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1997-03-17 第140回国会 参議院 農林水産委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年三月十七日(月曜日)    午前十時三分開会     —————————————    委員異動  三月十四日     辞任         補欠選任      村沢  牧君     大渕 絹子君      国井 正幸君     菅野 久光君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         真島 一男君     理 事                 浦田  勝君                 高木 正明君                 阿曽田 清君                 谷本  巍君                 一井 淳治君     委 員                 青木 幹雄君                 井上 吉夫君                 岩永 浩美君                 佐藤 静雄君                 松村 龍二君                 三浦 一水君                 石井 一二君                 及川 順郎君                 高橋 令則君                 常田 享詳君                 大渕 絹子君                 菅野 久光君                 須藤美也子君                 島袋 宗康君    国務大臣        農林水産大臣   藤本 孝雄君    政府委員        林野庁長官    高橋  勲君        林野庁次長    福島啓史郎君    事務局側        常任委員会専門        員        秋本 達徳君    説明員        防衛施設庁施設        部施設管理課長  佐伯 惠通君        労働省労働基準        局賃金時間部労        働時間課長    松井 一實君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○森林病害虫等防除法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○森林組合法及び森林組合合併助成法の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 真島一男

    委員長真島一男君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十四日、村沢牧君及び国井正幸君が委員を辞任され、その補欠として大渕絹子君及び菅野久光君が選任されました。     —————————————
  3. 真島一男

    委員長真島一男君) 森林病害虫等防除法の一部を改正する法律案及び森林組合法及び森林組合合併助成法の一部を改正する法律案、以上両案を一括して議題といたします。  両案につきましては、既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 井上吉夫

    井上吉夫君 私は両法案のうち、森林組合法並び合併助成法の問題を中心として御質問をいたします。  我が国の森林の総面積、御承知のとおり約二千五百万ヘクタールでございます。これは全国土の約七割を占めておりますし、総蓄積でも三十五億立方を数えるなど、現在人工林中心といたしまして成熟過程にあり、まさに国産材時代近しというぐあいに言われているのが昨今の森林状況であります。そして、年間の成長量が大体七千万立方と言われる中で、外材の輸入が非常に依存率が高うございますから、国内産材によります供給は大体二千万立方前後と言われている。算術的に言いますと五千万立方蓄積分がどんどん残る勘定になりますけれども、しかしながら、このような状態だと手入れをする意欲を失って、算術上の五千万立方ずつの蓄積増というのは決して必ずしも好ましい山の状態ができるとは到底思えません。  こういう森林組合現状と山の状況などから考えて、今課せられる森林組合課題をどう認識しておられるか、このことについてまず農林大臣から御所見を承りたいと思います。
  5. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 山の問題につきまして極めてお詳しい井上委員でございますから、よく現状につきましては御認識をされていらっしゃるわけであります。  森林組合は御承知のように地域林業の中核的な担い手であると認識をいたしております。しかしながら、この森林組合経営基盤は非常に弱い状況でございまして、この現状から考えますと、これからの課題といたしましては、合併促進であるとか事業範囲拡大などによりましてこの経営基盤の強化を図っていくということが不可欠の問題であると、そのように認識をいたしております。
  6. 井上吉夫

    井上吉夫君 林業が今非常にやりにくい状態にあることは、大臣も御承知のとおりであります。  私も随分長いこと森林組合長を務めて今日に至っています。当時、三つの町村が合併をして出水市になったわけでありますが、出水市一円の三つありました森林組合合併をいたしまして、三十六年に合併組合が誕生いたしました。これは行政と全く同じ区域合併をしたわけでありますから、新しい市が森林組合のためにいろんなお世話をするという関係では大変都合のいい組み合わせでございました。従来の森林組合合併というのは、およそそういう形で市町村行政区域単位ぐらいがせいぜいであって、行政区域を越えた広域合併というのはなかなか進んでまいっておりません。それが今日の全国森林組合現状だと思います。  私は、その組合最初からの組合長としてずっとやってまいりました。ようやくそれが広域合併をいたしましたのは四年前であります。ここでようやく経済行為本当軌道に乗り始めたのかなという経験を持っておりますだけに、この際、やっぱり広域合併というのがどうしても林業活性化するために必要だということを認識しております。それだけに、今度の合併助成法はそういう意味では私は歓迎すべきものだと思っておるわけです。ところが、合併をしても本当意味森林組合らしい活動ができるかということになりますと、これは合併だけではなかなか容易でございません。  以下、主として林野庁長官に答えてもらって結構だと思いますが、合併助成法ができました昭和三十八年当初は全国に約三千五百ほどあった森林組合だと思いますが、関係者の取り組みによりまして、平成六年度末では約一千四百組合となっておりますけれども、今申し上げましたような二つ市町村を越えたいわば広域合併というところを拾ってみますと、まだ全体の約二割程度であります。こういう状況の中で、本当意味森林組合らしい活動体としての活性化のためには、どうしても広域合併を進めていかなきやならぬというぐあいに思っています。  昨年末の全国森林組合大会においても、六百組合目標として、この法律の終わる時期には組合合併を推進したいということを決めておるようであります。ということは、やっぱりみずからも合併をしなければこのままではいけないなという認識森林組合自体が考えているということのあかしてございますが、とはいいましても、その目標を達成するにはたくさんの厄介な問題があります。いわば合併に至るまでの道筋も容易でありません。  そこで、合併阻害要因は一体どういうところにあるのか、逆に言うならば、合併を順調に進めていくためには何と何を一番気をつけていかなきやならぬのかという点についての長官見解を伺いたいと思います。  同時に、関連をいたしますので申し上げますと、森林整備木材産業活性化を図るためには流域管理システムが大事だということを言われて何年かなります。今度の森林組合合併に当たりまして、この流域管理システムとの関連でどのような姿を描いておられるのか。第二番目にそのことについて答えてください。  さらに、今度の法改正によりまして、森林組合事業範囲拡大するということが大きな改正点になっておるようでありますが、この場合、相当な設備投資が必要だと思います。でなければ、合併をいたしましても合併効果というのはそのままではなかなか出てまいりません。合併をいたしますと、どうしても合併前の組合の中の一番条件のよかったところに給与その他の条件を合わせるということにならざるを得ません。にわかに資金量がふえるわけでもありません。ただ、幾つかのもともと違った森林組合一緒になってもそこで新しい事業の展開が開かれなければ、合併効果というのはほとんど出てまいらないところか、いわば活性化の足を引っ張ることになりかねません。したがって、その助成拡大ということについてどういうことを考えておられるか。  以上、合併関連いたします三つの点について長官から答えてください。
  7. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 最初に、合併を一生懸命進めてきたにもかかわらず、なかなかそれが進展しないではないかという御指摘でございます。今回のこれまでの目標平成三年度末の千六百二十七組合、これを八年度末までに一千組合にしようというのが目標でございましたが、八年度末までにやっと千三百九十五組合という状況でございます。  流域によって進捗しているところとそうでないところといろいろ相違があるわけでありますが、進まない理由をいろいろ考えてみますと、やはり組合の間に財務的な不均衡がある、比較優位にある組合がその不利なところをしょい込んでどうなるかというふうな懸念があったり、それから全般的に言えることとして、役職員とか組合員の間に自覚といいますか認識も不足している。それから、それを引っ張っていくリーダーもなかなか不足しているというふうなこと、それから市町村を越えてということで広域合併が必要なわけでありますけれども、それも御指摘のとおり、現在二割ぐらいは市町村を越えた合併組合があるわけでありますけれども、どうもそれぞれの組合にとっては市町村から離れると市町村助成といいますか、いろいろ縁が薄くなるというふうなことで心配があるというふうなことの懸念がある、阻害要因になっているんじゃないかと。  ただ、流域の中でいろいろ進捗度合いに差があるということを考えてみると、もう少し都道府県といいますか、県の行政指導をする、県が基本的な方針を立てるというふうなことを考えたら一層さらに進むのではないかというふうなことで、今度新しい措置としましては、都道府県によりまして都道府県ごと合併推進基本方針の作成でありますとか、協議会を設置するというふうなことで進めていったらどうかということを考えております。  それから、二番目の流域管理の中での森林組合の位置づけということでありますが、やはり流域管理の中でも森林組合が中核的な役割を果たすわけでありまして、できれば百五十八流域あるその中に少なくも一つぐらいは組織基盤がしっかりした森林組合が存在するように持っていってほしいし、数からいえば一流域三つか四つぐらいの優良な組合目標として、それでいきますとトータルで六百ぐらいという系統組織目標にも合うわけでありますが、そんなふうな流域管理システムの中での役割目標を考えているわけであります。  それから、助成措置ということであります。これまでもいろいろ林構事業等共同利用施設ができる体制をつくっておりましたけれども、これまでの事業範囲林産物に限ってきたものでありますが、この中で、林産物だけでなくて、さらにそれ以上の地域特産物でありますとか農産物でありますとか、そういうふうな新しい事業を始める者につきましても利用加工施設等が設置できますように、今後とも必要な助成は行ってまいりたいと考えております。
  8. 井上吉夫

    井上吉夫君 それぞれお答えをいただきました。  私は、四年前に二市二町で合併をした鹿児島いずみという森林組合組合長を現在もいたしております。そして、出水市が合併して間もなく、昭和三十六年に一つ組合になったときの合併の経緯に比べますと、今回の方がある意味では私は大分成功したなと思います。  というのは、二市二町の合併に先立ちまして、三年がかりで実は推進協議会を開いていただきました。その前私は、この二市二町の森林組合の中では私が組合長をやっておりました出水が一番事業の成績もいいし、あるいは中身もしっかりしていると思っておりました。したがって、他の三つ組合合併するということは、どうも足を引っ張られかねないという心配を持っておったわけであります。  ところが、県が大変熱心にこのことを推進してくれました。具体的に言えば、出水農林事務所担当者は、所長あるいは担当課長ともどもにこのことにそれこそ全精力をかけてくれて、二市二町の首長さん、林務担当課長さん、そしてそれぞれの組合責任者一緒になって実は合併経営計画をずっと練り上げてくれたわけであります。  そして、その際に練り上げた中身が、単なる合併組合はどういうぐあいに事業を展開すればいいかというメリットを含めての検討だけではなくて、この際に、これから先の森林組合として大事なことは、今までのように森林をつくり上げていく造林関係だけが中心である森林組合ではなくて、林産物の生産、販売という段階に大きく力を入れていかなきゃいかぬ。となると、できるだけ安く材を切り出すということでなければ林業は成り立っていかないという林業の情勢から見て、どうしても合併組合は、まずは高性能機械を入れようではないかということを計画の中に組んでくれました。その中身は、プロセッサでありタワーヤーダであります。そして、それだけの材が出てくるということになれば今持っております約八反歩程度市場ではとても材がさばき切れないだろう、もう一つ市場拡大する必要があるなという、事業計画の中でこのことを中心とする必要な事業の大筋を固めてくれたわけであります。  国庫補助事業によりまして、高性能機械の導入も計画どおり実施することができました。同時に、この幾つかの施設整備につきましては、二市二町が思い切って我々も地区の森林組合活性化のために負担しようではないかということで、国庫補助に見合うぐらいの金を二市二町が出してくれたわけです。そのことを一番リードしてくれたのは、さっき申し上げました県の出先でありました。  したがって、私はこの際申し上げたいのは、合併そのものは大事だけれども合併後の組合が出だしからすぐ軌道に乗っていくという、そのための準備期間における県の積極的ないわば指導と同時に助成策も含めて当該市や町が一緒になってこれを推進していく、そういう体制がなければ合併は思ったとおり伸びていかない。そういうところがあっちにもこっちにもできていけば、合併メリットというのを本当関係者みんなが認識するようになって合併は進んでいくだろう。  だから、今までの合併のスピードよりも、今度これから先やろうとする合併計画は、全森連自体がそのことを総会の名において提案されたことでもあり、みずからもこの必要性を非常に痛感しているという背景もあることからいたしますと、今申し上げましたような県や当該市町村の積極的な応援と同時に、必要な施設等をどういうぐあいに導入するか、そういう計画合併に先立って十分練り上げて発足をしてほしいなというぐあいに考えておるところです。  粗筋は長官から御説明ありましたので、以上申し上げたようなことについて特に気を配っていただきたいと思います。  次の質問に移りますが、昨年制定いたしました林業労働力確保法に基づき、森林組合を初めとする林業事業体事業合理化雇用管理改善を図り、就労条件を他産業並みに向上させ、そのことによって新たな林業就業者確保を図るとしておりますが、このことに向けての施策の実施状況を聞きたいと思います。  というのは、何をやるにいたしましても、実は一番困っているのは林業関係者の働き手の不足であります。どんどん今おる人たち老齢化が進んでまいりますし、若い就業者の新しい参入がほとんどありません。とれから先、林業問題のやっぱり一番の大きなかぎは労働者確保だと思っております。このことについてお答えをいただきたい。  そして、御承知のとおり森林組合民有林造林事業の八割を実行しております。今回の改正におきまして、合併計画雇用管理改善に関する項目をつけ加えることによりまして合併した森林組合林業労働力確保法認定事業主となると聞いておりますが、今回の法改正林業労働力確保にどのように結びつけようと考えておられるのか。  労働問題につきまして、この二つの点をお伺いいたしたいと思います。
  9. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 林業労働力確保林業をこれから継続的に実施していく上で大変大事な重要な問題でございまして、昨年の四月に林業労働力確保促進に関する法律が制定されたところでございます。  この法律のその後の実施状況でございますが、昨年七月に労働省と共同しまして国の基本方針を公表しております。この方針に即しまして既に十三県で基本計画策定済みでございまして、残りの三十四都道府県が現在、農林水産大臣労働大臣協議中でございます。既に基本計画を策定した十三県を初めといたしまして、本年度末までに三百事業主ぐらいが改善計画を策定して認定事業主になるという見込みでございます。  それから、林業事業体労働力確保等を支援いたします林業労働力確保支援センター、この設置状況でありますが、十一県で支援センター指定済みでございます。それから、三月末までにはあと四県が指定をする予定でありまして、九年度中には全県で指定が済むというふうに思っております。その支援センターで新しい労働者に対する研修でありますとか、高性能機械貸し付けでありますとか、そういう事業を開始したいと考えて  いるわけであります。  そして、この森林組合役割でありますけれども、今回の改正に基づきまして雇用管理改善事業合理化というものを計画に追加することにしております。そして、それを追加することによって林業労働力確保上の認定事業主とみなすということで、森林組合林業労働力確保上のメリット、すなわち林業改善資金特例措置でありますとか、林業就業促進のための無利子の貸し付けというふうなものを借り受ける状況ができるわけでございます。
  10. 井上吉夫

    井上吉夫君 今も申し上げましたように、仕事をやるのは人の問題であります。労働力確保というのがいかに大事かはちょうちょうするまでもありません。ぜひ今度の法律に向けてのいろんな合併計画の中で、確保に向けての認定事業者としてあわせ認定が可能だということでありますので、法の形の上はそれでよろしゅうございますが、実際上どういうぐあいにこれを進めるかということの難しさは言うまでもありませんので、さらにこのことにうんと力を入れていただきたいと思います。  この際、私は労働省からもお出でをいただきました。というのは、林業就業者確保するためにはその就労条件を向上させるということは大変重要な課題であります。私どももそのことは心得ているつもりです。しかしながら、林業が天候に左右されまして、雨の降る日は仕事にならない。そして、季節的な作業の忙しい時期とそうでない時期との違いがあります。私は県森連の会長もしておりますが、そっちの方はまあいいとして、それぞれの実際の仕事をやってくれる実施部隊単位森林組合であります。そこの一番大事な仕事担い手作業班員であります。作業班員が、他の職種と全く同じように土曜日曜週二日は休みだよということを決められますと、なかなか作業員にとってもぐあいが悪い点があります。日曜一日ぐらいはみんなと同じように休むにしても、土曜日が天気なのに、前の日の金曜や木曜は雨降りで仕事にならないということになりますと、実質上は週休二日が三日にも四日にもなってしまう。それは作業員にとっても決してありがたいことではありません。森林組合仕事にとってもぐあいが悪いというのが実態であります。  今回、平成五年度の労働基準法改正林業労働基準法が完全適用されることになり、ことしの四月一日から猶予措置もなくなるということでありますけれども実態から見れば今申し上げましたような大変他職種と違った条件下に置かれておりますから、今度の時短法扱い等について既に衆議院では委員会、本会議、可決したようでありますが、まだしばらくやっぱりこれを推進するためのいろんな手だてを考えていかなきやならぬなというぐあいに労働省自体もお考えいただいておるようであります。ただ、このことをどう実行するかとなりますと、国と出先とでは認識に非常に違いがありまして、もう労働基準法猶予期間はなくなったので、このとおりしっかり守ってもらわにゃ困るということになりますと現場は大変混乱をいたします。  したがって、このことに向けてまずは林野庁自体の中でこの森林組合における作業の体系、労働基準法とのかかわりについてどうやればいいのかということを、いろんな実態を正確に調べながら、労働省とも協議をして一番ふさわしいマニュアルをぜひつくって、それぞれの地元混乱がないようにしてほしいなというぐあいに考えておりますので、このことについての林野庁並び労働省の御見解をお伺いいたしたいと思います。  あわせて、時間ももうほとんどありませんので、この機会に私は、最近いろんな公社公団等の問題が俎上に上っておりますが、この際に私は森林開発公団についてちょっと触れたいと思います。  森林開発公団がどういう事業をそれぞれの地域で展開しておられるかは、公団仕事が活発に行われているところでは篤と御承知だと思いますが、今民間の自力造林というのはほとんどありません。どうしてもまだまだ手を入れなきゃならぬな、まだこの山だけは跡山の新植をしなきやならぬなというような林分についてはほとんど森林開発公団がその仕事をやっているのが実態であります。  そして、森林開発公団が山主との間で分収契約を結んで、その仕事実態地元森林組合作業を実行しているという関係にありますので、これは各種の行政改革上のいろんな問題はあるかもしれぬが、しかしながら森林開発公団が果たしている水源林造成での役割というのをしっかり認識して、これはどんなことがあっても存続をしなきゃならぬというぐあいに思っております。このことについてのお答え大臣からお伺いをいたしたいと思います。  以上です。
  11. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 週四十時間労働制につきまして、これが平成九年三月三十一日までの経過措置、週四十四時間でございましたが、この四月一日からは四十時間、私ども森林林業に従事する方々といろいろとその状況などをお伺いしながら、これが実態的に定着てきるものかどうかというふうなことで検討を重ねてまいりました。  やはり林業実態に合う時間帯をつくる、作業の仕組みをつくるということが大事だと思っております。変形労働時間制というふうなことで一年間をとりまして、その中で、日の長い間は仕事ができるときに少し時間を長く仕事をするというふうな形で対応して、林業という、アウトドアといいますか外で仕事をする人たち状況に合った体制での変形労働時間制というものを考えておるわけでございます。
  12. 松井一實

    説明員松井一實君) 先生お尋ねの週四十時間制につきましては、林業など現在もその適用が猶予されている事業所につきましても、この四月から全面的に実施されます。しかしながら、その全面実施に当たりましては、まだ少なからぬ事業所実施が困難という状況もございます。  そのために、今国会におきまして、労働時間の短縮促進に関する臨時措置法の一部改正、これを御審議いただいておりまして、実はこの中でいわゆるこの四月からの二年間を指導期間という形で位置づけまして、その間きめ細かな指導、援助、これに徹するというふうにしなければならないとされております。  労働省としましてはこの改正法案を踏まえまして、ひとつ週四十時間労働制定着のためのノウハウの提供といったものを集団指導とか説明会、こういつたことをやりながら根づかせるとともに、時間短縮をやる際に中小企業、コスト問題が生じてまいります。そういったコスト問題につきまして、省力化投資、労働時間制度改善、そういった面での負担軽減のための助成金を設けることと、それから会員の事業主に対しまして事業主の団体が自主的な点検とか改善指導を行う、そういったものにつきましてもまた援助をするといったような、いわゆる体系的、計画的な措置を講ずる中で頑張っていきたいと思っております。  特に林業、これにつきましては、平成五年から労働時間法制が適用されるようになったという事情もあります。しかも、先生今御指摘のような問題も種々ございますので、具体的な対応策に踏み込んだ資料と申しますかそういったものも作成させていただきまして、関係者がこれを使って円滑に四十時間制が定着いたしますように、我々の第一線機関も含めまして十分な対応に努めていきたいというふうに考えております。
  13. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 今、森林開発公団の大きな役割につきまして御指摘がございました。私も全くそのように考えておるわけでございます。  この水源涵養林の造成という問題は、いろいろ水不足という問題が現在大きな問題になっておる、そういうことから考えまして、公益的な機能を非常にこの水源涵養林の造成というものは持っておるわけです。この事業は、今御指摘のように民間の所有者の意欲が低下してきておるということから考えますと、この森林公団が積極的に分収事業を通じましてこのような水源涵養林の造成という問題に取り組んでいかなきゃならない、また今取り組んでおるわけでございまして、今後ともそういう公益的な機能を十分に発揮するために、森林公団役割は非常に大きいものだというふうに考えております。
  14. 井上吉夫

    井上吉夫君 終わります。
  15. 松村龍二

    ○松村龍二君 自由民主党の松村でございます。  私は、森林病害虫等防除法改正についてお伺いいたします。  松くい虫の被害は、日本じゅうにおきまして昭和五十四年をピークに大変な被害があったわけであります。近年は一時期よりは落ちついておるということでありますが、全国の松が大分やられたから被害が少なくなってきたということを指摘する方もおります。  一方、また、松くい虫の被害は仙台までが被害が発生する北限であったと言われておりましたけれども、今やそれ以北でも被害が広がっているというふうに聞くわけであります。  私の地元の北陸でございますけれども、このたび重油被害のありました越前加賀海岸国定公園、これは白い砂と青い松、白砂青松ということで大変に風光明媚なところでございますが、この海も最近本当に澄んできれいでございますけれども、この松林をいかに観光のために保つかというようなことに大変地元では気を使っておるということでございます。  そこで幾つか御質問させていただきますけれども、まず、松くい虫による被害はふえているのか減少傾向にあるのか。その被害状況についてお伺いしたいと思います。  あわせて、今まで二十年間続けてきた松くい虫被害対策特別措置法の延長でなく、防除法の改正で対応する理由をお伺いしたいと思います。  長官、よろしくお願いします。
  16. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 松くい虫による被害につきましては、昭和五十四年度に二百四十三万立方ということでピークに達したわけでありますが、その後いろいろな対策を講じることによりまして平成七年度には四割程度の百一万立方ということに減少しております。  そういう状況を勘案いたしまして、しかしながらまだ百万立方という高い水準にある、それから被害の地域によっては一たんおさまったところがまた再発している状況もあるということから、今回この法律につきましては、これまでの特別措置法を失効させ、病害虫等防除法によりまして今後の対応をしたい、こう考えているわけであります。  といいますのは、これまでの特別措置法で実行しておりました特別伐倒駆除とか樹種転換、こういうふうな今後も対策としてぜひ残すべき方式は新しく森林病害虫等防除法に取り入れまして、これまでの特別措置法で実行しておりました農林水産大臣や県知事による空中散布特別防除の直接実施というこの行為につきましては今後は行わない、こういうふうな改正内容にいたしまして、最近の松くいの被害状況に対応した体制をつくった次第でございます。
  17. 松村龍二

    ○松村龍二君 松くい虫被害対策ということになりますと、とかく話題になるのが空中散布でございます。労働力も高齢化し減少している等の状況下では、必要な防除方法であるとは考えますけれども、このたび空中散布の直接実施制度については農水省は直接するのは廃止するということでございますけれども、迅速かつ機動的に対応するために設けられたこの制度がなくなっても問題はないのかということについてまず御質問いたします。  また、安全確保対策でございますが、特別防除の実施基準については現行より厳しいものとなるのか、また実施対象地域は限定されるのか。特別防除の実施方法、考え方についてお伺いします。
  18. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 特別防除につきまして、その直接実施を今回廃止するということでありますが、これにつきましては先ほど申し上げたように、被害のピークから比べますと非常に減少しております。それから、特別防除自体の実施面積も、ピーク時に比較いたしますと十三万六千ヘクタール実行していたものが平成七年では六万二千ヘクタール、その中の直接実施面積をとりますと、ピーク時の九万六千ヘクタールが平成七年には九千ヘクタールということで、直接実施そのものが大変量が減っております。  そういうことで、直接実施を継続する必要性が乏しくなったのではないかということで今回は廃止するわけでございます。そして、特別防除はこれまでも病害虫等防除法の中で命令・代執行という形で実行できる形になっておったわけですが、その特別防除を今後は命令・代執行という形あるいは奨励防除という形で自主的に実行するという場合もありますので、やはり特別防除を実行するにつきましてはその実施基準が必要だろうということで、実施基準をつくることにしております。  その実施基準につきましては、これまでもいろいろと生活環境あるいは自然環境の保全というふうなことから、特別防除の対象から除外すべき区域の基準でありますとか、いろいろな留意事項等を細部にわたって決めておったわけでございます。  それから、実行に当たりましては住民の意向を反映するというふうなことで、地元説明会を開催するというふうなことで実行してまいりましたので、基本的には今回つくる実施基準も従来の内容とほとんど同じでありますけれども、有識者による御検討をいただいた懇談会での意見を踏まえまして、人によって薬剤による影響の程度が異なることもあるということでありまして、そういうことに配慮しまして万一被害が発生した場合の的確な対応措置について、地域の医療機関への事前の周知徹底を図ることなど、こういう事項につきまして新たに盛り込む考えでございます。
  19. 松村龍二

    ○松村龍二君 先ほど申しました三国町の東尋坊周辺では、観光資源として地元でも松林を守りたいという熱意が相当高いものがございまして、伐倒駆除、地上散布、樹幹注入などの防除対策に積極的に取り組んでいるところであります。  九州の宮崎の日向灘の海岸の松林等につきましても、一本一本登録して、その松について診断書をつくりながら、きめの細かい対応をしているというように聞いておるところでございます。しかしながら、残念ながら枯れ死にしていく松もかなりあり、伐倒駆除対策の重要性があるわけでございますが、今回の法改正に伴う今後の伐倒駆除の考え方、予算措置を含む対応の内容についてお伺いします。
  20. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 御指摘のように、松くい虫の被害対策につきましては、地域の実情に応じて実行するということが大事なわけでありますが、その中で伐倒駆除につきましては、通常の伐倒駆除とそれから特別伐倒駆除を実行することにしております。そのための被害木を含めた不用木等の除去あるいは焼却、破砕、こういうことを行うことによりまして健全な松林を整備していくという形で、平成九年度では約十五億円の予算を計上しております。
  21. 松村龍二

    ○松村龍二君 最後に、大臣の御決意をお伺いしたいと思います。  ただいま観光林について申し上げましたけれども、中国地方を中心といたしまして、本当に観光用でない松林の重要性というものがあろうかと思います。被害はまだまだ手抜きできる状況ではなく、これからもある意味で従来以上に政府として総力を挙げて全国的に猛威を振るった松くい虫被害の撲滅を図り、日本人にとって重要なかけがえのない松林を守ることが必要だと思います。  このようなことから、二十年間の総括といたしまして、大臣に今後の新たなる対策に向けた決意についてお伺いしたいと思います。
  22. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 私の選挙区は香川でございますけれども、大変な松くい虫の被害を受けておりまして、よく香川県は年間二回紅葉があると言われておるぐらい、山が真っ赤になって松くい虫の被害を受けております。  そういう選挙区でずっと被害を受けておる松林を見ますと、松くい虫の被害対策というものには人一倍関心もございますし、取り組んできたわけでございまして、全国的な規模で松くい虫対策を進めていくという立場になりましただけに、地域の被害状況に応じまして松くい虫対策というのは的確な防除のやり方で継続的に実施していかなければならない、そのように考えております。  できるだけ早く松くい虫の被害が終息できますように、いろいろな観点からこの対策を考えて全力を挙げて努力していきたい、かように考えております。
  23. 松村龍二

    ○松村龍二君 終わります。
  24. 石井一二

    ○石井一二君 石井でございます。  私は主として、森林組合法及び森林組合合併助成法に関しまして、大臣並びに長官に御意見を承ってまいりたい、そのように思います。  自由民主党の井上議員より極めて格調の高い御質疑がございました。なるべく重複を避け、そういった観点からやや総論より各論にも触れつつお伺いをしてまいりたい、そう思うわけでございます。  林野庁からいただきました資料を見ておりますと、平成六年の資料しかいただいていないんですが、現在の森林組合数は一千五百五組合というように書かれておりますが、平成八年、九年、アップ・ツー・デートな数で今組合の数がどれぐらいあって、今回の改正により将来どのような数に変化をしていくと推測されておるのか、あるいは思いを込めてでも結構でございますが、長官の五年後、十年後を見たビジョンをまずお伺いいたしたいと思います。
  25. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 現在、アップ・ツー・デートな森林組合の数は千三百九十五ということでございまして、これを組合系統の目標といたしまして昨年の十一月に六百組合ぐらいにしようじゃないか、こういう目標にしていると承知しております。  この六百組合という理由は、今流域単位で森林あるいは林政の政策を考えようと。流域の上流下流を含めてその中で森林組合が非常に中核的な役割を果たすわけでありますので、百五十八流域あるその流域に少なくも一つぐらいはしっかりした健全堅実な、あるいはよその地域まで出かけていって仕事をできるような、そんな森林組合を育てていきたい。あるいはその組合が、今そういう流域は約半分ぐらい、七十八ぐらいの組合がそういう立派な組合を育てているというふうに承知しておりますけれども、それを百五十八の流域でそれぞれにそういう森林組合を育てていきたい。  そこまで全部が合併してしまうのは難しいという点もありますので、やはり流域単位で言えば三組合か四組合合併組合が残って、トータルしますと百五十八の流域に立派な森林組合一つずつと、それから三、四組合がそれぞれ残って目標としては六百組合というふうなことを考えているわけでございます。
  26. 石井一二

    ○石井一二君 立派な組合という、立派、立派という言葉が三度ばかり出たわけですが、では今ある組合は立派でないということを自認されておっしゃっておるんですか。
  27. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 立派な組合というのはちょっと激しい表現だったかもしれないんですが、地域によってそれぞれに差がありまして、しっかりしたリーダーがいてしっかりした事業をして経営も健全だ、こういうところも流域によって何カ所かあるわけでして、それに反してやはり名ばかりの組合、こういうところも実態上、残念ながらあるわけでございます。  ですから、そういうところをできるだけ合併しながら、森林整備という事業あるいは林産加工、あるいは今回事業範囲拡大しましたいろんな加工施設、そういうものを十分にその地域のために事業実施できるような組合というイメージで立派というふうに申し上げた次第でございます。
  28. 石井一二

    ○石井一二君 今までの組合には理事会制度というものはなかったと聞いておりますが、改正法においては理事会というものの位置づけはどのようになっておりますか。
  29. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) これまでの森林組合では理事会制度がなくて、民法による公益法人の理事というもので運営をしてきたわけでありますが、今回の改正によりまして商法に準拠する理事会制度というものを位置づけていきたい、こういう考えでございます。
  30. 石井一二

    ○石井一二君 理事に免責条件があるかないか、あるとすればどのような状態のもとでそれを認められておるのか、お伺いいたします。
  31. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 森林組合の理事につきましては、改正前は連帯して責任を負うこととされていたわけでありますが、改正によりまして理事会を法定化することに伴い、理事会自体の意思決定と理事個人の責任との関係を分離し、理事が理事会の決定について免責される場合を規定することとしております。  すなわち、森林組合法四十七条五項によりまして、商法二百六十六条第二項及び第三項を準用しまして、理事会での決議の際、議事録に異議をとどめなかった理事のみが当該決議に基づく行為について責任を負い、議事録に異議をとどめた理事は免責されることとなるわけでございます。
  32. 石井一二

    ○石井一二君 であるとするならば、とりあえず免責を確保する意味で異議を唱えておこうという保身的な行動というものが顕著となり、かえって組合の運営が難しくなるということを懸念いたしますが、その点の御見解はいかがでございますか。
  33. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) こういう地域で形成されている森林組合でありまして、その中における理事でありますから、それぞれの地域を代表する人が理事になっていると思われます。ですから、その森林組合で必要な事業でありますとか経営でありますとか、そういうものを論議するときに保身のためだけに異議を唱えるということを想定するよりは、やはり正々堂々の議論をしながら自分の主張を通す、そして異議を唱えた者については免責をする、こういう考え方をとっているわけでございます。
  34. 石井一二

    ○石井一二君 私と長官とちょっと意見がいませんが、この問題について大臣の御所見がもしあればお伺いしたいと思います。なければ結構です。
  35. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) なかなか難しい問題だと思います。残念ながら実態、実情をよく承知しておりませんので、私なりに勉強させていただきたいと思います。
  36. 石井一二

    ○石井一二君 もう少しこの論議を続けますと、旧法、改正前、現法では各理事が代表権を持っておったと思うんです。ところが、改正案では代表権は代表理事のみということになると思うわけであります。そうすると、ここで免責のために異議を唱えなくとも平理事はそのような責任を問われるという度合いが薄いのではないかと思います。  そういう観点から、私が申しておりますように、理事の免責を異議を唱えることによって認めるということはやや理屈に合わないのではないかと思うのですけれども長官、重ねて御所見があればお伺いいたしたいと思います。
  37. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 今回の改正で、代表理事のみが代表権を有するという形になったわけでありますが、同時に理事会制度が生まれて理事会が事を決定すると、こういう形になったわけであります。  そこで、その理事会の中で、やはりこういう地域社会の中で代表者といいますか、いろんな有力者もおられるわけでありますが、そういう意見に引きずられずに反対を唱える、異議を唱える、そういうことも必要でありますが、これまでの法制度ではそれに対する保証がなかったわけでありまして、今回それで理事会での異議を唱えたことによる免責というふうな条項を考えたわけでございます。
  38. 石井一二

    ○石井一二君 私はこの点に関してはまだ納得をいたしておりませんが、まだ採決までに相当時間もありますので、私ももう少し勉強をしてみたいと思います。  続きまして、監事についてお伺いいたしますが、監事の職務また権限についてちょっと簡単に御説明を願いたいと思います。
  39. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 改正後の法に基づく監事の権限、監事の業務でございますけれども、監事の業務調査権、それから理事の監事への報告義務を認めるとともに、監事の理事会出席、意見陳述権、理事会招集権を認めることとしております。それから、監事が総会決議取り消しの訴え、出資一口金額減少の異議の訴えを提起できることとしております。それから、組合員、監事による理事の行為の差しとめ請求権、組合員、監事による理事の責任追及の訴えを認めることとしております。  監事の仕事、業務につきましては以上のとおりでございます。
  40. 石井一二

    ○石井一二君 今申された中で、代表訴訟の提起権という言葉がなかったですが、それは監事に認められていないんですか。
  41. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 認められております。
  42. 石井一二

    ○石井一二君 そうすると、今、長官がおっしゃった理事の行為の差しとめ請求権ですが、これは現法でも認められているんですか、今度新たに追加されたんですか。
  43. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 監事につきまして今度新たに追加したことでございます。
  44. 石井一二

    ○石井一二君 このたび特に新たに追加された理由をお述べいただきたいと思います。
  45. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) これまでは理事の業務執行を牽制するというふうなことができなかったわけでありますが、監事につきまして権限の強化という観点から追加したわけでございます。
  46. 石井一二

    ○石井一二君 この代表訴訟は組合員も提起できますか、どうですか。
  47. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 可能であります。
  48. 石井一二

    ○石井一二君 一般社会人はいかがですか。
  49. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) それはできません。
  50. 石井一二

    ○石井一二君 役員の欠格事由について御説明いただきたいと思います。
  51. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 役員の欠格事由につきましては、法第五十四条において準用する商法第二百五十四条ノ二の規定によりまして、一、禁治産者または準禁治産者、二、破産宣告を受けた者、三、森林組合法、商法等の規定に違反して刑に処せられた者とされております。
  52. 石井一二

    ○石井一二君 組合の総会と株主総会というのはほぼ同じと考えていいんでしょうか。
  53. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 組合の総会と株式会社の株主総会とは、団体の最高の意思決定機関という意味で、基本的には性格は同一であると思っております。
  54. 石井一二

    ○石井一二君 現在の法律で、総会における役員の説明義務というものは規定されているんですかされてないんですか、質問に対する説明義務。
  55. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 現在の森林組合法では規定されておりませんが、新しい改正後の森林組合法では規定されております。
  56. 石井一二

    ○石井一二君 次に、森林組合合併助成法絡みでございますが、組合合併認定要件について簡単に御説明をいただきたいと思います。
  57. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 第五期の合併認定基準について申し上げますと、組合員所有森林面積の合計はおおむね一万五千ヘクタール以上、払い込み済み出資金額は三千万円以上、常勤役職員数は十人以上としてきたところでありますが、次期における税制上の支援措置を受けるための具体的な基準は、国の施策上支援を行う組合として少なくとも満たすべき要件として次のとおりとすることとしております。  組合員の所有森林面積については、既に多くの組合が現行の基準をもとに合併協議を行っておりますので、第五期と同様におおむね一万五千ヘクタール以上とすることとしております。  それから、払い込み済み出資金額につきましては、経営の多角化のために流通加工部門等の充実が必要でありまして、そのために加工施設の拡充等のための追加資本額が必要ということで、二千万円程度これが必要ではないかということから、五千万円以上に引き上げる考えでございます。  それから、常勤の役職員数につきましては、現下の厳しい経営状況を考慮しますと、人件費を極力ふやさないということから、第五期と同様十人以上とする考えでございます。
  58. 石井一二

    ○石井一二君 林野庁からいただいた資料によりますと、現在の組合の約三割が俗には赤字組合だと思います。それで、合併促進する場合に、こういった組合も併合していかなきゃならない、そうすることが必要なわけですが、逆に心配になりますのは、債権者の組合に対する権限としてどういったものが認められておるか、この点について御説明を願います。
  59. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 確かに現在の事業を実績から見ますと、三割弱の組合が赤字を計上しているわけでありますが、そのことに関連しまして、森林組合の債権者は、森林組合に対し出資一口の減少、合併、連合会から森林組合に対する権利義務の包括承継の際、通知を受け、異議を述べ、弁済財産を確保される権限を有するとともに、必要な場合には無効の訴えを提起できることとされております。
  60. 石井一二

    ○石井一二君 債権者の書類の謄写権についてはいかがですか。
  61. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 今回の改正で、コピーをとれる謄写権を有するというふうに改正しております。
  62. 石井一二

    ○石井一二君 その場合、書類の定義はどうなっていますか。どこまでが書類で、どこまでは拒否できるかということです。例えば小切手帳の半ぺらのコピーもできるんですか。
  63. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) すべての書類についてコピーができると考えております。
  64. 石井一二

    ○石井一二君 林業労働力確保法上の特例措置について御説明をいただきたいと思います。
  65. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 林業労働力確保法上の特例措置について御説明申し上げますと、一番といたしまして、無利子の林業改善資金のうち、林業労働福祉施設の償還期間が通常十年であるところを十五年に延長しまして、かつその貸付限度額を八百二十万円から一千四百二十万円に引き上げております。  二番目としまして、新規雇用の林業労働者の研修等に必要な資金を無利子で貸し付けること、この償還期間は十三年でありまして、貸付限度額月額最高一人当たり十二万円ということになっております。  三番目としまして、林業労働力確保支援センターから高性能林業機械のリースを受けることができます。  以上であります。
  66. 石井一二

    ○石井一二君 いずれにしろ森林労働者確保ということが今後の森林組合の発展あるいはまた国土の保全、いろんな意味で重要かと思いますが、労働者確保についてこれまで具体的にどのようなことをされ、また今後されようとしておるのか、その辺について御所見を承りたいと思います。
  67. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 林業労働力確保は、林業が現在非常に木材価格の低迷等によりまして給与水準といいますかそういう面が低い、あるいは危険な仕事というふうに思われておりまして、なかなか新規の参入が少ないわけでございます。  そのために、林業労働者自体が減少し、あるいは高齢化しということで、大変大きな問題と思っているわけであります。従来からそういう面を改善する意味で、森林組合等も条件改善というふうな努力をされてきておりましたが、行政としましては、昨年四月にこの林業労働力確保促進に関する法律を定めたところでございます。  この確保法に基づきまして、各県に林業労働力確保支援センターを拠点として設置いたしまして、林業事業主が改善計画を作成できることを支援する、林業事業体都道府県知事が認定をする、認定したその事業主に対しまして金融とか税制の特例あるいは委託募集の実施あるいは高性能林業機械の貸し付け、こういう助成措置を講じているわけであります。それから、直接新しい就業者確保するというふうなことを促進する意味で、就業準備のための無利子資金の貸し付け、そういうことを行っておりますし、また林業就業者に対する研修の実施を推進しております。林業労働力確保法による労働力確保支援センターを核として林業労働力確保に努めていく考えでございます。  また、平成九年度の新しい事業といたしましては、都道府県が小規模な林業事業体認定事業主となれるように協業化を促進するということでございまして、その事業助成するという考えでございます。
  68. 石井一二

    ○石井一二君 本年三月三十一日に期限切れとなります森林組合合併助成法計画提出期限というものがございますが、期限が目の前に迫っているんだから、もしこの改正案が通らなかった場合、案を出されると思うんですが、その案はもうできているんですか。あるいは、どうせ通るんだから案をつくらなくてもいいということでつくっていないんですか。この辺は議会の軽視か否かという問題も含めて我々は非常に関心が深いんですが、いかがでございますか。
  69. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 系統組織の方も自主的に合併促進する、そこで経営基盤を強化する、こういう考え方でもちろん自主的な努力を続けるわけでありますが、その努力を促進する、助成するという意味で税制とかいろいろな措置を考えているわけでありまして、それにこの合併助成法はぜひとも必要な法律と考えております。それにかわる措置というのはなかなかございませんので、この合併助成法をぜひ御審議いただき、この期間の延長というものが可能となるようにお願いをしたい次第でございます。
  70. 石井一二

    ○石井一二君 私はこの法律改正案が通らなかった場合に提出しなきやならない計画案ができているのかどうかをお聞きしたわけでございますから、答弁にはなっていませんが、結構です。  では、大臣に最後にお伺いいたしますが、今回の改正案を踏まえて、今後どのような姿勢で森林組合指導に当たっていかれるつもりか、育成に当たっていくつもりか、意欲を込めて御所見を承りたいと思います。最後の質問であります。
  71. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) だんだんに御議論いただきました。私も就任早々、幾つかの農林水産事業の振興について大きな課題があることを承知いたしておりますが、その中の一つ課題としてはこの林野事業は非常に大きな課題だと思っております。  一つには、今御承知のように国有林野の抜本的な改善という問題がございます。これは委員承知のように、今まで改善策を考えて自主的な努力をしてまいりましたけれども、財務状況は累積三兆三千億という負債を抱えておりまして、これは今までの延長線上での改善ということではなくて抜本的な改善を進めていかなきやならぬというふうに考えておるわけであります。  また、今いろいろ御議論いただきました民有林の問題、また林業の問題につきましても、山を守っていくということは非常に大事な問題であり、また自然の保全であるとか、さらに現在、公益的な役割というものが非常に見直されてきているわけでありまして、水源林の涵養の問題もあるわけでございますが、特に林業実態からしますと、採算性の問題、それから労働力確保の問題、そういう点からすると今の現状はまことに厳しい状況であると認識しております。  そういう認識のもとに立って、今御審議いただいております合併助成法森林組合法、この改正をお願いしておるわけでございまして、この法律をてこといいますか、この法律に基づいてこれからさらに経営基盤の強化を図り、林業の発展のために全力を挙げて進んでまいりたい、かように考えておるわけでございます。  どうぞひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。
  72. 石井一二

    ○石井一二君 ありがとうございました。
  73. 高橋令則

    高橋令則君 平成会の高橋でございます。  森林病害虫等防除法関係についてお尋ねをしたいと思います。  今回の改正は、いわゆる臨時措置法でやってきた、時限法でやってきた松くい虫の被害対策特別措置法を溶け込ませるということに主眼があるように承知をしておりますが、まず基本的な問題として、今まで松くい虫対策は累次にわたって五年の時限立法で対処してきたわけです。  それで、今回はその方針を転換するということでございますから、まず最初に、今までなぜそういう五年の時限立法でやってきたのか、それではこれからやっていけなくなったのか、その辺の理由をお尋ねしたい、このように思います。
  74. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 松くい虫の被害対策につきまして、お話しのように、昭和五十二年に松くい虫防除特別措置法を制定いたしまして、その後五十七年、六十二年、平成四年に改正をして、その被害の終息に向けて努力してきたところであります。  その結果といたしまして、五十四年度に二百四十一二万立方という被害がピークでございましたが、平成七年度にはその四割程度、百一万立方というところまで減少してきておりますし、それから被害地域の著しい拡大も一応停止しているというふうに考えております。それから、保全すべき松林において、その被害の程度も大変激しい程度からだんだん中害、微害というふうに進んできております。  そういうことから見まして、やはり松くい虫の被害は一応これまでのそういう対策によりまして鎮静化してきたのではないかというふうに評価をしているところでございます。  しかしながら、なお百万立方という水準でございます。それに、気象災害等いろいろな要因によりましてまたこれが再発するのではないか。既に、これまでも被害が一たん終息したけれども、また再発したというふうな地域もあるわけでございます。こういうことを考えますと、やはり対策としては、五年間の時限立法で来た今までの考え方よりも、そういう蔓延化したものに対して機動的に対応できるような体制をとる方法の方がふさわしいのではないかということで、この時限立法をやめて病害虫等防除措置法の本法に、しかしながら必要な特別措置を繰り入れる形で改正をしていきたい、こう考えた次第でございます。
  75. 高橋令則

    高橋令則君 平成四年の改正のときをちょっと聞いてみますと、五年間で終息させるようにそのつもりで頑張りますと、こういうお話があったと私は承知しているんです。  確かに長官おっしゃるように、五十四年の二百四十三万から百万レベルまで減りました。減りましたけれども、この特措法ができたときが大体百万ぐらいのレベルなんです。そういう点からすると、五年の時限でもって頑張ってやりましょうよといったレベル、最初のレベルに戻ったということであって、何といいますか、恒久法の上に時限でもって頑張ろうといったその状況と余り変わっていないように見えるんです。  私は、重ねてお尋ねしますけれども、時限を限って集中的にやろうとしたことはもうあきらめちゃった、今度は息長くやっていくしかないんだ、そういうふうに方針転換したんだというふうに受けとめていいのですね。
  76. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 確かに、被害の量から見ますと昭和五十二年が八十万立方ということで百万以下の水準でございましたが、そのすぐ後、二百万、二百四十三万というふうに爆発的にふえる予兆もあったわけでございます。  こういう被害に対して、それの対策としては、それまでの病害虫防除法でやっていた命令行為、特別防除につきましてもそうですが、そういうことでやっていると対策として手おくれになる。命令をかけ、森林所有者を捜し、同意を得、という手続をやっていると時期的にとても蔓延化に間に合わないというようなことで、その時点としては農水大臣なり知事が直接に空中防除ができるような体制をつくって緊急措置的にともかく対応しよう。こういう考え方で来て、それをだんだんと改正の都度内容を、全部を対象とするんじゃなくて、それでは守るべき松林というふうなものを限定してそれで対応しようとか、そういう工夫を重ねながら現在に至ったわけであります。  現在、考えてみますと、百万立方という水準でありますが、見方によって非常に高い水準でありますけれども、一応守るべき松林というのが限定されて、その地域の被害の発生状況とか所有者とか、それから空中散布はどの程度どこでやれる箇所があるかとか、ある程度そういう状況がわかったわけであります。  こういう状況になったときに、あと五年間の時限法でこれを終息させるというふうなこの時限法を延長するか、あるいはこういう実態に即して対応すべきかという判断をしたときに、いろんな方の御意見も伺いましたけれども、やはりこういう蔓延化したようなものを対象とする場合に、それに応じたやり方があるではないか。空中散布でどっとやってしまうというよりも松林をあるいは樹種転換をしたり、そういう地域人たちが早急な被害木の発見をする体制を整えたりというふうな形での対応が今の時点としては向いているのではないか、こういう考え方で時限法から恒久法へという対策に転じたという考えでございます。
  77. 高橋令則

    高橋令則君 確かに百万まで、ひところ二百万を超えたのが減ったわけですから、対策の効果もあったというふうには思いますし、また、長官は限定されて云々とおっしゃいますが、地域的にはそういうことは言えるかもしれませんが、広がるだけ広がっちゃったということも言えるんですね。  私の県は岩手ですけれども、岩手では最初松くい虫の被害が伝えられたときに、基本的に東北地方は福島ぐらいが限界かなと言われた時期があるんです。そうかなといううちに宮城まで来た、それから私の県まで。私の理解では、今全国で松くい虫の被害が出ていないのは北海道と、青森は青森ヒバかな、余り出ていないかもしれませんが、もう極めて限られておって、恐らく三千三百の市町村の中で二千を超えるところが対象になっておるんではないかと。日本全国に広がっちゃって、被害の限定ではなくてもう拡散するだけ拡散しちゃった、こういう状態ではないかと思うんですね。  そういう意味では、逆に長官がおっしゃるように、時限法の特別措置では間に合わないから恒久法にしちゃっていつでも出ていけるようにした方がよいというのも一つの理屈だと思うんですが、一般的には一般法に特別法を乗せるから特別の効果がある、それなりの力も得られるという見方もできるんですね。  それからもう一つは、この種の対策というのはある程度サンセットできちんとやっていかなきゃいかぬのじゃないか、その方が効果的じゃないかという見方もあるんですね。今行革の時代ですから、いろんな対策をずらっとやっていくんではなくてやはり時限を切って、サンセットですね、こういう方がいいんだという考え方もあります。  これは少し行革の問題を持ち出すのは筋が違うかもしれませんが、そういう今回の恒久法化することについてもうちょっと高い立場からの見方も必要なのかなと思いますが、これはちょっと通告外で恐縮ですが、藤本大臣の御見解を伺っておきます。
  78. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) これは大変難しい問題だと思うんです。委員が言われるような考え方もあるでしょうし、長官お答えいたしましたような考え方もあると思うんです。  私、先ほどからのやりとりを承っておりまして、一つの考え方としては時限立法で今までやってきた、ところがやはり被害はなお残っておる、そういうことからいたしますと、今後の取り組み方としては恒久法の中に入れて、そして対応していくという考え方が素直なやり方ではないかなというふうに考えられるのではないかと思って聞いておりました。
  79. 高橋令則

    高橋令則君 こういう法体系にすることによって松くい虫対策が後退しないように、ひとつしっかりお願いしたい、そういうふうに思います。  それから少し細目に入りますが、松くい虫対策で非常に大きく取り上げられて今まで効果があるないの議論になってきたのは特別防除なんですね。これには依然としていろんな問題が提起をされています。したがって、いわゆる特別防除、薬剤の空中散布についてその効果、それからまた環境面への影響について、今までの対策の集大成として林野庁はどのように考えておられますか。
  80. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 特別防除につきましては、やはりマツノザイセンチュウを運ぶマツノマダラカミキリを殺すということで防除効果は高いと考えております。そしてまた、特別防除につきましてはやはり地形的にもあるいは広い面積を一度に実行できるというふうなコスト的といいますか、今なかなか人手もないという面もありまして、そういう意味から特別防除という方法があるわけでありますが、御指摘のように環境保全とかそういう面での留意は十分しなければいけないというふうに思っております。  これまでの実績としましては、やはり貴重な野生動植物の生息地、あるいは病院、学校の周辺、こういうところでは実施しないとか、あるいは環境の保全とか農業、漁業への被害防止のため必要な措置を講じたり、実行に当たっては地区への説明会の開催というふうなことで地元住民の理解と協力を得る、こんなふうな形で実行してきておったわけであります。  その結果の実行の影響につきましても、昭和五十二年度から始めたわけでありますけれども、毎年度調査を行っておりまして、動植物とか土壌への特段の影響ということがあったという結果は得ておりませんし、それからまた危被害というふうなことでの報告も、都道府県から健康被害などで大きな問題があったというふうな報告は受け取っていないということであります。実行に当たって十分に留意をしながら、対策を講じながら、そしてまた住民の同意を得ながら実行していけば、効果のある方法であるというふうに認識しております。
  81. 高橋令則

    高橋令則君 これは定量的には難しいと思うんですけれども、特別防除によってどの程度効果があったか、定量的に押さえたものはありませんか。それが一つ。  それからもう一つは、都道府県から特別防除による被害の報告はないというお話ですけれども、それでは住民からの苦情とかそういったものを件数としてとらえているものはありませんか。
  82. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 特別防除の効果につきまして、特別防除を実施した箇所に定点を設定しまして被害率の経年的な変化を把握しておりますが、それによりますと、これまでの導入によりまして激しい被害が低い水準に抑えられてきて、だんだんと効果を発揮しているというふうなデータを調査してございます。  それから、被害につきましては、やはり空中散布を実行するに当たりまして連絡協議会とか地区説明会、こういうことを設けておるわけでありますが、そういう協議会の場でいろんな苦情があったりそういう問題があるとは聞いておりまして、ただそれは件数としては把握しておりませんが、具体的には自動車の塗装がはげたとかそういうものが件数としては何件かあったというふうに報告を受けております。
  83. 高橋令則

    高橋令則君 余り具体的に被害とか苦情についてはつかまえておられないようですけれども、依然としてやっぱり空中散布については環境への影響とかいろんな意味で批判があることは事実であります。  したがって、今後やはりそういったものに対してきちんと対応していくのが大事だと思いますので、例えばそのような被害の申し立てとかあるいはそういうものがあった場合には、林野庁サイドでは、第三者を交えた調査をするとかいろんな方法を講じて、オープンにして議論をしながら住民に公開をして納得を得るというふうな、ディスクローズといったやり方をして住民の理解を得る、そういう努力をきちんとしていただきたいと私は思います。  それから、特別伐倒駆除の問題ですけれども、これもいわゆる大事な手段としてずっと行われてきたんですけれども、最近は余り広がっちゃったものですから聞きませんけれども、松くい虫の被害の広がりぐあいを見ていきますと、木材の移動の道筋に沿って拡大していくんですね。いわゆる、伐倒したんだけれども、それをそこで処分しないで、言うなれば不心得な者がおりまして、移動して売っちゃうんですね、ある程度の残ったやつは。東北でいいますと国道四号線沿いに北上しちゃうんですよ。国道四号線というのは東京を起点にして青森までの国道ですけれども。これは、いわゆる当時五十三、四年ごろですけれども、松くい虫の誘引器というのをつければいいと、ずっと道路沿いにつけたら、明らかにその道路沿いに伸びているんですね。それからまた大きな支線に入るわけです。これはどういうわけだと聞いたら、結局、違法に材線虫なりマダラカミキリが生息している木が移動しちゃいけないんだけれども、その場で駆除されないで売られてしまっている、それに沿って拡大したという実績があるんですね。したがって、これはやっぱり現地できちんと処分してしまわないと、そういうことを徹底しない限りなくならないなという感じを当時受けたんです。今みたいに広がるだけ広がっちゃうとその心配はないよということになるかもしれませんけれども、これもひとつきちんとやらせるようにしていただきたいと思います。  当時、私は思い出しまずけれども、それを伐倒したときに焼いちゃうかあるいは破砕をしてチップみたいにしなきやならぬわけですけれども、その破砕をするいい機械が日本ではないんですね。なかったんです。今はあるかもしれません。スーウェーデンだったかから一台入れてやらしたんですが、これが故障だらけで、むだなことをしたなと私は当時実は反省をしたんですけれども。こういう伐倒駆除した場合の破砕をするいい機械というのは、国産でもいいんですが、今はできておりますか。
  84. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 確かに、伐倒駆除だけで、伐倒して薬剤でやると、そうするとマダラカミキリが中に浸透しているときには効かないというふうなことで、特別伐倒駆除はさらにそれを破砕してあるいは焼却する、ここまで徹底する行為ですから一番効果的なんでありますが、最近ではチッパーとしましては山の中まで持っていける移動式チッパーを開発しまして、委員指摘のときはちょっとまだ国産がなかったのかもしれませんが、最近は大分性能のいい移動式チッパーができまして、これを導入するような助成をしよう、こういう考え方でやっております。
  85. 高橋令則

    高橋令則君 スウェーデンの機械というのは、スウェーデンというのは地形が、私は現地は知りませんが、非常に急峻なんで機動的かなと思ったら、意外と入れてみたらそうでもなかったんです。おっしゃるように国産でいいものができたというのは非常に心強いことですが、いずれこの特別伐倒駆除につきましてはそういう機械の導入といったものを促進して、罹患、いわゆる病害虫に侵された松が移動してまたその拡大の原因になるといったことのないように徹底をしていただきたい、このように思います。  それから、松くい虫については一応国の試験研究機関、そしてまた地方の試験研究機関が総力を挙げて調査をした結果として、いわゆる運び屋のマダラカミキリ、それから細管に詰まって本当に松を枯らしちゃう材線虫と、こういうふうになっているんですけれども、一方では原因はそれだけじゃないという説が依然としてあるんですね。そうじゃなくて複合的な原因なんだというふうなことを指摘される方が根強くおります。  したがって、いわゆる松くい虫被害といったものの原因について、林野庁はきちんとその原因を特定され、それだけの対策でいいというふうにお考えになっているか、原因の追求についての現状をお聞かせください。
  86. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 原因につきましては、マツノマダラカミキリが運ぶマツノザイセンチュウによるということが研究成果としても非常に多くの研究者、科学者、森林昆虫学とか病理学、そういう実績の積み重ねがございまして、昭和六十年以来その追跡調査も随分重ねまして、日本だけでなくて世界的にこの学説が通っている定説になっているわけでございます。大気汚染説とかほかの学説もあるわけですが、そういう方の学説が十分な学会における認知といいますか、学会にそういう論文が出されてきちんとある程度評価されてという形にはどうもなっていないというふうに私ども認識しているわけでございます。
  87. 高橋令則

    高橋令則君 今のことに関連をしまして、新しい防除方法はないものかということもあるんですね。ウリミバエとか、農水省の範囲内では極めて効果的な害虫駆除をやった事例もあるわけですね。したがって、性フェロモンを使った方法とかそれから天敵を使った方法とか、いろんな方法が別の分野ではなされています。この分野ではそういう新しい防除方法の開発についての努力はいかがですか。
  88. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 原因がマツノマダラカ、キリとマツノザイセンチュウの共生関係、それに松が挟まる、こういうことでございますので、それを御指摘のような研究はどうかということで申し上げますと、マツノマダラカミキリの成虫の駆除、これをするために誘引剤、これは既に実用化しております。それから、マツノマダラカミキリの天敵であるアカゲラとか、それから菌類でありますボーベリア菌あるいは昆虫でありますオオコクヌスト、こういうものを用いてこれが実用化できるような防除技術にまで持っていこうということで、現在研究開発を進めております。
  89. 高橋令則

    高橋令則君 いろいろ批判のある特別防除をできるだけしないためにも新しい防除方法の開発が大事だと思いますので、ぜひ今の長官のお話を促進していただきまして、効果が上がるように努力をしていただきたいと思います。  それからもう一つは、やられている地域に行ってみますと、その中でも残っている松もあるんですね。したがって、抵抗性のあるやっとないのが、やっぱり人間と同じで免疫のあるのとないのがあるんじゃないかと私は思うんです。松くい虫被害に遭いにくい松を育てるというのも対策の一つかなというふうに思うんですが、そういう抵抗性のある松の選抜ですね、これは樹種でいうと成樹のような形でやるんですかね、よくわかりませんが、そういうものについての努力はいかがですか。
  90. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) おっしゃるとおりでございまして、その面での研究も進めております。  西日本の方が最初の被害も多かったものですから、その被害地におきまして抵抗性のあった松、こういうものを選抜しまして、採種園にそれを植えまして抵抗性松の苗の生産を行っております。既に平成七年度には四万本というふうな形で実用に供するようになっておりまして、東北地方の方は若干おくれておりますが、西日本の方で抵抗性のあったものを東北地方に持ってきて、東北地方の抵抗性のあった松と品種交雑するとかそんなふうな研究も進めて、これからさらに抵抗性松の生産というものに進んでいきたいというふうに思っております。
  91. 高橋令則

    高橋令則君 最後に要望を申し上げておきますが、今のやはり対策の一つとして、抵抗性のある松、樹種を供給するというのは非常に大事だと思いますので、ぜひ御努力をいただきたいと思います。  結局は、今の林業状態からして、一つには森林所有者が手入れを放棄する、ほっておくということにも大きな原因があると思うんですね。したがって、林業全体の振興がこの基盤にはあると思いますので、これはもう各委員から仰せられたことだと思いますし、先ほど私どもの石井委員からも大臣にその点についての要望がございましたが、私も重ねて林業振興について、林野庁は今までの考え方を変えてもっと腹を据えてやっていただきたいということをお願いして、終わります。
  92. 真島一男

    委員長真島一男君) それでは、午後二時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十分休憩      —————・—————    午後二時開会
  93. 真島一男

    委員長真島一男君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、森林病害虫等防除法の一部を改正する法律案及び森林組合法及び森林組合合併助成法の一部を改正する法律案、以上両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  94. 大渕絹子

    大渕絹子君 まず、森林病害虫等防除法についてお尋ねをいたします。  松くい虫被害対策特別措置法が施行されて二十年になりますが、当初、この法律で五年間で松枯れについては終息ができるという目標の中で時限立法としてつくられたわけですけれども、残念ながら五年間では終息をするどころか被害はむしろ拡大をして、今では青森、北海道を除く日本全土に蔓延をしてしまいました。  法改正のたびに、私たち社会民主党は、伐倒駆除や樹種転換、あるいは薬剤の樹幹注入であるとか天敵利用を含めたいわゆる環境保全型の松枯れ対策に変えていくべきだという強い主張をしてまいりました。それがだんだん大きく取り入れられて、そして財政的にもこの特措法の中でより大きな財政を確保しながらそうした環境保全型の松枯れ対策法に仕上げていくべき方向をとられていたわけでございますが、今回この法改正によって森林病害虫等防除法の中に組み込むことになったわけでございますけれども、その理由を述べていただきたいと思います。松枯れ自体は、午前中の質疑にもありましたけれども、まだ終息した状況になっていないという中で、あえて合併、併合させていった意図というのは何でしょうか。
  95. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 今、委員指摘のような推移をたどってきたわけでありますが、現況の松枯れの状況を見ますと、やはり百万立方というふうな水準で被害が出ております。  こういう被害に的確に対応するという意味で、被害木の破砕や焼却を内容とする特別伐倒駆除命令等の特に効果の高い措置を必要に応じて機動的に発動し得るような制度を整備しておく必要があること。それから、抜本的な感染源の除去であります樹種転換等の措置を取り入れる必要があること。それから、被害木の早期発見のための立入調査の制度を整備する必要があること。それから、被害地域の著しい拡大が停止する中で、広域にわたって緊急に防除を行うための時限的な特別措置であった特別防除の直接実施必要性、これが乏しくなったこと。こういうことを総合的に勘案しまして、特別措置法は延長しないこととしまして、松くい虫防除対策についての特別な措置のうち今後とも必要なものを恒久法である森林病害虫等防除法に取り込んで実施することとしたものでございます。
  96. 大渕絹子

    大渕絹子君 伐倒駆除とか樹種転換とかはより人材がかかって、より予算的には大変多くかかるようになってくると思いますけれども、そういう財政措置についても大丈夫ということでございましょうか。
  97. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 空中散布の方の予算が減少する一方、特別伐倒駆除あるいは樹種転換、こういうものを公共事業であります造林の制度、こういうふうなものを利用しまして、森林整備の一環としても実行していくというふうなことで予算は確保していきたいと考えております。
  98. 大渕絹子

    大渕絹子君 私たちは、林野庁が今度合併させていくというような意向があるやに聞きまして、早速党内でも議論をいたしまして、より環境保全型の松枯れ対策をやっていただくために独自案を林野庁に提出をしていく中で今回の法改正に臨んできた経過がございます。また、環境被害や農薬による健康被害を訴える多くの市民の人たちが、この二十年間農薬空中散布中止を求めて国会要請や請願を続けてきた事実もございます。また、市民団体が全国六百五十余りの団体署名も集めて林野庁に提出をしてまいりました。  松枯れ研究をしている大学の教授や農薬による人体への健康被害について研究している医学者たちの知識をかりながらも、特措法廃止に向けて今日まで取り組んできた者の一人として、今回の改正案は一歩前進と評価はしていまずけれども、松枯れに対しての空中散布はまだこの法律の中でも行われるわけでございますが、本当に農薬空中散布が松枯れに対して効果があったのかなかったのかというのはいまだにまだ検証されていないところでございます。本当効果があったというならば、それを科学的根拠で示すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  99. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 空中散布の効果につきましては、これを国や公立の林業試験場、あるいは農薬登録時の検査、こういう段階でその効果を確認しているわけでありますし、それから防除をする中で特別防除を実行した地域森林所有者の理解も得ながらその効果調査も実行しているわけであります。定点観測地点を設けましてその被害の実績を調べますと、やはり特別防除の導入によって全般的に被害が低下しておりますし、その後も低い水準に抑制されておるということのデータはございます。  そういうことで、やはり特別防除は効果があるというふうに考えております。
  100. 大渕絹子

    大渕絹子君 マツノマダラカミキリというのは、羽化の時期というのを非常に特定してまかなければ、この空中防除というのは役に立たない仕組みになっているわけですよね。まいた薬が松の葉っぱにつく、その松の葉っぱをマツノマダラカミキリが食べて、そしてマツノザイセンチュウの侵入を防いでいくというまさに間接的な薬剤散布である以上、そのマツノマダラカミキリの羽化の時期について非常に細かく調査をした中でその範囲、羽化をする時期に農薬散布をしなければ間に合わないわけでございますから、非常に厳密に対処をしていかなければ有効な効果というのは得られないというふうに思うわけでございます。  もしこの二十年間本当に有効に効果があったとするならば、日本全国にこれほど甚大な被害を引き起こしてきたわけがないわけでございますから、ぜひそこのところを、根本的なところでございますが、薬剤に頼っていてもこの松枯れ対策の根本的な対策にはならないのだというところをきちんと踏まえていっていただかないといけないのではなかろうかと思っています。  今回の法改正を踏まえまして、私たちはこの法改正は環境保全型の松枯れ対策に移行していくための重要な法改正であるというふうに認識をしているわけでございます。地方自治体の中にはこれを少し誤解をしておりまして、今まで時限立法でやられていたのに、今度永久法の方に入れるんだから、よりさらに特別防除が拡大できるんだと、半永久的に続けていける体制になったんだからさらに強化をするというような、全く改正中身を理解していないような発言があるやに地方から私のところに届いているところでございます。ここのところはやっぱり周知徹底を図りまして、今回の法改正がそういうことではない、できるだけ松枯れ対策については抜本的な対策ができるように変えていくのだということを、ぜひ通達なり行政指導なりをきちんとして、法改正の趣旨を徹底させていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  101. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) おっしゃるとおりでありまして、今回の改正の趣旨、十分に関係地方自治体にも徹底してまいりたいと思っております。  決して空中散布の恒久化ということではなくて、空中散布も効果のある一つの手段として、そして他のいろいろな措置も組み合わせての防除措置というふうなことが必要であろう。そして、最終的には特別防除を実施する必要がなくなるような条件を早急に整備するということも懇談会報告の趣旨でございますので、こういう面もあわせて地方自治体に周知徹底を図ってまいりたいと思っております。
  102. 大渕絹子

    大渕絹子君 松林保全対策懇談会というのがずっと昨年一年間何回か開催をされてきまして、その報告書が出されているわけでございますけれども、特別防除は実施する必要がなくなるよう条件整備していくことが重要であるとの指摘がなされています。人体への悪影響に配慮して、将来的に廃止することが前提になっていると考えられますが、どのような対策でこの報告書に記載されているような廃止のための準備や整備をされるのか、明らかにしてほしいと思います。
  103. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 特別防除そのものがやはり効果のある措置でございます。地形とか大変広い面積を有効に防除していく方法でありますが、それ以外にやはり保全すべき松林におきまして確実に徹底的に被害木を駆除していくこととか、衰弱木まで含めて除去を図っていくような森林整備というふうなことを実行する。あるいは基本的には周辺の松林における樹種転換、そういうものを徹底いたしますと飛び込んでくるマツノマダラカミキリもなくなりますので、こういうふうな対策を講じまして、松林保全対策懇談会におきましては、特別防除が現状では有効な手段の一つではあるけれども、将来的には被害水準がさらに低下するなど実施する必要がなくなるような条件整備していくことが重要、こういう指摘がされておるわけでありますので、先ほど申し上げたような方法を講じまして、激害、中害を抑制するとともに、また再激化というふうなことも排除して、将来的に特別防除を実施する必要がなくなるように取り組んでいきたい、条件整備してまいりたいと思っております。
  104. 大渕絹子

    大渕絹子君 抵抗性松の育成なども全国に見られるわけですが、そういうことも積極的に取り入れて、保全する松林を本当に厳しく指定をしていく中で対策を講じていただきたいというふうに思っています。  また、前回、特措法延長の際に、附帯決議に松枯れのメカニズムについて引き続き徹底究明に努めるというふうに書かれています。このセンチュウ説といいますか、林野庁はそこにこだわっておられるわけでございますけれども、そのほかにもいろいろな原因、排気ガスとか酸性雨などで弱った松がセンチュウによって枯れさせられていくというようなメカニズムというものがだんだん明らかになってきています。こうした原因究明にももっと真剣に取り組むべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  105. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 現在、全国的に発生しております松枯れの主因はやはりマツノマダラカミキリが運ぶマツノザイセンチュウであるというのは科学的知見に基づいてのことでございますけれども、それ以外にも高温少雨という条件下ではその被害量が増大するというふうな実績もございます。確認も行われています。それから大気汚染ですとか降水量、そういう環境要因がどのように関係しているだろうか、こういう面での研究も必要ではないかということを考えまして、これまでの調査研究の実績、そういうものを分析する、あるいは必要な現地調査あるいはマツノザイセンチュウの接種調査というものもさらに行いまして、これからの松林保全対策というものを考えていきたいと思っております。
  106. 大渕絹子

    大渕絹子君 いろいろな学説を持った学者さんや先生方がいらっしゃると思いますが、そういう人たちも一堂に集めるような形で、そのセンチュウ説だけを言っていらっしゃる人たちだけでなくていろいろな説を唱えている人たちを一堂に集めて意見を聞いて、そしてさらに研究を進めるというような対策をぜひやっていただきたいなと思っているところでございます。  また、特別防除の実施に当たって生活環境や自然環境への影響に配慮するとともに、人によってはその影響の程度というのが非常に異なっていますから、これに配慮をして、これまでの危被害の防止対策の徹底と、万一被害が発生した場合の的確な対応措置について地域医療機関への周知徹底なども図られるべきであると思いますが、よろしくお願いします。
  107. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 特別防除を実施するに当たりましては、自然環境あるいは生活環境の保全に十分配慮いたしまして、薬剤の安全使用、危被害の防止対策、そういうものの徹底に努めているところであります。  農林水産大臣が定める松くい虫の被害対策に関する基本方針の中でも特別防除の実施に関する基準を定めておりまして、貴重な野生動物の生息地であるとか病院や学校の周辺では実施しないとか、あるいは環境の保全とか農業、漁業への被害防止のために必要な措置を講ずるでありますとか、あるいは市町村段階における松くい虫の被害対策推進連絡協議会あるいは地区説明会、そういうものを通じまして地元の住民の意向を反映しその理解と協力を得るということで、安全で適切な実施に努めてきているところでございます。
  108. 大渕絹子

    大渕絹子君 今、長官も述べられましたけれども地域住民の意見の反映の場所というものを的確に確保していただきながら、あくまでも地域住民と一体となった松枯れ対策が実施をされるように、これからもお願いをしておきたいというふうに思っています。  森林防除法についてはこのぐらいにいたしまして、森林役割というようなことでお聞きをしていかなければならないと思いますけれども、その前に、会計検査報告の中で国有林に関する特記事項というのがございまして、この中で、非常に国有林の今の現状というのをきちんと調査した結果の報告がされているというふうに思います。  その中で、これから事態の改善を図られなければならないこととして五項目ほど本当に的確に報告がされておられると思うわけでございますけれども、この前提となったところに、「経営改善を推進する上で困難な事情を抱えており、財務状況の悪化が進んでいる。」というふうに前提としてあるわけでございますが、この経営改善を推進する上で困難な事情というのはどういう事情か教えてください。
  109. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 現在の国有林野事業は、御承知のとおり、特別会計で独立採算を企業的に行うという形で実行しております。したがいまして、その事業を実行するに当たりましてはやはり自己収入ということが基本になるわけでありますが、その自己収入を得るに当たりましての一番の大きな収入源であります木材の収入につきまして、最近の木材価格の低迷でありますとか、伐採量も制約があるという中で、やはり自己収入の確保に大きな困難を感じているわけでございます。そのほかに、分収育林というふうな形で収入の確保を図ったり、あるいは国有林野の活用というふうな面での自己収入、それから累積債務を償還していくに当たりまして林野土地の販売というふうなことも努力の中に入っておるわけでありますが、これもやはりバブルの崩壊というふうなことで土地価格も低下しております。  そういう面でも苦労がありまして、支出の方をいろいろ切り詰めるというふうな努力もしておりますが、なかなか収入の方での確保が非常に困難な状態ということがありまして、検査院の指摘におきましても、一つはそういう事情を御指摘に.なっているんだろうというふうに思っております。
  110. 大渕絹子

    大渕絹子君 長い間の累積債務の中で、高金利の借入金に対しての利息払いというのが非常に大きく加算をしてきて今日の累積債務を引き起こしているという事実はもう明らかなわけでございます。そういう点も踏まえて今回のこの検査院の指摘というのは非常に的を得ているものというふうに認識をしておりますので、ここのところをきちんと踏まえた中で改善計画が立てられるように努力をしていただきたいと思います。私たちも国有林についてはどうしたら抜本的な再生ができるかということを非常に心に病んでいる者の一人でございますので、一緒計画づくりというのをやっていきたいというふうに思っています。  さて今日、日本の林業が例えば造林の利回りなどがマイナスの予測がされる中で、業として、なりわいとしてなかなか成り立たない状況にあります。そのことが国土保全とか環境保全、水資源の確保、山村活性化と深くかかわっている林業整備を不十分にしているというふうに思います。森林林業現状について、政府はどのように認識して、今後どのような対策をとろうとしているのか、大まかに答えていただきたいと思います。
  111. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 我が国の森林林業をめぐる状況につきましては、先ほど申し上げたような木材価格の低迷によりまして林業の採算性が悪化して、林業の生産活動も停滞しております。その林業を実行しておる場所であります山村も過疎化が進展しておりまして、やはり林業担い手が減少、高齢化しております。そういうことで、大変厳しい状況でありますが、その林業が担っております森林の管理等につきましてもやはり難しい点が出てくるわけでございます。  森林そのものは木材の生産だけでなくて国土の保全とか水資源の涵養といろんな機能を果たしているわけでありますが、そこの管理を適切にしていかないとぐあいが悪い。それを担っている林業が大変厳しい状況にあるというふうに認識しておりまして、私どもも、いろいろ林業経営基盤整備を図ったり労働力確保を図ったり木材産業の育成を図ったりと、こういうふうなことで昨年は林野三法という法律をつくり、その体制整備ということを推進した次第でございます。
  112. 大渕絹子

    大渕絹子君 時間がもうなくなりましたが、ことしの三月に立正大学の福岡克也教授が「自然の価値」という論文を発表いたしまして、森林の持っている公益的機能の評価額というのは四十七兆三千億円あるのだという試算をなされているんです。私自身も森林が供給している自然環境を保全していく役割はもう金にかえることのできないほど重要なものであるという認識をしているわけでございますが、こうした試算ももとにしながら、ぜひ林業活性化のために頑張っていただけるように心からお願いを申し上げ、大臣の御決意を最後に一言お聞きをして終わりにいたします。
  113. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 委員からいろいろ御意見をいただきまして、私も大変心強く思っております。  特に、先ほど御指摘されました国有林の財務状況は極めて厳しい状況でございまして、その解決を考えますときに、一言で言えば今までのような解決策の延長線上では解決できないというふうに思っておりますし、また財投の平均五・四%という金利も抜本的な改善を図る上に非常に大きな問題だという認識も持っております。政府一体となりましてこの抜本的な改善策をこれからつくり、そして実行していって、この解決をぜひ図っていきたいというふうに考えております。  それから、先ほど御指摘森林の持つ公益的な機能、これを改めて今再評価が行われておるわけでございます。そういう面からいたしますと、森林の持つ公益的な機能を高めていくために我々が何をやらなきゃならないか、これは十分に私どもも今検討し、また具体的な解決策を立てておるわけでございまして、しっかりやらせていただきたい、かように考えております。
  114. 一井淳治

    ○一井淳治君 森林組合が発展するためには林業が振興されなくちゃならない、林業の振興と森林組合の発展とは表裏の関係であると思いますけれども林業の振興のためには木がどんどん出荷され、原木が出ていかなくちゃならないわけであります。結局、木材の価格が安ければ森林組合も疲弊するし、山林はとにかく手入れをする人がなくて荒れ果ててしまう。木の値段が上がるとどんどん出荷され森林組合活性化する、こういう関係にあると思います。  そこで、木材の価格について質問をさせていただきたい。恐らくは消費税の駆け込み需要などありまして家の建築件数がふえているために、木材価格が騰貫いたしましたけれども、最近安くなるという価格の変動がございました。この木材価格の最近の価格変動の推移や原因、それから今後の見通しについて、まず質問いたします。
  115. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 木材価格についてみますと、これまでの実績で言いますと、昭和五十五年が木材価格が一番高かった時期でございまして、この時期に比べますと、杉の柱材で比較しておりますけれども、現在の木材の価格水準は約六割弱と。そういう全体の状況でありますが、その中にありまして、最近の動向を申し上げますと、平成五年あたりでは産地国が伐採規制というふうなことをいたしまして、輸入量が減ったということで価格の上昇が見られました。  しかしながら、その後円高の進行というふうなことでまた価格が下落しておりまして、平成八年に入りまして、先生御指摘のような堅調な住宅着工がございます。これを反映しまして下半期に価格が上昇しておりますが、つい最近ではまたその需要が減ってきているというふうなことで逆に落ち込んできつつあるというふうな状況でございます。  やはり木材の価格は需給に応じて形成されるものでありますので、需給の安定が価格の安定につながるということで、今後やはり需給安定対策と  いうことを講じていきたいと思っております。
  116. 一井淳治

    ○一井淳治君 世界の中での需給の安定ですから、例えば国産材を一時買い上げて保留しておっても、どんどん外国の材が入ってくると安くなってしまうわけで、世界を相手の闘いになっていくわけであります。  大臣がこの委員会最初に御説明がありましたけれども、農林水産業は多様な機能があると、特にその中でも国土保全とか環境保全の重要な機能があると言われたわけであります。山を荒らさない、水や環境を守るために材木の価格をうまく調整する、これは非常に困難なことでありますけれども、そういったことをすることも、これは何といいますか、普通の財とは違うわけですから、非常に国土保全や環境保持に強い関係のある財でありますから、そういう観点から、林野庁としては、この自由な野放しな価格競争にゆだねておるというのではなくて、やはりそこには国産材価格に対する考え方というものがあってしかるべきじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。どのようにお考えでしょうか。
  117. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 木材の価格につきましては、自由競争のもとで国際的にも国内的にも実行されているわけであります。なかなか、その価格につきまして支持価格とかいろいろな手段を講じるのは大変難しい情勢にあると認識しておりますが、その価格が形成される段階で売り手買い手、こういう方が今後の見通し、そういうものをどう見通すかというふうなことが価格形成に影響しますので、私どもとしましてはやはり木材の需給の見通し、こういうものを作成しまして情報を提供していく。あるいは、海外からの輸入が現在八割を占めておるわけでありまして、その海外の木材輸出国との意見交換あるいは関係業界の指導というふうなことで実行していきたい。  今後、今、先生おっしゃいましたような、木材というのは環境財というふうなことで、ちょっとほかの財とも違うじゃないかというふうな御指摘に対しましては、やはりその木材生産をする林業に対する支援措置、それからその木材を使って製材品というふうな木材の付加価値をつける木材産業、こういう人たちに対する支援措置、こういうものが大事ではないかということで、昨年四月に成立しました林野三法、この三法の趣旨が林業経営基盤、それから労働力確保、それから木材産業の育成、こういうことでありますので、そういうふうな体制をとった上で林業木材産業の体質強化を図っていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  118. 一井淳治

    ○一井淳治君 何かもう少しいいお知恵を出していただいて、国産材が高く売れるようなことを考えていただきたいけれども、私も今具体的に提案することもございませんので、どうか今言われましたような方向で環境保持、国土保全がなされるように御努力をお願いしたいと思います。  結局、林野庁長官も今言われましたように、原木は継続的に出されていくという、一定量が常に出荷されるという体制をつくっていくことがまず始まりだと思います。これは、林野三法の実施状況をお聞きすることにもなるわけでありますけれども、その中で出荷体制がどんどん整備されておるのかどうか、そこのところをお聞きしたいと思います。
  119. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 林野三法の中で木材の安定供給の確保に関する特別措置法、この法律で原木の安定的供給を促進する必要のある地域指定を行っているわけでありますが、そこで森林所有者あるいは木材製造業者、その人たちの共同計画に基づきまして原木の安定的な取引関係が確立するように、それが大ロットで加工流通体制整備に乗る、あるいは製材施設の規模拡大につながる、あるいは乾燥施設というふうなものをつくっていけるように努めているわけであります。  その地域指定関係でありますが、既に九流域につきまして指定を行っておりまして、今後さらに百流域程度目標にこの流域管理システム、それを推進する意味での木材の安定供給の確保に関する特別措置法ということで指定を推進していきたいというふうに思っております。
  120. 一井淳治

    ○一井淳治君 その指定が手始めでありまずけれども、さらに濃い内容になるように御努力をお願いします。  それから、けさほどからこの林業労働力確保法の施行状況について質問が出されておりますけれども、ポイントは、要するに労働力の流動ですから、よい労働条件の方に、賃金がよかったり社会保障が完備されておったり、そちらの方へ労働力が流れていくというのがもう一番基本だと思うわけです。幾らいろいろ体制をつくってもそこの根本的なところが改善されていないといけないと思いますけれども、そのあたりはいかがでしょうか。
  121. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 確かにおっしゃるとおりでありまして、他産業並み労働条件確保するという意味で、労働条件それから雇用保険とか社会保険制度、こういうものにつきましても十分な、今は大変不足している点が多いわけでありまして、こういう点を、一つは自治省や国土庁と一緒になって検討いたしました地方財政措置、こういうことで労働条件改善できるような基金を各県で積み立てるということも行っております。  それから、林業労働力確保法に基づく支援センターをつくりまして、この支援センターで新しく採用する人たちに対する研修というふうなことが円滑にいくようにその経費の助成などを行う、こんなふうなことを実行しておるわけでございます。
  122. 一井淳治

    ○一井淳治君 これは質問として要求していないわけなんですけれども、先ほど言われました交付税による基金の積み立てですけれども、もう今のように低金利になりますとそれが余り生きてきませんし、金額的にも非常に低くなっているわけですね。ですから、これは基金というよりは、そっくりそのまま使ってもらわないと追っつかないような状況のように思いますけれども、いかがでしょうか、これは質問の要求をしていないんですが。
  123. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 一応予算的には、基金を積んでその基金の果実でいろいろ事業を実行しようということになっておりますので、現段階ではその基金の取り崩しというのは難しいというふうに思っておりますけれども、一番有効に使えるような形をとれるよう指導していきたいと思っております。
  124. 一井淳治

    ○一井淳治君 来年度からは、基金では効き目がないんで思い切った増額をしてもらうとか、あるいは基金を実際に基金にしないで使っていただくという方向の知恵を出していただくように要望させていただきます。  次に、この流域林業活性化センターが各流域でできまして活動を始めておるようであります。それぞれ機能を果たしつつありますけれども、まだまだ高性能機械の導入とか、林道、作業道の整備が進まないためにこれが十分に機能しないようなところもあると思います。  そこで、この流域林業活性化センターの活性化を図るために、機械の導入とか作業道の整備とかそういったことをしてもらうために何かいいお知恵はないかお尋ねします。
  125. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) やはり林業を振興する上で流域管理システムということを林政の基本的な考え方にしておるわけですが、それを実行する中核的な役割流域林業活性化センターが担っているわけであります。したがいまして、我々もその体制整備に努めてきておったわけですが、その中で平成七年度には、林道とか作業道あるいは高性能林業機械を導入できるような流域林業総合推進対策というふうな予算措置を行っているわけであります。  さらに、平成九年度につきましては、流域一体となって木材安定供給を推進するために、この流域林業活性化センターが中心になりまして森林所有者の伐採の取りまとめを行う、そして取りまとめて原木が大ロットで出てきたその処理を製材規模を大きくしてコストダウンした体制で製品をつくっていく、付加価値のある製品をつくっていく、そういう事業をする流域林産加工体制整備対策事業、こんなふうな新しい事業を実行に移せるように考えているところでございます。
  126. 一井淳治

    ○一井淳治君 それからもう一点、この活性化センターの中には活性化協議会がございますけれども、そういった中に実際に林野で働いている人たちの代表の人を加えたらどうだろうか、加えてほしいという提言を、これは社会党の時代からさせてもらっているわけでございますけれども、その辺についてのお考えを伺います。
  127. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 流域林業活性化センターの中には森林組合の方、営林署、林業事業体あるいは学識経験者、いろんな方が参加されまして、この流域ではどういう林業の振興あるいは木材産業の振興が望ましいかと、こういう協議をするわけでありますが、私どももその流域内で森林林業関係しておられる皆さんの全体の合意のもとでそういう仕事がなされるということは大変望ましいというふうに思っております。民間の林業労働者の代表の方もその流域林業活性化センターに参加するということを願っているわけでございまして、既に百五十八の流域があります。その協議会も全部設置されておるわけですが、その半数以上の協議会労働者の代表が参加して協議が進められているところでございます。
  128. 一井淳治

    ○一井淳治君 次に、森林組合合併でありますけれども、いろいろ困難な課題があると思います。一つ組合によって資産状況に大変格差がある、それから組合によって大変熱意の差があるという辺が合併の障害になっていると思いますけれども、この辺をどうやって乗り越えていくかということについてお考えを伺います。
  129. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 御指摘のとおり、森林組合合併が進まない理由に組合の財務が不均衡である、あるいはリーダーが不足しているというふうなことがございますけれども流域別の合併状況を見ますと、流域単位で進んでいるところもございます。あるいは、一つ流域の中でいろいろまだ森林組合が残って中核となる森林組合がないというふうな状況もございます。  今回の合併助成法によりまして、合併の提出期限を延長していただきたいわけでありますが、それによりまして税制優遇措置が引き続き講じられるわけでありまして、さらに具体的な、そういう先ほどのような阻害要因を少なくしていく意味では、もう少し都道府県関係者合併推進に対する指導といいますか、そういうものをしていただく、あるいは森林組合のそれぞれの方々にこれは自分のこととして今後の森林組合のあり方というものを考えてもらうように協議会を設置したりというふうなことで、ソフトが主でございますけれども、そういうふうな体制を地道にとっていくということが必要ではないかというふうに思っております。
  130. 一井淳治

    ○一井淳治君 次に、松くい虫に関して質問をさせていただきます。  これだけ長い間高額な予算を投入し、そして林野庁や都道府県市町村でも非常に多くの人が努力していますけれども、いまだに松くい虫を絶滅できないわけであります。この松くい虫を絶滅できない理由をどのようにお考えなのか質問させていただきます。
  131. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) ピーク時の四割程度にまで、百万立方程度まで減少してきたわけでありますが、御指摘のように終息までには至っていない状況であります。  この原因といたしましては、やはり高温少雨とか風雪害、そういうことでマツノマダラカミキリやマツノザイセンチュウの増殖の加速を招く気象条件があった、あるいは樹種転換が停滞している、それから除間伐のおくれというふうなことでマツノマダラカミキリの繁殖源が増加している、あるいはまた被害木の見落としというふうなことで駆除措置が徹底できない、そういうことの要因が重なっておりまして、一たんおさまった被害もまた再発すると、こんなふうな状況にありまして、なかなか終息には至っていないというふうに思っております。
  132. 一井淳治

    ○一井淳治君 これまでの対策というのは、言葉がよろしくないかもしれませんが、しり抜けといいますか、空中散布をしているところも一〇〇%松くい虫を殺していない、空中散布しているところもかなりの程度残っている。そして、空中散布をしている周辺には散布ができないところがありますから、ここには大量の松くい虫が生き残っているわけですね。極めて熱心な市町村以外は伐倒もしないでほっているわけです。ですから、今の体制というのは、松くい虫の一大根拠地をつくりながら他方である程度薬をまいているという状況になっていると思うんです。  ですから、今後絶滅をしょうというお考えを持たれるんなら、これは小さな虫けらに人間が負けていることは残念ですから、これまで五年ごとの時限立法を延ばすときに、この五年以内に松くい虫を絶滅するということを恐らく何回も言われておるんではなかろうか、まだ会議録は確認していませんけれども、そういうお話が出ておるんじゃないかと思います。  今回、永久法になるんですが、これは小さい虫ですから、非常に困難なばい菌とかあるいはビールスのようにじゃなくて、割と駆虫剤をぶっかければ死ぬようなものですから、絶対に殺してやるんだ、絶滅してやるんだという信念を持って、そしてもう一部の地域は松くい虫が、あるいはサーベイヤーが、運び屋さんが蔓延しているということを残さないで、地域をやる場合には全体をやるように何とかやっていかないと予算のむだ遣いにもなるんじゃないかと。本当にもう松を全部枯らした方が早いんじゃないか、これは極端な話ですけれども、そういう気にもなってしまいますので、もうここで法改正ができたんですから、心を一新して、何としてもここで殺してしまうんだ、日本から松くい虫をなくしていくんだというかたい決意を持って取り組んでいただきたいんですが、いかがでございましょうか。  そして、その決意と同時に、そういうふうな施策もやってもらわなきゃいけませんけれども、その辺を、私は五十分までしか時間がありません、あと一分しかありませんけれども、お願いしたいと思います。
  133. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 確かにこれまでの実績といいますか終息できなかった理由の一つに、やはり徹底を欠いたという面があることは否めないというふうに思っております。  ですから、特別防除をすると同時に、他の防除の方法、伐倒駆除ですとか被害木の破砕、撤去、あるいは造林事業による樹種転換、そういうふうな手段を用いまして総合的にあるいは機動的に対応していきたい。平成九年度から新たに始まる対策につきましてはそのような考え方で臨みまして、可能な限り早い終息を迎えたいというふうに思っております。
  134. 須藤美也子

    須藤美也子君 まず大臣にお尋ねいたします。  ただいまの質問にもありましたけれども、特別措置法をつくって二十年たってもいまだに松くい虫を撲滅することができない、そういう中で今回一部改正案が出されたわけです。  二月二十一日、日本弁護士連合会が松枯れ対策としての農薬空中散布の廃止を求める意見書を提出されております。この内容は、専門家の意見も含めてかなり詳細に検討した上で、松くい虫原因説か、特別防除の有効性や安全性など疑問であると判断しております。  こういう中で、この意見書を大臣はどのように受けとめておられるのか、まずそのことからお尋ねをいたします。
  135. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 今、委員が日弁連の意見書につきましてお話がございました。  この被害原因について異説があること、環境への影響があることなどを理由として特別防除について廃止を求めている、こういう意見書であるわけです。今までの松くい虫被害原因につきましては、マツノマダラカミキリが運ぶマツノザイセンチュウであるということは明らかでございまして、また特別防除は自然環境、生活環境の保全を十分に配慮しながら実施するということが必要であると私どもは考えておりまして、そういう観点から、今後とも地域関係者の意向にも十分配慮しながら、特別防除や伐倒駆除など各般の対策を組み合わせながら地域の実情に応じまして実施をしてまいろうと、かように考えております。
  136. 須藤美也子

    須藤美也子君 五年前のこの委員会で松くい虫被害対策特別措置法が審議されましたが、その際に附帯決議が出されました。  その附帯決議の中の四、これは今回の附帯決議の中にも入っておりますけれども、「特別防除については、住宅、宿泊所その他の家屋及び公園、レクリエーション施設その他の利用者の集まる場所の周辺の松林においては、原則として、これを実施しないこと。」、また六番、「特別防除の実施に当たっては、被害状況の把握に努めるとともに、その実施によって被害が発生した場合においては、直ちに特別防除を中止し、その原因究明に努め適切な措置をとることとすること。」、こういうことをこの委員会で附帯決議をしているわけです。  この附帯決議がこの五年の間、守られてきたのでしょうか。
  137. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 附帯決議の四につきましては、農林水産大臣平成四年に特別防除をする際の基本方針を定めておりますけれども、その基本方針におきまして、貴重な動植物の生息地や病院、学校等の周辺においては実施しない、それから住宅や宿泊所その他の家屋、公園、レクリエーション施設、その他の利用者が集合する場所の周辺松林においては原則実施しない等としておりまして、これを遵守し、安全かつ適正な実施に努めてまいったところでございます。  それから、附帯決議の六につきましては、特別防除の実施に当たっての被害状況の把握につきましては、特別防除を実施する地方自治体等に窓口を設けて対応しているところでありまして、万一、薬剤による被害が発生した場合には直ちに当該地区の特別防除を中止し、その原因の究明に努めるよう指導してきております。  また、被害状況につきましては都道府県を通じて報告を受けているところでありますけれども平成四年度以降八年度まで五年間で、薬剤が風に流れたことによる自動車の塗装の変色等の被害が七件発生しているという報告を受けておりますが、その中には健康被害についての報告はございません。  特別防除の生活環境及び自然環境に及ぼす影響について、昭和五十二年度以降継続している特別防除の自然環境等への影響に関する調査、これを引き続き実施しているところでありまして、それによれば、生活環境及び自然環境に大きな影響を及ぼすという結果も得ていないところでございます。
  138. 須藤美也子

    須藤美也子君 九四年に島根県玉湯町で実施された空中散布に関して健康調査を行った、これ御存じないんですね、何も被害を受けていないと今答弁なさいましたから。健康被害調査で二百四十人の地域住民を調査した結果、そのうちの四十三人が人体の異常を訴え、八人が医療機関に受診をした、そしてその原因が農薬成分を吸引した結果と考えられる健康被害が実施地域の周辺で起こっている、こういう結果が出ているんです。  これ御存じないとすれば、これはちょっとおかしいんじゃないですか。現にこういう状況が出ておりますし、私が住んでいる山形県でも市民の反対で空中散布は中止になりました。隣の福島県でも市民運動の反対で中止になりました。  こういう状況の中で、まだ原因と特別防除の有効性、安全性、これが国民的合意として明確になっていない中で空中散布をやる。こういう点については我が党としてはやはり廃止すべきである、後で修正案も出しまずけれども、そういうことを私はきっぱり大臣にも申し上げたい、こういうふうに思います。  簡単でいいです、答弁そんなに長々と言いわけは要りません。事実は知らなかったのか、そういう点でどのような調査をしてきたのか、簡単に答弁をお願いしたいと思います。
  139. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 調査につきましては、昭和五十二年度以降、特別防除の自然環境等への影響に関する調査、毎年十県程度実施しておりますが、この調査で林木ですとか野生鳥類ですとか、あるいは土壌とか河川、こういうところにおける薬剤の残留状況、こんなふうな調査を継続して実施しております。  この調査によりますと、生物への影響につきましては昆虫類の生息数等が散布後に減少する場合があるものの、一カ月後にはほぼ回復するとか、あるいは河川水についても薬剤の残留量が厚生省や環境庁が定める指針値を超えることはないとか、超えても遅くとも五日目にはそれを下回って、また土壌については三カ月後にはほとんど検出されなくなっている、自然環境等に大きな影響があるという結果は得ておりません。  それから、先ほどの人体に対する被害というふうなところでありますが、事前にその地域住民の方へ空中散布を行いますというふうなことを周知徹底を図りまして、最寄りの保健所とか病院などと連絡しまして、万一に備えて医療救急体制はとっております。そういうふうに慎重に努めた中でも特別防除によって危被害が発生した場合、林野庁に報告するようにということで都道府県指導してまいっておりますが、これまで特別防除の実施によって人体に被害があったという報告を受けていないところでございます。
  140. 須藤美也子

    須藤美也子君 附帯決議はやっぱりきちんと守っていただく、これが基本だと思うんです。そういう点で、島根県の玉湯町で起きている被害、しかも人体に一八%ぐらいの住民がそういう被害を受けているわけですから、そういうことも踏まえて、私はやはり附帯決議を守ると同時に、この空中散布というのは非常に危険な問題だ、こういう点で廃止を強く求めるわけであります。  時間がありませんので、次に移りたいと思います。これも非常に重要な問題だと思うんですが、今森林問題で全国七つの圏域で行われている大規模林道開発についてお尋ねをしたいと思います。  自然破壊と、工事のたびに逆に災害をもたらして、予算も際限なくふえ続けているのが現状だと思うんです。とりわけ、その中で最上・会津山地大規模林業圏もその一つであります。  例えば、山形県真室川−小国線についてですが、そのうち朝日−小国区間は、磐梯朝日国立公園や自然環境保全地内を通過して、幅五メートルから七メートルの舗装道路で六十四キロメートルの大規模林道計画を進めてまいりました。  この地域は、年間の半分が雪に埋もれている日本でも有数の豪雪地帯であります。集落もない奥地に山村振興にもならない計画だ、こういうふうに地元ではおっしゃっております。しかも、この一帯の地層は砂のようにもろい地質で、工事のたびに土砂崩壊をし災害をもたらしている。森林開発公団のお話によりますと、既に七十二億円もつぎ込んだこの林道工事を、これではもうやっていけないからということで休止をした。地元の方々から聞くと、休止なんかしないできっぱり中止してほしいと。  これはどうでしょうか。休止ということはちょっとだけ休むということでしょう。これはきっぱり中止すべきだと思うんです。どうでしょうか。
  141. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 御指摘のように、大規模林道のうち、この真室川−小国線の中の朝日−小国区間、これを必要な保全工事は実施した後休止するということにしております。  大規模林道そのものは、それぞれの地域で山村の定着化の促進でありますとか、林業の振興ということで非常に大事な役割を持っておるわけでありますけれども、現在の財政事情あるいは公共事業の効率的な実施というふうな点も含めまして、休止すべき路線を検討し、この箇所を休止箇所に選んだわけであります。  それから、現在地元の山形県におきまして、関係者が調整協議会を設けて、この中で、このままの路線でいいのか、それとも別のルートあるいは既存のルートを探してそちらを改良していこうとか、いろんな意見が出ていると聞いております。  私どもも、そういう地元の要望、地元の御意見を踏まえながら、今後検討していきたいというふうに思っております。
  142. 須藤美也子

    須藤美也子君 地元では中止をしてほしいと、こういう要望です。なぜなら、町道に移管される、移管された途端に亀裂が生じて、もう予算のない中でその復旧工事に何億という金をかけなくちゃならぬ、こういう林道を国の責任でつくったわけです、計画で。しかも、そこに住んでいる地域住民は大変負担がふえて迷惑を受けている。毎年毎年雪が解けるたびに亀裂が入ってだれもそこを使用しないんです。それは二重の税金のむだ遣いであると、きちんと中止すべきだと私は思うのであります。  それと同時に、森林開発公団の責任で総合的な環境保全と地元負担の軽減をぜひ国の責任で進めていただきたい。同時に、総理も予算委員会の答弁の中で、十年間で六百三十兆円の公共事業費の見直しを答弁しております。そういう中で、林野の公共事業計画もその視野に入っているのか、あらかじめ事業費の総額を決めて進めている第二次森林整備事業計画、長期計画もその見直しの中に入っているのかどうか。そういうお金があるならば、もっと林業労働者の後継者に使うとか、中山間地の所得補償に使うとか、もっと地域林業の振興に使う、そういう形で使うべきであって、むだな大規模林道、二重にもむだ遣いになるような公共事業に使うことはこの際きっぱり中止すべきであると。そして、今申し上げましたように、これから進めようとしている、そういう大規模計画、公共事業の見直しを強く要求いたします。  時間が来ましたので、これで終わりますけれども、最後に大臣の公共事業に対するむだ遣いについて、見直しの決意のほどをお聞かせいただければ幸いだと思います。
  143. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 六百三十兆の公共事業費の問題は、今から内閣の中で議論をしていこうという、そういう段階でございます。  それから、特に大型の公共事業の見直しという問題については、これは一般論でございますけれども、絶えず経済また社会的な状況の変化に応じて、また環境問題も十分に配慮しながら検討していくと、これも総理から御答弁申し上げておるところでございまして、そのような方針であることは間違いありません。  それから、林野関係の公共事業がその公共事業の見直しの中に入っているかどうかという御質問に対しましては、そのような考え方で私どもも受けとめていると、そういうふうに思っております。  それから、私が農林水産大臣を拝命いたしましたときに、総理から特に公共事業所管三省の大臣に対しまして、公共事業につきましては、その効果、効率化、それから費用対効果の手法、そういうことについては十分に配慮をして取り組むようにと、こういうような御方針のお話があったこともつけ加えさせていただきます。
  144. 須藤美也子

    須藤美也子君 終わります。
  145. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 森林病害虫等防除法の一部を改正する法律案に関して、幾つかの問題点を指摘しながら質問したいと思います。  まず第一に、沖縄県内の松くい虫の最近の被害状況はどのようになっているか、そしてその対策と効果はどのようになっておるかの点についてお伺いしておきます。
  146. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 沖縄県におきます松くい虫被害は昭和四十八年度に初めて発生しまして、国土の保全や水資源の涵養などに重要な役割を果たしておりますリュウキュウマツに被害を及ぼしております。特に、平成二年度以降は高温少雨という気象条件あるいは台風の影響を受けまして北部地域で増加しまして、さらに平成五年度には三十年ぶりの少雨というふうな影響でありまして、約四万二千立方メートルの過去最高の被害量を記録しております。  このために、薬剤の地上散布及び被害木を薫蒸する伐倒駆除、それから被害木を焼却する特別伐倒駆除、こういう対策を講じてきておりまして、平成七年度にはピーク時に比べて四割程度に減少しまして二万六千立方というふうに被害量が減っております。
  147. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 同様な点について、沖縄県に所在する米軍施設内についてその辺の対応をどのようにされたか、防衛施設庁の方にお伺いいたします。
  148. 佐伯惠通

    説明員(佐伯惠通君) お答えいたします。  米軍施設・区域の中の松くい虫の防除につきましては、当庁としましては緊急性及び社会的状況にかんがみまして、米軍が実施できないものにつきまして昭和五十五年度から松くい虫防除のための駆除工事、いわゆる伐倒焼却駆除を実施しているところであります。それで平成七年度までの実績としまして、嘉手納弾薬庫それからキャンプ・ハンセン、キャンプ・シュワブの三施設につきまして、金額にして約六億円、数量にしまして約三万四千立米の駆除工事を実施しているところであります。  当庁としましては、松くい虫の被害状況を見ながら、今後とも米軍それから沖縄県と調整をしまして、誠意を持って対応してまいりたいと考えております。
  149. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 そのときに空中散布、それと市町村との会議、そういったふうなことについてちょっとどのような状況だったのかお聞かせ願いたいと思います。
  150. 佐伯惠通

    説明員(佐伯惠通君) 米軍基地内の空中散布につきましては、ちょっと手元に資料がございませんので承知しておりません。
  151. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 市町村との協議は。
  152. 佐伯惠通

    説明員(佐伯惠通君) 市町村との協議につきましても、ちょっと手元にございませんで承知しておりません。
  153. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 沖縄県におきましては、空中散布は実行していないと承知しております。
  154. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 市町村との協議は全くなされていないんですか。
  155. 佐伯惠通

    説明員(佐伯惠通君) ちょっと手元に資料がございませんので承知しておりません。
  156. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 そういう散布をするとき、あるいは伐倒とかそういったことをやるためには、やっぱり隣地の市町村会議をしてやるということでなければ、この基地内処理しただけではどうもバランスを欠いておるんじゃないかというふうな感じがするんです。その辺後でいいですから、全く協議がなされないままに今後もやるのか、あるいは一定の協議をして市町村会議をしてやるのかという点については重要だと思いますので、ひとつぜひその点は調整して、今後やるときには実施していただきたいというふうに要望しておきます。  それから、昨年のSACO、日米特別行動委員会なんですけれども、沖縄の米軍基地の北部訓練場の約半分が返還されるというふうな報道がなされております。同訓練場は沖縄本島北部の山原と呼ばれる森林地帯であるわけであります。そして、自然の宝庫だとも言われております。もし返還された暁には国立公園として整備したいという環境庁の構想がございます。そのことについて林野庁としてはどういうふうな位置づけをされておるか、またどう対応されていくのか、お尋ねしておきたいと思います。
  157. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 沖縄北部訓練場として使用されております沖縄北部の国有林につきまして、ここは水源地域として重要な役割を果たしておりますし、また区域内にヤンバルクイナ等の国内の希少野生動植物が生息しておりまして、自然環境の保全上も重要な地域だというふうに認識しております。  林野庁としましては、この国有林が返還された場合に、森林現況をよく精査した上で、それから地元の意向も踏まえまして、ここを保安林の指定とかあるいは保護林の設定、そういうものも含めまして、その保全のための取り扱いについて検討したいと思っております。その検討に資するために、現在その森林調査を実施しているところでございます。  環境庁が国立公園化というふうな対応については、新聞報道等あったようでありますけれども、まだ具体的に私どもに御相談があったわけではありません。環境庁から今後具体的に国立公園等の指定協議があった段階で、その地域森林の現況とかあるいは地元の要望、こういうものを踏まえまして御相談しながら検討していきたいというふうに思っております。
  158. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 林野庁として、国立公園を構想しているというふうなことについては積極的に進める御意思なのか、あるいはもっと調査をして国立公園にふさわしいのかどうかというふうな点でもう少しさらに検討していかれるのか。国立公園という場合に、林野庁として積極的に進める方向にあるのかどうか、その辺についてお伺いしておきたいと思います。
  159. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 国立公園としてふさわしいかどうかということは環境庁の方の御判断もあるわけでありまして、私どもとしましては、国有林の管理というふうな意味で、そこを保護林でありますとか保安林に指定したらどうかとか、そういうふうな検討を進めております。  また、地元の要望の中には、やはり国立公園にして利用ができなくなっても困るとか、もう少し林業的な利用がしたいだとか、いろいろな御要望もあるかというふうに思いますので、そういう要望も踏まえて、それから森林の価値といいますか、内容等も十分把握した上で今後の課題というふうに受けとめております。
  160. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 貴重な世界の珍しい動植物が存在しているわけですから、その辺の勘案もしながらどういつだ方向がいいのかということは慎重に林野庁としても検討していただいて、できるだけ環境の保全が守れるように努力していただきたいと要望しておきたいと思います。  それから、沖縄県の森林保全と林業の振興策を推進していくために、基本的な考え方について農林水産大臣の御所見を承っておきたいと思います。
  161. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 先ほどの国立公園の問題は環境庁とよく相談いたしまして、私も沖縄開発庁長官の経験者でございますので、十分に環境庁と相談をして進めていきたいというふうに思っております。  それから、沖縄県の森林でございますけれども、これはもう委員承知のように、天然林が八三%、我が国で一番比率が高いわけでございます。そういう沖縄県の森林が木材の生産であるとか、それから水資源の涵養というような公益的な役割を果たしているわけでございまして、この森林の持つ多面的な機能をこれからも発揮するために、海岸の防災林であるとか水源地域森林整備すると、こういう治山事業実施しておりまずけれども、これからもそういう点につきましては、十分配慮してまいりたいと思っております。また、地域森林資源を活用した林業の経営であるとか、木材産業の振興も推進していかなきやならぬと思っております。今後とも森林整備の推進、林業木材産業活性化に力を入れてまいりたいと考えております。
  162. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 防除法の改正の目的として、機動的な防除システムを構築すると言われるが、機動的な防除システムとはどのようなシステムであるのか、またその効果についてどのように予測をされているのか、それについてお伺いします。
  163. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 機動的な防除システムといいますのは、被害の状況が早期に正確に把握されまして、これに対する的確な防除対策が迅速に行われるような体制を念頭に置いております。  今回の法改正に当たりまして、こうした体制を確立するために、これまで松くい虫被害対策特別措置法に基づいて行っておりました、特に効果の高い駆除措置であります特別伐倒駆除あるいは補完伐倒駆除命令、森林病害虫等防除法にこういうものを取り込みまして、将来にわたっていつでも発動できるという体制にしておるわけであります。  それから、大事なのはその被害の状況を早期に把握する、正確に把握するということでありまして、そういう意味森林への立入調査を森林組合連合会等が行えるというふうに制度上の措置を講じているところであります。  機動的な防除システムというごとで、被害の状況に的確に反応して対策を講じるということを考えておるわけでございます。
  164. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 この資料によりますと、被害面積の推移でありますけれども昭和五十三年以来この二十年間ほとんど変わらない、被害材積も平成元年から七年までの七年間、九十万立方メートルから百一万立方メートルと、ほとんど横ばい状態であるというふうなことが書かれています。  果たしてこれまでの対策は効果を上げていたのかどうか、大変疑問に思うわけですけれども、これからの対策としてどのように位置づけていますか。
  165. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 御指摘のような数字で、効果がなかったんではないかという御批判もあるわけでありますが、しかしながらピーク時の二百四十三万立方からは四割程度まで減少しておりますし、それから保全すべき松林の中の状況が非常に激害が多かったものがだんだん中害、微害——激しい害というのはその中の五%以上がやられてしまうというふうな状況でありますが、それが中害という形で一から五%あるいは微害ということで一%以下、こういうふうに減少してきておりますので、そういう意味では特別防除の効果も、それから伐倒駆除というふうなあわせて行った効果もあらわれているんではないかと。  今後といたしましては、そういう体制をしっかりと、まず被害の状況を把握して、それから空中防除や特別伐倒駆除、樹種転換、こういうものを総合的に組み合わせて一層の防除を実行していきたい、こう考えているわけでございます。
  166. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 森林組合法及び森林組合合併助成法の一部を改正する法律案関連して一点だけお尋ねいたします。  沖縄県の森林組合の健全な発展のために、どのような育成方針を持っておられるのか、基本的な御見解を承って私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。
  167. 高橋勲

    政府委員高橋勲君) 沖縄県の森林組合は、平成七年度現在で本島北部地域に二組合と八重山地域と宮古地域にそれぞれ一組合の合計四組合が設立されておりまして、組合員数が九百三十人、組合員所有の面積が三万六千ヘクタールでございまして、地区内民有林の六割を占めております。  活動状況は、民有林の植林から保育までの造林事業森林病害虫等防除や治山等の利用事業を主体に、販売事業、購買事業等を実施しておりますが、市町村を除く組合員の平均経営規模は一・二ヘクタールと非常に小さいわけでありまして、資本装備も脆弱であります。加工流通体制が立ちおくれている状況であります。  沖縄県におきましては、その森林組合の育成強化を図るために、第三次沖縄振興開発計画に基づき、森林組合未設立地域の解消及び林産物集出荷・販売施設等整備等に取り組んでおります。  林野庁におきましては、林業構造改善事業等によりまして、林産物の加工流通施設の整備等を含め各種の育成施策を実施してきたところでありますが、平成九年度からは活力ある林業担い手の育成のための条件整備等を柱とする沖縄林業経営基盤強化特別対策事業、これを開始することとしておりまして、同事業が沖縄県の森林整備森林組合の育成等に活用されるように努めていきたいと考えております。
  168. 真島一男

    委員長真島一男君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。  森林病害虫等防除法の一部を改正する法律案の修正について須藤君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。須藤美也子君。
  169. 須藤美也子

    須藤美也子君 私は、日本共産党を代表いたしまして、森林病害虫等防除法の一部を改正する法律案に対し、修正の動議を提出いたします。  その内容につきましては、今お手元に配付されております案文のとおりでございます。  その趣旨と提案理由について御説明申し上げます。  修正案の内容は、森林病害虫等防除法による駆除命令のうち、薬剤による防除から特別防除を除き、命令・代執行による特別防除は今後廃止することにする、これが一つであります。さらに、国、地方自治体がみずから所有する国有林や公有林に対し特別防除を行う場合、あらかじめ区域、期間を公表する、これを明確に法案の中に入れる。  ヘリコプターによる農薬の空中散布については、人間の健康や環境、生態系に与える影響が極めて大きいものがあります。そのため、日本弁護士連合会や市民団体などの多くの国民は、もうヘリコプターによる農薬の空中散布はやめてほしいと特別防除の廃止を求めています。ところが、政府提案では、特別防除の恒久化につながるものであり、国民の理解を得ることはできません。  以上の趣旨でありますので、何とぞ、委員各位の御賛同をお願いを申し上げまして、提案理由の説明を終わります。
  170. 真島一男

    委員長真島一男君) ただいま議題となっております両案のうち、まず森林病害虫等防除法の一部を改正する法律案及び修正案について討論に入ります。別に御意見もないようですから、これより森林病害虫等防除法の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、須藤君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  171. 真島一男

    委員長真島一男君) 少数と認めます。よって、須藤君提出の修正案は否決されました。  次に、原案全部の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  172. 真島一男

    委員長真島一男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、阿曽田君から発言を求められておりますので、これを許します。阿曽田君。
  173. 阿曽田清

    阿曽田清君 私は、ただいま可決されました森林病害虫等防除法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、平成会、社会民主党・護憲連合、民主党・新緑風会、日本共産党及び二院クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     森林病害虫等防除法の一部を改正する法     律案に対する附帯決議(案)   松は、土砂流出の防止等の国土保全、風致・  景観の維持のほか、木材の生産等にも重要な役  割を果たし、古くから、国民生活に深く関わっ  てきた。   しかるに、松林における松くい虫による被害  は、なお高い水準で推移しているほか、一旦被  害が軽微となった地域でも、気象の影響等によ  り、被害が再激化することが懸念されている。   よって政府は、本法の施行に当たり、松くい  虫等による被害に的確に対応できる機動的な防  除システムを構築するとともに、次の事項の実  現に万遺憾なきを期すべきである。  一 松くい虫等による異常な被害を早急に終息   させるため、地域の被害態様を十分に把握し   た上で、総合的な被害対策が適切かつ効果的   に実施できるよう、国、都道府県市町村、   森林組合等を通じた実施体制をさらに充実・   強化するとともに、地域の自主的な取組みを   促進するための支援を強化すること。また、   そのために必要な予算を確保し、本法の目的   が達成されるよう最大限の努力を行うこと。  二 新しく規定された、森林組合等による他人   の土地への立入調査については、森林所有者   の権利保護にも十分に配慮しつつ、松くい虫   等による被害の早期発見に活用するよう都道   府県を指導すること。  三 特別防除の実施手順については、今後と   も、松林保全、特別防除等に関心を有する広   範な関係者で構成される協議会を開催し、関   係者の意見等を十分に聴取するとともに、生   活環境及び自然環境の保全に配慮して、特別   防除を慎重に行うこと。  四 特別防除の実施地域については、住宅、宿   泊所その他の家屋及び公園、レクリエーショ   ン施設その他の利用者の集まる場所の周辺松   林を、原則として、除外すること。  五 特別防除の実施に当たっては、被害状況の   把握に努めること。また、被害が発生した場   合には、直ちに、特別防除を中止し、その原   因究明に努め、適切な措置を講ずるととも   に、国家賠償法等に基づく円滑な損害賠償を   行うこと。さらに、特別防除の効果のほか、   生活環境及び自然環境に及ぼす影響につい   て、引き続き必要な調査を行うこと。  六 将来、松くい虫による被害が低い水準で定   着するなど、特別防除を実施する必要がなく   なるような条件整備しつつ、可能な限り伐   倒駆除、樹種転換、天敵利用等の方法を選択   するとともに、松林の健全化のため適切な森   林施業を併せて推進すること。  七 マツノザイセンチュウに対する抵抗性松に   ついて、選抜育種の一層の推進及び普及を図   るとともに、誘因剤の開発等環境保全に配慮   した新防除技術の早急な実用化及び普及を図   ること。また、松の枯損メカニズムについ   て、引き続き徹底究明に努めるとともに、手   入れ不足等による松の不健全化や大気汚染、   酸性雨などの影響について、十分に調査研究   すること。  八 松くい虫以外の病害虫等についても、有効   な防除方法を引き続き調査研究するととも   に、今後、これによる被害が増加した場合に   は、機動的かつ弾力的に対策を講ずること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  174. 真島一男

    委員長真島一男君) ただいま阿曽田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  175. 真島一男

    委員長真島一男君) 全会一致と認めます。よって、阿曽田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、藤本農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。藤本農林水産大臣
  176. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) ただいま御決議いただきました附帯決議の趣旨を尊重し、今後最善の努力をいたしてまいります。
  177. 真島一男

    委員長真島一男君) 次に、森林組合法及び森林組合合併助成法の一部を改正する法律案について討論に入ります。——別に御意見もないようですから、これより森林組合法及び森林組合合併助成法の一部を改正する法律案について採決に入ります。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  178. 真島一男

    委員長真島一男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、阿曽田君から発言を求められておりますので、これを許します。阿曽田君。
  179. 阿曽田清

    阿曽田清君 私は、ただいま可決されました森林組合法及び森林組合合併助成法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、平成会、社会民主党・護憲連合、民主党・新緑風会、日本共産党及び二院クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     森林組合法及び森林組合合併助成法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   最近における我が国森林林業をめぐる情勢には、木材価格の低迷、製材輸入の増加、林業労働力の減少・高齢化等極めて厳しいものがあり、このまま推移すれば、木材資源の供給能力の低下、地域経済の低迷を助長するだけでなく、森林施業の停滞により森林の持つ公益的機能の発揮にも支障を来たすことにもなりかねない。   このため、昨年成立した林野三法により、林業経営基盤の強化、労働力確保・育成、木材安定供給体制整備等を図り、現在、林業の再生と森林の適切な維持・管理に向け、関係者の懸命の努力がなされているところである。   よって政府は、「緑と水」の源泉である森林の適切な整備林業木材産業活性化を図るための施策を積極的に推進するとともに、本法の施行に当たっては、森林組合がその経営基盤を強化し、地域林業の中核的担い手として森林の保全の推進と山村経済の振興に一層大きな役割を果たすことができるよう、次の事項の実現に万遺漏なきを期すべきである。  一 森林組合事業範囲拡大に当たっては、それぞれの地域において森林組合が当該事業に取り組む必要性、将来性を明確にするとともに、関係者との協調・連携の下に、流域一体となった積極的な事業展開が図られるよう指導すること。  二 森林組合の経営管理体制整備に当たっては、その趣旨を森林組合系統組織に十分周知徹底するととも《今後、多角的事業展開等積極的経営を推進するため、専門知識、ノウハウ、経験を有する学識経験者等の理事への積極的登用、役員の資質の一層の向上により、経営の活性化・安定化が図られるよう指導すること。  三 森林組合合併の推進に当たっては、組合員の意志を十分尊重し、財務状況事業内容等組合の実情、地域実態に即した合併が行われるよう指導に努めること。また、合併後において従来以上に地域との密接な関係が維持されるよう指導すること。  四 森林組合への施業委託が増加することが予想される中にあって、森林組合作業班の高齢化が急速に進行している実態にかんがみ、新規就業者確保のための施策を推進するとともに、就業者労働条件改善や福祉の向上に努めること。また、作業の効率化の観点から、森林組合における高性能林業機械の必要性が高まっている現状に対処して、その導入の推進に努めること。  五 森林組合が健全な発展を果たすためには、その自主的な努力が一層重要となってくることにかんがみ、森林組合系統の運動を促進するよう努めること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願いいたします。
  180. 真島一男

    委員長真島一男君) ただいま阿曽田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  181. 真島一男

    委員長真島一男君) 全会一致と認めます。よって、阿曽田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、藤本農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。藤本農林水産大臣
  182. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) ただいま御決議いただきました附帯決議の趣旨を尊重し、今後最善の努力をいたしてまいります。
  183. 真島一男

    委員長真島一男君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  184. 真島一男

    委員長真島一男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十九分散会      —————・—————