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1997-04-08 第140回国会 参議院 文教委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月八日(火曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  三月二十八日     辞任         補欠選任      橋本 聖子君     釜本 邦茂君  四月一日     辞任         補欠選任      田村 秀昭君     長谷川道郎君  四月七日     辞任         補欠選任      田沢 智治君     三浦 一水君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         清水嘉与子君     理 事                 鹿熊 安正君                 石田 美栄君                日下部禧代子君     委 員                 井上  裕君                 釜本 邦茂君                 馳   浩君                 三浦 一水君                 菅川 健二君                 林 久美子君                 山下 栄一君                 山本 正和君                 本岡 昭次君                 阿部 幸代君                 江本 孟紀君                 堂本 暁子君                 長谷川道郎君    国務大臣        文 部 大 臣  小杉  隆君    政府委員        文部大臣官房長  佐藤 禎一君        文部大臣官房総        務審議官     富岡 賢治君        文部省生涯学習        局長       草原 克豪君        文部省初等中等        教育局長     辻村 哲夫君        文部省教育助成        局長       小林 敬治君        文部省高等教育        局長       雨宮  忠君        文部省学術国際        局長       林田 英樹君        文部省体育局長  佐々木正峰君        厚生省児童家庭        局長       横田 吉男君    事務局側        常任委員会専門        員        青柳  徹君    説明員        総務庁行政監察        局監察官     田代 喜啓君        労働省職業安定        局高齢障害者        対策部障害者雇        用対策課長    松浦 弘行君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○教育文化及び学術に関する調査  (養護学校高等部訪問教育に関する件)  (学童保育充実に関する件)  (財政構造改革下文教予算に関する件)  (教員への身障者雇用に関する件)  (学校図書館の在り方に関する件)  (児童福祉法改正に伴う子供への教育保障に関  する件)     —————————————
  2. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る三月二十八日、橋本聖子さんが委員辞任され、その補欠として釜本邦茂さんが選任されました。  また、去る一日、田村秀昭さんが委員辞任され、その補欠として長谷川道郎さんが選任されました。  また、昨七日、田沢智治さんが委員辞任され、その補欠として三浦一水さんが選任されました。     —————————————
  3. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) 教育文化及び学術に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 馳浩

    馳浩君 おはようございます。自由民主党の馳浩です。  きょうは、まず訪問教育について質問させていただきます。  盲・聾・養護学校高等部訪問教育試行的実施に関しまして、同僚の阿部議員も非常に努力をいただきまして、私たちも及ばずながら微力を注ぎましたけれども、この四月一日から試行的実施がなされるということで、実際に何都道府県から実施を行いたいという申し出がありましたか、そして実際に実施をこの四月一日から始めましたでしょうか、お教えください。
  5. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) お尋ね高等部におきます訪問教育実施でございますが、この平成九年度からスタートいたしました。私ども承知いたしておるところでは、全国三十二都道府県実施をいたしているというふうに承知をいたしております。
  6. 馳浩

    馳浩君 残りの十五県はなぜ申し込みをしてないのでしょうか。
  7. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) いろいろな事情があるようでございますけれども、私ども全県にこれは問い合わせておりまして、三十二都道府県実施をするということでございますが、それ以外の県につきましては、訪問教育の前に、まず高等部というものがまだ十分でなかった、したがって高等部というものの整備に全力を尽くすというような県等がございまして、そういったところは、訪問教育はちょっと見送るけれども、そちらで対応するということが大きな理由承知いたしております。
  8. 馳浩

    馳浩君 実は当初は二十数県ぐらいだろうという予想があったにもかかわらず、三十二県ということは、これはやはり文部省の取り組みのおかげだと思いますので、深く敬意と感謝を申し上げます。ありがとうございました。  と同時に、まだ根本的な問題解決にはなっておらない部分がたくさんあるのですが、その一つとして、文部省通知文を読ませていただきますが、「訪問教育対象は、現在、中学部において訪問教育を受けていて引き続きこの教育を必要とする者、及び中学部に在籍している生徒のうち、障害の重度・重複化により通学が困難になりこの教育が必要になると見込まれる者が考えられる。」ということでありまして、これではもう既に卒業した子供については対象にならないのではないか、ぜひそういう子供対象にしていただきたいという要望が多うございますが、この点に関しましてどう対応されますか。
  9. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) 先生の今のお尋ねは、既に過年度中学部を卒業した子供たちについてはどうかというお尋ねでございますが、ただいま先生から御紹介いただきましたのは、私どもが省内に設けました調査研究協力者会議報告でございまして、その調査研究協力者会議は、高等部という学校制度でございますので、中学部を卒業した者が引き続いてこの対象になるという原則が書かれたわけでございます。  私ども、この報告書を受けましてさてどのように対応するかということで、我々としてこの報告書を受けた対応を検討いたしました結果、原則原則として中学部を卒業した者を受け入れるということではあるけれども、やはり過年度卒業生であってもこれをのけるという必要はないのではないか。これは各県のさまざまな受け入れの状況があるであろうから、それに判断はゆだねるとして、過年度卒業生をこの対象から外すという必要はないということで、通知におきましては中学部卒業生に限定するという文言を削りまして、各県の判断において対応してほしいというような通知にいたしたわけでございます。  そこで、私ども承知いたしておる限りでは、三十二都道府県のうち、八県におきましては過年度卒業生対象にして訪問教育実施するという形でこの九年度踏み切ったというふうに承知をいたしておるところでございます。
  10. 馳浩

    馳浩君 わかりました。非常に文部省の寛大な措置に対しまして深く本当に感謝を申し上げる次第でありまして、障害者に対しましても、あらゆる子供に対する教育機会確保されますように今後とも引き続き御努力をいただきたいとお願いを申し上げます。  続きまして、学童保育の問題について質問申し上げます。  文部大臣にまず、学童保育とは何か、その定義を御承知でしょうか。
  11. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) これは、児童福祉観点から学童保育というものは行われているというふうに承知しております。
  12. 馳浩

    馳浩君 児童福祉観点からということで、私のきょうの質問趣旨はそこに教育観点もつけ加えていただきたいということなんですが、質問に入りたいと思います。  学童保育につきましては、一九六六年に文部省留守家庭児童会補助事業として国庫補助をしてきました。しかし、一九七〇年にこれを廃止しております。その廃止理由は何でしょうか、一つ。もう一つは、この国庫補助教育一環として行っていたのではないのですかという二点目。この二つについて質問申し上げます。
  13. 草原克豪

    政府委員草原克豪君) 委員指摘のとおり、昭和四十一年から昭和四十五年まで文部省では留守家庭児童会育成事業に対する補助を行ってまいりました。そして、昭和四十五年にこれを廃止いたしまして、昭和四十六年からは新たに校庭開放事業の中にこれを統合したものでございますけれども、この当時は、子供遊び場が不足しているとかあるいは交通事故が多発している、こういった状況がありまして、子供を取り巻く生活環境が悪化しつつあった時期でございます。  こういった問題に対処するために、単に留守家庭児童だけを問題とするのではなくて、子供たち全体の問題としてこれを取り上げようという機運が出てまいったわけでございます。したがって、留守家庭児童だけを分離する形で児童会をつくるよりも、いろんな子供が一緒になって、そこで集団活動を行うことが教育上もより適切であろうというふうに考えられたわけでございます。そういう観点から、先ほど申し上げましたように、昭和四十六年にこの事業をすべての子供対象として校庭において遊び場遊び等集団活動を行う校庭開放事業に統合したものというふうに承知しております。  それから、これに対する国庫補助でございますけれども昭和四十一年から四十五年まで行ってまいりましたこの留守家庭児童会育成事業は、当時、小学校の下校時に保護者家庭にいないいわゆる留守家庭児童対象にして社会教育事業として国庫補助を行っていたものでありますけれども、先ほど申し上げたような理由によりまして、すべての児童対象にして校庭において遊び場遊び等集団活動を行う校庭開放事業に発展的に統合したものということでございます。
  14. 馳浩

    馳浩君 はっきり言うと廃止理由がよくわからなかったんですが、社会教育事業一環ということでございますから、教育一環というふうな形での補助をしていたというふうに私はとらえますが、よろしいですね。  それで、現在におきましても学童保育の問題を教育の問題ととらえていないのですか。今も社会教育事業一環であると申されましたが、なぜ現在は教育の問題としてとらえていないのですか、説明をいただきたいと思います。  そこで、これは法律の条文を出してきて申しわけないんですけれども教育基本法の二条には、「教育目的は、あらゆる機会に、あらゆる場所において実現されなければならない。」とあります。ということは、放課後という機会学童保育という場所においても児童に対する教育目的が実現されなければならないと私は考えますが、この点も含めましてどうお考えになりますか。
  15. 草原克豪

    政府委員草原克豪君) この教育基本法第二条の規定でございますけれども、これは学校教育と並んで社会教育が尊重され振興されなければならない、こういう趣旨を含むものでございます。このため、文部省としては、この教育基本法第二条あるいは社会教育法等規定に基づいて社会教育の推進に努めているところでございます。先ほどの留守家庭児童を含むすべての子供対象とした社会教育という観点からも、学校開放事業を推進するとか、あるいは青少年団体を振興するとか、それから社会教育施設整備充実を図る、こういったことに努めているわけでございます。  御指摘学童保育でございますけれども、これは保護者労働等理由によって昼間家庭にいない児童対象とするものでございまして、社会教育というよりはむしろ厚生省において児童福祉という観点から行われている事業でございます。
  16. 馳浩

    馳浩君 これは私の考え方がどうかなと思われるんだったらそう言っていただきたいんですが、私は学童保育教育の問題として位置づけていただきたいと思っております。学校が終わりました放課後児童学校の外に出て学童保育施設に入った瞬間に児童福祉の問題になり、そしてまた家庭に戻れば教育の問題になるということは、これは私はちょっと考えがたいという観点があります。ちょっと国民の皆さんにも理解されないのではないかなと思います。過去においても留守家庭児童会補助事業というものを文部省はしておるわけでありますから、過去においてはこれは教育一環として文部省考えておったわけでありますから、現在においては児童福祉の問題であると私は位置づけてほしくはないと思っております。  そこで文部大臣、先ほど簡単に児童福祉の問題というふうに言われましたが、過去の経緯も踏まえましてどのようにお考えになるか、もう一度お聞きいたします。
  17. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 教育基本法第二条は、「教育目的は、あらゆる機会に、あらゆる場所において実現されなければならない。」、こういうことであります。中教審等答申を見ましても、教育というのは学校だけではなくて家庭あるいは社会との連携ということを強調しているわけでありますので、私はそういった観点から教育というものは考えていかなきゃいけないと思っております。  ただ、やはり児童福祉観点から児童福祉法とかさまざまな法律が現存しておりますし、それを所管する厚生省という役所もあるということで、文部省としては教育上の観点から社会教育を中心としてやっているわけですが、それでは学校から出たお子さんを全部文部省なり教育委員会が面倒を見るということになると、学校先生は今でも十分な時間的余裕がないという中で、社会教育まで全部教育責任ということになりますと、これはもうなかなか手が回らないというのが実態であります。したがって、私はやっぱりそれぞれ役割分担というものがあると思うんですね。  しかし、そうはいっても、学童保育ということは教育上の側面も含まれておりますから、この点はやっぱり教育担当である文部省児童福祉担当である厚生省十分連携をとっていっていかなきゃいけないと思っておりますし、児童福祉審議会等でも、例えば中教審のいわゆる生きる力をはぐくむというような観点から十分勘案をしていただきたいなと、お互いに連携をしていくということを考えていきたいと考えております。
  18. 馳浩

    馳浩君 まさしく教育上の側面も持っているということについて委員皆さん方もそんなに異論はないと私は思っておりますし、その点におきましては、実は厚生省との共管という形でこの施設に対する事業文部省として行っていっていただきたいという希望を私は持っております。  一九九六年、昨年の五月一日現在で、全国自治体のうち、千二百二十一市区町村の中で実際に八千五百十四カ所の学童保育施設があります。まだまだ私はこれは少ないなと。およそ三千三百近い市区町村の中で行われてほしいなと願っておるのでありますが、現実問題はこれだけです、八千五百十四カ所。この施設教育施設としての位置づけというものは全くないのですかと考えると、実はこの三割が教育委員会所管になっておるのでありまして、これはまさしく自治体の方におきましては教育施設としてとらえておると私は考えてもいいと思います。  そこで、先ほど申し上げましたように、厚生省としても今回の児童福祉法改正の中にこの学童保育位置づけというのを明確にされております。まだ法律が上がっておりませんのでそれ以上申し上げられませんが。  ただし、今現在、厚生省の方におきまして、児童二十人以上が入っておる学童保育施設に対しましてエンゼルプランの中で年間百九万幾らかの補助がされております。そこで、一つの例として、文部省としては、厚生省の目の届かないこの児童二十人未満の学童保育施設に対しましての補助支援なりを考えてもよいのではないかとひとつ御提案申し上げますが、これに関しましていかがでしょうか。
  19. 草原克豪

    政府委員草原克豪君) 御指摘のとおり、学童保育は現在八千余りの箇所で行われているわけでございますけれども、その場所としては、児童館あるいは保育所等がございますが、学校余裕教室学校の敷地内に専用の施設を設けるという例も多くございます。  この学童保育補助対象をどの範囲にするか、現在は児童が二十人程度ということを基準にしているようでございますけれども、しかしこの補助対象をどの程度にするかということは、やはり児童福祉観点から厚生省の方において御検討いただくべきことではないかなと思っております。文部省としてはあくまでも、特定の留守家庭児童ということではなくてすべての子供たち対象とした学校外活動充実に努めてまいりたいと考えております。
  20. 馳浩

    馳浩君 そこで、先ほど大臣も少し述べられましたが、第十五期の中教審答申では、子供に生きる力を養い、ゆとりを与えよう、その中から自主的な学習意欲に燃えた子供たちを育成していこうという一つ指針文部省答申として出されたわけであります。この答申を無にしないためにも、むしろこれを逆に生かしていくためにも私は学童保育に対する支援というものは考えていかなければいけないと思いますので、その数字を申し上げます。  今現在、小学校の一年生から三年生、全国で約三百九十九万人、四百万人近くいます。そのうちに母親が仕事をしている家庭児童はおよそ百七十二万人です。ということは、全学童保育対象になる子供の大体四三%であります。このうち、先ほど申し上げましたように学童保育施設が八千五百十四カ所ありまして、平均三十・八人入所しているということでありますから、これは合計しますと約二十六万人の児童しかこの学童保育施設に入所していないわけでありまして、そのほかの百四十六万人余り児童は家に一人でおるか、塾に預けられているか、近所のじいちゃんばあちゃんが面倒を見ているかというふうな形になっているわけでありますね。私はこれは看過できない数字であると思います。  そういう点におきましても、まず私は、第十五期の中教審におきましても、この放課後児童活動あり方放課後児童福祉という意味ではなくて、教育という観点から真正面から論じられていないのではないかと思いますので、次期第十六期の中教審におきましてこの放課後児童あり方に関しましてぜひ検討課題に取り上げていただいて、これはまさしく今申し上げましたように百四十六万人を超える児童が一人で家に、留守家庭放課後いるわけでありますから、これに対して私は文部省も目をつぶっておるというわけにはいかないのではないかということをまず一つ申し上げたいと思います。  もう一つは、この文教委員会も働くお母さん方はたくさんいらっしゃるわけでありますけれども、女性の皆さんが結婚をして、そして働くお母さんとして結婚しやすいような、そういった意味での少子化対策施策考えていくのも厚生省であり文部省役割であると思いますので、そういった意味で、働くお母さんの負担を和らげるような、こういう学童保育に対する支援もしていくのが今後の少子・高齢化社会に向けての一つ文部省役割ではないかと申し上げたいと思います。  そういうわけで、まとめますけれども中教審にぜひこの検討課題として取り上げていただきたいということ、と同時に、私は今数字を申し上げただけでありますが、実際に今現在、放課後児童がどのような環境のもとでどういう活動をしておるのかといった実態を、これは文部省におきましても調査をしていただいて、報告をしていただいて、それに対応するような施策を講じていただきたいと、この二点を御質問申し上げます。
  21. 富岡賢治

    政府委員富岡賢治君) 今、先生の御質問の中の中教審関係でございますけれども先生御案内のように、去年の七月に、地域社会におきます教育充実に関しまして、子供たち全体につきましての活動の場や機会充実などにつきまして答申をいただいたところでございまして、その中には、留守家庭児童の問題については提言等は行っていないところでございます。  今後でございますけれども、現在、中央教育審議会では大学、高校の入学者選抜の改善とか、中高一貫教育の問題とか、教育上の例外措置につきまして大変精力的な御審議をいただいているところでございますので、この問題を検討課題とするということはなかなか難しいということで、現在のところ考えていないわけでございますし、また、審議の参考ということで、いろんな調査ということについても現在全く考えていないところでございます。
  22. 馳浩

    馳浩君 考えていないということでありまして、ちょっと残念な気もいたします。ならば、もっと現実な問題で質問をさせていただきたいと思います。別に私納得しているわけじゃないんですけれども、今後とも引き続きもうちょっと努力していただきたいと思っておるんです。  現実的な問題として、学童保育に携わる関係者皆さん方場所確保に対しまして大変御苦労されておるわけでありまして、私も先ほど申し上げましたように、学童保育施設が各自治体におきまして三〇%は教育委員会所管になっているということを申し上げましたが、これは自治体におきましては、教育の問題として教育委員会がその場の管理に関しましても関与しておるという、この実態をまず御理解いただきたいと思います。  それで、この学校空き教室余裕教室活用に関しまして、昨年の三月十四日、私はこの問題を取り上げさせていただきまして、当時の奥田文部大臣が、文部省厚生省を十分応援して積極的な対応をとりたいという前向きな答弁をされまして、それ以降非常に文部省としても積極的に対応していただくようになったと承っております。本当にありがとうございます。  そこで、現実的な問題の施設確保の面で、学校空き教室の利用が思うように進まないという苦情がたくさん来ておりますので質問申し上げます。  その管理面の問題でありまして、学校を本来の目的と違う目的転用する場合も教育委員会があわせて管理すべきであると思いますが、いかがでしょうか。  平成五年四月に余裕教室活用指針というものを出されておりますけれども、これではどうなっているのでありましょうか。学校管理責任を負わせるというよりも教育委員会責任を持って承りますというふうな、こういう仕組みであっていただきたいということなんですけれども、いかがでしょうか。
  23. 小林敬治

    政府委員小林敬治君) お答えいたします。  施設転用は、学校とは別の施設として位置づけられるものであります。その管理運営学校長が行うのではなく、学校施設とは異なる管理運営体制がとられるべきであるというのが基本的な考え方でございます。  余裕教室活用指針における記述は、転用施設管理運営学校長責任にすべきものではないことを示したものだというふうに考えております。教育委員会所管以外の施設転用する場合についてまで教育委員会が一元的に管理するということを求めたものではございません。  文部省では、社会教育施設等教育委員会所管施設への転用であれば教育委員会が、児童福祉施設等教育委員会以外の部局所管する施設であれば、当該所管部局学校教育活動に支障が生じないよう配慮しつつ適切に管理運営すべきものと考えまして、そのように指導をいたしておるわけであります。  なお、市町村にそうした基本的なところで誤解があるようであれば、会議等を通じて適切に指導をしてまいりたいと考えております。  なお、先生がお述べになりましたように、学童保育について約三割が教育委員会所管をしているという実態であるといたしますと、そうしたところではやはり教育委員会所管をすべきであるというふうに思います。  また、残りの七割については教育委員会以外の機関が所管をしているということになりますので、その場合にはその所管機関が転用後の学童保育施設所管すべきであると、こういうふうに考えております。
  24. 馳浩

    馳浩君 私も手元にあるんですが、余裕教室活用指針の十七ページを読みますと、「転用施設管理教育委員会が併せて行うことが望ましい。」という表現でありますけれども、「望ましい」というわけでありますから、それ以外の所管であってもいいという表現になると思うんです。それで、実はこの指針によりますと、学校側に責任を負わせないことに意味がありまして、教育委員会以外の行政部局、例えば福祉課が責任を負うならば教育委員会でなくても転用を認めるべきものと考えるとありますが、そのとおりでよろしいですね。  そこで、私の方にいろいろいただいている陳情等によりますと、この学童保育施設に対しての転用施設としての管理福祉課が責任を負うと言っておるにもかかわらず、教育委員会が反対して学童保育への転用がうまくいってないという事例があるようでございます。そういった声もあるということをまずお伝えさせていただきますけれども、この点、先ほども申されましたように、福祉課が責任を負うならば教育委員会でなくても転用を認めるべきものと考えてもよろしいんですね。  と同時に、こういう実態があるということで、ぜひ文部省としても、実際に学童保育施設転用するという声があるのならば、それに対応していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  25. 小林敬治

    政府委員小林敬治君) 今、具体的なお話がございましたけれども、私どもとして余裕教室が実は、数字を申し上げませんけれども、かなりたくさんございます。これを地域のためにどう有効に利用していくかということが今大変大事な問題だと思っております。  その場合に、学童保育施設転用をするということは大いに考えられるわけでございます。その場合に、福祉課等が希望いたしましても教育委員会が反対をするという例が全くないかどうかわかりませんけれども、恐らくそうした場合に、もし反対をするといたしますと、他に予定している転用先があるとか何かの理由があるんではないだろうかなというふうに思っておるわけでございます。  要するに、余っているいわば余裕教室をどういうふうに活用していくかということを示したのが今引用されました余裕教室活用指針でございますが、実はこれがちょっと前の段階でございまして、これはいわば教育委員会が通常所管をしている諸施設の範囲内で考えられたもので、その後あるいはその前から既に学童保育を初め老人福祉施設等に今盛んに転用先が向いているわけでございます。そういうこともございますので、この余裕教室活用指針でお示しをしたい我々の主なねらいというのは、一つは、余っている教室をそのまま放置しないでくれと、それを検討体制をしっかりつくって計画的に使ってほしい、こういうことを示すことがねらいでございました。  したがいまして、その後もいろいろな社会的な事情に応じ地域のニーズも変化をいたしてきておりますので、この問題につきましてはそろそろ整理をして局長通知のような形でお示しをするべき時期かなというふうに考えておる次第でございます。
  26. 馳浩

    馳浩君 まさしく教育委員会所管する諸施設の範囲内に学童保育施設を入れていただきたいというふうな趣旨で私は質問しておるわけでありますので、御理解いただきたいと思います。  そこで、角度を変えまして、この余裕教室活用という点の優先順位について質問させていただきます。  まず確認です。学童保育施設への転用は、これは実は三つの優先順位があるんですよ。この最下位の「社会教育施設等への転用」の、「地域学習活動スペース」の「放課後や休日における子供達の学習活動等のためのスペース」に当てはまると思いますが、いかがですか。
  27. 小林敬治

    政府委員小林敬治君) この中にはっきりと意識して学童施設というものを入れているという認識ではございません。  今申し上げましたように、この余裕教室活用指針というものは、教育委員会が通常所管をしている範囲内で考えられたものというふうに御理解を願いたいと思います。そのほかに学童施設があり、それから老人施設があり、最近では備蓄倉庫等への転用というふうな、変化というか用途の拡大という姿が現実にあるわけでございます。  ですから、実は、この最下位に位置づけられているというよりは、私どもの認識としてはその中に入っていないというふうに申し上げた方がいいんではないかなというふうに思っております。
  28. 馳浩

    馳浩君 この優先順位が三つあるんですよ。これを皆さんにも紹介しますよ。  一つ目は、第一優先順位ですよ、「児童生徒の学習のスペース、児童生徒の生活・交流のスペース及び授業準備のスペースの設置について検討」。二番目が、「管理スペース及び学校開放を支援するスペースの設置、また撤去によるグラウンド等の拡張などについて検討」と。三番目が、私が先ほど申し上げました、「地域住民の学習活動のためのスペースとして社会教育施設等への転用について検討」というふうな形になっておりまして、今私が申し上げたいのは、この第一の優先順位に入れていただきたいということなんですよ。ごちゃごちゃこれ以上申し上げません。  というのは、まさしくこのほかの転用例を見ますと、余暇活動であるとか、あるいは老人福祉施設への転用も一般の大人が活用するという意味転用の例なのでありまして、まさしく授業をやっている時間帯に子供活用しておって、放課後活用するときに、子供活用する学童保育施設転用するということを私はまさしく第一優先順位に入れていただきたいと思いますよ。なぜそれができないのかという問題があるわけでありまして、それに対しての障害があるならば障害を取り除いていただきたいと申し上げているのであります。  もう一度この点に関しましてのコメントをいただきたいと思います。
  29. 小林敬治

    政府委員小林敬治君) それではもう一度整理して申し上げますが、今先生が御紹介をされました余裕教室活用指針というのは平成五年四月に作成をいたしたものでございますが、これは当時、急速に余裕教室が生じているにもかかわらずその活用が極めて不十分であるという認識から、まずは関係者において検討委員会を設けて十分にその活国策を検討することと、それから学校施設として不十分なものがあれば、それに活用することを主に示したものというふうに考えておるわけであります。  したがって、この指針余裕教室を放置することなくまずは学校施設活用するようにお示しをするところに主眼があったわけでありまして、それ以上に他の施設への具体的な転用について積極的に示そうとする意図ではございません。  しかし、その後、高齢化社会の進展等に伴いまして、老人サービスセンターへの転用が議論となりましたり、さらに阪神・淡路大震災をきっかけにいたしまして備蓄倉庫等への転用が議論になったわけでございます。その都度、課長通知をもってそれらへの転用を明らかにしてまいったと、こういうふうな経緯がございます。  余裕教室活用につきましては、これができましてからの状況等の変化を踏まえまして全体的にもう一度整理をしてみたいというふうに考えておりまして、今後、その中で学童保育施設というものをどのように具体的に取り扱うかということも検討してまいりたいと思います。  いずれにいたしましても、学校教育以外のどのような施設転用するかということは、基本的には設置者である市町村においてその地域のニーズ等を踏まえまして適切に判断されるべきものであるということが原則だと考えておる次第でございます。
  30. 馳浩

    馳浩君 まさしく自治体の自主的な判断によってとらえられるべき問題というわけでありますので、というのでありますならば、市町村がそういった形で取り組む姿勢を見せられたら、学童保育施設への転用を望まれるような方向を文部省としても指導していただきたいと、そういうことを私は申し上げたいわけであります。  最後に、先ほど大臣もおっしゃられましたけれども、これはやっぱり厚生省と本当は共管になってほしいのですけれども、定期的にこの問題についてはお互いの放課後児童実態も踏まえまして意見交換をしながら、できる限りの措置をとっていただきたいと思うんですよね。そういう意味で、定期的に連絡協議会を持つなり、意見交換をするなりということをしていただきたいのでありますが、大臣としての意欲をお伺いします。
  31. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 要は、健全な子供を育てるにはどうしたらいいかということで、私は別に厚生省文部省と権限争いをすべき問題ではないと思うんですね。今指摘された余裕教室活用、これは国民共有の財産ですから、この空き教室をできる限り活用するということは、今の財政状況から考えたって、これからの少子化時代を考えてみたって、当然これは積極的に考えていかなきゃいけない問題だと思います。  したがって、今、馳委員指摘されたことは十分趣旨も理解いたしますので、今局長から答弁したように、こうした社会の変化に応じた新しい活用方針ということも今検討するところでございますので、私はより柔軟に積極的に活用できるようにひとつ教育委員会にもお願いをしてみたいし、それからまた、厚生省との連絡は今御指摘のようにこれからも随時十分に相談してやっていきたいと考えております。
  32. 馳浩

    馳浩君 よろしくお願いいたします。  続きまして、総合学科の卒業生の進路につきまして質問させていただきます。  ことしの三月に総合学科の初めての卒業生が全国七校で卒業式を迎えまして、本当に新たな高等学校教育の一ページが開かれたと思います。実は私は昨年の三月にも質問させていただきましたが、これは大変人気が高い総合学科ということでございまして、ぜひ進路に関しましても文部省としては積極的に道を開いてあげなきゃいけないのではないかと、就職もしかり、進学もしかりということで。実は七割方の生徒が進学を希望していると。けれども、実際に普通科の卒業生と比べれば学業成績的に劣るという実態がありまして、特別推薦枠の拡充に向けて御努力をいただきたいという質問を私は昨年いたしました。  それを踏まえまして、さてことし、国公立大学と私立大学と合わせまして、どちらの学校で何名ぐらいの特別推薦枠を持ちましたかという質問をさせていただきます。
  33. 雨宮忠

    政府委員(雨宮忠君) 今、先生指摘のように、この春が総合学科の卒業生の第一回目の進学という機会になるわけでございます。国立大学におきまして総合学科の卒業生の特別枠を設けたところは一大学でございまして、募集人員は五名ということでございます。それから、私立大学におきましては四大学ということでございまして、募集人員といたしましては六十五名という枠になっておるわけでございます。
  34. 馳浩

    馳浩君 ことして全国の総合学科の高校を合わせれば七十五校ぐらいになりますよね。ということは、ことし七校でありますから、単純に言っても来年、再来年とその十倍に卒業生がふえてくるわけでありまして、より一層拡充していただきたいということを強く申し上げますが、いかがでしょうか。
  35. 雨宮忠

    政府委員(雨宮忠君) この特別枠につきましては、私ども例年各国公私立大学に対しまして、入試選抜に対して留意してもらいたい事項、あるいは配慮してもらいたい事項ということにつきまして、いわば入試の指針というものを募集要項という形で出しておるわけでございますが、その中で総合学科の卒業生につきましては特別枠ということで特記したわけでございます。  多分、先生御推察のように、ことし七校ということでございまして、かなりその後ふえてきておるわけでございますが、何分にもまだもうひとつなじみが少ないというところもあろうかと思うわけでございまして、今後とも基本的には同じ指針で各大学にお願いしようかと思っておるところでございますので、入試の担当者を集めた会議等でその趣旨につきまして周知に努めたい、かように考えておるところでございます。
  36. 馳浩

    馳浩君 まさしく今おっしゃったようになじみが薄いという大学関係者の不安があるわけでありますので、その点の不安を取り除く対応をお願いいたしたいと思います。  総合学科に関しまして根本的には、教育評論家などによく言われることですけれども、職業高校の救済策なのか、あるいは進学校でも総合学科への転換が望ましいのかという大きな問題点がありまして、文部省としては恐らく通うことのできる範囲内に一校ぐらいは総合学科をつくっていきたいという一つ指針があったと思うんですね、総合学科を導入したときに。ということならば、まさしく進学校でも総合学科への転換が望ましいと言えると思うんですよ。となると、進学校ということは大学進学への道が閉ざされてはいけないわけで、その点についても積極的に取り組んでいただきたいということで、これは答弁を求めませんがお願いいたしたいということであります。  続きまして、いじめ問題に絡みましてスクールカウンセラーの質問をいたします。  スクールカウンセラーは平成九年度でどのぐらい拡充されますか。
  37. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) 平成九年度、千校に配置するということで予定をいたしております。
  38. 馳浩

    馳浩君 千校ということでありますが、一つこの問題点を指摘させていただきます。  スクールカウンセラーの育成、人員確保、これが問題になっております。と同時に、現場におきまして非常に期待感が大きく、うちの学校もうちの学校もという要望が多いと思います。これはひとつ私の提言でありますが、そこに退職教員を活用していただくような考えはないのか。  と申しますのは、現場の先生方は第三者が校内に入ってくることに対する期待と不安がありますが、できるならばスクールカウンセラーの方々と連携をとりながら生徒指導に関しても意見を賜りたいという考えを持っております。ところが、そこまでに発展いたしますと、学校教育現場との生徒指導あり方ということに関しまして、スクールカウンセラーは学校の現場を実際に知らないわけで、心理的な面での専門家ではありますが、学校教育現場に関しましてはまさしく初心者なわけであります。  そういう点、現場の教師との連携を深めるためにも、逆に現場の教師の皆さん方に生徒指導の重要性、対応の仕方を指導するためにも、むしろスクールカウンセラーが現場の先生から相談を受けることも多いと承っておりますので、退職教員の有効活用という言い方をしてよろしいのか私わかりませんが、年はとったとしても経験は十分持っておられるのでありますから、このスクールカウンセラーに採用していただけないものかと思いますが、いかがでしょうか。
  39. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) スクールカウンセラーは平成七年度からスタートをいたしておりますが、その趣旨は、学校外の専門家、臨床心理士でありますとか精神科医でありますとか大学の先生など、子供たちの心の問題につきましての高度の知識あるいは専門的な力量というものをあわせ持たれた方々を学校内にお迎えして、学校の生徒指導担当先生方と学校外のそういう専門家の先生たちとが協力し合ってカウンセリングに当たるという趣旨でスタートしたものでございます。  したがいまして、その趣旨から言いますと、学校先生を経験された方が引き続きということになりますと、学校外の違った角度からの専門性を生かすというところからいいますと衝突をいたすわけでございます。ただ、このスクールカウンセラーに迎え入れる方は、じゃ先生をやった方はそのゆえをもってだめなのかというと、そういうことでもないというふうに思います。  それから、今先生がおっしゃられましたような学外から迎え入れることのメリットと同時に、私どももいろいろなケースとして報告を受けておりますが、確かに学校先生との間の意思疎通の問題とか、あるいは子供の扱いでの情報の処理の問題とか、学外から迎え入れることからくるさまざまなそごと申しましょうか問題点も指摘されているわけでございます。そういうことを考えますと、学校先生経験者だからということで排除するということもないだろうと思います。しかし、繰り返しになりますが、スクールカウンセラーを置きました趣旨は、冒頭申しましたような趣旨なのでございます。  そこで、私どもといたしましては、まだこれまでのケースが少ないわけでございますので、これからのケースをいろいろ見ながら今後どのようにこれを対応していくかということを考えたいと思っておりますが、退職された先生方の中でも、逆に、先生であるからということではなくて、カウンセリングにつきまして高い専門性を持たれた方、そういう方々につきましては、臨床心理士、精神科医あるいは大学の先生等と並んでお迎えをするということも今後考えていっていいのではないか、また現に幾つかの学校におきましてはそういう先生を迎え入れているケースもございますので、そんなふうに我々は考えて今後の課題として検討していきたいなというふうに思っております。
  40. 馳浩

    馳浩君 よろしくお願いいたします。  続きまして、実は私もこの委員会で質問を一回したことがありますが、イギリスではいじめ問題に対して生徒が相談員になる、生徒が生徒の相談員になる。つまり、親や先生に話せないことでも同級生ならば相談ができるということで、そういう事例を紹介させていただきましたが、私の選挙区であります石川県の教育委員会がことしの四月から子供相談員の育成ということを始めまして、全県で三百名ほどの相談員を集めましてカウンセリングの仕方を初歩的な段階から教えてあげるわけです。  もちろん、それをもってすべてとするわけではなくて、子供カウンセラーのような形に指定されたというか、そういう講習を受けた子供がもちろん先生方に最終的に相談する体制になっておるのでありますが、こういった形は文部省としてはどう評価されますか。
  41. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) 先生あるいは保護者であるがゆえに子供はなかなか悩みを打ち明けにくい、同僚といいましょうか、同年齢であればそこのところの壁がなくて気安く自分の悩みも打ち明けるというケースは我々聞いております。そして、諸外国でもそうした形で成功をしているという例を承知いたしております。  今、先生が御紹介になりました石川県の例でございますが、いじめや不登校のない教育社会環境づくり推進事業ということで、予算措置も講じて今年度スタートするということでございます。私ども承知している限りでは、予算措置を講じてこうした試みをするというのは初めてのケースだというふうに理解をしておるわけでございます。そういう意味で大変私どもも関心を持っております。  ただ、何分にもまだ事業もスタートをしていない状況でございますので、私どもこれから各県の担当の人たちにその趣旨や今後の展開等につきまして十分お聞きをしたいと思います。そして、その取り組み状況をこれからも随時情報交換をし合ってこの事業を見守っていきたいというふうに考えている、現段階ではそういう状況でございます。
  42. 馳浩

    馳浩君 続きまして、財政構造改革会議から出されております教育予算の聖域なき歳出削減ということに関しまして、実は四月十五日に文部大臣が大蔵省あるいはこの財政構造改革会議の意見聴取という形でそれに臨まれるということを承っておるのでありますが、教育の問題でありますので、不安なところは、大蔵省の言いなりになってほしくないというのが一つ。  わかりやすく言えば、一つの理念を持って、本当に行政改革と絡めて財政構造改革を言うならば、地方でできることは地方へ、民間でできることは民間へという一つ原則があるわけでありますから、行政改革というのは要らざるを切り足らざるを補うという、この足らざるを補うという点も忘れていただきたくはないわけでありまして、大臣としてどのような姿勢で、教育理念を持って、この教育予算削減の方針に対抗して文部省予算を引っ張っていかれるのか、この御決意を伺いたいと思います。
  43. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 先般、財政構造改革五原則というものが発表されまして、あらゆる歳出の見直し、特に聖域を設けない、こういうことで見直すことになったわけであります。この見直し項目として指摘をされた中に、高等教育、私学助成、あるいは義務教育、こういった事項が含まれているわけでありますが、これらの項目はいずれも教育の根幹といいますか中核をなす課題でございまして、これは非常に重大な問題を含んでおります。  そもそも教育というのは、その効果が直ちにあらわれるというものではなくて、相当時間を要する。したがって、教育というものを考える場合には、ロングレンジで物を考えていかないと、短期的な財政再建という観点だけでこれを切るということがあってはならないと思います。  しかし、だからといって、今日の危機的な国の財政状況考えますと、やはりこれは、教育の水準を落とさない、将来の日本に本当に対応できる教育という観点から、私は、そういった教育行政の理念というものを踏まえながらこの財政構造改革、何ができるのか、今真剣に検討を進めているところであります。
  44. 馳浩

    馳浩君 個別問題に移りますけれども、去る二月二十三日に大蔵省は、少子化を踏まえまして、教職員の合理化ということで一万人の削減要求を文部省に求める方針を明らかにしていると、もうこれは報道されているわけであります。ということは、今第六次の教職員の定数配置改善計画がありまして、それが平成十年度までです。ということは、あと一年残っているわけなんですね。ということは、この第六次の計画に非常に支障を来すわけでありまして、平成十年度、これをどうするのかという問題が一点。  と同時に、その後、第七次の教職員配置改善計画に関しましての方針。というのは、財政構造改革五原則の中で新たな予算措置を伴う長期計画はやらないと橋本総理は言っているわけでありまして、これにひっかかってくるわけであります。この二点を文部省としてどうお考えになっているのか。  とりわけ第一点目は、平成十年度、この第六次の教職員配置改善計画を遂行していただきたいと私は申し上げているわけでありまして、けれどもこういう実態を財政構造改革会議から突きつけられているわけでありますが、さてどうされますかという問題であります。
  45. 小林敬治

    政府委員小林敬治君) 現在進行中の第六次公立義務教育学校の教職員配置改善計画は、チームティーチングなどの個に応じた多様な教育の展開でありますとか、いじめ、登校拒否問題等への対応等さまざまな教育課題に対応するためのものでございまして、国会において全会一致で成立した法律に基づいて平成五年度から十年度までの年次計画で推進しているところでございます。御指摘のように、財政事情が極めて厳しい中ではございますが、この改善計画が着実に推進されますよう全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。  それから次期改善計画につきましては、現行の改善計画が終了しました後の状態、特にその中でも児童生徒数が急速に減少しているわけでございますので、それに伴う学級規模のますますの縮小の状況一つございます。  それから、個に応じた教育の展開の状況がどの程度進んでいるかといったこと、それからいじめや登校拒否児童生徒への対応あり方といったこととか、厳しい財政事情を当然踏まえなければいけませんので、その時点において研究してまいりたいというふうに考えております。
  46. 馳浩

    馳浩君 この第六次の定数配置改善計画は、改善増が三万ちょっと、そのうちの半分近い一万四千二百九十七人、これはチームティーチングの導入による増なんですね。これに対する評価というものをまず伺いたい。  なぜならば、少子化で減る段階での教員の確保策ではないかといううがった見方と、それから、これは一部に報道されておるのでありますが、子供たち余りにも騒いでうるさくてしょうがないクラスがあるものですから、その管理のためにチームティーチングが必要だと、つまり教育のためではなくて管理のために必要でやっておるのではないかと。実際にそうせざるを得なくて対応しておると表明しておる教育委員会もあるわけでありまして、私も現場におった人間として先生の大変さは十分にわかるのでありますが、この点も踏まえた評価とチームティーチングに対する今後の取り組みを伺いたいと同時に、私はむしろ、こういう御時世だから言うわけでありませんが、ぜひ少人数学級を実現していただきたい。  今、一クラス四十人でありますが、三十人をぜひ目標として、そのために教員が必要ならば、これはまさしく足らざるを補う行政改革でありますから、ふやしていただきたいという私は考えを持っておりますが、その少人数学級に対する国民の声というものも高まりつつあると思いますので、その点も踏まえまして、チームティーチングの評価とそれから少人数学級とを含めまして、教員の配置ということに関しまして最後お聞きいたして、私の質問を終わります。
  47. 小林敬治

    政府委員小林敬治君) まず、チームティーチングに関する御質問でございますが、これは今回の第六次の改善計画を策定いたします際に、チームティーチング等の指導方法の工夫改善を行うための教職員定数と。具体例としてチームティーチングというものがあることもございます。全国的に今チームティーチングを実際には研究中というところだと思います。この第六次が始まってから全国的に取り入れられた手法でございます。  したがいまして、このチームティーチングをめぐりましてはいろいろな評価の仕方があろうかと思いますけれども、いずれにいたしましても全体で一万三千五百六十人の先生学校に配置されることになっておりますので、非常に大きなウエートを占める事業だということが言えるかと思います。  このチームティーチングの導入は、もちろん主眼としては個に応じた多様な教育を展開していただきたいというところにあるわけでございますが、あわせて、先生同士の相互評価あるいは協力関係というものを重視した面があります。いわゆる学級王国というふうな言われ方をすることがございますけれども、これを打ち破ってほしいなという期待もあったわけであります。したがいまして、一部に報じられているように教員を確保せんがための措置というふうなことではございません。  チームティーチングを実際に導入した学校においてどういう成果を上げているかということを申し上げますと、まず児童生徒につきましては、児童生徒の質問機会がふえてよりょく理解ができるようになった。それから、一人一人の児童生徒がこれまで以上に授業の中で生き生きと活動し、主体的に学習に取り組むようになった。学習のつまずきを早い段階で解消できるといった効果が上がっているという評価を得ているわけであります。  それから教職員についてでございますけれども、教職員にとっても、児童生徒一人一人に目が行き届くために、学習指導や生徒指導面においてより適切な対応が可能になった。協力して授業を行うことを通じて互いが切磋琢磨するために、指導力の向上や教材研究の深化が図られたといったふうな効果が指摘をされておりますが、一方、先生方にとりましては、事前準備に時間がとられるとか、今まで以上に負担増になったという歓迎しない声もあることも事実でございます。  それから学校運営についてでございますが、学校全体として教員の共同作業を通じて学校内の一致協力体制が確立され、活気が出てきたなどの効果が報告をされているところでございます。今後とも、チームティーチング等を通じまして、各学校において指導方法の工夫改善や学校運営の改善が一層効果的に図られるよう期待しているところでございます。  それから、学級サイズをもっと小さくしたらどうかというふうな御指摘がございました。学級サイズを小さくするためにどれくらいの教職員定数の増が必要になるかというのはなかなか推計が難しいわけでございます。チームティーチングとして配当している程度のことでは到底、例えば三十五人だとか三十人だとかということができないことは明らかでございます。  ただ、子供たちが減っていくことに伴う学級サイズのいわば自然の縮小という面がございますとともに、今申し上げましたチームティーチングというのは、一つの学級に二人以上の先生が入ることだけがチームティーチングだとは私ども考えていないわけです。必要に応じ、学校が工夫をして学級のサイズを弾力的に編制していただきたい。それから、これは先生方の持ち時間数との関係もございますけれども、学級サイズがもしもっと小さくなった方がいいということであれば、さまざまな工夫が成り立つのではないだろうかなというふうに思っておる次第でございます。
  48. 馳浩

    馳浩君 ありがとうございました。
  49. 林久美子

    ○林久美子君 平成会の林久美子こと但馬久美でございます。  障害者の教職員雇用、そして就業に関する質問をさせていただきます。  まず、総務庁と文部省にお伺いいたします。  総務庁の行政監察局によりますと、国や市町村の非現業部門は法定雇用率が二・〇%ですが、実雇用率はそれぞれ二・〇八%と二・二九%にクリアしております。都道府県の非現業部門の実雇用率は一・六五%でまだ未達成であります。  そこで、特に教育委員会に限りますと、都道府県の実雇用率は〇・九八%に対して市町村は二・○三%であり、極端に都道府県教育委員会が低いことがわかります。これはどういう理由で、どう判断されますか、お聞かせください。まず、総務庁と文部省にお願いいたします。
  50. 田代喜啓

    説明員(田代喜啓君) 都道府県教育委員会におきます障害者の雇用率が法定雇用率二%を大きく下回っている理由といたしましては、労働省が昭和三十五年から国及び地方公共団体に対する障害者の雇用の義務づけを行いました以降、法定雇用率を達成していない場合に作成が義務づけられております採用計画とその実施状況に関する通知書におきまして、中学校、高等学校の教員数を含めないことといたしまして、実質的に中学校及び高等学校の教員の採用計画の作成を免除するという特例的な扱いを行ってきたため、都道府県教育委員会では障害者の積極的な採用について特段の措置を講じてきていなかったことによるものというふうに承知をしております。  労働省はその後、この特例的取り扱いを平成六年六月三十日に取りやめまして、平成七年一月一日を始期といたします五年間に法定雇用率を達成するということにいたしておるわけでございますが、私ども調査をいたしました都道府県教育委員会におきましてはまだ、例えば障害者の採用に関する啓発活動でございますとか、いろいろな障害者の採用に関する事例の把握というようなことによります情報提供でございますとか、障害者にも配慮した施設・設備の整備など、採用計画を実現するための具体的な措置が十分講じられていなかったというふうに認識をしております。
  51. 小林敬治

    政府委員小林敬治君) 中学校、高等学校の身体障害者の雇用率が法定雇用率を大きく下回っている理由は何かということでございますけれども学校種別の身体障害者の雇用率につきましては私ども承知をいたしておりませんけれども、現在、都道府県教育委員会における身体障害者の雇用率は〇・九八%で、法定雇用率二・〇%をかなり下回っているというのが実情であることは承知をいたしております。  この要因についてでございますが、一つには、教育委員会が雇用する職員のうち約八割が教員でございます。それからもう一つは、教員免許状取得者である障害者の数が極めて少ない状況にある。具体的に申し上げますと、平成七年度では免許状取得者の数が約十三万四千人ございましたけれども、そのうち身体障害者の取得者数は百人でございまして、パーセンテージにいたしますと〇・〇七%にすぎない。その前年度が七十六人、さらにその前年度が七十四人という状況になってございます。  それから、教員の採用に当たりましては、教員としてふさわしい資質、能力を有する優秀な人材を確保するために教員採用試験がとられておりますが、現在、児童生徒が急減期にございまして、新規採用教員数が近年減少しております。具体的にちょっと申し上げますと、平成八年度では受験者総数が約十四万六千人いるわけですが、そのうち身体障害者は受験者数約百人弱という状況でございます。  なお、採用者数は一万七千人なんですが、身体障害者の採用数は三十人強でございます。合格率を見ますと一般受験者の三倍ということでございますので、教育委員会としてはそれなりの努力をしているということだと思います。
  52. 林久美子

    ○林久美子君 では、今の話を受けまして労働省にお伺いいたします。  この行政監察局の勧告によりますと、「実雇用率の算定に当たっての除外職員とされていない中学校及び高等学校の教員の数を採用計画及びその実施状況に係る通報書等に含めないものとし、実質的に採用計画の作成を免除する特例的取扱いを行ってきたため、県教委等では、障害者の積極的な採用について特段の措置を講じてきていなかった。」とあります。  労働省の事前の説明では、特例的な扱いはしていません、ずっと報告はとっていましたが、県教委の極端に低い実雇用率のために今回の勧告になったという説明でした。これが事実なら、この勧告内容と多少ずれがあるのではないかと思いますけれども、御説明をお願いいたします。
  53. 松浦弘行

    説明員(松浦弘行君) 教育職員につきましては、今、文部省の方からも御答弁がございましたけれども障害者の教員免許取得者が少ないことなど、障害者の採用に難しいことがあることを考慮して、教育委員会において障害者の採用に努力するという前提で、平成六年度まで採用計画の始期を延期するという意味で特例的な措置はとってきたところでございます。  しかしながら、各都道府県教育委員会障害者雇用に改善が見られなかったということの中で、二・〇%の法定雇用率を大きく下回っていることから、この平成七年一月一日を始期とする五年間の採用計画を提出させて、現在この計画に基づいて障害者の採用をお願いしているところでございます。
  54. 林久美子

    ○林久美子君 それでは、今度文部省にお伺いいたしますけれども、労働省が今、平成六年に特例措置はないとおっしゃいましたね。そうしたら、昭和五十一年にこの大改正がありまして、それ以来法定雇用率の義務規定実施されるようになったようですけれども、それ以来約二十年間のこの採用計画の免除があると文部省は思い込んでいらっしゃったのかしら。実際にこの特例措置があると言われるならば、どういうものか、お示しいただきたいと思います。
  55. 小林敬治

    政府委員小林敬治君) これは、昭和三十五年の身体障害者の雇用の促進に関する法律の制定当初、中学校と高等学校の教員は各教科別に教員免許資格を必要とすると。教科別に採用をするということになりますと、教員数に対する一定比率で身体障害者の雇用を計画的に行うことは極めて難しいと。また当時も、今もそうなのでありますが、先ほど申し上げましたように、免許資格のある身体障害者は極めて少ないということが推定されたということから、法定雇用率を到底満たし得ないであろうというふうに考えられたために、労働省におきまして実質的に除外職員とする取り扱いが行われてきたと承知をいたしております。その後、この障害者雇用促進法が改正をされましたが、この考え方がずっと平成六年まで来たというふうに私どもは理解をいたしております。
  56. 林久美子

    ○林久美子君 現在、教員になろうという学生さんが少ないということを挙げられましたけれども、これは受け入れ側の教育委員会が、身障者の教員を採用するに際してのさまざまな配慮、例えば、どれだけ学校施設を身障者に対して改善するとか、また、教員としてやっていけるのかどうかという不安を払拭することが大事だと思います。  こういうようなさまざまな工夫が必要であると思いますけれども、その点について文部大臣はどのようにお考えでいらっしゃいますか。
  57. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) その前に、今お尋ねがありました身障者、障害者の雇用につきましては、今まで特例的な扱いをされてきたわけですが、平成七年から方針が変わって、そういう特例的な扱いはしないと、こういうことでありますから、いろいろ障害者が、例えば教員の実際の活動に本当に対応できるかどうかという問題がありますね。身体障害で、例えば運動会とかそういうことをできるか、そういったような背景もあったと思うんですね。しかし、一応この法定雇用率を達成するためにできる限りの努力はやはり教育委員会としても、文部省としてもやっていかなきゃいけないと思います。  そして、今お尋ね障害者に対する施設整備という問題でありますが、従来も、建物の新造改築におきましては、エレベーターであるとかスロープの整備を行う場合に国庫補助を行ってきたところでありますが、平成八年度からさらにそれを拡大いたしまして、従来は障害のある児童生徒の在学する小中学校の既設の校舎へのエレベーターやスロープの設置についての国庫補助であったわけですが、今度は障害のある教職員の勤務する学校につきましてもこれに準ずる取り扱いをする、こういうことになったわけで、今後とも障害児等に配慮した学校施設整備という面で努力をしていきたいと思っております。
  58. 林久美子

    ○林久美子君 最近、新聞にも特に障害者の教員に対しての記事がよく載っておりますし、また、今本当に弱い弱者に対しての優しい心というか、そういうものを教職員の中にも芽生えさせていただきたいためにも、やはりこういう雇用は本当に大事だと思っております。  その中で、先ほども何遍も出ておりますけれども、行政監察局のこの勧告によりますと、平成七年の一月一日から五年以内に実雇用率を法定雇用率二%まで引き上げると。都道府県教育委員会での身障者の雇用の不足は、もう今五千七百五十一名の採用を全国で行うように迫られております。あと三年ですけれども、現状を含めて、この達成可能な採用計画をお知らせください。
  59. 小林敬治

    政府委員小林敬治君) ただいま先生がおっしゃられましたように、各都道府県におきましては障害者の採用計画をつくっているわけであります。そして、それを労働大臣に提出するということになっていると承知をいたしております。  私どもとしては、教育委員会における障害者の採用計画の策定に当たりましては、さきにも申し上げましたように、身体障害者の教員免許取得者の数が極めて少ないわけでございまして、したがって教員採用試験を受験する者もまた少なくなっていることと、近年の教員採用者数の減少の中で、身体障害者の採用についても絶対数としては少なくなっていかざるを得ないというふうな事情がございますので、各都道府県におきましてその計画を急遽今つくっておるわけでございますが、それがどの程度達成するかというのは見通しが大変立てにくい状況になっているというふうに考えます。特に、中学校、高等学校につきましては、さきにも申し上げましたように、教科ごとに免許状が異なりますので、ますます難しい事情が加わるというふうなこともあるわけでございます。
  60. 林久美子

    ○林久美子君 時間もありませんので。  難しいとか、それで少ないとかと申しますけれども、現状はやはりいろんな方々がいらっしゃって、私、先日、労働省管轄の障害者の雇用情報センター保管用のビデオを見せていただきました。身障者の職業に対する意識が強いということはもう世界各国ともに同じだなということを感じました。働いて人生をエンジョイしたいとか、また世話になるよりも人や社会に貢献したいとか、そういうスタンスをお持ちの方がたくさんいらっしゃいますし、また、それが自立したいということの本音であると思います。  こうした身障者の願いをかなえてあげるためにも、文部省としても労働省が雇用主に対して行う助成策を見習って、私はこれは提案なんですけれども文部省独自の都道府県教育委員会に対する助成策をつくってはどうかということを提案いたしますけれども文部大臣はいかがでしょうか。
  61. 小林敬治

    政府委員小林敬治君) 私どもとしては教員に身体障害者の方々が一人でも多く雇用されますように指導をしてまいりますが、特にその際に、いろいろな配慮を既に多くの都道府県あるいは政令指定都市等で行っております。  若干を申し上げますと、選考試験の際に点字受験を認めるとか、拡大文字あるいはライトスタンド、拡大鏡等を用意する、あるいは試験の時間を延長したりというふうなこと、場合によるとワープロの使用まで認める、実技試験も一部または全部免除をすると、こうしたような配慮があるわけであります。試験会場も、別室で受験してもいいというふうな特例措置、あるいは介助者または手話の通訳者等を配置するような配慮、こういうふうなことがあります。  それから、障害のある教員への人事上の配慮といたしましては、自宅または医療機関の近くに配属をする、あるいは大規模校に配属をする、負担軽減のために人員を措置すると。それから施設整備の面につきましては、先ほどちょっと大臣も御答弁を申し上げましたけれども、エレベーター、スロープ等の措置をとっている例というふうなものがあるわけであります。  それから、校務分掌上の配慮につきましても、授業時間を軽減したり担任を免除したりする例、それから修学旅行、遠足等への参加を免除すると、こういうふうなこともございます。また、職員会議等におきまして会議資料の点字作成または手話通訳を行っている例と、こういうふうなことがあるわけでございます。  したがいまして、先生おっしゃいますように、教員になることに不安を感じるという点が非常に大きいと思いますので、こうした措置が実際に行われているということを広くお知らせするということが非常に大事でありますし、さらにさかのぼりますと、教職課程を置く大学、あるいは教育大学等へもっとたくさんの若者が入ってもらわないと、毎年百人くらいでは何年たっても法定雇用率に近づかないという状況になるんではないかなというふうにも危惧されるわけでございます。  こうした努力を今後各都道府県においてしていただくように、私どもとしても努力をしたいと思います。
  62. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 助成局長の話に尽きているわけですが、障害者の雇用の促進に関する法律趣旨を踏まえて今までもさまざまな工夫とか配慮をしてきたんですが、今局長が答弁したように、昨年の四月に各都道府県あるいは指定都市の教育委員会に対し通知したところであり、今後とも指導の徹底をしていきたいと、こう思っております。そのためにも、取り組みの事例の把握とかあるいは情報提供という面に特に力を入れていきたいと思っております。
  63. 林久美子

    ○林久美子君 どうもありがとうございました。時間が参りましたので。
  64. 山下栄一

    ○山下栄一君 平成会の山下でございます。  いろいろ聞きたいことがたくさんあるんですけれども、時間が限られております。  まず最初に御質問したいことは、学校図書館学校教育における役割といいますか、このことについて文部省並びに文部大臣の基本的な姿勢をお伺いしたいと思っておるわけでございます。  と申しますのは、昭和二十八年に学校図書館法という法律が議員立法でできたわけでございますけれども、その中の第三条に、「学校には、学校図書館を設けなければならない。」と、学校図書館学校においてはもう必要不可欠な大事な建物なんだということ。また、目的の中にも、「学校図書館が、学校教育において欠くことのできない基礎的な設備である」、「その健全な発達を図り、もって学校教育充実することを目的とする。」と、こういうふうに書いてございますし、さまざまな図書館資料、書物を中心として、その資料を子供たち児童生徒、児童生徒だけではなくて学校先生、教員の利用にも供することによって学校教育課程の展開に寄与するんだと、そういう位置づけで、そうすることによって健全な子供たちの育成が図れるというふうにうたい上げられておるわけでございます。だから、昭和二十年代におきましては、学校図書館というのは学校教育において大変貢献する施設として、そういう意気込みで設置され始めたわけでございます。  ところが、その学校図書館というのは学校においてはほとんど利用されていない。専門の人がおらない。まず、その学校図書館があいていない、かぎがかかっているという、それが基本的な状況であろうと思うんです。だから、学校図書館なんか要らない、活用しなくても済んできたということがある。  こういう実態があるわけでございますが、最近、ちょっとずつ司書教諭の資格を持つ人をふやそうというふうなことが始まっておるんですけれども、発令はほとんどされていない。学校司書教諭というのは任命されていないということです。全国四万校ぐらいある中で、わずか三百人ぐらいしか、私学も含めてですよ、そういう実態である。人がおらぬのに、どないしてその役を果たせるんだという実態があると思うんですね。  このことについて、要するに学校図書館がよみがえることが教育改革なんだという位置づけで私はとらえておるんですけれども教育のかぎを握るのが、学校図書館がどれだけ学校の中で息づいているか、生き生きとしているかということ、それぐらい大きな役割を果たすと思っているんですけれども学校教育における学校図書館役割について、文部大臣はどのようにお考えかお聞きしたいと思います。
  65. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 学校教育におきまして、今、みずから調べ、みずから考え、みずから問題を処理していく、そういう能力を培う、それがまさに生きる力を育てる教育だと思うわけで、そういう機能を持つのがこの学校図書館だろうと思っております。  しかし、今御指摘のように、学校図書館実態というのは非常に憂慮すべき状況にあるということも承知しております。しかし、本来、活発な読書活動というものを通じて子供の知的な好奇心とか、あるいは興味や関心、あるいはさまざまな感動、こういうものを味わう点で、私は学校図書館というのはいわば心のオアシスという、読書センターという役割一つあると思います。  それから、これからの新しい時代に対応して、情報化ということでございますので、できるだけ多くの情報を収集し活用していくという面では、例えばインターネット、コンピューターを導入するというようなことで学習情報センターとしての機能もあわせ持つべきではないかと思っております。  今、文部省としても、学校と公共図書館とを結ぶというような計画も持っておりまして、こういった新しい時代に対応した学校教育ということの中で図書館の意義というものをもっと高めていかなくてはいけないと考えております。
  66. 山下栄一

    ○山下栄一君 今、大臣は、要するに学校教育の中において学校図書館は読書センターの役割、または学習情報センターの役割と。役割を果たそうと思ったら、そこに専門家がおらないと果たせないわけでございます。それはちょっとまた触れますけれども、人の配置が極めて貧弱、貧弱というか、もう何十年放置されているんだと、実情は。  そこで、今ちょっと、心のオアシスとおっしゃいましたけれども子供たちの心の充実、心の成長という観点からも、読書、朗読の役割、これをもう一回復活させにゃいかぬと私は思うんです。それが心のオアシスだけではなくて、みずから考える力、みずから学ぶ力、学校図書館がよみがえればそういう新しい学力観に沿った教育が可能になる、教師の授業革命にもつながる、このように位置づけておるわけでございます。  ところが今、活字離れ、読書離れの大変な実情があるわけです。  時間がございませんので私の方から申し上げます。例えば、一カ月間一冊も本を読まない中学生は中学生の半分以上である。五二%。半分以上の中学生が一カ月間に一冊も本を読まない。高校生になると六六%。三人に二人が一冊も読まない。中学生、高校生の心が荒廃し、不登校、いじめ、こういう淵源はそういう読書という役割というか活動というか、これは家庭においても学校においてもそうかもわかりませんけれども、本を読まない子供が蔓延している。  本を読む習慣がもう——昔はちっちゃい子供に、赤ちゃんも含めて、おじいちゃんおばあちゃんが本を読んで聞かせたり、そういうことがございましたですけれども、今はそういうことは非常に少なくなってきておる。これが、今申し上げたように、中学生、高校生に本を一冊も読まない子がたくさんおるということが中学生、高校生が荒れていく大きな原因になっているのではないか。だから、よみがえれ学校図書館、復活させよう読書習慣と。本を読む習慣が広がっていったときに中学生、高校生はよみがえる。  民主主義は読書と本の上に成り立つというレーガン大統領の有名な言葉がございますけれども、こういう読書、それから朗読も含めて本を読むことの意義についての文部大臣のお考えをお聞きしたい。それで、先ほど申し上げましたように活字離れ、読書離れがすさまじいということについて、どうするんだという大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  67. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 活字離れ、読書離れという事態はまことに憂慮すべきことだと考えております。今、司書教諭の話がありましたが、これもできる限り努力をしているんですが、財政事情もあって十分に発令ができないというのが実態であります。この問題は、司書教諭をふやすということと同時に、ほかの教職員の方々がやっぱり読書の重要性というものを認識して生徒を指導する、こういうことも大事だと思いますので、教員の研修におきましても、この読書習慣をつける、あるいは読書の大切さを教える、そういうことも必要ではないかと思っております。  現状は、司書教諭のみならずそれを補助する事務職員、これもまた非常に不十分でございまして、学校図書館を運営するためにはいろいろ庶務的な仕事、会計の仕事などありますけれども、そういった事務職員も非常に限られている、こういう実態であります。  そういうことで、今進行しております教職員配置改善計画、平成五年から十年度までにおきましては、例えば高等学校では十二学級以上の学校に、そして小中学校の大規模校におきましてもその事務職員の配置基準を改善しているところでございます。  この学校図書館の運営は、本来、校長のリーダーシップのもとに全職員が協力体制を確立していくということが重要であるということ、先ほども申し上げたとおりの気持ちでありまして、司書教諭とか司書の事務職員をふやすということは現状の財政難の中ではなかなか難しいので、教職員全体がそういう意識を持つということが極めて大事じゃないかというふうに考えております。
  68. 山下栄一

    ○山下栄一君 ちょっと基本的なことをもう一回確認しておきたいんですけれども学校図書館はずっと死んでおったと思うんですよ。全然活用されていない。行っても人はおらぬし、かぎがかかっていたら活用しようがないわけでございますけれども、それはどのようにお考えなんでしょうか。  今はもう司書教諭なんてほとんど発令されていないんですよ。それはどうしてなんですかね。学校図書館が死んだ状態が僕は今も続いていると思うんですね。図書館は要らぬのかと。図書館法には設置しなきゃならないと書いてあるわけで、それが学校教育において欠くことのできない基礎的な設備であるという、そういう認識だったら、そのままで済ませてきてよかったのかと。四十年間、昭和二十八年からですからね。なぜそうなってしまったんでしょうね。どういうふうにお考えでしょうか、大臣
  69. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) いろいろな事情があろうかと思いますが、まずは図書の蔵書の問題が一つあると思います。それからもう一つは、今、先生から御指摘のあります学校図書館において指導に当たる先生の人的な整備の問題、それからもう一つは、学校教育の中でこの学校図書館というものを、位置づけ学習指導要領等において明確になっているわけでございますけれども、具体の運用、実践においてどのように活用するかという点において、教師を含めて十分にこの学校図書館を使って学校教育を展開することの重要性というものの認識というものが必ずしも十分でなかったのではないか。その他の事情があろうかと思いますけれども、私ども、司書教諭がなぜ発令されていないのか、あるいは図書館の蔵書についてどのような予算措置が講じられているのか等のさまざまな調査をしておりますけれども、そういう調査を通してうかがわれますものは、今のようなものが主なものだというふうに私どもは認識をいたしております。
  70. 山下栄一

    ○山下栄一君 もう二十八年の段階でいかに学校図書館学校教育で重要なものであるかということを認識させてスタートして、今ごろ調査するって、そういう程度の認識ではいつまでもよみがえらないですよ。読書習慣も根づかないし、授業もよみがえらないというように私は思うわけです。  学校図書館に、専門家といいますか、専任とは言いませんよ。本だけには限らないと思います、この情報化社会ですから。だけれども、本を中心とする図書館資料を使いこなせるような、また利用に供する子供たち、生徒に的確に指導できるような、またアドバイスできるような私は専門家が絶対必要であると。専任とは言いません。そういう人が必要であるということについての、それが司書教諭という言葉になっていると思いますけれども、これについての御認識はいかがですか。
  71. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) 学校図書館指導に当たる先生方の重要性ということは十分認識しているつもりでございます。そのために我々も司書教諭の講習の実施の拡大等に努力をしてきているわけでございます。ただ、各学校になぜ司書教諭が発令されないのか、司書教諭の資格を持っておられる方は相当数に上るわけでございますけれども、実際に発令されていないというのが現実でございます。今、先生指摘のとおりでございます。  なぜ発令されていないのかということをお聞きいたしますと、その資格を持っている先生方が別の校務分掌に当たっておられるというものが非常に多いわけでございます。つまり、各学校におきます学校運営の校務分掌のあり方として、司書教諭の資格を取った方が別のところを担当されるということでございまして、これは国として、あるいは県を通してさまざまに司書教諭配置の必要性を御指導申し上げるわけでございますけれども、各学校の校務分掌の運用の問題にもかかわるわけでございまして、その点はなかなか難しいところもあるという点は御理解を賜りたいというふうに思います。  我々は、その重要性は重要性として認識しながら、発令の促進方には全力を挙げて努力しているということでございます。
  72. 山下栄一

    ○山下栄一君 それは、専門家は必要であるけれども学校現場の現実として、校務分掌も忙しくて配置する余裕がないと、そういうことであるというのであるならば、全然これは改善の余地がないわけでございます。  この高度情報通信社会、もうさまざまなこういう世の中の実態を知るための教材が、教師も必要であるけれども、そういうことを的確に利用のためにアドバイスし、指導できる専門家がおらないことがそういう授業の停滞の一因にもなっていると私は思うわけです。ますます時代はそういう図書館における専門家を必要としておると、そういう認識がないと私は教育改革につながらないというふうに思うわけでございますが、司書教諭というのはどうしたらなれるんですか。
  73. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) 教諭の普通免許状を持った方が、大学が行います司書教諭講習を受けまして、大学等の在学中に図書の関連の科目を全く取っていない方でありますと七科目八単位を取っていただく。そうでない、在学中に何がしかの単位を取っておられる方につきましては単位の減免措置もございますけれども原則としては、教諭の普通免許状を持ちまして、学校図書館関係いたしますさまざまな講習内容のものを七科目八単位取得していただく、これが原則でございます。
  74. 山下栄一

    ○山下栄一君 だから、集中的な講習で免許が取れると、つまりこういうことですね。  それで、学校において図書館担当の先住、図書係、もう係教諭です。とにかく図書館の番をしたり、そういうことをする役割、役職に任命されて、そういう四年の経験があれば、八単位だけれども二単位でも免許がもらえると。免許というか、司書教諭の資格が取れるという実態があるわけですよ。  だから、とにかく司書教諭資格をつくろうと思えば、わずか図書の整理という科目を二単位だけ取ればもう資格がもらえると、教員免許を持っている人は。そういう実態があるわけですね。  ふやそうと思ったらそれは何ぼでもふえますよ。その講習科目、七科目八単位というけれども、その科目は、これは全然見直しのないままに四十年間過ぎているという。それでよろしいですか、講習科目。時代はどんどん変わっているけれども、その資格を取るための科目は全然見直されたことがない。この認識は正しいですか。
  75. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) そのとおりと承知しております。
  76. 山下栄一

    ○山下栄一君 そのとおりなんでしょうね、それなら。そういう実態で、とにかく子供たちに読書を指導できるかと。先生、夏休みの宿題で社会科の歴史を調べたいんですと、その的確な教材、資料、だれが指導できるかと。歴史の担当先生が、四十人、五十人おる中で調べ方教えろと言われても、その先生が全部請け負ったら、これはもう数少ない知識で四、五冊の本を紹介して終わりとか、そういう状況になってしまうと思うんですよ。  時代はどんどん変わって、子供たちの方が場合によって新しい歴史を知っているかもしれない。親から聞いているかもわからない。実際、外国にも子供の方が教師よりもたくさん行っているとか。そうなってくると、教師の方がおくれている、子供の方が進んでいるという実情もあると思うんですよ。そんな目まぐるしい時代の中で、チョークと黒板で書いた、そういう旧態依然とした教師ばかりじゃないと思いますけれども、新しい教材を使いこなそうと思えばそういう図書館の専門家が私は必要だと思うんですよ。  ところが、その専門家としての司書教諭というのは四十年間科目を見直されたことがない。それで、図書の整理という一科目だけで、図書係四年担当すれば資格がもらえるという、そんなレベルの低い司書教諭がどうしてそんな学校全体の先生方に的確なアドバイスできるか。司書教諭という資格はいかにレベルが低い資格であるかということのあらわれだと思うんです。そんな先生、任命されてもうれしくもないし、発令なんてしてもらっても忙しいだけですということになってしまうと思うんですよ。  だから、学校図書館に置ける人は、本当に力のある人であるならば、教員にも教材への的確な指導もできる、それがそのまま授業改革につながっていく。子供たち指導すれば、それは考える力、学ぶ力、本を探したり、資料を一つ一つ調べたりすることの喜びを感じるわけですから、みずから学ぶ力が身につくわけですよ。それほど学校図書館における専門家の存在が物すごく大事だと。授業革命につながり、子供たちのみずから学ぶ力、考える力を養う原動力になると。  その専門家が、全然見直されないままに安易に講習方式で、講習を実施できる大学をどんどんふやしています。初め十八から三十六になり、五十九にまた平成九年にふやそうとしているわけですけれども、そんなことやったかて、任命された人は喜びもないし、図書の整理というわずか二単位、本を整理さえすればもう免許がもらえるわけですからね。そんな状態で学校図書館はよみがえらない。死んだまままた続いていくと私は思うんです。今申し上げた指摘に対して大臣はどのようにお考えでしょうか。
  77. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) どうしたら学校図書館をもっと魅力あるものにし、また児童生徒が活用するようになるのか、これはいろいろな側面があろうかと思います。先ほどから局長が答えているように、蔵書の面あるいは今委員が御指摘の人の面、そのほかにも多々あろうかと思いますが、平成五年から五年計画で学校図書館整備計画というものをやってまいりまして、平成九年度までに全体としては約五百億円を投入して蔵書をふやしてまいりまして、大体一・五倍というものを目標としてやっております。ちょうどこの平成九年度が最終年度でありますので、これが終わってからひとつ蔵書とかあるいは図書館のソフトウエアの整備状況などを調査して、今後どうするか、それを検討していきたいと考えております。  そういう調査の結果を踏まえた検討の中に、私が先ほどちょっと申し上げた従来の読書センターとしての学校図書館と、情報センターとしてのこれからのインターネットを活用するようなそういう機能と、私、両方あると思うんですね。文部省としては、将来そういった学校図書館と地域の公共図書館とを結ぶ、あるいは場合によったら、この間アメリカの一般教書でもクリントン大統領が言われましたように、すべての教室を結ぶなんというような構想を発表しましたけれども、それはちょっと先の話ですけれども、当面そういった観点から、私は、この五カ年間の実態調査した上で新しい方策、これは単に物だけではなくて人の面も含めて検討してまいりたいと思っております。
  78. 山下栄一

    ○山下栄一君 ちょっと話が散漫になっておりますので、済みません。  この司書教諭の養成のあり方を抜本的に見直せと、こういうことを主張したいと思うわけです。先ほど申しましたように、四十年間も科目も何も変わらない。見直しもない。インターネットとおっしゃいましたけれども、インターネットなんてそんな講習科目はないんですよ。教育工学の観点からの新しい科目もつけ加えなきゃならない。そういう粗製乱造の講習方式で資格がもらえるというやり方なんてだめだと。さまざまな専門的な力が必要とされる司書教諭についての養成のあり方の抜本的見直しを御提案したいと思うわけです。科目もそうですし、集中講義の講習方式ではなくて、大学のカリキュラムの中に司書教諭の資格を与える条件をつけて、そういう形の養成を私は図るべきであると。司書教諭の養成のあり方を抜本的に見直してもらいたい、これについてお考えをお伺いしたい。
  79. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) 私どもも、ただいま大臣が御説明になりましたように、五カ年計画が終了する年度を迎えているということを機会にして、ただいまのような講習の内容のあり方等も含めまして検討をしてみたいというふうに思います。
  80. 山下栄一

    ○山下栄一君 五カ年計画というのは本をふやすという話じゃなくて、僕は人の問題を言っているわけですよ。専門家の人の養成。今、局長見直しをしたいとおっしゃっておりましたので、それはもう意欲的に積極的にやらないと、大臣がおっしゃる学習情報センター、読書センターにならないままに、死んだままの図書館が続いていく、それだけであると。私は、だれも活用する気も起こらないし、行っても的確な指導をいただけないわけですから、死んだままであるというふうに思うわけです。  先ほど大臣が、学校の教師は全員が学校図書館に対する役割とか読書に対する指導ができるような教員の構成にしていかなきゃならないというふうにおっしゃっておりましたが、それに関して私は、一般教員の免許の中に学校図書館に関するそういう科目を必修にする、そうすることによって学校図書館への意欲とか活用の仕方が高まるのではないかと、このように思うんですけれども、いかがでしょうか。
  81. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 私は、教員養成あるいは教員の採用、そして採用した後の研修、こういうすべての段階でそういった人の養成ということは大事だと思いますし、また学校図書館に対する認識というものを持っていただくということは大事なことでありますから、そういうことを教員の養成、採用、研修、いずれの場でも何をすべきかよく勉強していきたいと思っております。
  82. 山下栄一

    ○山下栄一君 残された時間は覚せい剤の問題に。体育局長来ていただいておりますね。  私は去年から何回か覚せい剤の質問をしておりますけれども、ことしに入りましてからまた、暴走族の中に高校一年生が入っておりまして、自動販売機荒らし、高級乗用車、ベンツとかクラウンとかそういうのを荒らすことによって覚せい剤を買う資金を得ていたと。その覚せい剤を実際高校一年生が吸引していたという、これは東大阪市、大阪の話です。ことしの三月の話です。同じく三月、今度は中学生ですけれども、愛知県西尾市の中学生が覚せい剤を吸引しておった。今度は北九州市の小学生です。十歳の子が、これはお父さんが悪かったと思います、悪かったというか悪やったと思いますけれども家庭の冷蔵庫の中に、お茶の中に覚せい剤が入っていて、それを過って子供が飲んで覚せい剤中毒に陥った、これは十歳の小学生です。いずれにしましても、とにかく蔓延がすさまじいわけです。  それで、私、この前の質問実態調査という言葉、意識調査という言葉も使いましたが、とにかく今現実がどうなっているのかというのを把握しないと的確な指導が打てないのではないかという質問を申し上げて、ところがそのときには、慎重な配慮が必要なので余りやる気ないということだったんですが、意識調査をやることになったという非常にありがたい報告を聞いたわけでございますけれども、そういうふうに判断された背景と、これをどのような形で、速やかにやるべきだと思いますけれども、されようとしているのかお聞きしたいと思います。
  83. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 御指摘のように、覚せい剤等薬物の乱用については極めて憂慮すべき状況にございます。こうした児童生徒の薬物乱用事例の増大の背景には、やはり容易に薬物を入手できる社会的な状況、あるいは子供たちの自制心の欠如等の要因があるわけでございますが、それに加えて、例えば遊び感覚やファッション感覚による使用など、児童生徒の薬物への誤った意識や理解に関する要因があるというふうにも思われるわけでございます。  したがいまして、薬物乱用防止教育充実する、そういう観点に立った場合には、児童生徒が薬物に関してどのような意識を持っているのか、危険性、有害性などについてどう理解をしているのか、そういった事柄について的確に把握をし、その実態を踏まえて対処することが必要でございます。この点につきましては、先生を初めとする国会でも御議論がございました。そういった点も踏まえまして、今回、児童生徒の薬物に対する意識調査ということを実施することとしたものでございます。  この意識調査につきましては、無作為抽出により全国の公立の小・中・高等学校児童生徒約八万人を対象として行いたいと考えておるところでございます。
  84. 山下栄一

    ○山下栄一君 どうもありがとうございました。
  85. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 現在、児童福祉法の一部改正案が厚生委員会で審査中でございます。当委員会にも関連する部分がございますので、きょうはそれらを中心に質問したいと存じます。  今回の法改正によりまして、児童福祉施設一つでございます教護院が児童自立支援施設と名称を変え、また対象児童も、現行法の「不良行為をなし、又はなす虞のある児童」に加えて「家庭環境その他の環境上の理由により生活指導等を要する児童」というふうに拡大されます。そのことによって施設の機能はどのように変わるのかをまずお尋ねいたします。
  86. 横田吉男

    政府委員(横田吉男君) 教護院は、先生承知のとおり、明治三十三年の感化院以来の古い施設でございまして、これまで不良行為をなした者あるいはなすおそれのある児童対象にいたしまして個々の児童の態様に応じた総合的な生活指導を行ってきたところでございます。  これにつきましては、施設の閉鎖性でございますとか、最近におけるさまざまな新しいニーズにこたえていないのではないかというような御批判もございまして、今回の児童福祉法改正の際に、改めて児童の自立支援を図るという基本理念に立ちまして改正を行うことといたしたものでございます。  名称につきましては、教護院から児童自立支援施設に変えるとともに、対象につきましても、改めて家庭環境その他の環境上の理由によりまして生活指導等を必要とする児童を加えたところでございます。また、施設の機能につきましても、単に入所させて保護し教育するという形だけでなくて、通所機能あるいは退所後のフォローアップも含めました機能の拡大を行いますとともに、教育につきましても、学校教育に準ずる教育から通常の教育を受けられるようにしたいということでございます。
  87. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 対象児童の範囲が拡大されるということでございますが、具体的にどのような場合を想定していらっしゃるのでしょうか。  それからまた、定員数というのも、これは現行の定員数よりも増加するんでしょうか、今のままの定員数なのでしょうか。  そしてまた、対象になる児童にいわゆる登校拒否、不登校といった子供たちも入るのかどうかというのは、これは大変に御心配の声も上がっております。四月三日の厚生委員会で小泉厚生大臣対象にならないというふうにおっしゃっておりますが、そのことの確認も含めてよろしくお願いいたします。
  88. 横田吉男

    政府委員(横田吉男君) 今回の改正によります対象児童の拡大につきましては、今申し上げましたように、従来の対象に加えまして、「家庭環境その他の環境上の理由により生活指導等を要する児童」というのをつけ加えております。  私どもこれを想定いたしておりますのは、例えば、家庭における養育が適切に行われなかったために日常生活における基本的な生活習慣が身についていないとか、良好な対人関係を結ぶことが困難で将来に対する自立意欲も欠いているような児童というものを想定いたしているところでございます。  不登校児につきましては、原因はさまざまだと思いますけれども、基本的には学校における対応というものが主眼に置かれるべきではないかということで、私どもといたしまして、不登校児であるというそのことだけを理由として入所していただくというふうにはならないと考えているところでございます。  それから定数でございますが、現在、教護院は全国的に入所率が四割程度でございますので、これを契機に直ちにこれを拡大するという考えはございません。
  89. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 文部省にも、いわゆる不登校児というのは対象にならないということで承知していてよろしいでしょうか。
  90. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) 法案作成の段階におきまして厚生省と緊密な連絡をとらせていただいておりますが、その点はそのように承知をいたしております。
  91. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 今お答えいただきましたように、教護院への入所者数というのは、入所率からいきますと今三八・三%、約四割を切っておりますね。そういう中でまた対象児童を拡大するということになりますと、今のお言葉によりますと、家庭環境というふうなことになりますと児童養護施設と重複する部分もあるのではないかなという気もしてまいります。  現在、いわゆるノーマライゼーションとかインテグレーションというのが世界の潮流でございまして、施設に隔離するというふうなのは、今そういった囲い込み方式というのはだんだん廃止されていっていると思いますけれども、この存続理由というのはやっぱりきちんと厳然としてあるのでございましょうか。
  92. 横田吉男

    政府委員(横田吉男君) 教護院につきましては、現在入所対象となっております、不良行為をなし、またはなすおそれのある児童ということでございますが、少年法の関係で家裁の保護処分を受けた児童というものの一つの受け皿という形にもなっております。  その保護処分を受けた児童ということでございますけれども、私ども施設児童福祉施設ということでございますので、児童福祉観点から、その児童のそういった問題行動を起こした原因を取り除きまして自立を支援するという観点から福祉施設として考えております。これは今後とも基本的に必要になるのではないかというふうに考えているところでございます。  それから、養護施設関係が出されましたけれども、養護施設というのは、基本的には親御さんがない方、あるいは家庭における保護が十分でない方につきまして家庭養育の代替的機能を担う施設でございまして、基本的には教護院と異なっているというふうに考えております。
  93. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 確かにそうかもわかりませんけれども、先ほど局長もお答えになりましたように、この教護院というのは前身がいわゆる感化院でございますね。これは大正六年の国立感化院令の制定というところ、その前をさかのぼれば明治三十三年の感化法の制定というところにさかのぼるわけでございますけれども、やはりそういう感化院という前身ということからも次第に入所者が少なくなっていったということがさまざまなことを物語っているように思うわけでございます。したがいまして、法改正によって名称を改められますけれども、やはりこういう施設というのは私は次第になくなっていってもいいのではないかというふうに思っております。  次に、今度法改正によりまして教育の保障ということがうたわれているわけでございます。特に学校教育の導入ということが今度はうたわれているわけでございますが、現行法の四十八条の二項、三項、四項というものが削除されまして、児童自立支援施設の長は入所児童を就学させる義務を負うことになります。入所児童教育保障という観点からは非常に前進だというふうに見ることができますけれども、しかしながら、附則七条で、修了証書の発行にかかわる規定については、当分の間、なおその効力を有するものとするというふうにして猶予を与えております。この「当分の間」というのはどの程度考えればよろしいのでしょうか。また、法改正趣旨ということを考えるとやはり期間を区切るということも必要ではないかというふうに思うわけでございますが、いかがでしょうか。
  94. 横田吉男

    政府委員(横田吉男君) 私どもといたしましても、従来から福祉教育の緊密な連携が必要だということで学校教育実施を進めてきたところでございます。平成八年三月一日現在で全国五十七の教護院がございますが、そのうちの九施設におきまして通常の学校教育実施されている状況でございます。ことし四月にさらに一つふえまして十施設ということでございますが、私どもといたしましては、今回の改正が行われた後できるだけ速やかにすべての児童につきまして通常の学校教育実施されることが望ましいのではないかと考えておりますので、文部省初め地方公共団体ともよく連携をとりながら、できるだけ早く通常の学校教育実施されるように努力してまいりたいというふうに考えております。
  95. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 この点について文部省はどのような御見解でございますか。
  96. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) ただいま厚生省の方からお話がありましたように、全国五十七施設のうち十くらいの施設におきましては学校の分教室あるいは分校という形で学校教育を受けておりました。それ以外のいわゆる教護院につきましては、教護院がみずから学校教育に準ずる教育を行うという形で、二つのやり方で行われてきたわけでございます。  このたび法律改正されますと、原則として教護院の長は、名称が変わるわけでございますけれども施設の長は子供たちの小中学校への就学義務が課せられるということで、みずから学校教育に準ずる教育は行わない、これを原則とするということになるわけでございまして、私どももそういう方向で対応していくべきものと思います。  ただ、これまでの長い歴史的な経緯がございますし、また各施設の規模等も区々のようでございます。そういうことで、学校に受け入れるということになりますと、それぞれの学校あるいは教育委員会といったところとこの新しく設けられます児童自立支援施設、あるいは福祉関係部局との間の十分な意思疎通、連携を図って円滑にこの法改正に基づいた移行措置が行われるような努力が必要なのではないかというふうに思います。  私どもも、趣旨といたしましては、余り長い期間にというふうには思わないわけでございますけれども、これまでの経緯の中で大きな制度改正が行われるわけでございますので、まずは関係者におきます十分な協議というものを厚生省と連絡をとりながら促していきたいというふうに考えております。
  97. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 どうも厚生省文部省も「当分の間」ということに関しては余りたちの想像力が働かないようなお答えなのでございますけれども、「当分の間」ということで三十年間というようなこともあるわけですが、一体どの程度か、もう少し具体的にお答え願えませんでしょうか。
  98. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) 現在でも教護院の中には先ほど申しましたように十くらいの施設におきましては学校教育が行われている、つまり法改正後の状態で教護院と学校教育が分担し合っている例もあるわけでございます。したがいまして、ほかの施設におきましても、そうしたこれまでの取り組みの状況等を参考にしながら十分関係者間で協議をしていただければと思います。  具体的に何年度までということはなかなかお答えしにくいわけでございますけれども原則はあくまで学校教育が受けとめるということでございますので、そういう方向で関係者の意見調整が促進されるということを我々としては促していきたいというふうに思っております。具体的にいつからというのは、なかなかお答えになりませんので大変恐縮でございますが、そのように考えております。
  99. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 これはまたたびたびお聞きをすることにいたします。  そこで、今、修了証書の発行者なのですけれども、これはいわゆる分校形式をとっている場合には校長だろうと思うんですが、施設の中で行われている場合にはいわゆる施設長の修了証書なのでしょうか。もうそういったことは廃止されているのかどうか。施設に入所した児童たち子供たちがここに入所したということは名誉なこととは言えないわけでございまして、それによる不利益というものを避けるために、出身校に原籍を置いておきまして、原籍校の名前において評価とかあるいは修了証書を出すということはいかがなものでしょうか。現在そのようになっていますでしょうか。
  100. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) 原則施設の長の名前で修了証書を出す、それが学校教育修了と同等の効力を持つというのが法律の建前でございまして、そのように運用されている例もございますが、ケースによりましては卒業の直前と申しましょうか、終学期が近づいたときに学校に転校する、そしてその学校の校長名をもって卒業証書を出すというような運用がなされていることは承知いたしております。
  101. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 できるだけその修了証書というものはやはり原籍校のものにするということ、運用の点においてもしそれができるのだったらば、その辺は当分の間などとおっしゃらずに早速ぜひ実行に移していただくことを強く要望しておきたいというふうに思います。  次に、今少しお話も出てまいりましたけれども、現行の教護院における学科指導体制の現状と、そしてそれに伴う問題点というものについて簡潔に御説明いただきたいと存じます。
  102. 横田吉男

    政府委員(横田吉男君) 教護院の学科指導の現状につきましては、毎年その把握に努めているところでございます。  現行の学科指導体制につきまして、施設対象児童に占める割合を見ますと、分校、分教室制を敷いているところがこの時点では九カ所、一七・三%でございます。それから派遣教員制が二カ所、一・八%。その他の施設につきましては教護院職員が対応しているということで四十六カ所、八〇・九%を占めております。この教護、教母九百五十九人いるわけですが、学科指導担当しております五百十九人について見ますと、教員免許を有している者が三百二人ということで五八%を占めている状況でございます。  このように、現在の施設におきましては通常の学校教育実施されている割合が二割程度ということで低い。それから教母、教護につきましても教員の資格を持っている者が全体について六割程度ということでございます。これはかなり施設によりましてばらつきがございますが、こういった問題点があるというふうに私ども考えております。
  103. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 文部省側では教護院における教科指導実態について調査なぞなさったことございますか。あるいはまた、現場の教員の、職員の声なぞをお聞きになる機会がございましたでしょうか。
  104. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) 私ども、例えば学習指導要領が改定されるというようなことになりますと、厚生省さんを通しまして、こういう小学校、中学校教育内容が変わりますよ、それはこういう趣旨ですよというような御通知を申し上げる等の形で連携を図ってございます。  ただ、日常のやりとりにつきましては、各県ごとにおきましてさまざまな情報交換があろうかと思いますけれども文部省が直接どのような教護院の中で学科指導が行われているかという形で実態調査するというようなことはいたしておりません。ただ、個別に各県段階におきましては、教育委員会あるいは学校と教護院の先生方の間ではいろいろなやりとりがございますので、そういうやりとりの様子を教育委員会を通して私どもが聞くということはあるわけでございますが、悉皆のような形で実態調査するというような形では承知をいたしておりません。
  105. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 今の厚生省の方からお答えがございましたように、学科指導というのは、いわゆる分校あるいは分教室制というのは九カ所、一カ所加わって十カ所というふうになっているそうでございますけれども、その他八〇%、大半がいわゆる教護職員での対応になっております。確かに教護あるいは教母さんの個別的なきめ細やかな指導という利点というのはあるかもわかりません。しかしながら、いわゆる学校教育ということからは疎外されていると、そういった状態であったということは否めないというふうに思うわけでございます。  そういうことも含めまして、法改正後どのように教育保障というものを充実させていこうとなさっているのか、いわゆるこのような分校方式あるいは分教室、あるいは派遣教員あるいは教護職員による対応というふうにそれぞれ分かれたような形でこれからもなさっていくのでしょうか。いかにして教育保障というものを具体的に拡充させていくのか、そのプログラム、具体的な手順をお知らせいただきたいと存じます。
  106. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) これから教護院の子供たち原則学校で学ぶということになろうかと思います。ただ、これまでの長い経緯等がございますので、当分の間という経過措置を講じましてそちらに移っていくと。先ほど先生からそれはいつまでかというお尋ねがあったわけでございますけれども、それは各学校教育委員会と教護院、あるいは福祉行政部局との間で十分なお話し合いをして円満に法の改正趣旨に基づいた形での移行措置をしていただくということを先ほど御答弁したわけでございます。  したがいまして、これからは教護院の子供たち学校教育を受けるという形で義務教育を履行するということになるわけでございまして、これまでにも先ほどの分校、分教室のような例もあったわけでございますけれども、これまでにも増して施設学校との間の連携というものを密にして子供たち教育の保障ということに努力をしていく、そういうことになろうかというふうに思います。
  107. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 私としてはもう少し具体的なお答えが聞きたかったのですけれども、今のようなこういうさまざまな、これは多様なといえばいい意味になりますけれども、分立した形での学科指導ということが、これから学校教育を導入するという形になるわけですけれども、もう少し具体的に、まずどこから手始めにしていくのか、いわゆる分校形式みたいなものから始めていくのか、あるいはいわゆる特殊学級的な、今そのような形でも教育指導がなされているわけですけれども、もう少し具体的に御説明いただけますか。
  108. 辻村哲夫

    政府委員辻村哲夫君) 経過措置を過ぎた後の状況といたしましては、学校教育で小学校教育あるいは中学校教育を受ける。その形といたしましては、現在既に試みられておりますように教護院の中に分校、分教室を設けて、そこで子供たち学校教育を受けるというケースと、それから近隣の学校子供たちが教護院、名前が変わるわけですけれども、そこから通って小学校なり中学校教育を受けるという、この二つが考えられるだろうというふうに思います。  それで、そのどちらをどういう形で子供たち学校教育を受け入れるかということにつきましては、先ほどから同じお話をしておるわけでございますけれども、地元の学校なり教育委員会施設との間で十分なお話しをいただいて対応していく、形としてはこの二つになろうかと思います。  それをどういう形にするかということは、それぞれの置かれました施設関係学校教育委員会との間で十分お話し合いをいただいて、それで決めていただく、こういうことになろうかと思います。
  109. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 いずれにいたしましても、本校あるいは原籍校の水準と同等ということは、これはぜひとも確保していただきたいということを要望しておきたいと思います。  それからまた、クラブ活動というのも、これは非常に子供たち、特にこのような施設にいる子供たちにとっては重要なことだと思うんですが、聞くところによりますと、クラブ活動というのは余り盛んには行われていないというふうにも聞いておりますが、その現状はいかがですか。
  110. 横田吉男

    政府委員(横田吉男君) 各施設によってかなり差があると思いますけれども、生活指導を総合的に行うということでございますので、規則正しい生活とあわせまして、そういった課外活動、さまざまなクラブを置いて熱心に活動しているところも多数あるというふうに私ども承知いたしております。
  111. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 私の把握したのと大分逆さまですけれども、これはもう少しよく実態調査をしていただきまして、ぜひ子供たちの情緒面、そしてまた友人関係というふうなことも含めまして、クラブ活動というのは普通の学校に学ぶ子供たちよりむしろ重要なことではないかと思いますので、ぜひその点をきちんとしていただきたいと思います。  ところで、児童の権利に関する条約では、児童福祉施設における子供の意見表明の権利というものが規定されているわけでございますが、昨年、国連に政府報告書が提出されていると思います。そろそろその審査が始まろうとしていると思うんですね。国連子どもの権利委員会、CRCが審査をスタートさせると思いますけれども、その中で、この児童福祉施設における子供の意見表明の権利というのはどのように報告をなさっておりますでしょうか。
  112. 横田吉男

    政府委員(横田吉男君) 国連への報告につきましては、二年以内ということで、私ども平成八年五月に提出いたしております。報告に当たりましては、平成六年のこの児童権利条約を批准した際に政府部内で検討した際、現行の対応により既に条約の趣旨確保されているということでございまして、こういった点を踏まえ、現行法における取り扱いを中心に報告をさせていただいたところでございます。
  113. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 最後に文部大臣に。  今回の法改正によりまして、児童福祉施設における文部省責任というものも重要になってきたと思います。今までの議論もお聞きになっていらしたと思いますが、その点も含めまして、また厚生省との連携ということも今まで以上に密接な連携を持っていただかねばならないと思いますが、御見解を伺って質問を終わりたいと存じます。
  114. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 今までのやりとりを聞いておりまして、今御指摘のように、これからの文部省なり教育委員会役割というのは非常に重要になってくると認識をしております。  何せ長い経緯がありますので、右から左へすぐうまくいくかどうかというのはなかなか大変だと思いますが、特に、今まで実際に指導に当たられていた教護院、今度は児童自立支援施設、こういうところと地元の教育委員会あるいは地元の市町村、そういうところとよく協議をしながら、本当に子供たちにとってプラスになるような教育が行われるように、これからも十分厚生省と緊密な連携を図ってまいりたいと考えております。
  115. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 どうもありがとうございました。
  116. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時十五分まで休憩いたします。    午後零時二十二分休憩      —————・—————    午後一時十八分開会
  117. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) ただいまから文教委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、教育文化及び学術に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  118. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 まず初めに、一九九八年度予算編成についてお伺いします。  橋本総理は財政構造改革五原則を表明しておられます。私は、この財政再建のために、財政構造改革の推進を支持します。そして、積極的に提言もしたいと思っております。  それで、橋本総理の五原則一つに、歳出削減に聖域を設けず、一九九八年度予算の一般歳出の伸びをマイナスとするというのがあります。これは読みようによれば、全体をマイナスするというのであって、文教予算を直接問題にしていないようです。しかし、文教予算だけ伸びて、ほかの予算が大きくマイナスになって全体がマイナスになるというようなことは通常考えられないわけで、やはり文部省文教予算もかなり腹をくくってかからなければならないのじゃないかと思います。  それで、ことしは一・一%伸びて五兆八千百九十八億円という予算であるわけですが、これを歳出削減せよということになった場合に、文部省として基本的にどういう立場をおとりになるのか、総理が提案されている財政構造改革ということに対してどういう対応するのか、これは非常に大事なことだと思うんですね。初めに申し上げましたように、私は財政再建のために財政構造改革というのはどうしてもやらなければならぬという立場に立ちますので、文部大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  119. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) おっしゃるとおり、橋本総理はそういう発言をされたわけですが、財政構造改革というのは政府全体として、歳出全体について聖域を設けない、徹底した見直しによって実現すべきものであるというふうに考えております。  文部省としても、財政構造改革は極めて重要であるということから、さまざまな制度の改善、これまでもやってまいりましたし、これからも検討を行い、また可能な限り歳出削減を行っていきたいと思っております。今まで以上にプライオリティーといいますか、政策の優先順位というものを厳しく選択していくということと、財源をできるだけ重点的、効率的に配分をしていく。これまでもやってまいりましたけれども、さらに一層そういう観点で、既存の制度の見直しも含めて種々工夫をしながら文教予算確保をしてまいりたいと考えております。
  120. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 今の御答弁に対してもう少し突っ込んだ質問もしたいんですが、それはこれからおいおいやらせていただくことにいたします。  また、政府の方は四月四日に公共工事コスト縮減対策に関する行動指針というのを決めています。そして、これは政府の公共予算について三年間で一〇%のコストダウンを行うということを目標にしております。  今、公共工事のコストは三〇%ぐらいはダウンできるのではないかというのが世間一般の常識となっています。ところが、三年間で一〇%のコストダウンというこの政府目標は、本気になって公共事業のコスト削減をやる気があるのかどうかということを私は心配をし、本当はやる気がないのではないか、いろいろごまかしながら結局公共事業の削減はしないというところに落ちつくんじゃないかという心配をしています。  一方では、消費税率が五%に引き上げられ、二兆円の特別減税が打ち切られ、さらに医療保険制度改正が加わって、よく言われているように九兆円の国民負担増が行われる状況の中でどうしても財政問題にメスを入れるとすれば、大胆な公共事業の縮減、効率化という問題を私たちは手がけていかなければならないんです。  そこで文部省お尋ねします。  文教予算の公共事業といえば、一九九七年度で見ると、投資部門の施設費三千六百十九億円が該当すると思います。この三千六百十九億という施設費は一体何をつくるために、いわゆる公共事業としてどういう種類のものがあるのかということと、それから、施設費のコスト縮減という場合に、いわゆる文教予算に当てはめると、三千六百十九億円をどういうふうに縮減するのか、ことしの予算執行上どれだけ縮減できるのか、また来年の予算編成に関してこれをどう縮減するのかという問題が当然出てくると思います。  そのことが、最初にお話ししました、この文部省予算も歳出をマイナスにするという意味からいって、やはり文教予算内における公共事業のありよう、これは大胆にやはりメスを入れて、そして文教予算を縮減するというならばそうした問題を議論すべきではないかというふうに私は思います。  しかし、そんなことできるわけがない、もっともつとっくりたいんだけれども、今わずかの予算の中でさらに削ったらどういうことになるんだという議論が出てくると思いますが、そういう議論をすれば、七十七兆という全体の予算、みんながそういう議論の中にあって、これはもう公共事業の縮減なんて全然手がつかないということになってしまうわけですね。それで痛みを分かち合おうといって橋本総理が呼びかけて、その痛みをそれでは文教予算がどういうふうにして分かち合っていくのかという問題を私たちは私たちなりに真剣に考えていかなければならぬと思うんですが、この点について文部大臣、いかがでしょうか。
  121. 佐藤禎一

    政府委員(佐藤禎一君) 最初に、文部省所管をいたしております施設費、平成九年度予算額で三千六百十九億円、御指摘のとおりございます。その内訳でございますけれども、公立学校施設費が千八百九十一億円、国立学校施設が千二十五億円、それから国立文化施設等その他の施設費が七百三億円というような内訳になっているところでございます。  後段の方でお尋ねのコスト削減でございますけれども、これは先ほども委員からお話ございましたように、これから三年間の間に数値目標一〇%ということを目指していろいろな手を打ってまいるわけでございますが、その手を打つこと自身、この三年間の中に順次実行してまいりますので、その効果があらわれるというのは非常にタイムラグのある話でございまして、直ちに九年度予算でどれだけの効果が出てくるかということは現在のところ推計をすることが困難でございます。
  122. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 いずれにしても、文教予算全体を洗い直す、見直すということの中の重要な視点ではないかと思いますので、これについてまた後日質問もさせていただきます。  そこで、従来から問題にしてきました国立大学と私立大学の問題について一、二議論してみます。まず、国立と私立の学生一人当たりの教育経費とその負担についてお伺いをします。  私立大学連盟が作成した加盟大学財務状況の概要、平成七年度実績に基づいて国立大学と私立大学の学生一人当たりの教育経費と負担について考えてみます。  この資料によると、平成六年度の国立大学の学生一人当たりの教育経費は二百四十三万八千円となっています。その主な負担の内訳は、入学金、授業料など学生の納付した金が四十五万六千円、そして国の補助金が百八十四万一千円となっています。  一方、私立大学の平成七年度の分を見ますと、学生一人当たりの教育経費は百三十四万六千円ということで、国立大学の一人の学生の教育経費の五五・二%という安上がりの状態であります。  主な負担内容を見ると、入学金、授業料などの学生の納付した金は百二万一千円であり、これは国立の二二三・九%という高い負担になっています。国の補助金はわずか十五万七千円であります。私立の学生は国立の学生の八・五%の補助しか受けていないということなんでありますね。しかも、この調査に出てくる学生数を見ると、私立大学連盟加盟の大学の生徒は九十二万二千百七人で、国立大学は五十五万三千八百三十七人という学生数でもって分析をしているんですが、国立と私立の学生一人当たりの教育経費と負担というものの実態を今申し上げましたが、文部大臣、所見を伺いたいと思います。
  123. 雨宮忠

    政府委員(雨宮忠君) 今、日本私立大学連盟の調査の概要について先生御紹介になりました。私どもといたしましてもその数字を持っておるわけでございます。  一人当たり経費につきましていろんな計算方法がございます。ございますが、いずれにしましても、今先生指摘の学生がどれだけ負担したかということに関しまして、私どもといたしましても、例えば授業料につきまして比較いたしますと、私立大学の学生の場合は国立大学の現在一・七倍ということでございますし、入学料はもうほとんど今差がない状況になっておりますが、いずれにいたしましても、トータルといたしましては学生の負担ということに関する限り差があるというのは御指摘のとおりでございます。  また、私立大学の場合に、国立大学と比べまして、いわゆる授業料とか、あるいは入学料以外に施設整備費というような名目でさらに別の負担を求めているというような場合もあるわけでございまして、そこらの差というものが、先ほど先生指摘の私立大学で申しますと百二万云々、それから国立の場合ですと四十五万というような額の違いになってあらわれているのではなかろうかというように考えておるわけでございます。
  124. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 私の今示しましたこの数字をほぼ確認いただきました。  そこで、やっぱり今度は文部大臣にどうしてもお聞きしたいんですね。なぜこの授業料や入学金など学校へ学生の納めるお金が、私立大学が百二万一千円で国立が四十五万六千円と二分の一以下であるのか。さらに問題は、国からの補助金が、私学の学生一人当たりには十五万七千円であるのに対して国立の学生が百八十四万一千円と、私学の十一・七倍も結果として補助されているというこのことはやはり問題だと思います。というのは、高等教育に学んでいる学生の七〇%を私学が引き受けて三〇%を国立が引き受けているというこの現状の中で、私立大学の補助金が二千九百五十億円に対して国の方は一兆五千億円であるということが、結局一人当たりのこういうお金になっておるんです。  私は、なぜ国立大学の学生がこのように大変な公費による優遇を受けることができるのか、また別の言い方をすれば、一兆五千億の巨額の公費を国立大学に今投入しなければならない合理的な根拠というものをやはり示していかなければ、税金を使っているわけですから、税金を一部の学生に多く投入する、そのほかの多数の方には自己負担がより多いという状態をこのままいりまでも続けていくわけにはいかないのではないかと考えます。  もちろん、合理的な根拠があればそれはそれでいいですよ。だから、今なぜこういう実態がずっと続くのかという合理的な根拠というものをやはり明らかにしなければ、文教予算そのものをもいろいろ考えていく上にとって私は大変困ると思うんです。  文部大臣、なぜ国立大学の学生にこれだけの優遇をするのかというその合理的な根拠をひとつ示してください。
  125. 雨宮忠

    政府委員(雨宮忠君) 私立大学と国立大学を比べました場合にいろんないわゆる教育研究条件の差というのがあるわけでございますが、いずれにいたしましても、特に国立大学の学生について一人当たりにどのぐらいかかるかという費用を私立大学のそれと比べる場合に若干留意しておきたい点がございます。  それは、私立大学に比べまして、国立大学の場合には例えば附置研究所というのが随分とあるわけでございます。また、学部附属にもまた研究施設が随分あるわけでございます。そういういわば研究機能というものの占める割合、これは当然かなり、場合によって、分野によりますけれども金がかかるわけでございますし、また大学院につきましても、これはこれまでもたびたびこの委員会でも御説明申し上げたかと思うわけでございますけれども、大学院の占める割合というのも国立が高いわけでございます。  また、学問分野の構成ということを見てみました場合に、国立大学の場合におきましては、これは専門分野別に見てまいりますと、全体のうちの五三%が医学・理工系ということでございます。それに比べまして、私立の場合には二六%ということでございまして、先生御推察のように、医学・理工系という方が余計にさまざまな経費がかかるわけでございます。それらをあわせて勘案していただく必要があるのではなかろうかというように考えておるわけでございます。
  126. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 今のはとても合理的な根拠にはならぬと私は思うんですよ。  そうすると、私学に通っている学生たちはどうなんですか。今おっしゃるように、より充実した研究所があり何がありという状態のところで受けられる学生と、そうでない、それは試験で片方は合格し、片方は合格できなかったんだから仕方がないと言ってしまえば、もうこれは入学試験制度そのもののところへ行きますけれども、私が言うのは、なぜ国立大学へ行く学生だけが今あなたのおっしゃったようにより充実した、よりよい教育環境のもとで一それでは、私立に行く子供は、それぞれ私学だから、それはもう自由でいいんだというわけにはまいらぬでしょうということを私は申し上げているんですよ。私は、とても今のあなたの説明は合理的な納得できる説明とは思えないんですが。
  127. 雨宮忠

    政府委員(雨宮忠君) 言葉が十分でなかったかと思うわけでございますが、いずれにしましても、私立大学につきましては基本的に私学の自主的な運営ということで、私学の財政基盤のもとに、さらにそれに加えまして私学振興助成法の精神に基づいて、先生もかねてからおっしゃっておられますように、高等教育の重要な部分を占める私学という観点に着目して私学助成というものを充実してきているわけでございます。  ただ、もう一方で、その額自体はかなり毎年度充実させてきてはおるわけでございますが、一方におきまして私立大学の経常費自体もかなり上がってきている。また、先ほどの日本私立大学連盟の調査の中にも出ておるわけでございますけれども、寄附金収入というものがこのところ特に十分なものでなくなってきているというような事情もあるわけでございまして、私学全体の財政基盤自体が非常に衰えてきているということは言えようかと思うわけでございます。その関係で、一人当たり教育経費、これは全体のかかるコストを学生の人数で割り込んでおるわけでございますけれども、そんなことで、全体の財政規模自体が大きくないということが私立大学については言えようかと思うわけでございます。  なぜ私立大学の方が国立大学に比べて負担が重いのかということ、これは一つの御疑問であろうかと思うわけでございますけれども、一方におきまして、国立大学の授業料につきましても、かねてから私立大学の授業料の水準というものを横目で十分にらみまして、それに対応した形で、対応したといいますとちょっと語弊がございますけれども、それを横目で見ながらそれなりの水準を保ってきている、こういうことでございます。
  128. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 そういう議論をもし国民の前でして納得しますかね。  仮に七〇%を国立がやって三〇%が私学というなら、それは国民の税金を使うんですから、国民の税金をより多くの人にある程度平等というふうな、公平というふうなことを含めてそれを使っていく。税金というのは結局、公益というものに結びつかないところに使ってはいけないと私は思うんです。そういう意味で、より多くの学生が国民の税金によって、教育は次代への投資だとか、あるいは人間は発展していく社会の資源だとかいろんな言い方がありますけれども、要するにそこに投じた教育費、経費そのものが税金である以上は、それが次に生きてこなければいかぬでしょう、国のために、発展のために。  そういう観点から見たときに、税金の投入の仕方として、今のようにわずか九十八校、そして学生の三〇%しかフォローしていないところに対して一兆五千億の金が投入され、片方、七〇%の学生が勉強しているところに対しては二千九百五十億のお金しか行っていないという、このところの税の使い方、公費というものの使い方についてのアンバランスというのは、これはもう当然僕は問題になってくることだと思うんです。  そうしたら、こういう言い方があるでしょう。いや、それは私学の方にお金が十分行っていないことに問題がある、こうおっしゃるなら、私学にどれだけお金を、一兆円とか一兆五千億のお金をこちらに積み上げていくことができるのかどうかという視点がなければ、これは合理的なものにも何にもならないわけで、私は、だから国費、国の税金を投入するという仕方そのものが従来のやり方では、やっぱりアンバランスというものが合理的な根拠というものとの関係において国民の納得できないものになっているというふうに私は思っているんです。  だから、一兆五千億の国の国立学校への繰入金、このものと九十八大学が一体どういう状況にあるのかという問題は、聖域とせずに徹底的に洗い直して、そして、税が正しく教育のところに使われていく、使われたそのお金は正しく公益の部分に反映されていくということでなければならぬというふうに私は思うから、執拗にこのことを申し上げているわけなんです。  もちろん、これだけの一兆五千億のお金を投入して、そこで学んだ子供たちが、日本のために、みんなの幸せのために、そこで学んだことを使って働いてくれるというのは当たり前のことであって、私学で学んだ子供たちは、自分たちもたくさん負担をしながらも、やはり同じようなレベルで公益のために頑張っていると私は思うんですね。  しかも、最近の結果として、国立の大学に学んでこれだけたくさんの税金の援助を受けて、しかし、その結果として得るものは、有名会社、一流会社、一流企業に入るとか、それからまた官庁に入って官僚になっていくとか、結果として個人の経済的な、あるいは個人の社会的地位、名誉という個人のところにやはり還元されていく方が非常に多いというこの競争社会状況から見たときに、長年続いてきた国立優位、そして私学をこういう形で、それは自主的にやっているんだからという形でいつまでも放置することはできないんではないかということを私はずっと申し上げているわけで、もっとそうした国民の税金を使うという観点に立った国立学校のありようという問題、経営形態のあり方という問題も、そこから見詰めていくということを文部省がやらない限り、文教予算の財政構造改革なんというような問題は絶対に私は手をつけられないと思うんですよ。  もう時間が来ましたからやめます。文部大臣、私は執拗にこれをやっていきますけれども、きょうはこの観点からどうですか。
  129. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 先日来、本岡議員、御自分なりの一つの見解を述べられている。それも一つのお考えだとは思いますけれども、歴史的に見ますと、国立大学は明治維新以来、やはり次代を担う人材養成ということでスタートしたと、そしてさらに、戦後、私立大学がそれぞれの独自の建学の精神で続々と生まれたと、こういう経緯があります。  一つ考えていただきたいのは、そういった国公私立全部を含めた高等教育に対する公財政支出は、前回申し上げたように、ヨーロッパ諸国に比べてまだ半分でしかないということで、国立がどうの私立がどうのと言う前に、やっぱり日本の高等教育全体に対する一つの資金投入ということは、私は必要だというふうに考えております。  その上で、しからば父兄の負担がどうなのかということでありますが、これはやっぱり保護者教育費負担というものから考えれば、できるだけ国立、公立、私立の間に格差がない方が望ましいわけでありまして、そういうことで努力をしてきているわけでございます。  それから、先ほどいろいろ数字を申されましたけれども局長からお答えしたように、算定の基礎となる数字、例えば施設費であるとか、実習・実験費だとか、そういうものの扱いがどうなの一か。あるいは投資的な経費はどうなのか。あるいは国立と私立の間では、例えば医学、歯学、理工系が多くてそれだけ余計お金がかかるとか、あるいは教育だけではなくて研究活動に物すごいウエートがあるというようなことで、公私の格差というものはその数字のとおり考えるのは妥当ではないと私は思うわけであります。  しかし、そうはいっても、今申し上げたように国立と私立との保護者の負担をできるだけ近づけていく、こういうことで、例えば授業料などを比較しますと、国立も私学の水準に合わせてずっと上げてきておりますから、現在、先ほどお答えしたように一対丁七と、こういうところまで近づいてきているわけであります。過去、昭和五十年以来ずっとこの授業料の変遷をたどってみますと、私学がたしか四倍程度だと思うんですが、国立の授業料は十二倍ぐらいに上がっております。したがって、そういうこともすべてを勘案しながらひとつお考えいただきたいと思います。  ただし、私は、国立大学の運営につきましてはやはり聖域扱いはすべきではないと思いますから、これは財政構造の見直しということもありますし、その点は十分考えていく必要があるというふうに考えまして、今一生懸命取り組んでいるところであります。
  130. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 終わります。
  131. 阿部幸代

    阿部幸代君 大学教員の任期制導入問題について質問いたします。  初めに、大学人、大学関係者の合意がいまだできていないのにもかかわらずなぜ法制化を急ぐのかという問題です。  大学審議会の大学教員の任期制についての答申があったのは昨年の十月二十九日で、それからまだ半年足らずしかたっていません。この答申が出されるに至った大学審議会組織運営部会議事要旨によりますと、昨年九月六日の時点で、つまり第五十六回の部会の審議の中でも、「教員の任期制について、各大学内で十分に議論が行われていない現状で、大学審議会の答申が生かされていくのだろうか。答申が出されたならば、学部レベルにまで周知するようにする必要がある。」、こういう意見が出されています。  任期制への賛否は別として、各大学で十分に議論が行われていない、こういう指摘は重要だと思うんです。大学教員の身分に直接かかわる任期制について、各大学での議論を十分保障したのでしょうか。
  132. 雨宮忠

    政府委員(雨宮忠君) 各大学におきまして具体的にどれだけ審議がなされたかということにつきまして、私どもつまびらかにいたしておりません。しかし、大学教員の任期制自体の議論というのはかなり古くからあるわけでございまして、今、先生も御指摘のように、おととしの秋に「審議の概要」というのが出されまして、それに対して、大学関係団体などを中心としましていろんな意見を伺ったわけであります。それをさらに参考にいたしまして、審議を尽くした上で昨年の十月に答申になったということでございます。  したがって、それらの過程におきまして、当然、大学審議会の委員先生方は議論するわけでございますし、私の東大の事務局長の経験からいたしましても、大学の中でいろいろ議論したことはございます。関係のところでしかるべき議論は行われたかと思うわけでございますが、じゃ今、先生がおっしゃいましたように、それぞれ各人がすべてその審議に参画したかとかというようなところまでつまびらかにはいたしておるわけではございません。
  133. 阿部幸代

    阿部幸代君 大学審がそもそも設置された最初のときからこの任期制の問題が論議になったということは私も存じていますし、歴史が古いというのも存じているんですが、それだけ時間をかけても合意に至っていないというところが重要で、十分な議論が保障されなかったということは、実は大学関係者の見解によってもうかがい知ることができるんですね。  例えば、日本学術会議の第二常置委員会が主催して、ことしの一月二十日に「大学改革と任期制」と題するシンポジウムが行われています。その報告者の見解が雑誌「学術の動向」三月号に掲載されているんですが、その冒頭で大学審副会長で組織運営部会長の有馬朗人氏が次のように述べているんです。   答申では対象は教授、助教授、助手すべてに  した。部会での議論では助手については殆ど異  議がなかったが、それより上の職については今  まで通り定年までの終身雇用でよいではない  か、という説も強かった。私自身も助手はアメ  リカ流の助教授に対応するものとして任期をつ  け、現行の助教授は準教授と考え教授と共に定  年まで任期なしで良いと考えたし、今もそう  思っている。こうおっしゃっています。今もそう思っていると。  任期制導入の答申のいわば中心人物が、意に反する答申であることをいわば告白しているようなものだと思うんですけれども、こういうものを急いで法制化するというのは無責任なんではないんでしょうか。
  134. 雨宮忠

    政府委員(雨宮忠君) 大学審議会でいろいろな議論があったことは事実でございます。今、先生指摘のように、職種、いわゆる助手、講師、助教授、教授等、こう並べたときに、教授については別に任期制をとらなくてもいいのではないかというような議論が一部にあったことも確かでございます。  ただし、大学審議会の答申のまとめといたしましては、制度的にはやはり助手から教授に至るまで幅広く対象にするのがいいと、こういう結論になっているところでございます。
  135. 阿部幸代

    阿部幸代君 大学人の間で議論が分かれているということは多くの人が語っているわけですが、例えば、本年一月二十四日付の科学新聞によりますと、行政改革会議が一月十六日、第三回目の会合を開いているんですが、その際、前東北大学長の西澤潤一氏が大学教員への任期制導入の問題について、  現在の大学教員の給与水準は製造業などと比べても半分程度と極めて低くなっている。  待遇が悪くなってしまっている状態で任期制を導入すれば、代替により優れた人材を得ることは不可能。任期制を採用して効果があるのは、他の人達が望んでいる地位が閉鎖されている時に限るこういう趣旨のことを言っているそうです。また、四月六日付の赤旗新聞にも西澤氏は登場しているんですが、ここで、  待遇が悪い状態で任期制を導入すれば、大学が優れた人材を得ることは不可能になります。給与を上げないままでの任期制導入は、アメにムチではなく、ムチにムチです。ここまで言い切っているわけです。  こうした大学関係者の、しかも重要な人物です、両方とも。審議のまとめ役であったり、行政改革会議で意見を陳述しているわけですから。こういう大学関係者の見解によっても、任期制導入の合意ができていないというのは明らかだと思います。  そもそも、早くから自主的に任期制を導入してきたところ、ここも異議の声を上げているわけです。京都大学の基礎物理学研究所が、任期制の法制化は、「むしろこれまでのような円滑な人事交流を阻害する可能性がある。」、ここは早くから自主的に任期制を導入しているわけです。こう指摘しているんですね。既に引用した「学術の動向」三月号に、京都大学基礎物理学研究所長の長岡洋介氏が執筆しておられます。  任期は初期には、教授・助教授が五プラス・マイナス二年、助手が三プラス・マイナス一・五年であった。後にこれが教授・助教授五〜十年、助手三〜六年に変更任期は内規としての了解事項であり、その期間内での転出が厳密に義務づけられているわけではない。五〜十年という決め方も、これは在任期間の目安を意味するものと了解されている。 とのことです。そしてこう言っているんです。  任期をまもることが所員個人、あるいは研究所自身のみの責任とされていたとしたら、早い時期に破綻しただろう。「任期制」を支えてきたのは研究者グループだった、 とも述べている。つまり、学問研究の論理に従った研究者グループの存在が自主的な任期制を有効に活用してきているわけです。ここにもし法制化された任期制が導入されるとどういうことになるか、次のように述べておられるんです。  任期が厳格に定められたとしたら、所員は任期がきたときに転出先がないことをおそれて早めの転出を考え、基研で落ち着いて研究する雰囲気が失われるのではあるまいか。そのような基研は研究場所としての魅力を失うだろう。 こう述べておられます。これは、学問研究の論理から遊離したいわゆる任期制が教育研究の活性化につながるどころかむしろ有害だということだと思います。自主的な任期制の採用者からここまで、つまり法制化は自主的な任期制にそぐわない、こう指摘されながらなぜ法制化を急ぐんでしょうか。
  136. 雨宮忠

    政府委員(雨宮忠君) 多少誤解があるのではなかろうかと思うわけでございます。すなわち、私どもが提案しております任期制の法案におきましては、何も一律に任期制を実施しようというようなことではないわけでございます。また、その任期制を実施する実施しないということにつきましては各大学の、すなわち、今先生が基礎物理学研究所の例をおっしゃいましたけれども、例えば基礎物理学研究所の属している大学がそれぞれの教育研究組織について、この組織については任期制が必要である、あるいは必要でないというような判断を当然し得るわけでございまして、そういう意味におきましてあたかも一律にやるかのごときお考えであるとすれば、それは法案の内容と合っていないというように考えておるわけでございます。
  137. 阿部幸代

    阿部幸代君 大学の自主性に基づく選択的任期制ということだと思うんです。ですから、今、京都大学の基礎物理学研究所の例を話したんです。ここは本当に模範的に任期制を実践しているんですよ。そこの人たちが、それが法制化されたらやっていけないと言っているんです。根本的に違うんです、自主的に任期制を実施しているのと、それを法制化するのと。そのことを指摘しているんですね。  それで、法制化による任期制というのは、期限が来たら職を失う大学教員解雇法なんですよ、本質は。角度を変えて議論してみたいと思うんですが、アカデミックフリーダム、つまり憲法で保障された学問の自由と大学の自治が十分論議されたのかどうか、この点を伺いたいと思います。  大学審の組織運営部会での議事要旨によりますと、昨年一月十日の部会で、これは最初の集まりですね、「任期制に係る今後の検討では、次の点に留意すべきである。」として五点を挙げ、その第一番目に「アカデミックフリーダムの確保」を挙げた方がいます。その後の審議の中では、どうもたったの一度も検討された様子が、私、全部読みましたけれどもないんですね。  それで、一昨年、大学教員の任期制についての審議の概要が公表された後です、各界の意見が出されたと思うんですけれども、そのときに、国立大学協会がその意見の中で、  米国において任期なしの任用がマッカシーイズ  ムが大学を脅かした時代にアカデミックフリー  ダムを擁護するために広がったという歴史が教  えるように、任期制の議論においてアカデミッ  クフリーダムを尊重するという視点が欠落しな  いことを強く希望する。というふうに最初に述べています。それから、「総括」のところでも、  大学審議会の審議において十分考慮されている  と期待しているが、アカデミックフリーダムを  正しく確保するこの重要性を強調させていただきたい。と念を押しているんです。  こういうのに照らして、組織運営部会としてこの問題を十分検討したのでしょうか。
  138. 雨宮忠

    政府委員(雨宮忠君) アカデミックフリーダムというのは、今、先生も御指摘のように、憲法で規定しております学問の自由と同義であろうかと思うわけでございますが、学問の自由ということにつきまして、それを具体に実現する場として大学があり、それを大学の自治という観念で考え、それを制度的に具現化するものとして、例えば国公立大学の場合には教育公務員特例法において、教員の大事につきまして大学の自主的な考えに任せると、そういう考え方で構成されていることは御承知のとおりでございます。  それで、今回の任期制の場合につきましても、これは教員の大事にかかわることでございますので、学問の自由、あるいは現在の教育公務員特例法で認められておりますような教員人事の基本的な仕組みということに思いが及ぶことは当然のことであるわけでございます。  それで、任期制の今回の法案におきましては、任期制をとるやとらないか、あるいはどういうような任期制にするのかしないのかというようなことどもにつきまして大学がそれを決めるということになっておるわけでございまして、したがって教員の人事の制度と言っていいかとも思うわけでございますけれども、教員の人事の制度を動かす主体として大学の自主性が守られておるということでございますので、学問の自由には何ら反するものではないというように考えておるわけでございます。
  139. 阿部幸代

    阿部幸代君 今の答弁を聞いていまして、要するに大学審の審議の中で具体的にアカデミックフリーダムについて検討したということをおっしゃらなかったんです。それを前提としているということを長々と述べておられたと思うんですが、前提にするということと尊重するということとは違うんだと思うんです。実際に、この議事要旨を見てみますと、アカデミックフリーダムの論議の欠落のかわりに、教育研究労働を利潤追求と競争原理中心の企業経営の中でとらえる論議が盛んで、本当に驚きを禁じ得ません。  外資系企業の、どこかで解雇されても別のところで雇用されるという、こういう人的交流市場を例にして、解雇する企業があるから雇用する企業もあると言わんばかりに、大学教員についてはそういった市場がないから任期制を導入できないというのは話が逆さであるとか、あるいは労働市場の流動化と新たな雇用形態、これは労働省の説明を受けておられるんですが、そういう議論の中で人間の教育と真理の探求にかかわる教育研究労働者を論じるとか、余りにも乱暴な議論だというふうに思うんですが、どうですか。
  140. 雨宮忠

    政府委員(雨宮忠君) 企業の論理によって云々というお話でございましたけれども、私どもの意識といたしましては、これはまた大学審議会の委員の方々の意識でもあったかと思うわけでございますけれども、大学の教育研究の必要上、従来の終身雇用の雇用形態ということだけにこだわっているというよりも、それとはまた別に、任期を限った任用をもできるというような道を開くことが重要であるという考え方に立っているわけでございまして、そういう意味におきましては選択の幅を広げたというように私どもも理解しておりますし、また大学審議会としてもそのように認識していたと思うわけでございます。  委員、先ほど京都大学の基礎物理学研究所で事実上の任期制というようなおっしゃり方をなさったわけでございますけれども、基礎物理学研究所でそのように一定の期間を限って若い人たち、あるいはあの場合はたしか教授までも含めたかと思うわけでございますが、そういうことを何も別の論理によって始めたわけではございませんで、その基礎物理学研究所の研究活動上の要請に基づいて始めたというように理解するしかないかと思うわけでございます。
  141. 阿部幸代

    阿部幸代君 でも、京大の基研は反対しているんですよ、何度も言いますけれども。そこをやっぱり見るべきだと思うんです。  企業の方のお話を聞いてはいけないとか、労働政策を視野に入れてはいけないとか、私はそういうことを言う気は毛頭ないんです。ただ、人間の教育と真理探求という教育研究労働の特性、これを十分見きわめていかなければ、結局、任期制でとにかく教員を退職させて入れかえる、このことだけが自己目的化されることになってしまうんです。企業経営の立場で言えば、その間に手っ取り早く業績を上げさせたい、任期というむちで業績を急がせる、こういうことになるんです。  諸外国において、教授まで含めて大学教員全体に任期制を導入している国はありますか。あるかないか簡単に。
  142. 雨宮忠

    政府委員(雨宮忠君) 諸外国の中でアメリカとドイツが任期制をとっているわけでございます。ただし、これは必ずしも法律の形でとっているとは限らないわけでございます。アメリカの場合で申しますと、アメリカの場合につきましては先生既に御認識のとおりかと思うわけでございますけれども、プロフェッサーとアソシエートプロフェッサーとアシスタントプロフェッサーと例えばアシスタントというような職位があったといたしますと、多くの場合、アシスタントプロフェッサーまでは任期を付したいわゆる競争的な雇用というものがかなり行われていて、アソシエートプロフェッサーあるいはプロフェッサーの段階になりますと、いわゆるテニュアというものが与えられるというような仕組みであるというように理解しておるわけでございます。
  143. 阿部幸代

    阿部幸代君 諸外国において、教授まで含めて大学教員全体に任期制を導入している国はありません。  一つの例なんですけれども、玉川大学出版部の「大学教授職の国際比較」というものを見てみますと、大学教員が生涯に勤務校をかわる回数、これは各国の調査に応じてくれた方たちの実際の移動した回数とその教職経験年数から、平均生涯勤務年数、三十年ですね、これに移動する予想回数を求めているんですが、これを比べています。それで、アメリカが一・六二、イギリスが一・七七、ドイツが二・〇〇。つまり、イギリスは八八年からごく一部に任期制を導入しているんですが、基本的にこの任期制がないイギリスとか、助手などごく一部に限定して任期制を導入しているドイツの方が、准教授や助教授にまで任期制を導入しているアメリカよりも移動の回数が多いんです。  これは注目されます。これは、学問の論理によってこそ自由な研究者の移動がなされる、このことのあかしだというふうに思います。任期つきポストで教員を無理やり退職させて流動化を図るというのは、学問の世界にふさわしくない暴論であるというふうに私は思います。  それで、この問題についての、つまり任期制導入についての財界の執念というのは、調べるとすさまじいものです。議事要旨を見ると、「答申には、教育研究の活性化と人材の流動化の関係について、もう少し書き込む必要があるように思う。教育研究を活性化すべき理由としては、学生の多様な学習ニーズへの対応もさることながら、学生に対する産業界の多様なニーズも重要である。また、産官学の連携や交流の深化も書き込んだらどうか。」とか、「答申には、産官学問の人事の交流を積極的に進めるための法制的な整備についても盛り込んではどうか。産官学問の人事の交流も、教員の任期制と実質的にはつながりを持っている。」というふうに財界支持の意向が非常に強く出されています。  これは歴史をさかのぼるともっとすさまじいわけで、昨年の科学技術基本計画策定に当たって経団連は四月十六日に要望書を出しています。その中で、高等教育充実のために流動化の促進、任期制の導入や一連の規制の見直し、これを挙げています。これを受けて科学技術基本計画は、「大学教員については、現在行われている選択的任期制についての検討の結論を早期に得て、所要の整備等を行う。」として大学審の任期制導入答申をいわば催促しているわけです。  少しさかのぼると、例えば九一年、関西経済同友会は、「大学の国際化 世界に開かれた日本の実現に向けて」において、「基本的には国・公立大学教員については国籍を問わず任期制とし、競争原理を導入することにより、任期の更新の際研究分野毎に業績が反映できる形態にすることが望ましい。」、こう言っていましたし、九四年、経済同友会は、「大衆化時代の新しい大学像を求めて 学ぶ意欲と能力に応える改革を」、この中で、大学を開かれた競争社会にするために人事交流の促進を挙げ、「労働基準法による一年以上の期間の定めのある雇用契約の禁止規定や、国家公務員法における職務専念規定などを、教育・研究職に限って緩和する、などが必要である。」と、こういうふうに提言をしています。  まさに、客観的には、任期制導入というのはこうした財界の要望に対する回答になっているわけです。学問の論理ではなくて、こうした財界の論理、利潤追求と競争原理に大学教員を追いやるのは、大学の教育研究にとって本当に有害なことだと思います。  西澤潤一氏が指摘しているんです。「湯川秀樹博士は五年間論文を書かないことがありました。研究を重ねていたからです。そのあと、ノーベル賞を受賞しました。」、また、「大学の一極集中がすすみ、施設整備、研究費、学生定員、教官定員もすさまじい勢いで偏差値序列に組み入れられています。任期制で、一極集中がいっそう強まるでしょう。」、こういうふうに言っているんです。  つまり、任期制は、教育研究の活性化につながらず、日本の国に本当に必要な大きい仕事をやりにくくさせ、大学間格差を拡大させていく、こういうものをもたらすだけだというふうに思うんです。  そこで文部省に要望したいんですが、特に大学間格差をどういうふうに考えるか資料を出していただきたいんです。  東大、東北大、埼玉大、高知大、この四つの大学について、学部単位に定員内教員数と定員外教員数、それから教員一人当たりの学生数・職員数、週当たりの担当授業数、それから各大学の教官の科研費の配分実績、それから高度化推進特別経費、大学院最先端設備費などいわゆる大学改革推進等経費、教育研究特別経費ですね、これらの推移、十カ年間、ぜひ出していただきたいと思います。  大臣のこの任期制導入に当たっての、導入に対する見解を伺います。
  144. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 阿部委員がるる申されましたけれども、言い過ぎかもしれませんが、ちょっと独断が過ぎるんじゃないかなと。  かねてから大学の活性化ということは言われてきたことです。これは何も経済界だけの要望じゃなくて、大学人自身もそういうことを指摘してきたわけです。  したがって、今度の法案、けさ閣議決定されましたが、先ほどから話が出ているように、これはあくまでも教員の流動化によって大学の活性化を図ろうというのが目的でありまして、しかもこれを進めるに当たっては、何も文部省が命令してそうしろというのじゃなくて、それぞれの大学で自主的に判断をしていただく、しかも本人の承諾ということが前提となっているわけであります。したがって、今言われているような批判は全く当たらない、こういうことでひとつ御判断をいただきたいと思います。  なお、この法案はこれからこの国会でも議論されるわけですから、私は十分皆様の疑問には答えていきたいと考えております。
  145. 江本孟紀

    ○江本孟紀君 まず私は、先日、甲子園大会で雨の中でゲームが行われたということについてちょっとお聞きしたいと思います。  春の選抜大会を含めて高校野球甲子園大会というのは、それなりに大変意義のある、国民にとっても大きな関心のある、スポーツとしてすばらしい大会だとは思います。先日、大臣も始球式に行かれて、ほとんどホームに届かなかったんですけれども、野球には関心があるのかどうかわかりませんけれども、高校野球というのは教育一環であるというようなことを、この主催をする大会関係者、高野連、そういった関係者が言われております。  そこで、私も一応野球をした人間としては、四月五日の土曜日の甲子園の準々決勝か何かだと思いますが、ことしは大変天気が悪くて雨天中止というようなことも多かったんですが、どうしてもこの大会を運営する上において、限られた日程の中で消化しようということで選手に雨の中、まあ雨が多少降ってもできるんですが、もうグラウンドはほとんど水浸し状態で、走っても、もう水しぶきがばしゃばしゃ上がってろくに走れない、ゴロもろくにとれない、そういった悪条件の中でした。  実際、野球といったスポーツは、御存じと思いますけれども、雨の中では普通やらないスポーツなんですね。きょう釜本さんもいらっしゃいますが、サッカーとかああいうのはかなり悪天候でも強行してやられるスポーツですけれども、スポーツによっては雨が非常に影響をする。特に野球の場合は、悪条件ですと体を壊しやすいということもありますし、それから危険でもある。雨のときというのは、打球も速くなりますし、イレギュラーも非常に多くなる。そういった意味で、これはもう危険きわまりない。それから、ゲームもこういった雨によって非常に左右される。本当の実力が出ない。といったようなことからしますと、私は本当にこれは残念なことだったと。  実際に大会の関係者は、日程をなるべく早く消化したい、とにかく消化して春休み中にやりたいというようなことから強硬に悪条件の中でゲームをさせたわけですけれども、私はいつも思うんですけれども、高校野球というのは教育一環だとかということも含めて、最近では科学トレーニングだとか健康管理だとか、そういったことを非常にやかましく言うスポーツでもあるわけですね。そういったことを一方ではうたいながら、一方では単なる運営のためだけに、悪条件の中で危険を承知でやらせてしまう、こういったやり方がどうも残念なような気がしてしようがありません。  この中で、大会関係者は天気の判断を誤ったというようなことを言っております。しかし、そんなことも、これは何とか早くこの間に終わらなきゃいけないというようなことから恐らくそういった言いわけみたいなことを言っておると思いますけれども、そこで、一応甲子園大会を後援する立場の文部省ということで、この今回の雨天決行、大会運営について、御感想を大臣にお願いしたいと思います。
  146. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 今御指摘のように、四月五日の春の高校選抜大会の、たしか準々決勝の第二試合だったと思いますが、途中から雨が降り出したために、非常によくない条件のもとで試合をせざるを得なかった。選手の皆さんには大変気の毒だなと私も思っております。  この大会の運営につきましては、今、江本委員指摘のように、大会の直接の主催者である高野連が主体的に判断をして、諸般の状況を総合的に判断をして決めるべきものであって、今後とも、グラウンドコンディションその他を勘案しながら適切にひとつ判断をして運営していただきたい、そういうふうに期待をしたいと思っております。
  147. 江本孟紀

    ○江本孟紀君 そして、文部省として今後こういう大会運営について何らかの指導等を行うお考えがあるのかどうか、お聞きしたいと思います。
  148. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 今申し上げたように、これは高野連の主体的な判断に期待すると言うしか、こちらでこうしろああしろと言うことはむしろ高野連の自主性を損なうということでありますから、私はそういうスタンスでいきたいと思っております。
  149. 江本孟紀

    ○江本孟紀君 この問題は、実はプロ・アマの問題も非常に深くかかわっている問題でして、今、大臣が言われたように高野連の自主性にということでありますけれども、今出ている学校の中には、きょう準決勝をやっていますけれども、もう始業式または授業が始まっているというような状況もあるわけですね。ということであれば、学校関係と非常に密接なつながりが当然あるわけですから、そういったことも含めて、今後文部省がある程度私は運営にかかわっていくべきじゃないかというふうに個人的には思っておるんです。単なる大会を運営するためだけにこういった、逆に言えばちょっと犠牲になるようなやり方というのは、やっぱりある程度こうした方がいいというようなことを今後少し指導していただきたいなと、私の考えはそういう考えでありますので、よろしくお願いしたいと思います。.そこで、先ほどの甲子園大会の中で強行せざるを得なかった原因の一つに、天気予報を見誤ったというようなことを関係者が言っておりましたけれども、今どき天気予報を信用した方が間違いじゃないかと、私はそう思います。その予報ということについて、ちょっと関連して次の質問をさせていただきたいんです。  先日、ことし三月二十三日の読売新聞に「地震予知「現状では困難」」という記事が出ておったんですけれども、「地震予知「現状では困難」」というのを聞いて、大抵の人はそれもそうかなと思うんですが、それはいいとしても、その中に、測地学審議会という組織があり、その測地学審議会の下部組織に地震予知特別委員会というものがあって、そこからの発表として、この地震予知は現状では困難だというような結論が出ているというような記事だったわけですね。  私は、地震予知というのは、科学技術庁だとか気象庁とか国土庁ですか、こういったところが主にやっているものだとは思っておったんですが、文部省の管轄で測地学審議会というのがある。その下部組織に地震予知特別委員会というものがある。この委員会というものが、私は最初聞いたときにどういうものかなという非常に疑問に思いました。  そこでお聞きしたいんですが、どういう委員会なのか、ひとつここで御説明をお願いしたいと思います。
  150. 林田英樹

    政府委員(林田英樹君) 御質問の測地学審議会でございますけれども、古くもとをたどりますと明治三十一年に測地学委員会官制というふうな形で設置をされておりますけれども、戦後の制度で申しますと、文部省設置法によりまして昭和二十四年に設置をされております。その後、昭和五十九年には法令が変わりまして、現在は文部省組織令で設けられているということでございます。  委員は、定数は三十名以内ということでございますけれども、現在二十七名の委員で構成をされておりまして、元の国立天文台の台長でございます古在先生が会長をなさっているわけでございます。  総会のもとに、測地部会、地震火山部会、気象水象部会、超高層大気圏外部会、地球科学特別委員会、深海底等調査特別委員会などを持ちまして活動をいたしております。  この所掌事務でございますけれども、これは「測地学及び政府機関における測地事業計画に関する事項を審議し、及びこれらに関し必要と認める事項を文部大臣及び関係大臣に建議すること。」ということが所掌事務となっております。  地震予知特別委員会でございますけれども昭和四十八年に、この審議会のもとに置かれております地震火山部会の中に設置をされまして、現在、大学等の学識経験者と関係行政機関の職員の三十四名で構成をされております。この特別委員会は、地震予知計画のレビューを行いますとともに、今後の予知計画の策定等について建議をしてまいっておるわけでございます。  なお、現在、この特別委員会におきましては、これまでの地震予知計画、昭和四十年からの計画の見直しをいたしまして、今後の地震予知の計画のあり方について審議をしておるところでございます。先般報道されました内容は、まだ特別委員会としての最終結論まで至っていない段階のものが一部報道されたということでございます。
  151. 江本孟紀

    ○江本孟紀君 そこで、平成八年度の「文教予算のあらまし」という資料によりますと、平成八年度の予算は、第七次地震予知計画、これは平成六年度から五カ年計画の三年次に当たるとして、文部省関係では二十五億五百五十二万円を計上しております。支出内容として、「地震発生のポテンシャル評価のための特別観測研究等の地震予知計画事業の推進」並びに「基礎研究の推進と新技術の開発等」云々となっております。  これは、こちらの「第七次地震予知計画一案一の概要」の中で、こういった計画の「策定の方一針」というところに、   地震予知計画では、全国対象とした定期的  調査及び観測を基礎として地震の長期的予知に  努め、その成果を踏まえて、短期的前兆現象を  とらえるための諸観測を集中させて短期的予知  に努めると同時に、地震発生に先行する諸現象  を解明するための基礎研究を重視して観測研究  を推進してきた。   第七次計画においては、これまでの六次にわ  たる予知計画の成果を踏まえるとともに、予知  の実用化のための課題に取り組むこととし、長  期的予知・短期的予知の方式による観測研究を  「地震予知の基本となる観測研究」として位置  付けてその一層の推進を図るとともに、新たな  課題として「地震発生のポテンシャル評価」を  取り上げ、そのための特別観測研究を実施し、  さらに、地震予知のための幅広い基礎研究と新  しい観測手法・技術の開発を推進し、地震予知  の実用化を促進しようとするものである。という方針ですけれども、理解が非常にしにくい。私の頭ではなかなかこれをぱっと理解できないんです。ただ、最近なれてきたのは、こういう何かわからないものは必ず裏があるんじゃないかなというような、そういうことだけはよくわかるんですけれども、とにかくわかりにくいんですね。  そこで、実際に今お話のありましたように、まだ決定はしていないということを言われておりましたけれども、地震の予知ができるかできないかを研究するのに九七年度も二十六億六千万も計上しているということになると、これはもう結構なお金を使っているわけですから、これだけ「策定の方針」等をいろいろやってきていまだに地震の時期をずばりと当てられないけれども、要するに当ててもらわなければいけないんです。  その点についてもうちょっと詳しく言いますと、一部の報道によりますと、この予知計画は策定されて三十二年、大震法から二十年、その間一千三百億円の予算が地震予知に充てられております。阪神大震災は言うに及ばず、今日に至るまで地震をことごとく予知できなかったと指摘した上で、先ほど申しました地震予知特別委員会みずからが現状のレベルでは予知は困難だというふうなことで自己点検書をまとめたと報じております。  今お答えになったように、これもまとめたというだけでまだ発表はされておりませんが、これはいつごろですか、今、御答弁にありましたか。
  152. 林田英樹

    政府委員(林田英樹君) 現在のところ、地震火山部会の案をまとめまして外部の評価委員の評価をお願いいたしておる段階でございまして、この夏をめどに報告を出していただきたいと考えているところでございます。
  153. 江本孟紀

    ○江本孟紀君 夏ごろには、報道されたように、実際に地震の予知は不可能だという宣言を多分されると思いますが、私は、こういうふうな研究をして要するにこれは無理だったということを実際認められるということは悪いことじゃないな、むしろバンザイしてもらってもいいんじゃないかと思います。  いずれにせよ、今まで国家事業として三十年間取り組んできて、そして一千三百億つぎ込んできたわけです。私は、夏に多分これはできないというふうな発表をしてもらっても結構だと思いますが、しかしこの九年度もその予算を計上しているわけですね。そうするとちょっと不思議だなという気がします。要するに、予算だけはもう組んでおけというようなことじゃないかと思います。  いずれにせよ、予知は可能だと言っているところもあるわけです。気象庁の判定会などというのはできるんだというふうに言い張っているようでございますけれども、むしろもうこれは、文部省の測地学審議会のそういう答申によって、十分に話し合われて、気象庁とも共同で、やっぱり予知は無理だと、今までやってみたけれども、予知するのはもうやめようと。だから、そういうことを素直に認めて、むしろ地震が起きたときの防災計画、お互いに手を組んでこれに金をつぎ込もうじゃないかというふうな方向に変えるべきじゃないかと私は思います。  そこで、これは学校のことなんですが、こういった文部省の予算を当たりもしない予知に使うよりは、むしろ学校の中で防災計画を立てるための予算を計上していった方がいいんじゃないかというふうに私は思います。  実際、学校なんかでもそういった防災に関することは結構やっているようです。きょう始業式をやって始まったような子供がいます。近所の小学校でちょっと聞いてみたんですけれども、きょうあたりは一応防災のときの何か学校の計画というものを出してきているんですけれども、その中にあるのは、今学校がやっていることは何かというと、子供の連絡先ほどこかということを今やっているそうなんです。それ以外のものは何もないです。どこへ逃げなさいとか、こうなった場合こうしなさいとかというような防災計画は何もないんですね。実際、小学生の子供に、親の連絡先、親がいない場合はどこにする、その人はどこにいるんだとかというようなことを書かせても、これは震災の場合は親も震災になるわけです、被害を受けるわけですよ。だから、どうでもいいようなというのはおかしいですけれども、そんなやっても効果のないような、単なる連絡先を書きなさいというような程度の防災計画ではどうしようもないわけです。  例えば、子供たち、小学生も中学生も含めてです、震災にいつ遭うかわからないわけですね。例えば学校の中にいるとき、それから通学中、駅、それから家庭の中、こういったときにどういった訓練をすべきか、どういうふうな対応をすべきかというようなことを学校で教える、むしろそういったことにそのお金をつぎ込むということがこれからの地震対策、ここのところ本当に地震が多いですから、これはいつ来てもおかしくないですけれども、それを予知する人はいないわけです。ましてや国が、国家が、これはもう残念だがだめですよというような空気を今持ってきているわけですからね。むしろこれはあいまいにやらないで、はっきり、すぱっとできないと。それよりも来たときにこうやってやろうということをぜひ教育すべきだと思います。  例えば、東海地震はかなり来ると言われていますね。そうすると、静岡県なんかはむしろ、もういつ来るかはわからない、そんなことを当てにしているよりも、突発地震が来たときにいかに対応できるかというようなことの体制づくりの対策を今やっているというようなことがあります。これは当然のごとなんですね。  あの阪神・淡路大震災から国の防災対策、地震なんかを含めてそんな大した進歩はしていないと私は思います。ここは文部省がむしろ率先して予知よりも緊急対応策、こういった整備を打ち出すべきじゃないかと私は思いますけれども、そこの点についてお願いします。
  154. 林田英樹

    政府委員(林田英樹君) 今申し上げましたように、現在審議会において検討中でございますので最終の結論という段階ではないわけでございますけれども、確かに委員の中には、この記事に載りました方々の中にも委員に加わっていただいている方もいらっしゃるわけでございますけれども、従来、地震予知計画として考えておりました地震発生の場所と規模と時期を同時に地震発生前に予知をいたしまして警報を発するというようなことにつきましては、現段階では一般的には困難というような御意見がかなり強いというのは事実であろうと思っております。しかし、いずれにいたしましても、私どもとしましては、学問的に十分御議論をいただきまして適切な結論をいただいて、それを踏まえてどう対応するかということを考えていくべきであろうと思っております。  それから、予算につきまして御指摘ございましたけれども、現在、確かにおおよそ先生指摘のような金額を地震予知でございますとか地震調査研究関係の予算で使っているのも事実でございます。文部省関係の金額につきましては、京都大学の防災研究所、それから東京大学の地震研究所の運営・研究経費が大半でございますけれども、いずれにいたしましても、このような基礎的な観測研究というようなものをかなり含んでいるわけでございますし、各省庁の予算も、大きな予算はそのような基礎的な地震の調査の、観測のための体制整備ということに使われていることは御理解をいただきたいというふうに思います。  いずれにいたしましても、これまでの研究によりまして、今申し上げましたように、基本となります観測網が相当整備をされたというふうなこともございますし、地震現象の理解というような点では格段に深まってまいっておりますし、日本の研究レベルというのはそういう意味では相当に上がっているというふうに評価をされているんではないかと思っているわけでございます。  しかし、いずれにいたしましても、学問的に適切な検討をいただきまして、この審議会には関係省庁も入っていただいておりますので、それらの方々の御参加も得ながら、結論を踏まえて政府として適切な対応をとるようにしてまいりたいと思っております。
  155. 江本孟紀

    ○江本孟紀君 もうちょっとその辺は詳しくやりたかったんですけれども、時間もありませんので、ぜひお願いしたいと思います。  そして最後に、この前の阪神・淡路大震災のときでもそうだったんですが、文教施設が非常に有効利用されたとは思います。しかし、安易に校庭等を使われて、それが無制限に利用されて、そのままずっと放置状態みたいなケースもあったというふうに聞いております。教育現場に後々支障を来すような例もあったようですが、この点についての法整備というのも当面早くしなければいけないんじゃないかと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
  156. 小林敬治

    政府委員小林敬治君) 災害時における避難場所として具体的にどのような施設等を指定するかは、災害対策基本法に規定する市町村の地域防災計画において定められているところでございます。避難所としての運営につきましても、基本的には災害対策担当部局責任で行うということになっております。  公立学校施設はいざという場合の避難所としての役割を果たすものでございまして、ほとんど避難所として指定されている実態にございます。さきの阪神・淡路大震災におきましても事実極めて大きな役割を果たしたわけでございます。  しかしながら、第一義的には、学校というのは児童生徒のための教育施設でございまして、避難所となる場合でありましても、被災地域の復旧の状況も十分踏まえつつ、学校教育に支障が生ずることのないよう、災害担当部局、それと教育委員会が適切な対応に努める必要があるものというふうに基本的に考えております。  それから、法的な整備という点でございますが、災害が復旧したにもかかわらず、正当な理由がないまま住民が学校施設に居住し、学校教育上著しく支障を来しているような場合におきましては、法的な手段としては、いわゆる不法占拠ということになりますので裁判によってその明け渡しを求める、それに応じない場合は強制執行を行う、退去していただくというふうな手段があるわけでございます。こういうふうな手段のほかにさらに新たな立法措置が講じられるべきかどうかということにつきましては、災害対策全体の見地に立っての関係省庁による検討が必要ではないかというふうに考えている次第でございます。
  157. 江本孟紀

    ○江本孟紀君 ありがとうございました。
  158. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 私は、児童福祉法改正に関連して、きょうは文部省そして厚生省質問をさせていただきます。  五十年ぶりの改正で教護院という名前が児童自立支援施設と変わったことは大変評価したいと思っております。今までいつも、教護院という名前ゆえにどれだけ大勢の子供たちが烙印を押され、そして生きにくい生涯を生きたかという事実を見てきただけに、名前が変わったことは大変喜ばしいことだと思っています。  教護院から児童自立支援施設となったからには、内容もぜひともそれに見合う内容に変えていただきたい。教護院へも私参りましたけれども、精神訓的、あるいは矯正的な生活指導はいささかもう時代おくれになっているというふうに認識しております。そして、矯正、いわゆる直すという意味の矯正から自立をするという方向に変わることが大事だろうというふうに思います。  子供たちは時代を、もっと言えば時代の疎外感を地域や学校家庭で敏感に感じていると思うんですけれども、そういった子供たちに今矯正的な形で何か訓練をするということは、私はいささか違うんではないかと思っていることが一点です。  それから次に、今まで教護院と言われてきた施設は大変閉鎖的で、まるでミニ刑務所のような印象を受ける施設でしたけれども、本当に子供たちが伸び伸びとそこで生活をするためには、地域に開かれた施設にならなければいけないというふうに思います。それは地域といった場合にもちろん地元の学校も入るというふうに認識しております。  そこで、文部大臣質問したいんですけれども、今までは学校教育法で定められた小学校、中学校に教護院に入ると通わなくてよかったわけですが、それは憲法で定められた教育の権利が与えられなかったという非常に差別的な制度がまかり通ってきたわけです。今度それが変わることになりまして、分校あるいは分教室も使われることになりましたが、決してそこに固定してはならないというふうに認識しております。現在は五十七カ所中九カ所だけに分校がありますけれども、この改正案が通った暁には堂々と子供たち学校に受け入れていただける、地域の小学校あるいは中学校に受け入れていただけることが大変大事でございまして、分校あるいは分教室というものに固定されてはならないというふうに思いますので、その点を文部大臣にまず確認させていただきたいと思います。
  159. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 具体的な問題は後で局長から答弁させますが、基本的な考え方だけ申し上げたいと思います。  子供教育は、主として教護院、今度は自立支援施設、こういうことになりましたけれども、従来は教護院の役割が主体的に大きかったわけですけれども、これからは教育の果たす役割が大きくなったという認識を持っております。ただ、長い経過がありますので、先ほど厚生省局長からお話があったように、現実には専ら教育に当たってきた職員も大勢おられるわけですから、そういう人たちの問題、これは厚生省でまたお考えになると思いますが、そういった実態等も含めてやはり厚生省文部省で十分協議をして具体的に対応していくべきだろうと思っております。
  160. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 地域の小学校、中学校、これは今度法改正されますと、例外はないわけですから、義務教育として義務教育の年齢ですから入れるわけですね、子供たちは。
  161. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) そのとおりです。
  162. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 教護院の子供だからといって学校が拒否するというような実例は絶対につくっていただきたくない、それだけは文部省の方から法改正になった段階で必ず全国学校に何らかの通達を出していただくことをかたくお願いしておきます。教護院の子供だから来てはならないというようなことがあってはならないというふうに思います。  それから次に、今度は逆のことになるんですけれども、今回こういった生活指導を要する子供ということが児童福祉法に書かれたことで、不登校の子供たちの問題が大変クローズアップされて、不登校の子供が教護院に入ることが問題視されています。  ここに、これはある教護院の授業概要の中に、例えば万引きとか家庭内暴力とか、それから無断外泊、家出、そういったものと並んで怠学とか、それから登校拒否ということが入所前問題行動の状況ということでずっと一列に並んで書いてあるんですね。こういった形で不登校を反社会的な行為というふうに位置づけているのではないか。きょうは、大勢の学校に行かれない子供たち、東京だけじゃなく地方からもいっぱい傍聴に見えているので、大臣にぜひ伺いたいんです。  この間、私も出ていました本会議で登校拒否児童対象とされるものではないというふうにおっしゃったんですけれども、逆の言い方をしますと、万引きをしていて学校へ行っている子もいれば、学校に行っていない子もいる。そして、年齢が小学校、中学校ですから、教護院にいる子供たちは全部学校に行っていない子供なんですね。そうすると、大臣が登校拒否とおっしゃった場合には、一体どういう子供を指して登校拒否は対象としないというふうにおっしゃったんでしょうか。
  163. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) ちょっと技術的に……
  164. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 いや、そういう技術的じゃなくて結構です。  というふうにお答えになれないと思うんですね。というのは、義務教育の間の子供全部は学校へ行っていないんです、今までは行っていないというか行かれなかった。そうすると、その子供たちは全部登校拒否ということになるわけですね。ですから、登校拒否の中で、万引きをした子は悪い子で、万引きをしない子はいい子だというふうな差別はするべきではないというふうに私は思います。  それと同時に、やはりそこのところをきちっと考えなければいけないのは、むしろなぜみんな学校に行かれないのかということの方が問題で、私は文教委員会でもるる毎回申し上げていることは、学校へ行くことは善で、教育のすべてが学校なのではないんだ、もっと違う場での、それが例えば家庭であれフリースクールであれ、そういうところでの教育をきちっと認めていく中で子供たちが伸び伸びと生きられるということの方が大事だろうというふうに思っています。  しかし、今回の教護院の問題で出てきている中で二つ相反するような問題が出てきていると思うんですね。  例えば不登校で、実際にその不登校というのはただ学校でいじめを受けた場合もあるかもしれない、先生と合わない場合もあるかもしれない、親の離婚や死亡が原因だということもあるかもしれません。いろんな原因で子供たちは今学校に行かれなくなるような時代でございます。そういった子供が今度教護院へ入った。そうすると、今度は教育が義務づけられているからということで逆に登校を強制される。教護院というところは大変強制的なところなので、強制されることが大変恐ろしいというふうに思います。  それから、逆に今度は学校へ行かないということだけでまたそういった施設に、まあ措置されることはないとは思いますけれども、万が一そういうことで措置されることも困るということで、二つの局面がございます。  この辺のところは今後文部省厚生省で、あるいはその地域の学校教育委員会児童自立支援施設との間の連絡を密にして、一人一人の子供たちが、そこに入ってはならない子供が入ることも、それから入った子供たちも、本当に勉強したい子は勉強すればいいし、行かれない子は無理に行かせるというふうなことがないように十分に配慮していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  165. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 私は、児童自立支援施設への入所の要件ということと、それからその児童自立支援施設に入所している児童生徒に対する教育と、この二つに分けてお答えしたいと思います。  まず、入所の要件の問題ですが、ただ単に登校拒否を理由として児童自立支援施設に入所をさせるものではないということをまずはっきりさせておきたいと思います。そもそも、従来から教護院は、不良行為をして、あるいはまたそのおそれのある児童が、児童相談所を経由して、家庭裁判所の審判に基づいて入所をする施設というふうに私は理解しておりますので、そういった考え方で従来やってまいりましたので、それをさらに飛び越えた、拡大解釈で入所をするというようなことは考えていないということをひとつはっきりさせておきたいと思います。  それから、児童自立支援施設に入所している児童生徒への教育をどうするか、これは先ほど私もちょっと申し上げましたが、今までずっと長い間担当してこられた教護院、今度の新しい施設とそれから福祉関係部局の人、さらに今度主体的な役割を果たす教育委員会なり学校、そういうものが緊密に連携をとって、どうしていくかということをそれぞれの地域、それぞれの市町村なり学校なりで考えていくべき問題だろうと思っております。  なお、詳しいことは、もし必要があれば局長の方から。
  166. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 ありがとうございました。  実質的にはもう十五年ぐらい前から私、教護院に行っていますけれども学校に行かれない子供が結構全国でいろんな教護院の中にいます。例えばおうちに帰れない子供がいるわけですね。ですから、養護施設とか、情短と言われるところとか、それから虚弱児施設とか、学校に行かれないために家族ともまた一緒にいられなくなって、いろいろなところに子供が望むと望まざると行かされているケースはたくさんあります。その中の一つに教護院もありました。  全部が悪いとばかりは言えない。それは厚生省いらっしゃるので言うわけじゃございませんけれども、実際、教護院に行って親と離れて、そしてそれからまた違う人生を歩んだ子供も現実に知っているんで、全部イコール悪だというふうには決して言いたくない。それは今までそういう施設で本当に親にかわって教育をしてきた方たちもおられるわけでございまして、そのためにも教護院に行く子供は悪い子供だというレッテルはぜひとも張らないでおいていただきたいというふうに何度でも申し上げたいと思います。  問題は、今度高校ですけれども、今まででも中学の卒業証書は出しているというふうにおっしゃるんですけれども、実際は判こが押してない、ナンバリングがないとか学校の方に台帳がないとかいうことで、高校を受けようと思っても入学できない。あるいは実際に教護院の先生たちに伺うと、教護院にいたということだけで高校に入れないというケースも多々あるそうです。小中学校はもちろんですけれども、高校に対しても絶対差別をしないということを今回徹底していただきたい。  それから、今、大臣は今まで教えていた先生たちというふうにおっしゃいました。平成八年に中学三年生が七百七十五人教護院に在籍していますけれども、その三年生のうちの二百四十人、およそ三分の一の子供が進学を希望して高校を受けた。ところが、全部は入ってないんですけれども、そのうち二百人ぐらいが入学ができた。そのうちのまた百二十一人が途中退学しているわけで、四六・五%が途中退学をしている。  その原因はいろいろあると思いますけれども一つはやはり学力、それまでの中学で正規の学校教育法による教育を受けてないということも追いつけないということの原因だと思いますので、これからは、周りのことなんかどうでもいい、本当に勉強したい子たちはする権利があるわけですから、その子供たちにはきちっと高校に行けるだけの教育をしてあげることが大事だと思います。私も、物すごく突っ張っていた子で、バイクに乗って、登校拒否をやっていた子がトップで高校に入ったというケースを、広島の子でしたけれども見ているんで、そういう子供には可能性を伸ばしてあげたいというふうに思います。  それからもう一つは、これは厚生省の方に伺いますけれども、やはり出てからのフォローアップが大変に大事だと思います。今の例でも、高校に通うというのは、学力の方は文部省の問題ですけれども、今度は生活面で申しますと厚生省の方にお願いしなければならないことが大変多いわけです。  それで、今回、改正案の六条の二に児童自立生活援助事業というのがございますね。これは養護施設のところに書いてある部分ですが、ここは養護施設と同時に、今度の新しい児童自立支援施設を出た子供たちもこの制度の中でもちろん受け入れていただけますね。
  167. 横田吉男

    政府委員(横田吉男君) 今回の児童福祉法改正によりまして、教護院についても大きな見直しを行うことにしておりまして、名前も児童自立支援施設ということと、退所後のフォローアップについてもこの児童自立支援施設でできるようにもなりますし、また、御指摘のございましたように、児童支援事業の方においても受け入れが可能なようにしたいと考えております。
  168. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 あと、今までの教護院と言われた時代の一番の問題は、やはり透明性がなかったことだと思います。  厚生省に三点確認させていただきたいんですが、今まで大学で福祉を勉強した人たち社会福祉士になる実習生を受け入れていない教護院があります。これを五十七ある教護院が全部必ず受け入れるように指導していただきたい。それから、施設長が実習記録を点検して、施設に都合の悪いのは削除するということが実際に行われています。これもやめさせていただきたい。これが一つです。  それから、教護院の子供たちを本当に地域に開放するためには、地域のボランティアが教護院の中に入って、いろいろ行事もありますでしょう、お洗濯してあげることがあるのか何かわかりませんけれども、ボランティアとの接触も大事だと思います。  それから、厚生省はないとおっしゃいますけれども、私のところへ聞こえてくるのは、まだ体罰がある。十年前に鹿児島で、脱走した子供たちの手に焼きごてを当てる体罰をしたという事実があって、そして今でも少年院の方に、子供子供同士で手にたばこを焼くのかもしれませんけれども、どうも焼きごてというのが教護院の中であったという非常に嫌な歴史があるので、子供の言い分をきちんと聞く第三者機関を施設の外に設けていただきたい。  体罰だけじゃないんですけれども子供学校へ行きたいか行きたくないか、おうちへ帰りたいか帰りたくないか、いろんな子供の言い分があると思うんですね。ですから、今の実習の問題、それからボランティアなど外との接触の問題、そして第三者機関を施設の外に置くということ、この三点について確認させていただきたいと思います。
  169. 横田吉男

    政府委員(横田吉男君) 児童自立支援施設を地域に開かれたオープンなものにしていくことが私どもも極めて大事だと思っております。こうした観点から、先生指摘のございましたような施設への実習生の受け入れ、これにつきましても指導してまいりたいと考えております。  また、ボランティアにつきましても、地域との交流をさらに進めるという観点から積極的に進めてまいりたいと思います。  それから、体罰につきましては、これは施設の処遇としてあってはならないことでございます。従来からこの点につきましていろんな機会を通じて指導してきておりますが、さらにチェックなり、あるいは問題が起こった場合の指導につきましても万全を期してまいりたいと思います。
  170. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 第三者機関。
  171. 横田吉男

    政府委員(横田吉男君) 今回、児童の権利条約を踏まえまして、児童の最善の利益を図る観点から、私ども児童相談所が教護院等への入所を決定する際には、第三者機関といたしまして都道府県児童福祉審議会の中に専門部会をつくりまして、そこの御意見等も伺うような形を考えておりますが、そういったものの活用を図ってまいりたいと考えております。
  172. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 私が今申し上げたのは、オンブッドのような、子供から直接話を聞くと。学校でも今、アメリカなんかそうですけれども教育委員会にそういったオンブッドがいて、先生の側からも子供たちの側からも自由に話せるんですね。そういった先生子供関係と違った第三者機関が必要なので、そのことをぜひ実行していただきたい。その御答弁もお願いいたします。  そして、同時に大臣の方にも、もう時間がなくなったので一緒に質問させていただきたいんですが、きょうは両省局長に伺わなくて恐縮ですけれども、聞いていただいて、やはり一番大事なのは、子供は一人で、ここからここまでは厚生省、ここからここまでは文部省ということではございません。特に、学校に行く行かないとか、それからそれを表現するのにこもる子供もいれば、万引きをすることで表現する、そのことで親の関心を引くという子供だっているわけです。暴力に出る子供もいれば、いろんな形で子供たちは自分の苦しさや疎外感を表現します。  そういった場合にやはり一番大事なのは、大人たちがここはこっちだこっちだといってたらい回しにすることだというふうに思いますので、この児童福祉法改正に当たりまして、両省の垣根を取り払って、一人の子供の心と体が本当に健やかに育つような、で、大人になるような、そういった温かさを持った形でこの制度をぜひとも生まれ変わらせていただきたい。そして、協力してやっていただきたい。  オンブッドのことと、それからあとそういった両省の垣根をなくしてやっていただくことについて、最後にお答えいただければうれしく思います。
  173. 横田吉男

    政府委員(横田吉男君) 施設内の処遇が適切に行われているかどうか監視するという点でございますが、これにつきましては、児童相談所が今でも年二回いろんな処遇について報告をとる、あるいは必要に応じて調査ができるというふうになっておりますが、さらに児童家庭支援センターを地域の身近なところにつくるようにいたしておりますので、そういった連携を図ることによって、福祉施設の中における処遇が適切に行われるように私ども努力してまいりたいと思っております。  それから、文部省との関係につきましては、教護院だけでなくてほかでもいろんな関係がございますので、今後とも密接な連携を図りながら協力してまいりたいというふうに考えております。
  174. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 要は、児童一人一人に適切な教育機会確保されるという立場で文部省厚生省、垣根を取っ払ってやっていきたいと思っております。
  175. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 どうもありがとうございました。
  176. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 質問させていただきます前に、私は実は無所属の委員でございますが、本日の委員審議に際しまして、他の会派に属する委員皆さんと同様の質問機会を与えていただきました。委員長並びに委員の皆様方の御配意にまずもって心から厚く御礼申し上げます。  それでは、本日は留学生十万人計画についてお伺いをさせていただきます。  文部省の留学生十万人計画は、目標年次が西暦二〇〇〇年ということでございます。現在、約五万三千人の留学生を受け入れておるという実績がございます。二〇〇〇年までに十万人にならないからといって政治問題になるという性質の問題ではございませんが、本計画は極めて実現達成が困難であるというふうな言われ方がされておるわけであります。  この留学岳十万人計画のそもそもの発端は、八三年に当時の中曽根総理が東南アジアを訪問された際に、日本に留学したOBの皆さんと懇談をされた。その際に中曽根総理が、皆さん子供さんがそろそろ留学をされる年齢かと思いますが、御子弟を日本に留学させますかという問いをなされたところ、留学生のOBの皆さん余り快い返事をされなかった。自分の子供は日本に留学させるつもりはないというふうに、そういう答えが返ってきたことに当時の中曽根総理は大変ショックを受けられて、日本に帰ってこられて直ちに十万人計画という指示を出されたというふうに伺っております。  私も、外国でいろいろ日本に留学をされた皆さんにお会いしても、なかなか日本の留学経験を生かす職業についていらっしゃらない。また、日本に留学された当時のお話を伺っても、残念ながら言葉を濁すというような場面を大変多く経験してきたわけです。中には極めて反目的な発言をされる方もいらっしゃったわけです。そうなりますと、今の十万人留学生招致計画というものにやはり大きな問題があるのではないかと思うわけであります。  そこで、まず冒頭、十万人留学生招致計画につきまして、そのおさらいの意味で若干の意義と現状、それから問題点についてお伺いをさせていただきます。
  177. 林田英樹

    政府委員(林田英樹君) 留学生の受け入れの意義ということでございますけれども、私どもといたしまして、日本と諸外国間の相互理解を進めるという意味と、それから我が国の教育の国際化にも大きく寄与するというふうに考えておりますし、また、あわせて我が国の国際貢献の重要な柱でもあるというふうに考えているわけでございます。  御指摘のように、文部省昭和五十八年以来、留学生受け入れ十万人計画に基づきまして、国費留学生の増員、それから私費留学生の支援充実、それから多様な方法によります宿舎の確保などの留学生受け入れ体制の充実を図ってまいりました。平成九年度予算におきましても、対前年度比で二・二%増の五百五十六億円を計上しているところでございます。  しかし、御指摘のように、留学生の受け入れ状況について見ますと、平成六年度までは十万人計画の想定を上回る人数の伸びを示していたわけでございますけれども、近年、伸び悩みの状況が続きまして、平成七年度には計画の想定を下回りました。また、平成八年の調査結果では初めて前年度を下回る約九百入減の五万二千九百二十一名というふうな状況になっているところでございます。  留学生の数がこのような頭打ちとなっております問題点というようなことを私どもなりに考えてみますと、諸外国におきます高等教育機関の整備によりまして、留学に対します需要といいますか要望が変わってきているという面が一つあろうかと思います。また、最近の不況によりまして我が国のイメージ自体について問題になっているのではないかというふうに思います。それから、我が国の生活コストの高さというような点でも留学生にとってはなかなか留学の困難を感じさせる大きな要因になっているのではないかというようなことも含めまして、さまざまな要因がかかわっているのではないかというふうに思っております。  私ども、何とかしてこの十万人計画の目標を達せられるように今後ともさらに努力していきたいと考えております。
  178. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 今、最後に一二点、留学生十万人計画が伸び悩んでいる理由を挙げられました。諸外国の教育制度が完備しつつある、日本の不況ということでイメージが問題になっている、そして生活のコストが高い、そういうネックがあるという御指摘でございます。  しかし、これは別に文部省行政に特有の問題ではございませんで、すべて共通する一般的な問題であるわけです。生活コストが高いから留学生がなかなか来ませんよ、それではしょうがありませんねということではもちろん済まないわけです。  最後に、今後いろいろな努力を重ねるという言葉がございました。後ほど幾つかの検証をさせていただきたいと思うわけでありますが、三点挙げられました点について、今後どのような文部省対応をお考えであるのか、お聞かせをいただきたい。
  179. 林田英樹

    政府委員(林田英樹君) 今のような留学生数の伸び悩みないしは減少というような状況を受けまして、私どもといたしましても、これまでのままの体制ではなかなか目標の達成は困難であろうというふうに考えたわけでございます。  このために、いろいろ文部省としてもその要因を除去するための検討をしておるわけでございまして、最近では、本年の一月に各方面の有識者から成ります留学生政策懇談会を開いていただきまして、御検討いただきまして、その御検討の結果を踏まえて今後の留学生政策の充実を図っていかなければならないというふうに考えているわけでございます。  現在の財政状況のもとでございますので、なかなか容易ではない面もあろうかと思っておりますけれども、具体的な要因の特定と、またそれに対します幅広い、行政機関のみならず日本全体の幅広い方々の御支援を得られるような方途を考えながら、今後の留学生を受け入れる諸条件の改善のために努力してまいりたいと思っております。
  180. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 それでは、今総括的なお答えでございましたので、個別の問題でまた後ほどお伺いいたしたいと思いますが、かつてアメリカは、フルブライト基金、それからアメリカン・フィールド・サービス等々で、アメリカはもう世界じゅうにアメリカのファンをつくったわけです。今、日本の多くの指導者もフルブライトやAFSの経験者がたくさんいらっしゃる。翻って、今、日本のことを世界で本当に心配してくれる国があるか。マレーシア、シンガポールといった比較的日本に好意的な国もありますが、残念ながら、日本のことを本当に心配してくれる友人が世界には少ないというのが日本の現状ではないかと思うわけです。そういった日本の友人、盟邦をつくるためにも、やはりこの十万人計画というのは私は今後も推進していただかなければならないと思う。  もう一点、私のつたない経験でありますが、中学校のころ、やはり最初の外国体験というのは、日本で海外からいらした留学生の皆さんとの接触というのが一番最初の体験だった。今でも鮮やかに覚えていますが、極めて鮮烈な印象があった。そういう意味で、日本にたくさんの外国人留学生がいらっしゃるということは、日本の青少年にも私は身近な外国交流体験ということでまことに貴重なものではないかと思うわけです。  先ほど、文部省予算、五百五十六億というお話がございました。多分、この大半はODA予算ではないかと思うわけでありますが、ちょっときょうは費目別に詳細をお伺いいたしませんが、ODA予算であるとすればその使途がどういうぐあいになっているのか。ODA予算の執行については、なかなか外国で効果的なODAの執行がなされていない例がたくさんあるわけです。例えば、発電所をつくったけれども送電線がないとか、橋をつくったけれども道路がついてないとか、いろいろ問題があるODAでありますが、私は今後のODAはやはり教育支援というのが根幹にあってもいいのではないかというふうに考えておるわけであります。  ちょっと脱線しましたが、五百五十六億、おおむねの使途について御説明をお願い申し上げます。
  181. 林田英樹

    政府委員(林田英樹君) 五百五十六億円の予算でございまして、その主要な使い道でございますけれども、大きなものを申し上げますと、国費留学生受け入れの計画的整備ということでございまして、国費留学生に対します奨学金の支給等の予算が二百十七億円、それから私費留学生への支援というものが百二十九億円でございますけれども、これが学習奨励費の支給でございますとか、私立大学、学校法人が授業料減免措置をした場合の学校法人に対します援助でございますとか、近年開始いたしました短期留学生推進制度の支援措置でございますとか、これらを含めまして百二十九億円ということになっております。  さらに、留学生に対する教育研究指導充実ということで百四十三億円計上いたしておりますけれども、国立大学などにおきます教育指導体制の整備や、私立大学等に対します、留学生を受け入れている大学に対します経常費補助というようなものを計上いたしておるわけでございますし、そのほか、留学生宿舎の安定的確保のための措置が二十八億円、海外への留学生派遣及び留学生関係団体への支援等が三十九億円という金額で、合わせまして五百五十六億円という金額になっております。これは対前年度二・二%増ということでございます。  平成九年度のこの予算のうちのODAの割合は幾らかというのは、ちょっと現在最新の数字を持っておりませんで、恐縮でございますが平成八年度の数字について申し上げさせていただければと思っておりますけれども、この予算額、平成八年度は五百四十四億円でございますけれども、このうち留学生関係経費は九七%ということになっておりまして、相当な部分がODA扱いをお願いできておるわけでございます。  ODAとして扱われていないものといたしましては、例えば国費の外国人留学生募集の受け入れの事務関係経費でございますとか、こちらから向こうへ派遣いたします留学生派遣の経費というようなものがODA扱いをされておりませんけれども、今のように大半がODA扱いをしていただいているという状況でございます。
  182. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 今御説明のありましたとおり、大半といいますか、かなりの部分が奨学金に使われておるわけです。これはそれなりに根拠があることであると思うんですが、私は、今日の留学生受け入れの状況で、やはりまだまだ施設、システムというのが大幅におくれておる、それがなかなか達成が困難であることの大きな理由ではないかと思うわけです。これは後ほど時間がございましたらもう一遍やらせていただきます。  次に、十万人計画推進の一つのポイントは、私費留学生、これに対して日本の社会、政治的なシステムで非常に大きな、いわば貿易でいえば非関税障壁というような壁がある。これをやっぱり打破しなければならないのが第一点。そして第二点は、今九〇%以上が私費留学生であるわけでありますが、やはり国費留学生を増大させなければならない。この二点であると思うわけであります。  その点で、まず第一点、留学生の受け入れに対してバリア、壁があるという点でありますが、国費の留学生は別でありますが、大部分、九〇%以上の私費留学生が日本の大学に入るとき、あらかじめ何々大学に入るということで来日されるケースは極めてまれであります。普通、留学という場合は、日本人が例えばハーバードに留学する、エールに留学するというふうに、あらかじめ留学先の大学が決まっておって渡米をするわけです。ところが日本の場合は、どこの大学に入れるかわからないが、とにかく一回日本に来日して、そこでいろいろ面接や試験があって、また本国に帰って、また改めて日本に出てくるというような、極めて留学生にとってはいわば不親切なシステムになっているわけです。  これは、私がさっき申し上げましたように、米国の場合ですと、TOEFLの試験を日本で受け、かつ書類審査であらかじめ留学先の学校が決められる。ところが、日本の場合はさっき申し上げたような状況なわけです。これは今、財団法人で外国人留学生統一試験、それから外国人日本語能力試験というような試験が海外で極めてわずかでありますが実施されておるわけでありますが、もしもこの計画を全面的に積極的に御推進なさるのならば、統一一次みたいなそういうシステムを海外で行い、そして外国人がさっき申し上げたように何回も日本と本国の間を行ったり来たりしなくて済むような、私はそういうシステムがあって当然だと思うのでありますが、この点はいかがでございますか。
  183. 林田英樹

    政府委員(林田英樹君) 御指摘のように、現在、日本国際教育協会が実施しております私費留学生統一試験、それから日本語能力試験がございまして、文部省としてもその活用を各大学等にお願いをしているところでございます。しかし、御指摘もございましたように、我が国の大学などにおきます留学生の入学選考手続などが他国に比べわかりにくいということが指摘をされている面がございます。  そこで、私ども、有識者によります会議を設けまして、先般その報告をいただいたわけでございますけれども、その報告の中でも、私費留学生統一試験につきましては、その実施回数、それから場所が限られていること、それから日本語能力試験につきましては、一般的な日本語能力を測定することに主眼があって、必ずしも大学教育を受けるための留学適性を評価するものになっていないというような御指摘がございました。当面、これらの内容や活用方法を改善いたしたいと思っておりますし、将来的には新たな統一試験を開発、実施することも提言をいただいております。  このほか、この報告では、書類選考によりまして渡日前に、日本へいらっしゃる前に大学などが入学許可を与えることを普及することなどを求められているところでございまして、文部省といたしまして、この報告について今後各大学において積極的な議論や具体的な取り組みが行われることを期待いたしておりますし、また文部省施策にも今後反映できるよう検討をしていきたいと思っております。
  184. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 今御答弁になりましたように、日本が実施しております二つの統一試験がほぼ機能しておらないというのが実情であります。  重ねて申し上げますように、日本に渡航するだけでも大変な皆さんが、どこの大学に入るのかわからないうちに一回日本に来て、そこでいろいろ手続やら試験を受けて、もう一遍本国に帰って出直してくるというようなシステムは、少なくとも日本に留学生を十万人招致しようという国のやることではないというふうに私は思うわけであります。今、統一試験について今後改善の御意向があるというお話でありましたが、これはひとつぜひ早急にお願いを申し上げたいと思うわけであります。  続きまして、宿舎の問題であります。  外国人留学生の皆さんに私は最近お会いしていろいろ実情をお伺いいたしました。一番多い問題点は、住宅が高い、アパートが探せない、せっかくアパートがあっても外国人であったということで断られるというのが大多数の留学生の皆様方のお答えであったわけです。もちろん、日本の住居費が高いというのは文部行政の責任ということではないわけでありますが、これさえ解決できれば今回のこの十万人計画、比較的スムーズに進行するのではないかと私は思うんです。  今、日本に対する東南アジア諸国の期待というのは大変強いものがあるのはもちろん御承知のとおりでありますが、この住居対策についてどのような、いろんなところでセンターをつくったり寄宿舎をつくったり等おやりになるわけですが、昨年の予算ですと四十数億円の宿舎建設の予算が執行されておるようでありますが、この点についてはいかがでございましょうか。
  185. 林田英樹

    政府委員(林田英樹君) 確かに、御指摘のように、日本に来ていらっしゃる留学生の皆さんの悩みの大きなポイントが宿舎の問題でございます。平成八年五月一日現在の数字で申し上げますと、留学生総数五万二千九百二十一人のうち、民間宿舎、アパート等にお入りになっている方が七〇・八%というふうな状況でございまして、残りの二九・二%が、学校が設置いたします留学生宿舎や公益法人などが設置する留学生宿舎、それから学校が設置する一般学生寮等にお入りになっているというような状況でございます。  私どもといたしまして、この問題にはいろんな措置を講じてきているところでございまして、国立大学留学生宿舎の建設でございますとか、日本国際教育協会によります、文部省支援を受けました宿舎建設奨励事業というようなものを地方公共団体や私立大学等にもお願いしておりますし、それからこの協会自体が東京に二カ所、関西に最近新築いたしました新たな宿舎などを運営いたしますとか、特に震災で被災いたしました留学生の宿舎不足が著しいということで、平成八年度補正予算におきまして兵庫県の留学生会館の設置費もお願いをしたというふうなことでございます。  そのほか、財団法人国際学友会や財団法人内外学生センターが行います会館の運営、それから民間アパートを借り上げるための、確保を促進するための経費等も措置いたしておりますし、民間企業等が社員寮を提供いただいているようなケースもございますので、これらの団体に対しますいろんな支援措置というようなものをあわせまして、現在対応措置を進めているところでございます。
  186. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 きょう指摘をさせていただきました統一試験の問題、それから宿舎の問題、これはさほど私は難しい問題ではないと思うんです。文部省がお取り組みをいただくという御意思さえあれば比較的短時間のうちに到達できる問題ではないかと思うわけであります。ぜひひとつ、その点で御努力をお願い申し上げたいと思います。  かつて平安時代に日本の進路を決定した空海、最澄、道元といった宗教家、思想家が中国に留学をしていたわけです。そのときのことを調べてみますと一〇〇%中国政府持ちの留学なんです。いわば官費留学、令でいえば中国政府のODAで空海さんは留学をしたわけです。その後それらの留学生が日本にどういう影響を及ぼしたか、もう私が申し上げるまでもない大変大きな影響力があったと思うわけです。  どうかそういう意味でも、アジアにおける日本に対する期待にこたえるためにも、ぜひ本計画の推進をさらにお願い申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  187. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) 本日の調査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十五分散会