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1997-05-08 第140回国会 参議院 内閣委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月八日(木曜日)    午前九時四十分開会     —————————————    委員異動  四月二十四日     辞任         補欠選任      阿部 幸代君     聴濤  弘君  四月二十五日     辞任         補欠選任      瀬谷 英行君     清水 澄子君      小山 峰男君     北澤 俊美君  五月七日     辞任         補欠選任      聴濤  弘君     須藤美也子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鎌田 要人君     理 事                 板垣  正君                 鈴木 貞敏君                 鈴木 正孝君                 清水 澄子君     委 員                 海老原義彦君                 狩野  安君                 村上 正邦君                 矢野 哲朗君                 依田 智治君                 大久保直彦君                 永野 茂門君                 山崎  力君                 角田 義一君                 齋藤  勁君                 笠井  亮君                 須藤美也子君                 北澤 俊美君    国務大臣        農林水産大臣   藤本 孝雄君    政府委員        総務庁行政管理        局長       陶山  晧君        農林水産大臣官        房長       堤  英隆君        農林水産省経済        局長       熊澤 英昭君        農林水産省構造        改善局長     山本  徹君        農林水産省農産        園芸局長     高木  賢君        農林水産省畜産        局長       中須 勇雄君        林野庁長官    高橋  勲君        水産庁長官    嶌田 道夫君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 久雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○農林水産省設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付)     —————————————
  2. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る四月二十五日、小山峰男君及び瀬谷英行君が委員辞任され、その補欠として北澤俊美君及び清水澄子君が選任されました。  また、昨七日、聴濤弘君が委員辞任され、その補欠として須藤美也子君が選任されました。     —————————————
  3. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事清水澄子君を指名いたします。     —————————————
  5. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 農林水産省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 鈴木貞敏

    鈴木貞敏君 自由民主党の鈴木でございます。  きょうは三十分という短時間でございます。農業あるいは森林の問題、あるいは漁業の問題、いずれにしましても第一次産業と言われているこの分野が今大変な危機にあるというふうな感じでございます。世の中全体の空気が経済一辺倒あるいは功利主義といいますか、そういう風潮に流されている中で、農業という問題を含めたものが非常に危機的な状況にあるということで、日本の将来のためにいろいろ多角的に国民コンセンサスを得るべく努力しなくちゃならぬというふうな時期でございます。  きょうは設置法の改正で、それぞれの分野にわたる業務あるいは検査事務を本省に統括する、こういう法案の内容でございますので、今日的な話題を一括して短い時間で質問させていただきたい、こう思います。  まず第一に、リンゴの問題でございますが、きのう北海道青森を含めて、長野県、そして東北のあと五県、こういった県の二百数十名が集まった要請集会がございました。私も出てまいりましたが、集まった人たちから、絶対アメリカの今回の要求には応ずるな、屈するな、頑張ってくれと、こういう各県の代表者のそれぞれの決意表明等がございまして、それに向けて各派代表のそれぞれのあいさつがあるというふうな集会でございました。  御承知のとおり、日本植物防疫法によりますれば、すべての植物品種別にそれぞれ検疫が行われるということでございます。今回のこのリンゴの問題は、もう既にレッドデリシャスとかゴールデンデリシャスという二種類がアメリカあるいはニュージーランド、こういったところからもう開放になっているわけでございますが、今回は豪州を含めてアメリカが、さらにリンゴ全体を品種として一括して承認すべきだ、これが貿易の壁になっておる、自由化の壁になっておると、こういうふうな言い分のようでございます。それで、ガットの二十三条に基づきまして二国間協議を申し入れておるということで、来月でございますか、ジュネーブで二国間協議が開かれるというふうな報道を聞いておるわけでございます。  こういった生産者の熾烈なる要望、あるいは品種ふじという、今一番日本リンゴの主流でございまするふじという品種を含めたものを解禁せいと、こういうふうな要求であるようでございますので、アメリカの非常にごり押し的な、あるいは首尾一貫しない主張であろう、こういうふうに思います。  もとより、二十三条で二国間協議をやり、それが不調であればパネルでのそれぞれの裁決というんですか、裁判的な機能を持ったものに移るわけでございますけれども、やはり二国間協議で何とか今までの日本主張をしっかりアメリカに理解してもらっていただきたい。リンゴ産業は特に寒い国に多いわけでございまして、青森の台風によるいろいろの被害等もまだ記憶に新しいところでございますが、これについていかなる方針アメリカとの会合に臨むか、まず農林省にお伺いしたいと思います。
  7. 高木賢

    政府委員高木賢君) リンゴ追加輸入解禁要求につきましては、先生から今お話がありましたとおり、これまで両国専門家同士の話し合いを行ってきたところでございますけれども、アメリカは、我が国品種ごと輸入解禁措置を講じているということについて科学的根拠がないということで、四月七日にガット二十三条に基づく二国間協議要請してまいりました。この要請に対しまして、我が国もこの協議に応ずるということを回答いたしまして、来月上旬にも協議が始まるということでございます。  それに対する考え方でございますけれども、今般の二国間協議の対象となる我が国植物検疫制度はまさに品種ごと試験データを求めまして品種ごとに当否を判断する、こういうことでございます。これはリンゴ以外の果実、マンゴーなどにおきまして品種間に殺虫効果の違いが見られた例があるということでありますので、リンゴ追加品種輸入解禁におきましても品種ごと試験データは必要である、それは科学的根拠があるというふうに考えております。二国間協議の場におきましてもこれが正当な考え方であるということを強く主張して対処してまいりたいと考えております。
  8. 鈴木貞敏

    鈴木貞敏君 今、局長の御答弁ですが、きのうの集会でも、コドリンガですか、アメリカからふじその他が大量に入ってくれば、コドリンガがもし発生した場合に豪州なのかアメリカなのかニュージーランドなのか、国が全然わからぬじゃないか、したがって万が一そういう事態になれば一体どこに訴えていいのか相手がわからぬというふうな主張要請者の中からございました。  スーパーに行っても、もうマンゴーだ、パパイアだ、かんきつ類だと、あらゆる果物がアジア、アメリカ、南米、さらにまたヨーロッパ、そういった国々の果物がもうたくさんあるわけですね。まさに国際化果物も大変国際化しておるということをああいうスーパーに行って見かけるわけでございます。そういう中で日本リンゴ産業を守るという意味で、しかも選択的拡大といいますか、そういう面で東北では大変リンゴ生産というのが重点でございますから、係官も行かれるわけでしょうけれども、その辺をしっかり踏まえて交渉に臨んでいただきたいということをお願いいたしておきます。  それから、次は漁業問題でございます。  おととしてございますか、食糧安保に関連しての漁業国際会議が京都でございました。私もその席に出ていたわけでございますが、率直に言いまして、日本漁業界というのはこんなにも団体が多いのかなと。大日本水産会を初めとして、何かいろいろ底びき網、何々漁業組合、もう多数の組合漁業関係にはございます。  そういう中で、国連海洋法条約が結ばれまして、それでこれから特に韓国中国との間に漁業協定を結ぶというふうな段階で、業界の一丸となった協定締結に向けての意気込みというのが何か足の引っ張り合いで大丈夫なのかなと、こういう素人の私なりの感想を持ったわけでございます。漁業界というのもやはり一致団結した大きな力を発揮するような組織にならぬといかぬのじゃないかなというふうな感じをちょっと受けたのでございます。  そういう中で、とにかく国連海洋法条約が批准されまして、韓国中国との間では二百海里以遠取り締まり権は残念ながら日本にはない。いわゆる旗国主義といいますか、それぞれの船の属する国が持っておって、取り締まり権日本にないというふうなことで、韓国との間あるいはロシアとの間で大変なトラブル、あるいは業界からの苦情、海保による取り締まり、そういったものが今まで何回となく言われてきたわけでございますが、残念ながらおさまっておらないというふうなことでございます。  そういう中で、最近、尖閣諸島の問題あるいは竹島の問題、そういった領土問題という主権にかかわる極めてセンシティブな問題が絡みまして、韓国中国との間での漁業協定というものは果たしてどうなるのか。  与党三党の一応の合意では、昨年の三月でございますか、一年以内に漁業協定締結する方向努力する、こんな線で話し合い、合意ができておるわけでございますけれども、もうその期限も過ぎました。そういう中でやはり早急に境界線を画定して、業界が安定して育てる漁業といいますか、そういう観点からいろいろ、いわゆる排他的水域におきまするTAC制度をしっかり実現していく必要があろうと思うわけでございます。  そういう面で、韓国中国との間の漁業交渉協定締結交渉、こういったものの現状はどうなっておるのか、見通しはどうなのか、その点を、きょうは外務省を呼んでおりませんけれども、農水省の方からひとつ説明していただきたいと思います。
  9. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 今、先と言われましたように、昨年、海洋法条約我が国におきまして発効いたしまして、本年の一月から漁獲可能量制度、これは魚種ごと漁獲可能量を決める制度でございますが、その漁獲可能量制度も導入されたところでございます。  そういう中で、中国韓国との間の国連海洋法条約趣旨に沿いました新たな漁業協定を早急に締結するということが必要となっておりまして、これは先ほどの先生お話でございますが、漁業団体の方から一致団結して、これにつきましては一刻も早く締結するという要望を出しておるところでございます。このようなことでございまして、中国韓国との間において、昨年からことしにかけまして数回にわたりまして漁業協定締結のための協議を行ってきたところでございます。  これまでの協議の結果でございますが、まず韓国との間でございますが、これにつきましては国連海洋法条約趣旨に沿いました協定締結するということなど、幾つかの基本的な考え方につきましては意見の一致を見たところでございます。ただ、境界画定が必要な水域に係る問題につきましては、日本側漁業だけの暫定的な考え方に基づく水域を設定するという考え方を示唆したのに対しまして、韓国側境界画定をまず行って問題を解決すべきであるということを言っておりまして、この点につきまして立場が相違しております。  また、日中間でございますが、これも韓国と同じように原則的に沿岸国主義にのっとった解決を目指しまして、交渉加速化を図るということについては合意しております。さらに、境界画定の問題でございますが、日中間境界画定の必要な水域については、沿岸国主義にのっとりながら、何らかの暫定的な考え方を導入して積極的に検討するということで、暫定的な水域考え方については日中間合意しております。  そういう意味で、日韓日中間では、それぞれ暫定的な水域を導入するかどうかということで考え方が、日中間では合意しておりますが、日韓間ではその相違があるということでございます。  このような状況を踏まえまして、今後さらに両国との協議を行いまして、できるだけ早い時期に新たな漁業協定締結ができますよう努力してまいりたいというふうに考えております。
  10. 鈴木貞敏

    鈴木貞敏君 水産庁長官お話はわかるわけでございますが、魚の方もエビを初めとして外国からの輸入物が大変多い、こういう状況で、やはり持続的な漁業資源というものを活用、利用しなくちゃならぬということが非常に強く認識されている時代であろうと思います。  私の国の山形の隣の秋田県も、ハタハタなんというのが、昔はとにかく肥料にしてもいいぐらいたくさんあったのが、とれなくて一匹幾らということでもう予想もつかない高値になっておる。一時、自主的に漁獲制限しまして、今また解禁されたというふうな状況でございますし、北海道のシシャモもいろいろの自主的な管理が必要だというふうなことも聞きました。  そんなことを含めますと、やはり今の両国との間は、日本海を含めた、北海道をずっと含めた地域での二百海里以遠旗国主義による乱獲というものが大変な問題であろうと思いますので、ひとつできるだけ早く締結に向け御努力願いたい。境界画定でのそれぞれの考え方平行線にある、あるいは暫定水域の問題、こういった問題でも韓国中国ではいろいろニュアンスの違いがあるようでございますけれども、紙上を見ると、藤本農相の談話で、中国との間は非常に近いとかいろいろ出ているわけでございます。韓国韓国中国の出方を見ているでしょうし、やはり両国は全然別ということじゃなくて、お互いに連携し合って進むのかな、こんな感じも持っておるわけでございますが、業界の一致したそういったものも受けて、熱意を持って精力的にこれから協定締結に向けて御努力を願いたいと思います。  次に、大臣にひとつお願いしたいわけでございます。  四月十八日でございますか、食料農業農村基本問題調査会というのが総理大臣諮問機関として設置されたわけでございます。冒頭申し上げましたように、農業の問題は危機的な状況にある。三十六年の現在の農業基本法が目指しましたいろいろの目標、すなわち規模拡大あるいは選択的拡大、構造改善問題、あるいは自立的な経営者の育成という問題、あるいは農工格差、いわゆる工業との間に格差をなくしていこう、こういういろいろの目的農業基本法にはありまして、三十六年からいろいろなあらしの中でいろいろ政策が実施されて今日まで来ておる。日本農業は相当改革された点もあるわけでございますが、なお今いろいろな面で三十六年のそういう目標が必ずしも立法当時の思惑どおり進まないということがあったろうと思うのでございます。  したがって、この調査会を通じまして、これからの日本農業の将来展望を含めて、誇りを持って、そして自信を持ってやれるような農業を何とか築いていかなくてはならぬ。こういうことで、国民コンセンサスを得ていくための基本的な政策をこの調査会でこれから審議していくということになろうと思うわけでございますが、私はその前提として、先ほど申しました現在の農業基本法の課題、そしてその目標というふうなものの今日的な評価といいますか、一体どこに思いどおりにならなかった原因があるのか、これらを徹底的に究明して、その上に立って将来誤りのない農業政策農村政策、こういったものを立てていかないといかぬ、こう思うわけでございます。  その点について藤本大臣のお考え、さらにまたこの調査会でいかなる点を重点として審議し、引っ張っていこうとされるのか、引っ張っていこうと言うと語弊がありますけれども、そしてそのスケジュール、新しい法律がいつごろ国会に提出されるのか、そういったスケジュールも含めてお考えをお伺いしたいと思います。
  11. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 農業基本法の問題、またこの見直しの問題、さらに四月十八日にスタートいたしました調査会の問題などにつきまして今御質問があったわけでございますが、農政基本考え方国民皆様方に安定的に食糧を供給する、こういう大きな責務があるわけでございまして、またその責任を果たすために農業関係者誇り自信を持って農業に取り組んでいただける、こういう体制をつくっていくということがまず必要だと思っております。  昭和三十六年に制定されました農業基本法は、委員が今御指摘になられましたように、それなりに成果を上げてきたと思うわけでありますが、やはり国際的な変化、また社会情勢変化によりましてこの目的どおりには十分な成果を上げられなかった点もあるかと思っております。  そういう状況を踏まえまして、新しい農業基本法制定について強く求められるようになりまして、我々としても新しい農業基本法制定を進めるべく数年前から取り組んできたわけでございますが、現在、この四月にスタートいたしました調査会食料農業農村基本問題調査会でございますけれども、二年の期間ここで十分に議論をしていただいて、その成果を踏まえまして新しい農業基本法をつくっていこう、こういう考え方でございます。  事は急を要するわけでございますので、この食料農業農村基本問題調査会は二年間の期間でございますけれども、本年じゅうに基本的考え方についての第一次の答申をお願いしております。また、来年の夏ごろを目途にいたしまして具体的施策方向について最終答申をいただけるようお願いしておるところでございまして、それをいただいた上で農政改革に取り組んでまいりたい、かように考えております。  我々としては、橋本内閣が今取り組んでおります行政改革経済構造改革、また財政構造改革の一環として新しい農業基本法をつくっていきたいというふうに考えておることも付言させていただきます。
  12. 鈴木貞敏

    鈴木貞敏君 この基本問題調査会をまさに国民は刮目してその行く末を見守っておるのでございます。大臣、その点で、全体がスケジュールどおり着々といって、農民、生産者、そして日本国民全体に未来の明るい見通しのある、そして本当に自信を持てる農政というものの樹立に向かって、その基盤づくりにひとつ御努力のほどを心からお願い申し上げます。  それに関連しまして、基本問題調査会委員に二十名がなりましたけれども、この中で女性は何人おりますか。私の資料ですと四名いるんですが、間違いないでしょうか。
  13. 堤英隆

    政府委員堤英隆君) 今ちょっと名簿を持ってきておりませんけれども、たしか四名の女性の方に委員をお願いしているかと思います。ちょっと確認しまして、もし間違っておりましたら後で……
  14. 鈴木貞敏

    鈴木貞敏君 結構でございます。私、資料をいただきまして、通告なしで質問したので申しわけないんですが、四名だと確認するわけでございます。二十名のうち四名ということでございます。  実はさきにこの委員会男女共同参画審議会設置法案という法律審議がございまして、そこでは女性の数をクオータ制で決められるという非常に画期的な法律でございました。  その際、農水省農業協同組合課長答弁者として、今の農村を生き生きとよみがえらせるためには、やはり全農業労働力の六割を占めているのが女性だという実態から見て、しかしまた反面、農協組合役員に対する女性登用というのが〇・二〇%、数字はちょっと詳しくは忘れましたが、とにかく微々たる、働きの割にはそういう役員登用が非常に少ないということについて、日本農業に活気をみなぎらせるためには女性の力というものに頼らざるを得ないんじゃないかと。毛沢東主義じゃございませんけれども、田園より都市へ攻め上るというか、そういう意気込み女性の力を農村社会に吸収し、これを育成するということが非常に大切じゃないかというふうなことを、実は青臭い議論だろうとは思いましたが申し上げました。  ひとつ努力すると、こういうことでございましたけれども、そういう意味農村実態を見ますと、やっぱり御婦人の方、女性の方の働きというものがいかに大きいかということを小さいときからいろいろ見て、本当にこの人たちを何とか社会的に大切にしていかなきゃいかぬと思います。それがとりもなおさず農村のやりがいというか、うちの娘はもう農家にはやらぬというふうなことを農家主婦そのものが言っているというようなことでは後継者も育つはずがございません。そういうことで、やはり夫婦力を合わせて、同じ立場で、平等の権利といいますか、何か大げさでございますが、その上に立った社会というものが農村社会にはより以上必要なんじゃないか、こういうことをかねて思っているわけでございます。  その点につきまして、農協組織整備につきまして、今回の法律検査業務機構が一本化されるという機会に、その点のお考え農水省いかがでございますか、改めてお伺い申し上げます。
  15. 熊澤英昭

    政府委員熊澤英昭君) お答え申し上げます。  初めに先生の方から、農協組合員あるいは役員女性の数が少ないという御指摘がございました。  まさにそのとおりでございまして、農業農村における女性の比率が高く、あるいは地位が大変高い、重要になっていることはもう御指摘のとおりでございます。正組合員女性の方が占めている割合は一三%でございます。さらに、役員に占める女性割合を見ますと、確かに〇・二%という状況にございます。ただ、最近では、徐々にではございますけれども登用されている数が増加の傾向にあるということでございます。  これは基本的には、従来、農協組合員が通常一戸で一組合員にするのを原則とするという組合割合多かったということもございますが、最近では系統組織の方もそういう状況を変えていこうということで、一戸で複数の組合員を加入させる、特にそういう中で女性あるいは後継者も加入していただく、またそういった方々の農協の運営への意見を反映させていただく、あるいは役員登用していただくということを運動方針として打ち出しておりますので、私どもはそういった取り組みに対しまして今後とも積極的に指導、支援を重ねてまいりたいというふうに考えております。  また、組織整備の点でございますけれども、昨今の農協を取り巻く環境の厳しさ、経営環境の厳しさ、そういうことを踏まえまして、系統組織全体で組織合理化経営改善に現在取り組んでいるわけでございますけれども、例えば農協広域合併推進、あるいは県連と全国連の統合の推進、さらには人員の削減、業務執行体制監査体制の強化、そういったことで全体として方針を打ち出して取り組んでいるところでございます。  例えば合併につきましては、二〇〇〇年までに約五百五十農協を目指していきたい、あるいは県連と全国連組織二段についてもそういう方向で進めようということで、現在のところでは約二十前後の県連において二〇〇〇年までに統合する方針を決定し、全国連との相談、協議を始めたところもございますし、特に経済事業が先行しているところでは、三県連が来年十月に合併するということを決定いたしまして、具体的に全国連との手続の検討に入っているという状況にございます。  また、さきの臨時国会で農協改革のいわゆる関連二法を成立させていただいたわけでございますけれども、その中でも業務体制の強化、監査体制の強化ということも内容として打ち出しておるわけでございます。  そういった措置の適切な運用と相まちまして、系統全体の組織改善合理化の姿勢につきまして私どもも積極的に支援、指導してまいりたいというふうに考えております。
  16. 鈴木貞敏

    鈴木貞敏君 森林の関係も御質問したいと思ったわけでございますが、もう持ち時間がなくなりました。これまた大切な問題で、国民全体の所有である森というものをいかにして守るか。この前発表されました白書でも、まさに破綻宣言と見てもいいような三兆円の借財、利子を払うだけでも大変であるというふうなことで、特別会計でということがむしろいろいろの面で今まで歴史的にあだになってきたんじゃなかろうか、私は個人的にもそんな感じを持つわけでございます。  この点は時間が切れましたので質問は省略いたしますけれども、林野行政は大変大切な問題でありますし、行政改革を機にいかに、どういう格好でこれを乗り切っていくか。ひとつこれからの御努力をお願いするということで質問にかえさせていただきます。  以上でございます。
  17. 山崎力

    ○山崎力君 平成会の山崎でございます。一部改正する法案に先立ちまして、鈴木委員からもありましたが、リンゴの問題、アメリカからの検疫の問題について一、二お伺いしたいと思います。  アメリカからの要望というのは簡単に言えば非常に技術的な、科学的なことに対する問いかけ、それだけに非常に客観的な問題が入ってきますので、ある意味では結論は簡単に出れば出るというふうな形だと思うんですが、その辺での我が日本側体制、検討は十分なのかどうか、まずお伺いしたいと思います。
  18. 高木賢

    政府委員高木賢君) アメリカリンゴに対する対応でございますけれども、これは私どもの農産園芸局に植物防疫課という課がございまして、まさに検疫の問題、それから国内の病害虫防除の問題を担当しております。この職員の多くは海外の植物検疫の問題にまずかかわっておるという体制でございます。  それから、各出先機関がございますが、その中の横浜植物防疫所というところに調査研究部というところがございまして、まさに諸外国の植物防疫体制がどうであるか、そして技術問題にどういうふうに取り組むかということにつきまして、有効な殺虫方法とか、そういう技術問題について常々勉強し、蓄積し、データも集めております。これらの専門家がまさに衆知を集めてこれに対応する、こういう体制をとっておるところでございます。
  19. 山崎力

    ○山崎力君 一応そういうふうなことであろうと安心はしたいんですが、逆に考えれば、アメリカがこれを言ってきたということはそれなりの、リンゴ品種間における防疫上の差はないのだというようなことを主張するはずですから、その辺についての検討を向こう側はしているのではないかと常識的には思うわけで、その辺についてこちら側も今までの経緯を踏まえてしっかりした科学的な反論をしていただきたいとまず要望させていただきたいと思います。  その次に、この問題に関連しまして、実は先ほどの鈴木先生質疑の中にもありましたが、リンゴの輸入問題に関しての要望の中で、去る四月二十九日に橋本総理がオーストラリアに行ったときに、タスマニア産のリンゴ輸入解禁するという表明をされたというふうに報ぜられているわけですが、実はその後の五月二日にこの問題に関する公聴会が行われているということを言っておりました。  輸入の解禁についての是非はともかくとしまして、そのことを一般の農民、関係者に聞く公聴会をオーケーを出しておいてから開くというのはちょっとやり方として私もおかしいのではないかという気がするんですが、その辺についての関係はどうなっておりますでしょうか。
  20. 高木賢

    政府委員高木賢君) 日豪の首脳会談におきまして豪州のタスマニア産リンゴ輸入解禁要請の件が取り上げられたことは事実でございます。  ただ、若干報道は不正確であったというふうに思います。と申しますのは、具体的に事実を申し上げますと、総理大臣からは、これまで専門家同士の話し合いを進めてきたが、五月二日に公聴会を開催する予定である、こういうことを述べたわけでございます。  その上で、公述意見を精査した結果、技術的問題がない場合には省令改正を行って輸入解禁というプロセスになるであろう、こういうことでございまして、言われたことはまさに公聴会を開催する予定であるというところが主眼であったというふうに承知しております。
  21. 山崎力

    ○山崎力君 わかりました。それで、この問題というのは非常に微妙でございまして、防疫の問題というのは、一たん入ってきますとこれは非常に大きな被害を関係者に及ぼす、リンゴならリンゴの生産業者に及ぼすということは事実でございます。  そのときに、とにかく今までは万一侵入された際にはその撲滅に関しては国の責任で行うというようなことは報じられておりますが、その撲滅は当然としまして、被害を受けた被害の補てんについては何にも触れられていないわけで、その場合、これは法的な問題もあるのかもしれませんし、政策的に補償する部分もあるのかもしれませんが、生産者にとっては出荷できなくなる状況になるわけですし、あるいは木自体がやられればその生産までに至る間の期間、短くない期間生産不能になって収入が得られなくなる、こういうふうなこともあるので、その辺のもし万一被害が出た場合の補償なりなんなりはどういうふうな形になるのか、ちょっと教えていただきたいと思います。
  22. 高木賢

    政府委員高木賢君) まず、先生も御指摘のとおり、病害虫でありますコドリンガ、これはもう入らないようにするということが一番肝心であろうと思います。それで、先ほど来御質問のあるように、品種ごと試験データを求めるとかということで厳しくこれに対応しているというのが現実でございます。ニュージーランドなど、あるいはアメリカも一部の品種輸入解禁して入っておりますけれども、そういった措置の結果、今日のところコドリンガの侵入を許していない実態にございます。  ただ、そうは申しましても万が一入ったらどうかと、こういうお尋ねでございますが、まさに国の責任でこれを撲滅するということと、被害木といいますか、リンゴが被害を受けるとして、それだけでなくて、周辺も汚染のおそれがありますから、これらをあわせて予防的に処分しなけりゃいかぬ、こういう問題が発生すると思います。そのときには当然樹体、木自体と、それから収穫物である果実ができない、こういう二つの問題が生じますので、この二つにつきまして国で補償するという考えを持っておるところでございます。
  23. 山崎力

    ○山崎力君 それでは、今回の設置法の一部を改正する案について伺いたいと思います。  まさに農林水産省という名前のとおりの農の組合、林の組合、水産の組合組織について行政検査をするために組織がえをしたいというのがこの法律案趣旨であろうと思うわけでございます。  まず、ちょっとその辺の認識といたしまして、この提案理由の説明の中にもございましたけれども、他業態との競争の激化、金融の自由化の進展等で経営状態が非常に厳しくなっておるということで、それぞれの組合関係について今までどおりではやっていけないよと。その辺のところを少し下世話な言い方をすると、ふんどしを締め直してやってもらわなければこれからの事態に太刀打ちできなくなるのではないかというような危機感からこのような法律ができたものと思うんです。その辺の全体的な御認識について、まず大臣のお考えを伺いたいと思います。
  24. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 今、委員が御指摘になられましたこの系統組織に対しましての御認識、まさしくそのとおりでございます。そして、系統自体もそのような認識を持っておりまして、まず自助努力をしていかなきゃならぬ、こういうことを考え、また農協二法の成立によりましてもそういうことが前提になり、そういうことが進められておるわけでございます。  この系統の経営の健全化を図るために、一つには今申し上げました自助努力、それからさらに行政検査の充実強化ということが必要でございまして、そういう観点からこの検査大臣官房の協同組合検査部に一元化をする。この一元化をすることによりまして、検査の統一性及び効率性が確保される。一方におきまして、水産庁、林野庁、経済局、そういうところが系統の監督をするということは無論でございますけれども、この監督と検査との間に距離を置くことによりまして一定の緊張関係が生じる、そういうことを十分に期待いたしましてこの法律の改正を考えたような次第でございます。
  25. 山崎力

    ○山崎力君 そういった中で、ちょっと細かいところから先に一点だけ確認の意味で入りたいと思うんですが、大規模農協に関して、員外の、すなわち農業協同組合員でない方たち、簡単に言えば第三者と言っていいんでしょうか、そういった人たちから監事を入れなさいということが来年度から求められているわけでございますけれども、その辺について、初めてのケースですからどういうふうな形の人をどう迎えたらいいのかということで、一部の農協に戸惑いがあるように私の方に伝わっております。そういった点についてのその辺の法律考え方と、それから農水省として組合にこういうことを期待してこの制度ができたんだと  いうことをまず御説明願えればと思います。
  26. 熊澤英昭

    政府委員熊澤英昭君) お答え申し上げます。  今、先生が御指摘になりました員外監事の導入でございますけれども、これは先ほど来先生が御指摘になっておりますような金融事情の変化あるいは厳しい経営環境の中で農協についても監査体制をしっかりさせる、その上で経営の健全性を確保していこうということで員外監事制度を導入されたわけでございます。これはその前に、例えば信用金庫あるいは信用組合等につきましても、昨年成立を見ております金融健全化法で員外監事制度の導入が行われたわけでございます。農協系統につきましても、同様にそうした趣旨を踏まえまして、先ほど申し上げました農協改革二法の中で同様の措置を講じたところでございます。  員外監事の要件といたしましては、法律要件といたしましては、当該組合組合員でない方、それから過去五年間、これは子会社を含めまして当該組合理事あるいは使用人でないことというのが要件でございます。そうしたことで、基本的にはそうした範囲の中で、農協としてそれぞれの実態経営環境があると思いますので、それぞれの農協におきます経営の内容あるいは経営の運用、そういったことに関して学識経験を有する方の中から登用していただければいいということで、必ずしも特定の資格等を想定しているわけではございませんけれども、いろいろな資格を有する方あるいは経験を有する方ということでそれぞれの組合が自主的に、今申し上げましたような要件に該当する方から選んでいただくということかというふうに考えております。
  27. 山崎力

    ○山崎力君 その辺のところが、具体的な人選をどうしたらいいのかということで、ある意味では固有名詞の世界に入ってくると思いますが、その辺のところで、トラブルということはないと思うんですが、もしこれから行き違いがあるとスタートの時点でつまずくといけませんので、指導の方をよろしくお願いしたいと思います。  それで、本題に入るわけですが、この問題のときに建前上といいますか目的検査と監督を分けて緊張関係を持たせた方がよろしいのであると、それだけ現在の三組合組織経営状況についてある意味での危機感を役所としてもお持ちだということであろうと思うわけですが、具体的にそういった検査と監督とを分けるということの意義といいますか、ねらいといいますか、そういった点はどのようにお考えでございましょうか。
  28. 熊澤英昭

    政府委員熊澤英昭君) 先ほど大臣からもお答え申し上げましたけれども、基本的には監督と検査を分離いたしまして一定の距離を保って緊張関係を保つ、そういうことによって検査の公正な実施が期待できるということが一つございます。  と同時に、今回の検査部の設置の中で体制の強化を図るつもりでございます。これは検査員の増員と、さらにあわせまして検査の事前準備あるいは事後の報告の取りまとめ、そういった事後処理、これはバックオフィス組織とも申しておりますけれども、そういった支援体制を充実するということで検査員の方が検査職務に専念できる体制を確立したい。さらには、農林本省、水産庁、林野庁それぞれの検査員の検査の専門知識を有する人を集めまして、検査基準の統一、持っている知識のノウハウの共有、そういったことによる検査の効率化を図っていきたいということを考えているわけでございます。  ただ、その反面で、監督部門との連携ということが他方で重要でございますので、そうした検査部門と監督部門の連携というのは十分に留意しながら運用していくことが必要であるというふうに考えております。
  29. 山崎力

    ○山崎力君 この問題は非常に微妙だと思うんです。事情のわかった人が検査をすれば、これは主に金融関係といいますか、財政上の検査が主だろうと思うんですが、それぞれの組合の中身、業務形態をわかった人が検査すれば、それは非常に細部にわたっての問題点が把握できるであろう、逆に言えばそこの分だけ監督の問題もうまくいくであろうということが言えるわけです。ところが、一面ではそれはある意味ではなれ合いに通じてしまう。  そういったことの反省があって今回の改正だろうというふうに推察するわけでございますけれども、反面、そうしますと、監督する方は監督する方よと、検査する方は検査する方、それぞれのまず事情がわかっていたとしても、その辺のうまいぐあいの連携が果たしていくのか。今までのやり方でいけば、一つの部門でそれぞれ、省庁といいますか、林野、水産含めてですが、やってこられてわかっていた。  ところが、その人が二つに分かれるわけですね、今度の組織上は。その交流が果たしてうまくいくのかどうか。水産庁の監督部分におられた方が、監督といいますか今までやってこられた方が監督で残る、あるいは検査の方に行く、分かれてしまってそれで本庁の方に入る。そうすると、大きな流れがちょっと、今までは水産庁なら水産庁、林野庁なら林野庁一本の中身だったところが本庁と水産庁と分かれる、そういった部門のところでの連携がうまくいくのかという問題点がまずあると思いますが、その辺はこれからしっかりやっていくということであろうということで、やはり農協の問題、それから森林組合の問題、漁協の問題、それぞれいわゆる経営形態がかなり違っていると推定されるわけでございます。  そこのところで、今まで例えば水産庁のそういう検査・監督部門の方は、漁協についてはこういうふうな漁協だねというふうなことで、こういう問題点がある、あるいはこの辺のところをしっかり見据えなければ漁協として成り立つかどうかわからぬというノウハウはお持ちだろう。ところが、その方が森林組合とか農協の方の検査の方に行ったときに果たしてすぐさま役立つであろうかということがあるわけでございます。そういった点でのノウハウの共有化というと一言で済むわけですけれども、それは具体的になると非常に難しい部分があるんではないか。  私の地元の組合の関係者に聞きますと、農協の方は大体変わらないだろうということで安心感が強いようですけれども、漁協と森林組合の方は本当に我々の経営実態がわかった人が検査に来てくれるんだろうかと。その検査報告ともともとの、農水省本庁から今度は検査に来て、監督はもともとあった、例えば水産庁なら水産庁、林野庁なら林野庁の監督のもとにある。その辺のところに関して、やってみなきやわからない、やられてみなきやわからないことだろうといいながらも非常に不安感を持っているところが多いんですが、その辺についてのある意味での農林水産省としての、そういった関係者に対する安心感を与えるための施策というものは何か考えておられるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  30. 熊澤英昭

    政府委員熊澤英昭君) お答え申し上げます。  まさに先生の御指摘のとおりの懸念というのは私どもも有しておるわけでございます。基本的には官房に検査部を設置するということですので、官房検査部の職員としては、農協、漁協、森林組合、それぞれ横断的に検査を担当するということが将来的には望ましいし、それぞれの検査官がそれぞれの各分野検査にも精通し得るという体制をつくり上げていくということが基本的には重要だというふうに考えております。  ただ、先生おっしゃいましたように、農協、森林組合、漁協、それぞれ経営の内容が違うということも事実でございます。当面私ども考えておりますのは、官房の検査部に経済局、林野庁、水産庁からそれぞれ検査に精通した担当の者、あるいはさらに新しい人事配置をするということになりますけれども、当面、具体的な検査に当たりましては、やはりそれぞれのそれまでの経験で各組合検査に精通した者を中心といたしまして、そうした精通した検査官に加えて支援スタッフを配置して検査をするということで具体的に検査が円滑に実行できる、そういう配慮をしてまいりたいというふうに考えております。
  31. 山崎力

    ○山崎力君 そういったことであろうと思うんですが、ただそうなってきますと、もともとのところで検査・監督を、一人とはいいませんが、同一人物がやっていたところが分かれてしまうと、これは増員ということが当然考えられるわけです。もともとのところの監督する人は監督する人、今度官房で検査する人は検査する人、同一人物ができるわけではありませんので、そうすると今の行財政改革方向にある意味では逆行するという可能性が十分出てまいりますので、その辺は定数の問題その他別のやりくりということもあろうかと思いますが、その辺のところは十分踏まえてやっていただきたいと思います。  それで、個々の問題に入りますと、まず森林組合の方は非常にここのところの先行きが見えない。先ほども話がありましたけれども、国有林野の会計、その辺のところもあるし、あるいは国有林の、ある意味では条件のいい国有林のところがこういう赤字会計の中で、民間の森林組合が果たしてどうなっているのかといえば、これもまた厳しい状況にあるというふうに認識されるわけです。  そういった中で、検査・監督はいいんですけれども、森林組合経営基盤を強化して、とにかくそれを育てて何とかやっていってもらわなくちゃいかぬということであろうと思うんですが、その辺について林業労働者の高齢化とか減少化とかいうようなことも踏まえて、どういうふうにこれからの森林組合を育て、あるいは森林自体を国土保全に資するためにやっていくのか、その辺の見解をお伺いしたいと思います。
  32. 高橋勲

    政府委員(高橋勲君) 御指摘のように、森林組合は地域林業の中で中核的な担い手になっておるわけですが、労働者の高齢化というふうな問題もありますし、今でも小規模で赤字組合が多いというふうなことで、基盤が大変脆弱でございます。  このために、この国会におきまして森林組合合併助成法による計画提出期限の五年間の延長、それから計画内容の充実を図っております。それから、森林組合法につきまして、事業範囲の拡大、それから指定森林組合制度の創設、経営管理体制整備等の措置をいたしまして、この二つをあわせて森林組合法及び森林組合合併助成法の一部改正ということで、この四月にこれが施行されたところでございます。  こういう法的な措置を講じまして、これからも森林組合の育成強化に向けまして、系統自体の自主的な取り組みを期待もするわけでありますが、それを基本としながら、森林の管理等に森林組合が十分な役割を果たしていけるようにこれから必要な支援をしていきたいと思っております。
  33. 山崎力

    ○山崎力君 時間がありませんので、今度は漁協関係に移りたいと思うんですが、漁協の方もいわゆる農協に比べれば非常に規模の小さい組合が多い。合併が急がれているといいますか、そういうふうにしようということなんですが、さきの住専の問題を含めて農協が大規模合併へということで動き出している中で、漁協はそれよりも小規模なのが多いのに対して、まだそっちの方の動きがいま一つ活発でないと言うと言葉が変かもしれませんが、方向が見えてこない。そういう中で、一つのこういうふうな検査制度を充実することによって、農協と同じような目で漁協の経営の方を見られたら果たして成り立つのかというような不安といいますか問題点の指摘もあるわけでございます。  我が国全体を見渡してもなかなか漁業の将来、新しい海洋法の問題、TACの問題も含めて問題山積みという中で、今度の組合をどう育成していって、どういうふうに我が国の水産業を確保していくのかというあたりについてのお考えを伺いたいと思います。
  34. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 漁協につきましては、ただいま先と言われましたように、信用事業におきましては、農協などに比べますと非常に規模が小さいということでございまして、その意味では、漁協の合併でございますとか、あと信用事業の事業統合、これは漁協から信漁連の方に信用事業を統合していくということでございまして、そういうことによりまして、言うなれば規模の拡大をしていくということを考えております。  規模は小そうございますけれども、やはり漁協も人様のお金を預かっているという金融機関でございますので、それなりの他業態並みの体制は整えなければいけないということで、今国会におきまして水協法の改正も、自己資本比率の増大でございますとか管理監査体制の強化でございますとか、そういうことにつきまして、現在、法改正をお願いしているところでございます。  そういう中で今後の漁業振興をどのように考えるかというようなお話でございますけれども、今言われましたように、今年からTAC制度も導入されたわけでございます。そういう意味で、我が国産業は新海洋秩序への移行という節目の時期を迎えたわけでございまして、このような新たな海洋秩序の中で水産物を安定的に供給していくというようなことで、基本的には我が国の二百海里水域内の適切な資源管理をしていく、それからつくり育てる漁業を育成していく、さらに流通、加工、販売体制整備でございますとか漁港、漁村の整備など、いろいろな施策を総合的にまた積極的に今後とも推進してまいりたいというふうに考えております。
  35. 山崎力

    ○山崎力君 最後に、多難な中での農林水産業でございますけれども、今回の改正というのは、ある意味では、もう一回関係者の足腰を強くして再生を図るというような意味合いがあろうと思いますので、大臣の御決意を二言だけ伺って質問を終わりたいと思います。
  36. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) この改正する法律案の概要につきましては既に御説明申し上げたとおりでございまして、我々としても、我が国農業を取り巻く状況が厳しい中で、特に農協が持つ役割を十分に果たしてもらうために、先ほどから申し上げておりますような検査体制を十分にすることによりましてなお一層の農協としての役割を果たしていただきたい、このように思っているわけでございます。
  37. 清水澄子

    清水澄子君 昨年の通常国会は住宅金融専門会社の処理一色のいわゆる住専国会と呼ばれまして、そして六千八百五十億円の公的資金を投入する平成八年度予算、さらにはいわゆる住専処理法案を初めとする金融関連六法案をめぐって与野党が厳しく対立したということは皆さん記憶に新しいところだと思います。  そこで、去る四月一日に日本債券信用銀行のクラウン・リーシングなど系列ノンバンク三社は東京地裁に自己破産を申請して倒産しました。農協系統組織はこれら系列ノンバンク三社に対して貸し付けを行っているはずです。  そこでまず、農林中金とか県信連とか、そういう系統組織ごとの貸付金額は幾らになっているのかということをお尋ねいたします。
  38. 熊澤英昭

    政府委員熊澤英昭君) お答え申し上げます。  日債銀系列のノンバンク三社が破産申告したわけでございますけれども、農協系統組織でこのノンバンク三社に貸し付けております、そのうちの一社のクラウン・リーシングに対する貸し付けでございまして、私どもが承知している限り、平成八年十二月末現在での貸付残高は系統金融機関合計で約二千三百億円でございます。うち、農林中金が約三百五十億円、信連の合計で約千三百億円、共済系統の合計で約七百億円というふうに承知をいたしております。
  39. 清水澄子

    清水澄子君 農水省はこの件に対していかなる見解を持って、どのように対応をしようとされておられるんでしょうか。そして、政府はこのノンバンクの破綻については、さきの住専処理とは異なって、公的資金を投入しないというふうに断言をしてきていると思うんですが、その点についてもそのとおり確認していいのかどうか、その点をお尋ねいたします。
  40. 熊澤英昭

    政府委員熊澤英昭君) 農協系統のノンバンクへの貸し付けにつきましては、農協系統それぞれが自己の余裕資金の運用の一環として、いわばほかの一般の貸し付けと同様に、それぞれの経営判断により融資、貸し付けが行われているというふうに考えているわけでございます。  今回の日債銀のノンバンク三社の破産申告につきましても、先ほど申し上げましたように、そのうちクラウン・リーシングに対して農協系統の貸し付けがあるわけでございますけれども、現在は破産手続に移っておりますので、農協系統としてもその他の債権者と同様に、破産手続に従って対応していくということになるわけでございます。  いずれにいたしましても、ノンバンク等の住専以外の不良債権の処理につきましては、それぞれの経営内部で処理をするということが基本であるというふうに考えております。したがいまして、今回の日債銀系列の問題にいたしましても、今後、関係当事者間の話し合いに移るというふうに考えられますので、私どもとしてはそうした事態の推移を見守ってまいりたいというふうに考えております。  第二点としてお尋ねのございました公的資金に関することでございますけれども、ノンバンクの不良債権処理につきましては、平成七年十二月十九日の政府・与党の合意文書におきまして、今後の不良債権処理問題につきましては、「住専以外のノンバンクの不良債権処理については、公的関与を行わない。」ということで確認がなされているところでございます。
  41. 清水澄子

    清水澄子君 そうであると、今回の自己破産は経営基盤の弱い県信連をさらに弱体化させるおそれがないのかどうか、その点のお考えをお伺いしたいと思います。
  42. 熊澤英昭

    政府委員熊澤英昭君) 先ほどお答え申し上げましたように、現在、破産手続に移っておりますので、農協系統金融としても破産手続に従って、他の債権者と同様、関係者間の話し合いに移るということになっているわけでございます。ただ、現時点で破産申告をいたしましたクラウン・リーシングの資産内容がまだはっきり明確になっていないという状況でございますので、具体的な影響について確たることを申し上げられる状況にはございません。  ただ、先ほど来申し上げておりますけれども、いずれにいたしましてもそれぞれの経営内部で処理されるということが基本であるというふうに考えております。今後はそうした関係当事者間の話し合いの推移を見守ってまいりたいというふうに考えております。
  43. 清水澄子

    清水澄子君 そこで、今回の農林水産省設置法の一部改正の理由は、農協組合とか森林組合とか水産協同組合等の健全な発展を図るために、農水省の本省においてこれらの団体業務及び会計の検査を統一的かつ効率的に実施する必要があるためだというふうになっております。しかし、統一して会計検査をするだけで経営の健全化が図れないということは、昨年の住専、また今回の日債銀系列ノンバンクの事例を見ても明らかではないかと思うわけです。問題は、系統組織内部のみに問題があるというだけではなくて、それを取り巻いている金融システム全体に問題があると思うわけです。  そこでお聞きしたいわけですけれども、農水省は所管している農協金融の信用事業を金融システム全体の中でどのように位置づけていかれるのか、また金融自由化、いわゆるビッグバンに対してどのように備えようとしておられるのか、その基本的なお考えをお伺いしたいと思います。
  44. 熊澤英昭

    政府委員熊澤英昭君) 農協系統の信用事業につきましては、これは系統の各般の事業の中でも基本的に重要な事業として位置づけられておるわけでございまして、農業者の生産活動あるいは生活に必要な資金を円滑に融通するということが基本的な使命であるというふうに認識しております。ただ、資金量から申しましても、員外利用あるいは余裕資金の運用といったことも重要でございまして、全体としてバランスのとれた健全な運営をしていく必要があると思います。    〔委員長退席、理事板垣正君着席〕  ただ、いずれにいたしましてもそうしたバランスのとれた健全な運営をしていきながら、我が国の金融システム全体の中ではその一員としてきちっと経営をしていく、そして農業農村の発展へ寄与することを基本とした健全な経営をしていくということが重要だろうというふうに考えております。  ただ、先生が御指摘のように、昨今の金融事情の厳しさ、今後さらに長期的には日本版のビッグバンも進展するという中で、系統の信用事業についての経営環境が厳しくなるということは当然のことながら想定されるわけでございます。そうした意味で、現在、系統みずから組織、事業の合理化、効率化に取り組んでいるわけでございます。  他方、農林水産省といたしましても、先ほど申し上げました、先般の臨時国会で成立させていただきましたいわゆる農協改革二法、そういう中で農協の合併さらには信連と農林中金の合併、この道も開いたわけでございます。    〔理事板垣正君退席、委員長着席〕  また、農協法の改正の中では、業務執行体制の強化、監査体制の強化、さらに自己資本の充実、そういった措置も盛り込んだわけでございますので、そういった措置の適切な運用と相まちまして、今後とも農協系統の信用事業が我が国の金融システムの一員としての責任を全うしていけるように適切に指導してまいりたいというふうに考えております。
  45. 清水澄子

    清水澄子君 ぜひそういう今おっしゃったことが本当に実行されることを期待しております。  ところで、現在衆議院で設置法審議されております金融監督庁の所掌事務には農協、水産業協同組合、農林中央金庫などの検査・監督が含まれております。そして、これは農水省との共管ということになっていると思います。しかし、これでは機動的かつ効率的な対応が阻害されないのかどうか、そしてまたさきのクラウン・リーシング破産のような問題とか、ビッグバンなどの環境変動への対応も考えなければならなくなると思うわけですが、農水省はこの系統組織に対する検査・監督についてこの金融監督庁とどのような役割分担や相互調整を図っていくおつもりなのでしょうか、そしてまた将来的な検査・監督のあり方はどうやっていきたいというふうにお考えになっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  46. 熊澤英昭

    ○政府委(熊澤英昭君) 現在審議が行われております金融監督庁の設置、その機能と農林水産省の検査との関係でございますけれども、信用事業につきましては、先生が今おっしゃいましたように、金融監督庁と農林水産省の共管ということになっているわけでございます。  金融監督庁の方は、信用事業全般につきまして、金融機関が健全な運営が行われるようにという観点から農協系統の信用事業についても検査を行う、そういう金融サイドの視点からの検査ということになるわけでございます。  他方、農林水産省の方は、農協系統組織が信用事業のほかに営農指導事業、農産物の販売事業、生産資材の購買事業あるいは福利厚生事業、そういった事業を総合的に実施しているという総合的な事業体でございます。かつ、その中で信用事業というのは大変重要な柱となる事業でもございます。そうした意味で、私ども農林水産省といたしましては、農協系統組織全体が円滑に運営できるように、健全な事業経営ができるようにという観点から信用事業も含めまして検査をするということにいたしているわけでございます。  具体的な検査のあり方につきましては、金融監督庁が設置された時点で十分に連絡、調整をとりまして、具体的な検査の手法については検討してまいりたいというふうに考えております。  また、今後についてのお尋ねでございますけれども、今申し上げましたように、将来とも農協あるいは系統組織農業農村の振興の上で重要な役割を果たしていくということは、これはもう疑いもないというふうに私ども考えております。そういう中で、系統組織の事業全般、特にその中での信用事業の重要性というのは変わらないと思います。私ども、農政上の観点から、信用事業を含めまして農協系統組織の事業運営についての検査はきちっとしっかりやってまいりたい、またそのためにも今回御審議をお願いしております官房に検査部を設置するということも重要な手法の一つだというふうに考えておるところでございます。
  47. 清水澄子

    清水澄子君 そこで、今後の農業の健全な発展という場合に、やはり私は農業女性の地位をどう高めていくのかということが非常に重要な問題になると思います。  現在、農業就業人口における女性が占めている割合は六〇%ですし、それから基幹的農業従事者についても半分、五〇%が女性であって、日本農業生産における女性の果たしている役割というのは非常に大きな部分を担っていると思うわけです。  しかし、先ほどからお話がありましたけれども、農協の正組合員数に占める女性の正組合員割合は一三%にしかすぎませんし、また農協役員には〇・二%しかついていないですね。非常に低い。そういう政策、意思決定、農業生産に対するとか、また農業協同組合の事業とか運営に対する意思決定とか、そういう政策決定の場への女性の参加というのはなかなか進展しない、進まないという状況があると思います。また、農業委員でも、六万九百十七人おられるという中で女性は二百三人、〇・三三%、こういう状況にとどまっていると思うんです。  そこで、さっき農業女性の力が要るとおっしゃったんですが、何か困ってくると女性が要るというのでは、それはなかなか定着しないと思います。それよりも、女性農業生産労働はもう現実に果たしているわけですから、それに対する貢献を経済的に政策的にどのように正当に評価していくのか、このことが一番私は必要なことだろうと思います。  そういう意味で、農林水産省にお尋ねしたいのは、平成四年に農山漁村の女性に関する中長期ビジョン懇談会の報告書が出されておりますが、その「課題と推進方策」という中に、女性が個人としての主体性を確保することが大事だ、それをやるんだと、それから働きに応じた適正な報酬の確保と資産の形成を進めていくというふうにあるんです。それらについてこの四年間どのように具体的な方策をとられて、その実績は何があったかということをぜひお聞かせいただきたいと思います。
  48. 高木賢

    政府委員高木賢君) 御質問にありましたように、女性働きに見合った評価を受けていないというのが実態だと思います。  そこで、御指摘のありました平成四年に農山漁村の女性に関する中長期ビジョンというものをつくりまして、個人としての主体性の確保あるいは経済的地位の向上、さらには就業条件、就業環境整備、こういうことを目標に掲げたわけでございます。  具体的に何をやったかということでございますが、まず意識啓発ということがベースとして大事であるということでございまして、毎年三月十日を農山漁村婦人の日ということにいたしまして、全国各地であるいは東京で記念行事をやっておるというのが一つでございます。  それから二つ目には、研修の実施でございまして、女性の方の農業技術あるいは経営管理能力の向上ということを期しております。  それから三番目には、家族経営協定締結ということで、農業経営は家族経営が大宗を占めているわけでございますけれども、その家族経営におきます女性の地位、役割というものの明確化をする、その中で報酬や休日の設定ということもはっきりさせるということを推進いたしております。  それから四番目には、農業だけでなくて、それに関連する農産物の加工であるとか農産物の販売、こういったことに取り組みまして、そこから収益を得て経済的地位を高めるということの、いわゆる起業への支援をいたしております。  こういうことの結果、最近になりまして、まず農業経営という側面から見ますと、農業経営に積極的に取り組んでいる人がつくります全国農業経営者会議、これは女性による全国農業経営者会議ということでございます。これが平成七年一月に設立されまして、もろもろの情報交換なり経験の交流なりということで、女性経営への参画能力を一層高めるという自己啓発をされている動きが出てまいっております。  それから二番目には、加工、流通などの経済的地位の向上でございますが、これは全国各地で、まさに朝市とか農産物加工とか、女性グループによります活動が活発化しております。これについてもいろいろ助成措置を講じておりますが、非常にそれに対する要望が強いというところにもその動きがあらわれていると思っております。  それから三番目には、先ほど来御議論になっております社会的地位でございます。これはまさにまだまだでございまして、農業委員会委員あるいは農協役員がコンマ以下というのが実態でございますが、これも最近になりまして急進展を見せております。  例えば農業委員会について申し上げますと、平成八年に改選期が参りました。そこで、北海道では従来一人だったのが一遍に十七人、長野県では六十九人が百五人、鹿児島県では一人が三十一人と、こういうことで、まだまだ絶対値としては少ないのでございますけれども、非常に急角度で動きつつあるというふうに見ております。  これを加速するために、平成九年度、本年度からは農協役員あるいは農業委員への登用ということにつきましては、具体的に数値目標あるいは指標というものをつくりまして、そこでその各地域におきまして達成に向けた取り組みを推進するということに新たに取り組むということにいたしております。こうしたことを通じまして、農村女性の能力発揮あるいは農業経営への参画、地域社会への参画、こういったことを推進してまいりたいと考えております。
  49. 清水澄子

    清水澄子君 いろいろ御努力されていることには私も注目をしております。一九九六年四月から農地の権利名義を持たない女性農業者にも家族経営協定締結すれば農業者年金への加入の道を開いたということも私は大変評価をしたいと思っているわけです。しかし、九六年度一年間にその年金に女性がどれだけ加入したかといえば、千六百二十三人ですね、有資格者は十四万五千人おりますが。農水省に伺うと、初めからそんなに高い目標を持っていなかったとおっしゃるわけですから、これでそこそこなんだというお考えですけれども、せっかくこういう年金の制度ができて、本来なら女性たちは自分の老後のことも考えればそこに加入したいという気持ちはあると思うんです。  まず知らない人が多いんですけれども、私は現実の問題として、この制度が本当に女性の年金の権利として定着をしていくためには、何といっても女性がそれを払うという収入を自分が持っていないと、国民年金も掛金を掛けなきゃいけない、それから農業者年金の掛金、二つのこの年金の掛金を自分で掛けなきゃいけないということになると、なかなかそれは非常に経済的に、四万円近くなりますから、とても難しいんじゃないかと思うんです。  その点でも、私は、このせっかくつくった農業者年金制度に対して農水省は今後これをどのように普及し広げていくのかという意味で、どう分析し、展望を持っていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
  50. 山本徹

    政府委員(山本徹君) ただいま先生指摘のように、昨年四月から農業に専従される女性の方が新しく年金へ加入できるようになったわけでございます。この農業に専従される女性は家族経営協定締結していただいて農業経営の中における地位をはっきりしていただくことになっておりまして、この協定締結の方法について普及、定着にまだ時間を要することもございまして、千六百二十三人という御指摘の数字になっております。平成七年度の財政再計算のときには五年間で五千人から一万人の加入を見込んでおることを考えますと、そんなに低い数字ではございませんけれども、先生指摘のように、女性農業経営における役割は大変大きいものがございます。  農業者年金への加入者総数が現在三十四万でございますけれども、これは農地の権利名義を一つの基本的な要件にしていることもございまして、女性は一万四千人強で、全体の中に占める割合が四・二%と大変低いわけでございます。こういった点は私どももこれから大いに改善していかなければならないと思っております。  具体的には、農業者年金制度の運営を担っておられます農協あるいは農業委員会等の系統組織、また女性農業者のさまざまな組織もございますので、こういった組織団体と連携いたしまして、女性の地位の向上、確立に役立つ家族経営協定締結や、また年金制度の普及、定着に一層努力して、全体としての農業者年金の発展のためにも加入者の一層の増加、その中でも特に女性の加入者の増加の運動をこれから一層強力に展開して、この今の四・二%という比率をさらに高くしてまいりたいと思っております。
  51. 清水澄子

    清水澄子君 そういう一般論は大体わかるんですけれども、実際に家族経営協定は、これは一九六三年ごろ運動が起きてきたと思いますが、そのときも農業後継者をどうつくるかとか、それから農業の担い手をどうつくるかということで、結局、若者や女性を単に農業の担い手イコール労働力対策としてこの問題が出されてきた。しかし、それを今農水省は、さっきから説明してくださっているように、新しい家族経営推進運動事業を始めていらっしゃるわけですね。  それは農業経営の主体者としての女性という意味での個人と、それからもっと農業を魅力あるものにするために経営内における個人の地位を確立していくんだという、私は大変そこに注目しているわけです。しかし、それらを本当に推進していくためには、まだまだその趣旨考え方がそれを推進する行政担当者の中にも徹底していない。その点で、例えば九州のある町では、大部分が父子間、父親と後継者、長男との間の協定になっているところがあります。  ですから、それは後継者づくりというだけで、家族の一員が同じように生産した労働の分配をどう民主的にやっていくのかという、もっと本当にそういうところがないと、後継者づくりが先に進んでしまっても後継者はなかなか定着てきないと思うんです。そういう点で、これを進めている最近の趣旨がまだまだ徹底していないんじゃないかと思うんです。  それからまた、その協定の中での報酬額の決定の仕方にも性差別的な考えがそのまま定着をしていると思うんです。例えば、これは比較的作業が標準化していると言われる酪農のところですけれども、年間粗収入二千万円のある経営主は月給四十万円、その妻は三十万円、そして後継者は二十万円、その後継者の妻は八万円という形で決まっているわけです。これらを見ると、同じような労働、標準化している労働ですけれども、これは企業ではないわけですから、企業は労使対立がありますけれども、家族の共同体的労働ならば、またそれのよさといいますか、それを活用すれば、労使対立関係ではない、お互いに家族が本当にこれを民主的に話し合って、そしてその報酬をきちんと決めていくというときに、やはり性差別とか年齢の差別とか、そういうものをここからなくしていくような、農水省はもう少し経営協定の進め方、あり方の中で労働の分配の体系をもっと研究して、それを民主化したものを適用していくような、そういう指導が私は必要だと思うわけです。もう時間がありませんので、そういうことを私は要望しておきます。  最後に、大臣、何も答えてくれませんので大臣にお答えいただきたいわけですけれども、今、世界女性会議では、二〇〇〇年に向けてどう女性の地位を高めていくかという世界的な大きな共通の目標に向かってみんなが努力をしている最中です。その中で、実は北京で採択された行動綱領の「女性と経済」という中に、女性のアンペイドワーク、つまり無償労働をどう解消していくかということが大きな目標になっております。それは農業女性だけじゃなくて、一般のすべての女性は、職業についていても、有償労働だけではなくて膨大な量の無償労働を通して社会と国の経済に貢献をしているわけですけれども、それらがほとんど認知されていないということが今非常に大きな問題になっています。  そういう中で、特に農村農業女性というのは、農業生産そのものを担当しながら、家族の食べ物から消費生活の面から、それからさらに子育てや高齢者の介護や家族のために、また環境保全とか地域活動とか大変な多くの労働を担っているわけです。ですから、特に無償労働と農業女性という問題は、これは世界で、無償労働をどう解消していくか、政策でどう補っていくか、そういう点と、それから生産労働ではきちんと家族内でそれを分配していく、そして正当な労働の評価を与えていくということが、これは国際的にも、EU諸国もすべてですが、みんなこのことが大きな共通目標で、二〇〇〇年までに何を実現するかという取り組みになっております。  そういう意味で、新農業基本法制定されるための論議が今始まっていると思うわけですけれども、こちらの新農業基本法の研究会においては相変わらず女性農業の担い手としての位置づけしかされておりませんので、ぜひその点でこの農業基本法に関する研究会の中できちんと、女性の無償労働をなくす、それから社会保障制度もそこに新たなものをつけ加えていくとか、そういうふうなことをぜひ大臣に積極的に推進していただくように私はお願いしたいので、一言御決意をお願いしたいと思います。
  52. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 先ほどから農業についての女性問題でいろいろ御意見をいただきました。私も農業における女性問題は検討すべき非常に大きな問題だという認識を持っております。  今、新しい農業基本法制定に向けて食料農業農村基本問題調査会で検討しておるわけでございまして、その中で検討すべき重要な課題である、女性問題についてはそのように認識をしておるわけでございます。特に、働きに応じた報酬の確保であるとか、また農業生産農村社会におけるさまざまな局面において正当な評価を受けるようにすることが重要であるというふうに考えております。
  53. 清水澄子

    清水澄子君 終わります。
  54. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 民主党・新緑風会の齋藤勁でございます。  最初に、通告していないことを大臣にちょっと伺わせていただいて、所感を拝聴したいというふうに思います。そんな難しいことじゃないので、大臣以外のそれぞれの政府委員の方でも結構でございます。  私は当委員会でもたびたび自分の住んでいる神奈川県横浜というのを披瀝したことがあるんですけれども、神奈川県はもちろん農業に非常に一生懸命取り組んでいるところでございます。中でも川崎、横浜という二つの政令市を抱えて、そこで農業とか農政なんというのがあるんだろうかというような疑問を時々ほかの仲間からも言われることがあるんです。  たまたまきょう、新聞社名は省略いたしますが、本日の朝刊の首都圏版を見ておりまして、これはなかなかいいことだな、農水省も喜ぶんじゃないかというふうに思いました。  これは私の住んでいる横浜市でございますけれども、新年度から市民農業大学講座をスタートするということで、「農家や市民農園で農作業を手掛けたいと考える市民に、実習を通じて農作業の基本技術を習得してもらう。」と、こういう講座であるそうです。受講生はここで一年間農作業の基本技術を習得していくんだということなんですが、受講者を募集したところ二百五十四人が応募したと。百人強上回るということですから、百五十人ぐらいの定員ではなかったかと思うんです。二百五十四人応募して、この報道では人気の高さを裏づけたということでございます。今月から一年間、農作物全般の栽培技術とか野菜、花の取り扱い方を学ぶということになるわけですけれども、具体的には横浜市に残された農地、農園とか、市民農園とかというところで作業をやるんじゃないかというふうに思います。  ですから、開発がもうどんどん進んでいますから、そんなところがあるんだろうかというふうにも思いますが、なおかつ実際自分でも従事していくという意欲のある市民たちがたくさんいると。これは全国的な傾向で、むしろ横浜に限らず都市住民が渇望しているのかもわからない、そういう側面があるかもわかりません。  あわせて、農地とか市民菜園という話ですが、現実には農地をお持ちの方も、手放すときというのは亡くなったときとか、これは農地、市民菜園に限らず、例えば横浜で言いますと、固定資産税を減免して市民の森というある一定程度の山林を確保するということで、農地に限らず山林もあるんですが、こういう自治体と所有者の双方が苦労をしながら現実的に緑を確保するというようなことなんです。  この後段の方はともかくといたしまして、きょうの農水省設置法の一部を改正する幾つかの質疑に入る前に、たまたまきょうの新しい情報でございましたので、農作業に対してこれだけ市民から人気があるんだということで農水大臣の顔がほころぶんじゃないかと思い、紹介いたしました。これらに対しまして所感、御感想がございましたら伺いたいというふうに思います。
  55. 山本徹

    政府委員(山本徹君) ただいま先生指摘になりましたように、大都市におきまして市民の方々また青少年の方々が農林漁業を体験していただいたり、あるいは緑や森林という自然の環境に直接触れていただくということは、自然と離れた生活をしておられる都市住民の方々あるいは青少年の方々にとって大変貴重な自然体験の場でもございますし、また農林水産業に対する理解を深めていただく、さらにレクリエーションの場としても大変貴重であると思っておりまして、先ほどお触れになりました市民農業大学講座等、私ども農林水産省にとっても大変喜ばしい企画、事業であると考えております。  こういった都市住民の方々が農林漁業の体験あるいは緑、自然に触れていただく体験を少しでもふやしていただくために市民農園法の制度がございまして、都市の貴重な農地を広く農業体験の場として市民に活用していただいたり、また都市と農山村の交流事業ということで、近郊の農村地域へ場合によっては宿泊も兼ねて農林漁業の体験をしていただくというような事業を私ども積極的に展開しておるわけでございます。  今の神奈川県でのそういった講座等についても私ども十分勉強させていただきまして、これから都市住民の方々と農山漁村との触れ合いの場というものを一層拡充強化してまいりたいと思っております。
  56. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そういえば、今の答弁を伺っていて思い出しましたが、どこかの河川敷で大麻なんかを栽培している不心得者がいたので、こんなのは困るななんというような、これは質疑とは全く無関係のことでございます。  こういう健全な都市におきます市民農園、大学、それぞれの自治体としてそういう市民と一体となって取り組んでいることについての農水省としての応援もぜひまたお願いしたいというふうに思います。  次に、農地保有合理化事業についてお伺いいたします。  これは農業経営基盤強化促進法六条三項、こういうような位置づけだというふうに思いますけれども、これに対して大都市の立場で申し入れをさせていただきまして、ぜひ現実に合った施策について農水省としても自治体と連携をとって対応していただきたいということで、状況なり私の方の考え方について幾つか述べさせていただきたいというふうに思います。  いずれにしましても、大都市に限らず、農業者の高齢化とか後継者不足というのはもう大変深刻なことだと思います。とりわけ大都市の場合は、新鮮な農作物を供給するという生産基盤だけではなくて、自然環境の保全あるいは安らぎのある景観の提供ということ、そして最近特に防災の面でもそういった空間が必要なんだということで、大変幅広い機能を今求められているというふうに思います。  そして、大都市の中で公共事業が非常に進捗をしてきていますけれども、公共事業の用地取得に伴いまして代替の農地を希望するという農家も増大をしているわけでありまして、いわゆる金銭での公共事業に対する対応より、やっぱり農地が欲しいんだということで、そういうことがスムーズにいかなければなかなか公共事業も確保できませんし、一方、農地も著しく縮小していくばかりだということが大変緊急な課題であります。  そういう意味で、農地を保全する、農業の振興を図っていくということで農地保有合理化事業ということが、この規模を十分活用していくことが大切なわけですけれども、都道府県の農業公社のみで実施をされております。市町村でもということになっておりますが、これはまた後ほど市町村と県の公社の違いについては述べさせていただきますけれども、大都市、指定都市で、この都道府県の農業公社の保有合理化事業ということだけではなく、ぜひ指定都市においても農地の売買事業ができるように法の運用を緩和してほしい、こういうことでかねて政府に対し、農水省に対し要望があったというふうに受けとめております。  まず冒頭、このことについてどう受けとめていただいているのか、考え方についてお聞かせいただきたいと思います。
  57. 山本徹

    政府委員(山本徹君) ただいま先生指摘になりました政令指定都市における農業公社による農地売買の実施についてという件につきましては、昨年の十月に政令指定都市の農政主管者会議の名前をもちまして私どもに御要望いただいているところでございます。  農業公社による農地の売買事業については、ごく一般的な原則を申し上げますと、これも不動産の売買でございますので不動産に関する専門知識を有する資格者が必要になりますことと、それからもう一つには、農地価格が下落したような場合に売買差損が発生する場合がございますので、このリスクがございます。国がこの合理化事業に助成している場合には特にこのリスクについて慎重に対処しなければならない点もございますので、基本的には農地の売買という形の合理化事業につきましては都道府県の農業公社が担当していただき、農地の賃貸借の事業については市町村段階の公社が実施していただくというような役割分担を原則といたしておりますが、平成八年度の事業で、集落段階で集団的な農地の利用調整を行われるような場合には、市町村の農業公社も農地の売買事業が行えるように措置しております。  また、国の助成なしに農地の売買という合理化事業を実施しておられる市町村の公社も見られるところでございますけれども、私ども基本的な原則といたしましては、現在の合理化事業を実施する公社の体制を見まして県が売買事業を行うという原則に立つことがなお適当であると考えておりますけれども、市町村の農業公社のこれからの役割につきましては、都道府県の農業公社との役割分担、それから市町村の公社の事業実施体制やまた資金力といったような面に配慮しながら、これから全体として県、市町村の農業公社に農地保有合理化事業を円滑にかつ強力に推進していただく必要がございますので、そういった面に配慮しながら合理化事業の進め方を、また市町村農業公社の役割を考えさせていただきたいと思っております。
  58. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 今の御答弁の後段の方で、県の役割、県の公社そして市町村の方の実施主体等の分担等、総合的にいろいろ検討していきたいというようなことじゃないかなというふうに受けとめたんです。今、答弁の中にも市町村でもというふうになっているんですが、ここで大都市が言っていますのは、市町村が実施主体じゃなくて設立する農業公社にということであるので、そういう意味要望書もそうなっているというふうに思います。  言うまでもなく、自治体が実際に農地を売買していこうということについて対応するには非常に迅速にしなきゃならない。今の一般会計の自治体の予算制度の中では、予算編成に伴い購入農地の見積もりをしてから補正予算をかけるときに、市会の議決を得て起債許可をとる、繰り越し、こう  いうことでは機動的に対応できないわけですね。ですから、どうしても早く適正に農地の価格を把握、形成していくためには、企業会計的な管理というのが必要なわけであります。  なお、県の公社とそれじゃ一緒にやればいいじゃないかということになるんですが、実際に県と、今、神奈川県の例でいえば、川崎、横浜でいうと、農地価格が県と市町村、この二つの都市の価格がもう全然開きがあって具体的に対応できていない。実際、都市部といいましょうか、横浜、川崎では、県の農業公社でやっているのはゼロだというふうに私は聞いています。こういうことではこのシステム自体が有効に機能を果たしていないということになります。  あえて言えば、今こういった全体的に財政構造が大変厳しいときですから、こういう自治体では何かやれば、国の助成措置とか何かと言いがちなんですけれども、私は自治体の方とよく話しましたら、この財政基盤というのは自主的に確保するべきだということで申し入れをしておりますし、そして県とそれぞれの指定都市の役割分担ということについて双方がきちんと話し合うべきだというふうに言いましたら、当然そういうことを前提にしていますし、そういうことも準備をしていますということです。  そうなると国の方は、助成についてもこれからまた大都市からお金のことを言われるんじゃないかとか、あるいは県とうまくやってくれているんだろうかと、そういう危惧があろうかと思うんですが、ここら辺については十分クリアできるということならば、要望書の中での主要な点でございます大都市において農業を維持していく、農地の保全を図っていくということ、そして設立する農業公社については農地の売買事業ができるように法の運用を緩和してほしいということは、当然のことながら現実の対応としてむしろ積極的に農水省としても対応すべきじゃないかというふうに思うんですが、今の答弁に対しまして再度質問させていただきますので、お答えいただきたいと思います。
  59. 山本徹

    政府委員(山本徹君) 今、神奈川県の特に政令指定都市の具体的な事例を先生指摘でございました。これについて私ども、よく現地の事情をさらに調査し、またお話を承りまして、こういった川崎、横浜についても、農地保有の合理化を円滑に進めるということは大事な仕事でございますので、最も適当な方法を考えていきたいと思っております。
  60. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。    〔委員長退席、理事板垣正君着席〕  財団法人が設立されますと、御承知のとおり、民間との連携とか財源確保の多様性というのはもう非常に柔軟な対応ができますし、そして当然のことながら農協あるいは民間機関などさまざまな方面から人材を受け入れることになりまして、大変広範囲で多面的な事業展開というのをそこで打ち出すことができるというふうに私は評価をさせていただいていますので、御答弁のとおりぜひ前向きにお願い申し上げたいと思います。  次に、農水省設置法の改正案に関しまして、何点か既に前の方の質疑と重複している点もありますので、これを避けながら伺わせていただきたいというふうに思います。  今回の法改正に至る道筋は農水省としても大変いろいろ努力をされたと思いますが、いずれにしましても金融不祥事それから経営破綻等を契機に我が国の金融システム全体への不安、そのことが根底にあったわけですし、今もあるというふうに思います。  そこで、農水大臣に伺うんですが、ともかくこの間、一昨年十二月の金制調、金融制度調査会答申で、金融システム安定化のための諸施策において不良債権の早期処理等、それから今後五年以内のできるだけ早い時期に新たな我が国の金融システムをつくっていくんだということで、金融機関及び預金者において自己責任原則を徹底しようと。そして、二つ目には、行政当局において市場規律の十分な発揮を基軸に客観性及び透明性の高い行政を遂行していくということが柱になったというふうに思います。  そして、金融機関みずからのリスク管理能力を高めることが必要という観点から監査体制の充実等が法的に措置をされてきたわけですが、またディスクロージャーについても不良債権額の開示を含め進められているというふうに思います。行政当局ですが、自己資本比率等の客観的指標に基づきまして業務改善命令などの措置を講じていく早期是正措置が法的にも導入されるようになってきています。  こうした中で、この農林漁業系統組織は、信用事業のみならず、経済事業、共済事業についての他の業態との競争が激しくなっているということで、今後組合員の負託にこたえ、健全な経営の確保を図っていくということでの今回のいわゆる検査体制の一層の強化に対する法改正だと思います。    〔理事板垣正君退席、委員長着席〕  そこで、協同組合系統組織に対する指導監督を農水大臣として基本的にどのように進めているのか、伺わせていただきたいと思います。
  61. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 農協等の協同組合系統組織につきましては、機能の一層の強化と経営の効率化、健全化を図ることが急務であると認識をいたしております。  このために、さきの農協改革関連二法、また森林組合法、水協法の改正による各種措置、つまり業務執行体制監査体制の強化などを盛り込んでおりますので、これらの適切な運用によりまして協同組合系統組織経営の健全化などの系統組織の取り組みを支援してまいりたいと考えております。  また、検査体制の強化と検査内容の充実によりまして経営の健全化を促進してまいりたいというふうに考えております。
  62. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そこで、先ほど来質疑がございました検査の充実強化でございますけれども、今回の案は検査部門を経済局、林野庁及び水産庁から分離をし大臣官房に一元化しようと、こういうことであろうというふうに伺っております。  そこで、今回設置をされます協同組合検査部におきます検査体制はどの程度の規模になるのか、検査を担当する人員、協同組合検査官の人員はどの程度になるのか、伺わせていただきたいと思います。
  63. 熊澤英昭

    政府委員熊澤英昭君) お答え申し上げます。  今回官房に設置いたします検査部の規模でございますけれども、現在、平成八年度の検査員の数が三十五人、それから検査の事前準備あるいは事後処理を担当いたします支援組織といいますか、事務的なバックオフィス体制でございますが、これが現在三局で合わせまして六名で、計四十一名でございます。現在、この設置法の改正を御審議いただいているわけでございますが、組織といたしましては検査員を三十五人から平成九年度は三十九人にする、さらに検査事務的な処理による支援体制、これは現在六名でございますけれども、平成九年度は十六名にいたしたいということで、合わせまして四十一名から五十五名の体制に充実をしたいということで要求させていただいておるところでございます。
  64. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そこで、今回のこの検査部門の分離で検査体制の充実がどのように図られていくんだろうかということなんですが、そしてあと、農協系統を例にとれば、常例検査は今おおむね二年から三年の周期で行われているのが実態ではないかというふうに思います。法律の上では毎年一回ということがこの常例の趣旨であるかというふうに思います。この周期なんですけれども、今回の充実強化、今も人員の御答弁がございましたが、短縮をされるのか、伺いたいと思います。
  65. 熊澤英昭

    政府委員熊澤英昭君) 今、先生指摘のとおり、通常大体二年ないし三年に一度の割合検査を実施しているのが実態でございます。  今回の設置法の改正、さらにそれに伴います人員の増強、体制の強化、さらには検査員のみならず、先ほど申し上げました検査の事前準備、事後処理、これは報告書の取りまとめ、審査でございますが、そういった体制を強化することによりまして、検査内容の充実と検査対象あるいは検査回数の充実ということが十分に図られるというふうに考えております。  特に検査回数につきましては、昨今の情勢の中で信用事業あるいは共済事業に対する検査の充実ということが叫ばれておりますので、信連あるいは共済連につきましては毎年検査をするということで体制を強化してまいりたいというふうに考えております。
  66. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そこで、言ってみればその検査に当たる方々、検査職員の資質の向上というのが大変重要になるというふうに思います。そこで、効率的そして効果的な検査を実施をしていくということを確保するために研修を計画的に行っていくのかどうかということ、そしてあわせて専門的な知識を持った検査職員を計画的に養成するということも一方では求められているというふうに思うんですが、それはどういうふうに取り組まれるのか、伺いたいと思います。
  67. 熊澤英昭

    政府委員熊澤英昭君) 御指摘のとおり、検査部の設置、体制の強化は当然のことながら基本的には検査内容の充実ということが大変重要でございますが、そのためにも検査職員の資質の向上ということは必須の要件でございます。  先生指摘のとおり、研修については現在、初任者を対象とする研修、それから一定の検査を経験した者に対します研修、さらにはその時々の状況に応じました例えば金融業務に関する研修、そういった研修を毎年開催しているところでございますので、検査員の資質の向上のためにもこうした研修の充実を図ってまいりたいというふうに考えております。  また、検査職員の資質の向上につきましては、そうした研修の充実とあわせまして、特に官房に検査部を設置することによりまして、現在でも基本的には検査部の中で検査全体を掌握する、指導する立場にある方々というのはかなり検査の知識、経験が長く豊富な方がいるわけでございますけれども、そういうリーダーのもとで若い方々が検査経験を積んでいく、さらにそういう方がほかの分野での行政も担当し、幅広い識見を得た上でさらに検査部門に再度配属される、そういう人事の配置もいたしているところでございます。  今回官房に検査部を設置することによりまして、そうした人事交流あるいは知識、経験の共有、指導ということが従来にも増してやりやすくなるということもございますので、検査員の資質の向上については有効な手法がとれるというふうに考えておるところでございます。
  68. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 幾つか質問項目が残っておりますけれども、私の持ち時間が来ましたので、終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  69. 須藤美也子

    須藤美也子君 日本共産党の須藤美也子でございます。よろしくお願いいたします。  まず最初に、官房長に質問をいたします。  協同組合検査部を今度新設するということですが、住専のような農林系金融機関のずさんな融資実態経営状況をある程度チェックでき、協同組合の健全化という社会的ニーズもある中で、最小限度の行政検査機能をつけることは私は必要であると考えます。その上に立って、若干の問題点について質問をしたいと思います。  まず、行政検査の的確な実施を通じて協同組合経営の健全性を確保していくことが必要であると言っておりますが、経営の健全性というのは今日の状況のもとで何を意味しているのでしょうか、これが一つであります。  健全化によって、現在深刻になっている農業協同組合経営や、あるいはこれは協同組合と若干違うかもしれませんが、三兆数千億円も赤字を抱えている国有林の問題、こういうことがこの協同組合検査部を新設した結果、どのように改善されるのか、これを質問したいと思います。
  70. 堤英隆

    政府委員堤英隆君) 私がお答えするのがいいかどうかわかりませんが、前経済局長をやっておりましたので、その関係もあっての御質問かと思います。  住専との関係での御指摘がございましたけれども、住専の際の御指摘、御批判を大きく分けますと、農協が多額のお金を住専に貸し込んでいったことにつきまして、農林水産省としてそのチェックといいますか、それが十分でなかったのではないかという大変強い御指摘があったというふうに思っております。それからもう一点は、指導監督部局と検査部局が一緒になっておるわけでございますが、そういう中で指導監督部局、むしろ検査部局の方の検査が十分機能していたのか、甘くなかったのか、こういう大きな御指摘があったと思います。そういう二つの御指摘を私どもとして受けとめまして、今回この検査部の設置という形で御審議をお願いした、こういう経緯でございます。  そういう中で、農協経営の健全性ということについての行政の検査ということについて何を意味しているのかという御指摘でございますが、私どもとしましては、これは住専のときの経緯から見ましても、農協として健全なところに健全な額において貸し付けをちゃんとしているのかどうかということについての状況を十分把握する必要があるというふうに思います。  それから二つ目には、その裏返しといたしまして、負債問題等が生じているということになりますというと、返還能力の問題が出てまいります。したがいまして、不良債権等が的確に把握できているかどうかということにつきましての経営の健全性の把握ということが重要だと思います。  それから三番目に、やはり全体の問題といたしまして、農協としてこれから我が国の金融システムの一員としてその責任を果たしていくためには、自己資本それから執行体制、そういったものがちゃんと一人前の金融機関としてできているかどうか、そういうことについても十分な検査あるいは指摘をしていかなければならない、それがまた農協経営の健全性の指標というふうに思っております。  最後に、やはり貸し付け審査体制として、それぞれ金融機関として十分であるか、これもさまざまな御指摘をいただきましたけれども、そういった点につきましての農協経営の健全性ということにつきまして、私どもとしては、この検査部を通じましてこれから検査の充実強化ということに努めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  71. 須藤美也子

    須藤美也子君 国有林の方はいかがでしょうか。
  72. 高橋勲

    政府委員(高橋勲君) 国有林につきましては、御指摘のように累積債務が三兆三千億円ということで大変な事態になっておるわけでありますが、私どもといたしましては、昨年末に閣議決定されました行革プログラムに沿いまして、今林政審議会でその辺の今後の方向についての論議、検討をお願いしているところであります。従来の継続路線でないというふうな形で、どういう方向にしていくか、昨年の十一月から既に十回程度の林政審議会で幅広くいろんな方の御意見もいただいて御審議をいただき、今論点整理を行いまして、その論点整理に基づいて広く国民の御意見を伺っているところでございます。  本年中にそういう論議、検討を踏まえまして、抜本的な対策を政府一体となって検討、策定いたしまして、全力を挙げて国有林野事業の健全な体制をつくりたい、そういうことに取り組んでいきたいというふうに考えております。
  73. 須藤美也子

    須藤美也子君 先ほどの官房長答弁の中で、農協の健全化について、大体はわかったんですけれども、実態は自己資本を今度六%、内部留保を十分の一から五分の一にすると。そうすれば、その負担をするのは組合員になるわけですね。どうでしょうか。
  74. 堤英隆

    政府委員堤英隆君) 農協我が国の厳しい金融状況の中で健全な金融機関として発展していくということが、これは組合員のためであると同時に国民の共通の願いでもあると思います。  そういう意味で、農協みずからそういうふうに認識して自己努力をしていくということによりまして信頼を得ていくということだと思いますけれども、その信頼の第一として、やはり自己資本をきちんと充実することによって、破産やいろんな問題がこれから出てくるわけでございますが、そういったことにも十分耐えられるということで農家の方々が六十八兆円もの信頼を寄せておられるわけでございますから、それにこたえていかなければならないというふうに思います。  そうなりますというと、やはり組合員の方々がつくった農協でございますから、結局、自己資本の充実、経営体質の強化といいましても、組合員の皆さんの協力、御理解ということの中で、自分たちのつくった組合を健全化していかなきゃならない、こういうことだと思います。そういう意味組合員の方々に増資その他ということでお願いをするわけでございますが、そこは組合組合員というのは一体ということでございますので、協力を得ながら自己資本の充実に向けまして増資その他のお願いをしていくことになろうというふうに私どもは思っております。
  75. 須藤美也子

    須藤美也子君 農協が今非常に厳しい状況になっている一つに、貸付金や事業が停滞している点が主な原因になっていると思います。二つは、事業が伸長し収益が上がっているのか。こういう点では、貯貸率の向上など、特に貯金に対して貸し出しが少ない、だから住専にも走る、こういうような状況をつくり出したわけですけれども、農協の貯金の残高、貯蓄の残高は信用組合や第二地銀を上回って約六十八兆円と言われているわけですが、にもかかわらず運用されないことは今の日本農業の抱えている困難さを反映しているというふうに思います。  そういう点で、この農協の貯金残高を農村農業の振興のために活用できるように営農指導をもっともっと強化してほしい、こういうことを私は強く申し上げたいわけです。よろしいでしょう  か。
  76. 熊澤英昭

    政府委員熊澤英昭君) お答え申し上げます。  確かに農協系統の貯金量、六十八兆円という額になっておるわけでございます。残念ながら、昨今の農業を取り巻く状況の中で、農業に向けられる投資の額がなかなか伸びないというのもこれまた実態でございます。  そういう状況の中で、員外利用あるいは余裕資金の運用というものもやらなければならない実態にあるわけでございますが、むしろそういう中でいえば、農業投資、員外利用、余裕資金の運用がバランスのとれた形でかつ健全に運用されていくということが基本的に大事でございまして、そのための体制整備が現在強く求められていると思います。そういう観点から、先般の臨時国会でのいわゆる農協改革関連二法の成立もしていただいたわけでございます。  さらに加えて、先生が御指摘になりました営農指導の強化、これは従来から私どもが認識している以上に系統組織全体としても強く認識をしております。営農指導の強化とあわせて、組織、事業の改善合理化に取り組んでいるところでありますので、先般成立いたしましたいわゆる農協二法、そういった措置の適切な運用もあわせて指導しながら、先生指摘のような点についてもしっかり指導してまいりたいと考えております。
  77. 須藤美也子

    須藤美也子君 ここで大臣に質問いたします。  農協などの健全化は、組合員農協を利用する、農協に結集する、地域農業の活性化に役立つ農協であってこそ農業協同組合としての精神がその地域で生きていくと思うんです。  憲法第二十五条は生存権と国の社会的使命を規定しています。食糧安全保障の議論でも矮小化されてはならないと思います。我が国食糧主権の問題として真剣に考えるべきであると思います。その時期に来ている。そのためには、三年後にWTO協定農業交渉が再開されるわけですが、WTO協定から国民の主食である米、それから安全にとっても極めて重要な農畜産物を輸入自由化から除外する、こういう立場で再交渉すべきだと考えますが、大臣の姿勢を伺いたい、このように思います。
  78. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 次期のWTOの農業交渉の問題についてお尋ねでございます。  これまで、国内は無論でございますけれども、国際的にもいろいろな会議食糧の安全保障、いわゆる食糧安保の問題や、また農業が持つ国土環境保全に対する役割、農業の持つ多面的な役割というものにつきましては主張をしてまいったところでございます。今後ともこの点につきましては積極的に主張してまいりたいというふうに考えております。  また、次期農業交渉につきましてはこれらの点を踏まえまして交渉に臨む、そういう考え方でやるわけでございます。二〇〇〇年に行われますWTO次期農業交渉におきましては、これらの点とともに、この時点におきます我が国農業の現状等を踏まえまして交渉をすることになろうというふうに考えております。
  79. 須藤美也子

    須藤美也子君 国民の主食である米だけは少なくとも自国で賄う、これは自給できるわけですから。しかも、輸入米が入ってきて、その輸入米が余り余って大変な状況をつくり出している。その分、農民に米をつくるな、こういう国は世界どの国にもないわけです。そこも踏まえて今真剣に大臣がお考えになっている、こういう御答弁をなさっておられましたから、このことに期待をいたしまして、ぜひ日本農業の再建のために頑張っていただきたいというふうに思います。  それでは、経済局長に質問をいたします。  昨年の十一月、農林水産省経済局長が、当時は堤さんだったんじゃないですか、その泥をかぶるようですけれども、通達を出しました。「経営改善を要する農業協同組合に対する経営改善計画の提出等について」、これには五項目あります。これは御存じですね。  特にこの中で、第一、趣旨、「自己資本を充実させることなどにより、その健全性を確保する。」、第二の対象となるのは「特に経営改善を要する農業協同組合については、都道府県知事が選定する。」、そして選定基準としては、「「自己資本比率」が三・五%以下であるとき。」、「経営管理面に極めて重大な問題があり、特に経営改善が必要であると認められるとき。」など五項目にわたってこの通達が出されているわけです。  そこで、十一月ですからもう半年近くなります。対象となる農業協同組合については「都道府県知事が選定する。」というふうにしてあるわけで、また「経営改善を要する農業協同組合に選定した場合には、速やかに地方農政局長に報告するものとする。」とあります。この期間、半年近くなるわけですが、対象となる農業協同組合は全国で幾らでしょうか。そして、この農協に対する経営改善は具体的にどのように指導されているのでしょうか。この二点、まずお聞きをいたします。
  80. 熊澤英昭

    政府委員熊澤英昭君) お尋ねの経営改善計画でございますけれども、これはもう先生御承知のとおり、基本的には個々の農協検査を通じて業務上知り得た内容を前提としておる、さらに都道府県知事がそれぞれそういった資料をもとに判断をして選定をするということがございます。したがいまして、具体的な数字を申し上げることは適当ではないというふうに考えますが、なお農協の全体の数、大体二千強でございますけれども、おおむね一割程度ではないか、一割程度であるというふうに申し上げておきたいと思います。  現在、経営改善計画につきまして、その選定された農協からかなり既に都道府県知事に提出をされているわけでございますけれども、基本的な経営改善計画の内容といたしましては、それぞれの農協が持っております経営環境によって違いますけれども、基本的には増資あるいは内部留保の充実によります自己資本比率の向上、さらには不良債権等不良資産の内容がございますので、それをきちっと健全に処理していく、そういった内容が経営改善計画の主たる内容というふうに承知をいたしております。
  81. 須藤美也子

    須藤美也子君 そういう対象となる深刻な農業協同組合が全国で幾らあるのか、件数として。これが健全化の一つに入っているわけでしょう、これを明らかにする、ディスクロージャーするというのが。それをむにやむにやと、一割あるとかなんとかというような答弁では納得できません。  委員長、私はその資料提出を要求します。今でなくとも結構ですが、その資料を提出していただきたいと思います。
  82. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) ちょっと待ってください。その資料を出せるかね。
  83. 熊澤英昭

    政府委員熊澤英昭君) 先ほど申し上げましたように、選定の基準につきましては通達をいたしたところでございますけれども、その選定の基準に沿って選定をするという前提が、基本的には個々の農協検査をいたしまして、その検査業務上知り得た内容を前提にして選定をする、かつ都道府県知事がそれぞれの責任において選定をするということを申し上げたわけでございます。そういうことでございますので、具体的な数字を申し上げるということは差し控えさせていただきたいと思います。  しかしながら、先ほど申し上げましたように、全体でいえば約一割程度ということを申し上げたわけでございます。
  84. 須藤美也子

    須藤美也子君 この通達の五番目に、「速やかに地方農政局長に報告する」と。九十日間においてですよ。十一月ですから、今五月ですから、もう既に地方農政局には報告されているはずなんです。それを約一割とかという数ではなくて、全国的にどのような状況になっているのか、それを知りたいわけなんです。ですから、できるならその資料の提出をお願いしたいと再度要求をしたいと思います。
  85. 熊澤英昭

    政府委員熊澤英昭君) 再度重ねて申し上げたいと存じます。  農協を選定するに当たりましては、基本的には個々の農協業務内容を検査して、そういった具体的な検査業務の上で知り得た事項、内容をもとに都道府県知事がみずからの責任において選定するということが前提でございますので、具体的な内容について公表することは適当でないというふうにお答え申し上げたわけでございます。  ただ、そうは申しましても、全体像として把握していただくために、農協数全体の約一割、おおむね一割程度が都道府県知事によって選定されているということを申し上げたわけでございます。
  86. 須藤美也子

    須藤美也子君 私もかなりしつこいんですが、経済局長も少しぞっばりですね。こういうことを言い合っても時間がたつばかりですから、ぜひこれは情報公開も含めて、きちんとこういうものを委員会に明示するということが基本だと思います。  その点を踏まえて具体的な点を申し上げます、私が知っている限り。北海道では、昨年の十一月十八日付の経済局長通達に基づいて、信用事業を行っている道内二百四十九農協のうち二二%に当たる五十五農協に対して、ことし一月から三月までの間、早期に経営改善を行うよう指導していると報道されております。これは北海道新聞、朝日新聞で報道されているんです。このことは事実なんだろうと私は思います。  北海道でのこういうような状況に対して農水省としてどのような御指導をなさったのか、それは答弁できますか。
  87. 熊澤英昭

    政府委員熊澤英昭君) 私どもは、農協あるいは系統組織の健全な運営につきましては、基本的に指導監督を全体として行い、そのための指導の基準等も定めているわけでございますけれども、具体的に個々の農協の指導監督につきましては都道府県知事に機関委任をいたしておりますので、個々の農協についての指導という点でいえば、各都道府県知事にまず一義的に任されているということでございます。
  88. 須藤美也子

    須藤美也子君 これは皆さんごらんになったと思います。四月七日の朝日新聞の一面であります。「農家二十六戸相次ぎ離農」、カラーですよ。十一ヘクタールの農家も含めて、規模拡大を進めているのは農水省であります。この中には認定農家も入っていると聞いております。大規模圃場整備できれいに整地された田んぼでハクチョウが二羽遊んでいます。ここで二十六戸の離農が相次いでいる。これは全国に大きな影響、ショックを与えました。私もこの新聞を見て悲しくなりました。そうしたら、今度は別の新聞に同じ空知地区の栗沢町で、この通達に基づいてもう経営がやりにくくなった、成り立たなくなった三十二戸の農家に離農勧告をした。農協が離農勧告をしたということなんです。これは御存じでしょうか。さらに、清水町では農協が五戸の農家に離農勧告、回収不能額は七億三千四百万円です。  こういう状況、これは北海道だけではないと思うんです。やむなく離農する農家が相次いでいる。せっかく春になってこれから春まきをしよう、こういう意欲に燃えて農協に融資を頼んだら、あなたのうちにはもう融資はできません、離農しなさいと、こう言われた農家の気持ちになったことがあるでしょうか。考えてみていただきたいと思うんです。  こういう実態大臣はどのように認識されているでしょうか。
  89. 熊澤英昭

    政府委員熊澤英昭君) お答え申し上げます。  先生幾つかの事例を述べられましたけれども、必ずしも新聞報道が現地の実態を伝えていない面もございます。例えば北海道の栗沢町農協の事例でございますが、私どもが北海道から報告を受けたところによりますと、栗沢町の農協といたしましては、経営が著しく悪化しております貸付先の農家の債権のうち回収が極めて難しいと判断された債権につきましては、平成八年度の決算で一部貸し倒れの引き当てを行う、残りについても平成九年度において貸し倒れ引き当て処理を行うということを農協の総代会で決定したということが一つございます。  この栗沢町の農協は従来から貸付先の農家に対しまして経営改善、債権回収等の相談を個別に行っているわけでございます。しかしながら、個々の農家との相談、協議の中で現実に回収が難しいということが判断されますと、今度は農協経営の問題になりますので、農協の全体としての経営の健全を確保する、そういう観点から農協の経理処理として貸し倒れ引き当て処理を行ったということがございます。  この栗沢町農協はこれらの貸付先農家に対しましては引き続き個別に再建あるいは債権の回収、再建というのは経営の再建の方でございますが、そういう個別相談を継続して行っているということで、現在、農家の一部では営農を継続するという方もいらっしゃいます。一部にみずから離農を決意したという方もいらっしゃるということで、必ずしも一律に離農するということではないというふうに承知いたしております。そこで計画的に負債を圧縮する、そういった再建計画を立てる、そういった個別の事例について農協が現在相談、協議を実施してきているというふうに承知をいたしております。
  90. 須藤美也子

    須藤美也子君 本当は大臣に聞きたかったんですけれども、この次に農水委員会でお尋ねをいたします。  時間が来ましたのでこれでやめますが、最後に一言要求をしたいと思います。  回収不能な負債を抱えた農家を離農させるような実態はつくらないでいただきたい。そして、多額の固定化した負債を抱える農家をどのように救済するかを考えていただきたい。そのためには制度資金返済の一時猶予と利子補給による軽減措置、二つ目には負債整理資金の改善充実、三つ目は資産処分に対する非課税措置などを講じていただきたい、このことを申し上げまして、時間になりましたので私の質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  91. 北澤俊美

    北澤俊美君 今、須藤委員の質問を聞いていましたが、農水省はこんなことじゃだめですよ。熊澤さん、あなたは機関委任事務だと言ったけれども、住専のときもこういう言いわけばかりしていたんだ、一義的に東京都に責任がありますと。機関委任事務というのは基本的に国の業務を移管してやっておるんでしょう。しかも、あの通達を見ると、私も今ちょっと隣で見せてもらったけれども、担当の地域の農政局長に速やかに報告をしろ、こういう通達を出している、自分のところへは出せと。    〔委員長退席、理事板垣正君着席〕  一方で、農協組合員だけじゃなくて準組合員もつくって預金、そして共済事業をどんどん広げているわけでしょう。国民全体に広げているということですよ。そういう人たちの安全を図るのは国の責任じゃないですか。それをディスクロージャーする姿勢を持たないということは、これはもう今、日本の国はどういうかじを切ろうとして、いるか、あなたはよくわかっているはずでしょう。  それなのに、今の姿勢だったらこの法案審議することすら無意味な話になってくる。国の基本的な流れの中に沿わない答弁をしていて、個別事業はそういうことをやっておきながら、透明性を確保するとか効率性を確保するなんて言ったって、そんなものはお題目にすぎない。審議する気持ちにならぬじゃないですか。もう一度答弁してください。なっていない、こんなことでは。
  92. 熊澤英昭

    政府委員熊澤英昭君) 基本的に私どもが農業の振興、農協経営の健全化に最善の努力を尽くすということは当然でございまして、そういう努力をしているつもりでございます。    〔理事板垣正君退席、委員長着席〕  ただ、私の答弁の表現で不手際がありましたことはおわび申し上げます。個々の農協経営、それの集合体としての農協系統組織全体の経営の健全化、そういったことに対しまして、国あるいは政府が責任を持って指導監督するということについて、私ども基本的にそういう認識を持ち、責任を持って対応しているつもりでございます。  ただ、私が申し上げましたのは、具体的に二千二百の農協があるわけでございますけれども、二千二百の単協のすべてについて現実的に私どもが逐一検査をし、検査内容を把握し指導するというのが事実……
  93. 北澤俊美

    北澤俊美君 そんなことはいいんです。
  94. 熊澤英昭

    政府委員熊澤英昭君) ということもございまして、都道府県知事に一部お願いをしているという実態がございます。他方で、全体として農協経営の健全化のためにどういう観点から指導監督をすればいいか、そういった点について地方農政局あるいは都道府県と一体となって農協の健全化のために意を用いているつもりでございます。  なお、ディスクロージャーにつきましては、これは当然のことながら従来から農協組合員に対しては組合として情報の公開を行っているわけでございますけれども、最近の金融情勢の悪化あるいは厳しい状況の中で、農協系統金融機関のディスクロージャー、特に不良債権のディスクロージャーの重要性についてはもう先生から御指摘のとおりでございます。このディスクロージャーにつきましては、現在、逐次ディスクロージャーを進めているところでございます。  系統で申し上げますと、農林中金は平成八年三月の決算から……
  95. 北澤俊美

    北澤俊美君 いやいや、そんなことは言わなくていいんだ、今の話をすればいい。僕はもうこれは余分なことなんだから。  私も資料要求しておきます。こんな姿勢じゃ審議をする意味がない。これはもう必ず出してくださいよ。出せるとか出せないじゃない。これは出さなきゃいかぬことなんだから。  私の質問に入ります。  大臣、先ほど来リンゴ解禁の話が出ています。私はたまたま農水政務次官をわずかやりましたけれども、そのときに何でリンゴ産地の私がそんなときに当たらなきゃならぬかと思った。当時の総理大臣は羽田孜さんだった。二人で嫌なときになったなと言いながら、余りうまくないリンゴを政務次官室で食べさせていただいたのを覚えております。  今度ふじだということですね。このことについてはもう国際化の中で日本がしなきゃならぬことはわかっておるけれども、これから来月アメリカ協議するのはテクニックの問題に入ってきているというふうに思うんです。そこで、農水省としてこれをきちんと理論づけて阻止する方向でやるのかどうか、そのことをちょっと聞かせてください。
  96. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 政務次官御経験者の委員でございますから、よく事情は御存じだと思います。結論から言えば、きちっと科学的根拠に基づいて我が方は交渉をする、こういうことでございます。
  97. 北澤俊美

    北澤俊美君 結構でございます。しっかり頑張っていただきたいというふうに思います。  次に、これは通告しておかなくて悪かったんですけれども、けさテレビを見ていましたら和牛オーナーに捜査が入ったということでして、今新聞を取り寄せましたら、きょう捜査が入るというのは各紙が書いておるようであります。これはオレンジ共済と似たようなやり方で一連のものですね。  まず最初にちょっとお聞きしたいのは、農水省も三月に通達を出しているんですね。この通達の中で、非常に細かく都道府県の担当者にまでこういう措置をしろと。そういう中から違法性をきちんと把握したのかどうか。それがある意味ではきょうの捜査につながってきているのかどうかということであります。  それからもう一つは、新聞には農業生産法人としていますね。農業生産法人というのは、先ほど申し上げた通達の中にもきちんと定義しながら出しておられる。新聞ではそういうふうに書いてありますけれども、捜査を受けたところが農業生産法人に該当するのかどうか。それから、この法人が相当な数の牛を保有しているんだけれども、この法人と称されるものがそれぞれの地域で農業協同組合組合員として参画をしておるのかどうか。  それからもう一つは、一連の公的費用、補助金その他あるいは融資、そういうものについての資金がここのところに入っておるかどうか。その三点をちょっと聞かせてください。
  98. 中須勇雄

    政府委員(中須勇雄君) 初めに、家畜オーナーシステムについて、私ども三月十四日付で各都道府県等に通達を出して消費者等に対する注意喚起を行ったわけでございます。その効果ということでございますが、一つは各都道府県、地方公共団体等の消費者の相談窓口におきまして多数のいろいろな御相談があったわけでございますが、それに対して、基本的にこの通達に書いてございますように、一つは農林水産省が推奨するものではないということ、それから肉用牛飼育というのは価格変動リスクがあって常にもうかるものでは決してないということ、それから三番目にこの家畜オーナーシステムについては、やり方いかんでございますが、いわゆる出資法に触れる可能性がある、そういう点を中心に消費者への注意喚起をする、そういうことでの消費者への浸透を図ったということが第一点でございます。  それから同時に、それまではこのオーナーシステムについて新聞等の広告であるとかあるいは折り込みチラシということでの勧誘が行われていたわけでございますが、この通達後それらは事実上ストップする、こういうようなことに相なりました。  したがいまして、一番の効果としては、新たに契約をされる方に対して注意が十分に喚起されたというふうに思っておりますが、その辺は残念ながら数値的にはどういうようなことになったのか必ずしも私どもも十分把握しているわけではございません。  それから二番目に、本日警察当局において強制捜査が行われた二つの農業生産法人、具体的に申しますと、はるな共済牧場、これは農業生産法人でございまして有限会社だというふうに伺っております。それからもう一つが軽井沢ファミリー千紫牧場、これも同様に農業生産法人で有限会社だというふうに私ども把握をしております。  これらの各二カ所のオーナーシステムに関しましては、一応私どもがその実施をしておられる方からそれぞれ聞き取りを行った結果では、千紫牧場では約八百頭、それからはるな共済牧場では約二百頭程度飼養をしていると。それから、オーナー数で言いますと前者が千二百人、それから後者は百四十人程度と、こういうふうに承っております。  なお、これらの牧場が農業協同組合に入っているか否か、その辺については私どもも詳細は承知しておりません。
  99. 北澤俊美

    北澤俊美君 違法性についてはきちんとした認識をお持ちのようでありますね。ただ、全部が違法性のあるものではないと私も思うんですよ。だから、今の御答弁をお聞きしていると、このオーナー制度をやっていると全部違法だというふうに思われがちですけれども、そういう認識ではまたいけないというふうに思います。  それから、ハイリスク・ハイリターン、確かに畜産は大変なんですよ。私の友人も三百頭、五百頭、七百頭と豚をやって、途中でやめて果樹に切りかえています。もう二十年もたつけれども、いまだに経済連のトラックを見るとどきっとするという感想を漏らすぐらいですから、大変なことなんです。  そういう中で、有限会社でもってこれをやっておると。先ほど一つ答弁がなかったんだけれども、今、畜産というのはいろんな角度から新しい展開をしようと思ってまじめに試行錯誤している人たちと、こういうふうにインチキをして資金だけを集めて逃げ出そうと、しかも新聞報道によれば背後に暴力団の影もあるというような記事もありますから、その辺の仕分けは農林省としてもきちんとしなきゃいかぬというふうに思いますが、公的資金が入っておるのかどうか。今、農協に加入しているかしていないかもわからないというから、ここまでもわからないんだと思うけれども、大至急それを調査して、資料を欲しいが、どうですか。
  100. 中須勇雄

    政府委員(中須勇雄君) 初めに、御指摘のとおり、こういったシステム自体がすべて悪かということに関しましては、確かに地域おこし等で実際上こういうようなものを市町村等が入った第三セクターで行っておりましたり、農協等がやっておる、そういう事例もございますし、またこのオーナーシステムそのものについても、十数年前からずっと実施してきて特段のトラブルを生じていない、そういう例もございます。その辺はやはり私どももしっかり区分けをするというか、いいものもあれば悪いものもある、そういうような態度で対処すべきものというふうに考えます。  それから、申しわけございませんが、二点目の御質問については私今詳細な資料を持っておりませんので、後ほど調査した上でお答えしたいと思います。
  101. 北澤俊美

    北澤俊美君 これは警察当局も予防的措置で少し従来よりも早く手をつけてくれたというふうに思うし、これは農水にとってもいいことだし、国民にとってもいいことだというふうに思うんですが、まだ広がると思うんですよ。  これはいつの新聞か知らぬが、「「オーナーシステム計画」とん座」ということで、ダチョウのオーナーシステム、ダチョウをオーストラリアから連れてきて、これもオーナーシステムでやろうとしたら面積が少なくてだめだったと。それで、業者はどこかへいなくなつちゃったと。「はるばるやってきたダチョウはどこへ行く」と。そうしたらこっちに、どうせ食べられるんだからどこへ行ってもいい、しょせん最後は胃袋だろうと、こういう話だが、こんなかわいそうな話は不謹慎なような気もするが、しかし厳しい農業の現状の中でこんなことがまかり通るようになってきてはいかぬのです。どこかに何かつけ入られるすきがあるのか、法的な甘さがあるのか、その辺はしっかり精査して予防措置をしていただきたいということを要望しておきます。  さて、法案のことでありますが、まず最初に大臣にお聞きをします。先ほど来の審議の中で何度か御答弁をされておりますけれども、私の立場からも改めて御質問を申し上げます。  現状の検査体制の中から新しい体制をつくる、こういうことでありますから、これは十分なる利点を求めてのことだというふうに思いますが、重ねてでございますけれども、改めて大臣がこの法案を提案した基本的な利点を述べてください。
  102. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 先ほどから御答弁申し上げておりますように、協同組合経営の健全性を確保するためには、個々の経営体の自助努力、これがまず必要でございますけれども、同時に行政検査の充実強化ということも必要不可欠のものだと考えております。  そこで、検査大臣官房協同組合検査部に一元化することによりまして、経済局、それから林野庁、水産庁の指導監督部局から一定の距離を置くことによりまして緊張関係をつくっていく。検査はそういう一元化、監督は従来どおり三部局でやる、こういう体制で進んでいくことがこの検査の統一性及び効率性を高めていくことにもつながっていく、かように考えております。この検査体制の強化によりまして、今後、検査内容の充実を図ってまいりたいというふうに考えております。
  103. 北澤俊美

    北澤俊美君 最後だから少しちょっと意地悪でも言わなきゃなかなか質問にならぬから勘弁していただきたいが、新しいものをつくるということは、現状の反省の中からつくり出すわけですね。そうしますと、じゃ今までのものは何かの大きなきっかけがあったからこう変えますよという変化と、それから今までやってきたことが少し甘かったから変えますよと、いろんな場合があるというふうに思うんです。  そこで、水産庁、それから林野庁、今までの検査体制を持っていたところから出すわけですけれども、その理由の中に、一定の距離を置いて緊張関係を保ち、そして統一性、効率性を求める、こう言っていますが、何事も新しくスタートするには大きな反省をきちんとした上で、それを確実に認識し合った上でいかないとその実効性がないというふうに私は思うんですけれども、新しい体制をつくってこの法律をやるときに緊張関係を高める、こう言うと今まで緊張関係がなかったのかと、こういうわけですね。  統一性についてはいい。効率性、これも効率性が今まではなかったのか、惰性に流されていたのかと、こういうことでありますが、率直にひとつ新しい法改正に進むに当たって両庁の御見解を聞かせてください。
  104. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 今回、法改正をさせていただきまして、その後、私どもの検査組織の方も官房に移るわけでございます。従来、水産庁だけでやっておりました検査が今回は農協と林野と一緒になってやるということで、それぞれ我々も一生懸命やってきたわけでございますが、従来気がつかなかったようなノウハウも他の農協なり林野の方の検査官の方が持っておられると思います。そういう意味で、検査に関しますノウハウも向上するということでございます。  また、必ずしも従来緊張関係がなかったということではないわけでございますけれども、ともすれば同じ水産グループであったということも若干なかったわけではないかと思います。そういう意味で、検査部門が独立して行うということでは従来以上の緊張関係があるというふうに考えております。
  105. 高橋勲

    政府委員(高橋勲君) 私どもの方も、林業を地域で中核的に行っております森林組合、これの経営基盤の強化ということが最大の急務でありますけれども、その森林組合を指導していくというときに、この検査部門が独立して、農協あるいは漁協、そういう面での事業の進め方あるいはその指導のあり方、そういうふうなノウハウを公平に森林組合の方の検査にも適用できるということで、森林組合の基盤強化というふうなところにも期待が持てるのではないかというふうに思っております。
  106. 北澤俊美

    北澤俊美君 ありきたりでつまらぬですよ。  御答弁の中にはないけれども、要するに今度のものは住専の問題に端を発して、その大きな反省の中からやっているんでしょう。ということは、現業部門のところに検査部門を置いておけば、言葉は悪いが、どうしてもなれ合い的な、お互いに傷をなめ合う、お互い大変に生産性の低い利潤の上がらないところで苦労しておるわけだから、そういうところから切り離すという意味で今度の改正は私はいいと思っておるんですよ。  そこで、総務庁来ておられますね。今、国会へ提出されている金融監督庁は、これは成立するという前提で申し上げるが、新たに検査・監督部門をここへ置く。こっちは検査部門は官房へ置いて、監督部門を現業のところに置いておく。そうすると、同じ国民の預金を預かるという性質の中からすれば違う制度が成立するわけだと思うんですっその辺は総務庁はきちんと協議をしてやっているはずなんですけれども、協議の中でそういう点についてはどんなふうな見解を持っておりますか。
  107. 陶山晧

    政府委員(陶山晧君) 今回の農林水産省の組織改革につきまして私どもも御相談を受けた立場でございます。今回の改革案につきましては、現在農水省の中で三部門にそれぞれ配置をされております検査機能を官房に一元化して、検査部門の指導監督部門からの独立性、中立性の確保、検査部門の集約化による検査の統一性、効率性の確保を図るための体制整備という観点の改革案であるという理解をいたしております。そういう観点からこれを認めることといたしました。  したがって、ただいまの先生の御指摘でございますけれども、今回の改革検査・監督を農林水産大臣のもとであわせ行うことを変更するものではない。つまり、検査・監督を一つの行政機関の長のもとで行うという点につきましては、金融監督庁長官のもとで検査・監督をあわせ行うこととなっております金融監督庁設置法案と矛盾するものではないというふうに考えております。
  108. 北澤俊美

    北澤俊美君 その協議をしている中で、現在もいろんな意見があるけれども、農水省の関係の金融部門の検査を金融監督庁へ入れたらどうだという意見を言う人もたくさんいますが、そういう論議はなかったんですか。
  109. 陶山晧

    政府委員(陶山晧君) ただいま御指摘のありましたように、金融監督庁設置法を策定いたします過程で、与党の間でかなりの詰めた議論が行われたことは私ども承知をいたしております。  農水省は、協同組合等に対する検査・監督につきまして、協同組合系統組織が行う各種事業の安定化、効率化を図るという農政上の観点から実施をしておられるというふうに理解をいたしております。これら事業のうち信用事業につきましては、農政上の観点からだけではなくて金融秩序の維持の観点からも検査を行う必要があるということから、現在、農水大臣と大蔵大臣との共管とされているところでございます。  今回、総理府に設置される予定となっております金融監督庁は、大蔵省にかわって金融秩序の維持の観点から、つまり金融行政の観点から民間金融機関等に対する検査・監督を所掌する機関でありますことから、協同組合系統組織が行う信用事業につきましては現在と同様に農水省と共管するという形の整理がなされているというふうに理解をいたしております。
  110. 北澤俊美

    北澤俊美君 今、共管の話が出ましたけれども、これは相矛盾するんですね。金融監督庁がこれから検査する場合は、要するに一般の金融機関と同じ感覚で果たしてきちんとした業務がなされておるかどうかということをやるわけなんです。農水の検査は、農業協同組合全体の中における大きな柱ではあるけれども、信用事業、共済事業、そういうものが組合員の自立、生々発展のために資するかどうかという観点からやる。これは必ずどこかでぶつかるんですね。このぶつかることを想定もされておるだろうというふうに思いますし、そのときにどういう対応をしようとされておるのか。
  111. 熊澤英昭

    政府委員熊澤英昭君) 先生今御指摘のとおり、私ども農林水産省サイドから農協系統の検査を行います場合には、信用事業は重要な柱ですが、全体の事業の中で位置づけられている信用事業としてのあり方、健全な運営という観点からの審査ということがあるわけでございます。他方、金融監督庁の方はまさに金融機関として健全に運営されているかという観点ですので、確かに重複する部分がございます。  そこは、金融機関としてのあり方としては、基本的には検査の基準というのは同じような基準になるというふうに考えられますが、ただ農林水産サイドから見ますと、そうした信用事業が他の事業、例えば営農指導、生産物の販売、農産物の販売、生産資材の購買あるいは福利厚生事業、そうした全体の事業の中で、農協系統組織の活動全体の中できちっと全体と整合性を持って運用されているかという観点からの検査がむしろ加わるというふうに考えられます。  なお、具体的な検査のやり方につきましては、金融監督庁が発足後、十分に連絡をとって対処してまいりたいというふうに考えております。
  112. 北澤俊美

    北澤俊美君 これは必ずいろんな摩擦が起きてくるというふうに思うんですよ。それはこれからしっかりやっていただきたいというふうに思います。  そこで、農協を二〇〇〇年に五百五十にするというんですね。農協には私も農家の生まれですから強い思いがあるんだが、農協というのはもともとはみんなは個人のため、個人はみんなのためという協同意識の中からできてきたんですね。だから、私の子供のころの農協というのは、親の後について農協へ行くと、だれが農家でだれが職員でだれが役員だかわからぬ。ただ、組合長さんだけはすり切れたような机のところでその人だけネクタイして、ひげを生やしているという思いがあるんですよ。あの人が一番偉い人だなと、こういう思いがある。これは本当に農家とぴったりしていたんですよ。  それがだんだん合併されてきて、今はもう汚れた靴で農家の人が行くとちょっと上がりにくいし、職員も余り泥を落とすと嫌な顔をする。信用部門のところへ行けばなおそうなんです。そういう中で、農民と本当につながった意識というものは希薄になってくるんですよ。農協組織が巨大化してきた、それは日本農業を支えてきた部分もあるけれども、今は重荷にもなり始めているんです。  例えば、この間資料を出していただいたが、正組合員だけで言えば、農家十六戸で一人の職員を抱えておるんですよ。全国的にならすと、そういう実態なんです。だから、五百五十にして農協の生き残りを図っていく、これは大事なことです。大事なことではあるけれども、しかし今までの改革を見ていると、職員の減量というものがほとんどない。ただ、現場の農協を見ると三十代、四十代の働き手が抜けていっているんですよ。もっと言うと、二十代の後半ぐらいから自分の将来とか農協の将来というのを見たとき、そこが抜けていく現状というのはやっぱりきちんと認識せにゃいかぬと思うんですよ。  だから、そういう意味での農協改革、昨年二法が成立して、これからでありますけれども、しっかりしていただきたい。これは農協を愛すればこそ申し上げる話で、原点というものを忘れちゃだめだというふうに思います。  時間が過ぎてきましたので、申しわけないが、最後に構造改善局長、ウルグアイ・ラウンドの予算について、新聞報道等によれば、与党の方では二年延長というような話が割合すんなりと固まったという話ですが、違いますか。しかも、それに対して、なぜこんなに圧力がなくすんなりいったかというと、それは要するに反対するパワーがもう少なくなっちゃっているというんですね。要するに「最大の原因は、「農林パワー」の源である農業団体農家が削減に強い抵抗の意思を示さなかったことである。」、こう言っているんですよ。  私もWTOの特別委員会のときに与党理事をしておりましたが、大変な苦労をしてできたわけでありますけれども、今既にもうこうして言われている。しかも、新聞報道を見れば、相当むだ遣いをしている、農家に負担をかけているというような話がぼんぼん出てくる。こういうことに対して、農水省としてもうちょっときちんとしたものを出すべきだと思うんです。  それで、何でも決まったものだから、これはやっていかなきゃいかぬという時代ではないと私は思うんですよ。農水省としても、ウルグアイ・ラウンドの六兆百億についてもう少し違った、今の時点で言えばこういうものは考えられないのかというものが出てこなきゃうそだと私は思うんだけれども、お互い自分のところにしがみついていて、決まったものはやらなきゃいかぬという姿勢では、農林省は改革の中から取り残されていくというふうに思いますけれども、どうですか。
  113. 山本徹

    政府委員(山本徹君) ウルグアイ・ラウンド対策については、当初六兆百億円を六カ年で実施する計画になっておりまして、これは政府・与党としておまとめいただいたものでございますけれども、これを計画どおり実施していただくように私どもお願いいたしておるところでございます。  事業について農業者等からの期待が少ないというようなお話がございましたけれども、私ども農業農村整備で申し上げますと、地域、地元からの要望は事業費の約一・六倍程度に上っておりまして、各地域からの事業実施の要望が大変強いのが事実でございまして、いろんなヒアリングをしたり、また地域からの御陳情の際にそういった要望の強さを具体的に私ども肌身で感じておりまして、計画どおりの事業実施に向けて努力いたしておるところでございます。  もちろん、事業実施に当たっては各地域の事業の熟度といいますか、地元の総意が事業実施に向かっておるということとか、また事業効果の発現の可能性が高い、期待が高いというようなものを優先して採択したり、また地方自治体や農業者の現実に、今の農業情勢からできるだけ負担がかからないようにということも重要でございますので、地方財政措置あるいは農家の御負担の面については負担金の軽減対策、また各年度ウルグアイ・ラウンド対策事業につきましてもいろんな事業内容の見直し、改善等を行いながら円滑な事業実施を図り、これによって所期の事業効果が発現するように努力いたしておるところでございます。
  114. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。——別に御意見もないようですから、直ちに採決に入ります。  農林水産省設置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  115. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  116. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十七分散会      —————・—————