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1997-12-03 第141回国会 衆議院 大蔵委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十二月三日(水曜日)     午前九時開議 出席委員   委員長 村上誠一郎君    理事 井奥 貞雄君 理事 佐藤 静雄君    理事 坂井 隆憲君 理事 村田 吉隆君    理事 北側 一雄君 理事 谷口 隆義君    理事 池田 元久君 理事 佐々木陸海君       新井 将敬君    飯島 忠義君       石原 伸晃君    今村 雅弘君       衛藤征士郎君    大石 秀政君       大野 松茂君    奥山 茂彦君       金田 英行君    河井 克行君       木村 隆秀君    熊谷 市雄君       小林 多門君    河本 三郎君       桜田 義孝君    下地 幹郎君       杉浦 正健君    田中 和徳君       田中 昭一君    田村 憲久君       滝   実君    戸井田 徹君       能勢 和子君    桧田  仁君       渡辺 博道君    渡辺 喜美君       木村 太郎君    北脇 保之君       鈴木 淑夫君    中川 正春君       並木 正芳君    丸谷 佳織君       宮地 正介君    村井  仁君       海江田万里君    末松 義規君       日野 市朗君    佐々木憲昭君       秋葉 忠利君    吉田 公一君       上田 清司君    北橋 健治君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 三塚  博君  出席政府委員         大蔵政務次官  中村正三郎君         大蔵大臣官房金         融検査部長   原口 恒和君         大蔵大臣官房総         務審議官    溝口善兵衛君         大蔵省主計局次         長       細川 興一君         大蔵省主税局長 薄井 信明君         大蔵省理財局長 伏屋 和彦君         大蔵省証券局長 長野 厖士君         大蔵省銀行局長 山口 公生君         大蔵省銀行局保         険部長     福田  誠君         大蔵省国際金融         局長      黒田 東彦君         証券取引等監視         委員会事務局長 堀田 隆夫君  委員外出席者         中小企業庁計画         部金融課長   寺坂 信昭君         参  考  人        (日本銀行総裁) 松下 康雄君         参  考  人        (日本銀行理事) 本間 忠世君         参  考  人         (海外経済協力         基金総裁)   西垣  昭君         大蔵委員会調査         室長      藤井 保憲君     ————————————— 委員の異動 十二月三日  辞任         補欠選任   石原 伸晃君     金田 英行君   河井 克行君     奥山 茂彦君   桜田 義孝君     渡辺 博道君   杉浦 正健君     能勢 和子君   砂田 圭佑君     滝   実君   山中 貞則君     下地 幹郎君   渡辺 喜美君     大石 秀政君   木村 太郎君     丸谷 佳織君 同日  辞任         補欠選任   大石 秀政君     渡辺 喜美君   奥山 茂彦君     河井 克行君   金田 英行君     石原 伸晃君   下地 幹郎君     山中 貞則君   滝   実君     田村 憲久君   能勢 和子君     杉浦 正健君   渡辺 博道君     桧田  仁君   丸谷 佳織君     木村 太郎君 同日  辞任         補欠選任   田村 憲久君     大野 松茂君   桧田  仁君     桜田 義孝君 同日  辞任         補欠選任   大野 松茂君     河本 三郎君 同日  辞任         補欠選任   河本 三郎君     戸井田 徹君 同日  辞任         補欠選任   戸井田 徹君     熊谷 市雄君 同日  辞任         補欠選任   熊谷 市雄君     砂田 圭佑君     ————————————— 十二月三日  酒販免許制度堅持等に関する請願麻生太郎  君紹介)(第九九一号)  同(石田勝之紹介)(第九九二号)  同(稲垣実男紹介)(第九九三号)  同(稲葉大和紹介)(第九九四号)  同(臼井日出男紹介)(第九九五号)  同(江崎鐵磨紹介)(第九九六号)  同(小川元紹介)(第九九七号)  同(加藤卓二紹介)(第九九八号)  同(川崎二郎紹介)(第九九九号)  同(北橋健治紹介)(第一〇〇〇号)  同(小坂憲次紹介)(第一〇〇一号)  同(古賀正浩紹介)(第一〇〇二号)  同(河野洋平紹介)(第一〇〇三号)  同(左藤恵紹介)(第一〇〇四号)  同(佐藤敬夫紹介)(第一〇〇五号)  同(坂本三十次君紹介)(第一〇〇六号)  同(菅義偉君紹介)(第一〇〇七号)  同(中川昭一紹介)(第一〇〇八号)  同(中山利生紹介)(第一〇〇九号)  同(浜田靖一君紹介)(第一〇一〇号)  同(松本純紹介)(第一〇一一号)  同(松本龍紹介)(第一〇一二号)  同(宮下創平紹介)(第一〇一三号)  同(村田吉隆紹介)(第一〇一四号)  同(保岡興治紹介)(第一〇一五号)  同(山中貞則紹介)(第一〇一六号)  同(赤城徳彦紹介)(第一〇八〇号)  同(赤松正雄紹介)(第一〇八一号)  同(麻生太郎紹介)(第一〇八二号)  同(川崎二郎紹介)(第一〇八三号)  同(北村直人紹介)(第一〇八四号)  同(小坂憲次紹介)(第一〇八五号)  同(砂田圭佑紹介)(第一〇八六号)  同外四件(虎島和夫紹介)(第一〇八七号)  同(福永信彦紹介)(第一〇八八号)  同(松下忠洋紹介)(第一〇八九号)  同(村田吉隆紹介)(第一〇九〇号)  同(山中貞則紹介)(第一〇九一号)  同(赤城徳彦紹介)(第一一四四号)  同(麻生太郎紹介)(第一一四五号)  同(石橋一弥紹介)(第一一四六号)  同(亀井善之紹介)(第一一四七号)  同(川崎二郎紹介)(第一一四八号)  同(新藤義孝紹介)(第一一四九号)  同(園田博之紹介)(第一一五〇号)  同(西岡武夫紹介)(第一一五一号)  同(野田毅紹介)(第一一五二号)  同(葉梨信行紹介)(第一一五三号)  同(林幹雄紹介)(第一一五四号)  同(松下忠洋紹介)(第一一五五号)  同(御法川英文紹介)(第一一五六号)  同(村田吉隆紹介)(第一一五七号)  同(茂木敏充紹介)(第一一五八号)  同(山口泰明紹介)(第一一五九号)  同(山中貞則紹介)(第一一六〇号)  同(山本幸三紹介)(第一一六一号)  勤労所得控険六十五万円の創設に関する請願  (臼井日出男紹介)(第一〇一七号)  同(江藤隆美紹介)(第一〇一八号)  同(大石秀政紹介)(第一〇一九号)  同(亀井静香紹介)(第一〇二〇号)  同(河井克行紹介)(第一〇二一号)  同(木部佳昭紹介)(第一〇二二号)  同(木村義雄紹介)(第一〇二三号)  同(栗原裕康紹介)(第一〇二四号)  同(桜井新紹介)(第一〇二五号)  同(田村憲久紹介)(第一〇二六号)  同(玉沢徳一郎紹介)(第一〇二七号)  同(中川昭一紹介)(第一〇二八号)  同(中野正志君紹介)(第一〇二九号)  同(野呂田芳成君紹介)(第一〇三〇号)  同(日野市朗紹介)(第一〇三一号)  同(藤本孝雄紹介)(第一〇三二号)  同(宮下創平紹介)(第一〇三三号)  同(柳沢伯夫君紹介)(第一〇三四号)  同(伊藤忠治紹介)(第一〇九二号)  同(木部佳昭紹介)(第一〇九三号)  同(木村義雄紹介)(第一〇九四号)  同(栗原裕康紹介)(第一〇九五号)  同(玄葉光一郎紹介)(第一〇九六号)  同(斉藤斗志二君紹介)(第一〇九七号)  同(玉沢徳一郎紹介)(第一〇九八号)  同(中川昭一紹介)(第一〇九九号)  同(中野正志君紹介)(第一一〇〇号)  同(長勢甚遠君紹介)(第一一〇一号)  同(根本匠紹介)(第一一〇二号)  同(福田康夫紹介)(第一一〇三号)  同(粟屋敏信紹介)(第一一六二号)  同(木部佳昭紹介)(第一一六三号)  同(栗原裕康紹介)(第一一六四号)  同(高村正彦紹介)(第一一六五号)  同(鈴木宗男紹介)(第一一六六号)  同(中川昭一紹介)(第一一六七号)  同(藤井孝男紹介)(第一一六八号)  同(御法川英文紹介)(第一一六九号)  同(持永和見紹介)(第一一七〇号)  同(渡辺博道紹介)(第一一七一号)  金融及び証券に係る事件の徹底究明に関する請  願(宮下創平紹介)(第一〇三五号)  同(北沢清功紹介)(第一一七二号)  所得税基礎控除の引き上げ、課税最低限の百  八十万円への改正に関する請願東中光雄君紹  介)(第一〇七九号)  中小自営業者婦人自家労賃税制等に関する  請願吉井英勝紹介)(第一一〇四号)  消費税廃止国民金融公庫の中小業者への融資  拡充に関する請願佐々木憲昭紹介)(第一  一四二号)  同(佐々木陸海紹介)(第一一四三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  預金保険法の一部を改正する法律案内閣提出 第七号)      ————◇—————
  2. 村上誠一郎

    ○村上委員長 これより会議を開きます。  内閣提出預金保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。秋葉忠利君。
  3. 秋葉忠利

    秋葉委員 金融不安の解消のためにも預金保険法の成立が必要だという認識でようやっと審議が始まったことを歓迎するものですが、まず最初に、けさ報道にもありましたように、このところ再びジャパンプレミアムの最高値がつく、あるいは円安動向も一時百二十九円値がつくというようなことがあって、海外からの反応ということが非常に気になるところでもあるわけですが、それについての大蔵省の所感と、この預金保険法一部改正、それがどういうふうに好影響を与えるのか、あるいはどのようなその他の影響があるのか、その辺について、まず最初に、けさのホットなニュースに関連をして伺いたいと思います。  大蔵大臣、もしよろしければお願いします。
  4. 三塚博

    三塚国務大臣 今御指摘ジャパンプレミアムでございますが、これは我が国金融システム安定維持ということが基本にありますので、そのために、ただいま日銀とも絶えず協調しながら全力を尽くしているところであります。  また、インターバンクの安定というのもまさにシステムの安定の基本的なところでございますから、内外とものシステム安定のために全力を尽くすということであります。  円安は、最近の動向、懸念を表明いたしております。そういう中で、過度の円安は決して好ましいものではございませんので、適時適切これに対応する準備を進める、こういうことでそれぞれの機関との協調も行っておる、こういうことであります。
  5. 秋葉忠利

    秋葉委員 預金保険法の内容に入りたいと思いますけれども、社会民主党では、この金融不安に対応する措置として、公的資金導入ということは避けられないだろうという判断をいたしております。  ただ、公的資金、手っ取り早く言えば税金というふうに考えた方が国民的にはわかりやすいと思いますけれども、その導入に当たっては、無制限で、ともかく状況が悪くなったら何でも税金を使えばいいんだという考え方で使われたのではたまらない、それは国民側からの正直な感想だと思いますけれども三つ条件が非常に大事だというふうに考えております。  一つは、この公的資金導入は、預金者保護預金保護するということに限定されるべきであるというのが第一点。それからもう一つは、当然破綻に至る責任があり、責任者がいるわけですけれども、その責任責任者の追及ということを厳しく行うべきであるというのが第二点。第三点は、その責任の所在を判断する上で、あるいはこの金融不安ということを安定化させよりよいシステムをつくるために、もちろんこれはもう絶対必要条件ですけれども透明度確保ディスクロージャーということ、これがどうしても必要だというふうに考えております。  この三点、やはり最低限必要な条件ではないかというふうに考えておりますが、それに関連して、預金保険制度というのは、そもそも預金者保護預金保護ということが主目的であるというふうに巷間理解されているわけですけれども、その預金保険制度破綻金融機関救済というもう一つの仕事が加わっている。今回の改正によって、預金者保護という本来の目的よりも、その破綻金融機関救済の方へより大きく重点がシフトするのではないか、預金保険制度そのものの重みといいますか、概要が変わってしまうという感じがするのですけれども、そのあたりについて、基本的な哲学について大蔵大臣に伺いたいと思います。
  6. 三塚博

    三塚国務大臣 公的資金の問題についての三原則、そのとおりでございます。そういうことで国民間、国会で論議が行われておりますこと、重大な関心を持って見詰め、対応していかなければならぬと思っております。  今回の改正案についての指摘でございますが、率直に申し上げますと、ある地域経営の悪化した金融機関複数存在をして、それらが連鎖的に預金払い戻し停止に陥るおそれがある、またそういうことによって地域経済に重大な影響が及ぶおそれがある際に、これを未然に防止するという公共的な観点から必要があると当局判断した場合に限り、合併あっせんを行うこととしておりますのが要旨でございます。  また、あっせんを受けた破綻金融機関は、法的に消滅いたします。同時に、大胆なリストラの実施及び責任ある経営体制の整備について厳格な制度的歯どめを設けまして、モラルハザードを防止していくということであります。  したがいまして、今般の改正案における合併は、システミックな地域経済のリスクを未然に防止するという公共的な観点から、厳格な制度的歯どめを金融機関に課した上で行われるものでございまして、御説のように金融機関救済のために行うものではないということを御理解いただきたいと存じます。
  7. 秋葉忠利

    秋葉委員 そこのところは別の観点からもう一点伺いたいのですが、その前に、この制度を生かすためにあるいは金融不安を解消するために、透明性確保ディスクロージャーということが非常に重要になっているわけですけれども、この預金保険制度に関連してのみではなくて、より一般的に、例えば不良債権一般ディスクロージャーといった観点からも、今後、大蔵当局としてはどのような具体的な措置によってディスクロージャー確保していくのか。従来以上に、ディスクロージャーの具体的な手法、それから、何を、いつ、どのようにということが重要になってきていると思います。  飛ばしあるいは簿外債務等についての調査を行うという報道もありましたけれども、それも含めて、一体具体的にどのようなスケジュールで、どんなディスクロージャー金融機関に課していくのか、その点について伺いたいと思います。
  8. 山口公生

    山口政府委員 先生指摘いただきましたように、ディスクロージャー徹底ということが、これからいろいろ公的な支援問題等が出てきた場合にも重要な問題になるわけでございます。  現状は、御承知のように、ある一定の基準を設けまして、それで公表不良債権というのを出しております。具体的に申し上げますと、破綻先債権、例えば更生手続とか、破産、和議等の申し立てがあった債務者に対する貸出金、これを破綻先債権と言っております。それから、延滞債権。これは元本の全部もしくは一部、または利子の支払いが六カ月以上延滞している債権、これは税務基準と合わせております。それからもう一つは、金利減免等債権。これは、約定改定時の公定歩合以下の水準まで金利を引き下げた貸出金、あるいは約定改定時において利ざやが確保されていないスプレッド貸し出し。こういう三つのジャンルで基準を設けて、開示を進めておりました。  それで、もちろん大きな銀行は早くからこれをやり始めました。しかし、信用金庫とか信用組合等になりますと、ようやく来年の三月期に全部が公表不良債権開示をするということで、出そろうわけでございます。  したがいまして、不良債権額自体を横並びできっちり見るということは可能になるわけでございますが、先生の御指摘はきっと、それで十分なのかという御指摘だと思います。その点につきましては、私どもとしては、一つの全銀協の基準でもってやってまいりましたけれども、今後、こういう国会での御議論等を踏まえながら、さらにそれをより深めたものにする必要があるのではないかという意識も持っておりまして、今後、具体的にどういうふうにそれをさらにやっていくのかということを検討してまいる必要があろうかと思っております。
  9. 秋葉忠利

    秋葉委員 きょうは証券局はお願いしていなかったので、飛ばし、それから簿外債務、これは証券関係ですけれども、それについての今後の調査というのは、どなたか、もしお答えいただければ。
  10. 山口公生

    山口政府委員 飛ばしあるいは飛ばしの背景になっております損失補てんということがありますと、それは恐らく簿外の操作ということだと思います。そうしますと、帳面上のディスクロージャーにはない話でございますので、監視委員会が今調べております。監視委員会調査も、飛ばしの背景違法行為としての例えば損失補てん等がある場合には、強制的な権限を持った調査に入りますし、そこで明らかにしていくということでございます。もちろん、そういうことは、ディスクロージャーとは関係なしに、あってはならないことでございますので、各金融機関証券金融、すべてにおいて、そういった法令に違反することのないようにということを徹底させていく必要がある。そこは行政の、あるいは検査での重点項目一つだと思います。
  11. 秋葉忠利

    秋葉委員 そういったところもぜひ厳重に、今後の課題になるわけですけれども、きちんと総体としての不良債権のあり方、あるいはそれ以外に、今おっしゃったような、要するに正規のディスクロージャー範嗜には入らないけれども、それ以外の分野でも金融不安をつくり出している諸要因についての十分な情報開示ということがやはり必要だと思いますので、改めて、大蔵省徹底的な、そして断固たる姿勢で情報開示に当たっていただくということをお願いしたいと思います。  今回の法律改正で、預金保険法特定合併という形ですけれども合併を行ってともかく金融安定化を図るという視点ですけれども一つ心配になるのは、せっかく大蔵省スリム化といった形、それはただ単に省庁といいますか管轄する範囲が減るということではなくて、権限についてもある程度のスリム化が行われている現在、こういった形でのあっせん発動要件になっているということで、大蔵省裁量行政が復活するのではないか、裁量権がこれまで以上に大きくなるのではないかという危惧も表明されていますけれども、この点についてはどういうふうにお考えになっているのでしょうか。
  12. 山口公生

    山口政府委員 今回、改正案の御審議をお願いしてございますけれども、もしこの改正案が成立しなかった場合どういうことが起きるのかということとの裏腹の関係になる問題かと思います。そういうことを避けるという観点があるわけです。  具体的に申し上げますと、現行のスキームでは、債務超過にまでは至っておりませんが、多額の不良債権を抱えて預金払い戻し停止に陥るおそれのある金融機関が例えば資金ショートに陥ったときに、受け皿金融機関を容易に見つけられない場合には、窓口の閉鎖を余儀なくされるわけでございます。そうしたときに、その金融機関特定地域複数存在するようなときには、これを未然に防止しなければいろいろ連鎖的な反応も起きます。経済に大きな影響があります。経営困難な金融機関を放置しておけばやがて債務超過に陥りまして、救済金融機関を見出せない場合には、業務停止をかけて整理、清算型の処理をとらざるを得なくなります。そうした場合には、その地方の健全な取引先あるいは雇用、地域全体の経済の問題ということになりますと同時に、預金保険処理コストも、特定合併ケースに比べてはるかにコスト高になってまいるわけであります。そうした点を考えて今回御審議をお願いしているわけでございますので、私どもとしては、そういったケースが招来しないようにという観点から行うものでございます。  今回、先生の御指摘のように、これが恣意的に、救済のために行われるというような運用はやるべきではないということは、おっしゃるとおりでございます。破綻金融機関定義等も書いておりませんし、従来から、預金者及びシステム及び健全な融資先という観点から判断をいたしたいというふうに思いまして、恣意的な判断をしないように努めてまいりたいと思います。
  13. 秋葉忠利

    秋葉委員 そういう趣旨で預金保険法改正をするということは納得がいくのですけれども、その際に大事なのは、こういった制度があって、経営的には行き詰まっているけれども、純粋な意味破綻以前の金融機関が複数集まって新しい出発をするということ、そのあっせん大蔵省がするという形になっていますけれどもあっせんをしなくても、こういった制度があるということによって金融機関の方から自発的にそういったイニシアチブをとって、例えば地域の中の二つなり三つなりの少々問題のある金融機関合併をして新しく出発をする。その際には、当然預金保険機構の方で審査があるわけですから、あるいは大蔵省がそこで別にまた適格性審査をするわけですから、あっせん行為そのものというのは必要ないのではないか、そういうふうにも考えられるのですけれども、その点はどうお考えになりますか。
  14. 山口公生

    山口政府委員 あっせん行為というものを前提にさせていただいておりますのは、いわゆるモラルハザードを防ぐ意味でございます。  今先生がおっしゃったように、金融機関が生き残りを図るためにそういうことを考えるということは、自分の努力でやることは当然の是とすべきことでございますけれども、この場合は預金保険が、時価ではございますが、不良債権を買い取るという形をとるわけでございますので、あくまで地域経済なり破綻コストを最小限にするという観点から、公益的な観点がまずありきでございますので、あっせんがなければこれは成立しない。しかも、この経済情勢等にかんがみまして、特例期間に限りということでやっております。これはあくまでモラルハザードを防ぐためでございます。
  15. 秋葉忠利

    秋葉委員 最後一つですけれども公的資金導入。これは、預金保険機構財政状況が大分苦しくなってくれば公的資金ということにだれでも頭がいくわけですけれども、ある意味で、公的資金を実質的には出さないで、しかも預金保険機構の活動を担保する最大といいますか最も有効な方法というのは、公的資金導入するんだということを早目に公表することであるといったような、ちょっと相矛盾するような傾向もあると思うのですけれども、実質的に公的資金導入するに当たって、具体的にどのくらいの金額が必要になる、あるいはそれは必要なくてアナウンス効果だけで十分であるというような判断があるのか、そのあたりについての予測を最後にお伺いしたいと思います。
  16. 山口公生

    山口政府委員 しばしば御答弁申し上げているので繰り返しになって恐縮でございますが、財源見込み、五年間の残りが一・三兆円、これで対応できるかという問題がございます。それから、十年度末までに保険料の見直しをやるということも決めております。したがいまして、今後どういう事態が起きるかによって変わってくるわけでございます。  今、公的な支援の問題が問題意識としてありますのは、今明らかに足りないから幾ら入れるという議論ではないような気がします。万一のこと、あるいはいかなる事態が起きても対応できるように、預金者保護のために、公的な支援の形をとることで利用可能な資金を確保するあるいは拡充していくというような御議論のように聞いておりますし、私どももそういう方向での検討をしなければいけないかなと思っているところでございます。
  17. 秋葉忠利

    秋葉委員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。
  18. 村上誠一郎

    ○村上委員長 次に、村井仁君。
  19. 村井仁

    ○村井委員 預金保険法につきましていろいろな議論があるわけでございますが、日産生命、それから拓銀、そして山一証券、このところ急激に多くの問題が生じまして、日本発の世界不況というようなおどろおどろしいことさえ言われ、そして現実に懸念される事態になっているわけであります。  ここで、このような金融の危機に対応するためとして預金保険法改正案が提案されているわけでございますが、私たちは、この内容が不十分であるからこれを出し直してほしい、こういう主張をしておりまして、この問題につきましては別の場で議論をしているわけでございますので、私は、預金保険という手段よりももう少し本質的な対策が必要じゃないか、日ごろそのように考えておる者でございますので、その観点から質問をさせていただきたいと思います。と申しますのは、預金あるいは金融危機という形であらわれているその底には、まだまだいろいろな問題があることは申し上げるまでもないことでございまして、それをどう解決していくのかという根本的なところの議論が不十分なのではないか、あるいは政治的な踏み切りが必要なのではないかという問題意識を基本的に持っているからであります。  そういう意味で、初めに、日本経済の今の状況というものをどう見るかということでありますけれども、明らかに将来の見通しというものはここへ来まして急激に悪化しております。政府見通しの平成九年度実質一・九%の成長というものが達成できると考えている人は、残念ながら非常に少ないというよりほとんどいない、こう言わざるを得ないような状態になっているのではないかと思います。  例えば四−六の実質GDP成長率が発表されて以後、主要な研究機関あるいは金融機関調査部、シンクタンク、そういったものが発表しました九七年度の予想値というのは軒並み大幅な下落をしておりまして、以前、政府予測と同様に一・九%の成長を予測していた長銀総研それから第一生命経済研究所、この二つがわずかに一・九%という成長率を九七年度について予想していたわけでありますけれども、これもそれぞれ、長銀総研の場合が一%に、それから第一生命経済研究所も〇・七%に修正している。中でも大変衝撃的でございますのは日興リサーチセンターあるいは大和総研、これのようにマイナス成長さえ予想するものがあるわけであります。しかも、この予測は四−六の数字が公表された後に修正作業をして修正した数字でありまして、いわゆる拓銀、山一の破綻の前に発表されたものでありまして、私は、その後の推移を考えれば、事態はもっと深刻な見方をする人が多いのではないか、そのような感想を持っております。このような事態というのは、ある意味では、私たちが昨年以来いろいろな機会に声を大にして警告してきたことがここで現実化したことではないかと思われるわけであります。  後でも少し引用させていただきますけれども、東洋経済統計月報十二月号で七十人のエコノミストの意見を問うているわけでありますけれども、六カ月後に経済状態が何もしないでいてよくなる、こういう見方をしている人はたった一人、斎藤さんという富士総研の副理事長さんですが、この人の発言はなかなかおもしろくて、要するに四—六の消費の落ち込みというのは基本的な流れとしては予測されていたことであって七—九以降増加に転じよう、それから生産調整も比較的軽いだろうという見方をしておりまして、特段の手当ては必要ない、こうなったのは、もとはといえば過去に過大な需要追加策をやったその反動がここへあらわれている、こういう見方をしている。この人を除きますと、後でまただんだん御紹介しますけれども、ほとんどの人が何らかの対策が要るという見方をしている、そういう状態であります。  さてそこで、与党では規制緩和を非常に重視した景気対策をお考えのようでありますが、規制緩和というのは、一般論として即効性を欠く、余り即効性のない策であることは、これはもうどなたでもよく御理解のことでありまして、私は、事態はどうもそんな悠長な状態ではないのではないか。  私は、そういう意味で、現在の状況というものはいろいろな意味で、後でだんだん申し上げますけれども大蔵大臣のお手の中にそのかぎがある、そういうことが多い。税制であれ財政であれそういうことでありますので、今の事態につきまして大臣はどんなふうに一体御認識であるか、それをまずお伺いをさせていただきたいと存じます。
  20. 三塚博

    三塚国務大臣 ただいま村井委員から、全般の研究所その他専門誌の分析等を前提に、今後の対応、経済の見通し等についての御質疑でございます。  我が国経済を見ますと、確かに企業の景況感に厳しさが見られます。景気はこのところ足踏み状態であると月例経済報告も指摘をいたしております。同時に、民間需要を中心とした景気回復の基調は失われていないという指摘であります。さらに政府としては、先般取りまとめた経済対策、村井委員からこの効果の是非についての御疑念も出されておりますが、この経済構造改革を着実に実施する、前倒しでやるということで、万般に備えておるわけでございます。  これにより、先行きの不透明感が払拭されますとともに、経済の動脈ともいうべき金融システムの安定性確保に万全を期する、これは大蔵省の最大の行政義務であります。このことにより、景気の回復がより確実な見通しが立つようにしていかなければならないものと考えております。  御指摘のように、政府経済見通しの問題については、達成できるかどうかについては厳しい状況にありますものの、こうした経済対策等の着実な実施によりまして景気の回復傾向が明確になっていくのではないかと考えておりますことから、今後の情勢を見きわめることが必要である、注意深くこれに対応しなければなりません。  いずれにいたしましても、規制緩和を初めとする経済構造改革をまず積極的に推進すること、さらに、現在鋭意議論していただいております金融システム安定化方策についても早急に具体案を得ることなど、経済見通しの達成に向けてベストを尽くしていかなければならないと考えておるところでございます。     〔委員長退席、村田(吉)委員長代理着席〕
  21. 村井仁

    ○村井委員 大蔵大臣のお立場では大変おっしゃりにくい点も多々あるだろうということはよくわかりますし、その範囲で読み取る限り、大変厳しい御認識をお示しになられたと受けとめさせていただきます。  そこで、昨年十二月十二日でございますが、ちょうど一年前になりますけれども、当時の百三十九国会における税制問題等に関する特別委員会におきまして、御記憶の向きもおいででございましょうけれども、私どもとしましては、消費税の引き上げをやめるという思い切った提案をした経過がございます。  そのときに私どもはどういうことを言ったかということであります。これは新進党の提案であったわけでございますけれども、そのときに私どもが主張いたしましたのは、私どもは、消費税という税金の大切さということはよく心得ている、しかしながら政策というものは常にタイミングというものが大切であって、そのときそのときに適切な対応をしていかなければいけない、既に昨年十二月の時点において日本経済は非常に深刻な事態にある、そういうときにこういうことをしていいのだろうかという問題意識だったわけであります。  ちょっと引用させていただきますが、そのときの提案理由説明の中で私どもの野田政審会長から申したことでありますが、  今、日本経済は、表向きは一時的な回復が見られますが、経済危機は深刻になるばかりです。規制が多くコストの高い日本市場は魅力を欠き、雇用不安や産業空洞化が進んでいます。不良債権による金融システムの行き詰まりも経済をむしばんでいます。これまでおよそ六十六兆円規模の経済対策が講じられてきましたが、十分な効果があらわれていません。超低金利政策もここまで来るとマイナス効果ばかりです。民間では、来年の実質経済成長率は一%台、もしくはゼロ%台になると悲観的な見通しを示しています。こうしたときに、政府は、消費税率引き上げ、特別減税打ち切り、国民年金や健康保険料の引き上げで約九兆円のツケ回しをして、国民生活や経済を圧迫しようとしています。  我々は、国民生活にとって喫緊の課題である消費税率の据え置きを法案化することとしました。今世紀の残された期間を経済再建、財政再建のための戦略的期間と位置づけて、消費税率を三%に据え置くことが不可欠です。こういう基本的な認識を申しまして、いろいろ議論があったわけでございます。  しかもそのときに、これは質疑の際に出たことでありますけれども、当時答弁者として立ちました鈴木淑夫議員の発言の中でございますけれども、一番大切な問題は日本経済の現状をどうとらえているかということである、財政は危機的状況にある、しかし危機的状況なのは財政だけじゃありませんよ、日本経済のさまざまの側面が危機的状況であります、こういうことを言いまして、そしてもっとひどいのが金融不安である、さきに阪和銀行破綻しました、あの中身を見ると二つのことがある、一つは、地価がまだずるずる下がっていて回収可能債権であったはずのものが根っこから腐ってくる、結局回収不能債権に変わっていく、もう一つは、取引先がこの六年にも及ぶ経済停滞の中で業況が立ち直らないために不良債権がふえてくる、これは日本全国の問題ですよ、こういう認識を示しているわけであります。  このような状態というのは、何もきように始まった話じゃありませんで、既に去年の十二月の時点で、私どもが強くこの危機感を訴えているわけであります。  そして、その日、私は答弁者にもなり、質問者にもなりという妙な日だったのでございますけれども、私の政府に対する質問の際に申し上げたことでございますが、経済財政政策というのは、ある意味では生き物を相手にしたものでありますから、一種の人体実験である、誤れば大変なことになる、さような意味で、私どもが消費税を引き上げないという法律案を今ここにお出しをしている理由というのは、経済がこれだけ停滞しているときに引き上げたら消費を抑制して経済をおかしくしてしまわないか、政策を実施するには時期を選ぶということが大切だ、それを私は特に強調したわけであります。経済再建なくして財政再建というのはあり得ない、財政というのはやはり経済の一部分なのでありまして、もちろん非常に重要な部分でありますが、そのことは私どもももちろんよく存じているところでありますが、経済が不振になれば税率を仮に引き上げても税収がふえないということが当然あるわけでありまして、そういう意味で、経済をおかしくしていいのだろうか、そういうことになる危険のある消費税引き上げを来年の四月にやっていいのだろうか、私どもは真剣にそれを憂えるのだということを申しました。  そしてさらに具体的に、個人住宅と車につきましてでございますけれども、これは、実際統計的に見ましても、設備投資に占める建設工事の受注、民間分の数字がありますが、昨年の九月は前の月に比べて二倍になっているが、それが十月になつて半分に落ちているということを指摘して、それでこれは来年に入れば必ず腰折れになるということを指摘しました。さらには、自動車を初めとする耐久消費財の駆け込み需要があって、それの反動が非常に厳しいものになるであろう、こういうようなことを具体的に私ども指摘したわけであります。  その結果がどういうことになったのかということを今になって見ますと、これはもう申し上げるまでもないことでございますけれども、例えば住宅着工で見ますと、平成八年度は百六十三万戸という水準で推移した。非常に高い水準ですね。これがことしの七−九には百二十九万戸という水準に激減したわけであります。これが経済全体に大きな影響を及ぼさないはずがない。  自動車であります。これも平成八年度、これは前年対比八・六%の増ということであったものが、平成九年に入りまして、四−六でマイナス一〇、七−九でマイナス九というようなことでございまして、そして十月のプロビジョナルな数字が出ておりますが、これがマイナス一二・二、こういう結果になっておるわけでありまして、いささかも曙光が見えない。私は、こういったことを私ども予想したればこそ、あのような主張をしてきたわけであります。しかし、やってしまったことはしようがないわけであります。今私は、少なからぬ方々がこういう事態を憂えておられると思います。こうして現に起きた事態を憂えておられると思います。  そこで、自由民主党でも緊急国民経済対策というものを御検討になられ、おまとめになられたと漏れ聞いております。私ども承知しているところでは、規制緩和、土地対策、中小企業対策、それから税制改革など、いろいろなお話が入っているようでありますけれども、その中で、例えば地価税の凍結または廃止でございますとか、それから法人税につきましてもいろいろなお話もあるようであります。いずれも、私どもがかつていろいろな機会にこれをやるべきであると言っていた話がその中に大分たくさん入っている。しかし問題は、これが自由民主党の中の結論としておまとめになったものでも、検討をするというようなことになっていて、やるという決意を示されたものにはなっていない。その結果、この自民党の緊急国民経済対策が発表された途端に、失望売りが東京証券市場では起きたというような極めて皮肉な現象もあるわけであります。私は、どうもこれはいろいろな意味で待てない状況になっているのではないか。  そこで、また税金の話で申しわけないが、主税局長に来ていただいているので主税局長と、そしてさらに大臣にもお伺いしたいのですけれども、まず土地対策ですね。  私は、地価税というのは成立の経過もよく承知している立場であります。土地基本法をつくって、そして土地を公の財産として大切にしていかなければいけない、それは税でいろいろ地価をどうこうするという性格のものではないという非常に強い大蔵省の主張、私はこれは非常に適切な主張だったと思います。そういうところで、土地基本法の成立の後に初めて地価税の創設というところに踏み切った。  そういう意味で、大蔵省としては大変苦労された税目であることは私もよく承知しているわけでありますけれども、しかし現実に、後に固定資産税が急激に引き上げられ、そして一方で地価の鎮静化が進行した現在では、この固定資産税と地価税とを合算した場合の企業の負担というものは、ちょっと黙過できないところまで来ているのではないだろうか。これが景気の先行きにも、あるいは企業経営にも非常に重苦しい圧力を与えているということは否定できない。  特に地価税の場合、非常に問題なのは、いろいろな経過があったから仕方がないことではあるけれども、取りやすいところから取るという形に結果としてはなってしまった。あるいは都市に不可欠なさまざまの機能を持つ、そういう企業に重点的に課せられるというような結果になってしまった。これを、私はこの際、思い切って例えば凍結するということだけでも随分大きな効果が期待できると思うわけであります。  このあたりについて、まず主税局長、それから大蔵大臣、いずれも、もちろんその決定の過程で党の税制調査会あるいは政府税制調査会のいろいろな御議論を前提にしなければならない手続があることは承知していますけれども、主管者として、あるいは担当大臣として、どんなふうにお考えなのか、御見解を伺いたい。
  22. 薄井信明

    ○薄井政府委員 現行の土地税制についての御質問でございまして、平成元年、二年ごろのいわゆるバブルの時期に土地問題が最大の課題となった時点におきまして、委員指摘のように、税制だけで土地問題あるいは地価問題に対応するのは適当ではないというのが大蔵省なり政府の立場でございました。平成元年に土地基本法ができたという、これを背景に保有、譲渡、取得、それぞれの段階の土地税制のそれまでの欠陥を直さなくてはいけないという反省のもとに、土地税制改革を平成二年の秋に行ったわけです。  この税制が平成三年、四年と実施されてきたわけですが、その後、御指摘のように、地価をめぐるあるいは土地をめぐる状況が大きく変わりました。この大きく変わる状況の中で、平成二年の議論のうち、直すべきところは直していかなければいけない、しかし、あのとき、考え方としてある意味では構造的な対応として考えた部分については慎重に対応していかなければいけないということで、その後、六年、七年になりますが、各年の税制改正におきまして対応をさせていただいております。御質問の地価税につきましては、平成八年の改正におきまして税率を半分にするということをいたしました。  それから、地価税は、御承知のように土地の価格に対応して税率が適用されますから、地価が下がれば下がっていくという仕組みになっております。そういう意味で、平成四年にスタートしたときに、仮に〇・三%で動いていればという税収を計算しますと、今日の税収というのはその五分の一にまで下がっているということで、私どもなりには対応してきたと思っております。  ただ、昨今の状況あるいは土地をめぐる二極化というような動向、こういうことを背景に私どもも新たに土地をめぐる状況の変化を認識しておりますので、土地税制につきましては、譲渡の問題あるいは保有課税の問題、それから保有課税につきましては国税だけではなく固定資産税との関係を十分考えて、もう今月の中旬になりますが、平成十年度税制改正におきましては的確な対応をしていきたいと私どもとしては考えております。
  23. 三塚博

    三塚国務大臣 村井委員、今までの経過についての御説明、今後の対応として地価税を含めた土地税制いかん、こういうことであろうと思います。  御指摘のとおり、税の場合はそのものずばり政治でありますものですから、政府税制調査会においての真剣な論議の結果を踏まえ、政府としてはその時点で決断をしていく。政党政治の今日でございますから、党における税制調査会、その持つ意味また大であります。  そういう中で、政府税調でも論議が盛んに行われておるところであります。証券税制について、本日午後小委員会の取りまとめが発表されるやにも聞いております。土地税制の論議も行われておる、党税調の論議も行われておるということでございます。  私は、事柄の重要性については認識をいたしておるつもりでございます。まずは、この政府税調、党税調の真剣な論議をただいま最大の関心を持って見詰め、その報告を受けて対応をしていかなければならぬ、こう思っております。
  24. 村井仁

    ○村井委員 大臣、ありがとうございました。  主税局長の先ほどのお話、大変この問題を真剣に受けとめておられるということで、私大変重く受けとめさせていただきます。  既に土地の譲渡につきましてお触れになりましたけれども、この問題、実は非常に重要なんで、重要なんでと申しますのは、要するに不良債権をどうやって解消していくかという一番の眼目は、やはり土地がどれだけ動くかという問題にかかわってくるのですね。そういう意味で、今の土地の譲渡にかかわる税制というのは、申し上げるまでもなく、売りにくく買いにくい仕組みに残念ながらなっていると言わざるを得ない。  これまで私どもがいろいろな形で提案をしてきたのが与党によっていわば後取りされて、大体私どもが提案して一年ぐらいたつと政府・与党の御提案になって出てくる、こういう仕掛けで、少しずつ改善はされてきたけれども、しかし、具体的に申し上げれば、例えば八千万円以上の譲渡益が生じた場合の個人所得税は依然として三〇プラス九%という非常に禁止的な率の税が残っている。これはバブルの際に土地の有利性を減殺するために行われた税制であることは、もうもちろん御記憶のとおりであります。  それからもう一つ、私は非常に問題だと思っているのは、買い手というのはやはり大企業に期待せざるを得ないのですね。少なくとも企業に期待せざるを得ない。個人がそう膨大な土地を買うはずがないと考えますと、土地を購入した場合の、それに関連する融資を受けた場合の利子、これが損金算入されないという制度、これは簡単に言えば土地を買うな、要するに企業は土地をいじるな、こういう税制ですよね。  私ども、これはいずれも、前から、廃止したらどうですか、改めたらどうですかということを申し上げてきた。自民党の皆さんの中にもこれには非常に賛成論が多いと私も個人的には承知している。これあたりをいじらないと私は率直に言って土地は動かないと思うのですね。  既に譲渡についても主税局長お触れになったのかもしれないが、とりわけてこの問題、これは銀行に限らず、いわゆる世に不良債権と言われるものをどうやって解消していくかということを考える上で、もう一つ、これは主税局の問題じゃないけれども、例えば土地の証券化というような問題も含めて、いろいろな形で流動化を図っていく、そのために非常に重要なポイントだと私は思っているものですから、重ねての御質問で恐縮ですが、この点に絞ってお答えいただけませんか。     〔村田(吉)委員長代理退席、佐藤(静)委員長代理着席〕
  25. 薄井信明

    ○薄井政府委員 土地を購入するときに借金をして、その利子をどう扱うかという御質問でございました。  税制のつらいところというか、常に税の問題がどんな経済行為に関しましても影響してくるという運命みたいなものがありまして、経済がこういう状況あるいは金融機関がこういう状況になった場合に、税がこうであればいいなという御意見は幾つも出てくるわけです。一方で、委員十分御承知のように、税制は税制の考え方というのがありまして、そこがぶつかってしまう。ぶつかってしまっても、こういう状況なんだから少し引いてみたらいいじゃないかというのがきょうの御意見だったと私は思うわけです。  といいますのは、例えば土地を買って、その土地をどう活用するかということとは別に、仮に置きっ放しにしておくといずれ値上がりしてこれは高く売れるんだということで、土地の仮需といいまずか、それがたくさん出てきたときに、今はそういう状況じゃありませんけれども、一方で金利だけはその年に全部引いてしまう、そのことによって資産力とか信用力のある法人とか大企業はその年の税金を納めないで済むという状況は、税から考えると私は正当ではないと思います。  したがいまして、土地を購入するときに借金をしているならば、その利子については土地の利用に応じて引いていけばいいのであって、即時に落とすということが税制上適切だとは私は思っていないのですけれども、ただ、最初に申し上げましたように、今の経済状態あるいは金融機関状況考えたときに、世の中の企業が利子を落とせないことが事柄をさらに悪くしているという御指摘は、私は一方で理解するものです。  したがいまして、この点につきましても、この十二月中旬の税制改正の中で、譲渡所得課税一般の問題もさることながら、この問題についても十分関心を持って対応していきたいと思っております。
  26. 村井仁

    ○村井委員 今お触れになった制度というのは、まさにバブルのときの土地の異常な高騰、これに関連して導入された制度なんですよ。  通常、物を購入する、それにかかわる融資を受ける、これの金利というのは企業経営としては損金で落とせる世界、これが申し上げるまでもなく当たり前な世界なんでありまして、そこで例外的に土地だけはだめよ、こうやったわけですね。その土地が動かなくなってしまった。  今の御答弁で結構です。これ以上お伺いしても余り意味がありませんから、今のお答えを非常に重く受けとめさせていただきます。  それから法人税なんですが、法人税につきまして思い切った引き下げをやらないと、この景気にきちんと対応できないのではないかという認識、これは私は一般にあると思う。だからこそ、主税御当局も今その方向で御検討になっておられるんだが、やり方は、税率を下げて、しかし課税ベースは拡大する、それで結局出入りとんとんにする、こういう方向で行っておられると承知しているわけでありますが、私は、しかし、やはりそれではこの経済状態に対応するのに余り適当じゃないんじゃないだろうかという危機意識を持っているわけでありまして、自民党の中にも、課税ベース拡大による増収分を上回る実質減税を求める声も非常に大きい、このように私も承知しております。私もそのように思う一人であります。  その課税ベースの拡大の中で引当金の話などはかなりいろいろ言われているのですが、ちょっと私、看過できないと思っていますのは、実は減価償却の方法につきまして、通常は定額でも定率でもいずれでもいい、こういう世界になっていた話が、建物、構築物についてだけこれを定額法にする、こういうようなことが検討されているやに伺います。  いささか細か過ぎるお話になるかもしれないが、これは、例えば電力ですとか鉄道ですとか、巨大な設備投資といいますか構築物を持っている業種に、これは最終的にはもう償却の話ですから取られる税金は結局同じになつちゃうわけだけれども、とりあえずこの景気の悪いときに前倒しで税金を余計払え、こういう世界をつくる話になりますよね。これは会計制度の上でも、定率をとるか定額をとるかというのは、これはある意味では任意の世界であって、どちらかに決めればいい話でしょう。それを税の世界で、ここを取りやすいから少し前倒しで取っちゃおうというのは、いささかいかがかなという印象を私は受けているのですけれども、この辺、どんなふうにお考えか、主税局長に伺わせてください。     〔佐藤(静)委員長代理退席、委員長着席〕
  27. 薄井信明

    ○薄井政府委員 法人税につきまして、日本のいわゆる法人税率が、あるいは地方の法人課税を含めた税負担の中の税率の高さについては、私どももそのとおりと思っておりますが、課税ベースにつきましては、必ずしも欧米といいますか、よその国並みではないという認識を持っております。  その一つが、今御指摘の減価償却のうちの建物とか構築物についての減価償却の手法でございまして、この種のものにつきましては、建物を例に申し上げますと、長期安定的にその企業のために使われる資産であることは間違いないわけでございますし、また、その使用形態というのは生産性とか収益性に大きく左右されるものでない基礎的なものであるということ、そういうことを反映しまして、例えば三十年使うものならば、三十年定額で落としていくというのがむしろ常識的な発想ではなかったのかなという反省から現在提案しているわけでございまして、諸外国におきましても、建物については定額を使っております。  そこで、一点だけつけ加えますと、商法とか企業会計の世界は、その企業の体質といいますか含み益みたいなものを残したいという、保守主義の原則というのが働くものだと思います。したがって、企業にとって適切な手法を選択する余地を残しているのが企業会計あるいは商法の世界であって、税法がそのままこれを受けとめるのはいかがかと思います。そういう意味では、日本はそのまま受けとめ過ぎているのが現在の制度だと思います。  税負担の公平ということを考えたときに、御質問の建物に関しては、定額法をとる方が税負担の公平には適している。また、そのことによって、委員指摘になりましたけれども、前倒しで税負担が重くなるとおっしゃるのは今よりもということであって、定率法は極端に前倒しで落とさせてしまうわけですから、これが行き過ぎているというのが私どもの今の提言でございます。  この点について、世の中の皆様の御議論を待っておりますので、これも、できますれば十二月中旬ぐらいまでに結論を出していきたいと思っております。
  28. 村井仁

    ○村井委員 まあそれは一つの議論だけれども、今この景気状態のときに、そういう大変化をあえてやるのかねという疑問ですよ。  私は、先ほど来この一連の流れ、税金の話ばかりしているように聞こえるかもしれないが、要はこの今の日本の危機的な経済状態をどうやったら救うことができるのか、どうやったらここからベールアウトできるのかという問題意識で申し上げているわけですよ。そのときに、やはり税金を特定の業種について前倒しして重くするという結果になるような手法は、これは私はぜひ避けてほしいと思うのです。タイミングが悪いということを申し上げたい。  私は、確かにおっしゃるように、建築物、構築物、それが比較的、安定的に長期間使われるものだというその主税局長の御指摘もそのとおりだと思うし、それからまた、会計準則と税がぴたっと一致していなければならないとも思っていない。それはそうなんだけれども、今までどっちでもいいといってやってきたのが、この景気のときに非常に重くするというのは大変問題だ、これをあえて申し上げておきたいということであります。  ところで、ちょっとサブジェクトを変えさせていただきまして、私ども、今度のこの大変な経済状態というのは、一つは二年余り続いている低金利、それからそれに加えて先ほど来触れた消費税の引き上げ、そして特別減税の停止、そして医療費の自己負担の増嵩というようなものが一どきにどんと来た、これの影響というのは、これは否定しがたいと思うのですね。これがいかに消費マインドを冷やしたか、これはもう明らかなことであります。  さればこそ私どもは、ことしの通常国会におきまして、一番最初は、先ほど来触れてまいりました土地関係の税制、これをバブル前の状態に戻すということを景気回復の手段として一つ考え、それにさらに有価証券取引税等々につきましても加えまして、法律案一つつくったわけであります。しかし、どうもなかなか他の党の御賛同が得にくいというような環境の中で、結局特別減税の延長といいますか、平成九年につきましても特別減税を継続実施するという一点に絞りまして、法律案をお出ししたわけであります。私は、あれをやっておけばまだここまでひどい景気の状態にならないで済んだんじゃないかなという気がするわけでございますけれども、残念ながら、そのときに御賛成を得られなくてここに来ているわけであります。  現在、いわゆる労働団体の中の最大のもの、連合が、平成九年についても何とか特別減税をやってくれということで大変大きく声を上げておられる。しかし、実際問題として考えれば、今の時点ではもう遅いので、年末調整はもう目前に迫っていて、技術的にほとんど不可能。それから確定申告を三月十五日にやるといったって、恐らく国税庁では確定申告用の用紙も全部印刷しちゃっているでしょうから、実際、手続問題としては、私は、もはや平成九年の特別減税の実施なんというのは無理なことだろうということは承知の上で申し上げるのです。  これはしかし、ことしの春、私どもが議員立法でこの提案をしたときに、与党の一翼を担われる社会民主党の委員の方は、一九九四年の十一月に決まりました三・五兆の恒久減税、そして二兆円の特別減税という方向が、中身は少し変わりましたけれども、二年間が三年間という形で今年度まで実施されました。労働界を含めて多くの皆さんが、特別減税はこれで打ち切りだという方向で納得といいますか、そういう状況だというふうにわかって、理解をしておられたこんなことを言っておられまして、私は、そうかなと。外で皆さん座り込みをやって、何とか特別減税を継続してくれと言っているのに、おかしなことをおっしゃるな、こう思ったのでありますけれども、その後発言の機会がなかったので、今そういう運動を連合がしているということにちょっと触れまして、私は、現在の消費が非常に沈滞しているという状態のもとでは、これもやはり一つの選択肢としてあり得るのではないか。例えば、平成十年の税制問題につきまして御検討になられるとき、ぜひ特別減税を考え、あるいは、できれば私どもは恒久減税の方がいいと思うけれども、恒久減税を考えるということもひとつぜひ考えていただきたい、これは希望として申し上げておきたいと思います。  そこでもう一つ、税収ですね。これは実は十二月一日に税収の新しい数字が、十月までの分が出たわけでありますけれども、これを見ますとかなり苦しい状況になっている、予算に比べての話でありますけれども。法人税の進捗率というのは昨年より二%ポイントほど落ちている。これは明らかに景気低迷によって企業収益が振るわないことのあらわれだと思われるわけでありますし、また所得税の源泉分、これは三%ポイント近く落ちているわけでありまして、これは恐らく低金利影響がここへ来て深刻になってきたことのあらわれだと思われるわけであります。  また、消費税ですけれども、昨年の場合一%当たり二兆五千億で計算しておられたと私は思っておりますけれども、それがことしの予算では、いろいろ是正措置どもした結果、一%当たり二兆六千億程度を予定していた。ところが、それにもかかわらず、消費税の進捗状況、これは四・三ポイントほど昨年を下回っているということでありまして、私は、明らかに消費低迷の影響もあらわれているのじゃないか。  税収の計算年度の半ばを過ぎて全体で進捗割合が三%ポイント近くも前年を下回っているということは、今年度の税収を達成できない、こういう可能性を意味するのではなかろうかという気がするわけであります。  ここで私は考えなければならないと思いますのは、例えば消費税ですけれども、税率は上げたけれども結果的には思ったほど税収がふえなかったということになったら、これはもう改めて政策実施のタイミングというのがいかに大事かということを意味するのだと思うのですけれども、そういうことになるのじゃなかろうか。  一部の新聞報道によりますと、大蔵省当局が、九七年度の税収が当初の予算見積もりを下回り、その結果、年明けの通常国会で歳入の減額修正をせざるを得ないことになるとの見通しを明らかにした、こういうような報道をしておりますけれども、このあたりは間違いないのでしょうか。これは本来は国税庁にお伺いするのかもしれないが、総括的に主税からお答えいただければ。
  29. 薄井信明

    ○薄井政府委員 十二月一日に、十月末の税収を発表させていただきました。それをもとに今御指摘いただいたわけでございまして、最後の御質問の、九年度税収は最終的にどうなるのかということにつきまして、私の今の感覚を率直に申し上げたいと思います。  九年度の税収、十月末で年間の大体三五%が入ったということでして、三分の一をちょっと超えたというところでございます。残る分が三分の二程度あるわけでございますので、率直に言ってきちっとした推計はできないわけですけれども、ただ、今月中旬には予算編成ということで来年度税収を見積もらなければならないわけですから、その前に当年度のことを私どもなりに責任を持って見直さなければいけないという時期に今直面しております。そういう意味で、私の頭の中も揺れ動いているというか、どう見きわめるのかなというのが正直なところですが、御指摘のように、最近の経済動向あるいは金利水準等を踏まえて、税収は当初の予算額を確保することは容易ではないのではないかという感覚で今おります。  ただ、内容的に申し上げますと、先ほど消費税について御指摘ありましたが、消費税というのは、納期、納める時期というものがございますので、五%になった税率で負担をして企業が納めていただく時期というのが年度後半になります。したがって、税率アップ分がほとんど今影響に出ておりませんので、御指摘のようにちょっと奇異な数字が出ているということになろうかと思いますが、これは年度後半に行きますと、税率アップ分が税収に反映してくると思っております。最終的にどうなるかについては私は今のところ見通せませんけれども、先ほど御指摘のような、数字の上でちょっと変じゃないかという点は、そういう理由によるものと思っております。  その他の点でも幾つか理由がありまして、たまたま金融関係不良債権の償却の関係で、去年、八年度に、前半に予想外の税収が入った部分が逆に今に影響しているということとか、それから特別減税、この特別減税は十二月に去年減税しておりますので、その部分の関係が今出てしまっているということで、幾つか理由があるのですけれども、現在低く走っている、その低過ぎるではないかという部分は、そういう技術的な面があろうと思います。  そういうところを捨象しても、当初予算額はなかなか達成できないのではないかというふうに私は見ております。
  30. 村井仁

    ○村井委員 責任者のお立場から当初予算はなかなか達成できないのではないかということを発言されたということは、大変重いことでありまして、そういう意味では、また今こうして財政再建元年というのを控えて財政を何とかしなければいけないということでせっかくいろいろ御努力になったけれども、しかし、結果的に足りなくなったら、恐らくまず節約を一生懸命おやりになるのだろうけれども、その節約というのもおのずから現在のシステムの中で限度がある。とすれば、どうしても歳入の足らざるところが出てくれば、そこは不可避的に赤字国債を出してつながざるを得ないというようなことにもなり得る。これは別に御返事は要りません。  私は、このことは、改めて教訓として、経済がよくならないと財政がよくならないのだということを私どもに教えていると思うのですね。  私は、昭和五十年代の末期に、たまたま通産省で、中曽根内閣時代の非常に厳しいシーリングのもとでの予算編成に要求側としてかかわった人間でございますけれども、あの当時、実際問題として、それまで比較的緩やかにいろいろな新しい事業に手をつけてきた経験を持っていた人間としては、まずゼロシーリングというのが来た。そのうちにマイナスシーリングというのが来た。それで節約を強いられて、そして省内、庁内、いろいろな形で切っていくというのは、それは担当者として非常につらかった。そしてまた、今度は大蔵省と予算要求のプロセスでいろいろな調整をしていって、ここも切らなければならない、あそこも切らなければならない。切る大蔵省も大変だったろうが、切られる私もつらかった。  しかし、それにもかかわらず、あの五十年代の終わりのときに、決して財政の状況はよくならなかった、決して国債は減っていかなかった。実際に国債が減り出したのは、いわゆるバブルの時期になって、法人税がどんどん入ってきて、そして懐ぐあいがよくなった。もちろんそのときに、五十年代の後半におけるゼロシーリング、マイナスシーリングというような歳出削減のための努力がなければ、歳入がふえてきたからといってあのような急速な財政状況の改善は私はあり得なかったと思うけれども、しかし、それで財政が改善されたわけではない。  私は、今度のこの数年の教訓というのは、残念ですけれども、財政の方だけで何とかしょうというところをいささか急ぎ過ぎたところに問題があるのではないだろうか、そのために経済全体をおかしくするようなことになっているのではなかろうかという懸念を持っているわけであります。そういう意味で、主税局長には御迷惑だったかもしれないが、預金保険法の議論のプロセスで専ら税の話をお伺いしたわけでありますけれども、その問題意識は御理解をいただけると思う。  いずれにしても、経済をどうやってよくしていくかということが一番肝心な私どもに課せられた課題であって、財政というのはあくまで経済のサブシステムなんだということを、やはりもう一度私どもは認識し直す必要があるのじゃないかと思うのですね。  何か孫子の代まで負債を残してはいけないという大蔵省の財政危機キャンペーンというのは非常に行き届いている。実際、私もある時期には、これはタイミングは違いますよ、タイミングは違いますけれども、私もそういう問題意識を持っていないわけじゃない。私自身も、財政議論をするならば、どちらかというと健全財政主義者ですよ。ですけれども、その私でも、あの時期に一どきにやったというのは、あれはちょっとまずかったと言わざるを得ない。それが今のこの状態を招いている。  そして、今起きているのはやはり減税をどんどんやれ、思い切ってやれという大合唱であり、それから、細川次長に来てもらっていますが、主計の方でも少し思い切った動きをしろという財政出動を促す議論にもなってきているわけであります。私は、こういった議論というのは、実際問題として無視できない話だと思うのですね。  といいますのは、私は、この間の橋本総理がクリントン大統領とお会いになった、あの一連の議論の中身というのはもとより知るすべもないけれども、しかし私が接触している限りでも、例えばアメリカの議員なりあるいはアメリカのしかるべき要路の方々が来られて私などにされる話というのは、非常に今の日本の円安に懸念を表明し、そして、それに伴って日本が大変外需依存型の経済体制になりつつあるということに過敏なほどの懸念を示している。  加えて、御案内のとおりアジア経済が非常に振るわないために、アジアが日本のマーケットとして当然のことながらはかばかしくない。それはもちろん、アメリカに向けてアジアから出るのに対してもアメリカは警戒的でありますから、その辺の問題もあるのでしょうけれども、そうなりますと、日本はどうしても内需振興ということで相当思い切ったことを強いられることになっていくのではなかろうか。  ここは、私は、日本も、アメリカとあわせて世界の四割の経済を担っているという大変な存在であるだけに、アメリカとの連携をまた大切にしなければならないという立場であるだけに、日本のことだけを身勝手に考えているわけにいかない、あるいは日本の財政だけを考えているわけにいかない、そういう事態にだんだん追い込まれつつあるのではなかろうか、そういう懸念を持っている。  そういう意味で、私は、先ほどの土地税制、これはまあ地価税を除けば率直に言って財源論にはほとんど響かない。実際土地が動いていないんだから、それは財源を考える必要はない。動けばありがたいことに多少なりとも入ってくるという、こういう世界である。  法人税、これは多少財源を考えなければならないかもしれないが、タイムラグを経てそれを補って余りある収入があり得る世界であって、やはり企業に元気を出してもらわなきゃどうしようもない。そういう意味で、ここで方向転換をする必要があるのではなかろうか。  それから、所得減税についても私はちょっと触れましたけれども、何といっても消費をどうやって振興させていくかということが重要である。  それから、特にこれは御返事は求めないで済ませますが、多分有取税や取引所税などはもう時間の問題で、外為法があのような形で整理される以上は、今さら国際的に類似の制度のない有価証券取引税をそのまま存置するという環境ではない。とすれば、これも多分今度の税制改正で廃止という話になるのではなかろうか、そういう感じがするわけでありますが、そういった歳入面での、税制面での手当て以上に、私は、さらに公共事業を含む財政出動まで、これも考えざるを得ないところへ来ているのじゃないだろうかという気がするのですね。  今の段階でそれをやりますとかなんとかいうような話にはならないでしょうけれども、しかし、大体我々が主張すると若干のタイムラグを置いて必ず実現するというのが今までの経験則ですから、この段階であえて申し上げておきますけれども、これは外圧も加わりますから結構いろいろな大変な話になる。  これは先ほど冒頭にちょっと申し上げたのですけれども、七十人のエコノミストがいろいろな処方せんを述べている。その中で、これから半年の後に経済がよくなる、曇りからだんだん明るくなるということを言っている人たちが結構たくさんいるのです。この中に鈴木ドクターも、鈴木ドクターは雨から雨、こういう予想をしておられますからこれは外しまして、曇りから晴れになるということを言っている中で、専修大学の井上さんという方、これは、この際財政事情の一時的悪化はやむを得ないとして、特別減税、法人税率の引き下げ決定などをやるべきである、金融政策面の追加余地はほとんどない、こんなような言い方をしている。それから同じように五十嵐さんという人が、法人税減税に次いで所得税減税を、こう言っている。それから菊池さんという方は、これもやはり所得減税を主張している。  それから、明るくなるということを言っている人の中でそのほかに出てきているのは、財政改革を制約として決めてかかる必要はない、規制緩和、構造改革は景気対策にならない、金融はこれ以上緩和余地がないので財政しか対策はない、それを除くのは景気はどうでもいいということになってしまう。これはだれが言っているかというと、横溝雅夫さんですよ。元経済企画庁で活躍していた方が、ここまで断定的なことを言っておられる。私は、この事態を考えますと、これはもう財政出動もそろそろ視野に入れて思い切ったかじ取りをしてもらわないといけない、そういう事態になっているのではないかと思うわけであります。  いろいろ申し上げましたけれども、時間もだんだん詰まってまいりましたので、大臣からお話を伺って、私、質問を終わりにしたいと思います。
  31. 三塚博

    三塚国務大臣 税制をめぐり、公共事業等を中心とした財政出動いかん、こういうことであろうかと思っております。主税局長からも検討の心構えについてお話があったとおりでございます。  税制は、御案内のとおり、十年度改正について、毎年中旬ころに結論を得て歳入の総額を決めてまいる、こういうことになります。法人課税、金融証券関係税制、土地税制等を含めた幅広い検討をしながら、政府税調の答申を待つ、党税調の最終決定を待つ中で、最終の結論を政府として行っていかなければなりません。  さような中で財政出動いかんということでございますが、財政構造改革集中初年度という基本的なベースがございます。これと矛盾しませんように、整合性を持って何がやれるか、真剣な検討が行われなければならぬと思っております。そういう観点の中で、補正予算が、災害等、また税収の補正等含めて行われるのかなと思います。その際には、政府対策の中にも盛り込んでおりますけれども、国庫債務負担行為、ゼロ国債を一兆円発行をしていかなければならない、この検討を行う、取り進めるというふうにしていきたいと思っておるところであります。
  32. 村井仁

    ○村井委員 もう一言だけ言わせていただきますけれども、やはりアナウンス効果というのは経済には非常に大きいのですね。そういう意味で、大臣、これは思い切ったことをしていただかないとだめだと私は思うのです。どっちにしたって、先ほど主税局長も随分思い切った答弁をされたと思うのですけれども、ともかく歳入が足りなくなるのですよ。どっちにしても、補正予算は必要になるのですよ。そのときにどれだけのものを盛り込むかによって、マーケットの反応も違ってくる。これは、与党、野党問わず、私どもが言ったとおりになったじゃないかということをずっと申し上げてきた。それは事実、お認めになると思う。なると思うが、しかしそれでどうだと言ってみたって、こっちもしようがないのですよ、やはり日本を何とかよくしなければいけないのだから。  そういう意味で、ここは本当に正念場だと私は思うのです。財政のことだけ考えないで、日本経済のこと、世界経済のことを考えて事に当たっていただきたい。その一部として、この預金保険法の問題があるのだ。そのバックグラウンドの議論をさせていただきました。ありがとうございました。
  33. 村上誠一郎

    ○村上委員長 次に、並木正芳君。
  34. 並木正芳

    ○並木委員 おはようございます。新進党の並木正芳です。  預金保険法一部改正案、そして破綻処理等の問題につきまして、主として大臣を中心に御質問させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。  まず、この法案についてでございますが、法案の中で、二つ以上の破綻金融機関の新設合併預金保険機構の資金援助が可能となるような、そうした一条を今回加えていくということでございます。総理大臣も大蔵大臣も一に預金者保護と常に言われているところですが、こういうシステムをつくっていくということで、むしろ破綻金融機関救済、そういうことに重点が置かれていくのではないかと懸念するところもあるわけです。その辺について、まず御意見をお聞かせいただきたいと思います。     〔委員長退席、井奥委員長代理着席〕
  35. 山口公生

    山口政府委員 現在、預金保険法改正案を御審議賜っておりますけれども、もしこの法案が成立をしないようなケース考えてみますと、経営困難な金融機関がそのまま放置されるわけでございまして、やがて資金ショートあるいは債務超過の段階に陥る危険性があるわけでございます。  その際、救済金融機関が見出せれば、それは社会的なコストも比較的少なく解決ができるわけでございますけれども、それが見出せない状況の場合には業務停止命令をかけざるを得ません。それで整理、清算型の処理をする。もちろん預金者は守ります。しかし、この場合の影響というのは、健全な取引先とかあるいは雇用とか、社会的に見ますと、そういった地域経済全体の問題になってくるわけでございます。それがまた複数存在する場合には、波及という問題があります。したがって、そういったものが複数、また波及しながら同時にそういった現象が起きるということは、私どもとしてはぜひ避けたい。それは預金者保護はいたします。システミックリスクを起こさないようにしますけれども、加えて、混乱を最小限にしたい。今の特例期間というのはそういう権限を与えられております。この権限を活用しながら、今まで破綻処理で対応させていただきました。  そういうことを考えますと、今回あっせんをしますのはそういった観点からやりますが、もちろん、大胆なリストラあるいは責任ある経営体制の整備等、厳格な制度的歯どめをかけます。それで、まずあっせん行為がなければできないというモラルハザードの防止もとっております。そういったことから、救済というようなことを目的としたものでございませんことをぜひ御理解賜りたいと思います。
  36. 並木正芳

    ○並木委員 そのようなお答えかなとは思うのですけれども、実際、破綻金融機関がその責任を過去においてとったと、この辺なかなか明確に言い切れないところが今あるわけなんです。そうした中で、債務だけを預金保険機構の方へ移してしまって、そしてそれがまた合併して生き残っていく。健全な預金者がそれで守られるのだというようなことで、もちろん守られないことはないと思うのですが、やはりこれは責任というのは、つぶしてしまうのも総理自身やむを得ないというような発言もしておりますけれども、そういう明確な厳しさがなければ、やはり主眼とするものは救済ということで、国民が本当に納得した最終的処理になるかと懸念するところもあるわけなんですけれども、その辺、もう一度お答えいただきたいと思います。
  37. 山口公生

    山口政府委員 お答え申し上げます。  確かに先生のおっしゃるような懸念というのを起こしてはならないということで、この特定合併の場合には、当該金融機関は消滅をいたします。それから、経営者の方々は責任をとるという形に当然なるわけでございます。ただ、新しい金融機関をつくって、そこで思い切ったリストラをして新しく生まれ変わっていただく必要がある、またそれを運営できる人材の確保も必要ではありますけれども、基本的には、先生のおっしゃった、きちんとしたけじめをつけながらやっていくということでございます。  それで、監督庁が設置されますと、監督庁があっせんを行うわけでございますけれども、そうしたことを十分にチェックをしながらあっせん行為を行っていくということになるわけでございます。
  38. 並木正芳

    ○並木委員 ところで、今局長の言葉の中に、この法案が成立しないとというようなこともあったわけなんですけれども、既にこの法案は成立以前から改正しなければならない点が多々あるというような、ある面ではおかしなというか、どたばた的なところでつくられたとも、悪口を言えば、そういうような法案とも言えるんです。  一方、この法案が成立しないうちから、既にこの法案が成立したのを前提とするような、なにわ、福徳ですか、こうした銀行合併構想が進められているということなんですけれども、これはどういうことなんでしょうか。
  39. 山口公生

    山口政府委員 今回の改正に関連しまして、両行で十月九日に合併の発表をしております。これに関する大臣談話も発表されておるところでございますけれども、これらの発表は、閣議において法律の提出が決定され、政府としての意思が確定してから行われたものでございます。  また、発表の内容につきましても、お読みいただくとおわかりになりますが、現時点では両行は自主的な単純合併を発表しているだけでございまして、もちろん、国会での法案が成立した段階で、その改正法に基づく合併を行うか否かについての検討をする可能性について留保をしているということでございます。
  40. 並木正芳

    ○並木委員 閣議で既に決まったから多数を頼みにそのままいくんだと。最終的に議決は当然多数決というルールもあるわけですけれども、やはり十分に審議されていく、このプロセスを大事にするというのが民主主義の原則だと思います。  そういう意味で、国会軽視の合併構想と言えなくもないと思うのですけれども、その辺のところに大蔵省がどのようにかかわったのか。あるいは、今お話ありました、単純に両行での合併を模索しているところだということですけれども、そうすると大蔵省は、その辺のことについてはどのようにかかわっているのでしょうか。
  41. 山口公生

    山口政府委員 この法案の審議の冒頭に、委員長からの御注意もございました。十分そういったことに留意しながら政策をやっていきたいと思っておりますけれども、今回の件に関しましては、両行の発表の内容をごらんいただきますと、当然のように、これを前提とした合併ではございません。通常の単純合併の形をとっておりまして、ただ、その合併の形が変わり得る可能性があるということを留保しているということでございます。したがいまして、そのあっせん行為等も、もちろん法律が成立して、改めてそれが必要なのかどうかということを私ども考えなければいけないものでございます。  その時点でまた、両行が受けるのか受けないのかということもあります。すべて国会の御審議を仰いだ上での話でございますし、それをあらかじめ決めているとかいうことではございません。
  42. 並木正芳

    ○並木委員 ふたをあけてみたらということがいろいろな破綻処理の問題等でもあるわけですけれども、既に先行して進められていた、国会軽視ということがくれぐれもないように、一言申し上げておきたいと思います。  次に、この中で、特定合併あっせん大蔵大臣が行っていくというような案がございます。この辺について、今も一部、なにわ、福徳の問題で、今後またそういう点についてもいろいろ検討していくというようなことがあったのですけれども、この辺が以前から言われている裁量行政の拡大につながっていかないのか。その明確なルールみたいな基準をある程度オープンに示すことができるのか。その辺については、どうお考えでしょうか。
  43. 山口公生

    山口政府委員 特定合併あっせんは、今後、監督庁ができますと監督庁の方で行うことになりますが、経営が悪化し預金払い戻し停止に陥るおそれのある金融機関複数存在するときに、これらの金融機関がその地域で果たす金融機能を維持することが預金者あるいは取引先を初めとした地域経済のために不可欠であると認められるような場合について、行うことができるわけでございます。  したがいまして、その時々の状況地域経済状況、環境、すべてを勘案して必要性を判断するわけでございますけれども、ただ、そのときに、破綻金融機関定義等につきましても、従来と同じで、預金払い戻しを停止または停止のおそれがある金融機関というふうにしております。  あらかじめ基準を設ける、あるいはルールを設けるという御指摘は大変もっともなお話ではございますけれども一いろいろなケースがございます。こういう特定合併あっせんがどうしても必要かどうかというのは総合的に判断せざるを得ないと思いますが、ただ最終的には、資金援助を行うかどうかの決定は預金保険機構の運営委員会が行うものでございます。だから、これもこれまでの資金援助と同様でございまして、当局の裁量だけですべてが決まるというものではございません。当然、相手方の同意というのが前提にあるわけでございます。
  44. 並木正芳

    ○並木委員 我々も国民の代表でございますけれども、どうも我々の目に見えないような形の処理がされかねないのではないか、そういう懸念をするような、やってみなければわからないみたいな話がまことしやかに語られるわけですけれども、この辺についても私どもは問題があるのではないかと。今後そういう処理の中で、当然、明確なルールというのが明らかになっていくのかと思いますけれども、その辺についてもしっかりと国民にわかりやすい処理考えていただきたい、そのように思います。  ところで、大臣は再三にわたって、この法案等の質疑の答弁の中で、仕組みを決めることと財源は別なんですよというようなことを言われておりますけれども、今の話でも、新たな資金援助が必要となる。そういうような枠組みを大きくしようということですから、当然、この法案が実効性を持つためには財源対策というのが不可分ではないかと私は思うわけです。既にもう何度も言われているように、預金保険は底をついていると言われているわけです。  私が十一月六日に本会議で質問をさせていただいた際に、橋本総理は、預金保険機構の財源で対処困難な状況が発生した場合には一九九八年度末までに保険料率の検討を行う、これは現行法にも入っているところの処理だというようなことかもしれませんけれども、こういうような発言をされて、対処困難な場合でも財政資金を投入する考えがないということを言われています。それによって株が下落したりとか、そういうようなことも御案内のとおりあったわけでございますけれども。  大蔵大臣も同様の見解ともちろん思うわけですけれども、このときの見通しと現在大臣がお考え状況とどう違ってきているか、もう一度その認識をお聞きしたいと思います。大臣にお聞きしたい。
  45. 山口公生

    山口政府委員 大臣の御答弁の前に、事実関係等を申し上げます。  先ほどのお話の中で、特定合併の方式を認めるとどんどんお金がなくなるという御指摘でございますが、むしろ私どもの感じでは、このまま放置するともっと悪くなってもっとコストがかかるから事前に手が打てないかということもあわせて考えておるわけでございますので、その辺をちょっと御理解をいただければ幸いでございます。  それから、保険料の見直しの問題は、これは法律、政令で、今御指摘されましたような形で十年度末までに保険料の検討を行うというふうになっておりますので、一応そういう姿で金融三法の運営をさせていただいておったわけでございます。残り一・三兆といつも言っておりますけれども、これも一・三兆がずっと未来永劫残るわけではありません。だんだん食いつぶされていくわけでございます。この五年間の破綻の見通しというのは非常に困難でございますけれども、最近に至りまして北海道拓殖銀行破綻が起きました。北海道拓殖銀行は、ちょうど検査に入って一カ月もたたないうちにそういう事態に、資金ショートに陥って、大変残念なことではございましたけれども、今精査しております。  それで、破綻を前提にした精査をしますと、ゴーイングコンサーンのときの精査と違って幾つか見方を変えなければいけませんので、その辺についてどれくらいのロスが出るかというのをこれから精査いたしますけれども、大きいからといって必ずしもそのロスが大きいということにはなりません。比較的小さかったけれども、木津信組はばかでかいロスを出したわけでございます。大きいからといって必ずしも大きいわけではございませんが、ただ国民の皆様は北拓という都銀の一角が破綻したということで、非常に御不安の気持ちをお抱きになったのではないかということも思います。  そうすると、残りの預金保険のお金で本当に大丈夫ですかという議論が巻き起こっても、それは不思議ではないわけでございます。その辺の客観的なといいましょうか環境の違い、あるいは国民の皆様の気持ちのそういう御懸念のあらわれということが背景にあって最近こういった議論がなされて、私ども真剣に取り組む必要があるというふうに考えておる次第でございます。
  46. 三塚博

    三塚国務大臣 ただいま来、本法案改正の必要性について私からも政府委員からも申し上げておりますので、重複は本件は避けさせていただきますが、いずれにしましても破綻処理の手法の多様化を図ろうというのが法律の基本であります。そのことが地域社会に貢献し、金融システムの安定にも寄与し、そのことが預金者保護に通ずる、こういうことでございまして、預金保険の財源の話とは次元を異にいたしておるわけでございまして、目的預金者保護という観点の中で、このルールの確立をぜひとも一刻も早くお願い申し上げたいというのはそういうことであります。  そういうことの中で、金融システムの安定性の強化を図るということ。御論議の中でありますように、一・三兆で間に合うのですか、間に合わないときどうするんですか、こういう国会論議があり、これが財源強化、補てんの議論として行われてきました。この公的支援が必要であるのではないか、こういうことでございます。  この考え方がいろいろ出されておりますけれども、要すれば公的支援によりセーフティーネットを完備することにより、これまた預金者保護していくことが重要であるという政治の目的を達成しようとするところであります。したがいまして、いかなる事態が生じても対応できるように、預金者保護のため、公的支援により利用可能な資金を拡充していくことを、今後政府としても大蔵省としても検討していくことであろうと私から事務方に指示をいたしたところであります。  もちろん、こちらの法律でこの財源の問題、セーフティーネットはこれでいいのか、こういうことの国会の御論議は御論議としてしっかりと見詰めながら、重大の関心を持って対応をしていかなければならない、こういうことでございます。  金融システムの安定については、預金者保護目的としておるということを改めてまた強調させていただきます。公的資金を含め具体案を早急に得ることにより金融システム安定性確保全力を尽くしていかなければならない、これが主務大臣たる者の事態に対応する基本的な取り組み姿勢であろう、こう思っておりますので、御理解をいただきとう存じます。
  47. 並木正芳

    ○並木委員 財源と仕組みとの問題ですけれども、もう一度お聞きします。  仕組みあるいは事業を支えるには、当然財源、お金がなければできない、あるいは支えられないというようなことがある。そうでなければ、その仕組み自体が安心して多くの人に受け入れられないというふうに考えるわけです。私がお聞きしたのは、十一月初旬における公的資金導入しなくていいんだというところの見通しと今は大きく違ってきたのか。そのときは見通せなかったけれども、その後金融機関が大型破綻を起こす中で、やむを得ずこの際公的資金導入も含めて、セーフティーネットの一部ということですけれども、基本的にはそういうセーフティーネットが必要だということは我々も主張するところですけれども、そういう中で、明らかに見通しと違ってきたのかということをもう一度お聞きしたいと思います。
  48. 山口公生

    山口政府委員 財源的に先ほど申し上げた一・三兆、これはだんだん減っていくわけですけれども、これが何か大きく変わったということではありません。ただ、先ほど申し上げましたように北拓あるいは山一、徳陽みたいな、かなり立て続けに破綻が起きて、国民の皆様に、保険料の改定の問題はあるとしても、それで本当に大丈夫だろうかという御懸念が生じている。そうすると、今直ちに幾ら要る、幾ら入れなければ足りないという議論ではないわけでございますけれども、万一のときあらゆる事態に対処できるように、きちっと対応できるかどうかということが今御議論をされているところでございます。私どもそれに対しては真剣に取り組んでいかざるを得ないというふうに思っておりますので、何かその事態が事実関係において大幅に変わったということではなくて、そういった御懸念に対してきちっと対応する必要があるということでございます。
  49. 三塚博

    三塚国務大臣 これは、一・三兆残で十二分にいくであろうという判断はあります。ありとあらゆる対策を講ずることによって、本法律もその重要な中心をなしておるわけでございますが、そういう見通しがありますけれども、まさに危機管理というのは万が一に備えなければなりません。いろいろな御指摘があります。国会の御論議があります。これに対応してセーフティーネットを完備していくことが大事であり、主務大臣たる大蔵大臣責任である。このことの指示を事務方にも、あらゆるものを点検して、何がやれるのか、そして政策の立案を期すことが大事ではないか、もちろん国民の論議、国会の論議はあります、しかし政府の機関としてそれくらいのことはしっかりおやりなさい、こう申し上げたところであります。
  50. 並木正芳

    ○並木委員 一・三兆円でやれるだろうという見通したということをお聞きしましたので、大臣の見通しはそうである。大臣、お人がよろしいので、省内の方の御意見をそのようにそのままお考えなのかもしれませんけれども、大臣の見通しというのはわかりましたので、今後その推移をきちっと我々も見させていただきたいと思います。  また、大臣は、この間、預金者保護等あらゆる方法をもってやるのだというようなこともおっしゃっております。余りあらゆる方法、あらゆる方法というと、どの方法だかわからない。今も、とにかく熱意という点では感じられました。しかし、あらゆる方法といっても、国民の耳からすると、具体的に何なのだろうということになってくるのではないかと思います。  その辺について明確にしていただきたいとも思うわけなんですけれども、実は、きのうの新聞ですか、その中でも、予算委員会での大臣の発言として、ヒットとか金融債とかこういったものまでも保護対象にしていく、時限的な措置だけれども、そうしていくというようなお考えもありました。  ただ、うちの、新進党の小池議員が大学コンパ論なんておもしろいことを言われたのですけれども、先に酔いつぶれたやつの勝ちだ、酔わなかった人はみんなを介抱する。例がいいかどうかわかりませんけれども、そんな話もありました。  時限的にどんどん、今の段階ならまだ多少余裕があるからというようなことでその対象を拡大していくことが、先ほどからもお話ししています、いわゆるモラルハザードにつながっていかないかなという懸念もまたあるわけですけれども、大臣はその辺、どうお考えでしょうか。
  51. 山口公生

    山口政府委員 あらゆる方策を検討しろという御指示が出ておりますけれども、これはやはりアプリオリに私どもがこれしかないと決めるのではなくて、例えば国会での御議論等も十分聞きながら、どういう御意見があるだろうかというのを、いろいろな形の御議論があります。マスコミでの議論もあります。そういったのをよく見ながら、しかも、いろいろなことを考えておられる方がいらっしゃいます。例えば預金保険のことだけをお考えの方もいるし、あるいは貸し渋りに関して何かもうちょっとやるべきだという方もいらっしゃいます。今起きている現象に対して、いろいろな角度からの御議論があります。そういったものを、私どもとしては広く聞きながら検討していくという趣旨でございますので、そこは、何もないというような印象でおとりになると私どもとしては大変残念でございますけれども、一生懸命やらせていだだいております。  それから、先ほどおっしゃいました対象云々ということでございますけれども、今の預金保険法は、いわゆるペイオフという原則をこの五年間やらなくて済む形にさせていただいております。それは特例措置でございます。これは附則でありまして、附則で確保している五年間に限りますと、やはり預金者保護、これはペイオフでも一千万までの元本は付保しますね。それを上回ってもかなり広い範囲で保護できる。単に狭い意味預金者だけじゃなくて、全体として、預金保険機構の機能の拡大というものが金融システムまでカバーしているわけです。なぜならば、そこで全部カバーするという前提に立っていますから、日銀は二十五兆の特融が出せます。したがって、逆に言えばインターバンクもそこでショートしなくて済む。だから、今のこの五年間というのは、預金保険機構はかなり機能を拡大している、その機能の中にこういったものが結果として含まれる、措置がやり得るようになっている、こういう趣旨をおっしゃっております。  もちろん、預金保険機構だけでやるのではなくて、それぞれの金融機関が、健全であれば何も問題ないわけでございますので、まずは健全に運営してもらうということが基本であります。また、それが十分可能ではあると思っておりますけれども、そういったことをおっしゃっておるわけです。  その御発言されたときの背景は、実は先週でございました。いろいろな風評が飛び交いまして、例えば特定の地方銀行で行列ができたのです。預金保護しますと言っているにもかかわらず行列ができる。それは、風評で物すごく国民の皆様に御心配をおかけした。それから地方銀行だけではなくて、中央にある銀行でも列ができました。これは、これが危ない、あれが危ないという風評が出てきたからでございます。  大臣としては、それをあえて国民の皆様に、そういった風評に惑わされないように、きちっと私どもとしてはあらゆる手で、預金保険で守れる場合もありますし、あるいはその金融機関がしっかりしているから大丈夫だという意味も込めておっしゃっているわけでございます。そこをぜひ御理解を賜りたいと思います。
  52. 並木正芳

    ○並木委員 先ほども出ましたけれども、保険料率の検討です。これは金融機関の自己責任ということで当然現行法あるいは省令の中にもあるのですけれども、これは既に検討に入っている。先ほどお話ししたように、総理が指示したというようなことですから当然そうかと思いますけれども、そういう解釈でよろしいわけですか。
  53. 山口公生

    山口政府委員 やはり公的支援の話が出ますと、保険料を一体どこまで上げられるのかという話は当然付随してくる問題であります。ただ、十年度末までにとなっていますから、今すぐ答えが出るかどうかわかりません。それは五年間の財源の問題を、今ちょうど一年半たったところでございますので、余り今すぐ決められるかどうかはわかりませんが、公的な支援の問題が出てきますと、やはりそういったことも議論をしていかなければいけないということでございます。  いつ結論が出るというわけではございませんけれども、そういったことも含めてやりませんと、なかなか国民の皆さんの御理解も得られない、こういうことでございます。
  54. 並木正芳

    ○並木委員 先ほどから処理の問題等いろいろお聞きしているわけですけれども、こういうものはすべてビッグバンへ突入するその前段階ということかと思います。まさにビッグバン、期待でもあると同時に、こうした処理についてきちっとやっていかなければならないということだと思いますけれども、それには、金融機関あるいは金融行政をつかさどるあるいは財政をつかさどる行政機関、これへの信頼抜きにはできないと思います。  大臣も、ビッグバンのまさに要件としてフリー、フェア、グローバル、これはもう盛んにおっしゃっていることですけれども、これら三要件というのは、きちっとチェックができていて、そして国民への説明がつく、ディスクローズがきちっとされているということが不可欠であろうかと思います。事前的規制から事後的チェックをというようなお話でもビッグバンは言われているわけですから、その辺についてお聞きしたいと思います。  先ほど、秋葉委員の方からも山一の簿外債務、飛ばし等の問題が出ておりました。私が先日質問しましたのは十一月二十五日でございますけれども、飛ばしについて、先ほどお答えもあったようですけども、山一側の隠ぺいだ、だから大蔵省ではやむを得ないのですよというようなところで答えが終始していると思うわけですけれども、一方では、飛ばし疑惑というのは知っていた。市場関係者の常識と言われたわけですから、当然、大蔵省が知らないというのはおかしいわけですけれども、知っていた。しかし、結局、私の質問への答えでも、資料が出なければどうしようもないのですよというようなお話がありました。  これでは、監督官庁として、頼りにしていいのか、あるいは厳しく言えば無責任じゃないか、こういう意見が出てくることだと思いますけれども、そういうものを踏まえて、その後、この検査システムというのを検討すべきではないか、あるいは検討に入った、そういうようなことがあったのでしょうか。あるいは、大臣、指示を出したのでしょうか。
  55. 三塚博

    三塚国務大臣 本件についても、御説のように指示を出しました。厳正な対処、そして行政機関の担当セクションとしての責任を果たしていくためにはいかになすべきか。スタッフがそう多くございません。しかし、それをもって免罪はない。しっかり全力を尽くして責任を果たす。そのためには何が必要なのか。言うなれば、職員のチェックポイントの問題もあるでしょうし、反省の中でこういけばいいというのもあるでしょうし、そのことを協議の上、取り決め進んでほしい、こう申し上げておるところであります。
  56. 並木正芳

    ○並木委員 ところで、二十五日の質疑でも一部触れて時間がなくなってしまったのですけれども、あるいは余りこういうことはお聞きしたくないことでもあるのですけれども、残念ながらというか、お聞きしなければならない。  それは、第一勧銀の大蔵検査の最中に、検査官、複数の検査官が銀行側からゴルフの接待やあるいは飲食の接待を受けていた、こういうことで、既にお答えもありました。大蔵省も処分をしたということですけれども、こういったことについて、複数の人がやったということで、我々はまだまだと考えるところもあるのですけれども、これは個人的な欠陥だ、そういう問題として処理をされたのでしょうか。そういうふうに言い切れるのでしょうか。
  57. 三塚博

    三塚国務大臣 御指摘の問題でございますが、検査に対する社会的信頼を著しく損なうものであり、まことに遺憾なことでございます。  去る七月二十九日付で、担当金融検査官等を処分いたしたところでございます。また、私から金融検査部長に対し、一層の綱紀の厳正な保持を求めますと同時に、今後の検査の実効性をより向上させるよう、指示をいたしたところであります。  いずれにいたしましても、検査において社会的に疑念を招きかねないことがあってはならない、これは当然のことであります。仮にいやしくも本件のような事態があれば、今後もさらに厳正に対処してまいりますが、二度と起こらないように、綱紀を引き締め頑張る、こういうことに尽きるかと思います。
  58. 並木正芳

    ○並木委員 ところで、大臣、多分御存じなのでしょうけれども銀行証券会社にMOF担と呼ばれている、企画部とかに属する大蔵省担当、重役等も含めてらしいですけれども、こういうものがおられるそうなんですけれども、大臣は御存じでしょうか。
  59. 三塚博

    三塚国務大臣 国会論議で知りました。
  60. 並木正芳

    ○並木委員 国会論議でも出ているところですけれども、このMOF担の決裁できる予算というのが、都市銀行では、重役クラスなんでしょうけれども、一人で年間一億円、あるいは証券会社では一億五千万円にも上る、そういうことさえ今言われております。  週刊誌等を題材にとってというのも恐縮なんですけれども、四大証券の、一角は破綻しましたけれども、いわゆる総会屋等の利益供与事件、こういう中で資料が押収され、そうした資料の中にこのMOF担関連の大蔵省への接待費というのが物すごい数に上る、接待伝票の山であるというような記事がございます。そして一流料亭だとかクラブだとかレストラン、あるいは検査部員の夫人へのプレゼントとか玉代だとか、もういろいろなものが取り上げられております。  長野証券局長は、大変難しいお名前で、すばらしいお名前ですけれども、今やそういう中で有名人として写真まで出されて心外だと思いますけれども、私も、こういうことは本来心外だと言い切っていただきたいと思うわけなんですけれども、大臣はそのようにお考えなんでしょうか。それとも、こういうものについて再度きちっと調査をし直そう、そういうお考えなのかどうか、お聞きしたいと思います。     〔井奥委員長代理退席、委員長着席〕
  61. 三塚博

    三塚国務大臣 MOF担の件については、通常国会以来議論になったところのように記憶をいたしておるわけであります。  公務員は、公私の別を明らかにするというのが基本であります。いやしくも国民の不信を招くような行為はあってはならない。厳に慎むべきことは当然であり、従来から職員に対し注意を喚起いたしておるところであります。  しかしながら、そのようなことを云々されますことがあっては、公務の公正、厳正な遂行に対する国民の信頼の基本が損なわれかねません。また、そういうことにつながります。よって、今後とも、昨年の十二月に制定した大蔵省職員倫理規程の遵守を初めとして、綱紀の粛正について一層の徹底を図るよう、そしてその実を上げるよう、こういうことで強く要請をし、実行させておるところであります。
  62. 並木正芳

    ○並木委員 大臣の願いというか意思はお聞きしましたけれども、このMOF担の仕事の一つに、先ほどから私が質問しております、検査部が抜き打ち検査に入る、それを前段階で知ることだというのがあるというやに聞いております。結局そういうところで、福岡に出張するとか仙台に出張するという情報というのは、つまり抜き打ち検査が あるよということだということで、もしこういうことが漏れているということになると抜き打ちも何もなくなってしまうわけですけれども、くれぐれも、それが単なるうわさとかであってほしいとは思うわけですけれども、大臣に、もう一度その辺をきちっとさせるということで、御答弁をいただければと思います。
  63. 三塚博

    三塚国務大臣 御指摘のようなうわさが出るようなことのありませんように、厳に、厳に、これは行動を厳正にして、明確にして、疑念を挟まれることのないよう、改めて注意喚起をいたします。
  64. 並木正芳

    ○並木委員 期待しております。  ところで、ちょっと銀行処理とは違うのですけれども、既にいろいろ佐々木委員の質問とかにもありますけれども、日産生命の破綻に関しての処理、これに重ねて、この今回の法案におけるいろいろな処理が出てくると思うのですけれども、その辺をもう一度検証してみたいと思うわけなんです。  四月に日産生命は破綻したわけですけれども、これはもう再々言われているように、大変高利回りな年五・五%というような個人年金保険、こういう商品をつくって、これを急激に売り上げたというようなことで、悲劇的に一年で三百億円の逆ざやになってしまった。これが破綻の一因とも言われているところでありますけれども、これに銀行が積極的に関与したといいますか勧誘をして売り込みを行い、そして手数料をもらい、さらに一時払いということでの年金ローンの利息をもら.い、そしてまた日産生命には協力預金というようなことで、まさにこの低金利時代、一般の国民が苦しんでいるときに銀行はせっせとこういうような形で収益を上げていたというようなことが言われているわけでございます。  これは、明確に銀行法あるいは保険業法の違法行為であります。大蔵省はこの実態を既に一九八八年には掌握していた、あるいはこの商品の売り上げの急激な伸びを見れば当然認識できたというところですけれども、その際、かなり古い問題になるのかもしれませんけれども、ただ口頭指導してその後推移を見守るだけであったというようなことなんですけれども、そういうことだったんでしょうか。
  65. 福田康夫

    福田政府委員 お答えいたします。  特定の銀行の個別具体的な案件に係ることにつきましては答弁を差し控えさせていただいておりますが、個人年金保険の加入に際しまして、一部の契約者が保険料ローンを利用されたことは承知しております。一般論でございますが、提携ローンそのものは、保険会社と金融機関があらかじめ所要の提携時期を定め金融機関が保険料の融資を行うものと承知をしておりまして、そのこと自体は問題となるものではないと考えております。また、銀行員が行った行為がどの程度の事実行為があったかというような点も、個別の具体的な事実認定があって判断すべきものと考えております。  個別的な事項については申し上げられませんが、当局といたしましては、個別問題についての申し出等をいただきました場合は、その内容をお聞きした上で、必要に応じて事実関係について関係者からヒアリングをさせていただき、問題があれば適切に対処しているというところでございます。
  66. 並木正芳

    ○並木委員 適切に対処するじゃなくて、既に一九八八年起きていることなわけですね、これから起きたらどうしましょうということでなくて。そういう事態を掌握していながら、ただ口頭指導だけでとどめたんじゃないかというふうに私はお話ししているわけです。  顧客を紹介したんだとか系列のところがやったんだというんですけれども、これも報道にもあったんですけれども、この保険料ローン利用希望者紹介票というんですか、これには、紹介といいながら申込書の日付を記載日の数日前の日付を記入しろ、こういうようなマニュアルまで銀行の中で配られているわけですね。そういうことになると、まさに申込書と一致さしては契約をとってきたんだというようなことなので、何日か前に紹介しました、そういう形をつくりなさいと、まさに組織的確信犯というか、そういうやり方をしていた。  先ほどから申し上げるように、こういうようなことでは国民税金まで出して、もちろん自分たち預金者保護ということもあるんですけれども金融機関の混乱を防ごうというところにまさに信頼を欠き、何で税金を出さなきゃならぬかということになっていくと思うんです。こういう事態が当然把握できたんじゃないかと思うんですけれども、もう一度お聞きしたい。
  67. 福田康夫

    福田政府委員 今、内部書類の御指摘かと思いますが、そのような件について具体的に承知しておりません。そのような内部関係書類につきましては、当局への報告事項となっているわけではございませんので、つまびらかにしておりません。  御指摘のようないろいろな報道がございますが、常々申し上げていますように、銀行員が行った行為がどのような事実行為であったかという個別の認定があって判断すべきものと考えられます。そして、このような件につきましては、やはり当事者間の認識が異なる問題でございますので、なかなか正確な事実判定ということにつきましては難しい面があるということを御理解賜りたいと存じます。
  68. 並木正芳

    ○並木委員 今の書類が報告事項になるわけはないわけですよ。そんな法に明確に違反することを、しかもそのマニュアルが書いてあるというような、それを報告して、はいそれを承認しましたなんということはできるわけがないわけですから、およそその辺ではおかしな答弁ということになろうかと思いますけれども、口頭指導はしているわけですね。  八八年に出した地銀のニュースなんかにも、これは明確に書いてあるわけです。大蔵省は、勧誘は違反である、行き過ぎがある、こういうことを言いました。しかし、それ以上調べなかったみたいな話なんですね。ですから、そういうことではこれから先信頼を欠いてしまうだろう、そういうふうに思うわけであります。  しかもこれが、ある特別な、ないしょで一行ぐらいが、あるいは一信組、一信金ぐらいがやっていたとかいう話じゃなくて、信組、信金あるいは地銀、住友銀行あたりもあったとかいう話ですけれども、そういうようなもう組織的に行われていることです。そういうことを掌握できなかったともう一度言い切れるんでしょうか。
  69. 福田康夫

    福田政府委員 御質問、過去の金融機関の件につきまして当時法律違反があったという認定を行った事実はございませんで、また、そのような明確な法令違反を見送ったという事実もございません。  六十三年には、当局はすべての生命保険会社に対しまして、ローン提携の保険商品の販売に当たっては募集取締法違反のないよう十分提携先金融機関にも説明する旨指導してきております。  そういうことで、現在も、個別に苦情等がございましたらそれにつきましてヒアリング等行いまして、必要に応じて指導を行っているということでございます。
  70. 並木正芳

    ○並木委員 これはちょっとうがった見方かもしれませんけれども、当時の平沢銀行局長、これは、大蔵事務次官になられて現在横浜銀行頭取、そしてまた、今お話ししたように日産生命の保険を多くの銀行が売りまくったわけですけれども、その地銀の集まりである全国地方銀行協会の会長、こういう人なんですね。当時担当していたトップ分野の方ですけれども、こういうところで、果たして、知っていながら穏便に済ませたというようなうがった見方もできるわけです。現在こういうことがあってはいけないということで、さまざまな点で天下りによって行政が曲げられるというようなことをさまざまな方が指摘しているわけですけれども、現在、この十年ぐらいでも結構だと思うんですけれども、こういった局長とか保険部長とか関係課長が銀行証券業界にどのぐらいいわゆる天下りをしているんでしょうか。
  71. 山口公生

    山口政府委員 ちょっと突然のお尋ねなんで、手元の資料で少し、今の御要請にぴったりではございませんが、課長以上だけじゃなくてすべての職員に広げまして、それで全国の銀行百四十九行の有価証券報告書に記載された役員のうち、大蔵省にいたことがあるという人は百十七名でございます。それから保険について言いますと、今の九年の八月一日時点で、これは本省の課長職以上と、ちょっと急に拾ったので数字のベースが合わなくて申しわけございませんが、在職したことがあるのが二十二名ということでございます。
  72. 並木正芳

    ○並木委員 そういう、癒着がないということはもう当たり前の話ですけれども、今後戒めて行政に当たっていただきたいと思うわけです。  もう一つ、日産生命のことに関して重要な点なのですけれども、この事業を断念した後に、九三年度にはもう既に九百六十一億円の債務超過があったと公表されたわけです。そして九六年度、ついに破綻したときですけれども、千八百五十三億円の債務超過。これは、みんな表向きは九七年三月期決算でも五百二十二億円の最終損失、こういう予定だった。しかし、実際は三千億円規模の債務超過になって、今、保険契約者保護基金の上限二千億円を超えるということでずっと問題になってきたわけですけれども、この辺については大蔵省も知っていた。しかも、相互会社は契約者にディスクロージャーするいろいろな情報誌があるわけですけれども、それにも当然載せるべきが、むしろ逆で、そういうものは載せないで配当を与えていた。非常に逆の結果になったわけですけれども、こういうことが隠されていたといりことでは、まさに情報開示、あるいは不開示というよりも隠ぺいということになるわけですけれども、それについて大蔵省の方ではどうだったのでしょうか。
  73. 福田康夫

    福田政府委員 お答えいたします。  私どもは、平成七年九月の検査によりまして、実体的に含み益の減少など資産内容が急激に悪化したことを確認いたしました。ただ、平成七年九月の時点では、残存する含み資産等もあり、さらに相当の経営改善計画も策定されておりましたので、経営努力による再建は可能と考えていたものでございます。  そして、ディスクロージャーについてのお尋ねでございますが、保険会社のディスクロージャーそのものにつきましては、他の金融機関の業態とのバランスにも考慮しつつ、これまで充実に努めてきているわけでございます。不良債権につきましてもそうでございますし、有価証券情報についてもほかの金融業態と同様のレベルの開示を行ってきております。恐らくお尋ねは、いわゆるオフバランスも含めた含みの世界もすべてディスクローズすべきではないかということと存じますけれども、この点につきましては、例えば取引相場のない有価証券、外国証券も含むわけでございますが、このような客観的な、正確な時価の算定が困難なものを含めて財産の状況開示させるということは、正確でないだけに多くの問題を含むものと考えられますし、このような問題につきましては、生命保険会社だけでなく、すべての企業会計に関する問題であるというふうに考えております。
  74. 並木正芳

    ○並木委員 時間がそろそろあれなようですけれども、こちらの方は、米本社長は既に九三年に報告している。先ほどからの山一は報告がなかったということなのですけれども、報告していたというふうに会見で語っております。そういった点では、今言ったように大蔵省の裁量の中でこれは一過性の赤字だから何とかなるでしょうというような判断だったかもしれません。結果的には一過性ではなかった、ますます膨らんできたということで、御案内のとおりの破綻ということになったわけですから、その責任をもう一度よく考えていただきたい。  そして、最後にお聞きいたしますけれども、この契約者保護について、支払い保証機構というものはまだできていないということなのですけれども、先ほどからのヒットだとか金融債を含めて、この銀行の方のあれは保証するということです。この辺について、生命保険の破綻ということでは公平性を欠くのじゃないかということと、この日産生命は、解約すると既に返戻金はもう一五%カットするというようなことが行われているということなのですけれども、これを一五%カットして、相互会社だから同じ責任があるから一千億の穴埋めをこういうことでやっていこうという考えなのかどうなのかと思うのですけれども、この辺、掌握しているのか。しているとしたら、どういう措置をとっていくのか。その支払い保証機構等の設立見通しと不平等性、それと今の解約返戻金の問題、この二点について最後にお答えいただいて、質問を終わりたいと思います。
  75. 福田康夫

    福田政府委員 お答えいたします。  保険商品につきましては、預金等と若干異なりまして、保険契約の継続を図ることが極めて重要であると考えております。このために、現行保険業法におきましては、契約者保護基金制度を設けまして、保険会社の破綻があった場合でも救済保険会社への経営の移転が円滑に行われるよう支援することとしておりまして、保険契約の継続を通して保護を図っているわけでございます。  さらに、現在は、救済保険会社が出現しない場合にも保険契約の保護が図られるようにという観点で、いわゆる支払い保証制度導入について検討しているわけでございまして、この制度の内容等については現在まさに検討中でございます。  それから、日産生命の契約者に対します早期解約控除制度でございますが、これは御案内のとおり、契約移転後一定期間内に解約を行う場合には、通常の解約返戻金に一定の解約控除率を乗じて返戻金を減額するものでございます。これは、残りました方々の保険の集団性を維持するということと、早期の大量解約に伴う受け皿会社の収支悪化を防ぐために導入されているものでございまして、例えば米国の破綻処理でも採用されているような制度でございます。  いずれにしましても、このような手続については、総代会あるいは契約者の同意を得て執行させていただいているというものでございます。
  76. 並木正芳

    ○並木委員 ありがとうございました。
  77. 村上誠一郎

    ○村上委員長 次に、池田元久君。
  78. 池田元久

    ○池田(元)委員 預金保険法審議がきのうから始まりまして、民主党として初めて質問させていただきます。これから同僚議員も質問いたしますが、私は、政府の対応を中心にまずただしていきたいと思います。我が国の置かれた状況、特に経済の状態についてはどうか、その認識と対応策について論議をしていきたいと思います。  御承知のように、日本版ビッグバンが来年四月の外為法改正から始まり、既に金融機関ではいわゆる早期是正措置と連動します自己資本比率を高める動きが強まっております。その結果、金融機関の貸し渋り、これは私たちが地元に戻っても大変頻繁に聞きます。その個別金融機関の貸し渋りから、市場全体の信用収縮へと悪化する気配すら出ております。  一方、このバブルの後、六度にわたって打ち出した景気の下支え策、この経済対策は財政の悪化をもたらしたことは御承知のとおりです。しかし、その対策の効果というのは余り顕著なものはなかった。むしろ、ここへ来て景気の足踏み状態、減速感、不況感が強まってきました。  バブル後の経済停滞は、その根底に、金融機関等のバブルの処理が進んでいないこと、つまり巨額の不良債権の存在があったことは明らかです。そして、ここへ来まして、不良債権処理の行き詰まりから金融機関破綻が相次ぎ、ついに都市銀行と四大証券の一角が崩れたことは御承知のとおりです。  今、我が国は、ピックバンに対する備えと不良債権の早期処理という二正面作戦を強いられていると言っていいと思います。国民の皆様は、金融機関の不倒神話、倒れない神話があっけなく覆され、経済がどうなるか、政府は何を打ち出すか注目しております。橋本総理大臣がいればお伺いしたいところですが、三塚大蔵大臣、政府はこの事態をどうするのか、わかりやすく明確にまず考えを示していただきたいと思います。
  79. 三塚博

    三塚国務大臣 委員がここ数年の動向についての分析を指摘されました。その分析は私も共有するところであります。しかるがゆえに、財政構造改革でありましたり経済の構造改革でありましたり、ピックバン、金融システムの改革をやり遂げることによって、日本の経済を復元しよう、活性化しよう、こういうことであったことは御理解いただけると思っております。  そういう中で、今日の事態に対応をし、日本の神話は崩れたのではないか、これは信用という意味での神話だろうと思います。ですから、金融機関は、信頼維持のために自助努力の限りを尽くして復元をしなければならぬ、そのように期待をし、また、そのように激励を申し上げておるということであります。  今後の対応といたしますれば、神話になったのは別としまして、マクロ不良債権の解消のために政府としても施策を考えていかなければならないことであるな、こういうこともございます。また、活性化を図るため税制等の論議が国会においても盛んでありますから、これをしっかりと踏まえていかなければなりません。そういうことどもの中で、財政構造改革法を成立させていただきました。この理念に矛盾しないように、整合性を持って経済政策、税制をにらんでいかなければならぬ、こう思っております。
  80. 池田元久

    ○池田(元)委員 一本筋の通ったお話をしていただけると思ったのですが、大変残念です。  十一月十七日に拓銀の破綻が公になりまして、二十二日未明に山一証券の自主廃業への動きが明らかになりましたが、橋本総理大臣はどうされていたか。その未明の記者会見では、山一については「報告を受けていない。事実関係を把握していないからコメントのしようがない」と述べただけで、APECに出かけました。私としては、この状況ですから、APECからすぐ帰ってきて金融不安の解消策を果断に打ち出すべきだと思っていましたが、その後、個別の破綻処理に追われるだけで、言ってみればほとんど無為に日を過ごし、まだトータルな危機対応策を打ち出せずにおります。  一九二九年の世界恐慌のときに、フランクリン・ルーズベルト大統領は、これは有名な言葉ですが、「恐怖自体を恐れなければならない」と述べました。私としては、そうではなく、政府の無策、対応の遅さを恐れると言わざるを得ません。大蔵大臣としてはどのように責任を果たしていくのか、簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  81. 三塚博

    三塚国務大臣 金融問題につきましては、金融経済の動脈でございますから、この安定維持、その目的預金者等の保護、こういうことに尽きるわけであります。そして金融の安定性というものが確立をされていき、両々相まちまして、国民に御安心をいただく、経済界に御安心をいただく、そして生業に全力を尽くしていただく。そのためには、ありとあらゆる選択肢を分析し、点検し、そして対応の諸施策を講ずるように、こういうことで事務方に督励をしておるところであります。  本日、預保の改正案を、御案内の重要性の中でお出しをいたしております。これはまさにシステムの安定のための追加措置としてのルールであります。こちらは財源であります。財源の問題、ただいま申し上げたとおりでございますが、本件については、全力を尽くしてその対応に当たっていかなければなりません。  国会の論議を踏まえ、各党の論議を踏まえ、そういうことの中で対処してまいる、こういうことで、具体案の作成に、大蔵省大蔵省として、私の指示を受けて全力を尽くしておる、こういうことに御理解をいただければと存じます。
  82. 池田元久

    ○池田(元)委員 私たち民主党としては、現在の事態に対して、緊急金融対策を昨日まとめました。  国民金融不安を解消し、政府が大胆な政策を打ち出す前提として、まず関係者の徹底的な責任追及を行わなければならないと思います。橋本首相を初め自由民主党主導の歴代政権が政策を誤ったことを認め、責任を明らかにすることを求めております。  また、国会に強力な調査権限とスタッフを持った専門の特別委員会を設置して、関係者の証人喚問を初め必要な調査を行い、金融システム安定化に向けて必要な法整備について次期通常国会で集中審議することを提案しております。  先ほども出ておりましたが、大蔵省につきましては、大蔵省金融機関経営者のモラルハザードを容認してきた護送船団方式の金融機関監督に誤りがあったことを率直に認め、その上で、省全体として一切の民間金融機関への天下りを自粛すること、金融機関の役員となっている大蔵省出身者の退任を求めることにしております。  経営者につきましては、破綻金融機関は存続を認めない、役員は総退陣させる。そして不公正な取引が破綻の原因となった場合には、過去にさかのぼって経営者の刑事上、民事上、道義上の責任を厳正に追及すべきだと考えております。  次に、ディスクロージャー徹底と公正な監視を行う必要があると思います。  国内と国際でダブルスタンダードになっている金融機関不良債権の定義を見直して、全金融機関に、アメリカの証券取引委員会SECと同様の基準に基づく不良債権の公表を義務づける必要があると考えております。  また、違法行為金融監督当局が見逃すことを防止するため、公務員の不正行為告発義務に罰則を加えることを検討すべきであると考えております。  そして、不良債権処理を早期に進めるために、現在ある整理回収銀行と住宅金融債権管理機構を母体に、強力な債権回収機能を持った公的な破綻処理機関として公的債権回収機構、いわば日本版RTCですが、そういった公的債権回収機構を創設すべきだと考えております。この機構には破綻金融機関の管財人機能を付与して、処理策を策定し、破綻金融機関経営者等に対する損害賠償等の民事訴訟を起こせるようにすべきだと考えております。  また、預金保険機構の保険料見直し、資金調達に関しては、政府の保証支援を行うべきだとしております。  さらに、破綻金融機関受け皿金融機関の自己資本を増強するために公的支援を行うとともに、中小企業向け年末資金の公的支援と雇用対策を強力に推進すべきだと考えております。  以上が民主党の緊急金融対策の本当のさわりでございますが、何か御意見等があったらお尋ねをしたいと思います。
  83. 三塚博

    三塚国務大臣 民主党の取りまとめた案、拝聴いたしました。  要すれば、現下の政治の取り組む基本は、預金者等の保護であります。これと密接に関連をして、この保護が完璧になりますようにしてまいりますのが金融システム安定維持であります。全体の信認をどうやって確保するか、こういうことでございます。政府としても、先般来申し上げておりますとおり、橋本さんを中心に、主管大臣としては私を中心に、大蔵総力を挙げて、この事態にどう対応し、どうここを安定をさせ御安心をいただけるかということで全力を尽くしておることであります。  御党の案につきましては、どうぞ院の御協議の中で、政党間御協議の中でお取りまとめいただきますよう祈念を申し上げます。
  84. 池田元久

    ○池田(元)委員 ぜひ国会で各党の皆様方と真摯な論議をしたいと思います。  さて、一九九三年二月、今から四年半前ですが、古い話で恐縮ですがと言いたいところなのですが、当大蔵委員会で私が質問をいたしました。そのとき、たしか金融システムの問題を取り上げたという記憶がありましたので、もう一度読み返してみました。この四年半前、「不況感が一向になくならないのはバブル経済崩壊に伴う我が国の金融システムに対する不安が根底にある」そして「金融システムの不安の解消のためにはいろいろなことを行う必要がある」と私は主張いたしました。そしてノンバンクの処理などについて論じたわけです。  これは今回じことを言わざるを得ないのですね、全く同じことを。同じことを言わざるを得ないということは、この四年半前と状況が変わっていない、政府と金融行政担当の大蔵省状況を変ないか。早くから金融システムの不安を私は言ってまいりましたが、大蔵省はこの間どのような具体的な対策をとってきたのか。時間がありませんから、簡明にお答えいただきたいと思います。
  85. 山口公生

    山口政府委員 先生の御指摘の変わっていないという率直な御印象は、私どももある意味では同感できる面があります。  しかし、見方を変えますと、大変失礼な言い方かもしれませんが、バブル崩壊の影響がまだ続いている、どんどん進んではいるんだけれどもまだ残っている、こういう見方もできるのではないか。そのために、対応としましては、例えば私の方の預金取扱金融機関に関しましては金融三法をお認めいただきまして、これがシステミックリスクとかあるいは取引先保護等に万全を期すまでの機能を与えていただき、仮にこういった破綻等が起きても経済全体のダメージを最小限にするという方策をお認めいただいております。  そういったことで、一つ一つ対応としては私どもとしては国会の御承認を得ながらやらせていただいているというふうに感じている次第でございます。
  86. 池田元久

    ○池田(元)委員 部分的なことはおやりになったことは認めますが、全体的には顕著な効果のある対策はおとりにならなかった。四年半前、このときは林大蔵大臣ですか、それから銀行局長は寺村さんですか、いずれも抽象的な答弁ですね、健全な体制に持っていくとか。だから、大体こういう取り組み方が基調になっているのだと言わざるを得ないと思います。  同じ大蔵委員会ですが、ことしの四月九日、大蔵大臣は、「不良債権の額について大蔵省として全能力を駆使して確定しているわけですから、これを信頼していただく。着実に処理は進んでいると信じている」と述べました。この発言に誤りはなかったかどうか、感想をお伺いしたいと思います。
  87. 三塚博

    三塚国務大臣 全力を今でも尽くしてくれていると思います。いろいろな分析機関、分析誌等もございますが、私はその都度聞いておるわけでありますが、前進をしておるということであります。
  88. 池田元久

    ○池田(元)委員 お言葉でございますが、この現実を見ればそういうことは言えないのではないか、私はそういう感想を持ちます。  次に、同じ大蔵委員会で、ことし四月十一日、大銀行二十行をつぶさないというのは国際公約なのかという同僚議員の問いに対して、「これは、国際公約ということではなく、日本の大蔵大臣としての決心を申し述べました。」と答弁をされております。拓銀が破綻をした今、この発言について、大変言いにくいのですが、不明を恥じるべきではないかと言わざるを得ませんが、いかがでしょうか。
  89. 三塚博

    三塚国務大臣 二十行は日本を代表する銀行という意味は、経済国家として諸外国に機関を持ち、支店を持ち、内外の金融を担当しておる、特に国際金融の場面で活躍をしておるということであります。ですから、かねがね大蔵省においても、私も申し上げたことは、日本発金融不安、パニックを発信してはならない。日本は経済大国でありますが、金融システムは安定をしておるという信頼の中にあるわけでございますから、そう申し上げてきたわけであります。  拓銀は、残念ながら財務状況の劣化に伴いまして海外支店の撤退、北海道地域における主要銀行として地域経済に対する貢献に専念しよう、こういうことで撤退をされた。こういう現実、その後の流れの中で今日の残念ながら破綻状況に相なり、北洋銀行を受け皿として引き続き北海道経済に対する貢献をしていこう、こういうことであります。
  90. 池田元久

    ○池田(元)委員 何と言っていいかわからないですが、長野証券局長と同じ表現をかりれば、言葉もないというか……。  それはちょっと置いておきまして、この発言は大変重大なんですね。単に公約違反とか不明を恥じるとかそういうだけではなくて、この発言は裁量行政になれた銀行に誤ったメッセージを伝えたことになったのではないかと私は思うのですが、いかがでしょうか。
  91. 山口公生

    山口政府委員 先生の御指摘のいわゆる二十行論、これは国際的な場での、当時、大和銀行事件の前か後かちょっと判然としませんが、いずれにせよ、かなりジャパンプレミアムが上がって、国際的に日本のビッグネームについての不安感が広がったときでございます。そのときに、当局としても迷惑をかけないように努力しますという趣旨で言っておりまして、国際的な関係から出てきた議論でございます。  それで、二十行の国際的な役割が圧倒的に、九十何%を占めているという国内情勢からしまして、そういったことが言われ続けてきたわけでございますが、先ほど大臣がお話しになりましたように、国際的にはもう撤退をし、それから機能はきちんと引き継ぐことができたということでございまして、この処理に関しましては、海外からも評価は得ていると思うのでございます。  ただ、この二十行の議論自体が依頼心を高めたかということになりますと、実は、もうそのころから拓銀は、かなり危機感は持ちつつも有効な手がなかなか打てなかったというような状態でございます。それと同時に、また資金ショートという現象が起きまして残念なことになったわけでございますけれども、残念な中にも最低限の混乱防止はできたのじゃないかというふうに思っております。
  92. 池田元久

    ○池田(元)委員 処理策を聞いているわけじゃないんです。やはりこれは発言が違った、そして今の裁量行政になれた金融機関には誤ったメッセージといいますか、どの程度かわかりませんが、そういうメッセージになったのではないかと言わざるを得ません。  次に、橋本総理大臣が、つい最近、十一月二十九日自民党の加藤幹事長と会った際、「一番重要なのは預金者保護だ。金融機関を救うものではないとの原則を守っていきたい」と言っておりますが、大蔵大臣、同じ考えですか。端的に答えていただきたいと思います。
  93. 三塚博

    三塚国務大臣 答弁では、そうは言っていないという集中審議のときの答弁でしたね。破綻をした銀行処理はされていくわけですね、破綻ですから。そういうことでございます。
  94. 池田元久

    ○池田(元)委員 破綻はやむを得ないと言ったのじゃないというふうにたしかおっしゃったと思うのですが、各紙が報道しておりますのは、橋本総理大臣の言葉として、先ほど言った言葉と同時に、「金融改革の中で耐え切れない金融機関が選別、淘汰されるのはやむを得ない」淘汰はやむを得ないとの考えを打ち出したと報道しております。  三塚大蔵大臣のお考えをお伺いしたいと思います。淘汰がやむを得ないかどうか、端的にお答えいただきたいと思います。
  95. 三塚博

    三塚国務大臣 自由市場であります。ビッグバンであります。御案内のとおり、三原則がございます。よって、日本の金融機関は、まさに自助努力の中で厳しいリストラを断行しながら、地域国民の信頼にこたえていくということは当然でございます。大競争と言われる人もございます。そういう中で、その市場の中で耐え得るだけの会社の体質につくりかえていく。そういうことで全力を尽くすということであれば、時に統廃合もあるでありましょうし、系列化もあるでありましょうし、外資、内資、我が国の資本を問わずとあえて申し上げさせていただきます。
  96. 池田元久

    ○池田(元)委員 今提案されている預金保険法改正案では、御承知のように、経営が不振の銀行同士の合併に対しても預金保険機構が資金援助を行えるようにする、ここで言う特定合併ですね。経営不振の銀行同士の合併の対象となる金融機関基準というのは何か、端的にお答えをいただきたいと思います。
  97. 山口公生

    山口政府委員 適用される銀行のいわゆる定義というものは、現行の預金保険法と同じ、預金の払い戻しを停止した、または停止のおそれのある金融機関ということでございます。
  98. 池田元久

    ○池田(元)委員 停止したというのは除外するのじゃないですか。要するに預金の払い戻しが停止するおそれのある金融機関、これじゃ何が何だかさっぱりわからないですね。ただ非常に経営が苦しくて、悪化しているということだけですので。客観的な経営状況を示す指標というのはいっぱいあるわけですね。その客観的な経営状況を示す指標によって基準を決めるべきではないのですか。
  99. 山口公生

    山口政府委員 もしこの法律がない場合のことを考えていただきたいのでございますが、経営困難な金融機関、まだ破綻にまでは至っておりませんが、まあ定義上の支払いが停止するおそれのある金融機関ということには入りますけれども債務超過には陥っておりません。しかし、そういった経営困難な金融機関を放置しておいた場合には、やがて債務超過に陥るあるいは資金ショートが起きるという現象が起きるわけであります。そのときに救済金融機関が見出せますと、業務停止命令はかける必要はありません。そのまま引き継ぎできます。北拓、徳陽シティ、いずれもそれができました。  しかし、現状においてはこれを余り多くは期待できません。そのときに整理、清算型の処理をせざるを得ないわけでございます。この場合、最も影響があるのは、健全な取引先地域の雇用、地域経済全体でございますし、また預金保険処理コストもはるかに大きくなってくるわけで、しかもそれが一行だけじゃなくて波及して連鎖的にいろいろ起きてくる、しかも受け皿銀行がない。私どもとしてはそれはぜひ防ぎたい。この金融三法で特別に認められておりますこの五年間の特別な措置でございます。  そういう場合にそのあっせんをするということでございますので、例えば何%のどういう基準にならなければ発動しないとかいうことではなくて、現実に資金繰りの状況、財務の状況、それから取引先がどういう状況になっているかというようなことで判断せざるを得ないのだろうと思うわけでございます。その方がずっと破綻コストとしても小さくなる、こういうことでございます。     〔委員長退席、村田(吉)委員長代理着席〕
  100. 池田元久

    ○池田(元)委員 どんな場合、ケースというのではなくて、業務もしくは財産の状況に照らして預金等の払い戻しが停止されるおそれのある金融機関、これは非常に包括的といいますか、漠然とした言い方でございまして、この手の話といいますか、金融の世界の話ですから、客観的な経営状況を示す指標は幾らでもあるわけですよ。どうしてその基準を設けないのか、それに対して答えがないわけです。  それから、先ほどたしか秋葉議員の質問にもあったと思うのですが、金融当局あっせんについてもですが、客観的な基準を設けて合併審査すればいいわけですね。自主申請をチェックすれば金融当局あっせんは必要ないわけですよ。なぜ必要なんですか。
  101. 山口公生

    山口政府委員 これは、現在の金融三法におきまして、地域経済のことを最重点考えて政策的にこれをあっせんして、受ける受けないは別でございます、そういうやり方をやるわけです。これが金融機関側からぜひやってくださいということになりますと、委員の御指摘のように、単に救済に走るということになりがちでございますので、それはない。それはモラルハザードを引き起こすことになりかねない。あくまで自助努力がベースでありますが、こういう地域に迷惑をかけてしまうような状況になってきたときには、こちらがそういうことを、今金融三法で認められているのだからやってみたらどうかということをやるわけです。つまり、政策の発動として御理解いただきたいと思います。
  102. 池田元久

    ○池田(元)委員 まさにそれが密室行政じゃないですか。客観的な基準を設けて、それで厳正なチェックをすれば済む話なんですよ。なぜ大臣あっせんとか金融監督庁のあっせん、そしてほとんど基準のない基準で、しかも政策判断をすることになるのか。基準が不明確で、大蔵の裁量に任されるということになるわけですね。裁量行政から市場中心、事後チェック行政へという転換の流れにまさに逆行しているわけです。経営状況が悪くなって本来淘汰されるべき銀行に、不良債権などの財務状況も不透明なまま資金が投入されるおそれがあるわけですよ。  この法案の内容は、橋本総理大臣が、淘汰はやむを得ない、そしてまた、この前山一のときに長野証券局長も言っておりましたが、要するに今はもう市場原理なんだ、淘汰はやむを得ないんだ、そういう考えと真っ向から矛盾するわけです。異なるわけです。どうですか、三塚大蔵大臣
  103. 三塚博

    三塚国務大臣 これは政府委員が法律の内容を説明しておることで御理解を得たいと思っておるところであります。  好んで御批判を受けることをしないのが世の常であろうと思いますが、政府機関は、ありとあらゆる事態を分析、検討をした中で、やらなければならぬことにはやはり取り組まなければなりません。国民の預貯金の保護という大きな目的、そして金融システムの安定によって地域と預貯金者に安心をいただくということで、このようなケースの場合を法律とし、御理解を得たい。そのことは、決して護送船団でもなければ、いわゆる裁量ということでもなく、ぎりぎりの行政判断として法律事項として御提案を申し上げたところでありますので、よろしく御理解をお願いします。
  104. 池田元久

    ○池田(元)委員 自民党の中でも、やめたばかりの官房長官が、「今回の小手先の預金保険法改正では、公的資金がなし崩し的に、経営の悪化している金融機関に対して導入されるようになってしまう。大蔵省が言っているからというだけで慌てて話を進めてはなりません。」いいですか、「預金者保護に名を借りた金融機関救済としか映らないでしょう。」こう言っております。  ほかのところではこの方と意見は違うかもしれませんが、この点では全く私は同感であります。今、大臣の話を聞きましたので、改めて聞きませんが、これは考え直していただきたい。  それからさらに、この法案には、不良債権の買い取り価格の決定によっては、不動産市況の下落が続くと預金保険機構に二次損失が発生して、今でも苦しい預金保険機構の収支に悪影響を与える、そしてこういった形の資金援助が続くと、本当に預金保険機構の資金不足といいますか、大変なことになる、そういう点もあります。  現在のこの金融危機に対しては、金融不安を解消し、金融システム安定化させる全般的な対策を今こそ打ち出さなければならないと私は思います。我々も、先ほど言ったように対策を提案しております。国会で十分論議したい。今やるべきことは、このようなビッグバンの流れに逆行したびほう策ではないわけです。まさにこの金融危機に対応した強力な対策を、そして国民の皆様に安心していただける対策を打ち出さなければならない。皆さんにも賛同していただけると思いますが、ぜひ、そういう方向で我々は議論をしていきたいと考えております。  答弁ありましたら、どうぞ。
  105. 三塚博

    三塚国務大臣 池田委員の言わんとすることを、私はここで否定するような気持ちはありません。事態の安定した日本をつくるということについては、全員が目標とするところであろうと思います。そういう中で、何回も申し上げて恐縮です、金融システム安定、そのことが預貯金者の安心、そして地域経済の安定、前進、この国の経済がその中で取り組んでいける、こういうことであります。  現在の金融情勢のもとでは、今御審議をお願いしておりますこの措置を一刻も早く成立させていただきたいと思う気持ちは、いわゆる破綻処理の手法として追加をしなければならぬという、こうしておくことが安定システムの基本的な手だてである。万が一に備えるのが政治の基本であります。万が一に備えて万全の策を講じていくということで追加をさせていただき、このことで、大蔵省、政府として御批判のようなことを考えておるのでは全くなく、いちずにそういうことであります。その場合のルールももう法案に書いてありますから、これ以上多弁を弄することはいたしません。  危機的な状況を、より安定したものの支えとして手法を加える、その手法のルールをしっかりとさせていただくということで提案をさせていただきました。     〔村田(吉)委員長代理退席、委員長着席〕
  106. 池田元久

    ○池田(元)委員 この預金保険法改正のスキームは、大変不当なことではございますが、現にといいますか、もう既に合併の働きかけが行われ、法案提出前に合併発表に至っている。しかも来年十月一日からの話でございまして、私は、この危機的な状況に対しては、問題のある非効率な金融機関を淘汰しないといいますか、温存する、しかも密室の裁量行政を延長するこの法案を通すのではなく、我々は議会人として、やはり今の状況の中では三塚大蔵大臣、ぜひ政策のプライオリティーをつけていただいて、この危機対応策というのは次の通常国会とかなんとかじゃないんですよ、こういう危機対応策はスピードが勝負ですから、今からでも遅くない、国会で十分論議して危機対応策をまとめたい、まとめようではありませんか。どうですか。
  107. 三塚博

    三塚国務大臣 まず、その危機対応策の第一弾として、改正案をお願いさせていただきました。そして財源の問題は、ただいまの民主党の御提言も承りました。各党、そういうことの中で取り組ませていただき、このことは自民党、与党の皆様方も委員としてお出ましでありますから、そんなことで取り進められることを見守っていきますし、必要があれば、またサポートもさせていただきます。
  108. 池田元久

    ○池田(元)委員 大変不満であります。ぜひよく考えていただきたいと思います。  ちょっと時間がなくなってしまいましたが、投資家の保護といいますかこれも大事な問題でありますので、一点だけ聞きたいと思います。  証券会社の預かり資産の保護状況、これは聞く前に私の方から言いますと、預かり金、委託証拠金、委託保証金は証券会社の資産勘定と一緒になっているわけですね。全くまぜこぜになっているわけです。アメリカ、イギリスでは分別管理をずっとやっている。これはもう大変な不備なんです。要するに、投資家よりも金融機関を重視するというのがここにあらわれているんではないかと私は思うわけです。ビッグバン時代に日本の市場への参加者をふやす、参加を促す意味からも、早急にこの分別管理を徹底してやらなければならないと思います。  また、金融先物取引についても証拠金等は保護されておりません。これは破綻が起きてからというのではなくて、当然早くからこういう分別管理というものを、制度徹底させるべきだったと私は思いますが、今からでも遅くないです、ぜひやっていただきたい。お答えをいただきたいと思います。
  109. 長野厖士

    ○長野政府委員 御指摘の点、まことにそのとおりであると存じます。  ことしの五月十六日に証取審の総合部会のワーキングパーティーから報告書をいただいております。これはビッグバンにおいてとるべき方策を全部まとめていただいた報告書の中でございますけれども、その点に関しましても、「米国や英国においては、顧客資産を証券会社の資産から明確に分別することを要求している。」とした上で、「具体的な分別義務の強化の方法としては、顧客の有価証券証券会社の資産から区分して顧客名義での管理を強化することが求められる。さらに、」御指摘がありましたが、「証券会社の破綻の際に一般債権として取り扱われる虞の高い預り金、証拠金、保証金等を証券会社の資産から明確に分離して証券会社の外部で管理することが必要となる。」という御指摘がございます。これを踏まえて法改正等に取り組みたいと思っております。  なお、現在でもできますこと、例えばデリバティブ取引に関しましての、店頭物ではなく取引所物でございますけれども、これはベアリング証券の事件の経験を生かしまして、証拠金を預かったものをそのまま、顧客の名義のまま今度は取引所の方に証拠金として持っていってもらう。今までは証券会社の段階でどんぶりにしていましたけれども、これを取引所の方に持っていってもらうというような措置は既にベアリング事件の経験を踏まえて実施済みでございますし、そういった現在実施できるものは着々と取り組んでおります。
  110. 池田元久

    ○池田(元)委員 ぜひ早急に具体化をしていただきたいと思います。  まあ五十分ばかり論議をしましたが、この預金保険法改正案というのは大変問題が多い。しかも、今この金融危機の中で何をやるべきか、そういうことを真摯に皆さん考えて、特に三塚大蔵大臣、政権与党は考えていただきたい。ちょっと議論しただけでもこれだけ問題があるんですから、これからこの預金保険法改正は十分審議をする必要があるということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  111. 村上誠一郎

    ○村上委員長 午後三時四十分に委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十五分休憩      ————◇—————     午後三時四十分開議
  112. 村上誠一郎

    ○村上委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁松下康雄君、日本銀行理事本間忠世君及び海外経済協力基金総裁西垣昭君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 村上誠一郎

    ○村上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  114. 村上誠一郎

    ○村上委員長 質疑を続行いたします。海江田万里君。
  115. 海江田万里

    ○海江田委員 日銀総裁にはお忙しいところお越しいただきまして、ありがとうございます。  実は、きょうの午前中の当委員会でも若干議論がございましたけれども大蔵大臣の十二月一日の予算委員会での発言ですね。あらゆる金融機関の商品を保護するということ、これは私は大変重要な発言だろうと思っております。それこそ今審議中の預金保険の手直しの改正案などでは問題が解決しない大きな中身を含んでいる、私はそういう認識を持っております。  これはきょうの産経新聞でございますが、一面トップでございます。それからきのうの毎日新聞にも大変大きく新聞記事が出ている。それからきょうの日経新聞にも出ておりますけれども、この大蔵大臣の発言、私は予算委員でしたからその委員会室におりまして発言をこの耳で聞いておりましたが、まだ直接お聞きになっていない方もいらっしゃると思いますので、念のために御紹介をしますが、これは我が党の小沢鋭仁議員の質問に対する大臣のお答えでございます。  小沢議員は、これは速記録の未定稿でございますが、次のような質問をしております。  十一月二十六日付の大蔵大臣あるいは日銀総裁連名の、この「「預金等」の「等」と、そこには、例えば貸付信託、これは入るんですか。金融債は入るんですか。」「生命保険は入るんですか。保険は入るんですか。どうかそこをはっきりと明快にお答えをいただきたい」こういう質問がございました。これに対し三塚大蔵大臣は、「これは、貸付信託が入りますか、金融債等個別の金融商品が入りますかと、こういう確認ですね。」と念を押して、「本件は、「預金等」としましたのは、預金がウエートが極めて高い、そしてその他もありますというのでそう書かせていただきましたが、これは、預金等については万全を期する、こういうことの中でありまして、その金融商品という中には貸付信託など金融商品が含まれるという趣旨であります。」ということでございます。これを受けまして、小沢委員がもう一度念を押しております。この今の大臣の答弁の中にも、「などという言葉がまたもう一回使われているのですが、金融機関に持っている預金あるいはそういった商品、あらゆる今金融機関のその商品は、国民の皆さん、心配しないで結構ですよ、解約などしなくて結構ですよ、全部保護するんですよ、ざっくばらんに言うと、そういう理解でよろしいんですか。」それに対して大蔵大臣は、「そのとおりであります。」ということをはっきり言っておるわけでございますね。  この大蔵大臣の発言、これは改めてここで確認をしますが、この予算委員会での発言どおりで間違いはないわけでございますね。
  116. 三塚博

    三塚国務大臣 先般私が申し上げました趣旨は、預金保険の本来の対象である預金等はもちろんのこと、それ以外の金融機関金融商品についても、その安全性の確保に万全を期すということを申し上げたところであります。
  117. 海江田万里

    ○海江田委員 万全を期すということで、保護という言葉は使っていないということでございますか。確認です。これは大臣答えてください。山日銀行局長には後でお尋ねしますから、大臣。——いやいや、違いますよ。大臣です。
  118. 三塚博

    三塚国務大臣 その趣旨は、ただいま申し上げましたとおり、預金保険の本来の対象である預金等はもちろんのこと、それ以外の金融機関金融商品についても、その安全性の確保に万全を期すということであります。
  119. 海江田万里

    ○海江田委員 安全性の確保に万全を期すということであって、保護ではないということですか。それだけおっしゃってください。保護という言葉は口が裂けても今の段階では使えないのですか。
  120. 三塚博

    三塚国務大臣 これは、ですから安全性の確保に万全を期す、こういうことであります。
  121. 海江田万里

    ○海江田委員 本当に押し問答でございますが、先ほど山日銀行局長、並木委員の質問への答弁の中で、現在は特例措置でペイオフをやらずに預金保険の機能を拡大している、そのことも考えなければいけないというお話でございました。それからその後、この発言のあった十二月一日の前の週の週末に、一部の銀行破綻をするのではないだろうかというような風説も飛び交ったので、それを鎮静化させるためにああいう発言があったのだという答弁がございましたけれども、この答弁でよろしゅうございますか。
  122. 山口公生

    山口政府委員 先生よく御存じのように、預金保険の本来の対象である預金といいますのは、一千万までの元本の預金あるいは定期積金、掛金あるいは元本補てんのある金銭信託一こういったものでございます。これは法律にそう書いてあります。それを超えるもの、あるいは対象にもともとなっていない例えば公金預金、それからCD、譲渡性の預金とか外貨預金とか、そういったものは本来の対象にはなっていないわけです。  金融三法で機能を付与していただいた中に預金の買い取りというのもありますが、実は特例期間中は銀行等の、これは預金取扱金融機関に限って申し上げていますけれども、そのシステミックリスクを起こさない意味もありまして、受け皿銀行にロスを資金援助できることになっています。そのときにこの部分だ、この部分だという形にはしておらないということなんです。  したがいまして、本来のカバーしていない部分もその対象にして救済する結果になり得るということでございまして、したがって、保護保護でないかという言葉の問題はありますけれども、結果としてそういう形になっている。だから、インターバンクの取引もそうなんです。結局、金融三法でそういったロス埋めの権限が与えられておりますので、日銀二十五条は出せるのです。そういう形でシステミックリスクが防がれている。厳密に言いますとそういう言い方でございますので、御了解いただきたいと思います。
  123. 海江田万里

    ○海江田委員 では、わかりやすくもう一回聞きます。  この意味するところはもう少し後で議論しますけれども、わかりやすく聞きますけれども、先ほど紹介をしましたこの新聞にあります「ヒットや金融債も保護対象に」というような表現でありますとか、それからきょうの新聞の一面であります「証券・保険も全額保護」、これは間違いですか。それともこれはこのままでいいのですか、大蔵大臣
  124. 山口公生

    山口政府委員 証券、保険はちょっと仕組みが違います。ただ、先ほどおっしゃった、預金保険法をお読みいただいて、その対象となっていないものも結果としてロスを補てんし得るという形のものの中に含まれ得るということでございますので、結果として保護されることが可能であるというふうになっているということです。ただ、それは本当にそうするかどうかは運営委員会で決めるわけですけれども。だから、そのところは法律的にはできるという規定になっておるわけでございます。
  125. 海江田万里

    ○海江田委員 それは大分大臣の発言と違いますよ。大臣の発言のとき、山日銀行局長もその場におられましたから、今のような説明であったら、可能性もあるということであれば、ちょっと待ってくれということで手を挙げて発言をすればいいじゃないですか。全く発言もしないで、大臣の、先ほど御紹介をしました、そうなんですね、そうですよというような確認、これはやはり国民に全部伝播していくわけです。知れ渡っていくわけですよ。  それから、大臣、先ほども言いましたけれども、その確保に万全を期すということですけれども、万全を期すということはどうやって万全を期すのですか。万全を期すということは、要するに保護をすることと違うのですか。どうやって万全を期すのですか。  それから、万全を期すということは、いいですか、じゃ私がヒットに百万円預けていました。この金融機関破綻をしました。これは万全を期すということは、私の理解からいけば、新聞もこういうふうに書いているし、百万円がそっくりそのまま返ってくるということだろうと思いますが、あるいはこれは外貨預金でもいいですよ、そういうふうに理解していいのですか。万全を期すということは、返ってこないのですか。どうなんですか、それは。
  126. 山口公生

    山口政府委員 小沢先生と大臣とのやりとりを私も聞いておりましたが、小沢先生は、金融機関で非常にうわさが飛び交いまして行列ができたときの御質問でございました。国民は心配しないでいいのですね、こういうお尋ねでございました。それで大臣の方から、そのとおりですというふうにお答えになっております。  それで、万全を期すというのは、何も預金保険だけのことを考える必要は私はないと思うのです。金融機関そのものが健全であれば何ら問題はないわけでございます。大多数の金融機関は健全にやっておるわけですので、万全を期す中身は、そうした金融機関の健全性を維持させるためのいろいろな手法の導入とか、そういったところが含まれるわけでございます。
  127. 海江田万里

    ○海江田委員 いや、それはちょっとさっきの午前中の議論にも出ましたけれども、さっきの主要二十行の話だってそうですよ。これは、サポートしていくということまで言っていながら倒したわけでしょう。破綻させたわけでしょう。だから、そんな万全を期すなんという言葉だけでは国民は信用できないわけですよ。  それから、風説があったからそれに一種安心感を与えるためのような、午前中の発言もそうでした。こんなふざけたといいますか不謹慎な発言を、この時期ですから、大臣、それこそ昭和の金融恐慌が一体だれの発言から引き起きたか覚えていらっしゃるでしょう。覚えてはいらっしゃらないかもしれないけれども、物の本で読んで御存じでしょう。これは昭和二年三月十四日ですか、予算委員会で、当時の大蔵大臣片岡直温さんの発言から起きたわけですよ。だから、そういう意味では、風説があるからそういう保護をするようなことを言って、しかも後になってその可能性もあるなんというようなことになったら、どういうことですか。国民は何を信用すればいいんですか。大臣、お答えください。
  128. 山口公生

    山口政府委員 現実に、一千万円を超えた預金も公金預金も外貨預金保護してきております。私が可能性があると言ったのは、法律上そうなっているということで、現実にこの特例期間は、そういったシステム的な不安を与えてはいけないということもありまして、金融機関預金等、かなり広い範囲で保護されております。したがって、今北拓をおっしゃいましたけれども、北拓が仮に破綻しても、その被害といいましょうか、その影響は最小限に食いとめられているということでございます。
  129. 海江田万里

    ○海江田委員 朝の答弁とも若干違いますよ、これは。よく朝令暮改という言葉がありますが、まだ暮れにも、夕方にもなっていないで、朝令昼改ではこれは困りますよ。国民は本当に不安てしょうがないですからね。  じゃ、具体的に、非常にストレートに聞きますけれども、さっきもお尋ねをしましたけれども、ヒットや金融債も保護対象にするんですかという素朴な疑問があります。これは新聞の見出しですけれどもね。これに何とお答えになります。ヒットや金融債も保護対象になるんですかということを尋ねられたら、何とお答えになります。
  130. 山口公生

    山口政府委員 現行の預金保険法上は、本来の対象にはなっておりませんが、しかし金融三法のときにお認めいただいた附則、これを活用して、現実にそういった形でのいろいろなシステミックリスク等を防ぐ手だてを与えていただいております。したがって、そういったものも保護、結果としてですけれども、救われるということが可能であり、また現にそういう措置をとってきておりますので御安心いただきたい、こういうことでございます。
  131. 海江田万里

    ○海江田委員 では、このヒットや金融債も保護対象になるということはそのとおりだということですね、可能性があるということは。そのとおりだということですね。  じゃ、もう一つお尋ねしますが、産経新聞の見出しであります「証券・保険も全額保護」ということ、これはそのとおりですか、違っていますか。
  132. 福田康夫

    福田政府委員 大臣の御答弁の補足ではございますが、保険商品につきましては、かねがね申し上げておりますように、保険契約の継続が大切でございます。このため、現行保険業法におきましては、契約者保護基金制度が設けられておりまして、破綻があった場合でも、救済保険会社への保険契約の移転が円滑に行われるよう支援することとなっておりまして、この契約の継続を通して全面的に契約者保護を図っているわけでございます。  さらに、救済保険会社が出現しない場合でも、契約の継続を行うことによって保険契約者の保護を図る観点から、現在、支払い保証制度導入について、まだこの制度はできておりませんが、検討しているところでございまして、このような制度を創設することによりまして、大臣が御答弁申し上げましたように、保険契約の安全性の確保に万全を期してまいりたいというふうに考えております。
  133. 海江田万里

    ○海江田委員 もう別にメモを見なくたっていいんですよ。証券、保険も全額保護になるというふうに書いてあるけれども、これは合っていますか、それとも違うんですか。皆さん方のお考えと違うんですか、皆さん方のお考えのとおりなんですか。これはイエスかノーか、どっちかしかないじゃないですか。どっちですか、教えてください。先ほどるるお話しした話はもうとうに知っていますから、そんな話は。これは間違っているのか、間違っていないのか。
  134. 福田康夫

    福田政府委員 大臣が答弁申し上げたとおり、それ以外の、預金以外の金融機関金融商品についても、その安全性確保に万全を期すという趣旨で受けとめております。
  135. 海江田万里

    ○海江田委員 じゃ、これは正しいというふうに理解していいんですか。さっきの話ですと若干違うんですよ。金融債とヒットのところは保護対象にということは、これはわかるのですけれども、さっき、どなたでしたかね、局長か大臣か、いや、それは証券と保険は違うよというような発言があったんじゃないですか。局長だった、たしか。どうなんですか、銀行局長。同じ大蔵省の中で言っていることが違うじゃないですか。
  136. 山口公生

    山口政府委員 私は、預金保険機構及び金融三法の話を申し上げております。
  137. 海江田万里

    ○海江田委員 じゃ、大臣、預金保険機構でいくと、これは「証券・保険も全額保護」というのは違うんですか。これでいいんですか。そのとおりのこの表現でいいんですか。
  138. 福田康夫

    福田政府委員 支払い保証制度につきましては、まだ現在内容について検討中の段階でございます。  それから、保険金と預金につきましては、やはり若干性格が違うかと存じます。保険金については、長期の貯蓄性の契約も多いわけでございますから、例えば数十年後の受取金額を保証するという話でございます、片や預金の場合は、基本的には現在お持ちの残高を全額保護していくということでございますので、その辺の保険金と預金の違いについては若干あるのではないかと思います。
  139. 海江田万里

    ○海江田委員 「証券・保険も全額保護」というのは、これはやはり違うんですよ。さっき局長が言われたのは預金保険の対象外ということだから、これはやはり違うというふうなことです。  そうなると、大蔵大臣が言いました、全部ひっくるめて保護する、全部ひっくるめて万全を期すということにはならないんじゃないですか。今の発言をもう少しかみ砕いて言えば、ヒットや金融債は保護します、だけれども証券、保険については万全を期す、こういう言い方じゃないですか。違いますか。せいぜい、私は大蔵大臣に理解を示して、ちょっと口調はきついですけれども、わかりやすく言うとそういうことじゃないですか。それだったらそれでいいんですけれどもね。どうなんですか、それでも全部ひっくるめて万全を期すという話になるんですか。
  140. 三塚博

    三塚国務大臣 何回も申し上げますが、その安全性の確保に万全を期すと申し上げました。これは、既に事務当局に私が指示をしておる、預金者保護観点からあらゆることを検討し、結論を出すように、こう申し上げておるわけであります。ですから、証券は補償制度の改革、来国会に提出をする、こう申し上げておる。保険制度についても、ただいま保険部長が申されましたとおり、支払い保証制度の整備、こういうことであります。  いわゆる金融システムの安定性また安心を得ていただくために、あらゆる選択肢をしっかりと検討、点検をして対応するようにということで検討を命じておるところであります。
  141. 海江田万里

    ○海江田委員 大蔵大臣は、決意の表明は非常にお得意ですよね。午前中にありました話の、二十行はこれを破綻させないというのも、これも決意だということをおっしゃっていますね。ところが、その決意がどういうふうになったかというと、これはもう今さら私が言うまでもない話でありますから、今、決意を聞きたいのじゃなくて、その決意を、具体的に保護をするというところまで踏み込んで言えないのかどうなのかということを実は問題にしたいと思うのですね。  私は、これはまだまだ大きな問題になって、本当はとまったっていい話ですけれども、少し議論をしますけれども預金保険の話だって、この金融債とヒットも保護対象にするという話でしたら、これは今預金保険の保険対象になっていませんから、各金融機関が保険料を負担するとき、金融債の期末の残高は控除されているでしょう。関係ないところで、預金のところでもって、いわゆる預金保険の対象になるその預金で期末の残高が幾らあるかということに〇・〇八四ですか、それを掛けて保険料を納めているわけですよね。だから、長信銀なんかはこの金融債が主力商品ですから、いわゆる保険料の負担は低くて済んでいるのですよ。そうやって普通銀行がたくさんの保険料を払って、そしてそれが預金保険に行って、この預金保険からのお金が受け皿銀行に行くわけじゃないですか、これは。そうしたら、不公平じゃないですか。  先ほど来、この預金保険の保険料の問題は後の話だ、平成十年ぐらいからの話だと言っているけれども、その問題が出てきたら、金融債の問題一つをとってきても後の話じゃないでしょう。平成十年でいいのですか。今やらなければいけない話じゃないですか、それは。どうなんですか。
  142. 山口公生

    山口政府委員 先生の御指摘につきましては、法令上本来の対象にしてあれば、それは、もちろんそういうことをしなければいけないと思います。  ただ、私が申し上げているのは、この附則で、この特例期間中に何かが起きたときに、この部分は一千万を超えても保護するけれども、公金預金は見ません、あるいはCDは見ませんとかいうことになりますと、非常にシステム的にリスクが大きい、大変なことになってしまうということで、資金の援助という形をとる場合においてはロスを埋められる形にしていただいております。  確かに、金融債あるいはヒットとおっしゃいましたけれども、そういうことがあり得るということを考えて、本当に本来の制度に入れてしまえば、それは保険料の体系の問題、公平か不公平かという問題はあります。それは私もそのとおりだと思いますけれども、今は五年間の特別期間でございます。特別期間でインターバンクの取引まで保護しなければ大変な事態になるという時期でございますから、それで今対応させていただいているということでございます。それをぜひ御理解賜りたいというふうに思います。
  143. 海江田万里

    ○海江田委員 それで普通銀行なんか納得するのですかね。  今、本当に、これはいろいろな理屈があって、私は必ずしもそうでないというところもありますけれども、やはり純益の九割が保険料の負担になっているとか、やはりかなり苦しい部分もあるわけですよ。だから、そういうようなところが、やはりこれは、保険料率の問題はこれからもっともっと議論しなければいけない、平成十年を待ってなんという話じゃないわけですよ。  だから、そのことを考えたら、やはりきちっとそういうところははっきりしておかなければ、今のような議論を、それこそ銀行協会でもいいですけれども、普通銀行のところに行って話して、はいそうですかという話になりますかね、これは。
  144. 山口公生

    山口政府委員 まずは、各金融機関が健全性を保つということが一番大切なことだと思います。  それで、今御説明申し上げているのは、破綻の場合のその救済がどこまで結果として及び得るかということでございまして、したがって、今の預金保険の本則をごらんいただきますと、かなり制限されている形でございます。一千万という話だけじゃなくて、その対象も絞られております。それが本当にいいのかどうかという議論は、それはあると思います。それで十分かどうかという議論は預金保険法のあるべき姿ということで議論しなければいけませんけれども、本来、ペイオフの姿というのを予定しておりますのはそういったものでございますので、それを前提に、今、五年間の特例としての姿というものをぜひ御理解いただきたい。  要するに、今は、基本的な制度の変更を前提とした議論をすると、ますますいろいろ事態が複雑になってくるということもぜひ御理解いただきたいと思います。
  145. 海江田万里

    ○海江田委員 ペイオフの問題はこれから議論をしなければいけないわけですけれども、まさに二〇〇一年の三月三十一日まではペイオフはないということですから、この議論はまだ少し余裕があるのですよ。だけれども、今、長信銀でありますとか、信託銀行でありますとか、こういうところもいろいろな説もこれあり、やはりそこのところをどういうふうにするかということを考えておかなければいけない。何で新聞がこんなに大きく書くかというと、まさにそこのところにみんなの関心があるからですよ。だから大きく書くわけで、そしてみんなはこれで安心をしたり、本当かなと思ったり、わけがわからなくなるわけですけれども。  やはり私は、やるのならやるでやればいいと思うのですけれども、やるときは、まさに今の預金保険の、この委員会に出しております法案のあの程度のことでは全然済まない話ですよ、これは。そうでしょう。そうでなければ、やはり私は不公平だと思うのですよ。  これは本当に重要な問題ですから、大蔵大臣の発言も、本当にこれはもう一回やはりよく考えていただいて、それから予算委員会でも理事会等で若干議論があるようですけれども、少しこれははっきりさせた形にしなければいけないと思います。  きょう、そればかりやっていると時間がなくなってしまうので、もう一つ、劣後ローンの話ですけれども、今、劣後ローンで大変困っている。三洋証券破綻をした。この三洋証券に対して、大蔵省がまさにあっせんと申しますか、大蔵省が要請をして、生保九社に対して、この劣後ローンの貸し出しをやってくれということを言ったわけですよ。ところがこれは、三洋証券破綻をしましたから、この劣後ローンというものは返ってこないという話になっているわけですけれども、これはそのままでいいのですか。大蔵省が生保九社に対して貸し付けを要請した責任というのは全く感じないわけですか、どうですか。
  146. 長野厖士

    ○長野政府委員 三洋証券の関連ノンバンクに起因いたします再建計画につきまして、三洋証券を中心にいろいろな案がまとめられ、平成六年と記憶いたしますが、銀行団による金利減免、あるいは大株主による資本支援、それから生保による劣後ローン等々の支援策が取りまとめられ、実行されたことはそのとおりでございまして、その過程で、私どもも、そういった再建策に関係の皆様ができるだけ協力していただくことが望ましいという立場で臨んだことも事実でございますけれども金利減免あるいは増資、あるいは劣後ローンの提供、いろいろの御判断は、最終的には経営の御判断として行われるものでございますし、この種のことで私どもがお願いしても、そのとおりに実現しないものもございます。  そこのところは、気持ちのあやで、大蔵省が再建計画に協力していただきたいと言ったというところは、冗談めかして申し上げるべきような事柄でないと深刻には考えておりますけれども、最終的な御判断はその当事者において行われたと申し上げざるを得ないと存じます。
  147. 海江田万里

    ○海江田委員 最終的な御判断はとおっしゃいますけれども、それはやはり生命保険会社九社も一緒になって、まさに護送船団方式ですけれども、一緒になって、これは大蔵省からそういう指導があったのだから、ここはやはり協力せざるを得ないなという話になったわけですよ。そこのところがやはり失敗をしてしまったから、今、その劣後ローンの新規の貸し出しなんてもうないでしょう。一つぐらいあるのですか、一件ぐらい。  この一番自己資本を充実させなければいけないときに、まさにその劣後ローンという一つの方法がもう縛られてしまっているわけですよ。だから、あとは優先株かという話になって、優先株になってくると公的資金の話がつながってきて、劣後ローンの話というのはもっとこれは大事にしなければいけない話なのですね。だけれども、それを大蔵省がまさに三洋証券で失敗をした結果、もう既にそれが利用できなくなっているわけですね。そういう責任をお感じになりませんかという話なのですよ。どうですか、それは。  まだまだ劣後ローン、これからもどんどん自己資本比率を高めるために利用してください、これはいい方法ですよと責任を持って言えますか。これは、どうですか。
  148. 長野厖士

    ○長野政府委員 金利減免、それから増資、それから劣後ローンというスキームの組み合わせでございました。増資につきましても、あるいは海江田先生が御指摘になっておるような問題が残っておるのかもしれません。  大事な点は、その場合に、やはりリスクとリターンというものをどういうふうに考えていくか。私の立場からは申し上げ過ぎになるかもしれませんけれども、劣後ローンというものはそれなりの意味のある金融形態でございますし、意味のあるところは、リスクが高いということとそれに見合ったリターンという感じになるのだろうと思いますので、それは増資も同じ問題があるかと存じますけれども、そのリスク、リターンそれぞれ見合った金融商品としてこれからも活用されることが望ましいというふうに考えております。
  149. 海江田万里

    ○海江田委員 実は、先ほどの全金融機関のすべての商品を保護するという話は、劣後ローンの話とも本当は関係してくるんですね。つながってくるんですね、これは。まず預金者のそういう各種の金融商品を保護したら、その次は劣後ローンという話も出てこない話じゃないんですね。これはつながってくる話なんですね。  だけれども、これを先ほどみたいなわけのわからない話、わけのわからない話というより、私なりに理解したところは、この金融債のところまでは保護しますよ、いや、そこから先は保護しませんよという話になると、当然、劣後ローンの保護の話というのはもう立ち消えになりますね。  だから、その辺も含めてきちっとした方針を、大臣が発言をするわけですから、しかも予算委員会の席上で、当然そういうようなきちっとした打ち合わせがあって、よし、これでいこうという形で発言をされたんだと思ったら、全然そうじゃないじゃないですか。だから、劣後ローンのことについても、長野さんだってふだんは頭脳明断なのに、これは何を言っているかわけがわかんないですよ。そういう状況になってしまう。  今は本当に、申しわけないけれども大蔵省は機能不全ですよ。機能していませんよ、これは。どういう方法でやるのかということ、全然機能していませんよ、これは。  日銀総裁にお越しいただきましたからお尋ねしますが、総裁、今の話を聞いておられて、一部新聞には証券、保険も全額保護とかいうような書き方がされておるんですけれども、これはどうですか。やはり預金者保護ということからいって、ああこれはいいことだというふうにお考えになるのか、それとも、これをやると、さあ困ったことになるなと。  例えば特融の問題などもありまして、後で特融の具体的な数字はお尋ねをしますけれども、余り特融をじゃぶじゃぶにやってしまいますと、過剰流動性でございますので、金融政策の手が縛られることにもつながってきますから、こういうリップサービスだけのこと、そういうことなのか。あるいは今の話のような内容について、これは好ましいことなんですかね。どういうふうにお考えですか。
  150. 松下康雄

    松下参考人 一般的な破綻におきましての政府の関与いたします破綻処理の適用されるいろいろの措置の範囲という点になりますというと、それは具体的な行政判断の問題となってまいりますので、私の立場から具体的にコメント申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じます。
  151. 海江田万里

    ○海江田委員 確かに預金者保護という点からいえば、これはそれなりに安心をする人もいると思いますけれども金融秩序全体に与える影響ということでいうと、これは本当のことを言って、日銀というのは、今預金者保護が前面に出ていますけれども、実は通貨の番人ですから、通貨の価値を落としてはいけないわけですよ。そういう観点から見たとき、果たしてこういう話がいいんだろうかどうなんだろうかということは、やはり議論のあるところではないですかね。積極的に歓迎するとかそういうような話ではないというふうに私は理解をしますけれども。  日銀総裁にあともう一つお尋ねをしますのは、日銀特融が随分やはり膨らんでいるだろうということで、十一月末の数字というのは予算委員会でもお示しをいただいたんですが、十二月も何日か過ぎましたので、二十五条貸し付けがどうなっておるか一番新しい数字をお教えいただくこと、それからそのうち山一、北拓、徳陽シティの分はそれぞれ幾らになっているのかということ、それからできましたら二十条の貸し付けもあわせてお答えいただけるとありがたいと思います。
  152. 松下康雄

    松下参考人 私どもの日銀法二十五条に基づきますいわゆる特融の残高について申し上げますが、これは十一月末に三兆八千二百十五億円でございましたが、昨日の段階におきましては約三兆八千七百億円でございます。その中で、北海道拓殖銀行向けは約二兆三千億円でございまして、山一証券向けは一兆四百億円、徳陽シティ銀行向けは約一千三百億円でございます。  なお、二十条貸し付け、有担保の通常の貸し付けについての御質問がございましたが、これは現在計数は非常に少なくなっておりますけれども、日々変動しておりまして、ちょっと今手元に数字もございませんので、御容赦いただきたいと思います。
  153. 海江田万里

    ○海江田委員 私が当委員会で、十一月二十五日でございましたけれども、山一特融をしたばかりでございましたけれども、そのとき金額を聞きましたら、たしか八千億だというお答えをいただきました。今お答えを伺いますと、一兆四百億ということで、一週間ぐらいの間に大体一千億ぐらい膨らんでいるわけでございますが、山一に対する特融というのは大体もう山を越したというふうに見てよろしいわけでしょうか、それともまだこのペースで特融は続くのでしょうか、どうでしょうか。
  154. 松下康雄

    松下参考人 山一証券に対します特融は、山一証券が廃業し解散を行う、これを円滑にとり行いますために必要な資金を供給しているものでございますので、その使い道は、顧客から預かっております金銭、有価証券等の預かり資産の返還のため、あるいは既に約定済みの取引の決済、また海外業務から円滑に撤退するために要する資金等でございます。  これらの業務は現在進行中でございますが、なお今後も相当期間継続をするものと思われますので、現在の段階におきましては、これがどのぐらいまでの規模になるかという点は、まだ見通しを的確にいたすことはできませんので、御理解をいただきたいと存じます。
  155. 海江田万里

    ○海江田委員 あともう一つ、山一の債務超過の可能性のことでございますけれども、これも十一月二十五日に私がお尋ねをしたときと、それから昨日も当委員会で日銀総裁にお越しいただきまして御答弁いただいた時点とで、私は、若干債務超過についての日銀の見方が違ってきたかなというような印象を持っておるのです。それは、私が十一月二十五日にお尋ねをしたときは、まさに特融に踏み切った一つの理由として、四条件がもちろんあるわけでございますけれども債務超過はないものだというふうに、信じておるという言葉を使ったかどうかちょっと定かではありませんが、かなり確信を持っておられた。それが昨日の御答弁では、将来の債務超過の可能性ということも若干あるようなニュアンスの発言をされておるのです。私はそういう印象を持ったのですが、この印象が合っておるか間違っておるか。
  156. 松下康雄

    松下参考人 ここしばらくの期間に、私どもといたしましては、いろいろ山一証券経営状態に関しましての格段の新しい数字なりデータなりというものを入手いたしたわけではございませんので、そういう点から申しますと、私ども判断材料は基本的に変わっていないわけでございます。  申し上げましたことは、現状におきましては、山一証券自身の報告によりまして、自己資本につきましては債務超過は生じていないということでありますが、これが今後の清算の過程を経ますうちに万が一債務超過ということになりました場合に、なお特融の返還財源の確保につきましては、政府ともよく協議をし、適切な対応をしていくことによって確保に万全を期するということを申し上げた次第でございます。
  157. 海江田万里

    ○海江田委員 債務超過かどうか結論が出ますのは大蔵省の特別検査の結果だろうと思います。債務超過かどうかということに限定をしてでもいいのですが、これが大蔵省の特別検査でわかるのはいつごろですか。大蔵省、わかりましたら教えてください。
  158. 長野厖士

    ○長野政府委員 ただいまの御質問に直接お答えする前に、債務超過ではないという議論と、しかし、会社の将来のことでございますから、今後経費もかさむような要素もございますので、万が一あり得るという要素につきまして総裁からお答えいただいておりましたけれども、特に私どもが慎重に発言しておりますのは、国際的にこれだけの証券会社が破綻いたしましたときに、山一証券は膨大な債務超過になるだろうという予想が国際的にございました。それから、債務超過でないにしても、すべて海外の取引が約定どおり差し支えないということにつきましても、海外ではある意味では驚きを持って受け入れられておりまして、それが真実であるかどうかにつきまして、二十五日ごろには大変海外で不信がございましたので、債務超過ではなく、また特融によってすべてが完済されるという点を非常に力点を置いてお話し申し上げておったことは事実でございます。  現時点におきまして千億の資産があると申し上げておりますけれども、今後、検査によりまして、これからかかってまいります経費もございますし、それから、今、例えば土地は路線価で見ておるとか、株価は何日現在で見ておるとかいうことはございますが、変動の要素がございますので、何日になれば確定するか、あるいはこれは清算が結了するところまでいきませんと確定しないという要素がございます。検査そのものは、この一、二カ月のうちに現時点での状況は把握する。しかし、それからまたコストがかかるかもしれないという要素、あるいは土地建物がいつ最終的に処分できるかという要素はまだ未確定でございますから、その未確定要素が残ることはお許しいただきたいと思います。
  159. 海江田万里

    ○海江田委員 あと一つだけ日銀総裁にお尋ねをしたいのですが、先ほど二十五条の貸し出しが三兆八千七百億円ということで、ごく短期にこれだけのお金が出ているわけでございます。先ほど少し私触れましたけれども、この特融というお金も、最終的には預けかえをされて新たな信用創造につながっていくということでございますので、いわゆるスタグフレーションにつながっていく資金の供給過剰というのですか、そういう御心配というのは、これは全く今の時点ではないというふうに考えておればいいわけですか。それよりも、預金者保護することの方がとにかく優先なんだということでございますか。     〔委員長退席、井奥委員長代理着席〕
  160. 松下康雄

    松下参考人 私どもは、現状におきまして、破綻金融機関が日々の定められた業務を円滑に行いまして、預金者等に不安を与えないということが最も大事なことだと考えまして、特融の実行をいたしております。  この実行によりまして、市場には当然相当額の資金が供給されるわけでございますけれども金融調節という観点から申しますと、それは市場に集まってまいりましたすべての資金を全部総合判断の上で、その日々の金融調節を別途にいたしますので、これが金融の余剰を引き起こして、何らか金融の運営上に悪影響を及ぼすというような、そういう御心配は全くないようにいたしております。
  161. 海江田万里

    ○海江田委員 ありがとうございました。終わります。
  162. 井奥貞雄

    ○井奥委員長代理 次に、末松義規君。
  163. 末松義規

    ○末松委員 民主党の末松義規でございます。  私の特に先輩議員の方々がマクロの話を言われましたので、私の方は、きょうはディスクロージャーに限って質問をさせていただきます。  まず、このディスクロージャーのことについて、この前、十一月二十八日ですが、私が質問をしたのですが、そのときに、銀行業務の公共性、これは金融制度調査会の報告でも銀行には高い公共性と社会的な責任があるのだという話が書いてございますが、つまり公的責任銀行にはあるのだということがよく言われますし、そういう答弁もされています。  一つ一つお聞きしたいのですが、この公的責任は、銀行はだれに対して負っているのでしょうか。
  164. 山口公生

    山口政府委員 銀行は広く国民から預金を預託され、信用機能、決済機能を供給しております。金融システムの中心的役割を果たしております。したがって、国民に対しその公共性を有しているというふうに言うべきであろう。それは、私ども一人一人が銀行と無縁で過ごすということはおよそないからだというふうに思います。
  165. 末松義規

    ○末松委員 では、その公的責任というのはどんな責任なのでしょうか。
  166. 山口公生

    山口政府委員 今申し上げました、預金を受け入れ、信用機能を果たし、決済機能を確実に果たすという、そういった機能を十分に果たして一国民経済に資するということだろうというふうに思います。
  167. 末松義規

    ○末松委員 普通の企業が倒産しても、今回のこの破綻劇のように日銀特融もなければ、それから預金保険による救済もない、あるいは公的資金導入といった議論なんか一切起こらないわけですよ。  私が選挙区に帰って中小企業の人と話しますと、自分たちが倒産しても何の救済もないのに、なぜ銀行だけは特別なんだ。そして、しかも大会社であれば、例えば山一の場合、七千五百人だったら政府は動くけれども、じゃ中小企業なら動いたか、何も動かないじゃないかという不満が非常に聞こえるのですが、銀行が負っている公的責任、これがあるがゆえに、これらの日銀特融あるいは預金保険機構公的資金導入とか、そういったことが議論される、あるいはそういう措置をされるというふうに考えてよろしいですか。
  168. 山口公生

    山口政府委員 確かに、一般の企業の方々から見ますと、いろいろな形で金融機関保護されている、優遇されているという御印象を受けられているのは、私も承知しております。  ただ、今先生が御指摘になりました預金保険制度とか、あるいは公的ないろいろな支援とか、あるいは特融とかということも、すべて預金者保護であり、決済システムの維持であり、さらに、時々私も強調させていただきますけれども、可能であれば、受け皿銀行をつくれれば、健全な取引先融資関係も維持できる、こういう公共的な役割に対してやっているということでございます。
  169. 末松義規

    ○末松委員 そうしますと、今のお話で、広く国民に対して公的責任、そういう決済機能あるいは信用機能あるいは預金機能ですか、そういうことを果たすべき公的責任があるんだ、それがゆえに銀行は優遇されているのだというお話ですが、逆に、今度は国民の方から見ると、そういうふうな機能が実際に銀行として健全に行われているのかどうか、つまり健全経営の義務があるということにもつながるのでしょうけれども、健全に機能しているかどうか、それが見えないといけないですよね。逆に言えば、それは国民が知ることができるという環境になければいけない、そういうことだと思いますが、いかがですか。
  170. 山口公生

    山口政府委員 その点については、私も先生と同じ意見でございます。
  171. 末松義規

    ○末松委員 それを言いかえますと、知ることができる環境をつくらなければいけない。つまり、逆に言えば、国民からいえば、銀行が健全に経営されているかどうか知る権利があるということだと思いますが、いかがですか。
  172. 山口公生

    山口政府委員 国民にとってみれば、その金融機関が健全に事業を遂行し、社会的な役割を果たしているということを知るということは、非常に大切なことだというふうに思います。
  173. 末松義規

    ○末松委員 大切なことだということは、権利ということで考えてよろしいですか。
  174. 山口公生

    山口政府委員 権利とか義務とかになりますと法律用語になりますので、あえて私は申しませんが、逆に金融機関側からいうと、そういったことを明らかにしていくということは、ぜひ必要だと思います。
  175. 末松義規

    ○末松委員 それは金融機関にとって義務だと考えますか。
  176. 山口公生

    山口政府委員 繰り返しになりますが、権利とか義務とかいうことになりますと、これは法律的な用語になります……(末松委員責任がある」と呼ぶ)まあ、そういう責務があるということは言えると思いますけれども、民事上の責任があるとか、例えば損害賠償の対象になるとかいうような性格ではないような気がします。
  177. 末松義規

    ○末松委員 民事上の責任があるとか、それについては全く責任がないということですか、そうすると。
  178. 山口公生

    山口政府委員 私が申し上げているのは、社会的な存在であるということから、そういった責務といいましょうか、そういったものがおのずとある、こういうことだと思います。
  179. 末松義規

    ○末松委員 実は、私が問いたいのはまさしくその点なのですよ。  この前、山口局長が声高らかに、ディスクロージャーというのは、企業の経営の透明化を通じて預金者の自己責任原則が全うされるのだとか、あるいはマーケット評価を通じて金融機関の自律規制ができるのだ、それを促すのだということで、極めて意義深いものでありますという答弁をされているのですね。  そこで、では銀行法の二十一条のあの訓示規定ですね。あれを義務化すればいいではないかと言ったときに、山口局長が答えられたのは、実はディスクロージャーというのは、義務的なものではなくて、銀行金融機関の自主的なものなのだと。ですから、義務化と言うとちょっとおかしいのではないかと。さらに、ディスクロージャーを義務化して、政府がここまでディスクローズしてくださいというふうに決めてしまうと、今度は逆に、金融機関が安心をして、それ以上ディスクローズが進まなくなってしまう。またそれから、そういうようなことを政府がやり始めると、言葉の定義が難しくなってくるのだというふうに答えられたわけです。私も、その答弁を読み返してみて、それはおかしいのではないかと思うわけです。  といいますのは、なぜかというと、銀行法でディスクロージャーを義務化しないとするならば、そして金融機関がこれは勝手におやりになることですという話になるならば、先ほど言いました国民から見た利益が保護されないことになってしまいますが、どうお考えになりますか。
  180. 山口公生

    山口政府委員 ディスクロージャーは、声高らかにと申されましたけれども、市場の評価を得るという意味でも大変大事なことであります。それで、義務化した方がより進むか、あるいは自主的なマーケットの力でどんどんやらせる方がいいのかという政策判断ではないかと思います。  五十六年の銀行法のときもかなり問題になったやに聞いておりますけれども、当時の立法では、先生の御指摘のように義務化はしておりません。義務化はしておりませんけれども、年々拡充しております。今七十五項目の、銀行によって違いますけれども大手は七十五項目、信組等もかなりの項目についてディスクローズしてきております。また、今後の課題として、デリバティブとかオフバランスの情報とか時価情報とか、どんどん日進月歩で発展するといいましょうか、変えていかざるを得ないわけでございます。  したがって、確かに先生おっしゃるように義務化して、これだけやらないと罰則をかけるぞという強制力を持ってやるのも一つの手だと思うのですけれども、今の進み方からいいますと、それよりは、市場の方に催促されると言ってはなんですけれども、市場の評価というのは非常に今重要になって、また各金融機関も気にしておりますので、そうした形の方が有効かなという気がします。  現にアメリカは、ちょっと確認はしておりませんけれども、もし誤っていたらお許しいただきたいのですが、私の知る限りにおきましては義務にはなっておりません。しかし、SECの基準でどんどんそれは発表しております。そういうふうに聞いております。
  181. 末松義規

    ○末松委員 どうも山口局長は、この前の答弁で、アメリカについてはディスクロージャーは義務になっているのだ、縦覧する義務があるのだというふうに答えられているのですけれども、違うのですか。
  182. 山口公生

    山口政府委員 もし私がそういうふうにお答えをしたというと、ちょっと正確を欠いて失礼したと思いますが、今手元の資料ですと、開示義務はないが、ほとんどの金融機関が年次報告書に記載している。ヨーロッパはディスクロージャーの規定そのものがございません。アメリカはSEC基準で……(末松委員不良債権情報でしょう、それは」と呼ぶ)今不良債権情報を言っております。  不良債権情報について言いますと、七六年に制定されたインダストリーガイド三により規定されております。開示義務はないが、ほとんどの金融機関が年次報告書に現実には記載しております。そういうふうに手元の資料はなっております。     〔井奥委員長代理退席、佐藤(静)委員長代理着席〕
  183. 末松義規

    ○末松委員 何か答弁資料が違っているのですかね。私この答弁を読みますと、これはあなたが言ったことですよ。アメリカにおきましては、銀行は、連邦銀行法に基づく連邦規則上、財務状況に関する年次ディスクロージャー誌を公衆に縦覧する義務があるほかと書いてあるのですよ。不良債権については、SECの客観的な基準により開示するよう求められているというふうに書いてあるのですけれども、違うのですか。
  184. 山口公生

    山口政府委員 確かに私は、ちょっと今不良債権のところに焦点を絞って申し上げましたので、そういうことでございますが、連邦銀行法に基づく連邦規則上は、財務状況に関する年次ディスクロージャー誌を公衆に縦覧する義務があるというのは、先生のおっしゃるとおりです。私の勘違いで、私はSECの不良債権情報の話をしておりますので、大変失礼しました。
  185. 末松義規

    ○末松委員 そうすると、今度、来年の三月までに早期是正措置がやられますよね。それは基本的にはアメリカのまねをしたというか参考にしたのですけれども、そういうふうなことをアメリカはずっとやっているわけですけれどもディスクロージャーの先進国ともいうべきアメリカが情報開示については義務化しているわけですよ。  では、何で日本でやるときに、政府がやろうとすると進まなくなるのだというふうな議論が出てくるのですか。その辺はおかしいではないですか。
  186. 山口公生

    山口政府委員 確かに義務化した方が進むかどうかというのは議論はあると思います。しかし、現に今の銀行法の規定でもって、毎年どんどんディスクロージャーが進展しております。それで、さらに刻々それは変わってきております。  義務化するとなると、最低限ここだけはやりなさいという形になると思いますね。そこに罰則をつけるとなると、ぎりぎりここまではというふうになるような気がいたします。それは政策論ではないかと思うわけでございますけれども、現時点において、市場の力といいましょうか市場の評価というものが非常に力を持ってきておりますので、むしろ、どんどん先に行ってもらう。そうすると、一行がディスクロージャーで先に行きますと、同じような業態のところはそれに追いつこうとするわけでございます。最低限に張りつこうとはしないと私は思うわけでございます。  それは、先生のおっしゃることもよくわかります。どちらがより有効だろうかと考えたときに、私は、現行法で十分機能しているし、また先に行く者を追いかけようという動きがある以上は、これがむしろ有効かなという感じもいたします。
  187. 末松義規

    ○末松委員 ディスクロージャーの議論というのは、こういう破綻銀行が出てきたりして、結構新しいのですよ。最近なのですよ。それまでディスクロージャーというのはほとんど機能していなかったというふうに言われているのですよ。  もし自主的に任せて、ではマーケットに任せるのだったら指導する必要などないではないですか。実際は、そういう指導があるからいろいろとやってきているわけでしょう。だから、そこのところを何かあたかも、今それが始まったという現状はわかるのです。わかるのですが、私が言いたいのは、立法論の中で、つまり国民から見てきちんと情報開示されて、自分たちが知ることができるアクセスがきちんとあるのだ、銀行がきちんとその義務を果たすというのが基本的に銀行法のあるべき姿なのですよ。  それは、局長が言われるように、今はマーケットがそういう形でどんどんやっていますから流れていますよという話は、それはある意味で瑣末論なのですね。本質論ではないのです。本当の意味では、マーケットに銀行がこびるためにこれをやっているわけではなくて、国民が知らなければいけないから銀行法の情報開示義務をつくらなければいけない。そういう発想が多分大蔵省にはないんじゃないかと思うんですね。実態を言っているわけじゃないんです。アメリカは、そこはきちんと哲学があるから、だから義務規定を持っているんですよ。経済の実態がそういうふうに動いているから、うまくこれは機能しているんですよ。ただ、日本はそこを輸入し忘れたんじゃないかという批判が結構あるんですが、そこは僕は当たっていると思うんですね。それについて何かコメントございますか。
  188. 山口公生

    山口政府委員 先生のおっしゃっている御趣旨もよく私は理解できますし、そういった考え方もあろうと思います。ただ、義務化した方が自主的な充実の取り組みに資するかどうかという点になりますと、私はちょっと違う感じもいたします。義務化しますと、ぎりぎり最低限ここまでで、これをやらないときは罰則だ、こういうふうな最低ラインを決めるということになります。今はそういう時代ではなくて、むしろ市場にわかってもらうという時代にこれから入ると思うんです。そういうふうに考えたときには、確かに両方の意見はあり得ると思いますけれども、これでどんどん進めていく方が有効ではないかというふうに思っております。
  189. 末松義規

    ○末松委員 こういうふうな破綻が起きて、そしてディスクロージャーする必要性が言われて、市場がそういった意味でリードしてきている状況においては、ひょっとしたら効果的にはそんなに変わらないかもしれないけれども、ただ、それは表面的なことであって、実際に国民を守る、あるいは国民がきちんと自分の銀行を選んで、自己責任原則をきちんととることができるというためには、その義務化が必要じゃないかということを私は繰り返し申し上げている。あなたの方は、それを、どうすればディスクロージャーが進むかだけを言われているんですよ。そこの違いについてコメントはないのかという話だったんですよ。ありますか。また同じことを繰り返されますか。
  190. 山口公生

    山口政府委員 同じ答えになりますので大変失礼になりますけれどもディスクロージャーの充実というのは非常に大切なことで、今、都銀に始まりまして農協、漁協に至るまで、ディスクロージャーの充実に努めております。都銀が昨年、八年度で必須開示項目四十三、任意開示項目三十三と言っておりましたのが、項目数はちょっと束ねてありますので一つ減っておりますが、九年度は必須開示項目を七十五にしております。全部必須というふうになっておりますので、義務化しなくても、そういった形での自己規制的な動きはかなり進んでいるということを御理解いただきたい。
  191. 末松義規

    ○末松委員 その七十五項目というのは、私もいろいろと聞いているわけですけれども、それは全銀協がやっているわけでしょう。これは全銀協がやりますからという話なんですよ。どうも何か聞いていると、業者のサイドに立った業者行政をやっているとしか思えない。  ちょっと角度を変えて聞きますけれども、来年三月までに不良債権の額を公表させる指導を行っておりますという話をこの前言っておられましたよね。この指導というのは、法的にはどの条項に根拠があるんでしたっけ。
  192. 山口公生

    山口政府委員 この間申し上げましたのは、三月期のケースについてでございますが、ことしの三月期決算ベースで、都長信銀、地銀、第二地銀、これは破綻先、延滞債権金利減免、すべて開示をしております。しかし、信用金庫につきましては、四百十信金のうち、その三項目全部開示しておりましたのが百六十でございました。(末松委員「法的根拠を聞いているんですよ」と呼ぶ)それは、金融制度調査会の答申に基づいて全銀協が決め、それでもって各業態別にできるだけそれを早くしようということで、大手の方から早くできましたので、来年の三月期からは全金融機関が、その破綻、延滞、金利減免がそろうということでございます。それを申し上げております。
  193. 末松義規

    ○末松委員 聞いていることにちゃんと答えてください、時間ももう少ないんですから。  つまり、それは全銀協がやっているということで、大蔵省が指導しているとあなたは言われましたけれども、それは指導とは違うわけですね。全銀協がやっているんですよ、あくまでも。そうでしょう。別に、大蔵省銀行法に基づいて何かそれを指導しているわけじゃないんでしょう。
  194. 山口公生

    山口政府委員 銀行法に基づいての、例えば命令とか指導ということではありませんで、金融制度調査会で、「九八年三月期までに不良債権ディスクロージャーを完了すべきである。」というふうに出しておられますので、そういう旨で、各金融機関全部そろうようにということで指導している、こういうことでございます。
  195. 末松義規

    ○末松委員 私がこの前質問で、二〇〇一年のペイオフのときまでにディスクロージャーのレベルをどこまで引き上げるのかと言ったときに、その質問に対する答えが、今あなたが言われた九八年の三月期に不良債権額を公表するという話だったんですが、その九八年三月期以降について、ディスクロージャーの何か予定はあるんですか、ないんですか。簡潔にお願いします。
  196. 山口公生

    山口政府委員 来年の三月期で一つの区切りがつくわけでございます、制度的に。それで問題は、破綻、延滞、金利減免という一つ基準でやっております。それが果たして十分かどうかという御議論が、今国会でも随分出ました。私の方もそれは、さらにどういう充実を図るべきか、つまり内容の問題でございます。そういうことは検討していく必要があるだろうなというふうに、この国会の御議論を聞きながら考えております。
  197. 末松義規

    ○末松委員 といナことは、大蔵省ディスクロージャーについて、銀行法に基づいては指導をしてこなかったし、全銀協がずっとそれを進めてきているということなんですね。そこの辺が、大臣も言われておりました、ディスクロージャーについてもきちんとやっていきますという話とどうつながるんですか。何ら義務規定もないのに、勝手に大蔵省の皆さんが行政指導で指導するということですか。
  198. 山口公生

    山口政府委員 いろいろな行政目的を果たすためには、厳しい規制をかける、あるいは義務規定を課す、こういうやり方ももちろんあります。ただ、もう一方で、自主ルールだとか自主的な動きを促すということもあります。金融制度調査会で、このたびも、ディスクロージャーの充実を図ることが望ましいということを言われております。金融界もそれは知っております。だから、そういう形で、できるだけ自主的な動きを促すというような方法が望ましいんではないかというふうに思っております。
  199. 末松義規

    ○末松委員 その促す目的は何かということを先ほどから私は問うているわけですよ。マーケットに対して自分の情報をさらしていく、それが国民の方から見てきちんと見える、ぞれを今、市場もそして業界も大きく重視をし始めたということなんだろうと思うんです。ただ、そこの本当の根底にあるのは、先ほど一番最初にこのコンセプトについて話をさせていただきましたけれども、要するに国民をきちんと守るんだ、あるいは国民の権利というもの、権利かどうかわからないけれども、その大切なものを守るんだという意識から発していかないと、単にこれはディスクロージャーが進むからこれでいいんだという話じゃないと思うんですよね。そこが、アメリカと日本の今度の対応の差にも、微妙にやはり出てきていると思うんです。  そういった意味で、私は、是が非でも義務化せよという話には結局なるんですけれども国民というものをきちっともとに据えた形で、そして銀行業界のあるべき姿というものをもう一回見直していただいて、そこにディスクロージャーをする本当の意味をかみしめながら金融行政をやっていただきたいと思います。  もう時間もなくなりましたので、これで終わります。どうもありがとうございました。
  200. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員長代理 次に、佐々木憲昭君。
  201. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。  公的資金投入の問題が一つの焦点となっております。この問題で、私大変不思議に思っておりますのは、預金保険機構公的資金を投入するということをしさえすれば預金者保護になる、そういうふうに言われていることでございます。預金者保護するというのは当然のことだと思うのですけれども預金保険機構が本当に預金者保護のために役に立っているのか、そのための機関になっているのかということが前提として問われなければならないと思います。  一昨日の衆参の予算委員会でも、我が党の佐々木陸海議員、筆坂議員がこの問題点について指摘をいたしました。筆坂議員の質問に対しまして山日銀行局長は、金融機関が体力のあるうちは私たちが要請したときは応じてもらえた、しかし、不良債権処理から脱却しなければならない、また国際競争力の問題もあるという事態になりましたときに、そこにおのずから限界が参ったわけでございます、このような答弁がありました。つまり、破綻処理に当たっては銀行の負担を軽減する、つまり預金保険機構に一層依存せざるを得ない、こりいうことだと思うわけですけれども、私は、この発想そのものに大変大きな疑問を覚えて聞いておりました。  そこでお聞きしたいわけですけれども預金保険を発動する際の条件、前提条件というのは一体何でしょうか。
  202. 山口公生

    山口政府委員 預金保険を発動するに当たりましては、預金等の払い戻しを停止または停止するおそれのある破綻金融機関が存在している状況のもとで、預金保険の発動が行われなければ預金者保護や信用秩序の維持がなされないと判断されることが要件だというふうに思います。
  203. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 金制調の平成七年十二月二十二日の「金融システム安定化のための諸施策」の中では、預金保険の発動に際して、前提条件として三つ挙げられております。「破綻金融機関は存続させないこと、経営者の退任及び民事・刑事上の厳格な責任追及が行われること、株主・出資者の損失負担が行われること、」この三つ条件として挙げられているわけですけれども、これはこのとおりですか。
  204. 山口公生

    山口政府委員 そういう考え方でやっております。
  205. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 こういう考え方だということでありますが、私は、果たしてこの三つだけでいいのだろうかと。例えば、現実に破綻をした金融機関、実態を考えてみますと、系列の親会社に当たる部分が上の方から紹介融資、迂回融資、こういうことを盛んにやりまして、その結果、破綻の原因をつくってしまった、こういう事例があるわけであります。関係金融機関責任、つまり、当然この責任追及というのを一つの前提条件として挙げるべきではないかというふうに思うわけですけれども、その点はいかがでしょうか。
  206. 山口公生

    山口政府委員 それはいろいろなケースでいろいろなことがあると思いますけれども、その関係金融機関が必ずしもそういった責任を負うべき行為をしたかどうかということはさまざまであろうというふうに思いますので、一律にそれを関係金融機関責任を問わせて、あるいは負担をさせるべきだということにはならないのじゃないか、しかしケースによってはそういうこともあるでしょうというふうに思います。     〔佐藤(静)委員長代理退席、委員長着席〕
  207. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 金制調の先ほど挙げた答申では、「関係金融機関による可能な限りの協力が必要となる。」ということがうたわれているわけですね。ですから、場合によってはあるなしというのではなしに、可能な限り関係金融機関の協力ということが書かれているわけでございます。  ですから、その点が大変重要でありまして、特に、先ほど申し上げました紹介融資、迂回融資などで破綻に追い込んでいった、そういう場合の責任はますます大きいわけであります。この原則があいまいのままでありますと、例えば木津信と三和銀行のような問題が起こるわけです。本来責任を負うべき金融機関が負担を免れてしまう。その結果、預金保険機構がますます廃棄物処理場のよりな状況に追い込まれてしまい、本来の預金者保護という性格がゆがめられてしまう。こういうことになるわけでありまして、ぜひこの点は重視をして、こういう基本的な原則を貫くようにやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  208. 山口公生

    山口政府委員 もちろんさまざまなケースがあり得ると思いますし、関係金融機関にその協力を求めるのが適当だという場合もあるでしょう。しかし、そういう場合だけでもございません。  それで、今どういうことになっているかというと、この五年間は保険料を七倍に上げて、それも大きいところから小さいところまで全部七倍でございます。したがいまして、アメリカのように、健全なところは保険料はほとんどなくても済むという状況にはしてございません。そうしたときには、やはり大手の銀行にとってみますとかなりの負担であるということは間違いない。しかし、だからといって責任がないと私は申し上げているわけではありません。それは別問題として、そういうふりな仕組みでもって相互の扶助を行っているといりのも御理解賜りたいというふうに思うわけでございます。
  209. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 関係金融機関というのは、直接的な関係のある金融機関だけではなしに、やはり業界全体としての責任、この点が私は大変重要だというふうに思います。日本のように、不良債権預金保険機構にどんどん買い取らせていく、こういうやり方というのは、これはアメリカと比べましても非常に異常な状況だと私は思うのです。  といいますのは、アメリカでは、一九六八年から、FDICが破綻処理方式として、不良債権はFDICが買い取り、経営の継承先には健全資産、さらに預金を買い取らせる、つまり健全資産PアンドAというものを採用していたわけでありますけれども、これは今の日本のやり方と非常に似ているわけですね。しかし、この方式はFDICによる不良債権の管理負担が余りにも大きいということで、一九八七年からは、全資産・負債を継承金融機関に継承させて不良債権の管理と処理を任せる、つまり全資産PアンドAというのが採用されたわけであります。九一年からは、最も処理コストの低い方式の選択を義務づけるコストテストの厳格化ということも実施をされるようになっているわけであります。これはもう日銀の調査月報などでもその紹介があります。  ですから、日本がやっているような不良資産を切り離して預金保険機構が買い取るという方式は、これはアメリカでは、もう既に十年前に、こういうやり方は失格だ、やらない、こういう制度でありまして、当然こういう教訓にやはり学ぶべきではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  210. 山口公生

    山口政府委員 先生がおっしゃいますように、現在の我が国の破綻処理は、最近は、健全な資産を受け皿銀行に引き継いでいただいて、不良資産は時価で預金保険機構が買い取ってという姿でございます。これは一つ処理の仕方でございます。  しかし、もし銀行によっては不良債権も自分は引き取っていい、そのかわりその損失部分は全部埋めてくれということであれば、それはそれで可能でございますが、私ども現実に行政をやっておりますと、そういう銀行はなかなか出てこない。なぜならば、回収ということについて自分のところと全く関係のなかった顧客の不良債権ということでもありますし、そういう事情があると思うんですけれども、そういうのが現状でございます。  現実に、だからどいって処理をしないというわけにいきません。私どもとしては預金者保護システムの安定のためにそれは処理を迫られるわけでございますので、そういう形の処理を今やっているということを御理解いただきたいと思います。
  211. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今の答弁は銀行寄りの姿勢だと私は思うわけであります。一方でグローバルスタンダードと言いながら、こういう処理の仕方については、日本独特のいわば銀行救済的内容になっているという点を私は指摘せざるを得ないと思うんです。やはり肝心なことは、アメリカの制度からも学ぶということが必要ではないかと私は思います。  では次に、提案されているこの預金保険機構改正案に即して幾つかお聞きをしたいと思います。今回新設されている、提案されている特定合併ですね。つまり、大蔵大臣あっせん経営が悪化した金融機関同士の合併を進めていく、不良債権預金保険機構が引き受けると。そこで大蔵大臣にお聞きをいたしますけれども、この法案が閣議決定されましたその日に福徳銀行となにわ銀行合併が発表されました。この両行とも経営が悪化した銀行でありますけれども、これはまだ破綻していないわけですね。それで、三塚大蔵大臣は十月九日の閣議後の記者会見で、改正案の適用を視野に入れている、つまり、この今提案されている改正案の適用第一号として想定しているんだということをおっしゃっています。法案がまだ通ってもいないのに適用を前提としてあっせんを行うというのは、これはこの大蔵委員会審議を軽視するものではないでしょうか。大蔵大臣、いかがですか。
  212. 山口公生

    山口政府委員 けさ方もそういった御指摘がありまして、それから委員長の御注意もありましたので、その点については私どもは重々肝に銘じておりますけれども、今先生のおっしゃった趣旨は、ちょっと状況を御説明させていただく必要があると思います。  それは、大臣の談話で視野に入れて云々というのは、談話の一部分に確かにそういう表現はございますけれども、そういうことを両行が言っているということの部分でございます。  ちょっと詳しく説明しますと、その「法律が成立した段階において、諸情勢を慎重かつ総合的に判断したうえで「合併のための基本事項」を見直す場合もあり得ることを両行間で合意いたしております。」というのが両行の言い方でございます。したがって、それを受けまして大臣の談話では、その具体的な「合併の内容・方法については、こうした観点から、政府が提出する預金保険法改正案が成立した段階でその適用を受けることも視野に入れ、今後具体的な検討が進められる」というその両行の合意のことを言っておりますので、大臣が視野に入れてやるとおっしゃったわけじゃありません。そこはよく御理解いただきたいと思います。
  213. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 両行がそう言っていると言うんですけれども、これは両行の頭取の記者会見がありまして、こういうことを言っているんです。合併に関する大蔵省からのあっせんについて、七月中旬ごろに、預金保険法改正考えているがどうかとの話はあった、つまり大蔵省から働きかけがあった、こういうふうに当人がおっしゃっているわけでありまして、これはもう全然事実と違うんじゃありませんか。いかがですか。
  214. 山口公生

    山口政府委員 以前より預金保険法改正を前提に金融機関と協議、交渉して何か話をしていたんじゃないかというお話でございますけれども、一般的な政策の構想を念頭に置きながら、その構想の実現可能性も含めて関係者間で議論を行い、調整を図るという、これは、通常、行政がやる場合あり得るわけでございます。現行の預金保険法では対応が困難なケースについてどう対応していくかという構想の可能性を、今特定の銀行を申されましたけれども、それに限らず、いろいろな銀行にそういったことがフィージブルなのかどうかということも含めて一般的な形での行政として聞いておったわけでございますので、そこは御理解をいただきたいと思います。  少なくとも私どもは、行政をやるときあるいは立法をやるときに、むやみと自分たちだけの考え方で法案を作成するというわけにいきません。現実に適用した場合にどういうことなんだろうかというのはいつも頭に置きながら、しかし、そういった構想を練る段階で、いろいろな銀行状況等を見ながらやるということはしばしば行われておることでございます。
  215. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 かなり苦しい答弁だと思います。あっせんについての話があった、七月中旬ごろにそれがあった、その際に預金保険法改正考えているがどうか、こういうふうに言われたと当人が、記者会見で両方の頭取がおっしゃっているわけですから。  それで次に、新聞報道などによりますと、この二つの銀行はバブル期に大変な投機活動をやっておりまして、関連ノンバンクがゴルフ場開発などをやって、そこに無理な融資を膨らませて経営基盤が非常に悪化した。これは福徳銀行の事例。なにわ銀行は、不動産向け融資貸出金の三割近い、大変な不動産向けの貸し出しをやったわけであります。東京商工リサーチの調査によりますと、なにわ銀行は全国銀行の不動産業向け貸出金残高の第三位、福徳銀行は第五位、こういう状況ですね。  そこで、このようなバブル期の乱脈経営責任の追及というのは非常に重要だというふうに思うわけですけれども合併あるいはそのあっせんということになりますと、この乱脈経営責任そのものは一体どのように問うのか、その点についてお聞きしたいと思います。
  216. 山口公生

    山口政府委員 まだ法律も御審議中でございますし、私どもは、そのあっせん行為を特定行にやるということを決めているわけでもございません。したがって、この現実ではちょっとお答えはできないというふうに思います。     〔委員長退席、井奥委員長代理着席〕
  217. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 この不良債権の問題も乱脈経営の結果というのがほとんどでありまして、そういう点を問うことなしに、この新しい改正案によりまして、あっせんをし、合併をし、そして不良債権預金保険機構にどんどん買い取らせていく。そうなりますと、まさに金融機関救済預金保険機構という性格をますます強めるというふうに私は思うわけであります。  そこで、都市銀行で初めて経営破綻に陥りました拓銀の不良債権問題、これはもう本当に金額としても大変大きいと想定されているわけですけれども、公表されている不良債権の規模は九千三百四十九億と言われております。これが一・五倍あるいは二倍と膨らむ可能性があると言われていますけれども、この点はどのようにお考えでしょうか。
  218. 山口公生

    山口政府委員 十月の半ばから検査に入っております。まだ結論は出ておりませんので何とも申し上げられませんが、金融機関破綻した場合というのは、その融資先にやはり事情の変更が起きるわけでございます。したがって、そこは破綻というものの前提で検査を見るということになろうかと思います。ただ、だからといってその額が幾らということを私が示唆しているわけではありません。  いずれにせよ、今検査中でございますので、その結果を見ないとわからないということでございます。
  219. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 規模はまだ調査中でわからない。しかし、結論としては、不良債権が出ればそれは預金保険機構が買い取りますという、あらかじめ先に買い取りありきといいますか、そういうことだけは決まっているということになるわけで、私は、非常にここは問題だと思うのですね。  どんなに規模が膨らんでも、どんなにといいますか例えば二倍、あるいは場合によっては三倍というふうになっても、その規模の不良債権はすべて預金保険機構が引き取る、こういうことになるわけですか。
  220. 山口公生

    山口政府委員 その不良債権をどこかの銀行が引き取ってくれれば、それは可能です。しかし、そういう銀行が存在しない以上、不良債権をほうり出すわけにいきません。それは回収しなければいけません。それで、時価で預金保険が買い取るということでございます。  そういう処理をしなければ、この北拓の破綻処理ができません。そうしますと、預金者保護されませんし、システムは壊れますし、北海道の健全な取引先は全くどこに行っていいかわからないという状況になるわけでございます。日銀の二十五条の特融も、出る前提が崩れます。そういうことは私どもはやれないということで、こういう措置をやらせていただいたと.いうことでございます。
  221. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 拓銀の経営破綻というのは、問題は、正常な経営をやっていてそのような不良債権が生まれたというのではなくて、まさに乱脈経営の結果であります。  例えば、一九八〇年代に始まりました新興企業育成という方針でバブル企業への多額の融資が行われた。それが焦げついて不良債権が膨張してしまった。これはもう既に明らかでありまして、例えばカブトデコムという会社があります。千八百四十二億円の債務超過破綻した建設・不動産会社でありますけれども、さらに、そのグループ企業のリゾート開発株式会社エイペックス、こういうところにどんな融資を行っていたか。このグループ企業が洞爺湖周辺で行ったリゾート開発に対して、何の価値もないようなリゾート会員権、これさえあれば無審査、無担保、無保証、こういうことで融資を行って、むちゃくちゃなことをやつたというふうに指摘をされているわけであります。  拓銀本体のピーク時の融資総額というのは、九百億円、迂回融資やグループ全体の融資を入れますと二千億円とも三千億円とも言われるわけであります。それでバブルが崩壊をして、カブトデコムの子会社だったエイペックスやリッチフィールドという会社は傘下に吸収して、カブトデコムは切り捨てる、こういうことをやったわけです。しかし多額の不良債権だけが残ってしまった、こういう状況なのですね。  ですから、不良債権処理をどうするかという問題の前に、一体この乱脈経営の実態は何だったのか、どういうことをやったのか、どこに責任があって、そして例えばその過程で大蔵省はどのような改善指導をしたのか、ここがやはり問われなければならないと思うわけですけれども、この調査というのは現実にはやられているのでしょうか。
  222. 山口公生

    山口政府委員 先ほどお答えしましたように、今検査が入っております。その検査でいろいろなことが出てきますれば、それは適切に対処しなければいけないというふうに思います。     〔井奥委員長代理退席、村田(吉)委員長代理着席〕
  223. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 同様に、拓銀にはさまざまな関連企業があります。例えばたくぎん抵当証券、これも融資先の大半は首都圏の不動産関連会社で、バブル期に大規模に貸し込んだ。膨大な不良債権を抱えて十一月十八日に自己破産をいたしました。拓銀からの融資残高は千二百十二億円と莫大な規模に上っております。拓銀系のノンバンクの中にエスコリースという子会社がありまして、このエスコリースの社長は拓銀のOBであります。バブル期にイージーキャピタルコンサルタンツ、ECCという大阪のノンバンクに二千億円もつぎ込んで回収不能になった。拓銀に大きな負担になっているわけであります。  こういう乱脈の限りを尽くした結果生まれた不良債権というのをすべて預金保険機構が買い取る。ですから、一番大事なのは、なぜそういうものが生まれたのか、その責任はどうなのか、その過程で大蔵省はどのような指導をしたのかということを、すべて明らかにするということが重要だと思うわけです。  この預金保険機構というのは、一九七一年に成立したものですけれども、本来、預金者保護目的にしてできたものであります。ところが、次第次第に大きな変質といってもいい事態が生まれました。一九八六年の改正では、破綻した金融機関を吸収合併する場合に資金援助ができる、つまり銀行救済にも使えるという道をそこであけた。それから昨年の改正では、預金保険機構破綻した金融機関不良債権を買い取れるようにした、あるいはペイオフコストを超えて青天井で特別の資金援助ができるようにした、このようにしてどんどん内容が変わってきているわけです。性格が変わってきているわけです。今度の改正案では、合併して新しい銀行をつくる、あるいはあっせんして破綻金融機関同士を合併させていく、特定合併とり7ものもできるようにする。  このようにして、一貫して銀行の乱脈経営のツケをこの預金保険機構に押しつけるということが強まっているということでありまして、ですから、この預金保険機構の資金が底をつきますと公的資金導入ということになるわけで、そういう動きに対して私たちは、これは乱脈経営の結果生まれた不良債権処理国民の血税を使うことになるということで、そういうやり方には反対であります。そして全体として、グループあるいは金融業界、その全体の責任負担ということが問われなければならないというふうに思うわけであります。  そこで、次に拓銀の問題に関連をしまして、この経営破綻というのは地元で地域経済に大変深刻な影響を与えております。私は、十一月二十七日に現地に行って調査をしてまいりました。いろいろな生の切実な御意見も伺ってまいりました。中小企業の社長さんや自営業者の方々あるいは働いている方々などにお話を伺いました。本当に深刻であります。道内の貸出金に占める拓銀の割合というのは、これは二四%で全体の四分の一、圧倒的なシェアでありまして、これは群を抜いているわけですね。  北海道の経済部が発表しました中小企業への影響調査によりますと、拓銀をメーンバンクとしている企業、これは二九・二%、約三割なんですね。メーンバンクではないけれども取引がある、こういう企業は六三%であります。合わせて九割を超える企業が何らかの取引を行っているということでありまして、それが今大変な不安を抱えております。  そこで、中小企業庁の方にお願いをしていると思うんですけれども、北海道通産局が十二月一日に発表した全般的な調査があると思うんですが、この調査は、借り入れ条件が厳しくなった、あるいはサービスが低下したと回答をされているのは何%あるのか、それから、今後借り入れ条件が厳しくなると見ているのは何%あるか、それをちょっとお答え願いたいど思います。
  224. 寺坂信昭

    ○寺坂説明員 御説明いたします。  十一月下旬に北海道通産局が道内の中小企業に対して行った調査結果でございますけれども、それによりますと、条件が厳しくなった、あるいは条件は変わらないけれどもサービスが低下した、そういった意味での資金調達環境の悪化を感じている企業の割合は二五・七%でございます。また、今後につきまして借り入れ条件が厳しくなると見ております企業の割合は六六・八%という数字でございます。
  225. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今のお答えでも、今後ますます条件が厳しくなっていくだろうという不安を持たれている中小企業の方々が大変多い。現実に、メーンバンクに見放された、あるいは新規融資してもらえなかった、手形の割引額が圧縮されたという事例も起こっております。  実際、十一月二十八日には、木材販売で道内最大手の天塩川木材工業が、主力銀行である拓銀が破綻したということによりまして先行きを悲観して自己破産した、それを申請したということがありました。その理由として述べておられるのは、新規融資が頼めるような状況ではなくなってしまった、うちは到底正常債権には入らず、預金保険機構に売り払われる口だと思った、専務がこのように述べているわけであります。こういうふうに極めて深刻な事態が現地で生まれているんですね。  そこで、ちょっと日銀の方にお伺いをしたいと思いますが、日銀の札幌支店長は、十二月一日の記者会見でこういうことを言っているんですね。「もともとの経営に瑕疵があるような企業が、経営が行き詰まった原因は拓銀の経営破綻したためだ、などと責任を転嫁することになると、」というお話をされているんです。これは私は、中小業者の方々、中小企業の経営者の方々の感情を逆なでする発言ではないかというふうに、この記事を見て思いました。これが日銀の基本的なスタンスなのかどうかというのは極めて疑問に思うわけですが、いかがでしょうか。
  226. 本間忠世

    ○本間参考人 お答えをさせていただきます。  ただいま御指摘いただきました点でございますが、一昨日、私どもの札幌支店長が現地で記者会見を行っておりまして、それに関する一部の報道をごらんになった上での御質問だというふうに思いますが、札幌支店長から、私、現に今聞いてまいりましたが、この支店長が申しました趣旨は、この地元の健全な企業等においては、不測の悪影響が本件によって生ずることがないように万全の配慮が払われているので、何とぞ御安心をいただきたいということを申し上げたということでございます。  ただ、万が一にも誤解があってはなりませんので、改めて私ども考え方を申し上げさせていただきますと、御承知のとおり、拓銀の処理方策におきましては、この拓銀の業務を引き継ぎます受け皿銀行を北洋銀行といたしまして、またその地域経済の安定を図るという観点から、地元金融機関にも協力を求めているところでございます。さらに、北洋銀行への継承までの間におきまして、拓銀は通常どおりの業務を継続して、従来の預金者や健全な融資先等の取引に支障が生ずることのないように万全の配慮を払っているところでございます。  また、大蔵省におかれましては、今後の処理の過程で、拓銀の貸出先であります健全な企業等には不測の悪影響を与えることのないように、北海道庁を初めとする関係当局や政府系金融機関並びに関係金融機関等に対しまして、各般の支援、協力を要請しておられるというふうに聞いております。  こうした趣旨も踏まえまして、北海道の日本銀行の、これは全体で四つの支店がございます、札幌、釧路、函館、小樽でございますが、ここにおきましても、地元財務局と連携をいたしまして、企業の借り入れ動向の実態の把握、これをしっかり行うということに努めておりますし、北海道拓殖銀行の健全な融資先の取引に支障が生ずることのないように万全の対応に努めているところでございます。  先生おっしゃいますとおり、これは非常に大きな問題が私どももあると思っておりますので、しっかりこれからの対処をさせていただきたいというふうに思っております。     〔村田(吉)委員長代理退席、委員長着席〕
  227. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 誤解のないような発言、誤解を与えないようにしていただきたいというふうに思うわけです。  もう御退席になって結構です。  それで、次に、大蔵省が拓銀に対しまして業務改善命令というのを出していますけれども、この中で、これは概要を私いただいたのですけれども、非常に気になる部分がありますので、その点についてお伺いしたい。  この中には「資産の悪化を招く貸出の実行」云々、こういうものは行わないことという文章があります。こうなりますと、経営の厳しいところに対して新たな融資を行う場合に、審査を非常に厳しくしてやっていく、こういうことにもつながりかねない危険があると思うのです。いわゆる貸し渋りというものがこういう業務改善命令のもとで発生するということになりますと、中小企業の資金繰りが非常に厳しい状況の中で、これは倒産の要因にもなりかねないというふうに思うわけでありますが、この点はどのようにお考えなのか、お聞きをしたいと思います。
  228. 山口公生

    山口政府委員 拓銀の処理に当たりまして、同日付で業務改善命令を出しました。これは先ほど来先生の御指摘のとおり、この処理は、北洋銀行を受け皿とした営業譲渡、不良資産は預金保険が買い取るというのを原則にしております。したがいまして、預金保険の負担を考えなければいけません。また、日銀の特融が出ております。したがって、北拓の不良資産をさらに悪化させるということは、これは預金保険の負担をふやすということにつながるわけでございます。幸いにして、北洋銀行が受け皿となってくれましたので、窓口はあけたまま、営業は続けられます。したがって、健全な融資先は今までどおり融資を受けられます。そういう意味では本当によかったなというふうに思っておりますが、ただ、これ以上貸すとますます不良化するというところについては、これはちょっとよく審査してもらわなければいけない。そのために、ただ、それが余りにもその基準がない、あるいは恣意的になってはいけないということで、弁護士とか公認会計士の方も入れまして業務監査委員会というのをつくって、そこでその貸し出しがいいか悪いかを見て審査して、健全なところに対しては従来どおり貸し出しを行うということを可能にしたわけでございます。
  229. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 現実に、新規融資が望めるような状況ではなくなったといって破綻をしたという企業が生まれているわけでありますので、この貸し渋りあるいは新規融資についての従来以上の厳しい締め上げというようなことのないようにぜひお願いをしたいと思うわけです。  そこでもう一つは、そういう状況のもとで政府系金融機関の役割というのは、私は大変重要だと思うのです。国民金融公庫、商工中金など、その面で現地でお話をお伺いしますと大変不安を覚えておりまして、こういう政府系金融機関にもっと貸し出し条件を改善してもらいたい、こういう声が強いわけです。手続が非常に面倒だとかあるいは時間がかかる、それから貸し出し条件をもっと緩和してもらいたい、こういう声があるわけであります。年を越せるような資金を手当てしていただきたいという声が強いわけですけれども、この点で中小企業庁に、どのような対応をされているのか、どのような改善をされるのかお答えを願いたいと思います。
  230. 寺坂信昭

    ○寺坂説明員 中小企業の資金繰りへの対応策に関しましては、先般、政府として「二十一世紀を切りひらく緊急経済対策」を決定したところでございまして、例えば中小公庫におきます別枠融資制度あるいはマル経資金の限度額の拡大、そういった内容でございまして、現在その実施に移っているところでございます。これらの措置を実効あるものにしていくために中小企業対策推進本部を設置しまして、その活動を開始しているところでございます。  今回の北海道拓殖銀行に関します事態の推移によりましては、同銀行の健全な取引先中小企業に重大な支障が生じないよう、既に、中小企業金融公庫、それから商工中金、あるいは全国信用保証協会連合会に対しまして、各業種等の実情を十分考慮いたしまして、貸し出し手続の迅速化、担保徴求の弾力化等、適切な貸し出しにつきまして、個別企業の実情に応じました十分な対応を配慮するよう指導しているところでございます。また、北海道拓殖銀行取引先中小企業に対しまして、中小企業信用保険法に基づきます保険限度額の倍額化等の特例措置を講ずることといたしまして、本日から実施に移したところでございます。  今後とも、本件の推移を注視しつつ、大蔵省とも密接に連絡をとりながら、関連中小企業者の資金繰りに支障が生じることのないよう万全を期してまいりたいと考えているところでございます。
  231. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 次に、雇用問題についてお聞きをしたいと思います。  拓銀の従業員は五千百人、そのほかパートですとか嘱託、そういう方々も含めますと六千人と言われております。そういう方々の不安というのは今非常に大変な状況にありまして、銀行の行員の様子をお聞きしますと、物すごく忙しい、預金者がどんどん詰めかけるということで、社員全体としては昼休みもとれない状況で、士気が低下しているという話があります。今後どうなるのか。再雇用といっても保障がないということであります。この問題は、私は大変重要だと思うのです。  そこで、大蔵大臣にお伺いします。  経営破綻した責任、これは従業員にはないと思いますけれども、この点、大蔵大臣は基本的にどのような認識をお持ちなのか。従業員になければ、当然その従業員の雇用を何とか保障していくということが大変重要だと思うのですけれども三塚大蔵大臣にその点についての基本的な考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  232. 三塚博

    三塚国務大臣 これは、経営というのは、経営者が全社員と運命共同体の中で全力を尽くしてきております。そういう意味で、経営者が、現経営者が退陣をし新経営者陣において行う、こういうことであります。  この際申し上げておきますが、拓銀の職員の雇用問題については、従業員及び地元関係者が大きな関心を持っておられますこと、よく承知をいたしております。大蔵省といたしましても、拓銀の処理スキームを実施していくに当たりまして、このような問題にも十分配慮しつつ、今後、雇用関連政策を所管する労働省並びに北海道庁と相談しつつ適切に対処をいたしてまいる所存であり、労働省とは、私、大臣と協議をいたしておるところであります。
  233. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 雇用の問題では、北洋銀行経営が譲渡されていく、その際に優良資産がどの程度移るかによって雇用も決まるというようなことが言われています。そうなると、こういう報道もあるのです、資産十億円に一人だと。こういうことでは本当に雇用を安定させていくということにはつながらないわけでありますから、ぜひ万全の態勢をとって、従業員に不安のないようにお願いをしたい。その点についての大蔵省責任も大変重大であるという点を指摘をしておきたいと思うのです。  次に、日産生命の問題について最後にお伺いをしたいと思います。  十一月二十八日の当委員会で、私は、預金者や投資家が全面的に保護されているけれども、保険契約者については、保険金などのカットあるいは返戻金の引き下げ、こういうことが行われて大変な負担が契約者に特別に押しつけられているという点を質問いたしました。その際、提携ローンを組んだ、一括払いで保険料を払う提携ローン、その提携した金融機関銀行責任についても触れました。その中で協力預金問題というのが、私はこれは重大であるというふうに思うのです。この前は十分これに触れることができませんでしたので、この問題について、きょうは最後に聞きたいと思うのです。  例えば東京新聞では「勧誘実績で協力預金調整」、こういうのが出ておりまして、金融機関を格付して、内部資料で協力預金のやり方を決めて書かれているというものがあります。  皆さんにお配りしていると思いますが、私が提出したこの資料、これを見ていただきますと、例えば「平成八年度提携金融機関協力預金一覧」というのがあります。金融機関は、一括ローンを組みまして、そして大量に保険の契約者をみずから単独で集めた、こういう点を、私、先日指摘をしたわけですけれども、どういう金融機関が協力しているかというのがこの一覧表です。  それで、見ていただいてわかりますように、金融機関が並んでおりますが、例えば札幌銀行、札幌信金。Sというのは信金です。それからKというのは信組ですね。協力預金の欄に記号があります、GですとかIですとかKですとか。これがどこに当てはまるかというのが次の二枚目でありまして、保険料の支払いに応じて、協力預金の率が決まっているというのがこれであります。  つまり、本来、保険金一万円当たり二百二十円という手数料が支払われるわけでありますが、この左端がそうですけれども、ところが銀行が余りにも保険契約者を集め過ぎまして、その集まった保険料、これは大変膨大なものであります、それに対して手数料が支払われる、その手数料も大変膨大なものになる。そうすると、これは法人税が当然かかってまいります。それを軽減するために、支払い額を二百二十円ではなくてその一覧にありますようにずっと逓減させまして、そのかわり、右の欄にありますように、協力預金のやり方を、例えば支払い額が少なければ協力預金をたくさんしてもらう。こういう形で、三カ月定期、六カ月定期、一年定期、スーパーMMCなど協力預金のランクがこのようにつけられている。その適用の支払い率がA、B、Cというふうに書いてあります。その適用の記号がそこにあります。一枚目に見た金融機関の協力預金の記号がその記号に当たるわけであります。現物はその一番最後につけておりますが、これは大変見にくいのでワープロで打ち直したものでありますが、内容は全く同じものであります。  こういうことで、結局、日産生命は、銀行など金融機関百六十三行と契約を結び、銀行が保険を大量に集め、そしてこれを協力預金としてかなりの部分を固定的に預金をさせられていた、そのために経営そのものが大変窮屈な事態に陥って破綻の引き金にもなった、このように指摘をされているわけであります。  そこで、大蔵省は、定期的な検査が行われていたと思いますけれども、このような実態をつかんでいなかったのかどうか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  234. 福田康夫

    福田政府委員 お答えいたします。  本日お示しの資料そのものにつきましては、日産生命の内部資料かとは存じますが、実物を拝見したことはございませんで、またどのようなものかよくわかりませんので、この資料そのものについてのコメントは差し控えさせていただきたいと存じます。  なお、この資料は、御指摘のように協力預金に関するものと考えられますけれども、各生保がその資産、収入保険料等をどのような内部基準でどの金融機関預金するかということになりますと、それぞれの金融機関との親密度等々いろいろなことから、その会社の経営判断に基づく私法上の取引であると考えております。  そういうことで、私どもとしては、御指摘でございますが、このようなものについての報告を受けたり、あるいは承知しているわけではございません。
  235. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 結局、つかんでいなかったということですね。これ自体、大変私は重大だと思うのですよ。系列の保険代理店の中には、帳簿上は営業職員一人が一カ月に数百件の契約をとっていたケースもあり、代理店の税務対策上の問題からも手数料を減額する必要があった、このため、金融機関ごとに手数料率や協力預金の額を調整する必要があって銀行などをランク分けしていた、こういうふうに指摘をされているわけであります。  ですから、違法な形で銀行が単独で契約者をどんどん募って、そしてその募った結果、代理店という形でそこに手数料をどんどんため込んでいった。しかし、それですと、結局、税務対策上問題になるということで、手数料を調整する必要があるというので、ランクで、そこにありますように二百二十円からずっとゼロ円までランク分けをしまして、その調整に応じて定期預金の積み増しをしていた。  これはまことに重大な事態でありまして、このことを大蔵省自身がつかんでいなかったということは、この日産生命の破綻に至る経過、この点での実態を掌握し指導するという点で、大蔵省自身が重大な見落としをしていたということが私は指摘できると思うのです。  しかも、大蔵省の通達では、この協力預金について、過度な協力預金は自粛する、こういう通達が出ていたと思うのですけれども、この通達に違反するということになるのではありませんか。
  236. 山口公生

    山口政府委員 御指摘のとおり、過度な協力預金、これが健全な商慣習に照らして不公正な取引と認められるおそれのある預金等の調達は自粛しなければいけないようにしてあります。過度な協力預金、例えばどういうことをイメージするかといいますと、銀行側が無理やり協力をさせて、預金を異常な形で取ってしまうというようなことは、やはり社会的に批判を受けるであろうということであります。  そういった通達の趣旨でございまして、いやしくも、その業務の公共性にかんがみまして、公共的、社会的役割を自覚した業務運営を行ってもらいたいということでございます。
  237. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 過度な協力預金が実際にあったわけであります。そういう点で、これを見逃していたということは極めて私は重大だと思う。  銀行責任は主に三つあると思うのです。提携ローンで金利でもうけた、しかもこれは単独で契約をして、事実上法違反で、もうあちこちそういう事例があります。そして、そのローンを貸して金利でもうけた、保険募集の手数料でもうけた、それから協力預金をさせてそれでもうけた。  私は、こういう実態がある以上、この提携ローンを組んだ銀行調査の上、一定の負担を求めるということは当然のことだと思うわけですが、その点についての回答をお聞きしたいと思います。
  238. 福田康夫

    福田政府委員 銀行に対しまして生命保険会社が協力預金を行うということ自体は、ただいま申し上げたように、通常の商行為であって、強要されるものでなければそれ自体は問題はないと考えるわけでございます。  先日来申し上げているように、銀行自身が保険募集を行ってはならないわけでございますが、協力預金銀行による保険募集という違法行為の対価でない限りは、協力預金自体問題はないのではないかということで、銀行が提携ローンを実施したことから協力預金がなされたとしても、それ自体は必ずしも銀行が保険募集をしたことにはならないのではないかと考えているわけでございます。
  239. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 違法な募集をしていたということは、事例を挙げて私は先日指摘をし、一定の調査も約束をされたはずであります。ぜひそれをやっていただきたい。  それから最後に、保険契約者保護基金、ここからあおば生命に二千億円支援されるということになっていますけれども、これはどのような計画で実行に移されているのか、その実態をお聞かせいただきたいということと、それから今金融不安が非常に広がっている中で、あおば生命自身の再破綻という危険性はないのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  240. 福田康夫

    福田政府委員 御指摘のように、先般、あおば生命が二千億円の資金調達を行ったわけでございます。これは資金調達に当たりましては、保険契約者保護基金、すなわち生命保険協会でございますが、これが市中の金融機関に対しまして入札を行ったところでございます。調達された資金二千億円を既に一括して、日産生命からあおば生命への契約移転時、十月一日でございますが、この日にあおば生命へ贈与されております。調達した資金に対する返済につきましては、毎年度分割して返済を行うこととなっておりまして、その返済原資を各社から毎年徴求するという形でございます。  それから二番目のお尋ねの、あおば生命自体の経営は大丈夫かというお尋ねでございますが、ここにつきましては、三つの点がございます。  あおば生命自体は日産生命から引き継いだ保険契約の維持管理会社でございますので、営業拠点あるいは職員数を必要最小限のものにしてスタートいたしております。  それから二番目に、移転を受けた保険契約につきましては予定利率が変更されておりまして、現在各社が販売している水準、例えば個人保険ですと二・七五%とされておりますので、今後、引き継いだ契約そのものからその逆ざや負担が生じないようになっている。  三つ目に、移転後六年半の期間は早期解約控除制度が適用されておりまして、解約者への解約返戻金を若干軽くさせていただいている。  以上、三つの点で、あおば生命の安定的収支が保たれるものとなっておりまして、あおば生命の経営問題は特に心配ないと考えております。
  241. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 時間が参りましたので、以上で終わります。
  242. 村上誠一郎

    ○村上委員長 次に、吉田公一君。
  243. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 まず、預金保険機構には、公的資金導入してという話はありますけれども、事実上は、法令上はないわけでして、その点について、まず基本的に金融機関の保険料をもって預金保険機構というのは成り立っているわけですけれども、どうもそれでは足りそうもないから公的資金導入せざるを得ないという論議が出ているわけであります。どういう方法によってこの預金保険機構の中に公的資金導入するのか、そういう事務的な手続を教えていただければありがたい、こう思うのですね。  特に、最近における我が国の金融環境の変化に対応して、破綻金融機関に係る合併等については適時適切な資金援助が行えるよう、その資金援助の対象となる救済方法の範囲を拡大する等所要の措置を講ずる必要があるからこの法律案を提出するんだ、こういう説明が出ておりますが、そこで、公的資金とのかかわり合いはどうなのかということでございます。その点、いかがでございましょうか。
  244. 山口公生

    山口政府委員 今、公的資金と申されましたが、総理や大臣は、公的支援というふうな表現をなさっておりますが、それは、意味するところは、しばしば申し上げております、残った財源で今後破綻が生じた場合に十分に対応できるだろうかというところにつきましての国民の皆様の御心配等があるので、そのセーフティーネットの完備ということも考え、いかなる事態が生じても対応できるような、利用可能な資金を拡充するための公的な支援が何か必要ではないかという議論をされております。また、各党、国会の御論議でも、大体そういうふうな感じの議論でありまして、今すぐ幾ら足りないから幾ら入れなければいけないという議論ではないような気がするわけでございます。  そういうことについては、また私どもも真剣に検討していく必要があると思いますが、もう一つおっしゃいましたのは、この法律との関係でございます。実はこの法律は、不良債権の買い取りという行為はありますが、これはむしろ破綻に行ったらもっと負担が大きくなるということで、その時価での買い取りという形で早目に負担を最小にする、あるいは負担が場合によってはゼロで済むかもしれませんから、そういうことをねらいとしているものでございますので、この法案があるからといって、公的資金あるいは公的支援という議論が直ちに出てくる、それと結びつく問題ではないというふうに考えております。     〔委員長退席、井奥委員長代理着席〕
  245. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 確かに現行法の中で即公的資金導入ということは考えていないということですけれども、実際には考えざるを得ない、こう思うのですね。  そこで、その所要の改正というのは当然公的資金導入する場合には必要だ、こう思いますが、その所要の改正というのは必要になるでしょうかどうか。
  246. 山口公生

    山口政府委員 これにつきましては、まだ国会での御議論もいろいろありますし、各党での御議論あるいは与党内、自民党内での御議論もいろいろ参考にしながら、またマスコミ等の論調等も参考にしながら検討していくことになると思いますので、現時点でその所要の改正がいかなるものかということをちょっと申し上げられる段階ではございません。
  247. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 いや、もしやるとすれば、所要の改正法律改正というものは当然必要になってくると思うのですが、そのことについて伺っているのですよ。
  248. 山口公生

    山口政府委員 まだ内容的なものが決まりませんので、所要の改正改正というと法改正のことでございますね、そこを、どういう形になるか、ちょっとまだ明確に申し上げられないということでございます。
  249. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 預金保険機構だけでは足りないから、早急にやらなくてはいかぬということも勘案して日銀特融をしたというふうに私は思っているのですが、既にこの預金保険機構では財源が、それぞれ倒産していく中で、もうない。したがって、大蔵大臣と日銀総裁と緊急会談の後、日銀特融を決めたということで、特例だろう、こう思うのでありますが、本当に特例なのかどうか。緊急事態、緊急避難的な所要の必要度だというふうに思っておりますが、今後は、例えば何かあったというとき、日銀特融をまた緊急だということでやる可能性があるのではないかと思うのですが、その点はいかがなんでしょう。
  250. 山口公生

    山口政府委員 破綻処理の財源としての預金保険機構の資金という問題と、それからその預金保険機構がいろいろ買い取ったりするときの資金繰りをどうするかという問題とはちょっと違いますし、それから今先生のおっしゃいました特融、現実に例えば北拓、山一等で行われている特融というのは、これはちょっと次元が違いまして、その個別の金融機関破綻に際して、流動性を供給することによってシステムを壊さないで解決するという手段でございますので、その意味での御指摘の特融でありますれば、必要に応じ、日銀が流動性を供給し、破綻処理をしていくということはあるというふうに考えます。
  251. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 当然、預金保険機構を充実拡大しなきゃいけない。その点で公的資金導入ということがひとつ論議されているわけなんですが、金融機関は、これ以上保険料を負担することは非常に困難である、これ以上は無理だ、こう言っているのですけれども、試算によりますと、純利益の一%程度しか出していない。したがって、金融機関としてはこれが限度だと言っているけれども、しかし公的資金をもし導入する際には、これ以上無理だから、純利益の一%程度では困る、もっと保険料を上げるのは当然だという議論が出てくるだろう、こう思うのですよ。  だから、純利益の一%程度しか出していないということについて、大蔵省側としてはどういうふうに思っているのか。これでいいのか、それとももっと負担率を上げなきゃ公的資金なんかとても導入できるような状況じゃないのだ、こういうお考えなのか、その点を伺いたい、こう思うのです。
  252. 山口公生

    山口政府委員 今先生一%と申されましたけれども、業務純益との比でいいますと、平均すると、八年度の実績で六%台だと思います。したがいまして、業務純益に対しますとそうでございます。  ただ、業務純益は、先生御承知のとおり、年度によって大きくなったり小さくなったりいたします。したがいまして、定常的にその何%と申し上げるわけにいきませんけれども金融機関にとってみるとかなりの負担になっている。昔の、七倍の以前の状態に比べると、そういう状況でございます。  ただ、これが限界かどうかということは、それはいろいろ金融界と議論していかなきゃいけないというふうに思います。国際競争力の視点もございましょう。しかし、財源として金融機関がやはり負担していただく保険料の水準というのもあるでしょう。そういったいろいろな要素を勘案しながら、また、保険料問題については十年度末までには議論するというふうになっておりますので、余りそこを決めつけた議論はする段階ではないというふうに思います。
  253. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 よく護送船団方式、こう言われてまいりましたが、護送船団方式というのは、金融側が考えたのが護送船団方式なのか、あるいは大蔵省考え出した護送船団方式なのか、どちらなんですか。
  254. 山口公生

    山口政府委員 最も難しい御質問でございまして、実をいいますと、私どもも、護送船団方式をとっているということを一度も言った覚えはないわけでございますが、よく世上、護送船団方式でやっている、それが破綻したという御批判を受けていることは重々承知しております。  私自身、そう言われることは余り心地よいものではございませんけれども、どういう現象を指して言っていたかということを考えてみますと、従来は、金融機関がつぶれないということで預金者システム取引先を守っておった。だから究極の行政目的は今と余り変わらなかったのじゃないか。まあいろいろ御批判がありますので、おまえはきれいごとを言い過ぎるというおしかりがあるかもしれませんが、基本的にはそういう気持ちがあったのではないかというふうに思います。  究極はそういうことの目的はありますが、その手段としては、金融機関が、ちょうど規制金利体系でございましたので、余りむちゃなことをやらないようにという形での、健全性の維持をしながらそういった秩序を守っておったということだと思います。  ところが、八〇年代の半ばから金利の自由化、業務の自由化がどんどん始まりました。いわゆる自由化の始まりでございます。と同時に、自己責任という概念も出てきました。そうすると、かなり行政としても対応を変えていかざるを得ない。しかもバブル期を経験しました。金融機関もかなり今までは蓄積、体力がありました。いろいろな形で助け合いもできました。そのときに、奉加帳といって私どもいつも御批判を受けるのですけれども、協力を求めれば協力に応じていただくケースもありました。ただ、それが普遍的にできる状況かどうかということになりますと、今の時点は、なかなかそういうことが難しい時代に入ってきたということも言えると思います。  私ども目的は、預金者保護であり、システム保護であり、健全な取引先をできるだけ保護するということでございますので、仮に破綻が避けられないとしても、そのときにそういった目的がきちっと果たされるということを一義的に今考えております。  昨年の通常国会金融三法、通していただきました。したがいまして、これだけの破綻の大きな、まあ事件と言っていいと思いますが、それが起きましても、我が国経済は幸いにしてぐらついてはおらないと私は思うわけでございます。それは、皆様方に御議論いただいてお認めいただいた、少なくとも預金取扱金融機関について申し上げますと、そういった制度整備をやっていただいた結果だというふうに感謝している次第でございます。
  255. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 局長、私は護送船団というのは何だと聞いたのですよ。通常国会の話を聞いたり、去年の話を聞いているんじゃないので、要するに護送船団方式というのは、じゃ、だれも言ったことがないんだ。その割にはよく使われているね、護送船団方式って。  要するに、護送船団というのは、大事な荷物を積んだ貨物を相手のところへ届けるために、巡洋艦だとか駆逐艦だとか魚雷艇だとかそういうものが守って、そしてその貨物が沈没されないようにやるのが護送船団方式というんだよ。ところが、都市銀行の一角が爆沈されちゃって、そうすると中の貨物が右往左往しなきゃならない。  だからそういうふうに護送船団方式という、要するに、今局長から御答弁があったように何だかよくわからないんだが、みんなやたらに使っている。護送船団そのものの意味もよくわからない。バブルの崩壊しないときにどうも使ったような様子があるみたいなことを言って。したがって、もう護送船団方式じゃないということだけ今度明らかになつちゃったね、これだけどんどんみんなやられちゃうんじゃ。護送船団も何も、最後は漁船みたいなのが二隻か三隻向こうへ行くだけの話になっちゃって。  護送船団方式というのは今回限りでもうやめるということにいたしまして、次に大きな負担として、今回の公的資金導入ということで、まだ決まっていないから何とも言えませんが、いずれ国民税金にツケが回ってくることはどうも確かなようですね。やられた場合ですよ。  そうすると、国民にしてみれば、今まで九兆円の損害はあるし、NTTの株で九兆円政府に巻き上げられちゃうし、国鉄清算事業団では、今度はたばこ一本一円でもって、そいつで埋め合わせようなんて、まるで二十八兆円もあるような借金をたばこ一本で何とかしょうなんというこそくな考え方じゃだめなんだよ。おれなんかたばこよく吸うけれども、国鉄清算事業団にこれでまた寄附しているんだと思うとしゃくにさわって、余計吸うようになつちゃうよ、本当に。  もともと責任も何にもとれない、国鉄清算事業団だって。国鉄清算事業団の理事長を呼んだって、いや、これは世の中が悪いんですみたいなことを言って、補導されている少年みたいなことを言っているんだ。世の中が悪いんだ、親が悪いんだなんて言ってみたり。  そういう状況で、また国民が負担させられるわけだよ。そこへ今度はこの公的資金導入最後は橋本総理大臣は火だるまになってもやりますと言っているけれども、先に国民が火だるまになつちゃったよ、これじゃ。こう国民に負担を押しつけるのなら、例えば規制緩和を一番しなきゃならないのは税金ですよ。二重課税やってみたり、政策増税をそのまま放置したり。そっちはそっちで収入が少ないなんて言っていて、こっちはこっちでまた国民に負担を押しつける。そういう税制をちゃんと整理して、国民の納得のいくようなことをして、そしてこの公的資金導入をやらしてもらうというならわかるけれども、二重課税をタックス・オン・タックスとかなんとかいって、二重課税と同じことを言っているんだよ。  それで、ガソリン税にしたって、自動車取得税にしたって、みんな二重課税じゃないですか。軽油引取税にしたって、土地譲渡益課税にしたって、みんなこれは政策増税だよ。だから、政策増税なんだから、一定期間が終わったら外すぐらいでなきゃだめだと思うんだよ。そんなものを全然外さないうちに、たばこ一本一円ぶっかけるぞなんて言っているんだから。あれもおかしな話なんだ。民間企業がやっているのに、税金だけは大蔵省が一円ぶっかけるなんといって決めているわけだ。だから、四十本吸う人は四十円税金を払わなくちゃならない。そういうようなこそく的なことでなくて、もっともっと基本的なことを改めていかなきゃならないのじゃないか、私はそういうふうに思っているわけです。  次に、日銀特融というのは、私の数字が定かでないので申しわけないのだけれども、三兆八千億ぐらい出しているんですかね。三兆八千五百億かな、数字はどっちでもいいですよ。今後、この日銀特融をした三兆八千五百億なり七百億を、どういうふうにして国民にツケを回さないで処理をしていくかということなんですが、その解決策というのはあるのでしょうか。
  256. 山口公生

    山口政府委員 北海道拓殖銀行や徳陽シティ銀行の場合も、二十五条の特融が出ております。したがいまして、店をあけたまま、そのまま営業ができております。  ただ、これはもちろん日銀に返さなきゃいけない金でございます。最終的には、例えば資産を預金保険が買い取ったときに、そのときにほぼ返済が行われるだろうというふうに思います。そうすると、預金保険機構の方は資産を見合いで、時価で買い取っておりますから、これを回収してその資金を回収するという姿でありますので、預金取扱金融機関に関して言いますと、日銀特融は、預金保険機構というスキームの中、この金融三法で認められたスキームの中で返済が行われる、可能になるという形になります。
  257. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 局長、そういうお話ですけれども、そんな計画的にうまくいくものかどうか大変心配をしているわけなんですが、この日銀特融については、やはり国民が納得のいくような方法でぜひひとつ処理をしてもらいたい、そう思います。  よく、日本のバブルは土地から発生した、こう言われますね。つまり、土地に投資をし過ぎて土地の高騰を招いたということで、アメリカの場合は要するにお金だ、こう言うのですよ。日本は土地からバブルが発生したので、つまり、土地の流動化を最終的には図らないと景気回復にはつながってこない。ところが、現行では、不良債権がそのまま土地の流動化につながらないで、その土地が全部、東京なんかでもそうですよ、全部空地になって、草が生えて、利用しようと思っても、お金がないからその空地を利用することができない。したがって、土地が動かない。税制もそのとおりくっついているということですから、土地の流動化政策というのを考えていかなきゃいけない、そう思うのであります。  だから、今度の金融破綻の問題は、ありとあらゆる点から手を打っていかないと、ただ単に公的資金導入して、そして預金者保護だ、こう言いながら、不良債権まで何とかしてやろうじゃないかなんということになると、国民の理解は得られない。  したがって、土地の流動化をするためにはどうすればいいかということでありますが、その点、金融面から見た土地の流動化を図るためにはどうすればいいかということについて、お答えをいただきたい、そう思うのです。
  258. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 先生指摘のように、土地の流動化は大変大切でございまして、先般発表いたしました政府の経済対策におきましても、土地の有効利用、流動化ということが含まれておるわけでございまして、その中で、一つは、担保等になっております不動産の活用につきまして、特別目的会社という会社をつくりまして、そこを通じまして、そこが新たに資金調達をいたしまして、その資金 でもって担保になっております不動産を購入いたしまして、その購入した不動産を民間の会社に委託する、委託することによって委託収入が入ってまいります。その収入を当てに債券を発行して資金を得るということでございますけれども、そういうようなことを今後考えてまいりたい、来年の通常国会にそういうことを可能にするような法案を出したいと、大蔵省として考えているところでございます。
  259. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 土地流動化のための法案をぜひ通常国会に出していただきたい、こう思うのです。  問題は、この前も申し上げたけれども金融機関と住専があって、金融機関と住専の間は無税償却なんかやって、そして担保、権利は要するに銀行が持っているわけだ。住専から先の不動産会社や建設会社は、要するにいつまでたっても銀行から債務の要求をされるわけだ。だから、土地を開発してうちを建ててなんという余力どころじゃない。もう会社、企業をそのまま維持していくだけが精いっぱいで、倒産をしない限りはその債務から逃れることができない。  こういう状況で、全部、土地が動かないで、そのまま放置されているわけだ。だから、土地を有機的に利用することによって、私は、景気回復の発端になるのではないか、実はそう思っているわけでして、ぜひひとつそういうような段取りをとつていただければありがたいな、そう思っております。  それから、よくキャピタルゲイン課税というのが、二、三年前ですかね、議論されましたが、キャピタルゲインというのは、利益があるからキャピタルゲイン課税というので、もう今のように株が暴落しちゃったら、キャピタルゲイン課税なんというのは必要ないじゃないかという何か議論もあるのですが、その点はどうなんですか。
  260. 薄井信明

    ○薄井政府委員 株を売り買いしたときに利益が出れば、いわゆるキャピタルゲイン課税が生じるわけですが、我が国の場合には、現在、二つの選択肢から選ぶようになっております。もうかったかもうからないか関係なしに、売ったときに、売った額の端的に言って一・〇五%で済みですという方を選択しますと、これは損しても課税されるということになりますが、現在の制度では、申告分離制度もありまして、損をした場合には申告をしてもらえば、それは税金がかからないということになります。したがって、納税者は、得をしたときは一・〇五で申告をし、損をしたときには申告分離を選択しているのではないかなと私は思います。  この制度が適切かどうかということについては、今税調でも議論しておりまして、どちらかというと申告分離一本の方がいいのではないかという方向に今議論は進んでおります。
  261. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 それから、住専なんかでもそうでしたが、借り手責任ということで大分追及されましたね。しかし、金融機関を見ていますと、貸し手責任というのもあるんじゃないか。例えば、当時バブルのときに、一億円の担保価値のあった土地を、相対で、この担保物件は一億円の価値がありますよと銀行も認めて、それに金利をちゃんと計算をして、勝手に決めたわけじゃないのだよ、貸す方も借りる方も話し合いで、つまり、これは担保物件は一億円ありますよといって貸したんだから、それは貸し手責任も私はあってしかるべきだ、こう思うのですよ。ところが、貸し手責任については余り責任が追及されない。つまり金融機関は追及されない。  それで、担保物件は、例えば一億円のものが三千万になった。そうすると、七千万は損してもいいから、三千万。要するに担保物件として価値が下がったんだけれども、三千万でいい、七千万については償却しちゃおうと。ところが、相手は、借り手の方にはいつまでたっても七千万円というのは金利をつけて残っているわけです。そういう不都合な話を見過ごしてはいけないと思うのです。だから、公的資金導入ということになったら、やはり相対でやったのだから貸し手にも責任があるわけで、担保物件を一億円といって認めたのだから、それを借り手責任だけにするということ自体が、私はどうもまたさらなる弱い者いじめをしているような気がしてしようがない。ぜひ貸し手責任ということも今後の問題解決で十二分に配慮するようにしてもらいたい、そう思います。時間が参りましたから、これで終わります。ありがとうございました。     〔井奥委員長代理退席、委員長着席〕
  262. 村上誠一郎

    ○村上委員長 次に、上田清司君。
  263. 上田清司

    ○上田(清)委員 無所属クラブの上田清司でございます。  大臣も大変お疲れだと思いますが、あと二十分ですので我慢をしていただきたいと思います。  海外経済協力基金の総裁、遅い時間帯の割り振りですので大変申しわけありません。  先日、清川理事をお呼びいたしまして、OECFの海外経済協力事業についての決算委員会あるいは大蔵委員会、予算委員会での連続の中での結論を、私が中国の現地調査を踏まえて質疑をいたしましたところ、実はこの柏塘養鰻事業に関して、現地法人に一円も入っていないこと、それから総裁も清川理事も、私あるいは参議院の高野議員に御説明されたように、九五年の十一月に九〇%池が完成している、ほぼ完成に近いものを見ているということを確認したと御答弁されておりましたけれども、実はそれは違う事業であった、違うプロジェクトの養鰻池であったということを、先日、二十八日の大蔵委員会で清川理事が答弁をされております。  そうなってくると、六月十七日、これは決算委員会の特に締めくくり総括でございました。あなたの任命者でありますところの総理以下全閣僚が出席した決算委員会の締めくくり総括の中で私は質疑をいたしました。この答弁の中身と食い違うという問題ではなくて、事実上うそをつかれた。これはもうことしの初めごろに一円も入っていないこと、それから現地の事業が既に違うプロジェクトの池であったということを薄々、あるいは薄々というべきではないのでしょう、違うということを大体確認されていて、あとはそれが真実かどうかを確認される事業段階にあったにもかかわらず、三月あるいは六月十日と六月十七日の私の決算委員会での質疑に対して、あたかもその養鰻事業も九五年の十一月までは順調にいっていたと言わんばかりのことを総裁はお述べになりましたけれども委員会で勝手にうその答弁をされれば、これは委員会は成り立たないのです、審議が。私は、もうこの一点で、公務員に準ずる特殊法人の最高責任者として、総裁は経企庁長官に辞任届を出してこられているのじゃないかなとも思っているのですけれども辞任される予定はございますか。
  264. 西垣昭

    ○西垣参考人 率直にお答えすることをお許しいただきたいと思います。  私は、今うそをついた、こういうふうに言われましたが、生まれてからうそつきなどと言われたことはありません。常に常に真実を語る、そして目先不利になるようなことがあっても、自分が知っていることは包み隠しなく説明をする、物を言う、目先不利になったとしても、それが長い目で自分の信用を保つゆえんである、こういう信条を持って生きているわけでございます。  今委員がおっしゃいました、知っているにもかかわらず調査中と答えたのではないかということをもってうそをついたのではないか、こういうことを言っておられると思うのですが、私どもは、率直に申しまして疑惑は持っておりました。しかし、事柄の性質、これは議員もよく御承知だと思いますが、中国の公的機関が関与している、そういう話であります。しかも司法問題に発展する可能性のかなり大きい問題でございますので、疑惑があるだけということで国権の最高機関である国会においてお話しするわけにいかない、そういうことで、私どもとしては慎重に確認をしながらお話を申し上げているわけであります。そういったことでありまして、うそつきというふうに決めつけないでいただきたいと率直に申し上げたいと思います。
  265. 上田清司

    ○上田(清)委員 この議論をしていると預金保険法改正の議論ができませんので、私は今の総裁の答弁、必ずしも満足しておりません。このことは、いずれまた他の委員会で同僚もしくは関係議員がお話をさせていただきますし、事務当局の皆さんとも内容は詰めさせていただきたいというふうに思っております。  それでは、預金保険法改正の議論にさせていただきます。きょうは御出席ありがとうございました。  実は大変悩ましい問題で、私なりに考えていきますと、つぶれてしまっては預金者やあるいは事業をやっている皆さんにあるいは銀行との取引関係にある企業経営者に迷惑をかけるので、親心で思いやりで悪い銀行早目にくっつけて、資金援助して立て直してあげよう、こういう思いやりじゃないか、この法案は。しかし、防衛庁の思いやり予算、金丸先生も思いやりをやったのですが、往々にして思いやりというのは後で高くついて、今もう困っているのですね、予算が膨らんじゃって。アメリカの要求もきつくてどんどんふえてきた。同じようになかなか厳しいのじゃないかと私は思っておりますが、まさに悩ましい問題だと思います。  預金者保護したい、それから地域経済に混乱を与えたくない、そういう悩ましい問題で、ぜひ私が賛成できやすいような御答弁を以後お願いしたいと思います。もしきちっとした答弁ができないようだったら、私は反対ということになります。  それでは早速ですけれども地域経済に与える影響が大きいと判断されれば、資金援助を条件にして悪い銀行同士を今度は合併させて、そのあっせんをしようということでございますけれども、何人かの議員の方からも質問がございましたが、これは基準というのはあるのですか。大体地域銀行影響を与えない銀行なんというのはないのですね。もともと与えるのですよ。だから、どのくらいだったら本当にこれはやばいぞということで合併させようという基準があるのか。大蔵大臣、事務局からちゃんと聞いておられますか、こういう基準だったら合併させようという。
  266. 山口公生

    山口政府委員 もしこの法案が成立しなかった場合ということでちょっと御説明を申し上げておるところでございますけれども経営困難な金融機関が、放置しておきますと資金ショートあるいはそのうちに債務超過に陥ってしまうというケースが、一般論で私は言っておりますからどこの銀行と言っているわけじゃありません、陥ってしまうケースがございます。そのときに、救済金融機関が見出せれば、例えば北洋銀行あるいは仙台銀行、そういった私が引き受けてあげますという銀行がありますれば、中小企業の方々も健全なところは全部移るわけでございます。預金者はもちろん保護されます。  ところが、整理、清算型の処理をやらざるを得ない場合があるわけです。それは、受け皿銀行が見つからない。そうすると、非常に私にとっては残念な例でございますけれども、和歌山県で一つ事例がございました。これは即刻業務停止命令をかけざるを得ないのでございます。受け皿がないのにどんどん預金が流出する、資産もどんどん悪化する、業務停止命令をかける。そうすると、整理、清算型の処理ということでありますが、非常に地域経済に大きな影響がある。それは一行だけですと、それはそれでいたし方なかったなということになると思うのですけれども、それがもし複数存在しているような場合には、本当はそこまでいかなくても済んでいるのに、例えば資金繰りが、またあそこも危ない、ここも危ないという非常に、うわさを私はだめだというわけじゃありません、しかし金融というのは非常にそういった危険性を含んでおります。したがいまして、そういったものが複数存在しているようなときには、何か当局として、やはり行政としてなすべき手があればやるべきではないか。それは地域経済のためでもあるし、それから、もっと悪くなるのを防ぐという預金保険のコストの問題でもあります。そういうことで今回御提案を申し上げておるわけでございます。  先生のおっしゃるとおりに、ある一定の基準があって、何%になったらどうというのがあれば、それは一番透明でよろしいかと思いますけれども、今回御提案申し上げておりますのは、そういう状況がまた複数存在しているという状況でございまして、できるだけその辺はきっちりやってまいりたいと思いますけれども、ただ、そのときの状況というのは、やはり支払いに支障を来すおそれがあるという段階でありますから、例えば資金繰り等を見て、ちょっと大丈夫かなというような状況にある場合等が当てはまるケースが多いのだろうというふうに思うわけでございます。そういうふうに御理解賜れば幸いでございます。
  267. 上田清司

    ○上田(清)委員 余りわからなかったです、正直言って。後で、どういう基準経営悪化と見るのか、あるいは預金払い戻しができそうもないというふうに見るのか、地域経済にどういう影響を与えていくのかということをどう見るかということについて、改めて御説明をいただきたいというふうに、今のうちからお願いしておきます。  一つは、今、大蔵省行政裁量に対して信用がないのですよ、はっきり申し上げて。そういう意味でできるだけ行政裁量を少なくするというのが、基本的には、法律家としてあるいは法律を立法する者の立場として、行政裁量を少なくするというのが我々の仕事だというふうに思っていますが、とにかくこれまで大蔵省のコメントは、山口百恵の横須賀ストーリーなんですよ。もうこれっきりですか、もうこれっきりですと。武村大蔵大臣が、木津信が終わったときに、これで山は越えたと言いましたよ。山の初めだったわけですね、あれは。ずっとそういう形になってきているのですね。三洋証券があれしたときに、これで終わりですと。終わりじゃなかったのですね。初めだったわけですよ。そういう意味で、ずっと形にならないそういう心配があるから、各委員の皆さんも、大蔵省の言うところのあっせん業務に対して不信感を持たざるを得ないのじゃないかなというふうに私は思っていますので、基準をぜひ文書で出していただければ非常にわかりやすくなるのではないかなと思います。  それから、リストラや役員の処分も含めた形で、合併をさせながらリストラさせていくということですけれども、役員退陣、どういう場合には役員を退陣させるのか。あるいはだれに責任をとらせるのか。それからどんなリストラ計画をある程度要求していくのか。あるいはもちろん向こうの方も出すのでしょうけれども、やはり当然モデルがあるわけでしょう。そういうモデルがないと、なかなか、本当にリストラするんだろうか、本当に責任をとらせるんだろうか、こんな思いがございます。  ついせんだっても、ある新聞で、リストラがなかなか進まない銀行というタイトルで、結構大きな形で出ました。日経新聞だったと思いますけれども、東京新聞だったかもしれません。そういう思いがありますので、じゃ具体的に、木津だ、兵庫だという、破綻前は六百九億だったのが破綻後に調べたら一兆五千億になった兵庫銀行とか、木津信にしても実際約二十五倍の開きがあった、そういう責任者の人たちは退陣したとは思うのですけれども、何か責任とったのですか、私財を提供したとか。その辺はどうですか。
  268. 山口公生

    山口政府委員 いろいろ木津信組等の例をお出しになりましたが、過去いろいろなケースが起きておりますが、まず経営者の責任につきましては、頭取また理事長以下の全役員について、営業譲渡までには退任しております。それから退職金の支給についても支給をしておりません、当然のことでございますけれども。  なお、民事、刑事上の責任追及につきましては、幾つか例を申し上げますと、例えば木津信組及びコスモ信組におきましては、前理事長が背任罪で起訴されておりますと同時に、民事上の損害賠償請求を提起されております。阪和銀行におきましても、元頭取が商法の特別背任罪で起訴されているところであります。  それから、私財の提供についても幾つか例がありまして、例えば理事長に対して八百万円の私財提供を求め、その支払いが確約されたとか、特定の大口不良債権理事長が買い取ったという例がございます。それから信組の新しい経営陣が、その前の理事長に連帯保証履行のための物件の提供を求めたというような例がございます。あるいは建物評価額約六千万円の私財を提供させたとかいう例がございます。  そのケースケースで、民事上、刑事上の対応をしておるところでございます。
  269. 上田清司

    ○上田(清)委員 あなた方の先輩の兵庫銀行はどうだったんですか。なかなか、嫌だ嫌だと言いながら頭取になったとは聞いていますけれども
  270. 山口公生

    山口政府委員 兵銀については、もちろん退任され、また退職金はないわけでございますが、ただ、今言われました、かなり悪くなってから行かれたという事情もございますし、その辺は考慮すべき事情だと思います。
  271. 上田清司

    ○上田(清)委員 過去にさかのぼって、役員の皆さんから何らかの形での罰則的な私財提供や、そういうものはあったんでしょうか。
  272. 山口公生

    山口政府委員 それはございません。
  273. 上田清司

    ○上田(清)委員 そこで、あっせんしながらリストラをやっていただくとか、経営陣の責任を追及する、退陣を要求するというような形を御指導される予定になっているわけですね、この法案だと。そうすると、そういう基準は一体どうなるかということも、今御説明がなかなかできないと思いますけれども、こういうケースのときはこうなっていく、過去にさかのぼってこうなるんだということもやっていかないと、預金保険機構は基本的には預金者保護するためのこれは機関だというふうに私は理解しておりますけれども、そこに何らかの形でまた税金を投入していく、あるいは何らかの形で健全な銀行が保険料アップの中でさらに拠出をしなければならないようなことが予想されるだけに、相当そういうところのロスを減らすために、何らかの形で、そのリストラ計画ならリストラ計画、どういう場合にはこうなっていくんだ、こうなっていくんだということをやはり出していかないと、ただお任せくださいというわけにはいかない、私はそんなふうに思いますので、そういう基準をつくっておられるのか、あるいはつくろうとされているのか、内部的にはもうまとめておられるのか、その辺だけお伺いしたいと思います。
  274. 山口公生

    山口政府委員 経営陣にそれなりの責任をとっていただくということは必要だと思いますが、新しい銀行としてスタートしてうまくやっていっていただかないと、またそこがだめになるということになると、またこれは負担になるという事情もありますので、適切な経営陣が確保されていなければいけないということも一面あるわけでございます。その両面をにらみながら考えなければいけないというのが一つあります。  それから、やはり健全かつ適切な業務運営のために総資産を圧縮するとか、それからできる限りの増資の実行をするとか、あるいは今ちょっと人件費もお触れになりましたけれども、そういったものを含んだ経費の節減、いわゆるリストラでございます、それをきちっと計画を立てて出してもらうということをして、担保した形でもってそれをあっせんするということだと思います。  いろいろなケースが余りたくさん出てくることを期待しているわけではありませんけれどもケースが出てきますと、今まで申し上げた完全に破綻した場合との関係もバランスを見ながら、おのずとそういった基準的なものが見出されてくるだろうというふうに思うわけでございます。
  275. 上田清司

    ○上田(清)委員 最後です。  大臣、この法案の提出の段階で、こういうケースああいうケースという、いわば基準めいたものについての事務当局からの御説明はございましたか。
  276. 三塚博

    三塚国務大臣 本件については、提案の際にも申し上げましたとおり、基本的には預金者保護がございます。同時に、金融システム安定維持というのが、今日の日本の金融界全体を覆っておるもやもやとした不安感を除いていかなければならない、そのことが政治に課せられた重要な課題であろう。こういう観点で、一般論として、地域経済に深刻な影響を与えるもの、またそのことによって信用に連鎖的な反応を著しく与えるであろう、こういうことで、単独の場合は破綻破綻、複数という意味で、その及ぼす影響大でありますと。  先ほど具体的に行名を言っておられましたが、そういうことは小生は、立案に当たりましては、基本的なことが大事なんだ、こう申し上げて、前段申し上げました基本を確認し、やる以上は全力を尽くしてやらなければならないし、大蔵省あっせんをする、簡単に言えば行政指導をするわけです。行政指導の必要性は、国家の利益、地域の利益、国民のため、この大義名分の中でやるわけですから、明確な心構え、厳正な対応ということで、基準作成にも万全を期せ、こう申し上げておるところであります。
  277. 上田清司

    ○上田(清)委員 まさに行政指導といみじくも言われましたけれども行政指導というのは、やはりガイドライン、指導要綱というのはきちっとしておかないと、わけのわからない裁量国家になってしまいますので、局長、後できちっとお願いいたします。どうもありがとうございました。
  278. 村上誠一郎

    ○村上委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時四十三分散会