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1997-05-08 第140回国会 参議院 文教委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月八日(木曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  五月七日     辞任         補欠選任      山本 正和君     梶原 敬義君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         清水嘉与子君     理 事                 小野 清子君                 鹿熊 安正君                 石田 美栄君                日下部禧代子君     委 員                 井上  裕君                 釜本 邦茂君                 世耕 政隆君                 田沢 智治君                 馳   浩君                 菅川 健二君                 林 久美子君                 山下 栄一君                 梶原 敬義君                 本岡 昭次君                 阿部 幸代君                 江本 孟紀君                 堂本 暁子君                 長谷川道郎君        発  議  者  馳   浩君        発  議  者  石田 美栄君        発  議  者  山下 栄一君        発  議  者  本岡 昭次君    委員以外の議員        発  議  者  南野知惠子君        発  議  者  木宮 和彦君        発  議  者  上山 和人君    国務大臣        文 部 大 臣  小杉  隆君    政府委員        文部大臣官房長  佐藤 禎一君        文部省生涯学習        局長       草原 克豪君        文部省初等中等        教育局長     辻村 哲夫君        文部省教育助成        局長       小林 敬治君    事務局側        常任委員会専門        員        青柳  徹君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○学校図書館法の一部を改正する法律案南野知   恵子君外七名発議)     —————————————
  2. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨七日、山本正和さんが委員を辞任され、その補欠として梶原敬義さんが選任されました。     —————————————
  3. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) 学校図書館法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより直ちに質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 小野清子

    小野清子君 自由民主党小野清子でございます。  教育問題が連日新聞をにぎわしておりまして、特に子供たちの、書いたものを読むといいますか、テレビ等を見ることと違って、書いたものを、本を読むということからの離れが大変大きく問題になっております。一方、大臣からもお話がありますように、自分自分の世界の中で書を読み心を膨らませていくということは、やはり個の確立あるいは想像力豊かな子供たちの発達の中に欠くことができない分野ではないかと思います。そういった観点から考えまして、学校図書館法の一部を改正する法律案議員立法でいろいろ御苦労をされ御提出をされましたことに心から敬意を表する次第でございます。  今回提出されました法律案は、過去に提出をされました学校図書館法の一部改正を踏まえながら関係者の協議の上にでき上がったと伺っておりますけれども、この法案提出までの経緯について少々お伺いをしたいと思います。
  5. 木宮和彦

    委員以外の議員木宮和彦君) ただいま小野先生から図書館法につきまして大変御理解のあるお言葉をいただきまして、感謝申し上げたいと思います。  実は、この学校図書館法というのは、昭和二十八年に議員立法議員発議いたしまして成立した法律でございます。そして、学校図書館整備充実を目途とした画期的な法律と言われております。  ただ、この学校図書館法では、学校図書館に欠くことのできない司書教諭設置について、第五条の第一項には置かなくちゃならないと書いてあるのでございますが、附則の第二条に当分の間置かないことができると、こう書いてございまして、その猶予措置附則規定されていまして、今日までそれが約四十年間改正されないで、置かなくてもいいということになっております。そこで司書教諭設置率が極めて低い率にとどまっているのが現状でございます。  この司書教諭設置が進まなかったことにつきましては、この附則存在のほかに関係者意識の低さやその他の要因考えられますが、いずれにいたしましても、このような現状を打破して学校図書館の再生を目指すべく法案をきょう提出した次第でございます。  そのために、過去の一部改正法案廃案になつた経緯等を十分に研究し、実はこれは五回にわたって法律案提出されましたが、一度は衆議院だけ可決され、また参議院だけで可決されたこともございますが、法律そのものは可決するに至りませんでしたので、平成七年から各党各会派からの調整を進めていろいろと検討を行ってまいりました。  平成八年の第百三十六国会において、連立与党に属する議員発議者として今回と同様の法案提出しましたが、趣旨説明を行ったままで継続審議となり、同年の九月二十七日には衆議院の解散がありまして廃案になっております。  今回は、前回の提出会派以外の方々にも法案趣旨に御理解をいただいて、ともに国会提出に至ったわけでございます。本法律案学校関係者教育委員会関係者文部省等意識改革の契機となることを強く期待しております。  以上でございます。
  6. 小野清子

    小野清子君 大変な御苦労の積み重ねの中で今参議院の中でこのように審議が行われるということに、心から改めて御労苦を多としたいと思います。  今回の法案では司書教諭は兼任となっているようでございますけれども、他の教科を指導しながら学校図書館の仕事に携わるということはかなりの負担になるのではないかというふうな感じがいたします。片や、教員の削減の問題がこれも連日行財政改革の中で出ておりますけれども、将来、いわゆる専任司書教諭制度化すべきという意見ももちろんあるわけでございますが、現状等をかんがみながら、どのようにこの点をお考えになっていらっしゃるか、お伺いをしたいと思います。
  7. 木宮和彦

    委員以外の議員木宮和彦君) ただいまの問いにお答えをいたしたいと思います。  司書教諭教諭として授業を担当するか否かということにつきましては、法制上の規定は全くございません。各学校校務分掌の上で工夫をして、司書教諭授業時間数をなしにして図書館に専念されているという例も、数は少ないんですが現在でも幾つかの学校において見られております。しかし、制度としてすべての学校司書教諭学校図書館専任とすることについては、現在の段階ではいろいろな困難があると思います。  まず第一に、学校においてはどの校務分掌子供教育指導と深いかかわりを持っておりますので、教職員協力体制を確保する必要があることから、教務主任あるいは学年主任という校務分掌がございますが、なども校務分掌によって学校の運営が行われている状況であり、他の校務分掌との関係で十分な検討が必要だと思います。  さらに、教職員にかかわる教職員としての免許資格あるいは養成制度人材確保、国の厳しい財政事情等、多く問題があると思いますので、直ちに専任ということは難しいと思います。  また、私の考えといたしまして、私の経験からも、司書教諭専任よりもむしろ多少でも授業を持った方が生徒から尊敬もされるし親しまれるので、私はその方が望ましいと思いますが、いずれにいたしましても今後の問題だと思います。したがって、今回は専任化を前提としない形で法改正を行うこととしたものでございます。  なお、今後、学校図書館充実され、専任教職員なしては運営できないほどの大きな機能と役割を現実に果たすようになった際には、司書教諭専任化についても検討する必要があろうかと思います。  一方、先ほど述べましたけれども司書教諭教育活動と切り離すことの適否、他の主任等との均衡、教職員全体で校務を遂行することの必要性という観点から慎重に検討をする必要があろうかと私は思っております。  以上でございます。
  8. 小野清子

    小野清子君 ありがとうございました。  児童生徒読書活動というふうな最初に私も私なりの意見を申し述べましたけれども、その意義というものをどのようにお考えになっていらっしゃるのか。また、やはり読書というものは楽しいものであるという認識の上では、環境整備というものも大変大事ではないかと思います。  また、私は個人的に、学校図書というものを地域のコミュニティーの核として、例えば休日を利用できるような開かれたものにすべきであり、またその雰囲気づくりというものも大変読書というものを楽しくする上で大事なことではないかと思うんですけれども、この辺のお考えはどのようになっておるのでしょうか。
  9. 南野知惠子

    委員以外の議員南野知惠子君) もう先生のお説のとおりでございます。先生もいろいろと御活動をしておられるところでございますが、やはりこれからの学校教育というものにつきましては、みずから学び、自分考えて、そしてよりょく問題を解決する、そういうような能力をつける、またさらに、人間性を豊かにして生きる力をはぐくんでいくということがやはり必要ではないかなというふうに思っております。  活発な読書活動というものが子供たちの知的な好奇心、また興味や関心を高めてさまざまな感動を呼び起こす、そういったものを味わわせるということが一番大切になってくるのではないかなと。また、それが子供人格形成や情操をはぐくむ上でも大きな意義を示すものだというふうに考えております。  このような重要な意義を有する児童生徒読書活動を活発にしていくためには、学校図書館というものを子供にとっての心のオアシスの場とするということが一番必要ではないかなと思っております。日々の生活の中で子供がくつろげるような環境をつくる、そして進んで読書を楽しむ、そして図書館を訪れて読書活動の拠点としていけるような環境整備が必要ではないかというふうに思っております。  そのようなためにどのような環境整備かといいますと、やはり学校図書館が自発的で自由な読書を行う場となるように、狭いところではなく、ゆったりとしたスペースを設けたり、談話室を隣に設けたり、またそういったことをすることによって読書センターとしての機能充実させていくということがやはり必要ではないか、そのようなことが期待されるわけでございます。  以上でございます。
  10. 小野清子

    小野清子君 ありがとうございました。
  11. 馳浩

    馳浩君 おはようございます。自由民主党の馳浩でございます。  本改正案学校図書館充実、ひいては児童生徒読書離れを解消する上で大きな第一歩となることを確信しております。  しかし、本改正案だけで十分かといえばそうではありません。司書教諭配置に伴う校内協力体制をどうするか、いわゆる学校司書をどう位置づけていくか、学校図書館をどう情報化社会に対応させていくかなど問題は山積しており、この点の解決を見て初めて十分なものとなります。この点を踏まえるならば、司書教諭配置と同時並行的に推進していかなければならないあるべき諸政策を文部省に問いただし、さらには提案していく必要があると考えます。  そこで、本改正案発議者ではありますが、むしろ発議者であるからこそその責任の重さから文部省に質問すべきと考え、今回質問させていただくことになりました。よろしくお願いいたします。  まず最初に質問申し上げます。司書教諭設置現状はどうなっているのでしょうか。司書教諭の有資格者の数、公立学校での割合、さらには発令の人数、発令のなされている学校割合を詳しく教えてください。
  12. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) 司書教諭設置現状でございますが、まず司書教諭有資格者の数でございますけれども平成六年度の公立学校につきまして見てみますと、トータルで一万二千五百六十九人となっております。内訳は、小学校が六千七百八十五人、中学校が三千五百八人、高等学校千八百九十七人、特殊教育学校三百七十九人で、トータル一万二千五百六十九人でございます。  学校種別割合でございますけれども小学校で一九・九%、中学校で二八・一%、高等学校で二七・三%、特殊教育学校で二六・三%でございます。これが司書教諭有資格者数現状でございます。  それから、発令状況でございますけれども平成八年度の国公私合わせての状況でございますが、トータルで五百二十四人、率といたしまして一・二五%でございます。内訳といたしましては、小学校で七十二人、〇・三%。中学校で百十一人、一・〇%。高等学校で三百三十六人、六・二%。特殊教育学校で五人、〇・五%、こういう現状になってございます。
  13. 馳浩

    馳浩君 有資格者一万二千五百六十九人中五百二十四人にしか発令されていない、つまりわずか四%の有資格者にしか発令されていないことになります。さらに、私立も含めて司書教諭は百校に一人しか配置されていません。小学校では三百校に一人だけであります。この状態が四十数年放置されたわけでありますが、なぜ司書教諭発令がこうまで実施されなかったのか、お教えください。
  14. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) 私ども平成四年になぜ司書教諭発令されていないのかという理由について調査をいたしておりますが、その調査の結果を見ますと、こうした回答が寄せられております。  小中学校におきましては、学校規模等からして図書係等校務分掌で担当することで足りる、あるいは有資格者がいるが学校図書館でなく他の校務分掌を担当しているといった理由上位を占めております。それから高等学校につきましては、事務職員等学校図書館事務を担当しているので司書教諭発令は不要である、あるいは有資格者がいるが学校図書館でなく他の校務分掌を担当しているといった理由上位を占めております。また共通に、その他といたしまして、小規模校のため、あるいは学級担任をしているため、あるいは学校図書館法附則第二項があるからといった理由を主な理由として挙げてございます。  これらを見ますと、当分の間置かないことができるという学校図書館法附則第二項の規定存在、あるいは学校図書館に関する学校におきます認識の問題、あるいは司書教諭に対します認識の問題、あるいは司書教諭を引き受けるということに対します新たな負担増に対する抵抗感等理由として考えられるのではないかというふうに考えてございます。
  15. 馳浩

    馳浩君 以上のような理由を踏まえまして、これまで文部省はどのような施策をとってこられたのでしょうか。
  16. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) ただいま数字で申し上げましたように、司書教諭資格を持っている方々、この方々学校全体を見渡しますと二、三割の方がいらっしゃるわけでございます。ただ、実際の発令ということになりますと五百数十人という少ない数になっているというわけでございます。  そこで、私ども、先ほどの理由調査等を踏まえまして、学校図書館あるいは司書教諭重要性に対します認識の変革、それから新たな職務負担増に対する抵抗感問題等を主要な要因と分析をいたしまして、これまで司書教諭発令促進に取り組んできたわけでございますが、まずは学校におきます学校図書館あるいは司書教諭重要性についての認識を促すという観点から、読書指導研究指定校というようなものを設けまして取り組んでいただく、あるいは各種の広報等による啓発活動というような施策を推進してまいりました。  また、平成七年八月に児童生徒読書に関する調査研究協力者会議報告をちょうだいしたわけでございますが、その報告を踏まえまして各都道府県教育委員会に対しまして指導通知を発しまして、司書教諭講習の積極的な受講の促進司書教諭発令促進養成発令計画作成等、積極的かつ計画的な取り組みについて指導、要請を行ったところでございます。また一方、国といたしましても司書教諭講習実施大学数というものの拡充に努めてまいったところでございます。  このように、私どもといたしましては、国、地方公共団体、各学校、それぞれが取り組む中でこの司書教諭設置促進に努めてきたわけでございますけれども現状は先ほど申し上げましたような数字にとどまっているということでございます。
  17. 馳浩

    馳浩君 読書指導研究指定校あるいは啓発活動指導通達とありますけれども、例えばこの通達の内容にいたしましても、学校図書館法司書教諭を置くようにと定めているのであるから置きなさいといった印象のある、形式面での強調でしかありません。今回の附則第二項の改正につきましても同様な側面があります。通達法律に変わっただけとも言えます。法律での命令、強制であるだけに司書教諭配置されるでありましょうが、学校校務分掌図書担当のいわゆる係教諭司書教諭に変わるだけで、実態の改善が何ら見られなければ仏つくって魂入れずになってしまうおそれが多分にあります。  問題は、教師全体が司書教諭重要性必要性について本当に理解しているかどうかにあります。この点の指導研修等をどうしているのでしょうか。各学校教育委員会取り組みのほか、文部省取り組みも教えてください。
  18. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) ただいま御指摘のあったとおりでございまして、平成七年八月に出されました児童生徒読書に関する調査研究協力者会議報告におきましても、各学校においては、すべての教師子供子供の本及び学校図書館について理解を深め、校長のリーダーシップのもと全教職員協力して学校図書館充実させていくことが重要であると、こういった趣旨の精神に基づきまして種々の提言がなされているわけでございます。  私ども読書指導についての専門的な知識等を持って学校図書館利用指導、あるいは読書指導におきます校内協力体制の中心となることが期待されております司書教諭重要性ということにつきまして、学校全体がこれを評価する、あるいは教育委員会もこれをバックアップするということが大変重要であろうというふうに思いますが、ただその職務が重要である、重要であると言っておるだけでは十分でないわけでございまして、学校全体としてそういう認識の高揚ということが大事なわけでございます。  そこで、各教育委員会段階におきましてもさまざまな取り組みが行われているわけでございますけれども文部省といたしましては、先ほど一つ御紹介いたしましたけれども読書指導研究指定校というようなものを学校にお願いをいたしまして、校内協力体制あり方に対する研究をお願いする、こういった事業を行っておりますが、それ以外にも、校長、教頭あるいは教育委員会職員等を対象といたしました学校図書館活用指導者講座といった事業を実施しまして、関係者理解促進に努めているところでございます。  そのほか、先ほど申し上げましたような協力者会議報告を御通知し、司書教諭発令促進をお願いしている、こういったこともあわせて行っていることは先ほど御説明したとおりでございます。
  19. 馳浩

    馳浩君 法改正なしでも、現在司書教諭の担当する授業時間数を軽減したり、さらには全くなくしていわば専任状態にすることはできるのでしょうか。
  20. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) 学校図書館法の第五条第二項には「司書教諭は、教諭をもつて充てる。」というふうに規定してございますけれども司書教諭教諭としての授業を担当するか否かということについては直接の規定はございません。授業を担当する場合におきます授業時間数の軽減、あるいは全く授業を担当しないか否かということは各学校校務分掌上の工夫において行い得るというふうに考えております。  これは平成四年の十月に私ども調査をいたしました。その結果で見ますと、各学校におきまして校務分掌のさまざまな工夫をする中で、小学校の場合一・四時間、中学校の場合一・五時間、高等学校で十一・八時間平均いたしまして司書教諭先生方授業時間の軽減が図られているというような結果も出てございますし、また、学級担任を持っております司書教諭先生は全体の三九・二%というような数字も出ているところでございます。  いずれにいたしても、司書教諭発令をされた方の勤務のあり方というものは各学校におきます校務分掌あり方として決められるものであるというふうに解しておるところでございます。
  21. 馳浩

    馳浩君 学校の裁量によって専任状態にもできますし、授業時間数も軽減したりできるということでありますが、この場合にほかの教諭にしわ寄せが来ますが、司書教諭が適切に当該職務を果たすためには、教諭全体の理解のほかに、さらに校内協力体制が不可欠であります。この点を各学校教育委員会に任せただけでは文部省としては無責任であります。そうかといって教員の加配をするのは、人さえ充てればよいというような安易な解決方法であり、国家の非常事態である財政難の折、非現実的な方法とも言えます。  そこで、制度的な工夫が必要であり、文部省はこの点をどう考えているのでしょうか。例えば、宮崎県の延岡市にはこういう方式がありまして、公立図書館学校図書館をコンピューターでネットワーク化して資料の収集を効率化、迅速化し、公立図書館司書に各学校を巡回してもらって協力を求めるという、こういう工夫もしておられるようでありますし、参考になるとは思うんですが、さて文部省はどのように考えておられるのでしょうか。
  22. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) 学校図書館を単に学校図書館だけでとらえるんではなくて、教育委員会全体としてサポートする、あるいは公共図書館との連携を図る中でその機能活性を図っていくということは大変重要なことであるというふうに認識をいたしております。  そこで、ただいま先生の方から一つ事例が御紹介されたわけでございますけれども、私どもも、他の地域におきましても公共図書館から学校図書館巡回訪問を実施している例、あるいは教育委員会学校図書館指導のできる専門的な知識を持った職員が置かれ、あるいは地域のボランティアというような方々学校図書館に対してさまざまな形で協力をするというような取り組みも承知をしているところでございます。  私ども先ほど研究指定校を設けているということを申し上げたわけでございますけれども、そうした研究指定校での取り組み報告の中でもこうしたさまざまな工夫事例報告されております。  一、二御紹介させていただきますと、例えば大阪府の羽曳野市の例でございますけれども、ここでは公共図書館とのネットワークを形成いたしまして図書資料を活発に交換し合う、そして学校図書館活動充実に寄与している例が報告されてございますし、また千葉県の市川市では、退職された学校経験者を嘱託の読書アドバイザーというような形で配置をいたしまして体制充実を図っているところでございます。  文部省といたしましても、こうした取り組み学校図書館充実強化に資するものということで、平成七年度から学校図書館情報化活性化推進モデル地域指定といった事業を発足いたしまして、学校図書館と他の機関の連携を密にする中で、学校図書館充実強化を図る、そういった取り組みを促す事業を始めているところでございまして、今後ともこうした事業につきましては積極的に取り組んでまいりたいというふうに思います。  このことが先生指摘の一単に学校図書館学校の中だけで考えるのではなく、さまざまな支援体制の中でこの活性を図っていく、その施策にも資するものではないかというふうに考えております。
  23. 馳浩

    馳浩君 司書教諭資格について質問いたします。  七科目八単位、実務経験によっては一科目二単位の講習の履修で資格が取れることについて、その専門性からいって不足、不十分との意見をよく耳にいたします。この点、文部省はどう考えておられるのでしょうか。
  24. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) 司書教諭資格取得の点でございますけれども司書教諭資格を取るためには、教諭の普通免許状を持っている方が一定の講習を受けるということになってございまして、原則として七科目八単位ということになってございます。  七科目の内訳といたしましては、学校図書館通論、学校図書館の管理と運用、図書の選択、図書の整理、図書以外の資料の利用、児童生徒読書活動学校図書館利用指導、この七科目につきまして八単位を履修していただくということで司書教諭資格が取得し得るということになってございます。  加えまして、学校図書館についての実務の経験を持っておられる場合には、二年以上の実務経験を評価いたしまして、図書の整理、図書以外の資料の利用、学校図書館利用指導の四単位を修得すれば司書教諭資格が得られる。また、四年以上の実務経験を有する先生の場合には、図書の整理の二単位を修得するということによって司書教諭資格が取得し得るというようなことになってございます。  このような司書教諭養成方法が現在とられているわけでございますけれども、いろいろな考え方があろうかと思いますけれども、長年の経験に基づきましたこうした司書教諭養成あり方につきましては、基本的にはおおむね妥当なものではないかなというふうに考えてございます。  ただ、先ほども御紹介いたしましたけれども平成七年八月の児童生徒読書に関する調査研究協力者会議報告の中でも、その内容の見直しを含めまして、この司書教諭講習あり方につきましては適宜見直し、検討を行っていくべきであるというような御指摘もございます。そのような御指摘も踏まえまして私ども、講習内容のあり方あるいは科目免除のあり方、あるいは講習の方法等につきまして今後見直し、検討を行ってまいりたいというふうに考えております。
  25. 馳浩

    馳浩君 おおむね妥当というような意見もありましたけれども学校図書館を取り巻く状況というのは、例えば情報化社会に対応するということでありますとか、あるいは図書館が保健室と同様にある意味では心のオアシスとなるというふうな観点もありますので、そういう意味では、講習の内容が現代的なものに対応できますようにより一層充実されますことを御要望申し上げます。  次に、現在、教育職員免許状取得前の大学在学中に司書教諭資格を取ることはできませんが、これをできるようにすべきではありませんか。さらに、これと関連して、司書教諭資格が採用時に考慮されるようにすべきと考えますが、いかがでしょうか。  こう考えますのも、本改正案では平成十五年三月三十一日までに小規模校を除き大学以外のすべての学校に少なくとも毎年六千人、計三万六千人の司書教諭発令配置しなければならず、そもそも有資格者自体のさらなる増加が喫緊の課題であるからであります。いかがでしょうか。
  26. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) まず、司書教諭の科目取得のあり方の問題でございますけれども、現行の制度では、先ほど御紹介いたしましたように、学校図書館法の第五条第二項におきまして、司書教諭は「司書教諭の講習を修了した者でなければならない。」と原則が定められておりまして、それを受けました学校図書館司書教諭講習規程におきまして受講資格が書いてございますが、そこでは「講習を受けることができる者は、教育職員免許法に定める」「教諭の普通免許状を有する者」でなければならないというように規定されてございます。したがって、現在の制度におきましては、教諭の免許状をまだ有していない在学中の段階司書教諭の講習を受講することはできない、そういうルールになってございます。  しかし、先生ただいま御指摘にありましたとおり、今後全国的に司書教諭養成を拡充して学校図書館充実を図っていく、このことが要請されているわけでございますが、その際、学校先生を目指そうとする意欲のある学生に学校図書館重要性あるいは児童生徒読書指導意義を学ばせるということは大変大きな意味のあることと考えます。そういう意味で、この司書教諭講習あり方、受講資格の問題も含めまして、今後鋭意検討をさせていただきたいというふうに思います。  それからまた、第二の点でございますけれども、こういった形で司書教諭資格を持っていることが採用において考慮されるべきかということにつきましても、大変重要な御指摘であろうかと思いますが、採用は各任命権者が総合的な観点から判断すべきものでございまして、文部省として一律に指導するということはなかなか難しいことでございますが、そういう呼びかけは教育委員会の方にしつつ、各教育委員会の適切な判断を待ってこれに対応していくということが至当ではないかなというふうに考えております。
  27. 馳浩

    馳浩君 次に、いわゆる小規模校の取り扱いについて質問いたします。  今回の改正で、例外的に政令で定める規模以下の学校については司書教諭設置改正前同様に猶予されます。政令ではどの程度の規模を対象にする考えでしょうか、その理由もあわせてお聞かせください。
  28. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) この政令の定めにつきましては、この法改正に対します国会での御議論あるいはこれまでの法案作成の御議論というようなものを踏まえまして、これから検討していく事項であろうかというふうに思っているわけでございますけれども、この法律では平成十五年三月三十一日という期限を限って一定規模以上には司書教諭設置するということになってございますので、この養成確保という観点も大変重要なことだろうというふうに思います。  そういったことや、あるいは学校につきましては現在、規模で申しますと、小中学校を通しまして十二学級以上十八学級以下を標準とするというような学校の適正規模の規定もございますので、こういった規定等を勘案しつつ検討をしていきたいと思っておりますが、一つの目安としてこの十二学級というようなものも考えられるのかなというような気持ちでございますが、いずれにいたしましても、今後の法案作成の過程での御議論あるいはこの国会での御審議等を踏まえながら我々十分検討して政令を作成していく、そういうような段取りになろうかというふうに思っております。
  29. 馳浩

    馳浩君 学校教育法施行規則第十八条によりますと、分校は、小学校は原則五学級以下、中学校は二学級以下であることから、この五学級または二学級以下を小規模校として当該政令で定め、六学級以上または三学級以上では司書教諭配置を義務づけることはできないのでしょうか。できないのであるならば、その算定根拠を明らかにしつつ説明をしてください。
  30. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) ただいま御答弁申し上げましたように、この政令の定めは、この国会での御審議等を踏まえながらこれから私ども検討していかなければならないわけでございます。  先ほど標準規模である十二学級というのを一つの目安として考えてはどうかなということを申し上げましたのは、設置を義務づけるということであれば、学校規模として標準規模とされている、それを下回るということはいかがかという観点と同時に、平成十五年三月三十一日までに一定規模以上の学校には必ず司書教諭設置するという義務づけが発効するわけでございますので、そのためには、これからの六年間でどのように司書教諭資格を持った方々養成し、そして実際に各学校司書教諭発令していただくかという観点も重要なことだろうと思います。余りにも高いレベルで設定をいたしまして平成十五年三月三十一日までにこの養成確保が間に合わないということでありますれば、これは法律に反するというような状況になってございまして、決して許されることではございません。そういうことでぎりぎりの努力をいたすわけでございますけれども、こういった点も勘案しなければならないと思っております。  そこで、ちょっと話が長くなるわけでございますけれども、仮にということで十二学級以上ということで私ども試算をいたしますと、現在、特殊教育学校を含めまして小中高等学校、全国で四万二千校ございますけれども、そのうちの十二学級以上ということになりますと、三万七千五百校余に必要になってございます。  そこで、各学校に一人の資格を持った方ということでありますと、これは人事異動関係等さまざまに難しいことがございますので、各学校に二人の有資格の方を配置するということにいたしますと四万八千人の先生が必要になります。冒頭御説明いたしましたように、司書教諭資格を持つた方は現在一万二千余ございますので、差し引きいたしますと三万六千名の司書教諭資格を持つた方が必要になるということになります。それを六年間ということですと、毎年六千名の司書教諭養成、そして実際の発令ということが平均でならしますと必要になってくるわけでございます。  毎年六千名の養成確保ということは、現在の実施大学校は五十九校でございますけれども、それにこのたびの法改正によりまして大学以外の教育機関におきましても講習が実施し得るというようなルールになりますと、実施可能でございますけれども、それをさらにふやすということになりますと、これはかなりさまざまな講習会の実施の対応その他困難が生じてくるという面もあろうかと思います。  そういうことで、私どもといたしましてはおおむね十二学級というような規模を想定しているということでございます。このことは、だから十一学級以下の学校には配置されなくてもいいのかといえば、そういうことではもちろんないわけでございますけれども、日限を限って司書教諭設置するという実際の対応を実行していくということでございますので、そのくらいの規模のところが一つの目安かなというのが我々の今の考え方でございます。
  31. 馳浩

    馳浩君 今、辻村さんは数字のレトリックを使われたような感じで人数のことをおっしゃいましたけれども、盛んにおっしゃいます十二という学級数を、逆に小規模校が十一学級以下ということにいたしますと全体の約四〇%以上が小規模校に当たるわけであります。ということを考えますと、これまでに四十数年間司書教諭学校図書館法がありながらも配置されていない状況考えますと、ここ六年間で自主的に司書教諭配置されるとはなかなか考えられないと思います。そうであるならば、教育基本法三条にうたう教育の機会均等の原則が崩れるとも言えなくはないわけでありまして、この点、大臣の所見を伺いたいと思います。
  32. 小杉隆

    ○国務大臣(小杉隆君) 私は、大規模小規模を問わずすべての学校司書を置くということが望ましいと考えるわけでありますが、現実は、今初中局長から答弁したとおり、今議員提案をされている十二学級以上にこれから配置するとしても、今後平成十年から十五年までで毎年六千人ずつふやしていかなきゃいけない。そうすると、その司書教諭養成とかあるいは確保という面からいうと、現状ではなかなかこれを達成するだけでも難しい、今直ちにそれでは小規模校まで全部やるというのは実現可能性という面から見ると極めて疑問である、こういうことで、提案者の方もそういうことを踏まえて十二学級に平成十五年までということにしたと私は理解しております。  ただし、私は小規模校においても有資格者があればぜひ司書教諭設置を進めていただきたいと思っておりますし、また、地方公共団体の援助とか学校間の協力とかあるいはボランティアとかいろいろな工夫によって十分その司書教諭機能が果たせるような、そういう運営をぜひやっていただきたい、そう考えております。
  33. 馳浩

    馳浩君 今、大臣は十二学級にしたとおっしゃいましたけれども、まだしたというのではなくてこれからの文部省取り組みでありますので、その点はちょっと自重していただきたいと思います。  さて、本当に大臣のおっしゃるとおりでありますが、問題は、司書教諭を置けないかわりの次善の策としてどういう施策をこの小規模校に対して展開していくかということであります。  先ほど私も述べさせていただきましたが、小規模校こそ公立の図書館とコンピューターで結びつけ、そこの司書に巡回していただくなどの施策を実行すべきであるとも考えますが、この小規模校に対する措置をどうされるか、文部省考えを聞かせてください。
  34. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) ただいま大臣から御答弁がございましたように、司書教諭重要性学校図書館重要性ということを考えますと、これは小規模校であるから置かれなくてもいい、あるいは十分でなくてもいいということではないことはもちろんのことでございます。しかし、先はどのようなさまざまな観点から、平成十五年という期限を区切った場合には一定の規模のところで線を引かざるを得ない。そして、それに向けて努力をしていく、その努力も大変な努力をしていかなきゃいけないということで、今のように一応の線引きをせざるを得ないというわけでございます。  しかし、だからといって、小規模校に学びます子供たちにこの学校図書館のサービスというものが不十分であっていいというわけではもちろんないわけでございます。そこで、各学校先生方、図書主任とか図書係とか図書委員会とかというような校務分掌を担当されておられる先生方、これは現在でもそういう形で司書教諭先生ではないわけでございますけれども校務分掌として担当していただいておりますが、そういう先生方にさらに御努力をお願いしなければならないわけでございますが、あわせまして、学校の外からこうした学校にさまざまな形で支援をするということも大変重要なことだろうと思います。  先ほどからもお話を申し上げておりますけれども、実際に地域公共図書館学校図書館とをさまざまな形でネットワークを結んで協力体制をしておる取り組みが幾つかございます。巡回訪問もございますし、また、コンピューターネットワークというような形で協力体制をとっているところもございます。また、地域のボランティアというような方々が地元の地域学校図書館にさまざまな形で協力をしているというような例もございますし、先ほど申し上げましたように、一度学校を引かれた先生が嘱託というような形で学校図書館にまた参加されるというような例もあるわけでございます。  このようなさまざまな形での取り組み、こうした取り組みを大事にして、小規模校、そして司書教諭発令が行われていないそういう学校におきましても学校図書館機能が低下するというようなことがないようにさまざまな形で取り組み充実していく、こういったことを私ども地方公共団体あるいは学校にお願いをし、また、さまざまな形で御支援を申し上げたいというふうに考えておるところでございます。
  35. 馳浩

    馳浩君 よろしくお願いいたします。  では、大臣に質問を申し上げます。  第十五期中教審が打ち出した答申の中で「生きる力の育成」ということがありまして、要は自主的に学び、力をつけていく学習方法ということでありますが、その中で、調べ学習ということが、これが生きる力を養成するための効果的な学習方法であると考えられております。要は本を活用する、映像を活用する、音楽を活用する、そうやってみずから主体的に学習意欲を持って真理を探求するという、そういう調べ学習に対して大臣はどのようにお考えであるかという点。そして、その調べ学習を推進する施策として文部省で何がとられておられますかという点。そして最後に、そのためには学校図書館における人と物、まさしく図書の充実が必要なわけでありますが、この充実に対しての取り組み。この三点につきまして、大臣のお考え、それから文部省としての取り組みをお伺いしたいと思います。
  36. 小杉隆

    ○国務大臣(小杉隆君) 先ほど提案者の南野議員からもお答えがあったと思いますが、これからの学校教育においては、ただ一方的に教員から教わるというだけではなくて、みずから考え、みずから調べ、みずから問題を解決する、こういう能力とか豊かな人間性をはぐくむということが必要、つまり生きる力を育てるということが重要になってくると思うわけでございます。そうした目的のために学校図書館を活用して、子供たちが求めるものを、それはいろいろ試行錯誤もあろうかと思いますが、そういうことを繰り返しながら、さまざまな資料に当たって調査をしていく、そういういわゆる調べ学習ということはこれからの学校教育の中で重要になっていくというふうに考えておりますので、このような学習が実際の学校において展開されるように進めていきたいと考えております。  具体的なことはまた局長の方から、もし補足があれば言ってもらいますが、以上でございます。
  37. 馳浩

    馳浩君 いや、結構です。ありがとうございました。  続きまして、いわゆる学校司書について質問を申し上げます。  いわゆる学校司書と言われる学校図書館職員がどのくらいの割合配置されているのでしょうか。小、中、高校別で教えてください。
  38. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) 学校司書の数でございますけれども文部省がつかんでおります数字平成四年でございますけれども公立学校につきまして、小学校三千五百六十六人、中学校千七百三十一人、高等学校二千八百十六人というように承知をいたしております。  また、もう少し新しいデータで、平成七年三月、これは全国学校図書館協議会にお願いをいたしまして、学校図書館担当の事務職員のいる学校割合調査した数字では、小学校の一三四%、中学校の一五・七%、高等学校全日制の七三・〇%に配置をされていると、こういうような数字を私ども承知をいたしております。
  39. 馳浩

    馳浩君 では、その身分あるいはその雇用形態はどうなっているのでしょうか。
  40. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) 学校司書は教育職員ではございません。教員以外の学校図書館の運営事務を担当する職員でございます。  それぞれの地方公共団体によって任用基準等を定めておるわけでございますけれども、その発令の形といたしましては、事務職員あるいは技術職員等の形で発令をされております。また雇用の形態につきましても、正規職員の場合もございますし、非正規職員の場合もあるというように承知をいたしております。
  41. 馳浩

    馳浩君 そこでの質問ですが、学校司書が現場で果たしてきた役割は大変重要であります。いわゆる学校司書のおかげで学校図書館活性化し、さらには先生授業にも役立った例は枚挙にいとまがありません。子供読書離れを現場で防いでいる職員と言えます。その学校司書の職が、今回の法改正による司書教諭配置によって奪われるのではないかとの懸念が現場では非常に強くあります。この点について文部省はどう考えておられるのでしょうか。  加えて、例えばある自治体が司書教諭配置に伴い学校司書の解雇や契約の更新を拒否した場合、この事実が明らかなときは文部省としては遺憾であるということになると思いますが、いかがでしょうか。司書教諭配置が決まり、将来これが専任化する可能性も否定できないことから、今現在いらっしゃる学校司書の身分を正規の職員として格上げできかねているという、そういう自治体の担当職員の声も私の耳に届いております。いかがお考えでしょうか。
  42. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) 学校図書館で勤務をいたしております学校司書の役割の重要性は御指摘のとおりだと思います。司書教諭の仕事に教師が当たるということからも推察されますように、学校図書館を活用して教育指導全体のレベルアップを図る、つまり教育活動という面での中核的な役割を担うということに対しまして、学校司書方々図書館の円滑な管理運営という点で大変重たい役割を果たしているというふうに理解をしているわけでございます。  学校図書館は、司書教諭、もちろんほかの先生方も加わるわけでございますけれども、そういった教育に携わる人たちと、それから学校図書館の管理運営という面を事務的にサポートするそういう学校司書方々と、この両者のいわば二人三脚と申しましょうか、円滑な役割分担の中で学校図書館活性化が図られているというように理解をいたしております。したがいまして、今回の法改正によりまして平成十五年度以降一定規模以上に司書教諭発令されるということになりましても、それはそちらの面での人的体制充実するということでございまして、そのことをもって学校司書方々の事務が云々ということにはならないというふうに思っております。  したがいまして、先ほど先生から、もし司書教諭配置されたと、そのことで直ちに学校司書の解雇と申しましょうか、というようなことがあった場合にはこれは遺憾と言うのかというようなお尋ねがございましたが、どういう評価をするかは別としまして、私どもといたしましては、司書教諭設置をもって学校司書配置がなくなるということについては、まさに役割に対する十分な認識を持っていない措置であり、そういうことであるとすれば、言葉を率直に申し上げさせていただければ、遺憾なことであるというように言って差し支えないのではないかというふうに思っております。
  43. 馳浩

    馳浩君 最後に、提言といいますか、一言申し上げさせていただいて終わりたいと思います。  現在、各自治体で学校図書館活性化に向けてさまざまな取り組みをしております。私の選挙区の石川県におきましても、小松市、松任市、辰口町が司書資格のある者を募集・採用して小中学校学校図書館配置しております。石田さんの選挙区の岡山市におきましては、百二十の全小中学校専任学校司書を置いております。  こういった事実を踏まえまして、さらには、現在、学校のスリム化、地域の教育力の回復が叫ばれていることから考えまして、専任司書教諭を新たに設置するのではなく、充て職の司書教諭連携する専任職員配置を自治体あるいは地域住民にお願いし、積極的に協力を求める方針を打ち出してはどうかと考えますが、いかがでしょうか。  そして、できれば司書教諭専任の正規の学校司書連携し、またメーンとなる公立の図書館ともコンピューターでつなげて協力体制にあるようにすれば、専任の教育職である司書教諭を置かなくとも十分機能していくと考えます。そして、このことは情報化社会、行政の簡素効率化にかなう政策と考えます。さらに、この協力体制が実施されれば、各学校も特色ある蔵書を備えることができ、学校間の連携、補完も可能となると考えます。そのためにも、その研究モデル校を指定した事業を実施することを提案したいとも考えます。  最後に文部省の所見を伺いまして、私の質問を終わります。
  44. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) ただいま御指摘学校図書館につきまして、子供たち読書活動、学習活動活性化する、そのキーとしてあるにとどまらず、地域のいわば文化センターとして学校図書館が活用される、大変重要な御指摘だろうというふうに思います。協力者会議報告にもございますように、いわば開かれた学校図書館という形でボランティアの方々に参加していただいて学校図書館を盛り上げていただく。同時に、その場が地域の社会教育、生涯学習の場となっていくということが期待されるというような御指摘もあるわけでございまして、そういう方向で学校図書館がさらに広く活性化されることは大変重要なことだと思います。と同時に、さまざまな形でネットワークを結びまして、学校図書館単独ではなく、さまざまな機関との連携のもとで学校図書館充実していくということも重要なことだと思います。  文部省では現在、学校図書館情報化活性化推進モデル地域事業というものを実施しているわけでございますが、そこではまさにそういった調査研究が行われております。こうした調査研究等も踏まえながら、これを全国に周知させ、全国の学校で各地域の核として学校図書館活性化していく、そういう方向でさらに取り組みを進めてまいりたい、こんなふうに考えているところでございます。
  45. 馳浩

    馳浩君 ありがとうございました。
  46. 山下栄一

    山下栄一君 平成会の山下でございます。  四月八日にも学校図書館問題につきましてその重要性指摘し、また質問もさせていただいたわけでございますけれども、本日も何点か現場の実情も踏まえまして質問させていただきたいと思うわけでございます。私は、主に文部省の方に質問させていただきたい、このように思います。  学校図書館活性化という言葉が出ておりますけれども、私は、学校図書館がよみがえれば学校教育がよみがえる、授業がよみがえり子供がよみがえる、そういう観点から、教育改革のかぎを握る、それぐらい重要な問題である、こういうふうにとらえておるわけでございます。そのかぎを握るのが学校図書館の建物、それからそこに置かれる図書館資料、これは蔵書に限らず最近の情報化に伴うCDとかビデオとかそういうふうなことも入ると思うわけでございます。それと人ですね、とりわけこの人の問題、これは最も大事である。今回の法改正はこういう観点からの一歩前進、そこまで言えるのかな、半歩というかその程度かなと思っておるわけでございます。  司書教諭職務重要性、このこともいろんな観点から指摘されており、文部省もおっしゃっておるわけでございますが、実際、学校図書館において司書教諭はどういう役割を期待されているのか。これをまとめますとえらいたくさん期待されているというようなことを感じておりまして、そういう観点からいいますと、発令するだけでそんな役割を果たせるのかなというようなことを感じております。  文部省は、司書教諭という職務司書教諭の役割、これをちょっと具体的に、どういうことを期待されておるのかということをまずお聞きしたいと思います。
  47. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) 司書教諭方々職務でございますけれども、一般的には子供たちの学習、読書を推進し、教育課程の展開を支えるものとして学校図書館の効果的な活用を図るために、学校図書館の活用あるいは読書活動につきましての校内協力体制の中心となる職だというふうに理解するわけでございます。  具体的には、私ども大きく三つの分野に分けて理解をいたしております。一つ指導職務、二つは技術的職務、三つは管理的職務というふうに便宜分けさせていただきまして、この三つに分けて私ども理解をいたしております。  一番目の指導職務でございますけれども、これは児童生徒に対しまして読書指導をする、あるいは児童生徒にかかわらず先生方に対しましてさまざまな図書を初めとする諸資料についての相談活動を行うということが一つあるというふうに思います。  具体的には、生徒たちが学校に入ってきた場合に、その学校図書館についての利用の仕方その他いわゆるオリエンテーションというようなもの、これは大変重要な仕事だと思いますけれども、そういったことはこの司書教諭の方が中心になって行われるというふうに思います。それから、学校図書館司書教諭の方あるいは学校司書方々というような職員でもちろん責任を持って行われているわけでございますけれども生徒たちが生徒会図書委員というような形でこの図書館活動に参加をしてございます。これも大変大きな学習活動の一環でございますけれども、そういった生徒会の図書委員への指導を通しましての図書館活動活性化といったことも重要な具体的な仕事だろうと思います。また、読書会等、学校はさまざまな行事を行いますけれども、そういった行事の企画立案といったこともこの司書教諭の仕事だろうと思います。これが指導職務として我々は理解しております。  それから二つ目の技術的職務でございますけれども図書館資料、どのような図書を購入し、どのように選択しこれを構成するかといったこと、あるいは分類の決定といったことも司書教諭の仕事の重要な一つであろうと思いますし、また、購入し管理しております図書につきまして、その内容を研究しそれを紹介するといったことも司書教諭の方の重要な仕事だと思います。それが現在は図書にとどまらず、新聞や雑誌やその他視聴覚機器にまで及んでいるというふうに理解をいたしております。  それから三番目の管理的職務といたしましては、学校図書館学校全体の教育活動の一環として運営されているわけでございますが、その中心として、学校図書館を各学年ごとに、あるいは各教科ごとに、あるいはさらには学級ごとにどんなふうにこれを利用するかといったこと、これも規模が大きくなればなるほど大変なわけでございます。そういった利用の調整を図りつつ、図書館運営の計画の立案といったこともこの司書教諭の仕事になろうかと思っております。それから予算案の作成、それから公共図書館等との連携協力、さらには学校図書館活動が十分に行われているかどうか、あるいは課題としてはどんなことがあるかというような、現状の把握と評価といったこともこの司書教諭方々に課せられた仕事であろうと。  以上、便宜、指導職務、技術的職務、管理的職務というふうに分けさせていただいたわけでございますけれども、それぞれにそうした重たい仕事に携わっておられるというふうに私どもは承知をいたしております。
  48. 山下栄一

    山下栄一君 簡潔にまとめていただきましてありがとうございます。  実際、図書の分類という話もございましたけれども、例えば現在学校図書館資料に適するどういう資料が出版されておるのかという情報収集。それから今図書を選択するお話があったんですけれども、新陳代謝を図らないと、ずっと古い本だけでしたら行く気が起こらない、こうなりますので、やはり分類だけでなくて整理、購入と同時に廃棄というようなこともきちっとできにゃいかぬと思うわけです、情報収集、図書の分類・整理、廃棄も含めて。  あと、建物そのものの読書環境図書館に行けば安心してゆっくりと落ちつく、心のオアシスになるようなそういう場所であると。そのためには、やはり備品とかカーテンとか机とかいすとかソファーとか、そういう備品のことについても配慮をめぐらすことも仕事としてあるのではないかなというふうに思うんですけれども、こんなことは司書教諭の仕事じゃなくて、先ほどおっしゃる事務職ですか、それに当たるというふうに考えてよろしいんでしょうか。
  49. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) 学校図書館が全体としていかに活性化し円滑に機能を発揮するかという全体の把握、それに対する指導、助言、企画立案ということは司書教諭先生のお仕事だろうと思います。そういう意味では、大きく言いますと今のような物理的な環境問題等司書教諭職務になろうかと思います。  ただ、具体的に備品を購入し、それに伴います会計処理を行うといったことは学校図書館担当の事務職員の方の仕事になるのではないかなと、こんなふうに思っております。
  50. 山下栄一

    山下栄一君 それで、指導的役割、技術的役割、管理的役割と膨大な仕事量に、生徒に対する読書指導、また生徒会の中にある図書委員会をきちっと指導する、貸出・返却業務を含めて。また、さまざまな学校行事の文化祭その他に展示等を行う場合にアドバイスするような、これも読書指導資料指導になるかもわかりませんけれども学校行事にもかかわっていく。適切なアドバイスをする。生徒関係だけじゃなくて、今度は教師に対する年間の授業計画を踏まえた的確なアドバイス、そのための資料の収集、場合によっては公共図書館にまで広げながら調べ学習の資料を用意する、そんなことを考えていくと、これはもう専任でも間に合わぬぐらいいろいろ仕事がぎょうさんあるというようなことも感じるんです。  ところが、今現在の実態は、図書館があいていない。かぎをあけに行く人がおらない。場合によっては昼休みと放課後あけて、生徒が来てからも困るぐらいほかに仕事があるという実情があるというふうになっていくと、学校協力体制という話が先ほどから出ているんですけれども校務分掌の中で学校長が中心となって配慮していく、授業時間数の軽減も含めて配慮していくという、その程度でできるのかなというようなことを感じるわけです。  期待されているところはたくさんある。読書の拠点たれ、学校情報のセンターたれ、それから主体的な、みずから学び、行動し、問題解決する能力を養うために、調べ学習その他の中で養成するために学校図書館を大いに利用するというようなことを期待されているわけですけれども授業中なんて人がおれないような状況があるという、そういうめちゃくちゃアンバランスな実態が現状ではある。  こんなことを考えていったときに、果たして学校の中における校務分掌の分担、そして協力体制だけでいけるのかなと、こういう大変な疑問があるんですけれども、このことについて、先ほどいろんな役割をおっしゃっていただきましたけれども文部省はどのようにお考えでしょうか。
  51. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) 人的な充実ということは大変重要なことであるわけでございますが、さまざまな事情から困難なものもございます。  そこで、司書教諭発令された方々につきましてどのような形でこの職務に従事していただくかということにつきましては、各学校校務分掌上の御工夫にまつ、あわせて他からのさまざまな支援体制、先ほどお答えをしたところでございますけれども、という形で一体となってこの司書教諭職務を果たしていただくということになろうかと思います。  先ほどもお答えをしたわけでございますけれども平成四年十月の調査でございますけれども司書教諭の方の平均担当時間数というのは、小中それぞれ一・四時間あるいは一・五時間、高等学校につきましては十一・八時間ほど授業時間が軽減されているということを申し上げたわけでございますけれども、こういった工夫も各学校で行われているところでございます。規模が大きくなりますればこの司書教諭職務というものも広がってくるわけでございます。そういうところでは学校司書の方あるいは図書館担当の事務職員方々との協力ということも重要になろうかと思いますが、いずれにしろそういったさまざまな工夫の中で司書教諭職務を果たしていっていただく、これが私どもとしての御要請でございます。
  52. 山下栄一

    山下栄一君 例えば、具体的に申し上げますけれども司書教諭として発令された、その方は担任を持っている、例えば中学校でも結構です、放課後は運動クラブを担当していると。担任業務で生徒が来るわけですから、昼休み図書館に行くこと自身がもう至難のわざであると。中学校の担任なんというものはさまざまな生徒指導上の問題を抱えておる、放課後は運動クラブへ行かないかぬ、授業は持っていると。  それで、今局長がおっしゃったさまざまな役割を期待されている。読書指導教員に対する資料相談、公共図書館に応援をお願いする、いつの社会科の授業でこういう調べ学習があるので、今この図書館にこれだけの本しかない、周りの公共図書館にどれぐらいその本があるかということを調べた上でそれを運んでもらわないかぬわけですよね。終わったらまた返さないかぬ。公共図書館も困るわけです、借りっ放しじゃ。そんなこともやらないかぬと。  公共図書館との連携と言うのは簡単かもわからぬが、実際の業務というのは、もういろんな教科で調べ学習を年間授業計画で、各教科一人の先生がやるだけで準備は大変であると。そんな中で担任をし、運動クラブの顧問をして、今出版業界ではどんな本が出ているかとか、廃棄処分まで考えながら新陳代謝を図り、そして読書環境を整えるために図書館のカーテンは来年どうしたらいいかなとか、ソファーはこういうふうな置き方でいいのかなとか、三十六人の子供たちが調べ学習で図書館の中で授業をするにはこういう配置でいいのかなとか、黒板はどうのなんていうようなことを常に考えておかぬと、そんなこと的確な指導ができないわけですよ。  それで学校協力体制でやれといったって、そんなことは先ほど馳さんがおっしゃったように空理空論である、そう感じられませんか、どうですか。
  53. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) 確かに人的な充実ということは大きな課題だろうと思います。  ただ、一つ加えさせていただきますと、学校図書館の中核的な役割を司書教諭先生に担っていただくわけでございますけれども、すべてをその先生お一人ということではなくて、学校全体で教職員協力体制というようなものを組んでいただいて、それぞれの先生方協力のもとに司書教諭先生が中心となって学校図書館の円滑な運営に資するということも大事なことなのではないかなというふうに思います。  今、先生指摘のとおり、クラス担任を持ち、放課後の部活動指導をしということで確かに大変多忙であるということは十分わかるわけでございますけれども学校図書館はすべての先生にかかわるものでございますので、ぜひそういう全体の協力体制のもとでこの機能活性化に取り組んでいただきたいというのが私どもの気持ちでございます。
  54. 山下栄一

    山下栄一君 だから、学校図書館にどれだけの役割を期待するかによって変わってくると僕は思うんですけれども、役割をたくさんおっしゃったから、そんなことをしようと思ったらとてもできませんよということを申し上げているわけなんです。僕は、せいぜいかぎをあけに行く、昼休みと放課後、月曜から土曜日まで、五日制になったら金曜日までかぎをあけに行くだけで、もうほかの仕事もいっぱいあるからそれが限界じゃないのかな、ちょっと厳し目に言うとそれが実態ではないのかな、特に中学校なんかは、というふうに思うわけです。  それで、先ほど授業軽減をやっている学校があるとおっしゃっていましたけれども、それはもう不可欠じゃないかなと思うわけです。それをだから学校協力の中で、司書教諭発令された人は仕事で大変やから、授業時数が減るからほかの先生ちょっとお願いしますわなんていうようなことで、そんな協力体制だけじゃそれこそかえって不信感が広がってしまって、図書館だけが忙しいのと違うぞというふうになってくると僕は思うんです、それぞれが大変なわけやから。だから、協力体制校務分掌の中での分担とか、みんなで応援しようという形だけではもう限界がある、したがって授業時数の軽減は不可欠である、実はそういう学校もあるというふうに局長おっしゃいましたけれども、というふうに認識してよろしいでしょうか。
  55. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) 先ほど申し上げましたように、この司書教諭の仕事にどのような形で携わっていただくかということは各学校校務分掌の問題として処理をされる課題であると思っております。したがって、今言いましたように、司書教諭の仕事の重要性をかんがみますと、その負担軽減のための努力というのはさまざまな形で行われなければならないわけでございますけれども学校の規模にもより、さまざまな形でこの司書教諭、あるいは司書教諭発令されないまでも、図書館主任とか図書館係の仕事が現に行われているわけでございます。そういう意味で、司書教諭がこれから平成十五年三月三十一日をもって設置されていくわけでございますけれども、そのとき必ずその設置に当たっては軽減措置を講ずべしということを国の立場として各学校に御要請するというのは、なかなか他の校務分掌との関係等からいって難しいことであろうかと思っております。  しかし、いずれにしろ、この司書教諭の円滑な職務遂行に当たってさまざまな形での新体制というものが重要である、このことは十分理解しているつもりでございます。
  56. 山下栄一

    山下栄一君 大変これは金のかかることで難しい話やと思うんですけれども、僕は、平成元年の指導要領、また昨年の中央教育審議会第一次答申における学校図書館の役割の重要性指摘、また平成七年の協力者会議における読書必要性司書教諭重要性学校図書館の役割の重要性ということを考え、そして今、教育改革を政府が進めようとされている中の、主体的に学び、考え、行動し、問題解決の能力を養うというそういうふうな生徒像というか、そういう子供にさせたいという理念から考えまして、学校図書館重要性というのは本当に重たいものがあると。  冒頭申しました。学校図書館がよみがえれば学校教育がよみがえる、授業が変わる、子供が元気になるというふうなことを私は思っているんですけれども、その学校図書館の役割の重要性ということを本当におっしゃるんだったら、私は、これはもう財政措置も含めてこの授業軽減への対応を積極的に検討する必要がある、このように考えるわけでございますけれども大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  57. 小杉隆

    ○国務大臣(小杉隆君) 一月の末に取りまとめました教育改革プログラムの中でも、生きる力をはぐくむということを重要な目標にしております。すなわち、一人一人の子供の個性を生かして豊かな人間性や創造性をはぐくむ教育を進めるという観点に立っているわけでございます。そのためには、先ほどから提案者の方からもお話がありますように、みずから考え、みずから学び、そしてよりよく問題を解決する能力をはぐくむ、こういうことが必要だということで、特に読書活動を通じて子供が主体性を持って学習をしていく、あるいは豊かな人間形成をするということでございますので、学校図書館充実というのは重要な柱であるということを考えているわけでございます。  そういう認識に立って山下委員も提案者の一人に名を連ねておられることですし、また、山下委員学校現場にも足を運んで積極的に実態を調べているということを伺って私も敬意を表しておりますが、現状はなかなかその理想にはまだまだ達していないということで、ぜひこの審議を通じてさまざまな御意見あるいは論議を期待したいと思っております。
  58. 山下栄一

    山下栄一君 定数法にかかわることについては、今、政府の財政構造改革会議でも非常に厳しい、削減する話が出ておりますので、現状大臣のお立場も大変厳しいかもわからぬけれども、僕は、こういう新しいチームティーチングの観点とかいろんな観点でいろいろクレームがついているのかもわからぬけれども学校図書館がとにかく教育改革のかぎを握るんだ、こういうふうなことをどんどん訴えていただいて押し返していただく材料にしていただいたらどうかなというふうに思っているわけです。すぐせいなんて言っていませんけれども学校図書館をよみがえらせようと思ったら、校内の努力だけではもう絶対に限界があるということをやっぱり認めないかぬのと違うかなと。  そういうことで、ぜひとも、この定数法の改善も含めて検討せないかぬなということを大臣考えているんだということをおっしゃっていただきたいなと思うんです。
  59. 小杉隆

    ○国務大臣(小杉隆君) 先日、政府並びに与党の財政構造改革企画委員会で、私もヒアリングに出たわけでございますが、特に教育分野では今まで聖域と言われてきた分野にもメスを入れるんだということで、高等教育、義務教育、私学助成、この三分野について私も意見を申し述べました。  ここでは具体的なことを申し述べることは控えますが、要は、これから少子化時代を迎えて、人間を教育するということが最も大事だと。従来はともすると生徒数の増加に追われて量的な充実に取り組んできたわけですが、今ようやく、少子化時代を迎えて質的な改善を図る絶好の機会になったんだと。したがって、現在の定数の改善計画におきましても、来年度、平成十年度までの計画ですけれども、その期間中に、本来ならば六万人減るところを、半分の三万人は、今言われたようなチームティーチングであるとかあるいはこの学校司書教諭、あるいはその他の面も含めまして、やはり質的な改善を図るということで三万人の定数増を要求しているところでありまして、着々進んできてあと一年を残すのみとなってきたわけでありますので、ぜひこれを完結させていただきたいということを強く申し述べたところであります。  ただ、現実は極めて厳しい。昨今のマスコミ報道などを見ましても、どうもここら辺にターゲットが絞られてきているような感じもいたしますので、ぜひひとつ文教委員各位の御協力も得たいと考えているところであります。
  60. 山下栄一

    山下栄一君 総理みずからことしの一月に五つの改革につけ加えて教育改革ということをおっしゃったわけでございまして、その大きな柱が私は、さまざま中教審等でも検討されていますけれども学校図書館活性化というか、復活というか、蘇生というか、というふうに感じるわけでございまして、文教委員会にも総理大臣に来ていただいてその辺の総理大臣認識を、持っておられるとは思いますけれども、私は重要性をわかっていただくことも大事だなというようなことをお話を聞きながら感じた次第でございます。  学校完全週五日制が二〇〇三年からというふうなことで準備が進められておると聞いておりますけれども、教育課程審議会でもそれに向かって学習指導要領の改訂の問題が検討されておると。要するに教育内容の精選をせないかぬと。非常にこれは各教科の思いがあってなかなか削るのは難しいというのをお聞きしているわけでございますけれども、それが五日制になったらますます学校において、地域、家庭やなくて、学校において教える内容がたくさんあるんやけれども削らないかぬという状況の中で、あれも教えたい、これも教えないかぬという、時代の進展の中で教える内容がたくさん出てきていると。  そんな中で、学校図書館の調べ学習なんというのは相反する方向なんですよね、見方を変えれば。進む度合いを確保せないかぬのに、そんな図書館で調べ学習に何時間もとってやっておったら授業なかなか進まぬ。そんな中でみずから学び、考える力が養われるのかというふうな相反することが要求されているわけですよね。だから、指導要領の中では学校図書館の利用、活用をしっかりしなさいというふうに言っているけれども、五日制の実施、完全実施に伴ってますますこれは困難になってくるんじゃないかというふうなことを感じるんですけれども、この辺についてはどのようにお考えでしょうか。
  61. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) ただいま先生指摘のとおり、二〇〇三年度を目途に学校完全週五日制で学校教育を運営すると、そのための教育内容はいかにあるべきかということで今教育課程審議会で真剣な御議論がなされております。確かに、これまで六日制でございました学校が五日制になるということでございますので、授業時間数等、学校教育の扱い得る範囲、時間というものは縮小されるわけでございます。  しかし、先ほどから何人かの方々からも御指摘がございますように、これからの学校教育については、たくさんのことを覚え込む、また教師もたくさんのことを教え込むということから転換をして、みずから子供たち考え、みずから判断し、問題解決をしていこうとするそういう力を培おうと、いわゆる生きる力というようなことで言われているわけでございますけれども、そういうことが重要であろうというような視点に立って今教育課程審議会での審議が行われております。  そこで、各教科何を削るかということは大変難しい課題であるわけでございますけれども、むしろ内容については精選をして、教えるべき事項、覚えなければならない事項というものは思い切って削減すると。そして、学校五日制という全体の時間数は縮小する方向であるわけでございますけれども、その中で子供たち考えたりいろいろ試行錯誤したり、先ほど先生調べ学習というようなお話ございましたが、そういった時間をつくるような方向でこの教育課程の改定をしようということで、今教育課程審議会の状況も全体としてはそういうような状況審議が進んでおります。  ただ、個々の教科、具体にどうするということになりますと、大変難しい困難な課題も予想されるわけでございますけれども、今そういう方向で進められております。したがいまして、調べ学習ということでありますれば、この学校図書館重要性ということは何ら減ずるものではない、ますます重要性を増してくるというふうに思うわけでございまして、先生の御懸念でございますけれども、少なくとも現時点での教育課程審議会の審議の方向はそういう方向で審議が行われているということでございます。
  62. 山下栄一

    山下栄一君 学校図書館を利用した教育内容といいますか授業、これが後退することのないような、そういう教育課程審議会の答申であっていただきたいなというふうに思っております。  それから、いわゆる学校司書学校図書館担当事務職員にかかわる問題でございます。先ほどもお話ございましたけれども、今特に小学校中学校、市町村自治体レベルで単独予算、単費による配置が非常に進んでいるわけです。私の大阪でも五市二町ですか、において配置が進んでおりまして、中にはもう小中全校配置学校もあるわけでございます。  これはいわゆる事務職という形でお仕事をされておるわけでございますけれども学校全体の雰囲気を変えるような大変高い実績を積んでおられ、教育委員会の評価も学校先生方の評価を変えるような、そういう役割を果たされているいわゆる学校司書の方もいらっしゃるわけでございますが、この自治体単費による配置の実績をどのように文部省は評価されておるのかということをお聞きしたいと思います。
  63. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) 学校司書配置状況でございますけれども、その中の市町村費の職員でございますけれども、四千三百三十八人、五一・六%が市町村費負担で置かれているというふうに私どもは承知をいたしております。
  64. 山下栄一

    山下栄一君 だから、数はわかっているんですけれども、それが果たしている役割ですね、評価されておらないのか評価しておられるのか。
  65. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) 学校司書の役割につきましては、当然これは評価をしているわけでございます。  そこで、国の標準法におきましても、小中学校の大規模校、高等学校の大規模校におきましては、学校図書館の事務というものを考慮に入れました加配措置というものも定数上も講じているわけでございます。  したがいまして、この学校事務の役割、これは先ほど司書教諭先生との違いという形で御説明をしたわけでございますけれども学校図書館の円滑な管理運営ということを事務的なサイドから支えるという形で大変重要な役割を果たしているということは申すまでもないというふうに我々は了解をいたしております。
  66. 山下栄一

    山下栄一君 これ年々拡大をしておるんですけれども、先ほどもお話出ておりましたが、司書教諭発令とともにこの拡大の流れがストップする可能性もあるわけです。先ほども局長おっしゃっておったわけでございますけれども、なぜ発令が進まなかったのかという中に、事務職員がいらっしゃるからという、そういうアンケート調査も先ほどお答えございましたですけれども司書教諭発令されるようになったらこういう事務職員の方は、行政改革必至の自治体の現状から考えて、赤字財政の折、そういうことも考えられるわけですね。  だから、役割をどう評価するかによってこの流れがやっぱり左右されるのではないかなというふうに思いますものでお聞きしたわけでございますが、司書教諭と事務職の役割分担ですね、冒頭の質問の中でも私は確認させていただいたわけでございますが、それをもう一度わかりやすく、司書教諭と事務職が両方必要であるという観点からの役割分担についてどうお考えか、お聞きしたいと思います。
  67. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) 先ほど司書教諭職務の中身につきましては指導職務、技術的職務、管理的職務という形で幾つか具体的な職務の中身をお話し申し上げながら御説明したわけでございますけれども学校司書職務につきましては、いわゆる管理的職務と申しましょうか、そういった職務と、それから技術的職務と、この二つに分けて私ども理解をいたしているところでございます。  まず、いわゆる管理的職務と申しますのは、子供たち学校図書館を使う場合の使い方として館内閲覧というのがあるわけでございますけれども、この閲覧の事務、それから館外に子供たちが図書を借りていくといった場合の貸し出しの事務というようなものがございますし、また、先ほど司書教諭の方が資料内容を研究し、その紹介をするということを申し上げたわけでございますけれども、その具体的な資料を作成し、これを配付し、その利用の案内をするというような仕事は学校司書の仕事として位置づけられているというように我々は承知をいたしております。これが一つの管理的職務と言われるものでございます。  それからもう一つ、技術的職務ということでございますけれども学校活動の核としてどのような図書あるいは資料を整備するかという大方針は司書教諭先生が中心となって学校全体で決めるわけでございますけれども、その決められた方針を受けまして具体的な資料の発注、それから入手いたしました資料の整理、帳簿づけ等でございますけれども、そんなもの。それから、具体的に図書に排架する、そしてそれを点検するといったこともこの学校司書方々がやられておることでございますし、それから図書の購入、あるいは先ほど先生から廃棄というような御指摘があったわけでございますけれども、そうした購入から廃棄までに至ります図書の保管の管理といった全体の事務というものは学校司書方々に任されているものと理解しております。また、この購入等に伴います経理事務といったものはこの学校司書方々の重要な仕事であるというふうに思われます。  それ以外にもまたさまざまにあるわけでございますけれども、その中核的なものを御紹介いたしますとそのようなものがあるということで、私たちは、これは学校図書館の運営になくてはならない仕事をなさっているというふうに理解をいたしております。
  68. 山下栄一

    山下栄一君 先ほど大臣もおっしゃっていただいたんですが、私も先日、現場に行かせていただきまして、学校司書の嘱託職員として週三十時間、月、火、木、金、週四回、朝八時四十五分から四時十五分までいらっしゃっておられるわけですけれども、その方の活躍ぶりというのは、もう本当に教員全体が称賛するような、そういうことで学校が変わったと。  実際に図書館に行かせていただいたら、いろんな読書環境を整備するためにカーテンの色から、備品も一生懸命お願いして校長の了解のもとに新しく購入されたりしているんです。休み時間もたくさんの生徒が来るわけですよ。それでもう生き生きとしている。中学一年だけじゃなくて、中学三年生の子供たちも来ておりました。  それで、先生方もいろんな授業計画の中で、先生どうでしょうかという具体的な本の紹介なんかもされながら、調べ学習についても非常に参考になるアドバイスをいただいておりますと、このように先生方もおっしゃっておりました。だから、週三十時間じゃなくてもっと本当はたくさん学校に来たいんですとおっしゃっておりました。  夏休みもこの方は週三十時間いらっしゃいますもので、そこは今年度から冷暖房も入りましたもので、夏なんかは普通は公共図書館に受験生が勉強に行ったりするわけですけれども学校図書館が開放されて子供たちが元気に学校に来る、夏休みも学校で勉強するというふうな、人がいらっしゃるからですそれは、その方がいらっしゃるからなんですけれども。  そういうような状況考えましたときに、発令しないものだから自治体レベルでずっと広がっていった運動かもわかりませんけれども、この学校司書の方の役割というのは大変重要なものがあるなというふうに思うわけです。もちろん、人によって、その人の実力というか力によっていろいろ変わるかもわかりませんけれども、私はそういう現場があるということをぜひ大臣に知っていただきたいなということを感じましたもので述べさせていただきました。  時間もございませんので、あと残りの質問をさせていただきたいと思います。  読書習慣が非常に衰退してきているという指摘協力者会議等でも出ております。家庭においても、昔のおじいちゃんおばあちゃんが、お父ちゃんお母ちゃんが子供にいろいろ本を読み聞かせたというふうな習慣がだんだんなくなってきているというふうな、映像による情報収集の方が中心になってきてなかなか活字によるそういうものが少なくなってきておるというふうなこと、これが一つの心の荒廃の原因ではないかという指摘もあるわけでございます。  私は、国民的な読書習慣復活運動をさまざまな形で、文部省も全国読書感想文コンクールの応援とかいろいろされていると思うんですけれども、何かやっぱり日本の国全体に読書習慣を復活させる運動を考えたらどうかなと。民主主義は読書と本の上に成り立つという、先日も引用させていただきましたレーガン大統領の言葉でございますけれども、そういうふうに考えますと、やはり情報化が進めば進むほど、読書そして本を声を出して読む朗読、その役割はますます重たくなってくるのではないかなというふうに感じるわけです。  それで、ちょっと提案ですけれども、全国読書年とか、来年は全国読書年にしようとか、また学校図書館の日を設けるとか、そういう形の提案をさせていただきたいなと思っております。そして、全国読書年というふうなことをやりましてイベントを組み、そしてさまざまな読書啓蒙のための表彰なり宣揚するようなイベントとか、読書活動体験発表とか、そうやって県ごとにやるとか、いろんな形の運動を全国的に展開したらどうかなと。全国読書年、また学校図書館の日を設置する、そういう提案についてぜひ前向きに御検討願えたらなと思うんです。大臣、いかがでしょうか。
  69. 小杉隆

    ○国務大臣(小杉隆君) 確かに、子供読書習慣を身につけさせるためには、学校図書館のみではいけないのであって、社会あるいは家庭の連携も必要だと思っております。最近、特にテレビを初めコンピューターその他マルチメディア時代を迎えて、子供たちが昔のように読書に浸るという習慣が、習慣というか環境がなくなってきていると。これはもう社会全体の問題だろうと思います。子供だけではなくて大人自身も読書の習慣が減ってきているということは憂うべき事態だと思っております。  したがって、私どもはそういった社会、家庭との連携ということも含めて考えるとき、学校図書館のみならず公立の図書館あるいは各地の文庫、こういったものの充実ということももちろんでありますが、そのためにいろいろ職員の研修とか、いろんな指導資料を配ったり、具体的なこと、必要があれば局長から答弁させますけれども、やっております。  従来から、社団法人の読書推進運動協議会というのが毎年五月一日から十四日まで「子ども読書週間」を定めまして、公共図書館学校図書館など関係機関に呼びかけて子供読書活動を推進するための取り組みを展開しているところでございます。今ちょうどその最中でございますが、こうしたもののもっと啓蒙、PRを活発にするとか、それから今、全国読書年というような提案もございましたが、これらは今いろいろ協力者会議等でもこれからの学校図書館充実あるいは子供読書習慣をどうつけていくかということを研究しておりますので、こうした今の審議を通じまして今後ひとついろいろ検討というか勉強させていただきたいと思っております。
  70. 山下栄一

    山下栄一君 ぜひ読書習慣復活の国民運動のための具体的な御検討をお願いしたいと思います。  最後に、図書整備五カ年計画のお話でございますけれども平成五年度から学校図書館図書整備新五カ年計画が始まりまして、平成九年度、本年度で終了と、こういうことになっておるわけでございます。  これは地方交付税措置で市町村の小学校中学校配置されるわけでございまして、そのために今文部省学校図書館図書標準、これを定めて推進というか購入を進めておられると思うわけでございますけれども、何せ実態が、どれだけ本当にその学校で買われておるのかちょっとわからぬということで今調査されているというふうにお聞きしておるわけでございますけれども小学校中学校平成四年度の一・五倍を達成するという目標はなかなか私は達成できないというふうに思うわけでございまして、今回の法律で人は発令したけれども、図書の充実がこれで終わりというのじゃ私はこれはまずいというふうに思いますので、この図書整備五カ年計画の継続ですね、平成十年度からさらに第二次、これをぜひともやるべきであると、このように考える。  と同時に、高校レベルにおきましては全然措置されていないと、この五カ年計画、蔵書上積みですね。というふうに思うわけでございます。  ところが、この学校図書館法を見ますと、第十三条に、「国は、地方公共団体が、その設置する高等学校学校図書館の設備又は図書が政令で定める基準に達していない場合において、これを当該基準にまで高めようとするときは、これに要する経費の二分の一を負担する。」と、こういう条文があるわけですけれども、これ空文化しているのかなと思うわけでございますが、この図書標準そのものも、ここで法律に書いてある、政令で定める基準に達していないというふうな場合は国が応援しなさいと書いてあるんですけれども、それもできていないんじゃないかなと思うわけでございまして、高校における図書整備の充実五カ年計画、これも積極的に考えるべきであると。  この二点、御質問したいと思います。
  71. 小杉隆

    ○国務大臣(小杉隆君) 今御指摘のとおり、学校図書整備五カ年計画というものを平成五年度から実施しておりまして、今年度がその最終年度でございます。五年間で約五百億円の地方交付税措置でやっていくということで、今、去る五月一日現在の調査を進めているところでございます。調査項目としては、学校図書館教職員状況、あるいは図書館の施設とか図書の整備状況、あるいは利用状況、こういった諸点について調査をしているところでありまして、この提出期限が六月三十日、来月末ということになっております。高等学校も含めて調査をしておりますので、こうした調査結果を踏まえまして今後どのように学校図書館充実を図っていくかということを検討してまいりたいと思っております。  なお、具体的なことをもし必要があれば局長から答弁させます。
  72. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) ただいま大臣がお話しになりましたように、ただいま現状調査をいたしておりますので、その調査を踏まえまして今後の対応につきまして検討していきたいというふうに思っております。
  73. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) 午前の質疑はこの程度とし、午後零時五十分まで休憩いたします。    午前十一時五十分休憩      —————・—————    午後零時五十二分開会
  74. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) ただいまから文教委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、学校図書館法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  75. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 二十一世紀の高度情報化社会の到来というものを目前にしている今日、学校教育におきまして学校図書館の果たす役割というのはますます重要になっていくというふうに思います。また、これまでの詰め込み授業、あるいはまた別の言葉で言えば上から与えられる受け身の学校教育、そういった教育のあり方が今見直されている。そういった中で学校図書館が、子供たち自分たちで調べ、自分考え、そしてみずから学ぶということを習慣化する、あるいはまた読書の楽しみを知る、そして文化的な活動を身につけていく、そういうことに非常に重要な教育的な役割を持っているというふうに考えられます。  そこで、まず本改正案発議者に御質問をさせていただきたいと存じます。  ところで、本改正案が成立いたしますと、平成十五年四月一日から政令で定める小規模校を除きまして小中高、特殊教育学校にそれぞれ司書教諭配置されることになるわけでございます。「司書教諭は、教諭をもって充てる。」という第五条二項の規定との関連で、配置される司書教諭職務の態様等について、本改正案の御提案に当たりましてどのように御理解をなさっていらっしゃるのか、まずお聞きしたいと存じます。
  76. 上山和人

    委員以外の議員(上山和人君) 本改正案が成立いたしますと、今、日下部先生から御指摘のように、平成十五年四月一日の司書教諭配置に向けて直ちに具体的な条件整備に着手しなければならなくなると思うのでございます。学校図書館において司書教諭の果たす役割を勘案し、司書教諭としての職務あり方に関し検討を行い その結果に基づいて所要の措置が講じられなければならないと思うところでございます。  司書教諭あり方については、教諭職務を兼ねたままでいいのか、専任とすべきかについては、これまで本委員会でもいろいろと論議がございましたけれども学校週五日制の完全実施を数年後に控えて、これから学校図書館の果たすべき役割がますます重要になることを考えつつ検討されなければならないことだと思っているのでございます。  なお、一昨年、平成七年八月の児童生徒読書に関する調査研究協力者会議報告の中には、専任司書教諭について、「専任司書教諭配置については、様々な意見があり、学習指導学校経営の在り方及び今後の学校図書館像も踏まえつつ、中長期的な課題として研究していく必要がある。」と記されておりますように、これからの重要な検討課題になると思うのでございます。
  77. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 次に、「政令で定める規模以下の学校」というふうに記されておりますけれども、この具体的な規模についてはどのようなお考えをお持ちでいらっしゃいましょうか。
  78. 上山和人

    委員以外の議員(上山和人君) 午前中の馳先生の御質問に対して、この点に関しましては初中局長から政府の考え方が表明されましたし、また文部大臣からも所信の御表明があったのでございますけれども司書教諭はやっぱり原則として全校に配置されることが望ましいということについてはもう言うまでもないことだと思うのでございますけれども、具体的な規模についてどのように考えるかということにつきましては、特に小規模校の取り扱いについてどうするかということについては、やっぱり慎重に検討する必要があると思っています。  学校教育法施行規則十七条で小学校の標準学級数を十二学級以上十八学級以下としております。そして、中学校もこれを準用しておりますから、そういう規定も参酌しながら、今後の国会審議などを経て政令で定められるべきものだと考えております。
  79. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 午前中も論議されましたけれども、現在、学校図書館で実際に働いている方々というのは自治体ごとに多様な形態で雇用されていらっしゃいます。  ところで、本改正案が成立いたしますと、現在学校図書館で勤務していらっしゃる方々はその職を失うのではないかというふうな不安、懸念がございますが、この点につきましてどのようにお考えでいらっしゃいましょうか。
  80. 上山和人

    委員以外の議員(上山和人君) 現在学校図書館に勤務している人たちは、図書館経営に大変意欲的な、そして経験豊かな人たちでありますから、今後ともこの人たちの経験と熱意が生かされるように最大限の配慮が必要だと思うところでございます。
  81. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 この法律案というのはそれぞれ各党の発議者による議員立法で提案なされたものでございまして、今質問している私も発議者の立場に立っておりますが、ここで、これからの学校図書館あり方あるいは現状、果たすべき役割というものにつきまして、またこの法律改正によるさまざまな課題、影響について改めて文部省にこの際お聞きをしておきたいというふうに存じます。  ただいま質問したことでもございますけれども学校図書館には、この法律が昭和二十八年に制定されて以来約四十年の間に司書教諭配置するということがどの程度なされてきたのか、充足されてきたのかということがまず問題になるわけでございますけれども、これは午前中からの御討論でかなり現状が明らかにされてきたように思います。その明らかにされた現状というのは、いわゆる司書教諭配置というのが極めてまだ充足されていないということが明らかになったわけでございます。  ここで、司書教諭資格取得教員数、平成六年度の公立学校数字を拝見いたしますと、資格取得教員数が一万二千五百六十九人ですか、そして学校数というのが四万二十六校ですか、そういう数字に対しまして司書教諭発令数というのが五百二十四人、そして発令率が一・二五%ということになっております。この数字の乖離、資格取得をしていらっしゃる教員の数と、それから司書教諭として発令された数とかなり大きな違いがございますが、その理由はどういうところにございましょうか。
  82. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) 資格を持っている人の数、しかし実際に発令している方の数、ただいま先生お述べになりましたとおりでございます。  この原因はさまざまあるわけでございますけれども平成四年度に私ども司書教諭の有資格者がいるということと、それが実際の司書教員発令になぜ結びつかないのかということで調査をいたしました。そこでは、小学校中学校と若干事情が異なるようでございますが、御紹介いたしますと、小中学校では、学校規模等からして図書係等校務分掌で担当している、そういう形で担当しておるので本校としては十分であるというようなお答え、あるいは、有資格の方がいらっしゃるけれども、その方が学校図書館ではなくてほかの校務分掌を担当していらっしゃるというような理由を挙げられる学校が多うございました。  また、高等学校につきましては若干違いまして、事務職員等図書館事務を担当している人がいるということで司書教諭発令は不要と考えるというようなお答え、あるいは、やはり有資格者の方については他の校務分掌を担当しているからというような答えが上位を占めた次第でございます。  また、小中高共通といたしまして、その学校小規模校であるとか、あるいは学級担任をしているから、あるいは学校図書館法附則二項によって当分の間これを置かないことができると、こうルールの上でもなっているのだからということを理由に挙げられまして、置かれていないというような報告が私どもの方に寄せられたわけでございます。  要約して申し上げますと、学校図書館法附則第二項の規定は、学校図書館には司書教諭を置く、これが原則だと。しかし、その解釈、運用に当たって、当分の間置かないことができる、したがって当然として置かないことがあるのだというような理解がなされているのではないかという点。それから、学校図書館司書教諭として勤めていただく資格の方がせっかくいらっしゃるにもかかわらず他の校務分掌に回されてしまっている。学校はいろいろな課題を抱えておりますので、各学校の事情はいろいろあろうかと思いますけれども、そういう点ではやはり学校図書館なり司書教諭というものに対する、職務に対する認識というような問題もあるのではないか。また、司書教諭という仕事は大変重たい仕事で事務量もあるわけでございます。そういう意味で、司書教諭というものを引き受けると新たな負担増が課せられる。それに対する教諭としての抵抗感というようなものもあるのではないか。そういったものがこの発令が十分に行われていないその背景としてあるのではないかというふうに私ども認識をしておる次第でございます。
  83. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 ところで、そういった事情のある中で、いわゆる教員以外の学校図書館事務担当職員という方々がその数を次第に増していっているということでございます。それは午前中の御討論の中にもございましたが、八千人程度というふうにとらえてよろしゅうございますか。そして、その方々が現在なさっているお仕事の内容でございますね。そしてまた、その方々がいわゆる正規の職員として雇用されている方たちと、それからまた、そうじゃない非正規職員という形で雇用されている方というふうに分けることもできるのではないかというふうに思いますが、実際に教員以外の学校図書館事務を担当する職員を置く学校のうち、正規職員とそれから非正規職員との割合数字をお持ちでしたらばお知らせいただきたいのが一点でございます。  それからまた、いわゆる非正規と言われる方々の場合でも、やはり今現在お仕事に従事していらっしゃるわけでございますから、その方々の身分あるいは雇用の保障というものがこれからどうなっていくのか。先ほど私は発議者の方にも質問をさせていただきましたけれども、午前中も論議がございましたけれども、この点につきまして改めて確認の意味で文部省側のお言葉をいただいておきたいというふうに思います。
  84. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) 学校図書館の運用に当たりましては、司書教諭という先生がこの中核となっておられるわけでございます。その先生は、午前中にもお答え申し上げましたけれども指導的な職務あるいは技術的な職務、管理的な職務ということで分けてお話を申し上げましたけれども教育活動の核としての学校図書館という立場から、教師の立場から学校図書館の運営に参画をし、企画立案という責任を負っているわけでございます。  しかし、では具体的にこういった図書を購入しようという形で学校の方針が決まったとして、具体の図書の購入に伴いましてはさまざまな会計実務もあるわけでございますけれども、そういうものはこの学校司書と言われる事務職員の方に任されるわけでございます。毎年購入されます図書の数というものも大変な数でございますし、また、時代の進展に応じて学校図書館が備えるべき図書の内容あるいは図書以外のさまざまな資料というものも変わってなければなりません。そういう変化に対応して的確に、具体的に整備をするというお仕事はこの学校司書の人方にやっていただくわけでございますけれども、大変重要な仕事だと思っております。それから、子供たちの館内閣覧あるいは館外への貸し出し、この管理というものも子供の数が多ければ多いほど大変な仕事になるわけでございますけれども、そういった仕事もこの学校司書方々の仕事であるわけでございます。  そういう意味で、司書教諭先生は、教育活動という立場から学校図書館をいかに活性化すべきか、いかに運用すべきかというお立場で学校図書館の仕事に参画されますし、学校司書方々は、具体的にこの学校図書館をいかに円滑に運営していくかというお立場から参加されるわけでございます。そういう意味で、それぞれの職務というのが車の両輪のように協力し合って初めて学校図書館の円滑な運営というものが成り立つというふうに理解をいたしております。  そこで、この学校図書館法改正によって、平成十五年四月一日以降、一定規模以上の学校司書教諭設置が義務づけられるわけでございますけれども、そのことと、今申し上げました学校司書の仕事の不要ということは全く関係ないことでございまして、それぞれが引き続き連携し合って人的な組織を構成するということが不可欠であろうというふうに思っておるわけでございます。  なお、実態でございますけれども、数の細かなものは省略いたしますけれども平成七年の時点で学校図書館担当の事務職員のおります学校は、小学校で一三・四%、中学校で一五・七%、高等学校で七三・〇%でございますが、その中の正規の職員は、小学校が三五・一%、中学校が三八・七%、高等学校が八六・七%というふうになっておりまして、高等学校の場合には大部分が正規の職員であるわけでございますけれども、小中学校につきましては非正規の職員の方の方が割合としては多  いと、こういう状況になってございます。
  85. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 そこで、今おっしゃいましたように、特に小学校中学校におきましては正規の職員よりも非正規の職員の方の割合が高いわけでございますね。そういった方々のいわゆる正規職員への道を開くこと、これになりますと、これは文部省というよりも自治体のそれぞれのお考えかとも思いますけれども、やはりそのような道筋を文部省としては考えているというふうなお言葉がいただければというふうに思います。  というのも、重ねて申し上げますように、これだけの数の方たちが、しかもいわゆる非正規職員という形で現実に今働いていらっしゃるわけですから、その方たちのこれからの雇用に対する不安というものに対しての、やはりこの際ある程度の確かな道筋というのも必要ではないかというふうに存じますが、いかがでございましょうか。
  86. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) 今先生からもお話がございましたように、個々の雇用の問題はそれぞれの各自治体の任用方針に基づいて配置されておりますので、私ども一律にこうあるべきという立場にないことは御理解いただきたいと思います。  ただ、私どもといたしましては、学校図書館重要性、そこに勤務しております人たちの果たす役割の重要性ということを考えますと、人的な対応というものにつきましては、これは各自治体にお願いをしなければならないことでございますけれども、その重要性にかんがみた対応を我々としてはお願いしたいというような気持ちを持っております。
  87. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。  ところで、午前中にもお話がございましたかもわかりませんけれども、いわゆる読書という問題でございますが、読書を通してさまざまな感動あるいは感激というものを体験するというのは、これは人間の成長、特に子供のときというのは非常に私は大きなことではないかというふうに思います。  私自身を考えますと、とにかく本の虫というふうな感じでございまして、本を読んでいれば幸せというような少女時代を過ごしてきたわけでございますが、ところがどうも今日はかなり事情が違うようにも思います。一言で言えば本離れ読書離れ。また、私は大学で教えていたこともございますけれども、教科書を読む学生たち、それ以外の本を読む学生たちというのがだんだんと少なくなってきているような傾向も私は実感してまいりました。  ところで、そのような状況の中で、学校図書館の果たす役割はとても重要だと思うんですけれども、こういう読書離れの問題も含めまして、このような傾向を文部省としてどのようにお受けとめになっていらっしゃいますか。大臣の御見解を承りたいと存じます。
  88. 小杉隆

    ○国務大臣(小杉隆君) 今、日下部委員が御指摘のように、現状は大変憂うべきものがあります。小学生で一カ月に一冊も本を読まないという子供の比率が、これは平成六年三月の文部省が全国学校図書館協議会に委嘱して行った調査によりますと、小学生で八・一%、中学生で四四%、高校生で四〇・五%という数字が示すように、特に中高生の読書離れが著しいということでございます。  その原因として、一昨年、平成七年八月の児童生徒読書に関する調査研究協力者会議報告によりますと三つ理由が掲げてありますが、一つは、さまざまな情報メディア、テレビとかコンピューターとかパソコン、そういったさまざまな情報メディアの発達、普及など社会全体が変化しているということ。それから二番目に、受験勉強とか部活動に時間をとられて子供たちの生活環境が激変したということ。それから三番目に、幼児期からの楽しい読書体験の不足、こういうことが挙げられております。  読書というのは、今、日下部委員もみずからの体験を含めてお話になったように、みずから学び、考え、主体的に判断をして、知的な好奇心とか興味や関心を高めてさまざまな感動を味わう、こういうことで本当に大事なことであり、こういう読書というものから子供がだんだん遠ざかるということは、生きる力をはぐくむという点から考えても深刻に考えなきゃいけないと思っております。  そこで、文部省では今、いろいろなそういった面の活性化を図るために、学校図書館整備新五カ年計画、先ほどからも話が出ておりますように、そういったこととか、それから読書指導研究指定校の実践的な研究とか、あるいは学校図書館情報化活性化推進モデル地域施策を行っておりまして、そういったことをハード、ソフト、そして社会、家庭との連携等、縦、横のいろいろな政策を通じてこの読書離れというものを食いとめていきたいと思っております。
  89. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 確かに、子供時代読んだ本というのは物すごく記憶に残るわけであります。だけど大人になってみないとそれがわからないわけでございますから、後からしまったと今の子供たちが思わないように、ぜひとも御指導のほどをよろしくお願いしたいと思います。  ところで、今回の法改正というのは学校図書館に関するものでございますが、地域図書館との関連ということも非常に重要ではないかと思います。今日我が国におきまして、全国の市町村における図書館の整備状況というのはどういうふうになっておりますでしょうか。未設置の町村などがまだあるのでございましょうか。
  90. 草原克豪

    政府委員(草原克豪君) 平成五年十月現在の数字でございますけれども、全国の市町村立の公立図書館は二千百三十八館でございます。これらの公立図書館がまだ設置されていない市町村の数が千九百六十市町村ございます。この二千百三十八といいますのは、それまでの十年間に五百館ほどふえておりますから、そういう意味では近年増加しているということは間違いない事実でありますけれども、なお千九百六十市町村において未設置であります。  ただ、市、町、村レベルで多少設置状況が異なっておりまして、市のレベルでは九四%のところに設置されておりますが、町になりますと三〇%、それから村では一〇%と、こういう設置状況でございます。  なお、こういった公立図書館設置されていない市町村といいますのは、いわば人口の少ないところが圧倒的に多いわけでありまして、そういうところでは例えば公民館に設置された図書室を活用したり、あるいは都道府県立の図書館が実施しております巡回図書館、こういった形で住民への図書の提供が行われております。  ちなみに、全国の公民館の数、約一万七千ございますけれども、そのうち七千二百の公民館には図書室が設置されている、こういう状況でございます。
  91. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 今、改めて数字をお聞きいたしましてびっくりいたしました。公立の図書館がない町村がこれほどあるということは新たな驚きでございます。こうなってまいりますと、いよいよ学校図書館というものの地域における役割というのも非常にまた大きくなるんじゃないかなというふうに今改めて感じているところでございます。  地域における学校図書館あり方ということになりますと、それに加えて、今女性の社会進出、共働きの家庭というのも珍しくなくなりましたし、また、シングルペアレントの家族というのもふえております。そういったことから、放課後の留守家庭の児童対策というものが非常に重要な課題になっているわけでございます。さらにまた高齢社会における生涯学習ということも重要でございますし、また地域に開かれた学校、つまり地域に開かれた施設としての学校と、その中でも学校図書館あり方というものを、今の数字をお聞きいたしまして、改めてこれはきちんと考えておかなきゃならないなというふうに思ったわけでございます。  こういう新しい社会情勢の中で、新しい課題というものを学校図書館あるいはまた地方の図書館というものは次第に生み出しているというふうに思います。こういう中で、地域公共図書館とのより一層の連携ということも必要ではないかと思いますし、それから学校地域社会との強いかかわりというものが今日求められていますから、その中で、学校教育における学校図書館の果たすべき役割と同時に、地域社会における学校図書館の果たす役割というのが非常に重要なことになってくると思います。  このような状況を含めました上での御見解を大臣に承りたいと思ったのでございますが、大臣、御所用でお出かけになりましたので、政府委員の方でお答えいただければと存じます。
  92. 草原克豪

    政府委員(草原克豪君) 公共図書館学校図書館でございますけれども公共図書館は言うまでもなく生涯学習時代にあって地域における学習活動の中核的な役割を担う施設でございます。また、特に青少年にとっては家庭や地域における読書活動を推進する上でやはり重要な役割を果たしているものでございます。他方、学校図書館も、今後学校週五日制に向けて、生涯学習社会に生きる子供たち読書活動を一層活発にしていくためにも、この学校図書館をより地域に開かれたものにしていく、それをまた地域協力を得て進めていくということが必要であるというふうに認識しております。したがって、御指摘のように、週末とかあるいは放課後における子供たちのいろいろな読書活動あるいは学習活動のセンターとして、こういった学校図書館地域に開かれて、活動を進めていくということが大事であると思っております。  これに対する具体の取り組みでございますけれども公共図書館においては、先ほど御紹介しましたようにまだ設置されていない市町村がたくさんございますので、そういう市町村に対してはできるだけ図書館を整備していただくように、いろいろな機会を通じてそれを促してまいりたいと思っておりますし、さらに、公共図書館の中には児童室とかあるいは児童コーナーを設けているところがたくさんございますので、そういった取り組みを推進していきたいと思っております。またさらに、いろいろな図書館職員研修等を通じて児童サービスの充実に努めているところでもございます。  また、学校図書館については、先ほど申し上げましたように、より地域に開かれたものとするために地域公共図書館との連携、あるいは地域そのものとの連携を深めるために、現在モデル地域を設けるなどの実践的な研究を行っているわけでございます。  そういった中で、学校図書館公共図書館とのいろいろな連携協力のもとに、子供たちを対象とした例えば読書会であるとか図書館講演会、こういったものが活発に開催されるように文部省としても努めてまいりたいと思っております。
  93. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) それでは、午後一時五十分まで休憩いたします。    午後一時二十五分休憩      —————・—————    午後二時一分開会
  94. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) ただいまから文教委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、学校図書館法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  95. 江本孟紀

    ○江本孟紀君 私は少し質問をさせていただきたいと思います。  この法案はどういう部分を改正するかというようなことですが、私は、改正ということも含めて、図書館というものの本来のあり方、そういったものを中心にちょっとお伺いしたいと思います。お伺いすることよりも、私きょうほとんどしゃべらせていただきたいと思います。  もともと学校図書館をつくれというような運動が起きて法案ができたという経過が、一九五三年八月ですか、成立したんですけれども、当時は、私のおやじの代からの話を聞いても、図書館のできたもともとの発想というのは、生活に貧富の差があり、自分で本を買って読める家庭とそれから買えない家庭の子供がいる、まずそういう不公平感をなくすために図書館をつくってあげて、子供が自由にそこでお金の負担もなく読めるんじゃないかというところからこれがもともと始まったものであると。そうすると、これは確かにすばらしいものでありますけれども、しかし時代はやっぱり変わっておるわけです。簡単に言うと、最近では子供が本を買えないうちというのは余りないんじゃないかなと、結構裕福になりましたのでね。  実際、そういうことからいうと、この法案のもともとの図書館法というもの自体は、実際にその時代と今とは少し違ってきているんではないかということを考えますと、今の図書館づくりというこの考え方、これは本当に今の子供のためになっているのか、本当に子供のための施設であるかどうかということに少し疑問を持たざるを得ないと思います。  この法律を変えるということによって、一番うたっているのは、恐らく子供のため、子供の教育のため、そして子供の活字離れに歯どめがかかるというようなことが趣旨というふうにされていると思います。しかし、子供というのは大体いつでも読みたいときに読みたいものを読みたいという自由な考え方というのがあると思うんですね。  そこで、ちょっと一つだけ御質問したいと思いますけれども、この学図法のことについていろんな先生方の御意見なんかもお聞きしますと、文部省がこの法律ができてからもうほったらかして何もしてこなかったんだと、この問題の諸悪の根源は文部省にあるというふうに、本岡先生意見から私はそういうふうにちょっと感じたんですが、でも実際に文部省の本音としては、学校図書館をつくることは賛成しても、その後の運営についてどうのこうのとか、利用について本当に大事であるかどうかということはまあ大したことじゃないというふうに本音としては思っていたんじゃないかと思うんですが、私はそういうことに関して、図書館に対する主張というものを、文部省の本当の主張はどういうことだということをここでお聞きしたいと思います。  個人的に言えば、私は別に図書館というのはそんなに難しく考えなくても、設置しておけば自由に子供が入ったり出たりするような場所であって、あえて大人がこうしなさいああしなさい、この本を読んだらあなたは立派な人間になりますとか、そんなようなことを強制すべきじゃない。そういうことを言うと、逆に言えば、文部省がほったらかしてきたことが正しいかもしれないわけですね。  だから、私はそこでちょっと御意見伺いたいと思います。
  96. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) なかなかお答えがしにくい御質問でございますけれども、私どもはやはり学校図書館というのは大変重要な機関であるという認識に立ってございます。  もちろん、学校図書館子供のためでございます。読書活動というものをどのように評価するかということにかかってくるわけでございますけれども、やはり学校というところが子供たちの知的好奇心を高める、あるいは学ぼうとする意欲を高める、そして豊富な情報を子供たち一人一人が獲得していく。それはいろいろなメディアを通して行われるわけでございますけれども、やはり読書というものはその中でも大変大きな柱を占めるものではないかなというふうに思います。  豊かになりまして、子供一人一人読みたいと思うものは買えるのではないかという状況は、この制度発足直後と比べますと豊かさは確かに進んできたというふうに思うわけでございますけれども、私どもの手元の資料でも、子供たち学校図書館を結構利用しております。それから、特に小学校中学校子供たち図書館にある図書を読むという形でこの学校図書館を活用しております。ということで、私どもはやはり学校図書館というのはますます重要な機能を果たすべきものだというふうに考えております。それが現実の問題でございます。  それからもう一点、読書離れ。やはりこれは私どもとしては、子供たちの学習ということからして重く受けとめる必要があるのではないか。そのときに、確かに読むか読まないかというのは最終的には子供一人一人が決めることでございますけれども、今どうして読書離れが進んでいるかということの中に、いろんな要素がございますが、やはり読書体験というものが幼少期から培われていないということが識者から指摘されている。そういうことであるとすると、この学校図書館というのはやはり重要な役割を果たすものなのではないかなというふうに思っております。  そういうことで、私どもも十分でなかった面もあるわけでございますけれども、人的、物的、あるいは学校図書館活性化ということでさまざまな施策の努力をしてきたと、そういう認識を持っているところでございます。
  97. 江本孟紀

    ○江本孟紀君 今のお答え余りよくわからなかったんですけれども、確かに答えにくいと思うのでそういうような御答弁になったと思います。  いずれにせよ、学校司書それから学校司書というような職業、専門的な資格を有する人たちがいらっしゃいますけれども、実際に小中学校とそれから高校、これは少し分けて考えるべきじゃないか。先ほどもずっと皆さんの御質問をお聞きしておったんですけれども、そこを分けられる方はいないんですね。何か、司書学校司書ということでもう一くくりになっているわけですね。それから、公立と私立もまた違うわけです。  そういうことで言いますと、私は小中学生の図書館の利用というのは、これも二、三ちょっと聞いてみたんですけれども図書館の利用についてこんなに困ったことがあるんだというようなことを余り子供から聞いたことがないんですね。むしろこういうことによって、おまえら、とにかく勉強するためには、立派な人間になるためには本を読みなさい本を読みなさいというようなことを押しつけるというのは、これは小さな親切大きなお世話でして、大体こんなことを、もう時代が変わっているのに、例えばどういうふうに変わっているかというと、子供は本を読むよりもパソコンを打ったり、それからファミコンその他を含めて、そういったことにもう関心がどんどん行っておるわけですね。  そうすると、小中学生であっても、図書係等をつくって学校の中で、もしコンピューターその他があれば、これを打つのを覚えるのは我々よりも早いんです。そうすると、図書係なんていう人たちによって、自分たちによって例えば検索をしてこういう本を読みたい、こういうことを知りたいとかというようなことをやれば、これは子供たちで自由にできます。  そうすると、小中学校で必要な司書の方と、それから、高校なんかに行くと今度は専門的に、利用率もこれ調べたら相当高いわけですから、入試のために図書館を利用するとかいうことで本来の学問的な利用度というのは高くなるわけです。しかし、学校図書館ということでいえば、これは小中学校なんかは規制をむしろ緩和してそういったものを導入して子供に自由にさせる。そんなことで私は、この法律そのものをよく考えてみて、この行革の折に人をどんどんふやすというようなことじゃなくて、むしろこれは簡素化して省力化する、その方が何か図書館とか本に対する考え方の正しい利用方法じゃないか。  それからもう一つ、こういうことを言って多少差しさわりがあるかもしれませんけれども図書館の利用といえば、これはいつするんですかね。図書館に入る授業時間というのは大体自習の時間ですね。図書館に行って勉強しなさいという授業時間ありますか。  南野先生、そういうのはございますか。
  98. 南野知惠子

    委員以外の議員南野知惠子君) 御指名されました。  本当に学校図書館というものにつきましては先生がおっしゃるように、やはり自由に入って出たりということが必要だろうというふうに思いますし、また、どこで自由な時間があるのかということでございますが、それはホームルール、学校先生の御指導で教室と図書館とを一緒にするような形での授業だってできるのではないかなと思います。それにもう一つ大切なスポーツもございます。先生のおっしゃるように、野球をすればもっといい子に育つのかもわからないんですけれども、そういったものを抱えながら、やはり図書館とそれから教室の教育、それをあわせて行うことも一つのメリットじゃないかなと思っております。
  99. 江本孟紀

    ○江本孟紀君 その図書館の利用の時間は、多分、先生が用事があるからちょっときょうは自習の時間だ、図書館にでも行っておれというようなケースが多いですね。それから昼休みに行きなさいとかね。先ほどのお話を聞いていると、昼休みに行きなさい、それから放課後に行きなさいというような話ばっかりです。  そうすると、悪いですけれども、昼休みに図書館の中で本をじわっと読んでいる子供を見たら気持ち悪いですね、私に言わせると。やっぱり天気のいい日の昼休みは外へ行って走り回るということが一つ。それから、仮に本を読むとしても、外国の例なんかでいいますと、敷地の問題もありますが、図書館から本を借りて木陰で読むとか、例えばそういう環境の違いがあるわけですね。だから、そういうことを言うのであればいいと思うんですが、私は、図書館図書館と言うよりも、むしろ昼休みとかそういうときは外へ出て大いに走り回る運動をした方がはるかにいいんじゃないかという考え方なんです。確かに本を読むことも大事ですけれども、それ以上にやっぱりスポーツとか、例えば雨の日はどうするかということになったら、これは体育館があるわけですから体育館で大いに遊べばいいわけです。体育館と図書館を行ったり来たりしてもいいわけですね。  だから、この問題はこうやって議論していると、どうもそういう子供の立場に話がなっていない。それから先はちょっと言いませんけれども、どうもそこのところの本質をとらえないと、子供の本当の教育のための図書館であるかどうかということを、今後もまた私はこれは議論してほしいと思うんです。  そういう意味で私は、今回の法案は、自分の立場で言いますと、図書館法そのものにやっぱり反対するといいますか、もう少し違う考え方をしてほしいという立場をとりたいと思います。  最後に。この法案改正が出たときに、私の事務所なんかにも個人的なファクスも入れてありますけれども、ファクスの中、どんどんこの要請文といいますか、これに反対してくださいとかいろんなことを言ってこられる方が多いわけです。恐らくその人たちはほとんど司書関係の方だと思うんですね。  ただ、ファクスというのはいろいろ問題があって、これはちょっと問題が別と思いますけれども、いろんな抗議の仕方とか要請の仕方の中に最近ファクスを使われる問題が出ておりますが、これがどんどん仕事の間にも流れできますと、第一、ファクスというのは、私はこういう者ですがこれからファクスをおたくへ送らせていただきますといって電話の一本があって送ってくるものが常識なんです。この常識のない、名前も住所も電話番号も何も書いてない人たちがどんどん送ってくるというこの問題に関してです。  だから、こういう人がもし司書だったら、きょうは多分そういう方はいらっしゃらないと思いますけれども、ただ、そういう非常識な方が、どんどんこういうファクスを送ってきてやるような人がもし司書にいた場合に、子供の本当の教育のためになるかということで多少疑問が私はあるんですよ。  そのことをお伝えしまして、そして最後に、やっぱり子供の本当の教育のために本を読むことが必要なのかどうかということをまた別の次元でぜひ御議論していただきたいと思います。
  100. 南野知惠子

    委員以外の議員南野知惠子君) 先生から本当にいいお話をしていただきましたので、司書教諭の導入に御理解をいただきたいというふうに思っているわけでございます。私も先生と同じような考えを持っておりまして、またさらに、日ごろ思っていることがございますが、それも江本先生と同じかもわかりません。  その問題につきましては、学校図書館は本を読むところだけではないだろう、これから図書館が改善されることによって、インターネットだとか、それからワープロだとかいろいろそういうものが入ってくるのではないかなと。そういう機能子供たちにもやはり導入することが必要ではないだろうか。クラスでは能力が開発されない子供たちも、図書館に来たら能力が開発される子供たちもいるだろう、そのような図書館に仕上げていきたいのと同時に、ワープロなどでお絵かきの下絵をアウトプットして、それを持って高齢者の施設、老人ホームなどに行ってともにお絵かきすることによって世代間のかかわりというのを、家庭で持てない、核家族で持てない世代間のかかわりもまた持つことができる。そういうことをすることによってさらにボランティア精神も養えるのではないか、そのような高通な思想を私は持っているわけでございますが、これを図書館司書教諭方々にお願いしたいわけです。  そういった意味では、図書館子供たちにとってのオアシスの場であると同時に、また思想の、発想の展開をする図書館でもあるだろう、それを中心に教育するのが私は司書教諭の役割であろう、そのように思っておりますので、どうぞ先生理解いただきたいと思っています。
  101. 江本孟紀

    ○江本孟紀君 もしそういうことであれば、私は、子供の本当の気持ち、意見、例えば小中学生と高校生の考え方を皆さんが聞いて、こういう考え方を持っているということがあれば、これはそれを尊重すべきなんですね。  だから、今度、参議院の五十周年ですか、あれで子ども国会がありますね。あのときにぜひこの図書館の問題を取り上げてもらったらどうですか。文部大臣行かれますよね。そのときに、図書館についてどう思うかというようなことを子供にまず聞いてみる。意見を闘わせて、どんな考えをしているかということをぜひ今度の子ども国会でやっていただきたい。私はぜひこの委員会からの提案を子供の方にしていただきたいと思います。  そういうことで、終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  102. 本岡昭次

    本岡昭次君 私は、学校図書館は必要だという立場で、この法律改正に賛成の立場で文部大臣にいろいろと尋ねてまいります。  まず初めに、この四十四年間、「当分の間」ということで放置した責任が文部省にあるということについてはっきりさせていただきたいと思います。  一九五三年の七月二十九日に成立しましたが、私はそのときはもう既に小学校教員でありました。私の勤めたその学校にも図書室があり、校務分掌上図書係という教員がいて、子供たちは小学生でも班活動の中で図書班というのをつくって、自分たちで本の整理、管理、貸し出しというようなことをやっておりました。にもかかわらず、この四十四年間放置したということは、私はもう文部省の責任が一番大きなものがあると思うんです。  だから、私たちはよくこういうことを言いました。「当分の間」というのは何年や、時々にいろいろ議論があって、いや、それは文部省が「当分の間」というのを学校図書館法で、今二十年「当分の間」、今三十年「当分の間」、四十年でも「当分の間」と言えるんやと言って使わせていただいたのでありますが、いよいよこれも終わりかというふうな思いももう一方にあるわけで、余りにも長過ぎたと思います。  それで、一九五三年八月二十三日の文部省の広報課、この法律ができた直後、文部広報というところに次のような文章があります。「約三万七千の小・中・高等学校にかりに二役二名の司書教諭をおくとしても三万七千名の講習を文部大臣は大学に委嘱して行うことになる。これは急速に完成することは容易でないので附則二項で……と規定された。そこで事務的には、ほぼ十年間で将来の学校増加を見こんでこの講習を進める計画を研究中である。」ということを、この法律制定後、文部省文部広報で現場にこうした情報を流したのであります。  したがって、この「当分の間」というのは、十年間で三万七千の小中高等学校の二役二名の司書教諭を置くための準備をします、そしてその計画も研究をしてまいります、こういうことで「当分の間」が置かれたのでありますが、それが四十四年間も放置された。こう言えば、いやそれは議員立法でおつくりになったんだから文部省はあずかり知らぬことだ、こういうことになればこれは大変なことでありまして、いかに議員立法とはいえ学校図書館法というのがあって学校図書館が置かれ、学校司書教諭というものが有資格者としてあり、そして現に地方自治体がこの法律に従って学校司書というふうなものを配置するというふうなことを独自でいろいろ苦労しながらやった。  その当時勤められた方はもうかなりの高齢になっておられると思うんですが、何か本当に中途半端な法律のもとで、それでも学校図書館を一生懸命守ってこられたその苦労を思うときに、私は文部省の責任はいろいろ理由があったとしてもあれこれ言うことで免れない、やはりそれはまずかった、申しわけなかったということの一言があって、そしてこの法律改正されるべきだ、こう思うんですが、文部大臣いかがですか。
  103. 小杉隆

    ○国務大臣(小杉隆君) 御指摘のように、昭和二十八年の文部広報にはそのように書いてあるわけでありまして、文部省としては、この法律ができた直後、ほぼ十年ということで養成をしていこう、こういうことで昭和二十九年以来大学に委嘱をして司書教諭についての講習を実施してきたところでありまして、これまでに総計約五万五千人の司書教諭というか教員が講習を終えてきたわけであります。  しかし、この養成発令というものが必ずしもリンクしなかった、こういうことがあったわけであります。その背景には、やっぱり学校図書館司書の役割について関係者が十分理解していなかったという面もあると思いますし、それから司書教諭養成確保についての文部省の努力も私は十分であったとは言えない、このように考えます。  これからのことですけれども、先ほど来お答えしておりますように、司書教諭については、講習を実施をしている大学数、今はたしか五十九だったと思いますけれども、それを大幅にふやしたり、それから大学以外にも各都道府県教育委員会に対していろいろ、各県にあります教育センターなどを活用して講習を大幅にふやすということをやっていきたいと思いますし、また、各都道府県に対しても司書教諭発令あるいは養成ということを、そして発令計画というものを作成するように積極的に指導してまいりたいと考えております。
  104. 本岡昭次

    本岡昭次君 文部省の努力も十分でなかったということに触れていただいたので、今後のことに期待をしたいと思います。  それで、養成発令がリンクしなかったという点は後で質問をさせていただきますが、その前に、文部広報に載っている「二役二名の司書教諭をおくとしても」というこの二役二名、ニヤクと読むんですか、二つの役と二名と書いてある。どう読むんですか。これどういう意味なのか。  要するに、二つの役を持った二人の人を置くということに国語的に解釈するとなりますね。そうすると、学校専任司書教諭専任学校司書を置くと、それぞれ職務内容は違うから二役二名と言うのか。五条二項のところに「司書教諭は、教諭をもつて充てる。」という言葉があるからいわゆる教諭であって、子供を教えながら司書教諭としての仕事に携わる、いわゆる充て司書教諭と言うんですか、充て司書教諭専任学校司書のことを言うんですか。それとも、司書教諭も兼務している、学校司書も兼務をしているという状態をもって二役二名というふうにこの当時言ったんですか。これはどういうことですか。
  105. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) つまびらかにその趣旨につきましては承知しておりませんが、私ども考え方は、司書教諭というのは、単独の教諭とは別の身分を持った職務、職というふうにとらえるのは妥当でないのではないか。やはり学校図書館、  これは教育活動の一環として行われるものである。したがって、学校図書館で中心的に責任を果たす役割を担う司書教諭の方は、やはり教諭資格を持った、教諭として発令されている人が校務分掌の一環として司書教諭という職務をあわせ持つという形でこの職務に当たっていただくことが妥当であるという考え方に立っているという、そういう趣旨だと思います。  したがって、この養成あり方につきましても、普通免許状を持つそういう方が受講資格を持って講習を受けて司書教諭発令を受ける、そういう仕組みになっている、そういう考え方を述べているものというふうに推測されます。
  106. 本岡昭次

    本岡昭次君 そうすると、二役二名というのは、この二名というのは二人ということですよね。二人ともいわゆる教諭として資格を持った人が二人、小中高等学校には司書教諭として配置するということを目標として当初スタートしたということですか。
  107. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) 手元にしておりませんのでつまびらかにしておりませんが、その後文部省指導として考え方を発表いたしておりますが、そのときには、やはり一人の先生ということではなくて、できるだけ複数の司書教諭資格を持った方が各学校におられて、そして人事異動その他の点で固定的な運用を余儀なくされるようなことにならないように、できるだけ余裕を持った形で司書教諭養成が行われている、その中から司書教諭発令が行われる、そういう考え方に立っていたのではないかなというふうに思われます。
  108. 本岡昭次

    本岡昭次君 その当時のことはまた後ほど詳しくお聞きしたいと思います。  だから問題は、五条二項の「司書教諭は、教諭をもつて充てる。」という、その問題の解決を次にしなければならないんじゃないかと私は思うんです。  結局、ずっと午前中からのここの部分の意見を聞いておるとこういうことになるわけですね。各学校司書教諭資格を持っている教諭校務分掌学校図書館担当ということで配置され、仕事を担当する。だからその場合に、基本的には子供を教えながら、あるいは学級を担任しながらということでなければならないということはないが、しかし教諭というのは本来子供を教える職務なんですから、そういうものを両方併任しながら司書教諭としての職務も果たしなさいと、こういうことになっているわけですね。  だから、その五条二項がそういう趣旨であるから、文部省調査をした一九九二年十月一日の調査ですか、ここで司書教諭の担当授業時間数というものを見たときに、小学校で一週間当たり十八・五時間、そしてそれは、他の教員と比べて軽減されている時間数は一・四時間、中学校で十四・六時間、他の教員と比べて丁五時間ということ。そうすると、機械的に言うと、一週間に司書教諭小学校では一・四時間、中学校では一・五時間、もちろん平均でしょう、を司書教諭としての職務を果たすと。司書教諭としての職務を果たせる時間はそれしかないということになってくるんですよね。  しかも、この担任の有無になってくると、小学校は七九・六%が担任している、担任を持っていない人は二〇・四%しかいないというふうになってきたときには、あなたは司書教諭ですよとして発令されたその人は大変なことですよね。学級担任として大変な職務というか責任というものを持ちながら、一方、司書教諭として発令されて、そしてそれも、一人前の司書教諭として持っておるその職務を、先ほどから司書教諭とは何をすべきかということをおっしゃっていますけれども、その両方を果たせということが果たして可能なのかという問題の議論を次へ発展させていかなければ、私は問題は解決しないと思う。  だからこそ、次に出てくるのは、養成発令がリンクしないと大臣おっしゃいましたけれども資格を持っておっても、私は資格を持っております、だから司書教諭をやらせてくださいと言っても、専任じゃなく必ず担任を受け持つか、あるいは教科を教えるかということでなければ自分のやりたい司書教諭の仕事はできないという状態に追い込まれたら、私だってもし持っておったら、司書教諭なんて言わんと、学級担任あるいは教科の方だけでやりましょうとなりますよ。また、それが許されるのなら、一体学校司書というものは、司書教諭職務というのは一体何やと。私が最初言ったように、子供がクラブ活動なり班活動なり、そういうことで順番にやってもやれるレベルの程度のことしか文部省考えていないんじゃないかということが調査の結果やっぱりはっきりしているわけですね。  さらに驚いたのは、この調査で「司書教諭有資格者がいる学校がある市町村(県)における発令状況」というのがあるんですね。ここで全校で発令しているという都道府県はゼロ、市町村では〇・四%。有資格者がいる学校であっても全く発令していないという都道府県が四十四あるんですよね。四十七都道府県の中で四十四。いても発令しない。発令できないんでしょう、受けないんでしょう、持っている人が、そんなことは大変だから。だからその養成発令がリンクしないというのは当然起こってくる。市町村も九八・四%がこの統計によると発令はしておりませんと、こう言っているんですよ。なぜこういう実態があるのかというところにメスを入れてこの問題を解決しなければ、この「当分の間」というのはとれた、これは私は評価するんですよ。評価するって、これは僕らがやっているんだから、何も文部省の評価をする筋合いは全くないんだけれども。  だから、その次に問題なのは五条二項ですよ。この五条二項の「司書教諭は、教諭をもつて充てる。」といういかにももっともらしい言葉、中身が今になってどういう事態を生んでいるかということにしっかりメスを入れて、これを削除するなり廃止するなり、またこれにかわる、現場なりの置かれている状況をしっかりとカバーできるものに変えなければならぬと。これは議員立法だから議員でやりなさいとおっしゃるなら、僕らがやることでしょう。だけれども、ここまで問題が大きくなって、やっぱり文部省の方も、みずからの責任においてこの学校図書館をよりょいものに、現場の実態あるいは子供の教育の実態に合ったものに変えていくという努力を、待ちの姿勢じゃなくてあなた方もおやりにならなければいけないんじゃないんですか。だから、次に手がけるのは、五条二項のこの問題のありようをどうするかということを考えなければ問題の解決はしない。  そして、次に大変なのが、文部大臣も今頭を悩ませておられると思うけれども教職員の定数のところの問題に、その学校司書とか司書教諭とかいうようなものを定数上配置できるのかどうかと。しかし、これは財政難だとか一般の教員の数が減らされているのに新しいものをという、僕はそういう性格のものじゃないと思うんですよ。学校図書館学校教育に必要であるならば、必要な人数を配置するということ。  僕が最初勤めたところは養護教諭なんていなかったですよ。僕らが全部、子供がけがしたら手当てしてたですよ。僕らの手に余るものは医者に連れていったけれども、最低のことは、僕らは何も教えてもらわなかったけれども、赤チン塗るぐらいのことは私はわかっていますから全部やってきた。それと同じように、最初はそれは一名からスタートしても、やはり定数法の中に養護教諭を、これは三十年四十年かけて全校配置から複数配置と営々と努力を積み重ねて学校の中の健康、保健の問題の体制をつくり上げたんですよ。  だから、この図書館教育の問題も、定数といえば一方を削られるように、お金をこれだけ削らなきゃいかぬという、そのことと僕は一緒にしたらいけない。必要なものは必要としてやはり踏み込んでいく勇気が、これはやっぱり文部大臣、要るんじゃないかというふうに思うんです。  だから、今言ったそのことが解決しなければ、この「当分の間」をとっても、それはさっきの江本さんの話じゃないけれども、事態は何も変わらぬということになると思うんです。これはひとつ文部大臣の決意も含めて、議員立法だけに任せずに文部省自体も本気になってこれをやるんだということをひとつお述べいただいたら私はすぐ質問をやめますけれども、よろしくお願いします。
  109. 小杉隆

    ○国務大臣(小杉隆君) 具体的なことはまた局長から必要があれば答弁させますが、私は基本的に司書教諭専任化すべきかどうかという点、まず申し上げたいと思うんですけれども、やっぱり学校教育指導とこの図書館の仕事というのは非常に密接な関連があると思うんですね。ですから、教育を指導しないで専らもう司書の仕事だけやるというのが果たしていいのかどうか、やはり学校教員の免許を持ち、実際の教壇にも立った上で、そしてその指導上のいろいろな考え方、体験というものを司書教諭として子供の図書の指導に当たるという方が私はより現実的であり、有効であろうと思うわけです。  ただ、今、本岡委員指摘されたように、現実は、司書教諭に割り当てられている人の負担が余りにも重過ぎると。授業時間をたくさん持たされておるとか担任をやっているとかいうことで時間的な余裕がないということは、これは非常に考えなきゃいけない問題だと思います。  そこで、今は校務分掌で、司書教諭として正式に発令はしていなくても、例えば図書主任とか、そういう形で実態的にはかなりやっている学校もたくさんあるというふうに聞いております。私は、これからの中長期的な問題としては、やはりいかに実質的に司書教諭としての役割を果たす人間を確保するかということが大事だと思うんですね。  そこで、今御指摘のような職員の定数、教職員の定数に余裕があれば、よりもう少し司書教諭の仕事に携わる時間もふやすことができる。そういったことで、これは非常に定数問題とは密接につながっている問題であります。今大変御理解ある御発言をいただきましたが、今まさに少子化時代を迎えて、そういった意味での質的な改善を図る、司書教諭の仕事に携われる人をもっとふやせる、そういう絶好期に立ったわけですけれども、この危機的な財政状況の中で、特に職員定数問題というのが非常に今焦点となっているというところで我々も非常に苦慮しているところでございますが、私どもとしては一層そうした厳しい情勢の中でも教職員の定数確保ということについては努力をしていきたいと思っております。
  110. 本岡昭次

    本岡昭次君 今の大臣答弁で、これからお互いに力を合わせてやらなければいかぬ問題だと思っております。  次はやはりこの五条二項の条文上の問題と実態とをどうするかということと、定数の問題をやらなければこの問題は完結しないというこの認識は共有できるのかどうか、この点だけいただきたい。あしたのことを言っているわけではないんで、将来にわたってそういう問題を検討していかなければこの問題は解決しないという考え方を共有できるのかどうか、大臣に一言述べていただいて、終わりたいと思うんです。
  111. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) 辻村局長、時間でございますので簡潔にお願いします。
  112. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) ただいまの御指摘の点でございますけれども協力者会議報告におきましても、今後の学校図書館増を踏まえつつ、ただいまの司書教諭あり方の問題につきましては中長期的な課題として研究していく必要があるという具体の御指摘もいただいておりますので、私どもそれを十分に踏まえて検討していきたいというふうに思う次第でございます。
  113. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 私は提案者に質問いたします。  一昨日の学図法改正に関する提案理由の説明の中で、学校図書館が当初の期待どおり有効にその機能を発揮してきたとは申せません。これは、図書館資料や施設・設備が不十分であったり、司書教諭設置等が進まなかったこともある、こういうことを指摘しておられます。私はこの部分は非常に重要であると考えます。学校図書館現状をどのようにとらえるのか、このことによっておのずからその改善策も異なってくるからです。  そこで伺いたいのですが、学校図書館現状を具体的にどのようにとらえていますか。また、今回の法改正による司書教諭配置によって具体的にどの程度の改善を企図しておられますか。
  114. 木宮和彦

    委員以外の議員木宮和彦君) 阿部先生にお答え申し上げますが、まず、現状認識ですね。  学校図書館学校教育において欠くことのできない基本的設備だと私は思っています。学校の教育課程の展開に寄与して児童生徒の健全な教養を育成するとともに、本になれ親しむのを目的とした法律だというふうに私は理解をしております。  しかし、現状は、残念ながら当初の期待どおり有効にその機能を発揮しているとは言えないと思います。その大きな理由は、これまで学校教育がどちらかといえば教室における画一的な教え込む教育に重点が置かれてきたということにあると思います。また、そのようなことを背景に、図書館資料や施設・設備が不十分であったり、司書教諭設置が進まなかったこともあります。  平成四年十月一日現在の文部省調査によりますと、児童生徒一人当たりの蔵書数は、小学校では十六・二冊、それから中学校では十三・六冊、高等学校では十九・一冊となっております。また、児童生徒一人当たりの年間購入図書の冊数は、生徒一人に対して小学校では〇・七七冊、中学校では〇・六一冊、高等学校では〇・六八冊でございます。  それから、学校図書館の利用状況を見ますと、司書教諭の有資格者のいる学校で六日間開館している学校は、小学校で七六・三%、中学校で四一・四%、高等学校で八五・一%であります。有資格者のいない学校ではこれより若干少なくなっております。  それから開館時間は、有資格者のいる学校では、始業前から下校時まで開館しているのが小学校で四一・九%、中学校で一二・〇%、高等学校で三一・六%であります。それから、始業時から下校時まで開館している学校は、小学校で三四%、中学校で九・七%、高等学校で四一・四%となっております。  俗に、かぎのかかった学校図書館などという話をよく聞きますが、有効に活用されている学校もあると思いますが、そうでない学校も多いのではないかと思います。近年、学校図書館図書整備新五カ年計画など学校図書館充実を図ってきておりますので、事情は好転しているように考えております。  また、学校図書館運営の中心になる司書教諭に  つきまして、まだ五百数十人にとどまっており、今回、本改正案提出した理由がここにあると思います。
  115. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 もっと具体的に考えてみたいと思うんですけれども図書館資料と人の面で、埼玉県所沢市の中学校の例です。  所沢市は三年がかりで非常勤の学校図書館司書補助員を市内の十五の中学校全部に配置しました。去年で終わったわけなんですが、初年度のことです。図書原簿には登録番号が一万四千番までありながら、実際に目録カードがあったのは三千五百。ほとんどが昭和二十年代から三十年代のものだったそうです。除籍簿も基本台帳もなし。いわば四十年の空白を埋める仕事を、一日六時間、週五日勤務の司書補助員の方がなさったんです。この方は、図書館を見事によみがえらせ、図書の整理のみではなくて、図書館担当の教師その他の教師生徒と一緒になって、学校の教育課程全体の展開に寄与する学校図書館をつくり上げました。  文部省調査では、開館時間が昼休みのみというのが中学校で三三・八%もあるということは今のお話にもあるとおりで、これが私たちが今直視しなければならない実態なんですね。  それで、図書資料のさらなる充実が必要であることは当然だと思いますが、私が今述べたような図書館の仕事も、また、いつでも利用できる図書館も、教師の片手間ではとてもできないとは思わないでしょうか。  今回の法改正案では、教諭の充て職の司書教諭ですから、授業を持ったり、それから担任を持ったりしてのいわば片手間の仕事になるわけです。これでできると思いますか。
  116. 木宮和彦

    委員以外の議員木宮和彦君) できるかできないかということはやってみにゃわからぬのでして、私はできると思いますよ。  私も経験者でございますので、授業数がほかの人と全く一緒ということは大変苦しいと思いますが、授業をある程度、この程度を幾らにするかということはわかりませんが、例えば朝二時間くらいずつ五日間やれば十時間はできるわけです。その上でもって残り時間を放課後まで図書館の主になるということは、私は図書館生徒にも児童にも非常に親しまれる方法ではないかなと。むしろ、そこにいたきりだということは決していいことではないと、私はそう思いますけれども
  117. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 法律に則して考えてみたいと思うんですけれども学校図書館法によれば、その第四条で、学校図書館の運営について、学校学校図書館を児童、生徒教師の利用に供する。学校というのはみんなで何でもやるところなんですけれども学校図書館について言うと、教師学校図書館サービスを受ける側でもあるんですね。利用に供するために、資料の収集、提供、分類排列と目録整備、読書会、研究会、鑑賞会、映写会、資料展示会等を行うこと。利用指導やほかの学校図書館公共図書館等との連絡と協力。また、一般公衆にも利用させることなどが列挙されています。  この運営の中心になるのが司書教諭ということになっているんですが、これだけの仕事を単なる兼任の司書教諭発令でやれると思うのは、私は幻想だと思うんですね。  実際、学校図書館司書補助員を配置してきた所沢市の教育委員会の方も、また現場の学校長も、授業や担任を持つ教諭の充て職の司書教諭発令されるだけではとてもやっていけないとはっきり率直におっしゃっていました。これが学校図書館に本腰を入れ始めた現場の実感だというふうに思います。  実際、文部省は一九五九年、昭和三十四年に学校図書館基準というのをつくっているんですね。それによりますと、「学校図書館司書教諭および事務職員を置く。」として、「司書教諭は児童・生徒数四百五十人未満の学校では兼任を一人、四百五十人以上の場合には専任を一人置く。」、「事務職員は児童・生徒数九百人未満の学校では専任を一人、千八百人未満の場合は二人、それ以上の場合は三人を置く。事務職員は専門の知識技術を修得しなければならない。」、「兼任司書教諭の担当授業時間数は、週十時間以下とする。」と、こういうふうにしていたんですが、今回の法改正案にこういう裏づけがあるならば私も展望が持てるんです。ところが、裏づけがないんですね。  文部省伺いたいのですが、この学校図書館基準というのはなぜ着実に実行に移されてこなかったんでしょうか。
  118. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) 御指摘のとおり、学校図書館基準が昭和三十四年に制定されました。その中には、今先生指摘のようなものも含めて、もろもろ学校図書館のいわばあるべき努力目標というものが示されているわけでございます。  文部省といたしましても、できるだけの人的、物的、ここに掲げられておりますような運用面それぞれについて努力をしてきたつもりではございます。しかし、我々の努力の足りない点もあろうかと思いますけれども学校図書館に対する理解の問題、あるいは種々の財政事情の問題その他がありまして、ここで規定されましたとおりの水準に達していない部分があるということは率直に言わざるを得ないだろうというふうに思います。しかし、これは望ましいものとして打ち出されているわけでございますので、さらにそれぞれの部面において施策充実を期して学校図書館充実に努めてまいりたいというふうに考えております。
  119. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 今や風前のともしびと言われている専任司書教諭の実践例を私は「理想の学校図書館」という本で知り、大変感動しました。  著者は、途中省略しますが、教科と図書館のチームティーチング、生徒たちの自主学習能力を育て、あらゆる教科と連携していきたい。ただしこれには条件があります、司書教諭学校司書の最低二人の図書館専任が必要ですと、こういうふうにおっしゃっているんです。  四十年余を経ての法改正ならば、こうした声に積極的にこたえ、また、文部省が法制定間もないころその意欲を示した学校図書館基準、こういうものなども生かす手だてが必要なのではないんでしょうか。提案者。
  120. 木宮和彦

    委員以外の議員木宮和彦君) 先生のおっしゃることはよくわかります。私もそうあるべきだとは思いますが、何せ金にかかわる問題もありますし、それともう一つ大事なことは、やはり学校によっては規模も非常にちっちゃな学校もございますし、そういう学校に果たして図書館だけに二人の司書教諭とそれから事務の司書に携わる人と両方配置するということは、これはやはり常識的に考えても今現在では難しいと思います、将来のことはわかりませんが。  いずれにしても、学校全体でもって、そのリーダーシップをとるのが校長以下やはり司書教諭先生指導といいますか指図といいますか、そういうことでもってこれを生きた活用ができるようにするのが私は理想だと思います。  特に司書教諭の場合には、これはいわゆる事務の司書とは違いまして、司書には司書資格というのがございまして、これは公立の図書館などで社会教育の中で取りますから、そういう取った人を事務員に雇っていただけるとそれが割合うまくいくんじゃないか。あえて学校司書という資格を私はっくる必要はないような気がいたしますけれども、その辺はまた今後の課題ではないかと思います。
  121. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 司書教諭発令が滞ってきた中で、自治体が独自に図書館職員配置を進めてきた経緯に注目をする必要があるのかなというふうに思います。  先ほど私は埼玉県所沢市の学校図書館司書補助員の例を述べましたが、私の調べでは、埼玉県内九十二市町村中十八市町、約二割の自治体、四十三市中十五市、約三五%の市に何らかの形で図書館担当の職員が置かれるようになりました。念のために言いますと、県立高校の場合は、普通高校ですと専門の司書が全校に配置されています。  また、「学校図書館司書をおこう!全国の運動を語り合うつどい97」というのが岡山県倉敷市でことしの一月に行われているんですけれども、その実行委員会の全国調査によりますと、公費、私費、正規、臨時を問わないで、公立小中学校学校図書館の仕事をするために雇用されている人という意味で職員が置かれているのは、全国で六百九十一市中二百十三市、約三一%に上ります。  その働きぶりの一部を私は所沢の例でお話ししたんですが、こうした職員と自治体の取り組みについてどう評価しますか。時間が余りないので簡単にお答えください。
  122. 木宮和彦

    委員以外の議員木宮和彦君) それは私は大変結構なことだと思いますので、各自治体でもって積極的に進めることが肝要だと思います。
  123. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 学校司書のつぶやきを紹介したいと思います。  ある教師から、すべての子供が本好きになるようなことはあり得ないし、またそんな必要もないだろうと言われたことがある。果たしてそうだろうか。私はこの言葉は随分考えさせられました。この方は結論として、すべての生徒を数学好きにはできないかもしれないけれども、本と教科は違う、本にはさまざまなジャンルがあるからすべての子供が本好きになる巨大な可能性がある、そして社会生活をしていく上ですべての子供が本を読めるようにしておくことが必要だろう、こういうことをおっしゃっています。図書館人らしい視野の広さに私は大変感動しました。  学校司書の果たしている役割、また自治体での取り組みも踏まえて、学校司書制度化、つまり学校教育に不可欠な職員として学校司書学校教育法上に明記し、その職務資格についても明確にする、このことが必要ではないでしょうか。
  124. 木宮和彦

    委員以外の議員木宮和彦君) 学校司書制度化は、さっき私は申し上げましたけれども、そういう資格よりも、やはり事務員と司書とが仕事は違いますが複数いれば、学校というところは大体忙しい時期、例えば四月、五月とか、あるいは時期によって多少違うんでして、やはりお互いに共有する仕事を大勢の人ができるようにした方が望ましいのであって、学校司書をつくってその人を一年じゅうそこに張りつけちゃうというのは、果たして人を利用するためにもあるいは図書館を利用するためにもいいのか悪いのかというのは、これはまた検討していただく、それこそ専門家の先生方検討していただくのがいいと思うので、今私としては答えられません。
  125. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 最後に文部大臣伺いたいと思うんですが、私も日本の国家財政が大変厳しいというのはよく存じております。こういうときだからこそ、財政運営にどういう思想が貫かれるべきなのか、国家百年の計と言われれる、事は教育にかかわる問題ですから、そのことが本当に問われると思います。  そこで伺いますが、ユネスコの学校図書館メディア奉仕宣言というのがあります。「学校図書館メディア奉仕には、教育および図書館学の専門的資格を有する職員と、それを補佐する十分な補助職員が要求され、」、こうあるんです。なかなか高度な専門性を要求しているんですね。そして子どもの権利条約は、意見表明権を保障する学校図書館の役割とか子供のプライバシーの権利等読書の秘密の問題などに触れるなど、学校図書館にかかわる条項を幾つも含んでいます。学校図書館子供の権利を保障し、子供が権利を行使する場でもあるわけなんです。二十一世紀に向かう学校図書館がこうした国際的な要請水準にも合致したものに充実していくことを切望するものですが、大臣の見解並びに決意を伺いたいと思います。
  126. 小杉隆

    ○国務大臣(小杉隆君) ユネスコの学校図書館奉仕宣言や子どもの権利条約を引用してのお話でしたけれども、確かに学校図書館充実させるということはこうした趣旨にも沿うわけでございまして、ソフト、ハード両面の充実は大切であるということで、今回、議員提案によって特に人的な司書教諭配置ということに主眼を置いた提案をされたと承知しております。私どもは教育的指導観点に立ってこの児童生徒読書活動充実にこれからも努めてまいりたいと思っております。  財政状況などを見ますと非常に困難性がございます。例えば今、小中高合わせて約四万校ございますけれども、そこに実際に司書教諭発令されているのは五百二十四人、資格を持っている方だけでも一万二千五百六十九人、はるかに及ばないわけでありますし、また学校司書の場合も、全国で七千五百十三人、私費を含めても八千四百十二人と。こういうことで、ユネスコとか権利条約にうたっている精神は私たちはそのとおりだと思いますけれども、現実を考えてみますと、やっぱりステップ・バイ・ステップで目標に向かって一つ一つ階段を登っていく、そういう姿勢が必要じゃないかと思っております。だからこそこうして議員提案がされているわけでありまして、私は今回の提案はそうした目標に向かっての第一歩だというふうに受けとめております。  厳しい財政状況の中ではありますが、特に国にとって少子化の時代こそ一人一人の子供の質を高める、これがすなわち将来の国力であり国の活力になる、こういう点をやっぱり財政当局も含めて我々すべてが認識をしなければいけないと、こう受けとめております。
  127. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  128. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) 御異議ないと認めます。  本案の修正について阿部幸代さんから発言を求められておりますので、この際、これを許します。阿部さん。
  129. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 私は、日本共産党を代表して、学校図書館法の一部を改正する法律案に対し修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりです。  まず、修正案提出理由及びその内容について御説明申し上げます。  学校図書館は、学校教育をより豊かにする上で欠くことのできない基礎的な設備であり、学校における図書活動の中心として大きな役割を発揮することが期待されています。  しかし、現状は、学校図書館法が制定されて四十年以上経過した今も、学校図書館充実に欠かせない専任教職員配置されていないため、昼休みと放課後に開館するのが精いっぱいという学校も多く、中にはかぎのかかったままのあかずの図書館すらあるという状況さえ生まれています。  学校図書館図書館として機能させるかぎが専任の人の配置です。そのためには、国の責任で学校図書館専任職員配置する必要があります。また、既に配置されている職員については、正規の専任職員としての身分の安定を図るとともに、給与や研修の保障など処遇の改善を図るべきです。  しかし、今回の改正案は、教科や学級を担任しながら兼任で学校図書館の運営に当たる司書教諭配置を進める内容にとどまり、父母、教職員が求めている専任職員配置には全く触れていません。これでは、貧困な学校図書館現状解決するには不十分です。  そこで、開店休業状態学校図書館を一日も早くなくし、豊かな学校図書館活動を発展させるために、司書教諭と力を合わせて学校図書館の運営に当たる専任、専門、正規の図書館担当職員学校司書を新たに制度化する修正案を提案した次第です。  次に、修正案の内容について御説明申し上げます。  第一は、学校には、司書教諭に加えて、学校司書を置かなければならないこととし、その職務は、司書教諭協力して学校図書館の専門的職務に従事することとしています。  第二は、学校司書資格及び講習についての規定を設けています。その際、現に学校図書館職員である者については、雇用形態のいかんを問わず、一定の経験年数と講習で学校司書に移行できるようにしています。  第三は、学校司書は、特別の事情のあるときを除き小学校中学校に各一名、高校、障害児学校に各一名を置くこととし、五年間で段階的に配置することとしています。義務教育諸学校においては、県費負担職員とし、給与の半額を国庫負担の対象としています。  第四は、学校図書館及び学校教育において学校司書の果たす役割を勘案し、改正法施行後三年以内を目途として、学校司書職務に応じた給与、研修その他の処遇に関し検討を行い、その結果に基づいて所要の措置を講ずることにしています。  第五は、司書教諭制度あり方について、改正法施行後三年以内を目途として、司書教諭専任とすることも含めその職務あり方に関し検討を行い、その結果に基づいて所要の措置を講ずることにしています。  これによる初年度の国庫負担の増額は約二百億円を見込んでいます。  以上が修正案提出理由及びその内容です。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
  130. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) ただいまの阿部さん提出の修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から本修正案に対する意見を聴取いたします。小杉文部大臣
  131. 小杉隆

    ○国務大臣(小杉隆君) 学校図書館法の一部を改正する法律案に対する修正案につきましては、政府としては反対であります。
  132. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) これより原案並びに修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  133. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 私は、日本共産党を代表して、学校図書館法の一部を改正する法律案に対する修正案に賛成し、原案に反対の立場で討論を行います。  学校図書館は、学校教育において欠くことのできない基礎的な設備として、図書資料を児童または生徒及び教員の利用に供することによって学校の教育課程の展開に寄与するとともに、児童または生徒の健全な教養を育成することを目的として設けられています。その多様な運営のかぎを握るのが学校図書館専任教職員配置です。  ところが、学校図書館法制定後四十年余もの間、学校図書館の運営は、主として校務分掌上の図書主任や図書委員、図書係、また勤務条件がこれらとほとんど変わらない、つまり授業や担任を持つほんのわずかの司書教諭と自治体が配置してきた図書館担当事務職員に任されてきました。  学校図書館本来の機能活性化させるために、今日求められているのは、現状を踏まえた上で、司書教諭について、専任を含めその職務あり方を明確にすることです。あわせて、学校司書について、その職務あり方資格を明確にして法制化を図り、専任、専門、正規の学校図書館担当の人を配置することです。  ところが、学校図書館法の一部を改正する法律案は、従来型の兼任の司書教諭配置を進める内容にとどまるものであり、四十年余の歴史の経緯を踏まえたものとは到底言えず、学校図書館活性化に寄せる国民の期待にはこたえられないものであると考え、賛成できません。  以上で討論を終わります。
  134. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) 他に御意見もなければ、原案並びに修正案に対する討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  135. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより学校図書館法の一部を改正する法律案の採決に入ります。  まず、阿部さん提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  136. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) 少数と認めます。よって、阿部さん提出の修正案は否決されました。それでは、次に原案全部の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  137. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、小野清子さんから発言を求められておりますので、これを許します。小野さん。
  138. 小野清子

    小野清子君 私は、ただいま可決されました学校図書館法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党平成会、社会民主党・護憲連合、民主党・新緑風会及び新党さきがけの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     学校図書館法の一部を改正する法律案に     対する附帯決議(案)  一 政府及び地方公共団体は、司書教諭の養   成・発令を計画的に促進すること。なお、小規   模校への設置についても検討すること。  二 政府は、司書教諭講習について、社会の情   報化などの進展に応じて、講習内容の現代化   を図るとともに、教員免許状取得前の受講を   可能にするなど受講資格を弾力化すること。  三 政府は、学校図書館の利用の状況学校図   書館において司書教諭の果たす役割等を勘案   し、司書教諭教諭としての職務の在り方に   関し、専任司書教諭の在り方を含め、検討   を行い、その結果に基づいて所要の措置を講   ずること。  四 政府及び地方公共団体は、司書教諭設置   及びその職務検討に当たっては、いわゆる   学校司書がその職を失う結果にならないよう   配慮すること。  五 政府及び地方公共団体は、学校週五日制の   完全実施の時期を目途に、学校図書館の図書   の充実を図るとともに、マルチメディア時代   に向けた学習情報のセンターとしての機能の   充実に努めること。  六 政府は、学校図書館充実強化に対する国   民の期待に応えるよう、将来の学校図書館の   総合的な政策について引き続き検討を行うこ   と。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  139. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) ただいま小野さんから提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  140. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) 全会一致と認めます。よって、小野さん提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決しました。  ただいまの決議に対し、小杉文部大臣から発言を求められておりますので、これを許します。小杉文部大臣
  141. 小杉隆

    ○国務大臣(小杉隆君) ただいま御決議をいただきました事項につきましては、十分その趣旨検討いたしたいと思います。
  142. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  143. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時十分散会      —————・—————