○
野田(毅)
委員 いろいろ熱心に御答弁いただいた。ただ、若干いろいろな話が一緒くたになっているものですから、ちょっと交通整理するのに大変なんですけれ
ども、結論において、私は、大蔵大臣としてやはり今すごく頭に置かなければならぬことは、金利の正常化なんですよ。こんな超低金利に置いておいて、何が体力があるんですか。そうでしょう。大蔵大臣かちこの金利の話が出なかったのはちょっとあっと思ったんだけれ
ども、これはまあいい、後でまたやります。この問題はもうちょっと集中的に、日銀総裁にも来ていただいているから。
ただ、今の御
説明の中で、需要項目についていろいろお話があったのだけれ
ども、要するに、今尾身さんもおっしゃったが、設備投資がいいみたいだとかいろいろな話がある。しかし、みんな外需に支えられているんじゃないですか。外需関連の設備投資が大きいんじゃないですか。中小企業、非製造業、決してよくないですよ。しかも、先行きがどうなんだということを聞いたら、アジアだって決してよくない。日米間だってかなり厳しいところへ来るだろう。そうすると、先行き、そんなにいいんですか。
あるいは、通産省がとった統計ですか、ことし上半期かな、工場の立地件数、工場用地の取得面積等について言うと、やはり対前年比減なんですね、まず工場用地そのものが。もちろん設備投資の額が工場用地の取得面積だけに、あるいは件数だけにかかわるものとは思いません。しかし、まず土地の手当てがあって上物が建っていくわけです。それは現に減っているじゃないですか、さまざまな要素はあると思うけれ
ども。
そういったことをいろいろ思うと、さらにまた、これから年末に向けて
金融機関がかなり、自分の生き残りの方が大変だというので、現に、貸し渋りどころじゃない、取り立てに今一生懸命じゃないですか。だから、今史上最大の倒産件数になって、負債金額になってきている。そういう客観情勢を頭に置いたときに、雇用だってこの先どうなるかわからない、その不安感にみんなおびえているんじゃないんですか。
それを、いや、先行き堅調でございますなんて言ったって、すごく現実の感覚からずれてしまつている。ずれているということがまた一ずれた認識で誤った処方せんを書かれると、これは薬害が発生するんじゃないか、処方せんの誤りによって。どうもそういう危険な感じを抱いているわけですよ。
それから、さっきおっしゃった消費について、いや、四―六は減ったけれ
ども、一―六は一緒に合わせていくと去年から二%ふえているんですよと、こうおっしゃったんだけれ
ども、問題は一―六じゃなくて、今度は、じゃ七―九、どう見ているんですかということ。
だから、やはりこれから七-九から、去年はどんどんどんどん駆け込み需要だとかそういうものがあるんですから、これから先、対前年度の比較でいくのなら、そんなにいい
数字出るわけないじゃないですか、駆け込み需要があってと言っているんですから。そうでしょう。ことしの四月に先立つ半年間にかなり駆け込み需要が発生したから反動だ、こう言っているんだかち。だったら、去年は実力以上の消費が出ているわけですから、ことしと比較するのなら、去年の秋に比べて、あるいはことしの一―三に比べて来年の一―三が消費がプラスになるような、そんな
数字が出ると思いますか。
ですから、そういったことを余り、私も
数字をもてあそぶつもりもないけれ
ども、余りそれをおっしゃると、おっしゃればおっしゃるほど何か株価が下がるような気がして心配をしているのですよ、本当に。だから、僕は、素直に実態をおっしゃった方がいい。
特に僕がさっきからこだわっていたのは、今の
日本の
経済体力を長期的なレンジで見た場合どうなんだというと、
平成四年は〇・四%、
平成五年度〇・五、六年度〇・七、七年度に入って二・四%になっている。ただし
平成七年度は、御承知のとおり、二年前、最低の金利にしましたね。これは相当景気にプラス影響があった。
それから、大変な大型補正をやりましたね。これが実は
平成八年度にも若干ずれ込んで、
平成八年もプラスになってはね返ってきている。昨年は二・九%、八年度。この中にかなりの部分が駆け込み需要があるというようなことを考えると、本年一・九という成長率を想定していますが、民間は、御承知のとおり十三機関あるけれ
ども、中にはマイナスを予想する向きもあります。平均しても軒並み〇%台になっているわけですね。
ですからこれは、口で言うのは簡単だけれ
ども、本当に容易じゃないのですよ。もし仮に
政府見通しの一・九%を達成しようというのなら、残り三・四半期、つまりことしの七月から来年の三月までの間の成長率は年平均で八・八%の伸び率が必要だ、こういうこと。そうじやなきゃ達成できない。それから、〇%成長だということでも、年率で三・二、三%ぐらいの成長率がないと〇%にさえならないという、これはもう機械的に出てくるわけですね。ですから、循環論的に言ってもこれは容易なことじゃないな。これは当然なんですよ。
そこで、さっきから話が行きつ戻りつしましたが、私はさっき言いましたように、やはり増税は本当に体力を回復してからの話じゃないの、そのタイミングを誤ったのじゃないか、私は本当にそう思いますよ。この点だけは
指摘をしておきたい。
それからいま
一つ、僕らが
政策不況だと言っているポイントは、やはり不良債権問題なんですよ。特に来年の四月から、いわゆる早期是正措置、
金融機関がより正直に決算内容を自己監査してオープンにしていく、そういうオープンな中で競争にさらされてやっていくんですという、そういう形になっていくものですから、それは今までのいろいろなお行儀の悪さ、その他いろいろあったでしょう。しかし、不良債権の計算にしたって、国際的な水準にどんどんどんどんさや寄せされていく。
だから、いよいよ本当に生き残るために、今まではなあなあでいろいろやってきたことを全部切っていかなきゃならない。そのことが非常にやはり
経済実態に影響を与えているということ、そういったことを思いますと、特にビッグバンを
総理は
一つの柱としておやりになろう、今さらこれは引っ込められないでしょう。
そうであったなら、今、
一つ大事なのは、不良債権処理について本当に早期にやるということなんです。ここの決断がなかった。これはなぜか。例の住専問題、僕はこのことが大変な失敗だったと思う。住専問題というのは、住専だけを処理すれば不良債権問題は卒業できるような印象でやってしまった。そうじゃないのですよ。住専だってノンバンクの
一つなんだから。ゼネコンであろうが、場合によっては卸、小売であろうが、要するに
金融機関から金を借りている相手が持っている不良債権、最後は
銀行がみんなかぶるわけでしょう。
そういう
意味で、その預金者保護という一点に絞って、必要なら、我々はアメリカがやったように
日本版RTCをつくるならつくれと。住専だけじゃないんだよと。そのかわり、きちんと民事、刑事の責任を明らかにした上で、公的資金を入れるなら入れなきゃしょうがない。そして一刻も早くやるべきだということを言ってやってきたのだけれ
ども、そのときに
政府の方は、一遍住専処理で決めてしまったから最後まで突っ走ってしまった。我々も、座り込みだとかいろいろなこともあった。そのことが
世の中に決して共感を、最後は、ちょっと長過ぎたのが失敗したけれ
どもね。
しかし、このことがよかったことじゃない。それが今日なお尾を引いて、今いろいろな関西系の
銀行だとかが合併だ、どうだこうだと。これはいずれ時間があったときに別の機会にお話ししたいと思いますが、預金保険法の改正だとかいろいろなことをやっていますけれ
ども、要は、もう
一つの
政策不況の
原因をつくったのは、まさに不良債権の問題を早期に克服をして、そして一刻も早く健全な
金融体制に移行した上で、そして堂々と
日本の
経済が胸張ってやっていくような体制をいかにつくるかということが大事だった。ところが、そうしないで、何か一部分のことだけやればうまくいくんですよみたいなふりをして、結果的に今何にもできていない。このことを、大蔵大臣、どう思いますか。(発言する者あり)