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1997-11-27 第141回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十一月二十七日(木曜日)     午前九時三十四分開議 出席委員   委員長 塩田  晋君    理事 稲葉 大和君 理事 栗原 博久君    理事 松下 忠洋君 理事 山本 有二君    理事 菅原喜重郎君 理事 西  博義君    理事 生方 幸夫君 理事 平賀 高成君       今村 雅弘君    岩永 峯一君       大石 秀政君    佐藤  勉君       下地 幹郎君    砂田 圭佑君       田中 和徳君    田村 憲久君       桧田  仁君    松本 和那君       目片  信君    望月 義夫君      吉田六左エ門君    渡辺 博道君       赤羽 一嘉君    池坊 保子君       一川 保夫君    木村 太郎君       冨沢 篤紘君    中野  清君       矢上 雅義君    川内 博史君       辻  一彦君    藤木 洋子君       北沢 清功君    中川 智子君       小坂 憲次君    樽床 伸二君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 亀井 久興君  出席政府委員         阪神淡路復興         対策本部事務局         次長      田中 正章君         国土庁防災局長 山本 正堯君 委員外出席者         科学技術庁研究         開発局地震調査         研究課長    下田 隆二君         科学技術庁原子         力安全局原子力         安全課防災環境         対策室長    鈴木  貴君         環境庁水質保全         局企画課長   斎藤 照夫君         大蔵省主計局主         計企画官    原  雅彦君         大蔵省主税局税         制第二課長   加藤 治彦君         厚生省社会・援         護局保護課長  田中 敏雄君         厚生省社会・援         護局施設人材課         長       河  幹夫君         農林水産省構造         改善局建設部防         災課長     海野  洋君         林野庁指導部治         山課長     安井 正美君         中小企業庁計画         部計画課地域中         小企業振興室長 黒岩  進君         建設省河川局治         水課長     渡部 義信君         建設省河川局防         災・海岸課長  藤芳 素生君         建設省河川局砂         防部砂防課長  池谷  浩君         建設省河川局砂         防部傾斜地保全         課長      板垣  治君         建設省住宅局住         宅総務課長   小神 正志君         建設省住宅局民         間住宅課長   八木 寿明君         建設省住宅局住         宅整備課町   岡本 圭司君         自治大臣官房参         事官      滝本 純生君         消防庁防災課長 益本圭太郎君         特別委員会第一         調査室長    清水 紀洋君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月二十七日  辞任         補欠選任   竹本 直一君     佐藤  勉君   松本 和那君     渡辺 博道君   一川 保夫君     池坊 保子君   日野 市朗君     川内 博史君   北沢 清功君     中川 智子君 同日  辞任         補欠選任   佐藤  勉君     竹本 直一君   渡辺 博道君     松本 和那君   池坊 保子君     一川 保夫君   川内 博史君     日野 市朗君   中川 智子君     北沢 清功君     ――――――――――――― 十一月二十五日  災害被災者等を支援する法律の速やかな成立に  関する請願藤木洋子紹介)(第七五七号)  阪神淡路大震災を初めすべての大規模自然災害  被災者生活再建のための公的支援法律早期  実現に関する請願石橋大吉紹介)(第八〇  三号)  同(岩田順介紹介)(第八〇四号)  同(桑原豊紹介)(第八〇五号)  同(小林守紹介)(第八〇六号)  同(五島正規紹介)(第八〇七号)  同(仙谷由人紹介)(第八〇八号)  同(中桐伸五君紹介)(第八〇九号)  同(中沢健次紹介)(第八一〇号)  同(畠山健治郎紹介)(第八一一号)  同(村山富市紹介)(第八一二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十一月二十六日  総合的な火山対策充実強化に関する陳情書  (第一八四号)  地震災害等に対する国民的保障制度の創設に関  する陳情書外十三件  (第  一八五号)  地震対策への取り組み強化に関する陳情書外一  件  (第一八六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件      ――――◇―――――
  2. 塩田晋

    塩田委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木村太郎君。
  3. 木村太郎

    木村(太)委員 委員長初め皆さん、おはようございます。質問の時間をいただきまして、感謝しております。  早速質問に入らせていただきたいと思いますが、まず、最近の原子力施設に関しての事故が続いておるわけですが、「もんじゅ」のナトリウム漏えい事故以来、数々の事故、あるいはまた、見方を変えれば不祥事というふうにも表現できるかと思います。これが続いておりまして、国民から原子力施設に対する不安というものが大変大きくなっており、いわゆる不信感も大きくなっております。また橋本総理も、これまで、その都度その都度不快感を示しておりまして、こういったことに私たちもきちっとした対応をしなければならない、こう思っております。先般、先週二十日の日にも東海村の原子力研究所において火災事故が発生した。次々とこういった原子力関係のものに対しての事故が発生しているということを大変危惧しております。  私の地元青森県におきましても、我が国において初めての商業用核燃料サイクル施設も、その建設整備が進められているところでもありまして、地元においても、そういった不安、あるいはまたたび重なる他の地域原子力施設事故等に対しての不信というものも根強く存在するのも事実であります。  科学技術委員会もありますけれども、防災害の観点から、原子力防災害対策についてお尋ねをしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  政府においては、六月において災害対策基本法に基づく防災基本計画を改定しております。この中で、これまでの地震や風水害などの自然災害に加えまして、海上、航空、鉄道、道路危険物そして原子力などの災害、大規模火事災害あるいはまた林野の火災など、新たに八分野事故災害についても規定を設けて、そして、災害の予防あるいはまた応急体制、あるいはまた警戒本部非常災害対策本部の設置なども規定を今回設けております。  この八分野事故災害の中に、今言ったように原子力災害を加えておりますけれども、加えた意義というものをまず確認させていただきたいと思います。
  4. 塩田晋

    塩田委員長 発言する際のお願いを申し上げます。  答弁の際は、挙手をされ、官制名を名乗るようにお願いいたします。その後、委員長が指名いたしますので、それから御答弁をお願いいたします。
  5. 亀井久興

    亀井国務大臣 今委員冒頭原子力災害が頻発をしているという、そういう御指摘がございましたけれども、申し上げるまでもなく、近年は社会もどんどん大きく変化をしておりますし、また産業もますます高度化複雑化、多様化してきておるわけでございまして、そうしたことに伴いまして、交通、輸送体系の問題、そしてまた原子力発電利用進展とか、あるいは多様な危険物等利用の増大、さらに町におきましても、高層ビルがどんどんふえてくる、地下街も増加してくる、また道路構造等もどんどん変化をしてくるわけでございます。こうした防災を取り巻く社会構造が大きく変化をしておりますので、各種の大規模事故による被害、いわゆる事故災害につきまして、防災対策の一層の充実強化が求められているところでございます。  そうしたことを踏まえまして、今御指摘のございましたように、平成九年の六月に防災基本計画の改定を行いまして、海上災害原子力災害、そして危険物災害等事故災害対策編防災基本計画につけ加えたところでございます。
  6. 木村太郎

    木村(太)委員 今の御答弁で、原子力災害に対しても大変重要視しているというふうに私は受けとめました。  そこで、災害対策基本法においては、応急対策ということからいいますと、一義的に地方自治体が担うように位置づけております。ただ、原子力災害というものは、私たち人間が、体で、目で察知することがなかなか難しい、いわゆる放射線による特殊な災害でありますので、こういった点で、我々の体が直接察知するのは難しいのじゃないか。ゆえにまた、防災対策においても、専門的な知識やあるいはまた高度な機材あるいは資材というものが必要と思います。いわゆる一般の災害とまた異なる対応があると思いますが、ただ、そう考えた場合に、応急対策において一義的に地方自治体が担うということになっておりますけれども、その地方自治体判断することが場面場面で困難な場面が出てくる可能性が大きいのじゃないかな、私はこう思います。そういった点の認識をお聞きしたいと思っております。  さらには、原子力施設というものは、建設から、でき上がって、完成して、運転管理しているその中で、一元的な、建設から運転管理ということを考えた場合には、国が安全性において責任を果たすべきじゃないかなというふうに私は考えております。特に、この原子力災害というものが発生したときには、原因者と思われるのがやはり事業者になる可能性が最も高いわけですけれども、その事業者を直接指導しているのが私の認識では国というふうに思っておりますので、そういった点での国の責任においてどういつだ認識を持っているのか、確認をさせていただきたいと思います。
  7. 鈴木貴

    鈴木説明員 御指摘のとおり、原子力災害につきましては、放射線による災害という特徴がありますことから、地方自治体だけでこれにすべて対応するということが難しいということは御指摘のとおりだと思います。このために、国としても必要な役割を担うということにいたしております。  具体的に言いますと、まず、原子力安全委員会が、放射線による災害ということでありますので、放射線による影響を考慮いたしまして、その影響を軽減するために、どの程度放射線の量になると屋内退避が必要であるとかあるいは避難の必要があるとか、そういう防災対策を具体的に講じる必要が出てくるわけでございますが、そういうところについて、専門的な立場からの指標でありますとか、あるいは判断基準を設定しております。そして、万が一の場合、放射性物質原子力施設の外に放出された場合、こういう場合に備えまして、地方自治体が平常時から放射線モニタリングを実施しております。  国といたしましては、こういう地方自治体が行います放射線モニタリングに関しまして、測定機材整備に関して国が交付金交付をすることによりまして資金的な援助を実施することでありますとか、あるいは緊急時の場合には放射線専門家あるいは原子力施設専門家助言が得られるような体制整備することでありますとか、あるいは政府として、関係機関対策の調整を図っていく必要がある場合には事故対策本部を設置することなどの対応を一応とることにしております。  それから、第二点目の、安全規制を行っている立場からの役割といいますか責任についてでございますが、これにつきましては、原子力施設につきましては、御承知のとおり、原子炉等規制法によりまして国が一元的に安全規制を行っております。こういうような立場から、原子力施設事故が発生した場合には必要な通報を行うことがまず義務づけられておりますし、こういう事故が発生した場合には、まずもって事業者対応をとるということになるわけでございますが、そういう事業者が講じている措置を監視するとともに、事故の拡大を防止するために、必要な場合には国といたしましても事業者に対して必要な指導をすることでありますとか、あるいは命令を行う権限を有しておりますので、そういう面で国としての役割責任があるものと考えております。
  8. 木村太郎

    木村(太)委員 答弁を聞きまして、体制は整っている、いろいろ努力はしているということでありますけれども、ただ、実際、これまでの事故あるいはまた不祥事ということを見た場合には、例えば連絡体制、今も答弁ありましたけれども、実際のところ、その通報のおくれというものがたびたび指摘されてまいりました。先ほど言った、先週二十日の日本原子力研究所火災事故においても、通報という面での反省すべき点があったんでないかという報道もありました。仮にその体制がきちっとされているといいましても、それをどういうふうに活用するか、このことに対しての思いをいま一度関係者が再認識して、もう一回確認することも大事じゃないかな、このことをお願いしたいと思います。  そこで、今答弁ありましたけれども、私が指摘した点も含めて、いま一度、冒頭言ったように、国民からの原子力に対する不安、不信感というものを払拭するためにも、原子力防災体制の確立に対してどう考えているのか、お答えをいただきたいと思います。  加えて、今十四道県で構成されております、これは原子力施設配置されている地域が一緒になって原子力発電関係団体協議会というものを設置している。この協議会が、国に対して、その責任あるいはまた各種防災対策充実強化などについて具体的なことを議論し、またそれが今まとまりつつあり、そして多分今後国に対してそのまとめたものを要望していくというふうに聞いております。中身の方は私もまだ知り得ておりませんけれども、こういった関係地方動きに対しての国の対応というものも御意見聞かせていただきたいと思います。
  9. 鈴木貴

    鈴木説明員 原子力施設につきましては、一昨年十二月の動燃事業団の「もんじゅ」のナトリウム漏えい事故でありますとか、あるいは本年三月に起きました東海事業所でのアスファルト固化処理施設での火災爆発事故など、そういう事故が発生する事態が生じておりまして、国民周辺住民信頼感を損なうような状態になっているというふうに認識しております。このために、万一の事態に備えた原子力防災体制充実強化を図っていくことは重要であるものというふうに考えております。  このために、冒頭にありましたように、本年六月には防災基本計画原子力災害対策編が追加されまして、国、地方自治体を含めた役割明確化が図られたところであります。また、科学技術庁といたしましても、地方自治体地元自治体方々、具体的には青森県の方でありますとかあるいは福井県の方などに参加していただきまして、原子力防災検討会という検討会の場を設けて議論をしているところであります。そこでの地元自治体の意見も踏まえまして、その防災対策充実強化については努めてまいりたいというふうに考えております。  それから、十四道県で構成されております原子力発電団体協議会におきまして、原子力防災充実について検討しているということは聞いております。協議会の方から、具体的な検討結果でありますとか、あるいは具体的な防災対策充実策につきまして提言とか御要望がありましたら、その内容につきましては十分検討していきたいというふうに考えております。
  10. 木村太郎

    木村(太)委員 いろいろ努力しているということですけれども、もっと具体的にお聞きしたいと思いますけれども、先ほども言いましたように、原子力災害の場合は、ある面では特殊災害でありまして、やはり、それだけ専門的な知識技術を持った組織や人が応急対策等々に努力をしなければならない、私はそう思っております。  そこで、専門的な知識技術を持つ組織あるいはまた人員配置とか、こういったものに対しての考え方、具体的なことがあればお聞かせいただきたい。仮称になるかもわかりませんが、例えば原子力レスキュー隊とか、そういった専門的な人員配置というものを具体的にもう検討していかなければならない時期じゃないかな、こう思います。そのことをお聞かせいただきたい。  また、先ほど答弁として、皆さんの方でも頑張っているということでありますけれども、これは長官にお聞きしたいと思いますが、原子力防災基本計画に基づいて防災充実強化というものを今図っているわけですけれども、そして、先ほども言ったように、新たに八分野を加えている。その一つ原子力災害だ。個々の分野充実強化をすることによって、全体の防災対策強化充実というふうにつながっていくと思うのです。ですので、そういった意味で、原子力災害充実強化について長官の御認識をいただければありがたいと思います。
  11. 亀井久興

    亀井国務大臣 今もろもろ原子力災害についての御指摘があったところでございますが、先ほども御答弁いたしましたように、防災基本計画を改定いたしまして、事故災害対策編をつけ加えたということでございます。  これは、先ほど指摘ございましたように、いろいろな分野に分かれているわけでございますが、特に原子力災害については、最近の状況等も考えてみますと、国民の関心も非常に高いわけでございますし、委員の御指摘にもございましたように、特に重要な分野である、そのように認識をしておりますので、その点が防災上徹底をして行われますように努力をしてまいりたい、まず、かように思っております。
  12. 鈴木貴

    鈴木説明員 原子力防災に関します専門的な知識あるいは専門的な組織についての件でございますが、原子力防災につきまして、専門的な知識を持って判断することは必要と考えておりまして、例えば、災害発生元である原子力施設状況でありますとか、事故進展の予測がどうか、あるいは、放射線放出状況やその影響程度がどうかなどは、やはりこれについては専門的な判断を要するものと考えておりまして、その面で国の役割は大きいものと考えております。  このために、国といたしましては、専門家の招集、派遣体制整備することでありますとか、あるいは、原子力安全委員会の方に緊急技術助言組織という、そういう専門家のグループを設置するなどの対応をとっているところであります。  御指摘の専門的な組織青森県の方から原子力レスキュー隊という要望があることは承知しておりますけれども、国の組織となると、国の機構面行政制度との関連などでいろいろ難しい面があるかと思いますけれども、その中で、具体的な要望の趣旨を踏まえまして、科技庁として何ができるか、こういうことについては検討していきたいというふうに考えております。
  13. 木村太郎

    木村(太)委員 何ができるかという言葉は、最近の金融破綻についての答弁として最近目立っておりますので、ぜひ、何ができるか、前向きに、原子力レスキュー隊を初め、具体的な、専門的な知識技術というものを重んじての国としての対応をお願いしたい、こう思っております。  私の地元青森県ですので核燃料サイクルがあるわけですが、地元青森県あるいはまた六ケ所村において、慎重に安全第一に対応しております。  地元青森県の強い要請によって、先般、国との常設の協議機関というものを設置させていただきました。このことは皆さんにも感謝したいと思います。科技庁長官あるいは通産大臣、あるいはまた、必要によっては官房長官等政府皆さんの出席あっての協議機関ということでありますが、こういう努力がされている中で、あくまでも安全性確保、これを第一に努力しているわけですけれども、先ほど来議論してきました原子力防災対策、この充実強化をしていくことが大事であります。  今核燃料サイクルにおいては、安全協定を結ぶ動きにもなっておりますが、地元は慎重に慎重に努力をしているところでもあります。この協定締結するに当たっても、安全対策そして防災対策強化というものが締結に向けての一つの大きな要素になるんじゃないかなというふうにも私は思うのですが、この点の御認識をいただければと思います。
  14. 鈴木貴

    鈴木説明員 原子力施設につきましては、まずその安全性を確保していくことが第一義であることは、これはおっしゃるとおりだと思っております。さらに、周辺住民方々万が一の場合の安全を確保する上で、原子力防災対策充実を図ることも、これも重要なものというふうに考えております。  このため、先ほど来出ておりますように、防災基本計画原子力災害対策編が追加されたところでありますし、また、科技庁といたしましても、その具体的な防災対策のあり方につきまして、青森県の方にも参加していただきまして、原子力防災検討会というものを開催して、充実策について検討しているところでありますので、このような方策を通じて、今後ともその充実強化に努めてまいりたいというふうに考えております。
  15. 木村太郎

    木村(太)委員 私は、具体的に、安全協定を結ぶために、こういった充実強化を図ることが締結に向けての、地元判断する上で一つの大きな要素になるんじゃないかな、その御認識はどうですかとお聞きしたわけですが、そのとおりだというふうに今の答弁理解をさせていただいてよろしいですか。
  16. 鈴木貴

    鈴木説明員 原子力防災対策充実していくことによりまして、周辺住民方々安心感信頼感も醸成されていくということになると思われますので、そういうような関係を通じまして、地元住民方々理解も深まるものというふうに考えております。
  17. 木村太郎

    木村(太)委員 時間もほとんどなくなりましたので、最後に、地元のことで大変恐縮でありますが、五月の上旬に私の地元の方で、大雨等によりまして大きな被害が出ました。時期的に九州の方でも大きな被害があったわけですが、その際の被害に対して、地元の県、市町村あるいはまた国においても対応をしていただいております。  特に河川はんらん等があったんですけれども、岩木川という川がありまして、この復旧にも既に国の方でも努力がされております。今現在での被害復旧状況と、今後の見通し等があればお聞かせいただきたい。  最後に、もう一つ長官にお聞きしますが、今財政再建ということで、いわゆる聖域を設けないでその努力をする、政府はその姿勢を示しております。しかし一方で、先ほど言いましたように、国民の今、財産を守るという防災害対策充実させることも、国民からの大きな期待が高まっているということでもあります。ですので、その点の整合性をどのように持って今後防災対策に努めていく決意か、このことも長官最後にお聞きして、終わりたいと思います。
  18. 渡部義信

    渡部説明員 委員指摘のとおり、本年の五月七日から八日にかけまして大きな雨がございまして、それにちょうど融雪の時期が重なっておりまして、岩木川直轄河川上流端にございます上岩木橋というところでは、既往最大の出水を生ずるような状況でございました。国の管理いたします岩木川では十七カ所、それから津軽地方の県、市町村の管理いたします河川道路等では七十七カ所で被災を受けております。  直轄災害では総額三十三億六千万、補助災害につきましては総額十一億九千五百万で既に災害の査定は完了いたしておるところでございまして、直轄災害につきましては、早期復旧に向けて準備を進めておるところでございますし、補助災害につきましては、早期復旧に向け順次復旧工事に着手しているところであります。特に、岩木川中流部におきまして無堤部等がございますので、今後の改修といたしましては、無堤部の解消を重点的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  19. 亀井久興

    亀井国務大臣 ただいまの財政再建防災対策充実、そのことをどう考えるかという御質問でございますけれども、申し上げるまでもなく、財政再建も国の最重要課題でありますとともに、災害から国土並びに国民の生命、身体、財産を守るということもこれまた同じように国家の重要課題である、そのように認識をいたしております。  私どもといたしまして、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえて災害対策充実強化に取り組んできたところでございまして、国土庁の防災局の予算につきましても、厳しい財政状況のもとではございますが、緊急かつ必要な事項については大幅に増額をいたしたところでございます。  国、地方通じて大変厳しい財政状況のもとではございますけれども、災害対策の重要性にかんがみまして、関係省庁とも十分に連絡をとりながら、災害対策充実強化に万全を期してまいりたい、かように考えております。
  20. 木村太郎

    木村(太)委員 ありがとうございました。
  21. 塩田晋

    塩田委員長 矢上雅義君。
  22. 矢上雅義

    ○矢上委員 新進党の矢上雅義でございます。  本日は、九州地方におきましての災害等について御質問いたしますが、最後防災全般について亀井長官に簡単な感想をお聞きいたしますので、よろしくお願いいたします。  まず、質問の第一番目ですが、御存じのように、九州地方におきましては、平成九年の年明けから夏にかけて、災害の連続でございました。まず、三月、四月、五月と九州南部地方で大型地震があり、また、六月後半から七月中旬にかけての梅雨前線による豪雨により、土砂崩れが続発いたしております。そこで、まず九州地方被災状況について、簡潔に御説明お願いいたします。
  23. 山本正堯

    山本(正)政府委員 お答えを申し上げます。  先生ただいま御指摘のとおり、九州地方におきまして、本年に入りましてから、震度六弱の地震が五月の鹿児島を中心に起こりました、あるいはまた七月の梅雨前線豪雨による土石流災害など、大変大きな被害が出ておるところでございます。  九州地方に大きな被害をもたらしました主な災害被害状況は、消防庁調べによれば、次のようなとおりでございます。  まず、三月の二十六日から四月五日にかけまして、鹿児島県の薩摩地方を震源といたしまして、震度五強の地震が一回、震度五弱の地震が二回発生をいたしておりまして、これらの地震によりまして、人的被害といたしまして重傷二名、軽傷三十四名、住家被害として全壊が四棟、半壊が三十一棟、一部損壊が二千百八十棟の被害が出ておるところでございます。  また、五月十三日にも同地方において震度六弱の地震が発生いたしておりまして、人的被害といたしまして重傷一名、軽傷四十二名、住家被害として全壊四棟、半壊二十九棟、一部損壊が四千九百四十棟の被害が出ておるところでございます。  また、七月の梅雨前線豪雨につきましては、鹿児島県の出水市の土石流災害も含めまして、九州地方全体で、人的被害として死者二十一名、重傷者二名、軽傷者十四名、住家被害として全壊三十一棟、半壊十四棟、一部損壊六十三棟、床上浸水百七十七棟、床下浸水千七百四十六棟の被害が出ておるという状況でございます。  以上でございます。
  24. 矢上雅義

    ○矢上委員 ただいま御説明になりました被災状況でございますが、その中で、特に質問の二番目としまして、テレビ、新聞等で大きく報道されました鹿児島県出水市針原地区の土石流災害及び熊本県八代郡坂本村の土砂崩れでございます。非常に近接した日時に起きておりますので、しかも突発で大規模であるということでお聞きいたしますが、この両件につきまして、被災状況及びこの災害の原因究明、また災害復旧対策はどのような状況に置かれておるのか、関係省庁より御説明をよろしくお願いいたします。
  25. 池谷浩

    ○池谷説明員 御説明申し上げます。  鹿児島県の出水市で発生いたしました針原川の土石流災害の件でございますが、今年七月十日に出水市の針原川で発生しました土石流災害では、死者二十一名、負傷者十三名という人的災害、そして住家四十棟、非住家十三棟が被災するという家屋被害等を含めまして、被害総額で約四十七億五千万円に上っているということでございます。  この土石流の発生原因の究明に関しましては、現在、鹿児島県が学識経験者から成ります針原川土石流検討委員会というのを十一月七日に既に設置しておりまして、現在その原因究明等を行っているところでございます。  災害対策の方でございますが、既に災害直後に、災害関連緊急砂防事業といたしまして、針原川砂防ダム、これは既設の砂防ダムでございますが、そのダムに堆積いたしました堆積土砂の除石工事や、新たな砂防ダム、それから崩壊地の山腹工等の内容の工事を約三十六億円でございますが、採択しておりまして、そのうち、先ほど申しました除石工事約五万立方メートルの除石については既に完成しているところでございます。  また、準用河川でありました針原川につきましては、九月三月に二級河川に鹿児島県が指定をしたところでありまして、災害復旧事業につきましては、流下能力の拡大等を考えまして、災害関連事業として県から申請がございました。十一月十二日に現地での災害査定を終わりまして、堆積土砂の除去等を採択したところでございます。  なお、災害関連事業の採択につきましては、今後、財政当局との協議の後に決定する予定としております。  また、これらの砂防等の復旧計画は、当然のことながら、地元の復興計画と大変密接に関係がございますので、現在、地元の住民の代表の方それから学識経験者等を入れました針原川砂防等復旧計画検討会、こういう検討会を鹿児島県が設置しておりまして、地域の復興計画と調整のとれたものとすることとしております。  さらに、二次災害防止のための、崩壊の可能性のある山腹斜面を監視するカメラとか伸縮計、それから雨量計、こういう機器を現地に設置いたしまして、現地にあります針原公民館に一元的に入るような仕組みをつくっております。ここで針原公民館にあります災害対策本部の現地連絡所で二十四時間監視体制ができるような仕組みがもうできております。この情報を現地の住民の方並びに災害復旧等の工事に入ります工事関係者に伝えるという仕組みにしております。  以上でございます。
  26. 海野洋

    ○海野説明員 本年七月十日、梅雨前線豪雨によります土石流により、出水市針原地区の農地及び農業用施設に大規模被害が生じております。  その災害対策でございますが、まず農地でございます。農地のうち、土砂が堆積しておりますけれども、果樹が残存しておりまして原形復旧が可能な二・二ヘクタールにつきましては、出水市が、果樹の枯死を防ぐために、土砂の排除を応急工事として八月末までに実施いたしたところでございます。また、砂防堰堤下流の地形が著しく変化した区域につきましては、出水市が区画整理方式により復旧するとしており、今週まさに災害査定を実施しているところでございます。  農業用施設に関しましては、水路二カ所、農道三カ所などの復旧がございますが、これも現在、災害査定を実施しているところでございます。  今回の査定をもちまして、針原地区の土石流災害に係る農地、農業用施設の災害査定はすべて終了する予定でございまして、農林水産省といたしましては、今後とも早期復旧に努めるよう県、市を指導していくとともに、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。  以上でございます。
  27. 安井正美

    ○安井説明員 熊本県八代郡坂本村の災害の件についてお答えを申し上げます。  本年七月十五日、熊本県坂本村鮎帰地区におきまして、山腹崩壊が発生して、土砂が河川道路にまで崩落をし、堆積するといったような被害が発生をいたしております。当該災害対応いたしまして、直ちに担当官を現地に派遣するとともに、学識経験者に調査をお願いしたところでございます。  災害の発生原因でございますけれども、今回の災害は、連続雨量六百ミリを超す梅雨前線による降雨が地下浸透をいたしまして、伏流水となって供給され、地下水圧が高まり、基岩層と風化岩層の境界から噴出して深層崩壊を起こしたものというふうに考えられておるところでございます。  当該地域復旧に当たりましては、関係行政機関との連携、協力を図りながら、災害関連緊急治山事業等によりまして、崩壊危険土砂の排土、土どめ工、水路工、のり枠工の設置等の復旧対策を速やかに講ずることといたしておるところでございまして、既に現地の査定は終了いたしまして、直ちに復旧工事にかかる準備を整えているところでございます。
  28. 藤芳素生

    藤芳説明員 御説明申し上げます。  建設省でございますけれども、この災害の起こった直後、担当官を現地に派遣しまして調査を実施したところでございますけれども、河道を埋塞した崩壊土砂が流出するおそれがあると判断されたことから、応急対策といたしまして、約十万立方メートルに及ぶ堆積土砂の一部を除去し仮排水路を設ける工事を十七日に着手し、二十日に完了したところでございます。  それから、本復旧でございますけれども、流路工、護床工等を設置いたしまして河道の安定を図るとともに、町道のつけかえを行う計画で県より申請を受けております。  建設省といたしまして、現在、現地において災害査定を実施中でございまして、復旧に当たっては崩壊した山腹斜面の安定を図る必要があることから、治山事業とも連携を図って着手していきたいというふうに考えております。
  29. 矢上雅義

    ○矢上委員 ただいまの御答弁をお聞きいたしまして、復旧の方は、査定も完了し着々と進みつつある。また、監視体制の方も、針原地区等におきましての二十四時間体制ということで、坂本村の方でも頑張っておられるということもお聞きしております。  ところで、この両県の違いと申しますか、鹿児島で起きた針原地区の土石流災害の場合には、事前に川の方からガリガリ石の音がするとか住民方は異常な気配を感じておったが、大規模な砂防ダムができた直後であり、大丈夫だろうと安心して災害に遭われました。それに対しまして、五日後に起きました八代郡の坂本村の土砂崩れによる河道の封鎖が起きたときには、これは八代の坂本村の方々は、鹿児島の災害を教訓にいたしまして、急いで避難いたしました。下流の体育館に数十世帯が数日間避難したわけでございまして、ある意味では鹿児島での災害の教訓が生かされて事前に避難できた、そういうことでございます。  そういう中で、やはり一番大事なのはいかに早急に避難するかでございますが、簡単に避難するといっても、それに伴い、避難体制をどうするか、また一番大事なのは避難にかかる費用をどうするか等でございますので、この避難の費用等についての支援体制はどうなっておるのか、関係省庁からお聞きいたしたいと思います。
  30. 滝本純生

    ○滝本説明員 避難所経費を初めといたします災害救助経費についてでございますが、災害救助法の適用を受けた地域につきましては、災害規模に応じまして国庫補助の対象とすることとされております。御指摘の土石流災害に際しましては、七月十日に鹿児島県出水市が災害救助法の適用を受けたところであります。  なお、災害救助法の適用を受けなかった団体におきましても、災害救助費を初めといたしまして災害対策経費が多額に上っていることが見込まれます。自治省といたしましては、これらの被災地方公共団体の実情というものを十分お聞きいたしまして、特別交付税等による財源措置を講じまして、被災団体におきます財政運営に支障が生じることのないように的確に対応してまいりたいと考えております。
  31. 池谷浩

    ○池谷説明員 土石流災害から非常にとうとい人命と貴重な財産を守るというのは重大なことだと認識しておりまして、従来から、砂防ダムの整備等のハード面の対策とあわせまして、危険渓流の周知とか警戒避難体制の確立等ソフト面の対策を総合的にこれまで実施してきているところでございますが、とりわけ今般の土石流災害にかんがみまして、鹿児島県を初め全国で、今、避難のためのアンケート調査をやっております。それからまた、危険箇所の周知というのも非常に重要なことでございますので、新たにダイレクトメールという手法を使いまして、今実際、現地でその手法の検討をしているところでございます。  これらの検討も含めまして、これからの土石流対策の避難対策に万全を期すように考えております。
  32. 矢上雅義

    ○矢上委員 質問の四番目は災害復旧の財源対策についてでございましたが、先ほど同僚の木村議員より長官に御要望がございましたので、それと同じ趣旨でございますので、どうかよろしくお願いいたします。  最後に、長官に御質問でございますが、長官御存じのように、阪神大震災のときには、小里先生が特命大臣ということで任命されまして、国土庁の出番がなかなか回ってこなかった。また、もう一つ、鹿児島県出水市におきましても、当時の建設大臣であった亀井大臣が現地入りされて陣頭指揮をとられた。  私が理解しておりますに、この災害対策特別委員会の主管は国土庁でありますし、防災の主管も国土庁であると存じております。なぜいざというときの大規模災害のときに国土庁長官でなく特命大臣であったり建設大臣であったりするのか、私はそのあたりに疑問を感じております。  一般的に考えられるのは、政治家のリーダーシップ論に帰着するのではないかという意見が一つ、それともう一つは、個人の資質の問題ではなく、国土庁というもの、また建設省、農水省という縦割りの組織論の中で、役所の方々がせっかく持たれる能力とか経験というものを、調整という部分に力をとられて能力を発揮できない、そういう部分があるんじゃないかという意見もございます。  実は、私は針原地区に視察に行きましたときに、ちょうど私がおりましたときに、最後の二人です、小学生と幼稚園だったですか、子供さんが二人泥の中から上がってきまして、担架で運ばれていきました。ああ、これは大変だなと。そしてまた、そこで頑張っておられる、国土庁を初め各省庁の職員の皆さん方が泥だらけになりながらやっておられるのを見て、本当に大変だなと実感した次第でございます。  そういう立場に立って今回質問をつくってやろうとしたわけですけれども、実は、たったこの二十分くらいの質問をつくるに当たりましても、どこの省庁に何を聞いていいかがわからぬわけですよ。国土庁に聞いても、建設、農水、自治省に聞かねばわからぬし、例えば費用負担の問題にしても、どこが費用負担するのかということさえもすぐは出てきません。質問のレクチャーを受けても答えが戻ってきません。一人一人の役人の方は、昔から知っておりますから、立派な方で、情熱のある方ですけれども、縦割りという中で調整、またはお互いの権限を尊重し合うという中で答えが出ない。  それで、きのうの夜ですか、五、六人来られて、そのときの話の主題が、どこの省庁が質問に答えるか割り振りをしてくれということでございました。私、気分を害しまして、何で私が割り振りをせにゃいかぬのだと、それを感じたわけでございます。ただし、個人の役人さんたちは、申しわけございませんが、私も昔から知り合いで、立派な方ですから、それは言っておきますが、これは個人の資質の問題ではなくして組織論に問題がある。  ですから、次の大規模災害のときは亀井長官がみずから陣頭指揮できるように、刀もふだんから手入れをしておきませんと、いざというときにさびて使えなくなりますので、これまでの阪神大震災そして針原地区の土石流災害になぜ国土庁長官が陣頭指揮をとれなかったかということを、各省庁間の若手の職員の方、幹部の方々亀井長官がひざを交えて分析なさって、次のマニュアルをぜひ早くつくっていただければということを要望いたしまして、私の質問とさせていただきます。  これで終わらせていただきます。
  33. 塩田晋

    塩田委員長 赤羽一嘉君。
  34. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 おはようございます。新進党の赤羽一嘉でございます。  私、阪神・淡路大震災の被害を一番受けた、神戸市の中でも長田区、兵庫区、北区選出の議員でございまして、震災発生後、一千日の月日の経過の中で、一貫してこの質問をさせていただきました。  亀井長官とはきょう初めて質疑をするわけでございまして、この一千日の経過の中で、長官としての阪神・淡路大震災の震災復興に対する現状認識、そしてまた、これからの国としての課題、こういった基本的なことをまずお伺いしたいと思います。ですから、細かいことは聞くつもりはございませんので、ぜひ、たった十五分間ですから、端的に大臣の御所見をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。  まず、御就任早々、九月十六、十七日、今言いました神戸市の長田区を初めとする震災の厳しかったところを視察いただいていると思います。そしてそれを受けて、九月二十九日、本委員会初日に所信表明、御意見を表明されているわけでございますが、私、これを聞かせていただいて、率直に言って、政府の考え、震災に対する復興はもう既に終わったというふうな認識でこういう発言をされたのではないかということを非常に心配しております。  それは、その半年前に行われた二月中旬の伊藤長官の所信表明では、この阪神・淡路大震災のことについては大変なウエートを占めた発言がされました。そして、その中で種々課題を述べられながら、「今後とも、公営住宅等の大量かつ早期の供給、生活の自立再建を目指す被災者に対する支援を初めとして、生活の再建、経済の復興、安全な地域づくりなどの諸課題に全力を挙げて取り組んでまいる所存であります。」ということで取り組まれたと承知しております。  その半年後の亀井長官の今回の所信表明を見させていただきますと、阪神大震災にかかわることはこの一カ所だけなのです。「阪神・淡路大震災の教訓を踏まえながら、各種災害対策の一層の充実強化に努めてまいる所存でございます。」これだけ聞かせていただきますと、阪神・淡路大震災はもはや過去のものとして、震災復興は非常に順調にいっている、ですから、今回のいろいろな教訓を生かしながら新たな対策をしていきたいということで、具体的な震災復興、国としてあとこういうことをやるべきだというようなことには全く触れられていないのがこの所信表明でございました。  このことについて、十六、十七日と現場を見られ、そしてこのような所信表明をされたということで、実際現地に行かれ、どのような率直な御感想を持たれ、課題がどこにあるのか。極めて順調にいっているという御認識であれば、それはそれで結構なのですが、その辺の部分について、長官の御所見を伺いたいと思います。
  35. 亀井久興

    亀井国務大臣 ただいま本委員会におきます私の発言についての御指摘がございましたが、先般の委員会におきましては、新任のごあいさつということで、私の決意の一端を述べさせていただいたわけでございまして、阪神・淡路大震災の復旧・復興の問題が最重要課題であるということは十分に認識をいたしております。  ただいま御指摘がございましたけれども、就任いたしまして早々に私現地にお邪魔をさせていただいて、現地の状況もそれなりに拝見をいたしましたし、また、地元の公共団体、住民の皆様とも懇談をいたしながら、現状の把握に努めてきたところでございます。  御承知のとおり、いわゆるインフラ等基盤につきましては大体復旧が順調に進んでいるな、そういう感は持ったわけでございますけれども、現実にまだ、現在の時点で約二万六千世帯の方々が仮設住宅で居住をしておられる、そういう実情もあるわけでございまして、決して私は復旧・復興がすべて終わったというような認識を持っているわけではございません。  特にまた、被災者方々の生活の再建ということが大変重要な課題であるということ、またさらに、産業の復興がなかなか思うようにいっていないという現状もよく認識をいたしておりますし、また、産業の復興が思うようにいかないということは、雇用の面にもいろいろ不安が出てきておるわけでございますから、こういうことも踏まえまして、これからさらに阪神・淡路地域の復興のためには総力を挙げて取り組んでまいりたい、かように認識をいたしております。
  36. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 ありがとうございます。  長官御承知だと思いますが、十月二十六日に神戸市長選が行われました。現職の市長さんを自民党の皆様を初めとして我が新進党も、ほとんどの政党が推薦をしながら、総力戦で市長選に取り組みました。片や新人の、共産系という表現が正しいかどうかわかりませんが、候補者の一騎打ちになりまして、実は二十六万対二十二万票という、四万票差という大変厳しい選挙戦でございました。多分、共産党の候補者が過去神戸市内で二十万票以上とったというのは初めてだというぐらいの状況でございました。  これを見ても、率直に申し上げまして、現職の大変さというのはもちろんあると思いますが、四兆円近くの予算が投入されていながらも、被災をされた市民にとってはまだまだ物足りないという極めて率直な数字が今回の市長選の結果であるというふうに思っています。  今、長官みずから御認識をいただきましたように、生活再建の部分、また雇用の問題を含めた産業復興について大変厳しい認識を示されているとおりの実感を被災者が感じているというのは、私も同感でございます。  特に、地元におりまして、最近表に出てこなくて問題だなと思いますのは、震災に起因して失業した。そして、どうするか。失業保険も切れた。所得を回復するためにということで、震災復興のインフラを立て直すときの、例えば道路を補修するときの警備員とか、物を建てるときの夜の見回り、これも警備員、そういう復興需要にかかわるショートタームの仕事というのは結構あったと思うのです。  ところが、一千日経過した中で、その需要が一段落し、そういったパートタイム的な仕事がどんどんなくなってきている。失業者でありながら、再就職をしてまた再失業している。こういった被災者の実態というのは極めて多くなっているのが現状だと思います。恐らくこれは数の掌握はなかなか難しいのですが、ぜひ長官の御指導で、地元自治体にもその掌握を早くせよということをお願いしたいと思います。  また同時に、ローンを抱えて家を建てた、マンションを買った。しかし、その対価の家がつぶれた、またマンションがつぶれた。従来の規制の問題で家が再建できない。こういった方たちは大変な数を抱えております。そして、ローンを払いながらも、住まなければいけませんので賃貸住宅の家賃を払う。実質的に二重ローンになっているわけでございます。  この人たちはどうするか。自己破産をそろそろしなければいけないということで、平成七年度は九百六十五件、自己破産の件数です、平成八年度は千二百二十二件、毎年のようにふえている。恐らくことしはもっとふえることだと思いますが、こういった問題、ローンを抱えた持ち家の方たち、その持ち家を再建できない人たちをどうするかということも深刻な問題だと思います。  また、商売をしている、店舗を開始している人で、そのうちの二割の商店が再開ができておりません。また、九割以上の商店主が、震災前の売り上げに戻っていない。戻っていないばかりではなくて、歩いてみると、震災前の三割、四割だ。これはもう人が戻ってこなければどうしようもないといった、地元ではもうどうにもならない問題を抱えているというのが今の実態であると思います。  ですから、三年たって、道もできた、ビルも建ってきた。しかし、よく見ていただければ、長田のパラールとか行っていただいたと思いますが、まだまだ本格的な営業とはほど遠い中で、先の見えない不安というのですか、だんだんそれが複雑化してきている。ここが、今回の市長選で、現職ではない新人候補に対する期待というか支持が集まった原因の一つであるというふうに思います。  そこで、何とか生活再建のためにということで、公的保障の法案というものをこの通常国会に、私たちも新進、民主、太陽、民主改革連合の四党で法案を出しました。二重ローンについては別に徳政令的な法案を出しましたが、残念ながら、この公的保障の法案は、参議院でも別の法案が出ておりますが、衆参ともに実質的な審議をされずに本日まで経過しているような状況でございます。  この二重ローンの方については、本会議の質疑だけはさせていただきまして、自民党の方が代表質問で、この時期の御提案、会期末の提案は、震災対策との美名に隠れた国民向けのパフォーマンスと言わざるを得ないというようなことを自民党の代表質問でやられた。僕はとんでもないと思います。五月の頭の段階で法案を出して、四党二百名以上の議員が賛成をして、衆議院に出した。それを、つるしの状態にあって会期末まで実質的な審議を全くされなかったにもかかわらず、会期末に出してパフォーマンスだなんて言っていること自体僕は信じられない。これが政権与党第一党の自民党の代表質問なのか。  また一方では、自民党の議員は、もはや震災復興は終わったのだというようなことを言っている方たちも数多くいます。これは地元新聞なんかでも明確に発言として出ている。地元では公的保障をやってくれ、それが何がしかの自立再建の手助けになるのじゃないか。こういった中で、我々も一律に金をばらまけなんというのじゃなくて、先ほど言いましたように、所得が回復していないところに、限定的に、ちゃんと調査をしく足らざる部分については国として何らかの支援を出すべきじゃないかということを法案として出したわけですけれども、これについて全く国会で取り上げようとしないというのは、これはどうしようもない話だというふうに思っております。  認められなければ、ここの場、この災害対策委員会で堂々と審議をして、ディスカッションすればいい話でございまして、それについて否決されたり修正されたりすることはやぶさかではありませんが、このことについて、我々の出している法案はここに来ていないわけですから長官としてはコメントしょうがないと思いますが、この公的保障のことについて、国会でも地元でもこれだけ大きな動きがある公的保障の法案について、長官としてどう取り組んでいくおつもりなのか、どうお考えになっているのか、その御所見があれば聞かせていただきたいと思います。
  37. 亀井久興

    亀井国務大臣 先ほど来大変具体的なさまざまな御指摘がございまして、私も、拝聴をしながらいろいろな思いを持っておったところでございますけれども、今まで国といたしましても、いろいろな施策は講じてきておるところでございまして、特に産業面でのさまざまな不安、それから雇用面での不安、先ほどお話あった点でございますが、そうした実情については私もそれなりに認識をしておるつもりでございます。  今、生活再建のことについての御質問でございますけれども、御案内のとおり、地元の公共団体が創設をいたしました復興基金を活用いたしまして、生活再建支援給付という形でもう既にそうした給付も行われているという状況でございまして、国といたしましても、その地方公共団体の施策を全面的に支援をしていく、そういうスタンスで一生懸命やっておるところでございます。  先ほどの議員立法の御提案につきましては、議員立法ということでございますので、私から国会のことについてあれこれ言うことは差し控えさせていただきたいと思いますが、生活再建ということが大変重要な課題になっているということにつきましては、私も十分に認識をしておるところでございます。
  38. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 生活再建の支援策も、地方自治体で無理をして、対象の範囲も広げて、市、県が頑張っておるわけですから、その財政的な後ろ盾をぜひ国としても最大限お願いしたいということが一つでございます。  もう一つ、これとは別に、今回の震災を教訓にしてこれからの恒久的な制度をつくらなければいけないということで、基金をベースにした全国知事会がまとめたアイデアがございます。  このことについては伊藤長官もこの通常国会、一貫して前向きなお話でございまして、総理の諮問の防災問題懇談会で、災害が多い日本では恒久的な基金制度を地方公共団体等で研究する必要があるのではないかという結論を出しております、全国知事会でいろいろ考えていただいているわけでございまして、ここで考えがまとまったら国としても支援を積極的にすることができるというような御発言がございました。全国知事会でも、この秋に、具体的なそのシステムというものがまとめられているというふうに了解をしておりますが、一向にこの秋の臨時国会で法案として姿をあらわさないのが今の実態でございます。  この中で、地元を視察していただいたときに、地元紙の報道では、知事会の基金創設案については亀井国土庁長官は白紙というふうに後退発言をしているというような記事が出ておるわけでございますが、このことについて今後どう取り組んでいこうとされているのか。法案を政府としてやる気があるのかないのか。伊藤長官は極めてやる気のある、全国知事会である程度案がまとまれば国としても前向きに取り組むという話の中で、かなりギャップが出ているのではないかという心配がございます。  このことについてぜひ、本当は運輸省のことも聞きたいのですが、もう時間もありませんので、最後質問としてお答え願えればと思います。
  39. 亀井久興

    亀井国務大臣 今、基金のことについて御質問があったわけでございますが、今お述べになりましたように、内閣総理大臣が設置した防災問題懇談会におきまして、基金制度の創設の検討が必要、そうした提言があるわけでございまして、そうした全体的な空気を踏まえて全国知事会が独自に基金案について検討しておられる、そのことは十分に認識をいたしておりますけれども、全国知事会の御提案も、将来の災害に備えての何らかの基金ということで御検討いただいておるところでございますが、個人補償というような問題もございますし、また御承知のとおり、国と地方を通じ大変な財政状況になっているという、そうした点もございますので、知事会の御提案があったからそれをすぐ私どもが受けとめてということはなかなか難しい状況にはあるわけでございますけれども、国土庁といたしましても、もろもろの問題点につきましては十分に検討させていただきたいと思います。
  40. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 今金融不安でいろいろ公的支援導入ということが取りざたされております。昨年の住専のときも、住専には公的な資金を導入できて震災地には導入できないのかという非常に厳しい論調がございました。また、今回の話でもそういったことが地元で再燃されると思いますので、万が一災害が起こったときに、個人補償的な額が出るわけはないのでありまして、国としてどう国民に誠意を示していくかという形で、少額でもいいから新しい制度を、千年に一度の大震災の教訓として、ぜひ亀井長官のもとで創設していただきたいということを強くお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  41. 塩田晋

    塩田委員長 砂田圭佑君。
  42. 砂田圭佑

    ○砂田委員 自由民主党の砂田圭佑でございます。自由民主党を代表して質問をいたします。  私は、阪神大震災の一人の被災者として自宅が崩壊をするという立場から、この阪神・淡路の大震災について集中的に質問をさせていただきます。  震災後二年十カ月が経過をいたしました。先ほど赤羽委員からもお話のありましたように、だんだんとこの震災が皆さんの記憶から薄れつつあることは御承知のとおりでございます。先ほど長官の御答弁の中にも、仮設住宅にはまだ二万六千世帯が住んでいるという実情でありまして、御認識地元とはいささか違う現状であります。特に、住宅建設あるいは経済の復興が大変におくれております。そして、この大震災後千日の間にも、先ほど来御質問のありますように、大なり小なりいろいろな災害が起こってきたことも事実であります。  前の伊藤長官は、大変熱心に災害復興についてお取り組みをいただきました。新長官におかれましても、ぜひとも災害の復興については十分御関心をお持ちをいただきまして、対処をいただきますようにお願いを冒頭に申し上げるところでございます。  そして、天災は忘れたころにやってくるという言葉がございますけれども、あの阪神大震災の経験を踏まえて、これから日本のどこかでいつ起こってもおかしくない天災について、その対策に対して政府はどのような危機管理体制を整えておられるのか、まずそこのところからお伺いをいたします。長官、よろしくお願いいたします。
  43. 亀井久興

    亀井国務大臣 ただいま、砂田委員地元ということもあって、私の認識とは違ってもっともっと厳しい状況にあるという、そうした御趣旨の御発言がございまして、私も先ほども御答弁いたしましたけれども、現地にお伺いいたしまして私なりにその状況については十分に認識をしておるつもりでございますので、これから私なりに全力を尽くして復旧・復興に取り組んでまいりたい、かように思っております。  それから危機管理のことについての御質問でございますが、何と申しましても、まずそうした災害が起こりましたときに、的確かつ迅速な情報の収集、伝達というものが必要でございますし、また各般にわたる災害応急対策、こうしたものを総合調整をして、政府が一丸になって対策を実施していくということが必要であろう、そのように思っております。  このために、先般の教訓を踏まえまして、政府といたしまして、大規模災害発生時の第一次情報収集体制強化と、内閣総理大臣等への情報連絡体制整備を行ったところでございます。また、首都直下型大規模地震発生時の内閣の初動体制整備もいたしたところでございます。また、災害対策基本法を二度にわたって改正をいたしまして、緊急災害対策本部の設置要件を緩和いたしますとともに、本部員に全閣僚を充てまして、さらに、本部長であります内閣総理大臣の指示権、これを新たにつけ加えたところでございます。  政府といたしましては、これらの新たに構築いたしました防災施策によりまして、大規模災害発生時に迅速かつ効果的に対処できる体制整備を図ってまいったところでございますが、今後とも中央防災無線網の拡充、DISと言っておりますが地震防災情報システムの整備等に取り組みまして、災害対策に万全を期してまいりたい、かように考えております。
  44. 砂田圭佑

    ○砂田委員 いつ訪れるかわからない、やってくるかわからない天災であります。そして、先般の阪神の震災のような大変な大災害をもたらす、その混乱の中でいろいろな危機に対処することは非常に難しい問題でもありますけれども、政府がその危機管理能力を、今長官がお答えになりましたような万全の体制をもって被災者を一日も早く安心できる状況にしていただくためにも、ぜひともよろしくお願いを申し上げたいところでございます。  特に、あの震災の真つただ中にいました自分としては、やはりいざとなれば消防も警察も間に合わないわけでありまして、時間のかかることでありますから、やはりその災害に直面した人々に対する危機管理教育というような面についても十分に御配慮をいただきたいと思います。  危機が来たときにまず何をするか。我々のマンションで九十世帯の人がいて、そしてあの日に、とにかく消防署へ行って、あるいは警察へ行って助けを呼ぼう、七人生き埋めになりましたから、そういうことで消防へ行きましたけれども、消防も警察も人っ子一人いないというのが実情でありました。そういう中で、どうやってそれじゃそういう人たちを助けようかというのは、やはりそういう危機に直面して、我々が小さいときからいろいろな教育を受けているとすればそれなりの対応の仕方が出てくるという意味で、危機管理教育についても十分な御配慮をいただきたいと思います。  先ほど赤羽委員からもお話がありまして、少し重複をいたしますけれども、この震災で、経済あるいは生活支援というところでまだ不十分なところがあるというふうに長官もお答えでございます。その辺について、この復興全体についてもう一度長官の御認識なり、あるいは国土庁としてのこれからの対応対策について、何かあればぜひともお聞かせをいただきたいと思います。
  45. 亀井久興

    亀井国務大臣 先ほども御答弁を申し上げたところでございますが、九月に私自身お邪魔をさせていただきまして、私なりに拝見をしてまいり、各方面の御意見、御要望等も承ったところでございますが、率直に申しまして、よくここまで本当に頑張ってこられたな、そういう思いが大変強くあるわけでございます。地元の住民の皆様方、そして地方公共団体の方々、本当に力を合わせて頑張っておられるな、そういう実感を持ったところでございますが、表面から見る限りにおきましては、いわゆるインフラ施設等につきましては大体その復旧は終わったのかなと、最後まで残っておりました神戸港につきましても、三月に大体復旧が成ったということでございますが、今委員指摘になりましたように、まだまだ残された問題がたくさんあると思っております。  特に、先ほどお話がございました、まだ二万六千世帯の方が仮設住宅住まいをしておられるということでございますので、一日も早くこうした方々に恒久住宅に移っていただかなくてはいけないということでございまして、地元公共団体に大変御努力をいただいて、公営住宅の供給体制等を充実していただいておるところでございます。そうした地元の施策を全面的に支援をしてまいりたい、かようにも思っております。  また、産業面等の御指摘もあったところでございますが、全体的に日本経済が大変厳しい状況でございますけれども、それと震災の被災ということがいわばダブルパンチのようになっておる現状だろうと思っておりますので、産業面に対しましても相当きめ細かい施策が必要ではないだろうか。個々の企業のことにつきましても、やはり税制の面あるいは金融の面、こうしたことできめ細かい対策が必要ではないか、かように思っております。
  46. 砂田圭佑

    ○砂田委員 私は、震災の復興ということは、何といっても一番最初に社会の人みんなが使う社会資本、そういうものが復旧することがまず第一だろうと思います。そして次に被災者の生活支援。これはまた別な形の中で、被災者が一日も早く立ち直る、少なくとも日々の生活だけはきちっとやっていける、そんな状況をつくり出す。  少し長い時間的には、やはり生活支援の一つは、一番大きな目標は住宅建設、新しく入れる住宅あるいは個人が建てる住宅に力を注ぐ、横から支援をしていくということが非常に重要であろうと思います。そして、住むところができれば当然働く場所が要るわけでありまして、経済の復興は当然のことながら、その中で雇用が確保されていくことが大事であろうという気がいたします。  おかげで社会資本は、長官の御答弁のとおり、いち早く日本政府の御努力によって復旧をいたしました。もう今、神戸市内で社会資本の面で震災の姿を見ることができない、想像することができないまでに復興をいたしております。ただ、被災者の生活支援はいまだ不十分でありますし、また、これから長い時間をかけて神戸がもとに復旧していくためには、やはり神戸の経済、それがもう一度復活してこなければ神戸の町がもとに戻ったとは言えない状況ではないかと思います。  そこで、今やっと生活が何とか目鼻がついて、これから自分の土地に家を建てようという方もたくさん見受けられるわけでございます。そういう時期に、これまで住宅金融公庫の災害復興住宅融資が適用をされてまいりましたけれども、これが来年、十年の一月十六日に期限が終わります。やっと生活が何とかできるようになって、これから自分の家を再建しようという人たちのためにも、この住宅金融公庫の災害融資の制度をもうしばらく延ばしていただきたい。そのことが被災者にとって大変な勇気になるだろうという気がいたします。これは、建設省からひとつお答えを願いたいと思います。
  47. 八木寿明

    ○八木説明員 被災者に対します住宅金融公庫の災害復興融資について御説明いたします。  現在、住宅金融公庫では、御指摘のように、来年の一月十六日までの間、災害復興住宅融資を受け付けることといたしておりますが、引き続き被災者方々の住宅復興を支援する観点から、来年の一月十七日以降三月末までの間、ほぼ同内容の災害復興融資を行うことといたしております。  その具体的内容につきましては、できる限り早く被災者の方にお知らせすべく現在作業をしておるところでございますが、具体的には、地元紙を中心とした新聞紙への掲載あるいは地元関係地方公共団体の広報紙などを通じて被災者方々にお知らせしていきたいと思っております。  また、来年度、平成十年度の取り扱いについてでございます。現在十年度の予算を編成作業過程でございますが、被災者方々の復興を引き続き支援する必要があるとの観点から、建設省といたしましては、現在の災害復興住宅融資とほぼ同内容の融資が引き続き実行できますように努力をしてまいりたいと思っております。
  48. 砂田圭佑

    ○砂田委員 三月末というお話でありますけれども、いささか延長期間が短いような気もいたします。被災者方々もいろいろな考えを持ってそして住宅を再建しようという状況の中では、いかにも二カ月半ほどの延長は短いような気がします。引き続いて御検討をいただくようにお願いを申し上げておきます。  銀行でお金を借りることになれば、当然、金銭消費貸借というような契約を結ぶわけでございますけれども、そのときに印紙税がかなりの高額でかかります。我々自由民主党としても、被災地における金銭消費貸借の印紙税等については何かの形で考えなければならないということで、これから検討もし、主張していくところでありますけれども、大蔵省において、この印紙税のこれまでの措置を引き続いて、これは平成十年の三月末が期限でありますけれども、今後もぜひ何とか印紙税の免除の延長をしていただきたい。その点について、大蔵省、よろしくお願いします。
  49. 加藤治彦

    ○加藤説明員 御案内のように、特別貸付制度に係る消費貸借契約の印紙税の非課税措置でございますが、大震災の被害が極めて甚大であったことに加えまして、政府系金融機関等において、従来の災害貸付制度に比較いたしまして一層の金利引き下げ等の特別に有利な貸付制度が設けられたこと等を踏まえまして、被災者復旧のための資金調達に係る負担軽減を図る見地から、平成十年三月三十一日までの臨時的な措置として講じられたものでございます。  現在、関係省庁から、各政府系金融機関等の特別貸付制度の十年度以降の継続の有無、それから当該特別貸付制度の最近までの利用状況等につきまして確認中でございますが、いずれにいたしましても、適用期限到来後の非課税措置の取り扱いにつきましては、非課税措置が設けられました趣旨、目的を踏まえつつ、十年度税制改正作業の中で十分検討してまいりたいと思っております。
  50. 砂田圭佑

    ○砂田委員 次に、産業復興について少しお伺いをいたしますが、神戸の現状は、人口は震災前に比較して十万人減ったそのままになっております。そしてまた神戸市に在籍はして、登録はしてありますけれども神戸市内に住まない人がやはり十万近くいると言われています。そういう意味で人口はかなり減ったままの状況であります。そのことがまた神戸の経済にもいろいろ影響をしているところでございます。  例えば事業所の数あるいは従業員の数、そういうものを統計で見ますと、二一%ぐらいが減ったままの状況でありますし、あるいは地場産業と言われるケミカルシューズの関係の業界では生産額が四〇%も減ったままで、転廃業する方も多いと聞いております。また、酒造業界なんかでも中小企業の会社では休廃業が進んでいるという状況であります。百貨店も一五%の売り上げ減、また市場とか商店街、これも再開率が八二%。先ほどお話ありましたように、二〇%の人がまだ立ち上がれない、再開できないという状況にございます。売り上げは、悪いところでは五〇%から六〇%にしか戻っていない。神戸に来る観光客の数も二八%減ったままの状況であります。  そういう状況の中で、いろいろ神戸市は苦労をしているところでございますけれども、まずその中で、中小企業向けの政府金融機関の災害貸付制度、そして兵庫県、神戸市で災害復旧資金の融資制度がありますけれども、この据置期間を、昨年皆さん方にお願いを申し上げまして、平成十年の四月から一年間先延ばしをしていただきました。据置期間が三年から四年になったわけでありますけれども、その点については大変感謝をいたしております。しかし、まだまだ、前段申し上げたような経済状況でありますので、中小企業者の復興は十分にまいりませんし、やはり資金繰りで大変厳しい状況にある。特に最近の貸し渋り状況の中では、中小企業の資金調達は大変困難をきわめている状況であります。  来年のことを言えば鬼が笑うわけでありますけれども、来年以降そして再来年も、もう一年は延ばすぐらいの覚悟をぜひしていただきたい。しかし、延ばせば延ばすほど返済はまたかさんでくるわけでもありますし、金利もかさんでくるわけでありますから、そういう意味で、五年間で打ち切って、ぐらいの覚悟でもう一年、さらに平成十一年以降についても御勘案をいただきたいと思いますけれども、中小企業庁、いかがでしょうか。
  51. 黒岩進

    ○黒岩説明員 地場産業でございますとか小売業等を初めとする被災地の中小企業者が依然として非常に厳しい経営環境に置かれているということにつきましては、通産省といたしましても十分認識しているところでございます。  このため、先ほど指摘ございましたような政府系中小企業金融機関の災害復興貸し付けにつきましては、災害の発生後間もなく受け付けを開始いたしまして、その貸し付け条件の面でも、融資枠の拡大、金利の引き下げ等の思い切った措置を講じているところであり、その適用期間については三回の延長を行いまして、現在、平成十年の七月末までとしているところでございます。  それから、国と兵庫県等とが協力して実施いたしました阪神・淡路大震災復旧支援融資の据置期間につきましては、通常一年のところを三年に延長する特例措置を講じていたところでございますけれども、先ほど指摘がありましたように、さらに一年延長いたしまして四年にするなど、被災中小企業の経営支援を図っているところでございます。  ただ、これ以降の取り扱いにつきましては、被災中小企業者の状況でございますとか経済の状況、本融資制度の趣旨等を踏まえまして、中小企業対策に遺漏のないよう適切に対応してまいりたいと考えております。
  52. 砂田圭佑

    ○砂田委員 くれぐれもよろしくお願いを申し上げたいと思います。  次に、雇用の確保あるいは経済の振興という観点から、かつて阪神淡路復興委員会が中長期的な見方で戦略的なプロジェクトとしていろいろ提言をされております、いわゆる復興特定事業についてお伺いをいたします。  神戸市では長江との交易を図る上海長江プロジェクト、そして新産業構造形成のプロジェクト、県ではヘルスケアパークあるいはメモリアル構想等、いろいろなプロジェクト、なかなかまだ機能するところまではいっておりませんけれども、それらの事業、特に新産業の構造形成プロジェクトなどは新しい意味で大変意味があるのじゃないかというふうに考えております。これらの事業について、国土庁あるいは国としてバックアップをしていこうというような、御支援していただけるようなお気持ちがあるかどうか、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。
  53. 田中正章

    田中(正)政府委員 阪神淡路復興委員会から復興特定事業として位置づける意義あるものとして、今先生から御指摘ございました上海長江、ヘルスケアパーク、それから新産業構造形成、そして阪神・淡路大震災記念、この四つのプロジェクトが提言されております。  これを受けまして、今、地元地方公共団体あるいは経済界におきまして、事業の内容でございますとか、あるいはだれがやるのだという事業主体、こういったものに対して、構想の具体化に向けた取り組みが行われているところでございます。これらの四つのプロジェクトの進捗状況はそれぞれ異なっておりますけれども、私ども政府といたしましても、関係省庁や地元地方公共団体などと連携を図りつつ、幾つかのプロジェクトについては具体的な事業を復興特定事業として選定するなど、その実現に向けて努力しているところでございます。  特に、御質問のございました被災地の産業復興に直接関連するものといたしましては、被災地に新産業を育成するための戦略プロジェクトでございます三番目の新産業構造形成プロジェクト、これが復興委員会から提言されておりますが、このプロジェクトにつきましては、この七月に、いわゆる神戸東部新都心地区の地域冷暖房や、あるいは神戸ルミナリエ、こういった四つの具体の事業を復興特定事業に位置づけて、今後関係省庁で支援を行っていこう、こういうふうにしているところでございます。  さらに地元の経済界においても、新産業構造形成プロジェクトにつきましては、候補となる事業について検討されているようなお話も聞いております。実は、本日午後開催いたします国と神戸商工会議所におきます定期的な意見交換会、この場におきましても、新産業構造形成プロジェクトということについて意見交換をする予定でございます。こうした状況を踏まえまして、関係省庁とも連携を図りつつ対応してまいりたいと思っております。
  54. 砂田圭佑

    ○砂田委員 時間がなくなりましたので最後質問にいたします。  先般、復興本部に対して、日本じゅうから二千四百万人の署名が集まって、そして四十七都道府県の議会が意見書を決議をしました。それは国民災害保障制度、そういうものについてしっかりと議論をしろというのがきっかけであります。  先ほどお話もありましたが、知事会からもそれについての一つの案が出ております。災害保障制度、この阪神を契機にこれからこういう法律制度ができるということは、一たん災害を受けた被災者、私はその当日の夜中に、神戸の一番の繁華街に事務所がありまして、そこの様子を見に十二時ごろ行きましたけれども、それはもう森閑として、真っ暗で、北風が吹いた中でガラスがビルから落ちるというような状況でございました。恐らく家を焼かれたり、つぶれた人は、あすの生活を考えれば目の前が真っ暗であろうと思います。それだけに、略奪や暴動やパニックが一つの引き金で起こり得る状況にありました。もし国民災害から守る保障制度というようなものができて、それが周知徹底されれば、そういうときに、待て待て、二日もすれば、三日もすれば生活費は何とかなるというような状況があれば、そういうパニックの抑止力になるだろうという気がいたします。  そういう観点から、知事会案であります、知事会からも提出をされております災害総合支援基金というようなものをいち早く制度化をしていただいて、そして、市民、国民が安心して眠れる、そんな状況をつくっていただきたい。  そういう中で、国がお金を支援をするのは、いかにも個人に対する、私有財産に対する援助というようなイメージでありますけれども、実際にはおにぎりをつくって配る程度のことであります。知事会からは百万円というお話がありますけれども、まさにそれはおにぎりにかわる、そういうものではないか。災害救助法では現物支給しかできないという状況の中では、そんなに高額で、あるいは個人の財産を補てんをするというほどの大金でもありません。  私の場合、六百八十万円で買ったマンション、全く同じマンションを建てかえて、来月でき上がりますけれども、そのお金は二千八百万円です。ですから、そういう意味では、まさに財産を失った市民は大変無念でありますけれども、それに比べれば、百万円程度の当面の生活支援金を支給することは、それほど国民に対して私有財産の補てんということではないという気がいたします。  そういう意味で、ぜひともこの総合支援基金ができますように、お願いを申し上げたいと思います。そのことについて、一言だけ長官からお返事をいただきたいと思います。
  55. 亀井久興

    亀井国務大臣 ただいま御指摘のございました基金のことでございますけれども、先ほども御答弁いたしましたが、総理が設置いたしました防災問題懇談会でも、何らかの基金の創設が必要ではないかという、こうした提言もあるところでございまして、私どももそのことは十分に認識をいたしております。  そしてまた、全国知事会が七月にまとめられました案についても承知をいたしておりますが、さらに知事会としては、もろもろの状況を踏まえながら検討を続けておられるように伺っておるところでございまして、私どもといたしましても、総合的な検討をしながら、何とかそうした御要望にこたえていければな、そういう思いを持っておるところでございますが、阪神・淡路大震災について国としてもう最大限の措置をいたしておるところでございますので、そうしたことも踏まえながら検討を進めてまいりたいと思っております。
  56. 砂田圭佑

    ○砂田委員 質問を終わります。ありがとうございました。
  57. 塩田晋

  58. 川内博史

    川内委員 民主党の川内博史と申します。  亀井国土庁長官にお尋ねをさせていただきますが、私は鹿児島の人間でございまして、鹿児島は、九州は特にそうなんですけれども、災害が非常に多い地域でございます。ことしに限ってみましても、鹿児島県北部、北薩地方の群発地震、それから出水市の針原地区の土石流、そしてまた台風十九号と、大変に大きな被害がことしだけを見ても出ているわけでございまして、災害対策について国土庁長官並びに国土庁の皆様方に大変お世話さまになっておるわけでございまして、まず、そのことに感謝を申し上げたいと思うわけでございます。  しかし、私自身、阪神・淡路の先ほどの話からも出ておりますけれども、初動の体制等でまだまだ不備な点、改めるべき点があるのではないかという観点からきょうは御質問をさしていただきたいというふうに思っております。  まず、亀井国土庁長官、今までの亀井長官の議員としての、政治家としての経歴を見ますと、逓信委員長あるいは逓信委員会理事というようなお立場で、国土庁という役所に対してはそれほどなじみがなかったのではないのかなと、あくまでも私は当選初めての議員ですから、この議員要覧の経歴を見る限りでは思うわけでございます。しかし、さはさりながら、国土庁長官に御就任をされて国土行政を任されたというところで、長官として内心期するものがあり、阪神・淡路の復興の様子を御視察になられたという先ほど御報告があったわけでございますが、それ以外に災害対策の部門で国土庁長官としてどのようなことを自発的になされたかということをまずお尋ねをしたいと思います。
  59. 亀井久興

    亀井国務大臣 ただいま委員から御指摘がございましたけれども、私も今日までかなり長い議員生活を送ってまいりましたが、参議院で商工委員長をいたしましたり、衆議院で逓信委員長をいたしましたり、もろもろ幅広く勉強してきたつもりでございます。国土庁、国土行政に関して余り縁がなかったではないか、かような御指摘でございましたが、私、今回就任をいたします直前まで、自由民主党で治水治山海岸対策特別委員会委員長をやっておりまして、治山治水等についても大変深い関心を持っておったところでございます。  今、委員から御指摘ございましたが、ことしもいろいろ九州を中心に多くの災害があったところでございまして、日本は大変災害の多い国でございます。地震を初め風水害もあるわけでございますが、こうした災害から国民の身体、財産、生命を守るということは国政上の最大の課題である、そのように認識をしておりまして、その責任のある立場に立たせていただきましたということで、改めて身の引き締まる、大変強い責任を感じておるところでございます。  阪神・淡路大震災という大変な災害があったわけでございまして、間もなく三年になろうとしておるところでございますが、私、就任直後に、先ほどもお話を申し上げましたが、現地にお邪魔をいたしまして、その復旧・復興の状況等について十分に勉強をしてきたつもりでございます。  それからまた、九月に、日米地震シンポジウムがございまして、地震防災対策の政策責任者が日米双方で協議をして実りある対策を日米双方でまとめていこう、かような趣旨でございますけれども、そのときに来日しておられましたアメリカのFEMAという組織、連邦緊急事態管理庁とでも訳すのでしょうか、そのFEMAのウィット長官とも懇談をいたしまして、アメリカも阪神・淡路の一年前にノースリッジの大震災があったわけでございますので、地震災害に備えるさまざまな情報管理、危機管理、そうしたことについてはアメリカも大変進んでおりますし、日本もまたそうしたことについて学ぶべき点もたくさんあるわけでございますので、そうしたFEMA長官との情報交換等もいたしたところでございます。  それからまた、先ほどお話ございました、自然災害復旧のために、激甚災の指定も相次いでいたしたところでございます。  それからまた、先般は、立川災害対策本部予備施設に行ってまいりました。首都直下型の地震が仮に起こったときにはどういう体制をとればいいかということを私なりに十二分に勉強をいたしたい、かようなことから、そうした視察にも行ってまいったところでございます。  これからまたさらに、いずれにいたしましても、予防・応急体制、そしてまた復旧・復興と、一元的に防災対策を整えていかなくてはならないことでございますので、各省庁との連絡体制等もより整備をいたしまして、皆様方のそうした御不安をなくすように全力を尽くしてまいりたい、そのような決意で臨んでおります。
  60. 川内博史

    川内委員 大変な御活躍をいただいているようでございまして、ありがとうございます。  阪神をごらんになられて、この阪神・淡路の大震災の復興状況について少々お伺いをさせていただきたいと思うのでありますが、震災後三年が経過をいたしまして、依然として、先ほどから出ておりますように、仮設住宅に約二万六千世帯、四万人強の方々が住んでいらっしゃるということでございます。  私も、仮設住宅に寝泊まりをしたりいたしまして、仮設住宅の方々とは大変仲よくというか、友達も何人かできたりしたのですけれども、ひとり暮らしの御老人、おばあちゃん、おじいちゃんが結構多いのですね。新聞やテレビのニュースでは、そのおじいちゃん、おばあちゃん、あるいは初老の男性が、アルコールの中毒というか、アルコールに浸ってしまって孤独死に至るというようなことが話題になったりするわけですが、しかし、その仮設住宅に今現在住んでいらっしゃる、そういうひとり暮らしのじいちゃん、ばあちゃんや、あるいはおじさん、おばさんの方たちは、おおむねそのコミュニティーの中で大変に元気よく、仲よく暮らしていらっしゃるという例もたくさん見受けられるわけでございます。  政府としては、あるいは兵庫県、神戸市としては、復興住宅を建設をして、仮設からそちらの方に早く引っ越してくださいという御意向だというふうに感じているわけですが、せっかくその仮設住宅のコミュニティーで、わずかな年金をいただきながら、あるいは少ない給料の中でお互いに助け合いながら、励まし合いながらコミュニティーを形成していらっしゃる方々、また、復興住宅というのは抽せんですから、どこに自分が当たるかわからないわけですよね、そういう状況の中で、なるべくだったらもうお互いに助け合えるこの仮設住宅でずっといたいんだよという方も実際にはいらっしゃる。  私は、インフラの復興が進んで、ビルがこう立ち並んで、高速道路もちゃんとしている、その中に仮設住宅があるというのは、景色としてはアンバランスなのかなという気もするのですが、しかし、そこで生活をしていらっしゃる方々が励まし合いながら、助け合いながら元気よく暮らしていけるのだったら、そこを大事に大事にしてあげるのもまた一つ政治の役目かなということも感じているのです。  国土庁長官の御意見を伺いたいのですけれども、私は、仮設住宅にそのまま暮らしたいという方たちはそこで、その仮設を恒久住宅として、若干の家賃はいただくにしても、そのままお暮らしいただいてもいいのではないかというようなことを考えているのですが、長官の御意見を伺わせていただきたいと思います。
  61. 亀井久興

    亀井国務大臣 ただいま委員から、仮設住宅のことについての御質問でございますが、仮設住宅は、申し上げるまでもなく、恒久住宅に移っていただくまでの間の仮の住宅であるという、それがあくまでも基本ではないかというように思っておりますし、また、私も先般お伺いをいたしまして、仮設住宅に住んでおられる方からさまざまな御意見、御要望も承ったのでございますが、幾ら掃除をしてもすぐほこりになってしまってこれはもうどうにもならないというお話やら、畳のすき間から虫がしょっちゅう上がってきてどうにもならぬとか、冬になるともうすき間風がびゅうびゅう吹いてどうにもならぬので早く恒久住宅に移りたいんだ、かような御要望が大変多かったわけでございまして、やはり恒久住宅に一日も早く移っていただくということが基本ではないだろうか、そのように思っております。  また、委員御案内のとおり、仮設住宅を設置しております場所が公共的な場所が多いわけでございまして、公園とかあるいは広場とか、そうしたところでございますし、あるいは民間の土地を借地をしておる、かようなところが多いわけでございますので、やはり恒久住宅の方にお移りいただくということが大切ではないかと思っております。  一方で、今委員指摘ございましたように、おひとり暮らしのお年寄りの方も大変多い、また仮設住宅で亡くなられる方も多いということも承っております。そうした中で、お年寄りの方々が次第次第に一つのコミュニティーを形成をしていただいている、お互いに励まし合っておられる、その現状も私なりに理解をしておりますので、これからまた、恒久住宅につきましても、できる限り共用のスペースを持った、そういうコレクティブハウスと申しますか、そうしたものをふやしていただくように地方公共団体にもお願いをしていきたいと思っておりますし、また、そうしたグループごとにまとめて恒久住宅に移っていただけるような、そういう御配慮もぜひお願いをしていきたい、そのように考えております。
  62. 川内博史

    川内委員 どうですかとお聞きすると不平不満がいっぱい出るのだと思いますが、国土庁長官も御視察に行かれて、ただ見て聞かれるだけではなくて、御自分で、一晩でいいですから真冬の寒い日に仮設住宅に寝泊まりして、狭いおふろに入ると大体仮設の生活というものがおわかりいただけると思いますので、一度ぜひ体験をされてみたらいかがかなというふうに思うわけでございます。  今長官から御答弁ございましたように、自治体の方に、なるべくみんなが、仲間がまとまって引っ越しできるようなそういう指示を出しているという大変ありがたい御答弁がございましたので、その指示がきちっと徹底をされるように、往々にして、自治体の場合、なるべぐ仮設を早くなくしたいものですから、抽せんに当たった人はどんどん移らせようというような、ある種事務的な作業になりがちでございますものですから、ぜひその辺の、文章にならない心の配慮というものをこれからも継続的にお願いをできればなというふうに思います。  そこで、もう一点、阪神・淡路に関連してお伺いをさせていただきます。  先ほどから、赤羽議員それから砂田議員から、全国知事会の基金案というものについての質問があったわけでございますが、実は、私が所属しております民主党でも、新進党さん、太陽党さんと共同提案で通常国会に公的支援の法案を提出をさせていただきまして、これは残念ながら審議未了、廃案ということになったわけでございまして、また今、長官御存じのとおり、参議院では市民議員立法案という法案が通常国会に提出をされ、この臨時国会でも継続審議でかかっているわけでございまして、一方では全国知事会案というのが、自民党の柿澤先生を中心として法案化の作業が進められているというふうに聞いております。  ということは、自民党から共産党まですべての政党が、金額の規模やあるいは方法は違っても、何らかの形でこの阪神・淡路を契機として災害に係る公的支援というものを、制度を創設しなければならないという意思は、ほぼ各政党に共通していることであるというふうに言えると思うのです。  しかし、先ほどからの長官答弁を承っておりますと、行政としては、なかなか国の財政が厳しいし、財産補てんというのは難しいのではないかという御答弁があったわけでございますが、法律をつくったりするのは議会の役目でございますので、行政の考えと議会の考えというのは違って当然だと私は思うのですね。  そこで、国土庁の立場としては、現時点では公的支援というのは難しいと答えざるを得ないのかもしれないですが、政治家亀井として、男、亀井久興として、この公的支援についてこれからどう取り組まれていくおつもりであるかを若干視点を変えて御答弁をいただければと思います。
  63. 亀井久興

    亀井国務大臣 大変難しい御質問でございますが、私自身が被災者立場になったときどうなのかなということをいつも考えているところでございまして、そうした立場に立った場合には、やはり国として何らかの支援をしてほしいという、生活再建のために支援をしてほしいという、そういう気持ちは恐らく持ってあろうな、そういう思いを持ちながら、これからまた対応してまいりたいと思っております。  議員提案の法案があること、またその中身については承知をいたしておりますが、国会のことでございますので、今私の立場からその内容についてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。全国知事会の七月にまとめられたその案、そしてまた、さらに今、もろもろの状況を勘案をしながら検討を進めていただいているということについても承知をいたしておりますし、また、各党それぞれに取り組んでいただいているその御熱意には心から敬意を表する次第でございますが、また、政府といたしまして今日まで、阪神・淡路大震災の復旧・復興についても精いっぱいの国としての支援体制をとってきたことは、それなりに御理解をいただけるのではないかと思っております。  また、地方公共団体が中心になって創設をされました復興基金を生かして、生活再建のための支援給付金を既に出しておられる。そのことについても、地方財政措置を通じて国として精いっぱいの支援を申し上げておるところでございまして、こうしたことも踏まえて、将来の災害に対する何らかの基金をつくっていかなくてはいけない、そうした思いで、各党の、ただいまの御議論についても十分に関心を持って見守っておるところでございます。
  64. 川内博史

    川内委員 長官は、最初、日本郵船の、民間のビジネスに携わっていらっしゃったわけですから、よくおわかりいただけると思うのですが、プロフィットというかリターンは投下した資本にある程度比例して戻ってくるわけでございまして、阪神・淡路の大震災で約十兆円規模被害があったと言われているわけでございますが、今、社会的なインフラの部分については、四兆五千億から六千億ぐらいでしょうかの資金が投入をされて、まあ復旧をした。被害額に見合うお金が投下をされて、ほぼ昔の状態に戻ったわけですね。ところが、生活にかかわる部分というのは、五兆円ぐらいの被害があったわけでございますが、その部分については、ちょっと正確な数字は忘れましたが、ほとんど、ほとんどと言ったら行政の方に申しわけないですが、五兆円の被害額に対して一兆円ぐらいでしょうかね、一兆五千億ぐらいの投下しかないわけですね。ですから、三兆五千億から四兆円のギャップがあるという中では、これはもう生活の再建というものがなかなかできないというのは当然のことであろうというふうに思うわけでございます。  行財政改革に絡んで、財政構造改革法案で赤字国債は発行しないというようなことになってしまって大変厳しいかと思うのですけれども、経済の常識からいえば、こういう金利の低い時期に資金調達をするというのは、これは経済のまた一方では常識でもあるわけでございますから、私は、こういう時期にこそ政府が資金調達をして、じゃんじゃん金を流すということをやるべきであるという積極財政論者なのでございます。余りこの委員会で申し上げることではないかもしれないですが、そういう、どんな方法をとってでもやはり支援をするところには支援をするという意気込みを、ぜひこれから長官にもお示しをいただきたいなというふうに思うわけでございます。  さて、次の質問に移らせていただきますが、まず、大規模災害が起きた場合には、災害対策基本法では、非常災害対策本部あるいは緊急災害対策本部を設置することになっているわけでございまして、非常災害対策本部には国務大臣、緊急災害対策本部の場合には、本部長が総理大臣、副本部長に国務大臣を充てるということが決められておりまして、特別に国土庁長官役割がこの災害対策基本法の中では明記をされていないわけでございます。  そこで、国土庁の中には防災局という災害担当部局があるわけでございますが、この大規模災害が発生した際の国土庁長官役割というものはどのようなものなのか、また長官は、その御自身の役割をどのように御認識をされていらっしゃるのかという点を伺わせていただきます。
  65. 山本正堯

    山本(正)政府委員 大臣がお答えになる前に、私の方から事務的に御説明をさせていただきたいと存じます。  大規模災害が発生し、非常災害対策本部が設置されました場合には、自然災害につきましては、国土庁長官非常災害対策本部長として非常災害対策本部の事務を総括し、本部の職員を指揮監督するということになってございます。そのほか、また、本部員が指定行政機関の長から委任を受けた権限の行使に関する総合的な調整を行う、あるいは必要な場合に、関係指定地方行政機関の長、地方公共団体の長等に対しまして指示をすることができる、こういうことになってございます。  また、御案内のとおり、著しく異常かつ激甚な自然災害の場合には緊急災害対策本部を設置するということになってございまして、その緊急災害対策本部が設置されました場合には、国土庁長官は、緊急災害対策本部の副本部長といたしまして緊急災害対策本部長たる内閣総理大臣を助けて、本部長に事故があるときはその職務を代理するという規定になっております。それぞれの役割分担を決めさせていただいて、国土庁長官としての役割を果たしてまいる、こういう規定になってございます。  以上でございます。
  66. 亀井久興

    亀井国務大臣 今防災局長から御答弁申し上げましたような役割を担うことになるわけでございますけれども、非常災害対策本部長あるいは緊急災害対策副本部長といたしまして、本部が設置されました場合には、その本部における総合調整が円滑に進んでまいりますように職責を果たしてまいらなくてはいけない。いずれにいたしましても、この職責は、大規模災害の発生時におきまして国民の財産、身体、生命を守るという大変重要な役割でございますので、その使命を果たす覚悟を固めておるところでございます。
  67. 川内博史

    川内委員 済みません。山本防災局長に確認をさせていただきたいのですけれども、国土庁長官役割規定されているのは何に基づく規定なんですか。
  68. 山本正堯

    山本(正)政府委員 お答えをさせていただきます。  この規定につきましては、災害対策基本法及び平成六年の中央防災会議の主事会議申し合わせでございます。
  69. 川内博史

    川内委員 国土庁長官、今防災局長から、国土庁長官役割規定されているのは災害対策基本法に基づく中央防災会議の主事会議の申し合わせによるという御答弁があったわけですが、中央防災会議の主事会議というのは課長さんの会議なんだそうです。課長さんたちが相談をして、だれを副本部長にするとか、国土庁長官役割課長さんたちが決めているというのも何か変な話だなというふうにまず思うわけであります。それはそれとして、長官の、副本部長につかれた場合の心構えというものに関しては、その心構えをお聞きいたしまして安心をしたわけでございます。何せ国民の生命財産がかかっております。  では、例えば総理大臣が災害被害を受けた場合ですね、亡くなった場合、国土庁長官が緊急災害対策本部長に就任をすることがあるのかどうか、それを防災局長お答えください。
  70. 山本正堯

    山本(正)政府委員 お答えをさせていただきます。  災害対策基本法上、緊急災害対策本部長である内閣総理大臣に事故がある場合には、緊急災害対策副本部長が内閣総理大臣の代理をするという規定になってございます。大規模自然災害につきましては、国土庁長官が副本部長に充てられているということでございますので、状況によりまして国土庁長官が代理を務めることもあり得るということでございまして、大変重要な職責を担っておられる、こういうことでございます。
  71. 川内博史

    川内委員 最近の新聞では、東海地域地震が近いのではないのかというような報道もちらほら出ております。もし今ここで首都圏直下の大地震が発生をして、震度七、八の地震が起きて、首相官邸が、あれは古い建物でしょうから壊れて、首相も官房長官も残念にしてというか、お亡くなりになったと仮定をします、仮定です。それで、国土庁長官は生き残った、生きていらっしゃると仮定をします。長官は、恐らく緊急災害対策本部長代理ということで直接の指揮をその大変な状況の中でおとりになることになると思います。その場合、その最高の責任者としてまず何をおやりになるのかということを伺わせていただきます。
  72. 亀井久興

    亀井国務大臣 余り想像したくない事態についての御質問でございますが、阪神・淡路大震災の体験から申しましても、やはりこうした大震災が起こりましたときには、初動期の対応というものが非常に大事ではないかなというように思っております。中でも情報の早期の収集と伝達を迅速に行うということが特に求められているように思っております。さらに、政府地方公共団体、関係機関のもうすべてが連携いたしまして、協力して救助救援活動を行う、被災者保護等を行う、この応急対策を速やかにとることが重要だな、そのように思っております。  仮に首都直下型の地震が発生をいたしまして、先ほど委員指摘のような事態になった場合には、関係機関を挙げて被害に関する情報の収集に努めるよう指示をいたしますとともに、政府の総力を挙げて災害応急対策に取り組むために、消防でありますとか警察とか自衛隊、こうした組織の動員態勢、応急救急態勢等に対する災害応急対策の総合調整を行って、その基本方針を速やかに決定をしたい、そのように思います。
  73. 川内博史

    川内委員 被災された各地域から、今長官が御答弁ございましたとおり、錯綜した情報が次々と入ってくるわけでございまして、各地で火災が発生をして援助を求めてくる、大変な混乱状況になっているわけでございます。一刻も早く適切な指示を出していかなければならない。瓦れきの下敷きになっている何千人、何万人もの人々の命が危ない、そういう状況の中で的確な指示を出す必要があるわけでございます。  今長官答弁のとおり、各セクションから入ってくる情報を判断をして指示を出す、自衛隊、消防、警察の動員態勢をとるというふうに御答弁をされましたが、全体の具体像としてはそれでいいと思うのですけれども、どこにどういう部隊を出すかということに関しては、どの地域にどのくらいの被害が出ているのか、どのくらいの人々が生き埋めになっているのかというような情報の分析から始まって、その情報の正確性も判断しなければならないでしょうし、大変な混乱状況だと思うのです。  国土庁長官は、私の質問冒頭で申し上げましたとおり、今まで商工委員長、逓信委員長という政治家としてのキャリアをお持ちでいらっしゃる。国土行政については鋭意勉強をされるということでございました。はっきり言って、我々政治家というのは危機管理の専門家ではないわけですね。国土庁長官のそばにいらっしゃる、作戦参謀というか、国土庁長官に情報を上げる方たち専門家であればいいわけですけれども、そういう長官の周りにいらっしゃる方々が、災害あるいは危機管理の専門家であるのかどうかということをお尋ねをしたいわけでございます。  私、防災局の幹部の方々の経歴をちょっと調べさせていただいたのですが、先ほどから御答弁をいただいております防災局長、前職が国土庁土地局次長。もともとは建設省の道路局からキャリアを出発して、災害の危機管理、初動時の部分にかかわるなと思うところはないのですよね。国土庁の長官官房審議官、防災局担当山口さん、前職が自治省大臣官房総務課長。危機管理の部分にかかわるのが消防庁危険物規制課課長補佐兼地域防災課長補佐、これが五十四年五月から五十五年七月、約一年。防災局の防災企画課長野見山課長が、前職が建設省関東地方建設局総務部長というような形で、長官の周りにいらっしゃる本当は危機管理の専門家でなければならない方たちが、どうもそうではないのではないかという気がするわけでございます。  それはいけないということを私は申し上げているわけではないのですよ。行政のいろいろなキャリアを積まれる中で、一つのポストとして防災局にいらっしゃるわけですから、これから防災あるいは危機管理、災害対策のプロになっていただければいいわけでありますが、そういう国土庁長官の周りにいらっしゃる方々が本当の災害専門家になる、危機管理のプロになるというためにはどのようにすればいいのか、どういうふうな育成の仕方をすればいいのかというのを、長官の考え方をお聞きしたいわけでございます。  先ほどFEMAのウィット長官と会談をされたというふうに御答弁をいただきまして、アメリカの危機管理庁は、危機管理のプロが危機管理庁そのものに千人ちょっと、アメリカ全土には五千名余りの職員を配置をして、危機管理だけに備えているわけですね。毎日訓練しているわけです。そういうアメリカの危機管理庁と比べて国土庁防災局の陣容というのは余りにも貧弱でありますし、また、貧弱な上に、大変言いにくいことを申し上げて恐縮なんですけれども、危機管理のプロが長官の周りを固めていらっしゃるとはとても思えない状況、このような中で、長官は、あした地震が起こったらどうするのか、一年後に起こったらどうするのか、どういうふうに専門家を育成をされていくおつもりなのか、そのことを最後にお伺いをさせていただきます。
  74. 亀井久興

    亀井国務大臣 私ども防災局のスタッフが本当の危機管理のプロではないのではないか、かような御指摘でございますが、それぞれ今日までさまざまな分野でいろいろな行政経験を積んだ優秀なスタッフが集まっておりますので、十分にその期待にこたえてもらえるものだ、私はかように信頼をいたしておるところでございます。  災害と申しましても、災害の予防から救今、救援、復旧、復興対策まで、広範囲にわたって業務の調整機能を果たすとともに、実動いたします関係省庁初め各省庁から情報を広く集めまして、全体を把握しながら総合的な施策を調整する機能を強化していく、このことが重要だろうと思っているわけでございますが、このためには、やはり今御指摘のように、関係する職員が災害専門家になっていくということは重要な視点だと思っております。  今、FEMAについてお話がございましたけれども、FEMAを初め国連の災害関係の機関や海外の防災関係機関へ職員を派遣いたしまして、消防庁、防衛庁、警察庁、こうしたところとの人事交流も図ったり、そうした施策をとりながら、専門的な知識もより吸収できるような体制を整えてまいりたい、かように考えております。
  75. 川内博史

    川内委員 もう時間もございませんので、最後に、これは質問ではなく、私の意見を述べさせていただいて、終わらせていただきます。  行政改革で国土庁は現時点では国土開発省に統合されるというようなことを聞いているわけでございますが、少なくとも防災に絡む部分あるいは災害対策に絡む部分というのはちょっと違うのではないか。今、みんな、局のことまで考えて省庁再編というものは多分やっていらっしゃらないのでしょうから、その点も妙な行革だなというふうに思うわけでございますが、今図らずも長官から御答弁がございましたように、警察、消防、自衛隊、こういう災害関連あるいは危機管理関連の役所というものは、それぞれ別個にいて、人事交流で済ますものではないと思うのですね。やはり組織を統合して、消防、警察あるいは海上保安庁、自衛隊、そして、そのヘッドクオーターとして防災局なり何とか長官なりというものがいるというような省庁の再編というのがあってもいいのではないかなということを最後に意見として申し上げさせていただいて、終わらせていただきます。頑張ってください。どうもありがとうございます。
  76. 塩田晋

    塩田委員長 平賀高成君。
  77. 平賀高成

    ○平賀委員 日本共産党の平賀高成でございます。  私は、土石流災害対策について、まず質問をいたします。  ことしの七月には、鹿児島県の出水市の土石流災害で、一瞬にして二十一名もの皆さんのとうとい命が奪われました。私も被災直後の現地に行ってきましたが、家も押しつぶされまして、本当に大変な状況でありました。  こうした悲惨な土砂災害による犠牲者が後を絶たないにもかかわらず、土石流危険渓流や急傾斜地崩壊危険箇所の整備率は、いまだに二〇%とか二四%という低い状況にとどまっております。私は、政府責任は非常に重いと思います。  そして、全国で危険渓流の数は、九三年の調査で七万九千三百十八カ所、急傾斜地崩壊危険箇所は九六年の調査で八万六千六百五十一カ所となっています。  建設省に伺いますが、この間、こうした危険箇所は一体どれぐらいふえているのでしょうか。
  78. 板垣治

    ○板垣説明員 お答えいたします。  危険箇所が前回に比べどのぐらいふえたかということでございますが、まず、土石流危険渓流でございますけれども、前回の調査時点から約八千八百八十四渓流増加しております。それから、地すべり危険箇所でございますけれども、前回の調査時点より七百五十四カ所の増でございます。それから、がけ崩れ危険箇所数でございますが、前回の調査より四千八百一カ所の増となっております。合計で約一万四千カ所余り増加しておるところでございます。
  79. 平賀高成

    ○平賀委員 まさに土砂災害危険箇所は調査のたびに増加をしているという実態にあると思います。こうした危険箇所にも病院や幼稚園、保育園や社会福祉施設など、いわゆる災害弱者施設がたくさん設置をされています。まだ防災工事が行われていない災害弱者施設は全国にはどのぐらい残されているのか、伺いたいと思います。
  80. 河幹夫

    ○河説明員 お答え申し上げます。  今先生の御指摘の地すべり危険箇所に所在する社会福祉施設ということでございますが、私ども、平成七年度に都道府県からの御報告をいただいたところによりますと、特に緊急に整備する、あるいは移転、改築する必要がある施設を十四施設というふうに報告をいただいておりまして、そのうち四施設につきましては既に移転、改築等整備を行わせていただいておりまして、今、二施設について整備を進めているという状況でございます。それから、病院等については、ちょっと詳細なデータを今持ち合わせておりません。
  81. 平賀高成

    ○平賀委員 建設省に伺ったわけですが、私は、今の状況というのは非常に大変な状況に置かれていると思います。  そこで、私は改めて厚生省に伺いますが、厚生省は、八五年に発生した長野市の地附山の地すべりの災害を機に全国の社会福祉施設の総点検を行っております。その結果、全国で二千九百もの社会福祉施設が災害危険指定地域にあることが明らかになりました。このうち、まだ防災工事をやっていない施設が六百九十八カ所ありました。その後、十年たちましたが、防災工事の進捗はどのような状況になっているのか、またこの間どういう対策をとってきたのか、この点について改めて伺いたいと思います。
  82. 河幹夫

    ○河説明員 今先生御指摘のとおり、当時、社会福祉施設の数で申しますと、昭和六十年に調べさせていただいたときには約千カ所ということで、九百二十七カ所という数字を我々は把握させていただきました。平成七年にもう一回調査させていただいたところ、一応五百四十五カ所ということでございますけれども、今申し上げた特に緊急に整備を急ぐ必要があるというのが、先ほど答弁申し上げさせていただいた十四施設というふうに把握しております。  今先生の御指摘のようにではどのようなことを講じてきたのかということでございますけれども、社会福祉施設につきまして国庫補助を行わせていただいておりますが、それについて、まず優先採択をさせていただくということが一つでございます。それからもう一つ、あわせまして、社会福祉・医療事業団からの融資を行わせていただいておりますが、その融資に際して、無利子融資という形での措置を講じさせていただいておりまして、これらによりまして、先はどのような形での整備を進めさせていただいているという状況でございます。  以上でございます。
  83. 平賀高成

    ○平賀委員 八五年の時点で六百九十八カ所あったものが今の答弁で五百四十五カ所ということでありますから、十年間で百五十三カ所減った勘定になるわけです。ですから、一年ごとにしますと大体十五カ所前後ということになりまして、これには、今御答弁がありましたように病院は入っておりませんので、ですから、厚生省の実態というのも、これも大変深刻な状況にあると私は思います。  そこで、建設省に伺いますが、九三年には実際に鹿児島の病院では土砂災害に襲われておりますし、こうした状況は一刻も放置することはできません。国民の安全や人命第一を考えるならば、私は防災工事を緊急に、一気に進める必要があると思いますが、この点について御見解を伺いたいと思います。
  84. 板垣治

    ○板垣説明員 これまで、土砂災害の犠牲となりやすい災害弱者施設である病院だとかあるいは老人ホームだとか社会福祉施設等が立地する地域におきまして、砂防とか地すべり、あるいは急傾斜地崩壊対策事業の推進を進めてきたところでございます。  現在、平成十年度の概算要求におきまして、災害弱者に関連した病院等の施設等を含んだ土砂災害危険箇所の整備につきましても、重点的に予算要求を行っているところでございます。  今後とも、災害弱者に関連した土砂災害対策につきましても、積極的に支援してまいりたいと考えております。  よろしくお願いしたいと思っております。
  85. 平賀高成

    ○平賀委員 私は災害弱者施設を優先的に整備をするというのは当然であると思うのですが、ただ、緊急に、一気にやるということが私は大事だと思います。  それで、今重点的に整備をされていくという力強い表明がありましたが、しかし、今政府は、財政構造改革法ということで、災害対策の予算も削減しようというふうなことが出ているわけでありまして、ですから私は、むだな公共事業の部分を削りまして、災害対策の予算そのものについては大幅にふやすべきだということを指摘をいたしまして、阪神・淡路大震災の問題に移らせていただきます。  阪神大震災におきまして、高速道路や港湾のインフラ整備が、これは急速に復旧をされましたが、生活再建や復興は今立ちおくれております。大震災から二年十カ月以上たっても、なお二方六千世帯以上の被災者が仮設住宅での生活を余儀なくされております。被災者にとって住宅は最大の問題です。今回、第四次の災害復興公営住宅の入居募集が一万四千二十二戸に対し、募集垂オ込みが二万八千百十五世帯です。倍率は二・〇一倍になっています。これでは、希望者のうち一万四千九十四世帯が締め出されることになるわけです。仮設住宅に入っている被災者で第四次の募集に申し込みをしなかった、そういう被災者も数百世帯に上っております。さらに、仮設以外の被災者や県外避難者など、多くの被災者が恒久住宅に入る見通しがないままの状態であって、事態は極めて深刻だと私は言わなければならないと思います。  そこで、建設省に伺いますが、被災市街地復興特別措置法という法律がありまして、第二十一条の特例は、住宅に困窮している被災者災害復興公営住宅への入居資格を付与し、住宅の確保を図るための法律だと思いますが、この点について、この法律の目的と趣旨を述べていただきたいと思います。
  86. 小神正志

    ○小神説明員 ただいまの被災市街地復興特別措置法の二十一条についての目的についてのお尋ねでございますけれども、阪神・淡路大震災のような大規模災害によりまして膨大な戸数の住宅が滅失をした、そういったような状況を踏まえて、逼迫した住宅需要がそこに当然のことながら出てまいるわけでございます。そういったことで、できるだけ速やかに被災者方々の居住の安定を図るということが必要でございます。  このために、公営住宅につきましては、本来、先生も御案内のとおり、入居者の資格が法律上定められておりまして、その中で、例えば住宅に困窮しているということのほかに、一緒に住まわれる御家族がある、あるいは一定の収入以下であること、こういった要件がございますけれども、この特別措置法の二十一条におきましては、住宅に困窮していることが明らかであれば、同居の要件あるいは収入の要件、こういったものを問わず、被災後三年までの間という期間の限定はございますけれども、入居資格を認めて居住の安定を図るということがこの二十一条の目的と考えております。
  87. 平賀高成

    ○平賀委員 今お話しになったように、最終的にこれは被災者等の住宅確保を図ろうとするものだということでいいですね。ただ一般的に住宅ということじゃなくて、住宅確保を図ろうとするものであると。
  88. 小神正志

    ○小神説明員 今のお尋ねでございますけれども、被災者の方の住宅の確保を図るということはそのとおりでございますけれども、先ほども御答弁申し上げましたように、被災後三年までの間ということでございまして、公営住宅の場合、いずれ一定の期間を経過いたしますと、例えば収入超過者、本来の公営住宅に入居資格のない方々でございますと、いずれその公営住宅から出ていっていただく必要も出てまいりますので、最終的にずっとそのまま公営住宅に入居していただくということではないと考えております。
  89. 平賀高成

    ○平賀委員 住宅の確保を図るというふうな内容についてはよくわかりました。  それで、被災者の住宅を確保するのは、私は行政として当然だと思います。阪神大震災におきましては、個人で自立てきる方というのは大体ほぼ自立されたと思います。しかし、土地を持っていても、生活の基盤を失い住宅を再建できない被災者もまだ多く残されていると思います。こうした被災者に公営住宅に入ってもらって、そこで将来に向けて再建に努力をしてもらいながら、いろいろ対策を講じていただく、それを行政として支援を行っていくというのは、私は当然のことだと思っています。  第二十一条の特例に関係して、建設省の住宅局長の通達に基づいて兵庫県も条例改正を行っております。しかし、特例によって入居した被災者は、神戸市ではゼロになっています。公営住宅の申請を受け当せんをするわけですが、出口で、収入基準等で排除されています。法律に基づいて条例まで改正しながら特例措置を適用しない兵庫県のやり方は、地元でも大きな問題になっております。被災者を公営住宅から排除するのではなく、特例措置を適用するように改めていくのが本来筋ではないでしょうか。  この点について、答弁を求めます。
  90. 小神正志

    ○小神説明員 今現実にこの入居資格の特例を受けて公営住宅に入っておられる方々が非常に少ないのではないかという趣旨のお尋ねでございますけれども、その点につきましては、先生御指摘のとおり、私どもが県の方からお聞きしている数字につきましても、現在のところ百人程度というふうにお聞きしております。  これにつきましては、公営住宅に対する被災者方々の希望者、これが公営住宅の募集戸数に比べて数としても非常に多いということが第一点としてございます。そういったことで、地元の県あるいは市、こういったところでは、本来の公営住宅の入居資格の階層、こういった方々にまず優先的に公営住宅に入っていただくという措置をとっておると聞いております。  それにつきましては、公営住宅、本来は先ほど申し上げましたような三つの要件がございますので、そういった方々を優先して入居させているという県、市の考え方は妥当ではないか、かように考えております。
  91. 平賀高成

    ○平賀委員 今いろいろ言われましたが、私は、最大の被災都市であります神戸市でゼロというのは余りにもおかしい状況だと思います。そうしますと、一体何のためにこの特例をつくったのかということが問われるような実態があるということを私は指摘をしておきたいと思います。  それで、兵庫県の県知事は、県議会の答弁で、この特例の扱いについて、建設省と協議の上決めたんだという答弁をしておりますが、こうしたやり方を建設省自身も一緒になって決めたということなんでしょうか。
  92. 小神正志

    ○小神説明員 公営住宅に限りませんけれども、地元におきましては、被災者方々に対する住宅の提供ということで、公営住宅を初めとしまして、公団あるいは公社、民間の特定優良賃貸住宅、いろいろな住宅の供給でもって被災者方々に安定した住宅に住まっていただくということで地元努力しておるところでございます。これらの扱いにつきましては、もちろん、建設省、県、市、いろいろと相談をさせていただきながら進めているというふうに考えております。
  93. 平賀高成

    ○平賀委員 被災者生活再建を考えるというのならば、新法までつくって特例措置を設けているのに、政府としてまともにこの法律が運用されていかないといいますか、実施しようとしないのは、私は重大なことだと思います。  阪神大震災では、第二十一条の特例で入居資格を付与されながら、収入基準だとか優先順位などによって公営住宅から排除されている被災者が一体どのぐらいいるのか建設省はつかんでおられますか。
  94. 小神正志

    ○小神説明員 数字については承知しておりません。
  95. 平賀高成

    ○平賀委員 それ自身私は重大なことだと思います。  私たち調査によりましても、こういう資格はありながらあぶれているという方は、大体今仮設住宅に住んでいらっしゃる方と同じぐらいいるというふうに考えております。これは地元の、現地の兵庫県の議会の論戦の中でも、仮設住宅から申し込みをされた方が三万一千六百世帯、仮設住宅以外から申し込まれた方が三万一千五百世帯というふうなことになっておりますから、これはほぼ同数だと私たちは見ております。  それで、大震災の後、住宅を再建しようと思っていましたが、本当に大変な中で、一年二年とたつ中で、事実上その再建をやむなくあきらめて、公営住宅に入居したいという被災者が今急増しております。県外に避難されている五万世帯の被災者にも公営住宅の希望者がたくさんおられます。特例で入居資格を持ちながら公営住宅入居の門戸を閉ざされた被災者は、自宅の再建もできず、家賃の高い住宅から家賃の安い住宅へ何回も何回も引っ越しをせざるを得ない、こういう状況にも置かれているわけです。  それで、生活問題研究会が九七年十月に「孤独死」、こういう冊子をつくっておりますが、この中にはいろいろな典型的な事例というふうなことも載っているわけですが、仮設住宅に住んでおられて働いている夫婦のみの世帯の場合、だんなさんが公営住宅に当せんされるのですけれども、しかし、収入が十万円多いということでこれが取り消されるという状況が書かれておりますし、三十年来地元にずっと住み続けてこられて、それで引き続き地元に住み続けたいと、民間住宅などもあちこち探し回っても、結局、今の自分たちの条件に合ったところが見つからなかったということがこの中にも載っております。  前の伊藤国土庁長官は、住宅の問題は最優先の課題だと答弁をしております。長官に伺いたいと思いますが、被災者の住宅問題を最優先課題と考えるというのであるならば、住宅に困っている被災者の実態というものを政府としても自治体と協力してつかんで、被災者の要求に私はこたえるべきだと思いますが、この点についての長官の御見解を伺いたいと思います。
  96. 亀井久興

    亀井国務大臣 今御質問にございましたけれども、生活の再建ということのためには、まずもって恒久住宅へ移っていただくということは最優先であろう、そのように認識をしておるところでございます。  地元地方公共団体では、被災者に対して恒久的な住宅の供給を図るためにひょうご住宅復興三カ年計画を策定をいたしまして、この中で、公営住宅、公団・公社住宅のほか民間住宅なども含めまして合計で十二万五千戸の供給を計画をしているところでございまして、この計画に基づいて、被災者生活再建を図るために約三万九千戸の公営住宅の大量供給と、その家賃の大幅な引き下げが行われているところでございます。また、復興基金によります民間賃貸住宅の家賃の負担軽減の実施でございますとか、あるいは持ち家再建支援のための住宅金融公庫によります災害復興住宅融資、これに対する復興基金による利子補給の実施など、地元におきましてさまざまな施策を講じながら恒久住宅への移行について懸命の努力をされているところでございまして、国といたしましてもこの施策に対して積極的に支援をいたしておるところでございます。
  97. 平賀高成

    ○平賀委員 もともと兵庫県の公営住宅の建設戸数は、これは所得階層に応じて決められておりまして、従来の公営住宅の所得基準以下の階層を対象にして戸数を決めているわけです。それで、収入基準を超える被災者、この法律の特例の対象者について、これは計画の段階から、最初から除外をされているわけです。  それで、私たち日本共産党は、もともと六万戸はさらに仮設住宅をつくれということを要求してきたわけですが、しかし今の計画の答弁でありましたように、現地では三万八千六百戸という計画が今進められております。しかし、地元の兵庫県の県知事も、県議会の答弁では、これは足りなかったらふやすんだという答弁を行っているわけです。ですから、県から災害復興公営住宅の建設だとか借り上げ住宅をふやすという要求があった場合、これに建設省はこたえていくのでしょうか。
  98. 岡本圭司

    ○岡本説明員 先生御指摘のとおり、兵庫県では、恒久住宅への移行のための総合プログラムの中で、災害復興公営住宅等を三万八千六百戸供給する計画としてございます。一方で、平成七年の十月から本年三月までの三次にわたる公営住宅への入居申し込みは約三万八千二百戸でございまして、災害復興公営住宅等の供給計画とほぼ一致をしております。したがいまして、現段階では災害復興公営住宅等の供給計画は、全体として需要に見合った戸数になっているのではないか、このように考えてございます。  ただ、本年の九月二十六日から十月二十八日までの第四次の募集、これは直近で行われてございまして、現在兵庫県の方でその集計さらには分析を進めているところでございます。こうした分析結果を踏まえまして、兵庫県の方から計画戸数の追加要望がございますれば建設省としましても協議に応じてまいりたい、このように考えております。
  99. 平賀高成

    ○平賀委員 私は、今最初に、提案があれば協議に応じていきたいというふうに言われましたので、これはぜひ積極的に対応していただきたいと思います。  それから、私たち日本共産党は、こういういろいろな問題が出てくるのは、もともと住宅の建設が、戸数そのものが余りにも少ないからだ、この点について私は一言指摘をしておきたいと思います。  それから、地元の神戸新聞によりますと、震災を克服した大手の高炉メーカーであるとかさらには造船が高水準の生産を維持しているのに対して、地場産業のケミカルシューズや、また商店街だとか小売の市場などの売り上げの低迷が続いておりまして、五割から六割程度の回復だということが地元の神戸新聞などでも報道されております。  阪神大震災の被災地の自治体の合計では十三万人以上の方々、神戸市だけでも九万五千人以上の方々が、これは人口が戻っていませんので、減ったままになっております。もとの町に被災者が戻ってこなければ中小業者の暮らしや営業も成り立りていきませんし、仮設住宅にいる被災者はもちろんでありますが、県外に避難した被災者も、希望する方が戻ってこられるような復興をしなければならないと私は思っています。  この点で亀井国土庁長官に伺うわけですが、大規模災害というのは今後とも起こり得ると思います。被災者生活再建のために何らかの個人給付をしていく、そういう支援制度が私は必要になっていると思いますが、この点についての長官の見解を伺いたいと思います。
  100. 亀井久興

    亀井国務大臣 先ほど来、他の委員の御質問にもお答えをしてきたところでございますが、内閣総理大臣が設置をいたしました防災問題懇談会におきましても、将来の災害に備えた基金の創設についての提言があったところでございまして、また一方において、全国知事会も一つの案を七月にはまとめておられるところでございまして、その案をさらに今検討を深めていただいておる、そうした段階であることも承知をいたしておるところでございます。  阪神・淡路大震災の復旧・復興については、国としてもできる限りの御支援をいたしておるところでございまして、先ほど答弁申し上げましたが、復興基金を生かした生活再建のための給付も既にやっていただいている、このことについても地方財政措置で支援をしている、こうしたことでございますが、将来の災害に備えた基金ということにつきまして、もろもろ難しい問題があるわけでございます。特に財政状況が御承知のようなことでございますので、全国知事会の御提言についても、それをそのまますぐ実行できるというような環境にはないわけでございますが、国土庁といたしましても、また政府といたしましても、総合的に検討を進めながら対応してまいりたい、かように考えております。
  101. 平賀高成

    ○平賀委員 いろいろ言われましたが、簡潔に伺いますけれども、これは、その阪神大震災というだけにとどまらずに今後ともいろいろな災害があるのですが、こういうときに、この間の経験も踏まえまして新たに個人給付をする、そういう制度をつくる必要があるとお認めになるというか、お考えになるかどうか、この点、一言だけお願いします。
  102. 亀井久興

    亀井国務大臣 おのずからさまざまな制約はあると思いますけれども、何らかの仕組みを考えなくてはいけないだろう、そういう認識は持っております。
  103. 平賀高成

    ○平賀委員 先ほども議論がありましたが、十月二十六日に投票が行われた神戸の市長選挙におきまして、これは公的支援の問題が一番大きな争点になりました。  それで、長官に伺うのですが、阪神大震災の被災者皆さんの住宅問題であるとか、さらには雇用の問題や中小業者の皆さんの経営問題、こういうさまざまな問題が深刻になっているわけですが、二年十カ月以上たってきたわけですが、依然としてこれは深刻な状況に置かれているわけです。それで、私は、この被災者方々が将来に対して本当に希望の持てる、そういう対策を打っていくためには、私はやはり個人給付を検討せざるを得ないかと思うのですが、この点についての長官の決意をぜひ伺いたいと思います。
  104. 亀井久興

    亀井国務大臣 ただいまも御答弁を申したとおりでございますが、今、申し上げるまでもなく、復旧が相当程度進んだとは申しながら、現実に生活の再建に大変御苦労をいただいておる地元の皆様方の実情は十分に承知をしておるつもりでございますので、その生活の再建のためにどういう施策を講じたらいいか、これはもう大変複雑多岐にわたる政策だろうと思っておりますし、地元地方公共団体、熱心に取り組んでいただいているところでございますから、そうした公共団体とも御相談をしながら、国として精いっぱいの御支援をしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  105. 平賀高成

    ○平賀委員 先ほど議論もありましたが、今参議院の方では、超党派で災害被災者等支援法案という法案が提出をされておりまして、これは、各政党としましても、公的支援はやらざるを得ないのではないか、こういう認識に各党共通したものがあると思います。それから、全国知事会では、やはりこれから起こる災害に対して個人給付をするために、基金制度という形で、何とかその制度をつくらなければいけないのではないかという形で、全国民的な共通認識が私はでき上がっていると思うのです。  それで、今、私有財産制のもとでは個人補償はできないのだと繰り返し政府答弁は言うわけですが、しかし、憲法二十五条が保障をしている生存権は、現地の兵庫県ではこれが保障されていないわけです。  それで、今まで公的資金の問題がいろいろ議論ありましたけれども、住専問題を初めとして、今証券会社や銀行などの不始末のしりぬぐいに公的資金の投入ということが言われているわけですが、私はこれは本当にけしからぬ話だというふうに思うのです。本当に被災者皆さんのことを考えるのであるならば、公的支援というのは、現地の兵庫県の被災者のためにこそやるべきであると私は思っています。  私たち日本共産党は、この財源問題につきましても、これは公共事業一般を否定しているわけではなくて、公共事業のむだな部分を削っていったら現時点でも三兆、四兆という財源ができるわけですから、一兆円を超すこの公的支援法を設立させるためにお金が出せないはずはないというふうに私は思うのですね。  この点について、阪神大震災の被災者皆さんを救済するために、ぜひこの点で国民の期待に沿った対応をされるように再度強調いたしまして、私からの質問を終わらせていただきますが、最後にもう一回、全体の質問を通じまして見解をお聞きして、終わりたいと思います。
  106. 亀井久興

    亀井国務大臣 今各党でそれぞれのお立場からさまざまな御議論があることは承知をいたしておりますし、また、国会の状況についても承知をいたしておるつもりでございますが、皆様方のいろいろお知恵を拝借いたしながら、何とか生活再建のための公的な仕組みというものも考えられてしかるべきであろう、そうした立場から、さらに政府といたしましても検討を重ねてまいりたいと思います。
  107. 塩田晋

    塩田委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十四分休憩      ————◇—————     午後一時十九分開議
  108. 塩田晋

    塩田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中川智子君。
  109. 中川智子

    中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子でございます。  私も、被災地の宝塚の出身でございまして、阪神・淡路大震災の際には自宅で大変な思いをいたしました。そして、それに引き続きますさまざまな被災者の現実に対して黙っていられないものを常に感じておりまして、今参議院の方で市民とともに提案いたしました市民議員立法、そしてまた、いわゆるいろいろなところでの抗議行動、そして国に被災者を、人間を助けてほしい、救ってほしいという活動をこの間ずっと市民とともにやってまいりました。そのようなことを、私の経験とそれから今の実態を体して皆さんにお伝えし、そしてもっともっと前進した国の施策をお願いしたいという思いを持って質問をさせていただきます。  ずっと私はいろいろな委員会で前伊藤国土庁長官の方に御質問をさせていただいていまして、長官には初めてここでゆっくりとお顔を見せていただいて質問をさせていただくわけなんですけれども、まず、長官は、九月に被災地に行ってくださいまして、そしてそこでさまざまな被災者の方とお話をされたと思いますが、どれぐらいの日程をとられていらして、大体何人ぐらいの被災者、数ははっきりでなくて結構ですが、お話を伺って、そして、また寒い冬を迎えようとしている今の被災地に対して長官としての感じられたことを最初にお伺いしたいと思います。
  110. 亀井久興

    亀井国務大臣 今中川委員みずからが被災をされたという、そういう御体験の中からもろもろの御質問をされるということでございまして、まず冒頭に、私が先般被災地へお邪魔したとき、どういうことを感じたかという御質問でございます。  私も、阪神・淡路大震災の復旧・復興というものは最優先課題であるという、このような認識を持っておりましたので、就任をいたしましてすぐにお邪魔をさせていただきまして、仮設住宅あるいは仮設工場、そしてまた復興住宅あるいは東部の新都心の建設現場と拝見をしてまいったわけでございまして、仮設住宅におきましても、居住をされておる皆様方にお集まりをいただきまして、もろもろの御意見や御要望も承ったところでございます。  午前中の答弁でも申し上げましたけれども、仮設住宅住まいというものが大変御不便な状態であるということも実際にこの目で拝見をいたしましたし、またこれから冬場に向かって大変寒い中で、すき間風がびゅうびゅう吹くというそういう中で大変な御苦労があるだろうな、そういう思いは大変強く持っておるところでございます。  何と申しましても、いわゆるインフラ等につきましては、大体復旧は順調に進んだという感じは持っておりますけれども、いよいよこれからが本当に大変だな、そういう思いでございまして、生活の再建ということに向かってもろもろの総合的な施策が必要になってきた、そういう感じを率直に持っておるところでございます。  また、経済が大変今落ち込んでおるときでございますし、また被災地の人口が減ったまま今日まで推移をしているということでございますから、消費人口がないという中で、仮設工場で操業しておられる皆様方も大変な苦労をしておられる、そうしたことも私なりに感じてきておるところでございます。
  111. 中川智子

    中川(智)委員 今の長官のお言葉はとても胸にしみるものがありましたが、私もあちこち見まして、インフラの復興は本当に目覚ましいものがあるなと思います。でも、普通の私たちは、インフラというのは、いろいろな町や道路や橋や港湾、さまざまなものは、それを利用する人たちが立ち直っていかなければ、人間のためのものでございます。でも、今なお二方六千世帯の方々が仮設住宅に入居し、そして先行き不安の中でさまざまな困難を抱えて生きていらっしゃる、これもまた事実でございまして、見た目の復興は遂げていても、それを利用する、本来立ち直らなければならない人間がまだいまだに立ち直っていないという現状から、今の長官のお言葉の中で、もろもろの施策を考えていかなければいけない、生活支援その他を含めましてということがございました。  それと同じ答弁が、ことしの一月の予算委員会、例えば、伊藤長官のときですが、伊藤長官の言葉の中で、政府一体の中で十分これらのこと、さまざまな被災者支援をしなければいけないということを相談いたしまして、少なくとも、災害の多い国でありますから、そういう皆様方が立ち上がっていける、そうした支援を国はやっていく、そういう決意で私の指摘は受けとめたいという答弁がございました。  また、いま一つは、小泉厚生大臣は、私は災害救助法に触れて話をしたときなんですが、それは、今の災害救助法を見直すのがいいのか、それとも新たな法律がいいのか、法的には私は詳しくはわかりません、しかしながら、個人補償はしない、同時に生活支援はする、この点の法的な区画、区切り、そして、今の困窮されている方々に対して支援の手を差し伸べようとする、これはまた繰り返していらっしゃるんですが、これは現在の災害救助法がいいのか新法がいいのか、あるいはこれは限度なのかということについて、もっと精査する必要があるのではないかというふうな答弁をいただいております。  そして今、なかなか新しい法律もできない。そして、長いことずっといろいろな方たちの運動の中で、何と申しますか、もう何夜徹夜したかわからない、何度集まったかわからない、議員も市民も一生懸命つくり上げた法案が今参議院の方で提出されていて、たった一度現地を視察したという状況になっております生活の支援法です、災害弔慰金法の改正であります。あれがあの状態にある。そしてまた、じゃ、この言葉を受けて、この十カ月の間、これは一月でした、今もう十二月です、その間に法律を新たにつくっていくということを伊藤長官から亀井長官に、何かそういう引き継ぎとか、これについては前向きに考えるようにということでの、具体的な法律の見直し、新たな法律づくりということでの政府の一歩進展したことはございますでしょうか。  それともう一つは、今の参議院の市民議員立法についてどのようにお考えでいらっしゃるかということをお伺いしたいと思います。
  112. 亀井久興

    亀井国務大臣 今中川委員、伊藤前長官委員会における答弁等を御引用いただいたところでございますが、伊藤長官から、特にこの生活再建のためのもろもろの施策について、あるいは新しい法律についての特別な引き継ぎというものはなかったわけでございますが、行政は常に継続をしているわけでございまして、伊藤長官の今日までとられてきたもろもろの政策というものを引き継いでやっていくということは当然のことだろうと思っております。  生活再建の話でございますが、やはり、何と申しましても、その前提となります住宅の問題を解決をしなくてはいけないということでございますので、今日まで公営住宅の大量供給とその家賃の大幅な引き下げということを実施をいたしまして、現金給付というような形ではございませんけれども、被災者の方の生活再建に向けたさまざまな支援策は講じてきたつもりでございます。  また、先般、これまでで最大規模でございますけれども、約一万七千戸に及ぶ災害復興住宅の募集を行ったところでございまして、この募集に当たりましても、仮設住宅にお住まいの方々に一定の優先的な枠を割り当てるというようなこともやったわけでございまして、地元の公共団体も今必死でそうした生活再建にも取り組んでおるところでございます。  御案内のとおり、復興基金を活用いたしまして、生活再建の給付金もこの八月から支給を始めているということでございまして、政府といたしましても、この復興基金に対して地方財政措置をとりまして支援を行っているところでございます。これからもまた実情に合ったきめの細かい施策を何とか講じて被災者方々の自立をお助けしてまいりたい、そのように考えております。
  113. 中川智子

    中川(智)委員 委員長、きのうの大蔵委員会ではないのですが、スタートのときはたくさんいらしたようなのですけれども、災害特別というのは本当に久しぶりに開かれて、阪神・淡路のこと、また今後の災害のこと、あすは我が身というときに、スタートのときはずらっといらして後はこんなに少ないという状況は、委員長、どのようにお考えでしょうか。
  114. 塩田晋

    塩田委員長 ただいま中川委員からお話がございましたが、出発のときは定数がそろっていたわけでございますが、今は他の委員会理事の方あるいは委員の方が採決の委員会に参加しておられまして、それが終わり次第お見えになると思います。しばらくの間、そういう状況でございますので、御了承いただきたいと思います。
  115. 中川智子

    中川(智)委員 私も、あちこちかけ持ちの党でございますので、そんなに偉そうなことは言えませんので、それぐらいにしておきます。  厚生省そして国土庁の方に伺いたいのですが、私は、阪神・淡路では被災地にいまして、家の中が大変ではあったのですけれども、ライフラインがすぐに戻ったということもありましたし、建物そのものが大丈夫だったので、避難所に入らずに済んだという経過もございまして、友人たちと一緒にボランティアで活動をしておりました。  そのときに、今必要なものを今届けるという、いわゆる自治体の体制がなっておりませんでしたし、何しろ、兵庫県、大阪に住んでいれば地震はないというので引っ越してきた方が多いのですね。何しろ、地震がないと言われてそしてあそこで暮らしていた人が多くて、一体何が起こったかわからないということでした。UFOが落ちてきたのか、陽石がうちの家にだけぶつかったのか、そういう状態の中で、家もろともなくなり、そして、着のみ着のままで避難所に入ったという方が多かったのです。  私は、三日後からすぐ、必要なものを今すぐ届けるという活動をしましたが、食器とかおなべとか、いろいろなものを仮設に入られる方にお渡ししているときに、一人のおばあさんが、中川さん、この手を見てと言って私に手を見せられました。あかぎれで血がにじんでいまして、私は、そのおばあさんの手をさすりながら、どうしてこんなになったのと聞いたら、洗濯機が買えないと。二月のちょうど寒いころでした。もう洗濯機も冷蔵庫も全部つぶれてしまって、本当に着のみ着のままで仮設に入られた方が、洗濯機も買えない、冷蔵庫も買えないという中で、つらいからせめて洗濯機が欲しいんだけれども、その辺で壊れかけているものでもいいから、動けばいいから洗濯機が欲しいと言われたときに、ああ電化製品が必要なんだと思いまして、すぐに新聞の方にお願いしまして、リサイクルをということを近畿一円で呼びかけまして、そしてリサイクルをしました。たくさんの方々が冷蔵庫とか洗濯機を送ってくださって、毎日二トントラックを五台ほど動かしまして、冷蔵庫が百六十台、洗濯機が百五十台、テレビ百台という形で、リサイクルしてお渡ししたのです。  そのときに、行政の地下の倉庫には電機会社から送られてきた冷蔵庫や洗濯機がいっぱいありましたが、何しろ、困っている人をこれから調査して、そして一番困っている人から不平等のないように渡すということでした。ですから、半年先になるか一年先になるかわからないと言われましたが、被災直後に、洗濯機を買うお金もない、電気がまを買うお金もなかったのです。お金があっても、とても心配ですから少しの蓄えは持っていたい。そのときに、お米をふたのないおなべで炊いているけれども生米みたいだとか、たくさんの声を聞きました。  私は、アメリカの例とかいろいろ調べまして、日本では個人補償はしないということを言われていますが、資本主義国家ではそれをやっていないということをずっとこの間おっしゃっていましたが、メニューの中に現金給付というのがございます。たくさんのメニューがあって、被災直後に立ち上がるために、お金を選んでもらう。お金でもらうか、住宅でもらうか、いろいろなメニューがある。日本の場合は一切、現金給付、お金を渡さない。災害救助法の中に生業資金というのもあるのに、それさえも使わずに、びた一文お金を渡さないということでこの間きたのが、今、もうすぐ三年目を迎える被災地のこの惨状なわけであります。  厚生省にまず最初にお伺いしたいのですけれども、今後起きる災害に関しましては、やはり現金給付も含めたメニューをそろえるべきだ、そして被災直後の立ち上がりに対してもっとしっかりした施策を講じるべきだと思うのです。  ちなみに、仮設住宅の建築資金は二百三十万円、撤去するのに百五十万円、そして瓦れきの処理には約三百万円。こんなふうに言いますと、もう七百万円ぐらい、被災者にはお金が渡っていると。お金は使っているけれども、でも実際、被災者には軒並み一律に与えられてしまうものですから、それに対して、自分自身の生活を立て直すお金にはなり得なかった。この点を踏まえましての今後の施策に対してお伺いしたいと思います。     〔委員長退席、菅原委員長代理着席〕
  116. 田中敏雄

    田中説明員 災害救助法によります救助は、災害発生直後におきます応急的な救助を目的としておりまして、食糧とか住居とか医療等、そういったものを確保できない被災者に、必要な物品や医療サービス等を直接提供することが重要であるというふうに考えております。このため、被災者の所得にかかわらず、必要とされる方々に現物で給付をするということを基本としているわけでございます。  阪神・淡路の際に対応がおくれたというような御指摘もあるわけでございますけれども、応急救助としてはこのような方法によることが適切であると考えておりまして、現行制度を適切に実施することによりまして、被災者の救助に努めてまいりたいというふうに考えております。
  117. 中川智子

    中川(智)委員 国土庁の方に同じことを伺いたいのですが。
  118. 山本正堯

    山本(正)政府委員 お答えを申し上げます。  自然災害によりまして個人が被害を受けた場合には、今厚生省さんの方から答弁がございましたように、災害救助法によりまして避難所、応急仮設住宅等を公的に確保する、あるいはまた各種融資措置等の現行制度を的確に適用する、こういうことによりまして、被災者生活再建支援をしているということでございまして、厚生省さんの方から今御答弁を申し上げたところでございます。  諸外国の例につきましては先生もう大変よく御存じのとおりでございまして、日本では、公的に住宅を確保することがまず基本ということでございますが、アメリカでは、被災者が自力によりまして住宅を確保する、こういう制度になっておるわけでございます。先ほど先生おっしゃいましたように、金銭給付、一部ございます。これはもちろん先生の御指摘のとおりでございますが、被災直後において一時居住のための賃貸住宅の家賃、自宅の最小限の修繕に対して補助を行うということで、被災者の自力による住宅の確保を図るということでございまして、低利融資による支援を原則といたしておりまして、そういう融資を受けられない方、低所得者の人たちに対しまして最低限必要な災害関連経費に対する助成金を交付するということでございます。最高一万二千ドル、平均にしまして約一千ドルの交付が行われている、こういうふうに理解をいたしておるところでございます。
  119. 中川智子

    中川(智)委員 そこで、私も割とちゃんとした機関で調べたつもりなんですけれども、額が随分違うんですが、大体百五十万ぐらい、そしてノースリッジのときには小切手で二百五十万近くが贈られた、タックスペイヤーとして当たり前の権利だということが、これはテレビでも報道されました。  その辺の認識がかなり今違ったなと思いますが、これは水かけ論になりますのでいたしませんが、長官にちょっとお伺いしたいんですが、基本的に現金給付は行わないということは、お金なんか渡したら国民は何に使うかわからない、だから物を与え何を与えという現物になっているんですね。お金を渡したらこれでお酒を飲むかもわかんない、パチンコをするかもわかんない、だから国民なんて信用できないからお金なんか渡せないんだという発想が、基本的に、いわゆる口先だけの自助努力で現金給付を行わないという日本の一つの思想が、政府国民に対する不信が生み出したものだと思うんですが、亀井長官、いかがお考えでしょうか。
  120. 亀井久興

    亀井国務大臣 今、中川委員、国が国民を信用していないんではないかというかような視点での御質問でございますけれども、私どもは決してそのような考え方を持っておるわけではございません。また、そういうことがあってはならないというように思っております。  ただ、生活再建の支援に現金を給付するという、そのことにつきましては、もろもろの自然災害については自立再建というものを基本にするということで今日まで推移をしておりますので、いわゆる個人補償というそうした考え方をとっていないところでございますので、そうしたことから、仮設住宅から恒久住宅へ移られるときにまたもろもろの経費もかかるであろうという考え方から、復興基金を活用いたしました生活再建支援給付金という、そうした仕組みも地方公共団体でお考えいただいたわけでございます。  そのことを、国といたしましても地方財政措置をとりながら一生懸命支援をしているということでございますので、決して個々の国民の皆様方を信頼をしていないというような、そういう観点に立っていることではございません。
  121. 中川智子

    中川(智)委員 信用してないわけではないけれども、結果的には信用してないような政策しかとってないということが問題だということを指摘したいと思います。  それで、今の県の生活給付金に関しては、それがありがたいという思いもございますが、あれは、六十五歳以上は五年間、四十五歳以上は二年間、でも、二年後も五年後も生きていかなければいけないわけです。そこで、仮設住宅に入っていらっしゃる方が、公営住宅に応募はするんですけれども、応募をしない人もいる。もう仮設にいたら家賃も要らないし、この間、たくさんの人から聞いたのは、引っ越しするお金さえない。本当に、割と近くで二十万円ぐらいで引っ越せるんだけれども、引っ越しするお金さえ出せないという声がとても多かったです。そして、新聞をとるのをやめた、朝お弁当を買ってきたのを一日に二回に分けて食べている、これが被災者の現実です。  そこで、困ったら生活保護があるよということがいつも伺われるんですが、もうそういう御答弁は結構なんですが、NGOの調べでは大体千戸ぐらい、公営住宅にもう移らずにこのままここでいいと、ここで死にたいという方たちが千世帯ぐらい出るんじゃないかということが今数字として出ています。この場合、もしも仮設から出られない場合はまさか強制撤去とか強制退去ということはないでしょうねということを、これは厚生省でしょうか、福祉の観点もありますので、一応通告していますので、ここの処置に関して、仮設住宅に残るかもしれない、その後のことについて皆さんの不安を取り除くための御答弁をお願いいたします。
  122. 田中敏雄

    田中説明員 応急仮設住宅はやはり一時的な住まいでありますので、できるだけ早く恒久住宅に移っていただくということが大事ではないかということで、地元地方自治体でも、現在できるだけ速やかに移転できるような最大の努力がなされているところであります。  今後、私どもとしましても、公営住宅等の整備状況等を踏まえ、地元自治体とも十分相談しながら適切に対応してまいりたいと考えております。
  123. 中川智子

    中川(智)委員 県、市から要望がないのでということが割と今までの答弁の中でもありましたが、私もボランティアをやっているときに、仮設にクーラーがついてなかった、それで、クーラーがないと夏が越せないという声がありまして、じゃクーラーをつけてもらう署名運動をやっていこうと言ったらば、私たちは住まわしてもらっているだけでもありがたいと思わなきゃいけない、ついこの間まで普通の市民生活をしていた人たちですから、言えないんですね。だから窓口を、私は一・一七その後の会という会をつくっていたんですが、その会でやってくれるならもう喜んで一緒に署名する、でも、私たちは住まわしてもらっているだけでありがたいと思わなきゃいけないんだと。県、市にも、やはり最近はもうどうしようもないからどんどん言っていきます。でも、国の方から、これで足りているのか、人々はこれで復興の道を歩み出しているのかということをやはり聞いていくべきであろう、県、市の要望がないと言うことは、余りにも冷たい国の態度であろうと私は思います。  それと、もう時間がありませんが、この間、山一証券が私も気になって、これで毎日のように格好いいというか、公的資金をという記事があります。これもきのうの夕刊ですね、「公的資金投入へ更なる政策検討」。きょうの新聞にも公的資金検討を表明とありますが、もう山一、この方たちを救う前にぜひとも被災者をまず救ってから、この公的支援の生活を立て直す法律を成立させていただいてから次にこれに移っていただきたいというのが被災地の大きな声なんですが、大蔵省、お願いします。
  124. 原雅彦

    ○原説明員 政府といたしましては、これまでに、まず財政面におきまして、阪神・淡路大震災等関連経費といたしまして今年度までに約九・六兆円に達する事業規模の財政措置を、また税制面におきましては、所得税の雑損控除の特例等々のもろもろの諸措置を、さらに政府系金融機関の融資制度の充実等の金融措置等、被災者の救済を含めまして復旧・復興のための最大限のいわば公的な支援を行ってきたところでございます。  今後とも、これらの施策を基本といたしまして、これまで同様、関係省庁と十分相談しながら被災者の支援に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  125. 中川智子

    中川(智)委員 ちょっと、ちゃんとした答弁じゃないように思うんですけれども、支援に努めていくということですか。もう一度、もうちょっと明快にお願いします。
  126. 原雅彦

    ○原説明員 金融システムの問題につきましては、その安定強化のためにどのような措置をとることができるのかという観点からただいま御議論が行われているところだというふうに承知いたしております。したがいまして、おのずからその性格は異なるものというふうに理解しております。  いずれにしても、いろいろ御答弁がございましたように、これまでもろもろの措置を講じてきているわけでございまして、これらの施策を基本としましてこれからも対応してまいりたいという考えでございます。
  127. 中川智子

    中川(智)委員 では不信任案が辛うじて大丈夫だった三塚大臣に今度は伺うことにいたします。何しろ、憲法で保障されている生存権そのものにかかわる問題でございます。  何人かの方がお帰りになられたようですので、委員長先ほどは失礼いたしました。ちょっとだけお戻りになられましたので、やはりこのような大事な審議のときには、頭だけ、スタートだけいるということではなくて、きっちりとその審議の中身を、質疑を聞いていただきたいと思います。そして、この災害特別委員会、実りあるように、十二月三日は私も一緒にお邪魔いたしますので、ぜひとも仮設に今なおいる人々の声を聞いていただく視察となりますようにお願いいたしまして、終わりにいたします。ありがとうございました。
  128. 菅原喜重郎

    ○菅原委員長代理 小坂憲次君。
  129. 小坂憲次

    ○小坂委員 太陽党の小坂憲次でございます。お時間をいただきまして、質問させていただきたいと思います。  まずもって、六月に防災白書が発行されまして、よく読ませていただきました。大分、阪神・淡路の震災を初めとして、大規模災害の反省を踏まえて充実してきたように思っております。  皮切りでございますが、国土庁長官、就任されて以来初めての一般質問でございますので、まずもって長官のこの災害対策に対する基本的な考え方、ただいま行政改革を議論されておりますが、そういうものを踏まえた上で御意見を賜りたいと思います。
  130. 亀井久興

    亀井国務大臣 今小坂委員からの御質問でございますけれども、私も就任をいたしまして、防災対策責任者という立場が非常に重いものである、そうした認識を強く持っております。  阪神・淡路大震災の体験から、もろもろの危機管理体制整備等も今日までやってきたところでございますが、何と申しましても、阪神・淡路大震災のときに、初動体制にいささか不備な点があったではないか、また状況の把握が早期に十分にできなかった、こういう反省点もあるわけでございまして、やはり速やかに対策本部を立ち上げるということ、そしてまた官邸の連絡体制等を整備をする、そしてまた情報収集と各省庁間の連絡を一元化していく、そうしたことについての反省もございまして、今日まで災害対策基本法を二度にわたって見直したり、あるいは防災基本計画等を見直す、こうした措置もとったところでございます。  今申し上げましたような阪神・淡路大震災の体験を生かして何とか国民の皆様方に安心していただけるような体制をつくり上げていかなくてはいけない、そのような思いでいっぱいでございます。     〔菅原委員長代理退席、委員長着席〕
  131. 小坂憲次

    ○小坂委員 長官には私も期待をいたしております。危機管理は、総理を頂点として、また大規模災害のときの実際の担当者としては、国土庁長官を頂点とする組織がいかに早く立ち上がるかということが非常に重要でございまして、その責任者たる方の日ごろの危機認識が一番大切である、私は常にそう申し上げてきておるわけであります。すなわち、どういう災害が起こったとき自分はどう行動すべきかというシミュレーションを頭の中でやっておいていただく、こういう場合にはこういうことが多分必要になるであろうなと、いろいろなことを考えていただくことが非常に重要だと思っております。  阪神・淡路の反省のもう一つは、やはりそのときに一人の大臣では足りなかったという反省もあるわけです。私は、亀井長官は一人で足りる大臣である、そういうふうに期待をいたしておりますので、そのようにぜひともこれからの御勉強並びに御決意のほどをお願い申し上げたいと思います。  さて、行政改革に関連してでございますが、私の所見を申し上げますと、中央、地方役割分担という中で、中央は情報の一元化ということにおいて力を尽くす、と同時に日ごろの防災活動に関しては今度は地方が中心になっていくべきだと、そしてまた、自主防災組織というものを育成していくことが阪神・淡路の反省からも非常に重要であるということで、防災基本計画の中にも盛り込まれているところでございます。  そういうようなものを見ながらお話を申し上げるわけですが、この一元化という点において大分前進をしてきたと思っております。官邸の中に危機管理センターができ、そして国土庁の防災会議室と連携をとりながら情報が集中するような、大分前進はしてきたと思っておりますが、まだまだだと思っております。  例えば、一つ例にとって申し上げれば、地震関係地震防災情報システム、いわゆるDISというものですが、この端末はまだ官邸の方の危機管理センターには来ておらないとか。こんなものは、コンピューターですから、端末引くのはわけないことだと思いますし、そういうものは予算を余り気にせずまず実施する方を決断していただくことが必要なんだろうと思っております。  これは単なる例でございますが、私は、もっと一元化に必要なことは、例えば長官が御自身でどこかで災害に遭ったとしましょう。御自身の余りなれてないような地域災害に遭われた。さあ自分しか今動ける人間がいない。まず助けを呼ぶのにどこに電話するか。自衛隊の派遣も多分必要なような大規模災害だと思われる。そういうときに長官はどこに電話されるか、こう思うわけですね。  我々一般人であれば、大体一一〇番、二九番なんですね、自衛隊の窓口がどこに何番かなんて知っている人はいませんから。恐らく一一〇番、二九番にかけて、こういう大規模災害が起こっている、直ちに自衛隊の救援を求めてくれ、どうも自分しか電話できるような、あるいは電話がそこしか生きてない、こういう状況の場合、受けた電話の窓口の向こうで、自衛隊ですか、であれば自衛隊の方に直接お願いしますと言って切られたら、これは大変なことであります。  私は、災害対応というのは非常に幅広いものだ、防災基本計画の中にも、今回八つの事故災害対策が追加をされました。これは大変な前進だと思っております。そういう各種災害が起こったときに、だれでもが知っている一つの番号というものをつくったならば、よりスムーズにいくだろう。すなわち、まあ一番としましょうか、〇〇一番、これは今使っている番号かもしれませんからやめましょう。一〇〇番としましょう。一〇〇番というふうに回したときに、いきなりそこへ防災担当につながって、例えばそれが官邸内の危機管理センターである、そこの人間が、どういう種類の災害ですか、地震災害あるいは列車事故ですとかあるいは原子炉の災害ですとか、ああそうですが、今どういう状況ですか、それでその情報を把握して、それに必要な自分の、担当者の専門知識をもってそれはどことどことどこに指示を出して対応しよう、こうしてくれれば国民は安心して生活ができるだろうと思うのですね。  私は、この委員会に所属して、もう当選以来やっていますからいろいろな長官質問させていただいております。しかし、太陽党になりましてからも長官はたびたびかわっております。したがって、同じようなことを毎回長官に御説明しなければいけない。同じように、防災担当者もかわっているのですね。やはり省庁の中の人事異動というものがありますから、防災室の担当者もかわっている。できれば阪神・淡路のあの大規模災害を経験した人間は防災センターにくぎづけになってもらって、あの経験を生かして今後のいろいろな対応にしてもらいたい。あるいは重油災害のときにいた人間も、だれか一人は常に残って、そしてその情報を引き継いでいってほしい。そういうようなことで、専門官をもっともっと育成していくべきだろうと思っております。  そういった意味で、長官がそういう意識を持って対応していただければこれは実現できることだと思いますので、ひとつお願いをいたしたいと思いますが、長官の御意見を賜りたいと思います。
  132. 亀井久興

    亀井国務大臣 今、小坂委員から大変貴重な御提言をもろもろいただいたところでございます。  私も、今御質問を拝聴しておりまして、自分が全く第三者、一国民としてそうした災害に遭ったときに、どこに電話するだろうなと思いましたら、先ほど委員の御指摘にありましたように、やはり一一〇番か一一九番かなというようなことを思いながら伺っておったわけでございますが、やはり情報を一元化する、組織としてどこへつながってもそれが速やかに、うまく機能するような、そういう体制を整えておくということは特に重要だろうと思っております。もろもろの体制整備しつつあるわけでございますけれども、それが組織としてうまく機能をしていくということのためには、何と申しましても組織は人でございますから、まず、しかるべき経験を有した者がそこにいるのかいないのかということは非常に大きな違いが出てくるだろうと思っておりますので、その災害のいわゆる専門的なスタッフを養成をしていくということは非常に大切な点だろうと思っております。  午前中の御質問にもお答えをしたときに申し上げましたが、アメリカも大変危機管理体制については進んでおりますので、そうしたアメリカのFEMA等に人を送りまして勉強をしてもらう、あるいは国連のさまざまな機関にも人を出して勉強をしてもらう、そうしたことも通じて、また、地方公共団体の方にもそれだけの専門家を養成していただくということも必要だと思っておりますし、国と地方との連携を密にとりながら、人材の面も含めまして、総合的な体制整備を図ってまいりたい、かように思っております。
  133. 小坂憲次

    ○小坂委員 ただいま長官の方からFEMAの話も出ましたけれども、阪神・淡路のときには、だれもがその名前を覚えるぐらいによく出てまいりました。そういうことで研究をしていただきたいと思います。  また、災害対策基本法の改正のときに私ども議論をいたしました。幾つかまだ実現されておりませんけれども、例えば自衛隊の派遣に関して、私どもは、市町村からも直接要請できるようにしようと言いました。結果は、大分与党側に譲っていただきまして、通知をすることができるようになりました。これでもう大分問題は解決すると思いますが、当初はなかなか、それすらできなかった。今は、自衛隊を要請するときに、市町村の長から知事を通さずして直接自衛隊に通知をすることができる。派遣要請をしても私は大丈夫だと思っているのですね。実際に、裏の情報をちゃんとしっかりとるだけの情報収集能力は自衛隊は持っておりますから、それでも大丈夫だと思っておりますが、今、現状はそういうことになっております。  そういう中で、さらに申し上げると、私は、その災害対策基本法の中でもう一つ、まだ積み残しと思っておりますのは、総理の指導力を強化するための措置であります。内閣法の改正というもので、閣議等についての意味合いは今行革の中で議論されております。これの進展をひとつ待ちたいと思います。  もう一つは、非常災害対策本部から緊急災害対策本部へ、本部長のあり方でありますが、発災と同時に、その規模はどのくらいか把握しにくいものです。ですから、私は、まず、非常災害対策本部をつくろうと緊急対策本部であろうと、規模が把握できない以上、総理を頂点とする災害対策本部を立ち上げるべきだ、そして、その内容を精査した後に、その規模が担当大臣によって指揮命令をすることで十分であると思われる場合には、総理が頂点となった本部長の権限を副本部長に委任をして、委嘱をして、そして副本部長が、運輸災害であれば運輸大臣がその指揮をとる、あるいは国土庁長官と決めておけば国土庁長官が指揮をとる、こういう形をとっていくべきであろう。  しかしながら、今は非常災害対策本部、緊急災害対策本部が明確に区分をされておりまして、この区分が、どちらを立ち上げるかということの時間的ロスのないように、運用にまた御配慮をいただきたいと要望をいたしておきたいと思っております。  それから、最近、災害といいますと、我々は常に突発的な災害、大規模災害は、地震とか先ほど申し上げた防災基本計画にあるような八つの災害原子力災害も含めたいろいろな災害、そういうものを想起しがちであります。しかし、実際に私どもの、市民の生活、財産を脅かす災害というのは、長期的に積み上がっていく災害が非常に問題になってきております。いわゆる環境汚染もその一つであります。最近、ダイオキシンの問題が非常にクローズアップをされておりますが、これらを初めとした環境汚染。この中には、大規模災害、いわゆる重油流出事故のような、ああいった特殊的な災害ですね、あの災害の後、どうなったのかなと。  ナホトカ号の事故はまだ記憶に新しいわけでありますが、あの際、重油が流出をした、そしてみんなが、船首部分がまだ海から突き出たり、そういう映像を毎日見ていた。それから、ボランティアが出て、重油を手ですくっている、そういう映像もまだ記憶に残っている。しかしながら、海の底に沈んでしまった重油、そしてそれが将来及ぼすであろう富栄養化による赤潮等の災害、漁業災害、そういったものの環境汚染部分、こういうものもこれは長期的な影響として出てくる。しかし、事故がテレビの画像から消えた後は、一体それではだれが担当してこういう長期的な災害の後のフォローアップをしているのだろうか、この担当者はだれかな、こう考えたときに、私どもはわからなくなるのであります。  これはどこが担当なのでございましょうか。こんなものは決まっているところはないですから、大臣の御意見で結構でございますから、こういうのはどこが担当すべきなのでしょうか。
  134. 亀井久興

    亀井国務大臣 ナホトカ号の重油の流出事故でございますが、これ、実は私の地元の島根県の隠岐島の沖に沈没をしておりまして、いまだに本体は引き揚げられないままでございますから、果たしてこのまま本当に流出がとまったのか、それともまた何かの関係で流出することがあり得るのか、その辺もまだわからないところでございまして、この辺の監視体制は、海上保安庁を中心にしっかりフォローしてやっていただいているところでございます。  先ほど質問にございました、環境を長期にわたって損なっていくようなそういうことについて、一つ災害対策として取り組んでいくべきではないか、この点は全く御指摘のとおりでございまして、大変貴重な御提言をいただいたと思っておりますので、こうした点も十分に今後検討をさせていただきながら、どこの官庁が担当すべきなのか、あるいはまた、協力をしてやるとすればどことどこなのか、こうしたことについても、より検討を深めさせていただきたいと思います。
  135. 小坂憲次

    ○小坂委員 大規模災害が起こりますと、当委員会でもいろいろ質疑をして、その後、その部分を専門的に委員会の中でフォローアップする小委員会を設置するなんということがよくあるわけでございます。同じように、国土庁がすべての災害の窓口になっていく、それが運輸災害であろうと、科学災害であろうと、地震いわゆる自然災害であろうと、すべて国土庁の防災局、あるいは行政改革の中でつくった新たな組織がその窓口になる。フォローアップも、情報は全部そこに一元化しておる、環境汚染であれば、環境庁からの情報も、あるいは気象庁を初めとしたいろいろな情報も全部そこに集中をしておる。どこか窓口を一つ決めることが大切ではないかなと私は思っておりまして、行政改革の中でぜひとも、これからの議論、まだ進んでいくと思います。総務省なるものができて、その中に自治省がぶら下がり、気象庁がぶら下がり、そういうふうになっていくのでしょう。また、国土庁がどういうふうに入っていくのか、どこになっていくのか、まだこれからの議論をまつところも残っておりますが、そういう中で、ぜひともそういった一つの考え方を現在の主管官庁である国土庁が十分に意見を反映できるように長官も御配慮をいただいて、積極的発言をしていただきたい、こう考えております。  それでは、環境庁にも来ていただいておると思います。私どもは基本的には政府委員答弁は受けず、大臣または政務次官、こういう基本論は持っておりますが、きょうのところは説明員で結構でございますので、今申し上げた環境汚染対策、これは今回の防災白書の中にもこういった長期的な自然災害についての記述がありますが、環境庁として、例えば今申し上げたようなナホトカ号等のそういった災害に起因するもの、その後のフォローアップ、どういう心構えで取り組んでいるか、ちょっと聞かせていただきたい。
  136. 斎藤照夫

    ○斉藤説明員 御説明申し上げます。  大規模災害によりまして生じた環境影響でございますが、先生御指摘のように、長期にわたり継続をするというおそれがございまして、また特に生態系への影響につきましては、生物の生活史などかなり長期にわたるという影響が懸念されるところでございます。  本年一月に発生をいたしましたナホトカ号の重油流出事故におきましては、その環境影響調査、それからその調査結果の評価につきまして、関係省庁の相互連携のもとに実施をいたしてきておりまして、現在におきましても、かなり環境は改善されつつございますが、長期にわたる生態系への影響等を中心に、現在も段階的、継続的に監視を行っているところでございます。  環境庁といたしましても、今後とも環境に影響を及ぼすような災害につきましては、国土庁さんを初め関係省庁と連携をしながら、環境保全のために最善を尽くしてまいりたい、こう考えております。
  137. 小坂憲次

    ○小坂委員 意外と早く時間がたっていってしまいます。もう少し今の環境庁に質問したかったのですが、それでは、先へ進みたいと思います。  阪神・淡路の質問をきょうは午前中からそれぞれの委員がしております。私も非常に懸念しているところが多いわけであります。  商店街の復興という問題は、非常に大きな問題として今残っております。実際には、コミュニティーがそのまま育っていけば、そこで新たな商店の運営ということも可能なんだと思いますが、発災と同時というか震災後に、そういう避難住宅をつくっていろいろ配分するときに、私は委員会質問の中で申し上げたことがございます。  一つは、避難住宅をつくって、それぞれの地域をそっくりそこに移ってもらうことが必要だということを申し上げました。それはなぜかといいますと、避難住宅に、例えば高齢者を優先ということで高齢者ばかりを一つ地域に集中して入れてしまいますと、そこにはコミュニティーが育たなくなってしまう。若い人の力の必要な、例えば仮設住宅間の道路の水たまりを埋めよう、その一つをとっても高齢者が中心の仮設住宅ではそれができない。ですから、世代間のバランスを持った入居者をつくっていく必要がある。同時に、その地域の住民の住民登録とか戸籍だとかいろいろな行政業務も窓口を一本化すれば非常に楽だろうということから、例えば東灘区なら東灘区をそっくりどこどこ避難住宅に行っていただきます、まあ区全体では大きいですからもう少し小さな単位で、そういうことが必要じゃないですか、こう質問をいたしました。そういうことにも配慮して努力をいたしたいと思いますというような内容だったと思いますが、実際に今出てきていることは、結果としてその指摘が当たっていたというような気がいたしております。  すなわち、避難住宅から今度恒久住宅にかわるときに、入居者はそれぞれその避難住宅に住んでいた新たな形成されたコミュニティーとは関係なく散ってしまう。その結果、また商店は、店開きをしても新たな顧客を探すには時間がかかる。ましてや、その地域に従来よりも住んでいる人が少なくなってしまって商売が成り立たぬ、こういうことになってまた問題になっていると思います。  質問のやりとりをするだけの時間がもうございませんので、こういった反省を十分に生かして今後の防災基本計画等の中にも盛り込んでいただいて、避難住宅の建設並びにそこの入居者の優先順位のつけ方、そしてそういう中でコミュニティーというものを常に意識をしてそれをやっていただくということをやはりここで指摘をしておきたいと思っております。  また同時に、阪神・淡路の教訓の中に、小さな教訓というのがたくさんあったのですね。私の記憶に新しいのは、当委員会委員自身が災害地の真つただ中におりまして、バール一本あったら目の前の住宅の中にいる人を助けられた、なのにバール一本なくて、手ではどうしても木が、くぎを抜けなくて、くぎを外せなくて助けることができないうちに火がやってきた、こういう非常に苦渋に満ちた報告を聞いた覚えがありますが、それが大分生かされてきたように思います。  この「コミュニティ防災活動の手引き」、大変よくできております。それから、この前の年にあった「自主防災組織の活動体制等の整備に関する調査研究報告書」、平成八年三月。こちらの手引の方は平成九年三月だったですかね。ことしの三月にできておりますが、これは非常によく内容としてできております。ぜひともこれを自主防災組織、それから地域のコミュニティーに、反省を十分に周知するようにしていただきたい。発行して、内容を読んで、読んだ人だけがいいと思ったんじゃこれはだめでございますので、何とかこれを伝える方法を講じていただきたい、これをひとつお願いいたしたいと思います。  あと一分ぐらいしかございませんので、最後にもう一点申し上げたい。私は常に申し上げておりますが、大臣御就任後初めてでございますので、もう一回申し上げます。  消防飛行艇、私は消防防災飛行艇と言っておりますが、こういうものを早く導入をしていただきたい。同時に、自衛隊、海上保安庁、消防庁あるいは自治体、それぞれが持っているヘリコプターをネットワークして、そして消防防災航空ネットワークというようなものを構築をしていただけないだろうか。  すなわち、救難事故であろうと、あるいは山火事災害、あるいは都市災害でもそうですが、ヘリコプターが必要なことは間々あります。ところが、今自治体の持っているヘリコプターを活用することにはなっておりますが、例えば例として、では神奈川で横浜港のコンビナートに事故が発生した、神奈川県の持っているヘリコプターだけでは、一機では足りない、どうしますかと質問を実際にしてみたわけですね。そうすると、やはり国土庁関係者から返ってくることは、その場合には千葉ないしは静岡県の知事に連絡をして協力要請をするということになっていくと思います、こういう答えが返ってきます。実際には神奈川県には海上自衛隊の基地もありますし、いろいろと航空機も持っているわけです。それはほかにもあるわけです。米軍の基地もあります。米軍はもう一つ外側の枠にしても、そういうものを有機的に使ってやることが必要だと思いますので、ぜひともこういう観点でそういうものの構築に御尽力をいただければと思います。  時間が参りましたので、以上で質問を終わります。どうもありがとうございました。
  138. 塩田晋

    塩田委員長 樽床伸二君。
  139. 樽床伸二

    樽床委員 樽床伸二でございます。貴重なお時間をちょうだいいたしまして、質問をさせていただきたいと存じます。  私も、先ほど小坂先生が御質問されておられましたが、かつて災害対策基本法の改正のときに、小坂先生とともに、小坂先生をチーフにしていろいろ取り組んできた経緯もございまして、我が国の災害ということに対しましては大変強い関心を持っておるわけでございます。  そういった観点につきまして、数点質問させていただきたいと存じます。  まず、我が国が地形的にも災害を避けて通ることができない国土である、これはもうほとんどの皆さんが御存じのとおりであります。しかし、自然災害というのは本当に、かつてからもよく言われておりますように、忘れたころにやってくる、こういう状況でありまして、これに一〇〇%対応していこうというのは実は至難のわざであろう、このように思っております。どれだけ災害被害を結果として少なくしていくのか、こういう努力をいかにしていくのかということが一番大切であるわけでありまして、自然災害がなくなるようにというのは不可能な話でございます。  そういった観点におきまして、少し言い過ぎのことになるかもわかりませんが、ハード面で対応しようといたしましても、これはおのずと限界というものがあるわけでございます。ハード面で対応しょうと思えば、予算が幾らあっても足らないという状況になるわけでございまして、例えば百年に一度の大雨に対応する、こういう前提でやっておりましても、それが、極論すれば、一年後に二百年に一度の大雨が降るかもわからないわけでありまして、イタチごっこのようなことをしておりましても、これはなかなからちが明かないというふうに私は基本的に考えております。それは、災害に対して対処をする必要がないというわけではなくて、対処は最大限やらなければいけないけれども、どうしてもそれは足らざるところがあるという大前提にまず立たなければならないのだろうというふうに考えております。  そういった前提に立ちますと、ハードでとにかく対処しようという発想も一つの柱であります。もう一つの柱として、いかに住民の方々に情報をきちっとお伝えをするのかということが大変重要だろうというふうに私は思っております。  非常にミクロ的な話をいたしますと、例えば土地が低いところがあります。低いところは、雨が降れば一ほかの高いところよりは水につかりやすい、これはだれが考えても当たり前の話であります。そういうことになりますと、自分たちが住んでいる地域はどういう、いろんな種類の災害がありますが、その災害に対しては常に注意をしておかなければいけないんだという自覚が必要だろうと私は思っております。  そういう自覚を住民の皆様方に、喚起をすると言うのは大変言い過ぎでありますが、御認識をいただくということは大変重要だというふうに私は思っております。この御認識をいただいておりますと、いざというときにきちっと対処をする心構えができるわけでありますから、ハードのみを重視した行政が行われているとは申し上げませんが、ややもすればハード偏重型の災害対策から、ハードも、さらにそれにつけ加えてそういったソフト面の対策も講じていくというようなことは大変重要だろうと私は思っておりますが、そのことにつきまして、そのような試みがなされておるのかどうか、ぜひともお聞かせをいただきたい、このように考えております。
  140. 益本圭太郎

    ○益本説明員 ソフト面での防災対策を講じるためには、まず、地域災害危険性を正確に把握する必要がございます。  消防庁では、台風等の災害誘因、災害素因、これはがけ崩れ、急傾斜地等ということでございますが、そのほか、災害履歴、土地の利用状況の変遷などを考慮して、総合的かつ科学的に地域災害危険性を把握する防災アセスメントを実施すること、及びこうした災害危険性や自然的、社会的環境要因等の諸条件に基づき想定される災害対応した人的被害、構造的被害等を算出する被害想定を実施すること、またこれらを地域防災計画において記載することを指導しております。また、このため、防災アセスメントの実施マニュアルも作成いたしているところでございます。さらに、このようにして把握した地域災害危険性について住民の方々に周知するよう地方公共団体を指導しているところでございます。  みずからの身はみずからが守るということは防災の基本でございますが、そのためにも、住民の方々がみずからの地域状況を熟知していることが重要でございます。今後とも、防災アセスメントあるいは被害想定の実施、さらにそれらを踏まえた住民の方々への周知について、地方公共団体を指導してまいりたいと考えております。
  141. 樽床伸二

    樽床委員 ありがとうございます。  今私が申し上げたことにつきまして、非常に大ざっぱな、例えば防災マップ等々でありますと、これはなかなか住民の方々にはぴんとこないわけであります。例えば、私は大阪出身でございますが、大阪府と言われましても、大阪府の中にもいろいろありますから、やはり目の届くところのことでないとなかなか一般に、私どもも、例えば今あるところに住んでおりますが、そこのここの地域はと言われないとなかなかぴんとこない。  こういうことで考えますと、実は、日本の国土の状況から考えますと、さまざまの地形、風土、気候がございますから、それは地方それぞれが、その地域の実情を本当によく知っている地域が主導的にやらなければならないだろうというふうに思っております。  確かに、災害対策の基本法等々の趣旨は、対応地方公共団体がやるべきだ、こういうふうにはなっておりますが、しかし、その分野だけ地方に主体的にやりなさいよと言って、ほかの全体が中央集権的なやり方でやっておると、それはなかなかうまくいかないわけでありますから、国土庁におかれましても、またそれぞれの省庁におかれましても、災害という観点に立っても地方分権をぜひとも強力に推進をしていただきたい、このように強く切望するものでございます。十分という短い時間でございますので、あと一点だけ御質問をさせていただきたいと思います。今申し上げましたような観点からいきまして、先ほど阪神・淡路大震災の質問等々もこの委員会でたくさん出ておると思いますが、この地震ということにつきましては、我々も、大阪に住んでおる立場といたしまして、阪神・淡路大震災が起こるまでは、関西地域地震とはほとんど無縁だというふうに多くの方が実は思っておったわけであります。その思っておった地域に突如としてやってまいりましたが、これは大変慌てふためいたというような実情を正直に認めなければならないだろうというふうに私は思っております。  地震は全く、大雨とか台風でありますと、刻一刻と来るルートがわかるわけでありますから心の準備ができるわけでありますが、地震は瞬時のことでありますからほとんど心の準備ができない。ということでありますと、我が国におきまして、どこの地域が、地震の予知というのも限界があるでしょうけれども、いろいろ研究も今進んでおられるだろうと思いますが、そういう点において、いろいろな情報を、この情報を公表したら危ないから、動揺するから隠しておこう、こういう発想は私はだめだと思っておりまして、隠しておいて、来たときに対処できなければ何にもならないわけでありますから、知り得る情報というのはできるだけ公開をして、そしてそれぞれの国民方々に心の準備をしてもらうということが大変重要だろうというふうに私は思っております。  そういった点から、地震の予知と言うとちょっと言葉が不適切かもわかりませんが、そういった事柄に対する研究、そして、どのような形で情報を国民の皆様方に公開をし、理解をしていただくということをやっておられるか、最後にお聞かせをいただきたいと思います。
  142. 下田隆二

    ○下田説明員 お答え申し上げます。  阪神・淡路大震災を契機といたしまして、議員立法によりまして成立いたしました地震防災対策特別措置法に基づきまして、科学技術庁長官を本部長といたします地震調査研究推進本部というものが発足いたしております。  この本部におきましては、ただいま先生おっしゃいました、地震に関する総合的な評価を踏まえた広報の重要性を非常に認識をし、また、これを重要な任務としてとらえているところでございます。推進本部といたしましては、国民がみずからの安全を確保するために必要な情報として地震調査研究の成果が伝えられる必要がある、こういうふうに認識をいたしておりまして、発足以来、研究の成果の広報に努めているところでございます。  特に、推進本部の中に設けられております地震調査委員会におきましては、関係省庁が持っておりますデータを集約いたしまして、我が国の主要な活断層の将来の活動の可能性を初めといたしまして、長期的な地震の発生の可能性につきまして評価を進めておるわけでございます。  また、これまでの調査研究の成果をもとにいたしまして、過去日本各地に被害地震が発生しておるわけでございますけれども、これを取りまとめました「日本の地震活動」という報告書をこの八月に作成して取りまとめております。また、この報告書につきましては、日本全国すべての市町村に配付をする、あるいはその報告書の内容をインターネット等を通じまして公開するということで、国民方々への周知を図っているところでございます。  今後とも、各般の方策を通じまして、地震調査研究の成果の広報に努めてまいりたいと考えておる所存でございます。
  143. 樽床伸二

    樽床委員 時間が参りましたので以上で終わらせていただきますが、とにかく、昨今自己責任ということが大変強く言われております。それには当然情報公開がついて回るわけでございまして、そういった一つ一つの大きな流れの中で、この災害対策につきましても、国民の財産と生命を守るという、政治が始まった一番根本の問題でありますから、大変僭越ではございますが、その点を強く肝に銘じていただきまして我が国の災害に対して対処いただくように心からお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  144. 塩田晋

    塩田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時三十一分散会