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1997-04-24 第140回国会 参議院 内閣委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月二十四日(木曜日)    午前十時開会     ―――――――――――――    委員異動  四月二十二日     辞任         補欠選任      西山登紀子君     聴濤  弘君  四月二十三日     辞任         補欠選任      聴濤  弘君     阿部 幸代君  四月二十四日     辞任         補欠選任      清水 澄子君     瀬谷 英行君      北澤 俊美君     小山 峰男君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         鎌田 要人君     理 事                 板垣  正君                 鈴木 貞敏君                 鈴木 正孝君                 清水 澄子君                 瀬谷 英行君     委 員                 海老原義彦君                 狩野  安君                 村上 正邦君                 矢野 哲朗君                 依田 智治君                 大久保直彦君                 永野 茂門君                 山崎  力君                 角田 義一君                 齋藤  勁君                 阿部 幸代君                 笠井  亮君                 北澤 俊美君                 小山 峰男君    国務大臣        農林水産大臣   藤本 孝雄君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 梶山 静六君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  久間 章生君    政府委員        防衛庁参事官   山崎隆一郎君        防衛庁長官官房        長        江間 清二君        防衛庁防衛局長  秋山 昌廣君        防衛庁教育訓練        局長       粟  威之君        防衛庁人事局長  大越 康弘君        防衛庁経理局長  佐藤  謙君        防衛庁装備局長  鴇田 勝彦君        防衛施設庁長官  諸冨 増夫君        防衛施設庁総務        部長       伊藤 康成君        防衛施設庁施設        部長       首藤 新悟君        外務大臣官房長  原口 幸市君        外務省総合外交        政策局長     川島  裕君        外務省総合外交        政策局軍備管        理・科学審議官  河村 武和君        農林水産大臣官        房長       堤  英隆君        農林水産省経済        局長       熊澤 英昭君        林野庁長官    高橋  勲君        水産庁長官    嶌田 道夫君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 久雄君    説明員        外務省アジア局        審議官      大島 賢三君        外務省北米局審        議官       田中  均君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○農林水産省設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○防衛庁設置法等の一部を改正する法律案内閣  提出、衆議院送付) ○理事補欠選任の件     ―――――――――――――
  2. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨二十三日、聴濤弘君が委員辞任され、その補欠として阿部幸代君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 農林水産省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。藤本農林水産大臣
  4. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 農林水産省設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  農業協同組合森林組合水産業協同組合等協同組合系統組織につきましては、他業態との競争の激化、金融の自由化進展等経営をめぐる状況は厳しさを増しております。  このような中、これらの協同組合系統組織組合員の負託にこたえ、将来にわたってその役割を適切に果たしていくためには、その自助努力と相まって、行政検査の的確な実施を通じて経営健全性を確保していくことが必要であります。  農林水産省におきましては、従来、これらの協同組合系統組織検査は、例えば農業協同組合については本省で、森林組合については林野庁で、水産業協同組合については水産庁でそれぞれ担当しているところであります。  今後、これらの検査を一層的確に実施していくためには、それぞれの指導監督部局から一定の距離を置き、緊張関係を保つとともに、検査統一性及び効率性を高めていくことが重要であることから、大臣官房協同組合系統組織等に対する検査を担当する部を設けることとしたところであります。  このため、林野庁及び水産庁の所掌である森林組合水産業協同組合等検査に関する事務を両庁から農林水産省本省に移管することとし、この法律案を提出した次第であります。  以上がこの法律案提案理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  5. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  農林水産大臣は退席いただいて結構でございます。     ―――――――――――――
  6. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 次に、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 自由民主党の矢野でございます。  今回提出された法案並びに関連事項について質問をさせていただきたいと思います。  冒頭、発生から百二十七日ですか、ペルー日本大使公邸占拠事件が、フジモリ大統領の果断なる決断の結果、最小限の犠牲にとどまり、昨日事件解決されたわけであります。不幸にして亡くなられましたカルロス・ジュスティ最高裁判所判事並びに人質解放に当たりましてとうとい生命犠牲にされた二人の将校の方には衷心より哀悼の誠をささげたいと思います。また、不届の闘志で、テロには一切屈しない、そういう気持ちで現場で陣頭指揮されましたフジモリ大統領、そして今回の作戦の執行に当たられた特殊部隊の隊員の方々行動に対しまして心から敬意を申し上げたいと思います。  ここで改めて、本事件の経緯及びこれに対する日本政府対応、そして本事件からどのようなことを教訓として読み取るべきか、このことについてお伺いをしたいと思います。
  8. 原口幸市

    政府委員原口幸市君) お答え申し上げます。  今回の在ペルー大使公邸占拠事件につきましては、昨年の十二月十八日にリマの日本大使公邸で開催されました天皇誕生日祝賀レセプションの際に、MRTAの武装グループが建物内に侵入いたしまして公邸占拠したことに始まったわけでございます。その後、御承知のとおり、数次にわたり人質の一部が解放されましたが、百二十六日間ですか、長い占拠が続いたわけでございます。我々といたしましては、その間、事態平和的解決に向けて、保証人委員会を通じましてペルー側犯人側との間で交渉がうまくいくように努力を続けてきたわけでございます。  この間、我が国といたしましては、ペルー政府と緊密な連携をとりまして、テロには屈しない、しかし一刻も早い事件解決、そして人質の安全かつ全面的な解放ということを図るべくその方向で全力を傾注してきた次第でございます。  このような中で、先生が今御指摘のとおり、日本時間で二十三日の午前五時二十三分、ペルー軍特殊部隊救出作戦を敢行いたしまして、その結果、人質七十二名のうち七十一名が無事に救出されたわけでございます。  外務省といたしましては、第一に、この救出作戦におきまして、人質となっておりましたペルーの最高裁の管理局長及びペルー軍関係者二名、計三名の犠牲者が出たことに対して深い哀悼の意を表したいと思います。  また、今回の事件解決に当たりまして、フジモリ大統領が、保証人委員会による話し合いを通じた解決に最大限努力しつつも、テロに屈しないとの観点から、周到な準備の上、成功裏に救出作戦を行われたことを高く評価しておりまして、フジモリ大統領に心から感謝を申し上げたいと思っております。  我が国政府の具体的な対応といたしましては、池田外務大臣が、ペルー政府への謝意の表明、とうとい生命犠牲にされました三名の方への弔意の表明、あるいは負傷されました人質方々へのお見舞い、また長い間人質の立場に置かれてつらい生活を強いられた方々への御慰労の気持ち表明、さらに大使公邸事後処理を含む大使館業務再開等目的を果たすために、昨夜ペルーに向けて出発したところでございます。  また、外務省におきましては、昨日、在ペルー日本大使公邸占拠事件調査委員会というものを立ち上げたところでございます。これは事務次官を委員長としまして複数の関係局長委員とし、本件事件の解明、それから警備を含む反省すべき点、あるいは今後改善すべき点というものを調査分析いたしまして今後の参考に資するということを目的としたものでございまして、できるだけ早くこの作業を進めて今後の我々の対応に資したいと考えている次第でございます。  なお、テロの撲滅につきましては、昨年六月のリヨン・サミットにおきましてテロリズムに関する宣言が採択されておりまして、我が国といたしましても、今回の事件教訓に国際的なテロ対策について一層緊密に各国と協力していく考えでございます。  なお、本事件継続中、本委員会先生方を初めとしまして多くの国会議員先生方より励ましと御指導をいただいたことに対しまして、この場をかりて厚く御礼申し上げます。どうもありがとうございました。
  9. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 一言申し添えておきます。  在外公館危機管理の甘さもこの事件発端の原因の一つだというふうに指摘を受けているわけでありますから、今後一切こういったことが起きないように万全の構えで処してもらいたい、こう要望しておきます。  加えまして、新防衛大綱で「テロリズムにより引き起こされた特殊な災害その他の人命又は財産の保護を必要とする各種事態に際して、関係機関から自衛隊による対応が要請された場合などに、関係機関との緊密な協力の下、適時適切に災害救援等の所要の行動を実施する」、こういうことで、改めて今回の新防衛大綱テロリズムへの対応が明らかにされたわけであります。  もちろん、今回のような事件を二度と起こしてはいけないというふうな前提でありますけれども、このような事件が起きた場合、平素からその対応について遺漏なきを期していくことは国家の安全保障上必要なことと考えております。  しからば、自衛隊としても可能な限りその能力を生かして協力を行うべきと思うのでありますけれども大臣所見をお伺いいたします。
  10. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 新防衛大綱におきましては、今後の防衛力が果たすべき役割について、自衛隊の主たる任務であります我が国防衛に加えまして、阪神・淡路大震災地下鉄サリン事件を契機として、大規模災害等事態における自衛隊の活動について期待が高まっていること等を踏まえまして、大規模災害等各種事態への対応を新たな柱として掲げておるところでございます。  当庁としましても、テロ事件そのもの対応することは第一義的には警察機関任務と承知しておりますけれども、その保有する装備訓練等を通じて得た技能、経験を生かし、法令の定めに従い、関係機関と連携しつつ各種事態対応し得る限りの対応をしていこう、そういうふうに思っております。  そういう意味では、今回のあのような事態も、またその後の推移等参考にしながら十分に対応をし得るそういうような対処といいますか心構えを持ちつつ、各部隊ともいろいろと検討を加えるんじゃないかと思っております。
  11. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 それでは、先日成立をいたしました駐留軍用地特別措置法について質問をさせていただきたいと思います。  四月二十三日ですから昨日ですか、公布され、施行されたということでありますから、実際に効力を生じている法律になったということだと思います。内閣を先頭として、そして所管大臣であります久間防衛庁長官は大変な御尽力、リーダーシップを発揮された、このことに対して私は敬意を申し上げたい。そして、軍用地が無権原状態に陥る、また日米関係を損なう、そんなことが未然に防げたということは本当に我々としても責任を全うできたかな、こう考えております。  しかしながら、沖縄県の抱える問題というのは、過重な基地負担、そして県民の心情と長期にわたる沖縄の苦難の歴史に思いをいたしますと、これからが本番だと考えるところであります。政治的課題がまだまだ山積している中で、最大の努力を払っていかなければいけないと思います。  長官は、先日、県道一〇四号線越え射撃問題について解決すべく、精力的に各県知事とお会いになって詰めの作業をされているようであります。先般、宮城県、大分県にも足を運ばれたということでありますけれども、この一〇四号線越え射撃問題を含めまして、改めて沖縄の米軍基地問題に取り組む長官の御決意をお聞きしたいと思います。
  12. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 我が国安全保障を確保していくために、我が国が適切な防衛力を整備すると同時に、日米安保条約による日米同盟関係を通じて、そのまた信頼の向上を図って我が国の存立と独立とをかち取っていかなきゃならないわけでございますけれども、そういう中におきまして我が国の義務を果たすということはやはり大事なことでございます。それだけに、施設・区域の提供に当たりまして無権原状態になるということはどうしても避けなければならない。しかしながら、諸般の情勢から無権原になるという状況ができつつありましたが、当院におかれましてもそのような状況の中であのように特措法を成立させていただきまして、ただただ感謝申し上げたいのみでございます。  しかし、法律はそういうふうにできましたけれども、要は沖縄方々がこれまでも背負ってこられた、また今も背負い続けられる基地沖縄に集中しているという問題については、私どもとしてもできるだけ減らしていかなければならない。そのためには、幾らかなりとも本土の方で受け持ってもらえることがあるものについてはそれをやっていかなきゃならないということで、SACO最終報告をまとめさせていただきましたときにも、岩国へのKC130の移転でありますとか、県道一〇四号線越えの射撃をやめるとか、そういうことについて触れさせていただいたわけでございます。  あのように法律を通させていただいただけに、SACO最終報告で決められました問題についてはぜひ本土皆さん方に背負っていただきたいということでお願いをしてまいりました。なかなかもろ手を挙げて賛成というわけにはまいらないけれども、幸いにやむを得ないなというお気持ちになっていただきまして、一応一〇四号線越えにつきましても、各地区で何とか実施できるような体制ができてきております。また、KC130についても、山口の知事さんが一昨日お見えになりまして、容認するということをはっきりと申されました。大変ありがたいことだと思っております。  しかし、これで沖縄の問題が全部解決したわけじゃございません。それ以外のSACOで掲げました問題等もまだ残っておるわけでございますので、それらの実現に向かって全力を挙げ、そういう解決を通しながら政府としても沖縄の問題について着実に一歩一歩やっているんだ、そういうことをお見せしながら、それと同時に、SACO最終報告をやったからといってこれがまだ終わるわけじゃございませんので、まだいろいろとこれから取り組まなければなりませんが、少なくともSACO最終報告をまずなし遂げるというのが私どもに今与えられた責務であると思ってこれから先も取り組んでいこうと思っているところでございます。
  13. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 一〇四号線越えの演習については本土移転がほぼ可能になったということでいいわけでありますね。ちょっと確認をさせていただきます。
  14. 諸冨増夫

    政府委員(諸冨増夫君) 先生質問のように、きのうまでの段階で五つの演習場につきましては地元一定理解が全部得られたということで、私ども平成九年度中に一〇四号線越え射撃移転を整々と行いたい、このように考えているところでございます。
  15. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 なかなかニュースというのは広がらないものでありまして、私の記憶するところによると、演習期間は大体一カ月ですか、総演習期間が。それを五カ所で分けるということになるから、ほぼ一カ所一週間ぐらいになるんですかね。その辺について、広く国民に現状はこうなんだということを知ってもらうような努力もあわせてやっていただきたいなと思うのでありますけれども、いかがですか。
  16. 諸冨増夫

    政府委員(諸冨増夫君) 現在、沖縄で行われておりますいわゆる演習年間約三十五日でございます。一応一回当たり射撃の日数は十日間、もちろん前後の事前準備とか撤収等ございますから、そういうことを入れますと実際は二十数日ぐらいになりますが、演習時間は十日間、そして年間四回ということで、地元の各演習場の住民の方々を初め関係方々には十分そういう点を御説明いたしました。それで、何とか沖縄負担を軽減していただくという観点から御理解をいただきたいということで今まで御説明をいたしまして、そういう私ども説明をようやく理解していただいて昨日の経過がたどれたというふうに理解しておるところでございます。
  17. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 ところで、今財政構造改革が喫緊の課題だと。日本財政事情が大変厳しいという中で、この防衛関連予算例外ではないというふうな指摘を受けているわけであります。しかしながら、今回の防衛庁設置法の一部改正、即応予備自衛官の導入、そして新防衛大綱の中では二万人の陸上自衛隊削減、ですから防衛関係予算を精査してみると、既にリストラが始まっている、こういうふうな状況にあると思うのであります。  と同時に、防衛力の整備というのは一朝一夕にできるものではありません。長年積み重ねて一つ体制が整備できる、こういうことから考えても、防衛費の急激な抑制は大変難しいものがあるんではないのかと考えるところであります。  しかしながら、財政構造改革会議では、中期防の縮減または期間の延長、加えて当面の防衛費抑制検討、こういうことを打ち出しているわけでありますけれども、どのような姿勢でこの財政構造改革に臨まれるのか、長官所見をお伺い申し上げます。
  18. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 先般も財政構造改革会議が開かれまして、各省庁から大臣がそれぞれ呼ばれまして意見の開陳をされたわけでございます。  そのときに申し上げたわけでございますけれども、私ども、こういう財政状況が厳しい折から、聖域なき見直しという御趣旨にはもちろん賛成でございますし、従っていかなきゃならないわけでございますが、ただ単にほかの公共事業と同じように五カ年計画を六年、七年あるいは八年にということで期間を延ばすと言われましても、実は防衛大綱をつくるときにあるいはまたその後の中期防をまとめるときにも、財政が非常に厳しいという状況の中でそれをやってきた、そういうことでさらに三年目の末には見直しもするという規定まで入れてやってきた。ということは、裏を返しますと、それぐらい厳しさが増しておるということを認識した上でまずやったということであります。  それと同時に、ほかの計画公共事業計画と違いますのは、中期防の場合には人件費とか糧食費とかそういうのも全部入れての五カ年計画でございますから、先へ延ばすといっても延ばせないんだと。五年分の人件費を六年、七年で払おうなんということはできないわけでございますから、そういう五カ年計画を七カ年計画にするというような単純なことはできないということが一つございます。  それから、今発注しましても、これを三年、四年、五年と五年ぐらいにわたって経費を支出します、言うなれば債務負担行為でやっていく。初年度においては非常に少ない。そうしますと、八年、九年、そういう分につきましては契約でもう既に出ている分があります。あるいはまた、その前に出た分が八年度、九年度、十年度というふうにいわゆる後年度の負担で決まってしまっているものがございます。そうなってきますと、これから先、切り詰めようとしても、そういうのを除いてしまった分しかできない。人件費糧食費だけで全体の予算の四割を占めてしまっておる。そうなってくると、全く自由裁量になる部分は限られているんですよというようなことを御説明申し上げまして、いわゆる単純に五カ年を七カ年、八カ年に延ばせばいいとか、そういうものとちょっと性質が違うということを申し上げさせていただいたわけでございます。  これから先、そういうような議論等も踏まえ、また財政構造改革会議におかれましても安全保障観点からの配慮を十分に加えつつということをちゃんと言われております。そういうこととの兼ね合いをしながら、私ども企画委員会等でいろいろ御論議されるのを踏まえまして内部でも十分検討して、防衛費あり方についても財政が厳しいというのは十分に念頭に置きながら努力してまいるということを申し上げておるところでございます。
  19. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 今、長官がおっしゃったとおり、そんなに柔軟性がないんですよ、防衛庁予算はと。この四割がもう固定費人件費糧食費だと。そして、前年度の、今までの負担ツケ回しを払っている分も相当あるんですよ。歳出化経費としてそれは計上していますよというふうなこのあり方を、本当にもっと大臣みずからというんですか、もう少し国民にわかりやすく説明する方法はないかなと思うんですね。今までこの防衛関連予算というのは、どちらかというと国会審議の中でも何か余り見えにくい。私も先般、次官を務めさせていただいたけれども、なおかつ全容はまだ把握し切っていない状態であります。  しかしながら、それと同様に国民の間ではどこまでわかっているのかな。この四割ぐらいのツケ回しをちゃんとやっているんですよと。ですから、全く自由裁量というのはないんだよというふうなことを安易に理解してもらえるような方法が何かないものかなと思いますが、その辺での御所見を伺いたいと思うのであります。
  20. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 確かに皆さん方から見ますとわかりにくい点があろうかと思います。私自身、防衛庁長官になりましてすぐ暮れの予算編成でございました。総理からは、防衛費についても例外でないんだからとにかく削減といいますか見直しを頼むぞと言われまして、自分なりにできるだけ切り詰めてみようと思って各局の予算をもう一回改めて見てみました。  しかしながら、本当に動かせる分野というのはほとんどないわけでございます。今言いましたように人件費糧食費もそうでございます。使途が決まっておればそれに伴う人件費が決まります。あるいはまた、それに伴って糧食費も決まってきます。それと同時に、訓練経費につきましても、一定訓練をやらなければならないわけでございますから、その訓練に伴う経費も自動的に決まってまいります。あるいはまた、基地対策費にしましても、防音対策その他、これだってまだまだおくれている点がございまして、これもとにかく大体横ばいでやるのがもう精いっぱいでございます。そしてまた、駐留軍経費につきましても、人件費等その他、きちっと出すべきものは協定で決まっております。  そうなってまいりますと、暮れの予算編成のときにパーセンテージを落とせ落とせと言われて、こちらも落ときにゃいかぬと思って一生懸命やってみますけれども、なかなかそういう自由裁量の場所が本当にもうないわけでございます。  そこで、もうやむを得ず、本来ならば企業等へ去年あるいはおととし発注してしまって、平成九年度に支払いを約束しておる。ことしは払わなければならないというものを待ってください、金利だけはつけますから、来年以降にしてくださいということで、そういう数字を六百七億も繰り延べたわけでございます。  本来のあり方からいえば、約束していることを政府が待ってくれということで先へ送るわけでございますから大変なことでございますが、それは企業等にもこういう事情であるからということで御理解を得たわけでございますけれども、これとても後年度にまた負担が来るわけでございます。そういうことを考えますと、大変厳しい状況にあるということをぜひ先生方にも知っていただきたいし、また国会の場を通じて国民皆さん方にも知っていただきたい。  決してぜいたくな、ふんだんな予算を使っているんじゃないんだということをどういうふうにしたら知っていただけるのか、大変苦慮しておるところでございますので、また国会の御論議等も踏まえながら、どういう形でそういうようなPRといいますか御理解を賜ることができるか、そういう方法について研究させていただきたいと思う次第でございます。
  21. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 今、長官みずから御指摘されましたその延べ払いでありますが、その辺での深刻さというものは防衛庁関係者並びに企業関係者の方々は大変だということは承知をしているところかもしれませんけれども、その辺だって一般の方はほとんど知らないんですよ。  例えさせていただきますと、延べ払いをさせてもらうというのは要するに切っていた手形をジャンプすることですね。経済界で手形のジャンプというのは不信を抱くまず第一歩なんですよ。もしかすると、手形のジャンプなんてやると銀行融資がストップされるかもしれないという状況であります。国がそんな状況にあるということを果たしてどれだけの方が知っているのか。この深刻さはほとんど知らないと思うんですね。しかも、六百億余の金額であります。  その点でも、私はこの深刻な状態をもう少し国民レベルで承知してもらうような努力が足りないんじゃないのかなと思います。こんな状況ですよということをひとつ真剣に訴えてもらいたい、これは企業の方々にも私はお願いをさせていただこうと、こんな気持ちでいるんです。  それと同時に、先般、村山内閣のもとでつくられた予算が大変厳しい予算であったということから、演習も幾つかストップしたという経緯がありました。引き続きまだ演習のすべてが回復していないというような状況にあろうと思うのであります。しかしながら、隊員の士気の高揚、練度の維持はまさに演習があって初めてなし得る技だと、こう私は考えるのでありますけれども演習もストップせざるを得ないというその辺の状況を改めてひとつ御説明いただきたいと思います。
  22. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 説明になりますかどうかわかりませんけれども、今度の予算のいろんな話をするときに、やれ大きな弾が一発幾らするのかというような話から始まりまして、それをとにかく安くするために実弾を使わないで、大きな弾は一発で幾らするから、それを小さな飛ばない弾に変えてしのいだとか、いろんな苦労話も聞くにつけ、本当に厳しいなということを改めて私自身感じながら、こういうような形で、それは発射の準備その他ですけれども、練度を保っていくにはなかなか大変なんだなと。しかし、予算が厳しいからそういう中でやりくりをしているんだなということまで内部では議論もさせていただいておるわけでございます。  そういうような訓練経費についても、平成七年度ぐらいでどんと落ちましたものを少しずつ回復しながら、ようやく何とか練度がその当時の水準まで戻ってきたのかなと、そういうようなことを今言っているところでございますので、どうかひとつそういう実情等についても知っていただいて、またいろんな方面へ御鳳声賜れば大変ありがたいと思うわけでございます。
  23. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 もうちょっと言及させてもらいたいと思うのでありますけれども、私もびっくりしたんです。というのは、この普通科部隊、いわゆる歩兵の皆さんが一年間演習で何発の弾が配給されるのかなと私なりに調べさせていただいた経緯がございました。歩兵の所持するカービン銃ですか、これは一分間で何百発という弾が出る銃だと思うのであります。ところが、一分間に何百発も出る銃に対して、演習も含めて一年間何発ぐらいの弾が配給されるんだろうと、こういうことであります。  粟訓練局長もいらっしゃっているようでありますから、正確な答えをお願いいたします。
  24. 久間章生

    国務大臣久間章生君) もしそういう中身についてどうしてもということなら事務的に準備させますけれども、正直言いまして、そういう状況の中でも一生懸命訓練をしておるわけでございます。今ここで、やれ弾が何発だというようなことを申し上げるわけにもまいらないわけでございますが、非常に厳しい状況にあるということについては重ねて申し上げます。  弾のことは言いませんけれども、例えば高速道路を使うと非常に料金がかかるから下の国道を走っていくとか、行くのには国道よりも高速道路を走った方が目につかないからとか、そういうようなことすらいろいろ各部隊では、どちらが安くつくか高くつくかそれを一々考えるぐらい非常に厳しい状況にあるわけでございますので、委員が今言われたことについてもそう大きい違いはないと思いますけれども、ここで具体的にそういう弾の数まで申し上げさせていただくのはいささかちょっと、また士気にも影響いたしますので御勘弁願いたいと思います。
  25. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 わかりました。あえて言及はいたしません。  しかしながら、決して胸を張って言えた数字じゃないということは事実なのであります。ですから、その点も問題視して、まさにこういう現状にあるんだということをあえて長官初め防衛庁の皆さんは広く訴えていただきたい。そうじゃないと、財政構造改革会議では聖域がないということですが、今まで聖域どころか一歩も二歩も退いて予算化してきたんですよ。それを前提として、前提をよしとしてそこからまた引っ込むんだというふうな話になったんじゃとんでもない話だと私は考えるんです。  今の財政下で踏ん張るのは大変だと思うんですよ。しかしながら、要するに現状がよかったんだという前提の中で、じゃそれから何%引くんだというふうな話はナンセンスだと、このことだけはひとつ長官初め皆さんが認識して対応してもらいたい。あえてその辺を強調したいがために弾何発、こういうふうな話を出させていただいたのであります。  士気に影響があるということでありますから、あえて言及はいたしません。しかしながら、大変恥ずかしい数字だということは事実でありますから、それを前提に、来年度予算にもそろそろかかっていくわけでありますから、ひとつ全力を挙げて確保していただきたいと思います。  そのことをお願いすると同時に、先ほどSACO関連の事業を今後展開していかなければいけない、それが沖縄県民に対する我々の努力だと、こういうふうなことを言明されたわけでありますけれども、このSACO予算は果たしてどういうふうな予算措置をされるのか、これは考え方は非常に重大だと思うのであります。  今般、平成九年度の予算では補正予算も含めて百三十億ぐらいだったんですかね。二分割して、従来の予算の中に沖縄関連ということで一部計上されたわけでありますけれども、今後ますますSACO関連の予算は増大していくと思うんです。今わかっている中で全体予算としてどのぐらいなのか、ちょっとお聞きをさせていただきたいと思います。
  26. 諸冨増夫

    政府委員(諸冨増夫君) SACO全体の関連経費の総額の御質問でございますが、現段階ではまだ具体的な計画が固まっておらないものもございます。また、例えば普天間飛行場の移設にかかわる経費等につきましては、ようやく地元名護市及び沖縄県あるいは漁連等の御協力を得まして基本調査に入ることが了解されております。したがいまして、こういう基本調査をこれから実施いたしまして、具体的にどういう海域でどういう工法でやったらいいのか、こういうことをこれから十二月までかけて検討していくわけでございます。  その上で、例えば名護市沖につくります海上施設については大体どのぐらいというのが出てまいります。それ以外にもSACO関連事業としては十事案ほどございますが、こういうものにつきましても米側との調整、あるいは県内移設でございますので地元とのそういう調整を踏まえながらこれから計画をつくらせていただくということで、申しわけございませんが、現段階で全体計画あるいはそれに伴う経費がどのぐらいかということをまだ申し上げられる段階ではないということで御理解をいただきたいと思います。
  27. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 その辺も、沖縄県民の痛みというものを考えたときには、大枠こんなことで我々は考えているんだよ、事業はこれとこれとこれだと、総予算についてはこんな予算になりますよというふうな一つの骨格づくり、青写真づくりが急務だと思います。それでもって、我々としても前向きにこの問題について取り組んでいるんだという姿勢がより具体化するという点で、ぜひその点での早急な検討並びに結論をひとつ出していただきたいと強く要望しておきます。  改めて、長官、これまたSACOの問題についても本当に膨大な予算が必要なんですね。ですから、そんな中で一緒にされてまた削減だなんという話になるともうとんでもない話になってしまいます。  くどいようでありますけれども、今後の予算措置についてもう一度長官の決意のほどを確認させていただきたいと思います。
  28. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 昨年も概算要求段階のときに与党の三党で、SACO経費については言うなれば別途措置するということが言われました。そして、十二月の予算編成のときにもいろいろ議論はございましたけれども、もう時間的にかなり迫っておりましたし、防衛庁予算要求の形で防衛庁の方から予算要求してその予算としてついたわけでございます。SACOは一方では確実に実施していかなければならないということもございまして、いわゆる事項立てということで、今までのいわゆる防衛関係費とは別枠で計上させていただいたわけでございます。  これから先、夏に向かって概算要求をまたやっていくわけでございますけれども、その過程におきましても、あるいはまた今度の財政構造改革会議においても、SACO関連事業についてはその確実な実施を図るということを前提にして議論がされておりますだけに、この問題についてはまた別途きちっとした形で処理されるべきものじゃないかと私どもの方では見ております。  これから先の議論の中でまたそういうのがどういうふうに議論されていきますか、私どもも注意深くやりながら、でき得れば今までと同じように、これについては別途、中期防の中にも入っていないわけでございますから、そういう形で処理をしていくべきものじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  29. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 御健闘を御期待申し上げます。  特措法で一つの大きな防衛関連の懸案が解決できたかなということでありますけれども、私は次に関連事案でガイドラインに対する検討ということが出てこようと思うのであります。今後、日米間の協力の円滑化、促進を図る上で極めて重要な案件だと考えるわけでありますけれども、このガイドライン見直しに取り組むに当たって防衛庁長官の考え方、そして表現させていただければ基本的哲学なんかもひとつ聞かせていただこうと思っています。
  30. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 基本的哲学というわけではございませんけれども、御承知のとおり現在のガイドラインは二十年ほど前につくられたわけでございます。しかも、東西の対立が非常に激しかった冷戦構造下におけるガイドラインでございます。しかしながら、その後冷戦が終わりまして、我が国を取り巻く状況等も変わってまいりました。米ソ対立という二大陣営の中にありました当時とは違ってまいったわけでございます。その反面、アジア太平洋地域においては非常にまだ不確実、不透明な問題がございまして、必ずしも安定的な環境が構築されたとは言えないような状況でございます。  そういう意味で、日米安保条約、それに基づく日米関係をもう一回見直してみたときに、日米安保条約というのはやはり必要じゃないか。むしろ、日米安保条約を通ずる日米関係が非常に緊密に作用してきた、そしてこれから先もそれが作用することが日米にとってもプラスであると同時にアジア太平洋地域でも非常にプラスである、そういうようなことが再認識されまして、いわゆるクリントン大統領と橋本総理との四月の会談になったわけでございます。  そうなってくると、二十年前につくられたガイドラインをもう一回きちっとここで見詰め直してみて、現在時点でもっとちゃんと機能して、日米の信頼関係がもっと醸成されていったらなおいいじゃないかということでこれを見直そうということになりまして、そして今年の秋までにこれを見直そうということで今作業が進められておるわけでございます。  しかしながら、そうはいいながらも、このガイドラインというのが日米の安保条約を変えるものでもないし、また近隣諸国と敵対するものでもありません。むしろ、現在の平和が続いておる、アジア太平洋地域で平和が保たれておる、このことによって日米間だけではなくてアジア太平洋地域のほかの国々までが平和の中で経済発展を遂げておる、こういうことにプラスするんだということをきちっと見据えながらやっていく必要があります。  そのためには、日米安保条約だけではなくて日本国憲法の枠内でやるんだということ、それで日米安保条約を拡大するものでもないんだということを近隣諸国にもちゃんと知ってもらった中でやっていくべきじゃないか。そして、それは近隣諸国に知ってもらうだけじゃなくて、もちろんその前提として我が国内の国民皆さん方にも知ってもらう、国会でも議論してもらう、そういう中でオープンにしながら、こういう形で日米がきちっと協力していくんですよということを示していこうということで、そのためにはできるだけ早く中間取りまとめみたいなことをやって、国会の議論もまたお聞きしてさらに詰めていけばいいと思います。五月の中旬過ぎには一つの示せるような中間取りまとめができたらいいと思いまして、今一生懸命そういうような作業をやらせていただいておるところでございます。  基本的哲学と言われましたけれども、哲学になったかどうかわかりませんが、私どもとしましては、今言いましたように、こういう平和を維持していく今まで以上のそういうものではないし、ただ日米関係の信頼の中に立ってこういう平和が保たれてきた、そしてそれがアジア太平洋地域にとってもプラスだった、そういうような認識のもとでぜひさらにいいものにしていきたいというふうな気持ちでやっておるということについて御理解していただければありがたいと思っているわけでございます。
  31. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 ところで、ガイドラインは三項まであるんですかね。日本が直接侵略を受けたときの日米の協力体制、これについてはもう十分検討済みであるし、今後もそれに準じて検討されて一つのしかるべき答えが出てくるのかな、こう思うわけでありますけれども、ただいま長官指摘のアジア全般における安全が確保できることによってアジアの経済的発展も期すことができるんだ、まさにそのとおりだと思うのであります。  しからば、ガイドライン三項に属する問題、加えて未然に衝突を防ぐべくお互いにどこまで協力できるかというのはガイドラインの二項だったですか一項ですか、どちらでしたか。要するに、アジアの平和を維持するためにお互いどこまで協力できるかというのはガイドラインの一項でしたか、一項ですね。ですから、一項と三項に関連してくるのかなと思うのでありますけれども、特にガイドライン三項についてはいろんな問題があるということであえて私も表現させてもらうけれども、なかなか検討が進まなかった現実があったと思うんですね。しかし、このことについては避けて通れない話になってきたわけであります。  ケーススタディーじゃないけれども、そういった事例ごとに検討を進めていくと非常にグレーな部分が多くなってくる。つまり、集団自衛権を含めてどう対処していくんだという話にもなっていくと思うんですね。ですから、これは本当に深刻な話になってくると思うんです。  ですから、その辺について今まで検討できなかった。しかし、今の長官の話からしても、今後我々として何ができるんだということも検討しなければいけない。五月に中間報告、秋口までに結論ということになると、その辺の対応方をどう考えていくのか、お聞きしたいと思います。
  32. 秋山昌廣

    政府委員(秋山昌廣君) ただいま大臣からも御説明がありましたように、現行のガイドラインが既に二十年たっているといったようなことも踏まえまして見直しをやっているわけでございますけれども、御質問にもございましたように三つの項目がございます。  最初の項目は平素から行う協力ということで、これはいわば紛争が起こらないようにあるいは対立が起こらないように、いろいろな防衛協力にとどまりませず、防衛交流、安保対話、PKO活動、いろんな形での平素からの協力というものを日米間でも今議論しているわけでございまして、この点も我々非常に重要だと考えているわけでございます。  第二項は我が国に対する武力侵攻についての対処行動等ということでございますが、これは現行ガイドラインでもかなりきちんと書かれたものになっております。我が国にとって、あるいは防衛庁自衛隊にとりましても、我が国を守るということがもちろん基本でございますので、ガイドラインにおきましてもこの第二項という部分は中核であるという認識を持って今さらに議論を深めているところでございます。  お尋ねの第三項につきましては、我が国周辺地域において起こり得る重要な事態我が国の平和と安定に影響をもたらす、そういう場合の日米間の協力ということでございます。これは確かに現行のガイドラインにあるわけでございますけれども、実はそれを踏まえたいろいろな研究というものが十分でなかったというのは御指摘のとおりでございます。アジア太平洋地域の安定、そしてそれが日本の平和と安定に影響を持っているという視点から、現在新しい問題も含めていろいろ議論をしているというのは御指摘のとおりでございます。  ただ、大臣から答弁がございましたように、この日米の政府間での作業は、日本国憲法の枠内あるいは現行の日米安保条約の権利義務を変更するものではないと、そういう前提でやっております。そして、具体的なケースを考えてやってみるといろいろ問題が出てくるだろうという御指摘につきましても、特定の事態を想定して我々やっているわけではございませんが、いろいろ議論の過程でクリアしなければならない問題は確かにございます。しかしながら、我々は憲法の範囲内ということでこの作業をなし遂げたいというふうに考えているところでございます。
  33. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 余りにもさわやかな答弁なものだから、どうも私はうんと聞き得ないようなところがあるんだけれども、避けて通れないものはぜひ問題提起していただきたい。  私はこの防衛論議というものをさかのぼって見てまいりますと、本当にここ二、三年の変貌ぶりというのは物すごいものがあるなと思います。今回の国会でも防衛庁関連の二つの法案が提出され、提出したその国会で二つとも成立をする。昨年度の常会もそういうような状態だったと思います。一昨年ですか、修正を加えた法案で海外邦人の救出に自衛隊機を使おう、あれが相当な期間を経過して成立したという話がついこの間の話だったと思う。ですから、まともにまじめに審議できる国会の場ができた、私はそういうふうにこの変貌ぶりを評価したいんです。  今までややもすると出したらどうなんだろうなというふうな懸念材料も思い切りこの審議の材料として出していただきたい。そして、一般質疑をどんどんやりながら、防衛はどうあるべしということを国民に関心を持っていただく、そういう場がそろそろできかけているんじゃないかな、私はこう考えております。  ですから、もう少し泥臭くと言ったら表現はおかしいかもしれないけれども防衛局長の話なんかももう少しおもしろおかしくやってくれないとなかなか国民理解してくれないんですよ。その辺、これから本当にこの国会の場、特にこの内閣委員会で、私は委員長にもお願いしたいのでありますけれども、ぜひ防衛関連の一般質疑をやっていただきたいな、そういう中に非常に国民の関心を呼ぶことがあるんではないかなというふうに私は考えますので、ガイドラインを含めてひとついろんな材料を提供していただきたい。なおかつ、そういう機会をぜひ委員長におつくりいただきたいなとお願いを申し上げたいと思います。  関連ばかりやって本題になかなか入れないものですから、残された時間、今回の即応予備自衛官についてお伺いをいたします。  繰り返すようでありますけれども、スリム化、コンパクト化の一環でこの即応予備自衛官の制度を導入するんだ、このことは間違いない事実だと思うのであります。今まで予備自衛官という制度があったわけでありますけれども、それとどういうふうに整合性を図っていくのか、加えて災害にも対応しますよ、緊急な場合いつでも招集しますよという中で、年間三十日ぐらいの演習で果たしてそれだけの対応力があるのかなと、もろもろのことを考えて心配をするわけでありますけれども、その辺のお考えをひとつ整理して答弁いただきたいと思います。
  34. 秋山昌廣

    政府委員(秋山昌廣君) 予備自衛官と即応予備自衛官のことについての御質問であったかと思いますけれども、いずれも非常勤の自衛隊員として招集を受けて出頭することにより自衛官となって勤務するという点では変わりがございません。  しかし、陸上自衛隊の現行の予備自衛官は、従来から陸上防衛力の基本的な枠組みとは別個の人的勢力といたしまして、防衛招集が行われた場合において陸上自衛隊体制を補完するため確保されているというものであるのに対しまして、今般導入しようとしております即応予備自衛官は、防衛大綱において示された陸上自衛隊体制において、編成定数により示された陸上防衛力の基本的な枠組みの一部と位置づけている点、この点が基本的に大きな違いでございます。  具体的に申し上げますと、現在の予備自衛官が常備自衛官の部隊防衛出動に当たりこれを適切に補完するため後方地域等の警備、後方支援等の任務に当たるのに対しまして、即応予備自衛官は招集を受けて自衛官となった場合においてあらかじめ指定された陸上自衛隊部隊において勤務する、そして当該部隊は常備自衛官により編成される部隊とともに師団等の作戦地域において行動するという点が第一点でございます。  第二点目は、今御質問にもございましたが、予備自衛官はあくまで防衛出動時における常備自衛官の補完のためのものでありまして、それ以外には招集されることはないわけでございますけれども即応予備自衛官につきましては、先ほど申し上げました基本的な考え方からいたしまして、陸上自衛隊が主として行動することが想定されるものとして、防衛出動のほかに治安出動あるいは災害派遣、地震防災派遣といったいわゆる平時に際しても招集されて任務につくという点が第二点でございます。  第三点目は、今御指摘がございましたけれども、運用構想の中で現行の予備自衛官の訓練が一年を通じて二十日を超えないものと、実際には非常に少ないわけでございますけれども、今回の即応予備自衛官につきましては一年を通じて三十日を超えない範囲内で総理府令で定める、しかも総理府令では三十日ということにしようという考え方でございます。そういう点が違っているわけでございます。
  35. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 率直にお伺いします。  一万五千人の即応予備自衛官が整備された段階で、現職隊員との経費の差は幾らありますか。人件費糧食費経費の差は一々どのぐらいになりますか。
  36. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 経費の差といいましても、階級なり人的構成がいろいろ違いますので、一概にどの人たちがどういうふうにやめて、そのかわりを即応予備自衛官でどういう形で補充するか、やめる人の階級階層、それと新しく募集した埋める人との組み合わせが違ってきますだけに、もし平成九年度で一万五千人を全部対応させたからといって幾らという数字は出てこないと思うんです。  ただ、粗っぽい数字で一人頭に換算したら、常備自衛官と即応予備自衛官だったら企業にやる金もひっくるめてプラス・マイナスで幾らになるか、そういう計算ならば事務方としてできると思いますけれども、トータルとして一万五千人がどうなるかというのは、今年度のものについてなら言えるかもしれませんけれども、全体の構成がまだ決まっていませんので、トータルとしては出てこないんじゃないかと思います。
  37. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 コンパクト化のためにやるんだよというのが一つ目的です。ですから、詳細の数字じゃなくて、あらあらこんな経費削減できますよというふうな一つの目標はないのかな。
  38. 秋山昌廣

    政府委員(秋山昌廣君) 現行の自衛官を即応予備自衛官にかえることによりまして、一人当たりの経費を比較いたしますと、大体三分の一から三分の一を上回る程度になるような節減になるというふうに計算しております。
  39. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 ですから、それがおおむねどのぐらいか。だから、掛ける一万五千で大体このぐらいの経費削減できるとちょっと言ってくださいよ。すぐ計算できるでしょう。
  40. 秋山昌廣

    政府委員(秋山昌廣君) 実は今、大臣からも答弁がありましたけれども、結局、自衛官の階級、年齢によりまして全部人件費が違うわけでございます。したがいまして、全体としてどういう計算になるのかということはいろんな仮定を置きませんと計算できませんが、現状において一人当たりの経費がかなり下がるというふうに我々は見積もっているところでございます。
  41. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 そういう説明国民的関心を呼ばないんですよ。だからだめなんですよ。  要するに、今回こういう制度を導入して、このぐらいの経費削減するべく努力しているんですよというふうな話をしないとやっぱり国民的関心はわいてこないんです、長官。ここまで努力しているんだ、理解してくれ、こうやらないと、三分の一ぐらいの経費削減できる予定でありますなんというような話では関心はわいてこないと思うんですよ。どうですか。
  42. 秋山昌廣

    政府委員(秋山昌廣君) 全く現在の階級構成を前提にいたしまして、それから充足率も一〇〇%ということを前提にして単純計算いたしますと、自衛官を即応予備自衛官に一万五千人切りかえることによって約二百億円の節減になるという計算がございます。
  43. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 ですから、そういうことでこれだけ努力しているんだというのであれば、ああ防衛庁やっているんだなと、こうなるんですから、その辺をひとつやってくださいよ。お願いします。  それから、最後になりますけれども、空には補給本部があります。今回、陸の方の補給本部を新編することによって陸と空が整備されたということになるわけでありますけれども、海の方がまだ整備されていない。この点での今後の展開を御説明願いたいと思います。
  44. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 海の方は御承知のとおり各部隊になっておりますから、陸あるいは空と比べますとちょっと整理がしにくい点もあるわけでございます。したがいまして、確かにおっしゃるとおり、海の方はちょっと違うじゃないかと言われますが、これについては内部でこれから先検討していこうと思いますけれども、性格をやや異にしておるという点がございまして、すぐこれを海についても同じようにやれるかどうか、これは内部で検討を要するものじゃないかというふうに思っております。
  45. 矢野哲朗

    矢野哲朗君 以上で終わります。
  46. 永野茂門

    ○永野茂門君 最初に、ペルー人質事件の一応の解決について、外務省並びに防衛庁の御所見を承ります。  御所見を承るわけでありますが、その中で特に私がその所見の中に入れていただきたいことは、平和的手段の解決を追求しながら最終的に強硬手段をとったということについてどういうように評価なさっておるかということが一つ、それから本件について、特に外務省は直接の当事者であった関係で、大きい点だけで結構ですから、どういうような反省をお持ちになったか、それから今後の展開についてどういうように考えているかという三つのことについて御所見を承りたいと思います。
  47. 川島裕

    政府委員(川島裕君) お答え申し上げます。  まず、本件は解決したわけでございますが、その間、人質のうちにペルーの最高裁管理局長の方一名、それから救出に当たられました部隊の軍人二名のとうとい命が犠牲になったことは大変残念でございまして、心から弔意を表したいと思っております。  他方、その他の人質七十一名、日本人質二十四名を含めまして、けがは若干されておる方がおられますけれども、無事救出され、全体として救出作戦が成功した、事件テロに屈することのない形で解決したことは喜ぶべきことであると思っております。そして、いわば絶妙な機会をとらえてこのような見事な救出作戦を実施したフジモリ大統領に心から感謝を表するということでございます。  それから、この間、大変多くの国にいろんな形での支援をいただきましたので、こういういろんな国に対しての謝意を表明するとともに、この解決のために示された国際社会の連帯と支持に謝意を表したいと思っております。  そこで、平和的解決の話でございます。  御承知のとおり、政府といたしましては、当初よりテロリズムには屈しない、他方、平和的解決をあくまで求める、この二つに沿ってやってきたわけでございます。テロに屈するということで、例えば釈放をするとかということであったらば本件はとつくの昔に終わったと思いますけれども、そういうことではなくて、テロに屈せず、しかし平和的解決を目指すということは、これは結局のところ時間をかけてテロリスト側が主張を引っ込めるのを待つというプロセスであろうと思うわけでございます。そこが生じないといずれはこういう今回のような作戦というものがなされるということもあるのかなというのが率直な感じでございます。その意味で、先ほども申しましたけれどもフジモリ大統領の綿密な作戦というものに本当に敬意を表する次第でございます。  反省についてお尋ねでございます。  これはまさに事件当初より私どもとしても意識をしておりました。それで、基本的には在外公館の警備というものは接受国側の責任であるということ、ウィーン条約にも出ておりますけれども、事実ペルー政府側の内務大臣も本件大使公邸占拠事件の責任をとって辞任された経緯がございます。  しかし、我が方としても、いろいろ徹底的に検証して反省すべき点をこれから洗いたいと思っております。何分これまでのところ、まさに責任者は青木大使以下警備の直接の担当者がみんな中に入っておりましたものですから、これからその辺のプロセスを始めたいと思い、実は昨日、外務省内にこの事件の検証のための委員会を設置いたしました。できるだけ速やかにいろいろな点を洗って、今後の教訓に生かしたい、このような事件が二度と生じないようにいたしたいと思っております。  その中で、治安情勢の把握というものについて何ができたのか等の話、それから警備の問題、一義的には接受国の責任であるとしても、我が方としてなすべきことをしたのかしていないのかという点等についてきちんと検証したいと考えております。
  48. 永野茂門

    ○永野茂門君 反省点は十分検討していただいて、今後同じ過ちを繰り返さないようにぜひお願いしたいと思います。  防衛庁長官には、もしできましたならば、平和的手段によらずにこういう強硬手段によってもいいというようなことについて閣議で討論されたことがあるかないか。これはお答えできない場合にはできないとおっしゃっていただいて結構でございます。  私、予算の総括質疑のときに、これ以上の質問は情勢微妙な折からやりませんと申し上げたのは実はその点でありまして、最後のところは武力によらざるを得ないということになる可能性があるが総理はそういうことを御決意なさっていますかという質問を本当はしたがったところですが、やめたわけです。そういうようなことが閣議の中で、もちろんいろいろとお話は出たと思いますが、取り上げる選択肢としてちゃんと入れるというようなことは論議されたのでしょうか。その点だけでも結構でございますから、所見とともに承りたいと思います。
  49. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 今回の事件があのような形で終了したというのは、確かに亡くなられた方もいらっしゃいましたけれども、全体として見た場合には、大多数の方々が無事に救出されてこの事件が終わったということは大変よかったんじゃないかという率直な感じを持っております。  なお、今おっしゃいました件につきましては、内部で議論はございません。  橋本総理がペルーの大統領と会って帰られた後、そのときの報告がございました。私ははっきりは覚えておりませんけれども、いろいろとお話をされた。最終的にはペルーの大統領がやはり一義的には最後の責任を持って対処されるんだというようなことを総理が言われまして、だれしもが黙って聞いておったのが記憶にあるような気がいたします。正確な言い方はどうだったかわかりませんけれども、自分はとにかく信頼をしてペルーの大統領に任せておるというような話をされたやに記憶しております。
  50. 永野茂門

    ○永野茂門君 次は、北朝鮮の問題について承りたいと思います。  御承知のように、最近の新聞報道で、韓国に亡命いたしました北朝鮮の黄書記の論文が各紙に一斉に報道されました。その中には、北朝鮮が戦争を起こすことはあるまいなんという生ぬるい考えというのは危険であるとか、十分対応準備すべきであるというような警告を発し、またさらに北は核兵器、化学兵器あるいはロケット兵器、そういうものを使って南を火の海に化すことができる、アメリカが介入すれば日本までも焦土に化すことができるというような、ある意味では威嚇ともとれるような内容を含めた論文を、これは若干古い論文であったようですが、発表されております。  もちろん、こういう論文について一々それに正直に対応する必要はないわけではありますが、いろいろと私どもが考えていた、観察していた、あるいは情報を入れていた内容と重なる点もありまして、示唆に富む点もあると思います。これをどのように評価されるか、外務省並びに防衛庁長官の御所見を承りたいと思います。
  51. 大島賢三

    説明員(大島賢三君) 黄長燁北朝鮮労働党元書記の亡命事件につきましては、二月十二日に発生をいたしまして、去る四月二十日にソウル到着をもって一応の決着を見た、どういうことでございます。本件については、関係諸国が国際的な慣例に従って対処してきた結果がこういう形になったというふうに理解しております。  そういうことで、本人の身柄が希望どおり韓国に移されたという意味においては一応の決着であるわけでございますが、黄元書記の地位並びに彼が知り得ているであろういろいろな情報等からしまして、そのより広い意味合い、影響ということからいたしますと、まだまだこの事件というのは終わっていないというふうに見る方があるいは適当かもしれないというふうに考えております。  そういう意味で、いろいろ今後の情報入手、さらに黄書記をめぐります展開についても細心の注意を払ってフォローしていきたいと思っております。  いわゆる雑誌、新聞等に報じられております黄書記の論文についてでございます。  黄書記が対外的に発表したもので明確に本人のものであるということがわかっておりますのは北京におきます亡命申請書、それからソウルに到着した際の到着声明、この辺はもちろん本人のものということであるわけですが、いわゆる論文、マスコミ等に載っております論文については、もちろん我々も詳細にフォローはいたしておりますが、その真偽も含めまして事実関係については必ずしも十分明確でない部分もあるということだと思います。  そういう留保を付した上で申し上げますと、そうした外に出たものを見ますと幾つかの部分があるわけでございます。北朝鮮の内部情勢に関する記述、それから本人の亡命に至る動機あるいはその意図に関する記述、それから韓国の政府あるいは韓国の国民あるいはさらに広く国際社会に対しまして向けられた訴え、忠告あるいは警告といったような性格のもの、いろいろなものが内容的に含まれていると思います。  今、永野先生の方から、非常に示唆に富む部分もあるのではないか、ほかのソースからいろいろ知り得ている情報と重複する部分もあるのではないかという御指摘がございました。私どももそういうふうに考えておりますけれども、この点につきましては、今後さらに本件をめぐります情勢の展開もあり得るということを頭に置きながら注意深くフォローしていきたい、こういうふうに考えております。
  52. 山崎隆一郎

    政府委員山崎隆一郎君) ただいま外務省からも詳細な答弁がございましたが、一、二補足させていただきます。  防衛庁といたしましても、もちろん黄元書記の論文についての報道は承知しておりますが、その真偽を含めまして事実関係については確認できなく、コメントは差し控えたいわけでございます。  いずれにしましても、先生も御案内のとおり、北朝鮮は極めて閉鎖的な体制をとっておりまして、その実態は必ずしも明らかでございません。深刻な食糧不足等の経済困難に直面しているということはおおむね推定されるわけですが、他方、依然として軍事面でGNPの約二〇から二五%と言われていますが、その国力を重点的に軍事面に向けておると。しかも、ミサイルの長射程化の研究開発等の軍事力の近代化も図っていると見られております。さらに、約百万人の地上軍の約三分の二を非武装地帯に前方展開するなど即応態勢の維持強化に努めているということでございますので、やはりその動向については今後とも引き続き細心の注意を払ってまいりたい、そう考えております。
  53. 永野茂門

    ○永野茂門君 私自身、北朝鮮の動きについては、金日成以来、あるいは金正日に移りつつある時期の行動を見ていても、かなり乱暴な決定をする国である、こういうように見ておるわけであります。また、最近の米問題等を含めまして、あるいはKEDO等の交渉を含めまして、交渉のやり方についても非常に難しい相手である、こう見ておるわけであります。  両者に今お伺いしたがったのは、実はこれを通して、これを材料にして北朝鮮をどういうように評価していくかということを承りたかったわけでありますが、大体概括的にはお話があったと、こう判断をいたしまして、次の質問に移ります。  いずれにしろ北朝鮮は非常に難しい国でありますので、これに対してどういうように日本対応していくのか。平和、安定的な状態を維持していくということは極めて大事でありますが、同時にそればかりに頼ることなく毅然たる態度でいろいろと折衝していかなきゃいけない。しかも、日本は直接の国交を持たない中においてそういうことをちゃんとやっていかなきゃいけないわけでありますが、対北朝鮮外交の基本的な考え方について我が国はどういうように考えてやろうとしているのかということを外務省にお伺いしたいと思います。
  54. 大島賢三

    説明員(大島賢三君) 我が国にとりましては、もちろん朝鮮半島におきます平和と安定が保たれるということが最も重要であるわけでございます。北朝鮮の政権、体制につきましては、今御指摘ございましたように閉鎖的でもあり、我が国とはまだ国交もございませんし、なかなか難しい国であるという側面はぬぐえないわけでございます。  この平和と安定を保っていくために、やはり我々としては北朝鮮が一層国際社会に向けて開放の方向に向かっていくこと、それから最も重要だと思いますけれども、やはり三十八度線を挟んで対峙しておるわけでございますので、この南北の関係がそういう状態から改善に向けていくこと、南北の対話が進められていくこと、それから北朝鮮自身がさらにより広く国際社会との対話の促進に向けて動いていく、こういった基本目標が重要であろうと思っております。  これをどういうふうに実現していくかということでございますけれども我が国の外交努力といたしましては、基本的にはまず現在のところは平和と安定を話し合うための四者会合の提案をめぐりましていろいろな交渉、駆け引きが行われておる状況でございます。この四者提案我が国としても支持しておりますので、まずこれを慎重に見守る。それから、KEDOにつきましても、アメリカ、韓国とともに日本も理事国でございますので、積極的にこれに取り組んでいるところでございます。それから、北朝鮮情勢を含みます朝鮮半川島の情勢全般につきましては、日米韓の三国間で外務大臣レベルあるいは事務レベルを通じまして随時密接に情報交換、意見交換、協議を行いつつ対応しているという状況でございます。  加えまして、ごく最近、韓国の外務部長官が訪日されましたが、その際に外務省間でも日韓間の安保対話というものをさらに強めていくということで原則合意がなされておりますので、こういうことも実施していくことにしております。  さらに、そういった二国間あるいは関係国同士の努力にとどまらず、地域レベルの話としましては、ASEAN地域フォーラムといったような場で信頼醸成、安全保障環境の安定とか改善のための話し合いも現に行われ、着実に進展を見せておるわけでございますので、我が国もこうした地域的なレベルでの外交努力を一層強化していきたいと思っております。
  55. 永野茂門

    ○永野茂門君 また黄書記の論文の引用をいたしますが、彼は米国も日本も北の内幕を全然知らないと断定しています。もちろんこれを全くそのまま受け取るわけにはいかないわけでありまして、我々が日々防衛を全うし、そしてまた外交をやっている以上、必要な情報は掌握しながらやっていくということでありますけれども、彼から見るとそういうように見えるということであろうと思います。  いずれにしろ、我が国は毅然たる態度で、さらに深く北朝鮮の中をよく掌握して対応していくことが必要であると思います。  その中で、軍事的な脅威につきましては、突如として起こる可能性があるということを忘れてはいけないのであります。突如として起こるものは、前回の質問のときにも申し上げましたけれども一つはミサイルの攻撃であります。ミサイル攻撃というのは決心したらボタンを押せばいいのであって、平時において、御承知のとおりに目標も決まっておりますし、それだけの兵器を展開しているわけであるし、その改善も行っているということであります。  とにかく何かあったら陸上戦力を動かすとか海上戦力を動かすとか一般の航空戦力を動かすとか、そういうことはいろいろと事前の兆候が非常にはっきりするし、それから準備に時間がかかる。陸海空によってそれぞれの特色はありますけれども、とにかく時間の余裕がある程度あるわけです。ところが、このミサイルというやつは、まさにやろうと思ったときにボタンを押せばそれでできる。したがって、それに対する対応というのは、そういう事前の兆候をどういうようにとるかということ、それから対応する兵器体系をどうするかということをちゃんとやっていないと、火の海になることはないにしても、焦土になることはないにしても、攻撃を受けて全く手の打ちようがないというような可能性があるわけであります。  そういう意味において、第一に、攻撃意図を早期に把握するためには、何といってもいろんな国との間の情報交換といいますか情報の流れを確保するということ、特にアメリカの情報は非常に大事でありまして、もうもちろん措置されておるとおりでありますけれども、やはり最終的には我が国がそういうようなロングレンジの情報をみずから取得する手段を持っておく必要があると思うわけであります。  その意味で、本当は何種類かの偵察衛星を保有しておくべきであると思いますけれども、少なくも一種類でもいいから偵察衛星をみずから保有するということが極めて緊急の重要性を持つものではないか、こう私は思い続けておるわけであります。これについて防衛庁はどういうような見解をお持ちであるか伺います。
  56. 秋山昌廣

    政府委員(秋山昌廣君) 御指摘のありました点につきまして、我々も大変重要な問題であるという認識をしております。  いろいろな情報収集手段があるわけでございますけれども、ただいま委員からお話のありました点は、例えば偵察衛星からの情報収集体制、そういう体制日本独自でも整備したらどうか、こういう点が一点、さらに現在どうしているのか、こういうことであろうかと思います。  我が国が独自の偵察衛星を保有するという点につきましては、現在のところその構想ないし計画はございませんが、我々としても各国の利用動向等について十分注意深く見守っていきたいと思いますし、有力な情報収集手段の一つである偵察衛星につきましては従来から関心を有しているところでございます。同時に、現在、商業用ではございますけれども、かなり高いレベルの分解能衛星といったようなものの利用が可能になるといったような状況が出てきております。  防衛庁といたしましても、そういった情報収集システムをいろいろ多様化するという観点から、また非常に重要な情報収集システムでございますので、本件についても強い関心を持っておりまして、九年度の予算におきまして、そういった商業用ではございますけれども、かなり高い分解能衛星画像システムの処理、解析、そういったことが可能となるような支援システムの整備を行いたいということで、そういう方面でも力を入れているところでございます。
  57. 永野茂門

    ○永野茂門君 時間がなくなってきておりますので、ミサイルディフェンスについては省略いたします。  次に、日米安保というものをもって我が国防衛体制の中核に置いておるわけでありますが、こういう体制をとっていることがどういうように影響しているかということについて若干お伺いしたいと思います。  まず、我が国防衛のために必要な軍事力はいろんなものがあるわけでありますが、その中でアメリカに依存しているものは何と何でしょうか、それをお願いいたします。
  58. 秋山昌廣

    政府委員(秋山昌廣君) 二年前に新しく改定されました防衛大綱におきまして、我が国防衛に関し次のように述べております。  ちょっと順序を逆にいたしますけれども、「核兵器の脅威に対しては、核兵器のない世界を目指した現実的かつ着実な核軍縮の国際的努力の中で積極的な役割を果たしつつ、米国の核抑止力に依存するものとする。」。その前段に、我が国が「適切な規模の防衛力を保有するとともに、これを最も効果的に運用し得る態勢を築き、我が国防衛意思を明示することにより、日米安全保障体制と相まって、我が国に対する侵略の未然防止に努めることとする。」とございます。  これは、もう少しかみ砕いて申し上げますと、今後とも米国との同盟関係を継続し、その抑止力を我が国安全保障のために有効に機能させることで、我が国みずからの適切な防衛力の保持とあわせ、すきのない体制を構築することによりまして我が国の安全を確保してまいりたいということでございます。  後段につきましては、したがいまして具体的にこれとこれということではございませんが、大まかな仕分けとしては、まさに今議論をしております日米防衛協力、つまりガイドラインの見直しの第二項の中で、その役割分担をある程度明確にしてきているところでございます。
  59. 永野茂門

    ○永野茂門君 国民の皆さんは、アメリカ軍の戦力の存在は大量に存在する水であるとか空気であるとか、そういうふうに頭の中からなくなってしまっていると言いますのは言い過ぎでありますが、ほとんど忘れておる状況だと私は見ます。  具体的に分解してみますと、今おっしゃった核抑止力でありますとか、あるいは長距離の戦略情報の収集能力でありますとか、あるいは相手国の領域内に対する攻撃力でありますとか、あるいは周辺地域の防衛力のほとんどでありますとか、あるいはもっと広く言えば近隣国との共同作戦の能力につきましても、あるいはアジア太平洋地域の安定化能力というか軍事力を担当している。そういうものは全部アメリカに依存しているということになりまして、日本が単独でやるとするならば、こういうものは持っていなきゃいけない内容であります。  ところが、日本国民の間では、繰り返しですが、こういうものはほとんど空気のように思っております。したがって、これのありがたさというものが十分には浮かんでこない。同時に、そういうことはアメリカに依存していればいいんだという依存の気持ちが非常に強くなっていることは、これはもう全く残念な状況でありますけれども、そうであると思うわけであります。そういうようなことで他国依存が自然であるものですから、そしてそれは日本がとるべき今の方策であることは間違いないわけでありますけれども、したがって防衛意識も非常に低くなってくる、こういうようなマイナス面を同時に持っておると思うわけです。  したがって、これに対して我々はもっと国民を啓蒙し、国民に考えてもらい、そして防衛意識を高揚するとともに、日米共同はいかにあるべきかと。それによって初めて、今言ったような日本防衛に必要な、あるいはアジアの安定、平和に必要な力というのはこういうものがあるんだと。それを米国が提供しているし、日本はそれに対して共同しなきゃいけないんだというようなことをもっと強く理解してもらう、説得といいますか、アピールをやらなきゃいけないと私は特に考えるものであります。  今行われている日米防衛協力のガイドラインの研究に当たっても、そういうことを考慮しながらやるということと、そしてそういうような状況下においてもなお米国との協力がうまくいくというためには、日本がこのガイドラインの中で、もちろん憲法の許す範囲内であることは当然でありますけれども、とにかく最大限どういうことができるかということを追求して、それを実行できるような体制に持っていくというのが極めて大事だと思うわけであります。  時間が参りましたので、そういうことで私の質問の方は終わらせていただきたいと思いますが、長官の御所見を承りたいと思います。
  60. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 今、委員指摘のお話はまことにそのとおりだと思います。今度のガイドラインの見直しにしましても、さもアメリカのためにガイドラインの見直しをしているかのようなとらえ方をする人すら一部おるわけでございまして、そうじゃないということを、今言われましたように我が国のためにこれはやらなきゃならないし、そういうふうなことを機会を見つけて私どももきっちりしていきたいと思っております。
  61. 永野茂門

    ○永野茂門君 終わります。ありがとうございました。
  62. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 平成会の鈴木正孝でございます。  官房長官には大変お忙しいところをお呼び立ていたしまして大変恐縮に思いますけれども、初めにペルー人質事件解決につきましていろいろと御所見をお伺いしたいというふうに思います。  事件そのものは、昨日、特殊部隊公邸突入ということで解決されたわけでございまして、私も日本人の一人といたしまして、正直言いましてはっとしたという思いと、そしてまた三人の方のとうとい犠牲の上に解決したというようなことで、御遺族の皆様そして御本人に心からなる哀悼の意を表したいというふうに思っております。  事件発生以来、言ってみますとテロには屈しないという断固とした国際世論に裏打ちされた姿勢、行動というものであったわけでございます。ぞして、その結果、テロリストには果実は与えないという結果であったわけでございます。その中で、平和的な解決を求め、また強行解決との間で、そのはざまで官邸あるいは外務省の皆さん、そして関係省庁の皆さんに本当に苦労をしていただいたということであろうかと、そのように思っております。  そういうことで、一応解決を見たということでありますので、政府としてどのようにお考えになっているか、まず御見解をお伺いしたいと思います。
  63. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 今回の事件解決に当たり、フジモリ大統領保証人委員会による話し合いを通じた平和的解決に最大限の努力をしつつも、テロに屈しないという観点から、周到な準備の上に決然として救出作戦を行われたことを我が国としては評価いたさなければならないと思います。  確かに、人質のうちペルーの最高裁管理局長、それからペルーの救出部隊の二人のとうとい生命犠牲になったことはまことに残念であり、この方々に心から哀悼の意を表する次第であります。他方、他の人質については、一部にけがはあったものの幸い無事救出をされたということで、今回の救出作戦は全体として成功であったと考えます。  現地の最高責任者であり、救出作戦の最高のタイミングを最もよく把握できる立場にあったフジモリ大統領が機会をとらえてこのような見事な救出作戦を実施されたことに心から感謝をいたしております。同時に、この間、関係国の協力に謝意を表するとともに、本件事件解決に向けて示された国際社会の連帯と支持に対し心からこれまた謝意を表したいと考えております。
  64. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 このような事件日本ペルー駐在の大使公邸という大変重い、そして公的な場所で発生した、場所を提供してしまったというようなことになったわけでございます。ウィーン条約等で、その警備については接受国、ペルー側に一義的な責任はあるということでございますけれども、この件はとにかく単なる危機管理ということだけではなくて、日本の社会的な活動あるいは経済的、政治的な活動というのが今非常にグローバルに広がっているという状況であるわけでございまして、日本という国は本当に義務なり責任なりを着実に果たしてくれる国だろうかというような疑念が国際社会の中で深まる、強まるというようなことがあってはならないというふうに私は思っております。  そういう意味では、単なる危機管理、警備というようなお話だけではなくて、大変慌ただしく今対応政府外務省、外務大臣、皆さんがやられているわけでございますけれども、この事件の位置づけ、あるいはなかなか言いにくい微妙な言葉であるかもしれませんけれども、責任関係をどのように処理していくかということもまた問われてくる事柄ではなかろうかなというふうに実は思っております。  そんな意味では、テロリストに果実を与えないという結果で評価されるわけでございますけれども、この重い重い教訓、反省を二度と起こしてはいけないという立場で、世界のどこでも起こり得る、日本人が巻き込まれるというような事柄であるということを踏まえまして、今後は相当な覚悟を持って対応しないとということになるのではないかというふうにも思います。  その辺で、政府は全体を見てどのようにお考えになっているのか、あるいはまた関係国との信頼関係の回復、修復というものをどのようにお考えになっているのか、官房長官にぜひ御見解をお伺いいたしたいというふうに思います。
  65. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 昨年末から昨日まで長期間にわたる占拠が続いていたわけでありますが、内部においては、なぜ在ペルー日本大使公邸で、しかもナショナルデーにこういうことが起きたか、その体制に過ちがあったのかなかったのか、それぞれの反省を加えながら今対処をすべく努力いたしております。今こういう公的な場所で、それぞれの国の威信をかけ懸命な努力を払った方々、そして大変な被害に遭われた方々、その方を責めるような言動は厳に慎むのが今日的な役割でもございます。  あえて申し上げませんが、多くの教訓を学び取りました。そして、この間、初めてと言っていいぐらいにつらい思いをいたしました。ようやくきょうは総理を送り出すわけでありますが、初めてこの暗い、重いトンネルがぱっとあいたような感じがいたします。これからこういうトンネルに入らないためにどうするか、一生懸命やってまいります。
  66. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 官房長官、お忙しいようでございますので、どうぞお引き取りいただいて結構でございます。ぜひよろしくお願いをいたしたいというふうに思います。  続きまして、我が国安全保障という観点からいたしますと、冷戦崩壊後、こういう新たなる深刻なテーマということでテロあるいは麻薬の問題、あるいは難民等の問題が地球的規模で非常に大きな課題に今日的になっているということがより一層はっきりしてきたというふうに思います。  かつての大規模な戦争ということから、脅威のレベルが大分下がって、日常化された中に、市民生活の中にこの種の新しい事柄が瞬時に国際的に波及的な悪い影響が出てくる、そういうふうに大きく変化をしているんではないかというように思いますが、そういう点につきまして、外務省の方から今後の対応といいましょうか考え方につきましてお伺いしたいと思います。
  67. 川島裕

    政府委員(川島裕君) 全くおっしゃるとおりであると考えております。テロ、麻薬、難民等が地球的規模で本当に大きな課題となっております。  例えば安保理におきましても、国連ができたころ想定していたシナリオというのは、国家間の紛争をどう仕切るかとかそういう役割を想定していたんだと思うんですけれども、今安保理で毎日やっておりますのは、どこかの地域に難民が大量にいて、それがもうあと一週間以内にみんな死にそうだとか、これをどうするとか、そういうような話がほとんどでございます。  これはやっぱり先生指摘のとおり、今日的な危機がある意味で古典的なものから随分変わってきたということの証左だろうと思っております。そういう中で、まさに国家対国家とかいうことではなくて、国際的な連帯というものが非常に重要になっておるし、幸いにしてそういう問題意識というものは非常に多くの国が分かち合うに至っております。  例えばG7、いわゆるサミット、それもそうですし、今いろいろな場がございます。それから、当然のことながら国連のいろんなシステムの中でも、難民問題では国連難民高等弁務官事務所がございますし、それから麻薬の話でございますと国連薬物統制計画等の国際機関がございまして、これは非常にいろいろと我が国としても積極的に支援しております。  それから、まさにペルー事件でも改めて思い知らされた次第ですけれどもテロリズムに対する対応でございます。これはいろんな形で多国間の閣僚レベルの会合等があって、直接担当部局の閣僚あるいは事務レベルを含めて、これこそ連帯が必要な項目でございまして、相当やっておる次第でございます。  その他、環境問題もこれまたむしろその同じ系列として取り上げられる問題でございますし、そういうまさにグローバルと申しますか、二国間関係で仕切るものとちょっと違うものの重要性がまことにふえておりますし、外交の中でも最優先順位を付して対処すべきものであろうと考えております。
  68. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 そういうような状況の中でございますので、また関係の省庁、特に防衛庁の方とも外務省はよくよく意思の疎通を図っていただいて、誤りのないようにひとつやっていただければ幸いだというふうに思います。  次に、先般、特措法が無事に成立をいたしました。あの本会議賛成討論の中でも私はちょっと触れさせていただいたわけでございますけれども、例の沖縄県道一〇四号越えの当面の急務でありました件につきまして、長官も最大限の御努力をしていただいて、昨日でございましょうか、最終的に東富士を含めまして事柄の一応の決着を見たというような状況になったと承知をしております。  その中で、昨日も、私の地元がたまたま静岡ということでもございますけれども、重要会談を東富士につきましてもいろいろとやっていただいたというようなことであります。それぞれの五つの受け入れ場所でいろいろと調整をしていただいて、そしてお約束をそれぞれにしていただいたいろんなことがあろうかと思います。そういうことを確実に実施していただくお約束を地元方々は大変心配しているわけでございますので、守っていただくということが大事だろう、こういうふうに思っております。  その中で、調整の全体のまとまりました状況をかいつまんで簡単に御説明いただければと思います。
  69. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 各地区とも非常に苦しい地方自治体の首長さんたちのお立場でございましたけれども、昨今の沖縄における痛みをできるだけ分かち合うということにつきましては御理解もしていただきながら、しかも国においてやると言うならばいたし方がないとか、やむを得ないというような表現の中に、本当につらいお立場の中で酌み取っていただいたんだなというふうに受けとめさせていただきました。  そういう中で、各地区とも非常に心配されましたのは、治安が守られるか、あるいはまた安全管理上問題はないかということでございます。こういうことに対して非常に御心配がございますので、これはうちの方でも二十四時間の連絡体制をつくって対応するとか、あるいはまた各関係機関とも連絡をとりながら、とにかく治安面、安全面、こういう点については抜かりのないように対処したいということを強く提起しておりますので、これから先具体的な実施計画をつくります場合にも、これらについては十分そういうことに抜かりのないようにしていこうと思っております。  それともう一つは、やはり地元での騒音の問題とか、あるいは近くで酪農をやっておられる方へのいろんな影響の問題とか、個別にはいろんなことがあります。そういう問題につきましては、要望のありました問題についてうちの方で誠意を持って対応するということで言ってきておりますので、これは本当に誠意を持って対応しなきゃならないというふうに思っております。  委員地元の東富士の方々についても、とにかく今までどちらかというと縮小へ向かって声を上げてきておったのが、これを機会にまた拡大されて逆戻りすることがないようにしてもらいたいということが非常に大きな願望でございましたので、それはもうそういうことのないようにしたいということで申し上げてきております。そういうことについてもお約束どおり抜かりのないようにしていきたい、そういうふうに思っているところでございます。  ともかく個別個別はいろいろありましたけれども、全体としてやむを得ないなというような形で受けとめていただいて、実施できるような雰囲気ができ上がったというのは大変ありがたいことだと思っております。
  70. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 それと、沖縄の県民の皆様が、九年度から始まったばかりですが、キャンプ・ハンセンでの実弾射撃訓練がこのことによって確実に沖縄では行われないことになるのかならないのかということについて大変懸念を持っておられるところもあろうかと思います。  この際、この点につきまして確認的に、これで着実に本土移転ということになれば、沖縄県の中でりゅう弾砲の実射訓練が行われることはないんだということをお尋ねしたいというふうに思います。
  71. 諸冨増夫

    政府委員(諸冨増夫君) 大臣からも今御答弁いたしましたように、五つの演習場につきまして地元一定の御理解が得られましたものですから、私ども、早急に在沖海兵隊の司令官等と実際の実施移転に伴う計画をつくりまして、平成九年度中に一〇四号線越え射撃移転については本土演習場で行うべく全力を挙げて早急に取り組みたい、このように考えております。
  72. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 国際軍事情勢そのものに関係してちょっとお尋ねしたいと思います。  昨日でしたでしょうか、中ロの共同宣言が出されたわけでございます。先般来、中国の江沢民主席がロシアを訪問して、エリツィン大統領との間で二十一世紀に向けた戦略的協力のパートナーシップをより発展させるための会談というようなことで行かれておったわけでございますが、最近の中ロの接触、関係強化というような流れが東アジアの安全保障環境そのものにどういう影響を与えていくのかなというような気がするわけでございます。  先般の米ロ会談でも、NATOの懸案の東方拡大というものが一歩進んだような印象を強く持っているわけでございますので、その辺を踏まえまして、防衛庁長官あるいは参事官の方から御答弁いただきたいと思います。
  73. 山崎隆一郎

    政府委員山崎隆一郎君) お答え申し上げます。  今、先生指摘のとおり、昨年四月にはエリツィン大統領が訪中いたしまして、二十一世紀に向けた戦略的パートナーシップというものを表明した北京宣言というものに署名したわけでございます。それ以降の動きでも非常に中ロ間で活発でございまして、昨年の十二月には李鵬中国首相が訪ロをしておりますし、それから今月の前半というか半ばごろにはロシアのロジオノフ国防大臣が訪中しております。それで今回の江沢民の訪ロになったわけです。  中国は近年、国防力近代化の一環としまして、キロ級潜水艦、それから約五十機とも言われておりますスホーイ27戦闘機、さらには地対空ミサイルなどの新型装備というものをロシアから積極的に導入しているわけでございまして、我々も中ロ間の近年のこのような関係が大幅に進展しているということには注目しております。  それで、中ロ間のこのような関係の進展は、両国間の信頼醸成というものが進むことによりましてこの地域の安定に貢献する、そういう積極的な側面があるかと存じますが、他方で、ロシアからの前述のような新型装備の導入等によりまして中国の国防力の近代化という動きが加速されるということも考えられるわけでございまして、防衛庁といたしましてもこのような動向を十分注目していくというふうに考えております。
  74. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 かなりいろいろな話し合いあるいは相互訪問ということが進んでいるということをぜひひとつ注意深く見ていっていただきたいというふうに思っております。  最近、中国でも、先般の領海法の制定以来、特に海軍の近代化というような面で相当いろんなことをやられているようでありますけれども、最近も近海防衛戦略というような発想のもとにいろいろとまた独自の航空部隊を創設するというような構想もあるようでございまして、周辺諸国、東アジアの軍事情勢そのものに微妙な影響を今後とも長期的に与えていくだろうというふうに私ども実は見ているわけでございます。そんなような感想を持っております。これは御答弁は結構でございます。  それと、特に周辺諸国との安全保障対話というような観点が信頼醸成という面で一つございますけれども、昨年の本会議防衛大学校の安全保障研究科の件をお願いしたりした経緯がございますので、それに絡みましてちょっとお伺いしたいわけでございます。  この四月から防衛大学校で安全保障研究科をオープンし、そして言ってみますと部外の、防衛庁あるいは政府関係者以外の方にも開放して相互に刺激し合って研究を深めたらどうかというようなことを言ったわけでございますが、それも実現をしたやに聞いております。そういう中で、いろんな意味で相互に大いに研究をしていただくということも大事だというふうに思っております。  私も個人的に、従来から、防大で留学生のための日本語講座を開設するというようなことをやったり、あるいは生活費等の援助、応援ができないかというようなこともいろいろと考えたりなんかしたことがあったわけでございますが、これからそういう日本人の学生と差のないような形でやっていくことも非常に大事なことだろうというふうに思っております。  そういうようなことを含めまして、教育訓練局長、最近の状況についてちょっと御説明をいただければと思います。
  75. 粟威之

    政府委員(粟威之君) 先生から御指摘のとおり、防衛大学校の総合安全保障研究科は昨年設置されまして、今年の四月から開議しているところでございます。これは、自衛隊任務の多様化、国際化等に対応して、幹部自衛官に対して社会科学の分野における高度の研究能力等を修得させることを目的としており、この中には、先ほどお話がありましたように、民間の方々も二人ほど学生として入っております。  それから、あと留学生の話でございますが、防大におきましては、三十三年以降、本科に外国人留学生を受け入れて以来、平成二年には理工系の研究科にも受け入れております。これが信頼醸成の一環に寄与することはもう当然のことでございます。さらに、私ども、今回できました総合安全保障研究科におきましても、今後、外国政府からのお話があれば留学生を受け入れてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。さらに、若干申し上げますと、当然、防衛大学校の学生の話学教育の充実、こういうことも最近力を入れてやっておるところでございます。  さらに、授業とは直接関係ありませんが、防衛大学校では各国の士官学校学生との相互交流を実施しておりますし、さらに平成七年度からは国際防衛学セミナーということを開催しております。いろいろな士官学校の先生等にお集まりいただいて、例えば二十一世紀に求められる士官はどういうものであるかとか、国際化とかハイテクに対応する教育はどういうものであるか、こういうふうなセミナーをやっております。さらに、九年度には第一回国際士官候補生会議、こういうものも予定をしておるところでございます。いろいろこういうようなことを多方面でやることによって安全保障教育の充実を今後とも図っていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
  76. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 時間ももうなくなりましたものですから、最後にいたしたいと思います。  即応予備自衛官制度を導入することは大変結構なことだというふうに思っておりますけれども、実際に年間三十日の訓練に従事をさせて勤務させるということになるわけでございまして、そのことを考えますと、御本人それから企業側の雇用者あるいは同僚、家族等々あるわけでございまして、現実の話、休みをとっていくということについてなかなか微妙な心理的なことも私の経験を踏まえましてもありますし、最近いろいろとその関係方々に話を聞いてみましても、心配している向きも実際かなりあることはあるんですね。そんなことを思いますと、かなり社会全体から御支援をいただかないと実質的にいいものができ上がらないということではないかと思うわけでございます。  そんなことを含めまして、せっかくやるわけでございますから、そういうようなことにつきまして御決意のほどを長官から一言お伺いしたいというふうに思います。
  77. 久間章生

    国務大臣久間章生君) せっかくこうして皆様方に御審議願ってスタートするわけでございます。その成果が上がるように私たちも期待しておりますが、そのためには各企業の御理解と同時に、また今まで自衛官として過去に経験された方が、よしやってみようというような気持ちになっていただいて、また昔とったきねづかといいますか、それをやることに張り切っていただくような雰囲気がなければならないと思っておりますから、各方面に働きかけてぜひこれを成功させたい、そういうふうに思っておりますので、今後ともよろしく御指導のほどお願い申し上げます。
  78. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 終わります。
  79. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時三分休憩      ―――――・―――――    午後一時開会
  80. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、清水澄子君及び北澤俊美君が委員辞任され、その補欠として瀬谷英行君及び小山峰男君が選任されました。     ―――――――――――――
  81. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  82. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に瀬谷英行君を指名いたします。     ―――――――――――――
  83. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 休憩前に引き続き、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  84. 角田義一

    ○角田義一君 まず、防衛庁長官沖縄問題についてお尋ねいたします。  御高承のとおり、十七日に参議院でも特措法が可決をされて成立したわけであります。私どもは特措法には反対をいたしました。もっと別の解決方法があったのではないかという気持ちは今でも私は変わっておりません。あの法律に対する評価は歴史が下すだろうというふうに私は今でも思っておりますが、いずれにいたしましても沖縄の心というものを大事にしなきゃならぬということはすべての議員さんが共通して持っておられた気持ちだというふうには思っておるのであります。  ただ、あの法律の成立によりまして私が憂えますのは、沖縄の心というものを相当程度傷つけはしなかったのかなという気持ちもいたすわけでありますし、国と沖縄県、特に知事さんとの間が今後どうなっていくんだろうかというようなことも心配の種でございます。  そういうことを考えますと、あの法律が成立して一件落着というような形では絶対にあり得ない、そういう気持ちではいけない。私は一つの不幸な出来事だというふうに思いますが、それを契機にして、今後、防衛庁長官沖縄問題にどういうふうに取り組まれるのか、あるいはどういう御感想を持っておられるのか。特に、沖縄の心に対してどういうふうに政府としては配慮していくのかというようなことについて率直な御意見をまず賜りたいと思います。
  85. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 私はかねてから、沖縄基地が集中していることによって沖縄方々が大変御迷惑をこうむっておられる、また経済発展にもいろいろと支障を来しておる、この問題についてはどういう形で解決していけばいいのか、これは私どもの大きな課題であると思っておりました。  そして、防衛庁長官に就任しましてからも、SACO最終報告、これが百点満点じゃないにしても、ともかくそういう基地の整理、統合、縮小への一つのステップになると思いまして、あのような形で最終報告をまとめさせていただきましてからは、これを確実に実行に移していくのが私に与えられた使命であるというふうに思っておりました。それをやったからといって二一%しか狭くならない、まだまだ問題は残っているけれども、少なくともそれを実施することによって沖縄方々に前進したなということが見ていただけるんじゃないか、そういうふうにも思ったわけでございます。  それとまた、一〇四号線あるいはまたKC130とかを本土移転することについても、それを確実にやることによって政府は言ったことはきちっとやっているなというふうに思っていただけるんじゃないかと思っておりました。  ただ、そういうさなかにおきまして、現在、施設・区域を提供しておるその権原の一部が、もう既に昨年の四月一日からなくなってしまっている土地もございますし、あるいはまたことしの五月十四日で切れてしまうという事態を迎えることになりました。これについては、知花さんのあの分については時間的に無権原状態が続いているのはやむを得ないにしても、あとの方については少なくとも五月十五日以降無権原状態を迎えることのないようにということで収用委員会の裁決を見守っておったわけでございます。しかし、残念ながらどうしても間に合わないという事態になりまして、ああいう形で法律を出させていただいて、衆議院、参議院で可決していただき、法律が成立したわけでございます。  したがいまして、この問題については、いわゆる権原の問題については無権原になるということは一応避けることができたわけでございますけれども、この法律ができたから、この問題が片づいたからといいまして、先ほど冒頭に述べましたような沖縄の諸問題については全く別でございます。  むしろこの法律ができて、沖縄方々に、国は国の責任において無権原状態をクリアするために法律をつくらせてもらいましたよということをするのであれば、なおさらのことそれ以前の問題については全力を挙げなきゃならないなというふうに自分自身思いまして、県道一〇四号線越えの射撃を何としても平成九年度では沖縄で行わない、そういうつもりで本土の各自治体にも強くお願いをして回ったわけでございます。  そういうことでございますから、沖縄の問題についてはこれまで以上にこれから先も一生懸命取り組んでいかなきゃならない、そういうふうに思っておるところでございます。  幸いに、名護市におかれましても、調査についてはとにかくいいだろうというような発言をしていただきましたし、県の方におかれましても、名護市が、地元が、あるいはまた漁協がそういう判断をするならそれはそれでいいというような御認識で、今調査の手はずに入っておるわけでございますので、これもやはりこれから先いろいろと御理解を得ながら前進をさせていきたいと思っております。  なお、沖縄県との国と信頼関係でございますけれども、この法律を出させていただくときに大田知事と橋本総理とはこの問題についても話をされて、法律を出しますということを言って、沖縄県知事さんは反対であると言われましたけれども、その後の記者会見その他を見ておりましても知事と総理との信頼関係は失われていないというふうなことを知事さん自身もおっしゃっておられます。  だから、公式見解はいろいろ、公式な立場での発言はございますけれども、正式に記者会見等を見ましたときに、総理と知事との信頼関係は失われていないということをおっしゃっていただいておるのは私は大変意味深長であると同時にありがたいことであるというふうに思っておりますので、沖縄県との信頼関係をこれから先も国として大事にしながら諸問題の解決に向かっていこうというふうに思っておるところでございます。
  86. 角田義一

    ○角田義一君 この特措法は二十三日に公布されたんですかね。そうしますと、これで効力を発生するわけでありますが、暫定使用の条件としての担保の提供は現実に二十三日からやられているんでしょうか。その手続は今どういうふうに動いているか御説明いただきたいと思います。
  87. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 十二施設は五月十四日までは権限がございますので、それまでに担保を提供して五月十五日から権原があるようにするわけでございますが、もう既になくなっております知花さんの土地につきましては、その問題につきましては一刻も早くしなければなりませんので、直ちに担保提供をさせていただきました。担保提供が二十四日になりますから、二十五日から暫定使用の使用権限を取得する、そういうことになります。
  88. 角田義一

    ○角田義一君 それはちょっとおかしいんじゃないですか、長官。知花さんの場合は、政令によりまして、その損害について協議しなきゃいかぬのじゃないですか。事前のやつですよ、前のやつ。その辺、どうなりますか。
  89. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 暫定使用につきましては、この法律の公布の日から暫定使用の制度はスタートするわけで、それだから遡及しないと言っているわけでございます。四月二十三日に公布されますので、それから直ちに担保を提供いたしますから、その翌日ということで二十五日から暫定使用が開始するわけです。  ところが、それまでの間は無権原状態で使ってきているわけでございますから、今度は防衛施設局と知花さんとが協議をしなければならないわけでございますので、これはあくまで暫定使用権といいますか、使用制度に基づく暫定使用じゃないわけでございます。ただ、協議が調わない場合には収用委員会で議論をして裁決をしていただくというような形になりますので暫定使用は遡及はしていないと、法律審議のときに言いましたのはあくまでそういうことでございまして、だから施行後に暫定使用の制度はスタートする。今担保提供しましたので四月二十五日からになるということでございます。
  90. 角田義一

    ○角田義一君 その担保提供は現実にお金を持っていったんですか。それとも供託所へ一方的にやってしまったわけですか。
  91. 諸冨増夫

    政府委員(諸冨増夫君) 法律施行後の担保の提供は、私ども見積金額を二十四日に六カ月分持っていくわけでございます。それで二十五日以降、翌日から使用権原が発生するということになるわけでございます。  先ほど大臣おっしゃいましたように、過去の分につきましては、私ども当初は毎日毎日いわゆる損失の補償に当たる分を現金でお持ちいたしました。しかしながら、どうしても御本人に受け取っていただけませんでした。したがいまして、内容証明つきの文書を一応お出しいたしまして、こういうことでいつでも払い込みいたしますということで御了解をいただいたような形で、それまでの分についてはいつでもお支払いできるように金額を私どもの方で今準備しておると。話し合いに応じていただければその時点でお支払いをする、こういう仕組みになっております。それで、話し合いにどうしても応じていただけない場合、これは収用委員会の方で裁決申請といいますか、損失金額のいわゆる裁定といいますか、そういうことをお願いするというのが今の法律の仕組みになっておるわけでございます。
  92. 角田義一

    ○角田義一君 契約を拒否している方々は数の上では大変多いわけですね。二千九百何ぼおるわけです。それで、全部供託するわけでしょう。全部供託するときには、くどいようですけれども、一応お金は持っていくわけですか。一方的にやってしまうんですか。供託というのは、普通は持っていって拒否されて初めて供託するんだと思うんですね、常識的には。今回の場合は、権原を得ればいいんだからというので持っていかないで、もうストレートに、相手が受け取ろうが受け取るまいが、恐らく受け取らないだろうというふうに思ってやってしまうのか。
  93. 諸冨増夫

    政府委員(諸冨増夫君) そこは私ども六カ月分の見積金額を供託してしまうことになっております。それで、供託をしたことによって暫定使用という権原を自動的にといいますか私どもは取得させていただく、こういう仕組みになっております。
  94. 角田義一

    ○角田義一君 持っていかないんだね。一方的にやつちゃうんですね。
  95. 伊藤康成

    政府委員(伊藤康成君) ちょっと補足して御説明させていただきます。  新法の十五条の考え方は、損失の補償額に相当する六カ月分の額でございますが、これを供託する。ただし、これはこれから発生するであろう損失額でございます。過去に発生した損失額ですと一たん拒否された上で供託という考え方もあろうかと思いますが、いわば未来の分の担保としてというのが規定でございます。したがいまして、先生指摘のように、事前に地主さんにお持ちをして拒否されたからどうこうということではなくて、あくまで担保でございます。  ただ、新法十五条の第四項で、所有者あるいは関係人から請求がありますときは、その担保の中から既往の分、過ぎた日の分について関係者は取りますと申しますか支払いを受けることができる、そういう仕組みになっておるわけでございます。
  96. 角田義一

    ○角田義一君 こればかりやっていると時間がなくなるので、あと一つだけ聞きます。  民主党さんが時限立法をお出しになった理由は私よくわかるんです。要するに、民主党さんが時限立法をお出しになったというのは、もう緊急避難的で適用を沖縄の今回限りにしたい、こういうお気持ちであれは出しているわけです。  私も、伝家の宝刀ができたから収用委員会審議なんというのはもう形骸化して構わないんだというような気持ちで今後やられたら困る。というのは、沖縄だって二〇一五年までは一応基地を認めるわけですよ、アクションプログラムがあるんですから。しかし、収用委員会は見ていると大体五年ぐらいの期限で来ていますね。そうすると、必ずまた五年後にはこういう問題が起きるわけです。いいとか悪いとかという問題でなくて起きるんです。そのときに、この宝刀があるから審査請求なんか直前にやって、だめだったらさっさとまた供託してしまえばいいんだ、こういう発想に国がなればこれはえらいことになると私は思うんです。  沖縄沖縄の特別な事情があって審査請求に今まで一年半とか二年かかっているわけです、いろいろ事情があって。いい悪いは別ですよ。しかし、そういうものを踏まえた上で、次のときもちゃんと裁決が出る相当な期間をもって国が手続をとらないと、もうこれがあるからどんどんやればいいんだというような乱暴なことをやったらどうにもならなくなりますよ。長官、これはどうですか。
  97. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 今、委員指摘のとおり、この暫定使用というのは、今度みたいに二年も前から出してきたけれども収用委員会のいろんな事情があって延びてきた、そういうような特殊なときに使用権原がなくなったらいかぬということでやるわけでございます。直前に出して、それがあるから収用委員会御自由にゆっくりやりなさいよというようなことはもうさらさら、これは非常に例外である、そういう気持ちでございます。  こういう発言をすることによって議事録にも残ることでございますから、そういうふうなことばかりそめに軽々に扱うべきものじゃなくて、暫定使用というのはあくまで例外だということを私どもも十分念頭に置いてこれから先も対処していこうと思っております。
  98. 角田義一

    ○角田義一君 そのことだけ聞いておかないとちょっと心配だから。まさかそういう悪らつなことはやらぬだろうなと私は思うけれども、やっぱり念には念を押しておかぬといかぬと思う。そして、それが議事録に載りますから。  それと、長官が大変な御苦労をいただいて全国をいろいろ行脚して、一〇四号越えの問題について解決をされるために努力されたということについて心から敬意を表します。と同時に、私も沖縄へ行きまして一〇四号の射撃の跡を見ました。長官も見たと思いますけれども、ひどいものですな。もっとはっきり言えば撃ちたい放題ですよ、あれは。アメリカ軍はやりたい放題、あそこの場面については。あれでいいのかという気持ちはしますよ。  これから本土の五カ所へ移るわけだけれども、例えば日本自衛隊は、撃った後、ちゃんと何発撃って何発不発弾だとかということを全部きちっと調べて報告しているわけでしょう。アメリカ軍はどうするんですか。今度は五カ所に移って、沖縄と同じようにやりたい放題撃てばいいということでしょうか。これが一つ。  それから、やはり環境問題ということも考えなきゃならぬわけで、アメリカあたりでは、あるいはヨーロッパでアメリカ軍は放弾した後、例えば植林をどうするとかという問題についてはそこの国の法律なり条例なりというものに従ってちゃんとやっているわけです。日本の場合はどうするか、この五つのところで。そういう問題もちゃんと配慮してやらないと地元の人は納得しないと私は思うんです。沖縄のようなやり方で撃ち放題やっていればいいということじゃ、とてもじゃないけれどもこれは納得しないと思うんですが、その辺はこれからどういうふうに詰めますか。
  99. 諸冨増夫

    政府委員(諸冨増夫君) お答えいたします。  不発弾の処理につきましては、当然本土でやる場合は米軍も、今自衛隊が撃っております演習場のいろんな使用の規則といいますかルールがございます。そのルールに基づきまして全部やってもらうということで米側には話をしてありまして、そのルールに従ってやるということであります。したがいまして、不発弾等につきましては、出た時点で米軍が不発弾処理部隊をもって処理をするということでございます。  それからもう一つ本土演習場は、もちろん沖縄の場合もそうでございますが、着弾地というものをきちっと決めております。したがいまして、砲弾は一定の着弾地に向かって発射陣地から発射されるわけでございまして、それ以外の地域に飛ぶということは通常考えられないわけでございます。もちろん、着弾地等については一定期間を置いて整備をして、演習場内が荒れないようないろんな場内整備等を今後とも続けながらやっていく、こういう自衛隊が今やっておりますのと全く同じ手順でやるということで地元の方も了解をいただいておる、こういうことでございます。
  100. 角田義一

    ○角田義一君 その辺はしっかりやってほしいですね。強く要望しておきます。沖縄のようなあんなことじゃだめですよ。  それから、ちょっと時間の関係がありますから先に行きますが、本題の法案について若干お尋ねいたします。  即応予備自衛官制度を導入されるわけでありますが、一つお聞きしたいのは、先ほど矢野先生の御質問で、通常の自衛隊の隊員でもって賄う場合と即応予備自衛官で賄う場合では約二百億円ぐらいの違いがあるというようなことをちょっと説明されましたけれども、これは何と何を比較して二百億円の違いになるのか。その辺、もうちょっと詳しく話してくれませんか。
  101. 秋山昌廣

    政府委員(秋山昌廣君) 現在の防衛大綱では編成定数十八万を十六万にすることにしておりますが、その十六万のうち一万五千を今御審議いただいております即応予備自衛官対応しようとしているわけでございます。  これは仮定の議論でございますが、この一万五千人という人数につきまして、通常の、今のままの自衛官の採用で充当する場合と即応予備自衛官対応する場合とどのぐらいの経費の節減になるのか、先ほどこういう御質問があったわけでございます。これはきちっと具体的に計算することはできないわけでございますけれども、仮に現在の自衛隊の、陸上自衛隊になりますけれども、階級構成を一定としまして、一万五千人を今の自衛官ではなくて非常勤の即応予備自衛官、これは企業に対する給付金もあるわけでございますけれども、そういったものも差し引き計算いたしますと、充足率一〇〇%で計算しますと約二百億円の節減になるという計算があるということを御説明したものでございます。
  102. 角田義一

    ○角田義一君 わかりました。  それで聞きますけれども、御承知のとおり定数は十八万から十六万に持っていくわけだけれども、十六万に持っていくのには十年ぐらいかける予定でしょうか、これがまず一つ。そして、即応予備自衛官一万五千、これもやはりそれに倣う形で十年ぐらいかけて一万五千人を確保していくのかということが一つです。まず、その辺を伺います。
  103. 秋山昌廣

    政府委員(秋山昌廣君) 即応予備自衛官の導入は全体の編成定数を十八万から十六万に落とす、そのうち一万五千が即応予備自衛官ということで、部隊編成をかなり大がかりに変えていくわけでございます。  現在、全国に平時における地域配備の師団が十二あるわけでございますけれども、これにつきまして逐次変えていきたい。変えていく場合に、例えば師団ベースでいいますと、普通科連隊が四つありますと、そのうちの一つ即応予備自衛官主体の部隊になる。といいますと、その部隊につきましては現在、もちろん充足率の問題がございますけれども、一応自衛官で構成しているのが八割方非常勤の即応予備自衛官で構成するということになりますから、その部隊は通常は非常に人が少なくなるわけでございます。  そういたしますと、地域との関係とかいろいろ人事上の問題もございまして、どうしても時間をかけていかなくちゃいけないということで、今御指摘がございましたように、十年ないし十年以上かけて十六万人体制、あるいは一万五千人の即応予備自衛官の導入ということを考えているところでございます。
  104. 角田義一

    ○角田義一君 とりあえず、例えば今年度千三百七十三人即応予備自衛官を採りたいわけでしょう。それはさっき局長が言うように、どこか一カ所、例えば九州なら九州でやる。その九州で千三百七十三人という人間を、即応予備自衛官を九州だけで集めるという自信はあるんですか。
  105. 秋山昌廣

    政府委員(秋山昌廣君) 九年度におきましては、九州の第四師団につきまして即応予備自衛官を導入した新しい形の師団に改編をしたいというふうに考えておりまして、そこで約千三百人強の即応予備自衛官を導入したいということを考えているわけでございます。  実際の募集につきましては、今後の即応予備自衛官の採用、それからやめていくといったような少し中長期的な考え方も念頭に置きまして、一挙に千三百人を九年度に採用するというのもどうかということで、即応予備自衛官の定員上は千三百数十人でございますけれども、募集する数そのものは約半数ぐらいを九年度は考えております。今法案審議していただいているところでございますけれども、今から現地その他でいろいろと説明会を開いたり準備をしたりしてこれは確保したい、確保できるというふうに考えております。
  106. 角田義一

    ○角田義一君 そうすると、九州地区で七百か八百を集めるということですね。だって、ほかのところから持ってきたってしょうがないでしょう、これ。緊急に招集したときにはみんな来てもらわなければならないんだから、間に合わないでしょう。北海道で採ったってしょうがない。
  107. 秋山昌廣

    政府委員(秋山昌廣君) 第四師団に導入いたします即応予備自衛官につきまして、西部方面隊管内である九州各県に居住している者から採用する予定でございます。
  108. 角田義一

    ○角田義一君 いずれにしても、これは九州なら九州の企業にかなり理解をしてもらわなければ、九州地区でこれだけの人間を集めるというのは私は難しいと思う。難しいというか、大変だと思いますよ。よほど真剣にやらなきゃできないと思うんです。  そこで、これを見ると訓練は三十日というふうにされていますけれども、今度は災害派遣にも出るわけですね。例えば災害派遣で二十日も出ていったということになった場合でも、訓練期間はやっぱり別の問題として三十日置くということになるんでしょうか。それは企業にとってはまた大変な負担になるわけだけれども、これはどうしますか。
  109. 粟威之

    政府委員(粟威之君) 即応予備自衛官防衛招集命令とか災害等の招集命令などで自衛官となって勤務することによって、一定訓練効果と申しますか、そういうものが期待できる場合が考えられますから、このような即応予備自衛官に対する年間訓練招集期間については必ずしも三十日である必要はなくて、一定の短縮が可能であるというふうに考えております。  なお、災害派遣のために招集された場合において具体的に短縮できる日数は何日か、こういうことについては、自衛官として従事する災害派遣の業務内容でございますとか、当該即応予備自衛官の技能、経験等を勘案して判断してまいりたい、こういうふうに考えております。
  110. 角田義一

    ○角田義一君 あなた方もっと端的に言ってくれればいいんだよ。例えば、今私が言ったように、三十日のうち二十日も出てしまえば、ある意味では実戦をやったことになりますから、訓練以上のものですよ、場合によれば。そうすれば、さらに三十日の訓練というんじゃなくて、それはもう総体として三十日確保されればいいというふうに割り切るんですねと。企業だって大変でしょう。二十日出して、またあと三十日出したら五十日出すことになるよ。その辺、もっと端的に答えなさいよ、端的に。
  111. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 今のお話は、実は議論はしておりますけれども、二十日間出ている、二十日間を全部訓練を催したと見てやるかどうかについては議論がございまして、これから先、総理府令で決めていくときに、訓令を決めていくときにその内容等に応じてどうみなすか、それをこの法律が通ったら具体的に決めていきたい。要するに、二十日も出ているわけだから、それをカウントするのはしますけれども、二十日間は二十日間と見て、あと十日間でいいというわけにはいかぬということで、その辺はちょっと議論があるわけでございます。だから、今みたいな答えになったわけでございまして、それはやはりきちんとある程度の客観的な数字を示していこうと思っております。
  112. 角田義一

    ○角田義一君 あともう一つ聞いておきますけれども、現行の予備自衛官の招集要件が今度改められますね。現在は防衛出動命令が発せられた場合ということになっているのに、今度はこれに加えて、事態が緊迫し、防衛出動命令が発せられることが予想される場合にもできるわけですね。そうすると、こんなことを言うといろいろ問題がまたあると思いますけれども、今は平時ですし、冷戦も終わったし、何で今これだけまた要件を緩和するというか、このときまでやらなくちゃいけないのか。この必要性を私はよく理解できないんだけれども、これをどういうふうに説明してくれますか。
  113. 秋山昌廣

    政府委員(秋山昌廣君) 御指摘のとおり、現行法上は防衛出動命令下令時に防衛招集できることとされているわけでございますけれども、予備自衛官の任務を円滑かつ適切に遂行し得る体制を確保するとの観点から、以下の点を考慮いたしまして今回この招集時期を見直したわけでございます。これは即応予備自衛官を導入する、即応予備自衛官の招集時期との兼ね合いで改めて検討し直した結果、見直しをしたということでございます。  一つは、予備自衛官につきましても防衛出動命令下令後直ちに任務につくことが必要となる場合があり得るわけでございまして、そういたしますと招集命令の発出から出頭まで所要の日数が必要である。そうしますと、現在の招集時期では間に合わないことがあるのではないかという点が第一点でございます。  それから、事態が緊迫いたしまして防衛出動命令が下令されることが予測される場合でございますが、常備自衛官が防衛出動のための諸準備を行うことに伴いまして、部隊移動後の後方警備、後方支援等のため直ちに任務につけることが必要な場合がある。そういうようなことを考えまして、今回の改正案におきまして、予備自衛官の防衛招集について防衛出動命令下令時または事態が緊迫し防衛出動命令が下令されることが予測される場合において必要があると認めるとき、しかも内閣総理大臣の承認を得てということで、新しい防衛招集命令の制度を導入したいというふうに考えたところでございます。
  114. 角田義一

    ○角田義一君 この問題もいろいろ議論したいんですが、時間があと十分しかありませんので、ひとつ来年度防衛予算に関連をして大事なことだけちょっと長官に聞いておきたいと思います。  先ほど矢野先生からもお尋ねがございましたが、財政改革の中で聖域を設けないという形になっております。ただ、防衛当局のいろいろな説明を聞きますと、中期防一定の枠がはめられておるから、例えば来年度においても減額するなんてとんでもない話だ、むしろ自然の成り行きからいうとふえちゃうというようなことを言うんですが、世間様にはそれでは通らないんですよ、これは。ここが非常に難しいところですね、長官防衛費だけ来年万が一ふやしてごらんなさいよ、これどうなりますか。防衛庁が今言っているように、プラスアルファでございますなんというのはとても私は通らぬと思いますが、どうですか。まずそこから聞きます。
  115. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 先般の財政構造改革会議におきましても、とにかく聖域を設けず予算の切り込みをやるということでございます。  ただ、そのときにもいわゆる我が国の安全の問題との調整というまくら言葉がございますけれども、その辺に影響を与えないということがございますので、私どももその辺の調整をしながら、ただいま委員が言われました現下の情勢との兼ね合いをどうしていくか、これが一番苦慮するところでございます。ただ、先ほどから何回も申し上げておりますとおり、非常に仕組みが硬直化しておりますので、その点が非常につらいところでございます。さりとて、今言われますように、ほかの各省庁の予算もかなり切り込みがされるときに防衛費だけやはり必要だから、あるいはこういう仕組みだからという形でどうやってやっていけるか、これも非常に問題がございます。  そういう意味で、企画委員会等の御議論等も踏まえながら、概算要求を出すまでに政府としてどういうふうな対応をしていくか、まさにそれがこれから先の一番の問題になろうというところでございます。
  116. 角田義一

    ○角田義一君 やっぱり防衛費というのは非常にパイが大きいわけです。五兆円近いわけです。そうすると、国民から見ると、ここはある程度単純に見れば、五兆円もあるんだからパイは大きいですよ、印象とすれば。だから、五兆円もあるんだから切り込めるんじゃないかというふうに思うのが国民の一般の考えと思った方がいいと私は思うんです。したがって、その辺のことをきちっと踏まえて対応しませんと、幾らいろいろなことを説明しても簡単には納得してもらえないと私は思います。  そこで、私は中期防というものを大胆に途中で変えるということはいろいろ難しいと思う。難しいと思うんだけれども、将来展望、あと五年とか十年先を考えたときに一体どうするかということの戦略がなくちゃいけないと思うんです。その場合には人間をどうするか。例えば、一体今の自衛隊の構成はどういう層が多くなっているのか、若い人に入ってもらうにはどうしたらいいか、もっと効率的にするにはどうしたらいいか、こういう長期的な戦略を一つ立てる必要があるだろう。  それから、もう一つは武器の購入です。これは相当巨額な金です。きょうは余り細かく言いませんが、大変なお金です。それがみんな後年度負担になってきておるわけです。そうすると、武器をどういうふうに買っていくかということについても、あと三年で終わるわけだけれども、次期防のときには相当抜本的なことを考えないと、相変わらずパイが五兆円ということではいけないんじゃないかと僕は思うんです。必ずこれは国民からいろいろな御批判、御指摘を受けると思うから、やっぱり今からそのことはきちっと考えておく必要があるんじゃないかと思うんですが、どうですか。
  117. 久間章生

    国務大臣久間章生君) それらにつきましては、おっしゃる意味はよくわかります。そういう点でこれから先、例えば今から先の五年間とか十年間、そういう中で泳ぐといいますかいろいろ調整していく分についてはまだ検討する余地が非常にあるわけなんですけれども、単年度で、とりあえず平成十年度をどうするかということで、一律にカットと言われますと、人的要素にしましても、これは現在おる人員を単年度で来年度から一割カットなんということはできっこないわけで、ここら辺が非常につらいわけでございます。  装備につきましても、現在もう既に契約しているものもありますし、新しく契約する場合は初年度にはほとんど支払いかないわけでございます。そういう意味で、非常に苦慮しているとさっき申し上げているのは、全体的な長期の問題もそうでございますけれども、特にさしあたって次年度、平成十年度の予算において一律カットあるいはマイナスというようなことがなかなかできない、防衛費については船が大きく急には曲がれないということをずっと申し上げてきているわけでございます。  長い問題についてはまたいろいろと議論をしながら、どういう形で今後いろんな問題が推移していくか。その中で、特にうちの方で今一番問題になりますのは、円安になればなるほど予算が膨らむわけでございます。ほかの省庁の場合は円安になってもほとんどふえないわけでございますけれども自衛隊関係では輸入品が結構ありますだけに、円安になったらかなりふえるわけで、この辺も非常に悩みの種でございます。  しかし、そういうことばかり言っておれませんので、そういう中でとにかくこれから先、平成十年度の問題あるいは将来の問題についてどういう形でうまくおさめていくか、いろいろと内部でも検討しながら議論をしていきたいというふうに思っておるところでございます。
  118. 角田義一

    ○角田義一君 長官防衛予算というのはいろんな積み上げでできていますから、ほかにもたくさんあるわけです。来年度予算のことを考えると、この際、総点検、総ざらい、これはやっぱりやつておく必要があるんじゃないでしょうか。今までのような惰性ではいけないんじゃないですか。もう一遍総ざらいしてみる必要があると私は思いますけれども、どうでしょうか。
  119. 久間章生

    国務大臣久間章生君) これはもう来年度に限らず、内部にも取得改革委員会等も設けまして、どうすれば経費を安くできるか、取得についてもあるいはランニングコストについてもどうすれば安くできるか、そういうようなことについても内部でいろいろと今検討しております。そしてまた、訓練にしましても、あるいは基地対策にしましても、あらゆる分野について検討は今全部やっております。  委員指摘のとおり、昨今のこういう経済情勢、財政状況でございますから、私どももそういう政府の方針というのには十分従わなければならないわけで、そういう中でいかにして調整していくか、そういうことであらゆる角度から検討は行っておるわけでございますので、どうかひとつ、もう既得権益だ、それでそのまま走っているんだというふうなとらえ方はぜひされないように、かなり苦しんでおるということについて御理解賜りたいと思います。
  120. 角田義一

    ○角田義一君 最後に、一つの例を挙げますけれども、例えば地雷です。地雷を今年度予算で七億円計上しているんです。ところが、御承知だと思いますけれども、今世界の趨勢というのは地雷廃止の流れです。オタワの条約だとかジュネーブの条約だとか、先進国はこの対人地雷については廃止しようという空気が強いわけですね。日本はどうですか、日本防衛庁は。  これは一遍になかなかできないかもしれないけれども、わずか七億という金額かもしれぬけれども、これは国際的にも非常に大きな影響も持つ問題なんですね。こういうものもきちっと洗う必要があるだろうし、この地雷の問題なんかについても国際的な流れというものをきっちり日本自衛隊も踏まえなきゃいかぬと思うんです。  これのお答えをいただいて、私の質問を終わります。
  121. 秋山昌廣

    政府委員(秋山昌廣君) 地雷の問題につきましては、防衛庁日本政府の一員といたしまして、国際的な全面禁止に関する合意に向けて我々としてもそういう方向で努力しているところでございます。  具体的には、今、日本政府としては、自衛隊の持つ地雷について、例えば自己破壊装置のついていない地雷については、実は八年度予算で計上されておりましたけれども予算執行の段階でそういった自己破壊装置のついていない地雷の購入はとめたところでございますし、現在我々が持っている自己破壊装置のついていない地雷については、自己破壊装置等をつけるような方向で今研究開発をし、切りかえようとしているところでございます。  いずれにいたしましても、国際的な会議、オタワ・プロセスですとか軍縮会議ですとか、いろんな流れがあるわけでございますけれども、我々としても国際的な動きに対応して努力してまいりたいと考えているところでございます。
  122. 角田義一

    ○角田義一君 終わります。
  123. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 さきの特措法をめぐる審議の際は私も連日質疑をさせていただきました。そこでの論議は、沖縄の問題がアジア太平洋の安全保障、そしてまたその基礎が沖縄の長年にわたります基地の持つ重圧、そしてそのことをはね返していかなきゃならないという沖縄県民の熱意、そのことにいかにしてこたえていくかということであろうかというふうに思います。沖縄の問題が日本全土の国民の問題だという共通認識に立たなきゃいけない、そんな視点で私もいろいろ質疑をさせていただいたつもりでございます。  そういう中で、その前あるいはその後、防衛庁長官がいわゆる県道一〇四号線越えの実弾射撃場の国内分散につきましてそれぞれ努力を払われたことに対しましても、私も心から敬意を表したいというふうに思います。  さて、そういった意味で、私は特別委員会でも地位協定の問題等につきましていろいろ指摘をさせていただきました。時間の関係もありますけれども、一、二これらに関連をいたしましてお尋ねさせていただきたいというふうに思います。  まず最初に、いわゆる思いやり予算という範疇だと思いますが、在日米軍に米軍住宅を年々我が国予算でそれぞれ要望にこたえる中で対応しておりますけれども、何年何月時点ということで、最新の時点で、在日米軍全体としてこれだけ住宅について必要な要望があると、戸数が、ということをひとつ整理していただきたいのと、そして既に予算も可決したわけですけれども、今年度予算として、具体的には今度、我が国予算の中で何戸住宅建設を見込んでいるかということ、そして沖縄に次ぐ第二の基地県神奈川といつも使わせていただいている言葉でございますが、神奈川県内における住宅建設についての今年度の戸数、これについてお知らせいただきたいと思います。
  124. 首藤新悟

    政府委員(首藤新悟君) 九年度をとらせていただきますが、平成九年度の提供施設整備におきます日米合同委員会の合意内容でございますが、三沢飛行場ほか二十二施設で、中で隊舎八棟、それから家族住宅が四百八十四戸、汚水処理施設、防災施設、管理棟、工場、倉庫等でございます。  このうち神奈川県内における合意内容は、キャンプ座間ほか四施設ございまして、隊舎一棟、それから今お尋ねの家族住宅が二百五十二戸、その他運動施設、育児所、管理棟、倉庫等がございます。
  125. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 座間を含む四施設ですか、座間以外四施設でしたか。
  126. 首藤新悟

    政府委員(首藤新悟君) ほかでございます。
  127. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 座間ほか四施設、このほか四施設というのはどこを指しますか。
  128. 首藤新悟

    政府委員(首藤新悟君) 座間以外は厚木海軍飛行場におきます家族住宅、育児所等、それからあとは相模総合補給廠、さらには吾妻倉庫地区、それから横須賀海軍施設でございます。
  129. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 家族住宅二百五十二というのは池子住宅でしょうか。
  130. 首藤新悟

    政府委員(首藤新悟君) 池子は入ってございません。
  131. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 池子は九年度中にすべて完成するということですけれども、じゃ池子の戸数というのはもう既に着工時にカウントしているということで、今言った二百五十二というのはどの住宅で、今年度からスタートをすると、そういう意味で今御報告いただいたんですか。
  132. 首藤新悟

    政府委員(首藤新悟君) そういうことでございまして、池子の八百五十四戸は着工済みの方に入ってございます。
  133. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そうすると、今の二百五十二というのは、もう一度申しわけないんですけれども、家族住宅はどこに建設をする、新年度着工する予定の戸数ですか。
  134. 首藤新悟

    政府委員(首藤新悟君) 厚木海軍飛行場におきまして家族住宅百十六戸、それから横須賀海軍施設におきまして百三十六戸というふうになってございます。
  135. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 どうもたびたび恐縮でございました。  では、ひとつ池子だけはっきりさせていただきたいんですけれども、池子は長いいろんな年月をかけまして、九年度中に住宅建設でピリオドを打たれるというふうに私は理解をいたしますが、この池子の住宅は横浜、逗子と、逗子が大部分ですけれども、両市にまたがる大変広域な場所で非常に緑地部分が多いところなんですが、住宅はこれで終わるということになりますと、後背地の緑地部分というのは住宅とは無関係になっていくわけであります。そういう場所については日米合同委員会で返還を申し入れる、そういう性格になるんではないかというふうに私は思うんですけれども、そういう用意はございませんか。
  136. 諸冨増夫

    政府委員(諸冨増夫君) 現在、池子の地区は住宅地区と、補給品等の置き場といいますか、艦艇に積むいろんな資材とか、そういう需品の一部とか、そういうものの置き場に現在使用されておりまして、全体として十分有効に活用されておるというふうに私ども認識しておりまして、現段階でアメリカ側から返還の申し出もございませんし、日米間でそういう話し合いをしておるという状況ではございません。
  137. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 長官も御存じだと思うんですね、あの場所は。緑地ですよ。全部もう広大な森ですから、ここにさらに住宅を建てるというのは、これはもうこの前の経緯からいってもないわけでありまして、置き場とかなんかも、じゃ伐採をしてまた新たに置き場をふやそうということも現実的にないわけであります。これはもう地位協定、安保条約の中で合意するということは、どちらかが申し入れをすればいいわけでありますから、私はこの池子住宅についてピリオドを打とうということで日米合同委員会に提起すべきだと思います、残る緑地部分については。  これはまたこういうふうに活用したいというのも自治体は持っているわけですね。こういうふうに活用したいということについても、いつも住民団体含めまして自治体からも議会からも要望していたわけですから、それにこたえていくのが政府役割だというふうに思いますが、再度御回答いただきたいと思います。
  138. 諸冨増夫

    政府委員(諸冨増夫君) 地元から先生今御指摘のような要請といいますか要望があることは私どもよく承知しておりますが、現段階で米軍に提供しておる施設として十分米側としては有効に活用しておるという判断に立っておりまして、今のところ日米間でそういう話し合い、米側の方から返還の申し出とか、あるいは私どもの方から必要ないじゃないかというような形で正式に話し合いをしているわけではないということを申し上げております。  地元からそういう緑地としてもっと有効に活用したらどうかというような御要請があることはよく承知しておるところでございますが、今申し上げたような状況で、現段階では返還等についての日米間の話し合いは行われていないということでございます。
  139. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 してほしいということを言っているわけで、今までしていないということはわかりました、答弁で。これからすべきだということを、ここで明確に線が入るわけですから、九年度中に住宅が終わるということで。これは新たなスタートだということで、こればかりやっていますとほかの問題ができませんから、私は残る部分については返還を合同委員会にぜひ強く提示すべきだということを申し入れさせていただきます。  続きまして、横浜市にあります上瀬谷の通信施設でございます。  これは地位協定に第二条一項に(a)、(b)というふうにあるんですけれども、地位協定の第二条一項(a)というのは第二十五条に定める合同委員会を通じて両政府が締結をするということで、(b)の方は行政協定の終了のときに使用している施設及び区域を指しているわけですけれども、この上瀬谷の場合は(a)、(b)二つのうちどこを指して言うんでしょうか。
  140. 田中均

    説明員田中均君) 私の理解では、今お尋ねありました(b)ということでございます。
  141. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そうすると、政府の方と十分そのことについて事前にやりとりしていないから失礼なのかもわからないんですけれども、事前にいただきました官報の昭和二十七年七月二十六日付のこの行政協定により区域を次のとおり決定をしたというのを見ましても、どこを見ても神奈川県の上瀬谷というのは出てこないんですよ。  (b)というのは行政協定の終了のときに使用している施設及び区域ということなんですけれども、出てこない。そうすると、これは二十五条に定める合同委員会を通じて両政府が締結した上瀬谷なんだなというふうに、私自身は理解をしたんですね。  いかがですか。今はわからないですか、それ以上は。
  142. 諸冨増夫

    政府委員(諸冨増夫君) 事前に通告がなかったという関係で私ども今手元に資料がございませんので、また改めて先生の御質問趣旨をお聞きした上で回答申し上げたいと思っております。
  143. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 もう一つもらっているんです、私。「在日米軍基地について」という、これは作成は九年一月一日現在ということで、全国の在日米軍基地の一覧表だと思うんです。これには提供開始年月日が昭和二十七年七月二十六日付ということで、キャンプ千歳以下ずっと書いてありまして、これには上瀬谷通信施設というのは載っているんですね、昭和二十七年七月二十六日。そうすると、さっき言った官報の行政協定の方とこれが合うんですよ。多分これは役所内でワープロかなんかで打ったものじゃないかというふうに思うんですね。  この地位協定を結ぶに際して、行政協定の時点でのものを引き続き継続使用するということ、そして新たに二十五条で合同委員会で結んだときの協定というのはどういう協定で、協定というのは文書になっているんだろうか、口頭じゃないというふうに思うんですけれども、協定文書というのは行政協定以降結んだ合同委員会で確認した施設ですね、施設・区域というのは。協定の文書はあるんですよね。
  144. 田中均

    説明員田中均君) ここで協定と申しますのは、合同委員会の合意という形で合意をするもの  でございます。
  145. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そうすると、協定というのは、私の理解では、会議を通じて合意して協定の文書を取り交わすと。施設であれば何県何市の何町のこれだけの面積の区域についてこれを合意するということによって、口頭ではなくて文書がそれぞれ取り交わされるというふうな理解なんですけれども、口頭なんでしょうか。
  146. 田中均

    説明員田中均君) 合同委員会の合意と申しますのは、もちろん文書で合意をするということでございます。
  147. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そうすると、二十五条に基づきまして合同委員会で協議して合意をした部分の施設の合意文書はあると。それについては私どもに対して開示といいましょうか、情報公開といいましょうか、要求したときは提示していただけるんですか。
  148. 田中均

    説明員田中均君) 合同委員会の合意と申しますのは、まさにいろんな軍の機能その他にかかわることがございますので、基本的には双方の合意によってしか公表しないということにはなっております。しかしながら、ケース・バイ・ケースで発表をしておるというのもあるということでございます。
  149. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 国有地なわけで、国民の共有の財産であって、これをどれだけの面積で何のために提供するということについて国民の前に明らかにするというのは当たり前なわけでありまして、それを、どういう軍事行動なのかというのは、これはいろいろ問題あるかもわかりませんが、そのことについては何か両方で話し合いをしなけりゃ出せませんなんというようなことは問題だというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  150. 田中均

    説明員田中均君) これも昨年のSACOの合意にございますけれども、合同委員会の合意につきましてはできるだけ公表するという観点から見直しをすべきだということを日米間で合意いたしまして、当然そういう作業は続けていくということでございます。
  151. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 きょう一番最初の質疑の際に、国外との信頼醸成もそうだし、国内の国民との対話というのが大切だということがありましたが、こういう一つ一つのことがやはり不信につながっていくわけですね。これはぜひ改善してほしいというふうに思います。  しかるに、この上瀬谷の場合は二十六年三月十五日に再接収をされ、通信施設として使っていたわけですけれども平成六年十月一日に通信隊から今度は厚木航空施設の司令部に移管になっていて、通信施設の機能はなくなって、今は電波障害区域も解除されている。これは平成七年七月一日からです。  本来、地位協定によりますと、「協定の目的のため必要でなくなったときは、いつでも、日本国に返還しなければならない。」ということになっているんですが、これもまた日本でも申し入れをすることができるということです。実は協定の中身は私たちはわからない。これは当然通信施設としてあったのに、通信施設ではなくなったということは、文書がここになくても目的はもうなくなったわけですから、返還の対象になると私は思うんですが、これは合同委員会日本側から返還を申し入れている経緯はあるんでしょうか。
  152. 田中均

    説明員田中均君) 今お尋ねの施設につきましては、通信施設としていまだにその実態を有しておるということでございます。現在、米海軍の第七艦隊のもとにあります哨戒偵察部隊である第七二任務部隊の司令部として使用されているということでございますし、通信施設としての実態は変わっていないという理解でございます。
  153. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そういう御説明ですけれども、実態はそうじゃないわけですよ、もう看板も変わっていまして。私も今回よく全文を見ていますけれども、地位協定の二条の三項には、「合衆国軍隊が使用する施設及び区域は、この協定の目的のため必要でなくなったときは、いつでも、日本国に返還しなければならない。合衆国は、施設及び区域の必要性を前記の返還を目的としてたえず検討することに同意する。」ということになっているんです。  双方がきちんと合同委員会で話し合っていけば、この上瀬谷の通信施設は既に通信施設ではないからこそ厚木航空施設の司令部に移管になって、配置されている人たちもそういう機能ではないということで、はっきりしているわけですね。そうすると、ずるずるこのままいるということについては、まだもう一回通信施設として使うということがあるのかどうかということが一つあるかもわかりません。もう一つは、何か他の目的としてこの上瀬谷については検討課題になっているんだろうかということが二つ目にあると思うんですね。その辺はいかがなんでしょうか。
  154. 田中均

    説明員田中均君) 私ども理解は通信施設として使用されているということでございます。もちろん、委員指摘のとおり地位協定の二条、不要になった施設というのは返還するという大原則がございますし、当然のことながら基地の使用その他につきましてはいろんな形での意見交換というのはやられますが、私ども理解は通信施設として使用されているということでございます。
  155. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 私は、この上瀬谷については、通信施設として使っているときは、もちろん外側からも、それから中へ入ったことも横浜市議時代にございます。  改めて私も視察をするようなことがこれから出てくると思いますが、ぜひ外務省政府におかれましても、アメリカがそういうふうに言っているからじゃなくて、日本が実際行って、行くことができるんですから、検証してもらって、普通の紳士的な話し合いの中でそれを詰めていく。そういうことで今度また市民、国民に対する利益がそこでは生じてくるわけですから、何か形式的な御答弁をされていても、これは実態が伴わない。このこともまた国民にすれば、一体政府というのは主体性があるんだろうかという話になってしまうわけで、このことも私はこれからの日米関係、国内問題についても大変問題だなというふうに思います。  時間でございますので、質疑は終わりたいと思います。
  156. 笠井亮

    ○笠井亮君 今回の改正案については、いろいろあると思うんですけれども、まず即応予備自衛官制度を導入して防衛出動、それから治安出動、災害派遣、地震防災派遣に招集するということがあります。それからさらに、現行の予備自衛官、そして即応予備自衛官の招集時期を早めたこと、これが私は特徴の中の大きな問題だというふうに思っているんです。  これまでの現行の予備自衛官の任務は、先ほども御答弁がありましたけれども防衛出動時の補完ということで、いわば日本の有事の際に輸送とか補給とか基地警備、レーダーサイトの防空要員などの後方支援に当たることだというふうにしてきたと思うんです。  これに対して、今回導入が具体化されるに至った新たな予備自衛官制度について、これは平成六年八月の防衛問題懇談会の報告に、危急の際に迅速に対応できるようにするためには、新たな予備自衛官を募り、有事においては第一線部隊に充当し得るだけの練度の高い予備兵力をつくり出す、これがねらいであるということが書かれております。さらに、養成に時間のかかる専門的要員、例えば指揮官やパイロットなどにも新たな予備自衛官制度の導入を検討すべきだというふうに書いてあったと思うんです。  その後の経過の中で今回のこういう具体化になっていると思うんですが、今この日本に対して武力攻撃が加えられるという蓋然性がないもとで、現行の予備自衛官とは別に、なぜ第一線の任務につくような一万五千人規模の即応予備自衛官制度の導入なのかというのをまず伺いたいんですが、いかがでしょうか。
  157. 秋山昌廣

    政府委員(秋山昌廣君) もちろんのこと我が国が侵略されることがないようにあらゆる努力をするわけでございますが、防衛という問題は、やはりそういうことがあったときにどうするのか、それからまた抑止のためにも防衛力を保有する、万全を期すということであろうかと思いますけれども、二年前に新たにつくられました防衛大綱におきまして、その防衛大綱に基づく防衛力あり方について次のように述べているわけでございます。    〔委員長退席、理事板垣正君着席〕  それが今回の即応予備自衛官の導入につながっているわけでございますが、そこでは、国際情勢の変化等を踏まえ、「若年人口の減少傾向、格段に厳しさを増している経済財政事情等に配意」しつつ、「防衛力の規模及び機能について見直しを行い、その合理化・効率化・コンパクト化を一層進めるとともに、必要な機能の充実と防衛力の質的な向上を図ることにより、多様な事態に対して有効に対応し得る防衛力を整備し、同時に事態の推移にも円滑に対応できるように適切な弾力性を確保」することとしております。  そして、こういう観点から陸上自衛隊あり方について検討を行ったわけでございますけれども、基幹部隊見直し等を行うことによりまして陸上自衛隊の基本的な枠組みを示す編成定数について、今言ったような状況を踏まえながら、従来の十八万人から十六万人といたしまして、いわゆる合理化、効率化、コンパクト化を図る。その一方で、部隊等の編成に当たっては常備自衛官をもって充てることを原則としつつ、一部の部隊については即応予備自衛官を主体として充てることにより適切な弾力性を確保する、こういう形で陸上自衛隊の基幹部隊見直しを行う、その過程でこの即応予備自衛官の導入というものを考えたところでございます。
  158. 笠井亮

    ○笠井亮君 今いろいろ言われましたけれども、合理化、効率化、コンパクト化云々という問題について言いますと、定数は減ったとしても陸の実動人員はむしろふえていくということを衛藤元防衛庁長官も言われておりましたし、問題は数合わせの問題じゃないということだと思うんです。    〔理事板垣正君退席、委員長着席〕  今、局長も言われましたが、さまざまな事態対応していく、これが新防衛大綱の中にあるという、まさにその点が今回の問題を考えるとき非常に大事な問題の一つだと思っているんですけれども、この新防衛計画大綱では、大規模災害などとともに周辺地域の緊急事態への対応ということが重要な柱の一つになっていると思います。  今回の改正で、こうした事態対応するために所属師団に出動命令が出れば、そこに配属されることになる即応予備自衛官も一緒に投入することを考えているのかどうか、そこはいかがでしょうか。
  159. 秋山昌廣

    政府委員(秋山昌廣君) ちょっと御質問趣旨が正確にとれませんでしたが、先ほど申し上げましたように、例えば部隊改編をする師団につきまして申し上げますと、現在ですと普通科連隊が通常四連隊あるわけでございまして、今回そのうちの一つ即応予備自衛官を主体とする連隊にする。そういたしますと、八割程度が非常勤の即応予備自衛官で構成される、そういう部隊になるわけでございます。しかし、防衛出動が発動されるとか、そういった事態になった場合に、当然まず即応予備自衛官を招集するという行為が必要なわけでございまして、その必要性があるかどうかという判断がもちろんあるわけでございますけれども、招集され、あらかじめ定められた部隊につくことになっておりまして、そして行動をともにするということになろうかと思います。
  160. 笠井亮

    ○笠井亮君 一応確認のためにそのことを具体的に聞いてみたいと思うんですけれども平成九年度に即応予備自衛官は福岡の駐屯地の第四師団の隷下に編成を予定しているということであります。そうしますと、今おっしゃったように、招集された以上、常備自衛官と同様にその師団としての指揮命令下で動くのは当然だという流れになると思うんですね。  例えば、極東の有事という際に、相手国の戦場でない地域、戦場の後方地域というふうに言われておりましたが、そこに行く場合に即応予備自衛官も一緒に行って支援活動をすることはあり得るのか。今の御説明だと即応予備自衛官だけが行かずに残るわけではないというふうに思うんですけれども、そういうことでいいんですね。
  161. 秋山昌廣

    政府委員(秋山昌廣君) 午前中の質問にもお答えいたしましたけれども、現在の予備自衛官と違いまして、今回導入しようとしております即応予備自衛官につきましては、あらかじめ決められた部隊防衛招集があった場合には直ちに配属になるわけでございますけれども、その行動防衛出動、治安出動、災害派遣あるいは地震防災派遣ということでございまして、そういう行動の中で防衛招集されている即応予備自衛官部隊も当然その指揮の中で活動をするということになります。
  162. 笠井亮

    ○笠井亮君 常備自衛官と即応予備自衛官は今のような場合に区別がないということのお答えがあったと思います。  もう一つ確認なんですけれども即応予備自衛官は例えば日米共同演習なんかの場合にも参加をしていくのかどうか、そういうことについてはどのようにお考えですか。
  163. 秋山昌廣

    政府委員(秋山昌廣君) 即応予備自衛官訓練につきましては、法案では三十日以内ということで別途総理府令で定めることになっております。その訓練内容につきましては、例えば従来の予備自衛官でございますと主として個人訓練ということであったと思いますが、今回は部隊訓練も導入いたしまして、今御質問がありましたように、防衛出動等の行動がある場合の行動が行えるような訓練をしたいというふうに考えております。  今の御質問について、私ちょっとどういう訓練が今後考えられているかということを正確に今申し上げられませんが、そういったものが具体的に予定されているというふうには考えておりません。  と同時に、先ほどの御質問で、常備自衛官とともに全く一緒に行動をするんですねという、ちょっと確認の御発言がありました。しかし、これは部隊を守るという現在の予備自衛官とは違いまして、常備自衛官により編成される部隊とともにその師団との作戦地域で行動するわけでございますが、その作戦地域での行動役割は常備自衛官で構成される部隊即応予備自衛官で構成される部隊とはおのずから戦術上、作戦上、変わってくるということはお断りしておきたいと思います。
  164. 笠井亮

    ○笠井亮君 要するに、共同演習については具体的には予定はされていないけれども、今のお話だと制度的には排除するものではないというふうに理解できると思うんです。  それと、要するに招集された以上、役割回りはいろいろ部隊ごとに違うのは当然でありまして、ただ常備自衛官だからとか即応予備自衛官だからということで任務が根本的に違うということではないんだということなのかと思います。ソ連崩壊後の今、新しい今日の情勢に即して、周辺地域の緊急事態にもどういう形かは別として対応できるような位置づけで新たにつくられる制度だというのが私は重大な点ではないかというふうに思うんです。  その上で、予備自衛官、即応予備自衛官の招集時期の問題について伺いたいんです。  防衛庁は八一年の二月に防衛研究の結果をまとめておられますが、その五項目の二番目に、有事における防衛力を有効に発揮するための自衛隊の人員の充足、再配置などのことがありますが、そこで予備自衛官の招集時期を早めるべきだという結論づけが行われているというのが、これは八一年の問題ですけれども、あります。  今回の改正案は、招集時期について、防衛出動命令が発せられることが予測される場合、つまり防衛出動待機のときに招集されるということになっていると思うんです。先ほどの答弁だと、防衛出動命令が出てからとかいろいろ言っても遅いので、早目に、それから即応態勢をとるためだということがありましたが、私はこの間の流れから見ますと、まさにソ連崩壊後の情勢に見合った形で、今八一年から時がたっていますが、有事法制の今日的な具体化ということで受けとめていいのかどうか、そういうことになるんじゃないかというふうに思うんですが、その点はいかがでしょうか。
  165. 秋山昌廣

    政府委員(秋山昌廣君) 今の御質問にお答えする前に、冒頭確認のような御発言がございましたので、それについてちょっとコメントさせていただきたいと思います。  我が国の周辺において起こる事態に対して、即応予備自衛官も常備自衛官と同様の行動をするということを確認するという御発言があったと思いますけれども、あくまでも防衛出動ですとか治安出動ですとか、あるいは災害派遣活動等、法律の規定に照らして即応予備自衛官防衛招集されたときの行動を私はお答え申し上げたわけでございます。我が国周辺地域において何か事態が起こったときに、今のような行動についての発動があるかどうかという問題と別問題でございまして、通常の場合、我が国が攻撃されない限りは防衛出動は発動されないということについて改めてここでお断りしておきたいと思います。  その上で、御質問の点でございますけれども、確かに有事法制の研究の中で今御指摘のあったような議論がございました。そして、「例えば、」ということで、御質問のあったような提言も研究の中にあるわけでございますが、今回の予備自衛官の防衛招集時期についての見直しにつきましては、今御審議いただいております即応予備自衛官の導入に当たりまして、その導入の過程で即応予備自衛官の招集時期の議論をいたしました。そして、それにあわせて現行制度の予備自衛官の招集時期を改めて見直した結果、先ほど申し上げたような理由で今回改正をお願いしたいと、こういうものでございます。
  166. 笠井亮

    ○笠井亮君 要するに、今おっしゃったことで言いますと、まさにそういう形で今やることが有事立法の具体化につながっていくんじゃないかというふうに私は思うわけであります。  実際に八一年の有事法制研究の第一分類の中間報告というのがありますけれども、「自衛隊法七十条の規定による予備自衛官の招集に関しては、招集に相当の期間を要し、防衛出動命令下令後から行うのでは間に合わないことがあるので、例えば、防衛出動待機命令下令時から、これを行いうるようにすることが必要であると考えられる。」というふうに提起しておりました。かねての懸案を今回の改正でやっていこうということに踏み込んでいくというふうに私は見られると思うんですけれども、そういうことを申し上げておきたいと思うんです。  もう一つ聞いておきたいんですけれども、八六年四月九日の衆議院の安保特で当時の西廣防衛局長が、「予備的な柔軟性というものは多いにこしたことはないわけですが、現在の予備自衛官制度というものを前提といたしますと、どうしてもおのずからソースが限られておる」、「今の予備自衛官制度のもとではそれほど規模は広げられないの一ではないか、そろそろ限界に近づいている」というふうに答弁されて、当時の加藤防衛庁長官が、予備自衛官のあり方について本格的に検討する、その最大のテーマというのは、自衛隊員の経験者以外の新しい第二予備自衛官制度みたいなものも一つではないか、検討対象になっているというふうに答弁をしています。いわゆる自衛隊の未経験者をも対象にするということだと思うんですけれども、もうそれから十年時がたっておりまして、結論が出ていると思うんですけれども、それはどういうふうになっているんでしょうか。
  167. 秋山昌廣

    政府委員(秋山昌廣君) 当時そういったやりとりがあったということは私も承知しているわけでございますけれども、しかし今回即応予備自衛官を導入するに当たっての理由は、先ほど申し上げたようにいろいろな背景がございまして、防衛力の機能について、充実とその質的な拡充を図ると同時に、その合理化、効率化、コンパクト化を進めていく、弾力性も保持する、そういう観点の中で陸上自衛隊の基幹部隊見直し、十八万から十六万に落とすという中で出てきた問題でございまして、今御質問の点について、今回この即応予備自衛官を導入するに当たって議論したわけではございません。
  168. 笠井亮

    ○笠井亮君 いろいろな背景がある中に、そういうことも含めての検討の中で当然あると思うんですよ。それと切り離したとしても、十年前のそういう問題については、当時の加藤防衛庁長官は最大のテーマだと言われたわけですが、そのこと自身については今どういう検討になっていて、防衛庁としてはどういう方向性を持っていらっしゃるんですか。
  169. 秋山昌廣

    政府委員(秋山昌廣君) 御質問の点について、今特段の検討を進めているということはございません。
  170. 笠井亮

    ○笠井亮君 では、それは要するにもう必要がないということで棚上げにすると。その当時は最大のテーマの一つだったけれども、今、今日的にはこういう体制でいくので、そういう自衛隊員未経験者を対象にすることについて特段の検討をしていないということは、もうやめたということでいいんですね。導入しないということでいいんですか、将来もないと。
  171. 秋山昌廣

    政府委員(秋山昌廣君) 御質問の点を少し言葉を変えますと、予備自衛官ないしは即応予備自衛官、総称して予備自衛官かもしれませんが、それについての募集の問題であろうかと思います。今、我々が考えておりますのは、即応予備にしろそれから予備自衛官にしろ自衛官の経験者というのが対象でありますが、公募というものはどうかということについては募集のあり方の問題として研究しております。
  172. 笠井亮

    ○笠井亮君 以上幾つか伺ってまいりまして明らかになったと思うんですけれども即応予備自衛官が編成定数の内数ということで招集されるというふうになっていくということは、つまりは正規の陸上自衛官が行う任務と招集された以上はほとんど同じことを行う。もちろん役割は違うとさつきおっしゃいましたが、区別があるわけではなくて、それを通じて日米安保共同宣言が求めているような新たな任務にいわば瞬時につけるようになって、動員できる体制をつくろうということになるんじゃないかというふうに思うんですよ、長官は首をかしげていらっしゃいますけれども。  それで、さっき防衛出動のときに初めてそこから始まるんだと言われましたが、しかしその防衛出動がどの時点でどういうふうになるのか。日本が攻撃されたとき、侵略されたときということをめぐっていろいろ議論がある中で、それがまた広がっていくということも今いろいろあるわけですから。そういう点で、従来日本防衛に限定された予備自衛官の任務がまさに新しい段階に拡大するというような流れとして重大な意味を持っていると言わざるを得ない。私は、そういう制度であってはならないし、そういう制度を導入すべきでないということを申し上げたいと思うわけであります。  次に、ガイドラインの見直しの問題に関連して幾つか伺いたいんですが、昨年四月の日米安保共同宣言に基づいてことしの秋を目途にして見直し作業が行われているということで、総理も訪米されるし局長も訪米されるということを伺っておりますが、五月中旬に中間報告を目指しているということであります。  日本有事の際の日米協力の問題ということではなくて、新たに周辺有事あるいは日本以外の地域の戦争の際の米軍と自衛隊との協力について取り決めを考えていくということで検討がされていると思うんですけれども、これは憲法にかかわる極めて重大な問題なので、幾つもあるんですが、ここでは自衛隊と米軍との作戦運用、オペレーションの問題について具体的に伺っておきたいと思います。  昨年九月の進捗状況の報告がありました。これは、周辺有事の際の協力対象の五番目に自衛隊と米軍のオペレーションということを挙げております。  それで、秋山局長は、昨年十二月の本委員会での答弁の中で、これは共同作戦とか共国運用とかいうことではない、つまり日米それぞれが動くんだということで、「具体的な事案に沿って、まず自衛隊は自分の国の安全保障にかかわる問題として何をしなくちゃいけないのか、そして他方で米軍の運用について自衛隊がどの程度支援ができるのかといったような議論の整理をしていきたい。」というふうにおっしゃっておりました。それから大分時間がたってまいりまして、今中間報告に向けて作業を進められているということだと思いますが、そういう作戦運用の対象として具体的には何についてやっていくということで今検討されているんですか。
  173. 秋山昌廣

    政府委員(秋山昌廣君) まさに現在その作業を進めているところでございます。当時も申し上げたかもしれませんけれども、例えば情報交換ですとか監視警戒活動ですとか、そういった自衛隊として我が国周辺で尋常でないことが起こった場合の活動というのは当然あるわけでございます。そして、その活動自体がまた逆に当然のこととして米軍にとってもある意味で重要な意味を持っている可能性があるわけでございまして、自衛隊の活動と米軍の活動のお互いに協力できる部分、そういったものをこの中で検討していきたい。  先般、久間大臣と米国のコーエン国防長官との防衛首脳会談の場で、日米のガイドラインの見直しについて、国内外、米国でもそうでございますけれども、非常に関心もあるし議論もされているということでございまして、なるべく今の作業を早めて五月の中旬以降適当な時期にもう一回中間的な取りまとめをして公表していきたいというふうに合意したところでございまして、我々は今その目的に向けてその中間取りまとめの作業を進めているという状況でございます。
  174. 笠井亮

    ○笠井亮君 今、具体的に情報とかそれから警戒監視の問題その他というふうに言われました。  去年十一月、「セキュリタリアン」という雑誌の中でガイドラインの見直しをめぐる座談会を私は興味深く拝見いたしました。その中で秋山局長が、日本周辺有事で「日本安全保障にとっても緊張感が出て来ていますから自衛隊も相当動くことがあるわけですね。その辺の絵を描こうじゃないかという議論が、最後の自衛隊と米軍の運用という所に含まれている。かなりこれは重要なポイントなんですね。」というふうに言われていて、同じ座談会で山口統合幕僚会議事務局第五室長が、「自衛隊は情報収集活動をしたり、飛行機を飛ばしたりして警戒する、というのは当然のことですから、そういった事は自衛隊の本来的な業務としてなさなければならない。そういったこともアメリカと協力しながらやっていくことを考える、というのは、非常に重要なこと」だというふうに言われておりました。   これは日本が攻撃を受けてもいない周辺有事で、例えば自衛隊がP3Cだとか早期警戒機を飛ばして情報収集して、それを米軍に提供するという行動をとることじゃないかと私はそれを拝見しながら思ったんですが、例えば相手国の航空機や潜水艦の位置をそういう中で教えることができるのか。それは米軍の武力攻撃の不可欠な役割を担うことになると思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。
  175. 秋山昌廣

    政府委員(秋山昌廣君) 自衛隊は常時継続的に情報収集とか警戒監視活動をやっているわけでございまして、我が国周辺で平常時ではないような事態が起こった場合にそういう活動を強化するというのはこれまた自衛隊役割からいって当然のことであろうかと思います。そして、我が国防衛と極東の平和と安定に責務を負っている米軍としてもこれまた同じような状況かと思います。  情報交換について少し具体的な指摘をされながら今御質問があったわけでございますけれども、御質問は集団的自衛権とかそういった問題にもかかわる話かと思います。従来から答弁しておりますように、ある行為がそういう行使に当たるか否かというのは、集団的自衛権が実力の行使を内容とする概念であるために、その行為が実力の行使であるかどうかにより判断されるべきかと思うわけでございます。今申し上げたような活動の中で日米間で情報交換をするということは当然想定しているところでございますけれども自衛隊にとっては我が国防衛のために収集した情報を提供するわけでございまして、それを提供することは一般的には実力の行使に当たらないというふうに考えておりまして、そういった情報交換を我々はやらなければならないし、大いにやるべきだと考えているところでございます。
  176. 笠井亮

    ○笠井亮君 その点は大事な問題だと思うんです。  ジェームズ・アワーという元米国防長官の特別補佐官をやっていた人がいますが、収集した情報はお互いの航空機に搭載したコンピューターを通じて直接交換されたということを言われております。現実にはこういう情報の問題というのは瞬時にして直接交換されるシステムに日米間でなっていると思うんですよ。  それで、アメリカが戦争行動をしているときに自衛隊のP3Cや早期警戒機が収集した相手国の軍隊の情報を米軍にリアルタイムで提供していくということになりますと、私は集団的自衛権ということまでまだ言わないですが、これは極めて重大な問題になってくると思うんです。そういう場合には、相手方から見れば明らかに武力行使と一体というふうに見られるんじゃないんですか。それはどういうふうにお考えですか。
  177. 秋山昌廣

    政府委員(秋山昌廣君) ちょっと前の答弁になりますけれども、これは昭和六十三年の四月でございますが、衆議院の安全保障特別委員会で当時の防衛局長の西廣政府委員が答弁をしております。いろいろ情報交換ができるというふうに考えているけれども、情報というのにも非常に種類がある、あるぎりぎりの段階になって、例えばある目標、何度何分、角度何度で撃て、こういうふうなことがあるとしますと、これも一種の情報の伝達になるわけでありますが、これは果たして通常我々が考えている憲法上の問題もない情報の提供になるのかどうかというあたりの問題はあるという答弁はしているわけでございまして、我々としても情報交換が一〇〇%全く問題がないということを申し上げているわけではございませんで、自衛隊が行う我が国防衛のための一般的な情報についての提供というものは武力行使ではないというふうに考えているということを申し上げているわけでございます。
  178. 笠井亮

    ○笠井亮君 私、一般的なというよりも、先ほど具体的なケースということでこういう場合どうかということを伺ったわけで、一般的に情報交換していることはどうだということを聞いているわけじゃないんですよ。  かつての答弁も言われましたが、また一つ指摘しておきたいんです。  ついせんだって、四月十日ですけれども内閣法制局が見解を出して、この中で、「例えば、特定の国の武力行使を直接支援するために、偵察行動を伴うような情報収集を行い、これを提供するようなことについては、他の者による武力の行使と一体となると判断される可能性がある」と、ここまで明言しているわけです。まさに今、先ほど言いましたけれども自衛隊の提供した情報で米軍が瞬時に攻撃をする、攻撃行動に出るということになったら、相手から見たらこれは明らかに武力行使と一体と見られるということは、それはもう局長もそうだというふうにお認めになりますね。
  179. 秋山昌廣

    政府委員(秋山昌廣君) 私、先ほど答弁したのは一般論で恐縮でございますけれども、繰り返しません、そういう考え方でございます。他方で、少し極端な例かもしれませんけれども、昭和六十三年の西廣政府委員の答弁を引用させていただきました。それを組み合わせたものが法制局の今回の、回答書というんでしょうか、文書であろうかと思いますが、私の理解では、一般論の中で極めて限定的なものがあるということを法制局の方で答弁をしたというふうに理解しております。
  180. 笠井亮

    ○笠井亮君 限定的とかいろいろ条件をつけられますが、相手から見れば一体とみなされることはもう明らかになるわけで、結局、米軍と自衛隊のオペレーションというのは、日本は攻撃されていないのにアメリカが行う紛争なり戦争に米軍とともに自衛隊が情報収集、警戒活動などで動いていく、連携して作戦行動をとっていくことにつながるということで、これは憲法上極めて重大な問題だというふうに思うんです。  先ほどの即応予備自衛官もそうです。防衛出動ということになりますと、今度は予測される場合ということまでですから、予測となればどこで予測するのか。攻撃されるかもしれないというはるか前の予測になって、それで即応予備自衛官が招集されるわけですから。そのもとでさっき私が言ったような行動に出ることがあるということで言えば、これは新しい方向に向かって出るというのは普通に見れば明らかになってくる問題だと思うんですよ。そのことは改めて申し上げておきたいと思います。  さて、私はその上に立って、総理も訪米されるということを前にしながら、この間の沖縄問題にあわせて二つの点だけ伺っておきたいんですが、一つは先ほど来あります米軍用地特措法が強行成立をしたということであります。  強行措置とも言えるやり方で沖縄県民の声を封じようとしても、その後の世論調査がいろいろ出ておりまして、基地をなくせの世論と運動、あるいはこの特措法そのものに対する世論のかなり強い反対というのがあるわけですが、これは抑えることはできないし、この問題は基地のたらい回しということでは解決できないというふうに考えているところであります。  そこで、県道一〇四号線越えの実弾射撃訓練本土移転問題について伺っておきたいと思います。  久間長官が日米首脳会談を前にして日米間の宿題に一定のめどをつけるというふうなことも言われて、直接言われたかは私存じませんが、そういう流れの中で、二十日と二十二日の両日、王城寺原と日出生台に行かれて、昨日は東富士関係ともお会いになったということでありますが、先ほど一応の決着を見たと言われました。  長官自身がおっしゃったように、もろ手を挙げて賛成ではないが、やむを得ないというふうになってもらって何とか各地でできるようになりそうだということでありますが、繰り返し理解協力ということで言われてきたけれども、よく拝見していますと、国の責任でこれを実施する旨を言われたということで言うと、これはいわば一方的な最後通告をしに行ったというのが長官の御行動だったのかなというふうに私は受けとめるんです。会談の後、浅野宮城県知事が、これは国からの申し渡しだ、一方的に押し切られたと感じているというふうに感想を述べたと言われております。それから、平松大分県知事も、国の責任で実施するのであればこれはいかんともしがたいというふうに述べていることでも、私はこれはもう通告に行ったということは明らかじゃないかと思うんです。  この問題は、これまで政府国会質疑の中でも、それから現地との関係でも繰り返し地元理解協力が不可欠だ、それなしにはやらないんですということも場合場合によっては言われてきた。諸冨施設長官もそういうことを繰り返し言われてきたと思うんです。ところが、今回の対応、それから現地の知事などの対応などを見ても、実際そうなのかということを強く感じざるを得ないわけであります。  浅野知事への回答書というのを出されたということでありますが、それを拝見しましても、政府としてはこれはもう変えることができないものだ、九年度からの五カ所への分散移転の実施は政府としては変えることができないものだということをはっきりおっしゃって、そして何とぞ理解協力をというふうなことが最後についているんですが、変えることができないものを理解協力と言うことは、要するに国がやるから黙って、問答無用で聞きなさいということをおっしゃったと、中身的にはですよ、そういうふうに直接長官が口で言われたということじゃないんですが、意味するところはそういうことなんじゃないんですか。長官、いかがですか。
  181. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 各自治体の町長さん、村長さん、また知事さん等も、県民あるいは町民、村民が全部もろ手を挙げて一人残らず賛成している場合はこれは賛成と言っていただけるわけでございますけれども、その方々が、地区内に反対する方がおられる、そしてまた近いうちに選挙があるとか、あるいは先般選挙があったときに反対と言って出てきたとか、そういういろんな経緯があるだけに、やはりこういう問題について表現をされるときには非常につらい立場に置かれるわけでございます。したがいまして、言葉一つとりましても、その言葉がどういう背景の中で述べられておるか、そういうことも私どもとしては十分に吟味しながら、しかし国としてはこういう立場で、しかも沖縄のことを考えると、せめて一〇四号を一カ所じゃなくて五カ所で、しかも一年間に十日以内で分散して実施させていただきたいという気持ちをるる御説明して、先ほど言いましたようなお立場はお立場としながら国がやることについて御理解を求めたということでございまして、もう木で鼻をくくったように一方的に押しつけたというようなことではございません。  したがいまして、そういうようなこちらの立場、それもまた理解していただきながら、もう各町長さんや市長さん、村長さん、また知事さんの立場の中であのようにいかんともしがたいとか、あるいはまたしようがないとか、そういうような表現ながら、しかしやられるについてはこういうことをきちんと実施していただきたいというようなこともその後に述べられて、私どももそれについては遵守しますというようなことで円満裏に別れておるわけでございますので、そういう総合的な判断の中で話し合いが行われて実施する方向に固まってきたという、総合的な雰囲気をぜひ御理解賜りたいと思うわけでございます。
  182. 笠井亮

    ○笠井亮君 私も木で鼻をくくって長官がこれ聞きなさいと言ったんだと言っているわけじゃないんですが、要するにそういうふうに地元から受けとめられるし、知事もなかなか苦悩のああいう発言をされた、それぞれあったと思うんです。  ただ、あの直後にも宮城でいえば、例えば地元の町議会ですか、全員協議会であくまで反対だということが出たり、宮城県に対する回答書の中でも、あれを見て地元では、えっと、一回当たり滞在日数が二十五日以下ということで、もちろん私もSACOのあの動きの流れを見ていて、十日間たったらいなくなるなんて全く思っていないから、だからこそこれはもっと長くなりますよ、事故が起こるおそれもありますよということを私はあのころから地元で交流しながらいろいろ言ってきました。そして、予測しがたい事情が起こったら改めて相談する、もっとふえるかもしれないということも合意があるのかなと思わざるを得ないわけでありまして、まさにそういう点ではああいう回答一つとっても衝撃を受けている部分があるわけであります。  ですから、本当にあれでは納得していないし、ああいう形のたらい回しでの移転というのはやめるべきだし、本当の解決は海兵隊が出ていくしかないんだということを改めて私は申し上げておきたいと思うんです。これはまた御議論あると思いますが、そういうことを申し上げたいと思います。  最後に、劣化ウラン弾の訓練事件について、外務省がいらっしゃっているので伺っておきたいと思います。  一昨日、科技庁から公表された調査結果がありますが、劣化ウラン弾があった場所近くの土壌から高濃度のウランが検出された。科技庁はもちろんそれが直ちに影響を及ぼすようなものではないということを言っておりますが、改めて劣化ウラン弾による環境破壊をまざまざと見せつけた事態が明らかになったと思うんです。三月三十一日の米側の最終報告書ですけれども、その中では「九七年三月に鳥島において採取された土壌試料の分析結果は、劣化ウラン弾の発射を原因とする鳥島の著しい又は広範な汚染はないことを示す九六年三月及び四月の土壌サンプリングの結果を証明した。」というふうに書かれておりますが、まさに政府自身の調査によってそれが覆されたとも言っていいようなことが明らかになっているわけであります。  これは科技庁も最終的ではないと言っておりますが、政府はそういう中で米側の最終報告書でもう納得したというのじゃなくて、あの原因の問題も含めて今回のような結果も出ているわけですから、残された劣化ウラン弾の早急な回収、あるいは地表だけでなくて深さの異なる放出源の調査もアメリカに実施させる、原因についてもさらにただすべきことはただすということが必要だと思うんですけれども政府としての現時点での対応の方針はいかがなっていますか。
  183. 田中均

    説明員田中均君) 委員指摘ではございますけれども、米側の最終報告書にも同様の記述が実はございます。アームストロング報告書が別添されておるわけでございますが、その中でも、「土・砂の分析結果は、広範な又は著しい汚染がないことを示している。劣化ウランによる土壌の汚染は、弾心が存在する地点又は酸化した劣化ウランが存在する地点に限定されている。」ということでございまして、決して米側の報告書と科技庁の分析、発見ということについて差異があるわけではございません。結論においてもその差はないものと思っております。  しかしながら、この事件は本来あってはならない事件でございますし、米側との関係でも常にその定期的なモニター、それから未回収の劣化ウラン弾の引き続く回収ということについてはきちんとした配慮をしていくということになっております。
  184. 笠井亮

    ○笠井亮君 いや、米側のものとは差異がないと言われましたが、高濃度のウランが検出されたというふうに科技庁の方には書いてあるわけですよ。向こうの側はそういうことははっきり書いていないわけですよ、そういう点は。差異がないというのは、これはちょっと説明がつかないことだと思うんです。やっぱり主権国家としてきちっとこの調査の問題、それから回収の問題、原因の究明の問題を最終報告が出た今の時点できちっとやるべきだということを強く求めておきたいと思います。
  185. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  186. 笠井亮

    ○笠井亮君 日本共産党を代表して、本案に反対討論を行います。  即応予備自衛官制度は、陸上防衛力の基本的な枠組みの一部になり、一たん招集されるや正規の自衛官と同等の任務を負い、日米安保共同宣言が求める新たな任務への態勢をつくるものであります。  新防衛計画の大綱では、大規模災害等とともに、周辺地域の緊急事態への対応が重要な柱になっています。招集された即応予備自衛官は所属師団に出動命令が出されればこうした事態にも投入されることにつながり、今までの予備自衛官の任務を大きく超えるものです。  また、本法案は、新防衛大綱中期防が鳴り物入りで合理化だ、コンパクト化だと言ってきたにもかかわらず、陸上自衛隊定数の削減を千四百二十三名にとどめ、逆に統合幕僚会議の定数を三十名ふやし、さらに定員と同等の任務を果たす千三百七十三名の即応予備自衛官を導入するとしています。これらを総合すれば、現行の二十七万三千七百五十一人から見て〇・〇〇七%、わずか二十人の変化でしかなく、これを軍縮とか削減などと認めるわけにはまいりません。  さらに、即応予備自衛官を確保するため、明確な基準も持たずに企業に法定給付となし得ないような給付金を支給することは予算制度上重大な問題であります。  私は、このような重大な問題を持つ即応予備自衛官制度の導入に反対し、あわせて公募予備自衛官制度の導入の検討を中止するよう求めます。  なお、補給統制本部の新設は、陸上自衛隊の補給部隊を一元化し、補給・整備業務の効率化を進めることによって、ガイドライン見直しのもとで補給面での米軍と自衛隊との相互運用性を強め、米軍への後方支援を強化するものであり、容認できるものではありません。  以上をもちまして反対討論を終わります。
  187. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  防衛庁設置法等の一部を改正する法律案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  188. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  189. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時四十九分散会