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1997-02-20 第140回国会 参議院 文教委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年二月二十日(木曜日)    午前十時開会     ―――――――――――――    委員の異動  二月十七日     辞任         補欠選任      阿部 幸代君     山下 芳生君  二月十八日     辞任         補欠選任      山下 芳生君     阿部 幸代君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         清水嘉与子君     理 事                 小野 清子君                 鹿熊 安正君                 石田 美栄君                日下部禧代子君     委 員                 井上  裕君                 釜本 邦茂君                 世耕 政隆君                 田沢 智治君                 馳   浩君                 菅川 健二君                 田村 秀昭君                 林 久美子君                 山下 栄一君                 山本 正和君                 本岡 昭次君                 阿部 幸代君                 江本 孟紀君                 堂本 暁子君    国務大臣        文 部 大 臣  小杉  隆君    政府委員        文部大臣官房長  佐藤 禎一君        文部大臣官房総        務審議官     富岡 賢治君        文部省生涯学習        局長       草原 克豪君        文部省初等中等        教育局長     辻村 哲夫君        文部省教育助成        局長       小林 敬治君        文部省高等教育        局長       雨宮  忠君        文部省学術国際        局長       林田 英樹君        文部省体育局長  佐々木正峰君        文化庁次長    小野 元之君    事務局側        常任委員会専門        員        青柳  徹君    説明員        警察庁生活安全        局少年課長    勝浦 敏行君        警察庁刑事局捜        査第一課長    松尾 好將君        厚生大臣官房障        害保健福祉部企        画課長      伍藤 忠春君        厚生省薬務局麻        薬課長      藤井 基之君        資源エネルギー        庁長官官房省エ        ネルギー石油代        替エネルギー対        策課長      河野 修一君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○教育文化及び学術に関する調査  (文教行政基本施策に関する件)     ―――――――――――――
  2. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  教育文化及び学術に関する調査のうち、文教行政基本施策に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 馳浩

    馳浩君 おはようございます。自由民主党の馳浩と申します。  本日は、スポーツ行政あり方についてを中心にしながら、とりわけ小杉文部大臣におかれましては、いまだにというのは失礼ですけれども、日ごろ心身を鍛えておられる、スポーツ中心にということでございますので、非常に明快な答弁がいただけるものと期待をしながら質問させていただきます。  まず、理事会に理解をいただきまして資料を配付させていただきましたが、中教審答申を得まして、やはりこれから二十一世紀子供たち教育するに当たり、ゆとりある時間とともに生きる力を育成していくべきであるという答申がなされておりまして、分析といいますか、わかりやすくちょっと表にしてみました。  生きる力を不易的な内容流行的な内容ということにとらえまして、不易的な内容とは、みずからを律しつつ、他人と協調し、他人を思いやる心や感動する心など豊かな人間性とたくましく生きるための健康や体力と、心身の健全な育成という点を不易的な内容としてとらえております。  と同時に、もう一つは、これは学ぶ力というふうに言ったらいいと思いますけれども自分課題を見つけ、みずから学び、みずから考え、主体的に判断し、行動し、よりょく問題を解決する能力、これも生きる力の一つとして、一方として育成されていかなければいけないという、こういった中教審の方の答申が出されております。  そこで、真ん中の表をごらんいただきたいと思うんですけれども、この不易的な部分流行的なこの学ぶ力の育成という部分役割分担を、中教審でも言われました、学校家庭地域、この連携ということを含めた上で、むしろもっと明確に役割分担をしていくべきじゃないかなというふうな観点から私は位置づけをさせていただきまして、まさしく不易的生きる力の育成家庭地域においてこそはぐくまれるものであり、その従たる部分学校に担っていただく。それから、学ぶ力の育成についてはまさしく学校が担うべき部分であり、補助的な部分として家庭地域が担っていくべきものではあるだろう。  そうなってきますと、下の方の二にあります「教育形態」のところで、完全週五日制をうたってくるということになりますと、教育内容厳選、これは恐らく教育課程審議会厳選の対象、内容が絞られてくるとは思いますが、そうなったときに、まさしく月曜日から金曜日まで学校教育中心とした中においては主に流行的な生きる力の育成が図られるべきであり、土曜日曜学校が休みの日には不易的な生きる力の育成がなされていくべきものであると私は位置づけていくべきだと思います。  もちろん、その下に内容として、不易的な部分として、スポーツ自然体験学習福祉ボランティア道徳教育と、流行的な部分として、教育内容厳選した上での体験・実験型の授業への変更、コンピューター・情報教育等充実といった点をこういった形で資料分類をさせていただきました。  そこで、やはり教育というと、これは文部省にお伺いいたしますので、とりわけ学校教育充実というものが図られていく必要性がある中で、学校週五日、教育内容厳選ということになってまいりますと、不易的な部分が非常に軽視をされてしまうのではないかという懸念を私は感じます。  といいますのも、これは家庭教育力地域教育力をないがしろにするという意味ではなくて、今現状のままでおきましては、大変家庭の中が家庭というよりも個々の個人集合体というふうな形態に近づいてきておる現状におきましては、まさしくこの不易的な部分が、幾ら家庭学校地域連携しながらこの不易的な部分を高めていきなさいといいましても、今後この不易的な内容教育学校教育の中の厳選ということを考えると、非常に軽視されて除外されていくのではないかという不安を感じますが、これは私の不安で終わればいいんですけれども、この点、大臣はどういうふうな理念を持っておられるかという見解をお伺いしたいと思います。
  4. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 馳委員がこの生きる力の不易部分流行部分につきまして学校地域家庭との役割分担ということでこういう分類をされたことにつきましては、非常に私も興味深い分類だなと思って、非常に示唆を与えてくれる分類だと、こういうふうに受けとめさせていただきました。  これからの二十一世紀教育を考える場合、やはり今御指摘のように、学校家庭地域、この連携というものが非常に重要である。まして、今も御指摘がありましたが、週五日制を二〇〇三年から完全実施という目標を今度の教育改革で掲げておりますが、家庭とか地域社会役割というのは一層大きくなっていくと思います。そういうことで、中央教育審議会でも今ずっとお述べになりました生きる力について提言を行われているわけでございます。  そして、このような役割分担、確かに非常に傾聴に値する分類ではありますけれども、私は必ずしもそれが全部不易的なものがすべて家庭地域の責任だというふうに画然と分類するのはいかがかという気もいたします、主たる役割として私はそう期待したいんですけれども。それと、学校がすべて新しい時代の流行部分国際化とか情報化に対応する教育ということに限定してしまうというのもいかがかなと思うわけであります。  現に私は、文部省教育改革プログラムを作成するに当たりまして各界各層の意見をお聞きしたいということで、例えば経済団体とも懇談会をやっているんですけれども、一番私が言われたのは、いずれの会議においても、学校教育の中でもう少し豊かな人間性、いわゆる不易部分をしっかり教えてほしいと、こういう要望が再三示されておりまして、必ずしも産業界流行という部分のみを重視しているとは認識しておりません。  しかし、今馳委員分類されたものは非常に私は参考にしたいと思いますし、家庭とか社会がそういういわゆる不易部分人間としてやるべき部分教育役割を分担していただくということは大変重要だというふうに思います。したがいまして、今後、週五日制が冒頭申し上げたように普及すればするほど家庭地域社会役割、特に人間性を育てるという部分での役割は非常に大きいと、そういう自覚を私は社会全体あるいは家庭皆様にも持っていただきたいなというふうに考える次第です。
  5. 馳浩

    馳浩君 はい、わかりました。  そこで、具体的に申し上げますけれども子供たち教育を施した上での、その教育をいかに身につけたかという点は学力評価というところに出てまいりますね。そういったときに、この不易的な部分学力評価として、これはまさしくもつとはっきり言えば、入試のときに反映されるのかどうかという問題があると思います。学校外活動ということでいえば、ボランティア活動であるとか福祉活動であるとかあるいはスポーツ活動、そういったあらゆるもの、学校の中でも生徒会活動どもそうですし、そういったものがあるんですが、それをいかに学力評価の中に反映させていくのか。昨年のこの委員会の場でも質問させていただいたと思うんですが、ボランティアという科目を神奈川県の久里浜高校佐賀県の佐賀商業高校特別科一つとして採用しておるんですけれども、その授業評価がやはり点数評価ということになっておって非常に懸念を感じました。  大臣、御承知のように、ボランティアというのは自主性社会性継続性無償性というこの四つの大きな視点があるものでありますから、その評価ということとボランティア無償性というのは相反するわけであります。けれども、まさしく生きる力を、ペーパーテストによる学力だけではない、本来の子供の生きる力を育成するという教育観点に立って評価をするということを積極的に、文部省にもその考えに取り組んでいただきたいと私はむしろ思っております。  私は大学入試も経験しておりますけれども、受験勉強して入学をした後に燃え尽き症候群とかいう言い方をされておりまして、大学に入ることができるだけの学力テストであって、大学に入った後にいかに努力をして社会において実力を発揮し人間性を発揮するための大学教育に適応できるかという点の判断というのは、まさしく入試という中に私は反映されておらないと思います。  そこで大臣、もう一度申し上げますが、この不易的な部分学力評価を今後どういうふうに考えていかれるのか。家庭地域がこの不易的な部分をまさしく主として請け負っていくべきだとは思うんですけれども学力評価となってまいりますと、これはやはり学校ペーパーテスト模擬テストといったものが基準になってまいります。それは私は非常に必要なことだと思いますけれども、それに加えてこの不易的な部分評価学校負担を余りにも重くかけるわけにも私はいかないと思うんですよ。これの評価あり方というものは入試制度とも相まって、文部省としての大臣のひとつ見解という形で、今後の取り組むべき方針……
  6. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) まず技術的な部分を。
  7. 馳浩

    馳浩君 それで結構です。
  8. 富岡賢治

    政府委員富岡賢治君) 先生の御指摘の点でございますが、これからの学力評価につきましては、昨年の中央教育審議会答申におきまして、単なる知識量の多い少ないということだけで行うのではなく、生きる力を身につけているかどうかという視点でとらえるべきであるという御提言をいただいておるわけでございまして、そのような観点からしますと、学力を広くとらえていくという考え方指摘されているわけでございます。  具体的に申し上げますと、現在でも学校におきます学習評価あり方につきましては、知識の量の多い少ないということだけではなくて、子供たち一人一人のよさとか可能性というものを的確に把握しまして、関心とか意欲とか態度とか、あるいは思考力とか判断力などの育成を重視するという考え方を重視するようになってまいりました。特に、各教科評価につきましてもそのような視点評価を非常に重視するという考え方とか、あるいは子供たちの特技とか、先生指摘学校内外におきます奉仕活動など、そういうようないろんな努力を積極的に取り上げるというような評価改善が進んできているところでございます。  それから、また入学者選抜ということで御指摘いただきましたが、例えば高校入学者選抜につきましても、ボランティア活動とかスポーツ活動などで非常に子供が頑張っているというような活動の実績などの資料も選考に生かすなどの工夫改善が進められてきているところでございます。  先生指摘のように、いわゆる不易部分につきましては単純に点数化するということにはなじみにくい点がもちろんあるわけでございますが、子供たちの個性とかよさを伸ばしていくという視点に立ちまして、各都道府県とか学校において評価方法をいろいろ工夫改善していただくということが大事だと思います。そういうことで現在進んでいるところでございますし、私ども期待しているところでございます。
  9. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 今具体的な内容について審議官からお答えいたしましたが、私も入社試験とか大学入試高校入試、こういうところも変わっていくべきだと思っております。経済界人たちとの懇談でも、必ずしも入社試験ペーパーテストでいい成績をとった者が、その後会社の中で長い間活動していく中で決してすぐれた、すぐれた人もいますけれども、すべてがすべてペーパーテストの結果だけで、それらがすべて優秀かというとそうではない。むしろ、中クラスで非常にファイトがあってそして豊かな人格の持ち主がかえって将来的に伸びるというケースはいっぱいある、こういう実例もお話しいただきまして、最近経済界も採用するに当たっては学力成績だけじゃなくて、そういった在学中のいろいろな活動、今言ったような福祉活動とかボランティア活動とかスポーツ活動とか、そういうものを加味して総合的に判定するという傾向がますます強まってきているように思います。  それから、大学入試におきましても、きょうはいっぱいセンター試験の話が出るかもしれませんが、そういうことを一つの手段にして、できるだけ多様なあるいは弾力的な方法で判定をして入試合格者を決める。面接とか、過去のいろいろな経歴とかそういうものを参考にしながら、ペーパーテストオンリーで決めるという風潮から、できるだけそういうフレキシビリティーというか多様な方法で合否を決める、こういう傾向がふえてきているように思います。  私は、こういう傾向を一層伸ばすということが学校教育の中でも、むしろ学力ばかりじゃなくてその他のいわゆる不易の生きる力を育てる方へもっとウエートがかかっていくというふうに思っております。ただ、点数をつけるということになると、今政府委員から言ったように、ペーパーテストというのは割と点数がぴしっと出るんですけれども、そうでない方の人物評価というのは、極めて評価をする人の主観とか、なかなか定数化するのが難しい部分もありまして、そういう点はなお検討というか研究する必要があろうかと思います。
  10. 馳浩

    馳浩君 そこで、きょうの本題のスポーツ行政あり方について伺いたいんですけれども、日本には昔から非常にいい言葉がありまして、文武両道という言葉がありまして、勉強にもスポーツにもいそしむという精神のことを私は言っていると思うんです。  その点におきまして、先ほどから申しましたように、学校が抱えておる文武の面でいいますと、学校の中における運動部活動、これが非常に私は教員負担の重さとか、あるいはこれ幾つか弊害がもう指摘されているところではあるんですけれども申し上げますが、勝利至上主義、休日が少ない、子供が、これ指導教員もだと思うんですけれども疲れがたまる、体罰の問題、非科学的トレーニングによるけがの問題、画一的練習による漫然たる活動で、本来の心身の発達という効果が得られないとかいうそういう問題があって、総合的に運動部活動あり方を見直す時期に来ておると私は思っております。  そこで、中教審が言うような生きる力の育成ということを念頭にしていくならば、私はまさしく学校運動部活動地域協力、あるいは地域への権限の移譲という言い方をすると極端ではあるかもしれませんが、学校が本来担っているものではなくて、地域の皆さんとともにこれは子供たち心身育成に臨んでいくべきものであり、その理念のもとにそれぞれの施策が行われていくべきではないかと私は思うんです。その点、今後の運動部活動あり方について、これはまさしく大臣に、やっぱりあるべき姿と、それから技術的な問題も含めて施策についてありますればお教えいただきたいと思います。
  11. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 最近の部活先生方も忙しくてなかなかやりたがらない、あるいはまたそういう教える能力が少ないというようなことが指摘されておりまして、私どもも憂慮しております。今御提案のように、部活動地域人たち協力を得るということは私は大変貴重な御提案だと思います。  最近、町の中には例えばジョギングの愛好クラブもありますし、それからマスターズ水泳という中高年の方々のそういう同好グループもありますし、そういう方々は頼まれればもう快く引き受けて指導に当たってくれる。サッカーにしても柔道にしても剣道にしても、町のそういう愛好者というのは、あるいは経験者というのはいっぱいいるわけです。そういう方々を大いに活用して、部活指導してくれないかということをお願いするというのは、非常に私はいいことだと思っております。  中教審の第一次答申でも、今後、部活動地域との連携充実を図るべきだということを言っておりますし、文部省としても、平成九年度の今度の予算の中でも、地域スポーツ活動を振興するということと同時に、運動部活動地域との連携促進のための事業予算も計上しているところでございまして、我々としては、今御指摘のことも踏まえて、今後さらに中教審とか保体審の状況も見きわめながら、そういう方向に力を注いでまいりたいと思います。  ただ、一つ注意をしなければいけないのは、部活動教育的意義ということを考えますと、これはただ自分の好きなスポーツをやるというだけじゃなくて、生徒教師と触れ合ったり、学校教科だけですと、先生生徒の関係というのは教える教わるということですけれども、また部活動というのは、教師生徒の触れ合いというのはまた違った非常に楽しい面あるいは豊かな面があると思うので、そういう場としての教育的意義もありますし、生徒同士交流というのも授業の時間には得られないものがありますから、そういう教育的意義というものを損なわないということがやっぱり前提だと思います。  御趣旨の点は大いに文部省としても推進してまいりたいと思っております。
  12. 馳浩

    馳浩君 スポーツ役割ということでは、心身の健全な育成ということと同時に、スポーツを通じた地域コミュニティー社会形成という問題があると思うんです。と同時に、異世代、つまり十代、二十代、三十代から高齢者皆様方まで、スポーツという一つの同じルールの土俵のもとに交流をし合い人間性を高め合う、これはまさしく大人子供から学ぶものであります。そして子供大人から学ぶものであります。そういう場を提供するということについては、まさしく文部省も積極的に関与していくべきと私は思います。  スポーツ地域あり方ということで、ちょっとこれは質問ではないんですが、選抜高校野球代表に、非常に取り上げられましたけれども、和歌山県の日高高校中津分校という代表が決まりました。これはまさしく、この分校野球部ができて十三年、最初は二十四連敗からのスタートだったということで、ところが、これはスポーツによる地域づくりをということで、村が毎年、村民が五百万円ぐらい個人後援会のお金で運営をしたり、あるいは村の中の縫製工場合宿所として寮に提供したりとか、地域社会全体が努力をして一つになって、そして村の社会の輪が広がっていったという、そしてまさしく甲子園に出場するまでのチームになったんですから、強化という面からも非常にいい方向を暗示するモデルだと私は思うんです。  そこで、文部省では地域コミュニティー社会形成の核となるように、住民主体総合型地域スポーツクラブ育成モデル事業というのを平成七年から推進しておられますが、これは全国で十四カ所あるそうですが、この事業はまさしくどういう趣旨のもとでどういう特徴があるのかということを、地域スポーツクラブ現状も踏まえながら、そしてその効果必要性、今後の展開といったものを御指導いただきたいと思います。
  13. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 現在のスポーツクラブでございますが、これには職場や学校中心とするもの、チーム型の単一種目から成るものがほとんどでございます。ただ、これですと、なかなか地域住民スポーツに参加することが難しいというふうな事情がございます。  そこで、今回進めております事業は、地域においてスポーツ施設を拠点として、子供から高齢者に至るまでのさまざまな方々スポーツに参加できる、そして複数の種目に親しむことができるようなそういうスポーツクラブ育成、定着化したい、そういう観点に立ちまして、総合型地域スポーツクラブ育成モデル事業文部省として平成七年度から実施しておるところでございます。このようなスポーツクラブを組織し、すぐれたスポーツ指導者を配置して、多様なレベルに応じた各種スポーツ教室開催等に要する経費を現在二分の一補助を行っておるところでございます。
  14. 馳浩

    馳浩君 この事業は、まさしく施設建設とか設備とか、そういったものではなくてソフト事業だということでありますので、私は非常に期待をしておるんですが、要はやはりここでも指導者の有効な活用ということになってくると思うんですね。この点、何か配慮しておられる点はありますか。
  15. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 御指摘のとおり、指導者養成確保というのは極めて重要な課題でございます。すぐれた指導者が各地域において活動ができるということが大切でございます。  そういう観点に立ちまして、文部省ではそれぞれのスポーツ団体が実施するスポーツ指導者養成事業のうち、一定の水準を備えて、これは奨励すべきだというものを文部大臣の認定をいたしまして、地域におけるスポーツ振興競技力向上あるいは新たにスポーツに取り組む者への配慮少年スポーツへの配慮等観点から認定する制度を設けておるわけでございます。そのほか、地方公共団体における事業につきましても補助を行う等を行っておるところでございまして、今後ともすぐれた指導者養成確保、さらにはその活用について配慮をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  16. 馳浩

    馳浩君 この事業一つの自治体において三年ということでしたね。
  17. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) はい、そうでございます。
  18. 馳浩

    馳浩君 引き続き、モデル事業としての報告が三年後というと、平成七、八、九、来年にも恐らく上がってくると思いますので、それ以降の問題もありますので、非常に注目しておるという意味でこれを期待しております。  ところが、平成九年度の新規事業としてスポーツタウン推進事業スポーツタウン推進事業総合型地域スポーツクラブ育成モデル事業の違いというのがよくわからないんですね。何か同じようなものじゃないかなという気もするんですが、この違いというものと、その目指す効果の違いというものを明確にお答えください。
  19. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 総合型地域スポーツクラブ育成モデル事業は、住民が自主的かつ継続的にスポーツ活動を行うための集団的な基盤づくり、これを目指しているものでございます。これに対しましてスポーツタウン推進事業は、現在のスポーツ施設の利用実態を見ると、必ずしも地域住民のニーズに応じた形になっておらないということがございます。  そういう観点に立ちまして、学校あるいは公立の体育施設あるいは企業等におけるスポーツ施設を総合的、有機的に活用して、地域を挙げて地域住民のニーズに対応したスポーツ活動をより一層推進してまいりたい、それを通じて町づくりをしていきたい、スポーツを通じた町づくりをいわば行政が主体となって、もちろんこれは地域住民の意思というものを踏まえての対応となるわけでございますけれども、行政が中心となって進めてまいりたい、このような事業としてスポーツタウン推進事業を考えておるところでございます。
  20. 馳浩

    馳浩君 わかりました。  いずれにしろ、総合型地域スポーツクラブにしてもスポーツタウン事業にしても、地域に根差したスポーツ、それがやっぱり町全体を興す活力あるいは子供たちの健全な育成、もちろんスポーツ子供たちのためだけにあるものではなく、高齢者のためにもあるわけでありますから、そういった点の取り組みを私はこれから本当に期待したいと思います。  ところで、今地域スポーツ中心にお伺いいたしましたが、次に競技スポーツ、その中でもトップアスリートの育成という点についてお伺いをいたします。  オリンピック等での活躍、世界選手権等での活躍、ワールドカップ等での活躍というある意味では国民的スターアマチュア選手の活躍というのは、まさしくスポーツの振興、普及、それから啓蒙という点において、そしてスポーツ関係だけではなく国民に感動を与えるという意味で、そしてスポーツはその感動を共有し合うものでもありますから非常に効果があると思うのです。近年、アトランタ・オリンピックの結果を見るまでもなく、日本選手の国際大会における競技力の低下、これはメダル獲得数というばかりではなく競技者の人間性という面にまで私は踏み込んで考えるべきだと思いますが、非常にマナーが悪い、もちろんすべてじゃないですけれども、その点を私は非常に懸念をいたします。  この委員会の中でも例えば釜本さんを見てサッカーを始めたとか、江本さんを見て野球を始めたとか、馳浩を見てプロレスを始めたという人はなかなかいないんですけれども、それぞれのスター選手の競技力、それから人格、そういったものに対する期待というのは大きいと思うんですよ。まさしくそれがあるからこそ、今日スポーツ新聞は大変売れておりますし、スポーツ関係の雑誌等も売れておりますし、あるいはスポーツ産業も育成されておるんです。  そこで、文部省にお伺いしたいのが、なぜ日本選手の国際大会における競技力低下が著しいのか。東京オリンピックのころから比べると非常に著しいのではないかと思います。具体名で言うと失礼かもしれないけれども、柔道、体操、バレーボールですか、レスリングもやっぱりそうですね、非常に弱い。逆に効果を上げている競技もあるわけです、スピードスケート。私はミズスマシと思わないんですけれども、本当に努力をしている。  私は、大学の同級生にサラエボ、カルガリ・オリンピックで活躍をした黒岩彰選手がおりまして、非常に科学的なトレーニング、心理学を活用したトレーニング、そういった点に非常に敬服いたしておりまして、スピードスケート、ジャンプ、あとはノルディック、こういった競技は非常に効果を上げておると思うんです。それは個人的なスター選手がいだからこそという意味ではなくて、何かそこに一貫した指導体制とか秘密があると思うんです。そういう意味での分析は恐らくされておると思いますので、文部省としての見解をお聞かせください。
  21. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 御指摘のように、近年、世界の競技水準が向上する中で、我が国の競技水準が相対的に低下をしておりまして、国際競技大会において優秀な成績をおさめることがなかなか困難となっております。一流の競技選手の活躍というのは、申すまでもなく青少年の範となり、また夢と希望を与える極めて大きな意義を持つものでございます。  我が国の選手が不振の要因といたしましては、一般的には選手に対するジュニア期からの一貫した指導体制というのが必ずしも十分ではないこと、資質のすぐれた指導者というものが不足をしておること、そして、スポーツ科学の成果を取り入れた選手強化の面でやはり立ちおくれていると言わざるを得ないこと、そしてさらには、各競技のトップレベルの選手が継続的、集中的にトレーニングをすることができる施設というものがいまだ十分に整備されていないことなどがその理由として考えられるわけでございます。  他方、御指摘のスピードスケートあるいはスキーの複合、ジャンプ等、冬季競技において選手が好成績を上げておるわけでございますが、これは年間を通した効果的な海外合宿や遠征を実施しておること、あるいは新しいトレーニング方法の実践等スポーツ科学を導入したトレーニングが適切に行われていること、さらには長野オリンピック特別コーチの設置等スタッフの充実がその理由として考えられるというふうに思っておるところでございます。
  22. 馳浩

    馳浩君 やはり冬季競技に集中しているということは、長野オリンピックに向けて十分金をかけたからかなという気もするんですが、余りそういうことを言うと身もふたもないのでそれ以上申し上げません。  そこで、競技スポーツのトップレベルの選手の強化ということは、その底辺の問題からいえば、競技の普及とも相まって、その競技にとっていかにして才能、素質のある選手を見出すかという、ジュニアの強化のまたもっと原点のところに私は目を向けて質問したいと思います。  というのは、どういう基準でそういう才能のある選手を見出しているのか、その点です。その基準があるのかどうかということと、トップレベルのスポーツ選手に私もいろんな話を伺うんですけれども、それぞれがその競技をスタートする地点が、動機が違うわけですよ。あこがれであるとか、身近に競技施設があったからとか、身近に指導者がいたからとか、親に命令されてとか、ばらばらなんですよ。  そういう意味では、基本的な分野の研究というのは、私は文部省としてもそれはやっぱり基礎的な研究をした上で、あるいは現状を分析した上で今後の競技トップアスリートの育成に生かしていくべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
  23. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 御指摘のとおりでございます。選手としての適性というものを判断するには、やはり個人差もございましょうし、また競技による特性といったようなものもあろうかと思います。必ずしもその基準というのが明確にはなっておらないというのが現状でございまして、それぞれの競技団体におきましては全国大会の成績参考にするなどにより選手としての適性を判断しているというふうに考えておるところでございます。  現在、保健体育審議会におきまして、ジュニア期からの一貫指導体制を含めて幅広い観点から国際競技力の向上方策について御検討をいただいておるところでございまして、御指摘の点につきましては、その審議の状況あるいは秋ごろ予定しております答申ども踏まえて、競技団体とも十分相談しながら検討を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
  24. 馳浩

    馳浩君 先ほどから一貫した指導体制、ジュニアの選手のときからと言われますが、一貫した指導体制というのは具体的にはどういうことなのか。例えば、柔道で非常に活躍される女子の田村亮子選手は、小学校二年生のときから今現在まで同じ指導者に、これはある意味で一貫して指導を受けておるわけです。非常にすばらしい効果を上げておりますが、一人の指導者が一人の選手、特定の指導者が特定の選手を指導するという、そういった、これは恐らくその指導者に対する十分な財政的支援があるならいざ知らず、心ある指導者負担をおかけしてしまうような、あるいは選手が将来の進路を狭隘化してしまうような体制では私はいかぬと思うわけです。この一貫した指導システムというものをどういうふうに文部省は定義しておられるのか、お伺いしたいと思います。
  25. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 一貫指導という言葉の問題でございますが、同一の施設や指導者により引き続いて指導が行われる、そういうような意味合いではとらえておりません。子供の発達段階や競技の特質に応じて一貫した指導カリキュラムに基づいて継続的、計画的に指導がなされる、それを一貫指導体制ととらえているところでございます。
  26. 馳浩

    馳浩君 その一貫した指導カリキュラムというのはあるんですね。
  27. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 各競技団体においてこのような指導カリキュラムというものの検討が進められておるところでございますが、必ずしも十分なものではないというふうに承知しております。現在、先ほども申し上げましたが、保健体育審議会でこれについての検討が進められております。今後、各競技団体と十分な話し合いをしてまいりたいと考えております。
  28. 馳浩

    馳浩君 これで、皆さん御承知のように、検討が進められているという段階なんですよ、東京オリンピックからですよ、今現在に至るまで。私はこれはちょっと日本のスポーツ行政あり方としては非常に不備があると思いますし、一貫した指導カリキュラムというものを各競技団体にお任せして、それを検討段階であると今に至って言うような、これは私は文部省としては取り組みが十分ではないと言わざるを得ないと思います。  そういう意味では、各競技団体指導カリキュラムを提出していただいて、それが十分行われておるかという確認作業をしながら、中期計画でいくならば、オリンピックごとの、あるいは十年ごとの計画をもってして、じゃ次の十年はどうしようかというふうな戦略を立てるとか、私はそういう指導をこそ文部省にしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  29. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 今、馳委員と体育局長のやりとりを聞いておりまして、私もいろいろ感ずるところはありました。  確かに、競技スポーツ現状を見ますと、ソウル、バルセロナ、アトランタと国民が期待したほどの成果を上げ得なかった。そういうことで、私は文部大臣になりましてから、競技力向上のためにはどうしたらいいのか、このことをひとつ真剣に考えてほしいと、こういうことで保体審に今諮問をしているところですが、その中でやっぱり指導者の養成というのは非常に大事だと思うんです。先ほど田村亮子選手の例を出されましたが、古くは瀬古選手、中村コーチがもう本当に起居をともにしながらやったとか、枚挙にいとまがないくらい指導者と選手との人間的な触れ合いの中で競技力をやっていった。  しかし、そういう昔の職人的な指導方法でいいんだろうかというのが馳委員の御指摘だろうと思うんですが、これをもう少しシステマチックにやれないものかどうか。これは今体育局長も話をしましたけれども、各競技団体でそれぞれ今工夫はされていると思いますし、それから、私もまだ詳しくは知りませんが、例えばオリンピック候補に対してはいろんな支援もやっておりますし、これは今保体審で、今後のそうした選手養成なり指導者育成をどうするか十分検討していただいていると思いますし、今御指摘のように、できればもう少し体系的な指導者養成ということをやっていきたいと思います。  先日も私、長野のエムウェーブでのスピードスケートの世界選手権に行ってきたんですが、あの中で日本の選手で第二位になった白幡さんは、前日までずっと二位で、最終日に金メダルになるかどうかということで、物すごいプレッシャーの中で最終日を迎えたんですが、例の黒岩彰さんがつきっ切りで、世界でトップになるためにはやっぱりこのぐらいのプレッシャーにかたなきゃいけないんだという、そういう世界をきわめたコーチがついていたからこそああいうプレッシャーの中でも堂々と銀メダルをとったということで、選手の養成をするコーチとか監督というのは非常に重要だと思います。  それから、この間テニスの伊達公子さんに文部大臣賞をお渡ししたときに、やはり多くのテニスのコーチが世界を知らないと言うんですね。やっぱりトップレベルの経験のあるコーチをもっともっとつける必要がある。それから、養成というか、学校のテニスでは軟式ばかりで硬式をやっているところが少ないとか、今お話を聞いていて、才能のある子供をどうやって発掘していくか、それから選手の養成をどうしていくか、その指導者をどう養成していくか、あるいは施設面とかいろんな側面からの検討が必要だと思います。  そういった点をすべて今審議会で検討中だと聞いておりますが、どうか馳委員を初め、この委員会にはそれこそ頂点をきわめたような人がたくさんおられますから、そういった委員の皆さんの貴重な御意見もどしどし出していただいて、参考にさせていただきたいと思っております。
  30. 馳浩

    馳浩君 ここに昨年十二月の「文部時報」があるんですけれども、ここでまさしく競技スポーツ課長の岡崎さんが、今議論しておるような選生育成、一貫した指導体制ということに関して、欠点と今後の取り組みを申されているんです。  私は、これを紹介する形で言いたいと思いますけれども学校部活動あるいは地域の民間スポーツクラブ、ここで全国大会でいい成績を残したり、素質があるなという選手をコーチが認定したときに、現状ではそのままなんですね。先ほど、体育局長が言われたように、競技団体ごとのやはり一貫したカリキュラムがあってしかるべきだと思うんですが、これは両者が、学校部活動、それから地域の民間スポーツクラブと競技団体連携がまさしく必要になってくると私は思うんですよ。  それで、岡崎さんは第三の柱としての意見を申されていて、こういう案を申されているんです。「学校部活動の中でかなりの素質、能力を持った子供たちを、地域の一定の公共の基幹的な施設に週に二、三回集めて、そこへ専任のコーチを配置して、定期的、継続的、計画的なトレーニングをする。そこで中央の競技団体との連携の中で指導者を配置したり、あるいはその情報を中央にフィードバックしたりする。それを総括的にJOCが掌握する。」という、こういう学校、民間、地域そして競技団体、そしてまさしくJOCとの連携といった中で効率よく予算が使われてトップアスリートが育成されていくというシステムを、私はこの意見をまさしく柱とすることも検討していっていいのではないかと思いますので、これは今は紹介するだけにしておきますけれども、今後のやはり課題としてとらえていただきたいと思います。
  31. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) ちょっと。私も文部大臣になりましてから、文部大臣としては異例だったんですが、JOCのコーチ会議に出席をさせていただいて、とにかく競技力向上のために各競技団体ごとにひとつ強化のプランを作成してほしいと、こういうことを強く要請してまいりましたが、競技団体によってまた取り組みが違うんです。  そこで、今御提案のそういった競技団体とそれから地域文部省、何ができるか、その辺は我々としても非常に真剣に取り組んでいきたいと思っております。
  32. 馳浩

    馳浩君 次の質問にいきますが、トップアスリートの育成に欠かせない点として、スポーツ医科学の研究とその研究の成果を現場で発揮するという点、今後の課題としてあるということは局長からも承りましたけれども、国立スポーツ科学センターの建設について、平成九年度の予算は一応計上されております。  そこで質問いたします。まず、その構想の中にスポーツ科学センター専従の研究者を置くのかどうかという問題なんです。  私も、もう二十年近くスポーツ関係に携わりまして、その本当の科学的な研究の成果が現場のスポーツ選手に反映されない、その中間にいる指導者が理解していないという非常に宝の持ちぐされ的な点を感じておりました。各競技団体にはスポーツ医科学委員会というのは恐らくあると思うんですけれども、それはただの役職でありまして、まさしく今スピードスケートやジャンプやノルディックの選手たちが、そのスポーツ科学の研究成果を享受して競技力を高めている、あるいはプレッシャーに打ちかつようなそういう心理的なトレーニングをしておるときに生かされているのではありますが、今回、国立のスポーツ科学センターがつくられるという構想の中に、専従の研究者を置いて、そして現場と、つまりこれはもちろん現場という意味では指導者と選手、そしてこの国立スポーツ科学センターの研究者が三位一体となって常に連携をとりながら競技力向上に努めることができる体制、そういう構想があるのかどうか。  まず一点は、構想の全体的な中でのトップアスリートの育成、もう一点は専従の研究者を置くのかどうかという、この点をお伺いいたします。
  33. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 国立スポーツ科学センターでございますが、我が国の国際競技力の向上という課題に対応するためにスポーツ科学の研究や科学的トレーニング方法の開発等を行う全国的な拠点として設置を予定しておりまして、平成九年度に本体工事に着手をし、平成十二年度に竣工する予定でございます。  その組織構成につきましては、スポーツ科学研究部、スポーツ医学研究部、スポーツ情報部、そして事務部の四部門を予定しておりますが、スポーツ科学研究部、スポーツ医学研究部、スポーツ情報部にはそれぞれ専任の研究者を配置するという予定でございます。  そして、センターの研究者を中心にして、各競技団体大学あるいは研究機関等との連携協力を図りながら所要の事業を実施してまいりたいと考えておるわけでございまして、その場合には、御指摘にございますように選手、指導者、研究者が一体となって連携協力していくという、そういうシステムをつくっていくことが極めて重要なことだというふうに認識しております。
  34. 馳浩

    馳浩君 わかりました。よろしくお願いしたいと思います心  そこで、今現在日本には体育系の大学が十五大学ありますし、そこにはまさしく設備も、それから選生育成研究等のノウハウもありますし、まさしくこれは研究のための実験台と言っては言い方が悪いんですけれども、元気のいい学生がたくさんおりますから、常に三位一体となってやっておる状況があるわけで、これを活用しない手はないわけですよ。  と同時に、専従の研究者を置くというのは諸外国においては当然のことでありますけれども、この日本の厳しい財政状況を考えたときにそんな無理なことを私は言っておるわけではなくて、有効にお互いを活用し合う。ということは、共同研究を国立のスポーツ科学センターとそれから各体育系の大学とが協力していくべきではないかという点を私は申し上げたいのですが、そういう構想はありますでしょうか。
  35. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 国立スポーツ科学センターにおいて実施する予定の研究でございますが、これにつきましては、体育系大学あるいは競技団体の要望や必要性というものを十分承りながら考えていく予定でございます。その際には、御指摘にございました体育系大学等との連携協力を図る、その意味での共同研究を進めるということも重要な一つのやり方というふうに認識しておりますが、御指摘の点を踏まえ、今後設置されますところの運営委員会において具体的な方法等を検討していくことになろうかと思っております。
  36. 馳浩

    馳浩君 その検討をよろしくお願いいたしたいと思います。  次に、間近に迫りました長野の冬季オリンピック、それから間近ではありませんけれども大変物議を醸して、物議じゃないですね、いろいろ問題を含んでおりますサッカーのワールドカップ、韓国と日本の共同開催に向けましての質問に移りたいと思います。  この両大会の開催に向けて平成七年十月に国際スポーツ大会専門官というものを設置いたしましたが、この役割効果、これを教えていただきたいと思います。
  37. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 国際競技大会でございますが、これを我が国で開催することはスポーツの振興あるいは国際親善の上で大きな役割を持つものでございます。そういう観点に立ちまして、平成七年十月に文部省では、国際競技大会への一層の支援協力を行うために体育局競技スポーツ課に国際スポーツ大会専門官を設置したところでございます。  現在、国際スポーツ大会専門官は、平成十年に開催される長野冬季オリンピック、それから日韓共催の二〇〇二年ワールドカップサッカー、さらには二〇〇八年の夏季オリンピックを初めさまざまな国際競技大会の開催に関する関係団体あるいは関係省庁との連絡調整、さらには指導助言等の業務を行っておるところでございます。
  38. 馳浩

    馳浩君 その十分な助言に基づいて円滑にオリンピックが行われることを願っております。サッカーに関してももちろんであります。  次に、長野オリンピックの準備状況なんですが、文部省に伺うことの一つとして、プレ大会におきまして、IOC医事委員会からドーピング検査室が十分に確保されていないとの指摘を受けたと承っております。これは二月十三日の朝日新聞にも掲載されております。これを申し上げますと、「パトリック・シャマシュ医事委員会ディレクターは、初めてプロが参加するアイスホッケー会場ビッグハットについて、ドーピング検査室が狭すぎることを指摘。「隣の医務室を利用するために、建物の壁を取り壊すことはできないか」と要望した。」.ということでありますけれども、ドーピング問題、この後もちょっと伺いはするんですが、どうでしょう、これはちゃんと準備はされるんでしょうか。
  39. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 御指摘の件でございますが、国際アイスホッケー長野カップ96の際に、検査室がオリンピック、世界選手権のドーピングコントロールを行うには狭い、検査室等の設備が不備である、それから備品が不備である、そしてさらに担当職員間の連絡体制が不十分であり、かつ責任の所在が不明確である、そういったような指摘がなされたというふうに承知をしております。  それを受けまして、財団法人長野オリンピック冬季競技大会組織委員会では、施設設備面については競技会場の施設管理者の長野市と協議するとともに、担当職員についてはドーピングコントロール業務のリハーサルの徹底を通じて万全を期すこととしているというふうに聞いております。
  40. 馳浩

    馳浩君 十分な準備がなされることを願います。  そこで、私は、ちょうど昨年の二月二十二日のこの文教委員会におきまして、アンチドーピングということに関しまして質問させていただきまして、そのときの答弁で、まさしく佐々木さんからこういう答弁をいただいております。  このアンチドーピング活動推進事業におきまして、「国内調整機関の設置に関する調査研究や実態調査等を行うアンチドーピング委員会を設置すること、」、二つ目として、「ドーピング検査の推進や検査法に関する調査研究を行うこと、」、三番目として、「教育啓発プログラムの開発や教材の作成などを行うこと」、以上三点につきまして、「事項にもよりますけれども、一年前後を目途に結論を得る」というふうにおっしゃっていただいておりまして、ちょうどあしたで一年がたっんですけれども、どのような結論が得られたのかという答弁をいただきたいと思います。
  41. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 御指摘のアンチドーピング活動推進事業でございますが、JOCにおきましては、アンチドーピング体制に関する協議会を設置いたしております。そして、平成八年度においては、アメリカ、オーストラリアにおける実地調査及び先進諸国に対するアンケート調査を実施したところでございます。また、現在国内競技団体の実態調査及びアトランタ・オリンピックに参加した選手、コーチ等についてのアンケート調査について取りまとめを行っておるところでございます。  私からも去年申し上げましたように、当初JOCでは一年前後を目途にある程度の取りまとめを行う予定としておったわけでございますが、目下の進捗状況は今申し上げたとおりでございまして、これには、一つは昨年十二月に保健体育審議会にアンチドーピングについての適切な対応策のあり方について御検討をいただくということとしております。その審議状況等も踏まえて対応する必要があるというふうなこともございますので、今後国内外の調査等をもとにアンチドーピングに関する国内調整機関のあり方等についてJOCにおいて引き続き検討がなされ、本年中には結論が出るものというふうに聞いております。
  42. 馳浩

    馳浩君 一年を目途ということで、私、何かちょっと意地悪い質問になってしまって申しわけないんですけれども、その保健体育審議会の審議の状況を見ながら、より有効なアンチドーピング事業が推進されますことを願います。  それで、大臣にもこれまたお伺いしたいんですけれども、要は、アトランタ・オリンピックのときに、陸上競技の伊藤選手のドーピング問題という、大変な社会問題になりましたね。本人は薬物を使って競技力を向上しようというふうなそんな考えはさらさら持っておらないと私は確信しておりますけれども、ただし、ドーピングということは国際的なルールに基づきますと、禁止薬物が検出されれば競技団体からペナルティーを受けて出られなくなるという、これは当然のことでありまして、言いわけはきかないわけなんですよ。これは、まさしく今度迎える長野オリンピックにおいて第二の伊藤選手問題を絶対引き起こしてはならないということで私はこの話を今回も申し上げたわけでありまして、そういう意味において二点申し上げます。  長野オリンピックにおけるドーピング対策は十分進んでいるのかというのが一点。これはどういうことかといいますと、選手、指導者に対する啓発と、もちろん文部省として今御答弁あったように検査体制の充実とかそういった点。これは文部省に申し上げます。  と同時に、長野オリンピックの後、間を置かずしてパラリンピックがありますね。実はパラリンピックでもドーピング検査はあるんですよ。私、知らなかったのは本当に不明を恥じるんですけれども、パラリンピックでもドーピングはあるんです。ですから、要は、薬物を不正使用して競技力を高めるような操作をしてはならないということ、これはまさしくパラリンピックも競技スポーツとして認めているからこそこういったドーピングをするんだと思いますし、その対策は、私は日本においてもパラリンピックの競技スポーツ選手に対して文部省連携をとりながらやっていかなきゃいけないとは思うんです。ただし、身障者スポーツということはこれは文部省ではなくて厚生省ですから、パラリンピックにおけるドーピング対策は、これは厚生省にお伺いいたします。  この二点、お願いいたします。
  43. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) ドーピング問題に対する意識は、私は欧米諸国に比べて日本人は余り鋭敏ではないように思います。日本は昔から武士道というようなことでこういうものは潔しとしないという風潮があったんですけれども、しかし、最近は風邪薬の中にもドーピングにひっかかるようなものが含まれているということですから、選手、コーチ、その他すべての人にもうちょっとこのドーピング問題に対する意識を持っていただく、こういうことは徹底してやっていかなくちゃいけないと思っております。  詳しくは所管の政府委員から。
  44. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) オリンピックの関係でございますが、長野オリンピック冬季競技大会組織委員会では、公平な競技を行うため、オリンピック憲章の医事規定及びIOCアンチ・ドーピング憲章の規定に基づき、IOC医事委員会と協議の上、医事衛生実施計画を策定し、ドーピングコントロールを実施することとしております。
  45. 伍藤忠春

    説明員伍藤忠春君) 厚生省でございます。  パラリンピックにつきましてもオリンピックと同様に国際パラリンピック委員会というのがございますが、そちらと協議をして医事衛生実施計画というものを策定することとしております。これに基づきましてオリンピックと同様のドーピング検査を実施するということになっておりますので、我が国の選手に対しましても、団体やコーチ等を通じましてこれからは指導の徹底を期していきたいというふうに考えております。
  46. 馳浩

    馳浩君 とりわけ厚生省の方にお願いしたいのは、今までパラリンピックの選手に対して、そうやって厚生省のリードのもとにドーピングということに対しての例えば教材を使った指導とか、そういった通達とかで出されたことが過去ありますか。
  47. 伍藤忠春

    説明員伍藤忠春君) 過去におきましても、身体障害者スポーツ協会という法人がございますが、こちらの方からこういった面での指導を今までも図ってきております。
  48. 馳浩

    馳浩君 これはまさしく文部省に対しても同じことなんです。第二の伊藤選手の事件は、絶対これは引き起こしてはいけないと思うんです。これはまさしく日本の選手に、公平公正で、正々堂々と競技に臨んでいただくためにも、知らなかったというその一言が後で出ないように徹底した指導をお願いいたしたいと思います。  続きまして、長野オリンピック施設の後利用につきまして。  私たち参議院の文教委員会でも昨年の七月に皆さんとともに視察をさせていただいて、そのとき長野市長さんからこういう要望書をいただいておりまして、読みます。   本市といたしましては、これら施設の効率的  な運営に努力をしてまいる所存でありますが、  維持管理をしていくためには、多額の経費が見  込まれておりますので、国におかれましても大  会後の運営に係る財源措置について一層の御支  援をいただきますよう要望いたします。ということでしたが、これは、私がいただいておる資料によりますと、例えばスピードスケート会場、エムウエーブですね、これは年間五億二千万円、ボブスレー・リュージュ会場、これはスパイラルといいまして山の斜面にあるところ、ここで二億九千万円のランニングコストが毎年かかるというわけでありまして、このランニングコストでさえペイする採算の見通しは長野市では立っていないというわけであります。これは長野市の問題だといって国が関与しないというのは、それは言葉は一言で終わるんですが、やはりオリンピックのために建てた施設を有効的に利用していただきたいものでありますし、これは長野市は具体的には冬季競技用のナショナルトレーニングセンターにしていただきたいとかいう案を言っております。  あるいは、これは私の私見というよりもリレハンメル・オリンピックの競技施設が後利用としてどういうふうに活用されているか。これは申し上げますと、報道の拠点となった国際放送センターは大学に、あるいは体育高校をジャンプ台横に新設しジャンパーを養成している、洞窟を利用したスケート場は、珍しさも手伝いコンサートや犬の品評会、アンティークの見本市などに利用されている。昨年の収支はとんとんだったよと管理担当者は胸を張った。かのリレハンメルにおいてはこういう活用をしておられるということで、非常に参考にもしていただきたいです。  ですから、そういう点において、文部省でもリレハンメルのあるいはカルガリの跡地を見に行って、なるほど、こういうふうに使うのかとか、あるいはまさしく自治体がリードをしながら跡施設は利用する。なぜならば、長野市はというよりも長野県がオリンピックを誘致したわけですからそれはリード的な役割を果たすのは当然だと思いますが、そのナショナルトレーニングセンターにとか、あるいは学校をつくるというのは、これはまさしく財源的に難しいと思いますので、あらゆる利用方法を私は考えていくべきだと思います。  私たちが参議院文教委員会で施設を見に行ったとき、オリンピックの後には市民サービス型と集客型、イベントをやるという型と、その中間型という、六つの施設をそういう三つの分け方をして使いますという説明を私たちはいただいておるんですけれども、今、事ここに至ってもオリンピック後の先がはっきり申し上げれば見えていない。何とかお願いしますというのが長野市の姿勢なんです。  ですから、具体的に言えば、このナショナルトレーニングセンター構想というのは一つのやはり明確なビジョンでもありますから、その点、総合的に文部省もアイデアを出してサポートしていく必要があると私は思いますが、いかがでしょうか。  総合的な御質問で申しわけないですけれども
  49. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 長野オリンピックで使用する競技施設の大会終了後の利用でございますが、これにつきましては設置者である地元の自治体が決定をすることとなるわけでございますが、文部省といたしましても、種々御相談には積極的に応じてまいりたい、後利用がうまくいくような形での協力でできるものがあればしてまいりたいと思っておるところでございます。ただ、その競技施設の将来にわたる管理運営につきましては、平成元年に長野オリンピック招致に当たっての閣議了解において地元の責任と負担を主体として行われることとされておりますので、経費的な側面につきましては文部省としてはこの閣議了解を踏まえて対応をしてまいりたいと考えております。  なお、その競技施設を冬季競技のナショナルトレーニングセンターとして利用するというふうな御指摘もあるわけでございます。ナショナルトレーニングセンターのあり方につきましては、平成九年度から調査研究に着手をすることといたしておりまして、先進国の状況などの調査も踏まえましてこれから全体構想の検討などを行うことといたしております。したがいまして、ナショナルトレーニングセンターとしてどのような施設を考えるかなどは今後の課題でございますので、そのような御指摘につきましては現時点においては白紙と言わざるを得ないところでございます。
  50. 馳浩

    馳浩君 白紙に絵をかくのはまさしく皆さんの得意とするところでありますので、本当にすばらしいお知恵をどんどん出して協力していっていただきたいと思います。  次に、スポーツ振興ということについて、これは法的な観点からいいますれば、スポーツの振興を法的に整備したのがスポーツ振興法、これは昭和三十六年か、議員立法でできております。恐らく東京オリンピックを目前に控えて体系的にスポーツ基盤の整備ということで法が整備されたと思いますが、これについて、今まで文部省に御意見をお伺いしてきた中で相当の見直しが必要と思われる点があります。  五点、私の方で挙げさせていただきますが、例えば、地域振興の核となる総合型地域スポーツクラブの規定がない。二つ目に、高齢化社会を迎えているにもかかわらず、高齢者スポーツの振興の規定がない。あるのは、八条と九条に「青少年スポーツ」と「職場スポーツ」の規定があるだけです。三番目に、アンチドーピングの啓発をうたう規定がない。四番目に、プロスポーツの振興とこの法律は一切無関係であります。なぜならば、この第三条第二項に営利を目的としてはならないということが明確にうたわれておりまして、これは今現在の文部省スポーツに対する姿勢と大きな隔たりがある点であります。五点目に、第四条にスポーツの振興に関する基本的計画を文部大臣は作成しなければならないというふうな文章があるんですが、現在も作成されていないんです。作成されていないんですよ。明確にスポーツの振興に関する基本的計画を文部大臣は作成しなければならないと。作成されていないですね。  この五点だけを今指摘させていただきますけれども、大幅にこのスポーツ振興法を充実する方向で見直す時期に来ておるのではないかと私は思います。いかがでしょうか、そういう点に関して。
  51. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 御指摘のように、このスポーツ振興法は昭和三十六年、議員立法で制定されました。その後、各地域スポーツを取り巻く実情というのはもうさまざま千差万別でありますということと、それから財政状況、やっぱり計画をつくるということになれば、具体的に財政がどうなるか、あるいは予算をどうするかということもあるわけでありまして、そういうこともありましていまだに計画はつくっていないわけでありますが、今委員が御指摘のように、この法律制定当時とはいろいろな面で状況が変わっておりますから、そういうものを踏まえて、もし見直しが必要ならばその時点で考えたいと思います。  いずれにしても、今、文部大臣の諮問機関である保健体育審議会に、競技力の向上とそれから学校における体育、それから生涯スポーツ、この三分野についての諮問をしている最中でありまして、これがことしの秋ごろには答申が出される予定になっておりますから、それらを踏まえて今後の対応を考えていきたい、こう考えております。  いずれにしても、例えばナショナルトレセン一つつくるにも、現在のスポーツ予算全額が必要だというようなことで、これを全国展開でいろいろな計画を具体的につくるとなると、まずそういう財政面のネックがありますし、それと各地域の実情というものをもっともっと把握した上でないとなかなかできない、そういう実情もあるということをひとつ御理解いただきたいと思います。
  52. 馳浩

    馳浩君 スポーツ振興に関する予算の問題ということを考えますと、私は、余り例に出して申しわけありませんけれども、例えば文化庁の予算とよく比べたりするんです。七百億を超えていますね、文化庁。それに比べまする体育局の予算スポーツ振興に関する予算総額は幾らぐらいなんだろうなと。これはわかっておって話は聞いているんですけれども、そういうことを考えましたときに、私はここからは私見として述べさせていただきますけれどもスポーツ振興、これはまさしく競技スポーツ、生涯スポーツの振興は国民に活力を与える、と同時に、スポーツスポーツ選手のためだけのものではなくてやはり感動を共有し合うということを考えますれば、見ている人間スポーツ選手になれるわけでありまして、その観点から私は、スポーツ議員連盟で推し進めておるサッカーくじ法案というものについてもっともっと議論をしていくべきだと思います。  この法案の内容につきましては、大きく三点の問題点がたくさんの方々から指摘されており、私は自由民主党の一員でありますが、自民党の中でもやはり反対も多い。各党派におきましてもいろんな反対があると思いますが、この三点をぜひここにおいて、非常に誤解があるのではないかという点がありますので、私は指摘をさせていただきたいと思います。  このくじの健全性、これはギャンブル性といった点で言われておりまして、これは実際にこの法案におきましては、払い戻し金額、確率、払い戻し割合など、いずれも宝くじ並みにしております。そして、サッカーの試合一試合ごとに勝敗を予想するのではなく、全試合をまとめて試合前日までに予想する知的ゲームに近いということで、こういうギャンブル性はない。競馬や競輪などのようなギャンブル性は最初から持っていないということを明確にしておきたい。  二つ目に、これをもってして青少年の非行がふえるのではないかという、これは恐らくPTAの皆さん方とかお母さん方から大変な誤解をいただいておりますけれども、これに関しては、法案におきましては、十九歳未満の青少年の購入を禁止、対面販売ということで金融機関で氏名、年齢等を確認するということをうたっておりまして、これは現下の社会情勢のもとにおいてこの制度が導入されたからといって非行がふえるということを論点にするべきでは私はないと思っております。  三番目に、スポーツをかけごとの対象にするのはスポーツ精神に反する。まさしく先ほど第一点で申し上げましたように、このくじはスポーツ振興投票制度という呼び方をしておりますけれども、ギャンブルではありません。これを導入しているヨーロッパの国でもそういう意見はありませんし、問題点があったときのために導入後七年目に制度を見直すという点を入れておりまして、公平にこの制度を運営し、そしてスポーツ予算の確保をしょうじゃないかという意味では、まさしくスポーツ精神にのっとった私は法案ではないかというふうに理解をしておりますので、それぞれの御意見はあろうかと思いますが、私自身の私見をここで述べさせていただきました。  次に、時間が残り少なくなってまいりましたが、自民党の大先輩の小野清子先生の了解を得て、もうちょっとだけお願いいたしたいと思います。もうしばらくで終わります。  先ほどちらっと申し上げたんですけれども、身障者スポーツの取り扱いです。  これ、私おかしいなと思ったのは、二月十四日付毎日新聞の夕刊に長野のパラリンピックを大変心配する記事が紹介されておりまして、日本の障害者スポーツは身障者スポーツ協会が行うことになっておる、これは厚生省の外郭団体であるということで、その目的はリハビリの一環として位置づけていると。厚生省の主管であるということで、どのような予算補助をしているのかという点。  と同時に、これは基本的な問題として、アトランタオリンピックの開かれ後に行われたパラリンピックをテレビ朝日が非常に努力をして放映していただきまして私たちは目にすることが多うございましたが、これはまさしくリハビリのためのスポーツとは考えられません。競技スポーツとして認定するべきでありますし、身障者の方々、競技スポーツ、パラリンピックにまさしく出ておられる選手方は、我々は競技スポーツに値しないかという、そういう偏見をお感じになっておられますし、そういった意味での区分をしておること自体が、私は社会全体が身障者スポーツ、ひいては身障者を差別して見る原因ではないかと思っております。  私たちのような健常者がスポーツをすることにおいても確かに大変ではありますが、身体的、心身的にハンディを負っておられる方々一つのルールのもとに一生懸命汗を流し努力しておられる。ましてや、ルールに基づいた競技をしておられるわけですから、まさしくこれは、オリンピックに出たのはここに三人いますけれども、我々以上の努力をしていると私は確認したいと思います。そういう意味では、きょう明確な答弁を求めるというわけではないんですけれども、今後、文部省におきましても、身障者スポーツ、とりわけトップレベルの身障者スポーツというものは競技スポーツの枠内に入れて私たちは処遇してもよいのではないかという、その考えを伺いたいと思います。  まず、最初に二点、厚生省の方の予算措置と、それからリハビリの一環としてしかこの身障者スポーツをとらえていないということに対する御意見、二つ目に今後の文部省の競技スポーツとしての取り組みということをお聞きして、私の質問を終わります。
  53. 伍藤忠春

    説明員伍藤忠春君) 障害者のスポーツ、先ほど申し上げました身体障害者スポーツ協会というところが中心になって行っておりますが、私ども予算面で確保しておりますのは、一つは、身障者の国体とも言うべき全国身体障害者スポーツ大会というのが行われております。毎年各地で行われておりますが、現在三十二回を迎えておりますが、こういったものに対する補助。それから、障害者のスポーツ指導員の養成事業といったようなものに対する補助。それから、二年ごとに行われますパラリンピック、こういった選手の強化事業でありますとか派遣費。こういったものを予算面で確保して、この団体に対して助成をしておるところでございます。
  54. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 今までパラリンピックを初め障害者のスポーツについては、障害者福祉という観点から厚生省が中心になって行われてきたんですが、御指摘のように、最近競技スポーツという部分も非常にふえてまいっておりますし、また日本の選手の活躍も目覚ましいものがあります。したがって、文部省の所管の各団体がありますが、そういうところにおいてもいろいろ選手に対する指導等を行って協力をしているところであります。  これからスポーツ振興という観点からどういう対応があり得るのか、これは十分厚生省とも相談をして、今後適切に対処していきたいと考えております。
  55. 馳浩

    馳浩君 ありがとうございました。
  56. 小野清子

    小野清子君 自由民主党の小野清子でございます。  橋本総理は、教育改革を国の六つ目の改革として取り上げられました。文部省が先日発表いたしました教育改革プログラムにおきましては、一人一人の子供の個性を尊重しつつ、正義感、思いやり、創造性、国際性をはぐくみ、生涯にわたりその能力を最大限発揮するという視点から教育改革を実行することを明らかにしております。知識、技術、技能とあわせて人間性を大切にする姿勢というものを重視しているというふうに感じさせていただいておりますけれども、具体的には、学校のカリキュラム改革を進めるとともに、豊かな人間性育成を図ることなどが挙げられており、これらを実効性のあるものとする上で私は大学入試の改革の推進というのは不可欠ではないかと考えております。  現在、大学入試は、多くの大学が一九九〇年にスタートいたしました大学入試センター試験を活用して、これと大学が独自で行います個別試験を組み合わせ、特色ある選抜を進めていると承知しております。そういった意味で、大学入試センターがその使命を十分に果たしていくことが大切であると考えるわけですけれども、大変残念なことに、ことしのセンター試験ではいろいろな問題が起きてしまいました。きょうはそれをもとに、現在抱えている問題点を明らかにしつつ改善方向を探っていくための幾つかの質問をさせていただきたいと思います。  まず初めに、大学入試センター試験の目的、意義について、小杉文部大臣に、どのようなものであるとお考えなのかを伺いたいと思います。
  57. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 入試センターのねらいは、生徒たちが高校学習をどれだけ達成したか、どれだけ到達したかというのをはかるものでありまして、そして各大学がそれぞれの判断とか創意工夫を凝らして、センター試験と独自のいろいろなやり方を組み合わせて、大学教育を受けるにふさわしい能力、適性を多面的に判定する、こういうことで極めて私は有益だと考えております。  そして、もう少し具体的に言いますと、センター試験の成果として考えられることは幾つかありますが、一つは、今申し上げたように、大学独自で行う個別試験と組み合わせることによって入試の個性化あるいは多様化が進んできたと思います。それから二番目に、従来はいわゆる五教科ということでセットでやっておりましたが、最近はアラカルト方式で、各科目でやっておりまして、国公立だけじゃなくて私立大学の参加が非常にふえておりまして、ついこの間も百五十二大学、全体では三百大学ということで、私立大学も含めた入試の改革に貢献したと考えております。  それから、センター試験の出題内容というのは大変大勢の専門家が寄ってつくっているわけでかなり精選しております、一部ミスが出ましたけれども。そういうことで、その出題内容が各大学の行う学科試験の出題にも好影響を与えまして、いわゆる難問とか奇問というものが減ってきたという点。それから、アラカルト方式ですから大学が序列化をしない。それぞれセットで採用した場合には当然序列化というのがはっきりしちゃったわけですが、そういうものが回避できた。こういった利点が挙げられます。
  58. 小野清子

    小野清子君 今大臣おっしゃいましたように、このセンター試験というのは、高等学校関係者からも大変よい問題であるとこういう評価を受けているようでございますし、また利用している私立大学の方からも、従来とは違った非常に個性のある新しいタイプの学生を入学させることができるなど、大変御好評をいただいていたわけなんです。  しかし、ことしのセンター試験では、問題ミスあるいは試験問題配付の不手際とか今までにないいろいろな問題が起きてしまったわけです、現実的には。特に数学の試験問題においては、旧課程履修者と新課程履修者、いわゆる浪人生と現役生、この方々が別々の試験内容で競う初めてのケースであったわけでございます。それゆえにより慎重でなければならなかったわけでございますけれども、そういう観点から考えますと、平均点に大変大きな差がついたということは、私は受験生に大変大きな影響を与え、さらには不信感を与えたのではないかと思います。  この問題について詳しくお聞きしたいと思いますが、その前に一点お尋ねしておきたいことは、新課程入試の初めての年と言われておりますけれどもセンター試験においては昨年までとどのような違いがあるのか、また旧課程で履修した受験生のためにはどのような配慮がされたのか、その辺をお伺いしたいと思います。
  59. 雨宮忠

    政府委員(雨宮忠君) 先ほど文部大臣から申し上げましたとおり、今回は規模の上で六十万人ぐらいの方々が志願をし、また三百の大学が活用しようという大変規模の大きな試験であったということが一つの特徴であるわけでございますが、もう一つ、今先生指摘のように、新しい教育課程に基づきます卒業者がこの春出るということで、そのための試験を備えるということと、それから過年度卒業者のために何らかの配慮をしなければならない、これが一つの大きな課題であったわけでございます。  新しい教育課程と旧教育課程との教科の対応状況ということから考えましていろいろ検討いたしました結果、大部分教科、科目におきましてはそれぞれの対応状況が非常に明確なものですから、新しい科目のもとで出題しても旧教育課程履修者も別に問題なかろうということで対処したわけでございます。  幾つかの科目、具体的には三科目でございますが、数学の上で二科目、それから理科で一科目、これにつきましてはその対応状況、科目科目の対応状況が大変複雑に交錯しているものですから、むしろそれは別問題として備えた方が、新しい卒業者にとっても当然でございますが、旧教育課程履修者にとっても好都合であろうとこう考えて、三つの科目につきましては、今先生指摘の旧数学Ⅱがその一つの例でございますが、三つの科目について別々の問題を出したということでございまして、できるだけ旧教育課程履修者にも配慮をしたと、こういう意図のもとでそのような扱いをしたというように認識しているわけでございます。
  60. 小野清子

    小野清子君 今お話しされましたように、理科や数学というお話ですけれども、これまでも理科やあるいは社会の選択科目では平均点で十点ぐらいの差はあったようでございますね、調べさせていただきましたところ。  しかし、今回は数学で二十点を超える差が出たということ、これはやはり得点差というものがこれほどまで高くなった場合には果たしてこのままでいいのかどうかということ。これによる、得点差による不公平感というものは、やはり一点で一生の違いを生むのが入試という怖さを受験生は感じているわけですから、得点調整するというふうな措置を講じればよいのではないかということが考えられる一方で、得点調整は新たな不公平を招くという、何かこういう可能性もこれまでの経緯の中であったようでございます。  しかし、平成九年度の試験においては得点調整はしないということを決めていたということですけれども、新課程と旧課程と、そしてこうであろうということでやって差が出る可能性があることを現実に踏まえておりながら得点調整をしないということを決めていたというのはどういうことなのか、決定までの経緯も含めてちょっと御説明をいただきたいと思います。
  61. 雨宮忠

    政府委員(雨宮忠君) 素点に対して手を加えるというのはなかなか慎重な配慮が必要なわけでございます。大学入試センター試験は今回で八回目であるわけでございますが、昨年までの扱いはどうしていたかと申しますと、理科、社会は選択科目が多いわけでございますが、理科、社会の上で三十点以上の平均点の差が出た場合、この場合には得点調整があり得る、こういう扱いできていたわけでございます。ただし、幸いなことにそこまでの差が出なかったということで素点そのままの扱いをした、こういうことでございます。  今回の場合、平成九年度の場合、何ゆえにそのような備えをしなかったのかというお尋ねになろうかと思うわけでございますが、得点調整をする場合に、若干細かくなって恐縮でございますが、受験者集団がその科目をとったときに一体どの程度の実力が発揮されるであろうかということを、過去のデータに即しまして、その蓄積したデータに基づきましてその相関度を調べ上げて、それに基づいて調整をするという方法が考えられてきたわけでございます。  今回の場合のように、新しい教育課程に基づきます出題ということになりますと、そのような方法が技術的にとりにくいということで、先ほど六教科、三十一科目という先生の御指摘のとおりでございまして、かつ各大学の試験の利用の仕方自体が非常に多岐にわたってきておりまして、一つを調整すると他に与える影響というのが大変大きくなるというようなことで、平成九年度以降につきましてはそれはなかなか難しいということで、入試センターといたしましてはもう得点調整はいたさないということを決めていたわけでございます。  実は、過去、共通第一次試験のときにも同様の、約三十点ぐらいの開きがあったことがございまして、一度それを手がけたことがあったわけでございますが、なかなかうまくいかなかったという経緯もございました。
  62. 小野清子

    小野清子君 受験で三十点以上の差が出ない限り調整はしないという、個人的な点数ではなくて、浪人生、いわゆる新課程と旧課程の差で三十点差が出るということは、これは大変なことではないかという受験生の立場に立ちますとそういう気持ちになるわけですけれども、やはりこういう問題というのは決めてしまうのではなくて臨機応変にやっていきませんと、これは子供たちの一生にかかわる問題でもありますし、せっかくいい方向に向かっていたセンター試験が私は非常に不信感に冒されていくんではないかというかえって心配を持っているところでございます。  ですから、平成元年に一度得点調整を行っているようですけれども、やはり今回も調整してはどうかなということも思います。  おっしゃられたように、調整をすれば新たな混乱が起きるということ、これはどっちかを上げればどっちかが文句が出るということはあるかもしれませんけれども、しかし、実際にこれだけ大きく差が出てしまったということを考えたときに、試験問題をつくる作題委員会というんですか、そういう方々の、新課程への移行に伴って科目が倍にふえてメンバーも五割増しになったという、これは新聞やその他の記事を拝見しました。問題づくりの経験者の差というのか、解答予測の誤り等が生ずることは考えられなかったんだろうか。  例えば、五割増しをした場合に、十人であったところを十五人になったら五人の方々は新人ということになってくるのではないかと思います。このセンター試験の問題というのは答えの予測をある程度感知しながらつくっていかなければならないことではないかと思いますけれども、その辺はいかがでしょうか。
  63. 雨宮忠

    政府委員(雨宮忠君) 先生指摘のとおりでございまして、センター試験の出題、これは各学校で日常行われる試験の場合も多分共通であろうかと思うわけでございますが、学力をはかる上で難しからず易しからずということを念頭に置きながら作題に努めているわけでございます。入試センター試験の場合におきましても、大体各科目平均点で六十点程度ぐらいが出るようなことを心がけながら作題に努めているということでございます。  数学の場合も、例えば昨年の場合ですと五十点ぐらいの平均点になったわけでございますが、今回は旧数学Ⅱと数Ⅱ・Bとの間で四十点、六十点と、こういう差が出たわけでございます。これにつきましてやはり今後大いに改善していかなければならないわけでございますが、なぜこのような二十点余りの差が出たかということでございますが、問題の正確さということについてのチェックは当然するわけでございますが、それ以外に、特に今回のような場合に、浪人の方々それから現役の方々とでこういうような差が生ずることがあり得るということもあわせて念頭に置きながら、やはりもう一つ余計にその難易度のチェックというものをさらに一層チェックすべきではなかったかということが反省点であろうかと思うわけでございまして、この辺につきましては、入試センターの方といたしましても、十分現在その理由、原因につきまして調査、検討していただいているところでございます。
  64. 小野清子

    小野清子君 この問題について関係者からはどのような要望なり意見等が出されているのでしょうか。その辺をお伺いしたいと思います。
  65. 雨宮忠

    政府委員(雨宮忠君) 当然このことにつきまして、かねてから得点調整はしないという先ほど申し上げたとおりの経過があったわけでございますが、そのような方針を決めるということにつきましては、国立大学協会、公立大学協会等の大学関係団体でございますけれども、これらの団体、それから高校長協会等からも一応の了承を得た上でそのような方針を決めていたわけでございます。  また、今回このような差が生じたということにつきまして、現実の受験生の方々、あるいはその御父兄の方々からも批判する声があったわけでございます。団体といたしましては、高校長協会の方からは、得点調整云々ということではございませんでしたけれども、できるだけ二段階選抜ということでさらに浪人の方々が不利なことを受けることのないようにという要望がなされたということでございます。
  66. 小野清子

    小野清子君 小杉文部大臣は今回の事態に当たって指導力を大変発揮されまして、二段階選抜を原則として取りやめるようにという大変強い指示を国公立大学に特に要請を出されたと聞きますけれども、この二次試験の出願を締め切った後で、志望校を変えてしまった後では遅かったのではないかというふうな声も聞かれないわけでもありませんけれども、その辺はいかがだったのでしょうか。
  67. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 先ほど御指摘のあったように、今回数学で現役と浪人の間で二十点以上の差が出たということはまことに私は残念に思います。  ただ、それだからといって得点調整をやることについて、私は入試センターでも検討していただいたところですが、先ほど技術的に非常に難しいと、すべての受験生を納得させる調整方法がないということとか、当初、そういうことで今回は得点調整を行わないということを告知していたわけですが、その告知を変更して得点調整を行った場合には、得点調整を受けなかった受験生が不公平感を感じたり、志望校選びで戸惑うというようなこと、そういう混乱を招くことになるということで調整は行わないということになったと聞いております。  しかし、私はそれを聞きまして、しかしそうはいっても浪人の人が十万人近く数学を受けているわけです、そして一生に一度のチャンスかもしれない、そういう方々にこういうことで何もしないでいいのかということで私は随分悩みました。その結果として、せめて受験の機会だけは与えてやるべきじゃないか。  したがって、二段階選抜というものをできる限り避けてもらいたい、そして足切りを行わないでできるだけ多くの受験生が受験の機会を得られるようにしてほしいと、こういう要請を重ねて行いました。そして同時に、それに要する経済的な負担、例えば試験会場をふやさなきゃいけない、今まで十倍で切っていたのを十五倍に緩和するという大学もありました、そういうところには会場の借り上げ賃とかあるいは採点要員の人件費とか、そういう財政的な負担については文部省としても考えると、こういうことをつけ加えてお願いをした結果、かなりの大学で二段階選抜を取りやめていただきました。  ここに数字的なものがありますけれども、結果的にどうしても足切りをせざるを得なかったそういう大学が国公立大学で十六大学二十九学部、そのうちほとんどの大学、例えば十三大学二十一学部については、足切りはやりましたけれども大幅に緩和してやったということで、昨年度に比べますと、足切りやりますよと言っていた大学で実際にやった大学・学部の数は大幅に減ったということで、二段階選抜によって不合格になった人数は四千五百二十人ということで昨年よりも約二千四百人少なくなったと考えております。こうした結果から見て、私は各大学ともできる限りの努力文部省の要請に基づいてやっていただいたものと理解しております。  ただ問題は、先ほど局長からも答弁したように、作題、問題をつくる段階で旧課程と新課程の難易度のチェックというものが果たして十分であったかどうか、あるいはそのほかにも日本史でのミスもあったりいたしまして、私は、今これから追加的に何かをやるというのは、もう二十五日に試験が迫っておりますから、国公立が始まりますので、今何かまたさらなる調整なり改善をやろうとすると、今度逆の方からのまた不公平というものが出てまいりますので、当面は受験生の皆様には全力で試験に臨んでほしい、試験がすべて終わった後で入試センターを中心にいろいろな面からの検討をいたしたい、こう考えておりますので、当面はこれ以上の手は打たないということで御理解いただきたいと思います。
  68. 小野清子

    小野清子君 要するに、申し上げたいのは、二段階選抜の緩和は大変おかげさまで部分的ではありますけれども進んだようです。しかし、問題科目間での平均点の差が余りないようにやはり問題づくりというものを進めていく配慮がなされなければならないんではないかということ、これが私はとても大事だと思うんです。  ある記事を見ましたら、受験生の立場で問題が考えられていないのではないかという、こういう記事もありました。要するに、考えなければならない問題の中で考える時間的配分が余りにもなさ過ぎるとか、今回はそのような具体的な内容の、受験問題の数というのか質というのか、そういう問題も提起されておりましたので、これもひとつ申し上げたいと思います。  生じないようにするにはどうしたらいいかというのをここで質問したところでお答えはなかなか難しいと思いますが、とにかく毎年三十を超える科目の試験問題をつくっていくということ、これは過去に出た問題は出さないとか、それから思考力を問う問題は得点予測が大変難しいんだそうですね、そういうことで気をつけなければならない。また、今回のようなミスも繰り返してはならない。  こういう条件が重なっていきますと、何かしら難問奇問が、最初に大臣がおっしゃったように、難問奇問に至らざるを得ないような方向になっていくんではないか。しかし、このセンター試験そのものは難問奇問が出ないためにセンター試験ということで誕生じ、そしてこれが定着をしつつあるわけでございますけれども、この辺を考えさせていただきますと、試験問題を作成していかれる方々の問題もあろうかと思います。  先ほど五割の人数増しという話もしましたけれども、設問上のミスも複数に出てきたりとかこういうこともありますが、委嘱をされた委員も二年の任期中百日間も日にちを費やしているという、こういう状況であるというお話を聞きました。百日間というのは、一年にすると五十日で、毎週日曜日がこれに使われているという計算になるのかなとひとり考えさせていただきましたけれども、缶詰状態で取り組んで頑張っていただいているにもかかわらずミスが出たということは、何かしらお互いの信頼感の上に立ったミスと、こういう記事もありました。  要するに、絶対大丈夫だろうということの中のミスということは、やはり確認ということは当然大丈夫なことを再度検査するのが本当の確認であり、この先生だから大丈夫だろうなどということの認識は余りに甘いと思いますけれども、その辺はいかがでしょうか。
  69. 雨宮忠

    政府委員(雨宮忠君) 先生指摘のとおりかと思います。  チェックをするために、それなりにいろいろ知恵を働かせて二重三重のチェックをできるような仕組みをつくっておる、これは事実でございます。ただし、それが期待したとおりに機能するためには、やはり第一段階のチェックというものを全面的に信頼してチェックするということであるならば、これはチェックの役割を果たさないわけでございます。えてして専門家同士ということで遠慮があって、そんなことがチェック機能の発揮ということを鈍らせたとするならば、これは何のためのチェックのための組織かわからないということでございまして、まことに先生の御指摘のとおりでございまして、その辺のところは入試センターの方としても十分認識しておるというように私ども思っておるところでございまして、今後大いに改善を考えていかなければならないというように考えております。
  70. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 今局長が答弁したとおりですが、先ほどお話が出ているように、今回非常に規模が膨らんだものですから、例えば問題の作成者も従来二百七十人であったのを四百人に増員したり、あるいは二十三の部会に分けて問題作成を行ったんです。  ところが、先ほど来御指摘のようなことになったので、私も入試センターを見に行きまして、準備期間も二年とって先生方も大変な作業をやっておられるんですが、ぜひ当委員会でも視察をしていただきたいと思うんですけれども、このような体制のどこに問題があったのか、あるいは委員の今指摘されたようなその職務とか全体の手順について検証して、再びこの問題ミスや平均点に大幅な差が出ることがないような体制で来年度の試験に臨むように、私としてもセンターに対して強く求めていきたいと思っております。
  71. 小野清子

    小野清子君 とにかくその方向でいかなければならないと思います。今回のさまざまな問題点から徹底的な調査分析をしていただいて、こういう間違いが二度と起きないように、ぜひ初心に返って信頼あるものへと頑張っていただきたいと思います。  大学先生に限らず、多方面の意見や協力が必要ではないかと私は思うんです。日本史の出題ミスというのは予備校関係者からの指摘でわかりという、こういう文言もありまして、大学の教授、助教授だけではなくて、やはり子供を教えている高校先生にしろ予備校の先生にしろさまざまな方々協力が、そういうことは問題が漏えいしてしまうというふうな御心配もあるかもしれませんけれども、もはやいい問題、まさしく勉強のしがいがあった解答、これから日本を担っていく子供たちがこの試験を通してある意味では私は育っていくような気がするんです。将来、日本の未来の二十一世紀を担う人づくりのためにどういう教育が必要なのか、いい人間をどう選んでいくかというのが私はこの試験というものの、いわゆる入試というものの存在価値、意義というものがあるのではないかと思います。  そういった意味では、例えば諸外国で行っております資格試験、呼び方はいろいろありますけれども、統一試験を行っている国も多いわけでありますし、センター試験ということを一定の学力をはかるものとすると考える方法一つあると思います。そういった意味で、これからまさに多岐にわたって多様性の時代になってくればなおなお複雑化してその問題をつくる方々も大変問題を抱える、こういう時代になっていくわけですから、その辺でこのセンター試験あり方そのものをぜひ今回の件を災い転じて福となす、そういう方向に向かっていただきたいと思います。  それでは、ちょっと時間がありますので、大臣の御決意は最後に伺うことにいたしまして、預かり保育の件で御質問を申し上げたいと思います。  女性の社会進出が大変進展しておりますが、働く母親と同時に在宅の老親介護をするお母さんたち、各家庭においてのいろいろな問題がありますけれども、そういう生活の中の問題と子供教育の問題というのは時として非常に負担になってくる場合もございます。  働くお母さんの中には、人間形成の基盤が培われるような大切な時期であるだけに、幼稚園にどうしても入れたいと。ところが、幼稚園というのは、午前ですと十一時半で終わり、午後ですと一時には終わってしまう。そうすると、その後の子供の養育をどうするかということの中で預かり保育事業というものが今回脚光を浴びてきたのではないかと思います。  こういう子供さんたちを、今までですと保育園という形があったわけですけれども、幼稚園がこういう預かり保育をするということになりました経緯を一言御説明いただきたいと思います。
  72. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) 子育て支援のために通常の教育時間終了後も引き続き子供を預かって教育をする、これを預かり保育と称しているわけでございますけれども、そうしたものが増加してまいりました経緯といいますのはただいま先生が御指摘のとおりでございまして、女性の方々社会的進出の問題あるいは高齢者等を抱えました家庭負担に対する対応、そうした社会の大きな変化の中でこうした要請が強まってきた、それにこたえて幼稚園側がこうした取り組みを増加させている、こういうふうに理解をいたしております。
  73. 小野清子

    小野清子君 幼稚園は教育であり、保育園は保育である、これをミックスしてということになりますけれども、体制上は幼稚園の先生たちがこのお子さんたちを預かるのか、その保育の面での状況はどうなるんでしょうか。
  74. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) 私ども、この預かり保育の実情というものを平成五年の十月時点で全国の公私立幼稚園を対象に調査をいたしました。  その結果を見ますと、公立の場合は五・四%、私立の場合は二九・五%ということで、全体といたしまして一九・四%の幼稚園でこの預かり保育という実情が見られたところでございます。  ただ、その中身を少し詳しく見てみますと、幼稚園は四時間教育するというのが原則でございますが、その終了後、午後三時までという幼稚園が五%、三時を超えて四時までというのが一九%、それから四時を超えて五時までというのが五一%、さらに五時以降というのが二四%ということで、預かり保育といいましてもその中身にはさまざまな形態がございます。  そして、そういう状態に対応してどのように幼稚園の側が対応しているかということも区々でございます。短時間のような場合は幼稚園の先生の勤務時間内での対応ということもございますが、幼稚園によりましては個別の先生を時間を限ってお願いをしてこれに対応するという幼稚園もあるようでございまして、その対応はそれぞれの幼稚園で区々になっている、こういう状況でございます。
  75. 小野清子

    小野清子君 いろいろとフレキシブルに対応していただいていることは大変うれしく思います。  公立が五・四%、私立が二九・五%ということですけれども、今回のこの預かり保育推進事業に関しましては、これは公立に限って行われるんですか。その辺を伺わせてください。
  76. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) 預かり保育の今後の対応でございますけれども、これは昨年まとめられました中央教育審議会の場におきましても、今後の幼稚園教育の運営のあり方として貴重な視点として指摘されているところでございます。  それを踏まえまして、私どもとして平成九年度の取り組みでございますが、まず一つは、私立幼稚園に対しましては、こうした預かり保育に取り組んでおります幼稚園に対しましては特別の補助をするというような予算一つただいまの予算に計上してございます。  それから、二つといたしまして、ただいま先生の御指摘の実践的な研究でございますが、これは、これから全国の幼稚園に募って研究を引き受けていただく幼稚園を選ぶわけでございますが、公立、私立を問わず委嘱をしてみてはどうかというふうに考えてございます。  そういった実験、研究等を含めまして今協力会議というのを設けておるわけでございますが、そういった場でそういった研究成果等を踏まえて今後の展望というものを全体として研究する、こんな形で取り組んでいきたい、こう思っております。
  77. 小野清子

    小野清子君 二つ子の魂百までという言葉がありまして、それから私の前に質問してくださいました馳先生のお話ではございませんけれども子供が安心して走り回れる場所は幼稚園とかあるいは学校のグラウンドしかないんですね。町の中で道路で遊ぶということがこのごろはほとんど不可能になりました。ですから、子供たちの体を動かそうとする意欲が小さいときから箱の中に抑えられ抑えられて育っていくものですから、性格的にも大きな筋肉群を使うということが幼児期にないんです。男の子なら相撲をとって大きくなったとか、細かい指先の感覚を石けりとかああいうもので培ったという、いわゆる町の中の遊びがなくなってきた場合に、こういう保育という言葉の中にいわゆる人間として、例えば福沢諭吉先生が、まず人間である前にいい動物たれという言葉を吐いていらっしゃる。私たちは動物であるわけですね。人間でもありますけれども、動物の一種なわけです。  ということは、跳んだり、はねたり、転んだり、走・跳・投・転・泳とか、本来動物が持っている機能を今の子供たちは持たずに大きくなっている。上手に転ぶということができるとけがをしないわけですね。転び方一つ下手であるということで大けがに向かってしまう。例えば、小学校に入って転んだときに、いつも親から手を引かれていると、その手をつかんでくれる親がいないときには顔面からそのまま転んでいくとか、こういう生きる動物としての技能が身についていない。  ですから、この保育という言葉の中にも、保護して育成するという保育というよりは積極的な保育をこの中でしていかないと、幼稚園できちんとした教育を受けて、その後もまた縛られた生活をするというのでは非常にもったいないし、この保育の中に心づくり、体づくりといいますか、兄弟の不足している今の現状にかんがみますと、いい意味の兄弟感覚、仲よくすることもけんかをすることも必要でしょうし、何よりも自分が人生で生きていくだけのきちんとした体づくりの、体を動かすことの喜び、楽しさをこの時期に教えなければ、私は大きくなってからではもう間に合わないと思うんです。  そういった意味で、この預かり保育というものを立場を変えて考えますと、大変すばらしいことである。ここにぜひ保育という言葉の枠を外した教育というんでしょうか、教えはぐくむ方の育成というものを研究会の中にもぜひお入れくださるようにお願いを申し上げたいと思います。研究はこれからということでございますので、大いなる期待を持ってこの件は終わります。  最後に、先ほど私も申し上げましたけれども、新しい二十一世紀子供たちが担っていくわけでして、やれインターネットだ、光ファイバーだといろんなものが出てきます。より効率的になっていくがゆえに私たちは個で生きていくことに不自由を感じなくなっていく。ということは改めて言えば、他人との協調性がなくても生きていける時代になり、これがある意味では少子化にもつな.がっていくという時代になってきます。アメリカの場合には、ああいう機械化文明の利器のイベントをやるときには必ず横に人間性を保つイベントを併設するそうです。そういった意味でのバランスを教育の中でとっていく必要があるのではないかと思います。  入試と絡めまして、最後に、今後の大臣の抱負をお伺いして、終わらせていただきます。
  78. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 今度の教育改革プログラムのねらいもまさにそこにあるわけでございまして、確かに人材養成という側面、新しい時代に合ったいわゆる創造的な人間、新しい技術を生み出すようなそういう人間をつくるということとか、あるいは国際化に対応した例えば英語力の向上というようなこと、あるいは情報化のコンピューター、インターネットに対応できるそういう人材を養成するということも一つの目的でありますが、もう一つの大きな目的は、やはり知識だけではなくて、豊かな人間性他人に対する思いやりとか正義感とか倫理観とか、そういう人間としてのあり方というものをどう育てていくか、これが大きな二つの教育改革のプログラムの目標とするところであります。  五人のお子様を育てられた貴重な体験を踏まえての御提言の数々、参考にさせていただきたいと思います。
  79. 小野清子

    小野清子君 ありがとうございました。
  80. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時一分休憩      ―――――・―――――    午後一時二分開会
  81. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) ただいまから文教委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、教育文化及び学術に関する調査のうち、文教行政基本施策に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  82. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 平成会の田村秀昭でございます。持ち時間が少ないので、簡潔にお答えを願いたいと思います。  さきの一月三十日の参議院予算委員会、補正予算委員会文部大臣に御質問をした、四月から使われる中学の歴史教科書から従軍慰安婦という言葉を削除する、記述を削除するように求めましたけれども文部大臣からは拒否されているわけですが、その後、歴史的に残る文部大臣として心境の変化があるかどうかお尋ねいたします。
  83. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 先日の予算委員会における委員の御質問でもお答えしたとおり、従軍慰安婦の記述を含む社会科の教科書については、専門家から成る教科用図書検定審議会のさまざまな角度からの審議を経たものであって、その後客観的な情勢、事情の変更等がないので、訂正を行う考えはありません。
  84. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 今度、大臣も所信でお述べになりましたし、総理も教育改革を新しくやるとおっしゃっておられるので、そういう新しい改革の、総理の言っておられる夢と希望を与え、チャレンジ精神を持てるような青少年を育成するという見地からも不適当と私は思っておりますので、今後とも改革をおやりになる気があるならば、従来のやり方じゃなくて、改革を志す大臣としてお願いしたいと思います。  次に、私は、留学生の問題について特段の配慮をしていただきたいということをまずお願いしたいんです。  戦時中、南方特別留学生という制度がありました。御承知だと思いますが、アジアの各国から留学生を昭和十七年、一九四二年から東京大学、陸軍士官学校、宮崎高等農林学校、今の宮崎大学に留学をさせて、一期生から四期生ぐらいまでおりますが、この人たちがアジアの各国の独立をなし遂げ、そしてASEANの結成に大変な貢献をした。  その中の一人にラジャー・ノンチックという人がおりまして、この人はマレーシアの元上院議員で、一九八四年四月二十九日の昭和天皇の誕生日に、日本とマレーシア、日本とASEANとの友好促進に貢献した功績によって日本政府から勲二等瑞宝章を受章されております。  この人がどういうことを述べておられるかというと、私たちアジアの多くの国は、日本があの第二次世界大戦を戦ってくれたから独立てきたのです。「日本軍は、永い間アジア各国を植民地として支配していた西欧の勢力を追い払い、とても白人には勝てないとあきらめていたアジアの民族に、驚異の感動と自信とを与えてくれました。永い間眠っていた「自分たちの祖国を自分たちの国にしよう」というこころを目醒めさせてくれたのです。」と。  それで、この人が最近の日本人について、本当の日本人を知っている者として非常に残念でならないということを述べているわけです。どういうふうに述べているかというと、  戦後の日本人は  自分たち日本人のことを  悪者だと思い込まされた  学校でも ジャーナリズムも  そうだとしか教えなかったから  まじめに  自分たちの父祖や先輩は  悪いことばかりした残酷無情な  ひどい人たちだったと 思っているようだ   *  だから アジアの国に行ったら  ひたすら ペコペコあやまって  私たちはそんなことはいたしませんと  言えばよいと思っている   *  そのくせ 経済力がついてきて  技術が向上してくると  自分の国や自分までが  えらいと思うようになってきて  うわべや 口先では  済まなかった悪かったと言いながら  ひとりよがりの  自分本位の えらそうな態度をする  そんな  今の日本人が 心配だ こういうことを言っているんです。この元上院議員が言っているわけですよ。  教科書を読んでいると、戦前悪いことをしたとしか書いていないですね。だけれども、現実にアジアのこういう特別留学生、今の政府はやっていないでしょう、こういうことを。しかも、あの食糧難のときに総理と三回も会食をしている。そして、独立をするということは大変なことだと。孫文の例を引いて、十回失敗している、それでも初心を貫く、そうしないと国の独立というのはできないんだよということを教えているわけです。そして、そういう人たちが今のアジアの指導者になっている。  そういう留学生に対する日本の文部省、国全体の取り組み方が非常に私は、今、日本に留学生に来て技術だけ習って、みんな日本を嫌な国だと言って帰っているわけですよ、そういう点を改革するなら改革されたらいかがかなと私は思うんですが、これは大臣でもどなたでも結構ですから、我と思わん者はちゃんと答えていただきたい。
  85. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 留学生の受け入れば、我が国にとっても極めて重要な国際貢献だと思っておりますし、そして我が国の教育国際化にも役立つというふうに考えておりまして、このたびの教育改革におきましても、留学生交流国際化の推進ということを柱の一つにしております。  文部省としては、従来から留学生の交流施策を推進してきたところですが、平成九年度予算においても前年度二・二%増の五百五十六億円計上しておりますが、最近、留学生の伸びが鈍化あるいは減少という状況になって、今後の施策充実というものが非常に緊急の課題となっております。  そこで、つい先日文部省の中に各方面の有識者から成る留学生政策懇談会を開きまして、今後我が国がとるべき留学生政策を幅広く検討していただくということで、先月の二十四日にその第一回会合を開いたところであります。この夏をめどに第一次報告を得る予定になっております。  今先生が御指摘のように、日本に来て親日的になって帰っていただくような、そういう政策を今後大いに進めていきたいと考えております。
  86. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 この方はこういうことを言っているんですよ。これはつい最近です。日本はアジアに責任を持つ国になってほしい、日本はかつてアジアに責任を感じて第二次世界大戦の理想を打ち立てたではありませんか、このとうとい戦争の遺産を否定することはバックミラーばかり見ているようなものです、自動車は前を見て運転しなければ進路を誤りますよと、こう言っているんです。  これは何を言っているか。心と心のつき合いをしてくれ、それで日本は兄貴分としてやってほしいということを言っているんで、今大臣が言われたようなことをぜひお進めになっていただきたい。もうこれは返事は要りませんよ。心と心のつながりが大切だと。日本に来て、日本という国の、日本人の日本の心を感じて帰ってもらわないとしようがない。そういう留学生に対する教育体制というものを充実してほしいということを私は言っているんです。  次に、我が国の教育文部省がおやりになっておられて、私は、冷戦が終結するまでは、明治維新以来文部省の果たした役割は非常に大きいというふうに、非常に効率的な教育をなさったというふうに敬意を表しているんです。特に、戦後も殖産興業、国を挙げて経済再建をするという意味において効率的な教育をなさったと思うんですが、現在、日本の国というのはどういう国だというふうに教えているのか。そして、こういう日本の国に誇りを持てるような、そしてその国をどうやってきちっと守っていくのかというような教育をされているのかされていないのか。日本の国についてどういうふうに教えているのか。そして、民族が誇りを持てるような、いわゆる防衛をどうするのかということについて教えているのか教えていないのか。責任者の方、文部大臣じゃないですよ、はっきり答えてください。
  87. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) 学校教育は、憲法、教育基本法、学校教育法等の法令に基づきまして行われているわけでございますが、そこの基本的な目標は、教育基本法に書いてございますように、平和的な国家及び社会形成者として子供たち育成するということでございます。そして、ただいま先生の御指摘になりましたそうした教育をする中で、自国を愛する、あるいは国を守るといった心あるいは態度というようなことを培うことは大変大切なものというふうに考えております。  細かくなりますけれども学習指導要領に区々書いてございますが、主として社会科という教科、これは歴史的なアプローチ、公民という分野からのアプローチ等あるわけでございますけれどもそういった教科、それから道徳というまさに心を培う、そういった時間等が中心になるわけでございますけれども、そういった学習におきまして我が国の国土と歴史に対する理解を深め、国民としての自覚と自国を愛する態度の育成に努める。そして、それが憲法の平和主義あるいは国際社会への貢献というようなものを学習させる中で、我が国の安全と防衛の問題についても考えさせるというふうになっているところでございます。  具体的に防衛について申しますと、例えば中学校社会科でございますが、日本の平和と独立を守り国の安全を保つという自衛隊の任務、それから日本を含めた主要な国の防衛費の比較等を行いまして、各国が自国の防衛のために努力を払っているといったこと、それから世界平和の大切さ、その中での我が国の果たす役割の大切さといったことを子供たち指導するというようになっておるわけでございます。  それで、どのような国かというのは大変難しい御質問でございますが、ただいま申しましたように、各教科、道徳、特別活動全体を通しまして子供たち教育は行っておるわけでございますけれども、先ほど申しましたように、子供たち一人一人が自分の国に誇りを持てるような国民として育っていただく、これは大変重要な課題だというふうに思っております。  歴史は、事実は事実として教えながら教育をしているわけでございますけれども、そうした教育を通しまして、我が国が長い歴史を持ち、独自の伝統や芸術、文化をはぐくんできていること。地理の面では、自然に恵まれた国土の中で独自の生活、文化を築いていること。また、近現代以降急速な発展を遂げて、現代においては経済のみならず政治的な面におきましても国際社会の一員として重たい位置を占めている国であること、こういったことが子供たちに伝わることを期待しているわけでございます。  いずれにいたしましても、御指摘の国を愛するあるいは国を守るということは大変大切なことというふうに考えておる次第でございます。
  88. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 ぜひ、日本の国というのはどういう国なのかということをきちっと教えていただきたいというふうに思っております。  次の質問で、あと五分しかありませんので簡潔に答えていただきたいんですが、我が国のノーベル賞の受賞者は、先進国の中で何番目で何名か言ってください。
  89. 林田英樹

    政府委員(林田英樹君) 先進国というとらえ方も難しゅうございますが……
  90. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 G7で結構です。
  91. 林田英樹

    政府委員(林田英樹君) 主要な数だけとりあえず申し上げますと、一九〇一年、要するにノーベル賞ができまして以来一九九六年までの数字で申しますと、我が国の合計は八でございまして、これには文学賞、平和賞を含んでおるわけでございます。  ちなみに、アメリカは合計で申しますと二百三十名、イギリス八十七名、ドイツ七十三名、フランス四十八名のようになっております。
  92. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 非常に、著しく少ないですね。なぜ少ないのかということをお答え願いたい。  それから、先進国の中に文部大臣というのがいる国はどこの国か、お答えください。
  93. 林田英樹

    政府委員(林田英樹君) ノーベル賞の受賞者の数についての考えでございますが、我が国の学術研究全体の近年の進展というものについては相当目覚ましいものがあるとは思っているわけでございますけれども、これまでノーベル賞の受賞者が先進国と比較して少なかったことにつきましては、日本が置かれております地理上や言語などに起因する交流や、すぐれた研究成果を広く諸外国に普及するということについての制約などがあったのではないかと考えておるところでございます。  幸い、近年、科学技術基本計画の策定を初めといたしまして相当独創的な研究の推進に対する環境の整備が進んでいるところでございまして、今後そのような条件整備には私ども努めてまいりたいと考えております。
  94. 佐藤禎一

    政府委員(佐藤禎一君) 我が国の文部大臣は、教育、科学、文化スポーツといった四つの分野を所管いたしておりますので、こういった形で……
  95. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 いえ、文部大臣のいる国だけ言ってください。
  96. 佐藤禎一

    政府委員(佐藤禎一君) こういう形で総合した文部大臣というものは持っておりませんで、大概の主要国は教育大臣でありますとか研究大臣というような形で、主要な国は大体あろうかと思っています。
  97. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 アメリカに文部大臣はおられますか。今言われたのはいいですけれども、先進国七カ国の中で文部大臣というのがいる国を言ってくださいよ。どこがいるんですか。
  98. 佐藤禎一

    政府委員(佐藤禎一君) アメリカは教育相という形で教育大臣がいるわけでございます。それから、イギリスは教育・雇用相という形で大臣がございます。フランスは国民教育・高等教育・研究相、それからドイツの場合は、これは連邦の場合でございますけれども教育学術・研究技術相、イタリアは教育相、大体こういうところがわかっているところでございます。
  99. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 これで質問を終わりますが、その辺もよく考えられて大改革をお願いしたい。きのう文部省平成九年一月二十四日の教育改革プログラムを見せていただきましたけれども、こういうものは改革とは言わないということだけを申し上げて、質問を終わります。
  100. 林久美子

    ○林久美子君 平成会の林久美子こと但馬久美でございます。  まず、芸術、文化振興について二点、それからその後、日本人学校について御質問させていただきます。  総理は、施政方針演説で教育における規制緩和の重視について決意表明されました。一月二十四日には、文相から総理に対して教育改革プログラムが報告されました。そこでは、従来の知識偏重から人格形成を図る改革を骨子とされておりますが、特に子供の個性の尊重、正義感、思いやり、創造性、国際性をはぐくむことを重視されております。  この教育改革プログラムの中に、学校外社会との積極的な連携を図るとして、教育の基礎となる文化の振興を強く主張されております。特に、芸術創造活動を支援するアーツプラン21や、美術館、博物館の高度化等を目指すミュージアムプラン、それを含めた文化振興のマスタープランというのを提唱されておりますが、具体的な中身については触れられておりません。今現在わかっているものでいいですから、どんなことを考えておられるのかお示しいただければうれしく思います。
  101. 小野元之

    政府委員小野元之君) 今御指摘いただきました教育改革プログラムの中に、文化振興マスタープランを私どももお願いしておるわけでございます。  その理由といたしましては、私どもの理解でございますが、教育改革につきましてはやはり個性豊かな、あるいは創造性豊かな子供たちを育てたいというのが教育改革のねらいであるとすれば、社会全体を文化の薫り豊かな社会にしていくことが私は必要だと思うのでございます。そういう観点から、文化関係におきましても、御指摘ございましたように文化振興マスタープランというものをこの教育改革プログラムの中に入れさせていただいておるわけでございます。  具体的な中身としては、先ほど先生指摘ございました、現在私ども文化庁が行っておりますアーツプラン21ということで芸術創造活動、舞台芸術についての強力な振興策を今進めておるわけでございます。それから、平成九年度からミュージアムプランというふうに銘打ちまして、美術館や博物館の機能をもっと高めていこう、さらには国民の皆様にもっともっと活用していただこう、楽しんでいただこうというようなことを中心予算充実を図ってきておるところでございます。  私どもとしては、文化立国を目指そうということで従来から文化政策推進会議で御報告をいただいておりまして取り組んでおるわけでございますけれども、そういったものをある程度総合化いたしまして、芸術、文化文化財に関しますデータとか指標、こういったものを整備いたしまして、二十一世紀に向けて文化振興の基本計画となるような、指針となるような計画をつくりたいというものが現在私どもが考えております文化振興マスタープランの内容でございます。
  102. 林久美子

    ○林久美子君 引き続いて、大臣はどういうお考えでいらっしゃいますか、お伺いしたいと思います。
  103. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 文化は、生活に潤いとかゆとりを与える、そして社会への活性化を与える原動力だというふうに受けとめておりまして、特に文化への投資は未来に対する投資だというふうに考えまして、文化立国ということを目指して今後一層努力していきたい、こう考えております。
  104. 林久美子

    ○林久美子君 ありがとうございます。ぜひ本当によろしくお願いしたいと思っております。  それで、ちょっと提言させていただくんですけれども、青少年の文化活動への参加機会の拡大策として、小中高校生を対象に国立博物館及び美術館の拝観料を原則として無料にしていただきたい。  これは私、海外へよく行って気づくことなんですけれども、大英博物館なんかは無料ですし、またフランスのオルセー美術館なんかも十八歳未満は無料で、また土曜日とか日曜日もそうやって拝観料が無料になる。海外の諸国の博物館、美術館がそうなんですね。ぜひこの点、大臣の御寛大なる御配慮をいただきたいと思っております。
  105. 小野元之

    政府委員小野元之君) 大臣の前に、ちょっと事務的なことで御説明を申し上げます。  お話しございました国立の美術館や博物館等につきましては、御指摘のように子供たちができるだけ我が国を代表する美術品や博物館で学んだり楽しんだりしてほしいということで、文化の所産に触れる機会を拡大したいということを私どもは考えております。  御承知のように、学校週五日制の行われております第二・第四土曜日といったものにつきましては、例えば国立西洋美術館でございますと第二・第四土曜日は無料観覧日というのを設けて、学校週五日制の場合の子供たちがぜひ美術なんかに触れてほしいというようなことを行っておるわけでございます。これは近代美術館でございますとかあるいは東京国立博物館でも、例えば第二土曜日が無料の日というようなことをやっておるわけでございます。  それから、特に青少年向けの事業、企画等も力を入れておるところでございまして、子供たちの段階でそういった美術品や博物館で鑑賞していただいたり学ぶということを、できるだけ触れ合いを深めていくというような観点も含めて私どもとしては施策として行っておるところでございます。仮に入館料を取る場合におきましても、小中高校生等に対しましては一般の大人に比べて大変安い料金を設定する努力等も行っておりまして、できる限り子供たちがそういったものに触れていただく機会をふやしたいというふうに考えておるところでございます。
  106. 林久美子

    ○林久美子君 この点に関して、大臣はいかがでございましょうか。私は、本当に無料にしていただきたいと思っているんですけれども
  107. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 理想はそうあるべきだと思います。  今後、できるだけ小中高生に対しましては、教育配慮で極力御主張のような方向に近づけたいと思っております。
  108. 林久美子

    ○林久美子君 では、どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、日本人学校について質問をさせていただきます。  ペルーの日本大使公邸の人質事件は、もう既に二カ月を過ぎております。いまだに七十名以上の方が大使公邸の中に監禁されておりますけれども、本当にこの事件に対しては心から胸を痛めております。  ただただ事件の早期解決を望むばかりですけれども、この人質事件にリマの日本人学校が巻き込まれました。そのことは御記憶がある方がいらっしゃると思います。この日本人学校は五十六名の生徒と九名の先生で運営されておりましたけれども、このうち五名の先生が人質となり監禁されました。現在は解放されておりますけれども、三学期の始業式も相当おくれたと聞いております。現在は、この事件に対して概要と安全対策はどのように考えていらっしゃるか、お聞かせください。
  109. 小林敬治

    政府委員(小林敬治君) お尋ねの、私どもが把握いたしておりますリマ日本人学校関係の経緯等をかいつまんで申し上げますと、十二月十八日にこの事件が起きまして、当初、派遣教員五人、配偶者四人が人質になったわけであります。配偶者の四名は当日解放されましたが、五人が五日後の二十三日まで人質であったわけであります。二十三日に解放されたわけであります。  文部省としても、現地とそれから派遣先の教育委員会あるいは国内にいる親族の方々との連絡体制をとりまして、二十四時間体制がずっとその間続いたわけであります。文部省におきましても、官房長を中心に対策室を設けましてこれに当たったわけでありますし、また職員を二名現地に派遣したりもいたしました。  ちょうどこの日本人学校があちらの夏休み中であったわけでございますので、この事件が起こりましてすぐに旅行をしておった先生方も速やかに帰っていただいて、子供たち家庭訪問をしたりしていただきました。派遣教員五名が解放された後も、子供たちのケアのために一緒に遊んだり話をしたりという状態が続いたわけであります。  お話がございましたけれども、三学期、一月六日から予定をいたしておりましたが、現地の学校運営委員会では授業開始を延期するという決定をいたしまして、結局一月二十七日に授業を開始したというふうな状況でございます。当日は、五十六名中五十三名が出席をいたしました。三名は日本に帰国中ということでございました。その後、きょう現在でありますと、五十六名の児童生徒全員が日本人学校に通学をしているというふうな概要となっております。  安全対策の方も一緒に申し上げてよろしゅうございますか。
  110. 林久美子

    ○林久美子君 はい。
  111. 小林敬治

    政府委員(小林敬治君) それで、こういう事件ではございましたが、昨今特に海外にあります教育施設が周辺の治安の悪化に巻き込まれていろいろな事件が起こるというようなことが続いて起こっておりますので、私どもとしては先生方を派遣するという立場でございますので、その立場から安全を確保するための指導資料を作成して配付をいたしましたり、それから派遣される先生方の研修を実施したりというふうなことをやっておるわけであります。  また、来年度の予算案におきましては、安全対策指導班を派遣して、派遣教員及び同伴者の安全に役立てたいということと、それから派遣教員の防犯手当てを拡充していきたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  112. 林久美子

    ○林久美子君 そこで、お伺いしたいんですけれども文部省の来年度の予算に、今おっしゃった在外教育施設派遣教員安全対策巡回指導班の派遣として新規に二百三十七万円を計上されております。これは今おっしゃいましたそのお話を伺いまして、治安の厳しい地域に所在する在外教育施設の巡回指導のための費用に充てられているというものでございます。  ところで、外務省の予算を見ますと、平成五年度から日本人学校の安全対策専門家を毎年一名ずつ治安状況の悪化している地域に派遣しておりますけれども平成八年度では二百六十四万五千円を計上しています。来年度も同様に二百三十万二千円を計上されました。どうも素人目に見ては、同じことを文部省と外務省とでやっているのではないかと疑いを持ちますけれども、これはどうなんでしょうか。
  113. 小林敬治

    政府委員(小林敬治君) 先ほど申し上げましたように、私どもの立場というのは海外にあります教育施設に先生に行ってもらう、派遣をするという立場でございます。その立場から、治安事情の厳しい地域にある在外教育施設に勤務する派遣教員とその同伴者の安全を総点検したいという趣旨でございます。したがって、私どもとしては、この予算の規模からもおわかりのように、一人ずつ二名を派遣いたしまして一年に一人が三校くらいを重点的に見ていく。これは全校を見るつもりは毛頭ございませんで、大体三十校を重点的に見たい、こういうふうな形でございます。  今お話にもありましたように、外務省でもそれに類似した事業があるではないかということでございますが、これはいわば専門家の専門的な安全対策という観点であろうかと思います。私どものところでは、むしろその安全につきまして派遣された職員の皆さん方との相談相手になるというところを重視いたしておるわけでございます。
  114. 林久美子

    ○林久美子君 今までも巡回指導をしていらっしゃいますね、年に七回から八回ぐらい、海外子女の教育のために。その担当官を中心に巡回指導をされておりますけれども、これとはまた別途の派遣班を派遣していらっしゃるのでしょうか。
  115. 小林敬治

    政府委員(小林敬治君) 今御指摘の巡回指導というのは、文部省の職員一名と、主として都道府県の指導主事の方々をお願いして教育指導面からの巡回指導ということになります。これは九十二校のすべてを対象にいたしておりますので、実際問題としては十年に一回ないしはそれ以上の頻度でしか行かれないという状況にございます。したがって、派遣をされる指導員の能力から見ましても、今までやっていた巡回指導に安全面をも上乗せするということは期待ができないというふうに私ども判断をいたしたわけでございます。
  116. 林久美子

    ○林久美子君 ちょっとわかりにくいんですけれども、もう少し具体的にお願いいたします。
  117. 小林敬治

    政府委員(小林敬治君) 例えて言いますと、国内でも各都道府県あるいは市町村に設置をいたしております指導主事の先生方が実際にその学校現場を訪れて、いろいろな先生方指導上の悩みを聞いたりすることが全国的に行われているわけでございます。海外にあります。そうした教育施設においてもそれに準じたような働きを持つ巡回指導というものが必要だということで、これは以前から行っておるもので、したがいまして、考え方といたしましてはすべての日本人学校を対象とした事業ということになるわけであります。
  118. 林久美子

    ○林久美子君 わかりました。私は、両方ともそれができればいいなとは思います。  それでは、もう一度文部省にお尋ねいたします。  いざというときのインターネットの有効性はもう阪神・淡路大震災においても実証されております。この際、一方通行の通信というよりも双方向の通信が大事でありまして、この安全性の点検、実情把握とか、また在外子女や邦人の安否確認などに、そしてもちろん文部省教育情報の送信に大きく貢献していることはもう周知のとおりであります。今回、各地の日本人学校におけるホームページの開設状況はどうなっておりますでしょうか。
  119. 小林敬治

    政府委員(小林敬治君) 私どもとしては、平成八年度から海外日本人学校等の情報ネットワーク化事業を進めてきておりまして、今年度中に希望するすべての日本人学校七十五校をインターネットで結ぼうということになっております。  それから、補習授業校につきましては、来年度になりますけれども、児童生徒百人以上のすべての、いわば大規模校でございますが三十九校を整備したい。その後も現地の意向を確認の上、その他の補習授業校についても拡大をしていく予定になってございます。
  120. 林久美子

    ○林久美子君 ありがとうございます。  授業料など、日本人学校における父兄の負担が非常に高いと聞きます。もう悲鳴を上げているところもありますけれども、一方当該国からの援助によって低く抑えられているところもあると聞いております。国内であれば義務教育の無償という憲法二十六条で保障されておりますが、この憲法の適用が及ばない海外においてでありますけれども、父兄負担の軽減措置を講ずることができないのか。これは、私は海外にお友達がいるものでいろいろ苦情を聞くんですけれども、高いところでは中国の広州なんかは月額六万五千円かかるそうです。そしてまた、平均では月額で小学校が二万四千円、中学は二万五千円。ぜひ、この点に関して日本人学校の経費の問題をお願いいたします。
  121. 小林敬治

    政府委員(小林敬治君) この経費的な面からの支援というのは私どもと外務省と両省でやっておるわけでございますが、私ども文部省としては、一つは派遣教員、これは教育をやります場合に最も大きなシェアを占める人件費を節約するという効果があるわけでございますが、派遣教員を毎年派遣いたしておりまして、大体全体の海外にいる先生方の約八割以上が派遣教員で占められているわけでございます。  それから、教科書もこれを買い上げまして無償で配付をいたしております。したがって、国内と同様な状況になっておるわけであります。  それからもう一つ、国内基準に準じた教材の整備のための補助を行っておるわけでございまして、こうしたことを通じて海外における教育施設の負担を軽くしていくというふうに考えておるわけでございます。
  122. 林久美子

    ○林久美子君 本当に日本は経済大国でありまして、海外にいる日本人学校人たちの父兄に対する軽減というのはぜひもう少し考慮してあげていただきたいと思っております。  ところで、今に続くんですけれども、日本国内における諸外国の教育機関に対する我が国の支援はあるのか。ギブ・アンド・テークではないかと思うんですね。日本人学校の当該国に対する要望は、えてして諸外国の教育機関の日本国に対する要望と似通っていると思われますけれども、実情はどうなっているんでしょうか。
  123. 林田英樹

    政府委員(林田英樹君) 日本国内にございます諸外国の教育機関ということでございますけれども、国内にございます在日外国人の子供さんたちを対象といたしました外国人学校は、現在そのほとんどが都道府県知事の認可による各種学校として運営されているという実情でございます。  各種学校につきましては、教育内容についての法令上の特段の制限はございませんで、それぞれの設置なさった方々によります自主的な運営が行われているということでございます。  このような学校に対しまして、都道府県などの地方自治体の中にはそれぞれの御判断で外国人学校に対する助成が行われている例もあるとは聞いておりますけれども、国としての助成を行っているわけではございません。  ちなみに、平成八年五月一日現在の学校基本調査によります外国人学校の数は百三十五となっておりまして、それぞれに在籍している児童生徒の数は二万九千九百二十一名ということになってございます。
  124. 林久美子

    ○林久美子君 この中で、どういう国の学校が含まれておりますでしょうか。
  125. 林田英樹

    政府委員(林田英樹君) ただいま直ちにデータが出てまいりませんけれども、いろいろなケースがございまして、それぞれの出身者がどういうところからお見えになっているかということによって、どこの国のというふうに言いにくいところがございますが、主としてどういう分類にされるかというのを私どもなりに整理したものを申し上げます。  実は、先ほど申しましたのが平成八年五月一日現在の数字でございますが、ここにございます内訳はその一年前の平成七年五月一日現在のものでございますので、それをちょっと御紹介いたしたいと思いますけれども、主としていわゆる韓国・朝鮮系の方々のいらっしゃる学校が百一校、それからいわゆるインターナショナルスクールと呼ばれるものが十八校、それからアメリカンスクールと言われるものが二校、その他十八校、合わせて百三十八校というふうに承知をしております。
  126. 林久美子

    ○林久美子君 どうもありがとうございました。  また、国際化の時代において、国連機関において各国の在外子女の教育についての話し合いがどう進められているのか。  例えば、これは提言なんですけれども、各国の在外子女を一堂に集めて教育する。もちろん、希望によっては教室をそれぞれ別にして行えるような、各国が国連学校を設置するなどの方策はないのでしょうか。
  127. 林田英樹

    政府委員(林田英樹君) 私の承知しております限りでは、特に国連機関におきまして御指摘のような議論があったとは承知をしていないわけでございますが、若干、国際的な場で今のようなことが行われている例といたしましては、例えばニューヨークにございます、主として国連機関の職員や各国の政府代表部勤務者の子弟を対象として設立されました国連国際学校と呼ばれるものが設置されている例を聞いておりますけれども、この学校は国連の機関ということではございませんで、先ほど申しましたように、国連の勤務者などが自主的に創設した国連とは独自の私立の教育機関であると聞いております。  また、その他、欧州の六カ国に欧州共同体の職員の子女を対象とした欧州学校、ヨーロピアンスクールが設置をされておるというふうに聞いてございますが、これにつきましては加盟国の政府が共同で管理しているわけでございますけれども、これは欧州共同体の形成という動きの中で必要となった特別な背景によるものではないかというふうに理解をしております。
  128. 林久美子

    ○林久美子君 これから本当に国際化が進みまして、教育もそういう面で国連が関与していけるような、そういう学校ができるようになったら、私はやっぱり夢として、全世界の子供たち、またそういう関連の人たちが集まって一つ教育できるようなところができたらいいという希望を持っております。  それでは最後に、これは後からするかどうか考えていたのですけれども、現地採用教員文部省派遣教員の給与の格差は実態的にはどうなっているんでしょうか。
  129. 小林敬治

    政府委員(小林敬治君) 細かい数字的なものはちょっと用意していないのでございますけれども、派遣教員の場合の給与というのは国内と同じでございます。現地採用教員の場合には、多分現地通貨で雇用されておりますこともあり、想像するのに国内から派遣された先生方よりはかなり低いのではないかなというふうに思っております。
  130. 林久美子

    ○林久美子君 大体私も伺っているんですけれども、やはりそのバランスというのは、本当に現地の人にとっても非常にいろんな思いをしていらっしゃいます、私は現地の方から聞いている話なんですけれども。そういう意味で、日本からもぜひ協力をしていただきたい、そういう思いはありますので、よろしくお願いいたします。
  131. 小林敬治

    政府委員(小林敬治君) きょうは外務省からもお見えのようでございますが、この点につきましては外務省の方から補助金が出ておりますし、それから雇用するか否か、雇用する場合にどのような条件になるかということは現地の学校の設置者が判断をいたしておるわけでございます。そういったことについて財政面からの援助をして、少しでも望ましい条件で現地の方々先生に迎えようということはやっておるわけでございます。
  132. 林久美子

    ○林久美子君 どうもありがとうございました。これで終わります。
  133. 山下栄一

    山下栄一君 平成会の山下でございます。  きょうは、三つお聞きしたいことがあるんですが、まず最初に、去年の十一月の決算委員会で、もう時間が限られておりましたけれども取り上げさせていただいた問題で、覚せい剤を中心とする薬物汚染の問題について、特に大臣のお考え、それから文部省の取り組みをお聞きしたいと思います。  ことし一月になりましてからこの取り組みは大幅に強化されたわけでございまして、総理大臣みずからこの問題の対策本部長となられた。これに関する取り組みは、昭和四十五年から官房長官を本部長とする体制があったわけでございますが、格上げされた。担当する部局も変わったようでございますけれども、その割に具体的取り組みにちょっと問題点があるのではないかという認識を持っております。  それはどこからくるのかなということで、まず第一に、深刻さの認識がやっぱりまだまだ甘いのではないのかというふうなことを感じております。  小学六年生が覚せい剤を小学生の家で、これは千葉県の方であったという去年の二月の話でございますが、低年齢化と広がりがまたすごいというふうなことをいろいろ思っておりまして、警察が検挙した数もすさまじいわけですけれども、そんなのはもう氷山の一角であろう。大人が知らない間に、教師も親も知らない間に現実はどんどん進んでいっているのではないのかという認識がございまして、この辺の事態の深刻さの御認識を、特に大臣は常にお持ちだと思いますけれども、改めてお伺いしたいと思います。
  134. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 児童生徒の薬物乱用の実態は、御指摘のとおり極めて憂慮すべき状況にあります。特に、高校生が平成七年度から平成八年度にかけて約二・三倍に覚せい剤乱用によって補導されております。  こうした状況を踏まえて、今お話しのとおり、総理大臣を本部長とする薬物乱用対策推進本部を設置しまして、文部大臣もその副本部長として取り組んでいるところですが、最近この薬物乱用が激増している背景というのはさまざまございます。特に、社会的にそういう薬物が入手しやすいというような条件ができておりますし、また児童生徒の自制心といいますか、そういうものの欠如というようなさまざまな要因が複雑に絡み合ってこういう事態になっていると思います。  これはもちろん、文部大臣としても全力を尽くしますが、関係省庁とも緊密な連携をとって何とか食いとめたい、こう考えております。
  135. 山下栄一

    山下栄一君 今高校生が大変ふえているというお話がございましたが、もうちょっと具体的に、広がりの認識なんですけれども、要するに、未成年といいますか二十以前の少年で検挙されたのは、すべての県で検挙されている。この中には高校生とか中学生じゃない、例えば十六歳の専門学校生とか、つい最近まで高校生であったとか、そういう麻薬の前にシンナーとか、いろいろな形で退学された直後に捕まったとか、そのときはもう高校生じゃないとか、そういうことも含めますと物すごい数になると思うんです。  その辺の広がりぐあいをやっぱり認識しておかないと、これは単に首都圏とかそういうだけじゃない、これすべての県ですからね。そういう認識が大事なんではないかと思うんです。この辺の、例えば高校生の全国分布とか、そういうのは文部省で掌握されているんでしょうか。
  136. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 各県の補導状況というものについては、文部省は把握しておりません。
  137. 山下栄一

    山下栄一君 特に、大臣にこの辺の認識はやっぱり持っていただかないと。  これは警察庁からいただいた資料によりますと、全県全部、これは人数書いてあるわけです。例えば、北海道二名、東北は宮城県五名、高校生で覚せい剤を所持し、使用し、売買して検挙された人数でございます。本当に一部だと思います。仲間でどんどん売られているわけですからね、子供たちの世界で。東京四十八人、埼玉県四十九人、神奈川県二十一人、長野県でも二人、静岡県でも十八人、中国では島根県それから広島県とか、佐賀県でも四名とか、こういう広がりなんですよ。  この検挙された、これは平成八年の数ですけれども、それは高校生が四十七都道府県のうち二十三県、中学生は別にまたあるわけですけれども、それが先ほど申した未成年でいうとこれは物すごい数になるわけです。例えば、静岡県九十一とか、それから香川県でも十人とか、熊本県でも十二名とか、埼玉県は百六十二名とか、こういう数になってくるわけですよ。これは高校生には入っていないような、先ほど申し上げた専門学校生も入っているし、それからやめたばかりの高校生も入っている、元高校生とかいう形で新聞記事には書いてありますけれども。これはもうすべての県です。二十以下、少年ですよ。  もうこれが、大臣もおっしゃいましたように、平成六年に高校生四十一人だったのが七年には九十二名、八年には二百十四名と倍々とふえていっている。この広がりがすべての県に行き渡っているということは、それはもうそのすそ野には物すごいものがあるというふうに思うわけです。小学生までもいっている。この深刻さは、去年の総理府の世論調査でもアンケートに答えられた九六%の方が大変深刻であるということで、もう大人が感じているわけです。ところが、学校現場の先生はそこまでいっていないんじゃないのかなということが私は非常に心配でございます。  それで、背景に抵抗感、そういう認識が弱くなっているという大臣の御指摘がございましたけれども、なぜ子供たちが覚せい剤を使用しながら認識が甘いのかという、その背景をもうちょっと突っ込まなきゃいかぬと思うのです。なぜ認識が、抵抗感がない、薄くなっているのかという、この点は大臣どうお考えでしょうか。
  138. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 近年の子供たち傾向といたしまして、やはり社会規範というものに対する規範意識というのがやや薄れているという傾向がございますし、また遊び心で薬物を乱用する、あるいは薬物の怖さというものについて無知である、知識が足らないといったようなこともございます。  そういった意味では、社会の状況というものが子供たちに影響を与えている面というのは否定できないわけでございまして、我々大人たち子供たちの克己心なりあるいは耐える心なりを育てる、そしてさらによりよい豊かな心というものが育っていくような努力を重ねていかなければならないと思っておるところでございます。
  139. 山下栄一

    山下栄一君 一つさっき忘れましたけれども、深刻さのもう一つ学校の中での広がりもあるんです。  大臣、特に今認識を共有したいと思うんですけれども、教室が汚染されている。手に入れた場所は、町中とかどこかアウトローの世界で暴力団に捕まったとか、デートクラブとかなんとかということもあるんですけれども学校の中で売買されているわけです。友だち同士で売られているわけです。五千円とか一万円で手に入る。使用するのも、トイレとか踊り場とか学校内ですからね。校内で売買され、校内で使用している。  使用の仕方も覚せい剤を打つとかいう感覚じゃないんですよ。まして覚せい剤という言葉なんて使われておりません。覚せい剤という認識がないんです。集中力が高まるとか、すっきりするとか、ダイエットに効くとか、そういう情報が雑誌とかファンシーショップとかいうところで、そういうもので売られているものもあるわけです。だから、覚せい剤を使用している感覚はないわけです。  先ほど体育局長、無知とおっしゃいましたけれども、覚せい剤を自分は使用しているんじゃなくて、エスとかスピードとか、そういう言葉でそのものは子供たちの世界では認識されている。それを使用すると話しやすくなるし、勉強の疲れがとれるとか、集中力が出るとか、そういうことなんですよ。  合法ドラッグという、これはとんでもない言葉ですが、こういう言葉大臣御存じでしょうか。
  140. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 知らないです。
  141. 山下栄一

    山下栄一君 合法ドラッグです。これはもう間違った言葉、この間違った言葉が普通の有力紙に載っているわけです。さきおとといの毎日新聞に載っていましたけれども、間違った言葉だと僕は思う。合法ドラッグという言葉で使われているんですけれども、この実態について厚生省お願いしたいと思います。
  142. 藤井基之

    説明員(藤井基之君) 今先生が御指摘になられましたいわゆる合法ドラッグとでも申しますか、こういう薬物といいますか、先生がおっしゃるとおり、ドラッグという言葉は本来麻薬等を称しますので、それが合法というのは、本来そういう言葉というのはあり得ないと私どもも認識をしております。  ただ、いわゆる法規制のある意味で網を抜け得る薬物という意味でしょうか、そういった意味で使われておって、一部でそういったものが売られておるというふうに聞いております。これにつきましては、法的にはこれらを取り締まる法律としまして、例えば薬事法という正規の薬を取り締まる法律がございます。  例えば、この法律の対象になるかどうかということについては、その合法ドラッグと称されておるものがどのような成分が実際に含まれているかどうかということ、あるいはどのような適応症といいますか、効能効果といいますか、何に効くとかどういう効能効果をうたうことによって販売しているか、そのようなことから判断されるわけでございます。  御案内のように、これらの合法ドラッグの中におきましては、一部麻黄というような医薬品の成分として当然使われるものが含まれておるとか、あるいは医薬品的な効能をうたっている、こういったものにつきましては、無許可の医薬品の販売ということで薬事法の規制対象となってまいります。  先生御紹介ありましたが、昨年このような問題が新聞等でも報じられたときがございまして、その際アメリカでいわゆる合法ドラッグだということで、この言葉も非常に響きがいいのか悪いのかあれでございますが、ハーバルエクスタシーというような商品名をもちまして売られている問題が指摘されたことがございます。これらは形式的に見ますと、薬かその種の健康食品かぎりぎりのようなものでございます。これらにつきまして、私ども東京都の協力を得まして、その種の商品を実際に買いましてその成分等の分析等を行っております。その際の鑑識の結果によりましては、言われておるいわゆる医薬品の成分というものは実際には含まれていないようでございました。  しかし、これらの販売の形というものが、医薬品的な効果とか、あるいはそれに付随する何らかの効果を疑わせるようなそういったような売り方をしているということでございまして、これにつきましては今までもやっておりましたが、警察とか都道府県を通じて対応しているのに加えまして、薬事法で法に触れるかどうか微妙なところにつきましても、それらの商品の販売については、あるいは広告についてはその指導の適正を期すべく、取り締まりあるいは指導というものを今後とも引き続きやっていきたいというふうに考えております。
  143. 山下栄一

    山下栄一君 ぜひ、薬物乱用対策本部でしたか、この四月にされるとお聞きしておりますが、これを話題にしていただきまして、それまでにも部会がたしか二つに分かれてやると聞いておりますけれども、まず実態をちょっと、特に合法ドラッグにつきましては政府の対策本部で検討議題にしていただきたいなと思っております。  これが違法か、要するにドラッグイコール麻薬という、ドラッグまがい、覚せい剤まがい、その扱い方も覚せい剤と同じような使用方法で服用するとか、そういう形で売られているわけです。食品という形だけれども、実際は見てみたら錠剤になっておるわけです。十粒で一万円とかになっているわけですね。ところが効能書き、これは英語で書いてあって輸入品なんですよ。これはハワイの方で売られているのもあるそうなんで、通信販売でも今は手に入る。それから、首都圏なんかではドラッグという名前のついたところで売られている。ファンシーショップでも売られている。そこで、だからもう非常に遊び感覚とかファッション感覚で買うわけです。錠剤になっている。  それで、どんなことが書いてあるかといったら、例えば中には生理痛に効くとか、こんなの違法だということじゃないかと思うんですけれども、生理痛を和らげる、慢性疾患、痛みを鎮静するとか、錠剤の数も、一回に四粒服用してくださいとか、そんな形で書いてある。  ワイルドレタスとかいうようなものにつきましては、片仮名のそういう商品が多いんですけれども、アヘンの代用品として使われた製品で、たばこにしみ込ませたり、蒸発させたものをつけて吸うこともできる製品であるとか、これは全部食品という形で、ムードを盛り上げる媚薬と言われている食品、ストレスが減りリラックスした上で陶酔感に浸れる食品、それで四十ドルとか二十五ドルとか一覧表が全部あって、それが通信販売されている。  こういう実態で、私は、これは放置しておっては薬事法そのものに触れるのではないかもわからぬけれども、これは間違いなくこれが導入となって自然に覚せい剤に入っていくというか、そういうのになっているわけで、そういう実態がある。それが普通の雑誌とかドラッグ本と呼ばれ、本屋さんに行ったら売っていて、そういうところにも書いてあるとか、勉強の後にこれがよく効くとか、そんなことが書いてあるわけですね。そういうふうにして今ずっと蔓延してきている。それが友達同士で話題になって、マックパーティーとかいって、そういうパーティーなんかやって盛り上げるとか、そういうふうに仲間意識を広げていくという形になっているということでございます。  次に、これは厚生省の管轄あるいは警察の管轄かもわかりませんけれども、薬事法についての対応の面で、放置しておっては大変なことになるというふうに思っております。対策本部でもぜひ議題にしていただきたいと思うわけでございます。  それで、きのうも衆議院の方でもお話があったかもわかりませんけれども、先ほど私触れましたように、広がりがすごい。また、その実態調査を、子供たちがエスとかスピードという言葉を知っていますかとかいうのでも結構です。覚せい剤という言葉を知っていますかでも構いませんし、使ったことがありますか、声をかけられたことありますかとか、そういうふうな意識調査をやっておかないと、学校現場の実態がわからないままに対応できないのではないか。  ぜひ私は、文部省として、大臣、先ほども実態がよくわからない部分があるとおっしゃっていましたけれども、やるべきであると、やり方は工夫しなければいけませんが、どうでしょうか、その点は。
  144. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 実態調査の件でございますが、事柄の性質上、児童生徒に直接問わなければならないわけでございます。そういった意味では、児童生徒の発達段階等の問題に十分配慮する必要がございますし、また保護者の理解を得ることも不可欠でございます。  こういったことに加えまして、覚せい剤の所持、保有が違法行為であることから、必ずしも正確な実態把握を期しがたいということもございますし、児童生徒のプライバシーに対して十分に配慮した慎重な対応が求められることなどの問題がございます。そういったことから、実態調査につきましては、関係省庁あるいは関係機関の間で相談しながら慎重に検討をする必要があるというふうに考えておるところでございます。  いずれにいたしましても、各学校においては、薬物乱用というのを自分学校の問題としてとらえて、児童生徒がそういった行為に陥ることがないように、家庭地域連携をとりながらより効果的で、かつ徹底した指導に今後努めていく必要があると考えておるところでございます。
  145. 山下栄一

    山下栄一君 慎重な対応が必要だと思いますけれども、これは何らかの実情をつかむことをしないと有効な手は絶対私は打てないと思います。  これは、先ほど私、現役の高校生が二十三県で、日本の国の半分で検挙されているわけです。来年になったら全県で検挙されるかもわかりません。物すごい勢いでふえているわけですから、のんきなこと言っておったら、僕は文部省の対応について聞きますけれども、これはもうとんちんかんな対応をしてしまう。これはもう絶対、実態把握しないと大変なことになりますよ。  教師自身も、こういうのにかかわりたくないという排除意識が働くんです、おっしゃったようにこれは犯罪につながるわけだから。うちの学校から犯罪を出したくない。問題が起こった学校、逮捕された学校は、全部とは言いませんが、校長とかは、学校が気づいておりませんでしたと、担任から報告を受けておりません、把握しておらないので報告も受けておりませんとか、本当は受けていたかもわからぬけれども、そういう形で、もうとにかくかかわりたくないというふうな対応をしてしまっているわけです。  特別な子供たちがやるものだという印象がまだまだ残っているが、そうじゃない。普通の高校生が巻き込まれていくような実態になってしまっている。高校生だけじゃない、中学生、場合によっては小学生からも違反が出る。アメリカの州ではもう年間百時間以上使って薬物教育をやっているわけですから、そういうことが刻々と迫っているのではないかというふうに私は思うわけでございまして、実態把握の努力は絶対すべきであると思いますので、ぜひ御検討いただきたい。  文部省の取り組み、これは啓発が非常に大事だと思うんですけれども、現在どんな取り組みをされているか簡潔にお答えいただきたい。
  146. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 委員の御指摘、私どもも大変深刻に受けとめております。薬物乱用の及ぼす危険性とか有害性というものに対する認識というものがまだまだ不十分だということは、御指摘のとおりだと思います。  そこで、実態調査というお話がありましたが、これはいわば違法行為をしたかどうかということから警察庁が中心に把握をする以外にないので、仮に教育現場でそういうアンケート調査をやったとしても、今委員が御指摘のように建前論の答えしか出てこない、本当の実態は把握できるかどうか疑わしいということで、我々としては現時点でそういう調査をやる手だてがないというか、いかがなものかという気持ちでおります。  ただ、教員とか生徒さんに対しての意識改革を図るということは大事だと思いますので、平成九年度から小中高の先生方、特に薬物乱用対策の教員を対象とした中央、地方の研修会を実施するとか、あるいは教員のいろんな指導資料の作成とかいうようなことをやっております。  それから、やはりこの対策は社会学校家庭と三位一体といいますか、総合的な取り組みが必要だということで、例えば学校におきまして少年担当の警察官の協力を得ていろいろ講習会をやっていただくとか、あるいは厚生省の麻薬取締官のOBの方々の御協力をいただくとか、そういった形で薬物の恐ろしさとか体への影響ということについて実際に即して児童生徒にわかりやすく理解させる、そういう努力を続けていきたいと思っております。
  147. 山下栄一

    山下栄一君 正しい認識を持つ啓発活動教育、これが非常に大事だと思います。  それで、体育局中心に薬物乱用防止教育、来年度予算一億ちょっとですね、これ以外にもあるのかもわかりませんけれども。例えば、今研修会とおっしゃいました。私は、ありとあらゆる中央研修、教育長、校長先生生徒指導担当、養護教諭、その他学校医、いろんな文部省主催の中央研修があると思うんです。その講師をだれにするかということは物すごく大事だ。これが中途半端なことをやると、実態がまたわからぬままに過ぎていく。指導者側の意識を変革せにゃいかぬわけですから、どういう講師を考えられているかということを具体的に教えていただきたいと思います。
  148. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) この研修というのは教職員を対象とするもので、やはり教職員自体が薬物乱用の危険性あるいは有害性というもの、あるいは再三御指摘のございますすそ野の広がり、したがって、それが他校の問題ではなくて自分学校子供の問題であるということについてきちんとした認識を持って対処していただくことが、今後ますます必要になってくるわけでございます。  そういった観点から見れば、やはり麻薬の恐ろしさや体への影響等について実際に即して理解をしていくということが極めて大切でございます。そういった観点に立って、研修会の講師といたしましては、少年担当の警察官やあるいは麻薬取締官OB等の専門的知識を持った人材の活用を考えていく必要があると思っております。  また、警察の協力を得て実施する麻薬乱用防止教室というのがございますが、これらにつきましても協力連携を図って対処していくということも考えられるのではないかと考えております。
  149. 山下栄一

    山下栄一君 麻薬取締官OBの数は、もう掌握されましたですか。
  150. 藤井基之

    説明員(藤井基之君) 先生指摘の麻薬取締官OBの数でございますが、私どもの方で退任しましたOBのうち実際にこのような啓発活動に従事し得る人間のリストを今鋭意つくっておりまして、その数は約百名になろうかと思っております。
  151. 山下栄一

    山下栄一君 現場までなかなか百人では難しい面もあると思います。というのは、それは大事な実態を第一線で感覚的におわかりになる方だと思うんですけれども、例えば警察の関係の方とか厚生省の管轄の麻薬取締官、こういう取り締まり感覚の方々も大事だと思うんですが、一回やると繰り返し、捕まっても出てきたらまたやるというものですから、その治療、リハビリに携わっておられる医療関係者、その他職員の方、精神科医、そういう方々は、具体的にそういう生々しい子供たちに接したとか青年に接したとか、そういう治療の観点、リハビリの観点から大変なことなんですよという観点からの話も非常に大事なのではないか。  取り締まりの観点ではなくて、健康教育観点からの講師の人選もぜひお取り組みいただきたい。治療、リハビリの施設が非常に少ないそうですけれども、行政の取り組みも非常に、とにかく少年院か刑務所に入れたらいいというのじゃなくて、出てきたらまたやるわけですから、治療、リハビリに非常に時間がかかるし、その専門家の養成も非常に大事であろうと思うわけでございます。  時間の都合でちょっと急ぎますけれども、次は現場の先生方の教材なんですけれども、日本学校保健会というところが、文部省からの全額補助金七百万で平成六年、七年、八年、それぞれ中学生、高校生、小学生と改訂版をつくっているわけです。ところが、私、これは物すごく問題があるというふうに思っております。  ちょっとお借りしたものでございますけれども、これは昭和六十年の初めにも一回つくっているんですね。「喫煙・飲酒・薬物乱用防止に関する保健指導の手引」です。教員用でございまして、全額税金で無料で渡しております。何でこれを民間法人でやるのかなという非常に疑問があるんですが、時間がございませんのでこれはちょっと省きます。  それで、前の方が私はよかったと思うんです。これを見たら、喫煙、飲酒、薬物なんですが、薬物というのは何かというと、シンナー中心なんです。平成八年三月の発刊で、高校教員に配られているんです、一学校に二冊。小学校段階のものがもうすぐできるそうですけれども。ところが、高校生、中学生の教師用の指導の手引の中身の薬物というのは、広い意味ではニコチンもアルコールも薬物、そういう感覚ですけれども、薬物というのはほとんど資料がシンナーなんです。もちろんシンナーも覚せい剤の動因になるわけですけれども、ほとんどこれには覚せい剤のことは書いていないんです。十年前のものは、昭和六十年の初めのものははっきりと中学一年段階でシンナー、中学二年段階で覚せい剤、中学三年段階で大麻、それぞれ指導例を挙げて具体的に書いてあるわけです。  ところが、新しい改訂版はほとんどシンナーなんですよ、資料も。これは物すごく問題があるんです。この資料のデータも一九八〇年とか、そんなの何で使うのかなと思いますが、古いものも大分入っているんです。これを民間法人でつくらせて、それは民間法人といっても文部省指導しているわけですけれども、僕はこれは古くて役に立たないと思う。こんなの配ったって、こんなので意識変わらないと思います。これで意識を変える決定打にせにゃいかぬわけですからね。  これは全然だめだと思っておりますので、御検討をお願いしたい。体育局長、中身を検討してください。これは私はもう役に立たないと思っております。検討を約束していただけますか。
  152. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 御意見を承りまして、今後の課題として検討させていただきます。
  153. 山下栄一

    山下栄一君 これは平成元年の指導要領改訂で中学、高校の保健体育の中にこの教育をやっていこうということでうたわれているんですけれども、現場の先生方はそんな意識がないままにやっているわけでございまして、こんな指導資料を使っているのだから。使っているかどうかも非常に疑問です、学校に二冊しかないわけですから、それはコピーしたらいいというものかもわかりませんけれども。  それから、先ほど大臣は他省庁との連携とおっしゃいましたけれども、実際これは厚生省も警察もどんどん学校現場と連携しながらやっているわけですが、短時間にちょっとそれぞれお答えいただけますか。
  154. 藤井基之

    説明員(藤井基之君) それでは、簡単に御説明させていただきたいと思います。  特に、学校教育連携いたしました啓発活動としましては、私ども薬物乱用防止を目的としまして、昭和六十二年に閣議の口頭了解を受けて設立されました財団法人の麻薬・覚せい剤乱用防止センターと協力いたしまして、特に薬物乱用防止キャラバンカーというふうに我々は称しておりますが、大型バスの内部を改装いたしまして、映像コーナーとか展示コーナー等を設けまして薬物乱用の弊害を実際に視聴覚に訴えて指導する、そういったキャラバンカー、これを特に学校側の要請を受けまして運行いたしております。  本年度におきましては、関東エリアを中心にしまして小学校が十二校、中学校では五十九校、高校では十六校ということで、一昨年と比べまして非常に多くの学校からの要請を受けておりまして、それにこたえるようにしております。  また、同センターで作成しました中学生、高校生向けの薬物乱用防止のための副読本二十五万部を都道府県を通じまして学校へも配付するほか、同センターの作成しました中高生向けのビデオの提供等の活動をしております。  それから、先ほど文部大臣からも御紹介ございましたが、我々としましては、今後文部省当局等と協力いたしまして、麻薬取締官OBの啓発に対する活用につきましてできるだけの御協力をしていきたいと考えております。
  155. 山下栄一

    山下栄一君 警察は。簡単に二分ぐらいで、防止教育とパンフだけでよろしい。二つだけ。
  156. 勝浦敏行

    説明員(勝浦敏行君) それでは、警察と学校との連携の具体的な取り組みを二点申し上げたいと思います。  一点目が薬物乱用防止教室の開催でございます。  この薬物乱用防止教室につきましては、最近の少年の薬物乱用の急増ぶりを踏まえまして力を入れているところでありますが、昨年は全国で約二千回、八十一万人の児童生徒を対象に実施いたしております。今後とも、引き続き積極的に開催してまいりたいと考えております。  それから、県によりましては、教育委員会等を通じまして学校先生方あるいは児童、生徒方々に薬物の危険性、有害性についてわかりやすく解説をしたチラシあるいはパンフレットなどを配付しているところもございます。
  157. 山下栄一

    山下栄一君 大臣、ぜひお知りおき願いたいと思うんですけれども、例えば来年度予算文部省は中学、高校生用パンフレットの作成、学校当たり一学級分ということで三千五百万円計上しているんですね。ところが、こういう麻薬、覚せい剤薬物乱用に関するパンフレットは、今お話がありましたように警察も配っているわけです。それも教育委員会を通してやっているわけですよ。厚生省もやっているわけです。総理府もやっているわけです。総務庁もやっているわけです。それぞればらばらにパンフレットをどんどんやっているわけです。現場では何をしているのかなと思うと僕は思うんです。職員室に積んだままとか教育委員会に積んだままとか、こんな実態になっているわけです。  ビデオなんかも今度つくるということで四千六百万円。ビデオも、麻薬・覚せい剤乱用防止センター、厚生省、警察庁共管のこういう業者があるんですけれども、そこで中学生向け、高校生向けをいっぱいつくっているんです。私は行ってきました。それをもっと初めから、製作から始まるんです、文部省予算、既にあるのを見ていいのを買ったらいいんじゃないかなと僕は思うんです。  いずれにいたしましても、この啓発活動部門を一本化して、せっかく内閣に対策本部があるわけですから、それが本当の連携だと思うんですよ。それぞれが予算を組んで現場にお構いなしにどんどんやっていたんじゃ、これはもう麻痺してしまう、信頼感をなくしてしまうというように思うわけです。  それから、そういうことを手始めとしまして、この指導教材もそうですし、今申し上げた啓発の武器も、いろいろ考えているんだけれども本当に機能していないという実態があるわけです。  それで、例えば今、警察の方で薬物乱用防止教室というのを、延べだと思います、同じ学校で何回もやっているところがあると思いますので、六年生一回とか、例えば中学一年用とか二年用とか、二千回と言うけれども学校では数%しかやっていないんです。  何でかというと、うちの学校は警察官が来て薬物問題を抱えた学校と思われたくない。だから、そういう教室の件があったかて、それはもうよろしいとこう言ってます。他校より早く開くと問題があると勘ぐられてしまうとか、それが現場の校長先生の感覚なんです。だから警察も、そういうことをしょっちゅうやっておられる方が行って薬物乱用防止教室をやったところで、開催を呼びかけても、これはなかなかいろいろ難しい問題もあるわけです。  そういう実態もよくわかった上で、講師をだれにするかとかということも具体的にやっていかないと本当の啓発にならないのではないか、このように思います。来年度一億円かけているけれども、これは本当に実効性がどれだけあるのかなというふうなことを感じておりますので、この点ちょっと大臣
  158. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 確かに、資料を見せていただきましたけれども、使っている資料はちょっと古いですね。私は、やっぱり縦割りじゃいけないんで、こういう教育用の資料、パンフレットあるいはビデオテープ、それはやはり厚生省なら厚生省の資料というものをもっと有効に活用するということが必要だと思いますので、両方ともいわゆる公益法人がやっているようですけれども、少なくともそこら辺の連携はよくとってやっていくようにしたいと思っております。  学校現場におきましては、文部省が責任を持って一番いい資料を、パンフレットを、そしてビデオを活用するように私からもよく徹底したいと思います。  ただし、同じ資料でも学校現場用とまた社会一般にまくのとは用途が違いますので、少なくとも学校現場で配付する資料につきましては、私は周知を徹底して、これは警察庁も厚生省も総理府もみんな携わっているわけですから、最新で一番的確な資料をより使うように督励したいと思っております。
  159. 山下栄一

    山下栄一君 啓発教育の重要性は幾ら強調してもし過ぎることはないというように思うわけです。  今までの、これは昭和四十五年から取り組まれて、毎年実施要綱を考えていっぱい文書はあるんですけれども、全然これは形式的で機能していないというのが実態であるというふうに思いますので、これは意識改革のために見直しをする必要があるということをぜひ対策本部で御検討をお願いしたいというふうに思います。  それで、現場の先生方の意識は、犯罪につながるからかかわりたくない、こういう意識が強くて、まだまだ一部の生徒の問題だというような認識があるわけです。もうすべての学校に広がるのも時間の問題と言うと言い過ぎかもわかりませんけれども、それほど大変な勢いであるということを御認識いただいて、犯罪とかかわりたくないんだったら、健康教育観点からしっかり正しい知識子供たちに教えていくということを、発達段階に応じた小中高の薬物、特に覚せい剤、麻薬、大麻等の防止教育のカリキュラムといいますか、そういうことをも含めて文部省としての、単にパンフレットの問題ではなくて、取り組みをお願いしたいと思います。  ちょっと時間がなくなってしまいましたけれども、きょう午前中も小野先生からお話がございました大学入試センターの試験の件ですけれども、私は、入試センターというのは国立学校設置法で設置されたもので、まさに国家機関である。行政機関によって十万人の浪人生が泣かされた。もっと厳しく言えば、人生を狂わされてしまったというふうな、これはもうすぐ有権者になる浪人生だちに大変な行政のミスでたくさんの子供たちが泣いているという、もうすぐ成人を迎える子供たちの政治不信、行政不信につながりかねない。このセンター試験は税金でやっているわけですから、行政のミスであるということをお認めになりますか。
  160. 雨宮忠

    政府委員(雨宮忠君) 今回の大学入試センター試験の実施につきましてさまざまな問題を生じたというのは、午前中以来の御論議で出てきたところでございます。直すべきところは直し、改善すべき点は改善していかなければならないというように考えておるわけでございます。  センターといたしましても、事柄と申しますか事態につきまして大変深刻に考えておるところでございまして、ぜひ今後改善すべき事柄であるというようにセンターとしても認識しておるというように私ども理解しておるところでございます。
  161. 山下栄一

    山下栄一君 いや、責任を認めるか認めないかです。
  162. 雨宮忠

    政府委員(雨宮忠君) 入試センターの責任云々でございますけれども大学入試センターといたしましては、せっかくここまで七回にわたって入試センターというものが関係方面に大変貴重なものである、重要な役割を果たしてきているということで好評をもって迎えられてきたわけでございまして、その信頼感というものを回復するということ、またセンター自体の信用もございますし、センター試験の信頼度というものもあるわけでございます。それを回復することがまず責任のとり方である、こういうように私ども理解しておるわけでございます。
  163. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) 山下さん、時間がなくなりましたのでまとめてください。
  164. 山下栄一

    山下栄一君 はい、わかりました。  責任のとり方ということは責任を認めるということだと思うんですが、なぜこういうことが起こったのかという理由を調査検討しているという午前中の答弁がございましたけれども、検討した結果を公表されるのかどうかも含めて、最後に確認したいと思います。
  165. 雨宮忠

    政府委員(雨宮忠君) 大学入試センターといたしましては、今回のミスもございましたし、また結果的に不適切な状況を生じたことについて十分検討しておるところでございます。  その結果につきましてどういう形で公表するか。例えば、来年にどうするのかということがたちまち出てくるわけでございますので、分析結果と申しますか、それにつきましては何らかの形で公表されるべきものというように考えております。
  166. 山下栄一

    山下栄一君 終わります。
  167. 山本正和

    ○山本正和君 きょうは少し変わった角度から大臣見解をお聞きしたいと思っておるんですが、私は、実は昭和二十四年に新制高等学校ができたばかりのときの高等学校の化学の教員をやっておったんです。その昭和二十四年に教えたちょうど一番上が昭和六年生まれですから随分古い人を教えたんですけれども、そのときに、実は新制高等学校ができたばかりのものだから教科書がなかったんです。初めの半年間、化学を教えるのに教科書なしで私は教えたんです。  それで、化学というのはどうやって教えたらいいか自分で考えたら、物質の変化だろうと。物質の変化ということをどう教えたらいいかと自分で考えて、ガリ版切って教科書つくって、それから戦争に負けた後ですから実験室にも余り試薬もたくさんそろっていません。あり合わせのもので教えた。  そうしたら、半年たったら高等学校の新しい教科書ができまして来たんです。それから教えた。そうしたら、先生教科書で教わるとおもしろくないとこう言うんですよ。ちっともおもしろくないと。あんたが初め教科書なしでガリ版で教えてくれたときの方が化学がおもしろかったと。  私は、何を教えておったかといいましたら、ちょうど海岸ですから、海の水と井戸の水とどう違うかというやつ。蒸発したら塩が残るわけですね、白く。そうすると、この塩が実験室にある食塩とどう違うかというのをバーナーで火をつけてみせて、いろんなことから自分で考えて教えた。  そのときの教えた子が昭和六年生まれですから、今幾つになりますか、大変な年です。そして、今度は進学校に行って、私が教えた子がもう三年ほど前に本省の審議官で退官しましたけれども、いろんなのを教えたんです、ピンからキリまで、ようできる子もようできぬ子も。  だけれども、実はこの前の文部大臣の所信をお聞きして、待てよと。今学校でどういうふうな状況になっているかというのを自分でも調べようと思って、学習指導要領をちょっと引っ張り出してみた。そうしたら、ここに小学校と中学校学習指導要領を持ってきたんですけれども、まず私が思ったのは、私は高校教師ですから、この中学校の理科をよう教えるかしらんと思った。それぐらい内容がかなり高度になっています。その当時高等学校で教えた程度のものがこれにはもう入っているんですね、中学校で。そうすると、今の中学生がこれ理解できるかしらんと、とこに書いてあるのがね。例えば、原子、分子という言葉はわかるでしょう。それが一体なぜそういうふうに組み合わされるのかという問題なんかまで含めたことを教えなきゃいけないわけですからね。  そうすると、一体、学習指導要領を国が示すということはどういう位置づけであるか。これは私は、日本の国民が世界で一番誇っていいのは識字率が世界で最高です。アメリカは一四%ぐらいの人が文字が書けないですね。これは大変なものです、日本の教育の成果は。  それから、学習指導要領の中にも、先ほど田村先生からもお話があったんですけれども、実は日本の国の誇るべきことがたくさん書いてあります。我々はもっと自慢していいよと、日本人として。私は、戦争に負けて二年間中国の国民政府に留用されておったものですから、昭和二十二年に帰ってきました。そうしたら、佐世保に上陸して、こんなすばらしい国はないとつくづく思った。こんなにきれいな美しい国はないと。そしてそのときに、やっぱりこれからは戦争をしない平和な国をつくろうということで、私はそういうふうに子供たちにもいろいろな話をしてきたし、日本人としての誇りはぜひ持てということを言ってきたつもりなんです。そういう趣旨もこの中にはちゃんとあるんですね、学習指導要領に。なかなかよくできているんです。  しかし、こんなにたくさん教えていいかしらんと。孫が今、中学三年生なんです。おまえわかるかいと言ったら、さっぱりわからぬと言うんです。わかろうと思ったら塾へ行って、もうしゃにむに詰め込みをやらぬと高等学校の試験には合格できないんですよ。  そんなこれに書いてあることを、局長は頭がいい人ばかりなっておるはずなんだけれども、よう教えますか、子供にこれ、学習指導要領。数学から英語から理科から。中学校は義務教育ですよ。局長級の人たちでもよう教えぬことを中学校の三年生にみんな教えなきゃいけない。こういうことで今の子供たちが伸び伸びと生きるだろうか。  しかもこんな、正直言って、わけのわからぬとは言いませんよ、難しいことを勉強しなければいけないといって塾に追い込まれて、勉強勉強で追いやられて、その子供たちが青春を語ったり、あるいは文学を語ったり  この前もちょっと話したんですけれども、あれデンマークですか、ノルウェーですか、「ソフィーの世界」という本出したですね、中学校で哲学を教える。日本人は哲学というのは難しいと思っているんだけれども、向こうはそうじゃないんですよ。考えることが哲学ですから、考えることを教わるということを中学校でちゃんとやっておるんです。  我が国の教育が正直言って知育では世界に冠たる内容を持って、文部省がこれを示して、それを国の最低基準として示してもいいんですけれども、ちょっと無理がありはせぬかという感じが私はしてならないんです。  ただ、そうはいっても、私の教えた子が教員をしておりますし、そうすると学習指導要領の話になると、英語の教員は一週間に一時間の授業を減らすと言ったら大騒動になった。絶対反対ですね、もう自分の持っている時間を減らしたらかなわぬと。数学もそうです。ところが、そんなことをやって今日の学習指導要領が私はできているのに影響していると思うんです、そういういろいろな主張が。しかし、それを一遍取り払って、文部省として、国民の教育を守っていく役所の責任として、本当に子供たちにとって何が最低必要なんだろうかということを定めるのが学習指導要領だと私は思うんです。  そういうことからいって非常に問題があると思うので、大臣、その辺のお考えを一遍まずお聞かせ願いたいと思うんです。
  168. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 今おっしゃられたように、社会の変化によって教育内容がどんどん肥大化していく、そして専門化していく傾向があることは否定できないと考えております。  これからの学校教育におきましては、今指摘されたように、指導する側から一方的にこれを教えなきゃいけないというような教育であってはいけないと思います。学習者である子供の側の立場に立って、ゆとりある教育、そして個性とか創造性をはぐくむ、そして自分から積極的に学びたいとか、みずから考える、判断する、そして自分で表現する、そういう能力をはぐぐむ教育へ転換していかなきゃいけない。現行の指導要領もそういう考え方で改定してきたと私は聞いておりますけれども、今後週五日制になりまして、さらに精選をしていかなきゃいけないというときに一層の改善が必要だと思っております。  もう御承知だと思いますが、教育課程審議会に昨年八月諮問をいたしまして以来、幼稚園から高等学校まで、どうしたら学校五日制のもとでゆとりある教育、そして教えられる側の立場も考えた教科内容というものができるか、それを今一生懸命御審議いただいているところでありまして、子供の立場に立った教育内容厳選という視点から検討を進めていきたいと考えております。
  169. 山本正和

    ○山本正和君 ぜひひとつ従来の流れにとらわれずに抜本的な立場で御検討いただきたいと思います。文部省の役人の皆さんも本当は前からこれはだめだということを御承知のはずなんですね、今のこれは余りにも過大だということは。何を切るかというのは非常に難しいんですけれども、本当に今置かれている子供たち自分たちが学びたいという意欲よりも、教え込まなければいけない、だから教えられるんだという中で勉強しているという状況、これを何とか変えるというための学習指導要領という格好でぜひやっていただきたい。  それについては、これは文部省にお願いしたいのは、学校現場で教えている小学校や中学校教員諸君はそれなりにみんな悩みを持っているんです、今これ教えることにですね。それを一体あなたたちどう思うのと、実際に子供たちに教えておって、今の教えている内容というものはこれでいいと思うか、あるいはもっと足りないのか、あるいはこれ要らないのかという意見を、一遍、全国の教職員の実際に教えている立場から、子供たちに触れている立場から意見を聞くというようなことを文部省としておやりいただけないだろうか、こう思うんですが、いかがでございますか。
  170. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 教育課程の充実を図っていくためには、学習指導要領に対する教員の理解と実践に裏づけられた意見というものを踏まえていくことは大事だと思っております。文部省、具体的にはいろんなことをやっているようですけれども、例えば、教員を対象とした教育課程運営改善講座とか、教育課程研究発表大会における発表や研究、協議、あるいは研究指定校における研究など、さまざまな場とか方法によって教育実践に基づいた意見の把握に努めているところでございます。  今、教育課程審議会におきましても、公聴会などで学校現場とかあるいは地域教育委員会、教職員団体、こういった人たちからの意見を直接聞いたり、あるいは教員も含めて一般の意見の募集を行うなど、できるだけ幅広く意見を聞くようにしております。いろいろなそうした御指摘も含めましてさまざまな意見の集約に努めて、その成果を教育課程の改善に役立てたいと思っております。
  171. 山本正和

    ○山本正和君 今までも学習指導要領については、各界の意見をお聞きになっておりますし、また特に学者なんかも随分加わって議論をしていただいているわけです。率直に言いまして、現場の教員調査して、統計学的な調査です、私が言うのは、政策的な調査です、統計学的に調査して、現行学習指導要領に対して教えている者がこれで満足しているのかしていないのか、あるいは問題点を感じているのか感じていないのかという形での本当に統計としての調査、そういうことを一遍やっていただきたいと私は思うのです。  それぞれ皆主張がありますから、人間の主張が、だからその主張という格好で集めると議論になると思いますよ。しかし、現実に今どういう状況でみんながどういうことを考えているかという、数量としての一遍統計をとってもらったらというふうな形で私はぜひしてほしいと思うのですが、その辺はいかがでございますか。
  172. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) 文部省もかつて平成六年の三月に、学校週五日制を中心として、学校教育学校週五日制に関する意識調査ということで、全国の数千名の先生を対象に、その場合には保護者あるいは子供も対象にいたしましたけれども、そういう調査をやった経緯もございますので、ただいまの御提案を含めまして検討させていただきたいというふうに思います。
  173. 山本正和

    ○山本正和君 ぜひひとつよろしくお願いします。  それで、次は私の出身県の三重県というところは山の多いところですが、飯南郡のある中学校が木造の校舎を建てたんです。これは文部省から随分応援してもらいましてかなり立派なものができたんですが、そこに新しい校舎ができた瞬間、瞬間と言ったらおかしいですけれども、その年度から子供たちの空気がぐっと変わるんですね。要するに、今までのもうぼろぼろの、戦争に負けたときにおかしなものを建てたやつに通ったときの子供の姿と、自分たちの山の木が自分たちの学校になっているということで、子供の空気がもう一遍に変わった。これはすばらしいなと思って、実は文部省の方にも全国でどういう傾向ですかということをお聞きしたんですが、ちょっと発表していただけますか。
  174. 小林敬治

    政府委員(小林敬治君) 学校建築に木がどれくらい使われているかという御質問かと思いますが、文部省といたしましては、昭和六十年に「学校施設における木材使用の促進について」という通知を出しまして、その促進を図ってまいりました。その後も、いろんな施策を講じまして、公立学校施設に木材が使われるようにと、もちろん内装のこともございますが、そういった施策をずっととってまいりました。  平成七年度におきましては、木造の学校が六十校整備されております。ただし、六十校というのは全体の中で言いますとほんの三・数%ということで、非常にレベルが低いわけでございます。  また、通知等によりまして、校舎等の内装の本質化も進めてきております。壁でありますとか天井にも木材を使用するといいですよというふうなことを言ってきたわけでございます。ちょっと古い資料でございますが、平成三年度の抽出調査によりますと、普通教室の床仕上げで、木製のフローリングといいますか、ビニールではなくて、これを使用した学校数は七九%に上っているという状況でございます。
  175. 山本正和

    ○山本正和君 これは文部省から昭和六十年ですか、学校施設に積極的に木材を使用するようにと、こういう通知が出されておる。それを受けてそれぞれみんな取り組んだんですが、なかなか普及していかない原因をどういうふうに把握しておられますか。
  176. 小林敬治

    政府委員(小林敬治君) 一つは、戦後ずっと、それまでずっとほとんどが木製であった校舎を改築する際に、近代化イコール鉄筋コンクリートのようなイメージが定着をしてきたというのが非常に大きいんではないかと思います。その一方で、木の持っているすぐれた特性が忘れ去られてきた。その点を何とか再発見したいという気持ちでございます。
  177. 山本正和

    ○山本正和君 これはやっぱり学校を建てるときには国からの助成というか補助でもって建つわけなんで、そういう意味からいえば、少しコストが高くかかるけれども教育の長い効果を考えたら、その辺は特別な配慮をこれからしてもらわなければいけないんじゃないかと思うんですが、そういう方向についてはどうですか。
  178. 小林敬治

    政府委員(小林敬治君) かつて、例えば単価でありますと、鉄筋コンクリートと木造では木造の方が低かったという時代が続きました。これは、ちょっと今はっきり年度は覚えておりませんが、かなり前から同じにいたしました。  それともう一つ基準面積の方でございますが、この九年度におきまして、小中学校で大体一七、八%の見直しを行ったわけでございます。その際に、補正係数という言葉を使いますけれども、これがあるために木造の方が鉄筋コンクリートに比べて広さがとりにくいという面がございました。その点も大幅に修正をいたしましたので、今後、単価、面積ともに木造が鉄筋に比べてつくりにくい、あるいは損をするという感覚を持たなくて済むであろうというふうに思っております。
  179. 山本正和

    ○山本正和君 これは委員長にもお願いしておきたいんですが、木造の校舎ですばらしいところが秋田県等にもかなりできておりますので、一遍ぜひ文教委員会も視察に行っていただきまして、やっぱり日本の国は木の国なんですから、それの風土の中で子供たちが生きるということのすばらしさをみんなで勉強したらというふうに私は思いますので、これは委員長にお願いしておきます。
  180. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) わかりました。
  181. 山本正和

    ○山本正和君 次は、やりばり木造と関係はするんですが、太陽光から電気をもらって、そしてクリーンなエネルギー学校内の電力を補っているというところが幾つかあるようですが、ちょっとその状況をお知らせ願えますか。
  182. 小林敬治

    政府委員(小林敬治君) まず、太陽光発電の関係で申しますと、公立の小中高等学校で現在私どもが把握しておりますのが十五校ございます。最大容量が大体六十キロワット、一番小さいので十キロワットでございます。これには、新エネルギー・産業技術総合開発機構、いわゆるNEDOでございますが、こちらの方からの補助をいただいているということでございます。  それからもう一つ、太陽熱利用もついでに申し上げてよろしいですか。こちらの方も、採用いたしておりますのが全部で十八校あるということは確認をいたしております。なお、これは悉皆調査でございませんので、このほかにあるかどうかというのははっきり申し上げられません。この場合には大体ほとんどが給湯施設に太陽熱を利用しているということでございますが、中には床暖房でありますとかプール給湯という例もございます。
  183. 山本正和

    ○山本正和君 ちょっとそれで、新しくできたところを見ると兵庫県が非常に多いんですが、これは防災という、震災の後、電力がとまっちゃったと。ところが、太陽光発電が上にあるとその学校の電力はとまらない。だから、安全対策、防災対策も含めて大変いろんな意味での有効性があるんですけれども、それよりも私がもう一つ思っているのは、世界各国の中で太陽光発電の技術が一番進んでいるのは我が国だと思うんですが、きょうは通産省、担当の人来ていますね、ちょっとその辺説明してくれますか。
  184. 河野修一

    説明員(河野修一君) お答え申し上げます。名前は長いんですが、答弁は簡潔にさせていただきます。  今御指摘のように、通産省それから我が国産業界は、石油ショック以降、太陽光発電の技術開発に努めてまいりまして、現在、我が国の技術水準としては世界でトップクラスにあるというふうに認識をいたしております。  加えまして、これについては既に技術開発段階だけではなくて、もう実用化に入っておりまして、これにつきましても通産省としましては、住宅あるいは公共施設にその導入を進めるということで支援策を講じております。  現状は、日本は大体一九九五年レベルで三・五万キロワットほど太陽光発電が入っております。アメリカは大体その倍の七万キロワットぐらい入っておりますけれども、人口、経済規模を考えますと、ほぼ世界のトップクラスと同じ水準だというふうに考えておりますし、今後、大幅な支援によりまして量的にもトップクラスの水準に達するのではないかというふうに見ております。
  185. 山本正和

    ○山本正和君 私は、実は民間住宅にも随分通産省は力を入れて、住宅の屋根に太陽光発電をつける場合には、かつては経費の二分の一、今は大分下がったので三分の一の助成、希望者は全部それで満たすぐらいの構えで取り組んでおられるということを聞いているんですけれども、実は日本人がやっぱりもっと世界で胸を張っていけるのは、クリーンエネルギーの先進国であると、これをもっとどんどんやりますよということを言えると私は思うんです。  正直言って、今の石油をたいて炭酸ガスをふやしていくということではどうにもならぬというのはもう世界じゅうの空気になっているんですけれども、じゃ、解決するためにどこをどうやるかといったら、我が国は通産省もあるいは科学技術庁も含めてこの問題に懸命に取り組んでいるんですが、それを子供たち学校の屋根に全部太陽光発電をつけて、どこの学校にも、これはクリーンなエネルギーですよと、この部分しか電気はっかないけれども、わずかだけれどもね、そんな形で話をしていくということが日本人に対して非常に大きな喜びを与えると思う。もしそれを全部やると、さらに一斉に生産が高まりますから、コストもうんと下がってくる。そして日本の、不景気だとかなんとかいうけれども、新しい産業がどんどん興るわけですから、景気対策にもなる。  本当はこの議事堂の上にも太陽光の屋根をつけたらいいと私は思うんですが、そういうことを含めて、やっぱり太陽光発電を文部省としても学校の中に取り入れていこうと、こういうことでお考えいただいているかどうか、その辺はいかがでございますか。
  186. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 大変いい質問をしていただきました。  今度の教育改革プログラムにおきまして、私は強く指示いたしまして、環境教育充実というものを一本の柱に入れさせました。今、人口がどんどん急増して、資源、エネルギー、食糧が枯渇していく中で、やっぱり今までの我々のライフスタイルとかあるいは大量生産、大量廃棄、大量消費という企業活動を見直さなきゃいけない、そういうことを子供のうちから教えるということは大事だということから、環境教育ということを申し上げました。  そして、もちろん学習指導要領にも平成元年に盛り込み、平成四年、五年、六年、三年かけて小中高の教科書にも環境教育を盛り込みました。  それだけではなくて、今御指摘のように、学校の現場で実物教育ということのために、例えば太陽光発電、それから太陽熱温水器というんですか、それから水の循環利用、あるいは学校菜園なんかに、余った厨芥ですね、それを利用して肥料としてやる。それから先生がさっき御指摘になった木造校舎、この木の持っているやわらかさ、温かみ、こういうものは子供教育にとっても非常にゆとりとか潤いを与えるということで、今まではすべて鉄筋で規格に合った校舎ばかりしかつくらなかったんですが、もう少し考え方を柔軟化してできるだけ木を利用していく、特に木材、日本はいっぱい産出するわけですから。それから環境に配慮した、エコスクールという呼び名で呼んでおりますけれども、そういうものはどんどん普及させていきたいと思っております。  私自身も、自分の家の屋根につけました。最初の、NEDO、資源エネルギー庁必死で今やっておりますので私やりましたけれども、問題はコストなんですね。性能は決して引けをとらないんですが、残念ながらコストが高い。私が導入したときに比べますと、しかし今はもう半分くらいになっております。  私は、閣議でも言っておりますが、総理大臣官邸を建てかえるときに、必ずソーラーシステムを導入してくれと。これは堂本さんなんかと一緒にやっている国際議員連盟のGLOBEというところからも提言をしておりますが、国会議事堂にも取りつけていただければなお結構です。そういうことでやっぱり子供中心に環境教育充実、それの一つの一助としてこういうエコスクールというようなものはどんどん普及させたいと思っておりまして、予算の制約はありますけれども精いっぱい頑張っていきたいと思っております。
  187. 山本正和

    ○山本正和君 ぜひ大臣、閣議の場でも強調していただきますように。  それから、あわせて今度は国立大学の問題ですが、どこの国立大学に行きましても古い大学というのは本当に今どうにもならぬような状況になっております。私が思うのは、かつて大学というのは確かにキャンパスそのものが、権威の象徴と言ったらしかられますけれども大学自体に学ぶということの喜びもあるけれども自分たちのキャンパスに誇りを持ったということがあったと思うんですね。ところが、駅弁大学と言われた新制大学をばあっと国立てつくったときに、もうとにかく予算がないので箱物をつくるのにふうふういってつくった。したがって、大学が建造物としての芸術性というか価値というか、そういうものはほとんど考えられずにつくられてきてしまったという経過が私はあると思うんです。  やっぱり学問をする場所に一つの誇りというか、そういうものを持っているというふうなものでなくちゃいけないだろう。かつて東大の赤門というのが、あれはあの赤門そのものも本当に芸術的には立派ですよ。そういうものが本来やはり国立大学をつくるについてはあってしかるべきだろう。ところが、どうも公共の建物を建てるのに、何か国の規制で単価が決まってやっておるからどうにもならぬというふうなことになっているとしたら、これは大変難しいが、それなりに取り組みの仕方があるんじゃないかと私は思うんですが、これから国立大学を新築もしくは改築していくときに、そういうふうなことも含めてお考えがありませんですか。
  188. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 今までは量の充足に追われまして、今現在でも確かに老朽の建物がたくさんありまして苦労しているところですが、これから建てかえていく場合には、単に本当の実用的なといいますか、限られた規格品の建物だけではなくて、やっぱり教育研究の高度化に対応した新しい建物とか、あるいは人間性とか今言われたような文化性豊かな環境をつくる、あるいは省資源、省エネルギー、さっき言われました設備も含めまして、そういうものに配慮した魅力ある大学施設の整備を進めていきたいと思っております。  ただ、財政、予算の許す範囲でしかできないわけなんで、この辺はまた予算確保については当委員会の御協力もぜひお願いしたいと思います。
  189. 山本正和

    ○山本正和君 それでは最後に一つ、これは今すぐやれということじゃないんですけれども大学問題を検討する中で文部省としても頭の中なりに置いていただきたいという要望をお願いしておきたいんです。  今の子供たちが何が苦しいといったら入学試験が苦しいと。そうかといって、今度は親の立場になると、私の息子の年代がちょうど子供大学にやる時代にもうなってきたんですけれども、そうすると、本当に大学に入れるということについて親がふうふういっているんです。ところが子供たちはどうかというと、本当に勉強したいと思って大学に行くんじゃない。親からおまえ大学に行けと言われるから仕方なしに行くといったらおかしいですが、そういう子もかなりあるんです。そうかといって、勉強したい大学はちゃんとあるんですよ。日本じゅうの受験生に、もしおまえさんたちどこでも自由に入れるとしたらどこへ行くと言ったら、恐らく東大と言うと私はそう思うんです、受験生に聞いたら、数は圧倒的に。全部東大に入れたらどうだと、極端に言ったら。じゃ希望する者はみんな東大に入れなさいと。施設がないじゃないかと。  しかし、それは今、かつて私は高等学校の通信教育をやりまして、全県下の通信教育をやったんですけれども、通信教育で東大の一年生には全部入れます、希望する人は皆東京大学へ来なさい、五万人でも十万人でも百万人でもいいですよと。しかし、通信教育ですからちゃんとそれに対応し得ることさえずれば私は可能だと思う。しかし、一年間きちっと勉強したら、ついていけない子は全部出るわけです。勉強したくない子はやめていきますよ。そうすると、二年生になるときに仮に一年生が十万人おったのが一万人に減った、今度は二年生が三年生になるときには五千に減ったとなるかもしれない。しかし、一遍そういうユニークな試みをやる、天下の東大がそれをやったら今の妙な入試地獄は消えると思う。おれも東大に入ったぞとこう言えるんですからね、だれでも希望すれば入れるんだから。  例えばの話ですよ、私が言うのは。しかし、それぐらいのことでやらぬことには大学入試制度の改革はできないと私は思う、どんなことをやっても。みんな東大へ行きたいんですから。私立なら早稲田か慶応に行きたいんですから。そういうブランド大学と言ったらおかしいですけれども、受験生が一番多い、希望する学校には全部入れようと。そして、そのかわり通信教育で一年間きっちりと教えて、この子は二年生になるに値するかしないのか、東大を卒業するに値するかしないのかは大学において選定する。入学試験じゃないですよ。こうしたら勉強したい人が学校に行けるようになる。勉強したくないのに仕方なしに子供のときから何か缶詰にされて、ちょっとこの前週刊誌を見ておったら、鳩山御兄弟は子供のときから立派な家庭教師がついて、お二人とも立派に東大を卒業された。しかし、そんな家庭教師をつけられない家は東大に入れられないんですよ、今の話で。  だけれども、そうじやなしに、大学へ入ってから勉強できる子は私はたくさんおると思うんです。だから、本当からいえば、そういう今の入試のおかしな状況を抜本的に直すということについて、私の言うのはちょっとこれは夢みたいな話かもしれぬけれども、一遍本格的にこの入試制度を改革するために、本当に勉強したい子を大学で保障するためにどうしたらいいかということで、ぜひともひとつ御検討願いたい。これを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  190. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 民主党・新緑風会の本岡です。  まず、朝鮮人学校等の民族学校卒業生の大学受験資格について伺います。  現在、小中高大朝鮮人学校は百四十一校あって、約二万人の在日朝鮮人の児童生徒が学んでいます。ところが、この民族学校の卒業生の大学受験を認めている学校が、確認したいんです、国立は九十五の中でゼロ、公立が四十六校のうち二十校、私立が三百九十校のうちの百六十四校、計百八十四校と私は今資料的に持っているんですが、間違いありませんか。
  191. 雨宮忠

    政府委員(雨宮忠君) 公私立大学の一部で外国人学校の卒業者につきまして入学を認めているところがあるということにつきましては、ただいまも本岡先生からお話がございましたけれども、私どもとしても仄聞しているところでございますが、具体的にどの大学がそのような扱いをしているかということにつきましては承知していないところでございます。
  192. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 それはおかしいんじゃないですか。あなた、一部とおっしゃったけれども、全体の四〇%ですよ。やっていないのは国立だけ。最近やっぱりそれを認めよ認めよといういろいろな声が高いでしょう。なぜ調べないんですか。調べてください。
  193. 雨宮忠

    政府委員(雨宮忠君) 民族学校と言われております朝鮮人学校等の卒業者の大学入学資格を認めるか認めないかということにつきましては、かねてから御論議があったわけでございます。  私どもといたしましては、従来から、国内の朝鮮人学校はほとんどが各種学校という形でございまして、また各種学校教育内容につきましては法令上特段の定めがないわけでございます。そのために、その卒業者に対しまして、一般的に高校卒業者と同等以上の学力があると認定することが制度上困難であるということから、大学入学資格は認めていないところでございます。  ただいまお尋ねがございましたけれども、そういうことで、公私立大学の一部についてそのようなことがあることは仄聞はしておるところでございますが、具体的にそれがどうこうというようなことまで私どもの立場でせんさくするというのはいかがかということでございまして、そのような意味で具体的な実態までは承知していないということでございます。
  194. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 そうすると、調べないというんですか。調べていただけるんですか。理由はよろしい。イエスかノーか言ってください。
  195. 雨宮忠

    政府委員(雨宮忠君) 個々の状況につきまして調べることは適切でないと考えております。
  196. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 恐れ入った。文部大臣、よく聞いておいてくださいよ。  私立では、早稲田、慶応、立教、明治、法政といったらこれは六大学ですよ、東大だけが抜けているんです。上智、国際基督、津田塾、中央、東海、専修、帝京、和光、玉川と全部認めている。関西では、関・関・同・立は皆認めているんですよ。人ごとみたいに、一部が認めているという、こういうことで済むんですか。  規制緩和とかいろいろ言っていますが、公立四十六校のうち二十校、私立三百九十校のうち百六十四校、四〇%以上が認めているにもかかわらず、国立九十五校が一律に、今おっしゃったようになぜ頑として受験資格を認めないのか。絶対にこれはもう納得できないわけなんです。大臣、いかがお考えですか。
  197. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 今お答えしたように、現在二つの理由から国立大学としては受け入れないことにしているわけです。  一つは、学校教育法に基づいて、高校卒業程度以上の学力を有する者、こういうことで、それからもう一つは、ほとんどの朝鮮人学校ですか各種学校ということで、日本の学校体系の根幹にかかわる問題ということで、これは歴代、村山内閣もそうですが、ずっとそういう答弁をしてきているはずであります。  しかし、外国人の子供たちも、希望すれば我が国の義務教育も受けられますし、高等学校の段階についても入れるわけですし、日本の学校教育を受けていれば順次入学資格が認められているわけで、そういうことを選択している外国の方もたくさんいるということもひとつ御記憶いただきたいと思います。
  198. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 この間は横浜にあるドイツの学校を認めましたね。これは何も日本の教育制度と全く同じでないし、日本の教師が教えているわけでもない。認められるんでしょう、こういうふうに個別に理由があれば。
  199. 雨宮忠

    政府委員(雨宮忠君) 若干細かくなるわけでございますけれども学校教育法の施行規則上、大学入学資格を認めている場合を列挙しているわけでございます。  具体的には文部省告示という形でやっておるわけでございますが、その多くはいわゆる旧制の学校とのつなぎのものでございますが、それ以外に、今先生指摘のように、国際的に通用している資格につきまして既に三つ認めておるところでございまして、一番最初に認めておりましたのが国際バカロレア資格、それから二番目にドイツのアビトゥア資格、それから一番最近でございますけれども、昨年の秋にフランスのバカロレア資格、これを認めております。  それはどういう考え方かと申しますと……
  200. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 もうよろしいです。いろいろおっしゃるけれども、結局認める気はないということのようですね。  それで、その根拠が三十年前の一九六五年十二月二十八日付の、当時の福田繁文部事務次官通達、一「朝鮮人のみを収容する教育施設の取り扱いについて」ということに依拠していると私は思っております。しかし、これはもう三十年前の通達であります。その後、一九七九年ですか、国連の国際人権A規約、B規約も批准し、子どもの権利条約、あるいはまた人種差別撤廃条約、こうした国連の人権諸規約を批准し、また人権教育のための国連十年行動計画などをやりながら、なぜこの朝鮮人の民族学校だけを目のかたきにしているのか。  ここには書いてあります。「なお朝鮮人を含めて一般にわが国に在住する外国人をもっぱら収容する教育施設の取り扱いについては、国際親善等の見地から、新しい制度を検討し、外国人学校の統一的扱いをはかりたいと考える。」というふうに、三十年前も検討するという文言が最後にあって、そして依然としてその検討を加えていないんです。  それで一方、現状を見ると、兵庫県の例を見ても、兵庫県で百十三カ国の国籍を持った子供がおるんですよ、約九万八千人、これは全国で四番目です。それで、その中で韓国・朝鮮籍の子供が六万八千二百一人、これは全国で三番目。そのほか中国が一万二千九百八十六人、ブラジルが三千九百七十一人、ベトナムが千八百四十人、フィリピンが千六百二十七人と続くんです。  要するに、日本はこうした多民族化の道をずっと歩んでいる、実態的に。そして、多文化共生教育、一緒に、ともに生きていく教育をどう進めるかという新しい事態に教育現場は迫られているんですよ。その中で一番多いのがいわゆる朝鮮人の民族学校に学ぶ子供たちである。そこのところにやはり日の光を当てて、新しい考え方を持ち込まなければ、国際化という時代の中で、日本が人種差別撤廃条約とか人権A規約、B規約、子どもの権利条約、こうした国連のさまざまな人権諸規約を次々と批准をしたけれども、やはり実態的に国内の民族教育の問題について三十年間凍結したままというのは、幾ら考えてもこれは納得できません。  最後に文部大臣のお考えを聞いて、また改めて質問はします。
  201. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 別に特定の民族を選別してという考えはありませんで、私どもとしては、高等学校卒業以上の学力があるということで文部大臣が決めたものは受け入れているわけでございまして、先ほどドイツその他の話がありましたけれども、それは高等学校以上の実力があると、こういう認定がされるということで認めたと思います。  それで、国内の朝鮮人学校につきましては、ほとんどが各種学校でありまして、その教育内容が法令上特段の定めがないものですから、果たして卒業者が一般的に高等学校卒業以上の学力があるかどうかというそういう認定が非常に難しいんですね。したがって、大学入学資格を認めていないというところでございます。  いずれにしても、これは我が国の学校教育体系の根幹にかかわる事柄でありますので、私どもとしては慎重に対処すべきであると考えております。
  202. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 いや、それはわかるんですよ。公立も四〇%以上が認め、私立の有名大学も皆認めていることと、今文部大臣がおっしゃっていることを比べたらどうなるんですか。そうすると、私立の学校やら公立学校は間違ったことをしているということにこれはなるじゃないですか。私はこんなばかなことはないと思うんですよ。  だから、東大とか京大とかいう国立大学へ進んでいく民族学校子供たちは、民族学校に学びながら定時制とか通信の学校に学んで、そしてその資格でもって大検を、大学受験資格を受けて、そして京大とか阪大に皆学んでいきよるんですよ。それを初めから認めている学校もあるのに、なぜ国立大学だけがその扉を開かないのかということがこれはもう全然わからない。どこもやっていないならいいですよ、今大臣のおっしゃるような考え方で。私、ほかにも質問したいことがありますからこれ以上追及しませんが、強く抗議しておきますよ。こんなばかなことが許されるはずはない。むしろこんなことは、国立大学が優先して、率先して国際化時代の中でやるべきじゃないですか。  次の問題に移ります。  中学校社会教科書の従軍慰安婦関連の記述について申し上げます。  この従軍慰安婦問題は、国連の人権委員会で女性に対する暴力の排除というテーマの中で議論されてきました。私も数回この人権委員会に参加してきました。旧日本軍による女性の戦時性的奴隷制という女性差別、人種差別の重大な人権侵害であり、戦争犯罪であるという立場での議論がされています。  ところが、去る一月二十二日の産経新聞によると、「新しい歴史教科書をつくる会」の代表文部省小杉文部大臣に会い、教育課程審議会のテーマに歴史教育の見直しを加えること、今春から使用される中学校社会教科書からは従軍慰安婦問題の関連の記事を削除することを求めたところ、文部大臣は慰安婦の記事の削除については拒否されたと。これは当たり前です、当然のことであります。ところがもう一つ教育課程審議会のテーマに歴史教育の見直しを加えることについては受け入れ、真剣に審議するよう事務当局に指示すると約束したという記事が出ておりました。  文部大臣にこの新聞記事の内容は事実であるのかどうか確認を求めます。
  203. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) この記事は必ずしも正確に私の真意を伝えてはおりません。その際に私が述べた趣旨は、現在、教育課程審議会教育関係団体など一般の幅広い意見を公募している、それでもし意見を申し述べたいということであれば所定の手続をしてひとつ意見の陳述をする場が与えられていますよと、こういうことを申し上げたのであって、私たちは教育課程審議会ではそうしたいろいろな意見を集約して、そして社会科や地理、歴史などの教科内容の審議をしている、こういうふうに理解しております。  必ずしも私の言ったことを正確に反映した見出してはないということを再度申し上げたいと思います。
  204. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 そうすると、歴史教育の見直しということで、この従軍慰安婦が教科書に載ったことが是か非かというふうなことを教育課程審議会のテーマとして文部大臣の方からそれを指示するというようなことはないということを確認していいですね。
  205. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) そのとおりです。
  206. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 今、この問題は文部大臣も大変だと思います。いろんな脅迫のようなこととかそういうものはあると思います。事実、私もずっと受けておるんです。しかし、真実を、真相を追求していくというときにそんな卑劣な脅迫まがいのことに屈せず、文部大臣も毅然としてこの問題に対応していただきたいということをお願いいたします。  それから次に、大学入試制度の廃止についてお伺いします。  文部省は、大学入試改善を表明しています。しかし、私は今回の大学入試センター試験問題なり、あるいはまた教育改革プログラムの目玉としている中高一貫教育制度の導入や完全学校五日制の実施に向けた教育課程の見直しとか、または現場の中で現場教職員が大変父母とともに苦労しているいじめや登校拒否などの問題解決、こうしたもろもろの問題は、先ほど山本委員がユニークな発想をおっしゃいました、私はいいなと思って聞いておったんですが、とにかく現行の大学入試制度を廃止して、そして大学入試あり方を抜本的に変えていく。  資格試験制度というのはいかがなものかという議論も随分ありますが、いずれにしても大学入試試験制度を現行の状態を変えるということからメスを入れなければ、結局、中高一貫教育制度をどうやってみても超エリート校をつくることになったり、完全学校五日制をやったら塾がさらに繁盛したりというふうなところになってくるわけで、大臣どうですか、大学入試制度の廃止という問題、先ほど放送教育を取り入れたらどうかという放送大学提言もありましたが、大臣の御見解を伺っておきたいと思います。
  207. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 先ほどの御意見も貴重な御意見として承っておきますが、大学入試につきましてはかねてから文部省としても非常に心を砕いているわけでありまして、特に今度の教育改革プログラムにおきましてもあるいは各種審議会におきましても、できるだけ選抜方法を多様化し、そしてまた評価尺度を多元化していく、そういう観点からいろいろな改善をやってきたところであります。例えば今、大学入試センター試験、これなどもこの結果と各大学の個別試験を組み合わせることによって、例えば面接だとかあるいはその他のいろいろな手法、単なるペーパーテストだけじゃなくていろいろな角度からいろいろな尺度で判定をする、こういうふうな改善を図ってきているところでありまして、これからも大学入試制度というものは不断に改善の検討は続けていきたい、こう思っております。
  208. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 その不断の改善というのを幾らやっても結局同じところをぐるぐる回るだけで、やはり廃止というところに踏み込まなければいけないんじゃないかということを強く申し上げておきます。  次の問題に入ります。  文部大臣の所信の中に、地方分権の観点を踏まえながら、地域に根差した教育行政の推進を図るため地方教育行政システムの改善に取り組むというところがございます。私もこの問題は賛成なんです。そこで、文部省は都道府県教育長の任命承認制を廃止するということを新聞報道でされました。私はもう大歓迎であります。  十七年前になりますか、私は初めて国会へ来て、そのときの臨時行政審議会などの答申を議論したときに、まず文部省教育長の任命承認制、これをやめることから始めようと言ったら、当時の文部大臣がそれはかすがいであるからやめられぬ、何のかすがいや言うたら中央と地方のかすがいやときたから、そうですが、それは大変でございますなと言ったことを思い出しておるんですが、しかし、月日がたって、十七年たって廃止、結構でございます、大賛成であります。まことに遅きに失しておりますが、いいことはいいわけであります。  ところで、どのような手続で今後任命承認制度を廃止するんですか。
  209. 小林敬治

    政府委員(小林敬治君) 今回、先生御案内のように、地方分権推進委員会の第一次勧告にこの承認制度の廃止と、それからあわせて教育委員会の活性化のための方策について検討するようにという勧告が出たわけでございます。この勧告も踏まえまして、私どもとしては調査研究協力会議におきまして任命承認の廃止あるいは教育長への適材確保の方策等々につきまして検討を行いまして、平成九年度中に成案を得たいという考え方でございます。  その後、今回出されました地方分権推進委員会の第一次勧告に係る部分につきましては、平成十年の通常国会終了までに策定される地方分権推進計画にのせていくという手続になります。その計画に基づいて制度改正を行っていくという運びになるわけでございます。
  210. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 そうすると、平成九年度中に任命承認制は廃止する、先行的にこれを廃止して、その後、地方教育委員会の全体の問題をどうするかというふうな二段構えになるんですか。
  211. 小林敬治

    政府委員(小林敬治君) 廃止をしたしつ放しては困りますので、廃止をした際に、教育長の任命承認に限って申し上げますと、しからばその廃止後どういうふうなシステムで教育長を任命していったらいいのかとあわせて廃止の問題が決着をする、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  212. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 それは平成九年度中ですか、来年の十年度ですか。
  213. 小林敬治

    政府委員(小林敬治君) 現在、その協力会議の研究期間は九年度中でございます。
  214. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 そこで、教育委員会を活性化するという場合に、いろんな考え方があります。それで、やはり教育委員会委員をどう選出するかというここの問題のところを、かつて公選制というのがありました。私も公選制で投票したことがございますが、その公選制の問題も含め、東京中野の準公選制というああいう一つのやり方もありましたが、いずれにしても地域の住民が教育参加の一番近い形として委員を選ぶ、選出するという形態のところを、いろんな工夫によって私は導いていくべきでないか。といって、必ずしも公職選挙法に基づく選挙をやれというようなことは言いませんが、何か直接住民が教育委員を選び、そして直接住民が地域教育に参加し、責任を持っていくという仕組みをやることが大事ではないかと思います。  それと、教育委員会予算の編成権とか予算の執行権、やはりこういうようなものを持って自立した行政機関として存在することが必要ではないかということを私は考えます。  そしてまた、カリキュラムというふうな問題がこれから教育の分権という場合に非常に大事になってくると思います。文部省が全部一つ決めて一斉に下へおろして右へ倣えじゃなくて、ある一つの基準を決めたらその基準の中でそれぞれの地域がそのカリキュラムをつくっていく力を持たにゃいかぬ。それで、またそのできたカリキュラムは、本当にいいのかどうかということを地域大学と研究し、それで現場で実践をして、絶えずそれを検証していくという試みがやはり各都道府県の教育委員会の中の力として存在していかなければ、これは本当のものにならないのではないかというふうなことを私は考えております。  だから、ぜひとも教育委員会活性化ということの中に、今私が申し上げましたようなことを議論の対象にしていただきたい、こう私は思っているんですが、いかがでしょうか。
  215. 小林敬治

    政府委員(小林敬治君) これから教育委員会をどう活性化するかという観点からの検討をする際に、その主要な要素でございます教育委員をどう選ぶか、それから教育委員会と財政との関係、こういったものはその活性化に密接不可分な大事なファクターであろうかと思います。  私どもは、この教育委員会が我が国に導入されてちょうど来年で五十年という節目の年を迎えますので、これまでの間に教育委員会をめぐってさまざまなことがありましたことを、旧教育委員会法時代のこと、先ほど先生がおっしゃられた中野区の準公選のこと、かつて予算編成権、執行権があった時期、それがなくなった時期、そういったことを全部私どもは検討の素材とさせていただいて、今後地方教育行政のかなめになっていくであろう教育委員会が住民ニーズをいかに的確にとらえていくか、そして、それをできるだけ一〇〇%に近い形で実施をしていく体制がとれるかという観点から検討をしていきたいというふうに思っております。
  216. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 時間がなくなりましたから、あと一、二点。  外国語というのは英語のことですか。外国語教育というのは何語教育なんですか。
  217. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) 外国語は、必ずしも英語だけに限っておるわけではございません。例えて申しますと、中学校学習指導要領では、英語とドイツ語とフランス語が例示されてございます。
  218. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 そうすると、ドイツ語、フランス語を外国語として取り入れているところ。「その他の」というのがありますね、「その他の外国語」というのは、そういうのはありますか、実践的に。英語以外のものを外国語として義務教育で教えて一いる学校
  219. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) 公立の中学校では私ども承知しておりません。また、私立の学校はやられておる学校はございます。高等学校になりますとかなりのさまざまな外国語が行われております。
  220. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 私は、英語教育を小学校に取り入れたらどうかという議論があるということ、議論ですから大いにやっていただいたらいいけれども、しかしそれが外国語イコール英語という形で入ってくることにはどうも納得できない。隣の韓国とか中国とかアジアの近辺の言葉について我々があいさつの言葉すらよう使わぬということは、やはりぐあい悪いと思うんですよ。  だから、外国語イコール英語じゃなくて、やっぱりアジアに我々位置しているんですから、アジアの国の言葉というふうなものも最低のあいさつぐらいできるような常識的なものを学べるという状況も含めて外国語というふうにしていかにゃいかぬのじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  221. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) 中教審答申の中に小学校から英会話等に触れさせるというような答申があったわけでございますが、これも英語というふうに限定したわけではございません。中教審提言は国際理解教育という広い範囲からの提言でございまして、言語としての話学を習得させるということでもございません。異なった言語、文化というふうなものに小さいころから興味や関心を持たせる、そういう趣旨も込めた提言になっているところでございます。
  222. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 今ので安心しました。  やはり多様な、国際文化という場合に英語しかないんだというふうな入り方は、大学入試との関連でくるんだから、そこはやっぱりシャットアウトしてほしい。  最後に、大学入学年齢の特例というのがありますね。高校二年で大学へ数学と物理の優秀なのを入れたらどうだというふうなことをまじめに議論されているから私は驚いているんですが、この大学入学年齢の特例というのは、大学試験の廃止とかを含めて抜本的な改革なくしてやることは、百害あって一利なしとよく言うけれども、文字どおりそのうちに入るものではないかと思うんです。私も十数年の教育現場で神童に近い子供に一再々接してきましたけれども、そうした子が将来神童としてだれが保証するのやと。そんなこと神様でもわからへんのですよ。それを私、こんなことをまじめに議論しておるというのはちょっとおかしいんじゃないかというふうな気がして仕方がないので、今回の教育改革からこれは除外して、もっとほかのことをやりましょうや、議論を。文部大臣いかがですか。
  223. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) これは、今度の教育改革全体を通じてやはり教育制度の弾力化という観点を相当盛り込んだんです。それで、今これ中教審で鋭意審議していただいておりますが、特に経済構造改革の中でいわゆる先端的、独創的な技術の必要性、そしてそれに基づく新しい産業とか新しい雇用の場を創設する、創出するというのは今時代の要請になっております。  そういう中で、例えば十八歳未満であっても大学入学を例外的に認めると。こういうのをすべてにそうするのではなくて、そういう選択もできる、こういうことは認めてもいいんではないかと、こういうことで御議論をいただいていると思います。ただ、いろいろそれに付随するメリット、デメリットが予想されますから、そういうものは十分きめ細かく検討していただけるものと私は承知をしております。  以上でございます。
  224. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 終わります。
  225. 阿部幸代

    阿部幸代君 日本共産党の阿部幸代です。  私は、国際化時代のキーワードは人権、人権擁護であるというふうにいつも考えています。そこで、子どもの権利条約の全面実施を願う立場からきょうは質問をしたいと思います。  まず、日本社会において子供の権利がどんなに侵害され、脅かされているか、大臣現状認識について伺います。  先日、議員会館の私の部屋に「ストップ子ども買春」の会、ここの方が見えまして、一般書店でこういう本が売られている、何とかしなければと訴えられました。中身ははっきり言って子供ポルノです。幼児や少女たちが性的興味の対象として大変露骨に、いわば人間性を踏みにじられて描写をされているんです。会の構成員である矯風会の方が北海道から沖縄まで三十二の市町、百十以上の書店、コンビニエンスストアを調べたところ、その中の約九七%で子供ポルノが販売されているそうです。  子どもの権利条約第三十四条では、「締約国は、あらゆる形態の性的搾取及び性的虐待から児童を保護すること」を求めています。日本でも、子供を性的虐待から守るための何らかの立法措置を求める声が上がっていますが、日本の子供たち、少女たちの人権が侵害され、脅かされているこの現実について、大臣はどのように認識されていますか。
  226. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 心身ともに発達途上にある子供がそういうポルノ雑誌の対象となることについては、その心身の発達に有害な影響を与えるということから懸念をしております。そして、刑法におきまして公然わいせつ物の頒布の禁止とか、児童福祉法では有害な影響を与える行為をさせる目的を持って児童を自己の支配下に置く行為を禁じているということでありまして、まずこれらの法律の適切な運用、適用というものが大切であると考えております。子供の健全育成を図ることは我々大人一人一人の責任であり、その自覚を期待するとともに、文部省としてもこの問題について、これは非常に多岐にわたる関係機関があるわけですが、十分協議をしてまいりたいと思っております。
  227. 阿部幸代

    阿部幸代君 私は、子供の人権を性的虐待から守るという、こういう思想の普及といいますか、その先頭に大臣に立っていただきたいというふうに思っています。  私は実は、日本の子供たちの人権がこのように侵害されている、そういう実態把握について政府が不熱心なのではないかなというふうに思うんです。その例を、いじめや登校拒否のとらえ方とかあるいは子どもの権利条約の普及状況、ここに政府の不熱心さを見るわけです。  それで、これらについて質問します。  政府が昨年国連に提出した「児童の権利に関する条約第一回報告」、ここではいじめについて序論で次のように言っています。「家族等人間関係の希薄化、有害な情報の氾濫など現代社会の抱える荒廃した一面による影響を受けて、児童の虐待や少年非行、いじめ等の事態が深刻化するなど、児童を取り巻く環境には新たな課題も生じている。」と。つまり、現代社会の荒廃に問題を一般化しているんです。  それから、登校拒否の問題についてはどういうふうに取り上げられているかというと、「心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、児童生徒が登校しない、あるいはしたくともできない状況にある、いわゆる登校拒否の児童生徒数が年々増加している。」と。これまた一般的で、児童生徒数が年々減少しているにもかかわらず、登校拒否がふえているという実態を数字で示していません。  私は、別に文部省をよい子競争に駆り立てる気は毛頭ありません。条約発効の九四年と九五年を比べただけでも、三十日以上の欠席者は児童生徒が三十二万人以上も減っているのに逆に四千人以上ふえていますし、五十日以上の欠席者は三千人以上ふえているんです。  条約第四十四条は、報告は国連の「委員会が当該国における条約の実施について包括的に理解するために十分な情報を含める。」、こういうことを求めているわけですから、具体的な数値を示すとか、いじめについてはほかでもない学校で起こっているという実態とか、こういうことを具体的に示すべきなのではないでしょうか。
  228. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) いじめあるいは登校拒否の問題につきましては、学校教育の基本にかかわる大変重大かつ深刻な問題だという認識を持ちまして、毎年度全学校を対象に調査をいたしまして実態把握に努めております。  ただいま先生からの御指摘は、それはそれとして、児童の権利条約に関連して国連に報告した文書の中での説明ぶりが十分説得的でないのではないか、実相を率直に語っていないのではないかという御指摘であるわけでございますが、私ども限られましたスペースの中でできるだけ実相を伝えるという努力をしたつもりでございます。  例えば、今先生から御紹介がございましたが、いじめの問題につきましては、今先生の御紹介以外のところで、これが人権にもかかわる重大な問題であるということ、あるいは弱い者をいじめることは人間として絶対に許されないという認識に立って学校で取り組みを進めているというような文言も規定しているところでございまして、私どもといたしましては、制約の中ではございますが努力をしたというつもりでございます。
  229. 阿部幸代

    阿部幸代君 NGOの団体が約八千人の子供たちの声を直接集めています。そういう子供を直接見るというその熱意に比べまして、日本の政府は、自分たちがやっていることを宣伝することには熱心だけれども子供の実情を直視し、それを客観的にお知らせするというその熱意には乏しいのではないかということを危惧するわけです。  というのは、子どもの権利条約を実施することによってどういう進歩、改善がなされていくのか、このことが今後また報告されていくわけです。そういう意味でも、また国民みんなの力で物事を解決していく上でも、具体的な報告というのが非常に大事だという意味で、これは要望しておきます。  次に問題にしたいのが、子どもの権利条約の普及状況なんです。これは昨年も私、問題にいたしました。  条約第四十二条は、「締約国は、適当かつ積極的な方法でこの条約の原則及び規定を成人及び児童のいずれにも広く知らせること」を求めています。この点については、国会の本会議でもあるいは外務委員会などでも取り上げられ審議がされていて、政府答弁として小冊子などをつくって国民一般ばかりではなく子供たちにも知らせていくということがいわば確認事項としてあるわけなんです。  しかし、実際に政府がやったのは、国連への報告の中でもこれは正直に書いてありますけれども、リーフレット九万部、ポスター百万部、その他いろんな通知ですね。小中学校の児童生徒数が九四年度で千三百二十六万四千三十七名、高校まで含めますと千八百十二万六千七百六十二名、成人人口は一億人とよく言われますから、これに比べると余りにも少な過ぎるんではないでしょうか。
  230. 林田英樹

    政府委員(林田英樹君) 文部省といたしましては、この条約の趣旨の徹底につきましていろんな努力をしてまいっているわけでございます。  まず、各学校段階において適切な指導がされますように、平成六年度の五月二十日付で文部事務次官通知を発出しておりますし、各種の文部省関係の広報誌や教職員を対象とする会議、研修会などを通じまして周知に努めてまいっております。  また、先生もお触れになりましたけれども、特に児童向け資料につきましては、わかりやすい子供向けリーフレットを、文部省協力いたしまして、外務省において作成いただきまして、各幼稚園、小学校、中学校、高等学校、さらに特殊教育学校の……
  231. 阿部幸代

    阿部幸代君 少な過ぎるかどうかということを聞いたんです。
  232. 林田英樹

    政府委員(林田英樹君) 各学級に行き渡るよう、約八十万部を配付いたしたわけでございます。  それからなお、さらに各教科書をごらんいただきますれば、中学校、高等学校教科書にはかなりの記述が載っておるということもあるわけでございます。  私どもといたしましては、今後とも各種の会議等を通じまして一層の周知がされますように努力してまいりたいと思っております。
  233. 阿部幸代

    阿部幸代君 数字感覚というか、日本語の言語感覚だと思うんですけれども、一千八百十二万六千七百六十二名の子供たち、一億人の成人に対して九万部、百万部のポスター、余りにも少ないということは、実は子供たち自身が知らないと言っているわけなんです。  去年、「ニュースステーション」で批准二周年の報道をしていましたが、九州の地域で街頭で子供たちに聞いて歩いていたんですが、知らないと、二年たって認知度はますます下がってきているという、そういう報道でした。これが現実なんです。  次に、大臣に伺います。  幸い自治体レベルでもこの取り組みが始まっていて、三重県、東京都、滋賀県、東京杉並区、中野区、また川崎市などのパンフレットを取り寄せてみました。  これは三重県の小学校低学年用です。(資料を示す)「「じどうのけんりじょうやく」は、あなたたちがしあわせにくらせるように、せかいのみんなできめたきまりです。おとこの子も、おんなの子も、どこの国の子どもも、みんなおなじ子どもです。せかいじゅうのおとなの人は、あなたがしあわせにそだつようにがんばります。」と、これに始まってわかりやすくあるんですけれども、こうした取り組みを支援する意味でも、人口比で余りにも少ない政府自身の取り組みをこの際さらに強化して、パンフレットの作成、配付など前向きの検討をお願いしたいんです、大臣
  234. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) さっき局長が答えましたように、会議とか研修会とかパンフレットとか、いろいろ文部省としてやれることは一生懸命やっております。そして、それに基づいてそれぞれの教育委員会で独自のパンフレットをつくったり啓蒙活動をやっていただくということはまことに結構でありまして、予算の制約もありますけれども文部省としてもそういう行動に対しては大いに協力をさせていただきたい、こう考えております。
  235. 阿部幸代

    阿部幸代君 各自治体の取り組みの支援策ということで伺いますので、ぜひお願いいたします。  昨年の本委員会において、子どもの権利条約第二十九条が求める子供の全面発達を保障するために、ここで私は訪問教育高等部の設置をお願いいたしました。文部省がこの春から試行的実施、そのための教員の配置と財政面の措置まで踏み切ってくださったことに大変感謝をいたしています。ありがとうございました。訪問教育高等部の設置を願って父母とともに運動してきた教師からも、昨年来の忙しさの中に今年度は高等部先行といううれしい忙しさが加わりそうで楽しみですと、こういうお手紙をいただきました。また、父母たちは、長年の悲願に重い扉がやっと開かれた思いです、こう言って喜んでおられます。  この試行的実施に当たり、この試行的実施の期間中ということですが、過年度の生徒の受け入れとか訪問の回数と時間とか教員配置の問題などで弾力的にといいますか、そういう検討がなされないものかどうか伺いたいんですけれども文部省
  236. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) 平成九年度より試行的に導入するということを決めまして、各都道府県の教育委員会にも通知をいたしたところでございます。各都道府県教育委員会においてはこの四月からのスタートに向けての準備を始めていると思いますが、まずそれに対します職員の措置その他につきましては、特殊教育学校の高等部の法律がございますので、そこの生徒としてカウントされる。そういたしますと、その法の仕組みに従って定数が算定されて、それに相当する財源措置をいただけるという方向で今折衝をいたしております。  それから、過年度対象者につきましては、これは各県におきましてどのような形でこの先行的な試行を実施するかということで、各県の御判断にゆだねたいというふうに考えております。
  237. 阿部幸代

    阿部幸代君 あと一つ聞いたんですけれども、訪問の回数と時間とか、そういう問題で弾力的にこの試行期間のときになされることを検討できないか。
  238. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) 失礼いたしました。  それから、訪問の回数等につきましては、高等部についてはまだこれまでの試みがございませんので、当面は小中学部に準じた形でスタートさせて、そこからさまざまな課題を探っていってはどうかというふうに考えておりますので、回数等につきましては小中学部に準じて考えるということで今考えております。
  239. 阿部幸代

    阿部幸代君 障害の早期発見と早期の治療、教育体制の確立が大変望まれています。  私の地元、埼玉県立盲学校の九五年度の例なんですけれども、この幼稚部に十人の子供が在籍して五人の教員が担当していました。盲学校ですから全員目が見えない上に、重度の肢体障害児が四人いました。その一人一人の介助に教員が結局四人つくわけです、一人に一人ですから。そうすると、残りの六人の子供、この六人の子供も強度の難聴とか病弱とかあるいは知的障害とかをあわせ持っているわけなんです。この六人の子供に対してたった一人の教員しかつけないという、こういう事態が生じました。これでは子供の安全確保も難しくなるわけです。実際にはこういうことが起こってくるわけなんです。  現在、障害児教育学校の幼稚部については、学校教育法施行規則第七十三条の六に「教諭一人の保育する幼児数は、八人以下を標準とする。」、こういうふうにあるだけです。現状に見合った教育的基準を定めるとか、重複学級を認定していくとかこういうことが、今後幼稚部の設置自体を促進していくということを特殊教育改善充実に関する調査研究協力会議の方も第一次報告で打ち出しておられますね、そういう幼稚部の設置自体を促進するためにも必要ではないかと思うんですが、どうでしょうか、文部省
  240. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) ただいま御指摘がございましたように、盲・聾・養護学校の幼稚部につきましては、基準といたしましては教諭一人当たり保育する幼児数が八人以下ということが国の基準で定められております。各都道府県におきましては、これを参考にしながら学級編制基準をつくる、県の中には重複障害学級の基準をつくるというような形での取り組みが見られるところでございます。  障害を持った子供たちに対します早期の教育というのは大変重要でございまして、今、調査研究協力会議におきます重要なテーマになっているわけでございますが、まず何分にも幼稚部の普及状態自体が大変低い状態にございます。したがって、まず私どもはこれに全力を傾けたいと思っておるわけでございますが、あわせてただいまのような基準の問題につきましても、これからの研究課題として考えてまいりたいというふうに思います。
  241. 阿部幸代

    阿部幸代君 ぜひお願いしたいと思います。  次に、学校図書館の充実について質問いたします。  この問題でも子どもの権利条約は、その第十三条で表現、情報の自由、第十七条で子供用図書の製作及び普及の奨励、第三十一条で文化的、芸術的活動への参加、また第十二条、意見表明権を保障する学校図書館の役割、第十六条、子供のプライバシーの権利等読書の秘密の問題など、学校図書館にかかわる多くの条項を盛り込んでいます。  そこで、まず文部省が今日進めている司書教諭の養成について伺います。  講習を実施する大学が、九五年度十八大学、九六年度三十六大学、九七年度、これは予定五十九大学と、にわかにふえていることは必ずしも喜べない現実があるのではないかと思います。専門家の話では、日本では図書館学そのものの歴史がまだ大変浅いそうです。ですから、責任ある講義を期待できる人を確保すること自体難しいのではないかと言われています。  また、学校図書館司書教諭講習規程によりますと、司書教諭の資格を得ようとする場合、七科目八単位が必要とされていながら、司書教諭に相当する職務の経験年数によって、それが二年以上なら三科目四単位で済んでしまいますし、四年以上なら一科目二単位で済んでしまいます。しかも、この一科目二単位の内容が図書の整理です。  生涯学習審議会社会教育分科審議会が昨年四月に報告書を出しています。大変興味深いんですが、その中で司書並びに司書補の養成のための講習内容改善充実策を言っておられるんですね。「子どもの読書の振興にかんがみ、「児童サービス論」を設置し、充実を図る。」と、公共図書館の司書養成の中でこんなことまで言われてきている。こういうのと比べてみても、司書教諭養成のための講習が余りにも不十分ではないかというふうに率直に思うんです。もっと充実させていくべきではないでしょうか。これは文部省に伺います。
  242. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) 司書教諭の養成につきましてはいろいろな実は課題がございまして、私たちも知恵を絞っているところでございます。  今、先生が御指摘になりましたとおり、社会の変化に対応した真の司書教諭の養成に内容面でなっているかどうかという点も私ども協力会議の報告においても指摘されているところでございまして、私たちもこれをどのように具体化していくかということで今検討しております。何分にも、先生御案内のとおりこの司書教諭につきましては量的な発令自体がまだ不十分であるという問題がまずございますものですから、そちらにも力を入れていかなければならないというふうに考えておりますが、今御指摘の点も大変そのとおりの御指摘だと思いますので、今七科目八単位ということで司書教諭の資格が取れるような仕組みになっておりますが、その内容につきまして今後御趣旨も体しまして検討していきたいというふうに思います。
  243. 阿部幸代

    阿部幸代君 内容というのは必ず時間も不可分の問題になりますし、その内容を講義する人の問題にもなっていくわけで、私、三点言ったんですけれども、やはりこれらの充実をおろそかにしてはならないと思うんです。というのは、今までいわば図書館係教諭がやっていたことと変わりがなかったら意味がないわけです。何をやっているんだろうということになるわけで、ぜひ充実方をお願いしたいと思います。  一方で、学校図書館にかかわる人は、いわば学校の外からさまざまな形で自治体独自で置かれてきたところがたくさんあります。「学校図書館に人を置こう! 全国の運動を語り合うつどい97」、これは岡山県の倉敷市でことし行われて、私も勉強のために行ってみたんです。この実行委員会が全国六百九十一市の公立小中学校図書館を対象に、昨年八月からことし一月にかけて図書館職員の実態調査を実施しています。回収率一〇〇%。公費、私費、正規、臨時を問わず、学校図書館の仕事をするために雇用されている、そういう人という意味で、職員がいるというのは二百十三市、全国の市の三一%だったそうです。その中身はさまざまで、正規の職員が一七・七%、臨時職員が三二%、嘱託職員が一八・八%、その他が二二・七%となっています。  この三年間に大きな変化があるんですね。私も私の地元埼玉県を調べてみました。九十二市町村の中で職員を置いているのは十八市町村、約二割でした。市だけで見ますと、四十三市中十五市、三五%です。これは所沢市の例なんですけれども、一日四時間、週五日勤務の臨時の職員が中学校十五校全校に配置されています。司書補助員として採用されているんですが、その目覚ましい働きぶりで図書館が見違えるように整理され、私も見てきましたが、利用されるようになりました。子供たちは毎日あいている図書館に、休み時間と放課後、自由に出入りして本を借りていくわけです。それから、もちろん学校教育課程の中に図書館が大きな役割を発揮してきています。  川越市の場合です。ここでは小学校は九人で十八校を巡回、それから中学校は十一人で二十二校を巡回している形で、一日五時間、週五日勤務の臨時の職員が配置されています。ほとんどが司書の資格を持っている方だそうです。募集をしますとそういう方たちがどんどん応募してきているんだそうです。物置同然、かぎのかかった時間の方が長かった図書館がよみがえった、こういうふうに言われて、子供たちの利用が非常にふえたそうです。教師教育委員会も、こんなに効果があるとは思わなかった、こういうふうに喜んでいるそうです。  岡山市などでは、一部ですが専門の司書が正規の職員として図書館に勤務しています。  これらもろもろの例でも明らかなように、外から配置されてきた図書館の職員というのは実にさまざまです。でも自治体のこういう努力学校図書館を活性化させてきたわけです。図書館の係教諭ではやりたくてもできなかった、そういう仕事をして図書館を活性化させてきた職員の存在意義、それから自治体の努力、これらを文部省はどのように評価なさいますか。
  244. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 学校図書館は非常に大きな役割を果たしていると思います。子供に読書のおもしろさを教えたり、あるいはオアシスとしての役割、そして、これはいわゆる高度情報社会の中の情報センターという機能も持ち得ると思います、そこまではまだいきませんけれども。  そこで、今御指摘のように、蔵書あるいは施設の充実、そして職員、特に司書教諭の配置、こういうことについて私たちも一生懸命努力してまいりますが、地方公共団体がそれぞれ今御指摘のように工夫をしながら努力をされている、大変すばらしいことだと思います。  今後、そうした自治体とも十分連携をとりながら、魅力ある学校図書館の実現に向けて努力をしたいと思っております。
  245. 阿部幸代

    阿部幸代君 私は、民主主義の前進に図書館というのは不可欠だと思っています。歴史的に民主主義者は常に図書館に注目をしてきたそうです。とりわけ、情報化ネットワーク時代の図書館の果たす役割はますます大きくなると思います。  これらのことは学校図書館にも言えるわけで、その学校図書館活性化のかぎを握るのが人です。司書教諭の講習内容充実、それから自治体独自で取り組んできた人の配置、これらが全体として後退しないで前進していく、そういう立場での文部省の支援を強く要望いたします。  文部大臣、再度決意を伺って終わりにします。
  246. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 局長からもるる申し上げたとおり、私どもとしてはそうしたいろいろな手法を通じて、今後ますます地域における学校図書館の充実に努めてまいります。
  247. 江本孟紀

    ○江本孟紀君 自由の会の江本でございます。  まず、小杉大臣にお尋ねをしたいと思うんですけれども大臣スポーツということにかけては現在も現役の選手のような活動をされているということで、我々スポーツ振興を柱にしている者にとっては大変心強い大臣ということで、相当な期待をしております。  そこで、スポーツの振興という中で、所信の中に、特に、スポーツを見る人々に感動とスポーツ活動への契機を与える競技スポーツの振興は、従来にも増して大切となっている。そして、シドニー・オリンピックを視野に入れつつ、我が国の競技力向上を図るための施設整備や選手強化事業の推進などの諸施策を進めるというようなことを言われております。  そこで、お尋ねをしたいと思いますけれども、というよりも、私の意見も聞いていただきたいと思いますが、まずオリンピックのことなんですけれども、近年、オリンピックへ参加するということは、もともとオリンピック精神というものがどういうものであったかと。それは参加することに意義ありということでいえば、今まさしく日本の選手団はすばらしい意義を達成されている。ちょっと嫌みを言っただけの話なんですが。  ずっとここのところオリンピックは参加をしておりますけれども、モスクワのオリンピックはあれですけれども、メダルの数が年々減ってきていまして、去年のアトランタの選手団は今までの最高の五百名ぐらい行っております、役員も含めてですけれども。競技種目も大変ふえて五百名ぐらいが行く、選手は三百十名です。金メダルが三個。東京オリンピックの十六個を境に、十個とか九個とかというのはありますが、前回、前々回とだんだん減ってきておるというような中で、オリンピックに対する考え方が、我々が期待するのとやっている連中はちょっと違うんじゃないかと思うんです。  そのいい例が、去年オリンピックに出られた方が、負けると必ず、いや、もう私は楽しんできましたというようなことを発言されるわけですね。あれは聞いていると一瞬むかっとするんです。聞いている方は何でむかっとするかというと、ひょっとしたらおれたちの税金をそっくり使ってオリンピックへ行っているんじゃないかと、一般的にみんなそう思っていたんです。私も、何かひょっとしたらそれぐらいは責任があるんで、そんなふざけたこと言ってくれるなよ、おれたちの金で行っているんじゃないかと、こういうふうに一瞬思ったんですけれども、しかしそれをよく見てみると、大して出していないんですね。アトランタ・オリンピックは一億七千万しか代表団に派遣費として出していない。ということは、一人頭三十四万円ですね。アトランタまでは飛行機代かなりかかりますので、いろんなことを含めると、これはまあ大したお金じゃないです。  そうやって考えてみると、どうもスポーツ振興とかオリンピック頑張れとか言っている割には、国が主導しているようでありながらも、何か裏では余り金をつぎ込んでいない。お金が本当に要るのに、一人の選手を育てるのに相当なお金がかかる、こういったことを含めても、国の政策としては一応うたってはいるけれども、実態としては大してお金をつぎ込んでいない。というようなところから、各競技団体自分たちのお金を集めてきて勝てそうなところへどんどん金をつぎ込む。スポーツ関係の会社等もそこにどんどんつぎ込むといいますか、そうすると、実態的にはオリンピックにどれぐらいの金が実際かかったのかどうかなんということは何か出てこないそうです、一応聞いていただいたんですけれども。  そうすると、行っている方は、別におれらは国からもらっているんじゃない、おれたちは自分たちの団体で金集めのうまい会長がいるから、それがばあっともらってきてそれで行っているんだ、おまえたちに成績を一々問われることはないんだ、おれらは楽しんできたんだというような、そういう精神になっておるんじゃないか。そうすると、我々が考えているオリンピックに行ってもらう選手たちへの期待というか、そういったものは我々が思っているのとかなり違ってきているんじゃないかなと思うんです。  その辺について、オリンピックに行く人たちもぜひちょっと考え直していただいて、そういう果たす役割等も含めて今ここでもう一度何か考えるべきじゃないかというふうに思いますけれども、このオリンピックについては、大臣どういうふうにお考えでしょうか。
  248. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) やっぱりスポーツは人々に活力を与える、あるいは感動を与える、そして非常に鼓舞するものを持っておりますから、私は非常にスポーツの重要性というものは認識しております。  先ほど午前中の馳委員の質問にも答えましたが、今回二十八年ぶりに文部大臣の諮問機関である保健体育審議会に私は三つの諮問をいたしました。一つは今言われた競技スポーツの向上をどうしたらいいか。それから生涯スポーツ、人生八十年時代の生涯スポーツはどうあるべきか。それから、先ほどからいろいろ薬物乱用の話も出ていますが、学校教育の場でも、子供さんは体ばかり大きくなってもなかなか運動能力とか体力がついていないとか、そういった学校における体育スポーツあり方。そういう三つの分野の諮問をして、今、ことしの秋をめどに審議をしていただいております。  スポーツの中でも特にオリンピックは注目度が高いわけですが、今御指摘のように、ソウル、バルセロナ、アトランタと期待したほどの成果を上げ得なかったということを私は残念に思いますし、日本国民もそういう方は多いと思います。  文部省として、国として、それでは一体競技スポーツなり生涯スポーツ学校の体育にどれだけお金を注ぐことができているかというと甚だ私は不十分だと思いますし、何とかこういうスポーツ振興予算を確保したいと思っておりますが、なかなか思うに任せない。  先日のアトランタの結果を見ましても、例えば最近ナショナルトレーニングセンターというようなものをつくったところが非常に成果を上げているんですね。オーストラリアとかフランスですか、それから韓国なんかもそうですけれども、そういうところはやはり着実に成果を上げているんです。  そういうことを考えますと、私はもっともっと、ただ参加することに意義がありということではなくて、やっぱり競技スポーツは強くなきゃいけないし、また、ただ技術とか体力だけじゃなくて、メンタルな面が非常に大きいと思うんです。この間、グンダ・ニーマンというドイツの女子選手が、長野で世界新記録で総合優勝しましたけれども、本当に技術も立派ですけれども人格も物すごく立派だというようなことで、私は、ちょっと答弁としてはそれましたけれども、そういう気持ちで今後一層スポーツについての振興策を講じていきたいと考えています。
  249. 江本孟紀

    ○江本孟紀君 とにかくお金がかかるというようなところが一番根本の問題だと思うんです。  そこで、今大臣からもお話がありましたように、ナショナルトレーニングセンターというものの重要性ということでいえば、これはもう早急にこれに取りかかって何とかそういう中でやっていただきたい。そのためにはよき指導者育成しなければいけないとかいろんな問題が出てきます。しかし、またそこでも考えるのはやっぱり財源の問題だと思うんですね。そうすると、現行の、今の予算の組み方を見ておりましても、じゃ、そういったものにどんどんつぎ込めるかというと、これは問題があると思うんです。  そこで、何年か前から、先ほど馳議員からもちょっとお話しになりましたように、独自にスポーツ界として、スポーツ界というのはおかしいですね、国として独自のスポーツ財源というものを確保する方法を考えるべきじゃないかというようなことで、スポーツ議員連盟等でずっと議論されてきましたけれども、やっぱりサッカーくじ、スポーツ振興くじ、これを早くやらなきゃいかぬのじゃないかということで、今まで何度もそういう空気はあったんですけれども、こちらで審議をしたり話し合いをするというような場も今までほとんどなかったんです。  それは、政権等のいろんな動きによって法案がどんどんあっちへ行ったりこっちへ行ったりしてしまったという経過がありますけれども、今こそもう早くどんどん手を打っていかないと、シドニーも恐らく二個か三個で終わってしまうんじゃないかと心配しておるんです。とにかくサッカーくじ、通常サッカーくじと言うんですけれどもスポーツ振興くじという問題を私はやっぱり一刻も早く上げて、これは議員立法でやるということですけれども文部省としてもこれは早く推進していただきたい。  その中で、大臣はこのスポーツ振興くじというものについてどうお考えになるのか、ちょっとお聞きしたい。
  250. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) スポーツ振興くじは、平成四年からJOCと体協がスポーツ振興の財源としてぜひ創設をしてほしいと、こういう要望が行われて以来、スポーツ議員連盟、私も所属しておりますが、各党におきましてもスポーツ振興の実現のための財源確保策として検討されているというふうに私は承知しております。この問題は、何度か俎上に上りかけながら土壇場で日の目を見ないというようなことで、必ずしも国民全体の合意がまだできているかいないか非常に疑問なんです。  そこで、これは議員提案で現在のこのスポーツ振興くじはずっと経緯がありますので、ぜひ各党あるいは国民各層の盛り上がりといいますか、そういうものの動向を関心を持って見守ってまいりたい、そういうところでございます。
  251. 江本孟紀

    ○江本孟紀君 私たちもスポーツ振興くじというものを相当研究しましたけれども、その中身だけでそういったものを全部補てんできるかというと、それはもうとてもできないと思います。先ほど馳議員のお話の中にもありましたように、あれを研究しますと、射幸性はほとんどないものですから、むしろ財源が上がらないんじゃないかというぐらい心配しておるんです。あれは、ばくちですよと宣伝しないといけないんじゃないかというぐらい興味を持たれないようなものだと思うんですよ。  しかし、ちょっとでもそういう工夫をして国の財源を少しは補てんするというようなことをやっぱり考えるべきだ。私は、それは確かにオリンピックに行くためとかそういうことだけではなくて、日本にはまだまだスポーツ関連でそういう財源を使わなければいけない部門というのはいっぱいあると思うんです。  先日、大阪の方へ行っておりましたら、関西の新聞に、神戸の大震災の人たち現状の話の中に、これはちょっと何新聞か忘れましたけれどもスポーツの振興というようなことが非常に、何といいますか、スポーツ役割というものが非常に大切だ、被災者にとっても非常に心強いものがあると。みんなで草野球をやったり、簡単なスポーツをやったりというようなことで非常に役に立ったという話が出ておりましたが、しかしその最後の方に、やっぱり施設が足りない、だからやりたくてもできないんだ、こういうことを何とかしてほしいというような話が出ておりましたし、サッカーくじそのものは、スポーツ振興くじそのものは、そういう特定のものではなくて幅広い。  私どもの方にも時々多摩川のグラウンドがとれないからとってくれないかとかいうとんでもない話が来るものですから、うちはそんなことはできませんよと言っているんですが、そういう声が非常に多いということは、やはりまだ十分子供から大人までそういった使えるものが少ないということを踏まえても、これは早急にと言っても、そういうことは解決するとは思いませんが、着々とこういうものは進めていくべきだというふうに思いますので、ぜひ行動を起こしていただきたいと思っております。  次に、話はがらっと変わりますけれども、きょうは、私は出身が高知なものですから、ちょっとそれと関連して、日本の国旗と国歌という問題について少し聞いていただきたいと思います。  国旗と国歌というのは、私、資料をちょっと見てみたんですけれども、今までも相当な方が予算委員会も含め文教委員会も含めいろんなところで議論をされております。いろいろされてはおるんですけれども、結果的にどうかというと、あいまいな形で国旗と国歌というものは存在しておるというのが現状だと思います。あいまいにしなければいけない事情というのがいろいろあるでしょうけれども、話はちょっと飛びますが、一つ学習指導要領の中に、一応学校の中では、小中学校は国旗を上げなさい、国歌を歌いなさいということがあって、それをしなければこれは処分する。先日も裁判になりましたけれども、そういった混乱が一つあるわけです、混乱という言い方があってもいいと思うんですけれども。  先日も、そういうことも含めて、私の郷里の高知県知事の橋本さんが国歌の内容がおかしいということを発言されて、それが問題になった。発言されることは別に悪いことじゃないと思うんですが、その後トラックに突っ込まれたりとか、いろんなその後の問題が起きておるわけです。  そうすると、私個人は何の不思議もないと思っているんですけれども、国歌というものがおかしいというようなことを言ってしまったら、それは自治体の長ですから、日本の国を構成している自治体の長ですから、私は総理大臣がどういうお考えかというのをちょっと聞きたいんですけれども、これは直接私が聞きに行くわけにいきませんので、大臣はしょっちゅうお会いになると思いますのでぜひ聞いておいていただきたいんですけれども、国の長が、長という言い方はおかしいですか、総理が違う考えを持っている、そして地方の自治体の長がこれもおかしいというようなことになれば、これは教育現場では当然混乱もしてくるというふうに私は思うんです。  国歌もそうですが、国旗の問題もそうですね。国旗なんかは、さっきのオリンピックに関連してあれなんですけれども、外国へ行ったりなんかすると、野球でもそうですが、突然、日の丸を上げてそれに忠誠を誓うような意識があるわけですね。外国へ行くとそういうことがあるんですけれども、日本の中では日ごろ何とも思っていない。  例えば、プロ野球で野茂投手というのがドジャースに行っている。彼は日本の国とか国歌とか日の丸とかというのを考えていないんですよ。あれは単に野球をしに行って、おれはアメリカで頑張るぞといって行っているわけです。そうすると、見ているお客さんの方は、突然、留学生かなんかがスタンドで日の丸をこうやってやるわけですね。ところが、野茂自体はそんなナショナリズムを背に受けてほうっているわけじゃないんですよ。そういうときだけ彼らは出してくるという、その程度の認識しかないんじゃないか、国歌だとかというものに。国歌と国旗というものは連結していると思いますので同じようにごちゃまぜに言っているんですけれども。  そんな空気からしても、国歌と国旗というものの教育というか、認識とかそういったものが非常にあいまいにされているんではないか。私は、もうそろそろこれは法律できちっと、日本の国歌はこうである、国旗はこうであるというものを文部省が率先してやっぱりつくっていくべきじゃないか。そうしないと無用の混乱があちこちで起きてくるんじゃないか。一応、学習指導要領でそういうことを通達されておりますけれども、しかし本来は、国歌としてこれが決まっている、だけれどもそれを上げるか上げないか、歌うか歌わないかは個人の自由に任せるというのが本来の姿じゃないかなと思います。  例えば外国の例も、これは以前にもいろんな方がお話しになっている。フランスの国歌はどうだとかいろんなことを言われておりますけれども、ほとんどの国歌は、中国の国歌にしても、これはもう敵は悪魔、すべて外国はみんな悪魔だ、敵をやっつけろというような歌ばかりなんですね。だから、そういうことに余りこだわらないで、日本なんかその点比べたら優しい国歌ですから、これを堂々と、国が、これは国歌である、そして、しかしそれがいいか悪いかの議論をもう一回きちっとして、それで方針を決める。  そうしないことには、今の状況でいえば混乱がこれからも出てくる。例えば、橋本さんがそういうことを言っただけでそういう嫌がらせみたいのが出てきたりとか、先ほど本岡先生が言われておりましたが、それはちょっと問題が違うんですけれども、そういう方向だと違う方向から来るというようなことでして、無用の混乱を招かないためにももうそろそろ決断をすべきじゃないか、その中身については議論があると思いますけれども。  その点についてお考えを伺いたい。
  252. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) まず、日の丸が国旗、そして君が代が国歌という長年の慣行がもう定着していると思います。したがって、今確認的に法律によって制度化するまでもないというスタンスでおります。  それから、高知県知事の発言については、詳細を私は承知しておりませんが、高知県の教育委員会は従来から学習指導要領の趣旨に基づいて各学校における国旗・国歌についての適切な取り扱いを指導しております。  それから、私も国務大臣としておりますけれども、現内閣でのこの国旗・国歌に対する認識というのは、従来定着しているもの、そのとおりだというふうに理解しております。
  253. 江本孟紀

    ○江本孟紀君 確かに定着をしている、もうほとんどの人がそういうことでありますけれども、しかし、例えばプロ野球の例を言いますと、私がかつていたパリーグなんかは試合前に必ず国歌をやるわけですね。そして日の丸を上げる。そして試合開始になるというようなことがずっとあったわけです。セリーグはどういうわけかやっていなかった。これは自由なんです。  ところが、先日も、今もちゃんとやっているかと、私は最近パリーグの試合を余り見に行きませんのでよくわからなかったんですが、日本シリーズだとかそういうかなり大きなものは必ずやるんですけれども、私が現役のときみたいに毎試合やっているかどうかというのを問い合わせしたところ、これはいろんな問題があって問い合わせには答えられないというのが球団の答えなんですよ。ということは、もう底辺では非常にこういう国歌や日の丸に関しては敏感なんですよ。  だから、そういうふうに気を使いながらいろいろする前に、もうきちっとこれは国歌であるとか国旗であるとかいうものを国が制定すべきだ。私は、その方が混乱がない、後は自由に、自分が上げようが上げまいが、歌おうが歌うまいがそれは本人の自由であるというふうにやっぱり持っていくべきじゃないか。私は国旗・国歌の問題についてはそういうふうに思っております。  内容についておかしければ、もう一度本当にそういう場所で議論し合って、これはいいとか悪いとかもう一遍やるべきじゃないか。もうみんなが認めていると、確かに野球場とかサッカー場とかいろんなところへ行きますと八割、九割以上の人が立ちますよ。たまたま弁当を食って立てない人もいますが、ほとんどが試合前にがっとみんな立って敬意をあらわすわけです。だから、そういう意味でいうと、もうそれはいいじゃないか適当で、みんなやっているんだからというようなことは、やるべきものじゃないんですよ。これはオリンピックへ行っても、国の象徴だとして国旗や国歌をみんな前面に出しておるわけですから、個人の看板とかそういうものじゃないと思うんです。  だから、ぜひひとつ考え直していただいて、ほどほどに、適当にしておくというような状況をぜひここら辺で考え直していただきたいと思います。  それからもう一つですけれども、先ほどもちょっと本岡先生の方から教科書の問題が出ましたが、私の年代ですと戦後の生まれですから歴史教育とかそういったものについては非常に疎くて、実際に戦中戦前何があったのかといったものを余りはっきりは覚えていないんです。代々いろんなことを聞いてきて、ああこんなこともあったんじゃないか、こういうこともあったのかな、戦争だからこういうこともあるだろうだとか、いろんなそういうおぼろげながらの認識で今日まで来ておるわけです。  ところが、時々教科書問題とか、これは中身についてはまた別の機会にやりたいんですけれども、最近もその問題がちょこちょこ出てきて、大臣のところへも何か抗議のような形で、教科書の中に従軍慰安婦がいたとかいないとかというそういう問題について今少し世間では議論が出てきているというような中で、事実はどうだったのか。  私は、歴史をどうやってみんなが勉強したのかというのがちょっと疑問なんですね。その歴史的なことというのは事実はもう絶対事実であるべきだと思うんです。それをきちっと、事実はこうだったというものをあらゆる層から、あらゆる人たちから調査して、それを明確に出して、そして日本国内でもそうです、世界じゅうに日本はこうだったんだ、こういう歴史なんだということを堂々と言えるような、そういう調査とかそういうものをしなければいけない。  それが、民間で出した教科書、書いてきたものをみんなで、この辺世間の空気もこうだからこれでいいじゃないかというようなことになれば、当然それに反発をする人たちもいっぱいいるわけですから、今の状況を見ると割合がどっちが多いかわかりません、私は。だけれども、今、本岡先生は何か嫌がらせを受けているというような話がありましたけれども、これは立場が右と左――右、左と言っちゃいけませんね、こっち側とこっち側ということでいえば、こっち側に抗議が来た。ところが、こっち側を言うとこっちにも嫌がらせ等というか、そういった抗議運動みたいなものが来る。  それ自体は、最近の例でいいますと、前にキャスターをやっていた、私は全く面識はありませんが、最近よく新聞等に出ているので気になるんですけれども、櫻井よしこさんという方がちょっと教科書の中の従軍慰安婦というのはいなかったんだというふうなことを言うと、いろんなところから抗議が来て、その生活に支障、そういったものも来しているというような話がよく出てくるわけです。  そうすると、これ本岡先生の例もそうですけれども、櫻井さんも多分身に危険を感じるようなものがいっぱいあったということで、私は、そういう逆の行動の仕方というものをこれはむしろ犯罪行為じゃないかというぐらいひどいものだというふうにいろいろ見た感じでは思うんです。これは警察庁の方にちょっとお伺いしますけれども、例えばよく聞く話は無言電話が物すごい多いとか、それから抗議電話だとかファクスだとかというのをもう大量にどんどんやられる。そういうことによって苦痛を受けるというふうなことでいいますと、これは犯罪行為に当たるんでしょうか。
  254. 松尾好將

    説明員(松尾好將君) お尋ねの無言電話事案につきましては、これまでに、例えば約二カ月間にわたり約一千七百回の無言電話によって相手方の業務を妨害したという事案につきまして偽計業務妨害罪、また約一カ月間にわたって約九百回の無言電話等によりまして相手を不眠症に陥らせたというような事案につきまして傷害罪として検挙をした事例などがあります。
  255. 江本孟紀

    ○江本孟紀君 そういった事例を今聞いても、とにかく驚くようなそういう暴力といいますか、こういったものが非常に多いわけですね。それはなぜかというと、やっぱり歴史教育の問題、そういう日本の今までの過去の、さっき私が言いました日の丸と国歌の問題もこれは全部リンクしていると思いますが、こういったものにやはり国がもういいかげん、文部省指導してぴしっと方針を立てていく。あいまいな方向でやっておるんではなくて、何かそういう考え方をびしつと出した方が私は混乱がなくなってくるんじゃないかというふうに思いますけれども、その点について大臣、最後にお伺いしたいと思います。
  256. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) 申しわけありません、時間が来ておりますので簡潔にお願いいたします。
  257. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 文部省としては、客観的あるいは学問的な成果を踏まえて、検定基準に基づいて専門家から成る審議会で検定をする、こういう建前になっております。いろいろ歴史上の事実についての論争がある場合には、やはり学界の定説とかそういうものは常に注目しながらやっております。そして、政府として調査団が平成五年八月に報告を出しておりまして、私ども文部省としてはその政府の調査団の報告に基づいて対処している、こういうことでございます。
  258. 江本孟紀

    ○江本孟紀君 どうもありがとうございました。
  259. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 私は、橋本第二次内閣でも六番目に加えられた教育改革という問題、大変大事だと思っております。きょうは教育改革について小杉大臣期待を込めながら伺いたいと思っております。  七月に出されました中教審の第一次答申、その内容が「生きる力とゆとり」というふうにくくられている。言ってみれば、逆に生きる力が減っていると申しますか、その活力がないがゆえに生きる力をどうつけていくかということ、またゆとりがないからどうゆとりをつくっていくかという問題だと思います。しかし、実際にそれでは生きる力とかゆとりというものではこの答申の目指している理念というものがなかなか見えてこないというように私は感じているところです。  たまたま今オリンピックの話が出ましたけれども、ちょうど東京オリンピックの後で「期待される人間像」というのが当時の中教審の会長でいらした森戸辰男さんがお出しになった経緯がございます。ちょうど今、山本委員は昭和二十年代に戻ってお話しなさいましたけれども、私はそのころ文部省の記者クラブにいたものですから、その「期待される人間像」というのを報道しなければならない部署におりまして、ふとあの当時何が書いてあったかということで、きのうまた届けていただいて読み直したんですけれども、余り変わっていないような気がいたします。変わっていないというよりも、個性を大事にするというようなことはその当時からも書かれている。  例えば、どういうことを書かれているかといえば、やはり人間は一番大事なのは人格を有することだ。期待される人間像というのは、その人格のある人間が大事にしなければならないことの第一に森戸会長は自由ということを挙げていらっしゃる。人間は品位を持ち、不可侵の尊厳を有する。基本的人権の根拠もここにあると。そして、人格の中核をなすものは自由である。それは自発性と言ってもよいというふうにおっしゃっています。  その自由と同時に持たなければならないのが責任。個性を伸ばすということは他人の個性をも大事にすることだというふうにもおっしゃっていらして、これは協調性だというふうに思いますし、自己を大事にする、自己の命を粗末にしないということ、そのことが人生の意義であり、目的でもありましょうというふうに、人生の目的を達成することだというふうに位置づけていらっしゃる。さらに、強い意思を持つことだと。  これだけ当時、中教審がうたい、さらに一九八七年の臨教審の答申は大変有名ですけれども、ここでも本当に個性を重視するということが言われました。もっとはっきりと、日本の教育の病弊は画一性であり、硬直性であり、非国際性だと。これを打破すること、それが大事なんだというふうに当時の臨教審答申は言っています。教育内容、それから方法制度、政策を、全部その視点から見直すというのが臨教審答申だというふうに思っております。  そういった形で、実はもう三十年前から、いやもっと戦後すぐから同じようなことが、確かに森戸先生答申は大変格調高くそして骨太く、今回の答申は厚いんですけれどもそれだけの何か骨太さは感じません。そういったことをあの当時、日本が経済復興を目指して高らかにうたいとげていながら、なぜ次の臨教審のときには画一性というのが日本の教育の病弊だということを認めざるを得ない立場になったのか、その辺が大変問題だというふうに考えています。  これだけ中教審答申がいつも個性の重要性、個人の実力をつけると言いながら、ついに今や戦後半世紀たって生きる力というのをうたわなければならなくなったということは、もうこれは文部省だけの責任ではなくて、私たち日本人全部が何か大変間違った方向を歩んできたのではないかという気すらするんです。文部行政に特定して言わせていただければ、やはりこれだけ中教審理念を毎回毎回打ち出しながら、それが学校という場ではむしろ逆の方向に行ってしまっているという現実は、教育課程の組み方にあるんではないか。  先ほど学習指導要領のお話も出ましたが、その理念を実現する、むしろ今も教育課程審議会大臣は諮問中でいらっしゃいますけれども、その場で、私は自分ではよくわからないんですが、聞き及びますところでは、数学なり国語なり社会なりもうその時間を一分たりとも減らしたくないという、そういう構造があるというふうに聞いています。今度は完全五日制をするわけですから、ふやすということではなくて、むしろ減らすという作業である。しかも、先ほども指摘があったように、より教育内容は高度化している。  そういう構造の中で、これからその教育課程審議会というのは、もし今までと同じようなやり方でまた学習指導要領なり教育課程のカリキュラムを組んでいくんだとすれば、今まで三十年間の間の私たちが何か腑に落ちない教育方向性を修正することができなかった、それを再度繰り返すことになるのではないかという危惧を持つわけでございます。  むしろ、これだけ中教審が迫力を持って、今回は余り迫力あると思っていないんですが、とにかく理念を打ち出されているのであれば、やはりこれからそういったカリキュラムの組み方、あるいは学習指導要領をどういうふうにしてつくっていくのかというそのプロセスこそが大事な時期に来ているんではないかというふうに思いますが、大臣はいかがお考えでしょうか。
  260. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 今まで森戸先生のそういう答申あるいは四六答申そして臨教審答申と、その都度非常にすぐれた提言をしていただきました。その中で文部省としてできることは鋭意やってきたつもりでありますが、国民の理解が得られずに積み残しといいますか、まだ実施に移されていない部分もいっぱいある。  そういうことで、今回特にいろいろここに書いてあるような内容を盛り込んだわけですが、例えば臨教審のときにはたしか個性尊重、それから情報化国際化への対応、そして生涯教育とこの三つがポイントだったと思いますが、やっぱり十年目ごとに教育課程の指導要領ですか、これを改訂してきているわけですが、やっぱりそれぞれの時代の変遷に応じてテーマを選び、提言をしてきておりますし、また学習指導要領もまとめられてきたと思います。  そのプロセスということが大事だとおっしゃったんですが、私もそのとおりだと思います。中央教育審議会の場でも、教育関係者、PTA関係者、保護者、文化スポーツ関係者、経済界、マスコミなど、各界の識見の高い委員を委嘱して、そして特にこれからは学校週五日制ということになって、今おっしゃったように、もうそれぞれの科目、一分でも減らしちゃ困ると、こういうことで、非常に難しい課題を背負っているわけですけれども、そういった五日制のもとにおける新しい学校教育役割を踏まえた教育内容のひとつ抜本的な改善、・厳選というものを期待しております。  それで、そういったメンバーを厳選すると同時に、審議会におきましてもいろんな幅広い教育関係団体とか一般の意見を聞いたり、議事録の公開、これは私は文部大臣になって、とにかくすべての審議会をオープンにしようとこういう提案をしたわけですが、教育課程審議会におきましても積極的にこの審議過程を公開していくということを通じまして、審議を活性化し、そして大所高所からの議論が十分できますようにこれから努めていきたいと思っております。
  261. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 議事録の公開ですが、きょうの質問のために教育課程審議会の議事録をいただきたいとお願いしましたけれども、これはだめでございました。ほかの省庁は一週間ぐらいで出てきて、完全なものじゃなくても委員会のためだと出していただけるので、大変残念に思いましたので、そのこともちょっと申し上げたいと思います。  それから、今おっしゃったいろんな方の知恵を集めてということも結構なんですけれども、恐らく三十年前、四十年前と違って大変高度化した教育の中で、そういった知恵を出すだけではもう十分にカリキュラムを科学的に組めないんではないか。私は教育の専門家ではないんですが、そのことを盛んにおっしゃっていた方の意見を聞きながら、ああなるほどそうだと強く思いました。  審議会は審議会であってもいいのかもしれませんが、日常的に常に、今の教育あり方がどう効果があるのか、それを実証分析をする、実証研究をする。そして、地方のあり方もちゃんと研究するといったような効果。例えば今回、先ほどから出ている語学の小学校からの導入というようなことも言われていますけれども、それをちゃんと研究指定校なりそういうところで研究して入れていく。  大変具体的に申し上げたいんですけれども、行政改革の折でもございますから、国立教育研究所と国立教育会館を統合して、そこに二十一世紀に向けての教育課程のあり方を十分に実証的に研究するような機能を持たせる。そうすれば、もう審議会のたびに何か同じことがこう繰り返されるのではなくて、そこに十分なデータが蓄積されるんではないか、そして多角的な機能を持たせるというようなことができると思いますけれども、いかがでしょうか。
  262. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 今、教育会館と教育研究所を統合せよというお話がありましたが、従来、それぞれ設置形態も違いますし、また目的とするところも違っておりましたので、今直ちに統合することが全体として本来の機能を発揮するかどうかについては慎重な検討は必要だと思います。  ただ、言われたように、今までの検証というんですか、そういうものは大変重要だと思います。今までの教育課程の実施状況の調査結果とか、あるいはいろんな研究開発だとか研究指定校というのはあるわけですから、そういうところでの実践的な研究の成果とか、そういった今までいろいろ国立教育研究所その他の諸機関でやってきた調査研究というものの成果を十分踏まえつつ、ひとつ科学的、実証的な議論を積み重ねていきたいと考えております。
  263. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 国立教育研究所は非常に悪口を言われる教育研究所でございまして、今あえてそこには深入りしませんけれども、そういった機能を果たしてきたとは到底思えません。  これから二十一世紀に向けて、むしろ必要な機能というのは、将来どういうカリキュラムを組んでいくべきなのかということを、ちゃんとプロジェクトをつくって国家のレベルでやっていくことだというふうに私は認識しております。  例えば、これも地方のお話も先ほどから出ていますように、地方の教員養成大学、あるいは附属の小中学校あるいは地方の教育センター、そういったところも余り活性化していない。むしろ、それぞれの地方の学芸大学ですとかそういうところに十分に、それぞれ各県全部にそういったカリキュラムの研究機能を持たせて、そして中央にカリキュラム研究センターがあったとすれば、そういった地方からの研究を全部吸い上げる、またフィードバックするという形で、中央から地方というのを上下の関係ではなくて全く並列した形での有機的な関係の構造をつくる。  むしろ、地方がそれぞれ自分たちのカリキュラムを、例えば体験学習の領域とかボランティアの領域とかあるいは自然観察の領域とかそういったところぐらいはそれぞれ教育委員会なりそれから教育センターなりがつくっていくというような、それだけの力を持たせることによって初めて全国規模で教育が活性化していくんだろうと思います。そして、この中教審答申も実質的に機能するというか、それが教育課程に実現していける。そして、実現したらば直ちにそのままそれがどういう効果があるかということを継続して日常にトレースしていく、そのプロセス自体が活性化になっていくのではないかというふうに思います。ですから、地方と中央の関係をそういう形で変えることが教育の真の亀方分権になるのではないか。  そういった意味で、今までの国立教育研究所、そういう機能は果たしていないと思いますので、もっと文部省としてはダイナミックなそして二十一世紀に向かった将来ビジョンを持った前向きの構想を持っていただけたらと思いますが、いかがでしょうか。
  264. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 昨年七月の中教審の第一次答申では、大体、堂本先生が言われたような趣旨答申をしております。  例えば、教育課程審議会の中に継続して調査できるような常設の委員会を設けろと。そして、国立教育研究所とか今言われた各都道府県の教育センターとか民間の教育研究団体の研究成果とか、あるいは研究開発学校との実践研究の成果を適切に反映することが大事だ、こういうことを言っております。  今、地方教育制度の中核である地方教育委員会、これは来年で五十周年を迎えるわけです。それで、今度の教育改革でもやっぱり改革を実際にやっていくのは地方ではないか。したがって、地方教育委員会の活性化ということを強く打ち出しておりまして、ぜひ社会の変化とか進展に対応して、住民の多様なニーズ、今具体例を挙げられましたが、そういった新しいニーズにも総合的、積極的に対処できるような地方教育行政が展開できるようなシステムづくりが大事だということを打ち出しておりますので、これは大いにひとつ中央、地方連携をとって教育行政の推進に取り組んでいきたいと思っております。
  265. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 どうぞ、ここに書いてあることが言葉で終わらないでそれが実際に具体化されることを願ってやみません。教育研究所の今ある姿は全くそれとはかけ離れたものですから、そうではなくて、本当に大きなダイナミックな機能として有機的に機能させなければ余り意味がないと思います。  それから、答申の中に環境それから国際化大臣も私も大変大事にしております領域ですけれども、その中に総合的学習の時間を設けるということが提案されているんですけれども、この総合的学習の時間というのを、大変時間がないところにまたこういう提案というのはいかがなものかというふうに思います。そのことよりも、環境とか国際化、先ほどもおっしゃいました大量消費型の社会から循環型の社会に、あるいは地球市民としての視点から、すべての小学校の一年生から大学を出るまで、あらゆる課程についてやはり環境の視点あるいは地球環境の視点国際化視点教科を見直していく、そういった作業が一番大事なのではないか。あるいは、総合的時間というのがどういう内容なのかあれですけれども、余り専門化してしまうことによって、そういったこれまた価値観の転換だと思いますが、それが難しいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  266. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 今のお話のとおり、中教審の第一次答申では、環境、国際化という視点からの教育を各教科、そして特に道徳とか特別活動を通じて取り組めと、こういうことでありますが、今言われたように環境とか国際化への対応は今後の教育を考える場合には非常に重要な視点だ、私もそれは同感であります。  そこで、どの科目でそういうことを教えるかということじゃなくて、私はもうすべての教科書、すべての教科にそういう視点を前提としたやはりカリキュラムなりあるいは教育というものが実現されなければならない、これはもう共通の私は基盤となるべき視点だと思いますので、それは貴重な御提言として私も受けとめていきたいと思っております。
  267. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 大変うれしく思います。なかなか環境の視点で切り口を変えていくということは本当に革命的なことと言っていいぐらいですけれども、地球環境がこれだけ汚染され壊されている時代に、もし子供たちがきちっと地球環境とそして自分の生活の周りの環境について学んでいくことをしなければ、やはり日本は世界の中で孤立してしまう。ですから、環境と国際化と両方の中で、大臣がそれだけ断言していただけたことは大変心強く思います。  それから次にですけれども、完全五日制を実施した場合に大変心配なことは、高校あるいは大学入試があった場合に大変子供たちはそのジレンマにまた苦しまなければならないのではないかという気がしております。やはり受験地獄から何としても子供たちを解放することが真に生きる力をつけることでもございましょうし、それからゆとりを持ってもっと伸び伸びと、そして森戸先生言葉でいえば人間としての人格、自由、責任、そして強い意志を持つ人間として育つという、当時の今から三十年前におっしゃった、そういった教育期待される人間像が実現できるのではないかというふうに考えます。  先ほど大学入試をなくしてはどうかというお話も出ましたけれども、私も大賛成で、やれるものならそれをやることが一番いいのではないかと思いますが、もし早くに子供たちを解放するのであれば、高校入試からそういう形が何とかとれないものか。  例えば、高校入試資格という形で地域の公立の高校は進学希望の子供たちに門戸を開く、一方でそれぞれ特殊な芸術畑の高校ですとかそれから技術専門の高校あるいは国際的なコースを行く子供たちのための高校、いろいろな特殊な高校とか、それから事によったらもっと単位制の高校などというような多様な高校に関しての選択肢があっていいと思いますし、それから私立高校はそれなりのまた行き方もあると思いますけれども、もし高校から入試の資格試験ということだけで済むようなことになれば、もっと早く伸び伸びと解放されるのではないか。また、義務教育との間で一つそこで区切りがっく。  中高一貫というようなことが書かれていますけれども、やはりそれよりも先にすべての子供たちにとって受験地獄から解放されることが大事だと思います。大学の時点でも、本当は入り口は広く、そして本当に勉強した子供たちが卒業していくという、そういったあり方の方が私は望ましいと思います。  大胆な提案ですが、その大胆な提案をきょう大勢の委員の方がおっしゃいましたけれども、それをしないとやはり五日制というのがまた非常に疲弊してしまうというように思いますので、ぜひお答えいただきたいと思います。
  268. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 高等学校入試につきましても、大学入試と同じように、生徒能力とか適性とか、興味、関心の多様化に対応して選抜方法をできるだけ多様化していく、あるいは選択をする場合の尺度を多元化していく、そういう観点から改善を図っていくことは大事なことだと思います。  文部省としても、平成五年二月に通知を出しまして、各都道府県や各学校においてそういう視点からの改善を要請したところであります。具体的には、推薦入学をできるだけ積極的に活用してほしい、それから学力検査もただ一律の配点じゃなくて傾斜配点をしていただく、それから生徒の個性とか長所を多面的に評価するための調査書の改善とか、それから地域の実情や学校の特色等を踏まえた多様な取り組みが行われているところであります。  それから、端的な御提言ですけれども、地元の公立学校へ全入学ということですが、現在の志望状況を見ますと、今の状態ですとある特定の学校へばっと集中しちゃうというようなこともこれ現実にあるわけですから、当面というか、現状においてはやっぱり入学者選抜は必要と考えております。  しかし、先ほどから申し上げているように、ただ単にペーパーテストのわずかの点差で合否が決定されるという硬直的な方法ではなくて、一定の学力を満たした者については学力以外の要素を適切に評価して、そして総合的にとっていく、こういうことは大変示唆に富む御意見だと思って受けとめて、今後もそういう考えで進んでいきたいと思っております。
  269. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 確かに一つ学校に、先ほど東大に一万人か何人かとおっしゃいましたけれども高校の場合でも何千人ということだってあり得ると思うんですね。でも、そのぐらい大胆な大きな改革をしない限り受験地獄はなくならない。そして、それがなくならないと、どのように中教審の非常に微に入り細に入りいい提言がたくさんなされていても、それがまた臨教審のときのように、画一的な教育が弊害であるというようなことに結果としてなってしまう。  ですから、今度こそはぜひとも、大臣、今大変前向きにお答えくださったので、何としても相当大胆な入試の改革を高校大学でやっていただきたい。そうしない限り、やはりどんなに文部省がいい方針を出しても実質的な受験地獄は終わらないと思うんですね。ですから、大臣を初め役所の方皆様に大胆な政策の転換を期待いたします。  ありがとうございました。
  270. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) 本日の調査はこの程度といたします。  なお、先ほど山本委員からの御提案につきましては、機会を見て理事会にお諮りいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四分散会      ―――――・―――――