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1997-05-28 第140回国会 参議院 予算委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月二十八日(水曜日)    午後一時開会     —————————————    委員異動  四月二十二日     辞任         補欠選任      阿部 幸代君     上田耕一郎君  四月二十三日     辞任         補欠選任      平田 耕一君     沓掛 哲男君      松村 龍二君     石渡 清元君      竹村 泰子君     川橋 幸子君  五月六日     辞任         補欠選任      佐藤 静雄君     南野知惠子君  五月十二日     辞任         補欠選任      武見 敬三君     長峯  基君  五月十三日     辞任         補欠選任      長峯  基君     武見 敬三君  五月二十七日     辞任         補欠選任      板垣  正君     亀谷 博昭君      大渕 絹子君     谷本  巍君     日下部禧代子君     瀬谷 英行君      上田耕一郎君     橋本  敦君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長        大河原太一郎君     理 事                 片山虎之助君                 斎藤 文夫君                 田沢 智治君                 南野知惠子君                 木庭健太郎君                 都築  譲君                 横尾 和伸君                 山本 正和君                 有働 正治君     委 員                 阿部 正俊君                 石渡 清元君                 加藤 紀文君                 金田 勝年君                 亀谷 博昭君                 久世 公堯君                 沓掛 哲男君                 関根 則之君                 竹山  裕君                 武見 敬三君                 谷川 秀善君                 成瀬 守重君                 野間  赳君                 真鍋 賢二君                 依田 智治君                 荒木 清寛君                 石田 美栄君                 市川 一朗君                 牛嶋  正君                 菅川 健二君                 田村 秀昭君                 高野 博師君                 高橋 令則君                 浜四津敏子君                 清水 澄子君                 瀬谷 英行君                 谷本  巍君                 照屋 寛徳君                 川橋 幸子君                 本岡 昭次君                 藁科 滿治君                 笠井  亮君                 橋本  敦君                 佐藤 道夫君    事務局側        常任委員会専門        員        宮本 武夫君    参考人        野村證券株式会        社元会長     田淵 節也君        野村證券株式会        社元取締役社長  酒巻 英雄君        株式会社第一勧        業銀行相談役   宮崎 邦次君        株式会社第一勧        業銀行代表取締        役頭取      近藤 克彦君     —————————————   本日の会議に付した案件理事補欠選任の件 ○参考人出席要求に関する件 ○予算執行状況に関する調査  (金融及び証券問題等について)     —————————————
  2. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  まず、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事南野知惠子君を指名いたします。     —————————————
  4. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  予算執行状況に関する調査のうち、金融及び証券問題等について、本日の委員会に、野村証券株式会社会長田淵節也君、同社元取締役社長酒巻英雄君、株式会社第一勧業銀行相談役宮崎邦次君及び同行代表取締役頭取近藤克彦君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  6. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 予算執行状況に関する調査のうち、金融及び証券問題等に関する件を議題といたします。  本日は、本件について参考人方々から御意見を求めることといたします。  まず、田淵節也君及び酒巻英雄君から意見を求めることといたします。  この際、参考人に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、参考人には御多用中のところ本委員会出席をしていただきまして、ありがとうございました。  当委員会においては、予算執行状況に関する調査を進めておりますが、本日は特に参考人から金融及び証券問題等について御意見を承ることにいたしております。  この際、委員各位に申し上げます。本日は、申し合わせの時間内で参考人に対し質疑を行うのでありますから、御協力をお願いいたします。  また、質疑時間が限られておりますので、参考人には答弁は要点を簡潔明瞭にお願いを申し上げます。  それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  7. 田沢智治

    田沢智治君 私は、自由民主党を代表いたしまして質問を申し上げます。  本日は、野村証券にかかわる疑惑問題に対して解明いたしたく御両人参考人として御出席いただきました。特に、酒巻参考人には本年四月二十二日に続いて二度目の出席となりましたことはまことに残念だと私は思っております。  さて、金融機関は互いに協力し合い、正常な金融取引市場を確立して、透明で公正な取引を通じて活力ある日本経済の発展のために貢献することが求められているときではないかと思うのであります。このような社会的に重大な責任のある日本を代表する二つ金融機関が互いに総会屋と呼ばれる者に資金を不正に融資したり、便宜を図って不当な利益を供与するような事件がこのたび再び起こった。世間の厳しい批判はまことに私たちは残念に思っております。  これから我が国はさまざまな大改革を断行しなければならない厳しい時期に、政府も国民も、そして企業も一丸となってこの改革に当たらなければならないやさきにこのような金融機関不祥事が発覚したことは、まことに遺憾にたえないところであります。  特に、金融面においては世界と対等の競争を前提とした日本版ビッグバン金融大改革が行われようとしております。このような状況下ビッグバンが行われたとするならば、我が国金融界は一体どうなるのか、国民も私も心配するものでございます。ビッグバンが進めば進むほど、これからの金融グローバルスタンダードに立ってより透明な経営手法経営ルールを目指していかなければ世界の強豪に伍していくことは到底困難だと申し上げたいのであります。  特に、業界のガリバーと言われる野村証券がこのような事件を起こした責任について御両人はどうお考えになられるか、簡単にお述べいただきたいと存じます。
  8. 田淵節也

    参考人田淵節也君) 田淵でございます。  まず、今回世間様をお騒がせしてまことに申しわけなく思っております。先生方お忙しい中、こういうことで時間を割かしてもらうことは、これも甚だ申しわけなく、残念に思います。  今回の野村事件に関しましては、既に新聞雑誌等でいろいろと言われております。全部読んでいるわけではございませんが、本当のこともあり、それからそうでないこともあるということでございますが、いずれにしましても既に手前どもの二人の常務と一人の部長が証券取引法違反ということで逮捕されております。  その事実をもっていたしましても、今先生から御叱正がありましたように、野村証券としては、今後、日本金融機関として、東京マーケット世界マーケットの、あるいはニューヨーク、ロンドンに次ぐといいますか、対等なマーケットにしていく義務のある証券会社であるにもかかわらず、このたびそういう不祥事を起こしたということは、私自身申しわけないと同時に、自分自身もこんな残念無念なことはないというのがただいまの心境でございます。
  9. 酒巻英雄

    参考人酒巻英雄君) 野村証券顧問酒巻でございます。  まず初めに、今回の事件に関しまして、国民皆様投資家皆様、そして内外の関係者皆様に大変な御迷惑をおかけしましたこと、まことに申しわけなく、謹んでおわび申し上げます。また、立法府の皆様におかれましては、お忙しい中、お手数をおかけいたしまして、まことに申しわけございません。  ただいま田沢先生から、酒巻は二回目の出席と、大変残念であるというお話、御叱正をいただきましたけれども、私は、前回この場で事件の概要、手前ども考え方等を述べさせていただきまして、野村証券で何が起きたのか、私ども社内調査で少なくとも社内では一任的取引と思われるような取引が行われた。これは証取法の禁止行為でございますから、大変重いものでございます。それが社内で見つかった。二つは、自己売買委託売買が混在しているような、そういうイレギュラー取引が見つかった。これはもう証券取引法損失補てん等々の禁止行為でございますので、これもきちっと私どもで組織がワークしなかったということで大変おわび申し上げた次第でございます。  それに関しまして、二人の私ども総務担当常務取締役株式担当常務取締役が関与をしてイレギュラー取引が行われたということで、ここのところに関しましては大変おわび申し上げますと同時に、今後の再発防止等々につきましての私ども考え方方向等について御報告をさせていただいた次第でございます。  いずれにいたしましても、先生おっしゃいますように、ビッグバンということで乗り切っていかなければならないときにこういうことを起こしまして、本当に申しわけなく思っております。
  10. 田沢智治

    田沢智治君 時間が限られておりますので、簡潔にお願いします。  ところで、お二人は第一勧業銀行宮崎相談役奥田会長近藤頭取との面識がありますか。あるとすれば、いつどのような関係で、現在どうなっているのか。簡単にあるかないか、まずはっきりしてください。
  11. 田淵節也

    参考人田淵節也君) 私は宮崎相談役とは面識がございます。宮崎さんの後の会長さん、頭取さんは、面識がないと言ったらうそになるかもしれませんが、いわゆるいろいろなことをお話ししたということはございません。
  12. 酒巻英雄

    参考人酒巻英雄君) お三方とも手前どもの大変大事なお取引先でございますので、私は執行ラインのど真ん中におりましたので、濃淡はございますけれども存じ上げております。
  13. 田沢智治

    田沢智治君 まことに不思議な実態が出てきているんじゃないかと、もしお知り合いだとすれば。  今回の事件を結果から見ますれば、第一勧業銀行野村証券をおとしめるために総会屋融資をしたようにも見える、残念ながら。第一勧銀小池側融資した総額は約三百億円と言われる。そのうち約三十一億円が野村証券の株三十万株、それからほか証券三社の株式、合計四社で百二十万株の購入資金に充てられたと言われております。野村証券の側から見て、第一勧銀小池側株式購入資金融資した事実、その理由、率直に申して、この辺のところをどう理解しますか。皆さん方がお友達だとするならば、そんなような金で野村証券株式を買収するような行為現実にあるわけです。そういうようなものに対して、皆さん方事前に何か連絡があったのですか、なかったのですか、お聞きいたします。簡単に言ってください。
  14. 田淵節也

    参考人田淵節也君) 私、宮崎さんというお方はよく存じ上げておりまして、非常に立派なお方でございます。人格的に非常に立派なお方としておつき合いをしてきたつもりでおりますし、今現在も宮崎さんは立派な方だと、そう思っております。  今、先生の御質問で、第一勧銀からの総会屋側への融資野村証券の株の購入に充てられたということは、これは第一勧銀さんとそれから小池氏との間にそういう取引があるということ自体を全く存じませんで、いつ知ったかと言われたら、これは、いつでございますか、少なくともことしになってからだと思うんですが、新聞にそういう記事が出たときに新聞記事によって知った、それだけでございます。
  15. 酒巻英雄

    参考人酒巻英雄君) 野村証券株式を取得されたというのが新聞に出ましたときに、これは野村のどこかの店を通じて買われたんだろうかと、だれか知っているかと。野村証券で買ったような形跡はございませんという報告を受けまして、それではどこかよその証券会社さんで買ったのかなと。そうすると、手前ども株主になった経緯というのは全くわからないということで、私はその三十万株をいつお買いになったかというのはわかっておりません。後日、新聞等で話が出て、ああ、四竹の株式をお買いになっているのかなということを知ることとなったというところでございます。
  16. 田沢智治

    田沢智治君 私は一番残念に思うんですね。これから金融機関が、住専等の大きな失態の中で国民に迷惑をかけて、そして新たに再出発しなきゃならぬということで一生懸命努力している、国も公定歩合をうんと下げて協力しているような現状の中でまたこういうような不祥事が出たということは、非常に残念に思うんです。しかも、御両人第一勧銀の首脳との交流があったとするならば、もっともっと事前にそういうような問題がお互いに話し合われていいんじゃないか。  ということは、御承知のとおり、ビッグバンをやるとするならば、金融機関同士が足腰を強くする、そして国家国民のために皆さん方が協力し合って、より日本経済を支え、より国民に開かれた金融機関を確立して、そして日本の大きな礎になっていく責任が私あると思うんです。それがお互い同士足を引っ張り合うような結果を招いているという事態に対してやはりそれなりの責任が私はあると思うし、またそういう意味においては、よく人様は政治は三流じゃないかと言うけれども、こういうような実態を見ると、私は、弱肉強食の時代を歩んでいるんじゃないだろうか、まだまだ反省が足らないんじゃないか、ということになると三流、四流の姿じゃないだろうか、残念ながらそう思うんです。  この辺のところは、お互い国家国民のために世界に伍して、日本ビッグバンを行う中に立ってこれから頼りになるような金融機関日本を大きく支え、豊かな国づくりのために進んでいく、そういうやはり金融機関にならなきゃならないという願いがあるし、期待が私たちにはあるわけですよ。ですから、そういうような意味で非常に私は残念に思っております。  そこで、お伺いしますが、小池隆一という方とお知り合いですか。知り合ったとすれば、いつ、どういうような関係でお知り合いになりましたか。簡単にお願いします。
  17. 田淵節也

    参考人田淵節也君) 私は、小池隆一氏と会ったことも面識も一切ございません。
  18. 酒巻英雄

    参考人酒巻英雄君) けさ新聞に出ておりましたけれども、私も御報告するつもりでおりましたが、小池隆一という方は野村証券昭和四十五年からの株主さんですけれども、私が担当役員から一回あいさつをしてほしいと言われましてあいさつをしましたのは、社長になりましてから一回だけ短時間ごあいさつしました。その前はゼロでございます。  それから、手前ども株式取引をされていたとされるその弟さん、小池社長不動産会社社長でございますが、この取引先とはお目にかかったことはございません。  加えまして、最近よく新聞に出ます元出版社社長の方ともお目にかかったことはございません。  以上、御報告申し上げます。
  19. 田沢智治

    田沢智治君 総会屋さんに会ったという、朝日の朝刊を見ると、それを契機にまたやはり違法的であった取引一任勘定が継続されるに至っているということが言われておりますが、それは事実ですか。
  20. 酒巻英雄

    参考人酒巻英雄君) 長い間の株主さんなんで一回あいさつをしてほしいということで、上級の担当役員から言われましたので、株主さんですから、私は逃げるわけにはいかないと、ではごあいさつしますよということで短時間お会いしました。  それと、私どもで行われたとされるイレギュラー取引とか一任取引とか、そもそも株式取引をしているということを私は知りませんでしたので、そこは切り離して御理解を賜ればと思います。
  21. 田沢智治

    田沢智治君 そこがやはり軽率だと私は思いますね。人と会うときには、私たちもどういうような経歴の人なのかというものをよく秘書が調べて、こういうことですよということでお目にかかるように我々も気を使って国政を担当しているということなので、ましてやはり経済界方々金融界方々はいろいろな誘惑もありましょうし、いろいろな問題があるので、そのくらいのことをきちっとなされるというのは、野村証券日本一大きい証券会社であるという次元の中では当然だろうと思うんですが、そういう反省を私はやるべきではないかというふうに思っております。  酒巻参考人にお伺いしますが、あなたが社長に就任したとき、平成三年ですが、田淵会長さんと社長さんが一たんおやめになりました。それからまた復活して、またおやめになりました。これは国民から見ると一体何をやっているんだと、何が原因でそうなっているんだというふうに思うんですが、あなたが社長であった当時のことですから、簡単にその経緯国民に知らせてください。
  22. 酒巻英雄

    参考人酒巻英雄君) 私は、平成三年の株主総会で、前会長田淵さんと前社長田淵さんから後を頼むと言われまして社長になりました。証券不祥事の大あらしが吹き荒れておりまして年末まで証人喚問等が続いたりしていた時期でございまして、大蔵省による審問手続とかそういうのもございまして、これが平成三年の暮れまででございます。年がかわりまして平成四年一月一日、新証券取引法がスタートいたしまして、いろんな禁止行為というものがかさ上げされて今日に至っております。  私は、自分で国内の業務それから業界活動等々やっておりましたので、ほとんど日本じゅう飛び回っている。そうしますと、どうしてもグローバルという視点でいきますと、これからはアジアに布石を打っておかなければならない。  アジアというのは、特に中国なんかでは顔と顔、そういうつながりが大事でございますので、手前ども中国担当役員は年間五十回ぐらい中国へ行っているというぐらいでございました。田淵節也会長につきましては、経団連の、中国の元満州、東北中国の方のいろんな案件現実問題ビジネスとして抱えて、そのトップとしてお仕事されていました。それから田淵義久さん、社長の方は上海市のアドバイザー。なおかつ、ベトナムの方はやっぱり国家元首とかそういう方が出てきますので、仕事をしていただいて、アドバイザーという名刺では、相手が国でございますので、何とかこちらも会社を代表するという意味でダイレクターという名刺でお仕事をしていただきたいなと。それをやるとなったら私は肉体的にはもう死ぬと思いましたので、お二人の先輩に東南アジアの御支援を全力を挙げてやってほしいというお願いをしてきて、それで二、三年たって、時期が来ましたので取締役になっていただいたというところが実情でございます。
  23. 田沢智治

    田沢智治君 法律で禁止されている株取引等を含めて、現在は一切そういうものはございませんね。酒巻参考人、あなたも前社長であり顧問をなさっておるんだから。
  24. 酒巻英雄

    参考人酒巻英雄君) 前回も申し上げましたが、今回行われておりましたようなイレギュラー取引がほかにあるかというようなことについては、手前どもでも社内部下に命じて調べさせまして、このような取引はないというふうに報告を受けております。
  25. 田沢智治

    田沢智治君 私は、今のお話を聞きまして、田淵会長さんあるいは元社長さんは、それだけの経歴も持っているし豊富な経験があるんだから、それは野村再建のために活用されるということは私は否定するものじゃございません。しかし、総会屋方々とのかかわり合いを絶たずに不法的な行為を行った。酒巻参考人は先般来たときに、あれは個人がやって会社じゃないということをお話しされていましたが、しかし、今捕まっている両常務さんはあなたが任命した常務でしょう。それから、総務担当理事さんもあなたが社長のときに任命された人。この人たちがやっているからそれは個人的だと果たして言えるかというと、私は言えないと思うんです。  だから、そういう責任感というものをあなたがきちっと持たれるということ自体が、やはり野村姿勢をみずからが正す、責任をとるんだというような姿勢がこれから大事だと思うんですが、今でもあの人たちがやっているんだと、私は知らぬと、会社ぐるみじゃないんだというふうに言い切りますか。
  26. 酒巻英雄

    参考人酒巻英雄君) 私は、この前、国政の場へ呼ばれまして御報告をさせていただいたんですが、あそこの個人ぐるみというような表現につきましては、前回この場でも本当に舌足らずであったというふうに心からおわびを申し上げて御報告をさせていただきました。  要は、証券取引というのは生き物でございまして、一瞬一瞬値段がついていく、そういう中で売買が行われて、社内調査で調べたときに、長い取引がございますけれども、ここのところでイレギュラー取引が行われてそれを実行したのはだれだということで調べまして、両名が私どもがやりましたと、そういうふうになりましたので、証券等監視委員会にも御報告を申し上げた次第でございます。  もちろん、私が任命した役員でございますし、私どもにかかわるあらゆること、それはすべて経営責任は私にあると、我にありと、そういうふうに思っております。
  27. 田沢智治

    田沢智治君 問題は、それが大事ですね。初めから全部私の責任だと、部下がやったことは全部私の責任なんだという姿勢があってやはり企業が信頼されるんじゃないんですか。あるいは、だれかがやったんだからあれは個人的なものだというような、かりそめにもそういう姿勢を持つということは、一番私は日本人として恥だと思うんです。責任ある者は一切の責任自分がとるんだという姿勢の中で企業が生きていくんじゃないんですか、信頼されるんじゃないんですか。そういうふうに後輩にきちっと姿勢を伝達してもらいたい。そうじゃないと野村というのは再建できないんじゃないかというふうに私は苦言を呈したいと思っております。  次に、VIP口座というのがありますね。先般、衆議院の大蔵委員会では、酒巻さんが昭和五十八年のころから使用されていると答えておりますね。ちょうど今の田淵参考人社長当時に開設したと思われるんですが、田淵参考人いかがですか。
  28. 田淵節也

    参考人田淵節也君) 少し長くなるかもしれませんけれども……
  29. 田沢智治

    田沢智治君 いや、短くしてくださいよ。
  30. 田淵節也

    参考人田淵節也君) VIP口座が報道陣で物すごく騒がれておるということを見て、私は、自分で大変驚いておるわけです。これは実感でございます。  VIP口座という名前を知っていたかというと、実は知りませんでした。しかし、あれだけ騒いでいるわけだから、知らないのは僕だけかなと思って、今の会長をやっています鈴木君に、君、知っていたかと。知らない。僕の同僚のOB、やめた人に、知っていたか。知らない。きょう古賀取締役というのが一緒についてきておりますが、この古賀君は社内のことを何でも知っている非常に優秀な男で、だからきょう一緒についてきておるわけだけれども、彼に聞いたら、私も知りませんと。そんなばかなことがあるかと。
  31. 田沢智治

    田沢智治君 委員長、いいです、もう。いいです、わかりました。
  32. 田淵節也

    参考人田淵節也君) 後でまたなぜかという返事はいつでもいたします。
  33. 田沢智治

    田沢智治君 問題は、そういう経営体質に問題があるんじゃないですか。社長が知らないような口座ができて……
  34. 田淵節也

    参考人田淵節也君) VIP口座に関しては、それは関係ありません。
  35. 田沢智治

    田沢智治君 知らないものがひとり歩きしているという、それが一つ大きな問題を起こしているということ。これはやっぱり何か野村という証券会社に問題があるんじゃないか。  これはなぜかというと、世間一般的にはVIPというのは国家社会に貢献した著名人の人たちに何か位置づける用語として用いられますね。こういう中に総会屋さんとかそういう類なるものが一緒くたにまじって、そしてうるさいからこういうものにまとめたんですよというような、そういういろいろなものをまぜ合わせていくことは無礼ですよ。人格を持って国家社会のためにちゃんと功績を残している人たちは残している人たちでグループをつくるというなら私はわかりますよ。しかし、その中にあなた、総会屋も突っ込んじゃって、それでこれをVIP口座ですなんということを言われるような経営姿勢、要するに利益を追求すれば何でもいいんだというように人様は見ますよ。そういうような姿勢をやっぱりある意味においては正さなきゃならぬじゃないか。  ですから、私は率直に言って、VIP口座というものがあるかないかわかりませんけれども、あるとするならば、それを国会にひとつ出してもらいたいということを御両人に要請すると同時に、さらにもうそういう特別扱いするようなものは一切やめて、この際VIP口座なんというものは廃止する、そうした方が一番いいんじゃないかと私は思うんですが、御両人の見解を聞きたいと思います。
  36. 酒巻英雄

    参考人酒巻英雄君) 前回もいろいろ御報告申し上げたんですけれども、なぜ知らないかというのは、先生おかしいとおっしゃられればもう仕方がないんですけれども、実はお客様も知らない。自分がVIPに登録されているとかいうのはお客様も知らない。  これは全国の、営業ではございませんで、営業の事務をやっている人たちが、支店長が転勤する、営業課長が転勤する、そういうときに、転勤のことを考えると、特別に引き継ぎの留意客と、後から来た人が前の人のことを全然わからない、これじゃ困るんで、パソコンをたたいたときにぱっと出ると。実は、VIPが有名になっておりますけれども、VIPのほかに六十項目にわたる符号がございまして、VIPというのは六十分の一の符号でございます。  ただ、このような紛らわしい名前や、いかにもお客様に特別の利益を提供するような誤解を与えるような口座をつくってしまったというところは本当に申しわけなく思っておりますし、またこの三月末でもってこのVIP、コンピューターのバージョンアップというか機能もアップしましたので、今は中止というふうにさせていただきました。
  37. 田沢智治

    田沢智治君 私は、中止じゃなくて廃止してもらいたい。
  38. 酒巻英雄

    参考人酒巻英雄君) 廃止いたします。
  39. 田沢智治

    田沢智治君 これはぜひ頼みます。  こうした事件を未然に防ぐことができなかったということでは、やっぱり監査制度の問題があるんじゃないだろうか。監査制度があっても、有効にそれが機能したのかというのは、問題が私は内部監査にあったんじゃないだろうかというふうに思うし、今後こういうことが二度と再び起きないようにするには、外部監査という制度を入れて、そして内部監査と外部監査が相まって不正というものが起こらない、公正で開かれた金融取引なりあるいは証券取引がきちっと位置づけられる、そういう制度を今後やるべきだ、商法も改正すべきだというふうに私は思いますが、いかがでございますか。
  40. 田淵節也

    参考人田淵節也君) 非常に貴重な御意見だと思います。新社長に私から先生の御意見として伝えておきます。
  41. 田沢智治

    田沢智治君 終わります。
  42. 南野知惠子

    南野知惠子君 自由民主党の南野知惠子でございます。本日は質問させていただきます。よろしくお願いします。  平成三年に証券業界を襲った一連の一任勘定取引損失補てんの問題など、いわゆる証券不祥事は私たちの記憶に生々しく残っております。その記憶がまだ消え去らないうちにこのようなことを起こされたということは、我々大変大きなショックでございます。  証券界を代表する野村が再びこのような事件を起こしたということは、野村の体質が全く変わっていないということをさらけ出しているように思うのでございます。  不祥事件が起こる前から総会屋とつき合い、その後も総会屋と縁が切れなかった原因は何かということをお尋ねしたいんですが、時間がございません。  酒巻参考人にお伺いするのは次のことでございます。  家庭を預かる主婦の目から見ても今回の事件はまことに情けないと思っております。主婦は毎日家計のやりくりに追われ、その中からわずかにためたものを銀行に預けても銀行は超低金利であります。また、株を買っても低迷している株からは全然もうけがありません。そんな主婦の悩みがある一方で、実は銀行に預けた預金が総会屋融資されていたり、野村証券においては、特定の個人だけにワラント取引あるいは一任勘定取引、そういったことで自己売買で得た利益をっけかえる工作をし、利益供与をしたと報じられております。  一般主婦にもわかるように、どの役員がだれに指示し、どのような工作が行われたのか、さらに現金や書類の流れが具体的にどうなったかということをお尋ねしたいのでよろしくお願いします。
  43. 酒巻英雄

    参考人酒巻英雄君) お答え申し上げます。  南野先生がおっしゃいますように、千二百兆円の個人金融資産があって、それがどうしてなかなか証券市場に流れないのかと。五十年代の半ばに国債という商品で、恐らく業界では一千万人ぐらいのお客様に国債を買っていただいた。国債が売れなくなると、中期国債を出してください、割引国債を出してください、中期国債ファンドをつくってくださいと国会にもお願いしまして、大勢の国民の方に買っていただいた、そういう時期がございました。まさにピープルズキャピタリズムを地でいったというときでございました。  その後、いわゆるバブルの崩壊というところを契機といたしまして、証券人口とかそういうものも減っておりますし、我々の至らざるところもございます。そういう中で今回の不祥事が起きたということでございまして、その書類とか現金の流れとかこういうものが、これはおかしいじゃないか、どうもこれはおかしいぞということで上がってくるような仕組み、私どもでは業務管理本部とこう呼んでいるんですけれども、これも六年前の証券不祥事を受けて新たにつくった組織でございますから、当然これが機能していなければいけないんですけれども、残念ながらこれが機能しなかった、ある業務のレベルのところでとまってしまった。  全般を見ていますと、正常に、伝票の流れだとかコンピューターの流れだとか、仕事の流れているところは流れているということで、そこがきちっとわかっていなかったというところが最大の反省の材料でございまして,こういうところについては、もうフロントチェックとか第二次チェックとかあらゆることを今新執行部は考えて実行に移し始めておりますので、よろしくここのところは御理解を賜ればというふうに思います。よろしくお願いします。
  44. 南野知惠子

    南野知惠子君 前回の四月二十二日でしたか、この委員会におきましても、すべての責任をお持ちだとおっしゃっておられますので、そのすべての責任は、どのような形でそれを防止するのか、それをやめるのかということについてもう少し真剣にお考えいただきたいというふうに思っております。  同じ四月二十二日でございますが、先ほど田沢委員の方からもお話がございました。この事案は決して会社ぐるみではない、個人ぐるみでありますとお答えになっておられますが、個人ぐるみという言葉があるのかどうか、熟語があるのかどうか、これはまた首をかしげたくなります。  そして、その後判明した事実、またその事実を考慮した場合、明らかに会社ぐるみであるということがわかっているのでございますが、この件に関してのお気持ちをお聞かせください。
  45. 酒巻英雄

    参考人酒巻英雄君) 会社ぐるみとか個人ぐるみとか、この言葉につきまして先ほど不適切だったというおわびは申し上げたんですが、要するに、社内調査をいたしまして、そして今回問題とされる口座に係る取引に二人の元常務が関与していたと、ここまで私どもははっきりいたしましたので証券等監視委員会に御報告をした。それで、やはり何ぐるみとかいう言葉を使うつもりは、私自身が使っていたわけでもないんですけれども、あの場ではついそういうふうに言葉が出たんですけれども、大事なことは、法に照らしておかしいことがあったのかどうか。  さっき申し上げましたように、証券取引法が改正されまして、例えば損失補てんですと、補償をしてはいけないとか、事後の補てんをしてはいけないとか、約束をしてはいけないとか、一任取引禁止行為とか、そういうものが全部決まりましたので、そういう指示を上がしていたかどうかというようなことについては、経営トップが指示をしていたということはないということを申し上げたかったためにそういうお話をいたしました。  また加えて、現在、東京地検特捜部でいろいろその捜査が進んでおりますので、私どもも全面的に協力しているところでございますので、ここのところのお答えはこれ以上は差し控えさせていただきたいと思いますので、何とぞ御容赦いただきたい。
  46. 南野知惠子

    南野知惠子君 では、幾らお聞きいたしてもそれ以上は出ないということでございますので、田淵参考人の方にお伺いしたいと思っております。  今日まで、この事件会社の名誉が傷ついたというのは、それはもう当然のことなんですけれども、でも、会社の今まで積んできた、このような会社に持ってこられた田淵参考人のお気持ち入れというのは大きいと思いますけれども、金銭的な実損も伴っているということでございますが、その額はいかほどなんでしょうか。  また、そのような大きな額と想像するわけでございますけれども、今後さらに、野村証券が立ち直るんでございましょうか、立ち直るとするならばどのような方策をお考えでおられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  47. 田淵節也

    参考人田淵節也君) その総額云々ということですが、今現在私が社内で聞いているところでは、五千数百万円というふうに聞いております。恐らく今まで監視委員会もそれから検察局もいろいろお調べになって、それが新聞報道にもなっていることでしょうから、そう間違いがないんじゃないかと思います。社内で調べた結果も大体そういうふうに聞いております。  それから、一番大事なことは、南野先生がおっしゃられる今後だと思います。  私にも反省が大変ございます。どういう反省かといいますと、やはり企業の経営というのは是は是、非は非ということに徹しなくちゃいけないと頭ではわかっていたわけですが、しかもそういうことは社内の首脳部に私が会長やめるときに言ったつもりでしたけれども、それが徹していなかったなと、こういう反省がございます。  ただ、新社長の氏家さんは、非常にそういう点は、これはまれに見ると言ったら語弊があるかもしれませんが、立派な人です。彼が新社長になって新しい内閣をつくって、もちろんもう私は新しい内閣に関与するつもりは全くありません。私自身もう老兵でございますから、老兵は消え行くのみというのが現実の心境でございますが、しかし、野村証券の将来は絶対によかれかしということだけはこれは死ぬまで思い続けるわけでございますから、いつも野村を見守っております。  新社長の氏家さんが言われたことというのは、これは僕もなるほどと、そう思った。彼は、野村企業体質の中に善悪の軸がゆがんでおるということを社内の第一声で言われて、僕はそれを後でビデオで見たわけですが、私が今、是々非々をはっきりしろなんて氏家さんに一言も言ったことがないわけですが、私の反省として、是非善悪、是は是、非は非ということが一番大事だぞと、こう言いたかったことを、彼は全く一番最初の社内の全従業員に対する訓示で言っていますので、そういう点では私は野村の将来を非常に高く評価を今はいたしております。  以上です。
  48. 南野知惠子

    南野知惠子君 実損が五千数百万円というのは野村証券にとってはほんのわずかなものだろうというふうに思いますが、主婦感覚としては大変なものでございます。  さらに、今のお言葉をお聞きしますと、立派な新社長様にお継ぎになられて、その新社長様も本当に善悪を決して野村証券を復興させようというおつもりでおられるということは大変うれしいことだと思いますし、ぜひその御努力を信じたいんですが、田淵参考人にもう一つお聞きしたいのは、今まで関与していた総会屋もお引き継ぎになるんでしょうか、教えていただきたいです。
  49. 田淵節也

    参考人田淵節也君) 氏家新社長は、今後反社会的勢力とは絶対に一切絶つということを宣言されております。
  50. 南野知惠子

    南野知惠子君 もうそれを信じるのみでございますので、よろしくお願いしたいと思っております。  このたびの野村証券事件、そういうものが及ぼす影響というのは実にはかり知れないと私たち女性でも大きな大きな心配をいたしております。金融というものは何にも増して人の信用によって成り立っていると思っておりますし、今回の事件では、金融に対する人々の信用が全く崩れてしまったと言っても過言ではないと思います。信用を基本にすべき金融業界国民の信頼を裏切る行為を平然と繰り返して行ってこられた、それが一つの大きな原因であろうかと思いますが、このことが一般の国民のまじめに働く意欲をなくしたことにならないのかという不安がございます。  さらに、これから社会に出ようとする子供たちへの影響を考えますと、子供たちは立派な会社だと思っていたんです。人気職種の野村証券がこんなことをやってきたのかと思うならば、子供たちが夢に描いていた証券マンになりたい、証券レディーになりたいという夢を壊したようにも見受けられます。証券会社のイメージを大きく傷つけてしまい、そのようなことに対してどうされようとしておられるか、心境をお聞きしたいと思います。  さらに、海外に対するイメージダウンの影響も大きなものでございます。大和銀行ニューヨーク支店の事件が引き金となり、我が国金融システムヘの不信感、不安感というものが持ち上がり、大きな問題となりました。住専問題にもようやくけりがつきかけ、ジャパン・プレミアムも縮小してきたやさきに、またもや日本金融システムに不信感を抱かせるような事件が表面化したことは、国際社会における我が国の地位を著しく傷つけるものと思わなければならないと思います。海外の投資家我が国金融システムあるいは金融市場の公正さにもし少しでも疑問を持つようなことにでもなれば、我が国金融システムに再び動揺が起こらないとは限らないと思います。よしんば動揺が起こらないとしても、信頼回復のおくれは免れないというふうに思うのです。  こうした社会の正義に弓を引く行為を犯してしまったと言いたい野村証券に対しましては、社会に対してどのような責任をおとりになるつもりでしょうか。元常務の三人の方々がなさったことだよと言って済まされるものではないと思います。会社として、国内における責任と同時に、対外的にも目に見える責任をぜひとっていただきたいと思うのですが、その件についてお伺いいたします。
  51. 酒巻英雄

    参考人酒巻英雄君) 野村証券のこの間までの代表者といたしまして、数人の者がやったことと言っているつもりはございません。これは、野村グループも含めまして、野村証券社長は全責任を負うというのが当社のカルチャーでございますので、そのつもりでやってまいりました。  そして、先生が今おっしゃいました、こういうことではこれからの国際金融世界を渡っていけないぞというところはまさしくそのとおりでございまして、私も、証券取引法の第一条、それから第四十九条だと思いますけれども、公正確保と、やっぱりフェアであるというのが世界のルールでございますから、野村証券もこの座標軸は絶対ずれてはいけない。氏家新社長が、とにかく座標軸がずれているとすればそのずれというのを正していく、それが私の最大の仕事だと言っておりますのはそのことだと思いますので、そのように方向づけてやっていってくれるものと確信している次第でございます。
  52. 南野知惠子

    南野知惠子君 ありがとうございました。終わります。
  53. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 平成会の荒木清寛でございます。  野村証券にとりましては、平成三年に続きまして二度目の証券不祥事でございます。先ほど田淵参考人世間をお騒がせして申しわけないとおっしゃいましたが、それで済む問題ではございません。本当に悪いことをしたという気持ちがあるのであれば、事実関係を明らかにし、そしてその原因を国民の前にきちんと明らかにする、それが本当の責任ではないかと私は思います。  そこで、お二人におかれましては、前置きはもう結構でございますから、事実関係につきまして、お立場上、単刀直入にお話し願いたいと思います。  冒頭、酒巻参考人から大変重大なお話がありました。それは、平成四年に総会屋小池隆一と一回会ったことがあるというお話です。しかし、衆参の委員会に二回お出ましになったときには、会ったことがあるとか面識があるとかそんなお話は全くなかったわけです。衆議院大蔵委員会では、この総会屋につきまして、「当社といつごろからおつき合いをされているかについては存じ上げておりません。」等とおっしゃっている。しかし、きょうの朝刊に出たら、ああ会ったことがありますという話でありまして、急に思い出したんですか。衆議院と参議院のさきの委員会で本当に真実をおっしゃっているんでしょうか。まず御説明願います。
  54. 酒巻英雄

    参考人酒巻英雄君) 先日は、小池隆一氏との面識があるかというお話が出ませんでしたので私は申し上げなかったというのが事実でございますけれども社内では、大勢の者が知っておりますけれども、あした申し上げることになるかもしれないとこの辺は考えておりました。  じゃ、なぜ言わなかったのかということでございますけれども、この辺は、私がきっちり申し上げるべきことを申し上げなかったということで、甘いというふうに自分で認識しております。申しわけございません。
  55. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 甘いというよりも、本当のことをおっしゃっているのかという疑問を私は持たざるを得ません。  株主様だからということで会ったとおっしゃいましたが、しかし衆議院大蔵委員会では、この株主様がそれだけの株式を持っているということはつい最近知った次第でございますなんておっしゃっていますよ。全然お話が違うじゃないですか。どうですか。
  56. 酒巻英雄

    参考人酒巻英雄君) この株主様は四十五年に野村証券の株を千株お持ちになりまして、この弟さんが三十万株をお持ちになったということで、千株の方についてはきちっとした認識がございましたけれども、三十万株の方につきましては、自分で本当に鮮明な記憶があって、個人株主さんでも何十万株をお持ちになっているという方は大勢いらっしゃいますので、そこのところはそういう認識でございましたので、前回そういうふうにお答えいたしました。
  57. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 しかし、この三十万株の小甚ビルディングでの株式取得は、いわゆる総会屋小池隆一の借名口座といいますか、法人名義で三十万株を持っているということを知ってお会いになったんじゃないですか。千株といったら私だって買えるぐらいの株式ですよ。千株持っている株主さんが来たら全部社長はお会いになっておったんですか。そんなことはないでしょう。やはり三十万株の大株主だという説明を役員から受けてお会いになったんじゃないですか。いかがですか。
  58. 酒巻英雄

    参考人酒巻英雄君) そこは、そういう報告があって、それでお会いしてほしいということではございませんで、長年の株主さんなので一回あいさつしてほしいということで、じゃ私があいさつしようかというのが実情でございます。
  59. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そうしますと、長年の株主様だから会ってほしいというのはどなたにおっしゃられたのかという点が第一点。  それと、長年の株主様だけじゃその人の属性が全然わからないわけでありまして、どういう仕事をしているのかとか、我が社にとってどういう貢献があるのか、どういう意味で大切なお客さんなのか等々のことは当然きちんと御説明を受けてお会いになったんじゃないですか。それが企業の最高責任者としては常識じゃないですか。違いますか。  もろもろの点についてお話し願います。
  60. 酒巻英雄

    参考人酒巻英雄君) 先生のおっしゃることが社会通念でいきますと、特に社長でございますから、社長が人に会うというときは大体そのバックグラウンドのペーパーが来るとか、こういう人だとかいうのが常識でございますし、また総会屋というのに社長が会うということは普通はございませんし、それから会わせてはいけないというのも社会通念のような気もいたしますけれども、私は、株主で長い間当社でおつき合いがあるというようなことで、じゃごあいさつぐらいはしようかということで会ったというのが本当の実情でございます。
  61. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 その紹介を受けた役員はどなたでございますか。
  62. 酒巻英雄

    参考人酒巻英雄君) 管理担当の上席の役員であります、当時は手前どもの村住という専務が担当でございましたから、村住君が部屋へ来て、社長、一回あいさつしてもらえませんか、わかったと。村住君というのは私が一番信頼をしている、後事を託すに足るというぐらい信頼していた男でございますから、その役員が、社長短時間でもいいですから一回あいさつしてくださいということで、あいさつをしたというのが実情でございます。
  63. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 その村住さんは小池隆一総会屋であるということは当然認識していたはずであります。その信頼している村住役員でありますから、当然あなたもそのことについては説明を受けたんではないですか。つまり、総会屋といいますか、そういうことをしている人物であるという報告は受けて会っているんじゃないですか。そうじやなかったら話のしようがないでしょう。
  64. 酒巻英雄

    参考人酒巻英雄君) 村住君というのは、企画とか財務とか人事とか、広範なところを担当しておりますので、総務担当役員常務取締役のところからそういう話が来て、村住君が私に言ったというのが実際のところだと思います。それでよろしゅうございますか。
  65. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 だから、総会屋と聞いていませんか。総会屋だってことはお聞きになっていませんか。
  66. 酒巻英雄

    参考人酒巻英雄君) 長い間の株主さんなんでということでお会いしました。  私も総会のリハーサルとかそういうのには出ておりますので、自分社長になってからのことでございますから、それはそういう方だろうなと。会いたくはないなと。しかし、社長として、直属の役員が言えば、やっぱり私は逃げるわけにはいかぬ、お会いしますよと。株式をお持ちになっているということで会いたいという場合は社長は最後は会わなきゃいかぬと。それはもうディフェンスとしての仕事であるというのが私の認識でございますので、そういうことでお会いいたしました。
  67. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 要するに、そういう人物であるということは認識していたというお話だと思います。  どこでお会いになりましたか。そして、どういうお話をその面談のときにされましたでしょうか。御記憶の限りでお答えください。
  68. 酒巻英雄

    参考人酒巻英雄君) お答え申し上げます。  少し時間かかってもよろしいですか。
  69. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 いや、そんなに難しいこと聞いていませんから、必要な範囲で、場所と内容ですから。
  70. 酒巻英雄

    参考人酒巻英雄君) ざっくばらんに申し上げまして、お目にかかる以上はこちらもどういう話をするかというのは当然考えます。  会った場所は新宿の野村クラブ。新宿に私どもの五十階建てのビルがございまして、大体そこを、役職員でいろいろ食事をしたりお茶を飲んだり、使っておりますから、そこでもってお会いをいたしました。コーヒーとケーキが出て、それで終わりということでございまして、まあ短時間でございます。  話した内容は二点ございまして、一点の方は、何を話すかということで、私は北鎌倉の小さな本屋の息子でございましたので、専ら中学、高校、大学、学校から帰れば本の配達。これは、小倉遊亀さんは今御存命ですけれども、前田青邨先生とか伊東深水先生とか鈴木大拙先生とか。そういう中で、キネマ旬報社長の上森さんという方もいらして、鎌倉カーニバルの実行委員長とか文化人として、三、四十年前の話ですけれども、本屋の息子でございまして、そのときに上森さんという方を私の父と母が存じ上げていたと。  そこから三、四十年飛ぶ話ですけれども、この前、十年ぐらい前でしたかお亡くなりになって、その方と今度の小池さんとはいろいろお知り合いであるというようなことを周りで聞いておりましたので、上森さんという方はどういう方だったんですかと。それで、新聞配達で菊池寛さんのところへ伺って、菊池寛さんにかなりかわいがられたと、こういうようなお話が半分。  それから、あとは日本経済はどうですかというような、上森さんの話だと五時間でも十時間でもできますけれどもと、日本経済はどんな感じですかと言うんで、日本経済はゼロ成長がずっと続いておりましたし、証券業界業界挙げて四千億から五千億の赤字でございましたから、全く惨々たる状況でございましたので、そういう話をして終わりということ、事実その二点でございます。
  71. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 余り差しさわりのないお話をされたのかもしれませんが、平成四年に会われたのは定時総会の前ですか後ですか、いずれですか。
  72. 酒巻英雄

    参考人酒巻英雄君) 正直言いまして、資料を全部持っていかれていますので、私の方で確認するすべが全くございませんので、いつごろかというのは定かでございません。全く手帳から秘書のスケジュールから、それを見ればすぐお答えできるというふうに思いますが、ただ社長になりましたその年だと思いますので、平成四年の春ぐらいだったというふうに今は思っております。
  73. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 六月の総会の前ということですが、平成四年の六月の総会は混乱が予想されておりました。前年の損失補てん問題や電鉄株の株価操縦疑惑について経営陣の責任追及があるのではないかと言われておりまして、小池隆一からもこの総会に関して議案提出の予告文書が提出をされた、あるいはこの総会での質問状が、質問の予告状ですか、それが内容証明郵便で届いたということはあなたは御存じだったですか。
  74. 酒巻英雄

    参考人酒巻英雄君) お答え申し上げます。  私も最初の総会でございましたので、総会のリハーサルというのは昨今は一回しかやっておりませんけれども、当時は二回やったという記憶がございます。  それで、今株主の提案権と質問の件でございますね、御質問は。過去、当社の株主総会株主提案権というのが議案として取り上げられたかどうかというのは社内に命じて調べさせましたけれども株主さんからの株主提案権の行使というのは全くなかったというふうに聞いております。  それから、書面質問という方につきましては、これはもういろんな方から質問が参りますので、どの会社さんもそうだと思いますけれども、大体総会の事務局がございまして、その事務局が質問を整理整とんいたしまして、一、二、三、四、五とか分けまして、それで一括回答という形で総会の初めのころ懇切丁寧に御報告をする。何といっても年一回の株主様とのコミュニケーションの場でございますから、そういう整理をしてやってまいってきておるというのが実情でございます。  書面質問が来たかどうかというのは、書面質問は参っております。私はそれは承知しております。手前ども役員も上席役員はみんな知っていることだと思います。  以上です。
  75. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 要するに、総会の前に質問状を出した小池隆一と会われたということは、この株主総会を平穏に乗り切ろうという意味もあってごあいさつをされたんでしょう。
  76. 酒巻英雄

    参考人酒巻英雄君) 全くそういうことはございません。
  77. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そうしたら、日本経済の話や鎌倉の話は結構ですけれども、真偽はどういう目的でお会いになったんですか。そんな話をするためにお会いになったんですか。何らかのそういう意図があったんでしょう。
  78. 酒巻英雄

    参考人酒巻英雄君) 総会屋とのおつき合いみたいなものは排除していかなきゃいけないというのが私の覚悟でございましたから、こちらからお願いするとか、そういうことを私がその場で話をするというようなことは全くございません。お調べいただいても結構でございますけれども、これは真実でございます。
  79. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 話していなくても、お会いになること自体が大変重要な意味があると思うんです。  事実、翌年の平成五年三月には小甚ビルディングの名義で口座が開設をされた。これは要するに小池隆一の実質的な口座であって、それから大々的な利益供与が始まっているわけですね。要するにあなたが、当時の酒巻社長がお会いになったことが翌年の総会屋の口座開設のきっかけになったのではないですか。
  80. 酒巻英雄

    参考人酒巻英雄君) 歴代社長も同じだと思いますけれども社長が個別の商いに口を出す、あるいは報告を受ける、もうかっているとか損しているとか、そういう報告を受けるとかいうようなことは全くございません。何といいましても、もうほとんど外へ出ずつばりで、人と会ったり業界活動をしたりという仕事をしているのが社長業でございますので、そこのところはどういうふうに御説明したらわかっていただけるかと思いますけれども。  私が会ったのでその後株式取引が行われた、一年後にとおっしゃいましたけれども株式取引が行われたかどうかとか、そういうようなことは担当役員から全く入ってこないというのが実情でございます。前にも申し上げましたけれども、全部ほぼ常務取締役が、事業部制のような形になっておりますので、取り仕切って運営が行われているというのが当社の仕組みでございます。  以上、御報告します。
  81. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 田淵参考人にお尋ねいたしますが、参考人は、児玉誉士夫氏の側近で、先ほども質問にありました大物総会屋である元出版社社長、この方にお会いしたことありますか、あるいは面識ございますか。
  82. 田淵節也

    参考人田淵節也君) お会いしたことも面識もございません。
  83. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 小池隆一氏の実弟の名前で口座を持ったのは平成元年でございまして、当時、田淵参考人会長でございました。そして、小池隆一の担当者は秘書室担当の取締役であるということは前回酒巻参考人がお認めになったわけでありまして、当時の田淵会長の側近の取締役小池隆一を担当していたわけでありまして、そういう小池隆一にかかわるもろもろの件というのは御報告があったのではないですか。
  84. 田淵節也

    参考人田淵節也君) 秘書室担当の取締役小池氏を担当していたということは、ただいま初耳でございます。
  85. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 これは私が言ったのではなくて、酒巻参考人も衆議院でお認めになっております。  次に、VIP口座につきまして、酒巻参考人にお尋ねいたします。  八千人から九千人、そういう扱いであるということですが、その中に政治家と官僚は何人ぐらい含まれていますか、御報告願います。
  86. 酒巻英雄

    参考人酒巻英雄君) 政治家の方と官僚の方が何人ぐらいいらっしゃるかというのは、私は存じておりません。  先ほど申しましたように、日本国国債をとにかくサウジアラビアまで出かけていって世界じゅうで売るというようなときに、国会議員の先生は全員買っていただこう、役所の皆さんにも全員買っていただこうというので大キャンペーンをやっておりましたから、そのころ、いろんな口座はできておると思いますので、政治家の方や公務員の方が入っているということは否めませんけれども、何人ぐらいとかいうことは存じておりません。
  87. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 これは、さきの参考人質疑でも議題といいますか、問題になった件でありますし、今ある意味では国民が一番関心を抱いている事柄ですよ。どうしてそんなこともお調べにならずに、きょう、ここに臨まれたんでしょうか。  私は、少なくとも、今言った官僚や政治家は何人その中に含まれているのか、そういう人数だけでも公表すべきであるし、国会にも報告すべきである。そのようなお約束を願えませんか。
  88. 酒巻英雄

    参考人酒巻英雄君) お答えいたします。  先ほども報告いたしましたように、これはもう営業店の各店でばらばらにつけている符号でございまして、なおかつこの三月末で廃止をいたしましたので、個別個別の取引等の守秘義務とか、そういうようなこと、これは金融機関にとつては商人道のようなもので、お客様のことを何でも出してしまう証券会社というようなことではやっぱりいかぬというふうに思いますので、個別の取引等については差し控えさせていただきたい。  とにかく、特別の利益供与を行うためにそういう符号をつけたということでないことだけは確信しておりますので、そのように御理解賜ればというふうに思っております。よろしくお願いします。
  89. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そういう特別扱いしていないというのであれば、何の問題もなかったというのであれば、なおさらのこと報告すべきじゃないですか。プライバシー、守秘義務とおっしゃいますが、名前は結構です、人数だけでも報告してください。
  90. 酒巻英雄

    参考人酒巻英雄君) ここのとこるは当局の方へ全部書類が押収されておりますから、今私どもで調べようと思っても実際には調べられないというところが実情でございますけれども、お客様もどういうふうに、VIPという名前はお客様も知らぬ、契約でもないというところは御理解賜りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
  91. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 次に、田淵参考人にお尋ねをいたします。  野村証券は早くからアジア展開を進めてこられた。両田淵相談役が取締役に復帰されたのも、両氏のアジアでの人脈を生かすためだという先ほどの酒巻参考人お話でありました。  そこで、野村証券グループがベトナム北部に造成してきました野村ハイフォン工業団地、今年一月末に開所式を終えたということでございますが、このプロジェクトの実現と受注に向けて田淵参考人は相当尽力をなさいましたでしょうか。そして、その過程におきまして政治家や外務官僚を初めとする官僚の力をかりた、そういうことはございましたか。
  92. 田淵節也

    参考人田淵節也君) ベトナムのハイフォン地区における開発問題は、これは私の後の社長田淵義久君が全部責任を持ってやっておられまして、私は実はベトナムに行ったことは一回もございません。  以上です。
  93. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そうしますと、ベトナムにも行かれていないし、このプロジェクトには関与していないということでございますね。  そこで、田淵参考人会長社長御在任当時のお話をお聞きしますが、大事なお客さんというのは証券会社に限らずあるわけであります。  そこで、野村証券としましては、政治家でありますとかあるいは監督官庁である大蔵省の役人を初めとする官僚の皆さんに優先的にいわゆる有利性の高いプレミアム商品、具体的には新規公開株ですとか新規発行の転換社債、あるいは新発のワラント債ですね、そういうものをこういう官僚や政治家に優先的に割り当てておったというようなことはございますか。
  94. 田淵節也

    参考人田淵節也君) 一切ございません。  なお、申し上げますと、私、社長になってからは、そういう政治家の方、その他大会社会長さんとか、そういう方からの投資相談には私個人は一切応じないというふうに自分で決めておりました。もちろん何かの御相談があったときは、これはうちのお客さんがふえることですから、当然その地域の支店長さんを紹介して行っていただくということにはしたと思いますが、私個人は投資のアドバイスというものは一切やっておりません。  それから、お役人との関係は、社長をやっているときは当然大蔵省にはしょっちゅうお伺いする、こういうことはございましたけれども、これも自分できちっと心して、現職の大蔵省の役人とは一切、何といいますか、大蔵省の役所の中以外のつき合いはしないというふうにこれは心で決めておりましたから、それもございません。  以上です。
  95. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 終わります。
  96. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 社会民主党の照屋寛徳でございます。  両参考人に単刀直入にお伺いいたしますが、両参考人総会屋はどのような存在だと認識をいたしておりますか。
  97. 田淵節也

    参考人田淵節也君) 反社会的勢力であると、そういうふうに認識いたしております。
  98. 酒巻英雄

    参考人酒巻英雄君) 私もそのように思っております。
  99. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 総会屋が反社会的な存在であるという認識をされているということでございましたが、今回の一連の野村証券不祥事を見まするに、私は、その反社会的な存在である総会屋、あるいはまたやみの世界のものとの違法取引が恒常的に行われておったんではないか、野村証券はまさに法律と国民の批判を徹底的に無視をしてきたんではないかと、こういうふうに断ぜざるを得ないわけであります。  酒巻参考人にお伺いいたしますが、参考人は先ほど、小池さんとお会いになった、しかもそのときに小池さんが総会屋であるという認識をお持ちであったと、こういう趣旨のことをおっしゃっておりました。しからば、反社会的な存在であるという総会屋、その総会屋であるということを明白に認識しながらあなたは小池とお会いになったんですね。
  100. 酒巻英雄

    参考人酒巻英雄君) お答えいたします。  全く今の方とは私は接触等はございませんで、まあ飯だのゴルフだのとよく言われますけれども、生まれて初めてそのときに会ったわけでございますけれども、元総会屋とか総会屋とか株主さんとかいろいろ言われていたわけですけれども、とにかく会ったことは事実でございまして、先輩が築いてきた信頼を私が総会屋に会うというようなことで傷つけたことは、まことに、ざんきにたえない、先輩に申しわけないと、そういう気持ちでいっぱいでございます。  総会屋の方というのは株主でございますから、その株主が利益の提供を強要するとかいうことになると総会屋ということになりますけれども、それをしませんと株主ということになるんですけれども、この辺のところは見きわめみたいなところもあるのかなと、そういう気持ちもあってお会いをいたしました。もう短時間です。
  101. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 短時間会ったとか、そういう時間の長短とかコーヒーとケーキだけで済ませたとか、ぞんな問題じゃないと思うんですよ。株主であれ、要するに総会屋である。しかも、その総会屋という存在は反社会的であるという認識をお持ちになりながら、野村証券社長が専務から会ってくれやと言われたからということでお会いになる、会った、そのこと自体が大きな問題だと、こういうふうに反省していないんですか、あなたは。
  102. 酒巻英雄

    参考人酒巻英雄君) そこのところは先生反省をしております。  ただ、何か野村証券にどうこうというような要請があれば、その場できっぱりお断りするというふうに当然やっておったと。大変静かな方で雑談で終わったと言うと怒られそうですけれども現実はそういう状況でございました。  私が何か強いことで言われれば、私は当然ディフェンスで出たというつもりでございますから、きちっと対応をしていたと。しかし、会ったこと自体がそもそもいかぬわけですから、ここのところは、現実は会っておりまして、しかも大変よくなかったなというふうに反省をしております。
  103. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 私は、その点を厳しく反省をしてもらわないと、またぞろ野村証券不祥事を繰り返すんじゃないか。また、国民の信頼を得られませんね。  その大物総会屋が発行したと言われる「現代の眼」に野村証券は広告を出しております。たくさんありますが、一部だけ持ってまいりました。その中で、野村証券の広告の中で「ご投資家のみなさまのために、きょうも全神経を張りつめます。」と、こういう広告を出しているんですが、今から思うと、投資家を裏切った、投資家のために全神経を野村証券は張り詰めたんではなくして、総会屋のために全神経を張り詰めておった、こういうふうにしか私には思われないんですね。  だから、酒巻参考人は本気になって社長として小池なる総会屋と会った。いろいろあなたは弁解をしておりますけれども、私はやっぱり当時の状況からして、ただ鎌倉の話をしたとかコーヒーとケーキで済ませた、こういう問題じゃないと思います。  さて、一九九一年の十一月に野村証券総会屋対策を行う総務部を新設しておりますが、野村証券は、いわゆる総会屋を担当する部署はどこがやっておったんでしょうか。
  104. 酒巻英雄

    参考人酒巻英雄君) お答え申し上げます。  一九九一年に私は社長になりました。一九九一年の夏、全証券業界にかかわる損失補てん問題が起きまして、国会でも金融証券特別委員会等々で審議が行われまして、その後、証券業界の組織というものにやはり問題があるんではないかということで、いろんな組織改正、そういうものを行った記憶がございます。  九一年の秋までは、総合企画室株主課というものと秘書室渉外課というものが株主さんに対する組織、あるいは総会の招集通知を株主さんに送るとかそういう組織、この両方の共管でやっておりましたけれども、景気も悪くなって、いろんな組織をリストラクチャリングという言葉でまとめていくというときにこの二つを廃止いたしまして、庶務部というものも廃止いたしまして総務部というものに一本化をしたというのが九一年の十一月でございます。これは私がやりましたから、鮮明に覚えております。
  105. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 小池嘉矩が代表取締役をしております小甚ビルディング、一九八七年の十二月に設立をされて、当時資本金がわずか五百万円であります。ところが、二年後の一九八九年の二月にはもう野村証券の株三十万株を取得しておるんですね。  そして、これまでいろいろマスコミ等で報道されました事実関係を総合いたしますと、野村証券は既に一九九〇年から小甚ビルディングとの間に一任取引勘定をやっておって、そして一九九二年一月に証券取引法が改正をされて一任取引が禁止された後も証取法違反の一任取引勘定を続けておった、こういう事実はお認めになりますか。
  106. 酒巻英雄

    参考人酒巻英雄君) 先ほど御報告いたしましたが、証券取引法が改正されましたのは、平成四年の一月一日でございまして、そのときはもう私は業界の東証の理事とか日本証券業協会の理事とかやっておりましたから、証取法改正のど真ん中におりましたので、その一任勘定が禁止行為というようなことはよくよく承知しておりました。したがいまして、一任勘定をやっているというのを私が聞きましたら、もうその場でストップというふうに命ずる、それが社長としてのジャッジでございます。  したがいまして、その一任勘定的取引が延々と行われていたとかということは私は存じませんで、いろいろ相当後になってから知ったということでございます。  やってはいけないことをやっているというようなことが後で何を意味するか。これは、行政処分どか免許の取り消しとか営業停止とか、会社にとってはもう危急存亡のときを迎えるというぐらい大事なことでございますから、そこのところはきちっと認識しているつもりでございます。
  107. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 九五年六月の株主総会の点についてお伺いをいたします。  その株主総会では、両田淵氏の取締役復帰の人事案件があっただろうと思います。当時、酒巻参考人社長として人事権を掌握しておられた。しかも、酒巻参考人は、両田淵氏を積極的に取締役に戻そう、こういうお立場であったというふうに私は理解をいたしております。  その株主総会へ向けて、いわゆる総会屋小池氏にあなたがさまざまなお願い事をしたんではないかな、こういうふうに推測をするわけでありますが、その前に、事実関係として、両田淵氏を取締役に戻す、こういうことについて、あなたが他の総会担当役員などにお話をしたのはいつごろですか。
  108. 酒巻英雄

    参考人酒巻英雄君) 総会担当役員に話すというようなことはもう一番後でございまして、やはり経営会議のメンバーであるとかそういう人たちと話をいたしましたけれども、これはとにかく、野村証券はアメリカに千人、ヨーロッパに千人、アジアに千人従業員がおりまして、それぞれ一千億ずつ張りつけて三千億で海外の業務をやっておりますので、私はアメリカとかヨーロッパは行けても、アジアの方は何といっても田淵さんの顔とかいうのは大変大事で、これをディプロマティックスキル、外交的手腕と言うんだそうでございますけれども、外交的手腕を発揮して私をサポートしてもらいたいなと。  もうそれまでに二、三年アドバイザーでやってきていただいていましたから、今度は会社を代表して、やっぱり相手の国の代表者とも会うものですから、これは全く私がオンビジネスで考えまして、心の中で熟して、お願いをして、それを招集通知へ出して、株主総会株主様の御承認を得てなっていただいた。総会屋に両田淵さんのことを話したとかということは全く毫もございません。
  109. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 照屋君、時間です。
  110. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 民主党・新緑風会の本岡でございます。  酒巻参考人にお尋ねします。  けさ、新聞を見て、酒巻さんが小池代表と接触したという報道を見て、私は新聞の方がうそだろうと思った。だけど、あなたは認めた。私は、衆議院の会議録、参議院の会議録をずっと読みました。先ほどもう既に一つの方の衆議院の質疑関係が出ましたので、もう一つを言います。  民主党の委員がこういう質問をしていますね。「もう一点といいますか、この野村の元首脳は、この小池代表というのは酒巻さんの担当だった、こう明言しているんですが、いかがでしょうか。」という質問をあなたはされた。それを受けてあなたがどう答弁したか。「会ってお話を伺いたいぐらいの気持ちですけれども、」と言って、会ってお話ししたいぐらいの気持ちなんだというような答弁をされているんです。  私は、これを見まして、ここまで事実でないことを言われてけしからぬと。「国政の場ですからこんなことは言っちゃいかぬと思いますが、」というようなことであなたはおっしゃっているんですよ。だけど、先ほどこれを認められた。だから、あなたが先ほどから述べておられることを私は信じられないんですよ。信用できない参考人と話して何になるのかと私は思う。  だから、委員長、やっぱりこれは証人喚問という手続が要ると私は思うんですが、いかがですか。
  111. 酒巻英雄

    参考人酒巻英雄君) 何か、小池氏は酒巻君が担当しているというふうに言っている野村のOBがいますよというようなお話があって、そういうことはございませんというふうに私は答えたつもりなんです。大体、その担当とかなんとかいうのはいろんな長いおつき合いがあってということだと思うんですけれども、私は後にも先にもきょう新聞に出ておりましたような形で一回お会いした、社長になる前はゼロ回でございますから。  私ども株主になりましたのが昭和四十五年、一九七〇年でございますから、それからのいろいろなお取引の中で何回もお会いしていれば、当然私は何回もお会いしていると申し上げたと思いますけれども、担当であるなんということは、総務部の担当そのものになったことがございませんのでそういうふうにお答えしたんだと思います。
  112. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 私たちの知っている事実関係からすれば、あなたがただ一回会っただけだというのはどうしても信じられないんですよ。だけれども、今ここであなたとやりとりして何が事実かということを明らかにできませんから、先ほど言ったように証人としておいでいただいてやる以外にないと思います。  そこで次に、私は非常に不愉快なんです。というのは、ある新聞に株にまみれた政界、政治家の八〇%がやっているというようなことを書かれて、そして野村証券自身が起こした株のスキャンダル、総会屋との癒着、反社会的行為、それに政治家が皆かかわっておるというふうに言われておるこの事実、私は耐えがたいんです。  先ほどVIP口座の問題が出たけれども、知らぬとおっしゃっている。しかし、政治家も八〇%がやっているんだ、そして野村がそういう人のお世話をしているんだ、そして政界は株にまみれているんだという、このことだけはそうではないんだということをここであなたに言ってもらいたい。それから、田淵さんに言ってもらいたい。
  113. 田淵節也

    参考人田淵節也君) その記事は全く荒唐無稽です。断固として断言できます。そんなことはあり得ません。
  114. 酒巻英雄

    参考人酒巻英雄君) 私が六年近く社長をやってまいりまして、政治家の皆さんから株式のことでいろいろ頼まれたりとかそういうことはございませんので、政治家の皆さんが株式投資を八割もやっているとかいうようなことは全くないと私は思っております。
  115. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 それならば、VIP口座七千人とか八千人とかいうのを野村責任で公開してください。でなければ、私たちに着せられたぬれぎぬのようなものをどうして晴らすことができるんですか。だから、あなた方の責任で公開してください。どうですか。
  116. 酒巻英雄

    参考人酒巻英雄君) ほとんどの方が全く問題はございませんので、そういう中で仮に今回行われたようなイレギュラー取引があれば、それは私どもは自主的に御報告をいたしますけれども、大半の方がVIPという名前になっているとかいうのは全く御本人も知らないことでございますので、問題が起きれば、問題が起きたものにつきましては即時御報告し、ディスクローズもするというつもりでおります。  それが世界証券市場での一つのルールだろう。アメリカでいえばSECにファイルしてウォールストリートに出す、そういうことではないかなと。  先生がおっしゃっています週刊誌か何かに出ておりましたのは、私の記事も出ておりましたけれども、何か酒巻は長いつき合いだみたいなことを書いていましたけれども、その方とは二十年来会ったことはございません。昔の私の部下のお客様ということでございます。
  117. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 だから、これはテレビで放映されているようですが、何か本岡は格好よく質問しているけれども、あれもやっているんじゃないかというふうな、そんな不信感に包まれたんじゃ、この場でだれがやってもだめですよ。そうでしょう。だから、あなた方はきちっと、VIPとか何か知らぬけれども、そういうものを公開して、そうではないんだと、せめて政治と国民との間の信頼を回復することぐらいに力をかしてくれたらどうですか。  これは、委員長、後で理事会で取り扱ってください、私が今要請していること。VIPの口座の問題、いけませんか、証人喚問の問題と。
  118. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) VIPの資料提出と証人喚問の問題等がございますけれども、後刻、理事会において打ち合わせます。
  119. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 それで、田淵参考人にお伺いするんですが、先ほどもベトナムの問題がございました。  それで、私どもの耳に入っているのは、ベトナムの大規模工業団地建設事業に非常に協力をしてくれた元シンガポール大使の三宅和助さんというんですか、名前を出してまことに失礼なんですが、こういう名前を見ますので、これが、野村がベトナムに大規模工業団地建設をしたことに非常に協力をしてもらったので、VIP口座に名前を連ねて、そして特定の利益を供与するようなことをしたとかいう話を聞くんですが、いかがですか。
  120. 田淵節也

    参考人田淵節也君) 先ほどベトナムの件の御質問がございましたので申し上げましたけれども、ベトナムに関する件は私の後任の田淵社長が全部やっておられます。だから、僕はベトナムに行ったこともないし、そのプログラム自体を全然知りません。また、知る必要のない立場にずっと立っております。
  121. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 それで、総会屋対策ということを野村の中で具体的に組織として実践してきたとおっしゃいましたが、総会屋との接触、この小池隆一氏以外あなたはございませんか。
  122. 酒巻英雄

    参考人酒巻英雄君) 私は、社長になる前は管理部門の担当でございましたから、同様なことであいさつをしたというようなことはございます、もう昔のことでございますけれども
  123. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 ちょっと耳が私遠いものですから最後の大事なところを聞き漏らしました。もう一度はっきりおっしゃってください。今の答弁もう一度繰り返してください。
  124. 酒巻英雄

    参考人酒巻英雄君) ほかの総会屋の方とお会いしたことがあるかということでございますね。お会いしたことはございます。
  125. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 もしよければ、今御記憶の、どのような総会屋の方とお出会いになったか、ここで述べていただけたらと思います。
  126. 酒巻英雄

    参考人酒巻英雄君) これは昔のことでございますので、今ここでというのはちょっと定かではございませんので、大変申しわけございませんが、会ったことはあると、やはりこれもだれかに言われてごあいさつをしたという程度でございます。
  127. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 終わります。
  128. 有働正治

    ○有働正治君 日本共産党の有働でございます。  酒巻参考人にお尋ねします。  今ほかの総会屋に何人かお会いしたと。これは複数以上か二けたぐらいか、どれぐらいの総会屋でございますか。おおよそで結構でございます。
  129. 酒巻英雄

    参考人酒巻英雄君) 一人か二人でございます。
  130. 有働正治

    ○有働正治君 同じく酒巻参考人小池容疑者と会う際、総会屋であることを知らないはずはないと、この間の答弁からいっても明白だと思うんです。しかし、そのことをまだ明確に明言されていないと思うんです。反省するというのであれば、今の時点で中途半端でなく小池容疑者というのは総会屋であるということを知っていたということを明言すべきだと思うわけでありますが、いかがでございますか。
  131. 酒巻英雄

    参考人酒巻英雄君) そのような方だろうなとは思っていました。したがいまして、こちらも構えておりました。
  132. 有働正治

    ○有働正治君 同じく酒巻参考人、この間、利益供与をめぐりましては、藤倉氏あるいは松木氏らごく限られた役員等のいわば個人ぐるみと言ってこられたわけであります。本日は、村住さんですか、担当役員の御紹介、そしてまた酒巻社長御自身もお会いになっていた、こういうことになりますと、個人ぐるみということにはならないというのが国民の皆さんの常識だと思うんです。そういう点では組織ぐるみと、会社自身も強制捜査を受けていることからも明白だと思いますが、これについても明言していただきたいと思うのであります。
  133. 酒巻英雄

    参考人酒巻英雄君) お答えいたします。  村住君は会っていないと思います。村住君が会っていれば私が会っておりませんし、彼が会っていないから私が会ったと、そういうトレードオフみたいな関係にあると思いますので、彼は会っていないというふうに思っています。私がお会いいたしました。  そして、その下におる総務担当常務が全部取り仕切っておりますので、野村証券の組織はそういうふうになっていると御理解賜りたいというふうに思っております。
  134. 有働正治

    ○有働正治君 トップが会ったこと自身は組織ぐるみということにはならないんですか。簡潔に言ってください、簡潔に。
  135. 酒巻英雄

    参考人酒巻英雄君) 組織ぐるみという言葉でございますけれども、とにかく野村証券の代表者である私がごあいさつをしたということは事実でございますので、組織の長が会ったということ以外はないというふうに思っています。
  136. 有働正治

    ○有働正治君 極めて不誠実な答弁と言わざるを得ません。  それから、VIP口座のかかわりでお尋ねします。ともかくVIP口座に政界あるいは官界人が入っていたことはお認めになりました。  そこで、酒巻参考人にお尋ねします。一般投資家と違いまして、なぜ政界、官界人がVIP口座に入るのか、この点について。
  137. 酒巻英雄

    参考人酒巻英雄君) 前回報告させていただきましたけれども、このVIPといいますのは……
  138. 有働正治

    ○有働正治君 いや、それはもういいです。なぜ入るのかという私の質問に答えてくださいよ。
  139. 酒巻英雄

    参考人酒巻英雄君) 私どもで、株式で損した得した、いろいろございまして、お客様が激高していろいろ御叱正を賜る、そういうお客様も含め、このVIP口座というのは入っておりますので、いろんな方が入っている。その中に政治家の方もお役所の方も地方の皆さんも入っているだろうと。  とにかく、昼休みなんかに電話がかかって、ぽんとパソコンを押しますと、VIPと出れば応接をきちっとやらなきゃいかぬなということで対応をしてきているのが実情でございますので、何とぞ御理解いただきたいと思います。
  140. 有働正治

    ○有働正治君 関連しまして、武富士と野村証券関係についてもVIP口座をめぐって疑惑が持ち上がっているのでお尋ねします。  一つは、平成八年八月三十日の武富士の株式公開に当たって、野村は幹事証券会社としてでもありますし、協力し、さまざまな相談にあずかっていると承知しています。  例えば、徳田博美元大蔵省銀行局長、徳田氏は野村顧問でありますし、武富士の監査役につかれた当時は野村総研の最高顧問であったと私は承知しています。この大蔵省の銀行局長を務められた野村証券の方を武富士の監査役につかせておられると思いますけれども、この点、間違いないかどうか。  田淵参考人に、その徳田氏を大蔵省から野村に入社させたのは田淵氏だと指摘されていますが、この点についていかがでありますか。  そして、あわせて酒巻参考人に、武富士の未公開株が平成八年八月三十日店頭公開と同時に、額面五十円が一万二百円の値がついています。額面五十円です、それが一万二百円です。  未公開株保有者にとりましては一夜にして膨大な利益が転がり込むことになるわけでありますが、その武富士の未公開株が、野村側もいろいろ相談に乗りながら、野村のVIPリストの中にある政界、官界人に渡っているとの指摘がありますが、そういう未公開株が政界、官界人に絶対渡っていないと断言できるかどうか、この点、あわせお尋ねいたします。
  141. 田淵節也

    参考人田淵節也君) 徳田博美氏が武富士の監査役になっていたということ自体は後で新聞で見て知ったわけでございます。  ただ、徳田博美氏に野村総研の理事となっていただいたときには、彼は銀行局長もやって、それから非常に金融界に明るいというふうに私も思うし、それから世間の評判でもありましたので、徳田さんにお願いをして来ていただいた、こういうことでございます。
  142. 酒巻英雄

    参考人酒巻英雄君) 公開というのは、何年かかかりまして準備をして公開ができるかどうか、この辺は、東京証券取引所や日本証券業協会やそういうところの審査も経て公開をされるということになるわけでございますけれども、私は、私の社長のときにあらゆる審査、ここのところはかなりきちっとやってきたという自負がございます。したがって、法にのっとって公開が行われたということでございます。  今、先生がおっしゃられました五十円が一万というところにつきましては、五十円は向こうの社長さんの話で、実際に投資家がお買いになったのは九千何百円とかいうことだと思いますし、今値下がりして大変申しわけなく思っているようなところでございます。
  143. 有働正治

    ○有働正治君 政界、官界について。
  144. 酒巻英雄

    参考人酒巻英雄君) 公開株とか転換社債、こういうものにつきましては日本証券業協会の配分ルールというのが決まっておりまして、全国でそのルールを守って配分をするということが行われておるというところまでは承知しておりますけれども、具体論はどの銘柄に対しても社長は全く報告も受けておりませんし、知りません。
  145. 有働正治

    ○有働正治君 納得できない答弁で、私どももリストを要求していますけれども、証人喚問を要求いたします。
  146. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 後刻理事会で協議いたします。  以上で両参考人に対する質疑は終了いたしました。  本日は、長時間にわたり御出席をいただき、まことにありがとうございました。御退席くださって結構でございます。  速記をとめて。    〔速記中止〕
  147. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 速記を起こしてください。
  148. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 次に、宮崎邦次君及び近藤克彦君から意見を求めることといたします。  この際、参考人に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は御多用中のところ当委員会に御出席くださいまして、ありがとうございました。  当委員会においては、予算執行状況に関する調査を進めておりますが、本日は特に参考人から金融及び証券問題等について御意見をいただくということになった次第でございます。  この際、参考人の方に申し上げますが、質疑時間が限られております。したがいまして、答弁は要点を簡潔明瞭にお願いいたしたいと思います。  それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  149. 片山虎之助

    片山虎之助君 自由民主党の片山虎之助でございます。  両参考人、きょうは御苦労さまでございます。時間がありませんから、早速質問に入らせていただきたい、こう思います。  銀行業というのは、もう言うまでもなく、大変社会性、公共性が高くて、免許企業であります。しかも、皆さんの第一勧業銀行日本におけるリーディングバンクであることはだれしも認めている。それがこういう野村事件につながる失態をもたらしている。  今ビッグバンを一生懸命やろう、こういうことになっているそのビッグバンが、これでブレーキがかかるんじゃないかという心配もあるわけでありますが、まず冒頭、現頭取でございます近藤参考人からその辺のお考えを簡潔にお願いします。
  150. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) ただいま先生の御指摘のように、これからビッグバンというところで、不良債権の処理も大方終わりましていよいよこれからというところで、このように世間に御迷惑をかけるようなことになりまして大変申しわけなく思っております。  具体的なことにつきましてはまたこれから申し上げますけれども、とにかく再発防止ということで再スタートしたいというふうに思っております。  以上です。
  151. 片山虎之助

    片山虎之助君 そこで、今回の問題は長い経緯があると報ぜられております。そこへいつも出てくるのが大物総会屋さんで某出版社社長の、名前も名字だけならいいんでしょう、木島さんと言われる方なんですね。  そこで、この前、二十三日に皆さんおそろいで記者会見された。いろんなことを言われている。昔のトップが仲がよかったとか合併のときにお世話になったんだとか、なかなか勢力のある方だとか、いろんなことがあります。国民の常識から見て何でそんなに力があるのかな、亡くなられてもその呪縛が解けないというんだから。第一勧業銀行は一万八千人おるのに、私はその辺が理解できない。  宮崎参考人、どういう経緯なのか、これまた簡潔にお話をいただきたい。
  152. 宮崎邦次

    参考人宮崎邦次君) 先日の会長頭取の記者会見で呪縛ということを申し上げましたけれども、そのときに過去歴代のトップもつき合いをさせていただいたと、これは事実でございますし、私もつき合いをさせていただきました。  ただ、非常に大物というか、この窓口になっております総務の人たちというのを、その元出版社社長というのは礼儀に非常に厳しい方で、ちょっとでも礼に失するようなことがある場合には非常に大変厳しく叱正されるというようなことを、もうその辺のところから非常に呪縛といえば呪縛ですけれども、そういうような形があったんではないかというふうに推測いたしております。
  153. 片山虎之助

    片山虎之助君 今、宮崎参考人いみじくも言われた、ずっとそれまでもつき合いをさせていただいたし、私もつき合いをさせていただいたと。特に宮崎参考人は親密だと、こういうことになっています。あなたは年に何回も京橋の彼の事務所にあいさつに行かれる。御長男の結婚式はちゃんと頭取で出られる。亡くなられたときはもちろん、これまた今の礼儀なんでしょう、すぐ弔問に行かれる。結構ですよ。あなた自身、木島さんについてどういう評価、認識をお持ちだったんですか。
  154. 宮崎邦次

    参考人宮崎邦次君) お答えします。  元出版社社長は私どもの営業店の大変大口の預金のお取引先でもありますし、また歴代トップもつき合いをさせていただいたという点では、引き継ぐといえば別でございますけれども、私も頭取になりましたときには会長と一緒に見えたときに会ったというのが経緯でございます。  それから今御指摘のように、相当行ったと言われますけれども、それは私どもが一回行っても何回行ったというようなうわさがすぐ流れます。この辺のところは若干勘案いたしましても、結婚式に出たことも事実でございます。この結婚式というのは、その元出版社社長の御子息が私どもの親密な取引先会社に勤めておられる方で、そういう関係もあるし喜んで出たということでございます。  それから、元出版社社長というのは、昔いわゆる総会屋活動的なことをやったというふうにも聞いておりましたけれども、私どもがつき合ったときには、昭和四十年代にはもうそういうものから足を洗ったというふうに聞いていますし、私がお会いしても、また歴代トップに聞きましても、依頼されたり依頼したというようなことは一切なかったというふうに聞いておりますから、私もオープンにつき合っていたという次第でございます。
  155. 片山虎之助

    片山虎之助君 参考人、あなた足を洗ったと言われるけれども、足を洗ったかもしれません、御本人は。だが小池兄弟と大変仲がよくて、結果として木島さんの力であなたの方の大量の巨額の融資小池兄弟の方に行くことになったんですよ。あなたは、そうするとその元出版社社長、大事な人だ、大切にしなきゃいかぬ人だ、会社としても粗略にできない、そういう御認識だったですか。
  156. 宮崎邦次

    参考人宮崎邦次君) それは、私どもの支店の大変優良な取引先という点ではそうでございますけれども融資する際につきましては紹介を受けて始まったということは事実でございます。  それから、その当時はやはりバブルの始まりのときでございましたし、尋常にいった時代かと思います。
  157. 片山虎之助

    片山虎之助君 そこで、その小池兄弟とは今の木島さんが接点になって第一勧銀とのいろんな取引が始まる。ところが最初に口座をつくったときはどうということはないんです。わずかな金の融資だった。それが大量になるのは、実は宮崎参考人頭取になられた後なんです、御承知のように。一九八九年からなんです。平成元年からです。二月、十二月。  そこで、その前の年に実は麹町支店がスキャンダルというんでしょうか不正支出の問題を起こして副頭取と審議役はやめられて、会長頭取の交代があったんです。そのときそれは二月、三月、六月まで引っ張るんです。六月に逮捕されるんです。六月二十九日の株主総会は大混乱になるだろう、もめるだろうと。ところがこれがすっといったというんです。一時間十三分。そこでその亡くなられた出版社の社長も、小池ブラザーズのお兄さんの方も大変それを取り仕切って貢献があったんだということは、まさにその総会で宮崎参考人頭取になられたわけだから。そこで、なられた後のすぐ次の年の、年が明けたら大量の三十一億だとか、二月と十二月を足せば二十億の融資が始まるんです。これは因果関係があるんでしょうか、ないんでしょうか。いかがでございましょうか。
  158. 宮崎邦次

    参考人宮崎邦次君) 因果関係は全くないというふうに思って確信いたしております。
  159. 片山虎之助

    片山虎之助君 そこで、宮崎参考人は、木島社長の紹介された小池兄弟、小池兄弟のお兄さん、弟さん、ともに会われましたか、どうですか。
  160. 宮崎邦次

    参考人宮崎邦次君) 面識はございません。  ただ、結婚式に出たときに、最近この事件が起きましてから、結婚式に小池氏兄弟も出ていたということを聞きましたけれども、全く会った記憶もございませんし、お二人に会ったこともありません。
  161. 片山虎之助

    片山虎之助君 名前は知っていましたか。
  162. 宮崎邦次

    参考人宮崎邦次君) 名前は元出版社社長から聞いたことはありません。  それから……
  163. 片山虎之助

    片山虎之助君 ちょっとはっきり言ってください。
  164. 宮崎邦次

    参考人宮崎邦次君) はい。聞いたことはありません。  それから、亡くなられたときに、某役員から親しかった小池という人がいるということを聞きま  した。  それから、小池嘉矩氏につきましては、思い出すとそれは、新潟から出てきて税理士でということは思い出した形で……
  165. 片山虎之助

    片山虎之助君 はい、結構です。  そこで、その弟さんの方は知っておったと、名前を。この隆一さんは嘉矩さんの兄貴だということは御存じですね。
  166. 宮崎邦次

    参考人宮崎邦次君) いや、それはそのときに、某役員から聞いたときに初めて知りました。
  167. 片山虎之助

    片山虎之助君 そこで、この前の記者会見聞きまして、私が大変けげんに思うことが二つあるんです。  一つは、小甚ビルディングなり小池嘉矩氏に貸したので、お兄さんは関係ないとこう言われる。これは一体なんですよ。表と裏なんですよ。小池嘉矩氏に貸すことによって、小甚ビルに貸すことによって小池隆一氏が取り仕切って三十万株を、四社ですよ、三十一億で買ったんですよ。だから、私はなかなかそれは通らないと思う。いろんな小細工もやっている、複雑な操作の仕組みもやっています。あと同僚が質問しますけれどもね。私はそれはなかなか通らないというのが一つ。それは近藤参考人、答えてください。あなたが、お兄さんの方じゃないんだ、弟の方だ、会社なんだと盛んに強弁されている。私はこれはなかなか通らないと思う。  それからもう一つ。首脳部が知らなかったと言われる、去年まで。こんなことがあるんですか。累積三百億に及ぶ、二百七十億に及ぶ大融資で、累積ですよ、しかも焦げつきが七十五億出ているでしょう。七十億、皆さんは有税償却されているんだよ。こんなもの、首脳部が全く知りません、あるいは総務部か何かがやったんですと、通りますか。近藤参考人、いかがですか。
  168. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 当行として、私、この件につきましては、このたびいろいろ新聞報道がされましたり話題になりましていろいろ調べ始めたわけでございますけれども、私の今まで報告を受けている限りでは、あくまでこの取引というのは小甚ビルディング並びに小池嘉矩という方に対する融資でございまして、ただ総務のラインではお兄さんが小池隆一さんであるということは、一部の者は知っていたというふうには聞いておりますけれども。  それから、トップが知らないのはおかしいというお話でございますけれども、これは私も、歴代の頭取会長経験者、みんな聞いてまいりました。私自身は全く知らないことでございますけれども、これ全員、今回の話題になりまして初めてそういうことがわかったということでございます。
  169. 片山虎之助

    片山虎之助君 まあしかし、なかなか信用できないけれども、もしそうなら大変おおらかな会社ですな、おおらかな銀行。トップは怠慢にして無能ですよ。いや、こんなことはなかなか通らない。それから形式論ですよ、弟と弟の法人に貸したんだから兄貴は一切関係ありませんと。実際やっていることは、兄貴と一緒に彼らは社会的ないろんなことをやっているんだから。それを知らないというのはなかなか通らない。  再度御答弁いただきたい。
  170. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 本当に先生御指摘のとおり、こういうことについてトップが全く知らなかったということにつきましては、この組織の一部についてチェック機能が働いていない、あるいは当行の中にあるいろんなチェック機能がワークをしていないということでございまして、そういうことを見過ごしてきた、あるいは改革してこなかった歴代トップの責任というものを大変強くこのたび感じまして、現金長、頭取はもとより、歴代の会長頭取も相談役を辞任していただくということで、そういう経営責任を明確にするということでございます。
  171. 片山虎之助

    片山虎之助君 なかなか信じがたいけれども、時間がかかりますからちょっと置いておきますが、それじゃ皆さんは小池隆一氏及びそのグループが皆さんのところの株を二万六千株お持ちだということは知っておりますね。
  172. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 申しわけありません。このたびそういうことを知ったわけでございまして、総会に出た方とか、そういう名前自身を、申しわけないですけれども、歴代トップの人は全く知らないということでございます。
  173. 片山虎之助

    片山虎之助君 今株主である、大株主であるということは御存じなんだよね、二万六千株。
  174. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 最近知った……
  175. 片山虎之助

    片山虎之助君 そこで、そのお金は大和信用から回っていませんか。大和信用から彼は何十億か借りたんですよ。そのうち担保不足が二十億あるものだから、皆さんの方が債務保証かなんかやったでしょう。いかがですか。
  176. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 大変申しわけないですが、大和信用のことも最近行内調査でわかったわけでございます。その大和信用からのお金でそれが買われているかどうかにつきましては、ちょっと私確認できませんのでお答えしかねます。
  177. 片山虎之助

    片山虎之助君 いずれにせよ、また予算委員会で資料を出していただいたり何かしなければいけませんね。  それから、もう両参考人重々承知だと思いますけれども、ここは国会の場ですから、ぜひ真実を言っていただく。証人喚問じゃありませんけれども、ぜひそれはよろしくお願いいたしたいと思います。  そこで、近藤参考人、あなたはこの前の二十三日の記者会見で、実はここだけじゃないんだ、ほかにも問題企業総会屋ですよ、総会屋関係企業ですよ、そういうことに不透明な問題の融資があると、こういうことを言われましたね。そうしたら、だれかがそこでそれを遮ったか何かされたとかいうのも聞いておりますが、あとどのくらい問題企業とそれに対する問題融資がありますか。
  178. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) ただいまの件につきましては、私は、実はこういうことが起こりまして、総務のそういう取引実態というようなことにつきましていろいろ聞いているわけでございますけれども、実はちょっと総務の者にいろいろ事情聴取なんかがありましてなかなか思うようにいかないんですけれども、私としてはよもやこういうものがほかにはないんだろうなということでお話をしましたら、心証としてどうも皆無ではないという心証を持ったわけです。  それはということであれしましたら、今多少わかっていることは、金額もごく小さいし、規模的にもまことに小さいんですけれども、ただ、これは徹底的に調査をいたしまして、きちんと管理をしていきたいというふうに思っております。
  179. 片山虎之助

    片山虎之助君 伝えられるところでは、数社で、数千万円規模だなんというような話も聞きますが、とにかくあるわけですから、皆無じゃないんだから、きっちり調査してそれを公にしていただきたい。  いつまでにしていただけますか。
  180. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 調査結果の公開ということにつきましては、できるだけ努力をしたいと思いますが、法令その他いろいろ制約ございますので、そういうものを踏まえながら慎重に考えてまいりたいというふうに思います。
  181. 片山虎之助

    片山虎之助君 時間がだんだんなくなってきましたので、そこでさらに問題なのは、皆さんが大蔵省の検査をこけにしたことですよ。しかも、これは極めて意図的、悪質だと私は思う。  二回やっているでしょう。一九九〇年、平成二年と一九九四年ですね。一回は山梨のゴルフ場に対する融資額を抑えて出さないようにしている。もう一回は、延滞の利子を延滞債権と思われると困るから六億一千六百万を特別に融資をして、手の込んだ融資をして、問題債権から落としている。  だれがやったんですか。だれの指示ですか。
  182. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 大蔵検査を回避しているという御指摘でございます。  目下調査中でございますけれども平成二年、それから平成六年についてどうもその疑惑があるという心証を持っておりますので、なお今鋭意調査をいたしております。
  183. 片山虎之助

    片山虎之助君 いや、ちょっと待ってくださいよ。心証を持っている疑惑にすぎないんですか。それじゃ、何で大蔵省が告発をもう決めた、こういうことになるんですか。疑惑じゃないんでしょう。ただ詳細までは皆さんのところでまだわからないというだけじゃないですか。それはもういろんなことで明らかですよ。
  184. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 平成二年につきましては、平成元年にやった貸し金の担保ポジションが大変大きく割れているということで、そのころにゴルフ場の融資の話があったというふうに聞いております。それをやるために、担保ポジションを改善するために某別会社の与信をふやしまして、そちらから肩がわりをして担保ポジションを改善したということで、これがどうも大蔵検査回避ではないかと。  それから、平成六年につきましては、延滞金利を清算いたしまして、大和信用から何か借りてまいりまして、貸し出しの延滞利息を清算いたしまして延滞貸し金ではなくするということで、それでゴルフ場関係の貸し金を法人の方を個人の方に乗りかえるということで、今後に備えるということでそういう操作が行われたというふうに確認をしております。本来なら延滞のものをそういうふうに延滞でなくしたという意味で、これはやはり大蔵検査の回避であるというふうに思っております。大変申しわけないと思っております。
  185. 片山虎之助

    片山虎之助君 それは頭取の方の都合や資金繰りのあれもあります。しかし、基本的には大蔵省検査に対する隠ぺいですよ。そこは私は疑いがないと思うので、だれが責任者でだれが実行したのか、それを明らかにすることが、皆さんはハートの銀行でしょう、どういうハートなんですか、ちょっと答えてください。
  186. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) だれがやったかという御質問でございます。  直接の窓口をやっておりました総務部と、それからこれは当然審査の方のラインがございますので、そちらと協議しながら、検査回避というよりも、どうやって債権回収の見込みを残していくかというようなことも踏まえながらやったようでございますけれども、やはり先生おっしゃるように明らかに検査回避ということを私は感じております。
  187. 片山虎之助

    片山虎之助君 そこで、二十三日の夕方に皆さんが記者会見されて、宮崎相談役初め相談役五人の方がおやめになる。会長頭取も相談役になる。近藤頭取だけが相談役兼取締役ということになる。責任をとるんだと。どういう責任ですか。どういう責任で皆さんおやめになるんですか、そろい踏みで。
  188. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) やはり組織の一部にそういう問題があって、関連する組織がそれを完全に十分チェックできないというような、いわゆる組織の論理がうまくワークしなかった。チェック体制がうまくワークしなかったということが過去にずっと長く続いてきたということについて、まず経営トップというのがそれに気がつかずにいた。それからまた、そういう問題があるということを吸い上げて、それを改革しようとしてもできなかったということの責任、これは本当にトップの経営責任だというふうに我々は感じまして、まずその経営責任を果たすということ。  ただし、これはあえて申し上げますと、奥田と私につきましてはここでやめればいいというものじゃございませんで、これから再発防止に向けて組織を本当に再生して変えていくということについて、我々は本当に自己責任でもって新体制を支え、また自己責任のつもりでこの新体制づくりに奥田と私は全力を挙げていきたいというふうに考えているわけでございます。
  189. 片山虎之助

    片山虎之助君 経営体質はもちろんありますよ。経営体質はあるけれども、皆さんのリーディングバンクは、例えば銀行法違反、利益供与や特別背任に仮に該当するとすれば商法違反、法律違反すれすれのことをおやりになっている。しかも、今回のこの巨額な黒い融資について何ら回収の努力をしていない。後ほど同僚が質問すると思いますけれども。そういうことに対する責任なんですよ。ぼやっとした経営責任だとか社会責任だとか道義責任はもちろんありますよ。それだけじゃないんです。  しかも、今どう言われているかというと、これはトカゲのシャッポ切りだと。トカゲのしっぽ切りってありますよ、しっぽを切るのは。だから、頭を切るのをトカゲのシャッポ切りと言うんだよ。皆さんのはトカゲのシャッポ切りだってね、アメリカのジャーナリストが言ったというんだ。うまいことを言うと思う。  やめればそれで済むというのは日本的な免責なんですよ。そこを、橋本総理が言うように、きっちりと事実を徹底的に究明してだれにどういう責任があるかを明らかにして、その結果やめるとかやめないとか、こうすべきだと思いますけれども、どうですか、参考人
  190. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) それはもう先生おっしゃるとおり、本当に真相の究明をまず最初の仕事として目下鋭意やっております。やめればいいということでは決して思っておりませんので、そういうことで真相究明、それからいろいろ法律にかかわること、いろんな問題がありましたら厳正に処罰をしてまいります。そういうことできちんとした対処をしてまいりたい、そういうことがもう最小限の責任だというふうに考えております。
  191. 片山虎之助

    片山虎之助君 そこで、事実を究明してだれにどういう責任があるか明らかになったらどうされますか。近藤さんともう一人は奥田さんか、この二人は相談役で残るんだから、それは一生懸命事実の究明や責任の追及や再建策をやらなければいけません。それが明らかになった時点で、まただれかおやめになりますか、どうしますか。  それから、今度新しい頭取になるのは藤田さん、会長になるのが摩尼さんか、何か難しい名前ですけれども、どうなんですか、もう一度責任をあれするんですか。
  192. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) いろいろ御当局でも捜査が進められておりますし、そういう捜査の進行につれていろんな結果が出てくると思いますが、それに従ってきちんと処罰をしてまいりたいと思います。  それから、先ほど申し上げましたような意味での組織のチェック体制が一部働かなかったところがあるというような経営責任については、もう我々以上できちんととったということで考えております。
  193. 片山虎之助

    片山虎之助君 処罰は及ぶんですね、近藤さんや奥田さんや藤田さんや摩尼さんにも、場合によっては。
  194. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) それは判明した内容によって考えてまいります。
  195. 片山虎之助

    片山虎之助君 そこで、今回おやめになる相談役の方がおられたり、会長さんはおられませんが、そういう方に退職慰労金はどうされますか。
  196. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) まだその辺のことについては考えてもおりません。これからの問題でございますけれども、まだちょっとそこまで及んでおりません。
  197. 片山虎之助

    片山虎之助君 結果としては大変な損害を銀行に、わしのところから見れば大したことないと、こう言われるかもしれませんよ。しかし、それはある意味では常識的には大変な損害をかけられたので、その辺についてはすぐ御検討をお願いいたしたいと思いますし、場合によっては、こういうことは本当に言いにくいんですけれども、私財提供なんということも御検討の対象に入りますか。
  198. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 結果として大変な損失が生じているということはよく承知しておりますし、これはいろいろ責任のある部分とバブルという一つの流れがございますので、そういうものもきちんと見ていかなければいかぬというふうに思っておりますが、その辺は慎重に考えてまいりたいと思います。
  199. 片山虎之助

    片山虎之助君 大阪の方の市民グループが株主代表訴訟を起こすとかいって新聞に出ておりますが、これは起こされたらしようがありませんね、受けて立たなければ。  そこで、私は、これからはやっぱり第一勧銀の皆さんの信頼性の回復ですよ、公正なきちっとした新しいバンクをつくるということだと思いますよ。そのためには、今総務部の見直したとか、株主総会の公開だとか、あるいは三番目は審査だとか融資だとかのいろんな体制の整備だとか、そういうことを御検討だそうですが、その状況と、いつまでにどうされるかお答えいただきたい。
  200. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 私と奥田はまだ今度の総会まで現役でおりますので、できるだけその間にやることをやっていく。しかし、かなり本格的に時間をかけてやることも当然ございますので、その辺はその辺できちんと方向づけをして、なお退任後も引き続き当事者意識を持ってサポートしていくというふうに考えております。
  201. 片山虎之助

    片山虎之助君 もう時間がありませんが、合併銀行なんですよ、第一銀行と日本勧業銀行の。そこで合併銀行特有のもたれ合い、かばい合いがあると。人事もたすきがけですよね。そんなことを言っても、新日鉄もこの間までたすきがけだったんだから。こういうことについて今後どうされますか。向こうのことだからこっちは言わない、そのかわりこっちのこともおまえら言うなと、こういうかばい合いじゃいけませんよ。たすきがけ人事をどうされますか。
  202. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 今回のことは本当に当行にとりましても大変な経営危機でございまして、もう全くそんなことを言っておられない状況でございます。やはり適材適所、本当に命がけで社会の信頼を回復するということで立ち向かっていかなきゃいけない。もたれ合いとかなすくり合いとか、そんなものは一切ございません。
  203. 片山虎之助

    片山虎之助君 お言葉のとおり御検討くださいますように。  終わります。
  204. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 自民党の斎藤文夫でございます。  両参考人にひとつ引き続いてお尋ねをしたいと思います。  ちょっとこれを持ってまいりました。すばらしいきれいなパンフレット、これは第一勧業銀行発行のものですね。(資料を示す)御承知いただけますね。  この一番最初の「ごあいさつ」という中に、近藤頭取の署名入りで、社会の信頼に裏打ちされた健全性、透明性の高い経営を志向する、こう書いていらっしゃる。今、質問お話を聞いておりますと、全く人ごとですよ。透明性全くなし。質の高い経営感覚全くなし。それで頭取ですか。私はもうまさにむなしい思いをしているわけでございます。  しかも、これをよく読んでみますと、第一勧銀の方針として、まず最初に相談される銀行になりたい。さっきハートの話がありましたが、心を大切にするハート印と。もうあなたたちの宣伝文句とは実態は全く違う。  近藤頭取の心境をお聞かせください。
  205. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) そのパンフレットで述べておりますことは、我々はそういう気持ちで本当にやっているわけでございまして、決してうそはございません。  ただ、先ほど申しましたように、経営、組織の一部にチェックが十分ワークしていない部分があったということについて本当に痛恨の思いでございまして、これを徹底的に今回直していくということで、そのパンフレットにうたってあります路線は、我々はもう本当にそういうことでやっていこうというふうに思っております。
  206. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 銀行で預かっている資金はあなたたち御自身の財産じゃないんだ。国民、庶民、各企業の汗の結晶を第一勧銀なるものにお預けしているんですよ。一言も書いていないですよ。皆さんの大切な財産をお預かりして立派に運用しますと一言書いてもいいんじゃないですか。何にもないよ、これは。人の金だから平気で使うんだ。
  207. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 決してそのようなことはございませんで、もう本当にお客様のお金というものは徹底的に最初からそういう教育をしているつもりでございますけれども、その場でそういうことを明確に述べていないとすれば、それは先生の御指摘のとおり大変反省したいと思います。
  208. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 今回の野村証券事件が発覚しなかったら、第一勧銀さんはこの問題、頭取は御存じなかった。総務部でごちゃごちゃと、そして一部の融資部門との話し合いで有税償却しちゃおうと、こういうことだったんじゃないですか。
  209. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 仮定のお話でちょっと私もお答えできませんけれども……
  210. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 いや、仮定じゃないよ。
  211. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) そのようなことはございません。今、今度の第九次経営計画というのが昨年の四月から始まりまして、各部門の現状とか組織のあり方を徹底的に見直しを始めたところでございまして、当然こういう特定の部の問題というのもそういう過程の中であらわれてまいりますし、改善をされてまいるというふうに考えております。
  212. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 頭取になれば総務が何をやっているかどうか、あなただって入行したときは窓口へお座りでしょう。そうなっていれば、総務や秘書課がどういう対応をしたかと。私だって、たったこれっぼっちの勤め人経験でよくわかっているわけですよ。総会屋華やかなりしころだから、対策に一生懸命駆けずり回った一人でもあるんですよ。そういうことから考えたって、今、いやそこでやっていたから私はわかりませんじゃ世の中通らない。万一これが、もしも野村事件が発覚しないでそのままあなたの方がうやむやにして処理したとしたら、それこそ総会屋にまたつけ入られる。小池兄弟にまたあおられる。こういう結果になるんじゃないですか。その辺はいががでしょうか。
  213. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 私は頭取になりましてから、総会のあり方というものにつきましても、本当に開かれた総会で、どなたでもが自由に意見を述べ合うような、そういう総会にしようということをいつも言ってまいりました。今後、そういうふうにますますしていきたいと思っておりますけれども、そういうことで、何というんですか、シャンシャンの総会とか、そういうものはあってはならないというふうに思っておりますし、そういう改革の方向に向けて、今第九次経営計画でそういうことも含めて本当に銀行としては真剣に取り組んできたところでございます。
  214. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 はい、わかりました。  それでは、今度は各論に入りますけれども、この総会屋小池兄弟にお貸しになった、言うならば取引の全貌について数字で簡単に教えてください。わかりますか。
  215. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) それでは簡単に申し上げます。  小池嘉矩氏に対する貸し出しが四十六億二百万円あります。それにつきましては償却をしておりまして、これは有税償却でございますけれども、四十四億三千九百万、これは平成九年の三月に間接償却をいたしております。  それから、小甚ビルディング、これにつきましては二十九億百万残高がございまして、これにつきましても、有税の間接償却二十六億四千万ございます。以上でございます。
  216. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 同時に、小池兄の方に、大和信用に約十五億、融資を私どもあっせんしたと、こういうふうにとっておるわけでありますけれども、口ききをして、そして滞ったら、そのうちからしかるべきものを第一勧銀で補てんをしたと、こういう事実があるんですが、いかがでしょうか。
  217. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 大和信用さんというのは、手前どものある店のお客様でございまして、一時経営的にもちょっと大変だったというようなこともございますものですから、人を派遣したりいろいろ御商売のあっせんをして御支援をしたりというような、そういう間柄でございましたけれども、補てんをしたということは特に私、伺っておりません。
  218. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 それはよく調べてください。小池兄弟が焦げついて、それでその焦げついた分を補てんをしている。ただ、四億四千万、兄がビルを買った、それがまだそのまま残っているとかいろいろうわさがありますが、ぜひひとつ御調査をいただきたい。  私どもが調べた限りでは、この兄弟で大変多額な借金をして、最高二百何十億ですか、あって、そして現在結局九十五億ですか、有税償却と、こういう形になったわけですけれども、そういうふうに認識していいですね。
  219. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 先ほど申しましたけれども、取り扱いの累計は二百七十五億でございます。それから与信のピークはこの小池嘉矩、小甚ビルディング両方で九十五億に至ったことがございます。現在残高としては、先ほど申しましたけれども七十五億残っておりまして、七十五億で償却は四十四億三千九百万と二十六億四千万ですから、ほんの少しまだ残っている。  これは、ちょっと申し上げますけれども、決して、これは行内で分類されたり不健全だということで処理をしたわけでございますけれども、お客様に対しましてはあくまで債権放棄をしたわけではございませんで、引き続き回収に努力をいたします。
  220. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 私さっき九十五億と言いましたが、七十五億に訂正を願います。  とはおっしゃいますけれども、とてもそうはいきませんよ。  現実に、例えば宮崎参考人昭和三十一年、第一銀行に御入行されて大阪支店、そして近藤参考人昭和三十七年御入行、しかも第一銀行だ。お二人とも虎ノ門支店、そこで窓口業務をおやりになりましたね。その経験というのは、融資だ何だについてはもう十二分に熟知をしているお二人ですね。この融資についておかしいとお考えになりませんか。小池兄弟に対しての融資です。
  221. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 先生おっしゃるとおり、我々が若いころ学んだ融資というのは、担保というのはあくまでいざというときのというような、そういう教育を我々は受けてきたのでございますけれども、このバブルの前後からやはり担保主義というようなものが随分一般化いたしまして、それも例えば持ち込み担保だとかいろんなことで、伝統的な銀行に比べますと担保措置というものが非常に変わってきたということは大変実感しております。
  222. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 普通、庶民や中小企業経営者が銀行へ借りに行きますね。これは第一勧銀、私の町にも支店がたくさんある。そういうところで申し込みをしますときに、もういろんな手続が必要でしょう。印鑑証明持ってこいよ、そしてあなた何の使用目的ですかとか、それから取引内容、業務内容、いろいろと書類を出す、そして担保はあるかないか、あるいは保証人はどうだ、それで足りなければ保証協会へ行って保証をつけてこい。いろんな制約があってがんじがらめで、仮に一千万我々が申し込んだって五百万に減額されることだって、経営者はみんなそういう思いをしているわけですよ。  今回、とにかくこの兄弟に対する融資は、そちらは、もう兄貴の方は関係ありません、こういうことでございますけれども、私どもが見ておれば、もう一連の関係、さっきも表裏一体という御指摘がありましたけれども、何としてもおかしい。そのおかしいのを幾つか挙げて、具体例でお聞きをします。  まず、株式購入しましたね。こういうのは通常、短期融資ですよ。それを九年も貸し込んで、しかも延滞をつくるというのは何事ですか。イエス、ノーでお願いします。
  223. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 平成元年に証券会社の株を扱いましたときは、そのときの取り扱いの感じとしては、もうこれからは証券会社は必ず上がると。要するに、バブル頂上のちょっと前だったものですから、だれもが暴落するということを信じなかったわけでございまして、それがもう翌年には暴落が始まったということで大変だったと、そういうことでございます。
  224. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 バブルとのちょうど絡みの時期ですけれども、昔から、あなたたちが銀行員になった、金融マンとしてのモラルで言うならば、どんなに優良な株式といえども掛け目は七〇%、普通の上場株式は六〇%。今でもそうでしょう。今はもっと厳しいんだ。それを何で一〇〇%、否、それ以上に融資をされたんですか。一言でお答えください。
  225. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) だから、バブルのころのやはりそういう融資基準というものが大幅に変わってきて、そういうものも横行していたということでございまして、大変今から見ると残念でございます。
  226. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 それはそういうことでしょうけれども、なぜ小池兄弟に特にそういうものを優遇したかということの疑惑は今でも残る。  特に、四大証券株式取得に当たりまして、短期間といえども株券預かり証で担保がわりにおとりになって融資しましたね。いいですか、株券の預かり証なんていうのは証券会社へ行けば何枚でも出すんですよ。普通はこんなものでは、我々が第一勧銀へ行って貸してくれといったって貸してくれません。いかがですか。
  227. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) これは、当時の手続では担保後徴ということで、預かり証が担保というふうには全く考えておりませんけれども、担保後徴扱いということでございます。
  228. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 本当にその株を買うか買わないかわからないのに、しかも三十一億という巨額をぽんぼん出す。幾らバブルだったって、これはもう総会屋のお先棒を担いだ、これはもう決めさせてもらいますよ。  しかも、もう一つ、例えば許可権のない山梨の牧丘のゴルフ場、建設前ですね、そのゴルフ場の会員権有資格証明書、これも全くわけがわからない。おたくの公表によると預託証書とか、こう書いてあるけれども、これまた全く無価値に等しい。それで三十億をお貸しになった理由はいかがですか。
  229. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 今の目から見ると大変奇異に映るわけでございますけれども、やはり当時、ゴルフ場のそういう会員権、これは我々、当行がそのときにとった担保というのは、今おっしゃったような会員権……
  230. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 会員権じゃないんです。有資格証明書、預託証書。
  231. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 失礼しました。  会員資格保証金証券というものをとっているわけです。それだけじゃ不十分だということで、もちろんその会社株式全額だとか不動産担保だとか、いろいろそういう担保を追加担保しているわけでございますけれども、これは当時は、やはりゴルフ場が立ち上がりますと、その今申し上げた会員資格保証金証券というのは会員権そのものになる、しかも市場価格というか相場がまたさらに上がると、非常にそれを持っている人はプラスだというような今から見ると本当に信じられないような時代でございました。
  232. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 それはバブルで見通しが悪かった、間違った、言ってみればもう本当にあなたたちの経営者としての資質が問われる、こういうことになるんですけれどもね。  このときに小甚ビルを担保におとりになりましたね。これ、結局このゴルフ場はできなかったんでしょう。
  233. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) このゴルフ場は現在開発中というふうに聞いております。
  234. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 小池被疑者の手では結局開発されなかった、だから開発されるまでは全く二束三文。ましてや今ゴルフ場の開発には山梨はすごい制約がついて、おいそれといかないんですよ。そういうことを承知しているがゆえに、やっぱり総会屋のにらみがきいて御融資をされたと思わざるを得ない。  時間がないものですからますます急ぎますが、例えば株を担保におとりになった、その名義変更、あるいはビルを担保にとった、登記変更、こういうものがみんな保留処分になって担保の保全が完全に行われていなかった。いや、こういうことは大銀行ですからしょっちゅうございますという答弁でしょうけれども、これは総会屋に絡むものの融資なるがゆえに痕跡を残さない、そういう下心があったと言われてもやむを得ないんじゃないでしょうか。
  235. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 特に先生の今おっしゃったような意図は全くないというふうに報告を受けております。
  236. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 この不良債権化した後、どういう御対応をされたでしょうか。すなわち、どういうふうに資金を回収しようとお手続をなさいましたか。  一般庶民感覚で申しますと、一年延滞すればもうしょっちゅう請求される、二年も滞れば競売申し立てをされて競売手続を進められる、これが御行の基本的な方向じゃないんでしょうか。これだけどうして特例をやって、させたんでしょうか。
  237. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 不良債権化してからの手続ということでございますけれども、担保株式の売却がかなりおくれているわけでございますが、これはやはり不良債権化した時点で余りにその株価が低過ぎるので、しかしこれはずっと続くわけじゃなくて必ず回復するという見通しがありまして、事実、その後かなり回復をしております。そこで、一番高いところで売ればよかったんですけれども、もうちょっともうちょっとと言っているうちにまた下がりまして、結局、処分をしたときというのは、余り褒めた状態じゃないのでございますけれども、有税償却をする時点と担保の処分というのは、土地なんかもそうですけれども、必ずしも担保処分を先行しなきゃいかぬということでもございませんで、そこら辺は総合的に考えて、なるべく回収額を極大化したいという気持ちでやっております。
  238. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 それは天井で売り逃げるようなうまい経営者ならばいいんですけれども。  金額を申し上げます。九六年、野村証券株は千六百円、翌年、決算の九六年三月期、二千三百円、七百円上がったんですよ。このときに決算で処分をなさらないで、そして九七年、ことしの三月、千三百円のときに慌てて関連会社にお売りになられた。これは事件が発覚したから何とか処分をしなければと、それ以外に資金回収をなさっていないじゃないですか。いかがでしょうか。
  239. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 私自身は先ほど申し上げましたようなことだというふうに報告を受けております。
  240. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 その結果、株、名義変更なさいませんでした。したがいまして、小池何がしは四大証券に対して三十万株ずつ持って、議案提案権、人事等について意見を述べる提案権を二年有半にわたって温存することになった。言うなら、結果論ですけれども頭取がこれはもうだれかがやっていて私は存じませんでしたということを、本当に百歩譲ったとしても、第一勧銀がこれを処分しなかったこと、名義変更しなかったことによって小池の片棒を担いだという事実はどう説明されますか。
  241. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 私自身も行内調査においてそういう意図があったのではないかということを厳しく問い詰めましたけれども、誓ってそういうことじゃないという返事でございました。
  242. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 先ほども話が出ました、平成二年の九月、平成六年の十月、それぞれ二回の大蔵省の検査を物の見事に隠ぺいされたんですよ。最初の平成二年は俗に言う飛ばしをやって不良債権化を消してしまった。そして、平成六年は六億幾らの延滞利子を追い貸しして消して、またいわゆるラインシートから外して大蔵省には見せなかった、これは事実。だから、これは銀行法第六十三条に違反をする。残念ながら罰金は最高でも五十万なんです。アメリカみたいに何億もとらなければいけない、こういう思いすらしております。  それから、日銀考査がその後ありまして、このときには突如として、もう観念をされたのか、日銀には全部お見せになった。これはどういうわけですか。
  243. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) ただいまの御指摘のように、大蔵検査回避というものがありましたことにつきましては本当に申しわけないというふうに思っております。  日銀につきましては、平成六年十月の大蔵検査においてはどうもそういう操作があったと、今度の、その後の平成八年一月の日銀考査、これはそういうものは一切やるべきでないという役員がおりまして、そういうことで全部出させていただきました。
  244. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 なぜここまでとにかく小池、弟でもいいですよ、面倒を見なきゃいけなかったのか、庶民感覚では全くこんな銀行はないですよ。よほど弱みを握られたんじゃないですか。  高杉さんの本じゃないが、「金融腐食列島」を地でいっているじゃないですか。いろんなことを書かれていますよ。いかがですか。イエス、ノーで言ってください。
  245. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 弱みというのは全く、歴代のトップにつきましてもあったということは聞いておりません。
  246. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 別口の総会屋で星次郎氏の未亡人の融資に絡んで訴訟が起きて、新聞報道によれば、おたくの銀行は問題にならなければ水面下でうまく処理しようと思っていたと言っているが、いかがですか。
  247. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) そのようなことは全く考えておりません。
  248. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 もう時間がなくなりましたので、残念ですけれども、これはもうお聞き及びのように半ば水かけ論、国民の皆さんは今のやりとりを聞いて、第一勧銀頭取が言っていることが事実か斎藤文夫が質問しているのが事実か御判断いただく。  特に、あなたたちは渋沢栄一先生のもとへ入行しているんでしょう。渋沢栄一先生は第一銀行の創設者だ。仁をもって法を説き、そして銀行こそおごっちゃいけないよ、日本の盛衰を握るものであるとしっかりと教えておられるじゃないですか。それを守らないで、ただやめたから責任じゃないんだ、二度と再びこういうことを起こさないようにという、真剣に大掃除をする決意があるのか。  そして同時に、昭和の村井銀行のように、三千坪、官邸の隣の土地を提供してまでおわびをした、そういうような例を考えて、先ほども話がありましたが、退職金、私は信用組合の理事長をやったが、無限責任ですよ、万一何かあれば私の持っているありとあらゆる財産を放り出さなきゃいけない。それだけの決意がなくて何で銀行の経営者が務まりますか。  時間ですから、御返事は残念だけれどもあきらめます。
  249. 都築譲

    ○都築譲君 平成会の都築譲です。  きょうは二人の参考人には御苦労さまでございます。もともと、平成会としては今回の事件に関連して証人喚問をお願いしておりましたけれども、時間的な問題あるいはまたこの参考人質疑を通じて問題があれば証人喚問に切りかえていただくということで、とりあえず参考人ということでお出ましをいただいたわけでございます。  今回の事件、いろんな面で実はよくわからない点がたくさんございます。もともと野村証券総会屋への利益供与の疑惑の観点から今回この事件が端を発したわけですが、その関連で入った第一勧業銀行に被疑事実が今あるわけではないと思いますけれども、捜査員が全部で三百人、本店と関係者の居宅にどっと入って段ボール箱三千箱も資料を押収するというふうなことは、一体何があったんだろうというのが一般の方たちの疑問ではないかな、こういうふうに思うわけでございます。  また今回、総会屋と親族企業へ延べ三百億円の巨額の融資を行って、焦げつきが七十五億円、そのうちまた七十億円を償却しているというふうなことでございますけれども、背景に一体何があったんだろうかということがよくわからないわけでございます。と申しますのも、日本金融機関、本当にこれからビッグバンということで国際的基準に合致をして透明性を高め、あるいは公正にかつ効率的な金融ビジネスといったものを展開してもらわなければならないこの時期に、本当に大丈夫なんだろうかなというふうに関係者も一同心配をしているわけだろうと、こういうふうに思います。  また、一般の庶民の観点からいきますと、実は私の地元に渡辺義信先生という名古屋市議会の議員を四十年やられた先生がおられて、もう引退をしておられますけれども、中小企業の支援の方とかあるいは個人の支援の方からいろいろ今の銀行がバブルがはじけて以降大変厳しい、つらいと、こんなお話をされまして、今こういった本にするということで原稿を私ちょっといただいてまいりましたけれども、(資料を示す)この中に本当に中小企業、零細事業主の皆さんや個人の皆さんのうらみつらみがいっぱいこもっておるわけでございます。  こういう方たちには本当に厳しくつらく冷酷にあしらっておられるのに対して、こういう問題があるからおどすぞ、こういう形でおどかすぞという、多分そういう話があったんじゃないかと思いますが、そういう人たちにははいはいといって何十億円というお金を唯々諾々と融資をする、こんなことがあっていいん、だろうか。  それからまた、銀行の組織からいっても、一般行員の方たちは本当にまじめにこつこつと一生懸命やっておられるのに、何か上層部から声がかかったら、はいはいという、審査もすっ飛ばして、こんなことをやっていて銀行が組織として成り立っていくのか、こんなことを実は思うわけでございます。  それで、今回明らかになったと申しますか、まだ明らかには、これからいずれなっていくんだと思いますけれども、ただ一つ言えるのは、今第一勧銀さんも実は大きな分岐点にいるんじゃないか。今回これだけの捜査陣が入って、そして一切合財洗いざらいぶちまけて本当にきれいになって、これからの金融自由化、体質を強化して二十一世紀に向けて進んでいくことができるのか。あるいは今回の事件で、いやいや、お願いしていたんではだめなんだと、おどかせば銀行は金を出してくれると。億でも何十億でも出してくれるということがみんな国民の皆さんにわかっちゃったんですよ。だから、悪いことを考えるやつはこれからますます支店とかどこかへ行ってトラブルを起こして、それでまた本店の方に食い込んでお金を巻き上げていく、こんな話になるんじゃないか。この二つの分岐点にあると思う。だから、しっかり心してやってもらわなきゃいかぬ。  こういうことで、実はこの背景のやみ世界の話、背景に一体何があったんだろうかという議論と業務の適正な観点から、ちょっと事実関係を幾つかお伺いしたいと思います。  まず初めに、元出版社社長という方が取りざたをされておられます。もう亡くなられた方ですから新聞などは名前を伏せて、裏がとれませんでしょうから名前を伏せて書いておるのかなと思いますが、週刊誌の方ではぼんぼん名前が実名で出ております。  この方から平成二年の九月に、小池嘉矩さんですね、小池隆一容疑者の弟さんあてにゴルフ場の資金三十億円融資の依頼が第一勧銀あてにあった、こういうふうなお話を聞いておりますが、第一勧銀のだれが受けたのか、これは近藤頭取、お答えいただけますか。
  250. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 総務のラインでお話を承ったと聞いております。
  251. 都築譲

    ○都築譲君 総務のだれですか。そして、今その人はどういうポストにおられるか、言っていただけますか。
  252. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 総務のラインということは間違いないんですが、はっきりとだれかというのはちょっと今調査中、調査をいたしております。
  253. 都築譲

    ○都築譲君 じゃ、その問題はまた後で戻ります。  それから、このお話について第一勧銀自身で十五億七千万円、それから大和信用に十六億円に分けてその三十億円を調達したと、こういうことですが、なぜ二つに分けたんですか。その理由は何でしょうか。
  254. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 基本的には大変巨額でございますし、大和信用というのは、ちょっと先ほど申し上げましたけれども第一勧銀がメーンバンクで営業面その他でいろいろ御支援をしていかなければいかぬというようなこともありまして、営業支援というような意味も含めまして、それから融資が余りに巨額になるということで、大和信用と第一勧銀の方で分けてやったわけでございます。
  255. 都築譲

    ○都築譲君 ゴルフ場の開発というと恐らく何百億とかあるいは千億の単位のものがかかるときもあると思いますけれども、そういったときに、確かに三十億円というのは巨額かもしれませんけれども、どういう基準で巨額だというふうに判断されたんですか。何かいろんな審査とかそういったものを回避するためにあえて二つに分けたんですか。
  256. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 巨額といいますか、やはり小池嘉矩氏の名義で扱うわけでございますから、個人に対する貸し金と。これは小池嘉矩氏が借りた後、小甚ビルディングの方に転貸しをしているというふうに伺っております。
  257. 都築譲

    ○都築譲君 ただ、第一勧銀さんはたしか預金量が五十兆円ぐらいあって、そのうち三十数兆を貸し出すというふうな形でやっておられるんじゃないかと思いますけれども、そういったところと大和信用という、これは数百億円のファンドがあるというふうに聞いておりますけれども、それが持つ資金量と比べて十六億円というのは余りにも差があり過ぎるんじゃないですか。  大和信用の方はなぜこういったものを第一勧銀さんから言われて受けたのか、まただれが大和信用に働きかけをやったのか、それを言っていただけますか。
  258. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 先ほども申し上げましたけれども、そのあたりを含めまして現在正確なところを調査いたしております。
  259. 都築譲

    ○都築譲君 もう一度、それもまた後で戻りましょう。  それから、なぜ大和信用であったのか。親密バンクということで言われておりまして、メーンバンクだと、こういうことですが、私どもは去年の住専国会で第一勧銀系のノンバンクのリストを出してもらいました。私もその資料を取り出してみたら大和信用なんてないんですよね。何でそういうところに出したのか。その理由はわかりますか。
  260. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) もちろん幾つもそういうお話があるわけでございますけれども、たまたまそのときの担当のラインがよく知っているとか、あるいは前から御縁があるというようなことで大和信用がいいじゃないかというお客様の方の希望もあったんじゃないかというふうに思っておりますが、ちょっとそこの詳しいところは、その辺はまだ解明中というか調査中でございます。
  261. 都築譲

    ○都築譲君 そこら辺のところも調査中ということですから、いつごろまでに本当にお出しいただけるというか調査が終わるのか、ちょっと教えていただけますか。
  262. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 極力早くやりたいと思っております。
  263. 都築譲

    ○都築譲君 それから、先ほども出ておりましたけれども、担保の株の債権償却、間接償却をやったときの取り扱い、二年近くほうかつておいたと、こういうことで、それが小池容疑者の野村への影響力の源泉になったんではないかというお話がありました。また、担保としてとった不動産についても、実は債権処理のときに売却をしないでずっとほうかっておいて、ことし慌てて処分をしたと、こういう話になっております。  こういったのも、実際には債権償却のときに、通常であれば担保物件を全部売却して、そして残った部分を償却していくというのが普通なのに、丸々不良債権化したものを全部間接償却、丸々ではないですけれども、九五%ぐらいを償却した。これ何でですか。なぜ担保物件を売却して回収しなかったんですか。
  264. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) その辺ももちろん調査しておりますけれども、正直言いましてそういうやや事後管理といいますか、処分というようなことについて少しタイミングがおかしいんじゃないかという疑念を持っておりまして、今調査をしております。
  265. 都築譲

    ○都築譲君 みんな調査調査中ということで逃げられると、じゃ調査が終わったところで証人でお出ましいただくことも考えなきゃいけないなと、こう思います。  大蔵省の検査に戻りますけれども、九五年の日銀考査については、今度頭取になる藤田専務さんがこの間の二十三日の記者会見のときに、この話は小細工をするなということで表には出したということなんですが、こういうときに疑問になるのは、これで本当に縁が切れたのか、それからそういう処置をした人たち社内処分というのはやったのかやらないのか。そこら辺のところはいかがですか。
  266. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 今回の大蔵検査、それから日銀にもございまして、この辺の処分につきましてはきちっとこれからやりたいというふうに思っております。
  267. 都築譲

    ○都築譲君 その調査の範囲でございますけれども、恐らく調査をやられる方たちがどういう形で調査をされるか、これから部内で一生懸命検討されるんでしょうけれども、実際七十五億円というものを焦げつかせてしまったというのは物すごい損害ですよね。こういったものについて、会社に損害を与えることがわかっていたはずですから、これは当然のことながら刑法で言うところの背任を構成しますし、またいわゆる特別な高い地位にある取締役とか、そういう地位の方であれば特別背任罪、こういったものを構成することになる、このように思っておりますが、そういう認識でよろしいですね。
  268. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 確かに、償却は有税償却ということで七十五億近くやっておりますけれども、これは債権としては引き続き管理をしていくということと、やはり取り扱い時における善管注意義務といいますか、そのときの状況における善管注意義務がきちんと果たされていたかどうかということをきちんと見ていきたいというふうに思っております。
  269. 都築譲

    ○都築譲君 ちょっとそこら辺のそういうお話を聞いていると、本当に心もとないような気がしてならないんですが、次のテーマに移りたいと思います。  その背景にあったものは一体何なのか、これだけのものを貸し付けて焦げつかせてきたわけですから。まず一つ、その元出版社社長の呪縛とか影響力、こういうふうに言われておりましたけれども、それは大変礼儀を重んじる方だというふケに宮崎参考人はおっしゃられました。ただ、その人の意向に沿わなかったらどういう不利益が考えられたのか言っていただけますか、宮崎参考人
  270. 宮崎邦次

    参考人宮崎邦次君) お答えします。  意向に沿わなければどういう影響かというのは、私どもはやはり当行の審査基準に従ってやるというのが原則でございます。したがいまして、いかなる人からの紹介であろうとも最終はやはり銀行の審査基準でやるというのが筋かと思いますので、謝絶した場合もそれはそれなりの影響はないというふうに考えております。
  271. 都築譲

    ○都築譲君 それであれば、なぜこんなことになってしまったのかよくわからぬのですね、はっきり申し上げて。ちょっと、もう一度。
  272. 宮崎邦次

    参考人宮崎邦次君) それは、先ほども頭取が申し上げましたように、やはりバブル期の中では運用先を多く探すということと、あの時代にやはり右肩上がりの中でそういう担保主義的な色彩を持って判断をしてやったというのがバブルの反省点でありますし、私もバブルのときの責任者といたしまして反省しますと、不良資産じゃなくて優良資産の開拓というのを言っておりますけれども、実際には優良資産の開拓ではなくて、不良資産とかというものであれば、業容は縮小してもいいから健全経営、サウンドバンキングに徹しろということが言えなかったのが最大の反省点でございます。
  273. 都築譲

    ○都築譲君 ちょっとよくわからないんです、はっきり申し上げて。ここは国会の予算委員会でございまして、株主総会ではありませんので、国政の観点からいろいろ問いたださせていただいておりますから、ぜひ簡潔にポイントをお答えいただければと思います。  それでは、具体的な例で幾つか。  この事件が発覚して以来、週刊誌とかテレビとかで取り上げております一つの事件、例えば八八年の三月、麹町支店不正支出事件というのが発覚をいたしました。三十五億円を当時の業務課長が不正に支出し一千万円の謝礼を受け取った、こういう話でしたが、この事件に関連して小池容疑者に直接または間接に接触したことはありますか。当時は頭取か、あるいはまだ副頭取でございましょうか、宮崎参考人にお答え願います。
  274. 宮崎邦次

    参考人宮崎邦次君) 接触したことは一切ございません。
  275. 都築譲

    ○都築譲君 そして、この事件が実は第一勧銀小池容疑者が食い込むきっかけになった、こういうふうな話がございますが、それは事実でしょうか。
  276. 宮崎邦次

    参考人宮崎邦次君) 事実ではないと思います。
  277. 都築譲

    ○都築譲君 では次は、これは週刊現代という雑誌の六月七日号、大分早いんですが、現役の総会屋さんの談話ということで、八七年から八八年ごろに出回ったなその巨額小切手の話が出ております。これについて、例えば二百億円の小切手が二枚、九百七十億円の小切手が一枚、そしてまた百億円の小切手が七枚、こういったものを回収するためにいろんな方の手づるを伝ってやったというふうな話が出ておるわけです。それがきっかけで総会屋に食い込まれた、こういうふうな話がありますが、それはいかがでしょうか。
  278. 宮崎邦次

    参考人宮崎邦次君) それは事実と違うと思います。  偽造小切手が出ましたのは、当行の営業部で発行されたのが数字が偽造されまして、それが出回ったというのが事実でございまして、それが出回りましてこちらの方へ請求が来たときに、それは偽造ということで返却し、またその分は丸の内警察署に届け出て告訴していると、告訴中というふうに聞いております。
  279. 都築譲

    ○都築譲君 銀行の方で丸の内警察署に届け出て告訴をしていると。  それから、逆に、これはまたその記事の中で、財団法人の理事のS氏が第一勧銀をこの関係で有価証券偽造で告訴したと、こういうふうな話になっておりますが、それは事実ですか。
  280. 宮崎邦次

    参考人宮崎邦次君) それは聞いておりません、申しわけございませんが。
  281. 都築譲

    ○都築譲君 それから、またもう一つ別の事件がありまして、これは北海道の大沼国定公園のリゾート開発の関係で、都内の総会屋グループの代表が企業総務担当者を向島の料亭に集めてこのリゾート開発の会員権、リゾートの会員権四千万円を持ちかけたと。それで、持ちかけられた企業のうち七社が購入した、その中に第一勧銀が入っていると、こういうことですが、それは事実でしょうか。
  282. 宮崎邦次

    参考人宮崎邦次君) 私はそれは存じませんけれども、一般的に申しまして、リゾート開発の会員権を購入するのは行員福祉の観点からあろうかと思います。
  283. 都築譲

    ○都築譲君 近藤参考人は御承知ですか。
  284. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 私もちょっと存じ上げておりません。
  285. 都築譲

    ○都築譲君 それから、ちょっとお伺いをしたいんですが、恐らく頭取になられる幹部の方であればいろんな文書が決裁で上がってくるんじゃないかなというふうに思います。重要なお話であれば取締役会とか常務会とかこういったところで議論をすると、こういうことですが、銀行、株式会社として決断をしたということを証明するのは恐らく稟議書に署名をするとか捺印をする、こういう形になるのかなと、こういうふうに思います。今そういった文書の関係は、例えばそういう稟議書もありますが、あと例えば供覧文書の回覧とかいろんな重要な情報を回覧する、こういったものがあると思いますが、そういった文書はどういうふうに取り扱われておりますか、近藤参考人
  286. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) ただいま申されました常務会の書類だとか取締役会の書類とか、こういうものはもちろん最後にきちんと回ってまいります。それから、あとは、頭取決裁というものは実は余りございませんで、兼職の問題だとか役員のそういう個別の人事で、特に常務会とか取締役会にかからないようなもの、こういうものについては我々が判を押すということはございますけれども、極めて少のうございます。それから、あと回覧文書、これはもう全部回ってまいりますので、かなり大量に見ております。
  287. 都築譲

    ○都築譲君 その回覧文書に、もし見たということであればどういうふうな形で見たという印をつけられますか。
  288. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 申しわけありませんが、余りに量が多いものですから、もうどんどん見たものは別の箱に移すというところでやっておりまして、特にサインというものは私はしておりません。
  289. 都築譲

    ○都築譲君 ちょっとこれは今までの案件とも違うんですけれども、八八年ごろにリゾート開発の関係で関西の会社の方で何か問題があったということはないんでしょうか。特に、印鑑の悪用がなされたような話というのは聞いておりませんか。これは宮崎参考人にお聞きします。
  290. 宮崎邦次

    参考人宮崎邦次君) 八八年でございましたら私が頭取になった年でございますけれども、そういう話は聞いたことはございません。
  291. 都築譲

    ○都築譲君 通常、企業は、お金もうけを別に企業でなくてもするとき、百万円出して二百万円もうかるんだったら恐らく多分乗るでしょう。九百万円出してまた一千万もうかるというんだったらこれまた多分乗るかもしれませんね。逆に、今の状態から損をするようなときどうするかと、こういう話もあるんだろうと思うんです。例えば、百万円なくしてしまったと、ただ、それをだれか発見してくれた人がいたというときは発見してくれたお礼に幾らか出しますね。法律だと大体五%から二〇%、額が大きくなれば五%ぐらいになる、こういう話ですけれども、今回の七十五億円という規模が、これで償却をするということは実質損になるわけですね。そうすると、五%から一〇%といっても、七百五十億から約一千五百億ぐらいのものを、何か回収するためにそれだけのものを覚悟してやったと。ただ、今回もうここまで第一勧銀としてしゃぶられ続けたらたまらぬからということで表に出てきたのか、あるいは全く偶然に野村証券の方で出てきたのか、そんなことも考えられるわけです。  この話はまた別にいたしまして、この七十五億円というお金で本当に皆さん方は何を守ったのか、それを私はお聞きしたいんです。宮崎参考人はいかがですか。
  292. 宮崎邦次

    参考人宮崎邦次君) この融資の問題につきましては、公共性の高い、また信用と信頼を基盤とする銀行といたしまして、このような事態を招きましたことはまことに申しわけなく、責任を痛感しているところでございます。深くおわび申し上げる次第でございます。
  293. 都築譲

    ○都築譲君 ちょっと、何を守ったのかと聞かれてまことに申しわけありませんと言われても私も困るんです。  ただ、宮崎参考人頭取をやられて、会長をやられて、そして相談役になられて、今度の事件で相談役をのかれて顧問になると、こういう話ですが、相談役と顧問とはどういうふうに違うんですか、教えていただけますか。
  294. 宮崎邦次

    参考人宮崎邦次君) いや、まだ相談役をやめた後の顧問の委任は受けておりませんので、これはちょっとお答えしかねるかと思います。
  295. 都築譲

    ○都築譲君 先ほどトカゲのしっぽ切りではなくてシャッポ切りだと、こういうふうな話がありました。相談役はたしか常勤でございますよね。それで常勤としてどれだけの年収をいただいているのか、差し支えなければ言っていただけますか。
  296. 宮崎邦次

    参考人宮崎邦次君) 恐縮でございますけれども、プライバシーの問題にもかかわりますし、御容赦願えればというふうに思います。
  297. 都築譲

    ○都築譲君 またその話についてはちょっと戻ってきます。  それで、今回のいろんな事件を見ておりますと、いろんな新聞報道のところでたしかあったと思いますけれども、支店で起こったトラブルは総務部が引き取ってやると。トラブルをなぜ隠そうとするのか、表で堂々と処理すればいいんじゃないか。むしろ表で堂々と処理した方がかえって、ああ第一勧銀というのは悪いやつらと一生懸命闘っているというふうな話にもなるんじゃないかと思うんですが、何か総会屋とか暴力団というふうな話が絡むと裏で裏でということで、結果的にこういうふうな形になってしまったんじゃないか。  なぜトラブルを隠そうとするのか。それは銀行の一般的な体質なのか、あるいは第一勧銀さんの体質なのか、その点は、近藤参考人、いかがでしょうか。
  298. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 今、先生おっしゃるとおり、本当にきちんと表に出して対決をしていくということが非常に大事だと思います。過去の流れの中で多少円満にというようなものがあったかもしれませんけれども、少なくとも最近ではもうそういうことは絶対にあってはならないというふうに思っておりますし、先生のおっしゃったような方向でまさにこれから再生をしていきたいというふうに思っております。
  299. 都築譲

    ○都築譲君 まさにその方向で再生をしていかねばならないという決意はいいんですけれども、今までどうしてトラブルを隠してきたんですか。いろんなものがあったんでしょう。どうしてそういうことになったのか、教えていただけますか。
  300. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 決して隠しているわけではございません。やはり届けるものはきちんと届けますし、話し合いで解決するというようなことはあるかもしれませんけれども、裏で何もかもということでは決してございません。  ただ、そういうトラブルがいろんなところであるということは事実でございますので、銀行として責任を持ってそれに対処するという機能は、それが総務部がいいのか何がいいのかわかりませんけれども、やはり必要であるというふうに考えております。ただ、それをすべて隠して裏で何となくというようなことは一切考えておりません。
  301. 都築譲

    ○都築譲君 それで、もしそういうことであれば、行内の、例えば今回の融資の問題だって、どういうふうな話で総務部から融資部に話があってまとまっているのかわかりませんけれども、銀行として当然、従業員の服務規程というのは持っていますし、あるいはこういう融資業務を行うに当たっての融資の規程というのもあるはずですね。こういったものに、先ほど言われた調査中である、だれかが声をかけて、そしてその審査基準に合わない融資を認めてやれと、結局こういう話になったんじゃないんですか。その責任はどういうふうにとらせるつもりですか。
  302. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) その辺につきまして、現在御当局で捜査中という面がございます。  それから、今の具体的な件につきましては、やはり総務のラインにも大変有力なその元出版社社長の影響力といいますか、そういうものが大変大きかった。トップ自身が具体的に何を頼まれた、何を頼んだということは歴代全くないというふうに私は行内調査で確認をいたしております。ただ、そのラインにおいては大変有力な方で、やはり可能な限りルールの中で意向に沿っていかなければいかぬなというところが大変にあったというところは非常に感じております。
  303. 都築譲

    ○都築譲君 そういう体質が今の第一勧銀を覆っているということであれば非常に大きな問題だと思うんです。結局、歴代頭取がその元出版社社長さんとおつき合いをしていた。元出版社社長さんが声をかけたあれだから、幹部の皆さん方の御機嫌をとらないとまたどういうことになるかわからない。だから、審査の基準にも合わない、服務規程にも沿わないけれども、そういうことをやろうというふうに思ってしまう。そしてまた、幹部の皆さん方は、そうかそうかよくまとめておいてくれたというふうな形でいくのであれば、いつまでたっても、先ほど申し上げたようなあなた方の決意なんて実現できないですよ。  今回、野村証券の方はいろいろと人事もやって氏家さんという新しい方を出してきた、こういう話でございますけれども第一勧銀さんの方は、今、近藤頭取は相談役にのかれる、こういうことですが、今までも相談役が何人もおられて、その方たちがまた顧問になられる。いつまでも第一勧銀の本店の伏魔殿に——伏魔殿と言っちゃ失礼かもしれませんけれども、奥の院にそういった方たちがごろごろとされておられる。  これはまあ民間企業ですから、退職された幹部の皆さん方にどういうお取り扱いをしようとそれは皆さん方の御自由かもしれませんけれども、それで本当に解決ができるのか。若い方たちはまじめにみんなこつこつやっているんじゃないか。そんな中で、ちょっとああいう方たちの御機嫌をとろうなんという、そういう仕組みがいつまでも生きていたらだめじゃないか、こういうふうに思うんですが、いかがですか。
  304. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 最初に申し上げましたように、トップでそういうことが行われていて、それについてチェック機能が必ずしも十分働いていない面があったということについて、これは大変我々とそれから歴代トップは反省をしておりまして、具体的にこの件があって報告を受けたとかいうことじゃ全くありませんで、今回皆さんがもう本当に仰天をしているわけで、これは本当に恥ずかしいですけれども仰天している。  そういうことについて思いが至らなくて、手が打てなかったということについて大変深く反省をいたしておりまして、二度とこういうことがあってはいけないと思います。
  305. 都築譲

    ○都築譲君 反省をしていただくのも結構ですけれども、今の新しい商法の仕組みでは株主代表訴訟といったのが認められておりまして、八千二百円の手数料で実は訴訟を起こすことができる。だからこそ、取締役の皆さんはその責任を全うするためにもしっかりとしなければいけないし、また、いざというときに備えて保険というのもできているようでございますけれども、今回の事案は、七十五億円がそういうわけのわからない仕組みの中で動いてしまったんだろうということであれば、恐らく七十五億円の求償の訴訟がやがて起こるであろうということを新聞が報じております。  高島屋の方でも、この間和解をしたということで一億七千万円を役員九人で分担をして会社に払わせた、こんな話になっております。ぜひそういったことのないようにしっかりと対応を見詰めていっていただきたい、このように思いますし、調査ももちろん内部でしっかりやるのは当然でございます。また、司法当局への協力といったものもしっかりと行い、そしてこれから本当に公正で透明で効率的で、かつ国際的な基準に合致するような、そういう業務ができるように期待をして、私の質問を終わります。
  306. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 社会民主党・護憲連合の照屋寛徳でございます。  このたびの第一勧銀不祥事、さらには日本証券界を代表する野村証券不祥事、しかも、その第一勧銀野村証券不祥事総会屋を介在して深くつながっておった。このことが私は大変大きな問題であろう、こういうふうに考えるわけでありますが、冒頭、単刀直入に両参考人に、両参考人総会屋の存在というのをどのように認識しておられるか、お聞きいたします。
  307. 宮崎邦次

    参考人宮崎邦次君) まず、総会屋という定義がなかなか難しいんですけれども、反社会的な行為をする、並びに総会に出て威圧をかけてその会社に対する発言力を強め、継続的に参加するというような行動を起こすのを総会屋的なというふうに言うんじゃないかというふうに思っております。
  308. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 私自身も、その定義ということになりますとちょっとあれでございますけれども、やはり総会の場においていろいろそういう圧力をかけてということだと、今、宮崎が申し上げたとおりでございますけれども、やはり開かれた総会ということでございますので、何時間でもきちんとお話を承ろうという覚悟でおります。
  309. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 先ほどの野村証券の両参考人にも同じことをお聞きして、総会屋は反社会的な存在である、こういう御答弁がございました。  両参考人にお伺いいたしますが、銀行マンとして、いかなる形、いかなる意味であれ、総会屋に利益を供与したり便宜を提供したりすることがあってはならない、こういう御認識はお持ちですか。
  310. 宮崎邦次

    参考人宮崎邦次君) おっしゃるとおりでございまして、私どももそれはかたく守ることが必要だと思っております。
  311. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 私も同じでございます。
  312. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 ところが、両参考人の決意とは裏腹に、今回の第一勧銀不祥事国民の目から見ると、株式会社小甚ビルディングあるいは小池嘉矩御本人、小池隆一、これはやはり総会屋というやみの世界の人脈と第一勧銀がもう何十年も深い関係を持っておった、その中で発生した不祥事というふうに思わざるを得ないわけです。  そこで、例の出版会社を経営しておられたという亡くなった大物総会屋、この人が出版しておった「現代の眼」には、野村証券同様、第一勧銀もずっと広告を出しておりまして、ここに持ってまいりましたけれども第一勧銀の広告が「心のふれあいを大切にします」と、こう書いてある。ところが、この不祥事の結果から見ると、まるで総会屋との触れ合い、きずなを大切にしますと、こういうふうにしか思えない。  なぜかというと、この大物総会屋と言われる出版会社社長、これは亡くなった児玉誉士夫につながる側近の四天王の一人なんです。そういう立場を宮崎さんは承知しておったんじゃないか。しかも、あなた御自身がお認めになったように、出版会社社長の御長男の結婚式には出席されたんですね。そして主賓席に着かれた。こういうことは、参考人御自身がその総会屋に対して一体どういう認識を持っておったのか、疑わざるを得ないんです。  もう一度宮崎参考人に、その長男の結婚式への出席のことを含めて、そこら辺の御事情をお聞かせいただきたいと思います。
  313. 宮崎邦次

    参考人宮崎邦次君) 私はその結婚式には出席いたしましたし、先ほども申し上げましたように、その新郎の勤めている会社は私どもの大変親密な取引先でもありますし、それから某出版会社社長はいわゆる総会屋活動というものから足を洗っているということと、私どものつき合いの中で頼むとか頼まれたりしたということが少なくともトップクラスに引き継いだ仲でないということ、また営業店の大口の預金取引先であるということで、その点では淡々とオープンにつき合っていたということでございます。
  314. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 宮崎参考人にお伺いいたしますが、参考人は、第一勧銀でいわゆる業界用語で言うMOFの担当をなされた時期がございましたか。
  315. 宮崎邦次

    参考人宮崎邦次君) 企画部におりましたときにあります。
  316. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 この業界で言うMOFの担当というのは、具体的にはどのような業務をなさるんですか。また、あなたが従事していた期間というのはいつごろだったでしょうか。
  317. 宮崎邦次

    参考人宮崎邦次君) 私が従事しましたのは、一九七二年からしばらく二年ほどやりまして、その後また企画部長として経験がございます。
  318. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 証人尋問じゃございませんので得られる答えの範囲が限られてくるんですが、MOFというのはいわば日常的に銀行として大蔵省からの情報収集を担当する役目ではないかと、私はこういうふうに理解をしているわけでありますが、今回、第一勧銀がいろんな操作をして大蔵省の検査を逃れておった。具体的には、小甚ビルディングや小池が利息返済が滞って不良債権化しているのにもかかわらず追加融資をして、そしてそれを返済して正常な債権になったというふうな形を繕って大蔵省への不良債権のリストに挙げなかった。  こういういわばMOFとして働いてこられた宮崎参考人御自身の人脈を介して、大蔵省の検査あるいはまた大蔵省との言葉は過ぎるかもしれませんが癒着があったんではないか、こういうふうにも疑わざるを得ないんですが、いかがでしょうか。
  319. 宮崎邦次

    参考人宮崎邦次君) 今おっしゃるように癒着とかいうような関係ではございませんで、今回の大蔵省検査について出さなかったのは、銀行が自主的に出すべき項目を出さなかったということでございます。したがって、これはあくまで銀行サイドの問題でございまして、日ごろつき合っているとかこういうことによって出すことではなくて、私どもも貸し金先百二十万社ぐらいの中からそれに該当するのを適時営業店が提出するようにはなっております。  したがって、それは当行の問題としてあってはならないと厳粛に受けとめているところでございます。
  320. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 大蔵省の検査に当たって、小甚ビルディングあるいは小池兄弟に対する操作、結果的には操作をしてまずかった、こういうふうな反省はございませんか。
  321. 宮崎邦次

    参考人宮崎邦次君) かかることは絶対にやってはならないということで、私どもトップといたしましても、この結果につきましては私のそのときの責任でありますから深く反省いたしております。
  322. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 ところで、先ほど他の委員からも質問がございました。第一勧銀が一九九〇年に小池隆一氏に融資をして、担保にとったマンションの抵当権設定登記が六年半もやっていなかった。ことしになって慌てて抵当権設定登記をやった。これは普通考えられないですね。融資を実行する段階で抵当権設定登記を同時にやるというのが私は常識だと思うんですが、そういう事実は現にあったのか。あったとすればそれは私は厳しく反省しなければいかぬと思いますが、いかがでしょうか。
  323. 宮崎邦次

    参考人宮崎邦次君) その件につきましては抵当権を直ちに設定すべきが筋でございます。しかし、その次の手段といたしまして登記留保という手段で、登記留保というのは諸税がかからない、ただし抵当権設定の契約書並びに権利証、印鑑証明その他一切の登記が即できる書類をいただいておくという手続をとったということと、今御指摘のように、なぜかという点についても行内調査の結果、厳しくただすべきことだと思っております。
  324. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 ともあれ、無担保で六億円を貸したり担保割れで融資をしたり、もう異常としか思えない第一勧銀のやり方であります。  最後にお伺いをいたしますが、第一勧銀もしくはノンバンクの大和信用、小甚ビルディングや小池御両人に合計して総額三百億ぐらい貸したんではないかということが言われております。大分焦げついておるようでございますが、この有税償却、間接償却ですね、債権償却特別勘定への繰り入れ、これは近藤参考人は債権放棄をしたんじゃないんだというふうに言っておりますが、国民の目から見れば返してもらうことを前提にしない融資、いわば贈与だ、くれてやったんだ、こういうふうなものだというふうに思われてもしようがないんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  325. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 簡潔に答弁してください。時間ですから。
  326. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 世間のそういう目は厳しく受けとめなければいけないと思っておりますが、やはり我々は今後とも回収努力に努めてまいります。
  327. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 終わります。
  328. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 民主党・新緑風会の本岡でございます。御苦労さんです。  まず、近藤参考人にお聞きします。  私が今手元に持っておりますのは「経済界」という雑誌の一九九六年五月十四日号です、一年前。「第一勧業銀行頭取近藤克彦の全貌に迫る」という記事がございまして、非常に興味深く読ませていただきました。そこで要するに住専問題に絡む不良債権の議論をなさって、その中であなたが実にいいことをおっしゃっているんです。「悪いことをやった人を、どんどん監獄に入れてほしいと思います。」と書いてある。なるほどなと。  こういうふうに国民の信頼を落とし、そして総会屋と癒着して社会的な不正行為をやって、あなたは悪いことをやったと思っておられるのかどうかということになるんですけれども、悪いことをやった人はどんどん監獄に入れてやってほしいと、そのとおりなんです。  どう思いますか、このことを。今あなたがそこに座っておられることと、ここに書いておられることと。率直にひとつ意見を述べてください。
  329. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 法に触れるとかそういうようなことについてはやはり当然厳しくやらなきゃいかぬわけでございまして、我々、今の反省経営責任、要するに経営者として目が行き届かなかったとか、一部にそういうチェック機能が十分働かないようなところがあるということに気がつかずに見過ごしてきたということについて深く反省をしているわけでございます。
  330. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 あなたが悪いことをしたという認識があるのかないのかということをお聞きしているんです。
  331. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 結果からいえば、大変申しわけないし残念なことだと思っております。これはバブルというものをどう受けとめるかということでございますけれども、やはり法律的なこと、あるいは行内の規律的なことに対する問題点と、それからもう一つはどうしようもない相場の流れというようなもの、そういうものを含めてこの際厳しく反省をしております。
  332. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 いや、反省しているのは当たり前でありまして、悪いことをしたという認識をあなたが持っていないところに私は問題があると思っているんです。そうでしょう。小池という方が総会屋として野村証券との間であれだけの力を振るうという、その力はどこから来たか。第一勧銀が三十一億というお金を、延べ三百億円というお金を融資した。何でだ何でだということになっているわけです。それをあなた方がやらなければこんなことは起こっていない。また、百二十万株という株をあなたは担保で持っておって、その処理も手っ取り早くやっておれば、その株の力でもって野村証券とのかかわり合いもあそこまで起こらなかったのではないか。  要するに、銀行としてやってはならないことを、バブルだとかそのほかのことに責任転嫁できないことをあなた方はやったのではないですか。監獄へ入るかどうかは検察が決めることですから、私はとやかく言いませんが、やはりあなた方が悪いことをしたという認識があるかないかが私は重要だと思う。  もう一度だけお聞きします。
  333. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) これはあくまで行内の調査の結果のことでございますけれども、やはり融資の対象先としてはあくまで小甚ビル、小池嘉矩氏ということでございまして、小池隆一氏とは別だということで、これはどこでどう詰めてもそういうことでございますので、小池隆一氏に対する融資をやったわけではない。あるいは野村さんとの関係で、そういうことについて意識してこちらからそういう融資をしたということではないということは確信を持っております。
  334. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 そういうのを往生際が悪いと私は言うんです。  そこで、私もこういう「第一勧業銀行」という立派なパンフをいただきまして、非常に興味深く読ませていただきました。ここの十七ページに「信用リスク」というところがありまして、  貸出の審査に際しては、営業店の規模・マーケットの状況に応じて、支店長が決裁できる限度額を営業店ごとに定めており、金額が支店長の決裁限度を超えるものや条件が異例なものは、  すべて本部の審査部で審査を行う体制となっています。 だから安心してどんどんと預けてください、また借りにきてくださいと、こうなっておるんです。  そうすると、いわゆる審査部の審査ということについて、総会屋がこういうお金を次々と借りていく、延べ三百億円もの金が出ていったというのは、支店の決裁じゃなくて、本部の審査部で責任を持ってやったことだと言わざるを得ませんが、そこはどうですか。
  335. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 随分件数が多いものですから中には支店長の決裁というものもございますけれども、かなりな大口はやはり審査部長あるいは担当役員というものの決裁になっております。
  336. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 そういう抽象的なことを言っているんじゃないんですよ。小池関係に貸し出した金は、ここに書いてあるように本部の審査部で審査を経て貸されたものだという認識でよろしいかと聞いているんです。
  337. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) そうでございます。
  338. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 そうすると、審査体制は一体どうなっているのかということになってきますね。そこの責任はどうなるんですか。
  339. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) それにつきまして、総務部のライン、それから審査のその当時の担当者につきましては、今御当局の捜査を受けておるところでございます。
  340. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 それは実務に当たった人の責任であって、しかし頭取あるいは会長、相談役とかいった人がただやめただけでいいのかという問題が当然問われるんですよ。ただやめただけでいいのかという問題が今問われて、先ほどからいろいろと質問されるけれども、あなたは調査調査で皆逃げておられますし、何とかここの時間だけが過ぎたらもういいだろうと思っておられるか知りませんが、僕はそうはならぬと思うんです。それは、そうはならぬと思います。  そして、あなたの銀行にはきちっとした経営理念というふうなものがあって、それに基づいてやっておられるんだと思います。それで社会的な信用も得ておられるんだと思います。  最後に聞きますけれども、ここに書いてある経営理念、「国民に最高のサービスを提供する」、「広く企業に豊富・良質な資金を供給する」云々と書いてありますけれども総会屋に延べ三百億円近いものを貸し出していったという、それはおたくのどういう経営理念に基づいてやったんですか。
  341. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 大変申しわけありません。総会屋にお金を融資したということは意識がございません。
  342. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 総会屋融資をしたという認識がないんですか。  いや、私たちが今なぜここにあなたを呼んでいるかということは、単なる経済事犯で呼んでいるんじゃないんです。総会屋野村証券に介在し、しかも天下に名立たる第一勧業銀行から融資を得てという、だからあなたはそこにおるんですよ。単なる小甚ビルがどうの小池氏がどうのということじゃないという認識、おかしいじゃないですか、認めませんか、総会屋に貸したということは。
  343. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) それで今回こういう騒ぎになりまして、大変批判を受けているわけでございます。  これはやはり疑義のある取引ということでございまして、もうこういうものからきちんと身を引いていく、身ぎれいにしていくということであると思います。今まで私が伺っている各担当のラインでは、小池隆一氏ではなくて嘉矩氏と小甚ビルディングに関してやってきて、小池隆一氏がお兄さんとしておられるというのを意識していた者たちは一部おりますけれども、そういうことでございますけれども、やはりこれだけ今の世論の流れといいますか、そういう疑義のあるものは許さないということでございますので、我々もこれを機会に再生を期して、再発防止を含めましてきちんと出直すということでございます。
  344. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 その出直すというのは、第一勧業銀行総会屋取引をした、間違った結果にしろ総会屋融資をして、そのことにおいて証券業界にいろんな問題を起こしたということをあなたが認識するかどうかですよ。このことが他山の石となって、銀行とかいろんなところで総会屋との癒着が全部はがれていくということで、あなたが総会屋という認識なしに今のような議論をしておると、それはどの銀行だって、どのような経済的な関係のあるところだっていろんな逃げ方がありますよ。  だから、あなたが総会屋ということを認識することから出発しなければだめだと僕は思うんですが、それはまだ認めませんか。
  345. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 私自身は、そういう不透明な問題のある取引というのはもう一切やめていくべきだというふうに考えております。
  346. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 そうですが。いや私は、きょうおいでになったのは、総会屋ということの問題についてあなた方が真実をできるだけ吐露しようと思っておいでになったと思うんですが、総会屋を認識されていないということを聞いて驚きました。また次に証人としておいでになるかどうかはわかりませんが、そのときにお出会いして、また事実を解明させていただきたいと思います。  そういう認識は絶対間違いですよ。それだけ言っておきます。  終わります。
  347. 橋本敦

    橋本敦君 大変重要なことをおっしゃっているんですが、第一勧銀が三百億円近く、二百六十億でもいいですよ、それだけの融資をされたのは小甚ビル相手だ、こういうことですね。その小甚ビルの社長小池総会屋の弟である。つまり、小甚ビルに対する融資は、総会屋という認識はないとおっしゃるが、総会屋の親族企業であるという厳然たる事実は認識されていますね。
  348. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 本当に最近になって知ったことでございますけれども小池隆一氏の弟さんだということは聞きました。
  349. 橋本敦

    橋本敦君 あなたは最近とおっしゃるが、宮崎さんは、この小甚ビルの社長を紹介されたのはもとの児玉誉士夫氏の系統に属する大物総会屋であった出版社社長だと。その小甚ビル社長の嘉矩氏の兄が総会屋ということは知っていたと先ほどおっしゃいました。だから、小甚ビルに対する融資というのは、まさに総会屋の親族企業だということは宮崎さん、あなたもわかっていたでしょう。はっきり言ってください、簡単でいいですから。
  350. 宮崎邦次

    参考人宮崎邦次君) それは知っておりません。その融資の時点で知っておりません。
  351. 橋本敦

    橋本敦君 それじゃ、いつ知りましたか。
  352. 宮崎邦次

    参考人宮崎邦次君) これは正直に申しまして、知らないから全く責任がないということを言うわけじゃなくて、知る知らないにかかわらず、結果については私は、当行の責任と思っておりますが、昨年の十二月に第一報で知りまして、三月から五月の調査の中で概略を知りました。
  353. 橋本敦

    橋本敦君 全く信用できません。この小甚ビルという会社は一体どういう会社か。資本金わずか四千五百万円の不動産会社、従業員たった一人、本社事務所はどこにあるかというと六本木のマンションの一室、所有者は兄の小池隆一総会屋ですよ。こんなことを調査もしないで二百億円以上の融資をする、そんなことが第一勧銀としてあり得るんですか。絶対信用できませんよ。とんでもありません。  今、検察庁は野村関係者及び小池兄弟を逮捕して調べていますね。私は法務省からその逮捕状の被疑事実の要旨を受け取りましたが、そこでははっきりと被疑者小池隆一及び小甚ビルディングの代表取締役である小池嘉矩は、いいですか、お互いに相共謀して野村証券から不正な利益の供与を受けたという商法違反の犯罪で捜査され、関連してあなたの方の関係者も捜査を受けているんです。共謀なんですよ。犯罪の共謀と認定してやっているんですよ。そういうことをはっきり認識しないで、今どうして責任をはっきりさせることができますか。  はっきり言って、総会屋親族企業を通して、総会屋野村証券に対して三十万株を所有し、大株主の地位と総会屋の地位を利用して不正な利益を得たという、この黒い事件資金的黒幕が結果として第一勧銀であったという事実は動かしがたいですよ。この事実だけは結果として認めますね。頭取、どうですか。結果として明らかでしょう。
  354. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 結果としてどうもそのようでございます。
  355. 橋本敦

    橋本敦君 しかも、この問題について事実が明らかになってから、九〇年、九四年の大蔵省の検査に対して虚偽の事実をまさに申し向けるなどして大蔵省の検査をごまかした。重大な問題じゃありませんか。今あなたが結果として認められましたが、こういう総会屋親族企業を通して総会屋を暗躍させた資金国民から第一勧銀が受け取ったお金、これら大事なお金、ここから出ておる金でしょう、どうですか。
  356. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 先ほど、共謀しというお言葉がございましたけれども、私どもは共謀ということについては認識を全くいたしておりません。  これだけの巨額な金をなぜ貸したかという御質問でございますが、やはり歴代のトップと交遊のあった元出版社社長の御紹介がその都度ございますので、ルール違反のない範囲で精いっぱいやったということだろうと思っております。
  357. 橋本敦

    橋本敦君 国民のお金でしょう。
  358. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) はい。結果としては大変申しわけないと思っております。
  359. 橋本敦

    橋本敦君 まさに銀行 法二十七条に言う銀行が公益を害する行為をしたんですよ。そして、大蔵省に対しては、同じく銀行法六十三条違反の虚偽の事実で偽装工作をやった。銀行法違反、こういうことをやったんですよ。その責任は本当に重いですよ、いいですか。  しかも、この問題について、小池本人が第一勧銀株主でもあるという事実、そして株主総会にも小池隆一出席していたという事実は知っているでしょう、どうですか。
  360. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 最近になりまして、総会に何回か出ていたという報告を承りました。
  361. 橋本敦

    橋本敦君 すべて最近になってと言うけれども、あなたの会社は一体どうなっているんだと言いたくなりますよ。  宮崎さん、あなたの責任も重大だが、あなたは先ほど認められたように、この小池氏を紹介した元大物総会屋木島氏とは知り合いであったというお話、長男の結婚式にも出られたというお話。その長男の結婚式には第一勧銀から、元総務部長の小宮氏、そして同じく元総務部長の木内氏、元総務部長の入山氏、また同じく総務部長をおやりになった塩谷氏、こういう方も同じように結婚式に出席していた事実は間違いありませんね。
  362. 宮崎邦次

    参考人宮崎邦次君) 相当前の話でございますからちょっと私も正確なところを覚えておりませんけれども、木内、入山というのは出たというふうに思っております。それからもう一人、沼田というのが出ていたかと思います。
  363. 橋本敦

    橋本敦君 総務部というのは大体総会屋対策を扱うところだというのがみんな常識です。まさに歴代の総務部長をおやりになった方を含めてそういう癒着が木島氏とあって、そして木島氏の紹介ということで、大事なお客だということで二十年にわたってその呪縛が解けなかった、一体どうなっているんだと、こういうことですね。  そして、なぜ呪縛が解けなかったかということは、まさに銀行がしゃんと毅然としていればいつでも解けたはずなのに、解けなかった。そこのところを徹底的にえぐらなくちゃだめですよ。それはまさに宮崎さん、あなたが選任された総会を与党総会屋として木内氏や小池氏が無事におさめてくれたとか、その他いろんな状況があるに違いない。この問題を徹底的に解明する、そのことをおやりになる決意がお二人にありますか、最後にそのことを伺って終わります。
  364. 宮崎邦次

    参考人宮崎邦次君) 私どもも、オープンな総会、開かれた総会で恥部もすべて出して闘うところは闘うというもう当然な決意を持っております。
  365. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 一つだけ。  先ほど資金がDKBからという先生の御指摘で、私は、何か結果としてDKBからというのはちょっと十分確認をしておりませんで……
  366. 橋本敦

    橋本敦君 もういいよ、そんなこと聞いていないよ。
  367. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) はい。しかし、今までおしかりを受けたような体質の改善、これは本格的に、本当に決意を持ってやりますので。
  368. 橋本敦

    橋本敦君 まだ聞きたいことがありますが、時間が来ましたので終わります。
  369. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 今の質問に関連してお尋ねいたします。融資の対象が弟か総会屋か、こういうことであります。  この弟なる者が兄とは全く関係なしに最寄りの支店にあらわれまして、我々と同じように融資申し込みをしまして、それを審査する人たちも全然兄の存在には気づかずに融資を決定した、こういたしますればまさしく弟に対する融資だ、こういうことは強く強調してもいいんだろうと思いますが、本件の場合には、じゃなぜ総会屋を扱うような本店の総務が融資の窓口になったのか、これがわからない。あなた方でも、位大臣をきわめたような人たちでも総会屋の呪縛からは抜け切れなかったと、こう言っておるわけですから、末端の行員たち総会屋をどれぐらい恐れるか。要するに、あなた方が恐れるわけですから総会屋を恐れることになるわけですけれども。  総務が窓口になって、来た書類については総務から必ず申し送りがあるわけです。この融資先の弟の兄なる者は大変な実力総会屋である、軽々に扱うべからずと、こういうふうな申し送りが必ずあるはずです。書類には出ていないにしても必ずそういうことは言外に言われてくるわけですから、ああもういいや、これはうっかり変なことを言ったら大変なことになってにらまれて出世はできない、もう総務の言うとおり融資を決定しておこうと、こういうことになるわけです。言うならば総会屋の呪縛のもとの融資ということなんであって、そうむきになって、いや、これは弟だ弟だと言う必要はないんじゃないでしょうか。そのことをまずお尋ねします。
  370. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 大変深く反省をしております。ただ、歴代の頭取会長に伺いますと、どうもその元出版社社長についてそういう方だという認識が全くなかったようでございますので、その点だけは申し上げておきます。
  371. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 総会屋が、これはおれの妻だ、女房がちょっと事業をしているので面倒を見てやつてくれ、ろくな担保もないけれどもまあ頼むよと、こう言われてその奥さんに融資をする。これは総会屋に対する利益提供なんですよ、商法で言っている。ですから、この場合に、これは弟に対する融資だから犯罪にはならないと、そんなことを言ってみても何の意味もないことだと思いますけれども、改めてもう一度お尋ねいたします。
  372. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) そういうことで、その出版社元社長についていわゆる総会屋だという認識は当行になかったものですから、今大変これはいろいろな意味反省をしなきゃいかぬですけれども、そういうことでやってきたわけです。
  373. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 これからはなるべく、いや弟だ、いや兄だと、そういう議論はもうなさらないようにしてください、世の中が紛らわしくなりますから。  それから、あなたが後任として抜てきした藤田さんという副頭取でしょうか、あの方の言動についてちょっとお尋ねしたいと思います。  二十三日に記者会見がありまして、その際に同席した藤田副頭取のコメントが新聞に出ておりました。自分は一昨年の十二月暮れごろ初めて今回の不祥事を知ったと。それから先が問題なんですが、このことは頭取には一切報告しなかった、今にして言われてみればもう少し強く回収を指示すればよかったかなと、こういうコメントを述べたということが新聞に出ておりました。あなたも報告は聞いておりませんね。
  374. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) 私は聞いておりません。
  375. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 この事柄が明るみになりますと、これだけ世の中が大騒ぎする、国会も何日もこの問題でくぎづけになるぐらい、それだけの大問題なわけであります。第一勧銀の存否にかかわる問題と、こう言ってもよろしいかと思います。第一勧銀のみならず、もう日本金融界そのものの存在が問われかねないような問題だと、こういうふうにマスコミ等は言っております。  しかも、この根底には犯罪があるんです。特定株主である総会屋に利益を提供すれば商法違反、それからろくな審査もしないで十分な担保もとらないで融資をすればこれは特別背任、それから野村の株を購入する資金第一勧銀が提供しておりますから、これは野村絡みの商法違反の幇助罪であります。まあ容疑ですけれどもね。  今はこれは検察が調べておるので、いずれ明らかになると思いますけれども、こんなことは私が言うまでもなく、銀行員であれば、しかも副頭取まで行った人ならばすぐわかることでしょう。これはえらい問題だと、自分の一存で済む問題ではないといって真っ先にあなたのところに駆けつけるんじゃないですか。頭取、我々の知らないうちに下の者がもう本当に変なことをしてしまいました、どういたしましょうかと。あなたも、これは大問題だ、すぐ緊急役員会を開けと、こういうことになるわけでしょう。そして、顧問弁護士を呼べと。その顧問弁護士がまともな弁護士ならば、今私が言っていることと同じことを言うはずですよ。これは犯罪だ、放置できない、すぐ監督官庁に報告しようと、大蔵省に報告をする。  それから、銀行としても全面的な調査をいたしまして、関係者は場合によったらもう懲戒解雇もやむを得ないんじゃないでしょうか。これだけ銀行の信用を失墜するような行為を上司に無断でしていたんですからね。さらに、場合によったら刑事告発も銀行としては考える。それだけの大問題なんですよ。それをのこのこと、何も言わないで報告もしないで、少し強く回収すればよかったかなと。  これぐらいの危機管理意識の低い人をあなたは後継者に選んで、先ほどの話では、何かもう万全の体制をしいて再発防止に努めるから結果をごろうじろということを言っておりましたが、安心して見られるんですか、そんないいかげんな人を副頭取に選んでおいて。  私は二点ほど聞きたいです。  なぜ藤田頭取があなたに報告をしなかったのか。あなたはこのことがわかってから藤田頭取を恐らく責めたと思います。何でこういう大問題はすぐ私に報告をしなかったんだと大変厳しく責めたと思います。そのとき藤田頭取は何と答えたか、それをぜひとも皆さんの前で明らかにしてください。
  376. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) ああいう場で藤田頭取の答え、ちょっといろいろ舌足らずといいますか、要するに総務の者が参って、前回は実はMOFの検査のとき回避をしたと。今回は、そういうものだから今回についてちょっと御意見を伺いたいというので、彼はしかったそうです。何でも洗いざらい出せばいいじゃないかと。何をそんなこと言っているんだということで、彼は即座にしかって……
  377. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 あなたに報告しなかったことを聞いているんです、上司に。
  378. 近藤克彦

    参考人近藤克彦君) それで、彼としては、要するにこういう案件という認識はなくて、一般の不良債権で、ただ何か前回MOFに報告をしなかった件だということで。
  379. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人には、長時間にわたり御出席をいただきありがとうございました。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十八分散会