております。  ただ、そこで、およそダンススクールと銘打てば何らの制約なしに、ダンススクールと名乗るものは全部風適法の許可は要らないという形にするのがいいのかどうか、あるいは一定の資格を持ったダンス教師が置かれているというようなことを初めとした基準が要るのじゃないかという点において、今御議論いただいているところでございます。  ただいま、名簿なるものがあるというふうな御指摘の上での、風俗営業について警察関係者が天下って何か業界を牛耳っているやの印象を持たれかねないという旨の御指摘がございましたが、私ども、もとよりそのような観点でこの団体とおつき合いをしているわけではありませんし、また、今問題となっておりますダンススクールのダンス教師資格を認定する団体においても、警察OBは一人もその関係にはついていないという事実もございます。
  92. 田中甲

    田中(甲)委員 そうおっしゃられると、違う業種ではついているということを言わざるを得ないような、そんな心境にもなるのですが、わかりました。ぜひ局長、今後とも、早期に、早急に対応するということをことしの五月に御答弁してくださっているのですから、臨時国会に出されないということであるならば、年明け、通常国会で積極的な対応をしていただきたい、心から御要望申し上げます。  警察庁長官から、よしわかった、その旨任せておけというような答弁をいただければ大変にありがたいのですが、一言よろしくお願いいたします。
  93. 関口祐弘

    ○関口政府委員 先生御指摘のとおり、風適法はその時々の社会情勢に即したものとなるよう常に見直すべき必要があるものと考えているところであります。  現在も、最近における国際化なり情報化の進展等、前回の改正後に生じた情勢の変化に対応するべく、先ほど来局長が申し上げているように、有識者による研究会を設けまして御議論をいただいているところでありますが、その成果を踏まえつつ、御指摘のように速やかに改正することが必要であると考えております。
  94. 田中甲

    田中(甲)委員 どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。  国際オリンピック委員会、IOCから、九月五日、国際ダンススポーツ連盟、IDSFに、正式加盟が承認された旨の通知があったそうであります。このペースでまいりますと、二〇〇四年のアテネのオリンピック、あるいは日本も招致運動を進めている二〇〇八年、正式種目としてダンスが採用される見込みになってまいりました。  ますます生涯スポーツという面でもすそ野が広がっている。聞くところによりますと、ダンスの専門誌は三日で売り切れてしまう、そんな状況だそうであります。一千万人とも一千二百万人とも言われている多くのアマチュアダンスファンがこの風営法除外ということを待望している、そんなことを重ねて申し上げまして、どうか早急な対応をお願い申し上げます。  ありがとうございました。
  95. 加藤卓二

    加藤委員長 春名直章君。
  96. 春名直章

    ○春名委員 日本共産党の春名眞章でございます。  きょうは、暴力団と総会屋問題に絞りまして御質問させてもらいます。  まず、八月二十八日の山口組幹部の射殺事件に端を発した抗争事件が広がっております。  十一月二十日現在で、警察庁からいただいた資料でも、三十一件の事件がその八月二十八日以降起こっているということです。けん銃の発砲が二十五回、火炎瓶の投てきが三回、トラックによる突入が二回、爆発物による爆破が一回、物すごいものであります。地域も、北は宮城県から南は熊本県にまで、全国に広がっております。  重大なことは、この抗争事件の巻き添えで一人の一般の方が亡くなられました。そして、大けがを一人の方がされています。十一月に入っても、この資料では六件の事件が起こっているということで、鎮静化するという様子を見せておりません。もはや一刻の猶予も許されない、そういう事態になっております。  警察庁の皆さんには、早期の犯人逮捕、それからまた、これ以上一般の人に危害が及ばないようにしていただくということで全力を挙げていただきたいと思いますが、これを機会に、山口組に対して、組が壊滅するような取り締まりの強化が本当に求められていると思います。  中でも、きょうは、暴力団事務所の使用制限の問題についてお聞きをしていきたいと思います。  射殺した犯人が検挙されていませんので、断定ということはできませんが、発砲事件などから見ますと、山口組の内部抗争の疑いが非常に強いものであります。  そこで、ことしの通常国会で暴対法が改正をされまして、指定暴力団の内部抗争にも事務所の使用制限など暴対法十五条の適用ができるようになりました。内部抗争にもそれができるようになった。当然ながら、その適用の検討をされていると思うのですが、その点をまず伺いたいと思います。
  97. 佐藤英彦

    ○佐藤(英)政府委員 今御指摘のように、先般の国会におきまして暴対法一部改正をしていただきまして、十五条、暴力団組事務所の対立抗争時における使用制限に関する規定を改めていただきました。したがって、私どもとしては、このせっかく改めていただきました規定を有効に適用すべく、現在、鋭意検討中でございます。
  98. 春名直章

    ○春名委員 鋭意検討中というのはいいわけですけれども、要するに、先ほど言いましたように、非常に事が急がれていると思うのですね。寡占化された暴力団の取り締まりに必要だということでこういう改正をしたわけです。十月一日から改正法律は施行されております。だから、すぐに活用していただきたい。国民の期待にそういう形でこたえていただきたい。  そういう立場で、適用を前提にやっているのかどうか、そのことをもう一度御答弁いただきたい。
  99. 佐藤英彦

    ○佐藤(英)政府委員 既に御案内のことと存じますけれども、この事務所の使用制限と申しますのは、そこに、一定の家屋におきまして、居住の用ないしは事務の用務に使用しているということで、現在の法体系のもとにおきましては、極めて重要な権利というぐあいに考えられているその権利の制限でございます。  したがいまして、本法におきましても、改正していただきました規定によりましても、一つの指定暴力団員の集団の相互間に対立が生じていること、それから、その対立に起因をいたしまして一連の凶器を使用しての暴力行為が発生している場合、加えて、その対立抗争に関しまして、各号に掲げられておりますような、例えば、抗争のための謀議でありますとか、指揮命令でありますとか、そういう用に供されていること、ないしは供されるおそれがあること、そして、付近住民の生活の平穏が害されており、また害されるおそれがあることという、幾つかの厳しい要件が定められております。  したがいまして、私どもといたしましては、今回の対立抗争及びこれに基づくところの具体的な抗争事件に関しまして、今これらの要件を充足するかどうかについての実態の調査をし、判断を行っていくということでございます。
  100. 春名直章

    ○春名委員 この十五条を適用するに当たって、一つ私も聞いておきたいことがございまして、十五条を適用するには、指定暴力団であることが前提条件になっていますね。  そこで、新聞報道では、九月四日に、抗争事件の一方の組である中野会を破門から絶縁処分にしたという報道が出ております。破門というのは、将来、山口組に復帰する可能性があるが、絶縁というのは復帰の可能性がない、こういうふうに言われているわけであります。警察の皆さん方はこの事実は確認をされているのかどうか、お聞かせください。
  101. 佐藤英彦

    ○佐藤(英)政府委員 そのように認識をいたしております。
  102. 春名直章

    ○春名委員 そうしますと、絶縁ということで認識をされておるということであれば、山口組から永遠に離れたということになります。そうすると、指定暴力団でなくなってしまったという認識なんでしょうか。
  103. 佐藤英彦

    ○佐藤(英)政府委員 事はさように簡単ではございませんで、絶縁というのは、あくまでも山口組内部における一つの事実行為であります。したがって、この暴対法の適用をするか否か、適用できるかどうかということは、それを含めまして、実態として、指定暴力団として現在指定されている、指定暴力団である山口組の組員であるというぐあいになお考えられるのか、はたまたそうでないのか、ないしは、新たな指定暴力団として指定すべきそういう実態があるのか、これらについては、挙げて事実認定の問題だというぐあいに考えております。
  104. 春名直章

    ○春名委員 事実認定の問題だということは、それは当然ですけれども、そうしたら、もう一つちょっとお聞きしておきます。  もし、その事実認定で中野会が指定団体でないということになりますと、十五条を適用するためには、改めて指定暴力団に指定しなければなりません。そういう手続も必要になりますね。今、その段階だということなんですけれども、もし仮にそういうことであれば、京都府警や、あるいは神戸の県警ですか、となると思うのですけれども、そういうことも想定した手続の準備というのですか、そういうことも必要になってまいりますが、そのあたりはいかがですか。
  105. 佐藤英彦

    ○佐藤(英)政府委員 そもそも、前提の問題でございますけれども、改正されました十五条によりますと、「一の指定暴力団等に所属する指定暴力団員の集団の相互間に対立が生じ、」ということが大前提でありまして、この対立が生じたのは指定暴力団内部の対立てございます。したがいまして、それらを前提として、私どもとしては現在作業をいたしているということでございます。
  106. 春名直章

    ○春名委員 一番最初に言ったように、本当に事は急がれておりまして、十一月二十六日、中野会本部付近の住民五十九名の方々が中野会本部事務所の使用禁止を求めまして仮処分申請を出していましたところ、神戸地裁は、事務所の使用禁止と裁判所執行官による保管を認める決定を下しています。わずか数日前であります。住民にとっては本当に勇気ある命がけの手続だと思うのですね。こういう、命と安全を守るために勇気を持って住民の皆さんは立ち上がっているわけです。  それで、やはりこの表を見ましても、事務所に向けたけん銃発砲とか、非常に多いわけですね。だから、一番有効なのは、いろいろあるでしょうけれども、その事務所を使わせない、そこでいろいろ謀議をさせない、武器を置かせないということができることが大きな威力になるわけですね。  今おっしゃったように、九二年から暴対法があって、これはまだ一度も適用されたことがたしかないと思うのです。それほど財産権の問題とかいろいろ言ってくるのでしょうけれども。いろいろな規定があると思うのですけれどもね。しかし、三十一件のこれだけの大抗争になって、人が一人殺されている。しかも、これからもっと、四十九日の法要が終わったらもっとやるでというふうに言っているみたいですけれども、これは十月ですからね。十一月に、もう六件あるわけでしょう。本当に重大な事態であります。  だから、厳しくやらぬとだめだと思うのですよ。これをやらなかったら、私がちょっと心配しているのは、中野会の組員が中野会を抜けて山口組の他の組員になっている、そういう実態もあるわけなんですね。さらに、中野会の組長自身に不測の事態が起こって、会そのものが消滅するということだってないわけではない。そうすれば、改正したのに一体何だったのかということにもなりかねません。  ですから、きょう、あえて質問させていただいたのは、急がれているということなんです。実態の把握は当然ですけれども、その実態の把握ももっとスピード、スピードを上げておられるのかどうかわかりませんけれども、上げていただいて、このころまでには何とか結論を出したいという強い決意をぜひ私は示していただきたいというふうに考えますので、再度御答弁をお願いしたいと思います。
  107. 佐藤英彦

    ○佐藤(英)政府委員 まず、先ほど中野会の事務所に関するお尋ねがございました。  確かに、仮処分ということで事務所の使用が制限をされておりますが、これは現実に中野会に対して宅見組と思われる組員等からあまたたび攻撃がなされているということを前提にいたしまして、中野事務所の付近住民の生命、身体の危険がある、そういう認定から行われたものでございます。  他方、もう一方の組に対しましては、現在、その組事務所に対する攻撃が行われておりません。したがって、私どもとしては、現実に対立は生じているのだという考え方にのっとりまして、現在、鋭意そのあたりの調査をしているということを御理解賜りたいと存じます。  なお、現在、これまでに、山口組につきましては、この対立抗争以降、七千カ所を超えますところの捜索を実施いたしまして、山口組について、四千百名を超す検挙をいたし、また、百一丁のけん銃を押収するなどいたしまして、現在、総力を挙げて取り組んでおりまして、委員指摘のように、その重要なものとしてこの事務所の使用制限規定があるということは重々承知をいたしておりまして、また、その規定が極めて強力なものだということがあってか、十一月に、この法律が施行されまして以降、対立抗争が急激に減ったということもまた事実でありますが、それはそれといたしまして、ただいま申し上げましたように、私どもは、総体的に、総力を挙げて、あらゆる手法を用いてその取り締まりを徹底してまいりたいというぐあいに考えております。
  108. 春名直章

    ○春名委員 この点では、ぜひ長官にもその御決意をお聞かせいただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  109. 関口祐弘

    ○関口政府委員 警察といたしましては、宅見組長射殺事件発生以来、本事件の解決へ向けまして鋭意捜査を進めますとともに、山口組の取り締まり及び抗争事件の続発防止に全力を挙げて取り組んでいるところでありますが、依然として抗争をめぐる情勢は予断を許さないものがあります。  このため、今後とも、あらゆる法令を駆使いたしまして、山口組に対する徹底した取り締まりを行うことによりまして、抗争の防圧に全力を傾注していく所存であります。
  110. 春名直章

    ○春名委員 ぜひ、その中で十五条の適用問題にも真っ正面から取り組んでいただけるように希望を申し上げておきます。  次に、総会屋の事件に関連して伺いたいと思います。  この間、総会屋への利益供与が世間を震憾させるといいますか、驚かせております。この関係が問題になりました四大証券、同じく総会屋に利益供与をしていた五社、三菱自動車、三菱地所、三菱電機、日立製作所、東芝、こういうところに警察の何人かのOBの方が再就職をされているわけであります。  例えば野村証券ですけれども、九二年の一月十三日の日経新聞によりますと、「「暴力団」「テロ対策」顧問として助言期待」という見出しで警察OBの就職のことが載っておりまして、この記事では、野村が東急電鉄株をめぐって暴力団との取引で社会的批判を浴びた、こういう反省から警察OBを迎えるようにしたという経過が書いてあります。ところが、九二年一月にこういう記事が出ているわけですが、この間ずっと、一方ではひそかに総会屋との関係が続けられてきたということが発覚したわけであります。この野村証券には、昨年十月一日にも警察庁のOBの方が再就職をされています。この二人は、警察庁のあっせんで野村に行っているわけであります。  警視庁の摘発を受けた三菱自動車などの五社にも警察のOBがそれぞれ行っております。三菱自動車には警察庁から一名、三菱地所には警察庁から一名、警視庁から二名、三菱電機には警察庁から一名、警視庁から一名、日立製作所には同じく二名と一名、東芝には二名と三名、こういうふうになっているわけであります。  こうした事態に対しまして、元警察官がいながら、なぜ総会屋と関係がこのように長期にわたって持たれるのか、就職した元警察官は一体何をしていたのか、こういう率直な声もあるわけであります。こうした声をどう受けとめられていらっしゃるか、国家公安委員長警察庁長官にまずお伺いをしたいと思います。
  111. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 お答えいたします。  警察官僚のOBの就職問題でございますが、警察OBの就職につきましては、在職中に培われた知識経験を生かしまして就職先の業務に貢献できること、また、警察行政の公平さが損なわれないなどの点に配慮して行われているものと考えております。  就職先で何をしていたかということについては、私、存じ上げておりませんけれども、今後とも、国民から警察に対する信頼が損なわれないように十分配慮して、また、OBの就職等についてもその点はしっかり認識をした上で就職をされるが至当か、そのように考えております。
  112. 関口祐弘

    ○関口政府委員 警察OBは、それぞれの再就職先におきまして、今回のような事件を起こさないために、また、各種事件の被害に遭わないようにするために、在職中に培われた知識経験を生かして助言を行うことが求められているのでありまして、今後ともそのように努力していくべきものと考えているところであります。
  113. 春名直章

    ○春名委員 私、一般論をお聞きしているのではなしに、総会屋との関係を持った五社あるいは十一社というところに就職されているということについて、これが今批判の目を浴びているので、そのことについてどういう総括といいますか、反省をされているのか。行った先のことはわかりませんというふうに言われましたけれども、今の時点になってどのように受けとめられているのか。つまり、それは裏を返せば、こういう企業にはもう二度と送らないというかたい決意があるのかどうか、このことにもなるわけでありまして、そのあたりをぜひお聞かせいただきたい。
  114. 関口祐弘

    ○関口政府委員 先生の今御指摘の点、まさに警察OBがそれぞれの再就職先におきましてどのような活動をしているかというのは、必ずしも私ども承知をしておりません。  いずれにいたしましても、先ほど大臣の御答弁にもありましたように、OBそれぞれが在職中に培った知識経験を生かして就職先の業務に貢献できるということ、そして、いやしくも警察行政の公平さが損なわれないということに配慮して行うべきものであろうというふうに考えているところでございます。
  115. 春名直章

    ○春名委員 一九八三年の五月二十日、ちょっと古い材料で申しわけありませんが、当時の警察庁の官房長が当委員会質問に答えましてこのように言っていらっしゃるのですね。  先ほどと似ているお話なんですが、職業選択の自由というような問題と関連する一面もございまして、必ずしも割り切れない面もないではないのでございますが、と言われた後にこう言っておられます。  取り締まり対象業者等に再就職するということによりまして適正な警察活動が阻害される事態が生ずる、あるいはそういう疑惑を持たれるということは、公正な警察活動を進めていく上できわめて好ましくないことと考えておるわけでございます。ということで、次長通達も出して、再就職問題、これらをさらに充実するというのを重点の一つとして取り組んでいくというふうに言っておられるわけであります。  公正な警察活動を進めていく上で極めて好ましくないとか、疑いを持たれるということがあってはならないと、さっき公安委員長も公平にいくのだというふうに言われました。その基準から見て、今回、こういう野村とか三菱とかいうところに行かれたこと自身、これは警察があっせんしているわけですからね。これはやはり問題だったという一言を言っていただかなければ、一般論では終われない問題じゃないでしょうか。その点はいかがでしょうか。
  116. 関口祐弘

    ○関口政府委員 ある人をどこの企業に就職を御紹介申し上げるかということでございますけれども、その時点でその企業が不正行為を行っている疑いがある、明らかであるというふうなことであれば、私ども、当然御遠慮させていただくことであります。しかし、なかなかそうした状況というのは社会情勢の中でつかみがたいこともございます。そうした点を御理解願いたいというふうに思います。
  117. 春名直章

    ○春名委員 確かに、当時わかっていないということがあるかと思うのですね。  それで、私が今お聞きしているのは、こうした事態になった今の到達点に立って、今後は同じ過ちはしないと、つまり、それじゃ具体的にお聞きをします。  三菱系の企業三社、東芝、日立製作所の五社、それから、送金が軽微だということで立件は見送られた企業が十一社、日立金属、日立工機、日立建機、日立グループの八社と大日本印刷、静岡銀行、北越製紙等々でありますけれども、これらの企業については、先ほどの再就職に当たっての、今お話しになったそういう基準ということからいいますと、物差しがらいいますと、今後は警察官の再就職の対象企業にしてはならないというように私は理解いたしますけれども、それでいいのでしょうか。具体的な話です。
  118. 関口祐弘

    ○関口政府委員 具体的ケースにつきましてお答え申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、やはり、私ども警察行政の公平さというものが疑われるというふうなところにつきましては、十分注意をしてまいりたいというふうに考えております。
  119. 春名直章

    ○春名委員 公平さを疑われているので今私は問うているのでありまして、別に私が疑っているわけではないのですけれども、これだけ世間を騒がした大問題に、例えば野村では、九二年に、二度と過ちを犯さないということで、その能力を信頼されましてある方がお行きになっている。ところが、その方は、行かれたわけですけれども、企業の中で、生え抜きの人と比べても、自分がぱっと行ってもなかなか情報もよくわからないし、役に立たないといいますか、そういうこともマスコミに語っていらっしゃるわけなんですね。だから、そういう問題が目の前に起こったわけなんです。  警察活動に疑われるようなことがあってはいけない、公平さを欠いてはいけないということはよくわかりました。それであるならば、具体的に今名前が挙がっている企業、総会屋と関係があったということがはっきりしている企業については、少なくともこれからは絶対にそういうことはしませんということをやはりはっきりさせる必要があるのじゃないでしょうか。今もって、お話を伺ってもそのことは出ておりませんので、あえて再度、しつこいようですけれども答弁求めたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
  120. 関口祐弘

    ○関口政府委員 重ねての御質問でございますけれども、お答えとしては先ほどのとおりでございます。
  121. 春名直章

    ○春名委員 そうしたら、国会答弁も出しましたけれども、今までの国会答弁や、今、公平さということと、この具体的な事例については差し控えるということとの矛盾はどういうふうに解決されるのでしょうか。具体的に今そのことが問われているわけなんですね。  これからもう絶縁してよくなっていくということになるのかもしれない。しかし、何年間もこういうやみの勢力とつき合ってきた企業があって、それが摘発されて、こういう世間的な大きな批判、世界からも批判を浴びるような事態が生まれているときに、その能力を生かすのだということかもしれませんけれども、そこに警察のOBの方が組織としてあっせんをして行かれていた。このことについてやはり具体的な総括や反省がないと、これから本当に信頼していいのだろうかということに、警察の信頼にも傷がつくということになるのじゃないかと私は心配をするわけであります。  その点で、一線を画してお話になりませんけれども、こういう具体的な名前が挙がった企業には、今後はよく検討して就職はしない、そういうあっせんはしないということをやはりはっきりさせる必要があるのじゃないかなと思うのですね。公安委員長にお聞きするのはちょっとあれかもしれませんけれども、お話を聞いていてどうですか。
  122. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 たびたび長官からもお答えいたしておりますが、今おっしゃるような企業に行かせるな、こういうことでありますけれども、今回の事件を中心にして、警察は、総会屋、暴力団との縁を断ち切るために、政府においては、関係閣僚と企業というか財界側との合同の会議を開きまして、その周知の徹底をいたしました。またさらに、一万人の動員をいたしましてそのための対応もし、また、善良な企業の役員等に危害が及ばないような対応も十分配慮いたしておるところでございます。  だからといって、今委員がおっしゃるように、名前を言われた企業に警察OBが行くようにするなということでありますが、総会屋、暴力団との縁を断ち切り、きれいな立場で企業経営が行われておるとすれば、また請われて行く人もあるわけでありましょうし、その面について、個別なOBの就職についてどうだということはここで申し上げることはできないのではないか。  そういう事件があったことについて、警察OBの就職についてはこれまでのありようが悪いという点があれば十分そういうところは気をつけまして、二度とそういう形で警察の公平さ、あるいは公正さ、あるいは信頼に傷がつくようなことのないようにしなければならぬと思っております。
  123. 春名直章

    ○春名委員 もう最後になりますけれども、そういう努力を今されているからこそ、そのことが本当に実るように、疑わしきはもうきちっと清算するということをきょう明確にする必要があるのじゃないかと言っているのです。  それだけの努力を、今、総会屋絶縁宣言して、経団連の人も呼んで、やめなさいと、それで、いわゆる総会屋対策についてという文書も出されて対応しているの知っています。警察との関係では、この対策要綱の中では、「協議会への警察からの出席やいわゆる総会屋等からの不当な要求の警察への通報など警察との連携を強化する」ということも明確に書いてあります。そういう連携も強化をして、やみの勢力を断ち切っていこうということが始まっているわけですね。それだけに、それを実らせるために、きょう私が問題提起したようなことを今真剣にやはり考える必要があるのじゃないかと私は思っております。  そして、個別の就職についてはまた別問題だとおっしゃいましたけれども、先ほどから私が言っているように、これは個別の就職問題ではなしに、例えば野村の場合なんかは、警察庁の方があっせんをして行っておるわけですね。そのときにはこういう関係があるということはわからなかったかもしれないけれども、しかし、そういうふうに組織的に対応しているのですよ。そのことに対して、あなた方が言っている公平さという基準からいっても、これはやはり問題だった、これからは改めるというのは少なくともはっきり言うべきでないかなということを私は改めて思うわけなんですね。  これを最後の質問にしたいと思いますけれども、あえてどうでしょうか。
  124. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 警察の信頼を損ない、公正さを疑われるようなことはないように、厳重にこのことについては徹底した上で再就職については対応してまいりたいと考えております。
  125. 春名直章

    ○春名委員 それでは以上で終わります。ありがとうございました。
  126. 加藤卓二

  127. 畠山健治郎

    ○畠山委員 北海道拓殖銀行、徳陽シティ銀行、山二証券を初め幾つかの金融機関がつぶれたことで、信用秩序は重大な危機に直面しておりますことは改めて指摘するまでもございません。預金者を保護するということでまず信用秩序の維持を図ることは当然でございますが、こうした金融機関の再編による影響は自治体にも及んでおります。そこで、これにかかわる問題を中心に幾つかお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。  まず、自治大臣にお尋ねをいたしたいと思います。  仙台の徳陽シティ銀行の場合は少ないというふうに思いますが、拓殖銀行は、北海道における最大の都銀として多くの自治体の指定金融機関となっておるはずであります。徳陽シティ銀行も含めて、この間倒産した銀行を指定金融機関としている自治体は一体どれぐらい見込んでいらっしゃるのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  128. 松本英昭

    松本(英)政府委員 お尋ねの、破綻いたしました銀行を指定金融機関に指定している団体でございますが、私ども、それを特に調べたというわけではございませんけれども、現在、御指摘の北海道拓殖銀行におきまして、北海道及び北海道内の市町村が指定金融機関としておりますのは、北海道及び四十団体余りの市町村ということでございます。  それから、徳陽シティ銀行、これはまだ詳しく知りませんが、数団体あるのではないかと思っております。
  129. 畠山健治郎

    ○畠山委員 ただいまの答弁でも明らかなように、多くの自治体が拓殖銀行等を指定金融機関としている以上、この間の金融機関の倒産は自治体にも多くの影響を与えておると言わなければなりません。  そこで、大蔵省にお伺いをいたします。  個人、法人の預金者保護を盛んに強調しておりますが、預金者保護には指定金融機関に対する自治体の歳計外預金並びに基金も当然含まれるものと考えますが、いかがでしょうか。
  130. 中井省

    ○中井説明員 お答えいたします。  これまでの金融機関の破綻処理におきまして、金融システムの安定性確保等の観点から、破綻金融機関から営業譲渡等を受ける受け皿金融機関に対しまして預金保険機構の資金援助を行うといったような方式によりまして、結果的にすべての預金を保護してまいったところでございます。  この方針につきましては、今般の北海道拓殖銀行、さらに徳陽シティ銀行の処理についても同様の方針を踏襲することにしておりまして、地方公共団体からの預金についても保護されることになるわけでございます。
  131. 畠山健治郎

    ○畠山委員 自治大臣にお尋ねいたしたいと思います。  地方自治法二百三十五条に基づき、市町村は、任意とされておりますけれども、指定金融機関を定めることとされており、同法施行令百六十八条では、指定に関して議会の議決を要するとされております。これに関して、一九六四年の実例では、市の指定金融機関Aが別のBの金融機関と合併し、解散した場合は、Aの業務を引き継いだBの金融機関については改めて指定し直す必要はないとされております。  そこで、お伺いをいたしますが、今回の拓殖銀行の場合は、合併ではございませんで倒産であります。倒産に基づく営業権の譲渡であります。そうなりますと、これまで拓殖銀行を指定金融機関としていた自治体は改めて別の金融機関を指定し直す必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  132. 松本英昭

    松本(英)政府委員 お答え申し上げます。  先ほどの実例はいわゆる合併のケースでございまして、これは法律的には団体法上の関係になってくるということでございますので、先ほどの実例どおり、指定をし直すということはないと私どもも解釈いたしております。  今回は、営業譲渡ということは、これは取引上の関係になってまいります。したがいまして、この営業譲渡の具体的な内容をはっきりいたしませんと、その辺のところがどういうふうに解釈されるのか、確たることを今のところ申し上げるわけにはいかないのではないかと思っております。  いずれにいたしましても、北海道等から具体的な御相談があれば、その実態をよく把握いたしまして、御相談に応じてまいりたいと考えているところでございます。
  133. 畠山健治郎

    ○畠山委員 いずれにいたしましても、現行法では現在のような金融機関の倒産とか再編という事態は全く想定していなかったのではないかというふうに思うのです。しかも、大手銀行二十行はつぶさないというこれまでの大蔵省の銀行行政でありましたけれども、まさに破綻をし、ビッグバンの進展によっては金融を取り巻く諸情勢が大きく変化するとすれば、自治体においてもこうした事態を想定した対応が必要であろうかと思います。  自治省においても、当然、技術的な助言が求められるのではないかと考えますが、大臣の所見をお伺いいたしたいと思います。
  134. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 ただいま局長からお答えいたしましたように、指定金融機関におけることで、地域住民の皆さんの心配が起こるようなことをしてはならぬわけでございます。また、国からこういうところを指定金融機関にしなさいと言うことも、これは自治省としてはできる筋合いのものではございません。  したがいまして、このような、市町村と例えば北海道拓殖銀行との間の指定契約がどのように継承されていくかということについてはまだ明確にはなっておりませんけれども局長が申し上げましたように、現段階で、指定がどのようになるか、確たることが判明しない以上、行政指導もしょうがありませんが、もし市町村からそういうことに対する相談があれば、自治省としては、当然、行政指導をする責任もあるわけでございまして、そういうことについては、地域住民の皆さんの心配や不安がないように指定金融機関の指定についてはなされるように、適切に対応してまいりたいと考えております。
  135. 畠山健治郎

    ○畠山委員 いずれにしても、こんなことが起こり得るはずがないという前提で指定金融機関を指定しておるというふうに思うのですが、こういう事態が現に起こったわけであります。そして、これからも起こり得る可能性があるわけであります。  ということになりますと、自治体の指定金庫が一つということでは、いろいろな意味で、やはり危険分散という意味からも問題が多いのではないだろうか、したがって、会計の種類によっては分散をして指定する、こういう方向も必要になってくるのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  136. 松本英昭

    松本(英)政府委員 御指摘のように、かねて、この指定金融機関制度というものをつくりました当時から考えてみますと、今先生御指摘のような大きな情勢の変化があるわけでございます。  したがいまして、私どもも、そういうことを踏まえて、金融機関の破綻等が生じましたようなときに、地方団体と、指定金融機関並びに指定代現金融機関とか収納代現金融機関とかございますが、そういうところの関係がどういうふうに処理されるべきものかどうか、十分に検討をして、地方公共団体の方々の御相談に応じてまいるように努めてまいりたいと考えているところでございます。
  137. 畠山健治郎

    ○畠山委員 次に、財政構造改革と地方財政との関係についてお尋ねをいたしたいと思います。  対GDP比五・四%の財政赤字を今後六年間で三%まで引き下げるとし、そのうち、国、地方割合は三・二%対二・二%とされております。地方財政をこの割合で抑制するとなりますと、毎年、約〇・一八%程度引き下げなければならなくなるかと思います。  しかし、地方財政の独自財源が限定されておる状況下で、地方財政赤字を計画的に縮減するためには、地方交付税法六条の三第二項の規定の遵守が前提条件でありますことは申し上げるまでもないと考えます。  ところが、この二年間の地方財政対策はすべて単年度措置とされ、このため、地方交付税特会に対する法定繰入額も、毎年、猫の目のように変更されております。これでは、交付税法に基づく法定化の意味は全くありません。  そこで、自治、大蔵両省にお尋ねいたしたいと思います。  まず、来年度地方財政対策に当たって、本年度、交付税法で法定化した分は間違いなく繰り入れられるものと考えますが、この点、まず確約いただきたいというふうに思います。  もう一点は、財政赤字を三%まで引き下げるとしても、地方財政は依然財源不足となるわけでありますから、今後六年間は、少なくとも、補てん措置について、交付税法に基づく恒常的制度的補てん措置が講ぜられてしかるべきではないかと考えます。もはや単年度措置は許されないと考えますが、両省の見解をお伺いいたしたいと思います。
  138. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 二点についてお尋ねがございました。  平成十年度の地方財政につきましては、現在の時点ではまだ確定的なことを申し上げる段階に至っておりませんが、いずれにいたしましても、多額の財源不足が続く非常に厳しい状況にあるというふうに考えておりまして、その健全化に向けて、歳出の抑制に努めますとともに、地方税、地方交付税等の一般財源の確保が必要でございます。  したがいまして、ただいま委員から御指摘のございました法定加算につきましては、地方交付税の必要額の確保ということを基本に据えまして、加算すべきものは加算するという姿勢で対処するなど、地方財政運営に支障が生じないよう、国庫当局とも十分に協議し、地方交付税総額の確保に努めてまいりたいと考えております。  それから、六条の三の二項の関係についてのお尋ねがございました。  ただいま申しましたような今の段階でございまして、いずれにいたしましても、国、地方の財政赤字の縮減に向けて、地方一般歳出の抑制を図るなど、地方財政の健全化を推進していかなければならないというふうに考えております。  一方で、今の段階で見込みますと、明年度は地方税等の十分な伸びを見込むことが困難でございます。また一方で、平成六年度以降に多額に発行いたしました地方債の元利償還が始まる、そういう状況がございまして、いろいろな抑制策を講じましても引き続き大幅な財源不足を生ずるおそれがございまして、委員が御指摘になりましたように、地方交付税法第六条の三第二項の規定に該当する事態も想定されるところでございます。  こういう状況を踏まえまして、明年度の地方財政対策につきましては、このような地方財政の状況、それから、いわゆる財革法が先週成立いたしましたけれども、それを受けて、国、地方の財政赤字の縮減に向けて、国、地方を通じて財政構造改革を進めている状況にあること、さらには、地方交付税法第六条の三第二項の趣旨、これらを踏まえまして、地方公共団体が必要とする地方一般財源を確保するということを基本にいたしまして、地方財政の運営に支障が生じることのないように適切な措置を講じてまいりたいと考えております。
  139. 川北力

    ○川北説明員 大蔵省にもお尋ねがございました。  地方財政対策に当たりましては、交付税法の趣旨を踏まえまして、私どもといたしましても、国、地方の厳しい財政事情の中で地方財政の運営に支障が生じることのないようということで、毎年度、所要の地方交付税総額の確保に向けまして必要な措置を講じるよう努めてきているところでございます。  十年度の地方財政対策につきましては、ただいま財政局長からもお答えがございましたところでございますけれども、国、地方の税収動向ですとか、あるいは財政構造改革のもとでの歳出削減への取り組みなどを踏まえまして、今後の予算編成過程でよく議論検討させていただきたいというふうに考えております。  お尋ねの中で、地方財政対策の内容につきまして御質問がございました。  御指摘のように、九年度につきましては単年度の特例措置ということでございまして、これは、厳しい財政事情ですとか、あるいは景気の情勢、あるいは財政構造改革への取り組み等々を考慮いたしまして、このような措置を講じたところでございます。  十年度、同様になかなか厳しい状況ではございますが、地方財政の運営に支障が生じないことを基本に対処していきたいと思っておりまして、いずれにいたしましても、具体的な方策につきましては、今後、自治省とよく詰めさせていただきたいと考えております。
  140. 畠山健治郎

    ○畠山委員 地方財政の赤字を縮減するとしても、全国には三千余の自治体があるわけでありまして、その財政内容は千差万別であります。そうした自治体に対し、毎年〇・一八%程度の赤字縮減率を一体どう割り振りをするのか、大変難しい問題かと思います。恐らく地方債をもってするものと想像されますが、その辺もお尋ねをいたしたいと思います。  そうなりますと、府県に枠配分を示し、それを市町村に配分する現行の許可制のもとでは、府県の市町村に対する関与は極めて強いものとなるおそれがあります。御案内のとおり、地方分権推進法のもとで、関与をなるべくなくそうという方向に進んでおるさなかに、ますます関与が強くなるおそれがある。そのことを憂慮する一人でありますから、その辺のところをお尋ねいたしたいというふうに思いますし、自治体に対する赤字縮減の基準みたいなものがもしあるとすれば、お示しをいただきたいというふうに思います。
  141. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 御指摘地方財政縮減、毎年〇・一八%、一・一を六年でやるとそうなるわけでございます。これを三千三百に全部署り振れ、こういうことでございますが、非常に難しいことでございまして、難しいということを前提で申し上げたいと思います。  地方財政につきましては、財政構造改革期間中の平成十五年度までに、五兆九千億円に上る財源不足を縮減いたしまして、特例的な借入金に依存する財政体質から脱却するという具体的な目標を掲げておるわけでございます。その達成に向けまして、地方財政計画地方一般歳出の伸び率を、平成十年度は対前年度比マイナスとするとともに、平成十五年度までの財政構造改革期間を通じまして、名目成長率を下回るという指標をお示ししておるわけでございます。今後、これを受けまして、毎年度の地方財政計画におきましては、具体的な歳入歳出項目の金額を示してまいることになります。  したがいまして、地方公共団体におきましては、これを踏まえて適切に対処していただきたい、このように考えておるわけでございまして、自治省が上からこうだと言って、そういうふうにやれというようなことにはならない。関与をして、財源不足の縮減に対する指示とか、国の権力でこれを抑えてこうやるということにはならない。あくまで、地方公共団体において、示しました目標数値に対して適切に御努力をいただく、御苦労をいただく、こういうことになると思います。
  142. 畠山健治郎

    ○畠山委員 ちょうど時間になりましたから終わりますけれども、いずれ自治体財政も大変な状況でございます。財政構造改革法でこれ以上無理押しをしないように十分な御配慮を賜りたい、このことをお願いして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  143. 加藤卓二

    加藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時五十九分散会