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1997-12-11 第141回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十二月十一日(木曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 葉梨 信行君    理事 住  博司君 理事 林  幹雄君    理事 細田 博之君 理事 八代 英太君    理事 遠藤 和良君 理事 武山百合子君    理事 山本 譲司君       石橋 一弥君    江渡 聡徳君       奥山 茂彦君    桜井 郁三君       園田 修光君    田中 和徳君       田中 昭一君    松本  純君       富田 茂之君    西野  陽君       西村 眞悟君    吉田 幸弘君       佐藤謙一郎君    山花 貞夫君       木島日出夫君    秋葉 忠利君       堀込 征雄君  出席国務大臣         自 治 大 臣 上杉 光弘君  出席政府委員         自治政務次官  佐藤 静雄君         自治省行政局選         挙部長     牧之内隆久君  委員外出席者         参議院議員   鈴木 貞敏君         警察庁刑事局捜         査第二課長   縄田  修君         郵政省郵務局企         画課長     上田 誠也君         自治大臣官房審         議官      的石 淳一君         自治省行政局選         挙部選挙課長  大竹 邦実君         自治省行政局選         挙部管理課長  山本信一郎君         自治省行政局選         挙部政治資金課         長       岩尾  隆君         特別委員会第二         調査室長    田中 宗孝君     ――――――――――――― 委員の異動 十二月十一日  辞任         補欠選任   東中 光雄君     木島日出夫君 同日  辞任         補欠選任   木島日出夫君     東中 光雄君 同日  理事東中光雄君同日委員辞任につき、その補欠  として東中光雄君が理事に当選した。     ――――――――――――― 十二月五日  公職選挙法の一部を改正する法律案内閣提出  第一五号)(参議院送付) 同日  船員投票権行使に関する請願(桜井新君紹介  )(第二二〇一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十二月八日  政治資金規正法改正、企業・団体政治献金禁  止に関する陳情書  (第四一七号)  定住外国人地方参政権の確立に関する陳情書  (第四一八号)  船員洋上投票実現に関する陳情書外五件  (第四一九号) は本委員会参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  閉会中審査に関する件  公職選挙法の一部を改正する法律案内閣提出  第一五号)(参議院送付)      ――――◇―――――
  2. 葉梨信行

    葉梨委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付公職選挙法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案は、参議院修正議決の上送付されたものでありますので、政府から趣旨説明を聴取し、引き続き参議院における修正趣旨について説明を聴取いたします。まず、上杉自治大臣。     —————————————  公職選挙法の一部を改正する法律案     〔本号末尾掲載〕     —————————————
  3. 上杉光弘

    上杉国務大臣 ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案提案理由とその要旨について御説明申し上げます。  御承知のように、最近の各選挙における投票率低下傾向にあることから、選挙人がより投票しやすい環境を整えるため、投票時間の延長不在者投票制度改善等措置を講じますとともに、選挙に関する事務簡素合理化等を図るため、選挙人名簿に関する事務改善候補者届け出の際の添付書類省略等を行う必要があると考えます。  以上が、この法律案を提出いたしました理由であります。  次に、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、投票時間についてでありますが、現在午前七時から午後六時までとされております投票時間を、最近のライフスタイル変化余暇活動多様化などの状況にかんがみ、二時間延長し、原則として午前七時から午後八時までとすることとしております。  第二に、不在者投票についてでありますが、選挙人が利用しやすい不在者投票制度とするため、例えば、用務のため投票当日投票区外に滞在すると見込まれる者についても不在者投票することができるよう、不在者投票事由緩和する等その改善を図ることとしております。  また、現在午前八時三十分から午後五時までとされております不在者投票時間につきましても、通勤者等の便宜を考慮し、原則として二時間の延長を行い、午前八時三十分から午後七時までとすることとしております。  第三に、選挙人名簿についてでありますが、市町村における電子計算機の利用の実態を踏まえ、事務効率化を図る観点から、カード式に限られている様式制限廃止するとともに、選挙人名簿磁気ディスクによっても調製することができることとしております。  また、選挙人の転入・転出の時期によっては、いずれの市町村選挙人名簿にも登録されないこととなることもあることから、登録漏れをできる限り少なくし、選挙権行使機会をより確保することができるよう、現在年一回とされております定時登録の回数を年四回に増加することとしております。  以上のほか、候補者届け出等の際の添付書類簡素化選挙公報掲載文字数制限廃止参議院通常選挙における確認団体の公営による政策広告廃止選挙立会人資格要件緩和等を行い、選挙に関する事務簡素合理化等を図ることとしております。  なお、この法律につきましては、制度周知及び実施の準備のため、原則として平成十年六月一日から施行することとしております。  以上が、公職選挙法の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  4. 葉梨信行

  5. 鈴木貞敏

    鈴木(貞)参議院議員 公職選挙法の一部を改正する法律案に対する参議院修正部分につきまして、その内容を御説明申し上げます。  修正要旨の第一は、衆議院議員任期満了による総選挙及び参議院議員通常選挙を行うべき期間が国会開会中または国会閉会の日から二十三日以内にかかる場合には、その総選挙及び通常選挙国会閉会の日から二十四日以後三十日以内に行うこととする改正を加えたことであります。  第二は、不在者投票をすることができる時間を、政府原案におきましては、原則として午前八時三十分から午後七時までとしておりましたのを、さらに一時間延長して、原則として午後八時までとしたことであります。  何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
  6. 葉梨信行

    葉梨委員長 以上で本案趣旨説明は終わりました。     —————————————
  7. 葉梨信行

    葉梨委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。富田茂之君。
  8. 富田茂之

    富田委員 新進党の富田茂之でございます。  一週間ほど待たされての質疑でございますので、大臣、どうぞよろしくお願いいたします。  今回の公職選挙法改正は、投票環境向上方策に度する調査研究会、この中間取りまとめが基礎になっているようでございます。この研究会の設置の経緯並びに中間取りまとめに至るまでどのような検討がこの研究会でなされてきたのか、御説明いただければと思います。
  9. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 投票環境向上方策に関する調査研究会は、昨年の衆議院議員選挙が戦後最低になったということを踏まえまして、選挙管理、執行する立場から、有権者投票しやすい環境をつくるための方策があるのではないかということでスタートしたものでございます。  実現可能な改善策を考えていくということから、実務者による研究会としてスタートをさせまして、自治省選挙部職員のほか、都道府県選挙管理委員会あるいは市町村選挙管理委員会の代表の方々研究会のメンバーに就任をお願いしまして、本年一月にスタートいたしまして、数回にわたって検討を重ねてまいりまして、六月に中間とりまとめを出したところでございますが、ただいま申し上げましたような趣旨から、投票時間の話あるいは投票日の、平日とか土曜とか日曜とか、あるいは複数投票日の話、それから不在者投票制度、その他管理執行面から有権者利便とのかかわり、ここらを中心に検討をさせていただいたところでございます。
  10. 富田茂之

    富田委員 中間とりまとめという資料を自治省の方からいただきまして、今部長の御説明された、かなり要点的になっていますけれども、それをいただいて、読んでみました。こういう検討をして、今回、実現可能な改善策をまず出すのだということですが、百四十通常国会、当委員会でも参考人質疑、マスコミの方とか大学の先生とかを大分お呼びして、各委員からの質問の中にも、投票率アップのためにはどうすればいいのだというようなかなり具体的な質問、また具体的な提案等ございました。  そういう三回の参考人質疑審議経過も、この研究会の中で十分検討課題になったと思うのですが、そのあたりについてはどうなのでしょうか。
  11. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 ただいまお話のございました当委員会におきます参考人質疑につきましても、投票率向上のためのいろいろな御意見等が出されたわけでございますが、基本的には、政治国民にとってより魅力あるものにしていく必要があるのだというようなお話であったかと思います。  ただ、その中で、私どもが関心を持っておりました技術的な側面、投票時間の延長でありますとか不在者投票改善、さらには電子投票の導入、このような点につきましても、その必要性というものを訴える方がかなりおられたということで、私どももこういう話を踏まえて研究会を進めさせていただいたところでございます。
  12. 富田茂之

    富田委員 それでは、まずその中で、投票時間の延長についてお尋ねします。  過去に二回ほど、限定的にですか、投票時間の延長をやったことがある。今回また、二時間延長してみようということで改正案が出されているわけですが、本当にこの二時間の延長投票率アップにつながるのだろうか。各新聞等でも、これで本当にアップになるのか、過去は一勝一敗だというような指摘もなされています。研究会で十分検討されて二時間の延長というのを出されてきたと思うのですが、そのあたりについては自治省はどのようにお考えになっているのでしょうか。
  13. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 投票率を決定する要因はいろいろな要素が複雑に絡み合っておりますので、時間延長でどの程度の効果があるかということを数字をもって明確にお答えすることはできないわけでございますが、過去二回、二時間と一時間、国政選挙延長したことがございます。  お話しのように、二時間延長したときは若干前回よりも率が下がったわけですけれども、これは投票時間そのものよりもほかの要因の影響が大きかったということが言われているわけでございます。  投票時間と投票率関係をそのときの例で見てみますと、大体一般選挙が、お昼ごろが投票一つの山があって、それから投票時間の終了間際にもう一つの大きな山が来るということでございますが、このパターンは、この二時間延長のときも変わっておりませんで、最後の二時間で全体投票者のうちの二〇%弱の方が投票をされておりまして、したがいまして、二時間延長して最後のころに投票者が逓減をしていくのでありますと時間延長効果がどうかということもあるのでございますが、やはり逓増をしたということで、この時間延長効果はそのときもあったのだというふうに私ども考えております。  さらに、当時と比しますと、非常にライフスタイル変化をいたしまして、週末レジャー時代で郊外に出かけられる方も多いし、また第三次産業が活発になりまして、休日勤務者もふえてきた、そういうことを考えますと、この休日の二時間延長というものは有権者投票環境利便性向上に大きく寄与するものというふうに考えているところでございます。
  14. 富田茂之

    富田委員 今の御説明はある程度納得できるのですけれどもライフスタイルも変わってきたし、最後の二時間がかなり投票行動として現実にされているのだということは理解できるのですが、過去の二回の法改正というのは、あくまでも臨時的な措置、その選挙一回限りの臨時的な措置としてされているわけですよね。今回は、法律改正して恒常的な制度にされてしまうわけですね、この法案が通れば。今までのように臨時、特別な措置としてやってみて、アップにつながるようであれば恒常的な制度にすればいいというふうに私などは単純に考えるのですが、そこをなぜこれまでと違ってあえて恒常的な制度とされたのか、何か特別な理由でもあるのでしょうか。
  15. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 先ほどの研究会検討過程では、確かにお話しのように、臨時的にやってみてその成果を見たらどうかというような御意見があったことは事実でございますが、ただ、私どもの今回のねらいは、そういうライフスタイル変化に伴って有権者方々にできるだけ投票しやすい環境を整備していこうということでございまして、そういう時代変化を踏まえての制度改善であるという位置づけをいたしておりまして、単に結果を見て云々というような方策はとらなかったところでございます。
  16. 富田茂之

    富田委員 ちょっと納得はできないのですが、次の質問に移らせてもらいたいと思います。  この二時間の投票時間の延長で、やはり即日開票が大分困難となる市区町村が出てくるのじゃないか。けさの新聞でも、もう無理だというふうに、産経新聞社会面でしたか、「投票二時間延長自治体に余波 立川市が市議選で早々「翌日」宣言 開票めぐり右往左往」というような大見出しで記事が出ておりました。同じような市区町村がこれから大分出てくると思うのですけれども、また別の新聞では、自治省の方は、この法案が通れば即日開票をしてもらえるように各自治体にきちんといろいろ指導していきたいというような報道もなされております。即日開票を実施するために自治省としてはどういう対応をとろうと考えているのか、教えていただければと思います。
  17. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 開票迅速化につきましては、先ほどの参議院における審議の結果におきましても、附帯決議をいただいているところでございまして、私ども法案が成立をさせていただけましたら、早速、各選挙管理委員会に対しまして開票迅速化につきまして要請、依頼をしていきたいというふうに考えておりまして、具体的には、現実に余り遅くならなくて開票が済んでいるようなところもございますので、そういうところを参考にしながら、どういう知恵が出せるのかということを一つ一つ検証していただくということで、例えば、開票開始時刻が本当に今の時刻でなければならないのか、もうちょっと早くできないのか、それから、BPコートと申しまして、自然に開く投票用紙がございますが、これを採用していないところがあれば、これを採用したらどうだろうか、それから、枚数計算機というようなものも採用していないところがあれば、これを採用したらどうだろうかというようなことを一つ一つチェックをしていただきまして、できるだけ即日開票になるように各公共団体に御依頼をし、指導してまいりたいというふうに考えております。
  18. 富田茂之

    富田委員 今の部長お話BPコート、これは、もう四十都道府県で採用している、今度この改正がされれば、また開票時間に大分手間取るので採用したいというのが四つの都道府県でもう意見が出ているというような新聞報道もされています。そうすると、もうそれ以上、努力するといっても事務的な部分での努力というのはかなり限界に来ているのじゃないかなというふうに思えるのですね。  細川内閣のときだったと思うのですが、自書式じゃなくて記号式でいこうというように一度法案が出まして、最終的な段階で自書式に変わっていったわけですけれども、そういう記号式投票とか、もう少し何か具体的な方策をこの法改正に当たって検討するということはされなかったのでしょうか。
  19. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 現在の自書式から記号式になりますと、開票事務迅速化になりますし、無効投票が減りますし、また迅速化のいろいろな可能性も出てまいります。しかしながら、この問題につきましては、平成六年の衆議院選挙制度の大改革のときに一たん採用されながら、平成七年の十二月に議員提案によりましてもう一度自書式に戻ったという経緯がございますので、私ども、その経緯を踏まえますと、これはやはり各党各会派でまずは十分に御議論をいただく問題ではないかというふうに考えているところでございます。
  20. 富田茂之

    富田委員 各会派検討して、そういう方策をとっていければというふうに考えております。  それでは、次に、不在者投票についてお尋ねします。  この不在者投票というのは、もともと手続面ではかなりわかりにくい、どこに行ってどういうふうにやるのだというような制度だったと思います。今回、投票事由の大幅な緩和を行うということで、緩和に伴って国民に、こういうふうに簡単な手続でできるようになったのですよという周知徹底を考える必要があると思うのですが、そのあたりについては自治省はどういうふうに検討されているのでしょうか。
  21. 上杉光弘

    上杉国務大臣 私からお答えをいたします。  不在者投票事由緩和につきましては、本法案有権者投票環境向上を目的といたしておりますことから、有権者への周知は大変重要なものでございます。  そのような認識に立ちまして、今回の改正内容につきましては、有権者方々にわかりやすいように公報内容も工夫をした上に、パンフレットや新聞広告等手段を活用いたしまして、幅広にこの周知徹底に努めてまいりたいと考えております。また、都道府県市町村選挙管理委員会にも、広報紙等のいろいろな手段を活用して積極的に周知徹底に取り組んでいただくようお願いをしてまいりたいと考えております。  それから、先ほど事務方からお答えをいたしましたが、実は、投票率の問題を含めて、自治省、あらゆる努力をいたしておるわけでございますが、当日に開票が終わるか終わらないかという問題は、大変心配な点であることは事実でございます。  ただ、参考までに申し上げますと、前回平成七年度の参議院通常選挙の実績から見ますれば、全市区町村で九六%、三千二百五十の市区町村において午前零時までに開票終了いたしておるわけでございます。それから、午前零時以降の終了となった団体は、四%の百二十二団体でございます。  これから見て、二時間延長ということでこの数字がどうなるかということでございますが、事務方からもお答えいたしましたように、二時間延長したから二時間延長して開票するということにはならないだろう。開票時間等を早めること、そういうことも一つ手段でございまして、これらのことによりまして、できるだけ当日開票ができるように、これは全力を挙げて自治省は取り組んでまいらなければならない、このように考えております。
  22. 富田茂之

    富田委員 今の点はそのとおりにしていただきたいと思うのですが、不在者投票事由が大幅に緩和されたことに伴って、投票手続もかなり簡素化できるというふうに単純に思うのです。これまで、不在者投票の場所に行くといろいろなものを、書類を書かされたり、書類を書くだけではなくて、そこにいらっしゃる職員の方から、本当に旅行に行くんですかとかいろいろ聞かれますね。私も議員になる前はいろいろ聞かれて、こんなもの二度と行くかと。議員になって行くと、何も聞かれずにどうぞどうぞみたいな、そういうこともありましたので、一般の方にはなかなか手続面で大変だと思うのです。  このあたり法案には具体的に、投票手続簡素化というのは法文に直接出てきてないと思うのですが、そのあたりはどのように考えていらっしゃるのでしょうか。
  23. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 今回の不在者投票制度改善に伴いまして、請求書でありますとか宣誓書、こういうものに事細かに理由やら時間などを書いたり、あるいは職業を書いたりといったような必要はなくなるというふうに考えておりまして、できるだけその様式は公正が保てる範囲で簡素化したいということでございますし、また、いろいろ根掘り葉掘り状況を聞かれるというようなこともなくなるであろうというふうに思っております。あわせて、捺印の廃止も行いたいというふうに考えておるところでございます。
  24. 富田茂之

    富田委員 今のは政令、省令等でやっていくということですか。わかりました。  また、今回の改正国政選挙執行経費がかなり支出増になると思うのです。それに関して、地方公共団体が実質的に負担増になるというのでは、国の方で法律改正して地方公共団体負担を負わされちゃうということになると思いますので、その点に関しては国の方でもかなり具体的な措置をとる必要があると思うのですが、そのあたりについてはどのように考えていらっしゃいますか。
  25. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 今回の改正に伴いまして必要となります国政選挙執行経費につきましては、国会議員選挙等執行経費基準に関する法律というのがございますが、これを次期通常国会改正お願いをしたいというふうに考えております。  また、地方選挙も今回の改正投票時間等が延長されるわけでございますが、それによります経費の増につきましては、これは地方交付税基準財政需要額に算入をして措置をしておりますが、関係部局とよく調整をしてまいりたいというふうに考えております。
  26. 富田茂之

    富田委員 ぜひそれはお願いしたいと思います。  今回の改正とはちょっと離れるのですが、先ほどお話ししましたさきの通常国会での三回の参考人質疑の中でも、参考人先生方の方から、戸別訪問解禁してみたらどうなんだというような御提案がありました。議事録をちょっとめくってみましたら、五名の方がこの三回の参考人質疑の中で戸別訪問解禁についてかなり積極的な御意見を述べられておりました。  最近の世論調査、どれを見ても、無党派層が四割から五割あるというような状況を見ますと、やはり政治国民距離感を埋める作業がどうしても必要だ。政策を見比べて、有権者の声が現実にその候補者に、議員になっていこうという候補者に届くような、そういう機会法律的にも設けていく必要があるんじゃないかというふうに私は考えています。  連座制もかなり強化されて、買収、供応というのがもう難しくなってきたということを考えて、戸別訪問解禁というものにも踏み込むべきというふうに考えているのですが、そのあたり大臣の御所見はどうでしょうか。
  27. 上杉光弘

    上杉国務大臣 戸別訪問禁止につきましては、買収などの温床になりやすいこと。この買収というのは禁止されておってもなおかつ後を絶たない事犯になっておるわけでございますが、この温床になりやすい。それから、候補者選挙人とも、その煩というか、煩わしさに耐えられない。そういう理由によりまして、大正十四年のいわゆる普選の際にこれは設けられたものでございます。  戸別訪問解禁につきましては、従来からいろいろと論議されてきたところでございますし、いろいろな意見があることも十分承知いたしておりますが、平成五年に政府提案いたしました政治改革関連法案の中では、戸別訪問候補者有権者がじかに触れ合える有力な選挙運動手段であることから、これを自由化することとしていたものでございますが、当時の国会における論議の過程の中で、一たん通った法律がまた従前どおり禁止することとされた法律に変わった、もとへ戻ったという経緯があります。  いずれにいたしましても、この問題を含め、選挙運動のあり方等につきましては、時代等の一つの背景もありますが、まずは各党会派で十分御論議をいただきたいと思っております。
  28. 富田茂之

    富田委員 ぜひこの委員会で各党会派で議論していただいて、解禁に踏み込めるようになればなと希望しております。  次に、ちょっと法案からは離れますが、公職選挙法第百九十九条の二に関して何点か御質問したいと思います。  実は、ちょっと古くなりますけれども、ことしの十月二十日付の毎日新聞夕刊に、「選挙区行事に寄付100件以上」というふうな大見出しで、この百九十九条の二に関する記事が載っておりました。この記事によりますと、警察庁出身の自民党の衆議院議員さんが、昨年夏からことしの秋にかけて選挙区内の百件以上の町内会行事に各回五千円から一万円程度の寄附をしていたというふうに記事ではなっております。  この新聞記者さんの取材に答えられたんでしょうか、この議員さんは、寄附じゃなく会費として払ったんだ、問題があると言われるならそのとおりだ、しかし改善は将来の課題だというふうにインタビューに答えていらっしゃるようであります。  この記事どおりだとすると、これは明らかに公職選挙法百九十九条の二、寄附の禁止が規定されているこの法文に反すると思うのですが、この点について警察庁はどのように認識をされているんでしょうか。
  29. 縄田修

    ○縄田説明員 報道については私どもも承知をいたしておりますけれども、個別の事案につきましては、まさに個々具体的な事実に即して判断する事項でありますので、この場で答弁は差し控えさせていただきたいと存じますが、一般論として申し上げますれば、私どもといたしましては、刑事事件として取り上げるべきものがありますれば、これまでも適正に対処しているところでありますし、今後も同様にしてまいりたい、このように思っております。
  30. 富田茂之

    富田委員 個別具体的な事案には答弁できないということですので……。  この公職選挙法百九十九条の二につきまして、図書館の方から「逐条解説公職選挙法」という本を借りまして、ちょっと勉強してみました。それによりますと、この条文は「公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者が選挙区内にある者に対してする寄附については、選挙に関すると否とを問わず、また、いかなる名義をもってするを問わず、」「寄附をも禁止することにより金のかかる選挙を是正し、選挙の浄化に資することとしたもの」だというふうにコメントされております。そして、この「寄附の禁止に関する具体例をあげると次のとおりである。」というふうにして幾つか挙がっているのですが、例えば「公職の候補者等が選挙区内にある者に対してするお中元、お歳暮、」「お祭り等の寄附、餞別等従来から慣行として行われているようなものであっても、本条に違反する」というふうに明確に書かれておって、また「名目上は会費であっても、実質的に寄附であると認められる場合には本条に違反することはいうまでもない。」というようなコメンタールもなされております。この点について、この逐条解説のとおりでいいのかどうか、この百九十九条の二の趣旨、またその範囲がどの程度まで及ぶのか、自治省はどのように考えられていますか。
  31. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 百九十九条の二は、親族とかあるいは政治団体に対する場合等、一定の場合を除きまして一切の寄附を禁止をいたしておりまして、これは今お話がございましたように金のかかる選挙を是正して選挙の浄化に資するということを目的としたものでございまして、一般論として申し上げれば、ただいまお挙げになったような事例は寄附の禁止に該当するものというふうに解しているところでございます。
  32. 富田茂之

    富田委員 一般論では寄附の禁止の規定に明らかに違反するという答弁ですので、それはそのとおり受けとめたいと思うのですが、この記事によりますと、この当該議員さんは「一万円までで、選挙前三カ月までなら社会通念上許されると、警察現役時代も運用していた」というふうにこの記事ではなっているのです。この一万円までとか選挙前三カ月までというような規定は、この百九十九条の二のどこを読んでも書いてないと思うのですが、警察庁の現場ではこのような運用が実際されているのでしょうか。されているとしたら、なぜこんなメルクマールが出てきたのか、ぜひお聞かせ願いたいと思います。
  33. 縄田修

    ○縄田説明員 警察におきましては、まさに公職選挙法趣旨を踏まえまして、事案の実態に応じて取り締まりを行っておるところでありまして、寄附の金額とかあるいはその時期とか、こういった形式的なもので判断できるものではないと考えておるところであります。したがって、そのような基準は設けておりません。
  34. 富田茂之

    富田委員 今の答弁は、本当にそのとおり信じたいと思うのですね。もしこういうメルクマールでやっていて、この範囲なら取り締まらないということでは、金のかからない選挙というのはもう実際に実現できないと思いますので、ぜひ公正に取り締まり等をしていただきたいと思います。  最後に、この記事の中で、政治改革に熱心に取り組まれた後藤田正晴元副総理が、「会費名目でも十分違法だ。政治家がそういうことをするから政治改革が進まない。きちんと襟を正すべきだ」というふうに、この記事に書かれた行為について批判されております。自治大臣、国家公安委員長というお立場で、こういう記事が出た、またこういう件についてどのようにお考えになっているか最後にお聞かせいただいて、質問を終わりたいと思います。
  35. 上杉光弘

    上杉国務大臣 お答えいたします。  御指摘のような新聞報道のあったことは承知をいたしております。具体的な発言の内容趣旨を承知しているわけではございませんので、また個別的な事案に関する事柄でもございますから、国家公安委員長として所見を申し述べることは差し控えさせていただきたいと思います。  ただ、一般論で申し上げますれば、選挙区内にある者に対する公職の候補者等による寄附につきましては、選挙の公正等の観点から、公職選挙法原則として禁止されているものと承知をいたしておるわけでございます。公職の候補者等においては、このような法の趣旨を踏まえ、適切な行動をとることが求められることは当然のことと認識をいたしております。
  36. 富田茂之

    富田委員 ありがとうございました。終わります。
  37. 葉梨信行

    葉梨委員長 次に、遠藤和良君。
  38. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 最初に、確認の意味で質問をさせていただきます。  今回の法改正によりまして、投票時間が二時間延長されますね。不在投票の方の時間は三時間延長されるわけですが、これに伴う負担増は、ならして一年間でどのぐらいの増が認められるのか、これをお答えください。
  39. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 今回の法改正によりまして、参議院選挙の例で申し上げますと、投票時間の二時間延長で約二十五億円の経費増になるというふうに見込んでおります。全体経費が六百億円弱であろうと思いますが、その中で二十五億円程度増加をする。ただ、投票立会人の減少等その他の節減によりまして、トータルとしては十五億円程度の増加に抑えたいというふうに考えていたところでございますが、不在者投票時間がさらに三時間延長されるということになりますと、さらに数億円の増加になろうかというふうに思っているところでございます。
  40. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 質問を継続したかったのですけれども、ただいま内閣不信任案が提出されたと連絡がございました。不信任を出した内閣に私はこれ以上質問することはできません。したがって、私は、質問をこれで打ち切ります。  以上でございます。
  41. 葉梨信行

    葉梨委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  42. 葉梨信行

    葉梨委員長 速記を起こしてください。  この際、暫時休憩いたします。     午前十時三十九分休憩      ————◇—————     午後三時三十分開議
  43. 葉梨信行

    葉梨委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出参議院送付公職選挙法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を続行いたします。遠藤和良君。
  44. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 自治体負担増について、金額をお示ししていただいてお話がありましたが、この負担増でございますが、具体的には、国政選挙のものについては基準値を見直すことによって対応する、それから地方の選挙については交付税の増加で対応する、こういう見解でよろしゅうございますか。したがって、実質的に地方公共団体負担増はない、こう理解してよろしゅうございますか。
  45. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 ただいまお話ございましたように、国政選挙に関しましては、基準法を改正をいたしまして公共団体負担が生じないようにしたい、地方選挙につきましては、交付税の算定におきまして適正な算定となるよう関係部局と調整を進めたいということでございます。
  46. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 それから、開票迅速化についてお伺いしますが、いわゆる即日開票ですね、このことを自治省としては地方公共団体に強くお願いする、こういう姿勢と確認してよろしいですか。
  47. 上杉光弘

    上杉国務大臣 お答えいたします。  今回の改正によりまして開票開始時刻がおくれることにより、選挙によりましては大都市圏を中心に一部の市区町村において即日開票が困難になるおそれがあると考えておるわけでございます。来年の通常選挙でございますが、そのような市区町村がどれほど出てくるかについては現段階で正しく把握をいたしておりません。  自治省といたしましては、各市区町村に対しまして、開票開始時刻をできるだけ早めることができないか、あるいは自然に開く投票用紙枚数計算機の導入促進等、開票作業の合理化などによりまして開票の時間を短縮するそういう可能性はないのかなと、あらゆる工夫、知恵を出しまして見直しを進めてまいりたい、このように考えておるわけでございまして、できる限り即日開票ができるよう努めてまいりたいと考えております。
  48. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 ただいま自治省の考え方はよくわかりましたが、やはり抜本的な開票作業を迅速化する方法というのは、いわゆる電子投票制の導入の検討だと思います。電子投票制というのはいわゆる開票作業がゼロでございますから、直ちに発表できる、こういうことになるわけでございますが、この電子投票制の導入について、自治省の中で今検討がどの程度進んでいるのか、これを聞きたいど思います。
  49. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 電子投票制度につきましては、多くのメリットがあるわけでございますが、今すぐ実施をするにはいろいろ困難な問題もございます。そのような問題点の把握に努めたり、あるいは諸外国の実情等がどうなっているか、そのあたりについての情報収集等を進めているところでございます。
  50. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 外国ではかなり多くの国でこれが模擬的に行われたり、実際に今一部導入されている、こういうふうな実態がございます。  私もこの夏に見てきたわけでございますけれども、日本はかなり電子技術は先進国でございますから技術的な問題はクリアできるのじゃないかと思うのですが、具体的には、記号投票の導入であるとか、あるいは自己自身を証明するカードの交付であるとか、こういうものに対する国民の理解というものが前提になければいけない制度だと思うのですけれども、この辺の前提について、自治省の見解はどうですか。
  51. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 電子投票制度を導入いたしますには、まず自書式から記号式投票方式を改める必要があろうと思っておりますが、これにつきましては、午前中御答弁の中で触れさせていただきましたけれども、一たん政府提案記号式になりましたものがその後議員提案自書式に戻ったという経緯がございますので、ここらの経緯というものを私どももまた踏まえる必要があるというふうに考えております。  それから、いわゆる電子投票と申しましてもいろいろな段階があるわけでございますが、いわゆるいつでもどこでも投票ができるという理想的な電子投票でありますためには、市町村選挙人名簿のデータベースができまして、これが全市町村のネットワークで結ばれまして、そしてICカードによりまして本人確認の有無が即座にできるというようなシステムができ上がることが必要であるというふうに考えております。  これを単独で、選挙事務オンリーで構築をするには非常に経費が膨大になる、だから他のものの汎用という形で考えざるを得ないのではないかというふうに思っております。その意味で、市町村の住民基本台帳のネットワークシステムの検討が進んでおりますが、その検討を私ども選挙担当職員としても関心を持って見守っているところでございます。
  52. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 別の問題になりますが、投票時間でございます。  投票時間が延長されるわけでございますけれども、実際に投票所に行けない人の問題をどうするかという問題が残されるわけでございますね。特に、在宅の、寝たきりの方々ですね。この方々に対する投票はやはり抜本的に考えていかなければいけない問題ではないかと思うのです。  その方法としては、例えば郵便投票制を検討するとか、あるいは代理投票制の検討だとかいうことが考えられるわけでございますが、現時点で自治省としてはどのようなお考えを持っておりますか。
  53. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 高齢化社会の進展によりまして寝たきり老人の方々がふえておりまして、こういう方々投票参加の方途を確保するというのは極めて重要な問題だと認識をいたしております。  方法としましては、お話にございましたように郵便投票といったような方向が考えられるわけでございますが、これにつきましてはいろいろ今までの経緯がございまして、いろいろ不正が起こりやすい状況があったということで昭和二十七年ですかに廃止をされて、それで、四十九年に現在の郵便投票制度が認められるに当たりましては、身障者の手帳を持っている方で一定以上の身障者ということで、専門的な機関によって程度が慎重に判断をされて公的に証明をされる者に限って、ほかにもいろいろ条件をつけて認めている。  そのような基準を全国一律に設定し得るのか、またどのような基準が考えられるのか。公的な証明というものが今は寝たきり老人にはないわけでございますが、これがどういうふうに構築できるのか、そういうような非常に大きな問題がございますので、なお検討、研究を続けてまいりたいと考えております。
  54. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 在外投票、いわゆる外国にいる日本人の方々にも郵便投票という話が今政府案の方にも入っておりますか、限定してじゃなくて、やはり希望する方にそういう制度が運用されるということも大事な視点ではないかと思うのですね。  寝たきりの方々というのは、やはり、概して医療とか保険の上から認定するのが難しい病人の方々もたくさんいらっしゃいますから、その方々が実質的に投票ができる、こういう制度を考えるということは大変大事なことではないかと思いますが、幅広い検討お願いしたいと思います。  それからもう一点、時間が短いものですから一点だけ確認したいのですが、いわゆる洋上投票の問題でございます。  いわゆる外国航路の船に乗っていらっしゃる方あるいは遠洋漁業の方々、こういう方々が船の上で投票ができる仕組みというのは考えられないかという問題でございますが、具体的にはファクス投票を模擬投票でやった事例が報告されておりますが、そういう事例を通しまして、こういう制度をつくっていくことを自治省はどう考えているのか、現時点での検討状況をお知らせください。
  55. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 船員方々につきましては、御案内のように、指定港における不在者投票なりあるいは指定船舶における不在者投票という、一般不在者投票とはまた別の制度が設けられているのですけれども、最近は航行期間が長いということで不在者投票を送致ができないという問題がございまして、なかなか現行の仕組みだけでは実際に投票権の行使が難しい状況になっているということは私どもも十分認識をいたしておりまして、何か方法はないかということで研究をいたしておりますが、現段階におきましては、なかなかこれという案がまだ見出しがたい状況でございます。  ただ、今お話しございましたように、シールファクスを使いました模擬投票が、先ほど洋上投票実現の会の皆さん方によって行われたということでございますので、私どももその状況等をよく勉強しながら、引き続き幅広くどういう方法があり得るのかということを研究してまいりたいと考えております。
  56. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 投票という行為は、国民の主権を行使する上で大変大事なことでございますから、それができるだけ可能なような制度をつくっていくというのは私たちに課せられた大事な使命だと思いますね。今申し上げましたように、これから高齢化社会になっていく、そうすると在宅の寝たきりの方々がふえる、その方々投票権をどういうふうに担保していくのかという問題、あるいは今の遠洋漁業の方々投票、こういうものはこれから残された大きな課題だと思いますから、真剣な検討をぜひお願いをいたしまして、質問を終わります。
  57. 葉梨信行

    葉梨委員長 次に、武山百合子君。
  58. 武山百合子

    ○武山委員 新進党の武山百合子です。早速法案の中身について討議したいと思います。  まず、投票関係ということで、幼児同伴投票等を認めることという第五十八条関係なんですけれども、これを詳しくちょっと説明していただきたいと思います、自治省から。
  59. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 現在の公職選挙法五十八条では、投票所に出入りができる者ということで、選挙人それから投票事務従事者、それから投票所を監視する職権を有する者、当該警察官、これに限っているということでございます。これは、第三者が投票所に出入りすることによりまして選挙人投票に当たって心理的な圧迫を加えたりすることがないようにというようなことで、投票の秘密の保持とかあるいは投票所の秩序の保持という観点から設けられている規定でございます。  そういう趣旨でありますことから、幼児同伴の投票につきましては、投票管理者の判断によって認めることもできるのではないかというようなことで各公共団体から照会等がありましたときはお話を申し上げていたところでございますが、現実問題として、各投票所によりまして取り扱いが非常に異なっているということで有権者方々からの御不満等が多かったわけでございますので、今回の改正によりましてその点を明確化いたしまして、幼児同伴あるいは介護の方等が一緒に投票所に入るということが認められるように規定を改めようと考えたところでございます。
  60. 武山百合子

    ○武山委員 そうしますと、入り口で何も聞かないでもう自由に入って投票できるという意味ですね。
  61. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 幼児の範囲がどの程度かというような話があるわけですけれども、よちよち歩きの方というようなことであれば、特にそこで制止をすることなく、同伴して投票所の中には入っていけるものと考えております。
  62. 武山百合子

    ○武山委員 もうちょっと細かく聞きたいと思いますけれども、今核家族化しておりまして、以前はおじいちゃん、おばあちゃん、二世帯、三世帯が同居していたんですけれども、今もう時代変化とともに、夫婦で子供一人、二人なんという家庭が多いわけですね。そうしますと、いろいろな環境からどうしても連れていかなきゃいけない、子供になりますか大人になりますか、いろいろな状況変化から、ハンディキャップの人とか、そういう方々とともに行かなきゃいけないという状況において、もう自由にそのまま、一々入り口で質問を受けたり、子供は何歳ですかとかそういうことも受けずに入れるという、そういう方向に解釈してよろしいでしょうか、そういう方向になっていただきたいということで私は質問しておるんですけれども
  63. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 法案の「やむを得ない事情がある者」というのは、ただいま申し上げましたような幼児の方とか体の不自由な有権者の方を常時介護している方などでございますが、最終的には投票管理者が個々の投票所の状況に応じて判断をするということでございますので、例えば、もう幼児とみなされないような方が一緒に入っているときに、ちょっとお嬢ちゃん、あなたは何歳なのというようなことを聞くことはあり得るかと思いますけれども、すべてを一々チェックをしてというようなことは考えておりません。
  64. 武山百合子

    ○武山委員 余り細かいことを、指図したりそれからチェックしたりすることなく、常識の範囲でぜひ、もう無条件でというかそういう形で寛容な、懐の広さでこの幼児同伴投票ということを認めるような選挙制度になっていただきたいと思います。  何かこれが秩序保持ということで、明治以来からあったということで、聞いてびっくりしたんですけれども、この法律自体は本当に明治以来一回も改正されなかったんでしょうか。——それは今すぐじゃなくて結構ですので。  それでは、次に移ります。  不在者投票の方ですけれども、私もこの四年間に実は不在者投票をいたしまして、不在者投票に行きましたら、一々、朝何時から、本当に不在ということで投票に来たんですね、それから、どんな用件でしょうかということを実際に聞くわけです。それが今度の改正で全く、いわゆるアンケート方式になって聞かれないということで、事実それであれば本当によかったなと思っているんですけれども、アンケート方式でただチェックするだけで何も聞かないということなんでしょうか。できれば、不在者投票に来るということ自体が政治に関心があるわけですから、そのこと自体も、私は、アンケート方式自体もなくていいんじゃないかと思っているんですけれども、その辺全くアンケート方式なのかどうか、お聞きしたいと思います。
  65. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 現行制度におきましては、不在者投票は、投票当日投票所で投票できない者について認めるということになっております関係上、投票できるかできないかを選挙管理委員会の方で確認をしなければならないということで、一々窓口で質問が出たりということがあったわけでございますが、今回は一定の事由に該当すると見込まれるものというふうに仕組みを改めますので、その事由に該当するかどうかを請求書なりで該当欄に丸をすれば済むような様式に改めていきたいというふうに考えておりますが、内容によりまして全く聞かれないかということをこの場で断言をすることはちょっと困難でございまして、できるだけ一々聞かなくて済むように持っていきたいというふうに考えているところでございます。
  66. 武山百合子

    ○武山委員 ぜひ一々聞かないで、なおかつ近い将来は一切答えなくてもいいような、そういう寛容な投票環境にしたいと私も努力して、思っております。  それから次に移ります。不在者投票における場所なんですけれども、時間は延長になりましたけれども、ここで抜けているのは場所じゃないかと思うのですよ。不在者投票に関しても、それから一般の、普通の投票日投票の場所に関しても、私は少ないような気がするのですけれども、それは、特に不在者投票の場合は、大体市役所とか決まっておりますね。そういう、場所をふやすという考えはおありでしょうか。
  67. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 全国の市区町村が約三千三百ある中で、不在者投票の場所は、ちょっと数字が今定かじゃありませんが、四千余りだったと思います。したがいまして、ほとんどの市町村が市役所あるいは町役場でしか不在者投票をやっていないということでございますけれども、今回の改正等を契機にいたしまして、支所とか出張所でも不在者投票ができるように、不在者投票場所の増設につきまして積極的に指導してまいりたいというふうに考えております。
  68. 武山百合子

    ○武山委員 ぜひ場所をふやしていただきたいと思います。  それから、投票所の立会人の人数の件ですけれども、それも経費がかかるとかというお話、もちろん聞いておりますけれども、これからいろいろな経験を積んだ方が長生きをして、いろいろな形で社会に貢献できる場所というのはふえていくと思うのですけれども、その場所という意味で、この立会人になったりということはぜひ考えていただきたいと思うのですね。  それで、いわゆる投票立会人が、今度人数が少なくなるわけです。ですから、投票時間を延長して、人数がふえることを想定してそれで少なくなるということは、いろいろ経費のこともあるんだと思いますけれども、いろいろな形で、そういう経験を積んだ方が、ある一定の仕事を終えて退職するわけですので、そういう方々のボランティアとかはぜひ考えていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  69. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 投票立会人は、投票事務の執行を監視する、不正を監視するという役割と、それから地縁社会の中でのフェース・ツー・フェースによる本人確認、こういう機能を持っているわけでございますが、都市化の進展等に伴いまして、この二つ目の機能というのは投票立会人の役割として低下をしてきております。  そういうこともございまして、今回、三人以上のものを二人以上ということに改正をさせていただきたいと思っているわけでございますが、この方々に現在では町内会の役員の方々とかというような方にお願いをしている例が多いと思いますけれども、できるだけ選挙への関心を深めてもらうという観点から、若い方々や女性の方々にも投票立会人等に参加をしていただきたいということを推奨してまいりたいと思っております。現に、先般の都議選のときには、江東区で二十代の若者を募集をいたしましたところ、十四人ぐらいの募集枠に対しまして、百人を超える応募があったということで喜んでいるところでございます。
  70. 武山百合子

    ○武山委員 ぜひ公報、PRを十分していただいて、そういう方面でも投票率向上につながるような方法を考えていただきたいと思います。  それから、投票環境向上投票率に貢献するということで、この法案改正されるわけですけれども、先ほど新進党の遠藤議員からも質問に出ていると思いますけれども電子投票制、ぜひ模擬的に行っていただきたいと思います。ある市を指定したり、何しろいろいろなことをやはり試行錯誤してやらないといけないと思うのですよ。  私が質問いたしましたけれども投票場所をふやすとか、それから若い人の政治に対する関心が非常に少ないわけです。それで、日本は二十歳から参政権があるんですけれども、アメリカなんかは十八歳からあるわけなんです。ですから、私は、年齢を下げるということも視野に入れていただきたいと思いますし、それから、政治に対する教育、これをやはりしなければいけないと思うのです。来ないのは勝手に来ないんだというような考え方が根底にあると、やはりいけないと思うのです。  例えば、私、長いことアメリカに住んでいたものですから、子供たちの教育の中で結構やっているんですよね。  例えば市町村の市長の選挙に、小学校の子供の授業で、新聞を切り抜いてきなさい、我が町の市長さんはどんな方々が立候補していますか、低学年のときはそんな教育なんですね。中学年ぐらいになると、じゃ、どの市長さんはどんな町づくりを望んでいますか書きなさいと。それから、高学年ぐらいになったら、あなたが市長さんになったらどんな町がいいですかとか、いろいろケース・バイ・ケースで地域によって行われております。ぜひ日本もそういう政治に対する教育というものを考えて、やはり小さいころから政治に関心を持たせるということ、私は非常に関心があるものですから、教育という視点で、いろいろな角度から子供たちに、例えば電子投票制なんかも学校で模擬的に、実験的にやってみるとかすることによって大いに関心もわくのではなかろうか、政治に対する教育ということをぜひ今後視点の一つに入れていただければと思います。  以上で私の質問を終わります。
  71. 葉梨信行

    葉梨委員長 次に、山本譲司君。
  72. 山本譲司

    山本(譲)委員 民主党の山本でございます。  私は、政治参加を促進するために投票機会をより一層進めていく、拡大をしていく、このことが必要ではないかと思います。  この間、国政選挙だけではなくて、地方選挙も含めほとんど、投票日翌日の新聞を見てみますと、史上最低の投票率というような活字が躍っておりまして、民主主義の危機的な、大変憂慮する事態だなと思っております。  しかしながら、そもそも投票率の低下の原因というのは、やはり政治に対する不信あるいは無関心ということを招いたいわば政治家一人一人の、あるいは一つ一つの政党の問題でもあると思っております。こういう現下の低投票率、こういった状況を全国会議員がやはり厳粛に受けとめなくてはならない問題であると考えております。  先日の新聞を見てみますと、フランスの国民議会で法改正がありまして、フランスで生まれた人は十八歳になったら自動的に国籍が取れる、こうやって選挙権も付与をされるということで、大体年間二万五千人ぐらいになるそうでありますが、こういったぐあいに、国際的にはどんどん選挙権の拡大ということを積極的に行っている、そんな流れになってきていると思います。  今、この法案投票時間の延長という問題でありますが、イギリスやイタリアでは午後十時までの投票ということでございます。今回の法律ですと、投票時間の当日の二時間の延長、そして不在者投票につきましても三時間の延長ということで、さらなる投票機会の拡大になるということで、私ども民主党としてもぜひとも賛同し、速やかに通過をさせたい法律であると考えております。  まず最初の質問でございますが、新聞などでも随分取り上げられましたが、投票時間の二時間延長によって人件費だけでも約二十五億円、これだけの予算措置が必要になる、こう伺っております。これは投票日当日でありますが、不在者投票においてもこれは三時間延長するわけでございます。この不在者投票投票時間の延長によってかかる予算額は一体どれぐらいになると計算をされているのか、また、その辺については地方自治体に対してどのような対応をされるおつもりなのか、まず御質問いたします。
  73. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 実際の数字がどうなるかということになりますと、なかなか正確なところは推計がしづらいのでございますが、一定の条件の中で多少のぶれがあることはお許しをいただきまして見込んでみますと、延長一時間当たりで四億ないし五億円程度の増加になるのではないかというふうに見ているところでございますが、これらにつきましても、国政選挙につきましては、執行経費基準法の改正等の中で、具体的にどの程度かかるかを推計しながら単価の改正等を行い、また、地方選挙につきましては、交付税措置の中で適切な対応をしていただくように関係部局と調整をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  74. 山本譲司

    山本(譲)委員 地方自治体に対しては、交付税交付金ということでございますが、地方自治体の皆さんにお話を伺ってみますと、かなり国政選挙においても自治体の超過負担がある。これは、人件費です。特に人件費の高い大都市部におきましては、自治体が人件費で上乗せをしている。  そういう現状の中で、これから、投票日でいいますと、二時間、あるいは即日開票ということになると一体どうなるのか、さらにこういった自治体の超過負担分というのがふえるんじゃないかと思うのですが、その辺の対応はいかがでいらっしゃいますでしょうか。
  75. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 基準法の物の考え方、それによりまして、実際の交付をいたしているわけでございますが、これは一定の理論値でございますので、現実にどういう方がその事務に従事をされているか、それから、その団体の給与水準がどうであるかによって必ずしも実績どおりにならないということはあり得るかと思いますが、それにつきましては、超過負担というような問題ではなかろうというような理解をしているところでございます。
  76. 山本譲司

    山本(譲)委員 具体的に、これは例えば選挙立会人ですと、一人に換算をしますと、自治省の交付金ですとどれぐらいおりている計算になるわけでしょうか。
  77. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 現行の立会人の報酬は八千二百円でございますが、三年もたっておりますので、その後の状況変化、それから今回の時間延長、これを換算をして、新しい単価設定をいたしたいと考えております。
  78. 山本譲司

    山本(譲)委員 いずれにしても、多分これ、実際は、選挙立会人あるいは開票立会人の皆さんに自治省の方から支払われている額というのは、八千二百円というお金とは随分かけ離れて、私は東京ですけれども、都市部ではかなり高い人件費になっていると思います。その辺も加味をして、ぜひ自治体への、自治体財政も厳しいですから、極端に厳しい負担にならないように、ぜひ自治省としてもお考えをいただきたいと思います。  それから、先ほど武山理事の方からもお話ありましたように、不在者投票の場所でございますね。これは、当日の投票所の数でいいますと、さきの、去年行われた衆議院選挙でいうと、五万幾つ、三千三百七十の自治体で五万三千カ所ちょっと、それが不在者投票になると四千二百カ所ぐらいということでありますから、ほとんどの自治体では一カ所という計算になると思います。ぜひこの辺の、投票所の拡大ということを、単に要請とかいうことだけではなくて、状況を踏まえた上で拡大をしていただくような協力というものをぜひ自治省の方でもしていただきたいと思います。  続きまして、自治体に対して、いろいろな新聞報道では、即日開票の問題に対して、もうギブアップをしたとか、実は立川市というところは私が住んでいるところでございまして、来年の多分六月十四日に投票日という、全国で一番初めにこの二時間延長が適用される選挙が行われる自治体ではないかと思うのですが、この間、四十七都道府県あるいは市町村に対してどのような形で意見集約というのをしてきたのか、その中で、代表的なものでどのような問題点があるというような意見が上がってきたのか、その辺について、簡単にで結構ですが御説明いただければと思います。
  79. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 先ほどの申し上げました投票環境向上方策に関する調査研究会検討に当たりまして、いろいろな各団体の御意見等を踏まえながら検討いたしましたが、この開票事務につきましては、現実にどういう姿になるかは私どもまだ現段階では把握をいたしておりませんで、法律が通りましたらば、各公共団体法案内容を御説明申し上げ、そして即日開票の要請をし、一定時間たちましてから、どういう状況であるか等については事情の聴取をいたしたいというふうに考えておるところでございます。
  80. 山本譲司

    山本(譲)委員 これからということで、見込みで自治体の皆さんが判断をされてマスコミ等の取材に答えられたのか、そんな状況だと思いますが、ぜひ早急にその辺を自治体の皆さんと詰めていただきたいと思います。  続きまして、やはり武山理事お話の中にもありました十八歳投票権という問題でありますが、今、諸外国では、私が知る限りほとんどの国で十八歳投票権ということになっているのじゃないかと、先進国は。改めてこの主要国の、幾つかでいいですから、選挙権の、選挙年齢というものをお伺いしたいと思います。
  81. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 韓国が我が国と同じく二十歳だと承知をしておりますが、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、カナダ等いずれも十八歳、また、アメリカ合衆国も十八歳というふうに承知をいたしております。
  82. 山本譲司

    山本(譲)委員 憲法第十五条に「公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。」こう書かれているわけでありますが、成年者の定義というものをお聞きすると禅問答みたいな感じになると思いますので、この成年年齢と選挙年齢が異なる国も幾つかあるというぐあいに聞いておりますが、おわかりでしたらその実態について質問をしたいと思います。
  83. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 私どもの承知しております範囲では、かつてスイスが選挙権年齢が十八歳、成人年齢が二十歳でありましたが、平成八年の一月一日から成人年齢も十八歳ということで合わされたということであります。その他の国では選挙権年齢と成人年齢が違っているという国は承知をいたしておりません。
  84. 山本譲司

    山本(譲)委員 この選挙権の年齢を十八歳に下げた場合、大体どれぐらいこの十八歳人口というのはいるのか、ちょっと、イコール有権者というわけにはいかないところもあるかと思いますが、十八歳人口というのは大体どれぐらいなのか、おわかりでしたら。
  85. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 平成七年の国勢調査によりますと、十八歳、十九歳の方々は約三百五十八万人ということになっております。
  86. 山本譲司

    山本(譲)委員 私ども民主党は、今、選挙権年齢を十八歳に引き下げる、そんな法案議員立法で提案をする準備をしているところでございまして、今後のこの件についての政府の取り組みについて、大臣にぜひ、決意も含めてお話を例えればと思います。
  87. 上杉光弘

    上杉国務大臣 お答えいたします。  諸外国では選挙権年齢を十八歳としているところが多いと承知をいたしております。  ただ、選挙権の年齢の問題は、単にそれだけを問題として扱うのではなくて、先ほど出ました法律論もあると思いますが、民法上の成人年齢や、もう一つは、選挙違反等における刑事法での取り扱いなど、法律体系全般との関連も十分考慮しながら検討すべき事柄であると考えております。  ちなみに、我が国では、民法では二十歳、少年法においても二十歳成人としておるわけでございまして、これらのことも十分考慮して、しかし、全体的な、国際上の動きでありますとか、年齢が低下しておるということについては、十分これは受けとめた上で今後のことを検討してまいらなければならない、このように考えております。
  88. 山本譲司

    山本(譲)委員 私どもが法制化を行うにおいて、今大臣からお話のありましたような、関係するその他の法律との整合性というものも考えながら、今法案化をしたわけでございます。現行の制度のままですと、先ほどお話のあったような、もう既に十八歳で投票権を付与しているというような諸外国と比べて我が国の青年が、十八歳から十九歳の若者は、自分自身の政治的な信条を持ったりあるいは世界観というものをちゃんと考えられる、こういう年齢では日本の青年はまだないというようなことにもなりかねないわけでございますので、ぜひ十八歳選挙権ということも積極的にお考えをいただければと思います。  最後になりますが、やはり遠藤理事から御質問のありました洋上投票の件でございます。  今、船員登録者が全国に十一万人いらして、そのうち、これはどこの時点の選挙というのはなかなか数字としては、この選挙は何万人船員が外に出ていたとか、そういう具体的な数字というのは出せないのですけれども、大体、例えば今の瞬時でいうと十一万のうち七万人ぐらい船に乗っているのじゃないか、今選挙をやったら四万人ぐらいしか投票ができないのじゃないか。これはいろいろ船員組合の皆さんなどもお話をされていたことでありまして、先ほど、実際、秘密の保持というものもクリアをできるような方策というようなことも、もう既に模擬投票という形で実験をされているというようなことも聞いております。そして今、都道府県議会四十七のうち二十四の議会でこういった意見書というものが採択をされ、この十二月の議会で三十議会ぐらいにふえるようでございますが、ぜひこの洋上投票制度の問題についてもより積極的にお考えをいただきますよう、その点を最後大臣にお伺いをいたしまして、私の質問を終わります。
  89. 上杉光弘

    上杉国務大臣 事務方から先ほどお答えいたしておりますが、現行制度の運用に当たりましては、可能な限り船員方々投票できるように適切に対処してまいりたいと考えております。  例えば、具体的に申し上げますと、選挙の日程が定まっていなくとも、指定船舶における不在者投票のための投票用紙を交付できる扱いとしているところでございまして、現実に、来年の参議院通常選挙については、指定船舶用の投票用紙を現時点で交付できることといたしておるわけでございます。  御指摘の、先日、洋上投票実現の会の皆さんがシールファクスを使った模擬投票を行われたと承知をいたしておりますが、この実験についてもよく勉強させていただきまして、いずれにしても貴重な選挙権の行使にかかわる重要な課題でございますので、今後ともさまざまな角度から引き続き検討してまいりたいと考えております。
  90. 山本譲司

    山本(譲)委員 終わります。
  91. 葉梨信行

    葉梨委員長 次に、木島日出夫君。
  92. 木島日出夫

    ○木島委員 日本共産党の木島日出夫でございます。  今回提出されました公職選挙法一部改正法案、また参議院で議決されました修正案につきましては、我が党といたしましては、選挙人がより投票しやすい環境をつくるためのさまざまな改正、また選挙事務簡素化等にかかわる部分については、基本的にその趣旨に賛成であります。  しかし、ただ一つ、その中で参議院通常選挙における確認団体の公営による政策広告廃止、これが入っているわけでありますが、これは、選挙時における確認団体選挙活動、政治活動に対する制約の強化になる、選挙活動の自由の拡大とか有権者の知る権利の強化とか公費による公平な活動の拡大という、こういう理念にこれは逆行する、事の本質にかかわる部分での改悪でありますので、法案に賛成するわけにいかない、反対であるわけであります。  そこで、最初に、自治省、自治大臣にお伺いしたいのですが、この部分は、本法案の基本的提案理由である、投票率向上のための選挙人投票しやすい環境を整えるということと矛盾するのじゃないか、なぜこれを廃止するのだということをお聞きしたいと思います。
  93. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 今回お願いをしております改正法案は、有権者投票環境向上を主眼とするものでございますが、あわせて、事務改善等の条項の改正お願いをしているところでございます。  この確認団体政策広告の公営制度につきましては、いわゆる比例代表名簿届け出政党が行います選挙広告との関係が従来から問題になっておりまして、むしろ選挙広告の方に一本化した方が運営の実態に合うのではないかということ、既に衆議院議員選挙につきましては確認団体制度廃止をされまして、この政策広告の公営制度廃止をされた、そこらのことを考えまして、この際、今回の改正とあわせて、より政党等が新聞選挙運動の広告が利用しやすくなるように、このような、改正案のような仕組みに改めさせていただきたいということで、御提案を申し上げたところでございます。
  94. 木島日出夫

    ○木島委員 衆議院におきましては、選挙制度改革によって確認団体制度なくなったことは事実ですが、参議院におきましては、その制度が残っているわけですね。参議院で比例代表が導入されてから既に五回選挙が行われて、特に選挙区候補の皆さんにとって確認団体政治活動というのは非常に大事な役割を現に果たしている、現に果たしているというわけであります。  そこで、まず、参議院通常選挙における確認団体の公営による政策広告廃止について、現行制度の概要及び直近の参議院通常選挙における運用の実態、簡潔で結構ですから説明いただきたい、この部分に公費がどの程度使われているのか説明いただきたいと思います。
  95. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 現行の仕組みでございますが、各確認団体につきまして、一回当たり、横三十八・五センチ、縦三段組み以内、四回の政策広告を公営で行っているところでございまして、平成七年の通常選挙では、三十一団体で十七億四千二百万円が公費として支払われております。
  96. 木島日出夫

    ○木島委員 三十一の確認団体にとって非常に大事な新聞での政策広告、四回まで出せるわけでありまして、現実に出して、十七億以上の公費が支出されているわけであります。これを打ち切ってしまうというのですね。打ち切る理由が私は全く見当たらないわけであります。  もう完全にこの部分では後退ですか。これにかわる何か対策が自治省あるんですか、
  97. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 現在公営対象にいたしております政策広告を、そっくり政党の選挙運動広告の方に振りかえるという措置を講じる考えでございます。
  98. 木島日出夫

    ○木島委員 私、その理屈はどうもわからないんですよ。今の公職選挙法を見ますと、衆議院選挙制度の改定によって、政党なり小選挙区候補の新聞への広告というのはちゃんと規定があるんですよ。あるわけですよ。衆議院の小選挙区の候補についても、衆議院の比例代表の政党についても、参議院の比例代表についても、参議院選挙区候補、それから国政選挙じゃありませんが知事なんかについてもちゃんとあるんでしょう。あるわけですよ、そういう公費で新聞に出せるという制度が。それと別枠で、確認団体について、参議院選挙では四回まで公費で政策広告が出せるという仕組みになっているんでしょう。今度の法案でその参議院確認団体部分だけカットしてしまうということでしょう。今の自治省の答弁、全然私理解できないんですけれどもね。
  99. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 選挙運動の公営化につきましては、ただいま先生お話しのように、新聞広告等が各選挙で設けられております。  一方、政治活動に関する支援といたしましては、この確認団体新聞広告の公営が唯一のものでございますが、現実には、選挙運動期間中に新聞広告を出しますけれども、その選挙運動にわたる内容の広告はできないというようなことで、非常に使い道が悪いと申しますか、あるいはまた比例代表名簿届け出政党の選挙運動広告との関連が混乱をしてなかなか難しいといったような問題があるわけでございますので、この際、比例代表名簿届け出政党の選挙運動広告に一本化をして、そちらの方を充実することによってこの政策広告廃止をしたいということでございます。  ただし、あくまでもこれは公営をやめるということだけでございまして、政治活動の一環として、各政党等が、あるいは確認団体政策広告新聞で行うということを禁止したり制限をしたりするものではないわけでございます。
  100. 木島日出夫

    ○木島委員 一本化して、確認団体が行う現行の新聞広告、無料、公営によるものをカットするというのがどういう意味をもたらすか、私は指摘したいと思うのです。  現行百四十九条の新聞広告について、第六項では、衆議院比例代表選挙については二%足切り条項というのがあって、二%の得票がとれない政党、政治団体については無料でなくなる、有料になるんですね。参議院比例代表選挙については一%条項というのがありまして、一%とれない政党、政治団体についてはやはり無料の特典がなくなるのですね。一本化というのはそれを意味するのですよ。  そうすると、一%条項、二%条項にひっかかったいわゆる弱小の政党、政治団体については、これはもう新聞広告四回有料で出すなんというのは莫大な金がかかるわけですから、事実上できなくなる。そうしますと、力ある政党と力のない政党とを差別する、こういう問題が一本化によって出てくる、それは大問題だと思うのですが、自治省、そうじゃないのですか。
  101. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 政党等が行います選挙運動の公営制度、これは新聞広告があるわけでございますが、これにつきましても、国政参加への真摯な努力をする政党によって争われることになるように、一定の国民の支持を得ることができた政党に限ってこの公費負担をしようということで、平成六年に法改正をされたものでございます。今回の改正によりまして、この一%条項を生かすのは、そういう改正趣旨を踏まえたものであるというふうに考えております。
  102. 木島日出夫

    ○木島委員 現行の参議院通常選挙におきましては、確認書を自治大臣からいただいた政党、政治団体については、それが大きい力のあるものであろうとないものであろうと平等に四回までは同じ大きさの新聞広告を出せるわけですよ。出せるわけですね。差がないわけですよ。しかし、再三言うように、この法案によってこの制度廃止されますと、そういう力のない政党にとっては、無料化でなくなりますから、事実上出せなくなる、そういう差が入ってきます。  それから、政党中心の選挙活動、政治活動といっても、現行の新聞広告においても、例えば衆議院参議院比例代表でも、何人候補者を抱えたか、二十五人以上か二十五人以下か、何人比例代表の候補を抱えているかによって差がついているのです。そういう差がついているのですが、現行のこの廃止されようとしている確認団体に対する新聞広告制度は全くこういう不当な差がないのですね。この部分を削るというんですから、私は、到底今の自治省説明では説得力がない、賛成するわけにはいかないということを申し上げまして、次の質問に移りたいと思うのです。  投票率低下が大変深刻であります。昨年十月二十日の衆議院選挙ではとうとう戦後最低五九・六五%の投票率です。直近の参議院通常選挙平成七年七月の選挙では投票率が四四・五二%と、議会制民主主義の上でも大変ゆゆしい事態にあると私は思います。  そこで自治大臣に、こういう投票率低下の原因といいますか、端的に答えていただきたいのですが、どんなところに原因があると御認識でしょうか。
  103. 上杉光弘

    上杉国務大臣 お答えいたします。  最近の国政、地方選挙を通じます投票率の低下につきましては、極めて著しいものがございまして、大変心配をいたしております。  この背景には、その時々行われます選挙の背景等も当然、あるいは候補者等の問題もありましょうけれども、総体的には、国民の皆様の政治に対する信頼感、期待感がなくなってきている。また、そのことは広く、政治に対する無関心や不信感の増大というものがあり、特に若者の政治離れ等が主要な原因ではないか、このように認識をいたしておるわけでございます。  申し上げるまでもなく、選挙は議会制民主主義の根幹をなす制度でございまして、このまま投票率の低下が続けば、民主主義にとりましても憂慮すべきことと深刻に受けとめておるところでございます。したがいまして、私たち政治に携わる者が党派を超えてその責務を自覚し、政治不信の解消や政治が魅力的なものになるように真摯に受けとめて、その努力を重ねてまいらなければならないと痛感をいたしておるわけでございます。  なお、御指摘の選挙運動期間の短縮等もございますが、主として交通、通信手段の発達を初めとする社会情勢の変化や、選挙に要する費用をできるだけ節減する、こういう見地から行われておるものと承知をいたしておるわけでございます。
  104. 木島日出夫

    ○木島委員 自治大臣からも、今日の日本における国政選挙での投票率の異常な低さについて、総体的には国民政治に対する信頼感、期待感がなくなっているというところにあると指摘されました。私、そのとおりだと思うのです。これは国民が悪いのではなくて、国民の審判を受ける政党、政治家、候補者に原因があると思うわけであります。  いろいろこの点での調査結果もあるのですが、時間も限られておりますから一つだけ披露しますと、平成九年三月に財団法人明るい選挙推進協会が、昨年の「第四十一回衆議院議員選挙の実態 調査結果の概要」というのを発表しておりまして、選挙に行かなかった理由、棄権した理由があるのですが、「用があったから」なんというのは減っていまして、ふえているのが、「選挙にあまり関心がなかったから」「政策などについて事情がよくわからなかったから」「適当な候補者も政党もなかったから」「私一人が投票してもしなくても同じだから」。今の政治の現状に対する不信が数字の上でもあらわれているというふうに思うわけであります。  これはもう制度の問題ではありませんから深くはきょうは議論いたしませんが、公約を守らないような政治、また政党の離合集散、私ども日本共産党から見ますと、例えば消費税の増税とか米の自由化とか、公約違反の政治がオール与党的な形で行われている。こういうところに国民政治不信がかつてなく増大して、そして言われる無党派層が増大して、これが結果、投票率の異常な低下を招いていると思いますから、これはもう政党、政治家の責任として国民にこたえる政治をやらなくてはいかぬと思うわけであります。  きょうはこういう公選特でありますから、制度上の問題もやはりきちっと指摘しなければいかぬと思うのです。私は、制度上の問題を言うならば、やはり政党、政治家と国民を遠ざけているもの、特に選挙の期間において、遠ざけているものを近づけるということが求められていると思うのですね。一言で言えば、戸別訪問禁止や文書頒布の禁止等、国民政策を知ろうとするそういう武器を奪っているということがやはりあるのであって、こういう異常な投票率低下を打開して国民選挙に対する参加をふやすためには、細かい小手先の技術的なことも大事でしょうけれども、それ以上に根本的に、選挙で政党や候補者は何を訴えているのかを国民に知らせる。それはもう基本は戸別訪問であり、文書の頒布だと思うのですが、これがもう今非常に喫緊の課題だと思うのです。それで、この二つの点について、主要先進資本主義国の現状を、簡単で結構ですから言っていただきたいのです。戸別訪問禁止しているような国がありますか。
  105. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 我が国と同様に戸別訪問禁止されているのは、韓国があるというふうに……(木島委員「先進資本主義国、サミット参加国、英米独仏について言ってください」と呼ぶ)主要国で申し上げますと、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス等では戸別訪問は規制がされていないというふうに承知をいたしております。また、ビラ等の文書図画の規制につきましては、フランスでは頒布できる文書の種類とか規格等が一定の規制があるわけでございますが、イギリス、ドイツ、アメリカ等では基本的には自由にされているというふうに承知をいたしております。
  106. 木島日出夫

    ○木島委員 先ほど同僚委員から大臣に対して、戸別訪問解禁について、平成五年の選挙制度改革のときに政府としても戸別訪問解禁を出した、しかし議会で否決されたという答弁がありましたが、一度ぐらい否決されても、それでくじけたのではだめだ、本気だったかどうかが問われるわけでありますから。先進資本主義国の現状は今答弁されたとおりでありますから、これは、今度はいろいろ小選挙区制とかそういうものと抱き合わせではなくて、純粋にこの戸別訪問解禁だけで、あるいは文書頒布の制限の解除というそれに絞って、堂々と自治省として法案を出すべきではないかと思うのですよ。.自治大臣、どうですか。
  107. 上杉光弘

    上杉国務大臣 いずれにいたしましても、この二つの問題は極めて重要なことでもございまして、選挙運動のあり方については、これはもう各党会派で十分御論議をいただきまして、方向づけをしていただくべきものと考えております。
  108. 木島日出夫

    ○木島委員 各党会派で論議するのは当たり前ですが、それを促進するためにも、政府は、自治省戸別訪問解禁を一回出したんですから、だから堂々とやはり出していただきたいということを強く要望いたしまして、時間でありますから質問を終わります。
  109. 葉梨信行

    葉梨委員長 次に、秋葉忠利君。
  110. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 社会民主党の秋葉でございます。  今までも同趣旨質問が重なっておりますが、大事な制度ですので、やはり同じような重要な点に質問が集中するということでお許しいただきたいと思います。  今回の法案、目的の一つは、投票率向上するということになっておりますが、一般の理解では、投票率向上させるためには、もっと抜本的な、例えば先ほどからお話になっておりますような、政治の質の向上であるとかあるいは腐敗の一掃であるとか、そういったことが必要であって、投票時間の延長とかあるいは不在者投票、これも時間を延長し、少々不在者投票の便宜を、利便性をよくするといったようなことでは、とてもとても投票率の抜本的な向上にはつながらない。そんなこそくなことをやってごまかそうとしてもだめじゃないかというような厳しい意見もあります。  それに関して、改めて、投票率向上と、それから今のようなそんなこそくなことをやってごまかそうとしてもだめなんだ、これはごまかしのためなんだというような意見に対してどういうふうにお答えになるか、根本的なところですので伺いたいと思います。
  111. 上杉光弘

    上杉国務大臣 ただいまの御質問でございますが、決してごまかしてはございませんで、自治省といたしましても、いろいろな御意見等もお聞きをしながら、投票環境の整備、条件をよくしていく、こういうことで今回提出させていただいたわけでございます。  そのようなことから、さらに技術的な面からどうかと考えますが、今回提案しましたほか、投票の二日制あるいは在宅投票制度の拡充、洋上投票、さらには電子投票の導入などの御提言もあるわけでございまして、これらのことがすべて組み込まれたものとは思っておりません。しかしながら、それぞれ困難な問題も抱えておりますが、それだけに直ちに実現することは困難でありますけれども、今回の改正内容を含めまして、そのほかにも投票率向上に資する御提言等がございましたら、これは決してかたくなではございませんで、私どもといたしましても、広くお聞きをして、積極的に検討してまいる姿勢だけは持っておるつもりでございます。
  112. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 ありがとうございました。  いろいろな可能性をきちんと検討した上で、可能なものから採用していくという方針だと思いますが、私はそれはそれで大変結構なことだと思います。  先ほどから指摘されているような、政治そのものをよくするということが一番大切なことであるという条件のもとですが、同時に、投票率向上するということを考えるときに、参考になるやり方として、例えば、逆に投票率を下げるためには何をやればいいのかということを考えて、ある意味ではその逆のことをするというような手法もございます。  それで、伺いたいのですけれども自治省としては、例えば意図的に投票率を下げるとしたらどんな方法があるかということをお考えになったことがあるでしょうか。
  113. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 そのような逆転の発想はしたことがございません。
  114. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 今のは大変御謙遜のお答えだと思いますけれども、常識的に考えると、障害を多くすれば投票率は下がるわけですね。そこのところは御理解いただけると思います。  例えば、アメリカの選挙制度参考にして考えますと、障害の一つに登録制というのがあります。アメリカの投票率を考えますと、登録をした人を分母にして考えた投票率と、それから有権者総数を分母にして考えた投票率で、大体一〇%とか二〇%とかいう差が出てきます。つまり、登録制をとるということは投票率を下げることになるわけですね。  それから、もう一つ伺いますけれども、これは常識の範囲内ですから、投票に行くときに思想調査みたいなことをされると投票率は上がるとお思いになりますか、下がるとお思いになりますか。
  115. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 考えたことはございません。個々人の判断によろうかと思います。
  116. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 常識的に考えると、そういう面倒くさいことがあれば、大体投票率は下がるのが常識だと思います。  今の投票率向上のための時間延長というのは、先ほどのお話では何億、何十億という単位のお金がかかる、あるいはそれ以上のお金がかかる。それだけの努力をして、しかも社会的には、本当にそんなことで投票率が上がるのかな、そういう疑問もある中で、それでも環境を整えるのだということで頑張っている。私はその姿勢は正しいと思うのですが、それと同時に、今審議されている在外邦人の投票の場合においては、投票率を下げることにおいて非常に大きなファクターになる登録制を使い、思想調査とまではいかないかもしれませんが、ともかく、帰国して日本に住む意思があるかどうかというような調査までやる。つまり、同時に投票率を下げる効果的な方法を導入しようとしている。  こういうふうに相反する二つのことを一遍にやろうというのは少々分裂症的な感じがするのですけれども自治省としては、こういう、一方では投票率を上げる努力をし、一方では投票率を下げる努力をする、この矛盾をどういうふうに説明なさるのでしょうか。
  117. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 在外邦人の方々選挙人名簿に登録をされておられませんので、投票率には分母、分子いずれもカウントされていない状況にございますが、さきの通常国会で、これらの方々選挙権行使が可能になるような法案を提出させていただきましたのは、まさしく有権者の貴重な権利行使の道を開くということで、その意味では、有権者方々にできるだけ投票環境を整えていこうというこの法案趣旨と軌を一にするものであるというふうに考えているところでございます。  なお、在外邦人の選挙法案が成立をいたしました後は、登録者数に対して実際の選挙権を行使した方がどうかということが投票率算定の基礎になってくるものというふうに考えております。
  118. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 私の言わんとしているところは、そういう技術的な、経過の問題ではなくて、憲法との関連において申し上げました。この点については、また別の機会にさらに議論を続けたいと思います。  投票率向上のもう一つの方法として、これも在外邦人の選挙権ということでかかわりが出てきますけれども、郵便投票ということがございます。  郵便投票現実的ではないという意見もあるのですけれども自治省としては、郵便投票を実行する上でどういう障害があるというふうにお考えになっているのか、簡単にもう一度、復習で申しわけありませんが、一、二点説明していただければ大変ありがたいと思います。
  119. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 郵便投票は、戦後すぐのころは現在の不在者投票の一環として幅広く認められていたわけでございますが、昭和二十六年の統一地方選挙で、郵便投票に絡んだ不正投票が非常にいっぱい出てまいりまして、二十七年に全廃されました。その後、身障者の方々等に対してどうしても必要だということで、四十九年に現行の制度が設けられたわけでございます。  そういう過去の経緯等を踏まえますと、対象になる方をどう特定していくか等々につきまして、公正確保のためのいろいろな仕組みをちゃんとつくった上でそういう郵便投票の道を開かなければならないものというふうに考えております。
  120. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 郵便投票といいますと、郵便を使うわけですから、当然これは郵政省がかかわってくると思うのですが、郵便を実際に扱っている郵便局の立場、あるいは郵政省の立場から、昭和二十六年といえばもうかなり昔ですから、そのころからの教訓を生かすためのいろいろなノウハウというようなものもあると思います。  こういった、今選挙部長がおっしゃった公正な郵便投票制度を保障するためのいい知恵というものを、郵便局あるいは郵政省としてお持ちかどうか、伺いたいと思います。
  121. 上田誠也

    ○上田説明員 お答えいたします。  郵便投票といいますのは郵便を途中の手段としてお使いになるということだと思っておりまして、当然、郵政省に入りますと、通信の秘密なり信書の秘密といったようなことで秘密は十分確保できるわけでございますけれども、しかし、郵便を郵便投票システムの中でどのようにお使いになるかということにつきましては、選管である自治省様の方で御検討いただきまして、それに対して郵政省としてどのように御協力できるかということについては、選管のところの御提案を待って具体的に協議していくべき事項だろうと思っております。あくまでも郵政省といたしましては、通信の秘密、プライバシーの保護というのは最大限に重要な課題だ、憲法上求められている課題であるというふうに認識いたしております。  以上でございます。
  122. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 今の質問は郵政省に親切に聞いたつもりなんです。郵便事業を国営化するかどうかという議論がありまして、郵便局を国営化にしなくてはいけないという郵政省側の意見一つで、信書の秘密を守れるのは郵便局だけであるという議論がありました。それに加えて、郵政省が、郵便投票制度をきちんと公正に行うためのノウハウを持っているのは郵政省だけだということが言えれば、これは国営化永続の非常にいい理由だと思って伺ったのですが、非常に残念ですが、これはやはり自治省と。そこのところの、国営化のためのもう一つ理由というのが何となくなくなってしまって残念なんですが。  郵便投票制度のかわりに、特定の代理人を指定して、例えばどういうケースがあるかわかりませんけれども、ともかく有権者すべてが特定の一人だけを代理人として指定をして、本人が投票できない場合にはその代理人、そして代理人のみが投票できるというような制度が考えられますし、それが実施されている国もあるということなんですけれども自治省としては、代理人投票についてはどういう調査といいますか、事実認識をしていらっしゃるのか、伺いたいと思います。
  123. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 代理投票制度は、欧米諸国においては採用されている国がございますが、我が国の公選法では全く類似の制度はございませんで、いわゆる代理記載という制度はございます。本人が文字等を書けないときに選管の職員がかわって書くという制度はございますけれども、委任をしたり代理をしてもらうというものは全くございません。これはもう現在の公選法の世界においては、全く新しい血を注ぐものだという認識でございます。
  124. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 投票率を上げるための一つの方法として、ともかく可能性としては十分意味のある制度だと思いますので、ぜひ調査それから検討をおった問題についての情報を一緒に探して御協力をぜひしたいと思っております。  それに関連して、投票率を上げるため、それから開票迅速化というところから、電子投票の導入ということも可能性一つとして検討されていると伺っておりますし、先ほどから何人かの方が電子投票について質問をなさいました。  そのことで伺いたいのですけれども、現在、世界各国の中で、自筆投票、つまり選挙をする人が候補者の名前を、投票者が直接その名前を書いて投票をするという形の選挙をやっているのは、世界広しといえども日本だけだということなんですけれども、やはり政治家の方から、候補者の方からいうと、自分の名前を書いてもらうということに意味がある、そこに非常に大きな抵抗があるというような話もあるのです。  具体的に、世界の趨勢と、それから候補者側の自分の名前を書いてもらいたいという要請と、どういうふうに現状を認識されているのか、伺いたいと思います。
  125. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 投票方式で自書式をとっておりますのは、私どもの知る限りではフィリピンがあったかと思いますが、記号式を試行されているというふうに聞いておりますので、完全に残っているのは我が国だけかなという認識でございます。  この件につきましては、午前中の御答弁でも申し上げましたように、平成六年の衆議院議員選挙制度の改革にあわせて記号式が採用されたのでございますが、平成七年の十二月に議員提案によりまして自書式に戻った経緯がございますので、私ども、研究はいたしますが、やはりこの問題は各党各会派の御議論というものを十分踏まえる必要があると認識をしているところでございます。
  126. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 電子投票あるいは記号投票に移行する際の非常に大きな抵抗というのがその辺にあるという認識は共有しているようなんですが、そのハードルをどういうふうに乗り越えるかというところでもいろいろと知恵を出していただければというふうに思います。そのハードルを乗り越えると、電子投票に移行するということはそれほど難しいことではないのではないかという気がいたしますが。  電子投票を実際に実現する上での現在の障害、さまざまなものがありますけれども、これは建前の理由とそれから本音の理由と、どうも二つのレベルの理由があるようなんですが、本音のレベルの障害というのをどういうふうにお考えになっているか。
  127. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 本音、建前という区分はなかなかしづらいのでございますけれども、セキュリティー対策等技術的な問題をどうクリアするかというのがございますし、それから、経費面が非常に高くつきますので、選挙単独のシステムとして構築するのは困難ではないかと思っております。  もちろん、電子投票制度もいろいろなレベルがございますので、単に画面に表示されたものを電子ペン等で押してそれが自動的に計算されるというアメリカで行われているようなものでありますれば、これは記号式投票がもちろん前提になりますけれども経費面等でも大きな額になるというようなことにはあるいはならないのかもしれませんが、同じ導入をするのであれば、やはり投票率向上なり有権者利便に大きく資するというような形で構築をすべきであるというふうに考えておりまして、そのためには、現在検討が進められております住民基本台帳ネットワークの構築、これの行方にかかってくるのではないかというふうに認識しているところでございます。
  128. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 そうですね、単独のシステムをつくるのは確かに非常にお金がかかるわけですが、その解決方法の一つとしては、新しい、日本版の情報ハイウェーといいますか、そういったものを構築するということが可能だと思うのです。  それに関連して、当然頭に浮かぶのは、例えば郵便局というのは、あるいは郵政というのは、これからの情報産業を担うそういった情報ハイウエーを推進してきたわけですが、郵便システムもこれからは物を運ぶより情報を運ぶ方向に移行する可能性があるわけですが、そういった郵政の立場から例えばこういった方向への貢献ということもできると思うのですが、ちょっとそれは畑違いだと思いますから、済みません、通告していませんから、郵政の方はお答えいただかなくて結構ですが、そういう方向で郵政としても、ぜひ電子投票制の方に傾くような検討をしていただきたいと思います。  それから、時間が参りましたので終わりますけれども電子投票を行った際に恩恵をこうむるたくさんの人がいるわけですが、そのうちの一つがマスコミだと思います。電子投票であれば、投票箱が閉じた途端にもう集計ができているわけですから、そういう意味で、マスコミの受ける恩恵というのは非常に大きいと思います。  マスコミの取材の方、たくさん来ていらっしゃいますので、マスコミの皆さんにも電子投票制へ移行するキャンペーンのお手伝いをしていただきたい。そのお願いをいたしまして、質問を終わります。
  129. 葉梨信行

    葉梨委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  130. 葉梨信行

    葉梨委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。木島日出夫君。
  131. 木島日出夫

    ○木島委員 私は、日本共産党を代表して、反対討論を行います。  本改正案が「選挙人がより投票しやすい環境を整えるため」として提案している、投票時間の延長選挙公報字数制限廃止不在者投票所における候補者氏名の掲示、選挙事務の簡素合理化などは、いずれも賛成できるものです。  しかし、第二百一条の十五「新聞による政策広告」の条項削除、すなわち参議院選挙における確認団体政策宣伝のために行う公営による新聞広告制度廃止には反対であります。  これは、政党や候補者政策宣伝活動を制限し、選挙における国民の知る権利と機会を奪うものであり、さらに少数政党への不平等をこれまで以上に拡大するものであります。このことは、選挙で最も大事な言論表現による選挙活動を保障することに逆行し、「選挙人がより投票しやすい環境」をつくるということにも反するものであって、認められません。  この際、投票率低下についていえば、投票率低下を招いているのは国民政治不信であります。  消費税率アップ、医療制度改悪などに見られる公約違反や、無責任な政党、政治家の離合集散、さらには後を絶たない金権腐敗事件の横行が、国民政治不信の根本原因であります。  制度の面でいうと、立会演説会の廃止、ビラや音声の規制を初め政策宣伝活動、言論による選挙活動へのたび重なる制限選挙運動期間の短縮、世界にも例のない戸別訪問禁止規定の温存など、暗やみ選挙、べからず選挙国民選挙から遠ざけてきたのであり、その上、政治改革といいながら、多くの死に票を生み出す小選挙区制を導入し、企業献金は野放しにするなどという一連の制度改悪が、国民政治不信に拍車をかけているのであります。  このことを指摘して、討論を終わります。
  132. 葉梨信行

    葉梨委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  133. 葉梨信行

    葉梨委員長 これより採決に入ります。  内閣提出参議院送付公職選挙法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  134. 葉梨信行

    葉梨委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  135. 葉梨信行

    葉梨委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、細田博之君外五名から、自由民主党、新進党、民主党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び太陽党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。武山百合子君。
  136. 武山百合子

    ○武山委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  案文を朗読し、説明にかえさせていただきます。     公職選挙法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   本法の施行に当たり、政府は、次の事項について善処すべきである。  一 選挙結果に対する国民の関心に応えるため、地方公共団体の協力を得て、開票迅速化を図ること。また、今後とも、投開票の方法の合理化、迅速化のための方策について、検討を進めること。  二 本法の施行に伴う国政選挙執行経費については、地方公共団体負担となることのないよう、適切な措置を講ずること。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  137. 葉梨信行

    葉梨委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  細田博之君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  138. 葉梨信行

    葉梨委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議につきまして、自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。上杉自治大臣
  139. 上杉光弘

    上杉国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、政府といたしましてもその御趣旨を尊重し、善処してまいりたいと存じます。     —————————————
  140. 葉梨信行

    葉梨委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  141. 葉梨信行

    葉梨委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  142. 葉梨信行

    葉梨委員長 この際、御報告いたします。  今国会、本委員会に付託になりました請願は六件であります。各請願の取り扱いについては、先ほどの理事会において協議いたしましたが、委員会での採否の決定は保留することになりましたので、そのように御了承願います。  なお、参考のため本委員会に送付されました陳情書は五件であります。念のため御報告申し上げます。      ————◇—————
  143. 葉梨信行

    葉梨委員長 次に、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。  第百四十回国会内閣提出公職選挙法の一部   を改正する法律案  第百四十回国会、石井一君外三名提出、公職選   挙法の一部を改正する法律案 並びに  公職選挙法改正に関する件 につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  144. 葉梨信行

    葉梨委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。  次に、閉会中審査案件が付託になり、委員会において、参考人から意見を聴取する必要が生じました場合には、出席を求めることとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  145. 葉梨信行

    葉梨委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。      ————◇—————
  146. 葉梨信行

    葉梨委員長 この際、理事補欠選任につきましてお諮りいたします。  委員の異動により、現在理事が一名欠員になっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  147. 葉梨信行

    葉梨委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  それでは、理事東中光雄君を指名いたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後五時五分散会      ————◇—————