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1997-03-26 第140回国会 参議院 農林水産委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年三月二十六日(水曜日)    午後二時三十一分開会     —————————————    委員異動  三月二十五日     辞任         補欠選任      国井 正幸君     川橋 幸子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         真島 一男君     理 事                 浦田  勝君                 高木 正明君                 阿曽田 清君                 谷本  巍君                 一井 淳治君     委 員                 井上 吉夫君                 岩永 浩美君                 松村 龍二君                 三浦 一水君                 石井 一二君                 及川 順郎君                 常田 享詳君                 村沢  牧君                 川橋 幸子君                 須藤美也子君                 島袋 宗康君    国務大臣        農林水産大臣   藤本 孝雄君    政府委員        農林水産省経済        局長       熊澤 英昭君    事務局側        常任委員会専門          員        秋本 達徳君    説明員        農林水産大臣官        房審議官     竹中 美晴君        農林水産省経済        局統計情報部長  遠藤 保雄君        労働省婦人局婦        人政策課長    北井久美子君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (畜産物等価格安定等に関する件)  (畜産物価格等に関する決議の件)     —————————————
  2. 真島一男

    委員長真島一男君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨二十五日、国井正幸君が委員を辞任され、その補欠として川橋幸子君が選任されました。     —————————————
  3. 真島一男

    委員長真島一男君) 農林水産政策に関する調査のうち、畜産物等価格安定等に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 岩永浩美

    岩永浩美君 数項目にわたって通告をいたしております件で御質問をさせていただきたいと思います。  きのう、政府から家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案が提案され、藤本大臣からその趣旨説明を聴取いたしました。  ところで、去年三月、狂牛病が人間に感染する可能性があるということでイギリスがそのことを発表し、世界じゅうを恐怖に陥れたことは記憶に大変新しい。そして、日本国内でも、去年の五月には病原性大腸菌O157による食中毒事件が岡山で発生し、大阪の堺市では六千名近くの方々が症状を訴えて入院患者が出、かつまた死亡者まで出たという大変深刻な事態になってまいりました。これらの事件は、食生活と直結をしていただけに国民に大きな不安を与えたことは言うまでもありません。  一方、食肉などの輸入増加によって海外からの家畜伝染性疾病が侵入する機会は大変多くなってくることはもう否めない現実であります。こうした状況に対処するために、現在提案されている家畜伝染病予防法の一部改正案大変時宜を得たものとして私は高く評価をしたい。  そこで、今月の二十日、台湾国内口蹄疫が発生したことに伴って台湾産の豚肉輸入禁止になりました。これは、人体影響はないと言いながらも、大変不安を抱くことが多々あると私は思います。先ほど申し上げましたように、O157のあのカイワレ一つをとってみても、直接は関係ないほかの飲食業、ほかの産業にまで及ぼす影響が大であったことを考えると、ただ単に人体影響がないからということだけで事を済ますことができない。  そういう問題を考えると、現在、台湾から豚肉日本にはどれぐらい今まで輸入しておるのか、その輸入量はどういうふうな状況になっているのか、まず従来の輸入実態をお示しいただきたいと思います。
  5. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) お答え申し上げます。  我が国豚肉輸入量でございますが、平成年度で見てみますと、全体で五十三万五千トンでございます。そのうち、第一位の輸入先台湾でございまして二十四万九千トンでございます。ちなみに、第二位がEUで十二万六千トン、第三位が米国で十万九千トン、そういう姿になっております。
  6. 岩永浩美

    岩永浩美君 豚肉輸入量のシェアが四〇%近くになっているとすると、国内における畜産農家皆さん方消費者にとっても大変大きな問題だと思います。  特に、国内畜産農家皆さん方は、輸入禁止になっていくと、すぐ国内産豚肉高騰をしていくから一面においてはメリットが出てくるかもしれない。しかし、それはただ単に一時的に高騰するからということで、畜産農家が喜ぶわけはないと私は思います。  そういう豚肉そのものに対しての理解もさることながら、じゃ、政府としては輸入禁止をされました、輸入禁止をしてきて、第三国を迂回して日本に入ってくるというようなことは絶対ないのか。一つ防御策とか、そういうものはとっておられるのか。そういう心配がないということをはっきり国民に示していくべきだと思いますが、その件についてはどういう措置を講じておられるのかお聞きをしたいと思います。
  7. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 口蹄疫につきましては、三月二十日に台湾当局から通報を受けまして、我が国としましては直ちに台湾からの偶蹄類動物それから畜産物輸入禁止措置を講じますとともに、昨日でございますが、三月二十五日付で省令の改正を行いまして、台湾偶蹄類動物及びその肉等輸入禁止地域に指定したところでございます。  それから、先生指摘がございました第三国を経由してというお話でございます。偶蹄類食肉等輸出国に対しましては、我が国への輸出に当たりまして自国産または口蹄疫の発生のない国で生産された偶蹄類動物または食肉等を使うといった条件を付しまして、相手国政府輸出検査証明書原産国を記載させているところでございまして、これによって我が国への口蹄疫の侵入の防止に万全を期しているところでございます。  いずれにしましても、口蹄疫人間には直接影響はございませんが、家畜畜産にとっては大変重大な疾病でございますので、防疫体制には万全を期しているところでございます。
  8. 岩永浩美

    岩永浩美君 これは、輸入禁止新聞報道だと半年というふうなことをちょっと読んだと思いますが、大体半年ぐらいでいいんですか。
  9. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 台湾からの輸入禁止措置がいつ解除できるかという問題でございます。  これにつきましては、当該地域での口蹄疫清浄化が十分確認された後に輸入を認めるということになります。この際、防疫措置としましてワクチン接種を実施しました場合には、ワクチンを接種した動物がすべて殺処分された後、一定期間経過しましてから当方の家畜衛生専門官を派遣いたしまして、現地の衛生状況を確認して初めて輸入解禁をそれから検討するということになります。  現在のところ、口蹄疫台湾におきまして拡大傾向をたどっているようでございますし、また巷間ではワクチンを使用しているというふうな情報もございます。そうしたことからしますと、輸入解禁にはかなりの時間が必要なのではないかというふうに想像をいたしております。
  10. 岩永浩美

    岩永浩美君 それは、輸入解禁には相当な時間を要するということは、この前新聞で発表された半年じゃなくてもっと一年とか一年半ぐらいその解禁までは時間がかかるというふうに理解していいんですか。
  11. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) その期間につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたように相手国防疫実施状況にかかわる面がございまして、今直ちに半年とか一年とか、なかなか見通しは立てにくいところでございます。
  12. 岩永浩美

    岩永浩美君 台湾産の豚肉が今約四六%ぐらいの輸入率、量として四〇%を超えている輸入をしておられます。もしこれが長引くとすれば、ほかの国から豚肉輸入を、変えて輸入をするという形をとるのか、あるいは国内産だけで間に合っていくというふうになるのか。国内産だけでやっていく場合にはかなり高騰を招いていくというふうに思いますが、そこら辺はどういうふうになさるわけですか。
  13. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 豚肉需給見通しでございますが、我が国における豚肉の需要はおおむね近年百四十五万トン程度で安定的に推移いたしております。そうしました中で本年度豚肉輸入を見てみますと、本年度、一月までの累計で対前年比二七%近い増加になっておりまして、六十二万トンという数字になりますが、急激に輸入がふえております。そういう状況を反映いたしまして、通常は八万トンないし九万トンというのが国内豚肉在庫水準でございますが、一月末現在で見ますと、通常時のほぼ二倍に相当いたします十七万二千トンの在庫がございます。そうしたことを考えますと、今回の禁輸措置がございましても、直ちに国内需給が逼迫するような状況にはないのではないかと考えております。  また、外国の状況を見ますと、先ほど申し上げました第二位、第三位の輸入先国であります米国なりEUなりというのは大変供給余力の多い地域でございまして、かなり程度そこからの輸入でカバーされるのではないかというふうに想像いたしております。
  14. 岩永浩美

    岩永浩美君 役所の方では非常に冷静に対応をしておられると思いますが、新聞報道等を私たちが読むと、台湾豚肉禁輸が発表された、それと同時に枝肉が急騰して需給の混乱は必至だという見出し、こういうのが連日やっぱり新聞報道されてくると、おのずから消費者というのは非常に関心を持たざるを得なくなる。そういう点で国内生産農家皆さん方に対する指導食肉産業に与える影響というのは非常に大きいものがあると私は思います。  ただ、今、審議官の方でお話になった、そういう逼迫した状態ではありませんという、ただそういうふうな非常にさめたような言い方でいいのかなという心配をいたしますが、もっとやっぱり深刻に受けとめて対処していくべきだと思いますが、いかがですか。
  15. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) もちろん、口蹄疫という病気畜産にとりまして大変恐ろしい病気でございますし、これにつきましては万全の防疫体制をとっていきたい、細心にも細心の対応をしていきたいと考えております。  ただ、一方で、口蹄疫人間に対する影響はない、そういう意味公衆衛生上の危険性というのはないということで、そのあたりが誤解を招いてO157騒動のようなことにならないように、私どもとしましても十分啓蒙なり情報の伝達なりしていきたいと考えております。
  16. 岩永浩美

    岩永浩美君 去年、大変な話題になったO157みたいな形にならないように、ぜひ行政指導の中で強くそのことについての啓蒙宣伝等情報については完全に把握しながらコントロールをしてもらいたいことを要請しておきたいと思います。  次に、限られた時間の中ですからあと二項目について話をします。  まず、畜産に伴う諸問題について、畜産振興審議会にきょう農林大臣肉価についての諮問をされました。その中で大臣は今回引き下げ諮問を行っておられます。どうして引き下げ諮問になったのか、私は大変疑問を抱きます。なぜならば、やっぱり畜産物価格算定基礎となるのは言うまでもなく生産費調査だと思います。そこにかかわる生産費調査が、十分に実態に即応した形の中で生産費調査がなされているとするならば、こういう引き下げ状態の中で諮問されるということはないのではないのかなという考え。  それと、農家皆さん方労働時間を一日何時間に考え算定基準を出しておられるのか、私たちは甚だ疑問を抱きます。今まで私たち皆さん方に示された統計情報資料を見ると、篤農家と称される優良農家皆さん方標準値としてよく統計の中に出されておりますが、酪農経営方々はどちらかというと平野部の中におられることよりも中山間の地域の中に畜産農家が一軒ある、そういう皆さん方労働力をどういう試算をしておられるのか。  そのことを一つ一つひもといてみると、どうしてもことし畜産物価格引き下げ諮問というのは私自身納得のいかない思いがいたしますが、その件についてどういう御見解をお持ちなのかお聞きしたい。
  17. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 食肉安定価格でございますが、これにつきましては、畜産物価格安定等に関する法律に基づきまして、生産条件需給事情、その他の経済事情を考慮して、その再生産を確保することを旨として定めることになっております。  この指定食肉安定価格というのは、卸売価格段階での食肉の安定を図る目安の価格でございまして、直接農家の所得にすぐ直ちに影響するというものではございません。そういうものでございますが、この価格につきましては、消費税率引き上げられるというような引き上げ要素はございますものの、全般的に規模拡大の進展によりまして生産性の向上が進んでいるということから、豚肉につきましては安定上位価格安定基準価格とも五円の引き下げ、それから牛肉につきましては安定上位価格で二十円の引き下げ安定基準価格で十円の引き下げ、そういう小幅の調整の内容諮問をしているところでございます。  いずれにしましても、本日開催中の畜産振興審議会の御意見も伺って、その上で正式に決定してまいりたいと考えております。
  18. 岩永浩美

    岩永浩美君 今、審議官規模拡大に伴って生産費が少し安くなったからということをおっしゃいました。もちろん規模拡大において、一部分においてはその労働力合理化されている部分があることは事実です。しかしそれに伴って、畜舎改築等々を整備していく上において必要以上にお金がかかっている部分があります。例えば、畜舎並びに豚舎の改築に伴って、国の補助事業、公共でやっていく場合でも一般の家屋の建築基準法に合った畜舎を建てなければ了解をとることができない。そのことによって農家負担率が非常に高くなり、非常に負担が多くなってきていることも事実です。そういう合理化をし規模拡大をしていく過程の中にかかる生産費畜舎改築あるいは排水の処理、そういう問題を含めてやっていくそれぞれもろもろの問題、経費、それは生産費の中に入れないわけですか。
  19. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) この指定食肉価格安定制度でございますが、基本的な考え方といたしましては、直近の基準期間豚肉でありますと五年間、牛肉でありますと七年間というような基準期間農家の実際の販売価格基礎といたしまして、その期間から価格算定年度、すなわち平成年度ということになりますが、九年度に向けてのコスト変化率を掛けて算定するというルールになっております。この算定に当たりましては、先ほど先生指摘ございました畜舎建設費とかその他もろもろコスト要因も反映されるものでございます。
  20. 岩永浩美

    岩永浩美君 そういう畜舎改築、それからまさにふん尿処理の費用、前はふん尿の中におけるふんはお互いに耕種農家の中で配分をすることによってある程度地域農家皆さん方に喜ばれることがありました。しかし、先ほど審議官が申されたように、規模拡大に伴って尿の処理というのは大変負資産になる。その一つ処理施設をつくっていく、規模拡大すればするほど、その処理施設というのは単独の農家でやっていくことについては大変大きな負担になってしまっている。そういうものは生産費の中に入っていかない。あるいは一年、二年の中で期限が決まっている範囲でやって、コストの変動だけで決めたということを言われるけれども、規模拡大しないと畜産農家として経営をやっていけない。そういう現状があるにもかかわらず、そういう施設整備をしていくと農家負担がだんだん多くなっていく。それも価格の中に生かされてこないと、どうしても農家人たち畜産をやっていかなくなっていくのではないかという心配を抱くわけです。  それでは、例えば豚だと平均はどれぐらい、損益分岐点で何頭ぐらいあれば、あなた方は一戸当たりの収益のバランスがとれる農家算定しますか、標準農家は。
  21. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 私ども、最近でございますが、養豚をめぐる各般の問題を御検討いただく学識経験者等もお集まりいただきまして、養豚問題検討会というのを開催して各般検討を行ったことがございますが、そういう中での御意見としましては、養豚では百五十頭程度かということでございました。
  22. 岩永浩美

    岩永浩美君 それは繁殖ですか、それとも肥育ですか。
  23. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 繁殖でございます。
  24. 岩永浩美

    岩永浩美君 大体養豚農家の人は、繁殖肥育の場合には肥育の方が多いんじゃないですか。
  25. 遠藤保雄

    説明員遠藤保雄君) お答え申し上げます。  八年産の肥育豚生産費調査でちょっと概況を御説明申し上げます。  肥育豚生産費調査平均規模は五百二十一頭でございます。それで、年間の販売頭数は八百七十頭弱でございます。こういう実態になっております。
  26. 岩永浩美

    岩永浩美君 養豚だけを私は申し上げる気持ちはありませんが、たまたま養豚話題になっておるので養豚に限って申し上げると、五百頭以上の養豚農家人たちは、それだけの施設整備をするために大変な設備投資をしていかなければいけない。  先ほど申し上げた、まさに負の資産になっている産廃と言われる尿の処理等々について、かつてないほどお金をかけないと地域皆さん方に御了解と御理解がいただけなくなってきている。そういうものに対する思い切った一つ措置も講じていかない限り、生産費というのはますます高くなっていくと言っても私は言い過ぎではないと思うんです。  そういう実情を踏まえた形の価格設定にぜひしてほしいし、今回引き下げ諮問をされているということについては甚だ遺憾だという私は思いがいたしているところでございます。  きょう諮問された案は、恐らく畜審の中で御協議をいただき最終的に決定をされるでありましょうけれども、やっぱり来年も再来年も、毎年毎年、価格設定に伴っては、統計情報部皆さん方は、その実情を十分に把握しながら生産農家皆さん方畜産経営にいそしむことができるように、ぜひ研究とそしてまた協議を進めておいていただきたいと思います。  また、あす酪農部会に対して乳価諮問が行われることになっております。今の時点でいろいろな議論は出せないのかもしれませんが、引き下げ諮問ですか、据え置き諮問ですか、引き上げ諮問をなさるおつもりですか。
  27. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 加工原料乳保証価格についてのお尋ねでございます。これにつきましては法令の規定に基づきまして、生乳生産条件需給事情その他の経済事情を考慮いたしまして、加工原料乳地域生乳の再生産を確保するということを旨として定めることにされております。  平成年度保証価格等につきましても、生産費調査基礎算定をいたしまして、明日の畜産振興審議会の御意見を聞いた上で決定するということを考えておるところでございます。
  28. 岩永浩美

    岩永浩美君 あした、それは皆さん方意見を聞いてされることになっておる。基本的には引き下げで、加工原料乳については引き下げ諮問予定ということですね。
  29. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 具体的な価格水準なりにつきましては今まさに精査検討中でございまして、ただいま申し上げられる状況にはないことに御理解をいただきたいと思います。
  30. 岩永浩美

    岩永浩美君 今、鋭意精査をしていただいているとすれば、農家皆さん方引き下げは期待をしておられないわけだから、できるだけ据え置きもしくは値上げの方で諮問をしていただくように、十分な精査をお願いしておきたいと思います。  大変厳しい状況の中にある畜産経営、そしてまた日本畜産農家皆さん方は、粗飼料よりも配合飼料によってある程度農家畜産経営をやっておられる。その配合飼料はすべて輸入で賄われておるという、不安定な状況の中で畜産を営んでおられます。その畜産を安定して農家皆さん方がさらに意欲を持ってやっていただくためには、やっぱり政府当局の手厚い保護と力強い支援があって、農家皆さん方は安心して畜産経営にいそしむことができると私は思います。  時間がございませんので、農林大臣畜産農家に対する熱い思いやり、そしてまた肉価並びに乳価についての大臣としての御決意をお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  31. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 今、説明員から答弁をいたしました、そういうきょうあすのスケジュールでございまして、決定につきましては審議会の御意見を聞いた上で適切に決定をいたしたいというふうに考えております。  加工原料乳保証価格につきましては、今の段階諮問内容は申し上げるわけにはまいりませんけれども、当委員会におきますいろいろな委員皆様方の御意見、十分に私も承知をいたしておりますので、まさに適切に配慮をしていきたいというふうに考えております。  いずれにいたしましても、我が国の農業にとりまして畜産業は選択的な拡大を図る分野であり、基幹的な中心的な農産物であるという、そういう方向を十分に確保していくためにこのような価格の問題は十分な役割を果たしておるわけでございますので、その点重々承知をいたしておりますので、適切な決定をいたしたい、かように考えております。
  32. 一井淳治

    一井淳治君 私、予算委員会関係がございまして大変御迷惑をおかけしますけれども、ここで質問させていただきたいと思います。  何といいましても、非常に厳しい酪農の環境の中で一番注目を浴びておりますのは、加工原料乳保証価格が幾らに決まっていくかということでございますけれども、そういった中で計算方法についてさまざまな議論があるわけでございます。  まず第一に、私は配合飼料価格が最近急激に高くなっているという状況の中で、配合飼料価格見通しを立てながら適切にこの価格に反映していただきたいと思うわけでございます。  もう少し具体的に申し上げますと、この四月からはかなりの値上がりが予想されておりまして補てんされる予定であると。そして、補てん幅として大体千六百円ぐらいが予定されておるわけでありますけれども、それだけでは十分に補てんが効かない。去年の水準と比べますと約二千三百円ぐらいの補てんが困難な金額がある。そして、そのうち千百五十円につきましては大変御配慮いただきまして特例措置として補てんをいただくことになっておりますけれども、千百五十円は農家負担という現実でございます。  それからもう一つ特例として千百五十円をこの際は補てんしてくださるんですけれども、将来これをずっと補てんしてくださるかどうかという問題がございます。また、ことし円安が進んでおりますから、さらに飼料が上がるんじゃないかという問題もございます。その辺についての農林省の御所見をまずお伺いいたします。
  33. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 配合飼料価格畜産農家にとって大変大きな意味を持つものでございますが、これにつきましては価格安定制度をつくっておりまして、過去、一昨年の秋から配合飼料価格が大幅に上昇しました場合も、この補てん制度によりまして農家負担は相対的には低くとどめられてきたところでございます。  最近に至りまして、円安等状況もございまして、御指摘ございましたように四月から一定程度引き上げられるという見通してございますが、これにつきましても全農等配合飼料メーカーの方では適切な補てんをする考えと聞いております。  過去の配合飼料価格の上昇時期の推移を見ましても、農家負担最低限度にとどめられているところでございますので、今後とも配合飼料価格安定制度が適切に運用されるよう指導もしていきたいと考えております。
  34. 一井淳治

    一井淳治君 特に特例措置としての補てんですね、これが将来とも金額がどうなるかということです。今回の乳価決定と、その際考えておった特例措置の取り扱いというものが将来一致してなきゃいかぬわけですから、そこのところをよくお考えいただくことと、とにかくえさが急激に上がっていって乳価がそれにつれて対応しないとなりますと酪農民は大変なことになるわけであります。そこのところを十分に御配慮いただいた上で諮問価格を決めていただきたいと思うわけでございます。  次に、価格関係で、これまで長い間論争されておるものの中に家族労働費がございます。きょうは労働省の方にもお見えいただいたわけでございますけれども、これまで統計情報部、今は政策調査部になっておりますけれども、大変御苦労いただいて、北海道の生産費調査をさまざまな観点から調査をいただいておまとめをいただいておるわけでございます。  その中で、家族労働費の統計の手法でありますけれども、男性賃金、女性賃金と分けて計算するという手法が用いられているわけでございます。  ここで申し上げたいのは、労働基準法の四条を見ますと、「男女同一賃金の原則」ということが明記されておりまして、女性であることを理由として男性と差別的扱いをしてはならないということが明記されておりますし、これは六カ月以下の懲役という罰則までついておるわけであります。憲法十四条によりますと、性別によって差別してはいけないということが書かれておりまして、これはもう我が国の行政府、特に国家公務員の方々は男女同一賃金というものを尊重しなきゃならぬのじゃないかと思います。  まず、労働省にお聞きしたいんですが、男女同一賃金の原則は公務員は皆さん尊重すべきであると思いますが、どうでしょうか。
  35. 北井久美子

    説明員北井久美子君) お答えを申し上げます。  ただいま先生から御指摘のとおり、労働基準法第四条に「男女同一賃金の原則」が記載されてございまして、この趣旨は、労働者が女性であるからという理由だけで、あるいは社会通念として女性が平均的に能率が悪いとか、あるいは主たる生計の維持者でないとか、勤続年数が短いといったような理由だけで女性労働者に対して賃金に差をつけることは違法であるという趣旨でございまして、これは労働者をお雇いになる使用者にすべからく適用される原則であると考えておるところでございます。
  36. 一井淳治

    一井淳治君 国家公務員はこの法律を尊重するといいますか、これに従うべきじゃないでしょうか。労働省にお願いします。
  37. 北井久美子

    説明員北井久美子君) この法律、直接適用ありますのは使用者に対する義務として書いてあるわけでございますが、こうした原則というのは公務員についても適用されるものであると考えております。
  38. 一井淳治

    一井淳治君 労働省の方は畜産の問題については専門ではございませんので、例え話として申し上げますが、同じ牛舎の中でえさをやったり、お乳を搾ったり、男性と女性とが全く同じ労働をしている。これは仮定で結構でございます。同じ牛舎の中で同じ労働をやっている、これについて男性の賃金と女性の賃金とを区別して計算する、区別して統計をする、こういったのは好ましいことでしょうか、どうでしょうか。  この分類方法ですね、統計にはいろんな方法があって分類するわけですけれども、男性と女性を分類して、それに対応して男性の賃金は幾らである、女性の賃金は幾らであるということ、これはここで言わなくてもお詳しいと思いますけれども、製造業の一定規模以上の男性賃金、一定規模以上の女性賃金を持ってきて計算するわけですけれども、こういう統計の手法は私は好ましくないんじゃないか。男と女と分けて、それでそれを男子と女子と別々に評価するというのは統計手法として好ましくないんじゃないか。例えば年齢によって、若い人は賃金が安いですから年齢によって区別するとか、そういういろんな方法があると思いますけれども、男性と女性の賃金差に着目して統計を区別するというのは、労働省のお立場とすれば好ましくないんじゃないかと思いますけれども、いかがでございましょうか。
  39. 北井久美子

    説明員北井久美子君) まず、毎月勤労統計調査平均賃金というものは、これは建設業、製造業など各業種における事業所において実際に労働者が得た賃金の平均ということでございます。我が国の賃金につきましては、これは職種であるとか職務内容あるいは能率、技能の程度、勤続年数、年齢等々によって賃金は総合的に定められますので、実際に一人一人が得る賃金というのは当然違ってまいります。その平均をいたしますと、例えば男女別あるいは年齢別、勤続年数別等でその平均値を単純に比べますと大きな格差が生じております。  こうした純粋な平均賃金を、例えば農作業の労働の評価としてそのまま適用することがいいかどうかということにつきましては、仮にその仕事の内容に一般的に男女で異なるといったようなことがない場合には、それは同一賃金の原則の趣旨からいって疑問がある、検討を要する問題ではないかと考えるところでございます。
  40. 一井淳治

    一井淳治君 統計情報部の方にお尋ねをいたします。  一生懸命御苦労いただいて、精密なよりよい統計をつくろうという御努力に対しては本当に敬意を表する次第でございます。しかし、同じ牛舎内で同じ労働をしている者を男子と女子とで分けることは、これは今労働省から御指摘があったように、好ましくないことに進んでいくんじゃないかと、好ましくない分類方法じゃないかと思うわけです。  製造業の工場であれば、重いプレスを使うのは男子に決まっておるんです、女性はできないんです。ですから、そういう重いプレスを使うという工場の基幹的な人たちに対して男性に高い賃金を払うというのは、これは社会的に納得いくと思うんです。しかし、牛舎内で同じ仕事をしておるんですよ。男であるから女であるからというので区別することはやっぱり適切ではないんじゃないか。例えば年齢で差別するならいいですよ。男女差というのは好ましくないんじゃないかと思うんですけれども、これは統計の問題としてお聞きするわけなんですが、いかがでしょうか。
  41. 遠藤保雄

    説明員遠藤保雄君) 非常に難しい問題の提起でございますけれども、統計調査考え方をまず御説明申し上げたいと思います。  農産物の生産費調査上、家族労働をどう評価するかということでございますけれども、これにつきましては従来から私ども、その付近の一般労働市場において仮に雇われるとしたならばどういうふうに評価されるか、いわゆる市場評価の原則というものを採用しておると。その場合に、その地域労働実態を反映した賃金を採用することになるわけでございますけれども、いかんせん現状では男女別に差があると、したがってそれを採用せざるを得ないと。  といいますのは、こういう問題もございます。生産費調査は、今生乳しか議論をしておりませんけれども、これはお米にも麦にも、あるいは肉用牛なんかにもずっと適用になります。これらの作物については労働内容も異なっておりますし、かつまた男女の労働時間の構成割合も異なっております。例えば、酪農の場合は男子、女子で六対四、お米の場合は七対三、麦は八対二と、こうなっております。  そうすると、こういうふうに多様な労働時間構成になっている作物につきまして、いかに統一的、客観的に労働評価をしていくべきかということになりますと、やっぱり市場評価の原則を踏まえて対応せざるを得ない、それが統計調査上の一つの手法であるということを御理解賜りたいと思います。
  42. 一井淳治

    一井淳治君 市場評価は、今申し上げましたように、工場の中で重いプレスを使うから男性の賃金が高いわけですね。プレスの周りの掃除なんかをする女性については安いわけです。ですから、この男女差をある程度是認しているわけです、仕事の内容は違うわけですから。  学校の先生、小学校の先生は男の先生も女の先生も同じ仕事をしています。統計情報部のあれでいきますと、女性賃金は男性の五二%ぐらいですよ。小学校の女性の先生を男性の先生の五二%ぐらいの給料にしたら大変な問題になりましょう。男女差が具体的にある職場であればいいんですよ。それが牛舎内の同じ労働なんですよ。小学校で男の先生も女の先生も同じことをしている。これを評価するわけですね。違う評価をしたら大変な問題だと思うんです。ですから、例えば麦をつくるのにトラクターを使う、これは男性が多いというのであれば、これはまたある程度そこで合意の糸口ができるかもしれませんけれども、同じ牛舎内で同じ作業をしておって、小学校内で男の先生、女の先生が同じ仕事をしておって、それで労働賃金が違うとされたら、非常にこれはぐあいが悪いと思うんです。  ですから、ぜひともこれは統計の手法の基本的な問題にも関係しますから、これは御検討賜りたいと思うんですが、どうでしょうか。
  43. 遠藤保雄

    説明員遠藤保雄君) 先ほど申し上げましたように、統計調査の手法といたしまして、家族労働の評価はやっぱり市場評価の原則というものを貫いていかなきゃならない。かつまた多様な作物に対しても客観的、統一的な評価基準が必要だということ、こういう点を踏まえて対応していかなきゃいかぬ、こういう実情にあるという点を再度御理解賜りたいと思います。
  44. 一井淳治

    一井淳治君 小学校の男性の先生が何%いらっしゃって、女性の先生が何%いるという、これはいいと思うんですよ。ただ、その先の評価を五二%も安い賃金で評価されたら、これは困るわけなんです。  それと同じように、同じ労働なんですよ。男性の労働と女性の労働が違うんだったら違って評価をしたらいいと思うんですけれども、酪農の場合は、ほかの農産物は私はどうか知りませんけれども、酪農の場合は特に牛舎内の労働というのは同じですから、同じ労働を差別したらいけないというふうに私は言っているわけなんです。  保利政務次官は検討したいということをたしか他の委員会でも言われたわけなんですね。それで、大臣の御所見、御感想も賜りたいと思うわけなんですけれども、これはこの問題だけで、ほかの小麦とか野菜とか全部というんじゃないんですよ。牛舎内の特異な問題があるものですからお聞きするわけなんです。
  45. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 生産費調査上、男女別賃金の家族労働評価につきましては、改善の方途が技術的に可能かどうか事務局に勉強させたいと思います。  なお、男子労賃のみでの評価がえにつきましては、かかる評価の客観的な理由が見当たらないので困難であると考えております。
  46. 一井淳治

    一井淳治君 次に、保証価格予定されておる予算ですけれども、毎年大体二百六十億円というものが仮計上されております。保証価格を決める場合に、二百六十億円という金額に拘束をされて、価格決定が硬直化されてしまっては困るということを一つ心配するわけであります。そういったことがないように、例えば予備費の支出をするとか、費目の流用を考えるとか、そのあたりはどうなんでございましょうか。
  47. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 加工原料乳生産者団体補給交付金予算につきましては、従来からも前年度保証価格等の諸元により算出いたしました当該年度の実行見込み額を基礎として計上いたしまして、必要に応じて調整するという考え方をとっております。  したがいまして、予算案に計上されております予算額は、加工原料乳保証価格等決定を拘束するものではございませんで、これらにつきましては毎年度末に畜産振興審議会意見を聞いて決定しているということでございます。
  48. 一井淳治

    一井淳治君 最後に要望させていただきまして終わらせていただきますけれども、今回、私どもはできるだけ酪農家方々が将来に希望が持てるような適正な価格をお決めいただきたいという強い熱意を持っているわけであります。  そして、加工原料乳価格も大切でありますけれども、あわせて飲用乳価も非常に大切なわけであります。昨年の状況を見ますと、飲用乳価の方は四円とか五円とか随分下げられてしまったということがありまして、ことしは酪農家の方たちは大変この飲用乳価についても強い関心を持っておる次第でございまして、どうか農林省におかれましては加工原料乳価格に重要な関心をお持ちいただくと同時に、この飲用乳価が下げられてしまいますと、これはもう最近急速に離脱しつつある酪農家がますます希望を失って廃業するわけですから、飲用乳価につきましてもどうか農林省におかれては何らかの御指導を賜るとか、御手段を講じていただきますように切にお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  49. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 今、委員が御心配されましたことのないように、飲用乳価の交渉につきまして私どもその交渉推移を十分に見守っていきたいというふうに考えております。
  50. 一井淳治

    一井淳治君 ありがとうございました。
  51. 阿曽田清

    阿曽田清君 平成会の阿曽田清でございます。  まず、酪農の問題から質問させていただきます。昨年は酪農環境は大変悪い状況でありまして、大変な不祥事等の問題も起こったわけであります。まずは、これはヨーロッパで発生したことでありますが、狂牛病の問題、あるいは全酪連の牛乳表示違反問題、さらに大阪市等で発生をいたしました大腸菌O157の問題、そして六甲牛乳その他乳業の大腸菌混入問題等、酪農家には甚大な影響を与えた年であったと思います。  その結果として、飲用向け価格の値下げや、反面えさの高騰などによりまして、私が計算をいたしてみますと一〇%ほどの所得ダウンになったのかな、そういう感じを持っております。しかもここ近年、先ほどから質問もありましたように、生乳価格が値下がりをいたしております。その理由の中の一つとして、余乳処理の問題が原因になっておるんじゃなかろうかなと思うわけであります。余乳を抱えておることによって生産者が弱い立場に立たされて飲用乳価格に強い要求が出てこれない、そういうネックがあるようでございます。それを生産者団体の方々、余乳対策としてそれぞれキロ当たり二十銭、生産者みずからが拠出をして約十億円ほど積み立てをしてその基金にしようと、こういうことを決定されておられます。私はこれは大変すばらしいことだと思います。  私の住む熊本は西南暖地でとても暑いところでございまして、夏は消費は非常に伸びる季節であるけれども、暑いからして搾乳量は減るという状況が夏場であります。消費は多くて生産は減るというアンバランスの状況に夏場は至るわけでございます。また、昨年起こりましたいろんな不祥事、そういうような問題で生乳がうまくはけないというような実態が出てきたり、あるいはまた天候や異常気象等で牛が左右されたり、そういうものをうまく丸くまとめていくためにも、余乳対策として生産者の方が十億円積み立てをする、それに国は何らかのそれに匹敵する支援をすべきではなかろうか。そういうお支えをしてやることが私は、生産者みずからの努力に国がバックアップをしてやる、それが生産者の方々が飲用乳メーカーとの交渉の中においても対等な交渉ができる道ではなかろうかというふうに思います。  その点につきまして、大臣の御意見をいただきたいと思います。
  52. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 今、委員指摘の余乳の適切な処理は、生乳需給の安定確保を図る上で重要であると、私もそう考えます。  政府といたしましても、このような生産者の自主的な取り組みに対しましてどこまで支援が可能であるか、この点について畜産振興審議会意見なども踏まえまして検討してまいりたいと考えております。
  53. 阿曽田清

    阿曽田清君 大臣の前向きな御答弁をいただきまして私も大変うれしく思いますし、拠出をした生産者の方々も大変心強く思って感謝されるだろうと思います。どうぞひとつ生産者みずから積み立てた十億円に匹敵するそれだけの拠出を国の方でお支えをいただければと、ぜひお願いをいたす次第でございます。  さらに、需給動向を踏まえまして加工限度数量の拡大ができないかということであります。一昨年、昨年は脱脂粉乳の輸入を緊急にふやされております。平成七年はカレントアクセス分一万八千トンを含む三万五千トンが輸入されておりますし、平成八年はカレントアクセス分一万七千六百トンを含む三万二千五百トンが輸入されております。今まで加工限度数量は、平成三年が二百四十万トンで、それまで徐々に伸びてきておって二百四十万トンになっております。平成六年に二百三十万トンで、十万トン減りまして現在に至っておるわけであります。そういう脱脂粉乳等緊急に輸入したというようなこと等起こっておる中でございますから、十万トン、いわゆる平成三年の二百四十万トンに加工限度数量を伸ばしていただくというようなこと等の配慮は、牛乳、加工乳、そういうもののバランスをとる上において非常に効果的ではなかろうかなというふうに私は思いますが、その拡大のお考えはいかがかお伺いしたいと思います。
  54. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 加工の限度数量でございますが、これは不足払い法に基づきまして生産者補給金を交付しても確保すべき加工原料乳の最高限度、そういう考え方に立っておるわけでございまして、これを基本にいたしまして、御指摘にもございましたような最近の生乳生産の動向とか乳製品の消費動向とか、そうしたことを踏まえまして慎重に見きわめまして、畜産振興審議会意見も聞いた上で決定していきたいと考えております。
  55. 阿曽田清

    阿曽田清君 どちらかといいますと、飲用乳よりも加工方面の脱脂粉乳やあるいはクリームさらにはその他のヨーグルト等に使うための原料不足というのが現実ではなかろうか。そういう意味で、余乳対策にもつながることでありますから、加工原料にあと十万トンだけ乗せていただくことによって私は相当の生産者の方々の安定が望めると思いますので、どうぞ前向きに御検討いただきたいというふうに要望を申し上げたいと思います。  それに関連いたしまして、いろいろと消費拡大対策も打っておられると思いますが、具体的にどのような消費拡大対策を農林省としておとりになっておられるか、その点まず御質問をいたします。
  56. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 我が国酪農乳業の安定的な発展を図りますためにも、牛乳や乳製品の消費拡大は大変重要な課題でありテーマであると考えております。これまでも牛乳・乳製品に関する基礎的な知識の普及なり消費啓発なり、各般の施策を講じてきているところでございます。今後とも各種の施策を適切に組み合わせながら、より効果の上がる消費拡大対策を実施していきたいと考えております。
  57. 阿曽田清

    阿曽田清君 今の御答弁は、具体的にということが全然示されていないんですけれども、また重ねてお答えいただきたいと思いますが、その一つに学校給食があろうかと思います。学校給食では、完全給食にしろあるいはミルク給食にいたしましても、牛乳はすべてついておりまして、それだけ酪農振興の上において力を入れていただいておる、大変うれしく思います。  しかし、今度消費税が三%から五%に上がるその二%の部分、これがいろんな行政的な施策によって、学校給食等に牛乳が使われておる中でその二%アップ部分をいわゆる行政的にカバーしてあげることができるならば、私はいわゆる乳業メーカーは今までの値段で納めることができるだろうと思いますが、もしその支えがカバーできていなかったとするならば、いわゆる指定団体、いわゆる原料乳の方にしわ寄せが二%部分に来て安くなりはしないかということを危惧するわけであります。  特に、国においての助成と各県においてそれぞれまた助成等を対応いたしておりますが、各県の取り組みまでどのように指導されているか、ばらばらにそれぞれ自主的に任されておるのか。そういうところ、現場では二%が何ら影響しないような配慮というものをお願いいたしたいわけであります。  その二点につきまして、具体的な消費拡大の手法と、そして学校給食における二%部分生産者のいわゆる原料乳に影響をしないようなことでの対策をとっていただきたいということの質問でございます。よろしくお願いいたします。
  58. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 先ほど消費拡大につきまして、抽象的なお答えで失礼をいたしました。  具体的にどういうことをやっているかということでございますが、先生から御指摘ございました学校給食に対する助成はその大きな一つでございます。それから、類似の分野では幼稚園とか集団飲用の促進を図るための事業とか、それから各種のメディアを通じた基礎的な知識の普及なりあるいは牛乳・乳製品のフェアとか各種のイベントとか、いろんな手段を講じまして牛乳・乳製品の消費拡大に努めているところでございます。  それから、学校給食につきまして消費税の話がございましたが、消費税につきましては原則どおり適正に転嫁されていくというのが本来でございます。私どもとしましては、学校給食の助成なりそれに関連するいろんな手だてを通じて学校給食が引き続き安定的に推移するように努力をしていきたいと考えております。
  59. 阿曽田清

    阿曽田清君 お気持ちはわかるわけでありますが、行政サイドでそれだけの対応を、今日までいわゆる酪農振興という観点で進めてこられました。もしその対応ができなかったとすると保護者負担、こういうことになってこようかと思います。しかも、各県で対応する県もあればしない県も出てくるというふうに思うわけでございます。やはり日本全国子供は同じ子供でございますから、できれば、ばらつきのないような形での県の取り組みの御指導をいただきたいなというふうに思います。  それから、消費税が五%に上がったことによって、メーカーさんがこれから飲用乳を売っていくのにそれぞれ転嫁をしていくという形になるか、あるいはそれらを理由としていわゆる生乳価格をやっぱり下げてくるというようなメーカーと指定団体との交渉の折に引っかかってくるのじゃないか、値下げの理由にされはせぬかという心配をするのであります。先ほど一井先生からも御質問がありましたように、もう毎年、一昨年据え置かれただけでずっと下がってきておるわけであります。ですから、そういう消費税が上がった分をさらにメーカしの値下げ理由にされないように、もうこれ以上、下げないように有利な展開のできる形で、メーカーとの交渉に消費税の問題が使われないようにひとつ御指導いただきたいと思いますが、いかがなものでございましょうか。
  60. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 消費税率引き上げ等の円滑な実施を図っていきますためには、生産者団体と乳業者との自主的な交渉による飲用乳価決定に当たりましても消費税を適正に転嫁されていくということが重要でございます。消費税率引き上げ分の負担が不当にしわ寄せをされるというようなことがあってはならないと考えております。  飲用向け生乳につきましては、農業協同組合の委託販売によって取引されておりますことから、価格の交渉は委託販売価格の百五分の百に相当する価格で行われまして、最終の決済はその価格に五%に相当する額を上乗せした価格で行われることになるだろうというふうに聞いております。
  61. 阿曽田清

    阿曽田清君 もう一つ、乳用牛のことで質問いたします。  乳用牛の頭数も減少して、黒毛和種が、F1が交配されておりますので、数字的に後継牛が減少しております。そうしますと、十年度ぐらいから牛乳生産は斜陽傾向になりはせぬかというふうに思います。なぜなれば、種つけ、分娩、哺育、育成と、そして子牛がお乳を出すまでに三年以上かかることになります。その点の見通しはどうでありましょうか。まずその点をお聞かせいただきた  いと思います。
  62. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 乳牛の後継牛確保についてのお尋ねでございます。  最近、F1生産の普及に伴いまして、後継牛の不足も懸念されている向きがございますが、昨年八月時点で見ますと、経産牛の頭数は前年に比べて増加しておりまして、後継牛となります一歳牛なり一歳未満牛とも必要な頭数が確保されているのではないかと考えております。  また、日本家畜人工授精師協会の調査によりますと、F1生産のための乳用牛への黒毛和種の交配率は、平成八年上期におきましても平成七年とほぼ同水準で推移しているということでございますので、現在のところ後継牛が不足する心配はないのではないかと判断いたしております。
  63. 阿曽田清

    阿曽田清君 それを聞きまして安心をいたしたところでございます。  乳用牛の飼育頭数の数字を見ていますと、平成四年四月二十日の二万一千五十四頭をピークに年々減少して、平成八年八月約一〇%減っておる数字になっておりましたものですから、後継牛は大丈夫かなということで質問させていただいたわけでございますが、今の御答弁で大変安心をいたしたところでございます。  最後になりますけれども、いわゆる飲用市場といいますか、聞くところによりますと、大変今、各都市でそれぞれの指定団体、牛乳の販売合戦が行われております。ちなみに、例えば熊本県が大阪、神戸あたりに売り出しに持っていくと北海道の牛乳とぶち当たる、あるいは北海道の方が九州、福岡まで売りに来ておられるというようなことで、まさに生産者同士、先陣を争って競争している。これはプラスになるどころか、足を引っ張るようなことになってしまう要素が今起こっておるわけであります。  そういう中で、市場を安定させる上において指定団体のブロック化を進めていくべきではないだろうか、常日ごろそのように考えておるところでありますが、農林省としてのお考え、またそういう取り組む気持ちがあるのかどうかお尋ねをいたしたいと思います。
  64. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 飲用牛乳市場の安定を図っていきますためには、最近の生乳の広域流通の進展に対応いたしました集送乳の合理化や適切な需給調整体制の整備を図ることが重要であると考えております。  このため、生乳広域流通組織化モデル事業というのを実施いたしまして、関東とか九州でブロック単位での流通の合理化需給調整体制の整備などをモデル的に実施いたしまして今後のブロック化への推進に資しますとともに、乳業再編整備等対策事業によりまして、需給調整の拠点施設、余乳処理施設でございますが、そういった施設とか、あるいは一時的なクーラーステーション等の整備を行いまして、集送乳の合理化や余乳の適切な処理体制の整備を推進しているところでございます。  御指摘のように、ブロック化に向けて体制を整備していくということは大きな課題でございます。今実施しておりますような事業を適切に実施、推進することによりまして、生乳需給の安定確保に努めていきたいと考えています。
  65. 阿曽田清

    阿曽田清君 全国にそれぞれの農政局があるわけでございますから、その農政局が中心となられて農政局単位によるブロック化を進めてそういう調整、調和を図っていかれるということは生産者にとって非常に心強いことじゃなかろうかと私は思いますので、ぜひそういうブロック化の方向でおまとめをいただきたいなというふうに要望をいたしておきます。  そして、西南暖地における農業の振興についてでありますけれども、実は北海道と九州とでは搾乳量が大分違うんです。調べてみましたところが、これは乳用牛群検定のデータでありますが、北海道が八千三百十五キログラム、熊本は八千二十七キログラムで、差が二百八十八キログラムあります。そういう差というものがやはりどうしても生産性に直結するわけでございまして、西南暖地におけるいわゆる搾乳量の多い優良な乳用牛というものの育成はできないものか、改良牛はできないものか、農林省で研究されておるものがござ  いましたら御披露いただきたいと思います。
  66. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 乳牛の泌乳、繁殖等の能力でございますが、暑熱環境のもとでは低下するということが一般的に知られております。我が国の西南暖地の酪農家では、夏の暑熱ストレスによる乳量、乳脂率等の低下とか、あるいは受胎率が低下するといったような現象が見られているところでございます。  こういう暑熱ストレスによる生産性の低下を防ぎますためには、畜舎の通気性の改善とかスプリンクラーの設置とか給与飼料の改善等、飼養管理面での対策も重要になりますけれども、最近では遺伝的な改良によりまして耐暑性の向上を図ることも必要と考えられているようでございます。  現在、家畜改良センターにおきまして耐暑性を示す指数等の検討を行いましてその分析を進めているところでありまして、そうした結果を踏まえまして暖地に適した乳牛の改良に努めていきたいと考えております。
  67. 阿曽田清

    阿曽田清君 一層ひとつ前向きにお取り組みいただきたいと思います。  次に肉用牛について質問いたしますが、肉用子牛については、保証価格合理化目標価格、きょう新聞に出ておりましたが、据え置き諮問されており、先ほど岩永委員の御質問にありましたように豚肉価格は五円値下げされたようでございますが、今回の諮問案はいかがお考え諮問されたのか教えていただきたいと思います。
  68. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 肉用子牛の保証基準価格につきましては、肉用子牛の生産条件及び需給事情その他の経済事情を考慮いたしまして、肉用子牛の再生産を確保することを旨として定めることとしております。  平成年度につきましては、この肉用子牛保証基準価格につきまして、規模拡大による生産性が向上する一方で、消費税が引き上げられることなどを踏まえまして、すべての品種で前年と同じ、つまり据え置き内容諮問をいたしたわけでございます。  そして、いずれにいたしましても、本日開催中の畜産振興審議会食肉部会の意見をお聞きした上で適切に決定いたしたいと考えております。
  69. 阿曽田清

    阿曽田清君 ありがとうございます。  今は黒毛にいたしましても褐毛にいたしましても高値で売れておりますからいいようなものでありますけれども、実際の生産費というのはこの保証価格よりも相当かかっておるわけでございます。私自身が大体勘で計算してみましても、黒毛の場合に生産費は四十三、四万円かかる、褐毛におきまして、これは赤牛でございますが、三十五万ぐらいかかるかな、そういう思いもいたしておりますので、この保証価格を据え置く、もしくはそれよりも高くというような私は思いでもございますので、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。  次に、赤牛のことにつきまして質問いたします。褐毛和種の繁殖雌牛の頭数が減少しておるというふうに聞いておりますが、褐毛和種、すなわち赤牛の振興対策はどのように考えておられるかということを質問したいわけでございます。  褐毛和種取引頭数をここ二、三年見てみますと、平成五年は二万二千三百九十八頭、平成六年は二万八十七頭、平成七年は一万七千九百六十八頭、一貫して減少を続けております。そういう中でありますが、私自身熊本の赤牛というものを見ておりますと、非常に発育も早いし体質が強健で放牧にも非常に適している、そして繁殖能力もある。最近、優良牛、種牛ができまして、光長等の優秀な種牛が誕生いたしております。  したがいまして、この赤牛というものは非常に育成しやすい、また力を入れていけば肉用の加工というのは非常に図りやすいんじゃないかなというふうに思われる褐毛和種、赤牛であろうかと思います心どうしても黒もの方が値段も高いということもあって、そちらの方に傾斜していっている傾向もありますが、私は今、この中肉に値する赤牛、むしろこれに力を入れていくことの方が牛肉の加工という観点からは一番スムーズにいくことではなかろうか。特に熊本が六、七〇%ウエートを持っておりますからということで言うわけじゃありませんが、特に振興策に力を入れていかれる、振興の一番向くところじゃなかろうかなというふうに思いますので、国としてのその振興策をお聞かせいただきたいと思います。
  70. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 褐毛和種等のいわゆる地方特定品種と言われているものでございますが、先生からただいま御指摘ございましたように、放牧適性にすぐれているとか、あるいは発育がよいといったような品種特性を有しております。その一方で、肉質面での評価が黒毛和種に比べていま一つということで、それから生産頭数が少なくて地域が限定されていると、そんなこともございまして、従来、流通なり販売面で不利な立場に置かれてきたところでございます。  そこで、これらの品種につきまして、地方特定品種緊急総合活性化対策事業というのを平成年度から実施いたしております。不利な一般の市場流通から、特定の消費なり流通のニーズに対応した産直販売体制による定時定量出荷への転換ということを進めているところでございます。また、それに対応できるような生産体制の整備も進めておるところでございます。  こうしたこともございまして、最近では褐毛和種の子牛価格なり枝肉価格というのは比較的堅調に推移いたしております。今後もこういう品種の特性を生かした生産なり流通というものを促進していきたいと考えております。
  71. 阿曽田清

    阿曽田清君 前向きの御答弁をいただいてありがたく存じますが、自給率が年々下がってきております。自由化された平成三年、五一%の肉の自給率でありましたのが、今は三八%であります。  そういう観点からいたしましても、育てやすい、そして早く成長する、しかも中肉といいますか、消費者に一番フィットする肉質のものでありますから、そういう意味から考えて、この自給率を高めていくという上におきましても、もっともっとこの褐毛和種の振興というものを図ることが得策じゃなかろうかなというふうに私は思いますので、農林省としても、さらに赤牛に対しての目を向けていただきたいなと思います。  熊本県は熊本県で一生懸命やっているんですけれども、やはりこれは大体全国的に広がってきておりますから、これをもっと加速させて数をふやしていく、それが自給率向上へつながり、大衆肉というものを国内で供給できる、そういう道になるのではなかろうかなと思いますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。  それから、これは突然の質問になりますけれども、生体和牛といいますか、生きたまま海外へ牛が流通していないかどうか、まず出ているのか出ていないのか、ちょっと教えていただければと思います。
  72. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 我が国から海外に輸出された和牛の遺伝資源ということでございますが、ここ数年で申し上げますと、頭数にしまして平成六年で三十六頭、これは黒毛と褐毛でございます。それから、平成七年で四十二頭、黒毛でございます。平成八年で二十五頭、黒毛でございます。いずれも米国向けとなっております。
  73. 阿曽田清

    阿曽田清君 突然質問いたしまして申しわけありません。といいますのは、日本全国で褐毛を取り上げていただいて普及していただこうと、大衆肉提供という形で伸ばそうしたときに、アメリカあたり、海外でこの赤牛が生産されるということになると、非常に放牧に適する牛でもございますから、そういう意味では、また同じ赤牛を自由化の中で戦わさせなければならぬというようなことをちょっと今思いつきましたものですから、かてて加えて質問させていただいたようなわけです。やはりこれは慎重に、赤牛を出されるのはいいんですけれども、先ほど申し上げました光長あたりの優良種牛系統を出してもらうと負けてしまう可能性にもなってきますので、慎重にお願いをいたしたいなというふうに思います。  次に、先ほど岩永委員からも質問がありましたが、台湾口蹄疫が発生いたしまして、もう先ほど述べられたとおりでございます。台湾産がもう既に輸入豚肉の四六%も占めておるというようなことで、二十一日現在でもう四十七円高になり四百六十三円、二十四日には百七十九円高になり六百四十二円と、こういうことになっております。各消費段階、大変先ほど厳しく追及されておられましたが、いろんなレストランや食堂あるいはコンビニエンス、そういうところも大変令ざわめいておるようでございます。  豚肉の安定供給、これを図る上におきまして、国内的、対外的、どういう対策を既に打っておられるか教えていただきたいと思います。
  74. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 台湾口蹄疫の問題、私どもも非常にショックを受けておるわけでございまして、日本にはこの病気はかつて入ったことございません。したがって、国内口蹄疫病気が出ないように、そういう体制も非常に大事だと思います。それからまた、この豚肉輸入の中で台湾産の豚肉が約四〇%と、こういう数量でございますから、この台湾産の豚肉がどれぐらいの期間この口蹄疫の問題で輸入ができなくなるかということは、今具体的に申し上げることはまだまだわからない、こういう段階でございますから、この期間については正確には今申し上げられないと思います。しかし、この四〇%の輸入が当分の間入ってこないということになりますと、国内でのメーカーが中心になりまして手当てをしなきゃならぬということになるわけでございまして、いわばそういう思惑的なものも働いて豚肉価格高騰するということになってきておると思うわけです。  我々としても、この台湾産の輸入の代替としてアメリカやデンマークその他からできるだけ早く輸入をするという方策は今立てておるわけでございまして、それまでの間の問題だというふうに思っております。それから一方、在庫の方も、御承知のように約二カ月分の在庫が今あるわけでございまして、そういう点から考えますと、衆議院でも御答弁申し上げましたけれども、国内需給が特に逼迫するような状況ではないと思っております。
  75. 阿曽田清

    阿曽田清君 確かにここ一、二カ月というものに動揺が起きて、そして一、二カ月のうちに、もちろん単価も上がりましょうけれども、その後落ちつくような手だてを既に講じておるという大臣お話でございますので安心をいたしておりますが、根本からやはり豚肉というものは国産で、海外に左右されないくらいまでは自給しておく必要があるのかなという思いもいたしております。  自給率、これはもう先生方御存じのとおりでございますが、十年前は八二%あった。ところが、平成年度は六二%になってきている。どんどんどんどん下がってくる一方でございますので、やはり国内における豚の生産振興対策というものをもう一回再検討し直して、望ましい豚肉生産量というものをきちんと具体的に積み上げていくことが必要ではなかろうかなと思いますが、その国内豚の生産振興対策というものについてのお考え、取り組みをお知らせいただきたいと思います。
  76. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 口蹄疫のようなこういう問題が起こるにつけましても、御指摘いただきましたように、国産の養豚産業を足腰強く保っておくということは大変重要なことだと考えております。  そこで、現在どんなことをやっておるかということでございますが、養豚生産集団の育成とか、あるいは飼養管理技術の高位平準化、衛生管理の向上、あるいは優良種豚の導入による経営体質の強化等に努めておりますほか、都道府県単位で実施されます肉豚の価格補てん制度の安定的な運営を支援するための資金供給でありますとか、また地域段階における各種の組織活動の支援等々、そんなことを含めまして各般の施策で養豚の振興を図っているところでございます。  今後とも、生産性向上によるコストの低減とそれから品質の向上ということを基本に我が国養豚の振興に努めていきたいと考えております。
  77. 阿曽田清

    阿曽田清君 ぜひお願いをいたしたいと思います。  各県でそれぞれ目標数値を立ててやりますけれども、目標はあくまでも目標で、それを具体的にどう構築していってその目標頭数に持っていくかということになると、どうもきちんと具体的に詰められていないというのが実態ではなかろうかなというふうに思います。やはり国がこれくらいの頭数は常時確保しておくと、必要だというようなもの等から、各県の目標数値というものも間違いない積み上げのもとでそういう目標数値を立てて、それに対する諸施策を打ち出していく。そういう一つの総合対応といいますか、そういうもの等をひとつ各県、産地に御指導いただきたいと思います。  このような口蹄疫の問題、また豚コレラなんというのがよく出てくるわけでありますが、病気が発生したときにも心配要らないように国内生産の体制をきちっと固めていく。そして、海外からの輸入につきましても、消費者に動揺を与えることのないように畜産事業団等できちんと確保しておく。そのバランスというものをどうぞ構築していただきたいとお願いを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  78. 谷本巍

    ○谷本巍君 私は二十五分の持ち時間で事前の質問通告をさせていただいておりますが、あらまし今までの話に出てきております。したがいまして、重複はできるだけ避けながら、そして事前通告にはなかった部分質問として出しますので、了解をいただきたいと存じます。  初めに伺いたいのは、ことしの酪農情勢についてであります。従来と違った点が幾つかあります。最も大きいのは行革、規制緩和の嵐の中の決定だということもありましょう。それからまた、特に私が注目しますのはメーカーの出方であります。加工用原料乳価を下げなければことしもまた飲用乳価の方を下げさせてもらいますよといったような分断攻撃が出てきている。  こうした状況とともに、もう一つの問題は、これも今まで余り聞いたことがないのでありますけれども、例えば北海道の酪農家でいえば、酪農家の粗収入は順調に推移しているというふうに言われております。これはメーカーが言っているだけじゃないんです。行政の方もこういうふうにおっしゃっております。  そこで、初めに伺いたいのは、加工用原料乳地帯の酪農家の現状をどう見ているか、いかがでしょうか。
  79. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 酪農の現状でございますが、加工原料乳地帯である北海道で見てみますと、このところ一戸当たりの経営規模も順調に伸びてきております。また、乳量につきましても順調に伸びてきておりまして、例えば平成年度ですと七千キロを超えている水準でございます。  乳価の面で見ますと、総合乳価で見ますと、五年度以降低下傾向にございますが、八年度は飲用乳引き下げ影響もございまして前年をやや下回るというような水準でございます。  収益性の状況生産費調査の結果で見てみますと、平成三年の牛肉輸入自由化の前後には子牛価格なり乳廃牛価格の急落によりまして収益性が大幅に低下したということがあるわけでございますが、その後、一頭当たりの乳量なり配合飼料価格乳価水準等の影響もありまして、年により変動はありますが、おおむね安定的に推移してきております。特に平成七年の調査結果によりますと、乳価が飲用、加工用ともに安定的に推移します中で、配合飼料価格につきましては円高もございまして大幅に低下したということもございまして、収益性は大きく向上いたしております。八年に至りまして、配合飼料価格が上昇に転じる一方で、生乳生産量が増加しているということもございまして、配合飼料価格の安定制度の補てん等も勘案いたしますと、平成七年に近い高い水準を維持している、そんなことであろうかというふうに考えております。
  80. 谷本巍

    ○谷本巍君 経営は安定的に推移しているということでありますけれども、五十頭七十頭規模ぐらいの大規模で、これは大変なものですよ、内地から見ますというと、三千時間働いているんですよ。異常な状況じゃありませんか。  そして、その皆さんに話を聞きますというと、例えば百頭にふやしていく、そのために酪農のやり方を変えて新たなシステムにしていく、そのためには相当莫大な投資が必要なんです。借金をしなきゃできないんです。やれば三千時間はもっと短くなってくる、生産性も上がる、わかっておりますと言うんです。ところが、そういう資本蓄積がないから、やるとすれば借金に依存をしながらやらなきゃならぬ。ところが、乳価の動向がどうなっていくかわからない、そういうもとでは経営破綻の状況になってしまう可能性もあるのでやれないという声が非常に多いのであります。ですから、あとはもうとにかく稼ぐしかない、それしか道はないというのが大多数の皆さんがおっしゃることであります。  そして、そういうあり方の中で不安感が一層増してきているのは、二人三人で働いている中で一人でも病気になっちゃったらもうそれでバンザイになってしまう。言うなれば綱渡り的な状況になっておって、このままではいつかは破綻するのではないかという声が圧倒的に多い。そういう状況を踏まえて経営は安定しているとか粗収入は順調に推移していると言われたんじゃ、それは酪農家はたまったものじゃありませんよ。そういう綱渡り的状況のもとで不安感が依然として消えていないということをなぜ言えないんですか。
  81. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 確かに、規模拡大が進みます中で、短期間に借金に依存するような形で急速に拡大してきた経営も少なくない、そういう経営にとりましてはいろいろ不安定要因を抱えている、これは事実であろうかと思います。
  82. 谷本巍

    ○谷本巍君 ですから、数字で見たら安定している、しかし実態を見たら非常にやっぱり問題点があると、両面から見るような問題指摘をお願いしたいということを篤と申し上げておきたいと思います。  続いて、大臣に伺いたいのであります。加工用原料乳価と飲用乳価の関連についてであります。  先ほども申し上げましたように、メーカーは去年から加工乳を下げないなら飲用乳価を下げますよと。理由は何ですかと聞きますというと、財布は一つだからだと、こういう回答が出てまいります。そして、ことしはその点を極めて明白にメーカー側は言ってきているということであります。  ところで、牛乳の不足払い法というのはどうであるのか。これは、飲用乳価加工原料乳価、もともと関連づけてはいないと私は理解しております。というのは、酪農家に対しては再生産を確保できるような乳価を保証していきましょう、メーカーに対しては、乳製品は市販が安いですから、それに見合うような安い乳価を、基準取引価格設定していきましょうというようなことでやってきており、そしてその差額は国が持つという制度になってきているからであります。  そういう制度のもとで、メーカー側が財布は一つだからこっちを下げなきゃこっちを下げますよ、こういうふうな話に出てきておるのでありまして、こうしたメーカーの姿勢をどうお考えになっておるか、伺いたいと存じます。
  83. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 保証価格と飲用乳価の問題につきましては、今、委員が御説明になられました、そういうことでございます。不足払い法の趣旨に基づいて畜産振興審議会意見を聞いて保証価格は決める、それから飲用乳価は当事者間の取引で決めると、こういうことで、今おっしゃられましたようにこれは別の世界の問題だと私は思います。  しかし、そのことを一つの問題として、懐が同じだから同じ一つの懐から出る問題として結びつける、こういうような状況があることも仄聞いたしております。私は、これはそうあってはならないと思っておるわけでございまして、特に、誠意を持って十分な話し合いのもとに決められるものでございますけれども、そういうことが十分に守られるかどうかということについては、九年度の飲用乳価交渉について、私としては十分にこの交渉の模様は注目していきたいというふうに考えております。
  84. 谷本巍

    ○谷本巍君 この不足払い制度がつくられまして、南北戦争というのはずっと発生しないで済んできたのであります。こうした状況というのはこれから先も維持していかなきゃならぬと思いますので、どうしてもその見解を大臣に伺いたかったということでありまして、ともかくもこうした状態が、何といいましょうか、行政指導の面でもその辺の配慮をお願いしたいということを大臣にお願いしておきたいと存じます。  続いて、飲用乳価水準をだれが決めているのかということについての農林水産省の考え方を伺いたいのであります。  乳価決定は、昔は御存じのようにメーカーと小売と酪農家の三者協議によって決められておりました。最近はすっかり変わってしまいました。とりわけ突出的な役割を果たしているのが量販店であります。例えば大阪へ行きますというと、千ccの牛乳一本が今や百五十円台というような状況になってきております。つまり、まとめ買いを条件にして買いたたくというようなやり力になっておる。そして、そういう中で水よりも安い牛乳というのがつくられていった、これが目玉商品にされたということであります。ですから、そういうもとではメーカーの方はそのしわというのを絶えず酪農家の方に寄せてくるというような状況になってくるわけであります。  関西の場合で言いますというと、北海道なんかとは違いますから、土地条件、広げる条件がありませんから合理化限度がある。したがって、そういう状況の中では関西の酪農なんかはもうもたなくなっていくのではないかということが言われております。  これについて、農林水産省はどう認識し、どう対応するのか、見解を賜りたい。
  85. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 飲用牛乳市場といいますのは、牛乳の消費が季節とか天候によって非常に変動しやすいということの上に、生産者団体による市乳化率向上の要求とか、乳業者間の飲用牛乳のシェア争いとか、今御指摘ございましたような量販店での安売り等の要因等もございまして、ともすれば価格の面で混乱が生じやすいという性格がございます。  そこで、飲用牛乳市場の正常化を推進します観点から、農林水産省としましては「飲用牛乳の流通取扱指針」というのを定めまして、この中で量販店等におきます秩序ある販売についても指導をしてきたところでございます。また、飲用牛乳に関係します生産者、乳業者、販売店なり量販店の意思疎通の場といたしまして、飲用牛乳流通問題等協議会を全国、ブロック、都道府県の各レベルで設立いたしまして、それらの活動を通じまして飲用牛乳の乱売廉売の是正等、市場環境の整備に努めているところでございます。
  86. 谷本巍

    ○谷本巍君 それで、そういうもとで最も目も当てられないのは何なのかといいますというと、余乳が出たときにはこれはもうたまったものじゃないですね、買いただきがひどくなって。そういう余乳処理について生産者団体が基金制度をつくって対応していく、これについては政府としてもひとつ応援をしていきましょうという話が先ほど大臣からございました。これは大変頼もしいことでありまして、その点は篤とお願いを申し上げておきたいと思います。  そこでもう一つ大臣に承りたいのでありますが、それは限度数量の問題であります。ここ三年、限度数量は二百三十万トンでありました。本年度の認定数量は二百四十万トン程度と予測されております。ということは、十万トンの限度外数量が出てくるということになってまいります。これは不足払いの対象にはならない。したがって、はみ出したものは基準取引価格という安い値段でもって出さざるを得ないというようなことになってまいりまして生産者が大きな打撃を受けることになってまいります。  先ほど阿曽田委員からもこの点についての質問があったのでありますが、大臣からこの限度数量の引き上げ問題についてひとつ考え方を聞かせていただきたいのであります。
  87. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 限度数量の増枠の問題、今まで御意見がございました。この問題につきましては私どもも慎重に考えておりまして、審議会の御意見も承りながら最終的には判断していきたいというように考えております。
  88. 谷本巍

    ○谷本巍君 審議会はあしたでありますから、その前になかなか言いにくいというようなこともあるのだろうと思いますが、ともかくも限度数量はことしはかなり出そうでありますから、需給事情をきちっと踏まえて決定に当たっていただきたいということをお願い申し上げておきます。  大臣、いかがでしょうか。
  89. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) ここでそのとおりいたしますとはなかなか申し上げられませんので、慎重に考えさせていただきます。
  90. 谷本巍

    ○谷本巍君 次に、生クリームの生産問題について伺いたいと存じます。  生クリームは、輸入乳製品との競合が少ない、しかもバターの過剰対策にもなるというような性格を持っております。消費者の本物志向といいましょうか、そういうものもあって伸びは順調だと聞いております。これに対する助成はたしか七年度から実施をしていたという記憶が私はあるのでありますが、今後もこの点はぜひ継続すべきと思うが、いかがでしょうか。
  91. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 生クリーム対策につきましては、先生お話しのとおり、輸入乳製品との競合のおそれが少ない、バター在庫の解消にも資するということで平成年度から実施しているものでございます。  この事業によります八年度の生クリーム向け生乳の取引数量は当初の計画を大きく上回って増加をいたしておりまして、バターの在庫もある程度適正水準に近づくなど、当初の目的に沿った成果が上がってきているかと考えております。  この事業の来年度以降の扱いでございますが、これは行政価格決定とあわせまして、明日の畜産振興審議会等の意見も十分伺った上でまた判断させていただきたいと考えております。
  92. 谷本巍

    ○谷本巍君 次に、加工用原料乳価の問題について伺いたいと存じます。  これまで私が伺ってまいりましたのは、生産費は若干上がる、ところが配合飼料の補給金で一キロ当たりで計算していくというと上がる分が相殺されそうだということでありました。そうしますと、去年の乳価と比べてみますというと二円九十三銭の調整額がマイナスというような格好になってくるのではなかろうかと思います。そこで、先ほど議論になっておりました消費税の織り込み問題、それからまた四月一日からえさの値段が上がっていくわけでありますから、同時にこうしたものも織り込んでいくべきではないのかというふうに私は思います。  こうした意見を申し上げますというと、ごく一部でありますけれども、それをやるなら生産性向上分も織り込めとか、乳量の増加についても推定値を計算して織り込めと、こういったような議論もあります。これはまあ暴論と言わなきゃならないでありましょう。というのは、そういうふうにしてやっていったら全部が全部推定値計算でやらざるを得ないという妙なことになってくるからであります。  私が申し上げるのは、消費税とかあるいは配合飼料とか、既にもう決まっているものについてはきちんとした算式、算定の中でやるべきだと思うのだが、いかがでしょうか。
  93. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 加工原料乳保証価格等算定に当たりましては、まず配合飼料価格でございますが、昨年の価格算定に当たりましても、当時配合飼料価格が上昇局面にございまして農家の不安も大きい状況でございました。そうした状況を踏まえまして、配合飼料価格についての農家負担見通しといいますか、これを最大限に織り込んで算定した経緯がございます。今回、平成年度価格算定に当たりましても、そのあたりは十分算定に配慮していく必要があろうと考えております。  それから、消費税につきましても、これは物財の購入に伴う消費税負担額と、それから課税農家にとりましては、三千万円以上農家ということになりますが、その納付に係る負担額でございますが、これらを適正に反映させていく必要があろうと考えております。
  94. 谷本巍

    ○谷本巍君 最後に、労働評価の問題について伺いたいと存じます。  先ほど一井委員質問に対して大臣は、手短に言いますというと条件づきで検討しますとお答えになりました。さらに私の方から追加して申し上げたいと思いますのが、御存じのように北海道の場合には五人から二十九人の製造業の男女込みの賃金でもって酪農家労働を評価しているというような状況になっておるのでありますが、その一つの問題は、先ほど一井委員から指摘がありましたように、製造業の場合にはおおむね十対五という開きがある。ところが、酪農の場合はそういうふうな状況にないではないかというような指摘でありました。ですから、そういう点でひとつ検討をしてほしい。  それから、もう一つ検討をしてほしいと思いますのは、もう五十頭から七十頭というような時代なのでありますから、いわば経営者でもあります。経営者としての賃金計算というか報酬計算ということで、製造業の五人から二十九人規模の従事者の賃金でいいのかどうなのか、ここのところも議論があるところであります。こうしたものもあわせてひとつ検討をしていただきたいということをお願いしておきます。
  95. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 保証価格算定におきます家族労働費の評価の問題でございますが、これにつきましては、従来から酪農労働の周年拘束性というような特殊性にかんがみまして労賃単価の評価がえをやっているということであります。  具体的に申し上げますと、家族労働時間につきましては男女を区別しない家族労働時間、それから男女を区別していない製造業五人以上規模水準の現金給与総額、これをすべて足し上げまして、これを実労働時間で除して求めた労賃単価、そういう労賃単価を掛けて算出しておるわけでございます。将来的な課題としていろいろ検討事項はあるかもしれませんが、これまでの経緯からいたしましても適切な算定方法ではないかと考えております。
  96. 谷本巍

    ○谷本巍君 ですから、検討してくれるのか、検討してくれないのか、それだけでいいんです。
  97. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 御指摘の点につきましては、生産費調査上、技術的にできるのかどうかをも含めまして検討させていただきます。
  98. 谷本巍

    ○谷本巍君 ありがとうございました。
  99. 須藤美也子

    須藤美也子君 最初に、来年度加工原料乳保証価格決定に当たりまして、農水省はどういう姿勢で臨もうとしているのか。もちろん、私は引き上げの方向で臨まれると思うのですが、どうですか。
  100. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 加工原料乳価格につきましては、法令の規定によりまして、明日の畜産振興審議会の御意見を聞いて決めるべく、ただいま精査検討を鋭意進めているところでございまして、現時点でこういう姿というのはまだお示しできる段階に至っていないわけでございます。
  101. 須藤美也子

    須藤美也子君 三月十五日の、全日本開拓者連盟が畜産局に要請をした、その回答の中に気になる文言があります。それは、「基本的には納税者の理解を得られるような運用にする必要があり、その点では世の中の目が昨年の今頃とは比較にならないくらいきびしいものになっていることにも配慮して価格算定をしていかなければならない状況にある。」と言っています。この「世の中の目が昨年の今頃とは比較にならないくらいきびしい」ということはどういうことなんですか。
  102. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 私ども、ちょっと具体的に、その場に居合わせておりませんでしたので確認できる立場にないわけでございますが、一般的な情勢として、行財政改革等について世の中の関心が高まっているということを申し上げたのかなと想像いたします。
  103. 須藤美也子

    須藤美也子君 世の中の目が厳しいというよりも、むしろ酪農畜産農家の方が厳しいんじゃありませんか。先ほど順調に推移している、安定的に推移している、こういうような御答弁をなさいましたけれども、現場はそんな単純なものではない。そういうことを私は幾つかの事例をもって申し上げたいと思うんです。  例えば総合乳価、九三年度から乳価が低下し、九七年にはキロ約五円も下がって現在八十二円四十銭ですか、になっている。こういう中で、千葉県の場合、表向きはキロ七十五円七十五銭、これが保証価格であります。飲用乳価はキロ百十八円二十二銭。しかし、実際は契約枠外のその他になりますと七十九円五十銭とがくっと下がる。明治乳業はキロ十円で買っている場合もあるんです。御存じですか。雪印乳業の標準購入価格は七十五円四十三銭、これは保証価格よりも下がっております。  岩手県の場合、九七年度の飲用価格について大手メーカーはキロ二円下げろ、こういう要求をしてきているわけです。そして、昨年はキロ五円引き下げ、こういう要求をしてきた。(「山形県は」と呼ぶ者あり)山形県は後で申し上げましょうか。生産者団体との交渉の結果、三円五十銭、これで決着をした。このため経営は深刻で、県内の農家はこの九カ月の間に百二十戸も離農をいたしました。群馬県では自殺者も出ているんです。  こういう現場の状況を把握した上で、順調に推移していると、こういうふうに答弁なさったんでしょうか。
  104. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 飲用乳価の交渉結果等につきましては、各地方の状況について折に触れ伺っているところでございます。私どもとしましては、当事者間が十分に話し合われて納得できる価格で合意できるように、常に当事者間の話し合いが行われるよう期待しているところでございます。
  105. 須藤美也子

    須藤美也子君 総合乳価は年々引き下げられ、乳業メーカーからは買いたたかれ、飼料価格高騰する、これによって酪農家の所得は一六%も減少する、こう見込まれております。こういう中で、一方では大手乳業メーカーは農民からの買いただきによって空前の大もうけをしている、こういう現状なんです。  そういう中で、農家の努力だけではもう限界だ、やめる以外にない、借金を抱えてもうやめる以外にない、こういう酪農家畜産農家がたくさんいます。山形もそうです。酪農は余りやっておりませんけれども、畜産農家はそういう農家が多いんです。こういう実態を本当に把握してほしいと思うんです。その上で、加工原料乳の不足払い制度の果たしている役割、これは極めて大きい。この役割は、生乳の再生産確保に資するとともに、生乳・乳製品の価格の乱高下を防いで消費者への安定的供給を行う、これがその精神だと思うんですね。世の中の目が厳しければ引き下げる、甘くなれば引き上げる、そんな単純なものではない、こう私は思います。  農水省として再生産に見合う価格を保証したい、そういうお気持ちがあるのであれば、再生産に見合う価格は最低でもキロ九十円は欲しい、そうでなければ再生産はできない、こういう要求であります。私は、再生産を確保できる乳価にするために、当然不足払い、この制度をもっともっと強化して、価格引き上げを当然図るべきだと思うんです。そういう立場で、農水省が審議会指導をする、こういうことを私は強く申し上げたいと思うんです。  先ほど冒頭、大臣が、余り怒らないでねと言いましたけれども、私は決して怒っているんではないんです。現場の農民の皆さんの声を代弁して申し上げているのでありますから、ぜひ御答弁をお願いしたいと思います。
  106. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) どうも暗い話ばかりで、私が聞いております現場の声は、なかなか厳しいけれども何としても頑張るんだという意欲にあふれた生産者が多いわけでございまして、これはいろいろな立場、いろいろな環境、そういうところからいろいろな意見があると思います。  しかし、そういう意見の中で、今回のこの価格決定につきましては、私どもも十分保証価格でありますとか、またこれからの酪農畜産の問題などにつきましてこの価格が大きな影響を与えるということも十分に承知をいたしておりますので、審議会の御意見も聞きながら適切な判断をさせていただきまして、決定いたしたいというふうに考えております。
  107. 須藤美也子

    須藤美也子君 それでは大臣、明るいニュース、明るいお話をいたしましょう。  ここに日本経済新聞があります。北海道の方がいらっしゃるのに北海道のことを申し上げて大変口幅ったいと思いますけれども、こういう大きな写真が載っております。三月二十四日付の農業新聞には、北海道の別海町で離農跡地を利用して牧場をつくった。研修牧場を開設したんです。そして四月から第一期の研修生を迎える、こういうふうに報じております。  また、北海道の新得町では、これ女性ですよ、OL。十一人がレディースファームスクール入校式とある。酪農で、横文字ですから、これは大したものです。こういう人たちが全国から集まって酪農の研修をやろうと、こういう人たち、皆若い人たちなんです。独身者です。この人たちが地元の北海道の若い青年を恋人にでも見つけたら、これはここに根づくわけですよ。酪農の担い手がふえるわけですよ。  こういう人たちのためにも、私は意欲を持って酪農家の声もよく聞いて、頑張れる価格にしていただく、こういうことを二十一世紀の担い手、主人公のために約束してほしいんです。明るいニュースでしょう。これぜひ明るい答弁をしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  108. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 今、財政当局と一生懸命に折衝中でございまして、その折衝の内容につきまして報告を受けている段階でございます。私も頑張っておりますので、その点は御理解いただきたいと思います。
  109. 須藤美也子

    須藤美也子君 そういう点では頑張って約束を守っていただくというふうに善意に私は解釈をいたします。  そこで、また暗くなるかもしれませんが、先ほど来の質問と重複するかもしれませんけれども、特定乳製品の問題ですけれども、二年連続して増加しています。きのういろいろ聞きましたら、限度数量よりも九万トン多くなっている。二年続けてこれだけ需要が多くなっている。当然限度数量、現在の二百三十万トンを拡大するのが当たり前だと思うんです、常識から考えるならば。それを先ほど来から慎重に検討いたしましてと繰り返しておりました。そこを一歩前に出ていただいて、この実情を踏まえて引き上げるべきではないのか。  農水省として、私は少なくとも二百五十万トンぐらい限度数量を引き上げてもいいんではないか、それだけの需要はふえるんではないか、こういうふうな見通しを持っているんですけれども、そこはどうでしょうか。また同じ答弁でしょうか。
  110. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 乳製品の需要でございますけれども、確かに乳飲料需要の伸び等を背景にいたしまして、脱脂粉乳は堅調に需要が伸びているという面がございます。  ただ、その一方でバターにつきましては、これはひところほどの過剰在庫かなり解消されてきたわけでございますが、しかし、今年度だけをとってみましても、年度在庫見通しというのは当初の見通しほどではない。まだ完全に適正在庫という水準には至ってない、そういう面もございます。そういった点も十分踏まえまして、畜産振興審議会の御意見なども聞きながら決めていくことになろうかと思います。
  111. 須藤美也子

    須藤美也子君 この問題については多くの方々質問もしておりますので、そういうことも踏まえてぜひ前向きで考えていただきたい、取り組んでいただきたいと思います。  次に、これも再三質問が出されました台湾の豚の口蹄疫の問題であります。これは簡単に申し上げますが、この極めて伝染性の強いウイルス性伝染病と言われている口蹄疫なんですが、まず我が国家畜に伝染させないためにどのような緊急措置を講じているのか、これが一つ。  それから、台湾我が国最大の豚肉輸入先であります。全体の四割が台湾、この輸入がストップをすれば、かなり長期にわたると言われていることから、豚肉が急騰しているのではないか。価格の安定を図るためにどのような対策を講ずるのか。安定上位価格を上回る場合は関税の減免措置を講ずることもあり得るのかどうか。  この二点、口蹄疫についてお聞きしたいと思います。
  112. 竹中美晴

    説明員竹中美晴君) 口蹄疫につきましては、人間には影響はないわけでございますが、家畜にとっては大変怖い病気であるということで、我が国としましては台湾の衛生当局から通報がありましてから、直ちに偶蹄類動物なり畜産物輸入禁止措置を講じているところでございます。  それから、国内の体制ということでございますが、国内畜産関係者あるいは家畜防疫関係者等に対しましても、情報の提供なり防疫体制の強化等につきまして指導をしているところでございます。  それから、価格高騰といった点でございますけれども、本年度の、最近現在での輸入在庫というのが通常ベースの二倍程度あるということからいたしますと、直ちに国内需給が逼迫するというような事態は考えにくいわけでございますけれども、確かに卸売市場等の価格が上がっているというような面もございます。二十四日の東京食肉市場では平均六百二十三円に上がったということでございます。ただ、その次の日には五百円台に下がっておるというようなこともございまして、価格の動向につきましてはまだなかなか見定めがつきにくいという状況かと思います。  いずれにいたしましても、この禁輸措置国内需給なり価格に及ぼす影響につきましては、十分注視をしていきたいと考えております。
  113. 須藤美也子

    須藤美也子君 私の時間は五十三分までですので、もう一問したいところですが、これでやめます。
  114. 真島一男

    委員長真島一男君) 本件に対する質疑はこの程度といたします。  阿曽田君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。阿曽田君。
  115. 阿曽田清

    阿曽田清君 私は、自由民主党、平成会、社会民主党・護憲連合、民主党・新緑風会、日本共産党及び二院クラブの各派共同提案による畜産物価格等に関する決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     畜産物価格等に関する決議(案)   我が国農業の基幹的部門である畜産業を取り巻く情勢は、ウルグァイ・ラウンド合意による牛肉及び豚肉の関税の引下げ、畜産物輸入の増大、担い手の減少、高齢化の進展等極めて厳しいものがある。   よって政府は、こうした情勢を踏まえ、平成年度畜産物価格決定に当たって、次の事項の実現に万遺憾なきを期すべきである。  一 加工原料乳保証価格については、農家が意欲と誇りと希望を持って営農に取り組めるよう、再生産の確保を旨として適正に決定するとともに、加工原料乳限度数量については、生乳生産事情、牛乳及び乳製品の需給事情を考慮して適正に設定すること。  二 牛肉及び豚肉安定価格については、畜産農家経営の安定が図られるよう、再生産の確保を旨として適正に決定するとともに、肉用子牛の保証基準価格については、繁殖農家経営の安定が図られるよう、再生産の確保を旨として、また、合理化目標価格については、我が国の肉用子牛生産実態等を勘案して、それぞれ適正に決定すること。  三 飼料をめぐる情勢を踏まえ、配合飼料価格安定対策の適切な運用を図るとともに、政府操作飼料については、需給事情を踏まえた安定確保を図ること。  四 畜産業の発展に資するため、家畜排せつ物処理施設の整備等の畜産環境対策、家畜改良促進対策等を総合的に推進するとともに、食肉輸入急増に対する関税の緊急措置及び特別セーフガードの適時・的確な発動を行うこと。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  116. 真島一男

    委員長真島一男君) ただいま阿曽田君から提出されました決議案を議題とし、採決を行います。  本決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  117. 真島一男

    委員長真島一男君) 全会一致と認めます。よって、阿曽田君提出の決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、藤本農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。藤本農林水産大臣
  118. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) ただいまの御決議につきましては、その趣旨に従い、最近の畜産をめぐる情勢を踏まえつつ、十分検討してまいる所存でございます。
  119. 真島一男

    委員長真島一男君) 本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十七分散会