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1997-12-05 第141回国会 衆議院 商工委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十二月五日(金曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 斉藤斗志二君    理事 石原 伸晃君 理事 小此木八郎君    理事 岸田 文雄君 理事 茂木 敏充君    理事 遠藤 乙彦君 理事 西川太一郎君    理事 松本  龍君 理事 大森  猛君       甘利  明君    遠藤 武彦君       遠藤 利明君    小川  元君       奥田 幹生君    栗本慎一郎君       河本 三郎君    新藤 義孝君       中島洋次郎君    中山 太郎君       野田  実君    林  義郎君       山口 泰明君    青山  丘君       石井 啓一君    神田  厚君       古賀 正浩君    島   聡君       島津 尚純君    達増 拓也君       中野  清君    吉田  治君       生方 幸夫君    大畠 章宏君       渡辺  周君    吉井 英勝君       横光 克彦君    前田 武志君       伊藤 達也君  出席国務大臣         通商産業大臣  堀内 光雄君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      尾身 幸次君  出席政府委員         公正取引委員会 根來 泰周君         公正取引委員会         事務総局経済取         引局長     塩田 薫範君         公正取引委員会         事務総局経済取         引局取引部長  上杉 秋則君         経済企画政務次         官       栗本慎一郎君         経済企画庁調整         局長      塩谷 隆英君         経済企画庁総合         計画局長    中名生 隆君         経済企画庁調査         局長      新保 生二君         通商産業政務次         官       遠藤 武彦君         通商産業大臣官         房商務流通審議         官       岩田 満泰君         通商産業大臣官         房審議官    杉山 秀二君         通商産業省産業         政策局長    江崎  格君         通商産業省環境         立地局長    並木  徹君         通商産業省生活         産業局長    水谷 四郎君         資源エネルギー         庁長官     稲川 泰弘君         中小企業庁次長 中村 利雄君         中小企業庁小規         模企業部長   寺田 範雄君  委員外出席者         外務省欧亜局西         欧第二課長   廣木 重之君         外務省経済局国         際経済第一課長 小寺 次郎君         文部省教育助成         局施設助成課長 高塩  至君         建設省都市局都         市計画課長   中島 正弘君         商工委員会調査         室長      野田浩一郎君     ————————————— 委員の異動 十二月五日  辞任         補欠選任   白川 勝彦君     遠藤 利明君 同日  辞任         補欠選任   遠藤 利明君     白川 勝彦君     ————————————— 十二月四日  住宅用太陽光発電普及推進に関する請願(村  井仁君紹介)(第一三一五号)  同(木島日出夫紹介)(第一五九一号)  大規模小売店舗法制度見直し等に関する請願  (村井仁君紹介)(第一三一六号)  同(木島日出夫紹介)(第一五九二号)  著作物販売価格維持制度に関する請願村井  仁君紹介)(第一三一七号)  同(木島日出夫紹介)(第一五九三号)  出版物再販制廃止反対に関する請願大森猛  君紹介)(第一三一八号)  同(倉田栄喜紹介)(第一三一九号)  同(棚橋泰文紹介)(第一三二〇号)  同(山下徳夫紹介)(第一三二一号)  同(吉井英勝紹介)(第一三二二号)  同(吉川貴盛紹介)(第一三二三号)  同(石崎岳紹介)(第一三九八号)  同(藤本孝雄紹介)(第一三九九号)  同(吉井英勝紹介)(第一四〇〇号)  同(中川昭一紹介)(第一七〇二号)  同(野田毅紹介)(第一七〇三号)  同(河野洋平紹介)(第一八一〇号)  同(佐々木秀典紹介)(第一八一一号)  同(坂井隆憲紹介)(第一八一二号)  同(中川昭一紹介)(第一八一三号)  同(横光克彦紹介)(第一八一四号)  重度障害者の非寒冷地における発汗障害のため  の家庭電気料金補助に関する請願岩田順介  君紹介)(第一五八九号)  同(畑英次郎紹介)(第一五九〇号) 同月五日  大規模小売店舗法規制緩和反対に関する請願  (羽田孜紹介)(第一九七二号)  同(井上喜一紹介)(第二一七七号)  同(小林守紹介)(第二一七八号)  同(古賀正浩紹介)(第二一七九号)  同(木幡弘道紹介)(第二三二一号)  同(古賀正浩紹介)(第二三二二号)  同(木島日出夫紹介)(第二四二三号)  住宅用太陽光発電普及推進に関する請願(羽  田孜紹介)(第一九七三号)  大規模小売店舗法制度見直し等に関する請願  (羽田孜紹介)(第一九七四号)  著作物販売価格維持制度に関する請願羽田  孜君紹介)(第一九七五号)  出版物再販制廃止反対にに関する請願(相沢  英之君紹介)(第一九七六号)  同(飯島忠義紹介)(第一九七七号)  同(小川元紹介)(第一九七八号)  同(小野晋也君紹介)(第一九七九号)  同(長内順一紹介)(第一九八〇号)  同(木村太郎紹介)(第一九八一号)  同(岸田文雄紹介)(第一九八二号)  同外一件(佐藤孝行紹介)(第一九八三号)  同(下地幹郎紹介)(第一九八四号)  同(白保台一君紹介)(第一九八五号)  同(菅義偉君紹介)(第一九八六号)  同(鈴木恒夫紹介)(第一九八七号)  同(園田修光紹介)(第一九八八号)  同(田中和徳紹介)(第一九八九号)  同(高市早苗紹介)(第一九九〇号)  同(滝実紹介)(第一九九一号)  同(竹本直一紹介)(第一九九二号)  同(達増拓也紹介)(第一九九三号)  同(棚橋泰文紹介)(第一九九四号)  同(津島雄二紹介)(第一九九五号)  同(中山太郎紹介)(第一九九六号)  同(仲村正治紹介)(第一九九七号)  同(丹羽雄哉紹介)(第一九九八号)  同(根本匠紹介)(第一九九九号)  同(野田実紹介)(第二〇〇〇号)  同(平林鴻三君紹介)(第二〇〇一号)  同(藤本孝雄紹介)(第二〇〇二号)  同(保利耕輔君紹介)(第二〇〇三号)  同(松本純紹介)(第二〇〇四号)  同(丸谷佳織紹介)(第二〇〇五号)  同外一件(村田敬次郎紹介)(第二〇〇六号  )  同(大森猛紹介)(第二一六八号)  同(古賀正浩紹介)(第二一六九号)  同(児玉健次紹介)(第二一七〇号)  同(土井たか子紹介)(第二一七一号)  同(深田肇紹介)(第二一七二号)  同(古堅実吉紹介)(第二一七三号)  同(保坂展人君紹介)(第二一七四号)  同(村山富市紹介)(第二一七五号)  同(吉井英勝紹介)(第二一七六号)  同(土井たか子紹介)(第二三一六号)  同(肥田美代子紹介)(第二三一七号)  同(丸谷佳織紹介)(第二三一八号)  同(村山富市紹介)(第二三一九号)  同(伊藤達也紹介)(第二四一六号)  同(池端清一紹介)(第二四一七号)  同(辻第一君紹介)(第二四一八号)  同(中川智子紹介)(第二四一九号)  重度障害者の非寒冷地における発汗障害のため  の家庭電気料金補助に関する請願岩田順介  君紹介)(第二〇〇七号)  同(坂本剛二君紹介)(第二〇〇八号)  同(永井英慈君紹介)(第二〇〇九号)  同(畠山健治郎紹介)(第二〇一〇号)  同(桝屋敬悟紹介)(第二三二〇号)  同(亀井静香紹介)(第二四二〇号)  同(船田元紹介)(第二四二一号)  同(宮下創平紹介)(第二四二二号)  インドネシアヘの原発輸出に対する外為法上の  許可反対等に関する請願吉井英勝紹介)(  第二二八七号)  中小商業振興等に関する請願佐々木憲昭君  紹介)(第二四一五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  通商産業基本施策に関する件  経済計画及び総合調整に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ————◇—————
  2. 斉藤斗志二

    ○斉藤委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件、経済計画及び総合調整に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古賀正浩君。
  3. 古賀正浩

    古賀(正)委員 おはようございます。  堀内大臣通産大臣に御就任されまして、きょうは臨時国会で初めての一般質疑の日ということでございます。私から、新進党の一員として御質問をさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。  まずは、大変おくればせでございますが、本当に大変なときに、通産大臣の御就任、おめでとうございます。大変難しい中でございますが、大いに努力をされることを心から念じておる次第でございます。  「日本国民は、いま、二十一世紀を展望して不安な気持ちを抱いている。」「バブル経済破綻にともない、日本経済の強さへの確信が揺らぎ、社会安全神話まで崩壊しようとしている。」これは、新進党がこの夏発表いたしまして世に問いました「日本構築宣言」の冒頭の一節であります。  私たちが目指す今からの社会は、平和で安全で公正な社会であり、国がしっかりと危機管理ナショナルミニマムの確保などの役割を明確にした上で、豊富な選択の機会を保証し、自己責任に基つく自由な選択国民一人一人が創造的、個性的な生き方を追求し、豊かで安定した国民生活創造する国民主役社会ということであります。  私たちは、少子・高齢化の急速な進展や世界の激動を直視し、二十一世紀を展望して、日本のあらゆる分野の困難なハードルを越えてシステムを再構築していかなければなりません。与野党が高次元で力を合わせるのは、かつての通常国会の際の駐留軍用地特別措置法だけではありません。今後も、与野党を問わず、日本国民の一致した目標として、力を合わせて英知を尽くし、国民挙げて努力をしていかなければならぬことはたくさんあるわけであります。内外情勢進展の中、我が国にぐずぐずしている余裕はないのであります。  さて、現下、巨額の赤字に重くのしかかられております財政改革に突破口を開いていくためには、我々は経済再建なくして財政再建なしの基本方針のもとに、速やかに経済活性化し、民間支出主導による自律的経済成長軌道に乗るよう諸政策を講ずべきであると主張してまいっておることは、御案内のとおりであります。そして、透明性競争性創造性国際性がある市場経済社会をつくり出す構造改革を断行していくということを提案してきたことは、御案内のとおりであります。  第三次橋本内閣が発足をして二月余、かつて、火だるまになってでも本気で行政改革に取り組むと語られた壮とすべき決意の総理のもとで、勇躍努力をしておられます堀内大臣に改めてエールを送り、是は是とし、否は否とするものでありますけれども、職責をかけ、改革の貫徹に向けて邁進していただきたいと心から念じ上げる次第であります。  そこで、まず、通産大臣として、あすの日本構築に向けて、現下経済構造改革に取り組む基本的な所信について、お伺いをさせていただきたいと思います。
  4. 堀内光雄

    堀内国務大臣 先生の御指摘のとおり、今、世界的な大コンペティション時代でありますし、大変な構造改革を行わなければならない時代になってきております。そういう中で、構造改革を進めるためには、先生指摘のとおり、与野党を超えて、一致した中で大きな成果を上げてまいらなければならない。大変力強い御発言をいただきまして、感謝を申し上げます。  一方、財政構造改革経済構造改革というのは、先生指摘のとおり、両輪でありまして、財政構造改革実現させるためには経済構造改革歳入面での力を発揮させてまいらなければなりませんし、そのためには経済構造改革というものをしっかり進めていかなければならないと思っております。本格的な高齢化社会の到来などに対応するための活力のある経済社会実現に向けまして、我が国経済内需かつ民需主導安定成長を確かなものにすることが必要であると思っております。  このために、先般決定をいたしました緊急経済対策の着実な実行はもちろんのこと、経済構造の変革と創造のための行動計画の前倒し、これを十二月にフォローアップとして実現をいたしてまいりますが、その中には新規施策追加等を含めてまいろうと思っております。内閣を挙げて経済構造改革を強力に推進してまいりたいと思いますので、御理解を賜りたいと思います。
  5. 古賀正浩

    古賀(正)委員 御健闘をお祈りする次第であります。  さて、きのうテレビを見ておりましたら、経済企画庁長官が、現在の景況について、何か従来と違う発言をしたいような、もごもごしたことをおっしゃっておられました。  先月の経済企画庁月例経済報告におきまして、政府はようやく、企業景況感に厳しさが見られ、景気はこのところ足踏み状態であるということを認められたわけであります。総務庁も、十月の完全失業率が三・五%と、調査が始まって以来の最悪の事態となっている水準であることを発表いたしました。景気現状に対する認識が、厳しいということについての認識が遅きに失した感もないでもないわけであります。  日本経済の現況について、政府はその診断を誤り、したがって、その処方せんを間違えていると私どもは主張してまいりました。つまり、現在の不況政策不況と断ぜざるを得ないという要素があるわけであります。  まずは、バブルの後遺症を引きずる病み上がりの我が国の弱々しい経済であるのに、一つには、政府は、平成九年度予算案におきまして国民消費税引き上げを押しつけ、所得税減税廃止等、約九兆円の国民負担増を強いました。あるいは公共投資を削減し、立ち直りかけている景気回復の芽を摘むというようなことになったわけであります。また二つ目には、丸二年に及ぶ超低金利政策継続国民生活設計が非常に狂ってまいりまして、消費を低下させているということもあります。三番目には、例の住専処理の失敗に始まる不良債権問題の未解決が、金融不安、ゼネコン危機など、企業経営不安を増大させているという要素もあるわけであります。さらに、このたびの財政構造改革法案経済先行きを一層暗くさせ、投資消費意欲を一段と萎縮させているということも指摘せざるを得ません。  このように、政策不況に対して、私たち政策の転換で対処するほかはないと考えているわけであります。そして、例えば法人課税で四兆円規模の純減税を行い、実効税率を五〇%から四〇%に引き下げるべきではないか。あるいは、所得税で最低二兆円、先ほどの法人税と合わせて合計六兆円の恒久的減税実施すべきではないか。さらに、土地流動化公共事業制度改革規制の撤廃、緩和等の前倒し的な実施行政改革に伴うデフレ効果を補正する経済活性化措置が必要であることを提唱しておるわけであります。  大臣は、直接に産業を所管される立場から、現在の景況をどのように判断をされ、これに対する対策についてどのような基本的な考え方をお持ちであるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  6. 堀内光雄

    堀内国務大臣 我が国経済現状というものを眺めてみますと、先生指摘のとおり、景気足踏み状態でございますし、特に企業、とりわけ中小企業景況感は低迷して、非常に厳しい状態だというふうに認識をいたしております。  景気先行き不透明感を払拭して、内需中心とした民需主導経済成長を確かなものにしていかなければならないと考えておりまして、先般決定をいたしました経済対策を着実に実行していくとともに、行動計画フォローアップをさらに行いまして、抜本的な規制緩和、あるいは法人税減税、あるいは土地税制軽減化、有取税の廃止というような問題を含めて、景気に刺激を与えることに取り組んでいかなければならないと思いますし、それらを通じて経済構造改革に全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えておる次第でございます。
  7. 古賀正浩

    古賀(正)委員 早いもので、ことしももう十二月に入ったわけであります。例年、暮れには中小企業金融は大変であるということでありまして、特にことしは、景気の厳しい低迷下にあって、一段とその厳しさがちまたの声として出てきておるところであります。  特に、最近におきます、担保の評価が下がったこと等を理由にする金融機関の貸し渋りについては、もう政策的にも見過ごせないものがあるのではないか、我々はそういう危惧を持っておるところであります。  この年末対策については後ほど同僚議員がまた質問させていただくということにしておりますが、それとともに、また金利引き上げ要請のケースすら出てくる。それに加えて、最近顕著にふえている金融機関破綻影響が心配されておるということもございます。金融機関破綻処理、そして預金者保護対策、それによる信用秩序維持については理解も進んでおるわけでありますけれども、一方、金融機関からの善良な借り手保護ということについても、忘れてはならない重要な課題であると思います。  金融機関破綻処理において、預金者保護と同様に借り手保護についても何らかの政策的な対応があるべきだと考えておりますが、この点だけ、まず通産大臣に見解をお伺いしたいと思います。
  8. 堀内光雄

    堀内国務大臣 お答えを申し上げます。  中小企業への貸し渋りの懸念につきましては、政府系金融機関及び都道府県に依頼をいたしまして、資金調達に関する実態調査を緊急に実施をいたしました。その結果、政府系金融機関を通じて約四千三百の企業、また都道府県を通じて四千五百の企業から回答が寄せられております。  その結果を集計をいたしますと、民間金融機関からの貸し出し姿勢については、既に貸し渋りの動きを指摘する企業が約二割存在をいたしております。さらに、今後については、大体五割から六割の企業民間金融機関の貸し渋りを懸念をいたしている状態でありまして、こういう中小企業の厳しい状況を踏まえて、これに対する万全を期した体制をとっていかなければならないと考えております。
  9. 古賀正浩

    古賀(正)委員 事務局でも結構ですから、その対策についての骨子、簡単に要点を紹介をしていただきたいと思います。
  10. 堀内光雄

    堀内国務大臣 こういう状況対応しまして、政府系金融機関の本店、支店並びに信用保証協会に即時に特別の相談窓口を設けました。貸し出し保証手続迅速化を行う、一定の条件のもとで、今まで既に借りている金の返済を迫られているような問題に対しての返済猶予に対する適切な対応を図る。  また、金融機関との取引に著しい変化が生じて、貸し渋りを行われているような対応をされているところについて、資金繰りに支障を来すおそれのある中小企業者に対する別枠融資制度を創設をいたしました。  また、国民金融公庫の中小企業等経営改善資金マル経資金については、平成十年度末までの間、別枠措置を拡充して貸付枠を一千万円まで増加をいたしました。  また、中小企業信用保険法特例保険に関しましては、今まで小売業あるいは建設業などの関連業種については枠が狭められておりましたけれども、こういう業種二十六業種につきましても対象を拡大いたしまして、保険限度額倍額まで増加をさせることに決定をして、既に実施をいたしているところでございます。  また、北海道拓殖銀行資金繰りに行き詰まって今後の業務継続が困難になるという事態に立ち至ったことによりまして、同銀行をメーンバンクとしていた取引先である健全な中小企業が、非常に資金繰りに苦慮をしていることがございます。そういう点に万遺漏なきよう、十一月十七日に、中小企業金融公庫を初めとする政府系金融機関に対しまして、適切な支援、協力を行うように協力要請をいたしますとともに、十二月三日には北海道拓殖銀行及び徳陽シティ銀行の取引先中小企業に対しましては、中小企業信用保険法に基づく保険限度額の、これは全体に対して倍額保証を行えるように特例措置を整備して、これまた直ちに実施をいたしたところでございます。  こういうような中小企業への影響は、北海道、東北が特に多いわけでありますが、それに限らず、他の地域に対しても非常に広がってきているというふうに感じておりますので、その動向をしっかり注目をしながら、その対応全国に向けて広げてまいる覚悟でございます。  今後とも、政府系金融機関及び信用保証協会とも連携をしながら、中小企業の実情を十分に配慮しながら、いやしくも政府系金融機関において貸し渋りがあるようなことのないように万全を期して取り組んでまいる覚悟でございます。
  11. 古賀正浩

    古賀(正)委員 ひとつしっかりとこれをして、その効果の実を上げていただきたいとお願いを申し上げる次第であります。  さて、問題は変わりますが、現在、日本中小小売商というのは二百万業者ある、就業者は七百四十万人いるというふうに聞いておりますが、現在、消費需要の伸び悩み、経済停滞感が強まる中で、中小小売商は極めて厳しい経営状況にあります。また、モータリゼーションの進展消費者ニーズ多様化個性化など、近年の消費者買い物行動変化をしております中、中小小売商は厳しい対応を迫られておるところであります。その課題と現実とのギャップとして、商店街では例の空き店舗対策が発生するなど、中心市街地空洞化進展してきておることは、御案内のとおりであります。  かつて、三十年代あたりは、全国商店街銀座という名前をつけて、東京の銀座に比肩するというような誇りを持ち、努力もしておったわけでありますが、最近はそういう銀座という名前ももう絶え果ててきまして、実際にはシャッター通りと言われるような悲しい状況になってきておることは、御案内のとおりであります。このような元気を失った既成市街地を見ますと、人は農村から町へ流れる、町はみずから発展するという神話時代は終わったのかな、こういうことを痛感いたします。  このような中で、小売商業小売マーケティングは町の重要な構成要素でありますし、本質的一部であるわけでありますが、その町を生き生きと構築する、地域社会の核として中心市街地活性化を図ることが現下の重要な課題であるということは、もう申すまでもないところであります。  小売商業対策は、商業プロパー対策だけではなくて、都市対策と緊密な連携のもとに実行されるべき必要性がますます強くなってきておるというふうに思います。  そもそも町は商品の流通、交易の場でありますけれども、それとともに、人との出会い、情報交換の場でもありますし、憩いとレジャーの場でもありますし、文化をはぐくむ場所でもありますし、人間生活ニーズに、あらゆるニーズにこたえる広範な機能を提供する場であります。そして、地域生活の核としての町にそのような役割を十分に、十全に果たす活力快適性が具有される中で、初めて問題の小売商業対策実効を上げていくことができる、こう考えるわけであります。  通産大臣の所掌を超えるものもたくさんあるわけでありますけれども、直接的な商業対策とともに、まず町づくり、町のにぎわいを取り戻す、快適な町づくりに、関係省庁と連携し、力を合わせて全力を挙げるということが必要であると考えております。この課題について、まず通産大臣の総論的な所信をお伺いしたいと思います。
  12. 堀内光雄

    堀内国務大臣 中心市街地は、先生の御指摘のように、さまざまな都市機能が集積をいたしまして、新たな経済活動等を生み出す場として重要な役割を担ってきた地域でございます。しかしながら、近年は、モータリゼーションの発展だとか消費者の行動パターンの変化、こういうようなものによりまして中心市街地空洞化が深刻化しておりまして、先生が言われるようなシャッター通りなんというような名前さえ出るような状態になっておるわけであります。  通産省といたしましては、経済構造の変革と創造のための行動計画平成九年五月に閣議決定されたものでありますが、これに基づきまして、中心市街地活性化に向けて市町村等地元関係者が作成する、地域の特性を生かした、そういうすぐれた計画に基づく事業に対しまして支援を行っていく考えでございます。  市町村のイニシアチブのもとにそういう計画を立てていただくのでありますが、具体的には、中心市街地における商業集積施設の整備の促進、あるいは空き店舗の活用、駐車場その他の基盤整備などによる中心市街地活性化等に向けて、法制面を含めて抜本的な措置を講じてまいりたいと思っております。  中心市街地活性化法というようなものを考えまして、通産省が中心となりまして、建設省、自治省、その他八省庁を含めて連携をいたしまして、従来の個人の店や商店街等の点や線の対策だけではなくて、より広い、中心市街地全体を対象とした面による対策、発展を図るための計画、こういうものを推進をさせてまいりたいと考えておるところでございます。
  13. 古賀正浩

    古賀(正)委員 昨今、大店法見直しの問題をめぐります論議が、特に、近々予定されておると言われます、産構審と中小企業政策審の合同の中間答申が近まるという中で、かなり燃え上がってきておるということがございます。  本問題を論ずるのは、別途、我が同僚議員質疑を予定されておりますので、要点はそちらに譲りますけれども、基本的な点だけを一つお尋ねをしたいと思います。  先ほど論じましたように、中小小売業対策は、個店対策の充実とともに、町づくり、中心市街地の再構築努力の中で行われなければならない、これはもう明らかなことなのであります。これと切り離して大店法の調整四項目を論議しても始まらぬと私は思っております。今の中小小売業の問題は、大店法を今のまま存続させても解決にならない、こういうように思う次第であります。  大店法廃止論者がよく言われますことは、中小企業の後継者難、時代への対応のおくれ、それによる既成商店街、商店の魅力の喪失ということは、全くおっしゃるとおりであろうと思う次第であります。そういう現実にあるわけでありますが、その状況が大店法の規制を全部外してしまった後の自由競争という手段のみで是正されるということは、もう考えられないということだと思います。  この大店法の後のいじり方のためには十分の手だてが要るということを、しっかり頭に置いておかなければならないと思う次第であります。今の大店法法制を形式的に残すかどうかではなく、町づくり、商店街活性化のための方策を骨太に構築するということ。住民、地域主体のマスタープランを実効あるものに制度化するということ。  九二年に、御案内のとおり、都市計画法が改正になりまして、そのとき新設されたマスタープランというのがあります。市町村のレベルでつくる計画というのが入っておって、これは非常にいいことだなと当時から思っておりましたけれども、その運用の実績を見ますと、本当にこれがうまく活用されていないということを感じざるを得ないということであります。先ほど大臣もおっしゃいましたけれども、この点はひとつよく、また今後検討していただきたいと思う次第であります。  そのほか、町づくり推進主体をどうするかということ、あるいは、これは外国、アメリカや欧州等の例で見ると非常に痛感いたしますのは、その町づくりの事業をやるための財政的な基盤がなかなかないということですね。例えば、その町をつくられる推進主体に徴税権を与えるみたいな例もアメリカなどにはあるわけでありますけれども、そのような対策はどんなふうに考えていくかということもございます。  さらに申しますと、私は、そういう前向きに町をどうつくっていくかということのほかに、現在まで町を支えてきた、そういう中小商業者などで、もうリタイアをしたいという人に対する対策みたいなものを、いわばハッピーリタイア政策みたいなものをやはり考えられるべきではないか。こういったものを単なる後ろ向きという一言で片づけてはいけない、そういう人たち協力を得る、そういう意欲も使うということの中で、新しい町づくりも進んでいくのではないかという思いもするわけであります。  そういうような、取り上げたのは幾つかの例にすぎませんけれども、そのような厚みのある対策の中で、調整項目の扱い方、その理念の是非等を十分に検討、吟味していくこと、これが非常に大事だと思う次第であります。  そして、このような考え方に基づいて諸般の準備を重ね、具体的方策の提示が行われるべきでありまして、今のような状態の中でこの大店法の扱いということについて結論を急ぎますと、商業者にあらぬ不安を与え、大店法規制緩和には絶対反対、この間、私もその大会にも出てまいりましたけれども、大店法規制緩和反対という怒りに向かわせてしまうということに本当になってしまうことを、心底心配しているわけであります。  このような大店法の取り扱いに関するいろいろな町づくり対策、商業対策についての大臣の所信を簡単にお聞かせいただきたいと思います。
  14. 堀内光雄

    堀内国務大臣 大店法の今後の取り扱いにつきましては、今産業構造審議会と中小企業政策審議会の合同会議で審議を行っていただいておるところでございますが、先生の御指摘のような、非常に幅の広い、これから将来の方に向かっての対応だとか、どういう事態にあるかとか、そういう問題について、今の審議会の中だけで結論を得るのではなくて、各地に赴いていろいろの御意見を承った中でさらに審議を進めてもらいたいというのが私の方の気持ちでありまして、審議の日取りなどについては特にこだわらないで、時間的な、今までセットされているような期日にこだわらずに、さらに検討を進めてもらいたいということを、私の方からは今希望しているところでございます。  そういう中で、これからの消費者の利便の最大化と同時に、我が国流通業界の健全な発展、同時に地域社会における問題、そういうことを含めて答申を取りまとめてもらいまして、その答申をいただいた上で私どもの決定をしたい。現在は私どもは全く白紙の状態で取り組んでおるところでございます。
  15. 古賀正浩

    古賀(正)委員 テーマを変えます。  御案内のとおり、近年、企業の海外シフトが非常に顕著になってきておるということであります。最近は、東南アジア、韓国等の経済状況もありますから、少しいろいろな変化もあるのかもしれませんけれども、大きな大勢的な流れということについては、企業の海外展開は今後も継続をしていくはずであります。  昨年通産省が調査されたというデータを見ますと、海外展開戦略に係る企業調査によりますと、五年間で百二十四万人の雇用が日本では減少するのではないか、貿易収支については三・七兆円の黒字が減少するのではないか、こういうことが予測されておるということでございますが、国際的分業の展開は必然とも言われることでありますから、それ自体を云々するわけではありません。しかし、これに伴い、いわゆる産業空洞化ということを我々は懸念しなければならぬということがあるわけであります。  特に、我が国の製造業の高い技術をすそ野で支えてまいりました熟練度の高い物づくり技術が、不可避的に衰退の道をたどっている懸念が非常に強いということが心配をされておるところであります。  我が党は、物づくり基盤技術振興をしっかりと、国民のためのキャンペーンを兼ねまして振興基本法案を国会に提出すべきだということで、今準備を重ねておるところであります。物づくり基盤技術に関する能力を尊重する社会的機運の醸成ということは非常に大事であるし、今みたいな三Kをもうともかく毛嫌いするような時代になるのは残念きわまりないことでありますし、二十一世紀日本産業、特に製造業をしっかり維持していくための基本的な問題として頑張っていかなければならぬというふうに思っておるわけであります。  さらに、熟練物づくり労働者の養成の確保をどう進めていくのか、物づくり事業者の経営基盤の強化を図るための施策の総合的、計画的推進をねらいながら、今後も努力をしていかなければならぬというふうに考えておるところであります。  物づくり基盤を支える人材の育成に関して、通産省としてどのような努力を行っておられるか、これをまずはお伺いし、また、私どもの推進しております基盤技術振興基本法についても、ぜひ御理解をいただきたいと思っておるところでございます。
  16. 堀内光雄

    堀内国務大臣 製造業の空洞化懸念というのは非常に高まりをいたしております。そのために、我が国の物づくりを支える部品だとか金型製作等の基盤的技術の集積を維持し、発展させるために、通産省として本年の三月に特定産業集積の活性化に関する臨時措置法を制定をさせていただいたところでございます。早速八月には、大阪地域や日立地域を初めといたしまして、土地域の基盤的技術産業集積活性化計画を承認をいたしまして、総合的な支援を現在行っているところでございます。さらに、現在活性化計画の作成を検討している地域についても、そのニーズを踏まえて適切に対応してまいりたいと思っております。  これらの地域では、活性化計画を策定した府県のみならず、地域内の市のレベルにおいても、研究施設の整備だとか、産学官の連携による共同研究とか、人材育成などの積極的な取り組みが行われておりまして、今後、基盤的技術の高度化により、製品の高付加価値化や新規成長産業の分野の創出などに期待がされるところであると思っております。  また、我が国製造業の基盤となるべき人材の確保、育成につきましては、人材の高齢化だとか、あるいは若者の製造業離れだとかいうものへの対応が緊急の課題となっていることを踏まえまして、地域の枠を超えた学生の就業体験の推進だとか、あるいは広域技術研修の実施などによる人材の確保、育成、こういうものの充実強化を図るべく、関係省庁と調整を行って前向きに取り組んでいるところでございます。
  17. 古賀正浩

    古賀(正)委員 ありがとうございます。しっかりと努力をしていただきたいとお願いを申し上げます。  さて、次の課題に移りますが、現在、御案内のとおり、京都で地球温暖化防止京都会議、COP3が開かれております。地球温暖化問題という大変な問題について、我々も非常に大きな関心を持ち、国民的な関心の中でこの会議の成功を祈っていかなければならないわけでありますが、特に我が国は、議長国としてのリーダーシップの発揮ということが非常に大事なポイントになるわけであります。  所管大臣は基本的には環境庁長官のようでありますけれども、その実施策まで含めた次元の中では通産大臣役割が非常に大きいということでございますから、しっかりひとつ頑張っていただきたいと心からお願い申し上げる次第であります。  地球温暖化問題は、現在の技術だけでは対応できないということは明らかであり、また、先進国だけではなく、開発途上国を巻き込んで世界全体で対策をとらないことにはその解決は不可能であるということは、明らかであります。  そういった意味からいたしますと、今回の京都会議の議長国としては、京都会議の成功はもちろんのこと、長期的な視野に立って、途上国も巻き込んで世界全体で協力することができるようイニシアチブをとるということが、極めて重要なポイントであるというふうに思います。  その辺についての大臣の御見解をまずお伺いしたいと思います。
  18. 堀内光雄

    堀内国務大臣 地球温暖化という問題は、地球全体に深刻な影響をもたらす問題だと思います。言うならば、人類の生存にもかかわる問題だという意味で、地球温暖化問題の解決に向けては、先生指摘のとおり、先進国はもちろん、発展途上国においても温室効果ガスの排出削減に向けた取り組みを行っていくことが重要だと考えております。  このために、COP3におきましては、二〇〇〇年以降の先進国における温室効果ガスの排出削減目標として、地球温暖化防止上意味があり、衡平で実行可能な国際合意を得るということが必要になってきておりますと同時に、途上国につきましても、今後CO2の排出量の大幅な増加が見込まれることを踏まえまして、将来に向けて積極的な取り組みが求められなければならないと思っておりまして、途上国の問題は今回の会議では取り上げられないことになっておりますが、そういう何かの形での取り組みを含めていかなければならないだろうと考えております。  途上国諸国の積極的な取り組みを促す観点から、米国などで主張いたしておりました排出権の売買の問題だとか、あるいは共同実施の問題だとか、こういうような仕組みの導入なども今会議の中で取り組まれている状況でございまして、地球温暖化防止対策を国際協力のもとに加速をするように、エネルギー、環境技術の開発及び途上国への技術移転の促進を二つの柱とする橋本総理のグリーンイニシアチブを提唱してきているところでございます。  当省といたしましても、日本のグリーンイニシアチブのもとで、今後とも先進国、途上国を含めた全世界における本問題の解決に向けた取り組みを推進いたしますために、議長国としての責任上、全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えている次第でございます。
  19. 古賀正浩

    古賀(正)委員 ひとつしっかり頑張ってください。現在、会議の最中でありますから、いろいろ論議をしたい問題がたくさんございますけれども、今は差し控えます。  ただ、今までの経過の中でちょっと気になってしょうがないことがあるので一つ申し上げますが、この地球温暖化防止対策の取りまとめ、これは国民の生活に非常に密接に結びついた問題でありますから、その解決には国民一人一人の協力が非常に重要であります。そういった意味では、今かなり国内にもみんなの関心が深まってきた、高まってきた、これは非常に結構なことだと思っております。  しかしながら、先ほど大臣もおっしゃったように、この会議で、例えば削減量を決めていかなければならぬということがあるわけでありますが、それについては、大臣おっしゃったように、実行可能なものであってほしい、あるべきである。架空なことを言ってもしょうがありませんから、それはそのとおりであるということは間違いありません。それも決して全体の問題の深刻さ、重要さを意識しないで言っているわけではないわけですね。  それはもうそのとおりでありますけれども、しかしながら、現在の世の一般の受け取り方を見ますと、非常に残念なことでありますけれども、政府の交渉方針あるいは通産省が中心となってまとめておる対策はどうも業界寄りじゃないか、意欲が足りないのじゃないか、そういう見方があります。  これは、特に民間のいろいろな推進団体みたいなものがほぼ異口同音みたいなところがありますね。まあ一つの信念を持っていろいろなことをおっしゃっていただくのはいいのですけれども、そういうことで国民にあらぬ誤解を受けるというおそれを私は非常に感ずるわけであります。いろいろ事務的にも通産省は頑張ってPR、説明に努めておられるということでありますけれども、このあたりは今後も国民の誤解を受けることがないようしっかりと努力をしていただきたい、これを心からお願いを申し上げる次第であります。  この点について、事務局でも結構ですから、何かあればお答えを願いたいと思います。
  20. 並木徹

    ○並木政府委員 お答え申し上げます。  今委員指摘のように、COP3京都会議で現在交渉されております削減目標に対する対策ということについては大変厳しいものがございまして、今回政府におきまして取りまとめました対策におきましても、産業界におきます省エネ対策に加えまして、冷暖房の適正化あるいは自動車の利用の自粛といったような国民一人一人の努力が行われることを期待されておるわけでございまして、こういった国民努力実施を着実なものとすべく、こういった意識を喚起しまして、いわばライフスタイルの変革ということが必要だということでございます。  こういった観点から、先般、地球温暖化に関する政府の審議会合同会議の報告が行われた次第でございまして、政府におきましても、今御指摘のように、省エネルギーでございますとかCO2の排出削減に関します情報提供、広報あるいは教育といったことにつきまして全力を挙げていく所存でございます。
  21. 古賀正浩

    古賀(正)委員 どうもありがとうございました。  次に、問題を移しまして、公正取引委員会にお願いをいたします。  我が国が二十一世紀においても活力ある豊かな経済社会を築き上げるというためには、御案内のとおり、規制緩和を行い、公正自由な競争政策を拡充し、経済構造改革していくことが非常に重要なことになっておるわけであります。そういう中で、今後公正取引委員会役割に対する期待というのは非常に大きなものがあります。ことし春ですか、公取の組織体制も拡充され、だんだん充実をしてきておるということは非常に結構なことでありまして、今後しっかりまた頑張っていただきたいと念じ上げる次第であります。  そういう中で、いろいろありますね、例えば、通常国会の際からの論議の積み残しで、適用除外カルテルの見直しについてどのように考えているのかとかいうこともありますが、きょうは時間の関係もありますから、それはまたの機会ということにいたしまして、二つほどお伺いしたいと思います。  一つは、いわゆる民民規制という問題についてであります。関係者の努力によって規制緩和を推進するということで頑張っておるわけでありますが、公的規制が緩和され撤廃されましても、民間の業界団体などが自主的に規制をするというか、そのような業界の企業に対して規制を行うという例があるわけであります。いわゆる民民規制ということでありますが、これがありますと、我々が努力をしております規制緩和の本当の効果も上がらないということになるわけであります。  公正取引委員会は、政府規制の緩和について積極的な提言を行うということも必要でありますし、頑張っていただきたいと思う次第であります。民民規制に関して積極的に取り組むべきというふうに思いますけれども、それについての公正取引委員会の考え方を御説明いただきたいと思います。
  22. 根來泰周

    根來政府委員 御承知のように、ことしの三月の閣議決定によりますと、いわゆる民民規制については、公正取引委員会は必要に応じその実態を調査し、競争制限的な民間慣行の是正を図るとともに、背後に競争制限的な行政指導が存在するかどうかという観点からもよく調査しろ、こういう閣議決定になっております。  私どもはその趣旨を体しまして、特に事業者なり事業者団体が新規加入の阻止あるいは差別的取り扱いの有無がないかどうかというような観点から、いろいろ調査をしております。例えば公益法人の基準・認証に関する実態調査あるいは事業者団体における価格表等に係る実態調査等に現在取り組んでいるところでございまして、ただいま御指摘のありましたように、公的規制のみならず民民規制についても厳正に調査して、その結果を公表し、大方の御批判を仰ぎたい、こういうふうに思っております。
  23. 古賀正浩

    古賀(正)委員 次の問題に移ります。  これも公取にお伺いしたいのでありますけれども、通常国会の際にも論議があった問題でありますけれども、中小企業の相談への応援体制についてということであります。現在景気の低迷が長引いております中で、中小企業にはいろいろなしわ寄せが及んでおる。しわ寄せの中には独禁法に違反するようなものもあるというふうなことも言われておるわけであります。  中小企業にとっては公正取引委員会が本当に頼りになる、しかし、公正取引委員会にはどうも相談に行きにくいということもあるわけであります。行きにくいとともに、全国的な組織体制の張り方からしますと、やはり非常に薄いということももちろんございますけれども、こういう問題に対して、ひとつ真剣に取り組んでいただきたいということをこの通常国会から申し上げておったわけであります。  いわば普通の、例えば町の地域の治安とか安全とかということについては、警察があり、交番が あります。そこで、もう気楽に駆け込んだり相談に行ったりすることもできるという関係があるわけであります。むしろ現在の経済行為に関しても、いわば公取が交番的な機能をそれぞれの地域に果たすような組織を持つということは非常に大事じゃないかというふうな気がしてなりません。六月の時点での国会の論議の中で、これは同僚の中野清議員であったと思いますが、駆け込み寺のような機関が必要ではないかという提案もあったところでございまして、それについてもいろいろの研究をやっていただいていると思いますが、公正取引委員会は、この問題についてその後どのような検討をされているのか、どのような態度でおやりになろうとしているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  24. 根來泰周

    根來政府委員 これは私どものお役所だけではなくて全体に通ずることでもございますけれども、民間と役所の間というのはなかなかアクセスというのは難しいところがございます。特に私どものお役所は、規模も小さいし、また仕事の内容もどうしても民間とすき間があるということは否定できないと思います。そして、この委員会におきましてもいろいろそういう観点から御注文がございました。私どもの方も執務体制を整えまして御要請に応ずるようにしておりますけれども、一気に相談窓口を広げるというわけにはまいりませんので、ここで御提案になりましたような全国各地の商工会議所あるいは商工会と密接な連絡をとりまして、その方々に道筋をつけていただくというようなことを考えて、現実に実行に移しているところでございます。  そして、商工会議所あるいは商工会におきまして経営指導員というのがいらっしゃるそうでございますけれども、全国的には八千人ぐらいいらっしゃるようでございますが、そういう研修には私どもの方から積極的に出席いたしまして、そういう方々の御理解を得るということを通じまして相談窓口を広げていきたい、こういうことで現在実行に移しているところでございます。これからもそういう観点から順次努力を重ねていきたい、こういうふうに考えております。
  25. 古賀正浩

    古賀(正)委員 ありがとうございました。  今後またさらにしっかりと努力をしていただくことをお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  26. 斉藤斗志二

    ○斉藤委員長 次に、西川太一郎君。
  27. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 早速質問に入らせていただきますが、今、日本経済は大変厳しい状況の中にあって、我々野党の立場でいえば、政策の失敗による不況、こういうことも言えなくもない。その後始末にいろいろと努力をされている、こんなふうにも受けとめられる面もあります。しかし、そういう中で、通産省は非常に前向きに、次世代の日本経済をいかに立ち上げるかという努力を真剣にしておられる、これは野党の立場とはいえ高く評価をしたい、こういうふうに冒頭申し上げたいと思います。  そこでお尋ねでございますが、通産省が中心になって中心市街地活性化対策というものを今しておられますが、この点について、提案も含めながら数点、大臣の御所信を承りたいと存じます。  日本経済の構造転換が進む中で、中小製造業、とりわけ東京、大阪のような大都市圏における零細製造業の、いわゆる物づくりの環境というものが非常に厳しいものになってきておりますことは、大臣も十二分に御承知のことと存じます。そういう中で、中心市街地の商業機能と密接に関連して、都市型工業の活性化を行うことが必要ではないかと近時言われております。  そこで、通産省を中心に検討しておられますこの中心市街地活性化対策の中でも、都市型産業活性化関連施設の整備例として、インキュベーター施設、または製販一体事業支援施設と申しますか、製販というのは製造と販売をリンクさせる、こういう意味でございますが、これを一体型にして行う事業に対して支援をする施設、こういうものを挙げておられて、例えば、中小企業庁等が自治体など、または商工会議所等に配付をしておられますものには、具体的な幾つかのイメージまで挙げて政策の浸透を図っておられる。  そういう中でお尋ねをするわけでございますが、まず一点目は、東京二十三区のような地域中心市街地において自治体が進めておりますアパレルまたはバッグ、アクセサリー、こういう製造、つまり、ファッション関連の産業またはその消費財の製造の製造販売を一体化する。例えば工房ショップという言い方ができるかと思いますけれども、または、そういう英語があるかどうかですが、ファクトリーブティックとでもいいましょうか、そういうものをつくっていく。または、今はやりの保育器といいますかインキュベーター、こういう施設を誘致して、地域に芽を出した、将来可能性のあるそういう産業を育てていく。厳しい財政の中ですけれども、こういうことに補助をしたり、特別融資を制度化したり、こういうことをやっていただければ私は大きな効果が出るのじゃないか、こう思うわけでございます。  例えば、手前みそで恐縮でありますが、私の選挙区の墨田区、荒川区は、隅田川という川に沿っているわけでありますが、これは東京都の調査によりますと、アメリカのマサチューセッツ州のボストンの中心を流れてボストン湾に注いでいるチャールズ川という川の流域と非常に似ている。つまり、ファッション産業が集まっている。隅田川ファッションリバーという名前も実はかつて提唱したことがある。ついでに申しますと、多摩川の方はハイテクが集まっていまして、多摩川ハイテクリバー構想というのがあって、一対をなしているわけであります。したがいまして、我が墨田、荒川地域にはそういうファッション産業が頭のてっぺんからつま先まで蝟集しているわけであります。こういうところで、ただいま申し上げましたようなものを育てていただく補助融資制度、これを創設していただけないかということが一点。  またもう一つは、共同入居型の製造販売一体工房等の大規模施設というのを中小企業庁中心市街地活性化の例として自治体に示されているわけでございますけれども、二十三区のような密集市街地において突然大規模な空き地が出るということは、なかなか難しゅうございます。そこで、地価も高いこともありますし、いろいろなことがございますので、一施設一体型の整備ではなくて、広がりを持った一定の地域を、施設と決めるのじゃなくて地域を指定していただいて、製販一体型の工房ショップ、こういうものを誘導して集積をさせていくという手法をぜひとっていただけないか、こういうふうに存じて、この二点をやっていただけないかという、要望というか、質問の形で申し上げる次第でございますが、御答弁を賜りたいと存じます。
  28. 堀内光雄

    堀内国務大臣 先生指摘の、空洞化懸念されております中心市街地活性化のためには、商業の振興だとか都市基盤の整備はもちろんのこと、中心市街地に集まる個人消費者や事業者に商品、サービスを提供する都市型産業の振興が非常に重要だと思います。  さらに、御指摘のように、今繊維産業がなかなか苦しい状態でございますが、こういうものの活性化というものを考えますと、ファッション産業という中で、一体化した中での活性化ということ、これまた時宜に適した非常にいい御指摘だというふうに感じる次第でございます。  委員の御指摘の墨田区のファッションタウン構想というものにつきましては、都市型産業振興をてことした市街地活性化に向けた地域の取り組みとして大変有意義なものだと認識をいたしておりまして、我々としても大いに御協力を申し上げたいと感じております。ファクトリーブティックと今お話がありましたが、非常にユニークでいいお名前だと思いますし、こういうような問題についてしっかりと取り組んでまいります。  都市型産業の振興と、それによる中心市街地活性化につきましては、去る十二月二日に工場立地及び工業用水審議会の部会報告をちょうだいをしたところでございまして、その内容に沿って、来年度から各般の施策を講ずるように検討を進めているところでございます。  具体的には、ファッション産業等の最終消費財製造業向けの製造と販売を一体で実施できる施設、御指摘のような施設でございますが、あるいは、対事業所サービス業の新事業展開を促進するための施設などの整備を支援すべく、現在、財政当局に所要の予算の要求をいたしているところでございまして、その実現に向けて最大限努力をして、何とか実現をさせてまいりたいと考えております。また、地域を含めた広がりという面での御指摘、御示唆もございましたので、そういうものもひとつ参考にさせていただきたいと思っております。  これらの施策の遂行に当たりましては、市街地の整備や商業の振興といった関係する施策との密接な連携が重要であるために、中心市街地活性化に向けた総合的な施策体系の一環として御指摘の面を推進をしてまいりたいと思いますので、またいろいろと御指導を賜りたいと思います。
  29. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 そこで、ただいま総合的な施策をというお言葉がございました。それに関連してもう少し具体的に申し上げますと、例えば、東京二十三区のような中心市街地では、区画整理事業ですとか市街地再開発事業に絡めながら、当該自治体がいろいろと事業を、ただいま御提案を申し上げましたようなファクトリーブティック等をつくっていこう、こういう動きがあります。  例えば住宅・都市整備公団等が行われます第二種市街地再開発事業、こういうものにつきましても積極的に応援をしていただければ、いわゆる中心市街地の製造業や商業の空洞化が防げる、こういうことも考えられるわけでございます。地元主導による商業ビルの整備でありますとか、道路、駐車場等の基盤整備に対する御支援も、それは補助であるか融資であるか、いろいろな形がとられると思います。  国の財政も大変ですけれども、御案内のとおり、東京、大阪のように法人二税に大きく依存をしている地方自治体の経営も非常に今厳しいわけでございまして、そういう意味では、双方が汗と知恵を出して未然にそういうものを防ぎ、または活性化していく、ただいまの大臣の御答弁で重々理解をしておりますが、念のため、こういう再開発事業等についても御支援をいただけるかどうかということについて、恐縮でございますが、重ねてお尋ねをいたす次第であります。
  30. 堀内光雄

    堀内国務大臣 具体的な問題でございますので、政府委員から御説明を申し上げます。
  31. 並木徹

    ○並木政府委員 この問題につきましては、地域のイニシアチブというものを大前提にして、政府、関係機関、一体となってこれに取り組むという趣旨でもございますので、今の御指摘の点につきましては、十分関係機関と相談しながら進めてまいりたいと思っております。
  32. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 次に、若干、税に関することをお尋ねをしたいと思うのであります。  いわゆる租特というものが国の税収に悪い影響も与えているし、随分長いものもある、サンセット方式で整理をするべきだという主張も財界などにも強く出ております。しかし、そういう中で、新技術を起こし、日本産業がさらに新しい時代に備えるための研究開発費等に対する減税は、これを強化するべきではないか、むしろ拡大しろ、こういう意見があります。これについてお伺いをしたいと思うのでございます。  今、一般的に言って、財政が厳しいという理由で、こういう問題についても、ちょっと芽を出していただいても、それを育てて太い幹にするということがなかなかできにくい環境にあることは重々承知をしているわけでありますけれども、こういうときこそ、新技術を育てるという通産省の立場では、財政当局に対して、これは必要だということを強く主張していただいて拡充をしていただく必要があるのではないか、私はこう思いますが、大臣の御所信を伺いたいと存じます。
  33. 堀内光雄

    堀内国務大臣 御指摘のとおり、新規産業の創出というものを通じての経済活性化、これは経済構造改革の中での大きな柱になっております。そういう意味からも、先生の御指摘のとおり、地球規模での競争の激化や急速な高齢化進展する中で、我が国が中長期的に強靱な経済基盤を確立するためには、研究開発の促進を図る、それを通じた既存産業の高付加価値化や新規産業の創出をすることがかぎだというふうに考えておりまして、通産省といたしましても、予算措置政策融資とともに、税制措置を通じて研究開発を促進していこう、それが一番重要な、かつ有効な方策だと考えて、真剣に取り組んでいるところでございます。  具体的には、企業の研究開発活動全体の促進に加えまして、ハイテク分野の研究開発、中小企業の技術基盤の強化、地球温暖化対策等による環境技術の開発、産学官の連携の促進といったような政策目標を達成するために、研究開発費に関する税制上の措置についても、制度の積極的な活用を推進するとともに、時代変化対応した的確な見直しを行いながら、御期待にこたえるように十分に取り組みをいたしてまいりたいと思っております。
  34. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 大臣、参議院の御都合で、何かここを十五分にお出にならなければ間に合わないということだそうで、御協力をいたしたいと思いますので、たくさん質問があるのですが、もう一点だけ大臣に伺って、あとは政府委員の方々にお尋ねをいたします。  もう一点は、土地税制の中でも特に地価税、これは保有税ですから、緊急の景気対策になるかならないか、それはいろいろな考え方があると思うのですが、私も小さい会社の実務家の立場として、または地方議員も長く務め、いろいろな体験から、いわゆる土地の譲渡益課税が、こういう時期、小規模企業等のリストラの非常におもしになっているといいますか、ブレーキになっている。  例えば、具体的に言えば、担保で評価をしてもらって入れておいて、会社が危なくなったらもう会社を廃業して担保で持っていってもらった方が、リストラをしようと思って、また継続しようと思ってそれを売っても、総合課税で半分持っていかれて、さらに譲渡益課税で持っていかれると、十億ぐらいの不動産でも三分の一ぐらいしか手元に来ない。そうすると、個人補償の問題もあったり、細かいことで恐縮ですが、そういうことでもうやる気をなくしてしまっているという経営者もいるわけでございます。  この譲渡益課税を、これも産業育成の観点から、こういう時期、大臣財政当局にひとつ注文をつけていただければありがたい。要するに、少し率を減らせ、こういうことを大臣にはぜひ頑張っていただきたい、こう思うのですが、いかがでございましょうか。
  35. 堀内光雄

    堀内国務大臣 先生のおっしゃるとおり、現在の景気活性化させるためにも、土地流動化ということは非常に重要なことだと思っております。そのときの一番指標になっておりますのが土地の譲渡益重課税でございます。  バブル期前の税制に戻すことが基本だろうというふうに私も思っておりますし、こうした観点から、通産省としましては、法人の長期保有土地の譲渡益重課税の廃止について、平成十年度税制改正に向けて実施をすべく、要望を強くいたしているところでございます。そういう意味合いから、さらに近時の厳しい経営環境に置かれた事業者に関しましては、いわゆる事業革新法に基づきまして、土地を含めた長期保有資産を売却し、建物や機械に買いかえた場合の譲渡益についても八〇%の圧縮記帳を認める特例措置を講じているところでございまして、先生指摘のとおりの重課税の撤廃に向かって、通産省は全力を挙げて取り組んでいるところでございます。
  36. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 大臣、どうぞ参議院の本会議へお出かけください。  それでは、政府委員の皆さんにお尋ねをいたすわけです。本当は我が党は大臣か政務次官に聞くという方針になっておりますが、遠藤政務次官おいででございますけれども、どうぞ政務次官、御答弁いただいても結構でございます。  そこで、中小企業向けの融資のあり方について、先ほど古賀正浩先生からお尋ねがございましたけれども、もう少し私は具体的に伺いたいと思うのですが、時間も余りありませんので答弁は簡潔にお願いしたいと思います。  東京都がこの十日に一つのアンケート調査の結果を得るのです、きょう現在まだその結果が出ておりませんが。実は、貸し渋りについて非常に厳しい意見が今各レベルの地方自治体の担当に寄せられていることはもう御案内のとおりです。  貸し渋りについて、特にお尋ねをしたいのは信用保証協会保証のあり方なのでございますけれども、信用保証協会本来の趣旨は、担保を持たない人に保証料を取ることによって融資を促進させるという考え方であったはずなのに、実態としては、BIS規制金融機関がキープするために、担保がありながら優良貸付先をわざわざ保証協会に回して、そして審査を通して貸している。だから、本来保証協会を利用させてもらえる人たちが、優良企業というか、その必要のない担保力のある企業に追い出されちゃって、保証協会本来の機能が減殺されている、そのためにその融資が狭まっているという事実が実際にあるわけですよ。  これについて、これはおかしいじゃないか、保証協会本来の機能と金融機関のBIS規制というのは関係ないはずだ、それを金融機関のために保証協会が、言葉は悪いけれども、悪用されているということを見逃しちゃいけないのじゃないかと思うのですが、これはどなたが御答弁をいただけるか、お尋ねをしたいのでございます。
  37. 中村利雄

    ○中村(利)政府委員 お答えいたします。  中小企業信用保険につきましては、信用補完として先生指摘のように大変重要な機能を果たしているというふうに私どもも認識いたしておりまして、先般、政府としましては経済対策を取りまとめたわけでございますけれども、その際に、この貸し渋りを懸念いたしまして、信用保証協会の現場におきましても特別な相談窓口を設置しまして、十分な相談に応ずる体制を整えておりますし、加えまして、建設業でございますとかあるいは小売業でございますとか、そうした特定業種につきましては、保険限度額倍額にするというような形でこうした貸し渋りに対応するというふうにしているわけでございます。さらに、拓殖銀行でございますとか徳陽シティ銀行というものの取引先に係る保険につきましても倍額にするというような対応をいたしておりまして、これも全く初めて行った制度でございますけれども、このように弾力的に対応しているところでございます。
  38. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 そういう御努力をしておられることはよく承知をしておりますし、緊急に枠を広げられていることも知っています。対象業種を広げていることも、金額をかさ上げしていることも知っています。しかし、今のような事実は実際にあるわけですから、これはやはりこういう金繰りの、特にこの金融繁忙の季節には強烈にそういう指導を行政はするべきなのであって、いやしくも政府系金融機関はそういうようなことはしてはならないわけでありますから、その辺をしっかりやってもらいたい、こう思います。  政府系金融機関、たくさんありますけれども、それぞれしっかりしたノウハウを持って、ちゃんと経営指導もやって非常に効果を上げている、商工中金なんかは非常に評判もいい、こういうことも我々体験として、きちっと借り手の側が対応していけば、政府系金融機関のノウハウと力をもって健全な企業を育てるという実例を私はたくさん知っていますから、全部が悪い、こういうわけじゃありません。民間の金融機関についても、そういう努力をしておられるところをたくさん知っています。  しかし、苦しいときにちょっと、かつて軽微な事故を起こした、一回や二回返済が滞ったとか、そういうことをあげつらって貸さないという貸し渋りの実例が実際にあるわけですから、そういう個別具体的な相談案件がたくさんありますので、これはぜひひとつ強力な指導をしていただきたいと思います。  最後にお尋ねをしたいことは、中小企業保険公庫の代位弁済の信用保証協会との、または金融機関との、特に信用保証協会との保険契約がありますね。あれは今までは契約金額の七割であったけれども、今度は特定業種、追加業種等、またいろいろな案件については、八割に上げていただいた。これは評価をしたいと思うのですが、こういう厳しい折ですから、ない物ねだりのように聞こえるかもしれないけれども、時限立法でもいいから思い切って、一〇〇%とはいかなくても九割ぐらい、あと一〇%これを上げていただけると融資の幅はうんと広がる、審査がしやすくなる、実際国民の皆さんの声を聞くと、私はこういうふうに思うのですけれども、この点についてどんなふうでしょうか、ひとつ御意向を聞かせていただきたいと思います。
  39. 中村利雄

    ○中村(利)政府委員 先ほどの、個別の困っておられる方々に対しましてはより弾力的にやる必要があるということで、特別に信用保証協会保証に当たりましてガイドラインを設置いたしておりまして、特にその貸し渋りの兆候があらわれております、例えば金利が上がってきている方だとか、そういう方々を重点的に対応するように現在指導をいたしているところでございます。  加えまして、代位弁済に対するてん補率でございますけれども、先生指摘のように、今回の特定業種等につきましては八〇%まで上げるということで対応しているわけでございます。ただ、これを大幅に上げる、さらに上げるということになりますと、保険公庫自身の保険収支も、最近代位弁済の増加に伴いまして非常に悪化しているわけでございまして、相当規模財政的手当てが必要なことになるということで、現在のような財政事情の折、大変厳しいものがある、容易ではないというふうに考えておるわけでございます。  ただ、信用保証協会財政基盤の強化ということにつきましてはこれまでも我々も意を用いてきておりまして、毎年補助をいたしておるわけでございますが、引き続き信用保証協会財政基盤の強化ということについては努力をしてまいりたいと考えております。
  40. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 公的資金とかそういうものを垂れ流し的にどこへでも投入しろとは言いません。税金を何でも甘く使えとは言いません。しかし、資産デフレ、バブルの崩壊、これはもうある種の政策的な一つの責任もあるわけですから、そういうもので招来したものには政府がやはりきちっと後始末をしなきゃならない。そういう時期の金融政策ですから、遠藤政務次官、これは大臣に本来聞きたいところだけれども、最後に、しっかりやってくれるかどうか、政府を代表して答弁してください。
  41. 遠藤武彦

    遠藤(武)政府委員 先生の御趣旨、まことにもっともでございますので、大臣に私の方からも篤と御進達を申し上げたいと思います。
  42. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 どうもありがとうございました。
  43. 斉藤斗志二

    ○斉藤委員長 次に、達増拓也君。
  44. 達増拓也

    達増委員 達増拓也でございます。  同僚議員から、現下日本経済の危機的状況を踏まえました質問が続いているところでございますけれども、私からは特に貸し渋り問題と、そして経済危機管理の体制、あり方について的を絞って質問をさせていただきたいと思います。  まず、貸し渋り問題ですけれども、来年四月の早期是正措置導入を控えて、自己資本比率を高めなければならないということで、大手銀行を中心に三十兆円規模貸し出し圧縮を迫られているということが言われているわけでありますけれども、この点について、政府はそういうふうに把握しているのか、まず質問したいと思います。
  45. 遠藤武彦

    遠藤(武)政府委員 去る十二月一日の予算委員会におきまして、堀内通産大臣が、大手銀行では三十兆円の資産圧縮を迫られている旨、答弁いたしたわけでございます。  委員御承知のように、ただいまお話がありましたように、早期是正措置の導入を控えまして、金融機関にとっては自己資本比率の維持向上というものが急務になっておるわけであります。ただ、昨今非常に株価が値下がりしておりまして、そのため、金融機関の含み益が目減りしております。そんな中で自己資本比率を維持しようとすれば、その減少分を貸し付けの圧縮で補わざるを得なくなるということは、もう委員も御承知のとおりでございます。  その結果、中小企業への貸し渋りが深刻化するのではないかという、これまた私どもも懸念しているところでございますが、ただ、この三十兆円の根拠というのは株価をもとにしておりまして、それは本年三月、日経平均株価は一万八千円でございましたが、十一月二十五日現在の株価は一万五千九百円、この数字を用いまして金融機関が自己資本比率を、大手十八行平均で九・三一%でございますが、この程度に維持するために貸し付けの圧縮で対応するとした場合の試算、これが三十兆円でございまして、ちなみに株価千円で約十四兆円という試算がされるようでございます。
  46. 達増拓也

    達増委員 そういう危機的状況中小企業に対する貸し渋り問題というのが出てきているわけで、先ほどの大臣の答弁にもあったように、通産省の方は、中小企業庁都道府県政府系金融機関を通じてその実態調査をしたということで、先ほどの答弁によれば、今貸し渋りを感じているのが二割、今後の貸し渋りを予想しているのが五割から六割ということで、そういう問題は確かにあるとの結果ということです。  実は、中小公庫月報四月号に載っているのですけれども、消費税引き上げ、税率引き上げが行われることし四月以前、ことしの初めの段階で既にそういう貸し渋りというのは調査されているわけですね。これは、超低金利にもかかわらずどうして貸し出しの条件、貸し出しの態度がよくならないかという問題意識で書かれたレポートで、そのころはまだ金融破綻とかいうのは出ていなかったわけですし、消費税税率アップから引き続く超緊縮財政という、そういう政策不況もまだ出ていなかったころに既にそういう貸し渋りはあった。その原因はバブル崩壊の後遺症であって、土地価格の下落、そういう中で、特に赤字企業が担保を求められるけれども、地価が下落している中で担保を用意することができない、そういうバブル崩壊後遺症としての貸し渋りというのは既にあったわけであります。  今回発表になった実態調査の結果で、これまでの貸し渋り状況、悪いというのが二割ということだったのですが、その結果、統計表、データをもらってさらにちょっと詳しく見ますと、これまでの貸し出し姿勢が不変、条件不変ですとか貸し出し姿勢不変というところに五割、六割というアンケート結果が出ておりまして、もともと貸し渋りがあったところでそういう状況が変わっていない、そういうものとこれを解釈いたしますと、その貸し渋り状況を深刻に感じている層というのは、先ほどの、これまでで二割、これからで五割、六割という数字より実態はもっと深刻なのではないかと思われるわけです。  その中で、先ほどの答弁でも特に地域的には北海道、東北が深刻だということだったわけですけれども、まずその貸し渋りの実態調査政府の解釈をもう一度改めて伺いたいことと、あと地域的に北海道、東北が深刻だという、そこについてもう少し詳しくお聞かせ願いたいと思います。
  47. 中村利雄

    ○中村(利)政府委員 私ども、九月に商工中金、中小公庫で貸し渋りの実態調査をいたしました。その後、十一月中旬に商工中金、中小公庫、国民金融公庫、信用保証協会連合会、加えまして十一月の下旬でございますが、これは北海道拓殖銀行破綻の後になるわけでございますけれども、都道府県を通じまして調査をいたしております。  それで、九月の時点におきましては、先生指摘のように、不変という方が非常に多いわけでございますけれども、よくなったという方も結構いらっしゃったわけでございます。それが十一月の中旬になりますと、二割ぐらいの方が、既に悪化している、厳しくなっておる、さらに、今後の見通しにつきましては、厳しくなるという方が五割から六割に達するということでございまして、特に十一月中旬と下旬の調査を比較しましても、下旬の方が悪くなっておるという状況でございまして、私どもとしましても、厳しくなりつつあるという状況を深刻に受けとめているところでございます。
  48. 達増拓也

    達増委員 北海道、東北という地域、それについて。
  49. 中村利雄

    ○中村(利)政府委員 失礼いたしました。  北海道につきましては、既に貸し渋りの動きを指摘する企業が二六%、今後の貸し渋りを懸念する企業が約六五%存在いたしまして、各地域の中で最も悪い地域となっております。  また、東北につきましては、既に貸し渋りの動きを指摘する企業が二三%、今後の貸し渋りを懸念する企業が約五一%でございます。
  50. 達増拓也

    達増委員 北海道、東北という地域は、バブル後遺症という観点からすれば首都圏、大都市圏に比べればまだましなはずで、そういうところの貸し渋り感が最近急に悪くなったというのは、やはり北海道や東北にある大きい金融機関破綻がかなり影響を及ぼしているということだと思われるわけですね。  ですから、そういう金融破綻が起こったとき、やはり中小企業に対して非常に強い影響、大きいしわ寄せが来るということで、その危機に備えた体制というのは、今は北海道、東北で起こってきているわけですけれども、やはり全国的にきちっとしておかなければならないというふうに思われるわけであります。  そこで、政府は、中小企業関連の対策、特に金融関係の対策ということでさまざまな施策を決定して実行しているということなんですが、特に目玉として、政府系金融機関に今回の金融危機ということでの別枠融資制度を創設したということなわけです。  ただ、この別枠融資制度ですけれども、かなり条件が厳しいのではないかと思われるわけであります。どういうときに中小企業がその新しい別枠を利用できるかというと、まず、取引金融機関が銀行法に基づく業務停止命令を受けた場合、次に、取引金融機関について整理回収銀行等による破綻処理スキームが公表されるなど、実質的に経営破綻状態にある場合、第三に、経営内容が悪化していないけれども、実効金利が長期プライムレートの変動より悪化している、そういう条件がついているわけであります。  実質的に取引金融機関破綻して初めて政府系金融機関別枠融資を受けに行けるということであれば、今の貸し渋りの実態というのは、ある程度健全な銀行でも、自己資本比率を高めなければならないという要請で、いろいろ断片的ではありますが、関係者に話を聞いたりすると、各支店で貸し渋り競争といいますか、貸付額を一割削減とか何かそういう目標をつくって、争って貸付額を抑えにかかっている。そこではまだ銀行は破綻していないわけですし、条件を変えるということよりとにかく貸せないということで、まさにそれが貸し渋りだと思うのですね。  そういう実態に対してこの施策が有効に働くのかどうか、その点、伺いたいのです。
  51. 中村利雄

    ○中村(利)政府委員 先般創設しました金融環境変化対応特別貸し付けの貸付対象は、先生指摘のありましたように、取引金融機関が業務停止命令を受けた等の破綻金融機関に限りませんで、例えば、貸し渋りの一種の兆候といいますか、そういうものが出ているところにつきましても弾力的に対応するということでございます。  例えば、具体的に申し上げますと、経営内容が悪化していないにもかかわらず、取引金融機関との取引状況について、実効金利が前期に比べ同期間の長期プライムレートの変動よりも悪化するというような状況になっている場合などについては、弾力的に対応するということにいたしております。
  52. 達増拓也

    達増委員 その貸し渋り問題の実態、中小企業の困難の実態を踏まえた対応を切に要請するところであります。  同じ特別融資枠の施策についてですけれども、新しい貸付限度枠、別枠で中小公庫一億五千万円、国民公庫、環境公庫で三千万円と、一億八千万円ですか、そういう規模で行われるということなんですけれども、そもそもの銀行の全体の貸し出し圧縮が三十兆円と言われる中で、それがすべて中小企業あてということでもないのでしょうが、今のこういう危機的状況の中で、そのくらいの規模で果たして有効性があるのか、実効的なのかという疑問がわくわけであります。  今この金融危機、経済危機をめぐる議論の中では、政府系金融機関の貸し付け、これはもう思い切って今の倍ぐらいにまでふやさなければならないのじゃないか。そうなると、十兆、二十兆とかいう単位でふやしていかなければだめなんじゃないか、そういう意見もあるわけです。その点について、政府の方の見解を伺いたいと思います。     〔委員長退席、石原委員長代理着席〕
  53. 中村利雄

    ○中村(利)政府委員 中小企業庁といたしましても、民間金融機関の貸し渋りの懸念というものを大変深刻に受けとめておるわけでございます。そういう観点から、政府系金融機関役割が非常に重要であるということでございまして、こうした観点から、これらの機関について、先生指摘のように、十分な貸付額を確保して、あらゆる事態対応できるようにきちっと対応していくことは必要だというふうに考えております。
  54. 達増拓也

    達増委員 今の経済危機、金融危機について、よく人間の血管がおかしくなっている、血の流れがおかしくなっているという比喩がされるわけです。  日本は本来筋肉の力、そういう基礎体力はあるはずなのに、血のめぐりが悪くなっても細血管まで血が行き渡らなくなり、そしてそのも細血管が行き渡るはずの体の末端から壊死していっている。その末端と比喩されているのが中小企業なわけですけれども、これは逆手にとれば、その末端のも細血管に血液をばっと大量に送り込んで末端から力を回復し、手足の先、腕、足、そういったところから経済活力を回復して、そして心臓周辺の中心の血液をぎゅっと押し戻して日本全体の経済活力を取り戻す。つまり、上からお金をおろしてやっていくという、大きいところから流していくというより、まず生活の現場、ビジネスの現場、中小企業ですとか商店街ですとか、そういうところにお金が流れて、そういう地方の中小企業からの景気回復というのを目指していくべきではないかと思うわけです。  これは、現在目の前にある危機対策ということでもあると同時に、今どんどん進めていかなければならないはずの構造改革経済構造改革、そういう地方の中小企業活力を生かした形で、自由で自律的な日本経済を新しくつくっていくという、そういう本来の改革の趣旨にも沿うことだと思います。ですから、今日の前にある危機も大変なんですが、うまく乗り越えれば日本経済を大きく改革できるそのかぎが中小企業にあるということを踏まえて、融資枠の額についても前向きな検討をやっていかなければならない、そこを強調したいと思います。  政府系中小企業関係の金融機関貸し出しについて、昔高金利時代だったときに借りていた借金についての問題があるわけです。昔、金利が五%以上だった時代中小企業が借りていたお金を今の低金利時代にそんな利息で返していくのは非常に大変なわけで、その負担の軽減、金利減免措置というのがあったわけです。これを継続することは非常に重要だと思うのですけれども、その点、いかがでしょうか。
  55. 堀内光雄

    堀内国務大臣 お答えをいたします。  中小企業景況というものが大変低迷をいたしております中で、資金繰りがますます厳しさを増してきております。高金利の既往債務を有する中小企業がその返済に困難を来している状況などもあることも、当省としては十分認識をいたしております。  そのために、中小企業金融公庫国民金融公庫、商工組合中央金庫等の政府系金融機関において、五%超の金利の既往債務を有する中小企業者の金利減免措置を延長いたしまして、平成十年十月末までと延ばしたわけでございます。  また、ただいまの先生の御意見のように、古い債務、古い高金利のものを抱えているためにこういう措置をしなきゃならないわけなのでありまして、こういう高金利の古い債務を返済をすることを今は受け付けてないという面が多いようでございますが、そういう声もございますので、そういう古い債務を返して新しいものに切りかえるというようなことができるような方向に向かって今努力をいたしております。非常に重要なことだと受けとめまして、取り組んでまいりたいと思っております。  今後とも、中小企業者の実情等を踏まえながら、中小企業金融の円滑化に努めてまいりたいと思います。
  56. 達増拓也

    達増委員 では次に、経済危機管理体制のことをテーマに質問させていただきたいと思います。  まず、経済状況の現況の認識の問題なんですが、十二月に入りまして、経企庁から七−九月期のGDPが発表されました。年率換算三二%ということで、九七年度全体にいたしますと、どうもことし、ゼロ成長になる公算が高くなってきた、そういうデータが出てきているわけであります。OECDの方でまとめている各国の経済報告によりましても、OECDは当初は二・三%とことしの日本の成長率を予想していたわけですが、その二・三%を大幅下方修正して、〇・八%という数字にしている。OECDは日本経済に対して、柔軟な予算編成によって財政再建景気対策を両立させることが必要だと景気対策についての必要性を訴えて、日本政府に対して警告を発してきているところであります。  このような状況で、経済企画庁は従来、景気は緩やかな回復基調と言っていたわけですけれども、この認識を改めたということでよろしいでしょうか。
  57. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 最近の景気動向を見ますと、設備投資は、設備過剰感が薄れつつあることや、あるいは企業収益が緩やかに改善していること等を背景といたしまして、製造業を中心に回復傾向にあり、また輸出関係も増加傾向にあると認識をしております。  しかし、個人消費足踏み状態である。住宅建設は依然として、今年初めの消費税引き上げ対応する反動減というのがございまして、弱い動きになっている。それから生産も、在庫調整の動きもございまして、弱含みに推移しているという状況でございます。  こういう中で、最近の株価の動向やあるいは金融機関経営破綻等を背景といたしまして、家計や企業経済先行きに対する景況感というものが厳しさを増しておりまして、これが消費や設備投資影響をしているという可能性があるというふうに考えております。  そういう状況を総合的に判断いたしまして、景気はこのところ、緩やかな回復という頭なしで、足踏み状態であるというふうに認識をしております。
  58. 達増拓也

    達増委員 非常に重要なポイントを改めて今確認させていただいたと思います。政府経済対策の基本に経済企画庁景気認識経済現状認識があるわけでありまして、ここを非常にきちっとやっていかないと政府全体の政策も非常に甘いものになってしまうということで、経済企画庁の責任は非常に大きいものがあると思います。  次に、中期的な景気の動向なんですけれども、十二月に入りまして、日本経済研究センターというところが、西暦二〇〇二年までの成長率予想として、平均で一・六%にとどまるだろうという見通しを発表をしております。この点、政府は中期的な見通しはどのように見ているでしょうか。
  59. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 日本経済研究センターの見通しは一・六ということでございますが、私ども、今の、現状景気をしっかりと踏まえながら、しかし、これから規制緩和あるいは土地の有効利用、流動化によります不良債権の処理の促進、そして国際的に匹敵するような事業環境を整備するという意味で、法人課税の軽減の問題やあるいは有価証券取引税の扱い、そういうものをやりながら、民間活力中心経済の正常な回復軌道への戻しを実現をしていきたいというふうに考えております。  従来のパターンの財政出動というのは、財政状況を見ましても、また景気現状から見ましても必ずしも適当でないという中で、二十一世紀に向かって、民間活力を一〇〇%発揮させるような体制づくりをしていきたい、こういうふうに考えております。そして、その結果として、今、中長期の見通しにおきます実質三%という数字を達成をしていきたいと考えている次第でございます。
  60. 達増拓也

    達増委員 責任ある立場にいる人たちが余り危機だ危機だといって騒いで、世の中に過剰な不安を巻き起こしてはいけないということはあるわけでありますが、他方、やはり危機というものに対しては、どの程度の危機なのかを正確に把握し、きちっと対応をしないと、かえって不安が広がって世の中が乱れてくる、そう思うわけであります。  今の金融危機の中で、若いサラリーマン、株価がかなり下がっていて、くず株とか言われていてる そういう会社に勤めているサラリーマン 私ぐらいの世代のサラリーマンの話なんですが、本当は会社は物すごい危機になっているはずなのに、コピーもとり放題、使い放題、コーヒーも飲み放題。節約とか、何か危機管理とか、そういう雰囲気は全然なくて、数字を見れば、客観的に考えればもう末期的、おしまいの状況のはずなのに、社内の雰囲気は妙に明るくて非常に妙な気がする、そういう話を漏れ聞いております。  これは、最近、政府・与党の幹部、あるいは政府主要大臣が、大臣であれば国会での答弁、政府幹部については、土曜日曜の朝のテレビなどに出ていろいろ発言されているわけですけれども、どうも認識として甘いのじゃないか。きちっと状況がわかった上で、あえて元気を出せというのであればいいのですけれども、単に、日本には千二百兆円の個人資産があるから大丈夫だとか、日本には科学技術の力があるから大丈夫だとか、本当に今の経済現状をきちっと把握した上でそういうことを言っているのか、非常に疑問がわくわけであります。  経済企画庁の前身というのは、もともと経済安定本部という、戦後の経済危機管理をするための非常に特殊な組織が経企庁の前身なわけでありますが、その経済安定本部、安本というものは、総理大臣を総裁として、その下に閣僚級の長官を置いて、経済のほぼ全領域にわたることについて企画立案から実施までやっていた。公共事業の予算の決定権まで持っていた。この際、時代状況は全然違うのですけれども、危機管理の手段としてそのくらいの、省、庁の枠を超えて総理大臣のリーダーシップで情報を収集し、適切な施策を決定し、実行する、そういう仕組みをつくる必要があるのじゃないかということを考えるわけであります。  今の経済企画庁も、当時の安本時代の名残が設置法に残っておりまして、経企庁の任務として、「二以上の行政機関の経済施策に関連する総合的かつ基本的な政策の企画立案」ですとか「経済に関する基本的な政策総合調整」ですとか、今の経企庁を中心にして、新しいそういう機構を再編、設置し、力強く今の経済危機に取り組めるのじゃないかと思うのですけれども、その点いかがでしょう。
  61. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 おっしゃるとおり、経済企画庁の前身であります経済安定本部は、物資の生産、配給、輸送に至る経済安定のための強力な施策を行っていた時代もございました。そのときの経済は、ある意味でいいますと非常に統制経済的な状況でございまして、戦後のいわば大変に非常事態といいますか、そういう事態であったように考える次第でございます。その後、徐々に経済の統制が緩和されて自由経済をベースにする状況になってまいりますとともに、経済企画庁役割も、中長期の経済運営の指針となります経済計画の策定とか、あるいは経済見通しの作成、経済対策の取りまとめなど、状況変化に応じまして仕事のやり方等が変わってきたように感じております。  昨今では規制緩和あるいは市場ルールづくり等についてもいろいろとやっておりますし、また、つい先般の行政改革会議の最終報告におきましても、透明かつ効率的な政府のもとで民間経済活性化を目指して、経済政策に関する経済企画庁役割は、総理の経済運営における戦略性とかあるいは総合性の発揮を補佐すべく、内容の変わった形で内閣府に置かれることになったというふうに考えております。  現在の景気状況、先ほど来のお話のとおり、私自身は非常に大切な時期であるというふうに認識をしておりまして、特に、金融システムについての信頼性が失われかかっていることなどについても、従来のパターンの所管の枠を超えて、しっかりとした対応をするべく全力で努力をしてまいりたいと考えております。  そしてまた同時に、先般の十一月十八日の経済対策でも打ち出しましたけれども、そういう施策をしっかりやりまして、国民経済の将来に対する信頼感を確立をして、民間活力中心の順調な経済活動、経済活性化を図っていきたいと考えている次第でございます。     〔石原委員長代理退席、委員長着席〕
  62. 達増拓也

    達増委員 昔の安本はまさに統制経済の名残だったのでしょうが、その統制的なものが今の日本の中にも、大蔵省、通産省あるいは運輸省、建設省とか農水省とか、各省庁の中にばらばらに残存し、それが業界と妙な格好でなれ合いをやって今のぐちゃぐちゃになっている。中央できちっとコントロールされない統制がめためためたと日本の中に広がっているところが構造問題であって、この際、そういう統制的なものを一回中央に集めて、もし経済が半年後なり一年後なり安定したら、その時点でその権限を放棄してしまえば、今問題になっている行政改革も同時にでき、規制緩和にも資する、一石二鳥のことではないかと思うわけです。  行革について、単なる省庁の切り張りのようなそういう省庁再編でさえ何か二〇〇一年までかかるとかいう政治的リーダーシップのあり方というのは、どうもやはりまずいのでありまして、経済危機の管理、そして構造改革を力強く進める、そういう観点からも思い切った政治的リーダーシップを期待したいということを最後に述べさせていただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  63. 斉藤斗志二

    ○斉藤委員長 次に、中野清君。
  64. 中野清

    ○中野(清)委員 新進党の中野清でございます。  まず、委員長にお願いがございますが、岩手日報に、盛岡市の商店街連合会の意見広告がございまして、これを大臣初め委員各位に、この質問の参考にしたいと思いますので、配付することをお許しを願いたいと思います。
  65. 斉藤斗志二

    ○斉藤委員長 どうぞ。
  66. 中野清

    ○中野(清)委員 よろしくお願いいたします。ありがとうございました。  実は、去る十二月二日の日経、また日経流通ではトップで、また翌日の三日には、朝日、読売、毎日初めほとんどの全国紙が、大店法は来年度にも廃止、新法案提出へという記事が出ております。通産省から正式の発表ではありませんが、中小小売業者、商業団体に与えたインパクトはもう莫大なものがあります。いかに審議会が審議中とはいえ、極めて重要な問題でございますので、これら新聞記事を踏まえた上でございますけれども、速やかに対処しなければならない。この問題について質問をさせていただきたいと思います。もし時間があれば中心市街地についてもさせていただきますが、まず大店法についてお願いいたします。  ちょうど七年前、一九九〇年に「大店法が消える日」という本がございました。私、持っておりますけれども、それを考えてみますると、今その本が、当時私も県会等でそれを唯一の情報源として勉強したものですが、それが現実になろうとしている。それに対してただ手をこまねいていていいか、そういう問題意識でもってまず御質問をさせていただこうと思っております。  まず第一に、大臣にお伺いしたいのですけれども、この新聞報道についてどのようにお考えになっていらっしゃるか、そのことをまずお伺いをしたいと思います。  そしてもう一点は、多分きようですよ、産構審・中政審の合同会議で、大店法の廃止と新法の制定を内容とする大店法見直しの最終報告案というか、草案といいましょうか、提出すると言われておりますし、また、十二日には最終答申を出すと言われておりますけれども、実際どのようなものを起草委員会案として出すのか、出たのか、お話しを願いたいと思うのです。もちろん、審議会という公の場でございますから、私は、その皆さんが議論する、そして結論を出すまでは言うべきでないという議論もあると思いますけれども、余りにも反響が大きい、そういう意味でまずお伺いをしたいと思います。
  67. 堀内光雄

    堀内国務大臣 大店法の制度の見直しにつきましては、現在、産業構造審議会と中小企業政策審議会の合同会議で審議を行っているところでございます。合同会議においてこれまで幅広く御議論をいただいた内容の取りまとめが近々行われる予定ではございますが、この答申を受けて、政府としての取り組みをいたしたいというふうに思っております。  また、本日云々というお話がございましたが、この審議の状況につきましては、幅広く、審議会の中の委員の方々の御検討だけではなくて、各地方、各方面の御意見を承る機会をさらに深化させてもらいたいということで、本日答申が出るようなこと、取りまとめといいますか、産業構造審議会と中小企業政策審議会の合同会議での大店法の答申についての回答はまだ出ないことになっておりますし、十二日と言われている問題につきましても、これも先に延びるというふうにお考えをいただきたいと思います。  同時に、御指摘の新聞の記事のようなことは、現時点においては審議会においてもございませんし、内容を固めたという事実もございませんし、政府といたしましては全く白紙でございます。
  68. 中野清

    ○中野(清)委員 今大臣の方から全く白紙だということを伺いまして、とりあえずは安心をさせていただきますが、しかし、現実にもう日経初め朝日、読売、毎日とか、各紙が全部言っているということになっていくと、これはひとり歩きしちゃっているということだけはどうか御理解願いたいと思います。役所の立場としてはよくわかりますけれども。  その中で、今日までの大店法の根本改革、大店法を廃止をして大型店の出店を完全に自由化するとなりますと、はっきり言って、中小小売業者の商売が圧迫されるというのは、もうだれが見ても明らかなんです。先ほど我が党の議員が融資の問題等について大臣初め皆さんにお伺いしましたけれども、そういう問題も当然重なって、しかも不景気であり、金融危機だということになってきますると、その中で追い打ちをかけるような決定についてはぜひ避けていただきたい、そういう願いを持って、その点をまず大臣にお伺いしております。  今、実は皆様に見ていただいた、お配りしたのは、盛岡市の商店街連合会の「いま、盛岡を守りたい!」という意見広告なんです。  本題に入る前に、私は川越市の商店街の連合会長をやっていましたから、商連というのはよく知っているのですよ。各単位商店街の会費が中心で、こんな大きな意見広告を出すような存在じゃないのです。そんなに力はないのです。ただ商人の意見がそこへ集約されるという団体なんです。私は、盛岡の会長さんの気持ちを考えると、何としてもやりたいというその人たちの気持ちがこれになったということを、大臣、よくこれを参考にしていただきたい。  その中で申し上げますと、盛岡市は人口が三十万と言われておりますけれども、その中で、中小商店が四千軒あります。その四千軒の売り場というのが十七万平米ですね。それで、デパートとかスーパーとかという大型店の売り場面積が、現在あるものだけで十九万平米なんです。ところが、いわゆる商店街等がもう本当にぎりぎりで共存している盛岡市に、たった三つのショッピングセンターで十八万平米の巨大な施設をつくろうとしている。大臣規制緩和とか、いろいろ言っておりますけれども、私はここに大型店のエゴの本質があるような気がするのです。中心市街地活性化も町づくりもへったくれもないのですよ。  それで、その点について、「いま、盛岡を守りたい!」と反対しているこの商店街の皆さんが、本当に企業エゴだったのだろうか、企業エゴでもって自分たちがこういうふうに言っているのだろうか。私はそうじゃないと思うのですけれども、大臣の御見解をいただきたいと思うのです。さっきの質問はそれと一緒ですから、御一緒で結構でございます。  そして、その中でこう言っているのですね。「あまりにも無謀な大きさです いわば、既におなかが満ちている赤ちゃんの口に、無理やり三本の哺乳びんをつっこむようなものです。」幾ら値下げがいいとかといったって、このことを前提にしたときに、私は、大店法を廃止するということについては、後ほどアメリカの話もお願いいたしますけれども、いわゆる巨大な企業企業エゴだというふうにしか思えない。その点をどうお考えか、先ほどの質問と御一緒で結構ですから、お願いをしたいと思います。
  69. 堀内光雄

    堀内国務大臣 ただいまの御意見につきまして、現状の申請並びに現状の盛岡における取り組みというものにつきましては、法規の上に立って進められているものだというふうに存じておりますので、私ども、ここで意見は差し控えさせていただきたいと存じますが、大店法の問題についてのお話につきましては、そういう皆様方の多くの意見をさらに聴取をした中での取りまとめが行われるようにという取り組みをいたしている次第でございます。
  70. 中野清

    ○中野(清)委員 今の御答弁は確かにそのとおりだと思いますけれども、ちょっと大臣の御答弁としては、我々もう少し期待をさせていただきたいと思っております。  今、大店法というものが中小店を十分に守り切っていない、海外からは参入障壁と非難されるというのは、二重の意味で問題だという指摘がありますことは、私どもよく存じ上げております。確かに、町づくりなどの社会的視点から規制を行っている欧米のスタンダードに合わせる中で、交通、環境などの今日的な問題に対処していくという将来的な方向としては、私はそのことは間違いでないと思っております。  しかし、今この時点で、先ほど来、不景気の話、金融難の話、それからまた商店が固有に持っている後継者難の話、交通難の話、いろいろな問題がある中で大店法は廃止だというのは、いかにも拙速過ぎるのではないかと思うのです。  先ほど大臣に白紙だとおっしゃっていただきましたから、そのことについて、通産省が言ったとかというのじゃなしに、そういう議論が現実にあるという中で御議論を願いたいと思うのですけれども、私は、そういう議論が堂々とまかり通っている、通産省が決意したなんということまで言われていることについては、これはやはり慎重にやってもらわなければならないと思っているわけであります。  それで、そういう意味では、今そういうことを決めるのは拙速ではないか。特に、そのように言われました新法の内容とか方向性も明確化が必要であります。後ほど質問いたしますけれども、な かなか御答弁しにくい面もあると思いますが、できる限りで結構でございます。そういう必要性というものを考えたときに、もう一度、町づくりの観点からも、中心市街地活性化という面からも考える必要があると思うのです。  それは、一つには、現在の受け皿といいましょうか、そういうものが本当に貧弱である。大店法を見直した後、将来はこうなる、ああなるという議論が大いになされなければならない。ところが、実際にはそういう準備ができていない。恐らく、中小企業の団体であります日専連さんや日本商工会議所さんや商工会、振興組合連合会、そういう団体の皆さんは、本気になってそのことを心配していると思いますので、まず、その点について大臣のお考えを伺いたいと思います。新聞報道というのじゃなくて、そういう議論がある、それについてどう考えるかで結構でございます。
  71. 堀内光雄

    堀内国務大臣 先ほどから申し上げましたとおり、今、審議会において審議をし、さらに、その審議を深化させてまとめていただきたいということを私の方でお願いをしているわけなんでありまして、その時点において、私の方は白紙、中立の立場で受けとめなければならないと考えておりますので、その点についての意見は差し控えさせていただきます。
  72. 中野清

    ○中野(清)委員 それでは、今のお話については、大臣のお立場もございましょうから、きょうはそこまでにしますけれども、これからもよろしくお願いしたいと思います。  十一月のアジア・太平洋協力会議、いわゆるAPECにおいて、アメリカのバーシェフスキー通商代表から堀内通産大臣に大店法廃止を強く求めたと十二月三日付の朝日新聞が報道されておりますけれども、米国政府の公式要求とはいかなるものか、どのような要求が来ているのか、我が国としてはどのように対応したか、この際はっきりしていただきたいと思いますので、御説明願いたいと思います。
  73. 堀内光雄

    堀内国務大臣 私自身がバシェフスキー米国通商代表との会談をいたしておりますので、私からお答えを申し上げます。  米国のバシェフスキー代表との会合では、先方から大店法の見直しの状況についての問い合わせというか、意見の交換というような形のもので話があったことは確かでございますが、私は、先ほど申し上げましたように、現在、審議会において検討をしているところであって、その答申が参った上で私の取り組みをいたしたいという考えを申し上げまして、向こうも理解をして下がっております。したがいまして、その点についての朝日新聞の意見は多少違っているのではないかと思います。
  74. 中野清

    ○中野(清)委員 実はこの委員会で、十一月五日でございましたか、私は、アメリカの大使館におられますローレンス・グリーンウッド経済担当公使の七月二十四日のインタビューの中の、大店法が廃止されたとき新たな規制が生まれ、都市計画規制するおそれがあるという発言を取り上げたわけでございますけれども、岩田審議官は、新聞報道なので真偽を確かめることは困難だと言い切っておるわけでございます。大店法に対する米国政府の意見というのがあるわけでございますけれども、これを見ると、決してグリーンウッドという公使だけの意見でなくてアメリカの姿勢そのものだという点について、どのように考えるか、お伺いをしたいと思うのです。  それからもう一点は、そのアメリカの姿勢の中に幾つか問題がありますから質問したいと思いますけれども、大店法に対する米国の意見の中で、従来から大店法は廃止されるべきだという立場をとっているということは、もう確認しているようですね。しかし、その中で、あくまでも経過的な措置であるということを言っておりますけれども、日本政府は営業時間と休業日数に関して大型小売店に課せられているすべての規制を撤廃すべきだという一節がございますけれども、私は、前回の大店法の大改正によって実質的にはもう骨抜きになってしまった、そういう中で、アメリカの言うことにすべて従うということが決していいとは思っていないわけなんです。  ちょっとこれもお伺いしたいと思いますけれども、大店法の撤回をアメリカが再々要求する中で、特に営業時間と休業日数をまず要求しているということは、このアメリカの姿勢の中で大店法についての対日プライオリティーが下がったと理解していいのかどうか、その点についてまずお伺いしたいと思います。
  75. 堀内光雄

    堀内国務大臣 御指摘の点につきましては、米国が大店法は廃止されるべきであるという立場をとっていることは確かでございます。また、そういう意味での姿勢は変わっておりません。ですから、先般の場合におきましても、同じようにそういう意見は出てきております。  したがいまして、あとは、私どもの方では、大店法の見直しについては、米国の意見だけではなくて、内外の幅広い意見を踏まえて合同会議において十分御議論をいただいておるというわけでありまして、近く取りまとめられる結果をもとに、私どもは、消費者の利便だとか我が国流通業の健全な発展が図られるような観点から、しっかりとした取り組みをいたしてまいりたいということでございます。
  76. 中野清

    ○中野(清)委員 ちょっと対外的な問題ですから答えにくい面は承知しておりますけれども、できる限りお話し願いたいと思います。  大臣、今から五年前にトイザらスが奈良県の橿原へ出ました。そして今、五年たちましたとき、何と七百五十億の売り上げになっているのですよ。店舗も五十五店になっています。私の地元の川越にも来ました。来たときに、もう高圧的なものでして、本当にたまげた連中だと私は思いました。そして、商店街連合会とか会議所にも入ってください、協調でやりましょうと言っても、はいはいと言っていまだに実現はしていない。  そのトイザらスについて、今度は逆に影響からいえば、上陸した九一年には七件だったのが、今、九六年には四十一件まで倒産があります。問屋の倒産も二十五件から四十九件、これがいわゆるトイザらス・ショックなんです。  私は、先ほど盛岡の問題で、いわゆる国内の大型店の皆さんの一つの姿勢を見ていただきました。そして、海外についても、現実に考えてみますと、今、ディスカウントという市場の中では、ウォルマートとKマート、そしてデイトン・ハドソンの大手三社でもって実は七三%をとってしまっているのですよ、たった三社で。  だから、結局、幾ら規制緩和だというふうなことを言ったり、それから国際的なグローバルスタンダードといっても、そこには独占の論理しかないのじゃないか。調和とかというようなものが非常にないということについて、まずお伺いをしたいと思います。  それから、あわせまして、先ほどのアメリカの主張にございますから、もう一つ申し上げますと、こういう文章があって私はたまげたので、確認をさせていただきたい。といいますのは、アメリカの主張の中に、都市計画、ゾーニング規制を有している自治体の数及びこうした規制により大型店に生じる問題について、少なくとも年一回報告してもらいたいという要求があるはずです。  これについては、もう一回お伺いしますけれども、日本としてこの要求にどのように対処しているのか。私は、これに対して、こたえるならこたえるでいいと思います。それならば、では日本がアメリカに対して、先ほどの公使の発言でも新聞記事だからわからないとおっしゃったけれども、現実にその日米の交渉の中にある以上は、これについても日本はどうなんだ、同じ条件で聞く気があったのか、交渉したのか、その点についてお伺いをしたいと思うわけであります。
  77. 堀内光雄

    堀内国務大臣 ただいまのお話、私の交渉の問題以外の具体的な事務方の交渉の問題にも入っているようでございますから、事務方の方から御説明を申し上げます。
  78. 岩田満泰

    岩田政府委員 お答えを申し上げます。  御指摘の点は、アメリカ政府の今回の大店法見直しの審議にかかわります合同会議に提出をされた意見書の一部であるかと考えておりますが、これはあくまで意見書が提出されたということでございまして、これに対して、特段、政府として何らかの対応をしているということではございません。提出されたままになっておるということでございます。
  79. 中野清

    ○中野(清)委員 岩田商務流通審議官にちょっと申し上げますけれども、この間の、何というのでしょうか、大店法をゾーニング規制に置きかえて、そして大型店の参入規制と同様の効果を持つことを大変懸念しているというのがありますね。そうすると、先ほどの御答弁、この間の十一月の私の質問の答弁とは違ってしまっているわけです。私は、これについても、外交の話ですからこの辺でやめますけれども、日米通商交渉とか外圧によってだけで大店法の問題を、対アメリカの関係だけで言うのは困る。むしろ、向こうにも当然やるべきものはあるはずだ。しかもそれは、例えばアメリカは合衆国だから州の権限だというかもしれませんけれども、少なくともそういうものを具体的に通産当局として、大臣を先頭に、まずちゃんと交渉してもらいたい、そのことをお願いをしたいと思います。これは答弁は結構でございます。  続きまして、先ほど来御答弁いただいたと思いますが、なかなか新聞報道ではだめだということについて、また審議会がまだ結論は出ていない、そういうことについてはよくわかっておりますけれども、それならば国会において大臣初め皆さんに申し上げて、審議会の先生方にもある程度わかってもらわなければ困るという私の立場もぜひ聞いていただきながら、幾つかお話をさせていただきたいと思います。  新聞報道によりますと、新法では、現行の三条申請と五条申請を一本化して、その届け出先は出店予定地の市町村長になること、それに伴い大店審は廃止されること、それから、出店届け出を受理する市町村では、交通渋滞、ごみ、騒音など、出店周辺区域の住環境に関する項目を重点的に審査すると言われておりますけれども、実は十二月二日に東京都が、大店法による大型店の出店調整に関する要望を堀内通産大臣に提出をしたはずであります。出店者の事前届け出制度の維持と店舗面積削減等の商業調整機能を残すことを求めているわけであります。東京都は、この大店法の見直しに当たっても、地域の中小商店の利益とバランスを考慮するならば、店舗面積の削減や開店日の繰り下げなどの一定の商業調整は必要だというふうに大臣に意見を言っているはずでございます。  そこで、お伺いをしたいと思うわけでありますが、まず第一に、この東京都の要望を受けて、大臣として、特にこれは私は東京に代表されるところの都道府県の多くの皆さんだと思いますが、この考え方についてどのように受けとめていらっしゃるか。また、新法の内容としても、そうした事前届け出制度と商業調整をしっかり残していただけるかのどうか。その点については議論もまだありましょうが、わかる範囲で結構ですから、お話しを願いたいと思います。
  80. 堀内光雄

    堀内国務大臣 十二月三日付で、東京都知事から「大型店の出店調整のあり方について」の要望書が送付されました。この要望書は、一つとしては商業調整としての事前届け出制の維持、二番目としては自治体による町づくり計画との整合性確保の仕組みの強化等を柱とするものであります。  大店法の制度の見直しにつきましては、産業構造審議会と中小企業政策審議会の合同会議において、御指摘の要望書に示されたような見解も含め、内外の幅広い意見を踏まえて審議を行っていただくようにいたしておるところでございますので、この点については審議会の方にお任せをいたしているところでございます。
  81. 中野清

    ○中野(清)委員 時間がございませんので簡単に質問させていただきますと、一つは、そういう中で、荒川区のいわゆる地域環境要綱の問題、それについてどうお考えになるか。  それからもう一つは、一つの町村じゃなくて、市町村という行政区域が二つも三つもある問題があるはずでありますけれども、この行政区域と経済圏と一致しない、それに対してはどう評価するか。  それからもう一点は、今までの大店法をもとにして調整期間は一年と言っておりますけれども、私は、前の十年だとかというのは非常識でございますけれども、ある程度の納得する期間というのが今から一年以内とすることは問題だということで、そのことについて。  この三点について御質問させていただきます。
  82. 岩田満泰

    岩田政府委員 荒川区の要綱についてのお尋ねでございますが、地方自治体が交通、環境対策などの大店法の対象以外の問題について所要の対策を講じることは、基本的に各自治体の判断を尊重すべきものだというふうに認識いたしております。ただし、実質的な商業調整となるいわゆる独自規制というようなことにならないような、そういう意味で運用を注視していくことは必要ではないかというふうに考えます。  一方、大型店の出店に係ります周辺小売業者あるいは消費者の意識が変化いたしまして、いわゆる町づくりへの関心が高まってきております。御指摘の荒川区の要綱もそのような関心の高まりのあらわれと認識をいたしておりまして、こうした問題意識についていかに対処すべきかについては、ただいま御議論されております合同会議の重要な論点の一つとなっておるところでございます。  それから、広域的な問題ということでございます。現行の大店法は、商圏が問題になりますので、行政区分ということではないわけでございます。現在制度見直しが行われている最中でございまして、いずれにしても、今後の合同会議での御議論にまちたい、このように考えます。
  83. 中野清

    ○中野(清)委員 今、町づくりとかそういう話の中で、都市計画の立場というものが非常に重要になってきているのですよ。私も一生懸命考えました。  やり方としては、やはり市町村マスタープランの策定というのはあります。それから用途地域の純化という問題があります。それから地区計画の推進、それに伴うところの都市計画法、建築基準法の見直しということ以外にどうも方法がないように実は町づくりの中で感じております。  きょうは中島課長さん来ていらっしゃいますけれども、そういう中で、市町村マスタープランについては、今まで千九百六十の市町村が都市計画をやっておる中で二百三十一しかない。これはなかなか問題だろう。それでは、都市計画法による有効な規制が機能しているかどうか。それは、用途地域についてもうすべて、第一住専とそれから工業専用地域以外は何でも建つのだ。  それで、そのことについて私が特に申し上げたいのは、亀井大臣が、法律とか予算というのは建設省のためにあるのじゃないのだ、国民のためにあるのだから直してもいいという話を私は六月に御答弁をいただいて、感銘を深くしたのですけれども、その点はどう考えていらっしゃるか、お伺いをしたいと思います。
  84. 中島正弘

    中島説明員 お答えいたします。  もとより、商業施設の立地をどう考えるかというのは都市計画の中で重要な問題だと思っております。現に用途地域がございますが、一定の用途の中では、先生案内のとおり、規模で商業施設は禁止されているという用途地域もございます。さらには、地区計画とか特別用途地域を使って、原則として用途地域では認められる商業施設であってもそれを規制していくということは、現行制度上も可能であります。  ただしかし、難しい問題は、都市計画で同様に扱うということは、これはいいか悪いかはっきりするということでありまして、何か調整をしてどうこうという話ではなくなってしまう、そこがある意味ではっきりもしますし、厳しさもあるということでございます。そこはやはりそれぞれの市町村でいろいろな地権者の方がいらして、商業施設が困るという方もいれば、売ってそうしたいという方もいらっしゃる、そういう現に用途が混在しているという中で、混在用途が塗られているというのが現状だと思います。  そういう中で、どうして合意をとってそういう厳しい規制を塗っていくかというところがこれから、我々も考えますが、各自治体が乗り越えなければいかぬ、制度の問題というよりは覚悟といいますか、住民のコンセンサスをつくっていく努力の問題というふうに私どもは思っております。
  85. 中野清

    ○中野(清)委員 それでは最後に、これで終わりにさせていただきますけれども、今中島課長さんに御答弁いただきましたけれども、その実情については私どももよくわかっておるつもりなんです。しかし、これから経済的な規制でできないときに、町づくりという観点でこの問題を考えてもらう以外にない。しかし、決して大型店を全部出してはいけないなんて、そんなことを言っているのじゃないのですから、ぜひ前向きな御研究をしてもらい、そしてやはり通産当局と建設省が力を合わせてやってもらいたいということを、特に建設省の方に要望をしておきます。この間、六月に私がそのことを細かく建設大臣や皆さんに質問したわけでございますけれども、半年たったけれども、そのときよりも少しも進んでいないという印象を受けましたので、どうかそのことをお願いしたいと思います。  最後に、私の方から大臣に申したいと思いますけれども、今たびたびおっしゃった合同会議の議長の田島さんは、二十年後、あのときの大店法の見直しは間違っていたと言われないようにしたいということを起草委員会で言われたと伝えられております。中小商業者にとって、この言葉が二十年後本当に実現をするように私も祈るものでありますが、時の政治のバランスで揺れ続けたと言われるこの大店法、しかし私は、それなりに今日まで有力な法律であり、効果があったと評価をしております。  結果として今日の商店街の衰退があるという議論もありますけれども、それと一緒に、逆に、先ほどアメリカの例を申し上げましたけれども、アメリカのダウンタウン、これについては、ショッピングセンター等で本当に売り上げの七%とかというような壊滅的な打撃を受けた。しかも、さっきも言ったいわゆる寡占が進んだということで、その点についてはどう考えるか、お願いしたいと思うのです。
  86. 斉藤斗志二

    ○斉藤委員長 時間でございますので……。
  87. 中野清

    ○中野(清)委員 質問じゃなくて意見だけにさせていただきますから。  そして、今骨抜きにされた大店法のもとで、例えば空き店舗が四分の三になった。しかし、これは大臣平成四年以降なんです。こういうことをまず御認識願いたい。ですから、大きな改正があった前回によって大型店が急速にふえた、それがそういうふうな話になったということをお願いしたいと思います。  規制緩和は必要と思います。いたずらに中小商店のエゴを主張する気は私は毛頭ありません。しかし、この大店法廃止というドラスチックな決定をする前に、受け皿をしっかりつくってもらう、また商業団体や商業者、消費者の声をしっかり受けとめてもらう発言の場をつくってもらう、そして商店街がなくなってしまわぬためには、空洞化と衰退の一途をたどる都市の再活性化地域生活環境の向上、暮らしよい町づくりを重点に置くべきという日専連を初め大勢の皆さんの声に、どうかもう一度耳を傾けていただきたいということを私は大臣にお願いをしたいわけであります。  特に、長年、誠実な政治家として、またすばらしい経済人として信頼されている堀内通産大臣でございますから、どうかそういう意味で温かな、しかも中小商業者に対する真摯な姿勢をぜひリードしていただくことを心から要望しながら、この質問を終わります。大臣、本当にありがとうございました。
  88. 斉藤斗志二

    ○斉藤委員長 中野君の質疑時間は終了いたしました。  午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十八分休憩      ————◇—————     午後一時一分開議
  89. 斉藤斗志二

    ○斉藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。新藤義孝君。
  90. 新藤義孝

    ○新藤委員 自由民主党の新藤でございます。  一般質疑ということで、大きく二点について御質問させていただきたいというふうに思います。  まず第一点は、さきに発表されました中心市街地活性化に関する件でございます。  この件につきましては、我が党において中心市街地活性化調査会というものをつくりまして、精力的に検討を重ねてまいりました。海外に視察へ行きましたり、我が党の山崎政調会長を中心にして、そして特に商工委員の武部先生事務局長という形で自民党としても一生懸命に活動してきたというところでございまして、いよいよ予算化、また実施に向けての最終的なところに来ておりますので、その件について御質問させていただきたいというふうに思います。  ただ、一つ確認をしておきたいのですが、中心市街地活性化のこの仕組みを考え出すきっかけが、一般の認識においては、地方の拠点都市の中心市街地において、その郊外に駐車場を伴う大規模店舗が出店している、それによって旧来の商店街があいてしまった。中心市街地の勢いを取り戻そうというふうに言われておりますが、これは地方に限らず、例えば私どものところは川口でございますが、要するに、近隣に大消費地を抱える、商業集積のある、御案内のように池袋から新宿から銀座からと、こういう近所に大商業集積地を控える都市部においても、この中心部の商店街空洞化というのはかなり深刻な打撃になっております。そしてまた、余りにも大きな、対抗するものが大規模店舗の集積ですから、そして商業の、商店街の集積に対抗しているわけですから、かなり厳しいというところなんです。  ですから、今回のこの中心市街地活性化というのは、各省庁にわたるいろいろな事業を取り合わせて総合的に町づくりの観点でやっていこう、こういうふうに私は思っておりますので、この中心市街地活性化を進めるに当たって、一部には、どうやら地方都市の問題なんだ、法律上で言えばいわゆる既成市街地だとか、そういう大都市圏には優先度が低くなるんだよというような話もちょっと聞こえてくるのです。これについてどうなのか、確認をさせていただきたい。  これは全国津々浦々、どこにおいても同じ問題があれば、あとは事業の内容によるのだということにすべきだと私は思っておりますが、ここは大臣、お忙しい中お疲れさまでございますけれども、大臣の口から確認をさせていただきたい、このように思います。
  91. 堀内光雄

    堀内国務大臣 先生には、中心市街地問題等におきましてもいろいろと御理解をいただき、御指導をいただき、お取りまとめをいただいたりしておりまして、まことにありがとうございます。  ただいまの中心市街地対策というのは、中心市街地活性化に向けて、市町村等地元関係者が地域の特性を生かしたすぐれた計画を市町村のイニシアチブのもとにつくっていただいて、関係省庁が連携しながら重点的に支援をしていこうというものであります。  したがいまして、三大都市圏を一律に排除するとか、そういうようなものでは全くなくて、中心市街地活性化に向けてすぐれた計画が作成され、かつ同時に、その地域においてそれが非常に必要であるという御熱意のもとに発生してきた問題、支援の必要性が相対的に高いと認められる場合については、地域は限定したものではございません。利用可能な支援措置を十分に活用しながら、中心市街地活性化を推進させてまいりたいと考えております。
  92. 新藤義孝

    ○新藤委員 ありがとうございました。  所管の大臣から力強いお言葉をいただいて、我が意を得たりというところなんでございますが、ややもすると予算を査定する段階において、また特に公共事業の執行を抱えるような部門においては、どこかで切らざるを得ないとなると、そういうことが起こらざるとも限らないわけでございまして、そこはひとつぜひとも大臣にリーダーシップをとっていただいて、関係省庁にもよくよくのお願いを申し上げたい、このように存じます。  そして、その関連でございますが、まさに十一省庁が参加をした総合的な対策になるということなんですけれども、この仕事を総合的に、重点的にやっていくのですが、加えて、確実に仕事としてやれるようにしていかなければいけない。制度としては名乗りを上げたけれども、名乗りを上げただけで終わってしまうようなことになっては困るわけでございまして、そういう意味で、例えば縦割り行政を、ちょっと言葉は悪いですけれども、横の連携をとるためにということでいろいろな省庁が参加をしていただいております。  これは一例を挙げれば文部省の関係でございますけれども、いわゆる中心市街地というのは、まさに子供の教育の関係からいえば一番子供人口が少ないところでございまして、ここにおける空き教室の問題というのが前々から話題になっているということなんです。  それで、あえてきょうは文部省の方においでをいただいて、私はここで確認をさせてもらいたいのは、その地域というか自治体の関係者ですとか、そういう方々は前々から、空き教室ができてしまった、困った困った、では福祉の施設だとか社会教育施設に、ほかに転用しようじゃないか、こういう動きになっている。しかし、所管が違うと。それで、例えば補助金適正化法だとか、それからいわゆる自治法の行政財産の使用の関係等においてなかなかこれはうまくいかないのですよといって、最初からうまくいかないのですよで終わってしまっているケースというのは、市町村の方々に聞くと意外と多いのですね。  それで私は、それについては文部省が手を打っている、このように思っておりますけれども、あえてこの場で、今回中心市街地活性化の中でも空き教室、社会教育施設の利用、こういうのが文部省関係の施策として出てきておりますので、この辺について、実際の運用上どういうふうに今回取り扱いをするようになっているのか、そのことを教えていただきたい、このように思います。——それでは文部省は後にしていただきまして、関連で、中心市街地活性化の事業をやる人たちのことを聞かせていただきたいと思います。  事業をやるのは、地元の自治体がまずやりますね、計画をつくって、公共施設をつくります。それとあわせて、今度は、商店街の皆さんやその自治体がつくる施設に参加をする民間の事業者、こういう人たちがいると思うのですけれども、この事業に積極的に参加をしていただくためには、やはり特別の税制や財政の支援措置が必要ではないか、こういうふうに思うわけでございます。特に、今のところは新しい制度なのですから、この中心市街地活性化に参加をした場合の民間事業者に対する支援というものはまだ決まっていないわけでございます。その件について、通産省としてはどんなような税制措置を考えているのか、教えていただきたいのです。
  93. 岩田満泰

    岩田政府委員 お答えを申し上げます。  先生指摘の、民間事業者によります事業に関連いたしましては、財政上の措置としてはまだこれから予算編成を経てのことで、まだ折衝中、要求中のことではございますが、通産省としては補助金の制度の要求をいたしております。  他方、税制の面につきましては、中心市街地におきます商業集積の関連施設の整備、そのほかに、駐車場その他の基盤整備というような切り口から、税制といたしましては、建物の所有者に対します特別償却制度の創設、不動産の取得に係ります登録免許税の軽減、施設整備に必要な土地等を売却した場合の譲渡所得の特別控除、事業所税の非課税、特別土地保有税の非課税、家屋についての不動産取得税、固定資産税の課税標準の特例措置を要求いたしておるところでございます。
  94. 新藤義孝

    ○新藤委員 それでは、文部省の方、おいでいただきましたので、文部省さんに御質問させていただきます。  中心市街地活性化の文部省としての制度の中で、社会教育施設の中心市街地の中における整備を推進する。それから、あわせて空き教室の転用についてのことも積極的に運用していくのだ、こういうふうに聞いております。  名乗りを上げていただいているのはありがたいのですけれども、地元の市町村だとかそういうところからよく聞こえてくる話は、いや、実はやりたいのだけれども、補助金適正化法だとか、それから地方自治法の、要するに行政財産の転用というか使用の関係で、実際にはなかなかできないのだと。それからあわせて、現場の役所の中でも、教育施設の中に社会福祉施設という目的である子供以外の方が入ってくることについてとか、いろいろあって、うまくいっていないところもあるのです。  文部省としては、こういうことについて、実際運用する上でどんな工夫を、またどういう取り組みをされるおつもりなのか、その部分をお聞かせいただきたいと思います。
  95. 高塩至

    ○高塩説明員 先生、先ほど大変失礼いたしました。お答え申し上げます。  先生指摘のように、近年、児童生徒数の減少に伴いまして、特に中心市街地、都市部を中心に余裕教室を持つ学校がふえてきております。この余裕教室につきましては、各学校の設置者でございます市町村が、それぞれの地域の実情に応じまして適切に判断いたしまして、積極的に活用を図ることが重要であると考えておる次第でございます。  文部省といたしましては、既に平成五年の四月に余裕教室活用指針というものを示しまして、その余裕教室を学校教育の充実のための施設に活用するとともに、いわゆる学校以外の施設への転用を積極的に図るようにということを市町村に対して指導を行ってきているところでございます。  そして、ただいま申し上げました学校以外の施設への転用につきましては、先生指摘のとおり、補助金を受けた学校施設につきましては財産処分という手続が必要でございます。先生指摘のように、補助金適正化法によりましては、補助金を返還するか、もしくは耐用年数に達しませんと補助目的以外には使用してはならないという規定があるわけでございますけれども、法律では、各省庁の大臣の承認を得た場合にはその限りではないということでございまして、私どもといたしましては、従来から、学校以外の施設、御指摘のございました社会教育施設、それから社会体育施設、文化施設等の文教関係施設のほか、やはり御指摘のございました老人デイサービスセンター等の社会福祉施設への転用につきましては、この承認という手続は報告をもって足りるという、非常に簡素な手続にしているところでございます。  さらに、先生方の中心市街地の御指摘等も踏まえまして、去る十一月二十日に新たに私どもの通知を全面改正いたしまして、一層この余裕教室が社会福祉施設等への転用を図れるようにするために、報告事項の拡大を図るとともに、これも御指摘のございました補助金につきましては、原則として十年を経過した学校施設については、それを公共に、かつ無償で転用する場合には補助金に相当する納付金は要らないということを明記いたしまして、現在、県を通じて市町村を指導しているところでございます。  ただいま申し上げましたような取り組みを通じまして、この余裕教室の転用につきまして文部省としても積極的に取り組んでまいる次第でございますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
  96. 新藤義孝

    ○新藤委員 十一月の二十日に出したということでございますし、私もちょっと見せていただきました。これは、明確に十年と、こういうふうに出していただいて、本当にいいんじゃないかなと。  むしろ、今後は現場においてそういう啓蒙を徹底させることと、それから、やはり自治体をきちんと指導して、要は、教育局と社会福祉部の方でなかなか進まないことなんですよね。  これをわざわざ取り上げましたのは、私は、この問題は、市街地の活性化とともに、子供たちが教育の場において当たり前のようにお年寄りや、それから障害の方、そういう人と触れ合う、これが非常に将来の福祉社会の中で役に立つことだと思っておりますので、この中心市街地というものの活性化を機に、ぜひPRをしていただきたい。我々もそれは広めていきたい。十年で、しかも手続が簡単になりましたよ、この話をしていきたい、こういうふうに思います。  今、二例申し上げましたが、ほかにいろいろあるのですよね。それで、建設省は街なか再生事業をやると言っておるし、労働省や厚生省もそれぞれセンターや施設を中に入れ込んでまいりますと。それから、郵政省に至っては、マルチメディアや情報推進のものをその中でやる場合とか、警察庁や農水省までと、本当に盛りだくさんに入れていただいているのですが、私は、ここで大事なのは、従来やっているものを、中心市街地の再活性化という大きな、通産省挙げての事業ができ上がったので、そこに、言葉は悪いのですが、名乗りを上げたという形のものも間々ある。ちょっと中身を見てまいりますと、中心市街地のためだけではないような予算措置もあるわけでございまして、これはやはり真水というか、この政策をふやしていく必要があると思うのです。  特に大事なのは、要するに先ほどは民間事業者に対して税制上の措置を行う、これは大蔵省にしっかりお願いしなければいけないわけなんですけれども、あわせて大事なのは、これだけのことをやりますと、今度は地元の自治体の財政負担がきつくなるわけでございます。固定資産税は減免になりますし、事業所税も減収になるわけですから、なったとしたら、やはりこの部分の財政補てん、地方財政の支援というものを考えなきゃいけないのじゃないかというふうに思うのです。  それから、起債の特例ですとか、そういうのをやるとなると、これは今度は地方財政にしわ寄せが来るわけなんですね。私は、想像するに、今財政構造改革法が通って、縮減の中で新たなそういう財政支援を行う枠を決めるのはかなり厳しいぞ、こういうふうに思っております。  これについては、結局は通産省、そして大臣にリーダーシップを発揮していただいて、この必要性をしっかりと訴えていく必要があるのではないか。きょうは自治省の方はお呼びしておりませんので、これはぜひ商工委員会として、そういったことを大臣の方からお伝えいただけるとありがたい、こういうふうに思います。  あわせて、これだけのもろもろの大きな仕組みをつくったわけでございます。従来の法律で適用できない部分が多々ありますし、新たにつくらなければいかぬということになると、当然のごとく新法を制定しなくてはいけないのではないかと思うのでございますが、先ほどの各省庁にわたるリーダーシップを含めて、大臣に決意表明をいただければありがたいと思います。
  97. 堀内光雄

    堀内国務大臣 中心市街地活性化に向けましては、先生指摘のとおり、市町村、地元の関係の方々に強力なリーダーシップを持っていただいて、イニシアチブを持ってもらって進めていかなければなりません。地域の特性を生かしたすぐれた計画をつくっていただいて、それに基づいて行う事業でありますから、その事業に対して、関係省庁が連携をしながら、重点的に施策を投入していくことが重要だろうというふうに思っております。  そういう意味で、通産省としては、こういう施策の実現を図っていくに当たって、所要の法的措置を講じる必要があると考えております。現在考えておりますのは、中心市街地活性化法と申しますか、そういう法律を一つしっかり柱にいたしまして、各省庁との連携も踏まえながら、具体的な内容について検討を進めてまいりたいと思っております。  通産省が中心となりながら、建設、自治、三省が中核であって、あと、八省庁との関連を持ちながら、御期待にこたえられるようなしっかりとした対応をしてまいりたいと思っております。
  98. 新藤義孝

    ○新藤委員 ありがとうございました。  それでは、時間も少なくなってまいりましたので手短に進めさせていただきたいと思いますが、もう一点、大規模店舗の調整法に関連して御質問させていただきます。  私、十二月二日付で新聞を拝見したのですが、日経新聞に「大店法来年度末にも廃止」、こういうトップで記事が出ております。政府は方針を固めた、このような新聞記事になっておりますが、まず事実関係について、これは本当ですか、お答えいただきたいと思います。
  99. 堀内光雄

    堀内国務大臣 大店法の制度の見直しにつきましては、現在、産業構造審議会と中小企業政策審議会の合同会議で審議を行っているところでありまして、この審議の結論を待っているところでありますが、特に今までのスケジュールにこだわらずに、さらに慎重に各方面の御意見を承って、答申に向かっての努力を、取りまとめをお願いするようにいたしているところでございます。  したがいまして、御指摘の新聞記事のように、現時点で審議会としての見直しの方針とか内容とかというものを固めた事実はございませんし、ましてや政府においては全くの白紙でございます。
  100. 新藤義孝

    ○新藤委員 今の御答弁どおりだと思うのですけれども、この新聞が出たことによって、かなり反響は大きくて、全国から、大店法廃止反対だ、やめないでくれ、こういうような声がふつふっと沸き起こってきている。ちょっとタイミングが悪いのじゃないかな、こういうふうに思うわけでございまして、ぜひ、情報管理というか、これは徹底していただきたいというふうに思います。  そして、この大店法につきましては、私も少し勉強させてもらったのですけれども、結局のところ、昭和十二年から始まっている百貨店法が根拠になっている。当時は許可制でしたが、その後、今は届け出制になっておりますけれども、六十年たった法律だ。そして、その根幹にあるのが、要するに、商業床の面積コントロールを行う、それによって中小小売業者の事業機会を確保する、まさに保護的な法律であったということだと思うのです。  私は、この新聞記事そのものは、この時期にこんなものが出たというのはまことに遺憾なのですが、ただ、中身においてはやはり傾聴に値する部分もあるなと。今の時代に、ただ床面積を制限して、大きな店舗が来なければそれで商店街を、地元を守れるのだというだけでは、これはうまくいかないわけですね。  また、アメリカや外国からの外圧も大分来ております。外圧で、外国から言われたから直すなんて、そんな情けないことを日本の国はゆめゆめ考えないはずでございますが、やはり世界のスタンダードの中で、規模の大小を問わず、我が国の商業流通制度を世界に勝負できるようなものに直さなくてはいけないわけでございます。  こういうことからすると、閣議決定によりますと、アクションプログラムでは法的措置を含めた抜本的な検討を行う、こういうことになって、今まさに、先ほどもお答えいただきました合同会議がある。私が聞いている話では、きょうの二時から八回目があると。私はその三十分前にこの話をしているわけでございまして、きょうの話があってから新聞は出なければいけない話なんですよ。だから、ちょっと困ったなと思っているのですけれども、そういう中で大店法をどう取り扱っていくか。  そこで、私は一つだけ申し上げたいのです。  私も地元でかつて商業調整にかかわったことがございます。一番の問題は、要するに店舗の商業床の問題で、面積と時間それから休みの日、こういうものを調整するだけでは、実は大店舗が出店してその町がどうなるかというルールの調整にならないのです。お店が出てくれば、大きなものが出てくれば、それに関係する駐車場は整備しなければいけない、交通渋滞は巻き起こる、ごみはいっぱい出る、そして、例えば風俗が乱れる場合も間々あります。そういうもろもろのことをやるには、商業調整ではなくて町づくりのルールなんですよ。  だから、大店法を見直すのだとすれば、このお店の出店によって、周りの影響を調整することとあわせて、都市への影響をどういうふうに考えるか、それをまた拘束力を持たせるか、都市計画とか町づくりの観点が必要なんです。この部分を入れないと、結局は、今現状では都市計画法、建築基準法それから市町村の要綱で大店法にない部分をやっている、しかし、それは要綱行政だから全然コントロールがきかぬ、こういう話です。  だから、終盤の詰めが間際になっているところだと思いますけれども、ぜひこの部分ははっきりと、商業調整が都市機能においてどういう影響を与えられるか、そのルールづくり、この部分を織り込んだ形で大店法の抜本的な改正、見直しを行っていただきたい、このように思うのでございます。  これは大臣でよろしゅうございますか。お考えというか、ぜひ聞いておいていただければありがたいのですけれども、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  101. 岩田満泰

    岩田政府委員 お答え申し上げます。  先ほど来大臣から御答弁申し上げておりますように、現在、産構審・中政審の合同会議で審議中でございまして、大詰めの議論が行われているところでございます。  ただ、御指摘のございましたような、大型店の適正な立地でございますとか良好な生活環境の保全でございますとかいうようなことにつきましては、この審議の中でも重要な問題と認識をされておりまして、まさに主要な論点として御議論をいただいているという状況にございます。
  102. 新藤義孝

    ○新藤委員 ありがとうございました。
  103. 斉藤斗志二

    ○斉藤委員長 新藤君の持ち時間は終わりました。  次に、大畠章宏君。
  104. 大畠章宏

    ○大畠委員 民主党の大畠章宏でございます。  この臨時国会もいよいよ押し詰まってまいりましたが、今、国会の周辺といいますか、日本地域社会の方では、金融不安といいますか、そういうものを中心に、経済的にも大変不安感が募っているところであります。この経済問題等々につきましては、後ほど同僚議員であります専門家の生方幸夫議員の方から御質問があると思いますが、私は環境とエネルギー問題を中心に御質問をさせていただきたいと思います。  最初に、十二月一日から十日まで京都で地球温暖化防止の国際会議が開催されておりまして、日本はもとより、世界からも注目をされているところであります。これは環境庁が中心かもしれませんが、実質的には通産省が大きな影響を持つ省庁でもございますので、最初に、この地球温暖化防止の京都会議に対する通産大臣としての御認識をお伺いしたいと思います。
  105. 堀内光雄

    堀内国務大臣 先生指摘のとおり、この京都会議というのは、人類の将来に向かっての生存にもかかわるような大変重大な問題を討議する会議であると認識をいたしております。地球温暖化問題は二十一世紀の人類が直面する重大な問題の一つでありまして、この問題に関して、二〇〇〇年以降の温暖化対策の国際的な枠組みについて合意をする機会となるCOP3でありますので、先ほど申し上げたように、人類の将来を左右する重要な会議認識をいたしております。  COP3では、地球温暖化防止に向けた中長期的な取り組みの第一歩となる合意を得るようになっておりまして、我が国が議長国として国際的なリーダーシップを発揮しなければならないということは言うまでもございません。ただ、なかなか各国の意見がふくそうをいたしておりまして、その調整というものに大分苦労をしているというのが現状でございます。  我が国といたしましては、地球温暖化防止上意味があり、衡平で実行可能な合意、この三原則に基づいた合意を得るように、今最大限努力を重ねているところでございまして、各国の数値目標につきましても、日本では、基準といたしまして、一九九〇年の排出炭酸ガスの五%減というものを基準に置いて、GDP当たりの炭酸ガスの量あるいは人口増加率へそういうようなものをこの中に加えまして、それぞれの国の差異化をしながら、そこの基準を決めていこうというような方向で提案をし、努力をしているところでございます。  アメリカにおいては、一九九〇年のレベルを維持するのが精いっぱいだというような意見も出ておりますし、あるいは開発途上国がこの中に参加をするようでないと同意はできないというような意見はアメリカからも強く出てきているわけでありまして、前のベルリン・マンデートにおきましては、途上国については今度のCOP3においては対象に加えないということになっているだけに、その辺の途上国との議論にまだいろいろと摩擦も出てきているようでもございます。  さらには、EUバブルという、EU全体でもって一つの枠を決めて、多いところは四〇%もふやす、少ないところは二〇%も落とすというような形でもいいか悪いかというような議論、こういうものもだんだん煮詰まってきておりますけれど一も、そういういろいろな議論の中で、日本の主張、要請をしている案というのは比較的公正なものであるというふうに思いまして、これを中心に何とかこの議長国としての責任を果たしてまいりたいと思っております。
  106. 大畠章宏

    ○大畠委員 今通産大臣が御答弁された状況だと思います。  特にCO2の問題は、私もエネルギー問題に約十年取り組んでおりますが、CO2問題は環境問題から出てきておりますが、別な見方からしますと経済的に大変大きな要素なんですね。したがって、単純に環境問題だけからのものではなくて、どうやら経済戦略の一環としての提言も出てきているような感じもしますので、そこら辺は大変難しいと思うのです。難しいと思いますが、やはり未来の地球人のことを十分勘案しながら、どう未来に向けて責任が持てる合意案をつくっていくか。ぜひ、ぎりぎりの努力をされて、議長国としての、またその議長国の中枢であります通産大臣として御努力をいただきますよう、お願いしておきたいと思います。  実は、先ほども私申しましたように、約十年来エネルギー問題に取り組んできておりますが、大臣もひょっとしたらお聞き及びか、あるいは読んでいただいたかもしれませんが、「限界を超えて」という本がございます。これは、ローマ・クラブがベースとしてつくったものでありますが、非常に示唆に富んだ内容でございます。  確かに一九五〇年、第二次世界大戦以降、急速な人口の伸び、それからエネルギー消費量の伸び等々で、このままのべーで行きますと、もう地球がもたないというのが当初の限界論でありましたが、その限界を超えて、どう地球が、あるいは地球人類が生存し得るのかということを真剣にコンピューター等を駆使してシミュレーションをして出したものであります。  その中に、資源問題について「再生可能な資源の消費ペースは、その再生ペースを上回ってはならない。」という第一の原則、「再生不能資源の消費ペースは、それに代わりうる持続可能な再生可能資源が開発されるペースを上回ってはならない。」という第二の原則、さらに第三番目の原則は「汚染の排出量は、環境の吸収能力を上回ってはならない。」という、今申しました限界を超えるためのいわゆる三つの原則を示しているわけであります。  私は、この問題は、日本経済あるいは世界の経済あるいは産業界あるいは市民にとっても、大変重要な三つの原則ではないかと思うのですね。ひょっとしたら、この三つの原則を守っていくために、あるいは三つの原則をきちっと認識してベースにするためには、私たちの考え方、日常生活もあるいは産業界の活動もごろっと変えなければならないようなものなんですね。一言で言いますと、大量生産、大量消費、大量廃棄という思想はもう捨てるべきだ。それをやっている限りもう地球人類には未来はないのではないかというのが、この本の中身でありますし、今申し上げた三つの原則のような感じを持つところであります。  通産大臣として、このローマ・クラブが提言されている三つの原則についての御感想といいますか、お考えがありましたら、お伺いしたいと思います。
  107. 堀内光雄

    堀内国務大臣 委員の御指摘のポイントは、環境の復元能力を超えた資源の採取だとかあるいは環境負荷の集積というものは将来に向かって持続不可能であるということの、当時のローマ会議の提案を例に引かれてのお話だというふうに認識をいたしました。全くそのとおりだと思います。  私も、今日の我々が享受しております繁栄というもの、地球環境の恵みを我々の子孫に着実に引き継いでいくことが、現在に生きる我々に与えられた責務であるというふうに感じております。このためにも、循環を基調とする環境負荷の小さな持続可能な経済社会構築を図ることが必要ではないかなと思っております。地球環境問題への取り組みをそういう考えのもとに加速をしていく必要があると考えております。  通産省といたしましては、こういう認識のもとに、エネルギーの需給両面にわたる地球温暖化防止対策やリサイクル対策を十分に強化し、努力をしてまいりたいと思っております。特に、リサイクルあるいは省エネルギー、こういうような問題については、研究を初めとして、各産業界に対する協力要請や指導なども行いながら、成果を上げてまいりたいと思っております。
  108. 大畠章宏

    ○大畠委員 そういう中で、私ども国会の方でも、一九九五年に容器包装リサイクル法というものを制定をいたしました。これは、当時私も商工委員をしておりましたけれども、当時は、紙の流通は何とかなるけれども、瓶とか缶とか、そういうものが町の中にはんらんして、もうどうしようもないというような社会現象もありましたけれども、そういうものを非常に多く社会に放出しているだけで回収のルートがない、この問題については何とか法的にリサイクルができるような仕組みをつくろうではないかということで、この容器包装リサイクル法というのを成立させました。  もちろん、缶、瓶だけではなくて、デパートとか商店街の過剰包装についてももうできるだけ簡素にしてもらおうというような趣旨もあったのですが、実は、それが成立した以降、私たちが見落としていた紙が非常に多く回収され過ぎまして、今度は古紙の再利用というものがなかなか進まないという現象になって、ことしに入りましてから前半は大変な状況でありまして、今少し好転はしてきたかもしれませんが、まだまだこの紙の、いわゆる古紙のリサイクルというのがうまくいっていないというのが実態でございます。  さらに、最近ではそれにプラスして、輸入瓶といいますか、諸外国からお酒等の瓶が輸入されてまいりまして、この瓶もいろいろな色がありまして、透明な瓶あるいは茶色い瓶というのはある程度利用ができるのですが、その他の色のものはなかなか再利用ができないということで、この瓶についても、リサイクル業界の方々からも何とか再利用の方法を模索してほしいというような非常に強い要求も出てきております。  したがって、私ども容器包装リサイクル法を成立させた当時の一人として、このような法律が制定されて混乱が生じているということに対しては何らかの新たな措置が必要ではないかと私は思っておるのですが、この古紙のリサイクル、言ってみれば再利用製品をいかに多く開発をして利用先を拡充していくのか、あるいは古紙を海外に輸出するとか、大量に紙の原料が輸入されているわけですから、全部日本国内でリサイクルするというのには限界があるような感じもしておりますので、そこら辺も含めて、今通産省の担当局としてどういう対策を講じようとしているのか、お伺い円したいと思います。
  109. 水谷四郎

    ○水谷政府委員 まず、紙のリサイクルについてでございますけれども、御承知のように、現在我が国では、紙、板紙を年間約三千万トン生産をいたしております。  その原料でございますけれども、約千六百万トン、半分以上は古紙を利用しまして、そういった意味では古紙は非常に有効に使われているわけでございますが、先生指摘のように、昨年の夏以来、国民のリサイクル意識の向上等によりまして、古紙の回収が利用可能量を上回る状況になつております。特に、雑誌を中心とした古紙が余剰になっているわけであります。  こういった余剰問題につきましての対策でございますけれども、製紙原料としての一層の古紙利用の促進が重要であるということは言うまでもございませんが、ただ、古紙は、品種によりまして一製紙原料として利用される際の用途が異なります。また、リサイクルをするたびに繊維が劣化をするとか微細化をする、こういうことがございまして、古紙の製紙原料としての再利用には一定の限界もあるわけでございます。このため、製紙原料以外の新たな用途開発が最も重要な課題であると認識をいたしておりまして、従来よりこのような研究開発に対して支援を行っているところであります。  ちなみに、先ほど千六百万トンの古紙が紙として再生されると申し上げましたが、紙以外の用途というのはまだ十六万トン、千六百万トンに比べますとわずか一%でございますので、この用途の拡大努力ということによって相当古紙余剰の問題というのは解決に向かうのではないか、かように期待をいたしております。  また、通産省としましても、本問題の解決に向けまして、本年九月、今申し上げました新規用途の開発、製紙メーカーや大口ユーザーに対します古紙利用促進の働きかけなどを含みました古紙利用促進のための行動計画、アクションプログラムを作成したところでございまして、これを今現在全力で実施をしているということでございます。  今後とも、この問題の重要性にかんがみまして引き続き努力をしてまいりたい、かように考えております。
  110. 大畠章宏

    ○大畠委員 民主党はいつも基本的には大臣に質問することと言っているのですが、かなり細かな話でもございますし、担当局に今お話を伺ったところであります。担当も一生懸命頑張っていただいていることはよくわかるのですが、まだまだ十分ではないと思います。  私、このリサイクルシステムについてもいろいろ関係の皆さんのお話をいただきながら勉強もさせていただいていますが、この問題は、官僚の方々が非常にすばらしい仕組みをつくればいいというだけでは解決しないのだと思うのです。民間の方の知恵とか、あるいは地方のそういうものに一生懸命取り組んでいる方の知恵とか、言ってみればその地域に即した、そういうリサイクルを促進ずるような機関とかそういうふうなものを、何か民間も行政も力を合わせながらやっていくというようなことが必要なのではないかと思うのです。  私もいろいろ伺っていますが、中部通産局等々がニュービジネス協議会というものをつくって、このリサイクルのための、民間の方の知恵をかりながら、何とかぐるぐるリサイクルする仕組みをつくろうじゃないかという努力をしているというのも聞いておりますし、そういう意味では、民間でリサイクルに大変熱心に取り組んでいる学者の方もいますし、産業界の方もいますので、ぜひ、そういう方々の知恵と経験を生かしながら、せっかくつくった容器包装リサイクル法ですから、それがうまく回るようにさらに目配りをしながら取り組んでいただきたい。  さらには、トイレットペーパーなんかが非常に注目されていますが、すべて古紙を使った製品を市場に出すようにするとか、あるいはまた消費者に一生懸命PRするとか、そういうことも通産省としてぜひさらに努力をしていただきたい。  そして、リサイクル製品を一生懸命考えている中小企業の方々もおられるのです。こんなものもできるのというような感じのものもあるのですが、そういうものを一生懸命開発しながら促進するような、言ってみれば雰囲気づくりにさらに努力して、ぜひ日本の中できちっと資源のリサイクルができるようにさらに一層努力をしていただくことをお願いしておきたいと思います。  それから、今のお話は、言ってみれば先ほどの三原則のうちの「再生可能な資源の消費ペースは、その再生ペースを上回ってはならない。」という第一の原則に当てはまるのかなと思っていますが、「汚染の排出量は、環境の吸収能力を上回ってはならない。」という第三の原則がありますが、これにCO2というものは当てはまると思うのですね。  人間も呼吸していますから、CO2が必然的に出るのですね。ある報道機関の番組を見てみましたら、一日に大体一キロぐらいCO2を出すというような話だと思いますが、それが、自然界が吸収するのはどのくらいの能力かというと、ニキロらしいのですね。そうすると、差は一キロしかないのですね。しかし、産業界、自動車も含めて、二十数キロのCO2を一日に出しているというので、とても自然界が吸収し切れなくなっているのが現状なんだと思うのですね。  ですから、なるべくCO2を出さないようにしよう、それが地球温暖化を少しでもおくらせるといいますか、防止するというものなんだろうということでございますけれども、一方では、山をきちんとしてCO2をできるだけ吸収しやすいようにするというその吸収の努力と、それから、CO2をできるだけ出さないように省エネルギーをしていくとか、いろいろな工夫をすることも一つでしょう。もちろん古紙のリサイクルなんかも、結局材木の伐採をしなくて済むという意味ではCO2の吸収を促進するということになりますし、そういう努力ですとか、あるいはまた、CO2を森林以外に吸収する技術的な開発をしようというのも一つだと思います。  ここら辺、通産省として現状どのような努力をされているのか。これも大臣というよりも担当局の方に、どのくらいの認識で取り組んでおられるのか、お伺いしたいと思います。
  111. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 地球温暖化問題の重要性に関する認識は、冒頭大臣からお答え申し上げたとおりでございますが、二酸化炭素の排出抑制のためには、エネルギー需要側で徹底した省エネ対策を行いますとともに、供給側で二酸化炭素の排出量の少ないエネルギーの導入を促進していくことが重要でございますし、また吸収の観点から申し上げますと、長期的な視点で炭酸ガスの固定化にかかわる研究開発が重要だと認識をいたしてございます。  まず、エネルギーの需要側の問題でございますが、産業部門で、現在経済的、技術的に想定されます最高水準の省エネ設備の導入など、工場におきますエネルギー使用の合理化を徹底する、また民生・運輸部門では家電製品、自動車などの省エネ基準を大幅に強化する、かような点を主要な柱として今後の対策を行う予定でございます。  次に、供給側の問題でございますが、二〇一〇年までに原子力発電所を二十基程度増設することに加えまして、炭酸ガスを発生しない太陽光発電などの新エネルギーの供給を現状の約三倍にふやすことを目標といたしまして、最大限の努力継続していくこととしております。このため、太陽光発電などの導入に対する補助事業、事業者や地方自治体による活動に対する支援等の各種の施策を講じるべく、予算要求においても重点項目といたしてございます。  また、二酸化炭素の固定化対策でございますが、化学的、生物学的手法によるCO2の固定化、有効利用技術に関する研究開発を進めてございます。具体的には、平成二年以降、京都にあります地球環境技術研究所、RITEと称してございますが、そちらに年間六十億から七十億のお金を投じまして、この固定化技術の研究を続けてございます。成果はあらわれつつございますけれども、非常に難しい技術でございますので、なお実用化には道ほど遠しというところでございますが、世界にも呼びかけてこの技術開発、分担をしながら進めているところでございます。
  112. 大畠章宏

    ○大畠委員 ピッチを上げていただきたいと思いますが、CO2の固定化の問題については、森林であれば農林省かもしれませんけれども、農林省と通産省あたりも力を合わせて新たな何か技術開発ができるかもしれませんので、そのCO2の吸収とか固定化についても、今いろいろとお話しいただきましたけれども、ぜひ努力をしていただきたいことをお願いしておきたいと思います。  今エネルギーの問題がちょっと出ておりましたけれども、原子力プラントの問題といいますか、二十数基づくるという話もございましたが、このエネルギー問題と、あともう一点、小売店の問題、二つを最後にお伺いしたいと思うのです。  一つは、エネルギーの問題におきましては、アジアのエネルギー需要が非常に高まってきておりまして、私自身も今の日本のエネルギーの供給構造といいますか、それが本当に、今はまあ何とかなっておるけれども、二〇二五年あたりはどうなるのかなというのを非常に私は危惧しています。石炭、石油というものももちろんございますし、これがいつまで確保できるのかというのもなかなか見えてきません。  その中で注目されておりますのは、太陽光発電とやはり原子力発電なんだと思うのですね。今お話があったように、将来に向けて原子力発電所なんかも今計画はしていますが、いろいろとお伺いしますと、平成十二年までは新たな原子力発電所の着工というのが見えていない。  そういう中で、今五十二基の原子力発電所が稼働しているわけですが、その原子力発電所のメンテナンスの技術者、あるいは新しいプラントを今度は平成十二年からつくろうというときに、原子力技術者が確保できるのかどうか。いわゆる新しいプラントをつくるとき、大変な能力といいますか、人力を投入するのですが、新しいプラントの着工がなければ、しばらくその技術者というのは仕事がないのですね。平成十二年にまた始めようというのだけれども、そのときにまた新たに集めるというのはなかなか難しいので、この平成十二年の新しいプラントの着手までの間、どのような形でこの原子力発電所の優秀な技術者を維持していくのか。私はこれがアメリカの方でも非常に困っているという話を聞いておりますが、日本においても同じような現象があらわれてきているのじゃないか。私はそういう意味で、この太陽光発電の促進のための方策とその技術者の確保対策についてどのように考えているのか、あわせてお伺いしたいと思います。
  113. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 まず、太陽光発電の促進の点でございますが、現行の長期エネルギー需給見通しにおきまして、二〇一〇年度で四百六十万キロワットの導入を見込んでございます。これを具体的な数字で申し上げますと、現在四千戸の家の屋根にこの太陽光発電が載っておる状況でございますが、二〇一〇年には百万戸の家の屋根に載せるという計画でございます。  これを促進するために、平成九年度予算におきまして住宅用太陽光発電に対する大規模な設置費補助制度を実施いたしました。平成八年は二千軒程度のモニターを行いましたが、平成九年度は、この本格普及をねらいまして九千四百軒の家庭に対する設置補助を行っております。  また、太陽光発電を含む新エネルギーの普及促進という観点から、この春おつくりをいただきました新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法などを用いてこの促進を図っておるところでございますし、また平成十年度の予算要求におきましては、公共施設を含めまして、新たに太陽光発電のシステムの産業等も含めた設置を試験的に行うということで拡大をいたしてございます。  また、原子力発電の件でございますが、二〇一〇年に七千五十万キロワットという目標を掲げまして、安全性の確保を大前提に、これから約二十基の増設を図ろうとしておるところでございます。この三月に通産大臣に提出をされました電力供給計画によりますと、二〇〇六年度までに九基、千百二十八万キロワットの運転開始が予定をされるべく提出をされてございます。また、二〇〇七年度以降の運転開始を予定している原子力発電所も相当数考えられております。この目標達成はもちろん容易なことではありませんが、通産省としては、安全性の確保を大前提として、国民理解を得つつ、その実現に向かって最大限の努力を行うつもりでございます。  また、こういう原子力発電所の新増設を通じまして技術者のレベルが確保されるものと考えておりますが、さらに技術開発という観点から、産学官協力のもとで原子力発電設備の高度化、信頼性向上などの研究委託を行ってございまして、こうした分野からも研究者、技術者の技術蓄積、資質向上を図ってまいりたいと考えてございます。
  114. 大畠章宏

    ○大畠委員 時間が来てしまったのですが、実は、根來公取委員長もおいででございますので、ちょっと申しわけございませんが、一問だけ質問させていただきます。  数年来いろいろと私自身も小売店の実態について勉強させていただきましたけれども、特に家電品の小売店の方々から、いわゆる激安商法等々が原因で非常に混乱しているという話をたくさん聞いているところであります。フランス等では、原価を大幅に割った形で販売することを禁止するような法律案の検討もされているということでありますが、この問題について、公正取引委員会として今どのような基本的な御認識対応をされようとしているのか、そのことを一点お伺いして、質問を終わります。
  115. 根來泰周

    根來政府委員 この件についてはもう再々御指摘を受けて、大変恐縮に存じております。私どもも御質問の趣旨を踏まえて、従来から厳正に迅速に対応するようにやっておりますけれども、いろいろ問題がございますけれども、御趣旨を十分体しましてこの上とも厳正にやっていきたい、こういうふうに考えております。よろしくお願いいたします。
  116. 大畠章宏

    ○大畠委員 終わります。
  117. 斉藤斗志二

    ○斉藤委員長 次に、生方幸夫君。
  118. 生方幸夫

    ○生方委員 経企庁長官、お忙しいところ、ありがとうございます。民主党の生方幸夫と申します。  まず、昨今大変厳しくなっております景気の情勢について、その対策を、あわせて尾身長官にお伺いしたいと思います。  長官は、四日の記者会見の場におきまして景気の現況についてお触れになりまして、足踏み状態にある、回復という状況ではないと言って、今までずっと緩やかな回復というふうに言っていた回復という文字をなくされた見通しを発表いたしたというふうに新聞報道で聞いております。その中で、あわせて今年度の経済成長見通しを一・九%というのを修正して、一%も難しいというような御発言をなさったということですが、まず最初、きのうの記者会見もあわせまして、景気の現況についてどのように分析なさっているのか、お伺いしたいと思います。
  119. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 七月−九月の国民経済計算の速報が出まして、対前期比で〇・八%、年率で三・一%という数字になりました。これは私どもの考えでいたよりも回復のテンポが遅いという感じでございまして、そういう中で、最近の株価の動向とかあるいは金融機関経営破綻状況等を背景といたしまして、企業、家計の景況感が厳しくなっているという状況でございまして、これが消費やあるいは設備投資影響を及ぼしている可能性があるというふうに考えております。その結果、全体として景気足踏み状態かなというふうに先日の記者会見で申し上げたところでございます。  経済見通し一・九%は、四月—八月の数字が非常に低かったこともありまして、かねがねその達成はなかなか難しいというふうに申し上げてきたところでございますが、七—九の数字も出た段階で、やはり極めて困難であるという状況になりました。  そこで、じゃ、一体どのくらいの見通しを持つているのかということでございますが、これは近く来年度の景気見通しも出さなければいけませんし、そういう中で、本年度をどういうふうに数字的に考えていくかということを決めさせていただきたいというふうに考えておりまして、現在ただいま具体的な数字を申し上げる段階にはございませんが、しかし全体としては、規制緩和土地流動化対策あるいは中小企業対策等の施策を遂行し、それから、これからまとめます税制改正、法人課税の問題とか有価証券取引税の問題とか土地関係の税制についての取りまとめをするわけでございますが、その中で、来年度からはしっかり立ち上がれるような経済の枠組みをつくっていきたい、そして民間活力中心の順調な回復軌道に乗せるべく、しっかりやっていきたいと考えている次第でございます。
  120. 生方幸夫

    ○生方委員 今年度どれぐらいの見通しになるか、今の段階ではおわかりにならないということですけれども、多くの民間の研究団体とかエコノミストの判断によれば、ゼロ%、悪くいけばマイナス成長にしかならないだろうというような判断もなされております。一・九%が仮にマイナスになるとすれば、二%近く政府見通しが違ってしまうということなんですけれども、これだけ政府の見通しが違った一番大きな原因というのは、消費税増加に伴って個人消費が思うように回復しなかったということが一番大きな原因であるというふうに分析されているのか、その原因についてどのように長官が分析なさっているのか、お伺いしたいと思います。
  121. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 一つは、消費税の駆け込み需要がことしの一—三月、つまり昨年度の末に非常に大きかったということが原因でもございます。それからもう一つは、やはりここへ来てバブルの処理が終わり切っていない。そして、金融システムについての不安感というものが内外で強くなってきている。幾つかの倒産もございました。そういうことで、いわば心理的なものが冷えてきている、コンフィデンスが低くなってきているということが実は非常に大きい要因であるというふうに私自身は考えております。そして、消費者の懐といいますか、収入もそこそこ豊かでございますし、それから企業の収益も上がっているわけでございますが、そういうマインドの冷え込みというのが、実は実需の方にややはね返ってきたかな。  したがいまして、税制改正も含め、それから金融システムの安定性、そういうことも含めまして、経済の一番基本にかかわる問題についてのしっかりとした施策を立て、金融システムにつきましては、公的資金の導入ということも含めて、体制の整備をすることによってそういう不信感というものが除かれ、他方でマインドが向上してまいりますと、順調な回復軌道に乗るというふうに考えております。  なお、今の状況のもとでマイナスというようなことはないのではないかというふうに考えております。
  122. 生方幸夫

    ○生方委員 尾身長官に私もたびたび質問させていただいておるのですけれども、現実、私たちが肌身で感じている景況感と、経企庁が発表する数字との間に非常に大きな乖離があるのではないか。私どもが不況だと思っているとき、政府は緩やかな回復というふうに言っているというその違いがどうして生じてくるのかということを、私はやはりちょっと考えてみなければいけないのではないか。  つまり、今までの経済企画庁が立てている景気見通しないしは景気の現況についての判断の根拠の数字が、もはや今の景気現状を見るのにふさわしい数字が果たして取り入れられているのかどうかということを、もう根本的に検討しなければいけない時期に来ているのじゃないかというふうに私は思っているのですね。  これは、モデルはもちろん毎年書きかえておられるのであろうとは思いますが、根本的に産業構造や経済構造が変わっている中で、やはり景気の現況を判断する数値のもとになるようなものも、多少の手直してはなくて抜本的に見直して、私たちが把握できるものと同じような判断、ないしはもっと先取りした判断を経企庁がなさって、景気先行き悪くなるという判断をもし三カ月前にできれば、それに対して早急な手を打つということをしないといけないのではないか。  きのうの尾身経企庁長官発言を見ましても、今足取りが足踏み状態にあるといって対策を打つから、本当は半年前に足踏み状態になって回復という文字が抜けていれば、もうとっくにそれなりの対策を打てたはずなのに、後手後手に回ってしまうというのは、現況の見通しについての分析が多少現状とはずれているのではないかというふうに私は思うのですが、その辺について長官の感想をお伺いしたいのです。
  123. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 私自身は、就任以来、経済企画庁景気の判断というのは純粋に客観的で公平である、そういうふうにあるべきだというふうに思って、私自身かなりの努力をしてまいりました。  景気判断をする際に、新しい経済構造の変革に対応する数字の見方が足らないのではないかというようなお話でございますが、私はそういう点があるかとも思います。思いますが、それはまた逆に言いますと、新しい事業、新しいベンチャーが起こる、そのことに対する数字的なものがそろっていないという逆の面もあると思っておりまして、トータルとしてのマクロの、例えば消費の動向とか設備投資全体の動向とか、そういうものをずっとファンダメンタルズを見てまいりますと、心理的な要因はちょっと別といたしまして、私は、景気の動向については、足踏み状態であるという表現を使っておりますけれども、いわゆる底割れというような現象ではないというふうに考えております。ただそこで、バブルの後処理が終わっていないこととか金融システムの問題とか、そういう面が非常にいわゆる信頼感がなくなっていることでございまして、そういう点についての対策をしっかりやっていくことが大事であるというふうに考えております。
  124. 生方幸夫

    ○生方委員 確かに、数字を追っていけばそうなるということはもう前々から私も尾身長官と何回も話をしておるのですけれども、現状、長官もタクシーに乗られることはないでしょうけれども、私どもがタクシーに乗ってタクシーの運転手さんに聞けば、だれも景気がいいなんてもうとつくから言っていないのですよね。それにもかかわらず、政府景気がいい、景気がいいというふうに言い続けてきたことが政府政策に対する不信となってあらわれていって、それが幾らたっても景況感がよくならないという、いわゆる政治不信が、さっき言ったマインドにも非常に影響しているのではないか。  そういう意味からも、やはりもうちょっと、例えば数字ばかりに基づくのではなく、国民各層にアンケートを実施する等、企業経営者ばかりではなくて、消費者にもそのようなアンケートを実施することによって景気現状というものをとらえていって、その心理にも応じた対策というのを打つことが政策に対する不信を解消する。それが消費マインドをアップさせるというようなことにつながるのではないか。  いわば心理的な面も含めて、政策的な面も含めて現況判断というものをするように変えていぐべきではないかというふうに私は思うのですが、重ねて御質問させていただきたいのです。
  125. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 景気の判断をどうするかということと、それから対策の内容をどうするかということがリンクしているからというお話であろうかと思いますが、このところ、景況判断についての表現を経済企画庁は変えてきております。それはまた逆に言いますと、経済は生き物でございまして、状況が時々刻々に変わる、その変わる状況についての的確な判断をするという意味で変えてきているわけでございます。  その変えた内容、近く月例経済報告も出されるわけでございますが、そういうことに対して、先ほど申しましたような形でのいわゆるファンダメンタルズに対する対応、それからまた金融システムに対する対応等につきましてしっかりとしたものを出していきたい。そして、その中で国民の皆様の景気の将来に対する信頼感を高めるような努力をし、その結果として実需に反映していただくようなことが大変大事だというふうに考えております。
  126. 生方幸夫

    ○生方委員 視点を変えてお伺いしたいのですが、財政構造改革法案、先日参議院も通過いたしまして、来年度からこの法案に基づいた予算編成が行われるというふうに私どもは解釈をしております。これは非常に厳しい歳出削減を伴った法案でございます。この法案が通ったということだけで、景気に非常にマイナスの影響を与えるのではないかというふうに私なんかは懸念いたすのですが、今の景気現状の中で、厳しい歳出削減を伴うこの財政構造改革法案に基づいた予算編成を来年度行う予定なのかどうか、そこをお伺いしたいのです。
  127. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 財政構造改革法案は、短期的には今おっしゃったような見方もあると思いますが、長期的にはやはり財政をスリム化して赤字体質を脱却をし、そして将来の世代に負担を残さない、日本経済全体の政策の弾力性を取り戻すという効果もあるわけでございます。また、従来パターンの、公共事業の増大によって景気を支えていくという赤字累増体質的な経済運営から脱却をして、民間活力中心とした経済構造に変えていくという意味もございます。  したがいまして、例えば電気通信分野の規制緩和とかあるいは土地流動化に対する規制緩和とかいうことを実現をしてまいりまして、全体として体質改善をする、民間活力中心経済構造に体質改善をしていく。そういう体制の中から経済を徐々に立ち上げていく、立ち上げていくといいますか、民間の活動が活発化して立ち上がっていくということを考えているわけでございます。  私は、現在の経済状況については先ほど来のお話のとおりでございますが、今度の、仮に景気が順調な回復軌道に一たん乗った場合には、これは長続きをするし、それから、ずっと二十一世紀に向かって、あるいは世界の中で日本経済がかつてのような力を発揮してくる、そういう体制ができる過渡期にあるというふうに考えているわけでございます。
  128. 生方幸夫

    ○生方委員 私は、財政構造改革法案の審議の中でも申し上げたのですけれども、日本経済が今このような状況にあるときに、財政構造改革という大手術を今するべきかどうかという判断は、してもいいのではないかというふうに考えております。財政構造はやはり改革しなければいけない、これは与野党問わず、だれでも考えていることでございますから、病人に大手術をするのがいいのか、健康体に戻ってから手術をした方がいいのか、これは回復の過程を見れば明らかでございまして、まず今私どもがやらなければいけないのは、日本経済を健康体にすることではないか。  したがって、私は、財政構造改革という枠組みはもうしっかりできたのですから、この執行を景気が回復するまで、一年ないしは二年延ばして、そこから先に財政構造改革に本格的に着手する。仮に、達成年度が二〇〇三年から二〇〇五年、二〇〇六年に延びても、確実にフレームができたということであれば国民の皆様方は納得もするし、そうした先延ばしを多少しますよ、これは景気回復のために今必要な施策を打たなければいけないからであるというような説明を総理ないし内閣が行えば、国民の皆様方は納得すると思うのです。そのように、執行を一年ないし二年、日本景気が回復するまで延ばすというお考えはないのかどうか、お伺いしたいのです。
  129. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 財政構造改革法案が先日参議院を通過したわけでございますが、他方、十一月十八日に、私ども「二十一世紀を切りひらく緊急経済対策」を発表いたしました。これは即効性という点では問題がありますけれども、中長期にわたって日本経済の体質を変えることになるというふうに考えております。  それから同時に、今のお話はそれなりに理解ができるところでございますが、私ども、現在は、十二月の半ばに向けまして税制の改正をする、法人税減税の問題、それから有価証券取引税の問題、土地関係の税制をバブル以前の状況に戻すという問題、そういう問題に取り組んでいるわけでございます。この税制面での手当てがしつかりとできますれば、それに伴って、例えば土地流動化が促進されるとか、東京マーケットが活発化するとか、そういう即効的な効果もかなりあるものを考えているわけでございますから、そういう点での政策については、私自身は、かなりしっかりとしたものを出していくべく、現在関係方面と折衝中でございます。  そういう税制面の対策と、それからもう一つは金融システムの安定化のための対策、公的資金の導入も含めました対策を考えているわけでございまして、そういう形の対策を総合的に進めることによって、コンフィデンスが強くなって民間活力の活発化があるというふうに考えております。
  130. 生方幸夫

    ○生方委員 もちろん政府がいろいろな政策をおとりになっているということはよく承知をしておりますが、やはり私は結果が出るまで待ってから実施すべきではないか。もちろん、これで結果が出るであろうということは予想されたとしても、結果が出るであろう前に非常に緊縮な予算を組めば、その影響というのが先走りをして、幾ら手を打っても後手後手になってしまう可能性があるのではないかというふうに私は懸念をしているわけです。  これは新聞報道の範囲を出ないのですが、聞くところによれば、来年度の予算で補正予算を大幅に組んで、そこで抜本的な景気対策を打ち出すと。これは、所得税減税を含めた大幅な減税措置を伴ったものを行おうやというような自民党さん側の意見があるように聞いておるのですけれども、補正予算について、今の段階ではどのような補正予算を組む予定であるのか、お伺いしたいのです。主に景気対策の面で。
  131. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 現在、私ども自身、その問題について細かい検討をしているわけではございませんが、いろいろな補正予算を組まなければならない正当な理由といいますとおかしいのですが、そういうものもございまして、補正予算そのものは多分やることになるのだろうと思いますが、その中にいわゆる景気対策的なものを入れるのかどうかということについては、財政状況その他も考えながら考えていくことになるだろうというふうに考えております。ただいまこうするとかいう方針をお答えできる状況にはないと思っております。
  132. 生方幸夫

    ○生方委員 仮に来年度大幅な補正予算を組んで、減税、これは所得税減税法人税減税も含めて実施するのであれば、例えば来年に二兆やるぐらいだったら、今二兆でできる効果と同じことが来年になれば三兆なり四兆しなければいけない、時間がたてばたつほど大きな景気対策をとらなければいけない。したがって、もっと前倒しして、尾身長官なり橋本総理が景気対策に全面的に取り組むのだという姿勢をお示しになる。実際の実行は後であってもいいですから、その前に具体的な策を出すことが、今の景気対策にとって最も効果があると私は思うのです。  どうしても後手後手になって、これからやるといって補正予算を来年になって組んだのでは、またそこでその判断をしてから市場が判断をするという形で、その効果というのが非常におくれてしまうと思うのですね。だから、もうちょっと前倒し、前倒しで実行していかなければいけないと私は思っておるのですけれども、その辺を重ねてお伺いしたいのです。
  133. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 私の理解しているところでは、補正予算を組むとすれば九年度予算に対する補正予算であるというふうに考えておりまして、この十二月いっぱいに補正事由に対応する原案をつくって、来年の国会の早々に出すということであろうかと思っておりまして、今申し上げております補正予算というのをやるとすれば、九年度の問題であるというふうに考えております。  その中にどういうものを入れるのかということは、私自身、現在全く実は聞いていない状況でございますが、いろいろなことを総合的に勘案して、必要な対策、必要な補正は組んでいかなければならないというふうに考えております。
  134. 生方幸夫

    ○生方委員 いろいろな角度から景気対策をお考えになっていって、即効性があるもの、即効性がないものがございますが、私が考えるに、どうしても即効性があるものが出てこないで、効果が出るまでに半年とか一年とかかかるものばかりを今並べ立てている。規制緩和したからといってすぐ景気がよくなるはずがないのは、だれが見ても明らかでございますし、税制改正も大分先の話を今論じているだけであって、今の景気の急激な冷え込みと同時に、あれだけの大型倒産が相次げば、消費マインドというのはどうしたって落ち込むに決まっているわけで、これから年末商戦を迎えるときに倒産がばたばたと相次げば、だれもここで買い物しようという気にならないわけですね。  それを打ち消すためにも、政府が新しいこうした政策をとることによって今の景気を何とか回復させるのだという強い姿勢を年内に示してこそ、年内の消費が盛り上がって、来年に向けて弾みがっくのではないかと私は思うのです。その辺、ぜひとも長官に、今お考えがないということですが、お考えをまとめていただいて、長官の口からだけでも結構ですから、言っていただけるようにお願いを申し上げます。  最後に、もう一点だけ長官にお伺いしたいのですが、中小企業対策でございますが、年末に向けて銀行の貸し渋りというようなことが言われております。  中小企業というのは資金が入ってきて自転車操業をしているわけで、資金が入ってこなければ、健全な経営をやっていてもばたんと倒れてしまうところが出てくるのは、これは必然でございます。その辺の対策について、中小企業経営者に対して、こういう対策をとっているから金融不安があっても大丈夫であるというふうなことをお示ししていただきたいのです。
  135. 斉藤斗志二

    ○斉藤委員長 どちらの大臣ですか。
  136. 生方幸夫

    ○生方委員 それでは、両方にお伺いしたいのですが。
  137. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 来年の三月末に、いわゆるビッグバンの対応の早期是正措置というのがございまして、いわゆる銀行の資産、負債のバランスを見て、健全かどうかということのチェックを厳しくやるということになりました。その結果として、各銀行が大蔵省から内容について少しでも指摘されるようなことがあっては困るということで、懸命になってバランスシートをよくしている。これが結果的に、中小企業あるいは中堅企業に対する資金供給を縮めてしまうのではないかという問題がございます。  そういう意味で、中小企業金融機関対策は通産省中小企業庁でやっているわけでございますが、私自身、全体の経済システムの中で資金供給が不当に縮まって、そして、その結果として経済がうまく循環しなくなることのないように全力を尽くして、いろいろな面を総合的に考えて対策をしていきたいということで、これに鋭意取り組んでいるところでございます。
  138. 堀内光雄

    堀内国務大臣 ただいまの企画庁の長官の御説明にありましたように、中小企業の面につきまして、あるいは中堅企業まで含めて、通産省としては、年末に向かっての貸し渋りだとかあるいは資金のショートのないように、全力を挙げて取り組んでまいりたいと思っております。  そういう意味で、いろいろと調査をした結果、既に貸し渋りの出始めている民間金融機関というのは約二割、これから先に貸し渋りが出そうだという不安を感じている対象が約六割ぐらいございます。そういう人たちに、政府系金融機関において万全を尽くして、安心して年が越せるような体 制をつくらなければならないと思っております。  政府系金融機関の本支店及び信用保証協会に特別の相談窓口を設置いたしました。貸し出し保証手続迅速化、あるいは一定の条件のもとで返済猶予などの、今まで既に貸し出されている債務に対する適切な対応をするということも行っております。  もう一つは、北拓銀行のような場合も含めまして、金融機関との取引に著しい変化が生じた、資金繰りに支障を来すおそれのある中小企業者に対する別枠融資制度を創設をいたしました。  国民金融公庫の小企業経営改善資金、いわゆるマル経ですね、このマル経の資金については今六百五十万までふやしてございますが、さらにそれを一千万までふやしました。  さらに、中小企業信用保険法特例保険として、小売関係業種あるいは建設関係業種、こういうものは今までの二倍にする枠から外れておりましたけれども、約二十六種の業種をその中に入れまして、保証の面での対象業種を拡大して保険限度額倍額にして、これらの措置によって民間金融機関からの借り入れも容易になるようにいたしてございます。  今度の北海道拓殖銀行及び徳陽シティ銀行の資金繰りの行き詰まりによる破綻というものから今後の業務継続が困難となることに立ち至ったのを見まして、この両銀行の取引先である健全な中小企業に支障のないように、十二月三日に北海道拓殖銀行並びに徳陽シティ銀行の取引先中小企業に対しては、中小企業信用保険法に基づく保険限度額倍額特例措置をとっております。  このような中小企業への影響が徐々に全国に広がりつつあるということも考えまして、その動向を注視しながら、これからさらに万全を期して、いやしくも中小企業政府系金融機関において貸し渋りの問題が出ないように明確に取り組んでまいる覚悟でございます。
  139. 生方幸夫

    ○生方委員 中小企業の方たちが今懸命に努力をなさっているわけでございまして、金融機関破綻というものが直接自分たちの倒産に結びつくというようなばかなことがないように、ぜひとも万全の措置をとっていただきたいというふうにお願いを申し上げます。  最後に、先ほど新藤委員の方からも質問が出ておりましたが、きのう、おととい新聞に出ておりました大店法、先ほど大臣のお答えでは今検討しているわけではないというようなことでございましたが、私は、個人的な考えとしては、大店法はやはり廃止をするべきであって、大規模なお店を選ぶのか、小さいお店を選ぶのか、これは消費者の判断に任せればいいのであって、政府がそこへ口を出すべきではないというふうに思うのです。  これは今の時点では、きょう二時からということですからもう発表されたのかもしれませんが、通産省としては大店法見直し、廃止ということをお考えになっているのかどうか、お伺いしたいのです。
  140. 堀内光雄

    堀内国務大臣 ただいまお話のありましたように、審議会も開かれております。まだ結論が出るような問題ではないと思っております。さらに慎重に、幅広い御意見を承って、明確な答申をいただくようにしたいと思っております。先ごろ出ました新聞記事は、そういう意味では全く不正確なものだというふうにお考えをいただきたいと思いますし、そういう答申が出てまいりましてから、それに対して通産省としては取り組みをいたしたいと思っておりますので、現状は白紙でございます。
  141. 生方幸夫

    ○生方委員 これで終わります。ありがとうございました。
  142. 斉藤斗志二

    ○斉藤委員長 次に、吉井英勝君。
  143. 吉井英勝

    吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。  きょう私は、大店法、大型店問題について質問をしたいと思います。  けさほど来、十二月二日、三日の全国紙各紙での報道についてと、そして、大臣の方からお答えがありましたから、私はそれ自身は繰り返しません。ただ、大規模小売店舗法規制緩和はこれ以上やらない、そういうはっきりした姿勢を政府の方が示さないものですから、私は、そういう点では全国紙の報道というのが、政府の態度からして全く根拠のないものだとは考えられないというふうに思います。     〔委員長退席、岸田委員長代理着席〕  そこで、この新聞報道に驚いて、全国各地の商工会議所から一斉に、大店法が廃止されれば地域経済社会に重大な影響を及ぼすことは必至だとして、規制緩和は厳に避け、現行法の枠組みを堅持するよう求める要請とか抗議が、二日の夕刻から三日の夕刻にかけての丸一日だけでも五十通以上、中小企業庁の方に寄せられたということが伝えられております。  十一月十二日には、全国商店街振興組合連合会、全日本商店街連合会、全日本小売商団体連盟、日本専門店会連盟、日本書店商業組合連合会、全国電機商業組合連合会などの全国の小売商団体、十八団体が、大店法の規制緩和絶対反対と全国小売商怒りの総決起大会を行っておりますし、また十一月二十七日には、通産省も後援した全国商工会連合会の全国大会が開かれて、そこで大店法の規制緩和は行わないことと決議もなされております。また、この間の合同会議の議事録を見ておりますと、消費者団体、国民も、これ以上の規制緩和反対、大型店出店に何らかの規制が必要だと訴えています。  そこで、大臣、やはりこうした全国の中小業者それから消費者国民の声にこたえて、これ以上の大店法の規制緩和はやらない、私は、まずこのことをはっきり示すべきだというふうに思うのです。最初に、まずこのことについて大臣に伺いたいと思います。
  144. 堀内光雄

    堀内国務大臣 先生指摘のように、大店法の制度の見直しにつきましては、現在、産業構造審議会と中小企業政策審議会の合同会議で審議を行っているところでございます。それに際しての記事が新聞に出たというわけでありまして、その中の審議の内容においては、一番右翼から左翼までを見まして、すべて廃止すべしという御意見、今の大店法を残すべしという御意見、あるいは、今の社会的問題を含めて、そういう社会的意味での規制を行うべしとか、いろいろな意見がその中では出ているものと拝察をいたしておりまして、そういう意見の一部が取り上げられて表に出たということかもしれないと思っております。この議論について、私の方では言及すべきものでもないと思いますし、現にそういう答申がまとまりつつあるというふうにも聞いておりません。  また、審議会の結論が出ました後で、私どもはしっかりとそれをもとにして取り組みをいたしたいというふうに思っておりますので、現在のところは全く白紙の状態で行っております。少なくとも、審議会に審議をお願いしている段階でどちらこちらということを私どもが申し上げられる立場ではないというふうに思っておりますし、そういう意味合いから、現状においては、全く新聞の記事は実情を示しているものとは思いません。  また同時に、その結論についても、いろいろの御意見が寄せられているということを含めまして、さらに審議を深めていただこうということで、時間的な問題にそうとらわれることなくしっかりと審議をしていただきたいということはお願いをいたしている次第でございます。
  145. 吉井英勝

    吉井委員 私は、そういうあいまいさがこういう報道になってくると思うのです。やはり大臣として、政府として、これ以上の大店法の規制緩和はやらない、はっきりそれを示すべきだというふうに思います。  さてそこで、ヨーロッパで今大型店出店規制がどうなっているかをきょうは少し見ていきたいと思うのですが、まず、イギリスです。  八〇年代に、出店野放しで大型店が郊外にどんどん出店、中小小売店の減少と都市中心部の空洞化進展。その反省から、一九九〇年に都市・田園計画法が制定されました。ここでは、地方政府は、法律に基づく開発プランに従って、大型店の郊外出店の規制を始めました。  さらに、一九九三年には、都市・田園計画法の運用に関する環境運輸省通達で、地方政府は、開発計画を策定する際、将来の小売出店に関し、既存の中心街の活力、機能の維持活性化につながる計画を策定しなければならないと、出店審査の三つの基準を示しておりますが、その第一は中心街の活力、機能への影響二つ目に商店へのアクセス、交通の便、三つ目に車の交通量への影響、これを挙げています。そして、店舗面積が二千五百平方メートル以上の小売店舗の出店に関して、この通達では、計画者による出店申請には、中心街、周辺の村、小規模な店舗の集落等への経済影響、そして二つ目に店舗へのアクセス、交通の便、三つ目に出店に伴う交通のパターンの変化、四つ目に出店に伴う環境への影響、これらに関する証拠、情報を添えることを求めています。  一九九六年通達によりますと、さらに対象を小売業だけでなく、レジャー施設やオフィス施設にも拡大する。ちょうど今日本で問題になっている大型ショッピングセンターなどがそれらの複合施設になりますが、さらに段階的アプローチが明確にされている、こういうイギリスの内容だと思うのです。  外務省には最初にこの点だけ、こういう内容だったと思いますが、確認を求めておきたいと思います。
  146. 廣木重之

    廣木説明員 お答えいたします。  英国には大型店の出店調整に関する直接の規制は存在しませんが、都市計画の観点から、一九九〇年の都市・田園計画法及び同法の運用に関する環境運輸省の通達により、小売店の開発許可を通じた規制が存在すると承知しております。
  147. 吉井英勝

    吉井委員 イギリスでは、八〇年代の深刻な反省の上に、九〇年代に三度にわたり規制が強化されています。フランスにおいても昨年、九六年七月、ロワイエ法が改正され、大型店の出店規制が大きく強化されたことは、ことし二月、本委員会での私自身の質問も通じて明らかにしてまいりました。  そこで、次に、ドイツの実態を見ておきたいのですが、ドイツでは、歴史ある町並み保存、環境など、町づくりを重視して、連邦建設法に基づく建築許可制度により、大型店の出店を厳しく規制しています。床面積千二百平方メートル以上の建物は、都市計画で指定された特別地域にのみ立地を許可するというもので、運用は厳しく行われており、この特別地域の指定状況を見てみますと、人口百万人のケルンで五カ所、人口約六十万人のデュッセルドルフでは指定地域はゼロという状況です。  そこで外務省にお聞きしておきたいのですが、このドイツ、旧西独地区の方ですね、このドイツにおける従業者規模一人から九人及び百人以上の商店数は、一九八五年と九三年ではそれぞれどうなっているかですね。その間の増減数あるいは増減率がどうなっているか、これについてお示しいただきたいと思います。
  148. 廣木重之

    廣木説明員 お答えいたします。  従業員が一人から九人規模の小売店舗数は、八五年から九三年の時点で一万九千六百十店舗、率として五・七%増加しております。全小売店舗数に占める割合は一・八%減少しております。それから、百人以上の小売店舗数は、八五年から九三年の時点で百八十三店舗、率として一三・六%増加しております。全小売店舗数に占める割合には変化ございません。
  149. 吉井英勝

    吉井委員 今お答えいただきました数字、これで一九八五年から九三年に一人から九人のところが幾らどうなったかといいますと、ドイツでは五・七%ふえているのです。全体の率じゃなくて、八五年から九三年への増加率ですね。一方、百人以上の大型店も一三・六%ふえているわけです。  それで、日本の商店数を商業統計から調べてみると、従業者規模一人から九人では、一九八五年の百五十三万八千六百三十五店から一九九四年の百三十五万八千二百六十一店に十八万三百七十四店、率にして一一・七%減っています。同じ期間に従業者百人以上の大型店というのは、千九百五十九店から二千八百六十一店へと九百二店、四六・〇%もふえているわけです。これを大型店の数だけでドイツと日本を比較しますと、日本と西独部ですが、ドイツの五倍も日本の場合は大型店がふえているのです。  今、数をお聞きいただきましたように、日本の場合には一人から九人の零細商店が一一・七%減少、ドイツは同じ期間に五・七%ふえているのですね。一方、百人以上の大型店というのは、日本は四六・〇%、物すごいふえ方です。ドイツは、ふえていることはふえているが、一三・六%なんです。  そこで、ドイツと日本における小売商店のこの変化の違い、余りにも明白だと思うのですが、ドイツと日本のこの違いは何が原因だというふうに大臣はお考えになられるか、この点を少しお聞きしておきたいと思います。
  150. 堀内光雄

    堀内国務大臣 ドイツの場合のことはちょっと私は……。後で事務方から御説明申し上げると思います。  日本の場合には、私の印象といいますか、数字などを眺めたところでは、大規模店の中にほとんどの小売店が吸収されているという感じがございます。そういう意味合いでの大規模店の増加、小売店の減少というような数字が、従業員の変更、移動というものを通じても感じられるものがございます。
  151. 吉井英勝

    吉井委員 従業員の変化日本で一つだけ御紹介しておきますと、この間も商工委員会で北海道の調査に行きました。苫小牧のあのカウボーイという店ですね。なるほどその従業員、普通の商店よりももちろん多いのは多いのですけれども、土日勝負なんですね。月曜日から金曜日はほとんど働いている人もいないのです、お客さんが土日勝負だから。パートの比率が八割から九割ということを経営者の方が言っておられましたけれども。ですから、従業者がふえたといっても、それは、雇用の増加とか、地域全体の雇用所得がアップして地域社会消費購買力が高まっていくということにはつながらないということだけ指摘をしておきたいと思います。  そこで、このドイツの件なんですが、連邦建設法に基づく建築許可制度によって大型店の出店を厳しく規制していますが、それに反して我が国の場合は、日米構造協議により九〇年から三回にわたる規制緩和が進められてきて、大型店の出店が急増したということは明白です。通産省の資料によれば、大店法の規制緩和が始められた九〇年度から九六年度までの七年間に大型店の出店届け出件数は一万二千五百五十九件で、それ以前の七年間の届け出件数三千八百九十六件の実に三・二倍に急増しました。九四年度からは三年間連続して毎年毎年届け出件数は最高記録を更新している。今年度はさらに昨年度を上回る届け出件数となつています。  そこで、日本に立ち返る前に少し外務省にお聞きしておきたいのですが、フランスはロワイエ法、ドイツ、イギリスなどは都市計画的手法、もちろんアメリカもゾーニング条例で規制しているわけですが、そういうロワイエ法とか都市計画法で大型店の出店規制、開発規制を厳しく実施し、あるいは近年、緩和するだけじゃなくて逆に規制を強化してきたのがフランス、ドイツ、イギリスなどでありますが、アメリカがこのフランスやドイツやイギリスに対して、これらの国の規制流通障壁になっているということを指摘したり、その規制を緩和し撤廃せよと求めた例があったらお示しいただきたいのですが、ありますか。
  152. 小寺次郎

    ○小寺説明員 私どもといたしましては、米国が御指摘のような規制緩和要求をフランス、ドイツ、イギリス等に対して行ったという情報は持ち合わせておりません。
  153. 吉井英勝

    吉井委員 アメリカは、日本に対しては大店法が貿易障壁となっていると指摘して、その撤廃を強く求めています。先日大臣がAPECのためにバンクーバーに行った際にも、アメリカ通商代表部、USTRのバシェフスキー代表が大店法の撤廃を強く求めたということは、マスコミ各紙でも広く伝えられてまいりました。  アメリカは、規制の厳しいヨーロッパに対しては規制緩和の要求をしていない、日本に対してだけ執拗な要求や圧力が出されてきている、これは少し異常だというふうに大臣思われませんか。     〔岸田委員長代理退席、委員長着席〕
  154. 堀内光雄

    堀内国務大臣 今の、バシェフスキーさんとの交渉におきまして強く要望されたとおっしゃられましたけれども、そういう言葉ではございません。意見交換で和やかなうちにお話し合いをいたしまして、お互いに、お話し合いの結果、理解をしているというところでございます。
  155. 吉井英勝

    吉井委員 和やかという受けとめ方をされたのは、大臣としてはそういう印象を持たれたのかもしれません。  ただ、マスコミ報道では、「(APEC)の際、堀内通産相と会談したバーシェフスキ米通商代表も大店法撤廃を強く求めた。」というふうに紹介されているわけですが、それはただ単にこの間のAPECだけじゃなしに、この間の米国の規制緩和要望書の表現を見ておっても、これは本当に執拗に大店法を撤廃しろということを言ってきていますね。  一番最近のもので一合同会議に出された意見書の中でも、大店法「全ての規制を直ちに撤廃すべき」だと。そして、「米国政府は、中心市街地の商業活性化施策に関する合同会議の勧告が、大店法をゾーニング規制に置き換えることにより大型店の参入制限と同様の効果をもつことになることを大変懸念している。」。だから、今は自民党の皆さんが中心市街地活性化法を考えていらっしゃるというお話も先ほどもありましたけれども、それに対してさえ、大型店参入規制と同様の効果を持つことを大変懸念しているのだとブレーキをかけていく。それで「日本政府は、地方自治体が同様の効果を有する規制を定立しないことを確保する手段をとるべきである。」そういうことまで言ってきているわけでしょう。現に文書で出ているわけですね。  さっきも言いましたように、フランスやドイツやイギリスなどについては、日本よりも規制は厳しくて、規制強化をやっているのですよ。日本が三回規制緩和をしたときに、イギリスは逆に三回規制を強化しているのですね。ドイツでは、中小商店が日本のようにどかんと減ってしまうのではなくて、わずかであってもふえているのですね。一方、大型店のふえ方は少ないわけです。  そういう現実の姿を見たときに、私は、規制の厳しいヨーロッパには何も言わないで、まあアメリカも強い態度をとられると腰が震えてしまうのか砕けるのか知りませんが、日本に対しては異常と思えるような、執拗な規制緩和圧力といいますか、大店法を撤廃しろと。これは私は、この間のお話が和やかであったにしろどうにしろ、少し異常ではないかと思うのですが、異常と思われませんか。もう一度お聞きします。
  156. 岩田満泰

    岩田政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘ございましたように、現在、産構審・中政審の合同会議の場で大店法の制度見直しの審議が行われるに際しまして、米国政府から、ただいまお触れになりましたような趣旨のものが含まれた意見書が提出をされておるところでございます。しかし、これはさまざまな内外の、例えばEUからも意見が寄せられておるわけでございますけれども、内外幅広くいろいろな意見が寄せられてきておりまして、その中の一つとして私どもは位置づけるものであり、そういう形で御審議が続けられているものと理解をしておるわけでございます。
  157. 吉井英勝

    吉井委員 まず、事実経過から歴史的に申しまして、日米構造協議以来、九〇年代に入って、現に三回の規制緩和が行われたことは事実です。そして、現に今すさまじい調子で大店法を全面的に撤廃しろと言われているのは事実ですから、私は、ヨーロッパと余りにも違う状況に、日本政府としてやはりもっと毅然とする必要があるというふうに思います。  さて、今京都ではCOP3が開かれて、環境問題重視の時代になっており事すが、ヨーロッパでは、自動車の郊外型大型店への集中が、二酸化炭素排気ガス問題とかむだに化石燃料を使う問題など、環境政策上問題ありということを指摘しております。これは、合同会議の海外調査団報告でもそのことが報告書に記載されておりました。  そういう中で日本の現実はどうかというのを少し見てみますと、敷地面積が二十万平方メートルとか三十万平方メートルという、郊外型大型店の一層の巨大化の時代を今迎えております。郊外で小売売り場面積の規模の巨大化、複合施設としての面積そのものの巨大化、これで商圏範囲も広範囲に及んで、地域社会の崩壊は大規模に起こってきているというのが実態です。環境政策としても、経済、商業政策としても、地域政策としても、私はもはや見過ごしにできないところへ来ているというふうに思うわけです。  具体の例を、福岡県飯塚市の、これはことしの二月にも御紹介いたしましたが、ジャスコ飯塚店を例に見たいと思うのですが、ここでは、まず店舗面積一万四千平方メートルのジャスコ飯塚店が出店して、最初に中心商店街は打撃を受けました。何とかそれでも共存共栄の道をと、商店街の皆さんは努力をしてきました。ところが、これが一九九四年になって、飯塚市の隣町の穂波町というところに、ジャスコ穂波店が敷地七万二千平方メートル、店舗面積二万二千平方メートル、駐車台数千八百台で開店し、これで中心商店街はまたまた大きな痛手を受けました。  穂波店を開店するときの約束というのは、中心商店街にあるジャスコ飯塚店も残しておくのだ、これは約束でした。ところが、一昨年春には約束に反して飯塚店閉店ということになりました。それでまた中心商店街は大打撃を受けました。しかも、このジャスコ飯塚店は解体、撤去してしまって、もう影も形もありません。  それで、中心商店街は、新たな活性化策をということで、キーテナントも誘致して都市再開発事業、つまり中心市街地活性化事業、これを始めようとしたのです。国も自治体も財政負担を決めてかかりました。そのやさきに、今度はジャスコ穂波店が一万九千平方メートルの小売売り場面積を新たに広げたい、増床計画ですね、売り場面積を二倍にするというのを発表しました。この結果、キーテナントも採算がとれるかどうか見直しを始めて、再開発事業の都市計画決定も延期となりました。活性化事業のめどそのものが狂ってきたわけです。  そこで大臣、こんなジャスコのような身勝手な行動を許しておいて、大規模店、出店はするわ撤退はするわとこんな身勝手をどんどん許しておいて、それで中心市街地活性化計画さえ狂ってくる、これでいいのでしょうか。私は、この事例についてよく調査していただいて、ジャスコに対してきちんとやはり大臣として指導してもらいたいと思うのですよ。どうですか。
  158. 岩田満泰

    岩田政府委員 産構審・中政審の合同会議の場におきましても、もろもろの意見のある中の一つとしてではございますけれども、商業のいわば適正立地とでも申しましょうか、そうした町づくりの観点からの調整と申しますか、規制というものは必要であるというような御意見はまた存在するわけでございます。また、退店の問題についてもいろいろな御議論がなされておるというふうに承知をいたしておりまして、いずれにせよ、現在審議をされておって、これらについてどのようなお答えをいただけるかを私どもとしてはお待ちをしておるということでございます。
  159. 吉井英勝

    吉井委員 審議しているだ何だという段階の話ではないのですよ。現にこういう事態が起こって、本当にやりたい放題ですよ。この地域社会は本当にもう崩壊に直面しているのです。中心商店街の皆さんがどんなに市街地活性化の取り組みをやってみようと、こんなことを許しておいたら、これはどんな新しい法律をつくったってうまくいきませんよ。  私は、審議会とは全く別個の話として、現にやっているジャスコ飯塚、穂波で見られるようなこういうやり方については、やはり大臣としてきちんと調査をしていただいて、これはジャスコを指導する、そういうことをやってもらわなければ、どんな計画を今後考えるといったって何も生きてこないと思いますね。大臣、ちょっとこれは指導してもらいたいと思いますが、どうですか。
  160. 堀内光雄

    堀内国務大臣 今の法律の中でまいりますと、出退店について、出店についてのいろいろの制約や規制あるいは指導があるわけでありますが、退店についての問題は全くないわけでございますね。  そういう意味で、これからの将来にわたって、先ほどからも先生のお話のございましたような自動車の交通の非常にふくそうすること、あるいは社会的な問題があること、退店についての問題だとかいろいろな問題について、どういうことを検討すべきかというようなことも含めて、今審議会で研究をされているというふうに思います。  現状の中で、退店をするというようなことに対して、通産省で指導監督するというような立場にはないというふうに私は思っております。
  161. 吉井英勝

    吉井委員 私は、退店の問題もそうですが、しかし現に増床計画が出ていることについて、指導できるのですよ、それはやはりやるべきだと思うのです。  全国商工会連合会の十月一日の合同会議への意見書によると、全国で、二十八県で最近五年間で大型店の撤退が発生し、八十三件に上っている、新規出店から撤退までの期間が五年以内のものが二十二件も存在する、大型店の計画性のない店舗展開の状況が浮き彫りにされていると指摘しておりました。通産省の調査でも、九二年度から五年間に一千三十一の大型店が閉鎖したというのですね。  身勝手なやり方の被害者は商店街だけではないのです。買い物の場を失う買い物弱者というべき高齢者とか障害者が、今生活に本当に困難を来しじゃないでしょうか。私は 大型店の地域社会、そして経済、環境を破壊する身勝手に規制を加えるということが必要だというふうに思うわけです。  それで、我が党は、昨年「大型店の無秩序な出店ラッシュをおさえ、中小小売業の営業をまもり振興をはかります」という政策を発表して、去る十一月十日には大店法改正案の法案大綱も発表しました。それは、ヨーロッパのやっているような届け出制を許可制に戻すことと、そして住環境や町づくりに配慮できるように法の目的に良好な都市環境の形成を追加して、大店審の審査基準、許可基準を明確にして、町づくり計画との調和を図らせるなどができるようにするものです。また、大型店の閉店や撤退にも身勝手を許さない仕組みを設けて、地域の実情に精通した地方自治体の条例制定など、町づくりの独自施策を保障しようという考え方です。  発表後、内容について、業界の皆さん、消費者の皆さんから、自分たちの考えとほとんど一緒だ、ぜひ超党派でこういう法律を実現してほしいという声が多数寄せられております。もちろん国民の期待にこたえて奮闘する決意でありますが、最後に一点だけ、大臣、大型店の地域社会経済、環境を破壊するこの身勝手に規制を加えるというこの立場はどうしても明確にしていただかないと、日本社会は本当に大変になると思うのです。時間が参りましたので、この点だけ御意見を伺って、質問を終わりにしたいと思います。
  162. 堀内光雄

    堀内国務大臣 そういう問題を含めて、今審議会において検討をしております。それを受け取った上で、私どもも適切な判断をさせていただきたいと思っております。
  163. 吉井英勝

    吉井委員 時間が参りましたので、終わります。
  164. 斉藤斗志二

    ○斉藤委員長 次に、前田武志君。
  165. 前田武志

    ○前田(武)委員 前田武志でございます。中心市街地活性化問題等を中心質疑をさせていただきたいと思います。  既に同僚議員から、いろいろな角度からこの問題について、もちろん大店舗法の改正と、そしてまた町づくりの観点からいろいろあったわけで、私自身も用意していたいろいろな質疑について、同僚議員からかなり突っ込んでお話がありました。もう時間も迫っておりますので、余り同じことで退屈させてもいかぬと思いますので、若干観点を変えて、私なりの質疑をさせていただきます。  要するに、町のあり方論と申しますか、そういったことから考えるわけでございますが、大分地域構造、社会構造が変わってまいりました。私の地元に引き戻して考えてみると、例えば私が住んでおります地元の町は、その地域では中心になる中核都市なんですね。奈良県というのは、奈良市という北の方に県庁がございまして、これは京都との境でございます。北の端に中枢機能が全部寄っている。それに対して、私の住んでいるところ橿原市、これは神武天皇御即位の歴史発祥の地でございまして、ここが中南部の、南の方、五分の四を占めるぐらいの山岳地帯があるわけですが、そういったところから出てきた明日香、橿原、この中心になっておりまして、ここに中枢機能がかなり集積されてきているのですね。  ここは実は大阪の都心から三十分のところなんですよ。もう非常に便利なところでありまして、東京でいえば、都心から三十分なんというと山手線を出たあたりのところですから。それなのに町そのものは、その三十分の駅前がまだ、戦後に、多少高度成長期に町並みがちょっとその当時のモダンなものになった、それ以降、基本的には余り変わっていないのですね。大きなかんがい排水の池もあるのですよ。これは用水としてはもう機能は必要でなくなって、いよいよ町の再開発をやるということで、かなり放置されているわけですね。なぜ進まないのかな、こう思うのですね。そこは、面積的にいうと奈良県の五分の四ぐらいのヒンターランド、これを持っているところなんです。  それと対照的に、橿原市の駅のある、八木と申しますが、そこに、歩いて十分ぐらいのところに実は今井町という、これまた、陸の今井、海の堺、こう言われたような自治都市が、環濠都市がそのまま残っているのです。堺の方はもう跡形もないわけですが、今井町なんというのは、実は国の調査なんかも入れて、歴史的な評価というものも出てきて、今、結構観光客なんかもにぎわうような環濠がありまして、もともと寺内町みたいなところで、大和の富の三分の二は集まるというぐらいに一時にぎわいを見せた商都でもあったのですね。これは全部、その当時のまさしく地元の人たちがみずからつくった町なんですね。立派な大和建てのなまこ塀のすばらしい町並みが残っているのですね。  私が言いたいのは、国も自治体も、行政がいろいろやってきたのですが、今の町づくりに比べると、かつての、必然性があって、みんなで協力し合ってみずからつくった自治都市の町の方が、はるかに風格もあれば今に残っている。そして、こんなに便利な、本来中枢都市にならなければいかぬところがなかなか町づくりが進まない。そこにどういう問題があるかということなんですね。これは、大店舗法だとかあるいは町づくりの中心市街地活性化方策だとか、いろいろ今検討はされておられるのでしょうが、そこに対応し切れないような問題があるのじゃないのかなと思うのですね。  一つは、例えば、私どもの持っている問題といいますのは、その橿原からもう少し南の、それこそ吉野の山に入っていくその拠点になるようなところにも、五條というこれまた古い町がありまして、本来ならばそこで全部用が足りたのです。吉野の山林王でもみんなそこへ来て、買い物をし、私がまだ小学生、中学生のころ、ちょっと遊んで夜遅くなると、三味線の音が聞こえ、芸者衆が歩き、というような町だったのですね。それも今はもう全く空洞化しているのですね。これは大店舗法のおかげでそうなったのじゃないのですよ。高度成長、いろいろ過疎化というような問題、もう今までさんざん、国土庁であり、全総計画であり、もう政府を挙げてやってきたが、なかなか対応し切れていない。  ところで、それはもう大きな経済の動きというものがあったのでしょうが、いよいよここへ来て、年齢構成なんかは随分と変わってまいりました。そして、この過疎の山村なんというのは、これはやがて、もう時間がないのではしょっていきますと、定年退職した第二の人生を送るような人たちでも、住めるならふるさとへ戻りたいという人も結構おりますし、また戻っていただく方々もたくさんいます。  そして、そこで育ってくる次の世代の方々、みんな、老いも若きも中枢都市機能がなければ生きていけない時代であるし、ライフスタイルはそうなってきているわけです。そして、NPO活動であったり、あるいは生涯教育であったり、あるいは自分の職を生かして、第二の人生でも役に立つことがあったらちょっと働きたいということもあるでしょう。多様なニーズ、そして人口の年齢層の構造というのもどんどん変わってきている。そういうニーズにこたえ得るような多様な都市機能といいますか、そういったものを持った中心市街地というものは、やはり各所に必要なはずなんですね。  そういうものが連携し合って、中核都市的あるいは中枢都市的な、拠点都市的なものもあり、その周りに中心市街地機能を備えたまた中規模の都市があり、そういうものが農山村すべてにそういう都市機能をサービスする。出てくる場合もありましょうし、商店街のお兄さんが、その辺の、近所のいろいろな商店の御用を聞いて、山奥の方までおじいちゃん、おばあちゃんのところに御用聞きに行くというような、そういう商売の仕方まで出始めているのです。  ここは幹線道路体系あるいは通信のネットワークというものがきちっと整備されてくれば、まあ一時間前後で全国どこでもそういう中心市街地機能を享受するということが可能になれば、これからの時代というのはすばらしい環境の中で、何も朝八時半ぐらいから夕刻五時まで都会のオフィスで、毎日通勤ラッシュにぎゅうぎゅう詰めになって通って、そんなところで仕事をする必要のない時代でありますから、むしろ自分のふるさとを一つの拠点として、そしてそういう通信ネットワークも駆使して住んでいくという若い人だって出てきつつありますね。  そういった意味においては、中心市街地の機能を再活性化させ、復活させていくというのが、非常にこれからの時代重要な、最も重要なことであって、大店舗法に対して、商店だけを守れとかいうことを超えてもっともっと、構造的に言うと——何か演説だけでこんなに長くなってしまったので、質問の方に入らなければいかぬわけでございますが、まさしく大きな意味で言うと、二十一世紀日本地域社会そのものを、住みよい、本当に住んでいいなというふるさとにしていく一つのポイントになっていくと思います。  そういった観点から、大臣がこの中心市街地活性化あるいは町の再開発、そういうものに対してどういうようなお考えをお持ちなのか、まずお聞きをいたします。
  166. 堀内光雄

    堀内国務大臣 大変示唆に富みました先生のいろいろの御意見を承りまして、大いに傾聴させていただいた次第でございます。  やはりそれぞれの都市において、昔からのつながる文化だとかあるいは人情だとか、いろいろのそういうような基盤というものを大切にしながら、さらにその中心になる市街地の活性化をしていくということが、これは一つ大きな基本になる姿勢ではないかということを改めて認識をいたしたような次第でございます。  中心市街地は、さまざまな都市機能が集積をしたり、新たな経済活動を生み出す場所として、また地域のコミュニティーの中心として重要な役割を担ってきた地域でありまして、そういう中に、さらに昔からの伝統だとか歴史だとか文化だとかいうものが存在をしているというふうに思います。  このごろでは、モータリゼーションの発展だとか消費者の行動パターンの変化によって、中心市街地空洞化が深刻化してきているということになります。特に、中心市街地商店街の空き店舗の問題は深刻化しておりまして、全国商店街のうち、空き店舗のある商店街は約八五%になっているということでありますし、空き店舗が一割を超える商店街が全体の三分の一になっているということ、こういうものを考えますと、やはりこれから中心市街地というものをもう一度見直しながら、そこにひとつ、今までも中心市街地活性化ということは何回も言われながら、大きな成果が余りあらわれなかったということは、それぞれの省庁がそれぞれの単位の中で取り組みを行ってきたからだというふうにも思えるわけでありまして、今回は、大きな力を発揮するためにも、通産省が中心になりまして、自治省、建設省の三省がまとまり、さらに八省庁を加えて、そして新しいというか、古い伝統を守りながら新しい中心市街地というものの効果というか力、重要性の役割を再認識をできるような方向に向かって努力をしてまいりたいと思っております。  二十一世紀に向けて活力のある経済社会構築していく上で、また歴史、文化等も含めた社会資本の活用だとか高齢化社会を踏まえた質の高い町づくりの観点から、各省庁の枠を超えて取り組みを行って成果を上げてまいりたい。そのために、こういう財政時代ではありますが、通産省としては、できる限りの努力で予算を確保して、成果を上げるように取り組んでまいりたいと思っております。
  167. 前田武志

    ○前田(武)委員 環境のいい町づくりという面から、私は実は通常国会のときに、五月の何日だったですかな、決算委員会質疑をいたしまして、地方都市の中心市街地問題の一環としても、制度的に検討していきたいという建設省の都市局長の答弁も得ております。今そういったことも踏まえての大臣の御答弁だったと思います。  そこで、ちょっと最後にもう一問お聞きしたいわけなんですが、これは持続的な内需拡大ともかかわってくるわけでございまして、いろいろ言われますが、非常にその波及効果の高い持続的な内需拡大というのは、人口がピークに達して、いよいよその先、多分二〇〇六、七年をピークとして人口が減ってまいります。したがって、この十年、十五年ぐらいが、全国各地で本当にそういう拠点都市をどういうふうに整備するか、中心市街地をどういうふうに整備していくかという最後のチャンスだと思うのですね。  そういう適地というのは、私の奈良県だけを見てもいっぱいあるわけですね。非常に緊急を要するようなところでも、全国に私は二百、三百あると思うのです。そこをきちっと町の再開発というものを人知を集めて官民一体となってやっていけば、それは一つの町の再開発というのは何千億と、あるいは大きなものだと兆円規模になるかもわかりません。持続的に出ていくわけですね。  そこで、実はきのうの本会議で、APECの非公式首脳会談に対する総理の御説明に対して質疑をいたしました中で、バンクーバー・フレームワークというものがAPECで発出された。これは大きな成果として出されているわけですが、その中にきちっとうたっているわけですね、持続可能な都市並びに地方の統合及び多様化を支援するためのインフラストラクチャー整備を促進すると。APECでですよ。そのための大規模なインフラプロジェクトへの民間投資を増進する資産担保証券、要するに町づくりを市場化するということを、こういう流動性の高い国内証券市場の整備を促進するとうたつているわけですね。町づくりを市場化していこうということをAPECで決めているわけです。これはAPEC全体のことを言っているわけじゃなしに、まず日本からやったらどうですかね。私はそれを主張しているのです。  あらゆるものが今証券化される時代で、高齢化社会の町づくりなどというのは、今まだ日本にそんなモデルも出てきていない。縦割りの役所の行政で幾ら町づくりを全国でやっても、そこに本当に多様なニーズにこたえ得るような、そういう知恵を結集した町づくりができるかというと、それは無理です。やはり官がそういう基本的なところを定め、そこに民の知恵をどんどん引っ張り出して、女性の知恵も、若い人の知恵も、あらゆる知恵を引っ張り出して、プランナー、デザイナー、あるいはヘルスケアもあれば、生涯教育もあれば、文化もあれば、そういった知恵を引っ張り出していこうとすると、この証券化手法でやっていく以外私はないと思うのですね。  例としては、REITなどというのがあります。そういう投資信託の対象になるような町づくりの証券化された市場というものは、ビッグバンという面からいっても、非常に緊急に要請される大きな課題でありますから、町づくりにぜひこの手法で取り組んでいただきたいということを大臣にお訴えをいたしまして、最後に御見解をお聞きして、終わります。
  168. 堀内光雄

    堀内国務大臣 大変すばらしい御意見だと思います。  APECの首脳宣言の中におけるインフラ開発のための官民のパートナーシップの深化のための枠組みというのは、これは日本の中のことは全然考えなくてやっているものでございまして、これはASEAN地域の開発、特に今このような経済、通貨不安の状態の中において、金は貸すけれども、貸した金を今度は返すには、経済的なインフラをしっかりしなければだめなんだという声が非常に強く出てまいりまして、それに対する回答として出てきたものでありますが、これを国内に当てはめられた先生の英知は大変驚嘆をいたしております次第でございます。ひとつこれをこういう御意見として承りまして、勉強させていただきたいと思います。
  169. 前田武志

    ○前田(武)委員 終わります。
  170. 斉藤斗志二

    ○斉藤委員長 次に、伊藤達也君。
  171. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 伊藤達也でございます。  午前中から、今直面をしている重要な問題について大変充実した質疑が行われてきたわけでありますが、私が最後の質問者でありますので、どうかよろしくお願い申し上げます。  私からも大臣に直接御質問をしたいのは、貸し渋りの問題であります。この問題については当委員会でも重ねて御質問が出ていたわけでありますが、これは、皆さんと同じように、私も大変危機的な問題意識を持っているわけであります。そういう意味からは、中小企業、特に中小企業に対して強力な金融対策をやっていくのだというお話が繰り返しされておられましたけれども、ぜひそれに向けて御努力を賜りたいというふうに思います。  ただ、私は非常に心配なのは、融資の枠を広げても、あるいは信用の枠を広げても、本当にそれが活用されるのかなと。それを活用していくためには、もっともっと知恵を出していくということも重要なのではないかなというふうに思います。そういう意味では、積極的な貸し出しの姿勢、融資の姿勢というものを打ち出していく。場合によっては、その融資の条件を、一歩二歩踏み込んで緩和をしていくということも考えていく必要があるのではないかというふうに思いますので、この点についても大臣のお考えを承れればなというふうに思います。  それとあわせて、通産省がまとめられた今回の貸し渋りについての調査報告書を見ていますと、大変気になることがあります。これは、中小企業だけではなくて中堅企業に対しても貸し渋りの影響というものが出てきているのだということが、この調査の中でも明らかになっているわけであります。  今までの政府が明らかにしている対策の中では、中堅企業に対してはどういう金融対策があるのだということについて、私は明確な答えはまだ出てないような気がいたすのですが、そういう意味で、中堅企業に対してどのように対策として考えておられるのか、お話をお伺いすることができれば、お願いをしたいと思います。
  172. 堀内光雄

    堀内国務大臣 お答えをいたします。  中小企業に対する今の周知徹底、これがさらなるものがなければ、実際の実効があらわれないのではないかという御指摘でございますが、私も全くそのとおり同感でございまして、そういう意味合いから、今回の各政府系金融機関に対する指示は、手とり足とりをするぐらいに徹底した指導を行っております。  今までのようなただ通達を出すとか、あるいは紙を配るというようなものではなくて、現地のそれぞれの通産局や関係のところから実際に、特に政務次官にもお願いを申し上げて、各地の実際の窓口に行った結果を報告をしてもらう。その結果によってさらに注意を喚起するというような問題も含めてやっておりますし、今度の場合には、もし難しい事態に遭ったときには、窓口でお断りをしてはいけない、必ず支店長が出ていって、その内容をよく御説明を申し上げるようにとかいうような、そういう細かいところまで気を配って、中小企業庁初め、取り組んでおりますから、もしまたそういう時点がございましたらお話をいただきたいと思いますし、万全を期してやっているというふうに私は考えております。  また、中堅企業に及んでいる問題につきましては、今の政府系金融機関といいましても、中小公庫や国民公庫では貸し出しの対象になりませんので、開発銀行を通じて何らかの方法はできないかということで、真剣に今取り組みをいたしておりまして、近々その対策も打ち出せるようになりたいと考えているところでございます。
  173. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 中堅企業が倒れても中小企業に対する影響は絶大でありますから、中小・中堅企業に対する金融対策という観点で、ぜひとも今お話がございました点の取りまとめをお願い申し上げたいというふうに思います。  それと、現在の経済問題の根本的な問題というのは、これは言い過ぎかもしれませんけれども、やはり金融システムにあるのではないかなというふうに私は感じております。したがって、この貸し渋りの問題についても、それについての対策を講じることも非常に重要でありますが、なぜ貸し渋りが起きているのか、その根本的な原因にメスを入れることがなければ、この問題の解決をすることはできないのではないかというふうに思います。そういう意味では、金融システムの安定化を図って、そして企業が安心して資金調達ができるような環境をつくり上げていかなければいけないわけであります。  大臣は、十二月一日の予算委員会の質問の中でも、今の状況を大変厳しくとらえられているなということを感じました。クレジットクランチの問題についてまで大臣は踏み込んで発言をされていますから、この問題を放置をしたら大変なことになる、そういう意識を非常に強く持っておられるなということを感じたわけであります。  しかし、これからは、どうしたらいいのかということの答えを政治が出していかなければいけないわけでありますから、そういう意味では、大臣も大企業経営者として経営に当たり、また、いろいろな方から、今の実態というものをいろいろな形でお感じになられているというふうに思いますので、今、与野党では、この金融システムの安定について、公的資金の導入も含めて、いろいろな議論がされています。しかし、中途半端な政策をやったのでは、これはかえって大変なことになってしまうと思うのですね。  そういう意味では、私は、産業政策を所轄されている通産大臣として、そろそろ明確な、こうやるべきではないかというメッセージを出す時期に差しかかっているのではないかなというふうに思いますので、この点についての具体的な大臣のお考えをお聞かせいただくことができればなというふうに思います。
  174. 堀内光雄

    堀内国務大臣 先生のおっしゃるとおり、金融システムの安定ということが今一番重要なことになっております。企業が円滑な資金調達を行うという意味で、金融システムが不安定になりますと、大変な危機に達することになると思います。特に、北海道の拓殖銀行がああいう形になりまして、北洋銀行に譲渡をした。今までの北拓をメーンにしていた企業というのは、北洋銀行に行ってお願いをする。受け入れてはくれますが、面倒は見てくれない。本当に、それぞれ大変な苦労をされているという話も聞いております。  要するに、そういう意味でまいりますと、これからの金融システムの安定という問題の一つは、預金者保護ということはまず第一、もちろんでございます。預金者保護すると同時に、今度は、借り手の人たちですね、今まで金融機関を通じて借りていた人たち、この人たちをどういう形でもって守っていくかというのが重要になると思うのです。  この借りていた人たちが、銀行が倒産することによって、新しいメーンバンクを探すということはもうほとんど不可能なんです。その人たち経営をしている会社というのは、それこそ資金的に行き詰まる。そうすると、それに関連する中小企業、関連企業取引業者というのが、みんなそこから出ている手形や資金でもって行き詰まって、ショートするということになりますから、やはり金融システムを安定するというものの一つは、預金者を安心をさせるということと同時に、借り手の方の安定ということを図る。  それには、やはり金融機関というものを不安定な状態に置かないということが、これから重要な問題として出てくると私は認識をいたしておりまして、まだそこまでの正式な、政府としての考え方ではございませんので、今、私としての意見を言うようにと言われましたので、私は申し上げておりますが、そこを、両面をしっかりと押さえた金融システムの安定ということを図ってまいりませんと、これから先、非常に厳しい状態になってくるというふうに思います。  特に、例の、この間も申し上げましたように、自己資本比率というもののBIS基準というものが一つ厳然とある以上は、このBIS基準を守るためには、株価がおりたり、あるいは資産が減ったりしてまいりますと、当然貸し出しが渋ってまいります。貸し出しは締めてまいりますということになると、それは必ず影響が、今度は借り手の方の影響が出てまいりますので、それをひとつ——政府系金融機関については、さっき申し上げたように、万全を期して、十二月の末までの間に六兆円余りの資金を用意してどんな態勢が来ても大丈夫なようにしておりますが、大企業もまた大丈夫なのではないかと思いますが、特に中堅企業、この貸し出しについての問題を考えますと、金融機関の安定ということは非常に重要だというふうに認識をいたしております。
  175. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 今お話がございましたように、景気が悪くなって株が下がって金融機関が倒れる、これはもう悪魔のサイクルであります。これを断ち切るためには、今基本的なお考えをお伺いすることはできましたけれども、具体的に何をやるかということが問われているわけでありますから、その具体論を、ぜひ通産大臣のリーダーシップをもって取りまとめをする方向に引っ張っていただきたい、そのことを切にお願いをするわけでございます。  特に、この三洋証券から一連の金融機関破綻をしていく状況、これは不良債権で押しつぶされたということよりも、予算委員会の現場でもお話が出ておりましたけれども、もうコール市場でデフォルトが起きてしまって、そして資金が詰まって、資金繰りに、金繰りに困ってつぶれていく、戦後初めてのケースなんですね。そのことによって三洋がつぶれ、拓銀がつぶれ、山一がつぶれ、また続く。ようやく日銀が市場の流動性を確保するということによって一時的にとめることができましたけれども、これが一般の企業で金繰りに困って、黒字だけれども倒産する、そういう事態を決して起こしてはいけないというふうに思いますので、そういう意味からも、本当に大臣に頑張っていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いをします。  これにて私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  176. 斉藤斗志二

    ○斉藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十一分散会