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1997-10-27 第141回国会 衆議院 財政構造改革の推進等に関する特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十月二十七日(月曜日)     午後一時開議 出席委員   委員長 中川 秀直君    理事 甘利  明君 理事 佐田玄一郎君    理事 白川 勝彦君 理事 中山 成彬君    理事 野田 聖子君 理事 北側 一雄君    理事 中井  洽君 理事 海江田万里君    理事 児玉 健次君       浅野 勝人君    飯島 忠義君       小野 晋也君    大石 秀政君       大野 松茂君    木村 隆秀君       小林 多門君    佐藤  勉君       桜田 義孝君    田中 和徳君       田村 憲久君    竹本 直一君       谷畑  孝君    西川 公也君       能勢 和子君    桧田  仁君       穂積 良行君    松本  純君       目片  信君    持永 和見君       山口 泰明君    渡辺 博道君       渡辺 喜美君    安倍 基雄君       赤松 正雄君    一川 保夫君       漆原 良夫君    太田 昭宏君       岡田 克也君    河上 覃雄君       北脇 保之君    左藤  恵君       坂本 剛二君    城島 正光君       田端 正広君    谷口 隆義君       中野  清君    西川 知雄君       原口 一博君    山本 孝史君       池田 元久君    生方 幸夫君       五島 正規君    葉山  峻君       瀬古由起子君    春名 直章君       矢島 恒夫君    秋葉 忠利君       中川 智子君    粟屋 敏信君       岩國 哲人君  出席国務大臣         外 務 大 臣 小渕 恵三君         大 蔵 大 臣 三塚  博君         文 部 大 臣 町村 信孝君         厚 生 大 臣 小泉純一郎君         農林水産大臣  島村 宜伸君         通商産業大臣  堀内 光雄君         郵 政 大 臣 自見庄三郎君         労 働 大 臣 伊吹 文明君         建 設 大 臣 瓦   力君         自 治 大 臣 上杉 光弘君         国 務 大 臣         (内閣官房長官村岡 兼造君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 小里 貞利君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      尾身 幸次君         国 務 大 臣 大木  浩君  出席政府委員         行政改革会議事         務局次長    八木 俊道君         経済企画庁調査         局長      新保 生二君         環境庁企画調整         局長      田中 健次君         外務省総合外交         政策局国際社会 朝海 和夫君         協力部長         外務省経済協力         局長      大島 賢三君         外務省条約局長 竹内 行夫君         大蔵大臣官房総         務審議官    溝口善兵衛君         大蔵省主計局長 涌井 洋治君         大蔵省主税局長 薄井 信明君         大蔵省国際金融         局長      黒田 東彦君         文部大臣官房長 小野 元之君         文部省初等中等         教育局長    辻村 哲夫君         文部省教育助成         局長      御手洗 康君         文部省体育局長 工藤 智規君         厚生大臣官房総         務審議官    田中 泰弘君         厚生省保険局長 高木 俊明君         農林水産大臣官         房長      堤  英隆君         農林水産省構造         改善局長    山本  徹君         水産庁長官   嶌田 道夫君         通商産業大臣官         房商務流通審議 岩田 満泰君         官         資源エネルギー         庁長官     稲川 泰弘君         運輸省航空局長 楠木 行雄君         郵政大臣官房総         務審議官    濱田 弘二君         郵政省貯金局長 安岡 裕幸君         労働省職業安定         局長      征矢 紀臣君         建設省建設経済         局長      五十嵐健之君         建設省河川局長 尾田 栄章君         自治大臣官房長 谷合 靖夫君         自治省行政局長 松本 英昭君         自治省財政局長 二橋 正弘君         自治省税務局長 湊  和夫委員外出席者        財政構造改革の        推進等に関する        特別委員会調査        室長       大西  勉君     ――――――――――――― 委員の異動 十月二十七日  辞任         補欠選任   大野 松茂君     田村 憲久君   実川 幸夫君     松本  純君   竹本 直一君     能勢 和子君   津島 雄二君     渡辺 博道君   中野 正志君     山口 泰明君   赤松 正雄君     城島 正光君   左藤  恵君     坂本 剛二君   谷口 隆義君     河上 覃雄君   西川 知雄君     北脇 保之君   石毛 鍈子君     葉山  峻君   佐々木憲昭君     春名 直章君   濱田 健一君     中川 智子君   粟屋 敏信君     岩國 哲人君 同日  辞任         補欠選任   田村 憲久君     大野 松茂君   能勢 和子君     桧田  仁君   松本  純君     実川 幸夫君   山口 泰明君     飯島 忠義君   河上 覃雄君     漆原 良夫君   北脇 保之君     西川 知雄君   坂本 剛二君     左藤  恵君   城島 正光君     赤松 正雄君   葉山  峻君     石毛 鍈子君   春名 直章君     瀬古由起子君   中川 智子君     濱田 健一君   岩國 哲人君     粟屋 敏信君 同日  辞任         補欠選任   飯島 忠義君     中野 正志君   桧田  仁君     竹本 直一君   漆原 良夫君     山本 孝史君   瀬古由起子君     佐々木憲昭君 同日  辞任         補欠選任   山本 孝史君     谷口 隆義君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  財政構造改革推進に関する特別措置法案(内  閣提出第一号)  漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整  備計画の一部変更について承認を求めるの件  (内閣提出承認第一号)      ――――◇―――――
  2. 中川秀直

    中川委員長 これより会議を開きます。  内閣提出財政構造改革推進に関する特別措置法案及び漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の一部変更について承認を求めるの件の両案件を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田端正広君。
  3. 田端正広

    田端委員 新進党田端正広でございます。よろしくお願いいたします。  先週一週間、本委員会における議論をお聞きしていまして、これで果たして国民が納得できるような議論になっているのだろうかということを考えていました。そういう中で感じたことは、国民感覚と少しずれてはいないだろうかと。  きのう、おとといと、土日も地元に帰ってみましたが、やはりそういう意味では、景気を何とかしてくれという声が圧倒的に強くて、財政再建の問題も大事だけれども、それよりも今この経済状況をどうしてくれるんだという声が大変強いわけであります。体力が弱っている今、そこに水をかけるのじゃなくて、カンフル剤を打ち込むぐらいのつもりでやってくれ、正直言って地元国民皆さんの声はそういう声ではなかったか、こう思いました。  私は、きょうはそういう意味で、国民皆さん気持ちを代弁するつもりで御質問させていただきたい。生活者といいますか、生活感覚の現場から問題点を提出させていただきたい、こう思います。  特に私、最初に感じることは、財政構造改革会議最終報告を行った六月三日という時点と現在、約半年近く時差があるわけですが、経済状況はもう全くあのときと今では変わっている、その視点が非常に飛んでしまっているのじゃないのか、こういうふうに思います。まあ大蔵大臣、いろいろ御苦労なさっているわけですが、あのころと今とを比べると大変な違いになっている。したがって、あのころのデータなりそういうことをベースにして議論するのではなく、今の状況をもとに議論していかないといけないだろう。  経企庁の判断も、「秋ごろには回復」というふうにあの時点ではおっしゃっていた、しかし、今では「足踏み状態」というところまで認めざるを得なくなっているわけですから、そういう意味では、非常に状況が変わっているということを前提に議論をしていかなきゃならない、こういうふうに思います。そういう意味では、当委員会に対して国民皆さん大変期待もなさっているわけですから、我々としてもしっかりと議論をさせていただきたい、こう思います。  まず、現実的な問題からちょっと御質問させていただきます。  環境庁長官にお尋ねいたしますが、この十二月の地球温暖化防止京都会議は大変大事な会議だ、百数十カ国の方々が日本にお見えになるわけで、大臣議長として采配を振るわれるわけです。この地球未来をかけた会議ですから、どうしても成功させなければならないと私たちも考えております。  それで、一昨年のベルリン・マンデートに基づいて、今回の京都会議でどういう数値目標を出すかということが今問われているわけですが、その準備会議が、現在、ボンにおいてAGBMが行われていますけれども新聞報道等で断片的に見聞きいたしますと、果たしてまとまるのだろうか、こういう感じがいたします。EUが一五%、日本が五%、アメリカがゼロ、こういう削減率の格差があればおのずとこれはなかなか難しい、こう思うわけです。日本の代表の方も大変御苦労なさっているとは思いますけれども、しかし、これは日本議長国でやるわけですから、このAGBMの方で、ここである程度のたたき台ができなければ京都会議失敗に終わるのではないか。京都会議失敗に終わるということは地球未来が大変厳しい、こういうことになります。  そういう意味で、この議定書案がどういうふうな見通しなのか、まず長官のお見通しを、御所見をお願いしたいと思います。
  4. 大木浩

    大木国務大臣 ただいまお話がございましたように、まさしく今、ボン準備会議をやっておるところでございます。これは非公式の準備会議ということでありまして、必ずしも閣僚レベルではございませんけれども、むしろ実質的に非常にその内容をよく知っている専門家が集まりまして、いろいろと議論をしているところでございます。  確かに、今おっしゃいましたように、一応アメリカなりEUなりあるいは日本が出しております今の数量、目標値でございますが、これはなお差異がございます。ただ、日本の案にもいろいろと説明をつけてありますように、これはやはり各国が共同で全世界的にやっていかなきゃいかぬわけでございますけれども、現在置かれているそれぞれの国の状況というのを考えますと、今すぐにこれから五年なり十年なりでどれだけ削減をできるか、その状況というのは国によってかなり違っておるわけでございます。  そういうことで、例えば日本の提案につきましても、差異化というようなことを言っておりますし、それから、これは必ずしも日本ばかりではございませんが、いろいろと状況に応じて取引をする、つまりは、すぐにできないところはよそ様の枠をお借りしてやるとか、そういうことも含めて今議論をしているところでございます。一見、非常に違った数字が出てなかなかまとまらないというような感じを与えておりますけれども、鋭意それを集中的に、各国立場が収れんするように、あるいはその収れんしない部分については、今申し上げましたようないろいろな仕組みを考えまして努力をしておりますので、私どもとしては、やはりできるだけたくさんの国が参加できるようなものをつくり上げたいということで鋭意努力をしているところでございます。  三十日まで一応ボン会議をやります。それから、もしもというか、私どもとしては、当然一遍にやりたいと思っているのですけれども閣僚レベル会議も十一月ごろにできれば東京でやりたいということで、ボンで積み残した問題はさらに十一月にやりたいというふうに思っております。  こういうプロセスを経まして、ひとつ京都会議への成功をしっかりと準備したいというふうに考えております。
  5. 田端正広

    田端委員 非常に悲観的なことになりますが、万一この議定書案の作成がまとまらなかった場合、その場合はどうなりますか。
  6. 大木浩

    大木国務大臣 まとまらないときはということではなくて、まとめるように今努力をしておるわけでございますが、ただ、それだけではお答えになりませんのであえて申し上げますと、先ほど申し上げましたように、今それぞれの目標値各国が持ち寄っておる、ただしその置かれた状況が国によって違いますから、これを差異化というようなことで、できるだけそれぞれが、相当努力はしなければいけないけれども、決してできない数値ではないというようなものをひとつ何らかの形で合意して、それに向かって合意をするということで考えたいと思っております。  まさしく法的な拘束力のあるものをつくるというのが今回の会議の一番大きな眼目でございまして、ベルリン・マンデートでもそのことをはっきりうたっておるわけでございまして、その点については各国とも理解があると思っておりますので、今、そういう方向に向かって努力をしているというところでございます。
  7. 田端正広

    田端委員 ぜひ、議長となられる大木長官の御健闘をお願いしたい、我々も後押ししたい、こう思います。私も環境委員会のメンバーでございますので、大変この問題については関心も持ち、また何としても成功させなきゃならないという気持ちでは変わらないものを感じております。  それで、先日も、新進党それから民主党、太陽党の野党三党で「COP3を成功させる議員の会」という集まりをいたしました。約八十人ほど御出席いただきました。そして我々としても、例えば国会決議のようなものをして、そして京都会議が成功するように我々も後押ししょうじゃないか、こういう話し合いもしたわけでありますけれども、できたらそういう方向へ行けば非常にいいなとは思いますが、そういったこともあわせて我々も頑張っていきたい、こう思います。  ところで、実際問題、このCO2の削減計画に基づいてこれからやろうとすれば、いろんな法的な整備というものが必要になろうかと思いますが、環境庁としてはどういうことをお考えになっているのか。あるいは、温暖化防止基本法のようなものをつくるとか、こういうこともちらほら聞いておりますけれども、どういうお考えなのか。その辺のところをよろしくお願いしたいと思います。
  8. 大木浩

    大木国務大臣 この温暖化に関係のございます現行法もある程度あるわけでございますけれども、極めて、何と申しますか、単発的なものがあるだけで、これから恐らくその京都会議で相当、結果によりましてはしっかりした国内法整備しなきゃいけないというふうに思っております。  もちろん、これは現行法におきましてもいろいろな省庁が関係しておりますし、それから、これから非常に、本当に強力かつ効果的なものをつくるためには、環境庁だけではなかなかできませんけれども、しかし、まずは環境行政立場からどういうものをつくったらいいかということを目下勉強中でございますので、最終的には京都会議の結果も見て、ひとつ何とか新しい法律を、総合的、包括的なものをつくりたいというふうに考えております。
  9. 田端正広

    田端委員 ちょっと話題を変えてみますが、官房長官三塚大蔵大臣、御所見をお伺いしたいと思いますが、第一勧業銀行に始まった、野村証券事件に始まった総会屋の不祥事、商法違反事件というのが今大変ほかの業界にも波及して、大きな社会的事件となっています。国民の側からすれば、大きいところは勝手なことをやっているんだな、いいかげんなことをやっているんだなという意味では、もうあきれ返って本当にどうなっているんだ、こういう思いでいるわけであります。  先週も、デパートの松坂屋、あるいは三菱自動車工業及びその三菱関連企業、あるいは日立製作所並びに日立の関連企業等にまで及んで、海の家を借りたお金として多大な金額を総会屋に払っていたということが大きなニュースになっているわけでありますが、こういう企業モラルといいますか、こういうことについて、黙ってほっておくわけにはいかないだろう、政府としてどういうふうにこれから指導していくのか。これは非常に大きな社会的な問題だと思いますので、御所見を伺っておきたい、こう思います。
  10. 村岡兼造

    村岡国務大臣 今、田端先生の言いました第一勧銀から始まって数々の報道でございます。昔は、経済一流、政治は五流なんて言われておりましたが、もう軒並み一流企業がああいうような状況、言語道断、本当にあきれ返って物も言えないというような状況でございます。  しかし、総会屋対策ですね、暴力団対策、今までもやってまいりましたが、そこにこれからもう一つメスを入れまして、こういうことが起きないように、もちろんもう一流企業経営者そのものモラルというか心構え、直していただかなきゃいけませんけれども、近く政府として、総会屋対策あるいは暴力団が絡んだ、暴力団対策会議を開いて、今までも開いておりますが、近く私のもとで開きまして、この対策に、根絶するように頑張っていきたい、こう思っております。  大変な状況で、これらが今の株価影響、あるいは個人投資家に相当影響しているんじゃないか、私はこういうふうに思っております。  以上でございます。
  11. 三塚博

    三塚国務大臣 本件につきましては、極めて残念至極、言う言葉がないといつもコメントを申し上げさせていただいております。  言われましたとおり、企業モラルの確立、これは人間社会の原点であります。特に一流企業はそれだけ責任が強まるわけでありまして、株主に対する責任、同時に、信頼を受けていただいております国民各位に対する責任というものが並立してあるわけでございますから、これに対する企業モラルをそれぞれの会社経営者を中心に社員一体となって取り進めていただきますように指導いたしております。特に金融機関は所管でありますから、その基本を踏まえて、既に早期是正措置内部監査外部監査を加えて情報公開をして信認を問うという改革を取り進めておるところでございます。  以上のような状況の中で、再び起きませんようにしてまいりますならば効果が出る、全体の効果企業者倫理観でございますから、両々相あわせて、今後起き得ませんように、世界の経済界という評価をいただいておるわけでございますから、この評価にこたえるように努力をいただいておるところであります。
  12. 田端正広

    田端委員 今の両大臣お話、それはもっともなんですが、もう少し具体的な方向が出てこないと、そういう精神訓的なことだけではこれは再び、防ぐということは無理じゃないかという気もいたします。特に金融証券が根っこになっているわけですから、大蔵大臣の方でもう少ししっかりと知恵を絞っていただきたい、こういう思いもします。  例えば、日本企業といいますか、会社の実態のあり方として、いい会社に入って、そしてサラリーマンとして出発して、その末が役員になることだ、重役になることだ、そういう一つ社会の流れがあります。そういう意味で、役員重役、そういう立場になっても、経営者という気持ちよりもサラリーマンの一番の出世コースの結果としてこうなったんだと、こういうものがあるために、前任者がやっていたから、だからまあしょうがない、自分の任期の期間中だけ頑張ろう、そういうことでおつき合いをする、こういうことが繰り返されているんではないのか。  そういう意味では、欧米のように、経営者というものとサラリーマンというもの、この違いをもっと明確にすべきじゃないか。経営者が、その期間において起こった事件に対しては、これはしっかりと責任をとっていただく、こういうふうな社会のシステムといいますか、制度になっていかない限り、前の部長がやっていたから、引き継ぎ事項であったから、こんなことではこの事件はなかなか一掃できないのじゃないか、こういうように思うわけですが、大臣いかがでしょう。
  13. 三塚博

    三塚国務大臣 御説のとおりであります。よって、金融証券会社事件を起こしましたそのとき、責任者全員退任をして新経営陣に切りかわり、心機一転をして預貯金者預託者信頼にこたえる、こういう態勢をとっております。起きたたびにやるということではなく、これを機に、企業体質を、本来の株主に対する責任社会に対する責任というものを重点に置きながら取り進めていくということでなければなりません。  そういう点で、今後とも、不正があれば厳正に対処、そして不法があれば処罰をされるということで、法の改正も行っておるところでございますが、基本的には、一人一人の企業倫理というのが大変大事なことであり、各社そのことについて全力を尽くすようにということで指導いたしております。
  14. 村岡兼造

    村岡国務大臣 大蔵大臣の答弁に尽きるわけでございますけれども、御承知のとおり、今までは、お金をいただいたことがわかれば捕まえる、こういうことですが、今度は、もらわなくてもおどかしのことをやったら処罰する、それから、今までの収容期間とか罰金も相当大幅に直す。これは私、担当でございませんので、法務大臣でもいればいいわけでございますが、そういう改正も今お願いして、さらに皆さんからいい方法、知恵を出されれば、それもつけ加えて、これを根絶するように頑張っていきたい、こう思っております。  以上でございます。
  15. 田端正広

    田端委員 とにかく、国民気持ちよく株が買えるように、気持ちよく自分の持っているお金が銀行に預けられるように、そういうふうな社会にしなければ、景気が悪いといって余計悪くなる、そういうふうに思いますから、ぜひ頑張っていただきたい、こう思います。  それから、先週香港の株価が急落しました。そして、それが日本それからニューヨーク等にも波及して、証券市場に国際的な大きな、パニックとは言いませんが、ちょっとした大きな騒動になったわけでありますが、日本もあのときに、瞬間的には一万七千円台を割りました。  そういう意味では、景気の問題もさることながら、国際証券市場、こういったものが大変大きな影響日本にも及ぼしてくるわけですから、そういう意味で、今後のアジア動向、あるいはまたアメリカニューヨーク市場動向、そういったことを踏まえて、大蔵大臣、どういうふうに御判断なさっているか、お聞かせ願いたいと思います。
  16. 三塚博

    三塚国務大臣 アジア通貨の動きにつきましては、まずタイが、バーツの暴落がございました。本件については、タイ政府が、IMFそして東京会議において、日本国がスポンサーになりアジアの連帯の中でこの危機を救おうでないかという声を受けて、東京会議を開催をさせていただいたところでございましたが、IMFと合意いたしましたタイの経済調整プログラムが着実にただいま進んでおりますので、中長期的な見方からいたしますと、金融市場は安定をしていくだろう。当面、このプログラムを基本にいたしまして援助措置をいたしたということで、落ちついておると思います。  インドネシアにつきましてでありますが、支援パッケージ、現在、IMF、世銀及びアジア銀行、ADBと言っておりますが、検討が進められております。我が国としましても、インドネシア政府がこれら国際機関の支援のもとで準備しておるプログラムを精力的に実施をしていることを支持いたしております。  インドネシア経済は、御案内のことかと思いますが、ファンダメンタルズが基本的に良好であると考えております。インドネシア・ルピアの最近の不安定性については、ルピアはその調整をほぼ終えまして、安定に向かうものと考えております。
  17. 田端正広

    田端委員 それでは、外務大臣にお伺いいたしますが、きのう、一昨日と就任後沖縄に初めて行かれたようでございますけれども、沖縄のこれからの問題というのは大変大事な問題だと思いますし、特に代替ヘリポートの問題は非常に難しい状況にある、こういうように思います。名護市の方が何か住民投票をやるようなお話も聞いておりますけれども、そういう意味では非常に厳しい、赤信号の状況かな、こういう思いもいたしておりますけれども、現地に行ってそういうお話し合いをされて、大臣はどういうふうにお考えになったか、その辺のところ、また今後の見通しをお聞かせ願いたいと思います。
  18. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 沖縄の基地の整理、統合、縮小というのは、沖縄県民にとりましてのみならず、大変悲願でございまして、その達成のために努力を傾注してきたわけでございますが、特に昨年の四月の日米首脳会談におきまして、象徴的な普天間基地の移転ということについて両国が決定をいたしました。そのために、これを実現する手法としていろいろ検討をいたしてきたわけですが、政府としては、県内に移設の地を見出して、これを建設することによりましてこの目的を達成しようということで、今努力をいたしておるところでございます。  この計画案につきましては、現下、政府の部内で検討中でございまして、できる限り早い機会にこのことを県の方にお示しをし、ヘリポートの建設ということになりますれば、その候補地として、いろいろ挙げられておりますけれども、その地域として名護というような問題も出てきておりますので、今後、これを県にお示しした上で、その努力をお願いしなきゃならぬということでございます。  土曜日に参りましたのは、現在の時点では、やはり大田知事に政府考え方も一応お示しをして御理解と御協力を得たい、こういう目的で参りましたが、直接的な御返事はいただいておりません。いずれ具体的な案をお示しする段階におきましては、今後、ぜひこの移設において普天間問題が解決できるように、最善の努力をしていきたいと思っております。
  19. 田端正広

    田端委員 それでは次に、既に本委員会でも議論になっていますが、ODAの問題についてお伺いしたいと思います。  この法案の二十二条の第一項で、ODA予算に対しては一〇%カットということがうたわれているわけでありますけれども、先日、同僚の岡田議員からの指摘もあったとおり、これは非常に大事な問題であり、またODAそのものが日本の国益にもかかわることでありますから、もう少しそこのところの考え方をしっかりと議論させていただきたい、こう思います。  先日の議論で、総理が、ODA、これが我が国の国益の維持増進あるいは安全保障の観点から重要な施策である、こうおっしゃっていますし、また、我が国が平和国家として国際社会で積極的に活動してまいります上でも非常に大事な国際貢献の柱の一つである、こうも述べておられます。また、小渕外務大臣は、一言で言えば、世界の平和と安定に寄与するために支出するものであろう、こうおっしゃっております。まさに私もそのとおりだと思いますし、日本が資源のない国としてこれから国際社会の中で平和的な国際貢献をしていく上で、このODAというものは大変大事な使命を果たすものであろう、こういうふうに役割を感じるわけであります。  ところが、財政が厳しいからカットします、こういうことが国際的に通るのだろうか。そういう意味では、理念といいますか、ポリシーといいますか、口ではそういうふうに言いながら、しかし財政事情のためにこれはカットします、こういうことをやっていけば、国際社会の中では信用というものをなくしていくのではないかということを非常に心配するわけであります。端的に言えば、日本という国は非常に勝手な国だな、こういうイメージを与えはしないかと危惧しております。  ところで、今までのODAの中でも、果たしてそのお金が効率的に使われたのかどうか、こういう確認というのが外国ですから非常に難しいわけでありますが、一九九五年の会計検査院の決算報告の中にもこの問題が出ておりますが、援助効果が十分に上がっていない例として六件提示されています。  例えば、タイの北部かんがい農業開発事業、円借款、百四十三億円ですが、相手国が自己負担する末端水路をつくらなかった、そのためにこのお金が十分に生きていない、こういう指摘であります。それから、チリの漁業調査船の建造ですが、無償援助として五億円、これも天候の急変と船員の判断ミスによってその船が沈没してしまった、こういうことでありまして、せっかくの無償援助が生きなかった。  こういう指摘を初め、六件そういうことが提起されておりますが、こういうむだをなくすということも大変大事なことでありまして、事前の調査、そして事後の調査、どういうふうになっているのかということも、国民の側からするとこの一兆何がしのODAの中身の報告というものがほとんどわかっていないわけでありますので、こういうこともこれからきちっとやっていくことも大切だろう、こう思います。  会計検査院のこの指摘について、きょうは会計検査院の方はお見えいただいていますでしょうか。――いませんか。それじゃ結構でございますが、外務省の方で状況をつかまれていると思いますが、私が今申し上げたことで間違いないでしょうか。
  20. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 御指摘のように、国民の貴重な資金を提供するわけですから、十分な調査とそのフォローアップということは大変大切なことだと思っております。  大方は、大変各国とも待望されておりますし、喜ばれておるわけでございますが、その中で、今御指摘のように会計検査院から指摘を受けた点もあったことも事実でありまして、大変残念に思っております。  今後、こうしたことを十分外務省といたしましても調査いたしまして、そうしたことの再び起こることのないようにということで努力をいたしたいと思いますが、詳細につきましては、経協局長から御報告させたいと思います。
  21. 大島賢三

    ○大島(賢)政府委員 お答え申し上げます。  平成七年度の会計検査報告で、ただいま委員から御指摘いただきましたように、八十二の案件につきまして、大部分は順調に推移していると認められましたけれども、六つの案件につきましては援助の効果が十分発現をしていないという指摘を受けました。  タイのかんがい事業につきましては、タイ側が負担をする部分でございました末端かんがい水路の設備の着工がちょっとおくれましたために、我々の援助で実施した部分との進みぐあいにちょっとちぐはぐが生じまして、少し問題が生じました。しかし、その後タイ側負担部分の建設が始まっておりまして、現在その状況の改善が見られつつあります。  それから、チリの件についても御指摘をいただきましたが、これは不注意、チリの、我が方が提供いたしました漁業調査船のハッチをあけたままにして、暴風雨がやってきた、しかもこれに対する保険のカバーが十分でなかったというような不運なことが重なりまして、漁業船がむだになった、こういうことでございました。  こういうことで、非常に私どもとしても残念に思っておりまして、こういう指摘を受けることがないように、常日ごろから調査を十分にする、フォローもしっかりする、それから必要があれば追加の対応も考えまして、改善措置を講ずるように努めてまいりたいと思います。
  22. 田端正広

    田端委員 このODA予算の削減の中で、一〇%のしわ寄せの中でどこにしわ寄せが来ているかといいますと、国際機関のところにしわ寄せが来ているわけであります。  例えば国際機関に対しての、今まで七百二十八億円あったのが五百六十六億円、マイナス百六十二億円であり、マイナス二二・三%である。これだけ平均、国際機関を減らせるわけですから、でこぼこもあると思いますが、その中で見ていきますと、大きいところは、一番大きいのが国連環境基金、これがマイナス四五%です。それから世界食糧計画、これもマイナス四五%。あるいは国連児童基金、ユニセフというものですが、これがマイナス四一%。国連難民高等弁務官計画、マイナス三九%等々、四〇%前後の削減である、これは非常に大変な問題かと思います。  そのほか、例えば技術協力でJICAの予算も大変減っておりますが、中でも、今まで海外から大変に期待も大きく評判のよかった青年海外協力隊、これが千三百五十人であったのが千五十人と、三百人も減らすということになっております。  こういう中身を見ていきますと、これはもう大変なことだなと思います。  総理は、六月の国連環境開発特別総会の演説で、二十一世紀に向けた環境開発支援構想、ISDを打ち出しているわけであります。つまり、人類の安全保障を理念として、大気汚染とか水質汚濁とか地球温暖化とか、そういった行動計画を実施するということを世界に宣言したわけですね。  そして、ODAも量から質、こうおっしゃっていますが、その質というのは環境ODAに振って、そして世界に貢献していこう、こういう趣旨の演説をされています。「我が国は、厳しい財政事情にありますが、その中で環境ODAにはできる限り配慮します。第二のイニシアティブとして、途上国のために、「二十一世紀に向けた環境開発支援構想」を推進することを宣言します。」こういう国連演説をなさっている。しかし、言っておきながら、こういうふうに三〇%、四〇%というカットをしていく。これでは、国際的に言っていることとやっていることはもう全然ちぐはぐじゃないか、こういうことになると思います。  私、先日、大阪で街頭演説をやりました。その街頭演説を私がやっているところへ、ユニセフの人たちが、同じ黄色いTシャツのようなそろいの服を着た方が、二、三グループ、二、三十人いましたが、グループになって共同募金を呼びかけるわけです。そして通行人の方に、ユニセフヘの共同募金をお願いするということを、カンパを呼びかけているわけです。  私も思わず、自分の街頭演説をやりながら、しかし、御通行中の皆さん、今そこにいるユニセフの人たちは大変です、来年度予算がユニセフ四〇%カットされるのです。それでこの人たちはこういう街頭に出て、皆さんに少しでも真心のカンパをお願いしたいということで行動を起こしているのです。だから私も、国会議員の一人としてこの問題には正面から取り組んでいきますけれども、府民の皆さんにも御協力くださいということを私も言わざるを得ない思いに駆られて、演説の中でそんな話もしました。  そういう意味で、三〇%、四〇%のこういうカットの中には、ユニセフというのは、児童の健康とか教育とか、そういうことに一番力を注いでいる団体であり、黒柳徹子さんという方はユニセフ大使として世界を駆けめぐって、またユニセフカードなんかつくって、ワンセット千九百何ぼで国民皆さんに買っていただいて、その中から義援金を捻出してユニセフに送っていられる。大変功績のある方だと思いますし、国連難民高等弁務官の方も、ここも三九%カットしていますけれども、これは日本の緒方貞子さんが代表で頑張っているところじゃないですか。そこを三九%カットするというのはどういうことなんだろう。   日本人が世界の先端に行って闘っている。頑張っている人に後方支援で援助するのじゃなくて、後ろから鉄砲で撃つような感じのことをしむけているのじゃないかな、こんな、極端な言い方かもわかりませんが、しかし実際そういう思いがいたします。  外務大臣のところに、そういった意味で、各機関からあるいは国連の方からいろいろな請願、陳情が来ていると思いますが、どんなものでしょう。
  23. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 来年度予算に関係いたしまして、一〇%のカットの話が知れ渡りまして大変危惧しておることにつきましては、先般私も国連総会に参りましたとき、アナン事務総長からじきじきに御要請をいただきました。今御指摘のUNHCRの緒方さん初め関係の皆さんからも、総理、外務大臣等にお手紙等もちょうだいいたしておりまして、大変危惧されておることはよく承知をいたしております。  お話しのように、大変な時期を迎えざるを得なかった。何といってもこの一〇%のカット、それから義務的経費の増大、円安、こういういわば三重苦にたまたま遭遇をしておるということだろうと思います。そういった意味で、来年度予算の概算要求時点におきましては、それぞれ国際機関に対する削減も御指摘のように三五%から四五%ほどの切り込みになっておりますので、大変心配いたしておることは事実でございます。  ただ、これから十二月の予算編成に当たりましては、このODAの予算につきましては、総理から、この概算要求を決定する閣議におきまして、重点的、効率的な予算配分を行うようにという指示もなされた上でございますので、いま一度こうした数字につきましても十分検討して、財政当局の御理解も得ながら、国際的な信頼を失わないように最善の努力を傾注していかなければならないと思っております。  いずれにいたしましても、ここ近年、ODA予算につきましては大変御理解ある形で日本の予算を伸長してまいりまして、ここに来てがたんと数字が落ち込むということにつきましては、国際機関も我が国に対する大変な期待感、信頼感というのがあるわけでございますので、そういった点で、これを失うことのないような数字は那辺にあるかということでありまして、最善の努力を傾注していきたいと思っております。
  24. 田端正広

    田端委員 私の手元にも、外務省からいただいた、各機関からの要請といいますか、訴えの中身のペーパーをいただいておりますが、今もお話あったように、アナン事務総長じきじきに外務大臣にもお願いしているようであります。「日本の貢献の大幅減は大きな打撃である。」こういうふうにおっしゃっています。それから、いろんな声がある中で非常に胸を痛めたのは、世界食糧計画のパーティーニ事務局長が我が国の削減に対して、「これは二百万人分の食糧に影響が出る。」こうおっしゃっています。これは大変なことだろう、こう感じます。  そういう意味で、このODAの予算については、むだがあってもいけないし、うやむやであってもいけないと思いますが、こういう意味で世界の信用を落とすようなことになってもまたいけない。非常に難しいことだと思いますが、ODA予算というのはそれほど大事なんだということを改めてまた我々も認識したいし、もう少しまた国民にそういう情報を流していただきたい、そんな思いもいたします。  ところで、今回このODAのことでいろいろ私も勉強していて、一つの大きな壁にぶつかりました。それは、ベトナムに対してのODAのあり方であります。  ちょっと恐縮でございますがパネルで、一九九〇年、九一年ぐらいから九三、四年に対しての……(「見えない」と呼ぶ者あり)では、委員長、これをペーパーにしたのを持っています。これを配ってよろしゅうございますか。
  25. 中川秀直

    中川委員長 どうぞ。許します。
  26. 田端正広

    田端委員 それでは、委員長のお許しをいただきましたので配らせていただきますが、日本とべトナム二国間のODAのあり方がこれでいいんだろうかということを感じたわけであります。  それは、ベトナムと日本との間では、ベトナムが一九七八年にカンボジア侵攻を行ったことからODAが停止になっていました。そして、一九九一年十月にパリ和平協定でベトナム、カンボジア間が和平になるわけでありますが、それによって日本のODAが再開されます。一九九一年にパリ和平協定があったのが、再開された途端に、一九九二年に、一気にここで四百五十五億円という円借款になるわけです。一九九一年はわずか一億五千万円です。それが三百倍です。四百五十五億円のODAが一九九二年十一月六日に閣議で決定された、こういうふうに報道されています。  この間に、非常に不思議なことでありますが、いろいろ言われているベトナム石油の問題があります。渡辺美智雄元副総理あるいは山崎拓自民党政調会長等々、こういった方々が、三菱石油の山田社長、そういった方々と接触したり、あるいはこれらの政治家が再三ベトナムに行ったり、そういったことが行われています。(発言する者あり)黙って聞いてください。ここは委員会ですから、聞いてください。(発言する者あり)これはODAの問題ですよ。  それで、私は非常に不思議に思うのは、一九九二年の十月に、三菱石油とベトナム石油会社が事業提携をして、現地法人「日本ベトナム石油」が設立されるわけです。そうすると、十一月に閣議決定して、ODAが、円借款四百五十五億円という多大な金額がそこで提供されている、これが非常に不思議だと思うのです。  しかも、この年の初め、当時の渡辺副総理兼外務大臣ですが、一月に、ベトナムとのODA再開、円借款をやろうということを表明されています。そして、それぞれの経済協力調査団がベトナムに派遣されたり、外務省あるいはJICAのベトナム調査団が派遣されたり、あるいは通産省、そして当時の山崎建設大臣も訪問されています。そして、外務省、大蔵省、通産省、経企庁、これはOECFの国際協力基金を出す場合はこの四省庁が事前に調べて協議して出すと聞いておりますが、そういう調査をした上で、そしてまたこの八月に再び調査団を出して十一月の円借款、こういう方向にいっているわけであります。  これは、正直言って、だれが見ても、私、推理小説が大変好きでありますけれども、これはどう見ても、どう考えても、どういうふうに推理しても、非常に不可解。これは何といっても、日本ベトナム石油と、そして日本のベトナムへのODAとが見事に絡んでいる、こうとしか見えないわけでありますが……(発言する者あり)では、外務大臣、どうでしょう、御所見をお願いします。
  27. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 ベトナムが、アメリカとああいった交戦状態が終了いたしまして、その復興に努力をされておるということでございまして、その過程で、我が日本としても適切な協力を行わなければならぬということで、調査団を派遣して、その結果、今お示しのような数字になったのだろうというふうに思っております。
  28. 田端正広

    田端委員 通り一遍の答えで何の答えにもなっていないと思いますが……(発言する者あり)  では、言いましょう。ベトナムとカンボジアが戦争をしていたんです。そして、これが和平協定でおさまった。そして、ベトナムに四百五十五億円という援助をしている。では、カンボジアはどのぐらいだったかといいますと、九二年は六十一億円です。六十一億円。九三年でも八十四億円です。これはおかしいじゃないですか、そういう意味では。(発言する者あり)だからおかしいんですよ。だからおかしいんですよ、これは。四百五十五億円というこの円借款がどのぐらい大きいお金かといいますと、環境庁長官長官、おわかりでしょうかね、この年、九二年ごろ、環境庁予算はどのぐらいだと思いますか。環境庁の予算。
  29. 田中健次

    田中(健)政府委員 突然のお尋ねで今数字は持ち合わせておりませんが、ただいまの予算が八百億弱でございますので、多分六百億前後じゃないかと思います。
  30. 田端正広

    田端委員 そのとおりでありまして、九二年は五百八十億です。八八年で四百六十八億です。だから環境庁の八八年の予算がほとんどそのままベトナムに九二年に援助されていた。こういう日本の一省庁の予算に当たるもののお金が、一気に、一億五千万から四百五十五億と、三百倍もふやしてやっている。これは……(発言する者あり)何が当たり前ですか。おかしいから聞いているんですよ。だから、外務大臣、外務大臣、この変化は、三百倍の変化は何で起こったのでしょうか。
  31. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたように、ベトナムが、いろいろ不幸な戦争を経過いたしまして、その後国際社会の中に入ってくるということについて、我が国としても適切な協力をしなければならないということで、歴史的な過程で、他のASEANの諸国に比べまして、米国との戦いというような経過を経ておりますので、日本はそういったことも勘案して、それまでは極めてベトナムとの関係はわずかであったわけでございますけれども、この際、外交戦略としてぜひこの国を大切なものとして考えて、調査の結果示したのがこの数字だ、こう考えております。
  32. 中川秀直

    中川委員長 静粛に願います。質疑者は、不規則発言を一々気にせずに御質疑、ださい。
  33. 田端正広

    田端委員 今の外務大臣の答弁はちょっとおかしいと思うのです。それは、ベトナムで戦争があったから、だから援助の額をふやしたのだ、こういう答弁。だから僕は言っているでしょう。では、カンボジアも戦争をやったのですから、カンボジアとベトナムとの差が大き過ぎるじゃないですか、これは偏っていませんかということを言っているわけです。だから、ベトナムのカンボジア侵攻があって、そういう意味では、カンボジアに対しての援助とそれじゃ差をつけているのですか、こういうことを言っているわけです。どうでしょう。
  34. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 それぞれ我が国との関係も異なっておりますし、また国の事情も異なっております。  ベトナムにつきましては、ただいま申し上げましたのを誤解いただいては困りますが、インドシナ半島の中でも、今まで、大変戦後難しい、独立運動から始まりまして、フランス、アメリカとの戦いもあって、その過程で我が国との関係は極めて希薄であったことは事実であります。  そういった点で、将来、あの地区のこれからの発展のためにも、我が国としてできる限りのお手伝いをしなければならない、おくれを取り戻そうということでもありませんけれども、そういった趣旨でこのベトナム借款、援助について取り組んできた、こういうことでございまして、カンボジアはカンボジアの事情の中で我が国としては対処しておる、こう考えております。
  35. 田端正広

    田端委員 正直言って、これは大臣、もう少し詳しい報告をちょっと当委員会に出していただけませんか。そういう口頭で言われても、例えば、その閣議決定をしたのです。閣議決定をしたときのそのときの議論、中身、その辺のところをもう少し詳しく報告していただきたい。つまり、閣議で決めたわけでしょう。だから、それを報告していただきたい。  委員長、どうでしょう。この委員会に報告していただきたい、こう思います。
  36. 中川秀直

    中川委員長 資料請求なのか、政府側の答弁を求めておられるのか。報告という意味がどういう意味でしょうか。
  37. 田端正広

    田端委員 資料請求。
  38. 中川秀直

    中川委員長 何の資料請求ですか。もう一回おっしゃってください。
  39. 田端正広

    田端委員 だから、十一月の六日に閣議決定をして四百五十五億円の商品借款を行ったその経緯、それまでの経緯を、ベトナムのODAに関しての経緯をこの委員会に報告していただきたい。特に、この閣議でどういう議論があったのかは知りませんが、そのときのことをもう少し詳しく御報告願えればありがたい、こう思います。どうでしょう。
  40. 中川秀直

    中川委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  41. 中川秀直

    中川委員長 速記を起こして。  田端君。
  42. 田端正広

    田端委員 今私のお願いした件はだめだということですか。――一九九二年にベトナムヘのODAを再開するという方針が決まって、そして実際問題、円借款四百五十五億円が決まった。これは実績額ですから、実績としてこれだけの金額が供与された。なぜ四百五十五億という突出した金額になったのかというその説明をこの委員会に出していただきたい。
  43. 中川秀直

    中川委員長 それは資料という要求にはならぬと思いますので、外務省、どうぞ御答弁ください。
  44. 大島賢三

    ○大島(賢)政府委員 四百五十五億円の商品借款を一九九二年の十一月に供与することを決定いたしたわけですが、この四百五十五億円という供与額を決定するに当たりましては、ベトナム側から、それまで残っておりました延滞債務、これが解決することが前提になっておったわけですけれども、この延滞債務の返済が決まった、そういう事実を踏まえまして、ベトナムの経済状況、特に当時、まあ今日も依然そうでございますけれども、経済の開放を進めるということで大変に需要が強いという状況等、それから、日本とベトナムの当時及びこれから将来の関係、こういったことを総合的に勘案をして決定されたもの、こういうことでございます。
  45. 田端正広

    田端委員 委員長、済みません。答弁になっていないのですよ。答弁になっていないのです。何とかを勘案してなんて、そんなことは答弁じゃないのです。  今の答弁はわかりますよ、私。わかります。要するに……(発言する者あり)自民党の皆さん、聞いてください。四百五十五億円を決めたのです。決めたうち、このうちに延滞債務が二百三十五億円あるのです。そうでしょう。要するに、つまりベトナムと日本との間は、カンボジア侵攻があったために、日本はベトナムに対して報復措置をとっていた。その意味の債務は積み重なって二百三十五億あった。それを日本に返してくれないことにはODAを再開しません、こういうことでしょう。  だから、その二百三十五億円が回収金として日本にはあったはずなんですが、それを含めて四百五十五億、つまり正味は二百二十しかないのです。そういう意味で、二百二十しかないことを四百五十五億にして、二百三十五億の回収金に当たる分をこれが問題なんですよ。これがどこか、何か東京銀行とか六銀行につなぎ融資として、そこから回して日本に一たん返した。そして、返ってきたから、だからODAを再開するのだと。こういう手の込んだことをやったのじゃないですか、外務省。どうですか。とんでもないことですよ、これは。
  46. 大島賢三

    ○大島(賢)政府委員 四百五十五億円の商品借款を供与したわけでございますが、商品借款というのは、御案内のとおり、輸入商品の購入代金に充てられることになっております。御指摘のような借入金の返済に充当することを目的とするものではございません。  ただ、商品借款は借入国が必要としております商品の輸入のための外貨を提供するものでありますのでこの商品借款が供与されますと、受取国の外貨準備等の資金繰りが緩和されるという効果は持ち得ます。その結果、邦銀への返済も容易になる、こういうことになるということはあり得たことかもしれません。  以上でございます。
  47. 田端正広

    田端委員 だから、あり得たことかもわからぬというのは、半分認めているわけです。  そして、今おっしゃったのは、大事な点がもう一つあるのです。相手国の、どういう気持ちであったのかわかりませんが、商品借款というのはよっぽどのときでなければしていないんです。普通は円借款ですよ。商品借款というのは、これはもうまことに、どういうふうに使うか勝手ですから、わからないわけです。そういう意味では、この商品借款というのは、よほどの緊急措置のときしか日本だってやっていないはずなのに、それに当てはめている。そういう意味では、これは二重に不透明なところがあるわけです。  二百三十五億の債務を回収するために充てたということと、そしてその正味の、差し引き二百二十億が商品借款であったということ、これが国民にとったら非常にわかりづらい、全く我々には理解できない。  だから、委員長にお願いしているのは、そこのところを明確にこの委員会において御報告願えるように、資料を提出していただきたい、こういうふうに思います。
  48. 中川秀直

    中川委員長 資料の提出については、それぞれの各党の理事を通じて。資料の請求は、どういう資料が欲しいか、具体的なことを特定をして。今のお話では、余りに抽象的過ぎて私自身も判断がつきかねます。それぞれの党の理事を通じて、理事会で御要求をいただいたものを協議いたします。
  49. 田端正広

    田端委員 抽象的過ぎてって何ですか、委員長。そういう言い方はないでしょう、これだけ具体的に申し上げているんだもの。
  50. 中川秀直

    中川委員長 どういう資料が欲しいのか……
  51. 田端正広

    田端委員 いやいや、だから、その四百五十五億の円借款と言われる中身を決めたいきさつと、そして決めた中身がどうなったのかということをきちっと御報告願いたい、こういうことですよ。これができなきゃここから先議論できませんよ、このことは。
  52. 中川秀直

    中川委員長 理事会で、ただいまのお話は協議をいたします。
  53. 田端正広

    田端委員 それでは、よろしくひとつ取り計らっていただきたいと思います。  外務省にお伺いいたしますが、外務省に林某なる人がいて、泉井氏との会食の場に出た、そういう方がいたと……(発言する者あり)いや、これは全部関係していますよ。だから聞きますよ。
  54. 中川秀直

    中川委員長 質疑者は、御自身の質疑に専念してください。
  55. 田端正広

    田端委員 それで、こういう人が当時いたのかどうか、そしてどういう役職にあってどういう立場にあったのか、ODAとの関係はどうであったのか、お答え願いたいと思います。
  56. 大島賢三

    ○大島(賢)政府委員 今御指摘いただいた外務省員につきましては、林梓のことを言っておられるのでございましたら、林梓は外務省員でございます。現在海外勤務、具体的には、ユネスコ日本政府代表部に勤務をいたしております。(田端委員「当時は」と呼ぶ)  失礼しました。当時は、当時とおっしゃいますのは一九九一年当時でございますけれども、経済協力局の政策課長でございました。
  57. 田端正広

    田端委員 これは大変なことだと思いますね。一九九一年から九二年、経済協力局の政策課長。この経済協力局の政策課長というのは、ODAとの関係はどうなりますか。
  58. 大島賢三

    ○大島(賢)政府委員 経済協力局の政策課長は、ODA担当の局内の総括、主としては予算、それから局内調整、援助計画の策定等、経済協力局内にありましていわば右翼課の立場にございますので、そういう仕事をやっております。
  59. 田端正広

    田端委員 これは大変なことですね。当時のODAの担当責任者の方が、つまり今言われている泉井疑惑の中で、赤坂のフランス料理店で会ったということが言われているわけでありますが、三菱石油の山田社長も同席しているわけであります。この三菱石油の山田社長は、その翌年に三菱石油とベトナム石油会社との事業提携ができて、そして現地法人日本ベトナム石油が設立されているわけです。そしてそれと同時に、今申し上げた四百五十五億のこの円借款が決定した。  こういうことでいきますと、これはどう考えても、担当者がそこに絡んできますと、これはもう大変なことだと。これはきちっと報告していただかないと、何で四百五十五億かという疑惑はますます深まるばかりであります。  委員長、どうでしょう、これはぜひしっかりと当委員会に報告してください。それでなきゃ、この問題の質疑はこれ以上進まないと思います。
  60. 中川秀直

    中川委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  61. 中川秀直

    中川委員長 速記を起こして。  田端君。
  62. 田端正広

    田端委員 今ずっと私が問題提起をさせていただきましたことをもう一回まとめますが、ベトナムに対する、一九九二年にいきなり四百五十五億というその円借款を決定したのは、前の年に比べると三百倍という、余りにも突出した決定である、それだけに非常に不思議に思うわけですが、この四百五十五億の決定の経過について、そして中身について、これをきちっと外務省の方で御報告していただきたい。この中身、どういうように使ったのか、これが明らかでありません。先ほどの答弁も、これはもう全然答弁になっていません。だから、これを明確にしていただきたい、それが一点です。  それからもう一つは、一九九一年十一月に、林梓氏という外務省の経済協力局のODA担当の課長が、この泉井氏初め三菱石油の山田社長と、あるいはそのほかにもいたかもわかりませんが、会談されている。会談したのかどうか、どういうことを話し合ったのか、そして、その後この人がどういう職についていたのか、その辺を含めて本人に確かめた上でこの委員会に御報告をいただきたい。  委員長、そして、この問題については、その報告を待ってまた我が党がほかの委員会等でも徹底的に究明していきたい、こう思いますので、よろしくお願いします。
  63. 中川秀直

    中川委員長 外務省、答弁を。  大島経済協力局長
  64. 大島賢三

    ○大島(賢)政府委員 まず、四百五十五億円の商品借款の決定でございますが、この額がなぜこういう決定に至ったかという点につきましては、先ほどお答え申したとおりでございます。すなわち、我が国とベトナムの当時の関係及び将来の重要な関係を踏まえまして、それからベトナム側から延滞債務の返済があったという事実を踏まえ、日越関係の全体を判断の上決めた、こういうことでございます。  それから、二番目の林梓職員の件でございますけれども、一部の週刊誌にこれが報じられましたので、もちろん私どもとしても、すぐ本人に外務省として事実の確認、照会を行いました。  林職員の申すところによれば、三菱石油の社長ほかと昼食をとったという事実は記憶している、覚えているということでございます。ただ、当時、数多くありました経済協力に関しますいわば一つのブリーフの要請でございます。経済協力局におりますと、こういう仕事の関係上、経済界の人、それからもちろん学界その他の人々と常時意見交換をし、あるいは情報収集をやることが仕事の性格上ございますが、そうした当時の仕事の一環ということで食事をとったという記憶があることでございます。  ベトナムの経済協力の現状についても、先方の要請に応じる形でこたえたというふうに記憶をしておりますけれども、もちろん守秘義務の範囲内ということできちんと対応をした、こういうのが確認をした結果でございます。
  65. 中川秀直

    中川委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  66. 中川秀直

    中川委員長 速記を起こして。  田端君。
  67. 田端正広

    田端委員 これは大変大事な問題で、このベトナムの一国の問題ではありますが、しかし、ODAが一〇%カットされ、先ほど申し上げたように国際機関は四〇%もカットされ、そういう中で、過去においてこういうあいまいな答弁しかできないようなことがもし行われていたとしたら、これはもう大変なことで、ODAそのものが、国民に理解しろといったって、これじゃ理解できないわけです。だから、これについては総理が、国益だ、こうおっしゃっているのだから、国益だと言う、外務大臣は、平和と安定のためと言うのだったら、国民皆さんにわかるようにこの問題を説明していただきたい。この四百五十五億の数字がなぜあったのか、それが中身はどうだったのか、それをきちっと報告していただくよう再度お願いして、私のこの委員会での質問を終わります。
  68. 中川秀直

    中川委員長 この際、北脇保之君から関連質疑の申し出があります。田端君の持ち時間の範囲内でこれを許します。北脇保之君。
  69. 北脇保之

    北脇委員 新進党北脇保之でございます。  私は、財政構造改革法案に関連して、その総則的な部分、そして補助金等地方財政の問題、この点について質問を申し上げますので、よろしくお願い申し上げます。  まず最初に、現下の景気の認識についてお伺いをします。  これはこの委員会でもたびたび質問になっているとは思いますが、景気状況は日々深刻になっております。そういう意味で、きょう現在時点での経済企画庁長官の景気認識をお伺いする、こういう趣旨でございます。  と申しますのは、本日の株価動向について、午前の日経平均の終わり値を見ますと、先週末比四百三十円安で一万六千九百三十三円、一万七千円を割っているということでございます。これは先週末、金曜日に、十月二十三日ですか、香港の株の急落を受けて日本の株が下落し、それがまたアメリカにも波及したということを受けて、週明けどうなるかと非常に注目されていたところでございますが、今のような状況でございます。こういうこともありますので、特にお伺いするわけです。  日銀短観を見ても九月調査で非常に悪化している。そして、経済企画庁そのものの八月の景気動向指数を見ても、一致指数が一〇%に急低下しているということで、経企庁は、景気回復しているという基調判断をその表現から落としております。そして、経企庁長官自身も景気足踏み状態、このような発言をされていると伺っておりますが、この足踏み状態という意味は、もう既に景気というのは回復局面から調整局面ないしは後退局面に入ったというふうな意味であるのかどうか、そして、このような状況をもたらした原因をどう考えているか、さらに、こういう状況を踏まえて何らかの景気対策ないしは緊急の経済対策が必要と考えているかどうか、この点をまとめてお伺いいたします。
  70. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 景気の現状でございますが、四月以降、消費税の引き上げに伴います駆け込み需要が三月以前にあったことの反動で、消費あるいは住宅建築が反動減を示したことは御承知のとおりでございます。そして、駆け込み需要も予想外に大きくありましたし、反動減も予想外に大きく、かつ反動減の方は、四月―六月だけではなしに七月―九月にもややその余波を持っていたという状況でございます。  私ども、消費につきましても、消費者の収入といいますか、給与所得は対前年比でもやや増加をしておりますし、また雇用も対前年比でふえているという状況の中で、消費者の懐そのものはそこそこになっていると思っておりますけれども、しかし、消費がこのところ予想まで伸びていないというのも事実でございます。  それから、設備投資の方でございますが、これも設備の過剰感というのが低くなってきておりまして、設備もそこそこ目いっぱいに近い状態に来ているわけでありますけれども、他方、企業収益も上がってはきている、しかし、設備投資は消費ほどではなく、むしろ消費よりも伸びているわけでございますが、全体としてはまだそんなに大きな伸びを示していないという状況にございます。  こういう状況にございますのは、企業の景況感というものが、ここしばらくの間、中小企業あるいは一部の業種を中心といたしまして下がってきている、こういう状況でございまして、いわば、回復基調にあるという点は言い得ると思いますが、やや足踏み状態であるというふうに考えております。足踏みは、前に向かって足踏みをしているというふうに考えておりまして、後ろ向きの足踏みではないというふうに思っております。  それで、これはやはり景気の将来に対する信頼感というものがやや低くなっているということもございまして、私どもとしては、総理の御指示もありまして、年内できるだけ早い時期に、自民党、与党三党の景気対策の取りまとめもございますので、私どもとしては、中長期にわたる視点も踏まえまして経済対策を取りまとめていきたいと考えております。  その取りまとめの方向でございますが、財政厳しい状況でございますから、いわゆる財政出動というような、赤字国債あるいは建設国債を発行して、そのお金で減税をするなり公共事業をして、そのお金でまた物を買っていただくという方向ではなしに、むしろ企業活動の国際的な展開の中で、日本という地域を日本の国やあるいは外国の企業が生産拠点あるいは事業活動の拠点として選んでいただけるようなイコールフッティングの経済的な条件を整える。あるいは、規制緩和を促進する、景気の大きなしこりとなって足を引っ張っている不良債権問題を処理するために不動産の流動化を図る、土地取引の活性化を図る、そういうことを全体として行いまして、民間需要を中心に活力ある経済を実現していく。そういう中で将来展望をしっかりと持っていただいた上で、設備投資や消費についてもさらに一段の伸びを期待しているところでございます。  なお、銀行の早期是正措置もございまして、そういう中で、金融機関がいわば貸し渋りというようなことをやっているのではないかという御意見が各方面にございますが、私どもとしては、健全な企業経営、健全な事業プロジェクトに対しては十分な資金が出るように措置をしてまいりたいと考えておりますし、また、特に中小企業の方々が、そういう面で資金に不足が来て経営が困難になるというようなことのないように、これまた万全の対策を講じてまいりたいと考えている次第でございます。     〔委員長退席、中山(成)委員長代理着席〕
  71. 北脇保之

    北脇委員 ただいまの御答弁では、政府としては年内できるだけ早い時期に経済対策を取りまとめる、その場合の前提として、財政出動はなし、規制緩和等いわゆる構造的な対策で対応するという趣旨というふうに受けとめましたが、それでは現下の景気動向に十分対応できないと思います。  と申しますのは、今国内需要の六割を占めるという消費が非常に低迷している、今政府が頼りにしている雇用とか所得の動向についても先行き陰りがあるという中で、今言ったような規制緩和であるとかイコールフッティングの状態をつくり出すとか、これは中長期的な課題ですから、当面の景気浮揚、需要創出にはつながってこないと思うのです。その点について、経企庁長官、どのようにお考えでしょうか。
  72. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 この問題については、いろんなところで各党の御意見も伺っている次第でございます。赤字国債を発行して、そのお金で減税をして、そのお金で物を買ってもらうというような方向議論をされているわけでございますが、現在の財政状況考え、また、先ほど申しましたような形で懐そのものは消費者の方もそこそこにあるというこの条件を考えましたならば、どうもそういう方向をとるのは適切ではないのではないか。  ただ、いろんな意味で、土地税制その他法人課税のあり方等につきましても、これは政府税調あるいは与党税調の中で御議論をいただくことにしておりますが、企業活動を活発化するような改正といいますものはぜひお願いをしたいと考えているわけでございまして、その点については、活発化して、そしてその中で雇用をふやし所得をふやし、経済を活性化していくというふうに考えている次第でございます。  それからなお、いろんな政府支出を削減をして、その財源で所得減税をして消費を活性化すべきであるというような意見も聞かれるところでございます。これについては、政府支出も、ある意味でいいますと政府の財貨・サービス購入という点で、それ自体支出になっているわけでございまして、いろんな形で国民の懐に入るということでございますから、しかも、政府の財貨・サービス購入は一回買ったその限りにおいても既に需要となるということでございますから、政府支出を削減をしてそして所得減税をするということは、それをセットでやった場合に、私は、むしろ景気対策としてはプラスよりもマイナスの効果の方が大きいのではないかというふうに考えている次第でございます。
  73. 北脇保之

    北脇委員 ただいまのことにも関連して、今度は大蔵大臣に、今の財政構造改革法案のもとにある大蔵省の経済についての考えをお尋ねいたします。  私は、今の日本において最も優先度の高い経済に関する政策目標は、安定的な景気拡大の軌道に日本の経済を乗せていくということだと思います。この点について大蔵大臣はどうお考えかということが一つ。  そして、あわせて、今の政府の政策を見ておりますと、いわゆる財政政策、例えば公共投資とか減税、こういったものが需要創出とか景気回復という点で経済に、長い目で見た場合でもプラスの効果があると考えていない、つまり、財政政策というのは結果的にマイナスになってしまうから、マイナスというか悪影響のみが残るから、もうこういうことはやらない方がいいんだというような考え方に立っているような感じがいたしますので、本当にそういう考えでいるのかどうか、この二点を大蔵大臣にお尋ねいたします。
  74. 三塚博

    三塚国務大臣 毎回御答弁申し上げておりますとおり、健全財政が確立をされることが我が国経済の持続的安定成長をもたらす、こういうことでございます。よって、この法案を出させていただきまして、力のあるうちに特例公債依存の財政運営体質から脱却をしていきたい、それも六年という期間を想定させていただきました。  ユーロ統一通貨発行に当たっての基準はできるだけ早期ということで、九九年スタートでありますから、各国、先進国は、二年ないし三年を目標に、対GDP比三%以下を目指して血のにじむ努力をされております。そういう中で、我が国が健全財政という、世界経済、マクロ経済の中で経済大国それぞれはこの歩調でいかなければならない、こういうこと。そのことがすべてに安定的要素、国際関係という意味でございますが、国内関係だけではなく、国際的環境においてもそうなるであろう、こういう見通しのもとに努力をいたしております。  減税等々の政策については、一時的な効果を否定するものではございません。しかし、今やらなければならない待ったなしの政策執行という観点からいいますと、財源なくして減税はあり得ないわけでございますから、特例公債に依存する政策はやらない。国民の皆様方に御辛抱をいただきながら、冬来たりなば春遠からじ、そういうことに加速を加えるべく、政府経済政策も、長官説明のとおり、苦心惨たんの中で効率的なものをやり遂げる。  私から申し上げる一点は、構造的な問題を解決をするために、果敢な経済構造改革の断行と相並行していきますことが経済の活性化に結びつくということは、御理解いただけるものと存じます。
  75. 北脇保之

    北脇委員 中長期的な課題として財政構造の健全化ということ、これはだれも否定しないと思います。ただ問題は、今待ったなしの課題は何なのかということ。今大臣、今待ったなしの課題という表現を使われた、まさにそのことだと思います。その点で、では、今財政構造改革路線をひた走るということが今待ったなしの日本の経済の課題に対する答えになるのか、そこが問題だと思います。  今の問題は、大臣おっしゃったように、安定的な持続的な成長、これを長期的に日本経済にもたらすことが大事だということですから、では今日本経済はどうなっているかといったら、まさにもう下り坂じゃないか。仮に株価が八カ月先の経済の動向を予見するというような考え方に立てば、今の株価の急落というのは、これから八カ月たてば現実の経済の低落になって実現してくるという状態です。ではそのときに、やはり安定的成長と言えるレベルの成長を当面実現するということがまずあってこそ、その後にそれが持続できるものになるかどうかという問題が出てくるわけで、今安定的成長と言えるレベルの成長を実現できなかったら何にもならない。  では、財政構造改革路線で当面すぐ安定成長と言える成長をもたらせるかといったら、これはノーだと思うのですね。そこのところに私は考え方の誤りがあるのじゃないかと思います。  特に財政赤字の問題について、大蔵省は、このまま放置しておくと双子の赤字になったり財政破綻を来すということを言いますけれども、それは、中長期的に見たときにはそのとおりだと思います。しかし、今現在そういう問題があるかというと、そうではないと思うのです。  これは、先日もこの委員会議論がありましたが、一つクラウディングアウトのことにしても、こんな超低金利下で今現在国債を発行したらクラウディングアウトが起こるということはないし、また、財政破綻ということについても、この言葉の意味を、国が資金調達ができない、国債を発行してもだれも買ってくれない、そういう意味で資金調達ができないということになったら、まさに本来の言葉の意味の財政破綻だと思います。しかし、今国債は順調に消化されているわけなんです。  ですから、今現在の状況を見たときに、大蔵省が最悪のシナリオと言っているようなことが今すぐ当てはまるわけではない。したがって、今財政構造改革路線をひた走るというのは、今日本経済の最優先の課題である成長軌道へ乗せるということに対して、マイナスの要因しかもたらさない、こう思うわけです。  この点について、再度お尋ねをいたします。
  76. 三塚博

    三塚国務大臣 経企庁長官からも、景気の現状認識がお話しになりました。  私どもも、今日の経済は、月例経済報告プラスその後のいろいろな発表等を見ましても、足元の回復テンポは緩やかになっておりますものの、民間需要を中心とした景気回復の基調は続いております。同時に、雇用、所得環境、企業収益の改善が見られておることも御承知のとおりでございまして、次第にそのペースの中で民間需要を中心とした前向きの循環が明確になっていくであろう。  一・九の成長率の見通し、これについていろいろな計算、数値が出ておりますけれども、構造改革を断行することにより、特に土地の証券化、不良債権の解消、それに伴う税制のあり方が、党税調、三党協議会、政府税調においても審議が行われております。土地の活性化、需要を喚起していくということによる資産価値の安定と景気への影響というものが並行していくものと思っております。  そういう中で、さらにマーケットの市場税制につきましても、それぞれの審議が与党の中で行われ、政府税調でも行われており、いよいよ金融システム改革日本版ビッグバンのスタートに当たりましての環境整備につきましても、真剣な論議、規制緩和が根本でありますけれども、それに加えまして、安定した市場造成のため、世界から信頼されるグローバルスタンダードの東京市場というものに力を入れておりますこと、御承知のとおりでございます。  そのほかいろいろな資料がありますが、時間の関係で省略をさせていただきますけれども、二、三申し上げますと、機械受注、これは先行指数でありますが、緩やかな回復基調にあることはお認めいただけると思います。企業収益も、前段申し上げましたことにより、一部に深刻な不良債権を抱えた業種もございます、しかし、総体的に見てそのことが取り進められているということも事実でございまして、中長期的に見ますと、民需中心の経済成長というものが、緩やかな足取りでありますけれども前に進んでおるということが言えると思います。
  77. 北脇保之

    北脇委員 今の御答弁は、政府がこれまで述べてきた見解かと思いますけれども、私は、今の経済財政政策を見ておりますと、残念ながら、非常に大蔵省主導という感じがするんです。  と申しますのは、やはり予算官庁としては財政均衡ということが至上命題、これはどんなふうに経済が変転しても、本当は予算を均衡させたい、これが財政当局の常に持っている考えだと思います。それが非常に強く出ているんじゃないかということ。それが第一点。  それから第二に、やはりいろいろな財政政策をやりますと、今の政治的な状況の中では、支出を拡大するとか減税ということはできても、今度それをもとに戻そう、支出カットとか増税ということになると、今の民主政治の中ではなかなかそれが実現しにくいというような見方にかなり支配されているんじゃないかということ。  それからまたもう一つは、大蔵省というのは法学部の出身者が非常に多いものですから、やはり経済というものを一つの動きでとらえるんじゃなくて、収支というような静止した状態でとらえる発想がかなり強いんじゃないか、こんな感じがするのです。  ですから、これは答弁は要りませんけれども、もし大蔵大臣、この点について、いや、違うんだということがあるのでしたら、お聞かせをいただきたいと思います。
  78. 三塚博

    三塚国務大臣 大蔵省の諸君が法学部出身が多いということのようでありますが、経済学部もおります。  そういう中で、予算均衡というのは、いわゆる財政の基本方針は全くそういうことであります。しかし、今日まで、バブル崩壊後の不況対策のために、臨機応変に累次にわたる景気対策を特例公債を原資としてやらさせていただきましたこと、御案内のとおりでございます。振り返って今日の状況を見てまいりますと、下支えにはなりましたけれども、膨大な赤字を累積することになり、このことが、利払い、元金償還等考えますと、利払いに精いっぱいというような諸状況にあり、財政が不健全になってきたことだけは御理解をいただけるところでございます。  そういう観点で、全体を見ながら取り進んでおりますし、経済指標は、大蔵も出すのがありますけれども、経企庁が専門官庁として、官庁エコノミストだけではなく民間エコノミストも動員して、ありとあらゆる手法を駆使して日本経済の動向を分析、発表をいたしておるところでございます。  そういう点で、大蔵省、理財もあれば国際金融局もあり、世界経済の中で、日本財政、日本金融、為替レート等々、どう進むべきかということの真剣な分析の中でも仕事をやっておるわけでございます。理財の問題は、御案内のとおり、財政投融資資金、こういうことで御論議を今いただいておりますけれども、財政出動によらざる効果的な、機能的な方向、国家的な金融機関の中で行っておることも御案内のとおりであります。
  79. 北脇保之

    北脇委員 次に、財政赤字対GDP比を三%に持っていくというその目標に関連して、国と地方の関係をお尋ねいたします。  まず、その三%ということについて、国で何%、地方で何%というような、そういう内訳の目標があるのかどうかということが一つ。  そして、それに関連して、今、国と地方の財政の仕組みを考えたときに、地方は何といっても、それはもちろん補助金とか交付税とか地方財政計画とか、国と関連する仕組みはありますけれども、あくまで本来は三千三百の自治体が独立した財政権を持ってやっていることでございますから、国の財政赤字をコントロールするというのと同じような意味で、地方財政をコントロールして一つの目標に持っていくということは難しいと思うのです。  ですから、そこのところを、地方についてはどういう形でやろうとしているのか。そこのところがもし難しいならば、法律としてその財政赤字三%という目標を立てていても、それに伴う手段が用意されていないということになると思うのです。その点について、大蔵大臣の御見解をお尋ねいたします。
  80. 三塚博

    三塚国務大臣 本件は、ただいまの現況を言いますと、九年度、GDP比五・四であります。国が三・四、地方が二・二、そしてダブり〇・二ということで五・四というGDP比の赤字であります。これが十五年度、いわゆる二〇〇三年に三%を目指しておるわけでございまして、三%になるという大前提で見ますと、国は一・九%、地方は一・一ということになります。  ともに健全財政を目指し、その達成のために取り組むわけでございますが、その道のりは大変厳しいものでありますけれども、この法律案を骨子として、国及び地方公共団体が一体となりまして、構造改革を強力に進めていくということに尽きるわけでございます。どうするかは、分権、行政改革、財政のあり方、諸制度を聖域なく見直して、国、地方ともに健全化目標に向かって取り組むということでございますから、両々相まちまして、車の両輪でありますので、全力を尽くしていかなければなりません。  具体的な例について、必要があれば主計局長から説明させます。
  81. 北脇保之

    北脇委員 ただいまのことに関連をして自治大臣にお尋ねいたしますが、地方財政の方の条項でも、地方公共団体の財政の自主的かつ自立的な健全化を目指していく、そのために適切な行政上及び財政上の措置を講ずる、こういうふうに言っているわけですが、ただいま申し上げたように、国と地方の財政は違う、そしてまた政府にとって地方財政に対する直接的なコントロールの手段というのは非常に限られている。そういう中で、では、自主的かつ自立的な健全化というのをただ努力義務みたいな形で規定すればいいということなのか。それでは本当に目標実現は担保されないと思うんですが、他方で、地方自治という仕組みの前提もある。  その辺をどのようにして、この自主的かつ自立的な健全化、まずこれはどういう意味かということもありますが、それを踏まえてどのような行政上、財政上の措置を講じていく考えなのか、その点を自治大臣にお尋ねいたします。
  82. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 お答えいたします。  法第四十条における行財政上の措置についてでありますが、まず一つは、国、地方双方の歳出抑制につながる施策の見直しを行うこと。二つ目には、当面の交付税の算定や地方債の配分に当たりまして、歳出の抑制を促すような措置を講ずること。さらに、これらとあわせて、地方分権の視点に留意しつつ、三つ目には、地方公共団体に対しては計画的な財政の健全化や徹底した行財政改革の取り組みを要請していくことなどを意味しておるわけでございまして、そのような考え方でこれらのものに取り組んでまいりたいと考えております。  なお、自主的かつ自立的健全化についてでありますが、現下の国、地方を通ずる極めて厳しい財政状況のもとでは、地方団体におきましても財政の健全化に取り組むことは当然必要であります。その一方で、地方自治の視点からは、個々の地方団体の財政運営を直接拘束するような手法をとるべきではないと考えております。  したがいまして、具体的な財政健全化の方策につきましては、それぞれの地方団体がその実情に応じ、自主的かつ自立的に決定し、実施すべきものであることから、このような規定としているものと思います。
  83. 北脇保之

    北脇委員 ただいまの答弁の中で、自治体に要請をしていくんだという内容、それから個々の自治体を拘束しない方法でやっていくんだということ、そのことと目標達成ということは常に相反することだと思うんですね。そこのところは、この財政構造改革法案の発想そのものにかなり無理があるのではないかという感じがいたします。  それに加えて、今大臣いろいろな施策の見直しをしていくというお話がありましたが、現実に地方財政を見ますと、国庫補助関連事業とか国が法令等で基準を設定しているような事業の経費が、地方財政全体で公債の償還費を除いた中の半分程度を占めているわけです。ですから、そういう国の関与のある事業の見直しをしていかなければ地方財政の健全化はできないと思います。その点について地方分権推進委員会の勧告が出ましたが、今これを見る限り、事務事業の見直しといいますか、国が関与する地方事業を縮減していくということは、余り見るべきものがないと思うのです。  それでは、これからそういった施策や制度の見直しをどういう舞台でどんな手順でやっていくのか、そして、そのスケジュールといいますか見通し、これをどういうふうにお考えか、それをお聞かせいただきたいと思います。
  84. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 ただいまの質問でございますが、事務的にどういう形でそれぞれやっていくか、こういうことだと思います。  まず、地方財政の健全化のためには地方の歳出を抑制する必要があることは、もう今さら申し上げるまでもありません。さらにまた、個々の地方公共団体の財政運営を直接拘束するような手法はとらないということは先ほど申し上げました。今回の法案におきまして、地方財政計画ベースでその抑制を図ることといたしておるわけでございます。  また、その抑制には、地方財政は、国の施策や予算と密接に関係をいたしております公共投資、社会保障、教育で一般歳出の約七割を占めておるわけでございまして、国において、公共投資予算や社会保障制度について、国、地方双方の歳出抑制につながる施策の見直しを進めますとともに、あわせて、地方はもう一つ単独事業を持っておりますが、この単独事業の抑制を促すことなどにより、地方一般歳出の抑制を図ってまいらなければならないと思っております。  特に、平成十年度予算につきましては国が一般歳出を対前年度比マイナスとする、そのことに伴いまして、地方財政に関連の深い分野においても、公共投資の七%の削減社会保障関係費の抑制などの措置がとられておりまして、これに伴って地方の歳出においても抑制されること、あるいは、地方単独事業について対前年度比マイナスとすることにより、地方一般歳出の対九年度比マイナスを目指すことにいたしているものであります。  なお、地方交付税についても申し上げておきますが、毎年度の地方財政計画の策定を通じまして、必要な額を確保し、地方財政の運営に支障が生じないように適切に対処してまいりたいと考えております。  さらに、国税の不振等によりまして、交付税の原資はこのところ恒常的に不足をしておることはもう御承知のとおりでございますが、交付税特別会計における借入金残高も多額に上っておるわけでございまして、交付税の税率の引き下げなどは到底考えられるような状況にはございません。  そのような認識を持って、地方財政の健全化に具体的に取り組んでまいりたいと考えております。     〔中山(成)委員長代理退席、佐田委員長代理着席〕
  85. 北脇保之

    北脇委員 私が懸念するのは、国の財政と地方財政は利害が相反する面がありますので、例えば公共事業等いろいろな補助事業で、補助率が三分の一であったものを四分の一にするとか、そういうことをすれば、その限りにおいて国の財政の方には赤字削減にプラスになる、しかし、それをそのまま地方に持ってこられたのでは地方はますます厳しくなるだけ、こういうことがありますので、単に国のツケを地方に回すと言うと言葉がちょっと過ぎるかもしれませんが、そういうことにならないで、全体として目標を達成していくということが非常に重要だと思いますので、この点については、まだ地方財政についてはかなりこの法案でも一般的な部分、抽象的な部分にとどまっていると思いますので、むしろこれを改革するにはもっと抜本的な分権への取り組みが必要だということを指摘いたしまして、質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  86. 佐田玄一郎

    ○佐田委員長代理 これにて田端君、北脇君の質疑は終了いたしました。  次に、葉山峻君。
  87. 葉山峻

    葉山委員 民主党の葉山峻であります。  財政構造改革法案と地方分権の関係について、まずお尋ねをいたします。  我が国の財政は、平成九年度までに国債発行額が二百五十四兆円を初め、政府借入金、地方債残額、それにいわゆる隠れ借金を合わせますと、国と地方の長期債務残高は五百二十兆円を超え、GDPに占める債務残高の割合は、イタリアを除いて先進国最高の額となっていることは御承知のとおりであります。政府案は、財政再建の目標として、国と地方の財政赤字を二〇〇三年までに名目国内総生産の三%以下にするとしておりますが、地方自治体の財政に国が縛りをかけ、国主導で進めるのはいかがなものか。  言うまでもなく、地方分権の眼目は、国と自治体との関係を、これまでの上下、主従の関係から対等な協力の関係にすることであります。これは地方分権推進委員会も繰り返し強調し、閣議でも、この推進委員会の勧告を最大限に尊重すると決定したことは御承知のとおりであります。地方の歳出削減についても、中央政府が目標を設定し国主導で進めることになっているのは、地方分権に逆行するものではないでしょうか。  また、財政構造改革法案第四十一条では、平成十年度の地方財政計画における地方一般歳出の額を抑制し、前年度の額を下回るように必要な措置を講ずると規定しています。地方自治体の固有財源である地方交付税の所要総額を自治体の頭越しに抑制するという規定自体、地方分権の流れに逆らうものではないかと思うのでありますが、まず大蔵大臣、そして自治大臣に、この財政構造改革法案と地方分権の関係について、基本的な見解を伺いたいと思います。
  88. 三塚博

    三塚国務大臣 決して主従関係であってはなりませんし、その解消を政治の基本として、自治体も国も行ってきておることは間違いございません。私は、先ほども申し上げましたが、車の両輪であると。国と地方自治団体が両々相まちまして政策の整合性を求め、地域社会の安定、前進、そのことが国家の安泰、国民生活の全体的な安心とバランスがとれていくことに相通ずるわけでございます。  今御披露がございましたとおり、国、地方合わせて、イタリーを抜いて五百二十兆という、GDPにイコールするところまで債務が累積をいたしたところでございます。これに対応していきませんと、一年ずれるごと、二年ずれるごと、危機的な状況が深まりまして破局に向かうと、総理大臣も幾度か申し上げたところでございます。そういうことで、両々相まちまして、改革推進をしていかなければなりません。  ある県の知事さんが、分権の問題で申しておりました。地方に財源を与えてほしいと。それは、与えるという意味は交付税という意味ですか、全く違いますと。地方税の徴税機能というものをお与えください、そのことによって徴税のいかに困難、至難さを痛感いたします、そういうことで税金の使い道について極めて丁寧に、地域住民の心を心としてそれに対応することができ、行政改革も進むでありましょうし、経費節減も進むでありましょうと。こういうことをわざわざ御提言の方がございました。どうぞ全国知事会の中で御発言をいただき、その方向をおつくりをいただくことが大事ではないでしょうか、私どもはそれを受けて真剣にそのことに対応をすることをお約束を申し上げますと、こう申し上げておいた次第であります。  要すれば、中央からの分権ではなく、分権というのは地方自治団体から自治法の中で取り組むことであり、そこが限界があるというのであれば法律改正ということにまでいくべきものではないでしょうかと考えております。自治でありますから、みずから治める、みずからの責任で地域住民のために全力を尽くす、その基本方針は、みずからの両足で立つという基本論の中で行動をされていかなければならないのではないでしょうか。その動きは大いに御歓迎、サポートしてまいります。
  89. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 お答えをいたします。  財政構造改革と地方分権との関連における基本的な認識でございますが、地方分権と財政構造改革につきましては、たびたび申し上げておりますように、地方分権を進めてまいりますために行財政基盤の強化が必要であることは、今さら申すまでもありません。  財政構造改革法案は、そのためにも、地方財政の健全化を進めようとするものであります。また、その推進に当たりましては、財政構造改革推進についての閣議決定において明記してございますように、地方自治、地方分権の推進の視点に十分留意することといたしておるところでございます。  もう一つの御質問は、国の方で主導して歳出削減をやる、これは分権に逆行するものではないか、こういう趣旨の質問でございました。橋本総理からもたびたび申し上げておりますように、国と地方の関係は上下ではない、横並びだ、こういうふうに言われておるわけでございまして、その前提に立ってお答えをいたします。  現下の地方財政は、御案内のとおり、財政赤字が対GDP比二・二%に達するなど、極めて厳しい状況にございます。先ほども大蔵大臣が詳しく説明をされておりましたが、国、地方合わせた財政赤字対GDP比三%以下の目標に向けて、財政構造改革は国も地方公共団体も取り組まなければならない重要な課題と認識をいたしております。  もとより、地方自治の観点から、個々の地方公共団体の財政運営を法律により直接拘束するような手法はとるべきでないと考えております。こうしたことから、法案第三十九条において「自主的かつ自立的な健全化を図るものとする。」という形で地方公共団体の責務を規定するとともに、政府が策定をいたします地方財政計画ベースで地方歳出の抑制を図ることといたしておるのでございます。  いずれにいたしましても、財政構造改革は、私たちの世代でぜひともやり遂げなければならない、次世代に残してはならない重要な課題でございます。今後、あらゆる機会をとらえて、地方団体に対しましても、こうした財政の健全化の趣旨が理解され徹底されますように、また、国、地方双方の歳出抑制につながる施策の見直し等にも努めまして、地方団体には自主的な行財政改革への取り組みを要請するなど、財政再建目標の達成に努めたいと考えております。御理解をいただきたいと思います。
  90. 葉山峻

    葉山委員 地方分権推進委員会の第四次の勧告が終わりまして、いよいよ内閣の責任において計画を策定し、そして必要な立法措置などをとっていかなければならないときが来ているし、いよいよ国会でも、本格的にその問題に取り組んでいかなければならないときに来ているというふうに私は思っております。  そういう点で、自治大臣に御質問するわけでありますが、この地方分権推進計画のタイムスケジュールはどうなっているのか、まず伺いたいというふうに思います。
  91. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 政府といたしましては、十月九日に勧告までの、四次にわたる地方分権推進委員会の勧告を最大限に尊重いたしまして、地方分権推進計画の作成に本格的に取り組み、平成十年の通常国会が終了いたしますまでのできるだけ早い時期と申し上げておきますが、このような考え方で計画を作成し、地方分権を総合的かつ計画的に推進することといたしております。
  92. 葉山峻

    葉山委員 そうなりますと、これから来年の通常国会、六月ぐらいまでかかるのでありましょうが、そういうことになりますと、結局その中には地方自治法の改正なんということも出てくるわけでありますが、それは六月以降になるのか、通常国会中にやるのか、この辺を一つ質問したいというふうに思っておるのです。  それともう一つ、このタイムスケジュール。これから計画を通常国会に提出する準備を進めて通常国会に提出する、こういう話でありますが、私は話が、本法案が先に、金縛りと申しますと極端でありますが、財政上枠をはめるというので、これは逆なのじゃないか、その辺いかがなものかと思うのでありますが、その辺いかがでしょうか。自治大臣のお答えをいただきたいと思います。
  93. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 法案より先に予算を縛りにかけるとよろしくないのではないか、こういうことでございます。あとは事務的なものですから、事務方から答えさせますが、私からこの点についてまず先にお答えいたします。  地方分権推進計画と財政構造改革との間で特にかかわり合いの深いものは、国庫補助負担金の整理合理化でございます。これは、地方分権推進委員会の勧告におきまして、補助金等の整理合理化についての考え方、それから進め方が示されると同時に、財政構造改革と整合の必要性を提言しております。  また、この勧告を受けた後、総理大臣談話によりまして各省庁に指示がございました。その中身は、一つは、勧告を受け、地方分権推進計画の作成に向け速やかに必要な検討を終えること。二つ目には、地方分権推進委員会が勧告した事項で可能なものについては、地方分権推進計画作成までの間でも、その実現を図っていくこととされております。今後、各省庁におきましても、この法案を受けまして、また総理のようなこの方針に沿いまして、具体的な検討が進められるものと考えております。  したがいまして、財政構造改革法案と地方分権推進計画の作成とが矛盾するようなことはないと考えております。
  94. 松本英昭

    松本(英)政府委員 地方分権推進委員会の勧告と地方自治法の改正の問題についてお答え申し上げます。  地方自治法の改正につきましては、機関委任事務制度の廃止及びそれに関連いたします一連の制度の改革につきましては、これは各省庁とも横断的に関係してまいることでもございますので、今年のうちにその大綱方針をお示しできるよう、現在作業を続けているところでございます。  なお、全体の分権推進計画の作成につきましては、御案内のように、昨年の十二月の第一次勧告後、一月に政府におきまして地方分権推進連絡会議というのを設けましたが、その段階から既に作業に着手をしていただいておりまして、なおこの第四次の勧告が出ましたので、この作業を急いでまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  95. 葉山峻

    葉山委員 自治大臣から、まず国庫補助負担金の整理合理化といった問題から取り組んでいきたいというようなお話がありました。  そこで、私はこの補助金の問題について若干伺いたいと思うのでありますが、補助金の削減について、これは地方自治体にも大変な影響があるわけであります。そういう意味で伺うわけでありますが、法案では公共事業の七%削減と決めておりますが、財政構造改革会議では、補助金というものを制度的補助金とその他の補助金というふうに分けておられるようであります。  私は、この分け方がどういうふうになっているのかまだ詳しくはわかりませんが、制度的補助金といいますと、例えば先生方の、教員の給与、この給与の分については半分半分ですね、国が地方と半々で持ちましょう、こういうことになっている。あるいは、生活保護をとりますと、これは七五%が国であって、そして二五%が地方が持つ、こういう負担割合になっているように記憶しているわけであります。だから、そういう意味での制度的補助金というのは国庫負担金のことであり、その他の補助金というのは奨励型補助金というふうにも理解できるわけでありますが、まだ定かではありません。  したがって、この分け方に沿ってまず伺いたいと思うのでありますが、簡単に言うならば、平成八年度、制度型補助金、これが何兆何千億になるのか。それから、その他の補助金については幾らか。特にその他の補助金、制度型の補助金は今後の検討課題として、その他の補助金については減らしていくんだと、とりあえず三年で一〇%ずつ削ると決めたわけでありましょうが、その他の補助金は幾らなのか。これを平成八年度の数字をもってまずお示し願いたい、こう思います。
  96. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、制度的補助金の定義につきましては、財政構造改革会議あるいは本法案にも書かれているように、制度改正を含め既存の施策や事業そのものを見直すことにより、削減、合理化を図る、そういうものが制度的補助金である、それ以外のものはその他の補助金であるということで、具体的にこの補助金がそのどちらに入るかにつきましては、今後の予算編成過程において個々に精査していくということでございます。  新しい概念でございますので、平成八年度ベースで幾らという数字は、実は現段階では我々は持っておりません。ことしの予算編成の過程で最終的にその区分ができ上がるということでございます。
  97. 葉山峻

    葉山委員 何かわからぬのですよ。皆さんもおわかりにならないだろうと思う。  私も一地方自治体の市長といいますか、藤沢の市長を六期二十四年間やってきまして、やはり地方の市長とか町長、村長が一番心配しているのは、こういうことが幾らになるのかと。行政改革と称して、いわゆる六十年度のころに国が一割削減ということをまずやった。例えば、下水道の補助金はこういう負担割合になるので一割カットする。それは、結局最後は、自治省の方で骨を折って起債で見ましょうということになって、ツケは自治体にしょわされたのですよ。まだそれは記憶に新たなところがある。だから、今度これがどうなるかということについては、全国の自治体が非常に重大な関心を持っている。  したがって、少なくとも新しいこういう分け方をするならば、ほぼそれに近い形の分け方を当然すべきではないのか。これは、情報公開をしていくということは当然のことですよ。  特に、財源の問題ということは地方分権の中で、よく言われるように、地方分権というのは三ゲンだ、行政上の権限を分権するということと、それから財源を明らかにして分権する、それと人間を育てていく、この三つがそろって本当の意味の地方分権というのはできるのだ、こういうことを言っておるのですが、中でも財源の問題というのは非常に重要なので、これははっきりここで答えてください。  大臣答えてください、大臣が。     〔佐田委員長代理退席、野田(聖)委員長代理着席〕
  98. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 ちょっと事務的な答弁をまずさせていただきます。  先ほど先生からお話がありましたように、義務教育の国庫負担金とか公共事業の補助金等は、これは明らかに制度、施策の見直しによってその縮減を図っていくということでございまして、財政構造改革会議におきましても、公共事業あるいは生活保護費負担金あるいは義務教育費国庫負担金、そのほか災害救助金だとか、それから国政選挙の経費、こういうものについては制度的補助金であるという定義がございます。  ただ、各省大変膨大な数の補助金がございまして、それが制度的補助金に当たるかその他に当たるかということについては、数も多いものでございますので、これからの精査によって仕分けしていくという部分があるということでございますので、そういうことで御理解いただきたいと思います。
  99. 葉山峻

    葉山委員 まだよくわかりません。  それと、まだわからないというならそれでも結構でありますが、私は少なくとも、ほぼ分け方でいうならば、この制度的な補助金というのは、先ほど言ったように教員の給与とかあるいは生活保護というのは、半々とか七五%とか国の負担割合というのは決まっているわけです。だから、これが制度的な補助金。そうでない補助金というのは奨励型補助金。これは大体わかるわけですね。  ですから、これはもう少なくとも平成八年度については、その区分の中で例えばどのくらいあるのかということはわかるはずでありますが、まずその点での御発表を願いたいというふうに思います。  私が想像しているのでは、この国庫負担金の方は年間約十三兆有余だろうというふうに思っておりまして、それから、そうではない、つまり奨励型補助金というふうな分け方でいきますと、これは約五兆円ちょっとではないかというふうに思いますが、大体そんな感じでいいのかどうかということだけでも結構ですから、これは大臣からお答えをいただきたい。
  100. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 従来、法律に基づく補助金と予算に基づく補助金という区分けをしておりまして、法律に基づく補助金というものが十六兆五千ございます。それから、予算に基づく補助金というものが三兆二千ございます。  ただ、今回の制度的補助金とその他補助金、これが全く一致するかどうかは、ちょっと差があるのではないか、それもこれからの予算編成過程で精査したいと思います。
  101. 葉山峻

    葉山委員 だんだん出てきましたけれども、大体今までの中で、今のあれで十六兆五千、そしてその他というのが大体三兆ぐらいじゃないか、こういうお答えがございました。  この問題についてあともう一つ御参考までに伺っておきたいというのは、地方分権委員会の第二次勧告というものが七月八日に発表されたわけであります。この中で、国庫負担金とか補助金とか項目があるわけでありますが、その五十ページですね、「国庫補助負担金の廃止」これが九件あります。それから「国庫補助負担金の一般財源化」というのが大体十四件ある。その次、五十二ページで、ずっとこう見できますと、「国庫補助負担金のあり方の見直し」まで含めてずっとこう読んできまして、大ざっぱに計算しまして、これでやっても百億に満たないものだと思うんですね、ここに述べられているものを概算して。  ところが、今言ったように三兆としますと、これがまあ半分と見たって一兆五千億ということになるんですから、それはもう天と地ほどの差があるわけですよ。これは地方自治体にとっては非常に重要な問題で、結局国庫補助負担金の合理化とか削減とかいう問題がもろに自治体に、例えば今まで三兆円来ていたものが、半分はおろか、三割でもいいですが、三〇%これは引いてみればわかるのですが、そういう百億にも満たない額になると、これは地方財政に与える影響というものは深刻だ。つまり、これは結局、共存共栄ならば結構なんでありますし、車の両輪と大臣はおっしゃられましたが、それであれば結構であるけれども、これは結局ツケが地方自治体に回るということなんじゃないか。  この点については、大蔵大臣、どのようにお考えでしょうか。お答えをいただきたいと思います。
  102. 三塚博

    三塚国務大臣 この財政構造改革の中で明記をいたしておるところ、条文が長いからお読みしませんが、全体を点検をして、両々相まちまして、行政分担、権限の移譲、独自権限、また時代に合わないものは廃止、こういう両々相まっての検討の中で、当然財源も今後その検討の中で、地財計画とのにらみ合わせの中で検討が進められていくものと考えております。
  103. 葉山峻

    葉山委員 私は、見直しという名じゃなくして、結局はツケが地方自治体に回ってくるものではないかというふうに大変懸念をしております。  そこで、この論議はこの辺にしたいと思いますが、この補助率カットなどの補助事業の削減を伴わない補助金の削減は、地方へのツケ回しにほかならず、いわゆる地方財政法第二条第二項でも「国は、いやしくも地方公共団体に負担を転嫁するような施策を行ってはならない。」と規定しているわけであります。  また、地方六団体の連名で、国の歳出の抑制を行う場合、特に公共事業の縮減や国庫補助負担金の削減に際しては、地方への実質的な負担転嫁となることのないようにすることを決議しております。これは、過去の政府財政再建の中で補助率、負担率の一律削減を行った際、地方財源の保障が行われなかった結果、削減分を地方債等により補てんするという典型的なツケ回しが行われた苦い経験を踏まえた、当然の要求であります。  自治、大蔵両大臣としては、本法案との関係で、地方財政法第二条第二項の趣旨、六団体の決議をどのように受けとめ、どのように対応していくのか、この点について再度お答えをいただきたいと思います。
  104. 三塚博

    三塚国務大臣 六団体の御要望、委員からの御指摘でお聞きしました。私もさらりと読んでおりますが、趣旨を踏まえながら、今後、行財政改革、それと財政構造改革法案の基本を据えて対応してまいります。
  105. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 御指摘のような負担転嫁の問題でございますが、地方の側からは懸念されることであろうと、私も御指摘のとおり思っております。  国から地方へ負担を転嫁するような施策を禁止した地方財政法第二条第二項は、今回の財政構造改革に関する国の施策にも適用されるものであります。また、今回の財政構造改革の目標の達成には地方団体の協力が不可欠でございまして、そのためにも、国、地方双方の歳出抑制につながる施策の見直しが重要であると考えております。国から地方への負担転嫁のようなことが行われるべきでないことは、申し上げるまでもございません。また、単なる国から地方への負担転嫁は、国、地方を通ずる財政赤字の縮減には何の効果もないと理解をいたしております。  地方財政法では、地方負担を伴う法令や予算につきまして自治大臣の意見を求めなければならないことが記されておるわけでございまして、国から地方への負担転嫁のようなことを生じることのないように、所管大臣として、また自治省としても十分留意し、また各省庁と十分協議してまいりたいと考えております。
  106. 葉山峻

    葉山委員 また別な角度から若干、補助金の問題について御質問したいというふうに思います。  なぜならば、大規模な公共事業が始まりますと、これがとどまるところを知らないというぐあいに、いつやめたらいいかということがわからないくらいになってきているということは、最近よく報道をされているとおりでありまして、そういう点で、この間ぼやっとテレビを見ておりましたら、九月十九日に放映されたNHKスペシャル、ここにおきまして、熊本県の羊角湾干拓事業というのが取り上げられておりました。  平成元年に熊本県では財政難から県事業の見直しを行い、その再検討対象事業の一つとして羊角湾干拓事業を取り上げました。当時までに既にこの事業には総額八十五億円が投入されまして、うち十億円は県の負担であったわけであります。熊本県がその事業負担の重さから干拓事業の中止を考え、当時の県農地建設課長が国に意向を尋ねたところ、国の方の担当者はどう言ったかというと、今までの事業費の総額八十五億円をそっくり全部返してもらうことになるかもしれない、こういうふうに回答したとその建設課長はテレビで語っておりました。私は実に驚いたのです。  この羊角湾干拓事業は土地改良法による農水省の事業でありますが、この地元担当者がテレビで述べているように、国は、地元からの事業中止に基づきまして直轄事業を中止した場合、その自治体に対して事業費総額の返還を求めることはあるのか、また、これまで求めたことがあるのか、事業を中止した場合、事業費の返還を求める、求めないの基準はどこにあるのか、このことについて、担当の農林水産大臣のお答えをいただきたいと思います。
  107. 野田聖子

    ○野田(聖)委員長代理 山本構造改善局長
  108. 葉山峻

    葉山委員 委員長。民主党も、これは、政府大臣もしくは政務次官からこの国会の論議は答弁を願いたいということを申し込んでおるはずでありますので、ひとつそういうことで答弁をしていただきたいというふうに思います。
  109. 野田聖子

    ○野田(聖)委員長代理 では、先に構造改善局長
  110. 山本徹

    山本(徹)政府委員 事実関係を御説明させていただきます。(葉山委員「いやいや、それはそういう要望をしてあるのだから。理事はちょっと諮ってください」と呼ぶ)  ただいま御指摘の……(葉山委員「ちょっとちょっと、話が進められませんよ」と呼ぶ)
  111. 野田聖子

    ○野田(聖)委員長代理 それでは、島村農林水産大臣
  112. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 お答えいたします。  私なりに説明を受けて、内容についてはある程度のことは承知いたしておりますが、個別案件、正確を期して、今までの事例に照らして御報告するために、山本構造改善局長から御説明いたさせます。(発言する者あり)
  113. 野田聖子

    ○野田(聖)委員長代理 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  114. 野田聖子

    ○野田(聖)委員長代理 では、速記を起こしてください。  それでは、島村農林水産大臣
  115. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 せっかくの委員長の御指名でございますから……。  国は、国営干拓事業を行うに当たりましては、土地改良法等によりまして、その費用の七割を国が負担し、残りの三割を財政投融資の資金をもってその財源とすることができるとされております。私の知る範囲で恐縮でございますが、国営羊角湾事業につきましては、昭和四十四年度に事業に着手し、平成八年末までに約五十九億円を執行しているところであります。これが極めて最近、九年の七月に、この事業をいろいろ検討してきたところですが、県側において廃止と決定したようでございます。この費用の負担につきましては、国が負担すべき部分を除いた熊本県が負担すべき額は十七億円、それにプラス利子、こういうふうに承知をいたしております。
  116. 葉山峻

    葉山委員 御苦労さまでした。  もう一つ、具体的にお伺いをしたいと思います。今度は、農林水産大臣でなくて建設大臣からお答えをいただきたいと思います。  ことし八月、建設省が全国で六つのダム、生活貯水池事業の中止を発表いたしました。この六つはいずれも補助事業であるが、この六つの事業について、既に支出済みの補助金の扱いはどうなるのか、さらに、この六つの事業はまだ調査段階であり、補助金も単年度で支出していると思いますが、これら数年間にわたる補助金の扱いはどうなるのか、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  117. 瓦力

    ○瓦国務大臣 葉山委員にお答えをいたします。  葉山委員よく公共分野については御精通でいらっしゃいますが、改めての御質問でございますのでお答えをいたします。  中止する事業について、これまで交付した補助金につきましては、補助適化法、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律に基づき適正に扱うことといたしております。今後、各事業につき、実情に応じて関係機関等とその扱いについて協議をすることといたしておりますが、今御指摘の平成九年度から中止される補助事業につきまして、これは調査段階で中止したものでございまして、その支出目的等を適正に達成したことから、調査のための補助金の返還は求めないことといたしておるわけであります。  もう少し具体的に申し上げますと、いわゆる厳しい財政の中でございますので、ダムにつきまして、必要性、緊急性、加えて地元状況等について洗い出しをして総点検をいたしたわけであります。ダムは、御案内のとおり、川上につくりましても川下の御協力もいただかなければなりません。また、それは地域の方々の御協力もあり、環境問題等にも配慮しなければなりませんし、今申し上げたような財政的事情もございますので、中止ダム、休止ダム等を区分けをさせていただいたわけであります。  これらの調査のための補助金は、今申し上げましたように、それぞれの調査目的を達成いたしさしたので、それは返還を求めない、かような扱いをいたしておるところであります。
  118. 葉山峻

    葉山委員 お答えをいただきましたが、もう一度確認をいたします。  そうしますと、この六つのダムについての補助金については、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律によって、特にこれは十条ですね、十条を適用したということですか。どうですか、大臣大臣からお答えをいただきたい。それが一つ。  それからもう一つは、調査をしたことについては、調査費は返す必要がないと。つまり、返還することは今後ないということでいいわけですね。その点を確認します。
  119. 瓦力

    ○瓦国務大臣 葉山委員にお答えをいたします。  いわゆる適用条文は十条ではなくて十八条を適用いたしておりまして、これは国費で調査をいたしておりますし、その目的を達成いたしますれば、先ほど御説明申し上げましたように、必要性、緊急性は、財政が厳しい折でありますからそれをどういうぐあいに消化していくかということは、これは慎重に検討して決めておるわけでありますので、調査をしたという目的につきましては、今答弁申し上げておりますように目的を果たしたわけでございますので、これで、その順位に基づいて今後は財政事情をにらみながら取り組んでいこう、こういうことでございます。
  120. 葉山峻

    葉山委員 このNHKスペシャルの中でも、当時の熊本県財政課長が、この羊角湾干拓事業だけでなく、他の事業への影響考えるとみずから事業の中止を申し出ることはできなかったと発言しているわけであります。一事業の判断がその他の事業に影響を与えるというような事実のあるなしにかかわらず、まあ私はこれはよくわかるのでありますが、やはり自治体の人たちからすれば、当然こういうことでやはりお上は怖いんですよ。本当にそれは実感を持って、よほどこの分権の推進委員会の答申というのは玩味して読んでいただきたいと思うのでありますが、やはり自治体がこのように感じることがまさに、中央、地方の関係が上下、主従と呼ばれる要因なんだということを御認識いただきたいというふうに思います。  この関係を対等、協力の正常な関係に戻すためには、補助金の整理はやはり欠かせないものであります。地方の税源の偏在さから見ても適正な財政調整システムは必要だけれども、対等であるべき中央、地方間の関係の中に、補助が入ることで対等性は崩れております。地方分権推進委員会の検討を見ても、悲しいかな、委員の先生方も役所の細かい議論にのみ込まれてしまっているように印象づけられるのであります。やはりここには、政治が思い切った方針を打ち出し、補助金の整理を行う必要があると思います。  こういった点で、自治大臣及び大蔵大臣は、所管省の長としてではなく、この国の将来に責任を持つ国務大臣の一人としてどのようにお考えか、お答えをいただきたいというふうに思います。
  121. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 地方分権を推進し地方自治を確立するためには、国と地方団体の役割分担を明確にしなければなりません。地方団体の自主性を高めるよう、国庫補助負担金の整理合理化を進めることが極めて重要な課題でございます。  このため、地方分権推進委員会の勧告を踏まえまして、国庫補助負担金の整理合理化が進められるよう、各関係省庁に働きかけてまいる考えであります。  さらに、地方分権推進委員会の勧告におきまして、御指摘の長期にわたる補助事業の中断のケースを初め、国庫補助負担金の運用、関与の改革について提言をされておりますが、こうした点についても、地方分権推進委員会の勧告を踏まえ改善が行われることが必要であり、今後、各省庁に働きかけをしてまいる考えであります。
  122. 三塚博

    三塚国務大臣 自治大臣の要綱、大体それを加味しながら、返還問題が生じないようにどうするか。まあ、整理合理化を進めるべきという言葉に尽きるわけですが、それじゃそっけないですからちょっと申し上げますと、補助金等は、例えば生活保護や義務教育のように、国が一定の行政水準を維持する必要から決めておるもの、特定の政策の奨励等を遂行するため、政策手段として政策遂行の上で重要な機能を担うものとございます。  他方、補助金は、地方行政の自主性の尊重、財政資金の効率的な使用の観点から不断の見直しを行ってまいりますことは当然のことであろうと思います。よって、廃止を基本に行うもの、一般財源化できるもの、補助対象の重点化あるいは終期設定の徹底などを積極的に推進をいたしておるところでありますが、こうした整理合理化に一層努めていかなければならないものと考え、取り組んでまいります。
  123. 葉山峻

    葉山委員 ありがとうございました。  また、推進委員会の第四次勧告で、国と地方の紛争処理の仕組みができたわけであります。行政面では、国の許可、認可、承認で、国の関与に不服がある場合、第三者機関に訴えることができることになったわけであります。そこでもだめな場合には裁判による、こういう勧告が出されたことは御承知のとおりであります。  例えば、川崎市の国籍条項の問題にしても、人事の問題では、これは自治事務でありますからやはりこういう手続がとられることは御承知のとおりでありますが、自治大臣、この補助金の場合はどうですか。  補助金にかかわる許可、認可、承認についても国の関与に入るわけですね。地方自治体の味方と思って、みんな、各地方の町村長、市長は大臣に期待しているわけでありますから、大臣の積極的なこれも御答弁を願いたいと思うわけであります。
  124. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 地方分権推進委員会の第四次勧告におきまして、国地方係争処理委員会を設け、国の関与に不服がある場合、審査の申し出をすることができることとされておりますことは、十分承知いたしております。  この「審査の申出の対象となる事案は、地方公共団体に対する国の関与のうち、一般ルール法に基づく技術的助言・勧告及び報告徴収を除くものに関する係争とする。」こととされておりますが、また、「ただし、法律に特別の定めの存する場合、」はこの限りでないともされているところであります。  政府といたしましては、地方分権推進委員会の勧告を最大限尊重していくことといたしておりまして、制度のあり方については、補助金適正化との関係も含め、今後具体的な検討が進められることになるものと考えております。
  125. 葉山峻

    葉山委員 自治大臣の今後の積極的な検討を、少なくとも補助金についても、このようないわゆる推進委員会の勧告というものを最大限に尊重してひとつやっていただきたい。これは閣議決定で、最大限に尊重する、こういうふうになっているのでありますから、その点をよろしくお願いしたいというふうに思います。  次に、地方分権推進は、国民各界各層で合意されております。しかしながら、この分権の議論が、税財源の中央、地方間の再配分に関しては議論が全く進んでいないわけであります。地方自治体が地方分権推進を積極的に求めないのも、ここに一つの大きな原因があります。すなわち、事業が実際におりてきても、それを裏打ちする財源がなければ自治体は困窮するばかりであります。地方分権推進の現在のかなめとなっている地方分権推進委員会の勧告においても、この点は同様であり、その方向性が全くあいまいであります。  そこで、ちょっと自治大臣に伺いたいのでありますが、今度の勧告の中で次のように言っておりますね。  この場合、生活者重視という時代の動向、所得・消費・資産等の間における均衡がとれた国・地方を通じる税体系のあり方等を踏まえつつ、税源の偏在性が少なく、税収の安定性を備えた地方税体系の構築について検討していく必要がある。  これらの検討と併せて、地方税と国庫補助負担金、地方交付税等とのあり方についても検討を加える必要がある。 というふうにこの第二次勧告では言っているわけであります。五十七ページです。  そこで、ここでも「地方税の充実確保」、今言った「所得・消費・資産」こういうことも言っていますし、「税収の安定性を備えた地方税体系の構築」こういうふうに言っておりますが、これはどういう税を言うのか。例えば固定資産税とか住民税とか、それから消費税、これは確かに安定していますよね。  だから、これは、税についてはまだまだ大蔵省と自治省の間でもすべて合意に達したわけではないでしょうから、いろいろ論議のあるところだとは思いますし、明確に今度の場合はこの勧告は出ていないのでありますけれども、この辺、大臣の、所得、消費、資産等の間における均衡がとれた税体系のあり方、これは一体何を指すのかということ、あるいは税源の偏在性が少ない、税収の安定性を備えた地方税体系ということについてどのように考えておられるのか、伺いたい。
  126. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 お答えいたします。  事務的なことは事務方にお答えさせますが、基本的に国と地方の財源配分ですね。  我が国の行政は、法令等に基づきまして国、地方が役割を分担しておることはもう御案内のとおりでございます。委員は市長さんもされておりましたから御理解があると思いますが、その役割分担に基づきまして、最終的な支出では地方が約三分の二を受け持っておるわけでございます。これに対し、租税総額に占める地方税の割合は三分の一でございます。ここに地方財政の苦しさがございます。  この地方における歳出規模と地方税収との乖離をできるだけ縮小するという観点に立って地方税の充実確保を図る必要があることは御指摘のとおりでございますが、その一方で、地方税収は地域間に偏在するという問題がもう一方にあるということでございます。したがって、地方の財源は地方税と地方交付税を組み合わせた形で確保するという仕組みになっているものでございまして、今後、地方財政の自主性を高める見地から、地方税の充実を図りますとともに、財源調整や財源保障の役割を有する地方交付税の必要額の確保を図ることにより、地方税財源の充実に努めてまいりたいと思います。
  127. 葉山峻

    葉山委員 最後にもう一つ、わざわざお忙しい中を文部大臣もいらしていただいておりますので、一つだけ質問をします。  これから公共事業を削減していくためには、既に今ある施設が有効に活用されなければならないと思います。どの省庁の管轄の補助対象の施設にも、建設時と諸般の事情が違ってきたために現在では十分に活用されていない施設があります。例えば、東京都では区部で、小学校は子供たちの減少で空き教室がたくさん出ておりまして、東京都区部だけで、驚くなかれ一万二千の空き教室がある。  これを、何とかあいている教室を利用できないか、いや、これは目的は一条だからだめだ、こういうのが昔だったわけでありますが、それはそうではないだろうという話になってまいりまして、町田あたりですと、デイケアセンターにそれは利用してもいいとか、いろいろそういう話が出だしてきていることは御承知のとおりであります。  そこで、文部大臣にお尋ねしたいのですが、今、全国の小学校の空き教室が一体どれぐらいあるか、それから有効利用のための転用のケースにはどのような例がどのぐらいあるのか、伺いたいと思います。  以上であります。
  128. 町村信孝

    ○町村国務大臣 お答えを申し上げます。  全国で現在、小中学校、公立て五十二万の教室があるのでありますが、約一割、五万六千教室が空き教室ということになっております。  それで、その大部分は、四分の三ぐらいは特別教室、例えばLL、語学のための教室でありますとか、あるいはコンピューターの教室とか多目的教室、こういう形で使われるわけでありますが、学校施設以外の、今先生御指摘のようなデイサービスセンターでありますとか、あるいは防災用の備蓄のものをそこに置いておくとかいうような形で、現在約千二百の教室が活用を予定されているということでございまして、そのような形で今、極力多目的の利用ということで、手続もここ最近非常に規制緩和を進めておりまして、かつてはなかなかそういうのを認めなかったのでありますが、ここ最近に至りましては、それぞれの地域の教育委員会の判断で、どうぞ自由にお使いくださいというような方向で多目的利用が進められている、かように理解をいたしております。
  129. 葉山峻

    葉山委員 御答弁ありがとうございました。  わざわざ総務庁長官においでいただいて、私は実は、省庁の、十二に減らすという行革の問題と、しかし、それだけあれしてもスリムになるのかという疑問がありまして、これは地方分権を徹底しないと本当の意味でのスリム化にはならないだろうと……
  130. 野田聖子

    ○野田(聖)委員長代理 葉山さん。葉山さんの質疑時間は終了しましたので、御協力ください。
  131. 葉山峻

    葉山委員 はい。それでは、これで終わりにさせていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  132. 野田聖子

    ○野田(聖)委員長代理 これにて葉山さんの質疑は終了いたしました。  次に、矢島恒夫さん。
  133. 矢島恒夫

    ○矢島委員 景気の問題が大変重大な局面を迎えております。私は、こういう中にあって、現在提案されております財革法なるものが実施されたらどうなるんだろうか、とりわけGDPの六割を占める個人消費、これがどのような影響を受けるのだろうか、こういう問題を中心にお尋ねしたいと思います。  ことし四月の消費税の増税、あるいは特別減税の打ち切り、九月からは医療費の負担、こういう負担増というものが個人消費に大変大きな打撃を与えている。与えましたし、現在も与えている。こういう実情については、それぞれ新聞各紙が報道しておるとおりであります。朝日、毎日、日経とも、その影響が一時的でそう大きくないと見た政府の読みは甘かったとか、あるいは、九兆円の負担が予想以上の影響を与えたなどなど、国民的な常識になっている。  国内だけじゃないんですね。国際的にも、例えばイギリスのタイムズ紙、あるいはニューヨーク・タイムズやウォールストリート・ジャーナル、これらの論説やあるいは解説の中で、消費税引き上げは大失敗だった、こういうような報道もされています。  私、ここに、イギリスの有力経済紙と言われておりますフィナンシャル・タイムズ、十月の七日付を持ってまいりました。橋本首相の大変驚いたポーズが写真として載っております。そういう状況が出ております。     〔野田(聖)委員長代理退席、委員長着席〕  この中で、景気は後退した、がけっ縁にあると。中の本文の方によりますと、消費税率を三%から五%に引き上げる決定をしたとき、橋本首相と大蔵省は大失敗した、こういう中身も書いてあります。  この九兆円の負担増という国民にとって未曾有の負担が個人消費を直撃した、それで景気に重大な局面をもたらしている。そういうときに、さらに国民にあらゆる分野で新たな負担増、これを押しつけようとしている、それがこの改革法案だということが言えると思うんです。  そこで大蔵大臣にお尋ねしますけれども、この法案では、来年度予算で、現在の社会保障の制度を維持するために必要な八千五百億円、このうち三千億円しか認めないんだなどなど、社会保障を初めとして国民生活に直結する、例えば教育だとかあるいは中小企業対策費だとか、こういう予算を抑制することになるわけですけれども、これによって、国民負担増はどれくらいになって、家計と消費にどのような影響を及ぼすのか、個人消費をどの程度引き下げる影響が出てくるのか、そういう試算をしたことがありますか、あればそれをお示しいただきたいと思います。――調査したかしないかのその結論だけですから、大蔵大臣、答えられるんじゃないですか。
  134. 三塚博

    三塚国務大臣 それはありとあらゆる分析をしながらやっておるわけでありますから、矢島委員言われるように、本委員会、正確な数字をということでありましたので、政府委員と、こう申し上げたわけです。(発言する者あり)
  135. 矢島恒夫

    ○矢島委員 もう時間がもったいないので。多分やっていないんじゃないですか。だから、出てこられないのだろうと思うんですよ。やってあったら後で言ってください。  これだけのことをやろうとしているわけですよ、この財政改革の中で。それなのに、後でどうなるかわかりませんが、計算していないということになれば、景気とかあるいは経済、これに対する全く無責任な態度だ、こう言わなきゃならないと思うんです。この改革の具体的な姿が明らかになればなるほど、国民の将来への不安、あるいは生活の切り詰め、つまり、消費の抑制という方向へ行っているんですよ。  本委員会の審議でも我が党の児玉議員が質問したのですが、この法案で政府が義務的に支出する経費を削減するために、向こう三年間で医療費を初め社会保障の制度変更による多大な負担が国民にのしかかる、こういう指摘をしましたら、小泉厚生大臣、あなたが、だから大変だと言っているんだと、あのときはたしか革命的という言葉も使われたかと思うのですけれども、具体的になれば大きな反対が起こる、こういう答えをされた。これを聞きますと、国民が、この九月から医療費の負担増二兆円、これに加えてさらにこれから大きな負担が来るぞという予想をするのは、私は当然だと思うんですよ。  同時に、年金の問題での質問に対して、大臣は、給付開始年限をおくらせるか、保険料を上げるのか、あるいは給付の水準を見直すのか、メニューを国民に示しますよ、こう答弁されました。国民にとりましては、大臣が挙げられたこのどのメニューをとってみても負担がふえるということには変わりがないわけなんです。  国民に将来に大きな負担増があるぞという強烈なメッセージを送ることが、どれだけ消費を冷やすことになるのか。さらには、実際にこの負担増が行われれば、個人消費というのはどうなるのか。厚生大臣、あなたが、九兆円負担増で冷え込んでいる今日の個人消費、これをさらに冷え込ませるような強烈なメッセージを国民に送っているという、そういう自覚はございますか。
  136. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 実情を国民にわかってもらわなきゃいけないと。  今、十六兆円のお金が新規の政策事業に使われればどんなに楽だったかしれない。それを今、国民の税金の十六兆円が、ただ国債を買ってくれた、国にお金を貸してくれた人の懐に行ってしまう、来年はこれが十八兆にも及ぼうとしている、この現状をどう思うかと。現在の人だけが楽をして、若い世代にどんどんどんどんツケを回していいだろうか、限界だということで、あらゆる仕組みを変えていかなきゃならない。見直していかなきゃならない。よりよい給付を受けるためにはどうやって負担するかという給付と負担の問題、社会保障を充実させていくためにどうやって経済成長に図っていくか、そういう観点から行政改革財政構造改革、そして社会保障制度改革ということに取り組んでいるわけでありまして、その際には、いろいろな情報というものを率直に国民に提供して、どういう選択がいいかということを論議の上でしていかなきゃならないと思っております。
  137. 矢島恒夫

    ○矢島委員 今の大臣の答弁を聞いて、病院に通っているお年寄りなんかは到底安心できるものではないと思うし、働き盛りの世代が、老後の年金や医療というものに安心できるような答弁ではなかった。ますます心配はふえてくる。  そこで、私は、消費とのかかわり合いで、このメッセージは大変なメッセージだということを先ほど申し上げたわけですが、自民党の幹事長、加藤幹事長が、年金の支給開始を七十歳にすると発言し、この委員会でもそのことが質問に出ました。そのとき、厚生大臣も総理大臣も、そんなことはしませんよ、どうぞ御安心をという答弁はされなかった。否定しないばかりじゃなくて、こうおっしゃっている。財政構造改革をするためには社会保障予算を抑制する、制度維持に必要な分まで切り込む、そのために年金制度を幅広く検討する、大体こういう趣旨の答弁をされていると思うのです。  これもまた、国民にとっては、どれを選んでみても負担がふえるメニューだけなんですね。年金支給は減るかあるいは開始年限がおくれる、こういうことになりますと、自分で公的年金以外の年金積み立てをふやさなければと考えるのは当然だと思うのです。消費に回す分、これを貯蓄に回すという自助努力。もっと医療費がふえれば、これも貯蓄に回っていってしまう。大体、国民の貯蓄の第一の理由は、老後に備えるとかあるいは病気に備えるというものです。  大蔵大臣、今何かお話し中なんですが、私、大蔵大臣にお聞きしたいのですが……。  そこで、例えば、今申しましたように年金開始年限が遅くなるとかあるいは給付が減るとか、基準が厳しくなるとか、医療費の負担もふえるとか、これでは消費の支出、こういうものからどんどん貯蓄だとかあるいは社会保険料などへ回っていくわけです。つまり、非消費支出に回さざるを得ないのです、国民は。どうやったら国民の消費をふやすことができるとお考えですか。
  138. 三塚博

    三塚国務大臣 基本論を申し上げますと、国民の消費は、必要なものがありますときにふえるわけですね。それでは足らないから消費をどうやるかというと、安くてよいものができてくると、それならこの商品を買おう、あるいは消費は、買いかえということによって全体が盛り上がる、こういうことでありまして、国民消費動向は、それぞれ生活上の問題、さらに旅行等の問題等、ありとあらゆる要素を組み込んで判断をすべきものでございまして、どうやってふやすかということになりますと、ふやしていかなければならない要素が強くありますと、こういう政策的な判断が基本にあるのではないでしょうか。  個人金融資産一千二百兆ということの中で、一人一人の預貯金はばらつきがあることはよく承知をいたしております。収入の少ない人は、地道に、物を大事に使いながら他日を期していくわけでございます。そういう点で、どうやってふやすかということはトータル的な問題もあります。  それともう一つ大事なことは、いかにして収入をふやすかということで、日本経済が規制緩和、撤廃等によりまして活力が出て、経済の回転が盛んになることから給与所得が、今でも改善されていっておるのでありますが、それが改善をされていくということになりますと、消費が自然にふえていく。これは、必要によって消費がふえるわけでございますから、御理解をいただけると思います。
  139. 矢島恒夫

    ○矢島委員 そういう医療費の問題や年金の問題や、そういう状況の中でさらにこの財革が進んでいくと、さらに国民消費というものが打撃を受ける。そういう状況にある中で、景気はやはりどんどん落ち込んでいるし、特に消費の問題は、今までもここで論議されたとおりであります。  それでお聞きしたんですけれども、わかるんだかわからないんだか、私にもよくわからなかったのですが、実際には、核心は答えられてないというふうに思うんです。要するに、給料をうんと上げてどうのこうのとおっしゃいました。財革法で何とか将来を希望的に描こうとされているんだろうと思うのですが、どうもそうはならないと。  これは政府の足元から、この法案が消費を冷やしますよという指摘が出ているんですね。この七月まで経済企画庁の調整局長であった土志田さん、現在は日本経済研究センターの理事長だと思いますが、こういう談話が十月十八日の朝日新聞に出ています。「負担増宣言が消費冷ました」こういう見出しですけれども、中身として、「財政構造改革も含めて、将来、負担が増えるというメッセージばかり。この結果、消費者は不安から財布のひもを引き締めた。」こういう談話が出ています。今の大蔵大臣の答弁のように、何となく消費がこれから拡大していくような甘い見方じゃないんですね。つまり、この法案は国会に提案されただけで消費を冷やしている、こう言うんですよ。  しかも、この土志田さんといえば、今年度の政府経済見通しを実質一・九%として取りまとめた、そして消費税増税の影響は四月から六月ぐらいまでで年度後半になれば回復する、今でも政府が繰り返しているこのシナリオをまとめた当事者ですよね。  経済企画庁長官にお尋ねしたいんですが、土志田さんはこの談話の中で、局長を退官したので「自分の率直な考えを述べたい」こう言っていらっしゃるんですよ。ですから、企画庁長官長官もひとつ建前じゃなくて率直に、個人消費はどうなるのか、景気はどうなるのか、答えていただきたい。
  140. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 あえてお答えを申し上げますれば、人間として、官僚として仕事をしている以上は、日本の国のために全力で働いているわけでございまして、官僚の時代と官僚をやめた時代と意見が食い違うということは、ある種の二重人格ではないかと思っております。  それから、先ほどのお話のとおり、イギリスのフィナンシャル・タイムズで、日本の消費税五%への引き上げが失敗であるというような記事が出ていたというお話がございましたが、私の記憶しているところによりますれば、イギリスは消費税が約二〇%前後でございまして、そういう国の新聞がそういうコメントを出すことは、私にはよく理解できないところでございます。  そこで、経済の現状、消費動向でございますが、先ほど来お話がございました消費税の引き上げに伴います駆け込み需要が、建設関係、住宅建築の関係、それから消費の関係、相当深いものがございまして、これは予想外のものでございました。政府だけでもなしに、大方の評論家の予想外の高い駆け込み需要がございました。その反動がまた予想外に高かったわけでございまして、四月―六月以降非常に大きな反動があって、GDP二・九%マイナスというような数字が出てきたところでございます。  そういう中で、消費が予想しているほど伸びていない。それは、賃金所得にいたしましても雇用にいたしましても、対前年比でやや伸びているわけでございますが、それにしても消費が予想しているほど伸びていないという実情もございます。これはGDPの六〇%を占めるものでございますので、景気の現状、回復基調にはあるというものの足踏み状態にあると申し上げておりますが、これの大きな要因になっていると考えております。  これは、一つには経済の将来に対する信頼感といいますか、コンフィデンスが低くなっているということでございまして、一つは、規制緩和をし、民間需要を中心とする経済活力の活用によりまして日本経済全体を活性化させる、そして、それによって所得をふやし、雇用をふやしていくという展望をしっかりとして開くことが大事なことであるというふうに私は考えている次第でございます。  社会保障の関係は厚生大臣の所管でございますが、私は、少子・高齢化の中で、支えられる人の数が相対的に大きくなって支える人の数が相対的に小さくなるわけでございますから、給付と負担の関係については今までよりも厳しい状況になることは確かであるという、その厳しいことを国民全般の皆様に認識をしていただくことからスタートしなければならないと考えております。  そういう中で、しかし一体どういうことになるんだという展望を、正直な展望をしっかり示して、国全体として方向づけをする中で生活設計が若い人もお年寄りも立てられる、そのことによってまた将来の生活設計が立てられるということで、ある種の見通しが立ち、安心感も生まれて消費も活性化してくるのではないかと考えている次第でございます。
  141. 矢島恒夫

    ○矢島委員 あえて申しますがと言いますから、私もあえて申します。  大体、土志田さんの文章については、私、ニュースを持ってまいりました。それから、フィナンシャル・タイムズもあります。私はこれを引用したわけであって、私が怒られる筋合いのものじゃないのですよ。それと同時に、あなたは二重人格と言いましたよね。これは取り消された方がいいのじゃないですか。(発言する者あり)
  142. 中川秀直

    中川委員長 静粛に願います。
  143. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 委員長、二重人格という表現が不適切であるということならば、取り消させていただきます。  ただ、現職中と現職をやめた後で言うことが違うということについては、私は、自分は一人の人間として納得できないということでございます。
  144. 矢島恒夫

    ○矢島委員 今、景気の現状についてお聞きしたわけですが、大体私はずっとこの委員会に出席しておりますから、長官が繰り返しておられる内容というのは大体変わっていないと思います。その中で、気になる点が一つある。それは、勤労者の所得、これが、前年比でどのくらいという数値をおっしゃったときもあるし、言わなかったときもありますが、二%前後ぐらいかと思いますが、ふえたというところなのです。勤労者の所得が前年度比で上昇している、だから消費者の、前の答弁の言葉ですが、そこそこという言葉をお使いになっておる、そこそこだ、こう言っていらっしゃるのです。  それでは長官、消費税の増税があった四月以降、勤労者の実質賃金がどうなっているかお示しいただきたい。
  145. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 先ほど私が申し上げましたのは、ことしの八月の対前年同月比の話でございまして、雇用者数は八月の段階で五千三百七十七万人、対前年同月比で四十七万人の増加であります。率にいたしまして〇・九%の増加であります。  それから、一人当たりの雇用者所得は、同じ期間をとりまして一%の増加でございまして、雇用者の所得は八月現在で対前年同月比にいたしまして一・九%の増加というふうに理解をしております。
  146. 矢島恒夫

    ○矢島委員 私はここに、月例経済報告、これは企画庁が出しているものですね、これを持ってきているんですが、事務方でいいです、実質賃金、四月以降、今長官が答弁されたのと同じかどうか、ちょっと調べてください。
  147. 新保生二

    ○新保政府委員 長官がおっしゃられたとおりであります。名目賃金と雇用者の伸びを合わせて、四―八月で前年比で二・八%伸びております。
  148. 矢島恒夫

    ○矢島委員 実質賃金が前年同月比でどうなっているかということを聞いているのですよ、私は。
  149. 新保生二

    ○新保政府委員 物価上昇率が大体二%前後ということですから、二・八から二%引きますと、実質の雇用者所得、これは大体〇・八ぐらい伸びておるということでございます。
  150. 矢島恒夫

    ○矢島委員 労働省が出している毎月勤労統計調査、これは労働省の方ですけれども、それを実質賃金の部分で経企庁は月例経済報告として載せている。言いますよ、違っていたらちゃんと言ってください。長官も聞いていてください。四月は実質はプラス・マイナス・ゼロです、前年同月比。五月がマイナス〇・一、六月がマイナスの一・四、七月はプラス〇・三とわずかプラスですが、これはボーナスの支給が六月から七月にずれ込んだためだ。これを見ても勤労者の所得に、ボーナスが六月に出ないで七月にずれ込んでしまったというのですから、これもいい材料ではない。八月、速報値でマイナス二・五、こういう数値が出ている。実質マイナスではないですか。
  151. 新保生二

    ○新保政府委員 お答えします。  長官が申し上げた数字と先生が使われた統計と別でありまして、実質賃金は御指摘のようにさっき言われた数字でありますが、ただ一点、八月はこの速報値の後、確報値が出まして、名目はマイナス〇・四からプラス一・〇に上方修正されておりますから、そこは変わっておるということでございます。
  152. 矢島恒夫

    ○矢島委員 結局、八月部分については確定値が出た後変化はしているとしてもですよ、私が申し上げた数値については、これはやはり認めているわけですよ、実質賃金という部分については。それを聞きたかったのですよ。ほかの数値を一々持ってきて、何かプラスの材料を一生懸命見つけて答弁してもらうと困るのです。  雇用者、ふえていますよ。企画庁長官、雇用者の問題を取り上げられました。四月から八月で一・三%ぐらいふえている、こういう状況、これは確かですよ。しかし、九三年、いわゆる谷、政府が、企画庁も、景気の谷だと言ったときです、あのときの雇用者数は前年度比で一・四%増になっているのですね。しかし、それは景気の谷だぞ、こうなったわけです。今一・三です。ですから、そんなに安心できるような数値じゃないことはおわかりだと思うんです。  それからもう一つ、足元の雇用回復だけじゃなくて、雇用拡大の持続性というものが国民の消費マインドに大きな影響を及ぼすわけですよね。先行きの雇用不安というものが消費に対していろいろと影響を及ぼしてくるんですよ。  この労働需給の先行指標となるところの新規求人数の動向というのを労働省の資料で見ますと、急速に減少しているんですよ。例えば、一月から三月は前年度比で一二・七%増だったんですよ。ところが、四月から六月になりますと八%に減るんです。六月から七月になりますと二・六%と減少しているんですよ。まさに、将来の見通しとして大丈夫だろうかという心配をするのは、これは当然なんですよ。  長官、実質賃金が先ほどの答弁にもありましたように、私が言っているのは実質賃金ですよ、四月から連続的に前年度比を割ってきました。こういう状況をどうとらえるかということが問題なんですね。  実質賃金が年間で対前年度比を割ったのは、最近ではといいますか、近いところでは、一九九二年と一九九三年にあるんです。平成四年と五年ですね。その平成五年のとき、経企庁は、景気の谷としているわけですよ。これは前年度比を割っているんです。それ以来、緩やかな回復を続けているという言い方をずっとしていました。  ところが、ことしの四月以降、先ほどの確認にもありましたように、実質賃金は連続的に前年度割れが起きているわけですよ。しかも、九月はもちろんまだ出ていないんです、この今使っている統計はね。九月というのは、九月一日から医療費負担が課せられました。実施されたわけです。さらに二兆円の特別減税の打ち切りのうちの冬のボーナス分、これもこれからかけられてくるわけですね。ですから、消費者の懐にはこういうこれからの負担というのが響いてくるんですから、プラスになる材料、実質賃金がですよ、プラスになる材料というのがないんですよ、今のところ。  勤労者の可処分所得が落ちるマイナス要因というのははっきりしているわけです。そのもとで、実質賃金、これが連続的に低下するということは、まさに景気に対する重大な警戒信号だと私は思うんですよ。前の、平成の四年、五年の時点と比べてみれば、やはりそういうことが言えるんじゃないか。いかがですか。
  153. 新保生二

    ○新保政府委員 お答えします。  四月以降、実質賃金が若干マイナスの月が出てきておるというのは御指摘のとおりでございます。これにつきましては、一つは、物価上昇率が消費税引き上げのために上がっているということが非常に大きな要因になっております。  ただし、御承知のように、雇用の方も拡大しておりますし、それから企業収益、これがボーナス等を通じて賃金に相当はね返ると思いますが、このボーナスの背景となる企業収益についても、日銀短観等で見ますと下期にかけて若干ながら回復するという見通しになっておりますから、今後どんどん悪くなっていくファクターばかりではない、そういうふうに考えております。
  154. 矢島恒夫

    ○矢島委員 毎度毎度、経企庁、いろいろなことで訂正しなきゃならないことが今までも出てきました。甘い見通したということを私は指摘しておきたいと思います。  いずれにしろ、盛んに、何とか経済というものはこれから持ち直していく、あるいはそういう方向でそれぞれ、大蔵大臣そのほか頑張っていらっしゃると思うんですよ。しかし、現実の問題として消費を拡大する方向には向いていない。むしろますます庶民の懐は冷え込んでくるという状況、こういう新たな国民負担増がある。やはり消費税によって大変な状態になったわけですが、負担増、これは大失敗だという指摘をやりましたら、あえて企画庁長官言いましたけれども、そういう失敗を認めたくないとか、あるいはさらにもっと新たな国民負担を押しつける今度の法案、こういうものを何とか言いくるめて負わしていこうとしか私は考えられないのですよ。やることがまず正反対だと言いたい。  社会保障というのは個人消費に非常に直結しているわけですね。例えば、厚生省の年金局がこの十月につくったモデルがあるわけですね。そのモデルを見ますと、夫婦二人の高齢者世帯で夫婦とも職についていない、年金が主要な収入です、その世帯の消費のための支出は総収入の七五%にもなっているわけですね。現役世代よりはるかに高いのです。つまり、現物支給であれ現金支給であれ、社会保障の給付のかなりの部分が個人消費に直結しているのです。ですから、これを削れば個人消費は確実に落ちるわけですよ。  大蔵大臣、個人消費というのは、先ほど来出ていますように、GDPの六割を占めている。その回復なくして景気の回復もない。将来にわたって個人消費が伸びていくという方向を明確にすること、先ほどいろいろお話しになりましたが、非常にわかりにくい。国民が、なるほど、これならば将来消費は伸びていくんだなと確信を持つような、そういうようなことを国民の前に示すことが今必要じゃないですか。
  155. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 個人消費がどうなるかという話でございますが、いずれにいたしましても、来年度予算編成の閣議決定をする段階で、あわせて政府として、全体としての経済見通しをお示しすることになると思います。個人消費は、やはり経済状況、雇用者数だとか、あるいは賃金のアップ状況とか、そういう全体の中で決まっていくわけでございます。  いずれにいたしましても、予算との関連では、予算の閣議決定の段階で、来年度の経済見通しの中で個人消費の姿をお示しすることになると思います。
  156. 三塚博

    三塚国務大臣 段々のお話であります。  全体の経済は、経企庁長官から言われましたとおり、私の判断も変わっておるわけではございません。民間需要を中心に回復の基調は続いておると考えられるわけでございます。こういう中で、雇用にしろ、所得にしろ、いろいろ論戦がございましたけれども、個人消費の回復テンポも緩やかではありますが進んでおる。百貨店、スーパー等、コンビニ等の消費指数は、ここ確実に伸びておりますね。  そういう点など一例申し上げましたが、そういう中で、消費者が、にもかかわらず財布のひもがかたいのではないかと各報道の御指摘などもございました。これは経済の先行きに対する不透明感を抱いておりますため、懐はある程度豊かであると思われます、それが必ずしも消費に結びつかない要因になっております。経済の成熟化に伴いまして、一般的な耐久消費財の普及率は高くなってまいりました。同時に、新規財購入から買いかえ需要への移行ということで、目いっぱい買いかえの時期をキープする、長く持つ、こういう意味でございます。そういうことの消費の構造の変化が生じておりますことはお感じいただけると思います。  このように個人消費を初めとする我が国経済の回復に力強さが欠けておりますのは、基本的に構造的な問題のあらわれではないのかというふうに考え、先ほど規制緩和の話も申し上げましたが、これらの経済構造改革等を、真剣にただいま取り組み、前倒しをしながら行動を起こし、実行しておるわけでございますから、経済の先行きに対する不透明感も霧が晴れて明るくなると思っておりますし、そのことによって民間需要中心の持続的な成長が達成される、この見解をまたこの時点においても改めて申し上げさせていただきます。
  157. 矢島恒夫

    ○矢島委員 私の質問は、個人消費が伸びていくという方向を明確に示すということであったわけです。それに対して、依然として大蔵大臣も、懐は暖かくなっていると。  実質賃金の関係でいえば、またそこへ戻しませんけれども一言だけ言っておきますと、やはり可処分所得、消費に向かうのは。名目賃金じゃないんですよ。だから、可処分所得、つまり実質賃金はどうなっているかというのを見なきゃだめなんで、そういう点のごまかしをしないでもらいたいということが一つと、それからもう一つ、盛んに今、財政構造改革を行っていくことによって将来の、何か希望ある未来をつくりたい、つくりたいということでの御答弁がいろいろあったわけですが、この構造改革こそさらに破綻の道を突き進むんだということを私は指摘したいんですよ。  橋本内閣が財政構造改革元年度予算、こう位置づけた今年度予算で、九兆円の負担増を国民に押しつけた。この結果、深刻な個人消費の不振が起こる、実質賃金は連続的に低下している。この上に国民負担増の追い打ちをかけたらどうなるか。さらに消費は落ち込んで、景気が失速し、税収は不足する、そういう事態になったときに、また新たに国民負担ということを考えなきゃならない事態が起こる。つまり、悪循環をどんどんどんどんしているんですよ。これを断ち切らなきゃいけないんですよ、構造改革と言う以上は。浪費構造にメスを入れろということや、あるいは公共事業の浪費を削れ、こういうのはもう国民的な常識になっているわけですね。  例えば日経新聞の十月八日付の社説などでは、公共事業を野放しに拡大し、その結果多くのむだな投資を招き、公共投資のGDP比が欧米先進国の数倍にもなる土建国家ができ上がったということを言っております。  先ほど挙げましたイギリスのフィナンシャル・タイムズ紙は、これは十月二十二日付ですけれども、膨大な量の不経済な公共事業がまだ残っている、これをなくすときだとも言っている。国際的にもこの公共事業の浪費というものが指摘されるまでになっているわけです。  ところが、この提案されております法案では、第十五条でしたね、公共事業についてわざわざ、当該各計画に定める事業量を変更することなくと、こうしているわけですよね。総事業量は減らさずに、計画を数年延長をするだけというわけでしょう。構造改革などという言葉はまことにおこがましいと私は言わなきゃならないと思うのです。  大蔵大臣、やはり財政赤字、これを何とかしなきゃならない、これは私たちもそう思いますよ。問題はやり方なんですよ。破綻をつくった浪費にメスを入れる、社会保障は守る、そういう方向で構造改革をやるということを明確にしてこそ、私が先ほど来申し上げている将来への不安、こういうものがなくなって、消費が上向いていくんじゃないですか。いかがですか、その考え方は。     〔委員長退席、甘利委員長代理着席〕
  158. 三塚博

    三塚国務大臣 ここのところが委員と違うところなんです。委員は、負担を少なくするための努力をしなさいと。もちろん、歳出カット、この構造改革法においてもやることにしておりますですね。  同時に、そのことは、今日の税収が一般会計全体を満たす税収でございませんから、足らず前の十六兆七千七十億円は国債費でありますから、改めて公債を発行して元利を支払っていかなければなりません。七十七兆三千九百の一般会計予算を組みながら、一般歳出は四十三兆八千というところに絞られてくるわけでございますから、そういうことを毎年繰り返していくということでありますと、国債費が上積みになり、同時に利子負担がふえてまいりますね。そのことが、究極のGDP五百二十兆と匹敵するところまで国、地方の債務の総計が相なりました、もうこれは限界です、借金をしながら取り進めてまいるよりも、この際国民の皆様方に御負担をおかけします、この際国民の皆様に御苦労をいただきますと。  こういう辛抱をいただくことの中で、集中三カ年、ここのところを努力をすることによりまして、財政が健全化することによりまして持続的安定成長の経済が実現をし、国民生活の安定にこれが貢献する、こういうことでありますので、よろしくひとつ御理解を得たいと思います。
  159. 矢島恒夫

    ○矢島委員 財政再建のやり方について、私たちは、もうさきの通常国会で私たちの財政再建十カ年計画というのをお示しして、だから、私と大蔵大臣との違いというのはそれを比べてみていただければはっきりするわけですけれども、この財政をどう立て直していくかというやり方については私たちも示しているわけなんですよ。私たちは、その方向こそ国民の願う方向だと考えております。  さてそこで、今の大蔵大臣の答弁を聞いておりますと、やはり、財政を立て直すんだ、立て直すんだという方向で、経済とか景気、こういうものに対しては全く無責任な答弁だと思うんですよ。国民の負担をふやすことで財政の穴埋めをしようという道では、景気は失速する、財政不足の状況になる、また負担増になる。悪循環に陥る。このことは、我が党の志位書記局長がさきの通常国会で、九兆円負担増になる、日本経済のかじ取りを根本から誤らせるものだ、こう質問の中で指摘しました。  この法案による新たな負担増というのは、この四月の段階での国民への九兆円の負担増、こういうかじ取りの間違いに加えて、さらに間違った方向にかじを切ることになるんだ、個人消費の落ち込みと、景気が重大な局面を迎えているときにさらに個人消費を抑え込むような中身なんですから、日本経済に大きな打撃を与えるということを指摘いたしまして、残り時間が少なくなりましたので、次の質問へ入ります。  今、当面こういう状況にあるという日本の経済の状況についていろいろやりとりしました。中長期的に見たときにも、この医療とか福祉とか社会保障というのは将来にわたって国の経済に大きな影響を与えるという点で質問したいと思うのです。  そこで、雇用の問題について労働大臣にひとつお伺いしたいのですが、一昨年十二月に閣議決定しました新経済計画というのがあります。ここでは、九三年から二〇〇〇年までに新規雇用が展望される四百二十一万人の雇用のうち、医療、福祉部門で約百十四万人とされているわけです。  労働大臣、やはりこの医療とか福祉の分野というのは、我が国の雇用を支えていく、こういう部分でも重要であるし、同時に、二十一世紀に向かっての新たな雇用創出、こういうものにも大きく期待される分野だと思うのですけれども、どういうふうにお考えでしょうか。
  160. 伊吹文明

    ○伊吹国務大臣 先生がおっしゃった基本認識と私の考えは共通をしておると思います。  その後、政府では、ことしの五月十六日に閣議決定をいたしました経済構造の変革と創造のための行動計画というのがございます。この中では、現在の医療、福祉分野の雇用の規模が三百四十八万人、これが二〇一〇年には四百八十万人となる、百三十二万人の増加でございます。したがって、先生の御指摘は私は正しいと思います。  ただ、我々は、統制経済や、失礼でございますが、社会主義、共産主義の世の中で現在の日本は動いておるわけではございません。市場経済と自由社会で動いております。したがって、この原理原則の中で今おっしゃったような医療、福祉、介護の分野の雇用をしっかりと支えていくためには、大変つらいことだろうと思いますが、医療、社会保障の改革を含めて、また、今お願いしておる介護保険等の審議を通じて、これらの仕組みがうまく動いていくようにしなければ全体としてはならないと思います。その中で、労働省としては、職業訓練やいろいろなことを通じて、先生がおっしゃったような方向に持っていけるように最善の努力はさせていただきたいと思っております。
  161. 矢島恒夫

    ○矢島委員 労働大臣もあえて言って、社会主義だ、共産主義だと、統制経済の問題まで持ち出してきましたけれども、私たちがどういう将来を目指しているかということは労働大臣御存じの上で言われたのだろうと思いますので、時間の関係で、あえてその辺のことについてのやりとりはやりませんが、今日の厳しい雇用情勢のもとで、医療あるいは社会福祉、それらの常用雇用指数というものを見てみますと、大臣お話しになりましたように、着実に前進しているんですね。ちなみに、よくリーディング産業と言われる情報通信産業の雇用ですが、これはほとんど伸びていないんですね。雇用総数に対して占める割合を調べてみますと、九〇年から九五年にかけては、この情報通信分野では七・六%から七・三%へと、むしろ後退しているのです。  企画庁の経済審議会行動計画委員会の医療・福祉ワーキング・グループ報告書が十月九日に出ています。ここには、医療、福祉の分野への民間の参入が今後広がることを前提にしつつ、そのためにもというのでこんなふうな文章があります。「現在でも「福祉は経済を傾ける」といった論議が見られるが、」「福祉には日本社会を支える面があり、経済的側面を多分に有することを積極的に評価すべきである。」こういうようなことも出ております。この分野は日本の雇用を将来にわたって支えていく非常に重要な柱である、こういうことが言えると思うのです。  先ほど来、民間活力の問題がいろいろ出てきております。この分野で民間活力との兼ね合いを見ますと、この法案によって民間事業にもいろんな影響を及ぼすことになる。もちろん年金の給付を削減する、あるいは医療費の支払いをふやす、そういうベースで医療、福祉というものをどんどんどんどん後退させていく。  そうすると、幾ら規制緩和で民活だ民活だと言っても、この福祉の分野でいうならば、高齢者あるいは高齢者を支えている勤労世帯、こういうところに民間の福祉サービスを受ける力を弱めてしまうことになる。それはそうですよね。一定の、福祉関係やそのほかに対する一つの家計の中に占める割合がある。ところが、民間サービスに回す支出を、公的ないろんな負担増やそのほかで食ってしまうわけですから、民間の方は狭まっていく。  それだけじゃないのですよ。実態として、多くの民間福祉事業というのは大体公的な福祉と一体になってやっていますね。給食サービスにしろあるいは入浴サービスにしろ、いろんなデイサービスそのほか、全部大体民間がやっているけれども、公共的な部分と一緒にやっている。この公的部分を削られると民間も伸びるという関係には私はないのじゃないかと。むしろ、そういう一緒にやっている部分が後退していくのじゃないか。特別養護老人ホームなども、公的な助成やあるいは土地の手当てなどをきちんとやる県、充実している県、こういうところには民間の法人も進出しやすくなっていますね。ですから、そういうところでは。それをベースにした民間独自の事業もまた展開されていっています。  そこで、企画庁長官、この法案によりまして社会保障制度を次々と後退させるわけですね。医療、福祉の分野、これは成長産業として新しい雇用を創出する分野だということも、先ほど私と労働大臣とのやりとりでわかったと思います。どうもここでこの部分に大なたを振るうということは、そのこととも矛盾するのじゃないですかね。いわゆる新しい雇用、成長産業、これを育てていくというのと今度の法案の中でやろうとしていることとは矛盾する。この面での悪循環が起きないでしょうか。
  162. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 この社会福祉の分野におきましても、民間の活動を、サービスの供給産業といいますか、サービス産業の中に入れ込んで、今までのパブリックセクターでやっておりました部分を将来はかなり民間の事業活動によってやっていただく、そのことをいろいろな意味の規制緩和で実現をしたいというふうに考えておりまして、この分野は民間活動、そしてまたそこで雇用をふやす大きな分野であるというふうに考えております。
  163. 矢島恒夫

    ○矢島委員 私が指摘したように、公共的な分野と民間的な分野は、この福祉関係ではいろいろつながりを持った形で今進んでいるわけですよ。ですから、片方を、公共的な部分が落ち込んでいくと、その分は民間の方でどんどんこれから進んでいきますよと簡単にならないという点を私は指摘しておきたいのです。  そこで、時間の関係もありますので、公的な負担増が将来の日本経済の不安定要因になっているということは、今年度の経済白書でも指摘していますね、企画庁長官。この中で指摘していますよね、今私が言った、公的な負担がふえるということは将来の日本経済の不安定要因だと。  それでどんなふうに言っているかといいますと、この白書の中で、中長期の日本経済の問題という部分があって、三つの弱さが出てくる可能性を挙げている。  その第一に、次のように述べているんです。家計が経済の先行きへの不透明感や雇用不安、公的負担増への懸念等から我が国経済の将来への信頼感に乏しく、消費にも慎重になることである。そうなれば将来的な景気上昇の持続性に常に懸念が残ることになる。 つまり、家計が、雇用不安やあるいは公的な負担増のそういう懸念から消費に対して慎重になる、将来にもこの懸念というのは残っていく、大ざっぱに言えばそういう指摘です。  そこで、大蔵大臣、この財政構造改革法なるものは、私は思うに、赤字が大変だ、大変だ、そのとおりになっていますよ。ところが、赤字をつくった原因にメスを入れなきゃいけないんですよ。そうしないばかりか、その原因を国民にすら示していない。聖域なし、こういう名目で医療や社会保障など……
  164. 甘利明

    ○甘利委員長代理 矢島君、質疑時間が終了しております。簡潔にお願いします。
  165. 矢島恒夫

    ○矢島委員 はい。  少子社会を迎えるんだからもう必然だ、こうなっている。この路線というのは、中長期的にも景気上昇の持続性に常に懸念をもたらすものではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  166. 甘利明

    ○甘利委員長代理 三塚大蔵大臣。  質疑時間が終了しておりますので、簡潔にお願いします。
  167. 三塚博

    三塚国務大臣 原因と言われましても、経済政策、その年々、財政運営の中でベストを尽くして行ってきたと言えます。今後、中長期的にこの財政構造改革に盛られた基本を実践していくことによりまして活性化し、日本経済の持続的経済成長、国民精神、国民生活の安定がもたらされると考えます。
  168. 矢島恒夫

    ○矢島委員 時間になりました。  私たちは、国民生活に重大な影響を及ぼす、財政再建、こういうものにも逆行するのがこの法案だと思います。法案の撤回を求めて、質問を終わります。
  169. 甘利明

    ○甘利委員長代理 これにて矢島君の質疑は終了いたしました。  次に、中川智子君。
  170. 中川智子

    中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子でございます。  きのうは十月二十六日、日曜日で、日本のあちこちで選挙がございました。三塚大蔵大臣の御出身であります宮城県でも選挙がございました。あの浅野史郎知事が、いわゆる大政党の二倍ほどの票をとって大勝いたしましたが、それに対する率直な御感想と、浅野史郎さんはどのように、どのような形で選挙資金を集めたかというのを御存じかどうか、ちょっとお願いいたします。
  171. 三塚博

    三塚国務大臣 選挙の結果は、謙虚に、厳正に受けとめ、今後の政治活動、政党活動に生かしてまいらなければならないと存じます。  浅野さんは、カンパということでやられたと承知しております。
  172. 中川智子

    中川(智)委員 その生かすということの中身を伺いたくてちょっと質問をしたのですけれども、カンパも、お一人お一人百円をまず集められました。そして、ときめき宮城・夢実行委員会という会員になるのに三千円集められて、そして、今でも三千万を超えてどんどんどんどん個人のカンパが集まっている。  やはり私は、企業・団体献金の即刻禁止ということを声高らかに、佐藤孝行さん以来、社民党としては皆さんに、特に自民党に、またほかの政党にも訴え、早く実現したいなと思っておりますけれども企業・団体献金をやはり今のような形で受け取って、そのお金で選挙をするということが、もはや宮城県では崩れてしまった。市民の一人一人のお金自分自身が出して、そして労力も提供してボランティアで頑張って、私たちが出したい人が出ていく、そのような人に政治を任すということで政治の信頼というのが回復されるのではないかと思いますが、企業・団体献金に絡みまして、大蔵大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  173. 三塚博

    三塚国務大臣 企業・団体献金は、御案内のとおり平成六年改正をされ、施行後五年、さらなる対応を規定されております。  議員も御承知のとおり、本年九月三十日、政治倫理等に関する三党確認において、政治資金規正法附則九条及び十条については、その趣旨を確認し、平成七年一月施行の実施状況を十分見きわめ、入念な検討を加えて、今国会中の合意を目指す、こう明記されておるところであります。政治資金は政治団体の基本的なものでございますから、多くの国民各位から献金をいただく、法律に基づいて適正に処理をし開示をしていく、こういうことであります。  宮城県でボランティア及び大衆献金、ボランティア献金と言っておりますが、それを基本にするのかということでありますが、それはそれで、それぞれの政治家の信念において行われるものでございます。ああいうスタイルが定着をしていくということは、よいことであるだろうと思っております。
  174. 中川智子

    中川(智)委員 宮城県民はすごいなと思いましたので、ぜひとも、大蔵大臣もあのような形で次の選挙は取り組んでいただいたら結構かと思いまして、アドバイスをさせていただきます。  次に、私が去年選挙で回っていましたときに、一人の子供の言葉が今でも焼きついて離れないのですけれども、おばちゃん、おばちゃんと中学生ぐらいの子が寄ってきまして、おばちゃんがもしも国会議員になったら、ぜひとも今の消費税が、自分たちの本当に少ないお小遣いでお菓子を買うときにも消費税を払わなければいけない、そしてジュースを買うときにも払わなければいけない、そして、とてもその子は本が好きなんだそうです、でも本屋さんにお金を持って行くと、消費税がこれだけかかるよと言われて、あきらめて帰ってくることもあると。  やはり、今国民の財布のひもを少しでも緩めるには、食料、飲料費には特にそれに対して消費税をかけないという英断こそが、国民の消費の冷えを緩やかにして、もう少しみんな元気になってこの国の活力が生まれてくるのではないかと、私はきのう夕飯のおかずをスーパーに買いに行って、つくづくそのことを痛感したのでございますが、大蔵大臣、いかがでしょうか。
  175. 三塚博

    三塚国務大臣 中川委員も、消費税の仕組み、よくおわかりであろうと思います。そういう中で、簡素、公平、中立という税制の一つのモデルとして国民各位に理解をいただき、導入をされたと思っております。  そういう中で、今後これに対する措置を何らかの形で、特に今飲食品等の問題が具体的に出されましたけれども、非課税範囲の拡大ということなんだと理解してよろしいですね。まだそこまででいいですね。(中川(智)委員「そうです」と呼ぶ)これから質問があるでしょうから、まあ前段はそれくらいにさせていただきまして、終わらせていただきます。
  176. 中川智子

    中川(智)委員 大蔵大臣に後でまた一つ大事な質問がありますので、気を緩めないで、しっかり参加しておいてくださいね。  それでは、次に小泉大臣に伺います。  このごろ厚生委員会も開かれないで、郵政三事業でお忙しそうで、とても寂しいのですが、厚生大臣にぜひとも伺いたいのです。今の大蔵大臣のように、法律に適して処理しているという言葉ではなくて、別のお答えで、しっかりと、格好よく、勇ましいお答えをいただきたいのです。  私は、与党の医療協議会で、ずっとことし参加して、つくづく思いました。もう医療の抜本改革はひもつきではできないということを心から思いました。医師会、薬剤師会そして医薬品メーカーの政治献金を受けていたら絶対に抜本的な医療改革はできないと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  177. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 政治活動にどのような資金が必要か、旺盛な政治活動を支えていくための資金は国民がどのように提供していくかということは、大事な問題だと思っております。  そこで、私は、どの政治家も、一定の額、個人であろうが、企業であろうが、あるいは団体であろうが、その政治献金を提供する際に、お金によって政治信条がゆがめられることのないような一定の基準を決めていると思うのであります。その一定の基準をどのようにするか、そして、民主主義ですから、全部税金で政治資金を出せというのではなくて、個人においても、団体においても、企業においても、それ相応の献金を政治家がどのようにして受けるかというのは、私は議員の間でも議論すべき問題ではないかと思います。そして、余り多いと、そんな多額の献金によって政治信条がゆがめられるのではないかというようなおそれのあるような多額まで許すということにはなっていないものですから、だんだんだんだん上限が下がってきているのだと思います。  私は、現在の企業献金においても、それぞれが疑いを持たれることのないような、政治資金規正法にのっとって処理し、そしてその政治信条に従って行動する節度が要求されているということで、これから政治資金規正法の改正というのは、現状でいいのかどうか、あるいは改める点ほどこかというのは、国会、政党会派でよく議論をしていただきたいと思っています。
  178. 中川智子

    中川(智)委員 やはりお金のかからない仕組みというのをまず考えていくべきだと思います。そして、一人一人が責任を持って、個人としてメディアなどを使ってやっていくべきだと私は思います。  それと、それに関連いたしまして、毎日、新聞をにぎわしているのは、総会屋さんの記事と、もう一つは医療機関の不正請求。やはり病院が一方では非常にむだな形で患者からのお金を本当に不正にどんどん取っていくという物すごいアンバランスが、これだけ私たちに負担を強いているのに一方ではこんなということで、それが国民の政治不信に結びついているということを強く思うのです。  医療のむだを省くためにも、まず審査チェックというものにしっかりと早急に取り組むべきだと思いますが、そこに対して、小泉大臣、なるべく短くお願いします。
  179. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 今、医療費の不正請求問題については与党の協議会でも審査、協議していただいています。その議論を踏まえながら、当然、むだを省くあるいは不正をなくしていくという観点から、鋭意取り組んでいきたいと思っております。
  180. 中川智子

    中川(智)委員 大体聞いたようなお答えばかり返ってきてとても寂しいんですが、では、次に参ります。  二〇〇五年に、「新しい地球創造 自然の叡智」をテーマにして、愛知国際博覧会が瀬戸市で開かれようとしています。その会場の候補地となっている、海の上の森と書いて海上の森と言うんですが、海上の森に十月十日に社民党の調査団のメンバーとして入り、そこの森をゆっくりゆっくり歩いてきました。本当に無数のトンボが飛んでいまして、またサワガニが歩いていて、鳥のさえずりがずっと聞こえていて、きれいな水が流れていて、すばらしいところでした。もう私は、国会みたいな、あれですね、急にとても環境が違いまして、国会もいい人がたくさんいるので楽しいのですけれども、やはり自然に触れまして、私は、ここをどうして会場にしたのかと本当に不思議で不思議でたまりませんでした。そして、愛知県には、広大な干拓地や公園、あと操車場跡とか、またグランドキャニオンと呼ばれる陶土の採掘跡などいろいろあるのですけれども、まず最初に海上の森ありきということで万博会場にしました。  そこで、通産大臣に伺いたいのですが、なぜ海上の森に決めたのか。――ごめんなさい。小泉大臣ではありません、最初に通産大臣に伺いたいのですけれども、海上の森にどうしてなったのかというところの御答弁をお願いいたします。
  181. 堀内光雄

    ○堀内国務大臣 お答え申し上げます。  現在の主たる会場候補地であります瀬戸市の南東部というのは、長期的な町づくりや交通アクセスの観点等を総合的に勘案しまして、平成二年に地元において選定をした地区と認識をいたしているところでございます。  この点に関しましては、平成六年の三月から平成七年の十二月にかけて、愛知県、県内八十八市町村及び近隣の県から、現金場候補地を前提とする博覧会の誘致決議が出されてまいりました。こうした動きを踏まえて、政府といたしましては、平成七年十二月に閣議了解をいたしまして、当該地区を主たる会場候補地として、「新しい地球創造自然の叡智」をテーマとする二〇〇五年の国際博覧会を開催することとしたわけでありまして、その手続を進めることになったわけであります。  これらを受けまして、平成八年の四月に、BIEに対して愛知県での国際博覧会開催を申請をいたしまして、今年六月のBIE総会におきまして、国際的に圧倒的な支持を受けて開催が決定したということでございます。経過でございます。
  182. 中川智子

    中川(智)委員 平成七年の十二月十九日の村山内閣の閣議了解では「会場候補地の自然環境の保全に十分に配慮するとともに、会場候補地の環境問題への対応を含め、地元での継続的な対話・意見交換等を通じてより一層の合意形成に努めるものとする」とありますが、二年の歳月を経て、この間地元に行っていろいろな話を聞きましたが、反対の声だけがかなり高くて、一部の、愛知県の方の行政からの押しつけが強くて、地元の人たちの意見が十分反映されていない。  この間もずっと歩いていて、いろいろなところに反対反対、そして道路にも反対反対の文字だけで、名古屋の駅の近辺にはもう二〇〇五年愛知万博なんというふうに書いているのですが、地元の住民、また海上の森に暮らしている、農業を営んでいる人たちは全員反対でした。  そのあたりのところに対しての通産省としての、愛知県からの報告は、その住民の声というのをどこまで聞いての納得でしょうか。お願いします。
  183. 堀内光雄

    ○堀内国務大臣 お答えをいたします。  二〇〇五年の国際博覧会につきましては、昭和六十三年に地元において構想が打ち出されまして以来、地方自治体、地方議会、経済団体等、二百三十七団体の誘致決議がございます。また、二十余りの市民団体の誘致活動などがありまして、開催に向けて熱心な活動が展開をされていたところでございます。  一方では、地元の一部において、自然保護等を理由として、本博覧会の開催に批判的な団体が存在していることは承知をいたしておりますが、これらの団体とは、平成四年以降、愛知県を中心に、時には通産省も加わりまして、六回の公開討論会を含めて総計四十回余りにわたる話し合いを実施をいたしました。
  184. 中川智子

    中川(智)委員 通産大臣は、海上の森という森は、どのような動植物が生息していて、そしてその木々を伐採して、自然との共生をテーマにしたそのような博覧会が開かれる、あの場所にはいらしたことはございますか。
  185. 堀内光雄

    ○堀内国務大臣 就任以来、いろいろと国際会議などあったり、てんてこ舞いの状態でございまして、現地をまだ私は拝見をいたしておりませんが、前任の佐藤大臣は、本年の五月に現場の候補地を視察をされております。私も、一日も早く、一度早い機会に現地を拝見をいたしたいと思っておりますが、私が今までいろいろビデオだとか、いろいろな資料などを拝見したところでは、非常に荒廃したところに植樹をして、しかも自然をつくり上げたというような場所であって、そういう意味では非常に、今度の共生というような意味での万博の場所としては、意義の深いところであるというような御意見も承っております。
  186. 中川智子

    中川(智)委員 地元に行って驚いたのですが、通産省の役人の方も、国会議員は一度もそこはいらしてないという話ですし、皆さんの、地元の人たちの声を聞きに来てくれたのは初めてだと、その中で農業を営んでいる人が言っていました。  そして、ぜひとも一日も早く見ていただいたら、あそこがはげ山でも何でもなくて、植林したところじゃなくて天然林で、そして豊かに古い、もう深い深いそのような自然の場所だということがおわかりになると思います。その場所はごらんになってないんだったらば、全然お話になりません。また、ここにこのような本もありますし、この写真集だけでも十分、海上の森という場所がどのように自然が豊かで、かけがえのない、サギソウですとか、もう絶滅寸前の植物ですとか鳥があそこで自由に生きているかということがよくわかると思われます。  そして、ほかにいろいろな候補地があったということで、海上の森に決まったという愛知県からの報告を聞かせていただきたいのですが、まず海上の森ありきということでこの計画が進んでいったというふうに伺っています。いわゆる海上の森以外の候補地が愛知県の方からあって、海上の森に決まったという報告があるならば、お教えいただきたいのですが。通産大臣はそこまではあれでしょうか。
  187. 岩田満泰

    ○岩田政府委員 お答えを申し上げます。  先ほど大臣から御説明申し上げましたように、平成二年以来の経緯のある候補地でございまして、そのような意味では、地元から、愛知県以外、近隣県を含めまして、海上の森で実行することが要望をされ、それを検討の結果、平成七年十二月に閣議で最終的に了解をされたというものでございます。
  188. 中川智子

    中川(智)委員 大臣、今お答えを聞いていますと、地元からあそこでやるべきだという要望があって、そしてそのような形で決まったというふうなお答えに聞こえました。だから、まず最初にここでやるべきということでその候補地が決まってしまったというのは、国として、三分の一は国で負担する事業でありますし、これからまだ運輸省と建設省にも質問したいのですけれども、やはり莫大な予算をそこに投入してやっていく国家の事業でありますので、地元からもうここがあるよということで、全然そこをごらんになったこともなくて要望で決めていかれるということは、非常に国の姿勢としては問題だと私自身は思います。  そして次に、万博事業のいわゆる総費用額が全く明らかにされていないというところについて質問をさせていただきます。  これは、建設費として一応一千億から一千五百億というふうに本当にぼやかした形でのお金が明示されていますが、このお金はとりあえず会場をブルドーザーなどでならしてしまうだけのものと言われています。会場内の道路を整備したり、ガスや水道、下水など、いわゆるインフラの基盤整備費は全く入っていません。ですから、管理施設などの建設費も、建築費も含まれていません。国としては、これが大体どれぐらいの国家予算を投じるものになるのか、そこのところをしっかりつかんでいらっしゃるのか伺いたいと思います。
  189. 岩田満泰

    ○岩田政府委員 お答えを申し上げます。  先ほど大臣から御説明いたしましたように、この六月にようやっと日本で開催をすることが決定をされたところでございまして、かつ、との博覧会につきましては、本格的な環境影響評価を行うということでございます。  したがいまして、これから会場の構想の具体化をいたしまして、その構想の具体化に伴ってそれをアセスメントにかけていく、そして計画についてまた検討をする、そうした作業が繰り返されて、最終的に博覧会の計画内容が確定をされるわけでございまして、その上で会場建設費が具体的に幾らになるかということは決定されるものでございます。
  190. 中川智子

    中川(智)委員 それでは、もう一度伺いますが、このアセスをやって、この会場が、海上の森がふさわしくないということの結果が出た場合は、会場を変更するということもあり得るのでしょうか。大臣に伺います。
  191. 大木浩

    大木国務大臣 本来ならば通産大臣からもお答えがあるところだと思いますが、既にこの場所を決めるに当たりまして、先ほどの平成七年以来、いろいろと環境庁も御相談にあずかっております。ということで、現在の、五百四十ヘクタールぐらいだと思いましたけれども、これを決定するに際しましては、いろいろと現場の環境問題も調べた結果、かなり大幅に修正をしております。  ということでありますので、一応今後は、現在決まったところを基本として、これからいろいろな準備を進めるというふうに私ども考えております。
  192. 中川智子

    中川(智)委員 それでは、もしもあそこの場所でやるとなって、そしてそこに暮らしている人々が反対をずっと貫いた場合、成田空港のように――今は通産大臣に伺います。成田空港のように強制収用するということもあり得るということでの海上の森での万博開催でしょうか。伺います。
  193. 堀内光雄

    ○堀内国務大臣 お答えいたします。  環境評価等の所要の手続を進める中で、地域住民を初め関係者の理解を得るために必要な努力を行うよう、博覧会協会に対して指導をしてまいりたいと思っております。
  194. 中川智子

    中川(智)委員 指導がうまくいかなくて、絶対にあそこは嫌だというふうになったときに、いわゆる強制執行のようなことも考えての、それほどやらなければいけない、あの森でやらなければいけない位置づけというのはきっちりあるのでしょうか。
  195. 堀内光雄

    ○堀内国務大臣 地元の方の大変な御熱意のもとに始まったものでございますし、博覧会協会の事業でございます。  博覧会協会もスタートしたばかりでございます。したがいまして、その博覧会協会の動向を注目をしながら、政府は御支援を申し上げるという立場でございます。
  196. 中川智子

    中川(智)委員 地元の強い要望というのは、主に経済団体です。そしてまた、十月二十三日に発足した国際博覧会協会のメンバーは、もう名立たる財界人が並んでいて、その中には環境問題の専門家もいません。NGOの人もいません。  そしてまた、先ほどもおっしゃったように、これから予算と言いますが、今この財政構造で話をしていて、本当に予算を、公共事業を削らなければいけないときに、本当に地元の人たちも反対して、道路の通るところの方々も、もう反対反対の看板が上がっているところで、なおかつここで強行するということの真意が明らかではありませんが、環境破壊をするので絶対に反対だということが、日本自然保護協会からも環境庁の方にちゃんと意見書が行っています。日本野鳥の会からも行っています。そして、WWFも意見書を出しております。ここの場所で、なおかつ自然破壊をして、テーマは自然との共生、それをうたうというところに対して、環境庁ももっとしっかりと通産に対して意見を述べていただきたいと思います。  そのように、自然破壊をしながら、また公共事業に莫大な予算を投じながらやるこの愛知万博の、やらねばいけない、国民を納得させるお答えを通産大臣から伺いたい。  そして、環境庁長官には、もう一度あの自然の海上の森に早急に行っていただいて、そこがそのような場所としてふさわしいかどうかを、きっちりした公式の場でお答えを伺いたいと思います。お願いします。
  197. 堀内光雄

    ○堀内国務大臣 本博覧会の開催に当たりましては、通産省としても博覧会協会に対して、自然環境、公害等の専門家の意見を聞いた上で、環境影響評価を適切に行うなど、会場候補地の自然環境の保全には十分な配慮がなされるように指導をしております。  また、先ほど環境の専門家云々というお話がございましたが、この指導をする環境影響評価手法検討委員会、全くの大専門家の方々十二名で構成をされているものがございまして、そこの評価手続等についても検討することになっております。
  198. 大木浩

    大木国務大臣 実は、この瀬戸市というのは私のうちからも車で行きますと一時間ぐらいのところでございますので、環境庁長官を拝命する前にも、その後にも、何回かお邪魔をしております。別に大臣として物々しい視察ということではなくて現場には何回も行っておりますけれども地元の人ともいろいろ話をしておりますし、あそこにはいろいろと自然の動物とか植物で大事なものがあることは確かに私も聞いておりますし、そういうものをちゃんと保護をしながらひとつ立派な万博をやりたいということで、具体的にいろいろと心配といいますか、こういうことについてはちゃんと気をつけていただきたいという意見はたくさんに聞いておりますけれども、やめろという御意見はむしろ私は少数ではないかというふうに理解しております。  いずれにいたしましても、既に、場所を決めるときにもかなり大幅にいろいろと配慮していただきまして、まあこれならば環境を著しく破壊することはないという場所を選んで準備を進めているつもりでございますので、そのように御理解をいただきたいと思います。
  199. 中川智子

    中川(智)委員 本当に、環境を破壊しないでパビリオンを建てたり道路をつくったり駐車場をつくったり、半年で二千五百万人の人がその中に入っていく、環境を破壊しないでできるわけがない、それは当たり前の感覚だと思うのです。これはもう別のところでやれと後ろからもおっしゃいましたし、まだ時間がありますので、精いっぱいやっていきたいと思っております。きょうばいわゆるジャブを飛ばしたというふうな形でお受けとめください。  建設省の方に伺いますが、この愛知万博の交通アクセスで名古屋瀬戸道路の高速道路の建設の予定がございますけれども、先ほども住民の意見を伺いというふうにお話がありましたが、公聴会でも二十三名の出席者のうち二十二名が反対している。たった六カ月の万博のために、先ほども言いましたように、道路をつくるためにも土地収用法というふうな強権を使用するつもりがあるのかどうかというのを一点伺います。  それと予算のことですが、最初は土盛りでいいらしいのですけれども、海上の森に入りますと高架そしてトンネルが必要になりまして、一キロ大体百億かかると言われています。そうなりますと、二十キロで大体二千億。これは万博が終わったら高速道路として使われるのですけれども、名古屋のグリーンロードが走っているので、利用者は少ないだろうということを地元の人たちは口々に言っておりました。この事業費を、やはり公共事業見直しの今どのように考えているのかということを伺いたいと思います。  今の二点、お答えをお願いいたします。
  200. 五十嵐健之

    ○五十嵐政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のように、過去の万博におきましては、関連公共施設整備の計画を関係省庁相協力しましてっくるということでございます。先ほど通産省から御答弁ございましたように、現在はまだ博覧会協会ができたばかり、そういう協会が策定いたします会場計画、これはまだできていないという状況でございますので、全体につきましても、あるいは具体の事業につきましても、まだこの万博の関連としての検討が行われていない状況にございます。
  201. 中川智子

    中川(智)委員 それでは、大体いつごろできて、きっちりした予算というのはいつごろ立つのでしょうか。
  202. 五十嵐健之

    ○五十嵐政府委員 私どもは、全体の万博協会の検討等が進められ、それぞれの段取りが進められますと、私ども、あるいは関係する省庁がございまして、そこで進めていくわけでございます。まだ協会もスタートしたばかりという状況でございますので、今後の見通しはまだ持っておりません。
  203. 中川智子

    中川(智)委員 では、三点セットの運輸省の空港に対してちょっと伺いたいと思います。  これに伴って空港もつくるということで、地元では、岐阜出身の藤井大臣が二〇〇四年に開港と地元の方で話されているそうですが、もう地元の方では決定したかのように思われています。これには空港だけで九千億かかる。そしてまた、その前に前島という島をつくらなければいけない。それはこの九千億の予算の中には入っていないんです。これだけの莫大なお金で万博を契機にもう一個ぽんとつくってしまう、このような公共事業が許されていいのかと思うんですが、空港に対する運輸省の方のいわゆる予算、そしてまた、この計画に対して、二〇〇四年に本当にできるのかどうか、伺いたいと思います。
  204. 楠木行雄

    ○楠木政府委員 お答えをいたします。  私どもが空港整備をいたします際には、まず需要への対応ということが基本でございまして、航空の需要がどれだけあるかということがやはり空港整備をする際の第一点でございます。  中部新空港につきましては、基本的には、現在の名古屋空港の処理能力が二十一世紀の初頭に限界に達すると予測されることから必要と考えているものでございまして、愛知万博と同時期になるわけでありますけれども、愛知万博の一時的な需要に対応したインフラ整備としての位置づけにあるわけではないわけでございます。  その計画案につきましては、先生どのような予算かというお話でございます。まず計画でございますが、位置が愛知県の常滑市の沖の海上でございまして、規模が、第一期計画では、長さ三千五百メーターの滑走路一本、空港面積にして四百七十ヘクタールとなっておりまして、これで、先ほど九千億という話がございましたが、総事業費としては約八千億を見込んでおります。現在、平成十年度の概算要求におきまして、新規に事業化をすべく要求をしているところでございます。
  205. 中川智子

    中川(智)委員 では、大蔵大臣に伺いますが、今いわゆる公共事業の見直しが言われていて、道路だの空港だの、ぼんぼんと一方で建てていく、これに対してどのようにお考えでしょうか。
  206. 三塚博

    三塚国務大臣 ただいま概算要求、八月末締め切りで受けたことを省庁別にそれぞれの主計官が中心となりまして対処をいたしておるところでございます。集中三カ年の初年度でございますので、厳正に対処をしてまいるというのがただいまの段階の基本方針であり、編成までの間もその基本方針であると思っております。
  207. 中川智子

    中川(智)委員 やはり、地球温暖化で、十二月、COP3が開かれるわけですけれども、やはり緑豊かな森林というのはCO2の抑止にもとても効果的で、愛知など、瀬戸物の陶土をとった後のいわゆる荒れ地みたいな荒地がたくさんあるのですよね。そういうところじゃなくて、なぜあの緑豊かな海上の森が候補地になっているのか。そして、今までのお答えを伺っていますと、本当に環境アセスなんか全く生きないで、ちょっと場所を変えたり、建物を少なくしたりでごまかされようとしている。そのことに対して非常な危機感を覚えます。  ぜひとも、もう一度、海上の森で開催することを見直していただくということを提案して、今の愛知万博に関連した質問は終わります。  あと五分で町村文部大臣に伺いたいと思います。  私は兵庫県に暮らしておりまして、神戸の須磨のあの事件は、阪神・淡路大震災でとても大きな傷を受けた子供たちの心に、また再び震災と同じぐらいの大きな傷を与えました。そして、文部省では、あの事件をきっかけに、心の教育、また道徳教育ということが言われておりまして、そのような形での施策が今進んでいるように思いますが、やはりその発想というのは、大人が子供を教育してあげる、子供の心に今足りないものはこういうものだろうと、やはり家庭でも行政でも、子供の教育のここが足りなかったという形で政策が進められているような気がいたします。  私はあの後すぐに、神戸の町で中学生の話を聞いたり、また、友が丘中学の近辺に行ってたくさんの子供の声を聞きました。そのときに子供たちが言うのは、自分たちは本当に仮面をかぶって生きている、居場所がない、あの少年Aが言った透明な存在だというのは自分たちにはとてもよくわかる、そのような声でした。  「サンデープロジェクト」ですとか「ニュースステーション」に何千通もの子供の声が寄せられたということですけれども、そのほとんどが、今の内申書は物すごく縛りが強くて本当の自分を出せない、学校でも家でもいい子にしていなくてはいけない、いつ爆発するかわからない自分自身が怖い、そのような声でした。  ですから、今大人は子供たちを教育するのではなくて、子供たちを支え、守り、助けていくというような政策を文部省としては打ち出していくときではないかと思います。心の教育とか道徳教育じゃなくて、子供たちを支え、守っていく施策を考えていただいているならば、それに対しての御答弁をお願いいたします。
  208. 町村信孝

    ○町村国務大臣 お答えいたします。  なぜああいう事件が起きるか、いろいろな見方、考え方、とらえ方があろうかと思います。したがいまして、今中川委員おっしゃったことがすべて正しいかどうか私にはわかりませんが、そういう見方も確かにあろうかなとは思います。  ただ、私どもといたしましては、またそれだけでもないのだろうと思います。もちろん、内申書、要するに、高等学校の入学試験のやり方、非常にさまざまなやり方を今、各都道府県なりそれぞれの学校が工夫をしておりまして、必ずしも内申書ばかりというわけではございませんし、また、内申書を使わなくてもいいですよということは認められているわけであります。  しかしながら、では内申書を全部なくしていいか。何でこれが出てきたかというと、たった一回こっきりの試験で、言うならば自分の進路を決めてしまうのはあんまりひどいじゃないかという声もこれあり、内申書というものができ上がってきたわけですね。だから、これはやはり一長一短なわけですね。たった一回の試験に大変なストレスをかけて、それでたまたま体調が悪かったならば、自分の実力がそこで評価されないのはおかしいというような見方もあるわけでありまして、内申書があるからああいう事件が起きるという言い方というのは、私は、いささかどうかな、こういう気持ちもいたしております。  ただ、推薦入学でありますとか、あるいは小論文とか作文の実施とか実技とか受験機会を複数化する、さまざまな努力が行われておりますので、今、私どもとしては、各学校あるいはそれぞれの県、市町村のそういう工夫、努力というものを大いに期待をしたいし、助長していきたい、かように考えております。
  209. 中川智子

    中川(智)委員 ぜひとも「ニュースステーション」とか「サンデープロジェクト」に頼んで、その子供たちの手紙を読まれて、子供の声を聞いて、そして施策を考えていっていただきたいと思います。大人の押しつけでは、もう子供たちはますます追い詰められていくということを痛感しております。  それでは、非常に不満ですけれども、質問を終わります。ありがとうございました。
  210. 甘利明

    ○甘利委員長代理 これにて中川君の質疑は終了いたしました。  次に、岩國哲人君。
  211. 岩國哲人

    岩國委員 太陽党を代表いたしまして質問させていただきます。  大変遅くまで各大臣御苦労さまでございます。私が最後の質問者でございますので、あとしばらく御辛抱いただきたいと思います。  私は、本会議の場で、総理の六つの改革に農業改革が欠けているということを指摘いたしました。具体的に、国際競争力のある大規模農業を目指す生産農家と、そして環境公務員的性格を持つ環境農家等の構想をお示ししまして、日本の農業を守ることの重要性を指摘させていただきました。  私の選挙区であります世田谷区でも、都市化が進む中で、農家の方が農協を中心に結束し、一生懸命農業を守ってきておられます。  私は、昨日久しぶりに出雲の若い農業青年たちと話をし、けさ帰ってまいりましたけれども、彼らが大変動揺しております一つ事件が起きております。それは、出雲市で一番大規模な米づくりをやっておられた松井さんが米づくりをやめるという決定をされたことであります。  私の市長時代に何度も市長室においでになって、米づくりへの情熱を燃やしておられたその松井さんがそうした米づくりをやめるという決定をされたことに、若い人たちは動揺しております。十何カ所に分かれて、そして農機具を運ぶだけでもう大変な大規模農業でした。だからこそ、大規模農地を集約し、そのような公有地を中心にした大規模農業を図ることが大切だということを私はお話ししたわけでありますけれども、そうした松井さんが、米づくりナンバーワンの人が米づくりをおやめになるということは、いろいろな意味でこれからマイナスの影響を及ぼしていくのではないかと思います。  農水大臣も御承知のように、出雲というところは、ヤマタノオロチに米からつくった酒を飲ませたというぐらいに、米づくりの発祥の地と自他ともに許しているところでありますけれども、それだけに、農業の厳しい環境ということを改めて認識して帰ってまいりました。  太陽党は、いろいろな基本政策の中に農業のことを強調しております。御承知のように、農水大臣をお務めになった方がお二人もおられるわけであります。そうした中で、ソンノウジョウイ、我々のソンノウは農業をたっとび、ジョウイ、予算の中でもできるだけ重要視していこう、上の位、そういう尊農上位であります。  農水大臣にもそういった点は御理解いただけると思いますけれども、こうした中で、厳しい環境の中で、ウルグアイ・ラウンドの補正予算ということについて農家の方たちが随分期待しておられますけれども、これについて農水大臣はどのように対応されるのか、お考えを聞かせていただきたいと思います。
  212. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 冒頭申された尊農上位、私も東京の人間ですが、常にその姿勢を持ち、言い続けてきた人間です。私は、前にも申し上げたのですが、十四年前に自分が進んで農林水産省の政務次官を志願した人間です。都会では、御存じのとおり、農村は過保護である、我が党も農村過保護政党だという批判を受けます。しかし、それでいいんだ、あなた方がもし二カ月でも三カ月でもまとまった期間その不便な地域に生活したらどういう思いを抱くだろう、やはりそういう人たちに対する配慮があって初めて公平、公正な政治が築かれる、こういうことをまず申しております。  さて、このウルグアイ・ラウンドのいわば農業合意関連対策につきましては、何といっても、いきなり農業合意を受け入れたということは、にわかに国際化の荒波をかぶるというのを農業に強いるわけでありますから、当然それに対する十分な配慮があってしかるべきだ、そう考えております。その意味では、将来に向かって、今のお話ではありませんが、農業に携わる方々がやはり常に希望を抱き、そして農村地域の活性化が確保されるような配慮をしていくのは当然のことだ、こんなふうに思っております。  そういう意味では、財政面でこれから補正その他にどう取り組むのか、こんなお話もありますが、私は、あくまで今言った趣旨に立ちまして、これからの予算編成に向けて、皆さんの御意思に沿うような結果につないでいきたい、かたくそう考えております。
  213. 岩國哲人

    岩國委員 補正予算で対応されるかどうか、簡潔にその点だけをお願いします。
  214. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 その考えでおります。     〔甘利委員長代理退席、委員長着席〕
  215. 岩國哲人

    岩國委員 今、農水大臣は補正予算で対応したいという御回答をいただきました。農家の方は大変お喜びだろうと私は思いますけれども、しかし、これは大蔵大臣の答弁とその点ははっきりと違っておるのじゃありませんでしょうか。  三塚大蔵大臣にお伺いします。このウルグアイ・ラウンド関係予算は補正予算で対応されますか。
  216. 三塚博

    三塚国務大臣 集中三カ年プラス三年、構造改革を展開をしながら健全な財政体質をつくり上げ、後世にツケ回しをしないということで国民経済の安定と活性化をもたらす、その場合に、財政の節度は守らなければなりません。補正を組む要因は二十九条であります。二十九条の条件に合うもの、すなわち、従来、人勧の不足分でありますとか災害復旧でありますとかに行ってまいりました。よって補正は組むことはできない、こういうことになります。
  217. 岩國哲人

    岩國委員 こうした農業問題は大変関心も強く、また、財政構造改革の中でも重要な部分であります。私は、島村農水大臣の農業に対する情熱は大いに評価させていただきたいと思います。  しかし、一つの内閣として大蔵大臣と農水大臣が、補正予算に出すという大臣と出せないという大臣と、これでは一つの内閣と言えないのじゃないでしょうか。これ以上、閣内不統一のままでは質問を続けることはできません。委員長の方で……。
  218. 中川秀直

    中川委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  219. 中川秀直

    中川委員長 速記を起こしてください。  島村農水大臣
  220. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 本件につきましては、まだ予算の検討の段階、予算編成に向けて検討作業をさせていただきますと再三御答弁申し上げております。私は、先ほど申した考え方に立ってこのことの対応をしていきたい、こう考えます。
  221. 岩國哲人

    岩國委員 農水大臣の再度の御答弁をちょうだいいたしましたけれども、先ほどの見解に基づいて行動したい、このように私の耳には聞こえましたけれども、ということは、補正予算で対応するということを農水大臣として言明されたというふうに理解してよろしいでしょうか。
  222. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 御承知かと思いますが、橋本総理も、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策の予算上の取り扱いについては、事業内容の見直しとあわせて予算編成過程で検討することとするとはっきり申されておりますし、このことは報道もされておりますことですから、御理解いただきたいと思います。
  223. 岩國哲人

    岩國委員 この問題につきましては、再度また質問させていただく機会もあろうかと思います。そうした内閣としての統一見解を、私は委員長にぜひお取り次ぎをいただきたいと思います。こうした補正予算で対応するのか、あるいは、大蔵大臣のように明快に、これはできないことであるというのが内閣の統一見解であるのか、我々は非常に困惑しております。  農業問題の大切さはさることながら、しかし、今年度において補正予算にそれがどのように扱われるかということは財政上大変大きな問題でもありますし、また、この財政改革法案のそうした軸足というものを見きわめる意味でもこれは非常に重要な問題であると思いますので、内閣の統一見解を、委員長、お願いいたします。
  224. 中川秀直

    中川委員長 理事会で協議をいたします。
  225. 岩國哲人

    岩國委員 では、理事会で必ず御検討いただきたいと思います。  次に、自治大臣にお伺いいたします。  きょう、ずっと私は自治大臣の御答弁、拝聴しておりましたけれども、残念ながらほとんど顔を伏せて答弁書をずっとお読みになる場面が非常に多くて、残念に思っておりました。私も、地方自治に若干の経験を持つ人間としまして、白川前自治大臣のときには非常に意欲的な御答弁をちょうだいし、私たちは、地方分権推進のためにぜひともあのような大臣には留任していただきたいとひそかに期待しておったぐらいの人間でありますけれども、上杉大臣になられましてからは、そうした答弁書をお読みになる場面が非常に多くて、私はその点は大変残念に思っております。  まず最初にお伺いいたします。今週末に全国各地の役所で支払われる寒冷地手当、この制度について大臣は御存じですか。――大臣が御存じかどうかを聞いているんですよ。(発言する者あり)
  226. 松本英昭

    松本(英)政府委員 御説明申し上げます。  寒冷地手当は、全国の地方公共団体の寒冷地に勤務する公務員に支払われます手当でございます。
  227. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 突然のお尋ねでしたが、事務的なものでありますから事務的にお答えをしました。  寒冷地に勤める職員に支払う手当であります。
  228. 岩國哲人

    岩國委員 これは、過去五十年間ずっと支払われ続け、そして今週末、一千億円、一億ではありません、一千億円のお金が各地で支給されます。今、温暖化現象ということが言われて、しかも世界の温暖化対策をこの日本でやろうというときに、どうして公務員にだけこのような寒冷地手当が支給されるのですか。しかも、まだ雪も降っていないところです。  この寒冷地手当は、今までずっと八月に支払われておったのです。八月というのは真夏です。真夏にこの寒冷地手当がずっと支給されてきた。それは、戦後の特殊な事情のもとではある程度情状酌量の余地があったと思います。しかし、今、温暖化ということが各地でも問題になっているときです。そのような寒冷地手当というものが、島根県でも鳥取県でも岡山県でも、各地で支払われている。しかも、この五十年間の間に徐々に徐々に温度は上がってきているのです。この寒冷地手当を支給する寒冷地手当前線は一歩も動いていないのです。  このような温暖化現象の中で、寒冷地手当という制度は抜本的に見直す、同時に、この一千億円という寒冷地手当は率先して温暖化防止対策のための原資として使うべきじゃないですか。大臣の御所感をお願いいたします。
  229. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 温暖化現象があるといいましても、寒いところは寒いのです。寒いところに勤務する職員に、ある意味では頑張れと、行政サービス滞りなく、幾ら寒くても頑張れと言って出しておる手当であり、また、真夏に出すと言われるけれども、冬に備えて夏にそれは対応しておるものであります。
  230. 岩國哲人

    岩國委員 それは、私はやはり、公務員のそういった綱紀あるいは勤務、いろいろな行政コストの削減ということが問題にされているときに、以前のようなままでいいものかどうか、抜本的な見直しが必要だと大臣はお考えになりませんか。寒いときは市民も寒いんです。暑いときは市民も暑い。なぜ公務員だけにこのようなものがいつまでも温存されて、しかも温暖化防止条約を日本でやろうというときに。再度の御答弁をお願いいたします。
  231. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 私は、岩國委員は国際派の極めて見識の高い委員だという認識を持っております。  温暖化現象と寒冷地における職員の手当と、これを一緒にという考え方は持っておりません。
  232. 岩國哲人

    岩國委員 もっとまじめに答えていただきたいと思います。  温暖化というのは、だんだん寒くなくなっていることを温暖化というんですから。昔寒冷地であったところがいつまでも寒冷地であったら、温暖化現象が起きていないということじゃないですか。
  233. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 これは地方、国家公務員もそういう対応になっていますが、人事委員会が基準を決めてやっておることでありまして、人事院からそういう意味でのまだ問題点の指摘も何も受けておりませんし、これは、温暖化現象と絡めて一緒にそれをどうだというふうには私は受けとめておりません。
  234. 岩國哲人

    岩國委員 これ以上質問を続けましても意味のある御答弁をいただけないと思いますので、そうした地方公務員の給与体系、例えばそれぞれの役所でも二十五ぐらいの特別手当があります。そういったことを、市民、納税者に説明できるような名前に変えるとか、本俸に組み込むとか、廃止するとか、そのような給与体系、特別手当の抜本的な見直しもぜひお願いしたいと思います。  次に、自治大臣、もう一つ御質問させていただきます。  地方交付税のあり方について、財政構造改革との関連からどのような質的な、量的な改革を目指しておられるのか。スリムな地方行政を実現するためのインセンティブ、行政コスト削減、助長あるいは推進するための交付税、行政コストをどれだけ下げたら――今のところは行政コストを下げれば下げるほど行政需要が少なくなったということで地方交付税が減らされる。これは、行政改革努力をすればするほど交付税が減ってしまうという奇妙な現象になってしまう。むしろ行政コストを削減すればそれに対する報奨的な交付税という考え方も必要ではないかと思いますが、このような考え方について大臣の御所見をお願いいたします。
  235. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 財政構造改革推進をし地方財政の歳出を抑制するというのは、これは私ども国、地方通じた当面の方針でございます。地方財政計画におきまして、国の公共事業や地方単独事業の抑制を行うことといたしておりますが、この地方財政計画におきまして、必要な地方交付税を確保し、地方団体の財政運営に支障のないように対処することといたしております。  これとあわせて、地方交付税の算定でございますが、地方団体の自主的な再建努力や行革努力を促す観点から財政需要額を反映することが必要と考えております。今後、地方分権推進委員会の勧告を踏まえつつ幅広く検討してまいりたいと考えております。  なお、国税五税の一定割合である地方交付税は、地方の固有財源であり、地方公共団体の重要な歳入であることは御承知のとおりでございます。そのあり方は、国と地方の財源配分の問題として検討されるべきものでございまして、他の歳出と同日に論じる筋合いのものじゃないと私は思っております。  また、地方交付税の原資はこのところ恒常的に不足をいたしておりまして、不足分は借入金に頼っておるわけであります。地方交付税の必要額を確保しておるこの借入金も含めた地方の現状は、非常に厳しいものがございます。このような状況考えれば、交付税率の引き下げや交付税の抑制など、およそ考えられないものと考えております。
  236. 岩國哲人

    岩國委員 行政コストを削減すれば、全額とは言わないまでも、そうした行政改革努力を奨励するような観点からの新しい物差しというものが必要ではないかというふうにお伺いしたわけであります。  次に、それに関連いたしましてお伺いいたします。地方分権の観点から、本法案の途中、第三年度の終わったところ及び最後の六年間終わった段階で、地方自治体と中央政府の財政の比率はどれぐらいに想定しておられますか。  この委員会においても、収入ベースでは二対一、支出ベースでは一対二といった数字がよく使われておりますけれども大臣はどういうシミュレーションを頭に描いておられますか、中央の規模と地方の規模と。この点について簡潔にお願いいたします。
  237. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 突然の質問でありますから、歳入ベースと歳出ベースが今御指摘あったとおりであることは事実でございまして、そこに地方財政の苦しさがあるわけでございます。したがいまして、地方団体は交付税の配分を受けましても、三千三百の団体に配る場合に足りなければこれを借金しなきやなりません。補助事業にいたしましてもあるいは単独事業にいたしましても、国が補助率で一定の方向づけをするわけでございますが、それらの財源は、国が国債に依存しておる体質から脱却できない以上、地方は足りない分は借金をしなければならないわけでございまして、シミュレーションをそれで描けと言われましても、経済は動いておりますし、それに伴う税制もまた固定したものではありませんから、それはなかなか問題が、見通しを含めて、シミュレーションを描くということについては非常に問題がある、そのように理解をいたしております。
  238. 岩國哲人

    岩國委員 ありがとうございました。  そうした、地方分権という大きな流れの中で、しかもこの財政構造を変えていこうという六年間をこれから取り組もうというときに、中央と地方の大体の青写真さえもそうした担当の方で描いておられないということでありますと、この六年間の努力ができ上がったときに、国家の財政と地方自治体の財政とのウエートというものは大体どれぐらいのバランスになるかということを、地方自治体の長にしましても、あるいは地方分権が、権限だけじゃなくて財源的にもどれぐらいのめどを持ってこれは行われようとしているのか、金の流れの面からもこの地方分権の肉づけというのはできていないということになるんじゃないでしょうか。私はそのような不安を覚えます。  次に、大蔵大臣にお伺いいたします。  ことしの倒産件数を見ますと、八月末までで既に一万件を超えました。その倒産企業の負債総額も、累計で八兆一千三百五十一億円。このままでは、年間の負債総額は史上初めて十兆円を超えるのは確実と思われます。ことしの四月から六月、四―六月期の国内総生産は、年率換算ではマイナス一一・二%と二十三年ぶりの減少となっています。  回復基調にあると言い続けてこられた政府も、さすがにこの見通しの誤りに気づかれて、二十三日には、経済企画庁が発表された八月の景気動向指数からは、回復の動きという表現が削除されています。経企庁長官も、足踏みとの表現を使われています。  きょうの株式市場は、午前中に一万七千円を割り込み、そして大引け、後場では三百円安で引けております。このような、景気動向に対して非常にナーバスな環境になってきております。  この本法案で目標としております平成十五年度、あるいは平成十年度から十二年度までのいわゆる集中改革期間の平均GDP成長率は何%と想定されておりますか。ジーデーピーでなくてジーディーピーで答えていただきたいと思います。
  239. 三塚博

    三塚国務大臣 外国に長い岩國委員でありますから発言はいいし、私は東北なものでございますから、そこはちょっとお許しをください。  そういう意味で、GDPでありますが、名目成長三・五で見ております。
  240. 岩國哲人

    岩國委員 これは、今伺いましたのは、平均三・五というのは何度も、もう二十回ぐらいこの部屋で聞いておりますけれども、ずっと三・五かな、それともある年度においては三%をはるかに下回り、ある年度によっては五%に近い、どのようなこれからの政策効果といいますか、そういうのを、常に三・五で一本調子ということはとても考えられないことであります。その辺について、大蔵大臣として、前半はかなりブレーキを踏んだ格好なのか、後半はかなりハイピッチなのか、その辺を数字的にお示しいただきたいと思います。
  241. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 三・五%という数字は平均でございます。  年々は、これは毎年度の予算編成がどうなるか、あるいは経済の状況がどうなるかというので毎年これは計算しませんと、これはなかなか予測はできないわけでございます。
  242. 岩國哲人

    岩國委員 大体今の答弁は答弁になっていないと思います。平均というのは、六つの数字を足して六で割って出てくる数字でしょう。そのもとの六つの数字がなくてどうやって平均が出てくるのですか。
  243. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 三・五%という数字は、現在の経済計画でございます構造改革のための経済社会計画、七年の十二月に閣議決定しておりますけれども、これに基づいた数字でございます。  計算は経済審議会で行われておるわけでございますが、私どもが承知しているところでは、これは中期の計画でございますから、年々を積み上げるのではなくて、中期的に人口がどの程度伸びるかとかあるいは各需要項目がどの程度伸びるかという、中期的に見て計算をするものだと聞いております。
  244. 岩國哲人

    岩國委員 ということは、今までのずっと総理大臣以下御答弁いただいた平均成長率というのは、全く平均ではなくて、六つの数字はなかったということでしょう。まず三・五%というのがどこかから出てきて、ただその数字を目標として使っておられる。そして、その目標にすぎない数字を平均成長率と言って、さも六年間そのように積み上げて、それが実現可能であるかのごとく国民に錯覚を抱かせる表現ではありませんか。これは小学生でも、平均というのは、六つの数字があってから初めて平均というのが出てくるわけですから、なぜこんなことが国会の中で堂々として、その基礎数字もなしに通用するのですか。再度答弁をお願いいたします。
  245. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 私も計算の詳細まで承知はいたしておりませんけれども、経済審議会におきましては、いろいろなモデルなんかも使っていると思います。使った上で、平均として三・五%と申しますのは、規制緩和等の構造改革が進展した場合でございまして、そういう場合に三・五%という……(発言する者あり)平均でございます。平均でございます。
  246. 中川秀直

    中川委員長 静粛に願います。静粛に願います。――静粛に願います。  岩國君。
  247. 岩國哲人

    岩國委員 再度御答弁いただいたにもかかわらずまだすっきりいたしませんのは、本当に平均という数字があったかのごとく今答弁されました。いろいろなモデルをいろいろ検討し、審議されたに相違ないと私は思います。そう簡単に審議会が、どなたかがおっしゃった三・五にこじつけでもってこのような説明をこの国会でされるはずがないわけですから、もとの数字をぜひ示していただきたいと思います。今、重ねて平均、平均とおっしゃいましたから、平均の数値を出すもとの数字があったはずでしょう、そのもとの数字を示していただきたいということです。
  248. 中川秀直

    中川委員長 岩國君に申し上げます。  この答弁をする所管官庁が御要求をいただいていないのではないでしょうか。あなたの今の質問、これは経済企画庁の所管。いわゆる経済審議会は総理のもとでの審議会でありますが、事務局は経企庁に……(岩國委員「私が通告したのは大蔵省、経済企画庁。経済企画庁長官、おられないじゃないですか」と呼ぶ)  ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  249. 中川秀直

    中川委員長 速記を起こして。  岩國君に申し上げます。  あなたの秘書さんから大臣は要らないという御通告があって経企庁は落ちた、このようなことでございます。
  250. 岩國哲人

    岩國委員 私は経企庁長官をちゃんと要求しています。
  251. 中川秀直

    中川委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  252. 中川秀直

    中川委員長 速記を起こして。  岩國君。
  253. 岩國哲人

    岩國委員 皆さんに大変御迷惑かけておりますけれども、通告し、私は長官もいらっしゃるものと思って先ほどから質問させていただきました。しかし、若干の行き違いがあったということでしたら、そういうことでもって御迷惑かけたくありませんので、この問題については引き続きこの委員会において質疑させていただきたい、そのように思います。  私の持ち時間も残念ながら終了しましたので、これで質問を終わらせていただきます。
  254. 中川秀直

    中川委員長 これにて岩國君の質疑は終了いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十六分散会