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1997-03-24 第140回国会 参議院 予算委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年三月二十四日(月曜日)    午前十時開会     ―――――――――――――    委員の異動  三月二十一日     辞任         補欠選任      竹山  裕君     野間  赳君      馳   浩君     武見 敬三君      大森 礼子君     長谷川道郎君      高野 博師君     海野 義孝君      大脇 雅子君     清水 澄子君      一井 淳治君     峰崎 直樹君      武田邦太郎君     本岡 昭次君      橋本  敦君     笠井  亮君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長        大河原太一郎君     理 事                 片山虎之助君                 佐藤 静雄君                 斎藤 文夫君                 田沢 智治君                 木庭健太郎君                 都築  譲君                 横尾 和伸君                 山本 正和君                 有働 正治君     委 員                 阿部 正俊君                 石渡 清元君                 板垣  正君                 加藤 紀文君                 久世 公堯君                 沓掛 哲男君                 関根 則之君                 武見 敬三君                 谷川 秀善君                 成瀬 守重君                 野間  赳君                 林  芳正君                 保坂 三蔵君                 真鍋 賢二君                 依田 智治君                 石田 美栄君                 市川 一朗君                 牛嶋  正君                 海野 義孝君                 菅川 健二君                 田村 秀昭君                 高橋 令則君                 浜四津敏子君                 大渕 絹子君                日下部禧代子君                 清水 澄子君                 照屋 寛徳君                 小島 慶三君                 峰崎 直樹君                 本岡 昭次君                 藁科 滿治君                 阿部 幸代君                 笠井  亮君    事務局側        常任委員会専門        員        宮本 武夫君    参考人        預金保険機構理        事長       松田  昇君        三和総合研究所        理事長      原田 和明君        一橋大学経済学        部教授      石  弘光君        日本労働組合総        連合会経済産業        局長       芹生 琢也君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○議院外証言についての報告 ○参考人出席要求に関する件 ○平成九年度一般会計予算内閣提出、衆議院送  付) ○平成九年度特別会計予算内閣提出、衆議院送  付) ○平成九年度政府関係機関予算内閣提出、衆議  院送付) ○証人出頭要求に関する件     ―――――――――――――
  2. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  初めに、委員長より御報告申し上げます。  去る十二日、本委員会は、議院証言法第一条の二により、警視庁に勾留中である友部達夫君に対し、証人としてその現在場所において証言を求めること、並びに友部百男君に対し、証人として警視庁出頭を求めることを決定いたしました。  右の決定により、二十一日、警視庁において午後二時から、委員長たる私のほか、自由民主党片山理事及び斎藤理事平成会横尾理事社会民主党護憲連合照屋委員民主党新緑風会藁科委員日本共産党橋本委員、二院クラブの山田委員の以上八名が友部達夫証人に、また自由民主党田沢理事及び佐藤理事平成会木庭理事及び都築理事社会民主党護憲連合山本理事日本共産党有働理事民主党新緑風会一井委員の以上七名が友部百男証人に、それぞれ証言を求めてまいりました。  お手元に当日の速記録を配付しております。  この際、お諮りいたします。  本速記録を本日の会議録に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ―――――――――――――
  4. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成九年度総予算三案の審査に関し、金融・証券問題について、本日午前に、預金保険機構理事長松田昇君及び三和総合研究所理事長原田和明君を、また財政・税制問題について、本日午後に、一橋大学経済学部教授石弘光君及び日本労働組合総連合会経済産業局長芹生琢也君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  6. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 平成九年度一般会計予算平成九年度特別会計予算平成九年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  本日は、平成九年度総予算三案の審査に関し、金融・証券問題及び財政・税制問題について参考人方々から御意見を承ることにいたします。  まず、午前中は金融・証券問題について参考人方々から御意見を承ることといたします。  この際、参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙中のところ当委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございました。  当委員会におきましては、目下、平成九年度総予算に関する審査を進めておりますが、本日は特に参考人方々から金融・証券問題について御意見を聞くことになった次第でございます。お二方には、どうぞよろしくお願いを申し上げます。  次に、議事の進め方について申し上げます。  まず、お一人二十分程度で御意見をお述べいただき、その後で委員の質疑にお答え願いたいと存じます。  それでは、まず松田参考人からお願いいたします。松田参考人
  7. 松田昇

    参考人松田昇君) 預金保険機構理事長をいたしております松田でございます。本日、当委員会におきまして意見陳述機会を与えられ、大変ありがとうございます。  私からは、まず、当預金保険機構が昨年六月の一連の法令改正によりましていわゆる新生預金保険機構として発足するに至った経緯と新たに担うこととなった役割、それに伴う体制現状等のあらましについて申し上げ、次いで当機構特色預金保険制度運用の実際、不良債権回収実情等について順次お話をさせていただく予定でございます。この機会に、当機構現状と果たすべき役割等につきましてぜひ御理解を賜りたいと存じます。  さて、沿革でございますが、御案内のとおり、当機構預金者保護等を目的に、昭和四十六年に政府日銀金融機関三者による出資により設立され、当初は専ら保険金支払い預金者保護手段とする仕組みになっておりました。  その後、金融自由化に伴い、昭和六十一年に保険金支払い限度額を現行の一人当たり一千万円までに引き上げるとともに、破綻金融機関営業譲渡等に対するペイオフコスト、これは保険金支払いに要すると見込まれる費用でございますけれども、ペイオフコスト内の救済金融機関に対する資金援助制度等が導入され、平成四年からこの資金援助制度の適用が始まり、一理事事務局体制でそれに対応いたしておりましたが、昨年六月の預金保険法改正等やいわゆる住専処理法制定等によりまして新たな任務が与えられ、業務内容が大幅に拡大して、従来とはやや趣を異にするいわゆる新生預金保険機構となって現在に至っている経緯にございます。拡大された業務内容は、大略次のとおりであります。一つは、本来業務であります預金保険制度運用についてでありますが、今回の改正特別資金援助時限的導入、これは先ほど申し上げましたペイオフコストを超えた資金援助でございますが、特別資金援助時限的導入と、それに伴う財源措置として保険料引き上げ一般勘定が四倍、特別保険料三倍の新設等金融システム安定のための対応が導入されたことであります。これにより当機構は、従来からの預金保険制度運用業務に加え、金融機関破綻処理円滑化迅速化金融システム健全化維持のための時限措置の中で複雑で大きな役割を担うこととなりました。二つは、特例業務として、不良債権象徴的存在とも言うべきいわゆる旧住専債権回収に向け、当機構回収の第一線に立つ住宅金融債権管理機構、以下住管機構と申します、を設立し、また住専勘定を設定し、住管機構回収業務について指導助言を行いつつ、別途、当機構に与えられました特別調査権等を独自に活用しまして、隠匿財産発見や、関係者の民事、刑事上の責任追及等支援し、もって住管機構一体となって住専債権回収に努める業務を新たに付与されたわけであります。そのほか、主として破綻信用組合不良債権整理回収に当たる整理回収銀行に対する出資回収業務への指導支援特別調査権の発動など、住専同様、整理回収銀行一体となって不良債権回収に当たる業務が新たに付与されたのであります。この結果、当機構は、本来業務預金保険制度の適正な運用と、特例業務としての住管機構及び整理回収銀行指導支援して行う不良債権の迅速適正な回収処理という二つ業務をあわせ持つ機構となりまして、冒頭申し上げましたように、新生預金保険機構として再スタートする運びとなったわけでございます。これらは、金融環境現下状況等にかんがみますと、まさに現下の急務を当機構が担ったことを意味するものとみずから厳しく受けとめているところでございます。当機構は、これらの業務重要性拡大に対応するため、昨年六月二十六日に特例業務を所掌させるための特別業務部新設いたしました。次いで九月十七日に、大阪特別業務部新設に合わせ、これまでの事務局制組織を改めまして、総務部預金保険部特別業務部及び大阪特別業務部の四部制へ改組し、役職員合わせ約百二十名の組織、当初は十数名でございました、となり、前述の主要な業務に取り組んでおります。さらに、当機構における今後の業務運営を展望いたしますと、さらなる組織強化必要性を痛感しており、本年四月以降、金融機関破綻処理不良債権回収問題等の双方により的確に対応するため七十名弱の増員を図り、総勢百九十名ぐらいの陣容で臨みたいと考えております。ちなみに、役職員は、司法、行政各省庁、日銀金融界不動産業界等多種多様の分野から参集いたしております。次に、当機構特色とも言うべき公共的性格について申し上げたいと思います。その一は、当機構預金保険制度運用において、何よりも預金者保護代弁者としての役割を担っているということでございます。預金保険の対象が五百五十兆円という巨額であることを勘案いたしますと、当機構は、国民大多数である預金者保護という立場から機能することが求められていると受けとめております。その一端として、先般の金融三法の一つである金融機関更生手続特例等に関する法律では、当機構は、破綻した金融機関につき更生破産手続が行われた場合には、その円滑な進行のために、膨大な数の預金者にかわって更生破産債権の届け出、更生計画案に関する議決権の行使などを行うことになっており、文字どおり預金者代弁者としての役割を果たすことが期待されております。その二は、政府出資拡大についてであります。従来、当機構出資金の中の政府出資は一億五千万円で約三分の一でありましたが、今般の住専法制定に伴い政府出資は五十億円増額され、合計で五十一億五千万円となり、出資全体の九五%を占めるに至りました。その三は、財政資金とのかかわりについてであります。今回の法改正に伴い、当機構住専勘定が設けられ、住専処理に必要な一次ロスに充当する緊急金融安定化基金として政府より六千八百億円を受け入れ、昨年末に同額を住管機構助成金として交付いたしました。この住専勘定を通して、今後、回収に伴う国庫納付手続、また仮に二次ロスが発生した場合の財政資金投入等実施されることになっております。他方、同勘定には金融安定化拠出基金が設けられ、現在同基金管理運用にも当たっております。他方、このたびの法令改正により、当機構に設けられた信用協同組合特別勘定には、信用組合の厳しい経営状況にかんがみ、必要があれば同勘定借り入れ政府保証を付することができるよう特別な措置がなされております。次いで、本機構の本来業務である預金保険制度運用による破綻処理現状等について御説明いたします。先ほど触れましたように、預金保険制度預金者保護を図るために、金融機関預金等の払い戻しを停止した場合などに預金者に対して保険金などの支払いを行うほか、破綻金融機関に係る営業譲渡などがあった場合に、事案に応じた適切な資金援助を行うことを内容といたしております。いわば預金者保護金融システム安定のための制度的基盤であります。その上、昨年六月の法改正により、平成十三年三月末までいわゆるペイオフコストを超える特別資金援助預金等債権特別買い取りなどが行える特例措置が定められました。  さて、金融機関破綻処理の流れにおける当機構役割を、資金援助を例にとり御説明いたします。  まず、金融機関が破綻いたしますと、預金者等保護を図り、あわせて信用秩序維持に資するため、その破綻処理受け皿となる救済金融機関との営業譲渡等が必要となります。そうした受け皿救済金融機関が決まりますと、当該営業譲渡等について大蔵大臣による適格性審査が行われます。適格性ありと判断されたところで、・当機構資金援助申し込みがなされます。当機構では右申し込みを精査し、その資金援助額が先ほど申しましたペイオフコストを超えるかどうかの判断を行います。ペイオフコストの範囲内であれば、当機構としては運営委員会を開催し、当該資金援助を行うかどうかについて意思決定を行い、その決定に従って資金援助実施するわけでございます。  ペイオフコストを超え、いわゆる特別資金援助に該当すると判断された場合には、当機構から大蔵大臣にその旨報告し、同大臣によるペイオフコストを超える資金援助に係る営業譲渡などを行うことが必要であるかの認定必要性認定を得て運営委員会を開催し、当該特別資金援助をするかどうかを最終的に審議し、その決定に従って資金援助実施する運びとなっております。  これまでに、平成四年以降、十六件の金融破綻に際し、救済金融機関等に対し約二兆六百億円の金銭贈与を行ってまいりました。このほか、整理回収銀行等により九百億円に上る資産買い取りが行われております。  昨年十一月実施の山陽、けんみん大和信組破綻処理においては、初めて当機構の委託による整理回収銀行による不良資産買い取りスキームの実現を見ました。さらに、本年一月には同様のスキーム大阪信用組合を処理し、二月には整理回収銀行への事業譲渡というスキーム木津信用組合と、かねてからの懸案だった大型の破綻処理実施いたしました。また、非信用組合である阪和銀行につきまして一も、昨年十二月、これまでに例のない当機構資産を買い取り、将来、整理回収銀行に委託して回収に当たるという破綻処理スキームが発表されるなど、今後の破綻処理は個別の破綻態様に即した多様な処理スキームが必要となっていくものと考えております。そのことは、破綻処理における当機構役割が従来の一回性の金銭贈与から、最近の整理回収銀行あるいは当機構みずから不良債権回収に当たるという継続性のあるスキームヘの関与という形で広がりを見せており、当機構で申しますと、預金保険部のみならず特別業務部をも巻き込む業務となっていることであります。ところで、破綻処理に必要な保険料は昨年七倍に引き上げられ、八年度の保険料収入は四千六百二十億円となっております。当機構余裕金は、現在のところ一般勘定で約百四十億円であり、特別勘定は、一時的な借り入れでございますが、日銀から五千三百二十一億円の借り入れとなっております。    〔委員長退席理事斎藤文夫君着席〕  もとより、将来の状況を具体的に見通すことは困難でありますけれども、前述保険料引き上げによる財政基盤強化等が実行されている点を踏まえ、現時点においてはこうした制度の活用により対応していくことが重要であると考えております。なお、特別保険料については十年度末までに見直すこととなっております。次に、不良債権回収等について申し上げます。初めに、そのための体制でございますが、当機構では全体の七三%に当たる人員をこれに配置いたしまして、中坊公平社長率いる住専管理機構職員千六十名、水野繁社長率いる整理回収銀行職員三百八十名とともに日夜債権回収及び関係者責任追及に取り組んでいるところであります。まず、旧住専関係債権回収現状についてお話しいたします。住管機構では、昨年十月一日に住専各社から、財産譲渡契約を結びまして、買い受け価格の確定作業を行った上、十二月二十六日、四兆六千三百九十億円の貸付債権を含む総額六兆九百四十四億円の資産を旧住専から引き継ぎました。また、これに関し、第一次ロス部分の補てんの一部といたしまして、平成七年十二月十九日の閣議決定等を踏まえ、当機構金融安定化基金から助成金六千八百億円を同日住管機構に交付いたしております。住管機構では、それを受け、債権回収基本方針につき、預金保険機構指導のもと、一体となって強力かつ効率的な回収及び責任追及を行うことにより、国民負担を最小限にとどめるよう最大限の努力をすると定めております。この事業計画では、平成八年で二千七百四十三億円、九年度で六千三百九億円を回収目標と設定いたしました。平成八年度の回収実績につきましては、昨年十二月の一斉回収開始から、中坊社長のイニシアチブのもと積極的な債権回収が行われ、他方、当機構特別調査に基づく末野興産などの隠し資産発見、保全が行われるなど、当機構一体となった努力が継続されておりますが、具体的な計数につきましては、本年三月期の決算期前でございますので、それを待つことといたしております。このほか、不良債権処理の重要なキーポイント不動産管理、処分の適正化の問題につきましては、住管機構整理回収銀行とともに三者不動産協議会を設け、さまざまな活動をいたしておりますが、その一端として、競売制度の改善についての要望を当機構より政府担保不動産等関係連絡協議会等に報告し、要請をいたしているところでございます。同時に、債権回収と並び、借り手、貸し手などの関係者責任追及隠匿財産発見、暴力団による執行妨害事案告発等、積極的に取り組んでおります。当機構といたしましては、引き続きさまざまなカウンターパート協議等を通じまして密接な指導支援体制を保持し、両者一体となって、極力二次ロスを出さないよう、その指導に万全を期してまいりたいと思います。最後に、整理回収銀行における不良債権回収業務でございますが、同行は、平成八年度内に四つの破綻信用組合から総額二千五百二十二億円の不良債権を譲り受け、その回収を図っております。平成八年度の回収実績につきましては、いずれもその回収が緒についたばかりでございまして、具体的な計数を申し上げる段階ではございませんけれども、当機構といたしましては、さらに整理回収銀行による回収が円滑に進むよう、住専同様、適切な指導助言を行い、悪質、困難な事案につきましては、当機構による特別財産調査権実施等による支援を行って、強力な回収を図ってまいる所存でございます。関係者責任追及も不可欠でございますので、本年二月、大阪信用組合役員背任行為について、整理回収銀行指導し、刑事告発を行いました。いずれにしましても、債権回収はこれからが正念場でございます。重責を自覚いたしております。何とぞ当機構及び住管機構並びに整理回収銀行業務遂行に格別の御理解と御支援を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
  8. 斎藤文夫

    理事斎藤文夫君) ありがとうございました。次に、原田参考人にお願いいたします。原田参考人
  9. 原田和明

    参考人原田和明君) 三和総研の原田と申します。本日は、当院におきまして発言の機会を得たことを大変光栄に存じております。幾つかのポイントに絞って金融・証券問題について私の意見を述べさせていただきたいと思うわけであります。  第一点といたしましては、九七年度は文字どおり我が国構造改革元年になると私は認識いたしておりまして、従来のような非常にスローテンポでございました我が国改革自身が急速に加速されていくのではなかろうかと考えております。そして、この成否が二十一世紀の日本が本当の意味で活力のある国家に再構築できるか否かの非常に重要な年に当たるというふうに思うわけでございます。  まず、橋本総理の言われます財政構造改革の問題でございまして、最近、五原則が出てまいったわけであります。率直に申し上げまして、私は九七年度の予算案につきましては失望を感じていた一人でございますけれども、最近における首相から出てまいりました決意並びにその内容につきましては、非常に期待感を持てるのではないかと考えております。  それは、例えば一般歳出について、前年並みではなくてマイナスにするというふうなこと、あるいは聖域なしに主要経費量的削減目標を設定するというふうなことでありまして、これは従来二十年近くにわたって続いておりましたシーリング方式の実質的な撤回と考えられるものであろうと思います。  さらには、国民負担率につきまして五〇%以下という線が出ておるわけでありますが、従来の国民負担率の問題につきましては、税とそれから社会保障関係費の総和という形でこれを考えられていたわけでありますけれども、今回におきましては、その中に財政赤字を含むというふうにあえて入れられた点は私は大変重要なポイントであろうと思います。  先生方に申し上げるまでもないわけでありますけれども、今までのような財政問題を無視している場合には、増税のかわりに赤字財政を進めることによりまして国民負担率を低く抑えることは可能であったわけでありまして、この点のループホールが除かれたということの意味合いは大変に大きいし、こういうふうな形で本当に実行していただければ、九九年度以降における予算案というものが本当に財政再建の軌道に乗る期待感が持てるのではなかろうかと思うわけでございます。  さて、私が陳述させていただく金融面につきましての金融システム改革、いわゆる日本型のビッグバンの問題について申せば、御承知のとおり、二〇〇一年までに、後ろ向きな方向としては金融機関不良債権の償却を完了するということでありまして、前向きの動きとしてはニューヨーク、ロンドンに並ぶような我が国金融資本市場を再構築する、この二つが車の両輪になっているわけでございます。  しかし、その前の段階として、いわゆるビッグバンのフロントランナーとしての外為法の改正という問題がまだ一般には余りその影響度が理解されていないようでありますけれども、言うなれば大変な激震が来年の四月以降においては生ずるというふうに認識をいたしておるわけでございます。その内容につきましては、実は現行の外為法の改正の中で私自身が想定しておりました中の最も徹底した完全自由化に近い内容が盛り込まれておるようでありまして、これのもたらす影響は大変に大きいと思うわけでございます。  そこで、第二といたしまして、このビッグバンのフロントランナーと言われております外為法の改正ポイントについて申し上げたいと思うわけでありますが、言うなれば、一言で言えば企業もそれから国民もこの外為法改正後においては自由に外貨を運用することも可能になってくるという点がポイントであろうと思うわけでございます。したがいまして、このことは何を意味するかといえば、ニューヨーク、ロンドンそして東京、いずれの市場もユーザーが最も有利であり使いやすさがある、かつコストの面でも安い、そういったところを自由に選択することが可能になってくるという点でございます。  もう少し具体的な形で申し上げますと、現状の東京市場におきましては、これは有価証券取引税がございます。それから一方において、我が国の預金に対しましてはその金利に対して二〇%の源泉税が徴収されておるわけでありますけれども、ロンドン市場あるいはニューヨーク市場においてはかようなものは原則的には存在していないわけであります。  そのようなことを考えますと、もし外為法の改正が四月以降行われる、その可能性は極めて高いわけでございますけれども、そういう状態の中において有価証券取引税が残り、さらに預金の金利に対する二〇%の源泉税が今のまま続くという事態であれば、これは我が国からの資金が海外に陸続として流出する可能性というのは十分に考えられるわけであります。我が国の千二百兆円という個人資産日本にとって大変な宝物でございますけれども、それが海外に巨額の金が逃げ出すという可能性さえもあるわけであります。  そのように考えますと、このような税制面の改革も必要でございますし、それからまた証券会社が手数料をグローバルスタンダードというか海外並みまで低下させるというふうなことが必要でございまして、かような対応策なしに外為法の改正だけが行われた場合には、本当の意味で金融の空洞化が生ずる懸念というものは否めないと私は思うわけであります。  かように申し上げましても、私はこういった改革を進めていくことが本当の意味で日本のビッグバンを成功させるために必要な手だてと思うわけでございますけれども、かような問題を秘めているという点でございます。  三番目の問題といたしまして、このビッグバンに向かいます後ろ向きの対応の問題について触れさせていただきたいと思います。それは、不良債権の償却の問題でございます。  来年の四月以降におきましては、ただいま申し上げました外為法の改正に加えまして、持ち株会社の活用という問題も注目をされておるわけでありますけれども、不良債権の償却につきましては、御承知のような早期是正措置というものが従来の大蔵行政の護送船団方式にかわって推進されるわけでございますし、現実に阪和銀行のケースにおきましては、このような早期是正措置に近いような形での業務停止命令が出ていたと考えてよろしいと思うわけでございます。  こういった早期是正措置を来年以降実行に移すに当たりまして、この一年間の中で確立しなければならないこととしましては、私は何よりも基本的な問題としては、金融システムに対する内外の信頼感の回復ということが重要ではなかろうかと思うわけでございます。それは先生方御承知のとおり、阪和銀行あるいは兵庫銀行の蹉跌、破綻の中におきまして従来の不良債権額が何倍にもふえてしまっているというふうなことがあり、このことのゆえに日本金融機関に対する信頼感は国内のみならず海外においても極めて揺らいでいるのが現実の姿でございます。  これを是正していくための措置といたしましては、私は危機管理体制、いわゆるセーフティーネットの確立、それは具体的には先ほど松田さんからお話がございましたような預金保険制度の見直し、強化、さらには公的資金問題をどのように処理するかというふうなこともかかわってくるかと思うわけでございます。  それに加えまして、この体制を軌道に乗せるためには土地の流動化という問題も極めて重要ではなかろうかと思うわけでございまして、その意味では、政府がこの三十一日には土地対策について新しいものを発表されるというふうに仄聞しておるわけでございますけれども、大変タイミングがよろしいのではないか。こういった土地の流動化というものが、税制面の点から、あるいは土地の証券化という問題と絡みながら進展されてまいりますと、これは現状非常に厳しい金融機関のバランスシートに対してもかなりのプラスのファクターになってくるのではないかと思うわけであります。  さらに、土地の問題につきましては、このところJRの跡地問題について予想より三割近く高い落札価格になっているとか、あるいはアジアの資本が日本の土地を値ごろと見て買いが入ってきているというふうな動きがございまして、こういったことがうまく軌道に乗ってまいりますと、不良債権処理問題もかなり期待が持てるのではなかろうかと、かように思うわけでございます。  さて、その次には、ロンドンのビッグバンの評価について申し上げてみたいと思うわけでありますが、御高承のとおり、ロンドンのビッグバンは狭義には一九八六年前後において生じたものでありまして、これは証券界の自由化を目指したものでございます。その評価につきまして実は大きく二つ意見が分かれているわけでございます。  一つは、これはマクロ的な観点から見て英国のビッグバンは成功であったという見方でございます。何となれば、このビッグバンの推進によりまして、いわゆる金融サービス関係の対GDP比率というふうなもので見ますと、一五%前後から二〇%前後までそのシェアが上がったわけでありまして、それに伴う雇用の増加あるいは全体としての経済の活性化にプラスになったという点がそのポイントでございます。  しかしながら、一方においては、これは大変な失敗であったという見解がございます。それは、イギリスのザ・シティーにおきます中小のマーチャント・バンクを初めとする証券会社の極めて多くが、ドイツあるいはアメリカの金融機関によって買収されてしまったわけであります。現状においては、地場のイギリスの証券会社はほとんど残らないで、外国資本がその中で活動している状態でございます。いわば、ザ・シティー・オブ・ロンドンは、これは単にお座敷を貸して、そして手数料収入を得ているというふうな状態になってきているわけであります。しかしながら、サッチャーは、それは問題ではない、そのことが英国の活性化のために役に立つものであればよろしいじゃないかと、こういう考え方でございます。  私自身の見解を言わせていただければ、それでよろしいと思います。これから我が国においてビッグバンを進めていくその過程におきまして、海外からどんどん資本が入ってまいりまして、我が国の企業が買収、吸収させられるというふうな事態が起こる可能性も決して少なくないわけでありますけれども、それを積極的に容認する姿勢がなければ、このグローバルな社会の中において日本の活性化というものはできないのではないかと思うわけでございます。  そういう意味では、私は、グローバルな国際社会に対応するにはこういった視点で前向きに対応していく、その意識を我々国民、企業、あらゆる者が強い認識を持ちましてこれを推進する覚悟を持たなければいけないのではなかろうかと思うわけでございます。  最後に、結びとして申しますと、私は、今回の政府の教育を含みます六大改革全般を貫く理念が、フリー、フェア、グローバル、こういった三つの原則によっている点は全く賛成でございまして、異論がございませんけれども、その中で特に強調したいと思いますのは、現在の我が国におきましては、我が国から海外に対する対外投資は全世界的に見まして約一五%でございます。それに対して、海外から我が国に入ってきております投資は一%をはるかに下回る状態になっているわけでございます。世界的な先進国の中において、このように、投資とそれから流入してきている我が国向けの投資というものが、日本のようにアンバランスな姿はどこにも見られない。ほとんどバランスがとれているのが現状でございます。  そういう意味では、これから日本の市場というものを本当に海外の投資家にとっても魅力のある市場にいたしまして、外資がどんどん日本に入ってくるような状態をつくるということが基本的に重要ではなかろうかと私は思うわけでございます。この是正のためには、規制緩和であるとか、グローバルスタンダードであるとか、あるいは高価格体質の改革が必要でございます。そして、活力ある日本再構築のこれこそが原点ではなかろうかと思うわけでございます。  既にルビコンは渡ったと私は思います。帰らざる川だろうと思います。今、日本を後ろ向きに持っていくことは、二十一世紀の日本にとって全く期待の持てない状態になるわけでございます。その意味では、政治、先生方、そして行政、民間が一体となって意識改革を行い、血を流し、痛みを伴うような大手術を断行いたしまして、この歴史的な大転換期をブレークスルーしていくということ以外に道はないだろうと思うわけでございます。  活力ある二十一世紀の日本再構築のために、先生方の一層の御尽力を心からお願いしたいと思います。  ありがとうございました。(拍手)
  10. 斎藤文夫

    理事斎藤文夫君) どうもありがとうございました。  以上で両参考人の御意見の陳述は終わりました。  それでは、これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  11. 林芳正

    ○林芳正君 自由民主党の林でございます。  それでは、時間も限られておりますので、御説明いただきました順番に、松田理事長様、そして原田理事長様に順々にお尋ねをしてまいりたいと思います。  まず、預金保険機構ということで、原田先生の方からもありましたとおり、今からは自己規制だということで、早期是正措置とともに理事長さんのところのお仕事が大変大事になってくるわけでございますが、その中で、一般論といたしまして、地元を回っておりますと、よくわからないんだけれども何となくまだいろんなところに不良債権が残っておって、それで銀行がなかなかお金を貸してくれないんじゃないか、また景気がよくならないんじゃないかという声をよく聞くわけでございます。我々が実際にいろんなところで御説明を聞いたりしておりますと非常によく納得するような気がいたしますが、国民全体の雰囲気としてまだまだ非常に大きな穴があいているような不安感があるということが一つある、こう私は思っております。  そういう意味で、まずディスクロージャーを最後の五年間で徹底していくということで、この間も新聞によりますと、第二地銀さんだと思いますけれども、自発的に第Ⅲ分類でも開示をやっていくという方向が出ておりまして、大変に結構なことでありますが、このディスクロージャーを超えまして、これは大変難しいところだと思うんです。  例えば、大蔵省が出しております資料によりますと、大体今の不良債権というのは、分野別、業態別にある一定の機械的計算をしますと、これぐらいの年月で措置が終わるというような資料もあるようでございますけれども、今大体どの辺まで行っておって、あと何年ぐらいたつと雲が晴れるというようなことになるんだというようなことを、責任ある行政といいますか、公的な立場として皆さんにメッセージを送ることができないのか、またそういう必要があるんではないかということを考えておりますが、その点につきまして御意見があれば、松田参考人の御意見をいただきたいと思います。
  12. 松田昇

    参考人松田昇君) 先生のせっかくのお話でございまして、そっけない返事になるかと思いますけれども、私ども、検査・監督をする立場にございませんので、不良資産の実態を直接把握する立場にございません。破綻がありまして、それが回ってきたときに処理をする立場でございますので、そういう立場の私から、ただいま御質問ありましたようなことについて直接お答えするのはいかがかと思います。どうぞ御理解をいただきたいと思います。
  13. 林芳正

    ○林芳正君 わかりました。ぜひ監督当局にもこの必要性を訴えてまいりたいと思うわけでございます。  もう一つ。これも理事長さんのところとは直接関係がないわけでございますが、ただ先ほど申し上げました早期是正措置ということが導入されてまいりますと、ここで何とか理事長さんのところへ来ないように早期是正措置で、セーフティーネットということでやっていくわけでございますが、これはいろんな国で同じような問題を取り上げてやっております。  アメリカでは、九一年のFDICのインプルーブメントアクトということでやっておりまして、どこの国を見ましても、大体自己資本比率というのを使いまして、これでカテゴライズして、それぞれ分野別に診断を出して、よい人には余り大したことを要求しないんですが、悪くなってくるとかなりのことを要求していく。こんなような仕組みになっておるわけでございまして、自己資本比率ということのはかり方というのが大変重要なポイントになってくると、こういうふうに私は思っておるところであります。  その中で、これも所掌外でありましょうけれども、私は気になっておることがあります。この自己資本比率の分母の方にオフバランスの部分を入れてあるわけでございますけれども、簿外でいろんな取引をやったり、またデリバティブ等の取引をやっておるときに、その計算方法として二つございまして、別表の第二というのが法律についておるようでございます、二つのやり方を選択できると。  一つはカレント・エクスポージャーだ、もう一つはオリジナル・エクスポージャーだということで、平たく言うと多分、私も専門家ではございませんが、カレントの方が現在価値ということで時価主義に相当するのかなと、オリジナルというのは取得原価的な考え方だと、こういうふうに思っておるわけでございますが、よく読みますと、当面の間もしくはカレントの計算をする事務体制が整っていない期間についてはオリジナルでいいですよ、要するに取得原価でいいですよということになっております。そうすると、今の日本のほとんどの金融機関というのはなかなかそういう事務体制が整っておらないのではないかなという気がしております。  しかしながら、このオフバランスやデリバティブというのは、一瞬のうちに大きな損失が出てくるというのは数々の事例がもう証明をしておるところでございまして、この辺が早期是正措置プラス預金保険ということになってまいりますと、一つの大きなポイントになってくるんではないかと私は思いますが、その後門の虎という立場で、この辺の細かいことでありますけれども、将来的にはこのカレント・エクスポージャーの方に移行していった方がいいのではないかと私は思うんですが、もし御意見があればお聞かせ願いたいと思います。
  14. 松田昇

    参考人松田昇君) お答えいたします。  先生御指摘のとおり、いろいろな自己資本比率の出し方、国内的、国際的ないろんな考え方を承知しておりますけれども、これは早期是正措置をどうこれから立法的、政策的にまとめていくかという問題でございまして、やっぱり立法、政策部門の責任者からのお答えが最も適当ではないかと思います。何とぞ御了解をいただきたいと思います。
  15. 林芳正

    ○林芳正君 ありがとうございました。もう少し御意見をいただけると結構だったんですが、次に参りたいと思います。  それでは、これは所掌の中に入るわけでございますが、松田理事長就任のときの記者会見だったと思います。いわゆる債権回収率と法的な措置をとって厳しく債権を取り立てていくということは二律背反的な側面がございまして、特にほかの金融機関に連鎖的に行ってしまうという側面からはなかなか両立が難しいところであるわけでありますけれども、就任のときの記者会見を拝見いたしますと、法的措置にまず主軸を置いて、背信的悪意者に対しては徹底的にあらゆる手段でもって追及をしてまいる、そういうような御決意を御披露されていらっしゃるわけでございます。  ここで何年かたちまして、その成果と申しますか、そのバランスのとりぐあいは今まで大体その方向でよかったのか、また今後もやはりそちらの方に主軸を置いてまいるのかということを、先ほどの最初の一番で申し上げました国民に対するメッセージで、悪いことをしたやつは捕まるんだと、これも重要なメッセージだと私は思っておりますけれども、それに関連して今の状況をお話しいただければと思います。
  16. 松田昇

    参考人松田昇君) 私が就任のときに申し上げました法的措置というのは、名づけて言えば、最も強い立場で申しますと、破産申し立てをして破産処理をするという立場を申し上げたわけでございます。それ以外にあらゆる法的手段を通して債権回収の強権化を図るというのは当機構住管機構の責務でございますので、その方針でやっております。特に破産の場合には、例えば私ども特別調査で約一千二百億円ぐらいの隠匿財産の摘発、発見了知をしたわけでございますけれども、これを破産にいたしますと、債権者平等の原則に戻りまして受取率は非常に低くなるわけでございます。  そこで、大いに中坊社長と私と悩みまして、いろいろ協議をいたしました。しかし、やはり我々も公的な立場で仕事をしているわけでございまして、公共性のある、国民の納得のできる立場の処理をすべきであろうということから、若干の悩みを持ちながらもいろいろ検討しました結果、あのような巨額の隠匿財産の分配については他の債権者にも分かち得る形で、しかも公の裁判所の監督下で透明性のある立場で処理をなされる方が相当ではなかろうか、こういう結論になって、破産申し立てをいたして審理が続いているわけでございます。考え方としてはそのようなことでございます。
  17. 林芳正

    ○林芳正君 ありがとうございました。  国民に対するメッセージという意味からも、債権回収率も大事でありますが、やはり悪いことをした人は捕まるということをはっきりと出していただくということは私も大事だと思っておりますので、ぜひ毅然とした今のスタンスで引き続き御努力をお願いいたしたい、こういうふうに思います。  それから、これは将来的に預金保険機構が今の早期是正措置とともに利用されるという場面になってきてからかもしれませんけれども、破綻処理の場合の実際にペイオフが行われた場合だと思うんですが、付保の対象がどういうことかということが法律に書いてございまして、一つは、預金の利子については付保の対象ではないということになっておりますけれども、これはどういう考え方で利子が入っていないのか。また、諸外国と比較いたしましてどういうふうになっているのかということをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  18. 松田昇

    参考人松田昇君) 現在、預金保険法によりますと、利子は預金保険の対象から外しております。元本一千万円までというのが基本でございます。  確かに、いろいろな考え方はございます。郵貯のような例もございまして、いろいろ考え方はございますが、一つ預金者あるいは金融機関のモラルハザードの問題と、それから実際にペイオフないしそういう保険金支払いをしますときの事務の煩雑さと申しますか、膨大な日数、手間がかかるということ、そのことがかえって信用不安の増大を招きやすい状況も考えられるということ、そういう点をかれこれ総合勘案いたしまして利子はとりあえずつけない、こういう形でまとまっておりまして、私どもも今それを是としております。
  19. 林芳正

    ○林芳正君 諸外国の状況はどうか。
  20. 松田昇

    参考人松田昇君) 諾外国のやつは今ちょっと文献を持ってきておりません。申しわけありません。
  21. 林芳正

    ○林芳正君 これは非常に難しい問題だと思います。特に、モラルハザードが起きたときは利子を高目に設定してつぶれちゃうということが多いわけですから、公的資金でやるということになれば利子を付保しないという考え方ももちろんあるわけでございまして、この辺は国民の皆さんに最初からわかっておいてもらうというところがむしろ大事なのかなと。考え方は両方ありますから、決めの問題だと私は思っておるところでありますけれども。  もう一つは、預金、定期積み金、掛金それから元本補てん契約のある金銭信託、これが付保の対象になっておるわけでございますが、金融債というのがございまして、これについてはなかなか微妙なところがあるんじゃないかなと私も思っておるんです。実際には銀行や金融機関からこれを買っておるわけでございまして、使う立場から見ればその認識に差があるのかなということ等もありまして、この辺についてはどうお考えか、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
  22. 松田昇

    参考人松田昇君) 金融債につきましては、現段階で私があれこれ言うのは非常に難しい問題ございますけれども、法令上、預金保険の対象になっていないことは間違いないわけでございます。金融債の安全性の確保は、即発券銀行の安全性の確保ということに尽きるのではないか、そう思っております。
  23. 林芳正

    ○林芳正君 ありがとうございました。大変に含みのある御答弁をいただきまして、感謝しております。  それから今度は、先ほど言いました今から五年の特別期間の中で、一般のペイオフとは別にファイアウォールをつくりまして、信用協同組合特別勘定、それから一般の方の特別勘定をおつくりになって、これに対して特別の保険料を徴収すると、こういう仕組みになっておるわけでございます。  この信用組合の方の特別勘定には、もし赤字が出れば五年後に公的資金ということになっておるわけでございますが、先ほど御説明いただきましたとおり、いろんな組合の処理を既にやられておるようでございます。この中での収支というのが先ほど来ありましたけれども、この特別勘定そのものの今の収支がどのようになっておるか、お聞かせ願いたいと思います。
  24. 松田昇

    参考人松田昇君) ちょっとまとめた数字で申し上げたいと思いますけれども、現在、特別勘定としましては、日本銀行から五千億強のものを借り入れいたしております。状態としてはそういうことでございますが、これはあくまで一時的な資金繰りでございますので、いずれ保険料をもってこれを充当することになろうと思います。  この保険料特別保険料を含めまして七倍に上げましたときの計算の根拠が、過去四年にありましたいろいろな公表されていた信用組合の破綻の実情を踏まえて、それを今後五年間でやるにはどれだけの保険料が要るかという計算ででき上がったのが七倍の方式でございます。現在、まだ緒について一年でございますけれども、なお余裕がございますので、現行の考え方をもとに運営をしていきたい、このように考えております。
  25. 林芳正

    ○林芳正君 これは非常に微妙な問題だと思っておりまして、公的資金を導入するというのは住専でも我々は大変苦い思い出があるわけでありますが、一方で、最後は国がきちっと担保をするというメッセージを発し続けておるということ自体が金融システムの安定にとって非常に大きな意味を持っておる、安全保障のような感じがいたすわけでございます。そういう意味では、必ず最後はそうしますよと言いながら、五年後にふたをあけてみたらお金がかからなかったという状態が私は一番望ましい状態だと、こういうふうに思っております。そのためには、この特別勘定もそうでありますが、預金保険機構全体の収支というものがどうなっていくのかということが大変に重要になってくるんではないかなと、こういうふうに思っております。  今七倍の保険料の計算根拠をお聞かせ願ったわけでございますが、そういった中でお尋ねをしたいのは、最終的に、先ほどの付保の対象のお話を聞かせていただきましたけれども、金額で一千万円というこのレベルについて、これは大変難しい問題でありますが、アメリカは十万ドルでありますから大体今のレートで申しますと一緒ぐらい、若干高いわけでございます。一方、カナダなどを見ますと六万カナダ・ドルということで、四百万円超ぐらいかなと。それから、英国も一人当たり二万ポンドで、この九掛けということですから大体三百万弱ぐらいということであります。  日本は、割と高い方に横並んだのかなという感じがしておるわけでございますが、このペイオフのレベルというのが諸外国と比べてはちょっと高目に設定をされておるわけでございますが、将来的な収支との関係で、このレベルについてどうお考えか、お聞かせを願いたいと思います。
  26. 松田昇

    参考人松田昇君) 将来を見通して収支を申し述べよというお話でございますけれども、将来予測は非常に難しゅうございます。  ただ、一千万円という金額はアメリカと日本が大体同程度でございます。他の外国に比べると高いかもしれませんが、現在の国民の持っております預金の残高とか、それから、おおむね国民が総意的に、それまであればいい、それ以上あるのはちょっとモラルハザードを引き出しかねないと、そういう安心感と申しますか、あるいはモラルハザードを引き起こさない心理的防波堤といいますか、そういうところで大方の賛成を得ている数字ではないかなと、このように理解をいたしております。
  27. 林芳正

    ○林芳正君 ありがとうございました。  先ほど原田先生からありましたように、我が国は貯蓄大国でありますから、一律に安い国と並んでいいということではないと思います。一方、一時私も商社時代に経験したんですが、輸出保険というのがイランの話なんかで一時破産をするというようなこともありまして、破産をしないために保険金支払いを少し待ってくれよと、こういうようなことも実際あったわけでございます。金融システムにおいてはちょっとこういうことは考えられないわけでありますから、その辺も念頭に置きながら適正なレベルを考えてまいらなければならないと、こういうふうに思っております。  それともう一つは、先ほどちょっとお尋ねをしました早期是正措置ということで、金融機関の状態に応じましていろいろとランクをつけましてやっていく、数段階ということでありますが、諸外国の例を見ますと、早期是正措置のカテゴリーかどうかは別としまして、その金融機関状況に応じまして保険料率を変えておるという実態があります。これは保険の基本的な考え方としては、リスクが高い方がたくさんの保険料を払うというのは当たり前の話でありまして、我々も生命保険に入るときは健康診断を受けて入るわけでございますから、そういったような保険料率の差別化ということに関してはどういうふうにお考えか、お尋ねをしたいと思います。
  28. 松田昇

    参考人松田昇君) 先生御指摘の可変保険料の問題でございますが、米国では現に採用いたしております。しかし、米国も採用するに至るまでにはいろいろと経験を積んだ後でやられたようでございます。  日本では現在のところ、むしろそういう査定で格付をすること自体が逆にリスクを生んで当該金融機関の信用不安を増すということにもなりかねないのではないか、今の現状であれば一律に保険料の徴収をするということがむしろ好ましい状態ではないかと、このように考えております。
  29. 林芳正

    ○林芳正君 ありがとうございました。  そういう御答弁だったわけですが、一方で国際基準でいろんな格付をやるようになってまいります。また、ディスクロージャーをするようになってまいりますと、預金保険料率だけが上がったからといって、それがすぐに信用に対するあれにつながるのかなというような気も私は持っておりまして、これは今から、今ちょうど試行期間といいますか、ラーニングピリオドと言っていい期間だと思いますので、この辺のいろんな経験を積みながら御検討いただきたいと、こういうふうにお願いを申し上げておきたいと思います。  それでは、時間も迫ってまいりましたので、原田先生にいろいろとお伺いしたいわけでございますけれども、まず最初にございました金融・証券についてでございますが、改革元年ということで財政構造にもちょっとお触れになりました。  実は、先生のエコノミストの論文を拝見いたしたわけですけれども、アメリカで財政再建が進んでおるのは景気が大変によくなって税収が上がっているからだというお話が書いてございまして、レーガノミックスのお話がちょっと触れられておりました。八〇年と八六年にレーガノミックスで税制の改革をやっておりました。平たく言いますと、八〇年は大減税をやっていわゆる大赤字をつくって失敗したと、こういうふうに言われております。八六年はレベニュー・ニュートラルでいろんな税制改革があった。  これをやってきて法人税が今のレベルにアメリカはあるわけでございますが、私は、財政赤字的には、多少赤字をつくったということでブードゥーエコノミックスなどという悪口を言われておりますけれども、八〇年に大幅な減税をやったということが、企業の開廃率等を見ますと、新しい産業の育成につながって、それが今になって花が咲いているのではないかなという感じを持っておるわけでございまして、レーガンの場合は、サッチャーと違って、直間比率まで踏み込めなかった。サッチャーは人頭税を導入することを政治生命をかけてやったわけですが、それがなかったために赤字がふえたんですが、そういうことで今の景気回復に対する影響という意味ではどうお考えか、まずお聞きしたいと思います。
  30. 原田和明

    参考人原田和明君) アメリカの問題について大変お詳しい林先生からの御質問でお答えにくいのでありますけれども、私自身の認識として申しますと、八〇年代のレーガン政権の経済政策に関しましては、前半と後半では評価がかなり違うのではないかと思っておりまして、前半におきましては、御承知のようなラッファーカーブというかなり問題のある経済理論を背景として減税を大幅に実行した。    〔理事斎藤文夫君退席、委員長着席〕  その結果、大きな赤字財政の原因になったわけでありまして、確かにカーター時代の不況を乗り越えたことは事実でありますけれども、私は前半についてはレーガノミックスは評価できないと考えております。ただ、後半に入ってからの税制改革その他につきましては極めてバランスのとれた内容でございまして、その意味では、八〇年代の後半におけるレーガンの政策というものは評価できると思うわけでございます。  しかしながら、今のアメリカが五年にもわたって大変順調な成長を遂げておるということの原因に関しましては、今の点ももちろんバックグラウンドとしては考えられるかと思うのでありますけれども、私は一言で申せば、やはりアメリカの情報化の成功というところにキーワードがあるように考えております。  今たまたまゴア副大統領が日本に来ておるわけでありますけれども、ゴアを中心にした情報ハイウエー構想というふうなものに企業が非常に共鳴いたしまして、そして情報化が急速に進展した。現状におけるその情報化日米格差というふうなものを見ましても、これはもう四、五倍から十倍以上の格差があるというふうな大変な状態になってきておりまして、アメリカの情報化関連は世界の中でも独走的な態勢をとってきている、そこに私はポイントがあるように思うわけでございます。  現実に、今のアメリカが五年も続いて設備投資が高い伸び率を続けているという事態は、私の知る限り過去においてなかったのではないかと思います。それらの内容を見てみますと、大半が情報化関連投資というものでございまして、今アメリカの経済が順調である理由は何か一つだけ挙げろと言われましたら、私はやはり九二年以降におきますこの情報化の進展ということが最大のファクターであるというふうに認識いたしております。
  31. 林芳正

    ○林芳正君 ありがとうございました。  それから、先ほどの日本に対外投資は非常に多いんですが対内投資が非常に少ないということはもう前から言われておることでございまして、このアンバランスというのは世界に類を見ないアンバランスなわけでございますけれども、その中の要因の高コストということが前から言われておりました。土地も高いしオフィス代も高いし人件費も高い、こういうことでありますけれども、最近になりましてはかのところが、特にアジアのほかの国々の経済成長が進んできたということと日本の方はバブルが崩壊したということで、割と横並びで比較できるぐらいにはなってきたんではないかなということを最近よく聞くわけでございます。ニューヨークや香港、シンガポールと比べてもそれほどむちゃくちゃに高くなくなったんではないかな、こういうふうに聞いておりました。  たまたま、トライラテラルコミッションにいらっしゃっておりますアマコスト前大使もけさそういうことをおっしゃっておられたものですから、そういう意味では、ほかにもいろいろ要因があるんですが、その大きな要因の一つである高コスト構造というのは大分おさまってきたんではないかなというような気がいたすわけですけれども、それについて先生、どうお考えか。
  32. 原田和明

    参考人原田和明君) 先生御指摘のとおり、一時為替レートが八十円前後までの超円高方向に参りまして、その時点における内外価格差というものは非常に大きかったわけでありますし、日米価格差も大変大きかったわけであります。それが最近の百二十円を超えるようなやや円安基調という中におきましては、実際上の為替レート換算ではある程度縮小の方向に向かったことは事実であろうと思うわけであります。  しかしながら、現状における私どもの試算では、製造業におきましては妥当なバランスのとれた為替レートはおおむね百五円前後と考えております。これに対して、非製造業の分野につきましては、これは依然として百九十円以上二百円弱というふうなところがバランスのとれた為替レートになっているんではないかと思います。  そういう意味では、我が国の先端技術産業あるいは家電産業、自動車、そういった分野においては価格差はほとんどないわけであります。しかしながら、我が国における流通部門を初めとするサービス産業、そういった分野における内外価格差、特に日米価格差というのは、為替レートが多少円安方向に向かっておりますけれども依然として大きいわけでありまして、我が国における規制緩和あるいは高価格体質の是正という問題は、やはり全産業の中の四十数%を占める規制業種における競争のなさ、そういったものからこのような二極分化的な傾向が出てきていると思うわけでございます。  その意味では、やはり日本の高価格体質、特に非製造業におきます高価格体質の是正ということは、日本の市場を魅力的なものにするためにも非常に依然として重要であるというふうに私は考えております。
  33. 林芳正

    ○林芳正君 ありがとうございました。大変に明快な御答弁をいただきました。たしか「ビジネス・ウイーク」だったと思っておりますが、カバーで「ツージャパン」というようなことも出ておりました。まさに、先生御指摘のとおりの二重構造というのがあるわけでございまして、ノントレーダブルとトレーダブルに分けて、トレーダブルの方が全部いい方に入っていればいいんですが、そうにもなっていないというところに問題があるのではないかなと私も思っておるところでございます。  それから、先ほどビッグバンについてのお話がありました。まさに、フリー、フェア、グローバルということで、外為法を端緒といたしましてやっていくということでございまして、よく言われておりますのは、イギリスは、先ほどおっしゃったようにイギリス系のマーチャント・バンク、みんないなくなっちゃったと。ウィンブルドンと、こういうふうに言われておりまして、ウィンブルドンは御承知のようにイギリスでやるわけですが、イギリスの選手はほとんど出てこない、こんなことが言われております。  じゃ、日本はどうしたらいいのかということでよく聞きますのは、Jリーグか柔道か、こんなようなことを聞くわけであります。  Jリーグは、御承知のとおりサッカーという外国のスポーツでありますが、かなり人気を博しております。監督や選手にかなりの外国人が入ってくるわけですが、これは日本でやってかなりの国際的な人気も博しておる、こういうことでありまして、一方柔道は国技に近いものでありますから、例えば柔道着の色をつけること一つとってもいろんな難しいことがある。  日本のビッグバン、先ほど先生のをお伺いしているとウィンブルドンでもいいんだというようなことになるんでしょうが、ちょうど間のJリーグぐらいが私はいいんじゃないかなと個人的には思っておるところでありまして、そういったことに関しましてはどうお考えか、お聞かせ願いたいと思います。
  34. 原田和明

    参考人原田和明君) 先ほど私は、やや極端な形でお話を申し上げたわけでありまして、端的に言えば、日本の中ではどうしても日本中心のナショナリスティックな考え方が根強いのがまだ現状ではないかと思うわけであります。今度ビッグバンを進めてまいりまして、幾つかの日本の証券会社あるいは金融機関が巨大な外資系に買収、併合させられるような事態が起こった場合に、日本人の国民感情がそれに反発するというふうな懸念もあるわけでございます。  その意味では、やはり国籍を別にして、日本の国内でオペレーションをしてくれて税金を納め、そして人を雇ってくれる、雇用にも貢献してくれるというふうな企業は、これは日本にとってはありがたいお客様なんだという意識も必要ではなかろうかという意味合いで申し上げたわけでありまして、この点の日本自体の意識改革が必要になろうかと思うわけでございます。  私は、先ほど大変極端なお話を申し上げたわけでございますので、先生のおっしゃいますように、サッカーのゲームぐらいのところが、このようなことを言った上でサッカーくらいのところで落ちつくのが妥当ではなかろうか、そんなふうに考えております。
  35. 林芳正

    ○林芳正君 ありがとうございました。  大変に安心をさせていただいたところでございまして、ぜひ我が国に最も適した形で今からこの改革を進めてまいらなければならない、こう思います。  もう時間もありませんので、予定しておった質問をすべて消化できませんけれども、もう一問だけお伺いしたいと思うのでございます。電子決済というものがいろんなところで取りざたをされておりまして、実は、先ほどお話がありました今度の外為法の改正の中にも、法律では初めてだと思うんですが、決算手段としての電磁的な方法、電子マネーのことだと思うんですが、これが入っておるわけでございます。  こういったものがだんだんと今ふえていく状況にあると私は思っておりまして、これについて公的な部門がどうやってどういう立場をとったらいいのか非常に難しい問題でございまして、最初から余り規制をつくりますと民間の創意が出てこないということもございますし、そういう意味では、競争を促進しながらもいい意味でいい方向に導いていくという大変難しいことがあるわけでございます。その辺についてどうお考えか、最後にお伺いしておきたいと思います。
  36. 原田和明

    参考人原田和明君) この問題につきましては、日本の対応といいましょうか、これは国際的に見て私は大分おくれているように思います。特に、英国のモンデックスなどが本当にそれを実用化するような実験段階に入ってきているというのに対しまして、日本はこれはむしろこれからの問題になっております。  したがって、今の時点におきまして官の関与の問題云々をお話しするのは時期尚早でございまして、まずはこの電子決済方式、日本ではどんな形がいいのか、あるいはセキュリティーの問題がどうなるのか、いろんな課題がございます。それについての実験段階を経た上で、それじゃ民間主導でいくのか、政府一体どういう役割、私は、行政の立場からはセキュリティーの問題については負担をしてもらうのがよろしいのではないかと思っておりますけれども、今の時点ではもう少し実験を進めて、日本型の電子決済方式というのはどういうものがベターであるか、その辺の検討がまず第一ではなかろうかと考えております。
  37. 林芳正

    ○林芳正君 ありがとうございました。  以上で終わらせていただきます。
  38. 海野義孝

    海野義孝君 平成会海野でございます。  本日は、松田原田のお二人の参考人には、御多用中のところを早朝からお出ましいただきまして、私どものためにいろいろと御意見をいただくということは大変ありがたいことだと思っております。  時間が限られておりますので、お二人に順次お尋ねさせていただきますけれども、時間の関係から、ひとつ簡潔にポイントの御返事をいただければありがたいと思います。  順序が逆かと思いますけれども、最初に原田参考人にお聞きしたいと思います。  先ほどの二十分弱のスピーチの中で、最後の結びの段階で申されたこと、日本金融の再生ということに対して大変厳しい見方というか、国に対しましても、政府当局に対しましても大変な期待を持っていらっしゃるということは、裏腹から言えばもう待ったなしであるし、ただとにかく前進あるのみだというようにも受けとめられたわけであります。その結びの中で三項目のことを申されたわけでありまして、第一点は規制緩和ということ、それから第二点はグローバルスタンダード、第三点は高コスト構造の是正、この三つが、日本のそういう金融再生といいますか経済、産業等の活性化のためには重要なポイントであるということを結びの中で申されたわけであります。  その点についてまずお聞きしたいわけであります。まず、規制緩和ということに絡んで金融界の問題でありますけれども、ここ数年はいわゆる子会社方式によりまして銀行が証券会社を業務として経営できるとか、あるいは証券が信託銀行業務を行えるとか、そういうようにかなり相互乗り入れ的なそういったことが行われるようになったわけであります。戦後は一貫しましていわゆる銀行に新規参入したという例を私は余り知らないわけなのでありますけれども、具体的に戦後我が国で、昇格したとかそういうのは別ですけれども、都銀あるいは地銀、第二地銀等々で新規に大蔵省から認可を受けた金融機関があったかどうか、まずその点をひとつお聞きしたいと思います。
  39. 原田和明

    参考人原田和明君) ただいまの点につきましては、私も確たるチェックをしておりませんのでお答えが十分にできないわけでございますけれども、私の記憶では、多分新規に銀行が認められたというケースは、新しい破綻金融機関受け皿というふうなことを別にいたしますと、前向きの形でそのようなものはなかったのではないかと考えておりますけれども、十分なチェックをしておりませんので確たる御返答はできません。
  40. 海野義孝

    海野義孝君 実は、事前に御質問を差し上げてあるんですけれども、これはもう先ほどほとんどスピーチの中で申されましたので、私も悩みまして、それ以外の問題を今ここでお聞きしながら考えた質問を次々とこれから申し上げることをお許しいただきたいということなんです。  実は、そういった一つをとってみましても、原田先生のおっしゃるように、専門家が記憶がないということですから恐らくないんでしょう。としますと、我が国の大蔵省のこれまで行ってきた金融行政というものが、これはあくまでも検査・監督的なものはあっても新規にそういったものを認めないという、これは国際的なこういう時代においてまさに閉塞的な今日をもたらした一つの理由に私はなっているんじゃないかと思うんです。  それはそれとしまして、その規制緩和に関連しまして、いわゆる最近またジャパン・プレミアムというような問題が出てきているわけであります。これは大変な問題でして、実は一昨年ですか、一昨年から昨年にかけまして、いわゆる協和・安全信組の破綻の問題、あるいは昨年のいわゆる木津信、それから兵銀の破綻の問題等の時期におきましてこのジャパン・プレミアムというのが〇・五%ぐらい上がったということなんです。  考えてみたら、それは今超低金利政策によって金融機関が守られているということはあるにしましても、恐らくその利ざやというのは〇・二程度ですから、こういった中で〇・三とか〇・五というようなジャパン・プレミアムをつけたような資金を引っ張ってくるというようなことはそもそも全くおかしな話でありまして、それで日本金融機関が経営が成り立つということ自体が私はいささか疑問なわけであります。  そこで、お聞きしたいのは、原田先生ですけれども、ジャパン・プレミアム、ゼロの金融機関が現在日本に何行あるか、教えていただきたいと思います。
  41. 原田和明

    参考人原田和明君) 現状において何行ということは私もはっきり申し上げられませんけれども、恐らく大手都銀の上位行の数行についてはほとんどジャパン・プレミアムなしでいっていると思うわけでございます。  そもそもこういったジャパン・プレミアムというのが出てまいりましたのは、背景としては、既に私が冒頭で御報告いたしましたように、日本金融システムあるいは銀行のバランスシートにつきまして海外において信頼感が失われているという点にポイントがあるわけでございます。先生が今御指摘になった銀行、あるいは阪和銀行、兵庫銀行、そういったところが発表しておりました不良債権額は、実際に破綻をしました場合には数倍からさらに九倍、十倍というふうな大変な不良債権を持っていたということのために全く信頼感を失っておるわけでございます。  御承知のとおり、大蔵省の昨年の九月の時点におきます全国銀行の不良債権、不良貸し出しはラウンドで申しまして二十九兆円と言われておりまして、そのうち要処理額は七兆円という数字が出ているわけでございます。MOF検というのが実は金融機関に対しては相当厳しい査定をしておりますので、その意味でのMOF検自体は私は評価できると思うのでありますけれども、その後の二年以上のブランクの間に地価の下落等々が起こりまして、結果的にはそのような姿になっているのであろうというふうに思うのであります。  いずれにしても、こういった事例に対して反論するだけの具体的なデータが今のような完全開示が行われていない金融機関のバランスシートの面からは主張できない。したがって、私なども海外でいろいろ外人とやり合いますけれども、最終的には水かけ論になって、日本のディスクロージャーが進まない限りにおいてはとても日本の銀行を信用できないという意見があるわけでございます。こういったことが背景になってジャパン・プレミアムというのが現状生じているということだと思うわけであります。  その意味では、やはり基本は、日本金融機関バランスシートを全面的に開示いたしまして、そしてそれに基づいて日本金融の姿というものがあからさまになりまして初めて信頼関係が出てくる。そして、本当に純資産を下回るような、要するに赤字の生じているような金融機関については来年四月以降における早期是正措置、これは護送船団方式からMOFが大きく変わった姿勢でございますけれども、そういったものも厳しく適用しながら日本のシステム全体を健全なものに向けていくということが基本的に必要であろうと考えております。
  42. 海野義孝

    海野義孝君 どうもありがとうございました。  現在、国際的なそういう評価ができるとすれば、我が国金融機関としては都銀が一行、ニューヨークにDR方式で上場されているように私は記憶しております。これ一つをとってみても、国際的なそういう証券市場において日本金融機関が上場できないということ、これは意図的にしなかったのか、できるだけのそういった条件を備えていなかったのか等はわかりませんけれども、それに引きかえて、我が国の企業はソニーに始まって、あるいは本田等、世界に一流たる評価を受けている日本の民間の企業というのは相当ありまして、私が調べた範囲では、ジャパン・プレミアムが全然つかない、むしろおまけをつけてもいいというような日本の民間の企業が約三十社あるというふうに聞いております。  先生のおっしゃるこういった日本企業の再生ということであるならば、規制緩和としてこういう民間企業に金融業務をやらせてはどうか。そうしたら、むしろ預金者はそういった企業に対しての信頼があるでしょうし、国際的にも今のようにジャパン・プレミアムで痛めつけられるようなていたらくはないんじゃないか。これは時間の問題はありますけれども、私の一つのそういうアイデアなんですが、原田先生、その点はどのようにコ・メントしていただけますか。
  43. 原田和明

    参考人原田和明君) 今の先生のお話は、私はアメリカなどにおいてはむしろ当然の一つの考え方になっておると思うわけでございます。  ただ、銀行という形ではなくて、あるいはそれ自体はノンバンクということになろうかと思いますけれども、例えばアメリカの有名なGEなどをとりましても、GEファイナンス自体は大変な収益を上げまして、金融機関よりかはるかに実力を持っているというふうな姿もあるわけでございます。ですから、銀行自体をつくるということは法的にも現状においてはなかなか難しいと思うのでありますけれども、逆に産業界がそういった面に積極的に出てこられるということはフェアな競争を続ける上からもむしろ望ましいと、理念的には私はそのように考えます。  ただ、その場合に、新しいプロフェッショナルな金融マンをどのようにして集めるとかいろいろな問題と、それから法的な面からの難点も幾つかあるのではなかろうかと考えます。
  44. 海野義孝

    海野義孝君 時間が限られておりますので、今の問題については先生のお答えで一応とめておきますけれども、いわゆる純粋持ち株会社構想等が今後具体化するわけでありますから、そういったことを考えれば、すぐれた経営手腕と現在のそういった金融体制というか、そういったものを加えれば私の申し上げたようなことは実質的には可能ではないかと思います。  時間の関係でもう一点、さっきおっしゃった結論の部分の中のいわゆる高コスト構造の是正という問題について原田先生にお聞きしたいと思います。  これについては先ほど林先生の御質問に対してほとんどお答えがありましたけれども、一ドル百円以下でも十分に対抗できる日本の産業とそれから一ドル二百円でも競争がないという産業、これは先生はさっき製造業、非製造業とおっしゃいました。  私が最近大変いらいらしておりますのは、現在予算の審議を行っているわけでありまして、これがどういうように決着がつくかという点ではここへ来ていろいろとあるわけであります。そうした中で、既に新聞等においては消費税を二%引き上げた場合にこうなんだということで公共料金の引き上げということを既に発表めいたことをやっているということは、このこと一つをとっても我が国のいわゆる公益事業というか公共料金産業、こういったものの経営者が国際的に通用するようなそういうセンスを持っているかという点、私は疑問なわけです。  むしろここを、例えば消費税が上がっても公共料金は、いわゆるバブル崩壊後の民間企業の血の出るようなリストラから考えますれば、ここでそういった公共料金産業が値上げを便乗してというか、値上げをするというような考え方は私は許してならないと、このように思うんですけれども、原田先生のこの点についての御意見をお聞きしたいと思います。
  45. 原田和明

    参考人原田和明君) 私も今の先生の御意見に基本的には賛成でございます。  これはもう本当に規制業種と言われる全産業の四十数%の分野についてこれから温室から厳しい寒風の中にはうり出されるということをそれぞれの経営者も覚悟するべきでございますし、そういう意味では、金融機関を筆頭といたしまして公共事業である電力あるいはガス、そういったところにおいても本当に厳しい競争をこれからしていくべきでございます。  一方におきまして、最近では企業が発電を行う、そのコストは電力各社よりかはるかに安いというふうな動きも出てきておるわけであります。そういった公共分野においてもいわゆるプライスキャップ方式というふうなことを取り入れながら競争条件を入れまして、そして先生の今御指摘のような形でできる限り消費税率の引き上げに対してもそれを自己努力で吸収していくということが必要であると思います。その点では私も同感でございます。
  46. 海野義孝

    海野義孝君 それでは、もう一問だけ原田先生にお聞きしたいと思います。  ビッグバンに関してのことでありますけれども、金融とか外為あるいは株式市場の変動というものは、国際的あるいは国内的な情勢の両面から時々刻々と変化を続けているわけであります。それに加えまして、ここで我が国にとってみればまさに日本の戦後というか、戦前から含めてもいいかと思いますが、いわゆる近代経済金融史にまさにエポックとなるようなビッグバン、こういったことをこれから二十一世紀に向けて推進するわけでありますけれども、既にその影響はマーケットがシグナルを送っておるわけであります。こういったビッグバンによって資本の流出など一段と厳しい我が国の環境が考えられるわけであります。  そういった中で、先生は各市場、今申し上げた金融、為替あるいは株式市場について今後いかなるお見通しというか展望というものをお持ちになっていらっしゃるか、簡単にひとつお述べいただきたいと思います。
  47. 原田和明

    参考人原田和明君) 先ほど私が御報告申し上げた中でも若干触れたと思うのでございますけれども、これからビッグバンのまず第一の関門として外為法の改正の問題をブレークスルーしなければいけないわけであります。そのためには、グローバルスタンダードというのでしょうか、ニューヨーク、ロンドンと日本の条件を少なくとも同じ水準に持っていかなければいけない。  そういう意味で、具体的に申し上げれば有取税を廃止する、それから二〇%の金利についての源泉税も廃止せざるを得ない。そういたしますと、それによります税収減というのは多分四兆円を超えると思われるわけでありまして、その問題をそれではいかなる形で財政再建との絡みの中で補てんするかというふうなことも付随的には出てくるのではないかと思うわけであります。そして、証券界の手数料の引き下げというふうなことをやって、まず第一段階の関門をクリアしなければ二〇〇一年のビッグバン自体も成功がおぼつかないのではなかろうかと思うわけであります。  先生御指摘のような三つの、例えばニューヨーク、ロンドン、東京という市場について言えば、私はこういうことなしにはなかなか二十一世紀において世界の三大金融資本市場になるということは、言うはやすく行うはかたしであろうと思いますけれども、ともかくやるしかないというのが現状であろうかと思うわけであります。  そういう中で、日本の大きな特色、強みと申しますのは、既に申し上げましたとおり、千二百兆に及ぶ個人資産我が国は持っておるわけでございます。この金をいかに有効に使って国内の経済情勢あるいはインフラを整備していくかというふうな形での活用、あるいはそのお金を使うことによって新しい情報化に対する設備投資などが積極的に行われるとか、そういう点では東京市場が持っておりますこの千二百兆円という、今まで私どもが営々として積み重ねてきた貯蓄残高というものをフルに活用する視点から考えていけば、東京金融資本市場というものも明るい展望ができるのではなかろうかと思います。
  48. 海野義孝

    海野義孝君 大変残念ですが、時間の関係で原田先生についてはこれでとめさせていただきたいと思います。  次に、松田先生に御質問を、大変少ない時間になりまして恐縮でありますけれども、よろしくお願いします。  先ほど先生から大変詳細にわたってスピーチがありまして、これまた私が事前に御質問を差し上げておいたものについてはそれを丁寧にスピーチでお答えになっているので甚だ私も困っているわけでありますけれども、先ほどの原田先生のことと絡めてお聞きしたいと思います。  先ほどのお話で保険機構住管機構一体となって今いろいろ大変な問題に取り組んでいらっしゃるということであります。この詳細についても先ほどお話がありまして、私としましては、昨年、住専国会と言われたようにここで予算委員会等でさんざん審議をいたしましたけれども、当時の銀行局長は今既に海外に行っておられまして、隔世の感があります。そういった中で大変な仕事に今取り組んでいらっしゃるということでして、その御苦労に対して感謝申し上げるということであります。  御質問したい点は、実は先ほど原田先生からもお述べになりましたけれども、いわゆる我が国金融システムの安定化といいますか、信用秩序というものを常時磐石なものにしていかなくてはならないという問題であります。これに絡んで、一方では金融制度の改革、いわゆる日本版のビッグバンをやっていくということでして、これは原田先生もさっき冒頭のスピーチでおっしゃっていたように、容易ならざることになるというように思いまして、そういった点ではますますこれから保険機構の御苦労というのは私は大変じゃないかと、こういうふうに思うわけでございます。  そういった点で預金保険機構が、金融機関の破綻、こういったものに対する預金者保護という立場から現在業務を推進されているということであります。そうした中で、ここへ来まして、いわゆる預金というのは一体どの範囲までかというような、ひところというよりも、現在もありますけれども、いわゆる有価証券という問題、これの定義が日本の場合は大変あいまいであります。そのために日本ではデリバティブなんかはまさに賭博罪だなんと言われるような、国際的に見てかなり、一世紀とは言いませんけれども相当ずれ込んだ、そういう感覚というのがつい最近まで日本にあったんですけれども、そういう感覚も正し、さらには二十一世紀に向かって、そろそろ行くんじゃなくてジャンプしようということですから、大変な摩擦がこれからは起きてくると思います。  そうした中で、一つは、最近言われております預金者保護という面で、いわゆるペイオフですね、この範囲という問題に加えて、最近の金融債というものも預金に含めるというようなことについて、これは先生に御質問するというのはどうかなと思いますけれども、どういう考えをお持ちになっているか、もしこれが預金者保護のあれに加わってくるような場合ますます大変だという点について御意見をお聞きしたいと思います。
  49. 松田昇

    参考人松田昇君) 先ほどもお答えしたことと重なるかもしれません、恐縮でございますけれども。現在の預金保険法では金融債は明らかに預金保険の対象になっておりません。したがって、発行しております銀行も保険料は払っていただいておりません。  ただ、それはそうでありますけれども、私どもが考えております金融債の安全性は、すなわち発券銀行の安全性の確保に尽きることであろう、それによって安全性が保たれて、それによる信頼が高まっていくことが預金保険機構として最も望ましいものだ、このように考えているわけでございます。
  50. 海野義孝

    海野義孝君 じゃ、今のことに絡んでもう一問だけ申し上げますけれども、いわゆるそういった……(「もう時間ないよ」と呼ぶ者あり)ないですか。  それでは、大変恐縮ですけれども一問だけで終わらせていただきます。きょうは本当にありがとうございました。
  51. 山本正和

    山本正和君 まず、松田参考人にお尋ねしたいんですけれども、国民の間でいろいろ心配しておりますのは、預金保険機構ができた、これによってあれだけ議論された住専問題について国民が期待している方向でお取り組みがいただける、こういう期待があるわけですね。したがって、その中で、先ほど早口でお話しになったものですから、ちょっとその部分がわかりにくいので、いわゆる住専の抱えておる問題を現在どの程度回収して、しかもその回収の見通しはどうなんだということをまず冒頭お伺いしておきたいんですが。
  52. 松田昇

    参考人松田昇君) 先ほどは、時間の関係で早口になりまして、申しわけございませんでした。  住専管理機構が第一線で回収に当たるわけでございますけれども、それには大体十五年のスパンがございますので、処理計画というものを出していただいて、当局が承認をして回収にかかることになっております。その当時の基本方針は、一体となって強力かつ効率的な回収及び責任追及を行う、そのことによって国民負担を最小限にとどめるように最大限の努力を尽くそうというのが二つ機構の合い言葉でございます。  ただ、それは漠然とそういうことを言っただけでは困りますので、具体的な目標値として平成八年度、間もなく終わりますけれども、の回収目標値としましては二千七百四十三億円を設定いたしました。実際に回収が始まりましたのは、資産譲渡の資金決済が終わりましたのは昨年末ぎりぎりでございますので、一月からでございますが、十二月の途中で一斉回収のための督促状を住管機構で出しまして、その対応を見ながら回収にかかっているわけでございます。  中坊社長のイニシアチブで強力な回収を行っておりますけれども、初めての決算が今度の三月末でございまして、まだ正確な数字が出ておりません。ただ、強いて私の感覚で申しますと、当初破産申し立てをいたしましたけれども、末野興産隠匿財産のかなりの摘発等も当局はいたしておりますので、それを考えますと出足はまあまあかな、今後も両機構で力を合わせて二次ロスが少なくとも最小限度にとどまるように努力をしていきたいと、このように思っております。
  53. 山本正和

    山本正和君 ぜひひとつ住専問題については国民の期待にこたえて頑張っていただきたいと思います。  それで、原田参考人に今からお尋ねしたいんです。  我が国の経済、特に金融問題が議論されてから随分長くなるわけですが、特にその中でいわゆる金融界といいましょうか銀行といいましょうか、ここが本当にどれだけの自助努力をしているかということが盛んに議論されるわけですね。例えば、何かありますと、中央銀行の日銀総裁の給料は総理大臣よりもこんなに高いじゃないか、もっと言えば、例えば三和銀行の頭取はトヨタの社長と給料は果たしてどっちが高いんだとか、いろいろな議論があるわけですね。  それは別にいたしまして、これは前の本委員会でも議論があったんですが、我が国は国債を出してやるんですね、政府が。その金利が非常に高い金利があるわけですね。また安い金利もある。その当時は安かったかもしれませんね。しかし、それを法律上は、高い金利のものは返して新しく国債を発行して借りかえをすることが可能になったんです、現実問題。しかし、これをやりますと、一番打撃を受けるのは金融界だということでもってなかなかやり得ないという実態がある。  したがって、金融界そのものが自助努力をしなければ実際は我が国のものはできないんですけれども、銀行の中である程度これをやってもやり得る体力のある銀行もかなりあると私は思うんです。その部分が、仮に政府金融債を返してもらったと、もっと体力があれば有効利用できるわけですね。また、今何と〇・五%か〇・二五%しか預金の金利がないのが、政府の国債を一般の国民に仮に肩がわりさせれば少なくとも四%から七%の間の金利保証が国民にされるという問題があるんですけれども、この問題がなかなか議論できない最大の理由は金融界にあると、こう聞いているんですが、その辺の問題については原田参考人、どういうふうにお考えでございますか。
  54. 原田和明

    参考人原田和明君) 御指摘の点は、実際上、法的にはそれは可能なものだろうと私も考えております。  ただ、現状におきまして、金融機関自身が、私は実は金融機関のOBでございますが、客観的に見て、先ほど来規制業種という言い方をしておりましたけれども、金融界あるいは公共機関あるいは半ば公的な機関といったような規制業種における合理化、リストラ、そういったものがなお不十分であって、そのことがまた国際的に見ても極めて競争力のない状態をつくっているということ、これはもう事実であると思います。  金融界自身では、大幅な給与の削減とか、あるいは役員につきましては賞与をゼロにするとか、銀行によって異なるわけでございますけれども、今いろいろな努力をしておりますけれども、先ほど来申し上げたようなこのような新しいビッグバンをやる中においては、まだまだその点では一段の努力をする必要があるだろうと思っておるわけでございます。  そういう意味では、国債問題云々は、これはやはり護送船団的な考え方というのはいけないと思いますけれども、どこも一律にそれが可能という状態ではないわけであります。現状におきましては、そういった問題より、まずは各個別金融機関が持っております不良債権を早目に償却いたしまして、そしてバランスシートを健全なものにしていくということが第一義的に重要なのではないかと思うわけであります。その上で最大限のリストラをし、余力を持ったときに初めて先生が今おっしゃったようなことも検討に値するのではないか、優先順位からいたしますと私はそんなふうに考えております。
  55. 山本正和

    山本正和君 それでは、時間がありませんので、これは原田参考人金融界の大御所として要望だけしておきます。  私は、体力のない銀行にそれをやれということは無理だと思うんです。しかし、体力のある銀行は、それじゃ、せめて私のところだけでもまずやりましようということぐらいを議論していただかないと、国民にこれだけ大変な負担を強いる中で構造改革をやろう、財政改革をやろう、場合によってはリストラということまで言っておりますけれども、行政改革というのは出血を伴うんです。大変な数の人員整理を行う。例えば公共事業でも、五十五万社という社が公共事業にぶら下がっている。これを切りますと大変な失業者も出るわけです。  そういうものを含めてこたえていかなきゃいけないので、特に銀行の中のいわゆる優良銀行がまず率先して、我々も国の負担を少しは軽くしましようということをやっていただくようなことはぜひ話題にしていただきますようにお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  56. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 民主党新緑風会峰崎でございます。  時間がありませんので、直接質問をさせていただきたいと思いますが、最初に原田参考人、よろしくお願いします。  冒頭、今年度の予算に対しては失望されたという感想が述べられておりましたけれども、どの点について失望されましたか。
  57. 原田和明

    参考人原田和明君) それは、一般的に言われていると同じような状態でございまして、特に歳出面についての切り込みというものが不十分でございまして、その反面において増税はかなり大きかったというふうな点でございます。
  58. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 わかりました。  次に、金融空洞化の問題について質問したいと思います。  先ほど、ビッグバンの中で外為法の改正問題について、いわゆる有取税あるいは預金金利の源泉の問題について、これがやはり非常に大きな金融空洞化のネックになるんじゃないか、こういうふうにおっしゃられたわけですが、日本の今の金融業をごらんになっておられて、日本金融空洞化の最大の原因というのは、本当にこのような有取税とかあるいはいわゆる資産性所得に対する利子、それに対する課税問題が最大の空洞化の原因だというふうにお考えでしょうか。
  59. 原田和明

    参考人原田和明君) 金融の空洞化と申しますのは、結局、日本の中におけるユーザーの立場から見まして、使い勝手が悪い、あるいはコストが高いということによりまして資金が海外に流れるという動きでございます。  その意味では、現状においてもある程度のそういった動きはあるわけでありますけれども、これから外為法の改正というのが行われてまいりまして自由に外貨での運用も可能となってくれば、今までの姿が加速的に強まってくる可能性、私はそのまますべて起こると思っているわけではないんですが、可能性が強まるということだと思います。  ということは、少なくともニューヨークやロンドンなどと同じ条件のもとで取引ができなければ、ユーザーサイドはどこも自由に今度は選択することが可能なわけでございます。したがいまして、例えば証券の売買にしても東京市場でやっておりましたものがロンドンに移ってしまうというようなこともあるし、あるいは日本の大口預金者あるいは個人預金者が海外の銀行に、非居住者預金というような形をとりまして、二〇%の源泉税を払わないで済むような選択をする可能性もある。もちろん、形式的に言えばそれは総合課税として申告されるべきものでございますけれども、私は、現実にそういった法律が残って海外に資金が流れていった場合には、国民背番号制でも完全に実施されていない限りにおいては実際上はそのお金の捕捉は不可能であろうと思うわけであります。
  60. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 実はそのことも一つの条件かもしれませんが、もう一つ、今の金融業がこれから進めていくときに私どもが非常に注意しなければいけないのは、金融業を成り立たせる最大の問題というのはリスクテーキングの問題じゃないか。その点で、つまり現在の金融業が使い勝手がいいとか悪いとかおっしゃっていますが、一番最大の問題は、日本の護送船団方式のもとでそういうリスクテーキングを金融工学的な手法も含めてきちんとやれる人材が日本に育っていないんではないか。デリバティブの問題もそうでしょう。そういう意味で、そういう人材育成という問題が欠けているということの方が空洞化にとって大きいのではないかというふうに思うんですが、その点はいかがでございましょうか。
  61. 原田和明

    参考人原田和明君) おっしゃるとおりでございます。  日本金融機関は規模においては世界的に非常に大きかったわけでありますけれども、そういう今御指摘のデリバティブ等々の新しい専門分野については大変おくれたことは事実でございます。それは一つには、リスクテーク的なものはとらないで金融秩序を維持するという方に重点が置かれた結果であろうと思うわけであります。  今、日本金融機関は、私の仄聞する限りにおいては一生懸命そういうデリバティブのプロフェッショナルな人材の養成等々をやっておるわけでありますが、何せ現状におきましては欧米の金融機関に比べると、遺憾ながらそういう分野においてはかなりのおくれがあるということは事実でございます。これも私はそれが最大の理由だとは思いませんけれども、しかしながら幾つかの理由の中でかなり重要なファクターであると思っております。
  62. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 先ほど、いわゆる有取税、預金金利の源泉税の廃止で四兆円とおっしゃいました。私、四兆円の根拠は後でお聞きしたいと思うんですが、四兆円にとどまらないんじゃないかと思う。  と申しますのは、もしこれは預金金利に対する課税をしないということになりますと、資産性所得一般に実は連動してまいります。そうすると、いわゆる株式のキャピタルゲインの問題、あるいは今ございました土地の資産性所得の問題、こういった問題に全部関連してまいりますと、実は資産性所得全般がしり抜けになってしまう。そうすると、これは事実上、日本はタックスヘーブンどころかタックスパラダイスといいますか、そういう状態になっていくこと自身は、このことは四兆円という金額にとどまらない。  そうしますと、兆円単位で税を徴収する、あるいはレベニュー・ニュートラルでいくとした場合には、所得税で来るかあるいは法人税で来るかさらには消費税で来るしかないと思うんです。そういった点についての、大衆課税という形へと転嫁される危険性というものについてどうお考えになっているのかということについて、私も原田参考人にお聞きしたいと思います。  それと同時に、時間もありませんので松田参考人に一点お聞きしたいと思いますが、昨年、木津信用組合だけで、私どもの推計でいくと九六年度中に支出した責任準備金が五千百四十六億円、それから信組特別勘定で五千百九十四億円という金額で、合わせて一兆円を超えていると思います。  この預金保険機構の責任準備金以下総計をして、これから見通し得る、例えば現在うわさされていますマネーセンターバンクの金融機関がもし破綻をするということになった場合に、現在のそういう預金保険機構の収支で償えない、そのときに日銀が実はあるじゃないかということで日銀を調べてみますと、現在日銀勘定で我々がどう見ても出し得る範囲というのは三兆三千億円程度ではないかというふうに推測しております。  木津信用組合ですら一兆円を超えている。そうすると、もしマネーセンターバンクと言われているようなところが、一行、二行が破綻を起こすということになったときに、これは現在の日銀勘定の中だけで十分賄い得るんだろうか、財政資金投入問題等が当然また出てくる危険性はないだろうか。その点についての見通しをお聞きしたいと思います。
  63. 松田昇

    参考人松田昇君) 先生御指摘のとおり、木津信用組合で一兆円を超える支出をいたしました。その結果、現在の余裕金一般勘定で百四十億円ぐらい、特別勘定では五千億強を日本銀行から借りております。  ただ、これは木津信用組合の破綻をも視点に入れた上での特別保険料の設定とか一般保険料引き上げとか、そういうことをした財政の見通しのもとでやっておりまして、先生おっしゃいましたように、大規模銀行の将来がどうなるかということを今この時点でうかがうことはなかなか難しゅうございます。軽々に話をできることでもございません。そこで、我々の立場としては、とりあえずそういう資金計算の中で、仕組まれた範囲の中で預金保険機構の資金繰りを続けていくことが重要なことだと考えております。  なお、日本銀行につきましては二兆円の借り入れをできる枠を私ども持っておりますので、一時的な融通はそれによって賄っていきたい、かように考えております。
  64. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 原田参考人。簡潔に願います。
  65. 原田和明

    参考人原田和明君) 先ほど私は、預金利子源泉税についての部分と、それから有取税だけで約四兆円前後というふうに申し上げたわけでありますが、御指摘のような形でそれがいろいろな面に波及するという問題は検討する必要があるだろうと思うわけでございます。  いずれにしても、この外為法の改正という問題に絡みまして、私は大蔵行政当局はそれなりに十分な対応を講ずると思うわけでありますけれども、確かに御指摘のような問題が存在することは、私もそのように考えております。
  66. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 ありがとうございました。  終わります。
  67. 笠井亮

    笠井亮君 日本共産党笠井亮でございます。きょうは、お二人、どうもありがとうございます。  早速ですけれども、松田参考人から伺いたいと思います。  今ちょうどお話があった問題なんですけれども、破綻した木津信用組合、これを引き継いだ整理回収銀行に対して、預金保険機構が一兆円を超える贈与をしたということがありました。  その結果、いろいろお話はあったんですけれども、どうも私いま一つよくわからないんですが、預金保険機構の資金がどうなってしまうのか。いろいろ伺ったんですが、結局パンクしちやうんじゃないかということを本当に深刻な問題として感じたところなんです。  そこで、今後新たな破綻が起きた場合、これはなかなか予見が難しいというお話がありました。しかし、これはいつどこで何があるかわからないというよりも現実問題として問題になっていることでありますので、じゃ、実際に既に一兆円贈与したもとでの新たな破綻が起こったときにどうなさるのか、どう対応するのか、もう少しお話を例えればと思うんですが。
  68. 松田昇

    参考人松田昇君) 現在の当機構財政的な関係は先ほど来申し上げたとおりでありまして、特別勘定日本銀行の借り入れが五千億強ございます。一般勘定余裕金は百四十億程度でございます。しかし、なお私ども財政の基盤であります保険料収入が年間四千六百億ぐらい、これは将来預金残高によって変動いたしますけれども、そう見込んでおります。それと、仮に究極の難しい事態が生じたときには、日本銀行から一般勘定一兆円、特別勘定一兆円の借り出し枠もございます。  もともとの資金繰りの計画が過去四年間で起きた金融破綻の実績を、木津を含めまして、それを含めた上での保険料値上げになっておりますし、二年後には特別保険料の見直しの問題もございます。そういうものを全部ひっくるめまして、総合しまして運営をしていきたい、かように考えておるわけでございます。
  69. 笠井亮

    笠井亮君 もう一つ伺いたいんですけれども、大蔵省改革において金融破綻処理で今後大きな役割を担っていくとされている預金保険機構に対する監督機関が大蔵省に残ったということを伺っているわけですけれども、この問題についてどのようにお考えでいらっしゃるかどうか、伺いたいと思います。
  70. 松田昇

    参考人松田昇君) 現在、国会で御審議中のことでございまして、まして私どもは監督を受ける立場でございますから、どこの監督官庁がいいということはなかなか、そういうことを申し上げるのも失礼かとも思います。国会の審議を待ちまして、その成果を受けて一生懸命破綻処理に邁進したいと、このように思います。
  71. 笠井亮

    笠井亮君 それでは次に、原田参考人に伺います。  先ほど来日本版ビッグバンの問題が質疑で出されておりますが、私は規制緩和あるいは自由化の一辺倒でいいのかどうかという問題があるというふうに思うんですね。  例えば、問題になりました野村証券の総会屋への利益供与問題でありますけれども、あれはいわゆる違法な一任勘定を利用して特定の顧客に利益をつけかえるやり方で行われたということがあると思うんですが、ビッグバンでは資金運用分野での規制緩和を進めようとしていて、一任勘定取引緩和の方向で議論が進められていると聞いております。  日本のトップの証券会社がこのような不祥事を起こしているような状況のもとで、ビッグバンの問題については先ほど来いろいろあったと思うんです。そういう問題のもとで一層の規制緩和を図るビッグバンの目指している方向について、果たしてそれでいいのかどうかということがあると思うんですけれども、その問題に関して御意見をいただければと思います。
  72. 原田和明

    参考人原田和明君) どういう政策がベターかというのはいろいろな意見がございますけれども、要は、トータルとして日本にとってマイナス面とプラス面を考えた場合にどちらをとるべきかという判断の問題になるのではないかと思うわけであります。  そういう点から申しますと、先生今御指摘のように、一任勘定の問題にしても、緩和の方向に来ているときにたまたま問題が出てきたというふうに心配の種は尽きないわけであります。しかしながら、私は、今の時点で規制緩和を進めて、本当に世界の中でのグローバルスタンダードというものを日本が受け入れていかなければ、新しいグローバリゼーションという世界の枠組みの中で日本が発展していくことはできないという基本的な認識に立っておりますので、そういう点からいえば、非常に厳しい問題がいろいろある、心配すれば切りがないんだけれども、前向きで進むのが現状においてはベストの方向であるというふうに認識いたしております。
  73. 笠井亮

    笠井亮君 たまたまそういう問題が起こったということじゃなくて、今のそういうシステムの中で実際こういう問題が起こってそれが重大問題になっているということでありますので、前向きにという話、全体としてはおっしゃりたい御意見については私は理解をしたつもりなんですけれども、しかし実際に野村証券の問題でああいうことが起こった、いろんな問題がこの金融システムの問題あるいはピックバンをめぐって起こっている中で、そこを一つ一つきちっと検討し精査しながら、じゃ、全体としてどういうふうに前に向かっていくのかというふうになれば考えていく必要があるんじゃないかということを私は強く感じておりますので、そのことの御意見を申し上げて、終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  74. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 以上で参考人方々に対する質疑は終了いたしました。  参考人方々に一言御礼を申し上げます。本日は長時間にわたりまして貴重な御意見を賜りまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、ここに厚く御礼を申し上げます。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十八分休憩      ―――――・―――――    午後一時一分開会
  75. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  平成九年度一般会計予算平成九年度特別会計予算平成九年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  午後は財政・税制問題について参考人方々から御意見を承ることといたします。  この際、参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙中のところ当委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございました。  当委員会におきましては、目下、平成九年度総予算に関する審査を進めておりますが、本日は特に参考人方々から財政・税制問題について御意見を聞くことになった次第でございます。お二方には、どうぞよろしくお願いを申し上げます。  次に、議事の進め方について申し上げます。  まず、お一人二十分程度で御意見をお述べいただき、その後で委員の質疑にお答え願いたいと存じます。  この際、特に委員長から本日質疑をする委員方々にお願いを申し上げます。  それぞれの質疑の持ち時間は大変限られております。したがいまして、質疑、答弁等も持ち時間の範囲内で行われるよう御協力を願います。  それでは、まず石参考人からお願いいたします。石参考人
  76. 石弘光

    参考人(石弘光君) 御紹介いただきました石でございます。  きょうは時間も限られておりますので、今、日本経済、日本社会が当面いたします財政・税制に関します重要な問題から特に四点絞りまして、最初に問題を整理いたしたいと思います。細かい点につきましては後ほど御質問いただけると思いますので、そのときにお答えするという形で、最初は大まかなといいますか大きな流れにつきまして御説明をいたしたいと思います。  最初は財政運営に関してであります。  御承知のように、我が国財政赤字あるいは硬直的な財政構造というものは、端的に申しますと世界最悪ではないかと思います。特に財政赤字のフローあるいはストックで見ましたその状況は、昔からイタリアが最悪と言われていましたが、ある資料によりますとイタリアも超えるかという状況になっております。イタリアに対して大変失礼なわけでありますが、イタリアはこのごろ頑張っておりますから。それに対しまして、日本はEU統合といったような外圧がないこともあって、あるいはバブル崩壊後の不況の景気対策もあって、あっという間に財政赤字が膨らんでしまいました。  そういう意味で、単に増税というよりは、やはり財政構造の中身にまで入りまして構造改革をしようということで、この財政赤字削減をどうやってやるかというのが今一番の大きな問題ではなかろうかと、このように考えております。  端的に申しますと、欧米の諸国に比べましてこの財政赤字対策につきましては五、六年おくれておるのではないかと思います。そこで、この五、六年をこれからどうやって縮めるか、これが一番大きな課題になると思います。  先般、橋本内閣が財政構造改革五原則というものを出されました。私はこれを高く評価いたしたいと思っております。一つ一つとりましてもそれなりに重要なことを思い切って言われておりますし、これに即しまして、これからそれが文字どおり進めば私はかなり展望が開けてくる、このように考えております。  とりわけ、財政健全化の目標を、当初二〇〇五年というのを二年早めまして二〇〇三年にしたこと、それから二十一世紀までの三年間を集中改革期間といたしまして、各論にまで入りまして、めり張りをつけてこれから改革をしたいという姿勢が出ていること、こういう点は大いに評価されるべきではないかと、このように考えております。  実は一年ほど前から財政制度審議会でも財政構造改革特別部会というのを開きまして、かなり集中的にこの種の問題を取り上げてまいりました。その成果を時折公表してまいりましたが、今回の橋本内閣の財政構造改革五原則はまさに我々の考えでおります方向と一緒でございます。失礼かもしれませんが、私の予想したもの、あるいは期待した以上のものが今度は出てきたかなと考えております。その構造改革の意気込みにつきましては、これからの期待も含めて大いに評価をいたしたいと考えております。  さて、問題は、総論まではだれもうまくいくわけであります。どこの国もうまくいくわけであります。旗を掲げることは、それなりに難しい面はございますが、比較的易しい。問題は、これから中身をどうつけるかということだろうと思います。  財政構造改革は、総論賛成各論反対というように、まさにそういう性格の問題でございますので、これからどういう形でこれを進めるかというところが恐らく正念場になってこようかと思います。どこの国もまず最初に財政健全化目標を出します。大体二〇〇〇年ぐらいをターゲットにして、財政赤字の対GDP比率を三%にしたいとか、あるいはアメリカみたいに財政均衡法でゼロにしたいといったようなことを言うわけであります。そういうわけで、第一段階は終わったとして、今後我々がしなければいけないことは、これを制度的に具体的にどう進めるかという中身の問題であろうと思います。財政構造改革というのは、恐らく歳出を個別に見て減らしていくというのが第一歩でございましょう。そういう意味では、数量的に削減目標を出すということも言われておりますので、これをこれからどうやってくっつけていくかというあたりが大きな問題だろうと思います。  アメリカでは御存じのようにOBRAといったような、あるいはCAPSといったような言葉もございますように、個別の歳出の上にある削減の目標を立ててやっていこうという姿勢を示しておりまして、これはどこの国でも大なり小なりこういうことをやっております。これを今後具体的にどうめり張りをつけるか。特に八月の概算要求、いわゆるシーリングのときまでにどういう形でこれができ上がるかというのが最大の難関でもあるし、私どもから見まして最大の関心事ではないか、このように考えております。  財政構造改革は、行革も含めまして、当然のこと経済に対しては短期的にはプラスには作用しないと思います。幸いなことに、昨年の経済は先進国で一番高い三%台の半ばを超すような実質成長率が達成されましたし、景気がいいというアメリカでさえ二%台でありますから、私は経済の回復基調は底がたいと考えております。設備投資にいたしましてもそうでありますし、駆け込みということもございますが、住宅あるいは長期予報もそれなりに推移しておりますので、私は財政構造改革のデフレ効果は今の日本経済では十分に受けとめる素地があろうかと考えております。  そういう意味で、もう一段景気のために害うなれば公共事業を中心とした刺激政策を打てという声もないわけではありませんが、それは日本経済の関連におきましてはもう不要ではないかと思います。これが第一点でございます。第二点は、二点以下は税制に問題を絞りたいと思いますが、第一はこの四月から消費税率が三%から五%に上がります。これをどう考えたらいいかということだろうと思いますし、また所得税、住民税の特別減税も一応中止になります。私は、この二つの増税、まあ正確にいうと増税ではないのでありますが、過去三年間の言うなればパッケージとしてきました増減税一体処理の最終的左詰めといたしまして、この消費税率アップと特別減税の中止はやむを得ないし、当然やるべきであると、このように考えております。  一部で、消費税はやむを得ないけれども、消費税率アップのデフレ効果を打ち消すために特別減税を継続せよという声がないわけではありません。ただ、これは財源をどうするかというところで具体的なことを提案されていない。それから同時に、先ほど申し上げましたマクロの経済回復基調、景気回復基調から見ますと、この緊急性も随分薄れてきた。そういう意味で、今財政健全化の方がよりウエートを置いた、より重視されるべき目標ではないか、このように考えております。  そういう意味で、消費税率アップに絡む益税の問題であるとか、そういう問題がこれから一つ大きな問題になる。と同時に、軽減税率の要求であるとかあるいは逆進性をどうすべきかという問題を取り上げるべきではないかと考えております。  一九八九年に、欧州で言っております付加価値税、日本では消費税といったものが導入されてまいりました。まあ、不幸な生い立ちもあったわけでありますが、とりあえず導入した当時は、中小事業者への配慮も含めまして、国際的な面から見てかなり不備な点もあったと私は考えております。ただ、その後のたび重なるというか、一、二度ぐらいですか、今回も含めて数度と言った方がいいかもしれませんが、その不備を直すという意味において、端的に申しますと益税をなくそうということでございますが、私はかなりの成果があったと思っております。  例えば、この四月からは簡易課税制度の適用上限が四億円から二億円に下げられますし、みなし仕入れ率も六〇%から九〇%の四段階が五〇%から九〇%の五段階へときめ細かくなり、言うなればみなしによって受けてきた仕入れの幅が縮まるということでもございます。それから、限界控除制度もなくすという話でございますので、そこそこ益税的な、あるいは中小企業対策に対する特典の幅を抑えてきたという面に対しまして、私は消費税はそれなりに頑張ってきたと思います。  ただ、これですべてオーケーかといいますと、私は将来的にまだ二つ三つ直すべき点があろうかと思っておりまして、今後消費税という視点からこれを中心にやるべきだと思います。  二つございますが、一つが、三千万円の非課税水準はやはり高いと私は考えております。これはヨーロッパの水準でいいますと大体六百万円から七百万円ぐらいでありますから、言うなれば四、五倍の高さになっていると、そう言っても仕方がないと思います。それが一つでございますので、今後この非課税水準をどうするかという問題が恐らく問われてくると思いますし、家庭の主婦がどうしても免税点以下の業者に対して消費税を払っているといった不満もございますので、この辺が一つ問題です。  それからもう一つは、正式なインボイスをどういう形で入れるかという問題も当然将来の課題としてはあろうかと思います。今回、インボイスとは言っておりませんが、商取引に使いました書類の保管義務等々を課したということで、言うなればインボイスに一歩近づけたようなことも考えておりますが、ただ欧州流のインボイスに比べますとまだその認知の度合いは少ないと考えております。  そういう形で、私は将来の課題としてこういう二つの問題が残されると思います。  それから、しばしば要望がございます軽減税率につきましては、私は、まだ五%という、低いと言うと語弊があるかもしれませんが、先進国の中で一番低い、そういった消費税率のもとで二段階にするのは得策ではないと考えております。大体ほかの国は、十数%から二〇%の付加価値税率になって初めて五%ぐらいの軽減税率をつけるわけであります。その差が大きいときほど食料品等々の軽減税率に対する意味があるのでありまして、今五%と三%というふうな二段階にした軽減税率というのは、さまざまな手間、さまざまな納税コストを考えますと、これはやはり問題ではないかと考えております。  それから、逆進性の問題につきましては、そもそもが間接税でありますから、その背後にある所得の水準を加味した税制ではございませんので、恐らく所得水準の高低に見合った形で消費税負担といったら逆進性は避けて通れない。  私は、この解消策はトータルで見た税制の中で考える。つまり、逆進性の税が出てくればほかで累進性を確保する、それは資産課税であるかもしれないし所得課税かもしれない、あるいは歳出面でその面倒を見る、これは既に政府はやっておりますが、そういう配慮が実は重要でありまして、消費税につきましてはやはり広く薄くこれからのしかるべき高齢化社会に備えた財源を調達するという意味で、そういった性格をいろんなことを入れて消すべきではない、殺すべきではないと考えております。  それから、第三点目として法人税のことを少し述べさせていただきたいと思います。一九七〇年代以降、直間比率の見直しというのが日本の税制改革の大きなテーマでございまして、言うなれば、いかに課税ベースの広い間接税を導入し、所得税、住民税をスイッチするかという組み合わせが大きな問題であり、正直申しまして私は法人税の抜本的な検討はその後に回されてきたと思います。現在あります法人税法は昭和四十年、つまり一九六五年につくられたものでございまして、それ以降実は法人税の見直しをしていないということだろうと思います。この三十数年の間に日本の経済社会は大きく変わりました。また、日本の企業も国際的に大きく飛躍し、そういう意味では法人税制というのは一番グローバル化という視点から諸外国と比較の対象になり得る税だと思っております。  今一番経済界の中で不満が大きいのは法定の法人税率、つまり表面税率がドイツと並んで非常に高いということだと思います。今回の法人税改革も、実はその高い税率をどうするか、下げるべきである、こういう視点から出されてきたわけでございます。  一年ちょっと前から政府税制調査会の中で法人課税小委員会をつくりまして本格的な議論に着手いたしました。単に財政学者と言われる我々のみでなくて、商法なり企業会計なり、あるいは専門の会計士、税理士の方まで入れまして理論的、実務的に本格的なそういう議論を展開したと思います。確かに、表面的な税率は高いのでありますが、税負担というのは表面的な税率に課税ベースがかかったものでありますから、課税ベースの大きさが仮に狭いなら高い税率と組み合わせても税負担はそれほど大きくないかもしれない、そういう問題意識を持ちまして我々検討して、さまざまな議論を踏まえた結果、実は昨年報告書を出しました。  私は個人的に日本の法人税の課税ベースはやはり狭いと考えております。つまり、引当金とか各種準備金がある、あるいは資産の評価の問題、減価償却の問題等々がございます。そういう意味で、そういう限られたといいますか狭められた法人税課税ベースに高い税がかかるという形の問題は逆にすべきである。つまり、税率を下げて課税ベースを広げる、これが私は筋ではないかと思いますし、現に一九八〇年代にイギリスのサッチャーであるとかアメリカのレーガンであるとか、これからドイツが改革をすると言っておりますけれども、それらはすべて課税ベースを広くして税率を下げるという組み合わせをしているわけでありまして、それを避けて通るべきではないと考えております。  そういう意味で、これからもう一段税率引き下げの要求があり、ネット減税の要求があろうと思いますが、私はその前にぜひ法人の課税ベースを広げるべきであると、このように考えております。後ほどもっと詳しい点に御下問があればお答えいたしたいと思います。  残された時間でグローバル化された世界で金融、税制をどうするかという第四点に話を移したいと考えております。  御存じのように、外為法が自由化になりますし、金融のビッグバンも目前にしているわけであります。これは、単に金融の問題だけではなくて、税制の問題でも非常に大きな問題をはらんでおります。特に脱税、節税あるいはマネーロンダリングといったような点で、言うなれば俗に言われます利子配当とかそういった資本所得、事業所得もそうかもしれませんが、足の速い所得はまさに国境を越えて世界じゅう飛び回るわけであります。そういう点から見て、税の世界でもそれに対して捕捉を強め、課税の公平、課税の透明性の点からしかるべき措置をどうしてもするべきであろうと、このように考えております。  今までは、外為法に守られて情報が集まってきて、それなりに国境間の所得の流れ、金の流れをつかまえられた面もございますが、これがなければ既に外為を自由にした諸外国の例を踏まえてしかるべき措置を打つべきであろうと思います。私はいわゆる資料情報の制度をこれから完備して、双方の税務当局の手元に税に関する情報がしっかり集まるべきそういう体制がこれから不可欠であろうと、このように考えております。  そういう意味では二つの手段、一つは源泉徴収を課するということ、もう一つは納税者番号制度を本格的に入れようと。納税者番号制度はアメリカスタイルでありますし、源徴、源泉徴収はどちらかというと欧州のスタイルでございますが、納番がない国では当然のこと源泉徴収をかけざるを得ない、そういう面がございます。  日本はどちらかといいますと欧州型でやっているわけでありますが、今後恐らく納番の問題も出てこようかと思います。従来納番というのは国内の利子とかキャピタルゲインの税負担をどうしようかというときの大きな目玉的な発想であったのですが、これからは、今申しましたように、国際的にまで広がったそういった金融の流れをどこまでフォローするか、課税の公平あるいは透明性の点からぜひこれが重要であろうということだろうと思います。そういう意味で、ここでも今後新しい、また解決しなければならない問題が山積みになっているのではないかと思います。  時間がちょうど参りましたので、不備な点は後で御質問にお答えする形で私の見解を述べさせていただきます。(拍手)
  77. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ありがとうございました。  次に、芹生参考人にお願いいたします。芹生参考人
  78. 芹生琢也

    参考人芹生琢也君) 連合の芹生でございます。本日は参議院予算委員会において意見を述べる機会を与えていただきまして、ありがとうございます。私は税制に関しまして今連合が要求している幾つかの問題について意見を述べさせていただきます。  連合は、今回の消費税引き上げの前提条件といたしまして、第一に益税解消など消費税の改革、それから第二に総合課税、納税者番号制度の早期導入、さらには特別減税の継続実施を求めてまいりました。このうち、特別減税の問題につきましてはさきに本予算委員会の公聴会におきまして私どもの鷲尾事務局長が意見を申し上げさせていただいておりますので、私は税制の不公平を是正するという立場から、総合課税、納税者番号制の導入の問題とそれから消費税の改革について意見を申し上げたいと思います。  ただいま石先生から大きな問題というか大きな流れについてお話がございました。私が申し上げるのは非常に小さい面からの話になると思いますけれども、しかし勤労国民の立場からすれば非常に重要な問題と考えておりますので、よろしくお願いいたします。  まず初めに、税制の基本的なあり方について。私たち連合は、税制・財政に求められております社会的再分配の役割という観点から、累進税率を持つ所得課税を基本としつつ、所得、消費、資産課税のバランスのとれた税制を確立すべきであると考えております。  所得税が今日の基本税目になっている理由というのは、一つは納税者の租税負担能力に応じて税を納めるという税の応能負担の原理に適合していること、したがって税負担の公平の理念に最もよく適合していること、そして所得の再分配機能にすぐれていること、そういうことが理由と考えられます。しかし、我が国の税制では、利子配当所得や株式、土地など譲渡所得、いわゆる資産性所得が分離課税とされていることから、税の垂直的公平が損なわれているというふうに言わなければなりません。  例えば、預貯金の利子については、所得税一五%、住民税五%、合わせて二〇%の源泉一律分離課税となっております。これは、所得税の最低税率一〇%が適用される課税所得三百万円以下の人であっても、その預貯金の利子に対しては一五%の税率で所得税が徴収されるということでありますけれども、その差の五%分というのは本来払い過ぎの税金というふうに言うべきでありましょう。しかし、それを還付する制度というのはございません。一方、最高税率五〇%が適用される課税所得二千万円以上の人の場合、その利子所得に対しまして一五%の源泉徴収で納税完了というふうになります。  したがって、垂直的公平を確保するためには総合課税がぜひ必要だというふうに考えております。そして、こうした総合課税を厳格に実施しようとすれば納税者番号制度の導入というのがぜひ必要になるというふうに考えておるところでございます。  この納税者番号制度につきましては、政府の税制調査会におきまして一九七八年、昭和五十三年以来さまざまな角度から検討が行われております。一九八八年、昭和六十三年には納税者番号等検討小委員会も設置されまして、同年十二月と平成四年、一九九二年の二回にわたりまして報告も行われております。  八八年十二月の報告では、「納税者番号制度は、」「納税者の所得等を把握し適正・公平な課税を実現するためには有効な制度である」というふうに述べられております。さらに、一九九四年十一月の平成七年度税調答申では、納税者番号の目的、効果が三つの類型に整理されまして、それぞれについて具体的な仕組みのイメージ図も作成されております。したがって、私たち連合も、この税調の示しました納税者番号の類型のイメージ等について、これをもとに検討してまいりました。  政府税制調査会が示した三つの類型のうち、まず第一の類型は納税者番号を税務行政の機械化、効率化に利用するというものでございます。  現在でも税務署は大量の法定資料を住所、氏名によって名寄せそれからマッチングしておるわけですけれども、これは膨大な作業になっております。しかし、納税者番号を導入することによって番号によるコンピューター処理が可能になるということで、このような法定資料を大量にかつ正確迅速に処理することができるという目的、効果を期待するものが第一の類型でございます。  それから、第二の類型は、総合課税のために利用するというものでございます。  利子配当あるいは株式譲渡益などについて給与などの所得と合算して課税する総合課税の必要性についてはただいま既に申し上げたところですけれども、この総合課税のためには所得把握体制の整備が必要となります。そして、そのための法定資料も非常に膨大なものになります。それを効率的に整理、管理するためには納税者番号の導入が不可避だというふうに考えられます。  なお、総合課税とする場合、大蔵省では一般のサラリーマンでも原則として確定申告が必要になるというふうに言っているようですけれども、私たちは一定額以下の少額な利子配当あるいは株式譲渡益などについては現行どおり源泉分離課税というふうにすればそれほど膨大な申告数にはならないのではないかというふうに考えております。現に総合課税を基本としているアメリカなどでも少額の利子所得などは分離課税というふうにされているところであります。  第三の類型は、相続税など資産課税にもこの納税者番号制を利用するということでございます。  現在は、預貯金あるいは株式、不動産、貴金属などの相続が発生した時点で相続人が税務署に納税申告を行うということになっておりますけれども、これら資産保有についての資料というのはございません。そこで、金融機関、株式会社あるいは証券会社、さらには登記所などからこのような納税者番号を記載した資料というものを税務署に提出し、法定資料としてそのような納税申告書と照合を行えるようにするということが第三の類型というふうにされております。  私たち連合は、納税事務の合理化、効率化のためだけに納税者番号を利用するというようなことは想定しておりません。すべての所得に関して総合課税を実施するため、あるいは資産課税にも利用するため、これらの三類型すべてにわたって納税者番号を活用するということで課税をより公平にしていくべきだというふうに考えております。  諸外国でも納税者番号を取り入れている国はたくさんございます。番号の付与の方式によって幾つかのパターンに分かれると思いますけれども、アメリカ、カナダは社会保障あるいは社会保険番号を使用しているようでございます。それから、住民登録番号を利用しているのがスウェーデン、デンマークなど一般的に北欧方式というふうに呼ばれておるようです。それからもう一つ、イタリアとかオーストラリアでは税務当局が直接納税者に対して納税者番号を付与しているようでございます。  なお、フランスではこのような国民に対する国民ID番号というのがあるわけですけれども、これは税務には利用されておりません。そしてまた、ドイツやイギリスではこのような番号自体がございません。これはプライバシーに問題があるからというふうにされております。  我が国でも近年納税者番号の候補になるような番号というのはできております。その一つは、九七年一月から実施されている基礎年金番号でございます。もう一つは、二〇〇〇年からの導入を目指して準備が進められている住民基本台帳コードでございます。  基礎年金番号というのは、これは年金給付という受益を伴うので、番号としては国民に非常に受け入れられやすいという要素があるかと思いますけれども、しかし一面で、年金未加入者の問題、あるいは住所変更がある場合、それを把握するという点が難しいというふうな問題もございます。一方、住民基本台帳コードというのは、番号としてはより包括的で、自治省の研究会報告書でも納税者番号としても活用が可能というふうに報告しております。  納税者番号を導入していくためには、もちろんなお解明しなければならないいろんな問題点があります。  その一つは、プライバシーにかかわる問題でございます。  税務当局に集められた情報が外部に漏れたりあるいは税務以外の目的に利用されたりするということになれば、これは大変な問題であります。この点で、税務職員には、一般の公務員よりも重い守秘義務というのが公務員法のほか税法でも課せられているということでございます。また現在、個人情報保護法というのもあるわけですけれども、しかし今後、情報社会化が一層進展するという中では個人情報が今まで以上に収集、利用されるという社会的な現象も起こってくるというふうに思いますので、行政だけではなしに、現在野放しになっている民間も対象にしたプライバシー保護に関する法制度の整備というのはぜひ必要だというふうに考えます。  第二に、納税者番号の導入を進めようとすれば、さまざまなコストがこれは行政にも民間にもかかってきます。  税調でも行政コストについていろいろ試算されているようですけれども、納番制をどこまで利用するかということによってコストもいろいろ違ってくるというふうに言われております。税調では、初期費用としては一千数百億円、それから経常費用としては年間数百億円が見込まれるというふうに言われております。このほかに、金銭に換算できないようないわば手間暇に属するようなコストというのもたくさん出てくると思います。しかし、公平公正な税制を実現するためにはさまざまなコストが生じるというのはやむを得ないことだと思いますし、そのような必要なコストというのは互いに負担しなければならないのではないかというふうに考えております。  それから第三に、経済取引への影響の問題があります。  経済のストック化ということが言われる中で、投資の対象というのも非常に多様化しております。一部の分野だけ納税者番号によって把握しようとすれば、他の分野に大量の資金移動が生じるという可能性も指摘されております。したがって、納税者番号制度の対象となる取引の範囲というのはできる限り広くして、そうした資金シフトにも対応できるようにしていくことが必要かと思います。  それから、先ほど石先生もおっしゃいましたけれども、金融の国際化が進む中では、国内取引のみを対象とするのでなしに、海外への送金等についてもこの納税者番号制度による把握の対象とするということも必要になるかと思います。あわせて、税務執行の国際協力を一層推進するという必要があると思います。  納税者番号の意義について、ここでもう一度まとめておきたいと思います。  納税者番号を導入して総合課税を図れば確かに税収はふえます。例えば、中央大学の教授で元政府税調の特別委員をなさっておりました富岡幸雄先生が三年ほど前に試算されておりますけれども、利子について分離課税をやめて総合課税に変えた場合、所得税がどれほど増収になるかということで計算して、約二兆二千六百億円の増収になるというふうに発表されております。ところが、その後、公定歩合が〇・五%まで低下しているという事情もありまして、最近の低金利の状況のもとでどうかという点、これは税理士の村上晴男さんという方が同じような方法で計算して約半分の一兆一千二十六億円の増収というふうに発表されております。  しかし、総合課税、納税者番号制度の導入というのは本来税の増収を目的とするものではございません。課税の公平を実現するというのが目的でございまして、私たちもそういうことで主張しております。したがって、もしそれで税収が増大するのであるなら、その分当然所得税の減税というのを行うべきであろうというふうに考えております。  私たちがなぜそれほど公平にこだわるかと申しますと、我が国がこれから超高齢社会に向かう中で、福祉、社会保障の制度維持していくためには、もちろんいろいろな制度改革も必要となるでしょうけれども、いずれにしても国民負担増は避けられないというふうに考えております。その際、国民負担増を受け入れるかどうかということは、大きく言えば負担を求める政治の信頼性にかかわってくる問題だと思いますけれども、具体的には、一つはそれが福祉に使われるという目的の明確性、いま一つ負担の公平性にかかってくるというふうに思います。これが実現しなければ、国民はなかなか負担増に容易に応じないのではないでしょうか。  納税者番号制度の導入につきましては、さきに申しましたとおり、政府の税調で長らく検討されてきております。しかし、私たちの印象では検討ばかりが続くという感じで、なかなか具体的には前進がございません。  この一月に、政府税調が「これからの税制を考える」と題する問題提起を行われていますけれども、この中でも「税制に対する国民の信頼の基礎として税負担の「公平」が重要です。」というふうに述べられております。しかし、なぜか総合課税、納税者番号制については言及がされておりません。もともと、二十一世紀初頭を目途にその導入に向けた積極的な取り組みが行われるべきであるというのが税調の当初の指摘でありました。これはまた、九四年九月の与党三党合意の中にも二十一世紀初頭の導入ということが明記されております。  ここまで来れば、納税者番号制度の導入というのはもはや政治の決断の問題だというふうに言えます。国会で総合課税、納税者番号制度の導入の方向を決議していただき、それから政府みずからが国民合意形成に向けて積極的に取り組むということを切望いたします。  それから、税制改革のもう一つのテーマとして、消費税の改革について石先生もおっしゃいましたけれども、私も同じようなことになりますけれども申し上げたいというふうに思います。  消費税がこの四月以降三%から五%に引き上げられますけれども、現行の消費税というのは大きな欠陥を持っております。仕入れ税額控除方式のあり方、あるいはいわゆる中小特例制度にかかわって、消費者が支払った税金というのは全額国庫に入らない、事業者の手元に残るいわゆる益税問題、これが最大の欠陥の一つであります。  この点については、確かにこの間さまざまな是正も図られております。中小特例のうち限界控除制度というのはこの四月から廃止になります。また、簡易課税制度につきましても、四月からはその適用上限が四億円から二億円に下げられるなど是正が図られます。  しかし、免税点制度はそのまま残されます。石先生もおっしゃいましたけれども、ヨーロッパ諸国の免税点制度というのは六百万円か七百万円というふうにおっしゃったと思います。いずれにしても、我が国の三千万円というのはいささか高過ぎるというふうに思います。せめて一千万円程度にまでは引き下げるべきではないでしょうか。  また、仕入れ税額控除方式ですけれども、これもヨーロッパで採用されているようなインボイス方式とすべきであります。我が国独特の帳簿方式に、請求書、納品書等の書類の保存をつけ加えて日本的インボイス制度というふうに呼ぶのは余りにも安易だというふうに考えます。消費者が支払った消費税が確実に国庫に届くようにするためには、仕入れ税額控除方式についてはインボイス方式に改めるべきだというふうに考えます。これによって消費税をクリアな税制に改革していかなければなりません。  また、消費税の持つもう一つの欠陥、いわゆる逆進性が挙げられますけれども、これは低所得者ほど消費性向が高いために税の負担率が高くなるということからくるわけですけれども、この逆進性を緩和する手段として、例えば食料品初め生活必需品に対する軽減税率等も言われております。しかし、将来このような複数税率を適用するためにもインボイス方式にしておく必要があるというふうに思います。  私たちは、消費税を超高齢社会に対応していくための極めて重要な税目であるというふうに認識しております。それだけに、だれが見てもクリアな制度にしておかなければいけないというふうに考えております。今国民の消費税に対する嫌悪感もこうした消費税の欠陥に根差しているというふうに考えますので、これを正さないと我が国において消費税は高齢化時代の福祉を担う税になり切れないのではないかというふうに思います。  以上、私たち連合が今求めております税制改革の主な課題について意見を申し述べましたが、これとあわせて二兆円特別減税の継続を私たちは願っているわけです。衆議院段階では、野党の修正動議あるいは与党の三党合意がありましたけれども、どうか参議院の予算審議でもこうした経緯を踏まえ、国民の期待にこたえられるよう切望して、私の意見とさせていただきます。  どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)
  79. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ありがとうございました。  以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。それでは、これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  80. 保坂三蔵

    ○保坂三蔵君 自民党の保坂でございます。  きょうは、石教授並びに連合の芹生さん、大変御苦労さまでございました。また、大変傾聴に値する御教示をいただきまして、ありがとうございました。  早速、何点かお尋ねしてまいりたいと存じます。  特に、最初に石教授からお尋ねをしたいのでございますが、政府財政審また特別部会、仕切っていただき、大変御苦労を重ねていただいておりますことに、まず冒頭で感謝申し上げる次第でございます。  先ほど、いろいろお話を承ってまいりましたが、今度の橋本五原則に至るまでの経緯国民がどう見ているか。とにかく、九八年から三カ年というわずかの期間を集中改革期間として、二〇〇三年までに健全化をなし逐げる、そしてまた財政再建法の制定までして法的に強力な施行をしていく。そしてまた、これはその対象にするようなものは一切聖域なし、医療、年金そしてODAから防衛まで、公共工事も毎年五%ぐらいカットしていく。  国民がこういうのを見て、こんなに日本財政が、先生がおっしゃるとおり世界で一番悪くなってしまったのか。第二土光臨調の後、バブルも手伝って四、五年前までは日本財政運営の優等生じゃなかったのかと、こういうような幻想を持っていたわけです。  ところが、今ふたを開いてみたらこういう状況になっていた。六年にわたって七十兆もの、言ってみれば空前絶後の景気刺激策を発動してきて、しかし結果においてはどうであったか。一つだけ残ったのは国、地方合わせて四百七十六兆円の累積債務、国鉄まで入れると五百二十兆とも言われておりまして、これは国民一人当たり四百三十三万円、四人家族で一千七百三十二万円の借金を持つに至ったんだよと、こう言われますと、現実には今まで、はっきり申し上げまして政官財あるいは学界の中にも、財政赤字というのは一つの手段であって目的じゃないんだ、景気刺激策として積極的に甘受するべきというようなことの体質もあったんではないかと。  国民は、特に家計部門で金融資産が一千百兆もありますから、大丈夫だろうという見方がありますので、結局何ということはない、こんなことになってしまったのは政治家や大蔵省の役人などの責任で、国民には、無責任な言い方でありましょうが無関係と、こういう傾向があるように受けとめられる。ここがヨーロッパの列強と、全くその国民との違いではないかと私は思うのでございます。  しからば、財政現状をもう少し、少し整理して簡単に興記していただき、ここに至った責任というものを、あえて先生の御見解を問えばどういうところにあるんだろうか、お尋ねしたいと思います。
  81. 石弘光

    参考人(石弘光君) 今御指摘のような状況の赤字累積の責任はと言われますと、幾つか述べなきゃならないんですが、と同時にまた定説もないだろうと思います。  ただ、二つだけ強調させていただきたいと思います。  一つは、やはり財源の見通しなくして福祉の施設をつくったと。  これは昭和四十八年に福祉元年ということで公的年金、公的医療の制度をつくり上げた。あのときは右肩上がりの経済で、今後も財源的には問題ないだろうという形でスタートしたわけであります。確かに八〇年代はそれなりに切り抜けましたが、このバブル崩壊後に至って、また高齢化が目前に来て、医療の改革も今緊急の課題でございますし、年金も再計算のたびごとにいろんな問題が出てくるという形で、実は財源の面倒なくして言うなれば給付水準が自動的にふえるような制度がつくられてしまった。それはやはり経常的な赤字というものがそこにつき込まれたというのが一つ。これは長い目で見た責任論の一つ。  それからもう一つは、バブル崩壊後の、今おっしゃられました七十兆なんというのを短期間に集中的につき込んだこのやり方、これにつきましては学界でもあるいは経済界でも功罪半ばすることだと思っておりますが、それがなかったら日本経済はもうとてもじゃないけど二番景気底になって倒れていたという意見と、それほどまでしなくてもそこそこの景気で支えられた、それで借金だけが残ってしまったという、まあ言うなれば財政の景気刺激政策の弱体化を見ないでやみくもにつけたと、この辺の議論。  私は、どちらかといえばそっちの態度をとっているのでありますが、景気刺激の見境なくつけたということと、長期的に見て福祉といったようなものについて制度的な枠をつくってしまったと、恐らくこの二つが大きな問題。  したがって、これからやるべきことは、そういった構造的な体質をどう直していくかということだと思いますし、福祉に限らず、公共事業も教育もODAも等々、すべからく歳出構造の中に入り込んでおります言うなれば硬直的な部分を整理すると、これがこれからの課題であると考えております。
  82. 保坂三蔵

    ○保坂三蔵君 とにかく大変な、ルビコン川を渡ろうとしてしまっているわけですね。  そこで、当然国民の真の理解がなければこれは成就できない、こういうふうに思います。念のために伺いますが、橋本改革、もし不幸にしてこの六つの構造改革なども実現ができない、一方ではその財政の赤字はこのまま続けていく、そして政府の累積債務はふえる一方だと。こんなようなことは、言ってみれば、一昔前のアメリカの双子の赤字が出るとかいろいろ言われておりますが、財政破綻が起きてくるということを考えますと、国民生活にどのような具体的な影響が、もし今回のこの健全化改革が、健全化が失敗しますとどう国民生活に及ぶのか、その最悪のシミュレーションというのを先生にちょっと教えていただきたいのであります。
  83. 石弘光

    参考人(石弘光君) 最悪のシミュレーションは、実は幾つかの機関から既に出ております。例えば、経済企画庁であるとか大和総研であるとかあるいは通産省であるとか、さまざまな角度からやっておりますが、これは先の、要するに不確かな世界での議論でありますからどこまで信頼度が高いかわかりませんが、ただ、一つの我々に対する情報提供としては意味がある。  幾つか指標は出ておりますが、国民負担率、これは財政赤字も含めてだと今度の五原則の第五番目についております。これがほうっておくと七〇%になるだろうと。とてつもない数字になりますですね。それから、やはり双子の赤字が現実に起こるだろう。つまり、経常収支の赤字はいずれかなりの規模に上ってくるだろうし、その背後には、今高い貯蓄率が恐らく団塊の世代が退職するころから減り出しまして、俗に言うクラウディングアウトが起こり、金利が高どまりになる。その結果、投資が起こらない。その結果、低成長になるだろうと。いずれにいたしましても、低成長になり、最終的には国民生活を潤すべき個人の所得水準もかなりの程度減ってくるだろうと。幾つかミゼラブルな状況が描かれております。  まあ、その仮定のとり方いかんによってちょっと幅ができてくるのでありますが、端的に言いますと、そういった双子の赤字のもとで高い負担率、それは税金と社会保険料負担、それから将来返さなければいけない財政赤字、それを含めた意味での負担が大きくなると、こういう数字が出ておりまして、私はこのとおりいくとは思いませんけれども、ただ、安穏としていますとそういう危険があるということで絶えず気を引き締めていかなければいけないというふうに考えております。
  84. 保坂三蔵

    ○保坂三蔵君 全く最悪のミゼラブルな状態というのを考えたくないのでありますが、現実の数値はそういう方向を示していると、こういうことなんですね。  昨年のリヨン・サミットなどもコミュニケで、信頼できる財政健全化計画が結局は投資や成長及び雇用の創出に貢献すると、こう言い切っているわけです。これらを受けて、国会の論議あるいは国民世論を背景にしたと言いますけれども、財政審がまとめた白書、そして閣議決定、これを踏み越えたような一つのスピードと内容橋本五原則がこのたび明らかになった、こういうわけです。  先生はこれを高く評価されると、こういうお話なのでございますが、二〇〇三年まで二年前倒しにするというのは、これは言うはやすくして、毎年マイナスシーリングではなくて税収そのものを一般歳出でマイナスにしていくというような極めてドラスチックな方法を取り入れていくわけなんですが、この橋本五原則が、急にというわけではありませんがここで出てきたという時間的な経緯といいますか、先生、後ろから見ていて、横から見ていて、橋本総理の決断というのはどういうところにあったのでありましょうか。
  85. 石弘光

    参考人(石弘光君) いや、橋本さんの心境までうかがうことは知れませんが、ただ私は、サミットに出られたりあるいは各国の首脳と会われたとき、やはり政治家は泥をかぶっても構造改革をやっているという姿をごらんになったと思うんですよね。  私もここ一年ちょっとの間に八カ国ぐらい各国を回って、それで財政構造改革の姿あるいは財政赤字対策の姿を見てまいりましたが、異口同音に言うのは、やはり首相、大統領のリーダーシップだ、これなくしてこういうことはできないと。そういうことで、私も絶えずそういうことを言っておったのでありますが、恐らくトップダウンで強引とも言えるような手法でどこの国もそれなりのことをやっているわけですね。国民に対して全責任を持ってという姿を示すということが実は国民の支持を集める、結果的に見ると一番近い道であると。  そういう意味で、恐らく今回のことでかなりまた内閣支持率も私は上がるんじゃないかと思っておりますけれども、そういうふうに火だるまになってもという御決意は、そういった政治家として本当の責任を全うしたいという、そういう態度があらわれたのではないかと、このように考えております。
  86. 保坂三蔵

    ○保坂三蔵君 総理のお気持ちというのは推しはかるしかないわけですけれども、状況はよくわかるわけです。  教授は欧米の事情に非常に明るいと承っておりますが、今回、例えば先ほどもお話がありましたEUの場合は、統合という前提がある。これはもうタイムリミットでありますから、それぞれ各国が苦労しているさまは私たちは手にとるようにわかるわけであります。  それからまた、今度の財政再建法あるいは改革法でしょうか、これなども結局、会計制度の違いを乗り越えてアメリカの包括財政調整法、OBRAを取り入れてある、あるいはまたCAPSの方式をとる。こういうような、どちらかといいますと、今までの旧来の、グローバルスタンダードと言えばそれまででありましょうけれども、日本が今日まで例えばケインズ的な手法で景気不況を乗り切ってきたり、あるいはまた日本型の経済体制の中で乗り切ってきたり、こういう仕組みを全く変えた欧米のスタンダードというものがそのまま今度の五原則に入ってきているような気もしてならないわけでありますけれども、このあたりは欧米の教えと日本の今度の決断は直接的にどう関係あるのか、先生の今までのリードから教えていただきたいと思います。
  87. 石弘光

    参考人(石弘光君) 五原則の中身がこれからどういうふうに制度的に担保されるかという点が重要だと思いますが、恐らく欧米の直輸入で難しいのはその幅だと思いますね。  例えばカナダなんというのは五年間で日本一般歳出に当たるところを二二%カットしようといったすごいことをやるわけですね。ある項目によると七割近くも五年間にカットされる。これは全部外に出してしまう、民間の方に出すというようなことをやるわけであります。そういうわけでどこの国もかなり思い切ったことをやりますが、そういう激震的なものに日本財政構造なり政治的なあるいは国民の思考がどこまでついていけるかということになりますと、やはり少しその点を配慮した形のCAPSのかけ方なりOBRAの設定の仕方というのは恐らく出てくるんだろうと思います。  そういう意味で、外国でマイナスというとマイナス一〇%、一五%、別にあっても不思議はないんですが、日本のマイナスというと何か〇・何%程度のマイナスでありますから、その辺を従来よりは少し規模を大きくする必要はあろうかと思います。ただ、欧米流に一挙にドラスチックにいくというところまではいけないのではないか。それがまた日本的にいいのかもしれない、その辺が恐らく外国との違いになってこようかなという感じは持っております。
  88. 保坂三蔵

    ○保坂三蔵君 先生、ということは、例えばアメリカのように一気に財政収支均衡を図るというようなことをしないで、ある程度はストックにしろフローにしろ余裕を見ていくというような手法で、究極的にはプライマリーバランスをとっていくということなのか。それとも、そうじゃなくて財政赤字の弊害というものを徹底的にこの際明らかにして聖域なしに一気に持っていくというような、さっき申し上げたルビコン川を渡ろうとしているのか、このあたりが一つわからない。  それからもう一つは、世間には拙速だとか蛮勇という意見があるわけです。これは単なる族議員や何かの反発だけではなくて、見方によって今回のやり方が、確かに、総理としては、行革などを進めながら財政再建をやっていかなければ、健全化を目的にやっていかなければ日本は死んでしまう、そしてまた当然赤字そのものは子孫から盗んだ形になっているんだから将来へ不幸なものを残すわけにはいかない、こういうふうな見方が両論激突しているような状況があるわけですね。  それともう一つは、平穏無事にこれからいけばいいんですけれども、例えば金融でおかしくなってきたりなんかしていった場合に、一体本当にケインズを殺しちゃっていいのかということです。あるいはまた財投なども、出口の問題を解くのに入り口まで行くというような非常に総花的な方法を、今度は一気に具体的な手法で六月に再建法でまとめていくというのはかなりぎすぎすしたものが残りはしまいか、このあたり日本人的な紀憂でいいんでしょうか。ちょっと御見解を承りたいと思います。
  89. 石弘光

    参考人(石弘光君) 私は、従来以上にぎすぎすしたぐらいにやらないと恐らくうまくいかないんだろうとは思っております。そのぎすぎすの程度が欧米人と日本人では大分違いますので、議論の仕方一つをとりましても違いますから。恐らく日本経済も、私はさっき楽観的なことを申し上げましたが、やはり何が起こるかわからない、そういう意味では絶えずウォッチをしながらそこそこの手段をする必要はあろうと思います。  ただ、私はもうケインズ理論ではない、公共事業ではないと思っておりまして、やはり長い目で見れば効果が出ると思われます規制緩和なり市場の活力を利用してと。結果的には民間の力が出てこない限り、資本主義経済でありますからだめなわけであります。ですから、財政は民間に対するデフレ効果というのが結構大きい面もあろうかと思いますが、それに対して民間を活性化するような問題等を踏まえつつ、規制緩和が一番いいのでありますが、その組み合わせにおいてこれから慎重にやる。  ただ、鉄は熱いうちに打てですので、せっかくこれだけ盛り上がってきた財政構造改革なり行革という灯を消してはまずいだろう。私はそういう意味で、財投も含めまして、従来にはない程度の大幅な、大規模な、大胆なものを打ち出して、それが実現するかどうかはこれからの政治情勢であり国民の受けとめ方だと思いますが、とりあえず問うてみるべきだろうと思います。そういう意味では画期的な案が必要だろう。  ただ、それが先ほどちょっと申し上げましたが、欧米とのギャップがどこまで縮められた形でやるのか、恐らく超えるというのは難しいと思いますが、いずれにいたしましてもその辺の判断はこれからの具体的なでき上がりを見ていろんなことが言えようかと思っております。
  90. 保坂三蔵

    ○保坂三蔵君 芹生先生にもお尋ねしたいものですから、あと一問ぐらいお尋ねしますけれども、先ほど先生はこういう厳しい財政の健全化を図るには政治家のリーダーシップが非常に必要だと。全くごもっともだと存じます。  かつて中曽根先生は、行革とはグライダーのようなもので追い風がなければできないと言い切ったわけでありますけれども、さすれば土光さんが増税なき財政改革をおっしゃったように、例えばフランスは、今日の赤字はあすの増税だとか、ドイツは、今行動を起こさなければさらに失業率を高め、より高い租税負担と社会保障負担が続くことになり、将来を危機にさらすことになるとか、言い得て妙なキャッチフレーズをばんと出して、言ってみれば、政治家が場合によっては新幹線にも触れるでしょうし、あるいはウルグアイ・ラウンド対策費にも触れるでしょうし、国民の痛みを逆なでするようなことをむしろ強いてやっていかなければ現実にはこれは成就していかないというような厳しさを感ずるわけなんです。  先生が学者として政治家あるいは政党を見ながら、今回の財政構造改革の決め手になるような政治家のイニシアチブということになれば、何か御提言はこの際ございませんでしょうか。
  91. 石弘光

    参考人(石弘光君) 私は選挙に打って出るわけでもないので勝手なことを言えるのでありますが、やはり政治家の諸先生方にとっては次なる選挙、自分の選挙区等々が一番念頭にこようかと思います。  ただ、日本の場合には自分の選挙の利益誘導型のさまざまな施策がある、これはもう諸外国の例から見ると一目瞭然でありまして、そういう意味では地域エゴ、業界エゴ、さま、ざまなエゴが噴出してくることが今後も予想される。そういう中で、どれだけ国全体の益につながるかあるいは公の益につながるかという視点からそういうエゴ的なものを封じられるか、封じ込められるかというのが私は政治家の諸先生方に期待したいことでもあります。これは非常に難しいことであるとは思いますけれども、そういったグローバルな視点がぜひ必要ではないかなと考えております。これは勝手なお願いかもしれません。
  92. 保坂三蔵

    ○保坂三蔵君 ありがとうございました。  そのほか、一般政府の累積債務と同じぐらいの二百二十二兆円という地方の債務があります。こういうことを考えますと、地方行革も徹底して国と一緒に進めていかなければこれは当然成就しないと、こう思います。  一点具体的なケースで、痛みの中でお尋ねしたいのでありますが、大きなプロジェクトも全部聖域なしで見直していく、例えば五原則の中であらゆる長期計画についても大幅な縮減を行う、歳出を伴う新たな長期計画は作成しないとか、あるいは具体的に白書の中では、首都機能など大きな財政負担を強いる計画自体もしっかりと財政事情を踏んまえながら十分な論議を待つと明確にくぎを刺しているわけです。  私は東京出身の者だからというのでちょっと色をつけないで考えていただきたいのでありますけれども、こういう状況下で、十四兆もお金がかかるだろう、手をつけたら二十年かかるというような首都機能移転のようなものでも、これはもう当然聖域なしで考えるべきと先生はお思いでございましょうか。  このあたりも御参考の程度でお話をいただければ幸いでございます。
  93. 石弘光

    参考人(石弘光君) 首都機能移転に関しましては、財政制度審議会でもほぼ一貫して反対であります。私がこういう機会に出ていくときには我々の意見もまとめて代弁してこいというようなことを言っている人もおりまして、歳出を伴う新たな長期計画は作成しないという橋本五原則の第四番目にあるものには首都機能移転も入れるんだというようなことを言っている委員もおりましたので、御紹介いたしたいと思います。  私は、このような大きなプロジェクトのほかに、何本もあります五カ年計画、十カ年計画の公共投資の個別の道路だとか港湾等々も当然のこと見直しにのせるべきだし、六百三十兆も当然見直すべきだろうと思っております。地方は独自のいろいろなものをお持ちと思いますが、右肩上がりの惰性でやっている面もないことはないと思いますので、この際抜本的にその辺に改革のメスを入れるべきだと考えております。
  94. 保坂三蔵

    ○保坂三蔵君 石教授、済みません。いろいろ伺いたいことがありましたが、時間との競争で雑なお尋ねになりましたことをおわびいたします。  芹生さんにちょっとお尋ねしたいのでございますが、先ほどの話、また石教授との質疑を拝聴していただいたと思うわけでありますけれども、日本の大半の働く人たちの立場から行動し発言されてきた立場から、今のこういう日本の経済の状態あるいは財政の状態、これらが一つのターニングポイントに来ている、こういうことはいやが上でもお認めいただかなくてはならない、こう思うのでございます。  例えば、いただきました連合さんのパンフレットなどを見たり、あるいはまたいろんな各種の運動を拝見しておりましても、例えば納番のような新しい時代に対応された御提案でなるほど全くごもっともだと思う一方、例えば特別減税のように既にセットとして行われたものが、現状的には今度それを取りやめたならば増税じゃないかというような、私たちから見たらミスリードと思わざるを得ないようなそういう視点の施策がないわけではないわけであります。  確かに増税は国民には痛みだ、減税は国民にとっては幸せだと、これは端的な言い方ではありますけれども、それじゃ、財源はどこかという論議を今私たちはしているわけでございまして、このあたりからいって、多くの労働者の方々の指針となってナショナルセンターとして動く連合さんの今後の方向として、あくまでも特別減税は恒久減税の中に入れていくような視点で要求を続けていくおつもりなのか、それとも他の部分で納得することがあればこれはソフトランディングしてもいいのか。このあたり、お答えがいただけましたならば私に教えていただきたいと思います。
  95. 芹生琢也

    参考人芹生琢也君) 特別減税の問題につきましては、前に申しましたように、本予算委員会でも鷲尾の方からかなり詳しく述べたと思います。  私たちが特別減税を要求しております理由というのは、一つは今の勤労者の家計の状況でございます。現在の家計の状況からしまして、消費税あるいは特別減税あるいは今回の医療費の値上げ等々あります。一挙に九兆円もという負担になりますと、春季生活闘争を今やっている最中ですけれども、そこでことしも賃上げというのはそこそこ行うわけですが、そういう成果が結局全部国に持っていかれる。このままだとことしは可処分所得がマイナスになるというのはほぼ確実だというふうに思います。そうした状況がございますので、そういう負担増のソフトランディングという面からということでお願いしている。  それから、景気につきましては、先ほど石先生は非常に底がたい、大丈夫だとおっしゃいましたけれども、しかし国民所得の六〇%を占める個人消費が今後四月以降大きく冷え込むというのも確実だと思います。そういうことも含めましていろいろ特別減税を要求してまいったわけでございます。  今、先生おっしゃったように、我々はこれをどうするつもりかということで、これはもちろん私自身が直接答えるわけにはいきませんけれども、いずれにしてもこれまでの衆参両院におけるこの問題の議論ということになりましたら、恐らくその経緯に立ってこの予算の中でも経費の節減はさまざまできるであろうということで、何らかの実を上げたいというふうに実は考えております。もともと今回の予算がいわば財政構造再建元年の予算だというふうに提出されましたけれども、財政構造元年と言うには歳出の方の切り込みというのが不足しているんではないか。  一方、このように歳入面では大きな税収増が図られるということも含めまして、そういう予算の見直しの中から、当然赤字国債にその問題を転嫁しないでも、その見直しの中で減税というのが図れるんではないかという考えから要求してきたことでございますので、そういう点で我々の要求に対する御理解を何とぞよろしくお願いしたいと思います。
  96. 保坂三蔵

    ○保坂三蔵君 お話はよくわかりますが、先ほどもお話の中にありましたように、我々としては、大方のサラリーマンの生活を考えると、こういう超高齢の社会であるとか少子化の社会の中にあって負担の上昇というのはある程度は仕方ないものであろう、サービスをきちんと受けることによって納得はする。しかし、さすればその入り口になるところの課税の公平というのはもう徹頭徹尾やってもらいたい、こういうふうに拝聴したわけです。  私もかつてサラリーマンをやったことから見ましても実体験を持っているのでございますが、クロヨンだとかトーゴーサンピンだとか言われたような完全な所得の捕捉が皆さんの世界では起きている。こういう不公平なものに対しては確かにかなり改善はされてまいりましたけれども、今の状態ではどういうふうにまだお考えなのか、そのあたりもお尋ねをしたいと思います。
  97. 芹生琢也

    参考人芹生琢也君) いわゆるクロヨン問題でございますけれども、勤労者の場合は源泉徴収で一〇〇%所得が捕捉されておりますけれども、申告納税制の自営業者あるいは農家等々の間では所得の捕捉率に差があるということでございます。  どの程度差があるか、これはなかなか難しいわけですけれども、例えば先ほど御紹介いたしました中央大学の富岡先生が試算されておりますのはどういう計算かといいますと、国民所得統計とそれから税務統計に示された所得の比率でございます。この比率がいわゆる所得の捕捉率というふうに考えますと、例えばサラリーマンの場合はこれがほぼ一〇〇といたしますと、自営業者でほぼ六〇、それから農家ではほぼ三〇というのが統計上あらわれてくる。ただし、税務統計上の所得というのは、自営業者あるいは農家というのは課税所得以下の例が非常に多いのでこのとおりではないと思いますけれども、いずれにしても言われるような所得の捕捉率に差があるということは事実でございます。  確かに、我が国の所得税というのは、マクロ的に見れば諸外国と比べてそれほど高くはないということは言えるかもしれませんけれども、しかしこのようないわば税制の不公平というのがありますので、サラリーマンには非常に重税感というのがそれとの関係で強くなっているというふうに思います。  今回私たち、納税者番号制というのは、いわば自営業者とかあるいは農家の所得をそのままこのことで直接捕捉することはできないでありましょうけれども、しかし各種の資産の移動等の把握というのはできるわけですから、それを通じて間接的にもこのような不公平の是正にもつながるんではないかというふうに考えております。
  98. 保坂三蔵

    ○保坂三蔵君 おっしゃるとおり所得税は確かに私は安くないと思います。地方税を合わせれば六五%、こういうような状況からも所得税の税制構造もフラット化をすべきである、私はこう思うんです。一方では、フラット化をすれば総合課税は場合によってはする必要もなくなってくる、こういうような順番があるわけです。  今最後にお話がありました納税者番号の問題なのでございますけれども、確かに諸外国では、特にアメリカはもう導入しているし、それからフランスもID番号を入れているというお話もありました。社会保険庁は既にことしの一月から基礎年金番号も実施しておりますし、自治省も二〇〇〇年に向けて頑張っている、こういう背景があるわけです。  この問題を私たち自由民主党の税調にしましても全く阻害をしてきたわけではございませんで、現実に先ほど御説明がありましたコストの問題だとか、プライバシーの保護の問題だとか、あるいは資産税のシフトの問題だとか、そういう問題をいろいろやってきたわけですが、一つ世論調査をいたしますと、国民理解がまだ至っていないんですね。そういう土壌がある中で一体実施できるだろうかという踏み込むに踏み込めない状況もあるわけなんです。  したがいまして、私どもといたしましては、ごく直近の未来志向としては、この番号制、納番のみならず自治省のいわゆる住民基本台帳コードも含めて新しい時代の事務処理のありようを含めて、国際的な視野も入れてきちんと私はやっていくべきであろうと存じます。御意見は結構でございます。  ありがとうございました。
  99. 高橋令則

    ○高橋令則君 石参考人及び芹生参考人には、お忙しいところおいでをいただきまして、まことにありがとうございます。また、先ほどは大変参考になる御意見をちょうだいいたしまして、ありがとうございました。私は、平成会を代表いたしまして、お二人に御意見をお聞かせいただきたい、このように考えております。  まず最初に石先生ですね、財政構造改革、これは我が国が直面している財政の窮状からしてだれが考えても大変なことだ、手をつけなければいけない、何とかしなきゃいけない、これはもう共通の考えだと思うんですね。  しかしながら、それがどの程度国民一般に浸透しているかというと、かなりこれはいまだしてはないかな。しかも、自分に負担がかぶってくるということになりますと、もうなかなかこれはわかりにくい。私は、新税に賛成する人はいないという有名な話があるんですけれども、それはそれとしてもこの窮状を、財政の窮状に対する理解国民一般にもっと本当の意味で理解をしてもらうような努力をあらゆる面でしていかないとだめだろうと思うんです。逆に言えば、今までそれが不足していたと思うんです。  この辺のあり方というのは変ですけれども、それについてまず先生の御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  100. 石弘光

    参考人(石弘光君) 欧米を回りまして財政構造改革あるいは財政赤字対策について議論したときに、欧米の国というのはやはり国民生活とつながっていますよね。ということは、国民がそれに対して相当程度の理解を示し、だからこそ政治家がイニシアチブをとって訴えるというスタイルで、言うなれば政府国民一体化してこの問題を解決しようという素地が多くはあった。  それに比べて日本は、どうも財政赤字が大きくなったのは、いや政府が悪いとか大蔵省が悪いとか、大体おれは知らぬよというタイプの議論がどうしてもある。これは何かといいますと、私は特に財政当局が責任をすべてしょい込んだと思うし、政治家もまたしょい込んだかもしれない。情報の公開という意味ではかなり不備であった。これは私は、住専処理のところを見ればわかるように、当事者間でとりあえずけりをつければ何とかなる、それを後で国民に追認してもらうといったようなスタイルが恐らくないことはなかったのだと思います。  そこで、財政構造改革特別部会、我々の財政審では、今後は徹底的に情報公開しようということで白書を出しましたり、事あるたびにさまざまな形で情報提供した。これがここ一年間ぐらい急速に国民の間の理解を深めたのに役立ったとちょっと自負しておるわけでありますが、そういう意味でやはり過去のスタンスを国民的課題、国民的議論に、国民意見に呼びかけるというスタイル、これは不可欠だと思います。そういう意味で方向が今変わり、潮の流れも随分変わってきたというふうに考えております。
  101. 高橋令則

    ○高橋令則君 まさにおっしゃるとおりだと思います。  私も地方で予算を長く担当したことがありますけれども、議会とのやりとりを考えてみますと、ほとんどが歳出なんですね。歳入のやりとりというのはほとんどないというのが実態であります。財政の立場にいますと、もう歳出面で責められる一方だけなんですね。歳入についての議論がほとんどない。  先生の御本を拝見させていただきましたが、この中で先生は、我が国予算決定方式、決定過程についてお触れになっているくだりがあります。私も同感するものがありまして読んだのですが、今までの長い我が国財政の歴史からして欧米のようになるとはなかなか思い切れないんですけれども、これだけ財政が困ってきますと、いわゆる財政構造改革だというからには予算決定過程の仕組みといったものもあわせて考えなければいかぬのかなというふうな感じを先生の御本を見て思ったんですが、この辺についての御意見をお聞かせください。
  102. 石弘光

    参考人(石弘光君) 財政構造改革が難しい、あるいは財政赤字を思い切って削減できない、それは私は予算編成のプロセスにあると、こういう問題意識を持っております。これはいい悪いは別にいたしまして、外国はごく一部の閣僚が、あるいは一部の官僚が、日本で言う大蔵省原案をつくるまでは全部政府内部の仕事として処理します。したがって、日本みたいに最初からオープンにして、与党も野党も諸先生方で議論する、マスコミもやる等々というオープンプロセスでないがゆえに、また思い切った歳出のめり張りをつけられたり優先度をつけられるんだと思いますが、ただ私はその話を聞いて、確かにそれができれば財政構造改革も効率的にできるとは思いつつも、ちょっと日本は無理であろうなと思いました。  というのは、情報を公開するのが今の流れでありますし、規制緩和も流れでございますし、そういう意味では、オープンにした中でどうやってめり張りをつけて、言うなれば国民に痛みを伴うやり方でやるといったら、それは政治家の方々のリーダーシップで国民に訴えて、そして国民も私はそれなりの理解を持っていると思いますのでそれなりの判断をしてくれる、愚直ではありますがそういうことでやるほかないんだろうと。だから、一部のグループが権限を持って一刀両断的にやるのも、私はそれはできればいいとは思いますが、ちょっともうそれは無理で、かえってそうじゃない方の道を愚直ながらやるべきであるというふうに考えております。
  103. 高橋令則

    ○高橋令則君 非常に長い歴史があるものですから難しいということは私も実感をいたしますが、財政構造改革と言うからには、その前のプロセスもやはり改革していかなければいかぬのかなという気持ちを一方では痛切に持っている一人でございます。  次に、少し具体的なお話を承りたいと思うんですけれども、先ほど実は芹生さんの方から連合としての九年度予算に対する評価がございました。これはお聞きしようと思ったらお話がございましたので、私は芹生さんのお話はわかりました。  先生から財政構造改革推進の観点から、先生は財政審の特別部会長もされておりますので、ここに私も拝見して持っておりますが、この最終報告を出されたポイント、九年度予算に注文をつけられた部分が幾つかございます。これらから見て今回の九年度予算をどのように評価なさいますか。
  104. 石弘光

    参考人(石弘光君) 財政構造改革元年という形で華々しく打ち出した。従来の線上で言えば、それなりにいろいろ財政赤字も減らしたし、それなりにその規模も抑えたということで評価はできるんでしょうが、今我々が評価しなきゃいけないのは、これから見て、これからの基準なんですね。かなりなことをやってもらわなきゃいけないという視点から見て、元年ということについて満足がいくかとなると、かなりの人はどうも不満だということなんだと思います。  そういう意味で、橋本内閣に対する目はちょっと厳しかった。特にここに御関係の方がいたら失礼なんですが、整備新幹線みたいな形の一つ突出した政治的ないろんな駆け引きみたいなのが大きくなって、それが言うなればほかのいろんな形で努力したところももみ消してしまうような、そういう一つの事件があったというようなこともあって、全体に公共投資一つをとってもめり張りが足りないんじゃないか、歳出の切り込みが足りないんじゃないかというふうになってしまった。  私もそういう見方をしておりまして、第一歩としてはそれなりのことはした面もあるけれども、やはりこれからの新しい尺度から見ると不満が残るというのが率直なところでございます。
  105. 高橋令則

    ○高橋令則君 ちょっとくどくなる質問で恐縮なんですけれども、平成九年度当初予算をお出しになる前に八年度の補正をやったわけです。これは相当な規模でありまして、私どもは平成八年度の補正予算、もちろんこれは済んだことですからとやかくあれしようと言ってもしょうがないんですけれども、平成九年度の財政構造改革元年予算との極めて近接した時点ですね、予算内容を見ると、納得できるものもございますけれども、そうでないものも多々ある。  これは当然この財政構造改革元年予算と並行して編成された補正予算なわけです。平成八年度補正予算と関連して見た場合、今の石先生の評価はもうちょっと辛くなるのではないかなと思うんですが、この点をお聞かせいただきたいし、平成八年度補正予算と関連して九年度予算の評価をちょっと芹生さんからもお聞きをしたいと思います。
  106. 石弘光

    参考人(石弘光君) 私は、まさに御指摘のとおり大いに不満でありますので、この平成八年度補正予算が非常に平成九年度の当初予算と密な関係というか時期的にくっついていて、項目を見てみますと、またウルグアイ・ラウンドみたいなものを出しますけれども、そういうことで本当に補正として緊急性があるかどうかといいますと、掲記項目自体に問題がある。  そういう意味で、補正というのはバブル崩壊以降何回も何回もやって、今言った財政赤字をつくり出した元凶であると言われておりますが、その最後の惰性みたいなのがあったかなという印象がございまして、そういう意味では御指摘のとおり不満でございました。
  107. 芹生琢也

    参考人芹生琢也君) 高橋先生おっしゃいましたように、我々も平成九年度予算を評価する場合、それと時期を同じくしまして編成されました平成八年度補正予算、これについても当然注目をしてまいりました。  私は今ちょっと細かく記憶ございませんですけれども、恐らく一兆六千億円程度建設国債が発行されております。この建設国債の発行の仕方も決定の過程でいろいろ政治的な問題も言われました。  私思うに、今いわば建設国債、当然基本的には景気対策という観点、その他にももちろん社会資本整備という観点もありますけれども、そういう形で発行されたんだと思います。しかし、景気対策ということで同じ政策をとるならば、これは今現在、公共事業というのはいろいろな社会的な非効率、むだ等々が言われております。特にウルグアイ・ラウンドの問題につきましても、果たしてそれが本当に農民のためになっているのかどうか、いろいろ見直しが必要であるということも言われております。したがいまして、こういう公共事業ということに費やすならば、それは減税の方に使う、いわば減税を考えるという方が政策選択としてもあり得ることではないかということがございます。  したがいまして、平成九年度の予算に対しましても我々は特別減税の継続というふうに申したのは、このような予算編成のあり方全体についての見解も含めて、我々の要求の考え方を持っておるということでございます。
  108. 高橋令則

    ○高橋令則君 ありがとうございました。  今の特別減税二兆円廃止というんですか、継続しないという決断、これが平成九年度の歳入面のいわゆる九兆円の内訳で一つの大きな要素になっておるわけですけれども、先ほど石先生から、平成九年度予算の言うなればデフレ効果的なものは、現在の景況からしてそんなに心配することはないんではないかというふうなお話がございました。  私は、最近の設備投資の堅調な点、伸び等から見ての御判断かなと思うんですけれども、振り返ってみますと、現在の財政赤字のファクターというのはいろいろあるんですが、その中に、一九九〇年以降の累次にわたって行われたいわゆる景気低迷、公共投資の追加、そしてまたブレーキを踏む、またアクセルを踏むというふうなブレーキ・アンド・アクセルというふうな表現があります。そういうふうな当時の景気対策、これは財政金融と両方とられたわけですが、酷評すればさっきのような厳しい評価があるわけでして、そういった結果として、十八兆円というかいわゆる二十兆円に近い財政赤字がふえ、そしてまた公債増を招いたというファクターもあるわけですね。  今回も言うなれば、平成九年度予算歳入で九兆円というブレーキをだあんと踏んじゃうわけですね。財政出動とは言わないまでも、それをそれだけ踏んじゃうことによってこれがどうしても景気に影響を与えずにはいかないだろうなと。これがひいてはまた税収減というような形で逆に作用しないか。景気に対する心配とそれから税収減に対する心配、こういったものが過去の、何のことはない、つい最近の数年の事例から見ても、どうも我が国財政運営、それから金融を含めた運営については余り及第点をつけられないようなことがあったじゃないか。  そういう心配は、今回、構造改革という厳しい面がありますからそれとは違うんだということがあるかもしれませんが、その辺をも含めた先生の御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  109. 石弘光

    参考人(石弘光君) 先ほど申し上げましたように、消費税と特別減税打ち切りというのは、実は三年前からあるセット物でございまして、いわば減税先行、後で財源補てんという意味で、もう十六兆五千億円ぐらいの減税が既に行われた後の処理でございます。  そういう意味で、私は、まだまだ景気が先行きわからずどうしようもないといったときには、恐らく特別減税的なものの打ちどめについてはそれなりの意見があろうかと思いますが、これは私は随分減ってきたと思います、いっときに比べますと。というのは、昨年先ほど申し上げた三・六%の実質成長ができたとか、設備投資もやっと本格的になってきたとか、さまざまな要因があり、十分にそれぐらいのことは日本経済として抱えられるだろうという判断が大勢の方がしてきたんだろうと思います。それが一点で、言うなれば景気対策上これほどまでしなくてもいいだろうと。やはり財源の問題で、これ以上また財政赤字をふやすような形の特別減税を継続するのは問題ではないか。それを私は今の健全化目標との絡みで特に訴えたい。  ちょっと連合と意見違うんですけれども、財源は歳出面で見ればいいだろうという話、あるいは行革でなんという議論ございますが、これはとらぬタヌキの何とかで、どれだけ出るかわからないんですよね。だから、減税をはっきり言うなら、減税財源を僕は税収面から探してくるべきだと。それで、もしたまたま行革なり歳出カットで余分な財源ができたら、それは過去の借金の返済に回すべきでありまして、どうも今言った余り確定しないような財源で確定した減税をするというのはちょっと問題だというふうに私は考えております。
  110. 高橋令則

    ○高橋令則君 あえて先ほどお伺いしたんですけれども、芹生参考人に今の点についてお答えをいただきたいと思います。
  111. 芹生琢也

    参考人芹生琢也君) 景気に対する見通しも、石先生は非常に大家ですけれども、しかし、私ども生活者の実感としましては少し違う感じを持っているということでございます。  確かに、せんだって経企庁が発表されました九六年の経済成長率、非常に高目に出ておりますけれども、しかし、今後四月以降というのは恐らく景気というのが落ち込むことは私たちは確実だというふうに思っております。  確かに、この間、消費税引き上げ前の駆け込み需要等もございましたが、これがなくなるということ。それから、先ほど申しましたように、何よりもたくさんの国民負担というのが出てきますので、今の国民所得の非常に大きな部分、六割以上を占めております個人消費というのは冷え込まざるを得ないであろうということから、経済的な面につきましてもなお特別減税の必要性があるんではないかというふうに考えております。  それから、確かに私たちは減税財源について決して無責任な態度をとるということは言っておりません。今回の消費税引き上げにつきましても、一九九四年の税制改革以降の経緯も踏まえまして、またその九四年の特別減税実施のとき、私たちは財源について決して無責任な態度をとらないというふうに申してまいりました。しかし、それにつけても、今回の特別減税の廃止というのは国民生活に対する配慮がないのではないか、あるいは景気に対する判断も少し甘いのではないかというふうな感じを持っておりますので、特別減税の継続というのを要求しているところであります。
  112. 高橋令則

    ○高橋令則君 ありがとうございました。  ついこの間、財政構造改革五原則というのを改革会議でお出しになりました。私は読んでおりまして、先生が大変御苦労なさった、最終報告に通ずるところがたくさんありまして、かなり先生の御高見だなというふうに拝見をしたんですが、これで果たして先生がお考えになっていることがきちんと具現されるのかなという心配を抱いた面もあります。  それはなぜかといいますと、歳入増を来すのは、そのときそのときの金額を積むという以外に、それを招くいわば仕組みというんですか、根底のまさに構造があるんですね。その構造に触れた書き込みといったものは必ずしも十分ではないんではないかというふうな感じが幾つかの点でしたわけでございます。それを申し上げるのは私ではなく、それはぜひ先生に御指摘をいただきたいと思うんです。
  113. 石弘光

    参考人(石弘光君) 先ほど申し上げましたことと同じことになるかもしれませんが、この五原則はとりあえず旗印を鮮明にしたという意味で高く評価できます。  問題はこれを実行できる担保になる制度的改革にまで踏み込んでいない。これはこれからだと思うんですね。財政構造改革会議橋本首相みずからがリーダーシップをとって今議論されておりますが、これからやるべきことは個別の歳出について、CAPSと言われておりますが、上限をかけるようなのを具体的に出すべきです。例えば、Aというものはマイナス何%、Bというのはどうだ、Cというのはさはさりながら伸ばしてもいいんじゃないかといったようなめり張りのついたそういうものをつけないと、財政当局だけにこの原則を守れと言っても恐らく無理だと思います。  そういう意味では、ますます政治家の諸先生のリーダーシップあるいはまさにその判断が重要になってくると思っていますので、この後にある各論が私は勝負ではないかと、このように考えております。
  114. 高橋令則

    ○高橋令則君 私も、各論が大事で、しかもその各論も金額の量とか何かではなくて、やっぱり質の問題、それからそれを積み上げていく過程をきちんと直さないとだめだと思うんですね。そう思っているんですが、時間も過ぎてまいりましたのでちょっと別な角度からお尋ねをしたいんです。  国と地方の税源配分の問題、これは保坂委員もおっしゃっていましたけれども、国と地方財政は車の両輪だと、こういうふうに言われてきました。しかしながら、事実上地方の財源の七割は国依存であります。全く国依存の、自主性のない、先生は四割自治とお書きになっていますが、私は四割よりはもっと落ちるんじゃないかと、実感としてやってみてそう思うんですけれども、こういうことではどうにもならない。国の財源を地方に分与してやるという考え方ではどうにもならない。やはり税源から見直して配分をして、地方は地方でみずからの懐を痛めてみずから歳出を考えていくというふうな構造にしないと、国、地方を通ずる全体の財政というか、これは直っていかないというふうに思うんですが、その点についての先生のお考えをいただきたいと思います。
  115. 石弘光

    参考人(石弘光君) 橋本五原則の後に解説というか説明に基本的な姿勢というのがついておりますが、その十三項目めに地方財政のことが書いてございまして、最後に各地方団体は独自の自主的な財源調達の拡充をせいと書いてありますが、私は大賛成なんです。国も地方も今借金だらけでありまして、どちらかといいますと国の方が少し借金の程度が大きいのでありますが、やっぱり国に依存して地方が財源を調達するというスタイルではいつまでたっても地方自治はできませんので、補助金のルートをかなり大幅に見直し、自由に使える金にするというのが一点。やはり私は独自に自分で財源を見つけるべきだと思います。  それは、一つはやっぱり間接税だと思いますね。個別地方の消費税に関するところの間接税、つまり国が集めた消費税を一部譲り受けるというのではなくて、従来型の娯楽税的なものあるいは利用税的なもので別途新しい新税をつくるのもいいでしょうし、それから、問題はあるかもしれませんが、私は固定資産税を中心とした資産税というのはもうちょっと強化の余地があろうと思っています。そういう意味で、消費と資産に対してより重点を置いたような抜本的な税制の見直しというのがこれから不可欠であろうというふうに考えております。
  116. 高橋令則

    ○高橋令則君 時間ですからこれで終わりますが、私はそれと同時に徴税機構の問題があると思うんですね。いわゆる徴税費最小の原則というのがありますが、国と地方の税源配分をする場合になかなかこれが問題、コストが問題になります。私は国と地方が別々に徴税するという仕組みを何とか考えられないかというふうな感じがしている一人でございます。その辺についての今後の先生の御研究、御示唆を期待申し上げまして、終わります。
  117. 山本正和

    山本正和君 最初に、石先生にお伺いしたいんですが、先ほどのお話の中で、財政改革の中で補助金の問題に余りお触れにならなかった。私もずっといろいろ予算を審議しておりまして、特にバブル期に毎年多いときは七兆近い、六兆何千億という剰余を出した時代があるんですね。それを全部補正でずっと使ってきております。そういうものの背景はやっぱり補助金というものが大きく背後にある。さらには、これは別に財界ばかりじゃありませんが、労働界もあるいは農協等も全部含めて日本の国、要するに自分たちだけでもっていろいろと折衝し自助能力でもっていろんなものに対処するというよりも、我が国のずっと長い間のすべて政府に依存する、こういうところに非常に大きな問題があるように思えてならないんですね。  ですから、財政構造改革ということを言うときに最大の決め手は、そういう今までの私たちの国民性といいますか、その部分がありはせぬかと思うんですが、補助金の問題を含めてひとつ先生の御見解を賜りたいと思うんです。
  118. 石弘光

    参考人(石弘光君) 我々のやりました財政構造改革、白書で内容を御報告しましたけれども、そこの反省点は、今御指摘の地方との関係に深く立ち入らなかったということと財投に対して何か建設的なことを言えなかったと。つまり、やっぱり一般会計中心の財政構造改革なんです。これじゃだめなんです。国から地方に流れるパイプ、これは補助金と地方交付税の二つがございますが、それにも抜本的にメスを加えるべきだ。  特に補助金は、言うなれば地方が中央にぶら下がっているところの一つのルートでありますし、逆に言えば国が地方をコントロールするときのまたパイプでもございますので、私は精査してみると要らない補助金というのは随分多いと思うんです。一つは、私は、地方の側から見て要らなくなった、あるいは非効率な補助金というのがどれだけあるかというようなことを実は情報を出してもらうと一番いいと思うんです。ただ、これは難しいんですけれどもね。  そういう意味で、機関委任事務を地方分権推進委員会は精査していますように、補助金もできたら、全部とは言いませんが、問題のあるものは洗い出して、それを中央と地方に再度問いかけて本当に必要かどうかという議論をしないといけないと思っています。
  119. 山本正和

    山本正和君 補助金といっても、これもまた法律に基づく補助金、またそうじゃない補助金とあるわけです。  例えば、教育を一つ例にとると、「義務教育は、これを無償とする。」ということから国庫負担制度というものができている。これも補助金なんです。私学については、これはある主張でありますけれども、私立学校への補助金の支給は憲法違反であるという議論もあるんです。また、確かに憲法の条文から見ていくといろいろ問題がありますけれども、今やこの私学助成をやめろなんということを言ったら日本の国に革命が起こるぐらい私学に多く負担を向けているという問題があります。  そういう意味で、学者としての立場でございますから私が参考人に率直にひとつお聞きしたいと思いますのは、そういう今の補助金というもののあり方を解明していく議論の組み立て方、どこから切り込んでいくかということについての御見解がもしあればと思うんです。
  120. 石弘光

    参考人(石弘光君) いや難しい。教室でこういう質問が出ると困るんですけれども、法律とか省令とかに分けてやっている補助金の性格づけというのは僕は余り意味がないと思っているんです。法律だから重要で省令は重要でないというわけでも必ずしもない。最近、その辺の仕切りがいいかげんになってきています。例えば、国庫負担にしても五割しておりますが、これは昔はない時期もあったし、五割じゃなければいけないということも恐らくないんだと思います、いろんな視点から。  それから、私学助成についても、最近国立大学まで全部民営化しちゃえというような話がありまして、そうなると私学助成というのをもっとふやしてもらわないと国立大学はもっていかないかもしれませんし、そういう問題もあって、やはり私はポイントは官と民の守備範囲の見直したと思いますね、補助金は。  要するに、民間でも、公益なり国益なり、官が助成してやってもいいよという仕事、これは地方の場合はいっぱいありますけれども、国が全体でそういう事業を調整しなきゃいけない、あるいは奨励しなきゃいけない、あるいは守ってやらなきゃいけないというようなところの程度が、これは推計は難しいんですけれども、そこが多けりゃ多いほど補助金というのは私は正当化し得ると思います。  今単なる私有財産の保護みたいなものにまで補助金がかなりつぎ込まれているのは私は問題だと。そういう意味では、民間ができるものにまで補助金を渡すべきでないという、そういった官と民の仕切りの見直しをこれからしっかりやるべきだろうと思います。
  121. 山本正和

    山本正和君 実は私も生活協同組合の三重県の代表をやったことなどもありまして、いろいろやってきているんですけれども、農協にしても生協にしても、あるいは労働組合にしても、自分たちみずからでどういうふうにやっていくかということよりも、何かあると政府に要求していく。ですから、今おっしゃったいわゆる官と民の役割分担というのをきちっとしなきゃいけない。あるいは大学でも、もともと福沢諭吉さんなんという人はお金を国にくれなんて一銭も要求したことはないんです。同志社の新島襄さんでもそうですね。だから、そういうことも含めて、国民の中でもっと議論しなきゃいけない問題がたくさんあろうかと私は思うんです。ちょっとそれは私の後の感想です。  そこで、芹生参考人にちょっとお尋ねしたいんですけれども、やっぱり何ぼ言っても消費税に対する国民の反感はまだある。その原因として先ほど幾つかおっしゃいまして、その解消の一環として納税者番号制度があるんだと、こういう立場にお立ちになるのか、それとも納番制というものと消費税に対する国民の強いいら立ちというか反対の気持ち、そういうものとは結びつくのか結びつかないのか。納番制というものは、芹生参考人はこういう今の税制の矛盾の中でどういうふうにそこのところを判断しておられるのか、ちょっとその辺をお聞きしたいと思います。
  122. 芹生琢也

    参考人芹生琢也君) 納税者番号制と消費税の問題は直接的には結びつかないかと思いますけれども、ただ、消費税の逆進性の問題に関しまして、これは軽減税率とかいうふうな緩和策をとるよりは、負の所得税といいますか、そういう本当に必要な人に対しての給付ということで行うべきであるという議論がございます。  今回も、消費税引き上げに当たりまして、臨時福祉給付金ですか、そういうようなものも手当てされていると思います。しかし、本当の意味で負の消費税というのを導入しようとすれば、それぞれ所得がどういうふうになっているのかということを正確に把握しないと、本当に必要な人のところへ届くということにはまいらないと思います。そういう意味で納税者番号制というのは、そういう点からの消費税改革にはぜひ必要なものではないかというふうに考えます。  以上です。
  123. 山本正和

    山本正和君 それでは最後に、もう時間がございませんので芹生参考人にお願いだけして終わりたいと思うんですけれども、私はやっぱり、勤労者というか自分の体で働いて収入を得ている者はもっと税に関心を持たなきゃいけない、こう思うんですね。そういう意味で、連合が特別減税を要求されているお気持ちはよくわかるんですけれども、連合の組合員の皆さんの中に、税金とは何だ、どうなっているんだという議論が非常に少ないということが気になってならないんです。私自身もいろいろやりましたけれどもね。  ですから、その辺のことをひとつ、ぜひとも連合の傘下組合員の皆さんの中に本当の税制は何だという形での議論をしていただいて、それを堂々と政府にぶつけていただくという形での要求行動をしていただきますようお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  124. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 きょうは大変御苦労さまでございます。  時間もありませんので、早速質問させていただきたいと思いますが、最初に石先生にちょっとお尋ねしたいと思うんです。先ほど官と民の役割分担のお話をなさいましたが、最近日本でも注目されているNPOセクターといいますか、ノンプロフィットですね、これに対してある意味では市民セクターを通じて、その税をある意味では寄附金控除を中心にして進めていく、フィランソロピー税制、そういったことについて先生はどうお考えでしょうか。
  125. 石弘光

    参考人(石弘光君) この辺の分野は余り私はフォローもしておりませんし、分析もしておらないんですが、NPO的あるいはフィランソロピア的、あるいは市民の活力を使おうということで税を政策的に使うという面がやっぱり出てくるんだろうと思います。  つまり、寄附金等々について今の税制が不備であるという点の御指擢だろうと思いますが、その点も不公平税制みたいなことにならないということ、なっちゃいけないという何か過剰な議論もあるのかもしれませんけれども、その辺じっくり眺めて、恐らくNPO的な支援というものは民間活力という意味で重要だろうと思っております。
  126. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 次に、消費税の問題との絡みで、この間二回ばかり、四月一日から消費税上がるわけですが、必ず減税やって、それから消費税を上げていますよね。むしろ、減税超過の場合が多いわけであります。そうすると、これから消費税を上げるとき、必ずまた減税をやって消費税を上げていくというやり方をずっととっていくと、実質上、芹生さんのところの問題絡むんですが、所得税というのがずんずん小さくなっていく。  そうすると、ある意味では、いわゆる消費税というのを目的税化した方がかえっていいのではないかという議論が出てくると思うんです。これは目的税化ですね。すなわち、例えば福祉目的税とかあるいは年金目的税とか、そういう目的税化の論議についてどうお考えなのか、この点、石先生にお聞きしたいわけです。  特にもう一つ財政との絡みで言いますと、石油税制そのものがかなり道路財源になっているわけですが、この点についての切り込みなども含めてどのようにお考えか、お聞きしたいと思います。
  127. 石弘光

    参考人(石弘光君) 消費税を福祉税みたいにという議論はずっと長くあるわけですね。これは、消費税に対するアレルギーをとるという意味もございますが、ただ、目的税とか特定財源とかというその歳入と歳出のリンケージをつけるときの接点は、せいぜいガソリン税と道路ぐらいが精いっぱいのつながりで、消費税と福祉税になると随分差があって、私はこれは無理だと思いますね。無理と同時に、道路特定財源でわかりますように、どうしても硬直的になります。  そういう意味では、資源の配分を著しく損なら面もございますので、私は、目的税というのはある特定のごく限られた時間ならば認められると思いますが、もう道路整備については特定財源を取ってもいい、そのように考えております。したがって、今後福祉がますますふえる中で、福祉の目的税に消費税を充てるというのは弊害の方が多いような気がいたします。
  128. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 消費税に関してもう一点お聞きしたいと思うんですが、特に医療関係の方々にいわゆる非課税になったことに対する大変誤解みたいなものがございまして、非課税とゼロ税率ということについての区別が余りついていないんじゃないかと思うんです。  イギリスにはゼロ税率がございますが、石参考人、ゼロ税率を日本においても今後適用したらどうだという声がございますが、この点については税の立場からどのようにお考えでしょうか。
  129. 石弘光

    参考人(石弘光君) ゼロ税率は、国際的にも輸出品に対してのみ認められている税でございまして、恐らく食料品をゼロ税率にしているイギリスは例外中の例外だと考えております。ゼロ税率というのは、実は税制の中で矛盾しているんですね。税収を上げるためにつくった税制が、税収をゼロにしちゃうという話でありますから、そもそもおかしい。  ただ、輸出の場合には、相手国の消費者が払うという、言うなればデスティネーション・プリンシプルというのをやっているわけであります。それはそれで理屈があるんですが、恐らくゼロ税率を他の国内の財サービスに当てるというのは私は極力やめるべきであると。  ただ、非課税とゼロ税率の区別というのは非常に難しい。これはまた学生に説明してもなかなかわかってもらえないんですけれども、言うなれば、税はすっかり姿を消してしまう、売り上げにかかる税、仕入れにかかる税、全部消してしまうのがゼロ税率ですね。それはそれですっきりさせるためにはいいのでありますが、今申し上げたように、税を取らないような税制をいっぱいつくる、特に食料品みたいに非常に大きなものに対しては無理です。そういう意味では、私は、軽減税率が一番将来的には考え得る余地があるだろうと。  当面、非課税品もあり得るとは思いますが、これは、仕入れにかかった税というものを一〇〇%引けませんので部分的な修正ではございます。どうしても将来税率が高くなってそれなりに検討の余地があるかもしれませんが、どこの国も食料品あたりは軽減税率です。非課税品というのは入れていないという点も、そういう税制上のいろんな配慮があるんだと思います。
  130. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 ありがとうございました。  石先生とそれから芹生さんに、時間がないので二問続けて質問させていただきたいんです。実は、先ほど午前中の議論の中で、グローバル化の金融税制の問題で、ビッグバンが起きる、そうすると、有価証券取引税あるいはいわゆる資産性所得の利子の源泉徴収の二〇%の課税、これをなくさないと実は日本金融は空洞化してしまうと、こういう話だったわけです。  しかし、先ほどの石先生の話だと、それはちゃんとつかまなきゃいけない、こうおつしゃつているんです。私もそれに賛成なんですが、ここら辺はぜひ諸外国の例なども挙げて、その点はきちっと国民に向かって、これがあると全部税金が空洞化しちゃいますよという議論についての誤解はぜひ解いていただきたいと思うんですが、この点はいかが考えておられるか。  それから、芹生さんにお伺いしますが、お聞きしていると、現行所得税というのは、確かにシャウプのときの税制の理念でいけば非常に私も理想的ないい税だと思うんです。クロヨンとか資産性所得に対する問題は非常に現行所得税で問題だと思うんですが、それ以外に、私は、現行所得税の課税ベースが著しく今侵害されていると思います。  とりわけ、勤労性関係の中でよく言われている、女性の方々の配偶者特別控除とか、そういったさまざまな所得控除が非常にきいて、現行四人世帯で三百数十万円まで税がかからないですね。こういう事実に対して、一体連合の皆さん方はどう考えておられるのか。あるいは所得税の中にも、これは所得税と言っていいのかどうかわかりませんが、退職金課税とかあるいは年金課税といったようなところにも実はメスを入れなきゃいけない問題があると思うんですが、この点は連合としてどのようにお考えになっているか、お聞きしたいと思います。
  131. 石弘光

    参考人(石弘光君) 簡単に申し上げます。  有取税に関しましては、将来、株式等の譲渡益課税の総合課税等々とも絡めて恐らく議論をし、その廃止の方向というのはあり得ると思います。それから、第二点の、利子の源泉課税でありますが、これはどこの国も実は源泉課税でやっているんですね。ただ、非居住者に対する取り扱い方がおのおの違ったりとかします。したがって、課税の公平、透明性からいうと、実は、資料、情報をしっかりして納番で各国がやるのが一番理想なんですが、納番が入らない場合にはしょうがありませんから、源泉をやはり続けるべきであろう。そうしないと、大変にマネーロンダリングとか不公平が出てくると思います。
  132. 芹生琢也

    参考人芹生琢也君) 簡単にお答えいたします。  所得税の課税ベースの話でありますけれども、日本の課税ベースというか所得税の課税最低限は諸外国に比べて低いという指摘がございます。確かに、直接数字だけを比べれば低いということになっておりますけれども、しかし国民所得あるいは勤労者所得との比率で考えますと必ずしもそうでないということもございますので、一律になかなか言えない面があると思います。  ただ、先生今おっしゃったように、配偶者特別控除、これなどは男女の位置づけの問題とか等々で非常に問題がある控除だと思いますし、それから退職金、年金、このあたり、これは私の個人的見解になると思いますけれども、税の水平的公平という点から考えまして、そして特に退職金については、今後例えば労働移動ということがかなりいわば不可避であるとするならば、退職金の今の制度のあり方の見直しも必要になると思います。そういう意味でいって見直しが必要かと思いますけれども、これはあくまでも個人的見解ということでございます。
  133. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 ありがとうございました。
  134. 有働正治

    有働正治君 本日はありがとうございます。  両参考人に、同じ問題でまず御質問させていただきます。  今回の消費税率引き上げの問題について国民の皆さんの批判というのは非常に厳しいものがあると私は考えます。中日新聞の世論調査では約八四%が反対という最近の世論調査であります。また、国会にも増税中止を求めて一千万人を超える請願が寄せられているわけであります。こういう厳しい批判、私は当然の声だと思うわけでありますが、この点についての両参考人の受けとめ方、端的にお示しいただければと思います。
  135. 石弘光

    参考人(石弘光君) ヨーロッパあるいは近代国家を見ましても、福祉国家というものを標倍した以上、この付加価値税に当たります消費税なくしてその実現は私は不可能だと思います。  それで、今後この税はますます重要になる。そういう意味では、国民の皆さんの理解を深める意味で、極力その税の性格なりあるいはその必要性なりを政治家の方々が率先して訴えて、その意味、内容理解してもらうしか方法はない。何か今のところ腰が引けているようなところがないわけではないのでありまして、それはこれからの仕事、我々の仕事であろうとも思います。
  136. 芹生琢也

    参考人芹生琢也君) 先生の御質問は、今回の引き上げに関してだと思います。  消費税全体につきましては、私申しましたように、これは今後の高齢社会の財源というのをどうしていくかということで考慮すべき一つだとは認識しておりますけれども、しかしさまざまな消費税についての欠陥がございますので、そのままというふうにはなかなかいかないであろうと。  それから、今回の消費税の引き上げということにつきましては、連合といたしましては、前回の九四年の税制改革の経緯等がございますので、我々もそのときに、減税財源については無責任な立場をとらないというふうに確かに申してまいりました。しかしながら、そのままの形で消費税の引き上げというのを容認するのではなしに、ただいま申しましたような消費税の改革とか、それから納税者番号制度への前進、あるいは特別減税の継続というふうなことをあわせて御検討いただきたいというふうに申してまいりましたので、その関係でいえば、先生と同じ立場かどうかは別にいたしまして、そういう条件が満たされるかどうかというのが私たちの消費税に対する判断の最終的には結論になるということでございます。
  137. 有働正治

    有働正治君 両参考人とも、現時点では国民の世論の支持を得ていないという意味を言外に含めた御発言だと私は解しました。(発言する者あり)いや、それは明確に支持を得るために云々と。  もう一点、政治家の問題をおっしゃられました。政治家に対する不信というのは非常に強いわけであります。それは、国民に対する公約を守るべきだという問題が一つございます。  例えば総選挙の場合、四月からの五%への税率引き上げに反対したり凍結、延期など異論を唱えて当選した衆議院議員五百人中三百六十人と、およそ七割なんです。こういう公約に対して守らない、これに対して国民の批判が非常に厳しいものがあるわけですけれども、国民の一人としても、この公約を守るべしという国民の声、これについてどう思われるか。私の質問に端的にお答えいただきたい。これは両人に対してです。  それから石参考人に対して、先ほど公共事業削減の問題をおっしゃられました。私は、あわせて軍事費も大いにメスを入れるべきと。この十年来、サミット参加国、およそ七割、八割水準まで引き下がって、つまり二、三割の軍事費が削られている。そういう点からいって、先ほどの財政再建、経費削減の基本的考え方というのはほかに比して努力目標的に弱いのではないか。これについて石参考人のお考え。  また、もう一点、石参考人に。近い将来は法人税率の引き下げ等々が考慮されると、二けた消費税率引き上げに、今のままだと、あるいは今の政府の態度で余り経費節減にメスが入れられないとなると、二けた増税は避けられないのじゃないかと思います。加藤会長は十数%と言っておられたことがあります。この見通しあたりはいかがでございましょうか。
  138. 石弘光

    参考人(石弘光君) 私は、見方はいろいろあろうと思いますが、消費税は定着し、国民の支持を受けていると思っております。というのは、この間の総選挙の結果を見ましても、あれでやめろという層は確かに一千万人等々ございますけれども、国民の総意としてはそうなっていないというふうに理解しております。  それから、軍事費に関しましては、確かに冷戦の機運もございまして、今までどおりどんどんふやすことはないかとは思いますが、さはさりながら、国を守るということは国の最大の任務でございまして、言うなれば、経費削減の中でのやりくりというのはあろうかと思いますが、基本的にべーシックなところの軍事というのは日本ほど国力ができた国では当然の責務としてあろうかと思います。  それから、消費税率、恐らくこれから高齢化が進み、あるいは法人税等の絡み、ネット減税の絡みとかさまざまなことがあり、近代国家をごらんのように、もう一けたなんというのは日本とカナダだけでありまして、いずれは、いっかわかりません、二けたになるやむを得ない事態も来ようかと思っております。だからこそ国民負担率が五〇%になると言っているわけであります。
  139. 芹生琢也

    参考人芹生琢也君) 先生、一般論として御質問でしたので、一般論として公約を守るというのは、これは当然のことだと思います。
  140. 有働正治

    有働正治君 終わります。
  141. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 以上で参考人方々に対する質疑は終了いたしました。  参考人方々に一言御礼を申し上げます。  本日は長時間にわたりまして貴重な御意見を賜りまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、ここに厚く御礼を申し上げます。(拍手)
  142. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) この際、御報告いたします。  予算の執行状況に関する調査のうち、オレンジ共済組合問題について、去る二十一日、本委員会証人として出頭を求めました株式会社託正代表齋藤衛君につきましては、同日、同人から体調が悪く出頭することができない旨、診断書を添えて許可を求められ、その取り扱いを理事会において協議してまいりました。  理事会における協議の結果、齋藤衛君に対する証人としての尋問は、その期日を来る三月二十六日午後一時に変更することで合意がなされました。  お諮りいたします。  齋藤衛君の出頭期日につきましては、理事会協議のとおり、三月二十六日午後一時に変更することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  143. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  明日は午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時五分散会      ―――――・―――――    〔参照〕    証人友部達夫議院外証言速記録  日時 平成九年三月二十一日(金曜日)  場所 東京都千代田区霞が関二-一-一 警視庁  案件 予算の執行状況に関する調査のうち、オレンジ共済組合問題について  派遣委員          大河原太一郎君    委員長          片山虎之助君    理 事          斎藤 文夫君                 横尾 和伸君    委 員          照屋 寛徳君                 藁科 滿治君                 橋本  敦君                 山田 俊昭君    証 人          友部 達夫君         (証人補佐人 吉ケ江治道君)     ―――――――――――――    午後二時二分開始
  144. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ただいまから、予算の執行状況に関する調査のうち、オレンジ共済組合問題について、証人証言を求めることといたします。  まず、委員長から確認させていただきます。  あなたは友部達夫君御本人ですか。
  145. 友部達夫

    証人友部達夫君) 本人です。友部です。
  146. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) この際、一言申し上げます。  当委員会におきましては、目下、予算の執行状況に関する調査を進めておりますが、本日は特にオレンジ共済組合問題について友部達夫君から御証言をいただくことになった次第でございます。  証言を求めるに先立ち、証人に申し上げます。  議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人には、証言を求める前に宣誓をしていただくことになっております。  宣誓または証言を拒むことができるのは、次の場合に限られております。  自己または自己の配偶者、三親等内の血族もしくは二親等内の姻族または自己とこれらの親族関係があった者及び自己の後見人後見監督人または保佐人並びに自己を後見人後見監督人または保佐人とする者が刑事訴追を受け、または有罪判決を受けるおそれのあるときは宣誓または証言を拒むことができます。また、医師、歯科医師、助産婦看護婦、外国法事務弁護士を含む弁護士、弁理士、公証人、宗教の職にある者またはこれらの職にあった者が業務上委託を受けたため知り得た事実で他人の秘密に関するものについて証言を求められたときも宣誓または証言を拒むことができますが、本人が承諾した場合はこの限りではありません。  正当の理由がなくて証人が宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または十万円以下の罰金に処せられます。  また、宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることになっております。  なお、今回の証人喚問についての当理事会の決定事項については、証人には既に文書をもってお知らせしたとおりでありますが、この際、その主要な点について申し上げます。  その第一点は、証人が補佐人に助言を求めることが許される場合についてであります。  証人は、補佐人に対し、宣誓及び証言の拒絶に関する事項について助言を求めることができますが、これらの助言は、いずれもその都度証人委員長にその旨を申し立て、その許可が得られた後に認められるものであり、補佐人の方から証人に対し助言することはできないことになっております。なお、補佐人は発言することはできません。  その第二点は、資料についてであります。  証人は、既に通知いたしましたとおり、証言を行うに際し、あらかじめ当委員会に提示された資料を用いることは差し支えありませんが、委員長の許可が必要であります。  その第三点は、証人のメモ筆記は尋問の項目程度に限られております。なお、補佐人はメモをとることが許されます。  以上の点を十分御承知願います。  それでは、法律の定めるところにより、証人に宣誓を求めます。  全員御起立願います。    〔総員起立〕
  147. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 友部達夫君、宣誓書を朗読してください。    〔証人は次のように宣誓を行った〕    宣 誓 書  良心に従って真実を述べ、何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います。              証人 友部 達夫
  148. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 全員御着席を願います。  証人は、宣誓書に署名捺印してください。    〔証人、宣誓書に署名捺印〕
  149. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) これより証言を求めることといたしますが、証人の御発言は証言を求められた範囲を超えないこと、また、御発言の際はその都度委員長の許可を得て御発言なさるようお願いいたします。  なお、質問を受けているときは御着席のままで結構でございますが、お答えの際には起立して御発言を願います。また、委員の尋問時間が限られておりますので、答弁は要点を的確に簡潔にお願いいたします。  この際、委員各位に申し上げます。  本日は、申し合わせの時間内で証言を求めるのでありますから、特に御協力をお願い申し上げます。  それでは、まず委員長から友部証人に対しお尋ねいたします。  あなたは、以前、年金党を設立して総選挙に立候補し、その後、三回の参議院議員選挙に立候補しております。そのあなたが前回の参議院議員選挙において新進党の比例名簿の十三位に登載されるに至った経緯を説明してください。  その際に党の幹部と会いましたか。会ったとすれば、だれと会いましたか。  また、その際にどのようなことをお話ししましたか、証言してください。
  150. 友部達夫

    証人友部達夫君) 十三位に登載されることになりましたのはコンテストの結果です。新進党で昭和七年の三月ごろ、あれは二月ごろでしたか、コンテストをやりまして、その結果、十三位に登載されるようになったんであります。  党の幹部といいますけれども、そのときコンテストの、いわゆる面接試験の試験官が中西啓介さんでしたから、中西さんが党の幹部であったかどうかそれは知りませんが、その面接試験のときに会いました。それから米田建三さんですね。米田建三さんも一緒にそのときに試験官としておられましたので、一緒に会いましたですね。それだけです。
  151. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) また、その際どのようなことを話されましたか。
  152. 友部達夫

    証人友部達夫君) そのときは、今、国会に海軍から何人ぐらいいますかという程度でですね、松本善明さん、共産党のですね、それから近藤鉄雄さん、あのときは自民党に近藤鉄雄さんがいらっしゃいましたので、その二人ですね。その二人の名前を挙げまして、その程度の会話でしたね。はい、そういうことです。
  153. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 第二問としては、あなたの側から株式会社託正代表取締役の齋藤衛氏に対し、前回の参議院議員選挙において新進党の比例区の候補者となるに当たり数億円が渡されたと報じられておりますが、それは事実ですか。  また、事実とすれば、その目的及び金額について証言してください。
  154. 友部達夫

    証人友部達夫君) 齋藤衛という人の名前は知っておりますけれども、託正という名前は全然聞いたことありません。たった今聞いたんです、この託正というのは。そういうことですから、数億円なんか全然、とんでもありません。私は一銭も渡したことはありません。
  155. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 渡しておらないから事実ではないと、伝えられるところは事実ではないと。
  156. 友部達夫

    証人友部達夫君) はい。
  157. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) したがって、その目的や金額等について特に証言しないと、そういうことですな。
  158. 友部達夫

    証人友部達夫君) そういうことでございます。
  159. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 一銭も渡してないということですね。
  160. 友部達夫

    証人友部達夫君) 一銭も渡しておりません。
  161. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 第三点、あなたの側から初村謙一郎前衆議院議員に三千万円が渡され、さらにその金が細川元総理に渡されたのではないかと報じられております。初村前衆議院議員は、その後、あなたの側にこの三千万円を返したと述べている一方、細川元総理は、その三千万は返すよう初村氏に指示し、自分は受け取っていないと述べておりますが、細川氏との間で直接この三千万円の金銭の授受はあったのですか、なかったのですか、事実を証言してください。また、あったとすれば、その目的、経緯等について証言してください。
  162. 友部達夫

    証人友部達夫君) 全くこの件は知りません。この件を知りましたのは、そのときのテレビか新聞ですね、で、こういうことはあったのかということを知っただけですね。  というのはですね、この日はですね、平成八年のいわゆる定例国会の最後の日だったんですよ。それで、橋本総理大臣は衆参両議院の全員を呼びまして、それで総理官邸に呼ばれたんですよ。それで、私は、橋本総理は私の麻布中学校、今の麻布学園ですね、麻布学園の十年後輩なものですから、私も行きまして、総理官邸に行きまして、それで橋本総理と、私に、あんた何年卒なんだと言うから、昭和二十年ですと言ったら、ああ、大先輩だなという話をしていますんで、橋本総理は覚えておられると思います。橋本総理に聞いてください。  ですから、この三千万円のこういう授受については全然私は知りません。
  163. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 報道によって後で知ったと、そういうことですね。
  164. 友部達夫

    証人友部達夫君) そういうことです、はい。
  165. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ありがとうございました。  委員長からお尋ねすることは以上でございます。  それでは、友部証人に対し質疑のある方は順次御発言願います。
  166. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 自由民主党斎藤文夫でございます。  このたび友部証人にこういう場所でお尋ねをするようなことになったことを、まず大変残念に思っておるところでございます。特に、証人と私はまさに生まれた年が昭和三年、一九二八年、同じ世代でございます。そして同時に、あなたの胸に今バッジをつけておられますけれども、同じ参議院議員の立場にあるその人に、被告席に座らせて証人尋問をしなければならぬということは、大変私としても残念に思っておるところでございます。  加えて、あなたは大変海兵に誇りをお持ちになっておられる。当時の中学、同じ時代を過ごした者として、戦争中の日本の少年、青年として、海兵に進みたいというあこがれは我々の大きなものがございまして、あなたは海兵にいらっしゃられた、それを誇りに思っておられるといろんなことで承知をしておるところでございます。  歌の文句ではありませんけれども、兵学校の庭に咲いた桜ならば、散るときには思い切って散ると、そういう御決意、御覚悟というものをあなたの心の中にきちっと植えつけていられなければ、海兵魂何でもないよということになってしまうんではないんですか。  その意味で、私は、あなたが今、議運の委員長以下皆さんがあなたをお訪ねして、議員を辞職したらどうだというお勧めに対して、頑としてバッジをおつけになっておられる、こういう事情をよく聞かされておるところであります。あなた御自身、この問題について今の心境と、そしてまた今後ともおやめになる意思がないのか、まずお聞きします。
  167. 友部達夫

    証人友部達夫君) やめる意思は全然ございません。
  168. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 その理由は何でしょうか。
  169. 友部達夫

    証人友部達夫君) 私としては、何も至誠にもとるようなことをした覚えはございませんからであります。
  170. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 それは、今あなたが置かれているお立場から、当然法の裁きの前で決定されるものと、このように思っておりますが、今のお気持ちはそれ以上には変わらずということでございますから、次の質問に移させていただきます。  これも証人から直接聞いた話ではございませんけれども、いろいろな機会国民はよくあなたの心境を承知している一つになっておりますが、オレンジで金を集めて、返済については、いや、議員になれば何とかなるんだよ、こういうようなことを言ったとか言わないとか言われておりますが、その真意はどうですか。
  171. 友部達夫

    証人友部達夫君) そういうことは言った覚えはございません。
  172. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 政治家になって金をもうけたいということをあなたの大変親しい人に話をしたことがあると、こうも言われておりますが、御記憶ありますか。
  173. 友部達夫

    証人友部達夫君) そういう記憶はございません。
  174. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 証人が参議院議員に当選をされてからあなたの仕掛けてきたオレンジ共済、平成七年、八年、これは予算委員会でもやりとりがございましてそれぞれ担当当局からも正確な説明がございましたが、非常にバッジの威光がきいたせいか集金が大変ふえたと、こういうことを聞いております。  金額的にも、時間がありませんから申し上げれば、あなたの仕掛けられたスーパー定期で六十六億円も集まったということが言われておりますが、いかがですか。
  175. 友部達夫

    証人友部達夫君) 当選後につきましては、私は国会にばかり行っておりましたので、要するに今おっしゃったことはオレンジ共済、つまり年金会の方ですから、ですから私はその実際の額というものはわかりません。
  176. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 スーパー定期で六十六億お集めになられたと、こういう数字が委員会の席で明確に発表されております。  今のお話ではもうそれ以上お話ししても無理かと思いますけれども、これらの金額の出し入れをチェックされたのはどなたなんですか。あなた、証人は議員になっちゃったらもう全く他人任せよというような印象を今もお話しになっておられますが、総責任者は証人じゃございませんか。
  177. 友部達夫

    証人友部達夫君) これはあくまでも年金党時代のことでございまして、私は新進党でとにかく参議院議員になりましたので、なりましてからは全然わかりません。ただ、家内が責任者でやっておりましたので、家内の方は要するに、いきさつを言えば、おれは年金党の党首だ、それが後援会の会長を兼ねたらおかしいだろう、だからおまえ名前だけ貸してくれよと、そんなもんだったんですよ、最初は、年金会というものは。
  178. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 余りこの問題には深入りをいたしませんけれども、あなたがいろんな形で定期を設定して銀行まがいの定期を売り出して、年に六・七四、今ここにその証書のコピーも持っているんですけれども、六・七四とか七・二〇。これ今〇・三とか二の時代でしょう。もう本当に、三十倍もするような高利の利息をつけますよと、こういうようなことをあなた御自身がこの金利は決めたと、こう言われていて、しかもあなたが議員になってからオレンジ共済かオレンジ共済組合の扱ったスーパー定期というものが六十億以上も集まる結果になったと、これはもう数字を見れば明らかなんですよ。それでもノーですか。
  179. 友部達夫

    証人友部達夫君) ノーです。
  180. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 グランドトータルでまず先にちょっとお聞きをするんですが、私どもは、こういうようなお金をあなたの発想で庶民からお集めになられ、それが結局はあなたが選挙のときにいろいろな形で選挙運動にも、手ぶらでできるはずはありませんから、ポスター代、車代、何だといろいろなことをやれば、相当な全国を対象とする比例区はかかるわけですよ、そういう費用に流用されたことはありませんか。
  181. 友部達夫

    証人友部達夫君) 結局私は、先ほどの質問に戻りますけれども、要するに社内預金ですね。社内預金という、つまり出資法違反とかそういうものは全然いまだにそう思ってはおりませんので、間違いなくこれは、要するに不特定多数じゃなくて、年金会という特定多数の中の問題であると思っていますからね。ですから、いわゆる社内預金ですから、例えば新日鉄の社内預金ですと当時はたしか八%ぐらいですよ。ですから、社内預金にしてみれば、七・〇二なんてのはそんなに高いもんじゃないと思っています。
  182. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 それは、かつて私も金融機関理事長をやりましたから金利に極めて敏感ですし、七年、八年と言われればもうそんな社内預金金利はありません、事実これはあなたのお考え違いだろうと。  また、今回おやりになられた、不特定多数じゃありませんよ、これ社内預金と同じですよとおっしゃるにしては、オレンジスーパー定期とか証書まで発行しておやりになっているような状態は、もう銀行で出す定期証書と全く同じように思いました。  ただ、証人の御発言で、そういう状況でなかなか金も苦しかったから、これは金額いろいろまちまちかもしれませんが、あなた御自身のお口から一億二、三千万は流用したということをお調べの中でも言ってられるんじゃないですか。
  183. 友部達夫

    証人友部達夫君) 一億二千万。
  184. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 違いますか。
  185. 友部達夫

    証人友部達夫君) そんなには行ってないと思いますが。あのときに年金党で、とにかくミニ政党の場合は最低十人ですね、それで一人が四百万の供託金ですね、最低四千万要るわけですよ。ですから、その件で一回、二回、だから一億近くは確かに流用しておりますね。
  186. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 証人がこの十二年間で政治の道を志して一生懸命立候補した数は、衆議院が一回、参議院が三回、合わせて四回お立ちになりましたね。
  187. 友部達夫

    証人友部達夫君) そのとおりです。
  188. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 それでも、落ちても落ちても初一念だよと言われれば、ああ立派だなと、こういうふうに普通なら思うんですね。しかし、あなたの場合はね、もうこれだけおっこって、しかもだんだん票が減ってくる。もう衆議院の選挙では全く問題にならないような票しかおとりになれなかったにもかかわらず、政界入りをどうしてもやりたい、果たしたいと思った動機、理由というのは何ですか。
  189. 友部達夫

    証人友部達夫君) 年金を少しでもふやしたいと、皆さんのですね、そういう考えが第一でしたし、それからあともう一つは何でしたかな、今の御質問。
  190. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 その動機、理由です。同じようなもんです、政治家を目指した理由です。
  191. 友部達夫

    証人友部達夫君) 政治家を、要するに国民の天下国家を健全に守っていくために政治家を志したものでありまして、それに、それだけであります。
  192. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 私は大変微力な男ですけれども、証人のおっしゃるように、我が私心を捨てて天下国家のために奉じていこう、そういう気持ちで政界に入った。今ちょうどあなたと私は全く同じ心境ですね。  にもかかわらず、証人のおとりになってきた人生の中で、昭和四十年代にも問題をお起こしになられ、今回も全く同じようなことをおやりになられて、言うなら仕掛けて、それで政治家になれば年金がふえるよと。しかし、ふえるなら、年金を返す努力とか運用とかそういうものをあなたが当然おやりにならなきゃいけなかったのに、オレンジ共済組合では、調べれば調べるほど、運用とかあるいは利回りをどうしていくとかそういう対策が全くなかったと言われておりますが、いかがですか。
  193. 友部達夫

    証人友部達夫君) ちょっと補佐人に意見を聞きたいと思います。
  194. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 許します。
  195. 友部達夫

    証人友部達夫君) 今の御質問に対しまして、有罪判決を受ける恐れがありますので、証言を拒否します。
  196. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 それでは、残念ですけれども、やむを得ません。  惨敗を、選挙に落ちて、一回やっても疲れる、二回、三回、四回、これはもう証人御自身も疲れるでしょうけれども、周りの人、あなたの愛する奥さんなんか本当に大変だ。うわさによれば、当時スーパーのパートまでおやりになった過去の経過があると、これはうそか本当か、週刊誌でもって書かれているくらいあなたの最愛の奥さんは御苦労までしてあなたを支えようとしてきている。こういうようなことを見て、私は、政治に本当に情熱を燃やすのなら、もっと大所高所、要するに本当に同じ世代の人間としてもっと違った行動をとってほしかったと思っておるところでございます。  そこで、年金党もとてもこれじゃ何回選挙やってもだめだなと、もっとほかの希望の持てる政党にくらがえをすべきじゃないか、これはあなたもそうお考えになったかもしれませんが、オレンジ共済の中で幹部でそういう話が出て、あなたもそうだな、今回からは違った政党でいこうよという会議をお開きになったんじゃないですか。
  197. 友部達夫

    証人友部達夫君) いや、そのとおりでありますが、実は、もう選挙に出ようか出まいか、それ自身、何といいますか、考えておったところなんですよ。もう選挙やめようかというぐらいのところまで来たんですが、たまたま平成六年の十二月十日でしたか、新進党が結成されまして、新進党という新しい党ならば何か力強いものをやってくれるんじゃないかと、そういう期待を持ったんですね。それでコンテストに応募したわけです。はい。
  198. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 コンテストは後ほどちょっと触れますけれども、例えば益川さんというあなたの部下がおられるんだ。益川さんなんかが、もう新進党ができるんだからこれでいこうと、一億円を今から供託金として預けておいた方がよっぽどいいというような論議もされたと世上うわさされているんですけれども、このイエス、ノーはここで聞いても意味がない、だからやめますけれども、新進党に、ただパブリックのいわゆるテスト、参加したと。  ところが、あなた参加して、その内容は何だったといったら、中西選対委員長、副の米田副委員長、二人から海軍出身の議員は何人いますか、それに答えたら終わりだったと。これはもうあなたがコンテストを受けたなんていうものじゃないじゃないですか。  新進党の選対役員に、あなたがただ今度出たい、しかも、後で触れていきますが、日本新党の枠組みから出てくる比例代表候補ですという単なる宣伝に行ったみたいなものじゃないですか。
  199. 友部達夫

    証人友部達夫君) それは違いますね。  要するに、あの新進党のコンテストのときは、平成七年の一月の十日ぐらいまでにまず論文ですね、論文を出しました。それから、二月の中旬でしたかに、要するに筆記試験ですね、まるっきり学生の試験みたいなものですよ。それと面接です。それだけあったんですよ。  先ほど委員長から、幹部に会ったかと言うから、私はそのときに中西さんと会ったんだということを申し上げただけです。はい。
  200. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 話が少し前へ戻りますけれども、オレンジ共済内部で大幹部集まって、あなたを中心にだ、それじゃ新たにできた新進党で何とか比例代表で立候補したい、こういうようなことになった。そうすると、それにはだれかが道を開いてくれなきゃいかぬ。そこであなたは東京都会の議員でいる新進党系の新渡さんに紹介をもらってパイプをつくったんじゃありませんか。  新渡さんとの出会い、だれが紹介したか、お話しをお願いします。
  201. 友部達夫

    証人友部達夫君) もう全然違いますね、それは。  新渡君は確かに都議会の議員です、現在の。その秘書に丹波君というのがいましてね、丹波君、その丹波君が要するに大久保維曙、つまり私の女房の弟ですよ、つまり私の義弟、その義弟と学友なんですよ。同じ高校の学友で、その人を通じて新渡君を知った。それで新渡君は私に、逆ですよ、私から言ったんじゃないですよ、新渡君が私に年金の話を教えてくれと言うから、ああそうかと、そういうことで会ったんですよ。それがたまたま新進党の、じゃなくて日本新党派であったということだけなんですね。
  202. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 証人はそうおっしゃいますけれども、新渡さんに五千万、五千万、合わせて一億、これは領収書をあなたの事務所が持っているというのは、この証拠はどうですか。
  203. 友部達夫

    証人友部達夫君) 私は全然知りません。
  204. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 証人は、人のやったことは全部知らない、そうおっしゃるお立場なのかもしれませんが、少なくともオレンジ共済が金を配る場合に、総責任者であるあなたが、おれは政治をやるよ、オレンジ共済協力、物心両面協力せよ、出す金はおまえら全部面倒見ろ、どこへどう配ったかわからないで世の中通りますか。どうでしょう。
  205. 友部達夫

    証人友部達夫君) 通ったんだからしようがないです。
  206. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 あなたのおっしゃる新進党のコンテスト、これは御関係の議員さんもおられて御無礼かもしれませんが、ちょうど新進党さんはそのときは草創期で、今までの新生党、公明党、それから日本新党、それに民社党、こういうグループが相集まった連合体をまずつくって、それで新進党として発足したわけですね。ですから、設立間もない。  したがいまして、新人をつくるのに、確かに全国に公募する、コンテストをする、それで選ぶんだと。筋道はわかるんです。ですけれども、現実に政党として全く実績もない、あるいはあなたを顔にしても、余計な票が集まってくるような有力なバリューのある人ならばそれはそれで価値がありますけれども、言うなら全く今回は、価値のないと申し上げては御無礼だけれども、証人、そういうようなお立場にあった。それが日本新党の枠の中で新進党の候補者に組み入れられたと。  これについて、いや私はコンテストで大論文を書きましたよ、堂々たる政見を発表したんだよ、だから新進党は選んでくれたんだと思い過ぎでしょい過ぎじゃないですか。そんなこと普通ならあり得ない。自民党だって比例代表の候補になるにはそれなりのノルマというのはあるんです。あなたがその新進党の候補になったのにノルマはどうなんですか。
  207. 友部達夫

    証人友部達夫君) まことに私を侮辱していることだと思いますね。私は年金党でやりまして三十万票以下というのはないんですよ、三回やりましたけれども。三十万票以下というのはありません。それは、新進党はそれは全然知りませんよ、私は。三十万票以下というのはないんです、何度も申し上げますが。  それと新進党枠というのは、これは勝手にマスコミがつけただけの話です。新進党枠というのは私は希望したわけでも、日本新党、日本新党枠というのは私が希望したわけでも何でもありません。マスコミが勝手に日本新党枠に入れただけの話です。はい、本当です。
  208. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 それでは、先ほどの都会議員の一億、まあ領収書で五千万、五千万、二枚あるとか、そういうような片っ方で発表みたいのがどんどん、あなたは新聞見ている暇、見せられないからわからないが、もうそういうのが事実で、そしてオレンジ共済は新渡さんの領収書まで持っている、こういう事実、これはごく最近NHKのテレビで今月放映されているんですよ。それにもかかわらず、あなた、私は知らないと言ってさっきからしら切っていらっしゃるんですが、何でこんな都会議員に一億以上の金を配らなきゃいけない理由があったのか。  新渡さんという人は、これをもらっているかもらっていないか私たちはわかりませんが、一体何のために、あなたでなくても、オレンジ共済からあなたの選挙のために金をもらっていることはもう日時から考えたってそうなるんですよ。九四年の十一月十六日、同じく九四年の十二月二十二日、それぞれ五千万ずつ彼のところへ届いている、こうなっているんですが、違いますか。
  209. 友部達夫

    証人友部達夫君) 私は全然知りません。
  210. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 新渡さんと仮にあなたは金品の関係なしで知り合ったとして、新渡さんからだれを紹介されましたか。新渡さんからだれを紹介されたか。
  211. 友部達夫

    証人友部達夫君) 補佐人と。  細川さんとはですね、私はバッジをつけましてね、それから日本新党枠といいますか、日本新党ですね、その中に組み入れられておったものですから、フォーリンクラブというのがあったんですよ、細川さんが、何といいますか、主宰していましてね。そのフォーリンクラブというので細川元総理に初めて会ったですね。それだけです。
  212. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 証人、重大なことですから、もう一回記憶をよく思い出してください。  そうすると、細川元総理には議員になる前にはお会いにならなかったんですか。
  213. 友部達夫

    証人友部達夫君) そのとおりです。
  214. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 ちょっと立って言ってください。
  215. 友部達夫

    証人友部達夫君) そのとおりです。
  216. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 それでは、ちょっと話がこっちとしては飛んでいきますが、細川さんがあなたの支部長大会の決起大会に来てだ、選挙の二日前ですよ、いや、こういう立派なのを当選させようと演説したのはどうなんですか。そこまでうそをついちゃだめですよ。
  217. 友部達夫

    証人友部達夫君) いや、うそをついたわけじゃなくて、まあそれはちょっと失念しておりましたね。
  218. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 じゃ、会っているんだ。  要するに、議員になる前にも会っていると言ってくださいよ。
  219. 友部達夫

    証人友部達夫君) それは、要するに海部さんと細川さんが来て、私もこれだけの部隊といいますか、後援者がいるんだよという力を見せたかったです。それだけです。
  220. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 また、初村さんのところへちょっと戻っていくんですが、初村さんとの出会いは、じゃだれの紹介で会ったんですか。  そして、時間がないから重ねて言いますが、初村さんの義兄弟関係にある、さっき齋藤衛さんの話が委員長からも出ましたが、紹介は初村さんからでしょう。
  221. 友部達夫

    証人友部達夫君) そのとおりです。
  222. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 初村さんにあなたをお引き合わせした人はだれなんですか。新渡さんじゃないんですか。筋だけはきちんとしてくださいよ。
  223. 友部達夫

    証人友部達夫君) 初村さんはですね、十二月二十日に私の、要するに平成六年の十二月の二十日に私の決起大会をやったんですね、ロイヤルパークホテルというところで。そこで初村さんが来たものですから、それで、初村さんは、今度、友部君という人が立候補するから、まあロイヤルパークホテルというのは私の自宅の近所ですからね、あの辺の人たちは五百人ぐらい集まったものですから、そのときに初村さんがそう言われたですね。それだけです。
  224. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 政治家は幾ら厚かましくても、おいでをいただきたい、応援をしていただきたいと言わなければ、初村さんだって何にも知らない友部さんのところに行ってだ、そして皆さん、こういう立派な人を上位で当選させようまで普通やりませんよ。それには人を介して、今度は日本新党枠で頼むよと言うんで、値踏みをされながらそれなりの対応をした。だから、初村さんにはいろいろな機会を通じてお金か出ておるんじゃありませんか。
  225. 友部達夫

    証人友部達夫君) 全然知りません。
  226. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 齋藤さんと私と同姓で、まあしょうがありませんが、託正という会社の社長だとか、これは初村さんと義兄弟というのは御存じですね。
  227. 友部達夫

    証人友部達夫君) 全然知りません。それも知りません。
  228. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 あなたはそんなことを何にも知らないで、齋藤さんをあなたの政治の指南役に据えたんですか。いや、政治資金、彼に相当渡しているんだ。俗に言えば、三億五千万と言われ五億と言われているけれども、あなたは齋藤さんの手引きでいろんな政界の人たちに結びつけを受け、選挙を面倒見てもらったんでしょう。本人はあなたから金を預かったって言っているんですよ。いかがでしょう。
  229. 友部達夫

    証人友部達夫君) 私は渡してはおりません。
  230. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 ですから、最初からお話を申し上げましたように、あなた御自身はわからないからわからない。しかし、オレンジ共済としてね、あなたの資金源は、あなたの個人資産、国会に報告してあるのを私、全部調べていますよ。この程度のことじゃとっても何千万の金を右から左へそういう選挙ブローカーみたいな人に渡せる力はないんで、にもかかわらず、そういう人が億単位の金を預かってあなたの選挙を取り仕切ったと、こう言っているんですから、あなたは御存じないかもしれないが、オレンジ共済、すなわちあなたの御子息、次男百男、今は被告ですが、あるいはその他、今逮捕されている人たちが手をかえ品をかえて、そういうあれじゃないですか、金を届ける役をしたんじゃないですか。
  231. 友部達夫

    証人友部達夫君) 私は全然知りません。
  232. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 それじゃ、これも知らないとあなたはおっしゃいますか。さっきの細川さんとの関係なんですよ。  細川さんとあなたの出会いの一つにはっきりした証拠があるんです。初村さんと細川さんと、そして証人と、一九九五年だ、五月に、ステーキハウスで、いいですか、選挙の前ですよ。これで、あなたも出て、奥さん、百男、公設秘書、それでもってステーキを食べた記憶ありませんか。そのときに払った費用が二百万円。どうです。
  233. 友部達夫

    証人友部達夫君) 一九九五年といいますと、平成何年ですか。もう私が当選してたんじゃないんですか。
  234. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 その前、五月、二年前。
  235. 友部達夫

    証人友部達夫君) いや、私は、当選する前には、細川さんとは、さっき言いましたように、ホテルオークラで海部さんと一緒に来た、それ以外には会っておりません。
  236. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 これはいろいろ調べて、私がそこに立ち会ったわけじゃありませんから、証人が、私は知らないよ、あくまでも選挙の前の七月四日ですね、わずか二日、三日前のオークラの決起大会に駆けつけてもらったのが初めてだとおっしゃるけれども、ここが実はもうポイントなんですよ。  要するに、その五月に、初村を通じて細川、そしてあなたのファミリーが会食をしているんですよ。こういう事実というものを思い出しませんか。それで、その選挙の終わった後、百男容疑者と細川さん、初村さんが、話題の紙袋をその場で渡したと。そうしたら、細川さんがありがとうと言って受け取ったと。これは衆議院の予算委員会で自民党の代議士が質問をしている内容なんですけれどもね。そして、その三千万は、細川さん、今になってみると、あれは私は何にも見てない。初村からその話を聞いたから、早く返しておけよと言って、六月にもらったものを何と十月、四カ月もおくれてあなたにお返しをしている。  こういうこととあわせてお考えになられて、それも御存じありませんか。
  237. 友部達夫

    証人友部達夫君) ちょっと質問の意味がわかりませんですね。  今の話はいつの話ですか。
  238. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 最初の話は九五年の五月。
  239. 友部達夫

    証人友部達夫君) 平成何年でしょうか。
  240. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 平成七年。だから選挙の、選挙は七月ですからね、だからその二月前と。この事実はお認めになってないんですが、九六年というのは平成八年になりますね。要するに、選挙のほとぼりが冷めたときに、百男被告や何かが細川元総理に三千万を紙袋に入れて渡したと。ありがとうと言って総理はお帰りになられたと、こういう話がありますが、いかがでしょうか。
  241. 友部達夫

    証人友部達夫君) 私は全然わかりませんね、今の話は。第一、そのステーキハウスというのはいつの話ですか。
  242. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 いや、両方そうだ。両方そうなんですよ。
  243. 友部達夫

    証人友部達夫君) 両方というのは、もうバッジをつけていたですよ、私は。
  244. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 バッジをつけてないときが五月で、九五年だから平成七年の五月。平成七年の七月が選挙でしょう。
  245. 友部達夫

    証人友部達夫君) そうですね、七月二十三日。
  246. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 それで、今度は九六年といえば平成八年だ。年を越して六月に御子息が接待をしたと、ともにステーキハウス、こうなっているんです。これは、しかし、あなたがそういうようなことではおかしいと。  先ほど、平成七年の七月四日のパーティーの話が出ましたね。この細川さん、初村さん、細川さんはあなたをいい順位に当選させたいと、初村さんは必ず当選できる地位に押し上げるよと。これね、ビデオで撮られて、素人のビデオだけれども、テレビで放映されているんですよ、あなたが喝采を浴びているステージがね。  応援する心理として、私たちも随分いろんな人を応援しますが、ランクの発表をする二日前に、できないようなことは言いませんよ。やっぱり、このときには既にもう十三位、ランク、何とか入れると、こういうことがあなたの耳にも達しておったんじゃないですか。
  247. 友部達夫

    証人友部達夫君) とんでもありません。十三位なんていうのは、あのとき落選候補第一位ですよ。あのときはよくマスコミ、新聞その他マスコミですね、新聞やマスコミ、新聞もマスコミのうちですわね、新進党の今度の参議院は十一位までであると。私は、だから十三位でもうこれはだめだと、そう思ったですよ。
  248. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 それは素人の思いで、そのときの新進党の勢いは最低でも十五以上と、これは全体のそういうもう思いが出ていたころなんですよ。  だから、あなたは十三位で不満だというのは、こんなに金をあっちこっち配って使って、何だ十三位かと。片や新進党の、あなたは枠がどうのこうのは知らないよとおっしゃるけれども、全体を見てみると、四つのそれぞれのところで実績やあるいは今までの議員数だとかでね、この十七が物の見事に小沢幹事長のもとで割り当てられている。そして、新進党としての枠は九、十三、十七と、こういう格好になっておったんです。  これは、あなた知らないと、幾ら言っても知らないと言うけれども、十三位はもう当選確実のランクだったんです。そこへ、ただあなたがコンテストに行って、はい、よろしくと、新進党というよりは政治家としてそんないいかげんなことだけで十三位なんてランクされるはずがないんですよ。どうですか。
  249. 友部達夫

    証人友部達夫君) そうなったんだから、しょうがないでしょう。
  250. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 話題変えます。  政界というのは金がかかるな、金もうけしようと思ったけど、こんなに金かかるのかと思ったことありませんか。
  251. 友部達夫

    証人友部達夫君) ありません。
  252. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 先ほどのこの後段の、もうちょっと本当はその平成七年五月のステーキハウスの一件を、本当、証人にもっと突っ込んでいきたい。あなたはそこでもって、ちゃんと初村さんの紹介で細川さんと会食しているんじゃないですか。それを認めない。  それから、せがれがその選挙終わった翌年の六月に細川さんや初村さんを招いて食事をしたこと、それは知っているでしょうね。
  253. 友部達夫

    証人友部達夫君) 覚えてますよ。
  254. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 そのときに、もう一度重ねて聞きます、三千万渡した。それが初村さんから四カ月後にあなたの方へ戻されたということ、これも承知でしょう。いかがでしょう。
  255. 友部達夫

    証人友部達夫君) それは、先ほど言いましたように、要するにテレビだったか新聞だったかによりまして、そういうことがあったのかということを知っただけです。
  256. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 細川さんは、あなたのこの逮捕されるその前後、カナダへ行かれちゃったんだ。二月五日の日にカナダから帰国して記者会見で、あんな人物を選んだ不明を恥じている。いいですか、新進党の枠で選んだから、こういう不明を恥じているんですよ。金銭関係は何にもないようにおっしゃいました。たまたまそういう位置になったんだと思うんですが、順位決定は小沢幹事長が責任で決めたんだと言って逃げを私にしてみれば打っておられるんですね。  そして、その話題の三千万円は私は知らない、当日はステーキを食べて、一本二十万から三十万するロマネコンティを飲んで早々に引き上げちゃったと。初村氏から聞いたんで返せと、こう言っておいたのが、それは十月にあなたの方へ返したんだなと、こういうことに我々は説明としては聞くんですね。  そして、こういうことをあなたに本当かと聞いて、いや私は知りませんよと、もう本当に水かけ論に今終わっているんですけれどもね。この三千万が返ってきたことは、くどいようですけれども、事実ですね。
  257. 友部達夫

    証人友部達夫君) それは事実のようです。
  258. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 小沢幹事長とはどこでお会いになりました。
  259. 友部達夫

    証人友部達夫君) 公認になったときにまず新進党の、当時の、ですから今のですね、今じゃなくて、前の新進党の本部ですね、本部で会いましたね、まず。
  260. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 正式な届け出の書類の中に、友部さん、いわゆる証人、岩手県連に百万円、小沢幹事長のところへ寄附しているんですよ。これは九五年の四月だから選挙の前ですよ。平成七年の四月、寄附をしておられる。あるいは岩手県、秋田県、三重県、それぞれ新進党系の知事選挙に百万円ずつ支出しているんだ。これはもう明快になっているんですけれども、これは認めますか。そうすると……
  261. 友部達夫

    証人友部達夫君) 認めません。
  262. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 えっ、小沢さんとあなた初めて公認証書もらったときに会ったんだと、こうおっしゃるけれども、知らない人に百万円ぽんと贈るんですか。何のために出したんです。
  263. 友部達夫

    証人友部達夫君) 第一秋田県は私は行っておりません。三重県と岩手県は行った覚えはありますが、岩手県へ行ったときは、小沢さんはいませんでした。いませんし、それから、私が百万円渡したわけじゃありませんし、だから、どんなことになっていたかわかりません。
  264. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 さっきちょっと追及というかお尋ねが不十分だっんですが、渡したか渡さないか、いやそれは私知らないよ、みんな、仮にやれば、人がやったんだ式に今逃げておられるんですけれどもね……
  265. 友部達夫

    証人友部達夫君) 違います。
  266. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 私は、もっと本当の話を聞かせていただきたかったなと、こう思っております。  しかも、この十三位のランクづけをされたその条件、これだけはきちんと教えてください。無手ですか。あなたの力とあなたの弁舌と、それで十三位にランクされたんですか。
  267. 友部達夫

    証人友部達夫君) そうだと思います。
  268. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 それだけの自信があるかとお聞きしても、これはしようがない。そうだとおっしゃるんですが。  それでは、当選されてから全国六カ所で新進党のパーティー、政経パーティーが行われました。これは会費三万円だと。新人、比例代表は一人百枚がノルマでしたね。そして、六カ所ですから合計千八百万になりますが、これは分担されましたか。それ以上に、あなたは新進党に愛着を感じて、よしもっと引き受けてやるとお金を出したんじゃありませんか。
  269. 友部達夫

    証人友部達夫君) 全然覚えておりません。
  270. 斎藤文夫

    斎藤文夫君 それでは、もう時間が参りましたので、まことに残念ですが、明快な御答弁がいただけなかったと。またいずれの機会かを通じて、証人の今捜査も行われておりまして、あなたの御発言がもしも虚偽のことであったとするならば、我々は新たにあなたに告発の対応をさせていただかなければならないと思っておるところでございます。  ありがとうございました。
  271. 横尾和伸

    横尾和伸君 平成会横尾和伸でございます。  限られた時間ですので、早速質問に入らせていただきますけれども、先ほどからのお尋ねと重ねてお伺いするところが何点か出てくるかと思いますけれども、微妙な違い、角度の違い等あると思いますので、あえてお尋ねするところがございますけれども、その点については御容赦いただきたいと思います。  まず、都議の新渡氏についてのお話がありましたけれども、初めて会ったのがいっか。関係については、先ほど新渡氏の秘書の方と大久保維曙氏との関係から新渡氏を紹介されたということまではお伺いしておりますけれども、それはいつごろのことか、御記憶ありますでしょうか。
  272. 友部達夫

    証人友部達夫君) 平成六年の多分十月ごろじゃないかと思いますがね。
  273. 横尾和伸

    横尾和伸君 それでは、初村氏との関係ですけれども、初村氏とは、先ほど来もお話がありましたけれども、初めて会ったのはいつか、また初村氏とはどういう関係か、お尋ねいたします。
  274. 友部達夫

    証人友部達夫君) 初村さんとはやはり平成六年の十二月二十日と思います。十日に新進党ができたんですよね。それで、新しい党ができたんで、先ほども申し上げたように、新しい党の名は、何か力強いものをやってくれるんじゃないかと、そういう期待がありましてね。それで、また、例の新渡氏ですが、新渡氏はたまたま新進党であったと。新進党はそのころはまだないですね、新渡に会ったときは。日本新党ですか、日本新党派であったということで、その初村さんが十二月二十日の私に対する決起大会のときに来てくれてたんですね。そういうことです。
  275. 横尾和伸

    横尾和伸君 念のために、何回も聞いて大変恐縮ですけれども、平成六年の十二月二十日というのは、そのときに初めて、そのパーティーですか、来て、初村さんがそのパーティーに参加されたと。そのときに初めて会ったというのは、まあ二回三回と重なっておりますけれども、もう一回そのことを確認をしたいんですけれども。
  276. 友部達夫

    証人友部達夫君) そのときが初めてと思いますが、一度、新渡氏の、やはり一緒に初村議員の、あのときはまだ初村さんは衆議院の代議士でしたかね。初村議員の部屋に行ったことはありましたね。それで、先ほど来海兵の話が出ていたんですが、長崎二区か三区なんですね、あの人は。それで、たまたま初村さんの部屋に入ったときに、本棚に長崎県の、長崎の何か本がありまして、それで、私は、江田島が本校なんですが、針尾分校というところにおりまして、行きまして、海軍兵学校のときにですね。針尾は長崎ですねと、そういう話をしたのを覚えていますね。そういうことです。
  277. 横尾和伸

    横尾和伸君 それでは、パーティーに来られたのが初めてという御記憶は若干違っていて……
  278. 友部達夫

    証人友部達夫君) そうですね。
  279. 横尾和伸

    横尾和伸君 その前にお部屋を訪ねたと。お部屋というのは会館の部屋ですか。
  280. 友部達夫

    証人友部達夫君) そうですね。
  281. 横尾和伸

    横尾和伸君 それは大体いつごろ。
  282. 友部達夫

    証人友部達夫君) 平成六年の十一月ごろじゃないかと思いますが。
  283. 横尾和伸

    横尾和伸君 それでは、先ほど来新進党のコンテストについてのお尋ねもありましたけれども、コンテストが大変簡単なものだという、前の質問者はそういう印象を受けたようでございますけれども、どうもお話を伺っているとそうでもないという面も一部感じました。  そういう意味で、コンテストというのを、人によっては、たまたま幹部の方にちょっと会って一つの話題についてお話をしてそれでおしまいかという印象を持たれた方もいらっしゃるようですので、もう少し詳しくコンテストの内容ですね、論文があって、筆記試験があって、面接があったということまでは一応お伺いしましたけれども、もうちょっと詳しく、ああこういうものかということがわかる、その内容的なことをお話しいただけたらと思うんですけれども。
  284. 友部達夫

    証人友部達夫君) そうですね、まず論文が難しかったですね。私はたまたま、何を書いたかな、要するに今後の政治の問題についてということじゃなかったかと思いますが、それについて書きまして、それで、それが平成六年の十二月、コンテストなんかをやるのということだったんですよ。私は全然知らなかったんですよ、コンテストということを。  それで、一月の五日ごろまでに、十日だったかな、とにかく論文を出してくれと。それでぎりぎりに私、というのは、平成六年の、これ余計なことですが、十二月に私ハワイへ女房と一緒に行きまして、それでその論文の原稿をハワイで一生懸命推敲しまして、それで、これでいいだろうというのでそれを出したんですよ。それが通ったということを聞きましてね。  それから、あとコンテストというのは、新進党の、今の本部じゃなくて前の本部ですね、そこに来てくれというので、そこで筆記試験ですよ、やらせられまして、それがいわゆる法律の問題でしてね、法律の問題ばかりを、大分出まして。新渡なんかも一緒に受けたんですよ。だけどまず論文でおっこったらしいですよ。一緒に受けたんですよ。  それで、その論文もどうやら通りまして、それから、さっき言った中西啓介さんと米田建三さんが面接委員で、面接を受けました。その程度しか覚えはないんですがね。
  285. 横尾和伸

    横尾和伸君 大変よく理解が深まりました。  それで、もう一点。その間の何といいますか、心理的な面ですけれども、緊張感といいますか、ハワイで一生懸命、ハワイまで行ってやられたお気持ちとか、あるいは筆記試験のとき、面接のときの緊張感というのは、やはり私らが考えるのは、それなりの人生経験のある方は緊張もされないで堂々とされるんだろうなという想像もするんですけれども、友部議員は、この論文試験から筆記試験、面接と、その間緊張感というような面からどのような実感を覚えていらっしゃいますでしょうか。
  286. 友部達夫

    証人友部達夫君) 大緊張でしたね。私、もう六十八歳ですが、情けないですよ、本当に。  というのは、先ほど申し上げましたように、年金党で三回も要するに挑戦していますよね、選挙に。それでみんなおっこっていますわな。もう選挙はやめようかなという気持ちが半分あったんですよ。ですから、今度おっこったらもうおしまいだと、そういう気持ちがありましたものですから、やっぱり今から考えますと、大緊張というのが当たると思いますね。  ハワイへ行きましたのは、そのために行ったわけじゃなくて、たまたま女房が、人生ももう終わりに近いんだからハワイぐらい行こうじゃないかと言うので、それでたまたま行ったんですよ。そのときにコンテストの話を聞いて、たまたま原稿を持っていたものですから、それで持っていったわけです。そういうことです。
  287. 横尾和伸

    横尾和伸君 わかりました。  それでは、次に比例名簿の順位に関連してお尋ねしたいんですけれども、まず順位についてはいろんなことが言われております。先ほどの質問者、当事者であったかのような決めつけが若干あって私もびっくりしたんですけれども、九位と十三位と十七位とかと、当事者でなければ言えないことだと思うんですけれども。また、新進党の発表によると、九、十三、十七という数字ではないわけで、まあその点はともかくとしまして、順位について、比例だと順位というのは極めて大事だということは言うまでもありませんけれども、初めて具体的な順位に関する情報を得たのはいつごろのことか、いつごろというか、できれば正確に何日に初めて聞いたというようなことを覚えていないでしょうか。
  288. 友部達夫

    証人友部達夫君) 何の資料もないものですから、その日にちについては甚だ何といいますか心もとないんですがね。順位を知りましたのは恐らく新聞の発表だと思いますよ、十三位というのを。それで、私は十三位はとてもだめだと思ったですよ。先ほどの方が何か七と十三と……
  289. 横尾和伸

    横尾和伸君 九と言っていました。
  290. 友部達夫

    証人友部達夫君) 九ですか。全然知りません、私は、あんなことは。よく知っておられるなと思っていまして、全然知りませんよ。(「うわさですよ」と呼ぶ者あり)うわさですか。全然知りません。だから、私は新聞の発表で十三位になったんだなということはわかりましたですね。
  291. 横尾和伸

    横尾和伸君 今私がお尋ねしたのは、一説によると、公示の十日ないし二十日ぐらい前の時点で友部さん御自身が七位から九位に入るとある方に漏らしていたという、漏らしていたというか、お話しになっていたということを、そういう情報を聞いたことがあるんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
  292. 友部達夫

    証人友部達夫君) 全然記憶がありません。
  293. 横尾和伸

    横尾和伸君 それでは重ねて、何回も重ねて恐縮ですが、順位の十七位という数字についてはご存じでしょうか。
  294. 友部達夫

    証人友部達夫君) 記憶がありません。新進党の順位が発表がおくれたんですね、非常に。それで、後で聞いたところでは畑恵君が、余計な話かもしれないんだけれども、十位以内に入るというのが大分、要するに遅く順位が下がったんで泣いて騒いだという話を聞きましたがね。本当かうそかわかりませんよ、これは。ただ、そういう話を聞いたことがありますね。
  295. 横尾和伸

    横尾和伸君 それでは、その十三位というのを聞いたのは、新聞発表で初めてだということを一つは確認したいのと……
  296. 友部達夫

    証人友部達夫君) そうです。
  297. 横尾和伸

    横尾和伸君 それから、それを見たときどう思ったか。  先ほど来お話出ているんですけれども、改めてこの十三位という数字は大変重要なファクター、ポイントになりますので、十三位だということを知ったのが新聞情報で初めてであるということの確認と、それから十三位ということに対して自分は率直なところどう思ったのか、そこのところをできるだけ正確にお話しいただきたいと思うんですが。
  298. 友部達夫

    証人友部達夫君) 先ほども申し上げましたように、十三位じゃもうだめだと思いましたね、私は。あのときのマスコミの論調はみんな十一位ですよ。新聞をひっくり返して見ていただければわかると思うんですが、みんな十一位までだということでしたね。それが実際本当の気持ちです。
  299. 横尾和伸

    横尾和伸君 それでは、その気持ちをどなたかに、あるいは周辺の方に漏らしたとか、大変申しわけありません、漏らしたというかお話ししたとか、あるいはその残念な気持ちをお伝えしたということは覚えありますか。
  300. 友部達夫

    証人友部達夫君) 横尾さん、私は昭和三年生まれの海軍の兵学校ですよ。決まった以上はしようがないと。私は男ですからね、そういう女々しいことは言いませんよ。もう決まったらしょうがねえやという程度でしたね。
  301. 横尾和伸

    横尾和伸君 それから、決して私はそのことを疑ってではなくて、事実関係を確認したいということで伺っているわけで、もう一つは、十一位というのは、たしか私もそのときの記憶では確かに十三というのはそんな確実なラインではない。決して十三という数字を覚えているわけじゃないんですが、たしか十位とか十一位とか、それは幅を持って予想されたわけで、そういう中では確実か線というのは十三が確実だという印象は持っていないんですけれども、重ねてそのときの状況について、何か今お話しになった以外に思い出すことがありましたら。
  302. 友部達夫

    証人友部達夫君) たまたま、発表のときにどんどんテレビで出てきましたね。あのとき、今でも覚えていますが、新進党にいわゆる追い風といいますか、吹きまして、千二百五十万票とったんですよ、全国比倒代表区でね。ああ、これはすごいなというんで、私もテレビを見ていまして、十二時ごろかな、夜中のですよ、私の写真が出てきましてね、あ、これは当選できたんだと初めて思いましたね、そのとき。  ちょっと話し中ですが、私、梗塞が二つここにできておりまして、いわゆる脳梗塞というやつね。それで前に、この間、去年の暮れですが倒れたので、顔面が血だらけになりまして口の中を五針縫ったんですよ。それで聖路加病院に入院したんですがね。そういうわけで、ちょっと時間がたちますと非常に言葉が、何といいますか、何か歯切れが悪くなりまして、聞き苦しいでしょうがそういうわけでひとつよろしくお願いします。
  303. 横尾和伸

    横尾和伸君 ちょっと早いペースでお伺いをして機関銃のようであれですが、限られているものですから、時間が。  次に、オレンジのお金の管理、先ほど来、金のことについては全く知らないというお話だったんですけれども、ただどうもお金がオレンジの側から政治家の方に流れているということも新聞情報では相当言われております。そういう意味で、オレンジのお金の管理というのは実態はどのようになっていたのか。話しづらい面もあろうかと思うんですけれども、その実権といいますか、お金の支出について、だれがどういう形で実質的な決裁をするシステムだったのか。形式論とともに実態論についてもお話しいただけたらと思うんですけれども、いかがですか。
  304. 友部達夫

    証人友部達夫君) 決裁をするのは先ほども申し上げましたように女房ですね。それで、女房がいいと言えばだれが持っていってどういうふうに使おうと、それはどこへ持っていこうといいよでしたね。そういうことです。いいでしょうか。
  305. 横尾和伸

    横尾和伸君 その奥様がといいますか、みき子容疑者と言った方がいいのか、ちょっと言い方がよくわかりませんけれども、ある時期からその経理の責任が実質的には夫人から百男氏に移っていたという、そういう週刊誌だったか新聞だったかの記述にあったんですけれども、これについてはいかがですか。
  306. 友部達夫

    証人友部達夫君) ほぼ本当のようですね。  ただ、いいでようか、私はマスコミは本当にいいかげんだと思いますね、情報が。人間の、私の、例えば人権侵害ですか、に当たるような報道を平気でやっておりますね。そういうことを勘案していただきたいとは思いますがね。
  307. 横尾和伸

    横尾和伸君 今お尋ねした経理の責任といいますか決裁の責任がみき子夫人から百男氏に移っていったと。これはどういう形で、あるとき何かこういう取り決めがあってなったのか、あるいは徐々になのか、それがまたいつごろからなのか、その点についてはいかがでしょうか。
  308. 友部達夫

    証人友部達夫君) ちょっと補佐人に。
  309. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 証人の補佐人に対するお話を許可します。
  310. 友部達夫

    証人友部達夫君) 今の質問に関しましては、有罪判決を受けるおそれがありますので、拒否します。
  311. 横尾和伸

    横尾和伸君 改めてお聞きすることなのかどうかわかりませんけれども、みき子夫人について、どういうお人柄かということと、というのは、派手にお金を使っていたということが盛んに報道されていて、確かに今おっしゃるように無責任な報道が多いという御感想をお持ちのようですけれども、それはそれとして、事実そういうことが流れております。そういうこともあって、どういうお人なのかなという疑問がわくんですけれども、率直なところ、いかがでしょうか。派手にお金を使っていたと、こういう趣旨なんですけれども。
  312. 友部達夫

    証人友部達夫君) 全く違いますね。もう地味そのものです、うちの女房は。それ一つを見ましてもマスコミの報道がいかにいいかげんであるかということを私は申し上げたいんですね。
  313. 横尾和伸

    横尾和伸君 次に、財団の設立に関して、文部省との関連がいろいろ言われておりますけれども、これもまた新聞情報に基づいた質問になりますけれども、財団の発案者であり推進者が友部氏御自身だったという報道が一月の、何紙かがもうそういうことで当然のごとく書かれているんですけれども、一月十六日の新聞。これは本当なんでしょうか。  そもそも財団というのを、今回、二十一世紀青少年云々という財団ですね、これの発案と推進を中心になって友部さん御自身がやられたと、こういうことについてはいかがでしょうか。
  314. 友部達夫

    証人友部達夫君) 全くでたらめですね。財団をつくるのはいいだろうということは、いわゆる共済の中で、そういう意思は持っておりましたけれどもね、そういうことを進めるとかそういうことは全然、私は進んでやることはやっておりませんね。
  315. 横尾和伸

    横尾和伸君 その件については、またさらに追い打ちをかけるようですけれども、五億円の見せ金をしたという報道もあるんですけれども、それは本当なのか。また、もし本当であれば友部氏の指示によるものかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  316. 友部達夫

    証人友部達夫君) 指示はしておりません。
  317. 横尾和伸

    横尾和伸君 それでは、先ほどのお金の話にちょっと戻りたいと思うんですけれども、お金の関与について、特に九六年の六月に初村氏に対して三千万円が渡されたということで、友部氏御自身はいらっしゃらなかったと、その場にはですね。ということですけれども、この点についての関与の問題が非常に大事な問題になってくるんですが、先ほどのお話ですと、ある時期からお金の支出についての決裁は実質奥様か次男の百男さんかどちらかだと。時期がちょっと、九五年の四月ごろからですか。となると、もう百男容疑者の方に実権は移っているという時期なんですけれども、その点はいっ、まあ指示をしたのかどうかということだと、どうもしてないというお答えのようなんですが、もししてなければ、知ったのはどのような形で知って、その後友部氏自身がどのように対応されたのか、その点を伺いたいんですけれども。
  318. 友部達夫

    証人友部達夫君) 九六年といいますと平成何年でしょうか。
  319. 横尾和伸

    横尾和伸君 去年の六月ですから八年です。
  320. 友部達夫

    証人友部達夫君) 八年ですか。平成八年の六月。全然記憶にありませんね。
  321. 横尾和伸

    横尾和伸君 昨日の新聞にちょっとまた新たな事実が報道されているんですよ。これは九五年の九月に、平成七年の九月ですから選挙が終わって一月ないし二月という時期だったと思うんですけれども、この時期に、友部氏、これは友部氏御自身がいらっしゃったという内容なんですけれども、二百万円、初村前議員に、細川氏を接待した際に渡しているという記事がこういう形で出ているんです。(資料を示す)この辺についてはいかがでしょうか。要するに九五年の九月にも二百万円、これは百男氏からではなくて友部氏御自身がいらっしゃったということなんですけれども。
  322. 友部達夫

    証人友部達夫君) 全然記憶ございません。七年の九月といったら当選して間もなくですね。そんなものは全然記憶ないんですね。
  323. 横尾和伸

    横尾和伸君 話が少し飛んで恐縮でございますが、公示の二日前に細川氏、海部氏にホテルオークラで初めて会ったと。前、当選前は細川前総理とは会ったことがないということがちょっと間違っていたということで訂正されたわけですけれども、これについては誤りはないですか、もうそれ以上。二日前のそのホテルオークラのパーティーに来られたのがお会いする初めてだったということになりますね。その辺の確認をしたいんですけれども。
  324. 友部達夫

    証人友部達夫君) そのとおりです。二日前会いまして、そのときに私には、あのときはたしか北海道も来たんじゃないかと思いますが、北海道から九州までのいわゆる支部長といいますか代理店かな、来ましてね、相当、二百人ぐらい集まったですよ。それだけ私は要するに味方を持っているんだぞという、いわばデモンストレーションみたいなものですね。私の力を見せたかったですね。海部さんとそれから細川さんとそれから初村さんもいたと思いますがね。そういうことはありました。
  325. 横尾和伸

    横尾和伸君 当時、新進党といえばスタートしたばかりとはいえ、やはりかなりの勢いがあったと思いますし、その中のまあ中枢中の中枢、前総理でもあるという方に、しかも公示の二日前という非常に忙しい時期に呼んだ、人も集められたと。ということは、それなりに確実に来てもらえるという確信があったんだと思うんですけれども、ちょっと私もその辺の事情を想像しにくいんですけれども、そんな簡単に呼んでぱっと来ていただける、あるいは来ていただけることを確信できるような状況だったのかどうか。要するに、非常に不安定要素が多かったんじゃないかと思うんですけれども、そのときの、何といいますか、確実に細川前総理が来られるという確信はどの程度だったんでしょうか。
  326. 友部達夫

    証人友部達夫君) 正直言いまして、私も、細川さんと海部さん、顔を見るまでは本当に見えるのかどうかわかりませんでしたね。
  327. 横尾和伸

    横尾和伸君 それで、その来ていただく要請をした手続、これはいわゆる新進党の事務局に、候補者ですから当然優先されるのは、それなりの優先度はあると思うんですけれども、いわゆる事務的にあれしたのか、あるいは特定の方を通じて細川前総理、海部前総理の出席を求めたのか、そのときはどんな形でお求めになったんでしょうか。
  328. 友部達夫

    証人友部達夫君) はっきりした記憶は私にはありませんけれども。どうだったのかな、あのときは。とにかく私は壇上にいましてね、いましたら、要するに細川さんとそれから海部さんが出てこられたですね。だから、手続をだれがやったかということは私は全然覚えておりません。
  329. 横尾和伸

    横尾和伸君 候補者自身というのは大体そういうケースが多いからわからないではないんですけれども。そういうお答えですか。  それで、ちょっと初めに聞くべきような話ですけれども、政界を志されて、大変ある時期は迷われたということもあるそうでございますけれども、百男容疑者が、お父さんを何とか政界に出したいということで相当な意欲を持っておられたというふうにも伝えられておりますけれども、その辺のことを御自身はどのように受けとめられていらっしゃるんでしょうか。
  330. 友部達夫

    証人友部達夫君) いや、それもどうかと思いますね。百男はね、おやじ、もうやめた方がいいんじゃないのと最初は言ったですよ。私もそういう気持ちはありましたからね、先ほども申し上げたように。年金党じゃもうだめだなと。それでも三十万票以下はないんですよ、年金党でも。だけれども、年金党じゃどうかなという気持ちはありましたですね。で、そこへ新進党が、十二月十日にいわゆる、まあ今から思えば大爆音ですね、もうすごい音をたてて誕生したでしょう。ですから、これは何かいい政党ができたんじゃないかなと、そういう感じを持ちましたですね。そういうことですね。
  331. 横尾和伸

    横尾和伸君 それでは、時間になりましたので私の質問を終わらせていただきます。  御協力ありがとうございました。
  332. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 証人に対する、参議院で辞職勧告決議が全会一致でなされましたが、どのように受けとめておられますか。(「それはまだじゃないの」「辞職勧告決議は議運だよ」と呼ぶ者あり)議運で。
  333. 友部達夫

    証人友部達夫君) 全然辞職する気持ちはございません。
  334. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 辞職の意思はないと繰り返しておられますが、政治家として道義的な責任はお感じになっておりませんか。
  335. 友部達夫

    証人友部達夫君) 感じておりません。
  336. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 証人は、あなた自身の選挙費用として一体幾らの金額、オレンジ共済のお金を流用したんですか。
  337. 友部達夫

    証人友部達夫君) 先ほど申し上げましたように、たしか一億程度ではないかと思っております。
  338. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 その流用した選挙資金、返済する意思、見込みはありますか。
  339. 友部達夫

    証人友部達夫君) 十分にあります。
  340. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 その返済する根拠を申し上げてください。
  341. 友部達夫

    証人友部達夫君) 私は、行く行く信用組合あるいは信用協同組合というものを設立していきたいと思っております。  それで、それと、いわゆる何といいますか、共済ですね、共済生命、掛け捨てのですね、要するに両方を組み合わせてやっていく事業を考えております。
  342. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 証人自身がもう年金党からの立候補ではだめだと、こういうふうにお思いになったというのは、その時期はいつですか。
  343. 友部達夫

    証人友部達夫君) 時期と言われましてもね。平成六年の、そうですね、平成六年いっぱいぐらいじゃないでしょうかね。
  344. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 平成六年の十二月ごろ、息子の百男らを含めて、旧日本新党系の新渡東京都議会議員に一億円を渡している。新進党からの、候補者選定に便宜を図ってもらおうと、こういうことを話し合いしたことはありませんか。
  345. 友部達夫

    証人友部達夫君) 先ほどもお話ししましたように、私は全然知りません。
  346. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 その後、あなた自身は知らないと言うんだけれども、謀議は、百男から後日報告を受けたことはありませんか。
  347. 友部達夫

    証人友部達夫君) ありません。
  348. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 先ほど新渡都議会議員と御一緒に初村代議士の部屋をお訪ねになったと、こういうことを言っておりましたね。その訪ねた目的は何ですか。
  349. 友部達夫

    証人友部達夫君) 顔つなぎだけです。
  350. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 初村代議士を通して新進党の比例代表としての位置づけに何らかの影響を与えてもらうと、こういう目的はありませんでしたか。
  351. 友部達夫

    証人友部達夫君) 第一に、そのときは新進党はできてませんよ、まだ。
  352. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 あなたが初村代議士の部屋を訪ねたのはいつですか。
  353. 友部達夫

    証人友部達夫君) だから、平成六年の十月ごろではないかと思っていますがね。十月か十一月。
  354. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 あなたは齋藤衛を知っておりますね。
  355. 友部達夫

    証人友部達夫君) 知っています。
  356. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 齋藤衛をあなたに紹介した人はどなたですか。そして、それはいつごろですか。
  357. 友部達夫

    証人友部達夫君) わかりません。
  358. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 わからないというのはどういうことですか。記憶にないということですか、それとも言えないということですか。
  359. 友部達夫

    証人友部達夫君) 知らないということです。
  360. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 あなたは先ほど齋藤衛を知っていると言ったでしょう。その齋藤をあなたに紹介した人はどなたですか。
  361. 友部達夫

    証人友部達夫君) 齋藤衛は知っておりますが、紹介した人は覚えておりません。
  362. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 あなたは、齋藤はどのような仕事をしていると、こういうふうに思っておりましたか。
  363. 友部達夫

    証人友部達夫君) 全然知らなかったです。
  364. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 知り合って後は、齋藤はどういう仕事をし、あなたのためにどのようなことをしてくれたんですか。
  365. 友部達夫

    証人友部達夫君) 知り合った後はいつの間にか私の、参議院議員になった後は秘書になっていましたね、私の。
  366. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 あなたが参議院議員に当選される前から齋藤さんとは知り合っているんでしょう。
  367. 友部達夫

    証人友部達夫君) 私の、私は参議院議員になる前に私個人の事務所、いわゆる選挙事務所を持っていまして、そこに一度来たことはありますね。
  368. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 オレンジ共済の会員からの振込金を自宅で保管していたことがありませんか。
  369. 友部達夫

    証人友部達夫君) 全然覚えていません。
  370. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 息子の百男が自宅で保管をしておったということを供述した旨のマスコミ報道もございます。  それから、決裁権についてもあなたと奥さんとお二人でやっておられた、こういうことを百男が供述したという報道もありますが、どうですか。
  371. 友部達夫

    証人友部達夫君) 私は、先ほどから言うように、マスコミを信じておりません。だから、百男の言ったかどうかということもわかりません。
  372. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 あなたの奥さんが自宅でオレンジ共済の会員からの振込金を保管していた事実はございますか。
  373. 友部達夫

    証人友部達夫君) ちょっと補佐人と。
  374. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 許します。
  375. 友部達夫

    証人友部達夫君) 有罪の判決のおそれがありますので、拒否します。
  376. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 息子の百男から、齋藤さんがあなたのために政界工作をしているんだということを聞かされたことはありませんか。
  377. 友部達夫

    証人友部達夫君) 補佐人といいですか。
  378. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 許します。
  379. 友部達夫

    証人友部達夫君) もう一度言ってください。
  380. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 息子の百男から、齋藤衛があなたのために政界工作をしているんだということを伝えられたことはありませんか。
  381. 友部達夫

    証人友部達夫君) ありません。
  382. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 息子の百男が政界工作として十三人の国会議員にお金を渡したと。さらに、比例順位の工作として国会議員六名に三億円渡した。その渡す金額についてはあらかじめ父親である証人に伝えて決裁を受けておった、事後にまた渡したこともあなたに報告をした、こういうことを供述した旨の報道がありますが、どうでしょうか。
  383. 友部達夫

    証人友部達夫君) 全然覚えていません。
  384. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 あなた御自身が参議院選挙の告示直前に年金党の後援会事務所で代理店の開設希望者と直接お会いになって、そして手付金を受領した事実はありますか。
  385. 友部達夫

    証人友部達夫君) 覚えていません。
  386. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 オレンジ共済の幹部の石暗松之介さんが同席の上に、都内の五十六歳の男性から受け取った記憶、思い出しませんでしょうか。
  387. 友部達夫

    証人友部達夫君) 思い出しません。
  388. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 時間のようでございますので。
  389. 藁科滿治

    藁科滿治君 民主党藁科でございます。  できるだけ重複を避ける努力をしながら幾つかお尋ねをいたします。  まず最初に、あなたの政治資金はどのような団体がどのような形で管理をされておられますか。
  390. 友部達夫

    証人友部達夫君) 団体といいますと、まあ結局、年金会のことだと思いますが、年金会につきましては、先ほど申し上げましたように、女房ですね、私の家内が管理していまして、あと何でしたっけ……
  391. 藁科滿治

    藁科滿治君 共済以外の政治団体、あなた自身の、お持ちではございませんか。
  392. 友部達夫

    証人友部達夫君) 共済以外の政治団体、そういうのないですね。
  393. 藁科滿治

    藁科滿治君 それでは、次に行きますが、九四年の十二月、すなわち選挙前の年ですね、十二月に証人は新進党に入党されていますね。そのときの新進党の窓口はどなただったんでしょうか。また、紹介者はどなたでしょうか。選挙の前の年ですよ。
  394. 友部達夫

    証人友部達夫君) 平成六年ですね。
  395. 藁科滿治

    藁科滿治君 ええ。
  396. 友部達夫

    証人友部達夫君) 私は、平成六年に新進党に入ったという記憶はございません。
  397. 藁科滿治

    藁科滿治君 たしか入っているんですが、まあとりあえず。  それでは次に、新進党の比例名簿順位に関しまして、証人はだれが権限を持っているか、どのようにお考えになっておられましたか。新進党の中でだれが影響力を一番持っておられるか、どのように考えておられたんですか。
  398. 友部達夫

    証人友部達夫君) 知ろうにも知るわけがないですよ。新進党というのはできたばかりで、私は年金党でしたからね。もう新進党の内部なんて全然わかりませんよ。
  399. 藁科滿治

    藁科滿治君 それでは、九五年の七月四日から、これは選挙の年ですよ、七月四日から告示日の六日にかけて名簿順位決定作業が進められたというふうに言われておりますけれども、この間、新進党のどなたと連絡をとり合っておられましたか。
  400. 友部達夫

    証人友部達夫君) だれとも連絡をとっておりません。
  401. 藁科滿治

    藁科滿治君 それでは、先ほどマスコミを通じて順位を知ったというお答えがございましたが、それはそれとして、党の方から正式に順位の決定の連絡があったと思うんですが、どなたからありましたか。
  402. 友部達夫

    証人友部達夫君) 党の方からですか。
  403. 藁科滿治

    藁科滿治君 そうです。
  404. 友部達夫

    証人友部達夫君) 党の方からね。全然記憶ないですね。
  405. 藁科滿治

    藁科滿治君 公党が比例区の順位を決定して、マスコミ報道は当然あるにしても、党のしかるべき責任者から比例の順位を正式に報告がないというのはちょっと常識では考えられない。私も比例区の候補でありますけれども、その点どんなふうに考えておりますか。
  406. 友部達夫

    証人友部達夫君) いや、そのとおりだからしょうがないでしょう。
  407. 藁科滿治

    藁科滿治君 まあ、あったのを忘れられたのかもしれませんけれども。  それでは、オレンジ共済については今までの質問、尋問等に全く関与していないというお答えを一貫されているんですけれども、現在、共済の会員は大変深刻な状態に置かれていると思いますよね。これについてはどんなふうに受けとめられておりますか。
  408. 友部達夫

    証人友部達夫君) 私が関与してないのは、つまり新進党に当選しましてね、参議院議員になってからですね。それで、現在は、こういう事件になっておりますので、おっしゃるように会員は大変な事態になっているだろうと思っておりますので、これを何とか早急に鎮静化といいますか、皆さんに迷惑のかからないように全力を挙げて努力したいと思っております。
  409. 藁科滿治

    藁科滿治君 関与されてないとおっしゃりながら、これからの返済その他の展望については相当自信をお持ちになっておられるようなんですが、さっきもちょっとお話がありましたけれども、大変な金額ですよね。大変な対象者ですよ。これについて、どのように具体的に返済の展望を開いていくのか、もう少し具体的にお話を伺いたいと思います。
  410. 友部達夫

    証人友部達夫君) 補佐人とちょっと打ち合わせます。
  411. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 許します。  時間の制約がありますから急いでやってください。
  412. 友部達夫

    証人友部達夫君) それはまだ検討中でございますので、具体的には言いかねます。
  413. 藁科滿治

    藁科滿治君 最後にもう一度聞きますが、あなたは政治資金の管理については、共済関係以外は全くないんですか。
  414. 友部達夫

    証人友部達夫君) ございません。
  415. 藁科滿治

    藁科滿治君 ちょっと重複しますので、私からの質問は以上で終わります。
  416. 橋本敦

    橋本敦君 私からお伺いしますが、あなたは先ほど、九六年、平成八年の六月、細川氏からの指示で初村氏から三千万円が返されたことは後で知ったというようにたしか証言されましたが、後でだれから聞かれたんですか。
  417. 友部達夫

    証人友部達夫君) 先ほど申し上げましたように、マスコミ、テレビだったか新聞だったかです。というのは、さっき申し上げましたように、これはね……
  418. 橋本敦

    橋本敦君 簡単に言ってください。だれから聞いたかだけでいいです。
  419. 友部達夫

    証人友部達夫君) だから、テレビか新聞です。
  420. 橋本敦

    橋本敦君 三千万円返ってきたことは事実だとさつき証言されたんではありませんか。
  421. 友部達夫

    証人友部達夫君) それまで言いましたから、テレビで、新聞で。
  422. 橋本敦

    橋本敦君 テレビじゃない。あなた自身三千万円が返ってきたことは承知しているんでしょう、事実として。
  423. 友部達夫

    証人友部達夫君) それはせがれから聞きました。
  424. 橋本敦

    橋本敦君 どういう趣旨で渡したのか。選挙でお世話になった謝礼の趣旨ではなかったですか。
  425. 友部達夫

    証人友部達夫君) その辺は全然わかりません。
  426. 橋本敦

    橋本敦君 理由もなしに渡すのはおかしいんですが。  先ほどのあなたの証言によりますと、約一億円は選挙資金にオレンジ共済の金を流用したとおっしゃいました。その約一億円というのは、参議院選挙にあなたが今度出る前の、それまでの選挙の関係の費用のことですね。
  427. 友部達夫

    証人友部達夫君) そのとおりです。
  428. 橋本敦

    橋本敦君 今度の参議院選挙に出るについて、政治工作としての資金は一銭も使っていないというように証言されたと記憶していますが、間違いありませんか。
  429. 友部達夫

    証人友部達夫君) そのとおりです。
  430. 橋本敦

    橋本敦君 それは、知らないというのか、事実一銭も使ってないと断言できるのか、どちらですか。
  431. 友部達夫

    証人友部達夫君) 使ってはおりません。断言できます。
  432. 橋本敦

    橋本敦君 それが事実に反すれば重要な法律上の問題が出てくるんですよ。  あなたは、初村氏の紹介で齋藤氏を知ったのではありませんか。
  433. 友部達夫

    証人友部達夫君) 済みません、もう一回言ってください。
  434. 橋本敦

    橋本敦君 初村議員の紹介で齋藤衛氏を知ったのではありませんか。
  435. 友部達夫

    証人友部達夫君) その辺は全然もう記憶が薄くなっておりまして、わかりません。
  436. 橋本敦

    橋本敦君 よく思い出してください。  齋藤氏はあなたに新進党の有力な政治家をオレンジ共済事務所に御案内をして会わせた、そういう記憶がありませんか。
  437. 友部達夫

    証人友部達夫君) ありません。
  438. 橋本敦

    橋本敦君 私は、その人は、たしか私どもの調査では、齋藤氏が小沢辰男氏を連れてあなたたち共済の事務所に御案内したと、そういうことを関係者から聞いておるのですが、思い出してください。
  439. 友部達夫

    証人友部達夫君) 会ったこともございません。
  440. 橋本敦

    橋本敦君 細川氏と会われたのは、あなたの先ほどの話ですと、まさに選挙の直前、七月四日ということでありましたが、それより前に齋藤衛氏の世話で細川氏と会って、記念写真のスナップ写真など撮っておられる記憶はありませんか。
  441. 友部達夫

    証人友部達夫君) ありません。
  442. 橋本敦

    橋本敦君 ありませんか。  委員長、ここで、新聞に掲載された写真を示してよろしいでしょうか。
  443. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) はい、どうぞ。    〔写真を示す〕
  444. 橋本敦

    橋本敦君 こういう写真、御記憶ありませんか。  細川さんを真ん中にして、あなたも奥さんも百男氏も写っていますが。どうですか。
  445. 友部達夫

    証人友部達夫君) 覚えはありませんが、どこで撮ったのかな。
  446. 橋本敦

    橋本敦君 あるでしょう。
  447. 友部達夫

    証人友部達夫君) 写真は見覚えがありますね。
  448. 橋本敦

    橋本敦君 そういうようにあなたを細川氏に会わせるように段取りをしたのは初村氏、齋藤氏、こういう皆さんが相談してやったことでしょう。
  449. 友部達夫

    証人友部達夫君) その辺のところはわかりません。
  450. 橋本敦

    橋本敦君 齋藤氏はあなたのオレンジ共済事務所にたびたび赴き、あるいは、先ほどあなたは選挙事務所でも会ったと言いましたが、百男氏やあるいはその他、大久保氏などと相談をして、あなたを当選させるためにどのような人たちにどういう政治的工作をするか、主に齋藤氏がそういったプランを立てて進めていったと私どもは聞いていますが、事実そうなんでしょう。どうですか。
  451. 友部達夫

    証人友部達夫君) 覚えていません。
  452. 橋本敦

    橋本敦君 吉野弁護士という方知ってますか。
  453. 友部達夫

    証人友部達夫君) 知っております。
  454. 橋本敦

    橋本敦君 吉野弁護士の話もあるんですが、齋藤氏ともいろいろ相談をして三億数千万円という金がオレンジ共済関係から齋藤氏のところに、口座に送り込まれたと。それが政治工作資金に使われたという話も私どもは聞いておるんですが、あなたは御承知ありませんか。
  455. 友部達夫

    証人友部達夫君) 知りません。
  456. 橋本敦

    橋本敦君 少なくとも、そういった金が動くとすれば、あなたの了解なしに奥さんにしても百男氏にしてもそれだけのお金を動かすということは、これは普通はないんでしょうね。あなたの知らないところでも動くこともあるんですか。
  457. 友部達夫

    証人友部達夫君) あります。
  458. 橋本敦

    橋本敦君 そうすると、あなたが知らないけれども動いた可能性があるということにもなってくるんですよ。  そこで、さらにお伺いをいたしますけれども、あなたは先ほど、三千万円返ってきた、どういう趣旨かわからないとおっしゃいましたが、現に三千万というお金が動いた事実をはっきりあなたは認めたんですよ、選挙が終わってから。大事な選挙のときに、これまで衆議院に一回、参議院に三回出て落選されて、今度は何とかして当選したいというその気持ちは、あなたにも御家族にも年金関係者にもあったに違いない。この気持ちは間違いありませんね。
  459. 友部達夫

    証人友部達夫君) 間違いありません。
  460. 橋本敦

    橋本敦君 だから、できるだけいい順位で当選ができるようにしたいという思いは、正直言って間違いなくみんなにあったでしょう。
  461. 友部達夫

    証人友部達夫君) あったとは思います。
  462. 橋本敦

    橋本敦君 時間が参りましたから終わりますけれども、そういう意味では、先ほどあなたは十三位という問題を云々されましたが、あなたの選挙直前の集会に来て細川さんが、初村さんが、できるだけ順位を上げて当選できるようにしたいと多くの皆さんの前でおっしゃった、そのことはあなたとしては大変うれしく思われたし、期待どおりの発言だったのではありませんか。
  463. 友部達夫

    証人友部達夫君) そうではありましたけれども、それは向こうさんで勝手にやったことです。
  464. 橋本敦

    橋本敦君 そういうことは信じられません。  終わります。
  465. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 二院クラブの山田です。  きょう最後の質問者なんですが、ずっと聞いていまして、あなた自身、オレンジ共済事件を通じて国民に迷惑をかけたり、いろんな政界工作をされたというようないろんな報道がされているんですが、あなた自身はどうなんですか、自分はそういうことをしたことに対する責任は一切感じていなくて、むしろ自分を被害者だとお思いですか。
  466. 友部達夫

    証人友部達夫君) 被害者とは思っておりません。(「加害者だ」と呼ぶ者あり)
  467. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 そうすると、まあこちらから声が出たんですが、やはり迷惑をかけた、いろんな人へ、政界の人たちへの加害者だという認識は全くないんですか。
  468. 友部達夫

    証人友部達夫君) 加害者というよりも、何といいますかね、加害者という認識もございません。
  469. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 被害者ではないとおっしゃるからあれなんですが、きょう証言を聞いていて、あなたが選挙に出るということで一生懸命オレンジ共済で集めたお金をいろんな人たちが、言葉は悪いかしらぬけれども、たかったんじゃないのかというような気がしますが、そういうふうに御自身でお考えになることはありませんか。
  470. 友部達夫

    証人友部達夫君) 補佐人にちょっと相談します。
  471. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 許します。
  472. 友部達夫

    証人友部達夫君) わかりません。
  473. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 わからない。例えば、齋藤衛なる人は元暴力団なんかの幹部でいた方なんですが、そういう人たちがあなたに対して、オレンジで稼いだお金を、あなたを当選させるから出しなさいというような脅迫なり恐喝を受けたようなことはないんですか。
  474. 友部達夫

    証人友部達夫君) ありません。
  475. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 そうすると、いろいろと選挙には金がかかる、集めたお金を、あなたが集めた金が六十六億で、これがだんだんだんだんなくなっていっているという事実は認識していたわけですか。
  476. 友部達夫

    証人友部達夫君) 補佐人とちょっと。
  477. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 許します。
  478. 友部達夫

    証人友部達夫君) わかりません。
  479. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 わからないって、あなたはオレンジ共済会の役員ではないけれども実質的な、実態を把握している経営者の立場に等しいと思うんですよね。そういうお金を集めて、幾ら集まっているとか、それが何に使われているとかいうような認識は全くなかったんですか。
  480. 友部達夫

    証人友部達夫君) 先ほど来申し上げましたように、平成七年の、要するにこの間の参議院選挙で、あれまでは私も要するに年金会の方にときどき行きましたけれども、それ以後は全然私は関与しておりませんから。
  481. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 関与をしていないとおっしゃるんですが、あなた自身、その金の流れですか、集めた金が大体幾らぐらいで、今度発表されているところによると使途不明金というのが非常に多いんですよ。そういうお金がどういうところに使われているのか、悪いけれども、ひょっとしてあなたが隠匿しているんじゃないかと思うんだけれども、どうですか。
  482. 友部達夫

    証人友部達夫君) 全くでたらめです。
  483. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 きょうの証言を聞いていて、知りません、でたらめです、わかりませんの連発なんですが、ちょっと説明という形で、あなた自身自分で語っていただきたいなと思うんですけれども。  先ほどもマスコミに対して、いやあれはでたらめを報道する、人権侵害だと、こうおっしゃるんですが、例えばその件だけとらえてお聞きするんですが、具体的にあなたに対する人権侵害をマスコミはどのようにしているのですか、具体的にちょっと説明してくれませんか。
  484. 友部達夫

    証人友部達夫君) 例えば私が逮捕される前に、友部議員はいついつ逮捕であるというようなことを、どの新聞でしたか覚えていませんが、書いていますね。それはまさに人権侵害ではないんですか。
  485. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 その一点だけなんですかね。マスコミというのはある程度取材して、ある程度真実、確信を持って報道されていると思うんですが。  きょういろいろ先生方の質問を聞いて、あなたの姿勢というのか態度はよくわかったから、あえてお尋ねはいたしませんけれども、一つだけ最後に、オレンジ共済というのをあなたは社内預金みたいな形でやられたというようなお話になっていたんだけれども、これ集めた金を全然運用もしないというような状況の中で、いずれ破綻するということはわかってましたよね。
  486. 友部達夫

    証人友部達夫君) 補佐人とちょっと打ち合わせます。
  487. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 許します。  時間の制約がありますから、簡潔にしてください。
  488. 友部達夫

    証人友部達夫君) 有罪判決を受けるおそれがありますので、証言を拒否します。
  489. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 質問の最後で、あなたは新進党という党、あるいはほかの党でもいいですが、あるいは党の幹部あるいは政治家に、あなた自身、あなたの部下あるいは息子さん、百男さんですね、あるいは奥さんたちがオレンジ共済から得たお金を何らかの形でお支払いになったということは認められますね。
  490. 友部達夫

    証人友部達夫君) 認めません。
  491. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 時間が来ました。終わります。
  492. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) これをもって友部達夫証人に対する証書の聴取は終了いたしました。  証人には、長時間にわたり御証言をいただき、ありがとうございました。御退席くださって結構でございます。  以上をもちまして友部達夫君に対する証人尋問は終了いたしました。    午後四時十六分終了     ―――――――――――――    証人友部百男君議院外証言速記録  日時 平成九年三月二十一日(金曜日)  場所 東京都千代田区霞が関二-一-一 警視庁  案件 予算の執行状況に関する調査のうち、オレンジ共済組合問題について  派遣委員    尋問主宰者        田沢 智治君    理 事          佐藤 静雄君                 木庭健太郎君                 都築  譲君                 山本 正和君                 有働 正治君    委 員          一井 淳治君    証 人          友部 百男君         (証人補佐人 尾嵜  祐君)     ―――――――――――――
  493. 田沢智治

    ○尋問主宰者(田沢智治君) ただいまから、予算の執行状況に関する調査のうち、オレンジ共済組合問題について、証人証言を求めることといたします。  まず、尋問主宰者である私、田沢智治から確認させていただきます。  あなたは友部百男君御本人ですか。
  494. 友部百男

    証人友部百男君) はい、そのとおりです。
  495. 田沢智治

    ○尋問主宰者(田沢智治君) この際、一言申し上げます。  当委員会におきましては、目下、予算の執行状況に関する調査を進めております。本日は特にオレンジ共済組合問題について友部百男君から御証言をいただくことになった次第でございます。  証言を求めるに先立ち、証人に申し上げます。  議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人には、証言を求める前に宣誓をしていただくことになっております。  宣誓または証言を拒むことができるのは、次の場合に限られております。  自己または自己の配偶者、三親等内の血族もしくは二親等内の姻族または自己とこれらの親族関係があった者及び自己の後見人後見監督人または保佐人並びに自己を後見人後見監督人または保佐人とする者が刑事訴追を受け、または有罪判決を受けるおそれのあるときは宣誓または証言を拒むことができます。また、医師、歯科医師、助産婦、看護婦、外国法事務弁護士を含む弁護士、弁理士、公証人、宗教の職にある者またはこれらの職にあった者が業務上委託を受けたため知り得た事実で他人の秘密に関するものについて証言を求められたときも宣誓または証言を拒むことができますが、本人が承諾した場合はこの限りではありません。  正当の理由がなくて証人が宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または十万円以下の罰金に処せられます。  また、宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることになっております。  なお、今回の証人喚問についての当理事会の決定事項については、証人に既に文書をもってお知らせしたとおりでありますが、この際、その主要な点について申し上げます。  その第一点は、証人が補佐人に助言を求めることが許される場合についてであります。  証人は、補佐人に対し、宣誓及び証言の拒絶に関する事項について助言を求めることができますが、これらの助言は、いずれもその都度証人が尋問主宰者にその旨を申し立て、その許可が得られた後に認められるものであり、補佐人の方から証人に対し助言することはできないことになっております。なお、補佐人は発言することはできません。  その第二点は、資料についてであります。  証人は、既に通知いたしましたとおり、証言を行うに際し、あらかじめ提示された資料を用いることは差し支えありませんが、尋問主宰者の許可が必要であります。  その第三点として、証人のメモ筆記は尋問の項目程度に限られております。なお、補佐人はメモをとることが許されます。  以上の点を十分御承知願いたいと存じます。それでは、法律の定めるところにより、証人に宣誓を求めます。  全員御起立願います。    〔総員起立〕
  496. 田沢智治

    ○尋問主宰者(田沢智治君) 友部百男君、宣誓書を朗読してください。
  497. 友部百男

    証人友部百男君) 宣誓はできません。
  498. 田沢智治

    ○尋問主宰者(田沢智治君) 友部君、宣誓をしてください。
  499. 友部百男

    証人友部百男君) 大変申しわけございませんが、宣誓はできません。
  500. 田沢智治

    ○尋問主宰者(田沢智治君) 速記をとめてください。    〔速記中止〕
  501. 田沢智治

    ○尋問主宰者(田沢智治君) 速記を起こしてください。  証人に重ねて重ねて申し上げます。  ただいま証人より、宣誓拒否について御所見がありましたが、重ねて証人の宣誓拒否について、法第四条に該当する正当な理由を明らかにしていただきたいと存じます。  重ねて、その趣旨をもう一度正確にお伝えください。
  502. 友部百男

    証人友部百男君) いわゆるこの喚問の審議会のここにおわせられる方々の信頼度が低いと。私の個人的な意見であります。
  503. 田沢智治

    ○尋問主宰者(田沢智治君) ただいま証人が述べられた事由は、正当な理由として我々は判断することはできません。  再度、証人に宣誓を求めます。
  504. 友部百男

    証人友部百男君) それでは、補佐人の弁護士の先生に確認をしてよろしいでしょうか。
  505. 田沢智治

    ○尋問主宰者(田沢智治君) どうぞ。
  506. 友部百男

    証人友部百男君) 委員長、実は捜査当局及び日本全国の皆様にですね、平成七年度に行われた参議院選挙での明らかに不正と思われる事実を私は記憶しております。それを本当はここの場で申し上げたい気持ちが本当にやまやまであります。場所が変われば幾らでも証言いたします。  しかしながら、今回のこの場においての宣誓拒否というのは、父の有罪判決にもかかわる証言にもなってしまいますので、もし場を変えて、言うなれば議員の先生方がすべてそろったところででなら、そのようなことを腐敗した政治というものを打開するためにも証言したいと思っておりますし、つけ加えるならば、父の有罪判決にも差しさわりがあるというおそれもありますので、拒否をしたいと考えております。
  507. 田沢智治

    ○尋問主宰者(田沢智治君) 証人に申し上げます。  証人が先ほどの証言拒否ができる事項等に憂慮する点があるとすれば、それを除いた中で御証言をいただきたいと思います。
  508. 友部百男

    証人友部百男君) 参議院の方から通達が来て、約一週間ばかしいろいろなことを私も考えました。どうしても私も証言しなければならない事項が幾つかあると思います。  まあ報道機関等で天下の放蕩息子と呼ばれている私でもありますが、ある程度の認識を持って、日本の構造の改革を少しでも、ほんのみじんでも後押しできたらという考えで生きていた人間でありましたから、証言せざるを得ない、証言しなきゃならないという使命感は持っております。  しかし、私は今までいろいろな先生方と、または先生方から訓示をいただき今まで生きてきたわけですが、何ら役に立ったこともなく、約束を果たされたこともなく、今この場にこうしております。  であるからしまして、そういう方々、もちろん私はこの場にいらっしゃる先生方とは初対面の方々ばかりです。しかし、国会議員としての威厳を持たれる八百何人の方々全員が聞いているところでないと、私は、自分個人として発言を控えたいというのが切なる考えであります。
  509. 田沢智治

    ○尋問主宰者(田沢智治君) ただいま証人が述べられた事由は正当な理由として当たらないと私は判断いたします。
  510. 友部百男

    証人友部百男君) はい。
  511. 田沢智治

    ○尋問主宰者(田沢智治君) 再度、証人に申し上げます。  宣誓をまずなさられて、その後、自分の主張をお述べいただきたいと思います。改めて自分の主張をお述べいただきたいと存じます。
  512. 友部百男

    証人友部百男君) もう一度補佐人と相談してよろしいでしょうか。
  513. 田沢智治

    ○尋問主宰者(田沢智治君) はい、どうぞ。  再度、証人に申し上げます。  宣誓をした後、あなたが述べようとすることを述べる機会を与えますので、まず宣誓をしてください。
  514. 友部百男

    証人友部百男君) しかし、それが拒否する理由にはならないとおっしゃるのであれば、宣誓した後、拒否することはできないような可能性がありますが。
  515. 田沢智治

    ○尋問主宰者(田沢智治君) 証人に申し上げます。  宣誓した後、御自分の意見があるとするならば、先に意見をお述べください。難しいことを言っているわけじゃないわけですね。
  516. 友部百男

    証人友部百男君) わかっています。
  517. 田沢智治

    ○尋問主宰者(田沢智治君) だから、あなたが述べたいことがあるんだから、だから宣誓をした後お述べなられたらいかがですか。
  518. 友部百男

    証人友部百男君) いや、しかしながら、この委員会を信用できないと言っているわけですから。
  519. 田沢智治

    ○尋問主宰者(田沢智治君) いや、それは正当な理由にはならない。
  520. 友部百男

    証人友部百男君) いや、正当な理由でなくても私個人がそういうふうに考えておりまして、宣誓をした後、その私の考えが通らないことも私はわかっております。
  521. 田沢智治

    ○尋問主宰者(田沢智治君) 通らないことというのはどういう意味なのかな。  ちょっと速記をとめてください。    〔速記中止〕
  522. 田沢智治

    ○尋問主宰者(田沢智治君) 速記を起こしてください。  では、証人に申し上げます。  友部百男証人証言拒否の理由については、正当なものとは認められないので、改めて宣誓をお願いいたします。  なお、宣誓した後、御自分が述べたいという意思があり、使命感を持っているということであるならば、それを述べる機会を与えますので、宣誓をなさってください。
  523. 友部百男

    証人友部百男君) 水かけ論になるようで申しわけないんですが、それでは、その使命感というのは、この場ではなくて、違った形のしかるべく場所で述べるという使命感でありまして、この場での使命感ということを申し上げているわけではありません。
  524. 田沢智治

    ○尋問主宰者(田沢智治君) 証人に申し上げます。  あなたがここで証言した内容については、議事録に記して公開をすることになっております。ですから、あなたが危惧されているように、ここで述べた内容が一部隠匿されたり悪用されたりする憂いがあるという御心情があるとするならば、そのようなことはございません。御心配なく宣誓して自分の所信をお述べください。  ぜひそうしてください。それがあなたの使命感に合致するものだと私は思いますが、御心配なく署名されてきちっとお述べください。証人が御心配されるような問題点、お父さんの問題その他について不利であるとするものについては拒むことができるという、そういう人権は守られておるので、そう心配することなく、署名されて所信をお話しいただきたいと思います。
  525. 友部百男

    証人友部百男君) 再度、補佐人と。
  526. 田沢智治

    ○尋問主宰者(田沢智治君) 速記をとめてください。    〔速記中止〕
  527. 田沢智治

    ○尋問主宰者(田沢智治君) 速記を起こしてください。  友部証人、お願いします。
  528. 友部百男

    証人友部百男君) どのようにすればよろしいんですか。これを読めばよろしいんですか。
  529. 田沢智治

    ○尋問主宰者(田沢智治君) ええ、読んでください。
  530. 友部百男

    証人友部百男君) 日付が入ってないんですが。
  531. 田沢智治

    ○尋問主宰者(田沢智治君) きょうの日付にしますから。
  532. 友部百男

    証人友部百男君) きょうの日付で。
  533. 田沢智治

    ○尋問主宰者(田沢智治君) ええ。    〔証人は次のように宣誓を行った〕    宣 誓 書  良心に従って真実を述べ、何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います。              証人 友部 百男
  534. 田沢智治

    ○尋問主宰者(田沢智治君) きょうの日付を入れてください。  署名捺印をしてください。
  535. 友部百男

    証人友部百男君) 腰かけてよろしいですか。
  536. 田沢智治

    ○尋問主宰者(田沢智治君) はい、どうぞ。  それでは、皆さん着席してください。    〔証人、宣誓書に署名捺印〕
  537. 田沢智治

    ○尋問主宰者(田沢智治君) これより証言を求めることといたしますが、証人の御発言は証言を求められた範囲を超えないこと、また、御発言の際は、その都度尋問主宰者の私に許可を得て御発言なさるようお願いいたします。  なお、質問を受けているときは御着席のままで結構でございますが、お答えの際には起立して御発言をお願いいたします。また、委員の尋問時間が限られておりますので、答弁は要点を的確に簡潔にお願いいたします。  この際、委員各位に申し上げます。  本日は、申し合わせの時間内で証言を求めるのでありますから、特に御協力をいただきたいと存じます。  それでは、まず尋問主宰者から友部証人に対してお尋ねいたします。  あなたは、新渡英夫都議会議員といつどのような経緯でお知り合いになり、その後、どのような関係にありましたか。また、新渡氏との知り合いになった際、どのような政治家を紹介されましたか。その新渡氏に対し、前回の参議院議員選挙において、あなたの父親である友部達夫氏が新進党の比例区の立候補になるに当たって、あなたの側から巨額の資金を渡したと報じられておりますが、それは事実であるか。また、その目的及び金額について御証言をいただきたい。この二点でございます、まずは。
  538. 友部百男

    証人友部百男君) よろしいですか。
  539. 田沢智治

    ○尋問主宰者(田沢智治君) 立ってくださいね。立って証言して。
  540. 友部百男

    証人友部百男君) まず、御質問の、出会った時期でありますが、私の記憶しているところでは、平成六年十一月中旬が初めてだったと思いま旧す。  経緯については、おじでありオレンジ共済組合の従業員でもあった、さらには最終的に友部達夫の第一秘書になられた大久保維曙氏に、さらに、やはりオレンジ共済組合の総務課長を務めておりました益川昇に紹介された記憶がございます。  それと、委員長
  541. 田沢智治

    ○尋問主宰者(田沢智治君) はい。
  542. 友部百男

    証人友部百男君) 経緯と、そのときの当時の私の見識と、捜査を進めていく上での新たな戦術といろいろ交錯しているんですが、どちらを話せばいいですか。両方ですか。
  543. 田沢智治

    ○尋問主宰者(田沢智治君) あなたのお気持ちを話しなさい、正直に。
  544. 友部百男

    証人友部百男君) はい。  関係については、そのときは年金会オレンジ共済、組合の方はついていなかったものですから、共済の方に貢献度のある方だという認識でおりました。  紹介された政治家というのは、具体的にこの方がだれだれ先生だよというような通常の紹介のされ方は全くありませんでした。次に、父が比例区からの出馬ということに当たって巨額な資金が流れたと報じられていると、これが事実であるかどうかと、さらには額面は幾らかということに関しましては、父の有罪判決のおそれのある事項でありますので、証言を拒否させていただきます。
  545. 田沢智治

    ○尋問主宰者(田沢智治君) お座りください。  次に、あなたは、初村謙一郎前衆議院議員を通じて、よろしいですかな。
  546. 友部百男

    証人友部百男君) はい。
  547. 田沢智治

    ○尋問主宰者(田沢智治君) 細川元総理に三千万円を渡したと報じられております。初村前衆議院議員は、その後、あなたの側にこの三千万円を返したと述べる一方、細川総理は、その三千万は返すよう初村氏に指示し、自分は受け取っていないと述べております。細川氏との間で直接この三千万円の金銭の授受はあったのでしょうか、なかったのでしょうか、事実を証言してください。もしあったとすれば、その目的、経緯について証言をお願いします。
  548. 友部百男

    証人友部百男君) 補佐人とよろしいですか。
  549. 田沢智治

    ○尋問主宰者(田沢智治君) どうぞ。
  550. 友部百男

    証人友部百男君) 補佐人。  もう一度、よろしいですか。
  551. 田沢智治

    ○尋問主宰者(田沢智治君) はい。
  552. 友部百男

    証人友部百男君) ただいまの御質問に関しては、やはり父の刑事告訴の対象となるということでありますので、証言を拒否させていただきます。
  553. 田沢智治

    ○尋問主宰者(田沢智治君) 証人に申し上げます。  初村さんに渡したと言われる三千万、これは事実かどうかについてだけでも、経緯についてはいろいろあるでしょうが、御証言はできませんか。
  554. 友部百男

    証人友部百男君) 申しわけございませんが、お答えできません。
  555. 田沢智治

    ○尋問主宰者(田沢智治君) 三番目に、あなたの側から株式会社タクセイ、ショウというんですか。
  556. 友部百男

    証人友部百男君) タクショウですね。
  557. 田沢智治

    ○尋問主宰者(田沢智治君) タクショウね。託正代表取締役の齋藤衛氏に対し、前回の参議院議員選挙において、あなたの父親の友部達夫氏が新進党の比例区の候補者となるに当たって数億円が渡されたと報じられております。それは事実ですか。また、その目的及び金額について御証言をいただきたいと存じます。
  558. 友部百男

    証人友部百男君) よろしいでしょうか。
  559. 田沢智治

    ○尋問主宰者(田沢智治君) はい、どうぞ。
  560. 友部百男

    証人友部百男君) はい。済みません。よろしいですか。  やはり、父の刑事責任の追及の一端となるおそれがありますので拒否をさせていただきますが、齋藤衛に、理由は問わず、金銭の授受があったことは間違いありません。
  561. 田沢智治

    ○尋問主宰者(田沢智治君) 私からの質問は最後になりますが、オレンジ共済の多くの善良な顧客、会員さんですわな、に対して今のあなたの心情をお話しいただけますか。
  562. 友部百男

    証人友部百男君) よろしいでしょうか。そのことに関しましては、いろいろな各界の錯誤の間に、はざまに挟まれて大変顧客の方々に関しましては申しわけない気持ちでいっぱいであります。  しかしながら、まだまだ申し述べたいことがいっぱいあるんですが、時間も時間でしょうし、その反省の念だけにいたしておきますが、捜査当局、政界、財界、暴力団、いろいろな関係の団体が、もしくは組織が、このオレンジ共済組合の平成三年から平成八年の破綻までの間に介在しておったようですが、思い思いの、もしくは個人個人の利益追求主義のもとに最終的な結果がこうなってしまったとひどく痛感し、何とか早目に返済をすべく努力をしたいと。  四十七億円という、新聞報道でいろいろ騒がれているかもしれませんが、最終的な額は四十七億と聞いております。そんな金を二十九歳の若造がつくれるわけないだろうという意見が多々あると思いますが、できないできないと思っておれば空に飛行機は飛ばなかったはずでありますし、私は必ず御返済し、心からおわびを申し上げるつもりでおります。
  563. 田沢智治

    ○尋問主宰者(田沢智治君) ありがとうございました。  尋問主宰者からのお尋ねすることは以上でございます。  それでは、友部証人に対し質疑のある方は順次御発言をいただきます。
  564. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 何と証人をお呼びしていいかわかりませんが、私の息子と同じぐらいの年齢でございますので、百男君と呼ばせていただきます。私は福島でございます。少し東北なまりがきつうございますので、わからないときははっきりわからないから言ってくれとおっしゃっていただいて結構です。  今お話を聞いていますと、大変、あなたの接触された政治家に対して物すごい不信の念がございますね。我々もその同類だとみなされておるようでございますが、あなたのきょうの質問のやりとり、これは一切包み隠さず国民の皆様方にお知らせをしたいと、こう思っております。  あなたも弱冠二十九歳で、あなたの同年代、同世代の人たちが経験したことのないような希有の人生を送ってきたものと、いい経験か悪い経験かはわかりませんが、あなたがやはりこの事件を契機に再出発をしていただきたい、そういう気持ちがするわけでございます。  さらに、我々、国民の代表でございますから、国民の皆様方がオレンジ共済問題について抱いている疑念、疑惑、そういうものにはひとつできるだけ私どもとしては一切包み隠さずお話を願いたい、こう思っております。それがまた、これから人生あなたは非常に長い、その人生をあなたがこれから生きていく大きな私は糧になると、そのように考えます。  まず第一にそういうことを申し上げまして、御質問を申し上げますけれども、お父さん、二回三回と参議院に立候補された。お父さんの当選を家族みんなで支援する、そういう気持ちは私は当然人間としてあるべきものだと思う。  ところが、年金党という党から立候補されてはいつになっても当選はおぼつかない。そこで、あなたと大久保さんと益川さん、三人が御相談して、年金党ではとても当選できないんで、新進党が結成された場合に日本新党の枠で立候補してはいかがかと。それには、今までの年金党で供託金を出しておった、それはもったいないと。それだったら、日本新党の枠に一億円ぐらいの金をまず出して、そして活用した方がいいという結論に達して、あなたが九五年二月ころ、第一回分として、大久保さんと益川さんと三人で先ほど委員長から質問のあった新渡さんのところへ行って、そして五千万を渡したというふうに私どもは聞いておりまするし、またそういう趣旨の念書を益川さんがオレンジ共済被害者救援センターの弁護士に出しておる。日付は九六年十二月二十四日となっております、九六年十二月二十四日。  そこで、御質問を申し上げますが、このような御相談をされたかどうか、それからこの念書に記載されていることは事実ですか、それからこの際三人で行かれてどなたが新渡さんにお渡しになったか、お答えいただきたい。
  565. 友部百男

    証人友部百男君) 大変申しわけございませんが、九五年の二月に五千万というお話を今なされたんですが、それは日付等は間違いありませんでしょうか。
  566. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 念書の日付は九六年十二月二十四日、御相談をされたのが九五年の二月ころからというふうに。
  567. 友部百男

    証人友部百男君) ははあ。  順を追って説明していきますと、確かに年金党のスローガンである年金問題、確かに戦後間もなく制定された年金制度というのは、金利収入が、最低でも公定歩合を考えて五%以上の収入がないと高齢者の年金、ライフスタイルの確立はならぬという非常にすばらしきものであり、その後援団体の組織であるのがオレンジ共済で、私は父を信じ、すばらしい考えを持った人だと、ついてまいりました。  さらに、時代の背景を見ますと、バブルから始まって住専問題、さらには金融機関の庇護をもととする与党側の景気回復策というのがどう考えても年寄りに死ねと言っているように聞こえてならない感情が私にございまして、そのことからも父の選挙というのは、当時はいろいろな波紋がありましたが、さらには年も若かったせいで、今となってはすばらしい考えだったと思いますが、当時の話からいきますと、私は、その九五年というのは平成六年のことでよろしいわけですね、平成六年の六月ころ、私、父もしくは母、益川、大久保、あとは石崎という人間がおるのですが、もう一回選挙を来年やるぞと、もしくはやりたいんだがという相談を受けました。  私は、社会的な常識、一般常識といったものを、浅学非才もしくは不勉のために余り身につけてなかったその当時、その選挙もしくは比例代表とか公認とか、そういったものの教養は一切なく、ただひたすら毎回選挙のたびに苦しい思いをしているように見える母親のことを考え、猛反対したわけであります。  それはもちろん、平成七年の参院選に突入し手伝いながらも、常に大久保もしくは議員もしくは母親に言い続けたことであり、私が父である友部達夫を参議院議員にするべく心から動いたと、もしくは私から話を持ち出すなどということは一切ありませんでした。
  568. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 念書はいかがですか。真実のものですか。
  569. 友部百男

    証人友部百男君) そのことについて、今、委員長、補佐人と。
  570. 田沢智治

    ○尋問主宰者(田沢智治君) はい、どうぞ。
  571. 友部百男

    証人友部百男君) よろしいですか。
  572. 田沢智治

    ○尋問主宰者(田沢智治君) はい、どうぞ、百男君。
  573. 友部百男

    証人友部百男君) 非常に残念でありますが、やはり念書のことに関しては父の今後の刑事事件の影響を来すということで、証言は拒否させていただきます。しかしながら、非常に残念です。
  574. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 新渡さんにお金を渡したかということはどうですか。
  575. 友部百男

    証人友部百男君) 委員長、補佐人と。
  576. 田沢智治

    ○尋問主宰者(田沢智治君) はい。
  577. 友部百男

    証人友部百男君) 委員長、よろしいですか。  まことに残念でありますが、その質問についても前回と同様拒否させていただきます。申しわけございません。
  578. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 あなたの今のお答えの最後に、非常に残念ですというお話がございまして、あなたの表情を私見ておりましたが、本当はしゃべってみたいという気持ちがありありと出ておったような気がします。私としましては、きょう国民の代表のつもりで参っておるわけですから、できるだけ素直にお答えいただければありがたいと、こう思っております。  そこで、これは公表されていることですから包み隠しなくお話をいただきたいと思うのですが、お父さんが当選されて、新進党参議院比例代表選出第二十八総支部、これがつくられました。私どももみんな持っております。そこのあなたは会計責任者ですね。
  579. 友部百男

    証人友部百男君) はい。
  580. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 それで、平成七年度の収支報告書を見ますると、収入総額が六千五百三十六万円余、支出総額が四千八百六十六万円余、残一千六百六十九万円余となっておりますが、収入の中で個人の負担する党費三千万円、いいですか、収入ですね。会員数三万人となっておりますけれども、これは我々政界に生きている者から見ますと、この三万人と三千万、これは余りに切りがよ過ぎてつくられた数字だ。我々、三万人の党員を集めるというのはこれ大変なことですよ、大変なこと。これはもう一年じゅう寝ないで走って歩いたってこんなに集まらないんですよ、本当のこと。  そこで、実際に、大変に失礼な質問ですが、三万人をお集めになった、三千万円の金を個人個人からお集めになった。これは大変恐縮な言い分ですが、オレンジ共済の金をつぎ込んだのではありませんか。お答え願います。
  581. 友部百男

    証人友部百男君) 確かに、新進党第二十八総支部会長友部達夫という支部の、たしか私、会計責任者だか財務委員長というものを指名され、判こを押した記憶がございますが、たしかこれは作成した人間と責了した人間が異なりまして、私にも非常に落ち度があったやもしれませんが、第一秘書の大久保維曙が、もしくはそれに関係する人間、名前はたしか、私設秘書でもう一人おりましたが、それら二人で作成され届け出されたように記憶しております。  したがいまして、オレンジ共済組合から支出されたかどうかということは私にはわかりかねない事実でありまして、まあその当時の年齢からいきましても非常に浅はかだったと思いますが、父もしくは大久保幹事長、そのころは幹事長と呼んでおりましたので、大久保幹事長の指示とあらば遺憾なくそのような行為をしていたものですから、中身についてははっきりわかりません。はい。
  582. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 届け出秘書ですからね、あなたは会計責任者、これはもうちゃんと届けてあるわけですから、判こは押したんでしょう。
  583. 友部百男

    証人友部百男君) 押しました。
  584. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 押した。
  585. 友部百男

    証人友部百男君) はい。
  586. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 めくら判、中は見ない、そうですが。
  587. 友部百男

    証人友部百男君) そうですね。とりあえず押してくれと言われたんで。  ただ、新進党二十八総支部においての書類には幾つか判こを押しましたが、その決算書にじかに私が押したかどうかという、いわゆるその判こを押すに当たっての書類の説明がいつもないため、実際これが私が押したものかどうかというのは今の段階では私はわかりませんが、書類を見せていただければはっきりすると思います。
  588. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 それじゃ、別のことを聞きます。  その収支報告書、これはもう自治省に届け出になっている。それで、寄附の項を見ますと、平成七年四月十七日に達夫議員から、それからオレンジ共済から七年五月二十日に、両方とも五百万ずつ寄附されたということになっております。これは間違いない、届け出です。一つの方はオレンジ共済から五百万と、こうなっているんです。達夫さんから五百万ということになっておりますが、達夫議員から現金でいただいたわけですか。  というのは、その当時の達夫さんのオレンジ共済における月給といいますか、年俸といいますか、どのくらいだったですか。それから、あなたの月給、年俸、オレンジ共済からいただいたのはどのくらいですか。おおむねで結構でございます。どうぞ。
  589. 友部百男

    証人友部百男君) 父の、この当時のですよね。
  590. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 はい。オレンジの方から出た金です。
  591. 友部百男

    証人友部百男君) この当時と限定されなくても、父の方の月給、年俸というのは私のところでは識別が不可能です。
  592. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 あなたのは。
  593. 友部百男

    証人友部百男君) 私は、月給が三十万程度、年俸で四百万強ぐらいですかね。
  594. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 そこで、大変意地悪なようですが、これも書いてあるからお聞きしますが、借入金、収支報告書というのは借入金も収入なんですよ。それを見ますると、達夫議員から五百七十三万余、それで、あなた、百男君から一千六百六十万余と、合わせて二千二百三十三万余になっておりますが、今の月給じゃとてもあなた出せないね。
  595. 友部百男

    証人友部百男君) はい。
  596. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 これはどうなっているんでしょうかね。これはオレンジ共済で実際支出したんではないんですか。それをちょっとおただしいたします。
  597. 友部百男

    証人友部百男君) 確かに間違いなく不可能な数字だと思います。しかしながら、記載されているということは、書類作成の段階において何らかの作為があって、だれかが記し、それを提出したと。それを、もし私の判こが押してあるんであれば、めくら判で提出してしまったということであると思います。
  598. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 今、あなたあるいはあなたのお父さん、お母さんをこういう状態に置きながら、あなたが一番信用しておった細川さんは、あなたたちが捕まった日に、捕まる日に、カナダへ飛んでいった。
  599. 友部百男

    証人友部百男君) 存じております。
  600. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 それから初村さん、これも証人喚問決定するや否や韓国を通じてアメリカへ行った。
  601. 友部百男

    証人友部百男君) 存じております。
  602. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 それから齋藤さんはね、証人喚問決定になりまして、きのうまで出る出る出ると言っていたんですが、けさになって、病院を転々として、受け入れる病院から、病気だから出れないと。  これは、考えるに、大変恐縮な話だけれども、あなたがさつき、政治家不信、あるいは財界のあるいは官僚のだれかとおつき合いになっていたけれども、まことにあなたに気の毒だと思う。みんないざとなるとそういう、恐らくあなたたちが全盛時代にはお金をもらっていた人がいっぱいいるでしょう。ちやほやしておつき合いした人もいるでしょう。そういう人たちが今みんなそういう状況で、我が身がかわいさに逃げていっている。それについてちょっと御感想を願いたい。  これは別に刑法にも何にも関係ないです。
  603. 友部百男

    証人友部百男君) 先生方を前に大変恐縮ですが、きょうの新聞において、久しぶりに見る憲法改正案の記事が載っておりましたが、私は二年か一年ぐらい前までは、十年前のアメリカを見ているようなそういう観念を持って政界を見ていたのですが、今の政界というのは非常に権力闘争のための分裂もしくは結合を繰り返し、もともとの政策が違う方々が結合している。そういった局面から、全くそういった論争も繰り広げられず、さらには専門知識を持つ国会議員が、だれ一人とは言いませんが、皆無に等しい数字になってしまい、官僚の言いなりのままになって動いている現況を見まして、いろんな活動をしようと考えて生きてきました。  しかし、組織というものはやはり、軍隊ではないですが、一個人が何かをミスをしたために、その師団が、師団全部が動きをとめるという形になりますと、作戦はおろか、戦争に置きかえれば敗戦になってしまうというぐらいの、ダムに例えればほんの微量な穴であっても大変な洪水になってしまうと。  確かに、今おっしゃった方々がそのような行動を、もしくはそのような動きをするだろうという予測もできましたし、だからといって、私は最初からその方々を全面的に信頼していたわけでもないし、やはり政治家はというぐらいの考えしかなく、今我々がこういう境遇になっているのは、やはりオレンジ共済組合の当初の理念ではなく、動向に問題があったためにこうなっているのであって、私はただただ金子が戻っていない国民の皆様に対しての反省の念でいっぱいであって、そういった動向を批評する気持ちには全くなれません。
  604. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 あなたと一晩でも語り合いたいんだけれども、きょうは私も仕事なもんだから、これからの質問にはひとつ答えられなけりゃ答えられない、短くお答えいただきたいんですが、これは委員長の質問にもあったんですが、齋藤さん、きょう来なかったんですが、この方に、これはもう複数、何百何十という報道があって、一九九五年三月以降、比例の順位が決まる同年七月初めまでに四億五千万円以上があなた、あるいはあなたの承認を得て渡された。これは新進党議員などに対する工作費として渡されたということになっております。これが事実だとすれば、何回に分けてどのくらい渡したか。  それから、この四億五千万円以上のお金の行き着く先、例えばだれだれ、だれだれと、おわかりになっている範囲で結構ですからお知らせをいただきたい。
  605. 友部百男

    証人友部百男君) 金銭の授受はございました。決定権は私にあったわけじゃありません。  比例の順位云々かんぬんというのは、私の耳までは届いてきませんでした。何らかの報告があったにせよ、余りもともと選挙に対して、父の行う選挙に対して賛成の念を持っていなかった私は、ただメッセンジャーボーイもしくはデリパリーとして動いたのは事実であります。  出てきた名前は、ここですべて公表しても構いませんが。
  606. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 どうぞ言ってくださいよ、言ってください。
  607. 友部百男

    証人友部百男君) しかしながら、これは齋藤衛が言ったことでありまして。
  608. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 はい、いいですよ、いいですよ。
  609. 友部百男

    証人友部百男君) 委員長、もう一回補佐人とよろしいですか。
  610. 田沢智治

    ○尋問主宰者(田沢智治君)  はい、どうぞ。
  611. 友部百男

    証人友部百男君) わかりました。  齋藤衛いわく、齋藤衛の間に人が入っていて、それが真実かどうかわかりませんが、齋藤衛いわく、選挙には政党はないんだと、自民も新進もないと、自分は川崎定徳にいて、いろいろな方々との折衝があっていろんな顔を知っているということを大久保幹事長に言ったそうです。  出てきた名前は、それでは、敬称は……
  612. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 いいです、いいです。敬称なんかつけないでいい。
  613. 友部百男

    証人友部百男君) そうですが。  小沢一郎、細川護煕、海部俊樹、羽田孜、渡部恒三、市川何だっけな、市川先生、太田昭宏、中西啓介、初村謙一郎、後藤田正晴、亀井静香、あとだれだっけな、竹下先生いましたかね。竹下登先生も言っていましたね。中曽根康弘先生。  とっさの質問でしたので、また思い出したら申し述べます。
  614. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 齋藤衛君が、今言うたようなお名前を、ここに金を渡しましたよというふうに言うたわけですか。
  615. 友部百男

    証人友部百男君) 事後において、事後というのは選挙後において、非常にせわしい、選挙前は非常にせわしい動きをしておりましたので、私との間に大久保幹事長なりほかの人間が入り、私は後から収集した情報で今の名前を記憶いたしました。
  616. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 新渡という都会議員、先ほどお話ありましたね。この方は、報道によれば、あなたと非常に親密だった、あなたも頼りにしておった。ところが、今現在は、余りあなたとおつき合いしたこともなげれば、大したつき合いでもなかったと、こういうお話をしておられる。  そこで、新渡さんには九四年の十一月十六日と十二月二十二日の二回に分けて……
  617. 友部百男

    証人友部百男君) もう一度言ってください。
  618. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 九四年の十一月十六日、十二月二十二日、二回に分けて百男さんが新渡さんの事務所を訪ねて五千万円ずつ渡したと。五千万円ずつ二回、ですから一億ですね。  最初の五千万、十一月十六日の分は、その日のうちに都会議員の秘書さんが隣の信用金庫の新渡さん名義の口座に入れたということになっておって、これは確かに入っているんですね。それから、二回目の五千万円を受け取った際には、紙袋に入れて都会議員さんの自宅に運んだと。  それで、一億円という大金ですから、二回目の受け渡しの際に、新渡さんは秘書に指示をして、友部達夫の政治団体の年金会あての領収書をワープロで作成して渡した、あなたに。
  619. 友部百男

    証人友部百男君) 何日にですか。
  620. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 これは二回目ですから十二月二十二日、年金会あての領収書を出した。これは御存じですね。
  621. 友部百男

    証人友部百男君) この件に関しましては、やはり父の方との兼ね合い上、まことに残念ですが、証言を拒否させていただきます。
  622. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 私の方も残念ですね。  それで、この受領書の中身は、友部達夫の参議院選の支援活動資金として金一億円を活用いたしますと書かれて、新渡都議とあなたと友部先生の公設第一秘書、三人が署名したというんですが、あなたが署名しているんですから、これはお答えいただけるでしょう。そういう事実はあったですか。
  623. 友部百男

    証人友部百男君) 御質問の、新渡英夫都議会議員、私、公設第一秘書の大久保、三名の署名でございますか。
  624. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 と報道されております。
  625. 友部百男

    証人友部百男君) そういった事実はございません。
  626. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 ない。
  627. 友部百男

    証人友部百男君) はい。
  628. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 それでは、三人でない。三人でない、それはあるんですか。
  629. 友部百男

    証人友部百男君) これがテレビのクイズ番組であれば非常に楽しいんですが、その件に関しては証言を拒否させていただきます。
  630. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 証言を拒否するということは、あなたかあなたのお父さんか、どなたかに迷惑がかかる、刑事告訴の対象になるということですね。
  631. 友部百男

    証人友部百男君) 私は何ら、自分に対しての刑事告発ないし告訴、刑罰に関しては、何らおびえることなく証言、私個人だけのことであればしたいのでありますが、父にかんがむことなものですから。  ただ、先ほど御質問があった三名というところで、そういった事実はありませんと、それでは四名かと質問されて拒否した、そこの趣旨だけ何とかおおさめいただきたいと考えております。
  632. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 時間がだんだん迫ってきましたので、今度は新渡さんでもう一回聞きたいことがあったんですが、二千万の件ですが、それはだれかがおやりになるでしょうから。  今度は初村さん、今アメリカに逃げていった初村さんですね、この方については非常に具体的た証言がいっぱいあるんですね。  九五年四月二十一日……
  633. 友部百男

    証人友部百男君) 済みません、もう一度お願いします。
  634. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 九五年の四月二十一日、中央区のホテルで、百男さんあなたと齋藤衛さんと、齋藤衛さんが社長を務める不動産会社の社員、その社員に、初村代議士の政界工作資金として現金一千万が入っている、これを持っていってくれと。それで、社員の方はその日のうちに羽田空港発午後一時四十分の便で出発をした。長崎空港に着いて、迎えに出た初村代議士の公設秘書が運転して諌早の代議士宅に向かったと。社員は代議士宅の玄関で現金入りの紙袋を直接前議員に渡して、帰りも初村の公設秘書が送ってくれた。夕方の便で東京に戻って、今現金を届けてきましたよと報告された。齋藤さんに報告したそうですがね。往復の航空券は初村事務所で用意をした。初村さんは、その現金入りの紙袋を受け取った際に、ありがとう、ありがとうとおっしゃったと。  こういう事実は御存じですか。
  635. 友部百男

    証人友部百男君) その社員というのは多分イシカワカズオのことではないかと私は憶測しますが、ちょうどこのころの齋藤衛との金銭のやりとりというのは非常に数がございまして、いついつどこでということを質疑されても、何分浅学非才な身であるため記憶力もなく、さらに数も多いためはっきりとしたお答えはできませんが、捜査当局との捜査の状況においての協力の度合いに、の話の中にたしかそういうようなことが出てきたという程度の認識しかなく、その当時の私の正確な記憶というのは、大変申しわけございませんが、定かでありません。
  636. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 それじゃ、これは選挙に携わる人はみんな鮮明に覚えているんですが、お父さんの選挙の前の日、七月五日に、百男さんあなたが友部達夫選挙事務所で齋藤衛さんに三千万円を渡したのではありませんか。これは複数の証言がございますが、いかがですか。
  637. 友部百男

    証人友部百男君) その件につきましても、確かに捜査当局からの質問にもございました。しかしながら、この日の銀行口座からの払出書というのがございまして、その筆跡が、私の字というのは非常にわかりやすいのですが、どうしても私の字だという認識の持てぬ字でありまして、確かに三千万が引きおろされております。  私が、まあちょっと道をそれますが、平成七年の四月ぐらいから母親の、会長である友部みき子の足が悪くなったせいで、銀行へ行って、それで現金の、もちろん経費、オレンジ共済組合の経費、それからその他もろもろの経費の払い出し担当者ということになって活動したわけでありますが、私が支払いをする場合は必ず自分で銀行に行って渡したと、渡すというのが通例でありまして、例外も確かにあったかもしれませんが、鮮明に覚えてはおりませんが、七月五日、これは……
  638. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 いいです、その次の質問をしますから。思い出しますから。
  639. 友部百男

    証人友部百男君) そうですが。はい。
  640. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 それじゃね、三千万円を渡したと。それで、齋藤さんは、公示日、これは選挙をやる人にとって一番大切な日なんですが、公示日の朝、七月六日の朝、初村さんが予約した航空券で羽田から長崎に行って、タクシーで諌早の初村議員宅に向かった。それでカルティエの赤い、私はわからないのだけれども、カルティエの赤い紙袋に一千万円を入れて初村さん本人に渡した。  あなたは、齋藤社長に同行した懇話会のメンバーに、五日の日ですよ、齋藤社長に初村さんに渡す現金を預けている。金額は一千万円だと説明したと。間違いございませんか。
  641. 友部百男

    証人友部百男君) 三千万じゃなくて一千万ですか。
  642. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 ですから、後から聞こうと思ったんだけれども、二千万どこへ行ったのかね。二千万だれか抜いていったのかね。
  643. 友部百男

    証人友部百男君) 確かに何々先生に渡すと言って、その当日に銀座のエルメスへ行ってケリーバッグを八個買って銀座のホステスに配ったとか、そういうものを、そういう事例を齋藤さんの付き添いをしていた人間から後から聞いたことは多々ありますが、断言はできませんが、複数の証言があるのであればそうなのかもしれません。  ただ、私が聞くところによると、帰りの航空券の裏はとれていると、しかしながら行きの航空券の裏がとれないんだということを捜査当局から伺っております。
  644. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 もう二分ございますので。  本当はいろいろあなたに聞きたいことがいっぱいあったんですが、最後に細川さんの問題ね、これが大きな問題なんですが、新聞等であなたも御存じでしょう、三千万やって三千万返された話なんですが。これはある証言によれば、細川さん、自分で私は受け取っていないと、初村のところへ置いていって初村が後から三千万返したんだと、こうおつしゃつていますが、その三千万をお渡ししたときに細川さんがちゃんといたと、しかも立ち上がってあなたにですよ、ありがとうと言ったという情報もございまするし、証言もありますね。これは細川さん本人が受け取ったことになるんですが、そうですが。  それからもう一つ、この三千万の資金提供の趣旨は、友部達夫先生が新進党の高順位で当選をした成功払いの御礼だと、こういうふうな話もあるんですが、いかがですか。  それから、十月にマスコミが大騒ぎしたら三千万円を返してよこしたと。返してよこしたけれども、やったときの帯封と返ったときの帯封が違った。それもお答え願いたい。  以上で、大体時間ですから。
  645. 友部百男

    証人友部百男君) この件に関しましては、父の進退問題にかかわる条項にかかわるということで、証言を拒否させていただきます。済みません。
  646. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 時間ですので終わりますが、冒頭申し上げたように、あなたは若いんだから、やはり余り策を弄さず、やはり見聞きしたことをきちっと、今からかわりの人が話をしますから、これはお答えをして、私はあなたみたいな立派に生きていける人は必ず、人生命から、八十年ですからね、再出発ができるというふうに確信をしております。  ありがとうございました。
  647. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 私は平成会木庭健太郎といいます。  証人御存じのとおり、お父さんの友部達夫参議院議員、当初は私どもの会派におりました。私もお父さんと一緒の選挙で、比例区ではございませんけれども、選挙区で通った一人で、同じ選挙を戦い抜いて勝った一人です。ですから、ある意味では何が一体この中であったのか、私たちにも振り向けられた問題ですから、できるだけその疑惑を、あるならばきちんと晴らしたい、そう思ってきょうはやってまいりました。  長い質問になるといっぱいの条項が入ってしまいますので、細かく区切ってお聞きしますので、立ったり座ったりさせることになると思いますけれども、よろしくお願いしたいと思います。  まず、あなたは齋藤社長のことを、先ほど少しおっしゃっておりましたけれども、この齋藤社長という方とあなたはいつからお知り合いになったんですか。どんなきっかけだったのか、まずそれをお話しください。
  648. 友部百男

    証人友部百男君) かねてからオレンジ共済組合というのは、年金会という政治団体が主宰する共済組合もしくは共済でありまして、団体でありまして、公益法人化を図るということで新渡英夫先生にそのことをお願いしたわけです。  そして、平成七年の三月の末ごろ、そのことでということで初村先生の事務所に連れていかれ、そのとき登場したのがかく言う齋藤衛氏と、それから吉野弁護士という弁護士です。
  649. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 一部報道では、証人がこの齋藤について、かつて何かお金を借りたことがあって、そのいわゆる初村さんの事務所で会う前から知っていたというような報道がなされたのを私は見た記憶がございますけれども、そのことは間違いですか。
  650. 友部百男

    証人友部百男君) 私は、元来、初対面で大体その人の自分とのバイオリズムを見分ける人間でありまして、私が初めて齋藤衛と会ったときに、もう一度初村先生のところへ戻り、この話から齋藤衛を外してくれと言ったほど私は齋藤衛に懸念を持っておりました。であるからして、齋藤衛と以前に会って、金銭のやりとりもしくは何らかの関係を持っていたというのは全くのにせ情報であります。
  651. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そうすると、齋藤という男を初村事務所で初めて見て、そしてあなたは第一印象、非常に危惧する印象を持ったと。そこでそういうような発言もされたと。  ところが、この方に、先ほど証人おっしゃったように、お金を、金銭を渡すというような事態が起こってくるわけですね。このお金のやりとりというのは百男証人から齋藤さんへと、いわゆる百男証人そのものが齋藤さんへ渡すというような形になったんでしょうか。
  652. 友部百男

    証人友部百男君) 先ほども御質問にあったように、私は選挙に非常に反発心を持っておりまして、選挙に絡むすべての条項をすべて妨害してまいりました。  ところが、これも後からわかったことですが、選挙要員として平成六年六月から我が方に戻ってきた大久保幹事長が非常に推進役を務め、私と齋藤衛の間に入って、もちろん私との続柄はおじでありますので、うまいぐあいに話を進めて、進められてと申しますか、関係を維持することになってしまい、しかしながら間にはほとんど大久保幹事長が入っていたのも事実であります。
  653. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そして今、公益法人化ということを証言されました。これは多分また財団をつくる話と絡む話なんだろうと、そう認識します。  齋藤さんとのやりとりの中には何回もケースがあったんで一々は覚えていないとおっしゃっておりますけれども、ひとつもし御証言いただくなら聞いておきたいんですけれども、先ほど、九五年、平成七年四月十二日、ホテルオークラ、いらっしゃったのは、あなたと、大久保さんかどうかは確認しておりませんけれども、相手方が吉野弁護士、そして齋藤、このメンバーで、いわゆるこれは財団をつくるための準備としてあなたの方から五千万円が支払われ、それについて領収書を吉野弁護士の名前で書かれたと、こういう事実はございますか。
  654. 友部百男

    証人友部百男君) 先ほどの御質問で、平成七年四月十二日、日にちはおぼろげではございますが、確かに財団法人化のための話し合いがあり、金銭の授受はございました。
  655. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 あとは先ほど同僚議員が聞いたお金の受け渡しの問題になっていくんですけれども、そこで一点、一体お父さんが立候補したこの参議院選挙で齋藤という男はどんな役割を演じていたのかというのが私どもよくわかりません。証人が知る限り、齋藤というのが、先ほど何か名前も少しおっしゃっていましたけれども、どういう役割一体果たしていたのか、話せる範囲でお話しいただきたいと思います。
  656. 友部百男

    証人友部百男君) 各国政議員の先生方を前に先ほどからいろいろなされごとを私申し上げておりましたが、こういったいろいろな雑学を頭に詰め込み始めたのが父の当選後の平成七年の七月以降からいろいろな常識的な知識を勉強し始めた限りでありまして、この当初は言うなれば年相応以下の能力しかないただの普通の人間でありまして、例えば比例代表制度とか、恥ずかしい話ですが、公認とかそういったこともわからぬ一個人でありましたものですから、金銭のデリバリーは確かにいたしましたが、齋藤がどのような、齋藤衛氏がどのような働きをしたとか、それによってどういうこちらに利益があるのかとか、果ては大久保幹事長が話す内容も相づちは打つもののほとんどわからないものも多く、その場に流され、総括本部長という地位にはございましたが、周りの年齢層の高い方々の指示というか、もちろん役職は私が上ですので、お願いに近い指示で動いておりまして、どのように彼らが動き貢献していったかというのは、はっきり言ってその段階ではわかりませんでした。
  657. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 それで、これは証言拒否に先ほどなるんでしょうけれども、確認をしておきたいのは、あなた御自身が初村議員へ、いつもあなたの場合は、例えばそれが齋藤さん直接であってみたり、大久保さんを経由なのかもしれません。ところが、初村さんに直接お金を渡したことが、選挙前、参議院選挙の前にそんなことは一回でもありましたか。選挙前です。参議院選挙が行われるまで、あなた御自身が直接渡したことがおありになりますか。  ついでに、本人がそのことを否定しております。選挙前には本人は、百男被告からは一銭も受け取っていないと本人が言っております。ですから、私どもとしては、本人のためにもこれは百男被告に聞かざるを得ないということでございます。
  658. 友部百男

    証人友部百男君) 先ほども宣誓したとおり、隠し事もなく、包み隠さず、加えず証言するという誓約をいたしましたが、確かに、皆さんはそのことを私に問いただしますが、一生懸命思い出そうとしているんですけれども、今のところまだそのようなことは記憶によみがえってはまいりません。
  659. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一つ齋藤さんのことで聞いておきます。  これは、今言われたように、あなたは金銭のデリバリーをしたと。ところがこれが、政治のことを知り始めたのが平成七年七月、父の当選後だと。  そこで、これは益川さんから私どもも直接お聞きしたんですけれども、百男さんあなたと齋藤さんが、この選挙の終わった九月ぐらい、場所は特定してもいいですけれども、とにかくそれ以来けんか別れをしてしまっていると。彼らは理由がわからないと言っておりました。なぜそんな事態になったのか、まずそれをお話ししていただくとともに、これについてこういう報道があるので、事実かどうかの確認も含めてお尋ねします。  一つは、あなたは、けんか別れした後、齋藤はずるい、渡した金のほとんどが政治家に渡っていない、これからは自分でやると言ったという報道が一点。もう一つは、三億五千万円持っていかれたとあなたが言った、この二つの記事がございました。  以上を含めて、そのときの経過を簡潔にお話しいただけるとありがたいです。
  660. 友部百男

    証人友部百男君) たしか、またいろいろ私がここで証言すると怒る人もいますので、いろいろ控えながら話をしますが、たしか、聞いた話によりますと、日にちは私は覚えていませんでしたので、聞いた話によりますと、九月の十九日かなんかに参議院会館で確かに、けんかというよりも、齋藤氏を言い含めて議員会館からやめていただきました。  そして、選挙が終わり、いろいろな後片づけをしなきゃならない段階において、私もその七月からというのではなく、その事前から少しずつは勉強をし始めていまして、予備知識みたいなものは少々ずつでも蓄積し、最終的な話を、選挙の終わった少々間合いのできた八月ごろ、大久保幹事長なりいろいろな人間から聞いて、その齋藤の悪行というか、それが真実かどうかわかりませぬが、事実のような伝えられ、伝聞のされ方をしましたので、その旨私が伝え、参議院会館から出ていっていただいたのは事実です。
  661. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もしお話しできるなら、その悪行ということは、今言ったような、例えば本当はお金をきちんと渡しているんだけれども、きちんとそれをしないというようなことでしょうか。
  662. 友部百男

    証人友部百男君) そのような疑念をまず抱いた人がおりまして、その疑念を確かめるべく、齋藤衛氏の側近というか、いつも行動をともにした人間たちに確認をしたところ、やはりそうらしいと、言われたとおりのものがそのまま行ってないと。しかしながら、数も多いし日にちも多いし、まちまちなものが多々ありましたので、各論すべてまではいきませんでしたが、総論的にはそのような事実があったのではないかという証言が得られましたものですから、そのように察知したわけであります。
  663. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 先ほどあなたは十三名の政治家の名前をお挙げになりました。一生懸命数えました。十三人おりました。  ところで、毎日新聞の取材に対して、あなたは計六回の取材に応じて二十時間インタビューに答えたというふうに新聞記事はなっております。それが事実かどうかという確認とともに、実はその際の新聞、私、今持っておりますけれども、そこにはちょうど今おっしゃった十三人分の、名前は消してありましたけれども、資金提供先リストと毎日新聞は書いておりました。これが掲載をされておりました。  まず、インタビューに答えたことが事実かどうか。さらに、もしお答えいただけるならば、先ほどお挙げになった十三人、数字が一致しますので、そのおっしゃった資金提供先リストというのと合致しているのかどうか、お答えいただければありがたいです。
  664. 友部百男

    証人友部百男君) 私は、マスコミというのは第三の権力と言われてまだ日も浅い現段階で、マスコミの報道の仕方というのはどうも納得がいかぬと。いわゆる例えば世に言う大きな事件が起きると、その人の裏の裏まで逮捕後まで報道をし、これはいわゆるいじめだと。物心ついた大人の社会でそういうことをやっているのが子供の社会におりていって最終的まで、最後の最後まで逃げ道をなくすまで追及するのがいじめなんだと。そういう大人たちが子供を育てるからいじめがなくならないんだということで、マスコミとの折衝はすべて避けておりました。  それは私が今まで御質問を受けた、私が信頼していた政治家をということの防御線にもなると思い、いろいろな話をしながらマスコミとの接触は避けていたわけですが、私の携帯電話の番号を一番初めに探り当て、名前も名義も全く別にしていたのにもかかわらず探り当てた一人の男がおりまして、ニカ月間私のことを待ってくれていたものですから、情にもろいところも私にはございまして、とうとう折れて負けて会ってしまいました。  確かに毎日新聞の記者とは会いました。しかし、リストについても何回も何回も拒んだんですが、余りにもしつこいし、さらにはうまいぐあいに話の持っていかれ方が非常に彼らも巧妙で、少々酔わされて落書きのようなものはいたしました。ただ、あれは私が書いたのではなくて、消されていた部分はワープロで打ってきました。こちらに正の字が書いてありました。あの正の字は私の字です。それでその正の字の意味というのは彼らがつくってきたリストの中の間違いを指摘した数でありまして……
  665. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 わかりました。  もう一点、これ政治家の名前がきちんと出ましたので、特に御確認をしておきたいところです、どういうことか。  先ほどあなたは、齋藤衛いわく、齋藤衛が言うには、いろんな政党なんか、選挙には政党はない、自民も新進もない、こう言って、自分が知っている、もしくはこれから何かしようとしていたのかわかりません、それは、そこまで御証言ないですから。という人間を大久保さんからあなたはお聞きになった、その名前がこの十三人だということでしょうか。齋藤さんから聞いたんじゃなくて、齋藤が、これはどういうことをしたのかわかりませんけれども、齋藤が十三人の名前を挙げた。それについて、あなたが直接齋藤から聞いたんじゃなくて、これは大久保を通じてあなたが聞かされた名前だという認識でよろしいでしょうか。
  666. 友部百男

    証人友部百男君) 正式には両方からですね。  というのは、大久保から出ない名前もありましたし、齋藤はすべての名前を雑談の中で言っていました。例えば、会食をする際に、私はこれこれこういう人間とこういうつながりがあって、こうだああだと雄弁に誇らしげに語っておりました。
  667. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 これは御答弁いただけないんでしょうけれども、一応聞いておかなくちゃいけないと思うので聞きます。  ここに挙げた十三人、あなたが直接、あなた御自身がこの政治家の十三人、直接会って、直接お金を手渡した、理由は何であれ。それが何名いらっしゃるのでしょうか。もしいらっしゃるのであれば、どなたとどなたかという特定をしていただきたい。
  668. 友部百男

    証人友部百男君) いろいろな関係上、私も含めて父の進退問題も含めて名前は申し上げられませんが、人数は大体六名から七名、さらには、先ほど言わなかった方で思い出した方も三名、四名おります。  以上です。
  669. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 その十三名の人だけ言って、四名の人だけ言わないというのも失礼な話じゃないでしょうか。  もしそういうことをお聞きしているなら、私どもに何かいろいろ関係あったとしても、それは私は、御存じなら正直に言っておいていただいた方がかえっていいと思います。
  670. 友部百男

    証人友部百男君) これから私が何らかの裁判により制裁を受けて出てきたときに、いきなり拉致されて連れ去られないよう皆さんで守っていただけるんであればはっきり申し上げますが。  石井ピン、一二、それから小沢辰男、鳩山邦夫であります。
  671. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 三名だね、そしたらね。
  672. 友部百男

    証人友部百男君) 四名です。
  673. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 ああ、ピンと両方。わかりました。
  674. 友部百男

    証人友部百男君) ああ、一だ。ピンというのは失礼しました。
  675. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 一さんですね。  そこは本当は私は一番、ああ、ちょっとその前にもう一問聞いておきます。  新聞でこの問題が一番最初にいろいろ言われた発端は、証言を拒否なさっておりますけれども、現段階では。細川さんといわゆる初村さんとあなたと大久保さんの四名が選挙後に会われた話がいつもこの問題の最初に出てまいります。平成八年、どちらの記憶が正しいかわかりませんけれども、私ども初村さんから聞いた限りでは、平成八年六月十九日の件でございます。新聞では二十五日になっておりましたけれども、私どもが初村さんから聞いた限り、十九日でございました。初村さんはこの事実は明確に、自分が受け取ったと明確に認めておられます。そして、自分がどうかかわったかは別として、返したということも明確におっしゃっています。そして、細かい供述をされておりまして、ただ、守るためかどうかわかりませんけれども、そこはわかりません、私には。  初村さんの証言では、細川さんはここの場面では一時間ぐらいして早目にお帰りになった、帰られるときにあなたと初村さんと二人がエレベーターまで見送りに行った、二人で細川さんをまず先に送り出した、そして戻ってきた後に私、初村はあなた、百男さんから三千万円を受け取った、これは選挙の、細川さんの選挙の支援のためではなかろうか、こう認識したと、こうおつしゃつております。  この点について、私が申し上げたことがそのとおりならそのとおりで結構ですし、事実と違うとおっしゃるならその部分を証言していただければと思います。
  676. 友部百男

    証人友部百男君) 結果からいいまして、事実は間違いです。しかしながら、この証言はやはり父の今後の刑事訴訟のいろいろな関係に及んでまいりますので、それ以上のことは証言を差し控えてもいただきますが、紛れもなくそれは間違いですね。
  677. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そこは私どもは私どもで初村さんの証言を信用せざるを得ないところもありますし、ぜひそこはまたいずれかの機会にはっきりなればと、こう思います。  そしてもう一つ。先ほどおっしゃったのは、あなたは金、お金をというかデリバリー、運び役というか、そんなことしか知らずに、当時としては順位工作があったとか政界工作があったとか、そんなことは全く御存じなかったというふうに私にはとれました。そういうことはあなたは知らなかったというふうにとれました、聞いていて。  だから、例えば順位工作というのは何かというと、何位に上げますよみたいな話が結局どこかで出ていたということですよね。それを受けてあなたがやったということになるわけですね。だから、あなたの発言では、あなた自身はそういういろんなことがあった中で役割というのは私は全然本当はわかってなかったということなのかどうか。それも言える範囲でお答えできればお願いします。
  678. 友部百男

    証人友部百男君) 事実、先ほどの殿の、綱川先生の件でございますが、初村先生の勘違いという部分が違うということでありまして、だれが受け取ったとかどうのこうのということじゃなくて、出ていく順番ですね、はい。お送りした人間、それらが違うということです、はい。  それと、私が全くその、わからんかったということを言っているわけではなくて、私が聞いていたのは、その政界への根回し料というようなことを言っていました。ただ、根回しというのがどういうふうにして根回しをするのか、その根回しによって何がどう変わるのかというところまでの教養がなかったと言っておるわけであります、はい。
  679. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 順番が変わっていたという話ですね。話をまた戻してしまいます。  そうなると、ただ私は、この問題で一つ大事なことは、一体お金を受け取ったのが、今、皆さん国民が思っていらっしゃるのは、そのことが後でどうなるかはまた別問題です。これは政界工作とはまた違う話ですからね。政治資金の問題とかいろんな話になるわけですけれども。その意味では私はやっぱりここの問題大事なのは、初村さんは、細川さんはこのことを全然ある意味では知らなくて、後で電話して知ったんだと初村さんは言っているわけですよね。でも、新聞報道によると、ある人は、いや、細川さんにきちんと百男さんが渡したんだと言う人もいるし、そこがやっぱりはっきりする必要は私はあると思うんですよね。事実そのものは認められている。しかし、事実の中で一体だれだったんだということがわからないままになっていると。  私どもの認識は、今言ったみたいに順番が違うということがちょっとよくわからないんですけれども、結局本人がいなかったんだから、綱川さんは、ああ関係なかったんだなと、こういう認識を持ってしまっているわけです。もしこれが間違いであれば御指摘いただきたい。
  680. 友部百男

    証人友部百男君) 私、法律のことに余り詳しくないんですが、やはり何らかの問題にひっかかるおそれがありますので拒否させていただきますが、これだけは言っておきます。殿は、多分ですが、持っていっていません。
  681. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 わかりました。  私に与えられた時間はあと二分ですので、私自身も、この間の新聞、いろんなものを一生懸命読ませていただきました。本人からお聞きできないものですから。あと私ども、新進党がいろいろな方にお聞きしたのもいろんなのを読ませていただきました。その結果、私はあなたについて感じたのはこんなことです。  一つは、財団の設立という問題が、この選挙の中にもう一つつくらなくちゃいけないということで動きがあった。選挙の問題と財団という問題が二つあった。その中であなたは財団設立ては、名前を私は特に出しませんけれども、ある弁護士や齋藤氏の言うままにある意味ではお金を使われたというか、持っていかざるを得なかった。参議院選挙では、今度は大久保氏や齋藤氏の言うままにお金を出したともとれると私は報道を見る限り感じました。  いわば、どういうことを言いたいかというと、あなたはある意味ではお金を出した後、どう使われたかをなかなか確認するすべを持たないまま過ごしてしまったんではないか、このように私は感じたんです、報道を見る限り。  私の感想についてお話があれば伺って、私の質問を終わります。
  682. 友部百男

    証人友部百男君) 先ほどから御説明しているとおり、その選挙に関しての賛成論を一つも、みじんも持ち合わせていなかった以上、父、大久保、もしくはその周りの人間からの指示を的確に遂行しただけであって、それを私が確認する必要もなければ、要するに友部達夫、もちろん父親で、元来夢を持っておりましたから、政局の場へという気持ちもありましたが、何も当選しなくても別に私は関係がないと。  私は、オレンジ共済だけを、オレンジ共済趣旨の、趣旨にのっとって、高齢者の救済ということで大きくしていくだけが本望でありましたから、今でも選挙に対してはまことに遺憾な気持ちを持っております。
  683. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 時間ですので終わります。ありがとうございました。
  684. 山本正和

    山本正和君 本当に証人、先ほどからお話を聞いておりまして、自分に真っすぐにお答えになっているのを見まして、もっときちっと早くこの問題が恐らく証人の前に出てきておったら対応の仕方もあっただろうと、後手後手に回ったんじゃないかという感じがいたしております。  どうかひとつ、まだ若いんですから、日本の二十一世紀、随分いろんな問題があります。そういう意味で、若さの正義感を今後もひとつ発揮していただきたい。こういうことをまず冒頭にお願いしまして、幾つか質問をさせていただきます。  まず、私がお尋ねしたいのは、政治家というイメージ、お父さんが参議院に出られるということ以前に、政治家というものに対して持っておられたイメージをちょっとお聞かせ願いたいと思うんですけれども。
  685. 友部百男

    証人友部百男君) 率直に申し上げれば、非常に諸先生方に失礼に当たると思いますが、各省庁の官僚の思いのままに動かされている、国政議員に至ってですが、専門知識を持つ、もちはもち屋という政治家の方が非常に少なくなり、財は後からついてくるものという認識の方も少なくなり、これから、そうですね、イラクとの湾岸戦争においての負の遺産を残して、日本の世界に対する地位確立にどのように対応していく政策を持っておられる方がいるのかというのが非常に不安だというようなことから言えば、数は天文学的数字になってしまいますが、この辺で終わらさせていただきます。
  686. 山本正和

    山本正和君 今の政治不信の一般的な国民感情というものも共通しているとは思うんですけれども、ただ、このことを通じて何人かの政治家とお会いになったと、それで食事も一緒にしながら懇談もされたと思うんですね。大体ある程度時間をかけてその人の人柄に触れるような感じで食事をされた政治家、特に国会の場合、特に印象に残っておられる方のお名前と、それから人数等も含めてちょっとお聞かせいただきたいんですが。
  687. 友部百男

    証人友部百男君) 国会議員に限ってですか。
  688. 山本正和

    山本正和君 はい。
  689. 友部百男

    証人友部百男君) まあ言うなら、初村先生、細川先生はもちろんでありますが、あとは父の関係上のいろいろな問題に触れますので控えさせていただきます。
  690. 山本正和

    山本正和君 はい、わかりました。  今、私は冒頭に政治家に対する印象ということでお話ししたんですが、細川さんあるいは初村さんというお名前をお出しになりましたし、ある程度お話もされただろうと思うんですね。その中で、やっぱり尊敬できる部分も、あるいはこれはどうにもならぬなという部分もあったかとは思うんですがね。  それは別にいたしまして、政治家は、衆議院においては、また参議院も同様ですけれども、倫理綱領というものを持っているというふうなお話はお聞きになったことはありますか。
  691. 友部百男

    証人友部百男君) そのようなお話も伺ったこともございますし、今挙げた細川先生は、私は尊敬はしております。
  692. 山本正和

    山本正和君 そこで、私は、恐らくお父さんの選挙に対して余り賛成でなかったと言われても、もしもお父さんが政治家になられるとしたら、何とか国のために役立つ政治家になってほしいと思われただろうと思うんですが、それはお聞きしませんけれども。  そういう中で、実は私が証人に対してどうしても心境を聞きたいと思うのは、選挙によって当選をする、しかしそのためにそんなにお金が要るのか、そしてお金をやっぱり使わなければ当選できないのかという実態を見せつけられてどうお感じになったかということをちょっと聞きたいんですがね。
  693. 友部百男

    証人友部百男君) 事後の話になりますが、平成七年の選挙以後、平成八年に入った段階ぐらいで、実は新進五億、自民八億というのが通説になっていると、というのが民主化していると、もしくは一般に俳回した情報であるというふうに私の耳に入ってまいりました。
  694. 山本正和

    山本正和君 そこで、ちょっとこれはお答えしにくいかと思いますが、こういう席でありますからあえてお聞きしたいんですけれども、やっぱり政治家から、お父さんが当選圏内に入る、もしくは当選の展望を開くためにはお金が要るよと、またある程度準備しなさいよという話を、これは政治家の名前は特定せぬでいいですから、国会議員の中からそういう話があったかなかったか、あなたにですよ、証人に直接あったかなかったか、そこだけちょっとお聞きしたいんですがね。
  695. 友部百男

    証人友部百男君) 先ほども申し上げたとおり、事実として申し上げるんで、私も保身を図っているわけではないんですが、平成六年の六月、先ほど申し上げた五名で政治、選挙の話をいたしまして、猛烈に反対して、新渡英夫先生というような、私がいないところ、いわゆるつんぼ桟敷というところで、表面下で交流がなされて動いていた次第でありまして、私が直接幾らだということを賜った先生はおりません。  ただ、齋藤衛に至っては、いろんなことを言っておりました。ただ、そのたびに話は違いますし、彼の話には政界をも揺るがす、もしくは政界を牛耳る政界顧問あるいはフィクサーと呼ばれている連中がいると。日本には三人いるんだと。その先生方に許諾なくしては首相も選べないんだというような話も聞き、そういう世界もあるのかと、そのときは感銘を受けた覚えがあります。
  696. 山本正和

    山本正和君 そこで、これもまたお答えにくいかと思いますが、お答えできる範囲でいいんですけれども、今の齋藤さんが選挙に関して、少なくともこういう人には献金していきたいんだと、だから金が要るよというふうな具体名を挙げて齋藤衛さんが言われたかどうか、そこをちょっとお答えいただきたいんですが。
  697. 友部百男

    証人友部百男君) たしか、齋藤衛に関しては、平成七年三月ぐらいから交流を始めまして、やはり私は、先ほど述べたとおり何とか切りたいと、もしくは金銭のやりとりに関しても異常なまでも反対をしておったんですが、表面下でいろいろな話を設けられていたみたいで、大久保が間に入り、最初のうちの何枚かはたしか受取証みたいなものがあったと思います。  それで、最終的に私が、行動力ないし若さなり、その彼らが言う度量というか、憶せず物事を進めていくというところがあるとかなんだとかといういろんなことを吹き込まれまして私が動くことになったんですが、そうなってからは直接話を決めるのがやはり大久保であって、私のところには具体的な名前はおりてはきませんでした。  しかし、これ憶測では大変恐縮なんですが、選挙前にホテルオークラでパーティーが開かれまして、政治家の方が、元、もちろん首相の経験者の方が御出席いただいたことを見て、ああこういうことなのかなと、実際はわかりませんが、そのようなぼんやりとした認識が持ったのは事実です。
  698. 山本正和

    山本正和君 もうこれで私は最後になりますので、時間がありませんので。  これはパーティー等で立派な政治家と言われている方が来られて、お父さんの当選を保証するというふうな形でのいろんな御発言があったと。こういうふうなことも含めて、これは選挙、当選する前ですが、これで十分自分たちが用意したさまざまなことが効果が上がっているなと、こういうふうにお考えになりましたですね、これは。
  699. 友部百男

    証人友部百男君) 意図はよく読めませんが、決して安堵の表情は周りの人間はだれ一人しておりませんでした。というのは……
  700. 山本正和

    山本正和君 まだわからぬわけですか。
  701. 友部百男

    証人友部百男君) わからぬというよりも、これもある人間の憶測なんですが、まだまだうちからお金を吸い上げるために齋藤衛さんが安堵の顔は示さなかったのではないかというようなことをおっしゃっておりました。
  702. 山本正和

    山本正和君 はい、わかりました。  じゃ、時間でございますので、これで終わります。
  703. 一井淳治

    一井淳治君 私は民主党一井といいますけれども、時間が余りありませんので、できるだけ簡潔にお答えいただきたいというふうに思います。いいでしょうか。  今のあなたのお話を聞いておりますと、政界への交渉あるいはお金を配る等のことについてはあなたは主役でないと、そういうふうに受けとめたんですが、しかし、これは新聞報道ですけれども、お父さんの方はあなたとか周りの人間がしたんで自分は知らないと、自分は主役でないという趣旨の発言を新聞報道からは私どもは耳に入るわけでありますけれども、どうなんでしょうか。あなたがやはり中心でやっておられたんじゃないでしょうか。
  704. 友部百男

    証人友部百男君) 私が中心というのは、要するに選挙で戦った人員がすべてオレンジ共済組合の人員であり、私が集めてきた人間であり、表立って見える部分では私がすべて指揮命令を出していたように映るのでそのように思われたのではないかと思います。
  705. 一井淳治

    一井淳治君 先ほど木庭先生の質問にお答えになりまして、五千万円のお金を財団をつくる準備として吉野弁護士の領収書でお渡しになったということをお話しになりました。この五千万円はその後どうなったんでしょうか。
  706. 友部百男

    証人友部百男君) その後どうなったというのは使い道ということですか。
  707. 一井淳治

    一井淳治君 そうです。
  708. 友部百男

    証人友部百男君) 弁護士報酬という形になったんじゃないかと私は思っておりますが。もしくは財団設立に関係する書類等の作成の費用とか、そういうものに使われたんではないかと思っておりますが。
  709. 一井淳治

    一井淳治君 法律関係者の報酬としてはけたがえらい違いますから、ですからこれは政治関係の方へ流れていったんじゃないかと思いますけれども、何かそんなお話を聞いておられませんでしょうか。
  710. 友部百男

    証人友部百男君) そういった話もちらほらもちろん聞いておりますが、もとより報道機関の発表するものを私は余り信用もせず生きておりますので、それをそのまま真に受けるというのは非常に私にはこっけいに映るわけでありまして、さらには、確かに弁護料としては、弁護士の報酬料としては高いとおっしゃられますが、そのころの私はそういう認識もなく、周りの人間すべてが合意で行ったものでありましたので、何ら懸念なくそういった事態になったわけであります。
  711. 一井淳治

    一井淳治君 お父様は何度も年金党で立候補されまして、落選という残念な結果になりました。それの経験の上に立ちまして、日本新党などがつくられる新進党の比例代表として参議院に出ようというそういう相談をなさった事実はあるんじゃないでしょうか。
  712. 友部百男

    証人友部百男君) 私がということですね。
  713. 一井淳治

    一井淳治君 ええ。
  714. 友部百男

    証人友部百男君) ですから、私は前々から申し上げているとおり、選挙に対して非常に違和感を持っておりまして、ずっと反対しておったんですよ。  ですから、私が率先してその相手方の窓口、もしくは、いわゆるかく言う新進党の方々の窓口に行って、自分で折衝して何とか頼むとか、何だとかかんだとかというようなことは、はっきり言って言いがかりとしか私には言いようがありません。
  715. 一井淳治

    一井淳治君 いや、あなたがそのような行動を現実にされたかどうかということをお聞きしているのではなくて、全体の動きですね。お父さんは結果として参議院選挙にお出になって当選されたわけですから、ですから、そういう方向に向かって動いておったと。ただで出たんじゃなくて、結果的には新進党の中でお出になったわけですから。ですから、しかもこれ日本新党の枠というふうに新聞には書いておりますけれども、その新進党の中の日本新党の枠の中でお出になったということを、これはまあ選挙運動の周りにいらっしゃるあなたも当然認識しておったんじゃないんでしょうか。それ自体が違うんですか、そうじゃないんですか。
  716. 友部百男

    証人友部百男君) 質問の趣旨がよくわかりませんが、日本新党枠から出るということを認識して動いていたんではないかということですか。
  717. 一井淳治

    一井淳治君 そうです。
  718. 友部百男

    証人友部百男君) 大変申しわけないんですが、各党派が結合し、また分裂を繰り返しといって始まった新進党である、どのようにして要するに順位が決まるのかとか、どういう党派がどうなのかという認識は、というよりも、そのころの教養として私の頭の中に入っていないわけであります。  ですから、私がだれのところにこう言ったりああ言ったらいいんじゃないかとかこうだとかと決められるわけがないというのは、どのようにして証明してみせればよろしいか私もちょっと危惧するところがありますが、質問に対しての率直な答えとしては、そういった事実はございません。
  719. 一井淳治

    一井淳治君 お父さんがそういう努力をしておったということはわかりませんか。そういう努力というのは、新進党の中の日本新党枠で出ようと、そういうふうになさっておられたということはわかっておられたんじゃないですか、それもわからなかったのですか。
  720. 友部百男

    証人友部百男君) 新聞報道で父が、全く知らないと、周りの人間がやったんだと言うところも一理あるかもしれません。というのは、周りの人間というのは、要するに先ほどから登場する齋藤それから大久保、そのほかそれにかんがむ人間たちのことでありまして、それらの人間たちがそのような動きをしていたんではないかというふうには思いますが。  ただ、日本新党枠から、じゃ日本新党枠の、逆に聞く形になってしまいますが、もちろん政治家の先生でありますから、比例の順位というものはお金を出せば買えるものなんですか。
  721. 一井淳治

    一井淳治君 選挙のあった年の七月四日に友部達夫必勝全国支部長大会というのが開かれております。これは御記憶ですね。
  722. 友部百男

    証人友部百男君) はい。
  723. 一井淳治

    一井淳治君 その必勝大会ですけれども、港区のホテルで開かれたと聞いておりますが、細川さん、初村さんが出席されましたね。どうですか。
  724. 友部百男

    証人友部百男君) 出席しました。
  725. 一井淳治

    一井淳治君 細川さんが、比例区のポジションを得るよう全力を挙げて努力すると。
  726. 友部百男

    証人友部百男君) 済みません、もう一回。パーティーは、いつの。
  727. 一井淳治

    一井淳治君 七月四日です。
  728. 友部百男

    証人友部百男君) オークラのですね。
  729. 一井淳治

    一井淳治君 はい。七月六日が公示日で、七月四日に新進党友部達夫必勝全国支部長大会が開かれております。そこへ細川さん、初村さんが出席されて、細川さんは比例区でのポジションを得るよう全力を挙げて頑張るという趣旨の発言をされておるわけですけれども、御記憶でしょうね。
  730. 友部百男

    証人友部百男君) その質問の前に、国会議員であらせられるお名前をもう一度。
  731. 一井淳治

    一井淳治君 一井といいます。
  732. 友部百男

    証人友部百男君) 一井先生。  先ほどから日本新党枠日本新党枠と、それにかんがむ金銭の授受があったという疑惑を持たれているとおっしゃるわけですが……
  733. 一井淳治

    一井淳治君 そんなことは言ってないですよ。
  734. 友部百男

    証人友部百男君) いやいや、ずっと質問を今まで私が受けている立場としてそういうふうにまとめているわけですが、先生の御意見として、要するに比例の順位というのはお金で買えるものであろうという認識のもとに御質問をなさっているんですか。それを私はお聞きしたいんですが。
  735. 一井淳治

    一井淳治君 そんなことは全然考えていません。  それで、今の質問に答えていただけますでしょうか。
  736. 友部百男

    証人友部百男君) もちろん、国会議員の先生がそういうふうにおっしゃるんであれば、そんな事実もないでしょうし、ホテルオークラで細川元総理がどのような発言をしたのかというのは、私は大体そういう場では周りの環境の設備を担当して切り盛りをしている立場でありましたから、発言者がどのような話をしているのかというのは、はっきり言って拝聴することもできませんし。
  737. 一井淳治

    一井淳治君 細川さんが受け取ったとか受け取っていないとかいう三千万円なんですけれども、お金が移動しても、選挙資金あるいは政治資金としてお金が移動しても構わないわけですよ、正しいお金であれば全然構わない。それをあなたは答えないと。それについてはお父さんに責任が及ぶかもしれないから答えないというのは、どういう理由なんですか。  刑事事件が及ぶというのは、どういう刑事事件を恐れておられるんでしょうか。それを教えてもらえませんか。そうしないと、黙秘されてもこちらの方は納得できません。どういう刑事事件なのか。  これでおしまいにします。
  738. 友部百男

    証人友部百男君) 大変申しわけございません。答えれば刑事訴追に値するということであるので、答える必要はないと。まあ答える必要がないというよりも、お答えできないというのが私の答えです。
  739. 一井淳治

    一井淳治君 時間ですから終わります。
  740. 有働正治

    有働正治君 端的にお尋ねいたします。  証人らの側から齋藤衛氏に依頼をした後、齋藤衛氏は小沢辰男衆議院議員をオレンジ共済本部の方に御案内し証人らに引き合わせておられると承知していますが、いかがでしょうか。
  741. 友部百男

    証人友部百男君) もう一度、聞き直して申しわけないんですが、小沢辰男先生が……
  742. 有働正治

    有働正治君 いや、齋藤氏が小沢辰男先生を連れて、皆さん方に御紹介されたと。
  743. 友部百男

    証人友部百男君) 場所は。
  744. 有働正治

    有働正治君 オレンジ共済本部などで。
  745. 友部百男

    証人友部百男君) ああ。  齋藤衛氏にそのようなお力はないと思います。
  746. 有働正治

    有働正治君 齋藤氏らの話として承知しているところでは、証人らは齋藤衛氏に政界工作などを依頼した後、齋藤氏を含めて、工作資金を幾らにするかなど、数回協議に参加しておられると承知しているわけでありますけれども、先ほども、自分は主役ではないとおっしゃられたけれども協議はしたという趣旨のことは述べておられます。この点間違いないと思いますけれども、いかがでしょうか。  また、お父上も御参加なさっていた場合もあると思いますが、いかがでございますか。
  747. 友部百男

    証人友部百男君) 協議という一言で付してしまえれば、どんなものも協議に値してしまうと。何が、どのように、しかも目的は何とする協議であって、発言をどういうふうにすれば、もしその場にいれば、もしくはその部屋の外にいればそれで協議が成り立つのかというところまで及んでしまいそうな質問でありますが。  私が当初から申しているとおり、そのような金銭の授受もしくはそういうものによって政界にどのような影響が与えられるのかとか、今になって、今になってですからこのような発言も私もできるわけであって、その当初は全くそのような教養がないわけですから、協議のしようもないわけであります。
  748. 有働正治

    有働正治君 その場にいなかったということですか。
  749. 友部百男

    証人友部百男君) いや、いようがいまいが、話を聞いていてもわからぬということです。
  750. 有働正治

    有働正治君 おられた、話はわからないということは別にして、そういう協議が行われた場におられたことは間違いございませんね。ことはありますね。
  751. 友部百男

    証人友部百男君) 日にちを特定していただかないとはっきりとわかりませんが、何度か顔を合わせたのは事実です。
  752. 有働正治

    有働正治君 その中にお父上もおられたこともございますね。
  753. 友部百男

    証人友部百男君) もう一度、そのときに出席した人間の名前をもう一度挙げていただけますか。
  754. 有働正治

    有働正治君 全部入れる必要はありませんから。お父上もおられたか。齋藤さんら、大久保さんら、それからお父上らと。
  755. 友部百男

    証人友部百男君) 一堂に会したということですか。
  756. 有働正治

    有働正治君 ええ。一堂でない場合も、数人の場合もあるでしょうし。
  757. 友部百男

    証人友部百男君) はい。それは一概にちょっとお答えできません。
  758. 有働正治

    有働正治君 齋藤衛氏、あるいは弁護士への手数料を除きまして、三億五千万円のお金を使おうと、含めると四億円という話が出たことはあるんじゃないでしょうか。
  759. 友部百男

    証人友部百男君) それは私のレベルまではおりてはきませんでした、その話は。
  760. 有働正治

    有働正治君 その後、選挙後も、こういうこともお聞きになったことはございませんか。
  761. 友部百男

    証人友部百男君) 私の体験上ではございません。
  762. 有働正治

    有働正治君 齋藤衛氏のルートを通じてのいわゆる工作料三億五千万の問題で、証人は、石崎松之介さんに、益川ルートの工作資金より安上がりになるので三億五千万円は了解してくれと、了解を求めておられると承知しています。  これは、石崎さんが私どもの新聞赤旗記者に逮捕前に語った内容でございますが、三億五千万円の了解を求めたこと、いかがでございますか。
  763. 友部百男

    証人友部百男君) それは、石崎松之介と私もしくはオレンジ共済組合との間柄を御承知の上での御質問でしょうか。
  764. 有働正治

    有働正治君 いや、私の質問に答えていただきたい。知っているつもりです、私は。
  765. 友部百男

    証人友部百男君) そうですが。友部の姓を名乗っている、もしくは益川昇以下の従業員、オレンジ共済組合の何らかの資金を移動するのに石暗松之介の決裁を請わなきゃならないと……
  766. 有働正治

    有働正治君 決裁の問題じゃない。
  767. 友部百男

    証人友部百男君) じゃ何でしょう。
  768. 有働正治

    有働正治君 相談したと、話をしたと。
  769. 友部百男

    証人友部百男君) 話をして使わせてくれとお願いしたということは決裁を請うていることじゃないですか、それは。
  770. 有働正治

    有働正治君 はい、どうぞ、お答えください。
  771. 友部百男

    証人友部百男君) はい。石崎松之介にそのような決裁を請わなきゃならないシステムもなければ立場でもありませんし、石崎松之介というのは、必要ないでしょうから申し上げませんけれども、一つだけ言わせていただければ、私言わせていただければ、マスコミ等を通じいろいろこの問題をいろんな多方面からうやむやにしようと工作を図ったということを、あるところから伺っております。
  772. 有働正治

    有働正治君 後日お聞きになった話でも含めてで結構ですけれども、齋藤衛氏の方に吉野弁護士を経由して、九五年、平成七年五月、三億七千万円が振り込まれ、そのうち三億五千万円を齋藤衛氏がその日のうちに引き出して、赤坂に事務所を持つある衆議院議員のところに届けて工作を要請したが、その方は一たん了承したが後日返されたと。返された金額は三億円になっていたと。そこで、三億円をどうするか。齋藤氏が初村議員らに来てもらい、いろいろ善後策を協議されたと、こういうお話をお聞きではございませんか。
  773. 友部百男

    証人友部百男君) そういう事実は、まずないんですが。  こういうことを申し上げて大変失礼かとも存じまずが、他の先生方はある程度的を得て正確な日時や数字を打ち出されて非常に……
  774. 有働正治

    有働正治君 九五年五月です。私も特定しています。
  775. 友部百男

    証人友部百男君) ですから、額面の問題にしても、もう少々確かな情報を持ってこられた方が論議ははかどるかと私は考えてますが。
  776. 有働正治

    有働正治君 私らは私どもとして、確かな話として聞いたものを述べているわけであります。  それから、先ほど述べられました中で十七人ほど挙げられましたが、六、七名ほどは自分で直接会ったと、その方はどなたでいらっしゃいますでしょうか。よろしければお名前を教えていただきたいと。  それから、名目はともかく、お金がいろいろ渡ったりなんかした場合、最高どれぐらいの金額があったと承知されておられるか、その二点。
  777. 友部百男

    証人友部百男君) そのことにつきましては、やはり父及び私の刑事事件の今後の行く末の問題にかかわりますので、拒否させていただきます。
  778. 有働正治

    有働正治君 最後に一点だけ。  先ほど、他の委員の御質問で父親の、お父上の指示というお言葉を何度かお使いになっておられます。お父上から、例えばお金を証人がお使いになる場合には、ある程度まとまった金はお父上から受け取ったのではないかと思うんですが、そこらあたりどうなのか。  また、お父上の御指示というのは、いろんな場合に何かあっただろうと推測するわけですけれども、御指示とおっしゃられる内容についてお示しいただければと。
  779. 友部百男

    証人友部百男君) そもそも私が選挙に携わる、携わらなければならなくなってしまったのも指示であれば、総括本部長もしくはその後のオレンジ共済にかかわる業務すべての関係は、母もしくは父の指示で行っていたものですから、それをすべて明確にするとなれば、一晩明かすことになってしまいます。
  780. 有働正治

    有働正治君 それから、お金は、まとまった金をお父上からお受け取りになったんでしょうかという御質問に対してもお答えいただければ。
  781. 友部百男

    証人友部百男君) まとまったお金を受け取ったことは、ちょっと待ってくださいね。  日時、金額等、正確な数字はわかりませんが、確かにそういうこともありましたが、趣旨等は全くわかりません。
  782. 有働正治

    有働正治君 終わります。時間です。
  783. 田沢智治

    ○尋問主宰者(田沢智治君) これをもちまして友部百男証人に対する証言の聴取は終了いたしました。  証人には、長時間にわたり御証言をいただきまことにありがとうございます。御退席くださって結構でございます。  以上をもちまして友部百男君に対する証人尋問を終了いたします。    午後四時五十分終了