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国務大臣(
橋本龍太郎君) 大変過大な
お話をいただきまして、戸惑います。
ただ、私は、将来この国を背負ってもらう若い
方々、それぞれの
方々が本当に自分の将来というものに夢を描きながらその夢に向かって挑戦することができる、そしてチャレンジをするチャンスが与えられた上に成功するチャンスもある、そんな能力を発揮できる
社会というものをこの国に定着していきたいと思うんです。
そして、そう
考えるとき、例えばことしの場合でも、日経連は会社訪問ストップ、青田買いよしと言ったということで、来年卒業する諸君は今からもう非常に就職に対して
混乱をしています。ということは、逆に言えば、ことし一年、学生たちが本当に落ちついて勉強する雰囲気ではなくなったと、そう言えるのかもしれません。しかし、そんなことで本当にいいんでしょうか。確かに、第二次世界大戦が終わってこの五十年余り、
日本は、本当に豊かな
国民生活を手に入れる、こうした目標のもとに、
行政のシステムもそうです、民間活動に対する規制もそうでしたし、
社会保障や福祉の歩みを振り返りましても、またできるだけ均質性、平等性をとうとんだ教育の仕組みにしましても、そして国と地方公共団体の間、本院でもずっと議論をされてまいりましたように、こうした目標に向けた形でつくられ、そしてそれがこの五十年余りの間は本当に私は有効に機能してきたと思うんです。だから、逆にそのシステムは
日本の
社会に定着してしまった。ところが、今になりますと、今度はもう世界が一体化して、人は自由に移動しますし、企業も自由に移動します。情報も資金も皆自由に動き回るわけです。そうなりますと、今までこの
日本という
社会を築いてきた仕組みは逆に足かせになります。そして、むしろ
社会の流れ、世界的な潮流というものに対して、
我が国の国内の産業を保護する、あるいは均質性、平等性を目指した教育システムが全部足を引っ張ることになります。しかし、これではどうにもなりません。そして、
社会に根をおろしたシステムですから、どの一つをいじっても大きな
混乱がありますし、ほかの仕組みにも影響を与えます。それぞれが密接に関連し合っています。私は、本当に一体的にこれを
改革しなければと、そう言い続けてまいりました。言いかえれば、部分だけどこかをいじればこれですべてが終わるというような、そんな特効薬のようなものはありません。例えば、金融システム
改革に関連いたしまして、今外為法の
改正を
国会に御審議をお願いいたしております。今
我が国の貯蓄千二百兆円、
国民の本当に営々と築いてこられた資産です。ところが、外為法の
改正だけで金融システム
改革が終わってしまった
事態を想定してください。この
国民が集められたお金というもの、これは
国民の安全な資産運用の場に
日本の金融市場がなるんじゃない、むしろ、外国で資金を欲しい人あるいは外国で必要とする資金にむざむざそれが使われてしまう、そんな
状態をつくり出すわけにはいきません。これだけは本当に一体に進めていかなきゃならないんです。ですから、実は
財政構造改革会議を設けまして、今
国会中に
財政再建の具体的な方向、方策を取りまとめて、それを
平成十年度
予算のシーリングに反映させたい、そう申してまいりました。本日も、この
参議院の
予算委員会集中審議が終わりましたその直後から
財政構造改革会議を開かせていただきます。また、
医療保険
改革や介護保険制度、これはそれぞれ
我が国の
社会保障、
社会福祉の仕組みを変えていくものですし、
平成十一年には年金の再計算が参ります。これは、あるべき将来の
国民も
負担のできる仕組みを築き上げる作業であると同時に、企業の国際的な移り変わり、どこへでも移動できる企業に対して少しでも
日本に魅力を持たせるようなものをつくれるかどうかということにもなります。「経済構造の変革と創造のためのプログラム」も策定をいたしましたが、この春には政府の行動計画を策定いたしますし、二〇〇一年までに物流、エネルギー、さらに情報通信について国際的に遜色のないシステムというもの、コストというものをつくり上げていかなきゃなりません。こうしてまいりますと、確かに課題が山積をいたしております。どこまで私の力でやっていけるかわかりませんけれ
ども、だれがやろうがこの国はそういう方向をたどっていかなきゃなりません。そして、一月の末には教育
改革プログラムを出させていただきました。しかし、これは教育というその本質的なものがありますから、このプログラムに載っていないような部分でも、それぞれのお子さん方、さらにそのお子さんを育てる親御さん方、いろんな格好で
協力をしていただかなきゃなりません。
行政改革会議におきましても、十一月の末までには中央省庁の再編計画をまとめ上げて、二〇〇一年の一月一日、まさに新しい世紀が参りましたときにその作業が始められる
状況をつくらなければなりません。一つ一つ大事なことばかりでありますが、地道にそのレールを敷いていきたい、心からそう
考えております。