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1997-11-07 第141回国会 衆議院 大蔵委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十一月七日(金曜日)     午後一時開議  出席委員   委員長 村上誠一郎君    理事 井奥 貞雄君 理事 坂井 隆憲君    理事 萩山 教嚴君 理事 村田 吉隆君    理事 北側 一雄君 理事 谷口 隆義君    理事 池田 元久君 理事 佐々木陸海君       新井 将敬君    飯島 忠義君       石原 伸晃君    今村 雅弘君       衛藤征士郎君    河井 克行君       木村 隆秀君    小林 多門君       桜田 義孝君    下地 幹郎君       杉浦 正健君    砂田 圭佑君       田中 和徳君    田中 昭一君       宮路 和明君    山口 泰明君       渡辺 喜美君    河上 覃雄君       木村 太郎君    北脇 保之君       鈴木 淑夫君    中川 正春君       並木 正芳君    西川 知雄君       宮地 正介君    村井  仁君       海江田万里君    末松 義規君       仙谷 由人君    佐々木憲昭君       秋葉 忠利君    吉田 公一君       上田 清司君    北橋 健治君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 三塚  博君  出席政府委員         大蔵政務次官  中村正三郎君         大蔵大臣官房総         務審議官    溝口善兵衛君         大蔵省主税局長 薄井 信明君         大蔵省理財局長 伏屋 和彦君         大蔵省証券局長 長野 厖士君         大蔵省銀行局長 山口 公生君         大蔵省国際金融         局長      黒田 東彦君         国税庁次長   船橋 晴雄君         国税庁課税部長 乾  文男君  委員外出席者         警察庁生活安全         局生活環境課生         活経済対策室長 柴田  健君         大蔵委員会調査         室長      藤井 保憲君     ————————————— 委員の異動 十一月七日  辞任         補欠選任   河井 克行君     山口 泰明君   山中 貞則君     下地 幹郎君   権藤 恒夫君     河上 覃雄君   並木 正芳君     西川 知雄君   日野 市朗君     仙谷 由人君 同日  辞任         補欠選任   下地 幹郎君     宮路 和明君   山口 泰明君     河井 克行君   河上 覃雄君     権藤 恒夫君   西川 知雄君     並木 正芳君   仙谷 由人君     日野 市朗君 同日  辞任         補欠選任   宮路 和明君     山中 貞則君     ————————————— 十一月六日  持株会社設立等禁止解除に伴う金融関係  法律整備等に関する法律案内閣提出第五号  )  銀行持株会社創設のための銀行等に係る合併  手続特例等に関する法律案内閣提出第六号  )  罰則整備のための金融関係法律の一部を改正  する法律案内閣提出第一四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  内国税の適正な課税確保を図るための国外送  金等に係る調書提出等に関する法律案内閣  提出第二号)  租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣  提出第一二号)  持株会社設立等禁止解除に伴う金融関係  法律整備等に関する法律案内閣提出第五号  )  銀行持株会社創設のための銀行等に係る合併  手続特例等に関する法律案内閣提出第六号  )  罰則整備のための金融関係法律の一部を改正  する法律案内閣提出第一四号)      ————◇—————
  2. 村上誠一郎

    ○村上委員長 これより会議を開きます。  内閣提出内国税の適正な課税確保を図るための国外送金等に係る調書提出等に関する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷口隆義君。
  3. 谷口隆義

    谷口委員 新進党の谷口隆義でございます。  本日は、税二法につきまして御質問をさせていただきたいというように考えております。  前通常国会におきまして外為法自由化法案が可決成立したわけでありますが、この外為法自由化は、ビッグバン進展に伴ってフロントランナーとして位置づけられておるわけでありますが、この外為法自国化に伴いまして、資金移動が国際的に自由化されるわけであります。  そういたしますと、そこにおいて、税の捕捉という観点から今後捕捉が困難になるのではないか、このように外為法審議の折にも問題になったわけでありますし、附帯決議にも盛られたわけでありますが、今回、そういう観点から、資料情報報告制度と、またもう一点は民間国外債利子課税非課税制度本人確認をする、こういう法案と理解いたしておりますが、この法案が上がってまいったわけであります。  この外為法自由化というのは極めて大きな意味を持っておるというように考えております。従来は、我が国国際化、このように言われておったわけであります。私が考えておる国際化と申しますのは、我が国の周囲に塀をめぐらして、門があって、門のところに門番がいらっしゃって、その門を開いてすべて出入りをチェックする、こういうのが国際化。また今回のビッグバンに伴う資金移動自由化というのは、いわばボーダーレス化でありまして、この塀が全くない。だれがいつ入ったかもわからない、出ていったかもわからない。こういう状況の中でビッグバンをやるというのは、一つ、グローバルスタンダードでもございますし、これは方向性としては私は正しい方向に進んでおる、このように考えるわけでありますが、一方では、そういう結果、税の捕捉ができるのかというようなことがあるわけであります。  税の捕捉を余り進めてまいりまして、一方でビッグバン進展がどうも実質的に意味を持たないというようなことになってはこれはならないわけでありまして、そういう意味におきまして、今回の二法案は、このビッグバンとの関連において、まさに先ほど私が申し上げました海外に門戸を開く、こういう意味と、一方で税の捕捉を行う、こういう二つの方向があるわけでありますが、この二法案において、どのようにそういう整合性と申しますか盛り込まれておるか、ひとつ教えていただきたいというように思います。
  4. 三塚博

    三塚国務大臣 大変重要な問題点指摘でございます。  御案内のとおり、国外送金等調書制度は、フリーであり、そしてフェアであり、グローバルという金融ビッグバンの理念がありますが、そのうち、特にフェア観点から整備するものであります。  外為法改正に伴う国境を超える資金移動自由化は、脱税の自由を意味するものでないことは御承知のとおりでございます。国際的な資金移動をめぐります租税回避が横行することのないように、資料情報制度整備するのは当然の対応であろうかと考えております。  具体的な制度の構築に当たりましては、国境を超える資金移動自由化の進んだアメリカなどの制度等参考にしつつ、実務を十分踏まえており、妥当な制度ではないかということで御提案を申し上げておりますので、御審議のほどをよろしくお願いします。
  5. 薄井信明

    薄井政府委員 補足いたしますが、いわゆる民間国外債本人確認制度につきましても、私どもは、委員が御指摘のように、民間国外債を非居住者等が購入する場合の利子非課税というものは、この時代やめてはいけないという発想をとりました。かつその場合に、これも委員指摘のように、がちがちな本人確認を求めればユーロ市場で機能しないという問題にぶつかりました。  したがいまして、そこの調和を図るべく、ユーロ市場慣行等を生かしつつ、最小限の手続本人確認の実が上がるように工夫をした次第でございます。
  6. 谷口隆義

    谷口委員 主税局長には、もう一つ詳しく、具体的に、今おっしゃったような観点から、どういうように規定されておるというようなところを教えていただければありがたいというように思います。  また、それにつけ加えまして、今回、資料情報報告制度におきましては、従来アメリカでは一万ドル、またフランスでは五万フランというように、円価換算しますと約百万というような状況になっておりまして、当初は百万の予定であったようでございます。これが今回二百万に引き上げられたわけでございますが、このような観点も含めて、教えていただきたいというように思います。
  7. 薄井信明

    薄井政府委員 資料情報制度についての御質問がございました。  海外に円建ての口座が持てるようになるといったような意味での自由化が進む中で、所得税初め法人税等々の内国税の的確な課税を実現するというためには、資料が私どもどうしても必要である。ただし、それは所得そのものを把握できるものではないわけですが、海外に出ていく、あるいは海外から入ってくるという情報を得ることによって、それを端緒にしまして、各税の課税適正化が図れる、こう考えた次第でございます。  その際に、まずは顧客が送金依頼というものを銀行なり郵便局に対してするわけでございますが、その際に、本人口座を持っておられるならば、その本人口座を開いた際にそれなりに本人確認ができていると思いますので、いわゆる告知書必要性はないわけですが、お金を持っていって窓口でこれを送ってくださいというような場合には、だれがこれを送るのかということがはっきりしないといけないということで、ここでは本人から告知書を出していただくということになります。告知書を受け取った側の窓口の方は本人確認をする、これは住民票とかいろいろあろうかと思いますが、本人であることを確認していただく。  いずれにしましても、本人口座がある場合、あるいは窓口お金を持ってきた場合に、だれがどれだけのものをどこへということがわかるわけでございますので、これを税務署に国外送金等調書という形で送ってもらう。その際に、御質問にありましたように、すべてのものについて送ってもらうかどうかということに関しましては、私ども、現在二百万円を超える国外送金等について調書提出してもらうという考えでおります。  御指摘のように、この春、外為法議論をここでしていただいたときには、私自身、外国例等参考に百万円という数字を申し上げました。まあ議論をしていくというか、制度を構築していくための一つの基準として申し上げたわけでして、その際の百万円の意味は、アメリカにおいては一万ドルを超えるものについていろいろな情報制度がある、あるいはフランスにおいても五万フランを超える現金等を取引する場合の報告義務等がありましたので、為替レートからいって百万円程度という頭で申し上げました。  ただ、その後、夏にかけてこの制度を構成していく過程で、先ほど最初に委員が御質問されましたこととも関係してくるわけでございますが、現実にこの制度が動くようにしなければいけないということで、欧米の資料情報制度参考にしつつも、我が国銀行口座所在等に関する制度というのがよその国、特にアメリカに比べて整備されていないという現実、あるいは外為取引実務といったものを勘案し、かつこの種のものを今回初めて入れるという点も加味しまして、結論的には、二百万円を超えるものとすることが両方の調和ということから適当であると判断したものでございます。
  8. 谷口隆義

    谷口委員 おっしゃることはよくわかります。  今後、この外為法自由化に伴いまして、国境を超える資金移動がどんどんふえてくるだろうというように考えるわけでありますが、一つ私、本法案とは若干違うわけでありますが、質問したいことがございます。  それは、外国税額控除という税制があるわけでございまして、これは国際的な二重課税を排除しようという立場から設けられております。海外で納税したものについては本邦においてその分を控除してやろう、こういう制度がこの外国税額控除でございます。  その中にみなし外国税額控除というのがございまして、これは今現在租税条約を結んでおります十九カ国において、このみなし外国税額控除というのが行われておるわけでございます。これは本来、途上国経済協力目的としまして、企業誘致のための優遇税制をしてやろうというような観点から行われたということでございます。海外税金を納める、これは向こうの方で優遇税制でございますので、本来納めなければいけない税額よりも少なく納めることができる。しかし、我が国の方の二重課税排除外国税額控除のところでは、この優遇分を含めて全部払ったとみなして控除してやろうというようなことでありまして、実はこれが我が国企業の中で、いわばある面において悪用されておるようなことになっておらないかということであります。  聞きますと、OECDの中におきましてもこのようなことを廃止していこうという動きもあるように聞いておるわけでありますが、ちょっと私資料をいただきまして、見ておりますと、例えばシンガポールがございます。これはサンセットで、二〇〇〇年にはもう供与期限が決められてなくなるというようなことでございますが、シンガポールは一人当たりGNPが二万六千七百三十ドル、かなり大きな所得があるわけでございまして、このような国に対してこのみなし税額控除を適用する必要があるのか。  また、十九カ国ございまして、このうちOECD加盟国は五カ国ございます。韓国、アイルランド、スペイン、トルコ、メキシコというようになっておるようでございます。韓国においてもこのみなし税額控除が認められるというような状況になっておるようでございますが、本来の趣旨からして、これは考え直す必要があるのではないか。また、先ごろOECD各国の間でこれを廃止しようという動きもあるようでございますので、このような観点で、このみなし外国税額控除について御見解をお伺いいたしたいというように思います。
  9. 薄井信明

    薄井政府委員 我が国は、従来から、租税条約を他国と締結するに当たりまして、相手国がいわゆる開発途上国に属すると考えられるようなケースにおきまして、先方が強く要請する場合には、経済協力に資するという観点から、みなし外国税 額控除を認めてきたことは事実でございます。御指摘のように、現在、十九カ国との間の租税条約でみなし外国税額控除規定が置かれております。  しかしながら、御指摘ありましたように、このみなし税額控除につきましては、例えば相手国経済発展への効果がなかなかはっきりしない、不明確なところがある、あるいはこの制度の利用だけを目的としたような乱用を助長しないかといったような点、あるいはそもそも税の公平ということに反するのではないか、さらには租税競争、タックスコンペティションということが今大きな話題になってきておりますが、そういったものを助長するおそれがあるのではないかというような観点から、現在では、国際的にも、また我が国も、このみなし税額控除につきましては消極的な対応をとってきている、また、そういう考え方が広まっているというふうに認識しております。  そういうことで、我が国としては、最近の条約交渉におきましては、このみなし税額控除基本的には認めないというスタンスをとっておりますが、相手国の事情あるいはこれまでの経緯等いろいろございますので、仮に認める場合におきましても、税の公平あるいは有害な租税競争の牽制といった観点も踏まえまして、その供与対象国や、あるいは対象となる相手国優遇措置範囲、そういったものについてはきちっと見て合理的な範囲に限定すると同時に、これもシンガポールについて御指摘ありましたが、規定自体サンセット方式時限措置とするという工夫、努力を重ねてきているところでございます。  なお、この点につきましては、OECD租税委員会においてみなし税額控除のあり方についての見直しが行われておりまして、その一層の縮減の方向について基本的に合意に至ったところでございます。年内にもその旨の報告書が公表される予定と聞いておりまして、我が国としてもこの方向に賛同しているということでございます。
  10. 谷口隆義

    谷口委員 ただいまみなし外国税額控除でどのくらいの減収額になっておるか、これが適用されてどのくらい税収が減っておるか、資料がございましたら御報告をお願いいたしたいというように思います。
  11. 薄井信明

    薄井政府委員 これは推計によらざるを得ないのですが、一九九四年から一九九五年にかけての一年間をとりまして、二百九十億円という数字が出ております。
  12. 谷口隆義

    谷口委員 先ほど私申し上げましたように、みなし外国税額控除の本来の趣旨とは大分現状は変わってきておるように思うわけでございまして、今後このあたり状況も含めて検討をお願いいたしたいというように思います。  それともう一つは、今回このように自由な資金移動ということになりますと、今まで我が国の中において行われておった節税行為と申しますか、また極端な場合は租税回避行為、これが国際的な舞台で行われるのではないか、海外も含めて行われるのではないか、このように危惧されるわけであります。  一つ私がお聞きしたいのは、今、我が国において相続税という税目がございますが、相続税のこの税目を節税する折に、不動産を取得することによって評価を目減りさせることができる。これを利用してそういう対応をするような場合もあるわけでありますが、これが国際的な舞台、例えば仮にアメリカにおいて、アメリカ相続税税率を適用して、そういう節税行為、またはより一層進みますと租税回避行為が行われるのではないかという危惧をいたしておるところでございます。  具体的な例で申し上げますと、日本居住者の方がいらっしゃって、その方の息子さんがアメリカに行った。アメリカに行って、また後で教えていただきたいのですが、何カ月間か何年間かおりますと、非居住者の扱いになるわけでございます。ところが、アメリカにおきます相続財産を、本来、日本居住者であればアメリカにおってもアメリカ財産を合算するというようなことになるわけでございますが、非居住者になりますと、そのあたりは合算する必要がなくて、アメリカアメリカで納める、我が国我が国の分を納める、こういうようになるとお聞きいたしております。  そういうようになりますと、これはひとつ今後また考えなければいけないことでありますが、税制国際的整合性と申しますか、我が国相続税税率アメリカ相続税税率と比較しますと、これはやはりアメリカの方がかなり低率になっておるわけでございまして、そのような税率の差を利用したことで節税行為が行われるのではないか。これがある種公然と認められるような状況になれば、それが一層加速化されるような事態になりはしないかというようなことでございます。  これは私ちょっと先日聞いておりましたら、仮にアメリカにおいて相続される方が非居住者になって米国債を買われるというと、アメリカにおいて米国債非課税になっておるようでございますので、アメリカで全く相続税がかからない。これは、アメリカでは相続税と言わないようでございます。連邦遺産税ですね。アメリカにおいて我が国相続税連邦遺産税と言うようでございますが、そのようなことになりはしないかというように危惧するところでございます。そのようなことについて御見解をお述べいただきたいというふうに思います。
  13. 薄井信明

    薄井政府委員 日本におきましてはいわゆる相続税でございまして、相続を受けた人が納税義務者になるというのに対して、アメリカでは遺産そのものに対して税金がかかるということで、その後で分けられるということになります。そのように、日米相続税遺産税仕組み自体が大きく違うわけですが、委員指摘のように、各国がそれぞれに税制を持っている現状においては、確かにいろいろなケースが出てきてしまうことは否めないかと思います。  御指摘は、相続人日本で言えば例えば息子さんが日本国外住所を移転してしまった、アメリカに行ってしまっている。そこで住所を持っている。また、財産の方は日本国外アメリカに置いてある。親が財産国外に置いておく、アメリカに置いておく。そうしますと、日本相続税租税回避が起きるのではないかということが基本のポイントかと思います。  この点につきまして、各国がそれぞれに法制を持っているという意味から、一般論で申し上げれば、この場合において、日本課税権をどこまで及ぼすかという判断を今の相続税法はしているわけでございまして、無制限納税義務者でない者について追いかけていくということを日本ではしていない。また、アメリカアメリカなりにそれは一つの線を引いているということでありまして、これをもって直ちに、一般論としてはと申し上げましたが、日本相続税租税回避行為とは言えないのではないか。つまり、外で活動していたり、外に財産を持っているということについて、どこまで日本税金をかけるかという基本原則の決め方の問題である。この課税権を、どこにいようが全部課税するという判断もあろうかと思いますが、それは各国ともそれぞれにリーズナブルにやってきているということだと思います。  とはいえ、意図的な租税回避などに対しては厳正に対処していく必要があろうと思います。そういう形をとることによって税逃れをしようとしているというのは厳正に対処していかなければならないと思いますが、この点についてはどういう状況があるのか、今後とも注視してまいりたいと思っております。  なお、先ほどの御指摘の中で、米国にいる相続人が、おやじさんが買った米国債相続なり贈与を受けるというケースについての御指摘ですが、私どもアメリカ制度の運用について的確に承知しているわけではございませんが、確かにそういう特定の資産につきましては、そういうケースが出てくる組み合わせというのがあるかと思います。ただ、ほとんどの場合はどちらかが課税することになっておりまして、むしろ両方課税されてしまうケース通常でございます。その場合に は、相続税遺産税の間の二重課税を防止する観点から、むしろ税額控除をしている、外国税額控除をしているという取り扱いになっております。  なお、最後にお触れになりましたが、税制調和しないと、アメリカ税率日本に比べて低いといろんなやり方があるのではないかという御指摘ですが、確かに税制がかなり違っております。したがって、低いか低くないかというところもちょっと一概には言えないようでして、日本の場合には、相続人がたくさんいれば、その法律上の相続人の構成によって分けた上で税率がかかっていきますので、単に税率日本は七〇%が最高税率である、アメリカは五五%であるから高いと言うことはできないのではないか。向こう遺産という一固まりのものに対して税率がかかっていく、日本の場合は相続人ごとに分けて税率をかけていくというような面もあります。その辺を細かく計算したわけではございませんが、それほど大きくない相続財産の場合ですと、むしろアメリカの方が重いケースが出てくる。しかし最高税率が適用になるようなところでは、確かに日本が重いということでございます。  最後に、こうした制度を統一化していくということにつきましては、長い目で見ればそうせざるを得なくなってくるのかと思いますが、やはり税というのは、その国その国の国民の公平感だとか考え方が反映するものでございまして、例えば消費税一つとっても、アメリカには、連邦にはない、日本にはある、それほどに違っているわけです。また遺産に対しても、遺産課税相続課税とまるで違っているわけでして、そこへの道はかなり遠いのではないかなと思っております。
  14. 谷口隆義

    谷口委員 現行法体系の中でも、私が今申し上げたようなことはできるようでございまして、外為法が、来年四月からでございますが、自由化になりますと、大きく資金が国際間を移動するというようなことになることも想定されるわけでございまして、今後、そういうような事例が出てくる可能性があるのではないかというような観点から質問をさせていただきました。  今回、この資料情報報告制度でございますが、私が今申し上げた事例において、これが何らかの形で一つ牽制作用が出てくるのか、また何らかの形でこれを通じてチェックが行われるのか、そのあたり、もしよければ教えていただきたいと思います。
  15. 薄井信明

    薄井政府委員 確かに、為替自由化ということに伴いまして、被相続人があらかじめ財産海外へ移転させようということが出てくるケースも考えられます。この点は、従来から自由化されております海外不動産という問題がもう既にございますが、これに加えて、海外預金だとかあるいは海外債券の取得ということが為替の自由化によって容易になります。そうなりますと、日本人が所有する海外財産がふえていくことは方向だと思います。そのこと自体が決して悪いことではないし、これが国際化だというふうに思いますが、こういうことを通じて、委員指摘のように相続税等の租税回避行為が行われるということになるのは、これは問題だと思います。  そういう意味では、国外に預金を持ったりあるいは外国債券を海外で持つというためには、お金を送らなければならない。あるいは、向こうで収益を上げれば、これを使うために国内に戻さなければならない。いろいろな意味で送金が行われるはずですから、そうした送金の資料をもって端緒として、海外における財産状況を私どもが探っていくことが可能になるということは十分に考えられるわけでして、今回の資料情報制度はまさにその点をねらいとしたものでございます。  こうした事態といいますか、私どもこういう対応を考えているわけですが、これが来年四月以降どのように動いていくか。これはきちっとチェックをして、不備があるならばさらに拡充していく、あるいは逆に厳し過ぎて動きにくいということであればその辺の修正をしていく。制度ができてからも十分にフォローしていきたいと思っております。
  16. 谷口隆義

    谷口委員 わかりました。  それでは問題を次に移しまして、私は前通常国会外為法審議の折に、資金が国際的に移動するというようなことになりますので、税の捕捉という観点もこれは念頭に入れなければいけないというようなことを申し上げました。ことしの二月二十六日でございましたが、国税組織の機構の充実整備必要性をお話をさせていただきました。  その折に、三塚大臣は、今後とも一層の努力をするというようにおっしゃいました。また、当時の国税庁の次長も、国税組織の一層の機構整備、職員の処遇改善にできるだけの努力を払うというようにおっしゃったわけでありますが、今どのような状況であるのか、現在の状況と今後の取り組みの姿勢についてお聞きいたしたいというように思います。
  17. 船橋晴雄

    ○船橋政府委員 お答え申し上げます。  この税務行政を取り巻く環境は、先ほど来委員指摘のとおりに、非常に国際化という波に洗われておりまして、私ども、質、量ともに非常に厳しさが増しているというふうに現状をとらえております。  そういう中にあって、国税庁といたしましては、この国際化への対応の重要性、必要性につきまして、関係各方面の御理解をいただきながら、国際情報専門官あるいは国際調査情報官、そういった国際課税の関係部局の専門ポストの新増設等をいただいてきておりますし、また、各年ちょうだいすべく努力をしているところでございます。  今後一層国際化進展する中で、今回御審議いただいております国外送金等調書制度の導入等、クロスボーダー取引の捕捉必要性対応していくためにも、厳しい財政事情のもとではございますけれども、税務の困難性それから歳入官庁の特殊性を強く訴えてまいりまして、所要の機構整備について関係方面の御理解が得られるよう、今後とも努力してまいりたいと考えております。
  18. 谷口隆義

    谷口委員 先ほどからずっと申し上げておりますように、これから海外との取引がだんだんふえてくる、資金移動がふえてくる。海外税制状況を知っていく必要がある。そういう意味では、そういう国際的な税制を知っていらっしゃる方を養成していかなければいけませんし、そういう人たちの対応も十分考えていかなければいけないという観点から、ぜひ今後の取り組みをやっていただきたい、十分な取り組みをやっていただきたいというように申し上げたいと思います。  あと、この二法案からちょっと離れるわけでありますが、今問題になっておることについて何点かお聞きいたしたいというように思います。  まず第一点は、先日経営破綻をした三洋証券の件に関してであります。この三洋証券、大変大きな証券会社で、従来から経営危機が言われておったわけでありますが、ここに来て、結局資金繰りがつかずに倒産、会社更生法の申し立てをしたようでございます。  まず初めに、全般的なことにつきまして御報告をお願いいたしたいというように思います。
  19. 長野厖士

    ○長野政府委員 三洋証券につきましては、関連のノンバンクを幾つか抱えまして、そこにおきます経営の行き詰まりというものから関連ノンバンクともども経営の再建という問題がございましたけれども、最近に至りまして、関連ノンバンクにつきまして再建のめどが立たないということで、その法的整理をせざるを得ない状況に立ち至り、これに伴いまして、三洋証券が関連ノンバンクに対して持っておりますいろいろな与信というものを実行しなければいけない段階に立ち至り、十一月三日に会社更生法の適用の申請が行われました。  私どもは、大蔵大臣に談話を御発表いただきまして、顧客資産の保全に万全の措置をとるということを発表させていただきました。これには、裁判所におきまして、この三洋証券の処理に当たりまして、一般顧客の資産につきましては保全処分の例外として取り扱うという特例を設けていただきましたので、寄託補償基金によります支援と相 まちまして、顧客資産には万全の備えができるという道がございましたので、そのような措置をいたしております。この措置に従いまして、火曜日以来、顧客からお申し出がありました資産の返還とか売却とかいう業務は滞りなく進んでおると考えております。  三洋証券そのものの将来の姿につきましては、これは会社更生法という枠の中におきまして、法的手続の中で再建の道を模索していくという段階でございます。
  20. 谷口隆義

    谷口委員 十一月四日に橋本総理が、これはマスコミ、新聞報道なんですが、あんなにひどいのはほかにあるのか、特殊事例だと思うというようなコメントをされたというように聞いております。実は私は、そのように思わないのです。これは、業界全体が大変経営状況が悪化しておるのではないかというように考えております。  今、証券会社の上場会社二十五社ございますが、株価を見ますと、株価は今の業績を十分反映しておるわけでありますので見ますと、二百円を割っておるという証券会社が二十五社のうち十二社あるのですね。このうち一社はもう百円を割っておるというような状況のようでございます。これは大変厳しい状況であります。  また、この二十五社のうち、九七年九月中間期、経常黒字は七社で、準大手以下ではわずか四社しかないというのですね。あとは皆赤字だというような状況をかんがみますと、これはかなり業界全体が厳しいのではないか、第二、第三の三洋証券が出てこないのかというような危惧を私は大変いたしておるところでございます。  そのような状況の中で、三洋証券の今回のこの状況を見ておりますと、一般顧客からの保護預かりの有価証券、預かり有価証券がございますが、これは大体返還が順調にいっておるというようなことは聞いておるわけでありますが、顧客からの預かり金が大体四百四十億ほどあるようでございますが、このうちどうも毀損するだろうと予測されるのが二百億を超えるというような状況のようでございます。このような状況の中で、銀行におきます預金保険機構みたいなもの、寄託証券補償基金というのがあるようでございます。.この寄託証券補償基金についてお尋ねをいたしたいわけでありますが、先ほど長野証券局長も、今回の場合はちょっと特殊な事例だというようなニュアンスのお話をされたわけでありますが、この寄託証券補償基金そのものが極めて制度化されておらないというか、いわば任意組合的なものであって、聞きますと、財団法人で税金も取られる。ですから、実効税率でいくと五〇%程度の税金も取られておる。一方、預金保険機構は、あれは公益法人になるのですか、これはそういうようなことは行われておらないというようなことでございます。  また、それにつけ加えまして、今までであれば一社大体二十億が上限というようなことでありましたが、今回の場合はそのような規定も乗り越えて援助するように、支出するように言っていらっしゃる。また、その後の状況を見ておりますと、野村証券であるとか、主力銀行の大和銀行日本債券信用銀行、またもう一行ございましたが三行において、それぞれ、野村証券には百億の資金を支出するようにというようなお話のようでございますし、あと大手その他三社におきましても、百億の支出、拠出をやるようにという強い要請があったというように聞いております。  まず一番初めにお聞きしたいのは、寄託証券補償基金の現状と、先ほど私が申し上げました、証券業界全体が大変厳しい状況の中で今後このようなことが連続して起こる可能性も秘めておるわけでございますが、このあたり状況も踏まえて、今後この補償基金を何らかの形で改変するとかいうようなことを含めて考えていらっしゃるのかどうか、まずお聞きいたしたいというように思います。     〔委員長退席、井奥委員長代理着席〕
  21. 長野厖士

    ○長野政府委員 まず、三洋証券は特殊なケースであるか、他に類似するものはないかというお尋ねでございますけれども、先ほどお答え申し上げましたように、関連ノンバンクを抱え、そこに多額の与信を抱えておるという危険な状態の証券会社という意味では他に例がない、本社だけの特徴かと思います。もちろん、昨今の経済情勢の中で、証券会社各社は経営状態が万々歳という状態じゃないことは当然でございますけれども、別途私どもは証券会社に対しましては自己資本規制比率をかねてより適用いたしておりまして、これは銀行で明年以降とられます早期是正措置の証券版が既に実施されておるということでございまして、そういった危険水域に入った場合には、私ども改善命令を出し、是正の措置も各会社においてとっておりますので、そのような意味では、本件で他の証券会社を連想していただくことは適切でないのではなかろうかと考えております。  そこで、将来の備えという御質問でございます。ただいまのように申し上げたにせよ、今後は証券会社の業務が自由化される、あるいは競争が激化されていくという金融システムの改革が進んでまいりますと、証券会社経営の健全性の確保ということを片方でとりつつ、万一の事態に備えた整備が必要であろうかと思っておりますので、ただいま申し上げました自己資本規制比率といったものも適切なものとしていかなければいけないと考えておりますし、あわせて、お尋ねのございました寄託補償基金の充実という課題がございます。  この点につきましては、もう先生の方から御指摘がありましたように、財団法人として任意の拠出になっておる、したがって税務上もその拠出金は損金扱いされずに単なる寄附金扱いになっておるといった問題もございます。これは欧米では法律上の仕組みとして制度化され、したがいまして証券会社は法律上の義務として負担金を納付する義務がある、それに沿った税法上の取り扱いが行われておるという例がございますから、そういった方向で考えるべきではないかというのが一点ございます。  それから二点目には、これも御指摘にございました、一社当たり二十億という限度でございます。一社当たり二十億という考え方がよろしいのかどうか。むしろ、顧客に万一のことがあったときに自分の資産はどのように保全されるであろうかと考えますと、欧米にございますように、十万ドルまでは補償いたしますとか何万ポンドまでは補償いたします、その上は何%でございますという、お一人当たりという補償の考え方、これは銀行におきます預金保険でとられている考え方でございますけれども、そういったものを取り入れていくべきではないかというような御議論もございます。そういったことを踏まえまして、次期通常国会にこの制度改正を証取法の改正の中で提案させていただけないかということで、現在詰めております。  なお一点、長くなりましたけれども申し上げますと、顧客財産の管理の場合には、証券会社の場合には分別管理ということが大切でございます。三洋証券の例を申し上げますと、顧客の資産二兆七千億ということでございますけれども、その九八、九%は保護預かりという形で分別管理された資産でございますから、証券会社の破綻と関係なく戻ってくることになります。  そういった形でなく、証券会社の一般財産に紛れ込んでおります顧客資産というのが御指摘の四百四十億前後あるであろう。それはどういうものかと申しますと、国債の代金を払い込んだけれどもまだ現物が届いていないとか、株式を売却したけれどもまだその売却代金がお客さんに返っていないとか、あるいは信用取引におきます証拠金といったようなものが一、二%。つまり四百四十億という世界でございますから、もし証券会社においてもっと今の顧客資産の中から分別管理というものを徹底していきますと、より安全に顧客の資産が担保される。例えば委託証拠金として積んでおるものを証券会社の一般財産とせずに外部に積み立てることによって、何らかの形のときがあれば完全に保護されるという形にすればよい。この 点も欧米の方が私どもよりもやや進んでおるような感じがいたしますので、その点もこれからの検討課題として進めてまいりたいと思います。     〔井奥委員長代理退席、委員長着席〕
  22. 谷口隆義

    谷口委員 今ビッグバンということで進んでおるわけでありますが、ビッグバンというのは、従来から言われておった護送船団行政、密室行政と申しますか、大和銀行のとき、あの事件も大変このことで大きく議論されたわけでありますが、これからの決別というようなことであるわけでございますが、どうも今回のこの三洋証券の処理に関しては、またそのようなやり方が行われておるのではないかというようなことが言われておるところでございます。  一方、これは野村証券が先日大蔵省の要請で百億を出すように決まったようでありますが、このときにこの発表文の中で、大蔵大臣から支援協力するよう指示があったというような文言を入れております。これは、当然ながらわけのわからない支出が出てまいりますと株主代表訴訟の対象になりますから、こういうことをこの企業はどうしても避けたいという観点から、このようにしたというようなことでございます。大蔵大臣、このあたりのことにつきましてどのようにお考えか、御答弁をお願いいたしたいと思います。
  23. 長野厖士

    ○長野政府委員 先ほど御指摘ちょうだいいたしました四百四十億ぐらいの顧客資産を全額保護する、そのやり方は、いろいろ法的に細かなことは省略いたしますが、わかりやすく申し上げれば、寄託証券補償基金がお客様の資産を全部肩がわりしてしまうということでございます。そういたしますと、そこに会社の資産・負債を整理していった上でのロスというものが寄託補償基金にかぶってくる、それが二百数十億であろうと先生がおっしゃられた数字でございます。それが寄託補償基金は現在残高が三百億余りありますから、その点では備えはございますけれども、将来の備えということも考えますと、全部そのままで、寄託補償基金の残高の中から全部払い切りなのか、それとも少し証券界全体としてこの寄託補償基金というものを充実すべきかという御議論がございまして、業界のリーディングカンパニーである野村証券において百億円程度の御負担をお願いする。それから証券三社が、今御返事いただいておりますけれども、この三社合わせて百億円ぐらい。これは現在拠出するのではなくて、将来また寄託補償基金の資金が必要になった場合には備える準備をしておくということでございます。そういった御協力につきまして関係者の円滑な御理解をいただきますよう、大蔵大臣談話の中で、野村証券あるいは証券界全体、そして主要証券会社につきまして、それぞれ、ただいま申し上げたような立場で御協力をお願いしたいということでございます。  もう一つは、先ほどちょっと三行についてお触れになりましたけれども、そもそも四百四十億前後の資産を肩がわりするといった場合には資金繰りが必要でございますから、それは、かねて三洋証券の主力銀行でありました三行におきましてその資金繰りの御支援を願うということも、あわせて大蔵大臣から談話として発表していただきました。  つまり、いろいろな関係のあった方々、それから、業界全体の信用の問題でございますから、業界のリーディングカンパニー的な立場にある方々の御尽力をそれぞれお願いしたということでございます。
  24. 谷口隆義

    谷口委員 大蔵大臣、一言。
  25. 三塚博

    三塚国務大臣 ビッグバンもいよいよ来年四月一日が実質的スタート、早期是正措置等の問題は御理解をいただけるところでございます。  今日の三洋証券の問題につきまして、談話でも申し上げておりますとおり、この状況に当たり、橋本首相から、現在の経済状況、環境のもと、要すれば証券市場の秩序維持、大変大事なのは投資家保護というこの観点を踏まえて、主管大臣として、関係者の支援を得つつ最大限の努力をしてほしい、こういうことであります。  三洋証券は、会社更生法の申請をいたしまして、透明性の中で全力を尽くしていく法的枠組みの中で取り組むわけでございますから、そういう点をサポートしていきますこと、主管大臣として、顧客の保護という証券会社のこの基本的な命題に沿っていかなければならない、こういうことで、株主である三銀行、そして証券界のリーディングカンパニーである野村証券に要請を申し上げる、こういうことでお願いを申し上げ、まず顧客の保護を第一として考えさせていただいたところであります。  金融機関は、預金者、顧客との信頼関係がその基本でございます。昨今の状況、信頼関係がいまいちなところに来ておりますものですから、行政として、政治として、顧客第一主義、こういうことで、主管大臣としてその支援要請を申し上げたところでございます。
  26. 谷口隆義

    谷口委員 先ほど申し上げました、ビッグバン進展とともに護送船団行政との決別をぜひやってもらいたい。もうだめなものはだめなんですから、それに社会的にコストのかかるようなことをしてもだめなんですよ。そういう観点でこれから対応する必要がある、このように強く申し上げたいというように思います。  またあと時間がないですから、証券局長、一言だけちょっと御答弁をお願いしたいんですが、今の寄託証券補償基金が、先ほど申し上げましたような財団法人になっておりますが、公益法人にする予定はありますか。
  27. 長野厖士

    ○長野政府委員 証券取引法上に明文をもって規定された法人にすることが適切ではないかと考えております。その法人の性格等はまだ細目詰めなければなりませんけれども法律上の法人格を持っていただくことが適当ではないかと考えております。これはアメリカやイギリスも同じでございます。
  28. 谷口隆義

    谷口委員 いずれにしても、制度化されたものにぜひしてもらいたいというように思う次第であります。  その次に、時間がございませんので簡単に申し上げますが、先日来のアジアの通貨危機、これは大変な状況でございまして、本年の七月二日にタイのバーツが切り下げられまして、固定相場から変動相場に移行したわけであります、バスケット方式でございましたが。その後アジア各国にこれが波及して、マレーシア、フィリピン、またシンガポール等々、ずっとこの通貨危機が波及をいたしました。  それで、先日、株が世界同時株安ということで、香港から始まったということでございます。この香港の状況を見ておりますと、ドルにペッグした、ドルと完全にリンクした方式をとっておるわけでございますが、これを守るために大変高い金利をやらざるを得なかった、この高金利が結局株式市場を大きく下落させた、このように言われておるわけでございます。これをよく考えてまいりますと、総理は、香港発の世界同時株安だ、このようにおっしゃっていたわけでありますが、実は、これは大変日本にも責任のある問題であると私は考えております。  長期にわたる我が国の不況、その結果、一つは超低金利政策をとっておるわけでございまして、これがもう既に三年目に入っております。このような状況の中で、我が国のバブルが崩壊以降、我が国の邦銀であるとかまたゼネコンがどんどんどんどん東南アジアに進出していった、また邦銀は安易に融資をやっておったというようなことを言われておるわけでございます。また、この低金利が、一方ではアメリカ市場に行ったんではないか、これが八千ドルを超えるような米国市場のバブルとさえ言われるような高い株価をつけた一つの原因ではないか、このように言われておるところでございまして、そういう意味において、我が国のとっておる政策が世界全体の経済に与えておる影響は極めて大きいというように思うわけでございます。先日来、財政構造改革特別委員会におきましていろんな議論がございましたが、その議論の中でも、超低金利政策を早くやめないと、これは我が国だけではなくてへ我が国を取り巻く周 辺にも大きな影響を及ぼすんだ、このように言っておったところであります。  このような状況の中で、香港が大変株式市場が暴落いたしまして、今度は香港に対する、先ほど申し上げました邦銀の債権がまた不良債権化しているんじゃないか、このように言われております。このような状況の中で、現在の邦銀の、香港だけではなくてASEAN諸国に対する債権残高並びに、そこまでまだ把握されておらないと思いますが、不良債権化するであろうと予測できるような金額があれば、御報告をお願いいたしたいというように思います。
  29. 黒田東彦

    ○黒田政府委員 お尋ねのASEAN諸国に対する邦銀の債権残高でございますが、BISの統計によりますと、昨年末、一九九六年十二月末で、インドネシアに対して二百二十億ドル、マレーシア八十二億ドル、フィリピン十六億ドル、タイ三百七十五億ドル、香港八百七十五億ドル、シンガポール五百八十八億ドル等となっております。その中でも、香港、シンガポールが金額が大きいわけでございますが、これは御承知のように、香港、シンガポールが国際的な金融資本センターになっているということの反映であろうかと思います。また、タイに対してもかなりの額になっていることは事実でございます。  これらの債権の個々の状況については把握しておりませんけれども、全体として見ますと、邦銀のアジア向け債権のかなりの部分が日系企業あるいは地場の大手優良企業向けというふうに聞いておりまして、全体として不良債権化するとか非常に大きな問題になるとは考えておりません。
  30. 谷口隆義

    谷口委員 時間が参りましたので、あとは、要するに、香港だけで申し上げますと八百七十五億ドルですか、十兆円近い金がかなりの部分不動産市場に流れておる、これが焦げついておるのではないかというように危惧されるわけでありまして、それが我が国の邦銀の経営体質をより一層悪化ならしめておるというようなことさえ言われておるところでございます。この状況は大変大きな問題でありまして、それがひいては、我が国の景気の腰折れ懸念さえ言われております、それに一層拍車をかけるのではないかというように今言われておるところであります。  この統計資料を見ますと、ASEAN四カ国に我が国が、全輸出の四三%がアジアに行っておる。このような状況で、これらASEAN諸国の景気が沈滞化してまいりますと、これはダイレクトに我が国にも戻ってまいります。そういう極めて重要な時期でございます。  それにつけ加えて、今我が国として、アジアの通貨基金の問題もお聞きしたかったわけでありますが、そこまで聞く時間がございませんので、これは次回またお聞きしたいと思いますが、大変景気そのものが危惧されておる状況の中で、アジアにおきます同時株安、また通貨危機の問題は大変重要な問題でありますので、大蔵大臣、ぜひこのあたり状況も踏まえながら景気対策を打っていただきたいというように申し上げまして、終わりたいと思います。
  31. 村上誠一郎

    ○村上委員長 次に、西川知雄君。
  32. 西川知雄

    西川(知)委員 新進党の西川知雄でございます。  きょうは、租特法の本人確認制度等に係る法律案、それを中心に少し具体的にお尋ねをしてまいりたいと思いますが、私としてはなるべく大蔵大臣にお答えを願いたいのですが、ちょっとプロ的な要素も入っておりますので、そのときはやむを得ませんが、一応それも大蔵大臣からの発言であるというふうにみなさせていただいて、質問を進めさせていただきたいと思います。  最初の質問は、ちょっと初めのころは大蔵大臣に直接お尋ねしたい点がございますが、十月三十日の本会議で、私が今懸案となっておりますこの二法案について質問をいたしました。そのときに、橋本総理大臣がこういうふうにお答えになりました。私は、外為法改正趣旨及び税制国際的整合性と今回の二制度の関係について質問をいたしました。そのときに総理大臣の回答は、「この二制度は、議員御指摘のとおり、金融システム改革の理念の一つである公正という観点から整備をするものであります。」ということで、公正さということを強調されておりました。  ところで、私が本案に対して質問を準備しておりますときに、ある新聞に、公営企業金融公庫と.日本道路公団の政府保証債の発行、外債ですが、これについていろいろな大手銀行、大手証券会社と公営企業金融公庫等が、いわゆるマンデートをとるために接待合戦をやっていたということで、私は、先ほどの総理が言われた公正さというのがどうも担保されていないのじゃないかということで、大変危惧をして不快感を覚えたわけですが、この点については、私も内容を十二分に調査する時間がございませんでしたので、大蔵大臣の方でぜひ調査を命じていただいて、そういうことが今後ないように、そしてこれからのビッグバンの中で公正さが保たれるように、そういうふうな指導をしていただきたい。また、その結果を委員会報告していただきたい、こういうふうに思いますので、その点について大臣の御答弁をお願い申し上げます。
  33. 三塚博

    三塚国務大臣 ただいまの、報道の引用をされての御質問であります。  金融機関は、業務の公共性にかんがみまして、社会的役割を自覚しながら業務運営をすることは当然であります。世の批判を受けるようなことはないようにしていかなければなりません。大蔵省として、当然のことではありますが、業務の健全性を確保するため、万全を期すように、今回の御指摘、さらに万全を期して適切な監督を行ってまいりたいと思います。  また、調べてほしいということについて、どこまでいきますか、内容を詰めるという意味で本件のこのことについてということで調査をし、機会を見て御報告をいたします。
  34. 西川知雄

    西川(知)委員 次に、これも最近の一つの事件でございますが、国税庁の職員と元国税庁の職員であって税理士をしているある人が共謀をして、いわゆる脱税指南をして、その脱税指南をしたことによって報酬を、賄賂を受けていた、こういうことが報道されております。司法の手に渡っているところでございますから、その内容をお聞きするということではございませんが、これが事実であるとするならば、先ほど総理がおっしゃった公正さということを求められている現在において、私はゆゆしきことではないかというふうに思います。  たしか、乾課税部長とは前の国会で、税制特別委員会か予算委員会かどっちかは忘れましたけれども、私が、税の新しい商品に対しての税務当局の判断、これがなかなかあいまいなので、あらかじめそういう問題については、アメリカと同じようにいわゆるアドバンスルーリングのような制度を考えてほしい、こういうふうに申し上げたところですが、そのときに部長は、たしか、その方向性は考えるものの、税というのは実質主義であるということをおっしゃいました。  私、ここで、本法案の詳しい内容に入る前に一つだけ申し上げておきたいことは、実質主義の原則というのは、実は法律には明確に定めてありません。実質所得課税の原則というのは当然定められておりますが、実質課税の原則となりますと、余りにも課税当局の裁量が働き過ぎる。したがって、あるときには税務当局の職員が、一生懸命やっていらっしゃるからでしょうけれども、納税者に対して非常に高圧的な態度をとることも間々見られる。そのようなときにこういうような事件が起きてしまえば、国民としては税に対する公正さ、これに対し非常に疑問を持ってくると思いますので、この御答弁は大蔵省か国税庁かどちらかわかりませんけれども、こういうことが二度とないような体制をしくということを、ぜひこの場でお約束をしていただきたいと思います。
  35. 乾文男

    ○乾政府委員 お答え申し上げます。  国税当局におきましては、従来から課税の適正、公平を期しまして、税務行政に対する国民の信頼を確保するために綱紀の厳正な保持に努めて きたところでありますけれども、今回このような事態に至りましたことは、極めて遺憾なことと考えております。  今後は、国民の税務行政に対する信頼を回復いたしまして、二度とこのような事態が生じることのないよう、職員の綱紀の厳正な保持について一層の努力をしてまいりたいと考えております。
  36. 西川知雄

    西川(知)委員 そこで、本人確認制度のことについて、法案の具体的な内容等について御質問をいたしたいと思います。  実は、この法案というものは、大筋は法律の中で決められておりますが、細部の実務の運用については政令、省令に委任をされております。基本的には、一般的に法律と政省令の関係はそれでいいと思うのですけれども、殊にこの件に関しましては、実務というものが最も重要なことになってまいります。  この本人確認制度については、外国の証券会社、日本の証券会社、各国からいろいろな危惧が寄せられております。そもそもこういう本人確認制度というものを設けること自体がけしからぬという意見が大半でございますが、これについては衆参の大蔵委員会附帯決議がなされておりますので、本人確認制度自体は存続またはこれから制定されなければならないということはそのとおりでございまして、私もマーケットにはそういうふうに説明をしているところでございます。  この法案は、実は余り私がこういうことを言っていいのかどうかわかりませんけれども、政府提出法案でございますと、市場関係者の意見は聴取されるのでありましょうけれども、必ずしもその意見を反映したり、何回も意見聴取をしたりしないというのが通常であると思います。本法案は、そういう意味で、いろいろな利害関係がある特定の分野に重なっているということでありましょうけれども、大蔵省の主税局、特に国際租税課がいろいろなマーケットの意見をアメリカ等まで行って聞いたり、日本でも何回かにわたって意見を聴取されております。そういう面では、この法律の作成過程は非常に高く評価をしたいと私は思っております。  そこで、大蔵大臣にお願いと御答弁をお願い申し上げたいのですが、先ほども申しましたように、政令、省令にも実務的な、そしてこの実務がこの法律については大変重要なことなんですが、多くの部分が委任をされております。例えば本人確認制度ですと、本当は利払いごとに本人であるということを確認しないといけないのですが、当初は四十日目以降いつでもいいのですけれども本人と確認をすればよろしいというようなことになっております。しかし、これは政令に定められる事項でございます。  したがいまして、一たん法律が通ってマーケットが四十日だと思っていたところが、政府、大蔵省のさじかげんで今度はその四十日というのをやめてしまうとか、また違う方法に変えようということでは、またマーケットも混乱しますし、せっかく意見を聴取したというそのこともなくなりますので、大蔵大臣、今度政令、省令を制定される場合、またはそれを改正される場合にも、ぜひ今までどおり、マーケットそして利用者の意見を十二分に勘案して制定そして改正をしていただきたい、こういうふうに思いますので、その御確認をしていただければ幸いです。
  37. 三塚博

    三塚国務大臣 それはおっしゃるとおりでございます。そのとおり、取り組んでまいりたいと思っております。
  38. 西川知雄

    西川(知)委員 最後にもう一問大きな問題については大蔵大臣に直接お尋ねしますが、それはちょっと後に回します。  さて法案の内容でございますが、法案の内容で、本人を確認する義務がカストディアン、金融機関でございますが、そこに課せられております。  そこで、例えばアメリカでは、本人であるかどうか、またその本人居住者であるか非居住者であるかということを判断するときに、多くの場合では電話で確認をする、そういうようなことも行われております。しかしながら、それでは本当かどうかよくわからないという危惧も実のところはございます。  また、本人と確認する、これは非居住者居住者であるかということを確認するわけですが、そのときにパスポートを提出するというようなことをやっているところもございますし、またそういうことが考えられますが、税法上の居住者、非居住者の定義というのはパスポートに書いてある国籍とは違いますので、必ずしもパスポートのコピーが一番妥当な確認手段だということにはならないと思います。  また、それでは確定申告のコピーを持ってくればより正確じゃないかということも言われております。しかし、国外債を買う投資家がカストディアンに対して自分の収入はこれだけだよということを見せないといけないというのであれば、そんな確定申告のコピーを持ってこないといけないようなものであれば、そういう国外債は買わないということになると思います。  マーケットでは、例えば期間が五年物の民間外債だと、場合によっては五〇%以上は個人が買う。例えばベルギーなんかの例ではそういう例が多いわけなんですが、そういうような事情を勘案して、具体的にどういうふうな基準でどんなことをして本人居住者か非居住者であるかを確認すればいいのかということをお答え願いたいと思います。  というのは、最終的な投資家がおります国はアメリカ、ヨーロッパ、東南アジア、いろいろな国、日本以外ほとんどでございますので、それぞれの国によってどういうような確認を具体的にすればいいのか、これが一番マーケットが心配しているところでございますので、その辺のところをお答え願えれば幸いです。
  39. 薄井信明

    薄井政府委員 我が国の国内で利子を受け取る方についてどうするかという面については、それなりにこれまで確立した仕組みがあるわけでございますし、また日本においての本人確認の種々の制度におけるやり方というのが、ある意味では慣行としてでき上がっていると思います。  それに対して、委員指摘のように、カストディアンが、ベルギーならベルギーの個人の非居住者性とか、日本から見れば非居住者というのはすぐ外形的にもわかるわけですが、本人確認に必要な各種の要素についてどう確認するかについては、それぞれの国におけるやり方もあろうかと思います。  したがいまして、そこはまさに現実的に可能な手法で、かつこの制度が求めている非居住者性、アメリカも同種のものを国際決済機構に求めていることもありますので、これが一般的にユーロ市場で動いておりますから、その手法等も十分踏まえて、政令事項では、先ほど御指摘のような市場の状況を踏まえて、的確に、きつ過ぎないように、また余り甘くてもいけないわけでして、その辺は整理してまいりたいと思っております。
  40. 西川知雄

    西川(知)委員 それを理解いたしますところによると、本人の確認の状況というものが各国によって違うのは、これは当然である。したがって、その国において合理的だと思われる方法で非居住者居住者であるかという本人確認をすれば、基本的には原則として十分である、そういうふうに私は理解をいたしたいと思うのですが、その辺について、御確認だけお願い申し上げます。
  41. 薄井信明

    薄井政府委員 原則として課税のものを非居住者からの資金をということで非課税にしているという、我が国の税法上の特典といいますか、租税特別措置である以上、これが余りルーズであってはいけないと思います。ただ、私、信じ過ぎているのかもしれませんが、ユーロ市場というものもまさにプロの世界ですし、そこでいいかげんなことをしても長い目で見て適当でない、そういう規制が自動的に働いていると私は思っております。  そういう意味で、非居住者本人がどういうことを考えるかというのは、どうもそこまでは私ども手が及びませんけれども、カストディアンが、世界的に通ずる常識のもとで、ユーロ市場というも のを存続していくという気持ちの中でやっていただけるならば、おのずから私どもが求めているものと同じレベルのものになってくるのではないかと思う次第です。
  42. 西川知雄

    西川(知)委員 ところで、本制度の確認方法といたしまして、法律は二つの制度を書いているわけです。一つは、非居住者または外国法人が非課税の適用申告書というものを直接提出する制度と、あとは先ほどから私が例を引いて申し上げておりますカストディアンが入った場合、この二つの措置というものが規定されておりまして、二番目の措置が一番目の措置に対してのみなし規定というふうになっております。こういうふうな原則とみなし制度を設けたという理由、これについて簡単に御回答を願えれば幸いです。
  43. 薄井信明

    薄井政府委員 御指摘のように、条文では六条におきまして、四項におきまして原則を書き、原則となるべき姿をここで決めて、それに対応するものとして七項で措置をしている、これがユーロ市場に適合しやすいものとして構成しているわけですが、的確にその理由を説明しろということであれば、私はこう考えております。  民間国外債利子受領者の本人確認の方法としては、素直に考えたときには、やはり非居住者外国法人である債券保有者がじかに、発行体を経由してということになりますが、税務署長に自分はこういう者であるという法律構成をとることが基本であろう、現実的とは申し上げませんけれども。  その基本に対して、ユーロ市場の特殊性、かつ、であるからといってユーロ市場をこうしてくれと日本からだけ申し上げるわけにいきませんから、ユーロ市場において今動いているやり方、例えばユーロ市場においては債券保有者本人住所、氏名の情報を発行体に流す仕組みになっていない、あるいは一般的に債券は金融機関に保護預かりされている、また当該債券を預かる金融機関は債券保有者が非居住者であるかどうかを把握しておられる、債券保有者が非居住者であるかどうかをさらに流す仕組みもできている、こういったユーロ市場現実の仕組みを踏まえて、先ほど申し上げた法律構成上の基本の姿の例外という形で七項を構成した。  したがって、実態として、原則とか例外というのは適当ではないかと思います。現実には七項が動いていくのだと思いますが、法律構成としてはそのような仕組みをとったということでございます。
  44. 西川知雄

    西川(知)委員 ところで、具体的な本人確認義務の作業については、第一回目の作業については、外債の発行後四十日目以降というふうに政令で規定をするということになっております。そして二回目以降については、例えば前投資家が非居住者であった場合には、その利払い日ごとにもう一度そういう本人確認義務を果たす必要はない。というよりも、本人確認義務を果たさなくても非居住者がずっと持ち続けるのであれば報告はしなくてもよろしい、こういうふうになっているところだと思います。  ところが、発行後四十日をたった後、それから民間外債が転々流通をして、そしていろいろな人に渡っていった、こういうふうに仮定をいたします。しかし、その外債は依然非居住者が持っている、こういう仮定を置きました場合に、しかしながら、やはりカストディアンとしては、果たしてそれは非居住者が持っているのかどうかということを毎利払い日ごとに確認をしないといけないということに実際にはなると思います。  この制度は非常にややこしくて、国内の発行体がいて、支払い代理人がいて、その向こうにユーロクリアとかセデルバンクとかそういうところがいて、そしてカストディアンが何社もいる、そして最後のカストディアンが投資家に対して保管機構として実際に証券を持っている、ざっと言えばこういうような形になっているわけです。この制度のもとでは、本人を確認してその情報を流すのは一番下部の、一番下流にあるカストディアンが流さなければならない、何層にもなっている上の人はそれを信じるよりほかない、こういう制度になっているわけです。  したがいまして、一番初めのカストディアンがまず債券を持っていて、そして四十日目以降、本人確認がなされた後、この債券をいろいろなところでいろいろなカストディアンを通じて売買をした場合、どこに行ったかというのは上部のカストディアンは余りよくわからないということになると思います。こういう状況のもとで、二回目以降どういうふうな確認をすればいいのか、また上位のカストディアンは何を信ずれば自分としての本人確認義務をしたことになるのか、少しややこしいですが、この辺のことを御説明を願えればと思います。
  45. 薄井信明

    薄井政府委員 御質問が多分多岐にわたっているかと思いますので、私の答弁が完全になっていないかもしれませんが、伺った限りでは、おっしゃるように、カストディアン、最後の非居住者に一番近いところの金融機関が確認を利払い日ごとにやるということが必要かと思います。  その際に、そのカストディアンの顧客のすべてが非居住者である限りは、それをその上部のカストディアンに伝えることは省略していい、通知しないでいいという形でこれがつながっていく。したがって、もし居住者がそこに入っているということになれば、比率情報といいますか、計算した利子の額の数字を上部のカストディアンに伝えていく、これを受け取った側は新しい情報としてそれをその上に伝えていくという事態が起こってくるということであって、御指摘のように、下部のカストディアンからの情報に依存して上に上がっていくという仕組みをつくっているわけでございます。
  46. 西川知雄

    西川(知)委員 今のを整理いたしますと、上部のカストディアンと下部のカストディアンとの間で契約を結んでおく。その契約の中で上部のカストディアンは下部のカストディアンに対して、もしあなたのこの債券を売った先が居住者であればぜひ報告をしてほしい、報告をしなければならない、しかし売った相手先がやはり同じ非居住者であった、そういう場合には報告をしなくても結構です、そして報告がない場合には非居住者に売ったものというふうにみなしますよ、こういう契約を結んでおく。ですから便りのないのはいい便りであるというような構成をしておく、こういうことであると私は今の局長の答弁を解釈したんですが、それで正しいかどうかお答え願いたいと思います。
  47. 薄井信明

    薄井政府委員 仕組みとしては、委員指摘のように私ども認識しております。
  48. 西川知雄

    西川(知)委員 それで、少しまたややこしくなりますけれども、これは、これからのビッグバンというものが実はこういうところをきちっとしていかないといけないという一つの例でございますので、非常にややこしくなってある意味では申しわけないんですけれども、お答えを願えればと思います。  例えば一つの例を挙げますと、ある外証、例えばアメリカならアメリカの証券会社、これが上部の例えばカストディアンとして存在をしている。これは基本的には当初は非居住者の投資家に外債を売るということになると思いますが、その外証をXといたしますと、その外証Xの口座の中に例えば別の外証が口座を持っている、そういう例が一つあると思います。もう一つの例は、外証Xの口座の中に日本の証券会社、例えばAといたしますと、そのAが口座を持っている場合がございます。この二つが基本的にはあると思います。  その外証Yまたは日本の証券会社Aの顧客、これが新しい債券を買いたいといったことを前提としてみると、そういう場合にどういう方法で本人確認をすればいいのか、まただれがすればいいのかということが第一問でございます。  第二問は、例えば、先ほど申し上げました外証Xが非居住者に対して外債を売っている。ところで、その外証Xに対して口座を持たない会社、例えば外証Yそれから日本の証券会社Aというものが外証Xの投資家からその債券を自分の投資家に 売りたいということになった、それでまた売ったというときがあると思います。この場合に、非居住者居住者ということについての本人確認ということをやらないといけないと思うんですが、この点についてどういうふうな方法で本人の確認をするのかということについて、すごくややこしくてある意味で大変と思うんですけれども、ぜひその辺をマーケットは聞きたがっておりますので、お答え願えればと思います。     〔委員長退席、井奥委員長代理着席〕
  49. 薄井信明

    薄井政府委員 私の錯覚でマーケットが誤解するといけませんものですから、もし御質問を取り違えていた場合にはまた修正させていただくということで、今伺った限りで、非常に複雑なケースについての私の整理を申し上げたいと思います。  今おっしゃっていたYというのは国外にあるX以外のカストディアンであるということで、そのYが非居住者にすべて売っているならば、それはそれでXに対しては連絡をする必要がない。ただし、本人確認はここでしていないといけない。もしYが居住者にも売っているということであれば、その旨をXに対して伝えなければいけないということになろうかと思います。  それからもう一つの、なかなか頭の整理がつきかねますが、日本の証券会社、国内にある証券会社がXとの関係で御指摘のような事態が生じたという場合には、国内の証券会社ですから、非居住者に売る場合それから居住者に売る場合、あり得るわけですが、居住者に売る場合は水際源徴の対象になってくるんではないか、それから非居住者に売る場合には非課税ということになってくるかと思います。  そうしますと、Xとの関係で、Xというのは、アメリカならアメリカのカストディアンで大きなものがあったとします。そことの関係でいいますと、これをどういうふうに連絡したらいいかという問題が確かに残るかと思います。この辺は、先ほど最初に御指摘ありましたが、必ずしも詰め切れておりませんので、状況を分析しまして、あるいは聴取しまして適切に対応していくべき分野だと思っております。
  50. 西川知雄

    西川(知)委員 局長、二番目のことについてお答えを願えれば幸いなんですが、今の一番目の回答は大体合っていると思うんです。それは、外証のXというところに外証のYなり日本の証券会社のAというものが口座を持っている場合のことについてお答えになったと思うんですが、そうじゃなくて、全く独立をしている機関であった、いわゆる口座がない、口座があっても本証券の取引についてはまだ口座がない、そういう場合も想定されると思うんですが、その場合についてのお答えをお願いしたいと思います。
  51. 薄井信明

    薄井政府委員 口座がなければ新規のカストディアンになるんではないかと思います。  そうしますと、その債券自体はもう前に発行されていて何回も利払いがあったとしても、新規のカストディアンの最初の利払い時に通知すべきものを通知する、あるいは本人確認するべきものをして、連絡が必要ならば連絡する、こういうことになるのかと思います。
  52. 西川知雄

    西川(知)委員 ですから、今言われたことは多分こういうことかと思うのですけれども、新しい外商Yが、例えば口座を外商Xに持っていない場合で、外商Xが百持っていて、そのうち二十を外商Xが本人確認をした後に譲り受けたという場合には、改めて外商のYというものがセデルなりユーロクリアに報告を、通知をしないといけないということだと思いますが、それでいいかどうか御確認をお願いします。
  53. 薄井信明

    薄井政府委員 今の関係だと、そういうことになろうかと思います。
  54. 西川知雄

    西川(知)委員 そこで、一つだけ問題点指摘しておきたいと思います。  これは、こういうふうに今の質疑を通じても、非常にややこしい制度であるというよりも、ややこしい複雑なマーケットの中での制度であるということはおわかりになったと思いますが、その中でも依然悪意の第三者、悪意の投資家というのが出てくるということは、可能性としてはないわけではないというふうに思います。すなわち、一番初めのころの御答弁で、各国において合理的だと思われる本人確認をやったと。そして一生懸命やって、しかしながら、非居住者であると思っていたけれども実は居住者であったということがあり得ると思います。  例えば、日本の租税法の概念で非居住者というのは、一年以上日本を離れて外国にいるとか、また一年以上離れようという意思を持って日本を出た人は直ちに非居住者になるのですが、ところが、初めはそういうふうに言っていながら、うそをついて、実は非居住者要件を備えていなかったという場合もあると思います。そして下部のカストディアン、上部のカストディアン、ユーロクリア、セデルもやるべきことは全部やった、しかしながら結果として、それぞれのマーケットの人々が無過失であったのに、実は居住者が、また内国法人が債券を所有していたという場合が想定されます。  この辺は、厳密に法律をぎりぎりと詰めますと、いろいろややこしいことになると思います。というのは、発行体自身が源泉徴収義務者でございますから、彼の過失、無過失とは無関係に法律が適用されることになると思います。  しかしながら、自分のあずかり知らぬところで、カストディアンもちゃんとやった、しかし最後の投資家が悪意の投資家であったという場合に、一〇%の税金、そしてペナルティー、延滞税も、こういうことがわかるのは当然のことながら一年後とか二年後でしょうから、毎年一四・六%にも上るような税金を払わないといけない可能性が出てくる。こういうことは非常にアンフェアであって、市場の公正さ、またはこの民間国外債についての本人確認制度について、マーケットが、また諸外国が疑いを持ってくるというようなことも考えられますので、この辺のことについては、ぜひそういう事態を十二分に勘案をして、執行なりこの法の適用をしていただきたいということを、これはお答えしにくいものでありますから、私の主張または要望として申し上げておきたいと思います。  そこで、あと最後、ちょっと二つややこしいことをというか確認をしておきたいのですけれども、法の第六条の第十四項というのに、これは政令事項ですが、本人確認制度についてのいろいろな具体的な内容を政令で定めるということになっております。  非課税の適用申告書については、法律では原則として書いてありますが、実務上は極めて例外でございますので、その点に関する政令事項というものは御説明願わなくても結構でございますが、利子受領者情報の通知、その通知に係る情報の保存及び管理に関する事項等々のことで、先ほど私の質問に、またお答えにカバーされてない条項で、どんなことがこの政令に定められるのか。これは先ほどの大蔵大臣の御答弁で、マーケットの要望を聞きつつ定められるということでございますが、どういうことを意図されているのか、簡単にまとめていただければ幸いです。
  55. 薄井信明

    薄井政府委員 法律の第六条第十四項に「第三項に定めるもののほか、」ということで五項目を例示して「第一項、第二項及び第四項から前項までの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。」という条文を置いてございます。  御質問は、このうち、利子受領者情報の通知並びにその通知に係る情報の保存及び管理に関する事項として何を政令で定めようとしているのかという御質問かとお聞きしたわけですが、私ども考えておりますのは、債券発行後四十日目からの通知等、利子受領者情報の通知の細目に関する事項をここで書く、あるいは利子受領者情報の通知を受けた利子支払い者の通知内容の保存に関する事項などを政令事項として予定しております。
  56. 西川知雄

    西川(知)委員 その件はまた政令を策定されるときにお話をしたいと思うのですが、一つ確認ですが、利子受領者情報の通知という項目がございます。これは第六条の第七項に書いているわけで すけれども、この通知というのは、私の理解しているところでは、書面でする必要は必ずしもない。例えばインターネットでも利用してやれる、またその他の方法でもいい。ただ、後で調べられたときに、調査が入ったときに、確かにやりましたということの準備さえ整えておければいいというふうに理解しておるのですが、それでよろしいでしょうか。
  57. 薄井信明

    薄井政府委員 利子受領者情報が最終的には利子支払い者、発行体に行くわけでございまして、そこへ行くについての媒体に関しましては、現実に活用されている、利用されているものであれば問題はないと考えております。  ただし、税務署に対しては、利子支払い者から利子受領者確認書が提出されるということになろうかと思います。
  58. 西川知雄

    西川(知)委員 それから、いつも税法を読むとなかなか難しくて、十回ぐらい読んで初めて意味がおぼろげにわかるというのが通常だと思うのですけれども、この法律の中で、支払いの取扱者とそれから保管支払い取扱者と利子の支払いをする者という定義があります。そこで、これがそれぞれどれに当たるのかということを少し確認をしていただければと思います。  発行体、支払い代理人、それから金融機関、上部のカストディアン、下部のカストディアン等々がおりますが、支払いの取扱者、保管支払い取扱者、利子の支払いをする者は、それぞれ定義規定は一応置かれているのですが、具体的にどうかということはなかなかわかりにくいので、その辺をちょっと念のため答弁いただければと思います。
  59. 薄井信明

    薄井政府委員 利子の支払いをする者は、一般民間国外債を発行したいわゆる発行体、内国法人を意味します。また、支払いの取扱者は、利子の支払い者と利子の受領者との間におります金融機関で、市場において利子の流れを仲介している方のことをいいます。また、保管支払い取扱者は、利子の受領者から、最後の人ですね、直接債券の保護預かりを受けている末端のカストディアン、金融機関をいうことになります。
  60. 西川知雄

    西川(知)委員 そのとおりだと思うのですが、一つだけ確認をしたいのは、利子の支払いをする者というのは、発行体プラスその支払い代理人であるという意味で答弁されたと思うのですが、そのとおりでしょうか。
  61. 薄井信明

    薄井政府委員 そのとおりです。
  62. 西川知雄

    西川(知)委員 具体的な質問はこの程度で終わりますが、基本的に政令、省令事項で、ビッグバンと申しましても、こういう簡単な制度だな、本人を確認すればいいんじゃないかという制度であるというふうに思われている方もいらっしゃると思うのですが、これはビッグバンの世界の流れの中で、外国の金融機関が極めて心配をしている事項でございます。ですから、先ほども大蔵大臣が申されたように、こういうビッグバン法律の中においては、なるたけ多くの機会にマーケットの、市場関係者の意見を聞いて、そして国際水準に合ったような制度をつくっていかれないと、日本ビッグバンというもの自体が、形だけはできても中身は崩壊してしまうということになると思います。  そこで、十月三十日の本会議のところで私が総理に質問をしました中で、税の利下げ競争ということについて触れました。この点については、現在、OECDで具体的な検討が進められていて、日本も来年春の報告取りまとめに向けて積極的にこの作業に参加している、こういう回答がございました。  これは、税の問題、国際協調の中で非常に重要な問題ですが、余りオープンに取り上げてこられなかった問題でもございます。したがって、積極的に大蔵省がやっていらっしゃるということですが、この具体的な検討状況いかんということについて、大蔵大臣、御報告を受けておられるなら、大蔵大臣から御答弁願えればと思います。
  63. 三塚博

    三塚国務大臣 御指摘のとおり、OECDにおいて検討が行われております。同時に、リヨン、デンバー両サミットにおいても行われており、特に累次にわたるG7の蔵相会談において、このことに対する支持を表明いたしておるところでございます。来春の報告書取りまとめに向けて大蔵省としてもこの検討に積極的に参加をしてまいるということであり、詳細、主税局長から報告させます。
  64. 薄井信明

    薄井政府委員 今大臣から説明したことの中の技術的な面について補足させていただきます。  経済のグローバル化というものが進展する中で、各国、国によっては外国からの資本を誘致したいという気持ちから、税の引き下げ競争を行っていると見られるケースが目についてきているわけでございます。そういうことが行われますと、結果として、金融というようないわゆる足の速い活動の分野では税負担が減少していく一方で、いわゆる足の遅いといいますか、労働だとか消費に伴う税の方ヘシフトしていく、同じ税収が必要であれば。そういった税体系の中立性とか公平性が損なわれる方向に結びつきかねないという懸念が一つございます。またもう一つ課税ベースそのものが侵食されるという面もあります。また、資本移転とか経済活動がゆがめられる、税金が安いからといってそこに流れていくという問題も生じるおそれがある。  こういった問題意識から、昨年の六月にOECD租税委員会で検討が始まりまして、具体的には、どのような税制が税の競争につながる有害な税制となるかということの判定基準、さらには各国がどのような対抗措置をとることができるか等について、議論を重ねてきておるわけでございます。  技術的な面について補足させていただきました。
  65. 西川知雄

    西川(知)委員 今の大臣と局長の御答弁からいたしますと、こういう問題についてはやはり国際間の協調ということが必要で、こういう問題についての討論に、また意見交換に積極的に参加していくべきである、こういう御回答であったと思います。  これは、これからの日本の金融マーケット、これを占う上でも非常に重要な問題でございますので、政府の方でいろいろとたたき台の交渉はされると思いますが、ぜひ、我々国会の意見、そして国民の意見というものも十二分に取り上げて、そしてその議論の中に生かしていただきたいというふうに思います。  最後に、あとまとめでございますが、この税の問題というのは、極めて具体的な法律になりますとややこしくてよく内容がわからないということで、法律をつくっている人は多少というかよくおわかりになっているかもしれませんが、国税の職員の方、税務署の職員の方でもよくわからない。それから、私が弁護士をやっておりますときにも、いろいろと外国から、この税法について意見書を書いてくれということで、意見書を書く機会がたくさんあるのですが、なかなか税法というものはややこしくてよくわかりにくいというのを私は指摘をしておきたいと思います。  したがって、今後、税法をつくられるときにも、ぜひわかりやすい法律の形でつくっていただいて、税金というのは国民が自分の一生懸命働いた中からお金を納めるものでございますから、その法律が国民にわかりやすい形で書かれていなければ、一体何で取られるのかなとか、どういうふうに解釈したらいいのかなということがたくさんございますので、その辺のところはこれから法律をつくられるときでもぜひお願いしたいと思いますので、この辺については、大蔵大臣の最後のコメントをお願いしたいと思います。
  66. 薄井信明

    薄井政府委員 委員指摘のように、租税の大原則の中に簡素、シンプリシティーという問題がありまして、納める立場の納税者がわからない税制というのは望ましくないというのは、もう御指摘のとおりだと承知しております。  その上で、法律をつくる立場、つくるというか準備させていただく立場での悩みを申し上げますと、きょう御質問いただきましたように、経済現象は極めて細かくまた複雑でございます。その中 で、いかに権利義務関係を間違いのないように書くかとなると、どうしても技術的に細かくなってしまう面があります。シンプリシティーを大事にしつつ、かつ混乱の起きないように今後努力してまいりたいと思います。
  67. 三塚博

    三塚国務大臣 難解な法律のトップが税法だと思います。国際弁護士であり法曹人の議員が悲鳴を上げるのでは、普通の方はみんな悲鳴を上げる。しかしながら、これも重要な経済活動の基本でありますから、正確性を期するということになりますとそのようになるかと思いますが、御説のように、やはりなじみやすく、わかりよく、解説等の広報を積極的に展開をしていくことが極めて重要だと感じました。努力をしてまいります。
  68. 西川知雄

    西川(知)委員 私の質問を終わります。
  69. 井奥貞雄

    ○井奥委員長代理 次に、末松義規君。
  70. 末松義規

    ○末松委員 民主党の末松義規でございます。  実は今、民主党で政府委員の廃止制度というか副大臣制、これを支持しようということでやっておりますので、私もそれをきちんと守りまして、政府委員という形ではなくて政治家同士の話をさせていただくということで、それで申し上げましたら、大臣に聞けば何でも答えていただけるというお話もいただきましたものですから、ちょっと法律審議ということで非常に技術的なものもありますが、そこは機転をきかせて、いろいろなお話をさせていただきますが、おつき合いいただきたいと思います。  まず、この国外送金の関係の法律の方からお話をさせていただきます。  日本も来年四月からビッグバンということで、外為法改正をして、そして我々の資金も対外的に自由に移動するという判断をいたしました。これらの自由化された対外取引で、今度は税の捕捉ということが重要になってくるのは、私もまさしくそのとおりだと思います。  この原則は税の公平性ということであって、まさしくこの日本で税をしこたま取られているのにかかわらず、海外に行くと全然税金を取られないという話であれば、千二百兆と言われる日本の資産が一挙にまた海外に出ていってしまう、それも当然のことであろう。そういった意味での牽制、あるいはそういうきちんとした税の捕捉ということが重要であるのですが、問題は、この法律がどこまで本当の意味で税の捕捉というものを真剣に考えるのか、あるいは税の捕捉というその執行をどこまでのポイントで位置づけることが今の現状で一番妥当なのかということであろうと思います。  この法律を論ずるに当たりまして、私は三つの視点からこの法律を論じたいと思います。  一つは、この法律によって影響をこうむる金融関係者の負担、これをできる限り最小化していかなければいけないという点と、それから私たち自身、サービスの利用者の便宜に十分配慮して、そして使いやすい、そういったような法律でなければいけないという点がまず第一点であります。  第二番目は、先ほど申し上げましたが、税の公平性ということからくる税の捕捉をどの程度実効的なものにしていくのかどうか、そしてその体制が実際に妥当なものであるのかどうか、その点について、やはりここで一つの線を出していかなければいけないと思います。  三番目が、これは大きな流れなのですけれども、またいろいろな仕事ができてくると、行政改革という観点から行政のスリム化というものをやっておりますから、税の捕捉ということもあって一挙に仕事がふえたふえたといって喜ぶような時代ではない。そういった意味で、この行政のスリム化という点も観点に入れながらこの問題を論じていかなきゃいけない。  基本的にこの三つの点から私の方は論じさせていただきたいと思います。  まず初めの、金融関係者の負担を最小限にする、この法律をつくることによってそういった影響を最小限にとどめるという意味から質問をさせていただきますが、この資料報告制度ということで二百万円が一つのめどということになっております。ちょっと私も銀行業界の方にいろいろ聞いてみたのですが、銀行業界の方では、最初五百万円ぐらいでいいのじゃないかということを言っておったという話も聞いております。  ただ、大蔵省の方は最初百万円ということを言っておられたと思いますが、これが二百万円にどうしてなったのか、そしてそれがどういうふうな妥当性があるのかという点、るる聞いておられますけれども、私もその辺から入らせていただきたいと思います。
  71. 三塚博

    三塚国務大臣 先ほど来、前質問者からも出ておりました。当初、御承知のとおり百万円でございました。これも欧米の資料情報制度の例を参考にしたわけでございます。その後、立案に当たりまして、それぞれの深めた調査研究ということを基本にしつつ、なおかつ外為法改正による自由化趣旨を尊重するということからいたしまして、実効性のある資料情報制度を構築するためには最小限の情報資料提出を求めるという観点から、上と下がありましたが、二百万が適正な水準ではないかということで判断をしたということであります。
  72. 薄井信明

    薄井政府委員 補足をさせていただきます。  先ほどちょっと触れましたが、我が国の場合、銀行口座の所在に関する情報制度が残念ながらございません。そういった事態、それから外為取引実務等を総合的に勘案しないといけない、また今回新たにこの種の措置を設けるということで、悩みあぐねた結果、二百万円という数字にしたわけでございます。
  73. 末松義規

    ○末松委員 これはどこを起点にするかということですから、実際こういうものは一たんやってみて、もしこれはおかしい、あるいは実情に合わないという話であればすぐにこれを変えていくという面と、それから法の安定性というものもありますから、その辺が一番悩ましいところだったのでしょうけれども、その意味で、実際にアメリカに比べて多分これは二倍ぐらいの額でしょうし、フランスに比べてもやはり二倍ぐらいなのかもしれません。そういった意味で、ある程度の許容範囲を持ってやっていくということで、私も最初から反対する気にもなりませんが、これは市場を見ながら、あるいはいろいろな便宜を考えながら、適宜すぐに修正していくという方向でお願いしたいと思います。  同じように、金融関係者の負担の軽減化という視点からお話をさせていただきますが、四条の二項というところで、税務署長の承認というものがあれば磁気テープの提出報告はいいよということになっております。この税務署長の承認というのは一体何なのかということで、その辺も何かよくわからないのですが、私もコンピューターをやっておりまして感じますのは、コンピューターの統一のフォーマットで提出するということなんでしょうけれども、各銀行金融関係者、いろいろなタイプのコンピューターを持っているわけです。そしていろいろなソフトを使っております。そういったときに、統一したフォーマットを要求しているのでしょうか。ちょっと技術的なもので極めて恐縮ですけれども、これによっていろいろな予算とかあるいは今度の大蔵省の態度というものもわかるわけでございます。
  74. 乾文男

    ○乾政府委員 お答えいたします。  今回の支払い調書制度に関する磁気テープの細目は今後政省令で定められることになっておりますので、現在の私ども提出いただいております利子等の支払い調書について申し上げますと、提出していただきます磁気テープの規格につきましては、国税庁で使用しているコンピューターの規格というものをお示しいたしまして、それに沿って例えば金融機関等から私どもに磁気テープで提出いただいているということでございます。
  75. 末松義規

    ○末松委員 大臣、そうしますと、余り技術的なのであれですけれども、各銀行、金融機関が実際に国税庁にもう既に出していて、このソフトをいろいろと新しく開発しなきゃいけないと思うのですね。そういったことでいろいろなタイプのソフトがありますけれども、それを国税庁の基準に合 わせろということを言っているわけですか。
  76. 乾文男

    ○乾政府委員 現在提出していただいております利子等の支払い調書につきまして、既に金融機関の方もマグネットテープでむしろ提出したいという御意向があるわけでございまして、そうした中で、もう既に国税庁の方に合わせるというと聞こえが悪いのですけれども、いわばこういう場合にはみんなでこの方式でやりましょうというものがございまして、既に金融機関の方も大部分の金融機関、まさにMTで提出していただいている金融機関もそういうソフトを現行の支払い調書制度についてはお持ちである、そういうふうに御理解いただければありがたいと思います。
  77. 末松義規

    ○末松委員 全然政治家同士の話にならないのですが、要するに銀行業界あるいは金融関係者の方から聞いたら、当初国税庁が、国税庁のコンピューターに合わせろ、統一のフォーマットに合わせろ、そういったことを要求してきたんだけれども、それはあんまりじゃないかということを言ったら、国税庁がおりて、じゃ各ソフトで結構だよという話があったということなんです。それとは今の御答弁が違うのですけれども
  78. 乾文男

    ○乾政府委員 今回の海外送金の調書につきまして、ちょっとそういう事実関係、私どもは把握いたしておりません。
  79. 末松義規

    ○末松委員 把握をしていないということは、国税庁のコンピューターに合ったものしか受け付けないよということで実態も来ているのかどうか、そこだけでいいのですよ。もしそこが、それ以外受け付けないよというのだったら、それしか受け付けられないということは、金融関係者の負担が極めて大きいものになるのじゃないか。例えば一つのソフトを開発するのでも億を超える金とかいろいろな金が必要になってくるわけですから、それが何十、何百に及ぶ関係者がやっていくのだったらこれは大きな負担じゃないかと思うわけですね。それはできる限り配慮したものじゃないといかぬのじゃないかというのが私の視点なんですけれども。     〔井奥委員長代理退席、委員長着席〕
  80. 乾文男

    ○乾政府委員 今回の海外送金の調書等につきましての磁気テープの提出についての細目というのは、まさにこれから金融機関と大蔵省そして私どもの間の話し合いの中で決まっていくものであるというふうに理解しておりまして、今回の問題につきましては、今後よく金融機関の要望も伺った上で対処してまいりたいと考えております。
  81. 末松義規

    ○末松委員 それは、今の答弁は、情報がないからそう言われているのですか。つまり、こういう法律をつくってくるときには基本的にどうなんだということははっきりさせておかないと、これは委員の皆さんも暇でやっているわけじゃないのですから、そういうところをきちっとしておかないと、実際に利用者どかあるいは金融関係者の便宜を本当に考えていることにはならないわけです。今から詰めますという話だったら、それはちょっと事務方としては問題があるのじゃないですか。
  82. 薄井信明

    薄井政府委員 法案を企画した立場から申し上げますと、この制度を構築するに際しては、先ほど御質問ありましたように、二百万円にするのかどうかを含め金融機関とはいろいろな面で接触をしてまいりました。少なくとも主税局との関係でいえば、多分調書の話も出ていたかと思います。  私どももそれをどうするということまでは決めておりませんし、またその立場にもないわけですけれども、先ほど来申し上げている金融機関の事務負担が過剰になってはいけないということはもうそのとおりだと思いますが、一方で余りにばらばら過ぎて金融機関側でも調整のしようがある部分もあろうと思います。それから国税庁にとってどうしても必要な部分、要素があろうと思います。そこを相互に調整していくように私ども国税庁と一緒に対応してまいりたいと思います。
  83. 末松義規

    ○末松委員 どちらにしてもお金の要る話なんですよ。確かに国税庁でいろいろなソフトをまとめてやる場合でも、ある意味でそれに対応できるソフトを開発しなきゃいけない。それがまた莫大な金がかかるし、それは仕方のないお金ですから、そういった意味で、その点からもお聞きしたわけです。  実際に国税庁に入る資料として、紙もあれば、またそういうふうなソフトもあって、それが聞くところによると数百万件ぐらいどんどん出てくるわけでしょう。これまた倉庫も必要だし、大変なことになると思うのですけれども、そういったことで、どういうふうな扱い方をしますか。要するに一々みんな見るわけではないでしょうし、その辺についてのイメージをお聞かせください。
  84. 乾文男

    ○乾政府委員 今議員も御指摘になりましたけれども、本送金等調書制度ができますと、年間に数百万枚程度の調書提出されるというふうに見込んでおります。国税庁といたしましては、提出されました調書をコンピューターを使いまして納税者別に名寄せをしました上で、新たに申告が必要と見込まれる納税者の方の把握でございますとか調査対象の選定等に有効に使っていきたいというふうに考えております。
  85. 末松義規

    ○末松委員 ちょっと今の御答弁なんですけれども、名寄せをしてきちっと把握したいという話なんですけれども、これを実際やろうとすると、紙で提出した人というのはどうなりますか。これは全部またコンピューターに入れて名寄せするのですか。物すごい大きな体制が必要になってきますよね。だから、その体制の人数とか予算とかどのくらい見積もっているのですか、ちょっとお聞きします。
  86. 乾文男

    ○乾政府委員 現在、国税庁に資料情報システムというのがございまして、先ほどもお話しいたしました利子の支払い調書を初めとする法定調書あるいは法定外調書というものが年間に約一億二千万枚提出されるわけでございまして、先ほどのお話ございましたマグネットテープで提出されるものは非常にコンピューターに乗りやすいのでございますけれども、そうでなくて紙で提出されるものにつきましては、私どもの方でコンピューターに乗る形にデータ入力した上で、それをコンピューターにインプットする、そしてそれを納税者別にコンピューターの中で名寄せをするということでございます。  今回の制度をお認めいただきますと、当然追加的なシステムが若干上乗せが必要になってくるわけでございまして、来年度、そうしたシステム開発あるいはデータの処理に必要な費用として約九億円の予算を要求しているところでございます。
  87. 末松義規

    ○末松委員 もうちょっと金融関係者の事務費用の軽減ということからお話をさせていただきますが、四条で言う、報告のときに、属する月の翌月までに報告をしてくださいというタイミングですね。これは金融関係者ともいろいろと話し合った末かと思いますが、それほど問題はないと考えているのか。ほかの調書との関係でどうですかということと、それから記録の保存期間というのは大体どのくらい見ておりますか。
  88. 薄井信明

    薄井政府委員 この制度以前のこの種のものにつきましては翌月十日ということでやってもらっているのですが、今回の制度につきましては、外国との関係もありますので、翌月末ということで対応したということです。これによりまして、金融機関は対応が可能になるというふうに私ども見ております。  それから、保存期間につきましては、これ自体について定める考えはございません。
  89. 末松義規

    ○末松委員 保存期間がないということは、もう一たん提出したら、後は保存する必要がないということでよろしいですね。
  90. 薄井信明

    薄井政府委員 今回のその資料情報制度では、国外送金等をする顧客から提出される告知書というのが出てくるわけですね。これをどう保存するかということになろうかと思います。  告知書に記載されている内容をカバーできる顧客からの送金依頼書等の取り扱いについて、これは実務を踏まえまして、特にいつまでということを定める予定はありません。したがって、告知書の保存年限とか方法は、銀行等が内部で決めておられる規則に基づいて送金依頼書等に準じて取り扱われるということになろうかと思います。銀行 等は、多分実務上、送金依頼書と告知書とを兼用するという対応をするのではないかと思っております。
  91. 末松義規

    ○末松委員 じゃ、それで兼用していけば保存期間は必要ないということを今確認いたしました。  それから、今度は我々利用者の負担をできるだけ少なくするように、特に我々の便宜を図るという意味なんですけれども、この三条で本人確認というのがあります。法律によれば、住民票とか法人登記簿とか政令で定める書類となっておりますけれども、これは我々一般に持っているのは、一々送金のたびに市役所に行ってあるいは区役所に行って住民票を持ってくるなんというのは大変不便なわけですけれども、例えば免許証とか健康保険証とか、そういうふうなのではだめなんですか。
  92. 薄井信明

    薄井政府委員 技術的ですので答弁させていただきます。  御指摘のように、一番はっきりしているのは住民票の写しかと思いますが、現実には御指摘のような、例えば社会保険の保険証とかあるいは運転免許証のたぐいも本人を確認できますので、これでも結構でございます。
  93. 末松義規

    ○末松委員 住民票とか、本当に本人確認できるんですかね。その本人の写真がついてなくて、人の住民票を持ってきて、これだよ、それは私だということを言っても、全くその確認のしようもないんじゃないか。例えば運転免許証であれば、それは写真を見て似ているか似ていないか判断はできるわけなんですけれども、そこは実際にどうなんですかね。
  94. 薄井信明

    薄井政府委員 そうおっしゃられるとそのとおりの面はあるのですけれども告知書に虚偽の記載をすればそれは罰則対象になるわけでして、それが正しいかどうかを横から見るために書類を一緒に見せていただくということでございまして、通常住民票の写しがそういうふうに使われるとは考えておりませんが、確かにそういう面はあろうかと思います。  重ねて申し上げますが、虚偽の記載をすれば、そのことは罰則対象になるということであります。
  95. 末松義規

    ○末松委員 ちょっとテクニカルに走りましたけれども、私も、先ほどの西川委員のお話と非常に同じ話をするんですが、政令で定めるといいますか、そういう書き方をしているわけです。先ほどの報告用の磁気テープもそうなんです。これも、税務署長の承認があればという書き方になっている。どうも私は、先ほど西川委員が言われたように、法律は国民にわかりやすいような形にしなければいけない、全くそのとおりだと思うのです。そのときに、この法律だけを見たら、住民票じゃないとだめなんじゃないか。というのは、あとほかに書いてないからなんですよ。政令で定めるという話になったら、あと何が入るのかよくわからない。それで、先ほども例えば税務署長の承認という話になったら、どういうふうなものを承認していただけるのかよくわからない。それで、じゃ、これから業界と話して決めますなんて言われたら、結局ここで審議している意味がない。  実際にこの法律に、運転免許証でもいいよ、あるいは健康保険証でもいいよというのを書けば非常にわかりやすいわけですよ。だれも過たない。それを政令でと言うからみんな不安になってくるわけですよ。それは何か大蔵省がすべて裁量でやつちゃうんじゃないかという話になるんですね。だから、そういったことをきちんと法律になぜ書けないのかというのを、大臣の方にぜひともお伺いしたいと思います。
  96. 三塚博

    三塚国務大臣 御説は、かねがね政省令の際にそういう論議が出るところでございます。今回のビッグバンヘの移行に向けての改正新法でございますから、先ほど来本人の確認書類の具体的範囲について、現行制度とのバランスを配慮するというのが一つあります。同時に、顧客の便宜性と制度の実効性を総合的に定めていかなければなりません。よって、御説も踏まえながら、ただいまこれから御説を加えて、その辺もやっておると思うのですが、現在検討中でございます。  この確認書類は実務的、細目的な事項でございまして、本法に記載することはなかなか膨大なものになりますということもあり、法律の委任を受けて、当然ながら政令、こういうことになります。そういう観点で今後に対応してまいると。御趣旨はよく体します。
  97. 末松義規

    ○末松委員 まさしく膨大な話になるとあれなんですが、住民票といったのと運転免許証では全然手間が違いますので、まず利用者の便宜を考えているんだということからいけば、運転免許証とか保険証とか、そういうところから法律をこれから記載していただきたい。それが国民の便宜の観点からいけば無用な不安を与えないことだろうと思いますので、それはよろしくお願い申し上げます。  先ほど罰則のことが話題に上がりましたけれども罰則というのは、見ますと、二年以下の懲役あるいは三十万円以下の罰金という話になっていますね。これはちょっと便宜という話ではないのですが、実際にクリアにこういうルールをつくった場合に、これに敢然と違反する人がいるという話になるとまずい。  例えば、金融機関とある企業が結託して虚偽の報告、うその報告をどんどん、実際は二億円、三億円送っているにもかかわらず、二百万円だという記載ができるかもしれない。こういったときに、例えば一件につき二十万、三十万というのはちょっと軽いのではないかという感じがしますが、どうでしょうか。  そこで特に、そういう企業企業が結託して、さらにそういうのが連続して起こった場合、そうした場合、一件一件につき三十万円以下の罰金になるのか、それとも実際はそういう一連の行為を見て三十万円の罰金なのか。その辺というのはどういうふうに解釈しておりますか。
  98. 薄井信明

    薄井政府委員 今御指摘の、送金一回当たりについて言えば、一年以下の懲役または二十万円以下の罰金ということが、例えば調書の不提出それから虚偽記載があった場合にはそういう罰則がかかることになっております。  それで、大量にそういうものが出てきたときに、これでは低過ぎるのではないかという御指摘かと思います。そのあたりは、併合罪ということをどう考えるかということかと思います。  懲役刑につきましては、一年と書いてありますから、併合罪が適用になったときにはその一・五倍、一年六カ月となりますし、また罰金の方は、併合罪の数が幾つになるかで、それ掛ける二十万円ということが上限になってくるかと思います。  ただしそれが、刑法の適用の際に、一回の罪と考えるのか、一件一件について罪を犯していると考えるのかは、これは司法の判断するケース・バイ・ケースということになろうかと思います。
  99. 末松義規

    ○末松委員 司法が考える場合に、では、もともとの法律趣旨は何だったのかということで、その場合、大蔵省自身の解釈そのものは、基本的にはケース・バイ・ケースで原則はないということですか。
  100. 薄井信明

    薄井政府委員 まさに、その行為が一つの固まりとして、一回として行われているのかどうかを見るということで、逆に言うと、必ずしも一件一件にするということではないということであります。
  101. 末松義規

    ○末松委員 悪質の程度によるということなんでしょう。  次に話を変えますが、二番目の、税捕捉をする場合にどの程度実効的なものであるのかどうか、これについて論じていきたいと思います。  私は資料情報制度の限界ということを申し上げるのですけれども、実施の大蔵省自身が特に一番よくおわかりとは思いますが、この制度は本当にもろい制度であります。税捕捉といっても実際にどれだけとれるのか、本当にそこはお先が真っ暗という話だろうと思います。  送金先の国へ必要な情報を、例えば税当局から、この人について疑義がありますからこういう情報を下さいと言ったときに、相手の国が、そん な情報なんかやれない、例えばタックスヘーブンの国とか、これは香港とかパナマとかバミューダとかいろいろとあるわけですが、それらの国に金が流れ込んだら、あるいはそちらの方に向いたら、ほとんど情報がとれない。さらに、例えば厳格な情報秘密を課している国、スイスなんかですね、スイスの当局に対して、この人に関する情報を下さいと言っても、これがなかなか上がってこない。また、日本租税条約を結んでいない国、情報収集のシステムがない、そういった国、租税条約を結んでいるのは今四十四カ国かと思いますが、それ以外の国はどうやって情報をとるのということなんです。  大臣、これはどう情報をとっていこうとしているのか。大臣のお考えがございましたら、お伺いしたいと思います。
  102. 三塚博

    三塚国務大臣 極めて重要な御指摘であろうかと思います。  租税条約に基づく情報交換については、相手国との制度の違いなどもございます。しかしながら、今後とも、適切な情報交換の進め方について今より深めていかなければならないと思っておるところであります。  ただいま議員の御質疑でございまして、二国間の租税条約での情報交換も当然であり、それを大幅に超えるものでございますから、国際機関の中で、国際会議の中で、本件について、我が国の金融システムの変わりましたことを説明しながらいくことも一つでありましょうし、今後、政令に向けての作業の中で努力をしていくということになろうと思います。
  103. 薄井信明

    薄井政府委員 補足させていただきます。  租税条約の御指摘あるいは外国からの資料情報という面がございましたが、委員指摘のように、外からもらうものについては完全なものではあり得ないわけです。  この点につきましては、大臣説明しましたように、租税条約等を活用して、できるところからはより多くもらおうという努力をするわけですが、今回の資料情報制度は、日本から外国に金が送られる、あるいは外国から日本お金が戻ってくる、このときに日本銀行あるいは日本に所在する金融機関それから郵便局を経由して送金等が行われますから、そこから税務署に対して情報をいただくことにより、海外に何かがあるだろう、あるいは海外に何かをつくろうとしているんだろうという行為の端緒を見つけることができるということで、これまでにできなかったことがこれでかなりカバーできるのではないか。  それでも不十分かとは思います。所得を申告させるわけではございません。お金の流れを、金融機関というところを経由したときに金融機関からいただくということですので、直接的なものではありませんけれども、何もなかったこれまでに比べれば格段の対応が可能になると思っております。
  104. 末松義規

    ○末松委員 これによってその端緒を得られるというのは、僕もすばらしいことだと思うのですよ。ただ、その端緒が得られて、ではどうするんだ。  じゃ、例えば私がオーストラリアに何億円か送ったとして、そして端緒が得られました。それで、あなたはオーストラリアに何か何億円送ったけれども、どうなっているんですかと言われて、いや私は実は土地を買ったんです、そうなんですということを言った。もし事実じゃないと言うのだったらあなたが勝手に調べてくださいよと言われて、もしオーストラリアがそれについて重要な情報を知らせないならば、これは国税庁の人が海外までどんどん足を運んで勝手に調べてくるのですか。それはどうなんですか。
  105. 薄井信明

    薄井政府委員 国税庁が専門ですが、私の知識からすれば、外国の領域内で税務調査をし得るかどうか、これは両国間の関係に基づくかと思います。それが可能なケースもあり得る、そうでないケース、御指摘のようなケースもあり得るのかと思います。
  106. 末松義規

    ○末松委員 先ほど言ったように、タックスヘーブンの国だとか租税条約がない国だとかあるいは秘密情報がきちっと守られている国、そういう国というのは、行っても教えてくれないわけです。ということは、ほとんど海外での調査ができないということじゃないですか、それがある国以外は。ということは、これは基本的にほとんどしり抜けなのじゃないかというのが私が見るところなんです。
  107. 薄井信明

    薄井政府委員 税を担当する者とすれば委員指摘のような感覚を共通に持っておりまして、仮に外国に資産を持っている場合にはその資産情報本人が申告しなさいという制度ができるならば、それはもっと確実な課税ができるかと思います。ただし、税制なりこのような強制的な制度のもとにおいて、国と国民との関係でそれをどこまで求めるかはその国の国民の考え方なり公平感に基づくものでありまして、我が国においては、海外にある資産まで申告しろということは、この時期現在いかがかというのが現行法の制度でございます。  同様に、例えば納税者番号をつくったらいいじゃないかとかいろいろあります。それは税務当局にとっては非常にありがたいことですけれども、それによって納税者本人はプライバシーを侵されるとか、あるいはいろいろな受忍義務を負うわけですから、そこの国と個人のバランスの中でどこまで義務づけるかということを考えないといけないと思っております。  そういう意味では、御指摘のように、この制度を設けたことは、私ども、ないよりは非常にプラスになると思います。実際に、仮に調査に行けなくても、何億の金が海外に向かって動いているならば、国内の何かを調査することによって必ず端緒になると思いますし、今まではそれがなかったわけですから、これはありがたい制度になると思っております。
  108. 末松義規

    ○末松委員 ないよりあった方がいい、統計上の話なのかもしれません。  ただ、そうすると、個人である国民は、では海外に資産をやった方がいいじゃないか、海外利子を稼いだ方がいいよ、そこまで報告義務がないのだからということで、どっと行く人も多いのだろうなという話になるわけです。だから、そうすると、大蔵省として税の捕捉ということを本当にどこまで真剣に考えているのか。あるいは逆に、そうじゃなくて、税の捕捉ではない、そういった意味での捕捉をしようという態度が必要なのであるということです。  私、思うのですけれども、本当にもし国民に海外資産まで報告を求めるという話であっても、たとえそれが大蔵省が一歩踏み込んでそうなったとしても、今度考えますのは、例えばオーストラリアに土地を買ったとして、収益を生まないからこれは別に無税だよねという話になったときに、例えば個人的にこれを全部売ってしまって今度はオーストラリアで債券を買いましたというような話の場合、結局、もう財産はどこがどういうふうになっているか全くわからない、皆目わからないという話になるわけです。ただこれも、報告書は土地を買ったという報告だけをするということで足りてしまうという話です。結局、この制度というのは、何回も申し上げますけれども、実際にフォローができないということであれば、ないよりはあった方がましただ税の捕捉にはほとんど役に立ちませんねという大きな限界があるということなんです。  では、それを踏まえた上で、人的あるいは資金的あるいは体制的にどういうふうな体制を今度は、あとはインフラですか、そういうものを大蔵省はとろうとしているのか、それについてお答えいただきたい。
  109. 乾文男

    ○乾政府委員 本調書制度創設されました場合に、先ほどもお答えいたしましたけれども、税務当局におきましては、その調書をコンピューターを使いまして処理をし、またその処理結果を名寄せいたしました結果を、調査対象の選定でございますとか申告者の把握であるとかそういうことに活用してまいりたいと考えております。  そうした制度創設に伴いまして必要とされます経費につきまして、先ほどもお答えいたしましたけれども、来年度予算面で九億円の要求、人員面でも四十名程度の増員要求をお願いしているところでございます。
  110. 末松義規

    ○末松委員 そうしますと、来年はそうなんですけれども、この数年以内に大体どのぐらいのインフラが必要だと考えているのですか。大体どのぐらいのものをつくろうとしているのですか。来年はいいです。来年はそれの端緒でしょう。
  111. 乾文男

    ○乾政府委員 先ほどもお答えいたしましたけれども、今回の調書提出制度に伴いまして全く新たにシステムをつくるということではございませんで、現在既に国税庁の資料情報システムがございまして、年間一億二千万枚の法定資料、法定外資料を扱っているわけでございます。そこに数百万枚が乗っかってくるわけでございますので、今申し上げましたように、上乗せでお願いする費用が、予算でいえば九億円をお願いしたいというふうに要求しているところでございます。
  112. 末松義規

    ○末松委員 そうしますと、私、図らずも確認したわけなんですけれども、例えば国税の専門の方を海外に派遣して、何らかそういうふうな税の国際的なネットワーキングというのですか、そういうことを調査したり、そういうふうなことに人とお金を使うということは考えていないということと解してよろしいですね。
  113. 乾文男

    ○乾政府委員 本制度を離れまして海外に調査官を派遣する制度がございますけれども、これは先ほど委員も御指摘になりましたけれども相手国との関係もございまして、極めて限定的でございます。  私ども、この制度をあくまでも資料情報制度としてとらえまして、得られました結果に基づいて国内での調査対象の選定等に活用してまいりたい、主としてそういうことに活用してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  114. 末松義規

    ○末松委員 今国内での何か選定とおっしゃりましたか、そこをもうちょっと具体的に言ってくれますか。
  115. 乾文男

    ○乾政府委員 この調書が出てまいりまして、例えばある納税者の方がある年のある月に一千万円の海外送金をされているということが資料でわかるわけでございまして、そうした場合に、その方の提出されている例えば申告書から見ましてその送金をするだけの所得申告が出ているか出ていないかとか、そういった検討をさせていただくということでございます。
  116. 末松義規

    ○末松委員 そうしますと、その行った一千万についてどう使われたかどうこうという話はアウト・オブ・サイトというか、要するに関心外であるというふうに言ってよろしいのですか。
  117. 乾文男

    ○乾政府委員 先ほど主税局長からもお答えいたしましたけれども、これによりまして得られました情報を、国内における調査でございますとか無申告者の把握であるとか、そうしたことに対する端緒として活用してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  118. 末松義規

    ○末松委員 その端緒の先をもうちょっと教えてくれというのが私の質問なのですけれども。  要は、海外の資産どうのこうのについてはそれほど捕捉をする気もないですよということを全体としても言われたという位置づけでよろしいですか、大臣。
  119. 乾文男

    ○乾政府委員 海外の資産を把握することについての意図がないということではございませんで、繰り返し申し上げておりますけれども、一定の海外送金があったといたしますと、例えばその資金はどういう源泉で生じたのかということを、必要に応じまして調査をするということになろうかと思います。
  120. 末松義規

    ○末松委員 大臣、私は、この税の趣旨として、税の公平性ということが一番大きなこともあるのだろうと思うのですよ。だから海外にとにかく移転したものが、全く国内にいるものよりも税の面でも大変な優遇を受けるということをそのまま、何か関心が薄いというような形、あるいは明らかにしないという形であるというのは本当にいいのかという気がするわけです。  私は、実はもうちょっと海外のことも気にするのだろう、それに対する予算とか人員も、やはり研究ということもやってやるのだろうというふうに考えていたわけですよ。そうしたら、その予算も全然聞かれない。そんなことでいいのかなと。  実は、大臣さっき言われましたように、税の本当に国際的な会議を開いたり、あるいはネットワークのシステムだとか、あるいは将来的に可能かどうかわかりませんが国際機関、インターポールじゃないけれども、そういう感じのことまで想定して、それの第一歩、本当に端緒をやるのかと思っていたら、その端緒以外ないじゃないかということを聞くと、私自身も大丈夫かという気がしてくるわけなのです。  そういった意味で、国民に本当に、海外と国内とでは、やはり海外の方が得で国内は損だというふうに思わせると、これ以上海外流出が進んでも困るなというときに、もっともっと進みそうな気もするわけなのです。  そういった意味で、ちょっとそこで大臣のお考えを一応まとめてお聞きしたいと思います。
  121. 三塚博

    三塚国務大臣 段々の御論議は、居住者であろうと非居住者であろうと、それぞれの制度的な違いは、公正の原理に基づいて国際的に取り決められておることは御案内のとおりであります。引き続き、租税条約に基づく情報交換には精力的に取り組んでいかなければなりません。  そういう中で、公正を期するということで何が必要なのかということが当然にじみ出てくるわけでございますから、こっちが得してこっちは損したということでは公正、グローバルではない、こういうことになります。グローバルの中にも、主権国家それぞれの考え方でそれぞれの法律を持っておるようでありますが、少なくとも主要国、先進国はそういう点において公正、グローバル、フェアでなければならぬ、こういうことであろうかと思いますので、さらなる努力をし、情報交換を実施し、成果を上げなければならぬ。  今日ただいまの段階で、スタートに当たり、精いっぱいの整備をし、公正という観点で、フェアという観点で、また国際性という観点整合性をとって取り組んでおる。税はまさに公正でなければなりませんから、その点に御理解をいただきたいと思います。
  122. 末松義規

    ○末松委員 ことしはそれほどその色は出ていませんけれども、これからそういうふうに取り組んでいかれるのだろう、公正ということについても、そういう走り出すことを視野に入れておられるという大臣の今御論議だということで解させていただきます。  ただ、そういった意味であれば、本当に費用対効果という意味も考えなければいけません。このシステムが非常に国際的に難しいのは、私自身もよくわかっております。とにかく幾ら努力しても、結局は相手国のあることですから、限界があるわけですから、幾ら金をふやしても、人をふやしてもそれはできない、できないことはできない。確かにできないのです。そうすることであれば、これを理由に余りに過度な体制の強化ということもやることは妥当ではなくて、この目的に沿った形で、必要最小限度のそういった体制をこれから組んでいくということが適当であろうと思います。  時間がなくなりましたので、あと最後に、租税特別措置法に関する本人確認のことで一点だけ質問させていただきます。  これにつきまして、経緯なんかはよくわかるのですが、これは市場の円滑化とか、あるいはグローバルスタンダードの観点から、本当に問題があるのかないのか、そこについてお答えをいただきたいと思います。
  123. 薄井信明

    薄井政府委員 グローバルスタンダードの観点からどうかという御質問でございました。  ユーロ債の利子につきましては、非居住者に対しては非課税であるけれども居住者に対しては当然課税とするのが、制度としてのグローバルスタンダードであるというふうにされております。 諸外国におきましても、一定の手続とか罰則等による適正課税担保のための措置がとられておりまして、それは国々によって、国内のいろいろなシステムとの関係で差はありますけれども、それぞれに対応をしているということで、私どもの今回の仕組みはそれなりのバランスがとれていると思っております。  なお、お許しを得てもう一つ申し上げたいのは、先ほど、私、国外送金等調書提出期限につきまして、翌月末日と申しました。これは正しかったのですが、いわゆる支払い調書、一般の支払い調書が翌月十日であるというようなことを申し上げました。これは間違いでございまして、源泉徴収の納付の期限が翌月十日であるということでしたので、これは謹んで訂正させていただきます。  なお、個々に支払い調書を出すケースにつきましては現行法制上も翌月末日となっておりまして、名寄せのない場合ですけれども、これとリンクした形で今回措置させていただいたということで、問題はないと考えております。
  124. 末松義規

    ○末松委員 ちょっと技術的な話を聞いて、大臣に申しわけなかったのですけれども、そういった意味で、これから国際化ということで、本当に大臣のおっしゃられた公正ということも視野に入れられてやっていただきたいと思うのです。  最近、国際経済情勢が非常に厳しい状況でございます。株価の暴落とか、そういった話があるのですけれども、ちょっと最後に大臣の現状の認識と我が国を取り巻く実情、特に私なんかが思うのは、銀行が今海外でも不良債権を抱えていて、国内でも不良債権を抱えているというような、そういうふうな非常に厳しい状況だと思うのですが、最後に、この経済状況、それからその背景とかその辺について、大臣の御認識を披露していただければありがたいと思います。
  125. 三塚博

    三塚国務大臣 日本の経済、今日それぞれの研究されておる方々、アナリストの皆さん、会社経営者の皆さん、また消費者団体の皆さん方、もちろん国民代表である国会、各党がそれぞれの情勢分析の中で御議論がございます。  政府という立場からいえば、御案内のとおり緩やかな足取りでありますと。消費税、大体半年もたちますればというのは、四−六を過ぎれば反動減が正常な状態に戻るであろうというのが尾を引きずっておりますことは事実でございます。  そういう中にありまして、全力を尽くして活力を経済に与えるという近道は規制撤廃、規制緩和であり、遅々として進まないのではいかぬものですから、これに全力を尽くしておるところ、前倒しをやりながら活力を与える、こういうことであり、財政構造改革はデフレ的要素があって、今それに取り組むことはマイナスの要素ではないかという御指摘、御指摘は御指摘として受けとめつつも、体力のあるうちに財政構造改革を断行してまいりませんと、累積赤字利払いで旧国鉄の断末魔の六十一年になるのではないかという共通の認識も実はあるわけであります。  ファンダメンタルズ、経済の基礎的条件ということで見てまいりますと、やはりその基本的な要素は財政収支。健全財政化いかがか、こういうことであり、もちろん成長率、経済の動向もあります。先進各国がこの二つの選択の中で、ヨーロッパのマーストリヒト条約批准は、やはりその時点でありましても財政健全化が極めて重要な要素、こういう選択の中で、こちらの経済動向については、ビジネスチャンスの拡大ということで全力を尽くしていかなければならないのではないか。判断は二分極の状況にありますけれども、こちらの弱い立場、全力を尽くしているところについては、さらなる措置は何が必要なのか。財政出動は抑えられて、基本どおり歳出カットはやらなければなりません。  よって、政府金融機関貸し渋りの問題が叫ばれる時期でありますから、政府金融機関に精いっぱいの努力をせしめるべく、それなりの金融措置をとっていくことにより年末に備えていくことが極めて重要な課題なのかなとも思っておるわけで、全体を辛抱強く進めることによりまして展望が開ける基盤ができていくであろう。全体の経済は、ファンダメンタルズは決して悪くないという共通認識の中で、なおかつ慎重に分析をしながら全力を尽くすということであります。
  126. 末松義規

    ○末松委員 どうもありがとうございました。終わります。
  127. 村上誠一郎

    ○村上委員長 次に、佐々木陸海君。
  128. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 日本共産党の佐々木陸海でございます。  議題になっております二つの法案について、少し質問をさせていただきます。  まず、国外送金調書等の提出義務を二百万円超の金額にする問題についてですが、前の国会でも、外為法改正が施行されるということに伴っていろんなことが起こり得るわけで、主税局長もそのときの答弁の中で、租税回避行為、脱税に使われないようにきちっとしないといけない、そしてそれがせっかく自由化したのに煩わしいということにならないようにすることも大事だ、二つの点を申し述べられておりますけれども、そういう観点からこの法案提出するということになったと思うのです。  国境を超える資金の移動、それから資金調達、運用が欧米並みに自由化国際化されることに伴う租税回避行為の増大というものが懸念されてのことなんですけれども、その租税回避行為というのはどんなものが想定されているのか、もう少し具体的に説明していただけませんか。
  129. 薄井信明

    薄井政府委員 そういうことが起こらない方が望ましいのですが、懸念される租税回避行為として幾つか例示をさせていただきますと、国境を超えて資金移動が完全に自由化になるということになりますと、例えば簿外の資産を海外に移転することが容易になるのではないかと思います。これまでは外為法の世界でどういう資金であるかということがきちっと把握された上でないと送金等々ができなかったことが、今度はそこがなくなるわけですから、簿外資産を海外に移すといったような行為が容易になるのではないかというのが第一点です。  それから、海外預金口座の開設が円建てで結構ですということになります。これは非常に使い勝手がよくなり、国民生活にとってプラスなんですが、この海外預金口座を通じて、海外で預金利子等の資産運用収益を得ることになろうかと思います。そういうケースがふえるかと思います。その場合に、日本の国民、居住者であれば、本来は日本の全世界所得について課税するわけですが、向こうで発生した所得について適正な申告がされなくなるケースが出てくるのではないかという懸念があります。これが二つ目のケースです。今でも海外預金口座というのは開設できますが、現在は一定の金額以下で、しかも外貨資金ということですから、これが取っ払われることによってより可能性はふえるのではないか、これが二つ目です。  それから三つ目には、クロスボーダーの取引を利用した、非常に考えた複雑な租税回避、例えば海外への売り上げの除外とか架空経費の計上などを行うことが今より易しくなるのではないか。そういったことが行われないように望むわけですけれども、その懸念があるということです。
  130. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 そういうことをきちんと押さえていくことは大変大事なことだと思うのですけれども、それを二百万というところで線を引く。したがって、二百万円以下の場合には送金も受領も把握できない。だから、例えば二百万円以下に分散してそういう不正が行われている場合には、それは把握ができなくてもしようがない、端的に言えばそういうことになるということでしょうか。
  131. 薄井信明

    薄井政府委員 課税を適正に実現していくということからすれば、金額制限を設けないというアプローチはあるのだと思いますが、しかし、それは、せっかく金融を自由化する、為替を自由化するということの趣旨に反することになろうかと思います。  と申しますのは、日本の場合ですと、お子さん が海外に留学しているとか、いろいろなケース海外に進出している方がいます。そういった息子さんとか親戚に対する送金等の小口のものが非常に多いわけでございまして、そういうものまで、もしかすると分散しているかもしれない、本当は大きいのだけれども百九十万円に全部してあるかもしれないという疑いから全部対象にしてしまうということは、これは国民的な、あるいは金融機関なり私どもの税務官署の方のコストが大き過ぎるということを考えますと、どこかで線を切らないといけないと思ったわけです。  その際に幾らがいいのかということについてはいろいろな考え方があろうと思いますが、初めてこの制度をつくるということ、それから日本の場合に、国内的にも口座情報というものを税務官署は持っていないといったようないろいろな制約のもとで、かつ金融機関のコストということを考えますと、二百万円が妥当であると考えた次第でございますが、これがどう動いていくか、ここは注視してまいりたいと思っております。
  132. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 これはいろいろこれまでも出ている問題ですけれども、前の国会では、薄井局長は何度も繰り返して百万ということを、考え方を述べておられるわけですね。そしてその百万というのが全然根拠のない数字かというと、それなりに根拠がある数字として言われているわけですよね、アメリカの一万ドルとかあるいはフランスの額とかいうものも引きながら。  例えば五月八日の参議院の大蔵委員会では、「先輩国であるアメリカにおいて、アメリカはその面では一番厳しい国です、その国でも一万ドルという線を引いておるということは、私どもからすれば、そこまでやっておけばそう問題はないということでやっているんだろうということでそれなりに理屈はあると思っております。むしろ、金融機関の方はもっと上に上げてくれということを言ってきておりますけれども、私どもは百万円がいいんではないかという主張を今している次第でございます。」というふうにかなり根拠も持って、自信も持って言っておられたわけですよね。  私は余りグローバルスタンダードという言葉は好きではありませんけれどもアメリカフランスと照らし合わせてみてもこのくらいが妥当だということを言っておる。これはそれなりに、言葉は嫌いですけれども、筋が通っていたはずなんです。それが倍の二百万円になってしまったという経緯は、企業の負担とかなんとかということをさっき言われて、それはそうなんでしょうけれども、わかったようで余りよくわからないのです。金融機関の方はもっと上に上げてくれと。しかし、率直に言いますと、金融機関の方はグローバルスタンダードということを盛んに言って自分に都合のいいことを要求しているわけでありまして、この問題では、やはり大蔵省が頑張るべきだったのではないかと思うのですが、いかがですか。
  133. 薄井信明

    薄井政府委員 確かに私は、この春何度も百万円にしたいということを申し上げました。当時の率直な気持ちを御答弁申し上げたわけでございます。  その後といいますか、並行して金融機関の実務等々を勉強し、ヒアリングをし、その中でたどり着きましたのは、我が国で百万円で始めるということには無理があるということで今回二百万円を考えたわけでございまして、先ほど申し上げましたように、かなり少額の送金が日本の場合あるという心証を私ども持っております。  まずは、このシステムをスムーズに動かしていくということで、二百万円という数字が高いか低いかということは議論は残るかと思いますが、金融機関にしてみれば、こんな二百万円というのはきつ過ぎるではないかという強い意向を持っておりましたが、私どもとしましては、この二百万円はぜひとも守るべきだということで貫いたわけでございます。     〔委員長退席、坂井委員長代理着席〕
  134. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 薄井局長は前の国会で、百万円以下に分けて送金されたらどうなるかという問題について、これは割り切りだと思っていると。そして、「ただ、そういうことが一般的に行われるということであるならば、百万円という金額を下げていくということで対応せざるを得なくなる」ということを言っているのですが、この百万を二百万に置きかえれば今も同じ態度でございますか。
  135. 薄井信明

    薄井政府委員 こういう限度額を設ける以上、どこかで、悪い意味ではなくていい意味で割り切らないと決まらないと思っております。決めた以上、本当に悪意を持って細分化する人は、これは皆無とは言えないと思います。  しかし、一般的にかなりの頻度でそういうものが機械が発達したからできるということになって、もう全くしり抜けになってしまうというようなことであれば、これは考え直さないといけないと思います。細分化することは非常にコストがかかることだと思いますので、この金額を低くすることで阻止できるという事態が、いずれも仮定の問題ですけれども、生ずればそれは対応していく。そういう意味で、春に、百万円のときに御答弁したことと同じ気持ちでおります。
  136. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 そうすると、二百万円というふうに固定してしまうつもりはなくて、実態を見て変えていくこともあり得るということですか。
  137. 薄井信明

    薄井政府委員 それは世の中に対して余りに不安定だと思います。私は、今二百万円が適当だと思っております。しかし、実情を注視し、問題があるとなれば、そこは当然に金額を引き下げていくという可能性はあるのだというふうに考えているということでございます。
  138. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 しかし、二百万というふうに線を引いてしまえば、二百万以下に細分していろいろな悪いことが行われているというようなことは簡単にはつかめなくなるわけでしょう。ですから、一たんそこで線を引いたけれども、それ以下のところで大分悪いことがやられておるから変えなければいかぬなんというふうに実態がつかめなくなってしまうんじゃないですか、実際上は。
  139. 薄井信明

    薄井政府委員 確かに、そういうアプローチをすれば、おっしゃるとおりの面があろうかと思います。反論はいたしませんけれども、仮に百万円にしたところで、それは同じであるのだと思います。  そういう意味で、スタートに当たって、金融機関の実務なり、それから送金の現在の規模なりを見たときに、二百万円が適切であると考えた次第でございます。
  140. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 二百万円を超える海外への送金や受領という点で、個人より当然法人が多くなると思いますが、それはどうでしょうか。
  141. 薄井信明

    薄井政府委員 先ほど申し上げましたように、少額のものは個人が圧倒的に多いのかと思います。ただし、額の大きいものは法人が多いということだと思います。
  142. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 二百万円を超える送金や受領は、圧倒的に法人になるというふうにごらんになっているのでしょう。違いますか。
  143. 薄井信明

    薄井政府委員 いずれもこれからということでして、この種のデータがないので推測になりますが、百万円より二百万円になった方が法人の調書がふえるというのは、御指摘のとおりだと思います。
  144. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 いずれにしても、百万円という線を引いて答弁をされていた。そして金融機関などがもっと上にしてくれというのに、まあ百万にしようと言っていたということまで答弁しておりながら二百万にした。  そして、この二百万円超で決着という問題についても、当時の九月十七日の新聞などでは、「大蔵省は当初、百万円以上の全取引を報告対象とする考えだった。しかし、金融機関側が手間が煩雑になると反発し、自民党内でも過度の負担は日本ビッグバンの障害になると見直しを求める意見があった。」というようなことが報道されていて、金融機関と金融機関をスポンサーとする自民党の皆さんの圧力でこういうふうになったというふうにこの問題はみなさざるを得ない。  そういう点では、私たち、百万にすればすべていいということを言うつもりはありませんけれども、大蔵省がやはり合理的な基準として考えていて、しかもアメリカども大体その金額でやっているということまで言っていたのが倍になってしまったという問題については、率直に言って批判をせざるを得ないということをはっきりさせておきたいと思います。  それから、次の問題ですが、これは先ほど議論もありましたので、もう詳しくお聞きしなくてもいいと思うのですけれども、非居住者の確認制度の問題です。  先ほどの説明によりますと、なかなか難しいのですが、非居住者確認の方法は二つあって、一つは、非居住者等外国法人が非課税適用申告書を提出する、これが基本であり、原則だというふうに主税局長は言われましたが、同時に、その例外として、利子支払い者が金融機関等から通知された利子受領者情報に基づく利子受領者確認書を提出するという、これは法律的には例外であるけれども現実的にはこちらの方が圧倒的に今のユーロ市場等々の状況からいっても多いのだということでよろしいですね。
  145. 薄井信明

    薄井政府委員 法律の構成上、原則、例外というのはあるいは間違っているのかもしれませんが、基本的な姿として、おっしゃるように、非課税適用申告書を基本に置いて、その例外規定としての法律上の位置づけで利子受領者情報によるユーロ市場に適合するような手法があるということで、多分ユーロ市場においてはこの例外の方が一般的になると思っております。
  146. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 その場合に、利子受領者情報の内容というものは、個々の投資家について非居住者かどうかを明らかにしたものではなくて、利子支払い者の中に非居住者が存在する場合にはその割合を金額ベースで示すものが出てくるにすぎないわけでありまして、先ほどの話でもありましたけれども、仲介をするいろんな中間のところで、故意かあるいは錯誤かというようなことで、居住者がいてもそれがいなかったように報告をされるということが起こり得るし、それは、結局、金融機関等の良識に頼る以外には実効性は確認できないということも、実態としてそういうことだということで確認しておいてよろしいのですね。
  147. 薄井信明

    薄井政府委員 というよりは、ユーロ市場というものが厳然と存在し歴史を重ねてきているということは、それはプロの社会として、経済体として、フェアの概念、観念を十分持ってやらなければ、これは立ち行かないわけでございます。  仮にということで、その中におかしな人がいるとすれば、それは御指摘のようなことになろうかと思いますが、国際市場の中でこのような制度をつくろうとするとこの種のものになってくるということでございまして、裏返して言うと、それでは何にもない方がいいかといったらそれはなお悪いわけでして、私ども、多分これで十分と思いますけれども、あるいはおっしゃるような面が出てくるかもしれませんけれども、これでやらせていただきたいと思っております。
  148. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 ついでに、関連してちょっと聞いておきたいのですが、日本証券業協会などは、非課税制度を恒久措置にしてくれというふうに要望しているように聞いております。恒久措置化について大蔵省はどう考えているのか。  また、証券界からは、発行地の内外を問わず非居住者の受ける内国法人発行の債券利子について非課税にせよという主張も出ておるように聞いておりますけれども、これについては大蔵省、どんなふうに考えておられるか。
  149. 薄井信明

    薄井政府委員 我が国の税法上、非居住者あるいは外国法人が内国法人の発行する債券の利子を受け取るという場合には、国内源泉所得として課税するのを原則としております。御指摘のとおりなのです。しかしながら、日本の内国法人が資金調達の多様化を図る観点から、特例としてユーロ市場等で資金を導入する、こういうことにつきましては、他国並みに非課税措置を講ずることが適切と判断しているわけでございます。  関係業界の中にこれを恒久措置にしてほしいという要望があるという御指摘ですが、私どもとすれば、これは政策的に、例外的に非課税措置を講じているのであって、現在は二年ごとですけれども、二年たったときにこれを継続すべきものならば継続すればいいと考えますし、また、先ほどお話ありましたような事態は起こらないと思いますけれどもユーロ市場が問題ある市場であるならば、それは期限が来たときにとめてしまうこともあり得る。今とめるつもりは毛頭ありませんけれども。そういう意味で、租税特別措置というこの措置の性格上、期限を置いておき、期限が来たときに見直すというシステムが一番適切であろうかと思っております。  それから、外国の資金については、どこから発生しようが非課税にしていいではないかというのは、それはその方面の方にとってみればそれが一番いいに決まっておりますけれども、私ども国内においてそれぞれが租税負担をしているわけですから、そことのバランスを考えたときに、現行の仕組みが適切であると私どもは考えております。
  150. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 私たちは、前国会で外為法改正というのですか、自由化の問題については賛成をいたしませんでした。したがって、そのことを前提にする今度の法案についても態度は複雑でございますけれども、あの改正外為法が施行される以上やはり最小限の措置は必要なわけで、この問題についても、先ほどの二百万円というような問題についてはいろいろと疑念を持っておりますけれども、賛成をせざるを得ないかなというふうに考えているところです。  今お聞きした公社債利子課税のあり方の問題を含めまして、金融ビッグバンと言われるものが進められるもとで、先ほども言いましたが、税のグローバルスタンダード化ということが盛んに言われております。  例えば、経団連は、昨年の九月十七日付で出しました「税制改正に関する提言」というものの中で、「税制の国際的な整合性に留意し、特に企業の税負担のイコールフッティングを実現しなければならない。」というふうに言っております。来年度税制改正の中では、有取税の取り扱いが焦点の一つとなっておりますけれども、財界や証券業界からは、この有取税についても国際的整合性を理由に廃止をせよということが主張をされております。  例えば、これは日経新聞に載りました広告ですが、日本証券業協会「”有価証券取引税”撤廃は、グローバルな常識です」というふうに大きく書いてありまして、これは「投資行動に悪影響を与えております。」それから「「有価証券取引税」に類する税は、諸外国にはほとんど存在しません。」というようなことを強調しているわけです。  これに対しては、幸いなことに、薄井主税局長自身がさきの国会でも反論をしてくださっているわけでありまして、例えば五月十五日の参議院の大蔵委員会で「誤解がかなり流布していたと思われますのは、有取税は日本にしかないということでございますが、これはそういうことではなくて、英国にも有取税という名前ではありません、印紙税の形をとっておりますし、税率だとか課税対象は違いますけれども、株式の譲渡取引に関連して課税されているものがありますし、他国においても見られる。」というふうに反論をし、また、「株価との関係でよく有取税の議論がされるわけですが、株価との関係では私ども有取税についてどうするということを考える必要はないと思っております」というようなことを、これは五月十三日のこれも参議院ですが、答弁をしておられます。  まさに主税局長の反論どおり、証券業界などの有取税撤廃要求は正当性のないものだというふうに私は思いますけれども、いかがでしょうか。
  151. 薄井信明

    薄井政府委員 この春の私の答弁が引用されましたが、日々の株価の上下と有取税の存在ということはそれほど有意な関係はないという意味で、頭の中にはそういうものがあって御答弁申し上げたことを記憶しております。  ただ、金融システム改革というものが進んでいく中で、証券税制をどうするかということについてはこの年末までに考えていかなければいけないということを、大蔵委員会でも申し上げたと思いますが、予算委員会等々でも私は触れておりまして、例えば、有価証券取引税もそうですが、株の譲渡益課税をどうするかといったことを含めて、金融システム改革が来年四月以降本格的に進んでいく中でどうあるべきかというのは、現在、政府税調のもとに金融小委員会をつくって議論をしていただいております。
  152. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 これは、その政府税調の論議の報道ですが、十一月一日付の日経ですね。ここでは、政府税制調査会の金融課税委員会の本間小委員長が十月三十一日に、「有取税存続の是非について激論があったが、撤廃かゼロ税率というシナリオになろうかと思う」ということをかなり断定的に述べておられるし、それから株式譲渡益の問題にも触れて、「有取税の軽減・撤廃とのセットで議論対象となっている株式譲渡益(キャピタルゲイン)課税の扱いについては「所得税体系から議論を進め、有取税とは切り離して扱うべきだ」との認識で一致した。」ということも言っておられるわけで、そういうふうに報道されているのですね。  OECDでは税のダンピング競争に歯どめをかけるための検討も進められているというふうに言われておりますし、先ほどこれは議論も出ました。まさに有取税のような税制日本だけではなくて各国にもあるということを薄井さん言っておられるわけで、そういうものを廃止せよという要求は、その意味では税のダンピングそのものでありまして、そんな方向に進むべきではないというふうに私は思いますが、これは大蔵大臣、いかがでしょうか。
  153. 三塚博

    三塚国務大臣 税は財政の根幹、政治のまた原点でもあります。それぞれがそれぞれの論議をされるということは、政府の立場からいくと、静かに注目しながら最大の関心を持って見詰めていく、こういうことであろうと思っております。  そういう中で、委員からは有取税を基本質問があり、主税局長からも答弁がございました。御案内のとおり、財政出動によって財源を得て行うということは、財革法の基本的な理念からいいまして難しいこと、私はいつも申し上げておるのでありますが、そう申し上げております。  そういう中で、党税調、三党の税制に対する論議、特に政府税調が既にこれまたスタートを切っておりますから、その論議を注意深く、また関心を持って見詰めながら、最終的な取りまとめというのは、毎年のことでありますが十二月の半ばと言われておるわけでございまして、そこを見詰めていくと言う以外に言いようがございません。  財政構造改革基本方針にのっとり、今後に対応していくというのが締めくくりの言葉であります。
  154. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 財政上の問題からも、あるいは税のダンピング競争をすべきでないというのも、ある意味ではグローバルスタンダードになりつつあるということでもあるわけですから、有取税はそういう立場からも廃止すべきでないということをはっきりと申し上げておきたいと思います。  税の国際的整合性というのですか、グローバルスタンダード論の問題は、有取税だけにはとどまらないわけであります。先ほど挙げた経団連の税制改正提言では、「負担の公平を図るためには、個人ならびに法人の所得に対する直接税に偏った税体系を是正する必要がある。基本方向として、消費に対する課税の比重を高めつつ、個人ならびに法人に対する所得課税の軽減を図っていくべきである。」これも、国際的な整合性というような観点から主張して、法人税減税や所得税最高税率の引き下げを求めているわけであります。これは経団連の主張なのですけれども、このような主張は、認識は大蔵大臣も大体一致しているのじゃありませんか。  といいますのは、大蔵大臣、これは、私ここに議事録を持ってきておりますけれども、ことしの五月二十八日の行政改革に関する特別委員会での発言ですが、石田幸四郎委員質問に対する答弁の中で、「真にグローバルスタンダードの税体系になりますように取り組んでいかなければならぬ、その研究、検討に入っておるところであります。」ということを言った中で、「国境を越える資金移動が急速に活発になる中の課税の適正、公平の確保という問題があります。また、税制全体における、金融・資本取引にかかわる税負担と労働や消費に対する税負担のバランス、そして公共サービスの財源という税の本質などの観点から検討が必要であろうと思います。」というふうに言っておられるのですが、これは結局、金融・資本取引にかかわる税負担というのは軽くして、労働や消費に対する税負担というものを重くしていく方向しかないのじゃないかという発言じゃないかと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
  155. 三塚博

    三塚国務大臣 税の根幹は、所得、消費、資産をしっかりと見詰め、バランスをとる、この言葉に尽きますし、そしてまた課税の方針は、公平、中立、簡素というこれを大事にして取り組んでまいる、これに尽きると思います。
  156. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 大臣、余り明確にはお答えにならないのですけれども、外為審の法制特別部会長を務めた大場智満氏、ことし四月二十八日の「金融財政事情」というものの中でこういうように言っているのですね。「もしニューヨークやロンドンでとられている税制がインターナショナル・スタンダードであるならば、それを輸入するしかない。そのシステムが良い、悪いという問題ではない」と言い、「日本の直接税偏重というのは、残念ながらインターナショナル・スタンダードではないようだ。少なくとも消費税のウエートを高めて、法人税所得税の減税をしないと、競争上の点からは不利といわざるをえない」ということをあからさまに、これは外為審の部会長だった方ですけれども、述べています。  大蔵大臣の言うグローバルスタンダードの税体系というものは、結局この方の言っているような方向になってしまうのじゃないかということを危惧するのですが、大丈夫でしょうか。
  157. 三塚博

    三塚国務大臣 大場さんは大場さんの議論でありまして、それはお聞きをしておくということでございます。  財政構造改革の基本的な理念を体して、基本に原則でまいらなければならないということからいいますと、法人税率の引き下げをグローバルスタンダードにということは、経団連を初め意見が出ております。よって、本件に対応するという方針は課税ベースの拡大、適正にこれに対応することによりまして、よく中立という言葉がございますが、この基本を踏まえて取り組むということにほかなりません。     〔坂井委員長代理退席、委員長着席〕
  158. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 主税局の谷口和繁国際租税課長が「ファイナンス」のことしの六月号に論文を寄せております。個人的な見解とは断っておりますけれども、この「「足の速い経済活動(例えば金融サービス)」から「足の遅い経済活動一例えば労働、消費)」に対して相対的な税負担の移動が生じる。このような状況が起きるのは、税の国際格差を主な理由にして活動拠点を移動できる、すなわち可動性の高い活動に限られる。可動性の高い活動に十分な課税ができないならば、可動性の低い活動に重課せざるを得なくなる」ということを述べて、可動性の低いものとして労働と消費を挙げております。そして、「結果として可動性の低い活動への負担が更に高まり、ますます不公平が拡大することになってしまう。税を下げたからといって市場が活性化する保証はないが、税を下げれば、負担の歪みは直ちに生じてくる。国際競争力のために税を見直すという議論の中で忘れてはならない論点」だということを述べているわけですが、この辺は大変大事な点だろうと私は強調せざるを得ないと思うのです。  大蔵大臣、最後にお聞きしますけれども、税のグローバルスタンダードというようなことを単純 に振り回すのではなくて、労働と消費に重い負担がかかるような負担のゆがみを回避する方向で力を尽くすべきじゃないかということを申し上げて、大蔵大臣の見解をお伺いしたいと思うのです。
  159. 三塚博

    三塚国務大臣 それぞれが主権国家でございます。しかし、国際社会はまさに御案内のような状況にございます。金融、経済といえども横の連携を密にしていくことなくして前進はないことはもちろんでございます。  しかし、財政構造改革に今全力を尽くしておるところであり、ファンダメンタルズの要素が、人によって数え方が違うのでありますが、五原則のような形になっております。そういう中で財政構造改革を行い、赤字依存の体質から健全財政へということになります。  既に、ヨーロッパ先進諸国、また合衆国、カナダ等はその目標に向かって、米国とカナダは目標を達成しつつあるわけでございまして、短期間の中に、ヨーロッパ先進国は全力を挙げて九九年三%を達成しようということであり、我が国は、遅まきながら、もう待ったなしのスタートを切らさせていただき、六年後三%を目指す、こういうことに相なっておるのでありますから、おのずと運営、取り進め方に違いがあってやむを得ないことであるし、国家とすれば当然のことであろうかなと思います。
  160. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 いずれにしても、先ほどの百万と二百万の話ではありませんけれども、金融界あるいはそういったところの要求に応じたグローバルスタンダード論というような方向に安易に走るのではなくて、やはり国民を中心にした税制のあり方をしっかり考えていくべきだということを最後に強調して、質問を終わります。
  161. 村上誠一郎

    ○村上委員長 次に、吉田公一君。
  162. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 この二法案について、三時間四十分の後ですから、なかなか、質問しようと思ったものを全部先に言われちゃう。したがって、少しこじつけ関連質問になりますが、それしかもう残っていないんだから、質問をさせていただきたい、そう思っております。  地下銀行と通称言われておりますが、最近こうやって外為法改正やら外国金等の問題の法律案が出ているわけですけれども、地下銀行というのは、全体を把握しているわけではないので、これは大蔵省としても重大な関心を持って対処していってもらわなきゃ困ることだ、こう思うんですね。その一方、事件として警察庁の方でも捜査をされて、事例等も出ているようでありますが、要するに、免許銀行については大蔵省の銀行局の所管だということですが、それ以外については銀行法違反の行為が行われているわけで、あるいは外為法違反の行為が行われているわけで、今の二百万円の話もこの中に含まれるわけですが、そういう点で、大蔵省としての見解があればお聞かせをいただきたい、そう思うんです。
  163. 山口公生

    山口政府委員 お答え申し上げます。  いわゆる地下銀行と申し上げますのは、銀行法上の免許を得ないで銀行業務、例えば為替業務を営む者を指すというふうに理解しております。したがいまして、これは御指摘のとおり、銀行法の無免許営業罪に該当するわけでございます。したがいまして、この地下銀行というもの自体が銀行法上の銀行でございませんので、私どもが常時監督するというものではございません。もしそういうものがありますと、捜査当局の方で、犯罪捜査の一環として調べるということでございます。  ただ、大蔵省としましても、仮に銀行あるいはその銀行の支店とか駐在員事務所とか、そういうところが意図的にそういったものに関与しているというような場合には、大蔵省としても、必要に応じて、その金融機関から報告を求めたり違法行為がないかどうか明らかにして、もしそういった場合には、関係法令に基づいて適切に対処するという姿勢でまいりたいと思っております。
  164. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 次に、警察庁にお伺いしたいんですけれども、今まで摘発をして、そうした事例だとか内容だとか等、捜査に支障のない限り教えていただきたい、そう思うんです。
  165. 柴田健

    ○柴田説明員 外国人の送金に係るいわゆる地下銀行についての銀行法違反でございますが、本年に入りまして五件検挙いたしているところでございます。  うち三件は中国に送金していたものでございまして、それぞれ送金総額は、約百二十六億円、約三百五十六億円、約二十億円でございます。一件は韓国に送金しておったものでございまして、その送金総額は約百億円でございます。残りの一件でございますが、これはネパールに送金しておりました事件でございまして、送金総額は約五億三千万円、このようになっております。
  166. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 今報告を聞いただけでも、二百万円なんて話じゃないんで、相当な金額になるわけですね。したがって、これだけの金額を、免許銀行でなくて、つまり不法銀行のようなのが国外へ送金をしている。恐らく不法滞在の者が所得を得たものを送金をしているんではないかと想像するんですけれども、そういう面では今後、日本という国はどうもそういうことに甘いというような印象に受け取られないように、厳しくきちっとした方がいいんではないかということをまず申し上げておきたいと思います。  それから次に、よく最近、平成不況と言われて景気が悪い、こう言っている反面、貿易収支は非常に黒字だ。資料をいただいたのでありますが、一兆一千億だとか一兆円だとか一兆三千億とか六千七百億なんということもありますが、おおむね貿易収支は黒字で引き続き堅持しているわけです。この貿易黒字と、要するに貿易黒字というのはもうかっていることだ、だけれども何で日本の景気が、日本の生産したものが外国へ行って売って黒字になっているのに、日本の景気に全然影響がないのか、その点が非常に不思議な現象なんですね。  これは、実は私だけではなくてかなりの人が疑問に思っているわけです。数字だけは貿易収支の黒字だ、こう言うんだけれども、実態がよくわからない。そういう点について、我が国の経済状況とどう関連をしているのか、おわかりいただけたら御説明いただきたい、そう思っている。前に私、経済企画庁に聞いたことがあるんですよ。だけれども、よくわかったような説明はなかったな。だから、ぜひその点についても教えていただきたい。
  167. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 御指摘のように、貿易収支は黒字を続けております。貿易収支の黒字は、いわば外需と申しますけれども、GDPの中の一項目でございます。GDPの中で最も大きいのは消費でございます。消費が大体六割ぐらいございます。それから続きまして設備投資、これが一五%から二〇%ぐらいございます。そのほか住宅投資、政府支出等々あるわけでございます。その需要項目を見ますと、確かに最近は貿易収支の黒字によりまして、GDPの成長を黒字が支える要因になっております。しかし、そのウエートは全体から見ますとそう大きくないということでございます。  ほかの要因を見ますと、最も大きいのは消費でございますけれども、消費は、四月一日からの消費税の引き上げ前の駆け込み需要、その後の反動減が続いておりまして、やや消費の動向に低迷感がございます。  それから設備投資につきましては、いろんなアンケート調査等を見ますと、九年度は前年度に比しましてプラスになると言われておりまして、これはある程度の伸びが確保できるわけでございますけれども、消費がやや低迷しているということで、景況感にやや明るさが欠けておるというのが現状であろうかと思います。
  168. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 私どももよく勉強してまた聞かなきゃ何だかよくわからないので、もう一回また勉強して聞き直したい、こう思っておりますが、簡単な話が、約十年間で十兆円も黒字になっているはずなのだけれども、どうも日本の経済に余り影響がないような気がするのですね。そこが私は不思議でしょうがない、そう思っているところであります。  それから、今度の内国税の適正な課税確保を図るための国外送金等法律案の一番大事な重要なポイントは、さっきから話が出ている二百万円の話だと思うのですね。この二百万円は、先ほどの質問にもありましたが、百万円の方が被害額が少ないのじゃないかと思うのですね、二百万円よりかは。例えば百九十九万五千円というのは別に届け出なくてもいいのだ、そうすると九十九万五千円の方が被害額が少なくて済むのではないか、こう単純に思うのだけれども、例えばごまかせるのならですよ。その点は、わざとごまかせる額をふやしてしまったということはどういうことですか。
  169. 薄井信明

    薄井政府委員 どこで線を引いたときに一番いいかということでございまして、そのときに、私ども課税当局の立場、また委員が今御指摘なさったように、ごまかされないようにするには低いほどいいのだと思います。そのとおりだと思います。  しかし、そうなりますと、例として申し上げると、例えば息子さんがアメリカに留学している、そこに送金をするといった小口の送金の件数が極めて多数あります。これはほとんどが悪質なものでないと私ども思っております。そういう小口のものまで全部ここで報告を出させる、調書を出させるということは、金融機関にとってみれば非常にコストのかかる話です。あるいは、為替の自由化ということは、海外に円口座を持ちましょうということであって、私どもも総合的にはそれはいい方向だと思っております。それを押し殺してしまうことになりかねません。  その二つのことのバランスをどこでとるかということで、絶対にここだというのは私もわかりませんが、外国では百万円という例があった。我が国の金融機関の実情なり、先ほど申し上げました、きちっと課税するにはなるべく低い方がいいということを総合勘案しますと、二百万円という数字が出てきたということでございます。
  170. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 二百万円の数字が妥当で出てきた、こう言うのだけれども、しかし、逆に言えば五十万円だって妥当なんだよね、全然根拠がないのだから。だから、これは政治的に二百万円と決めたという要素が強い。  例えば、百九十五万円なら別に罰則にもひっかからないし、税務署に書類も回ることはない。そうすると、とにかく二百万円超えてしまうのはだめだよ、送金するときには百九十九万九千円ぐらい送っておけ、そうすればひっかからないのだから、合法的なのだからと。合法になってしまうんだよ。だから、その辺が、なるべくそういうことを望まない、こう言っているのですけれども、しかし、これはもう必ずそうなるでしょう。だれだってそうですよ。私だって、二百万円送ったら税務署まで通告が行ってしまうということになれば、百九十九万九千円送っておきますよ。そうすれば行かないんだから、向こうへ。  だから、そういう意味でも、仮に子供がアメリカへ行っているとか、フランスへ行っているとか、二百万送る人はいないからね、本当のことを言って。自分たちだってこじきやりながら送らなくてはいけない、二百万円なんていった日には。そんなことはあり得ないんだよ、学生に二百万円なんということは。どんなことがあっても二百万円なんということは普通はあり得ないんだよね。何か商取引とか、そういうものがない限りは二百万円を送るなんということはあり得ないのですよ、生活費や学費で。  だから、二百万円にしたということは、要するに手続上百万円では煩雑化するから二百万円にしたということなのですけれども、実態は、要するに百九十九万九千、今あっちから言ったけれども、その額で合法的だということになれば、みんなそれをやるんじゃないですかね。そうすると、この法律はざる法みたいになってしまうんだよ。その辺は大丈夫ですかね。
  171. 薄井信明

    薄井政府委員 その方面からのアプローチをすれば私も否定するものではございませんが、海外送金を、主に法人が、企業が多額に行っております。それから個人でも大資産家であれば大きな金額を移すと思います。そうしたものに対しては極めて大きな牽制効果があろうと思います。何十億円というものを二百万円に分けて送るということをするだろうかというふうに私どもは考えたわけでございます。
  172. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 これは押し問答をしていても切りがないから、もうさっきから局長が二百万円が妥当だ、妥当だと、こう言っているから、二百万円が妥当ということにしておきましょう。別に私が送るわけじゃないんだから。  次に、最近報道によって、政府保証債をめぐって金融機関が、公営企業公庫、それから道路公団の引き受けをうんとさしてもらおうということで、仮に興銀が接待をしてやっておると。だけれども、政府保証債という政府が保証してやっているものを何でそんな接待しなきゃいけないのか、その辺がよくわからないのです。  このことについて、要するに公営企業金融公庫の人たちも、日本道路公団の人たちもそうですが、みなし公務員ですから、公務員と同じ法律が適用される人たちです。それが何で接待か。私ども素人が考えると逆だと思っていたんだよ。逆に金融機関の人を接待してうんとやってもらおう、こう思うのだけれども、そうではなくて、これは逆に金融機関の人が接待をして、しかも定例的に年二回と決めている。余り接待が多いものだから、せいぜい各行二回にしてもらったなんということを言っているわけで、政府保証債というものをめぐって何でこういうことをしなきゃならないのか。その辺について、大臣かどなたかお答えをいただきたい、こう思うのですよ。
  173. 三塚博

    三塚国務大臣 先ほども質問がございました。また吉田委員から本件の問題、報道に基づいての御質疑でございます。  金融機関は、その業務の公共性にかんがみまして、公共的、社会的役割を自覚して業務運営を行うこと、当然であります。いやしくも社会的批判を受けることのないよう留意すべきということは言うまでもございません。私も実態は把握はいたしておりませんが、政府保証債を扱う云々ということで言及されておりますが、かようなことが今後起きませんように、さらにこういうことで世の批判を浴びませんように、大蔵省としては、金融機関の業務の健全性を確保するため適切な監督に努めてまいります。
  174. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 これは免許銀行だろう、こう思いますので、地下銀行ではないわけですから、ぜひひとつそういう点で監督をして厳重にしていただきたい、そんなふうに思っているわけです。  さっき言ったように、最後最後なものですから、これ以上聞くことがなくなりました。十分ぐらい早いのですけれども、大臣も忙しいようですから、私も忙しいものですから、これで質問を終わります。ありがとうございました。
  175. 村上誠一郎

    ○村上委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  176. 村上誠一郎

    ○村上委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、内国税の適正な課税確保を図るための国外送金等に係る調書提出等に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  177. 村上誠一郎

    ○村上委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  178. 村上誠一郎

    ○村上委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  179. 村上誠一郎

    ○村上委員長 ただいま議決いたしました両案に対し、村田吉隆君外五名から、自由民主党、新進党、民主党、社会民主党・市民連合、太陽党及び 無所属クラブの共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。谷口隆義君。
  180. 谷口隆義

    谷口委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。     内国税の適正な課税確保を図るための国外送金等に係る調書提出等に関する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。  一 国外送金等調書提出制度及び民間国外債非課税措置に係る本人確認制度の運用に当たっては、外為法改正による国境を越える資金移動自由化趣旨を踏まえつつ、適正・公平な課税確保されるよう、適切な運用に努めること。  一 内外資金交流の一層の活発化、外為取引形態の多様化、外為業務の担い手の拡大・多様化等新たな事態の下で、今後、これらの二制度が適切に機能を果しているかどうか注視し、税に対する国民の理解と信頼が損なわれることのないよう、必要に応じ制度の見直しも含め適切な対応に努めること。  一 二制度の運用に当たっては、金融関係者の事務負担や利用者の便宜にも十分配慮するとともに、費用対効果を考慮に入れつつ、制度が実効性のあるものとなるよう税務当局における執行体制の十分な整備等必要な措置を講じること。  一 税の捕捉という観点で、プライバシーの問題にも十分考慮しつつ、納税者番号制度についても今後検討すること。  一 諸外国税制担当者との広範かつ十分な意思疎通に努め、国際的な税制整合性観点に配慮し、税制に関する協調を強化すること。 以上であります。  何とぞ御賛成賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
  181. 村上誠一郎

    ○村上委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  182. 村上誠一郎

    ○村上委員長 起立多数。よって、両案に対し附帯決議を付することに決しました。  本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。大蔵大臣三塚博君。
  183. 三塚博

    三塚国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配慮してまいりたいと存じます。
  184. 村上誠一郎

    ○村上委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  185. 村上誠一郎

    ○村上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。    〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  186. 村上誠一郎

    ○村上委員長 内閣提出持株会社設立等禁止解除に伴う金融関係法律整備等に関する法律案銀行持株会社創設のための銀行等に係る合併手続特例等に関する法律案及び罰則整備のための金融関係法律の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。大蔵大臣三塚博君。     —————————————  持株会社設立等禁止解除に伴う金融関係   法律整備等に関する法律案  銀行持株会社創設のための銀行等に係る合併   手続特例等に関する法律案  罰則整備のための金融関係法律の一部を改正   する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  187. 三塚博

    三塚国務大臣 ただいま議題となりました持株会社設立等禁止解除に伴う金融関係法律整備等に関する法律案銀行持株会社創設のための銀行等に係る合併手続特例等に関する法律案及び罰則整備のための金融関係法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。  まず、持株会社設立等禁止解除に伴う金融関係法律整備等に関する法律案につきまして、御説明申し上げます。  政府は、持ち株会社の設立等の解禁に伴い、銀行業、保険業または証券業を営む者を子会社とする持ち株会社について、銀行等の経営の健全性の確保、投資者保護等の観点から必要となる監督上の措置を講ずる必要性があること等にかんがみ、銀行法、保険業法、証券取引法その他の関係法律について、所要の規定の整備を図った上、銀行持ち株会社等の設立等を可能とすることとし、本法律案提出した次第であります。  以下、この法律案の内容につきまして、御説明申し上げます。  第一に、銀行持ち株会社について、銀行持ち株会社の設立等に係る認可、銀行持ち株会社の子会社の範囲の制限、国内のいわゆる一般事業会社の株式等を銀行持ち株会社またはその子会社が合算して一定割合を超えて所有することの制限、銀行持ち株会社及びその子会社に対する報告徴求・立入検査等、所要の規定の整備を行うこととしております。また、破綻金融機関の株式の取得を行う銀行持ち株会社等が、預金保険機構に資金援助の申し込みを行うことができることとしております。  第二に、保険持ち株会社について、保険持ち株会社の設立等に係る認可、保険持ち株会社による子会社所有に係る承認、保険持ち株会社及びその子会社に対する報告徴求・立入検査等、所要の規定の整備を行うこととしております。  第三に、証券持ち株会社について、証券持ち株会社に対する報告徴求・立入検査等、所要の規定の整備を行うこととしております。  その他、所要の措置を講ずることとしておるところであります。  次に、銀行持株会社創設のための銀行等に係る合併手続特例等に関する法律案につきまして、御説明申し上げます。  政府は、銀行持ち株会社が金融業務の効率的な運営に資するものであることにかんがみ、銀行等による銀行持ち株会社の創設を円滑にするための措置として銀行等合併手続の特例その他の所要の措置を講ずることとし、本法律案提出した次第であります。  本法律案は、銀行等による銀行持ち株会社の創設のための合併手続について、合併の条件、合併契約書の承認等に係る特例を設ける等、所要の措置を講ずるものであります。  次に、罰則整備のための金融関係法律の一部を改正する法律案につきまして、御説明申し上げます。  政府は、最近における金融不祥事を踏まえ、その再発防止を図るとともに、今後の金融システム改革に向けて、金融機関等の経営の健全性と証券市場等の公正性及び透明性の確保を図るため、金融機関等による検査忌避、虚偽報告等に係る罰則、証券市場等における不公正取引、企業内容等の開示義務違反に係る罰則その他の罰則整備を行うこととし、本法律案提出した次第であります。  以下、この法律案の内容につきまして、御説明申し上げます。  第一に、銀行、保険会社、証券会社等による検査忌避、虚偽報告等に係る罰則の強化を行うこととしております。  第二に、相場操縦行為、損失補てん、内部者取 引等の不公正取引に係る罰則及び重要事項に虚偽記載のある有価証券報告書提出等企業内容等の開示義務違反に係る罰則の強化を行うこととしております。  第三に、いわゆる総会屋対策の観点から予定されている商法の改正に伴い、金融関係法律について所要の罰則整備を行うこととしております。  これらの法律案は、金融システム改革の一環として、金融の基本的枠組みの整備を図るものであります。  以上が、三法律案の提案の理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いを申し上げ、提案の理由の説明といたします。
  188. 村上誠一郎

    ○村上委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十二分散会      ————◇—————