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1997-05-27 第140回国会 参議院 内閣委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月二十七日(火曜日)    午前十時四分開会     —————————————    委員の異動  五月二十六日     辞任         補欠選任      聴濤  弘君     須藤美也子君  五月二十七日     辞任         補欠選任      清水 澄子君     谷本  巍君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鎌田 要人君     理 事                 板垣  正君                 鈴木 貞敏君                 鈴木 正孝君                 清水 澄子君                 谷本  巍君     委 員                 海老原義彦君                 狩野  安君                 矢野 哲朗君                 依田 智治君                 大久保直彦君                 永野 茂門君                 山崎  力君                 角田 義一君                 齋藤  勁君                 笠井  亮君                 須藤美也子君                 北澤 俊美君    国務大臣        国 務 大 臣        (総務庁長官)  武藤 嘉文君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  久間 章生君    政府委員        人事院総裁    弥富啓之助君        人事院事務総局        任用局長     角野 敬明君        人事院事務総局        給与局長     武政 和夫君        人事院事務総局        職員局長     佐藤  信君        総務庁人事局長  菊池 光興君        総務庁行政管理        局長       陶山  晧君        総務庁行政監察        局長       土屋  勲君        防衛庁防衛局長  秋山 昌廣君        防衛庁人事局長  大越 康弘君        科学技術庁科学        技術政策局長   近藤 隆彦君        科学技術庁科学        技術振興局長   青江  茂君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 久雄君    説明員        文部大臣官房人        事課長      伊勢呂裕史君        文部省学術国際        局研究助成課長  遠藤  啓君        厚生大臣官房人        事課長      丸田 和夫君        自治省行政局公        務員部給与課長  浦山 紘一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○一般職任期付研究員採用給与及び勤務時  間の特例に関する法律案内閣提出、衆議院送  付) ○理事補欠選任の件 ○国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  一般職任期付研究員採用給与及び勤務時間の特例に関する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 狩野安

    狩野安君 今回提出研究公務員任期制にかかわる法律案について質問いたします。よろしくお願いいたします。  本法律案は、昨年七月に閣議決定された科学技術基本計画の要請を踏まえ、人事院検討、立案されたものと聞いておりますが、まず科学技術基本計画概要任期つき研究員位置づけについて改めて御説明をお願いいたします。
  4. 近藤隆彦

    政府委員近藤隆彦君) 科学技術基本計画概要任期つき研究員制度位置づけでございますけれども、科学技術振興重要性ということから出発するわけでございます。我が国が二十一世紀に向けまして、産業空洞化とか社会の活力の喪失等を回避しまして豊かな国民生活を実現するためには、経済フロンティア拡大等に貢献します新産業の創出といったものを目指しまして積極的に科学技術を振興することが重要でございます。このような観点から、一昨年十一月には科学技術基本法が制定されました。また、昨年の七月には同法に基づきまして科学技術基本計画というものが閣議決定されたところでございます。  この科学技術基本計画に示されました大きなポイントは二つございます。第一点は新しい研究開発システムの構築ということでございまして、できるだけ創造性豊かな研究ができるような方向でさまざまな制度改革をしようという点でございます。もう一点が政府研究開発投資の充実という点でございます。  このうち、制度改革につきましては、任期つき任用制度導入でありますとか共同研究の促進あるいは研究者兼業許可円滑化とかいったものがございますけれども、特に任期つき任用制導入につきましては、研究者流動化を促進しまして研究者意欲を持って研究できるように柔軟で競争的な研究環境を実現する、こういった観点から大変重要な施策というふうに考えられております。この任期つき任用制度につきましては、基本計画におきましては人事院早期検討を求めたところでございます。  なお、この点に関しましては、研究者意欲を引き出すためといった観点から「柔軟かつ競争的な研究環境を整備する」と、科学技術基本法附帯決議におきましてもこのように述べられておりまして、この附帯決議趣旨を受けましてこのような制度導入につきまして検討を進めてきたという点もございます。
  5. 弥富啓之助

    政府委員弥富啓之助君) お答えを申し上げます。  ただいまのお話にもありましたように、昨年七月に閣議決定を見ました科学技術基本計画の中におきましてもその重点施策一つとして、柔軟で競争的な研究開発環境の実現を目指しまして研究者流動性高め研究活動活性化を図る、そのために研究者任期制導入具体化につきまして本院に早期検討を求められたところでございます。  人事院といたしましても、これを踏まえまして関係方面意見を聴取しながら、研究活動活性化を図る観点から去る三月六日に意見の申し出を行ったところでございます。  具体的に申し上げますと、研究業務の特性を考慮して、新たな雇用の仕組みといたしまして、まず一つは特にすぐれた研究者と認められている者を外部から招聘する場合のいわゆる招聘型任期制と、二つは独立して研究する能力があり高い資質を有すると認められる研究者対象として先導的役割を担い得る研究者育成するためのいわゆる若生育成型二つの場合に、研究員任期を定めて採用することができる制度につきまして、給与特例及び裁量による勤務に関する事項を含めて整備することを求めたところでございます。
  6. 狩野安

    狩野安君 これらの背景もと任期制導入することとした政府としての基本的な考え方総務庁長官にお伺いし、またその導入によりどのような効果が期待できるかということもあわせて総務庁長官の御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  7. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) 今も御答弁がございましたように、日本の二十一世紀を思いますと、やはり科学技術創造立国という形でいかなきゃいけない、そのために、御指摘のありましたように科学技術基本法ができ、それに基づいて科学技術基本計画ができ、その中で招聘型とそれからもう一つ若生育成型という形で任期制導入していこうということでございます。  戦後の日本を見てみますと、これだけ経済が成長してきた中には相当技術革新が行われた。ただ、幸いにもアメリカその他の国が、先進国が割合日本理解を示してくれてきたのではなかろうかなと思います。しかし、日本の方がどんどんそれをうまく活用し応用して新しい技術あるいは新しい商品を開発してきたために、どちらかといえば国際競争力ではもうこちらも肩を並べていけるところまでなってきた。そうなりますと、向こう様から見ればもう日本にそう出す必要はないんじゃないかということにもなってきたと思います。ですから、こういう形で科学技術創造、いわゆるクリエートしていかなきゃいけないということが私は日本のこれからの方向だろうと思うのでございます。  そういうことから考えますと、科学技術をどんどんやっていく中で、ある程度それはコスト考えていかなきやなりませんから、民間の場合には思い切ったことができないかもしれない。そうなると、ある程度コスト考えなくても、しかし場合によるとこれは研究すればすばらしいものが生まれるかもしれないぞというようなものはやはり国家研究していくことが必要ではなかろうか。私はそういう面で招聘型というのはそれに当たっているのではなかろうかと思います。  それからいま一つは、そういう形で日本がクリエートしていく中にあって、ずっと引き続いてしっかりしたものをつくり上げていくという意味において、国の研究機関、その中で一生懸命皆さんやってくれてはおりますけれども、やっぱり民間の頭脳というものを取り入れて、そしてその中で切磋琢磨しながらそういう国の研究機関の中でよりすばらしいものをつくり上げていこうという意味においては、こういう若手の人も入れて切磋琢磨させることが、将来の日本科学技術がより進み、より新しいものがつくり出されていくということには役立つのではないかというふうに考えておるわけであります。
  8. 狩野安

    狩野安君 ありがとうございました。科学技術創造立国日本といたしましては、大変期待をしているということですね。  招聘型と若生育成型、この二つ任期制選考採用はそれぞれどの分野からどのような手続で行われるのでしょうか。選考諮問機関のようなものはお考えなのでしょうか。人事院にお尋ねいたします。
  9. 角野敬明

    政府委員角野敬明君) 今回の任期制でございますけれども、招聘型と若生育成型二つタイプ考えておるわけでございます。それぞれのタイプにおきまして、研究者採用するに当たりましては任命権者でございます研究所長さんの選考によって処理を進めていただくというふうに考えてございます。  少しく御説明させていただきますが、招聘型任期制につきましては、御案内のとおり、研究業績等により特にすぐれた研究者研究社会で評価を受けているような方を国立研究所にお招きしょうということでございます。研究者の世界では専門の領域につき優秀な実績をお持ちの方につきましてはそれぞれ情報があろうかと思っておりまして、そういう人につき任命権者である研究所長が具体的な採用計画を持ってお話しになるというふうに考えております。そういう個々の具体的な採用のケースにつきまして、事前人事院に御相談をいただき、人事院の承認を得ていただいた上で処理を進めていただく、そういう手続をとることによりまして適切な運用を確保するようにしていきたいと思っております。  また、若生育成型でございますけれども、対象になりますのが独立して研究する能力を有するような高い資質を有している研究者というふうに考えておるわけでございますが、差し当たり具体的には大学院の博士課程を修了したような方、さらにはその後数年間の特別の研究員活動経験をお持ちの方を対象にしてそれぞれ選考を進めていただくということになろうかと思っております。  こういう層の方を考えてみました場合に、個々に当たるというよりも、広い範囲から候補者を選ぶというふうなことをお考えいただくのではなかろうか。そういうことを意識いたしまして、若生育成型採用手続に関しましては、事前対象になるような職種、それからどういう手続公募を行うか、そういうふうなものを記載いたしました採用計画書をおつくりいただき、それにつきまして人事院に御協議をいただき事後の処理を進めていただく、そういうことを通じて適正な推進を図っていきたいと思っております。  御説明いたしましたように、招聘型、若生育成型いずれにつきましても人事院が関与させていただき、適正な手続等をしていこうと考えておりまして、御質問のような特別の諮問機関を重ねて設定するということまでは考えていないところでございます。
  10. 狩野安

    狩野安君 わかりました。  科学技術庁にお聞きしたいんですけれども、過日の新聞報道によりますと、科学技術庁は、我が国国立研究機関が欧米と比較し規模が小さいこと、組織的にも縦割りであることなどが柔軟な人事管理を阻害し予算硬直化をもたらしているとお考えのようでありますが、本法案の導入により、これらの問題も含めた改善に近づくとお考えでしょうか。
  11. 青江茂

    政府委員青江茂君) お答え申し上げます。  今後、日本国といたしまして、例えば独創的、創造的な基礎研究でございますとか、地球規模の問題を解決するための研究でございますとか、それから防災等に資するための研究でございますとか、国としまして責任を持って遂行しなければならない研究課題というものはますますふえてくるだろう、こういう中におきまして、国立試験研究機関国研というものの役割、それに対する期待というものは今後ますます高まってくるというふうに認識をしておるところでございます。  そういうふうな国研現状というものに対しましては、例えば各省庁縦割りの中におきまして業務が細分化されまして規模が小さい、こういうふうなところでもちまして国際レベルのいわゆるCOEと言われるような非常にハイレベル研究機関というのが育ちにくいといった指摘もございます。  例えば、我が国の大変高名な研究者の方がおっしゃいますには、研究機関というのは一定のスレッシュホールド、いわゆる閾値というのがあるんだと。それに達しないような規模、小規模でございますと、いかにその成員一人一人が頑張っても、マスとしてはどうもそのアクティビティーは上がらないというふうな御指摘をなさる方もいらっしゃいます。こういうふうな現状も一方にございます。  また、国の直轄機関であるために、人事管理制度でございますとか財産管理制度、こういったものは一種の準則の中で対応しなければならない、一種硬直性といいましょうか、研究現場というところからいたしますと、もう少し柔軟に対応していただいた方がいいんではなかろうかというふうな指摘もございます。  こういうふうなことを逐次国研というものが本当に役割を果たしていく、真にアクティビティーの高い研究現場というものをつくり上げていくという観点から解決をつけていかなければならないというふうにも認識をしておるわけでございますが、こういう中におきまして、今回の任期制という問題は、いわゆる研究現場というものをより流動化した状態に持っていく、そういうことを通じまして活性なものに持っていくというふうなことでもちまして大変重要なステップになろうというふうに理解をしているところでございます。
  12. 狩野安

    狩野安君 今お話を聞いて、本当にこれがスムーズにいけばすばらしいことだというふうに思っております。  招聘型と若生育成型二つあるわけですが、招聘型は何となくイメージとしてわかるわけですが、若生育成型ということで、これを導入することによって現場で従事している研究者にどんなふうな影響を与えるのだろうかな、また反発などは現場人たちが持っていないだろうかと大変心配しておりますので、それをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  13. 青江茂

    政府委員青江茂君) お答え申し上げます。  任期制導入の指針につきましては累次お答えしているとおりでございまして、いわゆる研究現場というものが流動化していく。従来とかくございましたようなタコつぼと申しましょうか、そこでじっとしておったのでは独創的、創造的な研究というのはなかなか花開かないというところがございまして、研究現場というのが横に動いていくということが大変重要というふうなこと、そこに発想の原点があるわけでございます。  そして、任期制でもって入っていただける方というのは優秀な方でいらっしゃいます。非常に異なる研究環境の中で研究活動にこれまで従事をしてきました方、そういうふうな経験、知識というものも大変豊富な方がある研究現場に入ってくるということになりますと、研究現場全体の雰囲気というものを大きく変えるでございましょうし、それから受け入れた側の従前おられる研究者の方々に対しましても非常に知的触発の機会というものを与えるわけでございます。  というふうなことで、決して反発とかそういったことではなく、新しい血が入ることによりまして研究現場全体がより活性化していくのではなかろうか、このように期待しているわけでございます。
  14. 菊池光興

    政府委員菊池光興君) 今回の任期制は、ただいま科学技術庁の方からもお答えございましたように、研究者流動化を図り研究活動活性化を図るという観点から導入するものでございます。  具体的に今回の任期制により、特に若生育成型ということで御指摘ございましたけれども、若生育成型につきましても、任期制により採用されるすぐれた研究者、その能力に基づく研究活動によりまして、従来からの国立試験研究機関にいる研究者との間で異なった背景、経歴あるいは研究実績というようなものに基づいて相互交流が行われることによって、相互にいい刺激、啓発を受けて、これによってお互いに研さんが積まれるということになれば、今お話がございましたように研究実績というものも上がってくるであろうし、また国立試験研究機関研究業務全体の活性化というところにも大きくつながってくるものと、こういうふうに期待しているわけでございます。
  15. 狩野安

    狩野安君 確かに交流とかいろんなことを考えるといいことだと思いますけれども、現場研究している人たちもきっと自分たちこそ最高に優秀だと思っておられる方ですので、優秀なというのはどこでどういうふうにして見つけるのかなと、そういうことで反発もあるんじゃないかと私は老婆心ながら思っているわけであります。そういうことで、これも十分に留意してやっていただきたいというふうに考えております。  それからまた、若生育成型により採用された研究者任期を満了した後の雇用や保障などについてはどのようにお考えでしょうか、聞かせていただきます。
  16. 菊池光興

    政府委員菊池光興君) 若生育成型任期制研究員については、その趣旨が、将来において特定研究分野をリードしていくような優秀な研究者として認知されていくための登竜門として国立試験研究機関等においてそれにふさわしい研究業務に従事させる、そういう体験を積ませるというところにあるわけでございます。  本来、任期制研究員になることについては先ほどから公募によると、こういうようなお話がございます。本人の志願によって、任期がついているということを前提にそれに採用されてくるわけでございますから、任期満了のときには国との間における雇用契約身分関係が切り離されるということについては十分御承知の上で応募してこられる、こういうふうに考えられるわけでございます。  いずれにしましても、任期満了後におきましてはその試験研究機関における研究活動経験本人キャリアパス研究者としてのキャリアパスとして高く評価されて、それをもとに広く各方面における新たな研究活動に参画し活躍していくということが期待されているものでございますし、そういうような形で若手研究者としての育成が図られるものと、こういうふうに確信いたしておりますので、任期満了後における雇用の問題ということについては今からあらかじめいたずらに心配する必要はないんじゃなかろうか、政府趣旨が十分生かされれば当然この問題は解決されてくるものと、こういうふうに考えております。
  17. 狩野安

    狩野安君 それでは、今回の任期制導入することとしている招聘型と若生育成型について別々の俸給表を設けていますが、その二つタイプ任期つき研究員給与水準についてはそれぞれいかなる考え方により設定したのか。また、招聘型については俸給表を超える特例的な給与額を定めることができることとしているが、どのような趣旨かをお聞かせいただきたいと思います。
  18. 武政和夫

    政府委員武政和夫君) 任期つき研究員につきましては、特定研究業務にあらかじめ一定業績を上げることを期待しまして任期を限って任用するというものでありますから、期待される職責に見合った給与を確保するというのが基本的考え方かと思います。  また、人材確保という面から見ましても、招聘型研究員につきましては各研究所特定のニーズに即しそれぞれの研究分野において顕著な実績となる優秀な研究者を確保する必要がある、また若生育成型につきましても将来優秀な研究者として広く研究社会をリードし得る資質の高い研究員を確保する必要があるという前提に立っております。  これらの諸事情を考慮しまして、今回の俸給表はそれぞれにふさわしい俸給月額水準を用意したところであり、これを具体的に申し上げますと、招聘型につきましては、三十歳代前半からの比較的若手研究員に対応するものとして一号俸から、そして国内レベル民間研究員のトップクラスの研究員給与水準に相当しかつ研究所部内で見れば副所長に相当する水準である六号俸までを設定する、このような考え方をしております。また、若生育成型研究員につきましては、将来の我が国研究活動の中核を担うことを期待されている民間の優秀な初任から若手クラス研究員との均衡を考慮して水準を設定しているところであります。  また、法律につきましては特例的な取り扱いを規定しておりますけれども、通常は私どもは今申し上げました招聘型の俸給表水準に対応できるものというふうに考えておりますが、世界的なレベル研究者招聘する場合などにつきましてはこの俸給表では必要な人材が確保できない、そういった場合もあり得るかと思いますので、そのようなものに対応し得るよう、この法律で金額を出しています水準を超えた水準に個別に決定できるようにというふうに用意をさせていただいているところであります。
  19. 狩野安

    狩野安君 それでは、総務庁にお伺いいたします。  公務員退職手当法は生涯雇用のためのもので、任期つき期間が短いため低率の退職手当しか支給されないことになっております。処遇を含めて検討することも必要ではないでしょうか。例えば裁判官、審議会委員など、在職期間が短い特別職退職手当支給率適用などはお考えになっておられませんでしょうか。
  20. 菊池光興

    政府委員菊池光興君) 国家公務員退職手当法上、任期つき研究員任期満了により退職した場合の退職手当支給率といいますか、これにつきましては、純然たる自己都合による退職の場合より高い支給率により計算されることとなっております。そういうような意味でいきますと、任期のついている審議会委員と他の任期つき公務員と同等の扱いをすることといたしております。  また、任期つき研究員任期満了後引き続いて国家公務員として採用されるという場合もあろうかと思いますが、こういうような場合には当然のことながら他の国家公務員と同様に、その前後の期間に断絶がないということであれば前後の期間を通算して最終的に退職する際に退職手当を計算して支給するということになります。
  21. 狩野安

    狩野安君 あと、一般研究員に充てる予算採用枠にもかかわり合いが出てくると思いますけれども、任期制の割合というのは全体の何%を想定しているのでしょうか。また、個々研究所が必要なときに採用するというんですか、必要なときに募集するとか、そして募集したその時点で予算を要求するのか、また定期的に採用していくのか、それはもう既に予算も枠組みが決められているのか、その辺をちょっと教えていただきたいと思います。
  22. 菊池光興

    政府委員菊池光興君) 今回の任期制につきましては、今年度予算が実は編成されてもう衆議院から参議院に移るという三月六日という時点で人事院からの意見のお申し出をいただきました。それで、慌ててといいますか、速やかに検討をしまして、本日その御審議をいただいているところでございます。既に平成九年度予算というのは編成済みでございますので、この法律に基づきます予算措置というのは具体的には講じられていないというのが実態でございます。  今後、今回この法律を成立させていただいて、施行する段階になった場合にどう対応するかということになると思いますが、今回の任期制の具体的な導入規模というようなことについては現時点で私ども明確に承知しているわけではございません。  ただ、科学技術庁であるとか通産省の工業技術院であるとか、できれば法律が施行されたら今年度内の予算をやりくりしてでもできるだけ早期導入したいということの御意向は承っているところでございます。そういう意味で、今年度どの程度の規模でできるかというのは各省庁において御検討いただくべきことであろうかと思いますけれども、既定の予算の枠内でこれをやっていくということに相なっております。
  23. 狩野安

    狩野安君 果たしてうまくいくのかな、どうかなという心配もございますけれども、私の質問はこれで最後とさせていただきます。  将来、我が国科学技術立国に向け、柔軟な行政の対応による開かれた研究開発環境の整備が必要と考えます。それには間違いのない人選と育成が大変重要であると考えますが、最後に総務庁長官の見解をお聞きして、質問を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。
  24. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) 先ほども申し上げましたけれども、将来の日本にとりまして科学技術の振興ということは私は大変大切なことだと思っております。そういう意味においては、このような制度導入されることは決してマイナスではなくて、私はプラスに働いていくと信じておるわけでございますし、今たまたま人事局長からことしの予算がどうかというような心配もございましたけれども、今なるべく通産省なり科学技術庁の中の予算の範囲でやっていただきたいのでございますが、本当にすばらしい方がここで入ってくるということならば、そういうものは予備費の中から支出してでも対応していくというのが私は政府の姿勢でなければならないと、こう考えております。
  25. 狩野安

    狩野安君 すばらしい方に恵まれますことを心から祈念いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  26. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 平成会の鈴木正孝でございます。  この任期制研究員法律制度の創設ということでございますが、基本的には大変結構なことだというふうに考えております。今、狩野先生から御質問がございましたのでなるべく重複を避けたいと思いますが、若干重複するところがあるかもしれませんけれども、お許しをいただきたいと思います。  まず初めに、この任期制導入背景、目的といいましょうか、対象試験研究機関等は百くらいあるようなお話でもありますし、その種の試験研究機関活性化ということが今後の科学技術の推進ということで大変大事なことだというふうに私も思っております。  その点で、総務庁長官、この制度導入、実施についてどういう期待を具体的にされておるのか等、お話をお伺いしたいと思います。
  27. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) まだ具体的にどうこうということもございませんけれども、先ほど来人事局長からも御答弁申し上げましたように、これは科学技術庁なり通産省の工業技術院なり、あるいはその他の文部省の所管のそれぞれの国立研究機関なり、いろいろたくさんの機関でこういうことをお願いすることになるだろうと思います。  私どもといたしましては、先ほど来申し上げておりますように、一昨年ああいう形で科学技術基本法が成立し、将来の日本科学技術創造立国という形で行かなきゃいけない、こういうことを科学技術庁を中心として政府が決めたわけでございます。私どももその考え方には全く賛成でございまして、日本はこれからはなかなかほかの先進国を頼れない、日本自身が新しい、すばらしい科学技術をつくり上げていかなきゃならない、そのためには基礎科学というものもきちんとしていかなきゃならない、こういう面がございます。  特に将来を考えますと、先ほどと同じことになりますけれども、民間ではリスクの伴う、特に大きなリスクの伴うものまではなかなか手がつけられない、こんなようなものはやっぱり国の機関でしっかりとやっていくべきではないかなと思います。そうなりますと、そういう今の国立機関の中にいらっしゃる、すばらしい方々もいらっしゃいますけれども、もう少し幅広く、私はそれこそ国内だけではなく、外国も含めてすばらしい技術者あるいはすばらしい科学者がいらっしゃれば、そういう方を導入してでもそういう新しい科学技術あるいはそれを裏づける科学技術理論というようなものもしっかりつくり上げていく必要があるんじゃないか。そうなりますと、このような制度をつくることが大いにそれには役立つのではないかということで、私どもはぜひお願いを申し上げたいと思っているわけでございます。
  28. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 大変幅広くということで、いろんな面で各般に影響がこれから出ていくだろう、いい意味での影響が出ていくだろうというふうに考えているわけでございます。  次に、科学技術庁にお伺いしたいわけでございますけれども、この研究活動活性化への影響といいましょうか、先ほど来お話ございました科学技術基本計画に基づいていろいろとこれから対応していこうということでもありますけれども、一つ、言い方は余り適切でないのかもしれませんが、官民の相互信頼という観点からしますと、例えば招聘型というようなことで考えてみますと、民間の優秀な人をヘッドハンティングするような面も決してないわけではない、そういう側面もあろうかと思います。  また、民間に対して国の試験研究機関による圧迫というような側面も決してなしとしない、そういうような懸念も、そういう事態も心配はされるということもあろうかと思うんですが、それはそれといたしまして、科学技術庁自身が研究所の実際的な主体ということでもありますので、この任期制導入をどのように受けとめて、これをどういうふうに活用していこうかという、その辺をお尋ねしたいと思います。
  29. 青江茂

    政府委員青江茂君) 基本的な物の考え方につきましては累次御答弁申し上げているとおりでございまして、繰り返しになりまして大変恐縮でございますけれども、我が国研究現場、マクロで見ましたときに、柔軟で競争的な開かれた研究環境というものをつくり上げていきたい、これが科学技術基本計画一つの眼目でございます。  今申し上げました柔軟で競争的で開かれた研究環境というものをつくり上げていくということに当たりましては、研究者流動化というものが不可欠だというふうに認識いたしております。流動化することによりまして、研究現場というものがどんどん活性化してくるというふうに期待いたしているわけでございます。そういう観点から、今回の任期制ということをぜひ御検討をお願いしたという経緯でございます。  したがいまして、私どもの方におきましても、国立研究機関を五つ持ってございますけれども、この法律が成立、施行されました暁には、できる限り早くこの制度を生かしまして、任期制の方に、優秀な方に入っていただこうじゃないかという動きがもう各研究所の方で始まってございます。  これは私どもの方だけじゃございませんで、工技院の方でもそうでございますし、農林省、それからほかの省庁もそうでございまして、もう待っておると申しましょうか、そういう状況で、こういう形のものを使いましてできる限り一歩一歩なりとも研究現場をより流動的なものに持っていこうという動きが既に始まっておるということでございます。  さらに加えて、私どもの方では振興調整費という各省庁一体的にお使いいただくお金というものを一括計上で持ってございます。そういう枠組みを使いまして、この任期制でもって入っていただける方に一定期間内に非常に高いすぐれた業績を上げていただく、そのために必要な研究費というものを別途用意する仕組みというものも今考えてございまして、そういうものも側面支援をしながら研究業績を上げていただこうというふうに思っているわけでございます。
  30. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 次に、人事院総裁にお尋ねしたいと思いますけれども、昨年夏の人事院勧告、そしてこの三月六日の人事院意見の申し出、それを受けての法案の提出ということで、その一連の流れの中で経過してきているわけでございますけれども、人事院としてこの流れをどういうふうに評価しておられるか、その辺のお考え、御感想をお聞きしたいと思います。
  31. 弥富啓之助

    政府委員弥富啓之助君) 先ほどもお答え申し上げましたが、今回の措置は、科学技術基本計画に基づきまして、人事院早期に対策を求められたことに対しまして人事院意見の申し出をさせていただいたところのものでございます。これに基づきまして、先ほど来言われております招聘型任期制、それから若生育成型任期制二つの場合に、給与特例及び裁量による勤務ということを含めて整備することの意見の申し出をさせていただいたところでございます。  本日御審議をいただいている法律案、これは人事院が行った意見の申し出の内容を実現するものであると考えておりますし、意見の申し出をさせていただいた当院といたしましても本制度が早急に実施されることを切望しているということでございます。
  32. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 任期制の内容ということになるわけでございますけれども、招聘型あるいは若生育成型というようなことであるわけでございまして、この二つの場合に限って任期つき任用というものを認めている。ところが、先ほど来ちょっとお話がございましたけれども、人材流動化というものがそれほどまだ進んでいないというような状況でございますと、この二つの間の中間的なことも考えられるんじゃないかなというような思いもするわけでございます。  研究所側が今回の任期制趣旨、目的に合った丁任期つきの任用を行おうという判断をした場合に、公正適正な採用選考採用ということでもう少し幅広く認めてもいいんじゃないかというようなこともあろうかと思いますが、その辺、人事院の方の考え方というのはどのようなものでございましょうか。
  33. 角野敬明

    政府委員角野敬明君) 今回法律検討されております任期制二つタイプがあるわけでございますけれども、特に若手育成するため、あるいは評価の定まった優秀な研究者研究所招聘する場合、そういう二つの場合に限りまして任期を定めた採用を行えるようにしようということになっておるわけでございます。  いずれにしましても、この形の任期制を実施するか否か、その辺の御判断は一義的にはその研究業務につきまして最も責任と判断能力を有しております任命権者でございますそれぞれの研究所長さんがお決めをいただくということになるわけでございまして、その御判断を待ちたいと思っております。私ども人事院といたしましては、先ほど狩野先生にも御説明させていただきましたが、招聘型につきましてはその採用計画につき人事院の承認を得ていただく、若生育成型の場合には事前採用計画につき当院と御協議をいただく、そういう手続をとることによりまして、それぞれの研究所における任期つき任用が適切かつ公正に実施されるように努めてまいりたいと思っております。
  34. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 次に、裁量勤務制についてお伺いいたしたいと思います。  招聘型任期制の場合に裁量勤務制ということでやろうと考えておられるわけでございますが、研究業務の能率的な遂行という観点から見ますと、これに限って行うということも必ずしも必要ではないんじゃないか、もっとほかにも幅広くというような感じのところもあろうかと思うんですが、これを限定的に入れられた趣旨というものは何なのか、人事局長にお尋ねいたします。
  35. 菊池光興

    政府委員菊池光興君) お尋ねの裁量勤務制と申しますのは勤務時間の配分の決定その他職務遂行の方法について職員の大幅な裁量にゆだねるものでございまして、創造性をより発揮できる自由な研究環境、今回の場合でございますと自由な研究環境の整備を図るための条件の一つとして位置づけられるものでございます。  しかしながら、一方で、裁量勤務制と申しますのは、公務員にとって最も重要な義務でございます職務専念義務、それの大きな柱をなしております勤務時間というようなものの拘束をある意味でなくしてしまうわけでございますので、その極めて重大な例外というふうに受けとめているわけでございます。また、これは必ずしも公務部門ということではございませんけれども、裁量勤務制の導入によりまして、場合によってはその職員、それに従事する労働者に相当過重な勤務を強いる危険があるというようなことも指摘されているところでございます。  そういうようなことから考えまして、やはり裁量勤務制の導入については慎重に対応しなければならない側面もあるというふうに私どもも考えているところでございまして、今回は、既に高度の実績を有し研究活動の遂行について自己管理能力を十分有していると考えられる招聘型研究員について、限られた任期の中で明確な業績を上げる必要があるというような事情もかんがみまして、研究業務の能率的な遂行のために必要があると認められる場合に限って各省各庁の長の判断により裁量勤務制を適用する、こういうことにしたものでございます。
  36. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 招聘型の俸給水準といいましょうか、先ほど来お話が出ておりましたけれども、ノーベル賞級の研究者招聘できるようにということで考えておられるわけでございますけれども、一般職給与に関する法律に定める指定職の俸給表十二号俸の額を超えない範囲でということに制約をかけてお考えになっているわけでございます。しかし、そういう世界の研究分野のトップリーダーのような方を持ってきてお願いをしてということであると、そういう給与水準で十分なのかな、もっと高い給与水準を用意する必要があるのではないかというような心配も片方であるわけでございますが、その辺、人事院の方ではどのように見られているか、お聞かせをいただければと思います。
  37. 武政和夫

    政府委員武政和夫君) 先生御指摘のように、研究所長給与を超えて一般職の最高号俸である十二号俸近くまで給与を決定できることとしているわけですが、任期つき研究員と申しましても国の研究所に所属し、その組織に付託された研究業務を遂行するという基本的立場に変わりはないものでございますから、一般職給与適用職員の最高である指定職十二号俸の範囲を超えないというふうに決めさせたわけであります。  私どもの基本的考え方としては、給与としてはそのように考えておるわけですが、やはりそういった世界的レベルの優秀な研究者招聘するためには、給与もさることながら魅力ある研究環境を整えるということがまず重要ではないか、その一環の中で給与役割というのも考えていくべきではないか、それには限界がある、このように考えている次第であります。
  38. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 次に、総務庁にお尋ねいたしますけれども、今回出されました法律一般職に限定をしているということでございますけれども、どうもその内容、趣旨から考えてみますと、一般職に必ずしも限定されない、言ってみれば例えば特別職たる防衛庁職員につきましてもこの種のものは適用されてもいいんではないか。試験研究技術開発というような観点で共通項というものが非常にあるわけでございますので、その辺は総務庁はどのようにお考えになって一般職に限定したかというその点をお尋ねしたいと思います。
  39. 菊池光興

    政府委員菊池光興君) 国家公務員人事管理制度につきまして、特別職に係る制度一般職制度を規定します法律と同一の法律で規定するか別の法律で規定するかというのはさまざまな例がございます。  従来から特別職の職務の特殊性というようなものに着目して、一般職特別職とでは基本的な人事管理に関する法律を別に定めている例もございます。例えば国家公務員法と自衛隊法、こういうようなのが端的な例でございます。また、当該制度の内容あるいは経緯というような時々の諸情勢というようなものを踏まえて、その時々に総合的に判断されてきたところでございます。  今般の一般職に関する人事院の申し出を受けましたこの法律案につきましては、一般職について速やかに制度導入することが求められているということであります。特別職についてはそれぞれの職務の特殊性も踏まえて別途検討する必要がある事項も少なくないこと等を勘案いたしまして、まず一般職について速やかに制度を設けようということで、特別職たる防衛庁職員についての規定は含まないということにしたわけでございますけれども、今後、防衛庁におかれまして制度を立案されていくという過程におきましては私どもも十分御相談し、御協力もしていくということで考えております。
  40. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 今の総務庁の方の考え方でございますけれども、防衛庁は研究開発、しかも大変大事な先端技術にかかわることを技術研究本部を中心にいろんな研究所で一生懸命取り組んでおられるということでもありますし、また大変実績もあるということでございます。そんな中で、この制度を活用し得る分野が当然含まれているだろうというようにも思います。  今回、関係法令の改正提案ということがなかったわけでございますが、私はできるだけ早く制度の整備だけはした方がいいのではないかというようにも思いますので、その辺の関係のところの調整等が終わりまして、なるべく早く対応されたらいかがかなというふうに思いますので、その辺の考え方、御決意を長官にお伺いしたいと思います。
  41. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 研究活動活性化を図るという本制度趣旨を踏まえますと、防衛庁としましても、ある研究分野において特にすぐれた研究者と認められる者や、独立して研究する能力があり研究者として高い資質を有すると認められる者を本制度により任期を定めて採用して研究に従事させるということは今後必要性が高まってくるものと思われます。  正直言いまして、今度のこの制度をつくられるときに一緒にやれればよかったわけでございますけれども、御承知のとおり制度が若干違っております。人事院の承認を受けるとか、そういうことが若干違います関係上、うちの方が一緒にすることができませんでしたけれども、趣旨はただいま委員が御指摘のとおりでございますので、これから先検討して、できるだけ早くそういうふうに持っていきたいものだと、そう考えておるところでございます。
  42. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 ぜひそのように対応をお願いいたしたいと思います。  それから、この制度そのものはまた広い意味では官民交流の一形態というような気がするわけでございます。同じく昨年の人事院勧告、そして三月六日の意見の申し出の中で官民の人事交流について提案があったわけでございまして、私も総務庁長官にしばしばお伺いもし、そしてまた長官から大変意欲的な御発言もあるわけでございまして、恐らく関係省庁との詰めの作業を今一生懸命おやりになっているんだろうと思いますが、その辺の状況、それから今後の見通しを簡単に御説明いただければと思います。
  43. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) たしか一二月二十七日だったと思いますけれども、鈴木さんからそのような御趣旨の御質問がございまして、たしか私はそのとき、年金であるとか保険であるとか、いろいろと調整しなきゃならない問題がございます、しかし官と民がそういう形で人事交流することは大変結構なことでございますから何とか早く進めていきたいと、こういうふうに答弁したと記憶をいたしております。  今、人事局を中心として各省庁と調整を進めておるわけでございます。私としては、この秋に臨時国会が開かれるかどうかわかりませんけれども、もし臨時国会が開かれるようならば、そこで間に合うようにするように努力をしていきたい、こう考えております。
  44. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 大変はっきりと長官から御答弁いただきました。ぜひ秋に臨時国会が開かれまして、そこで御提案をしていただくような形でお願いをいたしたいと思います。また、防衛庁の方も先ほどのお話であわせてやっていただければというふうに思いますので、その辺をお願いいたしまして私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  45. 角田義一

    ○角田義一君 社民党の角田でございます。  最初に、防衛庁長官に、最近、国民の関心も大変高いガイドラインの見直しについて、ごく基本的な大事な点について見解を承りたいと思っております。  一つは、中間報告なるものが五月の下旬に発表されるというふうに承っておりましたが、いろいろお聞きしますと、六月の初めになるのじゃないかというようなことも言われております。事柄の性格上、大変重大な問題でいろいろ調整が難航しておるなというふうな気もいたしますが、五月の下旬が難しい、あるいは六月の上旬になるというのはどこにネックがあるんでしょうか、何が障害になっておるんでしょうか、その辺のことを率直にお尋ねいたします。
  46. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 特別ネックになっているわけじゃございませんけれども、双方が一緒に会合を持ちまして、いわゆるSDCの下の段階の審議官クラスの会合をやりましたり、あるいはまたSDCをやりましたり、いろいろと何回かやってきておるわけでございます。先般もこちらから出かけていきまして審議官クラスの会合をやりました。  基本的にはそんなに考え方は違ってないわけでございますけれども、向こうのスケジュール等もございまして、次の会合をいつにしようかとか、そういうことをやっておりまして、今度は向こうから来てもらおうかというようなことになっております。もう一回そのクラスのものをやって、その上で最終的に局長クラスのSDCをやろうとしますと、今月中はなかなか難しいということになりまして、最終的な局長クラスの会合は六月にずれ込むんじゃないかというようなことになっておるわけでございます。  したがいまして、決していろんな問題がネックになってトラブって先へ延びているということではございませんで、正直言いますと、向こうの都合がQDRで五月の中旬までかなり時間をとられておったというようなことから作業が進まなかった、そういう状況でございます。
  47. 角田義一

    ○角田義一君 そうすると、六月の上旬には中間報告の発表があるものというふうに我々は理解しておいてよろしいでしょうか。
  48. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 最終的に全部きちっとしたのが六月の上旬に発表までいけるかどうかですけれども、六月の上旬までには一応詰めを終わりたいという気持ちでございます。  ただ、委員会等に御報告させていただくのが上旬になるのか、ぎりぎり中旬といいますか、要するに国会中にはやると言っておるわけでございますから、その週にずれ込むのか、その辺はこれから先のちょっとした微妙な、というのは土日がかかっておったりなんかいたしますので、そういうような作業が中旬までにずれ込みはせぬかというような感じがしないでもないわけですけれども、できるだけ早くやりたい、そういうふうに思っているところでございまして、おくれてもそんなに遠くおくれない、そういう感じでございます。
  49. 角田義一

    ○角田義一君 そこで、いろいろ報道によりますと、米軍が日本に要求しておる協議の対象事項は千五十九項というようなことも言われております。それが輸送とか施設の提供とか補給とかという大体十三分野に集約されているというふうに報道されておりますけれども、大体そんなものでございますか。
  50. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) この間も行きまして向こうと打ち合わせをしてきておりまして、そういうふうに最後の詰めをやっております。米側との関係もございますから、中身について今まだ決まっていない段階で言うわけにまいりませんけれども、新聞報道された、委員が今御指摘されましたその内容については、ちょっと以前のかなり古いものじゃないかなという感じがいたします。  いずれにしましても、これは両方で煮詰め合った上で発表させていただきたいと思いますので、中身についてはここでは差し控えさせていただきたいと思います。
  51. 角田義一

    ○角田義一君 そこでお尋ねいたしますけれども、今のガイドラインがつくられたときに、長官も御案内と思いますけれども、前提条件というのが幾つかございました。  ちなみに申し上げますと、前提条件として、「事前協議に関する諸問題日本の憲法上の制約に関する諸問題及び非核三原則は、研究・協議の対象としない。」ということが一つ、それから二番目に「研究・協議の結論は、両国政府の立法、予算ないし行政上の措置を義務づけるものではない。」ということが明記されております。このことは今回のいわば見直しというところで守られるんでしょうか、それとも前提条件を崩すんでしょうか。これは非常に重大な問題でございますので、まず長官の所信を承りたい。
  52. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 現指針の前提条件の趣旨とするところにつきましては、見直し後の指針においても基本的に妥当するものと考えておりますが、その具体的な記述ぶりについては若干変わるんじゃないか、しかしながら委員が今御指摘になりましたその内容については基本的には同じだと、そういうふうに理解しております。  ただ、先ほど言われました「両国政府の立法、予算ないし行政上の措置を義務づけるものではない。」というのは、これはあくまで条約とかなんとかではございませんので、そういうようなことは当然のことでございます。ただ、私どもが考えておりますのは、それを受けました後、国内でどういう形で実施していくか、そのときに法律が必要になれば、衆議院、参議院の国会と相談しながら法律は準備いたしますし、また予算等も、必要になれば国会で御審議いただいて予算措置をするということでございまして、国と国とが条約みたいな形で義務づけるものではないという考え方は従来と同じでございます。  ただ、今言いましたように、そういう表現をどういう記述ぶりにするか、これについてはこれから先考えていかなきゃならない。しかし、前提条件については、基本的には前回、前回といいますか、現指針と同じであると、そういう理解に立っております。
  53. 角田義一

    ○角田義一君 私はそれ以上いろいろ突っ込みたくないと思いますけれども、長官の言われたことは非常に重要なことだと思っているんです。  いずれにしても、ガイドラインが見直された結果、今言ったように、予算措置であるとかあるいは新たな立法を国会に求めなければならぬ事態も起きるであろうということははっきりここでおっしゃっているわけです。予想されるということですね。そうなりますと、それはもはや現行のガイドラインではなくて新たなガイドラインが設定をされた、その結果、ただいま長官がおっしゃるように、立法措置なり予算措置なりというのが生まれてくるんじゃないですか。とすれば、今度のガイドラインというのはやはり国会における承認を求めるぐらいの重大性を持っているんじゃないか、単なる政府間の協議、同意じゃないと思うんですけれども、いかがでございますか。
  54. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) いや、そういうことじゃございませんで、例えば現行のガイドラインをいじらないでそのままだった場合でも、現在の置かれた状況の中からこういうことをしようというふうにお互いが思ったとき、それを実行していくために法律が必要になれば法律を出すわけでございますし、あるいはまた予算措置が必要ならば予算措置をするわけでございますから、必ずしも現行指針を変えたからそういうことが義務づけられてくるということじゃなくて、現行の指針であってもそういうことは出てくる。したがいまして、予算措置あるいは立法を義務づけるものではないということであります。  ただ、それぞれの政府がそれを受けてどうするかというのはこれから先実行に当たってのことでございますから、それは国内で国会なりなんなりに諮って予算措置あるいはまた立法を考えていくということになろうかと思いますので、その辺は特別の御懸念は要らないんじゃないかというふうに理解しております。
  55. 角田義一

    ○角田義一君 これは大事な問題ですから、今後、国会の中でも相当議論をさせていただかなきゃならぬ問題だというふうに思っております。  次に、盛んに問題になっておりますのは、周辺有事、周辺有事ということが言われております。日本有事はもちろんあってはならぬこと、いずれにしても日本有事の場合というのはあってはならぬことでありますが、これは法律的にもそんなに難しい問題は起こらぬと思うんです、あってはならぬことですけれども。  ただ、周辺有事ということになりますと、これは大変大きな問題が出てくるわけであります。その協議の中で一体周辺有事というのはどういうことを具体的に想定しておるのか、どういうことが考えられておるのか、これは明らかにしてもらいませんと、ただ観念的に周辺有事、周辺有事という形だけでは国民は理解ができないんじゃないかというふうに思っておりますので、この辺はどういうふうに考えておられますか。
  56. 秋山昌廣

    政府委員(秋山昌廣君) 昨年の九月に現在のガイドラインの見直しにつきましての進捗状況報告というものを公表いたしましたが、その三番目の検討項目といたしまして、我が国周辺で発生する事態で我が国の平和と安全に影響を与えるもの、それについての日米防衛協力について議論をするということになっているわけでございます。  具体的にどこでどうということではございませんけれども、我が国周辺で我が国の安全保障に影響のあるような事態、例えばいろいろな紛争ということも含まれると思いますが、そういった我が国の安全保障に影響のある事態が発生した場合の日米間の防衛協力を議論しているということでございます。
  57. 角田義一

    ○角田義一君 秋山防衛局長のその答弁ではとても国民の皆さんに納得していただけないと思いますよ。そういう抽象的なことなのでしょうか。世間様ではもっと突っ込んで、どういう形態だかわかりませんけれども、例えば朝鮮有事だとかあるいは台湾海峡波高したとか、そういうことが想定をされてこのガイドラインというものがいろいろ研究をされておるのではないかというふうに世間様では見ていますよ。それをあなたが幾ら抽象的なそういう表現でここを乗り切ろうとしても、それは国民は絶対納得しない。そういうものも当然考えられているのではないかという疑問を国民は持っておるわけです。その点についてはどういうふうにお考えになりますか。
  58. 秋山昌廣

    政府委員(秋山昌廣君) なるべく早い時期に現在の検討状況につきまして中間的なレポートをまとめて発表いたしたいと考えているわけでございますけれども、今の御指摘の点につきましてもまさに今議論している最中でございます。  例えば検討対象項目の第三番目の項目の小項目について少し申し上げますと、人道支援、人道的分野からの支援というような項目あるいは非戦闘員の退出、脱出といったような問題、これは例えば内閣の安保室の方で議論をしております邦人救出といったような問題にも絡むわけでございますけれども、人道支援ですとか非戦闘員の退出の問題とかそういった問題も含めて議論をしておりますので、当然のことながら我が国周辺で発生する事態で我が国の安全保障に及ぼす影響というものは、そういったものが起こり得る、そういう事態を想定しているわけでございます。
  59. 角田義一

    ○角田義一君 私は、率直に申し上げますけれども、防衛局長が今言ったような事案については、これは国民の皆さんの相当な議論があると思いますけれども、大方御理解はいただけるような分野なのかなというような気持ちもいたします。  問題なのは、言うところの後方支援とかいう問題です。それから、自衛隊がどういうふうに後方支援と現実にかんでいくのかということは、これは長官にもお尋ねしたいんですけれども、日本の自衛隊というのは専守防衛を大任務にしておりますね。我々社民党も、いろいろ議論はありましたけれども、今日の自衛隊を憲法上認めておるのは専守防衛に徹するという大原則、大骨格、これは揺るがないというふうに思っておるから支持もし理解もしておるわけです。しかし、後方支援のやりようによっては、これは自衛隊の性格そのものが変わるということも、具体的に後で問題提起しろと言えばしますけれども、あり得るわけですよ。  例えば、アメリカ軍に武器弾薬、兵器をいわば有事のときに一体となって輸送する業務に携わるということになった場合には、これは自衛隊というものは本来そういうものではないのではないかというふうに私どもは理解しておりますから、これは大変なことになる。要するに、自衛隊の性格そのものが変質するというか変わるとか、こういう形にならざるを得なくなる。その辺のことをきちっと踏まえて協議されておるのでございましょうね。これは大変なことでございますよ、どうですか。
  60. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 今、委員が御指摘になられましたように、私どもの自衛隊の任務というのは、現在の自衛隊法が完璧かどうかは別にいたしまして、要するに憲法の枠内で専守防衛ということでやっておるわけでございますから、これからはみ出すことはしない、そういう前提で作業はやっております。したがいまして、これは余り委員考え方は違わないと思うんです。ただ、それを憲法の枠内、要するに武力の一体化になるようなことはしませんよ、専守防衛ですよという、そこのところをその範囲内でどこまでやれるか、そういうことだろうと思うんです。  武器弾薬の輸送その他についても、これは武器弾薬を輸送したらそれが即いかぬということではないわけでございまして、平時のときだって武器弾薬の輸送をやっておるわけでございまして、有事のときにやるのがどこまでそれに加担した格好で戦闘につながっていっているか、そこら辺で結局分けられることになるのではないかと思うわけでございます。  したがいまして、これについては憲法上の問題もございますから法制局ともこれから先十分詰めなければなりませんけれども、物資の輸送のときに弾薬は一切だめなのかどうかということを考えますと、そういうものについても議論は大いにして、ただし武力の行使と一体になるようなおそれがある、いわゆる憲法九条に抵触するようなことについてはやれないわけでございますから、やれないものはやれないというふうにしたらいいのではないか、そういうことを言っているわけでございます。
  61. 角田義一

    ○角田義一君 防衛庁長官の発言はちょっと心配な面もあるんですね。というのは、あってはならぬことですけれども、日本有事の際に日米間で例えば弾薬を運んだりお互いが供給し合ったりということは、これは論理的にあり得るし、それは個別的な自衛権の行使の範疇に入ると私も理解しております。あってはならぬことですけれども、そう思うんです。  ただ、周辺の有事のときに武器弾薬を運ぶということになったときに、日本は戦争状態になっていないわけですよ、日本自体は。しかも、そのときに自衛隊が武器弾薬をアメリカ軍に供給するとか運ぶとか一体となってやるとかということになると、これはまさに九条の問題集団的自衛権に絡んでくる問題なのであって、そこのところは主権の行使として相当はっきりアメリカにも申し上げないと、これは日本の命運を決する大変なことに私はなるだろうというふうに思っておるんです。  これは、理論的というか、まず防衛局長から聞いて、それから長官から締めくくりをちゃんとしてもらわないと、きょうからもう不安で寝られません、私は、国民は。
  62. 秋山昌廣

    政府委員(秋山昌廣君) 今御質問の中にございました集団的自衛権に該当するようなことは、これはその検討対象から外すという基本方針を我々確認しながらやっているわけでございます。それから、もちろんそれに関連するわけでございますけれども、先ほど大臣から答弁がありましたように、いわゆる武力行使との一体化になるような行為も厳しくチェックしながら議論をしているところでございます。  そういう前提もとで若干申し上げますと、現在、安保条約第六条におきまして極東の平和と安定の確保のための米軍の活動に関する施設あるいは基地の提供ということは日本政府として認めているわけでございまして、それは日本の憲法の枠内での行為として認められているわけでございます。  そこで、我々としては、こういった我が国周辺で起こり得る事態で我が国の安全保障にかかわるような問題、それに関連いたしまして米軍が活動しなければならないような事態のときに、施設の提供等とあわせまして、米軍の活動につきまして何らかの支援というものが必要なのではないか、そしてそれは憲法で言うところの集団的自衛権ですとか、あるいはその派生の問題ですけれども、武力行使の一体化といったような問題を厳しくチェックしながら、そして何ができるのかということを現在議論しているわけでございまして、その中で、専守防衛ですとか我々が今維持しておりますいろいろな防衛についての基本方針を堅持した中で、日米防衛協力で何ができるのかということを議論しているわけでございます。そのうちの一つとして後方地域における支援という問題があるわけでございまして、その中に御質問の武器弾薬の例えば輸送といったような問題も今我々は議論をしております。  もう一言付言させていただきますと、現在のガイドラインの第三項にも極東有事における米軍に対するサポートという問題が項目としては挙がっております。これは簡単に書かれておりまして、率直に言ってちょっとまだガイドラインになり切っていないようなものでございますけれども、概念としては現在のガイドラインの第三項にも同じようなものは入っているわけでございます。
  63. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 今、局長が言いましたように、現行の指針にもそういうのが挙がっておる。今度はそこのところをはっきりしよう、はっきりするときに我が国として憲法上できないことについてはきちんとしょうというような中で議論しておるわけでございますから、委員が今御指摘になりましたような議論はこれから先やっていくことによってよりはつきりしてくるんじゃないかと思います。  そして、これはやっぱりできないということになればそれはやらないわけでございますし、法律論からいっても憲法の解釈からいってもできることについてはやってもいいんじゃないかということになってくるわけでございますから、決して憲法の解釈を無理に広げようとかそういうような気持ちではございませんで、きちんとしたものにしていきたいという、そういう率直な気持ちでございます。  今度のガイドラインができると非常に安保条約の中身が広がってしまうとか、自衛隊の活動範囲が物すごく広がってしまって専守防衛を踏み出してしまうんじゃないか、そういうような不安を持っておられる方がいらっしゃいますけれども、そういうことにならないようにきちっとしたいというふうに思っておりますので、どうぞ御理解賜りたいと思います。
  64. 角田義一

    ○角田義一君 時間がありませんから最後に申し上げておきますけれども、私は率直に申し上げまして長官が今言ったような不安を持っている国民の一人です。はっきり申し上げておきます、これは。よほどしっかりと憲法の問題、集団的自衛権の問題、これについてはアメリカと談判はきちっとやるということでないといけないと思っているんですよ。長官、そのことだけはっきり答弁してもらって、御退席いただいて結構です。
  65. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) アメリカと談判するというよりも、我が国の姿勢を国内においてきちんと、今言われたようにこれ以上はできないということをまず政府自体がきちっとして、それをもってアメリカに対してももちろん言ってきているつもりでございますから、日本国政府としてこれはできないということについては、向こうはそれはやむを得ないということは理解しておるわけです。憲法の枠内でやりますということを最初に大前提にしておりますので、その枠内でやらせていた、だきたいと思っております。
  66. 角田義一

    ○角田義一君 防衛庁長官にはこれで終わります。御退席いただいて結構でございます。  一般職任期つき研究員採用給与関連法案についてお尋ねをいたします。  まず、総務庁長官にお尋ねいたしますが、先ほどから先生方の御意見質疑を拝聴しておりますけれども、研究者流動化ということが盛んに言われております。しかし、現実に今の日本にこういう研究者流動化できるような、ちょっと言葉は悪いんですけれども、労働市場というようなものは果たして確立しているんですか。これについてどう思っていますか。まず聞きたい。
  67. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) 労働市場が確立しているというか、研究者分野というのは御承知のとおり閥もありますでしょうし、いろいろありますけれども、我々が考えているのは、先ほどもノーベル賞クラスという答弁がありましたが、そこまでいかなくても、国立研究所でいろいろやっておりましても、この研究はもう少しすばらしい知識をお持ちになった、あるいは従来いろいろと研究を重ねてこられた方を招聘した方がうまくいくんじゃないかということが私はあるんではなかろうかと思います。労働市場が確立しているということについてはそういうことはない、確立はしていないと思います。  しかし、くどいようでございますが、とにかくもう今までは日本はアメリカなりなんかにある程度パテント料を払っても結構容易に技術も入ってきたし、理論も入ってきた。しかし、アメリカだって今警戒しているわけですから、余り日本にどんどん教えちゃうとまたうまくやっておれたちより先へ行っちゃうんじゃないかと、私はそういう気持ちはあると思います、この世界。そういうことになってきたわけでございますから、これからは日本の国内の頭脳をより活用して、そして新しい科学技術なり新しいそれを裏づける科学理論をつくっていかなきゃならない。だから、私は新しい考え方でいかなきゃいけないんじゃなかろうかと思います。  そうなってまいりますと、従来の一つのそういう労働市場という考え方よりは、もう一歩超越した考え方でいかないとこの問題には対処し切れないんじゃないか、私はこういうふうに考えております。
  68. 角田義一

    ○角田義一君 ノーベル賞クラスで、何か東大、京大の総長さん程度の待遇を考えているとかいうことがありますけれども、そういう方はちょっとこっちに置くとして、いわば若生育成という、これからの日本を担ってもらう人たちが例えば三年とか五年という形で一応研究を終えて、成果もあった。そこで一応今度はそこをやめなきゃならぬわけですね、永久にいられるわけじゃないから。そうすると、今度その人たちを受け入れてくれる世の中というのは一体どうなっておるのか。ある程度その見通しとか保証というものがないと、これは三年なり五年間冒険してみようかという気持ちにもならないんじゃないかなという気がするんです。  となりますと、これは政府だけでやれるものじゃないんではないか。いわば民間の協力、特に経団連とかそういうところの御理解、御協力もいただきながら、そういう人たちが仮に三年なり五年なりやってやめた後の受け入れる体制というか、そういうものを一体どう整備するか、どういう協議機関を設けるか、そこまで踏み込んだ親切なことも考えないと、ただ若生育成といったって、やった後一体おれはどうなっちゃうんだろうかなと、こういう心配があると思うんですね。この辺まで手が届くようなことを考えておるのかどうかということだと思います。長官、どうですか。
  69. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) 実際には私どもの役所ではなくて、先ほどから申し上げているように、科学技術庁、通産省工業技術院あるいは文部省のそれぞれの研究機関、いろいろでやっていくわけでございますが、例えば一つの具体的な例を申し上げますと、最近、郵政省で将来の情報通信のあり方、二十一世紀のあり方というので、この間報告書か何か出して、私も報告を受けました。  例えば光ファイバー、今一生懸命NTTを中心として全国ネットをやっておるわけでございますね。私の承知しているのは、たしか六十兆ぐらいかかるというんです。ところが、ADSLというのがあるわけですけれども、これはアメリカで相当進んでおると聞いておるのでございますが、日本は残念ながらまだほとんど進んでおりません。  今、光ファイバーを普及させて、それこそ各世帯ごとにインターネットで結ぼうというのが郵政省の考え方のようですけれども、従来の電話線とこの光ファイバーのもととなるものをうまく結びつけるのがADSLと聞いているわけです。そのADSLでうまく結びつければ、これで幾ら金がかかるかと聞いたら、大体十五兆で済むというんですね、四分の一で済みますと。こういう話も民間技術屋さんから聞いているわけです。  例えばそういうようなことがもしあれば、それを研究している民間の方、若手で結構やっておりますから、それこそ郵政省の研究機関のどこでもいいんですけれども、そういう人に来ていただいてやっていけば、国の金が四分の一で済むなんというのは大変いいことであると私は思うんですね。これは今のノーベル賞的な人じゃなくても、相当民間研究している人があるわけでございます。私はちょうどそんな話を聞いたので今御披露するわけでございますけれども。  そういうような形は私は若生育成型でもやれるんじゃないかなというふうに考えておりまして、とにかく日本の国は自分でもうどんどんつくり上げていかなきゃいけないんですから、それはさっき言ったように招聘型で立派な方もいいですけれども、そういう現実に民間である程度進んでいること、あるいは場合によればアメリカで進んでいること、アメリカからそういうのがうまくこちらへ来てくれればそれで結構いくんじゃなかろうかというような考え方に立っていけば、私はこれは非常に効果があるのではないかというふうに思っております。
  70. 角田義一

    ○角田義一君 終わります。
  71. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 任期つき研究員採用等に関する法律案質疑の前に二、三、武藤総務庁長官にお尋ねしたいことがありますので、前段に触れさせていただきたいと思います。  それでは、まず一点目でございますけれども、総務庁がことしの二月に「大規模な農業基盤整備事業に関する行政監察結果に基づく勧告」を出されているわけですが、いわゆる諌早湾の干拓事業でございます。    〔委員長退席、理事板垣正君着席〕  これは我が党の衆議院議員の渡辺議員からも過日質問主意書を政府提出しているところでございます。そこで、これはもう既に大々的に報道されていることでございますから、詳しく御説明することは省いても当然であろうかと思います。  この勧告の中に、諌早湾の干拓事業に関して、「実施中の事業については、環境に十分配慮し、事業の進ちょく状況に応じ、土地利用、営農等の確実性について確認しつつ、所要の検討を行い、必要に応じ事業計画の変更を行い、適切に対処すること。」と勧告をされております。  総体的にこの文章を見る限り、即時やめなさいとかということについての断定的な表現は使っていなくても、この間のいわゆる農地開発事業、農地を確保して農地開発事業についてるる歴史的な経過をかんがみながら慎重に検討していくということでありますが、慎重に検討というのは、言葉を置きかえて言えばもう見直しをしなさいということに近いほど、私はそういう文言に終始をしているというふうに受けとめさせていただいているところでございます。この結果、農水省がこの勧告に基づきましてどう取り扱っているかということに今日に至っていると思うんですが、今日まで見る限り、農水省はこの総務庁の勧告を重視したとは私は思えないというふうに思います。  先ほど報道機関という表現も使わせていただきましたけれども、私も改めて報道機関のこの間の社説等を見させていただきましたけれども、やはり過ち、誤り、公共事業については気がついた時点で、後戻りできないにしても、そのときに判断をして少なくとも中断していくというようなリーダーシップと行政、政治の方向というのが今まさに日本の政治にとって必要ではないかと、こういうことが大方の論調であろうというふうに思います。公共事業、農業、環境、それぞれの側面から検討を加えていこう、見直しが必要性だということが、これはある意味では国民の総意と申しましょうか、多数の声ではないかなというふうに思います。    〔理事板垣正君退席、委員長着席〕  そこで、武藤総務庁長官にお伺いさせていただきますが、この行政監察局が提起をしております農業基盤整備事業の見直し、このことについて、私は諌早湾の干拓事業についてそういう立場で見直しを迫っているわけでございますけれども、現段階での長官の見解について伺わせていただきたいというふうに思います。
  72. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) 私どもが行政監察をやりましたのは諌早だけではなくて中海もございますし、全国八カ所の大規模な干拓事業について行政監察をやって、それに従って今御指摘のような勧告を出したわけでございます。その回答は今月末ということになっているわけでございまして、それを受けて、私ども十分それを精査した上でまた私どもの判断をしていきたいと思っております。  今御指摘のように、大変時間がかかっているものとか年月がかかっているものとか、あるいは環境を破壊しているものとか、果たして今後の日本の農業という中で本当に営農の役割を果たしていけるんだろうかとか、その辺をいろいろ疑問視しながら、これは何も諌早というわけではございませんが、全国的にそれぞれの干拓事業についてそういう考え方をも持ちながら勧告をしたことは事実でございます。  諌早の問題については、その回答が出てきた段階でどう対処していくかというのはそのときに考えていきたい。ただ、この間の質問書につきましては、農水省の答弁書がどちらかというと防災対策を中心としてなされておりましたので、私は防災対策という観点からならば、大変あそこがはんらんが多いというところでございますし高潮が来るということでございますから、その点は私は理解をするということで、これは私もサインをして認めたわけでございます。
  73. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そうしますと、これは報道でございますが、総務庁として必要に応じて計画を変更し適切に対処することと勧告していますけれども、長官のコメントとして、高潮対策で効果があるということならば総務庁としてもこの干拓事業の引き続きの事業進捗について認めていくとこういう報道ですが、そういうことで正式にお答えになったというふうに受けとめてよろしいんですか。
  74. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) 干拓事業全体については、今度の回答をいただいてから私はしっかりともう一回考えてみたいと思っております。  ただ、この間の質問書に対しては、あるいは閣僚懇での議論は、防潮の堤防をつくって、そして水門を締め切ったのはいわゆる高潮対策であり、そしてきょうの閣僚懇でもまた実は話が出たのでございますが、場合によれば水門をあけることがあり得るという話があるわけですね。  それはなぜかというと、川の方から流れてきた水があそこにたまるわけでございまして、そのたまった水にいろいろの好ましくないものが発生するというようなときにはそれをどうするかという話がある。あれは四メーターの落差、潮の満ち引きがあるそうでございます。そうすると、マイナス一メーターですから四メーターならマイナス三になるわけですから、こちらが高くなるわけなんで、そういうときには水門を開くということもあり得ると。きょうの閣僚懇で、実は農水省と環境庁とが打ち合わせた上でそういうことも将来考え得るというお話がありました。  ですから、そういう面においては環境対策と、そしてそういう高潮を防ぐ、あるいは上流から来る川の水のはんらんがあった場合には今の話で水門をあけるということもあり得ると、こういうお話でございますから、そういう点では防災対策に役立っておるのではないかなと、こういうことで理解を示して、それで閣僚懇でも私は、防災対策としてはオーケーですよ、しかし干拓事業そのものを今後どうするかということについてはペンディングですよと、こういうことを申し上げて、記者会見でもそのように申し上げたわけであります。
  75. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 いずれにしましても、この事業は相当な年月をかけて、構想から五十年弱かかって浮上をしまして今日に至っていると思うんですね。その五十年、約四十五年だと思うんですが、そういうスパンで言いますと、防災面というのはここ最近の提起でございまして、大部分はいわゆる農地の拡大という中での事業なわけですね。当初から一千億膨らみまして二千三百五十億円と、こういう大変多額な事業費が見込まれております。  今、防災についてということで、その部分については長官としても御納得いただいているような御回答でございますが、これにつきましても、例えば河川改修とか既存の堤防のかさ上げによって十分対応できるんではないか、そういう専門家の御意見もあるわけでありまして、一度もう事業が進捗してくるとなかなか後戻りがきかない、ストップがかからないというのが従来の日本の事業のあり方かもわからないんですが、これはせっかく行政監察局がいわゆる農地拡大の部分からきてさまざまな角度から提起をしたという大変貴重な勧告でございますから、長官のいるこの総務庁しか冷静な立場で取り組む省庁はないわけですから、一度やったらこれは後戻りしないんだ、見直しをしないんだというような姿勢はぜひとも改めていただきたいなというふうに思います。  ムツゴロウと人間とどっちが大事かなんというような見出しもございますけれども、そういうような情緒的な、感情的なことではなくて、自然について当然配慮しなきゃいけないというのはだれでもそうだと思うんです。ですから、先ほど触れましたそういった対応でぜひとも御検討を加えていただきまして、この干拓事業に対しまして国民の声が届くような政府施策になることを申し上げさせていただきたいと思います。  時間の関係もございますが、もう一点、これもどうしても気になります行政改革プログラムの関係です。  これも長官が大変御奮聞いただいているということもお聞きしているわけでございますが、各省庁のヒアリングで行政改革に非常に激しく抵抗しているということがこれまた報じられています。既に行革のプログラムが発表されまして約五カ月ぐらいたっています。昨年の十二月末に閣議でプログラムが決定されていますけれども、これから実際に実行に至る過程の中で、こんなスタートの状況だったら果たして各省庁がもっともっと抵抗してくるんじゃないかということで、どう克服されていくんだろうかということが大変気になるところでございます。責任担当所管大臣といたしまして、この行革プログラムの遂行に当たりまして、各省庁との対応を含めまして率直な所感を伺わせていただきたいと思います。
  76. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) 何といっても行革プログラムはプログラムでございますが、いずれにしても今の日本の財政状態を考えましても、また日本縦割り行政を見ましても、あるいは縦割り行政の欠陥がいろいろ指摘されているわけでございますし、どう考えてももっとスリムな行政機構をつくり上げていかないと二十一世紀日本の繁栄はあり得ないというふうに私は思っておるわけでございます。だから、だれが反対しようがどうしようが、行政改革というのはやり遂げなきゃならない仕事だというふうに思っております。  役所の皆さんは、ヒアリングすれば、自分たちのやっていることはすべて正しいのでございます、何もむだはございません、もうみんな一生懸命やっておるんだと。それはそのとおりだろうとは思いますけれども、そんなことになれば行政改革は何もやる必要はないのであって、国民の声はスリムな小さい政府、この間も見ていると小さい政府になりなさいと、こう言っているわけです。日本は今少し大きな政府になってきたわけですから、国民が小さい政府と言われる以上は、私どもは役所のために仕事をやるんじゃなくて、国民のために、将来の日本の国の繁栄のためにこの仕事をやらなきゃいけないわけですから、私は役所が幾ら反対したってやらなきゃいかぬ、こう思っております。  幸い、行革会議というのは役所はメンバーに入っておりません。スタッフには入っておりますけれども、メンバーには入っておりません。総理がどこまで考えているのか私はよくわかりませんけれども、総理が会長で私が会長代理でございます。私は、総理、会長に相当強く進言してでも、とにかく役所が反対したら反対したでいいと、しかし我々は我々で案をつくろうということで、ヒアリングは一応いたしますけれども、ヒアリングが六月で終わりますので、終わったら七月から八月、九月にかけて我々は我々の考え方で案をまとめていきたいと思っております。  そして、それを実行できるかどうかは、それは役所も協力してもらわなきゃなりませんけれども、やっぱりこれは世論をバックにして、あるいは各政党の皆さんにもできるだけ御理解をいただいて、日本の国のためにスリムな効率のよい政府をつくっていくんだと。あるいは縦割り行政の欠陥を排除して、同じような仕事は同じ役所で全部やるというような形にひとつ機構をつくりかえてしまうというようなことをやっていかなきゃいけないんじゃないかと。それは総理にも私は申し上げて、幾ら役所が反対しておったって、これをばっと発表して、そして世論の背景でもってそれは二〇〇一年までにやる、そのための法律は来年の通常国会でつくろうと私は進言したい、こう思っております。
  77. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 長官の御答弁を伺っていますと、こういう言葉は使っていませんが、しょせんヒアリングすれば役所というのはそういうような回答をするだろうと。しかし、それは役所のサイドであって、いわゆるリーダーシップをとるのは政治の場であり、また議会の場であるということで、総理が時々火だるまになってもというようなことは、たしかこのことを指して発言されているんじゃないかなというふうに思います。  そうすると、ヒアリングを今続けていますけれども、総務庁長官お話ですと、各省庁がこれからさらにどういうふうな作戦を練ってくるのか興味もあるところでございますけれども、いずれにしましてもこのことは待っていてはできない状況だと思います。ぜひ長官としてもリーダーシップをおとりいただきたいなというふうに思います。  さて、一般職任期つき研究員採用に関しまして何点かお伺いさせていただきます。  人事院総裁お答えいただいた方がよろしいんでしょうか、今度のこの任期つき研究員採用に当たりまして、どういうふうに選考が進められていくんだろうかということが一つ気になります。だれかいい人がいた、私がこれは採用したいよというだれかが、これはまた恣意的に採用してはならないわけですが、いい人であれば、よりそのことが全体的にある意味では周知されて公平に採用されていくということが当然だろうと思うんですが、この公平性はどのように図られていくんだろうか、このことについて冒頭伺わせていただきます。
  78. 角野敬明

    政府委員角野敬明君) 少しく技術的な問題かと思いますので、私の方から御説明させていただきたいと思います。  任期制につきましては、招聘型、若生育成型二つの場合を限りまして、その特定の場合について任期を定めた採用を認めようということになっておるわけでございます。  それぞれにつきましては、先生御指摘がございましたように、選考による採用ということになるわけでございますが、招聘型につきましては、既に何度も御説明させていただいておりますように、研究社会においてその優秀さの評価が確立しているような優秀な研究者国立研究機関招聘するということでございます。個々の人につきまして採用の話が進んでまいろうかと思っておりますが、それぞれのケースにつきまして人事院として事前に御相談をいただき、研究課題に対し適切な人が選考されているのかどうなのか、その辺を適切に判断していくようにいたしたいと思っております。  また、若生育成型任期制につきましては、大学の博士課程を修了したような人あるいはポスドクの経験者等、それなりに研究者としての独立した研究活動ができるような人として評価できるような人につきまして、人事院と御相談をいただいた採用のための公募手続等を経て個々選考をしていただくということでございまして、そういう手続を経、その過程で私ども御相談をさせていただく中で公正適切な選考採用が行えるよう各機関にも御努力をいただきますし、私ども人事院としても十分配慮してまいりたいと思っております。
  79. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 先ほど来の質疑の中でどの程度の規模採用が行われていくんだろうかというようなやりとりがあったと思うんですが、通産省とか科学技術庁の省庁名が出たんですが、具体的にはこれからだということだったと思いますね。  さらに、人件費についても今の予算の範囲内と。長官の方はさらに踏み込んで、予備費も含めてこれはというようなことがありましたが、事前説明ですと現行の予算内ということですから、予備費も予算内と言えば予算内ですけれども、そういうある意味では採用に当たりましての積極的な答弁もございました。  そこで、二、三さらに確認させていただきたいんですが、優秀な研究員及び外国人研究員、こういう外国人研究員採用の見込みはどういうふうになっているのか、それからその際の給与格付についてどういつだ対応をされるのかということであります。  もう一つ、時間の関係で続けて伺わせていただきますけれども、政府が決定しておりますいわゆる男女共同参画型社会考え方、このことが今度のことで反映されていくべきだというふうに思いますけれども、この二つについて、総務庁あるいは人事院、それぞれのお立場でお答えいただきたいと思います。
  80. 角野敬明

    政府委員角野敬明君) 外国人の研究者を含めて採用の予定ということでございますが、私ども、個々研究所等から具体的な採用予定についてこれまでに詳細を伺っておりませんので、詳細なことを申し上げるだけの情報を持ってございませんが、この制度が成立しますれば、いろいろ採用活動等を行い、あるいは具体的に話を進めたいというふうな話を一、二研究所から聞いておりまして、それなりの活用が図られるものと期待をいたしております。
  81. 武政和夫

    政府委員武政和夫君) 給与の格付についてのお尋ねでございますけれども、今回の任期つきにつきましては招聘型と若生育成型とあるわけですが、招聘型研究員につきましては、従事する研究業務に応じまして各省庁が個々研究員の具体的な能力業績等を評価し、そしてその際に個別的な人材確保の困難性といったようなものを考慮しつつ格付するというふうに考えております。  これをさらに具体的に申し上げますと、採用後に従事することとなる研究業務の困難性や重要性の程度、その研究に必要とされる専門的な知識、経験の程度等に応じて号俸を決定する、そして年齢や経験年数にかかわらず、その者の研究業績民間における評価や研究業務研究所内における位置づけ等、そういったものを踏まえて具体的には判断することとなるというふうに考えております。  外国人を採用する場合についても基本的には同様でございますが、先ほど来申し上げましたように、この六号俸を超える必要性がある場合につきましては、指定職十二号俸の範囲内で決定することができるということで、その際につきましては人事院が個別に相談にあずかるというふうに考えております。
  82. 菊池光興

    政府委員菊池光興君) 男女共同参画社会、こういうようなことを推進している中で、この任期つき職員の採用についてもそういうような面が十分反映されるべきでないか、こういうお尋ねであったと存じます。  総務庁といたしましては、従来から公務部門におきましても社会の各分野における男女共同参画の推進など、時代の変化や要請に適切に対応した人事管理を推進するよう、各省と相諮って推進に努めているところでございます。  今回の任期制による研究員採用に当たりましても、このような方針を踏まえまして、国家公務員法に定める平等取り扱いの原則及び成績主義の原則に基づいて任用を行うということは当然でございまして、そういうような意味で、優秀な研究者であれば男女を問わず任期制研究公務員としての採用対象になり得る、こういうふうに考えてございます。
  83. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 終わります。
  84. 笠井亮

    ○笠井亮君 日本共産党の笠井亮でございます。  今日、いろんな意味で国民の科学技術への期待と関心というのが非常に高まっているところだと思います。そういう中で、国立試験研究機関、いわゆる国研、さらには大学ということでいえば、民間では果たせないような学術研究あるいは教育を行うことによって国民全体に奉仕をするという公的な機関として、その活動の保証といいますか、その発展が非常に大事になっているというふうに考えるわけであります。  そういう点から見まして、この法律案ですけれども、先ほど狩野委員から果たしてうまくいくのかという心配があるということもありましたけれども、私、研究者流動化とかあるいは研究活動活性化ということで、そのために導入するという今回の研究員任期制法案には多くの問題点があるというふうに率直に思いますので、幾つか伺いたいと思います。  まず、二つの型のうちの若生育成型の方の問題であります。先ほど来質疑がございましたが、この若生育成型の原則三年という任期が終わった後のことを私も伺ってみたいと思うんです。  要するに、今回の制度では育成した人材をどうするかということが予定されていないということがこの法律案を見ましても御答弁を見ても明らかじゃないかと思うんです。菊池人事局長が、将来の登竜門と、そして本人も志願だからそれがわかっているはずだし、キャリアパスとして評価が広くされるので大丈夫だと確信されているというふうに言われて、いたずらに心配は要らないという御答弁が先ほどありました。ただ、制度をつくりながら人事局長御自身が心配要らないと言われても、それでは保証にならないと思うんですよ。  それで、具体的に伺いたいと思うんですけれども、同じ任期制で再任されるということはあり得ない、研究者生活の中で一度きりだということに今回なっておりますが、では任期終了後、若生育成型で三年原則でやった後、一般の選考採用ということでこれらの若手研究者をどの程度国研採用できるのか、優先的な採用というのがあり得るのかどうか、その点はどういうふうにお考えか、伺いたいと思います。
  85. 菊池光興

    政府委員菊池光興君) 三年の任期終了後、任期の定めのない研究所研究員として採用ということは、これはあり得るものと考えております。ただ、じゃどれだけ国研に入るのかというところについては、その時々の定員事情その他もありましょうし、またその方が若生育成型という研究職、研究官としての在職中にどのような実績を上げられたか、それがどのような評価を受けるものであるか、こういうようなところにかかわってまいるところでございますので、三年の任期が終わったら必ず国研任期つきじゃない研究員になれる、こういうようなことを制度として仕組んでいるわけではございません。  また、当然のことながら国立研究所での経験というものを加えて、さらにじゃ私は民間研究所に行こう、こういうような形、あるいはもう一遍大学なりなんなりの学術研究機関の方に戻ろう、こういうような方もおられると思います。そういうような意味で、多様なキャリアパスというようなことが今後開かれていくというようなことを申し上げた次第でございます。
  86. 笠井亮

    ○笠井亮君 いろいろ言われましたけれども、そうしますとやっぱり具体的な保証というのは非常に不安があるということが少なくともはっきりしました。衆議院の我が党の木島委員への答弁でもありましたけれども、国立試験研究機関研究者の定員は一九八〇年から十五年間に四百四十九人減らされている。  さらに、これは答弁であった問題とは別ですけれども、研究者の異動が頻繁に行われる。流動化がいろいろ議論されて、さも民間でも進んでいるような感じ、印象に聞こえるわけですけれども、民間企業は積極的に中途採用とかあるいは任期つき研究者採用しているかというと、そういうふうにはなっていないと思うんですね。平成八年度の科学技術庁の出した科学技術の振興に関する年次報告、これを見ましても、流動化というのはむしろ民間の方が進んでいないという実態、私は読んで改めて驚いたわけです。  そうしますと、国立試験研究機関では研究員が減らされて、民間でも今申し上げたような状況で、いろんな可能性があると言われても、受け皿としては十分なものがほとんどないままに任期つき制度導入されれば、これは二十代後半とか三十代の最もフレッシュで創造的な研究ができる、そういう人たちがそういう期間だけ三年間原則使われて、終了した後は保証がない。自動的にあなた方は出ていって自分で探しなさいよということでは、制度としては使い捨てということになるんじゃないでしょうか、いかがですか。
  87. 菊池光興

    政府委員菊池光興君) 国研研究員定員、研究俸給表の適用を受ける職員の定数を私お答えした記憶はございますけれども、具体的に数字は持っておりません。確かにわずか減っていた。ただ、減っている要因がどうなのか、試験研究機関の統廃合というようなもの、統廃合に伴う充実強化、コンソリデーション、こういうようなものもあったというふうに聞いておりますし、定員の数がどうだからということだけでは一概に言えない部分があるかなと思うんです。  それから、研究者流動性については民間でそんなに進んでいないぞ、こういうようなお話がございました。  民間のことについては科学技術白書等に出ているのかもしれませんが、いずれにしましても科学技術基本計画におきましては、国立研究所のみならず民間あるいは大学等も含めてこういう研究者流動性を進めていこう、高めていこうというのを一つの国の方針として考えているわけでございまして、これまで我が国科学技術の発展に大きな貢献をしてきた安定的な終身雇用的な研究者、このパターンも今後ともなくしていくわけじゃございませんで、それと相まって今後研究職の流動化をあわせて図っていこう、こういうものであるわけでございます。
  88. 笠井亮

    ○笠井亮君 先ほど人事局長が時々の定員の事情があるということを言われて、必ずじゃないけれども可能性はあるということを言われたから私は今申し上げたわけで、定員が減っているわけですから。  それから、流動化についても、流動化が実際に民間で進んでいない状況の中でこの制度導入して、国がむしろこれを促進するんだと言われても、そういう中で若手研究員任期制の人が任期が終わったら行くところがあるのか、こういう問題になるわけです。だから、その人に具体的に問題が出てくるわけですから、結局のところ何のために導入するのかと。  若生育成と言いながらも、一部のエリート研究員を選別するとかいうことだけじゃないかというふうなことを思ってみたりもしますし、他方、身分の不安定さに不安が募るばかりだということもあると思うんです。わずか三年ということですから、ようやくなれて、成果を上げるのに必死になって、次を探すのに明け暮れるということになって、これでは育成ということには決してなり得ないんじゃないかということを私は指摘申し上げたいと思います。  次に伺いたいんですけれども、一般論として、研究のために必要な研究者招聘することは当然あり得ると私は思います。今回、総務庁は、研究活性化のためにこの制度が効果的である場合に採用できるようにということで、いわばオプションといいますか選択肢としてこれを導入するんだと言われております。例えば研究員流動化が必要ということで任期制導入するという研究交流促進法というのを一九八六年に制定しましたが、通産省のある研究所では去年の十二月現在で、この規定に基づいて十七名が任期つきになっているという例もあるというふうに伺っております。  人事院に伺いたいんですけれども、オプション、選択肢ということであれば、現行制度でも定員外ということでやってきたことではないかと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。
  89. 角野敬明

    政府委員角野敬明君) 御指摘のございました研究交流促進法に関連し、人事院の職員の任免に関する人事院規則で規定してございますプロジェクト任期制との関係についてのお尋ねかと思いますが、御案内のとおり、現行のプロジェクト任期制につきましては、特別の計画に基づく研究事業につきまして五年以内に終了する予定の科学技術に関する研究業務に従事する、そういう場合に任期つき任用を行えるというふうにしているものでございまして、詰めて申し上げれば、採用されて従事することになる仕事そのものに任期がある場合の任期制ということで理解をいたしております。  一方、今回考えております任期制でございますけれども、特に招聘型についてが関係するわけでございますが、流動的な研究者の活用を必要とする研究分野に優秀な研究者をお招きするということで考えておるものでございまして、その招聘する個人の研究所における活躍に着目しつつ必要により任期のついた任用を行おうというふうなものでございまして、その意味でプロジェクト制も任期制によっては実現できない任期つき人材の活用を可能にするものであろうというふうに理解いたしております。
  90. 笠井亮

    ○笠井亮君 今回、招聘しながらプロジェクトに具体的に取り組んでいくということがあって、そういうことと一体のものだというふうに私は理解しているわけです。  いろいろ御説明がありましたが、結局そういう形で新しい制度を今度導入したら、いわば官業癒着ということがこれだけ問題になっているときに、公務員の公平性とか中立性ということをゆがめることになるんじゃないかということも出てくると思うんです。にもかかわらず、今回の任期制を新たに導入するねらいは何かという問題もやっぱり考えなきゃいけないというふうに思うわけであります。  具体的に申しますと、例えば現に二千数百名の研究者を抱える通産省の工業技術院、先ほど来名前が出ておりますが、アメリカの「サイエンス」という英文の雑誌の記事に、来年すべての新規採用研究者を五年契約とするというふうな形でここが紹介されているということがあったり、また技術院の最高幹部の中には、すべてが任期制とは言わないけれども、三、四割が外国や民間経験者になることはいいことだということで、今回の導入を足がかりにしながら任期制を広げようという発言が繰り返されているということも伺っているわけであります。  大学教員の場合と同様に、選択さえすればすべての研究員対象になることも念頭に置いているのかどうか、この点についてはいかがですか、総務庁に伺いたいと思います。
  91. 菊池光興

    政府委員菊池光興君) 任期つき研究員が各研究所においてどの程度のスケールで導入されるのかというようなことについては、国の当該試験研究機関等の研究業務の性質、あるいは特定研究プロジェクトの特定の局面においてどうしても任期制の職員で研究開発の推進に当たらなければならないかどうかというそのときの局面、こういうようなことでいろいろな判断要素があろうと思います。それに従って各試験研究機関においてどの程度の任期制研究員導入するかということが決まってくるんだろう、こういうふうに思います。  いずれにしましても、先ほども申し上げましたように、安定的でありかつ信頼性のある従来パターンの研究者の果たしてきた役割というものも大変大きなものがあるわけでございますから、すべてそういうようなものをなしにして、今御指摘のような任期制研究公務員に切りかわってしまうというようなことはないものと、こう考えております。
  92. 笠井亮

    ○笠井亮君 すべてが対象になるということはないと思うけれども、それぞれが決めていくことだと。そのために制度をつくるからということですね。中には通産省のようにふやしたいところもあるということになりますと、かなりになることについては御否定されなかったということでありますから。  そうしますと、今でも任期つき雇用が多い若手とかあるいは女性研究者だけじゃなくて、研究公務員全体の身分を脅かしかねないという問題そうはならないというふうにおっしゃいますけれども、客観的にはそういうことが出てくると思いますし、行革の名のもと国家公務員全体に有期雇用を広げる呼び水となることにならないか、あるいは財界が強く求めているような労働者の流動化を進めるものともなりかねないという問題もあると思うわけであります。  こうなりますと、国家公務員法が定めている公務の継続、安定性の問題とか公平中立性の問題、あるいは身分保障の根本を掘りますことにもなりかねないということを私は非常に危惧するわけでありまして、その点を指摘させていただきたいと思います。  さらに、局長から今お話があった、それぞれ研究所の性格が異なるという問題もあると思うので関連して伺いたいんですが、御答弁あったように、研究機関個々研究ごとにおのずと性格はそれぞれ違うと思うんです。短期で成果の出るものもあれば、中長期の展望を持って取り組んでいかなきゃいけないという性格を持っているところも当然あると思います。  私は先日筑波に行きまして、通産省の研究所あるいは農水省の研究所、それから環境庁の研究所研究者の方々にいろいろ話も伺ってまいりました。例えばO157問題とか狂牛病の問題ということで、この研究で大きな成果を上げている研究の様子もいろいろ伺ってきたんです。  本当に大事なことをされているということを改めて認識しましたが、その中で痛感しましたのは、ああいう形である意味では予想しなかったような狂牛病が日本にどうなのかということがあります。突発する問題については、それに関するいわば地道な研究の蓄積があるかどうかがいざというときに本当に決定的になってくるということでなるほどと思ったわけでありますが、あの狂牛病の問題について言いますと、今から十年前の一九八七年から筑波で研究が始まったということを伺いました。  それで、九〇年にイギリスで人にもうつるということで問題になったときも、筑波の研究所から五人の研究者が、そのうち二人はたしか自費で向こうに行かれたということでありますけれども、行って診断法についても研究されて、そしてそういう努力があって、いざ日本がどうなるかというときにももう自信を持って診断できる、対応できるということでもう誇りを持って言っていらっしゃった。  これはすばらしいことだと思うわけでありまして、やっとこの四月、プロジェクトとしての研究が認められたということも伺って、よかったなと思うんですけれども、息の長い研究の歴史があって専門家を養成していたことでいわば緊急事態に対応できたということだと思うんですけれども、日ごろ話題にも上らずに当座の利益にもならない問題を科学的先見性を持って予見して研究を続けていく、それが国研のいいところでもあるのかなというふうに思うわけであります。任期制研究員では決してそういうことはできないんじゃないかというふうに思うんです。  それぞれ条件が違う、そしてそれぞれの任命権者の判断で採用するということでありますが、今回の法律をもって国研に対して、それぞれの条件を無視して一律に任期制導入しなさいということを求めることは今の御答弁からするとないと思うんですけれども、ないということでよろしいでしょうか。
  93. 菊池光興

    政府委員菊池光興君) 少なくとも法律を立案いたしました私どもの立場におきましては、研究業務の性質、それぞれの機関の性格、研究分野によって多種多様、その中で任期制でやることが適切なもの、こういうようなものもあるかもしれません。  今、笠井先生御指摘のような研究プロジェクトとしては長いものであっても、あるところで例えば遺伝子みたいなものを解明しなきゃならない、そういう局面がある、そこの部分にはどうしても今いる既存の研究者では足りないから外部から招聘してきて、そこの部分について関与してもらうと研究が大きく進むというようなこともあり得ようと思います。したがって、息長く継続的にやっていかなければならない調査研究開発プロジェクトであっても、その特定の局面についてはそこで内部で調達できない技術なり研究者というものを外部から導入するということは当然あり得る、こう思います。  どのような場合に要るかということはなかなか一概に申し切れないわけでございますけれども、少なくとも私どもの考え方としては、任期制研究員採用することがふさわしい研究業務導入されるべきであって、決してそれを一律的にどれだけというようなことで決まるものではない、こういうふうに考えております。
  94. 笠井亮

    ○笠井亮君 一律に決まるものでないと。大事なことだと思います。  そして、もう一つ具体的に念押しみたいになりますが、活性化ということでメルクマールとしてこの任期制というのが一つ浮かび上がってくるということになりますから、そうしますと、一律にないということでもういいと思うんですが、任期制導入予算や定員増の査定基準にするようなことはないですね。
  95. 菊池光興

    政府委員菊池光興君) 先ほど科学技術庁からのお答えにもあったと思います。科学技術の調整費みたいなものがあって、そういうような場合に、その任期制研究員も含めて特定研究プロジェクトを国立研究所で推進するというような場合には、そういう調整費的な科学技術研究費を重点配賦する、こういうようなことも申しておられました。  そういうような面で言いますと、任期制だからということになるのかどうかわかりませんけれども、任期制導入というようなものを契機にその研究予算が配賦されるということは当然あるものと、こう考えております。
  96. 笠井亮

    ○笠井亮君 それはちょっと重大な問題ですね。任期制ということでやらないとそういう重点予算が来ないということになりますと、これは一律にやらないと言われながらそういう余地が出てくるということですから、そこは厳格にしてもらわなきゃ困るというふうに思うんです。  人事院にもう一点確認しますが、この間導入した研究員調整手当というのがあります。研究所ごとに指定するということで、これは議論もさせてもらいました。四つの観点から選定基準を設けるというふうに言われていたわけですが、そしてそ一の中には幾つもあるということがありましたが、今度の任期つき研究員採用状況をそういう具体化として研究員調整手当の対象研究所を指定する選定基準に加えるようなことはないでしょうね。今、一律にしないというのは総務庁からあったわけですが、いかがですか。
  97. 武政和夫

    政府委員武政和夫君) 先生御指摘のように、研究員調整手当の選定基準項目というのを四点、もっと細かいのは二十点ばかり公にしておるかと思います。その中に直接的に、任期制云々ということをその選定基準項目に入れるということは考えておりません。
  98. 笠井亮

    ○笠井亮君 次の問題を伺いたいと思います。  活性化ということが議論になってまいりました。活性化というならば、国研役割に照らして、まず改善すべきは研究公務員の定員をふやして、そして伸びがなかなか芳しくない経常研究費を増額すること、これにきちっと手をつけるべきではないかと思うんです。武藤長官は衆議院での質疑の中で、任期制導入と定員や経常研究費増などの問題とはいわば別問題だというふうに御答弁されたということでありますが、私は一体の問題じゃないかと思うんですね。  定員の問題でも、今回の任期制導入が定員の枠内で行われようとしていることが重大だと思います。全体として定員が抑制されて削減計画が進められている中で、プロジェクトに取り組む任期制導入していけば、それだけ経常研究に携わる研究員の定数が圧迫されるということで、いわば行政の判断で重要な研究がないがしろにされるおそれがあります。  例えば台湾のあの豚の病気、口蹄疫が大問題になりましたけれども、これも筑波に行って伺いましたが、世界各地で発生している幾多の動植物の病気が日本に持ち込まれるおそれがある、そういう可能性がある中で、そういう経常研究をいわば地道に担ってきた研究員が減らされることにもなってしまうと思うんですけれども、そういうことがあってもいいかということなんですが、いかがでしょうか。
  99. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) たしか衆議院でも、これは一般の定数の中で考えていくものではないというふうに私は答弁したつもりでございます。もうある程度の期間の中の方なんですから、それによってほかの今までの研究職員の方の定数が削減される、いわゆるこっちから入ってきたからこっちへ押し出されちゃうというようなことは私はないと思っております。
  100. 笠井亮

    ○笠井亮君 ちょっと確認したいんですけれども、これは定員の中で今度導入するということになっていると思うんです。ですから、定員がふえない限り、この任期制で入ってくれば、それ以外の人たちはその分減ることになると思うんですけれども、事実関係についてちょっと伺います。
  101. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) ちょっと私の説明が悪かったかもしれませんが、今でも定削は定削でやっておりますけれども、実際必要だということで各省庁が定員増をおっしゃって、私どもで査定させていただいて、ふえるものはあるわけでございます。そういう一つ考え方としてとらえていただければ結構かと思うのでございます。
  102. 笠井亮

    ○笠井亮君 非常に重要なことをおっしゃったと思うんです。私は今、口蹄疫のことも申し上げましたけれども、例えばそういうところでも非常に不安があるわけですね、今回導入されることによって自分たちは減るんじゃないかと。ただ、そうじゃなくて、定員増の要求の中で任期制導入されたとしても、必要な定員については確保するという御答弁でした。これは私は大事なことだと思いますので、この制度自体は非常に問題だと思いますが、今の御答弁は受けとめてきちっと確認をしたいと思います。  もう一つ、時間の関係で最後になると思うんですが、私が申し上げたいのは、定員削減が全体としてある中で、研究所の運営のさまざまな業務に室長などの研究員が追われている現状があります。定員の枠内でということで、若生育成型であれ招聘型であれ、任期制導入することによって、中心的な研究員とか、それでなくても足りない研究補助の方とか、あるいは支援部門の職員の負担がふえるんじゃないか、運営に非常に支障が出るんじゃないかという不安もあるわけですから、その問題も今の長官の御答弁を踏まえてきちっと対処していただきたいと思うんです。  そういう点で、いずれにしてもこの問題は国立研究所のあり方そのものにかかっていく、そして今までも営々と築いてきた問題がありますし、今後やっぱり国研のあり方そのものを考えていくという上では大変に重要な問題だし、経常研究費にしても、今予算の重点投資化ということが言われる中で、一方ではプロジェクトと一体の任期制導入されるということになると、これもそうでないんだとおっしゃっていただければありがたいんですが、非常に大事だと思うんですが、今でも少ない経常研究費にしわ寄せが来て圧迫されかねないという問題も出てくると思うんです。  そういう点を含めて全体として総務庁長官に伺いたいんですが、今回の任期制導入というのは、オプションといいながらも今までの国研のあり方、根本をいわばいろんな意味で変えていく、あるいは掘りましていくことにつながる重大な問題をはらんでいるというふうに思うわけです。行革が言われる中で、そしてその問題に取り組まれている中で、国研が今後どうあるべきとお考えになっているか、その基本認識、そしてそのためにどういう努力をされていこうと思っていらっしゃるか、その点について伺いたいと思います。
  103. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) 私のところの行政改革、あるいは私も入っておりますが、財政構造改革会議を今やっておりますけれども、やはりこれからの日本予算のあり方あるいは人の定員のあり方というのは、こういう状況でございますから、我々は小さい政府にしていきたいということでございますから、できるだけ少なくしていきたい、人についても予算についても削っていきたいというのが一つの基本方針でございます。  しかしながら、今までのように一律何でも同じようにするんじゃなくて、削れるところはできるだけ思い切って削るし、どうしても必要なところはやっぱりつけていく、こういう考え方でいかなきゃいけないと思います。国のこれからの方向としては、従来のように一律で、例えば何%減るのならそれぞれ何%減らしてしまうというのじゃなくて、減らすところは思い切って減らしてしまう、しかしどうしてもふやさなきゃならぬところはふやす、私はこういう考え方でこれからいくべきではないかということで今議論をしておるところでございます。
  104. 笠井亮

    ○笠井亮君 いろいろ伺ってまいりましたが、定員への任期制導入、そしてそれを拡大するような今回の法律が成立すれば、必要なところにつけるということが一方にあって、それには増員も含めて考えるという、それは大事なことだと思うんですが、全体としてはやっぱり押し出されてくるという仕組みになると思うんです。  そうしますと、研究公務員の身分が脅かされる、それだけにとどまらず国家公務員全体の身分も脅かすことにつながっていくような、あるいは公務員雇用形態の枠組みを変えていくようなことにつながりかねないということを全体として私は非常に危惧するし、問題として申し上げたいわけであります。そうなれば、国家公務員から地方自治体の職員あるいは民間の労働者へと任期制ということが、先ほど国が先鞭をつけるという話もありましたが一広がっていくおそれも十分あって、労働者の流動化を進めるために財界が考えているような、労働契約期間の規制緩和を実行して、そして現行の労働者保護法制に風穴をあけるということになってくる、そういう問題として今回の問題があるんじゃないかということを私は非常に危惧します。そのことを最後に強く指摘して質問としたいと思います。  終わります。
  105. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  106. 笠井亮

    ○笠井亮君 日本共産党を代表して、本案に対する反対討論を行います。  本法案の最大の問題は、国立試験研究機関活性化を図るためとして任期制導入するといいながら、活性化するどころか、逆に混乱と後退を招く危険があるということです。  国立試験研究機関はプロジェクト研究などの共通の土台となる経常研究を長期間継続してきました。経常研究研究活動の基礎であり、これを活発化させることこそ今日ますます重要さを増しています。しかし、本法案は、招聘型、若生育成型を問わず、現在の研究員の定員内での採用であり、経常研究を行っている研究員の定員が割かれることになります。その上、研究所の運営、研究体制の維持などの業務が一般の研究者の肩に一方的にのしかかり、国民の生命、健康にとって重要な研究が後退することにつながるのは明確であります。  また、新産業創造など財界の意向に沿った研究を行い、限られた期間内に成果を上げるように任期が切られているため、研究者を目先の業績競争に追い込み、長期的、継続的な研究がないがしろにされ、自主的、独創的な研究が阻害されることになります。その結果、国立試験研究機関に求められる基礎的研究や独創的研究に重大な支障を来しかねません。  本法案で導入しようとしている若生育成型任期制は、同じ任期制での再任はなく、研究者生活の中で一回に限られています。研究公務員の定員削減が進められ、民間の受け皿も十分でない現状では再就職の保障がなく、若手研究者の使い捨てにならざるを得ません。  さらに、今回の導入を足がかりに、四割、五割の研究員任期制を広げ、研究公務員の身分を脅かすとともに、定員内での任期制採用を法的に初めて導入したことは、財界が強く求めてきた労働者の流動化を促進し、現行の労働者保護法制に風穴をあけるものとなります。  我が国科学技術活性化を言うならば、研究公務員の大幅定員増、経常研究費の大幅増額、研究員の学会参加の保障など、自主的研究条件の環境整備などが急務だということを強く指摘して、反対討論を終わります。
  107. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  一般職任期付研究員採用給与及び勤務時間の特例に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  108. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  鈴木正孝君から発言を求められておりますので、これを許します。鈴木正孝君。
  109. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 私は、ただいま可決されました一般職任期付研究員採用給与及び勤務時間の特例に関する法律案に対し、自由民主党、平成会、社会民主党・護憲連合、民主党・新緑風会、太陽の各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     一般職任期付研究員採用給与及び     勤務時間の特例に関する法律案に対する     附帯決議(案)   政府並びに人事院は、次の事項について適切  な措置を講ずるべきである。  一 試験研究機関等の業務が円滑かつ効果的に   行われるよう、任期付研究員の職務内容、職   員間の均衡等に留意しつつ、研究資金の確保   など適切な研究環境の整備に努めること。  一 任期付研究員採用に当たっては、選考を   公正・適正に行うこと。  一 研究業務の能率的な遂行に必要な場合に認   められる招へい型任期付研究員の裁量勤務制   の運用に当たっては、その自主性を尊重する   こと。  一 研究活動活性化をより一層図るため、優   秀な研究員及び外国人研究員採用を積極的   に行えるよう、処遇の改善について十分配慮   すること。  一 科学技術創造立国を目指し、柔軟で競争的   な研究開発環境の実現をより一層図るため、   本制度については、法施行後の状況を踏ま   え、必要に応じ、所要の検討を行うこと。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  110. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) ただいま鈴木正孝君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  111. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 多数と認めます。よって、鈴木正孝君提出附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、武藤総務庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。武藤総務庁長官
  112. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨に沿いまして努力してまいりたいと存じます。
  113. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  午後一時四十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時三十一分休憩      —————・—————    午後一時四十六分開会
  115. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  委員の異動について御報告いたします。  本日、清水澄子君が委員辞任され、その補欠として谷本巍君が選任されました。     —————————————
  116. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。  委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  117. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に谷本巍君を指名いたします。     —————————————
  118. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  119. 角田義一

    ○角田義一君 社会民主党の角田義一でございます。  委員長初め理事の皆さん、先生方の御高配をいただきまして、大変申しわけございませんが、ちょっと議運がございますので最初にさせていただきます。御無礼をお許しいただきたいと思います。  まず、総務庁長官にお尋ねいたしますが、一昨日だと思いますけれども、人事院から「平成八年における懲戒処分の状況について」というものが報告されました。お目通しをいただいておると思いますが、平成八年中に懲戒処分を受けた一般職国家公務員の数は千四百十三名で、前年に比べて三人増加しておるということでございます。相変わらずの処分者がおるわけでありますが、特に私が心配をいたしておりますのは、前年に比べまして法務省、厚生省、文部省などいずれも大変重要な省庁においてふえておるという実態がございます。  こういう状況でございますから、もちろん政府としても綱紀粛正には特段の意を用いているとは思いますけれども、この実態をごらんになって総務庁長官としてどうお考えになっておられるか、あるいはこういう不祥事を減らすためにどういう御決意でおられるか、まず前提として聞いておきたいと思っております。
  120. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) 私ども公務員たる者は国民全体への奉仕者でありますし、昔は公僕という言葉まで使われた時代があったと思います。いずれにいたしましても、公のため国民のために尽くさなければならない、その使命感に燃えて働かなきゃいかぬことは当然だと思うのでございます。それが、今御指摘のように、平成八年においてはまた前年よりふえたというようなことはまことに残念なことだと私は思っております。  これは必ずしも公務員だけではないのかもしれません。我が国の風潮が、やっぱりあのバブルというものがあったのが私は一番いけなかったんじゃないか。あれがなかったらこんなにまで人の心がすさんだのだろうかと。人の心が大変すさんで、どちらかというと心が忘れられて物や金に動いていくような風潮ができてしまった。私は公務員の皆さんもみんなまじめだとは思いますけれども、その風潮の中で染まってしまった方がこのようになったんではなかろうかな、こんな印象を持っております。  いずれにしても、国民の皆さんもひとつこの際しっかりして、また私ども政治家も襟を正してしっかりした方向日本というものを持っていかなきゃならないと思いますが、先ほど申し上げたように、とりわけ公務員は少なくとも国民の皆さんのためにあるいは国家のために本当に尽くさなきゃならないという使命感を持っているはずでございますから、ぜひひとつ今後はこういうようなことが起きないようにしていかなければならないと、私はそんな感じを持っておるわけでございます。
  121. 角田義一

    ○角田義一君 長官も御案内のとおり、厚生省の最高の高官が汚職で逮捕、起訴されるというような事態を踏まえまして、各省庁で倫理規程というものを改めて制定されておるようであります。  たまたま問題になっております厚生省の倫理規程を拝見いたしますと、これは恐らくはかの省庁も似たり寄ったりかというふうに思っておりますが、一つにはよくここまでやるなという気もいたすぐらいいろいろ事細かく書いてあるわけであります。これはことしの一月一日から実施されておりまして、はや五カ月たつわけでありますけれども、この実はどういうふうに上がっておるのかなと。一体これは各省庁に任しておくのか、それともこういうものをつくった以上はある程度統括して、実態というものを把握するように政府として統一的にやっておられるのかなと、この辺ちょっと実態を聞きたいと思っております。
  122. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) これは実は今御指摘の岡光次官その他の事件が起きまして、そこで総理から私に何とかひとつ、そして当時から公務員の倫理法というようなものをつくったらどうかという国会の中でも声が出てまいりました。  そこで、私どもも公務員倫理法というものをつくるべきではないかということで議論をいたしましたけれども、法律をつくるのもいいけれども、これやっぱり時間がかかる。だから、とにかく厳しい倫理規程をそれぞれの省庁で訓令に基づいてつくってもらったらいいんじゃなかろうかと。そして、そのためには総務庁一つのマニュアルというかひな形というか、そういうものをひとつつくってもらえないかと、こういう総理からの指示がございまして、それで私どもの方でひな形をつくりました。そして、それを閣議でも、これは閣議決定ではございませんが、閣僚の皆さんにもこんなようなことで事務次官等会議にかけるよということでお話をした上で十二月十九日の事務次官等会議にかけまして、そこで了承をし、そしてそれに基づいて各省庁がそのひな形を参考にしていただいて訓令によって倫理規程をつくっていただいた、こういうことでございます。  今御指摘のとおり、多少ちょっと細か過ぎる点もあると思いますけれども、少なくとも公務員倫理法をつくらなければならなくてもいいように、ぜひこれをきちんと守ってくれればという形でやったわけでございまして、従来もこういうのはあったわけでございますが、守られていなかったのでございます。  今回の特徴は、そういう細かい規定と同時に、各省庁に常任の、秘書課長かあるいは人事課長かその辺だろうと思うのでございますが、いわゆる服務管理官という名前でそれぞれの役所の中に常設をいたしまして、そしてその上にまた、総務審議官みたいな人がなるんだろうと思いますが、総括の服務管理官も設けまして常にチェックをしていただく、それから何かあったらそこに相談をしていただく、こういう形でやってもらいたいということにいたしましたし、あるいは場合によると、懲戒処分の一つの物差しみたいなものも今検討いたしておりまして、各省庁の課長クラスで懲戒処分の物差し、こういうときには懲戒処分に付するべきではないかという共通の物差しを、まだ今研究しているようでございますが、ぜひそういうものもつくっていこうと、こんなような形で始めたわけでございます。  それと、きょう御審議を願っております退職手当あるいは勤勉手当その他、少なくともあの岡光事件で国民から御批判をいただいたようなことが二度と起きない、万が一起きたときにはこのような手だてでそれを防ぐというようなこともやりまして、こういうことをやっていけば、公務員の皆さんも多分こんなようなことになるのならやらない方がいいという一つの抑えになるんではないかということでこのようなものをお願いいたしておるわけでございまして、残念ながら平成八年はそんなことでふえましたけれども、平成九年は必ず私は減っていくというふうに期待をいたしておるわけでございます。
  123. 角田義一

    ○角田義一君 時間の関係もございますので最後の質問をさせていただきますが、今回、退職手当あるいは期末手当の支給を一時差しとめるというような制度導入されるわけでありますけれども、この法案は運用上いろいろ難しい問題が今後出てくるんじゃないかなというふうに思います。  承りますと、この改正法案を適用する場合のガイドラインというようなものをつくるというようなことも計画されているやに聞いておりますが、特に私が気になっておりますのは、この関係者といいましょうか、嫌疑をかけられた者を捜査当局じゃなくて官がいろいろ事情聴取をするということがあるわけですね。そのときに事情聴取をやって事実認定を一応するわけでありますが、この場合にかなり厳格に、例えば憲法で保障されている黙秘権だとかいろいろなものがあるわけですけれども、そういうものやあるいは弁護人というものをつけるのかつけないのか、事情聴取するときに。そういった人権にもかなり配慮しながらきちっとした事実認定をやって、捜査当局のあれが出る前に官としてけじめをつける、こういうことが大事じゃないかなと思うんです。その辺の配慮もかなりうまくこのガイドライン等でやる必要が私はあるんじゃないかということを痛感するのでございますが、この質問だけで時間ですから終わりますけれども、お答えいただきたいと思います。
  124. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) 細かい点は局長から答弁をいたします。  実はこの法律に役所は正直消極的だったんです。役所の皆さん、特に法制局なんというのは絶対反対みたいなことをおっしゃっておられました。私は実は強引にここまで進めてきたわけでございます。それば先ほど言ったような事情でございます。これが一つの歯どめになってくれればと、こういう気持ちでございました。その間に議論した中には、今御指摘のようなことで、その人だって人権があるじゃないか、人権侵害になるんじゃないかというところが一つの私と役所あるいは法制局との間で議論したところでございます。  私が言ったのは、確かに人権を尊重しなきゃいけない、しかし少なくとも疑惑を持たれたということにおいては特定の人なんだと。特定の人の人権を一時的には侵害するかもしれないけれども、もしそれが何にもなかったというときにはこちらは頭を下げていくわけだし、そしてそのときも、あなたはこういうことでやるんですよという文書もちゃんと出してやるわけでございます。  私の感覚では、そのくらいのことではいわゆる疑いを持たれた人は一義的には疑いを持たれなきゃいいんであって、疑いを持たれたということにおいて一時的には多少辛抱願ってしかるべきではないかというのが私の考え方で実はここへ来たわけでございます。そういう点も心配をして、役所はいろいろと物差しをつくるのには苦労しておると思いますので、その点は局長から答弁させます。
  125. 菊池光興

    政府委員菊池光興君) 今回出しています退職手当の例えば一時差しとめでございますが、退職者が逮捕された、在職中の行為に関連して犯罪があると思料されて逮捕されたというような場合、これは退職手当を差しとめるということで客観的に明らかなわけでございますが、それ以外の場合、例えば犯罪があると思料するに至ったと、任命権者あるいは各省各庁の長が犯罪があるなと思ったら一方的にできるのかと、こういうことになっては職員の、退職者でございますけれども、権利が保護されないじゃないかというようなことからのお尋ねかと存じます。  そういうようなことから、この法律の中でも退職手当の一時差しとめ処分を行い得る場合としては、法定刑の上限が禁錮以上の刑に当たる犯罪、したがいまして罰金以下というようなものであれば、これは本来対象にならないということであります。禁錮以上の刑に当たる犯罪について、退職者が逮捕されている、あるいは退職する本人が実は私は公金横領をしましたというようなことで自白をしている、あるいは職場内外の調査によって明らかに犯罪が行われたと信ずるに足るような証人あるいは物証、こういうようなものが得られた場合というようなことが挙げられるわけでございます。そういうような形でもって非常に一時差しとめ処分の発動要件を限定いたしました。  それからまた、それをやる場合に当たっては処分通知書を本人に必ず通知する、あるいは本人から事情聴取を行う。ただいま先生からは、事情聴取に当たって弁護人あるいは補佐人というような者を同席させないのかということですが、そこまではちょっと私ども基準として考えているわけじゃございませんけれども、各方面とこの制度の創設につきまして議論をしてまいりました過程におきまして、いろいろその辺のところについては職員あるいは退職者の権利を十分配慮してくれ、こういうような要請がございました。そういうような部分につきましてはできるだけの配慮をすることといたしたところでございます。
  126. 角田義一

    ○角田義一君 終わります。
  127. 海老原義彦

    海老原義彦君 自民党の海老原義彦でございます。  本日は国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律に関連いたしまして若干のことをお伺いしたいと思います。  実は前に決算委員会で、昨年の十一月二十六日でございましたか、岡光事件あるいは泉井事件など公務員の不祥事件が本当に続いておった時期でございますが、これに対してどう考えるべきかということ、また公務員の綱紀の粛正についてどんな手を打つべきかということについて御質問申し上げました。あのとき、まず厚生省と通産省の事務当局から事実の報告を求めました後、官房長官、総務庁長官、それから事務当局から、今後に向かってどうあるべきかという御決意を伺い、また検討方向も伺ったわけでございます。今回提出されました退職手当法等の一部を改正する法律案はあのときお話のありました御検討の延長線上のものと思っております。  この法案の審議に入ります前に、ただいま角田委員からお話のありました公務員倫理規程について若干お伺いしたいと思います。  あのときたしか一カ月以内をめどに実効の上がる綱紀粛正の方策を策定するというお言葉をいただいておりましたが、それが実現したものがこの倫理規程だと思います。この際に改めて公務員の綱紀粛正についての御決意、それから十二月十九日の事務次官等会議申し合わせの趣旨を伺おうかと思ったんですが、実はもう既に前の質問に対するお答えで伺っておりますのでこれは省略いたしまして、倫理規程の中身について若干技術的な質問をしていきたいと思います。  まず、法律を制定せずに訓令とした理由は何かということ、これも既にお話を伺いましたので、次にもっと細かい中身に入りまして、人事局で示したというか、事務次官等会議で示したひな形ですが、各省の倫理規程を見てみますとほとんどこのひな形どおりにできておりますので、このひな形を見ながら申し上げますけれども、まずこの対象国家公務員に限られるということでございますね。特殊法人の職員についても全く同じような問題があり得ると思うんですけれども、これについてはどういうふうにお考えでございますか。
  128. 菊池光興

    政府委員菊池光興君) 倫理規程につきまして、昨年十一月二十六日に御質問がございまして、当時、武藤総務庁長官からも一カ月以内にとにかく成案を得るように、こういう厳しい御指示がございました。私どもも部内で鋭意検討いたしまして、一カ月以内ということを守ることができました。十二月十九日に事務次官等会議申し合わせという形でもってその方針をまとめさせていただいたわけでございます。  事務次官等会議申し合わせという形式をとりましたのは、公務員自身が自省自戒し、綱紀の保持に厳しい姿勢で臨もう、こういうことでございまして、あえて閣議決定というようなことで閣僚のお手を煩わせることなく、事実上は先ほど大臣おっしゃいましたように、事前に御報告もし、御了解もいただいた形の中でございますけれども、あえて事務次官等会議申し合わせということで、官僚としての主体性を明らかにした、こういうようなものでございます。  そういうようなことから、この公務員倫理規程は、当時まさに国家公務員の倫理のあり方そのものが問われているという状況下で、まずみずからの身を律するという観点で、各省庁職員に対する職務命令として各大臣から発出していただいたものでございます。このため、通常でございますとこういうような綱紀粛正なんというと、この趣旨について地方公共団体あるいは管下の特殊法人へもあわせて通知するというようなことが通例でございますけれども、今回の事務次官等会議の申し合わせあるいは倫理規程の中におきましては、地方公務員や特殊法人職員への準用というようなことを規定しなかったものでございます。  特殊法人職員について同種の規程を策定することについては、それぞれの実情に応じて各法人及び各法人を所管される各省庁が判断されるべき事項だというふうに考えております。
  129. 海老原義彦

    海老原義彦君 特殊法人について、特殊法人職員は野放していいんだというお考えではなくて、ともかくやはり同じものが必要であるけれども、今回総括的に取りまとめる際には国家公務員に限定いたしましたと。そこから先は各省庁でお考えの問題です、もともと特殊法人は各省庁が直接所管しておるのであって、各省庁でお考えになればいいと、こういう趣旨だろうと思うんですが、たまたま本日は別の問題で厚生省と文部省からおいでいただいておりますので、厚生省と文部省はこの特殊法人の職員についてはどういうふうに考えておるか、特殊法人の倫理規程を設けるべきだという指導をしておるのか、していないのか、その点を伺いたいと思います。
  130. 丸田和夫

    説明員(丸田和夫君) 厚生省におきましては、平成八年十二月十九日の事務次官等会議における申し合わせを踏まえまして、厚生省独自の禁止項目を加えました厚生省職員倫理規程を十二月二十六日に制定いたしまして、本年一月一日より施行しているところでございます。  この倫理規程につきましては、公表するとともに、所管特殊法人、関係団体等の理解と協力を得るために、これら法人等に対して、その趣旨及び内容について周知徹底を図ったところでございます。  それで、特殊法人における対応でございます。厚生省の特殊法人は五法人ございますが、これらの法人におきましては、厚生省の職員倫理規程の趣旨を踏まえまして同様の倫理規程を制定しているところ、それからまたこれを準用しているところ、法人の性格にもよりますが、そういった形で準用しているところ、あるいは従来からありました内規、これを見直すとともに、新たに今回の厚生省の職員倫理規程を参考に検討しているところ、そういった状況でございます。
  131. 伊勢呂裕史

    説明員伊勢呂裕史君) 昨年十二月十九日の事務次官等会議申し合わせにおきましては国家公務員対象になっていることから、文部省の倫理規程を制定するに際しましては、特殊法人については、文部省の関係団体として倫理規程について理解を深め協力してもらうために周知徹底を図ったところでございますが、同様の規程の制定を求めるには至っていないところでございます。  したがって、現在のところ文部省所管の特殊法人においては倫理規程を制定しているところがあるとは聞いておりませんけれども、いずれの法人におきましても、当該法人の規程において信用失墜行為を禁止していること、従来より特殊法人に対しましては閣議決定等に基づきまして職務上利害関係のある業者等との接触に当たっては国民の疑惑を招くような行為は厳に慎むよう指導していることから、当省職員の倫理規程制定の趣旨を踏まえましてそれぞれに綱紀粛正に取り組んでいると承知しております。
  132. 海老原義彦

    海老原義彦君 そうすると、特殊法人は各省によって、倫理規程あるいは類似のものの設定を省として求めておるところと、特段に求めていないところとあるというような理解になりましたけれども、やはりこれは特殊法人についても国家公務員と同じようにこういった倫理規程を設けられるべきだと思うわけでございます。  さて、今の両省庁のお話の中に、関係団体等に周知徹底を図るということの一環としてそれをやっておるんだということもございました。これはもとの方に聞いた方がよろしいかと思いますけれども、事務次官等会議申し合わせの中に、公務員倫理規程の制定のところで、冒頭に関係団体等に周知徹底を図るんだという趣旨のことが述べられております。この関係団体等とは何を意味するのか、また周知徹底を図るというのはどういうことをやるのか、この周知徹底を図るの中に特殊法人も同じような規程を設けるべきだという指導をするということは含まれていないのか、そこら辺は総務庁に伺いたいと思います。
  133. 菊池光興

    政府委員菊池光興君) 関係団体にはどのようなものが含まれるかというところでございますけれども、関係業界団体でありますとか特殊法人あるいは密接な関連を有している地方公共団体等、さまざまな団体あるいは場合によると個人というふうなものも含まれる、こういうふうに考えております。  いずれにいたしましても、各省庁は各省庁の倫理規程を制定したわけでございますけれども、それを国家公務員みずから遵守していくためには、公務員の努力もさることながら、それに加えて、そういうような取り組みについて関係者がよく理解していただいて、その趣旨に協力していただくということがどうしても必要でございます。  下世話な話でございますけれども、ちょうど十二月ということで年末年始というような時期でもございました。そういうときに、贈答品は関係業者から受け取らぬ、こういうことを言っておりますけれども、受け取らぬということを言っていることについて十分周知徹底をしておきませんと、年末年始の時期に一方的に送られてきたもの、みんなそれを返送料を負担して送り届けなければいけない、こういうようなこともございますので、制定したものについては直ちに公表して、関係団体等に周知して理解と協力を得る、こういうことでございます。
  134. 海老原義彦

    海老原義彦君 総務庁の方の御趣旨はわかりました。要するに、国家公務員はこういうふうに襟を正しておるんだから変なもの持ってくるなよ、変な誘いをかけるなよ、そういう趣旨関係団体等に周知徹底するということでございまして、特に特殊法人などを意識したものではないということでございますね。やっぱりこれは特殊法人もこれから考えていかにやならぬなと思うんです。  ここにおいでの省庁の関係ではありませんけれども、動力炉・核燃料開発事業団、あそこで大変な事故があって、もう本当に動燃の幹部も科技庁の幹部も大変だった時期に業者とゴルフをやっておる者がいる、こういうような問題があったわけです。こういうようなことはやはり慎むべきだ。当時の動燃内部の規程としては、特段に業者とゴルフをやっても金は自分で持つわけですから別にいいんだという考え方も一部あったようでございますけれども、やはり疑いを持たれるようなことは慎むべきだ、そういうような考え方で各特殊法人があるいはそれぞれその特殊法人を所管する各省庁が真剣にお考えいただかにやならぬ問題だろうと思うわけでございます。  さて、次に参りましょう。  関係業者というのが倫理規程の中にございますね。これは定義規定がありまして、「当該職員の職務に利害関係のある業者及び個人(これらの者の集合体であって法人格を有しないものを含む。)」となっておりますけれども、この利害関係がある業者というのはどの程度の利害関係意味するのか。これの解釈によって、危ないから何でも取り締まってしまえというところもございますでしょうし、あるいは逆にまあ直接の利害関係はないからいいんだという考え方もあります。  利害関係があるといえば、余り厳密に考えますともう切りのない話でありまして、国家公務員の仕事というのはみんな国民に利害関係があるわけでございますから、そこまで話を広げてしまってもしようがないし、これは大変漠然とした規定だなという気がするんですね。  服務管理官というのを設定されて、そういった人たちが判定するんでしょうけれども、これは現場でお困りになるんじゃないかなと思いましたので、一言申し上げたいと思ったわけです。そこら辺のお考えどうでしょうか。
  135. 菊池光興

    政府委員菊池光興君) 確かに御指摘の点は大変難しいところでございます。  ただ、関係業者等ということで言っておりますが、一般的には許認可でありますとか検査でありますとか補助金の交付であるとか物品の納入等の関係がある業者など、当該職員の職務に利害関係のある業者あるいは個人、こういうようなことでございます。  それだけにとどめませず、今回は特にそれに続きまして、今回の倫理規程におきましては、当該職員の職務とは直接利害関係がないけれども、例えば官房長の職にあるとかあるいは事務次官の職にあるというようなことで、その地位や他部門に対する権限など客観的な事情から総合的に考えて、他の職員の職務に事実上影響力を及ぼし得るような関係に立つ業者、これらの業者を関係業者に含める、こういうようなことまでやってあえて広めたものでございます。  そこのところはクリアカットではないじゃないか、こういうことでございますけれども、諸般の過去からの事例に照らして、こういうような形でできるだけ幅広く関係業者というようなものを押さえることによって公務員は厳しく身を律していこう、こういうあらわれだというふうに御理解いただきたいと存じます。
  136. 海老原義彦

    海老原義彦君 どちらかというと厳しい方に偏って考えるということにこの設定の経緯からしてもなってくるんだろうと思います。余り厳し過ぎる運用というのもまた問題があるのかなという気もいたします。そこら辺が服務管理官の非常に苦労するところだろうと思います。この服務管理官がいかような規制を行うかということは、人事局においても常に総合調整の立場から見張っておるということだろうと思いますので、それはよろしく御指導しなきゃならぬことだろうと思っております。  さて、この倫理規程は、業者との接触に当たっての禁止事項といたしまして、「職員は、関係業者等との間で、次に掲げる行為を行ってはならない。」ということで、アイウエオカキクケコサシまでですか、十数項目にわたって具体的に例示でなくて限定列挙しておるわけでございます。たくさん列挙しているので非常に厳しいなという印象を受けて、厳しいことは結構なんでございますが、やはりそれでもあいまいなところがある。そのあいまいなものを救うためにいろいろな規定をその先にまた設けておるようでございますが、それでもこういうものはなかなかあいまいさが救い切れない。  一、二伺っておきたいケースを申しますと、まず大学だとかそういったところの、大学の教官とか研究所の職員にもあるんでしょうけれども、民間企業から研究費をもらうあるいは海外出張旅費をもらう、それでその研究費を研究活動に充てるあるいは学会出張の費用に充てる、こういうことは許されるものなんでしょうね。これは文部省に伺います。
  137. 遠藤啓

    説明員(遠藤啓君) 許されるかということであれば、許されております。と申しますのは、御案内のとおり大学の教官の研究活動につきましては一般公務員とやや趣を異にするところがございます。  今日、社会経済の進展や科学技術の高度化、多様化に伴いまして、社会の各方面から大学の学術研究に寄せられる要請というのは増大いたしておりまして、大学と産業界が連携、協力を進めていくということは大学にとりましてもまた社会にとりましても有益であると私ども考えております。  このような要請に適切に対処するために、国立大学等におきましては民間企業等、外部からの研究費などを受け入れておるところでございます。ただし、当然いろいろな配慮も必要となってまいりますので、外部資金の受け入れに当たっては民間等との共同研究あるいは奨学寄附金といったような各種の制度を設けまして、この制度で受け入れることにいたしております。  すなわち、こうした外部資金につきましては、私的に経理しない、国の歳入歳出予算を通して処理するということが一つ。それから、学内において適切な審査機関を設置したり、教授会に対し報告を行う等、透明性を確保するための措置を講じているところでございまして、今後とも外部資金の受け入れに関しましてはこうしたところを徹底させてまいりたいと考えております。
  138. 海老原義彦

    海老原義彦君 今おっしゃったように、建前上許していい場面が非常にある。むしろ共同研究ということで奨励しなきゃならぬ面もある。反面、そういったことに藉口して実質的にはわいろと思えるような金銭を受けたり、現物の支給を受けたりするということは厳に慎まなきゃならない問題でございまして、その限界がなかなか難しいと思うんですね。これは何でもそういう限界を見ていけば難しい問題でありまして、よほどちゃんと考えていかにやならぬ問題だろうと思うんです。  人事局長に伺いますけれども、例えば職員が休暇中に、民間団体から旅費をもらって、旅費はもちろん実費でございます、それで講演に来てくれというので講演に行く、講演旅行ですね、どこか地方で講演してくれと。そういうような場合、あるいは休暇でなくとも、旅費先方持ちで依頼出張というのはよくございますね。そういうようなケース、これは一体許されるものなのか。  こういったいろんなボーダーライン的な問題、それから禁止事項の例外となるような問題、こういったものにつきまして、各省横断的な研究会でいろいろ検討なさっているということでございますけれども、現在どの程度の検討が行われているかということもあわせて御答弁いただきたいと思います。
  139. 菊池光興

    政府委員菊池光興君) お尋ねのケースは、民間団体から旅費を受けて講演旅行を行うということがどうか、こういうことでございます。  具体的な内容が明確ではございませんので何とも一概にお答えできませんけれども、民間団体の性格がどういう性格なのか、その構成者はどういうようなものになっているのか、それから講演の趣旨、講演の対象者がどういう人たちなのか、それからその内容、目的というものがどうなのかというようなこと、あるいは講演した場合に講演謝金みたいなものを伴うのかどうかというようなところが個別にいろいろございます。  同じような形で言われても、非常に悪質な業者が一般の市民を集めて、中央から役人、責任者が来るぞというようなことで法外な講演参加料を取ってやっているようなところにおめおめと出ていくのか、あるいはきちっとした民間団体の設立総会とか何かがあって、そこに会員を集めて、今度新しくできた法律趣旨について十分説明してほしいということで行くのか、そういうようなところでケース・バイ・ケースで判断しなければならない、こういうような難しさがあるわけでございます。  そういうようなことで、禁止事項の例外となる事案について、いかなる場合に例外とし得るかというようなことについて、各省横断的な研究会を設けた趣旨もまさにそういうところにあるわけでございます。具体的な事例としては、例えば今お話がございました講演をする場合、原稿の執筆謝金をもらう場合、こういうような場合に、いかなる場合にいいのか悪いのかというようないろんな具体的なケースを持ち寄って、その事例の積み重ねでもって共通認識を各省庁持ち合って適切な対応を図るように努めているところでございます。
  140. 海老原義彦

    海老原義彦君 今お話しの検討会でございますけれども、何回ぐらい開いて、どの程度の成果を得ておるのか、抽象的で結構ですから、ちょっとお話しいただきたいと思います。
  141. 菊池光興

    政府委員菊池光興君) 研究会は具体的事例を積み重ねて検討を行うということでございますので、おおむね各省庁とも一月からこの倫理規程を施行した、その施行の過程で、運用していく上での問題点というようなものの事例を持ち寄ってということでございます。一月以降、定例的に各省の人事課長等にお集まりいただいて御議論をいただいているところでございます。  共通認識については、今後とも各省こういうような形の扱いにしようという形で合意ができている部分もございますけれども、特別にコンクリートな形で何かマニュアルというような形でのものができ上がるというところまでは現在至っておりません。これからもそういう形じゃなくて、随時そういう事例を積み重ねることによって解釈を統一し、それで運用の統一を図っていくというところにやはり主眼を置いていくべきものかな、こういうふうに考えております。
  142. 海老原義彦

    海老原義彦君 確かに事例の積み重ねによってだんだんと内容がクリアになっていくというのは非常に結構なことだろうと思います。  さて、今回の法律改正の趣旨につきましては伺っております。また、ただいまの武藤総務庁長官お話の中にもございましたけれども、要するに岡光事件というようなああいうことがあって、その反省を踏まえてどうしたらいいかと。岡光にボーナスまで出すのか、退職手当はどうなんだと、こういう問題から発したものだと私も理解しております。  そこで、こんなに大げさなことになってきたということは、もとをたどれば、この岡光という人がやめたときに、非常に疑いの濃い人であったにもかかわらず依願免を認めてしまった。私は十一月二十六日のときにもそれを指摘しましたけれども、そういう問題があったわけでございます。  なぜ依願免を認めたのか。そのとき厚生省の官房長は、それから官房長官も口添えされまして、これは最大の処分である、自分の首を差し出すということを武士の情けとして認めざるを得ないという趣旨のことを言ったわけでございます。深夜に大臣と前次官が会ってそういう話になりまして、今やめる、やめてもらおうということになったと。  そこまでの間に事務方の補佐は何をしておったのか、官房長初め補佐すべき事務方の人たちは。そう言っては失礼ですが、公務員制度を厚生大臣はそんなに知っているはずはない。公務員制度について熟知している官房長及び官房のそれぞれの枢機にある人たちが、そういうことをしたらばこれは大変なことになりますよ、やめてもらうというのはおかしいですよということを一言でも言うべきだった、大臣に思いとどまらせるべきだったと思うんです。  そこら辺について、今事務当局としてはどんな御反省の立場に立っているか。きょうは官房長に出てきて言ってもらおうと思ったんですが、官房長は他の委員会に出席しておるようでございますので、かわって人事課長からお願いします。
  143. 丸田和夫

    説明員(丸田和夫君) 官房長は厚生委員会の方に出席しておりますので、私が出席させていただいております。  ただいま先生の方から、岡光前事務次官の辞職に際しての問題点の御指摘がございました。昨年の十一月二十六日、官房長の方からも申し上げたところでございますが、辞表が提出された当時、岡光前次官は金銭の授受等を否定しておりました。また、岡光前次官を現職にとどめまして事実確認を待って対処することは相当時間を要しまして、山積する厚生行政の発展に多大な支障を生ずると考えられます。
  144. 海老原義彦

    海老原義彦君 途中ですが、今言っていることはあのときのことですね。その当時のことでなくて、今はどういう反省に立っておるかということを聞いておるわけです。  あの当時のこととしても、それは通用しないんです。当時、金銭的なものは何一つ認めていなかったと言うけれども、そんなことはないので、本人がはっきりと自白しているだけでも、自動車を無償で借りているとか、そういうことははっきり言っていたわけです。そういういろいろな問題がある者をそのままやめさせたらどんな問題が起こるかということを何で官房長なりあなたなりが大臣に申し上げなかったのか、そこら辺についての反省を伺いたい。一言でいいから反省をしてください。
  145. 丸田和夫

    説明員(丸田和夫君) そういう中で、大臣は総合的に判断されて辞職を承認されたわけでございます。  ただ、その際に官房長あるいは私も大臣の方にいろんな事例は申し上げております。そういった中で最終的に大臣が御判断された、こういった状況でございます。当時の関係者としては私と官房長がこういったものを判断する立場にあったと、そういった中で過去の事例等も大臣に率直に申し上げて御判断をお伺いした、こういった状況でございます。
  146. 海老原義彦

    海老原義彦君 そうすると、その問題については、あのときの考え方はやむを得なかった、正しかったとまではいかなくともやむを得なかった、そういうふうに考えているわけですね。
  147. 丸田和夫

    説明員(丸田和夫君) 大臣がそれをすべて御勘案された上で判断されたものと思っております。
  148. 海老原義彦

    海老原義彦君 そこまで事務方も最大限の補佐を尽くしたんだということであるならば、私は何もこれ以上申しません。  ただ、まことに残念なのは、あのとき今度の改正のような新しい法律がなくとも、例えば官房付にするとか、非違行為があったんですから不利益処分をやったっていいんです。官房付にすれば不利益処分になるとあのとき官房長は言いましたけれども、明らかに非違行為があったんだから官房付にしたって、分限処分は一向に構わぬと思う。事務次官としての職にとどめておくにふさわしくないという判断で分限処分にすればよかったんだし、そういったことが当時の改正される前の法律もとでもできたはずなのにやらなかったというのは大きな問題でございまして、今度の改正法でせっかく改正しましても、実はああいうケースは割合少ないだろうと思うんです。むしろ本当はもっと後になって発覚するというケースの方が多いんじゃないかという気がするんです。  そういう意味では、今回の改正法はとりあえずのものだろうなと私は思っておるんです。もっと本格的に改正していく、そういうことがあっていいんじゃないかと思うんですけれども、その点についてはいかが考えますか。
  149. 菊池光興

    政府委員菊池光興君) 今回御審議をお願いしています改正案はとりあえずの改正ではないか、こういうお尋ねでございます。  今回の法律案の内容そのものについての評価というのは私どもがすべきものではございませんけれども、大変従来とは違った形での一時差しとめというような新たな制度導入する、あるいは期末・勤勉手当というような給与債権と従来から考えられている給与の一部について、在職中の非違行為ということを理由にして退職者について一時差しとめの制度導入し、退職手当法と同じような形で、禁錮以上の刑に処せられたときには不支給とする支給要件を導入するという、それなりに大変難しい議論を経てやったものでございます。これでは足りないとおしかりをこうむるかもしれませんけれども、私どもは現時点においてとり得るものとしては最大限のものである、こういうふうに考えております。
  150. 海老原義彦

    海老原義彦君 総務庁長官の大変な御苦労によって、制度的にはなかなか難しい改正に踏み切られたということは私も高く評価するものでござ  います。  抜本的な改正をすべきじゃないかなというのは私は前から思っておりました。それはまた後で申し上げますけれども、十一月二十六日の決算委員会のときに、懲戒事例とか判例とか、そういったものを集めて職員に周知徹底させる。こういう汚職をやったらこういう結果になったよということを、あのとき私は、赤信号みんなで渡れば怖くないで、悪いことをやっておっても、本当は悪いんだけれども大丈夫だろうという意識がびまんしているんじゃないか、これを直すためには、悪いことをやったやつはこんな処罰を受けているよという事例集をつくるのも大事なことだろうと申しました。  御検討いただいているはずだと思うんですけれども、この点については御所管は人事院かもしれませんが、また各省の人事管理の総合調整という意味総務庁かもしれませんし、両方からお答えいただけませんでしょうか。
  151. 佐藤信

    政府委員(佐藤信君) 人事院といたしましては、各省庁において懲戒制度が適切に運用されますように、必要に応じて各省庁からの御相談に応じるとか、この旨は去る一月十六日付の職員局長通知においても改めて各省庁に通知したところでございます。  そういうことのほか、各省庁の服務の担当者を対象とした研究会、説明会等も実施しております。そのほか、今の委員の御指摘は一般の職員も含めたというふうなことのようでございましたけれども、質疑応答集なども発行して一般の参考にも供しているところでございます。  ただ、委員の御指摘をさらに踏まえまして、真の実効のある不祥事発生の防止あるいは綱紀粛正のための的確な情報を提供するという観点から、これらについてさらに充実を図ってまいりたいというふうに考えております。
  152. 菊池光興

    政府委員菊池光興君) 海老原委員から御指摘のございました懲戒事例集というようなものはやはり具体的な懲戒処分、公平審理等の事例に即して取りまとめられるということが有効でありまた役立つものであろう、こういうふうに考えております。これらの事例をいろいろ把握しておられる人事院において、ただいま職員局長から御答弁のあったような形で御努力もされておるところでございますので、私どもはそれを活用させていただきたいと思います。
  153. 海老原義彦

    海老原義彦君 人事院は非常にじっくりと調査研究をするところでございますので、メリットもデメリットもあるわけでして、即戦力にはちょっとどうか。むしろ公務員人事管理の即戦力としてずっと活躍してきた人事局の方がより期待できるのかなと思っておりましたところ、人事院にお預けしているというので、これは困ったことだけれども、それは守備範囲からいえばそういうことでございましょう。人事院でさらにじっくりと研究されて、いいものをつくっていただければと思います。  もう一つ、倫理規程に違反した場合の処分について、各省横断的な公平を期するために、何か統一的な処分基準をつくるというようなお考えはございませんでしょうか。もしつくるとすれば、これは不利益処分の基準ですから、あるいは法律にしなきゃいかぬのか、それとも人事院規則でいいのか。いずれにせよ、そういった必要が私はあるんだろうと思うんですけれども、その点について人事院及び総務庁の御見解を伺いたいと思います。
  154. 佐藤信

    政府委員(佐藤信君) 一般論といたしまして、懲戒処分につきましては、懲戒権者であります各任命権者国家公務員法でございますとか人事院規則等に基づきまして、その行為の動機、態様、結果、当該職員の職務内容とか、その処分が社会に与える影響等、諸般の事情を総合的に勘案して適切に対処するということになっておりまして、そういう意味では、一律の基準をつくるということについては困難な面があるのではないかというふうに考えております。  ただし、処分というものは公正であることが何よりも必要であるということは言うまでもないことでございまして、私どもとしても、公正な処分が行われますよう各任命権者に対して指導を行っているところでございます。  先ほど申し上げましたけれども、私どもの方で相談に応じる用意がありますよというふうなことも通知をさせていただいているところでございますが、これらを通じまして、できるだけ共通の考え方が事例の積み重ねを通じて形成されていけばいいのではないかというふうに考えておりまして、御指摘の点につきましては、なお今後引き続き何ができるか検討してまいりたいというふうに思っております。  なお、先ほど来何回かお話に出ておりますけれども、総務庁人事局を中心に各省庁の横断的な研究会をつくって検討されている中に、我々人事院といたしましても、懲戒制度の適切な運営という観点から、一緒に参加をさせていただいて議論させていただいているところでございます。
  155. 菊池光興

    政府委員菊池光興君) 今、職員局長から御答弁がございましたように、処分の基準は、省庁によりましてその職務の内容でありますとか、さまざまなことを総合的に判断して任命権者が懲戒処分を行うわけでございまして、なかなか一律の、こういう場合にはこうだというような形の、線で区切ったような形の処分基準をつくるということは困難なところがあることは御理解いただけると思います。  ただ、職員局長が申し上げましたように、懲戒処分が適正に行われる、的確に公平公正に行われるということがやはり必要でございます。そういうような面で、私どもの方でも各省横断的な研究会を設けております。これももとより一律な基準ができるというようなこと、つくるというようなことが期待できる状況ではございませんけれども、手続面での整備とかいうようなことでなお引き続き検討すべき点があるのかなと、こういうようなことで、なお勉強を続けてまいりたいと思っております。
  156. 海老原義彦

    海老原義彦君 懲戒処分というのは各省それぞれの事情に応じて、実態に応じていろいろと弾力的に考えにゃならぬという面も確かにあると思います。しかし、同じ国家公務員として同じ行為をやって、ある者は処罰を受ける、ある者は処罰を受けない、こういう不公平は私はあってはならないと思うんですね。  国家公務員法で懲戒に関する規定は第八十二条でございますけれども、この第八十二条を見ますと、極めて抽象的にしか書いていない。これでは全く基準にならないんです。  ちょっと読み上げてみますと、   職員が、左の各号の一に該当する場合におい  ては、これに対し懲戒処分として、免職、停  職、減給又は戒告の処分をすることができる。  一 この法律又はこの法律に基づく命令に違反   した場合  二 職務上の義務に違反し、又は職務を怠った   場合  三 国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非   行のあった場合ということで、これだけでは一体どんなことをやったら懲戒処分を受けるのか職員だってわからないはずですよ。また、各省庁の管理者だってわからぬ。だから、省庁の実態に応じてと言いますけれども、やはり職務の実態に応ずる面と同時に、省庁の伝統的な厳しい甘いということもあるかもしれません。これはぜひ横断的な会議を開いて、先ほど来研究会を続けておるというお話もございましたが、その研究会においてでも何でもいいですけれども、公務員として統一的な処分基準というものが、これは成文法でなくてもいいです、それは人事院のおっしゃるように事例の積み重ねという形でもいいですけれども、共通の理解というものができなければ、まことに不公平を招くんではないか、現に省庁別に不公平になっておるんじゃないかなという気がいたしますので、一言申し上げておきます。  さて、時間も残り少なくなってきましたので、先ほどちょっと申しました抜本的な改正ということについての私の考え方を一言申し上げたいと思います。  国家公務員法というものは、国と公務員との雇用関係を規定するものでございますから、そうすると一度雇用関係を離れたら任命権者の懲戒権は及ばない、これが普通の公定解釈でございます。恐らく総務庁長官も何度もその話を聞かされて、だからだめなんですと人事局長に説得されて、それにもかかわらずここまで踏み切ったということなんだろうと思うんです。しかし、私はこの公定解釈に根本から疑問を持っているんです。何で国家公務員法が退職者を処分してはならないということを規定しているのか、そんなことはないはずだと。  例えば秘密を守る義務というのがあるんです。これはやめた後だって秘密を守らにゃいかぬのですよ。それから、国家公務員法じゃないけれども、国家公務員を表彰するとか、あるいは一番極端な例は叙勲でございますけれども、こういったものは、やめて長いことたってから在職中の功績に基づいて叙勲するというようなことが行われておるわけでございまして、在職中のことはもうやめたらばそれきりだ、終わりだというのは全くおかしいと思うんですよ。  岡光事件の場合は別といたしまして、普通、収賄事件では在職中に発覚する場合もあるけれども、退職後に初めてあらわれるというケースが多いんです。そうしますと、退職後に発覚して、これはけしからぬということが新聞に出ても、検察で調べてみて起訴までは至らない軽微な事件であるということだと、これは終わりになってしまうわけなんです。行政罰の方は刑事罰よりも軽微なものでももちろん取り扱うわけでございまして、軽微だったらば軽微なりに何らかの懲戒処分をすればいい。減給あるいは戒告、あるいはもっと下の訓告とか厳重注意とか、そういったものがあってもいい。殊に芋づる式で在職者と退職者と絡んで出てきたというような場合に、在職者は重い処分をします、退職者はおとがめなしですと、こういうことはまことに不公平なんですね。  それからもう一つ、監督責任という問題がございます。例えば、税務署でも警察署でもいいですけれども、署員の悪いやつがいて収賄しておった、それが発覚した時点で、もう五年も十年も悪いことを続けておったという時点で、昔の署長さんはみんなやめちゃっていますから今の署長さんだけが代表で監督責任処分を受けるというようなことになる、これも全く不公平な話でございまして、そういう汚職のきっかけとなったときにいた署長が一番監督が悪かったわけですから、その人が一番重い処分を受けなきゃならぬはずですね。そんなようないろいろな問題を考えますと、退職後に在職中の非違行為について処分できるという制度がぜひ必要だと思うんです。  これは公務員法の枠の中で考えられないということは何か私もわかるような気がします。だったら別の法律だっていいじゃないですか。何かこれを考えるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。これはやはり所管からいっての人事院とそれから総務庁と両方に伺います。
  157. 佐藤信

    政府委員(佐藤信君) 御議論はお伺いさせていただきまして、考え方としてといいますか、お気持ちとしてはわからないわけではないわけでございますけれども、まず現在の懲戒処分につきましては、先ほどおっしゃいましたように、公務員関係の秩序維持のために公務員としての身分を失わせることを限度に行うものであって、公務員身分関係が存在するということを前提としている以上、既に退職して国家公務員の身分を持っていないという人に対して懲戒処分を科するということはできないかと思います。
  158. 海老原義彦

    海老原義彦君 いや、私はそのこともおかしいと申し上げたはずですよね。現在身分を持っていないといっても守秘義務などは継続しているではないか、また表彰、叙勲などは現在身分を持っていない人に対して在職中の功績に対して行われるではないかと。だから、そこの論理がどうも納得できないですな。
  159. 佐藤信

    政府委員(佐藤信君) 何か公務員制度といいますか、公務員法の枠を離れて新たな制度の創設はどうかというふうな御趣旨の御質問もあったかと思いますが、不祥事を起こしていながら処分を受けずに退職した者を対象に懲戒処分制度ではない新たな何らかの制度を設けるということにつきましては、関連するいろんな制度との関係などを十分考慮して慎重に検討を行うという必要があるんではないかというふうに考えておりまして、今後の課題とさせていただければというふうに思います。
  160. 菊池光興

    政府委員菊池光興君) 御提言のようないわば事後懲戒というようなことでございますか、今回、在職中の非違行為が発覚してそれが犯罪に類する場合には退職手当というような形のものあるいは期末・勤勉手当とやったのは、ある意味でいいますと、そういう懲戒制度ということではなしに、犯罪行為という客観的な部分について、それにかかわらしめることによって事後の退職後の制裁というようなものを一部働かせた、こういうところでございます。  その過程におきましては、私どももいろいろ総務庁長官の御指示もあり検討もしたわけでございます。事後懲戒というようなことはできないのかというようなところも議論をしたところでございます。  なかなか懲戒というのが、先ほどお話がありましたように現行の懲戒規定そのものが非常に裁量の余地の多い、基準がはっきりしないというような形のものでございますので、そこの部分についてこういうようなものを働かすということであれば、これは特別権力関係といいますか雇用関係にある現職の公務員にとどまるのであって、退職後の公務員退職後の職員についてやるとするならば全く新たな別の観点からやるべきじゃないかというような議論がございます。  そういうようなことで、この問題については結論を得ませんでしたので、なお今後引き続き検討していくべき課題である、こういうふうに認識しております。
  161. 海老原義彦

    海老原義彦君 今後引き続いての検討で前向きな結論が出ることを期待いたします。  さて、先ほど公務員の倫理基準と同じような倫理基準が特殊法人職員でも求められるべきだということを私は申しました。特殊法人と公益法人、いずれも公益のための奉仕者であるということは同じでありまして、そうすると公益法人はどうなんだろうか。それから、大学の教官ということを考えると、国立大学の教官と私立大学の教官とどう本質的に違うんだろうか、国立だけ襟を正して私立はいいんだというのもおかしいぞ、こういうふうに考えてみますと、もうこれは公務員だけの問題ではないな、官民を問わず社会的な倫理基準というものを構築していくべきじゃないかという気がするわけでございます。  宴会で供応するとか贈り物をするとか、こういうことは人間関係のために非常に大事でございますけれども、こういった人間関係を重視して、余りにも重視し過ぎているのがどちらかというとアジア的な社会だろうと思うんですね。アジア的後進性と言っていいかもしれません。  西欧諸国だって昔は恐らくそうだったと思うんです。いろいろ厳しい状況をくぐり抜けてきて、また向こうにはキリスト教とかプロテスタントの倫理とか、そういったものもございました。それならば、我が方にも武士道がある。我が方には官吏には官吏道というのが古来ございまして、今官吏道はまことに廃れておるんですけれども、官吏道を復興しようということを私は言っているんではないんですが、そういったバックボーンになる精神というものは西欧に劣らず我が国にもあるはずではないか。  明治時代に脱亜入欧ということが言われました。例の鹿鳴館時代をつくった人たちはともかく文明開化の世の中にしなきゃいかぬ、これは西欧の合理的精神を取り入れようという運動と言ってもいいかと思うんです。これと同じようなことが、若干意味は違いますけれども、これからの日本に求められているんじゃないかと思うんです。  民間企業におきましても、リストラが進みますと、古い人間関係で業者との癒着があったなどというのは切り捨てて、体質改善して、本当にいい原料を安く仕入れる、それでいいものをつくっていくというようになっていく、これがいい意味での経済合理主義だと思うんですね。  民間のこういうふうな流れに勢いをつける意味でも、公務において本来公務員が守るべき倫理というものが今後一層強調され、確立されていきますれば、国の経済全体に活力を及ぼすということも言えるかと思うんです。公務員が国民全体に対する奉仕者であるという意識をしっかり持って公務員倫理を確立していくということが民間企業の企業倫理を振興することにもなって、ひいては日本が二十一世紀に生き抜いていくための活力をつくるものと考える次第でございます。  この点に関しまして長官の御見解を承りまして、私の質問を終わりたいと思います。
  162. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) 当然、今御指摘のように国民全体に対する奉仕者というのが公務員のあり方ですから、やはり公務員が率先して倫理の確立をしていくことは民間の皆様方に対してもいい影響を与えることは間違いないと思います。そういう意味で、公務員の倫理の確立という点においては、この法律を含めまして、私どもはより一層これからとも努めていかなければならない、こう考えております。
  163. 山崎力

    ○山崎力君 平成会の山崎力でございます。  大分重複するようなところもございますので、なるべくその辺を重ならないような形で質問させていただきたいと思います。  最初に、今回の改正に関しまして、何が一番目的なのかといいますと、私なりに考えれば、やはり岡光事件のときに、今の制度が一般の目から見たらちょっとおかしいぞということがあったと思います。それに対して、何とか国側としても制度的におかしいところを直して国民の理解を得るようにせにゃいかぬというところで、長官もいろいろ御苦心なさってこういう形に持ってきたと思うんです。ただ、私の見るところ、そこが出発点なものですから、先ほども若干出ておりましたけれども、法制上見ていくと詰めた形にはなっていないなという気がいたします。  その点から始めさせていただきますが、今回の意義というもの、公務員の規律維持、そういった関係から、これは前の質問で総務庁長官の方はお答えになっておりますので、人事院の方からまずこの点についてどう考えるか伺っておきたいと思います。
  164. 弥富啓之助

    政府委員弥富啓之助君) お答えを申し上げます。  御承知のとおり、近時、公務全体の信頼を揺るがすような深刻な問題が続いて発生をいたしました。我々としてもまことに遺憾に存じておる次第でございますが、今回の期末・勤勉手当に係る改正、これは国民の公僕に対する信頼を確保する、それから行政の円滑な運営を図るためには、職員がまず高い公務員倫理を保持しつつその職責を果たすことが極めて肝要である、その徹底を図るためには職員の不祥事に対して厳正に対処すべきものという観点に立って行ったものでございます。    〔委員長退席、理事板垣正君着席〕  具体的に申し上げますと、これはいろいろ言われておりますように、期末・勤勉手当が給与の性格を持っている。のみならず、これには一定期間における職員の功労に対する報償とよく言われる、民間でも言っておりますけれども、その報償の趣旨をも含むものであるということにかんがみまして、公務員に対する国民の信頼を著しく失墜させるような重大な非違行為を行った者に対しましては期末・勤勉手当を支給しないとすることによりまして公務員に対する国民の信頼の確保を図る、結果として公務員の規律維持にも資するものであるというふうに考えておる次第でございます。
  165. 山崎力

    ○山崎力君 今、民間という話がありました。こういった不祥事に対して、公務員という特殊性はもちろんあるんですけれども、それと同時に、勤務してサラリーをもらうという立場からいけば民間もあるいは公務員の方もそれほど大きな違いはない。不祥事に対して使用者側がどう処罰等で対応するかという点についても共通項があると思うんですが、今回の改正に当たりまして民間における処分制度、そういったものと公務員の特殊性をどうとらえてどういうふうな制度にするかということは検討なさったのでございましょうか。これは総務庁人事院両方からお伺いしたいと思います。
  166. 佐藤信

    政府委員(佐藤信君) まず私の方からお答えさせていただきますが、まず国家公務員につきましては、委員御承知のとおりでございますけれども、国民全体の奉仕者として公共の利益のために勤務する、職務の遂行に当たっては服務規律を遵守し、全力を挙げてこれに専念しなければならないということで、公務員につきましては、これに伴いまして民間企業の従業員にはないさまざまの義務が課せられているという点は公務員としての特徴であろうというふうに思われます。    〔理事板垣正君退席、委員長着席〕  そこで、懲戒処分は、公務員がこうした義務に違反した場合に、公務員関係における秩序を維持するため、国が職員に対してその秩序を乱す事由に該当する行為に対して科す行政上の制裁であるというわけでございます。懲戒処分を受けた場合には、例えば懲戒免職になった場合には、一たんやめた人がまた公務員採用されたいとしても二年間は就官能力がないということでございますとか、退職共済年金の一部が支給されないというようなこと、あるいは退職手当が支給されないといったような随伴効果も存在しているわけでございます。  御指摘民間における不祥事に対する懲戒処分につきましては、同じような措置がほとんどの民間企業においてあるものというふうに考えておりますけれども、その取り扱い、内容とかその効果などは企業によってまちまちであるというふうに思います。ただ、民間企業におきましても、懲戒解雇などの場合で報償に全く値しないほどの重大な事由があるというような場合には、それを支給制限事由として賞与を全く支給しないというような扱いもあるものというふうに聞いているところでございます。
  167. 菊池光興

    政府委員菊池光興君) 今回御提案しております法律改正案をまとめるに当たりまして、というよりも法改正をどういうようなあり方でやるべきかというところを議論するに当たりまして、私どものところにおきまして私の研究会ということで、職員の身分、退職手当等の取扱いに関する研究会というものを開催いたしました。  民間におきます人事管理は、ただいま職員局長からもお話がございましたけれども、民間企業におきます人事管理の実態というようなことに通暁しておられるような方々にも御参集いただきまして、民間の状況も参考にしつつ、ただいまありましたような期末・勤勉手当を含めて報償的な色彩の強いものについて不祥事があった場合これを一時差しとめる、あるいは有罪になった場合にはこれを支給しないというようなことを内容とする御議論をいただいたわけでございます。この改正はそういうような御議論を踏まえて提出されたものでございます。
  168. 山崎力

    ○山崎力君 そういった中で今回の改正案になったわけですけれども、一番ひっかかるといいますか運用上難しいと思うのは、一時差しとめ等の要件として、「犯罪があると思料するに至ったとき」という中身がどうなんだということが非常に難しいと思います。その点でいきますと、最終的には大臣ということになるんでしょうが、どういうふうにそれをイメージしていらっしゃるのか。  要するに、その中身が、別に刑事要件があれば司法当局のあれになってくるわけですし、そこまで行けば事は簡単なわけですが、そこまで行かないというときに何をもって決断するのかということが、正直言いまして岡光事件のときのイメージでいきますとわかるんですが、あれはどちらかというとはっきりし過ぎたケースだと思いますので、普通のよくあるような形でいくと個々具体非、常に難しいんじゃないかと思うんですが、その辺はどういうふうにお考えでしょうか。
  169. 菊池光興

    政府委員菊池光興君) 大変難しい、実際上難しいところだということはあると思います。どのような場合に犯罪があると思料するに至ったものとして退職手当等の一時差しとめを行うかという具体的な状況に応じて判断すべきものである、こういうふうに考えております。  一般的には、退職者の権利尊重の観点ということで、各省各庁の長が嫌疑の対象となっている退職者の在職期間中の行為について資料等に基づいて、あるいは本人の自白がある等、基本的事実に関しては犯罪の存在を肯定できるだけの相当の根拠を有していることが必要であろうということで、みだりに思料したからということで一時差しとめ等を行うべきでないことは申すまでもありません。
  170. 山崎力

    ○山崎力君 その点で非常に問題になるのは、思料して相当刑事訴追に値するというような形のものまで行ったとすれば、これはもしそこのところで司法当局が動いていないとすれば、役所側から差しとめるという決定を出すというような判断ができれば、当然告発という形のところまで、ほとんど近いところまで行っているんではないかというふうに考えるわけですが、その辺はどのようにお考えでしょうか。
  171. 菊池光興

    政府委員菊池光興君) 退職手当等の一時差しとめ制度と刑事訴訟法に規定する告発の制度趣旨、目的を異にすることは当然のことでございますが、一時差しとめ処分の要件と刑事訴訟法上の告発の要件とが常に一致するわけではないだろうと思います。  ただし、事案によっては、一時差しとめ処分の実施に合わせて、もう犯罪ありと思料して告発すべき義務を負っておるわけでございますから、刑事訴訟法上の告発の要件が確実に満たされているというような場合には告発が行われるということもあり得ると考えております。
  172. 山崎力

    ○山崎力君 それで、もう一つ具体的な運用で難しいと私が思うのは、同じ省庁にずっといれば非常に考えやすいということがあると思うんですが、公務員その他の交流というのがこれだけ活発になりまして、他の省庁へ移った、あるいは地方自治体へ移った、あるいは先ほどもお話出ていましたが、特殊法人とか公益法人に出向なさっている、そういった場合に、現住所なのか、それともその問題を起こしたところなのかということであります。  例えば大蔵省なら大蔵省、厚生省なら厚生省でやっていて、その人が今総務庁なら総務庁にいる、こうなったときに、どちらが調べてどちらがそこのところをやるのかということになると、これは連絡ということになるんでしょうけれども、主導権がどちらにあるのかということが非常に難しいと思うんですが、その辺はどうお考えでござ  いましょうか。
  173. 菊池光興

    政府委員菊池光興君) いずれにしましても、今回の法律に限って言いますと、退職した後の話でございますから、今どこにいるかということよりも、その犯罪と目される行為がどこで行われたか、どこにいるときに行われたかと、こういうところが一つ問題になろうと思います。  それから、実際に最後にやめた、退職したときに、退職手当を支払うべき各省各庁の長というのはだれになるのかというところがあると思います。したがいまして、実際に在職中の非違行為として犯罪に類する行為が行われた時点と退職したところの省庁が、通常の場合ですと同じだと思いますけれども、御指摘のように確かに途中で出向だとかという形で変わっている場合もあり得ると思います。  その場合に、実際の事実関係を調査したりするというようなこと、物的な証拠みたいなもの、例えば過去に帳簿に穴をあけているというようなことは実際に行われたところでないとわからないと思うんです。これは退職手当を支給する立場にある最終の任命権者といいますか各省各庁の長と、その犯罪が行われたところの所属長との間で協力してやっていかざるを得ないだろうと。ただ、あくまでも差しとめをするというのは最後のところの任命権者、各省各庁の長と、こういうことに相なろうと思います。
  174. 山崎力

    ○山崎力君 そういったことであろうとは思うんですが、ちょっとそこのところで気になるのは、これは一時退職の形になっているのかどうか詳しいことがわからないのであれなんですが、途中までといいますか、出向した後、本庁に戻るのが普通なんですが、特殊法人とか公益法人に行ったままやめた場合はどうなるのかなということがちょっと気になるんです。その辺はいかがでございますか。
  175. 菊池光興

    政府委員菊池光興君) 出向先でもってそのままやめるという場合には出向先でもって退職手当を払うことになります。通常の場合、例えば出向して本来だったら復帰する前提でありましたけれども、向こうで交通事故とか公務上の災害でもって突如として亡くなっちゃった場合というような、もう出向先でもって亡くなるというようなことがございます。
  176. 山崎力

    ○山崎力君 そういった場合のことはどうなるかというのはちょっと今回の法律では決めていないなという気がするんですが、それはレアケースになると思いますのであれですけれども。  公務員ということからいけば地方公務員でも全く同じようなケースというのはあり得るわけでございますけれども、これはそれぞれ地方が決めるということが原則でしょうが、統一的な運用ということで、国家、地方を問わず公務員に対する国民の信頼ということからいけば、当然地方公務員に対してもこういった問題点というのは出てこようかと思うんです。その辺どのように把握なさっておられるか、あるいはどのように指導なさっているかを自治省からお聞かせ願いたいと思います。
  177. 浦山紘一

    説明員(浦山紘一君) お答えをいたします。  今回の法律改正の趣旨につきましては、ただいま委員指摘のとおり、退職手当及び期末勤勉手当の支給の一層の適正化を図り公務に対する国民の信頼を確保しよう、こういうことでございますので、このことにつきましては、国、地方を通ずる共通の課題である、こういうふうに考えてございます。  また、地方公務員給与につきましては、地方公務員法第二十四条第三項におきまして国及び他の地方公共団体の職員の給与等を考慮して定めなければならない、こういうふうに規定されてございます。したがいまして、私ども自治省といたしましては、今回の法律案が成立した時点で、各地方公共団体に対しまして国に準じて速やかに条例改正等を行うように指導してまいりたいと考えております。
  178. 山崎力

    ○山崎力君 もし改正ができれば、国家公務員で地方に出向中、国で不祥事を起こして問題になったということで地方公務員のまま退職したいというような場合でも、似たような形でストップかけることができるというふうに考えてよろしいわけでしょうか。
  179. 浦山紘一

    説明員(浦山紘一君) 今回の法律はあくまでも在職中の行為についてということでございますので、国家公務員から地方公務員に、これは退職採用されるという形になりますので、国家公務員時代のその行為について地方公務員として、今回、地方公共団体が条例改正をした場合、それを適用するというのは、条例上なり法律上難しい面があろうかと考えております。
  180. 山崎力

    ○山崎力君 やはりいろいろ動いている中でちょっと漏れが出てくるなというような感じがいたします。その点は将来の課題として残ってしまったのかなと思っております。  ただ、いろいろ問題点は言われておりますけれども、国家公務員の方が地方へ行かれていろいろ不祥事を起こした、これは地方で起こしたということですから、問題はそこで出るのかもしれませんが、それが中央省庁でやっていたということが後でわかったといった場合、非常に端的に言えば、元の省庁に戻せば退職金その他は支払われないけれども、県庁あるいはその他の地方公共団体でやめればもらえるということになれば、これは極めて不公平きわまりないことでございますので、その辺の検討を全体としてしていただきたいと思うわけでございます。  それとはちょっとまた観点を変えまして、今回の問題というのは、やはり国民の理解を得るためという視点から出たということは最初申し上げましたが、そうしますと、一時差しとめ処分等の場合、それを国民に知らせるということがある意味では大きな意味合いを持つ。何をやっているんだという国民の目から見て、ちゃんとこうしておりますということを知らせるということになるわけですが、その場合、省庁として処分するといいますか、そういう一時差しとめ処分をする省庁がどういう形でこれを国民に知らせるのかという点についてはどのようにお考えでしょうか。
  181. 菊池光興

    政府委員菊池光興君) 一時差しとめ処分の理由になった事案について起訴の有無を見定める、それまでの間の経過的措置である、こういうことでございます。  したがって、一時差しとめ処分の際に差しとめたぞという当該事実を公表するかどうかについては、処分を行った各省各庁の長が御判断になるべきことだと思いますが、基本に立ちますのは、公務に対する国民の信頼確保の要請にどうこたえていくかということと、あわせてもしかしたら起訴されないかもしれないというような形で言いますと、一時差しとめというとりあえずの措置について余り早くに公表してしまうことによって個人の名誉だとかあるいはプライバシーということが結果的に損なわれるというようなことがあるかもしれない、その辺のところの兼ね合わせだろうというふうに思います。いずれにしても、具体個別的なケースに対応して判断していくべきものだと、こういうふうに考えております。
  182. 山崎力

    ○山崎力君 今お答えになったとおりでございまして、ここのところが非常に矛盾に満ちておるといいますか、国民の理解を得るためにはちゃんと差しとめていますよと言わなきゃいかぬ。  ところが、それを大っぴらにすれば、後でもしそこが本来予想したのと違って大したことのない不起訴になったり、嫌疑が晴れたり、あるいは裁判になったけれども禁錮以上にならないといいますか、罰金等でおさまった、そういった場合、これが有罪ということになればまたそれはそれで大きな判断の問題が出てくると思うんですけれども、不起訴あるいは無罪といった場合、本人の名誉回復をどうするのか。  非常に二律背反的な問題で、それをうまくやらにゃいけませんというのはまさにそのとおりなんですが、実際の運用のときにそれを本当にうまくやれるのかという疑問がどうしても出てきます。まずくいった場合、要するに差しとめたんだけれどもそれだけの事由が後で証明できなかったといいますか、そこまでいかなかった場合、どのような名誉回復の手段を考えていらっしゃるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  183. 菊池光興

    政府委員菊池光興君) 今回の法改正におきまして一時差しとめする場合、相当慎重な手続を要する、あるいは外形的にも非常に限定した場合、こういうことでございますので、退職者の権利保護のための規定も十分に整備したところでございますけれども、そういうことで退職者の権利が不当に侵害されるというようなことはあってはならぬと思っておりますが、人間のことでございますから万が一にも結果的に間違えるというような場合があることは否定できないところでございます。  仮に一時差しとめ処分を受けた者が不起訴となったという場合には、当然のことながら直ちに退職手当は支払わなければならないものと考えております。一時差しとめ処分の実施が誤ったものであったことについて、各省各庁の長、当局側の方に故意または重大な過失等があるということになれば、国家賠償法の規定に基づいて一時差しとめ処分を受けた者に対して損害賠償責任を負うというようなことになるものと考えております。
  184. 山崎力

    ○山崎力君 その辺に関しましてもう一つ問題点があると思うのは、今回の事例はいわゆる刑事事件を対象考えていらっしゃると思うわけですが、公務員が処罰を受けるのは、簡単に言えば首になるようなことは、刑事事件を起こしたからというだけでなくて、先ほども出ましたけれども、公務員として非常にふさわしくない行為をしたといった場合も当然その範囲に入ってくるわけでございます。  そういったときに、果たして退職金あるいは期末・勤勉手当を支払うべきかどうかという議論はまた別の時点で出てくる問題だろうと思うんです。要するに、そういった行政判断をミスしたり行政をちゃんと行うべきものをサボっていたり、そういったことに対しての処分というもの、これと期末手当あるいは退職金といったものとをどういうふうに考えたらいいか。  今回は刑事罰で非常にはっきりした形なんですけれども、本来であればむしろ単なる刑事罰、もちろん刑事対象の問題は大きな問題でございますが、行政全体のことからいけば、例えば簡単な表現を使えば、会計検査院の検査の結果、ある人間の判断で物すごい巨額のロスを国庫に与えた、こういった場合この人が果たしてどのような処分を受けるのか。これは刑事事件とはまた別の時点で国民とすれば注目したい部分があるわけでございます。  そういった人間に退職金をやるのかとか勤勉手当をやるべきなのかとかというのはまた別の次元で当然出てくる議論だと思いますけれども、その辺についてのお考えはどのような形でございましょうか。これはあわせて人事院の方にもちょっとお伺いしたいと思います。
  185. 菊池光興

    政府委員菊池光興君) お尋ねにございました不祥事に係る職員等の退職手当の取り扱いでございますが、現行法を基礎にして考えております。現行法におきましても、禁錮以上の刑に処せられた者には退職手当を支給しない、こういうことでございます。もちろん在職中でございますと、先ほどから御議論がございました懲戒の規定で懲戒免職になったときにだけ退職手当は支給しない、こういうことでございます。  今回は退職後の人間でございますので、じゃどのような範囲のものについて退職手当を支給しない、あるいは一時差しとめするかということでございますけれども、現行法の規定と同じように禁錮以上の刑に処せられたときということに限定をいたしました。  犯罪を構成しないような非違行為、これだって重要なものがあるじゃないか、御指摘のとおりでございます。ただ、これにつきましては、懲戒というような制裁でございますとかなり裁量できますけれども、退職後に懲戒というような形で非常に裁量の余地の多いものをどこまで適用するのかというところについては、まさに先ほどお話がございましたように、懲戒処分というのは雇用関係の存在を前提にというような一般論がございますので、そういうところでもう既に公務から離れてしまっている退職者についてどこまでそういうことで制裁、事後懲戒的なことを働かせ、それをもって退職手当を支給しないこととするということが適当であるかどうかというところは、大変議論いたしましたけれども、今回はそこの部分については結論を得ませんというか、今後引き続き検討すべき課題ということで、現行法で退職者について規定しておりますように禁錮以上の刑に処せられた場合、これに限定して外形的にもはっきりするということで法制化させていただいたところでございます。
  186. 武政和夫

    政府委員武政和夫君) 期末・勤勉手当につきましても、退職手当と同様、職員にとっては特に退職給与債権ということでございますので、大変な職員の権利にかかわるものでございますから、慎重に手続を進め、その範囲については退職手当の取り扱い等も勘案しながら取り組んでまいりたい。その際に、人事院への協議ということもございますので、その辺で十分なチェックも働かせていきたいというふうに考えております。
  187. 山崎力

    ○山崎力君 最後に長官にお伺いしたいんですが、これは公務員のお金の面ですから余り言いたくない部分があるんですけれども、国民から見ればやはり自分たちの税金で支払われている給与というものは一般の会社の民間のとは違うよという意識があると思うんです。そういった意味での公務員の方々の倫理、行動に対してお金の面での制裁をというのは非常に下世話でわかりやすいものですから余計出てくると思うんですが、今回の改定を踏まえて、先ほども申し上げたいわゆる刑事罰でない部分でのミスに対してどういうふうにするかといったことも含めて、将来的な懲戒制度というものの見通しについて、あるいは決意について伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  188. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) たしか衆議院でもこの話題が出たと思うのでございますけれども、先ほど来申し上げているように、最初は私と役所との間で意見の食い違いもございました。こういう形で法律にすることはなかなか難しいということでございましたけれども、私としては、国民サイドから見て、やはりああいう形で泥棒に追い銭と言われるような非難を受けないようなことだけはきちんとしていかなきゃいけないという形で、最低限の法律案をつくったつもりでございます。  しかし、今御指摘のありましたように問題はいろいろまだまだ残っておるわけでございまして、引き続いて私どもは検討を進めていきたい、できればことしの秋ぐらいまでずっと進めていって、そこで結論が出れば大変ありがたいと思っております。しかし、どうしても出ない場合には、ちょうど公務員制度調査会というのも発足いたしまして、これからの公務員制度のあり方をいろいろ御検討いただくことになっておりますので、この秋を目指して事務当局間でいろいろ議論を詰めてもらいますけれども、どうしてもそれが結論が出ないときにはああいうところで御議論いただくのも私は一つ考え方ではないか、こういうふうに思っております。
  189. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 山崎君、自治省の浦山給与課長がもう一遍再答弁をいたしますので、お聞き取りを願います。
  190. 浦山紘一

    説明員(浦山紘一君) 大変申しわけございませんでした。  先ほど国家公務員から地方公務員に通算になった場合のこの制度の適用関係についてお尋ねございまして、私、条例上難しい面があるとお答えを申し上げたんですが、条例上、退職手当は通算するという規定を設けてございますので、その中で、在職期間が通算期間すべてですよという規定で、今回の一時差しとめについてもそういう通算をするといいますか準用するという規定を条例上設ければ、国家公務員時代の行為につきましても地方公務員の段階で一時差しとめをすることが条例措置をすれば可能でございます。  訂正させていただきます。
  191. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 岡光事件が発生いたしまして、私はこのことに関しましてたびたび当委員会でも、退職金やそれ以前の期末手当問題が出たときに、国民的感情を含めまして何らかの対応ができないんだろうかという提起をしたことがございます。そういう立場から見ますと、ある意味では実ったという評価もしたいと思います。本当に御苦労さまでございました。  ただ、一部の高級官僚といいましょうか、ごく一部の高級公務員が不祥事を起こしたことによって、全体の大変誠実に仕事をされている公務員の方に対してさまざまな影響を与えてはいけないということについての配慮はあわせてしなきゃならないということで、今回の不祥事を起こしたことによりまして少なくとも慎重な配慮をということについても申し添えさせていただいた記憶がございます。  いろいろ今も議論がございました。基本的に賛成でございますが、退職公務員の労働債権、権利、さまざまな問題を提起して、引き続きの課題もございますが、運用に当たりまして再度確認したいんです。恣意的に排除をしていくということではなくて、やはり慎重な厳格な運用基準で行っていくんだということの確認を冒頭させていただきたいと思います。
  192. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) これは先ほど人事局長が答弁したと思いますけれども、その面については運用は慎重にしていかなきゃいけないし、また各省庁で違っておってもいけませんので、その辺のところは今いろいろと検討しておるわけでございます。なるべく早いうちに、これが施行されるまでの間にその辺のところはきちんとしたものをつくらなければいかぬ、こういうふうに思っております。
  193. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そこで、具体的に刑事事件で逮捕されたとき、禁錮以上というようなルールがございますが、組合活動とか公務上の過失、例えば交通事故、こういったことについても含まれるんだろうかという一つの疑問もございます。  今回の岡光事件に端を発するならば、表現として国民的不祥事というのがあるのかどうかは別にいたしまして、重大な不祥事というのにあえて限定していくということが私はある意味では妥当ではないかなというふうに思っているところでございます。そういう意味で、法律の運用に当たりましては、退職者の権利保護の観点から罪の範囲を明確にしていくということ、そして少なくとも組合活動や交通事故等の業務上過失は除外すべきであるというふうに思っているところでございます。今、山崎委員の質問で最後にお答えになりました秋までという長官の答弁がございましたけれども、各省との関係も含めてでございますが、総務庁で運用基準をつくっていくということがこの秋までにということに含まれるのか、それはまた別な問題で、運用基準については早期につくって各省に明らかにしていきたいということであれば、この運用基準はもうでき上がっているのか、いつまでに運用基準というのは明らかになっていくのか、お尋ねさせていただきます。
  194. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) 今お答えいたしましたように、この法律に伴って必要な運用基準だけは法律の施行までに事務当局できちんとしたいというふうに私は思っております。  先ほど申し上げましたのは、山崎さんからもいろいろの御指摘がありました。法律の中でいろいろの問題点、多少無理なところがあるところについては、これは秋ごろまでに私どもはできれば結論を出すようにと、こういうことを言っておるわけでございます。
  195. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 前段の持ち時間の関係で、この一問だけで私の質問は終わります。  間もなく夏になりますと、人事院において官民給与較差の調査が終わり、人事院勧告の時期が迫ってきているわけでございます。公務員給与のあり方についてさまざまな議論もあるところは承知をしております。  自来、私は、この人事院勧告につきましては、公務員の労働基本権制約の代償措置として、政治的な思惑を排除しながら、勧告が出たら速やかに完全実施をということについて繰り返し指摘をさせていただいてきました。人事院勧告が提出されましたら、政府におかれましてはぜひこれを完全実施していくということについて明確な対応を求めたいと思いますけれども、このことについてお答えいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  196. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) 人事院から勧告をまだお出しいただいたわけでもございませんので、人事院から勧告をお出しいただいたときには、公務員の労働基本権を制約している代償として人事院勧告があることはよく承知いたしておりますので、その辺を十分踏まえながら対処していかなきゃいけないと思っております。  ただしかし、一方においては、私ども今財政再建という形で来年度の予算については相当厳しい予算編成をしていかなきゃならないと思っておりまして、これはすべての聖域なしということになっておるわけでございます。いわゆる今申し上げました人事院勧告は尊重しなきゃならないという姿勢とその辺の聖域なしで一体どういう形でこの人件費を見ていくかということと、その辺のバランスをどうとっていくかというのは、まだ今のところ私自身もはっきりした考え方はございませんけれども、少なくとも現時点では人事院勧告が出た場合それを尊重していかなきゃならないという姿勢はとっていきたいと思っております。
  197. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 終わります。
  198. 笠井亮

    ○笠井亮君 日本共産党の笠井亮でございます。  既に質疑がありましたけれども、岡光事件における退職手当、それから期末・勤勉手当支払い問題の再現を防止するための措置を講じていくということは本当に必要だと思うわけであります。相次ぐ高級官僚の不祥事件に見られるような、その職務を私していた者に対して退職手当、期末・勤勉手当を渡さない、あるいはそういうものを手にする資格がないというのは当然だと思うわけであります。  しかし、本法案においては、先ほど来ありましたけれども、さまざま難しい問題があるということも明らかになっておりまして、特に私が思いますのは、禁錮以上の刑ということを要件にしているために、ただいま齋藤委員も言われましたが、例えば交通事故などの公務と関係ないことで罪に問われた場合でも、それが純粋な過失によるものであっても、禁錮以上の判決を受ければ退職手当等を受けることができなくなるということであります。退職手当や期末・勤勉手当には給与の後払いという性格もあることを考えれば、公務外での問題を理由にして全額不支給というのはやっぱり問題があるんじゃないかというふうに思うわけであります。  そこで伺いたいのは、その上にさらに重大な問題として一点はっきりさせておきたいと思うんですが、現行法のもと公務員の争議行為が刑事罰の対象にされているということであります。  国家公務員法の第九十八条二項で同盟罷業その他の争議行為が禁止されて、これに違反する行為を行った場合については同法百十条の一の十七で「三年以下の懲役又は十万円以下の罰金」というふうに規定されております。法律上は実刑を受ける可能性もあるということだと思うんですが、また執行猶予つきの判決という場合もあると思うんですけれども、そういうときに退職手当とか期末・勤勉手当も今のこの制度でいけば不支給になると思いますが、間違いありませんか。
  199. 菊池光興

    政府委員菊池光興君) 現行法におきましても、禁錮以上の刑に処せられた者には退職手当を支給しないこととしているところでございまして、禁錮以上の刑であればすべての犯罪を対象とするということでございます。禁錮以上の刑に処せられるかどうかが退職手当の支給、不支給の基準となっているところでありまして、その罪の内容を問うものではございません。
  200. 笠井亮

    ○笠井亮君 この問題ではそもそも公務員の労働基本権を奪っていること自体が不当だと私は思うんです。争議行為を行った公務員労働者は刑事罰の対象とされる、要するに禁錮刑以上ということですから対象とされる上に、今後はまじめに勤務してきた分の退職手当等まで受けとれなくなるということで、今回の改定で行為の内容でなく刑罰の種類を不支給の基準にしている。まさに今御答弁あったそういうところから出てくる矛盾ではないかと思うんです。  実は今国会の本委員会で総務庁設置法の審議のときに聴濤委員が取り上げた問題でしたけれども、ILO八十七号条約への加入を受けて公務員制度審議会検討が行われて、一九七三年に出された第三次の審議会の最終答申で、今後に残された三つの検討課題の一つとして争議行為に対する刑罰規定の再検討ということが明記されております。これについて、人事局長は、この問題は誠意を持って各省庁と検討しているけれどもいまだに結論を得るに至っていないという形で答弁されたと思うんです。つまり、この問題はその問題自身を取り上げてみれば未解決ということでよろしいわけですね。
  201. 菊池光興

    政府委員菊池光興君) 公務員制度審議会の答申中、政府において引き続き検討すべき事項とされた三課題のうち、一つ消防職員の団結権問題は片づきましたということで、残された二課題のうちの一つとして刑罰規定のあり方の検討が残されているわけでございまして、公務員問題連絡会議で関係省庁ともども検討をしているところでございます。  ただ、検討しているからといって、じゃその刑罰規定が無効かということではございませんで、これはあくまでも実定法としてきちっと定められておるわけでございますので、何ら法律の効力に影響はないものというふうに考えております。
  202. 笠井亮

    ○笠井亮君 総務庁の立場としてはそういうふうに御答弁になると私は思いました。ただ、結論が出ていないということはこの問題は未解決ということであります。  そもそもILO八十七号条約というのは結社の自由及び団結権の保護に関する条約ということであります。公務員といえども労働条件の改善を求めて団結する権利を持っているということ、そして争議行為に対する刑事罰を定めた国家公務員法がこの条約の趣旨に反するということで、いわば審議会検討課題となって結論が出ていないままに、今お認めになったように今日に至っているということであります。こういうような未解決である問題をいわば放置したまま、新たに労働者の権利を狭めるようなことが許されるのか、許されてはいけないというふうに思うんです。  もともと今回の法律案に至る経過で、昨年の事務次官等会議の申し合わせとか人事院職員局長の通知、それからことし四月九日の人事院の文書を見ましても、いずれもこの間の数々の公務員の不祥事への対応ということで出てきた問題でありまして、そういう点でいきますと綱紀粛正も問題だと今議論がありました。そういう点で、本法律への適用対象をそもそも出てきた動機からしてきちっと限定すべきだ、やはり収賄とか横領とかいうふうな汚職等に限定すべきだと私は思うわけでありますけれども、その点について、総務庁長官人事院、それぞれどのようにお考えかを端的にお伺いしたいと思います。
  203. 菊池光興

    政府委員菊池光興君) 繰り返しになりますが、現行の退職手当法におきましても禁錮以上の刑に処せられた者には退職手当を支給しないこととなっているところでございまして、すべての犯罪を対象としつつ、禁錮以上の刑に処せられるかどうかを退職手当の支給、不支給の基準としているところでございます。  なお、付言いたしますと、国家公務員法上も禁錮以上の刑に処せられた場合には公務員は当然その身分を失うこととなっておるわけでございまして、失格事由になっているわけでございます。今回の法改正におきましては、このような現行制度考え方前提といたしまして、退職手当及び期末・勤勉手当について法定刑の上限が禁錮以上の刑に当たる犯罪のすべてを一時差しどめ処分の対象としたところでございます。  仮に、一時差しとめ処分の対象となる犯罪を特定の種類に限定したらどうか、それでそれ以外の犯罪については法定刑の上限が禁錮以上の刑に当たるものであるにもかかわらずそういう犯罪を犯した者に対して退職手当を支給するというようなことになれば、退職手当の支給の適正化という観点に照らし、あるいは退職手当が国民の税金でもって賄われているということを考えれば、かえって国民の理解を得にくいものだろう、こういう犯罪であったらば退職手当を払ってもいいんだというようなことはなかなか納税者たる国民に対して申し開きができないんじゃないか、こういうふうに考えます。
  204. 武政和夫

    政府委員武政和夫君) 期末・勤勉手当の差しとめ及び不支給についてでございますが、職員にとっても基本的権利の一つである給与の支給を制限するというものでありますから、私どもも特に重大な不祥事の場合に限ることとし、その基準としまして、在職していたならば失職に該当する事由である禁錮以上の刑に処せられたときとしたものであります。このため、現行法制上、禁錮以上の刑に処すとの評価がなされているというものにつきましては、すべて同一に取り扱うべきものというふうに考えておりまして、今回の措置におきましても事由を問わず不支給の扱いにしたいというふうに考えております。
  205. 笠井亮

    ○笠井亮君 時間ですので終わりますが、争議行為も含めて犯罪だということになりますと、それ自体、私は議論しなきゃいけないと思うんです。  要するに、未解決とお認めになっているのに、結局その問題についても含めてということになりますと、これは未解決なのに労働者に新たな不利益をもたらすということになりますから、これは重大な問題だと思うんです。先ほど来ありましたけれども、この問題も含めて公務員労働者の権利に配慮した慎重な運用、それから秋に向けてという話もありましたが、引き続きこの問題もきちっと位置づけ検討していただくことを強く求めて、質問を終わります。
  206. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 北澤でございます。  最初に長官と総裁にお聞きしますが、人事院の職員局から懲戒処分の状況について細かく数字でいただいておりますが、これだけ不祥事があるのはこれは多いんですか。我が国の実情からするのか世界的に見るのかどうなのか知りませんけれども、処分数が千四百だとかいろんな事案によって出ていますけれども、これについてどういうふうに認識しておられるか、長官と総裁に別々に御認識を述べていただきたい。
  207. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) 先ほども御答弁いたしましたけれども、非常に残念なことだと思います。公務員は国民全体に対する奉仕者という使命感に燃えて仕事をしなきゃいけないはずでございますから、そういう面で平成七年度よりも平成八年度がふえているということに対しては非常に遺憾に存じます。  今後このようなことのないようにもう一度綱紀の粛正をより強めていかなきゃならぬ、こう考えております。
  208. 弥富啓之助

    政府委員弥富啓之助君) お答えを申し上げます。  これは暦年で見させていただきますと、数といたしますとやや下落の方向にあるというふうに認識をいたしておりますけれども、平成八年度の場合はちょっとふえているということは、いろいろな事件がございました。御承知のとおりの事件がございまして、そのように考えております。  また、世界的にということは、私は今ここで確定的に申し上げる資料を持ち合わせておりませんので、後ほど御要求があればまた調べてお答えを申し上げます。
  209. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 今お聞きしましたのは、こういうものは本来統計上で論ずる話じゃないので、多分どちらかはゼロであるべきだ、こういうふうにおっしゃるかと思ったらそうではなくて、総裁に至っては、世界の状況をと、私が言ったからかもしらぬが、世界の状況を調べてもいいなんというようなことではなく、基本的にはゼロであるべきはずのものなんです。そういう認識でこの論議をしなきゃいかぬと僕は思います。  そこで、総裁、大臣も盛んに先ほど来の答弁でおっしゃっておりましたけれども、役所側にいささかの抵抗があったけれども押し切ってここまで来た、こう言っておるんです。このことについては、人事局長研究会で検討を重ねてきて法案にこぎつけてきたということであります。  私の考えでおることが間違っているかどうか知りませんけれども、人事院というのはそもそも第三者機関として位置づけられているわけです。そして、客観的な立場で内閣に対して意見の具申をしたりしながらやっていく。したがって、まずこういう事態が起きたときに、どういうふうに機構を直したりどういう処置をするべきかということになれば、率先して人事院意見を述べて先導役をしなきゃいかぬ、こういうふうに思うんだが、どうですか、私の考えは間違っておりますか。
  210. 弥富啓之助

    政府委員弥富啓之助君) お答えを申し上げます。  職員の不祥事に対する対応といたしまして、人事院といたしましては、従来から服務義務違反が生じた場合にはとにかくすぐそれに対して、例えば辞職を許可するとかそういうことじゃなくて、事実関係を十分明らかにした上で厳正に対処するよう各省庁にあらゆる機会に指導をしてきたところでございます。また、御存じのとおり、一月十六日でございましたか、職員局長通知をもちましてこれをさらに各省庁に通達をいたしております。  それで、不祥事を起こした職員に関する期末・勤勉手当の取り扱い、こういうことは給与法を所管する立場から、国民の公務に対する信頼を確保して今後の公務の能率的運営を図っていくためにも重要な課題であるという認識に立ちながら、他方で本件が職員の基本的な勤務条件を変更するものであることから、これについては慎重に検討を行ってきたところでございます。  その後、総務庁の方から不祥事に係る期末・勤勉手当の取り扱いの見直しに関する給与法改正について当院の見解を求めてこられたわけでございます。これは従来もこういう形式でやられたこともございますが、四月九日、総務庁長官に対する書簡におきまして人事院としての見解をお示ししたところでございます。
  211. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 今おっしゃったとおりなんですね。先を越したとか越されたとかということじゃなくて、人事院とすれば、人事局長がこういう研究会をつくって、しかも法案をこうするという間、盛んに皆さんの方は答弁で慎重に検討を行ってきたということを言っておるんですけれども、何か不祥事があって給与その他についていろいろ検討を重ねてきたとすれば、提案があってしかるべきで、本来、人事院の方から先にやるべきではなかったかと思うんだが、その点はどうですか、重ねてで恐縮だが。
  212. 菊池光興

    政府委員菊池光興君) 先ほどから言及されております不祥事が起こりましたのが昨年の十一月十九日の早朝でございました。それ以来、十一月  の下旬、二十五日ぐらいからだったと思いますが、臨時国会が折から開かれまして、私どもも給与法を十二月五日にこの委員会で御審議いただきました。  その前後に衆参の予算委員会が行われて、その過程の中で、国会の場で政府の責任を厳しく追及する御質疑が相次ぎ、総理、官房長官、総務庁長官あるいは小泉厚生大臣、みな御答弁になりまして、政府としてもこの事態を深刻に受けとめ、まず政府みずからが身を正すための努力をする、それから犯罪があると思料されるような場合であっても退職手当あるいは期末手当というものを支給するというような現行制度に欠陥があるんだとすれば、それについては政府部内で責任を持って検討させていただきたい、こういうことを何遍も答弁させていただいたところでございます。  そういうようなことで、政府部内の公務員制度を所管しております私どものところで総理初め各閣僚からの御指示を受けて検討し、先ほど申し上げましたように、事務方の総意といたしまして事務次官等会議で申し合わせを行いました。「行政及び公務員に対する国民の信頼を回復するための新たな取組について」という次官会議の申し合わせを十二月十九日に行いました。その前書きの中に、「なお、不祥事に係る職員に関する身分、退職手当等の取扱いについては、公務に対する国民の信頼確保の要請と職員個人の権利の尊重に留意しつつ、早急に法的措置を含め制度・運用の両面にわたる検討を開始する。」ということで、政府の意思表明としてこの決定がされたわけでございます。  これを受けまして私のところで研究会を設けたわけでございますが、この研究会には当初から人事院を代表して、委員ということではなくてオブザーバーという形で積極的に参加していただきまして、制度の実態、運用のあり方というようなところについて適時適切な御意見をちょうだいして、それが大きく寄与して私どものところの研究会の報告書として取りまとめられ、それを検討しました結果、今回、法案ということで御審議いただくことになったわけでございます。  そういうような面で、人事院人事院内部でも当然検討をされたと思いますけれども、この過程におきましては、政府一丸となって対処するということについて人事院も十分理解を示されて、積極的に御参加いただいたものと、こういうふうに考えております。
  213. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 この法案そのものについては、もう先ほど来条文を挙げてそれぞれ審議されましたので、私も幾つか通告をしてありますけれどもそれはもう省きまして、違った角度で少しお話を申し上げたいと思います。  次官会議の申し合わせというのは、先ほど答弁されていましたけれども、閣議決定ではないけれども閣議決定に準ずるような位置づけをされておる、こう言われております。確かにこの前文を読みますと、これはもう閣議決定の前文みたいな、大臣そっちのけみたいななかなか立派なことが書いてあるから、読んだだけでもそんなような気がしますよ。ここには大変興味深いことが書いてある。一行目から、「今日、我が国は、各分野において厳しい選択を伴う改革を迫られている。この改革の試練を乗り越えて、より良い二十一世紀社会を構築するためには、」と言って、国民の理解と協力を得たい、こういうことですね。  そこで、この中をずっと読んでいくと、その柱にあるのは大体予算の執行、補助金、それから許認可の権限についての反省と厳正な執行について書いてある。公務員が最も求められているのは、税金は国民のものだということの自覚ですね。予算というものは私から申し上げるまでもなく富の再配分ですよ。富の再配分というのは、本来国民のものを総合して集めて、それをもう一回配分するわけです。許認可もまさにそのとおりです。そこのところはよくここに書いてあるんですね。  そこでお聞きをしたいんだが、今、長官もその重要メンバーで行財政改革を一生懸命おやりになっておる。一つ例をとると、公共事業についてはマイナスにしていく、こう言った途端に、私は今残念ながら野党ですけれども、野党の一議員のところへもあらゆる団体から、地方六団体はもとより、それから各地域によってどんどんと陳情に来る。中にはその選出の県の国会議員全員を集めて、市長さんから始まってみんな、町村長さんも来る。  そこで、その人たちのことを全国的にいろいろ聞いてみると、大体役所が指導しているんですよ。いつでもそうだ。公共料金を凍結すると言うと、途端におたくの方の高速道路はだめになるかもしれませんよと。役所が指導してそういうことをやっていながら、予算の執行だとか許認可について国民の財産であるという自覚をここで盛んに言っているわけですが、この辺のギャップというのは埋まらないんですか。総務庁長官、どうですか。総務庁長官だってさんざん陳情を受けているお立場だと思うんだが、それとこれとはちょっとつながらないような気がするけれども、根っこは全く一緒なんですよ。どう思いますか。
  214. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) 私は今、政府の立場ですから、今政府としては財政を何としてでも立て直しをしていかなきゃいけない。このような形で毎年毎年大きな借金を国が抱えていったならば、例えばことしてもそうですし、平成八年度、平成九年度、国債費が十六兆以上、しかもそのほとんどが利払いだということからいけば、もういいかげんに借金体質から脱却しなきゃいかぬというのは、私は国民のためにも、また日本の国の将来のためにも必要だと思います。とりわけ、私どもの次の世代の国民のことを考えれば、こんな大きな借金をいつまでも残しておいていいものとは思いません。  そういう面で、私どもは今財政の立て直しをしていこうと。とりわけ、ことし平成九年度を財政再建元年と私どもは言っておりますけれども、決して財政再建元年にふさわしい予算ができ上がったと私は思っておりません。まだまだ反省すべき点がある。そういう点からいけば、来年度こそは、平成十年度こそはひとつマイナス予算をつくろうということを私ども申し合わせをしたわけでございますから、それをやろうと思うと、やはり全体的に思い切って聖域なく見直しをしていかなきゃいけない。公共事業も含めて聖域はないわけですから、見直しをしていかなきゃいけないんじゃないかという点で、今お話があったように、いろいろの御要請があろうとも私どもは断固たる決意でその辺のところはきちんとしていかなきゃいかぬ、こう思っております。
  215. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 大先輩にそう言っちゃ御無礼でありますけれども、健全な御認識で、全くそのとおりで、それが行われればいいと思うんです。  局長、どうですか。各省庁が、特に現業部門を持っている、公共事業を担当している役所がそのことを、あなたが役所がやっているよという前提でしゃべることは言いにくいだろうと思うけれども、私たちの立場でそういう認識を持っておることについてどういうふうに感じますか。
  216. 菊池光興

    政府委員菊池光興君) なかなかお答えしにくい部分でございます。  その衝にある公務員は自分の担当している仕事というのが豊かな国民生活を実現していく上で役に立っている、こういう確信を持ち、またそれだけの信念を持っているからこそ、自分のやっている仕事がなくなるということになったらかえって社会全体に対してマイナスになるのではなかろうかと。したがって、自分たちの仕事がいかに重要であり、またそれがなくなることによって国民生活にいかなる影響がもたらされるかということを正しく認識していただこうということで、ある意味で言いますと、いい言葉で言いますと、PR活動といいますか啓発活動というか、そういうようなことを推進するところも十分理解できるところでございます。  ただ、その際にいかなる観点からやるのかは、それが国政全般の中でどういうような役割を果たしていくのかということを、単に自分の部局だけあるいは自分の所掌事務だけじゃなくて、国政全般あるいは国民生活全体の中で見定めていくということがまた片方で強く求められている時代だろう、こういうふうに思います。  そういうような面からいいますと、行き過ぎた陳情活動あるいは動員を図るというような行き過ぎがあること、これがあるとすれば、まことに残念なことだと、こう思います。
  217. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 せっかく大臣がいい見解をお述べになったんだけれども、局長、それは違うんだ。事前に言ってないし、ちょっとひっかけみたいになっていて恐縮だが、今この時点で予算の執行についてあなたが前段で言ったような感覚はもうだめなんだよ。自分たちのやっていることは国民の幸せに直結する、そんなことは当たり前の話で、今この時点で果たしてむだがないのかと思うところからスタートしてもらわなかったら、今の橋本内閣がやろうとしていることはできなくなっちゃうんですよ。あなたが今言った前段は大間違いなんだ。今むだがないか、少し国民に無理を強いるかもしらぬけれども、節約のできるところを国民に説得することが今の役所の、特に公共事業を所管する人たちの責務ですよ。それを積極的にやらなかったらだめです。  もともと役所とそれにかかわることはここにもたくさん細かいことが書いてある、パーティーに行っちゃいかぬとかなんとかね。しかし、役所とそれにかかわる利害の関連するところというのは明治の時代から支配と従属の関係になってきている。しかし、従属させられた側は一つ経済活動の中で利潤を得るから忍んできているという部分があるわけなんです。そういう中でここのところを断ち切るというのはなまじっかなことじゃないんですよ。そういう認識でやらなきゃならぬ。  そこで、ここにあなた方がつくった、この「厳しい選択を伴う改革を迫られている。」ということをわざわざ第一行目に書いておきながら、自分たちのやっていることは国民の幸せだと。国民にこんな幸せはありませんよと言って二十年後、三十年後に大不幸せをつくったら、これは大変な犯罪ですよ。そういう認識に立ってもらわなきゃ困る。  そこで長官にお尋ねしますが、これと同じ考え方予算委員会で一度こういうことがあった。首都機能の移転について反対論を言った議員がいたんです。いきなり橋本総理の答弁は、じゃあなたの県は首都移転のときに要らないんですね、首都機能をあなたの県は希望しないんですねと、こう言ったんです。そうしたらその議員が何と言ったか。私は地域を代表している国会議員ではあるけれども、日本全体を思って今論議をしていますと。こう言ったら、さすがに橋本総理もすぐ、いや、これは申しわけなかったと言った。これは言葉のあやも絡まっていることだから、そこでそういった態度をとったことは一つの見識だと思う。  それと同じようなことが、長官が属している同じ内閣の中で、公共事業を削減するということを言うような議員のいるところへは予算は削減しますと言ってはばからない、これは新聞報道ですから、でも幾つかの新聞が全く同じことを書いているから間違いないんだろうと思うが、そういう人が同じ内閣の中にいるということについて、あなたが冒頭言われた今苦労されている仕事に差し支えがあるか。それから、そういう考え方というのは内閣の中に本当にあるんですか。
  218. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) 表現はいろいろあるだろうと思うんですけれども、今私どもは内閣の中で、私が先ほど申し上げたように来年度の予算編成に当たっては聖域なくすべて見直しをし、マイナスの予算をつくろうと、これに対して絶対だめです、反対ですと言う人はおりませんから、私はその点は御心配はないと思います。
  219. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 私も地方の出ですから、社会資本の整備のおくれている分野について、例えば下水道整備なんていうのは全くこれからの地域がたくさんあるわけですね。そういうところは欲しいですよ、みんな。しかし、今の財政事情を見れば、野党だといってもこの改革をやらなかったらだめだと思う。少し話がそれましたけれども、私はそういう意味ではこういう厳しい現状の中で法律を提案してきた長官がしっかり閣内で頑張ってほしいと思います。  時間がまだ少しありますけれども、もう通告した質問はしないことにいたしましたが、最後に、公務員の倫理の問題というのは、基本的に国民の奉仕者だということはこれは当たり前の話なんで、それをどういうふうに認識していくかということであります。  関係団体が役所と、しかも位の高い人たちと接触を持つことがその団体を束ねる人たちにとっては一つの大きな存在感なんですよ。そういうことが今度のこの次官会議の申し合わせなんかによって、それからまた各省庁の倫理規程なんかによってきちんと仕分けができるのか。そのことが今度は民間意見を役所が吸い上げにくくなる、そういう二律背反みたいなものがあるんだけれども、そういう点については局長はどんなふうにお考えですか。
  220. 菊池光興

    政府委員菊池光興君) 的確なお答えができるかどうかちょっとわかりませんが、確かに余りにも倫理規程の実施が厳し過ぎることによって、本来有益で職務として十分やるべき関係業界団体あるいは一般市民、国民からの意見に耳を傾けないで行政運営が行われるんじゃないか、そういうことになったとすると独善的な運営になってまことに問題であるぞ、こういうようなことが指摘されております。私どもも、倫理規程があるがゆえに、倫理規程を厳しくやるがゆえにそういうことがあっていいということでは決してない、こういうふうに考えております。  ただ、ボトムラインとしてどう考えるかというところでございますけれども、接待の場でなければ意見交換ができないのかとか、そういうような問題がまさに問われているわけでございまして、それは業界団体と昼間にしかるべき会議室で十分意見交換をする機会というものを設ければいいのであって、何も座敷で接待を受けたりしながらじゃないと意見交換ができないというようなことであるとすれば、そこの部分についてはやはり倫理にもとるものとして厳に慎んでいくべきものと、こういうふうに考えております。
  221. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 総裁に最後にお聞きしますが、この事務次官等会議の申し合わせ、そこの3の(1)と(2)に細かく書いてあります。こんなものは本来ない方が僕はいいと思うんですね。こんなことをきちんと定義してもらわなきゃ不祥事が防止できないということでは、もともと公務員採用したときの資質もとるわけですから。そういう意味において、この事務次官等会議での申し合わせが子供に言って聞かせるような細かいことを規定したということについて総裁の見解をお聞きして、私はこれでやめます。
  222. 弥富啓之助

    政府委員弥富啓之助君) 国家公務員として就職をした場合には、まず憲法から、憲法十五条でございますが、それに基づく国家公務員法の国民全体の奉仕者であるということは腹にあるつもりでございますが、しかしいろいろないきさつがありまして、ここにこういうふうに細かく規定をしなければいけない、そのこと自体は非常に遺憾とするところでございます。  ただ、私がちょっと想像をいたしますに、やはり外国なんか、特にアメリカなんかの規程は非常に細かいというようなことを聞いておりますので、あるいはそういうことから漏れのない対策をとりたいということで書かれたのであろうと思いますけれども、それによって公務員が萎縮したりということがないように、自分で公務員として国民全体のための奉仕者であるということを心に秘めていれば、そういうふうなことを一々そこに当たって、六法全書みたいにそれを引いて、それでこれが当たるか当たらないか、そういうことはない、それはやはり公務員としての心構えの問題である、かように考える次第でございます。
  223. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  別に御意見もないようですから、直ちに採決に入ります。  国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  224. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきもとの決定いたしました。  鈴木貞敏君から発言を求められておりますので、これを許します。鈴木貞敏君。
  225. 鈴木貞敏

    鈴木貞敏君 私は、ただいま可決されました国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、平成会、社会民主党・護憲連合、民主党・新緑風会、日本共産党、太陽の各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府並びに人事院は、本法の施行に当たり、次の事項について善処すべきである。  一 昨今の一部省庁の幹部職員の不祥事及びいわゆる官官接待問題等に対する批判にかんがみ、行政及び公務員に対する国民の信頼を確保するための措置を引き続き検討すること。  一 一時差止制度等の運用に当たっては、退職手当制度及び期末・勤勉手当制度趣旨を考慮し、退職者の権利を不当に侵害することのないようにすること。  一 出向し復帰した職員に対する懲戒処分のあり方については、懲戒権の空白が生じないよう引き続き検討を進めること。  一 社会経済状況の変化に対応し、公務員制度の見直しを早急に進めること。  右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  226. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) ただいま鈴木貞敏君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  227. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 全会一致と認めます。よって、鈴木貞敏君提出附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、武藤総務庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。武藤総務庁長官
  228. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その御趣旨に沿い努力してまいりたいと存じます。
  229. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  230. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十二分散会      —————・—————