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1997-05-29 第140回国会 参議院 労働委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月二十九日(木曜日)    午前十時二分開会     —————————————    委員の異動  五月二十七日     辞任         補欠選任      星野 朋市君     林 久美子君  五月二十八日     辞任         補欠選任      林 久美子君     星野 朋市君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         勝木 健司君     理 事                 石渡 清元君                 坪井 一宇君                 長谷川 清君                 川橋 幸子君     委 員                 上野 公成君                大河原太一郎君                 小山 孝雄君                 佐々木 満君                 野村 五男君                 今泉  昭君                 武田 節子君                 星野 朋市君                 大脇 雅子君                 笹野 貞子君                 吉川 春子君    国務大臣        労 働 大 臣  岡野  裕君    政府委員        労働大臣官房長  渡邊  信君        労働省労働基準        局長       伊藤 庄平君        労働省婦人局長  太田 芳枝君        労働省職業安定        局長       征矢 紀臣君    事務局側        常任委員会専門        員        佐野  厚君    説明員        人事院事務総局        職員局福祉課長  小竹 久平君        内閣総理大臣官        房男女共同参画        室長       名取はにわ君        総務庁人事局参        事官       大西 一夫君        文部省教育助成        局地方課長    清水  潔君        厚生大臣官房政        策課長      辻  哲夫君        厚生省老人保健        福祉局老人福祉        計画課長     青柳 親房君        厚生省児童家庭        局企画課長    大泉 博子君        厚生省児童家庭        局育成環境課長  河  幹夫君        自治省行政局公        務員部能率安全        推進室長     石上  卓君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○雇用分野における男女均等機会及び待遇  の確保等のための労働省関係法律整備に関す  る法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 勝木健司

    委員長勝木健司君) ただいまから労働委員会を開会いたします。  まず、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  雇用分野における男女均等機会及び待遇確保等のための労働省関係法律整備に関する法律案の審査のため、参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 次に、雇用分野における男女均等機会及び待遇確保等のための労働省関係法律整備に関する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 小山孝雄

    小山孝雄君 自民党の小山孝雄でございます。  質問に入らせていただきますが、私、永田町で働くようになりまして最初に遭遇した労働問題が、女性タクシードライバー皆さんの深夜労働の禁止を解いてくれという陳情でございました。昭和五十六年だったように記憶をいたしております。  私は埼玉県の東上線沿線に住んでおりまして、そこの志木という駅で営業する女性ドライバー皆さんが多数来られまして、日中の暇なときずっと待機をして、いざ書き入れどきになったら十時前には仕事を上がらなくちゃいけない、これではとてもタクシードライバーをしながら家計を支えることはできない、早く解いてくれという陳情を受けまして、労働省皆さんと一緒に行って取り上げた経験がございます。  男女雇用機会均等法施行されて十年でございますが、その当時のことを思いますと、まさに隔世の感を思うわけでございます。この十数年間で世界日本も大変大きく変わりました。そして、今もまだ変革のさなかにあると思います。  少子高齢化社会の到来、経済高度成長から成熟期経済に入ってきており、また国際化情報化等々、経済社会の大きな変動も起こっているところでございます。こうした変革期に誤ることなく対応し、歴史的な変革をなし遂げて、将来にわたって豊かで安心して働ける社会を築く上で、男女共同参画社会の実現というものは欠くことのできない要素であると思う次第でありまして、そうした社会的な共通認識が生まれつつあるように私も感じます。  そして一方、世界に目を向けましたときに、環境問題あるいは人口問題、貧困、そうした地球的な規模での問題の解決がまさに喫緊の課題となっておるところであります。  また、人類が幸福に平和に生きていくためにどうしても解決しなければならない諸問題の解決のためには、女性社会的な地位向上なくしてはできないという認識社会に醸成されつつあると私は考えているところでございますが、岡野大臣の基本的な御見解をまずもって伺わせていただきます。
  7. 岡野裕

    国務大臣岡野裕君) もう先生お話で言い尽くされていると、こう存じます。  男女共同参画型社会といいますのは、あにひとり日本課題ではなくて、もう全世界的なカレントに相なっていると、こう存じております。  しかしながら、そういう世界の潮流の中でも、日本経済的な面でどういう評価をされており、政治的な面でも引っ張っていく国の中の一つであるという意味からいたしまして、この均等法施行十一年をけみし、それらによりまして社会的意思もやはり均等であらねばならぬという方向になり、私ども雇用分野においてもそういった雰囲気がだんだん定着してまいりました。  よってもって、この際、竿頭一歩を進めて現行法改正し、女性皆さん家庭生活職場生活両立ができ、少子社会にも備えていくというようなことを目的といたしまして、職域拡大目的といたしまして本改正案をお願いした、そんな次第であります。
  8. 小山孝雄

    小山孝雄君 大臣、ありがとうございました。  グラスシーリングという言葉をお聞きになったことがあるでしょうか。  私は、多少おっちょこちょいなものですから、ガラス張りの概算要求という意味なのかなと思って調べてみたら、そうじゃございませんで、ガラス天井。すなわち、女性には社会的に目に見えない天井というものがあって、ある程度のところまでは行けるんだけれども、そこから先、その上位にはなかなか上ることができない、社会の壁のような目に見えないものということでグラスシーリングガラス天井、こういうことなんだそうでございます。  そうした目に見えないガラス天井、これは社会的に一挙にはいかないかもしれませんけれども、これを打ち破っていく、そのスタートにこのたびの法改正はなると私は認識しているところでございますが、大臣、いかがでございましょうか。
  9. 岡野裕

    国務大臣岡野裕君) これまた先生のおっしゃるとおりで、今の先生がおっしゃったグラス云々は寡聞にして存じませんが、グラスウォールがあってというようなことは、今度の改正案でお願いをいたしておりますところの募集採用あるいは配置昇進等々にも現実に今まで見てまいったところであります。そういった天井のない、精いっぱい女性皆さん能力を発揮されるということをこいねがって法律案を御審議賜りたいと、かように存じます。
  10. 小山孝雄

    小山孝雄君 先般の新聞報道によりますと、近いうちに女性初事務次官労働省から誕生するであろうという記事が出ておりました。  これは、たしか四年前だったでしょうか、女性初の最高裁の判事が誕生したということが話題になりました。労働省婦人局長をやられた高橋久子さん、今も在任中、だと存じますが、これなどは、いわば司法界グラスシーリング、すなわち目に見えないガラス天井を打ち破った初めてのことであったと思うわけでありますが、人事のことでありますから、そうだとかそうならないとかなるとか大臣の御答弁でお聞きできないかとは思いますけれども新聞報道どおり松原労政局長事務次官になったとすれば、まさにこれは明治維新以来百三十年にして我が国官界におけるガラス天井を打ち破ることになるわけで、女性地位向上のシンボリック的な出来事になるのじゃないのかなと思うわけであります。  これは大臣に失礼になるかもしれませんが、決して他意はございません。議員でなくても大臣にはなれる、大臣にはなれても事務次官にはなかなかなれないものだと、ある役所勤めの方がそういうふうに語ったのを思い出すわけですが、一つ行政組織トップになるというのは、本当に若いときからこつこつと一つ一つポストをこなして、一つまた一つ地位を重ねて初めてなれるのが我が国官界の制度であるわけで、そうした観点に立ったときに、官界トップ女性が就任するということは、これは橋本総理本部長とする男女共同参画推進本部というのもつくられて、内閣挙げてこれに努めておられる今日でございますけれども松原次官が誕生するどうのこうのということはちょっと置いておいていただいても、一般論として大臣はどんなふうにお考えになられますか。
  11. 岡野裕

    国務大臣岡野裕君) 役所の大事につきましては、先生の御高見はただいま拝聴をいたしましたが、私ども労働省といたしましては、御審議を賜っている男女雇用機会均等法、これは七本の法律案の中で時短と並んで二つの大きな柱だと、こう思っております。幸いにして衆議院は終わりましたが、参議院で具体的な御審議を本日からいただくことに相なっております。これに労働省は全職員挙げて全力投球をする。  したがいまして、七月大事につきましては一切まだ私としては考えておりません。新聞においていろいろ取り上げられているところを存じておりますが、労働記者クラブ皆さんとの会見のときも、我々としては非常に困るということで抗議を申し上げているところであります。  要するに、大事につきましては適材適所ということで私は相努めるつもりでありますが、いまだ白紙の状態でありますことをひとつこの場でお話をいたしまして御理解を賜りたいと、こう思っております。
  12. 小山孝雄

    小山孝雄君 新聞に出ていることは本当か、あるいはどうするつもりだなんていうことをお聞きしているわけじゃ決してございませんので、御了解をいただきたいと思うわけでございます。  均等法における募集採用そして配置昇進、これについては女性に対する差別を禁止する改正と並んで、いわゆる女子保護規定解消がこの法改正の大きなポイントだと認識いたしております。  深夜業への従事、休日出勤等のいわゆる女子保護規定というものは確かに必要な面もあるわけでございますが、私は大きく見た場合には、女子保護規定女性可能性を奪ってきているのではないのか、就業制限があれば責任を全うする上でも制限が出てくるわけでございまして、その社会での地位向上にも当然影響するのはいたし方がないことだと思いますが、大臣、どんなふうにお考えになっておられますでしょうか。
  13. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 女子保護規定解消でございますが、均等法施行十年が経過いたしまして、女性職場進出が進む中で女性労働者に対する時間外・休日労働、それから深夜業の規制につきましては、均等法改正は、これは女性職域拡大を図り男女均等取り扱いを一層進めるという観点からのものでございますが、女性労働者自身からもこういう解消を求める声が高まっているところでございます。  昨年七月に、婦人少年問題審議会婦人部会中間的取りまとめに対しまして、全国からファクスとかお電話とかでいろいろ御意見を公募させていただいたわけでございますが、その意見幾つかを紹介させていただきたいと思うわけでございます。  妊産婦は別として、なぜ女性だけが保護されるのか、女性男性よりも持久力があると思う、これは女性会社員の方の御意見でございます。それから、保護されることの代償として能力発揮機会を失うことは残念に思う、これも女性でございます。それから、きっちりとした仕事をしたいので、男性と同じ条件でやる方が深夜勤務をしないで肩身の狭い思いをするよりずっとよいという方。  それから、先生が先ほど御指摘女性タクシー運転手の御意見でございますが、深夜業が解禁されても残業規制があるために、せっかくの長距離のお客でも男性とかわらなければいけないという御意見。それから、これは鉄道会社勤務女性でございますが、夜間労働の多い職場にあっては深夜業の規制昇進面での妨げになることが十分考えられるというようなことで、この規制解消に賛成する意見というのも多々寄せられているところでございます。
  14. 小山孝雄

    小山孝雄君 お聞きいたしましたが、この法案参議院に回ってくるだろうと予想されたあたりから、たくさんの法改正反対の投書や陳情をいただいております。また、毎日毎日面会を求めていろんな方がお見えいただいております。謹んで受けております。  これは、「女子保護」・均等法中央連絡会というところから来ておりまして、大体共通をしておりますので、女子保護規定解消になるということに対して、陳情皆さん撤廃、こういうふうにおっしゃっていますが、反対する人たち心配にいかに労働省はこたえていくのだろうかということをお尋ねいたしておるわけです。  例えば、この中には、「政府はきわめて不十分な「男女雇用機会均等法」の見直しとセットで「女子保護規定撤廃をする労働基準法の一部「改正法案を今国会に提出」したと。今回の均等法見直しというのは極めて不十分なものなんですか。婦人局長、いかがでしょうか。
  15. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 今回の均等法見直しは、やはり女性職域拡大していくという観点から行うものでございまして、私どもといたしましては、この均等法施行以来十年余の歴史を持ち、かつ世界の動向も見ながらの改正というふうに認識をしております。  そういう意味では、今回の法律をもしお通しいただければ、世界に対しても恥ずかしくない私ども均等法体系ができていく、日本法体系ができていくというふうに認識をしております。
  16. 小山孝雄

    小山孝雄君 それに、こういうふうにも書いております。女子保護規定解消撤廃というものは、「女性男性なみの長時間、過密労働や深夜労働を強いることになる」、ゆえに「「女子保護撤廃には絶対反対です。」と、こうもございます。あるいは、「今の日本女子保護規定撤廃すれば、子供を産めないあるいは産まない女性がますます増える、だけだと思います。」とか、いろいろございます。  大体こういった内容のものがたくさん寄せられているわけですが、こうした心配にはどうおこたえになりますか。
  17. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 女子保護規定解消に伴いましては、幾つかの観点を今回も充実させていただいておるわけでございまして、例えば育児介護を行う者たちにつきましては、その職業生活家庭生活両立できるような形にしたいということで、深夜業の制限というものをつけさせていただいておりますし、また、女性が働きながら子供を産みやすい環境を育てるということは、これまた私どもの重要な政策課題でございますので、そういう点につきましてもいろいろな形での充実を図らせていただいているというふうに認識しております。
  18. 小山孝雄

    小山孝雄君 仕事家庭両立ということは大変大事なことだと思います。そしてまた、女性子供を産んでくれなければ人類は滅亡するわけでありまして、それも大変大事なことで、後ほどまた伺いたいと思いますが、この続きは、本日の最後が吉川先生の御質問でございますので、詳しく御質問なさるだろうと思いますから、そちらにお譲り申し上げます。  こういう反対意見があるかと思えば、女子保護規定解消を望みたいと。十数年前に私が女性タクシードライバー皆さんから受けたような要請というもの、女子保護規定解消してもらって男性と対等に働いて幅広く能力を競いたいという声も私のところには寄せられております。  労働省にはどんな声が届いておりますでしょうか。
  19. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) やはり労働省にもいろいろな声が届いておりまして、先ほど御紹介いたしましたように、心配だという声もございますが、それだけではなくて、やはり男性と同じような形できちっとした仕事をしたいという声もたくさんあるわけでございます。  いろいろな考え方というのがございまして、それに応じた形で賛成、それから心配だという声、そしてまた、男女とも家庭生活職業生活とを両立できるような環境もつくってほしいというようないろいろな声が届いております。  繰り返しになりますが、その中の幾つかにおいては、やはり女性労働者自身からも積極的に働けるような社会にしてほしいという声も数多く届いているところでございます。
  20. 小山孝雄

    小山孝雄君 特に心配する皆さんの声の中に、深夜業を強制されるのじゃないか、深夜業を行う人たちの健康に与える影響をどう考えているんだと、こういう声もたくさん私のところにも届いておるわけですが、この深夜業を行う労働者の健康に与える影響についてどう認識をし、どのような対策をこれから講じようとしているのか伺います。
  21. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 深夜業につきましては、昼間の労働と比較いたしますれば、これは男女双方健康面影響があるということは承知をしているところでございますし、また、妊娠している女性にとっても問題であるということは承知しているところでございます。  でありますけれども労働省といたしましては、深夜業は生産技術上の必要性とか、それから国民生活の利便などの点でやはりどうしても不可欠な面もあるわけでございますので、そういう点をかんがみますると、深夜業に従事する労働者につきましては、健康とか社会生活に対する影響をできるだけ少なくしていくということが必要であるというふうに考えるわけでございます。  このため、深夜業に従事する男女労働者の健康につきましては、労働安全衛生法に基づきまして、深夜業務への配置がえの際、それから六カ月以内ごとに一回の健康診断を実施しなければならないということ。それから、健康診断の結果によりまして、医師の意見を勘案して、必要があると認めるときは、事業主労働者就業場所変更とか作業の転換とか労働時間の短縮などの措置を講じなければならないというように規定をされていまして、その徹底を図っているところでございますし、妊娠中の女性労働者につきましては、労働基準法において、請求することにより、深夜業にはつかせてはならないというようにしているところでございます。
  22. 小山孝雄

    小山孝雄君 その妊産婦の方の健康を保つために事業主へ義務づけをしているお話が今ありましたが、これは不完全規定でしたか、罰則はどうなっていましたですかね。
  23. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 現在、妊産婦健康確保につきましては、基準法におきまして、妊産婦が請求した場合には深夜業、時間外・休日労働はさせてはならないということ、それから妊娠中の女性が請求した場合には他の軽易な業務に転換させなければならないということ、それから産前休業は六週間、産後は八週間の休業、そしてまた、妊産婦の場合は、危険有害業務への就業制限等々が規定されておるわけでございまして、これは基準法のものでございますので、罰則等がございます。  そしてまた、男女機会均等法におきましても、母性健康管理に関する措置につきまして、現在、事業主努力義務規定しているわけでございまして、母性健康管理指導基準というのを設けまして普及に努めているところでございます。
  24. 小山孝雄

    小山孝雄君 母性保護ということは大変大事なことだと思います。  この母性健康管理について、法案では、省令及び政令で指針を定めるということになっておりますが、どういう内容を盛り込むお考えでしょうか。
  25. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 今回の改正法案の中で、妊娠中及び出産後の保健指導及び健康診査を受けるための時間、これは母子保健法に基づいて規定されておるわけでございますが、その時間を働く女性たちがとりやすいようにするという観点から、時間の確保事業主に義務づけているわけでございまして、こうした規定を受けまして、先生指摘のように、省令を定めるということにしているわけでございます。この省令におきましては、その必要な受検回数などの細かいことを定めたいというふうに思っておるところでございます。  また、健康診査の結果、医者から指導事項がいろいろある場合があるわけでございまして、そういう場合には、これを守るために勤務時間の変更とか勤務の軽減等必要な措置を講ずることをこれまた改正法案事業主に義務づけておるわけでございます。  これらの事項は、やはり専門的かつ技術的な事柄でございますので、事業主が講ずべき措置につきましては、現行母性健康管理指導基準というのがございますが、それをもとにできるだけわかりやすい指針を定めたいというふうに思っているところでございます。
  26. 小山孝雄

    小山孝雄君 特にこういう不況のときになりますと、仕事優先生産向上優先経営者としてはどうしてもそっち側に重きを置くようなことになりかねませんので、その辺のところはしっかりと進んでいけるように御考慮を願いたいと思うわけです。  母性保護に関する規定について、その履行を確実なものにしていくためにはどんな対策をお持ちでありましょうか。
  27. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 今後、その省令指針を策定するわけでございますが、その策定をいたしましたら、先生指摘のように、この母性保護を具体的に、確実に実施していくということが非常に重要であると思っております。そのための体制整備というのが重要であると思っております。  そういう点で、その実効性確保するという観点からは、やはり私どもの出先であります婦人少年室母性健康管理指導医というお医者様をそれぞれ委嘱しておるわけでございますが、そういうお医者様や、それから企業内で実際に女性母性健康管理にかかわるスタッフの活動を強化していきたいと思います。  それから、医学的観点から職場健康管理に携わっております産業医がいるわけでございますが、そういう産業医さん。さらには、小規模事業場健康管理を支援するということで地域産業保健センターというのがつくられておりますが、そういうセンター等とも連携いたしまして、企業における母性健康管理体制の強化というための施策は総合的に講じてまいりたいというふうに思っております。
  28. 小山孝雄

    小山孝雄君 女子保護規定解消に伴いまして、育児それから家族の介護を行う者につきましても、仕事家庭生活というものを両立できるように措置を講ずることが必要だと本当に思うわけであります。  特に、高齢化社会がうんと急速なスピードで進んでいる場合、子育てと同時に介護重要性も大変増してくるわけでございます。きのうも実はある人を訪れまして、老人施設を見回ってきたのでございますが、本当にこれは全国至るところでこういう光景が繰り広げられるんだなということを実感してまいったわけでございますけれども、そうした面における措置労働省考え方を聞かせていただきます。
  29. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 今後、高齢化社会が進んでいく中で、やはり家族の介護という問題は非常に重要な問題になっていくという認識におきましては、先生と全く変わらないわけでございます。  今回の法律改正におきまして女子保護規定解消をするわけでございます。そういたしますと、父親も母親も、おじいちゃんから見れば若夫婦ということになるんでしょうが、ともかく家計の主たる担当者の二人がともに深夜業に従事するケースということが出てくるわけでございまして、そういう場合は、子供を養育するとか、それから深夜に介護をする家族がいるような御家庭では、やはりいささかの問題が生ずるというふうに考えたわけでございます。  このようなケースに対応するという観点から、今回、育児介護休業法の中で、小学校入学前の子供の養育、それから常時介護が必要な状態にある家族の介護を行う一定範囲の男女労働者が請求した場合においては、事業主は、事業の正常な運営を妨げる場合を除いて深夜においては従事させてはならないという、請求権というような強い制度を新たに設けることとしたわけでございます。  これは、先生おっしゃるような介護への配慮、男女労働者がともに職業生活家庭生活両立できるようにするための一つの配慮としてつくったものでございます。
  30. 小山孝雄

    小山孝雄君 大変いろんな問題を含んでいる内容だと思いますが、冒頭に申し上げましたように、女子保護規定解消になりましても、子供を産み、育てるも含めて女性の大きな社会的な使命であるわけでございます。  子育てというのは、これは社会全体がその責任を担わなければならないことだと思いますし、母性保護の負担を企業等々だけに押しつけてはいけないと思うわけでございます。職場におきましても、地域においても、子育てというものを支援し続けていける体制づくりが不可欠だと思うわけでございますが、その点の施策について、どうこれから進んでいくんでしょうか。
  31. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 少子高齢化社会が進展しておりますし、また女性労働力率も高まってきておりまして、共働き世帯が増加している、また核家族化が進んでいくというような中で、やはり仕事育児介護等の両立職業生活家庭生活両立というのは、これは男女労働者が生涯を通じて充実した職業生活を送るためには解決していかなければならない大きな課題であるというふうに考えているわけでございます。  このため、もちろん政府全体もいろいろやっておるわけでございますが、特に労働省におきましては、労働時間の短縮を推進しておりますほか、育児介護休業法に基づきまして、育児休業制度の定着、それから介護休業制度、これは平成十一年度から形成権化されるわけでございますが、それの早期導入に向けて、事業主労働者に対するきめ細かな相談、指導を実施しておりますし、また育児休業給付の制度もつくらせていただきました。また、奨励金の支給などによりまして、育児休業介護休業を取得しやすく、かつ職場復帰しやすい環境整備ということもしておりますし、また事業主の方々が事業所内で託児施設を設置していただくように、そういう事業主に対する助成金の支給もさせていただいておりますなど、育児介護を行う労働者が働き続けやすい職場環境整備していくということに意を注いでいるところでございます。  また、働き続けるだけでなくて、育児介護のために、育児のときは自分が育てたいわというようなことで一たんやめられる方もあるわけでございますが、育児などが一段落してもう一回働きたい、労働市場に出ていきたいというような方々に対しては再就職の支援というような形でもやっておるわけで、もろもろのメニューを考え労働者職業生活家庭生活両立を支援するための対策を推進しているところでございます。  この両立支援対策につきましては、非常に予算状況等々厳しいところではございますが、今後とも充実に対して努力はしていきたいというふうに思っているところでございます。
  32. 小山孝雄

    小山孝雄君 ぜひしっかり取り組んでいただきたいと思います。私たちも応援をしていきたい、こう考えるわけであります。  次に進みますが、既に五月、六月がやってまいります。ちょうど学生さんたちの就職運動の季節に入っているわけです。  昨年だったでしょうかね、「超氷河期だって泣き寝入りしない! 女子学生就職黒書」というのを、女子学生の数名の皆さんがやってこられて、これを贈呈するからしっかり読んで、私たちが困ることのないようにしてほしいという要請を受けました。また、私、選挙の最中に、ちょうど新橋だったでしょうか、女子学生の皆さんがデモ行進をしている光景にぶつかりました。出ているプラカードが、私たちも働きたいのですというプラカードでございました。非常に崇高な願いだと思いますし、その願いを奪ってはならないと本当に思うわけでございます。  今度の法改正の提案理由説明の中で大臣も述べておられますように、「女子学生の就職問題に見られるように、雇用分野において女性男性均等な扱いを受けていない」ということが提案理由にございますけれども、女子学生の就職問題が、男であるから、女であるからということで差別されていないかどうか、昨今の特徴も含めて述べていただきたいと思います。婦人局長
  33. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 昭和六十一年の男女雇用機会均等法施行以来、女性労働者事業主から、婦人少年室に対しまして、均等法に関する相談や問い合わせというのが多数寄せられておりまして、婦人少年室では、これらの相談者に対しまして、法令や指針内容について詳しい説明を行いますとともに、紛争の解決方法とか女性雇用管理改善についてのアドバイスを行ってきているところでございます。  その相談件数を見ますと、年間一万件前後でずっと推移をしてきたわけでございますが、平成六年度からのいわゆる景気低迷を受けまして、女性たちの、特に女子学生の就職状況が非常に厳しくなったということがあると思いますが、女子学生からの相談が数多く寄せられるようになりました。そして、現在では二万件近くとなっているわけでございます。  ですから、相談内容も、法律施行当初は、男女別定年制に関するようなものも多かったわけでございますけれども、最近では女子学生が多くなってきたということもありまして、募集採用に関するものが著しく増加をしているわけでございます。  そして、特に女子学生から寄せられる相談内容でございますけれども募集または採用に係る情報が男性に比べ女性に対して不利であると。なかなかはがきを出しても来ないというようなこととか、それから女性には応募の機会が与えられていないとか、実際に行ってみたら、女性は採らないと言われたとか、それから、女性についてのみ自宅通勤という条件が付されているというような例が多々見られるところでございます。  そういう点で、なかなかその募集採用のところでの均等取り扱いという点につきましては、先生指摘のように、問題がある事案もかなりあるわけでございます。
  34. 小山孝雄

    小山孝雄君 一つ一つちょっと具体的な事例について確認をさせてもらいたいと思います。  よく女子学生から寄せられる相談の中に、形式的には男女とも募集している、しかし実際に応募すると、口頭で女性採用はないと断られるケースがある、こう聞き及んでおりますが、これは改正法ではどういうことになりましょうか。
  35. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 形式上は男女とも募集をしていても、先生指摘のように、応募した段階で、うちは女性採用しないんだよというようなことを言われた、そういう方針が明らかにされた場合は、これは採用において女性を排除しているものでございますので、今回の改正均等法には明らかに違反するというものでございます。
  36. 小山孝雄

    小山孝雄君 次に、募集採用もする、しかし、例えば男性が百名、女性五十名というように、男女別の採用の枠を変えて設定する企業があった場合、この場合はどうなりますか。
  37. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 先生指摘のように、男性百名、女性五十名というように、男女別の枠の採用予定人数を明示して募集をすることは、現行男女雇用機会均等法、それからそれに基づく指針におきましても、事業主に対して改善の努力を既に求めているものでございます。  なお、改正後の均等法におきましては、当然禁止規定違反になるものでございます。
  38. 小山孝雄

    小山孝雄君 面接とか募集のときに、女性について自宅通勤に限るとか、あるいは年齢二十二歳までとか、男性とは違う別の厳しい採用条件というものが付されている場合が間々あるようでございます。これは男女で差別していると、こういうことになるんでしょうか。
  39. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 先生指摘の、女性についてのみ自宅から通勤をするとか、女性の年齢は二十二歳までとかいうように、女性が応募することができる年齢を男性に比べて低く設定するというようなことは、いずれも女性を排除しているということにはならないわけでございますけれども募集採用するときの条件において女性を不利に取り扱っているものでございますので、先ほどの例と同じように、現行男女雇用機会均等法及びそれに基づく指針におきましても、事業主に対して私どもは改善の努力を求めているわけでございます。  また、改正後の均等法におきましては、禁止規定に違反するということになるわけでございます。
  40. 小山孝雄

    小山孝雄君 実質的な就職差別の典型例として、会社案内等を求めるはがき等を出す、電話等を入れる、ファクス等を入れる、しかし実際には、男性には案内が送られるが女性には請求しても送られない。  実は、昨年の四月に私の娘も就職したのですが、おととしの今ごろから盛んにそういうことをひいひい言いながらやっておりました。私は一切応援をしないで本人が自分で探して、今働いておりますけれども、そういう物理的な実質的な会社案内等を男性には送ったけれども女性には送らなかった場合、これは改正法ではどういう扱いになりますか。
  41. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) これも前例と同じように、改正法においては禁止規定違反になるわけでございますが、また、現行におきましても、やはり事業主に対して私どもは改善の努力を求めているところのものでございます。
  42. 小山孝雄

    小山孝雄君 面接試験というのが行われるわけでありますが、女性についてのみ選考に直接関係のないことを質問するケースというのが結構あると、こう聞いております。これは明らかに女性採用したくないために行われるものだとよく聞くわけですが、そういう面接を行った場合はどうなりますか。
  43. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 女性についてのみ選考に直接関係ないことを質問いたしますことは、これは採用試験の際に女性に不利な取り扱いをするということで、今回の法律では禁止をされるというものでございます。
  44. 小山孝雄

    小山孝雄君 私どもいろんな相談を受ける中で、あるいは実際に苦悩している女子学生の皆さんあたりから聞いたお話というのは、全部やっぱり今度の改正法では禁止される、禁止事項の対象になるということが今わかったわけでございますけれども採用する側の企業はどんな対応をこれから求められるようになるのか。また、今るるやりとりさせていただいた禁止規定に違反した場合に企業の扱いはどうなるか、確認をいたします。
  45. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 募集採用配置昇進につきましては、これまで現行法では事業主努力義務ということでございますので、事業主はその改善の努力が求められていたわけでございますが、今回の改正法案では禁止規定化をしたわけでございます。法に違反している場合には、その状態が放置されるということは許されなくなるわけでございますので、事業主には直ちにその是正が求められるということになるわけでございます。  それでまた、改正後の均等法の第十条におきまして、禁止されるその差別の内容事業主に対して具体的に明示するということが必要だろうということで指針を定めることにしておりますが、今後、この指針を定めまして、この改正法及び指針の周知を十分行いまして、その法違反企業に対しては厳正な指導を行いたいというふうに思っております。  さらに、今回の改正法案におきまして、法違反の速やかな是正を求める行政指導の効果を高めたいという観点から、勧告に従わない法違反の企業に対しまして、企業名公表という社会的制裁を創設させていただいたところでございますので、この制度を背景といたしまして、事業主に対して法の遵守を一層求めていきたいというふうに考えておるところでございます。
  46. 小山孝雄

    小山孝雄君 あと、ポジティブアクションの促進等々についても質問をしたいと思っておりましたが、時間が迫ってまいりましたので、もう一つだけお尋ねいたします。  女性能力が劣っているなどということは決して思いませんし、そうじゃないんですが、人にはチャンスが与えられるシステムができましても、そのチャンスを生かすためにはその人の能力次第だと私は思うわけであります。これは、男女問わずであります。女性が与えられたチャンスを生かせるように、一層の能力開発というものを社会全体で応援していかなければならないことだと思うわけでございます。  女性のためだけの能力開発というのは、これは労働行政の本来の趣旨ではございませんけれども、例えば雇用促進事業団のこれからのあり方等について、職業能力開発に重きを置くということも方針として出ております。それから、中央職業能力開発協会等の見直し等も論議になったところでございます。  いずれにいたしましても、働く人たちの職業能力の開発ということはこれからも極めて大事なことだと思いますが、そうした女性能力開発等についてどんなふうにお考えになるか、お尋ねをいたします。
  47. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 労働省で行っております能力開発政策は、男女を問わずもう広く受け入れているものでございますが、特に女性能力開発という点ではポジティブアクションの規定を設けたわけでございます。  これは、これまでいろいろな形で女性が事実上差別をされていた結果、男女の間に生じている格差があるわけでございます。例えば、営業職には女性がほとんど配置されていないとか、課長職以上は男性が大半だというような、そういう事実上の差を埋めるために、企業が自主的に女性の活用を図っていただけるようなことをしたいということでポジティブアクションの規定を設けたわけでございます。ぜひ各企業に前向きにポジティブアクションをやっていただいて、女性たちの有効活用を図っていただきたいと思うわけでございます。  特に、今後二十一世紀を見ますと、女性たちの力を社会が本当の意味で生かしていかなければならない時代になると思いますので、そういう意味でポジティブアクションを積極的に企業もやっていただくように私どもとしては援助に努めてまいりたいというふうに思っております。
  48. 小山孝雄

    小山孝雄君 時間が参りましたので、最後に大臣にこの改正法の円滑な施行に向けて御決意のほどを伺って、私の質問を終わります。
  49. 岡野裕

    国務大臣岡野裕君) 本法は十年のいわば助走期間があったわけでございますが、この改正法案をもし審議、御可決をいただけますならば、そこで一つの革命が行われると、こういうことだと私は思っております。  これは社会的制裁の企業名公表等も伴う、こういうものでありますので、まずやることは、労働省として全力を挙げてこの制度のキャンペーンだと、こう思っております。そのキャンペーンの中には、抽象的な解説ではだめであって、私ども省令を準備しよう、あるいは指針というものも準備しよう、これは関係の向きで御審議を賜った結果でないと相ならぬのでありますけれども、そういった細かな点について皆さんに知っていただかなければならないというようなことを果たしまして、ひとつぜひ男女共同参画型社会というものにさお差せるような労働行政であるなということを国民の皆さんに知っていただくべく全力投球をするつもりでありますことをここで申し述べます。
  50. 石渡清元

    ○石渡清元君 議題となっております雇用分野における男女均等機会及び待遇確保等のための労働省関係法律整備に関する法律案小山委員に続きまして御質問をいたします。  今回の法改正について、今、小山委員からるる質疑が行われた点でございますけれども、もう一度私、再確認の意味も含めましてお伺いをいたします。  何といっても、今も議題になっておりましたけれども女子保護規定、この廃止がいろいろ議論を呼んでおるわけでございまして、特に平成七年の女子労働者意識調査によりますと、女子保護規定については、女子保護業務の妨げになるなどの理由で七割以上の女性が保護規定撤廃してほしい、不要だと言っている。ところが一方では、保護規定の廃止にちゅうちょするそういう一部の女性もいることも実はたしかでございます。  したがって、非常に職場進出をしている女性労働の現状、現況、雇用の数とか、あるいは現在、職種、職域がどういうふうに発展をしてきているか、平均勤続年数はどういうふうに変わってきているか、あるいは管理職の数がどういうふうになっているか、現況も含めてお答えをいただきながら、今回の女子保護規定の廃止について、廃止をすることによって女性職域がどういうふうに拡大するか、雇用機会がどのような形でもっと増大していくのか、さらに配置昇進等々、どんな面で具体的な改善ドライブにつながっていくのか、それらについてまずお伺いをいたします。
  51. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 今回の改正は、女性たちが意欲と能力に応じて男性均等機会及び待遇確保をされることを目指すものでございますので、これまで女性の比率の少なかった職域とか、男性だけが配置されていた職務へ女性の進出が進んでいくものと考えておるわけでございますけれども、具体的にどのような職種、どのような業種において変化するかということにつきましては、景気の動向とか労働市場をめぐる構造変化等が絡み合ってくる問題でございますので、なかなか予測することは難しいというふうに考えているわけでございます。  ただ、いずれにいたしましても、さまざまな分野女性が就業できる機会が増大するわけでありますので、男性と同様の経験を積んでいくことが可能になるわけでございます。そういう点で、昇進につきましても男性均等機会が与えられ、また実質的にも均等な取り扱いが確保されていくというふうになるものと考えております。
  52. 石渡清元

    ○石渡清元君 予測が難しいだなんて、そんな消極的なことじゃ、せっかくの法改正ですから、もう少し具体的にこうだということを、だって大臣は革命的な法改正とさっき答弁したばかりで、笑っていらっしゃるけれども、もう少し具体的に現状を踏まえて答弁をいただきたいと思うんです。  特に、女子保護規定については基準局の関係かと思いますけれども、時間法制がいろいろ議論になってくると思います。やはり男女がともに健康でバランスのとれた職業生活、そして同時に家庭生活も送ることができるようにしなければいけないわけでございまして、時間外労働の上限対策指針というのが昭和五十七年ですか、既に十五年たっておりますけれども、締結されて届け出されている三六協定、守られているところもあるけれども、なかなか守られていない実態もあるようなんですが、その辺の協定時間が指針より上回るような協定時間になっているものというのは、現状全体で何%ぐらいになっているか、おわかりですか。
  53. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) 御指摘ございました時間外の労働協定に関します適正化指針でございますが、私どもこれを定めまして、上限につきましていろんな機会の広報や集団指導、あるいは三六協定の受理の際においてもしそれを超えているようなケースにつきましては再検討を要請するなどの措置を講じてまいりまして、その徹底を図っているところでございます。  最近の状況を見ますと、例えばこの指針で定められている一年間の上限時間は三百六十時間でございますが、この三百六十時間以下とする事業場の割合が九四・八%ということで、以前に比べてもかなり改善を見てきている、そういった状況でございます。  こういったことから、多くの事業場ではこの範囲内で三六協定が結ばれているわけですが、なお一層広範にこの措置の徹底を期すために、その運用等については第一線の機関の方にも万全を期すよう指導をいたしまして、徹底を期してまいりたいと思っておるところでございます。
  54. 石渡清元

    ○石渡清元君 深夜労働あるいは時間外労働ということになっていきますと、どうしても女子の就業環境をさらに整備する必要がある。ということになると、まず出てくるのが残業しても子供を預けられるような保育所の整備、こういうことになるわけでありますけれども、保育所というと労働省じゃありません、厚生省ということになります。保育システムあるいは保育所サービスや養育施設等々の現状と将来展望について厚生省から御答弁願います。
  55. 大泉博子

    説明員(大泉博子君) 子育てと就労の両立を支援する施設といたしまして保育所が果たす役割は大変重要であると私ども認識しているところでございます。  この観点から、エンゼルプランの一環といたしまして、平成七年度から緊急保育対策等五カ年事業というのを着実に実施しているわけでございますが、この内容の中で、特に乳児保育を含みます低年齢児の保育、また保育時間の延長、これら働く女性の保育の需要に対応するための施策を図っているところでございます。  また、今申し上げましたこの五カ年事業におきまして、私ども放課後児童対策と呼んでおります、いわば小学校に上がったお子さん方の預かり事業でございますが、この対策の推進、あるいは地域の子育ての相談事業でございます地域子育て支援センター事業、こうしたものの推進を図るなどいたしまして、働くお母さん方の子供たちの健全な育成のための施策の充実に努めているところでございます。  さらに申し上げますと、現在、保育所に関する情報公開をいたしまして、保護者が保育所を選ぶという保育所の新しい制度の導入、あるいは今申し上げた放課後のお子さんの預かり事業を放課後児童健全育成事業と定義いたしまして、法律上制度化するという内容を盛り込みました児童福祉法の改正案を今国会に提出しているところでございまして、現在参議院の御審議を経て衆議院において御審議をいただいているところでございます。
  56. 石渡清元

    ○石渡清元君 保育システムとかそういうのはわかるんです。あるいは、厚生省だけがやっているんじゃない、地方自治体もやっているし民間もやっているのはわかりますけれども、量的には今どういう状態に、保育所の量ですね。それは地域間格差ありますよ、田舎の方へ行くと保育所がありませんと、よくこれは聞くんですけれども、押しなべて今の保育所数、定員、そういったようなものは満たしているのか、どういう現状にあるのか。
  57. 大泉博子

    説明員(大泉博子君) 今、いわゆる認可保育所、国、地方公共団体がお金を出しております認可保育所が全国に二万二千五百ございます。ここに通っているお子さんが百六十万人。定員は百九十万人でございますから、そういう意味では八割ちょっとの入所率になってございます。そういう意味では全国的にあきがあるわけでございますが、委員がおっしゃいましたように、地域的には乳児保育などで待機児童があるところもございます。
  58. 石渡清元

    ○石渡清元君 わかりました。ただ、私がなぜわざと厚生省に聞いているかというと、労働省の関係でこれからもっと保育ニーズがふえてくるわけですね、残業等々がふえる可能性があるわけですから。そのときに、労働省と厚生省とがそういったようなニーズについての連携をぜひしてもらわないと、縦割り行政じゃだめなんです。  ということは、保育ニーズが集まっているところは、工場、会社、事業所が多いところにどうしても必要になってくる。もちろん企業内保育所も今どんどんつくられていますよ。いるけれども、ぜひ厚生行政と調整、連携を持って保育環境というのを進めてもらいたい。そういったようなお考えがあるかどうか、労働省から御答弁願います。
  59. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 厚生省との連携の件でございますが、これは大泉課長も今おられますけれども、厚生省と定期的に連携をとっていろいろと情報交換、意見交換等もさせていただいております。  また、エンゼルプランなども、厚生、労働初め四省庁でつくっておるものでございますので、十分かどうかの評価は別といたしまして、それなりにそれぞれの行政につきまして、それぞれの施策につきましての連携、情報交換はさせていただいているところでございます。
  60. 石渡清元

    ○石渡清元君 ひとつこれからもさらに十分密な連携をとって進めていただきたい。  というのは、女子保護規定の廃止に伴いまして、育児や家族の介護の問題を抱えた一定の範囲の労働者の深夜業の免除に係る法的措置が新たに講じられるわけでありますけれども婦人少年問題審議会の建議によると、「事業主が新たに女子労働者に深夜業をさせようとするときは、業務上又は通勤における負担の軽減、安全の確保等就業環境整備に努めることとすることが適当である。」ということを指摘しているわけです。  したがって、女子保護規定の廃止に伴う負担とかあるいは女子労働者から見たデメリット部分をどういうふうにカバーをしていくか、その体制に取り組んでいかなければいけない。いわゆる就業環境整備というふうに言われるんでしょうか、その辺についてはどうやって事業主などに周知徹底を図っていくか。そのデメリット、デメリット対策というのはちょっとおかしいけれども、端的に言うと、そういったようなカバーをこれからしなければいけない部分の対策についてはどのような措置を講じようとしているのか。
  61. 岡野裕

    国務大臣岡野裕君) 禁止されていた深夜業に女性皆さんが進出をするということであります。やはり深夜というのは能率が下がってまいります。体力というものが衰えてまいります。そういうことを前提として、仕事内容の中に休息時間を設けていくとか、あるいは休息場所がなければ休息時間だけ設けてもらったってどうしようもないじゃないかと、ひとつ休息する場所でありますね。あるいは仮眠をとろうというようなこと。それが終わった後の労働生産性というものは高まる。せっかく深夜業をやってくれるとするならば、十分その提供をいただく働きというようなものが成果が上がるということでなければなりません。  したがって、仮眠の施設をつくる。あるいは深夜に労働につかれるということであれば、非常に遅い時間に出勤をする、そして明け方に帰るというような意味では、交通上の配慮あるいはそれに伴うところの交通安全上の配慮、女性に特有な安全上の配慮を含んで、そういうようなもろもろの措置を講じなければなりません。  そういうような意味合いで、そういった企業主に対する施策について我々も支援体制を組んでいく、こういうようなことをあれやこれや考えております。  先生質問に合っておりますかどうでありましょうか。
  62. 石渡清元

    ○石渡清元君 どんどん進めさせていただきます。  夜業に関する関係でありますけれども日本ではまだ批准をされておりませんILO百七十一号条約、この「社会的な便益が提供される。」、これを批准している国ではどんなような便益を提供しているか。簡単で結構です、どんどん進めますので。
  63. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) ILOの百七十一号条約は、これは一九九〇年に定められたものでございますが、これは男女労働者ともに、夜業をする男女労働者に対していろいろな措置を講ずることを求めているものでございますが、例えば健康上の理由により、夜業に不適応と認められた夜業労働者は、実行可能なときはいつでも自己が適応する業務配置転換されるとか、それから、夜業にかわるものを利用できない場合には夜業に従事することが要求されるであろう女子労働者に対しては、深夜業にかわるものを確保するための措置をとる等々の措置を求めているものでございます。
  64. 石渡清元

    ○石渡清元君 批准国ではどういったような施策をやっているかということを聞いたはずですが、次に進みます。  ちょっと人口問題、お伺いしますけれども、今世界の人口六十億、二十一世紀の半ばには百億になってもう人口爆発状態でありますけれども日本少子化現象、平成七年の合計特殊出生率で一・四二で、これでいきますと、百年後には日本の人口が半分以下になっちゃう、こういう推計なわけでありますけれども、私はこの少子対策こそこれからの産業労働の基盤になってくるんじゃないか、そういう気がしてなりません。  したがって、現在の人口減少の実態と、これに対して子育て軽減策、エンゼルプラン、先ほどちょっと答弁があったけれども、そういったような現状について厚生省からお答えを願いたい。
  65. 辻哲夫

    説明員(辻哲夫君) まず、出生率の低下の原因、背景の方から御説明をさせていただきます。  出生率は、どれだけの女性が結婚されるか、逆に申しますと、未婚率がどの程度か、どれだけの方が結婚されないかという要素と、それから結婚されたときにお子様を何人産まれるかと、この二つの要素で出生率は決まるわけでございますが、結婚した場合の産まれるお子様の数はこの二十年間で二・二人ということで、ほとんど変化しておりません。したがいまして、近年の出生率の低下は専らこの未婚率の上昇によるというふうに認識されております。  実際に、最も子供さんを産まれる年齢層に着目いたしますと、二十五歳−二十九歳の年齢の未婚率はこの十年間で三割から五割に、それから三十歳−三十四歳の女性の未婚率はこの十年間で一割から二割に、このように上昇いたしております。このような未婚化の進行の原因というものをどう見るのか、これはさまざまな見方がございます。  そういう中で、この少子社会、人口が減っていく社会というものをどのように見るのか、そしてまたそういう中で少子対策というのを、子育て支援というのが現在基本ということで行われておりますけれども、全体としてどう見るのかということにつきまして、現在、人口問題審議会というのが厚生省にございまして、ここで御審議をいただいているところでございます。少子化、子育て支援につきましては、担当課長の方から御説明申し上げます。
  66. 大泉博子

    説明員(大泉博子君) 少子社会対策というのは、ひとり厚生省だけの問題ではないと思いますけれども、私ども厚生省児童家庭局といたしましては、子供を健やかに産み育てる環境整備という視点からの少子社会対策をやっているわけでございます。  これは先ほど申し上げましたエンゼルプランに代表されるものでございまして、内容的には保育、雇用、教育、住宅と、総合的な子育て支援対策でございまして、平成六年に厚生省、労働省、文部省、建設省の四大臣合意により策定したものでございまして、鋭意推進しているところでございます。
  67. 石渡清元

    ○石渡清元君 人口減少は確かに厚生省だけの責任ではないけれども審議会を含めて私はもう抜本的に人口政策をすべきだと、これをぜひひとつ厚生省肝に銘じて取り組んでいただきたい。厚生省結構です。  そこで、労働省にお伺いをしますけれども、もうそうでなくても今生産年齢がどんどん絶対数でも減っておるわけでございまして、したがって雇用面においても労働の供給力がどんどん減っている。これからの産業経済に与える影響というのは非常に大きいものがあろうかと思います。そういう面で、この少子化現象に対して労働省の側面からどのように見ておられるか、お伺いをいたします。
  68. 岡野裕

    国務大臣岡野裕君) 労働経済学的な見地からこれを見ます場合には、先生おっしゃいますように、少子化といいますのはこれから労働人口が減っていくというようなことで、当然我々としては対処しなければならない大きな問題だと、こう思っております。  そしてまた、この少子対策として具体的に労働省の方からいいますと、男女の間に赤ちゃんを産もうか産むまいか、これはその二人の間でお決めになることであって我々が容喙すべき問題ではないのでありますが、職場にありますところの男女、特に女性子供さんを産みたいと思っておられても、職場環境が届かないがゆえに産めない環境にあるというようなことが実態的にはあると私は思っております。  そういう意味合いで、やはり家庭生活、赤ちゃんを産むか産むまいか、育てる、大きくする家庭生活と、それから職場生活両立をして産もうと思ったら安心して産めるような職場環境であり、全体の醸し出す雰囲気だというふうにいたしたいと。その意味で、時短ということで家庭生活に費やす時間が多くなることで時短促進法を御可決を賜りました。  それから、今度の男女雇用機会均等法で、子供さんを産んだりなんかして休まれるというようなことで昇進配置等がいろいろなことになるというような、それもプラスの面がありますが、マイナスの面は、少なくともこれを消去していこうではないかと。それから育児介護休業法というようなものができましたが、女性には限りません。これは男性も含んでおります。というようなもろもろの法律をおつくりをいただき、かつそれの運用のよろしきを得て赤ちゃんをつくりたいという皆さんには安心して赤ちゃんが産みかつ育てられるような、そういう努力をしたい、こう思っておるところであります。
  69. 石渡清元

    ○石渡清元君 先ほども出生率の低下の原因について厚生省から答弁がありましたけれども、必ずしもそういうことかなと。今、大臣も時短が進めばちょっと上がるような意味のことをおっしゃった。あるいはよく言われることに、女性の就業率の増大がやはり出生率にブレーキをかけているとか、よく言われるが、私は必ずしもそうじゃない、違う面があるんじゃないか。  そういう意味で、労働関係サイドから出生率の低下につながらないような調査、具体策というのをやられたらどうかと。それで幅広く施策を展開していかなければいけないと思います。その辺についてはどんなお考えでしょうか。
  70. 岡野裕

    国務大臣岡野裕君) 今のお言葉で、私の答弁が甘いと、こういうようなお話をいただきました。もし、お時間をいただきますならば、もっと具体的、詳細に今お話をしました面について御披露申し上げてもよろしゅうございます。  なおまた、数字が足らないというお話でございますが、もしうちの政府委員で準備いたしておればお話を申し上げたいと、こう思っております、
  71. 石渡清元

    ○石渡清元君 私が強調したいのは、答弁が甘いとか、そういうことではなくて、むしろ労働省の場合はソフト政策というのをもっと出していただく、この少子対策だけじゃなくて。ソフト政策をもっと出していいんじゃないかなと。非常に一般的な数字、統計を中心とした政策が多いような気がしてならない。それと、先ほどちょっと指摘をさせていただきましたけれども、他省庁との連携の事業展開をぜひしていただきたい、それを私は強調したいと思います。  どんどん時間が進んでいきますので、育児対策関係をもう少し。  ちょっと細かい問題になりますけれども、保育事業について学童保育あるいは病後児保育を求める要望があるようでございますけれども育児休業において深夜業の制限対象となる育児対象者を小学校の就学始期に達するまでの子供に限定をした理由をお伺いします。
  72. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 深夜業の制限措置は、これは女子保護規定解消に伴いまして現実に深夜に子を養育する者がいなくなるというケースへの対応、いわば父親も母親も深夜業に従事しなければいけなくなるというような場合への対応として措置したものでございます。ですから、その対象者とか請求できる期間につきましては、やはり最低限保障すべき範囲を法律規定することが適当であるというふうに考えるわけでございまして、現在の育児介護休業法の努力義務となっております小学校就学始期に達するまでの子を養育する労働者を対象としたわけでございます。  ですから、これを上回る部分につきましては、労使の話し合いによってやっていただくことが適当であるというふうに考えているものでございます。
  73. 石渡清元

    ○石渡清元君 さらに、労働者が請求した場合に、事業の正常な運営を妨げる場合、事業主がその請求を拒否できるようになっておりますけれども、どういったような場合が想定をされるのか。不幸にも労使の意見が食い違い、紛争のような形になった場合は、それに対する救済措置などはあるのかどうか、お伺いをいたします。
  74. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 深夜業の制限の行使に当たりまして労使間で生じる問題といたしましては、やはりその深夜業の制限を請求したことを理由とした不利益な取り扱いにかかわる問題、または事業の正常な運営を妨げるか否かにかかわる問題があると考えられるわけでございます。  こういうような問題が実際に生じた場合につきましては、婦人少年室におきまして労働者事業主双方に対しまして必要な助言、指導を行うことによってこの法律の趣旨とする制度の適正な運営は確保していきたいというふうに考えております。
  75. 石渡清元

    ○石渡清元君 そしてさらに、今回の改正でございますけれども労働者が請求する際の請求期間が一回につき六カ月以内の期間となっておりますけれども、出産から小学校就学の始期に達するまででも六年あるわけであります。この間すべて請求をしようとするケースの場合は半年ごとに請求することになりますけれども、この辺の制度利用の点で、もう少し簡単なわけにはいかないかどうか。
  76. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 深夜業の制限を請求できる期間につきましては、今先生指摘のように一回の請求につきまして一月以上、六月以内としたわけでございますが、これを上回る期間について引き続き深夜業の制限を請求するためには、前の期間が終わるごとに更新するというシステムになっているわけでございます。  ただ、先生、これは法律では最低限保障すべき内容規定しているものでございますので、個々の事業所におきまして労使が話し合いをされまして、六カ月よりも長い期間やってもよいというようなことをしてもそれはよいわけでございますので、私どもといたしましては、深夜業の制限の制度の利用促進という観点からそういう旨は周知していきたいというふうに考えております。
  77. 石渡清元

    ○石渡清元君 周知、非常に大事なことだと思います。それと、ハードとソフトのそれに対応した諸施策、これを、ぜひひとつ充実、推進をしていただきたいと思います。  均等法関係をちょっとお伺いいたします。先ほど小山委員質問にもございましたが、ちょうど十年たちました。何が変わり何が変わらなかったか、もう一度端的にお答え願いたい。
  78. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) この十年間におきまして女子労働者の数は、特に雇用者でございますがかなり増加したわけでございます。平成八年には二千八十四万人ということで、この十年間において五百万人ほど増加をいたしました。この間、男性は四百四十三万人の増加でございますので、男性よりも多く増加をしたというわけでございます。  その結果、平成八年には雇用者総数に占める女性の割合は約四割に達したわけでございまして、我が国経済社会において女性たちの果たす役割は極めて大きくなってきているというふうに思うわけでございます。  また同時に、女性たちの姿も、かつてはどちらかというと若年の女性雇用者、若年末婚型の方が圧倒的に多かったわけでございますが、現在は中高年既婚型の方の方が多くなっているわけでございます。  少し数字を申し上げさせていただきますと、平成八年現在で女性雇用者の平均年齢は三十六・九歳、平均勤続年数は八・二年でございまして、この中には勤続十年以上の者が全体の約三割を占めておりますし、二十年以上の人も約一割を占めているわけでございます。  そういう意味で、働き続ける女性の数がかなりふえているし、また若くしてやめる結婚退職が一般だった時代から、そうではない、もちろん結婚退職する方もおられますけれども、中高年になってもまた働くというような形で、かなり女性雇用者の像というんでしょうか、平均的な像というのは大きく変化をしてきたというふうに思っております。
  79. 石渡清元

    ○石渡清元君 この均等法十年、どういうふうに評価をするかということが問題なんですね。したがって、今の答弁は女子労働の現状等々でわかります。  言いかえれば、実効性が問われているわけです。ですから、実効性の阻害要因は何かと、そういう問いについてはどのようにお答えになるでしょう。
  80. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) やはり日本女性労働者労働力率は、M字型カーブに代表されますように、二十五−三十四あたりが減るわけでございます。ですからその点について、もちろんそれぞれの御選択によって育児を自分の手でされるというのも、またそれはそれでいいことでございますけれども、もしも働き続けたいという女性がいるならば、そこのところはやはり職業生活家庭生活両立できるような支援策をしていかなければいけません。  また、職場において生き生きと女性たちが働けるようにするためには、やはり配置昇進のところにおいて男性均等機会を与えられ待遇確保されるような企業における雇用管理をさせていただくということが非常に重要であると思います。  そういう点での今回の法律改正でもあるというふうに認識をしております。
  81. 石渡清元

    ○石渡清元君 その法の精神はわかるんだけれども、ちょっとそういうことを聞いているんじゃな  それでは、もう一回言いかえますけれども男女間格差というのはどういうふうに変わったんですか。
  82. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 企業における女性雇用管理の状況を見ますと、配置昇進につきましては、従来男性のみを対象とすることが多かった研究開発職、それから営業職などへ女性配置する企業が非常にふえております。  例えば、営業職ですと平成七年度に五八・三%、研究開発職では六七・九%の企業において男女とも配置をしているというふうになっておりますし、また転居を伴う配置転換につきましても男女ともに対象とする企業が大幅に増加しているわけでございますし、また昇進につきましても係長相当職を中心に女性の登用が進んでいるというようなことで、女性職域拡大、就業分野拡大ということは随分変化をしてきたというふうに評価をしております。
  83. 石渡清元

    ○石渡清元君 これ以上やりとりしてもそういったような答弁になっちゃうかと思うけれども、私が申し上げたいのは、日本特有の男女の性的な固定的な観念というのを、これを少しずつ変えていかないとなかなか難しいかなと。あるいは男女の役割、そこから来る分担意識、ジョブセグリゲーションというの、労働省でよく使っている言葉、そういったような根本的なことにどう、メスを入れるというと全部労働省が指図してやる、そういう意味じゃなくて、やはり役割分担等々の意識を変えていかないと、さっきの少子対策も実はそうだと思うんです。そういったような意識改革については何か対策とか施策とかお持ちでしょうか。
  84. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 先生おっしゃるとおり、男女の固定的な役割分担意識というのを変えていくというのは非常に重要な点でございます。  例えば、均等法施行以来、先ほど来から企業における女性の登用は進んできたというふうに申しておりますが、一方で、例えば女性配置に関する考え方を見ますと、ここ数年で女性の特質、感性を生かせる職務に配置するという企業が増加する傾向が見られるわけでございます。また、女性の管理職の絶対数を見ますとまだ少ないというようなのが実情でございまして、こういう点で、個々の企業においてやはり女性向きの職種だとか、例えば女性は管理職に向かないのではないかという意識が残っている部分があるということも確かであるというふうに思うわけでございます。  そういう点から、この男女の固定的な役割分担意識とか過去の経緯から、男女労働者の間に事実上生じている格差につきましては、今回の均等法の差別禁止規定企業に遵守していただくだけではなかなか解消できないという観点から、企業がこのような差に着目をしていただきまして、女性能力発揮を積極的にかつ自主的にやっていただこうということで、そのポジティブアクションというものの促進が重要であるということを認識したわけでございます。  そして、今回の改正法案の中にも、国がこのような企業の取り組みを援助する規定を置くとしたところでございまして、労働省といたしましては、このポジティブアクションの重要性とかやり方につきまして事業主企業の理解を深めて取り組みを促していきたいというふうに思っております。
  85. 石渡清元

    ○石渡清元君 その固定観念というのは中央官庁が一番強いような、私はそういう目で見ておるわけで、労働省はその中では一番ポジティブアクションが進んでいるとは思いますけれども、スムーズな移行というのをぜひ強力に進めていただきたいと思います。  最後に、セクシュアルハラスメント、これも新しい議題になっておりますけれども、これはその相手によって大分違います、立場によって、男性の立場、女性の立場によって大分違うと思うんです。どういうケースが問題になってくるのか、簡単でいいですよ。
  86. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 近年、婦人少年室に寄せられますセクシュアルハラスメントの相談件数というのは千件近くに上がっておりまして、その中では悪質なものもいろいろあるわけでございます。どのようなものかということでございますが、セクシュアルハラスメントにつきましては、いわゆる対価型と環境型という言い方をしておりますけれども、要は、職場において行われます性的な言動に対応して、実際に女性がその労働条件によって不利益を受けるものが対価型でございます。それから、性的な言動により女性労働者の就業環境が害されるというのが、これが環境型でございます。  具体的にどのような例かということでございますが、対価型としては、例えば上司から性的な誘いを受けたと、しかし嫌なので当然断ったと、そしたらその上司が、彼女の賞与の査定で最低ランクに評価するというような事例があるかと思います。  また、環境型といたしましては、毎日のようにちょっと性的な言葉をかけられたり、性に関するうわさを会社の中で流されてしまってストレスが高じて職場に出られなくなってしまうというような事例が環境型のセクシュアルハラスメントであるというふうに思っております。
  87. 石渡清元

    ○石渡清元君 このケースというのは相手の受けとめ方等々について非常に千差万別だと思うんです。  それで、今回の法改正では事業主の配慮する指針を出すというんでしょう。その内容を簡単に、ということは、今の事例の場合、課長だか係長が、例えばそういうような社内で、相手の女性に対してそういう行為をしたときにどこまで責任等々、私は非常にそういった内容というのは個人的なケースかなというようなふうにも受け取られるんです。それが事業主責任まで行ってしまうのかどうか。それは、あるいは昇進とか昇給とか、そういったようなことが関係すると社全体の問題になるかもしれないけれども、その方がそれだけの権限のある立場かどうかというのでも大分違うし、その辺のところの配慮指針というのはどういったようなことを考えているんですか。
  88. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) まず、相手がどうかという点でございますが、私は、これは女性労働者をきちっとした戦力と見、きちっとした人間として評価をしていらっしゃる企業においては基本的には起こり得ない問題ではないかというふうに思うわけでございますが、その点、女性労働者に対する見方が本当の一人前の戦力でないような場合に起こるのではないかというように、戦力として見てくださらない企業さんにおいて起こりがちではないかというふうに思うわけでございます。  指針内容でございますけれども事業主が配慮すべき事項に関する指針を今後つくるわけでございます。これは公労使から成ります研究会においてアンケート調査もいたしまして、実態を踏まえて具体的な内容を御検討していただく予定にしておるわけでございます。  そして、現段階におきましては、事業主が配慮すべき事項といたしましては、例えば企業におけるセクシュアルハラスメント防止のための雇用管理上の指針をきちっとつくっていただくとか、従業員に対する研修のときに研修をきちっとやっていただくとかいうようなことが考えられるわけでございまして、こうした事項を含めまして実効のある指針を策定していきたいというふうに思っております。
  89. 石渡清元

    ○石渡清元君 前段の答弁、ちょっともう少し幅広く考えた方がいいと思う。ということは、日本ではそうかもしれないけれども、割合国際化していますから、経済も。アメリカでは女性に対してどちらへ行くんですかということ、その言葉ももうセクハラの対象になるというぐらいなんですね。それも時と場合、いろんなケースですから一概には言えないんですけれども。  したがって、この辺のところの扱いというのはかなり慎重かつ具体的にやっていかないと一方で誤解を招く可能性がある。それと同時に、被害に遭った方々に対する相談体制を、受け皿というのをきちっとしてほしい。  私、時間でありますので、最後に今回の法改正が二十一世紀に向けてどのような新しい流れをつくり出していくのか、大臣のお考えをお伺いし、質問を終わります。
  90. 岡野裕

    国務大臣岡野裕君) 先生おっしゃいましたやはり社会における意識全般の改革がないと、労働行政だけで幾ら踏ん張っても実が上がるものではないと存じます。  具体例で言いますと、よく選挙の応援なんかに参ります。そうすると、宣伝カーが帰ってまいります。そうすると、それ昼飯だ、それ炊き出したというと、炊き出しというのはみんなエプロンをかけた家庭の主婦の方であって、男の人がおかまで飯を炊くというのはないと。  それも一つの具体的な例でして、ぼくは隣の院では、おじいさんは山へしば刈りに、おばあさんは川へ洗濯にの話から始めて、もう数百年の伝統があるんですな。アマテラスオオミカミは機を織っており、スサノオノミコトは狩りに出て生き馬の皮をはいでアマテラスオオミカミにぶん投げたという古事記の記述もあるので、そんなもう何千年の中で育ったものを一つ改革をする。だから先生、本当に革命だというようなことでございます。細かなことから作業を開始して、全般的な意識改革、これをもってひとつ労働行政の男女雇用均等を確立してまいりたいと。  時間ございませんので、このぐらいの答弁でお許しを願います。
  91. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後零時四十分まで休憩をいたします。    午前十一時四十三分休憩      —————・—————    午後零時四十一分開会
  92. 勝木健司

    委員長勝木健司君) ただいまから労働委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、雇用分野における男女均等機会及び待遇確保等のための労働省関係法律整備に関する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  93. 武田節子

    ○武田節子君 平成会の武田でございます。  まず、最初に女子差別撤廃条約との関連でお伺いしますけれども、女子差別撤廃条約はあらゆる分野男女平等な条件で参加することを求めておりますが、第四条においては男女の実質的平等を達成するための暫定的な特別措置をとることは容認されております。  現在、女性男性に比べ家庭責任を重く担っている状況を考えれば、女子保護規定撤廃については慎重に対処すべきと思いますが、いかがでございましょうか。
  94. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 女子差別撤廃条約におきましては、育児等の家庭責任は男女の共同責任と位置づけられているわけでございます。また、いわゆる女子保護規定見直しして、男女同一の扱いにしていくことが求められているわけでございます。  一方、この四条の一項で示されております暫定的特別措置といいますのは、いわゆるポジティブアクションのことを指すものでございまして、具体的措置といたしましては、例えば女性を対象とした追加的な訓練を行うとか、女性の応募を奨励するために求人情報を男性より女性に多く提供することなどが該当すると思われます。  いわゆる女子保護規定は、第四条一項の暫定的特別措置に当たるとは解されていないところでございまして、女性男性と同一の労働条件に立って均等な取り扱いを受けられる状況の実現を図ることがこの女子差別撤廃条約の趣旨にもかなうものであるというふうに考えております。
  95. 武田節子

    ○武田節子君 もし、仮に女子保護規定撤廃するのであれば、労働時間や健康及び安全に関する保護を男女同一レベルで行うことが条約上十一条で求められております。しかし、今回の法改正では、男女共通労働時間規制については中基審で検討していただくとの答弁にとどまっております。  男女ともに、職業生活家庭生活との両立できる条件整備を念頭に置きつつ男女同一の法的枠組みを整備することは、平成八年七月の男女共同参画ビジョンにおいても指摘されているところでありますが、法の施行までに何らかの規制を設けるべきと思いますが、いかがでございましょうか。
  96. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) 今回の均等法その他関連法律改正におきましては、今御指摘のございましたように、男女同一の枠組み、そういった法制化のもとでこれから能力を発揮していただこうという趣旨に基づいて改正が行われるわけでございまして、御指摘ございました労働時間あるいは安全、健康の問題につきましても、そういった状況をつくっていくための改正と理解しております。  ただ、そういった改正施行される中で、やはり今まで以上に個々の働く方々が男女双方仕事家庭あるいは地域生活、いろんなこととの調和、バランスのある職業生活というものがより求められるわけでございまして、長い時間外労働というようなものについてどうあるべきかということが求められることは、これは非常に大きい課題であるし、私どももそれを受けとめていかなければならないというふうに考えております。  したがいまして、現在、中央労働基準審議会の方でそういったことも踏まえて、他の幾つかの項目とあわせまして時間外労働、休日労働のあり方について御議論を願っておりまして、この七月いっぱいには一定の方向を見出していただきたいということをお願いしている状況でございます。  ただ、先生からございましたように、この規制という考え方になりますと、規制という言葉についていろんな幅はあるかと存じますが、強い意味で理解させていただければ、やはり我が国の景気変動に対応した雇用調整機能等を持っている時間外労働、いわばそういった労働雇用慣行とのいろいろなかかわり合い等もございまして、慎重に議論を進めなければいけないのかなというふうに理解をいたしておるところでございます。
  97. 武田節子

    ○武田節子君 では、女子保護規定廃止に伴う男女共通労働時間規制必要性についてお伺いします。  女性職域拡大均等取り扱いの推進から女子保護規定の廃止をやむを得ないものとした場合、家庭責任をより多く担う現状にある働く女性の加重負担が憂慮されます。女性の加重負担を防止するには男性も十分家庭責任を担えるような環境整備が必要であります。すなわち、無制限に等しいとされる時間外労働や休日労働、さらには深夜労働をできる限り制限することが求められております。  したがって、女子保護規定を廃止するならば、女性の加重負担を防止するための男女共通した労働時間規制がどうしても必要となります。こうした措置がとられない限り、保護規定廃止を行うべきではないと考えます。また、こうした男女共通労働時間規制は、今、国民的課題、国際公約ともなっている労働時間の短縮に向けた措置としても重要であります。  このような観点から次のことを質問してまいります。  まず、女性の加重負担回避のために、男女共通労働時間の規制が必要との観点からお伺いしますけれども、最初に我が国の総実労働時間の実態、推移について御報告ください。
  98. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) 我が国の総実労働時間の実態と推移について御説明を申し上げます。  年間総労働時間の推移でございますが、六十二年度当時の水準、総実労働時間が二千百二十時間でございまして、現在、平成八年度、千九百十二時間となっておりまして、その間二百時間程度の総実労働時間の減少を見ているところでございます。
  99. 武田節子

    ○武田節子君 時間外労働の実態について、時間外労働時間の現状と推移、割り増し率の実態、サービス残業の実態等を中心にお聞かせくださ
  100. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) まず、時間外労働でございますが、六十年代に入りましてしばらく増加が続きまして、平成元年度には年間で百八十八時間といったような水準に達したことがございます。その後、減少傾向となりまして、最近、景気の回復基調の中でやや増加しておりますが、百四十八時間という水準で推移をいたしております。  割り増し賃金率でございますが、この平成七年の五月、六月に行いました実態調査に基づきますと、法定どおり二五%の割り増し率で実施している事業所が九二・一%でございまして、三〇%としているところが三・七%、三五%としているところが一%といったような状況で、法定の割り増し率どおり実施しているところが大半であるという状況でございます。  それから、御指摘ございましたサービス残業でございますが、これにつきましては、統計的に把握することは困難なものでございますが、私ども労働基準監督官が定期的に監督等を実施する際の、そういった割り増し率に基づいた残業割り増し賃金が払われているかどうかというのは監督の際の重要項目でございまして、年間約一万件程度の事業所についてそういった割り増し賃金関係の違反を見つけ是正をさせておるところでございます。
  101. 武田節子

    ○武田節子君 統計上は労働時間短縮が進んでいるとはいえ、パートの増加あるいはサービス残業の問題もあって、労働力調査で把握すると異なった数字となっております。企画庁の経済研究所が発表した「働き過ぎと健康障害」においても指摘されておりますけれども、こうした点を勘案した場合に、我が国労働時間の実情はかなり厳しいものと思いますけれども労働省はどのように認識されておりますか。
  102. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) 我が国の総実労働時間でございますが、先ほど申し上げましたように、ここ十年で二百時間余の減少を見てきておるわけでございまして、労働時間の短縮が着実に進んでいるというふうに理解をいたしておるところでございます。今回実施されました週四十時間労働制、これを完全に定着させていくことにより、さらなる総実労働時間の短縮が進んでいくものというふうに理解をいたしております。  ただ、諸外国と比較をいたした場合には、アメリカの千九百八十六時間に比べますと日本の方が短くなってきた、これは以前アメリカの方が短かったわけですが、それを追い抜いた状況でござ  いますが、やはりドイツ、フランスよりは長い、こういった状況もございます。  また、国の経済計画に基づきましてこの千八百時間というものへ近づいていく、こういう目標を持っておるわけでございまして、私ども今後とも四十時間制の定着を初め、長時間残業の削減、有給休暇の取得促進、こういったことを軸にさらに時間短縮を進めていかなければならない段階であるというふうに理解をいたしているところでございます。
  103. 武田節子

    ○武田節子君 アメリカと比較しなくても、私、生命保険会社に勤めている女性労働者に何人か聞きましたけれども、とっても大変なんですね。ほとんど毎日が残業で、九時から五時だけれども八時、九時が普通である。そして、残業はどんなにしても一カ月一方、年間十二万まで。それ以上つけたら呼び出されて忠告をされる。ちゃんと記入するものまで入れられて、そして一万円で抑えるということで、年間十二万円以上はつけないことという、そういう指令が出ております。本当に全身疲労で、腰痛になったりあるいは眼精疲労で緑内障の疑いあり、定期的な外来通院によって診療が必要であるという診断書をもらって出しても、疑いだからまだ大丈夫だ、疑いの場合は自己管理で治しなさい、みんな病気しながら働いているんだよ、うちのばあさんは八十で緑内障だけれども元気だと、どうしてそこで八十のおばあさんと私を比較するんだと怒っておりましたけれども、そういう実態がございました。  そういうことを通しますと、本当にみんなこういう中で、今度の時間外とか規制を緩和されたら私は女性の過労死が一直線に走るだろうということを心配するんですけれども、どのようにお考えでしょうか。
  104. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) 今、先生からお挙げになりました事例でございますが、私どももそういった事例について問題視している一面がございます。時間外労働の管理につきまして、自己申告といったような形で管理していく、このことがともすれば安易な時間管理につながったり、職場全体の雰囲気、あるいは組織的ないろんな時間管理に対する考え方の中でなかなか実際どおりの申告がしにくい、いろんな形を生んでいる一面があるんではなかろうかという懸念をいたしているところも確かにございます。  私ども、先ほども申し上げましたように、特に都市部等のオフィスをかなり抱えている監督署につきましては、そういった点の監督をかなり重点として進めてきております。  今、先生指摘になられたような方も、そういった職場内の安易な自己申告等に基づく時間管理の中で決してそのまま黙っておられるのではなくて、もし監督署等の方へ申告、相談等していただければ、私どもかねてよりこういった問題については監督等の重点事項といたしておりますので、迅速に適切な対応を事業主等も交えてとっていくように努力をいたしたいと思っておりますので、ぜひそういった点につきましてはそういったことを進めていただければと思います。  とりわけ、今後この均等法改正等を通じまして、女性の方の職場への進出また能力を発揮するためのいろんな働き方というものが増加していく中で、そういった問題については私ども心して対処していくように第一線の労働基準監督署員も含め意思統一を図ってまいりますので、ぜひそういった事例について私どもの方へ申告なり相談等していただいて問題の解決を見させていきたいと思っております。
  105. 武田節子

    ○武田節子君 彼女たちから異口同音に出るのは、どうしても歯どめは絶対必要だという声が圧倒的に多いということをお伝えいたしておきます。  次に、連合は、政府の目標である、国際公約ともなっている年間総労働時間の千八百時間の達成並びに均等法改正に関し廃止される女子保護規定にかわる新たな措置を設ける観点から、時間外、休日及び深夜業に関する男女共通規制を求めております。具体的には、年間百五十時間を目標として、当面適正化指針にある期間と水準を立法化するとの観点から、年間三百六十時間等を求めております。衆議院審議及び附帯決議の中では、労働省は中央労働基準審議会において行われている時間外・休日労働のあり方の検討に際し、適正化指針実効性を高めるための方策について検討していただく旨を明らかにいたしております。  今の適正化指針は、法律上の根拠を有していない目安となっていることから、規制力を持っていないものであり、時間外・休日労働の上限を抑制する効果が薄いと考えております。したがいまして、適正化指針実効性を高める方策としては、適正化指針の法的根拠を設けることが適切ではないかと考えますけれども、いかがでございますか、お伺いいたします。
  106. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) ただいま時間外の労使協定につきましての適正化指針実効性を高める方策の一つとして法的根拠を持ってはどうかという御指摘でございます。  この点につきましては、過去、私的諮問機関でございますが、労働基準法研究会等からもそういった法令の中で何か位置づけることを工夫してはどうかというような御指摘をいただいてきた経緯も確かにございます。  現在、中央労働基準審議会で時間外労働、休日労働のあり方について御議論を願っておるわけでございますが、そういった広範な角度から検討が行われるように、そして真に有効なものとなることを期待しながらそういった御議論をお願いしてまいる所存でございます。
  107. 武田節子

    ○武田節子君 実効性を高める措置は、改正均等法施行日となっている一九九九年四月一日と同時期にし、均等法施行との間に空白期間を置かないようにすべきと考えますが、いかがでございましょうか。
  108. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) 適正化指針実効性を高めるための方策につきましては、確かにいろんな角度から審議会で御議論が行われると思いますが、そういった際、どういった方向になるにせよ、その方策が平成十一年の四月という均等法施行時期をにらんで検討が行われ、間に合うようにお願いをしてまいる所存でございます。
  109. 武田節子

    ○武田節子君 衆議院審議及び附帯決議で、家庭責任を有する女性労働者がこうむることとなる職業生活労働条件の急激な変化を緩和するための措置を中央労働基準審議会の意見を聞いて行おうとしております。この措置については、男女共通規制を講じた上、なお当該労働者の条件の激変を避ける措置であると考えますけれども、それでよいのでしょうか。激変緩和措置だけが経過措置として先行されるべきではないことを確認したいと思いますが、いかがでございましょうか。
  110. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) 御指摘のございました男女共通規制というものにつきまして、これからの議論がどう展開するのか定かでございませんが、先ほど申し上げましたような、現在の適正化指針実効性を高めるための方策について審議会できちっと議論が行われるのかという御趣旨であれば、私ども、御指摘ございました激変緩和措置、それとあわせて審議会において適切な対応策が取りまとめられるようにお願いをしていくつもりでございます。
  111. 武田節子

    ○武田節子君 次に、女子保護規定廃止と母性保護に関して伺いますけれども、医学、生理学、科学的視点からの、女子保護規定の廃止によって深夜業、長時間残業が母性に影響ないとする科学的根拠をお聞かせください。
  112. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 深夜業とか長時間残業が、男女を問わず一般的にストレスや疲労をもたらして健康面影響があるという指摘があることは承知しておりますし、さらに妊産婦にとって負担となり、その保護が重要であるということも承知しているところでございます。  他方、妊娠前の女性につきましては、深夜勤務や長時間残業によりまして母性そのものに影響があるという報告は見られないところでございまして、長時間労働や深夜業の母性への影響についてどうかということにつきましては、国際的にも妊娠して以後の問題としてとらえられているわけでございます。  昨年十月の母性保護に係る専門家会議におきましても、こうした事情を踏まえまして、臨床経験豊かな産婦人科関係のトップレベルの専門家を中心に母性保護の範囲についても御検討いただいたわけでございまして、その結果、時間外労働、休日労働及び深夜業につきましては、妊産婦以外の女子の妊娠・出産機能に影響があるという医学的知見は見当たらないという結論に至ったものでございます。
  113. 武田節子

    ○武田節子君 一般的に、労働時間においては男性女性の体力的差異に基づく規制は根拠がなく、もはや全く不要であると考えてよろしいのでしょうか。それから、女性男性並みに労働した場合の安全性は確認されているのでしょうか。特に、現在妊娠していなくとも、深夜業や長時間残業による肉体的疲労等が将来的に出産や生まれてくる子供へ悪影響を与える心配はないのでしょうか。こうしたことを裏づける安全確認のための調査研究を労働省は行っているのでしょうか。  大変難しい問題だと思いますけれども、これから女性職場進出はどんどん多くなりますし、医療技術も開発も進むでありましょうから、この方の研究等にも取り組んでほしいなという思いを込めてお伺いいたします。
  114. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 女子保護規定は、年少者と同様に、女性を弱者、弱いものとしてとらえて保護するという目的で制定されたものでございます。女性労働者についての労働条件とか社会的条件が非常に低かった時代においては、それはそれなりに合理的な意義があったというふうに考えておるわけでございます。  しかしながら、経済社会の状況とか、女性労働者の就業の実態、職業意識等が大きく変化をして、そういう変化を踏まえましたときに、女性労働者に対する時間外・休日労働、深夜業の規制につきましては、やはり男女均等の取り扱いを確保いたし、女性職域拡大を一層図るという観点から解消すべき時期に来たと認識をしております。  労働省といたしましては、従来から、労働安全衛生法に基づきまして、労働者健康確保とか妊産婦就業制限など、労働基準法母性保護のための諸規定整備充実してきております。今後とも、引き続き男女がともに健康でバランスのとれた職業生活家庭生活を送ることができるよう対策は推進をしていきたいと思っておるところでございます。  また、深夜業や長時間残業による肉体的疲労への御心配質問でございましたが、深夜業や長時間残業によりまして男女を問わず肉体的な疲労をもたらすという指摘がなされていることは承知をしておるところでございますが、そのことが直ちに出産機能や生まれてくる子供影響を及ぼすものではないということは、先ほど述べました専門家会議におきまして確認をされているところでございます。  ただ、深夜業や長時間労働がストレスとか健康の面から労働者にとって好ましくないというのは当然でございまして、これはやはりできるだけ避けることが望ましいと考えます。このため、深夜業を行う必要がある場合には、配置がえの際の健康診断とか定期健康診断によってチェックを行うということとともに、健康診断の結果、医師の指示に従った対応を図るなどの措置を講ずることによりまして深夜業による健康面への悪影響は排除していくということにしているわけでございます。  そしてまた、三つ目のそういった先生の御心配を裏づけるための調査研究を行っているかという御質問でございますが、先ほど申しました昨年十月に開催されました専門家会議におきましては、深夜業、時間外労働が一般女性妊娠・出産機能に及ぼす影響に関しては特段の調査を行っておりませんが、その理由といたしましては次のとおりでございます。  まず一番といたしまして、そもそも深夜業等の妊娠・出産機能へ及ぼす影響につきましては、国内外を問わず基本的に妊娠以後の問題としてとらえられておりまして、これはILO初め国際的にもこうした考え方は確立しているという点。  二つ目といたしまして、国外の各種調査におきましても、深夜業などの一般女性への影響につきましては、これを専ら妊娠・出産機能の問題としてとらえまして調査を行ったものは見当たらないところでございます。また、国内におきましても、既に深夜業が行われている分野に関し、専門家医の臨床上、深夜業などが妊娠前の女性妊娠機能に影響があるという所見は見当たらないわけでございまして、専門家の判断によっても特段の調査を行うことの必要性は認められなかったものでございます。  なお、昨年の専門家会議では、専門家による臨床上の知見をもとに母性保護の範囲についても検討を行ったわけでございますが、深夜業や時間外労働妊産婦以外の女子の妊娠・出産機能に影響があるという医学的知見は見当たらないという結論に至ったものでございます。
  115. 武田節子

    ○武田節子君 現在、深夜業を認められている職種で、深夜業を行っている女性の声はどのようなものか把握しておられますでしょうか。
  116. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 深夜業に関する女性労働者の声といたしましては、昨年七月の婦人少年問題審議会婦人部会中間的取りまとめに対して寄せられた意見などがございますが、その中で、変則的な勤務で夜中に帰宅し早朝出勤しているため慢性疲労となっているというような意見も見られました。また一方で、きっちりとした仕事をしたいので、男性と同じ条件でやる方が深夜勤務をしないで肩身の狭い思いをするよりずっといいという意見とか、それから深夜勤務の肉体的な負担は男女では変わらない、それからシャワーとか仮眠室をきちんと整備した上で、男女とも体調とか家庭の事情が考慮されるべきというような意見も寄せられているところでございます。
  117. 武田節子

    ○武田節子君 局長からもいろいろデータを今教えていただいたんですけれども、私も、夜間勤務時のホルモン動態と月経異常というものを調査した人のレポートをちょっと手にしたんです。  初めに、勤労女性の増加とともに、労働妊娠や分娩に及ぼす影響については数多く報告されているけれども夜間労働女性のホルモン動態や月経周期に及ぼす影響についてはわずかしか報告されていませんと。でも、今回、夜間労働の対象職種として、教師、看護婦、ホステス、事務員に夜間労働の有無と月経周期の規則性、夜間勤務に伴うホルモン分泌動態の変化について検討して観察したという報告をもらっているんです。  対象及び方法は、夜間労働に伴う不規則な月経と閉経に由来する不規則な月経と区別するため、四十五歳以下の女性を検討対象とした。年齢、身長、体重、月経周期、就労状態を尋ね、不規則な月経の定義、七日以上の変動を示すもの。  結果としては、不規則な月経を訴える婦人の割合は、教師で一三・一%、事務員が一四・九%、看護婦二四・九%、この夜間の看護婦は二四・九%で昼間だけの看護婦は一五・〇%と一〇%の差がございます。工場労働者が三六・八%、ホステス四〇・三%。こうして見ますと、低い順から申し上げますと、教師、事務員、昼間の看護婦、工場労働者、それから一番高いのはホステスであったと。  こうした検討から見ると、最も高い出現率を示しているのは常に夜間だけ勤務するホステスが一番高い。つまり、恒常的に夜間に勤務することばかりでなく、交代勤務で夜間に就労する場合にも夜間勤務は卵巣機能に抑制的に作用するものと推測される。学生時代と看護勤務の就職三カ月の月経状態を比較しても、就労に伴い不規則な月経となった女性が増加していると報告しております。  夜間勤務についている婦人の月経不順の頻度は二二・五%、夜間勤務を有していない勤労婦人は一二・九%と非常に夜間の方が高い値であります。夜間勤務と月経周期との関係に注目をしている。いろいろたくさんありまして、時間の関係もありますから結論だけ。  堀口雅子先生が最後にまとめたのには、女性は月経や閉経というサインがあり、体の変化に気がつくけれども男性にはサインがないため体の変化に気がつかず働き続けて、気がついたときはおしまいの突然過労死を迎える。男性の働き過ぎに合わせるのではなく、ゆとりある生き方が問われる時代ではないか。深夜業では安い賃金の女性や海外から来た人たちが使われている。オウム捜査のときにカナリアを持って入った、弱いカナリアが倒れれば人間にも害があることがわかる。それと同じように女性には月経がある、無制限な働き方をすればそれにはサインが出るというレポートでございます。  最後に、深夜保育は反対である、将来高齢化社会を支える子供たちにお父さん、お母さんと一緒に過ごせる時間が必要であり、理想であると、こういう報告がございますけれども局長の御感想はいかがでしょうか。
  118. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 先生が今御指摘の夜間勤務女性の身体への影響につきましては、特にその月経異常とホルモン動態の影響についての調査研究が行われているということは承知をしているところでございます。  これらの調査研究の指摘につきまして、専門家会議の専門家によりますと、働く女性の一部の職種において月経不順が多いとしても、月経不順に及ぼす要因といたしましては長時間の立ち作業による疲労とかストレスも重要であって、深夜業だけに起因するとすることは妥当ではないということ、また月経不順が直ちに妊娠機能の低下につながるものではないということ、また夜間勤務が卵巣機能に及ぼす影響のメカニズムについては現在のところまだ不明であるということ、そしてまたホルモン動態への影響が御指摘の論文に言及するとおりであると仮定いたしましても、こうしたメカニズムは男性にも同様に作用するものであると思われますので、女性のみについて深夜勤務影響を問うことは妥当ではないという指摘を得ているところでございます。  労働省といたしましては、深夜業の妊娠、出産機能への影響については、こうした専門家による医学的知見、国内外の状況等を十分に検討した上で今回の基準法改正を行うこととしたものでございます。
  119. 武田節子

    ○武田節子君 今私が申し上げたのは、女性の深夜業だけがだめだというのではなくて、女性がこうなんだから男性に合わせるのではなくて女性に合わせる方が大事ではないかということを思いながら話したわけでございます。  男女ともに深夜業を行う場合については、事業主労働省に報告義務はあるのでしょうか。三六協定については休日労働と時間外労働については報告義務はありますが、深夜業については報告義務がないのはなぜでしょうか、お伺いいたします。
  120. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) 先生から御指摘がございましたように、労働基準法上、時間外労働、休日労働につきましては一応全面的にこれを禁止した上で三六協定がある場合に初めてそれが可能だ、こういう法体糸をとっておりまして、その禁止を解除すると、こういう意味の三六協定については届け出をさせておるところでございます。  ただ、深夜業につきましては、これはやはり生産技術上あるいは社会生活の利便上欠かせない一面もあるわけでございます。また、近年はグローバル化に伴いまして、いろいろ国際業務等につきましても深夜に及ぶ形態が出てきておるわけでございまして、そういった深夜業そのものについてこれを禁止していると、こういうものではございませんので、これを行う場合の報告というものは求めておらない、こういった体系になっております。
  121. 武田節子

    ○武田節子君 それは特定業種のみが深夜業が許されていたわけですから、そういう報告義務がなかったと思いますけれども、これがこのまま外されていけば、休日労働、時間外労働については三六協定で報告がありますけれども、それ以上の過重労働である深夜業については報告義務が必要ではないでしょうか。いかがでしょうか。
  122. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) 深夜業につきましては二つあるかと思いますが、一つは時間外労働が長くなったために深夜に及ぶような形態、これにつきましては先ほど来申し上げましたように時間外労働の適正化指針、これにつきましてさらにそれが実効あるものとして私ども運用させていただきまして、そういった長時間労働、特に恒常的なものの削減にぜひ努めていきたいというふうに思っております。  専ら交代制等を中心とした深夜業の問題でございますが、これは先ほど申し上げましたように、生産技術上あるいは社会生活の利便、あるいは国際的な対応等のケースからどうしても欠かせないものがあるわけでございまして、これらにつきましては割り増し率、こういったものでその労働の過重性に対して一定の歯どめをかける措置をとっております。  その具体的な深夜業のあり方につきましては、これ自体はシフト編成その他にしましても労使間で十分話し合っていただいて休養のとれる仕組みをお願いしているわけでございまして、法律ベースにおいて何らかの規制を行うということはなかなか難しい。そういったこともございますので、報告をさせるというようなことになかなかつながっていかない性格のものであろうと理解しております。
  123. 武田節子

    ○武田節子君 例えば、厚生省の食品日付表示の基準について期限表示、いわゆる賞味期間のみを厚生省の方では表示すればよいことになっていますけれども、東京都初め幾つかの地方では製造年月日を表示するよう条例で定められているところもございます。消費者から見ればどうしても新鮮なものがよいという要求がありますから、事業主はそのためにわざわざ夜中の十二時ぴったりから朝まで仕事をして日付を入れるようにしております。この場合、夜中に女性仕事に向かう。この間もテレビで見ましたけれども、深夜、本当に暗いところを中高年のおばさんが一人で走って仕事場にはせ参じて日付を入れるわけです。  これは非常に危険でもありますし、わざわざ製造年月日のために深夜業をさせるということに対して、この場合労働省はどう思われるのですか。また、基準法で深夜業が原則自由になりますから、今伺いますと指導も何もできないわけでございますね。しかし、この仕事はパートの安い賃金で、しかも危険を冒して、これだけではありませんけれども、これが職域拡大雇用拡大とはとても評価できるものではありませんが、このことに対して労働省はどのようにお考えでしょうか、お尋ねいたします。
  124. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 御指摘の件につきましては、各企業の生産の経済性とか合理性、またその食品衛生上の問題、それから消費者の要望というんでしょうかニーズなど、さまざまな方面にわたる問題があるわけでございますので、製造年月日の問題だけをとらえて深夜業の是非を判断することはできないというふうに考えるわけでございます。  実際に深夜業を行う場合におきましては、健康診断の実施とか、その結果に基づく適切な配置等、労働安全衛生法により義務づけられた措置というのはもとよりでございますが、通勤時の便宜とか、安全を確保するための措置とか、勤務の負担軽減の措置、また福利厚生の充実を図るための措置など、いわゆる就業環境整備には努めていただくことが望ましいと考えております。特に、安全衛生法によりまして義務づけられました措置につきましては、その遵守の指導徹底には努めてまいりたいと思います。
  125. 武田節子

    ○武田節子君 衆議院審議労働省は、深夜労働の問題について、時間外・休日労働のあり方の関連事項として、中央労働基準審議会で検討をしていると答弁いたしております。また、五月二十六日の参議院本会議での代表質問に対して橋本総理大臣は、「深夜業を禁止すべきではないかというお尋ねがございましたが、本問題につきましては関係審議会で検討されておりまして、その結果を踏まえて対処してまいります」の旨の答弁を行っております。  深夜業は、男女の区別なく、健康及び家庭社会生活観点から、できる限り抑制されるべきものであり、かつ女子保護規定の廃止による影響を考慮した上限設定が必要と考えます。具体的には、深夜の労働時間数、深夜労働の回数、勤務勤務との間の間隔時間の確保等について制限を設けるべきと考えますけれども、最近の過剰サービス、過当競争からくる二十四時間営業の拡大問題も含め、深夜業について考え方を明確にお示しください。
  126. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) 深夜業につきましては、繰り返しになって恐縮でございますが、我が国のいろいろ産業経済活動の実情を見ますと、どうしても欠かせない分野があるわけでございまして、そういった状況を考えますと、これを規制するということについてはかなり慎重に対応すべきものというふうに考えておるところでございます。  特に、近年におきましては、深夜業を要する分野というのも、国際化等への対応業務等が加わりまして、それぞれが、回数なりあるいは深夜の業務の時間とかも極めて多様化しておるわけでございまして、画一的な規制等を行っていくことは大変難しい問題があるということにつきましては御理解をいただきたいと思っております。  中央労働基準審議会の方におきましては、まず時間外・休日労働のあり方についてこれからどういつだ方向が望ましいのかということ、これは制度的にも考えていこうと、こういう観点で議論が行われておりますが、当然それに関連して深夜業というものも関連してくる場面があるわけでございます。  将来において割り増し率等をどう考えていくのかと、もしこういう議論になれば、当然深夜業についてもその関連として考えていかなくてはいけない。そういった意味で、時間外労働、休日労働のあり方、またそれに関連する深夜業の問題につきましては、今審議会の方で御議論をお願いしている、こんなことで議論をある程度進めてある段階でございます。
  127. 武田節子

    ○武田節子君 ぜひ労働者側に立ったいい考えを示していただきたいことをお願いいたします。  次は、救済措置としての苦情の自主解決女性少年室長の援助・調停制度、女性少年室に関して伺います。  一つ目は、配置昇進、教育訓練等に関し差別的取り扱いがある場合は、法は女性労働者に対しては事業主に苦情を申し出る道を設けており、事業主に対しては苦情処理機関を設けるなどにより自主的解決を図る努力義務をも課しております。これによって自主的解決が図れず、苦情が女性労働者事業主との間の紛争に発展した場合の対策として、法は、都道府県女性少年室長に、助言、指導、勧告の権限を与えるとか、調停委員会の制度を設けているわけであります。  雇用は継続拡大が大事でありますから、これらの制度を利用したために職場にいづらくなるのでは意味がありません。この点について改正前の法は何ら規定していませんでしたが、今度の法改正では、女性少年室長に援助を求めたり、調停の申請、女性の不利益取り扱いを禁止する規定を設けることとしているのは評価いたします。  そこで、まず苦情、不満の自主的解決についてお伺いいたします。  企業における相談体制の整備状況はどうなっているのでしょうか。調査したことがおありなのでしょうか、お尋ねいたします。
  128. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 女性仕事をしていく上での苦情とか不満があった場合の企業内での相談体制の御質問でございますが、平成七年度の女子雇用管理基本調査によりますと、「上司が相談を受ける」というのが七九・九%と一番高くなっております。それから、「人事担当者が相談を受ける」というのが四五・八%、「事項によりそれぞれの担当部署が相談を受ける」というのが三四・五%となっておりまして、苦情処理機関にゆだねるところはそう多くないようでございます。  また、苦情処理機関が設置されているかどうかということでございますが、平成六年の労使コミュニケーション調査によりますと、全対象事業場の二〇・三%において苦情処理機関が設けられております。もちろん、これは均等法だけの苦情処理機関ではございません。すべての苦情処理機関でございますが、二〇・三%でございまして、必ずしも一般的に設けられているような状況ではございません。先ほど申しましたように、むしろ上司とか担当者が相談を受けて苦情の処理の解決を図っているというのが実態であろうというふうに思います。
  129. 武田節子

    ○武田節子君 社内の苦情処理機関はわずか二・二%にすぎません。何らかの方法で苦情、不満が処理されれば、それはよいかもしれませんが、苦情処理機関が何か利用しにくいというのであれば、何か問題があるのかなと。労働省はどのようにこれを受けとめておられるのか。  また、直接上司への相談が大変多いんですけれども、管理職に対する苦情処理教育が大事なことも考えられますが、あわせてこれについても労働省のお考えをお示しください。
  130. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 労働者が苦情とか不満があった場合に、その解決のためにどのような手法、手段を選ぶかということにつきましては、その苦情とか不満の内容とか程度によるとも考えられますが、企業雇用管理に関する労働者の苦情や労使間の紛争でございますので、本来やはり労使で自主的に解決することが望ましいものであるというふうに思っております。そういう点で、企業内の苦情処理体制の整備とか活用が促進されるように労働省としては働きかけていきたいというふうに考えております。  また、直接上司への相談が多いということについてどうかという御質問でございましたが、現在の日本雇用管理では、上司にというのが多いのがやはり実態だろうと思うわけでございます。そういう点で、上司がこういう苦情に適切に対処し解決を図るということが非常に重要でございますので、上司に対する教育研修というんでしょうか、そういうものが重要であるというふうに考えております。  今回、取りまとめましたポジティブアクションのガイドラインに基づきますワークシートの中で、中間管理職などに対する女性の育成についての研修とかコミュニケーションのよい職場という項目を点検項目として盛り込んでおりまして、こういうようなことを積極的にやっていただくことによって解決が図っていかれるように労働省としても援助をしていきたいというふうに考えております。
  131. 武田節子

    ○武田節子君 ちょっとここで事例を話してお答えいただきたいと思いますけれども、三十四歳の女性で配偶者あり、子供なし、勤務先本社三十人、工場従業員百五十人の製造業、労組あり、本人は非組合員、本人はコンピューター、語学堪能である。残業は毎日八時過ぎ、帰宅二十一時三十分。本人は子供もつくれず悩んでいた。その中で会社から管理職にすると言われ、御主人と相談したところ、残業手当がなくなり、わずかな管理職手当で会社に奉仕することになり、御主人に、これ以上遅くなったら離婚だと言われて、管理職を断った。現在相変わらず残業して働いている。同じ技術を持っている人を増員してくれれば解決するのですが、過去に派遣社員がいたこともあるが、バブル崩壊の影響で派遣を断っている。  ここで問題なんですけれども、法規制のある今日でも残業と家庭生活両立が難しい現実があり、女子保護規定撤廃によって無制限緩和された場合は一体どうなるのか。男女共通の何らかの規制は必要である。  二番目は、この婦人は一日十一時間、一週五十五時間働いているが、現行では基準監督署へ行けばよいが、新法以後はどうなるのか。新しい法律ではほぼ無制限緩和になるわけですから、基準監督署へ相談に行っても、監督署は事業主に対して何も言えなくなるのではないだろうかということを心配しておりますが、この点はいかがでしょうか。
  132. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) 今、御指摘ありました事例、私ども詳細について承知はしておりませんので定かなことは申せませんが、一週五十五時間働いていると、こういう御指摘でございます。それが恒常的に続けば大変疲労がたまることも確かに懸念される。いわば、かなりいっぱいいっぱいの残業をされているのかなという印象を受けております。  こういった方につきまして、もし監督署の方においでになれば、それがサービス残業等のような形になっていないかどうか、あるいは三六協定等が適正に結ばれているかどうか、そういったこともチェックして事業主の方にも事実関係を確認すると、こういうことになろうかと思います。そういった過程で、もし事業主の方の雇用管理等の改善につながっていくような話し合いができれば、これは私どもとしても非常にいい方向へいくんではないかというふうに思っております。  そういった事例につきまして、これは私どもなり雇用管理等を実施しています雇用促進事業団の地方センターなりに相談があれば、そういった事業主とのコンタクトをとってまいりたいと思っております。
  133. 武田節子

    ○武田節子君 次の事例をお話し申し上げますと、第三次産業で働く四十九歳の婦人。入社のとき、定年は男性六十歳、女性五十歳となっていた。会社はチェーン店、十二店舗、一事業所十二人から十三人。四月の給料のとき、八月で五十歳になるので定年の書類が入っていた。退職金の関係があるから退職の書類を提出させられた。しかし、これは定年差別ではないかということで、四月二十日に労政事務所に相談に行きました。三十歳ぐらいの男性職員が対応に出てくれて、その結果、定年差別は現行でも禁止規定であり、均等法違反ではあるが、罰則規定がないからどうしようもありません、会社と争っても損ですよ、どうしても争うなら裁判するしかありませんねと言われた。そこで、婦人少年室へ行きますよと言ったら、同じことを言われるだけだよと言われた。  この場合は、明らかに定年差別ではないですかね。婦人少年室は、この会社の事業主に対してはいかなる指導をなされますか。また、労働省と都の労政事務所ですから違いますけれども、何とか連携をとってちゃんとした対応ができるようにすべきであると、こう思います。これでは相談に行ってもしようがないとあきらめてしまうというアンケートが大変多うございましたけれども、こういう状況にならざるを得ないということだろうと思いますが、どのように対応なさいますか、お答えください。
  134. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 先生指摘の男六十歳、女五十歳という定年制は、男女別定年制でありますから明らかに現行均等法に違反しているものでございます。ですから、女性婦人少年室の方に相談に来てくだされば、まず事業主からその事実を確認するための事情聴取を行います。そしてまた、就業規則等を見せてもらいまして、法違反の有無を確認いたします。その上で、本当に均等法違反の制度であれば、制度の是正を求め、就業規則の改正、違法な定年年齢により退職させられる労働者が出ないように実質的な均等確保に向けて助言、指導、勧告を行うわけでございます。  新しい法律では、この助言、指導、勧告を一層徹底することといたしておりまして、勧告を行っても企業が改善をしていただけない場合は、社会的制裁措置として新たに規定される企業名の公表ということを行いますので、決して婦人少年室で同じことを言われるだけですよということではございません。助言、指導、勧告という法に基づいた権限を精いっぱいやりますので、ぜひ御相談に来ていただきたいというふうに思います。
  135. 武田節子

    ○武田節子君 それでは、次に婦人少年室の援助についてお伺いいたします。  平成七年度に全国の婦人少年室が受けた男女雇用機会均等法に関する相談は一万八千五百五十三件もあるのに、法第十四条に基づく助言等の受理件数はわずか三十八件にすぎません。  この点、制度に欠陥があったためと考えるのか、あるいはニーズがなかったと考えるのか、労働省の受けとめ方をお聞かせください。
  136. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 法第十四条によります婦人少年室長によります紛争解決の援助といいますのは、女性労働者事業主の間の紛争につきまして、関係当事者の双方または一方からその解決について援助を求められた場合に、両当事者の意見を尊重しつつ、迅速、簡便に行政サービスとしての必要な助言、指導、勧告を行うものでございます。  実際には、その職場における男女の差別的取り扱いについての相談は、人間関係をおもんぱかりまして、御相談に来られた女性労働者が、婦人少年室で対応いたしまして企業名を公表してくださいと申し上げてもなかなか、特に地域が狭いような場合はなおのこと、企業の名前も出さず、また御本人の名前も言わないというような匿名で行われることが多いものですから、法第十四条の紛争解決に結びつかない事例が多くなっているわけでございます。  このような場合は、三十三条の行政指導で、少なくとも企業の名前がわかれば、そういう女性が来たということを隠して企業の方に出かけていって助言を行って解決に資しているというケースが少なからずあるわけでございますので、決して制度に欠陥があったためではないというふうに思っております。
  137. 武田節子

    ○武田節子君 私は、制度的な問題として不利益取り扱いの禁止が法律的に担保されていなかったことが相当影響していると考えます。日本人は、伝統的に村社会であり物事を権利義務的に取り扱うのが苦手な面がある国民ですから、このような制度が法律規定されてもそのとおりになるとは考えられないのではないでしょうか。この制度が目的どおりに活用されるためには、さらなる行政指導や啓蒙がとても必要だと思うんです。  行政指導とか啓蒙、周知徹底をぜひやってほしいと思いますのは、大学を卒業して二年、世田谷に住んでインテリアの会社に勤める子が毎晩遅くて、お父さんが、男性がつくった制度なのに、そんなところはやめてしまえ、体を壊して死んでしまうと。お母さんと本人は、今やめたら行くところがないということで我慢していますけれども、こういうことをどこに言いに行ったらいいんでしょうねということで、本当に知らないわけです。  ですから、この周知徹底は非常に大事だし、行政指導をぜひ真剣にやっていただきたいと思うわけでございまして、労働省考え方をお伺いいたします。
  138. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 私どもといたしましては、この法律を可決、成立させていただけますれば、周知徹底には本当に全力を挙げていきたいというふうに思っておるところでございます。  また、女性労働者に対しましても、均等法内容とか、婦人少年室でこういうことができますよというようなことを説明いたしまして、せっかくつくられた制度をぜひ有効に活用していただくようにさらなる理解を促してまいりたいと思っております。
  139. 武田節子

    ○武田節子君 続いて、調停制度についてお伺いします。  調停申請件数は、男女雇用機会均等法施行されてから平成七年度までに百三件、十一企業と極めて少ないんですね。しかも、そのうち九十六件が調停不開始となっております。なぜこのように少ないのか、制度として何か問題があるのか、労働省考えをお聞かせください。  また、あわせて、今回の法改正でも調停委員会に調停を行わせるかどうかを女性少年室長に判断させるわけですけれども女性少年室長が調停にかけないと判断する基準を明らかにしていただきたいと思います。
  140. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 均等法施行されましてから現在まで、十二社に勤務する女性労働者百四人から調停の申請がなされたわけでございます。そのうち調停が開始されましたのは一社、七件でございまして、この件につきましては、調停案の提示を行いました。会社側は受諾していただいたんですが、女性労働者側が受諾を拒否いたしましたので終了したところでございます。  それから、調停の不開始となりましたのが十一社九十七件でございますが、その理由を見ますと、調停開始への同意を求めたにもかかわらず事業主の同意が得られなかったのが二社でございます。残りの九社につきましては、当事者の話し合いによりまして解決を見たり、それから調停対象に該当しなかったことなどによりまして調停開始に至らなかったわけでございます。  調停につきましては、制度の存在自体が、企業内における自主的解決とか女性労働者から婦人少年室に対して紛争解決の援助が求められた場合に迅速かつ円満な解決を促進する効果を持つというふうに考えておりますので、件数が一件だったから意義がないということではないというふうに私は考えておるところでございます。  それから、今後の方向として、女性少年室長が調停委員会に調停を行わせるときの判断の基準を明らかにせいという御質問でございますが、婦人少年室長が調停の開始を行うに当たっては、現在でも二点を満たすことが必要とされております。  その第一点目が、調停対象事項に係る紛争が存在すること、すなわち雇用分野における男女均等機会及び待遇に関する事業主の一定の措置に関して、女性労働者事業主との間での主張が一致せず対立している状態が存在するということが一つでございます。それから二つ目に、調停により解決を図ることが紛争の解決のために必要である、この二点を満たしていれば開始の決定を行うわけでございます。  さらに、婦人少年室長が紛争の解決のために必要があるか否かを判断するに当たりましては、申請が当該紛争に係る事業主措置が行われた日から一年を経過した紛争に係るものであることなど、調停に付すことが適当であると認められないケースに当てはまるか否か、あるいは企業内における自主的解決の努力が行われているかなどを考慮の上、決定をすることになるわけでございます。
  141. 武田節子

    ○武田節子君 今回の法改正でも、調停は当事者に強制できるものではなく、その受諾を勧告できることが限度とされています。これは、調停の対象となる事項努力義務であったときは実効性担保の手段としてふさわしい手段であったと言えるでしょうけれども、今回の法改正でそれが禁止規定になったことに対応するものとしては、せめて是正命令を出すことができるように権限を強化すべきであったのではないでしょうか。  裁判は、最終的な紛争解決手段であるとしても、継続性が前提である雇用にかかわる紛争の解決には必ずしも適したものではなく、また時間と費用がかかるものですから、いささかでも裁判に行く前に解決できる制度にすべきではなかったのかと思いますが、労働大臣考えをお聞かせください。
  142. 岡野裕

    国務大臣岡野裕君) 先生おっしゃいますように、調停はやはりお勧めをするということでありまして、一刀両断、これで命令だということでないことは御存じのとおりであります。それじゃ、なぜ生ぬるいこういう調停にしたのか、もう少し厳しくしたらどうか、こういうお考えだと存じます。  きのう本会議でお答えをした繰り返しに相なりますが、命令した、言うことを聞かない、直ちに処分だ、罰金三十万円、はい、これで一件終わりということではさっぱりその職場男女雇用均等というような環境がつくり上げられません。  それなものですから、一件上がりではなくて、例えば、私は企業名公表ということで新聞発表をするつもりであります。各紙にこれが載ります。隣近所でも有名になります。そうすると、社会的制裁といいますか、あそこの何とか工場長さんはどうだこうだということで、周りの皆さんの見張りというようなものがずっと続くというようなことになりますと、企業には名誉というものがあります、矜持というものもありましょう、プライドであります。  我々としては、そういう雰囲気が職場に定着するようにという意味合いで、命令、処分、命令、処分ではないことでいこうと。企業名公表制度というものを、ぜひひとつ先生温かい眼でお見守りを賜りたい、こう思っております。
  143. 武田節子

    ○武田節子君 本会議ではよく伺ったのですが、罰金と公表と両方できないものかと思って、今よくわかりました。  今回の法改正で、調停委員を学識経験者のみにした理由は何でしょうか。労使の代表を加えた場合、何か問題があるのでしょうか、お答えください。
  144. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 調停制度は、事業主女性労働者との間の個別、具体的な司法上の紛争について、簡易、迅速な解決を図るものでございますので、やはり中立、公正な第三者的な立場からの学識経験者で行う方が適当であると考えているわけでございます。  なお、現行法におきましても、機会均等調停委員会は、関係当事者からの申し立てに基づき必要があると認めるときは労使団体を代表する者から意見を聞くものとされておりますので、調停に労使の意見を反映させる機会確保されているわけでございます。
  145. 武田節子

    ○武田節子君 その専門家を選ばれるのはどなたが選ぶわけでございますか。
  146. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 労働大臣が任命いたします。
  147. 武田節子

    ○武田節子君 次に、女性少年室の組織権限についてお伺いします。  男女雇用機会均等法の定める事項の違反については、行政側としてはその性質上申告を待って対応するのが通常となっておりますけれども、私は、本来は定期的、臨時的に監督、立入検査を行うべきものと思いますけれども労働省はどのように考えていらっしゃいますか。
  148. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 均等法の履行確保のため、ひいては婦人少年室が労使を初め国民から信頼を得るためには、やはり計画的に事業所を訪問いたしまして、雇用管理の状況を把握し、必要に応じて助言、指導、勧告を行うということが重要であると考えておるわけでございます。  このため、各婦人少年室とも年度当初に年間の計画を策定いたしまして、それに基づきまして積極的に事業所を訪問し、事情聴取を行い、必要に応じて助言、指導等を行っておるところでございます。
  149. 武田節子

    ○武田節子君 それも数には限界がありますから、余りされているようには思わないわけです。  もし申告を待つとすれば、申告がしやすい体制が必要でございます。現在、婦人少年室は各都道府県に一つしかなく、そこから遠い人にはなかなか利用しにくいのではないかと思います。といって、行政改革の時代でございますから女性少年室の数をふやすことは困難であるとしても、労働基準監督署や職業安定所にも女性少年室の権限を付与するようなことで男女雇用機会均等法違反に対する是正措置が迅速に行えるようにすることは考えられないでしょうか。  前にも述べましたように、どこに行っていいかわからないなどということが大変多うございますので、この辺のお考えはどうでしょうか、労働大臣にお伺いいたします。
  150. 岡野裕

    国務大臣岡野裕君) 私は、やっぱり安定所へ行っても監督署へ行っても、こういうような相談ができるという方がよっぽどいいと思っております。しかし、先生もいみじくもおっしゃいました、行革だと。各省庁の定員はウン%のということで、今第九次計画の中で、集中的に五人なら五人ということでやっておりますところの新しく名前が変わる女性少年室、これにふさわしいような人を分散配置するというようなことはなかなか不可能だと思っております。  新聞なんかでありますと、ひとつ地方労働局というものを設けて、安定機能もそれから基準監督機能も一緒にしたらというようなことを読んだことがあります。そういうようなことになりますと、そこのところへ婦人少年室というものもくっつけるということにすれば多角的な営みが可能かなと、こう存じます。一つの案だなとは思っておりますけれども、いかんせんまだ権限が非常に狭うございますので、おっしゃるようにはまかり相なりません。
  151. 武田節子

    ○武田節子君 では、募集採用に関して伺いますけれども募集採用については、改正案では「均等機会を与えなければならない。」としていますけれども、これは均等機会を与えさえすれば、その結果は問わないということなのでしょうか。  最近は、企業の差別も巧妙になって、女性採用する予定が全くないのに表面的には男女同じように試験をするなどの事例の増加が指摘されております。採用結果については、企業が、女性に適当な人材がいなかった、男性の方がすぐれていたと言った場合、差別が行われたかどうかの判断は可能なんでしょうか、お伺いいたします。
  152. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 女性労働者に対する差別を禁止する規定の趣旨は、これは女性労働者雇用分野均等機会を得、その意欲と能力に応じて均等待遇を受けられるようにすることでございます。個々の労働者が現実にどのような取り扱いを受けるかというのは、その意欲と能力にかかっているものでございます。  とはいえ、女性を全く採用する予定がないのに、表面的には男女同じような採用試験をするというような事例は、これは女性均等機会を与えていないケースとして均等法違反になるものでございます。  募集採用に関する法違反か否かの判断につきましては、婦人少年室において、事業主から当該企業への男女別の応募者数とか最終の面接に残った男女別の受験者数とか、それから男女別の採用実績等の推移を詳細に調査することなどによりまして、採用について男女均等取り扱いの状況を調査しているところでございます。  その上で、女性の応募者数、最終面接受験者数が毎年相当数いるのにもかかわらず、女性採用実績がゼロとか極端に少ないというような場合は、採用試験の成績の判断、それから選考基準の妥当性などを問いまして、法違反の有無がないかどうかを判断しているところでございます。
  153. 武田節子

    ○武田節子君 配置昇進についてですけれども、このたびの法改正では、募集採用配置昇進についても禁止規定となっております。これらについては、現在、指針においては女子であることを理由としてその対象から女子労働者を排除しないこととされておりますけれども、女子であることを理由としてということは、具体的にどのような事例を指すのか、お伺いいたします。
  154. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 今般の法改正によりまして努力義務規定の禁止規定化が行われることになりましたりで、女子であるということを理由としてということの排除は全くできなくなるわけでございます。労働者が女子であることを理由としてというのは、労働者女性であることのみを理由として、または社会通念として女性労働者が一般的または平均的に高度な能力を有するものが少ないとか、職業意識が低いとか勤続年数が短いとか、それからまた主たる家計の生計の維持者でないことを理由とするものであるというふうに考えます。
  155. 武田節子

    ○武田節子君 では、時間がありませんので。  衆議院質疑の中で、婦人局長募集採用時におけるセクハラで企業名がわかれば婦人少年室が助言、指導、勧告する対象になります。募集採用は禁止規定になるので企業名公表もあり得ると答えております。  もし、職場で、上司である課長や部長が部下である女性従業員にセクハラを行って、そのことで配置昇進、教育訓練、解雇などで不利益なことをしたら、助言、指導、勧告、さらには企業名の公表にもなり得るのでしょうか、お尋ねいたします。
  156. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 職場におけるセクシュアルハラスメントに関しましては、改正法案の第二十一条におきまして、防止のために事業主が配慮すべき具体的内容について国が指針を定めるということになっておるわけでございますが、御質問のようなケースで事業主が配慮義務を満たしていない場合は、第二十五条に基づきまして、助言、指導または勧告の対象となるわけでございます。  ただ、企業名の公表につきましては、改正法案では第五条から第八条までの禁止規定違反を対象としておりますので、第二十一条のセクシュアルハラスメントは対象とはならないということでございます。
  157. 武田節子

    ○武田節子君 保険会社なんかで、上司がとったのを女子につけて、そして白昼堂々とセクハラをやっている例が多いですし、課長、部長となれば企業の代表ですから、これは公表すべきではないかというふうに私は思っておりますので、その点も今後のお考えに入れていただきたいことをお願いします。  最後に、労働大臣にちょっとお願いを申し上げて終わらせていただきます。  あるフランスのビジネスマンが、日本人の働き過ぎをこう評しております。「私たちフランス人は市民として三つの義務をバランスさせながら生活しています。一つ家庭にたいする義務、二つは仕事にたいする義務、三つは地域にたいする義務です。あの日本人たち仕事にたいする義務だけで生きているように見えます。私たちの社会では家庭と地域にたいする義務を果たさなくてもよいのは、軍人と囚人しかいません。あの人たちは囚人ではないようだから、たぶん軍人なのでしょう。」、労働者のことを指していると思いますが、まさに企業戦士、軍人なわけです。  女子保護規定撤廃して、休日・時間外・深夜労働女性に強いることは、女性企業戦士をつくってしまうことになりかねないと私は思います。ある人は、男女が平等に企業戦士になる社会は不幸である。女性労働強化は女性の残業時間が男性並みになったら女性も過労死に一直線に進む、まさに不幸な社会だ。  さきの女性の体験のように、朝六時四十五分から出て十一時、十二時ごろに帰ってくるのでは、家と職場の往復だけで、そして帰ってきてばたんきゅうと寝るだけでは人間としての感情、思慮もなく、本当にまさに人間喪失の機械的な人間をつくってしまうように大変心が痛むわけでございます。  そうした観点から、私は労働時間の男女共通の法規制は絶対に必要であるなと、こう思うわけでございますので、最後に労働大臣の御答弁を願って終わります。
  158. 岡野裕

    国務大臣岡野裕君) 先生のおっしゃいましたフランスの某々と、非常に優しい声でおっしゃいましたので半分以上聞こえませんでしたけれども職場に対する義務ではなくて職場における楽しみ、それから家庭に対する義務ではなくて家庭における家族団らんの楽しみ、それから地域の皆さんに対してともに、何といいますか、社会に貢献する喜び、これをそれぞれが満喫ができることをこいねがって、この男女雇用均等法を初め、時短も、それから育児介護休業法等々もつくったといいますか、御審議をいただき、実行に移したものもあり、実行に移れないものもあるわけでありますが、今後も女性職域を広げることによって今までつき得なかったそういった仕事ができ、その面における能力というものが存分と発揮されて、正当にこれが評価をされ、ああ生きがいのある人生だと、こう思っていただけるような社会づくりに一生懸命頑張ってまいりたいと、かように私は思っております。よろしくどうぞ。
  159. 武田節子

    ○武田節子君 終わります。
  160. 今泉昭

    ○今泉昭君 平成会の今泉でございます。  私は与えられた時間が三十分程度でございますので、私の質問はこの均等法改正の中で、労働基準法に関する時間外労働と深夜労働の問題について集中的に質問をさせていただきます。  今回のこの法律改正の主要な柱、重要な柱というのは二つあるのではないだろうかというふうに考えます。  一つは、十年たちましたこの法律の実行を受けまして、さらに男女機会均等が進み、そして女子労働者社会へ大いに進出をしてもらおうではないか、そのための法改正をやっていこうではないかと。これは表面に出ている、ある意味では建前上の面もございますけれども、これが大きな一つの柱だっただろうと思います。  それからもう一つ考えてみますと、政府の行財政改革のいろいろな方針の中にも盛られておりますように、規制緩和という大きな流れの中で、我が国経済構造をいろいろな意味で変えていかなきゃならないという視点から、いわゆる規制緩和という立場でこの法の手直しをしなきゃならない。これは余り表面上出てこないんですが、余り出し過ぎるとたたかれる一面もありますから出てこないと思うんです。この二つの大きな流れが私はあったと思うんですが、大臣、こういう考え方は間違っていますか。
  161. 岡野裕

    国務大臣岡野裕君) 先生が後段でおっしゃいました規制緩和の一つに当たっているのかというお話でございます。  今までその能力があるにもかかわらず、やはりこういう仕事にはつき得ない。どうしても超勤が長くなるとか、深夜業もやらなければならなくなる。さっきドライバーの話が出ましたけれども、つこうと思ってもつけなかったという、こういう規制の緩和には結果的に相なっている、こう存じております。
  162. 今泉昭

    ○今泉昭君 具体的な問題に入る前にもう一つお聞きしておきたいと思うんです。  労働省労働行政の柱というのが幾つかあると思うんですが、その中の大きなやっぱり柱の一つとして当然考えられることが、我が国の働く労働者職場において生命の危険にさらされないように、あるいはまた勤労生活、家庭生活が安定的に送られるように、そしてそういうものを支持できるような労働環境をつくっていく指導を行っていくというのが、労働行政の幾つかある中の一つ大きな柱だというふうに私は理解をしております。また、当然そういう形で指導されてきたと思うんです。  今回の均等法改正に伴いまして、基準法の中のいわゆる女子の時間外・休日労働、深夜労働規制が取っ払われました。特に、時間外労働の場合は、今まで年間で百五十時間という枠が示されておりました。男子の場合は三百六十時間という目安が示されておりました。そういう意味で、説明においてよく聞くのは男女差別をしちゃいけないから、男子と同じような形で百五十という規制を外したんだと、こういうふうに言われるわけです。  私、つらつら考えてみますに、少なくとも労働行政というのは、下の水準をいかに引き上げていくか、悪い条件をいかに引き上げていくかというところに焦点が合った温かい行政があってしかるべきだったんじゃないかと思うんです。  これは、社会全体で考えてみましても、雇用均等法と同一に扱うのは多少乱暴かもしれませんけれども、私ども過去の仕事の関連でよく経験をしてきたんです。企業合併をいたします。企業合併をいたしますと、企業によってやっぱり労働条件の差があるわけですね。そうしますと、一つ企業になるならば条件を何らかの形で合わせていかなきゃならない。そういうときに考えるのは、悪い方にならしていくというのはまず常識的に考えられないんですよ。いかにいい条件に合わせていくか、それが一挙にできないならば、何年間か経過措置をとりながら、こういうふうにやっていくという道筋をつけるのが当たり前だというふうに考えるわけです。  これは建前上、確かに理屈の上では男女同権ということになる、男女均等だということにはなるけれども、一方では今まで守られていたものが外されるというマイナスの一面があるわけでありますが、この点についてはどうお考えになりますか。
  163. 岡野裕

    国務大臣岡野裕君) 先生が冒頭おっしゃいました、やっぱり最低基準で、これより上の労働条件を確保しようと、その種の法律労働基準法あるいは労働安全衛生法、こういうようなものがあろうと思っております。  それから、一般的に企業というものは多種多様でありますものですから、その企業主の考え方もこれあろうと存じまするけれども、周辺に同種の企業があるというならば、そこで働いてくれる皆さんが喜んで我々と一緒に働いてもらいたいものだということがあろうかと存じます。したがって、よそと比べてより立派な労働条件を我が社は持っているぞ、これが誇りだろう、その方向で引っ張っていくんだと、こう思っております。  そういう意味合いでは、今回も、例えて言いますならば、年間一人当たり千八百労働時間、これを目指して、時短も週四十時間でいこうと、あるいは年休もなるべく完全消化の方向で極力努力をしようとか、時間外労働も制約をしようとかいうようなことが、私としては一つの大きな労働行政の柱としてございます。そういう意味合いでは、個別の企業がそれぞれあるので、労働時間なら労働時間におきましても労使のお話し合いでということで、歴史は五十年の経験をけみしてまいりました。  そういうことで、最低の労働条件を決めて、後はひとつ労使の皆さんでお決めくださいと。そのかわり目安というようなものを設けて、そちらの方向に、指導するというと言い過ぎでございますけれども、ひとつぜひこちらへ行ってもらいたいというような指導をやっておりますので、それはこれからも続けてまいろうと、こう思っている、そんな次第でございます。
  164. 今泉昭

    ○今泉昭君 これまで女子の場合百五十時間というふうにセットされて、男子の場合はそれ以上働いても差し支えないという一つの行政的な目安があったわけですけれども女性の場合百五十時間と設定した理由は何ですか。何か理由があったわけでしょう、差をつける。それはどういう理由からですか。
  165. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 女性に対しましては、今まで女子保護規定がございました関係上規定されたものでございまして、数学的にどういう理由で百五十時間になったかということについてはつまびらかではございませんが、少なくとも男性よりは低い基準でということで設定されたものだというふうに思っております。
  166. 今泉昭

    ○今泉昭君 今言われたような説明であったならば、具体的な数字の説明をせいということは私は申し上げておりません。何らかのやっぱり差を設ける理由があったわけでしょう。今回それを取っ払うというのは、取っ払っても差し支えないような客観的な条件がつくられたからという、何かやっぱり説明があってしかるべきだと思うんですよね。理由はただ男女平等だということだけなんでして、その客観的な事情がつくられたんですか、この十年間で。
  167. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 百五十時間ということというふうに理解をしたものですからああいうふうにお答えさせていただきました。申しわけございません。  今回、女子保護規定解消するに当たりましては、やはり現行女子保護規定女性を弱者としてとらえて保護してきているわけでございます。これは、女性労働者についての労働条件等々が非常に低かった時代においてはそれはそれなりの合理的理由があったというふうに考えておりますけれども経済社会の変化の状況を見ますと、やはり女性労働者の就業が非常にいろんなところにふえておりますし、それから男性と同じように働きたいという職業意識の女性もふえております。  また、技術革新等々によって就業環境労働条件等々もよくなってきております。また、育児介護休業法等も制定をされまして、女性たち職業生活家庭生活両立できる状況が整ってきたという観点から今回の改正解消に踏み切らせていただいたものでございます。
  168. 今泉昭

    ○今泉昭君 もしそうであるとするならば、逆に三百六十を百五十の方に近づけたってこれは問題ないわけですね。  と申しますのは、なぜかといいますと、我が国世界に、御存じのように千八百時間を実現するための計画を公表して、国際的な公約をしているわけなんですね。これは一九八八年のころからもうはっきりそういう数字が示されておりまして、具体的に申し上げますとこういう数字がありますね。千八百時間を実現するための根拠となった数字として出されている二つのケースがあるわけです。AケースとBケースという形で政府が試算をしたんです。  その中を見てみますと、Aケースの場合は、所定内労働時間が千六百八十二時間、所定外労働時間が百十八時間、そして総労働時間を千八百時間にする。この場合は年次有給休暇二十日完全消化をするという前提になっておる、これが一つのケースであります。それから、もう一つのBケースは、所定内労働時間が千七百二十時間、所定外労働時間が八十時間です、わずか。そして、この場合は年次有給休暇十五日消化となっているんですよ。  ところが、現実の我が国の実態を見てみますと、有給休暇の平均的な消化は今十日を切っているでしょう。十七日間ぐらいの付与日数であるけれども、十日ぎりぎりですよ。十五日すら完全に実現されていない。  そういう状況の中で、少なくとも時間外労働を減らしていかなきゃならないという立場に立っているにもかかわらず、せっかく百五十時間という低目のものがあったものを、この枠を外してしまうというのは、この千八百時間というのをもうあきらめたつもりなんですか。現実上これはもう不可能に近いことを意味しているんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  169. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) ただいま先生指摘になりました千八百時間の二つのケースでございますが、これは私どもが千八百時間を進めるに当たりましてモデルとして提示していますのと数字が、恐らくいろんな前提条件が違う形で組み立てておられるんだろうと思いますが、私どもがモデルとして示している中では所定外につきましては百四十七という数字で示しておるわけでございます。  そのことはともかくといたしまして、今回の女子保護規定解消に当たりましての基本的な考え方は、労働時間短縮全体を進めている立場から説明させていただきますと、実はこの前の均等法が成立した段階で女子の保護規定についても基本的には解消に向かうべきだというようなコンセンサスがあったわけでございますが、その時点と現時点を比べますと、全体として総実労働時間が二百時間の短縮を見てきている。また、当時は四十八時間のもとでの百五十時間であったと。現在は四十時間のもとでの労働というものを考えるようになってきたと。  労働時間短縮が確実に進んできている中での状況を踏まえると、やはり女性の方が能力を発揮していくために職域拡大する、能力を発揮する場をふやしていく、そういった必要性考えると、やはりこれから保護規定解消というものに基本的には向かっていかなければならないんではないか、こういう考え方でございます。  ただ、私ども労働時間短縮全体を進める立場でございますので、平成十一年に向けて、労働基準法制全般のいろんな見直し作業の中ではこの目安指針のさらに実効性を高めるにはどうしたらいいかとか、時間外労働、休日労働のあり方というものも含めて、この時間短縮という流れをさらに確実にしていく流れは固めた上で施行日を迎えていこう、こういう気持ちでおるところでございます。
  170. 今泉昭

    ○今泉昭君 千八百時間という年間労働時間を達成するために、今後の対策として一番必要と考えられているのは、時間外労働をいかに減らしていくかということと有給休暇をいかに実質的に消化していくかというところにかかっていると思うわけですね。  ところが、実際の残業時間を調べてみましても、目安としては、一応当初は四百五十時間だったのが三百六十時間に減りました。しかし、実際上、衆議院労働委員会での答弁におきましても、先ほどの同僚委員からの質問の答弁におきましても、時間外労働は行政指導の三百六十時間の枠内におさまっているのが八十一万事業所の中の約九割だということを言われているけれども、実際どうなんですか、事業所の数は六百五十万近くあるわけでして、八十一万事業所なんというのは一定の規模の企業のものだろうと思うわけでして、どちらかといえば比較的労務管理の進んだ企業が中心となって出されてきた数字じゃないかと私は思うんです。  事業所数をいろいろ調べてみますと、例えば、恐らくその八十一万事業所というのは十人以上の従業員規模の事業所だっただろうと思うわけでありまして、十人未満の事業所というのは百三十万近くあるわけですよ。そういうところには全然手がついていない。しかも、十人以上の事業所の中で調べられて、そういうものが出てきたのは八十一万事業所ぐらいだと言われているわけでして、実は隠れて出ていないところの残業というのはそんな生易しい数字ではないんじゃないかと私は思うんです。しかもサービス残業あり、残業手当が出ていないという企業政府が出されている資料の中では結構あるわけでございます。  そういうことを考えてみますと、むしろ今政府が示さなきゃならないのは、三百六十じゃなくてもっと低目の数字を出して、その目標に基づいて指導していかなきゃならない時期じゃないかと思うんですが、そういうときに、全労働者の立場で考えてみるならば、せっかく低目の数字が示されていた百五十というのが取っ払われるということは逆行するような気がしてならないんですが、いかがですか。
  171. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) 二点御指摘があったかと存じますが、一つは三六協定、それからそれの適正化指針実効性でございますが、先ほど先生も御指摘ありました八十万の届け出のうち例えば三百六十以下になっているものが約九四%と。これは確かに八十万というのは全事業所をカバーしていないのは、毎年毎年の変更等、単年度に出てくる件数でございまして、そこは御理解をいただきたいと思っています。  ただ、こういった状況を見ますと、六十三年当時はまだ目安が四百五十というようなハイレベルの時代でございましたので正確な比較はできないのでございますが、当時三百五十時間以下であった事業所の割合というものが七三・九%というそう高くない数字でございましたが、現時点、平成八年で見ますと、この三百六十時間以下におさめている事業所が先ほど申し上げました九四・八%、こういうことで、この目安指針に基づいて私どもいろんな集団指導あるいは受理の際の再検討の要請等を繰り返してくる中で、その浸透というものが進んできていると考えております。ただ、これに甘んずることなく、今後も均等法関連の法制の施行に向けてこういった指導をさらに強化していかなければならないと思っておるところでございます。  それからもう一点、この三百六十をむしろ低目に設定するのが現段階の正しい道ではないか、こういう御指摘でございますが、御案内のようにこの四月一日から四十時間制を実施いたしまして、懸命にその完全定着を進めておるところでございます。したがいまして、経過的には四時間というものが吸収し切れるところとし切れないところがたくさん出てくるわけでございまして、そういった意味では、もし吸収し切れなければこの四時間というものは超過勤務となる、こういうことで、この三百六十というものを下げていくことは大変難しい時期であることは御理解をいただきたいと思っております。  ただ、いずれにしましても、以前の四十八時間からは大分短縮された所定労働時間四十時間というもとでの百五十であり、三百六十である、こういうことはひとつ御理解をいただきたいと思います。そういうことで、私どもこの目安指針制度についてどう実効性を高めるための知恵を出していくかということについて懸命に考えていくのがまず今の時期では先決かというふうに思っておりまして、そういう点については精力的に取り組んでいこう、こう思っておるところでございます。
  172. 今泉昭

    ○今泉昭君 今、局長が言われましたように、適正化指針、これの実効性を上げるために、衆議院の段階でも答えられたと思うんですが、これから中央労働基準審議会で論議をしていかれるというようなことを私ども耳にしているわけでございます。  何回かのこれまでの答申の中で、労働時間を短縮するためには、一つは残業の抑制と並んで時間外割り増し率の引き上げというものもあわせて変更していかなきゃならない、そのための検討が必要だというような答申等の文書を再三私ども見てきているわけでございます。そういうのは前々から言われて、何回かの審議会の答申の中で出されているんですが、一向にそれが実効あるものとして出てこないというのは、例えば残業の条件を定めるという形の法制化、こういうものを現実のものにしていないからじゃないかと私は思うわけですが、今言われた実効性というのは法制化を含めて考えていらっしゃいますか。
  173. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) この時間外労働、これは我が国の法制上八時間労働を前提といたしまして、三六協定がある場合にだけその禁止規定が解除される、こういう仕組みでございまして、本来、緊急、突発的な事態がこの超過勤務として想定されておるわけでございます。  実際の企業で臨時、突発的な事態というものが何であるかというのは、実体の経済の中での企業でございますので、残業の自由をある程度整理して制限していくということは、これは事実上大変難しい問題であろうかと思います。むしろ、上限の目安の設定と、こういう形をとってここ十年ほど徹底を図ってきた、この形がやはり現実的ではなかろうかというふうに思っております。  それから、もう一点、こういった実効性を高めていくための施策について、法制化等を含めてどういう形を考えているのかという点でございますが、まさにそういった点はこれから審議会の方で詰めていただく非常に論点の多い部分だろうと思います。そういった審議の結果を待って私ども対応をしてまいりたいと思っております。
  174. 今泉昭

    ○今泉昭君 千八百時間の約束は、最初は平成八年までに実現をするということだったんですが、その後、実現が不可能になって、実際は経済計画の流れの中で、四十時間制度も含めまして平成十二年に先送りされたようなことになっているんですが、立てた目標がなかなか実現できないというところに我々大変な実は危惧を抱いておるわけですね。  特に、雇用機会均等法が平成十一年に実際に施行される以前に、一年おくれたって平成十二年にこの千八百時間制度が完全に実施されるということであるならばある程度安心もできるんですが、今までの、この平成九年までの間でそれが実現できるかどうかというところの焦点が時間外労働と有給休暇にポイントがかかっているわけでございますから、このまま行政指導だけで実現できるというのは大変我々としては不安なんですね。特に勤労者の方々はそういうふうな目で見ていらっしゃると思うんですよ。そういう意味で、口で言われる実効性ということを形にあらわすのは、これは法制化以外にないと思うんであります。  それで、諸外国の例をちょっといろいろ当たってみたんですが、上限規制をしている国は、下は六十時間から三百二十時間の間に入っておりまして、百時間から二百時間の中にある国が一番多いわけであります。これは数が四十五カ国ということでございますから、全世界の中の数からすれば少ないかもしれませんけれども、大体こういうデータを持っている国というのは先進工業国でございます。我々日本が発展途上国であるということはあり得ないわけですから、こういう国々の少なくとも平均的な水準に上限規制を法で示すということは一つも無理はないのじゃないか。それが世界的な一つの自由競争の中での競争基準であってしかるべきじゃないかと思うんです。  そういう意味で、審議会の方にいろいろと討論をこれからお願いをされておりますけれども、少なくとも法規制を含めての検討をお願いする気持ちはございませんか。
  175. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) この時間外労働の上限規制についての諸外国の状況でございますが、先生から、そういった規制の例が四十五カ国あるというふうに御指摘ございました。確かにヨーロッパの、イギリスは別といたしまして、大陸の国々を中心にそういった時間外労働についての規制を行っている国は多いわけでございますが、それぞれ雇用労働慣行がかなり違う。受注に合わせて必ずしも雇用量をふやしたりしていく、あるいは受注が減ったときに人を減らさずに、残業時間等で調整するというような雇用のシステムをとっていない場合が非常に多いわけでございます。  ただ、そういったものと対照的なのが例えばイギリスなりアメリカという例がある。私ども別にどちらという形を考えておるわけではございませんが、いずれにしても、我が国雇用労働システムの中で一体どういう道を選んでいくのかというのは大いに議論があるべきだろうし、もし雇用労働関係等にいろんな重大な影響があるとすれば、そこは慎重に議論をしていかなくちゃいかぬ。  したがいまして、現段階で法規制という意味合いになりますと、これはかなり慎重に議論をお願いしなくちゃいかぬことになるんではなかろうかというふうに認識をいたしております。
  176. 今泉昭

    ○今泉昭君 もう時間が二、三分しかございませんので、実は深夜の問題に触れることはできないわけですけれども、総理大臣を初め労働大臣も含めまして答弁の中で出てくるのは、国際化の時代に深夜業は必要だ、あるいはある程度の労働時間の余裕は必要だ、あるいは雇用調整のためにも必要だということを言われるわけでございますが、我が国の場合は今まで確かに終身雇用というのが世界的に売り物になっておりました。  ところが、今の我が国雇用慣行というのは必ずしも完全なる終身雇用制度ではございません。いろんな品を変え、手を変えて、そのときにどんどん合理化という名目で仕事を失っていく人たちが、諸外国に比べてそんなに違わないぐらい出てきていることはこれは事実なんであります。  アメリカやヨーロッパ諸国でも完全なる終身雇用制度でしっかりと守っている企業もエクセレントカンパニーの中にはむしろ大変多いわけでございまして、今までのように、日本雇用慣行が不況のときにも完全に終身雇用で守ってくれるというシステムがすべてあると言ったら、これはちょっと真実を欠いているんじゃないだろうか。特に、大企業の一部には確かにそのシステムが残っておりますが、一般的な数の多い中小零細企業では、そういうことを諸外国に向かって言えるような実態には私はないと思うわけです。  そういう意味で、例えば労働時間をどのくらいをある程度の雇用調整弁という形で考えられるかというシミュレーションをされたことがあるかどうか。恐らくこれはないんだろうと思うんですが、少なくともこれぐらいならばある程度のものが大丈夫だというようなことを試算されてやってきたのかどうかということもひとつお聞きしたいと思うんです。  それとあわせまして、残業の実情を見てみますと、三六協定で出してこられるのが一年とかあるいは六カ月とかということで出してきますね。大体、残業というのは緊急性があって残業をやらなきゃならないというものであるにもかかわらず、一年先まで残業をこういう時間帯でやるなんという計画そのものが、これは全くナンセンスなんですよ。だから、緊急性じゃないんですよね、これは。全く緊急性とは別個な形で残業のメリットを生かしている。残業をやれば正常の勤務よりも安い労働コストで済むというのは、これはもう計算がちゃんとできていますから、そういうものをいかに活用するかといういわゆるコスト原理からきている一面があるわけですね。ですから、そういうものだけではもう説明つかない時代になっているんじゃないかと私は思うんです。  国際化時代に、確かに二十四時間世界は動いていますから、だれかが海外の工場と連絡をとらなきゃならないとかそういう立場はありますけれども、現在の段階でも深夜業が許されている業種というもの、そこに働いている方々約五百二十万人いるという資料が出ていますね。そして、何種類か条件が出ていますけれども、その中にちゃんと業種的なものがあるじゃないですか。大体、深夜業をやらなきゃならないのは、流れ作業で出てくる人たち国際化のために必要じゃないんですよ。ある程度は監督的な立場にある人、そういう人が世界化の中でいろんな連絡をとらなきゃならない、それはもう現在の法の中で許されているわけでございまして、私は世界化の中でそれは必要だという理屈にならないと思うのであります。  そういう意味で、もう時間がなくなってしまいましたけれども、私の方としましては、労働行政の基本的な役割の一つである温かい行政、働く勤労者の命を守り、生活を守り、生活を向上させるという点にもう少し焦点を当てた施策をぜひお願いいたしまして、時間が参りましたので終わらせていただきます。
  177. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 大脇でございます。  これまでるる労基法上の女子保護規定が廃止される、解消されるということで、さまざまにその危惧、不安というものが質問の中で出てまいりました。  まず、私も時間短縮の促進と時間外・休日労働のあり方についてお尋ねをしたいと思います。  今、諸先生の方では、法規制はどうだというような御質問が多々ありました。しかし、法規制といいましてもさまざまなレベルがあり、さまざまな形があるわけで、衆議院では現行の時間外労働協定の適正化指針実効性を高める、こういうふうにお答えになっているわけであります。現在の時間外労働の適正化指針というものは労使の自主的努力を要請する行政指導基準でありまして、これは大臣の告示によって設定されているわけです。  ここを出発点として実効性を高めるということになりますと、まずはこの適正化指針の法制化といいますか、それをそのまま労働基準法にぱたっと入れるというのが最高限であるかもしれませんが、少なくともこの時間外労働の適正化指針労働基準法の本則三十六条とかあるいは施行規則に根拠を置く、そうすると、そのことでもって労基法と一体となって、いわば法的な効力というものが出てくると私は考えるわけです。実効性を高めるといった場合、現在が大臣告示ですから、それより強く実効性を高めるということになればそれしか方法がないというふうに考えますが、そういったことを含めて実効性が上がる措置ということを検討していくという考えはあるかどうかお尋ねをいたします。
  178. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) この時間外労働の適正化指針につきましては、今後ともこれが有効に機能するように、その実効性を高めていくための方策につきましては、大臣から答弁を申し上げていますように、我々は審議会の方にもそのあり方について十分検討をお願いしていこうと思っております。  その際、この適正化指針について、労働基準法本則あるいは施行規則の中で根拠を持ってはどうかという御意見を承りましたが、こういった点につきましては、過去、労働基準法研究会の提言の中でも法令の中に何か位置づけてはどうかというような形で意見が出た経緯等もございます。国会の場でも先生のような御意見があったことを私ども踏まえまして、そういった御意見審議会に検討をお願いするに際しまして紹介を申し上げながら、真に有効な適正化指針となるようにその実効性を高めるための方策について適切な対応策が取りまとめられるようにお願いをしてまいりたいと思っております。
  179. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 さらにこの実効性を高める措置ということは、長時間時間外労働の削減ということを実現し、健康でゆとりある職業生活家庭生活両立を保障するものでなければならないと考えますが、どうでしょうか。
  180. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) これからの時間外労働協定の適正化指針、これの役割を考えました際に、均等法及びその関連法令の改正によりまして、女性の方々が能力を発揮するためにいろんな職域へ参加するケースがふえてくる。そうなりますと、やはりこれは男女ともそういった傾向を受けまして、仕事家庭あるいは地域生活との調和を図っていく必要性というのは非常に高まってくるかと思います。  そういったことは、これからのこの適正化指針の運用なり、今御指摘がございましたより実効性を持たせるためにはどうしたらいいかというような検討に際しまして、念頭に置かれて議論が行われるように関係審議会等にも十分お願いし、私どもも事務局として配慮してまいるつもりでございます。
  181. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 実効性を高める措置、これは均等法等の改正法が施行されるのは一九九九年四月一日であります。間に合うように措置されるかどうか、お尋ねをいたします。
  182. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) 適正化指針をめぐりましては、そのあり方あるいは水準、いろんな議論があるかと思いますが、先ほど来御指摘ございましたような適正化指針実効性を高めるための方策につきましては、どんな形にせよこの平成十一年の四月ということで何らかの措置ができるように、間に合うように、中央労働基準審議会の方にもそういったスケジュールをお願いし、我々も努力してまいりたいと思っております。
  183. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 一九九九年四月一日に均等法改正法が施行されるわけですから、これを徒過しては意味がないわけであります。その措置と言われても、中基審の答申が出たばかりだとか、あるいは法案作成中だとかということでは困るわけでありまして、一九九九年四月一日に実効性を高める措置施行するということまで枠をはめていただけるでしょうか。
  184. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) 適正化指針につきましてはいろんな角度からの議論があろうかと思いますが、私どもこの均等法及びその関連法令の改正に間に合うように何らかの実効性を高める措置、とにかく前へ進む形は出していただきたいという気持ちを持っておりますので、そういった配慮をできるように関係審議会にも十分お願いはしてまいりたいと思っております。
  185. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 私が、今一つ念を押しているのは、施行施行とをくっつける形で、中基審の方にその検討、それから国会審議というふうにさまざまあるんでしょうけれども、そういうスケジュールでお願いをできるかということを聞いているんです。
  186. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) この実効性を高めるための方策につきましては、とにかく十一年四月一日という御指摘がありました期日に向けてとにかく前に進んだ形の、実効性を高めるための方策が実施できるように、そういったスケジュールを頭に置いて御議論をいただくように関係審議会にお願いをしてまいる考えでございます。
  187. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 その点は多くの女の人たち心配をしているところでございますので、ぜひ鋭意審議のほど早めていただきまして、ぜひ実効性を高める措置男女共通のものとして施行まで持っていっていただきたいということを重ねてお願いをいたします。  大臣にお願いいたしますが、年間総労働時間千八百時間ということが問題になりまして、さきの代表質問の総理の御回答でも、職場家庭と地域のバランスのとれた生活ができるように一週四十時間労働法制の定着と年休の消化、それに加えて、長時間時間外労働の削減ということに積極的に取り組むというお答えをいただいておりますが、労働大臣いかがでしょうか。
  188. 岡野裕

    国務大臣岡野裕君) 今、先生がおっしゃいましたような三つの柱を中心として、千八百労働時間というものを定着をさせるべく鋭意努力をこれからいたしてまいりたい、総理答弁のとおりであります。
  189. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 そうすると、時間外労働の削減ということですが、先ほどの委員の御質問にもありましたように、年間総労働時間千八百時間ということを実現するといいますと、労働省の統計調査や賃金時間制度の総合調査に基づいて経済企画庁総合計画局の試算というものによると、所定外は百四十七というふうに言っているわけですが、先ほど今泉先生の御質問で百四十七時間と、こういうふうに労働基準局長が言われたのはこの数字のことですか。
  190. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) そのとおりでございます。
  191. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 そうすると、実効性を高める措置とともに時間外労働を圧縮するということになるわけでありますが、このために目安時間の基準というものの検討も必要ではないか。ただいま四十時間が施行されたばかりで、三百六十という目安時間を見直すのは難しいという御返事がありましたけれども、少なくとも将来に向けてこの目安時間の基準の検討が必要ではないかと思いますが、その点いかがでしょうか。
  192. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) 御指摘は時間外労働協定の適正化指針についての水準の御指摘かと存じますが、この三百六十という水準につきましては、先ほど申し上げましたように、今四十時間制を実施しその定着を進めている過程で、この三百六十時間を減らすことについて、今現段階大変難しい状況にあることは御理解をいただきたいと思っております。  私ども、そういった状況の中で、この適正化指針というものの実効性を高めるための方策について、まず審議会で御議論をいただき方向を出していただくこと、これが先決であろうかと思います。ただ、この時間外労働協定の適正化指針につきましては、既に関係審議会で時期が来たら見直そうという合意ができていることも事実でございます。  そういったことを受けて、まずは実効性を高める、次にどういつだ議論を審議会で行っていくのかと、こういう点につきましては、審議会で先生指摘のような水準の問題も関係委員からは既に議論が出ているところでございますので、さらにそういったものも審議会で、やや時間がかかるかもしれませんが、詰められていくものと理解をいたしております。
  193. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 ぜひその基準、目安時間の百四十七に向けての検討をできる限り急いでいただきたいと、こうお願いをしておきたいと思います。  しかし、女子のみ保護規定解消されまして、家族的責任、育児介護を有する女性労働者は百五十時間から三百六十時間という急激な変化に見舞われるわけでありますが、その点において経過措置といいますか、緊急避難措置と言ってもよろしいかと思いますが、目安時間の実効性を高めると同時に激変緩和措置といったものを設定していく必要があるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  194. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) この女子保護規定解消によりまして、家庭責任を有する女性労働者について関連法の施行時期に職業生活労働条件の面で急激な変化が生ずる、それを何らか緩和する措置を目安制度の中で検討していくことが必要であるということを労働大臣からも答弁申し上げたところでございます。  私どもそれを受けまして、そういった措置のあり方につきまして、中央労働基準審議会で行われています時間外労働、休日労働のこれからのあり方の中で、そういった点についても検討していただきまして、適切な対応策をおまとめいただけるように努めてまいる考えでございます。
  195. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 ちょっと二点ほど激変緩和措置について確認をしたいんですが、これは実効性確保措置と並んでやると、こういうことですよね。
  196. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) これからの中央労働基準審議会では、そういった時間外労働、休日労働のあり方の一環として、今の二つの点は同時に議論の対象になっていくというふうに、またそういうふうにお願いをしてまいるという考えでございます。
  197. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 それからもう一点は、例えばこの激変緩和措置の設定の仕方なんですけれども、これは私の考えですけれども、例えば百五十時間から三百六十時間を段階的に年を追って百五十から二百、二百五十あるいは三百というふうに刻んで段階的にやっていただくとか、あるいは個別の家族的責任を配慮するように定めていただくとか、それほど長い時間これが存置しているような状況があっては本当はいけないと思うんですが、そういうきめの細かい配慮で激変緩和措置を御検討していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  198. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) この激変緩和措置という御指摘あった点でございますが、もちろん性格上、経過措置としてそう長く続けるべきものではないというふうに思っております。  さらに、その内容でございますが、どういった措置が一番いいのか、これは労使のコンセンサスがどの辺に出てくるか、いろいろと審議会でぜひ御議論をいただきたいと思っております。もちろん、先生の御意見等、国会でのそういった点につきましては関係審議会にも伝えてまいる所存でございます。
  199. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 ただいまは時間外労働についてお尋ねをいたしましたが、今度は深夜業に関してお尋ねをいたします。  深夜業に従事する女性労働者のために仮眠室の設置とか通勤の安全の確保とか、さまざまな就業環境整備等については対応したいということですが、これは法的に見るとどのような形で対応をしていただけるのですか、どういうところに書いていただけるんでしょうか。
  200. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 事業主が新たに女性労働者に深夜業をさせようとするときは、先生指摘のように、就業環境整備に努めることが必要であろうと思うわけでございます。  その点、労働省といたしましては、これは労働省令で明らかにしたい、そして業務上の負担の軽減とか通勤時の安全の確保など、事業主が努めるべき事項について総合的な指針を定めまして、啓発、指導にも努めてまいりたいと思っております。
  201. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 そうすると、新しく深夜業に従事する女性労働者に関する指針を定めていただけると、こういうことだと思いますが、深夜業に関してはちょっと後に聞きますけれども、就学前の子供を持つ男女労働者については深夜業を拒否する請求権が設定されたわけです。  しかし、就学児童であっても、例えば子供が登校拒否をしているとか、あるいは病気になったり、事故になったり、あるいは障害児を抱えていたりいたしますと深夜業などなかなかできない場合がありますが、こういう人たちに対しても特に配慮が必要と考えるものであります。これを新しくつくられる指針に書いていただくことを御検討していただくということはいかがでしょうか。
  202. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 指針内容につきましては、今後、関係審議会で御議論いただいた上で決めることになるわけでございますが、家族的責任のある労働者に対する配慮として、先生指摘の点も含めて審議会で検討をしてまいりたいと思います。
  203. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 時間外労働と深夜労働が同時に取り払われるということで、時間外労働から引き続いて深夜労働に及んでいくという、ダブル・トリプル労働というようなものが生じてはならないと思うわけです。  このような場合に対する抑制措置をどのようにするかということは非常に問題でありまして、先ほども時間外労働の抑制のためには目安、指針があるということですが、深夜業に関しても配慮が必要だと思うんですが、この点はどういう形になるのでしょうか。
  204. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 女子保護規定解消によりまして、家庭責任を有する女子労働者についていろいろと影響が生じることが見込まれるわけでございますが、職業生活とか労働条件の急激な変化を緩和するためには目安制度の中で何らかの措置を検討することが必要であるというふうに考えるわけでございます。  また同時に、時間外労働の抑制につきましては、現行育児介護休業法におきましても、働きながら子供を養育することを容易にするための措置一つとして所定外労働をさせない制度が事業主の義務または努力義務とされているところでございます。  深夜業につきましては、今回の改正法案におきまして育児介護休業法を改正し、育児や家族の介護の問題を抱える一定範囲の労働者の深夜業の免除については請求権という強い権利を創設したところでございます。さらに、今回の女性に対する深夜業の規制に伴いまして、事業主が新たに女性労働者に深夜業をさせるに当たって努めるべき就業環境整備につきましては、先ほども申しましたが、総合的な指針を定め啓発活動に努めることとしているわけでございます。  労働省といたしましては、これらの施策を適切に講じまして、家族的責任を有する女性労働者職業生活家庭生活とをバランスよく両立させていくことができるように努めてまいりたいというふうに思っております。
  205. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 深夜業に関しては、就学前の児童を持つ男女労働者に対して深夜業の免除の請求権というものが入りました。請求権というのは非常に強い権利だという御回答を代表質問のときにいただいておりますが、ちょっと重ねてお尋ねをしたいと思います。  請求権として規定した意味をなしにする、それを無にすることになってはいけないので、例えば請求権を行使したからといって解雇されてしまったということでは何の意味かわからなくなりますが、その解雇は許されるものでしょうか。
  206. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 深夜業の制限を請求したり、またはそれを受けたことを直接の理由として著しい不利益を受けることは、深夜業の制限の制度の趣旨を没却させるものになるわけでございますので、先生指摘のような著しい不利益を受けるような場合につきましては、婦人少年室におきまして必要な助言、指導を行ってまいりたいと思います。
  207. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 それで、深夜業をしないということになりますと、当然昼間の労働というものを継続したり、あるいはそこへかわるということになるわけですけれども、昼間労働への転勤といいますか異動といいますか、こういったことの配慮はどうあるべきでしょうか。ここをきちっと事業主の方に配慮がなされないと、事実上働くのに非常に困難を生ずると思うんですが、その点いかがでしょうか。
  208. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 今回の深夜業の制限労働者の権利は、これは深夜に労働しないことを請求するものでございますので、この結果、深夜に労働者労働しなくなったといたしましても、事業主にその労働者を他の時間にシフトさせる義務が生じるものではないわけでございます。  なお、深夜において労働しない労働者の処遇につきましてはどの程度規定すべきかにつきましては、これは十分なコンセンサスが得られていないわけでございますので法律上は規定はしておりませんけれども、個々の事業所におきまして、深夜業の制限の制度により深夜に労働しない労働者の処遇につきましては事前に取り決めをしておくことが望ましいものであるというふうに思います。
  209. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 深夜業を拒否して、昼間への異動まで義務づけていないということですけれども職業生活家庭生活両立するための配慮としては、使用者にでき得る限りの配慮をするということは求められるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  210. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 先ほどの繰り返しになりますが、この点につきましてはまだ十分なコンセンサスが得られておらなかったもので法律上は規定はしなかったわけでございますが、やはりいろいろな形で職業生活家庭生活との両立という点で、事業主がそういうことを配慮してくださることは望ましいものであるというふうに思います。
  211. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 ドイツは新労働時間法というのをつくりまして、深夜労働に対しては昼勤労働への転換を定め、そしてこれに対する代償措置として何らか賃金等を支払うようにというようなことまできめ細かく規定しているわけであります。  とりわけ、この点が権利の実効性をあらしめるために重要だと思いますので、この運用についての通達などを書かれるときには十分にそういった点も熟慮して御検討をいただきたいと思います。  次に、育児介護休業法における時間外労働。  衆議院審議によりますと、育児介護休業法の中で時間外労働を抑制するという施策を周知徹底するというふうに言っておられますが、具体的に育児介護休業法のどういう条文に基づいてそういう施策を行われるのか、お聞きしたいと思います。
  212. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 現在の育児介護休業法におきましても、既に育児とか介護の家族的責任を有する男女労働者に、働きながら子供を養育することを容易にするための措置一つとして時間外・所定外労働をさせない制度を事業主の義務または努力義務として規定しているわけでございますので、こういうことを積極的にPRしていきたいというふうに考えるわけでございます。
  213. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 育児休業法によりますと、一歳未満の子供を持つ男女労働者には一年、これは使用者の義務として。そして、それを超えて就学前の子供を持つ男女労働者に対しては四つの選択肢で、一つ勤務時間短縮制度、そして労働のフレックスタイム、時間外労働をさせないということ、それから保育所の設置ということで、この四つの義務を決めているわけですが、この施策というのはどの程度実効性がある形で推進されているんでしょうか。
  214. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) これは、例えば一歳までですと、今先生がおっしゃったように所定外労働をさせない制度とか時間外とかということを幾つかの措置のうち一つ以上をやるという形でやっておるわけでございまして、企業の中で事業主がいろいろと決めていただくわけでございます。  平成五年の女子雇用管理調査によりますと、育児の部分でございますが、育児のための勤務時間の短縮等の措置を実施している企業が四一・三%ございます。その中で、これは内数でございますけれども、短時間勤務制を導入している企業が六三二%、フレックスタイムが一五・〇%、時差出勤が二三・五%、所定外労働時間が四八・四%、それから託児施設が四・六%、これはマルチアンサーでございますのでトータルすると一〇〇以上になりますが、そういうような形で制度が実施されておるわけでございます。
  215. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 女子保護規定解消されますと、時間外労働の長期化ということが女性たち仕事家庭両立を困難にするということがあるかと思いますので、とりわけ時間外労働のところを中心的に、育児介護休業法の中における施策をきめ細かく指導をしていただきたいと思うんですが、この指針の改定とかあるいはパンフレットなどでそこを重点的にやっていただくとか、そういった時間外労働に関する措置というものを殊さら重点的にやっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  216. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 繰り返しになりますが、この育児介護の家族的責任を有する男女労働者が働きながら子供を養育することを容易にするための措置としてこういうもろもろの制度が考えられておるわけでございますが、先生おっしゃいましたように、この所定外労働をさせない制度というものの重要性につきましては、今後この女子保護規定解消されるに当たりまして、事業主に対しましてさらに周知を強化してまいりたいというふうに考えております。
  217. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 今般の改正に伴って先ほどどういうところに深夜業の女性が参入していくのかとか、あるいはどの程度時間外労働が行われるのかということは予測できないというお話がありました。  今般の改正に伴って、男女労働者、とりわけ女性労働者労働への大きな影響が懸念されるわけですが、改正法が施行された後、目安時間の実効性ももちろん、ともに法の適用の状況を十分に把握した迅速適切な対応が必要だと思います。  これは実態調査というものではなくて、いわゆる適用を十分に適正に行うための調査、そういったものがとりわけ必要だと思うんですが、これはどのようにお考えでしょうか。
  218. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 改正法の施行状況につきましては先生おっしゃるとおりでございまして、私どもといたしましてもその的確な把握に努めまして、女子保護規定解消後の職場環境とか労働条件に関する諸措置については適切な対応を図ってまいりたいというふうに思っております。
  219. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 私は、育児介護休業法というものは育児休業法から出発いたしましたからこういう名前になっておりますけれども、本来ならば家族的責任を男女で負うという視点に立ちますと、職業と家族的責任の両立を保障する法律というように題名を改正されまして、男女ともにそうした労働条件を新たに設定していくという、そういう視点が非常に重要ではないかというふうに思っています。  この育児介護休業法という名前をそういう両立をする保障支援法のような形で細かいところまで整備していくという展望はおありでしょうか。
  220. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 私ども、特に私自身は、現在は改正法の可決成立に全力を挙げさせていただいているところでございまして、今先生に、そういう長期的なことをお尋ねになられても、即どうというようなことをお答えするような状況にはまだないわけでございますが、先生の御指摘一つの重要な視点であるというふうに受けとめさせていただきたいと思います。
  221. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 少子高齢化社会におきまして、家族的責任を有する男女労働者育児介護等をどうやって平等にシェアをしていくかということ、とりわけ女性労働者が負担をしています家事時間、家族的責任というものは非常に重いわけでありますので、私は、ILOの百五十六号条約の批准を我が国がしたわけですから、このILOの百五十六号条約の趣旨を踏まえて、その視点に立って法改正を鋭意するべきだと思うわけです。百五十六号条約にはさまざまな勧告で、私どもが施策として法整備をしたら日本少子高齢化社会も克服できるのではないかというような施策が盛り込まれております。  ILO百五十六号条約の外務委員会の議論におきまして勧告の持つ意義ということを私がお尋ねをいたしましたときには、ILOの百五十六号条約の勧告は立法のガイドラインだというふうにおっしゃいました。ILO百五十六号条約の批准の意義をどのように踏まえておられるのか、そして、将来家族的責任を有する男女労働者に対してどのような視点で施策に取り組まれるのか、労働大臣のお考えを聞きまして質問を終わります。
  222. 岡野裕

    国務大臣岡野裕君) 先生、この間あるアンケートで、男性家庭家庭的な業務に携わるのはどのくらいの時間か、わずか七分である、非常に有名になりました。  だが我々は労働省でありますので、雇用の立場に立って、やはり育児だとか介護に従事される、家族責任を負う、そういう皆さんに対して、お互いに職場生活家庭生活両立をというような観点にスポットライトを当てたわけでありますけれども、百五十六号条約が考えております理念というものは、今私が冒頭話をしかかった全体の生活の中での問題であろうと思っております。  そういう意味合いで、育児介護休業法あるいは雇用均等法あるいは時短の実現等々によって、今私ども課題として抱えているこの両生活の両立というものを実現したいと。大きく言いますならば、これから関係省庁と合わせて男女、言いますならば共同参画型社会というようなものを実現してまいりたいと。その一つがこれである、こういう位置づけのつもりであります。
  223. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 一分時間がありますので、これは私も代表質問のときに申し上げたんですが、日本貿易振興会の女性労働に関するレポートによりますと、日本のフルタイムで働く男女の週当たり総労働時間は、男性が六十一・七であるのに対して女性は七十四・四時間で、これは世界一長いわけであります。家事、すなわち育児介護を含めたそうした家事時間に割く時間は、女性が二十六・五時間で男性四時間、他の諸国では男女差が二倍以内であるのに、日本は六・六倍だということを申し上げました。  経済企画庁もこのところアンペイドワークという無償労働の貨幣評価というのがありまして、そこでも男性が三十分であるのに女性の全体の家事時間が三時間余りだということで、五倍以上の差があるということがありました。  こうした家事時間といいますか、アンぺイドの無償労働と有償労働との分担の割合を変えていくということがいわゆる男女共同参画型社会のかなめであるというふうに思いますので、よろしくその施策の方をきめ細かく行っていただきたいということを申し上げまして、終わります。
  224. 川橋幸子

    川橋幸子君 民主党・新緑風会の川橋幸子と申します。  本日、十二問ばかり、持ち時間四十分の中でお聞きさせていただきたいと思います。少々欲張っておりますけれども、お答えの方も御協力いただけますようにあらかじめ申し上げさせていただきたいと思います。  さて、第一問は、今回の均等法改正及び労働基準法改正につきまして、実に多くの女性たちから要請が寄せられております。  連合さんの方が統一的に御意見をまとめてくださっているものが非常にわかりようございます。もう御存じのことばかりで改めて申し上げるまでもないかもわかりませんけれども、かいつまんで御紹介させていただきますと、女子保護規定の廃止に必ずしも反対というわけではない、だけれども、もし廃止するなら男女共通の時間外労働の上限制限を法的に設けてほしいということと、それと均等法改正施行時平成十一年四月、これとそうした上限制限を設けることについての空白期間を置かないでほしいということが要点でございます。  また、日弁連あるいは労働組合さんの中でも、長年労働時間の問題について精力的に取り組んでこられたゼンセンさんなどを初めといたします、もし男女共通の上限制限が法的に設けられないならば、その間は基準法改正部分の施行は先に延ばしてほしいと、逆に女子保護規定の廃止につきましては、そうした男女共通の上限規制を設けることをいわば廃止の解除要件にしてほしいというような、こんな意見があるわけでございます。  衆議院でもさまざま、各方面から御意見がございましたし、本日はまた朝から大変参議院らしいコクのある質問が続いているわけでございます。このような状況の中で、今回法改正を提案していらっしゃる労働大臣といたしましてどのような見解、所信をお持ちになるか、改めてでございますけれども、お聞かせいただきたいと思います。
  225. 岡野裕

    国務大臣岡野裕君) けさは冒頭、小山先生の御発言の中で、おれのところにもこんなふうにたくさん意見が寄せられているよと大きな段ボール箱をお示しになったようでありました。やっぱり私どものところにも、硬軟といいますか、いろいろな意見というものが寄せられました。私どもはそういった意見婦人少年問題審議会の諸先生にもごらんをいただいてはいかがかと、それぞれの先生のところにもやっぱり多くの意見が寄せられているというようなことで、非常に多くの時間を費やされて、そうして建議という形で今般の改正案の中身になるような素材というものを私ども御提供をいただきました。したがいまして、我々は十年の経験の実績を踏んまえて、新しく建議をなさった、これも一緒にしまして今の改正法律案というものを準備いたしました。そんな次第であります。  繰り返しますけれども、やっぱり女性皆さん職域というものを大きく拡大し、能力ある女性がつきたいと思うような職場につけるように、そして正当な評価を得て存分な働きがいのある人生が送れるようにというようなものを期待いたしているところであります。
  226. 川橋幸子

    川橋幸子君 日本の長時間労働という場合に、よく過労死という言葉が使われます。過労死という言葉の命名者は上畑鉄之丞さんとおっしゃるお医者さんでいらっしゃいます。この方は一九七八年の産業衛生学会の報告で過労死という言葉を報告されまして、何とはなしに日本国じゅう納得というような感じでその言葉を用いることが多くなっております。  エコノミストの記事、少々古いのでございますけれども、九一年八月二十日号でございます。この方は座談会の中ででございますけれども、この際は、「もしいま何をやらなければならないかと言えば、私はやはり残業を規制するということをきちんと法ですべきだろう」と、そんな見解を述べておられます。  過労死といいますのは、過重労働が続いて過重な疲労が続く、必ずしも時間的な要素だけではなくてストレスなど、あるいは個人の持病といいますか個人的な要因など、さまざま関連するものではございます。  しかし、今労働省の役割というのが行政改革会議の中で国家機能のあり方との関連で問われているわけでございますけれども、その中で、労働省の今後の役割というのはむしろ市場の中でルールを定めること、それとあわせましてセーフティーネットを整えること、これが労働省の役割というようなことを言っておられるわけでございます。  先ほど申し上げましたように、過労死といいますのは時間だけの問題ではございませんが、労働者の今、健康、安全、そういうセーフティーネットから考えますと、労働時間についてもそうしたセーフティーネットの中に含めて考えるべきことが多いように思いますが、いかがでしょうか。
  227. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) 御指摘のように、過労死と呼ばれるような事態、これは決してあってはならないわけでございまして、私ども労働時間の短縮もそういった観点も込めてかねてより推進してきておるわけでございますし、また、健康を守るという観点から昨年は労働安全衛生法改正いたしまして、事業主健康管理上のいろんな措置を新たにお願いするなどの措置を講じまして、こういった事態を招かないように逐次我々は施策を講じてきておるところでございます。  先生から、そういったこととこの時間外労働の問題との関連でお尋ねでございますが、私ども、こういった恒常的な長時間の残業というものもこれは適正なものにしていかなくちゃいかぬという観点で時間外労働協定の適正化指針を決めて、それに基づき指導してきている結果、かなりのところまで浸透してきていることは事実でございます。  先生指摘ございましたセーフティーネットという観点からすれば、労働基準法上の罰則を持った規定、そういった部分を市場経済の厳しい競争がある中でも最低の守るべきルールとして徹底させていくことはもちろんでございますが、そういったものになっていない、いわば指導ベースのものでもやはりその時々の時代の要請に応じて懸命に事業主へ指導し徹底を図っていくこともやはりセーフティーネットというものをしっかりと担う労働省の任務であろう、こういう観点でその実効性を高める工夫などさらなる知恵を出しつつ、私どもこういった長時間残業の抑制になお一層努めてまいる考えでございます。
  228. 川橋幸子

    川橋幸子君 局長の方からもう既に次の質問にかかわることまでお答えいただいておりますので、次の三間日の質問、これは意見ということだけで述べさせていただきたいと思います。  三間日に用意いたしましたのは、過労死対策、特に深夜に及びますような残業対策について、健康、安全、いわゆるセーフティーネットからの行政指導が必要ではないかということでございますが、そういう意味では万全を期していただきたいと思います。  先日、本会議で総理に対しまして、女子保護規定の問題は規制緩和の問題としても位置づけられているということから、諸外国はむしろ規制緩和は八〇年代後半にあって、今は、九〇年代に入りましてからその反省に立ってデレギュレーションからリレギュレーションに来ているのではないか、必要なリレギュレーションに来ているのではないかというようなお尋ねをしましたら、それは命とか安全とかにかかわる部分については見直しはあるかもしれないけれども経済市場についてはリレギュレーションの方に来ているとは思わないというような、こんなお答えがあったわけでございます。しかし、私は、総理がそうおっしゃっても依然その考えをなかなか変えるところまではまいっておりません。  過労死につきましては、労働省も非常に悩ましい状況に私はあると思っております。過労死の件数が八年度七十八件ですか、その二年前の数字に比べますと非常に多くなっている。つまり、過労死、労災認定がふえているから日本の長時間労働による弊害が大きくなっていると言いますが、これは実は労働省にかわって紹介させていただけば、認定基準が緩やかになったと。遺家族のための補償を厚くしようとすれば認定基準を緩やかにして件数がふえる、こういう悩ましいことになるわけでございます。  七十八件の内訳を見ましたら、四十代、五十代という管理職層とかセールスの仕事の方々。やはり時間面で自己規制をしていただきたいという気が幾分いたしますけれども、そういう自律とか自己規制、自己コントロールがなかなかうまくいかない、また企業の中での責任が大きくなるという層でございましょうか。そういう精神面の指導も含めまして総合的に行政指導をしっかりやっていただきたいと思います。  さて、四点目に入ります。  恒常的長時間残業、サービス残業、これは悪い方で使われる残業の言葉でございます。よい残業、悪い残業という言い方も変でございますが、経営秩序を維持するためということからは少々外れる、企業の行動基準から外れる残業でございます。こうした残業につきましては、労働時間面からの労働行政指導を強化すべきだと思います。  この場合、少々古い判例でございますが、昭和五十四年の新潟地裁の判例によりますと、残業を出す方にもそれは臨時に必要だという経営の側の正当な理由というのが必要だと。それから残業できないという個人の側も相当な理由が必要。それを総体的に考えていくというようなことが書かれているわけでございます。  今日のように、非常に経営形態といいますか営業時間が長くなっている中で、家族的責任を有する労働者等々さまざまな方がいらっしゃるとすると、そのあたりの総体的な基準を、これは判例を待ってといっても、残業拒否したからという判例はなかなか積まれていかないと思いますので、むしろ労働省の方で具体的に指導していくべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  229. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) 残業命令についてその正当な理由が認められた事例あるいは認められなかった事例、今まで判例等の集積はまだ十分ではございませんが、幾つか出ていることも事実でございます。私どもそういったものにつきまして、判例等が広く事業主あるいは労働者の方に周知できるようにまず整理に努めて、それを情報提供できるシステムを考えてまいりたいと思っております。  さらには、労働基準監督署等の窓口でこういった点のトラブルにつきまして相談があった場合に、的確な助言、アドバイスができるように、私ども自身もこういった点についての考え方を今までの判例、理論等をもとに、指導のいわば軸となる考え方等もいろいろ研究し用意しておく姿勢も大事かと思いますので、そういった点につきましては努力をさせていただきたいと存じます。
  230. 川橋幸子

    川橋幸子君 軸になる考え方をしっかりと示していただくということでございますので、その方向で御努力いただきたいと思います。  さて、五間日でございますが、先日来、労働省と私の間でどうも考え方といいますか情報が違っている部分がございます。EU指令でございます。  そこで質問は、EU指令の適用とEU加盟国の国内法制との関係というのをもっと調査研究すべきではないかということです。  情報が違っているというのは、EU指令、これは四カ月平均で週当たり上限が所定内外を含んで四十八時間まで、それから一日の継続する休息時間が十一時間、つまりは一日の上限は十三時間までというのがEU指令でございます。イギリスは何の法制もないといいましても、私がイギリス労働党の議員から聞きましたら、イギリスは国内法がないからEU指令の適用があるというようなことを言っておりまして、労働省の方の情報では必ずしもそうではないということが言われております。  しかし、そうした研究結果を十分明らかにした上で審議会にその材料を提供し、審議会の判断を求めるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  231. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) EU指令についての御指摘でございますが、確かにそういった関係の正確な情報、私どもも収集に努めてまいりたいと思います。イギリスについての情報等も当たってみますと、現時点、九七年の五月時点では、御指摘のございました労働時間に関するEU指令、イギリスではまだ実施されていないと、こういうような情報も入っております。  いずれにしましても、御指摘のありましたように正確な情報を収集し整理いたしまして、諸外国の諸制度等が関係審議会のこれからの議論の中で的確に活用されますように準備をしてまいる所存でございます。
  232. 川橋幸子

    川橋幸子君 的確に把握して審議の材料にしていただくということですので、そのようにお願いしたいと思います。  私は法律学者でもない人間でございますけれども、私の意見を若干言わせていただきますと、やはり米ソの壁がなくなったといいますか、体制の壁がなくなったことによりましてグローバリゼーションが非常に進む、こういう中で労働時間法制の国際秩序と国内秩序とのすり合わせ方というのが変わってきているんじゃないかというのが私の実感でございます。  どういうことかといいますと、EU加盟国の中だってまだ四十八時間の国はある、それから四十時間の国もある、両方あるわけです。そうした場合の一日当たりの時間外労働の上限制限を決めている決め方を見ますと、四十八時間の国は一日二時間とか、それから四十時間に短縮した国は一日四時間とか、逆に上限制限の方は緩やかになるということでございます。  上限制限規制につきましても、フランス、ドイツなんかの場合は、EU指令のもとでの国内法制をさらに細かく決めた上で、むしろその適用除外は労使の協約による、労使が当事者責任においてその規制を自由にする、あるいはその場合は監督官庁の許可を求めるというところにチェックを置く、こんなやり方があるわけでございます。  ぜひ、素人論議でございますけれども、このような問題意識を持つ人間もいるということを審議の場でも御紹介いただければありがたいと思います。  さて、六間日でございます。  以降、何点かにつきましては公務員部門のお話に移らせていただきたいと思います。人事院にお聞きします。  今回の均等法改正基準法改正への対応についてでございますが、人事院は公務員部門の法制整備をどのように行われるのでしょうか。特に、新たに導入されることになりますセクシュアルハラスメントでございますが、この点についてはどう対応なさるのか、質問いたします。
  233. 小竹久平

    説明員(小竹久平君) 今回の雇用機会均等法等の改正に伴う措置におきまして、セクシュアルハラスメントの防止に関すること、妊産婦健康診査等が義務規定とされること、それから時間外・休日労働、深夜業に係る女子保護規定解消されること、双子などの多胎妊娠に係る産前休業期間が延長されること、さらに育児介護者の深夜業免除規定が置かれることなどにつきましては、いわゆる非現業国家公務員に対するこれらの適用が除外されることとなります。  人事院といたしましては、今後、国会における審議の状況や関係方面の意見等を踏まえつつ、均等法等の趣旨も尊重し、これら関係規定施行に合わせ必要な措置を講じてまいる所存でございます。  なお、非現業国家公務員に対するセクシュアルハラスメント防止対策につきましては、労働大臣が示すことになります「事業主が配慮すべき事項についての指針」に相当するものを、各省各庁の長が配慮すべき事項について人事院においても指針を定めるなど具体的な取り組みを行うことといたしたいというふうに思っております。  今後、労働省の動きなどを見ながら、外部有識者の意見、公務職場の実態等を踏まえ、平成十一年四月の男女雇用機会均等法のセクシュアルハラスメント防止規定施行に合わせ必要な措置を講じてまいる所存でございます。
  234. 川橋幸子

    川橋幸子君 人事院においては、セクシュアルハラスメントについてのガイドラインをおつくりいただく、均等法施行に合わせて実施される体制を整備されるということでございますので、それはそのように期待させていただきます。  さて、次はポジティブアクションの部分でございます。  公務員の場合は均等法が適用されないわけでございます。民間の雇用と公務員部門とは別ということになっております。公務員には成績主義、能力主義が取り入れられているから均等法の適用はないということなのですが、それはあくまでも建前でございまして、実態としてどうなっていくかが必要でございます。  ちょっと余談ですけれども、公務員の倫理規程がつくられれば不祥事が起きないかというとそうじゃないということから、例としては余り適当な例ではないとは思いますが、いずれにしましても建前と現実の差を埋めていくという努力を国は求められるわけでございます。  この点につきましては、昨年末、総理府男女共同参画室の方でといいますか、男女共同参画推進本部の方で二〇〇〇年プランをつくっておられます。女性公務員の採用、登用の促進につきまして、必要な調査を行った上で必要に応じて計画を策定するということが述べられているわけでございますが、もう検討に着手されておりますでしょうか。二〇〇〇年プラン、これは二〇〇〇年中に実現することが書いてあるというお話でございますけれども、やはり民間の部門に合わせまして検討を急ぐべきではないかと思います。  その際は、諸外国における公務部門のポジティブアクションの立法例などを研究して参考にしていただく必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  235. 名取はにわ

    説明員名取はにわ君) 昨年十二月に、先生がおっしゃってくださいましたように、男女共同参画推進本部で決定いたしました男女共同参画二〇〇〇年プランでは、女性国家公務員については、「採用昇進等の状況を定期的に調査・公表し、改善が必要とされた課題への取組を示した計画を策定することを検討する。」こととしております。この計画策定についての検討は、女性国家公務員の採用、登用等の状況に関する調査を行い、その結果を踏まえ、改善が必要となる課題を明らかにした上で行うこととなります。今後、人事関係省庁を含めた関係省庁の御協力を得ながら積極的に検討を進めてまいりたいと思います。  また、男女共同参画二〇〇〇年プランでは、「我が国における新たなポジティブ・アクション導入の可能性について、」「諸外国において多様な形態で採用されているポジティブ・アクションの実態を参考にしつつ、」「総合的に検討する。」こととしております。  国家公務員の採用、登用等に関する計画的な取り組みについても、この考え方のもとで、諸外国の公務部門におけるポジティブアクションの状況について研究を進めつつ、総合的に検討していきたいと考えております。
  236. 川橋幸子

    川橋幸子君 計画策定の検討を急いでくださるということ、諸外国の例もよく参考にしてくださるということで、ぜひその方向で実施していただきたいと思います。  さて、公務員の人事管理といいますと総務庁が非常に大きな役割を持つわけでございます。  武藤総務庁長官が衆議院の本会議におきまして、この二〇〇〇年プランが絵にかいたもちに終わらないように政府として努力すると言ってくださったわけでございます。現在、「平成九年度における人事管理運営方針」というのを拝見しているのでございますけれども、「男女共同参画の推進など時代の要請に適切に対応した人事管理を引き続き推進する。」と書いてあるわけでございますが、総務庁の場合、武藤女性担当大臣が長でいらっしゃることということよりも、むしろ公務員の人事管理について総合調整を行う責任官庁として総理府と共同してこの計画策定に当たっていただく必要があるかと思いますが、そのようにやっていただきたいと思いますが、お答えをお願いいたします。
  237. 大西一夫

    説明員(大西一夫君) 総務庁といたしましては、先ほど先生からも御引用いただきましたように、従来から社会の各分野における男女共同参画の推進などの時代の変化や要請に適切に対応した人事管理の推進に努めているところでございます。  お話のありました計画の策定の検討に当たりましては、総務庁といたしましても、男女共同参画室の方で鋭意検討されるということでございますので、私どももできる限り協力してまいりたいと考えております。
  238. 川橋幸子

    川橋幸子君 公務部門といいますと、地方自治体の場合は非常に女性の職員数も多いわけでございます。これが地方公務員法という法体系が別建てになっておりますこと、また教育管理につきましては、小学校、中学校、高校あるいは大学、高等教育機関に至るまで、国、自治体の主体が異なりますのと、これに対して文部省というまた一つの縦割りの行政があるわけでございます。  つきましては、地方自治体、教育機関に対して、これは国のプランだからといって押しつけるわけにはまいらないものかと思いますが、やはり姿勢としては共通のものをとっていく必要があると考えますと、こうした二〇〇〇年プランがあること、これから国では計画が検討されていく、こういう状況にあることについて十分に周知して、場合によってはその自主的な取り組みを促すような必要な協力要請をすべきではないかと考えますが、自治省、文部省の順でお答えをお願いいたします。
  239. 石上卓

    説明員(石上卓君) 平成八年十二月に男女共同参画二〇〇〇年プランということが示されました。これを受けまして男女共同参画社会の形成が目指されるわけでございますけれども、地方公務員におきましても、平等取り扱いの原則、成績主義の原則を踏まえつつ、男女を問わず優秀な人材の採用、登用及び能力開発等に努めているところでございます。例えば、先生お話しございましたけれども、地方公共団体の採用試験における女子の合格者数を見ても四〇%を超えているような状況でございます。  お尋ねの点につきましては、今後女性の国家公務員についての採用、登用等に関する問題、課題、そういったものの取り組み状況、それからプランの趣旨を十分に踏まえて検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  240. 清水潔

    説明員(清水潔君) 先生御案内のように、公立学校教員のうち女性の占める割合は、例えば平成八年で申し上げますと、小学校では六二%、中学校では四一%、高等学校では二四%というような現状に相なっております。これを新規の採用者で見ますと、平成八年度、公立学校教員のうち女性は九千四百三十人、全採用者の五四・六%を占めております。平成二年度以降、女性採用数の過半数を占めるという状況が続いているわけでございます。  また、管理職についてでございますが、平成七年度末の異動で校長または教頭に登用された者のうち、校長については一〇%、教頭については一六・三%を女性が占めております。校長、教頭に占める女性の割合で見ますと、全校長の七・四%、これは全体でございます。教頭が全教頭の一四・二%を占めております。
  241. 川橋幸子

    川橋幸子君 現状は結構なんです。
  242. 清水潔

    説明員(清水潔君) そういう意味で、全体として言えば、全体の割合というのは着実に増加している、こういうふうな状況に相なっております。  私どもとしては、その意味で教員としてあるいは管理職として資質、能力を有する方々、すぐれた方々の登用、採用に向けてさらに努力するよう都道府県、指定都市を促してまいりたい、こういうふうに考えております。
  243. 川橋幸子

    川橋幸子君 ありがとうございました。  せっかくの現状の御紹介でしたが、時間が足りなくて少し短くというふうに要請してしまいました。  地方公務員の場合あるいは教育公務員の場合はむしろ非常に最近うまくいっているんだというような御紹介がありました。多分、最近はそうだろうとは思いますけれども、しかし、例えば自治省の地方公務員給与の実態という調査を見ますと、臨時職員の女性比率は昭和五十三年で五七・七%が、平成五年では七四・六%と。フルタイムの正規の公務員の女性比率はもう少し上がっておりますけれども、そう変化のない中で臨時職員の方だけが非常に大きくなるというような点が目立っております。価値評価、意味は別かもわかりませんけれども、この辺にも目配りいただきたいと思います。  それから、文部省の方も最近女性の校長先生の割合は高まっているとはおっしゃいますけれども、高等学校それから大学に至りましては、やはり母集団に対しての校長先生比率ですとか役職比率というのは低い。学長さんの比率はむしろ減となっておるということだけ申し上げさせていただきまして、なお御努力いただきたいと思います。  どうもありがとうございました。総理府、総務庁、自治省、文部省の方、結構でございます。  それでは次に、育児介護社会的な条件整備をしっかりやってほしいという要望も連合からちょうだいしておりますし、働く女性それぞれの身近な問題としてこのニーズは非常に強いのでございますが、まず最初に育児環境整備でございます。  緊急保育対策等五カ年事業の確実な達成を図ってほしいということでございます。  それから、都道府県、市町村段階のエンゼルプランの地方版の策定というものが進んでいるわけでございます。市町村レベルになりますと、まだなかなか策定中というのが多くても仕方ないかとは思いますけれども、都道府県レベルでは三十五ができ上がっていて、あとまだでき上がっていないのが引き算すれば出てくるわけでございますが、せめて都道府県段階では未策定府県の解消を図っていただきたいと思います。  それから、市町村段階で計画を策定される場合には、ぜひ働く女性、あるいは共働きの両親、子供たちといった利用者のニーズをしっかりとつかまえてほしい、把握してほしい。市町村段階の計画の場合、どちらかといいますと保育園ですとかそういう経営側のニーズは割合はっきり出るのでございますけれども、実際の利用者ニーズの調査が欠けているように思われますが、そのように努力していただきたいと思います。厚生省にお願いいたします。
  244. 河幹夫

    説明員(河幹夫君) 一点目の緊急保育対策等五カ年事業の状況でございますけれども、現在、三年次目に入ったところでございますが、時間延長型保育サービス事業あるいは放課後児童クラブ事業など順調に進捗している事業もある一方で、地域子育て支援センター事業のように必ずしも十分進捗していないものもある状況になっております。今後とも、地方公共団体に対しまして取り組みの一層の推進を促していきますとともに、種々の工夫を図りながら五カ年事業の着実な推進をしてまいりたいと思っております。  二点目の地方版エンゼルプランの策定のことでございますけれども、地域の福祉関係者はもとより、経済界、労働界、教育界等さまざまな方々の参画をいただく事業でございまして、地域社会に根差した子育て支援政策を推進する上で有力な方法であると考えております。現時点において三十都道府県七十一市区町村において策定され、十五府県百九の市区町村が策定中になっております。都道府県で残っております二県も本年中に策定にかかるというふうに伺っております。  御指摘のように、市町村の地方版エンゼルプランを策定するに当たりましては、共働き家庭の保育のニーズを初め、地域のさまざまなニーズを的確に把握するようにということが必要であると私ども考えておりまして、今後策定を行うあるいは策定中の地方公共団体につきましてはその指導を図ってまいりたいと考えております。
  245. 川橋幸子

    川橋幸子君 ありがとうございます。緊急保育対策等五カ年事業につきましては、ちょうど目標年次が平成十一年度でございまして、改正均等法施行等と合うわけでございます。ぜひ整合性を保って御努力いただきたいと思います。  要望させていただきたいと思いますのは、ゼロ歳から二歳ぐらいの低年齢児受け入れ枠の拡大が、目標値が六十万人に対して九年度予算はまだ五十一万人と、九万人の積み残しが出ておりますのと、それから時間延長型保育サービス事業につきましても、目標値が七千カ所に対して九年度予算はまだ四千カ所ということでございますので、目標値に届きますようによろしくお願いしたいと思います。  それでは、介護の方でございますが、新ゴールドプランの確実な目標達成というのも、これも女性たちが願っているといいますか男女が願っていることでございます。新ゴールドプランの都道府県別の進捗率を見てみますと、かなり府県によって目標達成の実績がばらつきがございます。ホームヘルパーさんの達成率の指標で見ますと兵庫県がトップのようでございますが、概して九州、四国が低かったり、東北、関東が低かったり、あるいは首都圏では意外に千葉、埼玉が低かったりというようなこんなばらつきがあるわけでございます。さまざま事情はあるかとは思いますが、底上げを図っていただきたいということと、これもなかなか目標達成までにはさまざま工夫が要るのではないかと思いますが、そういう御工夫を地方に指導していただけないかということですが、厚生省にお尋ねします。
  246. 青柳親房

    説明員(青柳親房君) ただいま新ゴールドプランについてのお尋ねでございました。  新ゴールドプランは、御承知のように、全国の地方自治体がみずから必要なサービス量を踏まえて策定をいたしました老人保健福祉計画を集大成したものでございます。この新ゴールドプランを着実に推進することによりまして、各地方自治体の計画的な介護サービス基盤の整備を支援してまいりたいというふうに私ども考えております。  特に、御指摘にもございましたが、介護サービス基盤の整備がおくれている地域におきましては重点的な整備を図るとともに、各自治体に対しまして整備がおくれている理由の分析、あるいはその分析に基づく対策の実施、それから老人保健福祉計画に定められました目標値の達成に向けた年次計画の策定、こういったことの取り組みを求めているところでございます。  また、平成九年度の予算におきましても、例えば地域における介護サービスの調整機関でございます在宅介護支援センターを核にいたしまして、ホームヘルプサービスあるいは訪問看護サービスを二十四時間体制で一体的に提供する在宅保健福祉サービス総合化モデル事業を創設いたしましたり、公衆浴場あるいは公民館など地域の既存の施設を活用して行いますサテライト型デイサービス事業といったものを実施したり、あるいは痴呆性老人向けグループホームの事業を創設したりということで、それぞれの地域の実情を踏まえましたサービス整備が進められるように事業のメニューや内容を工夫しているところでございます。
  247. 川橋幸子

    川橋幸子君 もっと詳しく伺いたいところではありますけれども、時間が五十二分ということで、あと一分しか残らなくなりました。  ホームヘルパーさんについては十七万人目標というのはかなり知れ渡った数字でございまして、平成九年度の予算では十五万人少々ということでございます。重ねて数の上でも目標達成をお願いしたいということをつけ加えさせていただいて、最後、労働大臣に一言御決意をいただきたいと思います。  男女共同参画推進本部の本部員でいらっしゃいますし、また国務大臣として全省庁に目配りできる立場にいらっしゃるわけでございますが、関係行政の整合性ある取り組みについて大臣の御努力をいただきたいと思います。一言、簡単で恐縮でございますけれども、御決意をいただきたいと思います。
  248. 岡野裕

    国務大臣岡野裕君) 先ほど私はこのマイクの前で、男女共同参画型社会というようなものはあにひとり労働省だけの踏ん張りでやれることではない、関係省庁みんなでスクラムを組んで大きな努力をしなければならない、こういうふうな話をいたしました。その答弁をもってかえさせていただきます。よろしくお願いいたします。
  249. 川橋幸子

    川橋幸子君 ありがとうございました。終わります。
  250. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 民主党・新緑風会の笹野と申します。  本日の委員審議の午前中の第一バッターの小山先生のときだったと思いますが、大臣は、この法案は革命だと、こういうふうに叫ばれました。このごろ組合の方から余りそういう言葉を聞かないものですから、自民党の大臣から革命という言葉を聞いて、私は何か非常にフレッシュに感じました。  しかし、革命というのは、これは今まである価値観あるいはシステムを全部一挙に破壊して新たなる考え方によって歴史を一段も二段も前進させるという大変な威力を持ったものです。しかし、もしこれが失敗に終わりますと、今度は反対ですね、断頭台に上がらなければならないというのが革命の本質だというふうに思います。そうするならば、この法案改正されまして、歴史を一挙に前進させるか、あるいは断頭台に上がるかというのは、私にとっては非常に興味津々であります。  しかし、私がこよなく信頼しております労働省皆さん方が、幹部の皆さん方が断頭台へ上がるということは大変忍びないことですから、これから歴史を一挙に進めていただく、そういう気持ちを込めまして質問をさせていただきます。  歴史を逆行させるんじゃないかという不安が私を含めまして幾つかあります。  それは、先ほども何人かの委員が本当に熱を込めて、ここも不安だ、あそこも不安だ、ここにも危惧があるということをるる述べられまして、私も全くそうだと思いながら聞いておりましたけれども、確認をする意味で私は再度お聞きをいたしたいというふうに思います。重複して大変申しわけないんですけれども、ひとつ御回答いただきたいと思います。  それは、この法案が通りまして、女子保護規定解消になり女性の長時間残業や休日労働が相当数生ずるなど、家庭責任を有する女性労働者を中心にその職業生活に多大な影響がもたらされることが、これはもう先ほどから懸念されていることです。均等法改正により女性が広範な分野で活躍することができるようになるという一方で、こうしたいわばマイナスの副作用を生ずることのないよう適切な対応策を講ずることが重要であると考えます。  労働省としては、この点についてどのような方策を検討されようとしているのか、またその実施は改正均等法施行される平成十一年四月に間に合わせるお考えなのかどうか、再度お尋ねいたします。
  251. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) 御指摘ございました女子保護規定解消が行われた後の働く姿でございますが、やはりこの保護規定解消によりまして女性の方々も多くの職域でその能力を発揮していくケースがもちろんふえてまいるわけでございますので、そういった際に、職業生活あるいは家庭生活の面で急激な変化が生じるとなかなかそこへ急に入れない、こういった場合に、急激な変化を緩和するための工夫というようなものはした方がいいし、またそれも大事なことではないかというふうに思っております。  同時にまた、できるだけ恒常的な長時間残業を抑制していくことも非常に大事でございまして、現在、その軸になっております時間外労働協定の適正化指針制度をより実効性を高めていく、こういったことも大変重要であろうというふうに認識しております。  労働大臣からも本会議等でそういった考え方を答弁申し上げているところでございますが、そういったことを受けまして、現在中央労働基準審議会でこれからの時間外労働、休日労働等のあり方について御議論が行われているわけでございますので、私どもそういった場で、現在の適正化指針に関しまして、家庭責任を有する女性の方の急激な変化を緩和するための措置、それからこの目安制度全体をより実効性のあるものにしていくための措置について適切な対応策をぜひ取りまとめていただきたいということをお願いしていこうというふうに考えております。  そういった場で御議論が進むことを私ども期待しておるわけでございますが、とにかくそういった場で一定の方向を見出していただいて、この均等法施行日である平成十一年四月一日までにそういった面についての必要な何らかの措置は実施できるように、間に合うようにスケジュールもあわせてお願いをしてまいりたいと思っております。
  252. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 革命であるならば今まである制度は全部否定して新しい制度で本来ならできるわけで、今局長が御答弁になりました、緩和をする、必ずそういうものを考えたい、あるいは目安になるものをきちっとつくりたい、あるいは平成十一年までには間に合うようにしたいというお答えをいただきましたけれども、最後に審議会に諮ってと、こういうふうに言われました。確かに法制上審議会に諮るということがありますので、それはそれで私はいいんですけれども、何せ大臣は革命だ革命だと言っているわけですから、審議会に諮らなくても政治的決断というそういうことがあると思うんです。  また、私たち、この委員会はまさに立法府でありまして、憲法の中で法律ができるのは唯一この立法府だというふうに規定されているわけですから、審議会の結果をもって、この結果によってということはこれは革命ではありません。  そういう意味では、私は、別に現にある審議会に意見を聞くというそういう法律を否定するわけではありませんけれども、しかしここは、これだけ全国の女性がこの法案が出ることに対する期待と不安というものを持っているわけですから、期待はそのまま大いに伸ばしていただくと同時に、不安は解消するという政治的決断を持たなければいけませんし、私たち立法府の意見をしっかり聞いていただく、そういうことを私は切に申し述べたいというふうに思います。  さて、先ほど太田婦人局長は、なぜ今までの法制の中で女性に対する保護規定があったのかという今泉議員の御指摘に対して、女性というのは弱者であったから、その弱者を保護するための規定であったというふうにお答えになったと思います。これは質問の通告をしておりませんので、どうぞ局長御安心して聞いてください。  私が聞いておりましてちょっと変だなと思って、ただ私の意見を申し述べるわけで、私は人を不安に陥れることが嫌いな人間ですから安心をして聞いていただきたいと思いますけれども、私は、この女子保護規定というのは女性が弱者だから規定したというふうには解しておりません。そして、それでは今弱者でなくなったのかと問いたいところですけれども、これは聞きません。  そうするならば、私は、じゃあの規定は何だったのかというと、あれはやっぱり女性という人類にとって得がたい貴重な存在をいかに大切にするかという意味でできた条文であって、これはまさに人類の自然法である。どんな時代にあっても、女性に対して優しい立法、そして優しい政策というのはどんなときでもあるんで、私はまさに自然法、だという考え方でおります。  ですから、そういう点では、もう女性は強者になったんだから要らないというような、そういう発想であるならば、私は次の質問に続けていきまして、強者になったんだから要らないというならば、じゃどこがどういうふうに強者になったのかという疑問を非常に持つわけであります。  そういう意味で、私は、やっぱり人類にとっては自然法というのは絶対あるんだ、この自然法を守るために労働行政というのはあるんだという強い思いでおりますので、どうぞ私のこの思いを立法府の一員としてお聞きいただきたいというふうに思います。  さて、この改正をするわけですけれども現行均等法の中に第五条に「啓発活動」という条文があります。この条文は本当にいい条文ですね。この条文をちょっと読みますと、「国及び地方公共団体は、」、この「国」というところを労働省と言い直してもいいんじゃないかと私は思います。「女子労働者の福祉について国民の関心と理解を深め、かつ、女子労働者労働に従事する者としての意識を高めるとともに、特に、女子労働者能力の有効な発揮を妨げている諸要因の解消を図るため、必要な啓発活動を行うものとする。」と書いています。  そこで、この「女子労働者能力の有効な発揮を妨げている諸要因」とは何を指すのでしょうか。
  253. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 現行均等法の第五条の、先生指摘になりました「女子労働者能力の有効な発揮を妨げている諸要因」でございますが、これは主として社会に根差します固定的な性別役割分担意識でございますけれども、また、一部の女性労働者において、労働に従事する者としての職業意識が必ずしも十分でない者が見られるということも含まれるというふうに考えております。例えば職場における結婚退職慣行だとか、女性社員をうちの女の子と呼ぶような、一人前として扱わないような雰囲気がこの諸要因に該当するというふうに思っております。
  254. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 ちょっと物足りないんですね。もっとあるでしょう、諸要因。今のように職場だけじゃなくて、社会全般いろんなところに諸要因というのはあると思います。
  255. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 先生の御質問は非常に難しいのでありますが、多分先生がおっしゃりたいということを類推させていただきますと、配偶者控除などの税制だとか、夫婦別姓の問題だとか、育児介護に関する社会的資本整備の状況などが現行の第五条に言うものに該当するかどうかという御質問の真意かなというふうに考えさせていただいているわけでございますが、そういうようなものはこの五条に言う諸要因に直接該当するものではないというふうに思います。広い意味におきましては、「女子労働者能力の有効な発揮を妨げている諸要因」になる場合もあると考えておるわけでございます。  労働省といたしましては、女性労働者が性により差別されることなくその能力を十分に発揮できる雇用環境整備していくということが重要でございますので、他省庁とも連携をとりながら諸施策の充実には努めてまいりたいと思います。
  256. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 局長のお言葉ですけれども、これは私が欲しているんじゃなくて、法律がそのように諸要因というふうに幾多の要因を挙げているわけですので、今局長は税制を含めて幾多の女性の有能な能力を妨げているという、その諸要因を御理解いただくところからすべての労働行政の啓発というのが始まるんで、何が諸要因かということを理解しなければ私は労働行政における啓発というのはあり得ないというふうに思います。  先ほど、女性は強くなったとは言いますが、強くなることを社会的にいろんな面で足を引っ張っている現状がまだまだたくさんあるということなんです。ですから、こういう社会的なもろもろのところでの女性能力の足を引っ張っている原因はやっぱり取り除かなければ、雇用の面だけで平等といっても、それは本来私は非常に不平等な現状をつくり上げるというふうに思います。  例えば、私にしてみたらこんなことかと思う氏の問題、民法改正の問題でも男性の諸君は大騒ぎをされます。特にだれとは申しませんけれども男性の議員の中では本当に不思議なくらいこういうものに対してまだまだ女性に対する理解も協力も平等感もありません。そういう意味では、私は、労働行政としてそういう諸要因というのはここにしっかり書かれていて、それに対して啓発をしなさいと言っているわけですから、その点は頑張っていただかなければいけないと思います。  続きまして、では、今度改正する均等法の中にはこのように書いておりますね。今度は、「雇用分野における男女均等機会及び待遇確保を妨げている諸要因」というふうに変わったんですが、これどう違うんでしょうか。
  257. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 現行法の諸要因と改正法における諸要因とは、これは同義でございます。
  258. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 うれしいですね、同義であるならば。というのは、先ほど局長の、弱者だから保護というのは私はおかしいと言ったわけで、今でもまだまだこういう諸要因という差別があるわけですから、今度の改正法案でもそれを取り除きなさいと言っているわけですから、それに対する啓発をやっぱりしっかりとしていっていただかなければいけないというふうに思います。  そういう面で、この諸要因を、啓発するということで大臣はどのようなお考えをお持ちでしょうか。
  259. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 均等法十年が経過いたしまして、この間女性の就業に関する国民一般の意識も非常に大きく変化したわけでございます。週四十時間制の実施も始まりまして労働時間も短縮をしております。育児介護休業制度も法制化されるということに代表されますように、職業生活家庭生活両立を可能にするための条件もかなり進んできたというふうに思っております。  このようにその進展が見られたものもあるわけでございますけれども社会に根差す主として男女役割分担意識、これはまだまだ根強いものがございますので、さらなる啓発が必要であると考えております。この啓発につきましては、婦人局を挙げて今後とも力いっぱいやっていきたいと思っております。
  260. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 局長のその御決意、今後とも革命を成功させるために頑張っていただかなければいけないというふうに思います。  そして、やっぱりこの諸要因の中に、先ほど来この法案審議に当たって、女性職域拡大するんだという言葉が何度も使われております。よく考えたら、私は女性職域という定義があるのかなというふうに思っております。どうも職域拡大するという定義がまだできていなくて、何かそれを拡大するということが、女性がふわっと何かいいことがありそうだという、そういう言葉になってしまっているというふうに思うんです。  確かに職域拡大するということは悪いことではありません。男女の平等にとっていろんな職域拡大することはいいことですが、しかし日本の憲法の二十五条に、国は日本の国民の健康と文化を維持するんだというふうにしっかりと書いておりますから、職域拡大するだけが男女同権ではありません。やっぱり女性の健康というものと相まって職域拡大することによってメリットが出てくるのであって、職域拡大し、そして時間を延長し、夜も仕事をしたことによって国民の健康という憲法二十五条の条文がないがしろにされるということは、これは大変私は問題だというふうに思いますので、あわせて諸要因の中に健康の維持という啓発があるということを私はここでしっかりと申し上げたいと思います。  それでは、いかに女性の足を引っ張るような現象があるか。あるいは、雇用の面で平等になるということは、雇用される以前に女性が人生の中で平等じゃなければ、雇用の面だけで平等というのは私はこれは不平等だと先ほどから何度も言っておりますが、先日来、女子学生の氷河期、氷河期時代などという言葉が使われましたように、要するに女性が働こうとするときにその働く力と技術を持った、つまり採用に対するニーズが合っていない学業をしているという現象を私は指摘しなければなりません。その指摘をすることで一番わかりやすいのが大学の科目の専攻があると思います。いろんなニーズが合っていないという現象はありますが、これは数字でよくわかりますので、その指摘をちょっとさせていただきます。  女子学生の大学を受ける専攻は、だんだん社会科学系や理科系が多くなったとは言っても、まだまだ女性は文系、男性は理系という考え方で大学の専攻をいたします。しかし、就職を見ますと、やっぱり社会科学系を一番企業は就職のニーズとして非常に求めているんですね。しかし、これが女性の専攻のニーズと全く合っていない、アンバランスになっているという現象があります。  例えば平成八年度卒業者の就職者の数を見ますと、男性は二十二万八千七百七十人が就職をしておりますが、女性は十万九千三十五人、半数以下しか大学生の就職ができておりません。この分析を見ますと、男性社会科学系が十二万二千八百七十二人、それに対して女性は二万九千五百六十二人しか採用されておりません。これはもうけた違いというか、六分の一ですね。また、工学系統を見ますと、男性は六万二千七百二十人に対して、女性は五千百三十六人という数字です。これもけた違い、十分の一ということです。  そうすると、絶対数から見ても、男性企業のニーズに合った数字と、女性の専攻が非常にアンバランスという現象が起きています。このような企業の、社会のニーズに合っていない女性の専攻ということに対してどういうふうに分析されますか。
  261. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 先生指摘のとおり、女子学生の就職問題の背景には、大学における専攻分野の偏りというものも一因としてあるのではないかと考えております。数字は先生のいろいろ御指摘されたとおりでございます。  この専攻分野が偏る原因といたしましては、やはり高校における進路指導の担当者、それから保護者、それから学生たち自身の持っている男女の役割分担意識などを背景といたしまして、自分の適性を考える前に、例えば工学は男子学生が行くところだとか、人文科学は女性向きというような固定観念がもたらしているものではないかなというふうに思っております。
  262. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 つまり、日本はもう男と女の学ぶそういう専攻すら家庭教育の中で、女は文科系、男は社会科学、理科系というような、そういう考え方を植えつけられてしまう、そういう環境がまだ残っているということです。この専攻別というのは一例にすぎませんけれども、もっともっと根強く私はあるというふうに思うんです。  そこで、私は、諸要因の一つですから、啓発活動としてやっぱり小さなときから勤労意欲というものに対する啓発活動というのは必要だというふうに思います。そういう意味で、先ほど大臣も、各省庁と力を合わせてやりますというふうに御発言いただきましたけれども局長はこれからどのようにこの啓発の問題に取り組むんでしょうか。
  263. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 雇用の場における真の男女平等を実現していくためにも、やはり男女ともに職業に関する平等意識というものを、先生おっしゃるように早いうちから確立していくことが非常に重要であるというふうに考えております。そのためには、就職問題に直面する前の早い時期から、幅広い職業選択を可能にするような職業意識の確立に向けての意識啓発をしていくことが重要であり、また効果的であるというふうに思っているわけでございます。  そのため、労働省といたしましては、文部省とか教育現場と密接な連携を図りながら、女子高校生を対象にいたしまして、幅広い職業を選択する可能性拡大するための意識啓発セミナーというものを実施しております。また、新規大学卒業者及び新規高校卒業者を対象といたしまして、適切な職業選択のためのアドバイスだとか、職業人としての心構えなどを内容といたします就職ガイドブックを作成もしております。そういうようなことをいたしまして、職業意識の確立に向けた啓発に努めているところでございます。
  264. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 先ほど大臣が、日本の家事労働を見ると、夫は七分というのが世界的に有名になったという御発言がありますが、これは総理府の男女共同参画に関する世論調査の中でとられた調査でありまして、家事時間は妻が二時間三十四分、夫は七分という調査が出ております。子供は親の背中を見て育つということがあります。家庭の中でお母さんが二時間三十四分、一生懸命家事労働をし、お父さんは七分しかしないような、そういう家庭を見ると、子供はそういうものだと思うでしょうね、いかがなもんでしょう。  これは大臣の方に非常に私は興味を持って聞きたいんですけれども大臣、いかがでしょうか。
  265. 岡野裕

    国務大臣岡野裕君) 私の背中を見て育ってくれる娘も息子もおりませんので、まことに私としては不適任な答弁になると思っております。  その七分というお話について、先生が先ほどからおっしゃっておられますが、そういう実態にあるというのが日本の今置かれている現状なのですね。それを男女共同参画型社会まで持っていかねばならない一つの手段というものが均等法だと、こう言っているわけです。  「家族、私有財産及び国家の起源」、これは先生多分お得意の、私と同じお年のころに読まれたと思うのでありますが、やっぱり女系で財産というものが承継をされてくる。我が日本の国でも卑弥呼、あるいはさっきちょっとお話をいたしましたが、アマテラスオオミカミ、日本書紀あたりに出てくる人物たちも女性であります。言うならば女帝であります。というようなものから、いつの間にか男系の男子、これを継承すと。先生は憲法をおやりでありますので、もう御記憶だろうと思っておりますけれども、そういうふうになってしまった。  そういう世界をひとつ大きく変えようじゃないかというような意味合いで私は革命という言葉を使いました。先生、どうも革命は違うと。先生の革命は、広辞苑で引きますと、「従来の被支配階級が支配階級から国家権力を奪い、社会組織を急激に変革すること。」、したがって、これに失敗するとギロチンだとこういうお話でありますが、これはレーニンあたりの考えでありまして、岡野裕考えからいたしますと、同じく広辞苑に出てまいります「急激な変革。ある状態が急激に発展、変動すること。」、私はこの後者の方の解釈をもって革命と言っております。  いかがでしょうか。先生、実際に家庭生活の中で七分と二時間というようなものが五分五分になって、お父さんもちゃんと家事労働をやると、お母さんはその間じゅうあしたの仕事のためにいろいろ準備の勉強をなさると。  私の同級生で、東京大学工学部地雷学科入学が第一号というようなのがありました。やっぱり先ほどから、職業の選択の面で最初からそういう先入観があるのではないかということでありますが、ぜひ笹野先生の背中を見て、笹野家のお嬢さんなり坊ちゃんは、ひとつ地雷学科へ行ってもいいのであると、工学部の先端を切るのであると、男の子の方は、文学部の英文学科にでも行ったらどうかというようなことはやっぱり革命じゃありませんか。  というようなことで、雇用均等法という労働省の方からスポットを当てたにすぎない法律でありますが、目指すところは共同参画型社会だというような意味合いで、ひとつお互いに革命をしましょう。
  266. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 私に永久に時間がありますれば大臣とちょうちょうはっし革命論をやりたいんですけれども、大変時間がありません。  しかし、私は革命は間違うとギロチンというこのことは捨てないでおりますので、御覚悟のほどをよろしくお願いいたします。  大変、私ごとを言って申しわけありませんが、私も娘がおりますけれども、私の娘は私以上に革命的人生を送っておりますので、念のため申し添えておきます。  次に、今の家事労働男女の比率という延長線上に、男性も地域活動や家庭生活を両方やりたいためにいろんな支援をしてほしいという要望がありまして、いろいろな支援はしているでしょうけれども、しかし育児休業を現実にとっている数というのは、私、意地悪い質問ですけれども局長、これ何%ですか、男女比。
  267. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 約半数でございます。
  268. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 パーセントで言うと。
  269. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 四五%くらいだったと思いますが。
  270. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 これだけ比率が違うとちょっと話しづらいんだけれども
  271. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 全体ではなくて、男女のことでございますか。  男女は、女性が九九・八%で、男性が〇・二%でございます。
  272. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 つまりこの数字、女性が九九%、男性は〇・二%しかとっていないというこの現状はどのように分析しますか。
  273. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 私の考えでございますが、育児介護休業法は男女ともにとれる法律でございますので、ぜひ私といたしましては育児休業男性にも利用していただきたいというふうに思っております。ですから、若い母親が、夫にぜひあなたも数カ月でもいいからとってくださいということを言っていただくことが非常に効果的なのではないかと思っておるわけでございます。
  274. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 これは女性がとってくださいと言って直るような問題じゃなくて、企業社会全体が男性がとれない状況にあり、そして、つまり女性が差別の中で必然的にとらされるというもっともっと大きな私は構造的な問題があると思います。ですから、女性が一人、妻一人が頑張っても、とても日本の今のような男性企業戦士の中ででは、女性が、あなたと言っても解決する問題じゃないということを御理解いただけないでしょうか。  そうするならば、もっともっと行政として啓発活動、この雇用機会均等法というのは、雇用の面で平等になるために何をどうするかという大きな問題にやっぱり行政として突っ込んでいかなきゃいけないと思うんです。そういうところに突っ込んでいかなければいつまでたってもこの構造的な差別というのは解消されないと私は思います。  ちなみに、企業が求めている姿がありますが、日本企業というのは女性にどんな働く姿を求めているかというそういう。パーセントがありますが、それを見ますと、女性らしい特色を生かして優しい女性の方がいいんだというのが年々ふえていっています。これはパーセントでいくと平成三年度のパーセントより平成七年度のパーセントがふえていっているというのは、もう既に企業全体の中に女性に対するそういう差別観というのが根づいているわけです。  こういうことに対して、やっぱり個人の努力じゃなくて、私は労働省としては企業に対する啓発というのもあると思います。その点、いかがでしょうか。
  275. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 先生指摘の数字は女子雇用管理調査のものだと思うわけでございますが、女性配置の基本的な考え方といたしまして、女性の特質、感性を生かせる職務に配置するという数字が、平成四年のときの調査ですと三七・六%だったものが、平成七年度で四四・六%にふえてしまっているわけでございまして、こういう点でまだまだ男女の固定的な性別役割分担意識というものが残っていることが否定できないなと、私なんかもこの調査を見てつくづく痛感するわけでございます。  このため、労働省におきましては、雇用分野における均等機会待遇確保ということで、労使を初めといたしまして社会一般の意識、認識等理解を深めるため、均等法施行以来、本当に一生懸命活動を行ってきたわけでございます。  特に、現行均等法ができまして公布されました六月を記念いたしまして、毎年六月を男女雇用機会均等月間と定めて集中的に全国に啓発活動をしているところでございます。また来月、月間になるわけでございますけれども、特に事業主、使用者団体に対しまして、均等法の趣旨、それから内容の周知を図るとともに、女性労働者雇用管理の改善のための啓発、指導を本当に力いっぱいやっていきたいというふうに思っております。
  276. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 局長の力強い御発言、ますます頑張ってやっていただかなければいけませんし、局長は、弱者じゃない、強い女性の代表的な戦士でありまして、きょうなんか私は議論をするのにもう震えておりました。局長にいじめられて泣かされるのではないかというふうに思ったんですが、しかし、局長が率先してこの重大問題、これは本当に日本の今まであるいろんな価値観を一挙に変えていくという重大な局面ですから、法律はいいことはひとり歩きしていくと私は思います。しかし、この法案ができて、先ほど私が言ったように、副作用というマイナスの面を、いかに労働省挙げてなくするかということに頑張っていただかなければいけないと思います。  時間がなくなりましたけれども、やっぱり女性が働くためには、一番女性が心を傷める、私もそうでしたけれども子供という現象があります。今の保育所を見ますと、ゼロ歳から三歳児までの保育所が足りなくて待っているというんでしょうか、そういう現状は否定できないというふうに思うんです。  そこで、きょうは私はちょっと大胆な仮説を持ってまいりました。これは、ある優秀な女性に私の仮説の構築に協力をしていただきまして、女性が安心して働いて子供を二人産んだとしたら現状の保育所はどうなるかというんで、これは非常に楽しくて、私はきょうはるんるんとしているんです。  今働く女性の中で、未婚だとかあるいは残念ながら希望はあっても現状産めないという人を全部抜かしまして、二十歳から三十五歳未満の女性子供をこれから二人産んだらどうなるかというシミュレーションをしてみましたところ、これはいろいろな計算値がありますが、シミュレーションですから聞いていただくといいんですけれども、百三十五万三千人が子供を二人産むシミュレーションがある。  今、一人産んでいるわけで、育児休業をとる。二人目をどうするかというと、時間がありせんので言いますと、家庭で保育する者が四九・七%、公的保育サービスで保育する者が三四・一%、そして民間とか保育サービスに預けるという三つの種類がありますが、現状の公的保育サービスのパーセントを引くと六五・九%が自分の親か親戚か民間でするという数字が出ました。この六五・九%というのを人数に直すと約八十九万二千人になります。そして、今の保育所を見ると、ゼロ歳から三歳児までの保育所で収容できる人員は五十一万人、残る三十万人があぶれるというシミュレーションが出ました。これは、もし本当に労働行政がうまくいって、それで子供を産もうといったときに、今度は次の段階として保育所がないという現状が今から計算されます。  この数字がどうのこうのではなくて、こういう現状がある中で、雇用促進事業団というのが何か行政改革のやり玉に上がっていて、むだな仕事をしているかのような印象を受けるのは私は大変おかしいと思います。これだけシミュレーションすると、三十万という子供があぶれてしまうということは、これは大変なことなんですね。  そこで、この緊急五カ年計画の中に労働大臣が入ってないというのは非常に不思議なことの一つなんですね。もしも緊急五カ年計画に労働大臣が入っていないとするならば、労働省独自で保育所の経営、保育所設置に対してこれからどのようにお考えになっているか、お聞きしたいと思います。
  277. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 先生指摘のように、ゼロ歳から三歳未満の児童につきましてはかなりの待機児童がいるということは承知しておりますし、また先ほども厚生省から御説明ありましたように、四省によります子育て支援策であるエンゼルプランにおきましても低年齢児の保育の充実というのが課題になっているわけでございます。  労働省といたしましては、これまでも事業所内託児施設の設置促進を図ってきたところでありますが、今後ともこの点につきましてはより積極的に充実に取り組んでまいりたいと思っておりますし、先生指摘雇用促進事業団には企業を対象といたします融資制度とか奨励金制度がございます。そのような中で従来より事業所内託児施設等の設置を支援してきておりますので、この辺についても充実を図りたいというふうに思うわけでございます。
  278. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 終わります。
  279. 吉川春子

    吉川春子君 日本共産党の吉川春子です。  雇用機会均等法改正を多くの女性が待っていたと思います。それは、賃金差別あるいはさまざまな働きにくい条件の中で懸命に多くの女性たちが頑張って、雇用機会均等法を何とか実効あるものにしてほしい、その思いでこの改正を待っていたと思います。  ところが、今度の改正は、皆さん御案内のとおり、労働基準法女子保護規定の廃止とセットになっております。この女子保護規定の廃止は、女性に健康破壊をもたらし、また女性労働者育児介護など家族的責任の放棄を求めるものだと私は思います。労働基準法上、産む性である女性の保護を取り払うということに何の合理性もないわけです。この問題をまず質問したいと思います。  労働基準法の「(妊産婦等に係る危険有害業務就業制限)」、六十四条の五というのがありますけれども、「重量物を取り扱う業務、有害ガスを発散する場所における業務その他妊産婦妊娠、出産、哺育等に有害な業務に就かせてはならない。」というふうにありまして、この二項には、「妊産婦以外の女子に関して、準用することができる。」というふうになっていますが、これはどういう趣旨でしょうか。
  280. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 労働基準法第六十四条の五及び女子労働基準規則の第十条の規定におきまして、妊産婦以外の女子についても重量物取扱業務等の就業制限が定められているわけでございます。  この規定につきましては、女子労働者の場合、日常作業で一定限度以上の重量物運搬を反復継続すると子宮脱垂を起こす可能性があり、ひいては受胎能力または将来の妊娠、分娩に影響を及ぼし得る等の観点から、重量物取扱業務就業制限がなされているところでございます。
  281. 吉川春子

    吉川春子君 「妊産婦以外の女子に関して、準用することができる。」ということの意味を説明してください。
  282. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) ですから、妊産婦以外の女性に対しても同じく規定を適用できるという意味でございます。
  283. 吉川春子

    吉川春子君 これは母性保護の見地から、妊産婦妊娠、出産、哺育、これの有害業務への就業を制限するとともに、女子の妊娠及び出産に係る機能に有害な業務への就業制限についてあわせて規定したものであるというふうに労働基準法のコンメンタールに書いてあります。要するに、妊婦だけではなくてこれから妊娠するであろう女性妊娠機能というものに着目して、そして妊産婦以外の女子も就業制限の対象としていると、こういうことでいいですね。伊藤さん、いいですか。
  284. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 妊産婦以外の女子の第一項の規定の有害な業務の中には、妊産婦妊娠、出産、哺育などに直接有害なもののみならず、いろいろあるわけでございますが、これらは妊産婦以外の女子の妊娠または出産に係る機能についても有害であるとの考えによって妊産婦以外の女子をも就業制限の対象と規定しているわけでございます。
  285. 吉川春子

    吉川春子君 つまり、労働基準法母性保護という場合には、妊娠そして出産後一年ということで、二年弱の期間を母性保護ということで保護していて、それは今回の労働基準法の、改悪と私たちは言っていますけれども、改悪でも残される規定ですね。  ところが、今の危険有害業務は、妊娠、出産の二年弱の期間以前というか以後というか、そういう場合でも、女性は産む性である、妊娠、出産する性であるということに着目して、その妊娠機能に影響があるので現に妊娠していなくてもこれを保護しますよと、こういう規定ではありませんか。端的にお願いします。
  286. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 先ほど申しましたように、危険有害業務の場合は、要はこういう危険有害業務が発生する場所で働いている女性につきましては、これは卵巣機能等に影響を及ぼす可能性があるという観点から業務制限しているわけでございます。
  287. 吉川春子

    吉川春子君 私と同じことを言っているんですか、違うことを言っているんですか。
  288. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) ですから、そういう観点において制限をしているということでございます。
  289. 吉川春子

    吉川春子君 伊藤基準局長、あなたの方でつくった解説書の今の「妊産婦以外の女子」のところをちょっと読んでいただけませんか。
  290. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) ページが同じかどうか、六百七十四ページの三の数字がついているところの「妊産婦以外の女子」、読み上げさせていただきます。  第一項の「有害な業務」のなかには妊産婦妊娠、出産、哺育等に直接有害なもののみならず妊産婦妊娠又は出産に係る機能に有害であるものが含まれており、これらは妊産婦以外の女子の妊娠又は出産に係る機能についても有害であるとの考えにより、妊産婦以外の女子をも就業制限の対象として規定している。  第一項の規定を準用することができるとされている妊産婦以外の女子の範囲は、女子則第一〇条で、年齢を問わず、妊娠中の女子及び産後一年を経過しない女子以外の女子と定めている。 以上でございます。
  291. 吉川春子

    吉川春子君 これで認識が一致したわけなんです。  それで、伺いたいと思うんですけれども労働省で深夜業の女性妊娠・出産機能についてどんな影響が出るか調査をされていますね。その数字について報告してください。
  292. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 労働省が婦人少年協会への委託事業といたしまして平成七年度に実施したものがございまして、妊娠中の就業と健康に関する調査でございます。これは有職と無職の妊婦につきましていろいろと調べたわけでございますが、切迫流産につきましては有職が一三・七%、無職の妊婦が七・九%、それから切迫早産は有職が二四・八%、無職一五・五%ということで、有職の女性の方が高い割合で発生をしております。
  293. 吉川春子

    吉川春子君 太田局長に伺いますけれども女性が深夜業をやるということによって、もちろん妊娠中に深夜業をやるというのはすごく体に悪いんですが、それ以前でも交代制勤務などで深夜業についていた女性たちは、やはり今示されたように異常の数字が高いということになるのではありませんか。
  294. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 深夜業の妊娠・出産機能へ及ぼす影響につきましては、国際的にも基本的に妊娠以降の問題と考えられているというふうに考えておるわけでございます。  それで、深夜業の妊娠・出産機能へ及ぼす影響そのものではないかもしれませんけれども幾つかの調査がございます。  例えば、深夜業による月経周期への影響について調査を行ったものがあるわけでございますけれども、この中でもやはり、深夜業でも多いことは多いんですけれども、逆に、立ち作業の多い職種、例えば理美容師だとか保母さんの方が、これは月経不順でございますけれども、多いというような調査もございます。
  295. 吉川春子

    吉川春子君 私は、本会議質問でも引用したんですけれども、この五月九日に日本医療労働組合連合会の医療労働者労働・健康実態調査の中間報告が発表されました。これは、昨年の十一月と十二月に実施されまして、百十六項目の質問から成り、看護婦などの組合員六万四千七百人から回答を得て発表されたものです。  ここで明らかになったことはいろいろあるんですけれども、看護婦が従事している夜間交代勤務労働の母性に与える影響の大きさ、妊娠機能に与える影響の大きさについて明らかになったと思うんです。慢性的な疲労を感じている人が七七・三%もある。それから、生理不順が四五%、生理のときの苦痛が五〇%、鎮痛剤服用が五五%という数字で示されております。そして、妊娠、出産について言えば、順調な経過をたどったのはわずか二割で、切迫流産が三割、それから鉗子分娩とか死産とか早産とか、こういう異常出産が三割という、もう本当に驚くべき高い率であるわけなんです。  看護婦は、夜勤のある職場としてはもう歴史も古くてほかの職場よりも環境も条件も整っているはずなんですけれども、それでもこういう事態ですから、今後全面的に深夜業を女性に行わせるということになりますと、日本の将来にとって非常に重大な事態になるということを私は思うわけです。  それで、太田さんにもう一つ聞きますけれども、私はこれは妊娠、出産した後に異常が初めて生じた数字だとは思わないわけなんですよ。やっぱり何年か夜勤をして交代勤務についている、その体で妊娠したということがこういう異常な出産ということになっているのじゃないかというふうに思うんですけれども、この数字を、やはり深夜交代勤務というものは女性妊娠・出産機能に影響がある一つの証拠だというふうにはお読みになりませんか。
  296. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 深夜業に従事することが多い看護婦、助産婦さんに切迫流産等が多いということは承知をしておるわけでございます。また、一般に深夜業を行う妊娠中の女性妊娠、分娩における異常が多く見られることも知られておりますし、先生お引きになりました医労連の調査もこうした事実を部分的に確認したものであるというふうに理解をしております。  しかし、妊娠中の女性につきましては、既に基準法におきまして、その請求により深夜業とか時間外労働、休日労働の禁止、及び他の軽易業務への転換が定められておるわけでございます。さらに、今回の男女雇用機会均等法改正によりまして、今後は定期的になされる健康診査などの結果によりまして、切迫流早産の症状に対しましては医師等の行う指導事項に基づく措置を講ずることが事業主に義務づけられることになるわけでございます。  したがいまして、今後深夜業の妊婦への悪影響が生じないようにするため、事業主及び現場の管理者には、さらに女性労働者に対して労働基準法を初めといたしまして改正均等法案の趣旨等の周知徹底を図っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  297. 吉川春子

    吉川春子君 さっきと今と両方の太田局長の答弁を総合しますと、要するに深夜業というのは男にも女にも余りよくないものだと、こういうふうにおっしゃるわけです。そして、妊娠した女性に対しても深夜業というのはいい影響を与えない、こういうふうにおっしゃるわけですね。しかし、妊娠する前の女性については妊娠機能には悪影響はないですよ、こういうふうにおっしゃるんですよ。  しかし、深夜業が男にも女にもよくない、つまり女にもよくないといった場合に、女にはよくないんだけれども妊娠機能にだけは影響ないんだと。何か人間の体を二つに割って、妊娠機能、その他というふうに言って、深夜業は妊娠機能にだけは影響ないと、妊娠する前は。そんなことがどうして言えるんでしょうか、そういう何か証拠でもあるんですか。
  298. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 繰り返しになりますが、深夜業の妊娠・出産機能へ及ぼす影響につきましては、国際的にも基本的には妊娠以降の問題ということで考えられているわけでございます。  専門家のいろいろな御指摘幾つか御紹介したいと思うわけでございますが、有職女性の一部の職種において月経不順が多いというのは幾つか例があるわけでございます。月経不順が多いとしても、これが直ちに妊娠機能の低下につながるものではないということでございます。また、現在多くの職種で実際に女性の夜間勤務が認められているわけでございますが、これらの夜間勤務をやっておられます女性たちに不妊症が多いというような報告はなく、また臨床の場においてもこのような傾向は認められていないということでございます。  それから、先ほど私がちょっと御紹介いたしました立ち作業の多い保母とか美容師での月経不順が多いという、これは厚生省の調査でございますが、そういうようなことから、夜間勤務と月経不順とが直接的に関係するとは限らないわけでございまして、長時間の立ち作業などの疲労とかストレスの多い業務が月経不順に関係するというふうに考えられるわけでございまして、やはりもろもろのものが影響しているというふうに言う方がよろしいかと思います。
  299. 吉川春子

    吉川春子君 まさにもろもろのものが女性の体に影響しているんですよ。だから、女性の体を、こっちだけ妊娠機能、こっちはそうじゃない、そうじゃない部分にだけ深夜業は影響があるんだというような、何かこれはある意味ではへ理屈だと思うんです。そのようにして、妊娠するまでは深夜業というのは女性の機能に影響がないんだというようなことをおっしゃるというのはいかにも詭弁なんですね。  それで、さっきの危険有害業務のところでちょっと一つ確認しますけれども、要するに、妊娠する前の女性でも危険有害だというふうにわかれば、これは危険有害業務としてそういう保護をする、これがさっきの条文ですね。
  300. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) そのとおりでございまして、これは…
  301. 吉川春子

    吉川春子君 イエスかノーかでいいんですけれども。そういうことですね。
  302. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) はい。
  303. 吉川春子

    吉川春子君 そうしますと、今後、深夜業が将来妊娠するであろう女性にとって悪影響を与えるというようなはっきりしたデータといいますか知見が出てくれば、これはやっぱり危険有害業務に準じて保護していかなきゃならないんじゃないですか。理論的にはそうなると思いますけれども、どうですか。
  304. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 昨年十月に母性保護に係る専門家会議の報告をいただいたわけでございますけれども、ここの中におきまして、「妊産婦以外の女子の妊娠・出産機能に影響があるという医学的知見は見当たらない。」というふうに報告されているところでございまして、深夜業が及ぼす一般女性への影響につきましては、これを妊娠・出産機能の問題としてとらえることができないというのがその専門家会議の報告の趣旨でございます。  ただ一般に、深夜業がストレスや健康の面から労働者にとって好ましくないのは当然でございますので、できるだけ避けることが望ましいわけでございます。また、深夜業を行う必要がある場合には定期健診によるチェックを入念に行うということ、また健診の結果、医師の指示に従った対応を図る等の措置を講ずることによりまして深夜業による健康面への悪影響を排除していくことが必要であるというふうに考えておるところでございます。
  305. 吉川春子

    吉川春子君 ですから、資料から目を離してちょっと考えてもらいたいんです。その議論はもうずっと聞いていて、それから太田局長妊娠機能にどういう影響があるかという調査も何もやらなかった、専門家会議だけだというのはもう前の委員会で決着がついていますから私言わないんですけれども、要するに、医学だって進歩するし、いろんな検査だって進歩するし、そういう中で本当はやっぱり有害なんだというふうにわかったときは、それは今の労働省の立場からしてもですよ、私は今直ちに女子保護規定撤廃すべきではないという立場なんですが、労働省の立場だってやっぱりそういうふうに立たざるを得ないじゃないですか。  それで、この問題の一つの締めくくりとして大臣にお伺いしたいんです。  要するに、女性というのは産む性なんですね。将来赤ちゃんを産んで種の保全というかそういうものを図る、そういう大切な役割を持っている女性なんですよね、生物学的にも。だから、そういう女性の体をなるべく健康に保つための施策をとるというのは国の第一基準じゃなければならないと思うんですけれども、とにかく妊娠したら保護するけれどもそれ以外はもう全然保護しないよと、そういうふうにおっしゃっていないとは思いますが、そういうことではなくて、女性妊娠機能というものについての保護は、妊娠する前であっても女性ということであってやっぱり保護していかなきゃならない。総論的に、一般的に大臣、そのようにはお考えになりませんか。
  306. 岡野裕

    国務大臣岡野裕君) ごめんなさい。男性にせよ女性にせよ、職場で健康な職場活動を営めるというようなことのためには、我が労働省といたしましては、労働基準法以下、先ほども法律名を挙げましたけれども、そういうところで保護をしていく。  それからまた、女性にとりましては特に母性というものがある。先生おっしゃるとおりであります。したがって、母性の保護というような意味合いでも、今の雇用均等法もそうですし、育児介護休業法というような法律があります。それから、基準法の中には、まだ赤ちゃんがおいでにならなくても、私どものころの言葉では生理休暇というような条文がありました。今日は条文が変わったようでありますが、やはり生理が困難な方については休めるというようなのがかつての生理休暇制度と同じような意味合いで残っている。したがって、女性には女性的に、妊娠だとか出産だとかなる前、これは母性だと思いますよ、生理というのは。だからそういうような保護が与えられているというふうに思っております。  というようないろいろな考え方があるが、やはり女性であるがゆえに一部の職業にはつけないというようなことでは、その職業につきたいと思っている、例えば吉川先生、国会議員は深夜業がだめだと言われたら先生困っちゃうでしょう。僕らももう……
  307. 吉川春子

    吉川春子君 雇用労働者じゃないですよ、私は。それはまた後でやります。
  308. 岡野裕

    国務大臣岡野裕君) そういう意味合いで、ある分野においては深夜業を伴うことがあるがゆえにそういう仕事をやりたいと思ってもやれないというようなことを救うために、今泉先生からお話がありましたけれども、今般、規制を緩和するというような意味合いというものも含まれている、こう思っております。  女性職域拡大は何だというお話ですが、職域拡大のためである、ひとつこう御認識を賜りた
  309. 吉川春子

    吉川春子君 順序を追って、私もそういう質問ちゃんと準備していますので。
  310. 岡野裕

    国務大臣岡野裕君) 僕、想定問答集を見ませんもので、全部そらで言っていますので、失礼しました。
  311. 吉川春子

    吉川春子君 次に、時間外労働についてちょっとお伺いしたいんですけれども労働基準法上、時間外及び休日労働というのはどういう位置づけになっているんでしょうか。先ほどのコンメンタールによりますと、週四十時間一日八時間、これは労働時間の最長限度を規定したものとして、時間外はその例外というふうにしているのではないですか。
  312. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) 労働基準法の体系でございますが、八時間労働週四十時間を原則といたしまして、それを超える場合については三六協定、これを結んだ場合にいわば禁止が解除される、こういう形になっております。
  313. 吉川春子

    吉川春子君 要するに、時間外労働は例外であるということですね。
  314. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) 御指摘のとおり、人事的な場合にこの三六協定によって八時間なり四十時間を超えるものと理解しております。
  315. 吉川春子

    吉川春子君 したがって、時間外・休日労働というのは、今局長が言われたように、臨時的なものとして必要最小限度にとどめられるべきものとされています。  それで、使用者が労働時間を延長しまたは休日に労働させた場合、通常の労働時間または労働日の賃金の二割五分以上の割り増し率を払わなくてはならないことになっていますけれども、この割り増し率の法的性格は何でしょうか。
  316. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) 法的性格といいますか、その趣旨ということになるかもしれませんが、まず時間外労働について規定しております割り増し賃金でございますが、これは労働基準法規定しております法定労働時間あるいは週休制、こういったものの原則を維持しますと同時に、もし三六協定等に基づいて所定労働時間を超えて働いた場合のいわば過重な労働、こういったものに対する補償という性格を有しているものと考えております。
  317. 吉川春子

    吉川春子君 わかりやすく言えば、八時間以上働かせたことに対するペナルティー、罰金だ、こういう指摘もあるんですが、今局長は補償であるというふうに言われました。  それで、私実はきのうNHKの「クローズアップ現代」を見ておりましたら「狂い始めた体内時計」という番組をやっておりました。要するに、睡眠リズムを調整している体内時計が狂ってさまざまな病気を併発している人が今、日本に推定百万人ぐらいいると。アメリカでは工場とか発電所の交代勤務に従事している人のカウンセリングを行っているシフトワーカーシステム会社というのまであるそうです。交代勤務ですね、シフトワーカー。北海道大学の先生が、人間はいつ寝てもいいというものじゃない、また夜起きているから昼間八時間寝ればそれで済むというものでもないということで、夜型社会への警告を発していて、ちょっと興味深く見たんです。  これから先が質問です。深夜業がいいはずがないというのは先ほど来お話がありましたが、労働基準法で決める深夜労働の割り増し賃金の法的性格は何ですか。
  318. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) この深夜業につきましては先ほどの時間外労働と違いまして、原則と三六協定というような関係にはございません。  ただ、この深夜業に係る割り増し率につきましては、深夜に及ぶということに着目して、その労働のいわば強度といいますか、そういったものをもにらんだやはり一定の労働者への補償措置であろうというふうに理解しております。
  319. 吉川春子

    吉川春子君 つまり、きついわけですね、深夜業というのは。だから、強い労働、それに対する労働者への補償であるというふうに今言われました。まさにそういうことだと思います。  要するに、深夜労働の過酷さに対する割り増し料金であるというふうにも言えると思うんですけれども、これらの労働基準法規定からわかるように、時間外労働も深夜労働も人間の体にとっては、労働者の人間らしい生活にとってはマイナスの労働だということだと思うんですけれども、この点認めますか。
  320. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) 時間外労働あるいは深夜業につきまして、労働基準法はそれにかかわるルールを決めておるわけでございます。そういった見地から、常にこの時間外労働あるいは深夜業が健康等にマイナスということを前提としたものではないと。ただ、非常に長い超過勤務、あるいは休息時間等が著しくない、あるいは交代要員が配置されていない交代制、こういうのが続く、そういったことによって健康等にマイナスの要因となることは、これは十分あり得ると思います。
  321. 吉川春子

    吉川春子君 それで、衆議院労働委員会で伊藤局長が深夜業について答弁されているんですけれども、公益上及び生産技術上以外のいわゆるもうけのための深夜業を抑制すべきではないかという議論が衆議院であって、私はそのとおりだと思うんですが、「経済的な理由といいますか、そういう競争上の理由等で深夜勤務に至る場合、例えば長時間の残業がそのままいわゆる十時以降の深夜勤務に至るような場合、そういったケース、いわゆる長時間の残業の抑制と相まっていろいろ抑制されていかなければならない部分というのは確かにあるのではないか」と。非常にえんきょく的な回りくどい表現ですけれども、そういうふうにおっしゃっていますよね。  これは、もうけのための深夜業というのは抑制の対象だと、はっきり言うとそういうことになりますか。
  322. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) 今御指摘のありました答弁、議事録を前提にしないでお話しさせていただきますが、超過勤務が深夜に及ぶようなケースが続いていけば、やはりその方の健康等の兼ね合いもいろいろ考慮しなくちゃいかぬ。私ども定めております時間外労働協定の目安指針も、いわばそういったことから恒常的な残業が続かないようにということで制限しているわけでございまして、あのレベルからいけば、五時に終わり深夜に及ぶ残業をそう続けられるようなことにはならないだろうと。  したがって、私どもとしては、あの目安指針を守ってもらう、そういった窓口での指導を積極的に進めることによって抑制効果を出していこう、こういう考えでおるわけでございます。
  323. 吉川春子

    吉川春子君 要するに、健康のためにもマイナスだということで、無制限に喜んでやるような性質のものじゃないという点ぐらいで一致すると思いますね。私はもっと積極的に規制してもらいたいというふうに思うんですけれども。  それで、その次の質問に移りたいと思います。  やっぱり余りいい労働じゃない、マイナスの労働であるとすれば男女とも規制する必要があるわけなんですけれども、それを今回の改正で保護措置を取り払ってしまって、そして均等待遇の前提だというふうに考えるのは非常に逆さまの議論だというふうに思うわけです。  私は、労働省が本来やらなくてはならないのは、労働時間の原則から照らしても時間外労働をできるだけ短くする、深夜労働をできるだけ少なくして過重な負担を軽減することをやらなきゃいけないと思うわけです。  それで、今も労働時間の目安時間を今後も引き下げていきたいかのような答弁がありました。さっき大臣は、時短というのは非常に重要だと、少子対策のためにも時短が必要だと午前中おっしゃっておられました。時間外労働男女とも百五十時間に規制する必要性、これはもうきょうも何遍もいろんな委員の方から質問が出ました。労働省自身も百四十七時間とかとさっきおっしゃっていましたから、百五十時間以内に規制する必要性を認めているんですね。  そうすると、平等と言う場合に、同じならいいわけですよ。男性も百五十時間で規制すれば平等じゃないですか。労働省は取り払ってしまう平等を選んだけれども、今のいろいろ深夜業とか時間外労働とか考えれば、やっぱり共通規制するというのがより人間らしい生活をするための基準であると思うし、平等も達成できるわけですね。そこでの平等を達成できる。  なぜ、時短を促進するという大きな国際公約と全く逆な方向の選択をしたのか、その理由を端的に言ってください。簡単でいいです、わかりやすく。
  324. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 婦人少年問題審議会における議論におきまして、平成八年七月の中間取りまとめの段階におきまして既に「時間外・休日労働、深夜業にかかる労働基準法女子保護規定については、その解消を目指す」ということで一致していたわけでございます。
  325. 吉川春子

    吉川春子君 私の質問に答えてください。
  326. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) ですから、片方で均等をするということの見合いで女子保護規定解消ということ、いわゆる女性職域拡大女性たちが生き生きと働ける場所をつくるということからやってきたということはぜひ御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  327. 吉川春子

    吉川春子君 私も労働省以上に女性の平等ということを望んでいるんですよ、私だっていろいろな思いをしてこの年まで来ましたから。男女の平等というのは本当に大切。だからこそ、平等にするのに男女とも百五十時間で規制する、そういう平等の方法もあるでしょう、それをなぜとらなかったんですかということを伺ったんです。  さっきからドイツの例がいろいろ出ていますけれども、簡単に言いますと、ドイツではブルーカラーというか工場で働く女性たちだけの保護規定があって、それが憲法違反だという判決が出て、それで新しい時間法制をつくったときに、ホワイトカラーもブルーカラーも、男性女性規制するという道を選んだわけですね、労働時間と深夜業。深夜業というのはやっぱり人間らしい労働条件のために余りいいものじゃないんだという立場に立ってつくったんです。  だから、要するに大臣、平等、平等、本当に平等を進めてほしいんですよ。その平等を全部取り払って、すごい中へ女性も投げ込む平等じゃなくて、やっぱりヨーロッパとか先進資本主義国がほぼやっているような深夜業も時間外も両方規制する、これだって平等じゃないですか。どうしてそちらの平等をとらなかったのか、そして全部取り払ってしまう平等をとるという結論に達したその根拠は何なんですか。平等のためというのはもう理由になりませんよ。
  328. 岡野裕

    国務大臣岡野裕君) 戦後、日本労働基準法は、当時アメリカGHQ占領傘下において孤々の声を上げたことは御存じのとおりであります。  したがいまして、この種のものについては労使の話し合いで決めるのがよかろう。したがって、労働基準法三十六条に基づく協定もしくは深夜業におきましては労働協約等々、労使の話し合いにお任せをするという体系で我々は進んでまいりました。したがって、今日、平等を貫くとするならば、今の深夜業あるいは時間外労働についても平等で、あとその上に立って労使の話し合いでこれを具体的に決めるということだろうと思っております。  もっと言うと、先生、三六協定とさっき今泉先生、一年間もというのは、あれは暇な二月、八月も、それからうんと忙しい三月決算、六月決算、十二月なんという月もみんな平等に扱っちゃって、これはまことにおかしい労働協定。しかも、この部門も、この部門も、この部門も同様に一律何時間というようなのでもおかしいので、我々としては今中央労働基準審議会の諸先生に時間外労働等について御審議をお願いいたしております。その結論を待って対処いたしたいと。  しかし、先生がおっしゃるような意味で、法的規制につきましては、現下の情勢で三つ理由があります。何度も先生お話ししましたので、あの三つであります。その三つに基づきまして極めて慎重に対処をしなければならない、こう存じております。
  329. 吉川春子

    吉川春子君 男女共通規制をできないという大臣の今答弁だったんですけれども、やっぱり圧倒的多数の世論、労働省がとっていろいろんなアンケート調査によっても、全くフリーハンドで女子保護を外してもらっていいですという意見は、本会議でも言いましたけれども、〇・〇八%しかないんです。やっぱり男女共通規制を設けてもらいたい、ということならば外してもいいですよというお答えが圧倒的に多いわけです。  だから、私は今中央労働基準審議会に審議をお願いしているということをもう耳にたこができるほど聞きましたけれども、そうであるならば、その結論が出るまで女性の方を先に保護を外してしまうということはやめてください。その結論を待って共通規制ができるのかどうか、それを見た上で外すと、百歩譲って。そういうことはできるんですか。  中基審に投げかけているというからには、もう先にこっちだけどんどん行っちゃって、結論はどうなっても事実だけは進んでしまうという方向はやっぱり多くの女性たちの気持ちと相反するんじゃないですか。少なくともその結論が出るまでは女子保護規定の廃止ということだけは凍結していただきたい。どうですか。
  330. 岡野裕

    国務大臣岡野裕君) 吉川先生からの御主張は御主張ということで承らせていただきます。  当省におきましては、再三本日もお話をしてまいりましたように、ひとつ目安というようなものでこれに対処をしたい、こう思っております。時間がありませんでしょうから、その目安の云々は何度も大脇先生にもお話をしましたし、今泉先生にもお話をしましたので省略をいたしますが、意のあるところをお酌み取りを賜りたい、かように存じます。
  331. 吉川春子

    吉川春子君 時間ですのでもう私この次の質問に譲りたいと思うんですけれども、やっぱり少なくとも女子保護規定撤廃だけしちゃう、これは全然平等にも何にもならないということだけ最後に申し上げて、きょうの質問を終わります。
  332. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時十五分散会