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1997-11-05 第141回国会 衆議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十一月五日(水曜日)    午前九時三十分開議 出席委員   委員長 冬柴 鐵三君    理事 高市 早苗君 理事 浜田 靖一君    理事 原田昇左右君 理事 穂積 良行君    理事 大口 善徳君 理事 笹木 竜三君    理事 葉山  峻君 理事 佐々木憲昭君       奥山 茂彦君    熊谷 市雄君       佐藤 静雄君    佐藤  勉君       菅  義偉君    滝   実君       山口 泰明君    草川 昭三君       若松 謙維君    井上 一成君       中桐 伸五君    瀬古由起子君       前田 武志君    武村 正義君  出席国務大臣        厚 生 大 臣 小泉純一郎君  出席政府委員        厚生政務次官  原田 義昭君        厚生省健康政策        局長      谷  修一君        厚生省医薬安全        局長      中西 明典君        厚生省保険局長 高木 俊明君  委員外出席者        大蔵省主計局司        計課長     田頭 基典君        会計検査院長  疋田 周朗君        会計検査院事務        総局次長    森下 伸昭君        会計検査院事務        総長官房総務課        長       船渡 享向君        会計検査院事務        総局第二局長  諸田 敏朗君        参  考  人        (社会保険診療        報酬支払基金        理事長)    末次  彬君        決算委員会調査        室長      天野  進君     ————————————— 委員の異動 十一月五日  辞任         補欠選任   熊谷 市雄君     奥山 茂彦君   山口 泰明君     菅  義偉君   仙谷 由人君     中桐 伸五君   正森 成二君     瀬古由起子君 同日  辞任         補欠選任   奥山 茂彦君     熊谷 市雄君   菅  義偉君     山口 泰明君   中桐 伸五君     仙谷 由人君   瀬古由起子君     正森 成二君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  歳入歳出実況に関する件(診療報酬請求・  支払に関する問題)      ————◇—————
  2. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 これより会議を開きます。  歳入歳出実況に関する件、特に、診療報酬請求支払に関する問題について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として社会保険診療報酬支払基金理事長末次彬君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。     —————————————
  4. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 この際、一言申し上げます。  今日、行財政改革が国政の喫緊課題とされ、税金の使途に国民の厳しい目が向けられております。この意味で、国の予算使用執行を事後的に審査する決算委員会役割は非常に重大であると存じます。  また、国会行政監視監督機能が着目され、その中核的役割を担い得る決算委員会機能強化のための具体的方策についても、議会制度協議会等において取りまとめられつつあると承知をいたしております。  このような中で、本委員会としても、決算審査を通じて行政施策監督、事後評価し、その結果を次の予算編成に反映させ、行財政執行の適正を期するという重要な使命を十分に果たす必要があります。  このたび、理事会協議により、歳入歳出の適正な執行という観点から、その都度、国民関心の高い適切なテーマを取り上げて、定期的に決算委員会を開会していくことになりました。  ここに、委員各位の御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願いいたします。  本日は、診療報酬請求支払に関する問題について、厚生政務次官及び会計検査院長より説明並びに参考人から意見を聴取した後、質疑を行うことといたします。  質疑は、まず、各党を代表する委員が順次行い、その後、各委員が自由に質疑を行うことといたします。  それでは、まず、厚生政務次官より説明を聴取いたします。原田厚生政務次官
  5. 原田義昭

    原田(義)政府委員 それでは、ただいまの厚生省取り組みについて御説明、御報告をさせていただきたいと思います。  我が国医療保険制度は、人口の急速な高齢化等により医療費が増大を続ける一方で、経済基調が変化した結果、近年は医療費伸び経済成長との不均衡が拡大し構造的な赤字体質となっており、このままでは国民保険制度が崩壊の道をたどることにもなりかねない状況にございます。  さきの通常国会におきましては、引き続き医療保険制度抜本的改革を行うことを前提として健康保険法等の一部改正案提出し、その成立を見たところでございますが、法案審議の過程におきましても、早急に抜本的改革に着手すべきであるとの強い要請がなされたところでございます。とりわけ、国民負担増との関連におきましては、医療費適正化医療費伸び経済成長との不均衡の是正、適正かつ効率的な医療提供体制の確立が主要な課題として指摘されました。  いずれの改革を行うに当たっても、医療保険制度に対する国民信頼を確保し、国民負担している貴重な医療保険財源を有効に使用するためには、医療費のむだや非効率を徹底的に排除することが基本であり、医療保険制度抜本的改革を進めていくための大前提であると考えております。  そこで、診療報酬請求及び支払いを適正なものとする取り組みとして、まず、保険医療機関等指導監査が挙げられます。  指導は、保険医療機関及び保険医等に適切な保険診療を行っていただくため、保険診療ルールである療養担当規則に定められている診療方針診療報酬算定方法等について周知徹底し、保険診療質的向上及び適正化を図ることを目的として行われる行政指導でございます。  これに対し、監査は、医療担当者の行う保険診療が法令の規定に従って適正に実施されているかどうか、診療内容診療報酬請求が適正であるかどうかなどを、出頭命令、質問、立入検査等を通じて確かめることを目的として行われるもので あり、監査後の行政措置として、保険医療機関等の戒告、注意のほか、取り消し処分にまで至るものでございます。  この指導監査との関連についてでございますが、事案の内容または程度に応じ、指導により改善を図ることが適当と思われるものについては努めて指導によることとし、架空請求など不正の事実が明らかであると思われる場合には監査を行うこととしております。  次に、その実施体制についてでございますが、現在、都道府県に医科、歯科の技官として百七名の指導医療官と、百六十二名の医療事務指導官配置し、指導監査を実施しておりますが、さらに、厚生省都道府県との共同指導を実施するため、厚生省に二十四名の医療指導監査官配置しているところでございます。  また、その実績についてですが、保険医療機関等に対する指導件数は、平成年度から七年度までの過去五年間で三万五千八百九十七件であり、年間平均で約七千二百件でございます。また、監査については、平成年度から七年度までの五年間に合計二百九十三件、年間平均で約六十件でございます。この監査の結果、保険医療機関等指定取り消しを行ったものは、平成年度から七年度までの合計が九十七件、年間平均で約二十件となっており、保険医等登録取り消しを行ったものは五年間の合計で百九人、年間平均で二十二人となっております。指導監査の結果、保険医療機関等に対し返還を求めた金額は、過去五年間で百五十九億円となっております。  最近、安田病院を初めとする不正請求事件が起きており、国民関心も高く、医療保険制度に対する信頼感を揺るがしかねない状況にございます。厚生省としては、このような不正請求を行った医療機関等に対して厳正に対処することが医療保険制度に対する国民信頼理解を得るために不可欠なことであるというふうに考えております。このため、都道府県衛生主管部局から寄せられる医療監視情報のほか、広く国民から寄せられる情報に基づき、不正請求の疑いがある保険医療機関等については迅速に指導監査を実施してまいりたいと考えております。  次に、診療報酬請求に対する審査支払いについて御報告申し上げます。  保険診療を行った医療機関等から保険者に対する診療報酬請求及び支払いは、多数の保険医療機関等保険者との間における診療報酬の迅速かつ適正な支払いを確保する観点から、審査支払機関を経由して行われております。健康保険等被用者保険に関しては社会保険診療報酬支払基金が、国民健康保険に関しては国民健康保険団体連合会が、それぞれ保険者からの委託を受けて審査支払機関としての業務を行っております。  保険医療機関等は、毎月の診療に係る診療報酬明細書、いわゆるレセプト審査支払機関に対して提出し、審査支払機関においては、その内容等について審査の上、不適切な請求についてはこれを査定した上で、保険者ごとに整理し、請求を行うこととしております。  審査支払機関は、診療担当者を代表する者、保険者を代表する者及び学識経験者の三者から構成される審査委員会を各都道府県ごとに設けており、そこで請求内容に関する審査を行うこととしております。その際、請求金額が月額百万円以上のレセプトなどについては専門の部会が重点的に審査し、さらに、四百五十万円以上の高額のレセプト等については、専門家による十分な審査が必要なことから、社会保険診療報酬支払基金においては本部の、国民健康保険団体連合会においては国民健康保険中央会特別審査委員会において審査をしているところでございます。  審査支払機関を通じて請求を受けた保険者は、保険医療機関等に対して支払いを行うことになりますが、審査支払機関における査定内容異議がある場合には、保険者保険医療機関等の双方から審査支払機関に対して再審査請求を行うことができることとなっております。その場合、審査支払機関において再審査を行い、その結果、請求が容認された場合には、診療報酬支払いに関し精算が行われることになります。  これらの審査支払機関平成年度におけるレセプト取扱件数は、約十一億六千万件に上っております。その取り扱うレセプト件数が膨大であること等から、審査支払機関における事務効率化を推し進めることが喫緊課題となっております。このため、厚生省としては、レセプト処理電算化を積極的に推進し、大幅に事務処理改善を図ってまいりたいというふうに考えております。  さらに、医療機関等診療報酬請求する際の基礎となる診療報酬点数表について見ますと、これまでの診療報酬改定のたびに複雑になり、審査事務が煩瑣であるとの指摘がございます。このため、医療保険制度の抜本的な改革の中で新たな診療報酬体系を構築するに当たっては、診療報酬点数表簡素化を図っていくこととしております。  以上、診療報酬請求支払に関する問題について御報告申し上げましたが、厚生省といたしましては、引き続き、診療報酬請求及び支払いを適切なものとするよう全力を挙げて取り組んでいく所存でございますので、よろしく御指導をお願いしたいと思います。  以上でございます。
  6. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 次に、会計検査院より順次説明を聴取いたします。疋田会計検査院長
  7. 疋田周朗

    疋田会計検査院長 衆議院決算委員会皆様方におかれましては、常日ごろから私ども会計検査院に対しまして御指導、御支援を賜り、まことにありがとうございます。この席をおかりいたしまして、厚く御礼申し上げます。  本日は、診療報酬請求支払に関する問題に係るテーマ審査ということでございます。  本院といたしましては、国民医療費が年々膨大な額に上っておりますことから、国の負担を要する国民健康保険及び老人保健等医療費につきまして重点的に検査を実施してきているところでございます。その結果、六十一年度以来、毎年度決算検査報告に「不当事項」等として掲記いたしております。  本院は、検査観点検査手法などについても創意工夫を加えながら検査を実施しているところでございますが、検査観点検査方法等の詳細につきましては、担当の第二局長から御説明させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  8. 冬柴鐵三

  9. 諸田敏朗

    諸田会計検査院説明員 会計検査院が行っております医療費検査につきまして概要を御説明いたします。  お手元に配付いたしました資料の一ページをお開きいただきたいと思います。  まず、検査観点でございます。  年々増加しております医療費は、多種の医療保障制度によりましてその給付が行われております。そして、これに対する国の負担も増加している状況であります。したがいまして、会計検査院が行っております医療費検査は、医療保険保険者等が行った診療報酬支払いにつきまして、医療機関からの請求が適切に行われているか、また、社会保険診療報酬支払基金あるいは国民健康保険団体連合会国民健康保険保険者であります市町村等における診療報酬明細書、いわゆるレセプトでございますが、この審査点検が十分に行われているかなどについて行っているところでございます。  検査の対象でございます。  国民健康保険老人保健等に基づきます医療給付に対しまして国の負担が行われていることから、保険者であります市町村社会保険事務所に赴きまして、レセプト内容を点検しているところでございます。また、市町村医療機関に対する指導権限を有しております都道府県につきましても、あわせて検査を実施しているところでございます。ただし、医療機関に対しましては、本院の検査権限がないということから、実施できない ところでございます。  次に、検査方法でございます。  医療機関から審査支払機関医療費請求書とともに提出されましたレセプトは、審査支払機関審査を受けた後に、国民健康保険保険者であります市町村社会保険事務所等に送付されております。したがいまして、医療費検査は、レセプトが保管されております市町村等におきまして医療機関単位で点検し、レセプト請求傾向等に着目して点検する方法をとっております。また、都道府県におきましても、新看護等に係る報告書等資料に基づき医師看護婦等配置状況等を把握するとともに、これら資料市町村等レセプト内容整合性にも留意して検査しているところでございます。  二ページをお開きいただきたいと思います。  検査実施体制とその実施状況でございます。下の米印がついておるところでございます。  現在、会計検査院では、厚生省関係医療費検査に当たりましては、厚生検査第二課がその検査を実施しております。現在、医療費検査に従事している職員は八名でございます。  検査実施状況でございますが、過去三年間をとってみますと、大体四百五十人目前後行っておりまして、市町村等検査実施箇所数でいきますと約三百カ所前後というふうになっております。  三ページをお願いいたします。  会計検査院昭和六十一年度から厚生省医療費検査を開始しまして、昭和六十一年度から平成年度までの十年間の指摘額は、「ア 不当事項」と「イ 意見を表示し又は処置を要求した事項等」を合わせまして、国庫負担額合計八十三億一千万余円となっております。そして、この間におきます指摘額は増加したりあるいは減少したりしている状況でございまして、また、指摘した医療機関数は最近では百余りで推移しており、医療費の不適切な支払い件数が必ずしも減少傾向にあるとは考えておりません。  また、毎年度不当事項」として検査報告に掲記しているほか、年度によっては「意見を表示し又は処置を要求した事項等」としても掲記しております。意見を表示しまたは処置を要求した事項は、六十一年度から平成年度までの十年間で九件でございます。不当事項につきましては、毎年多岐の項目にわたっておりまして、事態も毎年違いがありますので、不当事項のうち、最近の主な指摘態様につきまして資料で御説明申し上げます。  四ページをお開きいただきたいと思います。  ここには、過去三年間の指摘態様あるいは指摘金額を掲げております。このうち、三つの態様について簡単に御説明させていただきます。  五ページをお開きいただきたいと思います。  第一に、初診料、再診料等に関する指摘でございます。  特別養護老人ホーム等配置医師によります施設入所者に対する診療費のうち、初診料、再診料と一定の指導料につきましては、これらが別途実施されております国の補助事業の一環として行われているものであることから、診療報酬として算定できないこととなっております。しかし、会計検査院市町村におきまして施設入所者レセプト調査しましたところ、配置医師初診料等算定していたというものでございます。  第二に、入院医学管理料等に関する指摘でございます。  医療機関におきまして、医師及び看護職員の数が医療法等に定める標準人員にそれぞれ百分の八十を乗じて得た数以下である場合の翌月分の入院医学管理料及び看護料につきましては、所定点数に百分の九十を乗じて得た点数を用いて算定することとされております。また同様に、医師の数が標準人員に百分の五十を乗じて得た数以下である場合につきましても、翌月分の入院医学管理料につきましては、所定点数に百分の九十を乗じて得た点数を用いて算定することとされております。しかし、本院が市町村等におきましてレセプト等調査しましたところ、医療機関におきまして、医師看護婦不足または著しい医師不足であるのに、入院医学管理料等につきまして所定の減額を行わないで算定していたというものでございます。  第三に、処置料に関する指摘でございます。  処置に当たりまして厚生大臣が定める薬剤使用した場合の処置料は、処置所定点数薬剤購入価格を十円で除して得た点数を合算した点数により算定することとされております。この薬剤につきましては、薬価基準薬剤名購入価格が定められております。このうち、人工腎臓に用いる透析液につきましては、薬価基準キンダリー液の九リットル瓶等が掲載されてございますが、請求に当たりましては実際の使用量算定することとされております。しかし、会計検査院市町村におきましてレセプト調査しましたところ、医療機関におきまして透析液患者個々透析時間に応じた実使用量算定すべきところ、画一的に九リットル瓶等の全量で算定していたというものでございます。  次に、処置要求事項の一例につきまして御説明申し上げます。  七ページをお開きいただきたいと思います。  先ほども申し上げましたけれども、過去十年間に処置要求事項として九項目ございますが、このうち、平成年度処置要求として「医師看護婦等標準人員に対して著しく不足している病院等の把握について」という指摘がございます。これについて御説明いたします。  診療報酬のうち、入院医学管理料等につきましては、医師及び看護婦医療法及び省令で定めております標準人員に対し著しく下回っている場合には減額するなどの取り扱いにより、診療報酬合理化とともに診療適正化を図ることとしております。しかしながら、病院におきまして診療報酬請求に当たり算定基準についての認識が十分でなかったこと、都道府県におきまして医師等配置に関する資料の活用が十分でなかったことなどのため、診療報酬が不適正に支払われたものでございます。したがいまして、厚生省におきまして、都道府県に対し、医師及び看護婦標準人員に対し著しく不足している病院等を的確に把握するよう指示するなどして、診療報酬支払い適正化を図る要があるとしまして処置要求を行ったものでございます。  会計検査院といたしましては、医療費適正化重要性にかんがみまして、今後とも検査観点検査手法などについてさらに創意工夫を加えて、医療費について重点的に検査を実施していく所存でございます。  以上、簡単でございますが説明を終わらせていただきます。
  10. 冬柴鐵三

  11. 末次彬

    末次参考人 ただいま御紹介をいただきました社会保険診療報酬支払基金理事長末次でございます。本日は、審査を中心といたしました当基金業務状況と今後の課題につきまして申し上げたいと存じます。  まず初めに、当基金概要について申し上げます。  社会保険診療報酬支払基金は、昭和二十三年九月に社会保険診療報酬支払基金法に基づいて設立をされ、健康保険組合共済組合などの保険者病院診療所などの医療機関等を結ぶパイプ役として、医療機関から請求された診療報酬請求明細書、つまりレセプト審査と、保険者等への診療報酬請求とその医療機関等への支払いとを業務の柱としております。  本年九月で設立以来四十九年となりましたが、この間、我が国医療保険制度を初めとする医療保障制度の発展とともに基金業務も拡大をいたしまして、現在では、医療費審査支払業務のほかに、老人保健法生活保護法など多くの公費負担医療制度医療費審査支払い業務、さらには、老人保健制度及び退職者医療制度の創設に伴いまして、これら両制度に係ります保険者か らの拠出金の徴収、市町村に対する交付金交付業務も行っております。  次に、基金業務内容を御理解いただくために、診療報酬審査支払業務の流れにつきまして御説明を申し上げます。  病院などの医療機関、約十九万機関でございますが、投薬注射検査などの診療行為レセプトに一カ月単位にまとめ、翌月十日までに都道府県に一カ所ずつございます当基金支部提出をいたします。その件数は最近では月約六千万枚に上っております。  受け付けましたレセプトは、まず各県基金で、患者傷病名請求先である保険者番号などの記載漏れがないか、また、投薬注射検査などの請求点数誤りがないか等を調べまして、誤りのあるレセプトはこれを補正し、記載内容漏れや不明な点があるものにつきましては医療機関に返すなど、事務的な整備をいたします。また、請求内容に疑問があるレセプトにつきましては、疑問事項を記入した附せん、私どもはこれを疑義附せんと呼んでおりますが、これを張りましたり、抜き書きと申す、投薬注射検査等がどのような経過をもって行われたかをレセプトから別の紙に書き出しまして、審査委員審査効率的に行うことができるような準備をいたします。これらの業務基金では、事務点検及び審査事務共助と呼んでおります。  このような作業を終わったレセプトは、医療機関ごとにまとめまして審査委員会提出をいたします。  審査委員会では、レセプトに記載されている診療内容医療保険療養担当規則等に適合しているかどうか、言いかえれば、保険ルール上適当なものかどうかについて審査をいたします。そして、診療内容が適当でないと判断されるものにつきましては査定をし、また、診療行為の適否が判断しがたいもの等につきましては、医療機関に戻して再提出を求めるか、あるいは診療担当者基金事務所への来所を求めまして面接懇談を行うなどの措置を講じております。  なお、この審査委員会につきましては、後ほど改めて御説明を申し上げたいと思います。  こうしまして審査を終わりましたレセプトは、事務職員が計算誤りがないかどうかを点検いたしまして、結果を算出いたします。そして、審査委員会での審査の結果や事務点検などで請求点数に増減がありましたレセプトにつきましては、一件ずつその点数や減点の理由などを文書で医療機関に連絡をいたします。  この後、レセプト保険者負担する費用を請求するために、今度は保険者ごとに分類をいたします。ちなみに、保険者等の数は現在一万二千六百六十六でございます。  なお、この作業は従来すべて手作業で行っておりましたが、業務合理化効率化を図る観点から、将来の本格的なレセプト電算処理システム実施までの当面の措置といたしまして、レセプトに記載された数字を光学的に読み取り、保険者ごとに分類し、あわせてデータの入力もできるレセプトOCR処理システムを順次各支部基金に導入しつつありますので、特定のレセプトにつきましては、機械による分類と同時に、保険者への請求額、医療機関への支払い額の集計が同時に可能となります。それ以外のレセプトにつきましては、職員により、個々に分類と計算作業が行われるわけでございます。  全国四十七基金事務所でのこれらのデータは、計算センターで、他県提出分も含めまして全国レベルでの調整を行い、保険者別及び医療機関別に集計をされるわけでございます。  その結果は、計算センターから基金支部に送られまして、支部で最終的な数値の確認を行った後、レセプトを添えまして、診療翌々月の五日までに各保険者診療報酬請求し、各保険者請求された額をその月の二十日までに払い込むことになっております。医療機関へは診療した月の翌々月の二十一日までに診療報酬支払われるわけでございます。  ちなみに、平成年度におきましては、レセプト件数で七億一千二百五十六万件余、金額で十一兆七千四百億円余を取り扱っておるわけでございます。  以上が審査支払業務の一連の流れでございますが、このサイクルを毎月滞りなく実施できるよう努力をいたしておるところでございます。  次に、審査委員会について申し上げます。  レセプト審査を行うために、各都道府県基金支部ごとに審査委員会が設置されております。また、厚生大臣の定める一定点数以上の高額の診療報酬請求書及びレセプト審査を行うために、基金本部に特別審査委員会が設置されております。審査委員会及び特別審査委員会は、社会保険診療報酬支払基金法の定めによりまして、診療担当者を代表する者、保険者を代表する者、学識経験者を代表する者の三者それぞれ同数によって構成されております。審査委員の任期は二年で、審査委員長は審査委員の互選により選ばれるわけでございます。審査委員は、平成年度におきまして、特別審査委員会委員四十二名を含めまして、合計四千五百二十七名でございます。  審査委員会には、審査委員会の運営等審査全般について協議する審査運営委員会、一定点数以上の高額レセプトなどについて専門審査を行います審査専門部会、保険者医療機関からの再審査の申し出事案を担当する再審査部会などが設けられております。  審査委員会は、通常、レセプト提出されます毎月十日過ぎごろから始まりまして、支部の規模などによりましてそれぞれ期間は異なりますが、三日から一週間程度開催をされております。厚生省令では毎月二十日までに審査を終了することとされておりますので、場合によりましては、土曜、日曜日にも開催する支部もございます。  審査委員会では、まず、あらかじめ担当を定めました審査委員専門科別に審査を行いまして、必要があると判断されるものにつきましては全委員の合議によりまして審査し、最終的に委員会として決定を行います。  以上、簡単でございますが、当基金で行っております審査業務概要につきまして申し上げました。  現在、各県基金では、量的にはレセプト枚数が増加しておりますし、質的には診療内容が高度化、複雑化するという状況のもとにありまして、一定の基金職員審査委員が限られた時間内に業務を処理するべく頑張っておりますが、本年四月のレセプト様式の改正によりまして、給付割合の異なる本人、家族の色による区別がなくなりました。また、A4判とB5判のサイズのレセプトが現在混在をしております。これがさらに、機械作成のものと手書きのものとが混在するという状況が続いております。さらに、九月からは、健保法改正によりまして設けられました薬剤一部負担の確認等の事務が加わっておりまして、各県基金では業務処理に大変苦労をしておるわけでございます。しかしながら、基金職員審査委員は、基金に課せられました使命を自覚し、我が国医療保険制度が円滑に運営されますように全力を挙げて取り組んでおるところでございます。  とりわけ、当基金審査は、医療保険制度の健全な運営を確保する上で欠くことのできない役割を担っていると認識しておりますが、特に近年、医療費適正化観点から、関係方面から、より一層充実した審査について強い要請が寄せられております。このため、先ほど述べましたレセプトOCR処理システムの導入を初めといたしまして、業務処理のさらなる効率化を図りますとともに、審査委員会に対する事務共助を充実させ、医療機関状況に着目した効率的な重点審査、再審査の適正かつ効率的な処理等に積極的に取り組んでいく所存でございます。  どうか今後とも、私ども基金業務運営に十分御理解を賜るようお願いいたしまして、私の意見陳述を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  12. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 これにて説明並びに意見の聴取は終わりました。
  13. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。  なお、御発言はすべて着席のままで結構でございます。  原田昇左右君。
  14. 原田昇左右

    原田(昇)委員 まず初めに、安田病院事件について問題点をお伺いしたいと思うのです。  今回の事件は、その規模、悪質性においてこれまで例を見ないものであると聞いております。新聞報道などによりますと、極端に人員が不足していたにもかかわらず、架空の職員をでっち上げて、そして税金や社会保険料などを払って、また退職した看護婦の免許証を返還しないということまでやっていたと報道されておるわけであります。さらに、三つ病院があって、そしてその一病院の不正だけでなくて、安田院長の指揮のもとに、病院間で看護婦をたらい回しして、検査のときにはちゃんと看護婦人員がいたというのを見せるというような組織的な不正行為をやっていたということも言われておるのですが、この三病院においてこういう不正が行われたというのがわかるまでに随分時間がかかっているのですね。  こういうことがどうして起こったのかなと。先ほど厚生省からのお話がありましたが、指導をやり、監査をやっているのだという話ですが、この人たちが監査に行ったのか行かないのか知りませんけれども、結局、全く機能していないと言わざるを得ないのですね、ようやく最近大がかりな調査をやって初めて見つかっているわけですから。これはどういうことでしょうかね、お伺いをしたいと思います。
  15. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 まず厚生大臣から一言お言葉をいただいてから、局長の答弁をいただきたいと思います。
  16. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 今の御質問、もっともだと思うのです。私も、何でこんなことがわからなかったのか、何しているんだ、徹底的に調査するべきだと言って、結果的にこうなったのですよ。大阪府にしても大阪市にしても何やっていたんだという強い指示のもとに、結果的にこういう調査が入った。  具体的なことは事務当局に答弁させます。
  17. 中西明典

    ○中西政府委員 大阪府や大阪市におきましては、定時的な医療監視を繰り返し実施してきておりまして、途中、医療従事者の不足等も発見してきておりましたが、しかしながら、その医療監視の都度、先ほど原田委員から御指摘ございましたように、相手側の巧妙なる偽装工作もございまして、表面的には逐次改善されているように見えた。要するに、形式的には指摘事項がないような状況にあったというのが実態でございます。  そうした中で、人権団体からの要請等もこれあり、厚生省は大阪府、大阪市に対して指示をいたしまして、三病院同時の監視、これは健康保険法、それから医療法、精神保健福祉法、生活保護法、それぞれに基づく監視、監査を一斉に行うというプロセスを経た結果、架空の疑いがある職員数の実態の確認にまで至ったというのが経緯でございます。  したがいまして、これまでの手法では、このような組織的に精密な書類の改ざんが行われる、あるいは検査の際にきちっと質問に答えない、あるいは検査書類の提出にも非常に非協力的だというケースについてはなかなか対応できなかったというのが事実でございます。
  18. 原田昇左右

    原田(昇)委員 今のお答えでは、ちょっと私、納得しないんですがね。  要は、大阪府と大阪市に監査官というのか指導官というのがおるんでしょう。京都で、実は平成七年に事件が起こっている。医療機関指導に当たる指導医療官というのが指導監督等について便宜を図ったということで、汚染されておるんですよ、京都の場合。それでこれ、摘発されたんですが、こういうことがどうも全国的に、指導監督官というのが機能しているのかねということなんです。病院に何回も行った。行ってこれだけの大がかりな不正が全然わからないというような監査官じゃ、役に立たないじゃないですか。  結局それに対する対応の仕方ですが、私は一つ、まあ時間がないので結論をずばり言いますと、都道府県職員の身分はどういうことになっているんですか。これは今度恐らく厚生事務官になるような勧告になるんだろうと思いますが、それなら、厚生省が一括採用して、都道府県をぐるぐる回すような人事をやって、厚生省でちゃんと管理する、監査官を。そうすれば汚染されないで堂々と誇りを持ってやれるんですよ。大体、一つのところへずっと置いておいたらボウフラがわいたりなんかするんだ。その辺はどうなっているんですか。
  19. 中西明典

    ○中西政府委員 医療監視の話と、それから医療保険監査指導の話と二つあると思います。  私、医療法に基づく医療監視について先に御説明いたしますと、これは、都道府県あるいは大阪市のような指定都市の医療監視員が、医療法に基づいて、病院が衛生的な面で問題がないかどうかということをチェックしてきておるわけではございますが、今回、安田病院のような事件がございまして、今後、こういった特に問題のある病院については繰り返して医療監視を実施していく、あるいは系列病院に対しては同時に医療監視を実施する、あるいは保険、福祉担当との連携を密にして、問題のある病院については一斉に監視を行う、そういったことのほか、特にこういった悪質な病院医療法上適正を欠くという疑いがある病院については、事前通告なしで監視を行うよう徹底を図っていきたい、かように考えております。  医療保険の方は、保険局長の方から御説明いたします。
  20. 原田昇左右

    原田(昇)委員 いや、いいです。  今、事前通告なしでいくという話があったけれども、これは非常に大事だと思うのですね。抜き打ちでやらなきゃならないときは抜き打ちでもやれるという体制をちゃんと確保してもらわないと、だめなんですね。
  21. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 局長、いいですか、今の点。事前通告について。
  22. 中西明典

    ○中西政府委員 先ほど申し上げましたように、医療監視の面におきましては、いろいろな監視の手法の中で、医療法上適正を欠くようなこういった疑いのある病院については事前通告なしで監視を行っていく方向で対応するよう、都道府県等に対して指導をやっておるところでございます。
  23. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 医療保険サイドの指導監督でありますが、これはわかりにくいのですけれども医療法上いわゆる医療機関人員とか設備について基準を決めておりますが、そういった面についての指導監督というのが今医薬安全局長がお答えした内容でありまして、もう一つは、保険医療機関でありますから医療保険サイドにおける指導監督の問題がございます。  それで、まさに先ほど先生御指摘のとおり、今回の事件が医療監視の面からなぜわからなかったかというのが一つ。それからもう一つ、医療保険サイドにおいてもそういった面できちんと情報をキャッチして適切な指導ができなかったのかという問題がございます。  私も、医療保険担当課長を集めまして、その際に申し上げたのでありますが、大体こういったようなケースというのはいろいろ、投書とかあるいは地域における医療機関の内部におけるうわさとか、そういった中である程度不正的なものというものがキャッチできるといいますか、におってくるケースが多いわけでありますけれども、そういった面についてもやはりもっときちんと神経を使って、そして従来の、いわゆるマンネリ化しているようなことはなかったのか、そういった面でやはりもう一回きちっとした対応ということをするようにということで全国の担当課長会議でも指示をいたしました。  そこで、人事の問題でありますけれども医療保険サイドにつきましては、これはいわゆる地方事務官という形でありますから、身分は国家公務員でございます。その業務の指揮監督都道府県知事のもとにあるわけであります。  そこで、今先生おっしゃいましたようなことで、例えば指導に当たる指導医療官、こういったものについてはむしろ国が一括して採用して、そして場合によっては各県交流をするようなシステムを考えたらどうか、これは一つの今後の採用のあり方ではないかというふうに私は思っております。  ただ、平成七年のいわゆる京都府の、先ほど先生から御指摘のございました事件、これを契機といたしまして、それ以来、この指導医療官の採用につきましては厚生省で直接面接をして一括して採用する、あるいはまた国立病院等との人事交流を行うというような形で、かなり幅広くその人材を求める形で現在は採用に努めておりますけれども、まだ各県間の人事の交流とまでは行っておりません。今後、その辺については、検討すべき課題であるというふうに思っております。
  24. 原田昇左右

    原田(昇)委員 厚生大臣、どうですか。要するに、京都で汚染が発見されたわけですね。摘発された。まことに遺憾千万ですが、要は、マンネリになる。都道府県の一つのポストだけでありますからマンネリになる、そしてどうしてもそういうところにボウフラがわきやすい、こういうことになるのですね。  せっかく地方事務官で厚生省が一括、人事交流できる体制になっているんですから、これはもう一元的な人事管理をやって、きちっと、新鮮な感覚で優秀な人が配置できるようにしたらどうですか。これはぜひやってください。
  25. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 今お話しの点も含めて、各都道府県と連絡をとりながら、町の声あるいは病院等に関するうわさ等についても、鈍感ではなくて、常に注意しておくという、日ごろの気配りというんですか、監視というのが大事じゃないか。私は、これは制度を変えなくても、そういう気があったら防げたと思うんです。マンネリ化が恐ろしい。  今言った点も含めて、厳格な指導はどういう方法がいいか、改善すべき点がないか、よく今後も検討していきたいと思います。
  26. 原田昇左右

    原田(昇)委員 いや、大臣、今私の言っているのは、その感覚は大事ですよ、そのとおりなんですが、やはりそれをやるには、制度の問題というか人事管理の面が、せっかく地方事務官になって厚生省が管轄できるんだから、そういう点で、もう少し厚生省は責任を持って人事管理をやり、マンネリにならないように、一カ所にだけ置かないで、人員配置を、いろいろ人事交流をやるというようなことを考えたらどうですかと、こういう提案をしているんです。そこが一番ポイントなんだ。
  27. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 そういう話も含めて検討させていただきます。
  28. 原田昇左右

    原田(昇)委員 それでは、今のお話で積極的に検討していただきたいと思いますが、ぜひとも伺いたいのは、この安田病院でどのくらいの返還額になるんですか。一言でいいです。
  29. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 八月の八日に保険医療機関の指定を取り消しをいたしまして、その後、返還を求めるべく、今返還額の積算をしてもらっているところであります。  大阪市と、それから大阪府内におけるもの以外のいわゆる他府県分というのがございまして、大阪市と他府県分がまだ今積算、算定中でありますが、それ以外の、大阪府内の三十七市町、それから政府管掌健康保険等のいわゆる被用者保険保険者の関係、これらについては、トータルとして七億八千六百万円でございます。これに、大阪市それから他府県分の返還金がさらにふえてくる、こんなような状況でございます。
  30. 原田昇左右

    原田(昇)委員 では次に、レセプト審査の方に移ります。  まず基本的なことから伺いますが、先ほど御説明にもありましたとおり、支払基金レセプト取扱件数が年間七億件を超えておるということです。レセプト一件当たりの審査時間を計算してみると、数秒程度になるんじゃないかと思うんですね。そういうような、数秒しか、ワンタッチでちょっと眺めるという程度しか時間がないのに、不正を見抜くとか、診療報酬の不当な請求が行われているのかいないのかというようなところがわかるのかねという感じがするんですが、いかがですか。その辺を説明していただけないですか。
  31. 末次彬

    末次参考人 先ほど申し上げましたように、一カ月単位レセプト所定期間内に審査をし、同時に保険者への請求医療機関への支払いを行わなきゃならぬ、そういう限られた条件の中で事案を処理するということから、実際上は、医療機関診療傾向等に応じましてポイントを絞って重点的な審査を行っているというのが実情でございます。  また、高点数明細書の審査につきましては、例えば十万点以上のレセプト内容につきましては、一件につきまして一時間に四、五件という入念な審査を行っておりますし、また、本部で行っております特別審査委員会の四十五万点以上の明細書につきましては、一件につきまして二時間程度をかけて入念に審査を行っているというのが実情でございます。  全般的に平均して数秒ということでございますが、実態、中身といたしましては、ポイントを絞って重点的に審査を行っているというのが実情でございます。
  32. 原田昇左右

    原田(昇)委員 今のお話は、重点を絞ってやろう、やればいいんだという話ですが、そもそもこの審査をやるのに、支払基金で不当請求ではないかということで出されたのは、国保と合わせて三千二百億ぐらいありましたね。支払基金側の金額は幾らだったか忘れましたが、後で教えていただきたいんですが、その中で、誤って出してきたんだ、どうも記載が違っているとかそういう単純な事務ミスというのはどのくらいあって、本当に不当だというもの、不正というのはちょっとなかなか見抜けないという話も伺ったんですが、その辺の分類はどうなっているんでしょうかね。
  33. 末次彬

    末次参考人 内訳といたしましては、ただいま御指摘のとおり、請求ミス、計算間違いあるいは不適切な請求、そのほかに受給資格がないということでお返しする、あるいは調剤審査に係る査定分、こういうものが全部いろいろ入っておりまして、それの項目別の具体的な金額は、今のところ残念ながら十分把握はできておりません。
  34. 原田昇左右

    原田(昇)委員 今の項目別に把握していないというのはどういうことですか。
  35. 末次彬

    末次参考人 支払基金は、これまでのところ、医療機関への支払いを的確に行うということで、審査を終わった後の月ごとの最終的な支払い額を確定するということを最優先かつ最重要の業務と考えまして、この数値を確定するということに全力を傾けてきたということで、大変申しわけないことでございますが、請求から確定までのこの経過を一つ一つ分類をするという、こちらの方の計数の把握、これにつきましては必ずしも今まで十分に留意をしてこなかったところでございます。  しかしながら、審査の充実を図っていくということで、これらの計数を十分把握するということは必要であるというふうに考えておりまして、その査定状況を体系的に把握できるように、今、業務の見直し、情報の電算処理化を進めている過程にあるということを御理解いただきたいと存じます。
  36. 原田昇左右

    原田(昇)委員 今のような分類というのは、細かく分類することはないけれども、大まかに、これは事務ミスで来たのでございます、これは本当に不当ですとか、その程度の分類はできないですかね。  厚生省、どうですか、こんなのまだできないと言っているんだったら、そんな支払基金というのは何やつているんだか、わけわからないな。
  37. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 最初の、国保と合わせて約三千二百億、これは、平成年度でありますけれども査定金額でございます。その内訳をまず申し上げますと、支払基金が千八百七十七億でございまして、国保連合会が審査したものが千三百四十五億円という額でございます。  それから、ただいまのこの内訳でございますけ れども、これは統計をどうとっていくかという問題で、今理事長から、そのほかの業務の方に力を入れて、この辺のところについてはまだ集計をするような体制になっていないというお話がございました。私どもとしてはやはり、この診療報酬に対する審査というものに対する目が非常に厳しくなってきておるわけでありますし、また、その内容についてきちんと集計をし、そしてその中身に従って分析をしていくことがさらに内容の充実につながっていくと思っておりますから、いろいろ、統計処理上大変な時間、労力を必要とすると思いますけれども、私どもとしては、今後こういった問題についても前向きに取り組んでいただきたいということで支払基金の方にはお願いをしておるということでございます。  体制が整い次第、そういった統計的なデータというものも、支払基金の方でもあるいは国保連合会の方でも出てくるというふうに思っております。
  38. 原田昇左右

    原田(昇)委員 ぜひその数字を調べて提出していただきたいです。  それから、もう一つ伺いたいのは、支払基金から、第一次査定というのか、支払基金査定したのは何かそこへ行くんでしょう、保険者の方に回りますね。そうすると、保険者の方でそれを見て、もうこれは不当だというのがさらに出てきたと。これはとてもこんなに払うわけにはいかないというのが出てくると、今度は再審査請求基金にするんですね。そこで、基金がその中から幾らか取り上げる、こういうことになるだろうと思うのですが、それは一体どのくらい、再審査によって取り上げた額は一千八百七十七億のうちどのくらいあり、あなたの方で第一次でもう査定してしまった額は幾らあるか、それを教えてください。
  39. 末次彬

    末次参考人 再審査件数、これは平成年度で千三百五十万件でございまして、そのうち請求が認められたものが三百十七万件というふうになっております。  この再審査によります容認金額、これは最終的には支払い金額と調整をいたします。その月の支払い金額をその分減らすという調整を行っておりまして、結果的に、最終的に保険者請求する額、それは差し引き計算でまいっておりまして、これも現在のところは正確に把握することができない状況にございまして、これにつきましても、今後の課題として私ども取り組んでいきたい、かように考えております。
  40. 原田昇左右

    原田(昇)委員 私の言っているのは極めて簡単なことですよ。あなたの方でお出しになった千八百七十七億の査定額、そのうち、あなたの方でまず第一次的に保険者にこれだけ査定するよと言って出したのは幾らですか、それから、再審査請求があって出た査定額は幾らですか、こう聞いているんだ。そんなことわからないんですか。
  41. 末次彬

    末次参考人 私どもで現在のところ最終的に必要な数字といいますのは、保険者に対する請求額、医療機関に対する支払い額、その額を一つ一つ確定をしていくという作業を最優先にこれまでやってまいりました。したがいまして、その一つ一つの内訳をさらに分解をして、これは一次査定分、これは返戻分というような区分けを、実は今までしてこなかったというのが実態でございます。先ほど保険局長から御答弁ございましたように、そういう指示もございまして、今後、その数値を正確に把握するということに努力をしていきたい、かように考えております。
  42. 原田昇左右

    原田(昇)委員 何か、大変遺憾千万ですね。そんな基礎的な数字は自然に出てくる数字ではないかと私は思っておったのですが、それすらわからないというんじゃ、何をやってるのかねという感じが非常にするんです。  要は、最近、保険者から委託を受けた、レセプト点検のために代行業者というか、いわゆる削る査定屋さんというのが民間にかなりあって、そしてそれが点検してくれる。そうすると、かなり査定が細かく行われておる、保険者が頼んで。そして、再審査請求は年々ふえてきておるという話を聞くのですね。したがって、その件数、どのくらいふえたのかな、こういうこともお伺いしたいと思っているのですが、今、何か、全然それはわからないのだと言うから、話にも何もなりません。  これはちょっと、私は後で厚生省に求めたいのですが、こんなことでいいのですか。もうちょっときちっとしてもらわないと困るのじゃないですか。
  43. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 まず保険局長、簡潔にお願いします。
  44. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 私どもも同じ問題意識を持っておりますので、支払基金とも話し合って、ぜひその辺の統計データについてはできるだけきちっとしたものを整備してほしいというふうに考えております。  ただ、相当なボリュームのレセプトが来るわけですから、その処理に人員的にも追われていると、いう問題があろうと思います。ただ、その人数をさらにふやしていくという時代ではありませんから、やはり、こういった七億枚を超えるようなレセプトでありますから、これをもっと効率的に機械処理をしていくとか、あるいはコンピューターをもっと積極的に活用するとか、そういった意味での業務改善というものが急がれるというふうに思っておりますし、そういった面をきちっと充実しながら、やはり必要な統計データというものはきちんと整備をしていく、そういうことではないかというふうに考えております。
  45. 原田昇左右

    原田(昇)委員 まことに遺憾なんですが、要は、保険者から再審査にかかってくる請求額あるいはその請求件数、こういったのがわからない、さらに、その中で基金審査をして疑念があるものはどのくらいあって再審査請求が認められたのはどのくらいあるかということもわからないと言うのですから、これは後で調べて出してくださいよ。こんな簡単なことがわからなくちゃ困る。
  46. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 今のは提出を求められるんですか。
  47. 原田昇左右

    原田(昇)委員 はい、求めたい。
  48. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 では、理事会で諮らせていただきます。  末次参考人、発言をされますか。
  49. 末次彬

    末次参考人 ただいまの御質問のうち、再審査請求件数につきましては、私ども数字を持っております。  保険者からの再審査請求件数は、平成年度で千三百五十万件でございます。そのうち、診療内容に係る請求は八百六十万件、その他はつまり資格関係ということになるわけでございます。  再審査の結果、診療内容に係る請求としてその請求が認められましたものは、約三七%に当たります三百十七万件というふうになっております。
  50. 原田昇左右

    原田(昇)委員 後ほど、これを表にして出してください、資料を。
  51. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 それでは、理事会に諮り、厚生省にお願いすることになると思います。
  52. 原田昇左右

    原田(昇)委員 それから次に、支払基金審査について支部ごとにばらつきがあると言われておるが、同様のケースについて地域により異なる判断が行われるのは必ずしも適当だと思えないわけですが、この点について支払基金はどういうように考えていますか、地域のばらつき。
  53. 末次彬

    末次参考人 支払基金審査は、基本的には、健康保険法、療養担当規則診療報酬点数表、これと関連します行政通知等に基づいて行われているわけでございます。  各県の審査委員会におきましては、こういう原則を踏まえまして、その上で、仮に病名が同じであっても個々人により症状は違う、あるいは治療も年齢、生活環境によって違う等の事情を考慮いたしまして、医学的判断によりまして審査が行われているということから、結果的に差異が生ずることもあるわけでございます。  しかしながら、同様の事案について支部間の取り扱いに大きな差があるというのは必ずしも適当でないと考えておりまして、これまで、審査連絡協議会あるいは審査委員長の連絡協議会等の関係諸会議での情報交換に加えまして、平成七年八月に、中央と地方のブロックにそれぞれこの差異の 検討委員会を設置いたしまして、個別の審査事例を選定いたしまして個別に検討を行いまして、この結果について各種審査委員会に周知を図るということで、自分の支部はどういう状況にあるのか、ほかの支部はどういう状況にあるのかということをそれぞれの支部の審査委員会に御認識をいただくという作業を現在進めております。これによりまして差異解消に努めていきたい、かように考えております。
  54. 原田昇左右

    原田(昇)委員 私、支部ごとにいかにばらつきがあるかということについて、実はちょっと調べてみたのですが、こういう資料を入手したのです。お手元に配ってあると思いますが、都道府県別の査定実績一覧表。これは査定のパーセンテージが出ていますが、極端に少ないところがあるんですね、この中に。極端に少ない。大体、平均が東京とかなんかの程度だと思うのです。二七、八。二五から三〇くらいが平均だと思うのです。一けた台で極端に少ないでしょう。これはどういうわけですか。
  55. 末次彬

    末次参考人 これは、今申し上げた問題のほかに、地域の医療費の差、医療費の地域差というのは長い検討課題になっておるわけでございます。そういう要素等々ございまして、私どもとしては、この数字そのものがどういう数字なのか根拠がわかりませんので、何ともコメントは差し控えさせていただきたいと存じますが、地域の医療費の差あるいは審査委員会による、先ほど申し上げました、若干の差、こういうものがあるいは積み重なったのかなという感じを持ってこの資料を拝見いたしました。
  56. 原田昇左右

    原田(昇)委員 それで、この辺、やはり判断基準というのをひとつ統一することが、ある程度の判断基準というのを大きくくくって出す必要があるのではないかと思うのですね。  その判断基準査定をするということは大事じゃないかと思うのですが、もちろん、そのケース、ケースでいろいろ難しいケースがあるでしょう。私自身の例でも、一カ月も風邪でこじらせて、かかった例がありますからね。ですから、一週間で風邪は治るはずだなんというように査定されちゃったのじゃ、全くお医者さんは気の毒だと思うのですよ。そういうケースもあるわけですから非常にこれは難しい問題ではあると思います、生き物ですから。  そして、本当にまじめにおやりになっておるお医者さんがもう大部分なのに、中におかしなことをやる人がおって、そのために全体がえらく信用を害するとか迷惑するということだと思うので、やはり不正とか不当というのは、これは徹底的に究明して、国民が安心して、この医療保険というものに対する信頼を持って、その中で治療するということにしないといけないと思うのですね。その辺をやはりやらなきゃ、我々、しっかりと確立していかなきゃならぬ問題ではないかと思います。どうでしょうか、厚生省
  57. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 これを見ますと、かなり査定率にばらつきがございます。  これは、もう先生よく御承知のとおりでありまして、なかなか医学の場合には数学を解くようにぴしっぴしっといかない面がございます。しかし、医学も科学でありますから、そういった面で、人によってみんな違うというわけにいかない。厚生省としては、療養担当規則なり、それから二千ページ近い診療報酬点数表、またこれに関連する通知をおさめたものがございます。こういったもので統一的な審査が行えるようなことをやっておるわけでありますけれども、この審査状況を見ますと、査定状況を見ますと、かなりばらつきがある。これらについても、行政の立場からもこの辺のところについての解明、研究の努力をしていきたいというふうに考えております。
  58. 原田昇左右

    原田(昇)委員 この際、審査のシステム自体を大きく見直すのも一つの方法じゃないかと思いますよ。  例えば七億枚も支払基金に集まって、まずできるわけないんですよ、七億なんという数字では。とても数秒しか見られない。それを一義的に査定をしろということ自身が無理なんだから、まず保険者に一次的にレセプト審査を行ってもらう。保険者にまず持っていく。そして、保険者が、自分の保険が下手すれば赤字になってしまうのですから、一生懸命やりますわな、専門家にも支払いのチェックをさせるでしょうし。まず保険者にやってもらって、そして、そこで非常に問題があるものについてのみ支払基金審査調査を依頼するということにしたらどうかと思うのですがね。  今法律読んでも、支払基金は委託を受けてやっておるということでしょう。ですから、保険者がまず自己責任でやってもらう。それで、支払基金に問題のあるところだけ持ち出すということはどうかと思うのですが、いかがですか、厚生大臣
  59. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 担当局長から、そういう点になるとどういういい点とどういう問題点があるかというのを、答弁させます。
  60. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 これは先ほど、支払基金設立されてから、ちょうど四十九年になるということでございまして、その間、保険診療が、国民皆保険になり、みんなが、国民だれもが医療保険でかかるという時代になり、そしてその請求書であるレセプトも、支払基金だけで七億枚という枚数になっておるわけであります。そういった意味では、当初支払基金ができた考え方というのは、やはり公正、公平に、統一的な基準審査を行う、それからまた効率的な支払いというものを行うということで設立されたというふうに思います。それが、時代の流れの中で、必ずしも十分の機能をしていないということだと思います。  そういった意味で、やはり支払基金そのものの審査体制というものを見直すべき時期に来ておるというふうに私どもも認識しておりますが、ただ問題は、先ほど来申し上げておりますように、現在の手審査なり目審査というものも、これも限界にある、したがって、私どもとしては方向として、コンピューターをもっと活用して、そして効率的な事務処理システムというものをつくっていくということがやはり必要だというふうに考えております。  それから、保険者審査をするという点につきましては、これはまさに支払基金で第一義的に審査したものについて不服があれば再審査という形をとっておりますので、そういった意味で、最初から保険者がやってきて問題があるものだけを請求をするという形がいいのかどうか、その辺はよく検討する必要があります。  とりわけ支払いということを考えますと、やはり医療機関から請求書が統一的に支払基金に行って迅速な支払いが行われるわけでありまして、その後の不服審査というシステムはあるものですから、そこら辺のところを、トータルとして一番効率的でかつ信頼性の高いシステムはどうあるべきか、それからまた、その審査の仕方も含めまして、やはりこれは総合的に検討していかなきゃならない時代に来たというふうに、私ども認識しております。
  61. 原田昇左右

    原田(昇)委員 今おっしゃるとおり、極めて総合的に検討しなきゃいかぬときだと思うんですよ。それに際しても、ともかく七億枚も集めてやれといっても、それは無理ですよ。だから、少し分散してそれぞれ責任ある——保険者が責任を持つんだから、最終的には。そこがやはりちゃんとある程度、第一次審査をして問題のあるものだけ支払基金でやるとか、コンピューターを導入しても、やはりそういうようなシステムをあわせて検討しながらやっていただかないと、これはまたコンピューターやりかえの非常なロスになりますから、コンピューターを導入するについても、システムを確立する上にそういう制度を、自己責任原則というのをもう少しきちっと出して、保険者を中心に考えてやるということをぜひ御検討いただきたいと思います。大臣、いかがですか。
  62. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 検討いたします。
  63. 原田昇左右

    原田(昇)委員 それから、会計検査院の御報告ですが、医療費の不当な支出を防止するにはまず正しい保険請求を行ってもらうということが大事 なので、会計検査院がいろいろこれに対して勧告、勧告ですかあれは、指摘されたのは。それを厚生省は、どういうふうに受けとめてどういうようにやっておられるのか、その辺はどんな関係になっておりますか。
  64. 疋田周朗

    疋田会計検査院長 冒頭、担当の第二局長から御説明申し上げましたように、医療費検査を行っております過程で傾向的な問題が出てきたものにつきましては、私ども、是正改善のための意見表示なり処置要求というものを行っております。  これに対しまして厚生省の方では、私ども意見表示なり処置要求に対しまして、それに対応した処置をその都度とっていただいているというのが実情でございます。
  65. 原田昇左右

    原田(昇)委員 やはり医療機関に対して保険請求ルールを周知させるということは非常に大事だと思いますね。これは指導監督という形でやっておられるわけですか。
  66. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 私どもは、不正とかそういう医療機関というのは、全体の中ではそんなに多いわけではないというふうに考えておるわけでありますが、そういった意味では、ルールをきちっとやはり保険医なりあるいは保険医療機関が熟知をするということが基本だと思います。そのルールをきちんと熟知をしていないために不当というふうな格好になったりというのもありますから、そういった意味では、私どもとしては、まず医学部を卒業して保険医になった先生方、これについては、やはりまず最初に、きちっとしたテキストで医師会の協力も得ながら保険診療のあり方というものを講習をし、そして周知を徹底する、これをまず最初にやっております。  それからまた、診療報酬が変わった都度、まあ二年に一回診療報酬改定というのが通常行われておりますけれども、そういった際には必ずきちんと周知徹底をするというようなことで、指導なりあるいは講習というものをやっております。  それからまた、最近は、特に診療点数の高い医療機関につきましてはそれぞれやはりもう一度この保険のルールというものをきちっと徹底をし、そしてできるだけその趣旨にかなった請求をしていただく、そういったような指導というものもやっております。  その辺のところはもっとシステム的に、あるいは懇切丁寧にといいますか、適切なテキストでやるということについてはさらに検討の余地があるというふうに思っておりますけれども、私どもとしてはそんなような格好で努力はいたしております。なお、今後とも充実をしていかなきゃいけないというふうに考えております。
  67. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 時間が参りましたので、簡潔に。
  68. 原田昇左右

    原田(昇)委員 審査基準というのも、大まかな基準というのは一回やはり公表した方がいいと思うんですよ。医療費の不当な支出や不正な請求というのを防止するということは、これは医療の信頼を確保する上で絶対に必要だと思うんですね。安田病院の事件なんというのはまことに遺憾なんですが、これについて今後の厚生省の方針と御決意を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  69. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 医療費国民負担しているということを考えても、医療費のむだとか非効率をいかに排除していくかということは、今後の医療制度改革に当たるに大変大事であり、前提であると思います。  このような観点から、医療費請求に対する審査の充実とかあるいは保険医療機関に対する指導監査の強化、これに鋭意取り組んでいく必要があるというふうに考えております。
  70. 原田昇左右

    原田(昇)委員 ありがとうございました。  終わります。
  71. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 次に、草川昭三君。
  72. 草川昭三

    ○草川委員 新進党の草川です。  先ほどの質疑の中でも出ておるわけですが、社会保険の支払基金は約五千三百人の職員で約七億件の審査レセプトの保管が、我々が承知をしておる限りでは大体一カ月弱、それで早目に保険者に送付をしなければいけないというので時間的に非常に制約があるわけです。それで、国保の場合も四千五百人の職員で四億六千四百万枚の審査。ですから、俗に言う一次審査というのは大体三秒から五秒というのが私どもが聞いてきた範囲なんですよ。三秒から五秒ですから、ほとんど四十五万点以上の分だけはねるというようなのが一次審査なんですね。だから、基金の方から保険者に送られたレセプトも、どうしてもレセプト点検事務の代行業者に委託をせざるを得ないというのが現状なんですよ。これは非常に、きょうはこれの集中だと思うんですが、いわゆる基金と国保の方から委託業者にどの程度業務を委託をしているか、その実情を報告していただきたいと思います。
  73. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 まず健保組合でありますが、私ども承知しております、平成年度の数字で恐縮でございますけれども、外部委託をしているのが千二組合でございます。  それから、国民健康保険保険者であります市町村でありますが、これが外部委託をしているのが、平成年度の数字でございますが、五百四十七保険者でございます。  それから、政府管掌健康保険、これは社会保険庁でやっておりますけれども、これは外部委託は行っておりません。  こんな状況でございます。
  74. 草川昭三

    ○草川委員 かなり今の答弁では外部委託をしている、あるいはまたそれを参考にしている、あるいは参考にしながら各保険者の方も専門のパートだとか専門学校卒業者の方々を採用して再点検をしておるというふうに我々は聞いておるわけです。  それで、厚生省はこういう業者を認めているんですか、いないんですか、まずそれをお伺いしたいと思います。
  75. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 特に規制をするということはしておりません。
  76. 草川昭三

    ○草川委員 規制をしていないということは認めておるのかということなんですが、実は厚生省は、レセプト点検に関する指導メモというのを出しているんですね。これは「診療報酬請求明細書の点検委託について」というので、一つは、保険者の管理体制を明確にしてもらいたい、二番目に、レセプト点検業務の委託契約については以下述べるさまざまな問題があるんですが、「再委託の禁止」だとかあるいは「知り得た事実の漏えいの禁止」だとかいうようなことを指導メモとして出しているんですが、これを出されたのは何年ですか。
  77. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 まず、外部委託の指導方針につきまして、平成二年一月の全国の主管課長会議で指示をいたしております。その際、今先生のお話にございました点につきまして指示をいたしておる、こういう状況であります。
  78. 草川昭三

    ○草川委員 ですから、私が言いたいのは、今の支払基金なり国保連合会の一次審査というんですか、これはなかなかもう無理があるなということを厚生省自身がお認めになっておる。これを明確にして改革をどうしたらいいかということを議論をしないと、それは各保険者がそれぞれの智恵でやっているんだろうということでスタートをすると、私は問題があるような気がするんです。これは私はぜひ、問題提起として、まず役所が少なくとも点検業者の位置づけというのを認めたということをはっきりしてもらいたい。  それから二番目に、実はこの指導メモの中には、「レセプトの点検は、健康保険組合市町村)の指示監督が容易な場所で行わせること。」こういう内容があるんです。当然だと思うのです。要するに、健康保険組合あるいは県の連合会あるいは市町村の保険課の中で、あるいは会議室の中で、委託業者を呼んで、そこで点検するならいいですよという指示なんです。  ところが、現実はそうじゃないんです。全国で、今、数を言われましたね、委託をした千二組合、あるいは国保の場合でも五百四十七ということを言われましたが、ほとんどその業者にレセを渡すわけです。そうすると、業者はそのレセをもらって、一時、高額か、普通の風邪だとかという のと分けるわけです。それはパートのおばさんが分けているわけです。立ちん坊で、立ったまま。  だから、私は、そういう実情を見ると、これは本当に、いわゆる秘密漏えい、事実の漏えい、プライバシーの問題にも非常に影響すると思うので、これは厚生省としては関知をしているのかいないのかということを先ほど質問しましたが、私は、ちょっとのんびりし過ぎているような気がしてなりませんが、その点はどうですか。
  79. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 この指導方針ということで、そういった点については明確化するようにということでやっておりますけれども、また、守秘義務につきましては、委託契約書の中できちっとした取り決めをするようにということでやっておりますが、全体的に、今後これについてどういうような形できちっとした内容にしていくべきなのか、私どもとしても、かなり委託が進んでおりますから、そういった点で全体的な検討をしていきたいというふうに思っております。
  80. 草川昭三

    ○草川委員 約二百業者いると言われているんですが、その数は把握しておみえになりますか。
  81. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 私どもとしては、特にそのための調査という格好ではしておりませんが、ただ、関係業者がつくっているデータ等は持っております。  ちょっときょうは持ち合わせておりませんけれども、その中で、ちょっと数は忘れましたけれども、大手と、それから小さいのがあるようであります。そこのあれでは、たしか大手で二百もなかったような気がいたしましたが、そういったデータで見ている程度でございます。
  82. 草川昭三

    ○草川委員 ですから、この際私は、別に規制緩和と逆行するというわけじゃなくて、診療報酬のあり方そのものにメスを入れるという立場から、実態把握をされた方がいいと思うんですよ。ぜひそれを進めていただきたいことをまず要望しておきたいと思うのです。  それで、支払基金の運営は審査料で賄われているわけです。年収約七百八十八億ですね、支払基金の方が。レセプト一枚百十一円七十銭の収入だということが言われているんですが、そのことは事実でしょうか。
  83. 末次彬

    末次参考人 平成年度レセプト一枚当たりの審査支払い両面含めました手数料は、百十一円七十銭でございます。
  84. 草川昭三

    ○草川委員 国保連の方は年収入が七百五億、それで審査支払い手数料は単価八十七円四十二銭と言われているんですが、これも大体間違いございませんか。
  85. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 ちょっと手元に今数字がなくて申しわけございませんが、おおむね従来の傾向からするとそういう形であります。  ただ、国保連合会の場合は、支払基金と違いまして、自治体からの補助金とかそういうのが入っておりますから、単純にこの手数料同士を比べて、どっちが高い、低いということは言えないと思いますが、状況はそのような傾向だと思います。
  86. 草川昭三

    ○草川委員 いずれにしましても、私、審査料は高いと思うんですよ、三秒ですからね。強いて言えば五秒ですからね。これはどう考えても瞬間タッチですから、大変な収入が保証されているわけです。しかも、現実には点検業者に委託をせざるを得ないわけですから。  それで、こういうことが言いたいわけです。実は、支払基金の運用実態というのですか、資産内容に我々は大変関心があるわけです。その要求をしましても、今厚生省の方が持ってくる資料は、単年度の収入と支出だけなんですよ。要するに、支払基金の財産あるいは資産はこういう内容でございますよ、社宅はこういうようなものがありますよ、あるいは財産はこういうものがありますよというものはここに提出されないんですよ。  ですから、単年度だけですから、それはレセプトの数とかかった人件費だけですから、一年の残金は一億なら一億、国保は四十何億ですか、何かそういうものが残るだけの資料なんだ。我々は、そういう収支決算内容だけでは、この決算委員会目的を達せられないんですよ。どういう基金の実態になっているかを調べたいのですが、そういう資料はこの国会提出されることができるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  87. 末次彬

    末次参考人 私ども支払基金法によりまして、その財務内容等については公開をするということになっております。毎年これは官報に公示をいたしております。  また、先般の、特殊法人の情報公開というあの条項が新たに制定されましたので、それに沿いまして、現在、財務処理等はすべて官報に公示、あるいは事務所に備えつけて供覧に供するということを実施をいたしております。
  88. 草川昭三

    ○草川委員 だったら、各都道府県のいわゆる国保連合会、それから中央会の方、それから支払基金、それぞれ一回私どもの方にその姿がわかる実態表を改めて出していただきたいと思います。  そこで、せっかく厚生大臣お見えになりますので、手持ちぶさたでは大変恐縮でございますので、かねて規制緩和に熱心なお立場でございますから、予告していませんが、質問したいのです。  私は、実はこの支払基金と国保の審査機構、これは県段階、中央会を含めてですが、統一をすべきじゃないかと思っているのですよ。統一をするということによって、先ほど来から出ておりますように、審査の促進を図る、あるいはコンピュ−ター化もうまくいく。それで、今どきレセプトがB5とA4と二枚ある、なかなかこれも一々仕分けするのも難しいというようなことを言っておみえになりましたが、そういうおくれたことを改革するには、思い切ってそういうことが規制緩和の中で私は出てしかるべきだと思うのですが、その点、大臣どのようなお考えでしょう。
  89. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 基本的にその考え方は私は賛成です。確かに一枚三秒か五秒、見れるわけないんですよね。現状に問題がある。現状ではだめだという観点から見直しが必要ではないか。今の一点も含めて、いかにむだを排除して効率的な制度にしていくかという観点から見直しをすべきだと思っております。御意見を参考にしながら、一つのあるべき方向を探っていかなければならない、その点で努力をしていきたいと思います。
  90. 草川昭三

    ○草川委員 そこで、少し具体的な話に入りますが、いろいろと審査の手続を経るわけでございますが、具体的な高額レセプトをちょっと紹介をしながら、また大臣の見解を問いたいと思うのです。  平成年度の高額レセプトの上位五位というのを、ひとつ金額だけ申し上げますが、第一位は、一カ月ですよ、これは平成八年ですが、二千九十六万八千六百円、房室ブロックというんですかね、この方は亡くなっているのですが、これは公立病院です。第二位が、千五百八十四万三千三百六十円、これも抹消血幹細胞、これも国立大学の附属病院です。第三位が、これも一カ月千五百三十二万二千五百七十円、動脈幹症、これも公立病院、これはすべて亡くなっておられます。第四位が千五百一万三千五百三十円、これも心筋梗塞関係、これも国立大学病院。第五位で千四百七十九万四千四百六十円、これは医療法人なんですが、こういうように、これは決定の金額なんです。これは決定の金額ですから、かなり請求は上回っておるわけです。  こういうのが、いわゆる民間病院ではなくて、大学附属病院とかあるいは国立病院というところに顕著に出ているわけです。だから、ここは我々は医師会とよくお話しするのですが、過剰診療だ、即町の開業医だというのではなくて、高額医療というのは、今申し上げたように、一カ月に二千万近いものがどんどん出てきて、しかもそれは国立とか大型病院なんですよ。こういうことを我々もまず認識しなければいかぬわけです。  それから、これは再審査の容認の事例ですが、事例を一つ私は今から紹介をします。  この方は慢性骨髄性白血病なんですが、傷病名が三十八ついているんですよ、レセプトに。三十八ですよ。だから、その中には、もう痔だとか、化学療法剤を飲んだための嘔吐だとか、それから 神経性の不眠だとか、多発性の筋炎だとか、それから上部消化管出血だとか、関節炎だとか、三十八の病名で請求されているわけです。私はこれは医者に言ったんですよ、知人の医者に。先生、三十八も書くか、こう言ったら、それは、実は今の診療報酬請求のあり方に問題があるのだと言うのですよ。  いろいろな投薬をすると、一傷病名一つの注射なり投薬をしないと、結局レセではねられる。要するに下請業者の方からはねられる。だから、それも一つの理屈だから、病名の数がたくさんになるというのですよ。いずれ将来は五十なり百になるだろうというのですよ。だから、もうこれは大変なことなのです。さっきから言っているように、合理化ではなくて逆行しているのですよ、現実のレセの書き方が。  私は、それと、この病院もちょっと問題があると思うのですが、一次審査査定状況金額が幾らかといいますと、点数ではなくてお金の金額でいいますと、八百六十九万四千四百六十円という請求なのです。だから、一カ月に八百六十九万ですから、高いわけですから、まずはねたと思うのですね、一次審査で。それで、そこで一応はこれは査定しているのですが、八万六千百二十八点査定をしておりますから、約九・九%という査定なのです。これは健保組合へ行くわけですよ、国保へ行くわけですね。  そこで、再審査の申し出を検討しますと、一次査定では気がっかなかった点が具体的に出ているのですがへ例えば、レスタミンカルシウムコーワを、注射を投与したというのですが、これは一V掛ける九・二V、これは専門的なこと、これを十五投与した。しかし、査定ではゼロになっている。どうしてゼロかというと、適応病名なしとした査定なのです。だから、病気がないのにこのレスタミンカルシウムというのを投与したからゼロになったわけですよ。だから、それは医者が、この場合はこの病院の収入が、この分だけゼロになった、こういうことになるわけで、いろいろなやりとりがあるのですが、こういう具体的な例に対して、お互いに話し合いをするような場があるのかないのか。  先ほど局長は、医師に対していろいろと指導をしておるということを言っておみえになりますが、私は、どうもこういうようなことを言いますと、少なくともこれは公立病院であるわけですから、少なくとも公立病院の院長は地域の医師会の名士でありますし、あるいは、厚生省の考え方というのは下に流れてくるわけですから、私は、十分指導ができると思うのです。  しかし、残念だけれどもこういう結果が出てきて、この人の場合は最終的に容認点数は四万六千六百五十九点というようになりまして、マイナス百三十二万七千八百円、削られたわけです、一次と二次で。それで、八百六十九万四千四百六十円というものが決定的には七百三十六万六千六百六十円、かなり削られているわけです。これは一つの例なんですが、こういう例がどんどん今診療機関の中に出てきておるわけでございます。  私どもは、適切な病名があるならば適切な医療をやっていただかなければいかぬわけですよ、生きるか死ぬかですから。それはもう当然ドクターの裁量権があるわけですから、それについて支払基金なり保険組合が細かいことを一々言うということは問題だと思っています。これはもう我々はこの議論の中でも前提があると思うのです。  前提がありますけれども、中には相場を崩す例があるわけですから、こういうものをどのように相談をしていくか、対応するかということを真剣に考えませんと、医療費の抑制にもつながりませんし、医療の現場における不信感だけが、診療機関と役所あるいは保険者との間のことだけが残るような気がしてならぬのですが、その点は、まず局長の答弁と、それからまた大臣のお考えを聞きたいと思うのです。どうでしょう。
  91. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 いわゆる超高額の請求というのがやはり相当ふえてきておるわけであります。そういった内容を見るにつけ、我々も非常に考えさせられるのですが、一般的には末期医療的な、大体あと数カ月後に亡くなっているケースが多くて、そうするとなおさら、数百万あるいは一千万以上の医療費を使いながら一、二カ月後に亡くなっている、そこら辺のところ、これは医療というものをどう考えるか、我々も実を言いますと非常に考えさせられている問題です。  ただ、私どもとしては、そういった中で、今御指摘にございましたように三十八病名もつけなければならないということ、これがしかし医療としてやはり必要であるという前提に立った場合には、現行のやはりいわゆる請求の仕方あるいは支払いの仕方、いわゆる出来高払い、こういったもののあり方の問題にもかかわってくると思います。  そういった意味では、先生御承知のとおりでございますけれども、今、医療保険制度そのものを抜本的に見直すということでやっておりまして、そういった中で、まず第一に現行の診療報酬体系そのものを根本的に見直そうということで考えております。これから二年ぐらいかかると思います。かかると思いますが、専門家の方々にも参画いただいて、これからの新しい時代に向けての診療報酬体系というものをつくっていきたい。そういった中で、やはりこの辺の問題もどうあるべきかということについて議論をし、そしてできるだけむだのない効率的な診療報酬体系というものをつくりたいというふうに考えております。  ただ、ベースとして、やはりこういった超高額の医療費というのがかかる病気があるのもまた事実でありますから、その辺のところを医療保険の中でどう考えていくのか。そういった中で一つ、特に末期医療のあり方、これはやはり国民的な議論といいますか、コンセンサスが必要だと思います。そういった末期医療のあり方はどうあるべきかという点も含めて、今厚生省の中で検討が行われておりますけれども、そういったものを踏まえて、やはり国民の合意が得られ、そして納得できるようなシステムにしていきたい。一般的な御答弁で恐縮でございますが、そんなふうに考えております。  それから、公立病院の問題。これはやはり、一つには、我が国における医療制度あるいは医療システムというものの機能分化というものが余りなされていない、そういったために非常にゆがみを生じている面がございます。そういった意味で、まさに診療報酬体系を議論する際において、公立病院における支払い方、それからまた、そのベースとなる公立病院のあり方を含めまして、やはりその制度というものをきちんとしていかなければいけない。今のままでいきますと、我が国の医療制度そのものが高コストの医療システムになっていると思いますから、やはりそれをいかに合理的なものにしていくかということが特にこれからの高齢化社会において必要だと思っておりますし、そういった面における検討というものをあわせてやっていくことにしております。
  92. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 私も、今、委員が思った疑問というのを共有していると思うのです。一月に二千万以上かかる、何百万、一千万円を超えるのがどんどん出てきたということを知りまして、早速、本当なのか、実態はどうなのか、それでは月一千万円以上かかった具体的な資料、名前はいい、何歳で、どういう病状でどういう病院に入っているのかという資料を見せてくれと言って事務当局に指示して、見たのですよ。本当に、今御指摘のとおり月一千万以上かかっている方が結構いる、ベストテン見てみますと。ベストテンという言葉は適当じゃありませんけれども、今御指摘の一番お金がかかった例、最年少五歳の方から、六十歳。一千万円以上かけているのだから僕は治っていると思ったのですよ。十人のうち九人ね、九人。だから、これは、今の治療で幾らお金かけても、治らない病気は治らないのだなという点。  それから、私は、医者の良心からすれば、もうどうしても治したいという気持ちはわかります。何としても治したいと。しかしながら、現実にそれだけ医療費をかけても治らないということにつ いて、お医者さんもやはり、病気を治すという観点から、人間全体を見て、全人間的な対応が必要ではないかなと。かえって患者さんに苦痛な思いをさせている面がないか。これだけの検査、これだけの薬を見てみますと、実情を見てみますと、これは本当に人間かなと思うぐらい、こんなことやられたら、とてももたないなと思うぐらいのような、病名なり検査投薬状況をしていますね。  こういう点からも、医療のこれからの抜本改革を進める際に、私は、今の出来高払い制度でいいのだろうか、あるいは定額包括払い制度を導入する場合に、どういう病気に対してそういう定額払い制度を導入したらいいのかというのも含めて、今後、医療の抜本改革でこういう問題を少しでも解決する方法がないものかということを考えております。  ともかく、病院とも、特に国公立等の病院とは、そういう高額治療、高額療養費のことについて、今後どういう効率的な、また有効な方法があるかということをよく現場とも相談して、この抜本改革の中でいい方法を見つけていかなければならないな、そう思っております。
  93. 草川昭三

    ○草川委員 時間があれですから、一つ要望と、一つ会計検査院に質問します。  一つ要望は、これは厚生省にも考えてもらいたいのですが、実は公的病院のあり方なんです。今大変赤字なんですよ、公的病院は。それですから、議会との関係もありますから、非常に病院の経営ということについて黒字化を焦るわけですよ。ということになりますと、どうしても高額医療を必要とする患者を選ぶことになるのです。それで、手術なら手術をする、それでもう当然高点数になりますけれども、そのフォローアップを非常に短くしまして、要するに、すぐ、追い出しというと言葉が悪いのですが、衛星病院に紹介をするという例が多いのですよ。我々もそういう個々の苦情に日々接しておるわけですが、いわゆる公的病院に余り採算性ということを要求することが果たして是か非かという問題も一つある。ですから、逆に言えば、地域医療の中で不採算医療を本来は公的医が受けるべきではないかという理屈もあるのですよ、一つ。そのことも含めて、これは簡単に結論が出ませんから、私、問題提起だけをしますが、将来ぜひ検討していただきたいことだと思います。これが一つ。  それから、会計検査院は、先ほども出ましたが、毎年のように審査、点検が不十分だという指摘をしているのですが、これは、私も先ほど指摘をしたわけですが、制度的に問題があると思っておみえになるのか、思っておみえにならぬのか。ただ毎年こういう点が問題があるよということだけの指摘をするつもりなのか、見解を受けて終わりたいと思います。
  94. 諸田敏朗

    諸田会計検査院説明員 会計検査院では、先ほども説明いたしましたけれども昭和六十一年度から平成年度までの十年間にわたりまして、制度運営の改善についていろいろ問題を掲記してきたものが九件ございます。  例えば七年度、昨年の決算検査報告でございますけれども、療養環境加算等の診療報酬算定について掲記しております。これは、簡単に言いますと、病院におきまして医師の数が標準人員を満たしていないのに療養環境加算等を算定したため、保険者等における医療費支払いが適切でなく、国の負担が適正を欠いていると認められたものでございます。  これに対しまして、厚生省におきましては、八年の十月に各都道府県に対しまして通知を発し、医師等の充足状況を的確に把握できるよう届け出書の様式を改正するとともに、届け出時の審査等におきまして医師等の充足状況を十分確認するよう指導し、あわせて病院に対しまして算定要件を周知徹底させるなどの処置を講じることになっておるものでございます。  会計検査院といたしましては、今後ともこういった制度、運営の問題につきまして重点的に検査をしてまいりたい、このように考えております。
  95. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 それでは、草川君は終わりました。  次に、中桐伸五君。
  96. 中桐伸五

    中桐委員 民主党の中桐でございます。  まず、これまでお二人の方から質問されたことについてはできるだけ重複を避けたいと思うのですが、ただ一つ、一九九五年度で三千二百二十二億円の過剰請求と新聞には書いてありますが、あるいは不当請求というふうにも言っているようでございますが、その内訳がわからないということになりますと、これは事後対策といいますか、対策がとれないということでございますね。したがいまして、これはもう先ほど来の質疑の中でもありましたように、早急に内訳を一応系統的に出していただいて、そしてその内訳に従って、行政当局なりが、きちんと対処すべき、医療費適正化のための対処すべき方針を出していただいて、適切化するということが必要だと思うんです。  しかし、ここでひとつ議論を正確にするために、要点だけで結構ですから、この過剰請求と言われたり不当請求と言われたり不正請求と言われたりしているこの内容についての概念といいますか、これをまず簡単に御説明いただきたいと思うのです。
  97. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 現在の審査状況内容について、やはり先ほど来出ておりますように、きちんと分析をするということは今後の改善のために必要である、私どももそう思っております。それについては積極的に取り組んでいきたいと思っております。  そこで、今の過剰請求不正請求、不当請求、いろいろ呼び名はされておりますが、いわゆる過剰請求、これは例えば、通常であれば医学の水準からしてこの程度の治療内容で当然済むというふうに判断されるものが、かなり、それ以上の治療が行われている、そういうことであります。これは、いわゆる保険診療というものについてどこまで適切なものということで考えるかということに帰着していくのですが、やはり基本的なものとしては、通常の先生の場合であればこの程度の医療行為を行っているというものとの比較において、その辺のところが審査の中で判断されているというふうに思います。  それから、そのほか不正というようなものについては、これは幾つかパターンがあると思いますけれども、一番問題が起こるのは、実際にそういった治療行為をやっていないのにあたかもそういう治療行為をやったような形で請求をするということでありまして、こういったものは完全に、言うなれば一種の詐欺的な行為になるわけであります。その辺の呼び名については、例えば架空請求とか言われることがありますけれども、要するに、実際やっていないのにやっているかのごとく請求をしている、こういったようなものでございます。  そんなことでよろしゅうございますか、何か抽象的で申しわけございません。
  98. 中桐伸五

    中桐委員 何かそういう不正というものの基準というようなものはつくっておられるんですか。不正という対象に入るような請求行為ですね。そういったものの基準というのは、例えば行政手続きの何かをつくっておられますか。
  99. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 いわゆる不正行為というのは、これは今申し上げましたような一種の詐欺的な行為でありますから、これは基準というよりも、実際に行っていないのに行ったかのごとく請求をするわけでありますから、これは基準というのを特別に定めなくても当然のことだと思います。  ただ、審査基準といった意味では、先ほどから出ておりますけれども医療保険法上は、一つには療養担当規則というものがございます。その療養担当規則に定められたルールに基づいて適正な保険診療をするというのが、これがまず基本でございます。ですから、それにのっとらずに請求をするといった場合には、これはいわゆる不当な請求になってくると思いますし、不正というのはもうそれよりももっとひどい状況でありますから、 これはある意味では論外だと思います。  それからさらには、先ほど申し上げました二千ページ近くに及ぶ診療報酬点数表並びにそれに関連するいろいろな通知が出ております。これは時代がたつにつれだんだん複雑になってまいりまして、むしろ診療報酬点数表をマスターすることだけでも大変だと言われるぐらいかなり詳細な通知等が書かれてございまして、そういったようなものにのっとって請求をしていただく、それからまた審査委員会においてもそういったものをベースとして審査をしていただく、こういうことであります。ただ問題は、医療行為でありますから、医師の判断によって、あるいはその患者さんの容体なり病態によってかなり治療内容というのは幅は当然あるわけでありまして、そういった意味での個別個別ケースについてどう判断していくかという難しさというのはあろうと思います。  その辺の中で、先ほどの過剰か、それとも過剰じゃないかといったときに、かなりもめるケースが出てくると思いますけれども、まず一定のルールというのは療養担当規則、それからまた診療報酬点数表に絡んだ膨大な各種通知等、こういったものに基づいて請求をしていただく、こういうルールでやっております。
  100. 中桐伸五

    中桐委員 時間がありませんのでお答えは簡単にお願いしたいのですが、そうしますと、不正というのは明らかに判定できるという概念と理解していいですね。そのためには、例えば不正があった場合には、保険医の取り消し等の処分をするというふうに理解してよろしいですよね。     〔委員長退席、穂積委員長代理着席〕  そうしますと、療養担当規則というのは二千ページぐらいに及ぶというふうに言われているのですが、その規則を全部マスターするのは大変難しい。そこでいろいろなミスが起こる。さまざまな不当な請求が出ているということなんですが、非常に短時間でチェックしても相当数の不当請求というのが上がってくる、これはもうじっくりやったらどのぐらい出てくるんだろうかと思うのです。しかし、その不正と不当の間に何か、そういう非常に膨大な規則を周知徹底するということを前提にしながらも、なおかつそれを頻繁に繰り返す医療機関、そういったものがやはりあるんではないか。  そういう場合、例えば、この十一月四日の朝日新聞には、医師会の副会長さんの糸氏さんが書いておりますけれども、不正があった場合には、もうどんな金額であろうが金額の多少を問わず罰するべきだというようなことを書いている。しかし、それはごく明確な基準のもとにできる範囲だとしましても、相当数の不当な請求というのがあるとすれば、しかもそれがかなり頻度が多いというようなことがチェックできていれば、そのような医療機関に対して行政が指導する、そしてその指導に従って改善すればいいが、改善しない場合は医療機関名を公表するというふうな制度も一つ考えられるのではないかと思うのですね。保険医取り消しというような形のものじゃなくて、そういう公表制度というのをひとつ考えたらどうかと思うのですが、この点について、厚生大臣、いかがお考えでしょうか。     〔穂積委員長代理退席、委員長着席〕
  101. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 まず、基本的な認識の問題なのでありますが、決して医療機関をかばうとかそういうことじゃなくて、やはり昨今特に医療費が非常に膨大なものになってきている、また、この九月から患者さんに一部負担というものをお願いをせざるを得ない、そういうような状況等がございます。そういった状況の中で、そういう不正とか不当というのはかなり多いのじゃないか、また、そういうような報道がいわゆる日刊紙等でもなされる、それがまた国民保険診療なり日本の医療制度に対する不信感につながっていく、そういった状況というものが昨今非常に強く出ていると思います。  私どもとしては、やはりこれに対してきちんとしたことを御説明しなければいけないのでありますが、例えば糸氏先生が先般の朝日新聞に書いてございましたけれども、九兆円からの不正なり不当請求があるなんというのは到底考えられない。九兆円というのは老人医療費に相当するぐらいの額であります。そういったようなことで、しかし、では九兆円のそういったあれがないかと言われると、それをないというふうにはっきり言えるようなデータがあるわけではないという問題はございます。ですから、その辺はある意味では感じの問題になるわけでありますが、私どもは九兆円からの医療費の不当、不正があるというふうには思っておりません。  では、そこを実証できるかというと、それは実証できないという問題になるのですが、やはり現在の制度の中で、いわゆる不当というものも、まあ言葉の使い方の面があるわけでありますが、医療行為というものがきちっと一義的に割り切れない面がある、そういった中の相対的な面というのがやはりどうしてもある。それを不当とかというような呼び名で呼ばれますと、かなりいわゆる不正的な意味で受け取られるという問題があります。  ですから、その辺のところは、やはり全体的に医療に対する国民信頼の問題が崩れてきている、こういうような状況がだんだん強く出てくるというふうに思っておりまして、私どもとしてもそういった意味で、やはり制度としてもそういった信頼というものをつなぎとめられる、あるいはまたそういうような疑惑等々が出てこないようなものにしていかなければいけないと思っておりますけれども、この今の状況からしますと、やはりマスコミ等でそういったようなとらえ方をされているということは極めて遺憾であるというふうに思っております。  そういった中で、今お話ございました不正ということであれば、これは保険医療機関の取り消しということで対処しておるわけでありますが、不当な状況というものを公表、医療機関名を公表すべきかどうかということについては、これはやはり医療に対する信頼というものをまたさらに損なうことになるということも考えられますし、その辺のところは相当やはり慎重に考えるべき問題じゃないかなというふうに私は思っております。
  102. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 補足がありますか。——では、厚生大臣
  103. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 保険医療機関の取り消しの前に医療機関名を公表せよというお話ですか。
  104. 中桐伸五

    中桐委員 いや、取り消しははっきりした詐欺行為みたいなものが対象になるとおっしゃっていますので、かなり頻繁に相当の不当請求を出しているという医療機関がチェックできれば、そこに指導して、それで、その指導にさらに従わない場合に公表というふうなことも考えてもいいのではないかと。
  105. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 私は、その指導してなお改善を講じないという医療機関に対しては、もう取り消しが相当じゃないか、まず取り消しの前に公表があるのだというよりも、よく指導して、それに従わないようでは、むしろ公表する必要はなくて、取り消しと同時に公表でいいのじゃないだろうか、そういうふうに思いますが、どうでしょうか。
  106. 中桐伸五

    中桐委員 もう一つ、これは厚生大臣にお聞きしたいのですが、NTT健保でという例が、この衆議院決算委員会調査室からの資料に出ているのです。  先ほど来からも出ておりますが、民間の点検業者に委託をして、再審査で四億円取り戻して、手数料を引いても二億円が残ったというふうなことが朝日新聞の記事になっておるのですが、こういうことはかなり大手の保険者にはできると思うのです。これから保険者機能が非常に重要だというふうに言われておりますし、そのことを強化していく必要があると思うのですが、そういう場合、こういう大手の場合にはできるかもしれませんが、小さいところではなかなかこういうこともできないというふうなこともあると思うのです。  そういう点で、これから医療費適正化のために、いわゆる保険者機能との関係で、こういった 民間機関の活用等も含めて、そういう自律できにくい保険者というところへどういう支援をやっていくかということについてお聞きして、私の質問を終わりたいと思うのです。
  107. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 時間が来ましたので、簡潔に、局長
  108. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 保険者機能の強化ということは、非常にこれは大事でありまして、いわゆる被保険者の代理人的な機能というものを大いに期待できるところがあるわけであります。  ただ、それを公的に、保険者、いわゆる健保組合ということは、これはそれぞれの企業の従業員なりあるいは事業主の合意のもとに、総意のもとにつくっているわけでありますから、それはやはり自律性というか、そういった面をきちっと高めてもらうというのは基本ではないかというふうに思います。  ただ、そういった中で、支払基金の機能なりがきちっとしていくことによって、小さなところが不利にならない、そういうような医療保険制度ができるわけでありますから、むしろそういった面でのサービスの充実といいますか、そういう面で考えていくべきで、個別個別を公的に支援をするということについてはいかがなものかというふうに思っております。
  109. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 厚生大臣はいいですか。よろしいですか。
  110. 中桐伸五

    中桐委員 どうもありがとうございました。
  111. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 それでは、中桐伸五君の質疑を終わります。  次に、瀬古由起子君。
  112. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。  先ほどから問題になっております過剰請求三千二百二十二億円という報道がマスコミなどで幾つかされています。それが本当に不正なものならきちんとそれをただすという立場が必要だというふうに私たちも考えています。しかし、先ほど同僚議員からのお話、質疑の中で明らかになったように、この過剰請求と言われている、報道されている内訳は一体どうなのかと聞いたら、支払基金の方はわからないと、こういうお話でしたね。厚生省は、今まで支払基金に、一体その内訳はどうなっているんだといって聞かれたことはあるのでしょうか。
  113. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 今回こういうような、いわゆる支払基金査定状況というようなことが国会等でも問題になり、そういった中で、私どもとしても状況について支払基金の方から聞いておるわけでありますが、これまでそういった面を含めて、きちんとした統計データというものを用意してほしいというようなことはそれほど強くは申し上げてこなかったと思います。  ただ、今回御議論がございますように、やはりそういった内容というものはきちんと公表し、そしてそれに基づいてさらに充実をしていくというのは大事でありますから、そういった意味で、今後、支払基金にもぜひその辺についての統計データ等の整備をお願いしたいというふうに考えております。
  114. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 今まで強く言ってこなかったと。しかし、この問題は、マスコミなどが取り上げている問題は、きのうきように始まったものではない。何度も報道されていたわけですね。しかし、私はことしの八月十四日の日経を持ってきたのですけれども、この記事によりますと、厚生省医療費請求審査を強化する、こういう方針を打ち出したという記事が載っておりました。そうしますと、厚生省は、一体今の診療報酬明細、この審査状況がどういう内容になっているのかということを、わからない、要求したけれどもその資料が来ないのに、ともかく審査だけ強化するという方針を打ち出したのでしょうか。この新聞の報道によりますと、「国民医療費伸びを抑えるのが狙い」こういうふうになっていますけれども、その点はいかがでしょうか。
  115. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 瀬古先生からも、これまでの健保法の改正で、厚生委員会等でもいろいろ御指摘をいただきました。そういった意味で、昨年来、医療保険の改正の御議論をお願いしてきたわけでありますが、そういった中で、私どもとしても、こういうようなデータというものは必要であるというふうに認識し、そして、そういった面で支払基金等にもお話をしてまいりました。  ただ、状況は、現在のところ、先ほど来出ておりますような状況でございますので、そういった意味で、私どもとしては、これからきちっとしたものをつくっていただきたいと思っておりますけれども状況だけ申し上げますと、そういうような状況でございます。
  116. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 中身はわからないけれども国民医療費伸びを抑えるためにともかく監視するというのは、私はやはり無責任な考え方だと思うのですよ。本当に中身がどうなっているのか。本来、それは不正でも何でもないという中身かもしれない。  例えば、今指摘されているのは、この三千二百二十二億円の中には、資格過誤という問題があって、例えば、会社をやめた患者さんが利用できない保険証を使う、こういう場合にはレセプト点数が高いのですから、この金額そのものがこの三千二百二十二億円の中に乗せられていくということになる状況があるわけですね。そうしますと、この場合は必ず次回の分で請求できるというふうになるわけですから、この金額もひっくるめてどうなっているのかということを見ないと、これをともかく抑えなきゃなどという発想は、私はもっと慎重にやるべきだというふうに思うのですね。これはもう言いおくだけにしておきます。  それから、具体的に、では現場でレセプト審査の強化がどういうような状態になっているのかということを、私、京都の民医連の中央病院の事例で伺いたいと思うのです。  一九八八年に急性リンパ性白血病の再発でここの病院入院した小沢さんという方が、一時重篤な多臓器不全に陥った、それで、懸命な治療が行われて一命を取りとめる、こういうふうになったわけです。先ほど厚生大臣は、一生懸命莫大なお金を使っても命が助からないなどという例がありましたが、しかし、現場の努力によって助かる場合も幾つかあるわけですね。  こういうときに、主治医の、症状を詳しくつけて請求をしたわけですけれども、これが大幅な減額となって返ってきたわけです。この理由は、これは中央の特別審査委員会審査がされているわけですけれども、血液交換療法及び人工腎臓の回数が多過ぎる、こういうものなわけです。この中央病院ではなぜ血液交換療法や人工腎臓が多いのか、過多なのかと、過多であるという医学的な根拠、これを示さずに、多いというだけで返してきたわけですね。そこで、これは許せない、こんなことを受け入れていたら国民の本当に必要な医療が認められなくなる、これは医療の良心にかけても許せないということで裁判に踏み切った、こういう経緯がございます。  この結果、どうなりましたか。この裁判の結末はどうなったでしょうか、厚生省
  117. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 先生からの御指摘を受けましたので、私もこの大阪高裁の判決を読んでみましたけれども、第一審では基金側が勝訴しておりましたけれども、大阪高裁で基金側が敗訴、原告側が勝訴、こういう格好で、ここで裁判としては終わっております。
  118. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 被告の訴えられた京都市、支払基金の方はもう上告を断念して、原告側勝訴が確定しているわけですね。  これはどういう内容だったのかといいますと、この審査が医学的な根拠に照らして否定されて、減点そのものが不当であるということが裁かれた。そして、京都の民医連の中央病院の主張がほぼ全面的に認められている。特に、診療報酬というのは、国民の医療を受ける権利と治療の内容に直結する、命にかかわるという問題でありますから、私は、この審査というのは特に慎重でなければならないというふうに考えるわけですけれども厚生大臣、いかがでしょうか。
  119. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 いつも熱心な共産党の瀬古議員からもっと厳しく審査せよというふうなことを言われるのかと思ったのですけれども、もっとお医者さんを信用しろということで、なるほどなと。本来、お医者さんを信頼して、すべての診療は適切にやっているんだというのが望ましいと思うのです。  この京都の実際の裁判の問題については、いわば適切な診療を行っていた、むしろ審査の方に問題があるという裁判だったと思うのですが、こういう点も含めまして、私は、基本的にはお医者さんの良心を信じたいと思います。そうでないとこの医療制度は成り立たない。その中でも、中には不正なり不当なりの検査なり治療を行っている一部のお医者さんのために、あたかも全体がそのようなことを行っているんじゃないかというふうにとられるのはやはり大変遺憾であります。私も、基本的にはお医者さんを信頼したい。  病気を治すために全力を傾けて治療に当たっている。そういう中において、今までのような、国民医療費負担している、どんどんどんどん医療費がふえる、そういう中にあって、現在の制度にむだな部分がないか、非効率な部分がないかという観点から、仮に不当な、不正なそういう治療行為をした場合にはどのような改善措置が必要かという観点でいろいろな、今のむだとか非効率あるいは審査の点で改善すべき点があればということで、今後検討していく必要があるのではないかというふうに私は考えております。
  120. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 審査は慎重にすべきかどうかという問題、それを。
  121. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 審査は当然厳正にすべきだというふうに考えております。
  122. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 時間が来ましたので、もう一点、そのぐらいで。
  123. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 もう一点だけ。  この判決は、減点が不当だというばかりじゃなくて、減点した場合に、減点されたその理由が医療機関にわかるようにしなさいと。  ところが、この基金から出される減点理由のところに記号だけしか書いていないというケースが本当に多いわけですね。これが大変お医者さんたちの不評、医療機関の不評を呼んでいるわけです。今回の裁判では、きちっと理由も明らかにしなさい、医療機関がわかるようにしなさいという判決までつけ加わっているわけです。その点でもやはり改善というのは必要だというふうに思うのですけれども、最後に大臣にお伺いしたいと思います。
  124. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 現場の治療を担当する医療機関なりお医者さんなりにやはりわかりやすい基準を提示するということは、これから大変大事なことだというふうに思っております。
  125. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 ありがとうございました。
  126. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 以上で各党を代表する委員質疑は終了いたしました。  これより自由質疑を行います。  この際、委員各位に申し上げます。  質疑のある委員は、挙手の上、委員長の許可を得て発言されますようお願いいたします。また、発言の際は、所属会派及び氏名をあらかじめお告げいただきたいと存じます。なお、一人一回の発言は三分以内で簡潔にまとめていただくようにお願いいたします。  それでは、質疑のある委員は挙手をお願いいたします。
  127. 高市早苗

    ○高市委員 これは京都での事例なのですけれども、長く大学系の公立の病院に勤務されていた勤務医の産婦人科のお医者様なのですけれども、御自身で開業されたのですね。私たち女性の場合は、もう私も該当年齢でございますけれども、子宮がん検診等ございます。この子宮がん検診のときに、女性の患者の方が、そう何度も何度も行きたいところでもないものですから、そのがん検診のついでにいろいろな不安な材料をお医者さんに言いまして、ここを診てほしい、婦人科系のあれを診てほしい、これを診てほしいというような要求をされたわけです。  お医者さんも、そうそう婦人科で診察台に上がるというのは、たびたびというのはみんな大変だろうというので、子宮がん検診のついでにいろいろ診察をして、これを請求をしてしまった。医療行為をしたということで保険請求をしてしまった。これが違法だということで、水増し請求扱いをされてしまった。お医者さんから話を聞くと、結局、法的なことを全然知らなかった。好意で自分は女性のためにやって、請求したらこれがだめだということで、今処分待ち、場合によっては医療行為がしばらくできないのじゃないかというような不安な状況の中で処分待ちなんだそうです。  これは、病院側にも非があることなのかもしれませんけれども、一つ厚生省にお伺いしたいのですが、こういう長いこと大学病院の方で勤めていらっしゃったお医者さんが開業されて、十分な知識を持たずに保険請求をしてしまった。本人はあくまでも好意だったということで非常に憔悴されているのですけれども、いろいろな制度そのものの周知、いろいろ会計検査院報告を読みましても、病院側の知識不足によるものが非常に多うございますので、こういったことの周知のために厚生省はどういう用意があるかということ。  もう一点は、今申し上げましたような例、特に婦人科での例というのは、私なども検診の案内が来てもなかなか恥ずかしくて行けなくて、行っていないのですけれども、行ったついでに、いろいろ不安な材料があったときに診ていただきたい。ところが、これをお医者さんが診察してくださると、これは水増しという扱いになってしまう。この辺は改善できないのでしょうか。  以上二点、お願いいたします。
  128. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 まず、保険診療ルールというものをきちっとマスターしていただくということが基本であるわけでありまして、そういった意味では、新しく保険医になられた先生方につきましては、きちっとしたテキストで講習なり指導というものを定期的にやっております。  そういった中で、今御紹介のあったケースは、いわゆる保険診療というのは、これは、あくまでも予防的なものについては診ない、いわゆる健康診断的なものとしては診ない。何か病気がある、あるいは病気を訴えてきた場合にそれを診断をする、診察をする、こういうルールになっておりまして、その辺のところは、基本的には先生方は十分御承知なんじゃないかと私は思います。  今御紹介のあった件について、これは個別のケースとしてどういう状況であったのか、もうちょっとよく調べないと一概には申し上げられないと思いますが、例えばそれが、ルールを知らずに、検診だったんだけれども、そちらのいろいろな状況を診察をし、そしてそれを保険で請求をした。これが事実であったとして、それは保険診療上はやはり請求が認められないわけでありますけれども、ただ、それによって、例えば、けしからぬから保険医の取り消したとか、そういうところまでしゃくし定規には行かないんじゃないか、今聞いたことがもし事実であるならば。  そのほか、まあいろいろわかりながら、いわゆる不正なというか不当な状況だということを知りながら請求しているとすればそれはまた別ですけれども、善意というような場合にはそこまでは行かないような気がいたしますけれども、ちょっとこれは一般論で申し上げざるを得ないので、そこまでしゃくし定規にはやっていないというふうに思っておりますけれども……。
  129. 高市早苗

    ○高市委員 要は、だから、そういった制度の周知のために厚生省としてもうちょっと御努力をぜひいただきたいということなんでございます。  それから、二つ目の質問は、婦人科の検診の場合、特別な事情を配慮して、そういう検診を受けたときに、予防というよりは多少異状があるんじゃないかと自分で心配して、お医者さんについでだからぜひ診てくださいよというようなことを言うケースが多いのですね。その病院の場合もそうだったわけです。こういったときに、今後、保険医療の制度の見直しということも含めて可能性があるのでしょうか。こういったところを。
  130. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 これは、何といいますか、境界線といいますか、その辺のところは非常に難しい問題だと思います。私は、やはりそういう意味での誤解を招かないようにするためにも、できればやはりそれは別途、何か体のぐあいがおかしいとか心配だということであれば診察を受けていただく方がよろしいと思いますし、恐らく一般の子宮がん検診等々の場合ですと、それぞれ市町村によってやり方はいろいろあろうかと思いますが、ある程度集団的にやる場合もありますし、個別に検診の検診票を持っていく場合もあると思いますけれども、そこら辺のところをみんなオーケーと言ってしまった場合に、その辺のけじめなりというものがちょっと心配な気がいたします。  ただ、お気持ちはよくわかるのですけれども、その辺のルールというものはある程度線引きをせざるを得ないのじゃないかなという気がいたしております。
  131. 高市早苗

    ○高市委員 ありがとうございました。
  132. 大口善徳

    ○大口委員 新進党の大口でございます。  今回、特に安田病院等の問題がありまして、週刊誌等でもかなりセンセーショナルに報道がされている。まじめにやっておられるお医者さんも非常にこの点については迷惑をこうむっている、こう思うわけですね。そういう点で、不正請求等の内訳についてきちっとやるということは非常に大事である、私はこういうふうに思うわけです。  そういう中で、レセプト請求について電算化をする、こういうことをたびたび答弁されていたわけであります。確かに三秒から五秒でレセプト審査ができるわけはないわけであります。かといって、基金職員をふやすわけにもいかないわけです。そうなってきますと、やはり電算化をしていこうということになるわけでありますが、今から十四年前にレインボー計画というのを打ち出して、レセプト請求電算化というのをやっていこうという構想が出た。もう十四年たっているにもかかわらず、いまだにそういうことを言っているわけでございます。  実際、電算化というのは現場では進んでいるわけであります。ところが、様式が不統一であったりとかいろいろあるわけであります。やはりこれは厚生省として、いついつまでに、例えば三年計画ですとか何年計画という明確な目標を立てて、そして電算化を強力に進めていくということをしなければ、あっという間に十年、二十年たってしまうと私は思うわけです。ですから、これは近々の課題であり、このことについてきちっと示していただきたい、こういうふうに思うわけです。これが一点です。  二点目に、安田病院の場合もこれは三年半前に調査をしておるわけであります。そして、それから毎年、いろいろ市民団体からも要望があったり、あるいは特にこれは三病院あるわけですが、同日調査をなかなかやらないということで同日調査をやってくれというような要望もあったわけです。そういう点で、こういう現場の声といいますか、そういうものをどう吸い上げていくか、非常に大事だと思うのです。その中でやはり保険者の機能というのは非常に大事になってくると思います。  私は、保険者がやはり一番、保険料を預かってそれを支払うわけでありますから一番痛むのは保険者である。だから、保険者がやはりこの審査についてしっかりと位置づけをしていく。行政改革ということからいさましたら、むしろ支払基金というものは支払い機能に特化して、そしてまた審査については、もう保険者でやればどうか。そしてまた、保険者が例えば知事等に、あるいは厚生省に対して何らかの申し立て権を求めて、不当な病院についてはそういう申し立て権を認めていく、こういう形をやっていく。そしてまた、保険者がそれだけの権限を持つとともに、病院に対して直接契約をしていくというような、アメリカ型ですね、そういうようなことも考えて、これから保険者がやはり医療の効率化、またこういう問題について大きな重要な役割を果たしていかなきゃいけない、こう思うわけです。  この二点につきまして、厚生省また基金理事長から御意見をお伺いしたいと思います。
  133. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 それでは厚生省から、高木局長。  また、次官、もし発言があればお願いしたいと思います。
  134. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 先ほど来申し上げておりますように、現在の支払基金なり国保連合会の審査のあり方自体が、やはり時代から見て限界だろうというふうに思っております。そういった意味では、今先生御指摘のとおり、相当前から電算化という方向を目指して厚生省は検討してきたわけですが、余り進まないじゃないか、御指摘のとおりであります。私もまさにそういうふうに思っております。  そこで、これはやはり、今までの電算化に対する計画の考え方、これは一つには、やはり統一的に、しかも全体一遍に実現させるという考え方が基調にあったと思いますけれども、その間、既にもう個別の医療機関はそれぞれコンピューターを導入し、そして個別個別の業者のソフトによりまして実際にはもう電算処理をしている。たしかもう九割ぐらい、全体のレセプトからすれば電算処理ができるくらいになっておる。ただ、個別の診療所等については、中にはそこまでいかないものもございますけれども、それを全部一遍に実現させるということでなくてもいいんじゃないか。九割方、既に医療機関ではコンピューターを導入しているならば、そういうところについてきちんと受け入れられるような仕組みができれば、それで第一歩を踏み出せるんじゃないか。  それぞれのメーカーがいろいろなソフトをつくっておりますけれども、そういったものも統一的な方向に、むしろメーカーそのものがそういう方向に乗ってくるんではないかというふうに考えておりまして、その辺の発想を切りかえて検討をすべく、今、厚生省支払基金が一緒になりまして、新たな発想で検討しております。そういった中で、来年度には大部分がそれに乗っかれるような、そういうような計画、システムというもので検討してくれということで、今事務的には鋭意検討しておりまして、私は、これはできるだけ早くやる必要があるということで考えております。  それから二点目でありますが、保険者機能、これは我々も、保険者機能の充実ということは非常に重要であるというふうに考えております。  ただ、先ほど来出ておりますように、この審査というものをまず保険者がやって、それから、問題のあるものについて、一種の裁定機関的なものとして、仲裁機関的なものとして支払基金なり公的な機関審査をするというのも、それも一つの考え方であろうかと思いますけれども、ただ、それが本当にシステムとして、公平、公正かつ能率的なのかどうかということは、これはよく検討しなきゃいけないというふうに思っております。  ただ、現在の状況ですと、やはり必ずしも今の支払基金なり国保連合会の状況というものが、保険者から、あるいは国民から信頼される状態での審査が行われていないという面もあろうと思いますので、それは今の電算化の問題等も含めた検討課題だと思いますが、保険者が第一義的に審査をするようなシステムを導入するということについては、これはもっと慎重に検討する必要がある。  現在のシステムも、支払基金の中の審査委員会というのは、これは三者構成で、いわゆる公益の推薦の委員、それから診療側、それから支払い側、支払い側というのはいわゆる保険者ですね、保険者の推薦の委員で構成しておりますし、そういった意味では、保険者の意向というものがその審査委員会の中で反映されていないというものでもないのですが、それが目に見えるような形であらわれていないという問題があろうと思いますので、その辺のところは、全体の業務改善も含めて支払基金のあり方そのものをやはり考えなきゃいかぬというような、そういう問題として考えております。  それからもう一つ、保険医療機関につきましては、現在は都道府県知事がそれぞれ保険医療機関を指定して契約を、まあ公的な契約になるわけで すが、契約をして、各被保険者はどこの医療機関でも保険医療機関であればかかれるという形になっておるわけです。それをむしろ、保険者が個別に医療機関と契約して、自分の被保険者はそこの医療機関にかかるというふうな格好にしたらどうかという御議論はございます。  ただ、これはやはり我が国国民保険制度、しかも公的な皆保険制度であります。これが、保険医療機関であれば保険証一枚で全国どこの医療機関でもかかれるという、これも大変な、世界的に見れば大変なことでありまして、そういった利便さというものをやはり損なうという問題も出てくるわけであります。そういうことを考えた場合に、本当に、その保険者が選んだ医療機関だけしか被保険者がかかれないようなシステムがいいのか、これも相当慎重に検討する必要があると思いますし、私どもとしてはやはり、これまでの全国どこでもかかれるようなシステムの方がすぐれているのではないか。  しかし、そういったことをやるためにむだなりというものが生じているとするならば、むしろその点についての改善策というものをきちっと講じていくという行き方の方がいいんではないかという、むしろそっちの方向で考えております。  これまでも、御指摘のような御意見は私どもとしても内部でよく検討はいたしております。ただ、状況としては、今そんなふうに考えております。
  135. 原田義昭

    原田(義)政府委員 今局長が大体お答えいたしましたけれども、私は、大体、この電算化につきましても、もう十一億六千万件も扱っているそういう分野で、この期に至って電算化を進めねばいかぬというのには大分違和感を感じていたんですけれども、しかし、なかなか難しい問題もあると思います。  ただ、事実上は、各機関、それと組合でもうコンピューターをいろいろ使いながら内部処理をやっておるということでございますから、あとは結局、標準化というかスタンダーダイゼーションといいますか、その辺はやはりある程度国、基金等が指導力を持って進めないと、情報化というのは、幾ら自分のシステムの中だけでよくても、オンラインがきちっとなっておかなければ余り役に立たぬということがありますから、ある意味では、コンピューターというのはこういう分野が一番やはり得意で、情報を処理する、本当に非常に単純な情報とも言えますから、その辺は一層努力しなければいけないと思います。
  136. 末次彬

    末次参考人 まず、電算化への対応でございますが、私ども現在まで、パイロットスタディーとして行われておりました兵庫県さらに千葉県等につきまして、受け入れ体制を整えまして、レセプト電算化、これの実験を既に実施してまいりました。  今後、ただいま厚生省から御説明ありましたような、順次この体制が拡大していくということを考慮いたしまして、その実態に即して私どもの受け入れ体制を整備してまいりたい、かように考えております。これによりまして相当な業務合理化ができるんじゃないかということを期待をいたしております。  それから第二点のレセプト審査の問題でございますが、私どもとしてはやはり、ただいまも保険局長から説明がございましたように、やはり公的な医療費審査というものを、第一義的に公的な立場で、三者構成という中立的な立場からの判断をしていただくということがやはり一番信頼性を確保するゆえんではないか、かように思っております。  審査につきましていろいろ御批判をいただいたわけですが、私ども、要約して申し上げますと、ただいま三点についての取り組みをやる予定でございます。  第一点は、事前点検の充実でございます。  これは、先ほど来申し上げておりますように、レセプトOCR処理システム導入等によりまして、現在、レセプトの受け付けは十日受け付け、それで審査委員会を二十日までに終了、こういう制約がかかっております。この二十日までに終了というのは事後処理を考えてのお話であろう、私どもそういうふうに受け取っておりまして、その後の、審査が終わった後の事務処理をこの機械化により大幅に合理化をいたしまして、審査委員会の日程を極力後ろへずらしていただこう。そうすることによりまして、受け付けてから審査委員会が始まるまでの事前の事務点検、事前の事務共助、これを大幅に充実をさせていただきたい、かように思っております。現在のところは、十日受け付けで即審査委員会にかけなきゃならないという時間的な制約が非常にございます。この点をぜひ改善をしていきたいというのが第一点でございます。  第二点は、審査委員会審査期間の確保でございます。  これは委員会によりまして、一カ月に三日のところも七日のところもございます。実際審査に携わっていただいております先生方は、実際にまた診療担当していただいている。それぞれの立場で、開業医あるいは勤務医として働いておられる方でございます。したがいまして、三日の間、三日間出てきていただくというのはなかなか難しいということがございますので、予備日というものを設けまして四日のうち三日出ていただければということで、予備日の設定を現在進めております。これは、ほとんどの都道府県で既に実施に移しつつございます。間もなく全都道府県で可能になろうかと思います。  それからさらに、一週間の日程でございますと必ず土日がかかるということで、勤務医あるいは開業医の先生方にしてみれば、やはり土日の方が審査をしやすい。自分たちの診療をしないで審査委員会に出てくるということには抵抗があるので、土日にも審査をしたいという要望がございます。これまで十二府県でこの土日開催というものを実施してまいりましたが、平成年度にはさらに八府県、土日開催をふやしまして、現在二十府県で土日にも審査委員会を開催するということをやっておりまして、この実質的な審査期間を極力確保していくという方向で第二点は努力したいと考えております。  第三点といたしましては……
  137. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 簡潔に。  今の質疑にちょっと……
  138. 末次彬

    末次参考人 では、簡単に申し上げます。  実質的な審査情報、これにつきまして審査委員会に御提供申し上げまして、審査に役立つ情報というものを積極的に提供していきたい、こういうことによりまして審査を充実させていきたいということを現在考えておるということでございます。
  139. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 わかりました。——ちょっと待ってください。ちょっと答弁漏れがあるように私は認識しているのであります。  同日調査の要請等があった、三年半前に調査して、それ以降、毎年市民団体等からの要請等があったのにかかわらず、安田病院だったと思いますが、審査がおくれ、同時審査の要請があるにかかわらず三年半おくれたということについてどうなのかという質問があったと思うのですが……。
  140. 大口善徳

    ○大口委員 それと、あと、保険者のそういうことについての申し立て権、知事に対する、例えば指定取り消しの申し立て権とか、そういうこともやはり考えるべきじゃないかと。
  141. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 その部分についても。  ちょっと長くなっていますので、簡潔に、今の調査要請の問題とその問題について厚生省から答弁を求めます。
  142. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 ちょっと私も、調査要請がいつごろあってという、具体的なことはちょっと存じ上げていませんので、そこら辺が、なぜ府なり市が取り上げなかったのかということについては、ちょっと今即答はしかねます。  ただ、先ほど審議の中で申し上げましたように、やはり保険関係の部局もそういったものに対してきちっともっと敏感に対応するようにしなければいけないというふうに思っておりますし、ま た、ことし、全国の課長を集めまして、その点について、従来の惰性に流れているのではないかということについては十分注意を促したところであります。  それから、保険者からの申し立て権でありますが、これは実質的に、今でも保険者からいろいろな情報というものが、担当しております県の保険課なりそういうところにかなり来ておりますから、むしろそういったものは大いに積極的にやっていただいたらいかがかというふうに思っておりますが、権利として法律の中にそれをきちっと書き込むかどうか、これはもうちょっとよく検討しなければいけないだろうと思います。
  143. 大口善徳

    ○大口委員 それでは、制度的にやはり、そういう苦情とかそういうものを受け入れることをきちっとやるということと、それから、なぜ安田病院がおくれたのか、そういうことをまた報告をお願いしたいと思います。
  144. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 調査の結果を大口委員に届けてください。
  145. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 かしこまりました。
  146. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 大口君、終わりました。
  147. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。  厚生省支払基金に御質問をしたいと思いますけれども、先ほど来の質疑の中で不正請求ということの金額がいろいろ出されています。九兆円という大変大きな金額も出ておりましてびっくりしているわけですが、先ほど保険局長は、九兆円というのは考えられない、はっきりしたデータがあるわけではないというようなお話がありました。  それで、この九兆円というのは一体どこから出てきたんだろうかということで、いろいろ新聞、雑誌などを見ますと、厚生省の現職の職員で、医療Gメンの仕事に十年以上携わっている現役の指導医療官のA氏は、こういう肩書で、雑誌にも出てくる、週刊誌にも出てくる、新聞にも出てくる。そういう状況で、この方は、ブラックゾーンあるいはグレーゾーンということでいろいろ仕分けをして、二十七兆円の医療費のうちの三割がブラックゾーンだ、「三割を占めていると断言できます。」というようなことまでおっしゃっているわけです。  こういうことになりますと、はっきりしたデータがあるわけでもないのに、何か大げさに九兆円がひとり歩きするという状況が実際に出ているのではないかと思うわけです。  それで、日本医師会の副会長の糸氏さんも、世の中のうわさを、「噂の一人歩きほど怖いものはない。」こうおっしゃって、九兆円というふうになりますと実際には大変な金額で、老人医療費の年間総額に相当し、国家予算の八分の一にも上る巨額の金であるということで、「これが事実ならば、監督官庁である厚生省が全力をあげてその真相を追究しなければならない重大な疑惑である。」というようなことまでおっしゃっているわけです。  この出所が厚生官僚A氏ということならなおさら、根拠がないのにこれを野放しにしておくということは、これは極めて重大なことになるわけでありまして、根拠があるならばその根拠を明確にすべきだし、根拠がないのにこの現職が、A氏があらゆるところで言いふらすということになりますと、これはまた逆の問題が出てくるわけです。厚生省としてこの点についてどのような対応をなさるのか、はっきりとお伺いしたいし、それから、支払基金の方にも、実際、内容的にこういうことがあり得るのかどうなのかという点についても御回答いただきたいと思います。
  148. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 では、まず厚生省から。
  149. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 雑誌等を私も拝見しております。そのA氏というのはどの人かわからないということで、もしA氏がわかったならば、そこは本人からきちんとした考え方なり根拠というものをきちんと問いたださなければいけないというふうに私は思います。  処分とかなんとかはともかくとしまして、やはり現在の医療制度に対する不信感、もし憶測で物を言っているとすれば、不信感を増幅させているわけであります。それが現職の立場でそういうふうな、しかもそういうことに携わっている方だというのであればなおさらのことではないかというふうに思います。どういう意図でこの方はそういうふうに言っているのかよくわかりませんけれども、しかし、匿名で常に出てまいりますし、そういった意味で残念ながら具体的にその人を特定することはできない、そういう状況でございます。  それじゃ、おまえの方は、そんなはずがないと言うけれども、その具体的なデータはあるのかと言われると、これは我々もそういうデータというのはないわけでありますが、しかし、ここは物事常識というものがありますから、そういう点から考えてみた場合に、これはあり得ないというふうに私は思っているということでございます。
  150. 末次彬

    末次参考人 私どもの方の日常感覚からいっても、あり得ない数字ではないか、かように考えております。
  151. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 簡潔にお願いします。
  152. 原田昇左右

    原田(昇)委員 では、簡単にやります。  健康保険法の四十三条ノ九、これによりますと、四項に、保険者はこれを審査した上支払うものとすると書いてあって、その次の五項に、支払基金保険者は委託することを得と書いてある。だから、これを見ても、保険者審査して支払いなさい、そして、もし必要なら委託してもいいですよということになっているんだね、支払基金に。今みんなが支払基金に委託しているのは、これはどういうことですか。厚生省がそういうように指導しているのかね。契約をそれぞれしてやっているのか、その辺は私わからぬので、その点を伺いたい。  要するに、この法律の趣旨でも、第一義的に審査をし、責任を持つのは保険者である、こういうことは明らかなんですね。今は逆転して、支払基金がいかにも全部やって、第一義的にやって、そして保険者からの再審査の要求を受けてやっているというのは、ちょっとおかしいのじゃないか。その辺を明らかにしてもらいたいということ。時間がありませんから一言でいいですよ。  それから、二百五円以下の薬というのが薬名を記載しなくてもいいことになっているらしいんですな。だから、二百五円以下の薬というのは、要は薬名はわからぬけれども幾らでも出せるという話になりかねないのですが、大したことでなければいいわけですが、その辺は大丈夫ですかということだけ聞かせてください。一言でいいです。
  153. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 それでは、まず厚生省。時間ですから、簡潔に。
  154. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 最初のあれは、この健康保険法ができたのが、大正十一年の法律ですから、ちょっとその辺の条文の流れを見ないと正確なことは申し上げられませんが、これはもう四十九年前に支払基金ができていますので、そういった流れの中で、各保険者支払基金に、支払いの方もありますから、審査支払いを委託をしてきたのだと思います。特に厚生省がそこに、各保険者は委託しなければいかぬというようなことで、強制力を発揮してやってきたということではないと思います。  それから、後者の方ですが、これは先般の薬についての一部負担をお願いした際にも、国会で大分議論になりました。  これは、二百五円以下であれば中身についてはレセプト上は一々書かなくてもいいですよ、そうではない場合は、どういう薬をどれだけ出したかというのは全部記載していただくことになっているわけです。これはひとえに、いわゆるレセプト請求事務簡素化というふうな観点でこういうふうな形になっております。  それが逆に、何か不正の温床になっているのじゃないかというようなお話がございましたけれども、やはりこれだけ煩雑なレセプトでありますから簡素化も必要だということで、現在はこういうふうになっているということでございます。
  155. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 では、予定した時間も過ぎましたので、本日の質疑はこの程度で終了することとい たします。  末次参考人におかれましては、御苦労さまでございました。  次回は、来る十二日水曜日午前九時三十五分理事会、午前九時四十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十四分散会