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佐藤(茂)
委員 おはようございます。新進党の
佐藤茂樹でございます。
久間防衛庁長官、引き続きよろしくお願いします。
また、今
国会初めての
安全保障委員会でございますので、
小渕外務大臣、御就任まことにおめでとうございます。折しも、
アメリカの駐
日大使に
フォーリー氏がなられるということになりましたけれども、昨年
小渕大臣とともに、たしか夏でしたか、
アメリカに同行させていただいて、非常に
小渕大臣と
フォーリー大使との
個人的親交の厚いのを目の当たりにさせていただいたわけですが、いろいろな
懸案事項が多い
日米関係ではございますが、そういう
外交通である
小渕大臣の力量を発揮していただいて、
日米関係だけでなく、本当に大事な
日本の
外交を先頭を切って切り開いていただくよう、心より望みたいわけでございます。
特に、
日米関係で、きょうは、大事な
ガイドラインの合意というのが九月二十三日に合意されてから約二カ月間たっているわけですけれども、この間、
安全保障委員会が開かれたのが今回が初めてでもございますので、私の方では、この一時間、
ガイドラインの問題に絞りまして
質問をさせていただきたいと思うのですけれども、基本的にできるだけ細かいことは省いた
質問をするように心がけますので、なるべく両
大臣並びに
法制局長官、
安全保障室長の
範囲で御
答弁いただければ非常にありがたいな、そのように思うわけでございます。
それで、まず第一番目に、
後方地域支援の問題なんですけれども、この件につきましては、去る十月十三日の
予算委員会で、我が党の
小沢党首と
橋本総理並びに
大森法制局長官の間でいろいろな
議論が交わされました。そのときに、
総理が言われた
答弁、これは正確な言葉かどうか、
議事録と若干違いがあるかもわかりませんけれども、次のように言われました。
ガイドラインをつくります上で、
戦闘あるいは
戦闘行為、
戦闘地域と
一体化しない
後方支援の
あり方はあり得るのかあり得ないのかという
議論の上で、あり得るという
結論を出した、そして、そういう場合において
協力の
あり方というものも
論議をいたしました、そういう御
答弁を
橋本総理がされたように覚えております。
その上で、お二人ともに携わられた
湾岸危機のころのその話を持ち出されながら、結局、
小沢党首の方が、その当時の
見解と変わったのかという問いかけをしたのに対しまして、
橋本総理は、当時の
論議の足りなかった
部分を今回補強したと
最初は言われ、最後には、より精緻な
議論をし、より精緻な
議論の中から
問題点を整理したのである、そういうことを
結論としてあのときには
総理が言われたように思うわけですね。
その
湾岸のときの
一つの
政府が持たれておられた
見解と、今
ガイドラインを策定するに当たって、約七年間たっているかと思うのですけれども、その間にどの
部分が
議論として詰まったのかということをまず
最初に
お尋ねしたいのです。
特に、
湾岸のときに、日の目を見なかったのですけれども
国連平和協力法案というものが審議されたわけですけれども、それに関する
特別委員会で、
平成二年十月二十九日に、後にこれが、例えば
防衛ハンドブックなどにも
武力行使の
一体化論についての
政府の
見解として載っているのですけれども、その当時
工藤法制局長官が
答弁をされております。
これは、つい去年の十月まで我々の
同僚議員であった
山口那津男議員の御
質問に、当時の
工藤法制局長官が答えておられるのですけれども、これは全部引用していますと、非常に
答弁が長いので
時間がかかるので、はしょって言いますと、有名な
四つの
判断基準を示されて、それを総合勘案するのだということをまず言われています。それを若干言いますと、
あえてその
判断基準の一、二を申し上げれば、先ほど
距離的とか時間的とかおっしゃられましたけれども、現にその他のものが
戦闘行動を行っている、あるいは行おうとしている、そういった地点とこちら側の
行動との間の
距離といいますか
地理的関係といいますか、そういうふうなものもございますでしょうし、それから我が方のやります具体的な
行為の
内容もございますでしょうし、あるいはそういう他の、
武力行使を現にしているようなものとの
関係におきまして、どの程度それに密接になっているかという問題もありましょうし、あるいはその
相手方、
相手方といいますのはその
協力しようとしている
相手方の
活動の現況、こういったものもございます。そういったことを総合勘案する必要がある、こういうふうに申し上げているわけでございます。
ここまでは非常に有名な総合勘案するときの
四つの
基準を言われているのですけれども、その上で、
具体例として次のように言われているのですね。
それで、過去に問題があると言いましたような
ケースにつきましては、例えば現に
戦闘が行われているというふうなところでそういう
前線へ
武器弾薬を供給するようなこと、輸送するようなこと、あるいはそういった現に
戦闘が行われているような
医療部隊のところにいわば組み込まれるような形でと申しますか、そういうふうな形でまさに
医療活動をするような場合、こういうふうなのは今のような点から見て問題があろうということでございますし、逆にそういう
戦闘行為のところから
一線を画されるようなところで、そういうところまで
医薬品や
食料品を輸送するようなこと、こういうふうなことは当然今のような
憲法九条の
判断基準からして問題はなかろう、こういうことでございます。したがいまして、
両端はある程度申し上げられる、こういうことだと思います。
そういうことで、当時の
工藤法制局長官は、例を引かれながら、
両端の例を、そういう
四つの
部分から総合勘案した上で
両端の
部分をこの時点では言うにとどまっておられた。
しかし、そこから、先ほど
総理の
答弁で引き出しましたが、精緻な
議論をされて、今回
ガイドラインを策定するに当たって、この当時は、
一線を画していたとしても、この例で言われていたのは
医薬品や
食料品を輸送するようなことについては問題なかろう、そういう
憲法判断なんだということをこのとき
法制局長官は言われるにとどまっていたのが、今回さらに、このときには触れられなかった
部分まで、例えばこの
ガイドラインの
別表の四十
項目を見れば、特に
後方地域支援のところを見れば、
補給に始まって
通信、その他に至るまで
項目が挙げられているわけですけれども、
政府として、特に
法制局の
憲法解釈として、ぎりぎり詰められた
議論の上でどういう
結論を出されたのか。
特に、これは十月十二日の読売新聞で、
大森法制局長官が「
内閣法制局実像と虚像
番外編」というところで
インタビューに答えておられる。「
ガイドライン見直し問題にはどう対応しているのですか。」ということに対して、「
憲法に関する
考え方は、一切変更していない。具体的な
活動についてどの
範囲で認められるのか、当てはめの
議論をしました。今回初めて体系的に現実に即した
議論をした。」こういうように新聞の
インタビュー記事でも答えられている。
だから、当時の
平成二年と今の
ガイドラインを策定するこの時代の変遷の中で、特に昨年からことしにかけてだと思うのですけれども、
結論として
内閣法制局として、
憲法に関する
考え方は一切変更しないけれども、詰まっていない
部分をどういう精緻な
議論をして、具体的にこれはできる、これはできないという
憲法判断をされたのか、まず
最初に
お尋ねしたいと思います。