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1997-03-21 第140回国会 参議院 本会議 第11号
公式Web版
会議録情報
0
平成
九年三月二十一日(金曜日) 午後零時四分
開議
━━━━━━━━━━━━━
○
議事日程
第十一号
平成
九年三月二十一日 正午
開議
第一
地方税法
及び
国有資産等所在市町村交付
金法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
、衆
議院送付
) 第二
地方交付税法等
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
) 第三
地方公務員法
の一部を
改正
する
法律案
(
衆議院提出
)
━━━━━━━━━━━━━
○本日の
会議
に付した案件 一、
児童福祉法等
の一部を
改正
する
法律案
(趣
旨説明
) 以下
議事日程
のとおり —————・—————
斎藤十朗
1
○
議長
(
斎藤十朗
君) これより
会議
を開きます。 この際、
日程
に追加して、
児童福祉法等
の一部を
改正
する
法律案
について、
提出者
の
趣旨説明
を求めたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
斎藤十朗
2
○
議長
(
斎藤十朗
君) 御
異議
ないと認めます。
小泉厚生大臣
。 〔
国務大臣小泉純一郎
君
登壇
、
拍手
〕
小泉純一郎
3
○
国務大臣
(
小泉純一郎
君)
児童福祉法等
の一部を
改正
する
法律案
について、その
趣旨
を御説明申し上げます。
児童福祉法
は戦後間もない
昭和
二十二年に制定されましたが、近年、
少子化
の進行、
夫婦共働き家庭
の
一般化
、
家庭
や
地域
の
子育て機能
の
低下
、
児童虐待
の増加など、
児童
や
家庭
を取り巻く
環境
は大きく
変化
しております。しかしながら、
児童家庭福祉制度
は、発足以来その
基本的枠組み
は変わっておらず、
保育需要
の
多様化
や
児童
をめぐる問題の
複雑多様化
に適切に
対応
することが困難になっているなど、今日、
制度
と
実態
のそごが顕著になってきております。 今回の
改正
は、こうした
変化等
を踏まえ、
児童
の
福祉
を増進するため、
子育て
しやすい
環境
の
整備
を図るとともに、次代を担う
児童
の健全な成長と
自立
を
支援
するため、
児童家庭福祉制度
を再構築するものであります。 以下、この
法律案
の主な
内容
について御説明申し上げます。 第一は、
児童保育施策等
の
見直し
であります。 まず、
保育所
について、
市町村
の
措置
による
入所
の
仕組み
を、
保育所
に関する
情報
の
提供
に基づき
保護者
が
保育所
を選択する
仕組み
に改めるとともに、
保育料
の
負担方式
について、
現行
の
負担能力
に応じた
方式
を、
保育
に要する費用及びこれを
扶養義務者
から徴収した場合における家計に与える影響を考慮した
方式
に改めることとしております。 次に、
保育所
は、
地域
の住民に対し、その
保育
に関し
情報提供
を行うとともに、
乳幼児等
の
保育
に関する
相談
、助言を行うよう努めなければならないこととしております。 また、
放課後児童健全育成事業
を
社会福祉事業
として
制度
化し、その
普及
を図ることとしております。 第二は、
児童
の
自立支援施策
の
充実
であります。 まず、
教護院
について、
家庭環境等
の
理由
により
生活指導等
を要する
児童
も
入所
の
対象
とし、
児童
の
自立
を
支援
することを
目的
とする
施設
に改め、
児童自立支援施設
に改称するとともに、
養護施設
の
目的
として
児童
の
自立支援
を図ることを明確化し、
児童養護施設
に改称するなど、
児童福祉施設
の
目的
及び
名称
の
見直し
を図ることとしております。 次に、
地域
の
相談支援体制
を
強化
する
観点
から、
保護
を要する
児童
やその
家庭
に関する
相談援助
や
指導
、
児童相談所等
の
関係機関
との
連絡調整
を総合的に行うことを
目的
とする
施設
として
児童家庭支援センター
を創設することとしております。 また、
児童相談所
が
施設入所措置等
を行うに当たって、その
専門性
や
客観性
の
向上等
を図るため
都道府県児童福祉審議会
の
意見
を聞くこととするとともに、
児童
の
意向等
を聴取することとしております。 第三は、
母子家庭施策
の
強化
であります。
母子家庭
の
自立
の
促進
や雇用の
促進
を図るため、
母子寮
について、
入所者
の
自立
の
促進
のための
生活
の
支援
をその
目的
に加え、
母子生活支援施設
に改称するなどの
改正
を行うこととしております。 このほか、
保育所
の
広域入所等
を
促進
するため、
地方公共団体
が
連絡調整
を図るべきこと、また、
児童福祉関係者
が連携しつつ、
地域
の
実情
に応じて積極的に
児童
や
家庭
の
支援
を図るべきこととしております。
最後
に、この
法律
の
施行期日
は、
平成
十年四月一日としております。 以上がこの
法律案
の
趣旨
でございます。(
拍手
) —————————————
斎藤十朗
4
○
議長
(
斎藤十朗
君) ただいまの
趣旨説明
に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。
山本保
君。 〔
山本保
君
登壇
、
拍手
〕
山本保
5
○
山本保
君 私は、
平成会
を代表して、ただいま
提案理由説明
のありました
児童福祉法等
の一部を
改正
する
法律案
について、
総理大臣
を初め
関係
の
大臣
に
質問
をいたします。
児童福祉法
が制定され五十年たった今、
子供
や
家庭
を取り巻く
環境
は
子供
の健全な
育成
には決して望ましいものとは言えません。 憲法二十五条に定められた「健康で文化的な
最低限度
の
生活
」、このミニマムの
規定
を
もと
に発展してきた
我が国
の
福祉行政
は、殊に
児童福祉
に関しては、
子供たち
が健康な体と精神を持ち、心豊かに安心して生きていく
権利
、また、
子供
が生きがいを持って生きていく、より高い
権利
の
追求
に質的に変わってきております。
我が国
も批准した
児童
の
権利条約
には、
児童
の
最大限
、マキシマムの
発達
の
保障
、最高、ハイエストの水準の
健康享受
、そして
児童
の諸
能力
を
最大限
、フルエストの
可能性
まで
発達
させる
教育
と、
子供
の
権利
の内実が最上級の表現で明記されております。
児童福祉
は、このように、欠けている
部分
を
補助
、代替するウエルフェアから、よりよい
生活
の
追求
と
保障
を意味するウェルビーイングヘと質的な転換を図りつつあります。 一方、
教育
に関して言えば、
教育基本法
には、
人格
の
完成
と
国家社会
の
形成者
という
教育
の
二つ
の
目的
が示されています。これは、
児童福祉法
で
児童自身
の健やかな
発達
を目標として国や
地方
が
責任
を持つと定められている
考え方
とは明確な違いが存在しております。この違いは、例えば
障害
を持つ
子供
の
育成
は、
人材形成
というこの面から言えば後回しにされがちなことなどに如実にあらわれてくるのであります。 以上申し上げました
福祉観
の
変化
と、
教育
と
福祉
それぞれの特徴を踏まえ、
総理大臣
は、
児童福祉
のあるべき姿と、また、
教育改革
のねらいをどう考えておられるのか、最初にお
伺い
いたします。 次に、
平成
元年、いわゆる一・五七ショックと言われ、
合計特殊出生率
の
低下
が
社会
的問題となりました。このため、
政府
は、
子育て
に対する
社会的支援
のための
少子化対策
を進め、
平成
六年度からは
エンゼルプラン
を実施しております。それにもかかわらず、
平成
七年には
出生率
が一・四二にまで下がっており、
施策
の
効果
があらわれていないのであります。
高齢化
への
対応策
としては医療や
介護制度
の大改革が予定されていますが、これと比較して
子供
の
少子化対策
は不十分かつ副次的なものと感ぜざるを得ないのであります。 私は、
子育て支援基本法
の準備を進めております。結婚や
子育て
の意欲のある人や
子育て
を行っている人が、安心して、また、喜びを持って出産、
育児
ができるような国を挙げての
支援策
が求められているのであります。この
施策
は、
厚生省
のみならず、
教育
、
労働
、住宅などにかかわる総合的な
少子化対策
であり、それを裏打ちする
予算
の
確保
が必要であります。
橋本総理大臣
、総合的な
少子化対策
に
政府
を挙げての積極的な取り組みを図るべきだと考えますが、所感を
お尋ね
いたします。 次に、
保育所制度
についてお聞きいたします。 以前から、
幼稚園
、
保育
園を一元化すべきだという
幼保一元化論
が存在していました。しかし、現実には、
横軸
には
子育て支援
、
幼児教育
、
女性
の
就労支援
の三つの異なる
目的
があり、また、
縦軸
には
施設入所
、
在宅サービス給付
、
相談
と
情報
の
提供
、時間と金銭の
給付
のこの四つの手法が組み合わされまして、十二種類の
サービス
が存在していることであります。さらに、これらは
営利
、民間非
営利
、
公立等
の各
事業主体
によって
提供
されております。 これらの多様な
サービス
を、家で
子育て
をするお母さんにも、
幼稚園
や
保育施設
を利用する
保護者
にも、また、
ベビーシッター
を雇う人にも、だれでもが自由に公平に選択して利用できるよう幼保多元的な
行政
を
確保
すべきだと私は主張いたしております。 、 その
観点
から、まず
厚生大臣
にお聞きいたします。
中央児童福祉審議会
の
報告
では、
保育
に欠ける
乳幼児
に対して「
保育所
以外の
保育施設
、
ベビーシッター
、
家庭的保育
(
保育ママ
)、
子育てサークル
などについても、
サービス内容
の質に留意しつつ、
地域
の
保育資源
として位置付け、その
活用
が図られるようにすべきである」と提言されております。こうした
保育所
以外の
ニーズ
は極めて高く、早急に法的な
整備
を図るべきだと考えますが、今回の
法改正
ではそのことに何ら触れられていないのであります。その
理由
をお聞きしたい。 これと関連して、
総理
にお聞きします。
政府
の
地方分権委員会
第一次勧告でも、
幼稚園
と
保育所
の
連携強化
が求められ、また、
総理
御
自身
が進めようとされている
教育改革プログラム
においては、
幼稚園
、
保育所等
の
あり方
を検討すると伺っておりますので、その基本的な
考え方
をお示しいただきたい。 また、
労働大臣
には、
育児休業制度
の
拡大
と
給付
の
充実
について御
所見
をお聞きいたします。 次に、
保育所
や個別の
保育サービス
を
利用者
が自由に選択できるように改めることは、
保護者
の多様な
ニーズ
にこたえる上で必要であると考えております。これまで
保育所
の
入所
は、
保育
に欠ける
児童
を
行政
が
処分
として
保育所
に
措置
する。こうした
措置制度
は時代おくれであり、
国民
の
ニーズ
にこたえる
行政サービス
を
市町村
が
責任
を持って実施することは当然の
あり方
でありましょう。 しかし、こうした権力的な
措置
から自由な選択の
制度
に改めることは、
一般論
としては理解できますけれども、本当に
保育
の
サービス
が
向上
し、
子供たち
や
保護者
の
生活
にプラスになるのかどうかを心配している
方々
もおられます。例えば、
保育所
の
順番待ち
の
解消
、
大都市周辺部
などの
保育所不足
などは
解消
されるのでしょうか。
厚生大臣
に見解をお聞きします。 また、
措置
という
権力的行為
をなくすことは、ひいては
公的補助
を後退させ、それが
保育料
の
保護者負担
の増大という形ではね返ってくるのではないかとの懸念が強くあります。このようなことは杞憂である、国の
財政責任
の後退はあり得ないという
厚生大臣
の積極的な御
答弁
をお願いいたします。 次に、その他の
児童福祉施設
についてお
伺い
いたします。 私は、一昨年十月、
厚生委員会
で、
児童福祉法
が
実態
にそぐわず、
子供
の
福祉
をむしろ阻害している事実を挙げ、
改正
すべきであると
指摘
いたしました。 特に、
我が国
の
児童福祉
の
幕あけ
として、
明治
三十三年、西暦一九〇〇年につくられた感化院、現在の
救護院
は、スイスの
教育
の
実践家ペスタロッチ
の
理念
を
もと
に、
子供
の
問題行動
はよくない
家庭環境
と実
社会
に出るところでの失敗によるものであると考えまして、まず安定した
家庭
の愛情を与え、具体的な
社会的自立
の
訓練
や
教育
を行う
施設
としてつくられたものであります。 ところが、この百年を経ましていつしか
社会
的なスティグマを与えられてきておりますので、この
名称
や
機能
を改めるよう提案してきたわけでありますけれども、今回、
改正案
で「
児童自立支援施設
」と改まり、さらにアフターケアの
事業
も新設されたことは評価できるのであります。 しかし、
条文
には、「
不良行為
をなし、又はなすおそれのある」と、
明治時代
からの
言葉
がそのまま残っております。何か悪いことをした
子供
を罰則的に入れる
施設
である、
少年
院よりも幾らか軽い
子供
を入れるところであろうというようなイメージが払拭されていないのではないでしょうか。まことに残念であります。 さて、これらの
施設
に
少年法
による
保護処分
の決定を受けた
児童
の
入所規定
が今回明文化されております。これはややもすると、
少年法
が定める「罪を犯した
少年
」と、
家庭環境
などの
理由
により入ってくる
子供
とのいわば
二つ
の類型の
子供
を
入所
させ、取り扱いも別のものであるとの誤解を招き、
施設運営
に
混乱
をもたらすおそれがあります。
厚生大臣
、このような不安を与えないため、
児童自立支援施設
における
サービス内容
や、親や
家族
への
支援
の具体的な
考え方
について御
所見
を求めるものであります。 さらに、これまでこの
施設
に
入所
した
子供
は
学校教育法
の
対象
から外され、
高校進学
や就職にも悪影響を受けております。この特別な
制度
は実は
昭和
八年につくられており、当時としては、
学校
から疎外された
子供
に実質的な
教育
を与えるという恩恵的な
措置
であったのですが、六十年以上たった現在、逆に
子供たち
を差別する原因となっているのであります。今回の
改正
により、これが改められ、他の
児童福祉施設
と同じになったことは、ようやく
関係者
の願いを受けとめたものと高く評価いたします。 そこで、
文部大臣
にお聞きいたしますが、これまで
児童福祉法
の
条文
を根拠にこれらの
児童
を
就学猶予
・免除の
対象
としていたことを当然改めて、こうした
子供
への
学校教育
の
充実
に努力されるものと思いますが、御
所見
をお
伺い
いたします。 次に、
登校拒否
、不
登校
の問題が中
学校
などで大きな課題となっております。この
子供たち
に最も適した
専門治療施設
として
情緒障害児短期治療施設
がございます。ところが、この
施設
は、
現行法
では十二歳
未満
の
児童
を
対象
としており、
現状
に合わなくなっております。私もこれまで
改正
を要求しておりましたところ、
年齢制限
が撤廃されたことは適切な
対応
であると思います。 そこで、
対象児童
の
拡大
に伴い、
施設
や
運営
の基準、
運営費等
の
改善
が必要であると考えておりますが、
厚生省
はどう
対応
されるのか、
厚生大臣
にお聞きいたします。 次に、いわゆる
学童保育
についてであります。「いわゆる」といいますのは、
幼児
を
対象
とする
保育
という
言葉
をこの場合使いますのは適切ではなく、
混乱
をもたらすおそれがあるからですが。 さて、これまで
厚生省
は、
予算補助
により
放課後児童対策
として
地域
の
児童クラブ事業
に
補助
してきました。それが今回、
放課後児童健全育成事業
として明文化されました。このことは、
児童館
を含め、
放課後
の
子供たち
の
遊び
と
生活
の
支援
を総合的に展開することを
厚生省
として宣言したものと私は受けとめております。 この
事業
は、
子育て
と
女性
の
就労
の両立を
支援
し、また、
放課後
の
子供
の
健全育成
を図る上で重要なものですから、ハード、
ソフト両面
にわたる
充実
が必要だと思いますが、
厚生大臣
の御
所見
をお聞きします。 ここで、私は、約百六十年前、ドイツの
教育
の
実践家
として著明なフレーベルについて触れたいと思います。彼は、
子供
の
遊び
の意義を認め、
遊び
と
生活
の場としての
幼稚園
、キンダーガルテンを世界に広めたことで知られております。この
理念
が
小学校
にも取り入れられまして、当時、強い兵隊や
労働者
をつくるための
訓練
の場であった冷たい
学校
の中に、砂場や遊具などが導入されて現在の
小学校
の
スタイル
をつくり出したのであります。 私は、これをさらに進め、今こそ
都市化社会
の中で
子供たち
が楽しく
生活
する場として
学校
を再生することは極めて大事な
視点
ではないかと訴えたいのであります。
練兵場
をモデルとした
運動場
や画一的な
教育スタイル
はもう時代おくれであります。この意味から、
児童クラブ
の拠点として、
空き教室
があるから使わせてあげようという消極的な
対応
ではなく、
小学校
のより一層の
活用
をお願いしたい。
文部大臣
の御
所見
を
伺い
ます。 ところで、
中央児童福祉審議会
の
中間報告
にありました
里親制度
や
児童扶養手当制度
については
法改正
が見送られておりますが、その
理由
についてお
伺い
をし、今後、積極的な
対応
をお願いします。
最後
に、
子供
の
福祉
を
充実
させるという
改正
の
目的
を達成し得るかどうかは、それに従事する
方々
が自信を持って働くことのできるような
社会的ステータス
を持った
労働条件
などが
整備
されることが最も重要であると考えます。 中でも
専門性
の確立が求められます。優秀でかつ
子供
への愛情あふれる
人材
が人生をかけた仕事として携わっていただける
大学院程度
の高度な
専門性
と、一方、ボランティアの
方々
も気軽に参加していただけるという一貫的、総合的な
専門職体系
として
職員
の養成や処遇を
整備
する必要があります。このことによってこそ各
施設運営
が効率的、弾力的に行われるのであります。
現状
は、
施設ごと
に
職員資格
が変わったり、
専門資質
を必要としないものも多く、早急に検討すべきですが、
改正項目
には含まれておりません。
厚生大臣
はどのように取り組まれるのかお
伺い
をいたしまして、私の
質問
を終わります。(
拍手
) 〔
国務大臣橋本龍太郎
君
登壇
、
拍手
〕
橋本龍太郎
6
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君)
山本議員
にお答えを申し上げます。 まず、
児童福祉
の
理念
についての
お尋ね
がありました。 これは申し上げるまでもなく、
児童
が
心身とも
に健やかに生まれて、一人一人が個性豊かで、たくましく、思いやりのある
人間
として成長し、
自立
した
社会人
として生きていくことができるよう
児童
の
保護者
とともに
社会
全体で
支援
していく、これが
児童福祉
の
基本理念
である、そのように決められております。 また、
教育基本法
について
お尋ね
がございました。 これは御承知のように、
教育
について、
人格
の
完成
を目指し、平和的な
国家
及び
社会
の
形成者
として
心身とも
に健康な
国民
の
育成
を期して行わなければならないこと、こうしたことを掲げますとともに、すべての
国民
がひとしくその
能力
に応ずる
教育
を受ける
機会
を与えられなければならない旨を掲げております。
教育改革
を進めていくその上におきまして、当然ながらこの
教育基本法
の
趣旨
を踏まえながら、この国の将来を担う次の
世代
が国や
地域
の将来に高い志と国際的な視野を持って積極的にかかわっていく
世代
となるよう育てていく、こうした
視点
が必要でありますし、一人一人の
子供
を大切にしながら、その個性を伸ばし、豊かな
人間性
をはぐくんでいくという
視点
を大切にして
教育改革
を進めていきたいと思います。 殊に、
答弁
長くなってはいかぬと言われましたけれども、
一つ
私が申し上げたいことは、私の父親は
障害者
でありました。そして、当時の
学校教育制度
の中で、まず
高等学校
に入学する
資格
が、
軍事教練
ができないという一点で阻まれておりました。その後この
制度
は直りました。そして自力で
行動
のできる者には少なくとも受験のチャンスが与えられるように変わり、それは大学にも適用されるようになりました。 そうしたことを振り返ってみますとき、私は、一人一人の
子供たち
の自分の夢に挑戦する
機会
、これが妨げられてはならない、この点は
教育基本法
においても
児童福祉法
においても大切な
視点
ではないかと思います。 次に、
少子化対策
について御
意見
がありました。 この問題については、
議員
が
指摘
をされましたように、ただ単に
教育
あるいは
労働分野
、そうした幾つかの
部分
だけではなく、全体を束ねてさまざまな
制度
・慣習が存在をしている。そして、
出生率向上
のための政策の
有効性
につきましても、それぞれの
視点
からいろいろな
議論
が出されております。
政府
としては、
エンゼルプラン
を策定するなど、
子育て支援施策
というものを推進していますが、
少子化
問題についてはさまざまな論議が提起されていることも踏まえながら、幅広く
国民
の
議論
を求め、真剣に取り組んでいきたいと思います。
最後
に、
幼稚園
と
保育所
について、その
あり方
についての
お尋ね
がありました。 私は、元来、
子供
の
生活
というものを考えたときに、
遊び
の中に
教育
を取り入れている
保育
の姿というものが、
家庭
にかわる
環境
をつくる上で非常に大きな
効果
を持つ、そう考えてきた一人でございます。一方、
幼児教育
という
視点
から
幼稚園
が
整備
をされ、立派な役割を果たしてまいりました。私は、
双方
の
機能
が将来にわたっても必要なものだと思います。そして、
議員
も
指摘
をされましたような多様な組み合わせの中から、
保護者
である親御さんあるいはそのお子さんのために最もふさわしい
施設
を選べるような、そうした状況をつくっていくことが何よりも必要ではないか、そのように思います。 そうした
視点
から、従来、私は、
幼保一元化
という
議論
を必ずしも好んではおりませんでした。そして、
一つ
は、これから先、それぞれの
地域社会
にどちらが合っているのか、その
地域
の
実情
に応じて
双方
の
施設
の
共用化等
についても
平成
九年度中に検討を進めて弾力的な
運営
が図られるようにしていきたい、そのように考えております。一残余の
質問
につきましては、
関係大臣
から御
答弁
を申し上げます。(
拍手
) 〔
国務大臣小泉純一郎
君
登壇
、
拍手
〕
小泉純一郎
7
○
国務大臣
(
小泉純一郎
君)
山本議員
の御
質問
は、長年
児童福祉
を
専門
に扱い、取り組んでこられた見識を踏まえた御
質問
で、多岐にわたっておりますので若干時間を要しますが、御了承いただきまして、順次お答えさせていただきたいと思います。 今回の
改正
で、
認可保育所
以外の
保育サービス
がないということをどう思うかということでありますが、
認可保育所
以外の
保育サービス
については、
認可保育所
の定員にあきがある中で、
認可保育所
では、弾力化することにより
サービス
の質の
確保等
、
保育需要
の
多様化
にこたえていくことがまず必要であること、
ベビーシッター等
の
保育サービス
については、
地域
の
実情
に応じてさまざまな形態で行われており、一律の
法的規制
を設けることは必ずしも適当ではない、こうした
理由
かち、今回の
改正
では法的に位置づけなかったものであります。 また、
国民
の
保育需要
に
対応
した
保育所制度
についての
お尋ね
ですが、今回の
改正
では、選択できる
仕組み
に改めることなど、
子供
や
保護者
の立場に立ったものとすることとしており、これとあわせ、種々の
工夫
を図りつつ、
緊急保育対策等
五カ年
事業
を着実に実施することにより、
待機児童
の
解消
など、
国民
の
保育需要
にこたえるよう努めてまいりたいと考えております。
保育所
の
公費負担
についての
お尋ね
ですが、今回の
改正
においても、
保育所
の
運営費
を国庫が
負担金
として助成する
仕組み
は維持することとしております。
公費負担
については後退することがないよう努力したいと考えております。
児童自立支援施設
における
サービス内容
や
家族支援
についてですが、
少年法
の
保護処分
を受けた
児童
についても、
児童福祉法
に基づく
措置
により
入所
するものであり、他の
児童
と同様、
児童福祉
の
観点
から、個々の
児童
の態様に応じた
生活指導
など必要な
サービス
を
提供
するとともに、
家庭
との
調整
など
児童
の
自立
に向けた
支援
を行ってまいりたいと思います。 それと、
情緒障害児短期治療施設
については、今回の
改正
により、その
入所児童
について「おおむね十二歳
未満
」という
年齢要件
を撤廃いたしました。これに伴う
施設整備等
の
改善
については、今後、
中央児童福祉審議会
において御検討いただきまして、その結論を踏まえて適切に対処していきたいと思っております。 また、
放課後児童健全育成事業
についてですが、今回この
事業
を法制化することにより、一層の
普及
を図りたいと考えております。このため、本
事業
を行う
児童館
の
整備
に努めるとともに、いろいろな
工夫
を図りながら、
緊急保育対策等
五カ年
事業
を踏まえ、その推進をしていきたいと思います。 それから、
里親制度
と
児童扶養手当制度
についての
お尋ね
ですが、
里親制度
については、
現行制度
の
運用
の
見直し
により
対応
することとし、その
運用
の
実態等
を踏まえつつ、
制度
の
あり方
についても検討していきたいと考えております。 また、
児童扶養手当制度
については、
法案提出
に至る過程においていろいろ問題が出てまいりました。民法上の
扶養責任
との
調整
について
議論
がなかなかまとまらず、もう少し時間を要するのではないか。また、
制度改正
についてはいろんな御
意見
がありますから、その御
意見
を聞きながら、今後検討していきたいと考えております。
最後
に、
児童福祉
に従事する人々の
専門性
の
確保
や
資質
の
向上
については、
児童福祉
の
向上
を図る上で、人というのは大変大事であります。この
人材
をどうやって
確保
し、また、水準を上げていくか。従来から、段階に応じた研修等により
児童福祉
従事者の
資質
の
向上
、処遇の
充実
等に努めてまいりましたけれども、今後とも
中央児童福祉審議会
の
報告
を踏まえつつ、必要な
人材
の
育成
のため努力をしていきたいと思います。 以上であります。(
拍手
) 〔
国務大臣
岡野裕君
登壇
、
拍手
〕
岡野裕
8
○
国務大臣
(岡野裕君)
育児
休業についてお答えをいたします。 先生、
現行
育児休業制度
は、去る
平成
七年四月発足をいたしまして二カ年を経過いたしました。その
実態
でありますが、実は、
育児
休業がとれるという男女
労働者
の中で現実にとっております者、一〇・四%ということに相なっております。また、男女のうちでとっておる者の中、九九・八%が
女性
だと、こう相なっております。したがいまして、まだ周知が行き届かないのではないかという反省をしております。もっと大いにこれの周知に努めたい。加えて、これがとれるような
環境
をつくってまいらなければならない、こう考えているところであります。 なお、
育児
休業の
給付
率のアップ、先生は
充実
とおっしゃいましたが、これをつかまえますと、実は失業
給付
との均衡がございますので、
現行
の
給付
率をもって適当ではないか、かように存じているところであります。 以上であります。(
拍手
) 〔
国務大臣
小杉隆君
登壇
、
拍手
〕
小杉隆
9
○
国務大臣
(小杉隆君)
山本議員
から、
文部大臣
に二点
質問
がありました。 まず、
児童自立支援施設
入所児童
に対する就学義務の扱い及び
学校教育
についての
お尋ね
でありますが、従来、
教護院
入所児童
については、
学校教育法
二十三条に基づきまして、原則として一律に就学義務の猶予・免除の扱いとしてまいりました。これらの
児童
については、
児童福祉法
第四十八条二項、三項、四項に基づき、
教護院
内において
学校教育
に準ずる
教育
が行われてきたところであります。 今回の
改正
で、
教護院
は、
名称
を
児童自立支援施設
と改めるとともに、
児童福祉法
第四十八条二項、三項、四項を削除して
学校教育
に準ずる
教育
を行わないこととし、
施設
の長には
入所児童
を就学させる義務が課されることとなるものと承知しております。このことに伴い、
入所児童
に関する就学義務については、従来のように、当該
施設
に
入所
していることをもって一律に猶予・免除の扱いとはならなくなるのであります。
児童自立支援施設
の
入所児童
が
学校教育
を受けることとなる場合においては、その
教育
が適切に行われるよう
対応
してまいりたいと考えております。 次に、
放課後児童健全育成事業
に
学校
施設
の積極的
活用
を行うべきとの
お尋ね
でありますが、文部省では、
児童
生徒の減少により都市部を中心に生じた余裕教室を
学校教育
以外の用途にも積極的に
活用
していくよう
市町村
などに対し
指導
するとともに、財産
処分
の手続の簡素化を進めてまいりました。それにより、余裕教室等の
学校
施設
がいわゆる学童
保育施設
へも既に相当数転用されておりますが、今後とも余裕教室等が
放課後児童健全育成事業
を含め生涯学習や
福祉
など
地域
の
ニーズ
に即しより一層積極的に
活用
されますよう、星省とも連携しつつ努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。(
拍手
) —————————————
斎藤十朗
10
○
議長
(
斎藤十朗
君) 三重野栄子君。 〔三重野栄子君
登壇
、
拍手
〕
三重野栄子
11
○三重野栄子君 私は、
社会
民主党・護憲連合を代表し、ただいま議題となりました
児童福祉法等
の一部を
改正
する
法律案
につき、
総理
並びに
関係大臣
に
質問
いたします。 まず、
児童家庭福祉制度
再構築の
視点
でございます。 今回の
改正
は、実に五十年ぶりであり、子どもの
権利条約
批准後の国内法
整備
という大きな意味を持つものであります。
児童福祉法
は戦後間もない
昭和
二十二年に制定されましたが、近年では、
少子化
の進行、
夫婦共働き家庭
の
一般化
、
家庭
や
地域
の
子育て機能
の
低下
、
児童
の虐待の増加など、
子供
や
家庭
を取り巻く
環境
が
保育需要
を含めまして
児童
をめぐる問題を
複雑多様化
し、法発足以来の枠組みのままでは適切に
対応
することが難しく、
制度
と
実態
のそごが顕著になっています。 こうした
変化
に
対応
して、
子供
の
福祉
を増進し、
子育て
しやすい
環境
の
整備
を図るとともに、次代を担う
子供
の健全な成長と
自立支援
が要請されています。 したがって、私は、今回の
法改正
が、子どもの
権利条約
の
理念
が十分に生かされ、
子供
の
権利
を尊重し、
福祉
を重視した親子の
あり方
や
子供
の育つ
地域社会
の実現という
視点
に立った二十一世紀にふさわしい改革を望むものであります。 特に、本
法律案
が、子どもの
権利条約
とあわせて、既に批准された
女性
差別撤廃条約、ILO百五十六号条約の求めている
理念
が生かされたものであってこそ二十一世紀を直前にした
児童福祉
制度
の再構築への道だと考えますが、この点について、
総理大臣
並びに
厚生大臣
の御
所見
をお
伺い
いたします。 次に、
地域
・
社会
全体で
子育て
を
支援
するという
視点
でございます。
中央児童福祉審議会
の答申は、
児童
保育施設
、要
保護
児童
施策
、
母子家庭施策
を
見直し
検討するに当たって、子どもの
権利
に関する条約の
理念
を踏まえ、二十一世紀の少子・高齢
社会
を担う
子供たち
の
健全育成
を図るため、
地域
・
社会
全体で
支援
するという
視点
に立つことの必要性を述べています。現在、
政府
は、
少子化
への
対応
として
平成
七年度から
エンゼルプラン
及び緊急
保育
対策五カ年
事業
を策定、実施中でありますが、
子育て
に対する
社会
支援
がようやく始まったと評価しているところであります。 しかしながら、今回の
改正
において、
現行
の
児童福祉法
が
保育
の
対象児童
について、
保育
に欠ける子と、そのままにしていますが、子どもの
権利条約
の
理念
からすれば、当然、
保育
を必要とする子と改めていくべきでありましょう。 私は、
児童
家庭
施策
の
基本理念
は、
権利
主体としての
子供
を位置づける、すなわち
児童
家庭
施策
を推進し個別の援助を進めるに当たっては、
最大限
、
子供
自身
の
意見
をも反映する努力が必要であり、さらに自己の
意見
を表明する力の弱い
子供たち
についても、その
ニーズ
に沿った
児童
の最善の利益にかなう
サービス
提供
がなされる体制を
整備
すべきであると考えます。
子供
の
権利
保障
、
児童
の最善の利益という
言葉
は、既に
厚生省
の
子育て支援
策ではたびたび使用され、市民権を得たと見られます。
中間報告
でも、
子供
の最善の利益を
保障
することを精神とする
理念
が明示されて使用されているところであります。 例えば、深夜
労働
、職住分離による遠隔地通勤や単身赴任、離婚、死別等々につきましても、これらは
家庭
の事情のみでなく
社会
的要求からも生ずるものであります。したがって、
児童
家庭
施策
は、
行政
改革、財政改革の一環とする統廃合や財政支出の一律削減というような物差しであってはならないし、親の
責任
とともに、国や
地方
自治体の
公費負担
による
支援
は免れることができないと考えます。
中央児童福祉審議会
もまた、「二十一世紀の日本の
社会
は現在の子どもたちが支えていくものであり、次代の
社会
の担い手を育てる
子育て
についても
社会
全体で
支援
していくべきであるということを、
国民
合意として、再確認することが必要である」と
指摘
いたしております。
少子化
及び
子供
を産み育てる
環境
に大きな影響を持つ
保育
に対する
施策
には、公費の大幅な拡充と、国、
地方
自治体の
責任
はますます求められているのであります。 私は、子どもの
権利条約
国内批准五周年に当たる一九九九年をめどに
子供
基本法の実現を願うものですが、
子供たち
に夢と希望が見える
総理
の御
所見
をお聞かせください。 加えて、戦後五十年間
保育
の重責を担ってこられた
厚生大臣
並びに自治
大臣
、及び男女の
多様化
する
労働
実態
から
労働大臣
の御
意見
もお願い申し上げます。
最後
に、法案審議に対する要望であります。 本法案は、子どもの
権利条約
の具体化など七項目について述べておりますし、先ほども細かく説明がございましたけれども、その各項について前進面として評価できる点もありますけれども、我が党としては、まだまだ随所に討議と改革が必要であると考えます。 幸い、今回の
児童福祉法
改正
に関する自民、社民、さきがけによる与党プロジェクトチームが設定され、さらに本
法案提出
に当たり、「
子育て支援
に対する
国民
の共通認識を得るよう努力し、早急に
少子化対策
の確立、
エンゼルプラン
の拡充を図る。また、公費についても積極的に
対応
するよう検討する」ことや、
平成
十年度
予算
編成における配慮及び引き続きの検討事項等も含めた三党合意がなされております。 このプロジェクト並びに三党確認事項が法案審議に当たりまして尊重されることを要望し、
総理
並びに
厚生大臣
に
所見
を求めます。 なお、本法案のうち、
教護院
の
名称
、
機能
の変更
改正
がマスコミに取り上げられ、先ほども
文部大臣
からのお話もございましたけれども、
保護者
、教師など、そしてまた、広範な人々がこのことによって心配をいたしております。心配の
内容
については既にお通知しておりますから、この件についての
文部大臣
の御
意見
をいただいて、私の
質問
を終わります。(
拍手
) 〔
国務大臣橋本龍太郎
君
登壇
、
拍手
〕
橋本龍太郎
12
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君) 三重野
議員
にお答えを申し上げます。 まず第一点は、
児童
の
権利条約
などを踏まえ、
児童家庭福祉制度
を再構築すべきであるという御
意見
でありました。 今回の
改正
におきましては、
議員
よく御承知のように、
児童
の
権利条約
の
趣旨
を具体化するために、
保護者
が希望される
保育所
を選択できる
制度
、こうしたことを初めとして、この条約の
趣旨
を踏まえた
改正
を行っております。今後とも、こうした条約の
趣旨
がより具体化されるように
児童
家庭
福祉
施策
の推進に努めてまいりたいと考えております。 次に、
中央児童福祉審議会
の提言についての
意見
を求められました。 これは次代を担う
子供
に対し
地域
・
社会
の
支援策
をどうするか、こうした
お尋ね
でありますが、二十一世紀を担う
児童
が個性豊かに、また、たくましく、思いやりのある
人間
として成長するように
保護者
とともに
社会
全体が
支援
していくことは、最優先で取り組むべき事項の
一つ
だと思います。こうした認識に立って、
児童福祉法
の
理念
にのっとった
保育
などの
子育て支援
について、引き続き
社会
全体で
制度
、費用負担の両面から
支援
してまいりたいと考えております。
最後
に、与党プロジェクト並びに三党確認事項についての尊重を求められました。 今回の法案の提出に当たって与党三党の合意がなされました。この合意は、
少子化対策
の確立を初めとして、
保育料
、延長
保育
などについて三党間で確認をされたものであります。
政府
としては、
平成
十年度
予算
などにおきましても、その
趣旨
を踏まえ検討してまいりたいと考えております。 残余の
質問
につきましては、
関係大臣
からお答えを申し上げます。(
拍手
) 〔
国務大臣小泉純一郎
君
登壇
、
拍手
〕
小泉純一郎
13
○
国務大臣
(
小泉純一郎
君) 三重野
議員
に対しての答えですが、
総理
にすべて
答弁
していただいてしまったので、私も全く同じでありますので、省略させていただきます。(
拍手
) 〔
国務大臣
白川勝彦君
登壇
、
拍手
〕
白川勝彦
14
○
国務大臣
(白川勝彦君) 三重野
議員
にお答え申し上げます。
保育
対策についての
お尋ね
ですが、自治省といたしましては、
子供たち
が健やかに育つ
社会
、だれもが安心して
子供
を産み、育て、働き続けられる
社会
の実現のため、
緊急保育対策等
五カ年
事業
の
地方
負担分及び関連する
地方
単独
施策
に対し所要の
地方
財政
措置
を講じ、その積極的な展開を
支援
してまいりたいと考えております。(
拍手
) 〔
国務大臣
岡野裕君
登壇
、
拍手
〕
岡野裕
15
○
国務大臣
(岡野裕君)
労働
省の
関係
につきましてお答えをいたします。 先生冒頭おっしゃいましたように、夫婦それぞれが職場を持つという風潮が
一般化
してまいりました。したがいまして、
労働
省といたしましても、
家庭
生活
と職場
生活
が両立をするようにというようなことを踏まえまして、例えば男女雇用
機会
均等法、時短
促進
法、
育児
休業法、あるいは
労働
基準法の中の勤務時間管理、
労働
契約の
あり方
をもう一遍検討するというようないろいろな角度から先ほどの要請にこたえてまいりたい、こういう次第でございます。どうぞよろしくお願いいたします。(
拍手
) 〔
国務大臣
小杉隆君
登壇
、
拍手
〕
小杉隆
16
○
国務大臣
(小杉隆君) 三重野
議員
からは、
文部大臣
に対して、今回の
改正
によって
登校拒否
児童
にまでその
対象
を
拡大
されるのではないかという
保護者
や教師等の懸念についての
お尋ね
だと思います。 今回の
改正
によって新たに
児童自立支援施設
の
対象
となる
児童
は、「
家庭環境
その他の
環境
上の
理由
により
生活指導等
を要する
児童
」ということになっておりまして、必ずしも
登校拒否
児童
は
対象
とされるものではないというふうに承知しております。 なお、
登校拒否
については、文部省として、
学校
がすべての
児童
生徒の心の居場所となり、一人一人が生き生きとした
学校
生活
を送ることができるよう努めたいと思っておりますし、
学校
が
家庭
や
関係機関
と密接に連携して
対応
していく必要があると考えております。(
拍手
) —————————————
斎藤十朗
17
○
議長
(
斎藤十朗
君) 竹村泰子君。 〔竹村泰子君
登壇
、
拍手
〕
竹村泰子
18
○竹村泰子君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました
児童福祉法等
の一部を
改正
する
法律案
に関し、
総理
及び
厚生大臣
に
お尋ね
をいたします。 本年は、
児童福祉法
制定五十年という節目の年に当たります。この半世紀の間に
子供
を取り巻く
環境
は大きな変貌を遂げました。さらに、近年の急激な
少子化
の進展や子どもの
権利条約
の批准によって、
我が国
の
児童福祉
は今、大きな転換期を迎えようとしております。特に、
我が国
が一九九四年に批准・発効した子どもの
権利条約
は、
子供
は
権利
の主体であるとの
理念
の
もと
、
子供
の最善の利益や
子供
の
意見
表明権の
保障
を
規定
しております。
子供
に関するこれからの政策立案に関しては、この精神を取り込むことが重要な課題であることは論をまちません。 しかしながら、今回の
改正案
では、子どもの
権利条約
の
基本理念
は全く反映されておらず、五十年ぶりの抜本改革に期待した私たちの期待は、残念ながら裏切られたと言わざるを得ません。 二十世紀初期、子どもの
権利条約
の基礎となった子どもの
権利
宣言の前文には、人類は
子供
に対して最善のものを与える義務を負うとあります。
政府
が今回の
改正
の
趣旨
として
児童家庭福祉制度
の再構築をうたう以上、子どもの
権利条約
の精神に照らし、その総則、
理念
において
子供
の最善の利益及び
子供
の
意見
表明権を明記すべきではないかと思いますが、
総理
の御見解をお
伺い
したいと思います。 次に、
保育
制度
の
見直し
に関してであります。 今回の
改正案
によれば、
現行
の
措置制度
により
保育所
に
入所
する
仕組み
は、
保護者
が希望する
保育所
を選択する
仕組み
に改められるものとされております。しかしながら、大都市圏では申請しても
入所
できない待機児が数多く存在し、しかもその六割以上をゼロ歳から二歳までの
乳幼児
が占めているのが
現状
であります。
利用者
の
保育
を受ける
権利
や選択権を
確保
するためには、低年齢児を中心とする受け入れ枠を抜本的に拡充するとともに、産休・育休明け
保育
を含む低年齢児
保育
の
拡大
に向けて定員を弾力的に増減できるような
仕組み
を導入する必要があると考えますが、
厚生大臣
の御見解を
伺い
ます。 同時に、現場の保母や
乳幼児
を抱える多くの父母たちからは、今回の
制度改正
によって
市町村
の公的
責任
が後退したり、
公費負担
が減らされたりするのではないか、あるいは不当な競争原理によって
保育
の質が
低下
することはないのかといった不安の声が上がってきております。
保育
に対する公的
責任
、
公費負担
の維持拡充について
総理
の明確な
答弁
を求めるとともに、最低基準の引き上げを初めとする
保育
の質の維持
向上
について、
厚生大臣
の
答弁
を求めます。 特に、延長
保育
に関しては、昨年十二月の
中央児童福祉審議会
基本問題部会
中間報告
において、通常の開所時間内の
保育サービス
部分
への公費の重点的投入が提言されていることから、延長
保育
の
利用者
負担が重くなるのではないかという不安が広がっております。延長
保育
事業
に対する公的
責任
及び公費拡充について、
厚生大臣
の
答弁
を求めたいと思います。 さらに、今回の
改正案
では、
保育
の
対象
は依然として
保育
に欠ける場合に限られております。しかしながら、
子供
が
保育
に欠けるか否かの認定を
市町村
が行う限り、
現行
の
措置制度
が持つ欠陥は克服できないのではありませんか。
子育て
をめぐる
環境
が大きく
変化
し、密室
育児
や
児童虐待
が
社会
問題化している今、
保育
の
対象
を
保育
を必要とするすべての
子供
に広げる必要があると思いますが、
厚生大臣
の御見解を
伺い
ます。 次に、
子供
の
自立支援施策
の
充実
という
観点
から、
教護院
に係る
改正
事項についてお
伺い
いたします。
入所
率が四割に落ち込んでいる
教護院
の生き残り策と
もと
れる
改正
でありますが、
条文
を読む限り、
入所
対象
者の範囲が極めて不明確との感を否めません。さらに
教護院
は、従来、強制的な
行政
処分
による
入所
措置
が基本であり、これを前提とした
入所
対象
者の
拡大
には問題があると言わざるを得ません。この際、
入所
対象
者及び手続などの明確化を図り、
行政
処分
による
入所
対象
者を限定する必要があると思いますが、
厚生大臣
の御
所見
を承りたいと存じます。
最後
に、
子育て支援
策の総合的な取り組みに関してであります。 現在、
我が国
においては‘急速な少子・
高齢化
が進展しており、
子育て支援
のための
社会
全体の取り組みがますます重要性を増しております。我が民主党・新緑風会は、未来に
責任
を負う政党として、次代を担う
子供たち
の
権利
とその
健全育成
を
保障
するための総合的な対策を早急に講ずべきと考えます。同時に、この問題は、
総理
も提唱される
社会
保障
構造改革においても重要なポイントであると考えます。
総理
は、今後、
少子化
問題への総合的
対応
についてどのように取り組もうとお考えなのか、その具体的スケジュールをお示しいただきたいと思います。 また、
エンゼルプラン
にも盛り込まれた
子育て
コストヘの
社会的支援
の
あり方
についての検討の目途について、
厚生大臣
に
お尋ね
したいと思います。 同時に、当面の課題は
エンゼルプラン
及び
緊急保育対策等
五カ年
事業
の着実な推進であります。しかしながら、
現状
を見る限り、早くもその達成に黄色信号が点滅しているとの懸念を持たざるを得ません。
総理
も
厚生大臣
も、一人の父親としても
子育て
には大変に熱意のある方とお聞きしております。子どもの
権利条約
が批准されて三年たちますが、
子供たち
の周辺は変わったのでしょうか。受験地獄や体罰、いじめは依然として存在し、条約にある「子どもにかかわるすべての活動において子どもの最善の利益」が
保障
されているとは決して言えません。締約国は働く親を持つ
子供
が利益を受ける
権利
を
確保
するためにあらゆる適当な
措置
をとるということにも今回の
改正
は逆行しているのではないでしょうか。
エンゼルプラン
及び
緊急保育対策等
五カ年
事業
の着実な推進と達成について
総理
並びに
厚生大臣
の御決意をお
伺い
して、私の
質問
を終わります。(
拍手
) 〔
国務大臣橋本龍太郎
君
登壇
、
拍手
〕
橋本龍太郎
19
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君) 竹村
議員
にお答えを申し上げます。 まず、今回の
改正
におきましては、
児童
の
権利条約
の
趣旨
をより具体化するために、
保護者
が希望される
保育所
を選択できる
仕組み
や、
児童福祉施設
への
入所
の際に
児童
の立場が尊重される
仕組み
の導入などを織り込んでおりまして、私どもなりに努力をしてまいりました。
児童福祉法
の
理念
の
見直し
という点につきましては、引き続き検討すべき課題だと考えております。 次に、今回の
改正
におきましても、
市町村
に
保育サービス
提供
義務を課すと同時に、
市町村
の支弁する
運営費
に対しましてその一部を国庫が負担し、公的
責任
を果たすことによりまして、
公費負担
については後退しないよう努力してまいりたいと考えております。 次に、
少子化
問題についての総合的な
対応
という
お尋ね
がございました。 この問題にはさまざまな分野の
制度
や慣行などが
関係
しており、
出生率向上
のための
施策
の
有効性
につきましてもいろいろな
考え方
があることは御承知のとおりであります。
政府
としては、
エンゼルプラン
を策定するなど
子育て支援
策を推進しておりますが、
少子化
問題についてはさまざまな
考え方
が存在することも踏まえて、人口問題審議会における審議を初め、幅広く
議論
を求めながら総合的に検討していきたいと考えております。 また、
児童
の
権利条約
批准後、
子供たち
の周辺の
変化
がどれだけのものがあるのか、こうした
お尋ね
がありましたが、
少子化
の進行あるいは
家庭
や
地域
の
子育て機能
の
低下
などに
対応
し、
エンゼルプラン
や
緊急保育対策等
五カ年
事業
など、
子育て
のしやすい
環境
の
整備
に努めてまいりました。今回の
法改正
は、次代を担う
児童
の
健全育成
を
支援
するために
制度
を再構築するものでありまして、条約の
趣旨
にも沿ったものとして考えております。 また、
エンゼルプラン
及び
緊急保育対策等
五カ年
事業
の推進につきましては、さまざまな
工夫
を図ることにより、今後とも着実に推進してまいりたいと考えております。 残余の
質問
につきましては、
関係大臣
からお答えを申し上げます。(
拍手
) 〔
国務大臣小泉純一郎
君
登壇
、
拍手
〕
小泉純一郎
20
○
国務大臣
(
小泉純一郎
君) 竹村
議員
にお答えします。 かなり多いのですが、
総理
の
答弁
とできるだけ重複を避けてお答えさせていただきたいと思います。 低年齢児等の受け入れについては、今回の
改正
により、
利用者
の多様な
保育需要
に柔軟に
対応
し得る
保育
制度
とするとともに、いろいろな
工夫
を図りつつ、
緊急保育対策等
五カ年
事業
を着実に実施することにより、低年齢児の受入枠や産休・育休明け
保育
の
拡大
、これらのための定員の弾力化などに努めていきたいと考えます。
保育所
の基準についてですが、時代の要請にふさわしい
あり方
について、
サービス
の質を
確保
しつつ効率的な
サービス
提供
が図られるよう、その弾力化も含め
中央児童福祉審議会
において御検討いただき、適切に
対応
していきたいと思います。 延長
保育
事業
についてですが、その具体的な
仕組み
や費用負担の
あり方
について、
中央児童福祉審議会
における
議論
等も
伺い
ながら、今後検討していきたいと思います。
保育所
の
入所
対象
児を
拡大
することについては、
保護者
が
保育
できる
児童
に関する
公費負担
についての
あり方
や
幼稚園
制度
との関連などについて十分検討する必要があると思います。現時点では困難であると考えております。 いわゆる密室
育児
などの問題については、
保育所
における
子育て
相談
事業
の
充実
などにより
対応
したいと考えております。
児童自立支援施設
の
入所
の
対象
者や手続については、今回新たに
対象
となるのは、
家庭
における養育が適切に行われず、基本的な
生活
習慣が身についていないなど、
家庭環境等
の
理由
により
生活指導等
を要する
児童
であります。
児童相談所
長が
入所
措置
を行うに当たっては、
都道府県児童福祉審議会
の
意見
を聞くなど、客観的、
専門
的な見地から判断するとともに、親権者等の同意を得た上で適切に行うこととしております。
子育て
の費用への
社会的支援
の
あり方
についてですが、例えば
児童
手当
制度
の
あり方
についても、今いろいろな
意見
が出ております。今後、人口問題審議会等の場で幅広く
国民
的な御
議論
をしていただく中で合意形成を図っていく必要があると考えております。
エンゼルプラン
及び
緊急保育対策等
五カ年
事業
の推進でありますが、今後とも着実な推進に努めていきたいと思います。(
拍手
)
斎藤十朗
21
○
議長
(
斎藤十朗
君) これにて質疑は終了いたしました。 —————・—————
斎藤十朗
22
○
議長
(
斎藤十朗
君)
日程
第一
地方税法
及び
国有資産等所在市町村交付
金法
の一部を
改正
する
法律案
日程
第二
地方交付税法等
の一部を
改正
する
法律案
(いずれも
内閣提出
、
衆議院送付
)
日程
第三
地方公務員法
の一部を
改正
する
法律案
(
衆議院提出
) 以上三案を一括して議題といたします。 まず、委員長の
報告
を求めます。
地方
行政
委員長峰崎直樹君。 ————————————— 〔審査
報告
書及び議案は本号末尾に掲載〕 ————————————— 〔峰崎直樹君
登壇
、
拍手
〕
峰崎直樹
23
○峰崎直樹君 ただいま議題となりました三
法律案
につきまして、
地方
行政
委員会における審査の経過及び結果を御
報告
申し上げます。 まず、
地方税法
及び
国有資産等所在市町村交付
金法
の一部を
改正
する
法律案
は、
平成
九年度の固定資産税の評価がえに伴い税負担の抑制及び負担水準の均衡化を図るとともに、
平成
六年度の税制改革に伴う
市町村
の税収補てんのため、個人住民税及び
地方
たばこ税の税率
調整
により、道府県から
市町村
へ税源移譲を行うほか、特別
地方
消費税の
平成
十二年度廃止等の所要の
措置
を講じようとするものであります。 また、
地方交付税法等
の一部を
改正
する
法律案
は、
地方
財政収支が引き続き著しく不均衡な状況にあること等にかんがみ、
平成
九年度分
地方
交付税の総額の特例
措置
を講ずるとともに、後年度の法定加算額の特例を改めるほか、
地方
消費税収の未平年度化による影響額に
対応
するため、
平成
九年度限りの
地方
債の特例
措置
等を講じようとするものであります。 委員会におきましては、両
法律案
を一括して議題とし、深刻化する
地方
財政の
現状
と健全化への展望、
地方
分権の推進に伴う
地方
税源の
充実
策、固定資産税における評価の
あり方
、
地方
交付税
制度
の抜本改革の必要性等の質疑が行われましたが、その詳細は
会議
録に譲ります。 質疑を終局し、討論に入りましたところ、両
法律案
に対し、
平成会
を代表して小林理事より反対、自由民主党及び
社会
民主党・護憲連合を代表して関根理事より賛成、日本共産党を代表して有働委員より反対の
意見
がそれぞれ述べられました。 討論を終わり、採決の結果、両
法律案
は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、
地方税法
及び
国有資産等所在市町村交付
金法
の一部を
改正
する
法律案
に対して、附帯決議が付されております。 次に、
地方公務員法
の一部を
改正
する
法律案
は、当分の間、
地方
公務員等の
職員
が
職員
団体の役員として専ら従事することができる期間の上限を五年から七年以下の範囲内で人事委員会規則または公平委員会規則で定める期間に延長しようとするものであります。 委員会におきましては、衆議院
地方
行政
委員長穂積良行君より
趣旨説明
を聴取した後、直ちに採決の結果、本
法律案
は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 以上、御
報告
申し上げます。(
拍手
) —————————————
斎藤十朗
24
○
議長
(
斎藤十朗
君) これより採決をいたします。 まず、
地方税法
及び
国有資産等所在市町村交付
金法
の一部を
改正
する
法律案
の採決をいたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
斎藤十朗
25
○
議長
(
斎藤十朗
君) 過半数と認めます。 よって、本案は可決されました。 次に、
地方交付税法等
の一部を
改正
する
法律案
の採決をいたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
斎藤十朗
26
○
議長
(
斎藤十朗
君) 過半数と認めます。 よって、本案は可決されました。 次に、
地方公務員法
の一部を
改正
する
法律案
の採決をいたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
斎藤十朗
27
○
議長
(
斎藤十朗
君) 総員起立と認めます。 よって、本案は全会一致をもって可決されました。 本日はこれにて散会いたします。 午後一時十二分散会 —————・—————