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1997-11-20 第141回国会 衆議院 安全保障委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十一月二十日(木曜日)     午前九時開議 出席委員   委員長 二見 伸明君    理事 浅野 勝人君 理事 中島洋次郎君    理事 中山 利生君 理事 浜田 靖一君    理事 平田 米男君 理事 前田  正君    理事 石井 紘基君 理事 中路 雅弘君       池田 行彦君    臼井日出男君       大石 秀政君    河井 克行君       阪上 善秀君    田村 憲久君       中山 正暉君    仲村 正治君       増田 敏男君    宮下 創平君       目片  信君    山崎  拓君      吉田六左エ門君    遠藤 乙彦君       佐藤 茂樹君    達増 拓也君       冨沢 篤紘君    福島  豊君       村井  仁君    北村 哲男君       前原 誠司君    東中 光雄君       上原 康助君  出席国務大臣         外 務 大 臣 小渕 恵三君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 久間 章生君  出席政府委員         内閣官房内閣安         全保障室長   江間 清二君         内閣法制局長官 大森 政輔君         防衛庁参事官  山崎隆一郎君         防衛庁長官官房         長       大越 康弘君         防衛庁防衛局長 佐藤  謙君         防衛庁運用局長 太田 洋次君         防衛庁装備局長 鴇田 勝彦君         防衛施設庁長官 萩  次郎君         防衛施設庁総務         部長      西村 市郎君         防衛施設庁施設         部長      首藤 新悟君         防衛施設庁労務         部長      柳澤 協二君         外務大臣官房領         事移住部長   内藤 昌平君         外務省総合外交         政策局長    加藤 良三君         外務省アジア局         長       阿南 惟茂君         外務省北米局長 高野 紀元君         外務省欧亜局長 西村 六善君         外務省経済協力         局長      大島 賢三君         外務省条約局長 竹内 行夫君  委員外出席者         会計検査院事務         総局第二局防衛         検査第一課長  藤田 正二君         安全保障委員会         調査室長    平川 日月君     ――――――――――――― 十一月十一日  有事法制策定反対に関する請願(中路雅弘君紹  介)(第三二四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国の安全保障に関する件      ――――◇―――――
  2. 二見伸明

    二見委員長 これより会議を開きます。  国の安全保障に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤茂樹君。
  3. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 おはようございます。新進党の佐藤茂樹でございます。  久間防衛庁長官、引き続きよろしくお願いします。  また、今国会初めての安全保障委員会でございますので、小渕外務大臣、御就任まことにおめでとうございます。折しも、アメリカの駐日大使フォーリー氏がなられるということになりましたけれども、昨年小渕大臣とともに、たしか夏でしたか、アメリカに同行させていただいて、非常に小渕大臣フォーリー大使との個人的親交の厚いのを目の当たりにさせていただいたわけですが、いろいろな懸案事項が多い日米関係ではございますが、そういう外交通である小渕大臣の力量を発揮していただいて、日米関係だけでなく、本当に大事な日本外交を先頭を切って切り開いていただくよう、心より望みたいわけでございます。  特に、日米関係で、きょうは、大事なガイドラインの合意というのが九月二十三日に合意されてから約二カ月間たっているわけですけれども、この間、安全保障委員会が開かれたのが今回が初めてでもございますので、私の方では、この一時間、ガイドラインの問題に絞りまして質問をさせていただきたいと思うのですけれども、基本的にできるだけ細かいことは省いた質問をするように心がけますので、なるべく両大臣並びに法制局長官安全保障室長範囲で御答弁いただければ非常にありがたいな、そのように思うわけでございます。  それで、まず第一番目に、後方地域支援の問題なんですけれども、この件につきましては、去る十月十三日の予算委員会で、我が党の小沢党首橋本総理並びに大森法制局長官の間でいろいろな議論が交わされました。そのときに、総理が言われた答弁、これは正確な言葉かどうか、議事録と若干違いがあるかもわかりませんけれども、次のように言われました。ガイドラインをつくります上で、戦闘あるいは戦闘行為戦闘地域一体化しない後方支援あり方はあり得るのかあり得ないのかという議論の上で、あり得るという結論を出した、そして、そういう場合において協力あり方というものも論議をいたしました、そういう御答弁橋本総理がされたように覚えております。  その上で、お二人ともに携わられた湾岸危機のころのその話を持ち出されながら、結局、小沢党首の方が、その当時の見解と変わったのかという問いかけをしたのに対しまして、橋本総理は、当時の論議の足りなかった部分を今回補強したと最初は言われ、最後には、より精緻な議論をし、より精緻な議論の中から問題点を整理したのである、そういうことを結論としてあのときには総理が言われたように思うわけですね。  その湾岸のときの一つ政府が持たれておられた見解と、今ガイドラインを策定するに当たって、約七年間たっているかと思うのですけれども、その間にどの部分議論として詰まったのかということをまず最初お尋ねしたいのです。  特に、湾岸のときに、日の目を見なかったのですけれども国連平和協力法案というものが審議されたわけですけれども、それに関する特別委員会で、平成二年十月二十九日に、後にこれが、例えば防衛ハンドブックなどにも武力行使一体化論についての政府見解として載っているのですけれども、その当時工藤法制局長官答弁をされております。  これは、つい去年の十月まで我々の同僚議員であった山口那津男議員の御質問に、当時の工藤法制局長官が答えておられるのですけれども、これは全部引用していますと、非常に答弁が長いので 時間がかかるので、はしょって言いますと、有名な四つ判断基準を示されて、それを総合勘案するのだということをまず言われています。それを若干言いますと、  あえてその判断基準の一、二を申し上げれば、先ほど距離的とか時間的とかおっしゃられましたけれども、現にその他のものが戦闘行動を行っている、あるいは行おうとしている、そういった地点とこちら側の行動との間の距離といいますか地理的関係といいますか、そういうふうなものもございますでしょうし、それから我が方のやります具体的な行為内容もございますでしょうし、あるいはそういう他の、武力行使を現にしているようなものとの関係におきまして、どの程度それに密接になっているかという問題もありましょうし、あるいはその相手方相手方といいますのはその協力しようとしている相手方活動の現況、こういったものもございます。そういったことを総合勘案する必要がある、こういうふうに申し上げているわけでございます。 ここまでは非常に有名な総合勘案するときの四つ基準を言われているのですけれども、その上で、具体例として次のように言われているのですね。  それで、過去に問題があると言いましたようなケースにつきましては、例えば現に戦闘が行われているというふうなところでそういう前線武器弾薬を供給するようなこと、輸送するようなこと、あるいはそういった現に戦闘が行われているような医療部隊のところにいわば組み込まれるような形でと申しますか、そういうふうな形でまさに医療活動をするような場合、こういうふうなのは今のような点から見て問題があろうということでございますし、逆にそういう戦闘行為のところから一線を画されるようなところで、そういうところまで医薬品食料品を輸送するようなこと、こういうふうなことは当然今のような憲法九条の判断基準からして問題はなかろう、こういうことでございます。したがいまして、両端はある程度申し上げられる、こういうことだと思います。 そういうことで、当時の工藤法制局長官は、例を引かれながら、両端の例を、そういう四つ部分から総合勘案した上で両端部分をこの時点では言うにとどまっておられた。  しかし、そこから、先ほど総理答弁で引き出しましたが、精緻な議論をされて、今回ガイドラインを策定するに当たって、この当時は、一線を画していたとしても、この例で言われていたのは医薬品食料品を輸送するようなことについては問題なかろう、そういう憲法判断なんだということをこのとき法制局長官は言われるにとどまっていたのが、今回さらに、このときには触れられなかった部分まで、例えばこのガイドライン別表の四十項目を見れば、特に後方地域支援のところを見れば、補給に始まって通信、その他に至るまで項目が挙げられているわけですけれども、政府として、特に法制局憲法解釈として、ぎりぎり詰められた議論の上でどういう結論を出されたのか。  特に、これは十月十二日の読売新聞で、大森法制局長官が「内閣法制局実像と虚像 番外編」というところでインタビューに答えておられる。「ガイドライン見直し問題にはどう対応しているのですか。」ということに対して、「憲法に関する考え方は、一切変更していない。具体的な活動についてどの範囲で認められるのか、当てはめの議論をしました。今回初めて体系的に現実に即した議論をした。」こういうように新聞のインタビュー記事でも答えられている。  だから、当時の平成二年と今のガイドラインを策定するこの時代の変遷の中で、特に昨年からことしにかけてだと思うのですけれども、結論として内閣法制局として、憲法に関する考え方は一切変更しないけれども、詰まっていない部分をどういう精緻な議論をして、具体的にこれはできる、これはできないという憲法判断をされたのか、まず最初お尋ねしたいと思います。
  4. 大森政輔

    大森政府委員 まず申し上げたいことは、前回湾岸危機の際の基本的な考え方と現在とは何ら変わっておらないということが第一点。それからまた、前回湾岸危機の際に具体的な例について述べました結論と今回出した結論は、何らそごしておらないということ。この二点については、先般の小沢党首に対するお答えの中でも私が申し上げたとおりでございます。  そこで、確かに、前回湾岸の際に議論されました項目と今回新しいガイドラインの中に盛り込まれました後方支援項目との間には差はございます。ただ、この差は、これは決して検討の結果ということではございませんで、この支援項目と申しますのは、事柄の性質上、いわゆる防衛協力小委員会、SDCでございますが、これらの席におきまして、アメリカ側のいわば需要と申しますか要請項目前提といたしまして、それに我が国が事実上あるいは憲法上応じられるかどうかという選別をいたした結果である。したがって、前回と今回で支援項目に差が生じておるということは、その前提として、アメリカ側需要がまず先行したんだ、主としてそこに原因があるんだということを御理解いただきたいと思います。  そして、今回どのように検討したのかということでございますが、それについての基本的考え方をこの際申し述べておきますと、お尋ね後方支援活動と申しますのは、我が国の安全に寄与し、並びに極東の平和と安全の維持のために活動する米軍活動が効果的に行われることを主眼といたしまして、我が国として、米軍に対し補給、輸送、整備、衛生、警備、通信、その他、それ自体としては武力行使に該当しない活動を行おうとするものであります。  そして、この後方支援活動と申しますのは、主として我が国領域内を中心に行われる、一部我が国周辺公海及びその上空で行われることもあるという考え方に立っているわけでございますけれども、その周辺事態において、公海とかその上空につきましては、戦闘行動が行われている地域とは一線を画された場所において行うということがガイドラインにおいて確認されているわけであります。  したがいまして、このような地域で行われ、それ自体武力行使に当たらないこれら後方支援活動憲法九条との関係で許されるのかどうかということにつきましては、さらにこれらの活動米軍武力行使一体をなすものであるかどうかということを判断する必要がある、これは湾岸危機の際に述べました基本的考え方を依然として変えてないわけでございます。  ところが、一体化するようなものであるかどうかという判断におきましては、先ほど述べましたような後方支援の性格、内容にかんがみますと、そのような支援活動は、基本的にはすべて米軍武力行使との一体化を生ずるものではないであろうという判断に達しまして、具体的に新しいガイドライン別表に挙げられている項目が確定したという経過でございます。
  5. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 今法制局長官最初の方の答弁で、米側需要が先行して、そのことについて憲法判断をしたんだと、一言で言うと、そういうことなんですけれども、特に、例えば今回、六月のそれぞれ安全保障委員会であるとか外務委員会でも焦点になりましたけれども、例えば補給については、それぞれ内々に聞きますと、米側から、武器弾薬というのは米側のニーズとしてなかったんだ、そういうお話も聞いておるのです。  これが、例えば今回については、今の法制局長官答弁ですと、武器弾薬を含まない補給については憲法判断として武力行使一体化しないんだという判断をしたんだ、そういうことだと思うのですけれども、仮定のことに答えられないと言われるかもわかりませんが、武器弾薬を含む補給ということについては、今回のガイドラインとはまた別にして、これは武力行使一体とみなされるのかどうか、もしお答えできるのであればお答えしていただきたいと思います。
  6. 大森政輔

    大森政府委員 検討の過程におきまして、そのような問題が一時念頭に上がったことは上がりましたけれども、最終的にそのような需要はないとということでございましたので、私どもは詰めた検討を行うには至ってない。しかし、大いに憲法上の適否について慎重に検討を要する問題ではあろうという感触は持っております。
  7. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 そこで、このことをどうこう言っておっても仕方がないので、法制局長官への質問はここまでにして、次に、今回後方地域支援一つの大きなポイントになってくるのが、一線を画すという、この考え方なんですけれども、これについての見解をお聞きしたいわけです。  特に、六月の当委員会で、六月十日だったかと思いますけれども、同僚委員質問に対しまして、当時の折田北米局長が、三つぐらいの基準を示されて、それを総合的に勘案して判断されるんだ、それは、一つ紛争全般的状況である、二番目は相手方攻撃能力である、三番目に航空優勢の確保等を総合的に勘案して判断するんだ、そういう答弁をされた上で、今度さらに追い質問で、通常予測されない事態が万一起こったらどうするのか、そういうふうに詰められると、通常起こり得ないことが起こらない地域を何とか探したい、珍答弁というふうにマスコミなんか書いておりましたけれども、そういう答弁をされているわけですね。  要するに、通常予測されない事態が起こらないような地域をどういう基準一線を引くのかということが、国民にわかるようにきちっと示すことがやはり防衛庁としての責務ではないのかな。多分、前線距離を置くことで一体化を避ける考え方を示されたんだなという、そういう表現にはなっているのですけれども、刻々と変化する情勢の中で、戦況の中で、果たしてどう一線を引くのか、その一線とは何なのかということをもう一度、今防衛庁として検討されているとは思うのですけれども、明確に御答弁をいただきたい。
  8. 久間章生

    久間国務大臣 こういう問題につきましては、現地で惑うことのないように、できるだけ中央において、具体的といいますか、指示をするようにしなきゃならない、そういうふうに思っております。  そういう場合に、今おっしゃられましたように、紛争及び戦闘の全般的な状況もそうでございますし、また、双方の能力といいますか、特に相手方能力、航空優勢の確保でありますとか、あるいは装備品攻撃能力等も勘案して、この海域なら大丈夫だというようなことを示すことによって、この海域なら戦闘状態に巻き込まれない、戦闘状態が行われていないということで、そういう判断指示をすることによって戦闘区域から一線を画すことができるんじゃないか、そう思っております。  ただ、今申し上げましたように、個々具体的な場合に、刻々状況は変化するわけでございまして、そういう場合にも、やはりその状況を的確に把握しながら、戦闘状態にあるところではやらないというふうに、知り得た情報で状況判断して、そしてそれを指示することによって、厳密に絶対かと言われると難しい点がありますけれども、一線を画する区域というのは指示することができる、そういうふうに思ってあのような表現にしたわけでございます。
  9. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 そのことについてはまたやりとりしたいのですけれども、時間が一時間で限られているので、そのことに関連して、六月二十九日のNHKの討論番組で、国会閉会中でしたが防衛庁長官が出られて、一応の基準は示すが最終的には現場指揮官判断せざるを得ないケースも出てくる、そういう発言をされているのですけれども、これは一体どういう真意で防衛庁長官はこういう発言をされたのか、まずお尋ねをしたいと思います。
  10. 久間章生

    久間国務大臣 今言いましたように、全般的な状況戦闘能力、そういうことを判断して、中央の方からこの地域なら大丈夫だということで指示を与えますけれども、しかし、思わぬ事態が発生した場合には、それをやめて引き返さなければならないケースだってあるだろう、最終的にその現場において危険を感じるといいますか、戦闘状態に巻き込まれることになった場合には、それはやめざるを得ない、そういうようなこともあり得るということで私は言ったつもりでございます。
  11. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 防衛庁長官のやむを得ない場合はという話なんですが、そのときのイメージされている、通常ではどういうルートで一線を画しているか、画していないかということについて判断される仕組みを考えておられるのか、防衛庁長官のお考えを伺いたいと思います。
  12. 久間章生

    久間国務大臣 今言いましたように、かなり安全を、安全といいますか、だれが見てもここなら大丈夫だということで指示をするわけでございます。そういうふうな指示をした場合には、大抵そこの場合においては戦闘状態とは一線を画すという、はっきり大丈夫だということになりますけれども、先ほど言いましたように、絶対かといいますと、刻々変わるだけに、どうしても急に変化してくるということがあり得るわけでございまして、そういう場合には、やはりそういう状況から退避するということはあり得るのではないかということであのような表現をしたわけでございます。  普通、指示をする場合には、全般的な状況あるいは相手の能力、そういうようなことからして、ここなら安全だというふうに、常識的と言ってはなんでございますけれども、そういう指示ができる区域があるはずだ。そういうところでそういう必要な活動をするということについては戦闘状態にならないわけで、憲法上問題はないという判断ができるということで言っているわけでございます。
  13. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 私は、要するにこの問題はやはり憲法に抵触するかどうかという問題が絡んでくる部分だと思うのですね。憲法に抵触しかねない行動についての判断現場指揮官判断にゆだねられる可能性があるということですね、最終、そういう局面が。そういう見解が、いわゆる文民統制、シビリアンコントロールの関係から、果たして防衛庁長官の言われることが正しいのかどうか、そこについてなおかつ今の答弁では疑問を抱くわけですけれども、もう一度答弁をお願いします。
  14. 久間章生

    久間国務大臣 そうではなくて、ここなら絶対大丈夫だということで指示を与えて、ここならば戦闘行為一体にならないということできちっと指示をするわけでございますけれども、そういう状況の中で、現地においてどういう状況で危険が及んでくるかわからない場合があるわけですね。そういう場合にはそこをやめて、そういう作業をやめて退避することだってあるわけでございます。  要するに、戦闘状態に突っ込んでいくということではなくて、逆に戦闘状態になるような場合だったらばそれから退避することによって避ける、そういう意味で言っているわけでございますので、決して現場憲法九条に反していろいろなことをやるということではないわけで、あくまで我が国憲法九条に反しない範囲でやる。そういう場合に、戦闘区域一線を画する地域でやることは憲法九条上の問題は生じてこないという意味でございますから、どうかひとつそういうふうに、九条をあやふやにするような形でやっていこうというような気持ちはさらさらないということをぜひ御理解しておいていただきたいと思うのです。
  15. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 これは後の質問にも関連をするのですが、そうすると、ここの地域は大丈夫だからここで作業をやれ、こういう判断をし、指示を出されるのは、これは防衛庁長官なのですか。
  16. 久間章生

    久間国務大臣 私自身の場合もありますし、あるいはまた中央でのそのときの命を受けた指揮権者がやる場合もございます。それはそのときの、要するに中央中央といいますか上部でそういうのを判断することにして、現場で一々それはどうだこうだというような判断を、憲法九条に関するようなことの判断はしないで済むようにさせた い。  しかしながら、今言ったように刻々変わる場合には、場合によっては危ないと思った場合には、戦闘状況に巻き込まれるような状況の場合は、それは切り上げる場合が出てくるということを言っているわけでございます。中央の方からの指示でこれはやってよろしいと言われておったけれどもやれない、やったら危ないというような状況もございますので、そういうことをあえて言ったわけでございます。
  17. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 この問題をさらにやりたいのですが、今の防衛庁長官判断では、一応の基準をきちっともう少し詰めて、現場指揮官にもわかるようにきちっと示して、大丈夫な地域を選んでやらせるのだ、どうしても急に戦況が変わったときには現場判断でそういう作業もやめさせることがあり得るのだという答弁だというふうにお聞きして、一応次に移りたいのです。  そこで、先ほど法制局長官答弁の中で言われていましたが、どういうときに後方地域支援を行うのかという一つ条件でもあり、枠組みとして言われていることが、日米安全保障条約目的達成のための活動をする米軍に対してという条件がつけられていると思うのですけれども、ここに言うこの日米安全保障条約目的というのは、具体的にはどういうことを指すのでしょうか。
  18. 高野紀元

    高野政府委員 お答え申し上げます。  日米安全保障条約目的ということでございますが、日米安全保障条約目的は、我が国及び極東の平和と安全の維持にございます。  これは具体的に申し上げますと二つございまして、一つは、米国の対日防衛義務条約上明確にすることにより我が国に対する侵略を未然に抑止すること。二つ目に、米国に対し、日本防衛のためばかりでなく、極東の平和と安全のためにも在日米軍施設・区域の使用を認めることにより極東地域全体の平和の維持に寄与することを意味しております。
  19. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 今どちらかというとわかっていてお聞きしたのですが、そういう目的のために動く米軍に対しては後方地域支援を行う、そういう御答弁なのですが、そういうことになると、今回のガイドラインに基づく日米の防衛協力としては、その目的達成のため以外に活動する米軍に対しては後方地域支援は行わないということなのでしょうか。外務省で結構です。
  20. 高野紀元

    高野政府委員 このガイドラインにおける周辺事態における後方地域支援に関しましては、そのとおりでございます。
  21. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 そこで、米軍日米安全保障条約目的の達成のための活動をしているのか、その目的の達成のためでない活動をしているのかということは、どういう基準でだれが判断されるのですか、これをまずお聞きしたいと思います。外務省で結構です。
  22. 高野紀元

    高野政府委員 日米安全保障条約目的達成米軍行動しているかどうかということは、日本側におきましては日本政府が主体的に判断することになると思います。
  23. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 その基準というのはどういうところに置かれるのですか。主体的に判断をする基準というのは。
  24. 高野紀元

    高野政府委員 日米安全保障条約目的に関しましては先ほど申し上げましたとおりでございまして、一つは、米国の対日防衛義務条約上明確にすることによって我が国に対する侵略を未然に抑止するということでございますので、そういう目的に合致しているかどうかということが一つ。それからもう一つは、極東の平和と安全のためにも、在日米軍施設・区域の使用を認めることにより、極東地域全体の平和の維持に寄与するかどうかという観点から判断されることになると思います。
  25. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 日米安保条約ということで言ってきたので、次に、同じく日米安保条約と日米防衛協力との関係についてお尋ねしたいのです。  ここにも委員でいらっしゃいますが、池田前外務大臣が、これは参議院の外務委員会、六月十二日に行われているのですけれども、そのときに次のように答弁されているのですね。  確かに、安保条約六条で具体的な日本の義務として明確に規定されているのは施設・区域の使用を認めるということである、それはおっしゃるとおりでございます。しかし、そのことをもってそれ以外の防衛面における日米間の協力、その中での日本米国に対する協力が認められないということではございませんで、やはりそれは日米安保体制の有効性を確保していくためにいろいろな協力はあってもいいんだと思います。それは必ずしも条約の条文に明確な義務としていなくても、そういった協力はあってもいい。 そういうように当時の池田外務大臣答弁をされているのですけれども、新しく就任された小渕大臣も同じように、日米安保条約に基づかない、そういう明確な義務としていなくても、そういった協力はあってもいいんだ、そういう考えを踏襲されるのかどうか、まず外務大臣お尋ねしたいと思います。
  26. 小渕恵三

    小渕国務大臣 池田前外務大臣の御答弁を踏襲いたしてまいることでございます。  したがいまして、これらの安保条約に基づく協力につきましては、具体的な規定に直接根拠を置くもの以外も含まれ、これらの協力日本の平和と安全の維持という安保条約目的に合致する限り、これは行ってまいりたい、こう考えております。
  27. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 そこで、やはりそのとき問題になってくるのが、法的根拠となる条約とか協定というのが果たしてあるのかないのか、つくっていかれようとするのかどうかということが一番のポイントになってくるのではないかなというように思うのですが、今ざっと私の頭の中で思い浮かぶのは、この日米の防衛協力関係する条約、協定としては、一つ日米安全保障条約がありますし、二つ目としては、いわゆるACSAというように略称で言われていますが、日米物品役務相互提供協定があります。三番目には、古い時代に結ばれていますが、日米相互防衛援助協定。安全保障条約の絡みで四つ目として日米地位協定。この四つほどが頭に浮かぶのですが、ほかに日米間の防衛協力のための条約とか協定というものはありますでしょうか。
  28. 高野紀元

    高野政府委員 日米安全保障条約に関連する国際約束ということでございますが、日米安全保障条約第六条の実施に関する交換公文、吉田・アチソン交換公文等に関する交換公文、日米安全保障条約第六条に基づく地位協定、相互防衛援助協定に関する交換公文、相互防衛援助協定、日米物品役務相互提供協定、あるいは在日米軍駐留経費に関する特別協定がございます。
  29. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 大体予想したとおり、いわゆるここのガイドラインでも言われる、それに関する関連取り決めなんだ、そういう文書で言われている範疇に入るのではないかな、そういう感じがいたしているわけです。  そこで、そういう今既に結ばれている協定は、日米安全保障条約を中心にして限られているわけですね。今回、しかしガイドラインで、日米で発表された、例えば別表で示された周辺事態における四十項目を立て分けるとすると、四十分部どうなるということではなくて項目ごとで結構なんですけれども、この協力の中で、既に結ばれている日米安全保障条約等の条約とか協定に基づいて行える協力項目と、そして安保条約とかそういう条約、協定には基づかない協力項目というものを立て分けてまず御説明をいただきたいと思います。
  30. 高野紀元

    高野政府委員 御指摘の周辺事態における四十項目協力等でございますが、こういう種々の日米間の協力は、いずれも日本の安全の維持という日米安保条約目的に合致するものでございます。その場合に、我が国がみずからの主体的判断により、憲法範囲内で、及びその時々の適用のある法令に従って行い得るものと考えております。  そういう中で、周辺事態における協力の中で、 例えば米軍活動に関する日本の支援のうち、施設の使用でございます。これは安保条約第六条あるいは地位協定第二条、地位協定第五条に根拠を有すると考えております。また、後方地域支援として掲げられている協力項目の中で例示申し上げますと、地位協定第三条二項、これは周波数の割り当て等でございます。あるいは、第十二条一項、四項、これは需品等の間接調達等でございます。あるいは、第二十三条、軍及び財産の安全措置に関する規定でございますが、こういうものを根拠として一定の協力を行い得るというふうに考えております。
  31. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 今具体的に述べていただきましたけれども、安全保障条約の六条とか地位協定初め、現行の結ばれている条約とか協定では、四十項目のうちのほとんどが、やはりそういう意味でいうと基づかないというか該当しない項目がほとんどなわけです。  そういう意味でいうと、今回のガイドラインというのは、どちらかというと従来の日米安全保障条約上の協力というよりも、むしろ日米同盟に基づく広範な防衛協力あり方というものを示されているものである。であるがゆえに、我々としては、そういう政治的意味合いというものを考慮して、やはり国会承認事項というものにすべきである、そういうことを従来から訴えてきたわけでありまして、何の条約にも協定にも結びつかないものがどんどん日米間で進んでいく、走っていくというようなことをぜひ回避していただきたいな、そのように思うわけであります。  次に、周辺事態判断、認定をいかにするのかということについて、まずお尋ねをしたいのです。  基本的にこれは、ガイドラインというものを結ばれましたけれども、我々の考え方としては、周辺事態が起きたときに、これに対して対米協力することが日本の国益にとって望ましいという場合は全面協力すべきであろうと思いますし、日本の国益とそぐわない場合は協力しないのは当然である、それがやはり独立国家としての同盟関係あり方であって、間違ってもアメリカの言いなりになってはいけない、そのように思うわけです。  そのことは十月二日の本会議で、総理も、対米協力を行うか否かは我が国の国益確保の見地から自主的に判断するんだという答弁もされているわけですけれども、それに関連して、どのような事態周辺事態に該当するかという本会議での質問に対して、日米両国がそれぞれ主体的に判断することになる、そういうように述べられたのですね。  さらに、その上で、今回のガイドラインでも明確に言われているのは、調整メカニズムの運用を周辺事態の予想される段階で始めていくんだ、そして政策協議を強化していくんだ、政策協議を強化して共通の認識に達して、合意ができた場合に限って具体的な防衛協力を行うようにするんだということなんですが、まずそれぞれが主体的に判断することになるということなんですが、今日本の国にあって周辺有事が起きたのかどうかというものをきちっと判断する仕組みがあるのかどうかということをまず最初お尋ねしたいと思います。外務省で結構です。
  32. 高野紀元

    高野政府委員 周辺有事の認定についてでございますけれども、ある事態周辺事態に該当するか否かにつきましては、日米両国がおのおの主体的に判断することになります。そういう周辺事態における日米協力を行うに当たっての認定のあり方として、政府としてしかるべき手続が必要と考えておりますけれども、その具体的なことについては現在検討中でございます。
  33. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 私は、ここの部分は本当にきちっと決めておかれなければ、先ほど言いましたけれども、具体的に、結局、アメリカが強硬に言ってきたらなかなか判断しにくいという状況に陥るのではないのかな、そういう感じがしているわけでございます。  特に、その手続の部分一つのポイントになるのが、国会承認の手続というものをやはり忘れてはならない。それは、例えば自衛隊法の七十六条の防衛出動を行った場合にも、これは、首相は国会承認を受けなければならないということになっておりますし、PKOでも、実施計画の国会報告というのは明確に義務づけられているわけでありますし、そういうチェック機能が一応ある。  それとともに、もう一つは、具体的な手続のときに、今、現にある安全保障会議をどういうようにこの周辺事態の認定のときに関連づけていくのかということがやはり一番ポイントになるのではないか。  安全保障会議設置法の第二条二項に「内閣総理大臣は、重大緊急事態が発生した場合において、必要があると認めるときは、当該重大緊急事態への対処措置について会議に諮るものとする。」そういうことがうたわれているのですけれども、今はまだ検討中かもわかりませんが、今回のガイドラインで言うようなこの周辺事態というものは、安全保障会議設置法第二条二項に言う「重大緊急事態」に該当するというとらえ方をされているのかどうか、安全保障室長にまずお尋ねしたいと思川います。
  34. 江間清二

    ○江間政府委員 周辺事態に対する認定の問題につきましては、ただいま外務省の方からお答えになりましたように、いわゆる包括的な調整メカニズムのあり方ということについて現在検討が進められているところでありますけれども、まず、安保会議との関係について申し上げますと、ただいま先生お読みになられましたように、安保会議は、設置法上国防に関する重要事項あるいは重大緊急事態への対処に関する重要事項を審議する機関とされておるところでございます。  同法の二条第一項あるいは同条の二項で、内閣総理大臣が必要と認めるときは、国防に関する重要事項あるいは重大緊急事態への対処に関する重要事項について安保会議に諮るということにされております。  したがって、御指摘の、ガイドラインに言ういわゆる周辺事態というようなものに該当するというような判断がまず出てまいりますと、この周辺事態といいますのは、改めて申し上げるまでもなく、いわゆる我が国にとって平和と安全に重要な影響を与える事態ということでございますので、その性格からかんがみれば、国防に関する重要事項あるいは重大緊急事態への対処に関する重要事項に該当すると判断されて、安保会議に諮られることになろうというふうには思います。  ただ、これは、いずれにせよその時点で総理が必要と認めるということで判断をされる事項であるというふうに考えております。
  35. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 私は、例えばこのガイドライン自体も、閣議にかけられる前に安全保障会議が開かれてそこにかけられているわけですから、そういう手続はやはりきちっと踏んでいくことが大事であろう、そのように思うわけです。また、そのときに、先ほども言いましたけれども、やはり国会承認手続というものがきちっと、この周辺事態の認定、さらに何を行うのかということについても必要ではないのかな、そのように考えるわけでございます。  総論的な質問はこれぐらいにいたしまして、次に、臨検についてお尋ねをしたいわけです。  今回、国際の平和と安定の維持目的とする経済制裁の実効性を確保するための活動として臨検ということがうたわれているわけでございますが、まず一つに、海上自衛隊が船舶検査を実施するための法的根拠について、自衛隊法八十二条の海上の警備行動では、今回の公海にまで出ての臨検ということまで本当にできるのかどうかも含めて不十分ではないのか、そういうことがいろいろなマスコミを含めてよく言われているのですけれども、防衛庁としてどういう見解をお持ちなのか、お尋ねをしたいと思います。
  36. 久間章生

    久間国務大臣 今回の新しいガイドラインに基づきます、実効性あるものにするためにどういうような法整備が必要か、今いろいろ検討しておるところでございます。  現在の八十二条は、委員御承知のとおり、海上 警備行動としての出動でございますから、若干、国連決議に基づいて経済制裁の実効性を確保するためにやる場合に、それをそのまま適用できるかどうかについてはいろいろ問題があろうかと思います。  いずれにしましても、この問題については、まずどこが事業主体なのか、事業主体というのは要するに主体なのか、そして自衛隊がどういう形でかかわるのか、その根拠法令はどうなるのか、これらについては、今後、法整備の段階で検討していく課題だと思っております。
  37. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 私は、大事なポイントは、ほかの法整備もそうなのですけれども、普通の日本人が読んでも無理なことを解釈によって広げていくということじゃなくて、そこの部分が本当に日本の平和と安全のために必要であるという判断をするなら、堂々とこの国会の場で法改正について議論して、きちっと改めていくということが大事になってくるのではないかな、そういうふうに思うわけです。これは別に臨検に限らずですけれども、そういうふうに考えております。  次に、その臨検ということに対しての実施要領とか活動範囲ということについてお尋ねをしたいのです。  現行法では、日本の領海内における不法行動に関しては、まず最初は海上保安庁法に基づいて海上保安庁が行動して、そして対応不十分な場合に、自衛隊法第八十二条に基づいて自衛隊が必要な行動をとる、そういうように規定しているのですけれども、今まで私の聞いている限りは、はっきり言うと、自衛隊が実際に検査を行った例というのはないのだというふうにお聞きしているのですね。  その上に立ってお尋ねをしたいのですけれども、これは日経の九月十七日の夕刊ですけれども、次のように言われているのです。「政府は十七日、」これは九月十七日ですね。「(ガイドライン)見直しで検討している周辺事態の際の不審船舶の検査(臨検)について①対象船舶に停船を求める手段として実弾による警告射撃はしない②相手に臨検を認知させる方法は信号弾や空砲などに限る――との基本方針を固めた。」これは、ガイドラインが二十三日ですから、その約一週間前の一般紙ですけれども、そういう報道がされているのですが、防衛庁としてそういう方針を固められたのですか、お聞きしたいと思います。
  38. 久間章生

    久間国務大臣 防衛庁として固めたわけではございませんけれども、現在考えております内容について申し上げますならば、国連安保理決議に基づく経済制裁の実効性を確保するための公海上の船舶の検査等に関して、防衛庁というよりも我が国が行う措置については、諸外国の例からして、具体的には次のような措置をとることを考えております。  すなわち、一つとしては、船舶の航海状況の警戒監視。二として、船舶に対する呼びかけ。三、船籍、船主、積み荷、目的地等の無線等による照会。四番目に、検査に応じた船舶に対する立ち入り、書類検査、積み荷の確認。五番目、進路変更の要請。六番目、停船または進路変更に応じない船舶に対する説得。七番目、検査実施船舶の存在を示すための信号弾、照明弾の使用及び遠方における空砲の使用。それから八番目として、説得を行うための接近、追尾、伴走、進路前方での待機。このようなことを考えておるということを言っておるわけでございまして、まだこれも確定したわけではございませんし、こういうことならばできるのではなかろうか、そういうような検討を行っているところでございます。
  39. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 今検討中だということで、これ以上立ち入っても、多分考慮して検討するという話になると思うのですが、これはいつまでに結論を出されるおつもりなんですか。
  40. 久間章生

    久間国務大臣 これは、この問題だけではなくてほかの法整備も含めてでございますけれども、かなり広範囲検討が及ぶものですから、今官邸の官房副長官のところで、各局長さんたちを集めて、政府として今度のガイドラインにどう取り組むかということの検討をいろいろ行っていただくことになっているわけでございまして、そういう中でやっていきますので、今ここでいつまでにということは、なかなかはっきりしたことは言えないわけでございます。  我々としては、ガイドラインを新しく取りまとめたわけでございますから、できるだけ早くと思っておりますけれども、今言いましたように、いろいろな問題を中には含んでおるわけでございまして、今言われました臨検一つとりましても、事業主体としてどこなのか、こういうことすらまだ検討していかなければならない問題でございますので、そういう意味で、直ちにここでスケジュールを発表できるような、そういうようなことにはなっておりません。
  41. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 臨検についてもう一つだけ、今、検討されているということで明かされた内容でちょっと気になるのは、信号弾や空砲を使うんだ、そういうことなんですけれども、しかし、相手船舶から実弾射撃と誤解されかねないのではないのかな。  信号弾や空砲というのは、それはどこの国も日本は信号弾や空砲しか使いませんということがわかっていたら実効性は何もないわけで、逆に、それが本当に信号弾や空砲かどうかわからないということになると、今度逆に戦闘に巻き込まれる可能性が出てくるのではないか。そういうことも防衛庁として議論されたと思うのですけれども、どういうように判断されたのか、長官、お尋ねします。
  42. 久間章生

    久間国務大臣 まだ具体的にそこまでやっておりませんけれども、いずれにしましても、我が国の場合は憲法九条で武力による威嚇はできないことになっておりますから、そういうのを十分わきまえながら、どこまでが精いっぱいやれるか、やはり実効性あるものにするためには、かなりの、何といいますか、相手に対してそういうような実効性あるものにしようという努力はいたしますけれども、一方では憲法九条の制約があるわけでございますから、その制約の中でどこまでやれるか、これもまたこれから先、ぎりぎりと詰めていかなければならない問題だと理解しております。
  43. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 検討中だということで、これ以上あれですが、やるからにはぜひ実効性のあるものをやって、この委員会でもいいですから、また引き続きこのことについては、検討された結果も含めてお尋ねをしたいと思うのです。  次に、これはほかの委員会、また外務委員会なんかでもずっと検討されてきていることなんですけれども、米軍への情報提供の問題についてお尋ねをしたいと思うのです。  時間もないので率直にお尋ねしますけれども、これは、この委員会じゃなくて、たしか六月の外務委員会で大分質問されて、防衛庁長官もいろいろと答弁をされていたと思うのですけれども、そのときの答弁として言われたことは、  日ごろ行っている情報収集あるいはまた警戒行動で出てきたものは、今おっしゃられましたように、自動的につながっていて、アメリカ軍に渡っているわけでございますから、それをある時点でとめる、とめないということはなかなか難しい問題でございますから、恐らく、今言われたようなケースの場合でも、とめずにそのまま情報は提供すると思います。 これは要するに、米軍にそのまま情報が提供されていくんだ、そういうことを言われているのですね。  それで、防衛庁として今考えておられることをお尋ねしたいのですけれども、どういう情報が武力行使一体判断され、どういう情報が一体でないというように判断されているのかというその情報の中身と、そして米軍への提供の仕方、このあたりについて、どういうものであれば問題ないというように判断されているのか、防衛庁長官お尋ねをしたいと思います。
  44. 久間章生

    久間国務大臣 今、日米安保条約を結んでおりまして、日ごろから情報交換は緊密に行っているわけでございます。したがいまして、我が自衛隊 が知り得た情報を米軍に提供するというのは通常行われているわけでございますが、一般的には、こういう情報の提供そのものは武力行使一体化にはならないというふうに思っておるわけでございます。  ただ、いつも委員会答弁しておりますのは、武力行使一体化になるような情報の提供が論理的に絶対ないのかと言われますと、そういうことは、ぎりぎり詰めたときには、ないことはないというようなことで、よく例に出されますのは、方位何度何分のところに敵がおる、それに向かって撃て、そういうようなことまで情報の提供だというならば、それは武力一体化につながるのじゃないかというようなことを言われておるわけでございまして、逆に言いますならば、通常の場合は武力行使にはほとんどのものがならないというふうに理解しておるわけでございます。  例えば、あるところに機雷があるということを情報提供しなければ、今度は情報提供しないことによって片一方に利することになりますし、情報の提供をすれば片一方に利することになるわけでございまして、どちらにしましても、それは一方に加担したことになるわけでございます。  したがいまして、やはり通常の場合は、情報の提供そのものが武力行使一体化になるということにはならないのじゃないか、そういうふうに理解しておるわけでございます。
  45. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 情報の提供そのものが武力行使一体化にならないのではないかという長官の御見解を述べられたのですけれども、例えば自衛隊が提供した情報に基づいてアメリカ軍が敵機を攻撃するということも十分あり得るわけですね。そういう場合もこれは武力行使一体化とはいわないのだ、そういう御見解だというようにとらえてよろしいのでしょうか。
  46. 久間章生

    久間国務大臣 単に、自衛隊が知り得た情報をアメリカが入手して、それに基づいて作戦計画を立てたからといって、これが直ちに武力行使一体化につながった、我が国戦闘行為に入ったということにはならないというふうに思います。
  47. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 このことについてはまたほかでも言われると思うのですが、それが今回のガイドラインの中の言葉にも出てきているのです。例えば「共通の実施要領等の確立」のところで「目標位置の伝達」、こういう言葉が出てきているのですね。これは、この場合には日本防衛のためということなんですが、目標位置の伝達をするような情報でも武力行使一体化にはならないというように防衛庁長官は考えておられるのですか。
  48. 久間章生

    久間国務大臣 その場合の実施要領は、これは周辺事態じゃございませんで、我が国が攻撃に遭っている場合、言うなれば日米が共同作戦計画に入って行動している場合、共同対処行動をとっている場合の実施要領の話でございますので、周辺事態の場合とはやや趣を異にするのじゃないかと思います。
  49. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 もう時間が来たので、周辺事態の場合に、目標位置の伝達をするというような情報の提供というのは問題があるのかないのか、どういう判断をされているのか、防衛庁長官お尋ねをしたいと思います。
  50. 久間章生

    久間国務大臣 自衛隊が情報収集等をやります場合は、これは国益のためにやっているわけでございます。米軍行動するための目標位置等を収集してそれを伝達するわけじゃございませんので、それは、我が自衛隊の自主的な問題として情報を収集しておりますから、それを直ちに今みたいな形で絡められますと、やや問題があるんじゃないかなと思います。
  51. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 時間が参りましたので質問を終わらせていただきますが、引き続き、このガイドラインは大変大事な問題でありますので、当委員会でもしチャンスがあればいろいろ議論させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。  ありがとうございました。
  52. 二見伸明

    二見委員長 次に、達増拓也君。
  53. 達増拓也

    達増委員 新進党の達増拓也でございます。  冒頭、エジプト・ルクソールで十七日に発生いたしましたテロ事件で犠牲になられた皆様及びその関係者の方々に、謹んで哀悼の意及びお見舞いの意を表したいと思います。  世界はまだ十分には安全ではないということに改めて気づかされたということで、身の引き締まる思いがいたします。日本憲法がうたっております正義と秩序を基調とする国際平和をまさに誠実に希求していかなければならないと改めて思う次第でございます。  なお、今回のこの事件に当たりまして、さまざまな困難の中で、御遺族また負傷者の御家族の出入国等に関しましてエジプト政府が最大限の努力をしているということを聞いております。エジプト政府の努力に対しまして、心から感謝の意を表したいと思います。  さて、私は、北朝鮮をめぐる軍事情勢と我が国安全保障政策というテーマで質問をさせていただきたいと思います。  約百十万の兵力を持ち、依然として高度な軍事態勢を持っております北朝鮮をめぐる情勢、我が国安全保障にとってやはり最も重要な地域一つでございます。  その北朝鮮におきまして、十月八日、金正日氏が総書記に推戴されたということでありますけれども、実質的には既に国家の最高指導者としていたわけでありますが、改めて正式に総書記就任ということで、北朝鮮の安全保障政策に何らかの変化はあるのか、この点を外務大臣に、また防衛庁長官には、北朝鮮の軍事態勢について何らかの変化があるのかを伺いたいと思います。
  54. 小渕恵三

    小渕国務大臣 北朝鮮におきまして、金正日書記が総書記に就任をした、以降どういう変化があるかということでありますが、そもそも、総書記に就任する間、金日成前総書記から三年三カ月を経ているわけでありまして、この間、確実に権力を掌握してその任に当たっているという理解が一般的であります。また、その他のいろいろ情報もあります。  しかし、正式にそうした地位につかれたということでございますので、我が国としては、北朝鮮と不正常な関係にありますので、一日も早く正常化交渉をまとめて、世界の国の中で国交のないただ一つの国として存在をしておる北朝鮮との間はより緊密にしていかなければならないという外交方針のもとにこれから展開をいたしていきたい、こういうふうに考えております。
  55. 山崎隆一郎

    山崎(隆)政府委員 お答え申し上げます。  今外務大臣からも御答弁ございましたが、本年十月八日に金正日書記が朝鮮労働党の最高ポストでございます総書記に就任したわけでございまして、防衛庁といたしましても、その政策面、特に軍事面におけるその後の動向を注視してきたところでございます。  それで、これまでのところでございますが、北朝鮮は、引き続き約百十万人の地上戦力の約三分の二を非武装地帯付近に前方展開しておりまして、即応態勢の維持に努めるということでございますし、同時に弾道ミサイルの長射程化のための研究開発等を行っているというふうに見られております。したがいまして、今回の総書記就任を契機に、これまでのこのような北朝鮮の軍事態勢に特段の変化というものは認められてございません。  いずれにしましても、防衛庁としましては、引き続き軍事面を初め北朝鮮の動向には注目してまいりたいと存じます。
  56. 達増拓也

    達増委員 金正日氏の総書記推戴の直前、九月中旬に北朝鮮内で党の書記並びに党の幹部十八人が公開処刑されたということが報道されております。  このような状況を見まして、北朝鮮では金正日独裁体制、恐怖政治の締めつけが進んでいるのではないかという見方もあるわけですけれども、この点どうとらえているか、外務大臣、お願いしたいと思います。
  57. 小渕恵三

    小渕国務大臣 委員今御指摘のような情報がマスコミを通じて我々も知るところではありますけ れども、しかしながら、本件公開処刑等の情報につきましては、正確に確認する情報は実はありません。  したがいまして、我々としては、さらに注意深く、こうした北朝鮮の動向につきまして、内政も含めまして、細心の注意を払って見守っておるというのが現状でございます。
  58. 達増拓也

    達増委員 今の公開処刑の件ですけれども、金正日体制強化の方向という見方と、逆に、軍部による金正日側近粛清の一環であって、軍部による権力掌握が進んでいるんだという見方もございます。この点を含めまして、防衛庁長官に、軍部の動き等も絡めた現状分析を伺いたいと思います。
  59. 山崎隆一郎

    山崎(隆)政府委員 答弁申し上げます。  北朝鮮では、軍は従来から全人民の武装化、全国土の要塞化といった軍事路線を通じまして、統治体制と深くかかわっているところでございます。  それで、先生御指摘の軍部による支配体制強化の動き、個々の事例、今御質問ありました書記粛清ということについては確認できませんが、特に北朝鮮が極めて閉鎖的な体制でもございますけれども、一般的な動きを申し上げれば、最近の食糧やエネルギー不足といった経済諸困難等の中で、北朝鮮社会で軍が統治強化に一層活用されるという可能性は否定できないというのが防衛庁見解でございまして、軍を含む北朝鮮の動向を今後とも注視してまいりたいと存じます。
  60. 達増拓也

    達増委員 北朝鮮内政の動向は、本当に注意深くチェックしていく必要性を改めて指摘したいと思います。  次に、外交面でございます。  そういう北朝鮮と韓国との関係は、朝鮮戦争休戦以来、朝鮮軍事休戦協定という南北対話の枠組みがございまして、板門店等で南北対話が進んできた。  ところが、九六年、一昨年、北朝鮮は、その南北対話の枠組み、朝鮮軍事休戦協定を死文化しようということで、外交的あるいは政治的な通告、代表団の引き揚げ等のみならず、軍事的にも中立地帯への侵入を繰り返すといったことをして、そういう貴重な外交的対話の枠組みを壊す動きが出てきたわけであります。  一方で、北朝鮮は、韓国との対話をほうっておいて、アメリカと直接交渉し、韓国という国を北朝鮮の一地域とみなし、それを既成事実化しながら、アメリカと和解して経済協力等を進めようという、わかりやすい言葉を使えば、非常に虫のいい発想の外交戦略に転換してきたと見られるわけであります。  それに対して、アメリカは、これまたちょっと両義的といいますか、弱気で対応しているのか、それとも厳しく対応しているのか、両方とれるやり方で、いわゆる四者会合というものを韓国と共同提案したわけであります。それは、北朝鮮とアメリカが対話するパイプということでもありますが、南北の対話を継続する枠組み維持という両面を持つ四者会合であります。  また、この四者会合、昨年四月、米韓が呼びかけたのはいいわけですけれども、なかなか北朝鮮が乗ってこないとか、中国の対応が不透明とか、いろいろあったわけですけれども、今この四者会合の進捗状況はどのようになっているのか、外務大臣に伺いたいと思います。
  61. 阿南惟茂

    ○阿南政府委員 お尋ねの四者会合でございますが、これは、今委員がおっしゃいましたように、昨年四月、韓米両国の大統領が提案されたものでございまして、これまで二度予備会談が開催されております。そして、明日二十一日に、ニューヨークにおいて第三回予備会談が開催される予定になっていると承知しております。  我が国は、従来より、朝鮮半島に新しい平和の秩序を構築することを目的としておりますこの四者会合提案を支持しておりまして、今回の予備会談において、四者会合がさらに格上げされ、本会談の開催に結びつく、そういう合意が得られることを期待している、こういうところでございます。
  62. 達増拓也

    達増委員 なかなか実質的に中身が進展していないということで、四者会合に大きな期待が持たれる反面、非常に不安も大きいと言わざるを得ないと思います。  朝鮮半島安定化をめぐる外交的枠組みとしまして、もう一つ、KEDO、朝鮮半島エネルギー開発機構というものがあるわけであります。これは、九三年から九四年にかけまして、あの北朝鮮の核兵器開発問題があって、一時は国連安保理制裁決議が出て、すわ戦争かという瀬戸際まで行ったわけでありますけれども、九四年六月、カーター元大統領が出てまいりまして、米朝間で合意を見て、日米韓のKEDO協定、日本と韓国、そしてアメリカで、北朝鮮に危険な核開発をさせないような、そういう枠組みをつくりましょうということになったわけであります。  これもまた、アメリカの北朝鮮甘やかしという側面がある反面、北朝鮮を外交交渉の場、国際政治のルールの世界に引っ張り出したということで、極めて両義的な性質を持つ枠組みだとは思うわけですけれども、果たしてこれは順調にうまくいっているのかどうか、外務大臣に伺いたいと思います。
  63. 阿南惟茂

    ○阿南政府委員 KEDOにつきましては、経緯等は今先生がお述べになったとおりでございますが、本年八月、北朝鮮の琴湖地域の軽水炉建設用地におきまして、準備工事の着工式が行われました。これによって、軽水炉プロジェクトの活動が本格的に動き出したわけでございます。また、九月には、欧州連合、EUが理事会メンバーとしてKEDOに加盟をいたしました。こういうことで、KEDOの活動は着実に進展してきていると言えると思います。  この軽水炉建設のプロジェクトは、我が国安全保障の観点からも非常に重要なプロジェクトでございまして、我が国としても、KEDO発足以来、積極的にその活動に参加してきております。
  64. 達増拓也

    達増委員 欧州も含めましてさまざまな国々が参加してきているということで、国際的広がりが出てくるのはいいのですけれども、北朝鮮がきちんとコミットしているかどうかという問題はまだ残るわけでございます。  四者会合にせよKEDOにせよ、そういう非常に微妙な外交努力、うまくいっているようにも見え、また、先行きなかなか不透明なところもあり、外交努力というのは基本的にそういう性質のものであるわけですけれども、その順調な進展を望むと同時に、また、漏れのないようにきちんきちんと対応していただくことを政府に対しては強く望むわけであります。  視点をアメリカに持ってまいりますと、アメリカは、四者会合、KEDOといった外交努力で朝鮮半島の安定化を目指しているという反面、軍事的にも、地域の安定を図るため、要所要所できちっと軍事的なチェックも行っているのではないかと見られる行動をとっているわけであります。  例えば、九月、コンステレーション、ニミッツ、インディペンデンスと、アメリカの空母が相次いで日本寄港をしているわけでありますけれども、これを北朝鮮に対する牽制というふうに見る向きもあるわけでございますけれども、政府はここをどう把握しておられるか、質問したいと思います。
  65. 高野紀元

    高野政府委員 米軍は、一般的に、維持補給、休養等のために米軍艦船を我が国の港に寄港させております。先般の空母インディペンデンスの小樽寄港あるいは空母コンステレーションあるいは空母ニミッツ等がそれぞれ我が国の施設・区域等に寄港いたしましたのも、そういう目的の中で行われたものと理解しております。  結果的に、たまたま同じような時期に三隻の空母が我が国の港または施設・区域に寄港したものでございまして、特定の共通の目的ないし意図を持ったものではないというふうに考えております。
  66. 達増拓也

    達増委員 アメリカの空母の日本寄港というものも、意図についてはそうなんでしょうけれども、牽制効果という観点、客観的に見れば、それ は受け取る側の受け取り方次第でありまして、実は、これについてもかなり両義的な意味合いがあるのかなと思うわけであります。  国際的にそのような外交努力、また軍事的な動きがある中で、では日本一体どうやっていくのかというテーマに入っていきたいと思います。  日本は、空母派遣とか、そういう軍事的アクションは選択肢の中に入っていないわけでありまして、そういう中で、平成八年五月、橋本総理が緊急事態対応策の検討指示されております。  これは、我が国周辺地域における我が国の平和と安全に重要な影響を与えるような事態を中心として、起こり得る諸々のケースを想定して、我が国としてとるべき種々の対応について具体策を検討しておくという、非常に重要な、さまざまな国際的な動きの重要性と匹敵するくらい重要な国内的な努力だと思うわけであります。  在外邦人保護、大量避難民対策、沿岸・重要施設警備、対米協力措置の四つのテーマについての検討ということで、既に一年半たっているわけでありますが、その間、日米安保ガイドラインについては中間報告が出て、最終報告が出て、中間報告については、世論を喚起して、国民にもきちっと議論してほしいという趣旨で、ぴしっ、ぴしっと進んでいるわけでありますが、より基本的で、日本にとって重要であると思われるそちらの橋本総理プロジェクトについては、中間発表とか、まして最終報告ということを聞かないのですけれども、その進捗状況がどうなっているのか、伺いたいと思います。
  67. 江間清二

    ○江間政府委員 お答えを申し上げます。  ただいま先生御指摘のとおり、昨年の五月に、総理指示に基づきまして、いわゆる緊急事態対応策ということについての検討を進めているわけであります。  お話にもございましたように、在外邦人等の保護あるいは大量難民対策、沿岸・重要施設の警備等あるいは対米協力措置等のそれぞれについて、四項目にわたって、私どもが事務局になりまして、関係省庁の課長クラスによる作業グループというものを設置をして検討を進めてきておるわけであります。  現在、それぞれの各項目については引き続き検討が継続しているという状況にあるわけでございますけれども、これまでの検討状況ということについて申し上げますと、在外邦人等の保護あるいは大量難民対策ということにつきましては、政府部内等の対処の手順等に関しましてはある程度その規則的な整理は進めてきております。一方、沿岸・重要施設の警備等については、なお一層検討を進めていかなきゃいけない状況だというふうに認識をしております。  一方、対米協力措置等につきましては、現行法制度の枠組みの中での留意すべき問題点でありますとか、あるいは手続等につきまして、白紙的なあるいは実務的な検討を行ってきておるわけでありますけれども、このたび新ガイドラインいうものの策定に伴いまして、今後は具体的なニーズというものを踏まえながら検討を進めていく必要があるところでございますので、新指針の実効性確保のための検討という中でざらに検討を進めていくことといたしておるところでございます。  ただいま先生の方から中間的な発表云々というお話がございましたけれども、これは今申し上げましたような検討状況の中にあるということと同時に、いわば政府部内におけるマニュアルと申しましょうか、そういうものの策定を進めているところでございますので、内容的に申しましても、これをある段階で、まとまったから内容を発表するとか、そういうような性格のものではないのではないかというふうに認識をいたしております。
  68. 達増拓也

    達増委員 内容を発表する性格ではないということでありましたけれども、かなりの内容は日米ガイドラインとダブるところがあるわけでありまして、ガイドラインの方はきちっと発表して国民に議論を喚起するという一方で、アメリカと直接関係ない、この国内の、政府政府だけでやるようなところについては国民には知らせないというのは、矛盾した対応だと思うわけであります。  そもそもガイドラインばかり先に進んでいるわけでありますが、本来この安全保障政策というものは、国のあり方憲法そのものに関することでありまして、まずきちっとした憲法解釈があって、その下に安全保障に関する基本政策というもの――これは政府のといいますか議院内閣制、日本においては政府・与党のそういう憲法解釈安全保障の基本政策があって、その次に、有事法制整備等を含めてまず日本が単独でやらなければならないことについてきちっと固め、その上で外国、アメリカとどういう協力をしていくのかというのが順番のはずでありまして、新進党は、安保委員会のみならず予算委員会等でも党首が先頭に立って一貫してそういう主張をしてきているわけであります。  そういったきちっとした手順を踏まないで、いきなりガイドラインが出てくる、これに対してきちんと憲法的コントロール、国民のコントロールを及ぼすには、それは当然国会承認が必要だろうという話になるわけであります。  ただ一方で、アメリカとの関係といいますか、本質的には日米安保体制の実効性という観点から見ますと、ガイドラインの関連法制、ガイドラインはそれだけでは物が動かないわけでありまして、国内的な法的措置をきちんきちんととっていかないと内容は実現できない。  本来は、憲法解釈安全保障基本法、有事法制という手続の後にガイドライン関連法制というのがあるわけですけれども、日米安保体制の実効性確保という観点からは、中間報告があった時点から事務的な準備はスタートできるはずで、今の臨時国会にその法案が出てきてもおかしくない。  アメリカとの関係を考えれば、来年通常国会でも遅過ぎるのじゃないか。まして、来年通常国会にも出ないということになれば、せっかく四者会合とかKEDOとか、そういう国際的な努力、この地域の安定に対する努力が払われている中で、そういう安定化の不可欠の一環である日米安保体制というものが、日本政府の努力不足あるいは政府・与党の努力不足によってバランスを崩してしまうことになる。ひいては、いざというときに日本国民の生命財産があるいは権利が侵害されるおそれが出てくる。これは非常にゆゆしい事態と思うわけでありますが、ガイドライン関連法制の事務方の作業状況はどうなっているのか、政府に伺いたいと思います。
  69. 久間章生

    久間国務大臣 今度の新しいガイドラインに伴います法整備をどうするか、先ほども御答弁申し上げましたように、今、広範囲にわたるものですから、政府全体としてあらゆる角度から検討しておるわけでございまして、委員御指摘のように、できるだけ早くすべきだと思いますけれども、なかなかまだそこまで至っていないという状況でございます。できるだけ早く、落ちのないようにして、通常国会にはというふうに思って努力をいたしております。  その際に、今緊急事態対応策について安保室がまとめておられます、そのような問題とも密接に関連する点もございますので、できますればあわせて検討していきたいというふうに思っておるわけでございますが、何分かなり広範にわたりますので、今ここでいつごろまでにと言うわけにもまいりません。そういう状況でございます。
  70. 達増拓也

    達増委員 それではやはりだめなのでありまして、恐らくその事務方の作業がなかなか進まないというのは、本来憲法解釈からスタートする、そういう上からおりてくる手順を経ずに、事務方、防衛あるいは外交事務当局者が、そういう憲法的な国内的なガイドラインなしに、まさに現場の要請に基づいてガイドラインについてはアメリカとやりとりしなきゃならない、そういう状況に追い込まれているからなかなか進まないのではないかと思われるわけであります。  それは、本当にそういう政治のガイドラインなしに現場対応しなきゃならない、これはまるで戦前の満州問題をめぐる動きとオーバーラップされてくるわけでありますが、そういう事務当局者に 対しては同情を禁じ得ないところがある反面、いわばガイドライン憲法に取ってかわるかのような、そういう危険性に対して非常に危惧も感じるところであります。  ガイドライン関連法制と、本当はそれ以上に重要なはずの有事法制、防衛出動関連法制、さらには自衛隊法以外の関連法制の整備状況について伺いたいと思います。
  71. 久間章生

    久間国務大臣 これも委員御承知のとおり、第一分類、第二分類と第三分類に分けまして、第一、第二につきましては、防衛庁の方で今まで研究を進めてまいりまして、ある程度の成果について国会の方にも御報告しておるとおりでございます。  第三分類につきましては、安保室を中心に検討していただいておりますけれども、まだなかなか中身が詰まっていないというふうな話を伺っております。  これも、単に研究にとどまらず、とにかくやはり実のあるものにしていかなければなりませんし、また、今度のガイドラインに伴います法整備と非常に密接に関連するわけでございますから、できるだけこれも一緒にというふうに思っておりますけれども、ただ、この法の整備ということにつきましては、単に私どもだけではなくて、国会のいろんな御意見等も聞きながら、世論の動向等も踏まえてより高度の政治的な判断を下されるものでございますので、そういうような状況も十分見詰めた上でやっていかなきゃならないというふうに認識しております。
  72. 達増拓也

    達増委員 これで終わらせていただきますけれども、新進党では、まさに憲法解釈からスタートして、安全保障基本政策、そして有事法制の検討、そしてガイドラインに関する検討、そういう手順を踏んできちんと責任ある対応をする準備を進めてございますので、お任せいただければいつでもかわってがっと作業させていただくということをお約束いたしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  73. 二見伸明

    二見委員長 次に、石井紘基君。
  74. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 最初に、普天間基地をめぐる名護市の住民投票についてお伺いをしたいと思います。  防衛庁長官、このヘリポート建設について、従来から政府見解は地元の理解なしに頭越しにこれに取りかかることはないというようなことだったと思いますが、今名護市で住民投票が準備をされておりまして、二十一日に投票を迎えるわけであります。この地元の理解ということの意味は、これは当然住民投票の結果ということも重要なファクターになるのではないかと思われるわけですが、いかがですか。
  75. 久間章生

    久間国務大臣 住民投票をどう考えるかということは、これは住民投票の請願等を受けて条例を制定されました市御当局あるいは市議会、そういったことにもかかわる問題でございますし、一地方自治の問題でございますから、私の方からああいう投票についてコメントするのは控えたいと思います。  いずれにしましても、そういうような投票等のことを背景とされながら市長さんなり市議会の皆さん方が最終的にどう判断されるのか、またそれを受けて県がどう判断されるのか、そのような地元の判断を受けて私どもはこの普天間移設をさせていただきたいということで今お願いをしているところでございまして、従来から申しておりますように、頭越しに、とにかく地元の意向を無視した形でやるということは絶対ないということをしっかりと、そう思っているところでございます。
  76. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 名護市で進められております住民投票というのは余り聞いたことがない四択方式という方式になっておりまして、四つ項目の中から選択をする。一は「賛成」、二は「環境対策や経済効果が期待できるので賛成」、三は「反対」、四は「環境対策や経済効果が期待できないので反対」ということになっているわけです。  そうすると、このうちの一と二は大ざっぱに見て賛成というふうにカウントしようという意図なのか、それからまた、三と四は大きく見て反対というふうにカウントしようという意図なのか、あるいはそれ以外の賛否の判定の仕方というものが考えられているのかどうなのか、そのあたりを、長官、御認識がございましたら御答弁をお願いします。
  77. 久間章生

    久間国務大臣 今申し上げましたように、この住民投票の中身につきましては、これは地方自治体の方でこのような選択肢を選ばれて条例を制定されたわけでございますので、私どもがこれに対していろんなコメントをするような立場にないということは御理解いただきたいと思います。
  78. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 ある意味ではかなりあいまいな賛否の表決の仕方ということになっていると思うんですが、判定の仕方はともかくとして、いずれにしても住民投票は名護市民の賛否を問う判断基準にしたいということで行われているわけでありますから、この住民投票の結果というものは防衛庁としても尊重しなければならないものだというふうにお考えでしょうか、どうでしょうか。
  79. 久間章生

    久間国務大臣 それは、もちろんこういう投票が行われているわけでございますから尊重するわけでございますけれども、ただ、先ほど言いましたように、いずれにしましてもこれは一義的には市長さんあるいは市議会の皆さん方がそれをどういうふうに読み取ってどういうふうに判断されるか、それが大事なことでございまして、私どもとしては、市御当局、また市に限らず県御当局のそういう御意見等を踏まえながら、理解を得て実行させていただきたいというふうに望んでおるわけでございます。
  80. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 そこで、今度はこのヘリポートの建設費について伺いたいと思うんです。  このヘリポートについては、二つの工法というんですか方式を出されていると思いますが、一つはくい式桟橋方式、もう一つはポンツーン方式というわけでありますが、それぞれについてどのくらいの建設費がかかるのかという点についてお答えをお願いします。
  81. 久間章生

    久間国務大臣 今まで行いましたのは基本的な調査だけでございまして、海底のボーリング等もやっておりますけれども、具体的な実施計画まででき上がっていないわけでございまして、そういう段階でその金額をそれぞれについてはじくということはできませんので、また、むしろ余り大ざっぱな数字を言ってもこれまた無責任な話になりますので、今のところ言えますのは、正直言ってまだ金額がはじけない、そういう状況でございます。
  82. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 かなりこれは大規模な施設ということになると思いますが、そういうものを建設しようという場合に、金額が全くはじけないからわからないというのではちょっと納得できないので、もう一度御答弁をお願いしたいと思います。
  83. 久間章生

    久間国務大臣 とにかくあの地域で実施できるかできないか、これがまず第一でございますし、その次、実施できるとしましてもどちらの方式をとるのか、これもまたその次に決めなきゃならない問題でございますし、今度はその上に立って、具体的にこの方式でやるというときにまた環境アセスその他必要な調査もやらなきゃならないわけでございます。  だから、そういうようなことを全部して、それから今度は具体的な実施計画をやって金額を算定していくわけでございますので、正直言いまして、今のところ数字をはじき出すには至っていないという状況でございます。
  84. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 何かお金のかかることをやろうとするのに、全くそのことを考えずに進めていくというようなことは、これはいかがなものか。防衛庁長官、そういうことで本当によろしいんでしょうか。くどいようですけれども、もう一度お願いします。
  85. 久間章生

    久間国務大臣 常識的に言いまして、くい式方式よりもポンツーンの方が金がかかるだろうとか、そういうことは言えますけれども、大体どのくらいという数字を言いますと、その数字がひとり歩きしまして、実際それより多い場合、少ない 場合、いろいろ出てくるわけでございまして、全く初めてのことでもございますので、やはりそこには念を入れて、実施計画をつくった上で数字をはじかせていただきたい、そういう思いがございますので、アバウトな数字でもなかなか申し上げることができないという状況でございます。
  86. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 ちょっとよく理解できないんですが、それじゃもう少し具体的にお伺いするとして、例えば何百億という程度でできるのか、あるいは何千億という単位になるのか、あるいは何兆という単位になるのかというふうに伺ったらどうでしょうか。
  87. 久間章生

    久間国務大臣 そういう言い方でございますならば、何百億では難しいだろう、また何兆ということにもならないだろう、そういうことは言えると思います。
  88. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 となると、残るのは何千億ということだと思いますが、何千億というのは、多分一千億から九千億台までであると思うのですが、そのうちの大体真ん中辺か下の方か上の方か、どうでしょう。
  89. 久間章生

    久間国務大臣 本当に申しわけございませんけれども、くどいようでございますけれども、正直言いまして、今、これから先どちらの方式をとるのか、それすらまだ決まっていない段階で数字をはじき出すことは困難でございますので、どうかその辺御理解していただきたいと思うわけでございます。
  90. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 大変理解のしにくい御答弁だったというふうに申し上げまして、次に移りたいと思います。  ガイドラインの問題について、一、二伺います。  このガイドラインを実効性あるものにしていくためには、何らかの法整備、新規の立法だとかあるいは法改正だとかいうものが当然必要になってくるだろうというふうに思われるわけですが、これについてはどのようにお考えなのか、お答えをお願いします。
  91. 久間章生

    久間国務大臣 先般、これを取りまとめました後に、政府として閣議決定もしていただきまして、これを実効性あるものにするために法的側面も含めて詰めていくということになって、今、官房副長官をヘッドにしました各省の局長クラスの会議が持たれておるわけでございます。  そういう中で、これを具体的に実効性あるものにするためにはどういう法律が必要なのか、現行法でどこまでやれるのか、そういう作業をこれから先進めておるところでございますので、そういうのを待った上で必要な法整備等も場合によっては出てくるのではないか、そういうふうに思っておりますが、今具体的にどういう法律があるいは例えば自衛隊法のどことどこを改正しなければならないかとか、そういうことにつきましてまだ煮詰まっていないというところでございます。
  92. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 今具体的にどの法をどうしてこうしてということまでは煮詰まっていないということでございますが、そういたしますと、今の御答弁から大体理解をされると思われるのは、要するに、全く現行法にさわる必要がない、全く法整備の必要がないということではないということでございますか。
  93. 久間章生

    久間国務大臣 何らかの法的整備、あるいは法律だけではなくていろいろなほかの側面も含めまして、いじらないといけないのではないかという認識はいたしております。
  94. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 そうすると、例えば法案でいえばそれがどのくらいのものになるのかという、量的、数的なものはまだわからないということですか。
  95. 久間章生

    久間国務大臣 そのとおりでございます。
  96. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 そういたしますと、何らかの法整備が必要であろうというふうに防衛庁長官はお考えのようですが、いつごろその法案というのは出てくるのか。次の通常国会にお出しになるのかどうなのか。
  97. 久間章生

    久間国務大臣 できることなら次の通常国会に間に合わせたいというふうに思っておりますけれども、先ほど言いましたように、各省各庁にまたがる問題でもございますし、御承知のとおり、今各省各庁は行政改革の問題等々、あるいはまたそれが終わりましたら予算編成等、いろいろな意味でみんな手広くやっておるわけでございますので、私どもの思いどおりに直ちにすぐまとまるかといいますと、これまたいろいろ議論があるのではないかと思いますので、私どもとしては、できるだけ早く取りまとめをして、必要な法整備等があれば早く国会に出したいという気持ちは持っておりますけれども、今、いつごろということはなかなか一概に言えない状況でございます。
  98. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 いつごろと言えなくても、通常国会というのは長いわけでございますので、できるならば通常国会に出したいということでよろしゅうございますか。  それから、ガイドラインの最終報告の中で日米共同調整所というのが出てくるわけですが、これの構成とか任務とか目的とか責任の範囲とか権限とか、そうしたものについて御説明をいただきたいと思います。
  99. 太田洋次

    ○太田(洋)政府委員 お答え申し上げます。実務的な面が多うございますので、私の方からお答えさせていただきます。  新ガイドラインにおきましては、日米両国政府は、日本に対する武力攻撃に際しまして、また周辺事態に際しまして、日米それぞれが行う活動の間の調整を行うために、平素から調整メカニズムを構築されることとされております。  この中で、日米共同調整所と申しますのは、この調整メカニズムの一環としまして、自衛隊及び米軍が、双方の活動について調整するために平素から準備しておくものでございます。  イメージしていただくために、これと同様のものがございましたので、ちょっと御紹介しますと、日本有事の場合でございますけれども、旧ガイドラインのもとにおきましては、日米両国は、情勢の変化に応じて必要と認めるときは、自衛隊と米軍との間の調整機関の開設を含めて、整合のとれた共同対処行動確保するために必要な準備を行うこととされておりましたし、また、実際に日本に対する武力攻撃がなされた場合、自衛隊及び米軍は、効果的な作戦を共同して実施するために、この調整機関を通じまして、作戦とか情報とかその他後方支援について相互に緊密な調整を図ることとなっておりました。  さて、新たなガイドラインにおきましては、旧指針における調整機関の考え方を踏まえまして、調整に必要な場所とかその他ハードウエア及び調整の要領等のソフトウエア、これを備えたものを考えておりますけれども、日米共同調整所の具体的な内容については、今後、関係機関、それから日米双方で検討していくということになっております。
  100. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 今のお答えの中でちょっと抜けていると思われるのは、例えば構成ですね、日米双方、だれとだれがやるのか。
  101. 太田洋次

    ○太田(洋)政府委員 お答え申し上げます。  日米双方からどういう機関、どういう人たちがこれに参加するかということについても、今後、日米関係部局を含めまして検討することとされておりまして、現在まだそれは明らかになっておりません。
  102. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 最終報告にこういうふうに明確に書かれてあって、現在まだそういうことのイメージがないというのもちょっとよく理解できないのですが。
  103. 太田洋次

    ○太田(洋)政府委員 お答え申し上げます。  このガイドラインのもとにおきましては、まず、日本有事の場合の日米の共同作戦計画の検討、それから周辺事態に際しましての日米の相互協力計画についての検討等々を行うことになっておりまして、この日米共同調整所の問題につきましても、日米を含めまして、その間において具体的に今後共同作業を進めていくことになっておりまして、現在まだその結論を得ていないということでございます。
  104. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 次に、これは新聞の情報なんですが、もう明らかになっていることですが、防衛 庁が、日米安保条約の相互防衛援助協定に基づいて有償軍事援助契約を結んで、アメリカ政府から装備品を購入している。そのうちの引き渡し手続が滞っているものの総額が約三千百億円に上る。このうち約六百億円、正確には五百六十億円分でしょうか、既に期限がとうに過ぎているのに、中には十年もたっているのに現物が届いていないということでありますけれども、これは事実でしょうか。
  105. 久間章生

    久間国務大臣 御承知のとおり、我が自衛隊が必要とする装備につきまして、民間契約を通じて購入するものについては一私人としての立場で契約を結んでやるわけでございますけれども、それ以外で、アメリカが自分のところの武器管理法に基づきまして適格国を決めまして、要するに、自分の味方といいますかそういう国につきましては、米国政府が直接調達をして、それを援助という形で渡すというFMS契約というのがございます。  これにつきましては、アメリカが提示をしました条件に従って、こちらが欲しいと言えばくれてやる、分けてやるというような立場でございますから、任意の契約ではなくて、全部向こうの言うとおりにしなければならない点がございます。そして、この契約というのは前金で全部取るという形になっておりまして、予定納期というのがございます。これはあくまで予定でございまして、納期が過ぎたからといって契約違反にならないような仕組みに実はなっておるわけでございます。  今、三千億と言われましたけれども、そのうちの千数百億はまだその予定納期が来ていないものがございます。あとの千数百億につきましては、これは日本に品物も来て全部済んでいるわけでございますけれども、前金で払ったのと実際でき上がってしまって最終的に幾らになったのかの精算が、向こうからきちっと精算書が来ていないものですから、整理がされていないものがございます。  それ以外の、問題になりますのは、この五百六十億円というのは、予定納期が来ているにもかかわらず品物がこちらに届いていない、こちらの方はもう既に前金で払っておる、そういうものが五百六十億あるわけでございまして、これが一番問題になるわけでございます。  しかしながら、今言いましたように、アメリカの方は、日本だけではなくて自分の味方国、いろいろなところのそういうものを全部集めまして、それから発注するというようなことがありますときには、みんながそろわないために発注をしないでそのまま延ばしていることがあるわけでございます。あるいは、発注したけれども、都合で自分のところの優先順位のところから先にやっていって、日本には後回しというようなこともございまして、要するに五百六十億円相当分がまだ日本に品物が届いていないわけでございます。  そういうことで、私どもは、確かにFMS契約というのはそういうふうになっているけれども、もう予定納期なんだからそれはできるだけ早めてもらいたいということをいろいろなルートを通じましてやっているわけでございますけれども、残念ながらいまだ届いていないということでございます。  これについては、私どもも、日米関係のこれから先の信頼性の向上を図る上でも、これは早く納めてもらいたいということをこれから先も言い続けて、できるだけ実現したいというふうに思っているところでございますが、制度としてはそういうふうになっておりまして、首根っこのところで向こうの言いなりになるような、そういう契約にもともとがなっておりますということについて、ひとつ御理解いただきたいと思います。
  106. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 お金も前払いで払っておって、しかも請求してもなかなか、十年にもわたって長年品物が来ないというのは、いずれにしても問題だと思いますね。そういう点で、防衛庁としてはそれなりの催促をするなり御努力をされているのだと思いますが、やはり国費を使っている以上、これは目をつぶっておくわけにはいかぬという問題だと思うのです。  会計検査院はこうした問題について検査を改めてしていただいて、そしてしかるべき措置を講じていただく。会計検査院としては、やはり国費が使われて、出されてそのままになっているということでありますから、これは黙っておくということは許されない問題だと思いますので、何らかのアクションを起こすということにならなければならぬと思うわけですが、検査院としては、検査をしていただく、そういう必要があると思いますが、いかがですか。
  107. 藤田正二

    ○藤田会計検査院説明員 お答え申し上げます。  FMSによる調達物品につきましては、従来から私どもも検査をしてまいりましたが、ただいまの議論も念頭に置きまして今後とも検査をする所存でございます。  また、どういう検査をするかということで申し上げますと、検査した結果によっていろいろ対応することになりますけれども、一般論として申し上げれば、検査の結果不適切な事態があった場合には、意見表示とか処置要求とかいろいろな報告の形態がございまして、こういう指摘の対応で報告することになるかと思います。
  108. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 今の御答弁は、今の指摘を受けて今後とも検査をします、こういうことでありますが、文法的にもちょっと言い方が矛盾しているのじゃないかなと思いますが、その場合は「今後とも」というのは要らないのじゃないでしょうか。指摘を受けて検査をしますということとこれは同じ意味ですか、どうですか。
  109. 藤田正二

    ○藤田会計検査院説明員 お答え申し上げます。  ただいまの先生の御指摘も十分踏まえた上で検査をするという意味でございます。
  110. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 御指摘も踏まえた上でというと、「も」というのは複数を受けるあれですが、指摘を受けてじゃないですか。
  111. 藤田正二

    ○藤田会計検査院説明員 お答え申し上げます。  今までも検査してまいりましたが、それにあわせて先生の御指摘をさらに踏まえた上で十分検査してまいりたい、そういう意味でございます。
  112. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 わかりました。それで結構でございます。  それでは、検査院は、相手がアメリカですから、アメリカまで行って検査するというわけにいかないでしょうから、しかも防衛庁の方ではしかるべき督促等を行っているということでありますので、その上で、防衛庁からよく事情を聞いてもらって、そして検査をして、それで検査院としての何らかの行動をとるということをぜひ早急にやっていただきたいと思います。  そこで、今度はちょっと外交問題に移りたいと思います。  この間、外務大臣は、日ロ外相会談等々を初めとして大変精力的に御努力をいただいて、それなりの成果が上がっているというふうに思います。  最初に、日ロ首脳会談、それから外相会談というものが引き続き行われたわけでありますが、ロシアがどうもここ二、三年前と比べると、相当対日姿勢という点で変わってきたように見受けるわけですが、この要因はどんなところにあるのでしょうか。
  113. 小渕恵三

    小渕国務大臣 さきの日ロ首脳会談に象徴されるわけですが、最近の日ロ関係の緊密化の背景として、いろいろ考えられるだろうとは思いますけれども、冷戦の終えんに伴いましての国際情勢の変化、また、ロシア連邦が誕生した、こういうこともあるのではないか。  さらに、ロシア側の要因といたしまして、例えばロシアの外交政策が米欧重視外交から全方位外交へ転換したこともあるのではないか。また、先般プリマコフ外相と会談いたしておりまして、外相自身も対日問題について非常に詳しいお方でありますし、長い間我が国の方々との共同研究を学者の時代からもされておったような方でもございまして、そういった意味で、外交政策も転換しておる要因の一つになるのではないか。  また、エリツィン大統領が、NATO、ウクライナ、ベラルーシ等の懸案事項を処理いたしまし て、我が国を含むアジア諸国との関係改善にも取り組もうとしておるという見方もあるのではないか。  先般、首脳会談におきましても、橋本首相からAPECの参加について我が国としても賛成をするということを申し上げたのも、ロシアといたしましても、かつてウラル以西の国であるというような印象もございましたけれども、最近は特にアジアに対して強い関心を寄せておるというようなことも、最近の我が国との関係をより緊密化しようという要因の一つではないかというふうに考えております。
  114. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 ロシアの国際諸関係の中における現在の立場というのは、外務大臣からは、ある意味ではそういう言い方になるのかもしれません。  一方、欧米の側からはNATOの拡大というようなことで、ロシアとしてはかなり厳しい立場に立たされる。あるいは、中国の強大化あるいは経済発展、日中、米中の関係の緊密化。あるいはまた、旧ソ連邦諸国であります中央アジアの諸国との間の、従来と比較すると、比較的それらの諸国の自立化といいますかロシア離れといいますか、そうした状況の中で、ロシアとしては、アジア東方方面にどうしても、軍事戦略上もあるいは経済発展を考慮に入れた、そうした意味からも、この方向に大いに矛先を向けてくるといいますか、かじ取りを進めてくる、そういう言い方もできるのではないかと思うわけであります。  そういう中で、平和条約を二〇〇〇年までに締結するように努力するということになりましても、これはまたなかなか前途多難であろうかと思うわけでありますが、政府としても、いろいろの経済関係の一層の緊密化、あるいは政治的交流、その他の交流の促進という面で御努力をされていることは理解をするわけでありますが、そういう中で、特に、こうした経済レベルあるいは政治レベルの行き来ということもさることながら、民間あるいは地方自治体とかのレベルでの相互理解の促進という点にやはり大いに力を注ぐ必要がある。  まだまだ日ロ間の溝あるいは感情的なわだかまりというものは少なからざるものがあるわけでありまして、そういう点で、例えば外務省が行っているロシアに対する支援、その一環である日本センターというようなことの活動がありますけれども、私のそうした民間交流が今後非常に重要であるという点と、それから、具体的にこの日本センターは一体どういうことをやっているのかということを簡単に御答弁をお願いしたいと思います。
  115. 西村六善

    西村(六)政府委員 今おっしゃられました日本センターといいますものは、我が国のロシア支援の一環としてつくっているものでございまして、現在ロシアに五カ所ございます。  そこにおきましては、ロシアの若手の指導者、ビジネスマン、それから将来ビジネスを志す人々を集めまして、日本の市場経済のシステム、それから派生じますいろいろな問題でございますけれども、例えば簿記とか会計事務とか、あるいは税制についての説明といったようなことを行っております。あわせて語学の勉強も行っております。
  116. 小渕恵三

    小渕国務大臣 委員御指摘のとおりだろうと思います。  今後急速に日ロ間の関係が強化され、この背景のもとで、いよいよ日ロ間の二〇〇〇年までの平和条約締結という運びになっていかなければならない。そのためには、幅広な日ロ間の交流がなければならない。そのために、議員交流、技術支援、報道関係者招致、対先進国招聘等の枠組みを通じて、各界各層の活発化を図っていかなければならないと思っております。  石井委員もかねて来、この面で大変御苦労もされておられるわけでございますので、何といっても層の厚い、そうした交流が今後とも急速に増加していくということが究極の目的を達成するゆえんだろうと思いまして、さらに努力をしていきたいと思っております。
  117. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 何といっても、例えば経済開発のプロジェクトを進めるにしても、ロシア側が、例えば貿易等の中で発生してくる契約履行についての責任感だとか、あるいは税制、関税等についての国際的な秩序といいますか、そうしたものを一刻も早く確立してもらうということがないと、おちおち取引なんかやっていられないわけでありますので、そうした点を、外務省もただ単に日本センターなんかで簿記を教えたり、数十人か数百人の人たちにそんなことをやっているよりも、もっと民間の経済界、実業界なんかがそうした交流を進めていくということに対するバックアップをするということが必要だと思います。  さらにはまた、ロシアがさまざまな国際機関、金融的な側面その他の国際機関、APECなんかの加盟は我が国も支持をするという表明をされたようでありますけれども、WTOへの加入とか、そうした問題についてもできるだけそういった方面に引き込んでいく、一方では、そういう国際的な舞台におけるロシアの市場経済社会における存在を支援していく、そういうことが重要であろうと思います。  時間が来たようでありますので、最後に、今までの問題とも関連するのですが、日本のODAのあり方という点で。  ケニアに対して、アフリカ諸国の中ではというよりも、全世界的に相当多額のODA支援が行われているわけであります。年間二億ドル、あるいは合計二十億ドル近くの支援が行われている。これは、ケニアに対する支援の二位を占めるドイツの四倍ぐらいに当たるのだそうであります。  しかし、このケニアの政権というのは、十九年間も続いているモイ大統領の独裁、腐敗ということで糾弾の声が非常に激しく上がっているところでありまして、こういうところに対して、道路だとか橋だとか、あるいは発電所だとか空港の建設だとかという公共事業を中心とした支援が行われているわけでありますけれども、こうした支援のあり方というのは、アメリカなんかでは、こういう公共インフラのようなものは経済発展に役に立たないという考えがもう既に一般的になっております。  そういう点で、我が国でもODA支援のあり方というものを、例えばこれを法制化して、きちっとした法律にするなり、そういう中で本当に相手国の国民の利益というものに立った支援のあり方に変えていくという必要があるだろうと思いますが、それを答弁していただいて、終わります。
  118. 大島賢三

    ○大島(賢)政府委員 御案内のとおり、日本のODAはアジア中心でございますけれども、アフリカに対しては一二%前後ODAが出ております。その中で、ケニアにつきましては、特に東アフリカ地域におきますかなめの国であるということで、先ほど御指摘がございましたような援助を実施しております。  ケニアにおきましても、一九九二年には複数政党制のもとで、国際機関の監視のもとで、自由かつ公正な選挙が行われておりまして、最近、今月末の選挙も行われるようになりました。そういう動向を我々は十分見きわめながら、基本的な考えを維持して、ODA原則にものっとり、支援をしていきたいと思っております。
  119. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 ありがとうございました。
  120. 二見伸明

    二見委員長 次に、目片信君。
  121. 目片信

    目片委員 私は、自由民主党の目片信でございます。  私は滋賀県の出身でございまして、一応滋賀県の概要についてまず申し上げて、質問を申し上げたい、このように思います。  滋賀県は十九の郡市、そして五十の市町村から構成をされておりまして、琵琶湖を中心に湖東、湖西、湖南、湖北と、大きく四つに分類されます。そして、私どもの県は、御承知をいただいておりますように、琵琶湖を抱えておりまして、環境立県あるいはまた農業県、そのようにも言われております。  そういう中で、私は、いわゆる湖西、大津、滋賀郡、高島郡というのが選挙区であります。その選挙区の中に、三つの駐屯地また基地がございま す。  まず、大津駐屯地がございますけれども、大津駐屯地は教育大隊でございます。そして饗庭野基地、ここは地対空ミサイルのパトリオットが配備されているところでございます。そして今津駐屯地、これは第三戦車大隊という、三カ所、ちょうど湖西のブロックの部分にあるわけでございます。  大津駐屯地は、先ほど申し上げましたように、教育大隊でございますから、多くの新しい隊員がそこで数カ月基礎の訓練を受けられることになっておりまして、それぞれ訓練が終わりますと、全国の駐屯地あるいは基地に配属をされるわけであります。  また、地元で地方連絡部を通じまして隊員を募集をされる、あるいは防衛大学等そういうところに進まれる、そういう皆さん方を一堂に会しまして、三月には、私どもあるいはまた保護者の皆さん、そして関係者の方々の列席の中で壮行会が催され、隊員を激励いたしております。  そうした中で、滋賀県出身の全国で頑張っていただいている隊員がそこへお越しになって、自衛隊とはこういうところですよということで先輩の激励の言葉がございまして、これから日本の国を守っていこうという、そうした新しい、若い人たちに大きな勇気と希望を与えてくれる、そのような催しがされているわけであります。  そういうことで、私どもは防衛協会を通じまして、そうした若い人たちに少しでも郷土のことをまた思い起こしていただくためにも、年に一回でありますけれども、防衛協会が中心になりまして、慰問袋をつくって、北海道から沖縄に至るまで、県出身の隊員の皆さん方に配布をさせていただいております。  また一方、申し上げました三つの駐屯地あるいは基地、その中で日常生活を営んでいただいている多くの隊員の皆さん方は、一市民であり、また一町民として、地域地域でのコミュニケーションを深めていただいておりまして、時にその地域で永住いただく、そういう方々もたくさんいていただくわけであります。  申し上げましたように、滋賀県での自衛隊を取り巻く環境は、概要そのようなことでございます。  さて、去る十一月四日からこの十七日まで、申し上げました新旭町というところに饗庭野演習場がございますが、その饗庭野演習場で日米共同訓練が実施をされたところでございます。実施規模は、私が申し上げるまでもなく、防衛庁は十分御承知なのでございますが、日本側としては、第四六普通科連隊約七百名、そして米軍側は第二五軽歩兵師団、ハワイから四百八十名、約千二百名の皆さん方が滋賀県饗庭野において訓練を実施されたのであります。  しかし、この実施されるという報道がなされましたときに、多くの、恐らく県外の方々であろうと存じますけれども、連日にわたって、演習場周辺はもとより、今津、新旭町付近で反対の集会あるいはデモ行進が行われました。平素、閑静であり平穏な町が、町内が一瞬慌ただしい日々が続いた、こういう事実もあるわけでございます。  一方また、朗報と申しましょうか明るい話としては、近隣町村内で、有志の方々でございますけれども、訓練に参加された米軍の隊員と会食をしたり、あるいは懇談が持たれました。米軍の若い隊員さんに日本の文化に触れていただく機会、すなわちいわゆるホームビジツトが催されました。日本の若い人々もそうした隊員と接触をいただきまして、まさに日米友好親善の一翼を担っていただいたのではなかろうか、このように思っております。  そこで、御質問申し上げますけれども、今回の饗庭野演習場で行われた日米共同訓練の意義はどのようなものであったのか、まずそのことをお尋ね申し上げたいと思います。
  122. 太田洋次

    ○太田(洋)政府委員 お答え申し上げます。  今般、先生が今御指摘の演習は、米陸軍と陸上自衛隊との間の日米共同訓練が行われたわけでございます。これは日本有事に際しまして、そういうことを頭に置きまして、日米が共同して作戦を実施する場合における相互の連携要領を演練しておくということで、大変不可欠なものでございます。また、そういうことを行いますことは、双方の戦術技量の向上を図る面でも大変有効なことでございます。  一般的に申し上げまして、こういう日米共同訓練を通じまして、平素から自衛隊と米軍が戦術面での相互理解、意思疎通を促進しまして、双方の相互運用性の向上を図っておくということは、有事におきまして日米共同対処行動を円滑に行うというために不可欠なものでございます。また、これが日米安全保障体制の信頼性あるいは抑止効果の維持向上にも資するものであるというふうに考えてございます。  今回の先生のお話しの演習は、まず一般的に米陸軍との共同訓練は努めて多くの部隊に経験させておくという必要がございますけれども、今回につきましては、先生お話しの中部方面隊の部隊でございます第四六普通科連隊、広島県の海田市でございますけれども、この部隊がこの管内にございます饗庭野演習場を使用しまして演習を行わせていただいたということでございます。
  123. 目片信

    目片委員 次に、饗庭野演習場で行われました日米の共同訓練でございますが、今まで一九八六年、一九八八年、一九九一年、そして本年の一九九七年、六年ぶり四回目という訓練であったわけであります。  このことを考えてみますと、必ずしも定期的に訓練が行われているということではないわけでありまして、時に二年、あるいはまた三年、あるいは今回のように六年の期間がある、こういうようなことでございますけれども、今後計画はあるのかないのか、それをお尋ねするわけでありますが、もしお答えいただけるのであればお答えを賜りたい、このように思います。
  124. 太田洋次

    ○太田(洋)政府委員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、米側との共同訓練につきましては、まず我が方のいろいろな部隊にこういう共同訓練を経験させておきたいということでございます。  それから、米国との共同訓練に際しましては、相手方の事情もございますので、事前にいろいろな話し合いを通じまして、いつどこどこでということも含めて検討した上で年間の計画をつくるということでございます。  今後のことについては、そういう意味での計画は今のところまだ検討されておりません。実際に、例年のことでいいますと、実施時期から見まして三カ月程度前にそういうことが決まっていくということでございまして、現段階ではそういうものはございません。
  125. 目片信

    目片委員 それでは、次の質問をさせていただきます。  これだけの訓練でございますから、地元の町村、今申し上げますと、高島郡内の町村が該当するわけでありますが、十分な事前の調整あるいは周知徹底等々は防衛庁としてとっていただいたのか、その対応についてお尋ねをいたしたい、このように思います。
  126. 首藤新悟

    ○首藤政府委員 お答え申し上げます。  このたびの饗庭野演習場におきます日米共同訓練を実施するに際しましては、私ども大阪防衛施設局それから陸上自衛隊より、滋賀県及び地元の関係町村に対しまして、事前に理解と御協力をお願いいたしまして御了解をいただいたところでございます。  この協力要請をさせていただきました際に、滋賀県及び地元の関係町村から大阪防衛施設局等に対しまして、また防衛庁の方に対しましても、今回の演習に際し地域住民の日常生活に支障を来すことのないよう万全の安全策を図ることという御要請がございましたので、大阪防衛施設局長より訓練実施機関でございます陸上自衛隊の第一三師団長及び中部方面総監に対しまして、こういう要請がありましたことを通知し、安全対策等に万全を期すように申し入れたところでございます。  なお、訓練に参加しました米陸軍の部隊に対しましては、この要請がありましたことを陸上自衛隊から伝えてございます。  また、米軍と自衛隊との現地調整会議というのがございますが、ここにおきましても万全な安全管理対策について確認いたしまして、今回の訓練を推進させていただいたと承知いたしております。
  127. 目片信

    目片委員 先ほども申し上げましたように、共同訓練につきましては六年ぶりという、いわゆる長い期間ございませんでした。そんなことで、今お尋ねいたしましたように、地元町村への十分な配慮あるいは対応をいただいたということでございますが、私は、訓練が終了いたしました十九日でございましょうか、地元にお尋ねをいたしまして、大過なくということでございましたし、無事に終了したということでございました。先ほどお話ございましたように、住民の安全確保を第一に取り組んでいただかなければならない、そしていただいた、このように思っております。  しかしながら、翌日の新聞を見ますと、またこの記事は厳しく、地元への詳細説明なくというような、こんな記事が出ております。地元でお聞きした話と新聞報道とは大分差異がある、開きがあるなという思いもいたしておりますが、今の御答弁のように十分対応いただいた。今計画はないけれども、三カ月前にはそういうことは通知をするというお答えもございました。  そうしますと、今回の訓練を終了されまして、その結果を踏まえて、課題があったのかあるいは従前どおりのそうしたことでいいのか、これからの取り組みをいただきます基本方針に何かつけ加えるようなことがあるのかないのか等々についてお尋ねをいたしたい、このように思います。
  128. 久間章生

    久間国務大臣 私どもは演習場近くの地方自治体の皆様方とは絶えず理解を図りながらやっていかなければなりませんので、今回の演習に限らず、日ごろから連絡を密にしておるところでございます。  そういうことで、また市町村からもいろいろな要望等が出されておりまして、それを受けまして、防衛施設庁の方で中心になりまして、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律等に基づきましていろいろと対策を講じているところでございまして、これから先もそういうような要望等を踏まえながら、緊密な連携をとっていきたいと思っております。
  129. 目片信

    目片委員 もう時間が参りましたので、最後に質問と要望を申し上げたい、このように思います。  いろいろ御答弁を賜りまして、地元に対しまして十分な配慮あるいは気配りを今後もいただけるという御答弁がございました。よろしくお願い申し上げたいわけでございますが、長官には連日大変御苦労さまでございます、せっかくの機会でございますから、ぜひお尋ねと要望を申し上げたいと思うわけであります。  私、記憶が定かではありませんけれども、もう何十年も前の記憶でございますから、誤りがあればお許しをいただきたいと思います。  どなたであったのか記憶が定かでありません、新しく防衛庁長官に就任された長官が、自衛隊の訓練機であったのか戦闘機であったのか、それも記憶がございませんけれども、何かその飛行機に乗って駐屯地あるいは基地に、慰問になろうか視察になろうか激励になろうか、よくわかりませんが、行かれた。  大臣も御就任になって一年有余を経過したわけでありますが、日々政務御多忙でありますから、そのようなことが可能かどうかわかりませんけれども、全国に数多い駐屯地あるいは基地がございます。長官を、名前は隊員さんも御存じであろうけれども、目の当たりにして、防衛庁長官のお姿を見せていただくことも士気高揚のために大きいものがあろう、私はこのように思います。  ぜひその節には滋賀県を、三カ所ございますから、まずお越しいただいた後にそのような行動、時間的な制約もあろうと思いますけれども、ぜひお願いを申し上げたい。所見をまず伺っておきたいと思います。
  130. 久間章生

    久間国務大臣 やはり現場をよく知り、また現地の各隊員の士気あるいはまた考え方を知ることは大変大事なことでございますから、私も努めて部隊等を視察したいと思っておりますが、昨年からことしにかけましていろいろな問題が山積みしておりまして、なかなかそういうことが十分できておりません。これはある意味では反省しながら、これから先努めてまいりたいと思っております。
  131. 目片信

    目片委員 ありがとうございました。
  132. 二見伸明

    二見委員長 次に、吉田六左エ門君。
  133. 吉田六左エ門

    ○吉田(六)委員 大臣、まず沖縄特措法、大変御苦労さまでございました。道半ばでありますから、元気でひとつお務めをいただきたいと御激励を一言申し上げさせていただきます。  私は今度この委員会に籍を置かせていただきました。新潟市が選挙区であります。  新潟と申しますと、まず日本海側のへそのようなところ。佐渡島は、ロシアや北朝鮮から日本を眺めたときに、この印の後ろに新潟がありますという、マークみたいなものであります。  そんなことからしますと、今、日本海は熱いんですね。こうした日本海を間近に持って、そして改めてまた北の脅威という言葉が、かつてソビエトに向けられていたが、今度は北朝鮮だ、こんな状況に変化している日本海ですね。  で、北朝鮮の早いころのいわゆる日本人妻、それらが帰っていくときの取扱港が新潟なんですよ。本当は門司とか下関とか、もっともっと近い港がたくさんあるのですね。ところが、あのときの状況は皆さんおわかりのとおり、大変に国情不安だったのです。暴動が起きるかもしれないというような状況の中で、だんだん北へ上がってきました。舞鶴さえノーだったのですから。そして、一番おとなしい紳士的な新潟がこの役を受け取ったというようないきさつもありますね。  今、万景峰号が始終行ったり来たりしています。最近はとみにその回数がふえたと聞いています。こうしたことから、やはり自分の国は強くならなきゃならないという思いを私はここのところ強めています。  中身まで言うと、私たちの大事な総裁・総理のことに触れなきゃいかぬものですから、余り詳しいことは申し上げませんけれども、かつて、ほんのこの前、アメリカをお訪ねになって、いろいろな協議の後に、クリントン・橋本共同記者会見というのがありますね。記者会見は、普通、クリントンさんが記者を指名すれば、その記者はクリントンに対して質問しますね。そして次に橋本総理どうぞと言われたときには、橋本総理がそれじゃひとつその記者さんと言うと、その記者は橋本総理に対して質問を返すのが礼儀なんですけれども。これ以上先のことは余り褒めたことではありませんから言及しませんけれども、国が弱いと親父もなめられるなという思いを私は強くしたのです。  なぜかというと、時を同じくして、江沢民、この人がやはりアメリカを訪ねています。その記者会見の緊張した雰囲気と、まあ日本アメリカ関係ですから、これが和やか過ぎたということは言い過ぎかもしれませんけれども、でも、随分とここに私は乖離があったと感じています。届くか届かないかわからないミサイルが、あるいは真っすぐ飛ぶかどうか知りませんけれども、それが、何はともあれ三百六十五日、二十四時間、その方向に向けている国と、そうでないところとの違いなのかなと、極言ですけれども、考えてもみたりしました。  そうした経緯からして、沖縄の特措法めでたしと申し上げたのですが、かつて結ばれた地位協定、これがあの問題の始まりでしょう。日本の司法も警察も、マニラなんかでは日本の交番までまねしている。コーバンという言葉が世界共通語になっている。これほどまでに世界的に信用があると私は思っているのですけれども、そろそろアメリカの、進駐しているという言葉――いや、これはうまくないな、日本に滞在をしている人たちはもっと日本を信じて、そして罪を犯した者は安心して日本の警察にその調査を、そして司法に裁判を許すべきですよ。このことが、もっともっと早い時期からその規則の部分が直っていたとしたならば、あの忌まわしい事件は、起こったことはしようがないとしても、これに対しての沖縄の人たちあるいは日本国民の思いは随分と違ったんだろうと私は考えているのですね。これは外務省マターの話でありますけれども。  そんなことを私はいろいろ考えながら、有事法制をちゃんとしておかないと甘く見られる。あの国はいろいろな戦の道具をしっかりと持っているけれども、規則がきっちりしてないから、いざとなったとき動くことがなかなかできないのだとか。日米の共同計画の中で、日本アメリカ兵がもう少し駐屯するなどというときに、パスポートを持って、それで鉄砲は銃刀法違反クリアの手続をしなければならぬ、それには何カ月もかかるということでは、また、そういう状況であると、周りがおもちゃの兵隊なんだと言ってしまう嫌いがあるのではないかな、私はそのことを心配しています。  それと同時に、ガイドラインに基づく日米共同計画の包括的なメカニズム、これをやはりもう少しスピーディーに手入れをしていく必要があるのではないかな、こんなふうに思ったりもしているわけです。  きょうはここへ初めて席を得て名刺がわりの質問でありますから、今度のメンバーの六左エ門というのはどんな思いを持った人なのかなということを大体ざっと披瀝することと思ってきょうは立たせていただいています。  先ほど申し上げた有事法制、これが大事だ、急いでほしい、ちゃんとしょうじゃないか。そしてもう一つは、包括的なメカニズムをスピーディーに整えたいという、このあたりの大臣の所感を一言聞かせていただいて、私の質問にさせていただこうと思います。
  134. 久間章生

    久間国務大臣 有事法制というのは、よく有事法制という言葉はおどろおどろしたような感じを与えますけれども、私どもは、かねがね思っておりますのは、非常事態になったときに何が法律に基づいてできるかできないかきちっとしておるのが法治国家だ、そういうふうに思っております。そのときの法整備がされていなくて何でもかんでもやるということになりますと、非常にこれは混乱するわけでございます。  また、ある意味では、何ができないのか、これもまたきちっとしておくことによって、よその国から見た場合でも、これ以上はできないのだ、ここまではできるのだということが言えるわけでございますから、そういう意味で、法の欠陥のないようにしておきたいというふうに思いまして、いろいろな研究はこれまでもされてきておるわけでございます。  しかしながら、どうもそういうような考え方ではなくて、有事法制というと、何か国民の権利をさも奪ってしまうような印象だけが走り過ぎているような気がいたしまして、その辺については、私どもの説明がまだまだだめなのかなと思いながら、これから先、努めてそういうことについて説明していこうと思います。  それから、包括的メカニズムといいますのは、我が国の自衛隊だけではなくて、またアメリカ米軍だけではなくて、日本アメリカのそれぞれがほかの関係機関も含めまして、周辺事態もそうですし、非常事態のときもそうですけれども、どういう形で対応するのか、よく言うんですけれども、全体を大きくふろしきで包む、そういうような包括的な一つの組織をつくって日ごろから連絡を密にしていくことがいいんじゃないか。防衛庁と外務省だけではなくて、防衛庁と外務省あるいは運輸省、あるいはまたほかの省庁も入れまして、そういう形で包括的な組織をつくっていきたい。  そういうことでございますから、これもできるだけ早くそのようなメカニズムを構築したい、そういうふうに思っているところでございます。
  135. 吉田六左エ門

    ○吉田(六)委員 朝鮮半島が再び戦火などという不幸なときに、米軍はあそこに大変な数の軍人と軍属を置いていますね、いっときも早くそれを安全なところへ引き揚げなければならぬ、その一番近い安全なところは日本なんですね。そのときに、手が回らないから軍属、奥さんや娘、この引き揚げを手伝ってくれないかと言われたときに、私は、はいと言って返事をしなければならぬと思います。  そして、それから始まって、いろいろな協力がありますけれども、手が足りないから弾を詰めて撃ってくれないかというときは、いや、それは、おまえのけんかは自分でやれよ、そこまでおれは手伝いがしにくいからというような、一般社会で通常常識と言われているのがガイドラインだ、私はそのように思っているのです。  私の考えを一言申し上げさせていただいて、そして、いつも原稿を持たずに予算委員会ですっと立たれて明快な御答弁をされる大臣に私は大きく期待をしています。これから向かう道は大変な山坂だと思いますけれども、そこを血路を開いて、死に場所にならないようにお願いを申し上げて、質問にいたします。  終わります。
  136. 久間章生

    久間国務大臣 大変激励いただきましてありがとうございます。  今言われたような問題も確かにございますけれども、私どもはやはり憲法その他のいろいろな制約もあります。そういう中でどこまで我が国は頑張れるか、精いっぱい頑張ってアメリカ日本の信頼関係を築き上げていきたい、そのように思っております。  ありがとうございました。
  137. 二見伸明

    二見委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時四十五分休憩      ――――◇―――――     午後零時四十六分開議
  138. 二見伸明

    二見委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。東中光雄君。
  139. 東中光雄

    ○東中委員 外務大臣にお伺いするんですが、ガイドラインの見直しの背景、冷戦後の情勢の変化について、六月七日のいわゆる中間まとめによりますと、「冷戦の終結にもかかわらず、この地域には」、アジア・太平洋地域ですね、「不安定性と不確実性が依然として存在しており、日本周辺地域における平和と安定の維持は、日本の安全のために一層重要になっている。」という規定がありました。ところが、今度の最終報告書によりますと、「日本周辺地域における平和と安定の維持」という部分をアジア・太平洋地域における平和と安定の維持というふうに書きかえているわけであります。  日本周辺地域、これは中間取りまとめでまとめられた情勢の一つの節ですが、それを今度はアジア・太平洋地域に書きかえた。両方とも日米両代表の合意した文書ですから、なぜ書きかえたのか、前のものではまずいというのか、どう違うのかということについてお伺いしたい。
  140. 高野紀元

    高野政府委員 今委員御指摘の記述でございますが、日本周辺地域における平和と安全の維持というところが、最終報告の指針ではアジア・太平洋地域における平和と安定の維持という記述に変更されているという点でございますけれども、まず、中間取りまとめにおけるこの部分の記述は、指針の見直しを行ってきた防衛協力小委員会、SDCとして、周辺事態への対応が日本の安全の維持の上で重要であるということを強調するためにこの記述をしたわけでございます。  他方、最終報告の部分に関しましては、日米両国政府としては、そもそも指針見直しの背景として、冷戦後のアジア・太平洋地域に潜在的な不安定性と不確実性が存在しているという国際情勢認識がまず基本にございまして、そういう認識のもとに、日本の安全のためには、周辺事態への対応はもとより、広く我が国を含むアジア・太平洋地 域の平和と安定の維持がまず重要であるということから、指針公表の際の共同発表において、指針を了承したSCCとしてこのような基本認識を示すこととしたものでございます。
  141. 東中光雄

    ○東中委員 それでどう違うのかと聞いているんですよ。日本周辺地域とアジア・太平洋地域とはどう違うのかと聞いているんですよ。「潜在的」にというのが入っておるだけで、あとは同じですよ。「不確実性」、「不安定性」なんというのはみんな同じ。文脈は一緒ですよ。  ところが、その「日本周辺地域」と書いてあったものを、同じ三行のセンテンスの中で「アジア太平洋地域」に変えたのはなぜか、それは一緒なのか違うのかということを聞いているんですよ。
  142. 高野紀元

    高野政府委員 中間取りまとめ及び新指針における日本周辺地域ということでございますけれども、そこにおいて生起する事態我が国の平和と安全に重要な影響を及ぼし得る地域であるということでございます。  これに対しまして、指針公表に際しての共同発表において使用されているアジア・太平洋地域というのは、日米安保共同宣言において用いられていると同じ意味において、日米安保条約に基づいて米軍の存在が結果として平和と安全に寄与している地域で、そういう意味では日本周辺地域とは性格を異にする概念でございます。
  143. 東中光雄

    ○東中委員 性格が違うというのはどう違うのですか。日本周辺地域とアジア・太平洋地域とは、その範囲において、性格の問題じゃないんです、どっちも地域でしょう。
  144. 高野紀元

    高野政府委員 繰り返してございますが、日本周辺地域という場合、指針ないしは中間取りまとめで使用しておりますこの言葉は、そこにおいて生起する事態我が国日本の平和と安全に重要な影響を及ぼし得る地域であるという考え方でございます。  それに対しまして、アジア・太平洋地域という場合には、この地域に日米安保条約に基づいて米軍が存在する結果として平和と安全に寄与している地域でございます。その意味二つの概念は異なるものでございます。
  145. 東中光雄

    ○東中委員 そんなこと聞いてないんです。概念が違うのは当たり前でしょう、言葉も違うのだから。  だから、その地域、リージョンと言い、一方はエリアと言っている、その地域は違うのか一緒なのかと聞いているんですよ。性格の話じゃないんですよ。アジア・太平洋リージョンと言っていますね、こっちはエリアと言っているでしょう。違うんですか。違うんだったら違うと言いなさい。
  146. 高野紀元

    高野政府委員 日本周辺地域ということに関しましては、先ほど申し上げましたような概念でございますので、これは地理的に特定し得る概念ではございません。  したがいまして、今先生御指摘のアジア・太平洋地域との地理的関係でございますね、その差異について申し上げることは事柄の性格上できないということでございます。
  147. 東中光雄

    ○東中委員 アジア・太平洋地域について、この前の平成八年四月二十二日に、今と同じようになかなか言わなかったけれども、池田外務大臣はこう言いましたね、強いて言えば、東アジア・大洋州地域を念頭に置いたものという答弁をしていますね。強いて言えば、東アジアと大洋州地域を念頭に置いたもの、だから、どこからどこまでと一線を画するようなものではないけれども、大体そういう地域なんだと言っているのです。  そうすると、東アジアですから、当然朝鮮半島は東アジアですね。台湾海峡は東アジアですね。カンボジア、ベトナム、東南アジアは東アジアでしょう。大洋州というのは、インドネシア、ニュージーランド、豪州、こういうものを念頭に置いた地域である、そういうふうに答弁しているのですが、外務大臣、その答弁はどうですか。
  148. 小渕恵三

    小渕国務大臣 強いて言えばということでございまして、その答弁と同様でございます。
  149. 東中光雄

    ○東中委員 そうすると、強いて言えば日本周辺地域というのはどういう地域なのですか。エリアと書いてあるのですけれどもね。
  150. 高野紀元

    高野政府委員 繰り返してございますが、周辺地域というのは、その地域に生じる事態の結果、日本の平和と安全に影響を及ぼし得る地域ということでございますので、地理的概念を申し上げることは、特定の地域であるということを申し上げることはできないわけでございます。そういうことでこれまで国会等の場で申し上げておるところでございます。
  151. 東中光雄

    ○東中委員 日本周辺地域は地理的概念でないというのですか。
  152. 高野紀元

    高野政府委員 私が申し上げておりますのは、日本周辺地域という言葉が、言葉の上として地理的概念であるかどうかということではなくて、そこで起きる事態が結果として日本の平和と安全に影響を及ぼし得る地域ということでございますから、そういう概念として御理解いただきたいということでございます。
  153. 東中光雄

    ○東中委員 それは事態について言っているのじゃありませんか。事態は、なるほどそういうことですよ。だから、周辺事態というのは地理的概念でないと言って何遍も答弁していますわね。総理答弁している。  しかし、日本周辺地域は地理的概念でないなんというような答弁はしたことないですよ。あなたはそう言うのですか。
  154. 高野紀元

    高野政府委員 お答え申し上げます。  私が申し上げておりますのは、日本周辺地域というものは、そこにおいて生起する事態我が国の平和と安全に重要な影響を及ぼし得る地域であるということでございまして、あらかじめ特定できるわけでなくて、地理的に一概に画することはできないということを申し上げているわけでございます。
  155. 東中光雄

    ○東中委員 だから、一律に境界を示してくれなんて言っていないんですよ。強いて言えばこういうものであると言って、アジア・太平洋地域についても同じことを言ったじゃないですか。外務大臣はそういうふうに答えた。  それで、「日本周辺地域」というふうになっておった部分が、今度は「アジア太平洋地域」に変わったわけです。それが特別に概念が違うと言っても、三行のセンテンスの中でその部分だけ、あとそれ以外は「潜在的」にというのが入っていますけれども。中間取りまとめでは「日本周辺地域」だった、今度はそれが「アジア太平洋地域」になった。アジア・太平洋地域は、強いて言えば東アジアと大洋州なんだと。それなら日本周辺地域はどうなんだ。それは事態であって地理的概念ではありませんと、ばかなことを言ったって通りますか。どういうことですか、その範囲は言えないのですか。
  156. 高野紀元

    高野政府委員 繰り返しで恐縮でございますけれども、日本周辺地域というものはそういう概念であるということでございますけれども、ちなみに、先般の六月十一日の外務委員会におきまして、当時の池田大臣の方からは、「確定的に言うことは意味がないのでございますという答弁に終始するわけでございますけれども、常識的に何らかのこういう見当ができてくるということは、将来のこの問題に対する取り組み方として必要ではないかという御指摘はよくわかるところでございます。」という御答弁はございます。
  157. 東中光雄

    ○東中委員 じゃ、日本周辺地域、エリア・サラウンディング・ジャパンというのは新ガイドラインで何カ所出てきますか、英文の方は。
  158. 高野紀元

    高野政府委員 恐縮でございます。ちょっとその正確な数、今調べてお答え申し上げたいと思います。
  159. 東中光雄

    ○東中委員 十八回出てきます。  日本文の方は何回出てきますか。
  160. 高野紀元

    高野政府委員 その点も、正確を期すためにちょっと調べさせていただきたいと思います。
  161. 東中光雄

    ○東中委員 一回しか出てこないのです。一回。英文の方は十八回出てくるのです。だから、日本周辺地域という言葉を使うまい、使うまいとしているのです。どうしても使わなきゃ説明のつかぬ部分一カ所だけ使っているのです。こういうふう に、日本周辺地域というものを日本国民の前から消そうとしているのですね。日本文はそうなっている。  英文の方はそんなこと全然心配せぬから、英語の方はシチュエーション・イン・エリアズ・サラウンディング・ジャパンというふうになってくるのですが、そういうものが十八回出るのですよ、別表も含めて。だから、意図的に隠しているということしか言いようがないわけです。
  162. 高野紀元

    高野政府委員 先ほどの御質問、必ずしも正確に理解しておりませんでしたので、もう一度今の御指摘に関して申し上げます。  いわゆる日本周辺地域という言葉を日本語訳として使っているところは、この新ガイドラインの第一ページにございますところでございますが、他方、委員御指摘の、英語において十八回という御指摘、正確な数字はちょっと私ども調べなきゃなりませんけれども、そこで言っておりますのは、私どもは周辺事態ということで包括して訳させていただいております。  その意味は、中間取りまとめの該当部分の記述においても、日本周辺地域の今申し上げましたような性質を前提としつつこういう表現を用いているわけでございますけれども、他方で、最終指針の取りまとめの段階におきましては、日本周辺地域のこのような性質について不必要な誤解を生じることがないよう、より正確な表現である「周辺事態により影響を受けた平和と安全の回復」という表現に改めたということも含めまして周辺事態という言葉を使ったわけでございます。  英語では同様の表現がございますけれども、全体のふさわしい訳をどうしたらいいかということをいろいろ議論いたしまして、誤解がないようにするという意味周辺事態という言葉をまとめて使わせていただいたということで、決して日本周辺地域という言葉をわざわざ使わないとか、そういうことを意図したものではございません。
  163. 東中光雄

    ○東中委員 そんな弁解を聞いたってしようがない。  今局長の話で、訳すると言いましたね。新ガイドラインの正本は英文ですか。訳すると言いましたね、日本文は訳文ですか。
  164. 高野紀元

    高野政府委員 これはいわゆる国際約束という種類の文書ではございませんけれども、米国との協議あるいは米国と合意したものは英文でございます。日本語は、日本側の和訳でございます。
  165. 東中光雄

    ○東中委員 日本語の和訳が意訳になってきてどうにもならなくなるのですよ。だって、周辺事態なんというものは日本文には書いているだけであって、正本の合意した英文の方ではそうは書いてないのですから。  シチュエーション・イン・エリアズ・サラウンディング・ジャパン、それが十八カ所出るのですよ。それだけじゃありませんけれども、括弧で略している部分にもちゃんとそれは入っているのです。  日本の訳で周辺事態と訳しておるところであっても、それが入ってないのもあります。というのは、サッチ・シチュエーションという部分周辺事態日本語で訳しておるから。サッチだけですから、日本周辺ということは書かない。こういうことを外務省というのはやっているのだということであります。  それでは同じことを改めて聞きますが、周辺事態に対する対処として「運用面における日米協力」という、項か目かしらぬがありますね。「運用面における日米協力」、何のことかわからないのです。これも英文で見たら、US・ジャパン・オペレーショナル・コオペレーション、だから合衆国と日本の作戦協力になっています。そう訳すのが普通でしょう。  ところが、「運用面における日米協力」というへんちくりんな訳にしているのです。わかりにくくしているのです。そして、そこの中にあるのが、自衛隊はこれこれこれ、米軍はこう書いていますね、中間報告のときは「米軍は、日本周辺地域における平和と安全の回復のための活動を行う。」と。だから、平和と安全の回復のための活動というのは、これは平和維持活動ではなくて平和回復活動だから、武力行使を含む軍事行為を行うということです。どこでやるのかといったら、日本周辺地域における平和と安全の回復のための活動を行う、こういう規定があるのです。  それに対して、今度は「米軍は、周辺事態により影響を受けた平和と安全の回復のための活動を行う。」、日本周辺地域というのは出てこないのです。そういうふうに今度は変えた、新ガイドラインでは。この変えたことによって、文章全体の意味は変わったのか、変わらないのか。変わったとすれば、前はどういう意味であって、今度はどういうふうに変わったのか、その点を明らかにしてほしい。
  166. 高野紀元

    高野政府委員 先ほど申し上げましたけれども、より正確な表現を使わせていただいたということでございまして、委員の言われる意味意味が変わったかというと、そういうことではございません。
  167. 東中光雄

    ○東中委員 意味は変わっていないということですね。ちょっと確認してください、意味は変わっていない。
  168. 高野紀元

    高野政府委員 そのとおりでございます。
  169. 東中光雄

    ○東中委員 そうしますと、米軍日本周辺地域における平和と安全の回復活動を行う、日米の作戦共同で米軍はそうするというのです。これは「周辺事態への対応」という項があって、その三番目にこの作戦協力があるわけです。そこで米軍はこうするというのですが、この意味は変わってないとおっしゃるのですから、米軍は、日本周辺地域において平和と安全の回復活動武力行使を含む軍事行動を行うということにこれは読むべきだと思うのですが、違いますか。
  170. 高野紀元

    高野政府委員 今の御指摘の前提となっております米軍行動に関してでございますけれども、ここで言っておりますのは「運用面における日米協力」に係る記述でございます。そういう限りにおける米軍行動についての説明でございますので、その点を明らかにしたいと思います。
  171. 東中光雄

    ○東中委員 運用面とどこにも書いてないじゃないですか。オペレーションと書いてあるのです。オペレーションというのは普通は運用面なんて、それは防衛庁に運用局ができたか知らぬけれども、そんなことと関係なしに、オペレーションというのは、米軍日本周辺地域において平和と安全の回復の活動を行う、すなわち武力行使を含む軍事的な作戦行動を行う、そういうふうに読むと間違いですか、どうですか。その点、防衛庁長官、どうですか。
  172. 久間章生

    久間国務大臣 先ほどから、外務省の方で何回も説明しておられますように、そういう日本周辺事態によって影響を受けた平和と安全の回復のための活動米軍が行う、自衛隊は自衛隊で自主的な運用を行う、それぞれがお互いに協力するということでございます。  だから、周辺地域活動を行うのじゃなくて、周辺事態により影響を受けた平和と安全の回復のための活動を行うということでございますから、そこのところは、地域、エリアとしての活動じゃございませんので、「周辺事態により影響を受けた平和と安全の回復のための活動を行う。」と、文字どおり読んでいただきたいと思います。
  173. 東中光雄

    ○東中委員 前と意味が変わってませんという答弁があって、それを確認してから言っているんですよ。  あなたの言っていることを言いますと、周辺事態とは何か、周辺事態は略語だ、だから、日本周辺地域における事態日本の平和と安全に重大な影響を及ぼす場合、これが周辺事態なんですね。定義はそうなっています。そうでしょう。  そうすると、周辺事態によって影響を受けたと言うけれども、周辺事態というのは、その事態によって日本の平和と安全に重要な影響を与える事態で、日本の平和と安全は侵されてないんです。そうでしょう、影響を及ぼしているだけだから。  その事態があったからといって、その事態によって影響を受けた平和と安全を今度は回復すると言うんですが、影響を受けただけのものをどうし て回復できますか。ばかなこと言いなさんな。これは全くの日本語のごまかしをやっているだけなんです。  だから、前の文と変わっていないということを確認したんで、米軍は周辺地域における「平和と安全の回復のための活動を行う。」、平和と安全の回復活動というのは、戦闘行動を含む、武力行使を含む、そういう軍事行動であることは、それに異議がありますか。そのことについてはどうですか。
  174. 久間章生

    久間国務大臣 中間報告と基本的には変わっていないわけでございますけれども、それをよりわかりやすく言ったのが今度の最終的な報告でございまして、地域というのを重くとらえるか、その事態というのをとらえるか、その違いを強調しているわけでございます。  そして、今先生言われたのは、まさにそのとおりでございます。周辺事態によって影響を受けた平和と安全を回復するためには、武力を含むそのような活動を行う場合もあり得ると思います。
  175. 東中光雄

    ○東中委員 周辺事態によって影響なんか受けないんですよ。周辺事態というのが日本の平和と安全に重大な影響を及ぼすのであって、平和を回復するというのは武力行使を含むんだとあなたは今言いました。  そうしたら、米軍日本周辺地域における平和回復活動、要するに武力行使を含むことをやるというふうに書いてあるわけです。米軍は「平和と安全の回復のための活動を行う。」というふうに規定しているのですが、米軍が平和と安全の回復活動を行う場合に、それを決定するのは米軍自体でしょう。その点どうですか。
  176. 高野紀元

    高野政府委員 このガイドラインにおける日米協力ということとは別に、日本及び米国はそれぞれの国内法に基づきまして必要な措置をとるということでございまして、今の御質問が、米国がとる主体的な行動米国によって一義的に決定されるということでございますれば、そのとおりでございます。
  177. 東中光雄

    ○東中委員 もう時間がありませんが、これは概念法学じゃあるまいし、そんな言葉の、平和と安全に影響を及ぼす事態によって影響された平和と安全の回復なんというのは、日本語としても通用せぬことをこれは言っている。  米軍米軍の決定で、このガイドラインとは別にじゃないですよ、ガイドラインにそう書いてあるんだから、「米軍は、日本周辺地域における平和と安全の回復のための活動を行う。」。自衛隊は、今度はいろいろ目的を書いていますけれども、ここでは「自衛隊は、生命・財産の保護及び航行の安全確保のため、情報収集、警戒監視、機雷の除去等の活動を行う。」と。だから、これは全然別のことをやるんじゃないんですね。協力してやるということは三項に書いています。  だからそれは、自衛隊がやるのは、長官はこれは日本国民の生命財産と航行の安全というようなことを言いましたね。そんなこと書いてないですね。米軍も何にも書いてないんです。新聞に発表されたこの中間報告が出る前の中には「日本国民の」と書いてあった。それが通用しなくなって、だから、「自衛隊は、生命・財産の保護及び航行の安全確保のため、」米軍を含め、そのために「情報収集、警戒監視、機雷の除去等の活動を行う。」それは「関係機関の関与を得つつ協力及び調整を行うことにより、自衛隊及び米軍の双方の活動の実効性は大きく高められる。」と書いてある、中間報告では。  だから、協力し調整して、米軍武力行使、平和回復行動に対して自衛隊は周辺事態への対応として掃海活動や――これは「周辺事態への対応」という項目で書いてあるんだ。そして、掃海や警戒監視をやるとなっているんだから。協力して一緒にオペレーショナル・コオペレーション、こういうことをやるというんだから。これは明らかに自衛隊はこの規定によって、米軍の決めた米軍の軍事行動に対して協力し調整して掃海作戦行動を行う、こう書いてあるじゃありませんか。そんなものを、この規定自体がそうなっておるということは認めなさい。
  178. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 文章の問題でございますので、私の方から御説明させていただきたいと思いますけれども、あくまでもここは、「周辺事態は、日本の平和と安全に重要な影響を与えることから、自衛隊は、生命・財産の保護及び航行の安全確保目的として、情報収集、警戒監視、機雷の除去等の活動を行う。」ここでマルになっておりまして、それから「米軍は、周辺事態により影響を受けた平和と安全の回復のための活動を行う。」こういうことでございます。  あくまでも自衛隊は、その周辺事態日本の平和と安全、また生命財産に影響を与えるということで、これは自衛隊の活動として、まさに今申し上げましたようなこういう活動を行うということでございます。
  179. 東中光雄

    ○東中委員 もう時間ですからやめますが、別々に、マルしてあるからと言いましたけれども、別々じゃないのですよ。その次の項を見てごらんなさい。「関係機関の関与を得つつ協力及び調整を行うことにより、自衛隊及び米軍の双方の活動の実効性は大きく高められる。」これは調整、協力してやるんだと書いてあるじゃないか。見出しは「日米協力」なんですよ。  しかも、その部分は今度の新ガイドラインでは変えたんです。表現が変わっています。それで英文の方を見たら変わってない。英文の方は変わってないのに、日本文だけ、訳文は変わっておるのです。しかも、そこでは「協力及び調整を行うことにより、」と書いてあるから、その部分を、そういうことがニュアンスとして出てこないように変えているのです。こそくなことおびただしい。  こういう軍事行動で、オペレーショナル・コオペレーション、作戦共同というふうな項目について、こんなこそくなことをやって一体許されるんですか。断じて許されぬということを申し上げて、時間ですから、終わります。
  180. 二見伸明

    二見委員長 次に、上原康助君。
  181. 上原康助

    ○上原委員 まず、私もガイドラインのことからお尋ねしたいと思うのです。  これまで防衛庁長官あるいは池田前外務大臣の方からは、本委員会あるいは予算委員会等で見解を聞いてきたわけですが、小渕外務大臣になられてからはガイドラインに対する基本認識はまだ聞いていませんので、時間が短いから余りたくさんはお尋ねできませんが、今もありましたように、これは与党協議の中でも二十回くらい、いろいろ相当白熱した議論をしましたが、なかなか意見集約ができなかった点なんですね。幾つかあります、四点くらいあったと思うのですが。  そのことはさておいて、特に、今もありましたし、けさほどからありますように、日米防衛協力の対象地域をあいまいにしているところに、議論がなかなかかみ合わない、あるいは国民にも大変不信を与えている面があると思うのですね。  前提条件四つありますが、日米安保の枠は変えないといいながら、基本は変えないといいながら、現行安保条約は、御承知のように、日米両国が関心を有する地域極東と定義されているわけよね、これはだれが見ても。だが、今度の新ガイドラインでいうところの、いわゆる日米の、しかも日本有事でなくして、周辺事態における対象地域というものをあいまいにして極東を著しく越えるじゃないかという疑念を与えることに対して、政府は確たる答弁をしていない。我々の議論でもそれはできなかった、集約が。  そのことをあいまいにした形で、後からお尋ねするいろいろの法律改正とか、いうところの周辺事態に備えての法的整備ということになると、ますますこれは私は問題を残すことになると思いますね。その点に対して、外務大臣一体どうお考えかということが一つ。  もう一つは、これも大事な点なんだが、一体台湾は、台湾海峡と言ってもいいでしょう、台湾は安保条約発動の対象に含むのか含まないのか、これもあいまいにしている。  この二点について、これは基本的な点ですから、きょうはたくさんは私の立場もあるから言い ませんが、これはそう簡単に、あいまいにしておくわけにはいかないと思って、社民党としては重視をしておりますので、先ほどからいろいろ聞いてみて、新たにやはりこれは聞いておこうと思って、今さっきそこでメモして質問をつくりましたので、ぜひお答えください。
  182. 小渕恵三

    小渕国務大臣 日本周辺と極東との関係でございますが、日本周辺地域は、そこに発生する事態我が国の平和と安全に重要な影響を及ぼし得る地域でありまして、地域的に一線を画することはできない。過去もそのように答弁しておると思いますが、そうした考え方をそのまま踏襲しておるものでございます。  それから、台湾をめぐる、周辺事態に含まれるかどうかということでありますが、新指針は特定の国や地域における事態議論して策定したものでありません、こういうことでございます。
  183. 上原康助

    ○上原委員 北米局長が後ろで耳打ちして、こう答えてというふうになると、余り感心もしないし、論議も政治家同士のあれになりませんけれども、しかし、そういう答弁で納得しなさいといっても、正直申し上げてこれは無理がありますよ、外務大臣。あなたは見識ある大物大臣なんだから。  やはり周辺事態についてはもっと明確な定義づけをしていただかないと、これは地理的概念ではなくて事態の性質、いわゆる我が国の平和と安全に重大というか影響を与えるか否かによって判断するといってみたって。  そうすると、あなた、安保条約極東条項というのはどうなるのですか。安保条約の基本を変えないというなら、厳密に安保条約を解釈するというのが当然でしょう。矛盾しますよ、本当に。これでは本格論議できぬ。これはもう一遍、防衛庁長官、この点をどう考えているのか。あなた、なかなか答弁うまくなっているから、またごまかすかもしらぬけれども。
  184. 久間章生

    久間国務大臣 米軍が安保条約に基づいて活動する範囲というのは、安保条約にはっきり書いておるわけでございますから、その範囲活動するわけでございますね。  ところが、今度のガイドラインの場合は、基本的には安保条約に基づいておりますけれども、しかし安保条約以外の、最近のPKOその他を含む非常に広範囲活動がそのガイドラインの中には含まれております。それが、周辺事態が発生したときに……(発言する者あり)いや、PKOに相当するという、例えば避難民の救出とか在外邦人の救出とか、そういう分野がありまして、これらについては安保条約とまた別の概念でございます。  そういうのが周辺事態で起きた場合にはそういうような行動をする場合がありますから、そこで、こういうふうな事態概念を用いて表現しているわけでございます。
  185. 上原康助

    ○上原委員 これに余り時間をとってもいけませんが、どう見ても、私は、今の御答弁じゃ国民にというか対外的にも説得性のある答弁にならないと思う。  それは、PKO活動はまた別の次元ですよ。救援活動における共通性、類似性はあるにしても、この新ガイドラインのいわゆる日米防衛協力の対象地域とか行動範囲とかいうものは、やはり厳格でなければいかないはずなんだよ。それをあいまいにしているから問題があるんです。  今の答弁からしますと、安保条約の対象というのははっきりしているというと、安保条約発動の対象地域に台湾は入るのですか、台湾海峡、台湾周辺地域は。――いや、それは防衛庁長官、答えてください。さっきのあなたの答弁関係しますから。
  186. 久間章生

    久間国務大臣 従来から、安保条約の第六条の「極東」には台湾地域及び韓国を含むという、岸・ハーター交換公文ですか、これにあると思います。――失礼しました、これは岸総理答弁で、委員会で述べておるようでございますけれども、極東地域の概念は、今言ったような表現になっております。
  187. 上原康助

    ○上原委員 それは、日中平和友好条約締結以前の解釈でしょう、極東というのは、今大臣がおっしゃるのは。あなたがそんなことをここで言うと、またこれは大きな問題になるよ。  だから、そういう点は、もうこれ以上は言いませんから、きちっとやはり政府でもう一度、特に台湾は安保条約の対象地域になるのか、発動の対象地域になるかどうかはよく御検討して、次に審議をする場までに統一見解を出してください。
  188. 高野紀元

    高野政府委員 今回の新指針の作成に当たりまして四つ前提を設けておりますが、その一つは、日米安保条約及び関連取り決めに基づく権利義務は変更しないということでございます。そういうこととの関係におきまして、これまで政府がとっております極東に関する解釈についても、この新指針の作成との関係では変わっておりません。
  189. 上原康助

    ○上原委員 本当に本格論議してみようか。  そうおっしゃるけれども、確かに極東はどこを指すのかということについては、「大体において、フィリピン以北並びに日本及びその周辺の地域であって、韓国及び中華民国の支配下にある地域」、こういう定義づけがされていますよ。  だが、その後、日中国交正常化及び平和友好条約締結に伴って、政府予算委員会あるいはその他の関係委員会において、台湾問題は基本的には中国の内政問題であって、日米安保条約の適用については日中両国の友好関係を念頭に置いて配慮するというふうに改めてきたのですよ、あなた。  私が端的に聞いているのは、日米安保条約発動の対象地域に台湾地域は入るのかどうかを政府ははっきりさせなさいというのですよ。
  190. 高野紀元

    高野政府委員 今の御質問に対する答えとしましては、二つございます。  一つは、極東に関する政府の統一見解は、現在も変更ございません。  それから、台湾との関係で、私は直接の所掌ではございませんけれども、台湾問題についての我が国の基本的立場は、日中共同声明において表明されているとおり、中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを承認した上で、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であるとの中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重するというものでございまして、我が国として、そういう基本的立場を堅持した上で、台湾をめぐる問題が関係当事者間の話し合いにより平和的に解決されることを強く希望しているというものでございます。
  191. 上原康助

    ○上原委員 後段は政治論、政治解釈であって、条約の適用対象にするか、発動対象にするかどうかは、まだあなたの答えではなっていない。そういうことをあいまいにしておるから、中国は相変わらず懸念を表明しているわけでしょう。そこは、外務大臣、しかと受けとめていただいて、ぜひよい解決策を考えていただきたいことを注文つけておきます。  そこで、そういうあいまいさのもとで、今、ガイドラインが最終報告がなされて、政府は法整備をやろうとしているわけでしょう。けさほど来いろいろな議論がありましたので改めて聞いておきます。  防衛庁長官は、法律改正は広範囲にわたるので、今いろいろ検討している、できるだけ煮詰めて通常国会に提出をするようにしたいというような、あいまいなこれまた答弁ですが、既に、申し上げるまでもなく、防衛庁所管の法令、いわゆる第一分類、防衛庁以外の他省庁所管の法令、第二分類、ここまでは一応中間報告もたしかなされておったと思うし、ある程度その骨格なりはできているのじゃないかと思うのですよね。その点がどうなっているかということ。そして、所管庁が明確でない事項に関する法令、いわゆる第三分類、これがなかなか作業がはかどらないという報告というか答弁国会でこれまでやってこられた。  この一、二、三分類、加えて新ガイドラインのこととまた関連してくるものが私はあると思うのですよね。まず、こういう点についてどのように分類をし、検討をし、また、その作業の進みぐあいは今どうなのか、それを明らかにしてくださ い。
  192. 久間章生

    久間国務大臣 おっしゃられますように、第一分類、第二分類については、これまでの研究成果についても国会にも御報告させていただいておりまして、ある程度整理はされております。それから、第三分類につきましては、これは安保室を中心にやっておられますけれども、まだそこまでなかなか進んでいないという話を聞いております。  それから、周辺事態関係しまして、周辺事態というよりも今度の新ガイドライン関係しましての法案は、いよいよこれからが作業でございまして、まだまとまっていないという状況でございます。
  193. 上原康助

    ○上原委員 なかなか困難な問題、課題だと思いますので、そうぽんぽんと、というわけにはいかない。私は、別に促進しなさいとかもっとスピードを上げなさいという意味で言っているわけではない。中身を知りたいのです。これは慎重でなければいかない。さっきのようなあいまいさがある中で、法律面だけがちっとやられたのでも困る、国民の立場から見ても。  そこで、そういう答弁ではなくして、四十項目検討する場合も、相当数の法案整備が必要だとおっしゃってきた、政府委員の皆さんは。私もそう思う。法的根拠なくしてあれだけのことが日米間で協力できるはずがない。それは国会で十分な審議が必要だと思うのですよね。  そういう立場からもう少しお尋ねしておきたいわけですが、一体、自衛隊法の改正ということを先にやろうとするのか、あるいは新規の立法というところに重点というかアクセントを置こうとしているのか、そこいらの点くらいは言えないのですか、今の段階で。
  194. 久間章生

    久間国務大臣 正直言いまして、まだそこまでも全然進んでおりません。自衛隊法の改正を中心としたことで事足りるのか、あるいはまた新規立法を別につくらなければいけないのか、その辺、これから先の検討にまたなければならないわけでございます。
  195. 上原康助

    ○上原委員 では、もう一つ、第三分類について安全保障室で検討しているというのはどうなっているのですか。  例えば緊急事態対応策とか、いろいろマスコミ等で報道されているようなことを見ますと、国民非常事態法なんという、何か総動員法みたいな印象を与えるような、イメージを与えるようなことも検討されているやに、あるいは検討すべきだという主張なのかどうかわかりませんが、こういうことを実際におやりになっていらっしゃるのですか。
  196. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 今お話しの第三分類の整備につきましては、内閣の安保室の方におきまして御検討でございますので、私の方から申し上げるのが適当かどうかわかりませんが、私が承知している限りで申し上げますと、安保室の方におきまして、関係の省庁等にもいろいろ協議を行い、鋭意検討をしておられるというような状況でございます。ただ、まとまってきた、こういうふうな状況ではないと思います。
  197. 上原康助

    ○上原委員 では、もう一点。とにかく今検討中だということですが、これも与党間でしたか、協議の過程で議論されたこと、あるいはまた政府筋だったか自民党筋だったかよくは記憶しておりませんが、個別法の改正というよりもトータルな緊急事態対処についての包括法案にくくった方がいいのではないかという意見等もあったやに覚えております。そういう点はどうなのですか。防衛庁や外務省はどう考えているのですか。
  198. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 若干重複するようで恐縮でございますが、このガイドラインにつきまして、これはまさに予算上、立法上、行政上の措置を義務づけるものではございませんが、これを実効あるものにしていくことが重要だということで、その実効性をいかにして確保していくかというようなことで、政府部内で今検討しているところでございます。  これは、これまでも御答弁していますように、関係各省にもわたる部分が多うございますので、現在、内閣の古川官房副長官のもとに関係省庁の局長クラスの会合を持ちまして、そこで検討を始めているという状況でございます。  したがいまして、まだ、そもそも現行法でどういう対応ができるのか、また、新たな立法措置を講ずるとすればどういうものが必要なのかということの今検討をしている段階でございまして、先生お尋ねのようなところまで現在議論が進んでいるわけではございません。
  199. 上原康助

    ○上原委員 おおよそわかりました。  私は、やはり現行法の改正とか、あるいは若干というかある程度修正補強、訂正補強するということはあり得るかもしらないと思っているのですよね、これだけの四十項目のいろいろな問題を見てみますと。  しかし、それは共同対処の内容とか性格によって類別されていくでしょうが、同時にそれは憲法の枠内ということは絶対条件でありますので、そういう面を篤と、もちろん御配慮なさると思いますが、やっていただきたい。余り手荒い、有事法制化というような音が大きくなるようなことになると、なかなかこれは国民合意を得られにくい。さっきのあいまいさの上にさらに問題含みになると思いますので、その点は注文をつけるというか要望を強く申し上げておきたいと思います。  次に、余り時間もありませんから、若干、せんだっての予算の集中審議あるいはきのうの沖特で、私の舌足らずのところもあって、また時間の都合もあって、少し政府に誤解もあるような感じもしますので、もう一度恩納通信所のPCB問題を私は取り上げておきたいのです。  これは、私は、政府が処理することに異議を唱えているわけではないのです。防衛庁長官、外務大臣、それはやるべきだ。二カ年も放置をしておって、跡利用ができない。これは困る。また、地位協定四条でしたか、それによって米側にその処理の必要性がないというのか、地位協定はそうなっている、読んでみると。それもわかる。  私が問題にしているのは、法律的にあるいは地位協定上そうなってはいるにしても、しょせんそれは米軍が長い間使っておって、PCB、その他六価クロムとかいろいろな廃棄物が残留していったわけだ。その後片づけを日本側がやることはやむを得ないけれども、それをなぜ、米軍の施設に広範な地域があり、そういったことが北谷町で起こった問題なんか処理した前例があるのに、強いてその恩納村の一角に一時持っていって、またそこから、今度自衛隊の分屯地の森林をなぎ倒して、仮置き場といったって、それは相当の、ある面では恒久的な施設になりますよ。そういうことはやめた方がいいというのですよ。  米側と折衝して、それは米軍基地施設内に適当な場所があるはずだから、そこに保管をしていく、あるいはその処理を恒久的にどうするかは詰めていけばいい話であって、木を伐採してまで何が何でもアメリカ側の言うとおりやらなければいかないというこの主体性のなさが私は本当に気に食わないのだ、外務省にしても防衛施設庁にしても。そういう場所は幾らでもありますよ、今の米軍施設内に。それをやっていただきたいと言っている。どうですか。外務省、検討すると言ったけれども、検討したかね。
  200. 高野紀元

    高野政府委員 先ほど先生御指摘のように、米国は、地位協定上は、施設・区域の返還に際して、原状回復義務または補償義務を負うものでないということでございます。したがいまして、施設・区域が返還された後において、個々の地主との原状回復の問題は、専ら日本政府と当該地主との問題であるというふうになっているわけでございます。  そういう状況ではございますけれども、その問題とは別にいたしまして、何とか米軍の施設・区域に仮保管することができないかということで、現在アメリカ側とは話し合っております。他方、これまでの経過等もございまして、この調整には相当時間を要するという現在の見通しでございます。
  201. 上原康助

    ○上原委員 アメリカ側がどういう反応をしてい るか、よくは知りませんが、確かにこれは相当の量ですよ。検出されたのは、PCB、カドミウム、六価クロムなど十一種の有害物質で、何とドラム缶六百本分です。相当の量のものです。  どうなんでしょうね、外務大臣防衛庁長官、こういうのを役人に任せておったのでは、とてもじゃないが、アメリカ側も言わない。総理がそれを大田知事から頼まれて、一時そこの跡利用の促進のためにやるという、これは私は敬意を表しますよ。しかし、それで落ちつかないわけでしょう。落ちつかないところか、その自衛隊基地――僕が自衛隊の擁護をするのはちょっと変でもある、初めてなんだが、こんなでっかい相思樹の木が生えたのを倒して、そこに六価クロムのそれを一時貯蔵するというのは、そういうやり方は余りにも情けないやな、正直申し上げて。  もともと、こんなのは米軍が片づけて返すべきなんですよ。返還のやり方にも問題がある。だから、地位協定は見直しなさいと言っているわけだ、我々は。変えたらいい、こんなのは。何だ、アメリカは。こんなことをするから困るんだ。これは役人任せの話じゃないから、外務大臣、ひとつあなた直談判して、原島大使に厳命をやって、米側と折衝して、これは米軍基地のどこかに保管させる、そして最終的処理を日米間でやるということで、外交交渉問題だ、これは。時間がかかるといって待てる話じゃない。二カ年も跡利用できないでほったらかしでいる。
  202. 小渕恵三

    小渕国務大臣 私も、就任いたしまして以来、上原委員予算委員会総理にもお尋ねでありましたし、また昨日も沖特で上原委員の御主張を拝聴いたしておりました。  先ほど北米局長から御答弁申し上げましたが、地位協定によりましてこうした形で処理をしようということでありますし、また地元の関係者の皆さんも、いち早く撤去してほしい、そして土地を返してもらいたい、こういう御要望もありまして、さような措置を講じておるのだろうと思います。  したがいまして、この方針は、できる限り解決をするためには、地位協定によりまして日本側で対処しなければならぬということではありますが、今御指摘にありましたように、せっかく政府代表として原島大使を任命いたしておることでございますので、さらにアメリカ側と、どういう対応をすることができるかどうか、検討してみたいと思います。
  203. 上原康助

    ○上原委員 これは北谷町でも、米軍施設内から、現に現在米軍が使用している基地から六価クロムが排出して、それをアメリカが処理したわけです。嘉手納空軍基地の一角にそういう保管できる場所があると聞いている。  私が申し上げたいのは、地位協定四条というのは、そういった米軍が残した建物とかについて、建造物等について補償する義務がないのですよ、日本側に。しかし、もともとアメリカが長いこと使って、そこで垂れ流した有機物なんだよ。そのぐらいの迷惑を考えた場合に、自衛隊の施設内とはいえ、国有地とはいえ、何で木までなぎ倒して、そこに保管しなければいかないという道理はないと私は思う。そこが日米友好じゃないですか。そこが日米関係のやるべきことじゃないか。政治の話じゃないですか。そのことを私は言っている。  だから、何か片づけることに私が抵抗していると思われても、恩納村からまた私恨まれても困るから、恩納村は早く片づけてもらいたいと言っているが、こんな癖をつけると、これから幾らでもそういうことが出てくるかもしれませんよ、防衛庁長官。だったら、地位協定を改定しなさいよ、改正。そのことを強く申し上げて、防衛庁長官からも一言あったらお答えください。
  204. 久間章生

    久間国務大臣 上原先生のお話でございますけれども、これについては早く返さなければならないというせっぱ詰まった気持ちと、自衛隊も決して喜んで仮置きさせるわけじゃございませんけれども、施設庁のせっぱ詰まった立場等も考慮しながら、その一角に仮置きをさせるということで地元の町村長さんも納得していただき、沖縄県も納得していただいたので、とりあえずその方向で、早く返却できるようにしたいということで今やっているところでございますので、どうかひとつ御理解願いたいと思います。
  205. 上原康助

    ○上原委員 もう終わりますから。  納得していないんです。納得してないよ、あなた。納得してませんよ。そんなことをするから、政府の姿勢ということに対して県民感情というのがあるということ。こういうことを、きょうここで外務大臣が、アメリカと折衝して米軍施設内に移管するように努力するとでも言えば、あしたの式典も少しは雲も晴れるかもしらぬ。  以上、終わります。
  206. 二見伸明

    二見委員長 以上で本日の質疑は終了いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時五十一分散会