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1997-11-19 第141回国会 衆議院 決算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十一月十九日(水曜日)    午前九時三十分開議 出席委員   委員長 冬柴 鐵三君    理事 高市 早苗君 理事 浜田 靖一君    理事 穂積 良行君 理事 大口 善徳君    理事 笹木 竜三君 理事 葉山  峻君    理事 佐々木憲昭君       今村 雅弘君    小林 多門君       佐藤 静雄君    佐藤  勉君       滝   実君    山口 泰明君       草川 昭三君    若松 謙維君       井上 一成君    中林よし子君       岩國 哲人君    前田 武志出席国務大臣        文 部 大 臣 町村 信孝君        農林水産大臣  島村 宜伸君        通商産業大臣  堀内 光雄君        建 設 大 臣 瓦   力君        自 治 大 臣 上杉 光弘君        国 務 大 臣        (総務庁長官) 小里 貞利君        国 務 大 臣        (防衛庁長官) 久間 章生君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)      谷垣 禎一君 出席政府委員        総務庁長官官房        審議官     西村 正紀君        防衛施設庁長官 萩  次郎君        防衛施設庁総務        部長      西村 市郎君        防衛施設庁施設        部長      首藤 新悟君        科学技術庁長官        官房長     沖村 憲樹君        科学技術庁原子        力局長     加藤 康宏君        文部大臣官房長 小野 元之君        厚生政務次官  原田 義昭君        厚生省保健医療        局長      小林 秀資君        厚生省社会・援        護局長     炭谷  茂君        厚生省老人保健        福祉局長    羽毛田信吾君        社会保険庁運営        部長      真野  章君        農林水産大臣官        房長      堤  英隆君        農林水産省構造        改善局長    山本  徹君        通商産業省環境        立地局長    並木  徹君        資源エネルギー        庁長官     稲川 泰弘君        建設大臣官房長 小野 邦久君        自治省行政局長 松本 英昭君        消防庁長官   佐野 徹治君  委員外出席者         大蔵省主計局司         計課長     田頭 基典君         会計検査院長  疋田 周朗君         会計検査院事務         総局次長    森下 伸昭君         会計検査院事務         総長官房総務審         議官      増田 裕夫君         会計検査院事務         総長官房総務課         長       船渡 享向君         会計検査院事務         総局第一局長  深田 烝治君         会計検査院事務         総局第二局長  諸田 敏朗君         会計検査院事務         総局第三局長  大和 顕治君         会計検査院事務         総局第四局長  牛嶋 博久君         会計検査院事務         総局第五局長  小川 光吉君         参  考  人         (動力炉核燃         料開発事業団理         事長)     近藤 俊幸君         参  考  人         (動力炉核燃         料開発事業団理         事)      中野 啓昌君         参  考  人         (動力炉核燃         料開発事業団理         事)      笹谷  勇君         決算委員会調査         室長      天野  進君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月十四日             補欠選任              中林よし子君 同月十九日  辞任         補欠選任   熊谷 市雄君     小林 多門君   前田 武志君     岩國 哲人君 同日  辞任         補欠選任   小林 多門君     今村 雅弘君   岩國 哲人君     前田 武志君 同日  辞任         補欠選任   今村 雅弘君     熊谷 市雄君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  歳入歳出実況に関する件      ――――◇―――――
  2. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 これより会議を開きます。  歳入歳出実況に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として動力炉・核燃料開発事業団理事長近藤俊幸君、理事中野啓昌君及び理事笹谷勇君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高市早苗君。
  5. 高市早苗

    高市委員 おはようございます。自由民主党の高市早苗でございます。  本日は、通産大臣自治大臣総務庁長官、それぞれお忙しいところを御臨席ありがとうございます。大変日程が厳しいと聞いておりますので、私の質問が終わりましたらそれぞれ御退席いただいて結構かと思いますので、よろしくお願いいたします。  それでは、まず総務庁長官にお伺いをいたします。  今、行革会議がいよいよ大詰めということなんですが、その議論の中で、特に中間報告のときに、白大利権官庁を生み出すことへの危惧から建設省分割案といったようなものが出てきたと聞いております。私は、役所が巨大であること、つまり規模というものが、利権にまつわる問題または税金むだ遣い、こういったものに直結するものなの かどうなのか、こういうことについてお伺いしたいと思います。  残念なことですけれども、小さな町村役場におきましても、役場物品購入とか公共事業発注にまつわる汚職事件というのは多発いたしております。役所規模よりは働く人々の倫理観内部システム上の問題だと思うわけです。本来、行革というのは、目的別の大ぐくりを進めて、縦割りとかたらい回しといった国民の不便を解消し、また複数の官庁仕事が重複することによる税金むだ遣いを解消していくものだと私は考えております。  例えば、行革会議中間報告のように、建設省河川局道路局を別々の官庁に分断するといったようなことは、災害復旧のおくれから国民の生命にかかわる結果をもたらしたり、また余分な税金を使ったり、新たなたらい回し縦割り構図を生むことになりかねないんじゃないかな、このように考えるわけでございますが、巨大官庁であることのデメリットと、そして細分化による新たなデメリットについて長官のお考え伺いたいと思います。
  6. 小里貞利

    小里国務大臣 結論から申し上げますと、議員の御発言あるいは御指摘等、私は趣旨として全く同感でございます。  率直に申し上げまして、私、大臣を途中で拝命いたしたわけでございますが、その前に出されました中間報告、そしてただいまお触れになりましたことに対する感想は、これもただいま先生お話がございましたように、幾ら効率化あるいは簡素化、そして所定の目的のもとに構成される組織が結果として膨大であっても、大がかりであるからその当初の基本目的が達成できないというのはどうもわからないなという感じを私も持っておりました。ただ、あのときの議事録等を振り返ってみましたところが、一つの配慮として述べられた言葉であるのかなという一つ感じを持ったことも事実でございます。  もとより、ただいま先生の方からお話がございましたように、やはり費用効果等一つの視点に立った軽量化と申し上げましょうか、あるいは事業ごとの客観的な判断、そしてそれを明確にする、そういう一つの基礎に立って実効化というものをねらった組織にするべきである、私はそういう考え方を持っております。  したがいまして、今、きょうあす結論を出さなければならぬと思っておるところでございますが、行政改革の取りまとめにおきましても、省庁再編は、お話しのとおり広い視野に立ちまして、しかも実効の上がる、そして結果として簡素で効率の上がる、そういう編成をするべきである、さように思っておるところでございます。
  7. 高市早苗

    高市委員 小里長官、非常にうれしい御答弁をいただきまして、ありがとうございました。長官に対しては以上でございますので、どうぞ次のお仕事にお出かけくださいませ。ありがとうございました。  次に、自治大臣にお伺いをしたいと思います。  ここ数年、全国各地役所食糧費への批判が高まりまして、オンブズマン等によります情報公開請求が相次いでおります。私の地元奈良県でも、柿本知事官官接待原則禁止を表明されて、昨年十月より奈良情報公開制度による情報公開を進めております。昨年十月からことし九月末日までの一年間で、情報公開請求は八百五十一件にも上ったと聞いております。  ことしの九月九日に千葉県の佐倉市議会情報公開条例改正案なるものが提出されたことを新聞で知りました。提出議員によりますと、情報公開には賛成だが、市民オンブズマンと称する人たち節度を超えた請求市職員事務作業影響が出ている、一度に七百件もの公文書請求が出た例もあり、逆に多くの市民税金むだ遣いされている、現在の請求スキャンダル集めになっており当初の想定と違ってきている、こういったことで、改正案は、受益者負担考え方から情報公開を有料化するという内容のものでございました。  佐倉市では、昨年十月からことし八月までの間の公開請求処理で市の職員が費やした時間は千九百九十三時間、職員時給平均、これを二千二百六十円と計算するらしいんですが、この時給平均から算出しますと、請求一件当たりにがかった人件費が千八百十二円に上った、こういうことです。  私は、税金で集めた行政情報納税者が知るのは当然の権利であると考えますし、また、縦割り構図によりますたらい回し、こういったものに阻まれて市民が必要な情報を得るのに相当苦労されているという現状は改善すべきだ、血税のむだ遣いをチェックしょうという権利意識、これもまた大変貴重なものだと考えております。  しかしながら、納税者権利というのは平等なものだと考えますと、節度を超えた請求のために公務員事務に多大な影響が出るということになりますと、かえって大多数の納税者の不利益になるおそれもございます。必要な情報を絞り込んで請求するような効率的な情報公開請求の手法、それから、かえって税金むだ遣いにならないような情報公開システムそのもの考えていかなければならないのじゃないかなと考えます。  国家行政でも地方行政でもこの情報公開の流れというのは同じだと思うのですけれども、自治大臣は現段階で各都道府県、市町村から情報公開事務に係る悩みを何か聞いておられるかどうか、また、国家行政の方の情報公開の今後について何か現時点で問題をお感じになっていらっしゃるかどうか、以上、お願いいたします。
  8. 上杉光弘

    上杉国務大臣 お答えをいたします。  御指摘の点については、私直接お聞きいたしておるわけではございませんが、地方行政団体で、一度に大量の事務量を要します情報公開請求がございますとこの対応で他の事務処理ができないという影響が出ておることは、一つ問題点として自治省はお聞きをいたしておるようでございます。
  9. 高市早苗

    高市委員 納税者権利として各地の条例で認めたものに歯どめをかけるということは、これまた厳しい批判にさらされることになるので難しいと思うのですけれども、明らかに事務混乱目的とする大量請求など、権利乱用に当たる場合の対応策があるかどうかということを伺いたいと思います。  地方自治体に二、三聞いてみましたところ、理論的には、権利乱用の法規というものを適用して請求権行為そのものを無効扱いすることは可能だけれども、これも混乱目的かどうかということの事実認定が困難だから実際は無理かなというようなことなんでございます。やはり節税のためにも、節度ある情報請求を求めるために自治省としてアイデアをお持ちでしたら、どういつだ対応策があるか、お答えいただきたいと思います。
  10. 上杉光弘

    上杉国務大臣 お答えいたします。  今住民が必要とします情報を積極的に提供し、開かれた行政の実現と住民に対する行政との信頼関係を確保することは、大変必要なことでございますが、住民理解協力をその点についても、秩序のあるものとして、そういう形で行政が努めていくことも必要ではないか、こう考えております。  一方で、情報公開のための費用でございますが、これは考えなければならないことでございまして、御指摘のとおりでございます。基本的には、これも住民の良識ある判断行動期待するほかないということでございますが、それだけではいささか問題がある。国の方では、行政改革委員会がまとめました情報公開法要綱案におきましては、これは必ずしも一律ではございませんが、実費を勘案した手数料徴収をする、こういう一つ方向というものも示されておるところでございます。
  11. 高市早苗

    高市委員 手数料徴収に対しては、かなり佐倉市のケースでも強い批判があったんですけれども、では、国の方では手数料徴収という方向対応しようということでよろしいのでございますか。
  12. 松本英昭

    松本(英)政府委員 お答え申し上げます。  昨年、国の方の情報公開に関しまして、行政改 革委員会が取りまとめられました要綱というのがございます。現実にはまだ法案ができておらないわけでございますけれども、その中に、この手数料の問題につきまして「行政文書開示に関する手数料は、実費を勘案し、政令で定めるところによるものとすること。」ということが書かれてございます。その解説は、開示請求制度の運用には相当の労力と費用を要するので、開示請求者にその公平な負担が求められる。手数料の金額、徴収方法等は、技術的な問題を多く含むため、本要綱案では「行政文書開示に関する手数料は、実費を勘案し、政令で定めるところによる」こととした。  ここで言う「実費」というのは、恐らくコピー代のようなものは当然含まれておりましょうし、今先生指摘のような人件費相当分も、恐らくこの中に勘案されていくものではないかというように私どもは受け取っておりますが、何しろまだ国の方の法律ができておりませんし、その政令もできておりませんので、今後の動向を十分勘案しながら、地方団体につきましてもまた、国の動向等判断をして対応していただけるものと考えておるところでございます。
  13. 高市早苗

    高市委員 ぜひよろしく御検討いただきますように、お願いいたします。  自治大臣に対しては以上でございます。どうもありがとうございました。
  14. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 消防のことはいいのですか。自治大臣消防のことを聞かれますか。
  15. 高市早苗

    高市委員 消防庁からお見えになっていると聞いておりますので、大臣は結構です。ありがとうございました。  では、続きまして、資源エネルギー庁の方にお願いをいたします。  いよいよ来月なんですけれども、日本議長国となって、地球温暖化防止京都会議が開催されます。  そこで、日本CO2削減目標数値が決まれば、その目標数値達成のためには国民一人一人が何をすべきかということを具体的に示して、協力を求めざるを得ないと考えます。  その場合に、大人はもちろんのことなんですが、将来、地球温暖化影響を非常に受けるであろう子供さんたちにも協力をもちろん呼びかける必要があり、各省庁は、お役所言葉とか専門用語を極力避けて子供さんにも十分理解できる表現で協力を呼びかけていく必要があると思うのですけれども、この点についてはどう思われますか。
  16. 稲川泰弘

    稲川政府委員 御指摘のとおり、これからの炭酸ガス削減というのは、国民一般の御努力を求めることが非常に多うございます。ちなみに、我が国では、炭酸ガス排出量の九割以上がエネルギーを燃やすことによって発生をいたしてございます。したがいまして、この削減のためには、エネルギー供給側努力をすると同時に、需要側でも努力が必要だということでございます。  供給側努力と申しますのは、炭酸ガス排出の少ない原子力、新エネルギーなどの導入に努めることでございますが、需要側では、産業民生運輸のすべての分野で抜本的な省エネルギーを進めるということでございます。  最近は、運輸民生、この二つの分野、いわば国民生活に直結している分野エネルギー需要が非常に大きくふえてございますので、この分野では、一つは、自動車あるいは家電エネルギー消費効率を上げる、製品そのもの消費効率を上げる。他方で、これをお使いいただく国民の側の努力が必要だということでございまして、各種の消費者のサイドの行動につきまして、我々、広報を通じてお願いをしておるところでございます。
  17. 高市早苗

    高市委員 地球温暖化防止京都会議に関して、これは政府広報でこんなパンフレットが出ているのを見つけました。  ここに、家庭でできることと書いてありまして、「冷房温度を二十八度以上に引き上げましょう。」「暖房温度を二十度以下に引き下げましょう。」と書いてあるのですが、何で二十八度で、何で二十度なのか、よくわからなかったのです。そこで、わかりやすく教えていただきたいのですが、例えば冷房設定温度を一度上げたり、暖房設定温度を一度下げた場合のCO2削減量年間一戸当たりで結構なんですけれども、どうなるんでしょうか。
  18. 稲川泰弘

    稲川政府委員 家庭電力を使いました場合に、電力を使うこと自体から家庭炭酸ガスが出るものではございません。しかしながら、発電をする場合に、発電所では、燃料の六割が石炭、石油、天然ガスといういわゆる化石燃料でございまして、そこから炭酸ガスを出してございます。したがいまして、家庭冷暖房電力を使いますと発電所炭酸ガスが出る、こういう仕組みでございまして、電力使用節約しますと炭酸ガス排出減に結びつくということでございます。  御指摘のございました、冷暖房設備使用時間とか日数前提を置いて試算を行いますと、冷房設定温度を一度上げました場合、一家庭当たり年間約四十キロワット時の節約となります。これは、原油換算をいたしますと一升瓶で約二本程度の量でございまして、炭素では八炭素換算キログラムという数字に、一家庭当たり年間でございますが、なります。  また、暖房設定温度を一度下げた場合、一家庭当たり年間節約量は約百七十キロワット時となってございまして、これは、エネルギー原油換算をいたしますと、一升瓶で九本に相当をいたします。炭酸ガス排出量換算をいたしますと、三十五炭素換算キログラムという数字でございます。
  19. 高市早苗

    高市委員 どうもありがとうございました。今の、省エネ量から炭素削減量を割り出した計算式数字を、後で結構ですので、ペーパーでいただけたら大変ありがたいと思います。  もう一度エネルギー庁長官伺いたいんですけれども、一般マスコミ等で紹介されております、国民ができるCO2削減対策、最近、月刊誌等、いろいろ若者向けの雑誌にも出ておりますけれども、これによりますと、なるべく車に乗らない、電気製品を買わない、節電節ガスをすること、こういったことが書かれております。長官、これは正しいのでしょうか。
  20. 稲川泰弘

    稲川政府委員 今回の炭酸ガス削減対策の中で、国民努力期待をして省エネルギー、省炭酸ガスを図るものは、全体の一割程度期待をいたしてございます。  その国民行動としてお願いをしておりますのは、具体的には、例えば電気機器使用につきましては、冷房温度暖房温度設定のレベル、冷房につきましては二十八度、暖房については二十度という目安をつくってございますが、あるいは照明や家電製品の小まめなスイッチオフ、スイッチを切ること、それから、エアコンなどの不必要な使用時間を短縮していただくことなどの行動でございます。また、自動車利用につきましては、徒歩、自転車の利用による自動車利用の自粛、あるいは駐停車時のアイドリングストップなどに関して努力お願いをいたしてございます。  政府として、こうした国民省エネに関する取り組みが進みますように、通常でありますと政府広報をいたしますと二割程度国民が御協力をいただけるようですが、今回は、この広報を抜本的に強化をいたしまして、五割以上の国民の御協力お願いをするという次第でございます。
  21. 高市早苗

    高市委員 今長官から、政府としてというお言葉が出たのですけれども、済みません、ちょっとこれ通告していませんが、例の環境庁の技術評価調査報告書というものでかなり具体的な内容を把握されているのですけれども、これはエネルギー庁長官お答えいただきたいのですけれども、この内容について、政府として一致した、いわゆるこの内容に賛同するような空気があると思われますでしょうか。
  22. 稲川泰弘

    稲川政府委員 先ほど申し上げました国民の各般の努力によりますエネルギー効果炭酸ガス効果というのは、いろいろな研究成果がございます。いろいろな前提を置きますので、例えば冷房時間を何時間と考えるかとか、使用日数を何日と 考えるかという前提がございますので、いろいろな考え方がございますが、方向としては、いろいろな研究成果をまとめて、その努力による全体的な効果国民努力期待をしながら進めるということでございまして、一つ研究成果理解をいたしてございます。
  23. 高市早苗

    高市委員 ありがとうございました。  大変お待たせいたしました。通産大臣にお伺いいたします。  景気対策橋本内閣重要課題だと思いますけれども、先ほどから出ておりますように、場合によっては電気製品や車の需要減に結びつくかもしれない国民への協力お願い、あと、節電節ガスというようなことになりますと、産業界を中心に、もしかしたら景気の冷え込みにつながるのではないかといった懸念もあるかと思いますけれども、大臣は、温暖化対策国際公約とそして景気対策両立というものについてどうお考えでしょうか。
  24. 堀内光雄

    堀内国務大臣 お答えを申し上げます。  地球温暖化問題への対応策ということになってまいりますと、片方地球温暖化防止ということの実行に対して、片方ではエネルギー安定供給だとか国民経済の健全な発展というような問題、その両立を図ることになっていかなければならないというふうに思っております。  片方地球温暖化問題の解決に向けては、環境負荷というか負担の小さな社会を実現していくために、企業に対しましては、省エネルギー技術、こういうものの開発だとかあるいは設備導入あるいは、中長期的に見た場合には、技術革新のための一定のコスト負担をしてもらうというような必要が出てくるわけでございます。  こういうようなコスト負担企業等環境対策に必要になるこういう負担を耐えた上で、そして我が国経済が引き続き活力を維持するように持っていかなければならない。なかなか難しいところでありますが、この両立を図らなければならないということになると思っております。  こういうような認識のもとに、我が国国内対策につきましては、エネルギー起源炭酸ガス排出削減について、一つは、エネルギー供給部門における原子力発電所の二十基程度の増設ということ、そして、新エネルギーの供給を今の約三倍ぐらいに、太陽エネルギーとか風力だとか地熱だとか、その他いろいろ新しい問題がありますが、そういうものを約三倍増にしなければいかぬ。  もう一つは、一方ではエネルギー需要の部分において、さっきエネルギー庁長官からも申し上げましたけれども、産業民生運輸の各部門において大変な努力をしてもらいまして、自動車の燃費の場合には約二〇%これから削減を、改善をできるような方法をとってもらう。あるいは鉄鋼などの場合には、どうしてもコークスを使わなければなりませんので、そのコークスを使って今排出をしておりますものを、その排出した排気ガスをもう一回取り込んでその熱エネルギーを活用するというようなこと、二〇一〇年までの間に約三兆円ぐらいの設備投資をすることによって、次世代コークス炉の開発導入というような加熱炉の設備効率化を行っていく、そういうようなものを初めとする規制的な措置を強化してまいりまして、冷暖房温度の引き上げ等の大幅な国民努力の要請を行っていくというようなことをしていかなければならないと思います。  そういうぎりぎりな政策努力を最大限に積み上げることによりまして、健全な経済の発展を阻害することなく、我が国炭酸ガス削減目標の達成に向けて努力をしていかなければいかぬ。非常に難しい問題でありますが、その両立を図るように取り組んでまいりたいと思っております。
  25. 高市早苗

    高市委員 かなり各企業も、このCO2削減対応した商品の開発とか、それから省エネ対策の設備投資とか、相当負担もきつくなってくるように思いますので、景気に水をかけないためにも、助成策を含めてぜひ支援体制をつくっていただきたいと思います。  例えば蛍光灯の電子インバーター化、これで大体消費電力が三〇%カット可能だという試算が出ておりますし、蛍光灯への反射板の取りつけだと大体一五から二〇%、これも消費電力削減可能。それからガラス窓、ビルのガラス窓に赤外線のカットフィルムを張りつけますと、エアコンの消費電力が約二〇%削減できる。それから、ビルの屋上に赤外線カット塗料というものを塗りますと、これでも大体二〇%ぐらいのエアコン消費電力削減といった試算があります。  あと、建築業界の方に聞いてみますと、エコマテリアルといった資材をどんどん活用することで、これもかなりCO2削減できるのじゃないかなという御意見もありまして、窓へのペアガラスの使用ですとか、それから、壁もクロスで張るのじゃなくて、珪藻土という土を使用することで湿度調整も含めてかなり効果がある。あと、古タイヤも、昔みたいに野焼きするとかそんなんじゃなくて、裁断チップ化してコンクリートに混ぜて床材にする、こういった工夫でかなりCO2削減になるのじゃないかといった御意見も出ております。  まずは公共建築物を手始めに、こうした日本のすぐれた技術を活用していくことで新たなビジネスチャンスも生まれると思いますし、景気対策としてのCO2削減策と抱き合わせたものも可能になるのじゃないかなと私は考えるのですが、この点について、大臣、どう思われますか。
  26. 堀内光雄

    堀内国務大臣 御指摘をいただいた点、大いに参考になりますし、また、重要な御指摘だというふうに理解をいたしまして、そういう問題についてもしっかり取り組んでまいりたいと思っております。  環境問題への積極的な対応というのは、事業者にとっての、先ほど申し上げたような負担の増加になる側面は否めませんが、先生からの御指摘のように、国際的な環境の意識の高まりを考えますと、いち早く環境問題に対応していくという、今後の国際競争力の維持に資する面もあるわけなんでございまして、環境産業といいますか、そういう面の成長が期待される新たな成長分野産業にもなってくるというふうにも思います。  そういう意味で、環境産業については、本年五月に閣議決定をいたしました経済構造の変革と創造のための行動計画におきましても、今後の成長の期待される産業の十五分野一つとして位置づけているわけでございます。今後、通産省としましても、国際的協調のもとでの環境への取り組みという視点を加味しながら、行動計画に基づいて、事業者の事業活動全般にわたる環境への配慮の促進と同時に、関連の技術開発を初めとした環境産業等の発展のための基盤整備を行ってまいりたい、各種の施策を関係省庁と連携をしながら、先生お話のような、災いを転じてと言ってはちょっと違うかもしれませんが、それをいい方に活用できる、大きな新しい産業分野の発展に取り組んでまいりたいと思っております。
  27. 高市早苗

    高市委員 もうぜひ、これ以上景気が冷え込まないようによろしくお願いいたします。  通産大臣には以上でございます。どうもありがとうございました。  最後に、消防庁長官お願いをいたしたいと思います。  地元奈良市の消防本部の消防士さんたちから「環境にやさしい誘導灯についての提案」というものをいただいております。消防士さんたちによりますと、管轄地域対象物の立入検査を実施したときに、常用電源では点灯しているが、非常電源の点検スイッチを作動してみると点灯しない誘導灯も見受けられる、いざ災害になると大変恐ろしいと思うことがあるそうなんです。  誘導灯というのは、消防法第十七条等により、ある基準以上の建物に必要な避難設備一つでございます。近年は、超残光性蛍光体、長いこと光っている材料が開発されまして、欧米などでは建物の非常口の誘導サインとして広く採用されていると聞くのですけれども、もしも消防法を一部改正しまして誘導灯の表示面に超残光性蛍光体を活 用したら、非常電源に関する保守点検が不要になり、複雑な回路がない、故障がない、軽量化コスト軽減、さらには蓄電池設備の劣化で交換、廃棄、こういったものをなくすことにより環境保全にもつながる、そういうメリットがあると考えます。  以上、現場の消防士さんたちのアイデアなんですけれども、こういった現場の声をどうお考えか、伺いたいと思います。
  28. 佐野徹治

    ○佐野(徹)政府委員 誘導灯に関するお尋ねでございます。  誘導灯につきましては、平常時から、避難口の位置それから避難の方向、こういったことを周知いたしますとともに、非常時におきまして安全かつ円滑に避難誘導を行うために常時点灯しておくとともに、停電のときに備えまして非常電源を附置する、こういうようになっておるわけでございます。  また、誘導灯の表示面に超残光性の蛍光体を使用することにつきましては、シンボルマークのデザイン、色、明るさ、こういったことにつきまして消防法の技術基準に適合いたします場合には、特段差し支えないものでございます。  しかしながら、誘導灯の表示面に超残光性蛍光体を使用した場合に非常電源を不要とするということにつきましては、停電のときにおける周囲の明るさの確保、それから煙が発生いたしました場合の見やすさ等の避難誘導効果、こういったようなことを勘案いたしますと、安全上の観点からは困難なのではないかなと考えておるところでございます。  なお、技術の進展により開発されました新たな構造、性能等を有する消防設備につきましては、適宜情報収集を行い、その性能に支障のないものにありましては積極的に導入を図るために、法令改正なり運用通知の策定等、所要の措置を講じておるところでございます。  以上でございます。
  29. 高市早苗

    高市委員 しかし、実際に立入検査で非常時に作動しない誘導灯がある、非常電源で点灯しないものがあるとの声が現場であるわけでございます。  今後、景気対策で容積率の緩和が打ち出されましたので、一定基準以上の誘導灯設置が義務づけられる建物というのはどんどんふえていくと思うのですよ。そんな中で、現場の消防士さんたちの立入検査といったって、それが一つのビルに対してどれぐらいの頻度で回ってくるのか、めったに行かないにしても、立ち入ったら、結局、電源で点灯しなかった、こんな問題が現実に起きているわけでございますので、できましたら、誘導灯の表面に超残光性の蛍光体を必ずつけて、万が一電源で点灯しなくても大丈夫だといったような、もうちょっと確実な方法をお願いしたいと思うのです。  それから、行革という中でもし人員削減といったら、ますます立入検査できなくなりますし、建物の管理者に任せているからといっても、実際、点灯しない電源があるわけでございますので、できたら、併用というのですか、そういうことをお考えいただきたいのですけれども、いかがでしょうか。
  30. 佐野徹治

    ○佐野(徹)政府委員 先ほどお答えいたしましたことの繰り返しになって恐縮でございますけれども、この誘導灯の関係につきましての安全上の技術基準と申しますか、それにつきましては、先ほども若干お話し申し上げましたけれども、停電になりましたときにおいても周囲の一定の明るさは確保される必要があるといったことだとか、それから、煙が発生をいたしました場合の見やすさ等の避難誘導効果だとか、こういうようなことを勘案いたしますと、停電をいたしましたようなときの非常電源を、これを不要とするということはなかなか難しいのじゃないかというふうに思っております。  超残光性蛍光体を使用した場合におきましても、非常電源自体を不要といたしますと、先ほど申しましたような、そういう安全上の観点からのいろいろな基準につきまして、それをクリアできるかどうか、そこら辺につきましては、現在、私ども、若干難しい点があるのじゃないかなと考えておりますので、御理解をいただければありがたいと思っております。
  31. 高市早苗

    高市委員 もう質問時間が終わりましたので以上でやめますけれども、それでは非常電源を不要にするということは撤回させていただいてもいいのですけれども、今の形態のものの上に超残光性のものも一緒につけるというようなことで、確実な方法をぜひ御検討いただきたいと思います。  以上です。どうもありがとうございました。
  32. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 高市早苗君の質疑を終了いたします。  次に、浜田靖一君。
  33. 浜田靖一

    ○浜田(靖)委員 浜田靖一でございます。きょうは会計検査院に御質問をさせていただきたいと思います。  と申しますのは、この決算委員会で、前草川委員長、そして冬柴委員長と、決算に大変熱心に、情熱的に取り組んでおられる委員長のもとで理事を務めさせていただいたものですから、その意味で、今の財政状況、そしてまた、財政構造改革の推進に関する特別法案等が衆議院で可決されて参議院で今審議中だとか、それからまた、その意味では予算というものに対して、行政のむだ、非効率な支出のチェックとか監視機能に対して国民の興味が大変高くなっておる現状でもありますし、やはりこれは会計検査院の考え方というか、そういうものを改めてここで確認をしておく必要があろうかと思いまして、きょうは会計検査院の院長にお話を伺っていきたいと思います。  まず、これはことしの四月三日の当決算委員会におきまして、有効性の検査について疋田会計検査院長は、有効性からの検査は近年会計検査院が重視して取り組んでいるものである、また、予算の執行に問題がある場合には、原因の究明を徹底して行うことなどにより関連する予算や政策の効果といったことまで含めて積極的に取り上げるように努める旨の御答弁、これは草川委員長が質問されたわけでありますが、それにそういうお答えをいただいたわけであります。  この現下の財政状況の悪化を背景に、より効率的な行政、予算の執行が大変強く求められている中で、私自身も、会計検査においては、正確性、合規性の観点からの検査にとどまらずに、有効性の観点に重点を移した検査、さらに、政策評価の観点からの検査がますます求められてきておると思うわけであります。疋田会計検査院長の答弁には、その意味では大変心強く思ったわけであります。  さあそこで、また御質問させていただきますけれども、近年積極的に取り組んでいるという有効性の観点からの検査や政策評価について、具体的な事例や今後の取り組み方針について教えていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  34. 疋田周朗

    ○疋田会計検査院長 お答え申し上げます。  会計検査院では、近年、事業や施策が所期の目的を達成し効果を上げているか、こういう有効性の観点から業績を評価する検査を重視して検査に取り組んできているところでございます。その結果、事態の打開や進展あるいは見直しを図るよう、改善の意見表示あるいは処置要求を行ったり、広く問題提起を行っているところでございます。  この有効性の観点からの検査につきましては、公共事業ですとか社会保障、国有林野事業、ODA、こういった各分野におきまして毎年数件の指摘をしているところでございます。  このうち、最近の事例について申し上げますと、昨年の検査報告の事例でございますけれども、補助事業で行う小中学校クラブハウス整備事業というのがございますが、この事業におきまして、地域住民利用のニーズや近隣の同種施設の状況を的確に把握していなかったり、あるいは運営体制の整備など利用の促進を図るための方策を十分講じていなかったりいたしまして、利用が低 調となっているということで、事業効果が十分発現しておりませんでしたので、改善を求めた事例がございます。  また、もう一つ、港湾整備事業によりまして公共マリーナ等を整備している事業がございますが、この事業におきまして、利用を促進するための広報活動などが十分でなかったことなどのために、プレジャーボートが係留されたりあるいは保管されたりしていないスペースがある一方で、港湾区域などに放置艇が見受けられまして、公共マリーナ等が有効に利活用されていなかったということで改善を求めたような事例がございます。  次に、今後の取り組みについてでございますけれども、こうした有効性の観点から行います事業あるいは施策の業績評価につきましては、さらに拡大して取り組んでまいりたいと考えております。  この検査を推進するためには新しい検査手法の開発が必要でございまして、外国における有効性検査の実態調査をより強化して行う、あるいは外部の有識者や学者との意見交換の場を拡大するとか、職員の研修の充実などを図っていく考えでございます。
  35. 浜田靖一

    ○浜田(靖)委員 同じく四月三日の決算委員会において、先進国の会計検査院においても事業や施策の有効性の検査を重要な課題の一つと位置づけて鋭意取り組んでいるところなので、相互に情報交換するなどしてより充実した検査を行うよう努めるという答弁もなされておるわけでありまして、有効性の検査の手法についていろいろな角度から研究を重ねることは、効率的、効果的な検査を行っていく上で大変重要なことだと思えるわけでございます。  そこで、有効性の検査に関して、先進諸国の会計検査院と具体的にどのような情報交換を行っているのか、また、それに対する今後の取り組み方針もあわせてお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  36. 疋田周朗

    ○疋田会計検査院長 会計検査院といたしましては、行政改革などによる効率的、効果的な行財政の執行が強く求められております状況にありますことから、有効性の観点からの検査の充実拡大に努めているところでございまして、これらの検査に関する手法や課題などにつきましては、各国の会計検査院とさまざまな機会を通じて情報交換を行っております。  具体的に申し上げますと、本院も加盟しております、世界各国の会計検査院の組織でございます最高会計検査機関国際組織というものがございますけれども、こういった国際組織が開催いたします会議あるいは研修には必ず参加いたしております。また、個々の先進国におきまして、実態調査のための職員派遣を行ったりいたしておりまして、有効性の検査に関する討議あるいは情報交換を行っているところでございます。  特に、本院は、昨年から、各国の会計検査院が直面しております課題と共通の問題点について情報交換あるいは意見交換を行うことを目的といたしまして、先進諸国の会計検査院の上級実務者を我が国に招聘いたしまして、国際会計検査フォーラムを開催いたしております。  この国際会計検査フォーラムにつきましては、ことしの六月に第二回目を行ったわけでございますが、ことしからは、有効性の検査をどのように実施するかということをテーマといたしまして、これらの検査分野における先進国でございますアメリカ、イギリス、ドイツなど、九カ国の会計検査院の幹部職員日本へ招聘いたしまして、第二回国際会計検査フォーラムを開催したところでございます。有効性検査の客観性あるいは実効性をいかに確保するかなどの点につきまして、討議、情報交換を行ったところでございます。  有効性の検査につきましては、有効性の評価の可能な分野をいかに拡大していくか、それから評価基準、評価技法の開発など、さらに今後十分に検討を進めていく必要がございまして、各国の会計検査院とのこれらの諸問題についての情報交換の強化を図るなどいたしまして、有効性の検査の一層の充実拡大に努めてまいる所存でございます。
  37. 浜田靖一

    ○浜田(靖)委員 それだけ活動されておるわけでありますので、広報活動をしていただいて、検査院がどこにあるのか、内容は何をやっているのかわからぬというような状況では困りますので、ぜひとも御努力を願いたいと思うわけでございます。  そしてまた、会計制度の複雑化やOA化、システム化の進展、予算執行の内容の多様化などから、会計検査の手法なども大変複雑化しておると思うのです。会計検査に専門知識を要することが多くなってきておると思いますし、こうした事態に対応する必要が生じてきていると思うのです。そこで、専門知識を有じた職員を採用できるように、公認会計士や医療職等に係る特別な専門官制度の導入などについてどのようなお考えを持っておるかお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  38. 疋田周朗

    ○疋田会計検査院長 私ども会計検査院の検査対象が、技術の進歩などに伴いまして、質的にも複雑化、高度化してきていることなどを考えますと、検査機能の充実を図る、こういう観点から、委員指摘のような専門官制度の導入などは非常に貴重なアイデアではないかと考えております。任用制度上は、民間人、民間の方の途中採用の道も開けていないわけではございませんので、公認会計士や医療職のようなその道の精通者においでいただけるならば、会計検査の場で御活躍していただきたいところでございます。  ただ、現実の問題といたしまして、このような方たちの採用を具体化するということになりますと、給与など処遇の面の問題がございまして、なかなか難しい一面があるのではないかと考えております。  現に、医療職につきましては、昭和六十一年から平成元年まで、厚生省から出向という形で、医学博士の方に技術参事官として在職していただいたことがございます。  本院といたしましては、職員の採用に当たってできるだけ技術系学部の卒業者を広く採用いたしますとか、あるいは職員に対する研修を充実させる、こういうようなことで各種の専門分野の検査に対応できるように努力してきているところでございまして、今後ともこういった努力を続けてまいりたいと考えております。
  39. 浜田靖一

    ○浜田(靖)委員 そういういろいろな御事情はよくわかるのですが、ただ、この決算委員会の方がこれからバージョンアップするということで、いろいろと議会制度協議会等で決算行政監視委員会に改組しようというお話もあるわけでありますし、その意味では、確かに予算面ですとかいろいろな問題があるかもしれませんけれども、会計検査院としても、やはりそれはそれとして対応していかなければいかぬ話だと思うのですな。  ここに一つ新聞記事もあるのですが、会計検査院の皆さん方が調査に行ってラブホテルに泊まってとか、そういうように予算が足りなくて、果たしてこんなことで調査ができるのかというような新聞記事もあるのですね。これはちょっとそういう面から、本来会計検査院の皆さん方が一生懸命になって努力して調査しているにもかかわらず、そういったことを新聞に書かれることによって、こんなんじゃ満足な調査はできないのじゃないかというような誤解をされる可能性があるわけですよね。  ですから、ある意味からいけば、本当に強化充実を図っていくということになれば、予算も人員もふやさなければいかぬ話になってしまうと思うわけでありますので、その意味では、院長、大変謙虚な御意見で結構なんですが、せっかくの機会ですから、もっと思い切ってお話ししていただいてもいいのかなと私は思うわけであります。  そこでもう一つ。先ほど申しましたように、これから決算行政監視委員会に改組して行政監視機能の強化をするという協議がなされておるわけでありますが、その中で、各議院または各議院の委員会は、その審査または調査のため必要と認める ときは、会計検査院に対して、特定の事項について会計検査をし、その会計検査の結果を報告するように求めることなどが検討されておると聞いておるのです。  そこで、仮にこのようなことが実際に行われるようになった場合、政策や事業の評価を求める検査が国会から要請されることも考えられると思うのですが、会計検査院として、これに対しての抱負、抱負と言ってはおかしいな、決意ですかな、こうするぞというようなものがあればお聞かせ願いたいと思います。  時間の方もちょっと押し迫ってまいりましたので、あわせて、今の決意とともに、国民の皆さん方に要するにそういった期待がある、期待に対してどうやってこたえていくのか、その決意もお伺いしたいと思います。そして、それをやるには、当然のごとくいろいろな条件を出していただかないと、私どもとしても対応しかねるというようなこともあると思うのですよ。ですから、その思いも込めて、国会に対しての御要望があれば、ぜひこの機会に院長の方からお聞かせ願いたい。  というのは、この間の、前回のこの決算委員会のときに、院長がお答えの中で大変、検査院の立場からすればそのお答えでいいのかもしれぬけれども、我々側から見ると少々下がった形での答弁のように聞こえることがあるのですね。だから、やはり検査院として、我々は与えられた中でしつかりやっているんだ、だからこの件に関してはここまでできます、やりましたということをやはり言っていただきたい。  それから、もしもやるのであるならば、やはり条件を出して、これだけの条件を満たしてくれなければ我々はできかねますというような決意というか自分のお考えを前面に出していかないと、どうしてもこういった新聞報道のように、足りない部分でマイナスイメージにとられていくというのでは、会計検査院の立場を高めるという気持ちが我々にはあるわけでありますので、その意味では自信を持ってお答え願えればなと思います。  ぜひともその点も含めてお答えを願えればと思いますので、よろしくお願いいたします。
  40. 疋田周朗

    ○疋田会計検査院長 ただいまは、私どもの活動に対しまして非常に温かいお言葉を賜りまして、ありがとうございました。  お答えを申し上げたいと思います。  会計検査院といたしましては、会計検査の実効性を確保する上で国会との緊密な連絡協調が重要であると認識しているところでございまして、従来から決算委員会に担当局長を常時出席させるなどいたしまして、国会の御論議に十分耳を傾け、検査の計画の策定や検査の実施に反映させますとともに、委員会あるいは委員先生方から検査の要請あるいは資料の提出、説明の御要求があったような場合には、真摯に対応してきたところでございます。  そして、国会の御論議に対応して検査報告の掲記事項の範囲を拡大いたしましたり、検査の要請に基づきまして検査を行いまして、不適切な事態を指摘してきたところでございます。  議会制度改革によりまして今後検査要請が法制化されました場合にありましては、このような、会計検査という立場から予算や事業、施策の評価を求めるという御要請に可能な限り対応していく所存でございます。  それから、国民期待にこたえてどのように対応していくかという御質問でございます。  会計検査院といたしましては、従来から、社会経済動向対応いたしまして国民の御期待にこたえる検査に努めてきたところでございます。近年、相次ぐ社会問題が発生いたしておりますことを契機といたしまして、不正不当な事態に対する厳正な検査が求められております一方で、厳しい財政状況を反映いたしまして、行財政改革に寄与するような経済性、効率性あるいは有効性の検査が求められております。中でも、有効性の観点から事業あるいは施策を評価して、その見直しに役立つ検査への取り組みが求められております。会計検査院といたしましては、従来からこのような期待を十分に認識し、取り組んできたところでございますが、今後とも、与えられた権限あるいは組織、体制の中で、検査手法も工夫しながら、多角的かつ効率的な検査に努めてまいらなければならないと考えております。  次に、国会に対する要望があるならばというありがたいお話でございますが、私どもといたしましては、国会の決算審査などにおきまして会計検査院の検査報告が活用されるということが、検査成果の実効性を確保するという上でも非常に効果的であると考えておりまして、本院の検査成果の集大成である検査報告が国会においてさらに一層活用していただけることを願っているところでございます。
  41. 浜田靖一

    ○浜田(靖)委員 時間が来たので終わらせていただきます。ありがとうございました。
  42. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 浜田君の質疑を終了いたします。  次に、大口善徳君。
  43. 大口善徳

    ○大口委員 私からは、まず、動燃のウラン廃棄物貯蔵ピットの予算執行の問題についてお伺いをしたいと思います。  この問題については、科学技術庁長官も現地に行かれまして、そしてまた、その中でも施設に収納したドラム缶が腐食したり破損したりということを現実に見てこられたということで、いまだに全然抜本的な解決がなされていないということであるわけです。ところが、この問題については、科学技術庁の方におきましても、これについて、業務状況調査結果ということで報告書を十月三日付で原子力局から出しておるわけでございますけれども、これを一読させていただきますと、非常にまだまだ調査が不十分である、またポイントを突いていないということでございます。そういうことで、今回これに関連してお伺いしたいと思います。  まず、昭和五十八年、五十九年に、この貯蔵ピットの中の廃棄物を調査、移転するということで予算がついておるわけでございます。ところが、ここで五十八年、五十九年の調査移転費の大蔵省に出したメモの中に、「屋外貯蔵ピットは、建設後十年以上経過しており老朽化が著しく、またドラム缶の腐食も発生して来た。このため、ドラム缶等廃棄物をピットより取り出し、健全な容器に詰替えた後不燃性固体廃棄物貯蔵施設へ移転する。」こういうことで、五十八年、五十九年とやってきたわけであります。  この結果はどういうことかといいますと、そのために、昭和五十八年度は三千百万円、五十九年度も三千百万円、こういうことで予算がついたわけですけれども、実際には点検口の取りつけ工事等をするだけで、ほとんどこれが使われていない。しかも、五年計画でこれはやる予定であったわけですけれども、調査も含めて二年でこの計画を中断をしている。これにつきまして、まず動燃から、どうしてこういうことになったのか、その理由を聞きたいと思います。
  44. 中野啓昌

    中野参考人 お答え申し上げます。  先生指摘のように、昭和五十七年四月に科学技術庁による使用状況立入調査がございまして、その結果といたしまして、事業団としては当該ピットの補修等に関しまして、昭和五十八年から五カ年で廃棄物を詰めかえ、移転を実施する計画として予算要求を行い、五十八年度、五十九年度の認可をいただいております。当初は、認可予算に基づきまして、貯蔵ピット内の廃棄物の調査をしまして、そして移転をするという計画を立てておりました。  まず五十八年でございますが、ピット内を点検いたしましたところ、予算要求をした時点に計画いたしましたよりもさらに状況を詳しく調査する必要があるということが判明いたしました。そして、その詳しい状況調査をもとに、工事方法の詳細検討が必要であるということが判明いたしました。  また、二番目といたしまして、前年科技庁による立入調査がございましたが、その際に、当該ピットの問題とともに、ウラン廃棄物倉庫に関してもいろいろ御指摘をいただきました。同時並行的 にそういう問題もあったわけでございまして、そのウラン管理状況の改善をまず優先させようということに途中で計画を変更いたしたわけでございます。  そして三番目に、当該ピットの廃棄物につきましては、さらに処理方法等十分な検討をしてから、見通しがついてから動かそうということになりまして、計画を変更いたしていったわけでございます。したがいまして、昭和六十年度以降の予算要求は一度断念いたした次第でございます。  以上でございます。
  45. 大口善徳

    ○大口委員 全然今のは理由になっていないですね。これはもう危険だということで、こういう形で予算をつけたわけですよね。それで二年で中断した、その理由は全然言っていないではないですか。答えてください。
  46. 中野啓昌

    中野参考人 お答え申し上げます。  ただいま申し上げましたように、当初五カ年計画の中で実施しようというふうに考えておりまして、調査に入りました時点で、もっと全体的に計画を立て直した上で実施をした方がよりよいだろうという判断に立ちまして、計画変更をしたということでございます。そういうことで計画変更、見直すということで、一度、二年で取りやめたということでございます。
  47. 大口善徳

    ○大口委員 それで、その後はどうしたんですか。計画を見直して、それでどうしたんですか。
  48. 中野啓昌

    中野参考人 六十年から平成元年に至る間は、全体としてこの廃棄物に対する対応策というのは、予算書を見る限りにおいては特にとっておりません。平成元年になりまして、ですから予算要求の時期は六十二年でございますか、この減容装置、後でまた予定がいろいろと変わるわけでございますけれども、具体的な減容装置の設計に入りまして、それらを総合した形の中で処理していこうというふうに当時は考えていたようでございます。
  49. 大口善徳

    ○大口委員 その減容装置というのはUWTFですか。
  50. 中野啓昌

    中野参考人 平成元年から始まったのは、UWTFの話でございます。
  51. 大口善徳

    ○大口委員 そのUWTFというものと連動させて計画を見直していくということですね。
  52. 中野啓昌

    中野参考人 当時はそのように考えたようでございます。
  53. 大口善徳

    ○大口委員 その次に、平成五年度から、今度は貯蔵ピットの改修ということで予算要求がなされているわけでございます。  この平成五年度で見ますと、「予算要求の考え方」の資料の中で、平成五年にこれは建屋の設計をする、そして平成六年で建屋の建設をする、平成七年、八年で改修し減容する、こういうふうになっているわけです。それで、先ほどの話でありますと、この減容というのはUWTFとの関係でどうなのか。この計画を見ますと、簡易なプレスで減容するということになっていますけれども、その関係はどうですか。
  54. 中野啓昌

    中野参考人 お答えいたします。  先ほどお答えいたしました、当時、総合的に考えていこうという考え方の中では、平成元年に始めましたUWTFとの関連を考えておりましたが、平成四年になりまして、要するに平成五年以降の予算要求をする段階になりまして、できるだけ早くこのピットの問題は処理しなければいけないということで、今先生指摘のように、平成五年からの予算、計画を立てたわけでございます。  その計画を立てた際には、UWTFの完成を待っておりますと、その中の平成五年からの計画では合いませんので、ピットの問題に関しては別の減容方策、減容方策として二つあるわけでございますが、UWTFのように大がかりな減容をいたしまして全体を五分の一ぐらいに減らすというやり方と、それからもうちょっと軽く、二十トンぐらいのプレスで全体の半分ぐらい、あるいは容積にして〇・五倍ぐらい余計に入るようなやり方があるわけでございます。平成五年からの計画は、実は後の方で申し上げた減容の方法を考えてスタートしたわけでございます。
  55. 大口善徳

    ○大口委員 そういうふうに後の方でもってやるということになったわけでありますが、これが変更されているわけですね。いつ、それはどういう理由でUWTFとの関係でやっていくのか、そのことについて。
  56. 中野啓昌

    中野参考人 平成五年に予算がつきまして、平成五年にいよいよ実施に入る段階で、事業所内で、具体的にこの計画をどう進めていくかという議論が行われたようでございます。  その際、今申し上げましたような簡易なやり方で減容しようかということを考えておったのですけれども、当時の所長の判断として、もう少し原点に返って全体的に考えたらどうだというサジェスチョンがございまして、平成六年になりましてから、この計画を平成九年にできるであろうUWTFと組み合わせた方がいいのじゃないかということで、もう一度そちらの計画に戻ったようでございます。そのあたりで計画変更になりまして、その後、平成七年、八年とたっていきました。  その後のことをちょっとついでに申し上げておきますと……(大口委員「いいです」と呼ぶ)はい。     〔委員長退席、穂積委員長代理着席〕
  57. 大口善徳

    ○大口委員 今のは全くきれいごとでして、平成四年に、これは早くピットを改修してやらなければいけないということで、簡易な方法でやる、こういうことになったわけでしょう。ところが、またUWTFというのが出てきた。それで先に延びるわけです。だから、緊急だと言っておきながら、延ばしていい。これは理由にならないじゃないですか。どうですか。
  58. 中野啓昌

    中野参考人 お答えいたします。  早急に対応しなければいけないという事情はありましたし、また、そういうことで予算もお願いしたわけでございます。  ただ、実際に実行に移す際に、UWTFの、何といいましょうか、予算化の実現性といいましょうか、そういうものも勘案しながら考えたようでございますが、早くということをもう少しなぜ真剣に考えなかったのかという御指摘に関しては、先生おっしゃるとおりだと思っております。
  59. 大口善徳

    ○大口委員 これはむしろ、科学技術委員会でも答弁していますように、この問題というのは、今、動燃でいろいろ問題があって注目されている、余りピットの上でいろいろ建屋をつくるとかいうことになると目立つ、だからそれを避けたいということで、緊急性はあったのだけれどもやはり引き延ばしたのだということじゃないですか。
  60. 中野啓昌

    中野参考人 お答えいたします。  先生今御指摘のような、当時、所長が、この工事をするに当たっては目立たないようにやるようにという指導をしたようでございます。聞き取り調査の結果、それがわかっております。このこと自体で延ばしたというふうには考えておりませんが、そういうことも、ある時期を見てやれということを意味したという意味では、そういう部分も入っていたかと思っております。
  61. 大口善徳

    ○大口委員 もう全くおかしいわけで、緊急だということで簡易でやっておく、ところが、この時点で、UWTFができるというのは平成九年度ですね。この平成六年の段階ではかなり先の話でしょう。だから、数年延びるということであるわけですね。そういう方向でいいということにした理由、これをUWTFの方がいいからというのはおかしいわけで、私は、目立つことはしたくないということ、これが理由だと思うのですが、どうですか。     〔穂積委員長代理退席、委員長着席〕
  62. 中野啓昌

    中野参考人 お答えいたします。  ただいまお答えいたしましたように、全体の計画というのは常に動いているという中で計画を立てたわけでございますが、そういうタイミングを見て工事をするようにという意味がそこに入っているとすれば、先生のおっしゃるような、そういうこともあったかなというふうに後では考えておるところでございます。先ほど申し上げたとおりでございます。
  63. 大口善徳

    ○大口委員 それで、変更になる。今度は建屋を平成八年度につくることにする、そして平成九年 度、UWTFが完成した段階でそれを減容処理する、こういうことなわけですね。ところが、平成八年度に建屋は建っていないのですね。この報告書を見ますと、なぜ平成八年度に建屋を建てなかったのかについて、調査の結果が全然報告されていないのですね。だから、科学技術庁の調査もおかしいと思うのですけれども、これは後ほど聞きますが、どうしてこれ、平成八年度に建屋を建てなかったのですか。
  64. 中野啓昌

    中野参考人 お答えいたします。  平成八年、建屋に着手すべく中の調査、詳細調査に入りましたところ、平成七年の終わりごろから八年の初めにかけてでございますが、ピット内に異常に水がたまっておりました。そこで、その八年当時、まずこの水を抜くことが先決だというふうに考えまして、予定を変更し、その水を処理するための小型の蒸発装置等を購入し、まずは水抜き取りの作業に先に入ったわけでございます。そういったことから、この建屋の計画その他ももう一度見直す形になりました。
  65. 大口善徳

    ○大口委員 この報告書にはそういうことを全然書いていないわけですよ。  それで、会計検査院の担当官が動燃にいろいろと聞きました。どうして平成八年度に建屋が建っていないのかと聞いたら、答えられなかった。答えられなかったということであるわけです。ですから、今言ったのは後で考えた理由であって、平成八年度に建屋を建てなかった理由ははっきりしない、実態はこういうことじゃないですか。そして、平成九年度も建屋は建っていない、建てていないのです。
  66. 中野啓昌

    中野参考人 ただいまお答えいたしましたように、平成八年度に、そういうことで、小型の蒸発装置を買って水処理をまずしよう。そして、実はそのUWTFの方の計画というのが、その後も予算との関連の中で毎年計画変更がされて後ろに延びていっておるわけでございますが、平成九年に至りまして、これは完全にUWTFとリンクさせようという形にいたしましたものでございますから、またそこでおくれたという結果になったわけでございます。平成九年にさらに、UWTFが平成十年以降に完成するということの計画の中に、もう一度計画をし直したといいましょうか立て直したといいましょうか、そういうことから、平成九年にも建てないで、現在実施はいたしておりますけれども、そういうことになってございます。
  67. 大口善徳

    ○大口委員 平成九年度、建てなかった理由はわからないね。もう一度言ってください、平成九年度になぜ建屋を建てなかったのか。
  68. 中野啓昌

    中野参考人 平成九年度の今回の問題ができるとき、この際に、UWTFができ上がりますのが平成十年度以降ということになりましたので、それに合わせて建屋を建設しようという計画を立てておりました。したがいまして、平成九年から十年にかけてこの建屋を建てるという計画に当時変更いたしておりました。
  69. 大口善徳

    ○大口委員 科学技術庁に聞きます。  これは報告書のとき一番問題なわけですよ、平成八年度、九年度、なぜ建屋を建てなかったのか。そのことが一言もここでその理由は出ていないのですね。だから私は、動燃は、建屋はもう最初から建てる気はなかったのだと。要するにこれは、予備費的に確保しようということで、ちょうどいいその器であったわけです。そう判断しているわけですけれども、科学技術庁はどうでしょうか。
  70. 加藤康宏

    ○加藤(康)政府委員 今御指摘の点につきましては報告書の中に確かに入ってございませんが、この業務状況報告書におきましては、ウラン廃棄物貯蔵ピットの予算執行問題に絡みまして、特に認可予算と執行が乖離していた、そういうことと、それから経緯につきましていろいろ調査をさせていただきました。本件に関する重要な事項につきまして調査したと思っておりますが、先ほど動燃事業団からも御説明ございましたように、水くみ等のために八年度につきまして建屋ができなかった、その話につきましては、今報告書には入ってございません。
  71. 大口善徳

    ○大口委員 長官、このことにつきまして、平成八年度、建屋のことについて全然報告されていない。これはおかしいと思いますが、どうでしょうか。
  72. 谷垣禎一

    ○谷垣国務大臣 私、この科学技術庁に参りまして、大口先生指摘になりましたように、まず最初に東海事業所へ行ったわけです。あの貯蔵施設を見ましたとき、最初の印象は、要するに、水などが出てまいりまして、中のドラム缶などが乱雑になっているわけですね。これがなぜ処理もされないままに、予算計上をされていながらそれが執行されないままに今日まで至っているのか、最初の第一印象は正直言って奇異な感じがしたというふうに、今まで委員会でも御報告申し上げているわけですが、そう思ってまいりました。  確かに、そこらの原因がはっきりされていかなければならないというのは、私は当然のことだろうと思っております。それで、私自身も、今報告書に出ていないのはおかしいじゃないかという御指摘、それはそうだと思います。  それで、私は、では今後どう改めていけばいいのかということで、一つは、これはこの問題だけに限らないわけでありますけれども、科学技術の進展全般にわたって、やはり科学技術庁の職員が現場をきちっと踏んで、自分の目で見てみるということが必要ではないか。もちろん動燃も、これは必要でございます。私は、科学技術庁に参りまして、まず指示をいたしましたことは、当庁の職員の目で動燃の全現場を見ろということを指示いたしまして、一次調査、全部の事業所にまだ及んでおりませんが、一次調査は一応終わっております。それから、二次調査を先日から着手をさせました。まだそのあたりの報告は全部きちっと検討が済んでおりませんけれども、現場を踏んだ上できちっとさせなければならない、このように思っております。
  73. 大口善徳

    ○大口委員 きょうは時間もないですから、これは引き続き決算委員会でもこの報告を受けてまたやっていきたいなと思っております。  会計検査院、こういう予算制度に対する挑戦的な動燃の態度、そしてまた原子力の安全に対して非常にゆゆしき問題、この流用問題について、どういうふうに会計検査院長は認識をされているか。  それから、こういう問題については、ちゃんと報告書にこれは特定検査状況ということで掲記をすべきである、こういうふうに考えますが、いかがでしょうか。簡単に、時間がないですから。
  74. 小川光吉

    ○小川会計検査院説明員 まず、本件に対する認識でございますけれども、動燃の予算につきましては、法令によりまして、国の予算の執行に比べまして流用等弾力的な運用が認められているところでございます。それで、今回の予算の執行について見てみますと、法令等で認められた範囲であったということの心証を得ておるところでございます。  しかしながら、長年にわたりまして認可予算と執行とが乖離している事態、また、予算の要求も実態を反映していない事態、こういうことにつきましては問題であるということで、現在検討を重ねているところでございます。  以上でございます。
  75. 大口善徳

    ○大口委員 特定検査状況について、院長、これは掲記すべきであると思いますけれども、どうでしょうか。
  76. 疋田周朗

    ○疋田会計検査院長 ただいま担当局長から御説明申し上げたところでございますが、検査結果につきましては、現在、事務総局で鋭意取りまとめを行っているところでございまして、その結果がまとまり次第、検査官会議におきまして最終的に検査報告に掲記するかどうかという判断をしてまいることになろうかと考えております。
  77. 大口善徳

    ○大口委員 長官、どうぞ。ありがとうございました。  次に、特養の問題についてお伺いをいたします。  彩グループのこういう問題、丸投げというような問題で、会計検査院としても注目をしているわけであります。そういうことで会計検査院として 実地検査をされた、こういうことで、六月に中間報告も出ております。それについてどうなっているか。  それから、彩グループの関連施設について、これは建築工事の契約について、一括下請と二重契約、これもその報告書の中にあって、約二十六億円近い差益を受けているわけですね。そういうことで、これについて、これは不当事項として指摘をすべきであるというふうに考えていますが、会計検査院としてどう考えているか。そして、国庫補助金、そしてまた社会福祉事業団融資の繰り上げ償還、この金額についてどう考えているか、お伺いしたいと思います。
  78. 諸田敏朗

    ○諸田会計検査院説明員 お答え申し上げます。  平成九年時におきまして、北海道ほか十五都府県におきまして、主として社会福祉法人を設立して特別養護老人ホーム等を創設しました施設整備事業のうち、六年度から八年度の間に完成した施設、これは約二百五十施設でありますが、その中から六十施設を選定し、検査を行ったところでございます。  なお、彩福祉グループの施設につきましては、埼玉県の六施設、山形県の二施設、計八施設全部について検査を実施したところでございます。  次に、彩グループにおきまして一括下請や二重契約の事態があるということで、これについて不当事項として指摘するのかという御質問でございます。  これにつきましては、現在の時点におきましては、建築工事等の契約において彩福祉グループが関連する会社を介在させるなどして生じた差益につきましては、全額が不適正なものであり、国庫補助金または事業団貸付金の対象事業とすることは認められないと考えております。したがいまして、差益の全額を控除した事業費を対象事業費として、国庫補助金及び事業団貸付金に与える影響を事業別に修正計算しまして、過大な交付または過大な貸し付けと認められたものにつきましては、不当事項として指摘することになるものと考えております。  ただし、現在、検査結果の取りまとめ中でございまして、事務総局内におきましてさらに検討を行っております。その結果、検査官会議で平成八年度決算検査報告に掲記するかどうか決定されることになっているということでございます。  それから、今回、もし不当事項として指摘した場合のその金額について、その処置をどうするかということでございますけれども、返還等の措置につきましては厚生省あるいは社会福祉・医療事業団等が対応することになると思いますので、会計検査院から現段階においてお答えすることは控えさせていただきたいということでございます。
  79. 大口善徳

    ○大口委員 では次に、彩グループ以外に、六十施設、これについて検査をされて、問題となる施設数、それからその契約工事等の態様、類型、そしてそれを不当事項として指摘するのか、そしてまた、その各金額についてお伺いしたいと思います。
  80. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 簡潔に。
  81. 諸田敏朗

    ○諸田会計検査院説明員 お答えいたします。  現在の時点におきましては、建築工事等の契約におきまして二重契約などが行われたと考えられるものが二施設、補助金や貸付金の精算が適切でなかったと思われるものが三施設ございます。これらにつきましては、過大な補助金の交付や過大な貸し付けと認められたものにつきましては、先ほども御答弁いたしましたのと同様に、不当事項になるものと考えております。  なお、金額につきましては、現在精査しているところでございますので、答弁は控えさせていただきたいと思います。
  82. 大口善徳

    ○大口委員 厚生省に聞きます。  今会計検査院から、彩グループについて、これは不当事項と指摘する予定になっている、こういうことであります。そうなってきますと、これは国から県に補助が行き、また県が各法人に行っているわけですから、国が県に対し補助金の返還を要求することになります。そうすると、県は法人に対して返還を要求することになります。また、社会福祉・医療事業団においての貸し付けば繰り上げ償還、こういうことになります。  そうなってきますと、彩グループ関連の八法人、経営者も一新して新体制になった。また、もう事業も全施設が始まっている。それから、入所者もいる。入所者の不安。それから、経営者はこれは全く新しい、善意でもってやっている方々、こういう方々がいる。こういう中で、新聞報道されてまいりましたので相当不安になっておると思うのですね。これについて、やはり不当事項ですから返還すべきは返還する、また繰り上げ償還すべきものは繰り上げ償還すべきだ、それはきちっとした上で、こういう今の、事業を継続している八法人についてもどういうことを厚生省で考えているのか、お伺いしたいと思います。
  83. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 お答えを申し上げます。  先生今御指摘ございましたように、もし会計検査院の方から、国庫補助金等につきまして過大な交付になっているということで不当事項としての御指摘をいただきましたら、そのことにつきましては、大変遺憾なことでございますし、私どもも厳粛に受けとめて対応していかなければなりませんし、そのところは、一般論として言えば、やはり補助金等の適正化法に基づきまして返還の措置というようなことを講じてまいらなければならないと思っております。  しかし、その具体的な返還手続あるいはやり方等につきましては、先生指摘のございましたような、それぞれの施設につきましては言ってみれば地元の大変な期待があってできた施設でございますし、現にも、その地域におきまする老人福祉等の点について大きな役割を果たしております。そしてその後、私どもも、この事件を契機にいたしまして全国的に適正化の措置をいろいろ講じますと同時に、この当該法人につきましても、実質的に別法人になるように役員構成を全部入れかえるという形の中でやっておりますので、そういった地元民の不安ということに対しましても十分配慮をするように配慮をしながら具体的には進めていきたいということを考えております。  結論的に申し上げれば、先生が今おっしゃったようなことを十分配慮しながら進めていきたいというふうに思っております。
  84. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 この件について、原田政務次官、いいですか。
  85. 原田義昭

    ○原田(義)政府委員 今局長が答弁したとおりでございまして、失いました信頼を一日も早く取り戻すように、きちっと返還ないしは支払いをさせる。  あわせて、実際には五百人以上の方がお世話になっておるわけですから、そういう方々に御心配が及ばないようにやりたいというふうに考えております。
  86. 大口善徳

    ○大口委員 草川委員に御了解を得て、あと一点お伺いをしたいと思います。  平成九年の四月十日、決算委員会で、私は、年金の行政事務効率化についてお伺いをいたしました。年金の行政事務について、要するに偶数月十五日に年六回支払い通知が行われている、こういうことである、このコストが百億である、年金全体から見ればその百億というのは小さい額かもしれないけれども、大体、英、米、独は年に一回の通知で済ませている、そういうことで年一回にすべきではないか、こういう提案をこの四月十日にさせていただきました。  それに対して厚生省でどのように対応されたのか、そしてまた、そのことによってどれぐらいの削減効果があるのか、それをお伺いして質問としたいと思います。
  87. 原田義昭

    ○原田(義)政府委員 年金の支払い通知は、関係法令に基づき、現在年六回、支払いの都度受給者に送付をしておる状況でございます。  今委員からお話がありましたように、ことし四月の委員会でその旨の指摘がありました。  私どもも、委員指摘一つのきっかけとしまして、事務処理全体の効率化を図る、さらには財政を切り詰めるというような観点から、年一回に 簡素化するということにつきまして、来年度から、具体的には十年六月の実施をめどとして、現在関係省庁、具体的には大蔵省、郵政省等と最後の詰めを行っておるところでございます。前向きに取り組みたいと思っております。  経済効果の点は、委員指摘されましたように、百億今かかっておるところを、その五分の四ぐらい、七、八十億の大きな経済効果があるというふうに認識しております。
  88. 大口善徳

    ○大口委員 以上で終わります。
  89. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 大口善徳君の質疑を終わります。  次に、草川昭三君。
  90. 草川昭三

    ○草川委員 草川であります。  日本の総医療費は平成七年で約二十七兆、薬剤費は二八%、七兆五千億になったと言われております。  本日は、全国の四十二の国立大学の附属病院の医薬品の入札価格問題を取り上げてみたいと思うわけであります。  私の調査では、薬剤の購入に当たって、一品目、一つの薬ですが、年間千四百万円以上の薬剤は、九七年度で百二十九品目です。前年度からも同じように千四百万円以上のものがあるわけですが、それは、発表されておるもので百一品目あります、千四百万円以上の購入。  これを前年度と比較をしてみますと、薬価というものと国立大学附属病院が落札をした価格との差がだんだん縮まってきているわけです、縮小しているということがわかるわけです。つまり、薬の値段、これは厚生省が決めるわけですが、薬価に対して安く購入できていないということがわかるわけです。これはもう統計的ではなくて、全体の流れでこれが出てくるわけです。  平成八年の四月に、薬剤費は医療費ベースで二・六%下げました、これは厚生省が。それから平成九年の薬剤費は、消費税の二%アップがありましたので、その二%アップ分を高くしまして一・四%アップしまして、また薬価を下げましたので、差し引き薬価は三%下がっているわけです。しかし、国立大学附属病院の薬剤の購入は、前年度より購入価格が値上がりをした品目が五十六品目あるんです、値上がりをしたのが。薬価が下がったにもかかわらず高く買っているというのが五十六品目あります。  国として薬剤費を抑制をし、それを推し進めなければいけないという方向が国会でも議論されておるわけです。国立大学、四十二校ありまして、トータルで大体九百二十億ぐらい薬剤を購入していますが、言うところの国立大学の役割というのは、薬価に対してもプライスリーダーとしてという役割があると思うのでございますが、なかなか他の医療機関に比べて高く買い過ぎているという問題があります。  例えば、これは公立病院等々に比べてみるわけでありますが、一般論でありますけれども、公立病院は大体薬価に対して二〇%引きで購入しております。民間の医療法人は二三から二五%引き、国立病院でも大体八%、九%、一〇%、一二、三%引きというところで納入をさせているようであります。  競争入札でやっておるんですけれども、これは名ばかりで、薬剤費の実勢価格の押し上げに国立大学の附属病院は一役買っているのではないだろうか、行財政改革が叫ばれている今日、文部省の姿勢が問われているのではないかということがきょうは言いたいわけです。  そこで、今から具体的な問題点を二点取り上げて大臣の見解を問いたいと思うのです。  二十二の国立大学病院が購入をしました抗生物質フルマリンというのがあります。これは抗生物質ですが、一グラム物十瓶入っているのが一箱になっています。これと、がんの薬ですが、腫瘍用剤でユーエフティという薬があります。一箱百二十カプセル入りです。この二つの例を取り上げます。  フルマリンの落札をした納入業者ですが、これは卸といいますが、二十二の大学に対して十七の卸があります。これは、北海道から九州までそれぞれ卸問屋は違うわけです。それで、それぞれの地域で入札するのですが、何と、落札価格は全部一本なんです。同じ金額なんです。同一価格で落札している。  もう一つの、ユーエフティという薬があります。これは十の大学が買っておるわけですが、千四百万円以上購入しておるわけですが、九社が、北海道から九州までそれぞれ違う卸売業者九社が、これも全く同じ、同一価格で落札をしている。おかしいでしょう。  ここで文部省にお伺いしたいわけですが、フルマリン静脈注射、フルマリンというのは静脈注射です。抗生物質。全国の大学病院の購入額でこれは六番目にたくさん買っているんです。六番目に多い量を買っているんですが、二十二大学で落札価格は幾らになっておりますか。一グラム十瓶、これはどんなことになっていますか、お伺いをしたいと思います。
  91. 小野元之

    小野(元)政府委員 御指摘のございましたフルマリン静脈注射一グラムでございますが、落札価格は二万二千三十一円七十銭でございます。
  92. 草川昭三

    ○草川委員 それは全国の、私ども事前にいただいた資料では、全部でこれは十九というのが平成八年度、平成九年度が二十二、こういう数字になっておりますが、同一価格かどうか、もう一回念を押したいと思います。
  93. 小野元之

    小野(元)政府委員 先ほど申し上げましたのは平成八年度でございますが、平成九年度が二万二千三百六十五円〇〇銭でございましく御指摘のように、二十二大学で同一価格になってございます。
  94. 草川昭三

    ○草川委員 同一価格ということは今認められたわけですが、ちなみに、昨年度の平成八年にフルマリンを千四百万円以上購入した大学の数は十九と聞いております。二万二千三十一円七十銭の同一価格で落札をしているのではないかと思うのですが、その点はどうでしょう。
  95. 小野元之

    小野(元)政府委員 御指摘のとおりでございます。
  96. 草川昭三

    ○草川委員 そこで文部大臣、せっかく、本当にお忙しいところを来ていただいて恐縮ですが、公正取引委員会はことしの一月に、国立大学が平成六年度及び七年度に入札をした麻酔剤があるのですが、これの入札価格を決定することに対してカルテルをやったのではないかと、国立大学向けの納入価格を引き上げていた会社六社に対して、独禁法違反として排除勧告を行っているのです。  私がきょう取り上げるのとこれは必ずしも一致はいたしておりませんが、大臣、よく聞いていただきたいのです。この文部省から私もいただいた資料を見ますと、入札をする、そして開札をしますね、オープンにしますね、これは全部四月に集中しているのです。これは、集中するのはいいのですよ。それは、集中しているからこそ問題があると私は思うのですが、落札業者もそれぞれ全国に散らばっている。一社じゃないわけです。それで、その二十二大学に一円の相違もなく入札がされ、落札をされているということに不自然を感じないのかどうか、これは一度よく調べてもらいたいと思うのですが、大臣、どうでしょう。
  97. 町村信孝

    町村国務大臣 草川委員指摘のとおりに、医療費の抑制といいましょうか、どんどん膨張していく現状に大変問題があるということは政府全体で認めておりますし、小泉厚生大臣もかねてよりそのことは言っております。  そういう認識のある一方で、今委員が言われたように、ほとんどの、数多くの大学で同じ価格だというのは、これは私が余り――今委員の言われた事実だけを前提にするならば、これはいささか独禁法上問題があるのかなという率直な印象を持つことは事実でございます。
  98. 草川昭三

    ○草川委員 大臣、ぜひ調べていただきたいと思うのですよ。  それで、多分、官房長は、裸で、消費税を外せば同じ金額で購入しておるよということを答弁をされるのではないかと私は予想しているのです。この薬については、文部省は、消費税を除くと裸で九十円ぐらい下がっているよということを言いたいと思うのです。そうでしょう、多分そういう ことを言いたいと思うのですが、私の調べるところによりますと、薬価は、この薬は六百五十円下がっているんですよ、絶対価格で。六百五十円下がっているわけですから、本来ならば六百五十円下がったところで落札をしたっていいじゃないか。しかし、残念ながら、裸で、消費税を取ってマイナス九十円ですか、それで購入しているという、これは数字は間違いないことですから、多分お認めになると思うのです。  六百五十円の差があるのだから、もっとたたけばいいじゃないかということを私は言いたいわけですね。特に、国立大学というのは本当に、プライスリーダーというのですか、大体、大学の価格を見て、右へ倣えで全国へずっと流れていくわけですから、そういうようにしてもらいたいと思うのです。要するに、高い買い物をしておるのではないか。  ちなみに、これは国立大学の問題を今言いましたが、全国の公立病院というのがあります。市立病院、市民病院、これは全国で九百九十あります。これは共済会をつくっておりまして、納入価格をテキストにして送っているのですよ、全部で三千品目ぐらいの。これを参考にして全国の公立病院は薬を購入するのでありますけれども、この薬については、納入価格は一万九千七百四十円で買っておるのですね。フルマリンですね。随分これは一生懸命交渉をしておるわけですが、対薬価からいきますと八〇・八%、マイナス一九・二%で買っておるわけです。いかに大学の購入価格が高いか、同じ薬ですよ、全国の市民病院で買っている値段と比べて。  ちなみに、ほかの民間医療機関なんかに聞きますと、いや、これは我々も購入しているんだが大体マイナス二二、三%だ、こう言っております。  時間が短いので、もう一つ、テガフール・ウラシル・ユーエフティという薬、これも、それぞれ全国で卸が違うのでありますが、価格が四万七千九百九十四円九十一銭で一本のはずです。これも一本なんです。そうでしょう、そこだけちょっと。
  99. 小野元之

    小野(元)政府委員 その点については、御指摘のとおりでございます。
  100. 草川昭三

    ○草川委員 要するに、一本で購入しておみえになるということなんです。  それで、ちなみに厚生省にちょっとお伺いしますが、平成八年度においてこの千四百万円以上の政府調達を行ったフルマリンの静注用とユーエフティという薬について、どのような落札状況でありましたか。同額で納入しているのか、落札しているのか、お伺いしたいと思います。
  101. 小林秀資

    小林政府委員 お答えをいたします。  国立病院で購入している価格につきましては、同じ価格にはなっておりません。
  102. 草川昭三

    ○草川委員 国立病院は一本になっていませんという答弁をしておるわけです。  それで、国立大学附属病院の方は一本で、これは今、二品目を例に取り上げたのですよ、二品目だけ。一本なんです。これはどう考えても私は納得できないから、こういう問題提起をしておるわけですが、検査院さん、どうですか。国立大学病院において同一薬品の購入価格が前年度より高くなっておる、しかも公立病院と比べて高価となつている例があるわけですが、こういう事態に対してどのような関心を払われるか、お伺いしたいと思います。
  103. 疋田周朗

    ○疋田会計検査院長 お答え申し上げます。  国立大学附属病院の経理につきましては、従来から重点的に検査に取り組んできているところでございます。  ただいまの御議論を拝聴いたしておりましたわけでございますが、委員指摘の点につきまして十分留意しながら、今後の検査に当たってまいりたいと考えております。
  104. 草川昭三

    ○草川委員 もうあと時間が一分か二分しかありませんから、これは最後に大臣にお伺いしたいと思うのです。  このフルマリンの購入価格を国立大学病院と自治体病院で比較すると、一箱当たり二千六百二十五円国立大学病院の方が高いんですよ、公立病院の方と比較しますと。平成九年度にフルマリンを千四百万円以上購入している大学の附属病院は、全国で二十二あります。合計二万八千三百六十一箱買っているのです。自治体病院より二千六百二十五円高く購入しているわけですから、その差額は七千四百四十四万七千六百二十五円になるわけです。単品で、一つの薬だけで、約七千五百万円も高く買っている。これは問題だと思うのですね。しかも、これは千四百万円以上ですから、一千万円とか五百万円買っておる大学附属病院はずらっとあるわけですから、ここはまだ調べていませんからあれですが、一億円以上の差額になっていくんじゃないかと私は思うのですよ。  それから、同様にユーエフティという薬を比較しますと、これも全国の大学で十あるわけです。購入数が四千九百六十七箱あります。自治体病院との差額が二千七百二十六円八十五銭あるわけですから、これもその箱数を計算すると、千三百五十四万四千二百六十三円九十五銭も高く買っているということになります。これは十の大学だけです。ですから、これも、千四百万円以下の購入した大学の数は含まれておりませんから、もっと大きくなると思うのです。  行財政改革が叫ばれている今日、購入方法に改善の余地が私はあると思うのです。しかも、きょう私が指摘したのはフルマリンとユーエフティのわずか二品目だけですから、二品目だけでもこれだけの違いがあるわけですから、文部大臣大臣は行財政改革を標傍する橋本内閣の有力な一員ですから、実態調査の上改善をすべきと思いますが、大臣の見解をお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。
  105. 町村信孝

    町村国務大臣 医療費全体の問題もありますし、また国立大学の会計といいましょうか、国立学校特別会計に一般会計からの繰入額を、現在参議院で御審議をいただいております財政構造改革法案の中でも、向こう三年、前年を上回らないという大変厳しい内容のものになっております。それだけに、国立大学全体にとりましても、もしこの購入価格が少しでも安くなるならば、その分国立大学全体としての経理がやりくりがしやすくなるという意味で、私どもも重大な関心を払ってまいりたい、こう思っております。  今委員指摘のとおりでございますが、ただ、入札ということになりますと、その中で一番、予定価格の中で一番低いものということでありますから、これは、随契だとなぜこの価格がいいのかというのが問題になりますが、入札の場合ですと、ある意味ではやむを得ない面もあるのかもしれません。しかしながら、今御指摘のとおり、すべてそれが同じだということになりますと、私ちょっと、さっき申し上げたように独禁法上の問題ありやなしやということもありますので、そうした点は関係機関ともよく相談をし、厚生省あるいは公正取引委員会に相談をして、今後きちんとした対応を検討してまいりたいと考えております。
  106. 草川昭三

    ○草川委員 以上で終わります。
  107. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 草川君の質疑を終わります。  次に、葉山峻君。
  108. 葉山峻

    ○葉山委員 民主党の葉山であります。  私の住んでおります藤沢市のちょうど北側に米海軍の厚木基地がありまして、夜間離発着訓練、NLPが行われております。神奈川県知事や大和、綾瀬、相模原、横浜の市長、私も近隣の市長として、知事と近隣の市長で、防衛庁、防衛施設庁あるいはまた外務大臣、総理大臣、そしてアメリカ大使に、毎年この厚木基地の夜間離発着訓練をやめてほしいということを強く申し入れして今日に至っております。  そういうこともありまして、その大体九割以上が代替地の硫黄島に移転して行われているわけでありますが、いまだ、厚木でまだ八十回、それから横田三十回、三沢十回というようなNLPが行われていることは御承知のとおりであります。  硫黄島におけるNLPの施設整備は、これまでに、当初整備として平成元年から四年までの間に百六十七億円、その後追加整備として平成六年度から八年度に九億円となっておりまして、合計百 七十六億円。  そこで、まず伺いたいのは、この総額百七十六億円でどんなものをつくったのか。また、平成八年度は一億一千八百万円でありますが、その内容は何であるか。このことをまず御説明いただきたいと思います。
  109. 萩次郎

    ○萩政府委員 今までの総額百七十六億円のうち、灯火施設等滑走路関連施設ですが、これが約二十八億、それから給油施設十六億、給水十五億、それから士官宿舎、二棟ですが、三十五億、下士官宿舎、やはり二棟、二十五億。大きなところは、あと、厚生施設六億、貯油施設七億等々でございます。  ただいまお尋ねがありました八年度、これは、米側からNLPをやるに際してぜひとも追加をしてもらいたいという申し出がありました非常用灯火施設、これの経費でございます。
  110. 葉山峻

    ○葉山委員 この施設整備費の内容費用の内訳を出していただこうといたしましたが、なかなか出てこなかった。木曜日の午後請求したのに、さんざん待たされまして、ようやくこの紙一枚が出てきただけであります。金額も、予算と決算額だけで、個別の施設費用は全く出ない、こういうことであります。そんなに出し渋る理由は何なのかというふうに思ったわけでありますが、このことは、きょうは時間もないのでこれ以上追及はいたしません。  ただ、会計検査院長もいらっしゃいますので、会計検査院はこういうものの経費の検査をきちんとやっていただきたいと思います。とりわけ米軍へのいわゆる思いやり予算は、額も莫大だし、使途もわかりにくいものでございますから、細かく調べていただきたいと思います。  次に、いわゆる思いやり予算、いわゆる地位協定二十四条の拡大解釈によりまして、初年度、昭和五十三年には総額六十二億円でありましたが、それから始まって、毎年膨れに膨れまして、今年度予算では、平成九年二千七百三十七億円、こうなっております。膨らませる過程で、ついに地位協定二十四条の拡大解釈だけではできなくなって、昭和六十二年からは特別協定を結んで思いやり予算を追加してきたところであります。  平成七年九月の新特別協定、第三次によりまして、日本側の要請で訓練を移転する際は日本側が経費を肩がわりすることになりました。平成八年度予算から、新たに訓練移転費項目ができたわけであります。  米軍厚木基地所属の空母艦載機の夜間離発着訓練、NLPを硫黄島で実施させるための経費、これが平成八年度で三億五千百万円、それから九年度で三億五千百万円、こういう数字が挙がっておるわけでありますが、これは具体的にどういう経費でありますか。お答えをいただきたいと思います。
  111. 萩次郎

    ○萩政府委員 平成八年度三億五千百万の内訳でございますが、まず、厚木におります艦載機が硫黄島まで飛行する経費、これが約一億八千万と一番多うございます。あと、人員、物資の輸送費約七千万、光熱水料約一千万、それから給食、宿舎の管理サービス、これが八千四百万。あともろもろを含めまして、三億五千九十八万五千円という数字が平成八年度でございます。  平成九年度の予算額におきましても、ほぼ同様の傾向でございまして、大きな変動は予定されておりません。
  112. 葉山峻

    ○葉山委員 今後こういう大規模な共同演習などがふえると、この額は上限ではないのでさらにふえるのかどうか、その点のお答えをいただきたいと思います。
  113. 萩次郎

    ○萩政府委員 この特別協定に基づきます訓練移転費というのは、日本側の事情によって、硫黄島の場合には厚木の周辺の方々の騒音被害を少しでも軽減したいということで、日本側から米側に訓練の移転を要請をしたというものでございます。したがって、そういうことで日本側から要請をするというものが出てきますれば、その分について予算手当てをするということでございます。  例えば、現在いわゆるSACO経費ということで本体経費とは別枠でございますが、沖縄の一〇四号線越えの実弾射撃訓練、これを本土へ移転をしておりますが、こういうふうに地元沖縄の負担軽減ということでこちらから依頼したような経費というのは、今後負担することになると思います。
  114. 葉山峻

    ○葉山委員 ところで、これだけの巨費を投じて硫黄島に設備をつくったのに、厚木の飛行場の代替飛行場の最適地は三宅島だ、私もちょうど市長をしておりまして、去年まで伺ったところでは、再三そういう御説明を防衛施設庁はされているわけであります。予算も調査費の名目でいまだに毎年計上しております。もう一度硫黄島と同じものをこの三宅島につくり直すのはいかがなものかというふうに思うわけでありまして、むだ遣いというものであるというふうに思います。新たにつくれば、自衛隊基地も利用する形でつくった硫黄島のNLP施設よりもはるかに建設費はかさむはずでありまして、財政再建が叫ばれているときに、新たに何百億円もの税金を投ずるべきではないというふうに思うものであります。  ところで、三宅島の調査費、昭和五十八年度から平成九年につきましては、合計して十五億八千六百万円出ております。気象観察施設を工事強行しようとしていた昭和六十二年から平成元年は毎年三億円以上の予算を計上しているわけでありまして、平成元年度予算においては、調査費と工事費が三億八千百万円に達している。昨年度と今年度予算は、平成八年度予算の調査費が二千四百万円、平成九年度予算の調査費が二千五百万円と少なくなってはおりますけれども、この使い道は具体的に何か、これを知りたいと思うので、簡単に御説明をいただきたいと思います。
  115. 萩次郎

    ○萩政府委員 先生御承知のとおり、私どもは、最終的には三宅島に艦載機訓練もできる官民共用の飛行場ができればということで考えております。現在も考えております。  と申しますのは、硫黄島、もともと航空自衛隊、海上自衛隊の訓練基地でありまして、暫定的ということで米軍のNLPの実行もできるようにしたわけでありますが、何せ千二百キロと遠いということ、三宅島までは百五十キロということで、三宅島をやりたいということであります。先生お話がありましたように、昭和六十二年、六十三年、平成元年ということで調査工事を行って、飛行場の実施に当たりたいと思っておりましたが、地元の情勢もあり、それが中断をしているという状況でございます。  現在、金額が減って二千四、五百万を毎年お願いをしておるのですが、この中身は、現地に三名防衛施設庁の職員を駐在させております。行ったり来たりは当然いたしますので、その者たち事務費、部屋の借り上げとか光熱水料、それから職員の旅費、そういったものがこの二千四百万、二千五百万の中身でございます。
  116. 葉山峻

    ○葉山委員 お言葉ですが、私も毎年聞いているのでありますが、三宅島にもう一つつくることは必要ないというふうに思いますし、税金むだ遣いであるというふうに思うものであります。額として二千五百万というのは大きい数字ではないかもしれませんが、この調子だと、これからも毎年だらだらと計上してむだに使われていくのではないか、やはりこれはもうきっちりとやめるべきだ、このように思います。  厚木飛行場でのNLPは、先ほど申し上げましたように八十回、二・八%に減ったとはいえ、まだ年間八十回行われておりまして、住民は受忍の限度を超えている。私もおととい硫黄島に行ってまいりましたが、硫黄島では大体朝の三時ごろまで演習をしている。司令官も、やはりちょっと夜眠れないですよとおっしゃられておりましたけれども、少なくとも厚木は、その周辺を含めると約百万の人口がありまして、それが夜九時、十時まで轟音とともに離発着訓練をするということにはまさに耐えられない思いがしているわけでありまして、何とかこれをよそに持っていってほしい。  こういう百万都市の真ん中にそれだけの飛行場があって離発着を繰り返すというような例は、恐 らく世界じゅうどこを探しても、アメリカは国内はもちろんでありますけれども、ないことだというふうに思うわけでありまして、そういう意味では、減ってまいりましたけれども、これから一切この厚木の飛行場での離発着訓練はやめてもらいたいというのが周辺住民の切なる願いであります。この周辺住民が騒音と事故の恐怖に苦しんでいるわけでありまして、そういう意味で、大規模な、またそういうことでのこの演習をぜひとも中止してほしいというのは周辺住民の切なる願いでございます。  また、大和の市長を初め周辺の市長から強く希望が出ておりますのは、毎年五、六月に航空ショーというのを米軍は行うわけでありまして、編隊を組んでショーを行う、これがまたやかましいんでありまして、即刻中止を要請しているわけであります。米軍は、大勢見に来るというようなこともあるんでありましょうが、なかなかこれは中止しないということであります。これも周辺住民の、自治体の意向をしっかりと受けとめて防衛庁長官は対処してもらいたいと思いますし、米軍に対して強くこれは要請してほしいと思うわけであります。  以上、希望を付しまして私の意見を終わります。防衛庁長官お答えをいただきたいと思います。
  117. 久間章生

    ○久間国務大臣 NLPを厚木でやることにつきましては、私どももあそこが大都市の真ん中であるというのは十分認識しておりまして、そのために、その代替として三宅島を計画しておったわけでございますけれども、御承知のとおりなかなか賛意が得られずに、現在延び延びになっております。  そのために硫黄島でやっておりまして、私も硫黄島まで行ってまいりました。残念ながら私が行きましたときは硫黄島は夜の訓練ができませんで、ちょうど台風の後でございましたので昼だけでしたけれども、かなりの訓練をやっておりました。  そういう意味では厚木はかなり減ってきておるわけでございますが、どうしても千二百キロという遠い距離にあるということと、とにかく空母が出発する直前の訓練をする場合に、その近くでやらなければならないということで、どうしても厚木での訓練を一〇〇%やめることができない、そういう中で、今委員がおっしゃられたような問題が残っているのは私どもも十分承知しております。できる限りこれから先も回数を減らしていこうと思います。  そして、三宅島については、これはまた考え方の違いかもしれませんけれども、ほかにかわるべき場所がないものですから、また、三宅島自体にも長い滑走路の飛行場がありませんと、これから先、今度YS11もだんだん退役していくという話を聞いておりますだけに、どうするのか、そういう問題も起きてきておりますので、そういう中で、これは引き続き私どもはやはり調査をしていきたいと思います。  それから、今言われた航空ショーの問題は、一義的にはこれは外務省でございますが、私どもの方からも外務省と連絡をとりながら、やはり今言われたような話は私どもも伺っておりまして、たくさんの人が来るのは事実だけれども、地元の地方自治体自体が余り歓迎してないぞという話はしょっちゅう伝えておるわけでございます。これから先もまた、努力をしていこうと思います。
  118. 葉山峻

    ○葉山委員 お答えでありますが、ぜひ実現をしていただきたいと思います。  最後に、三宅島は、私はもう無理だ、できないと思います。あきらめてください。  以上です。
  119. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 葉山峻君の質疑を終了いたします。  次に、佐々木憲昭君。
  120. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。  農林関係公共事業の問題を中心にお伺いをしたいと思います。  この問題では、各方面からむだ遣いが多いんじゃないかということが指摘をされておりまして、まず確認したいのですけれども、農林水産関連予算の中で公共事業の占める比率、これを八二年、それから九〇年、九七年、この三つについてまず最初に確認したいと思います。
  121. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 お答えいたします。  八二年が三九・九%、九〇年が五一・九%、九七年度が五四・六%であります。
  122. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 ただいまお伺いしたように、公共事業の比率が毎年毎年高まっているということであります。しかも、補正後も含めますと、例えば昨年度は五八・三%、約六割というふうになっておりまして、全体で約二兆円、こういう状況でありますので、大変比率が高いわけであります。  ところが、総務庁の行政監察局が出しました「大規模な農業基盤整備事業に関する行政監察結果報告書」というのがございまして、この中を見ますと、多くのむだの事例というのが出ております。  例えば「計画で見込んだ効果が十分発現していない」とか、あるいは「地元負担額は第一回計画変更時と比べても、約七倍となっている。」とか、あるいは「当初から実現可能性が乏しい予定工期を設定している」とか、いろいろ指摘があるわけです。  具体的な内容については時間の関係で立ち入りませんけれども、日本の農業は、一方で輸入自由化が進みまして、それから新食糧法が施行される、そういう状況の中で、最近米価が暴落をして、農家が大変な状況であります。ところが、農家自身が今求めているのは、所得補償や価格の下支えというのを求めているわけですけれども、残念ながら農水関連予算が、そのために使うよりもむしろ公共事業の方に、以前は三割台だったのが今は五割、六割というふうに大変高い比率で使われている。ここに私は非常に重大な問題があるのではないかと思うわけであります。  農水大臣にぜひ、この点にメスを入れて転換をするというお気持ちがおありかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
  123. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 ここのところ、公共事業というのは大変評判が悪いわけであります。  例えば当省の公共事業も、私、就任以来すぐ調べてみたところですけれども、いわゆる公共事業と言われるものを除いて、例えば、国民ひとしく求める緑の造成とか、あるいは災害の際の災害を未然に防ぐ等の災害防除あるいは事後処理、あるいは漁場整備等も含まれております。今申し上げた数字に誤解があるといけませんから申し添えますと、これをもしやりますと実は約一〇ポイント数字が減少をいたします。具体的な数字も出ておりますから、お望みならお答えいたします。  さて、今お話がありましたように、確かに農林、水産、漁業、それぞれのお立場の方は、価格のいわば下支えとか、あるいは所得の補償とか、もう現実が大変厳しいですから、いろいろお求めになることは事実であります。  しかし、その一方で、御存じのとおり、日本の農地面積一つ例にとりましても、いわば国際比較では大きく見劣りするわけであります。前にも私は申し上げたことがございますが、例えばドイツあたりでも日本の十九倍、フランスが二十三倍、イギリスは四十五倍、アメリカは百二十七倍でありまして、もう全く比較にならない、けた違いの規模を実は誇っておりますし、しかも、日本の場合には八割が山で、急峻な山地等を開拓した部分もございますので、効率的にも非常に何かそれを上げにくい環境にあることは御存じのとおりであります。  そこで、農村の実態でありますが、この経営規模が小さいという面とあわせまして、生活環境の整備が著しくおくれていることもまた事実であります。これらを、何としても将来に向かって、圃場の整備その他はもとよりでありますけれども、これを効率的に行うための農道とか、あるいはまた生活環境も、農業を営む人に対する魅力のある 環境整備をしていきませんと、担い手といいましょうか、後継者が後を継がない、あるいは、きのうもそのことを生に伺いましたけれども、お嫁さんに来てくれない、こんなようなことも実はございまして、それらを含めて、やはり都会からもお嫁に行くような環境もつくっていかなければやはりいけない。すべてを考えますと、この立ちおくれを何としても我々は一日も早く、都会並みといかないまでも、魅力ある地域には育てていかなきゃいけない、こういう面が実はございます。  それらを含めまして、公共事業にむだがあったり、あるいは税金を何か許されない行為に使われたり、これは断固排除しなきゃいけません。私はこのことを厳しく申しておるところでありまして、今御提言のあったことにつきましては、私も同感であります。
  124. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今農水大臣が、日本の農地は面積が見劣りする、こうおっしゃいましたけれども、しかし一方で、農業そのものが成り立たないような状況でずっと推移してまいりますと、一方で幾ら農道をつくったり、空港をつくったり、いろいろなことをやっても、これはなかなか日本の農業の将来というのは展望が出てこないというふうに私は感ずるわけであります。  公共事業の比率が異常に高いというのは、やはり国際的に見ても否めないわけでありまして、なぜそうなるのかというのをやはり私はきょうはぜひ問題提起をしたいと思うわけです。  やはり私は、公共事業の関連でいいますと、ゼネコンとの関係というのは非常に深い関係があると。例えば、ここに「全国農業土木技術者名簿」というのがありまして、土地改良建設協会など四つの協会がつくった名簿でありますが、これを見ますと、ゼネコンを初めさまざまな関連企業に農水省関係から天下りがかなり多い。全体で二千人以上の名前が挙がっております。これは主として技官でありまして、建設、設計、測量、調査などの関連会社に天下りしております。  私、きょうお配りをした資料をぜひごらんをいただきたいと思うわけですけれども、この二枚目に、ゼネコンの上位五十社、これは公共事業の受注の多い順番に並べまして、そこに農水省関係の方々がどのように天下っているかというのを、有価証券報告書と、それから先ほどの資料をもとに表をつくってみました。  ここで非常に特徴的なことが浮かび上がってまいりました。と申しますのは、公共事業が多いところには天下りの数が非常に多いということなのですね。例えば、大林組が一番多いわけですけれども、順番に、五十社で合わせて二百六十三人が、これはゼネコン関係五十社だけでありますが、天下っておりまして、地方の農政局から、あるいは北海道開発庁の関連のところからこれだけ天下っている。本省も合わせると二百六十三人、こうなっているわけであります。  これは非常に目に余るものがあるのではないか。技官ですから、これはもう技術者ですよね、本来は。ところが、お配りした資料の一枚目を見ていただきましてもわかりますように、ほとんどが営業関係、営業に携わっているわけであります。これは余りにも異常じゃないかというふうに思うわけです。  例えば、先ほど申し上げましたこの一番トップの大林組の場合は、常務取締役が中四国農政局、非常勤顧問が北陸農政局、構造改善局、それから東京本社嘱託、東海農政局、それから本店土木営業第一部長が近畿農政局、東北支店営業第二担当部長が東北農政局。ずっと、ほとんどが北陸、東海、中国、九州、もうほとんどこれは地方の農政局からの天下りになっているわけであります。これは余りにもひど過ぎるのではないかというふうに思います。  参議院の予算委員会で、昨年十二月十一日、我が党の筆坂議員が質問いたしましたら、橋本首相は、「幾ら何でも度が過ぎている」こう答弁されたわけですね。それで、農水大臣は、これは当たり前だと思っておられるのか、それともこれは行き過ぎだと思っておられるのか、それをお聞きしたいと思います。
  125. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 実は私は、優秀さに自信があればあるいは官庁を目指したかもしれませんが、民間会社に入りました。しかし、私は、その民間会社は約十五年弱の経験の中で、人事を四年本社で担当いたしました。企業が合理化をし健全な体制を維持しようとすれば、当然人事が一番の基本になりますが、全く迷惑な人材を抱えて、その人の顔やあるいはコネを使って云々とするような余裕はもう企業にないのだと率直に思います。  たまたま今人事の話をさせていただいたのは、営業をすべて技術者に置きかえるべきじゃないかという、そういう極論が出たことがございまして、我々は大変、事務系ですから肩身の狭い思いがしたのですが、そのくらい、いわば企業というのは思い切った将来に向けての人事も考えるわけであります。  私は、もともと優秀で官庁に入り、専門的にこの道に取り組み、そしてかつ経験を積んだ人が、ちょうど委員と同じぐらいの年配でやめるわけでございます、まず大半は。そういう方たちが、国家公務員法百三条の規定に基づく人事院規則に従って、厳しい監査をちゃんと経ながらそのそれぞれの道に入っていくわけでありますから、企業がもし迷惑な人材を押しつけられたなんということですと、今どきのことでしたら途端にそれは社会的な非難を受けることは必定でありまして、私は、そういうことができにくい環境にあるのだろうと思います。  そして、お求めに応じて既に資料が提出してございますが、営利企業に就職した、いわば人事院規則を通った承認案件では、数が、平成三年くらいから現在に至るまで、平成七年を見ますと、五十四人から十六人、この農業土木の人が四十八人から十四人とかなり数を減らしております。これも、最近の世情を反映している、そう思うわけでございます。
  126. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 迷惑でなければよいというような御発言だったわけですけれども、ゼネコンにとっては大変これは歓迎なんですね。農政関係に直接携わっていた、行政に携わった方が天下ってこられて、それで営業をやっていただく、公共事業をどんどん受注する、こういう関係になれば、迷惑どころか、そこに癒着があるわけです。ここにやはりメスを入れる必要があると私は思うのです。  そこで、建設大臣にぜひお聞きしておきたいのですけれども、建設省は九三年十二月二十七日に業務執行改善推進本部の決定というのを出されていまして、その中で「建設会社への再就職の取り扱い」ということをお決めになっているようですけれども、その内容を簡単に御説明いただきたいと思います。
  127. 小野邦久

    小野(邦)政府委員 事務的なお尋ねでございますので、最初に私の方からお答えを申し上げさせていただきます。  御案内のとおり、平成五年十二月二十七日に、私どもの省内の業務執行改善推進本部というところの報告書を出したわけでございます。  これは、ゼネコンのいろいろなスキャンダル等で受けた御批判にこたえる意味もございまして、職員が建設会社へ再就職をする場合には、職業選択の自由等基本的な人権との兼ね合いにも十分に配慮しつつ、平成五年の、同年の八月にとりました自粛措置、これは、再就職する場合に人事院へ承認申請をするということでございますが、それを自粛をして承認申請をしないという措置を正式に決定したわけでございます。幹部職員以外の職員につきましても、これに準じて、大手ゼネコンヘの再就職は抑制していくということを決定をいたしました。  以上でございます。
  128. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 時間がありませんので簡単に御質問しますけれども、この中には、本人から営業部門に携わらないという誓約書を提出させたり、それから、就職先の会社には公共工事の受注にかかわる営業の業務には従事させない旨を証明書に明記させるとか、こういう明文的な規定があ るわけであります。これは当然のことだと思うのです。  瓦建設大臣に、なぜこのような規定を置かれたのか、その理由をお聞きしたいと思いますし、それから最後に、農水大臣に、農水省でも当然こういう規定をつくるべきだと私は思うわけですが、その点についてどのようにお考えか、お答えをいただきたいと思います。
  129. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 それでは、順次答弁を求めます。最初に小野官房長
  130. 小野邦久

    小野(邦)政府委員 御質問でございますけれども、誓約書あるいは具体的な就職予定証明書の提出でございますけれども、御案内のとおり、本人から誓約書をとりまして、公共工事の受注にかかわる営業に関する業務は行わないということをきちっと誓約をさせているわけでございます。また、これは従来からやっておりますけれども、再就職先の会社につきましては、どういう地位でどういう仕事をさせることに考えているのかということを就職予定証明書の中に書いていただく、それを持って人事院に承認申請をする、こういうことでございますので、同じようなことは引き続きやっております。  それから、後段のお尋ねの、どういう趣旨でこういうことをやったのかということでございますけれども、やはり当時の背景といたしましては、ゼネコンスキャンダル等ございまして、やはり建設会社への再就職問題というのが建設業界に対しての厳正な矯正を行う上での障害になるのではないかというようないろいろな観点もございました。こういったような御批判を重く受けとめた結果というふうに考えております。
  131. 瓦力

    ○瓦国務大臣 佐々木委員お答えいたします。  今官房長からお答えをいたさせましたが、振り返って、ゼネコン汚職等の問題が、極めて社会的に大きな問題になりました。当然のことといたしまして、自粛といいますか、またあり方につきまして検討を加えていかなければならぬ、こういう中で取り組んだ問題でございます。この姿勢は、今後とも維持されるべきと考えるわけであります。  以上をもってお答えといたします。
  132. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 農林水産省といたしましては、今までも人事院規則にのっとって適法にいろいろ対応してきておりますが、現在、営利企業への再就職規制につきましては、人事院において制度運用の見直しに着手していると聞いておるところであります。当省といたしましても、この検討結果を踏まえて対応していきたい、こう思います。
  133. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 終わります。ありがとうございました。
  134. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 それでは、佐々木憲昭君の質疑を終了します。  次に、岩國哲人君。
  135. 岩國哲人

    岩國委員 太陽党を代表して、質問させていただきます。  近年、多くの地方公共団体の会計処理をめぐる不祥事が指摘されて報道されておりますが、こうした会計処理について国への報告義務はないのか、また、報告義務については補助金部分だけなのか。  今後、地方分権が進められる中で、権限、財源、人間の地方移譲が進められると思うが、国税であれ地方税であれ、国民の血税という範疇に入ることは間違いのないことであります。きちんとした検査、監査が国の手で行われるのは当然であると考えますし、この点、地方分権を実現するための地方の監査体制の強化といった視点が重要と思います。この点について御所見をお伺いしたいと思います。  現に、最近の税に対する国民の不満の中で、中小企業からも多くの要望が寄せられております。私の地元世田谷におきましても、世田谷、北沢法人会から、全国法人会の要望という形でこうした要望書が提出されております。その中にこのような一節があります。   政府、自治体は、消費税負担の増加を受け入  れた納税者期待を裏切ってはならない。この  ため国・地方を通じて歳出全体の効率化、配分  の見直しを徹底し、公共事業費や政府開発援助  予算、農業予算などの合理化、縮減に努力し、  社会保障関係費などの抑制をはかるべきであ  る。また行政機構の統廃合や地方自治体の再編  成、財政投融資機関等の大胆な改革を行い、議  員定数を減らし、公務員定数の増加を抑える必  要がある。政府規制の一層の緩和は、そのため  にも効果的である。このような要望が、こうした納税者、特に最近の不景気の中で苦しんでいる中小企業から出されておるわけであります。こうした観点から、地方自治体の安易な支出、こういうことについては厳しく検査していただかなければならないと思いますけれども、この点についてまずお伺いしたいと思います。
  136. 増田裕夫

    ○増田会計検査院説明員 幾つかお尋ねがございました。  まず、地方公共団体の監査結果について報告義務があるのかというようなお尋ねがございましたけれども、地方公共団体の監査委員は地方自治法に基づきまして住民のために監査を行うものでございまして、その結果を会計検査院に報告するという義務はございません。  補助事業の適正化のためには、会計検査とともに、地方公共団体の監査が充実して行われることが重要なわけでございまして、会計検査院も限られた陣容ですべての補助事業を検査できるわけではございませんので、相互に補完し連携を図っていく、そういうことが必要であろうと考えておるところでございます。このような立場から、効率的、効果的な検査を行うために、監査の実施状況やその結果についてはお話を伺ったり、あるいは幾つかの地方公共団体の監査当局とは連絡会を開催いたしまして、検査、監査の結果やあるいはその手法などにつきまして情報交換を行っているという状況でございます。  それから、検査院の検査の体制というようなこともお尋ねがございましたけれども、会計検査院といたしましては、従来から合規性の検査、そういった点をやっておりましたけれども、そのほかに、経済性、効率性、さらには有効性、そういった観点の検査を実施してきております。その中でも、経済性、効率性、有効性、そういった観点からの検査については、最近特に力を入れて行っているというところでございます。
  137. 岩國哲人

    岩國委員 行政改革は単純に人減らしをすればよいというものではないはずだと思います。行政改革の進展とともに、規制の緩和あるいは権限移譲が進めば、当然、それに比例して検査の重要性は一層増してくると私は思っております。  会計検査院が発行しておられる「会計検査院国の財政監督機関として」という中にも、従来の正確性あるいは合規性、規則に合っているかどうかという正確性、合規性のほかに、経済性、効率性、有効性といったことを強調して、今御答弁いただきました中にもそのことはございましたけれども、検査の重要性が高まっているということは、外部からもそのような指摘が出ております。こうした検査の重要性にかんがみますと、現在の千二百名という検査体制ではいかにも不十分ではないかと私は思います。会計検査院の拡充と権限強化について、きょう浜田委員の方からもそのような発言があったと記憶しておりますけれども、この点について現場の皆さんはどういう意見を持っておられますか、権限の強化あるいは拡充ということにつきまして。
  138. 疋田周朗

    ○疋田会計検査院長 お答え申し上げます。  財政監督機関としての会計検査院の職責を十分果たしていくためには、国の財政規模に応じた適切な検査体制の整備が極めて重要でございまして、従来から、厳しい財政事情の中で、定員あるいは予算につきましてその充実強化に努めてきたところでございます。今後とも、検査機能の充実強化に努めてまいりたいと考えております。  一方、会計検査院も国家機関の一つでございまして、定員や予算の増加につきましてはおのずから限度がございます。したがいまして、引き続き その着実な増加を図りますとともに、限られた人員、予算で最大限の成果を上げていくために、例えば職員に対する研修を充実させることによりまして検査能力の向上を図ってまいりますとか、あるいは適切な検査計画に基づきまして効率的な検査を実施してまいりましたり、あるいはコンピューターの導入などによりまして検査能力の向上を図るというようなことにもなお一層努めてまいりたいと考えております。
  139. 岩國哲人

    岩國委員 私は、院長の方から、現場の責任者として、こうした相次ぐ地方自治体における不祥事等に対し、十分な納税者期待にこたえられるための体制として、例えば数字的に二千人あればかなりの仕事ができますとか、そういったような所感をお伺いしたがったわけですけれども、お立場上それは御無理なことかもしれません。  次にお伺いしたいと思いますが、実地検査の結果は、いつどこへ報告されるのか。確かに、「決算検査報告」「会計検査のあらまし」「会計検査でわかったこと」こういった資料を通じて、対象別の媒体を使って、報告書で国会議員あるいは希望する人々への報告はなされておりますけれども、それでも、一般国民がそれを目にする機会は非常に限られていると思います。先ほどコンピューター化、そういったOA機器化ということについて触れられましたけれども、こうした検査報告をインターネットなどで直接国民がアクセスする、そのような方法について検討をしておられますか、その点、簡潔にお答えいただきたいと思います。
  140. 増田裕夫

    ○増田会計検査院説明員 ただいまお尋ねのインターネットという点について申し上げますと、「決算検査報告の概要」をインターネットに載せて、見ていただけるようにしております。
  141. 岩國哲人

    岩國委員 そうしたこれからの、インターネット等を通じ、そして情報公開にさらにさらに努めていただきたいと思います。  そうした情報公開に関連してですけれども、ことし四月三日のこの決算委員会で、若松委員そして大口委員から、国庫補助事業に関する事務費の執行について、食糧費、いわゆる官官接待について三十七都道府県のオンブズマンが調査をした結果、二十一都道府県で空事務費疑惑があったと指摘がされております。これに対して検査院は、七年度決算検査報告書では四十七都道府県のうち、北海道、宮城、秋田、新潟、三重、鹿児島の六道県で不適切な経理処理が行われていたとして、内部調査を継続し、他の都府県についても内部調査を行っていると答えておられますけれども、その調査の現時点の結果はどうなっておりますか。  私の選挙区でも、世田谷一一〇番というオンブズマン組織が、行政のむだ、不明朗な点を指摘しております。こうした一般の人が告発しなければお役所の経理処理が明らかにされないような状況について、どう考えておられますか。院長の答弁をお願いします。
  142. 疋田周朗

    ○疋田会計検査院長 補助金の検査につきましては、非常に、金額も多額でございますし、件数も多いということで、従来から鋭意検査に取り組んできたところでございます。  国の補助を受けて実施されております公共事業につきましては、事業費全体の中で、その大宗を占めております工事本体と申しますか、こちらの検査を従来から重点的に行ってきたわけでございまして、食糧費などを含みます事務費については、ウエートも低かったということもございまして、従来は十分な検査を行ってこなかったというのが実情でございます。  昨今、食糧費などをめぐります問題につきましては、非常に社会的関心が高くなってきておりまして、その使用目的を明確にするなど厳正な経理処理が求められているところでございます。平成七年次から、そういったことで、工事費本体のほかに事務費につきましても力を入れて検査を実施してきているところでございます。(岩國委員「ちょっと時間がありませんから、六道県についての調査結果が出ているかどうか、それについて」と呼ぶ)  委員指摘の六道県以外の検査結果につきましては、担当の総務審議官の方から答えさせていただきたいと思います。
  143. 増田裕夫

    ○増田会計検査院説明員 昨年、四十七都道府県から内部調査の取り組み状況の報告を求めて、そして決算検査報告に取りまとめたところでございまして、ことしにおきましても、引き続き四十七都道府県から内部調査の取り組み状況について報告を求めたところで、現在、その内容を検討して鋭意結果の取りまとめ作業をしているところでございます。
  144. 岩國哲人

    岩國委員 時間が迫ってまいりましたので、あと一問お伺いいたします。また、その中でついでにお答えいただきたいのですけれども、いつを目標に、この六道県の調査についてそうした検査結果をこの決算委員会に報告していただけるのか、それもお知らせいただきたいと思います。  次に、島根県でも、経理状況について調査が行われました。そして、県庁自身のお手盛り調査の結果でも、平成六年、七年、この二年間で七億八千万円もの空会議、空出張が、内部のお手盛り調査だけでそれだけの金額が明らかになっています。会計検査院がやってくれればもっと大きい金額が出てくるのではないかと一般の県民は期待しておりますが、この点についてどのように思われますか。自分たちがやればもっと徹底的に、その数字をもとにすればもっと大きな金額を調べてみせる自信があると言い切れるかどうか。  また、六月十七日の本委員会で、私は、この島根県庁問題に関連しまして、文房具の発注に絡む経理処理の不明朗さについて質問いたしました。その際、牛嶋説明員は「それが国庫補助金に絡むものなのか、そうでないものなのか。単独のものですと、私どもの検査権限は及びません。」。逆に言えば、単独のものでなければ検査権限は及ぶというふうに私は解釈しておりますし、国庫補助金に絡むものであれば、当然検査されただろうと思います。  改めて申し上げますけれども、これから財政改革を進めていかなければならないときに、会計検査院は、国民の税に対する不信感の一掃に全力を挙げて立ち上がるべきだと思います。このように地方の県民がお役所のお金の使い方について非常に不安を持ち、疑惑を持っているときに、なぜその検査結果を報告できないのか。単独事業が権限外なら、法の改正も視野に入れた検査院の改革をみずから提起すべきであり、何よりもまず、国の補助事業についての検査を実施したのであれば、その結果を報告すべきではないかと思います。  六月十七日の答弁の中でも、担当者を呼んで事実関係の把握に努めています、このような答弁をいただいております。それから早くも五カ月、その間どのような検査が行われ、そして報告はこの委員会に対してなされているか、御答弁をお願いいたします。
  145. 増田裕夫

    ○増田会計検査院説明員 まず、全般的な取りまとめにつきましては平成八年度の決算検査報告で御報告できるように、今作業をしているところでございます。  それから、島根県の例を出して言われましたけれども、この食糧費とか旅費等の不適正経理の問題につきましては、第一義的には当事者である都道府県がみずからの責任で必要な処置をとることによって実態が解明されるべきである、このように考えているところでございます。  この種の検査は、検査対象となる件数が非常に膨大でございまして、このために、非常に人員とか時間もかかるというようなことでございます。そしてまた、そういった検査の性格上から、都道府県の職員協力というものも不可欠でございまして、現に、都道府県が行っている内部調査では、職員の自主的な申告に基礎を置いているというようなことでございます。  そういう状況でございますので、検査院といたしましては、まず都道府県の内部調査をしていただきまして、その結果を踏まえまして、内部調査の結果と、それから国庫補助金のかかわり、そういったものについて、都道府県、それから関係省庁からも報告を受けまして、十分これを調査検討 していきたいというぐあいに考えております。  それから、島根県の個別のお話でございますけれども、島根県につきましては、六月十七日、先生お話があった以後、通常検査の一環といたしまして、空出張等が行われていないかなどにつきまして概要を聴取いたしております。それからまた、十月末現在でその後の状況というものを県からも報告をもらっておりますけれども、不適正な経理処理がございまして、ただ、国費との関連を現在調査中というぐあいに聞いておりまして、私どもといたしましては、最終的な結果が判明した段階で国庫補助事業との関連等について調査検討したい、このように考えているところでございます。
  146. 岩國哲人

    岩國委員 質問時間は終了しておりますけれども、十月末に県の方から報告があったものが、なぜこの決算委員会にそうした情報が提供できないのですか。  それから、みずからの責任においてとか自主的な申告、この自主的な申告とかみずからの責任においての検査が不十分だからこそ会計検査院があるのであって、そういうもので十分であったら、我々決算委員会も皆さんの仕事も、何の意味もなさないわけですよ。今これだけ役所の不適正支出ということが問題になっているときに、県がみずからの責任において調査したもの、それで全く立入調査をやらないということについては、私はこれは国民の一人として納得できないということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
  147. 疋田周朗

    ○疋田会計検査院長 まず、委員がおっしゃいました最初の点でございますが、私ども、いろいろ検査あるいは実態調査を行いました結果につきましては、院の内部におきまして厳密にその結果を検討いたしまして、最終的に決算検査報告という形で内閣にそれを提出し、国会にも御報告する、こういう仕組みになっておりますので、その点、御理解を賜りたいと思います。  それから、第二点目でございますけれども、私どもも、このような食糧費の問題あるいは空出張の問題につきましては、非常に重要な検査領域である、検査対象であるということは十分承知しているわけでございますけれども、そのほかにも、私どもがどうしてもやはり重点的に取り組まなければならないいろいろな検査対象がございます。今後も、そういったいろいろな重要な検査対象につきまして、十分な事前の準備を行いまして、厳密な検査計画に基づいて精力配分を行って検査に当たってまいりたいと考えておりますので、その点、御理解を賜りたいと思います。
  148. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 岩國哲人君の質疑を終わります。  次回は、来る二十六日水曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十八分散会