運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1997-11-28 第141回国会 衆議院 大蔵委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十一月二十八日(金曜日)     午前九時開議 出席委員   委員長 村上誠一郎君    理事 井奥 貞雄君 理事 佐藤 静雄君    理事 坂井 隆憲君 理事 村田 吉隆君    理事 北側 一雄君 理事 谷口 隆義君    理事 池田 元久君 理事 佐々木陸海君       新井 将敬君    飯島 忠義君       石原 伸晃君    今村 雅弘君       衛藤征士郎君    大石 秀政君       金田 英行君    河井 克行君       木村 隆秀君    熊谷 市雄君       小林 多門君    桜田 義孝君       下地 幹郎君    杉浦 正健君       砂田 圭佑君    田中 和徳君       谷畑  孝君    目片  信君       八代 英太君    山中 貞則君       渡辺 博道君    渡辺 喜美君       一川 保夫君    木村 太郎君       北脇 保之君    権藤 恒夫君       坂本 剛二君    鈴木 淑夫君       中川 正春君    並木 正芳君       三沢  淳君    宮地 正介君       海江田万里君    金田 誠一君       末松 義規君    日野 市朗君       佐々木憲昭君    秋葉 忠利君       吉田 公一君    上田 清司君       北橋 健治君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 三塚  博君  出席政府委員         大蔵政務次官  中村正三郎君         大蔵大臣官房長 武藤 敏郎君         大蔵大臣官房金         融検査部長   原口 恒和君         大蔵大臣官房総         務審議官    溝口善兵衛君         大蔵省主計局次         長       細川 興一君         大蔵省主計局次         長       藤井 秀人君         大蔵省主税局長 薄井 信明君         大蔵省理財局長 伏屋 和彦君         大蔵省理財局次         長       妹尾喜三郎君         大蔵省証券局長 長野 厖士君         大蔵省銀行局長 山口 公生君         大蔵省銀行局保         険部長     福田  誠君         大蔵省国際金融         局長      黒田 東彦君         証券取引等監視         委員会事務局長 堀田 隆夫君  委員外出席者         行政改革委員会         事務局参事官  田中 順一君         労働省醸成局女         性政策課長   北井久美子君         労働省職業安定         局雇用保険課長 上村 隆史君         労働省職業安定         局業務調整課長 浅野 賢司君         参  考  人        (日本銀行総裁) 松下 康雄君         参  考  人         (海外経済協力         基金理事)   清川 佑二君         大蔵委員会調査         室長      藤井 保憲君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月二十八日  辞任         補欠選任   石原 伸晃君     金田 英行君   河井 克行君     八代 英太君   桜田 義孝君     渡辺 博道君   杉浦 正健君     谷畑  孝君   田中 昭一君     目片  信君   山中 貞則君     下地 幹郎君   権藤 恒夫君     三沢  淳君   並木 正芳君     一川 保夫君   村井  仁君     坂本 剛二君   海江田万里君     金田 誠一君 同日  辞任         補欠選任   金田 英行君     石原 伸晃君   下地 幹郎君     山中 貞則君   谷畑  孝君     杉浦 正健君   目片  信君     熊谷 市雄君   八代 英太君     河井 克行君   渡辺 博道君     大石 秀政君   一川 保夫君     並木 正芳君   坂本 剛二君     村井  仁君   三沢  淳君     権藤 恒夫君   金田 誠一君     海江田万里君 同日  辞任        補欠選任   大石 秀政君     桜田 義孝君   熊谷 市雄君     田中 昭一君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  罰則整備のための金融関係法律の一部を改正  する法律案内閣提出第一四号)  金融及び証券取引に関する件      ――――◇―――――
  2. 村上誠一郎

    村上委員長 これより会議を開きます。  内閣提出罰則整備のための金融関係法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁松下康雄君及び海外経済協力基金理事情佑二君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 村上誠一郎

    村上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 村上誠一郎

    村上委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。末松義規君。
  5. 末松義規

    末松委員 今、金融危機ということでいろいろと大変な話になってきておりますが、日銀総裁の方に、まず日銀特融についてお伺いをいたします。  今回、山一の件で、日銀総裁は、この措置臨時異例措置であるということを強調されました。この臨時異例ということについて、この委員会でも審議されておりますけれども、私自身ちょっと納得がいきかねるところもございますので、御説明をしていただきたいと思います。特に異例と言った基準は何なのか、通常とどう違うのかということについてお伺いしたい。  また、三洋証券にはこの特融は出さずに、山一証券に対して特融を出した、この点について御答弁いただければと思います。
  6. 松下康雄

    松下参考人 今回の山一証券の問題につきましては、一つには、最近の我が国金融をめぐります環境が急激に厳しくなっております中で、四大証券の一角を占め、また多数の顧客を抱えて内外市場におきまして広範な取引を行っております山一証券自主廃業に踏み切るという事態になりましたために、これを放置しました場合は、顧客資産の払い戻しでありますとか、既に約定済みのいろいろの取引決済が円滑に進まないおそれがございまして、その場合には、何分にもたくさんの取引先でございますから、内外金融資本市場が混乱する、あるいは、ひいて我が国金融システムに対します信認の低下を招くおそれがあります。また、そうなった場合には、我が国経済全体にも深刻な影響を及ぼすということを考えまして、こういう観点から特融実施に踏み切ったものでございます。  この点、三洋証券との比較で申しますと、三洋証券の場合には、関係者支援協力のもとで顧客財産の返還が可能となりました事情もありまして、これが取りつけや流動性不足というような連鎖反応を生じて金融システム全体の問題、同様の問題を生じるというふうには考えられませんでしたことと、それから同時に、先ほど申しましたような、山一の場合のような金融あるいは資本市場取引が急激に大きく収縮するというような事情も見当たりませんでしたので、いわゆる特融をもちまして対応するには当たらないというふうに判断をいたしたわけでございます。
  7. 末松義規

    末松委員 そうしますと、山一証券に対してそれを出した、これは内外ともに非常に影響が大きかったのだ、そういう理解でよろしゅうございますね。  そうしますと、例えば、今後、山一証券系列証券会社とか、あるいはさまざまな子会社、これがまた倒産するということも十分考えられるわけですが、そのとき、この特融というのはそういうものに対しても使うということでございましょうか。
  8. 松下康雄

    松下参考人 山二証券のこの連結決算に載ります、関係のあります子会社につきましては、これはその損益関係山一証券本体と一体でございますので、この点につきましての資金不足の問題が起こりますと、それは全体としての山一証券に対する特融資金の中で処理をされる部分も出てくると思います。ただ、通常のこの系列のいわゆる証券会社と申しますものは別の会社でございますし、この部分につきましては独立に判断をいたしますので、通常の場合には、いわゆる系列証券会社破綻をいたしました場合に特融対象となることは、まず一般的にはないのではなかろうかと考えております。
  9. 末松義規

    末松委員 そうすると、この異例措置というのは、山一本体と、山一と不可分の子会社、これに対して出したという理解でよろしゅうございますね。
  10. 松下康雄

    松下参考人 さようでございます。
  11. 末松義規

    末松委員 そうしますと、市場でうわさされておりますが、これから年末にかけて、大手ゼネコン等が非常に経営難に陥っていて、これらも倒産するのじゃないかといううわさがよく乱れ飛んでいるわけですけれども大手ゼネコン、これも建設業界と大きなさまざまな取引、そして大きな影響、ひいてはこの日本経済金融システム、これに対して影響が大きいということも考えられるわけですが、そういう場合には日銀特融可能性はいかがでしょう。
  12. 松下康雄

    松下参考人 先ほど証券につきまして臨時異例措置と申し上げましたのは、一般的に証券会社の場合には、預金を受け入れて決済機構の中に組み込まれている、そういういわゆる決済機能を持ちませんことから、その破綻金融システム全体に波及する心配通常はないという点に着目をしているわけでございますが、大手ゼネコンの場合も同様でございまして、これが破綻をいたしました場合に、預金受け入れ機関破綻のように、それをきっかけにして信用不安やあるいは預金取りつけの動きが生じて金融市場決済機能自体が麻痺するというような心配考えられませんので、通常の場合には、このゼネコンの場合、それがシステミックリスクを引き起こすということは想定しがたいことであると考えております。
  13. 末松義規

    末松委員 これはある程度想定の話になりますが、山一の場合は異例というのは、銀行そのものではなかったということですね。ただ、大手ゼネコンの場合、これが例えば銀行を巻き込んで、そういった意味銀行そのものに対しても大きな倒産のおそれがあるような影響が出てくるとなりますと、その場合はどうなのですか、特融対象になるということになるのですか。それとも、大手ゼネコンの場合は全く別だという形で突っぱねるのですか。
  14. 松下康雄

    松下参考人 ゼネコンという業種であるから別だという判断をいたすわけではございませんけれども、したがいまして、それが非常に巨大な債務銀行に対して与えまして、そのことが、ひいて決済機能全体に深刻な動揺を与えるというような事態がもしもございますならば、それは検討対象に入ってくるものと思われますけれども、私ども現状でのゼネコン経営規模でございますとか、それと金融機関との関係とかというものを念頭に浮かべますと、そのような事態に発展するというリスクはまず極めて少ないものではないかと考えます。
  15. 末松義規

    末松委員 この前、橋本総理が、海外投資家にも御迷惑をおかけしないというか、その保護にも配慮するような御発言がございました。そういった意味で、日銀特融がそういった海外に対しても使われるのだというような報道もございましたが、それは日銀総裁としてもそういうふうなお考えでしょうか。
  16. 松下康雄

    松下参考人 先ほど申し上げましたように、山一証券内外市場におきまして非常に多数の投資家との取引を持っているということから、山一証券破綻の結果が内外金融市場に対して大きな影響を持つという懸念を抱きましたわけで、その意味では、海外投資家に対する山一証券債務というものも、国内投資家に対する場合と同様にこれを特融対象にしていくことが、元来の目的であります内外金融市場の安定を図り、とりわけそれが日本金融市場あるいは日本経済に悪影響を及ぼすことを防止しようという目的の上から、望ましいことであると考えております。
  17. 末松義規

    末松委員 そうしますと、日銀の方では、山一の申告は別としまして、海外山一関係する債務とかあるいは投資家の動向とか、そういったことについて十分に調査はされたことの結果ということですか。
  18. 松下康雄

    松下参考人 この点につきましては、山一証券自体決算というものは私どももよく見ておりますし、またその内容の話も聞いておりますが、今後さらに自主廃業を進めてまいりますに当たって、当然、同じ資産でございましても、会社が生きて動いているときの評価額会社がもう事業をやめようというときの評価額では値打ちが違ってまいりますし、そういうことも含めまして、山一証券側でまずもう一度改めて十分な検討を行って計数を確定してまいると思います。それにつきまして、私どもチェックをしてまいりたいと考えております。
  19. 末松義規

    末松委員 そうしますと、そういうチェックをした後で、日銀特融の額もさらに積み増すという決断をされるというふうに考えてよろしいですね。
  20. 松下康雄

    松下参考人 現在の山一証券損益関係につきましての数字には連結決算上の計数も入っているものでございますから、現状での計数把握におきましては一応それらも含まれております。それを見直してまいるということは、さらにもう一度改めて海外部分も含めたところで全体の見直しをしていくということでございますので、現状判断が数字的には今後修正をされることはあり得ると考えております。
  21. 末松義規

    末松委員 この日銀特融大蔵大臣の認可も必要とされますが、今の海外投資家保護について、大臣にも、日銀総裁と同じお考えなのかどうかについてお聞きしたいと思います。
  22. 三塚博

    三塚国務大臣 総裁が詳しく一問一答でお答えしたとおりでございます。
  23. 末松義規

    末松委員 最近日銀特融を出した総額ですが、当委員会でこの前三・一兆円というお話をお伺いしましたけれども、きのう時点でどのくらいでしょうか。
  24. 松下康雄

    松下参考人 昨日、二十七日の時点では約三兆八千億円でございます。
  25. 末松義規

    末松委員 先日は、大蔵大臣の地元の徳陽シティ銀行破綻したということでございましたが、これは日銀総裁の方にお伺いしますが、その不良債権の額や、日銀徳陽シティ銀行に対する特融の額はお幾らでしょう。
  26. 松下康雄

    松下参考人 本年の九月末の時点におきます徳陽シティ銀行公表不良債権額は、破綻先債権が百二十七億円、延滞債権が三百三十七億円、金利減免等債権百二十五億円、合計五百八十八億円となっております。(末松委員特融の額は」と呼ぶ)  失礼しました。特融は、実行の初日におきまして五百五十億円でございます。
  27. 末松義規

    末松委員 十一月二十六日の夕刊に、徳陽シティ銀行の現社長がインタビューに答えての報道がございましたけれども、新社長は現専務がなるだろうということが書かれているわけです。私もちょっとそれを見てあらっと思ったのですが、こういう特融実施したとか、いずれ預金保険機構も拠出することになるのかもしれないのですが、そういった場合、経営責任といったことではどういうふうな考え方になるのか。これは大蔵省ですか、お聞きしたいと思います。
  28. 山口公生

    山口政府委員 お答え申し上げます。  徳陽シティ銀行につきましては、今回の破綻経営責任を明確にするために、既に会長と社長辞任を発表し、近日中に正式な行内手続をやる予定でございます。これに伴いまして、今後、営業譲渡までの間、円滑に業務を進め、また譲渡手続に万全を期すため、全体の統括を行う社長代行に現専務が就任する予定と聞いておりますが、営業譲渡時には、経営責任を明らかにするために、さらに取締役全員辞任すると聞いております。したがって、この社長代行になる方は後始末でこれから奔走されることになるわけで、それが済みましたら、取締役あわせ全員退任される、こういうことでございます。
  29. 末松義規

    末松委員 先ほどから日銀総裁お話をお聞きしていまして、その前提として債務超過ではない、一応きちんと特融回収ができるのだという議論も聞かせていただいているわけですが、実際に本当に回収できるのかなという懸念が私の中にもあるわけでございます。  これからまた金融危機が続くという見通しに立てば、例えば不良債権の額にいたしましても、日本国内基準で見た不良債権の額と、それから例えばアメリカのSECの基準で見た不良債権の額が違うということはよく言われておりまして、東京銀行の場合でも一・三倍ほど違うのだという話でございますし、また、海外日本銀行が損をして、アジア金融危機に関連して、それに引きずられる形で、日本銀行が債券を売って益出しをしてその穴を埋めていっている状況であるとも聞きます。そうすると、どんどんまた信用不安というものも高まってくる可能性もありますが、日銀の方ではことしの九月末の各金融機関決算ども個別の資料として見積もっておられるかと思いますが、その辺の調査はどういうことになっておりますでしょうか。
  30. 松下康雄

    松下参考人 本年の九月末の日本銀行不良債権に関してでございますけれども、現在は中間決算公表と同時にだんだんと不良債権の額も発表されてまいっておりますけれども現状で、北海道拓殖銀行を除きますいわゆる都長銀信託十九行の合計で申し上げますと、九月末の公表不良債権残高は十六兆一千億円でございまして、これは、一年前の残高の十九兆円に比べまして二兆九千億円減少いたしております。
  31. 末松義規

    末松委員 それが日銀調査された額だということですね。日銀自己資本が四・七兆円あると聞いておるんですが、もしこの特融がロスになった段階では、自分の資産を切り売っていくという対応に手続的にはなるんでしょうか。
  32. 松下康雄

    松下参考人 私どもは、特融実施に当たりましては、この特融中央銀行としての私ども財務健全性を損なわないようにという観点から、その回収めどにつきましても検討を行ってまいっているところでございます。  そこで、この徳陽シティの場合でございますけれども、今後におきまして、私どもは、徳陽が営業引受先であります仙台銀行に譲渡いたしまして、事案が結了いたしますまでのつなぎ資金供給を行うということが建前でございますので、この受け皿銀行に移管されて処理が終了いたします時点で、清算の上で、私ども特融は返済されるものと理解をしております。その場合の財源といたしましては、預金保険機構からの資金援助額と、それからこの徳陽シティ銀行自身資産売却回収金によりまして返済されることになるわけでございます。
  33. 末松義規

    末松委員 今私が質問したのは、徳陽シティ銀行だけじゃなくて、日本全体に対する特融実施についてなんですが、その辺について、基本的には預金保険機構で最後は返してもらうんだという位置づけでよろしいんですか。
  34. 松下康雄

    松下参考人 私どもは、そういうふうに、中央銀行としての財務健全性ということに配慮いたしながら、他の事案につきましても、同じように回収めどを立てる努力をしてまいってきております。  そこで、やはり処理方策の策定をいたしますときに、資金が返済される仕組みを確保いたしておりまして、これまで実際に実行いたしました特融の事例について見ますというと、預金保険機構資金援助破綻金融機関資産売却による回収資金によりまして、処理方策実施されました時点で、今までの特融は全部回収をいたしてきております。
  35. 末松義規

    末松委員 総裁談話の中で、山一のときに、特融に加えて「市場に対して潤沢に流動性供給を行うなど必要な措置を躊躇なく講じていく所存である。」ということで言っておられますが、これについてちょっと御説明ください。
  36. 松下康雄

    松下参考人 私どもといたしましては、金融システム全体の安定が損なわれることがないように、中央銀行といたしまして最大限の努力を行っていくということが、現下の極めて重要な責務であると考えております。  そこで、この特融の問題を別といたしましても、なお金融市場におきまして、市場でのいろいろな理由から流動性不足をしてくるというような、そういう不測の事態が生ずるおそれがあります場合には、市場に対しまして潤沢に流動性供給を行うことによりまして、市場機能が損なわれないように、また市場参加者が不安を生じないで円滑に業務が続けられるように措置をしてまいる考えでございます。  そのやり方といたしましては、例えば国債や手形やCPを買い入れる、あるいは買い現先を行うというように、日ごろ私ども市場資金供給する調節手段をいろいろと講じてまいります。また、場合によって、必要がありますときには適格担保の差し入れを受けるという形で、特融ではございません通常日銀法二十条貸し出しを実行いたしますことによって、潤沢な流動性供給してまいる考えでございます。  今週に入りまして、私ども、月曜日以来三日間連続で、ただいま申し上げましたようないろいろな手段を行使いたしまして、非常に大幅に厚目資金供給を今日まで行ってまいっているところでございます。
  37. 末松義規

    末松委員 大変でしょうが、それについては頑張ってください。  ちょっと目先を変えまして、今韓国金融危機でやはり揺れている。日本に対して韓国側から救済してくれという形の要請があったという報道がございますけれども、その事実はございますか。
  38. 松下康雄

    松下参考人 私どもは、アジア金融情勢については非常に関心を持っておりまして、具体的には、これまでもタイに対しまして、関係国中央銀行と一緒に、国際決済銀行を通じましたつなぎ融資を必要に応じて供与するというような取り決めに参加をいたしております。また、インドネシアに対しましても、我が国は、シンガポール、インドネシア通貨当局と共同いたしまして、インドネシア通貨の安定のために協調して行動をとるということを確認いたしております。また、先方の国やIMF要請を受けまして、金融システム改善等に関しまして技術支援を行うこととしているところでございます。  現状におきましては、まだ、これまでタイインドネシア以外の国からは支援、救援の要請というものは参っておりませんけれども、私の考えますところは、国際的な金融支援の必要を生じた場合に、やはりその国はまずIMF相談をいたしまして、IMFのイニシアチブのもとで、必要があれば関係国協力をいたしまして、全体としての支援パッケージを組んでまいるということが現在までのとられておる方式でございます。  韓国につきましても、今IMFとの話し合いに入っているということでございますので、今後、IMF中心にいたします各国の支援措置が進んでまいります段階で、御相談があればこれに応じてまいるという考えでございます。
  39. 末松義規

    末松委員 この問題について、APECで橋本首相記者団から、日本は逆にIMFに金を借りる立場じゃないのかと、そういうふうな報道もなされておりますけれども、このIMFと協調して融資するような財源というのは日銀の方にも潤沢にあるんでしょうか、韓国に対する救済という話になった場合。
  40. 松下康雄

    松下参考人 御高承のように、我が国におきましては、外貨準備は原則として国の業務でございますので、日銀としての支援パッケージと申しますよりは、我が国といたしましての対外支援をどうやって組んでいくかということになるわけでございます。
  41. 末松義規

    末松委員 大臣、じゃ今のは大蔵省としていかがでしょうか。
  42. 三塚博

    三塚国務大臣 IMFとの経過、総裁から申されたとおりでございます。  我が国としましては、IMF中心とする国際的な支援の枠組みの中で韓国に対する協力を行うことを鋭意検討いたしたいと思います。
  43. 末松義規

    末松委員 先ほどから総裁お話をお聞きしていますと、まあ拓銀の場合もそうですが、一応、特融をやったお金は、資産を売却した利益とかあるいは預金保険機構で返してもらうということですし、あと預金保険機構に対する日銀の貸し付けも結局また預金保険機構から返してもらうという位置づけになるのだろうなと。  そうしますと、結局預金保険機構が自分で財源をひねり出していかないといけない、そういうことになるのだと思うのですが、従来から、私も代表質問で質問しましたが、預金保険機構には一・三兆円しか残りがない、この財源をどうするんだというふうにお聞きしたら、橋本首相の方から、保険料の改定を考えているということしか言わなかったわけですね。そうしますと、物すごく巨大な額がまた保険料となってのしかかってくるわけですが、今自民党の方でもこれを一般会計で払っていくんだとか、そういうふうな報道がいろいろとなされておりますが、これに対して大臣の、自民党員としてとこの前強調されておられましたけれども、御意見をお伺いしたいと思います。
  44. 三塚博

    三塚国務大臣 預金保険機構財源についてはたびたび答弁を申し上げておるところでございますが、平成八年度から平成十二年度までの五年間の財源見込み額は約二・七兆であります。このうち実行済みの金銭贈与は一・四兆でありますので、平成十二年度までに使用可能な財源見込み額は約一・三兆円となっております。したがいまして、この一・三兆円により今後対応してまいりたいと考えておるところであります。  今後発生し得る金融機関破綻を現時点で予測することは困難でございますが、仮に、現在見込まれる預金保険機構財源では対処が困難な状況が発生した場合には、遅くとも平成十年度末までに保険料率の検討を行うことといたしておるところであります。
  45. 末松義規

    末松委員 その検討というのは、上げるということですか。つまり、保険料率を上げるということですべて対処しようということでしょうかということなんですが。
  46. 山口公生

    山口政府委員 今後の破綻の状況というものを現時点で予測することがなかなか難しいということで、法律上も平成十年度末までに保険料の検討となっております。それで、その前提としては対処が困難な状況ということでございますので、引き上げができるかできないかも含めまして、引き下げるという方向はおよそないと思いますが、それを引き上げるということについての検討を行うということでございます。
  47. 末松義規

    末松委員 この前大蔵省関係者が民主党の方でいろいろと説明をされていたときに、預金保険料の引き上げというのは非常に魅力的だという話をされて、そしてもし大変な額になっても二百年や三百年まではかかりませんよと冗談を言っておられたのですが、そんな長年にわたって引き上げていくのかという感じがするのですが、大蔵省、そこの辺は本音はいかがなんでしょう。
  48. 山口公生

    山口政府委員 私ども、まだその確たる見通しというのが立てられませんので、何とも申し上げられないという状況でございます。ただ、金融機関の負担の能力ということももちろん重要でございます。ただ、預金者の皆様方に不安を与えないという面ももちろん大切でございますので、財源確保ということはどうしてもやらなければいけない。そういったものをこの十年度末までいろいろ総合勘案しながら決めていくということになろうかと思います。
  49. 末松義規

    末松委員 ちょっと時間がございませんので、次のテーマに移りたいと思いますが、テーマはディスクロージャーということでございます。  日銀総裁の方は、これ以上質問はございませんので、お帰りいただいて結構です。  まず、そのディスクロージャーの定義、特に銀行というのは公的な責任を負っているということですから、やはり特別の情報公開義務があるんだということでしょうが、その定義と、どのぐらいのレベルの情報公開が必要なのかということについて、まず質問したいと思います。
  50. 山口公生

    山口政府委員 ディスクロージャーにつきましては、かなり広い概念でございますので、銀行法上の御説明をさせていただきます。  銀行法の二十一条に、「銀行は、営業年度ごとに、業務及び財産の状況に関する事項を記載した説明書類を作成して、主要な営業所に備え置き、公衆の縦覧に供するものとする。」あと、ただし書きがございますが、この規定がディスクロージャーの規定でございます。  この金融機関のディスクロージャーは、預金者の自己責任原則を確立していただくための基盤でありますとともに、金融機関自身の経営の透明性を高め、マーケットのいろいろな評価に基づく市場規律により金融機関の経営の自己規制を促すものという観点がございます。したがって、そうした意味合いから、銀行法二十一条において公衆の縦覧を書き込んでございます。
  51. 末松義規

    末松委員 実際どういうふうなディスクロージャーが銀行においては行われてきたのかということについてお願いします。
  52. 山口公生

    山口政府委員 金融機関のディスクロージャーにつきましては、平成七年五月の金融制度調査会の報告において考え方が示されておりますけれども先ほど申し上げました銀行経営の自己規制を促すという観点から、本来、銀行によってどんどん自主的に行っていく、それで市場からの評価を高めてもらうということが必要なわけでございます。  したがって、全銀協の開示基準というのをつくり、それをどんどん広げていくという方向で各行が自主的に対応しておりますが、現在のところ、平成九年三月期における開示項目は、経営方針あるいは不良債権の状況にとどまらず、主要な経営指標、手数料の一覧、商品・サービスの案内、商品利用に当たっての留意事項などを含めまして七十五項目にわたる情報開示を行っているところでございます。
  53. 末松義規

    末松委員 私が代表質問のときに、総理に対して、ペイオフの二年前倒しを考えたらどうかという提案を行ったときに、総理の方で慎重な対応をとられまして、その理由として、銀行システムの安定に細心の注意を払うとともに、ディスクロージャーがまだ充実の途中にあるのでと、つまりディスクロージャーが不十分だという認識を示されたわけなんです。それについては大蔵省としてどのレベルが十分なレベルだというふうに、ペイオフの時期までに考える、ペイオフの段階でどうそれのビジョンといいますか、はっきりとした絵を描いておられるのか。それと、そのスケジュールはどうなんだということと、どういう指導を行っていくのかということ、それについてお答えください。
  54. 山口公生

    山口政府委員 御指摘のとおり、ディスクロージャーは近年充実を図ってきているところでございます。端的に申し上げて、かなり前はディスクロージャーについて非常に不十分な状況でありました。  したがって、先ほど七十五項目と申し上げた点にあらわれておりますように、どんどんディスクロージャーを充実させてきております。それで、預金者が銀行を選ぶというときに、やはりきっちりわかる、投資家が投資をするときに判断ができるというのが必要なわけでございます。ディスクロージャーというものの程度というのは、正確であり、また広範であればあるほど私はいいと思います。したがって、どこまでが今義務的だということになりますと、それだけやればいいということになりますし、どんどんディスクロージャーをやる方がマーケットから高く評価されるという時代になりますので、どんどん進んでいける銀行はディスクロージャーをさらに進めるということが望ましい。また、そういう方向に行くのであろう。したがって、ディスクロージャーの進んでいる銀行ほど信頼をかち得るというふうになると思います。  それから、統一的な形で申し上げますと、よく問題になります公表不良債権の額でございますが、大手の銀行はもうかなり早くからディスクロージャーをしておりましたけれども、信用金庫とか信用組合までとなりますと、かなり時間的な経過を設けておりまして、来年の三月までにはすべての金融機関が、先ほど申し上げた公表不良債権のディスクロージャーをすべて完了するということになっております。  それからもう一点お尋ねの、どういう指導をしてきたかということでございますが、今申し上げたような預金取扱金融機関のディスクロージャーというものを、来年の三月期までには全金融機関公表不良債権についてはやるということなどを指導してまいってきております。  したがって、ディスクロージャーが次第に充実されてきているということは言えると思います。ただ、それで十分かどうかという議論はあると思います。それはなぜならば、ディスクロージャーというものは、より多く、より正確に、よりわかりやすくやっていただくということが最も望ましいわけでございます。そういうことも、ここで終わりということではないと思っております。
  55. 末松義規

    末松委員 ディスクロージャーについて、アメリカやイギリスというのはどういうふうなところを一番重視しているのですか。
  56. 山口公生

    山口政府委員 まず、アメリカを御紹介いたします。  アメリカにおきましては、銀行は、連邦銀行法に基づく連邦規則上、財務状況に関する年次ディスクロージャー誌を公衆に縦覧する義務があるほか、不良債権情報につきましては、SECにより示された客観的な基準により株主に対し開示するよう求められております。実際上は、当該不良債権情報を含め、公衆に縦覧されております。この統一的な基準という考え方は、日本でも同じでございます。  それから、ヨーロッパの方でございますが、英国におきましては、銀行法上、銀行財務状況に関する監査済み会計書を公衆に縦覧する義務がありますが、不良債権情報につきましては開示規定はありません。ただ、アメリカにおいて上場している大手銀行がアメリカの基準に従って開示をしている劔はあるというふうに聞いております。  したがいまして、米国と英国の例を申し上げましたが、国によってかなりディスクロージャーに対する考え方が違う、基準が違うということを御紹介させていただきます。
  57. 末松義規

    末松委員 先ほど銀行局長の答弁によりますと、日本はディスクロージャーにおいても常にトップを走るぐらいの気概があると考えてよろしいわけですよね。それは後でいいのですけれども、そうすると、法的根拠も銀行法は基本的にディスクロージャー訓示規定ですよね。義務規定ではないですよね。義務規定にするというお考えは全くないのですか。  と同時に、本当に公的責任がある、ここで特融までやって、しかも預金保険機構でそれを救ってあげるというところまで、銀行つまり金融機関に対しては手厚いことをしているわけですよ。それなのにディスクロージャーに対して義務でも何でもないというのは、ある意味では非常におかしいし、国民にとっても納得がいかないと思うのですね。ですから、実際にディスクロージャーですか、これはもう法律をきちんと改定して、最低ここだけはやるんだということ。しかも、不良債権の額についても来年の三月末までには全部そろうんだという話でしたが、山一の簿外債務があるようなこういった状況を踏まえながら、本当にその数字が信じられるのかということについてはいかがですか。
  58. 山口公生

    山口政府委員 義務規定にするかどうかについては、五十六年の銀行法の改正の際もいろいろ御議論されたように聞いておりますけれども、御承知のように、銀行法のディスクロージャーにつきまして義務化するということになりますと、金融機関の自主的な、より充実した取り組みということに関連して、それがいいのかどうか。つまり、義務化すると、それだけやれば済むのではないか。そうすると、もしそこに何かやらない場合の罰則等を考えて義務を強制しますと、ではその定義は何かとか、厳密にディスクロージャーの規定を定義づけて、ここまではというぎりぎりの、本来ディスクロージャーというのは自分が人に知っていただきたいというものでございますから、それをそういう形で、ここだけやればもうあとはすべてセーフだというのもどうかという議論があると思うのでございます。今の銀行法は、確かに先生のおっしゃられるような議論はあると思いますが、よりディスクロージャーしたところが市場からより高く評価されるという、市場に評価をしてもらうという形で充実していくという考え方を今とっておるわけでございます。  それから、数字が信じられるかというお話でございますが、これは正しい数字を出していただかないと、虚偽のディスクロージャーをされると、これは全く……(末松委員罰則は」と呼ぶ)証取法上、それは違反になるわけでございますので……(末松委員銀行法上は」と呼ぶ)それは銀行法上ではないと思います。
  59. 末松義規

    末松委員 市場に任せるのだよというのと、先ほどからディスクロレジャーの重要性を声高らかに言われた局長が、ちょっと態度が違うんですよね。やはりあくまでも市場でいくというのは、まさしくそうだと思うし、それは望ましいと思うのですが、銀行というのは公的責任があるということでこれだけの手厚いことをやられているのですから、そこはきちんと、ここまでのディスクローズはしてくださいと。定義がもしわからないというのだったら、定義をつくっていけばいいではないですか。そこのところを大蔵省がきちんとして指導していかないと、ルール行政という話はなっていかないと思うのですよ。あとは市場で決めてください、皆さんたくさん出した方が勝ちですよという局長の答弁は、私はお粗末と思うのですけれども大臣いかがですか、その辺については。
  60. 三塚博

    三塚国務大臣 本件は、ビッグバンを迎えるに当たりまして、自由市場における自助努力ということが深刻な前提として問われる昨今になります。そういう点で、みずからの決断で市場の信認を得るということは、国民の信認も得るということになりますので、基本的な姿勢はそこにあると私は思います。同時に、何でもかんでも大蔵省、また政府がという締めつけ、お仕着せは、これからの時代にそぐわない。これも考慮をしていかなければならない。国会の論議の中でも、そういう論議が高まっておることもございます。
  61. 末松義規

    末松委員 何でもかんでも大蔵省がやれというのと私は全く反対の立場に立っているのですけれども、要するにルール行政をやるということであれば、まず最低限ここはやってくださいね、あとは市場判断しますということではないですか。ちょっと曲解してとられているような言い方をされるとおかしいなという気がするのですが、ちょっと時間がありませんので、この点についてはまたお話を伺っていきます。  私、実はこの山一の件にしても、簿外債務があったということが一切、大蔵省の検査にしても全くわからなかった。きのうでしたか、橋本総理は、こういったことは大蔵省は恥ずかしいと思っているのではないか、そういうコメントもございましたが、この飛ばしということも数年前からずっと言われていましたし、九一年ぐらいからあったわけですね。うわさもされていたわけです。ぞれが大蔵省の検査でも全然見抜けなかった。これはどうしてなのですか。検査上、問題があったということじゃないのですか。
  62. 原口恒和

    ○原口政府委員 山一証券に対しましては、金融検査部及び証券監視委員会から過去二回、最近においては二回、平成五年と七年、検査を実施いたしまして、同社の財務、経営の健全性を確保する観点から実態把握を行ったわけでございます。しかしながら、いわゆる飛ばしというものにつきましては、顧客の保有する評価損を抱えた有価証券が簿外で転々売買をされるということ、あるいは運用先の信託銀行等を通したその先の子会社等を使って行われたということで、遺憾ながら把握するに至らなかったものでございます。  現在、十一月二十五日より、山一証券に対する特別検査を検査部及び証券取引監視委員会で行っております。この過程におきまして、その内容等の厳正な実態把握に取り組むとともに、この結果を踏まえて、今後の検査に生かしていきたいというふうに考えております。
  63. 末松義規

    末松委員 今から取り組むというのはいいのですけれども、それがなぜ見抜けなかったのか。本当に、検査体制については、反省とともに、これから体制整備をきちんとしていかなければいけないと思うわけですが、こういった飛ばしなどの金融犯罪も高度化、複雑化しているわけですけれども、ある意味では金融警察的なきちんとした体制、例えば証券については証券取引等監視委員会というのがありますが、銀行についてはそういったものはどういう形で、金融犯罪的なものに対して対応する体制というものはどういうものがあるのでしょうか。
  64. 山口公生

    山口政府委員 銀行に対してももちろん検査をやっておるわけでございます。一般的に犯罪行為等がわかりますれば、それは告発等をやるということでございます。
  65. 末松義規

    末松委員 この犯罪的なものに対して、先ほども申し上げたように、本当に犯罪自身が高度化、複雑化してまいりますが、そういったことに対する人材の養成とか確保というのはどういうふうにやられているのですか。
  66. 原口恒和

    ○原口政府委員 金融検査官の人材の確保、育成につきましては、近年、検査の重要性というようなことも御理解を得られておりまして、検査要員の増員が図られてきております。この点については、引き続き関係の方面の御理解が得られるように、一層の努力を行っていきたいと思います。  また、金融検査官に対する研修につきましても、従来の研修に加えまして、例えば新人検査官に対する研修、これは従来十一日程度で実戦に向けておったわけですが、今年から四十七日間に拡充するというような研修内容の見直しを行う等、充実に努めているところでございます。
  67. 末松義規

    末松委員 きのうの新聞に載っていたのですけれども、公的資金の導入をする議論の前提として、橋本首相が、経営責任の明確化ということを言っているわけですね。  確かに、この飛ばしなどの金融犯罪的なものに対して、それはある意味では告発してという話にもなるのかもしれませんけれども経営責任といった場合には、それを明確化していくということで、役員の総退陣という話にもなるのかもしれませんが、ほかに、役員の私的な財産をも提供して経営責任をきちんとやっていくのか。そういう点については、その公的資金の導入の前提として橋本首相がそういうふうにおっしゃっていることに対してどういうふうに考えておられるか、お伺いしたいと思います。
  68. 長野厖士

    ○長野政府委員 山一証券のケースを念頭に置きつつお答え申し上げたいと存じますけれども、経営者の責任、しかも、その刑事上の責任が問われるかもしれません。あるいは行政上の責任ということも出てこようかと思いますけれども、もう一つ、民事上の責任という問題は当然あろうかと思います。そして、これは恐らく今後、検査担当部局の実態解明及び会社内部におきますチェックを通じてもろもろの事実が判明していくであろうと存じますけれども、責任ある経営者に対しまして、会社側としてあるいは株主として、その経営者の財産に対して請求権を持つということは可能性があると考えております。
  69. 末松義規

    末松委員 私、かねがねこの金融犯罪について非常に不満なのは、地検特捜部が出てきてだれかを逮捕しないと、改革が行われないという気があるわけです。確かに今回も、地検特捜部に対して証券取引等監視委員会が情報を提供して、その情報をもとに東京地検が動いたというふうなことは聞いているわけですが、銀行あるいは金融機関を指導監督するという義務が残っているのであれば、その限りにおいて、本当にきちんとした体制をとってもらわないといけない。そういった意味で、金融警察的なものと今回のこの法案の罰則、これがタイアップされて社会的な責任をとらされるのだということが実態としてなければいけないと思うのですね。  私は代表質問で総理に対して、この行政責任をどう考えているのかという話をしたときに、たしか、その辺は適切に指導してきたのだということの一点張りで、行政については何ら責任がないような、そういう言い方があったかと思うのですが、それはちょっとおかしいのじゃないかという気がするのですけれども大臣、その点についてはいかがですか、お伺いします。
  70. 三塚博

    三塚国務大臣 本件につきましては、先ほど来担当局長からお話がありました。自己責任原則の徹底というのは、前段も申し上げさせていただきました。同時に、十分な透明性の高い行政を行っていぐことも重要でございます。  当局とすれば、こうした考え方に立ちまして、市場チェック機能の活用を図る観点から、金融機関の情報開示の促進、早期是正措置の導入等のルールの明確化など、必要な措置を講じておるところであり、適切な監督に努めてまいる所存でございます。  同時に、今後とも、不正があれば、法令に基づいてこれを厳正に対処いたしますと同時に、御審議いただいておる罰則の強化を含め、金融システム改革に向けて公正で透明な市場の構築に取り組むことが国民の信頼にこたえることになると考えております。
  71. 末松義規

    末松委員 時間がないので最後の質問になりますが、個別の企業の責任で、監査ということあるいはそれと密接に関連する企業監査をやっている公認会計士、これについての責任もきちんと問われなければいけないということだろうと思いますが、大体、訴訟が起きないと、多分この手のことはきちんとならないのかなと思うのですけれども、公認会計士を含めて、これから大蔵省がどういうふうな指導を行っていくのか、それについて最後にお伺いしたいと思います。
  72. 長野厖士

    ○長野政府委員 最近、金融業界に限りませず、個別の企業の経営破綻が何件か起こっております。その過程で、会社自身が虚偽の財務諸表を作成した場合、それに対する責めは私ども追及いたしたいと思いますし、それに関与した公認会計士が故意または過失で重大な虚偽のないものとして証明した場合という点につきましても、きちんとした対応をとりたいと存じます。  それとあわせまして、一点だけ申し添えさせていただきますと、この場合、銀行がある日突然巨額のロスを出した、あるいはゼネコンが巨額のロスを出した。おおむね関連会社の整理に伴うケースでございますけれども、これらにつきまして、私が今持っております問題意識は、会計処理そのものはすべての企業について同じように行われておる。つまり、ノンバンクに対する貸し付けをどの時点でロスに計上するか、あるいはゼネコン子会社に対する債務保証をどの時点でロスとして計上するかというのは、実は全社共通のルールとしてやっております。  そして、たまたま体力の弱い会社はそれをある時点でかぶったために倒産するという事態になっておりますので、公認会計士がうそをついたか、だましたかという話ではなくて、そういった会計実務そのものをもう一度、今のやり方でいいのか、つまりノンバンクが会社更生法の適用なんかになった時点で初めてロスを計上するという今の会計実務をもう一度点検しないと、公認会計士に、おまえは抜かってましたかということを追及する問題ではない要素がある。そこの部分につきまして、これから十分に検討してまいりたいと思っております。
  73. 末松義規

    末松委員 では、十分検討してください。  どうもありがとうございました。
  74. 村上誠一郎

    村上委員長 引き続き、金田誠一君。民主党の時間内でお願いします。
  75. 金田誠一

    金田(誠)委員 北海道から参りました。拓銀の今回の事態に伴って、大蔵省から業務改善命令が発せられる。それに伴い、現地では極めて深刻な事態が生じているということについて、ぜひ御認識を新たにしていただいて、しかるべく対策を講じていただきたいという立場で質問を申し上げたいと思います。  まず、現地の状況でございますが、短期の融資、特に短期の部分の融資の引き揚げが始まっている。一定の枠を確保して、例えば一千万なら一千万の融資枠を確保して、資金需要に応じて二百万とか三百万とか、二カ月、三カ月で借りかえ、借りかえということ面しているのですが、期限が切れたら返済を要求される。今までは書きかえでつないできたものを、何らその返済が滞ったとかなんとかがないにもかかわらず、会社の経営状況が全く変わっていないにもかかわらず、返済を要求される、借りかえを認めない、こういう事態が実は生じているわけでございます。  これに対して、拓銀側は、日銀並びに大蔵の指示であるということを言っているそうでございますが、伺いましたら、そういう指示はしていないということのようでございます。  ただ、業務改善命令が出ていて、それに伴う拓銀側の自己防衛本能が働いているのかな、こう思うわけでございますが、明らかに事態は今までと変わってきた。年末の資金需要期を迎えて、このままであっては連鎖倒産が続出するのではないか、そういう危惧を覚えるわけでございます。  まず、日銀、大蔵、この辺の事態を承知しているのかどうなのか。していないとすれば、調査を早急にしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  76. 山口公生

    山口政府委員 今御指摘いただきましたように、拓銀破綻処理に際しまして、業務改善命令を出しております。  これは具体的に申し上げますと、受け皿銀行への業務承継までの間、日銀特融による資金を原資に貸し出しが行われている、つまり店をしめないでやっているということ、それから預金保険機構による資産買い取り等が行われることが予定されている等にかんがみまして、資産の悪化を招かないようにしていただく必要があるわけでございます。したがって、与信審査体制の充実強化を図ること、不良債権の管理・回収の強化を図ること、資産の悪化を招く貸し出しの実行もしくは高金利の預金受け入れなどの資産内容の一層の悪化を招く行為は行わないこと、こういう命令を出しております。したがいまして、それを実行してもらわなければいけないということです。  最初は銀行にかなり戸惑いがあったと思いますけれども、今は、この趣旨がきちっと徹底されれば、そういう問題は解消されるというふうに思います。(金田(誠)委員事態を把握しているのかどうか」と呼ぶ)いろいろ聞いてはおります。
  77. 松下康雄

    松下参考人 今回のこの拓銀の問題につきましては、北洋銀行への継承までの間に拓銀通常どおりの業務を継続するわけでございまして、この間、従来の預金者や健全な融資先との取引に支障が生じないように万全の配慮が払われなければならないと考えております。  私ども日本銀行といたしましては、北海道に四つの支店を置いておりますが、この拓銀の問題が発表されましたときに、それぞれの支店におきまして、現地の銀行協会において説明会を開催いたしまして、その中で、地元の金融機関に対しまして、預金者の保護に万全を期することに協力をしてもらいたい、また拓銀融資につきましては、これは個別金融機関判断ということになりますけれども、その枠内で弾力的に対応を考えてもらいたいということを申しております。  そういうことでございますので、今後とも、私ども、支店を通じまして、現地の情勢は把握してまいりたいと思っております。
  78. 金田誠一

    金田(誠)委員 大蔵も日銀も今起こっているような事態を指示しているわけでも何でもないということは承知をいたしました。しかし、現実にそういう事態が起こっているというところを、各社長さん方は、大蔵に来いというのならすぐにでも行くということで極めて切実な状況に今なっているものですから、ぜひ実態をきちんと把握をしてもらいたい。  その上でまずやっていただきたいことは、従来融資をずっと継続していた状況であれば、それがさらに継続できるようなそういう措置をきちんととっていただきたい。そして、万が一、新たに拓銀が一定の融資の基準なりを強化するとか厳しくするとかというのであれば、どこをどう変えるのか、今までとどう違うようにするのかをはっきりとディスクローズしていただきたい。  そうでなければ、企業側としても単に不安感だけが今はもう充満しているわけでして、どこでもいいから今のうちに借りられるところから借りておけという声まで出ているわけです。金利が低いのだからとにかく借りておけ。あるいは、拓銀から切られてどこかに融資を求めに行っても、信用問題にかかわっているわけでございますから、なぜ切られたのかということで融資はそう簡単ではないという状況になっているわけでございます。  ぜひひとつ、これから日銀特融をやり、あるいは公的資金までという話をしているのであれば、その目的金融不安を起こさせない、これは預金保護だけでなくて、融資を受けている側の企業の保護ということも当然含むわけでございますから、その意図が貫徹するように、きちんと状況を踏まえて適切な措置をとっていただきたいということなんでございます。大蔵大臣の御決意も含めて伺いたいと思います。
  79. 三塚博

    三塚国務大臣 ただいま銀行局長日銀総裁からもお話がございました。ただいまの委員の実態報告もお聞きをいたしておるところでございますし、これを踏まえまして、拓銀業務改善命令の趣旨を正しく踏まえつつ、同行の果たすべき金融機能に支障を生じないように適切に対応をしていただくよう努めてまいります。
  80. 金田誠一

    金田(誠)委員 拓銀が今こういう事態になって、きちんとして、不良債権を残したくないという気持ちはよくわかります。それは自己防衛本能としてある意味では当然だと思うのですが、それが高じてこういう事態を招けば、何のための公的資金なのか、日銀特融なのかということになるわけでございますから、拓銀がその辺の審査基準なりを今までと変えるというのであれば、どこをどう変えるのか、それを事務的にきちっとしていただくということはいかがでしょうか。
  81. 山口公生

    山口政府委員 拓銀が自己防衛本能ということではないと思います。これはあくまで、日銀特融とか預金保険に世話になるという前提がありますので、これ以上資産の悪化を招いてはいけない、いたずらにそういうことをしてはいけないということから来ているわけです。  それで、一件一件やはり審査で判断が違うと思うんです。だから、一律に基準を設けるというのは、銀行の貸し出しに基準がなかなか設けられないのと一緒で、抽象的にならざるを得ない。  そうしますと、具体的にどうするのかということで、早速行内に、弁護士、公認会計士といった第三者を加えたメンバーによって、融資すべき案件を公正にチェックするために業務監査委員会というのをつくってあります。そこで見ていただいて、それで健全な融資先であるということであれば、それは従来どおり当然貸してもいいということで、今回受け皿銀行が見つかりましたので、窓口をあけてそういうことはできるということでございますので、考え方を正確に理解していただければ、健全なところは守られているということだと思います。
  82. 金田誠一

    金田(誠)委員 時間がなくなりましたので、ありがとうございました。
  83. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、佐々木憲昭君。
  84. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。  このところ、山一証券三洋証券、北海道拓殖銀行あるいは日産生命など、金融証券、保険会社破綻が相次いでおります。預金者、投資家、契約者、本当に保護されるのだろうかと多くの国民が不安を抱いているところであります。  それで、十一月二十四日、大蔵大臣の談話では、預金者、投資家、保険契約者の保護ということに言及されておりますし、また一昨日、当委員会三塚大蔵大臣は、預金保護投資家保護、契約者保護に徹していかなければならない、このように答弁をされました。  初めに確認をしておきたいんですが、経営破綻に陥りました山一証券では、法人・機関投資家も含めて全投資家資産はすべて保護される、これは確認してよろしいでしょうね。     〔委員長退席、井奥委員長代理着席〕
  85. 長野厖士

    ○長野政府委員 お答え申し上げます。  山一証券につきましては、資産が負債を上回っておる、すなわち債務超過ではないという状況にございますので、途中の資金繰りについて対応はいたしておりますけれども取引関係者顧客はすべて保護されるという措置をとっておるところでございます。
  86. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 預金者の場合、銀行預金者は、これは言うまでもなく二〇〇一年まで金利込みで全額保護されるということになっておりますね。ところが、生命保険で初めて経営破綻に陥りました日産生命の場合、これは、大蔵大臣は四月二十五日の記者会見で契約者は全員保護される、このように言明されましたけれども、年金、保険の支払いが実際には最大七割もカットされる、こういう事態になっております。  そこで、大蔵大臣にお聞きをしたいわけですけれども、四月のあの言明は実際には守られなかった、こういうことになると思うんですけれども大臣、いかがでしょうか。
  87. 福田誠

    ○福田政府委員 大臣の前に、ちょっと簡潔に申し上げます。  御指摘のように、四月に日産生命が破綻したわけでございますが、このときは、保険会社破綻処理に当たりましては保険契約の継続性を図ることが何よりも重要ということで、現行保険業法にございます契約者保護基金を発動いたしまして、すべての保険契約を移転させていただいたということでございます。そして、そういう意味で全員保護されたわけでございます。  また、契約条件の変更が含まれておりますが、引き受け手となる保険会社の収支を安定させるためにもこれは不可欠だったということでございます。また、その契約条件の変更でございますが、これは、現在お入りいただく契約者と同じレベルまで金利、予定利率を調整させていただいたということでございまして、決して著しく不利になるようなものではないというふうに考えております。
  88. 三塚博

    三塚国務大臣 ただいま保険部長から答弁ありましたように、基本的に保護されておるわけでございます。  生保の場合は、年齢や病歴によっては新たに契約し直せないために、仮に生命保険会社破綻した場合には、その保険契約の存続を図ることが契約者保護上最も重要なことと考えております。そうすることで全体の条件が満たされ、保護されるということで当たっております。  日産生命破綻処理に当たりまして、今お話しのように、契約者保護、可能な限りという観点で、関係者間で最大の努力を行って、その趣旨が貫かれておると考えております。
  89. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今の答弁は、全然私は納得できないです。継続されているというのは当たり前なんですよ、これは。  問題は、約束をした例えば返戻金あるいは支払われるべき保険金、これが場合によっては七割もカットされて三割しか返らない、これが保護されると言えるのかという問題なんです。大蔵大臣、一〇〇%入る予定が三割しか入らない、三〇%しか入らない。これで保護されていると言えるんですか。
  90. 福田誠

    ○福田政府委員 お答えいたします。  若干繰り返しになるわけでございますが、今回、保険契約の存続を図ることが最も重要であると考えたわけでございまして、関係者間で最大限の努力を行った結果、先ほど申し上げましたように、あおば生命への保険契約の移転が行われたということと、若干補足いたしますが、これまで契約者が払い込んでこられた保険料の積立金、銀行でいいますと元利金に相当するものは全額維持されたわけでございます。そういうことで、全体として契約者保護が可能な限り図られているというふうに考えてございます。  それから、今御指摘の、七割も削られているものがあるのではないかということでございますが、生命保険の場合に、契約が大変長期に及ぶわけでございまして、年金型ですと、平均的には数十年間契約者が生存すると予想されるものもございます。今回の処理策では、予定利率を将来に向けて変更いたしたわけで、例えば六%程度の予定利率を、現行の水準である二・七五%に引き下げたわけでございます。その結果、例えば、預かった保険料を四十年間複利で積み増しされた結果が当初予定の三割程度になることも可能性としてはあるということだったわけでございます。金利計算上受取額が減少することはございますが、他方で、現在新たに同一の保険商品に加入して、同じ期間、四十年間経過後に受け取れる額より少なくなるわけではないということを申し上げておるわけです。
  91. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 結局、今の答弁でも、三割になる可能性がある、そういう場合もあるというふうに認めました。契約者にこういう負担をさせるということは、これは明らかに契約者保護に反しているということに私はなると思うんです。  預金者や投資家に対しては、これはもう自己責任は問えない、こういうふうに今政府の答弁ではおっしゃっていますけれども、それでは保険契約者の場合には自己責任を負わせていいのか。なぜ保険契約者にだけ自己責任を負わせることになるのか。その根拠は何か。  三塚大蔵大臣にお聞きしたいのですけれども、なぜ保険契約者は預金者や投資家と違うのですか。その理由は何ですか。大蔵大臣の見解を伺いたい。
  92. 福田誠

    ○福田政府委員 預金との違いという御指摘かと存じますが、預金につきましては、やはり決済システムに直結するものでございまして、金融システム全体の保護を図るという意味で、二〇〇一年までは全額保護するということになっているわけでございます。その点につきましては、保険の場合には必ずしも決済システムに直結するものではないということで、預金と保険の違いがあろうかと存じます。  ただ、繰り返しでございますが、保険の場合には、継続をすることが最大の重点であるということでございます。
  93. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 決済システムに関係がないから負担を負わせてもいい、そういうことになれば、これはもう次から次と生命保険会社が、今危ないところもあると言われている、破綻したらまた負わせるのか、証券会社決済システムに関係ないから、では負担を負わせるのか、こういうことになるじゃありませんか。全然答弁になっていない。話にならないですよ。  契約者に自己責任は問えないということは、私は明らかだと思うのです。なぜならば、経営情報が開示されていないじゃありませんか。ソルベンシーマージンだって公開されていない。大蔵省は、日産生命が債務超過に陥っていたということを既に数年前に把握していたけれども公表しなかった。これはどこから見ても、契約者に判断基準が提供されていない。そればかりか、債務超過の実態を知りながら、その処理を先送りして、高利回りの商品の販売を認め、銀行の一括ローンの契約を奨励さえしていた。まさに大蔵省の行政責任が問われていると私は思うのです。契約者に自己責任は問えないということは明らかじゃありませんか。  私は、この答弁は全くつじつまが合わないし、契約者は納得できないというふうに思うわけであります。大蔵大臣、どのようにお考えですか。大臣の見解を聞きたいのです。
  94. 福田誠

    ○福田政府委員 申しわけございません。大臣の前にちょっと御説明させていただきます。  現在、保険会社におけるディスクロージャーが著しく劣っているのではないかという御指摘でございますが、これにつきましては、従来から、銀行等他業態の開示状況も踏まえまして、充実に努めてきたところでございます。  例えば不良債権をとってみますと、これは、破綻先債権から、延滞債権、金利減免債権、経営支援先債権の額をすべてディスクロージャーいたしておりますし、有価証券につきましても、市場性のあるものの時価情報については既に開示されておりまして、その時々のルールに従いまして、他業態と同様のディスクロージャーは行われているわけでございます。  また、新保険業法におきましても、新たに公衆縦覧規定が設けられておりまして、各保険会社ごとに、八年度決算からはより充実したディスクロージャー資料を公衆縦覧用の資料として開示しているわけでございます。
  95. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 要するに、他業態と同じである。ところが、預金者は依然として情報を開示されていないから自己責任は問えませんという見解でしょう。生命保険だって他業態と同じ水準にあるという答弁でしょう。それなのに、なぜ生命保険の契約者にだけ特別自己責任を問うのかということを聞いているけれども、全く答弁になっていないですよ。  今、日産生命の契約者の場合はどういう方々が主な契約者かといいますと、全国各地に被害者の会が生まれていますけれども、個人年金保険の契約者には中小業者が大変多いわけです。なぜそうなのかといいますと、給付額が非常に少ない国民年金に加入している方が、その少ない公的年金を補完するために、民間の年金として銀行などに勧められて契約をしているということが多いからであります。  例えば、ここに「年金保険ローン推進にあたり」という、これは銀行の内部資料ですけれども、この中にこういう表現があるのです。「一昨年四月一日を期し公的年金の大改革が行われ 年金給付はかなり切下げられることになった かくて公的年金は従来国民が期待したよりはるかに低い水準に抑えられることになり」つまり、公的年金が改悪されて給付水準が生活を支えるような水準ではない。  そこで、こういう文書を出しているのです。「アプローチ先」「三十才から五十才の年代」老後を意識している人々。「中小企業オーナー・自営業者」これは国民年金に入っていて公的年金額がサラリーマンに比べ見劣りする。「中小企業・小売業の従業員」企業保障が薄い、福利厚生制度の補てん、このために入ってもらおうではないかということで、銀行はそういう人々をターゲットにしてこの保険を売りまくったわけであります。  私は、こういう具体的な被害者の実態を見ますと、今大変な状況にある。不況でも打撃を受け、さらに将来の老後の保障さえカットされる。  例えば、ここにどの程度カットされるかということの数字もあります。例えば「移転契約情報照会」というので、積立年金保険Will―Well、これは男性二十九歳の場合ですけれども、保険金の予定は年に三十万の予定だった、それが今回の契約者負担によりまして十万七千九百円しか入らない、こういう例があります。さらにまた女性の三十四歳の方、この方は年五十万入る予定だったけれども、変更後は十七万九千円しか入らない、つまり三分の一に切り下げられている、こういう実例があるわけでございます。  大蔵大臣にお聞きしたいわけですけれども、こういう実例があるということを三塚大蔵大臣は知っておられるのかどうか、この点お聞きしたいと思います。
  96. 三塚博

    三塚国務大臣 本件は、あおば生命に受け継いで、破綻後の処理策が講じられて、基本的な基準をしっかりと踏まえながらやられておると報告を受けております。
  97. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 認識が全然なっていないと思うのですね。実際にどんな状況にあるのかということを、やはり私は調べるべきだというふうに思うのです。  私は、次に、この問題に関連をして、銀行との関係がいろいろ言われておりまして、例えば保険募集の問題というのがいろいろ指摘されております。そこで、まず保険業法やあるいは銀行法の解釈の問題をお聞きしたいのですけれども、許可された保険募集人でなければ保険の募集を行うことができないということは、これはもう法律上決まっていると思うのですね。  それで、具体的にお聞きしたいのですけれども、例えば保険募集人以外の者、つまり募集人として認可されているそういう方以外の者が、例えば保険商品の説明を行うあるいはパンフレットの配付を行う、また申込書を手渡し、署名捺印してもらう、こういうことをやるということは保険業法に違反すると思いますけれども、このことはそのとおりでよろしいですね。
  98. 福田誠

    ○福田政府委員 お答えいたします。  御指摘の点につきましては、具体的な事例ないし事実関係を把握した上でないと一概には申し上げられないと存じます。  一般論として申し上げれば、銀行員が顧客に対して行います融資に関する説明等に関連して、融資の対象となります保険商品の概要に触れることが直ちに法律に違反すると断定することはできないと存じます。銀行員が行った行為がどの程度の事実行為であったかという点も、個別の具体的な事実認定があって判断すべきものと考えます。
  99. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 私は、先ほど具体的に、保険募集人以外の者が保険商品の説明を行い、パンフの配付を行い、申込書を手渡し、署名捺印してもらって受け取る、こういうことを申し上げたわけです。そのこと自体は法律に違反するのですかと聞いているわけです。
  100. 福田誠

    ○福田政府委員 今現在いろいろな苦情案件が出ていることは承知しておりますが、やはり個別の内容については、例えば今の例につきましても、個別の事案にかかわることでございますので、具体的な事実関係をもう少し詳細に把握しないと、法律違反かどうかについては断定申し上げられないと存じます。
  101. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 全く法律そのものの解釈さえまともに行わない。本当に私はひどいと思うのですよ。  ここに「生保業界における、提携に関する行政指導および業界対応の経緯について」という文書があります。この文書は、日産生命を初め四つの生命保険会社がどのように行政指導を受けたか、そして、それにどう対応したかということをここに書いておるわけであります。  その中で大蔵省が、こういうことをやってはなりませんということを指導しているわけですね。「銀行員等に募集行為等」というふうになって、こういうことはやってはならない、「(保険商品の説明、パンフレットの配付、申込書の手交及び受理等)を行わせてはならない。」こう言っているじゃありませんか。自分でそういうことを言いながら、一般論としてはどうのこうの、具体例がなければと、全くまともな答弁になっていないですよ。  じゃ、具体例を少し紹介しましょう。  私のところにはたくさんの違反事例があります。被害者の会にたくさんその声が寄せられております。こんなにあるのです。  例えば、日産生命のことは全然知らず、池田銀行服部支店の支店長の話のみ聞いて入りました、金利が大変よいということで、今月中に大蔵省の方からとめられるのですぐ入った方がよろしいというので、銀行の言うことだからと安心して入りました。それから例えば阪神銀行の例、会社で日産生命の会社案内と生保の勧誘資料を阪神銀行の社員より受け取りました。それから豊橋信金の例、〇〇という者が来て加入した、成績が足りない、絶対に損はさせない、長いつき合いだから頼むということで加入させられた。スルガ銀行の場合、外回りの人が顔見知りだというので、ノルマが足りないから助けてほしいと言い、どこの何の保険かも知らず、資料なども一切ないままで、証書が送られてきて初めて日産生命保険と知った、私は一度も日産生命の人と会ったことも話をしたこともないのです、どうしても納得いきません、スルガ銀行の当時支店長の勧めで契約しました。こういう実例が無数にあるのです。  銀行の支店のノルマがあり、無理やり加入させられたので、日産生命はもちろん岐阜銀行支店の責任を問いたい、こういう声。それから例えば和歌山銀行の例、日産生命の人間とは会ったことがなく、ただただ和歌山銀行の行員が、ノルマがあるとしつこく勧誘、契約後、ノルマを達成し沖縄へ行けますとの礼があった、当時銀行はノルマ達成者に旅行などの特典を与え、契約件数をふやすのに必死だったようだ、こういうことでしょう。こういう例は全国に今無数にあるのですよ。そういう声がどんどん寄せられているのです。  私は、個別の事例を知らないとか、そういうことをおっしゃいますけれども、知らないと言うならば、こういう実情を全く調査もしていない、まさに大蔵省が無責任な対応をしている、そう言う以外にないじゃありませんか。  それから、この今の例でも明らかなように、ほとんどが銀行に勧められたと言っているのですね。銀行によっていかにすさまじい販売が行われたかということを示すものでありまして、これは明らかに、例えば銀行法十二条、銀行が他の業務を営むことはできない、あるいは募取法、今は保険業法でありますけれども、無許可で営業はできない、こういう規定に違反して保険募集をやっていたという何よりの証拠ではありませんか。大蔵大臣、いかがですか。
  102. 福田誠

    ○福田政府委員 きちっと事実を調べるようにという御指摘でございますが、私どもも従来から、個別に契約当事者から苦情等が出された場合には、必要に応じて事実関係のヒアリングを行い、問題があれば適切に対応しているところでございます。  今御指摘の個別の案件そのものについては答弁を差し控えさせていただきますけれども、それぞれ個別に苦情をいただいたときには、それについて必要に応じてヒアリングをして適切に対応しているということでございます。
  103. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 全然調査もしないで、個別の案件については具体的には答えられないと。  それじゃ、私、皆さんにお配りした資料をちょっと見ていただきたい。  この中で、日産生命保険会社がスルガ銀行に対して、銀行が余りにも保険商品を単独でどんどん販売するものですから、これは大変だということで、販売中止に関するお願いをしているという文書があるのです。  この中では、これは昭和六十四年の一月六日付ですけれども、昨年十一月十六日に貴行に御訪問の上、口頭にて、業界を取り巻く諸情勢を御説明申し上げ、年度内一万件以内に抑えていただけますようお願いいたしたところでございますが、十二月二十九日付で一万一千件に到達いたす状況となっております、販売件数の抑制につきましては、赤旗に募取法問題で掲載されて以降、佐藤前総合企画部長を通じ、再々お願い申し上げてきたところでもあり、これ以上販売件数が伸びることは当社の経営上に大きな打撃をこうむることにもなりかねません、つきましては、共存共栄の観点から、重ねてお願いしたい、こう言って、販売を中止してくれと。この文書は日産生命からスルガ銀行に出された文書であります。  当時、これは国会の中でも問題になりました。このことは、まさに銀行が具体的に法律を犯して単独で売りまくっていたという証明じゃありませんか。いかがですか。
  104. 福田誠

    ○福田政府委員 スルが銀行の件のお尋ねでございますが、当時のことにつきまして、やはり個別具体的な案件にかかわることでございますので、当時から個別のお答えは差し控えさせていただいておりますが、一般論でございますが、当局としては、この件も含めまして必要に応じて事実関係についてヒアリングを行っておりまして、問題があれば適切に対応してきたというところでございます。
  105. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 問題があれば適切に対応したと言うけれども、何も適切に対応していないじゃないですか。  具体的にこういう事態が起きたわけであります。それで、その点について何ら具体的な措置をとってこなかった、だからこういう状況になったわけでしょう。こういう答弁では私は納得できないですよ。もっと具体的に答えてくださいよ。(発言する者あり)
  106. 井奥貞雄

    ○井奥委員長代理 御静粛に願います。
  107. 福田誠

    ○福田政府委員 特定の銀行の個別具体的な案件にかかわることでございますので、コメントすることにつきましては、当時から差し控えさせていただいております。  当時、日産生命の保険の販売に関連して法律違反があったという認定を行った事実はございません。また、そのような明確な法律違反を見送ったという事実もございません。  一般的に、免許事業である保険会社銀行は国民の信頼を損なったり誤解を招くようなことをすべきでなく、その旨、当局も指導しているところでございます。六十三年の五月には当局におきまして、すべての生命保険会社に対して、ローン提携の保険商品の販売に当たっては募集取締法違反のないよう十分提携先金融機関にも説明するようにという指導をしてございます。  御指摘の銀行については、個別のことでございましてお答えするのは適当でございませんが、その後問題のあるような行為があったとの苦情は聞いておりません。
  108. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 全く話にならないんですね。これだけ具体的な事実があるにもかかわらず、まともに答弁さえできない。これでは大蔵省の行政責任は本当にますます大変な事態になると私は思います。  しかもスルガ銀行一行だけじゃないんですよ。大蔵省は、経営が危なくなるといって日産生命が懇願しているにもかかわらず次々と提携ローンを認めていって、百六十三行も提携ローンを承認したのが大蔵省であります。しかも、各金融機関子会社の保険代理店をつくりまして、保険募集をやったら手数料が自動的に入る、そういう仕組みまでつくって銀行は大もうけした。  例えば東京新聞は、最近ですけれども十月十日付で「銀行系代理店に百億円 日産生命、提携ローン手数料上位二十社分 大量販売深く関与」。お配りした資料に具体的なリストがあります。「年度別提携金融機関代理店手数料支払明細」これは、日産生命がこれらの金融機関に手数料を支払っていたというその証拠であります。これだけ具体的な数字とそれから銀行名が記載されている。つい昨年度までこれは数字が記載されております。  つまり、銀行が単独で保険をどんどん売りまくって、その結果大変な事態になっている。しかも銀行は手数料まで取って、別会社にして、そこに自動的に入るようにしてある。募集手数料トップは関西銀行の十二億二千九百万円、次いで中国銀行、和歌山銀行の順だ。「金融機関全体では、手数料の総額はさらに膨れ上がる」というふうに報道されている。これは上位十五のそれぞれの年の金融機関を挙げただけでありまして、このほかにもたくさんあるわけです、提携しているのは百六十三あるわけですから。こういう状況が実際に生まれているわけであります。  しかもスルが銀行の場合、次の資料を見ていただければわかりますように、「年金保険ローン推進にあたり」これは「業務推進しりーずNo.39」営業企画室というところでつくったものであります。それが表紙ですが、その次あけていただきますと、ちょうど真ん中ごろに「その他」というのがありまして、「③保険契約の勧誘並びに受付は「保険募集の取締に関する法律」第九条により銀行員が行うことは禁止されているので注意のこと。」その次に括弧して「本件はたてまえでのことであります。」。もうはっきり違反を知った上でやっていた。まさにこれは確信犯じゃありませんか。どうですか、この点。
  109. 福田誠

    ○福田政府委員 お答えいたします。  まず前提でございますが、保険料ローン自体はこれはお客様のニーズに応じて行われるものでございます。  それから、このような商品をどれくらい提携関係で売るかどうかにつきましては、当該生命保険会社そして相手方となります金融機関の経営判断でございまして、金融機関が一方的に行うものではないというふうに承知しております。  それから、金融機関そのものが募集行為を行うことは、御指摘のとおり法律により禁止されているわけでございます。  そして、今金融機関の代理店という御指摘ございましたけれども、これにつきましては、金融機関子会社や関連会社として保険代理店を持っているものではございません。その辺につきましては、きちっと区別されているというふうに存じております。
  110. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 全然答えてないよ。今私が指摘したのは、「本件はたてまえでのことであります。」と書いた、これは銀行の行員のいわば販売マニュアルですよ。これについてどうかというのを聞いているんですよ。
  111. 福田誠

    ○福田政府委員 御指摘のように、この文言、表現自体は大変問題があると存じます。ただ、実際に募取法違反あるいは銀行法違反の行為が行われたかどうかにつきましては、この文書で判断できないものではないかと存じます。
  112. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 全く話にならないですね。まさに銀行の代弁者、銀行擁護のみ。そういう姿勢では本当に生命保険の契約者に対して、これからも私は本当に不信を広げるだけだというふうに思うわけであります。  しかも、じゃもう一つ挙げましょう。金融機関が独自の募集リーフを作成しております。ここにありますが、これは尼崎信金、「あましん 年金保険プラン」こういうものです。この中には保険の紹介もあります。保険料は幾らです、こういうのもあります。それからこれもスルガですが、「するが 年金保険ローン ステップ」この中に、年金のお受け取りはこうなります、こうなっております。それから泉陽信用金庫、ここにも具体的に「公的年金だけで充分ですか?」こういうふうに商品の説明があります。福岡銀行、「ふくぎん 年金保険ローン」この中には保険の内容を記載してあります。ですから、ここに明らかなように生命保険の商品内容の記載、これは明らかに規定に違反しているんじゃありませんか。     〔井奥委員長代理退席、委員長着席〕
  113. 福田誠

    ○福田政府委員 明らかに違反しているかどうかということでございますが、一般論でございますが、やはりそのような書類がどのように使われたのか、募集の補助的資料として使用されたのかどうか等々の事実関係に基づいて判断する必要があるものと考えます。
  114. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 具体的にそれでは調べてください。調査しますか。
  115. 福田誠

    ○福田政府委員 申し上げていますように、個別に苦情等が寄せられた場合につきましては、当局において……(佐々木(憲)委員「今言っている」と呼ぶ)それはやはり契約者当人から、当事者からの苦情等いただいた上で、それに適宜対応したいと存じます。
  116. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 当事者からは何度も大蔵省に苦情が行っているはずです。私は、これは具体的に当委員会で指摘をしているのです。この資料に基づいて私は指摘しているわけだから、調査するのは当たり前じゃありませんか。
  117. 福田誠

    ○福田政府委員 事実関係を申しますと、そういうことで、今、日産生命関係の苦情につきましては、まだ詳細承知しておりませんが、各財務局、財務事務所におきまして、苦情については適宜対応しているところでございます。
  118. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 具体的な調査を私は要求しているわけであります。  委員長、具体的に答えさせてくださいよ。今提起した内容について調査するかしないかです。
  119. 山口公生

    山口政府委員 募集行為に関する違反かどうか、募取法上の問題、今の法律でいいますと保険業法でございますが、一つ一つの行為の違法性という問題でございます。いろいろな個別ケースでその態様が異なると思います。したがって、個々のケースでいろいろな話が今上がってきておる、それが全体として募取法の違反というような問題になるかどうかということも、それは関心を持つて我々としては見ていくということでございます。  一つ一つのケースが全然違った態様であるのかどうか、あるいは全部統一的な何かの流れがあるのかというようなところの事実関係を踏まえた上で、もし問題があるのであれば、それはきちんと対応する、こういう趣旨でございます。
  120. 村上誠一郎

    村上委員長 佐々木君に申し上げます。お約束の時間ですので、簡潔にお願いします。
  121. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 協力預金の問題も本当はあるのです。私、きょう時間があればやりたかった。「七十七金融機関に巨額「協力預金」 日産生命 勧誘の見返りに」と、つまりローンを出して契約者が生命保険会社に払う、その払ったお金が協力預金としてまた銀行に還流する、こういう問題まで出ているわけであります。保険料の十倍にもなっているという事例もあるのです。  こういう事例も含めて、大蔵大臣、最後に、事実関係をよく調査して、厳正に対処していただきたい。いかがでしょうか。
  122. 三塚博

    三塚国務大臣 事実関係をお聞きしておりましたが、いろいろ飛び交っております。事実関係を整理をして、これから本件についての実態に応じ対処、こういうことであります。
  123. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、吉田公一君。
  124. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 日本不良債権、いろいろな額が言われておりますが、一番大事なことだと思いますし、不良債権が幾らになるかということは、これからの不良債権処理に当たっても大事なことだ、こう思います。  大蔵大臣の御発言では、日本不良債権は二十七兆九千億だという御発言がございましたけれども、しかし金融機関調査等によって、あるいはまたアメリカなんかの議会では、我が国不良債権の総額は、大臣から御発言がありましたような額ではなくて、もう実際、民間企業の人たちも金融マンも、八十兆円はあるのではないか、こういう指摘をしているわけであります。そうなりますと、不良債権の総額がもう五十兆も六十兆もそこで違ってしまうということでございまして、そういう点について、我が国不良債権の総額の正確な数字というものを大臣が掌握をされていらっしゃるのかどうか、その点についてまずお聞きをしたい、そう思います。     〔委員長退席、井奥委員長代理着席〕
  125. 山口公生

    山口政府委員 よく不良債権の額が幾らかという議論が行われます。  そこで、不良債権という定義がかなり広く用いられますので、その辺の受け取り方の問題というのがいろいろ議論を混乱させている面もあるかと思いますけれども、私ども不良債権としてきちっと把握をしているものといいますのは、一つの基準で、例えば税法上の基準に照らして、これはもう不良債権としてどの銀行も同じ基準公表しなさいという数字を継続的にとっているわけでございます。その基準が甘いとか辛いとかいう話はもちろんあると思います。そこでとっている数字でいいますと、三十数兆あるいはそれ以上あったものが、今二十七兆九千億というふうになっているということでございます。  それで、いや、正常不良債権はたくさんあるんだという御議論は、私はそれを否定できるものでないと思います。しかし、不良債権というものは何を意味するか。つまり、正常でない、非正常債権はすべてといえば、それは各銀行いろいろ、これは金利も返ってきているし問題ないと思うけれども、ひょっとしたら、景気が悪くなったらということになれば非正常と見る場合もあるでしょうし、いや、これはちゃんときちんきちんと返ってきているから正常だと見ることもできると思います。そういう議論があっていろいろな御議論がされておるわけでございますが、私どもの一つの基準でもって見ているのは二十七兆九千億ということでございます。その傾向をずっと見ながら判断をしてまいっている。  それで、アメリカの場合も、不良債権公表しておりますのは、ちょっと基準は違いますけれども、同じような客観的な数字が出せるようにして、それを公表不良債権という概念でディスクローズしているということでございます。
  126. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 金利を払わないのも不良債権だし、それからサイトを延ばしたのも不良債権だし、また元金を一回でも返済できないのも不良債権の一つですから、それは不良債権といっても多種多様で、とにかく限界以上に来ている不良債権は二十七兆九千億だというようなことでございまして、私どもは、二十七兆九千億円が待ったなしの不良債権だ、そういう認識でよろしいんでしょうか。これ以上どんどんふえたり、これが四十兆円になったり、五十兆円になったり、あのときはそう言ったけれども事態が急変いたしましてなんというようなことはないでしょうね。
  127. 山口公生

    山口政府委員 先ほど申し上げましたように、公表不良債権は、破綻先債権、それから延滞債権金利減免等債権、こういう三種類でやっております。したがって、破綻先は経営破綻先、それから延滞の場合は利子の支払いが六カ月以上延滞している債権、金利減免債権は約定時の公定歩合以下の水準まで金利を引き下げた貸出金、約定改定時において利ざやが確保されていないスプレッド貸し出し、こういう定義を置いております。  したがって、これはその定義で数字をいただいておりますが、それがだんだん減ってきていることはいつも御紹介しておりますが、ではそれがふえないのかというと、それは、こういった概念に当たるものが、もし、今まで金利がいつも入ってきたけれども六カ月以上延滞というものが生じた場合は、そこに数字として入ってきますから、この数字が必ず減っていくという性格のものではありません。ただ、私が予断を持って、それがふえるだろうとか、あるいは大幅に減るだろうと言うべきものではございません。客観的な事実で、その基準に当てはまったものに流れ込んでくるものもあります。出ていくものもあります。そういうふうに御理解賜りたいというふうに思います。
  128. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 現在の状況は、昭和恐慌とだんだん日を追って例えられるようになってきた。ただ、昭和恐慌のときには市場そのものがもう機能しなくなったわけです。今は市場が何かかんか言われても機能いたしている。したがって、平成恐慌の入り口に立っているんじゃないか、そういう認識をしている人が大変多いんですけれども大蔵大臣を初め大蔵当局としては、そこまでは至っていない、それほど昭和恐慌のような状態にはならないで食いとめられる、そういう自信があるのかどうか、その点をまずお尋ねをしたい、こう思うのです。     〔井奥委員長代理退席、委員長着席〕
  129. 山口公生

    山口政府委員 預金取扱金融機関について申し上げますと、今おっしゃいました言葉の意味がどういう意味を持たれているかによると思うのですけれども、いわゆる取りつけ騒ぎということが起きるような状況ではございません。それは、昨年の国会でお認めいただきました金融三法によって、そういった御心配預金者の方々にかけないで済む仕組みをお認めいただいているからでございます。  もう一つ、いわゆるシステミックリスクという形での金融の信用収縮という懸念も、別の意味でも、今申されたような言葉の意味にあるかもしれません。それも金融三法の背景がありまして、そういった取引についても預金取扱金融機関について守られているという事実がありますので、破綻が、いろいろ大型のものが出たりして、いろいろな話題になり、また大変御、心配をおかけしているということは事実でございますけれども、今そういった昭和初期に起こったような事態は起きていないというふうに思っています。また、起こしてはならないというふうに思います。
  130. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 わかりました。ぜひ、そういう起こしてはならないという決意で臨んでいただきたいと思います。  いろいろ話が出ておりますが、この委員会でも出たと思いますが、金融機関の貸し渋りということが今非常な重要性を持ってきております。それは、債権回収に全力を挙げている金融機関としても、要するに貸し先を選択する。いいところには貸してやる。しかし、お金を貸してやってもこれはどうも今後危ないのではないかと金融機関判断をした場合に、そこで融資はストップしてしまう。そうすると、つなぎ融資であったり当面必要な事業資金だったりするわけですから、貸し渋りで切られてしまった企業は途端にもうあした倒産してしまう、そういう状況にあるわけであります。そのことが、金融機関破綻ということよりも、今度は関連企業が連続倒産をしていく可能性が出てきた、そう認識をしておりますが、その点いかがですか。
  131. 山口公生

    山口政府委員 金融機関の貸し出しの状況でございますけれども残高を見ますと伸びていないという状況でございますが、それが貸し渋り現象かどうかということにつきましては、一方で金利の状況等から見ますと、大変資金需要が逆に低迷しているという面もあります。したがいまして、資金需要がないからなのか、それとも金融機関が貸し渋っているからなのかというのは、非常に個々のケースでやはり見なければいけない。  ただ、金融機関が自己の経営体質を変えるためにいろいろな戦略をとっているということもいろいろ言われております。そういった事象があると思いますので、個々で判断するしかないと思うのでございますが、ただ一般的に言えることは、バブル期の反省がありまして、金融機関が非常にリスク管理を強化しております。したがって、今までは審査基準が、甘かったとは言いませんけれども、ある程度あいまいであったものがかなりきっちりした審査をするようになったという、その貸し出しの態度というものがそういった印象を与えている面もあるかもしれません。  しかし、もし先生が御指摘のように、そういったものをクリアしているにもかかわらず貸し出しが理由もなく減らされているという現象になりますと、社会的な存在である金融機関として適切かどうかという問題になると思うわけです。しかし、それはもう一つの面で、その金融機関の戦略の問題でもあり、余り一律で私どもがどうこう申し上げるわけにはいきませんけれども考え方としてはそういうことではないか。  ただ、一方で、政府としてもこうした現象に対して何らかの手当てをしなければいけないということで、政府系の金融機関でできれば十分に対応するという方針で今やっておる次第でございます。
  132. 三塚博

    三塚国務大臣 今政府委員から話がありましたそれぞれの理屈は理屈として、まさに中小企業金融、年末を迎えておるわけでありますから、政府金融機関、総動員をする態勢をつくり、親切丁寧に窓口業務もやり、その融資について円滑にいくように努力すべし、それだけの原資を財投より政府金融機関に投ずることによりまして、対応していかなければならない。第二段目、さらに今度は、通産、大蔵との連携が前段でありますが、特別に通産も企業特別融資対策についての具体的な立案、窓口の設置等々行うことによって取り組んでおるところであります。
  133. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 そこで、報道等にもありましたが、年末を迎えて非常に資金が必要な需要期を迎えるわけでありますが、そのときに銀行が選別をして、そして企業が倒産をする。金融機関としては、これは民間企業ですから、できるだけ損をしたくないので、当然いい融資元だけには融資をするけれども、どうもそうでないというところについては当然厳しくなる、こういうことであります。しかし、それは金融機関が民間企業で利益を追求するのは当然であるからやむを得ない、これでは今度の金融不安にはこたえられないわけですから、もしそうだとすればほかに手を打たなければなりません。今三塚大蔵大臣がおっしゃったように、政府系金融機関を総動員して、そしてこの手当てをしていくということは、私はまことに結構なことだと思いますし、ぜひ具体的な手を打っていただかないと、これは倒産がもう目に見えているわけですよ。  それで、私なんか地方議会上がりですから、都議会上がりですからよくわかっているのですが、全国四十七都道府県に全部信用保証協会というものがあります。これは、金融機関の審査が厳しくてどうもこの企業には貸せない、つまり零細企業の最後の最後の頼みの綱になっているのが信用保証協会であります。  ところが、この信用保証協会が、最近は非常に大蔵省の監督が厳しくて、要するに貸し倒れをやらないように、まさに金融機関と同じような規則で、担保はあるかと。担保がないから信用保証協会に来ているのに、金融機関と同じように担保があるかと。それじゃもう信用保証協会へ行ってもしょうがないわけですよね。そこで、いわゆる高金利の、しかも二七%も二八%も金利を取るようなところへ行かざるを得ない。金のない人はますます不利な状況で金を借りてこなければならない。それで、金のない人が二七%も二八%もするような金利を、背に腹はかえられないから借りるけれども、そんなものすぐ行き詰まってしまうわけだ。  だから、そういう意味では、金融不安を解消するという以上は、ぜひそういうきめの細かい政策をやってもらわないといけない。その信用保証協会は財投の金も使っているのですかね。借りる金利が非常に高いというのだね、信用保証協会は。だから、どうしても審査が厳しくなって、金利も安くならないというようなことがよく言われておりますが、それでは零細企業なんかもう八方ふさがりになってしまう。  特に問題になっているのは、支店の段階ではもう十年も二十年もお客さんとつき合っているから、いや、おたくとはもう長いおつき合いですから何とかしなければいけません、私どもの支店段階では本店の稟議に回す際に支店長の私が出向いて本店へ行ってよく説明しますと言うから、借り手は、支店長がそこまで言うんだから何とかなるだろう、行ってみたら本店の稟議が通らない、したがって金は貸しません、そしてとまってしまう、それであしたは倒産、こういうことにシステムがなっているのだ。だから、そこで信用保証協会というのを充実させる。ぜひ大蔵大臣、これは政治判断で、これは、申しわけないのだけれども大蔵省の見解を超えて、今の日本の社会不安を救済する、これで大臣のひとつ決断をしていただきたい、そう思うのですよ。
  134. 山口公生

    山口政府委員 大臣が御答弁される前に、ちょっと事実関係も御紹介させていただきたいと思います。  今回、信用保証協会の活用ということも経済対策に入れてございます。一つは、特別な相談窓口を設置してまず保証手続の迅速化を図る。一刻も急ぐというときもありますので、それをやります。それから、特定業種の追加指定というのをやっております。特定業種の指定要件を緩和しまして、保険限度額が倍額となる対象業種につきまして、現行十八業種ですが、これを四十四業種に広げます。それから保険料率が、実は先ほどちょっと御紹介になったものの中でも特例的に引き下げているものがあります。無担保保険あるいは特別小口保険等は本則よりは下げております。それを継続する、半年間延長するという措置もとっておりますので、ぜひそれを御利用いただきたいというふうに思っております。
  135. 三塚博

    三塚国務大臣 信用保証協会の機能が、格段にこの際年末に向けて発揮されるようにという御趣旨であります。  本件については、私からも閣僚懇談会の中で申し上げ、中小企業担当通産大臣等も関係経済閣僚とともに同じ認識であります。都道府県知事にも御要請を申し上げるように、これから、自治大臣俊敏な人ですからやられておると思いますが、御指摘ですから確かめて、所管が都道府県知事でありますので、格段の鞭撻をさせていただくようお願いを申し上げます。
  136. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 どうぞよろしくお願いします。  それから、銀行局長、御利用いただきたいと思うと言ったって、なかなか御利用できないのが状況ですから、ぜひひとつよろしくお願いしたい、こう思うのです。  それから、最近は、金融機関だけが株を持っているのじゃなくて、昔は生保や銀行や株式会社が株を持っていましたが、今は持ち株会というのがあって、大手二十社などでも持ち株会が四番とか五番とか株主の上位にランクされております。持ち株会そのものが、銀行預金しようと思ったけれども愛社精神で自分の会社の株を買おう、将来の蓄えにしていこう、こう思って自社株を買うわけだ。ところが、御承知のとおり株安になってしまって、そして極端な話、五十円だの百円だのなどといっていたのじゃ将来の財産は全部すっ飛んでしまう。こういう社員が持っている、つまり一般の社員が持っている株さえだめになってきているということは重大なことだ、こう思うのですね。  したがって、その持ち株会のことについても、今度の対策の中でも十二分に考えの中に入れていただきたい、そう思っておりますので、ぜひひとつその点についてもお願いをしたいと思いますが、持ち株会の損失についてはどうお考えになっているのでしょうか。不良債権の中に入れるのですかね。
  137. 長野厖士

    ○長野政府委員 お答え申し上げます。  現在、日本の上場会社の九五%以上で持ち株会というものが実施されておると承知いたしております。そして、その従業員の四五%ぐらいが持ち株会を通じて株主になっておられます。その結果、今日では、およそ日本の株式市場の時価の総額は三百兆余りでございますけれども、その一%ぐらい、三兆余りがこの従業員持ち株会によって持たれておるということでございます。  持ち株会の問題は、経営者とそれから従業員の間のいろいろな雇用関係の中でつくられておる制度でございますから、その関係につきまして私どもの立場でとかくを申すべき事柄ではないように存じますが、市場を預かる者として一点申し添えさせていただきますと、全体として、持ち株会という形であれあるいは一般の個人投資家であれ、株式市場に魅力を感じていただけるような市場にするにはどうすればよいかということを念頭に、資本市場改革に今取り組んでおるつもりでございます。その点が一点。  それから、従業員持ち株会で持つような株式につきましては、他とちょっと違いがございまして、五十円上がったからきょう売ろうかとか、今月中にもう少し下がりそうだから今売ろうかというようなお取引ではなくて、十年、二十年、三十年、長い生活の中の資産として蓄積していかれるような財産であろうかと思いますから、そういった長い目で見て、日本経済全体が経済構造改革も踏まえて長期的な展望が持てる経済状況になっていくということが、この従業員持ち株会の株主にとっては一番大事なことであろうと考えております。
  138. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 ぜひひとつその対応も考えていただきたいと思うのです。  それから、きょうは一万六千七百十四円ということでありますが、一万六千円を超えて、まだまだ低いとはいえ、どんどん下がるよりかも上がってきているわけですから、これは一つはいいと思っておりますが、主要銀行の株式含み益が消失する株価水準というのがここにございまして、そうすると、きょうは一万六千七百十四円ということになりますと、何となくうわさのあるところがやはりそうかな、こういうのがちゃんと出ている。日本長期信用銀行は一万七千百円、日本債券信用が一万七千三百円、これを割ったら含み益がなくなりますよと。北海道拓殖銀行が、倒産しましたけれども、これは一万七千五百円なければ含み益がとてもとても出ないというようなことですね。当然、安田信託なども一万七千四百円、こういうことで、これは参考だと思うのですけれども、そういう状況にあります。  したがって、これからは、資本主義社会や自由主義社会では市場がとまったら存在そのものがなくなってしまうわけですから、何としても市場機能を高めると同時に、株というものについてもっともっと政治が、今まではどちらかというと専門家に任せて、ただ単に投機的な話という受けとめ方を実は私どももしていたわけであります。しかし、実際こうなってくると、これは我が国の中枢の話だな。株が安くなった高くなった、ただ単なる話題にしかしなかったのですけれども、もうかったとかもうからないとかという話題しかありませんでしたけれども、しかし、こうなってくると、まさに国家の存亡をかけるような話になってきてしまった。もうアメリカなどは、日本経済戦争をしかけてきて、この際日本をぶつつぶしてやる、そういうことで利益追求のために日本経済を押しつぶそうとしている、こういう状況の中で、まさに待ったなしであります。  したがって、不良債権はいろいろな方法があると言いながら、結局方法などというのはないので、最終的には特例公債を発行するとか、日銀特融といったって、これは償還が全然見通しがつかないものをいつもいつも日銀特融でやるわけにいかない。そうすると、最終的には日本の政府、国家がこの不良債権を何とかきちっとしていかない限りは、これからずっと倒産はふえていく、そういうような状況になってくるのではないかと思うわけですから、ぜひ思い切った、しかも責任のあるきちっとしたものを打ち出していただきたい。そうでない限りは、毎朝日が覚めればまた倒産かというような話が出てくるわけですから、ぜひひとつその点はやっていただきたい、そう思っております。  それから、そういう状況にあって企業が連続倒産を今しているわけですよね。そういう中にあって経済企画庁は、何だか知らないけれども、平成不況と言われてもう七年、七年前からトンネルの先に明かりが見えてきたとかなんとか言って、明かりなど全然見えてこないじゃないか。しかも、トンネルの先はふさがれちゃって、真っ暗やみの中で行きどころがなくておろおろしているのが、本当のこと言って今の日本経済の状態ですよ。  緩やかな景気回復が認められるも、足踏み状態であって、なお注意深く監視を続ける必要がある。何を言っているんだかちっともわからない。トンボの観察をやっているんじゃないんだから、そんな長く注意深く監視を続ける必要があるなんて、これは何を言っているんだかちっともわからないんだ。  それで違ったことをいつも発表して、数字だって何だって合っているんだか、もう経済企画庁の発表なんてだれも信用している人いないよ。惑わすだけの話だ、こんなの。何のためにそんなことを一生懸命言っているのか。真意のほどは、まあ余り悪く言っちゃうとますます悪くなるから、少しは見通しがある、緩やかな景気回復。緩やかな景気回復でもって何で倒産が続いてくるんですかね。そして緩やかな景気回復しているのに、何で株が暴落するんだかわけがわからないんだ。  だから、経済企画庁なんて本当は要らないんだよ。私は前にも言ったことがあるんですよ、要らないと。難しい数字ばかり発表して、それが合っているのならいいけれども、全然合っていないんだから。むしろそれはない方がいいんだよ、そういう役所は。ちょうど行財政改革のいいチャンスだし、こういう間違ったことばかり言っているところはぜひ廃止してもらいたい。もうこれはリストラ第一号だよ。  大蔵大臣、厳しい質問だけれども、どうですか。経済企画庁はいつもそんなでたらめな発表ばかりして、もう平成不況七年ですよ。八年目を迎えるときになって、トンネルの先に明かりが見えたつきり、見えてくるどころじゃない、もう前はつぶされちゃって真っ黒になつちゃった。そして緩やかな景気回復にあるにもかかわらずなんて言って、緩やかな景気回復なんて言ったらぶん殴られちゃう、本当に。そういう点どうなんですか。経済企画庁というのはどういう役所なんですか、あれは。
  139. 三塚博

    三塚国務大臣 政府の経済全般を分析し、その都度発表をしていく、こういうことの中で、各種データを持ち寄って官庁エコノミストの面目をかけて分析、見通しを立てていく、こういうことで、私は、委員の御説でありますけれども、この機能は生かしていかなければならない。この機能に基づいてうまくいったこともあるわけだし、今足踏み状態ですが、その基調は変わらないわけでありますから、激励をしてやってください。
  140. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 最後になりますが、企業経営者も経済社会も経済企画庁の発表を信用して、よし、じゃこれでやればいいんだ、そういうようにならなければ意味がないですよ。もし残したいなら、今度からそういう発表をするときには、ぜひ間違いのないように発表してもらいたいと思う。  また午後質問いたしますが、今回はこれでおしまいにします。
  141. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、上田清司君。
  142. 上田清司

    ○上田(清)委員 無所属クラブの上田清司でございます。  罰則強化法案でございますが、基本的には賛成であります。  ただ、苦言を申し上げておきます。取り締まる側が一緒に虚偽の報告のお手伝いをしたり、検査日を教えたり、過剰接待を受けたり、俗に、大蔵省の高官やOBは刑法の適用除外になっているんじゃないかというようなことを私の選挙区で言われるんですよ。兵庫銀行で六百九億の検査時点での不良債権、いざ破綻してしまったら一兆五千億になって二十四倍、こういうのは普通粉飾決算と言うんですよ。だから、そこの頭取なんというのは、本当はお縄ちょうだいにならなくちゃいけないですね、普通は。  また、現役の高官の中にも、うっかり絵画をもらったりして、普通はそういうのはわいろと言われてしまうんですよ。そういう取り締まる側の方の立場もぜひ丁寧に、これからモラルをきちっとしていただきたいということをまず苦言として申し上げておきます。  それでは、かねてから決算委員会等で申し上げておりました、OECFの海外投融資事業の問題でございます。  既に決算委員会等で申し上げましたように、この問題点は、貸し付けの際に保証をとらずに十億五千万貸し付けて、貸付事業の本体が破綻したために回収できないでいる、これが問題点であったわけですが、私が十月十八、十九日と中国の現地に行って調べましたところ、問題の根がもっともっと深いということがよくわかりましたので、改めてこの点について申し上げたいのです。  ついでに、ちょっと苦情を申し上げておきますが、OECFの皆さんから、関係者連絡先についてということで書面をいただきましたけれども、恵州市の水産局はこの住所じゃなかったですよ。一年前に引っ越していましたよ。だめですよ、そんないいかげんなことしていたら。注意していただきたいと思います。一事が万事です、あなた方がやっているのは。  とにかく、まず申し上げますが、中国の柏塘養鰻有限公司には一円も入っていないと向こうは言っておりますけれども、あなた方は十億五千万入れたということになっています。この食い違い、どういたしますか、清川理事
  143. 清川佑二

    ○清川参考人 お答え申し上げます。  中国柏塘公司の現地にお金が入ってないという御指摘でございますが、これにつきましては、私ども、二点ポイントがあると思います。  第一は、当時、貸し付けの直後になりますが、私ども職員を現地に派遣いたしまして、現地で建設現場を案内され、工事の進捗の確認をさせていただいたところでございます。  第二に、その後の九五年十一月に、推進企業である日盛産業が和議開始を申し立てた後の問題でございますが、この時点におきまして、基金と、そしてこの借入人である柏塘公司との関係債務が存在するか否かということが第一の問題になります。この点につきましては、もともと柏塘公司の董事長、すなわち代表権限のある者からの指定によりまして銀行に振り込んだわけでございますので、その貸し付けに問題はないわけでございますが、念のために、さらに現地におきまして、中国人の総経理も含めまして署名をいただいて、最後の確認をしていただいたわけでございます。  しかしながら、現実に、ことしの初めごろでございますが、従来の事業の再建の方針から債権の回収の方針に転換したころになりまして、御指摘のとおり、基金貸付金が現地に到着していないという説明を受けるような事態がありました。そしてまた、この九月に現地に派遣したミッションに対しまして、柏塘公司の中国人の総経理から文書で、貸付金が現地に来ていないというお話がございました。  私どもとしては、この会社に対する貸し付けということ自身について、中国側の方も否定をしていないわけでございますけれども、社内問題とはいえ、資金が渡っていないということは重大な情報でございます。したがいまして、私どもは、このような情報を踏まえまして、去る九月十八日、中国恵州市公安当局に刑事告発をした折に、この資金が来ていないという文書も含めまして、関係事実を現地の捜査当局に通報いたしまして、真相の究明を要請しているところでございます。
  144. 上田清司

    ○上田(清)委員 この一円も入っていないという話はことしの三月ぐらいにお知りになったということですが、私は、大蔵委員会で三月十二日、決算委員会で六月十日と十七日、このときはこういうお話を全然されていませんでしたよ。債権の回収努力している、あるいは今事実を究明している、調査中である。話が違うではないですか。委員会でうその答弁をしているではないですか、事実上。まず、このことを言っておきます。  次に、本来ならば中国銀行の保証状をとってから融資しなければならないのになぜ融資したかということについては、これはミスだということでお認めになりました。しかし、入金されてから、振り込まれてから約三カ月たって中国銀行の保証状が来ましたけれども、中国銀行に一たん入れなければこれは有効になりませんよという有効条件がついていて、この有効条件を満たす努力を全然していないではないですか、その後。御努力をされましたか 日盛産業に対しても あるいはその葉山という理事長に対しても。お尋ねしたいと思います。
  145. 清川佑二

    ○清川参考人 お答えを申し上げます。  第一に、報告のおくれにつきましてでございますが、六月の時点におきまして、現地に調査団も派遣いたしまして、資金の使途の解明の努力を行っていることについて御報告申し上げたところでございまして、また使途につきまして、不正な使用があるような場合には法的措置を含めて対応策を講じていくというようなことを委員に御報告申し上げた次第でございますが、十分でなくて恐縮でございます。  それから、中国銀行の口座に振り込まれていないという御指摘でございます。  私どもの事務の問題によりまして、このような保証状を十分にとらずに貸し付けを実行したという点につきましては大変遺憾なことでございまして、その点につきましては過日職員の処分をしたわけでございますが、御指摘のその後の問題でございますが、私ども六月に中国銀行の保証状をもらいまして、そこに国際商慣習上、見たことのない条項がついているということを発見いたじました。そして、急いで日盛産業に対しまして、中国銀行の口座に資金を移すようにという要請をいたしました。そして、ある時点では相当額まで積み上がっておりましたけれども、さらに満額をその口座に移すようにということを言い続けてまいりましたけれども、結果的には最終的にすべてが中国銀行の口座に入金できず、したがいまして保証が有効にならなかったという点が生じました。この点につきましては、私どもは一生懸命努力したわけでございますが、まことに遺憾なことでございます。
  146. 上田清司

    ○上田(清)委員 経済企画庁の方に申し上げますが、これは本来ならば中国銀行に場合によってはすぐ入れる話だったのかもしれません。それをなぜ日本銀行に入れたのか。事前にそういう契約の話があったかのように、私は通訳を介してでの話なのでわかりかねる部分もございますが、現地の責任者、葉澤雄さんという総経理でありますが、もともとこの話は、日本銀行に入れるのではなくて中国の銀行の方に入れる話だったというふうに私は伺っておりますので、監督官庁としてそこのところはよく丁寧に調べていただきたい、こんふうに申し上げておきます。  それで、九〇%完成しただとか、あるいは日程表を書いておりますけれども、しばしば、都合十四回、OECFはミッションを出しております。九三年の八月に審査ミッション、九月に進捗状況について、つまりこの九月に工事が始まりましたよ、そして五月に建設工事が進捗していますよ、九五年の十一月には養鰻場の池が九〇%完成しましたよというような報告をなされていますし、国会でも答弁されています。  しかし、この養鰻場は柏塘養鰻有限公司がつくった池でも何でもないわけです。一円も入らないのに工事なんかできるわけないわけで、あなた方はどこを見てきたんだ。目隠しして耳をふさいで調査団を出したのか。この池は、たまたま同じような時期に、ヤオハングループ二社と日盛と恵州水産公司との四社による合弁事業の池じゃないですか。国会でまたここでうその答弁をしていますけれども、この事実確認を承りたい。
  147. 清川佑二

    ○清川参考人 お答え申し上げます。  委員御指摘のように、私どももことしの一月になりまして、柏塘の事業と百恵と呼ぶ事業は同一の事業場である、建設中の養鰻池は百恵事業の資金のみによるものという情報を関係者からいただいたわけでございます。その後、二月から三月にかけまして、この点についての真偽の確認に明け暮れていたわけでございます。  それまでの間に、実は私ども債権の回収に至る前の段階におきましては、先ほど申し上げましたけれども、今御指摘の総経理すなわち社長に相当するわけでございますが、中国人の葉総経理、この方は恵州市の市の副局長さんという公の立場も持った方でございますが、この方、そしてもう一人の董事長すなわち会長に相当するわけでございますが、日本人の董事長、この二名の代表権を持つ方々がこの池に私どものミッションを案内して、この池が基金からの融資によって建設されている事業であるという説明を受けまして、私どもまことに残念ながらでございますが、それを認識したわけでございます。  しかしながら、二月、三月にこの情報の真偽を確認してまいりました。そして、その過程で、董事長からは、依然として建設中の養鰻池には基金から出した柏塘事業の資金も入っているという説明でございました。しかしながら、私どもはそのエビデンスも得られないということもございまして、ことしの六月に柏塘公司に対しまして、弁護士、会計士から成る調査団を出しまして、エビデンスのたぐいを強く求めましたが、十分な協力は得られませんでした。  したがいまして、私どもといたしましては、貸付金の不正使用の疑いも強めざるを得ず、九月十八日に恵州市公安局に刑事告発を行いました。そしてまた、すべて私どもが認識した事実につきましては公安当局に事実をお話し申し上げて、事実関係の確認にさらに私どもも努めていただきたいと考えております。
  148. 上田清司

    ○上田(清)委員 今清川理事が言われましたように、あなたは三月十二日の大蔵委員会での答弁、そして六月十日の決算委員会での西垣総裁の答弁、六月十七日での決算委員会、総理を含めた総括締めくくりでの答弁、そういう事実関係がわかっていながら、全部うそだったではないですか。ちゃんとした答弁をしなかったではないですか。現実を糊塗して隠したまま、何らかの形で確かに何人か処分されました。職務停止だあるいは総裁の給与カットだとか、それで片が済むと思ったのでしょう、公にしないで。委員会での中身を、総理以下全部閣僚がおられてもあなたたちは平気でうそをつき、事実を隠してやってきたわけですよ。これはどういうふうな責任になるのか私はわかりませんが、国会に対しても大変侮辱にも値する、本当にこれはいけないことだというふうに私は思っております。  私も実は葉経理と会ってきた場所は、公安局の陳さんという、日本的に言えば副署長ですね。そこで私は資料もいただき、いわば日本的に言えば検事調書みたいなものを読ませていただき、写しもいただき、何で写しをくれるのかわかりませんが、日本と違ってあっさりくれましたけれども、とにかく事実を全部聞いてきましたから、少なくとも葉総経理は副署長の前で私にうそを言うと思えませんので、あと十分もないのですが、そのことを含めて、以後、答弁していただかないと、またまたうそを重ねることになります。  それから清川理事、あなたは大蔵委員会で、こんないい加減な審査と調査ミッションを出しながら、どんな答弁をしているか、復習させますよ。  一般的な形でお答えを申し上げて恐縮でございますけれども、要するに、資金の貸し付けのときにどうするのか、私は、これはおかしい融資じゃないかという指摘をさせてもらったときに、あなたはこんなふうに言いました。  資金の貸し付けあるいは使途につきまして、私どもは案件の進捗段階に応じてチェックをする仕組みにいたしておりまして、貸し付けを承諾する段階では、資金計画、あるいはどのような用途にお使いになるのかということをもちろんお聞きするわけでございますし、また貸し付けの実行に当たりましては、事前に使途を証明していただくようなことを、書類をいただきながら貸し付けについて行っているわけでございます。また、実行後におきましても、これは、現地を見るあるいは定期的に報告を受けるというようなことで、事業の進捗全体を見ているわけでございます。貸し付けの書類やら何ももらっていないじゃないですか、まともなやつは一つだって。  例えば、土地の使用権。あなた方の説明では、委員の皆様方には一枚の半切れになっておりますが、十億五千万の使途について、例えば養鰻池の建設に四億九百万かかるとか、土地の使用権取得に、つまり土地の三十年間の使用権に四億六千万かかるとか、こういう予算の見積もりを見られました。それを承諾されたわけです。実際は土地の使用権はたった三千万じゃないですか、四億六千万が。事前審査でなぜわからなかったのですか、審査ミッションで。土地の農民組合に聞くか市の当局に聞けばわかるじゃないですか、値段なんか。それをそのまま、日盛産業が中心になってつくってきたそういう予算書をあなた方は丸のみにしているじゃないか。使用契約書も何もとっていないじゃないですか。何を丁寧にやっているというのですか。これも、うその答弁。  いいですか。OECFは、昨年の残額で八兆九千億、海外投資事業をしています。九兆近い。もし、こういういい加減なことばかり全部やっていたとしたら、九兆円なんか要らない。貸し付け過剰ですから、場合によっては五兆や六兆ぐらい浮いてしまうかもしれない。消費税を三%にまた下げることができるかもしれない。そういうことになりますよ。  不良債権の額だって多いじゃないですか、政府系金融機関の中では一番。輸銀とか一千五百億、国民金融公庫も一千六百億ぐらい、しかしOECFは四千億近いじゃないですか。倍じゃないですか。こういうのを見ても、あなた方がやっていることは余りにもひどい。  私は、書面を見てもおかしいと思ったから、ウナギの本場の浜松に行ってきて、大体の値段を聞いてきた。そのことは何回か説明もしました。しかし、あなた方は強弁していた、ちゃんとやっていますと。現場に行ったら全然違うじゃないですか。どんなことをやっていたのですか、あなた方は。  これは経企庁に申し上げるけれども、あなた方は総裁に対して刑事責任を追及しなければいけませんよ。刑事告発も必要かもしれませんよ、これは。単にミスじゃないですよ。体質の問題、いろいろな問題がありますよ、これは。  とにかく、清川理事、土地の使用代も全然違うでしょう。四億六千万。第一、普通は土地の使用権というのは一たん契約してしまえば途中から変更はないはずですよ。それが、二度目に明細をとったときは五千万少なくなっているじゃないですか。こんなのもおかしいと思わなければ普通じゃないでしょう。気づかないのですか、そういうのに。何か人のお金だからいいかげんだと思っていませんか。隣に説明を聞かなければわからないような理事じゃ、やめてしまった方がいいですよ。  理事、ちょっとお話ししてくださいよ、どう考えるのか。
  149. 清川佑二

    ○清川参考人 まず第一に、報告がおくれた点につきましてでございますが、先ほど申し上げましたように、私ども随分疑いを持つに至ったわけでございます。しかしながら、これは、突き詰めてまいりますと刑事事件にかかわりかねない問題でもございます。また、中国の公共機関に関係するという問題でもございますので、慎重に事実を確認する、その上でなければならぬということで、先ほど御報告申し上げましたとおり、ミッションの派遣が六月、七月という時点で行われ、事実を確認していった。できる限りのことはした上で、私どもとして、すべての事実を中国の警察当局にお出ししたということでございます。事柄の性質上大変慎重にならざるを得なかった点につきまして、御理解をいただければと思うわけでございます。  それから、土地の使用権のコスト、ウナギのコストについてのお話でございます。  一つは、土地の使用権が基金の当時の資料では四億六千万、委員が現地でごらんになった場合に二百万元、約三千万円程度であるという御指摘もございました。ただ、基金といたしましては、同じ人物の葉総経理から、私どもも、三十五年の土地使用権料が二百万元であるという記載があったことはわかっておりますが、ただ、この土地取得につきまして、これは先行事業として兄弟会社の、やはり恵州市が実質的に出資しております東昇公司が先行しておりましたけれども、その土地の管理組合から先行して取得のための契約の四億六千万円として結んでおりまして、この契約を結んだ当事者は、先ほど御指摘の葉総経理でありますし、また、この契約につきましては地方政府の認証を得ているわけでございまして、私ども、この契約について地方政府の認証があるということで、この審査の資料としてはこれで適切であると考えておりましたけれども、なお今後とも、できる限りいろいろ調べさせていただきたいと思っております。  また、建設コストの問題でございますけれども、これは九五年十一月に現地に派遣しました基金のミッションが、工事中であるということを確認し、かつ九割方完成しているということを見てまいりました。しかしながら、建設コストについて建設仮勘定に五億三百万円といっているのは本当に実証できるかという点で、私どもはそのエビデンスの提出を求めてまいっております。これにつきましては、土木工事、設備費の支出のエビデンスの提出を求めてきたわけでございますが、再三にわたって提出を求めても得られなかった。そういうこともございまして、中身が確認できず、この点も踏まえて現地の公安当局に報告をしているわけでございます。  それから、経済協力基金の不良債権が三千六百七十億円に達するという点につきまして、御指摘がございました。  これは円借款の関係でございまして、弁済期限を六カ月以上経過して延滞となっている貸し付けの元本総額の総計が平成八年度末に三千六百七十二億円になっております。この全額はすべて円借款でございます。御案内のとおり、発展途上国におきましては、経済が不安定な国もありまして、延滞が生じることがございます。したがいまして、この点につきましては政府で御処理いただいて、私ども、これをなるたけ払っていただくように努力をしているところでございます。  なお、最後になりますが、私の前の国会での御答弁につきまして、一般論で申し上げましたけれども、本件につきまして、今御指摘いただきましたので、さらに慎重に今後とも対処してまいりたいと思います。
  150. 上田清司

    ○上田(清)委員 もう時間ですので終わりますが、一言だけ申し上げます。  この事業は、十四次にわたってミッションが出ています。最後の二回は法的措置のためのミッションですけれども、十二回もミッションを出してこういう事実解明が何もできなかったという、これは大変な問題であります。  それも、一つ原因があります。  葉山という、持ち逃げしたと思われるような人とばかりOECFのミッションの皆さんは話をして、葉経理とは余り話していません、もちろん日本語ができないということもあるでしょうけれども。しかし、通訳は同行されています。葉経理と話をしたり現地の人ともっと話をしていれば、これはわかるのですよ。私だってわかるのですから。たった一目でわかるのに、あなたたちは十数回行って、何十時間とかけてわからないのだから、これは善良な管理者の義務違反ですよ。善管義務違反というのですよ、こういうのを。心していただきたいと思いますし、経済企画庁、これは丁寧に事実究明をやっていただいて、処分も含めてやっていただきたいと思います。  終わります。
  151. 村上誠一郎

    村上委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  152. 村上誠一郎

    村上委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  罰則整備のための金融関係法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  153. 村上誠一郎

    村上委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  154. 村上誠一郎

    村上委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、村田吉隆君外五名から、自由民主党、新進党、民主党、社会民主党・市民連合、太陽党及び無所属クラブの共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。吉田公一君。
  155. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。     罰則整備のための金融関係法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。  一 今般の金融機関の不祥事により著しく損なわれた国民の信頼回復のため、いわゆる総会屋等との絶縁に向けた株主総会への取組み等について、金融機関経営者の意識改革を促すとともに、金融機関の法律違反等の行為に対しては、今後とも的確な行政処分の執行等厳正な対処を行っていくこと。  一 我が国金融証券市場への内外の信頼を高めるため、ルールの透明化等市場のインフラ整備を行い、市場規律が発揮され、公正な競争原理が徹底される市場の構築に努めること。  一 金融機関経営の健全性確保の観点から、重点的・効率的な検査の実施に努めるとともに、検査・監督体制の充実・強化を図ること。また、証券市場における取引の公正確保のための監視体制の充実・強化を図り、引き続き厳正な監視に努めること。  一 金融機関罰則の在り方については、罰金についての厳重な対応を含め、今後とも社会情勢に対応して不断の見直しを行い、透明、公正な金融証券市場の構築に努めること。 以上であります。  何とぞ御賛成賜りますよう、お願い申し上げます。
  156. 村上誠一郎

    村上委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  157. 村上誠一郎

    村上委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。大蔵大臣三塚博君。
  158. 三塚博

    三塚国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿いまして配意してまいる所存でございます。ありがとうございました。     ―――――――――――――
  159. 村上誠一郎

    村上委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  160. 村上誠一郎

    村上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  161. 村上誠一郎

    村上委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時五十四分休憩      ――――◇―――――     午後二時開議
  162. 村上誠一郎

    村上委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  金融及び証券取引に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁松下康雄君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  163. 村上誠一郎

    村上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  164. 村上誠一郎

    村上委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木淑夫君。
  165. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)委員 新進党の鈴木淑夫でございます。  金融及び証券取引に関する件、現在問題になっております金融システムの安定性をいかに確保するかといった問題等を中心に質問させていただきます。日銀総裁,お忙しいところお越しいただきまして、ありがとうございました。  三塚蔵相、覚えていらっしゃいますでしょうか。私の手元には、ことしの通常国会、二月十日の予算委員会の議事録がございます。ここで、私は二つのことを御指摘申し上げた。  一つは、このデフレ予算、九兆円の負担増と公共投資削減を含むデフレ予算を強行するならば、ことしの四月以降、成長率はほとんどゼロに落ち込んで、非常な経済の困難が訪れるであろう。もう一つは、そういうときに、金融三法によって決まっている今のセーフティーネット、具体的に言いますと、信用組合には公的資金を入れる道が開かれていますが、それ以外は開かれていない、公的資金は入れない。ところが、他方では、ペイオフは二〇〇一年三月までやらないし、大銀行二十行はつぶさないと言っておられる。経済情勢が四月以降悪化するのは目に見えておる。そういう中で、こんな不完全なセーフティーネッ下で大丈夫かということを総理並びに三塚蔵相に問いただしたわけであります。  そのとき、総理も蔵相も大丈夫だとおっしゃるから、もし私の予想どおり経済が停滞し、金融システムに何かあったら、その結果責任をはっきりととっていただきたいということを私は申し上げました。議事録に残っております。そして、どうか今のこの約束を忘れないでくださいというふうに申し上げました。  半年ちょっとたった現在、不幸にして、私の予想どおり、経済は停滞し、金融危機が発生しております。蔵相、今どういう御心境でございましょう。私が半年前に申し上げたこのことを思い出していただいて、あのとき一体蔵相は、何を予想しておったか、何を考えておったのか。思い出して、今の御心境を御説明いただきたいと思います。
  166. 三塚博

    三塚国務大臣 地球は流転をしてまいります。悲喜こもごもそれぞれの万物の生き方が展開をされていきます。政治も、この流れの中で、的確に時流を見定めながらやり抜いてまいるということが極めて重要な政治的責任であろう、こう思っております。  我が国はかつてない財政危機にあります。ここで正常な状態に戻す努力をすることによって、五百兆を超えると言われるこの財政赤字を我々の世代の中で歯どめをかげながら、次の子と孫の世代に継承をしていかなければならない。特に、先進七カ国の中で、本件についてGDP対比、いずれを見ましても最悪の状態、危機的状況にございましたから、これに歯どめをかけて世代間ギャップをしっかりとそこになくし、日本のよき伝統と文化を花咲かせていかなければならぬ、こんな意味のことも国会の討議の中で申し上げさせていただいたところであります。  そういう中で、御案内のような審議の経過の中で取り組みをさせてまいりました。その間、構造的な問題解決のために、高コスト構造の改革によりまして経済の活性化をもたらすビジネスチャンスをしっかりと勢いづかせることによりまして、自律的な経済の伸展を期したいということであります。  そういう中で、全体の経済の展望は御承知のとおりであります。二極化された分野がありまして、これを一つのもとに取りまとめますことが政府の大きな仕事であり、また全体の取り組みで理解いただけるところであろう、こんなふうにも思っております。この全体の改革をしっかりと取り進めることによりまして、前段申し上げました自律的経済へのスタート台にしたい、こう思っております。  金融三法につきましては、御案内のとおり、いわゆる内外金融システムを維持していかなければならないという意味で、二十行ということになりました。海外営業を展開しておるこれらの部分であります。北拓は御案内の経過で、北海道に特化をいたしました地域銀行に生まれ変わるということで、海外支店の撤退を果たしたところでございます。こういう中にありまして、今金融の諸問題が起きておりますけれども預金保護等の万全の施策を講ずることにより、特に内外金融システムの安定維持を期することによりまして、必ずこのことが次の段階にプラスの点と相なりまして、線になり、面になっていくだろう、こんなことでございます。  よって、結果責任ということでありますが、今日ただいまの時点においては、この施策のベースをしっかりとしたものにつくり上げていくことが私どもに与えられた責任であろう、こう思っております。
  167. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)委員 私の質問は、何かあったら結果責任をきちっととってくれよ、この約束を覚えていてくださいよと言ったわけですが、今明らかに何かあったわけです。つぶさないと言っていた大銀行の一角が破綻した。そして、まだ次々と証券会社、そして生保も含めて金融危機が予想されている。まさに何かあったわけです。そして、今のセーフティーネットでは、とてもこれは対応できないことは明白。したがって、公的資金投入の議論まで出てきているわけです。あのときの二月の予算委員会での蔵相の御議論、つまり、このデフレ予算でも景気は大丈夫だ、そしてこのセーフティーネットでも日本金融システムに動揺が起きないとおっしゃったことは完全に外れたわけですね。私は、そのことを言っている。  そして、蔵相は、かつてない財政危機とおっしゃった。それは赤字は大きい。しかし蔵相、日本は一文も海外からお金を借りているわけではない。これは国内における公共部門と民間部門の貸し借りであります。そして国内では大変なデフレ状態でありますから、貯蓄があり余って、金融超緩和、今世紀、世界中を探しても例を見ないくらい金利水準は下がってしまっているわけです。こういうときの財政危機がそんなに待ったなしですか。国債発行増加、赤字国債を含めて、一文も財政赤字を拡大することができない、調達することができないような危機ですか。そんなことよりも今の経済危機の方がよほど深刻でしょう。  ことしは恐らく〇%台成長です。民間の予測の平均は〇・二、三%のところをいっている。かなり有力な金融機関がマイナス成長を予想している。九二年度から九四年度まで三年間〇%台成長して、ようやく九五年度に二・四%成長、そして九六年度に二・九%、二%台二回やったと思ったら、ここでまたしても〇%に逆戻りする。  きょう発表になった失業率はまた上がり始めています。一時下がっていた失業率は、また上がって三・五です。きょう発表になった生産指数もマイナスです。大変な経済危機ではありませんか。この経済危機の方が財政危機よりよほど待ったなしですよ。  金融だってそうでしょう。大銀行の一角、都市銀行の一角の拓銀破綻した。四大証券の一つ山一証券破綻した。そして、おとといのマーケットを見ると、まだまだ大銀行のかなりの部分の株がストップ安になったりしている。大証券の一つもそうなった。これこそ待ったなしの金融危機でしょう。  この経済危機、金融危機をほうり出して、財政危機を理由に一向に財政面からの景気対策をとらない、そして金融システムに対してもきちっとしたセーフティーネットの強化策を打ち出せない、一体これはどういうわけですか。私は、その点を言っているのであります。  ずばり具体的に三つお聞きしましょう。  もし私が言ったように経済危機、金融危機の方が財政危機よりはるかに切迫をしておる、そして、この経済危機、金融危機に手を打つことこそが税収を正常化し財政再建に中期的につながっていくというお考えであれば、今から申し上げる三つのことをそれぞれ打つおつもりはないか。  まず第一は、言うまでもなく、抜本的景気対策を財政面から打つということであります。  我が新進党は、法人課税減税で四兆円、所得課税減税で最低二兆円、合計最低六兆円の減税、それと公共事業についても、単価を引き下げる、むだを排除する、効率化するということで、事業予算は抑えても実質的な公共投資はふやす、こういうことによって景気を立て直さなければいけないと主張しておりますが、財政面からは、今私ども新進党が言っているようなことを含めて抜本的な景気対策を打つ気はないのか。  ただし、言っておきますが、打つ気があるとおっしゃったら、きょう参議院本会議で成立しようとしている財政構造改革法案との矛盾をどうするんだという話が直ちにございます。そのことも含めてお答えいただかなければコンシステントではない。  二番目の質問は、蔵相がフロントランナー、フロントランナーと言っておられた外為法改正、来年四月からいよいよ施行されるわけであります。これによって内外金融機関の間の弱肉強食が一段と強まるでしょう、激しい競争で。ただでさえ金融システムがこれだけ動揺し、次々と金融機関破綻のうわさが立ち、マーケットでも特定の株がストップ安になったり弱いままです。公的資金が入るらしいというので、総平均は上がってきたけれども、特定の株はえらいことになっている。こういうときに四月から外為法改正をして弱肉強食の世界をつくり出して、一体日本金融システムはもつのか。外為法改正の時期を先に延ばす気はあるのか。これが二番目の質問。  三番目は早期是正措置であります。  同じく来年の四月から早期是正措置実施するということで、今から自己資本比率を引き上げたいという考え金融機関が貸し出しを抑える、中小企業に対するいわゆるクレジットクランチが起きているということはこの委員会でも再三指摘されております。さっき聞いておりましたら、山口局長はこれは個々の問題だと言ってましたけれども、マクロ的に見ても、例えば日銀短観の金融機関貸し出し態度DI、これの中小企業向けを見ますと、かつての引き締め期と同じ水準まで下がってきちゃった、厳しい方向へですよ。こういうこともあります。これは別に山口さん答える必要ないですよ。そういうこともあります。  ですから、この早期是正措置というのを本当に四月から入れて大丈夫かいなということであります。アメリカの場合は早期是正措置を入れたのは九一年十二月ですが、その前の八九年にRTCをつくって不良債権の早期処理を先にやっているんですよ。それを先にやってから早期是正措置に入っていった。日本はそれがあべこべになっている。早期処理やっていない。そして早期是正措置だけ先に入れようと言うからクレジットクランチが起きる。これもまた来年の四月からの実施を延期する気があるか。  以上三点、蔵相の御存念をお伺いしたいと思います。
  168. 三塚博

    三塚国務大臣 まず経済対策でございます。  先ほどもさらりと申し上げましたが、我が国経済、民間需要を中心とする景気回復の基調は失われておらないと考えております。この景気回復が従来のような力強さを感じられませんのは、構造的な問題のあらわれであるということであろうと思います。こういう諸状況の中で、財政状況とあわせた中での判断といたしまして、安易に財政に依存せず、規制緩和を初めとする経済構造改革の実現と、そして民需中心の自律的経済の成長を図っていくことが基本、そういう点で、先般、政府経済対策を発表さしていただきました。  まずは、規制緩和を中心とした経済構造改革の大胆な断行であります。そのとおり、すべての分野で前倒しをしながら公表さしていただいたところであります。次に土地取引活性化と有効利用、そして魅力ある事業環境の実現、そして中小企業対策という四つの点に重点を置いた総合対策であります。今後、財政構造改革とあわせながら本対策を着実に実現をしてまいるということでございます。すなわち、我が国経済を民需中心の自律的な安定成長の軌道につなげていかなければならぬと確信をいたすものであります。  なお、特例公債を発行せざるを得ない状況の中で財政出動をということについては、現下の危機的状況を踏まえると困難であります。橋本総理も、財特法の基本に矛盾がないように対応してまいる、こういうことであります。  次に、外為法でございますが、今回の外為法の改正は、国際金融取引のグローバル化の進展を踏まえたものであります。対外取引におきますグローバルスタンダード、国際基準を早期に実現する必要の観点からのものでございまして、内外からもその意気込み、そのスタートに評価を受けていること、御案内かと思っております。よって、来年四月の施行を延期するということは考えておりません。  次に、早期是正措置実施を延期すべきであるという御所論でありますが、来年四月から導入される本措置は、監督当局の裁量を排し、行政の透明性を確保しながら金融機関経営の健全性を促していく制度でございます。金融システム健全性確保と金融行政の透明性確保の両面から不可欠である制度であろうかと存じます。  したがいまして、早期是正措置は四月一日どおり導入することがぜひとも必要であると考えるところであり、また、この是正措置実施をおくらせるということになりますと、かえって我が国金融システムに対する内外市場の信認を損なうことになるのではないでしょうか。我が国経済にとってもこのことの方がはるかに問題であると考えるところであります。
  169. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)委員 蔵相、私は、必ずしも外為法改正の施行や早期是正措置実施を延期しろと主張しているわけではないのです。ただ、これを予定どおりやるとすれば、二つのことをきちっと手を打っておかなかったらえらいことになりますぞと言っている。第一は経済危機に対する抜本的な財政面からの対策、もう一つはセーフティーネットの強化であります。  この二つをやらないで、このまま四月から外為法改正、早期是正措置をやったらえらいことになると言っているわけでありますが、今のお答えによれば、私が質問した三つともやる気はない。景気対策については、財政赤字の拡大を伴うような財政面からの抜本的な景気対策は打つつもりがない、あとの二つについても延期する気はないというお答えであります。  そこで、これまた半年前のときと同じようにしっかり覚えておいていただきたい。これは恐らく半年もたたないうちに出てくると思いますから、もしこの三つのうちのどれかを使わなければならなくなったとき、蔵相は責任をとっていただきたい。必要ないと今おっしゃっているのですから。それを私はこの議事録に残しておいて、もしこの三つのうちのどれかをやらざるを得ないほど経済危機、金融危機が深刻化して、やるとおっしゃるときは、蔵相、やめていただきたい。そうでなかったら、これは国民に対して申しわけがないと思いますよ。重大なる責任でありますから、その責任をおとりいただきたいということをここで議事録に残しておきたいと思います。  それから、景気回復の基調は崩れていないという話については、私は冗談じゃないと申し上げたいところであります。これをやっていると長くなりますが、この前の予算委員会でもはっきり申し上げたところでありますけれども、今辛うじて景気を支えている純輸出と設備投資は、明らかにこの先鈍化してくる。企業収益と雇用は何とかまだプラスだと言っておられるが、これは景気に対する遅行指標。しかも両方とも、どんどん増益率は鈍化し、そして雇用情勢も今言ったように再び失業率は上がり始めているのですね。もう景気回復の基調は失われていないなどとのんきなことを言っていられる情勢ではないと思いますが、これは長くなりますからここまでにして、次に行きます。  私は、この三つのことを、第一の抜本的な対策を打てば大丈夫、あるいは二番目にセーフティーネットの強化策を打てば大丈夫だ、それならば蔵相のお答えで大丈夫だと思っていますが、それを打たないということなので、危ないですぞということを今記録に残してもらったわけで、責任をおとりいただきたいということも記録に残していただしたわけですが、その上で、次に進みます。  セーフティーネットの強化の関係でございます。  これは日銀総裁にも伺いたいと思いますが、金融機関破綻したときに、まず二つの選択肢が出るわけですね。この金融機関を救済するのか、整理してしまうのかという選択肢があります。それからその次に、整理するということになった場合に、阪和銀行のように解散をしてしまうのか、それとも拓銀、京都共栄、それから今度の徳陽シティもそうですが、受け皿銀行に健全な部分を継承させるのかという選択肢がある。いわば二段階の選択肢があるわけでございます。  蔵相、蔵相はこの二つの選択肢について、何を基準にして救済あるいは整理を決めておられるのか。特に最近、救済の方を選択するという動きを大蔵省がしているのは福徳となにわの件ですね。これは両方とも破綻金融機関でしょう。これは預金保険法上の定義で破綻金融機関でしょう。普通なら、これは預金保険から不良債権買い取りという形の資金援助をした後、整理をするわけですね。ところが今の預金保険法の改正がもし成立すれば、これは不良部分を買い取って資金援助をした後、健全な部分を二つくっつけて、福徳となにわをくっつけて経営を継続させるというんだ。これは救済ですよね。  どういう場合に救済して、どういう場合に整理するのですか。まずその選択の基準、蔵相及び日銀総裁にお答えいただきたいと思います。
  170. 三塚博

    三塚国務大臣 ただいまの基準ということでありますが、まず、実例で申し上げます。  福徳銀行となにわ銀行は、現時点においては預金保険を発動しない単純な合併を発表しておるところでありまして、今国会において御審議をお願いしている預金保険法の改正案の適用を決定しておるわけではございません。預金保険法の改正における特定合併について一般論として申し上げますと、債務超過に陥った金融機関は合併ができないことかち、基本的に、債務超過に陥っていない金融機関が合併を行う際に預金保険機構が不良資産を買い取ることを想定いたしたところであります。  これに対し、阪和銀行、京都共栄銀行についてでありますが、大蔵省検査による実態把握等を通じまして債務超過であることが判明したため救済金融機関営業譲渡するという処置を行った、こういうことでございます。
  171. 松下康雄

    松下参考人 ただいまの大臣の御答弁につきまして補足的に私からも申し上げますが、まず御質問の中で福徳銀行、なにわ銀行につきましては、償却を要します資産の額が自己資本額を下回っておりまして、今後の預金保険改正法案も視野に入れつつでありますが、経営基盤の強化と不良債権の抜本的な処理をねらいといたしまして、両行が自主的に合併するということで基本的な合意に達したものでございます。  一方で、阪和銀行、京都共栄銀行につきましては、償却を要する資産の額が自己資本の額を大幅に上回っていることが判明いたしましたために、預金保険制度の資金援助要請することを前提に受け皿銀行への営業譲渡を行いました上で、整理、清算するという処理方策を取りまとめたところでございます。  この預金保険制度を活用しました営業譲渡が行われます場合にも、破綻に伴います取引先企業への影響を最小限に抑えるという観点からは、でき得れば既存金融機関ないしは永続性を持ちました新しい金融機関が受け皿となることが望ましいわけでございますが、この点で、北海道拓殖銀行、京都共栄銀行徳陽シティ銀行の場合には幸いに既存金融機関の中からそのような受け皿を見出すことが可能でございましたが、阪和銀行につきましては、既存金融機関の中から受け皿を見出すことは困難でございまして、また永続性を持った新金融機関設立につきましても民間の合意が得られる見通しがございませんでしたために、預金の払い戻しを目的といたします紀伊預金管理銀行への営業譲渡による対応を行うこととしたものでございます。  したがいまして、御質問のこの三つのケースにつきましては、それぞれの金融機関破綻の内容、見通しによって分類をいたしたものでございます。
  172. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)委員 今の大蔵大臣のお答えを私流にわかりやすく言いますと、債務超過になっていない場合は救済型があり得る、債務超過になっていれば整理をするんだ、こういうふうに私は理解をいたしました。つまり、福徳もなにわも債務超過ではないから救済型になるとおっしゃいましたから、そういう意味だと私は解釈します。  それから、日銀総裁はさらに、整理をするという場合に、継承してくれるところがあればその方が地元への影響等々を考えてベターであるからその場合は継承、継承するところがなきやしようがないから阪和のように解散、こういうふうにおっしゃったと了解をいたします。  今の解釈で、それじゃ山日銀行局長、よろしいですか。
  173. 山口公生

    山口政府委員 一つだけつけ加えさせていただきますのは、救済というお言葉をお使いになりましたけれども考えると、その銀行を助けるためにやっているわけではございません。  今度また御審議賜りたいと思っております法案は、仕組みからいいましても、まず、経営の悪化した金融機関が複数存在しまして、それが連鎖的な破綻のおそれがあって地域経済に大変な影響を及ぼすおそれがあるというふうに当局が見たときに、最悪の場合の、債務超過に陥るあるいは資金ショートへ行く前にひとつ合併をして、しかもその資本を減らしてでもきれいな資産だけにして再出発したら地域のためになるんではないかという、あっせん行為を当局がやるわけでございます。  救済という概念になりますと、当該銀行が何かやってくださいということを申し出るということになるんですけれども、これはこちらの方からそういう必要があるという認定があって、それに対して金融機関はもちろん拒否はできます、そんなのは嫌だということで拒否はできますけれども、一応そういう地域経済等の影響を、この特例期間中だけでございますけれども、そういうシステミック的なリスク、地域経済のリスクを抑えたいということでございますので、厳密な意味で救済という言葉を議論していただくと、ちょっと私どもとしては一言つけ加えさせていただきたいということです。     〔委員長退席、村田(吉)委員長代理着席〕
  174. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)委員 山口局長は、これは助けてくれと破綻金融機関の方から頼んできたんじゃないから、当局の方で認定するんだから救済じゃないとおっしゃいましたが、それは山口流定義だと思うのですね。債務超過にもなっていない金融機関に公的資金を入れて、不良債権をきれいにしてあげて、さあ継続していいですよというのは、これは立派な救済ですよ、日本語で言ったら。  こういうことを行政の判断でやるというところがまたけしからぬ。とんでもないことですよ。どの銀行について行政は不良債権をきれいにして継続させてやるか、どの銀行についてはそうじゃないか、行政が裁量権を持っている。これは金融行政のこれまでの典型でありますところの裁量的密室指導型、介入型の行政がここでまた出てくるという話で、これはとんでもない話だというふうに思います。極めて不公平な話だというふうに思うのですね。  それで、米国では、やはり最初はそういう発想で救済の話が出てくるわけですね。今山口局長が言ったみたいに、これはアメリカでは不可欠性原理と言うのですが、今の預金保険法の条文の中にも出てきますが、地域とかあるいは分野に支障を来すおそれがあるときには救っちゃうということなんですよ、これは。これは非常に行政の懇意が入る話であります。  だからアメリカでは、当初、不可欠性原理でやり始めましたが、極めて不公平だ、行政裁量が入り過ぎるし、救われるところとそうじゃないところとを、それが本当に地域、分野にとって不可欠かどうかと行政が考えちゃうというのは極めて不公平であるということで、不可欠性原理はだめだということになった。不可欠性原理がはっきり採用されたのは、一九五〇年の連邦預金保険法制定のときですが、その後、これはだめだということになった。  そして、かわって出てきたのが、八四年のコンチネンタル・イリノイ銀行の救済のときでありまして、これは例のツー・ビッグ・ツー・フェールの原理が入ってきた。不可欠性なんてそんなあいまいなことで、地域、分野への支障なんというあいまいなことで行政が勝手に判断しちゃいけない。ツー・ビッグ・ツー・フェールは、とにかく大き過ぎてこれをつぶすと全体の経済への影響が大き過ぎるからこれは救うという、ツー・ビッグ・ツー・フェールが入るわけですね。  それで、三塚大臣もこれまで声を大にして、大銀行二十行はつぶしませんと言って胸を張っておられた。これはまさしくツー・ビッグ・ツー・フェールだというふうに思います。今度の拓銀のケースも、私が承知している限り、最後の瞬間まで、マーケットからその資金供与を拒絶される最後の瞬間までツー・ビッグ・ツー・フェール・ポリシーで救済を考えていたと私は思いますよ。どうやってこの債務超過になつちゃった大銀行を何とかもたせるかという救済を考えていたと思うんですね。  ところが、このツー・ビッグ・ツー・フェール・ポリシーも、アメリカではその後、これは不公平じゃないか、何で大きいと救われて小さいとだめになつちゃうのという議論が強まって、最近、九一年の例の連邦預金保険公社改善法、FDICIAができたときに、ツー・ビッグ・ツー・フェール原理の原則禁止が打ち出されるのですね。  そのかわり出てきたのが、システミックリスク原理であります。システミックリスク原理というのは、大きい小さいの話じゃない、システミックリスクが強い、ペイメントシステム全体が危ない、あるいはファイナンシャルシステム全体に重大な支障を来すということが非常にはっきりしているときに限る、大小の話ではないというのでシステミック原理が入ったわけですね。  このシステミック原理ということで考えていきますと、さっきの福徳となにわのようなケースは、これは公的資金を入れて経営を継続させちゃいけないケースですよ。システミックリスク原理からいったら、システミックリスクなんかを引き起こしません、こんなところ。  大体、日本銀行が間髪を入れず最後の貸し手機能を発揮してレンダー・オブ・ラスト・リゾートとして飛び込めば、拓銀のような都市銀行破綻したってシステミックリスクは起きない。阻止できたじゃないですか。あるいは山一証券のような四大証券の一つが破綻したって、これはもう大変だったと思いますけれども、週末返上で銀行局さんも日銀も一生懸命やったということは私は承知しておりまして、御苦労さまと申し上げますが、しかし、その結果、日銀がレンダー・オブ・ラスト・リゾートとして入れば、あんな大きなものがつぶれたってシステミックリスクは表面化させないことができたわけであります。  ですから、システミックリスクでいきますと、私は今の預金保険法改正のような、こういう精神で、行政の裁量で、具体的には福徳となにわのようなところを救済するということは許されないというふうに思っております。  今申し上げましたアメリカの推移、最初は今の大蔵行政のように不可欠性原理、地域あるいは分野に支障を来すときは、これは不可欠なんだから救つちまえという不可欠性原理、そしてそれはだめだということになってツー・ビッグ・ツー・フェール、これも不公平でだめだということになって禁止されて、システミックリスク原理になる。私は、拓銀破綻を受け入れざるを得なくなった、山一証券の廃業を受け入れざるを得なくなった現時点日本の行政の姿というものは、いや応なしにマーケットによってシステミック原理だけというところへ追い込まれたというふうに見えます。  蔵相及び日銀総裁、私のこの意見についてどう思われますか。もうツー・ビッグ・ツー・フェール・ポリシーは破綻した、不可欠性原理なんてだめだ、今はシステミックリスク原理で、救済をどうしてもしなければいけないところは決める。つまり、事前に明らかにしたルールで判定していくのがこれからの金融行政ですから、システミックリスク原理というのをはっきりさせておいてやらなきゃいかぬ。この私の考え方についてどう思いますか。ツー・ビッグ・ツー・フェール・ポリシーは破綻しましたか。もうこれは口にされませんか。あるいは不可欠性原理ということについても、もうこれはいかぬなというお考えでしょうか。お答えください。
  175. 山口公生

    山口政府委員 大変貴重なお話をいただきまして、参考にさせていただいておりますが、米国でいろいろそういった考え方の変遷があったということは私どもにとっても大変興味のあるところでございまして、参考になると思います。  ただ、米国の概念そのままが今の日本に、どの時点に当てはまるのかということになると、いろいろな議論はあると思います。  例えば不可欠性原則はもう過去のものである、ツー・ビッグ・ツー・フェールはもう過去のものである、それはアメリカではまさにそうでございましょう。ただ、我が国におきましてそのシステミックリスクを防いできているという現状からいって、とっくに過去の原則は日本でも捨てているはずだということになりますと、そこは、そのシステムが経済の中にビルトインされている場合の影響度がいろいろ、例えば先ほど申し上げました、非常にうわさの多い地域で連鎖倒産が起きて、それにつながっている中小企業が受け皿銀行がなくてばたばた倒れていく、それは金融の面だけのシステミックリスクとは言えないでしょう。しかしある意味では、そのシステムがもたらす不安定感の広がりというのは、これは不可欠性の原則に入るのかシステミックリスクに入るか知りませんが、それはいろいろ議論がある。私どもとしては、その原理原則も大切だと思いますが、今の時点で、この特例期間中のこの状況のもとで何を選択すべきかということだと思います。  先生は公的資金を入れて継続させるとおっしゃいましたが、債務超過でない場合は、理論的に申し上げますと、不良債権を時価で買い取りますから、その簿価と時価の差は自分の資本金で負担しなければいけないということで、観念的に言いますと、そこにはロス埋め的な資金の贈与はないわけでございます。しかし、このままほっておくと、だんだん悪くなって、本当にロスも出て預金保険のコストももっとふえるという事態になり、しかも最悪の場合は受け皿銀行もない。受け皿銀行がないと、実はある例で私ども大変苦労をいたしました。地元の皆様方に大変御心配をおかけしました。そういった事例をいろいろなところで経験しなければいけない。これが社会的コストから見て本当に甘受すべきものなのか。  私どもが原則をつくっていくのも大変大事でございますけれども、大変参考にさせていただきたいと思いますが、その考え方に向かっていきますけれども、そういう現実をとらえたときに、何を一番今選択すべきかというふうに考えておるわけでございます。
  176. 松下康雄

    松下参考人 中央銀行といたしましての日本銀行として、金融機関破綻処理に対しますところの基本的な対処方策手段は、申すまでもなく、いわゆる日銀特融を実行するかどうかという点にあるわけでございますけれども、私どもとしまして、この日銀特融を実行するという発動の条件といたしまして極めて重要な第一の条件は、この金融機関破綻することを放置すれば、いわゆるシステミックリスクが顕現化するおそれがないかどうかという点でございます。  ただ、その場合に、判断基準といたしましては、例えば非常に規模の大きな北海道拓殖銀行でありますとかあるいは山一証券でありますとかのケース以外にも、地域的に非常に重要な機能を果たしております金融機関が、たとえ規模はそれほどに大きくありませんでも、これを破綻させますことが地域経済の運営に非常に障害をもたらし、それがひいてシステムのリスクにつながるというような場合には特融の発動をいたしているわけでございまして、私どもとしましては、そういうシステミックリスク顕現化ということを判断基準としながら、その中で、例えば地域経済における不可欠な金融サービスの提供がそこにつながるかどうかというような、この判断の材料としては、総合的にケース・バイ・ケースでこれを判定していくべきものであると考えております。
  177. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)委員 先ほども申し上げましたように、システミックリスク原理であれば、ルールとしてかなり透明であり明確だと思うのですね。ところが、今、山口局長日銀総裁おっしゃったように、地域への影響というような不可欠性原理を持ち出すと、裁量が入る余地が大変大きくて、昔の行政に戻ってくる不透明な話になると思います。  お二方とも、小さな銀行であっても地域への影響は大きい、大変なこともあるんだとおっしゃっている。恐らく阪和銀行を頭に置いておられると思います。阪和銀行のときはきれいに整理をした。そして、それはできれば健全な部分をどこかにPアンドA、継承してもらいたかったのでしょう。だけれども、PアンドAの対象が出てこなかった。やむを得ず解散。解散したら、お取引先が大変だった、その地域は大変だったということだと思うのですね。  しかし、整理することに決まった銀行が、PアンドA、継承方式なのか解散してしまうのかというのを決めるのは、アメリカの場合はコストテストですよ。コストテストというのは、これはもう御存じだと思うけれども、さっき言ったFDICIAの、ツー・ビッグ・ツー・フェール・ポリシーじゃだめ、システミックリスク・ポリシーで、原理でこれからいきなさいというのと並んで、コストテストの厳格化というのが入っておる、この法案には。コストテストというのは、どっちがコストが安いか、つまりぶつつぶしてしまうのとPアンドAで、継承でいくのとどっちがコストが高いかということです。  それで、PアンドAでいった場合にしばしばコストが安くなるのですが、それは、継承をするということだものですから、単に資産・負債の額だけじゃなくて、営業権みたいなものに金を出してくれるところがそこを欲しいというものですから、その分だけコストが減ってしまうのですね。だから、PアンドAが多いわけです。  日本でも、まともなところなら、営業権も含めてそこを欲しいとどこかが言い出すと思うのですね。私は、阪和のケースはだれも言い出さなかったというのは、何かの理由で、この資産・負債を引き取るのは嫌だとみんな思ったのだと思うのですよ。これはやはり整理してしまわなければいけない何か理由があると僕は思います。ここでは言わないけれども、御存じだと思いますよ。いろいろな複雑な顧客関係があるからですよ。だから、だれも手を出さなかった。そういう場合、やはり解散をしなければいけない。だから、このコストテストというところも、大蔵省さんも日銀さんも頭に置いていただいて、何となく地域への影響がといったような話ではなくて、もっとアメリカのように明確なルールでやらなければいけないというふうに思います。  さっきの、アメリカの不可欠性原理がツー・ビッグ・ツー・フェールになってシステミックリスクになった、この変遷から見ると、日本は妙なことになって、真ん中のツー・ビッグ・ツー・フェール・ポリシーが、さっきも言ったように市場に拒否されて拓銀山一ぶつ倒れたものですから、もうこれは通用しなくなってしまった。地域への影響とか分野への影響とか考えて裁量的にやる一番古いやり方がまだ預金保険法に残っているという、へんてこな格好になっているのですね。僕は、これはいいかげんに清算しなさいというふうに申し上げたい。こういうのは新しい金融行政になじまない。こういう裁量的なのはなじまない。これはおやめになった方がいいというふうに思います。  地域への影響、分野への影響と言うけれども、地域への影響などというのは、金融サービス業に限らず、どんな産業だってぶっつぶれたら影響あるのですよ、地域へも分野へも。それをみんな必死になって歯を食いしばって我慢しているわけだから。それは金融サービス業の場合は大変でしょう。銀行局も日銀さんも大変だというのはよくわかるが、だからといって、裁量の余地の大きい不可欠性原理で救ってやりましょうみたいな話は、もう新しい時代の、市場の時代の金融行政にはなじまないというふうに申し上げておきます。  時間の制約もありますから、これはもっと議論したいけれども、先へ行きましょう。  次に、これも大蔵省日銀両者の見解を伺いたいのは、預金取扱銀行破綻処理証券会社破綻処理とどこが違うのかということなんですね。  預金取扱銀行は、言うまでもないことですが、ペイメントシステムが絡んでくるという点で、これは非常に例外的な、公共財を担っているところですから、経営責任は厳密に追及するが、預金の支払い不足、支払い不能は起こさないようにしようというので、ペイオフ、日本では二〇〇一年三月までやらないということで、預貯金支払い全額を保証していくわけですが、証券会社には預貯金がないのですから、これは一般企業に限りなく近いはずですね。これは両者の違いはどこにあるのでしょうか、大蔵大臣
  178. 長野厖士

    ○長野政府委員 証券会社の場合、これはもう先生十分お詳しくて御質問いただいておるわけでありますけれども証券会社顧客といいますのは、証券会社との間で債権債務関係をつくるのではなく、証券会社において国債でありますとか株式でありますとかいうものを購入する。したがいまして、顧客が取得した金融資産というものは顧客資産として管理されておるという点で極めて違う。それに応じていろいろなシステムも異なってきていようかと思います。  ただし、先ほど来の御議論の延長線で、金融システムとのかかわりでどうかという点につきましては、その限りでは証券会社は一般の金融機関とはかなり違うと思っておりますけれども、その一方で、三洋証券あるいは山一証券をめぐる経営問題が国際的にも伝えられましたときに、単に株式市場のみならず、いろいろなマネーマーケット、あるいはボンドマーケット、国債・外債市場、いろいろなマーケットにいろいろな動揺が起こりました。その点では、証券会社金融システムとゆかりがないと申し上げるのも、また危険だなという実感を持っております。
  179. 松下康雄

    松下参考人 これも、私どものいわゆる特融の発動条件としてお答えを申し上げますけれども証券会社の場合には、預金受け入れによります資金決済機能やあるいは信用仲介機能というものを担っておりませんし、また、昭和四十年ぐらいまでには大規模に行われておりました運用預かりは現在は禁止されておりまして、顧客預かり金等を除く顧客財産は分別管理をされておりますから、通常の場合におきましては、これが、取りつけとかあるいは流動性不足の連鎖を通じて、金融システム全体の問題が生ずるということは考えられないわけでございます。  しかしながら、今回の山一証券の事例に見ますように、我が国金融をめぐります環境が極めて厳しい状況にあります今日、問題の証券会社が、内外市場におきまして極めて広範な業務展開を行って、多数の顧客取引をしているという状態のもとに破綻が起こりますと、内外金融資本市場の混乱を通じて、実体経済にも深刻な影響を及ぼすリスクがあると考えられた次第でございます。  私どもといたしましては、このような極めて例外的な場合を除きまして、一般的に特融実施するということは考えられないと思っております。
  180. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)委員 おっしゃるとおり、証券会社の場合は、支払い不能の連鎖みたいなことが起きて、システムに大混乱が起きないように日本銀行がぱっと飛び込む、それは必要ですが、そこから先の整理の仕方の話になったときは、おっしゃるとおり、顧客の預かり金勘定さえきちっと払えれば、あとは、大体分別管理をしているはずなんですから、寄託証券補償基金をふやすとかなんとか、そんなことは、業界が考えるのはいいが、行政が主導するような話じゃないと僕は思うのですね。分別管理をしっかりさせることが大事。この補償基金なんという話を出すと、モラルハザードが発生することは疑いない。分別管理をしっかりやらなくたって救ってもらえるんだというのはだめです。  だから、証券会社については、システムに動揺を与えない限りでは日本銀行が入っていかなければいけないが、それ以外では、顧客の預かり金の一点に絞ってしっかりと補償を見てやれば、あとは預金取扱金融機関とは全然話が違うなというふうに私は思います。  時間の制約がございますので、これを聞くともう時間がなくなりそうですな。私は実は、三塚蔵相に、今でも、預金を全然取り扱っていない住専に六千八百五十億円の公的資金を入れたことは適切であったと思うかという質問をしようと思った。でも、これを長々と答えられたら時間がなくなりますので、今の証券会社の議論の延長線上で、ましてや住専というノンバンクの話があるということだけ指摘をしておきます。  そこで、公的資金の話をどうしてもやらなきゃいけないので、今のところを飛ばすわけですが、公的資金の投入が必要だというわけですね。さっきから私が言っていること、おわかりだと思いますが、私は救済のために公的資金を入れたら絶対いけないと思います。救済はだめ。破綻処理段階で、整理をするときに、PアンドAにしろ、解散にしろ、もう債務超過になっちゃっている、債務超過であるために預貯金の支払い資金不足するという場合に限り、公的資金を入れるべきだと考えておりますが、この入れ方について、今自民党さんの中で議論されていることを聞いておりますと、一つは、財投資金なんかを使って優先株の購入をしたらどうかという話が出ております。これは、私は反対なんですね。これは救済ですよ。まず救済型だから反対だと言っているのですね。破綻して整理の段階で公的資金を入れるのじゃなくて、まだ破綻していないところに、自己資本充実するのを国がお手伝いしましょうというのはだめよと言っているのです。  これは極めて不公平であります。こんなことをするといったら、お願いしますと、一斉にみんな我も我もと手を挙げるじゃないですか。これはモラルハザードが発生する。その中で、だれを選ぶのかというところで行政の裁量が入っちゃう。もちろん、救済をするというのは、救済されるところとされないところの間が不公平だし、どうして金融機関だけこうなのという、他産業からも不公平のそしりを免れないというふうに思います。  もう一つは、それに財投資金を使うに至っては、とんでもないこと。財投資金というのは、郵貯、年金、簡保等の有償資金、国民からお預かりしている大事なこれは有償資金ですから、そんなものをこんな危ないところに使うのはとんでもないことだ。優先株を発行するなら市場でやりなさい。市場が判定します、その優先株を発行した金融機関が大丈夫かどうかを。こんなところに財投資金を入れるというのは、極めて裁量性の強い不公平な行政介入であります。  それから、預金保険機構などに政府保証債で借り入れさせるという話が出ています。これも私は反対ですね。預金保険の基金が足りない、ここに公的資金を入れなきゃいけないなら、堂々と公的資金を入れるという形でやるべきであって、政保債というような形で、何か公的資金投入の予約みたいな、あるいはその事実を先送りして、財革法との関係が変なことにならないようにするといったたぐいのやり方には、私は反対。公的資金投入の予約みたいなやり方をしないで、破綻金融機関債務超過による預貯金支払い資金不足分に入れるといって、正々堂々と公的資金を入れるべきだというふうに思います。  それから、最後に日銀特融なんですが、世の中の人は非常に心配をしていまして、あんなすごい勢いで日銀特融がふえちゃって、円の信用は大丈夫なのかといったようなことを言っています。私は、二つのことを言っていて、一つは、これは日銀特融でどんどん貸し出しする反面、片っ方で売りオペや何かで日銀信用を収縮させて、ちゃんと日銀信用というのは日々の資金需給をコントロールするのに必要な範囲内にとどめているから、別にじゃぶじゃぶになっているわけじゃないから大丈夫ですよということを言っている。  それから、もう一つは、日銀特融というのは、あくまでもこれはつなぎの資金だ。公的資金が入るなり、あるいは再建が成功するなりして、戻ってくるまでのつなぎの資金である。そうでないところに公的資金を入れるのだったら、これはまさに日本の円の裏づけとなっている資産が劣化するということであって、国際的に見ても、日本の信用を落とす大変なことだというふうに思っていますが、日銀総裁日銀特融について大変国民は心配しておりますが、今私が申し上げましたような解釈でよろしゅうございますか。
  181. 松下康雄

    松下参考人 私どもも、日銀特融を行います場合には、その回収可能性ということにつきましては十分念入りにチェックをいたしておりまして、これまでのいろいろな事案につきましては、破綻処理が終了した段階で、すべて回収が行われているところでございますが、今後ともそういう方向で十分慎重に考えてまいりたいと思っております。
  182. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)委員 どうもありがとうございました。  本当は、時間があれば、今私が一方的に私の見解を述べてしまったことについて、三塚蔵相の見解を伺いたいところなんですが、どうやらそこへちらちらしているのはおしまいだということなんでしょうかね。――ありがとうございます。大先輩にお褒めをいただいて、しかし時間がおしまいのようでございますから、最後に申し上げておきたいと思います。  最初に確認いたしましたが、この後、抜本的景気対策を財政面から打つということが必要になったら、これは責任をおとりいただきたいということであります。あるいは、それをしないでいて、外為法改正を延ばそうとか、早期是正措置を延ばそうとかいうようなびほう策を講ずることになった場合もひとつ責任をおとりいただきたい。  そして、今日のこの金融危機というのは、もちろん第一義的には破綻した金融機関の経営者の経営責任を追及しなきゃいけないということはあります。また、関与してきた大蔵省の行政が間違っていたということもあります。しかし、一番責任の重いのは政府であります。政府が、こういう経済の停滞を引き起こし、経済危機を引き起こしたこと、そして、再三私どもが申し上げたにもかかわらず、このデフレ予算で大丈夫だと言って突っ走ってきたこと、それから金融三法に基づくセーフティーネットじゃだめですよ、もちませんよと私も新進党も再三言っているのに、これで大丈夫だと言ってここまで来たこと、この政府の責任が最も重大であるというふうに思います。そのことをはっきりと御指摘申し上げて、本日の私の質疑を終えさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
  183. 村田吉隆

    ○村田(吉)委員長代理 日野市朗君。
  184. 日野市朗

    ○日野委員 今、鈴木エコノミストの話を聞いておりまして、非常に参考になりました。  ただ、ちょっと一点心配になったのですが、銀行金融秩序、これは非常にもうもろに結びついた重大な関係があります。一方、何か証券会社の方については非常に抑えた言い方をされたわけでありますが、現在、間接金融がずっと主流であることは間違いありません。しかし、直接金融の分野では、これは証券会社というものが果たす役割というのは非常に大きなものがあろうと私は思うのですね。間接金融ももちろん大事でありますが、直接金融の分野というのは非常にこれから重みを増してくるのではなかろうかと私は思っております力  証券会社銀行と、これをどっちが重しとすることはこれからなかなかできないのであって、国のこれに対する厳重な監督ということ、それから指導ということ、それから適切な手を打つということ、これは同じように考えるべきだと思うのですが、どうですか。これはちょっと質問事項に出してませんでしたので恐縮でございますが、ちょっと気になるものですから聞かせていただきます。
  185. 長野厖士

    ○長野政府委員 私も、先ほどの私の御答弁、簡素にと思いまして、やや舌足らずであったような思いでございます。  先ほど私が申し上げたかったことは、証券会社におきまして、顧客と申せられる方、例えば山一証券の場合に二十四兆円の預かり資産というのがございますが、証券会社破綻によってそれはもう全部紙くずになるのではないかという大変御心配がございまして、それは全く御心配なく、手元の預かり証というものは、まさに株券や国債は別途証券会社で分別管理しておりますから、証券会社の経営破綻関係なく戻ってまいりますと、今世の中に充満しております。その御心配の点を、それはそうではないということを申し上げたいところに力点を置いてしまいました。  その点につきましては、二十四日の大蔵大臣の談話におきましても、「あらゆる証券会社を通じ、顧客資産の大宗を占める保護預り有価証券は分別管理されており、証券会社の経営状況の如何にかかわらず保全され、返還されるものであることを、改めて投資家の皆様に申し上げたい。」ということを談話で発表していただきました。その点が念頭にありまして、先ほどその違いの面を強調して申し上げました。  しかしながら、御指摘のように、今日特にこれだけの規模で、直接金融の仲介者であります証券会社内外ともに幅広い活動をしておる場合には、その経営の状況というものが、先ほど簡単に触れさせていただきましたけれども三洋証券あるいは山一証券という問題がマーケットに伝えられたときから、株式市場だけでなく他の広範なマーケットまで影響を及ぼすということもございます。したがいまして、今回の山一証券処理に当たりましても、投資家保護とともに、信用・市場秩序の維持安定を第一義として取り組めという御指示を大蔵大臣からちょうだいし、そのように取り組んできた次第でございます。
  186. 日野市朗

    ○日野委員 今度はずっと次元をおろしまして、徳陽シティ銀行についてお話を伺いたいと思います。  徳陽シティ銀行といいますと、私の地元銀行でもあり、大蔵大臣の地元銀行でもあるわけですね。徳陽シティ銀行のスタッフの顔がちらちらとこの辺に浮かぶわけでございますね。特に現会長のお父さんだった早坂さん、あの人は一つの哲学を持った方でありまして、地元の地銀が金を貸さないようなところでも積極的に金を貸していく、零細なところを助けるという営業姿勢をずっと貫いてこられた方で、私は、それで非常に助けられた地元企業というのは多いと思うのですよ。地銀といえば七十七銀行になるわけですが、ここはかたい商売をやるところでして、なかなか貸さない。それで、もう借りられないときは徳陽に走れ、こういうこともありまして、徳陽銀行はそういうことで随分人助けもしてきたと思います。それが現在破綻したと言われる原因になっていたと言われるかもしれないけれども、やはりそういう経営姿勢というのは、これは特に第二地銀なんかの銀行にとっては非常に大事な持ち味であるというふうにも私は思っていたところであります。  ところで、こうやってみますと、今度は徳陽の破綻、こういうことが言われております。これは、現在引き受けるところはきちっと決まったんですか。営業を譲渡する、譲り受けるところはきちんと決まったんでしょうか。何か新聞等に報ぜられるところによりますと、某銀行は、いいところだけは皆引き受けるというようなことを言ったなどという報道も随分流れておりまして、それから、ちょっと臭いところについてはこれは引き受けないんだというような話をしたというような話も伝えられておるのですが、そこのスキームをかいつまんでちょっと説明してもらえませんか。
  187. 山口公生

    山口政府委員 お答え申し上げます。  徳陽シティ銀行は、残念ながら破綻したわけでございますけれども、その事業を、受け皿銀行として仙台銀行が基本的には受け継いでいただけるということが確保できましたので、先ほど来いろいろ議論させていただいたような、顧客がみんなばらばらになってしまうという事態は何とか避けられそうでございます。  仙台銀行受け皿銀行になりますが、仙台銀行だけですと、資産を買い取るのに少し荷が重い部分がございますので、七十七銀行あるいは県外の銀行も一部、もちろん県内の中小金融機関も御協力いただいて、その資産・負債を一部引き受けていただきまして、残りは仙台ということでございます。  ただ、いいところだけとおっしゃっている意味は、不良債権部分はその受け皿銀行はちょっと引き取るわけにいかないということで、それは時価でもちまして預金保険機構が買い取って、後は預金保険機構の方が恐らく整理回収銀行を通じて回収を図るという形でサポートしてあげるという形になるわけでございます。  そういうスキームが幸いにしてできておりますので、大変不幸な事態ではございますけれども、健全なところの取引先もなるべく保護できるような仕組みになったということでございます。
  188. 日野市朗

    ○日野委員 私の承知しているところ、今、七十七銀行、それから仙台銀行の名前が出てまいりました。両方とも、実は余り気軽に、いわゆる庶民向けの金融という点ではいささか、こう言ってはあれですが、問題があるところだと私思うのですよ。特に歳末であります。歳末における資金需要というのは、中小零細な企業にとりまして非常にホットなものがありまして、これにどのように一体対処できるか。今までのように、徳陽のような気軽さでというようなわけにはちょっといかないのではないかというふうに思いますので、そういった、仙台銀行、七十七、こういうところには、今度の歳末越年資金、これをきちんと出してくれるように大蔵省の方からの指導ということはできませんですか。  それからもう一つ、やはりそれでも随分資金需要に追いつかないところが出てくるはずなので、政府系の金融機関、ここにもひとつできるだけ手続を簡素にして、経過時間を早めて貸し付けができるような措置が何かとれないか、このことを私非常に心配しておりますので、ちょっと御意見を伺いたいと思います。
  189. 山口公生

    山口政府委員 徳陽シティ銀行取引されてきた方々の今度の歳末の事情ということもよくわかるわけでございますので、営業譲渡までにかなりまだ間がありますので、徳陽シティ銀行の窓口はあけたままにしてございます。そうすると、貸し出しは一切できないことではございませんで、健全な先でありますと、これは窓口を開いておりますので貸し出しができる仕組みにしてございます。  ただ、資産を劣化するような貸し出しはだめですよということでございまして、これはちょっと蛇足でごめんなさい、阪和銀行のときは業務停止命令をかけざるを得ませんで、受け皿がないときは業務停止命令をかけますので、それができないわけでございます。店を閉めなければいけない。預金だけの引きおろしになります。今度、徳陽シティの場合は、仙台銀行等の御協力がありますので、窓口を引き継ぎの間もあけておけます。日銀もそのための資金の二十五条も発動いたしました。したがって、融資は健全な先であればそのまま続けられます。ただ、実際の貸し出しが従前と全く同じかといいますと、それは一応業務改善命令がかかっておりますし、資産の劣化はだめということで、ややそこには懸念はあるということは否定できません。  したがいまして、ほかの近郊の金融機関に御協力を求めたり、あるいは御指摘のような政府系の金融機関で積極的にそういったお客様方の不便を感じさせないような努力をするということは、私どももぜひやらせていただきたいというふうに思っております。
  190. 日野市朗

    ○日野委員 窓口は開いている、確かにそのとおりなのでしょう。ただ、こういう事態になりますと、やはり徳陽シティの方も、午前中にも自己保全本能とかなんとかという議論がありましたが、やはり手が縮むというようなことはあるわけでございますね。それで、ちゃんとした貸出先であれば大丈夫なんだ、どうぞそういうところには貸し出しをしてくださいよということをはっきり徳陽シティの方に局長の方から伝えてもらう、このようなことは必要なんじゃないかな、こんなふうに思います。  それともう一点、私が心配しているのは、やはり小口で小さいところですと、借りては返してまたすぐ借りて、こういうことをずっと続けてきているわけですね。こういうことをとめられますと、やはり小さいところで倒産するところがどんどん出てくる。そういう心配もあるわけで、そういうところでも健全なところであれば、そして貸し付けも大丈夫というところであったら、そういうことで、あえてとめずに融資をつないでいくということも必要ではないか、こう思いますので、そこらについても局長の御意見を伺いたいと思います。
  191. 山口公生

    山口政府委員 先般の御議論の中でも、自己防衛本能とかいうお話がありました。そういった心理になることもよく理解できるわけでございますが、業務改善命令の趣旨というのはそういうことではございませんで、それを誤解をされないように徳陽シティの方々にはよく趣旨をお伝えし、恐らく北海道拓殖銀行でも同じようなことでございますけれども、公認会計士とか弁護士さん等の御意見を聞きながら判断していくというような手続を経て、健全なところに貸していくというようなことをすれば、いたずらに信用を収縮するようなことはなくて済むのではないかと思っております。  あと、関連の中小企業等の倒産のリスク等が、やはりこういった事態が起きますと懸念されるわけでございますが、それにつきましては、いろいろな政府の仕組み、倒産防止の仕組み、あるいは、きょうも議論がございましたが、保証協会の活用とか、そういったものを通じながら、なるべく影響を最小限にしたいというふうに思っているわけでございます。
  192. 日野市朗

    ○日野委員 今度は大臣に伺います。  徳陽シティというのは、大体それぞれの自治体の指定銀行になっているわけです。自治体についても、非常に不安を抱いているところが少なくないわけです。今局長が言われたような状態でありますから、年末の金融について、これは大きな不安を増幅させることがないように、ちゃんとしたアドバイスを各自治体、それから自治体を通して土地の商工会もありましょう、そういうところにきちんとこういうものを言っておかないと、みんなさあ大変だ大変だばかり言っていて右往左往している、こういうことになりかねません。そういうアドバイスをきちんとすることが、これは徳陽だけに限りません、北海道拓殖銀行についても同じようなことが言える。そういう手当てをすることも一方で大事ではないかと私は思いますので、ぜひ大蔵大臣として、もちろん部下に命じてですが、そういうことを周知徹底させていくということも必要ではないかと思いますが、どうですか。そういう措置をおとりになっていただきたいと私は思いますが、いかがでしょう。
  193. 三塚博

    三塚国務大臣 年末を迎えて、中小企業金融が効果的に進むということは大変大事なことであります。ただいま局長答弁のように、仙台銀行が受け皿金融機関、小口金融のセンターバンクは徳陽さんと二つであったわけでございますが、そういうことで、ここが営業譲渡中心、七十七初め、近郊、県内に支店を持つそれぞれの機関に御要請を申し上げる。先般、大蔵省に副知事が御要請に参りまして、私、委員会で会えませんでしたが、そんな趣旨のことでありますので、政務秘書官を通じまして、県も信用保証協会等を御指導いただいて、できるだけ要望に応ずるように取り組んでいただくことが大事、こんなふうに申し上げたところであります。  日野委員の、中小企業に対する非常に愛情のある、これは政治家として当然といえば当然でありますが、そのことを私も体しまして、これはもちろん宮城県の徳陽だけではなく今頑張っているところに対しても同様の趣旨で、政府間における協議の中でも、中小企業庁、政府関係金融機関、これに対しても思い切ったやはり施策が講ぜられていきませんとということで協議をし、通産省、中小企業庁、しっかりと取り組んでおるようであります。政府関係機関も窓口を設けるなどしまして、これは全国的な展開でありますけれども、取り組んでおられる、こういうことであります。
  194. 日野市朗

    ○日野委員 それでは、今度はちょっと、徳陽シティ銀行は大体千三百人従業員がおりますね。今度破綻した山一は七千五百人ですか、いるようですね。これはやはり大変な失業者を生み出すことになりますね。  それで、労働省の方にちょっと伺いたいのですが、これだけの失業者が出る、それから内定の取り消しがかなりありますね。そういう措置、これはどういうふうにされるおつもりか。内定の取り消しなんかでも、新たに今度は卒業までの間に就職を何とかさせようという努力を各大学でもしているようです。それから山一証券なんというのはかなりエリート集団でもあるということから、ほかの企業で引き受けてもいいようなところが出てきたりしているようですが、こういう労働者の人たちに対する取り扱いというのはどういうふうになりますか、施策ですな。
  195. 浅野賢司

    ○浅野説明員 御説明いたします。  今先生が御指摘の北海道拓殖銀行山一証券、そして徳陽シティ銀行でございますけれども、これら各社において従業員の今後の処遇の方法について現在検討しているところであり、現時点では従業員の今後の雇用動向についてはまだ明確になっておりませんが、労働省としましては、各社に対し、従業員の雇用動向の見通しについてビアリングを行いつつ、企業努力による従業員の再就職先の確保などの雇用問題に十分配慮した対応を行うよう要請するとともに、労働省としましても、大蔵省関係地方公共団体、その他関係者と十分な連携を図りながら、従業員の雇用対策を実施してまいりたいというふうに考えております。  また、新規大卒者の採用の内定の取り消しに関しましては、山一証券が四百九十名の内定をいたしたところですが、これについては全員の内定を取り消す方向というふうに聞いております。したがって、労働省としましては、これは早急に、山一証券、それから文部省、大学と連携を図りながら、学生のニーズに応じた求人情報の提供とか就職面接会の開催などの措置を講じてまいりたいというふうに考えております。
  196. 日野市朗

    ○日野委員 こういうふうに企業がもうなくなる、自分が勤めているところが。そうすると、当面、あとは雇用保険という問題になってまいりますね。  雇用保険の場合は、雇用保険法の三十三条ですか、そこで自己退職という場合と会社事情による退職という二種類に分かれますね。自己都合ということになると若干不利益な取り扱いになりますが、これは会社が清算結了前にやめれば自己都合になってしまうのですか。これは自己都合で一カ月から三カ月の間、たしか職安の所長の裁量でその支給開始をずらすことができるわけだ。そこのところはそういう取り扱いではなく、これを自己都合ということにせずに、会社がもうなくなるということはわかり切っているわけですから、早くやめて就職活動をしたいという人もいるに違いない。そういう人たちに対する取り扱いとして、会社都合と同じような取り扱いができないのか、いかがですか。
  197. 上村隆史

    ○上村説明員 ただいま先生からお話がありましたように、雇用保険の給付につきましては、給付制限という制度がございまして、正当な理由がなく自己都合で退職した場合などについて給付制限がかかるということになっております。  ただ、自己都合退職の場合でありましても、例えば破産手続の開始など、事業所の倒産がほぼ確実になった、そういったために離職した場合につきましては、正当理由のある自己都合退職として取り扱うことにしておりまして、そういった場合につきましては給付制限は行わないということにしているところでございます。
  198. 日野市朗

    ○日野委員 そうすると、これは会社としては離職票に自己都合として離職票を発給することになりますな。しかしそれは、そういった特定企業については、自己都合と書いてあっても、ちゃんと会社都合と同じような取り扱いをするということでよろしゅうございますね。確認しておきます。
  199. 上村隆史

    ○上村説明員 安定所の窓口で具体的な離職理由を伺った上で判断するということに個別でやっておりますので、それに従ってやらせてもらうことになると思います。
  200. 日野市朗

    ○日野委員 もっといろいろ大事なことも聞きたかったのですが、時間がなくなってまいりました。  それで、大臣、どうなんですか、金融市場にこれだけの混乱が起こっておりますね。この混乱というものは、これは何も日本一国だけにもうとどまりません。特に山一破綻の衝撃というのは、これはもう国際的な広がりを持って、国際的な金融市場に大きな影響を与えつつあるということになりますね。三洋証券だってそうです。それから国内銀行、保険、そういった金融関係破綻をしてきた。ここまで来ますと、やはりちゃんとした手を打たなくてはいかぬ、こう思いますよ。  何か、きょうのニュースで聞いておりましたら、きょうは大臣は、閣議か閣僚懇談会か、そこで、財政構造改革と整合性を保つということ、それから政府保証ということをつけた形で公的資金の投入というようなことを言われたようなニュースが、きょうの昼の番組で流れておりました。  ところで、この間からずっと聞いているのですが、政府の言い方がもう一つわかりにくいところがある、歯切れが悪い、こういうことが私はこの現在のような金融市場の状況、株式市場の状況、こういう中でやはり影響が大きいと思うのです。これはもう投入するなら投入する、そのことをはっきり言わなければならないのではないか、こう思うのですね。総理が公的資金を投入するかのごとき発言をしたということで株価がぽんと上がったわけですね。そして、総理がそれを打ち消したらまた株価が下がった。このように市場の反応というのは非常にナーバスな反応をしております。  どうなんですか、大蔵大臣、公的資金の投入をするのですか、しないのですか。
  201. 三塚博

    三塚国務大臣 毎回御質問のたびに申し上げておりますことは、ありとあらゆる選択肢、そしてこれを点検、検討し、新政策に反映をせしめる、総理もありとあらゆる措置を講ずるべきであろうと。これは預金保護内外金融システムの維持、これが経済活性化の、また安定の基本なものですから、そういうことで、私の点検、検討、政策立案へ、総理もあらゆる措置を講じて、このことだけはきっちりすることが経済の不透明感をなくすことにつながりますね、市場の不安感を解消することにつながりますね、こういうことであります。  国会の論議、国民間の論議、また与党それぞれの検討機関で論議を進められております。それぞれが報道される昨今であります。こうした議論に重大な関心を持って、どのような措置をとることができるか、やらなければならないかということで、大蔵省の事務方に大臣として検討を強く指示いたしておるところでございます。  これらの方策は、預金保護金融システムの安定強化という目的を基本的に有しておりますけれども、公的資金の導入を検討するに当たりましては、まずは国民の合意が得られるような、目的を明確化しなければならない、こう考えておるところであります。さらに、どのような条件でどのような形で行うかを検討していくべきものである。このように、けさ、閣議後の会見で、日野委員と同様の趣旨がございましたから申し上げさせていただきました。  本日財革法が成立するに当たり、財政の運営についてどうするのかということもありました。これはまさに、財革法の理念をきっちりと踏まえながら、何があるかという意味で、整合性を考えながら取り組んでいくべきものでありましょう、こう申し上げたところであります。     〔村田(吉)委員長代理退席、委員長着席〕
  202. 日野市朗

    ○日野委員 大蔵大臣をやって殺された人もいるんだな、これは。やはりそれだけ身命を賭して、みずからの判断を示し、敢然として行うべき立場、それが今のあなたの立場ではないですか。ですから、大蔵省の事務方がいろいろ心配することもわかりますよ。しかし、あなたの考え方も総理の考え方も、もう公的な資金を投入せざるを得ない段階に来ていると。このことについては、恐らくここにおられる委員の皆さんもほぼ同じような考え方に立っていると思うのです。  ただ、不幸な経過というものがありましたね。あの住専のときの議論。私は、実は、あの住専にも深くかかわった者の一人として、あの議論が非常に不幸な経過をたどったなということはよくわかるのです。その影響が現在もつめ跡を残していることもよく知っています。  しかし、こうやらざるを得ないのだということを、大蔵大臣ははっきり言いなさいよ。国民の皆さんにそれを説明しなさいよ。それは、預金をちゃんとお返ししますよと言うことも必要なんです。金融秩序を守るためのまず第一のステップとしてそれは必要なんだ。しかし、それと同時に、この金融秩序が崩壊していくこと、取りつけ騒ぎや何かじゃなくて別のことから崩壊していくこと、それの恐ろしさ、そのことをあなたは国民にちゃんと語るべきではないか、私はこう思います。そして、これを語るべき立場、それがあなたの立場だ。これはマスコミや世論からたたかれるかもしれない。しかし、御自身は今そういう立場にいるのだということをもうとっくに認識しておられると思いますけれども、そのことを今語ることが必要だと思いますが、いかがでございましょう。
  203. 三塚博

    三塚国務大臣 金融システム、申し上げました内外のシステムでありますが、連動するグローバルな時代でありますから、そのとおりであろうと思います。そういう中で、我が国のまず金融システム、同時に預金者等の保護に万全を期するというのが当面の最大の目標であります。  ですから、本件については日銀の協調をいただきながら、いろいろ御論議、御批判もありますが、万全を期していくということにおいて、国民生活また国民の心の安心を得られることであると信じますがゆえに、このことに全力を尽くし、そして金融システムの安定のために何がやれるか、やらなければならないか、事務方にありとあらゆる選択肢を点検、検討、早急に方向性を出せ、こう申し上げておるところであります。全力をまずこの金融システムの問題に傾けてまいりたい、こう思っております。
  204. 日野市朗

    ○日野委員 最後に感想を述べて終わります。  これだけ金融システムが混迷を深めてきた。公的資金を投入されるというのを政府がいつ言うのかな、私はずっとこう思い続けてきた。それは住専国会、その前の段階からずっと来る過程の中で、いつ言い出されるかなと思っていたが、いまだに、まだきょうの答えを聞いたって、明瞭に言っているわけではないんですよ、大蔵大臣。私は今はもう遅いぞということを申し上げたい。かなり遅いぞと。しかし、これからでも、可及的に速やかなその方針と、それから具体的などういう形で出すか、そんなことはいろいろな知恵がありますよ、決断をなさって、そして事務方はその最良のやり方、方法、これをきちんとまとめていただきたい。  終わります。
  205. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、佐々木陸海君。
  206. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 山一破綻の問題を中心に質問します。  今の質問にも若干出ましたが、山一の従業員数は七千五百人というかつてない多さであります。これが廃業してしまう。雇用問題は極めて深刻になってくると思います。社員は先行きの不安にさらされております。大蔵省としても当然再雇用対策を進めるべきだと思うのですが、これまでの国会の答弁を見できますと、山一破綻の以前には、金融機関の倒産に関連した再雇用対策について問われると、政府は、関係省庁や地方公共団体などとの間で情報交換を行うなどして十分連携しながら、できる限り失業を経験することなく円滑に再就職できるように支援を行うということを言ってこられたわけです。  ところが、山一破綻のときのあの休日の記者会見を見ますと、大蔵大臣は、従業員をどうするという質問に対して、従業員の雇用はまず経営者が責任を持って対応すべきだというふうに、かなり冷たく突き放した言い方をされておられた。これに対して、野沢社長の方は、悪いのは私たちであり社員は悪くありません、善良で能力のある社員がたくさんおり、路頭に迷わないよう皆さんにも御協力をお願いしたいと涙ながらに訴えたこの姿は、ちょっと対照的に思えたわけであります。  もちろん、山一社長の言っていることを全部信頼するわけではありませんけれども、しかし、この点に関しては、大蔵大臣の姿勢は非常に冷たいという感じを受けたのですが、これまでの方向を転換されるということでしょうか。
  207. 三塚博

    三塚国務大臣 こういうときというのは、基本を踏まえてスタートするということが事柄を前進をせしめることになるのです。  そういう点で、当然、労働大臣中心に、本問題にスタートを切る御要請相談をいただきました。そこで山一証券雇用問題連絡協議会、この設置に至り、山一と連携をとりながら、労働大臣、労働省事務方、幹部でありますが、全力を尽くしておるというのが今日であり、大蔵省としてもできる限りのサポートをしていこう、こういうことであります。
  208. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 阪和銀行破綻の際にも大蔵大臣は雇用対策の必要性を明言して、そして今言われたような同じような雇用連絡調整会議というものがつくられて、それで対応をしてきた。もちろんこれで阪和銀行の従業員の問題は全部解決しているわけでは全然ありませんけれども、あの阪和の場合には従業員が八百五十人ですか、今度はもう七千五百人ということで規模も全然違うわけでありまして、だからこの対応も、本当に一件だけの問題ではなくて全国的規模で、そして阪和以上の取り組みが求められるわけであります。  大蔵大臣、本当にそのつもりでこの問題はしつかり取り組んでいただきたいと思いますが、もう  一度御決意を述べてください。
  209. 三塚博

    三塚国務大臣 前段に加えまして、当然、東京都、周辺県、こういうことになりますし、それから関係機関等についても打ち合わせをしながら対応を進められていく、こういうことであります。
  210. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 ただ努力されると言われましても、何か職安みたいなものをつくって、情報センターをつくるというようなもので終わってしまってはうまくないわけで、本当に雇用を保障するということになりましたら、やはり積極的に、例えば大蔵大臣にしてみれば証券業協会に働きかけて何とか努力してくれということまでやっていくような本当に積極的な働きかけをしていっていただかないと、機関はつくった、一生懸命やりますと言っているだけではこれは解決していかないので、その辺のところも含めてしっかりと努力をしていただきたいというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  211. 三塚博

    三塚国務大臣 本件は、今申し上げましたとおり、ありとあらゆる、最も近いところで取り進めてまいる、こういうことであります。
  212. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 同じく破綻したものについて言うと、三洋証券については、これは更生法の手続を見きわめつっというようなことで、まだ協議会すらつくられていないというふうに聞いているのですが、この件についてはどうなっていますでしょうか。
  213. 長野厖士

    ○長野政府委員 三洋証券につきましては、仰せのとおりの段階でございまして、協議会設置等のお話はまだ聞いておりません。
  214. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 この三洋証券の問題も含めて、十一月六日の衆議院本会議で、橋本首相は「できる限り失業を経験することなく円滑に再就職できるよう支援を行いますとともに、大型倒産に関連した失業の予防のための措置を講ずるなど、今後とも適切な雇用対策に取り組んでまいります。」ということまで言っておられるわけで、この三洋証券の問題も含めて、そして山一の場合には関連の会社もいろいろあるわけでありますから、そういったものも含めて、本当に政府として、大蔵大臣も頑張って努力をしていただきたいということを強く要望しておきたいと思います。うなずいておられますから、これはそういうことで、よろしくお願いをしたいということを申し上げておきたいと思います。  次に、日銀総裁がお見えになっておりますので、少しお伺いしたいと思うのです。  山一への特融の問題ですが、これは二十五日に始まって、その日の昼までに八千億、たしかそういう数字をお聞きしました。その後もふえているというように聞いております。これがどのくらいに今なっているのか。あるいは一兆円を超える規模になっているというふうに理解していいのかどうか、その額の問題。そして、多くの国民も、山一にたまたまお金を預けている額というのは一千億くらいというふうに言われているわけですから、なぜ八千億とか一兆円とかいった規模の特融が必要なのか、それが山一に行って一体何に使われているのか、率直に言って多くの疑問を持っているという額だと思うのですけれども、その辺の内容について、もう少し国民がわかるように、可能な限り説明していただけませんでしょうか。
  215. 松下康雄

    松下参考人 山一に対します特融の実行は、最初八千億でございましたが、その後一兆二千億になりまして、ただ、その後若干の回収に今転じているようでございます。  山一が必要といたします資金の量といいますのは、山一証券が今後自主廃業及び解散を円滑に行ってまいりますために必要な資金供給するということでございまして、内容的に申しますと、例えば山一証券がお預かりをしております顧客資産の返還のために必要な資金、あるいは既に約定済みの各種の取引決済に要する資金、また海外業務から円滑に撤退をしてまいりますためにその海外業務の閉鎖までに必要な各種の資金に使われるものでございます。  もとより山一には収入は別途ございますけれども資産を処分いたしまして収入を上げるにいたしましても、時間的なずれがございますから、その大きな時間的なずれを埋めるために必要な金額ということに相なります。
  216. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 その海外からの撤退のための費用というのを、もうちょっと説明してもらえませんか。
  217. 松下康雄

    松下参考人 海外で非常に多くの関係の現地法人ないしは支店を持ちましてそれらが各地で営業を行っているわけでございますけれども、現在の方針におきましては海外営業拠点はすべてこれを閉鎖するということになっております。このすべてにつきましてそれぞれ整理、清算の手続を踏んでいかなければなりませんけれども、その場合に、一方で営業を終息するために必要な経費がかかります反面で、収入というものは非常に減少いたします。その差額を補てんいたすものでございます。
  218. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 それはそういうことでお聞きしておくことにして、特融の場合の四つの基準というものを前に当委員会でも私どもも議論をさせていただきましたが、四つの条件を挙げまして、システミックリスクを引き起こすようなおそれがある場合であって、これが一つ、かつ日本銀行資金供与が不可欠である場合、これが二つ、なお関係者の責任の明確化が行われ、これが三つ、そして最後に日銀健全性が配慮されるということ、これが四つでした。  その一つの、システミックリスクを引き起こすようなおそれがある場合であったということについてはどういう説明をなさるのか、お聞きしたいと思います。     〔委員長退席、佐藤(静)委員長代理着席〕
  219. 松下康雄

    松下参考人 通常の場合でございますと、証券会社預金受け入れによる資金決済機能とかあるいは信用仲介機能を持っておりませんために、これが破綻いたしました場合でも、直ちにそれが市場流動性不足というようなことを通じまして金融システム全体を動揺させる、不安を生ずるというような問題が生じることはないわけでございます。  ただ、この山一証券の場合におきましては、第一には我が国金融をめぐる環境が現在大変厳しい状況にありますことと、それから山一証券自体の規模が大きゅうございまして、これは内外市場で非常に広範な業務展開を行いまして、また多数の顧客取引をいたしております。もし仮に、これが自主廃業の過程で、ただいま申しましたような顧客財産の返還とかあるいは約定済み取引の履行が円滑に行われません場合には、例えば顧客財産返還、引き出しの動きがほかの証券会社にも伝播をするとか、あるいは市場取引が混乱するおそれが強いと考えた次第でございます。  こういったことで、四大証券の一つが経営の行き詰まりを来し、しかも市場に混乱が生ずるということは、やはり我が国金融システムに対する内外の信用、信認を低下させ、ひいて実体経済にも大きな影響を及ぼすことになるおそれが強いと判断をしたわけでございます。
  220. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 関係者の責任の明確化が行われ、という点に関してはどういう御見解でしょうか。
  221. 松下康雄

    松下参考人 関係者におきましては、みずから経営責任を痛感しているわけでございますけれども現状においては、この責任を痛感しながら、当面は同社の廃業手続を円滑に処理すべく全力を傾ける責任もまた負っているわけでございます。そういうことで、当面、廃業の手続を進めるために責任を果たしてまいりますけれども、いずれにいたしましても、遠くない将来に同社は廃業いたし解散をすることに相なりまして、経営陣も一斉に退陣するということになる次第でございます。
  222. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 要するに、経営陣が退陣することになれば責任が明確化された、そういうことですか。
  223. 松下康雄

    松下参考人 経営者としての責任のとり方の一つが退陣をするということであろうと思います。そのほかに、経営者といたしまして法律的その他の責任がいかなるものが生じるかということは、私ども中央銀行の立場として、内容につきまして判断をいたします立場にございませんので、その点につきましては別でございます。
  224. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 そうすると、日銀としては、特融をする場合の関係者の責任の明確化というのは、退陣をするということ以上のものを何か求めるということではないということですね。
  225. 松下康雄

    松下参考人 経営者が退陣をするということだけにとどまりませず、会社そのものが解散をいたしまして消滅をするということでございます。
  226. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 その二点というふうに伺いました。  あわせて、関係者の責任の明確化とかあるいは日銀資金供与が不可欠である場合とも絡んで、メーンバンクとされております富士銀行山一との関係の問題ですが、特融を実行する以前の段階で、富士銀行に対して日銀として、何らかの措置を講じろとか、講じてほしいとかいうようなことを申し入れたようなことは全くなかったわけでしょうか。
  227. 松下康雄

    松下参考人 私どもといたしましては、今の山一証券破綻に伴いまして、外部における取引先がそれぞれどのような責任を持つかという点につきまして判断をいたす立場にはございませんので、そういう点につきましては、意見を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、今の、富士銀行におきましては、やはり山一証券とのこれまでの取引の経緯を踏まえまして、同行に対しまして山一証券が、資金繰りの把握とかあるいは為替送金の実施等の協力をするということを求めまして、同行もこれに応じるということになったわけでございます。これによりまして、山一証券の廃業の実行が円滑に行われる一助になるものと考えております。
  228. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 ありがとうございました。日銀総裁、もう結構でございます。  最後に、山一破綻が明らかになったときに、それに際しまして、大蔵大臣は談話を発表いたしました。一つは、山一破綻にかかわる談話でございますけれども、もう一つは、金融問題全体にかかわる談話というものを発表されております。  第一項目で山一の問題について述べた後、「この際、一連の金融機関の経営問題に関連し、」というふうに述べておられるのですが、なぜ「この際、」だったかということをまず簡単に説明していただけませんか。
  229. 山口公生

    山口政府委員 お答え申し上げます。  三洋証券、北海道拓殖銀行山一証券とかなり大規模な破綻が非常に短期間のうちに続きました。そこで、金融システムに関する懸念とまで言っていいかどうかわかりませんが、そういったものが出ないとも限らないという状況に対処するために、金融システムが万全であるということを強く国民の皆様方に訴えたい、こういうことで大臣の談話が出されたわけでございます。
  230. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 大臣の談話について今銀行局長さんがお話しになったわけですが、この大臣談話の第二項目で、「金融システムの安定を維持していくためには、各金融機関の自助努力が基本」であるということに始まって、あとは今の金融システムの安定を維持していくための基本方向が述べられていると思うのですが、この「各金融機関の自助努力が基本」であるということは、私もこれは当然だと思います。  そこで、大蔵大臣にお聞きしたいのですが、各金融業界の自助努力という点についてはどうお考えになりますか。
  231. 山口公生

    山口政府委員 どういう御趣旨でのお尋ねか、ちょっと取り違えると失礼になりますけれども、もちろん各金融機関が自助努力でしっかりするということが金融システムの最も基本であるということは、先生もそうおっしゃっておられます。業界というものがどういう役割での業界ということかと思うのですけれども、やはり自分たち全体が社会的な役割を果たしているということをよく自覚して、それぞれの業界としての役割、いろいろ自主規制団体があったり、あるいは親睦団体であったりということもあるでしょう、そういった役割をきちっと果たすという意味であれば、それも大事な点ではないかと思います。
  232. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 どうも全部銀行局長さんがお答えになるのですが、具体的に言いますと、例えばきのうの朝日新聞に、後藤田正晴氏が文章を寄せておりますが、その中で、これはもちろん公的資金を投入せよという前提で話されているわけで、そこは私たちは同意しないのですが、「金融界に業界全体として血のにじむ自助努力をしてもらわなければならないということだ。銀行であれば預金保険機構証券であれば寄託証券補償基金、保険であれば支払い保証制度というのがあるが、これらの強化を自分たちの力でやって、」云々ということを後藤田氏は業界としての自助努力というふうに言っておられるのです。この自助努力を最大限やってもらわなければいかぬということでは私たちも同感できるのですけれども、その点についてどういう見解かということを大蔵大臣にお聞きしたいのです。――大臣談話ですよ、これは。
  233. 山口公生

    山口政府委員 大臣からお答えの前に、先生の御趣旨が、金融界全体として、預金保険だとかそういったもののシステム、セーフティーネットを自分で支えるべきだという御趣旨でありますれば、基本はやはりそこにあることは間違いないと思います。よく御存じのように、特例期間中は保険料率をそれまでの七倍に引き上げて、かなり大きな負担だというふうに今でも業界は書っておりますけれども、それでもってシステム全体を守ろうということでやっておるということも事実でございます。
  234. 三塚博

    三塚国務大臣 業界全体ということでありますが、それぞれの会社の自助努力、リストラ、また今後に対応することが基本で、全体から見れば業界ということになるわけでしょう。問題は、それぞれの金融機関、企業の最大の、今日に対応する自助努力に基づく会社健全化に向けてのリストラ、ここが大事なポイントであろうと思います。
  235. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 金融システムが不安定になれば、銀行個々も困るでしょうし、銀行業界としても困ってくるわけです。それは国民にもいろいろ影響を与えるでしょう。だから、まずそういうことを来さないように個々の銀行努力しなければいかぬし、銀行業界全体としてもシステムを守るための努力を協調してやらなければいけないしということが前提にならなければ、何か個々の銀行努力する、それでうまくいかなかった、あとはもう国民の税金だというような話になってはならぬということを私は言いたいわけであります。  そして、預金保険機構の問題について、私は十一月六日の本会議で、預金保険機構がこんなふうにどんどん破綻金融機関不良債権を買い取ったり、今度は破綻していない銀行不良債権を買い取ったり、言ってみれば銀行不良債権のごみ箱みたいになっていって、そして預金者の保護という当初の目的からだんだん離れていく、そういうことをどんどん進めていったら預金保険機構財源が足りなくなってしまうじゃないかという質問をしたのに対して、首相は、財源状況を悪化させるようなことには簡単にはならないということを強調した上で、「仮に、現在見込まれる機構の財源で対処が困難な状況が発生した場合には、平成十年度末までに保険料率の検討を行うことといたしております。」というふうに答弁をしているのです。  大蔵大臣の認識として、現在の状況のもとで預金保険機構財源がこれから足りなくなるだろう、保険料率の値上げもしなければならなくなるだろう、それをやってもなおかつ足りなくなるというような認識をお持ちなのかどうか、はっきりとお聞きしたいと思います。
  236. 山口公生

    山口政府委員 お答え申し上げます。  しばしば御報告申し上げておりますように、二・七兆円の財源で一・四兆円を既に使っておるということでございます。残りでこれから対応できるかどうかということについては、これからの、あるいはこれまでに起こったもののロスが実際どうなるかという見込みもありますし、それから、これからそういった破綻が起きるのか起きないのか、起きるとすればどの程度の規模のものが起きるのかというのはなかなか推測しがたいものがございます。したがいまして、現時点におきまして五年間のうちの今一年半ぐらいたったところでございますが、それが来年度の末まで、十年度末までには保険料の見直しということを政令に書いてありますので、それの手順でやっていきたいと思っております。
  237. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 もう時間が来たようですけれども大蔵大臣、二言ちょっとこの問題でお答え願いたいと思うのですが、保険料率のアップをしなければならぬような状況に今来ているというふうに御認識かどうか、そしてアップしてもなおかつ足りないというような認識をお持ちなのかどうかということをしっかり聞いておきたいと思うのです。それはいろいろ起こることがわからないと言うけれども、今の財政資金投入論なんというのは、それがやっていけなくなるからということを前提にして言っているわけですから、大蔵大臣はそれについてどう考えるのかということをはっきりさせてもらわなければ困るのですよ。
  238. 三塚博

    三塚国務大臣 これも何回も申し上げておるのですが、政府委員が申し上げましたとおり、一・三兆、これで対応してまいります。金融システムの安定の維持のために、国会でも与党自民党でも行われておる、国民間の論議も行われております。そういうことで、あらゆる選択肢を考えながら、何がやれるのか、何が必要なのかということで基本的なことをつくり上げていかなければなりません。このところが基本でありまして、そういうことで、いついかなる場面でも対応します、こういうことであります。
  239. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 もう最後です。私たちは財政資金の投入というような問題については絶対に反対であるということを重ねて申し上げて、質問を終わります。
  240. 佐藤静雄

    ○佐藤(静)委員長代理 次に、吉田公一君。
  241. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 山一証券自主廃業したと、突然の発表だったわけですね。しかし、監督官庁として大蔵省が、自主廃業するまで、要するに経理内容が悪いということでありますから、それまで気がつかなかった、あるいは監査をきちっとやっていなかった、そう思われても仕方がないわけです。  その点、大蔵大臣の発表にもありましたように、内部監査、外部監査、そして早期是正、そういうものを導入してリストラをやらせ、不良債権の早期解消に向けてあらゆる努力をする、こう大臣がおっしゃっているやさきに自主廃業、こういうことでございますが、監督官庁として自主廃業をさせたのじゃないか。つまり、免許取り消しということになると、当然株主がいるわけですし、免許取り消しを監督官庁がする以上は当然大蔵省側は株主保護のためにきちっと対応策があるのでしょうね、こう言われるものだから、自主廃業させたのじゃないか、そうとしか思えないのですが、その点いかがですか。
  242. 長野厖士

    ○長野政府委員 山一証券からは、証券業の廃業、会社の解散に向けて営業を休止するという届け出がございまして、それに応じました所要の命令を発している段階でございます。この会社の決議の内容に従えば、いずれ自主廃業の申請書が出てくる段取りになろうかと思います。ただし、自主廃業は私どもの認可が必要でございます。その場合に、免許条件に違反していないこと、簿外債務がないこと等の要件を満たしていない場合には自主廃業の認可は行わず、免許を取り消すことになります。
  243. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 廃業の認可なんというのはどうでもいいのですよ。そんなもの、終わった後の話ですから。廃業するのにも認可が必要なんだ。入り口も出口も認可、認可、認可と、規制で固まっているわけですね。これほど規制や監督をしていながら、結局わからなかった。だからみんな信用しなくなってしまう。だって厳しい規制がかかっていて、これは金融機関もそうですけれども、もうとにかく大蔵省の規制、監督が厳しい、その上でやっているのだから安心なんですよということが国民にわからない限りは、この金融不安は、幾ら大蔵省が弁明に努めても、結局は自主廃業するまでわからなかった、そう思われても仕方がないのじゃないか。もう一年も二年も前から監査なんかやったことがないのですか、山一証券については。全然危ないとも思わなかったし、まさか自主廃業するとは思わなかった、突然やってきたのだ、そういう御認識ですか。
  244. 長野厖士

    ○長野政府委員 平成三年の証券不祥事以来、それまでの私どもの行政のシステムが改正されまして、従来、監督と検査というものを私ども証券局で一体として行っておりましたけれども、やはり検査というものを監督行政から独立して行うべしということで、証券取引等監視委員会及び大臣官房の検査部というシステムになりました。  本日、突然のお尋ねでございますので検査担当部局が参っておりませんので、かわりましてお答え申し上げますけれども、検査担当部局におきましては、その後、山一証券につきましても再度にわたって検査をしたが、今日まで簿外債務二千六百億というのはまさに簿外であり、発見できなかったということでございます。この点をめぐりましては、午前中の委員会におきましても、あるいは昨日は参議院の予算委員会参考人質疑におきましてもいろいろな御議論が行われておりますが、検査担当部局におきましては、一つの課題という認識も示しておられます。  確かに、弁護するわけではございませんけれども、アメリカで、ニューヨーク連銀のひざ元で、大和銀行の十年間にわたる簿外取引につきまして、十年間に八回検査を入れても発見できなかった。これは、アメリカのニューヨーク連銀は世界で最も進んだ検査体制をしいておると言われておりますけれども、そのニューヨーク連銀にして、やはり八回の検査をもってしても簿外債務が発見できなかったというのは、簿外はそれだけに難しいのだろうなという思いがございますから、私の方から検査担当部局にそこのところをとかくと申し上げるつもりもございませんけれども、その点の実情をお酌み取りいただきたいと思います。
  245. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 日銀特融という言葉は最近よく新聞紙上に出てまいります。もちろん金融破綻の際に、預金保護投資家保護というもとに日銀特融がすぐ出てくるわけでありますが、もともとその日銀特融というのは償還する義務があるのではないかと思うのですけれども、そういう償還義務を別に置いて、とりあえずお金を出しておこう、そういうことにしか思えないのですが、緊急の場合という条件つきですけれども日銀特融というのはそもそもどういうときに発動するのですか。
  246. 山口公生

    山口政府委員 日銀法は先般の通常国会で改正をしていただきましたが、現在はまだ現行の日銀法でございます。したがいまして、第二十五条に規定がございます。それは特別な融資でございまして、端的に申し上げますと、通常の融資は担保をとって融資をするというものでございますが、無担保での融資でございますので、政策委員会で議決をして出す。その目的が明定されているわけではございませんけれども通常使われますのはシステミックリスク等を避けるためということを日銀の方では言っておられると心得ております。
  247. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 しかし、いつまでも日銀特融ばかり使っているわけにはいかないので、これらについては今後議会でもそのあり方について、また対策について議論されていくだろう、こう思います。  先ほど佐々木委員から日産生命について話がありました。私も日産生命について伺おうと思っていたのですが、日産生命の昭和六十二年に一括払いの保険料、しかしそれを広めるために、先ほど佐々木委員からパンフレットまで提示してございましたが、年金保険を発売して、それを各金融機関に事実上の保険勧誘をお願いした、そのときの条件で保険料を超える協力預金を事実上していた、だから金融機関は保険勧誘に協力をした、そういうことが事実のようでございます。  したがって、勧誘した金融機関も当然責任があるべきでありますし、ましてや日産生命が倒産をしたわけですから、その辺のきちっと責任というものはあるはずでありますし、先ほど申し上げたように、銀行を監督する大蔵省がそういううわさや何かに全然気がついていなかったのかどうか。明らかにこれは事実のようでございまして、そうなれば、先ほどからお話があるように、間違いなく銀行法違反だということですね。  だから、こういうところを、きちっとしたものをやらないから、結局この金融不安の問題もずるずる抜け穴があって、結局は、きちっと責任を追及する、ディスクロージャーだ、こう言いながらも、こういう点があいまいだからなかなか金融不安というのはなくなっていかないのではないか、そういうことだろうと思いますが、やったとすれば銀行法違反ではないのでしょうか。再度お尋ねしたいと思います。
  248. 山口公生

    山口政府委員 お尋ねの件で御指摘の銀行法違反ということになりますと、銀行法の規定では第十二条に当たるということになりますが、これは同法、その他の法律により営む業務のほか、他の業務を業として営むことができない、これに違反するという場合が銀行法の違反になります。  先ほどのいろいろな御質問はそういう面も含んでおりますが、また募取法とか新しい保険業法の行為規制の方の御議論もありました。銀行法の方は、そういう形での銀行健全性の方からの規定がございますので、それに仮に違反しているということであれば、それは銀行法違反になるということになるわけでございます。
  249. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 次に、住専の不良債権処理はまだ終わっていない、そこへ金融破綻、こういうことですから、中小零細企業はまことに窮地に追い込まれているわけであります。  再度お尋ねしたいのですけれども金融機関といわゆる住専あるいはノンバンクだとかリース会社だとか、そういう会社銀行の間に不良債権が生じた場合には無税償却をやっているのかどうか、確認をまずしたい、こう思うのです。
  250. 山口公生

    山口政府委員 銀行が、母体行は全額、一般行もかなりの部分を放棄いたしました。それで残りの資産を住宅金融債権管理機構の方へ移したということでございますが、その放棄した部分は、これは会計上償却をしております。したがって、不良債権はその時点でがくんと減っているという計算になります。
  251. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 結局、銀行の帳簿はだんだん整理しつつあるのですよ。銀行の、金融機関の帳簿はだんだん帳簿上は整理しつつある。しかし実態は、住専と銀行の間は無税償却したのだけれども、そこから先の債権、例えば一億円の担保をつけた、ところが、今御承知のとおり、三千万円になってしまった。そうすると、三千万円は銀行が引き取ったけれども、七千万円については無税償却をして、なおかつその先の不動産や建設業者には七千万円の負債は最後までついていくわけです。だから、そこで無税償却したのだから、次の七千万円もちゃんと償却をしなければ本当はおかしいと思うのですよ。ところが、住専から先の不動産会社や建設業者はいつまでもその負債、七千万円の債権は持っているわけだからその債権に追いかけられて、あなたの会社が倒産しない限りは七千万円は必ず返してもらいますよ、こういうことで追及されているわけです。そうすると、その追及された企業というものは、その負債を整理しない限りは企業活動を続けていけなくなってしまう、そういうことがあるわけですね。  だから、暴力団だとか悪いやつがやったというのは、私は全部やったとはとても思えないので、それは一部だろう、こう思うのですね。そうすると、不良債権回収を強力に進めるということは、倒産をして企業活動ができない件数をどんどんふやしているのと同じことだ、そう思っているのですよ。  だから、その辺を、金融機関は自分たちのところは無税償却をして、そしてその先の債権はまだ持っていて、追及していって、五百万円でも二百万円でも三十万円でも返せという、そんな話はないと私は思うのですが、今度のような不良債権処理をめぐって、日銀特融を社会問題としてやらなければならないような事態になってくるのではないでしょうかゆ住専のときにはそれをやらないで、六千八百五十億という税金をついには使ってしまった。だけれども、今度のこういう住専の後始末の問題として私は的確ではないのではないか、そう思っているのですが、いかがでしょうか。     〔佐藤(静)委員長代理退席、委員長着席〕
  252. 山口公生

    山口政府委員 お答え申し上げます。  先生の御質問の趣旨を正確に理解していない場合はお許しを、また再答弁させていただきますが、銀行等が一部債権を無税償却しましてもあるいは有税償却しましても、債権そのものがまだ残っておるということがありまして、それがいろいろな意味で圧迫をしている、こういう御趣旨でありますと、債権を償却するかあるいは放棄するかどうかということは、これはその金融機関がやはりみずから判断をすべきでありまして、これを一律に、例えばこういう場合は全部放棄すべきであるというような性格のものではないと思いますので、それは民間の個々の取引ではないだろうかというふうに考えます。
  253. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 実は低金利政策なんというのは、一つは銀行を救ってやるようなものですよ、これは。どれだけ低金利政策で得しているかわからない。そういう意味では、やはり銀行は恩典を受けているわけで、社会的責任は当然負わなければいけない、こう思うのですね。  今、建設業界に従事する人たちというのは七百万人ですよ。それが貸し渋りで融資打ち切りで、どんどんつぶれていってしまう。多田建設だとか東海興業なんというゼネコンが倒産してしまったのが一番いい例なんですよ。融資を打ち切っちゃった。まさにこれが典型的な例でして、そういうことが全国の中小零細建設業では日常茶飯事のように起きているわけです。  最後は七百万人、建設従事者の人たちは結局失業になってしまう。七百万人の従業者のうち、仮に家族が平均三人いる場合には、何と二千百万人の人たちが所得がなくなって、結局社会保障費の中で賄わなければならない、こういうことになってしまうわけですよね。だから、今思い切って税金を投入したって同じことなんです。最後は社会保障費でこの人たちを救わなければならないとすれば、やはりこれも税金なんだから、だったら積極的な方法で税金を投入してやった方がプラスなんだ。だから、そういうことも私は考えていかなければならない、こう思うのですよ。  そこで、先ほど私は、自由主義国家にとって、資本主義国家にとって、市場は一番大事な動脈のもとだと申し上げましたが、例えばNTT株、五百四十万株を放出して、第一回目は百十九万円、その次に百九十万円、その次に二百五十五万円。額面五万円のNTTの証券を、何とこれは最後の放出のときには二百五十五万円。だけど、これも相当大蔵省があおって、証券会社に言って、もつと高くしろ、もっと高くしろ、高くなったところで売るからと。こういうことで、みんな、一般投資家も全部これを買った。私の身の回りの人でも、九十五万円ぐらいしかならないで、第二回目に買った百九十万円だとすれば、もう九十五万円損しちゃっているわけだ。だけれども、ほったらかしだよ、それは。おまえらが自由に買ったんだからなんて言いながら、高くしたのは大蔵省じゃないか。  そういう状況の中で、このNTT株は、今政府がまだ五百万株は持っているわけだ。その五百万株をまだ放出するのではないかと思うから、NTT株が上がらないでいるわけですよ。額面五万円なんだから、これで政府は財政資本を十兆円つくったのだから、一般国民から税金みたいに取り上げて。これはまだ証券会社金融機関が五百四十万株のうち相当持っているわけだよ。だけど、全部、今言ったように損をして持っているわけだから、今売る気なんかないわけだよ。だから、あと政府は五百万株持っているのだから、郵政省といろいろあるようだけれども、一たんこれはNTTに額面五万円で五百万株戻して消却したらどうか。二千五百億円、NTTが出せばいいわけだ。そうすると、あと五百四十万株しかないから。NTT株は、まだ政府が都合によって出すんじゃないかと思っているから、株が上がらないのだから、そういう意味では、証券会社金融機関や一般投資家が持っているNTT株をまず上げるということも私は一つの方法ではないか、そう思っているのですよ。  だから、この際、ぜひ額面五万円でNTTに消却させてしまう。何か郵政省等の調整もあるようなことを聞いていますけれども、そんなことを言っている場合ではないんだ、国難なんだから。あらゆる手を使わなければいけないので、役所の縄張り争いなんてやっている場合じゃない。  どうですか、大蔵大臣、NTT株のことについては。
  254. 妹尾喜三郎

    ○妹尾政府委員 政府が持っておりますNTTの株といいますものは、これは国民全体の共有の財産でございます。したがいまして、例えばこれを額面の価格でNTTに譲渡して、あと減資するとかいうことになりますと、これは時価を大幅に下回る価格で国有財産を売却することになります。これは財政法にも抵触しますし、今後の国債の償還財源として現在持っているNTT株の売却の仕方としてはどうかと思うわけでございます。
  255. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 そう言うだろうと思ったんだよ。そんなこと言ったら、財政法違反しているようなものだ。特例公債なんかまさにそうじゃないか。そんなの平気でもって三十兆円も二十兆円も発行しておいて、財政法に違反しているも何もないんだよ。だから、そういう言いわけは通じないんだ。  これで質問を終わらせていただきます。
  256. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、北橋健治君。
  257. 北橋健治

    ○北橋委員 無所属クラブの北橋健治であります。小会派の私に対しまして、質問時間の確保に際し、新進党の鈴木委員に格別の御高配を賜りましたこと、そしてまた与野党の理事の皆様方にも温かい御理解を賜りましたこと、まずもって心から御礼を申し上げたいと思っております。  今、行政改革委員会の規制緩和小委員会におきまして、種々の問題が議論されております。私も第二臨調のときには民社党政策審議会で臨調を担当しておりまして、私は行革与党を貫いてきた立場でございます。しかしながら、往々にして行革というのは、行革に名前をかりまして、国民の期待しないような方向にしばしば使われている事例がある。行革に名前をかりた無定見な歳出カットだとか、あるいは特定業界を代弁するような規制緩和の議論が往々にして見られる。実に玉石混交の世界だと私は思っております。  そこで、今、規制緩和小委員会が取り上げております大蔵省所管の問題でございますが、現在ある生命保険の構成員契約ルールの見直しの問題について、きょうは関係官庁の見解をお聞かせいただきたいと思っております。  まず、このルールは平成八年、大蔵省から通達として出されているわけでございますが、その目的は何か、その必要性についてどう考えていらっしゃるか、まず見解を明らかにしていただきたいと思います。
  258. 福田誠

    ○福田政府委員 お答え申し上げます。  今御指摘の生命保険の構成員契約ルールと申しますものは、法人の募集代理店が募集手数料収入を得るために、自分の会社あるいはその関連会社の従業員、これを構成員と言っておりますけれども、その構成員に対して職制を利用した募集、いわゆる圧力募集を行うことを排除するために、消費者、従業員保護観点から、法人代理店は構成員に対しては生命保険商品の販売を行うことを制限するというものでございます。  さらには、このルールを適用しないこととした場合、逆に、企業が自己の従業員市場に対しまして、ほかの生命保険の募集人の立ち入りを排除していわゆる囲い込みを行うことを通じて、市場が非競争的になっていくおそれがあるところから、こういったことを防止する効果があるものでございます。  平成八年と御指摘ございましたが、経緯的には、そもそも昭和五十年代に法人募集代理店というものがふえてまいりまして、保険無理解のまま従業員が保険に加入させられたり、従業員市場が囲い込まれるといった弊害が見られたことから、消費者保護観点から、昭和五十六年にこのルールができたわけでございますが、御指摘のように、新保険業法の施行されました平成八年四月以降も通達の形でこのルールを維持しているところでございます。
  259. 北橋健治

    ○北橋委員 その中で、今、圧力募集という趣旨のお話も、この通達が必要であると考えている大きな根拠だというお話でございました。  この圧力募集の実態を大蔵省はどの程度把握されているのかという問題であります。  これは、日本型雇用環境のもとにおきましては、上司から勧められて保険に入るかどうかという問題でございますから、なかなか表面化をしない世界の問題でございますが、現在、昭和五十年代からこの通達があるにもかかわらず、現実には、圧力販売の実態は数多く関係者から報告されております。  例えば、一例を挙げますと、ある東海地域でございますが、入社内定をした若い人に対して、その会社子会社の保険部から、代理店契約をしている生保に加入しないと出世はないとおどかされて無理やり加入させられたそうであります。また、解約、減額の申し出に対して、代理店の担当者に別室に呼び出されて、出世に影響するとおどかされて泣き寝入りをしているという事例が報告されております。  こういった圧力募集の実態を大蔵省はどのように把握して対処しているのか、お伺いいたします。
  260. 福田誠

    ○福田政府委員 大変難しい御指摘でございまして、現在、構成員契約ルールがございますので、企業内における圧力募集の問題そのものはなかなか顕在化しておらないと存じますが、定かではございませんが、それに近いような、類似の事例がいろいろ水面下であるのではないかということは言われております。  したがいまして、仮にこのルールが撤廃されることになりますと、従業員と特殊な関係にあります代理店が手数料収入を得るために圧力募集をより大胆な形で行うおそれは否定できないと考えております。
  261. 北橋健治

    ○北橋委員 なかなかこれは表面化しにくい問題でありますだけに把握も容易ではないと思いますが、私の承知している限り、たくさんの事例が現在でもあるというふうに私は思います。  そこで、現在ある規制を緩和することによって圧力募集という問題が横行するのではないかという御指摘も今あったわけでございますが、改めて政府にお伺いいたしますが、もし仮にこの構成員契約規制を緩和していった場合に、メリットはあるのでしょうか。そしてまた、デメリットはどういうものを想定されておられるのでしょうか。
  262. 福田誠

    ○福田政府委員 今、行政改革委員会でも問題にしていただいているわけですが、このルールを緩和した場合には、希望する従業員は自分の会社関係代理店から保険商品を購入できる、そういう機会が得られるということがメリットとして挙げられております。この点については承知しております。  ただ、これは、みずからの判断で商品を購入できる意思がしっかりした従業員にとってはメリットでございます。それは否定いたしませんけれども日本の企業風土の中では、現実には多くの職制を使った圧力募集等の弊害が生じるおそれがあるわけでございますし、先ほど来申し上げているような囲い込みによって募集市場が競争制限的になる可能性が高いわけでございますので、メリット^デメリット、両方勘案いたしますと、少なくとも現状では消費者保護観点からデメリットの方がやはり大きいのではないかというふうに考えております。
  263. 北橋健治

    ○北橋委員 今、圧力募集の懸念あるいは従業員を囲い込むのではないかという趣旨のお話がございましたが、もう一つ、消費者、国民全体にとっての不利益が想定されるのではないか。  保険会社は、従業員市場におけるそのシェアを確保していくために企業内代理店と代理店契約を締結する、その上で手数料競争というのが激しくなるのではないか。  フリーなマーケットにおける競争は国民にとっての利益はあると私は思いますが、企業の中というクローズドな、閉鎖的な市場におけるそういう手数料の競争というのは、結局はそのまま中間マージン競争となる。そのことが生保にとってもさらなる重圧となって、契約者、消費者、国民にとって不利益になるのではないか。それも規制緩和の大きな弊害として想定し得ると私は思いますが、どうでしょうか。
  264. 福田誠

    ○福田政府委員 今申し上げませんでしたが、確かに手数料競争が秩序なく行われるというおそれはあると存じます。御指摘のとおりであります。
  265. 北橋健治

    ○北橋委員 今のお話を聞いておりますと、現在ある規制を緩和・撤廃した場合にはゆゆしき事態が起こるということでありますし、しかも、それは契約者あるいは会社の従業員の方、消費者にとって大変に困るということでございますが、現在いろいろと規制緩和の議論の中で、チェックをする場合に事前規制から事後規制へ、そういうふうな一つの時流というものがしばしば学識経験者の中でも議論はされております。  しかし、この問題に関する限り、私は、事後規制で対応するということは大変に困難ではないかと思うわけでございますが、政府としてはどのような認識を持っておられますか。
  266. 福田誠

    ○福田政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のように、圧力募集の禁止につきましては、そのような行為が現実にあった場合に事後規制を行うことで対応できるというような御主張もございます。  ただ、事後規制の場合には幾つか問題もございまして、一つは、被害者の立証がなかなか難しいということでございます。従業員は、職場における立場上、みずから被害を申し出にくい、むしろ被害を申し出られるくらいの従業員であれば圧力募集は起きないのではないかとも思うわけでございます。  それから第二番目に、当局の事情でございますが、圧力募集があったか否か、これをもし一件ごとに認定していく必要があるとしますと、個別の被害の事実認定に立ち入ることになるわけでございまして、それはなかなか難しいのではないか。また、行政組織上も、そのように網羅的に事実認定を行っていくような体制にはなっておらないわけでございます。  それから、三つ目に、仮に圧力募集が認定されて何らかの行政処分ができた場合にありましても、実際にその従業員のこうむった不利益を原状回復すること、例えば改めてみずからの希望する別の保険に入り直すといったようなことでございますけれども、そのようなことは、生命保険商品の性格上、困難ではないかという点もございます。  そういうようなことで、現状は通達による事前規制でございますが、なかなかこれにかわるルールができにくいということだと存じます。
  267. 北橋健治

    ○北橋委員 ここまでのお話を聞いておりましてもう一遍確認をさせていただきたいと思いますが、メリット、デメリットがどうあるかという御説明は一たんあったわけでございますが、御説明を聞いておりまして改めて感じたことは、規制緩和をしても、少なくとも消費者あるいは企業の従業員、契約される方にとっての利益は実質ない、私はそのように受けとめたのですが、それでよろしいでしょうか。
  268. 福田誠

    ○福田政府委員 ルールを設けております私どもの立場なり考え方は、今申し上げたとおりでございます。  ただ、行政改革の一環として議論されておりますのは、大きな規制緩和の流れの中でそういうようなルールが過剰な規制ではないかとか、あるいは消費者に非常に大きな不便を強いているのではないかというような問題意識で行われていると存じますが、私どもといたしましては、繰り返しでございますが、当面、現状では、このルールをなくした場合のデメリットが大きいのではないかというふうに考えるわけでございます。
  269. 北橋健治

    ○北橋委員 ここに、十一月十九日の、連合の笹森事務局長行政改革委員会委員長あての意見書がございます。その中でも、構成員契約規制は撤廃すべきではないという趣旨のことが書かれているのですが、その理由の一つとしてこう書いてあります。「企業や組織においては従業員、個々人に圧力がかかった場合には、個人として組織に対抗することは依然として難しい現状にある。」このように対等な関係が形成されていない事業所内においては、「一定の公正ルールと条件の確立が必要である。」と書いてあります。これはまさに、契約される国民、消費者の立場の声を代弁していると私は思っております。  今の保険部長お話を聞いておりまして、私は規制緩和は極めてゆゆしき事態を招くと考えているわけでございますが、その点、手ごたえのある御答弁とはちょっと言いがたかったのですけれども、それはそれでよろしいでしょう。  もう一つの視点から、労働省にきょうお越しいただいていると思いますが、私は、やはりこの問題については、戦後営々として築いてきた女性を中心とする生保の営業職員の方々の職場について重大な変化が訪れる、このように規制緩和の問題点として考えております。  御案内のとおり、二十一世紀に向けまして、高齢化社会で女性の社会的進出というのはますます重要になってまいります。国民経済的にも重要な観点でございまして、女性を中心とする生保の営業職員の雇用という問題についても重大な影響というのは決して看過し得ない、このように思っておりますが、労働省としてどうお考えでしょうか。
  270. 北井久美子

    ○北井説明員 お答えを申し上げます。  生命保険業で働く営業職員は全国で約四十万人、そのうち女性が約九割を占めると承知をいたしております。この場合、仮に構成員契約規制を緩和した場合の女性雇用に与える影響の程度につきましては、営業職員の企業内締め出しがどの程度起こるかなどの改革の進め方、あるいは企業内での雇用維持努力がどれぐらいなされるのかといったこと、あるいは時々の労働経済情勢等々によって、程度につきましては異なるかもしれませんけれども、保険業界の雇用の実情に照らしますと、短期的には女性雇用へのマイナスの影響は否定し得ないというふうに考えております。
  271. 北橋健治

    ○北橋委員 これは、もし規制をなくしますと、本当に大変な事態になると私は深く憂慮をする一人でございます。  さて、このテーマは、現在規制緩和小委員会で議論が詰められております。率直にお答えいただきたいのですが、規制緩和の議論というのは、雇用というのは無視されて進められているのではないか、そうさえ私には感じられます。規制緩和は、物によってはぜひ進めねばならない、痛みを耐えて進めねばならぬ問題がありますけれども、今回の構成員契約規制の問題の議論に当たりまして、行革委員会としてどの程度雇用という問題を念頭に置いて議論されているのだろうか、私はそのことに憂慮をする一人でございますけれども、いかがですか。
  272. 田中順一

    田中説明員 ただいま御指摘をちょうだいしました構成員契約の問題につきましては、御指摘のとおり、私どもの行革委員会の規制緩和小委員会で、本年度の規制緩和検討項目の一つといたしまして、全体約二十項目の中の一つといたしまして取り上げております。  先ほどから御議論をちょうだいしておりますけれども、あらあら簡単に問題意識を申し上げますと、いわゆる圧力募集のおそれがあるとして構成員契約をすべて禁止するのは過剰規制ではないか、多様な販売チャンネルの導入により消費者利便の向上を図るべきではなかろうか、これがあらあらの問題意識でございます。  今お尋ねの雇用問題でございますけれども、私どもの行革委員会におきましては、本件に限らず、ほかの問題につきましても労働組合からいろいろな形で御意見をちょうだいしておるつもりでございますし、また、当委員会の小委員会のメンバーにも労働組合から来ていただいておるということもございます。私ども事務局から見ておりまして、雇用への問題を軽視して御議論があるというふうにはとても理解をいたしておりません。  この問題につきましても、先ほどから先生御指摘の点も含めまして、そのメリット、デメリットをぎりぎりに見きわめていただけるのではないか、このように事務局としては見ております。
  273. 北橋健治

    ○北橋委員 連合の八百万人を代表して、二つの項目を最終答申に向けて行革委員会に物を申しておられるわけです。  その中で、四十万人弱の営業職員の雇用問題は大きい、「同規制撤廃は、営業職員の雇用の悪化につながりかねない。このように大きな雇用問題に波及しかねない規制の緩和については、雇用の安定・創出が求められている情勢にあって、十分かつ慎重な検討が必要である。」これが連合八百万人の代表の声であります。  ぜひともこういった、雇用という面につきましても、これからの最終答申の詰めに当たりまして、委員の議論に十分反映していただければ幸いだと思っております。  もう一つ、行革委員会の議論の中で、果たして消費者という立場からの議論がどの程度されているのであろうか。  十一月六日の毎日新聞によりますと、十月十六日に行われた行革委の公開ディスカッションに消費者団体が出席要請したにもかかわらず、行革委からそれを反対されて拒まれているわけですね。そして報道によりましても、消費者不在の論議ではないか、このように言われているわけです。  私も、えてして生損保の業界戦争みたいな形でこれを考えている人がいらっしゃるのではないか。そういった問題ではなくて、国民にとって、消費者にとって、企業の従業員にとってプラスかマイナスか、それが規制緩和の論点でなければならない。その点において、規制緩和小委員会はこの問題について重大なへまをやったのではないか。  きょうはなぜ公開ディスカッションで消費者の代表が出ていないんだ、当然そういう意見が出たときに、ある参与から何と言っているかというと、ある団体に打診したけれども、生保会社と労連から働きかけは受けているが十分な意見を持っていないとのことで呼ばなかった、そういう説明をされている。これについては事務当局はおわびをされたということでございますが、一事が万事でございまして、本当にこの問題を消費者あるいは企業の従業員の立場から議論されているのであろうか、そのことに私は大いなる疑問を感じております。  まずは、議事録を作成されるとき、こういった間違ったことを削除するのは当然でございますが、消費者の意見というものを十二分に今後聞いていくお気持ちがあるのかどうか、お伺いしたい。
  274. 田中順一

    田中説明員 ただいまの御指摘の新聞の記事につきましては、記事の詳細はともかくといたしまして、私ども事務局の不手際でこのような事態を招きまして、今御指摘のとおり、公の記者会見の席で私よりおわびをした次第でございます。  本件の構成員契約の問題につきましては、先ほど申し上げましたとおり現在審議中でございまして、十二月上旬を目途に小委員会の取りまとめを考えております。本日先生から賜りました御指摘を、私どもとしましては十分に小委員会にお伝えしたいと思いますし、御指摘のとおり、消費者団体それから労働組合、広く国民の皆様方の御意見を賜りまして、また所管省庁とも十分御相談をいたしまして、各方面の御納得のいただけるような内容の報告としていただきますよう、事務局としても万全を尽くしてサポートしてまいりたいというふうに思います。
  275. 北橋健治

    ○北橋委員 ぜひきょう指摘したことをお伝え願いたい、こう思っております。  最後に、大蔵大臣にこの問題についての所見をお伺いして終わるわけでございますが、私は、基本的に行革は進めるべきだし、規制緩和も国民の利益という立場から見て進めるべきものは勇気を奮って進めるべきだと思います。しかし、事この問題は、生損保の業界戦争の問題ではない、あくまでも消費者を保護する、契約者を保護するという立場から決められた規制でございます。  私は、その意味で、去年通達を出されたということでございますが、この規制は維持すべきである、そのように考えるのですが、大臣のそれに対する明快なる賛意を確認して、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  276. 三塚博

    三塚国務大臣 規制緩和の考え方のもとで、御指摘の点にも十分配慮して、適切に対応してまいりたいと思います。
  277. 北橋健治

    ○北橋委員 終わります。
  278. 村上誠一郎

    村上委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十七分散会