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1997-03-07 第140回国会 参議院 予算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年三月七日(金曜日)    午前十時一分開会     —————————————    委員の異動  三月六日     辞任       補欠選任      永野 茂門君     田村 秀昭君      笠井  亮君     聴濤  弘君  三月七日     辞任       補欠選任      竹山  裕君     石川  弘君      本岡 昭次君     久保  亘君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長        大河原太一郎君     理 事                 片山虎之助君                 佐藤 静雄君                 斎藤 文夫君                 田沢 智治君                 木庭健太郎君                 都築  譲君                 横尾 和伸君                 山本 正和君                 有働 正治君     委 員                 阿部 正俊君                 石川  弘君                 石渡 清元君                 板垣  正君                 加藤 紀文君                 金田 勝年君                 久世 公堯君                 沓掛 哲男君                 関根 則之君                 竹山  裕君                 武見 敬三君                 谷川 秀善君                 成瀬 守重君                 野間  赳君                 真鍋 賢二君                 依田 智治君                 石田 美栄君                 市川 一朗君                 牛嶋  正君                 菅川 健二君                 田村 秀昭君                 高野 博師君                 高橋 令則君                 長谷川道郎君                 浜四津敏子君                 及川 一夫君                 大渕 絹子君                 清水 澄子君                 照屋 寛徳君                 川橋 幸子君                 久保  亘君                 小島 慶三君                 本岡 昭次君                 藁科 滿治君                 上田耕一郎君                 聴濤  弘君                 山田 俊昭君    国務大臣        内閣総理大臣   橋本龍太郎君        法 務 大 臣  松浦  功君        外 務 大 臣  池田 行彦君        大 蔵 大 臣  三塚  博君        文 部 大 臣  小杉  隆君        厚 生 大 臣  小泉純一郎君        農林水産大臣   藤本 孝雄君        通商産業大臣   佐藤 信二君        運 輸 大 臣  古賀  誠君        郵 政 大 臣  堀之内久男君        労 働 大 臣  岡野  裕君        建 設 大 臣  亀井 静香君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    白川 勝彦君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 梶山 静六君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  武藤 嘉文君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)        (沖縄開発庁長        官)       稲垣 実男君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  久間 章生君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       麻生 太郎君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       近岡理一郎君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  石井 道子君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  伊藤 公介—————————————————————        会計検査院長   疋田 周朗—————————————————————    政府委員        内閣参事官        兼内閣総理大臣        官房会計課長   吉井 一弥君        内閣法制局長官  大森 政輔君        内閣法制局第一        部長       秋山  收君        人事院総裁    弥富啓之助君        人事院事務総局        任用局長     角野 敬明君        公正取引委員会        委員長      根來 泰周君        公正取引委員会        事務総局審査局        長        矢部丈太郎君        警察庁生活安全        局長       泉  幸伸君        警察庁刑事局長  佐藤 英彦君        警察庁警備局長  杉田 和博君        総務庁長官官房        審議官      瀧上 信光君        総務庁人事局長  菊池 光興君        総務庁行政管理        局長       陶山  晧君        総務庁行政監察        局長       土屋  勲君        防衛庁参事官   別府 信宏君        防衛庁防衛局長  秋山 昌廣君        防衛施設庁長官  諸冨 増夫君        防衛施設庁施設        部長       首藤 新悟君        防衛施設庁労務        部長       早矢仕哲夫君        経済企画庁調整        局長       土志田征一君        経済企画庁総合        計画局長     坂本 導聰君        経済企画庁調査        局長       中名生 隆君        科学技術庁長官        官房長      沖村 憲樹君        科学技術庁長官        官房審議官    興  直孝君        法務省民事局長  濱崎 恭生君        法務省刑事局長  原田 明夫君        法務省入国管理        局長       伊集院明夫君        外務大臣官房長  原口 幸市君        外務省総合外交        政策局長     川島  裕君        外務省アジア局        長        加藤 良三君        外務省北米局長  折田 正樹君        外務省経済協力        局長       畠中  篤君        外務省条約局長  林   暘君        大蔵大臣官房長  涌井 洋治君        大蔵省主計局長  小村  武君        大蔵省主税局長  薄井 信明君        大蔵省理財局長  伏屋 和彦君        国税庁次長    堀田 隆夫君        文部大臣官房長  佐藤 禎一君        文部大臣官房総        務審議官     富岡 賢治君        文部省学術国際        局長       林田 英樹君        厚生大臣官房総        務審議官     中西 明典君        厚生省社会・援        護局長      亀田 克彦君        厚生省老人保健        福祉局長     羽毛田信吾君        農林水産大臣官        房長       堤  英隆君        農林水産大臣官        房総務審議官   石原  葵君        農林水産省構造        改善局長     山本  徹君        農林水産省農産        園芸局長     高木  賢君        通商産業省産業        政策局長     渡辺  修君        運輸省港湾局長  木本 英明君        海上保安庁長官  上坂 泰敏君        郵政大臣官房長  天野 定功君        郵政大臣官房総        務審議官     高田 昭義君        労働大臣官房長  渡邊  信君        労働省労政局長  松原 亘子君        労働省労働基準        局長       伊藤 庄平君        労働省職業安定        局長       征矢 紀臣君        労働省職業能力        開発局長     山中 秀樹君        建設大臣官房長  小野 邦久君        建設大臣官房総        務審議官     村瀬 興一君        建設省建設経済        局長       小鷲  茂君        建設省河川局長  尾田 栄章君        自治省行政局選        挙部長      牧之内隆久君    事務局側        常任委員会専門        員        宮本 武夫君     —————————————   本日の会議に付した案件平成九年度一般会計予算内閣提出、衆議院送  付) ○平成九年度特別会計予算内閣提出、衆議院送  付) ○平成九年度政府関係機関予算内閣提出、衆議  院送付) ○公聴会開会承認要求に関する件 ○派遣委員の報告     —————————————
  2. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ただいまから予算委員会開会いたします。二平成九年度一般会計予算平成九年度特別会計予算平成九年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  昨日に引き続き、総括質疑を行います。  真鍋賢二君の残余の関連質疑を行います。真鍋賢二君。
  3. 真鍋賢二

    真鍋賢二君 おはようございます。自民党の真鍋賢二でございます。  昨日に引き続いて質問をさせていただきたいと存じますが、まずもって冒頭に一つ、きょうの動きについて御質問をさせていただきたいと存じます。  ペルー日本大使公邸人質事件で、反政府ゲリラ側と報道陣との無線の中で、大使公邸の地下で物音がし、政府側が武力による解決を図っているのではないかということで、第十回目の予備的対話に参加しない、こういう交信が伝えられております。政府としてはどのような情報をキャッチしておるか、外務大臣にお伺いをいたしたいと存じます。
  4. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 昨日の本委員会においても御答弁申し上げましたように、九回の予備的対話を経まして、ペルー政府そしてMRTAそれぞれに自分たちとしての考え方、いわば提案といったものを保証人委員会に提示し、それをもとにこれからいよいよ大切な、大事な段階に入ろうとしておるところでございます。  そういった意味で、我々もこの対話の維持そして進展を期待しているところでございますが、こういう段階でございますだけにいろいろな気持ちのぶれも出てくることはあり得るんだと思います。そういったところで、保証人委員会方々が両者の中をつなぎながら、対話が継続されるような雰囲気といいましょうか、そういった状況ができるようにいろいろ努力しておられると承知しております。  本日も、委員指摘のようなことが報ぜられました後に、保証人委員会のメンバーが公邸内に入りいろいろ話をしてきた。そして、その後出てこられまして、寺田顧問、オブザーバーの立場でございますが、入っていろいろお話し合いをしておられると承知しております。このような保証人委員会方々の御努力によって対話が継続され、そして解決に向かって進展していくことを期待しながら、また注意深く見守っているというところでございます。
  5. 真鍋賢二

    真鍋賢二君 ありがとうございました。  第二次橋本内閣発足に当たりまして、総理は、日中関係日米関係と同様に重要な二国間問題である、こういう定義をいたして、またきのうの私の質問に対しましてもそのような御答弁をいただいたわけであります。まさに隣国の大国として日中関係友好裏に進めていかなければならないことは、政治の最も大切なことであるわけであります。  今年二十五周年を迎えるわけでありますけれども、ここに新しい一つのけじめをつける意味で橋をかけてはどうだろうかという感じもいたすわけであります。九月二十九日がたしか二十五周年記念日だと思うわけでありますけれども両国首脳訪問外交を含めて御予定を聞かせていただければと思う次第であります。
  6. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、議員から御指摘がございました日中関係、改めてきょうその大切さを繰り返そうとは思いません。  昨年十一月にマニラで行われましたAPECの会合、ちょうどその非公式首脳会合の場を利用しまして江沢民主席との間に、私が総理としては初めての日中の首脳会談を持つことができました。そして、その機会に江沢民主席を私の方は日本にお招きし、私も訪中の招請をいただきまして、相互が既に双方を招待し合っている状況にあります。  その上で、本年は確かに我々からいたしますと日中国交正常化二十五周年という節目の年でありますけれども中国にとりまして香港返還という、これは中国だけの問題ではなく、確かに大変大きな一つの世界的な注目すべき大切な節目でありましょう。  こうしたものを控えておられる状況の中でありますだけに、その時期を含めましてこれからの取り進めぶり、これは外交ルートで相談をしてもらっております。ただ、今の時点でいつという時期が双方ともに確定している状況にはございません。ただ、そうした方向で努力をしていくべきこと、これは当然のことと考えております。
  7. 真鍋賢二

    真鍋賢二君 池田外務大臣は、就任以来一年ニカ月で最も多くの外国首脳会談をしておると思うわけであります。  そこで、この三月二十九日、三十日の週末を利用して中国を訪問するやに伺っておるわけでありますけれども、その日程はもう決まったわけでございましょうか。そして、訪中するならば目的はどういうところにあるのか、お聞かせいただければと思うわけです。
  8. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 日中関係我が国にとっても最も大切な二国間関係一つでございますし、両国関係が円滑に進むことはアジア太平洋地域あるいは世界全体にとっても大切なことだと思います。  そういった意味で、緊密にあらゆるレベル交流を進めていかなくちやいけないわけでございますが、とりわけことしは国交回復二十五周年、また来年は平和友好条約成立二十周年といったところでもございます。そういったことで、両国ともこの際、両国関係の一層の進展を図ろうとしているわけでございますが、私ももし国会のお許しがいただければ、国会審議に支障のない形で月内にも中国を訪問させていただきたい、こう考えております。  それで、参りました際には、冒頭申しましたような認識に立ちまして、ことしをどういうふうに進めていくか、先ほど総理からも御答弁ございましたけれども、両首脳の間で既に相互招請も交わされておるわけでございますから、そういったものも視野に入れながら両国関係進展させていく段取りを進めていきたいと思いますし、また御承知のとおり両国間で解決をしなくちゃいけない問題も幾つかあるわけでございますので、そういったもので詰まるものがあれば詰めてまいりたい、こう考えている次第でございます。
  9. 真鍋賢二

    真鍋賢二君 橋本総理にお伺いいたしたいわけでありますけれども、今日まで中国との関係をよりよくしなければならないということでいろいろあったわけでありますけれども核実験等関係もありまして借款問題が若干ぎくしゃくしておったわけであります。幸いにして、中止されておりました円借款再開されて、そしてあとは無償資金協力再開するのがいつごろかと、こういうことが言われておるわけでありますけれども再開されるならばいつごろ再開されるか、その辺の見通しについてお伺いさせていただければと思います。
  10. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 確かに、議員が御指摘になりましたように、経済協力、これが中国との間におきまして、中国自身の改革・開放努力を支援する、そうした意味で大きな役割を果たしてきたことは御指摘のとおりであります。と同時に、特にそのうちで無償資金協力の部分を取り上げますなら、これは中国一般民衆を含めました日本に対する信頼感をつくり上げる上でも大きな役割を果たしてきたと考えております。  九五年の八月から政府は対中国無償資金協力を凍結してまいりました。これは御承知のようなさまざまないきさつの中であります。昨年七月、中国核実験のモラトリアムを表明し、それ以来相当の時間も経過をいたしました。私どもも今この無償資金協力再開について鋭意検討を進めているさなかでございます。現在その準備作業中でありますけれども、この作業が、要するに中国側から要請される案件、その現状の確認といったことを含むものでありますから、そうした作業をもう少し進めていきました段階再開の具体的なタイミングを考えることになる、今はまさにその準備をしている状況、そのように御理解をいただきた  いと思います。
  11. 真鍋賢二

    真鍋賢二君 話は変わりまして、我が国を訪れる留学生は西暦二〇〇〇年を目標に十万人計画を立てたわけであります。順調に増加をしておったわけでありますけれども、昨年は五万二千人ばかりになって、前年比からいいましても一・七%ほど減少しておると、こう言われるわけであります。  アメリカのフルブライト奨学資金というのがございますけれども、これは戦後の日本資金不足の中にあって勉学する人たちに大きな奨学をいたしたわけであります。他の大学においてもこういうことが見られておるわけでありますが、日本の制度としてはなかなか思い切ったことができていないというのが現状じゃないかと思うわけであります。やはりフルブライト大学に学んだ人たち同窓意識というものは大変強いわけでありまして、各国に優秀な人材が散らばっておるわけであります。  日本側としてはこういう問題にどのようなお考えを持っておるか、これは文部大臣を初め外務大臣にお伺いいたしたいと思います。
  12. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 今御指摘のとおり、留学生増加の趨勢が今までは急ピッチでふえてきたのがここ二、三年鈍化しておりまして、特に昨年は御指摘の数字のとおりになったわけでございます。  フルブライトの例を挙げられましたが、戦後、日本東南アジア学生を大変多く受け入れたということは、非常に私はその国の発展に貢献したと思いますし、お互いの相互理解にも役立ったと思います。いろいろ私どもこの原因を調べてみますと、日本へ留学するととにかくコストが高過ぎる、最近非常に意欲的にオーストラリアが誘致しておりますが、オーストラリア倍生活費がかかるということで、特に住居費が高い。  それから、最近は各国、私もこの間東南アジアへ行ってまいりましたけれども自分の国の高等教育機関がどんどん整備されて、できれば自分の国で勉強したいというような、そういうニーズが減ってきたということ。それから、不況、バブル崩壊日本に対するイメージが薄れたといいますか魅力が減ったというようなこともあります。そのほか語学の問題、日本へ来て日本語を勉強すると一年、二年余計かかってしまう。できたら自分の国で滞在中に日本語を勉強してやれないかというようなこととか、その他いろいろな生活上の問題、そして教育上の問題が絡み合って鈍化をしてきたということで、私どもはこれからいろいろと一工夫も二工夫もしないと、今までのように順調に留学生がふえていくという保証はないというふうに考えております。
  13. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 外務省といたしましても留学生関係につきまして努力しておりまして、例えば在外公館事前にいろいろな情報をその希望者に対して広報するとか、あるいは海外における留学生の選考などもやっております。  また大切なのは、日本で留学して本国へお帰りになった方々がその後も日本とのつながりを持ち、そうしてその国で活躍されると同時に、両国日本との間の友好関係にも力を尽くしていただく、そういった観点から、いわゆるアフターケアと申しましょうか、あるいは帰国留学生方々が会をつくっておられる、そういったところとのいろいろな事業なんかもやっておりまして、今御審議していただいております外務省予算の中では三億二千万弱のものを計上しているわけでございます。  それからさらに、国際交流基金におきましてもいろいろ事業をやっておりまして、その中で、文部大臣の今御答弁の中にございました、例えば言葉のハンディをどうやって乗り越えるかということで、留学してこられる前に事前にそれぞれの本国日本語研修をする、そういったことも含めまして国際交流基金でたしか四億五千万円程度の事業を来年度計画しているというふうに承知しております。
  14. 真鍋賢二

    真鍋賢二君 通産大臣日本海外進出企業に対しましても、日本で留学した学生に何か優遇策を講じて、それぞれの職場が確保できるようなお考えはないでしょうか。
  15. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今、委員指摘のように、どうして採用するかというのはその企業が自己の責任において決定すべき事項だということが原則です。しかし、一般的にはやはり日本語現地語両方が通ずる、こうした付加価値を高めた学生というものは特に日系企業は採用したい人材であることは言うまでもございません。  産構審、産業構造審議会において、現地での雇用面人種等による不当な差別をしないということ及び管理職レベル現地人を登用することを求めた海外事業展開に当たる期待される企業行動十項目というものを平成五年の六月に提言もしておりますが、その内容を関係団体を通じて広く日系現地法人にも周知徹底を図っているところでございます。  ちなみに、当省の調査では、九二年でちょっと古うございま丈これは五年、五年でやるわけでございますが、日系現地法人において帰国留学生を含む現地人役員従業員数というのは全部で百四十万のうち実に百三十八万も入っているということで、全役員従業員数の約九七%に達しているということでございます。ですから、今後とも日系企業による現地人の積極的な雇用、登用というものが続くことを大いに期待しております。
  16. 真鍋賢二

    真鍋賢二君 最近、密航者が急増して、今年ニカ月間で去年一年の実績を超えようとしております。法務省法改正をしてこの対応を急いでおるわけでありますけれども、法務大臣、どういう対応をしておられますか。
  17. 松浦功

    国務大臣松浦功君) 委員指摘のように、近隣諸国からの密入国事件が急増していることは事実でございます。これに的確に対処するために、送出国に対しまして密入国者出国防止策を強化するように強く申し入れる、それと同時に関係省庁と緊密な連絡をとりながら上陸の阻止及び潜在密入国者の摘発を強化してまいりたいと思っております。  なお、御指摘をいただいたように、密入国者に対して密入国を助長、援助する行為を厳しく処罰できるように入管法改正をいたしたいと思っておりまして、今国会に御提案を申し上げる予定でございます。よろしく御指導、御鞭撻のほどをお願い申し上げます。
  18. 真鍋賢二

    真鍋賢二君 最近の朝鮮半島の情勢は非常にいろんな問題を生起しております。黄書記の北京韓国大使館への亡命、そしてまた姜総理の失脚、崔国防相の死去など、北朝鮮を取り巻く複雑な問題がここに露出されておるわけであります。経済、文化、政治等大きな関係を持っておる我が国としては何としても朝鮮半島の平和と安定を図っていかなければならないと思いますけれども、この点について外務大臣の御見解を伺いたいと思います。
  19. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 我が国といたしまして朝鮮半島の安定ということは大変大切なことでございます。そういったことで、韓国を初め関係の諸国ともいろいろ連携をとりながら対処しているところでございます。  委員指摘の北朝鮮の情勢でございますが、ここのところ食糧問題、エネルギー問題を含めまして経済的な面での困窮の度はますます強まってきている、このような情勢でございます。また、それを背景にいたしまして、国際社会全体が冷戦時代とは随分変わっておりますのに、あの国自身が極めて独特の政治体制でここまで来たわけでございますが、そういった点の無理もある程度出てきたと、こう思うわけでございます。そういったことで、今御指摘のようないろいろな事件や事柄がこのところ目につくわけでございます。  しかしながら、全般として見ますと、なお金正日書記が政治の指導をしているようでございますが、しかしその辺でも大変な難しさがある。このことが一体あの国の政治あるいは社会のどういうふうな変化に結びつくんだろうか、あるいはそのことが外の世界に対してどういう影響を与えるのか、これは全く目の離せないところでございます。  しかし、一方におきまして、文字どおりいわゆる四者協議、米韓両大統領の提唱に基づく四者の会談を開催しようということにつきまして先般ニューヨークにおいて事前の説明会が行われ、北朝鮮も出席してまいりまして、米国並びに韓国からの説明を注意深く聴取したと。そして、持ち帰っていろいろ検討するということでございまして、北朝鮮の方も国内的にいろいろな締めつけなんかもしているようでございますが、一方、国際社会とのつながりというものも模索するという姿勢も見えているようでございます。  そういった意味におきまして、我が国といたしましては、この国の動静を注目しながら、米韓等々と連携して、何とか北朝鮮といいますか朝鮮半島全体の安定、そうして北東アジア地域の安定につながっていくように我が国としての役割を果たしてまいりたい、こう考えている次第でございます。
  20. 真鍋賢二

    真鍋賢二君 日中、日韓、両国の友好度合いがこのところ非常に減少、減退をしておるわけでありますけれども、何としても両国関係の友好を深めていかなければならないと思うわけであります。  外務省によるとこの友好度が低くなっておる原因というものはいろいろ指摘されておるわけでありますけれども、この点について両国間に何か方法があれば、外務大臣の御見解をお伺いさせていただきたいと思うわけであります。
  21. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 日韓あるいは日中の友好関係が、減少という表現を今使われましたけれども、大きく損なわれようとしているとは思っておりません。お隣同士でございますから、いろんな面で関係が深うございます。そうすれば、どうしても立場なり利害の違うところ、異なるところも出てまいりまして、いろんな問題が起きてくるのは事実でございますけれども、しかし全体としてそれぞれの二国間の関係友好裏に進めていかなくちゃならないという認識はそれぞれの政府において確固としたものがあるわけでございますし、またそういったことで努力をしているわけでございます。  委員おっしゃるのは、あるいは最近の各世論調査等におきまして非常に親しみを感ずる度合いが減った、そういったことを指しておられるのかと思いますけれども、これは確かに最近中国で行われました世論調査、また我が国で行われました世論調査におきましてもそういう傾向が見られておるのは否定できないところでございます。  それもいろんな事由があると思いますけれども、例えば日中の関係について見ましても、二十五年前の国交回復のときに比べれば交流の度合いは随分多くなってまいりました。往来する人の数もあるいは進出する企業も貿易も随分大きくなっております。それだけに、つながりが深く幅広くなれば先ほど申しましたいろんな問題も生じてくる、そういうことが一つあると思うのでございます。  それからいま一つは、国交回復の際には、ずっと長い間不正常な関係にございました日中関係を何とか正常化しなくちゃいけない、そして隣同士の国がこれからともに手を携えて進まなくちゃいけないといった共通認識といいましょうか、あるいは熱気というものがそれぞれの国にあったと思うのでございます。そして、そういったことを踏まえましてそれぞれの国の指導者が、我が方においては当時の田中総理あるいは大平外相あたりが大変な御努力をされて国交回復を実現されたわけでございますが、これだけの努力をしてやっと大事業をなし遂げたんだという思いが両国民全体にあったと。そういったところで非常に友好ムードといいましょうか、そういったものもあったと思うのでございます。  それからこれだけ年を経て、また関係も深くなってまいりますと、いわば正常な関係は当たり前なんだということになっちゃいまして、それでむしろ違いのところを強調してみたり、利害の異なった点が目立つという点はあると思います。しかし、基本においてこれを大切にしなくちゃいけないという認識は、両国政府はもとより、国民の本当の腹の底にはあるんだと思います。そういった意味で、私どもといたしましては、先ほど総理も御答弁なさいましたけれども、この二十五周年を契機にして一層両国関係進展させるために努力していかなくちゃいけない、こう思っているわけでございます。  そういった観点から申しますと、政府だけではなくて、議会におきましても最近中国あるいは韓国との間の議員交流を再活性化するという動きが盛り上がってきていることを私どもも大変高く評価しておりまして、そういった議員、経済界あるいは国民全体のいろんな分野での両国との交流を進めていく中で二国間関係進展、そしてこの地域の安定化にも資する状況をつくってまいりたいものと念願している次第でございます。
  22. 真鍋賢二

    真鍋賢二君 以上、橋本総理の基本方針の一端をお伺いいたしたわけでありますけれども総理、明治維新、戦後改革に匹敵する平成の大改革であると位置づけられておるわけであります。国民が長い間なれ親しんだ組織や手法の全面的な変革を断行し、二十一世紀に我が国民のより自由で活力に満ちた社会を建設するという大事業は国民の支持と合意がなければ到底達成できるものではありません。また、今日の世論を見ます限り、世論は分裂しマイナスの評論が充満しております。  このような中で、改革の先頭に立つ総理にはいろいろな風圧が襲いかかろうと思いますけれども、いかなることがあろうともくじけたり弱気を出さずに元気を出して頑張っていただきたいと思いますが、総理の御所見をお伺いいたしたいと思います。
  23. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今私どもは本当に大変な時代に遭遇していると思います。そして、その時代を乗り切っていくために今さまざまな改革を私は訴え、また進めていこうと考えております。  仮に例えば金融システム一つをとってみましても、外為法改正国会にこれから御審議をお願いするわけでありますけれども、それだけでとまってしまったら一体どんな状況が生まれるのだろう。あるいは産業の競争力という点から見ました場合にも、それこそ発展途上国の追い上げというものは非常に急でありまして、もう我々のすぐ背中のところまで追いついてきている。そして、財政の赤字構造、これから先の高齢化というものを、また少子化というものをとらえたとき、これをこのまま放置していたら本当に後代の諸君が返せるような状況ではなくなってしまう。この辺で本当に思い切った改革を我々はやっていかなきゃなりません。  私自身、非力でありますけれども、やれるだけの努力をしていきたいと思います。委員におかれましてもぜひ御協力を賜りまして、よりよい姿をつくり出せるようにお力添えを心からお願い申し上げます。
  24. 真鍋賢二

    真鍋賢二君 最後になりましたが、橋本内閣の一枚看板は「元気を出せ日本」であります。私は今、国民の英知を信じ、元気を出せ橋本内閣ということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
  25. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 関連質疑を許します。佐藤静雄君。
  26. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 私は昨年の十二月十日にこの委員会でまことに醜いオレンジ共済事件についてただしたのでありますが、その後も大変本院の名誉を汚す事柄が頻発しております。私は元来、政策マンを任じておりまして、このような荒事は余り好まないのでありますけれども、やむにやまれず本日また質問をいたす次第であります。  私のふるさとの会津に会津藩家訓というのがございます。「家訓」と書いてカキンと読みます。その中にいろんなことが書いてあるわけでございます。これは三百年前からこうなっておるのでございますが、法律を恐れなくてはならない。いいですか、お役人の方、よく聞いていてください。それから、わいろを行ったり、他人に御機嫌とりを要求してはいけない。これは偉い人はよく聞いてください。それから、こびへつらって人の機嫌をとる人間や、口先がうまくて誠意がない、まるで表裏のある者を採用してはいかぬ。これは総理大臣、よく聞いてください。政治上の事柄は利害をもって道理を曲げてはならない。私意を挟んで他人の言葉を拒んではならない。法を犯す者がいたら、決して許してはならない。これが会津藩家訓であります。  この家訓は、実は会津藩に生を受けた子供たちが六歳から九歳の間、この「会津藩幼年者 什の掟」、これから教育が始まっております。この教育の成果は、御承知のように、戊辰の役で雲霞のように群がって押し寄せる西軍に対して会津藩単独で戦いを挑んだ、これに通ずるわけでございます。三百年以上前から伝わっているおきてでございますので、今では、例えば「戸外で婦人と言葉を交へてはなりませぬ」、こういうのはもう女性議員にしかられますが、これは三百年前のことを言っておるわけでございますので、お許しをいただきます。  ただ、それからずっと変わらずに我々が、私も含めて福島県人が胸に抱いている言葉は最後の言葉でございます。「ならぬことはならぬものです」、これは人間の道に背いたことは絶対してはいかぬ、そういうことでございます。  そこで、時間が余りございませんので本論に入りたいと思います。  十二月十日、私は、オレンジで当時出資法違反、生ぬるい捜査をしておりましたので、これは国会議員が行った詐欺だ、これは決して許してはいかぬということで、その後捜査当局が詐欺で逮捕したことは御承知のとおりでございます。  友部被告は一億四千五百万という少額の詐欺事件で今逮捕されておるわけでございますが、後ほど申し上げますが、これはほんの一部のことでございます。二千人以上の被害者、あるいは金額にして九十億円を超える、そういう被害額が報道されております。  これらの詐欺罪の広まりについて、その後の捜査の結果を教えていただきたい。
  27. 泉幸伸

    政府委員(泉幸伸君) 年金会オレンジ共済による広域多額詐欺事件につきましては、これまで関係被疑者六名を逮捕するなど、鋭意捜査を行ってきておるところであります。  二月十九日までに被疑者五名が九人の方からオレンジスーパー定期等の元本名下に約一億九千万円の金銭を詐取した事実で起訴されたと聞いております。その余の事件につきましても現在所要の捜査を進め、証拠により固まったものについては追送致等を行う予定をしております。  これまでの捜査により、同様の方法で約二千六百人から八十億円以上を受け入れたものと見ておりまして、現在その他の詐欺事実についても鋭意捜査を行っているところであります。
  28. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 そもそもこのような希代の詐欺師、これは二十年前から親友あるいはマスコミ、こういう方々を二十年間次々と欺き続けてきたわけでございます。このような人物をなぜ新進党さんは候補者に選んだのか。また、その比例名簿決定過程も国民の納得の得られるような説明がない。その責任についても新進党幹部は責任のなすり合いをしている。国民に対してまことに不透明であり、私は無責任きわまるものと言わざるを得ないと思います。  それで、名簿順位を上げるために六億円から十億円の金を順位決定権限のある幹部に贈ったとする報道が数多くなされておりますが、これが事実とするならば明らかに公職選挙法二百二十四条の三の規定に抵触するというふうに考えておりますが、いかがですか。
  29. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 公選法の二百二十四条の三におきましては、名簿登載者の選定につきまして権限を有する者が、その権限の行使に関しまして、請託を受けて、財産上の利益を収受し、またはこれを要求し、もしくは約束をしたときなどは一定の刑罰に処するというふうに規定をしておるところでございます。具体の事案が本条に該当するかどうかにつきましては個々具体の実態に即して判断をされるべき問題でございまして、私どもは具体的な調査権限を有しておりませんので、お答えをしかねるところでございます。
  30. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 捜査当局にお伺いしますが、この点の捜査状況はいかがでございますか。
  31. 泉幸伸

    政府委員(泉幸伸君) ただいま御指摘になりましたような報道がなされておること、また国会等におきまして同様の御指摘が今までもなされたこと等は承知しております。  それらの事実は現在捜査中の詐欺事件による駒取金の使途にかかわる内容のものであり、捜査の具体的内容につきましては御答弁を差し控えさせていただきたいと思いますが、現在行っておる捜査の結果、刑罰法令に触れる行為があれば法と証拠に基づき適正に対処してまいる所存であります。
  32. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 法務省
  33. 原田明夫

    政府委員(原田明夫君) お答え申し上げます。  ただいま警察当局からも御答弁申し上げましたとおり、オレンジ共済組合をめぐる詐欺事件につきましては、東京地方検察庁におきまして、警視庁から事件の送致を受けまして、既に委員指摘のとおり関係者らを起訴したところでございます。  さらに、その後の状況につきまして、従来同様、東京地方検察庁の検察官におきましては警察当局と十分協力しながら本件につきまして事案の解明について捜査をしているところと存じますが、どのような角度からどのような点をということにつきましては、捜査当局における証拠の判断とそれに基づきます事実認定を想定することになりますので、法務当局からこの時点でお答え申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じます。
  34. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 十分関心を持って捜査をしている、そういうことでございますね。  関連して、一九九五年、平成七年の選挙で、参議院比例代表区で当選された水島裕議員の政治団体や同議員関係企業などが参議院選前の九四年十一月から九五年四月までの半年間に集中して細川元総理の複数の政治団体に総額四千九百万円の献金をしたことが報道されております。  献金が始まった九四年十一月は新進党結成の一カ月前でございまして、既に日本新党などでは旧党派で候補者の選定が始まっておる。候補者の決定は九五年三月。献金の時期はまさにこの時期にぴったりと符合しておるわけでございます。  また、九五年二月に行われた新進党の新人候補者適正コンテスト、これで細川元総理が水島さんの推薦人になっております。この結果、御承知のように、水島議員日本新党枠でトップ、新進党比例代表第七位。これは明らかに合法的な政治献金を装った実質的な脱法行為である。公選法第二百二十四条の三第一項に抵触していると考えますが、いかがでございましょうか。
  35. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 個別具体のお話でございますので、私の方からはお答えをしかねるところでございます。
  36. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 一般論で。
  37. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 一般論といたしましては、名簿登載者等の選定につきまして権限を有する者が、その権限の行使に関しまして、請託を受けて金銭等の授受をしたときは、一定の刑罰に処せられるということになっております。
  38. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 この事件については、私は、刑事訴追をしなきゃいかぬ、こう思っておりますが、捜査当局は刑事事件として今調べておりますか。
  39. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) お尋ねの件につきまして報道がなされたことに関しましては、私ども承知をいたしております。  ただ、具体的事実に即して判断すべき事項でもございますし、また個別の事案についてのお尋ねでございますので、恐縮ではございますけれども答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。
  40. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 なお水島議員関係ではさらに有力な情報が我が党に寄せられております。  これも一つでございますが、水島議員は医大の教授あるいは学会の理事長、非常に強大な発言権を持っておる、これを背景に、丁製薬会社から一億円、その他の製薬会社数社に一億円調達を要求して、これを当時の日本新党最高首脳に渡した、そのために日本新党のトップの順位にランクされた、こういう情報でございます。  これが仮に真実だとすれば、明らかにこの件も比例の順位を金で買ったということに相なりますから、先ほど申し上げましたように、公選法二百二十四条の三に抵触することは明らかであると思いますが、いかがですか。
  41. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) 私どもといたしましては、御指摘のようなケースに関しましては、あくまでも事実、それを証拠に基づきまして認定し、法律に照らして判断をするという立場でございますので、ただいまここで御答弁をいたすことは差し控えさせていただきたいと存じます。
  42. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 この問題については、今後真実を究明するために我が党の総力を挙げて徹底した調査を行うつもりでございますが、捜査当局におかれましても、このような数多くの情報があるわけでございますから、それをただしておく、これは捜査当局の私は責任だろうと思いますが、いかがですか。
  43. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) 委員御案内のとおり、私ども警察といたしましては、常に報道あるいはその余の情報に接しまして所要の捜査を行ってまいってきておるところでございまして、今後そういう過程におきまして刑罰法令に触れる行為がございますれば、当然適切に処置すべきものと存じます。
  44. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 友部議員が参議院議員になってから集めた資金は、それ以前に集めた金の数十倍になっている。これはまさに参議院議員という看板を利用した、議員を利用したまことに悪質な行為であります。この点、捜査当局はどのように把握しておりますか。
  45. 泉幸伸

    政府委員(泉幸伸君) 本件詐欺事件などによる金銭の受け入れの時期につきましては、ただいま御質問平成七年の参議院議員通常選挙以前か以後かという点については整理いたしておりませんが、これまでの捜査では、平成七年と平成八年の二年間で約六十六億円を受け入れたものと見ておるところでございます。
  46. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 あいまいなことを言っていますけれども、結局、参議院議員になってから六十六億円集めたということでございますから、参議院議員の地位を利用した、あるいはそれを表看板にして集めたということに違いはないわけでございます。  そこで、実は三月三日、思い詰めた顔をしまして七人の男女が私の事務所を訪れたのであります。遠くは鹿児島県、長崎県、福岡県、岐阜県、六県の方々でございます。この方々はオレンジ共済の被害者の代表の方々でございます。きょうは二千人以上の被害者の皆さん方がこのテレビを見ているから、先生これを読み上げてくれということで被害者からお預かりをしたものがございます。  実はこれなのでございますが、これはオレンジ共済の設立申請書、二十一世紀青少年育英事業団、これはその申請書でございます。(資料を示す)実は、これが海部元総理、これが細川元総理、(写真を示す)これが発起人会にわざわざ出席されまして、お忙しいんだろうけれども、友部達夫先生は大変立派な人だ、オレンジ共済も立派な共済だと。さらに初村代議士さんも御出席をされまして、新進党にぜひ投票してくださいと呼びかけられました。  日本総理大臣を経験したお二人、庶民から見たら雲の上の偉い偉い人でございますよ。その人たちが、これは立派な人だ、これは立派な共済だと。信ずるなと言ったってこれは信じない方がおかしいじゃありませんか。それで、私たちは友部達夫さんじゃなくて新進党に投票しましたと。  そのあげく、二月二十七日、衆議院の地方行政委員会で新進党の某先生が、オレンジ共済事件につきましては、我が党に所属しております細川元総理が後ろについているからとか、我が党がバックになっているからとか被害者の方が思われているという御指摘がございまして、それはもう全く事実無根、恐らくその被害者の方々がそのように思われたからこういう事件になったんでしょう、こういう質問をされた。  被害者の方々は泣いておりましたよ。校長先生の退職金を巻き上げて、それから親類縁者に声をかけて、こういう有利な制度がありますよ、しかも元総理大臣が、立派な人だ、立派な制度だと褒めておりますよ、こうやってある方は、鹿児島県の人は二億四千万も一人でお集めになった。この方が訴えることには、乗っているほかの方には申しわけないけれどもこの飛行機が落ちれば保険金が出るだろう、その保険金で身をもって償いをしたい、そこまでおっしゃっている。  それに対して一回でも新進党はおわびをしたことがございますか。国民の、それこそ退職金であるとか親戚縁者の老後の蓄えとか、そういうものを奪っておいて一言も……(「新進党が奪ったわけじゃないよ」と呼ぶ者あり)いや、新進党に投票した、新進党が裏づけになっているというから信じた。これからまたやりますけれども。  そこで、オレンジ共済にどのくらいの資産が残っておるのか、まず聞きたい。
  47. 泉幸伸

    政府委員(泉幸伸君) オレンジ共済にどれぐらいの資産残高があるかというお尋ねでございます。現在、当該事件の全容を解明すべく、そういう点も含めまして捜査中でございます。
  48. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 それじゃ、友部一族、二十五万円のワインを飲んだ、二十万のスイートルームに二年も泊まっていたその友部一族は、大体どのぐらい資産が残っているんですか。
  49. 泉幸伸

    政府委員(泉幸伸君) ただいま御質問の件につきましても現在捜査中でありますが、あえて申しますならば、先ほど来御答弁申し上げておりますような、これまで受け入れた資金を返済するに足りる資産というのは現在のところ確認されておりません。
  50. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 道具立てを立派にして、巨額の金を集めて、全部おのれのために費消する、これが詐欺師の手口なんです。もうほとんどすっからかんでございましょう。しかし、政治家に渡った金がありますね。今捜査している政治家に渡った金は、道義上、政治家は、もし受け取っているということになれば、それは返さなきゃいかぬと私は思います。それが取り戻せるかどうか、答弁してください。
  51. 濱崎恭生

    政府委員(濱崎恭生君) ただいま委員から道義上という御質問がございましたが、道義上どうあるべきかということは私どものお答え申し上げるべき筋合いのものではないと思っております。  民事法上の一般論として、あくまで一般論として申し上げさせていただきますが、金銭の給付が詐欺に該当するような場合には、被害を受けた者は、その行為を取り消して、だまし取った者に対してその金額の返還を求めることができるということにされております。  その詐欺を行った者がその全員を原資として第三者に全員を交付した場合に、そこから取り戻せるかという問題の御指摘かと思いますが、一般論といたしましては、第三者に渡ったからといって当然にその第三者に対して返還を請求することができるということになっておりませんが、しかしながら、どういう場合にそういう返還を求めることができるかどうか、これはそれぞれの事案ごとに個別具体的に判断される、最終的には裁判の場で判断されるということでございまして、一概にどうだということを申し上げかねる問題であろうと存じます。
  52. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 オレンジ共済の支部は一体どのくらいあったんですか。
  53. 泉幸伸

    政府委員(泉幸伸君) 現在までの捜査では、全国に約二百の代理店、支部と称する代理店があったと承知しております。
  54. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 オレンジ共済の本部役員あるいは支部長と称する代理店主のうち、地方議員経験者あるいは現職の地方議員はどのくらいですか。
  55. 泉幸伸

    政府委員(泉幸伸君) 本部役員のうち、逮捕しました者の中には地方議員経験者は含まれております。そのほか、地方の代理店の中で地方議員経験者がどういう割合があるかというお尋ねでありますが、私ども一つ一つの事件につきまして証拠に基づき解明しておりますので、全国の代理店の中でトータルとしてどういう割り当てになっているかという状況は把握しておりません。  なお、現職の地方議員が代理店となっておるという旨の報道がなされておることは承知しておるところであります。
  56. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 そのくらい調べておかないといかぬのに。これは後刻調べて本委員会に提出を願いたい。これは委員長においてよろしくお取り計らいいただきます。
  57. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 理事会で協議いたします。
  58. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 福島県の場合、須賀川市という市がございます。そこの支部長さんは現職の新進党の福島県の議会議員でございます。この県議は、報道によれば、有力な参議院議員関係しているので信用して加わった、もっと詳しく調べればよかった、軽率だったと、こうおつしゃつておる。  被害者にすれば、新進党の国会議員、新進党の県会議員、これが関与しておる、看板がそうなっておる、これはやはり信用するのは当然でございましょう。被害者にすれば、新進党は単なる道義的責任じゃなくて、法的責任はないにしても被害者に対しておわびをせないかぬ、あるいは窮状、苦情に何らかの対応を示してあげなきゃいかぬと私は思いますので、強く指摘をしておきます。  次に、初村前代議士の件について御質問をいたしたい。三千万疑惑については既に何回か取り上げられておりますので省略をいたしまして、一千万円の疑惑について御質問を申し上げたい。  一九九五年、参議院選挙のニカ月前に、オレンジ共済組合から工作資金として現金一千万円入りの紙袋を諌早市の初村前代議士宅に持っていった、これを代議士はありがとうありがとうと言って受け取った、これが報道されております。友部百男被告から依頼されて現金を運んだのは、初村議員の政治団体の東京代表を務める不動産業者の社員。その社員は現金入りの紙袋を玄関先で直接本人に渡し、初村前代議士は紙袋を受け取って、先ほど言ったようにありがとうと、こう言ったわけでございますが、捜査当局はこの点把握されておりますか。
  59. 泉幸伸

    政府委員(泉幸伸君) オレンジ共済にかかわる詐欺事件につきましては、現在、その詐欺事件によって得た資金の使途も含めて全容解明を行っているところであります。現時点においてどのような事実が把握されどのような事実が把握されていないかということにつきましては、捜査の具体的中身にわたり、また現在捜査中でありますので、御答弁は差し控えさせていただきます。
  60. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 この一千万円の授受について初村前代議士の政治資金収支報告書に記載されておりますか。
  61. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 初村謙一郎氏の関係政治団体でありますことが私どものところで確認できますのは、同氏の資金管理団体であります21世紀政治経済懇話会のみでございますが、この政治団体は長崎県選挙管理委員会への届け出団体でございまして、同委員会に確認をいたしましたところ、平成七年の収支報告書にはお尋ねのような記載はなかったということでございます。
  62. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 仮にこれが事実とすれば、報告書に記載がなければ、初村前代議士の個人の所得になったかあるいは比例代表区の順位づけの工作資金として党のだれかに渡ったか、疑問が濃厚でございますが、捜査当局は実態を把握しておりますか。
  63. 泉幸伸

    政府委員(泉幸伸君) 先ほども答弁申し上げましたとおり、現在本件詐欺事件で得た資金の使途につきましては捜査中でございます。その過程におきましてどのような事実を確認しているかあるいは確認していないかということは、現在捜査中でもあり、また具体的な内容にもかかわりますので、御答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。
  64. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 法務省
  65. 原田明夫

    政府委員(原田明夫君) 法務当局といたしましても、ただいま警察当局からお答え申し上げましたような状況でございまして、本件につきまして警察当局と相協力いたしまして事案の解明に努めているところでございまして、仮に一定の事実を想定してこの場で申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じますが、いずれにいたしましても、法と証拠に基づきまして一定の事実について容疑があるということになりますれば適切な処理をするものと考えております。
  66. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 初村前代議士の個人所得になった場合、申告していなけりゃ当然これは所得税法違反ということになるわけでございますが、この件についての申告はありますか。
  67. 堀田隆夫

    政府委員(堀田隆夫君) ただいま個人の申告状況についてのお尋ねでございますけれども、私ども、個別にわたる事項については従来から具体的に答弁することを差し控えさせていただいておりますので、御理解をいただきたいと思います。  一般論として課税関係を申し上げますと、政治家個人に対しまして提供されました政治資金は、政治資金規正法等の規定に違反するか否かにかかわらず所得税の課税上雑所得の収入金額として取り扱われるということでございまして、その収入金額から必要経費、すなわち政治活動のために支出した金額を差し引いたところで残額が出れば、それについて所得税が課税されるということでございます。  私どもは、そういった制度を前提にいたしまして、いろいろな資料情報と実際に納税者から提出されました申告書を総合検討いたしまして、必要な場合には実地調査を行うなどいたしまして適正な課税の実現に努めているということでございます。
  68. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 これが事実であれば、初村さんは当時新進党選対事務局次長、候補決定の権限を有していたということから公選法第二百二十四条の三に該当すると考えますが、いかがですか。
  69. 白川勝彦

    国務大臣(白川勝彦君) 事務当局は愚直でございまして、必ずしも佐藤委員質問にお答えしていないようでございますので、私から全体的にちょっと国民の皆さんにも御理解いただけるようにお答えをさせていただきます。  一般論として、詐欺は取れば詐欺でございまして、それを何に使おうが詐欺罪の成立には関係ございません。  ただ、どの事件もそうでございますが、特に本件は多額であるということと大勢の被害者がいるということ、被害者救済という点を踏まえて、使途の解明、使い先について捜査当局は全力を挙げて鋭意捜査するのは当然のものと承知をしております。そして、その使途の中で、例えば明らかに公職選挙法二百二十四条の三に違反するというような報道がなされ、それを裏づけるような証拠があれば、単なるお金の使途という面だけではなくて、そういうことも視野に入れながら、当然のことながら別の関心を持って捜査をするのはこれまた当然と思っておりますし、警察なり法務当局においてそういう関心を持って鋭意現在捜査中のものと承知をしております。
  70. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 この件については、警察あるいは法務当局において厳正な捜査をすべきであるというふうに考えておりますが、いかがでございましょうか。
  71. 泉幸伸

    政府委員(泉幸伸君) ただいま国家公安委員長から御答弁がありましたように、警察におきましては、証拠に基づき認定できた事実につき、それが刑罰法令に触れる行為であれば厳正に対処するという基本方針で対応してまいる所存であります。
  72. 原田明夫

    政府委員(原田明夫君) お答え申し上げます。  検察官におきましても、ただいま警察当局から御答弁いたしましたように、現在この事件につきましては警察当局が第一次的に捜査をいたしておるところでございますが、今後とも、その過程におきまして証拠に基づきまして一定の事実が判明してまいり、それが犯罪を構成するという場合には適正に処理してまいるものと考えております。
  73. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 国税当局におかれましても、このような有力な情報なり報道があるわけですから、これはしかと調査をするように。どうですか。
  74. 堀田隆夫

    政府委員(堀田隆夫君) また一般論のお答えになりますけれども、私どもはあらゆる機会を通じまして資料、情報を集めております。  こういった国会の御議論あるいはマスコミの報道等も含めまして資料、情報を集めまして、先ほど申し上げましたように、それと納税者から提出されました申告書を突き合わせまして、総合検討いたしまして課税上問題があるということでございますれば、実地調査を行うなどいたしまして課税の適正な実現に努めているということでございまして、今後ともその方針で対応させていただきたいと思っております。
  75. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 細川元総理は、新進党の比例順位決定の二日前に、友部被告の、これは支部長大会と言うんだそうですが、決起集会に出席をし、新進党の比例の中でよいポジションを得られるよう全力で努力をすると発言していたことがオレンジ共済作成のテープの中で明らかになっております。また、初村代議士は選対事務局次長で、必ず当選できる位置まで押し上げると順位工作を示唆しておったわけでございます。  これは、さきにただした巨額の資金を手渡された極めて確かな情況証拠と考えられませんか。お答え願います。
  76. 泉幸伸

    政府委員(泉幸伸君) 御質問のような報道がなされたことは承知しております。  事実の認定につきましては、捜査当局において収集したあらゆる証拠を総合的に判断して認定すべきものと考えております。
  77. 原田明夫

    政府委員(原田明夫君) お答え申し上げます。  具体的な事案につきまして、どのような角度からどのような事実を認定してまいるかということは、捜査当局におきまして収集される証拠に基づいて検討すべきことでございますので、法務当局としては御答弁を申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じますが、一般論ということでございますれば、先ほど来申し上げましたとおり、具体的に犯罪事実についての容疑があるということになりますれば法と証拠に基づきまして適正に処理してまいるものと考えております。
  78. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 詐欺師を当選確実な十三位という順位に置いたことによって、参議院の議席を金で買ったあるいは金で売った、そういう疑惑が今全国民の注視の的になっておる。当然このようなことに明らかな態度をとらなければ、やはり私はこの疑惑は政治不信につながっていくと。そればかりでなくて、参議院の比例代表制あるいは衆議院の比例代表制、この選挙制度そのものについて国民の疑惑の目が集まっておるわけでございます。民主政治の根幹である選挙制度が国民の信頼を得られない、これは重要なことでございます。民主主義の危機であります。  今こそ徹底的な真相追求を行って、真実を白日のもとにさらさなきゃいかぬ。それには痛みが伴っても、参議院議員、これは同僚でございますから、全員が協力して疑惑の解明に当たるべきであろうと私は思いますが、この点について、総理大臣並びに法務大臣、それから所管大臣の自治大臣の御見解、御所感をお聞きしたい。
  79. 白川勝彦

    国務大臣(白川勝彦君) 総理並びに法務大臣がお答えする前に、選挙制度を預かる自治大臣としてお尋ねの件について御説明をさせていただきたいと思います。  まず第一に、各論に入る前に、委員もごらんになったと思いますが、オレンジ共済の宣伝パンフレットに自治省届け出団体というのが書かれておりまして、これにつきましては自治省として、自治大臣としてまことに遺憾に思います。国民から見たら、あたかもこのオレンジ共済というのは自治省が所管するような事項だ、だから間違いないんだろうというふうに使われた。自治省はこういうことをちょっと考えたことがありません。  どういうことかというと、政治資金団体も付随事業をやってもいいということになっております。その付随事業としてやったんだとしたらば、しかし政治資金報告をしてもらわなきゃならぬということになっております。それはなされておりませんので、これらの点についてもいずれまた論議されるものと思っております。  さて、比例順位について、先ほどからたびたび御指摘があるように、二百二十四条の三というのが設けられました。これは本院に、参議院に比例代表制度というのが導入されたときに新しく入れられた規定と、こう承知しております。  と申しますのは、いわゆる個々の候補者の名前を書く選挙におきましては、その公平を担保するために買収とか供応とかその他いろいろ細かいものが決められており、そしてこれらが適宜効果を奏し、選挙の公正さは年を追うごとに私は上がっていると思うわけでございますが、比例代表候補の順位を決めるというのは文字どおり当落を決める行為になるわけでございまして、これについてもやはり公正さというものがなければいかぬだろうということで、この順位の決定に際して権限を有する者が請託を受けて全員等を収受してはならない、そしてそれに違反した場合は三年以下の懲役ということになっているわけでございまして、文字どおりこの規定は選挙の公正さを担保する規定であるわけでございます。したがいまして、買収、供応等に対して連座制が設けられるなど格段厳しくなったわけでございますが、この規定の持つ意味は大きいものと思っております。  したがいまして、この条文に違反するかもしれないという初めてのケースでございますので、警察当局においては、買収、供応等に厳しく対処してきたのと同じように重大な関心を持って鋭意捜査をしているものと承知をいたしております。  私からは以上お答えさせていただきました。
  80. 松浦功

    国務大臣松浦功君) オレンジ共済事件につきましては、既に関係者が起訴をされております。現在は、なお詐欺の余罪、あるいは詐欺で取得した全員の使い方、そういった問題について徹底的に捜査が進められているものと存じます。こうした捜査の過程で刑事法令に抵触するような事実が浮かび上がってまいりますれば、捜査当局において法と証拠に基づいて厳正に処理することが当然であるというふうに理解をいたしております。
  81. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 先刻来、捜査当局からそれぞれの立場での現況についての答弁がございました。  参議院創設五十周年という今年、こうした事件が捜査の対象となっておりますこと、恐らく全参議院議員方々の心に非常につらいものを残しておると思います。院を異にいたします私どもからいたしましても大変残念な事件でございました。捜査の進捗により真相が明らかになり、罰せられるべきは罰せられる、そうした中で信頼を回復していくには両院が協力をしていくことが必要と、そのように考えております。
  82. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 これは通告をしておりませんで大変恐縮なんですが、大蔵大臣にお聞きします。  共済なる名称をだれでも使える。名称を登録しなくても、保護しなくてもいいんだろうかという疑問がどうしてもこの間の質問から私の頭を離れない。共済、これはともに助けるですから構わないんでしょうけれども、少なくとも大規模な資金集めをするというような共済はやはり認可とか届け出とかそういうものをきちっとしなきゃいかぬのではないかと思いますが、御所見があったらお聞かせいただきます。
  83. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 共済というのは極めて現代社会経済におけるキーワードの一つだと思います。共生と共済、これは美しい言葉であります。よって、そのことが使われたということは全くレアケースと思わざるを得ません。しかし、そのことが自後にまた連動するということであってはなりません。法律には、そのことは法律が認定をしたときのみそれが決められておるわけで、任意にこれが行われるということの命名の自由という問題がありまして、使ってはならないというのは、こういうものを使うときには自粛自戒をしながらいかなければなりませんし、ましてや金銭に通ずるということであれば誤解を生むことでありますので、政治家たる者さようなことがあってはならない、こういうことでございます。
  84. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 きょうは突然の質問でございますので、大臣のお話を承っておきます。  最後に、昨年行われました衆議院議員選挙における埼玉県第六区の茶谷候補の問題について、自治大臣にお伺いいたします。  埼玉県連では、私どもも関根議員を中心に調査をいたしましたが、小選挙区の公認候補の選定は、まず各小選挙区を中心に十分協議をして選考することになっております。そこで選考された者を県連に上げ、県連はそれを党本部に推薦するという仕組みになっております。埼玉県第六区の場合は、平成八年七月から八月にかけて第六区支部の役員を中心に数回にわたってみんなのいる前でオープンに協議をし、その結果、八月六日の選挙区支部の役員会で全員一致で茶谷を公認候補に推薦する旨の決議がなされ、それを県連に上げまして、県連はこれを党本部に進達したものでありまして、県民の見ている目の前で全くオープンにかつ公正に決定された一点の曇りもない決定であります。  これに対して、衆議院の予算委員会において新進党の議員から松永光衆議院議員の証人喚問要求がなされておりますが、これは全く事実無根であり、審議の基本的ルールに反するものである。当時自民党の総務局長であった白川自治大臣から、疑惑を持たれるようなことは全くなかったということを国民の皆様方に御説明願いたい。
  85. 白川勝彦

    国務大臣(白川勝彦君) 佐藤委員の御質問にお答えをさせていただきます。  政党内のいろんなことにつきましては、私どもは基本的にはここに国務大臣として立っているわけでございますので、政党活動の自由ということから、与党であれ野党であれ政党内の自由なことについては原則として答弁を差し控えさせていただきたいと思いますが、特に捜査の秘密という事柄だから答えられないことはありますが、あえて隠すほどもないことについてはお話をさせていただきたいと思います。  御案内のとおり、我が自由民主党の場合は機関主義をとっております。そして、原則下から上に上げていくという仕組みをいかなる選挙でも通常とっておりまして、衆議院の小選挙区の候補者の決定の場合は、まず何よりも当該選挙区の選挙区支部というものが一番大事な出発点でございます。そして次に県連、そして県連の推薦を受けて党本部で、総務局長が普通窓口になるわけでございますが、党の選対本部会議というところで決めるということになっております。もちろん、小選挙区の導入以来、必ずしもまだきちんとした形で選挙区支部が確立されていない地区もありますが、そういう場合は県連とそこの選挙区支部とがそういう形で共同して行うというケースもございます。  そういうような形で機関主義で行われ、この茶谷容疑者の場合も基本的にはそういうルートに従って上がってきて、党本部においては県連の推薦を基本的に尊重し、そのまま推薦をいたしたということでございます。  ただし、結果は結果としてああいう事態でございます。我が党といたしましては、平成八年十一月十九日に幹事長が、落選したとはいえ、「わが党の候補者であった者が、その前職中に犯していたことについては、これを見抜けなかった我々の不明をおわびしたい」という談話を発表し、同時に、衆議院比例代表名簿から抹消する手続を十一月二十五日に行っております。そして、橋本総裁は、本会議における他党からの質問に対して、「茶谷容疑者を自民党の公認候補といたしましたことは、落選したとは申しながら、その前職中に犯しておりました行動について、これを見抜けなかった我々の不明をおわびいたします。」と、このように答弁をいたしております。  いずれ表に出る事実関係でございますので、御質問でございますので、私の方からお答えさせていただきました。
  86. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 終わります。(拍手)     —————————————
  87. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 以上で田沢智治君の質疑は終了いたしました。(拍手)
  88. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 次に、及川一夫君の質疑を行います。及川一夫君。
  89. 及川一夫

    ○及川一夫君 橋本総理初め閣僚の皆さん、大変御苦労さまでございます。  大変問題が山積をしておりますし、私どもスタンスを与党に置いていますが、正直言って心休まる思いがありません。それだけ私どもも責任を感じながら、ぜひ橋本内閣を支えていきたいということを申し上げて、質問に入らせていただきます。  まず第一に、橋本総理の心情といいますか受けとめ方をちょっとお聞きしたいのであります。  実は、今の政治に対する批判はなおかつ高いものがあります。我々も言い分はたくさんあるのでございますけれども、やはり国民の批判というのは何といっても負担増ということがもろにかぶせられているという思いが非常に強いと思います。  そういった立場からさまざまな批判が出ているわけですけれども、それに対して政治はこたえていかなければいけない、こういう思いに立ちますと、衆議院でいずれにしても一カ月余にわたるいわば審議を経て今日を迎えております。総理としての今の心境をひとつお聞かせいただきたいということを申し上げます。
  90. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 連立与党の政策責任者の立場で大変常日ごろから御苦労をかけておりますだけに、今の議員の御質問にお答えをすることに非常に難しさを感じますが、議員は今負担増という点からとらえて国民の意思を述べられました。しかし、私は、そうした点から議論をいたしますならば、やはりここ数回の国政選挙において特に目立ってまいりました投票率の低さ、まず政治に対する関心の低さというものから考えてみなければならないように思います。そして、これは政党政派の問題ではなく、いかにして国民に政治への信頼を取り戻していくのか。そして、投票という形によって国民の意思を示していただけるにはどうすれば成果が上がるのか。私どもは真剣にこれを考えなければならない、それは私はそう思うのです。  そしてその上で、確かに私は消費税率の二%の引き上げとともに、特別減税のストップをこの予算編成において国民にお願いをするという決断をいたしました。私どもの申し方を許されるならば、既に先行した減税に見合う形、しかも地方にそのうちの一%はお渡しをする地方の財源としての消費税率の引き上げ、これは既に先行しているものとの見合いがあるという思いかないわけではありません。また、特別減税の継続を断念いたしますにしても、これが赤字国債という財源によって行われるのであれば、これはむしろ将来の国民に非常に大きなマイナスを与えてしまう措置、我々の世代が楽をするために後の世代にこれ以上ツケが回せるか、そうした思いの中から決めてきたことであります。  しかし、国民からすれば負担増という面で御不満が残ることは私はやむを得ないと。その受けとめが無理だとか、そのようなことを申し上げるつもりはありません。要は、逆に申し上げるならば、私どもがいかに心し、その国民からいただきました税というものを大切に扱い、予算という形で政府にゆだねられましたその内容というものをいかに効率的に執行し役立てていくか、そうした努力を積み重ねていくことではないかと思います。  そして同時に、私どもは今六つの改革というものを国民に対して訴えておりますが、これを一つずつ着実に実行していかなければなりません。その意味では私は随分いろんなところに変化が出てきているという思いはいたします。  例えば、運輸省が需給調整の観点から今まで行ってまいりました規制というもの、例えば離島航路とかいろんな問題を考え、それが必要なことだと皆が思っておりました。しかし、今その需給調整という視点からの規制を運輸省は完全にやめてしまう、むしろ過疎地域に対し、あるいは離島に対し交通の便を供給する、それは違った視点からこれを組み立てようとしている。あるいは電力料金のヤードズティック制の導入、そして電力会社の間で競争が生まれる、こうした変化は既に起きつつあるわけであります。  私どもは、そうした努力を積み重ねていくこと、そして語りかけたことを実行していくということ、そうした努力の中から国民の信頼を取り戻していくべきではなかろうか、そのように考えております。
  91. 及川一夫

    ○及川一夫君 わかります。ただし、いろいろな立場から反論もあるというふうに私は思います。  そこで、いろいろ考えてみると、要は足元をしっかりと見詰めることが大事ではないのか、こういうふうに考えるものですから、俗に我が国の財政はもう大変な赤字で借金だらけで、一体これから先どうするんだ、そういうことが実は言われているわけであります。私もそう思います。しかし、政府が出される資料なんかというものは必ずしもわかるようには出ていないように思えてならないのであります。つまり、借金があると言うけれども、幾らあるんだという総額はわかっても、一体どんな内容でもって借金がこんなに累増、累加されてきたのかということはわからないわけですね。  そこで、私は、大蔵大臣とは言いませんが大蔵省から、今の累積赤字の残高というものについて、項目とそれからある一定の額を示してもらいたいというふうに思いますが、これは当局の方でいいですから話をしてください。
  92. 小村武

    政府委員(小村武君) 平成九年度末見込みの国及び地方公共団体の債務の残高は四百七十六兆円でございます。そのうち、国の長期債務残高は三百四十四兆円でございます。このうち、普通国債二百五十四兆、これが我々が一般会計ベースで今問題にしております公債残高二百五十四兆円と言っているものでございます。この二百五十四兆の内訳は、建設公債が百七十二兆、特例公債いわゆる赤字公債が八十三兆円でございます。  このほかに、国が発行しております国債あるいは借入金がございます。交付公債と申しまして戦没者の妻の特別給付金などを公債で支給する等のものでございますが、この交付公債が約六兆円、それから借入金が八十四兆円ということでございます。これを合わせまして三百四十四兆円でございます。  それから、地方の債務残高が百四十七兆円でございます。国と地方とのダブルカウントのものがございますので、これを差し引きますと、国の三百四十四兆円、地方の債務残高の百四十七兆円、ダブルカウント十五兆円を引きますと、先ほど申し上げました四百七十六兆円ということでございます。
  93. 及川一夫

    ○及川一夫君 今のやつは、積み立てたというか組み立てた一つの項目に従って額を言われたということなので、私自身は理解できても、やっぱり国民全体から見るとそれだけで理解できるんだろうかということは非常に疑問を持ちます。  例えば、あなたが言葉としては触れなかったけれども、食糧証券という借金があるんですね。あるいは外国為替資金証券という言葉での借金がある。しかし、証券と言われた場合に、これを借金と国民の皆さんは理解するだろうかどうだろうかということを考えますと、私は、款項目というものがあるとすれば目でもって答えてもらいたい。そうしないと、そういう一覧表を出さないとわかりません。組み合わせてこれは普通国債であるとかあるいはどうのこうのと言われてみてもわからないわけですね。私が計算してみましたら、全部で二十一項目あるのであります。二十一項目ですよ。今、主計局長がお答えになったのはそんなに項目ないですよね。私はこういうふうに自分で整理をして今持っていますけれども、二十一項目あるんですよ。  どうですか、そういう立場でお答えできますか。
  94. 小村武

    政府委員(小村武君) 今申し上げましたのは国、地方を通じる長期債務残高でございます。御指摘の食糧証券、外国為替証券、これは短期証券でございまして、いわゆる資金繰りで年度内に回しているものでございますので、私がお答えしたものには入っておりません。短期証券については、食糧証券、外国為賛証券を合わせまして約四十兆円の短期証券を発行しております。  こうしたもの全体を整理したものを私どもは表の形で、いろんな形でPRをしお示しをしているところでございますが、なお詳細にわたって必要がございましたら、細部の分けたものについて先生のところに資料でお示しをいたしたいと思っております。
  95. 及川一夫

    ○及川一夫君 論議をしていると時間がなくなるので大変なんですが、いずれにしても、その他という項目があって、政管健保とか国民年金とか厚生年金等、いわば繰り延べ方式という借金もあるわけですね。そういったものをもっと正直にわかりやすいように私は出してもらいたい、これは強く要求をしておきたいというふうに思います。  そこで、大蔵大臣、こういった財政の状況に立った場合にどうやって克服をしますか、財政の立て直しをしますか。基本方針を述べていただきたいと思います。
  96. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 御案内のように、財政の危機的状況にありますことについての説明は行っておるところであり、もっとわかりやすく国民向けにというのは、工夫をいたしましてそのように取り組んでまいります。  既に政府におきましては、健全化目標ということで、以下、財政改革どうあるべきか等々について発表をし、特に財政構造改革会議、与党三党の申し入れに従いまして、政府もこれに一体となりまして、どうすれば財政構造改革が達成できるかということについて取り組んでおりますことは御案内のとおりでございます。  財政再建は増税をしてやるのかという一つの道があります。しかし、このことは、歳出カットに全力を尽くす、歳出の見直しに聖域を設けず全力を尽くすという内閣の基本方針に基づいてただいま諸改革を取り進めておるところであり、増税を考えず実効を上げていかなければならない。  これは当然、橋本首相から質問に答える形で出ておるわけでございますが、消費税二%のアップ、特別減税の停止ということの中で、これだけのことを国民各位にお願いいたします以上、政府予算、第二の予算と言われる財政投融資計画、特別会計等々、聖域を設けず、それを点検して歳出の抑制、削減に全力を尽くし取り組んでいかなければならない。  まさに放置いたしますと日本の財政崩壊と。崩壊の結果は惨たんたることになりますことは及川政審会長も御案内のとおり、御指摘をいただいておるところでございますので、これ以上のことは申し上げません。  経済の原則、財政再建の原則の整合性を保ちながら、特に財政再建の根本義に基づいて新しい手法でやり抜いていかなければならぬところに六つの改革が一律に並びながら全力を尽くしておるということであります。
  97. 及川一夫

    ○及川一夫君 財政再建のためには経済の成長を期さなければいけない、こういう一つの柱があります。  そこで、経企庁長官、いかがでしょうか、現状の上に立って日本経済の成長を期すということについて自信がおありですか。
  98. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 先ほど主計局長からお話があっておりましたように、今年度末、平成八年度末をもって四百四十五兆、平成九年度末で四百七十六兆というお話があっておりましたけれども、このままこの状況が続いてまいりますと、及川委員指摘のとおり、一九八〇年代においてアメリカで財政赤字など双子の赤字と言われた状況に達して、いわゆる経済が破局をいたしかねぬという状況になっております。  いずれもそういった状況になってから手をつけておりますのが先進諸国で財政破綻を迎えた国々だと理解をいたしておりますけれども、そういった破局に至る前に手をつけるというのは、これは我々としては学んだ知恵でありまして、そういったものをやっていくためには今のうちから何らかの手を打っておかぬと、先にすればするほど痛みが大きなことになります。そういったことでいきますと、今回どうしてもやっておかねばいかぬのは、何といっても財政支出の削減といわゆる社会保障関係の制度改革にどうしても手をつけにやいかぬということになってきております。  ただ、それだけやって縮小していくだけだと経済成長がとまってどうにもならぬぞという御指摘は、もうそのとおりでありますので、私どもとしては経済構造改革に手をつけるということにいたしております。  ちなみに、一九九〇年から九四年度までの約五年間でいわゆる規制の緩和をやったときの例を申し上げさせていただければ、この九〇年から九五年までの約五年間にいわゆる規制緩和をやった結果、年率で約七兆九千億円、GDP比に直しまして一・六九%の経済成長が起きたという例があります。  お断りしておきますが、これは伸びた方だけ申し上げて、規制緩和されたおかげで食べられなくなった部分、逆につぶれた部分というのは計算に入っておりませんので、それはあらかじめお断りを申し上げます。  そういったことで、今回六つの構造改革というものの中の経済構造改革の中でもさらにまた六分野をやることになっておりまして、いろいろ見込んでおるところでありますけれども、こういったことをやることによっていわゆる高コスト構造と言われるものが、これは公共料金も含みますが、そういったものを引き下げることによって、日本のいわゆる企業、産業の海外競争力が維持もしくは向上されることによって企業の空洞化がとまるとか、そういうものを含めて、後は御存じのようなことで、結果として、これらの六分野にわたる経済構造改革をやることによりまして私どもとしては三%台の経済成長は十分に維持できると思っております。
  99. 及川一夫

    ○及川一夫君 午前中、もう一点だけお聞きしておきたいと思います。  そうすると、企画庁長官、公共事業とか減税とか規制緩和とか、従来いろいろやってきた経済を立て直すための手法がありましたよね。これまでの手法というのは一体どういったものがおありと思っておりますか。
  100. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今まで右肩上がりの経済と言われました戦後約五十年の間にやられた主な方策としては、公共投資を増発する、金利を下げる、税金を安くする、この三つが基本だったと思っております。今回の不況に対応してその三つを実行されましたのは御存じのとおりで、公共投資が約六十兆、金利につきましてはもうこれ以上安くならぬところまでと言われるぐらい安くいたしたり、また税につきましても特別減税または恒久減税その他いろいろさせていただいた結果、下支えというものはできたと思っておりますけれども、この下支えをしたことは間違いない、ゼロから一%台とはいえマイナスにはならず維持をできましたのは、いずれもその三つが下支えをしたと思っております。  これだけではどうにもならぬのではないかということから、冷戦が終わって東ヨーロッパからも大量の人たちが自由経済社会に入ってきて、その人たちの賃金は極めて安く教育は高い等々、アジアに限らずいろいろなものが自由経済の中に入ってきておりますので、状況が冷戦時代と全然違ったことになってきておりますのは、何も政治だけではなくて経済も同じことになってきております。  したがいまして、そういったものに対応させていただくためには、我が方のこれまでの経済も、今までの閉鎖経済、閉鎖しているわけじゃないんですが、閉鎖経済と御批判をいただいております部分をより開放して、国際的なルールが確立されておる部分、特に金融等々の分野におきましてはそういったものに合わせてやっていかざるを得ないことになってきておるという認識に立てば、これはどうしてもそれに合わせて経済構造改革をやらねばならぬということになってきたのがその背景だと思っております。
  101. 及川一夫

    ○及川一夫君 午前中はこれで終わらせていただきます。
  102. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 及川一夫君の残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十二分休憩      —————・—————    午後一時開会
  103. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ただいまから予算委員会再開いたします。  平成九年度一般会計予算平成九年度特別会計予算平成九年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き、及川一夫君の質疑を行います。及川一夫君。
  104. 及川一夫

    ○及川一夫君 まず第一に、構造改革の主要な課題ということでとらえていきたいのでありますが、構造改革問題については聖域がないということを何遍もおっしゃられております。当然だと思います。  問題は、そういう中には集約的に言えば当然小さな政府を求めていくということも入っておるであろうし、同時に、報道によると十一月、秋までにはというようなニュアンスの報道もされておりますが、それはそういう予定かどうかということと、その中には特殊法人というものが入っておるかどうかということについてお伺いをしたいのであります。総理、大変小さな問題で恐縮です。
  105. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、議員から構造改革とお尋ねがありましたのは、恐らく財政構造改革を意味するものであろうと思います。財政構造改革につきまして聖域なしに歳出の全般を見直す、これは昨年の十二月に閣議決定をいたしました財政健全化目標を達成する上で必要不可欠な作業だと私ども考えております。  小さな政府と言われました意味、これは今までいろいろな形でこの言葉が使われておりますだけに、必ずしも議員の御指摘と合うかどうかわかりません。しかし、歳出という意味から申し上げますなら、国民負担の水準につきまして、第三次の行革審におきまして高齢化のピーク時、当時二〇二〇年ごろと見積もっていたわけでありますけれども、におきまして五〇%以下、二十一世紀初頭の時点においては四〇%台半ば、その辺をめどにして国民負担の上昇を抑制するという目標を設定しておられました。  これは恐らく、第三次行革審が言われましたとき、どこまでを含めて言っておられたのかわかりませんけれども、少なくとも当時の感覚からいきますならば、国税そして地方税さらに社会保障負担、そのうちの国税と社会保障負担を中心に言われたのではないかと私は思います。しかし、そうした目標というものはこれから先も私どもは頭に置いて仕事をしていかなければなりません。  当然、高齢化の進展によりまして現在の制度のもとで新たな年金の受給権の発生する方、そうしたものを考えてまいりますと、国民負担率は長期的にはある程度上昇していくことは避けられないものでございますけれども、それが経済の発展あるいは社会の活力をそがないように、極力損なわないように、そうした上昇をできるだけ抑制する努力、そういうものを実行していきますためにも国民的な御議論をお願いしていかなければならない、そのように思います。  また、行政機構を指して小さな政府と言われるのでありましたらば、行政改革会議におきまして、地方分権の進展状況、あるいはさらに規制緩和の進展状況、当然ながらこれが進めば行政はスリム化するわけでありまして、今そうしたことを前提に置きながら中央政府のあるべき姿を議論いたしております。十一月の末にはその姿をお示ししたいと私どもは申し上げているところでありますが、その中には、中央省庁の姿でありまして、特殊法人を包含してはおりません。  そして、特殊法人は、今与党三党におかれましてもまた自由民主党においてもその作業は進められておりますし、総務庁長官のもとで内閣といたしましては既に決めております特殊法人の統廃合が着実に行われるようその実施を督励しているところであります。
  106. 及川一夫

    ○及川一夫君 構造改革ということになりますと、総理が今お答えになられたほかに直ちに問題になってくるのが公共投資というか、公共事業費というのが問題になってまいります。  大変恐縮ですが、各省庁に十六本ほどの長期計画があるというふうに聞いておりますので、政府委員の皆さんで結構ですから、ちょっと御紹介していただけませんか。
  107. 小村武

    政府委員(小村武君) 公共事業長期計画、先生御指摘のように十六本ございます。治水、治山、急傾斜地、海岸、道路、港湾、漁港、空港、住宅、下水道、廃棄物処理施設、都市公園等、土地改良、森林整備、沿岸漁場整備、交通安全、以上の十六本でございます。
  108. 及川一夫

    ○及川一夫君 今読み上げた中から七つの国民生活関連の長期計画というものをとってみましても、昨年までは三十六兆五千三百五十億、しかし今年の新計画では五十一兆五千億ということが想定されるような内容になっておるように私は聞いています。伸び率で四一%も伸びていくわけでありまして、そういうことだけをとらえると、何となく財政構造改革ということに反するような感じになってくるわけであります。達成率もほとんど今までは一〇〇%ということを前提にいたしておりますから、もろにそれだけ伸びていくということは大変なことじゃないのかというふうに私は思うのであります。  そういった点で、これに対する総理のお考え、当然長期計画に対しては切り込むということになるのでしょうかどうでしょうか。
  109. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 衆議院での御議論の中で、公共投資基本計画全体の御議論と、それを構成いたしております議員から今挙げられました十六本の個別の計画の問題、双方の御論議がございました。しかし、いずれにしても我々は、公共事業も当然でありますけれども、社会保障制度あるいは教育、科学、ODA、防衛関係、どこも聖域を持たずに見直してまいらなければなりません。  その中で公共投資、なお我々は整備を必要とする部分を国内に持っているわけであります。今お聞きをいただきました十六本の中でどれも不要不急と言えるものはない。しかし、それは当然ながら我が国の財政の規模の範囲内で実行していく。毎年毎年の歳出の中においてどれだけの事業を進めていくかということはあるわけで、今までもそういう見方をしてまいりました。その上で、公共事業全体も当然のことながら聖域ではあり得ない。それは社会保障関係費あるいは文教、ODA、防衛といったそれぞれの項目と同様の視点で問題として洗い直しをしていく、当然のことだと思っております。
  110. 及川一夫

    ○及川一夫君 私も、四一%の伸び率である長期計画について、実際に一年ごとにやろうということになりますと、毎年七%ぐらい伸ばしていかないとできないということになるわけでありまして、大変大きな金額だなというふうに思います。したがって、当然長期計画に対しては切り込むということを総理もおっしゃられましたので、それを受けて厳正にやらなきゃいかぬのじゃないか、私はこういう感想を持っていることを申し上げます。  と同時に、先ほど行政上の問題を含めてのいわば財政構造改革ということについて、私も同じ気持ちを持つんです。  特に大蔵大臣にお伺いしたいんですが、一般会計、さらには特別会計、特殊法人と、その先は言っていいのかどうかわかりませんが関連企業と、こうなりますよね。ここに流れていっているお金というのは年間にしてもう二百五十兆を超える、こういう状況にあるわけですね。したがって、こういう財政構造というのは果たして問題ないんだろうかということをお聞きしたいのであります。
  111. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 御指摘をいただきました一般会計そして特別会計、財投会計等について見直しをするのかどうか、こういう御指摘でございますが、聖域なき歳出の分析、点検、効率的な予算運用ということになりますと、三者は一体的な関係の中で国家財政を駆使し、経済社会の構築に、また安全保障という基本的な国家命題に向けても配慮いたしておるところでございます。しかしながら、財政構造改革ということになり、平成九年度予算編成でお示しをいたしました具体策は御理解をいただけるところであると思います。  次年度に迎える平成十年度予算編成に当たりましては、元年の基本方針を踏まえながら、赤字公債の脱却、公債依存の体質から抜け出る。少なくとも今日の現況からいえば、公債の発行は縮減をしていかなければなりませんし、投資的経費の財源であるいわゆる建設公債というものもこれ以上ふえることのないような措置を講じていかなければならないということだけは間違いのない方針であろうと思います。  そういたしますと、特殊法人を含めまして思い切った見直しをしながら、役目の終わったものにつきましてはこれを廃止していかなければならぬことは当然であります。しかしながら、長期的な国家プロジェクトを遂行するに当たりまして、民間金融機関にお願いをいたしましても到底会社経営の観点からそれができないものも御案内のとおりにございます。こういう点については政策目標を持ってやり抜かなければなりませんから、その組織の効率化、リストラを断行することによりまして有効に資金が活用され国民に還元をされていく、また借り受けた財投資金も着実にこれを返すと、こういうことでなければならぬと思っております。  結論的に言いますと、聖域なき見直し、改革は行政機関に限りませんで、附属機関、同時に公社公団と言われる特殊法人の分野にまでそのことを取り進めていかなければならないということが基本であろうと思います。
  112. 及川一夫

    ○及川一夫君 財政当局にお聞きしますが、特別会計の財源というものを項目として挙げると一体どういうものがありますか。
  113. 小村武

    政府委員(小村武君) ただいま特別会計として整理をする場合には、特別の収入をもって特別の支出に充てる、そういう対応関係を持って特別会計を構成しているわけでございます。その特別会計の性格は区々でございまして、例えば健康保険特別会計でございますと、保険料収入あるいはそれに対する国庫の助成を収入とし、給付費としては医療の給付という対応関係がございます。  そのほか、特別会計にはそれぞれそれに応じた特別の収入をもって支出と対応関係を持って経理をしていくというのが原則でございます。
  114. 及川一夫

    ○及川一夫君 財政投融資は関係ありませんか。
  115. 小村武

    政府委員(小村武君) 財政投融資は資金運用部で管理をしております。資金運用部は特別会計ではございません。  ただし、資金運用部の収支については資金運用部管理特別会計ということで整理をしておりますが、財政投融資そのものの機能を果たしている運用部は特別会計ではございません。
  116. 及川一夫

    ○及川一夫君 いずれにしても、トータルが二百五十兆以上ということになりますと、それこそ一般会計の七十七兆強の三倍ということになるわけですね。そうしますと、これはとりわけ我々の予算に対する審議の態度にもよるんでしょうけれども、この特別会計そのものを一つ一つ取り上げてやるというのは私の記憶によれば余りないんですよ。したがって、むしろ特別会計制度の中に大変な問題があるんじゃないかという思いでいるんですが、大蔵大臣、そんなお感じはありませんか。
  117. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 特別会計につきましても、九年度は適切適正に予算措置を講じたところでございまして、これも聖域の外ではございませんので、今後財政構造改革会議の中で論議を盛んにし、国民各位の理解を得ながら取り組んでまいらなければなりません。
  118. 及川一夫

    ○及川一夫君 問題にするにしても、何が問題かということが明らかにならないと改革にならないと思うんです。そうしますと、どうしても特殊法人というものを見ないで物を言うわけにはいかないということになりますと、特殊法人に流れる補助金とか出資金というものは一体どうなっているんだろうかということが知りたくなるわけであります。そういった点について、これは事務当局でよろしいんですが、お答えを願いたい。
  119. 小村武

    政府委員(小村武君) 一般会計から特殊法人に補助金として出ている額は二兆五百二十四億円でございます。そのほか出資金という形で出ておりますのが八千四百七十四億円でございます。合わせまして二兆八千九百九十八億円が一般会計から特殊法人に出ている金額でございます。  この特殊法人の性格は区々でございます。例えば海外協力基金はODAの実施機関として機能しておりますが、それに対して一定の出資金を行う、あるいは私学振興財団のようなものは私学助成費を私学振興財団を通じて助成している、こういうものについては私学助成のあり方とかODAのあり方を議論しなきゃいけない。  もう一つのチャンネルとしては、日本道路公団とか住都公団等に対して補助金を出し出資金を出しておりますが、こういうものについてはその事業実施の効率性を求めていくという観点から検討を進めていかなければならない、こういうふうに考えております。
  120. 及川一夫

    ○及川一夫君 私がまとめたものによりますと、一般会計から補助金としていっているのは十九兆七千八百億というような数字になるんですし、さらに特別会計からは二十七兆八千二百二十一億円というような形、あるいは出資金で言えば、一般会計からは二兆五千五百二十三億円、さらに特別会計からは四千八百九十三億円と、こういうような形になっているように私は思うんですけれど  も、これは違いますか。
  121. 小村武

    政府委員(小村武君) 先ほど私が申し上げましたのは、特殊法人に対する国の補助金及び出資金でございます。今、先生御指摘の十九兆二千億、これは国の一般会計からの補助金の総額でございます。この十九兆の中から、そのうちの二兆円が特殊法人に対する補助金になっております。二十四兆九千億という特別会計の補助金、これにつきましては地方交付税も含めての金額でございますので大きくなっておりますが、二十四兆九千億というのは特別会計からの補助金でございます。
  122. 及川一夫

    ○及川一夫君 多少問題の理解が違うようですが、いずれにしても、補助金という名による金額あるいは出資金という名による出資等を見ますと、合わせて五十三兆五千億を超えるような数字というものが一般会計なりあるいは特別会計からそういったものに使われているということ自体が一体いいか悪いかの問題を私は論じなきゃいかぬのじゃないかと。  そういう意味で、問題意識は政府の方も持っておられるようですから、これはかなり細かくやらなければいけないというのと、いわゆる特殊法人関係を含めた特別会計の問題というのは、予算書にしますと大変分厚うございまして、予算委員会で一体どれほどやれるのか、やったのかなということを考えると、何となく寂しい思いがするのであります。これは国会の運営の問題ですから、また別途各党と話をしなければいけないのでしょうが、こういったものは関連する常任委員会に回して、予算委員会と並行してできるかどうかはわかりませんけれども、そういったところで突っ込んだ議論をしませんと本当の問題点というのは出てこないんじゃないかという感じがいたすのですが、大蔵大臣いかがですか。
  123. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 参議院におきまして決算委員会が年度の歳出について真剣な論議を交わされておりますこと、極めて敬意を表します。同時に、ただいま及川委員の提言の問題点は参議院におきまして御決定をされることと存じますが、その際には、大蔵省とすれば御要望をまつまでもなくただいまの問題について資料を提示し、御審議を賜ります。
  124. 及川一夫

    ○及川一夫君 特殊法人というのは、あくまでも独立採算ということが原則だと思うんですね。したがいまして、当然、収支が相償うようになっていなければならないはずでございますけれども、今の実態というのは、出資金である資本金を食いつぶしているような特殊法人とか、あるいは資本金に見合うような資産さえないという特殊法人もあるようでありますし、したがって収支は相償っていかない。したがって、金利の伴うような運転資金を借りてやるものですから、返せないでどんどんどんどん赤字がたまっていってしまうというふうな特殊法人もあるのであります。  さらには、先ほどの財政投融資を利用して、いわば活用して運転をしている、あるいは運営している。こういう実態というのは非常に問題だというふうに思うのですが、これはいかがでしょうか、大蔵大臣。
  125. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 御指摘の点につきましては、国会論議の中で出されておるところであり、本院決算委員会におきましても御指摘、質疑をちょうだいいたしておるところでございます。  全体として予算書、予算の説明書、御要求の資料に誠心誠意大蔵省は資料を提出し御審議のデータにさせていただいておるわけでございますから、ただいまの御提言については趣旨を踏まえ私どもも真剣に対応してまいります。
  126. 及川一夫

    ○及川一夫君 次に、コストの問題について一つ問題を提起したい、こういうふうに思っております。  まず最初に、運輸大臣にお聞きをしたいのでありますけれども、きのうの朝日新聞で、いわば神戸震災に絡んだ工事の中で談合が行われたということが載っておりますが、これはどうなっているんでしょうか。
  127. 古賀誠

    国務大臣(古賀誠君) 先生の御指摘いただいた件は、昨日報道されております工事、これは一般競争入札方式で入札が行われた件でございまして、運輸省の第三港湾建設局と建設会社の中で契約をされたわけでございます。  新聞報道によります談合に関する事実関係につきましては、運輸省といたしましては全く承知をいたしていないところでございまして、たしか一昨年、平成七年の十二月二十二日の今申し上げました運輸省の第三港湾建設局と建設会社との契約による工事だということは承知いたしております。
  128. 及川一夫

    ○及川一夫君 なお、報道によれば西松という建設会社が落札することを前提に六十億というふうに談合されまして、反乱が起こったのかどうか知りませんけれども、これが五十五億で落札したと、入札価格を六十億と決めたんだそうですが、佐伯建設工業というところが五十五億で落札をしたと。したがって、五十五億で仕事ができるということになるんですが、仮に六十億で決まったとすれば五億ほどサパを読まれたということになるわけで、言葉は悪いですが、要するにそういう差が出ているわけですよね。  これは談合自体も問題ですけれども、運輸省のそういう予算に大変な甘さがあるんじゃないかという気がするんですが、いかがでしょうか。
  129. 古賀誠

    国務大臣(古賀誠君) 運輸省の公共事業関係の予算につきましては、適切な積算、また重点的な投資等に十分配慮しながら行わせていただいているわけでございますが、先生も御指摘いただいておりますように、万が一にも談合という不正行為が行われているとすればこれは大変ゆゆしきことでございます。  事実関係につきまして、私といたしましては早急にこの件につきましては調査をさせていただくと同時に、今後、ただいま申し上げましたような適切な積算により、また投資効果に十分配慮しながら適切な運輸関係の公共事業には努めてまいりたいと思っております。
  130. 及川一夫

    ○及川一夫君 阪神・淡路震災に絡んでいる工事ですよね、これは。そういう意味では大変なことだと私は思うし、十一社の会社の名前が出ているわけですね、大変大きな会社ばかりだなと。こういう会社が堂々と談合をやっていることが明らかになるということになると、日本の建設業界というのは一体どうなっているのかなと。社会的正義感も何もかも捨てて利益だけに走っているのかなというような思いがするんですけれども、この会社の扱いというのは一体どうなるんでしょうか、運輸大臣。
  131. 古賀誠

    国務大臣(古賀誠君) この件につきましては、今申し上げましたように、新聞で報道されたような談合に関する事実関係は運輸省としては全く承知をしていないわけでございますが、ただいま先生にもお約束いたしましたように、万が一にもそういう談合という事実があったとすれば、これは許せないことでございますので、早急に事実関係について調査をさせていただくということをお約束させていただいたところでございます。
  132. 及川一夫

    ○及川一夫君 指名入札停止などというようなことが、これが事実だという前提に立ったときにあり得るんですか。
  133. 古賀誠

    国務大臣(古賀誠君) そういったことについては対応についてのマニュアルがございまして、当然そういうことも含めて厳正な処置が行われるわけでございます。
  134. 及川一夫

    ○及川一夫君 公取はおいでになりますか。——こういう事実は新聞で知らされているわけなんですが、公取ではこういうことは全く関係ないというお気持ちですか。
  135. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) 一つ感想を申し上げますと、こういう話が流布されるということは大変腹立たしいというか、残念というか、遺憾というか、言うこともないのでありますけれども、従来からお許しいただいておりますように、個々の事案について公取がどういう取り組みをするかということについては答弁は差し控えさせていただいているところでございます。  ただ、一般的に申しますと、あらゆる情報を収集いたしまして、かりそめにも独占禁止法違反の端緒が発見された場合には厳正かつ適切に対処するつもりでございますので、御理解いただきたいと思います。
  136. 及川一夫

    ○及川一夫君 公取委にも一言申し上げておきますけれども、持ち株会社の解禁の問題では大変な論争だったと私は思います。これから国会で論議をされるんですが、公取の役割、任務は大変重くなるというふうにも思っておりますから、こういうことに対しては厳正に対応してもらいたいということを申し上げておきたいと思います。  それで、建設大臣にお伺いすることになりますが、建設省が出している「建築統計年報」というものをもとにして実は私なりにコストというものを計算させていただきました。この年報によりますと、毎年のいわば建設をした面積合計というものがありまして、それに対して工事費予定額というものが示されているわけです。千平方メートル単位でやっているものですから、一平方メートル幾らなのかなということを計算いたしますと、実は大変な実態だなということがわかってきたわけであります。  これに基づいて出されているのが国とそれから都道府県と市区町村、会社、それに会社でない団体、それから個人と、こういうふうに並んでいまして、それぞれ面積と予定総額が書いてあるわけです。これを計算いたしますと、結論だけ申し上げますと、国の場合には一平方メートル当たり二十一万五千五百四十二円、都道府県の場合には二十三万一千八百八十六円という数字が出てまいりまして、市区町村の場合には二十四万七千八百十五円と高くなっていくわけですね、計算すると。それで、会社、要するに民間という意味なんでしょうね、これでやりますとぐんと下がりまして十四万六千七百九十九円という数字になるわけであります。そして、会社でない団体の場合には二十万二千九百二十四円とやや高い、それから個人の場合には十六万三千三百十九円、こういう数字が実は出てくるわけなんです。  国それから自治体の方がだんだん高くなって、民間へいくとがくっと落ちる。この高いのと低いのを調べますと大体十万違う。コストがこんなに違うということは一体どういうことなんだというふうに疑問を持つんですけれども、建設省としてはこれをどんなふうに感じますか。
  137. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) 委員から具体的なそうした分析に基づく御提示がございましたが、私が大まかに承知をしているあれでは、民間と建設省発注の工事との単価を比べますと、以前は、バブル時代でございますね、バブル時代においては非常にゴージャスな建物を民間がつくったというようなこともございますけれども、工事単価は国に比べてうんと高かった。それが現在は景気がまだ完全に本格的な状況になっていないこともございまして、出血受注といいますか、民間においてそうした状況もありますために国の単価に逆に近づいてきた、落ちてきたというのが判断でございまして、今そういう意味では国の単価より民間の単価が大幅に低いというような状況ではないというふうに私は報告を受けておるわけでございます。  委員のような見識の高い方のお示しなされておる数字と私ども承知しているのがちょっと格差があり過ぎるので、私も今ちょっと驚いておるわけでございます。もしあれでしたら事務当局から説明をさせます。
  138. 小野邦久

    政府委員(小野邦久君) お答えを申し上げます。  確かに先生御指摘のとおり、一部の新聞で建築着工統計の数字に基づきまして官民の格差についてかなり大幅な差があるという御指摘がございました。私どもでも実態を調査いたしておりますけれども、実は建築着工統計の性格自体が若干いろんな課題がございまして、もともと建築着工統計はその年度の建築確認の数と確認の面積の統計をとるのが主眼でございます。予定工事費と書いてございますのはあくまでも工事費の予定額でございまして、実際にどの程度工事費をお使いになったかということははっきりしていないわけでございます。  それと同時に、民間の場合には建築物一般、いろいろな用途のものがございます。例えば比較的単価の安い倉庫でございますとか店舗でございますとか、あるいは大変単価の高いオフィスに至るまで。官の場合にはどちらかというとオフィスと申しますか一般の建物が中心でございまして、もうそういったようなことによって統計自体が、民間と官とを比べました場合には民間のいろいろなものが入ってまいります。建物が高い場合は当然単価が高くなるわけでございますけれども、高いものも低いものも平均的に入ってくると。官の方の建物はどちらかといいますとSRCあるいはRCにしましてもある程度の規模のものをつくるということがございまして、一概にそれだけをもって比較をするということが大変難しいわけでございます。  私どもは、実態といたしましては、例えば地方の合同庁舎と同じような民間の建物を比べたことがございますけれども、その結果によりますとほとんど大差がない。大臣からお答えいたしましたとおり、平成四年が民間の場合にはピークでございまして、大変高級化あるいはすばらしい建物がたくさんできたわけでございます。その後急速に単価は下がってきておりまして、現在では官と民とほとんど大差がない、こういうような実態であると認識をいたしております。
  139. 及川一夫

    ○及川一夫君 とするならば、この建設省が出されている「建築主別−床面積の合計、工事費予定額」というのはどういう手法で出されてきたかと問いたくなるんですが。
  140. 小野邦久

    政府委員(小野邦久君) お答えをいたします。  建築着工統計の工事費予定額でございますけれども、建築確認をするときに建築主事に確認の申請をするわけでございます。そのときにどのくらいの額を予定しているか、当該確認対象建築物についての建築費でございますけれども、それをどのぐらいの額を予定しているかということをあらかじめ記入していただく、それの積み上げということになっておりまして、具体的に幾ら使ったかということと直接のその時点での関連がないわけでございます。
  141. 及川一夫

    ○及川一夫君 積み上げ方式というならばなおのこと私は疑問が残りますね。差があったとしても、最高で十万、国と比較しても七万というのは大き過ぎるんじゃないですかね。やっぱりそういった点ではコスト自体に大変な問題がある。  とりわけ日米関係で言えば二割ないし二割五分は高い、少なくともそう言われているという現実が私は存在するんじゃないかというふうに思いますし、やっぱり日本の公共事業、この種のやつについては、公共事業費というのが十兆円あるというふうにすれば管理費関係で五〇%、資材関係といいますかそういうもので五〇%というふうに言われていますから、十兆で五兆ということになりますと、今の数字を掛けていくと一兆から一兆五千億ぐらいむだ遣いをしているぞ、甘いぞというふうに言われるような状況にあるわけです。  そういった点では、ひとつ建設省も統計で出ている積み上げ方式というものについてもう一回精査すべきじゃないかというふうに思いますが、大臣、いかがですか。
  142. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) 建設コストの要素につきましては、極めて複雑なものがあることは委員も御承知のとおりであります。建設省の職員も国民の税金だということは承知をしておるわけでございますから、民間の工事以上にうんともうけさせてやろうというようなつもりで積算をすることは絶対に私はないと思います。そういう点を私は役人については信頼をするということがなければならないと思います。しかし、こうした財政状況の中でもございますから、やはり我々は執行過程で少しでも事業を伸ばしていくという、それにはできるだけ効率的な執行をしていくということでありますから、今後ともそういう意味では効率的な執行に努めてまいりたい。  ただ一方では、委員にも御理解いただきたいのでありますが、民間ももちろんそういう観点からやっていただかなきや困りますけれども、耐震だとか防災だとか、あるいはお年寄り、障害者、そういう方々にとって使いよい安全な施設をつくっていくという使命もあるわけでございますから、大根を切っていくように単価をぶった切っていけばいいという性格のものではない、このように私は考えております。
  143. 及川一夫

    ○及川一夫君 大根は余計ですけれども、しっかりやってください。  次に、平成九年度の予算が今論議されておりますけれども、当然それぞれこの予算というものに対する御批判なり御意見が出ている。そういう中では切り込みの問題も出ていると思いますね。私が一番重視したいのは、仮に予算が成立したとしても、この平成九年度の予算というのはもうそのままいわば野放しかというふうに考えていいのかどうかということを一番問題にしているわけなのであります。  総理が積極的な意味で財政構造改革会議というものを設けて論議していますよね。あの論議の行方というものが、総理のお話の中から聞く限り、少なくとも切り込んでいくんだということがかなり強調されているように思うんです。つまり、節減を図っていくんだということを言われているわけですから、六月の下旬に出る答えというのはそういうものだろうというふうに思うんですよ。  そうすると、十年度にそれはいくわけですね。じゃ、成立した予算というのはもう六月過ぎても関係ないのか、こういうことになりますと、私はそうじゃないのじゃないのかなと。もちろんストレートに過去にさかのぼるなんということはできませんけれども、要すれば、節約の思想というのはそういうものもある程度踏まえてやらなきゃいかぬと思うんですが、総理、いかがですか。
  144. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私はへ理屈を申し上げるつもりはありませんけれども平成九年度予算、まさに平成九年度の財政事情というもの、そして経済情勢というものを踏まえ、既に本院におきましてもいろいろな角度から御議論が出ております平成九年度の財政運営に必要最小限の予算というものを我々は編成してまいったつもりでございます。  同時に、ここで第一歩を踏み出しました財政構造改革に向けて、議員も今お入りをいただいて御論議をいただいております財政構造改革会議において、十年度に向けての御論議をいただいております。そして、それは当然のことながら十年度予算編成のための概算要求を拘束するもので、さらにその概算要求のためのルールを確定するという作業が一番手始めに参るわけであります。そして、その中におきまして、当然ながら歳出削減に向けての努力というものは明示をされていくことになろうと存じます。  一方で、予算の執行過程におきまして、より効果的な予算執行のあり方、そして費用の節減に努めるという努力は今日までも政府は行ってまいりました。そして、今日の財政状況に照らし合わせて考えるなら、今まで以上にそうした努力が必要なものになっていく、これは私は議員の御指摘のとおりであると思います。
  145. 及川一夫

    ○及川一夫君 三党合意というのがございまして、そういう中でも、国民の批判は強いよということを受けとめて、真摯にこれにこたえていかなければならないという点ではお互い合意しているわけであります。そして、官房長官を通して政府にも考えていただこうということでお渡ししてありますので、ぜひその実効を上げるようにしてもらいたいということを強く申し上げておきたいと思います。  ただ、私も言うだけでは無責任ということになりますから、それなりに過去の実績というのは一体どうなっているのかなということを洗ってみますと、これは大蔵省の予算説明書の中で、いわば節約がどのぐらい立ったのか、不用額はどのぐらい立ったのかということが数字としてあるわけですよね。  例えば、元年では七千億を超えているし、二年はがくっと落ちていますが、三年はやはり七千億を超えている。四年は一兆円を超え、あるいは五年も一兆円を超えている。六年は一兆二千億になっている。七年は七千億を超えている。八年は七千五百億を超えている。こういう数字が要するに不用額、節約額として、実績として出ているわけです。パーセントで直してみると、まずもって平成二年以外は一%を割ったことがないと、こういう数字が出ているわけですね。  したがって、こういうものを考えてみると、これは目的意識なしに結果として残った、あるいは省によっては目的意識を持ってやったかもしれません。そういうところもあるかもしれませんが、トータル的にはそう極端な旗を振らぬでも結果としてこれだけの実績が上がっているということになりますと、非常に予算だって厳しいわけですから、そういった意味では簡単なことではないと思いますけれども、内閣がその意識を持つか持たないかによってこの数字というのは大分変わってくるなというふうに常識的に考えているわけです。  押しつけはしませんが、いずれにしてもそういう問題があるということをぜひ御理解いただいて、大蔵大臣、これはひとつ内閣の一員としてぜひ頑張ってもらわなきゃいかぬのですが、いかがですか。
  146. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 行政経費の節減額は毎年大体一千二百億から一千三百億弱程度であります。御指摘の部分は国債費の不用額ということで、合算しますとそういうことであります。  いずれにいたしましても、三党の決定事項がございます。文言を尊重しながら適切に対応していかなければならない。こういう行政構造改革で赤字から脱出をし、国民各位に信頼をされるためにはできるだけ経費節減を図るということが大事であります。
  147. 及川一夫

    ○及川一夫君 無理、むら、むだという意味合いでこの全体の予算をとらえていきますと、これはどうなのかな、こういうものぐらいすぱっと切るなら切るらしくした方がいいんじゃないのという問題として、徳島県の木頭村の細川内ダムという問題がありますよね。これは建設大臣がよくお知りのものでありまして、衆議院でも議論になったということは聞いています。これは建設大臣、どうされますか。
  148. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) 現在、建設省におきましては、各建設予定の地域を管轄する知事を中心に審議会をつくっておりまして、そこで今後の建設等についての御意見を聴取し、そうした御意見を参考にしながら方針を決めるということでやっております。  そういうことで、昨年四つのダムの中止を決定いたしておりますが、委員指摘のダムにつきましては、この審議会に水没地域の村長が御出席をいただけないという状況がございまして、非常に残念でございます。村長の立場から御意見をぜひお聞かせいただきたい。その上で、知事及び関係自治体の首長等から治水、利水についてのお話を十分いただきまして、我々としては最終的な判断をしたい、このように考えております。
  149. 及川一夫

    ○及川一夫君 総理調査が始まってから二十五年間、今もって何にもできないんですよね。この間、使った調査費というのは一体幾らかということになりますと、四十五億から五十億も使っておられる。建設省の派遣人員が二十名もおられる。そしてなおかつ何にもできない。こういう状況なんですね。  しかも現地では、水没という言葉が今ありましたように、実際に三十戸水没する、その人口は百二十人から百三十人と言われているんですが、どちらとも決まらないものですからもう生活設計を立てるのが大変だということなんですよね。そういう状況を踏まえて、いわば村長さんが会議に出てこないとはけしからぬとは言わなかったけれども、どちらにしても残念だと言われているんですが、むしろ残念だというふうに亀井大臣がおっしゃられる前に、なぜかということを真剣に考えてもらってやっていただきませんと、金額は五十億ぐらいだからと言うけれども、これはたまりたまれば大変なことなんです。  だから私は、無理とかむらとかむだということについてはこの際内閣として思い切った措置をするならすると、そういう世の中になっているんですから。どうですか、建設大臣。
  150. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) 及川委員からそうした強い御要請もございましたので、できるだけ牛のよだれのようにずるずるすることがなく結論を出したい、このようにお約束いたします。
  151. 及川一夫

    ○及川一夫君 時間が少なくなりましたから、予定されたものを除きまして、沖縄問題についてずばり総理の御見解をお伺いしたいと思うのであります。  五月十四日というのは、大変な出口といいますか一つの関というか、あるいは沖縄県民の皆さんとどこまで政府との間で気持ちが合うかという重要な日だというふうに私は思います。そういった点で、このことに対して総理としてまずもってどういうお考えでおられるのか、それをお聞きしたいと思います。
  152. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) この問題につきましては、従来から私は二つの角度からお答えを申し上げてまいりました。  一つは、我が国にとって日米安全保障条約というものが必要であるのかないのか。私どもはこれを必要であると考えております。そして、それはただ単に日本のためだけなのかといえば、当然我が国の安全保障の上でも極めて大きなものでありますとともに、アジア太平洋地域における平和の確保、安定というものにも資しているものだと考えております。そして、この条約を基盤にした日米関係というものは、私は世界の中におきましても非常に大切な二国間関係一つだと考えてもおります。そして、その条約を締結しております日本として、その条約上の責任として負うております米軍の施設等を提供する責任が安定的に存在をしている、これが一つの問題であります。  同時に、沖縄県におきまして、我が国に存在する基地の圧倒的に多くの部分が集中をし、県民の生活の中にさまざまな問題を投げていること、それだけではなく、長い歴史の中において、沖縄県の方々にとってこの基地の重荷というものが本当に厳しいものを生み出しているという現実の問題がございます。沖縄県は、独立を回復しました後の日本におくれて返還をされました。そして今日まで、その後県勢の伸長のために努力をしてこられたわけでありますけれども、本土各県との間に所得格差を生じておる、雇用失業率を見ましても沖縄県内における失業率が非常に高い、投資が十分ではないといった問題点がございます。  さらに、普天間基地に代表されますように、住民の暮らしの真ん中に基地というものが存在をし、その存在が日常の生活を脅かしているという強い訴えを築き上げている、そうした状況があることも承知をいたしているつもりです。そして今日まで、内閣をスタートさせまして以来、全員が力を合わせて、一方では沖縄における基地の整理、統合、縮小という目標に向け、SACOの最終報告にありますような形での努力を続けてまいりました。そしてそれとは別に、沖縄の県勢振興のために我々としてでき得る限りの努力もしてまいりました。  そうした中で、今五月十四日というものを迎えようとしている、だんだんその日取りが切迫してきているという状況にあります。国益として基地内における使用権原を喪失する、そうした状態でこの日を過ごすことはできません。そして、沖縄県収用委員会作業は既に始まっておりますけれども、従来の実績から考えましたとき、与えられている時間は極めて厳しいものであるということも私自身よく認識をしているつもりであります。しかし、何としても国益と県民の方々の気持ちというものの接点を見出したい、そして収用委員会の御努力というものに期待をかけ、同時に五月十四日というものを使用権原切れの状態で過ごさないで済むように、でき得る限りの努力を国としても払ってまいりたい。今収用委員会作業を祈るような思いで見守っております。
  153. 及川一夫

    ○及川一夫君 認識の問題ではそう違わないわけですけれども、しかしなおかつ、例えば大田知事がなかなかもってこの問題をどう処するという見解を述べるような状況にない、これが私は一番問題であるように思うんですよね。  したがって、沖縄県を代表される大田知事との間で本当のいわば話し合いといいますか、それを通すにはどうするかということが私は一番問題だと自分では思っているわけです。それには、大変失礼な話かもしらぬけれども、金で解決するような問題では私はないと思う。そのことだけはしっかり私は踏まえてもらいたいと思う。私は、はっきり申し上げて政府の態度が、対応がいわば沖縄県民の立場に明確に立っているのかどうか、それが証明されないと、また具体的な行動で示されないとなかなかもってパイプを通すことはできないのではないかという思いで実はいっぱいなのであります。  私は、外務大臣に本当にお尋ねしたいんだけれども、あの劣化ウラン弾が発射されたときの日本政府対応は何だったのだろうかということを率直に言って思うんですよ。私から言えば、大和銀行の問題で一カ月おくれました、これはもう我が国が悪いんですから、大和銀行が悪いんですから、どんなことを言われ始末されてもやむを得ないと思います。しかし、じゃ、劣化ウラン弾のあの一年間のいわば秘密性というのは一体どうなんですか、これは。私ははっきり言って、外務大臣ぐらいは烈火のごとく怒って抗議をするというようなことが場面としてあったかなかったかというのは、これは大変私は影響は大きいというふうに思っていますが、外務大臣、いかがですか。
  154. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 私どもも、ただいま総理から御答弁ございましたような姿勢で、沖縄県民の皆様方のお気持ちというものを本当に体しながら、しかしなお日米安保条約の目的を完遂するためにお願いしなくてはならぬところを御理解ちょうだいしたいと、こういうことでやってまいっております。  そういった中で、今回の劣化ウラン弾のような事故が、あるいは事件といったものが起こるということは大変遺憾なことでございますし、そういったことの再発を防ぐと同時に、そういったものに対する対応の仕方によって県民の御信頼を失うことのないように心してまいらなくてはいけないと、こう思っております。  そして、今回の事件につきましては、誤使用でございますけれども、それが起こりましてから一年にわたり米側から我が方に通報がなかったということ、これは誤使用の問題そのものと同時に、あわせて大変遺憾なことでございます。私どもはその事情を承知しましてから直ちに遺憾の意を表明し、そうしてアメリカ側からも重ねていろいろな機会に深い遺憾の意が表明されました。先般、オルブライト国務長官がお見えになりましたときも、オルブライト国務長官も、これまで米国は遺憾の意を表明しているけれども自分からもということで、こういったことが起こったこと、また通報のおくれたことに対する遺憾は意を表明されると同時に、将来に向かって改善することを約された次第でございます。  なお、私ども外務省がこのことを承知しまして後も二、三週間以上にわたって沖縄県への御連絡あるいは公表ができなかったという点は、事情はいろいろございますけれども、私どもにも沖縄の御心清に対する配慮がいかにも欠けておったと考えておりまして、その点は重々反省し、将来に向かって改めてまいりたいと思っておりまして、今この種の事柄についての連絡通報の体制、システム自体を抜本的に改正しようということで作業を鋭意進めております。今月中に新しい適正なシステムをつくり上げ、そうして動かしてまいりたいと考えている次第でございます。
  155. 及川一夫

    ○及川一夫君 お笑いになる方もあるかもしれませんが、非常にこれは沖縄にとっては命をかけている問題だと私は認識しています。生活もかかっています。そういうことですから、総理はもとよりですが、外務大臣にもひとつよろしくお願いしたいと思います。  それで、私は郵政大臣にお伺いしたいんですが、なかなか華やかに、閣内同士のけんかじゃないんでしょうけれども、それぞれ持論を持ち合っての考えの披歴だと思うんだが、官房長官が見解を表明することによって各党の御了解を得て事態が進んでいるという状況なんですが、ああいう経過は経過として、今後の問題として、郵政大臣、どういうお考えですか。あれほどの議論をしますと職場の中では大変な議論になるんです。したがって、郵政大臣は一体どっちを向いているんだという話が必ず出るわけですから、郵政の責任者として見解を申し述べていただきたい。
  156. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) 先生ももう御案内のとおり、郵政事業は全国津々浦々に二万四千六百の郵便局を設置いたしております。この郵便局のネットワークを十分活用しながら、国民に密着した生活サービスという形で郵便、貯金、保険の基礎的なサービスを提供いたしておるわけであります。百二十余年という長い歴史を持つ郵便事業でありますので国民の暮らしに定着をいたしておる、こういうように理解をいたしておるわけであります。  また、郵政三事業は独立採算制でありますが、三十万職員の大変な努力によりまして健全経営を堅持いたしておるわけであります。国民の税金からは一円の投資もなされておりません。  特に非常に私自身敬服いたしておりますのは、この前の阪神・淡路大震災のときにも、一日も休むことなく、そして被災地域の市民の皆様方にあらゆる郵便物の提供をして、無料でサービスをいたしておるところであります。余り皆さんはこれは御存じないようでありますが、そうしたものを提供いたしました。  ただ郵便は、信書、いわゆる封筒、はがき以外のものは全部自由化されておるわけであります。しかし、そういう中にあっても、郵政職員というのはいわゆる郵便法並びに公務員法というものに縛られて、知り得た秘密をばらした場合はいわゆる罰則というものがございまして、二年以下の懲役あるいは五十万円以下の罰金、そういう意味で私は、非常に国民の信頼を得ているものと、こういうように考えておるところであります。  さらに、郵便貯金あるいは保険というものは、少額の貯金、保険として老後の生活に備えて自助努力の手段としてサービスを提供いたしております。お預かりいたしました資金の使用については、もう御案内のとおり、社会資本の整備とかあるいは日本の産業経済、特に中小企業とかあるいは国民金融公庫、住宅金融公庫等の資金として大変役立っておる、こういうように考えております。  そういうことで、今日まで私は民間でできないいろんなサービスを提供されておるものと、こういうように考えておりますが、しかし、先ほど先生からもお話がありましたように、何といっても橋本内閣は行政改革を最大の柱にいたしておるわけであります。総理からもたびたび答弁ありますように、聖域なしに検討するということですから、私も内閣の一員として、今後そうした行政改革、財政改革には全面的に努力をしていかなきゃならぬ、かように考えております。  これからも私どもは、与えられた今の郵政事業、この職務を十分果たし得るように、また二十一世紀の新しい郵便局のサービスのあり方について今郵政審議会にも諮問をいたしております。今後とも改革を前提にサービスのより一層の向上に努力をしてまいりたいと思っております。
  157. 及川一夫

    ○及川一夫君 最後になりましたが、労働大臣にお聞きしたいのであります。  先ほども申し上げましたように、持ち株会社の解禁ということになりました。したがって、戦後五十年間全く経験したことのないことをこれから経済界、産業界、労働界で私は体験することになるんだろうと思います。私も想像のつかないものがあります。どういう経済運営になるのか、また経済運営のもとに労使関係などが一体どうなるのかということについては一定の不安を持ちながらもとにかくそれなりに責任を果たしていこうと、こういう気持ちでいるんです。  労働問題としては連合と日経連との間に法制化の問題を含めて必ずしもきちっとした結論が出ているわけではありません。しかし、持ち株会社の解禁は一応歓迎をしているわけでありますから、そういう立場に立って、とりわけ労使関係の問題について労働大臣としてどういう御感想をお持ちか、今後労働委員会などで論議もされるでしょうが、見解を求めたいと思います。
  158. 岡野裕

    国務大臣(岡野裕君) 持ち株会社解禁に絡みますところの独禁法の改正関係につきましては、先生も中心においでになった三与党の独禁法の協議会で御審議をいただいてまいったのであると。その中で、労使関係、特に交渉関係がどうなるかという点が一つの柱であったと、かように承っております。  去る二月二十五日に労使間で一応この関係についても話し合いがついたことを先ほどお話をした先生を含む独禁法協議会に御報告をなさったということで、私どもも今後どのような法律に相なるのか、その法律案が関係委員会でどのような御審議をいただけるものであるのか、それらを十分踏まえて、実際に持ち株会社ができました場合に、これはもう業態もいろいろでありましょう、幾つぐらいできるのか、大きいのか小さいのか、現実に即して判断をしなきゃいかぬのだろうと。今後の成り行きを見守りたい、こう存じているところでございます。
  159. 及川一夫

    ○及川一夫君 終わります。
  160. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 以上で及川一夫君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————
  161. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 次に、川橋幸子君の質疑を行います。川橋幸子君。
  162. 川橋幸子

    川橋幸子君 民主党・新緑風会の川橋幸子でございます。  民主党の場合は、九年度の予算案の編成につきましては衆議院の審議の段階で反対という態度を表明させていただきました。財政構造改革元年にふさわしい構造改革が見てとれるような予算を私ども民主党は要求いたしまして、歳出の削減、そして削減された歳出でもって公債の発行額を減額するとともに、所得税減税に見合う財源を見出す、こういう組み替え動議を出したところですが、残念なことに衆議院段階ではそれは他会派多数にお認めいただけなかったわけでございます。  ですが、私は今回の予算の採決に至るまでの衆議院の段階でのプロセスを拝見いたしますと、今までのように初めから決められたことは、政府提案はこれでいくということではなくて、さまざまな御議論があった、このプロセスを私どもは評価しているところでございます。  採決に先立ちまして私ども組み替え動議を提出したいという案に対しまして、与党三党から民主党への回答があったわけでございます。この点、もう何回か同じような趣旨の質問があり、御答弁もあったわけでございます。繰り返しになるかもしれませんが、あえて民主党の方の主張を参議院の場でも申し述べさせていただきたいという趣旨から、与党三党から民主党へいただいた回答についてまずお尋ねさせていただきたいと思います。  大臣席にお並びの方はそれぞれ大変ベテランの議員の諸先輩でございます。百戦錬磨の方々でいらっしゃいます。私は駆け出してございますけれども、ぜひかみ合う御議論をさせていただければありがたいと思います。  まず、先ほど申し上げました与党三党の方から民主党の方にちょうだいしました回答の中には、政府に対しまして予算成立後は閣議で経費節減合理化の努力目標を明らかにするよう申し入れたいという項目。それから、予算節減によりまして、その努力によりまして財源が生じる場合には、その使途についても協議したい、その際は国民生活を最優先にするよう配慮したいと、こういう回答をいただいておりまして、総理の方にも与党三党からのお話は上がっていることかと思います。繰り返しになるようでございますけれども、改めてお伺いさせていただきたいと思います。
  163. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) ただいまの川橋さんの御質問でございますが、三党と民主党のやりとり、そしてその後の三党の申し入れ、こういう経過をたどりましたことは御案内のとおりであります。政党間のやりとりでございますから政府としてコメントする立場にはございません。しかし、せっかくのことでございますから、この経過を追いながら申し上げたいと思います。  節減については、従来の実績額を超えるよう最大限の取り組みを行うとともに、予算成立後の閣議で経費節減合理化の努力目標を明らかにするよう政府に申し入れる、こういうことが記載をされておると承知をいたしております。  節減によって財源が生ずることになりました場合、その使途につきましては節減額が明らかとなった時点で検討することと記されていることも御案内のとおりでございます。また、その場合、国民生活を最優先にし、国民負担増に対応する措置や公債発行額の削減、緊急財政需要などに配慮をして三党で協議することが記されておると承知をいたしております。  私ども政府の立場からしますと、与党三党の申し入れでありますから、それは文言どおりお聞かせをいただきながら、節減は政府は毎年度努力をしてやっておりますものですから、さらなる努力をすることといたしたいと存じます。
  164. 川橋幸子

    川橋幸子君 私ども民主党の場合は市民が主役のというようなキャッチフレーズをつけております。本日の質問は、あくまでも市民、国民の目を基準にいたしましてさせていただきたいと思いますが、ただいまの大蔵大臣の御答弁で私はやっぱり市民の方は腑に落ちないような気がするのではないかと思います。与党、しかも今回の場合は最大会派の民主党から橋本総理が出ておられる。そういう与党三党の回答の重みというのは一体何だったのであろうかというふうに思うわけでございます。(「自民党だよ」と呼ぶ者あり)失礼しました。二〇一〇年時限政党が少々早く前倒しで総理のところまでいってしまったようでございます。失礼いたしました。  そういう自民党から本格派の総理が出ていらっしゃるわけでございますが、与党三党の申し合わせというのは一体どのような意味を持つものでございましょうか。国対政治という市民の批判が起こることを私は恐れるものでございます。
  165. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、議員の御質問でありますけれども、私ちょっとその意をはかりかねる部分があります。なぜなら、私は、少なくとも衆議院の予算委員会開会中、与党の中でも与野党の間でも非常にオープンに予算についての御議論というものはなされていたと思います。そして、それぞれの主張の合致する部分、食い違う部分、マスコミを通じて世の中に非常にオープンにその論議のプロセスもさらされておりました。  そして、それが国対政治というような言葉で形容されるようなものではないと私は思うんです。そして、与野党が、また与党同士が私は真剣に話し合いをされた。そしてその考え方を政府に伝達された。それは我々として当然ながら問題提起を受け、その問題提起に最大限こたえる努力をすべきものとしてこれを拝聴するのは当然だと思います。  先ほど三塚大蔵大臣からも御答弁を申し上げましたように、本来、予算の効率的な執行、そしてその中で節減に努力するというのは今までも政府が心がけてきたことですが、私はやはり今の財政状況の中でより一層その努力を求められることは当然だと思います。ただ、その上で、もし議員の御質問が、例えば節減の目標を出せとか、そういう意味を含んでいるのだとすれば、私はそれは大変難しいお尋ねではないかと思います。  本年度の予算、私どもは相当厳しい環境の中での努力をしながら、必要最小限そう思える予算を編成いたしてまいりました。そして、例えば本年度内に年金の受給権が新たに発生される方の数を縮減できるでしょうか。これは一つの例です。私は、その数字の目標というものをもし求められたのだとすれば、一つの例としてこうしたものを申し上げながら、しかし政府としては努力をしてまいりますということを改めてお答えすることにさせていただきたいと思います。
  166. 川橋幸子

    川橋幸子君 お伺いしたいことが数々ございまして、この話にこだわっておりますと前に進まないのではないかと思います。総理が国対政治とは違うとおっしゃってくださったこと、これは政府としても最大限尊重してくださるというこの言葉だけできようのところは次に進めさせていただきたいと思います。  さて、行革が橋本内閣の非常に大きな課題になっておりまして、国民もこれに大変な期待をかけていることはよく周知のことでございます。申し上げるまでもないことでございます。しかし、財政再建の道筋について、あるいは行革の道筋について具体像が見えてこないというような報道の取り上げ方が私は多いように思います。こういう評判、批評につきまして、どのようにお考えでございましょうか。
  167. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) もし議員の言葉につけ加えますならば、改革の幅を広げ過ぎておる、そのために焦点がずれておる、そんな御批判もございます。  ただ、私は本当に真剣に議員にもお答えをさせていただきたいと思いますが、では、どれか一つだけ改革を行えばこの国のあすは開けるんでしょうか。私はそう思わないんです。そして、今その意味では一番焦眉の急になっておりますのはまさに財政構造改革でございます。  そして、本年度予算についていろいろな御議論がありますけれども、私どもは少なくとも租税収入の中で国債費除きの歳出を賄うといった目標は達成をしてこの予算を御審議いただいております。あるいは特例公債、私は、実は当初の目標を三兆円以上ということでスタートをしましたが、大蔵大臣以下努力をしていただいて四兆五千億の減額まで行きました。  しかし、我が国の抱える、国、地方を通じ、あるいは隠れ借金と言われるものまでも含めまして非常に多くのツケを将来に残しているわけです。そして、そのためには私どもはこれ以上私たちの世代が楽をするために次の世代にツケを残すべきではない、そう思ってこの予算も編成をいたしました。  そして、平成十年度の予算編成に向けて、当然ながら次のステップを踏み出すために、従来の概算要求の仕方ではない、まさに財政構造を変えていくための概算要求のルールづくりを六月のうちには終わらなければならないであろう、概算要求作業は七月に入れば始まるわけですから、それまでにそのルールを決めなきゃならないということを申し上げております。  しかし、財政構造を変えていこうとすれば、よく国会で公共事業ばかりがいろいろな角度で多い少ないという御論議をいただきますけれども、社会保障関連費も文教・科学関連経費も、さらにはODA、防衛費、すべてを俎上にのせて我々は議論をしていかなければなりません。社会保障関連になりますなら、これは制度改正を伴うものが大半であります。  そして、その中には、例えば関連して申し上げるなら、企業の経営者としての負担がございます。税と二つの負担を企業もまた行っております。そして、企業が国を選ぶ時代と言われる時代において、我々はこれ以上の海外への生産拠点の移転を防ぐためにも、あるいは我が国への新しい投資を求めるためにも、企業の立地しやすい条件をつくっていこうとするならば、経済活動が容易に行える環境を、またそれだけの負担に耐えられる状況をつくり出さなければなりません。  そのために、政府の規制が自由な企業活動を妨害しているとするならば、あるいは新たな企業の創造を防ぐ役割をしているならば、こうした規制も変えていかなきゃなりません。そして、そこに必要な人材を供給するためには、均質性、等質性を求める教育の仕組みから個性を育てる教育に変えていかなきゃならない。すべてが連動するんです。  御批判は幾らでも私はちょうだいをしたいと思います。しかし、同時に、こうした改革のうちのどれか一つだけを形よく手がければそれですべてが済む時代ではないということもどうぞ御理解をいただきたい、私はそのように考えております。
  168. 川橋幸子

    川橋幸子君 総理の大変真摯なお答えはテレビを通じて市民、国民の方々に語りかけるような形で伝わるのではないかと思います。ですが、私はやはり国民に理解される、納得していただくというのが財政再建の第一歩ではないかと思います。  国民の場合は、先日のテレビの報道では、総額二百五十四兆円の国債残高があるとか、あるいは地方を足すと五百兆を超えるような天文学的な借金がある、余りぴんとこない反応があるのですね。これを国民の一人頭で割りますと、その報道番組では四百八万円という数字を言っております。四百八万円の借金が一人ずつあるんですよ、あなたの家計だったらこれだけの人数分だけの借金があるんですよ、国の借金といってもいずれ家計部門から返さなければいけないのです。  さて、あなたはこれをどういうふうに考えますかといったときの国民の頭の中に、はてそれでは、何を優先順位に、聖域をなくす、すべて見直しの対象にするというところはわかりましても、むしろ国民が求めているのは、それでは、家計の中の財布と同じで何から節約するのか、そういう優先順位の問題がなければ国民の納得は得られないような気が私はいたします。どのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。
  169. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 非常にうまく国民の家計というものに置きかえた議論をしていただきました。  私はこの切り口に敬意を表しますが、同時に家計の中で、それでは四百八万円の借金をしている、その返済も考えなければならないし、これ以上の借り入ればできないという段階で家計で優先順位をつけるときにも、やはり一応全部の支出項目をチェックされるんじゃないでしょうか。最初から例えば食費はこれだけの金額を確保してとかいう形には私はならないと思うんです。  そして、例えば個人の意思で変えにくい、例えばお家賃なんかは契約の金額で縛られるわけですから、それは一つの限界がありますね。だけれども、例えば電気やガスや水道を少しでも節約しようと、私は家計の場合だって全部を見直すことになると思うんです。国だって同じです。そして、国の抱える歳出を必要とする項目、それは全部見直しの対象にしていかなければならない。その上で優先順位というものは決まるもの、私はそう思います。
  170. 川橋幸子

    川橋幸子君 もちろんそうでございます。でも、家庭の主婦の場合も、初めて主婦になった新米、シュフのフはおんなへんがない方もいらっしゃるかもわかりませんけれども、それはもうわかっているという前提のもとで話を始めませんと財政再建というものは論議が進まないような気が私はいたします。ましてや、大蔵省等々さまざまなブレーンがついていらっしゃる、優秀な官僚と言われる方がいらっしゃるわけでございます。  つまりは、むしろそういう現状ならばもう既に明らかにされているべきであるし、そういう現状の中で、これは私の言葉ではございません、汚い言葉かもわかりませんけれども、メディアの中で使われている言葉ですが、日本という国は土建国家を目指すのか、それとも福祉国家を目指していこうとするのか、やはりある種の価値判断が働くと私は思いますが、そういう価値観、理念について総理はどのようにお考えでいらっしゃいましょうか。
  171. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 議員御自身が嫌な言葉だと言われましたように、私も大変嫌な言い方だと思いますし、妙な分類の仕方だと思います。  なぜなら、私は高齢化が進めば進むほど社会保障、福祉施策というものが自立自助を前提とした国民個々人の生活の支えをする部分、その仕組みというものの持つ意味は大事になると思います。しかし、大事だからといって、例えば無制限に保険料を引き上げていくこともできませんし、無制限に税をそこに投入し続ける、それだけで国の責任は終わりということもできないでしょう。  同時に、阪神・淡路大震災で私たちが大変つらい思いの中で学んだこと、それは防災の必要性であり、また私は個人としてよく国土軸が一本しかないつらさということを申し上げてまいりました。そして、まさにこうした目標を達成しようとすれば、そこには公共事業が必要になります。  しかし、そういう一つのスローガンを張りつければ済むような話なんでしょうか。私はそういうレッテルの張り合いのようなやり方がこの国のあすをつくるとは思いません。むしろ、我々は今介護保険というものを御提案申し上げ、そしてこれは保険の仕組みで組み立てた方がよいということを国会の御審議を通じて国民に訴えております。また、それをベースにして医療保険制度の改革のためにまず財政を安定させたい、そういうお願いもいたしております。国にはさまざまな役割がございます。一枚のレッテルでどちらかと言えるようなものではない、私はそう思います。
  172. 川橋幸子

    川橋幸子君 土建国家という言葉は嫌な言葉と申し上げましたけれども、現にそういう言葉が出てきても仕方がないようなさまざまな企業のモラルがあるということもやはり私たち政治家はしっかりと胸にとめなければいけない、そういう時期ではないかと思います。  さて、重要な財政再建の手法の一つに補助金を計画的に削減していくということがあろうかと思います。この点について大蔵大臣の方のお考えをお伺いしたいと思います。
  173. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 先ほど来、補助金の総額のあり方について論議が行われました。その中で大事なポイントは、補助金は全部むだだということになりますと、理解が間違っておると言わざるを得ません。  例えば、補助金の中で大変大事な働きをいたしておりますものに生活保護費がございます。義務教育費国庫負担法に基づく義務教育補助金がございます。等々の地方自治体の責任において執行される行政に対し、国としての責任を果たすという意味の補助金もあるわけであります。  もちろん、補助金として役目を果たしたものもありますと、こういう御指摘をたびたびいただいておるわけでございますから、法定の補助金については法律改正を、法定でない政策として、行政事務として出しておりますものについては、その制度が本当に必要なのかどうかを精査の上、役目を果たしたというのであれば取りやめなければいけませんし、地方自治体がこのことについて独自に行うものということであれば地方自治体において行っていただくということであろうと思います。  何が何でも全部政府が国民生活のすべてにわたって手を尽くすのだという形はこれからあり得ないのではないだろうか。個人が自立をし、そして地域が自立をし、国家が自立をしてできるだけ国民負担の少ない形で効率的な国家形成をしていくというのが最終的に私どもの目標でなければなりません。  大きな過渡期を迎えておる私どもであります。国鉄再建のときにも言われたことは、二十五兆円の旧債が、利子だけで営業収入で全然賄い切れないというところから、どんどん借りて二十五兆円。当時、平均六・五とか六・七というのがございましたが、その分だけではるかに二兆円を超える利払いをしなければならないというところから、営業収入が半分にも満たないという破局的な状態の中から国鉄改革がスタートをしたということはおわかりのことであります。  我が国家財政、GNPに匹敵する債務を持つようになりました。低金利時代がいつまでも続くとは思いません。しかるべき金利に戻りますと、平均五%ということになれば、五、五、二十五ですからそれだけで二十五兆の利払いが生じてまいります。こういうことになりますと、国家機能というものは一体借金払いにのみ仕事をするのかという批判が出てまいります。  今のうちに借金体質から抜け出すための努力を国民各位の御努力の中で取り組む。当然、御指摘の補助金はたくさんございますから、役目を果たしたものはやめていかなければなりません。必要なものは地方自治体との理解の中でこの分配、分担をどうするかということにまで突っ込んでいかないといけないのではないかと思い、補助金全体の制度を含めた見直しということで大蔵省は作業に入っており、各省の協力を得ながらこのことに対する結論を出さなければなりません。  これも六月末に、総理が言うとおり行政財政構造改革の大きなテーマの一つでありますから、それまでに結論を出して国民各位にお示しをし、理解を求めるということになります。
  174. 川橋幸子

    川橋幸子君 最後のところは私の質問にお答えいただけたのかなと思いましたが、私が申し上げたかったのは、補助金という、費目というのでしょうか予算の歳出の形態でございますが、これがむしろ財政再建と行政改革の一体的な推進に役立つ、そういう予算の性格を持っているのではないかと思うわけです。  例えば地方分権を進める場合には、機関委任事務だけではなくて、補助金で縛られているこの部分を、むしろ地方に本当に必要な補助金なのかどうか、一般財源化して必要なものかどうか判断させる。あるいは公共事業の中には不要な道路の、不要なといいましょうか、工事が繰り返されているというような市民の印象もあるわけでございますけれども、真に必要な公共事業なのかどうか、公共事業という事業体を維持するための公共事業費補助金ではないかというようなさまざまなことが言われるわけでございます。補助金を取った場合には量の改革と同時に質の改革が進められるのではないか、こういう発想を持っておりますが、大臣、いかがでございましょうか。
  175. 小村武

    政府委員(小村武君) 補助金については、先生御指摘のように、地方の自主性の尊重とか財政資金の効率的な使用という観点からの検討も必要でございますが、補助金という名の予算というとらえ方ではなしに、補助金は予算の執行の手段であります。その政策目的がいいのか悪いのか、そこを論じないと補助金の削減という目的は達しないと思います。  先ほど大臣からお答え申し上げましたように、補助金の中には生活保護、義務教育の国庫負担金あるいは国民健康保険に対する医療費の補助等々がありますが、それぞれその政策目的がいいのかどうか、そこの議論をしていただかないと手段を論じても解決の方法はなかなかないのではないかというふうに感じております。
  176. 川橋幸子

    川橋幸子君 その程度のプリミティブなことは理解しておるつもりであえて申し上げているわけでございます。わかりやすく国民に、これだけの努力をしたいのだ、ついては財政再建に協力してほしいというときのやり方で何か知恵がないかというふうに申し上げているわけです。  今までの御答弁を総括いたしますと、総合的に全部見直して、とにかく洗い出して、そして検討して、それからまあせいぜい早いところで十年度予算の作成に入ります、シーリングという形で出ると。この程度のテンポというふうにしか私には理解できませんし、多分市民、私よりももっとレベルの高い方がいらっしゃるかもわかりませんが、一般的には私のような理解の者が多いのではないかと思います。  財政再建にかける心構え、あるいは来年は四兆円の削減をしなければならないという政府の方の中期目標でも出ているわけでございますけれども、それをどのように具体的にやって、そしてそれは国民の理解、納得が得られねばできないことだとすればどのようになさるおつもりか、具体的なものをお示しいただく、せめてその姿勢、価値観をお示しいただきたいというのが私の気持ちでございます。
  177. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 具体的にといいますとたくさんある補助金を全部並べなくちゃいけませんが、そうしますと御趣旨からちょっと長くなっていけませんので、補助金の総額が十九兆とも言われます。そういうことの中で、公共事業の補助金は御案内のとおりであります。  その問題について、もう公共事業はたくさんだという市町村も昨今聞こえてくることは事実であります。ならば、そこは御返上いただければよろしいわけでございまして、大方が我が地域の必要な事業は完成するまでやってほしいということでございます。  道路ここで終わっちゃった、もう少しいけばもっとよくなって地域が一体化成るということになりますと、そこもやらざるを得ない。そこでどうするのかということであれば、コストの見直しということが大事ではないのか、そして効率的な執行というのは何なのかということが必要なのではないのか。よく言われる、都市における地べたを掘り返して何やつているのと言ったら、ガスの敷設をやっておりますと。終わってほっとしましたら、また掘り返しておりますから、何やつているのですかと聞きましたら、新しくアパートができたものですから水道管をそちらに運ぶのにやっておるところでございますと、こういうことでおしかりを受けるわけであります。ですから、その辺のところは効率的におやりをいただくというので、建設省も関係省も地方自治体に要請をし、事業遂行の執行をお願いしていると、こういうことでございます。  知恵は何かということでありますと、やはり財政構造改革の原点に立ち返る以外にございません。一般会計だけで二百五十四兆というこれだけの膨大な借金を抱えておるわけでございますから、この借金のために一般会計における使えるお金が七十七兆の中で四十三兆、こういうことになるわけでございます。  この中から地方交付税、地財計画に基づく地方財源への補てん、こういうのが約三分の一執行されて出てまいります。国が地方団体と一体となって地域づくりをしようと、こういうことでございますから、思い切ってしからばやるということについて急旋回をしますと地方自治体の財政状況が極力その瞬間悪化するでありましょう。それまでの間、五年間という二〇〇五年までの目標を立てまして今スタートを切っておりますのは、地方も国にお任せをするだけではなく、みずからの努力、みずからの決心で財政の効率的な運用をしてもらいたい。そのためには、他にお願いする前に中央政府自体が全力を尽くして我が身を切る、知恵を出す、この決心でやり抜くこと、これをやりませんと真実の声が国民各位に伝わらないのではないでしょうか。  総理の言った一番わかりやすいことは、現代が楽をしたい、今のレベルはさらにいいものにしていきたい、負担を少なくして受益を多く受けたいということでは前に進めませんと。それをやるために公債、国債を起こして財源をつくる、いわゆる借金財源ではどうにもなりませんと。後世から、おやじやおふくろは自分たちのぜいたくのためにこれだけの借金を残していってしまった、我々はどうするんだということ、もう聞こえつつあるわけでございますから、そのことをこの際思い切ってストップいたし、現世代が、大人たちが、その代表である国会が、またその中から選ばれる内閣が国と一体となって、国会と一体となってその方向性を明示し、着実に前進をすると。  総論でありますが、総論から発し、これは総論イコール理念であります。その理念から発して政策が持たれていくということに深い御理解をお願い申し上げます。
  178. 川橋幸子

    川橋幸子君 大変御丁寧に御答弁いただきましたが、私は大臣の一番最初におっしゃったことが非常にわかりようございました。補助金にはさまざまな種類がある。義務的なものもあれば、費目によってはあるいは裁量的なものもあるだろう。裁量的あるいは投資的といいながらも、その辺の判断、バランスのとり方はこれからの財政状況の中で弾力的にといいますか、切り込んで考えていかなければいけないだろう。とすれば、補助金についてせめて費目別の現状だけでも明らかにされて、国民にここの部分の負担を求めたいのだ、この部分は政府はカットしたいのだというような具体像でぜひ国民を納得させていただけるように御努力いただきたいということを御要望しまして、次の問題に入りたいと思います。  次は、行政監視のあり方についてお伺いさせていただきます。  これもまた政党間の話と言われるかもわかりませんけれども、民主党が今国会に行政監視院法を議員立法として提案しております。この件につきましても、与党三党の方から、今国会中に成案が得られるように四党で協議しようというようなことが話されております。これは党間の話ということであるかもわかりませんけれども政府にも伝えられておると思います。どのようにお受けとめていただけますでしょうか。
  179. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 同様の御質問を衆議院でいただきましたとき、私は、国会が行政の監視機能を強化される観点から憲法の諸規定を踏まえて活動されることは大切である、当然のことでありますから、そしてそのあり方は国会で判断されるべきものであるということ、同時に政府の中の行政監察業務を全くなくしてしまうことは不適切だと思います。そして、各党間におかれても行政監視機能のあり方については十分御検討をいただきたい、そのように申し上げてまいりました。  その上で、既に参議院が院としてのお立場で時代の変化に対応した行政の監査のあり方というものをテjマにして調査会を設置してこられた、そして精力的に議論を積み重ねてこられていることに私は敬意を表したいと思っております。  その上で、私どもは、国会が行政に対する監視機能を強化される、これは国会の御判断として当然あるべきことでありますけれども政府が監察機能を有しなくてよいということにはならない、そう思っておりますし、こうした点でさらに論議が深められることを期待いたしております。
  180. 川橋幸子

    川橋幸子君 それでは、政府の方でやっておられる行政監視の、行政監察という言葉が現行制度の言葉でございますが、それを中心にお伺いしたいと思います。  中海といいましても宍道湖と言った方が一般にはわかりようございますが、大変さまざまな関係者の方が注目しておる、その勧告が今回出されたところでございます。ですが、新聞報道によりますと、総務庁長官、分厚過ぎるとか、まず行政監察のスリム化、リストラが必要だというような記事を拝見しているのでございますが、やはり市民に対して行政を説明するという配慮に欠けていると思うのでございますけれども、いかがでございましょうか。
  181. 武藤嘉文

    国務大臣(武藤嘉文君) 確かに、現在やっております行政監察は、市民といいますか国民の皆様から見ると大変わかりにくいものであると思います。今回の勧告の文書にいたしましても大変膨大な文書でございまして、役所間はそれは見るのでございましょうけれども、一般の国民から見たら、読んでいるうちについ嫌になっちゃって途中でやめちゃうんじゃないかというぐらい長い文書だと私は思います。この点は本当に反省をしなきゃならない点でございまして、行政監察をやる以上はやはり国民から見てもわかりやすい形で、こういう役所はこの仕事が目的と違っているんじゃないか、ああそうですがと、こうわかるような形にしなきゃいけないと思っております。  今御指摘の中海の問題につきましても、何とか今度やりたいと私は思ったのでございますが、何せ御承知のとおり、これは平成七年、おととしからずっとやってきた仕事でございまして、私は場合によればやめるという方向ももっとはっきり打ち出していいんじゃないかと言ったのでございます。  これまた去年の三月でしたか、島根県から御要望が出て、今の与党三党の間で一応調査をしてみよう、こういう形になって、川橋さんからおっしゃれば、それはやめてもいいんじゃないかという調査費かもしれません。三億三千三百万という調査費が平成九年度予算の中にあるものでございまして、なかなかその辺の整合性があって、もう少しすっきりした形にしたがったのが残念ながらすっきりした形にはならなかったのでございますが、よく読んでいただければ、その目的がなかなかうまくいかない場合には事業を中止するということもあり得るという表現はあの文書の中に入っておるはずでございます。
  182. 川橋幸子

    川橋幸子君 よく読んでみればと、やはり大臣も庁をかばっていらっしゃるのでしょうか。それでは、よく読んで二、三行見させていただきます。  干拓事業の勧告要旨の一点目が「所要の検討を行い、必要に応じ事業計画の変更を行い、適切に対処する」。よく読んでわかるものでしょうか、いかがでございましょうか。  農水省にお伺いしたいと思いますが、この勧告をどのように受けとめられますでしょうか。
  183. 藤本孝雄

    国務大臣(藤本孝雄君) 今回の勧告で休止中の地区、これは中海干拓がこれに該当いたしますが、この休止中の地区につきましては「環境に十分配慮し」「営農の確実性等について、慎重に検討し取扱いを決めること。」とされております。  この勧告を農水省といたしましては真摯に受けとめまして、五月三十日までにこの勧告に対する回答を行うように今作業中でございます。
  184. 川橋幸子

    川橋幸子君 「休止中の事業については、」「慎重に検討し取扱いを決めること。」と、大臣が今言ってくださったとおりの文章でございますが、中身がないと私は思います。  今までの予算と整合性を考えるとなかなか思い切った勧告ができなかったと総務庁長官はおっしゃいましたけれども、ということは、とりもなおさず行政監察には限界があって、長期にわたるような事業についての政策的な評価はできないということでしょうか。
  185. 武藤嘉文

    国務大臣(武藤嘉文君) その辺は、従来のこういう横並びの役所でございますと、確かに私どもの役所の設置法を読んでおりますと、例えば勧告をできるし、勧告に従わない場合、どうしても私の方から注意を申し上げてもなおかつ従わない場合には内閣総理大臣に意見を申し述べて、総理大臣からそれぞれの省庁の責任者に指導することができると、こう書いてあるわけでございますが、どうも残念ながらこのケースはまだ一回も使われていないようでございます。  言ってみると伝家の宝刀みたいなものではなかろうかと思うのでございますが、私はその反省の上に立って、この国会にはちょっと間に合わないかと思いますが、次の国会には勧告を再勧告できるようにし、再勧告をしてもまだなおかつそれが実行されないときには世間に公表して反省を求めるというような法律改正だけはぜひやって、少しでも行政監察の効果が上がるようにしていきたいと思っております。
  186. 川橋幸子

    川橋幸子君 それではもう一つ、監察にまつわる個別のテーマでもって質問させていただきます。  身体障害者の自動車教習所の件でございます。  総務庁から廃止を含む見直しの勧告が出まして、そして現在総理の配慮あるツルの一声もありまして存続が決まったようでございますが、この間の経緯を労働省の方から説明していただきたいと思います。
  187. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) お尋ねのございました施設、労災リハビリの愛知作業所の附属施設として設けております自動車教習所の件であるかと存じますが、この労災リハビリテーション施設につきまして、過去二度にわたる行政監察の結果、廃止を含めそのあり方について見直す、こういうことが勧告されていたところでございます。  その背景は、この事業は労災補償事業の一環として運営されてきたものでございますが、入所者全体また入所者の中に占める労働災害の被災者の割合が激減をいたしておりまして、そういった形で労働福祉事業団が労災補償事業の一環として運営するという観点から見ますと制度の趣旨にそぐわなくなっている。そういった観点から私どもも行政監察の結果を重く受けとめておりまして、特殊法人の効率化という観点からもこの平成八年度をもってその廃止をいたしたいと考えておったわけでございます。  ただ、せっかくの施設でございますので、例えば障害者の方の雇用の促進といったような観点からこの施設の有効活用を図る道はないかということで関係方面とも検討を行っておったわけでございます。このたび関係者の御理解も得られまして、社団法人の愛知県障害者雇用促進協会が一般障害者の方の雇用促進のための施設として活用する、こういう観点からその運営を引き受けていただくことになった次第でございます。
  188. 川橋幸子

    川橋幸子君 身障者専用の自動車教習所、宿泊施設もあって、スロープがついたりエレベーターがついたりという設備がなければなかなか身障者の方々も教習所に混雑した道を通所して免許証を取るということは難しゅうございます。  こういう事態の中であって、国政全般を見たときの各行政の連携を見たときに、やはり今回の総務庁の廃止の勧告は適切ではなかったという一つの事例ではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
  189. 武藤嘉文

    国務大臣(武藤嘉文君) 私が来る前のケースでございますから詳しいことはよくわかりませんが、いわゆる労災で受けた障害者の方がほとんどいらっしゃらなかったことは事実のようでございますから、総務庁としては労災の障害者の自動車教習所、こういう立場で調査をしたようでございますから、その監察の結果ほとんどいらっしゃらないということでこれは廃止を勧告したというふうに承知をいたしております。  今労働省から説明がありましたのは、それは別の目的でまた活用しようということであって、その施設そのものを、少なくとも従来の目的であった事業団の仕事としては廃止をするということにしたわけでございまして、必ずしも勧告が適切ではなかったとは言い切れないのではないか。勧告というものはそういうものでございまして、例えば勧告の中に、これはもうやめなさい、しかしこういうふうに使えばいいですよというところまではなかなか従来の行政監察は言っていないということではなかろうかと思います。
  190. 川橋幸子

    川橋幸子君 今回の件につきましては、一万六千ですか、署名が集まっておりまして、この存続を望んだ人たちにとってはとても喜ばれたことだったと思います。そういう意味では政府に御礼申し上げなければいけないことかと思います。  さて、監察となりますともう一点どうしても聞かなければいけないことがございます。厚生省の岡光事件と申し上げてよろしいでしょうか、福祉施設の補助金については厚生省の方はこの事件を踏まえてもう一回調査し直して、その改善結果を出すというふうに言っていただいたわけですが、これはどのように対処されておりますでしょうか。
  191. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) お答えを申し上げます。  特別養護老人ホームの整備をめぐりまして起こりました今回の不祥事件を踏まえまして、厚生省内に調査委員会を設けまして、先生お話しございましたような全国的な総点検というようなこともあわせて行いまして、一月末に第一次の報告を取りまとめました。その中におきまして、今回の特別養護老人ホームの施設整備をめぐります悪用した事件でございますけれども、この経緯なりあるいはどういうところからこういうことが起こってきたか、そういったことについての原因なりあるいは構造なりということを解明しまして、その上に立ちまして今後における制度の改善ということについての考え方をまとめました。  その改善点につきましては大きく三つの点を第一次報告で取りまとめ、逐次これを実行に移しておる段階でございます。  一つは、今回の事件にかんがみまして、補助金の交付対象施設の選定の問題でございます。これにつきまして、国におきましてのそれを選定いたします際のいわば物差し、協議基準というものをより明確にするということでございます。それから、都道府県段階におきましてこれを選定します際に、これが独断専行で行われることがありませんように、合議制というような仕掛けでやっていくというようなことなどを含めました対象施設選定方法の明確化なり適正化ということがまずは一つの柱でございます。  それから、二番目が入札等の建設工事契約の手続の問題でございまして、これにつきましては私どもの社会福祉施設のこういった工事関係の契約というものの規制が必ずしも厳しいものでなかったという反省に立ちまして、これを都道府県の公共工事に準ずるような手続にのっとってやる。さらに、今回の事件がいわゆる丸投げと称されております一括下請を通じて起きましたことを反省いたしまして、これを社会福祉施設の整備に関しましてはもう禁止をするというようなことを打ち出しました。  最後の点につきましては、社会福祉法人の運営の問題でございます。これにつきまして透明化を図る、そして地域の目がよく届くように地域の福祉関係者を理事の中にさらに入っていただくというようなことを今後の方向として打ち出すというようなことで、そのほかにも細々と幾つにもわたりましてやりましたけれども、大略申し上げればそのようなことを打ち出し、それを今実行に移すということでやっておるところでございます。
  192. 川橋幸子

    川橋幸子君 厚生省が今回改めて調査をし直して改善点を出されたこの文章は実は大変歯切れよく、わかりよいのでございます。この点につきましては、私はやはり大臣が率先して先頭に立たれてこの問題に取り組まれたのではないかと思いますが、大臣の思い入れもおありなのではないかと思いますが、厚生大臣、いかがでしょうか。
  193. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 本来多くの国民が待っていた補助金、早く福祉施設をつくってくれというこの補助金が悪用された。そして、本来この事業に携わっている方々が、熱意を持って、また使命感を持って一生懸命苦労しているそういう方々が、たった一握りの補助金の仕組みを悪用した不祥事によって、みんなそうなのか、福祉事業に携わっている人はこんな変なことをやっているのかと思われたことは、まじめにやっている方に大きな精神的負担、迷惑をかけた。こういうことは二度とあってはならないということで厳しく、局長が今話しましたような、二度と起こさないような体制をとろうということで全省一丸となって、国会でいただきました批判、議論を素直に受けとめましてまとめた案でございます。  同時に、大蔵省当局とも一緒に共同して、二度とこういう事件を起こさないような実態調査、それをもとにしてまとめたものでありまして、これを遵守していけば二度とあのような不祥事は起こらないと私は思っております。
  194. 川橋幸子

    川橋幸子君 さきの事件が起きましたことは本当に不幸なといいますか、私どもゆゆしい問題だと思っておりますけれども、今回このように大臣が率先されて調査に取り組まれたことは評価できるのではないかと考えます。  さてそこで、省レベルの内部監査の方がよほど有効で適切に答えを引き出せるのではないかという気持ちを私は持つのですが、総務庁長官、いかがでしょうか。
  195. 武藤嘉文

    国務大臣(武藤嘉文君) 省レベルでもそれぞれ監察をおやりいただいておるところは多いわけで、全部ではないと思いますけれども、これはこれなりにそれぞれ一生懸命やっていただいておるから私は結構かと思います。  ただ、先ほど総理からも御答弁がございましたように、行政全般で、広い立場で行政府そのものでチェック機能を果たしていくことも必要ではないか、そういう面で私どもの行政監察の仕事があるのではないか。ただしかし、先ほど申し上げたように、今までは横並びでやってまいりましたから、それにはもう少し高い次元でチェック機能が果たせるような仕組みを考えていかなきゃならないというふうに思っておるわけであります。
  196. 川橋幸子

    川橋幸子君 行政権は内閣に属する、監察について行政が何もしないわけにはいかないという御意見はわかるわけでございますけれども、私は行政監察の現行の状況を見る限りにおいて、やはり行政内部の役所対役所の監察というのは限界があるのではないか。  むしろ、省レベルあるいは局レベルで結構ですが、内部監査についてはさまぎまなレベルがあるわけで、それが適切に行われることこそが必要であるのではないか。むしろ、長期の政策評価ができるような、国民が本当に宍道湖の干拓が要るのか要らないのかがわかるような、こういう政策評価ができるようなそういう監察。あるいは身障者といった場合に、労災の被災者だとか一般の身障者だとか分けて国民の方は考えないわけでございます。身障者の方がトレーニングできる施設が欲しいという単純でしかもこれは適切な行政へのニーズだと思います。そういうものを監査できるような行政監察というのは私はやっぱり、民主党の党の見解はそうでございますが、私自身こうした事例を通しまして体験的に、現行の行政監察には限界があり過ぎるというようなことを申し上げさせていただきたいと思います。  さて、大蔵大臣、また補助金の話に返らせていただきたいと思います。  補助金に対しても、国民の目といいましょうかチェックの目といいましょうか、あるいは欲しいという目もあるかもわかりません。そういうものが必要だと思うわけでございます。予算の編成の段階におきましては膨大な資料になるんだから箇所づけまでの資料は出せないというようなお話でございましたが、これは大蔵省の権限になじむのかなじまないのか、その辺は私はわかりませんけれども、せめて出入口のところで、予算執行が決まったところでこれを一覧表で情報公開なさるということはいかがでございましょうか。これはそんなに大変じゃなくてできるのではないかと思いますが。
  197. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) ただいま国民の皆様にわかりやすいようにということの真剣な御提言であります。大事なポイントでございますので、十二分に検討しまして執行をしてみたいと思います。  官報には出しているんですけれども、官報を見てくださる人が極めて少のうございますから、改めてわかりやすい、色づきのイラストを入れたり、そういう飛びつきで何だろうと見てくださるような簡明簡素にポイントがわかる、補助金はこのように使われておる、また補助金は使命の終わつたものはやめることにしておりますと、こう言うと——主計局長、何かある。  どうぞ一言聞いてやってください。
  198. 小村武

    政府委員(小村武君) 予算の執行は各省庁の長が責任を持って執行されるわけでございますが、先生御指摘のようないろんな補助金の、例えば事業等についてはそれぞれ予算が決定次第各省庁からその公表がなされているところでございます。  それから、補助金の適正な使用ということにつきましては、所管する補助金についての透明性の確保、交付決定の概況一覧表を公表するということを昨年の十二月十九日に事務次官会議等を通じまして申し合わせをしております。
  199. 川橋幸子

    川橋幸子君 大臣答弁局長答弁が食い違っているように私には感じられました。  私も大蔵省の所掌範囲になじむのかなじまないのかわからないけれども、とにかく公表できるような仕組みを大臣にお願いしたい。それは、大蔵省ができないなら総務庁にお願いするのでしょうか、あるいは総理府にお願いするのでしょうか。総合的な事務の調整の中で、各省から報告を求めればそれは一覧で出るわけでございますから、そのお指図だけを大蔵大臣にお願いして、もう一点、今度は総務庁長官に別の観点からお伺いさせていただきたいと思います。  現在情報公開法が検討されております。補助金は公開の対象事項に含まれて原案が作成されているのかどうか。  それからもう一点。現在の補助金適正化法の二十四条の二の中に行政手続法を適用除外するという条文がございます。行政手続法は総務庁が所管しておられるもので、国と市民の間、国家と国民の間の公平なルールを定めるという法律ですが、それが補助金については適用されない、こういうことについては問題なのではないかと思いますが、この二点、お伺いをさせていただきます。
  200. 武藤嘉文

    国務大臣(武藤嘉文君) 情報公開法につきましては、昨年行革委員会から要綱案をお示しをいただきました。今それに基づきまして私どもの方で、情報公開促進室でしたか対策室でしたか、とにかく室を設けまして、できるだけ早く情報公開法を制定できる努力を鋭意いたしております。  今の補助金はどうかということでございますが、私どもは原則として補助金も含めて、要は国の安全にかかわる問題であるとかあるいは個人のプライバシー、あるいは企業秘密というような形でどうしてもこれは出すべきではないというようなものを除けば、どなたがいかなる目的であろうと御要望があればそれに対して情報を公開するというかお知らせをする、こういう仕組みにしていきたいと思っております。  それから、行政手続法と今までのいわゆる補助金の問題でございますけれども、これは何も今の補助金だけではなくて、前の法律のときでございますが、私がいないときでございますけれども、たしか五つか六つの項目については行政手続法の適用除外という形になっておると私は承知をいたしております。
  201. 川橋幸子

    川橋幸子君 行政手続法の適用除外は補助金だけではないというお答えでございますが、私は、補助金にこそ適用除外があるというのは、国家と国民といいましょうか、そういう新しい日本のあり方、社会のあり方の中では適当ではないのではないかと思うのですけれども、重ねてお願いいたしたいと思います。
  202. 武藤嘉文

    国務大臣(武藤嘉文君) 従来そういうことになっておりますけれども、今度の情報公開法、来年の通常国会には必ず出すわけでございますので、それまでには、今もしなんでしたら局長から答弁をいたしますけれども、いろいろないきさつからこういう適用除外になっているようでございますので、次の情報公開法のときには当然補助金も公開の対象にはするということでございますから、御理解がいただければ大変ありがたいと思います。
  203. 川橋幸子

    川橋幸子君 それでは、まず情報公開法の中で補助金を対象にしていただくという御答弁をお約束いただいたことできようのところはとどめまして、もう一点、行政監視に関する最後の質問でございますが、会計検査院にお伺いしたいと思います。  行政監視、市民の目で行政が適正にそうして効果的に執行されるかというところになりますと、会計検査院の役割が非常に重要かと思います。今までお金のむだというところに重点があったように私ども国民の目には見えるわけでございますが、むしろ政策評価の分野に踏み込むべきではないか。あるいは行監の監察結果なり、それから外務省の方でお出しになりますODAの審査結果なり既存の公表資料も十分活用して、分析して専門家の目で監視をする、そういう検査院の機能強化を望みたいと思いますが、いかがでございましょうか。お願いできますか。
  204. 疋田周朗

    会計検査院長(疋田周朗君) お答え申し上げます。  「会計検査院は、常時会計検査を行い、会計経理を監督し、その適正を期し、且つ、是正を図る。」こととされております。このため、会計検査院といたしましては、会計経理が予算や法律などに従って適正に処理されているかという点に着目いたしました合規性の検査を十分に行いますとともに、事務事業の経済性、効率性、さらには事業や施策の有効性、こういった多角的な観点から検査を実施してきているところでございます。  その中で、事業や施策が所期の目的を達成し効果を上げているか、こういう有効性の観点からの検査は、近年、私どもが重視して取り組んでいるものでございます。そして、これまでにも大規模公共事業の投資効果の問題や公団、事業団などの運営上の問題などを数多く取り上げてきたところでございます。  今後も、政策の裏づけとなります予算の執行に問題があります場合には、原因の究明を徹底して行うことなどによりまして、関連する予算や政策の効果といったことまで含めて積極的に取り上げるように努めてまいりたいと考えております。  なお、事業の有効性の検査につきましては、先進諸国の会計検査院におきましても重要課題の一つと位置づけまして鋭意取り組んでいるところでございますので、相互情報交換するなどいたしまして、より充実した検査に努めてまいりたいと考えております。
  205. 川橋幸子

    川橋幸子君 現行の制度を活性化するだけでもかなりの行政監視はできると思いますが、民主党としましては、限界があるだろう、もう一回新たなあり方を考えていただきたいということを最後に申し上げたいと思います。  さて、次は行政改革、規制緩和と雇用労働といいましょうか、働く人々の生活についてお伺いしたいと思います。  橋本総理は、二月二十七日だと思いますが、日経連の根本二郎会長に対して、行革と並行して雇用対策について配慮してほしいという旨の要請をなさったという報道がなされておりますが、この趣旨をお伺いしたいと思います。
  206. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今のは、これは恐らく報道によるものを御引用いただいたんだと思いますが、多少不正確なんです。  と申しますのは、その日、日経連の方から低成長・高失業率社会というものを回避しなければならないと。そうしたことから、それに対する対策としてブルーバードプランというものをまとめて、その御説明を私は拝聴しました。そしてその中において、まさに行政改革というものの中で発生する可能性のある雇用失業問題というものを取り上げて、日経連リポートとして、こうした行政改革が進展することに伴い雇用問題の発生が予想される中、民営化、経済活性化などによって吸収する、こうした基本的な考え方がこの中に入っておりました。  実は、行政改革の議論がさまざまな角度からございますけれども雇用のお話というのは余り出てまいりません。三塚大蔵大臣と私はちょうど国鉄分割・民営を手がけた当時の関係者でありますが、国鉄の分割・民営の際にも、鉄道というものを残していく、その中でどうしても職場を去っていただかなければならない方たちをどう他の場所で受け入れるか、これに答えを出せない間は物事が進みませんでした。それだけに、私はそうした思い出も含めてお話を申し上げながら、こうした雇用という観点からの視点を日経連が持っていただくことは非常に大切だし、より具体的に詰めていただきたいということを申し上げました。  この機会に、行政改革というものに伴う雇用対策、これはお互いに適切に対応することを考えておくべき大事なテーマであると、改めてその点を申し上げておきたいと存じます。
  207. 川橋幸子

    川橋幸子君 大変適切な御要望をしていただいたと私どもは評価するわけでございますが、行政改革、規制緩和につきましては明と暗がつきまとう、光と影があるというふうなことが言われます。それが一体どの程度の光でどの程度の影で、タームをとった場合、短期ではどう、中期ではどう、あるいは二十一世紀はどうというその姿が示されないことが国民の間に不安を呼んでいるのではないかと思います。  こういうものに対するアカウンタビリティーというものを発揮していただきたいと思いますが、それは負担増を求める、財政再建を求める、国民の理解を求めるのと軌を一にしなければいけないと思いますが、いかがでございましょうか。
  208. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 確かに、国民が求めておられるサービスというものを最小のコストで提供できる行政、また経済社会の変化に柔軟に対応できるような行政、こうしたものをつくり上げていくことが行政改革の目的でありますし、そのためにも官民の役割の分担、規制緩和、地方分権といった観点から行政のあり方を総点検しながら改革を実現していかなければならないわけであります。  そして、その中には、議員から今お触れになり、私からお答えを申し上げたような、場合によっては現在続けておられるその職を離れていただかなきゃならない、そういうケースが起こることも考えに入れておかなければなりません。今まで行政改革というものは大変大きな声であちこちで唱えられましたが、この点については余り論じていただけなかった、そんな感じを私自身は持っております。  そして、こうした改革を進めていこうとするなら、そのねらい、また目標年限というものをできるだけわかりやすく国民にお示しする努力はもちろん大切なことでありまして、昨年末に中央省庁の再編や当面取り組むべき課題というものにつきましては行政改革プログラムとして取りまとめ、決定をさせていただきました。  そして、非常に大切なことは、光と影という言葉を今使われましたが、痛みが伴うと言いかえてもいいかもしれません。しかし、行政改革や規制緩和によってその痛みを伴うということからこれをちゅうちょすることは我々は許されないわけであります。それだけに、真に支援を必要とする方々に対していかに手を差し伸べるか、またあるいはどうすれば失業なき雇用の移動というものを実現できるか、こうした仕組みを考えつつ、御指摘のように、これからもできるだけ国民に御理解をいただきやすい、御理解をいただけるような説明をしながら推進をしていきたいと思います。
  209. 川橋幸子

    川橋幸子君 伴う痛みがどのぐらいなのか、どの程度続くのか、それによって耐えられる耐ええられないということがわかってくる。また、先が見えれば、自立した個人というものはそれに対応して、サバイバルといいましょうか、自分で生き残るという努力をするわけでございます。ぜひ具体的な姿を示すような方向でこれから対処していただければと思います。  さて、経済の市場、資本の市場が自由化されれば、雇用市場も自由になっていく、護送船団方式と言われるような終身雇用慣行というのも維持できなくなってくる時代が来ると言われております。そういう雇用市場の自由化が起きた場合には、逆に新たなルールづくりというのが必要になるのではないかと思いますが、今この辺を労働省ではどのように手当てをしておられる、検討しておられるのでしょうか。
  210. 岡野裕

    国務大臣(岡野裕君) 先ほどもお話が出ましたが、資本の自由化の一つとして持ち株会社、これが今度解禁になるでありますとか、同じく資本投下の自由に基づきまして外国から、外国資本によるところの会社がこの日本にもいろいろ生産拠点を設けることに相なる。  そうすると、その職場の雰囲気といいますものも、在来我々の労働者諸君が考えていたものとは違った様相を呈する可能性というものも出てくる。そういう中で、労働者の皆さんも、なるべくそういった要請にも合えるような、自主的に自分の労働の提供の仕方を変えられるような、あるいは柔軟な労働が提供できるような、そういうような環境づくりをしてまいるのが労働省の一つの仕事ではないかと。  先生御存じのとおり、今そういった労働規制をしておりますところの労働基準法は、発足以来五十年に相なるわけであります。そういう意味合いで、裁量労働制の採用とかという労使の時間管理の面でありますとか、あるいは労働契約は一年こっきりだよ、あるいはそれの更新だよというようなことが今申し上げたような経済社会の中でまかり通るであろうかというようなことにかんがみまして、昨年の秋でございますが、ひとつ今お話をしたような面について柔軟な御審議をいただきたい、できれば早く結論を賜りたい、私といたしましては、この七月ごろに関係の審議会から結論をいただきまして、これを法制化するなら法制化する、指導にゆだねるならば指導にゆだねてやってまいる等々というようなことを考えている次第でございます。
  211. 川橋幸子

    川橋幸子君 多様な労働形態のあり方、多様な労働契約のあり方、それぞれ変わった場合の新しいルールづくりを御準備のようですので、これこそ労働省の出番ということでぜひ頑張っていただきたいのでございますが、持ち株会社についてはいかがでございましょうか。日経連と連合の間でどのようなお話し合いになっておりますのか、労働省の方から紹介いただき、なお労働省はどのように対処なさろうとするのか、お尋ねしたいと思います。
  212. 岡野裕

    国務大臣(岡野裕君) 持ち株会社が解禁になる。そこで、持ち株会社ができました場合、労働省といたしましては、どのような労使関係が現出するのであろうか。先のことであります、法律案もいまだわかっておりません。  先ほど及川委員にお話をしましたように、これから実態を見ながら考えてまいりたいというのが労働省の今の考え方でございますが、この問題は三与党の中で独禁法の改正に絡む協議会というところで御審議をいただいてまいりました。その中で、労使間で今後の労働関係について一応の歩み寄りができまして、この協議会に報告をしたのが先月の二十五日でございます。その中身でございますが、私どもはっきりと承っているわけではありませんが、おおよそ次の三点だと。  一つは、労働組合法などの改正の問題も含めて今後検討し、必要な措置をとる。二つ目でありますが、検討期間は二年、これを目途とする。三番目でありますが、これらの内容を附帯決議で確認する。独禁法の改正があるのでありましょう、その御審議があるのでありましょう、その際に附帯決議でこれを確認するというようなことであると私は伺っております。  したがいまして、この御審議の経過、これらを踏んまえてしかるべく対処をしてまいりたい、これが現在の労働省の考え方でございます。
  213. 川橋幸子

    川橋幸子君 労働省が研究家を集めて研究した結果によると、純粋持ち株会社の解禁について新たな問題は生じない。新たな問題は生じないという意味は、以前から、事業持ち株会社と同じような状態がふえる。事業持ち株会社の場合は労使関係の紛争というんでしょうか、中央労働委員会への申し立ても非常にふえてきている、やっぱり新たな労使関係のあり方について検討することが望まれるというふうに私は受け取っていたわけです。  労働大臣にお伺いするのも少しお答えにくいのかもわかりませんけれども総理、いかがでございましょうか。新たなルールは必要だと、そうお思いになっていただけないか。それから、ルールづくりの場をつくることこそが官の役割、公共政策の役割ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  214. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、やっぱりそういう部分、本来労使の自由な話し合いの中から生まれるのが正しい姿ではないかと思うんです。大きく社会経済情勢の変化していく中で、私も確かに雇用構造、労働市場のあり方を含めて変化は生じると思います。そして、そこにふさわしい労使の慣行を官の仲介でつくるというやり方は、私は必ずしも望ましいものだと思いません。  そして、ちょうど不況から脱却するころのアメリカを調べてみまして一つおもしろいことに気がついたんですが、当時、大量のリストラにある、失業者が多発していたはずのアメリカ社会、必ずしも失業率にそれほど大きなものが出てきていない。なぜだろうと思って調べてみると、それをバッファーの役割で受けとめたのは人材派遣、日本で言いますなら有料職業紹介に当たるものでしょうか、ここがバッファーとして非常に大きく雇用をつくり上げていた、吸収していた。そういう点では、労働省の諸君も労働分野の規制緩和というものを今進めているわけでありまして、本年四月から有料職業紹介事業の取扱職業の範囲を従来のポジリストからネガリスト化するといったような準備もしておるようであります。  私は、そうした流れの中で、むしろ新たな労使慣行というものは労使の話し合いの中から築かれることが望ましい、官がルールをつくって新たな時代を想定し、それによって方向づけをするような姿は望ましいものではない、そのような感じがいたします。
  215. 川橋幸子

    川橋幸子君 私の場合は、今の総理の御答弁は大変残念に感じられます。行革会議の中からも、これからの社会というのは市場主義を原則とするけれども、秩序、ルール社会に移っていくことが必要。そうした場合のルールの中身は労使自治ということで御検討になるにいたしましても、ルールが欠如していることに対しては公共政策の場でちゃんと責任というんでしょうか役割を発揮していただきたいと思うのが私の考え方でございます。何かありますか。
  216. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私また別に異論を唱えるわけじゃありませんけれども、例えば日経連と連合の間で既に話し合いが定着していることを議員承知だと存じます。そして、共同で作業をされたその成果を総理官邸に連合の芦田会長と日経連の根本会長がおそろいで説明に来てくだすったこともございます。そして、私はそういう意味では既に話し合いのルールができ始めていると思うんです。  ですから、もし例えばその場をつくる必要がある、労使双方から政府が場をつくる必要があるというお話があれば、そういうことをお手伝いするのを我々は嫌がるのではありません。ただ、既に新しい労使のあり方、この変化の中においての姿は、日経連、連合の間で私は摸索への努力が始まっておると思っています。そして、それをいたずらに官が介入し方向づけをすることはむしろ望ましいことではない、そのように判断しておりました。もし私の判断が間違っておりましたらこれは大変申しわけないと思いますが、現実に私はそういう動きは始まっていると思うんです。
  217. 川橋幸子

    川橋幸子君 きっと今の状況判断の問題かと思いまして、総理の方がより情報も視野も広くていらっしゃるとすれば、そのように御判断いただくことを私は信頼させていただきたいと思います。  さて、人事院から新しい研究結果が発表されまして、法的整備がなされるという新聞を見ました。今は公務部門と民間部門との間が分断されているのが日本状況です。そこを移動する場合には逆に天下りとかというようなさまざまな弊害が出てくるわけでございますけれども、これからは公務、民間の間の分断の壁というのも流動化させていかなければいけない。公務員の方も行革があるといたしましても、公務員には失業手当がないのでございます。  人事院の方で発表されました結果のポイントを御紹介いただきたいと思います。
  218. 弥富啓之助

    政府委員弥富啓之助君) お答えを申し上げます。  昨年の人事院勧告の際に御報告を申し上げましたとおり、官と民という異なる組織間におきます人事交流というのは、お互いの組織の活性化と相互発展の重要な契機となるところと考えております。  官と民との間の人事交流、これは柔軟で幅広い視野を持った人材の育成に有効であるとともに、相互理解や専門的知識、技術の相互活用に資するものであり、これは一層の拡大が必要であると考えておるところでございます。このため、ただいま委員が言われましたとおり、本院は、官民の交流が円滑に行われますよう交流手続の透明化を図るなど、何よりもまず公務の公正性の確保にも十分配慮をいたしました官民交流のシステムの整備につきまして検討を続けてまいったところでございますが、このたび、国と民間企業との間の人事交流を適正に実施するための一般職の職員の身分等の取り扱いに関する制度を設けることが必要であると認めまして、このための法律を制定していただきますよう、昨日、国会及び内閣に対して意見の申し出を行ったところでございます。  これらの意見の申し出の趣旨を御理解の上、速やかに所要の措置をおとりいただきますよう、心からお願いを申し上げる次第でございます。
  219. 川橋幸子

    川橋幸子君 官民の労働市場の流動化についての試行的な動きかと思いますので、私どももよく拝見して、十分いいものにしてまいりたいと思います。  さて、時間がなくなりまして、予定した質問を随分積み残してしまいました。御迷惑をおかけいたしましたが、最後の質問は、福祉施設を運営しておられます宮城まり子さんの投書の件について伺わせていただきたいと思います。時間がございませんので、読み上げると私の持ち時間がなくなります。  厚生省の方は、週労働時間制の改定についてどのように措置基準を改善されたのか、ぜひお答えいただきたいと思います。
  220. 亀田克彦

    政府委員(亀田克彦君) 社会福祉施設の職員の労働時間の短縮でございますが、例えば特別養護老人ホームの寮母さんのお仕事、このうち、従来は洗濯なんかもやっておったわけでございますが、こういうものは外部に委託をする、また清掃業務等につきましては賃金職員を採用する、これによって代替をしてもらう、こういう形によりまして実質的に寮母さんの労働時間の短縮ができるというような形で、いわゆる措置費において対処をしております。  最近では、平成五年の労働基準法の改正対応いたしまして、職員規模三百一人以上の施設については平成六年度、またそれ以外の施設につきましては平成六年度から平成九年度にかけまして計画的に週四十時間に短縮するための措置費の改善を行ってきておる、こういう状況でございます。
  221. 川橋幸子

    川橋幸子君 宮城まり子さんにぜひおこたえをしていただきたいと思います。終わります。
  222. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 以上で川橋幸子君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————
  223. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 次に、聴濤弘君の質疑を行います。聴濤弘君。
  224. 聴濤弘

    聴濤弘君 私は日本共産党の聴濤でございます。  まず最初に、財政再建問題について総理に伺いたいと思います。  総理は、二月二十日に行われました財政構造改革会議で、現在は増税を行える状況でないと認識しているとして、あくまで歳出カットによる増税なき財政再建を目指すという決意を述べられました。消費増税、それから特別減税打ち切り、医療改悪で国民に一気に九兆円の大負担をかげながら、よく出てきた言葉だなと率直に私は思いました。もし総理の認識が今は増税を行えるような状況ではないという認識であるならば、増税なきを実行するのはまさに今ではないのかというふうに思います。  衆議院で予算が通りましたけれども、参議院はこれから予算の審議でございます。増税はきっぱりやめる、これが増税なき再建の道ではないかと私は考えますが、いかがですか。
  225. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 衆議院におきましても、また本院に予算審議が移りましても、同様の御質問をたびたびいただいております。そして、その増税なき財政再建という言葉を財政構造改革会議の席上私は使っておりません。むしろ、歳出削減を中心として歳入の範囲内でということに固執したときに縮小均衡になるのではないか、経済の原則からして拡大均衡を考えるべきではないかという議論が交わされた中において、これから先むしろ社会保障において御負担を願わなければならない、これ以上増税のお願いのできる環境ではないということは、確かに私はそう申しました。それがなぜ増税なき財政再建という言葉にマスコミで置きかえられたか私は存じません。  しかし、事実関係として、縮小均衡か拡大均衡かという経済、財政についての議論の中で、確かに社会保障負担についてこれからまだ御負担を願わなきゃならない、よくお聞きいただきたいんです、これ以上増税をお願いできる環境ではない、私は確かにそう申しました。これ以上増税はということです。
  226. 聴濤弘

    聴濤弘君 それでは増税はないとは言っていないということになるので、増税なき財政再建というのは、総理の言葉は非常に不正確な、増税ありと。そうしたら、もうやはり国民に対する負担というのは非常に重大なものが一層かかわってくるということにならざるを得ない。
  227. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 違う、違う、それはおかしい。
  228. 聴濤弘

    聴濤弘君 ちょっと待ってください。  それで、今特に総理がおっしゃったのは、歳出のカットですね、このことに非常に力点を置いたんだということをおっしゃいました。  その点について申しますと、私は、現在の財政危機をつくり出した最大の原因というものをどこに求めるか、どこに原因があるかということをよく究明しないと、聖域をつくらないで削減するということをただ羅列的に言ってもこれは意味がないと思うんです。特に、先ほどもお触れになりましたけれども、医療だとか年金だとか福祉だとか、そういった社会保障関係費、これを削減するということが起これば、これは税と同じ新たな国民への負担になってくると思うんです。  そういう意味で、総理はどこに現在の財政危機の最大の原因があるというように認識されているのか、総理考えをお伺いいたしたいと思います。
  229. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 議員、恐縮でありますが、他人の発言は発言をしたとおりに御引用をいただきたい。本人の目の前で意訳をされるのは大変迷惑であります。  私は、縮小均衡か拡大均衡かという財政、経済の議論、その拡大均衡を目指してはどうだという御意見が出ましたときに、社会保障負担でも負担増をお願いしなきゃならない、これ以上増税がお願いできる環境ではないということをその席上で申したということでありまして、それを増税ありの財政再建だとか、そういうふうな意訳をされることは甚だ迷惑であります。私が申し上げたことは、今申し上げたとおりの内容であります。  そして、財政構造を見直していく以上、私は議員がどういう方面を念頭に置かれて過去の責任と原因と言われるのかわかりませんけれども、いずれにしてもこれだけの国債残高を抱える、国、地方を通じて子供や孫の時代に対する借金を抱える我が国として、これ以上その借金の額をふやさないように我々は努力をしていかなければならない。そのためには、本当に聖域なしにそれぞれの項目を見直していかなければならない。それは今までも繰り返し申し上げてきたとおりであります。
  230. 聴濤弘

    聴濤弘君 増税なき財政再建についてこれ以上いろいろ議論してもしようがないのでありまして、そのように報道されたことも事実でありますから、そういう誤解も生んだということもまた事実として認めていただかなければならないと思います。  議論を先に進めます。  私は今、総理に現在の財政危機の原因がどこにあるのかということを究明しないと、正しい削減の対象ということもこれまた正しく対処することができなくなる、そういう意味質問をしたわけでございます。私は最大の原因というのは公共事業にあると思います。もちろん軍事費のむだ遣いというのもあります。  確かに、社会保障関係費と公共事業費を比較しますと、予算のベースではあるいは国民所得のベースでは社会保障関係費が公共事業費よりも上にいっております。しかし、公共事業費というのは莫大な国債に依存しております。だから、国債の利払い部分を合わせて計算して初めて実際の公共事業費が出てくるというふうに思うんです。これは当然ですね。
  231. 小村武

    政府委員(小村武君) 今の国債費の利払いをその上にカウントするというのは必ずしも正確でないと思います。  と申し上げますのは、一定の公共事業を施行いたすことによりまして経済成長が起こり、それが税収にはね返ってくるという関係考えますと、直ちにその因果関係でその分だけが上乗せされるというようなことにはならないのではないかと思っております。
  232. 聴濤弘

    聴濤弘君 公共事業というのは国債費に依存してやっているわけですから、当然そういう利払いの加算ということはなければならない。  それじゃ、私は経企庁に伺います。経企庁はどういう見解ですか。
  233. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 公共投資を行いました場合、その公共投資そのもので一発注すれば一の事業が起きますので、その事業を受けて仕事をし利益を出して、税金というものが当然そこから発生をいたすことになりますので、主計局長が今申し上げた線で基本的には正しいと思います。
  234. 聴濤弘

    聴濤弘君 経企庁の経済審議会二〇一〇年委員会というのがございます。これは経企庁の経済諮問会議です。「今つくる明日への社会資本」という報告書を出しております。  この報告書の中で、公共事業考えられる場合、直接の財政的支出のうちの一般財源負担だけでなく、公債の償還、利払いなど間接的支出を総合して検討を加える必要があると、こういうふうに書いているんです。そして、それを含めて考えることが有益であるといって、みずから計算の図表までここで、これはたしか五十六ページだったと思いますが、ここにずっと出ております。ですから、あなた方自身がこのことは認められてきたことなんですよ。  それで、私はここへ図表を持ってまいりました。ここでちょっと大臣に見ていただきたいんですけれども、(図表掲示)この一番下の水色の部分が公共事業費です。それから二番目が社会保障関係費です。三番目は利払いと合わせた実質大の公共事業費です。これは決算ベースで計算をいたしました、それがより正確ですから。  そうしますと、七四年のころは大体一致しているんですけれども、明らかに年がたつに従ってこの社会保障と実際の公共事業、利払いと合わせたものとの差はだんだん大きくなってくる。特に一九九〇年代、九〇年に入って、これはアメリカから圧力がかかったときです。そしてまた、景気対策だといって公共事業にどんどん投資を始めた。そうなりますと、この差というのは見事に絵にかいたようにこんな大きな差になってきました。これが実際の財政状況であります。  一九七四年に社会保障関係費は十三兆六千億円、公共事業費は十三兆二千億円。しかし、利払いと合わせますと実際の公共事業費は実に二十兆円に達する、これが現実であります。  この事実は皆さんお認めになりますね。これは経企庁ですかね。
  235. 坂本導聰

    政府委員(坂本導聰君) 委員指摘のように、二〇一〇年委員会では委員指摘のような検討を行いました。しかし、今回の六百兆並びにバッファーとしての三十兆、合わせた六百三十兆については利払いという観点は含めて考えておりません。
  236. 聴濤弘

    聴濤弘君 六百三十兆円がどうのこうのという質問をしているわけじゃない。この表が正しいか正しくないかということを言っている。そのことについては今お認めになったわけですね。ですから、やはり公共事業の利払いと合わせますと、今の財政の中で一番大きな比重、一番の危機をつくり出しているのはここにあることは明白なんですよ。  そこで、私は議論を先に進めたいんですけれども、もしそうであるならば、現在の財政再建の最大の原因が公共事業にある以上、十年間六百三十兆円というこの計画というものはどうしても抜本的に見直さなきゃならぬという問題が起こってくるのは当然だと思います。  ちょうど総理が発言されました。正しく報道されなかったと総理はおっしゃったが、ともかく総理が発言された翌日の二月二十一日の日経新聞では、まず十六本の公共事業五カ年計画の見直しをしなければ増税なき財政再建はまやかしに終わると、このように日経新聞は書いております。この見直しはおやりになるわけですね。
  237. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今ちょっと失礼しておりまして、その図面を認めたのか認めないのか、私、政府委員答弁……
  238. 聴濤弘

    聴濤弘君 認めたんです。
  239. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) いや、認めていないと三塚大蔵大臣は言っておられました。  ただ、いずれにしても聖域を持たない、すべてのものを見直していく、その中に公共事業も含まれることは当然であります。しかし、それは公共事業だけをすべての原因とするものでないこともまた申し上げておかなければなりません。
  240. 聴濤弘

    聴濤弘君 私、それではちょっと具体的に申し上げたいと思うんですよ。公共事業その他にもいろいろなことがあるというんでしたら、もう少し突っ込んで具体的にお聞きしたいと思うんですが、この間、衆議院でもこの参議院でも、港湾整備事業というものに対してこれのむだ遣いというのを私たちはやってまいりました。この十六本の計画のうち七本、これは去年の閣議で決定をされておりますけれども、そのうちに港湾整備事業があります。七兆五千億円をかけるという計画です。そして、水深十五メートルの大型コンテナのバースをつくる、そういう計画でありますけれども、現在十五メートルの水深を必要とするような船は世界に一体どのくらいあるんですか。
  241. 木本英明

    政府委員(木本英明君) 十五メートル級の水深のバースを必要とする船、コンテナ船でございますが、十五メートル級ということになりますと、大体四千個積みのコンテナ船以上の大きい船が十五メートル級を必要とするかと思われます。  現在既に四千個、五千個、六千個積みというふうにコンテナ船は大型化してきておりまして、その隻数でございますが、九〇年ごろまでには世界では五隻程度ということでございました。その後非常に大型化が進んでまいりまして、現在既に百隻を超えておるという状況でございます。さらに、建造予定のものも含めますと、数年後には二百隻近くに達するというふうに見込まれております。  私どもは今後この傾向はさらに増大していくというふうに考えておりますし、また我が国に入港しておりますコンテナ船のタイプを見てみましても、十五メートル級のコンテナターミナルを必要とする大型コンテナ船というのは、一九九五年の実績では既に全体の一五%に達しておるということで、一年前の一九九四年に比べますと一気に二割も増加している。こういった状況でございますから大型船というものはどんどんこれからふえてくる。こういったものに対応することが非常に必要になっている、こういうふうに考えております。
  242. 聴濤弘

    聴濤弘君 今いろいろな数字を挙げられましたけれども、たくさんの船が日本に入ってきている。ところがこれは、今のお話というのは全く理論上の話で、そして満載して入ってくる場合について言いますと、満載の場合には満潮時に船が入ってくるんですよね。したがって、普通で言う十五メートルバースがなければならないという理論上の話とは別に、今御説明ありましたけれども、実際にはたくさんの船が日常的に日本の中に入ってきております。  世界最大のコンテナ船というのは、レジーナ・マースク号と言ってデンマークの船だそうですが、八万トンの船でございます。これは普通で言えば十五メートルバースが必要なんです。ところが、日常的にはもうこれは神戸港に入ってきております。ですから、私たちが運輸省からもらった資料を見て計算をいたしましたところ、十五メートルバースじゃなければはいれないというのは世界で数隻しかないというのが実際なんです。  それにもかかわらず、今度の第九次計画というのは、二〇〇〇年までに十三バース、二〇一〇年までに三十五バース、これをつくるという。これはやはり無謀だと思うんです。現在、既に神戸港には二つの十五メートルバースがあって、それが活用されております。  したがって、私が言いたいのは、何もこれからの運輸状況を勝手に憶測するんじゃなくて、もう既にニバースあるし、現に今おっしゃったような船は日本に入ってきているわけなんだから、これからの世界の状況をよく勘案しながら、これ以上必要だというときにやっていけばいいのであって、もう三十五隻必要なんだ、何兆円要るんだ、そういうようなやり方をすべきではない、これは見直しをすべきだというふうに思います。運輸省の見解をお聞かせください。
  243. 古賀誠

    国務大臣(古賀誠君) 状況については政府委員の方から御答弁申し上げましたけれども、今、先生は必要になってから整備すればいいんじゃないかということでございますが、御承知のとおり、水深十五メートルのバースというのは必要になったからといって数年でできるようなものではございません。  若干つけ加えさせていただきますけれども、今後大型化の進むコンテナ船について将来の建造分を含めて二百隻を超えるだろう、こういう予想については今お話しいたしました。また、近隣諸国のことも、今後我が国が国際競争の中で勝ち抜いていくためには当然視野に入れていかなければいけない問題でございます。  若干数字に間違いがありますればお許しをいただきたいと思いますけれども、私の記憶ですと、二〇〇〇年には香港でこの水深十五メートルのバースが十六バース供用できると言われております。また、シンガポールでは十三バースが供用できると言われておりますし、韓国をもってしても八バースが二〇〇〇年には供用できる。今後ますますグローバル化が進んでいく中で、しかもこの外貿コンテナの貨物量というのは十年で倍になっております。今後また急激に伸びる分野でございます。そういうことを考えますと、二十一世紀に向かってこうした大型のコンテナターミナルの整備というのは私は当然のことだと思っております。
  244. 聴濤弘

    聴濤弘君 十四メートルバースですら、例えば川崎港で実際に運用されているのは三〇%というのが現状です。そして、一万トン級の船が川崎港では一番大きな入港数になっているというのが現実だし、この間いろいろ議論されました、港については釣り堀になっているではないかという問題、これらの教訓を全然踏まえずに、ただ単にこれからふえるだろうということで計画を進めるのは無謀だということを私ははっきり申し上げて、次の問題に移りたいと思います。  次の問題は沖縄の問題です。  総理は、沖縄の心はわかるとしばしばおっしゃいます。ところが政府は、五月十四日に基地としての使用期限が切れる約三千人の人の土地について地主の方が返還を求めているにもかかわらず、何としてでも継続使用したい、そのためのあらゆる手だてをとると言っています。沖縄の世論はこぞってこういうことに反対をしておりますけれども、これでも沖縄の心はわかると総理はおっしゃるんでしょうか。
  245. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 沖縄の心がわかるというような思い上がったつもりはありません。しかし、沖縄県の抱えている問題について、私自身大変な負担をしていただいていると思っているということは事実繰り返し申し上げてまいりました。  同時に、我が国が日米安全保障条約というものを持っている。そして、それが我が国の安全を担保し、同時にアジア太平洋地域の平和と安定のためにも大きな役割を果たしていること、その日米安全保障条約というものが日米関係の基盤をなしており、日米関係というものは我が国にとっての外交の非常に大きな関係であるだけではなく、この日米関係というものが安定していること、これは国際社会のためにも望まれることだと思っております。  そうした中で、国益とそして沖縄の方々の気持ちとをどこでどう合わせていけばいいのか、そうした思いを持っているということは繰り返し申し上げてまいりました。  同時に、日米安全保障条約というものを締結し、その中で私たちは米軍が安定的に使用する施設、基地というものの提供の義務を負っております。そして、五月十四日という日付を議員は今日にされましたが、この日はまさに現在の使用権原の最終の日取りであります。そして、私どもは使用権原の取得のできない状況でカレンダーを越すことは国益を損すると考えておりますし、先日始まりました収用委員会作業は、従来の経験上からいきますと大変厳しい日程であることは承知をいたしておりますけれども、国益にかなう形で収用委員会作業が進むことを心から願っておるということを繰り返し申し上げてまいりました。
  246. 聴濤弘

    聴濤弘君 国益それからアメリカとの安保の関係、いろいろおっしゃいましたけれども、こういう政府の態度が沖縄の人々の心を踏みにじるものだと私は思うんです。  若干歴史的に振り返ってみたいと思うんです。沖縄の基地というのはまさに暴力的につくられた基地なんですね。沖縄戦では御承知のとおり十八万人のとうとい命が奪われた。辛うじて生き延びた多くの人たちが十二の収容所に収容され、その間に米軍は、あたかも無人の広野を行くごとく、民家を焼き払い、土地を焼き払い、そしてほしいままに土地を手に入れて、そして一年半後の四六年十月、収容所から帰されて地元へ戻ってみますと文字どおり自分の土地はなくなってしまっていた。奪われて、ごくわずかな土地にみんな割り当てられてしまった。そして、こういう証言だってある。牛小屋でござを敷いて暮らした、川の土手で暮らした、こんなたくさんの証言がございます。  こういう土地の強奪というのは戦時であれハーグの国際法違反だと、そういうふうに思いますが、いかがですか。
  247. 林暘

    政府委員(林暘君) 戦争中の国際法のそういう関係につきましては、今御指摘のとおりのハーグ陸戦法規というものが適用になるわけでございますが、陸戦法規の中に占領地においてどういうふうな取り扱いをしなくちゃということが書かれております。  その中に、先生が言われましたのがどこの条項を念頭に置いて言われているのかわかりませんが、アメリカが戦後、布告という形で、一九五三年に出しました布告二十六号でございますけれども、それで、アメリカ側が根拠といたしておりますのはハーグの陸戦法規の五十二条でございます。五十二条とはどういう規定かと申し上げれば、それは占領地において物であるとかサービス、役務でございますけれども、そういうのを徴用することができるということが書いてある規定でございます。  したがいまして、個々の事例について我々詳細に承知しておるわけではございませんので、一々の事例についてどうだということを申し上げる立場ではございませんけれども、ハーグ陸戦法規に違反であったというふうに断定することは難しいというふうに思っております。
  248. 聴濤弘

    聴濤弘君 これは私ちょっと驚きましたね。そこまでアメリカ側の立場に立って説明しなきゃならぬと私は思いませんね。佐藤総理自身がこのことについてはお認めになったんですよ。  これは一九七一年の十一月十一日の国会でこういう質問があった。「家を焼いた、土地を取り上げた、それはへーグの陸戦法規に違反をする、そのことはお認めになりますね。」という質問に対して、佐藤総理ははっきりと「直接の戦闘行為以外のこと、これは陸戦法規に違反する、」と、こういうふうに明確に答弁をされたんですよ。そういうでたらめな答弁、ハーグの国際法規違反じゃないなどと答弁をするということはとても私には信じられないことですね。  そして、現物を徴発したときにはお金を払うということが五十二条に書かれておりますけれども、一体アメリカはいつ払ったんですか。これは八年もたって講和条約が立った後、ごく涙金を払っただけなんですよ。こんな事実を知らないで、先生はどこの情報で物を言っておられるのかわからないなんて、とんでもない。失礼なことだと私は言いたいと思いますね。  これだけじゃなくて、さらに沖縄の基地というのはこうやってつくられた。また、それだけではないんです。暴力的な収奪というのはこれだけじゃなくて、五〇年代に入ってからも基地は拡大され続けました。  例えば伊江島ですけれども、五五年三月、正確に言いますと三月十一日ですが、突如として米軍が上陸して、銃剣でもって住民を威嚇しながら、ブルドーザーで民家を壊し、畑を焼き、文字どおり銃剣とブルドーザー、ここで出てきているんです、銃剣とブルドーザーによる基地の拡大という言葉が。ここで広大な射爆場をつくった。これは事実として認めますね。
  249. 諸冨増夫

    政府委員(諸冨増夫君) ただいま沖縄の歴史にお触れになりましたが、いわゆる占領期間中に、昭和四十七年の返還までの間、現在の沖縄基地が米軍の施政権下でつくられたことは間違いございません。したがいまして、その間、いろいろ報道等によりますと、先生今御指摘のような銃剣とブルドーザーというような表現も使われておりますが、私どもとしては、占領期間中も米軍の布告によって適正に補償がされて使用されておるというふうに考えているところでございます。
  250. 聴濤弘

    聴濤弘君 沖縄の基地というのは本土の基地と違って、本土の基地は国有地がほとんど全部ですけれども、沖縄の場合は民有地が多いんです。  国有地の比率は何%ですか。
  251. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 委員にお答えしたいわけでございますが、いろんないきさつの中でああいう基地ができているのは、私どもその経過についてつまびらかではない点もございますけれども、沖縄の方々にとっては大変気の毒だった点はございます。  しかしながら、地主の方々が三万二千人おられるうち、二万九千人の方は現在契約に応じていただいて自主的に出していただいておるわけでございます。だから、過去の経緯はどうだったのかは別としまして、私どもが誠意を持って対応して、約三万二千人のうち二万九千人の方が契約していただいている。約二千九百人の方がいわゆる一坪地主であると、そういうことについてもぜひ知っ  ておいていただきたいと思います。
  252. 聴濤弘

    聴濤弘君 私は、過去の経緯をないがしろにしたら今の沖縄の問題はわからないから聞いているんですよ。  それで、民有地についての質問にお答えにならない。圧倒的多数が民有地なんですよ、本土と違って。その民有地が今言ったような形で略奪されていった、そして基地ができたというのが沖縄の基地のできた歴史の経過なんです。それで、沖縄の人々がこういう基地、これに反対し、返還を求め賠償を要求したのは当然だと思います。  一九五三年、講和条約が発効して、やっと使用料をやむなく払ったんですが、どのくらい払いましたか。
  253. 諸冨増夫

    政府委員(諸冨増夫君) その間の資料は私ども持ち合わせておりません。
  254. 聴濤弘

    聴濤弘君 全く無責任ですよ。少しでも調べようと思ったらすぐわかるんだ。これは日本勧業銀行がちゃんと調査してそのときの数をひねり出した。六十万ドルです。そして、日本の本土の値段にして一坪当たりたった六円です。これが使用料だったんです。沖縄の人に今聞いてごらんなさい、たばこ銭にもならなかったと言いますよ。こういう状態であったわけですね。  それで、今度、沖縄が返還される一九七二年、祖国への復帰に当たって日本は返還協定の第四条ですべての対米請求権を放棄いたしました。そうですね。
  255. 林暘

    政府委員(林暘君) 返還協定の四条におきまして、読みますのは省きますけれども、請求権は放棄いたしております。
  256. 聴濤弘

    聴濤弘君 総理、沖縄の基地というのは今言ったような形でつくられたんです。ですから、アメリカにとっては沖縄というのはもうあたかも自分の領土のごとく考えている、そうでも言わざるを得ないように思うんです。  ここに私はこういう地図を持ってまいりましたけれども、これはアメリカの海兵隊の雑誌に載っている地図なんです。(図表掲示)世界で海兵隊がどこにいるかという地図なんです。  これがアメリカの本土ですね。ここへ基地がずっとある。そして、ここにあるのは何かといいますと、ちょうどここですね、これはハワイなんですよ。ここの島はどこなのかなと、これはメキシコ湾なんです。よく見ますとこれは日本なんですね。日本がこんなところにかいてある。これは図式だといえばそうでしょう。しかし、世界にある海兵隊というのはこうだといってメキシコ湾の中に日本が入っている。図式だということは私は言いますよ。しかし、こんな地図をつくっているというところに、アメリカが沖縄に対してどんな態度をとっているかということが非常に明白にあらわれていると私は思います。沖縄県民が返還を要求するのは当たり前だと私は思います。  ところが、復帰後、日本政府はアメリカにかわって今度は日本が次から次へと立法措置をとって、この沖縄の不法な土地の使用を日本の立法でやってきた。これが現在までずっと続いてきていることですね。  第一回目の法的措置というのはどういう措置でしたか。
  257. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 沖縄復帰の昭和四十七年五月十五日以降は沖縄における公用地等の暫定使用に関する法律、これによってやっております。
  258. 聴濤弘

    聴濤弘君 その暫定使用が切れました。五年たって切れました。七七年に切れましたですね。そして、切れたときにまた延長をいたしました。そして、五年延長して八二年になりました。  八二年にとった措置はどういう措置ですか。
  259. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 昭和五十七年五月十五日以降は、本土で適用されております現在の法律、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法、昭和二十七年の法律でございますけれども、これによってやっておるわけでございます。  この法律を最初から適用しなかったというのは、土地の区域についてはっきりしなかったために、四十七年に沖縄の特別の法律をつくって、今おっしゃるような経過をたどって本土に適用されております現在の法律を適用しておるわけでございます。
  260. 聴濤弘

    聴濤弘君 最初の法律は、一言で言いますと、復帰後五年間、さらに延長されましたから十年間は契約なしで強制使用できるというのが公用地法だと。そして、それが過ぎて、八二年になって現在の特措法になった。そこでの特措法は一言で言えば地主が契約していない土地でも土地収用法の規定に基づく手続をとれば五年間の強制使用はできるというのが特措法の内容ですね。これを三回繰り返して現在にまで至っているんです。日本政府がそうしてやったんだ。  ところが、今度は四回目だ。ところが、四回目はこれまでの三回の単純な繰り返しては決してありません。第一は、約三千人の土地が特措法の期限が切れて、そして違法状態になる。ちょうど楚辺の通信基地がもう既に違法状態ですけれども、あの違法状態が起こる。このことはお認めになりますね。
  261. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 違法状態が生じないように、収用委員会の御努力に心から願っていると申し上げ続けております。
  262. 聴濤弘

    聴濤弘君 総理、私は間に合わないと思うんですよ。第一回目のときは六カ月かかったんですよ、審理が三回目のときは十一カ月かかっているんです。三回目も六カ月かかっている。私は全部調べました。そして、今回はつい三月に開かれた。ついこの前開かれた。
  263. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 二月です。
  264. 聴濤弘

    聴濤弘君 つい二月に開かれた。それで、少なくとも今までの最低限の六カ月でやったってもう九月になってしまう。これは間に合わないことは明白であります。  そしてまた、違法状態が起こらない、違法状態をつくりたくない、あるいは起こしたくない、あるいはつくらないようにするというならば、何で法改正というようなことが問題になるんですか。
  265. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 確かに日時的に非常に厳しい状況にございます。しかしながら、できるだけ早く裁決をしていただきたい、そういう願いを込めて今この審理の状況を見守っておる状況でございまして、そういう形で違法状態が起きないように、ぜひ早く裁決していただきたいというような気持ちでいっぱいでございます。
  266. 聴濤弘

    聴濤弘君 もう既に新聞にも報道されておりますけれども法改正も視野に置くということが政府の見解であるということが明らかになっております。その中で私が非常に危候いたしますのはこういうことです。特措法の期限が切れたならばその土地を地主に返すのが当たり前のことです。しかし、もう少しまださらに続けて使いたいという場合には、これは申請をしなきゃならぬ。申請をして、収用委員会が必要な手続をして裁決をして、そして使用することができるということになります。  ところが、伝えられているところによりますと、その審理中にももう土地を使ってしまう。だから、審理を全く無視してしまう。まだ使用できる権原がないのに使用できるようにするということが政府の方針だと伝えられております。本当にこういうことを法改正しようとされているんですか。
  267. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 私どもは、いわゆる日米安保条約に基づきまして、政府としては土地を、施設・区域を提供しなければならないわけでございます。そういうわけでございますので、あらゆる事態について日ごろから勉強といいますか研究といいますか、そういうことをやっておかなければならないということでいろんな研究はやっておりますけれども、今の心境を言わせていただきますと、先ほど申しましたように、とにかく一日も早く裁決していただきたいという気持ちでいっぱいでございます。
  268. 聴濤弘

    聴濤弘君 間に合わないんですよ。だから、間に合わないときにどうするんだということを聞いているんです。
  269. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) とにかく、間に合わないとおっしゃられますけれども、三月十二日に第二回目の公開審理があるわけでございます。そういうことで、確かに、裁決が行われましてもそれから先の送達の日時とかそういうのがございますために、非常に時間が切迫しているのは事実でございます。  過去の例でいきますと、過去の例の場合は、そういうことよりも裁決そのものが非常に長引いてしまったということがございますけれども、今度の場合はとにかく一日も早く裁決が得られるのではないかという期待を込めながら今見守っているところでございます。
  270. 聴濤弘

    聴濤弘君 苦しい答弁だとは思うんですけれども、間に合わなくなるのはもう明白だからこそ法改正の問題があって、法改正も視野に入れているという政府からの発言もあるわけでしょう。それにもかかわらず、そんな発言をして私をごまかそうとしたってこれはだめですよ。  それで、私ちょっと角度を変えて聞きますけれども、先ほど言いました審理中にも使用をしてしまうというようなこと、審理中ですよ、審理中でまだ権原が与えられていないのに使用するというようなことが政府の方針だと伝えられております。  今私が質問したいのは、それが政府の方針であるかないかは別として、そういうことが適法であるか、そういうことが正しいこと、法律に合うことかどうか。どういうふうに考えておられますか。
  271. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 法律は衆議院、参議院、いわゆる国会でつくっていただくわけでございまして、そのときは当然憲法上の問題、法理論上の問題、そういうことについては十分審議した上で成立させていただくわけでございます。だから、委員みずからがどういう意味で言っておられるのか、その辺がよくわかりません。
  272. 聴濤弘

    聴濤弘君 私が聞いているのは、そういうような審理途中の土地を取り上げて使ってしまう、中断させてしまう、そんなことが法的には許されるのかということを聞いているんです。
  273. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) それが我が国の憲法上、法制上できないならばそういう法律は国会でできないんじゃないかと思うわけでございます。そういうことで国会でそういう審議はしていただくわけでございますから、だから国会の審議を除いて私ども政府の方にそういうことはどうかと言われるのはちょっと筋違いじゃないかと思うわけでございます。
  274. 聴濤弘

    聴濤弘君 できないことは明確なんですよ。それなのに、それが政府の方針であるかのごとく語られるところに今の重大な問題がある。  私ははっきり申しますけれども、土地を使用できるかできないかというのは国が決めるわけでもない、裁判所が決めるわけでもない、収用委員会が決めるんですよ。収用委員会の決裁があってのみこれは使用できるわけで、今収用委員会が審理している途中で、そしてそれを勝手に権原のないものが使用するなどということは、これは絶対にあってはならない。これは権力を乱用してはならないという憲法三十一条に違反してくることは明白であります。  そういうことは国会がどうするこうするじゃない。あなた自身はそんなことは絶対に間違いだと、そうお考えになるかどうか、それをはっきり言いなさいよ。
  275. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 繰り返し申し上げるようでありますが、私どもはこの国の国益というものを本当に考えて行動をしなければなりません。そして、その中でいかにして沖縄の方々の気持ちにこたえるか、それで苦しんでいるということもさっき率直に申し上げました。その上で我々は収用委員会の御努力に心から期待をかけている、その上の仮定の御質問にお答えをする必要はないものと思います。むしろ、この事態を乗り切り、我が国の国益を守り得るような、そして県民の方々にもこたえ得るような、そうした御協力をこそ心からお願いを申し上げます。
  276. 聴濤弘

    聴濤弘君 ゼロになったときに座ったので、一問だけ、最後に一言だけ申させてください。
  277. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 一問だけ、一言だけ許可します。
  278. 聴濤弘

    聴濤弘君 総理がおっしゃいましたが、これは仮定の問題じゃありません。もう間もなく、すぐ起こる問題であって、それを仮定の問題だと言って先送りすることは絶対にできないというふうに思います。  そして、国に幾ら使用権原が条約上あったとしても、それを使用できる国内の手続法に基づいて行わなければそれは違反である。赤信号が出ているのに青信号でいいんだというようなことは、これは政府であってもだれであっても絶対にやってはならないことだ、このようなルール違反はだめだということを私は申し上げて、質問を終わります。
  279. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 以上で聴濤弘君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————
  280. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 次に、山田俊昭君の質疑を行います。山田俊昭君。
  281. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 二院クラブの山田でございます。よろしくお願いいたします。  第二次橋本内閣は、国と地方を合わせて四百四十二兆円にも上る長期債務を抱える中、平成九年を財政の健全化を促進するための財政構造改革元年と位置づけられました。そして、平成十七年までのできるだけ早い時期に国及び地方の財政赤字の対GDP比率を三%以下とし、国の一般会計においては特例公債依存からの脱却と公債依存度の引き下げを図るとされております。  しかし、実態は消費税の引き上げや特別減税の廃止といった納税者に新たな負担を強いる財政改革にすぎません。すなわち、もし民間企業であればとっくに倒産している国家という巨大企業の放漫経営のツケを国民に払わせる無責任きわまりない発想であると言わぎるを得ません。  私は、財政構造改革の眼目は、庶民いじめの増税や我々の子孫に借金の肩がわりをさせる国債の発行によっていたずらに歳入の増加を図ることではなく、徹底した倹約によって可能な限り歳出を抑制し、限られた財源を国民の利益のために効率よく使うことに尽きると考えます。すなわち、最小の経費で最大の効果という経済原則は国家財政にとっても最も重要な大原則であることは言うまでもありません。  古今東西、赤字財政の解消に挑戦した政治家は数多くあると思いますが、成功例が極めて少ないのは、この単純な公式をかけ声だけに終わらせ、指導者みずからが倹約の模範を示すことがなかったからにほかなりません。ちなみに、今は亡きアメリカの大統領ケネディは尊敬する日本人として上杉鷹山を挙げております。上杉鷹山は数少ない財政改革の成功者であり、破綻に瀕した上杉藩の財政の立て直しに心血を注ぎ、見事再建をなし遂げた上杉家九代目の藩主であります。上杉鷹山の改革の手法は、まず日常の食事は一汁一菜とし、歳末だけ一汁二菜とする。また、日常の衣服は木綿とし、公務の場合以外は絹を着用しない。五十名いた奥女中を九名に減らすといった、藩主みずからのむだをなくすことでありました。  そこで、総理にお尋ねをいたします。  総理は、財政構造改革を唱えっつ、本年度一般会計予算総理大臣官邸施設費として、前年度予算九億四千万円余に引き続き今年度は六億一千万円余を計上し、総理大臣官邸基盤施設整備費として平成四年度以来二百五十一億円余の巨額を投入するなど、みずからの官邸の整備に余念がなく、倹約の御熱意、財政改革の御熱意のほどが伝わってまいりません。上杉鷹山のように総理みずからが倹約の模範を示すべきだと思いますが、いかがでございましょうか。
  282. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 大変率直な御指摘をいただきました。その上で一点私は申し上げたいと思います。  危機管理というものが今官邸の機能として非常に強調をされております。湾岸危機が発生いたしましたとき、そうした設備を整えておりませんでした総理官邸は喫煙室をつぶして機材を搬入し、そこで湾岸戦争の時期を乗り切りました。そして、今おかげさまで横の建物の中に危機管理センターをつくっていただきました。  しかし、例えば秘匿つきの、ほかの人にわからないように同時通訳を入れて話をする、そうした機材を入れるスペースがございません。写真室をつぶしてこれからそうした設備を入れようと思っているところです。一つの例であります。  私は、例えば官邸という言葉でイメージをされる私どもの執務室とかそうした部分を直していただきたいとか、より居住性を高めていただきたいとか、そのようなことは申し上げるつもりはありません。しかし、今官邸の中にありますセンターをお願いしておりますような形で改修していただきましたとしても、一つの危機に対応できるだけでありまして、二つの問題が同時に発生したときには官邸はまた喫煙室に別の機材を運ぶ以外にスペースがございません。こうした点もぜひ御理解をいただき物の判断をしていただきたい、そのように思います。
  283. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 総理官邸の危機管理に対する適応的な技術、装備の充実というのはもちろんよくわかるわけでありますけれども……
  284. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) スペース。
  285. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 スペースね、そこら辺のところの費用もいろいろかかるのでありましょうけれども、私は危機管理において最も重要なのは、いろんな情報収集の施設やそのスペースを設けて早くキャッチすることは必要だとは思うんですが、一番大切なことは総理ほかスタッフが的確に迅速に判断することだと思います。そのための資料は最小限であってしかるべきだと思うのです。それを私はあえて申し上げるのです。だから、黒字国家ならいざ知らず、破綻に瀕している日本国家の中にあって最小限度にとどめていただくということを特に思うわけであります。  二院クラブの山田といたしましては、二百五十一億円の総理官邸の建設費と聞いたとき、いささか高過ぎるのではないかと率直に思いましたので、このような質問をさせていただきました。  さらに続けて総理にお尋ねをいたします。  バブル経済崩壊後の長引く不況の中、多くの民間企業が社の命運をかけてリストラに取り組み、人員の削減、収益の上がらない部門の思い切った切り捨て等によって立派に不況に強い体質を築き上げましたが、これらの民間企業のリストラのノウハウは今後の行財政改革にあっても素直に参考にされるべきだと思います。  行財政改革に対する官僚の強い抵抗が予想される中、私は、既存の組織、手法はできる限り変えたくないという官僚の保守的かつ硬直した思考を打破して、行財政改革をスムーズに進めていくためには、民間人の柔軟かつ新鮮な思考と感覚を行政組織内に導入することが必要かと思います。具体的には、民間企業でリストラに腕を振るった管理職を行政庁の幹部職員に登用する等の思い切った民間企業との人事交流も一考に値するとかねがね考えていたのですが、くしくも同様の趣旨の意見書が三月六日、人事院から内閣と衆参両院に提出されました。  そこで、総理に伺いますが、この意見書の趣旨をさらに推し進め、一般職員だけでなく、本省の局長や課長といった幹部職員に積極的に民間人を登用すべきだと思うのですが、御意見を伺います。
  286. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、議員から御指摘がありましたように、昨日人事院から、官民の人事交流を進めるための制度の骨格、こうした意見のお申し出をいただきました。  公式答弁をいたしますなら、政府としてはこの人事院の意見の申し出を踏まえ、官民の人事交流が円滑に行われるよう関連諸制度等の整備を含め、幅広い検討、調整を進めてまいる、そういう答えになります。  しかし、それ以上にこの点は私は非常に貴重な提言をいただいたと思っております。そして、既に行政改革会議の事務局に民間企業から若い方々を、本当に優秀な諸君を出していただきました。そして、その諸君に官僚ではない民間の企業方々の目で海外の行政改革のデータ収集等にも当たってもらっております。そして、彼ら自身が自社の体験を生かしながら、それぞれの国の制度のよい点、問題とすべき点をピックアップしてくれておりまして、既に非常にいい作業が進んでおります。  ただ、その上で一点私が申し上げたいのは、私は国鉄の分割・民営の際、民営化したそれぞれの企業に民間から人をちょうだいしたいと随分交渉をいたした当時の責任者であります。ところが、結局民間から私どもが欲しいと思う方にはついにお一人も社長になっていただくことができませんでした。会長を受けてくだすった方はあります。あるいは、例えば役員クラスに人を派遣してくだすった企業はそれでも何社かありました。  なぜそうした問題が出たか。官民の処遇に余りに大きな開きがあるからであります。民間企業で我々が本当にこの方が欲しいと思うような方々、今の人事院勧告のシステムの中での審議官級、局長級あるいは次官の受けております処遇に比しましても、給与、ボーナス等を総合いたしますと相当差のあるケースがございました。そして、残念ながら民間から役員クラスで、常務とか何かにいただきました方々も、何年かで私どものとめる手を振り切って帰ってしまわれたケースが多々ございます。  私ども議員の御主張を非常にうれしく拝聴します、私自身がそれを考えましたから。そして、失敗した原因はそのようなところにもあったということはぜひどこかにおとどめ置きをいただき、これから御協力を賜りたい。少なくとも行革会議の事務局には本当に民間の若い優秀な諸君が、やはり同じ世代の官僚の諸君と相競い、相助けながら作業に従事しておることを申し添えます。
  287. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 よくわかりましたので、総理のその意向をぜひ反映された形で対応されることを期待いたします。  次に、行政庁の行政事務には、福祉や教育や社会資本の充実といった国民生活にとってなくてはならないものと、単に大臣や局長などの高級官僚の権威を保ち、あるいは日ごろの不勉強を補うための資料づくりやレクチャー、形骸化している各種会議の設定といったようなおよそ国民生活の向上には何らの役に立たないものがあると思うのです。後者のいわゆる内部事務の比率が非常に高いのが実情であるかと思います。  すなわち、どの省庁でも、大臣や高級官僚の出張や会合出席には必ず随行をつけ、局長や課長の不勉強を補うために恒常的に資料づくりとレクチャーをし、国会開会中には国会対策と称して大勢の職員を深夜まで残し、想定問答集あるいは一問一答と称するマニュアルづくりなどに余念がないようでありますが、その職員への出張経費、残業手当、光熱費、消耗品等はすべて国民の血税をもって賄われております。そもそも国民の公僕たるべき大臣や役人に権威づくりをする必要はありません。  また、大臣や局長が省内や局内の行政事務のすべてを熟知し、何を質問されても直ちに答えられるだけの識見と資質を持っていれば、膨大な時間と経費をかけた資料づくりや国会対策のための想定問答集やレクチャーなどの内部事務はおよそ不必要であり、こうしたむだな事務を徹底してなくし、従来の官僚機構の弊害とされている権威主義、形式主義、事大主義の打破こそが、省庁の再編などの組織いじりに先立って行われるべき行政改革の第一歩だと思うのですが、総理の所感をお伺いいたします。
  288. 武藤嘉文

    国務大臣(武藤嘉文君) 大変いい御意見をちょうだいいたしました。正直、私自身、決して答弁のレクを受けた日はございません。自分考え方で私は答弁をさせていただいております。できるだけ各局長も、あるいは各課長もそれぞれ自分の仕事にそのような自信を持ってやっていただきたいと思っております。  ただ問題は、役所の中で人事交流があるわけです。これがいいのか悪いのかよくわかりませんけれども、例えば一つ局長のポストに大体一年いると次のまたどこかへかわる、こういうのが果たしていいのかどうかというのは、今お話を聞いておって、私は大変考えなきゃならないことではな  かろうかなと。やっぱり一つのポストのエキスパートになれば当然自分ですべての仕事ができるわけですから、その辺のことは今後の行政改革、これをちょうど今やっている最中でございますけれども一つの貴重なお考え方として私も十分考えながらその辺は進めていきたいと思っております。
  289. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 よろしくお願いします。  むだは行政事務だけではなく行政組織にもあるようであります。各省庁の職員録を開きますと、審議官、参事官、調査官、専門官、企画官などといった、局長、課長、係長といったラインからはみ出た膨大な数のいわゆるスタッフ職を目にしますが、これを国民の目から見ると、各省庁があり余った余剰人員の人事のやりくりに窮して無理やりに役付職員に奉っているとしか映りません。  行政組織は役人の出世欲を満足させるために存在するものではないことはもちろんですが、こうした必要性、実効性の極めて疑わしい役付スタッフ職をできる限り減少し、組織自体が身軽になることが行政改革の第一歩であり、人件費等の固定費の削減と歳出の抑制につながると思うのですが、総理の御所見をお伺いいたします。
  290. 陶山晧

    政府委員(陶山晧君) いささか実務的な面を含む御質問でございますので、私から御説明をさせていただきます。  行政組織の簡素合理化は極めて重要な課題ではございますが、ただいま御指摘のございましたいわゆるスタッフ組織につきましては、現に審議官、参事官等の職位が多数置かれていることは事実でございます。ただし、行政事務は社会経済状況の複雑化とか多様化によりまして取り組むべき課題は極めて多岐にわたってまいっております。そうした状況の中で、局長とか課長等のラインによる対応だけではなくて、特定の事項とか問題について部局を越えた取り組みが必要になる、あるいは新たな政策とか施策の企画立案等、いわゆるスタッフ組織によって迅速、機動的に対応する必要がある、そういう状況が多々あるわけでございます。スタッフ組織はこうした問題に対処するために置かれているということをまず御理解いただきたいと存じます。  もとより行政組織につきましては、簡素効率的なものでなければならないということは原則でございまして、今後ともに行政組織の膨張抑制については政府全体として真剣に取り組んでまいるつもりでございます。
  291. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 時間がないのであれなんですが、外務大臣にお尋ねをいたします。  ペルー大使公邸占拠事件に関してであります。  昨年の十二月十八日に起こったテロリストによるペルー大使公邸占拠事件は、我が国の領土の延長とも言うべき在外公館の一部が不逞のやからによってほしいままに占拠されているといったこの上ない不名誉な事件であります。  この事件に対する外務大臣対応には、外交担当の主務大臣として甚だ無責任なものを感じます。すなわち、外務大臣は事件発生直後、専用機を使って現地に飛ばれたようでありますが、その後膠着状態が続いており、事件発生後ニカ月以上経過する今日においても一向に解決の兆しを見せておりません。  ちなみに、過去の外国公館立てこもり事件で日本がかかわったものでは、いずれも犯人側の要求をのむ形で決着、特殊部隊の突入などの強行策等に出たことはありません。これでは、世界じゅうのテロリストに日本国組みしゃすしの印象を与え、今後日本国の在外公館をねらった同様の事件が続出しても仕方がないのではないでしょうか。  ここで思い出されるのが一九七〇年に起こった赤軍派学生による日航機乗っ取り事件、いわゆるよど号事件でありますが、この折、時の運輸政務次官故山村新治郎代議士は、みずから人質になることを買って出ましたが、主務大臣や次官の責任というのはそれくらい重いのではないでしょうか。  また、一九七六年に起こったパレスチナゲリラによるエールフランス機ハイジャック事件においてイスラエル政府はウガンダのエンテベ空港に特殊部隊を突入させ、乗客百二名を実力で奪還しましたが、国家や為政者が自国民を愛する気持ちというのはそれくらい強いものではないでしょうか。国家や為政者が自国民や友好国の国民を愛さずして、国民が国家を愛し、為政者を尊敬することができるでしょうか。  そこで、大臣に伺いますが、イスラエルのような強行策をとるのは無理としても、外交担当の主務大臣として故山村代議士の故事に倣い、自分が人質になるから他の人質全員を解放してほしいとテロリストに申し出るぐらいの気概を示し、人質にとられている人々が属する諸国に対する日本政府の責任の重さを表明する必要があったのではないでしょうか。  反論があれば伺います。
  292. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 今日に至るも大勢の方々が人質の状態になっておること、まことに私どもも心の痛む思いでございます。何とか人質全員の無事解放を早く実現したい。もとよりテロリストの不当な主張や要求に屈することなく、その平和的解決を実現したい。ペルー政府とも緊密に連携をとりながら政府としても全力を傾注しておるところでございます。
  293. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 以上で山田俊昭君の本日の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————
  294. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) この際、公聴会開会承認要求に関する件についてお諮りいたします。  平成九年度総予算三案審査のため、来る三月十七日に公聴会を開会いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  295. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 御異議ないと認めます。  つきましては、公述人の数及び選定等は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  296. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  297. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) この際、先般本委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員から報告を聴取いたします。  まず、第一班の報告を木庭健太郎君にお願いいたします。木庭健太郎君。
  298. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 予算委員会派遣第一班の調査につきまして御報告いたします。  第一班は、委員長を団長とする八名で編成され、二月五日から同月七日までの三日間、福岡、山口の両県を訪れ、北部九州、中国地方の産業経済の動向及び福岡、山口県の財政経済状況等について概況説明を聴取するとともに、福岡県においてはシーサイドももち整備事業、キャナルシティ博多などを、山口県においては超高温材料研究センター、宇部テクノポリス事業などについて現地視察を行うほか、地元の産業についても広く調査を行ってまいりました。北部九州及び中国地方では、企業の生産活動や個人消費は着実に回復し、緩やかな上昇傾向にあります。  福岡、山口両県の経済動向につきましては、住宅投資が堅調に推移し、消費は穏やかな回復を続けておりますものの、消費者ニーズの多様化、大店法の規制緩和等により、小売業の大半を占める中小小売店は大きな影響を受け、商店数の減少傾向が続いております。  なお、福岡県からは水資源開発事業の促進、九州国立博物館の早期建設などについて、また山口県からは二十一世紀未来博構想の推進、宇部フェニツクステクノポリス計画の推進などにつきまして強い要望がありました。以上で第一班の報告を終わります。なお、調査の詳細につきましては、委員長のもとに文書による報告書を提出しておりますので、これを本日の会議録に掲載されますよう、お取り計らい願いたいと思います。  以上でございます。
  299. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 次に、第二班の報告を田沢智治君にお願いいたします。田沢智治君。
  300. 田沢智治

    ○田沢智治君 予算委員会派遣第二班の調査につきまして御報告申し上げます。  第二班は、私、田沢のほか九名で編成され、二月五日から同月七日までの三日間、富山、新潟の両県を訪れ、北陸、新潟地方の産業経済の動向、両県の財政経済状況等について概況説明を聴取するとともに、富山県においては頭脳立地構想に基づく総合情報センターなどを、また新潟県におきましては新潟空港拡張事業及び克雪、除雪設備などについて現地視察を行うほか、地元の地場産業についても広く調査を行ってまいりました。  北陸財務局管内の景気は、有効求人倍率が一倍を超えるなど明るい動きが見られ、緩やかながら回復傾向にあるものの、産業空洞化の問題等、なお中小企業においては厳しい状況が続いております。  新潟地方の景気は、緩やかながら回復の動きを続けていますが、アジア諸国からの輸入品の増加により、地元中小企業には厳しい状況が続いております。  なお、両県より、重油流出事故に関する補助金等の要請について、また富山県からは北陸新幹線の整備促進などについて、また新潟県からは、将来展望の持てる食糧、農業政策の展開などにつきまして強い要望がありました。  以上で第二班の報告を終わります。  なお、調査の詳細につきましては、委員長のもとに文書による報告書を提出いたしておりますので、これを本日の会議録に掲載されますよう、お取り計らいを願いたいと存じます。  以上。
  301. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。  ただいま御報告がございました各班から別途報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  302. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  次回は来る十日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十三分散会      —————・—————