運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1997-09-26 第140回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年九月二十六日(金曜日)    午後二時一二十分開会     ―――――――――――――    委員長異動  六月十八日鎌田要人委員長辞任につき、その  補欠として竹山裕君を議院において委員長に選  任した。     ―――――――――――――    委員異動  六月十八日     辞任        補欠選任      大久保直彦君     寺澤 芳男君      清水 澄子君     瀬谷 英行君  七月四日     辞任        補欠選任      岡野  裕君     井上  孝君      鈴木 貞敏君     坪井 一宇君  七月七日     辞任        補欠選任      坪井 一宇君     鈴木 貞敏君  八月七日     辞任        補欠選任      北澤 俊美君     釘宮  磐君  九月八日     辞任        補欠選任      釘宮  磐君     北澤 俊美君  九月十二日     辞任        補欠選任      寺澤 芳男君     荒木 清寛君  九月十八日     辞任        補欠選任      聴濤  弘君     橋本  敦君  九月十九日     辞任        補欠選任      橋本  敦君     聴濤  弘君 九月二十五日    辞任        補欠選任      聴濤  弘君     橋本  敦君     ―――――――――――――  出席者は左のとおり。    委員長          竹山  裕君    理 事                 板垣  正君                 依田 智治君                 永野 茂門君                 瀬谷 英行君    委 員                 井上  孝君                 狩野  安君                 鎌田 要人君                 鈴木 貞敏君                 村上 正邦君                 荒木 清寛君                 鈴木 正孝君                 山崎  力君                 齋藤  勁君                 角田 義一君                 笠井  亮君                 橋本  敦君    国務大臣        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 村岡 兼造君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  小里 貞利君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 久雄君    説明員        内閣官房長官  額賀福志郎君        人事院総裁    中島 忠能君        人事院事務総局        任用局長     角野 敬明君        人事院事務総局        給与局長     武政 和夫君        総務政務次官   熊代 昭彦君        総務庁人事局長  中川 良一君        総務庁行政管理        局長       河野  昭君        防衛政務次官   栗原 裕康君        防衛庁人事教育        局長       坂野  興君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠選任の件 ○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調  査並びに国防衛に関する調査  (一般職職員給与についての報告及び給与  の改定についての勧告に関する件)  (公務員の天下り問題に関する件)  (政治倫理の在り方に関する件)     ―――――――――――――
  2. 竹山裕

    委員長竹山裕君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  この際、一言あいさつを申し上げます。  去る六月十八日の本会議におきまして内閣委員長選任されました竹山裕でございます。  本委員会国家行政組織や国の防衛等の重要な諸問題を所管する委員会でございます。このような重大な責務を担う内閣委員会委員長といたしまして、委員各位の御指導、御協力を賜り、公正円満な委員会運営を行っていく所存でございますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)  鎌田前委員長から退任のごあいさつがございます。鎌田要人君。
  3. 鎌田要人

    鎌田要人君 鎌田でございます。一言あいさつを申し上げます。  私の委員長在任中は、皆様方の御協力によりまして、大過なくかつ大変愉快に過ごすことができました。これもひとえに皆様方のお力添えのたまものと心から感謝申し上げます。この場をおかりいたしまして厚く御礼を申し述べさせていただきます。  以上でございます。(拍手)     ―――――――――――――
  4. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 理事辞任についてお諮りいたします。  鈴木正孝君から、文書をもって、都合により理事辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  理事補欠選任についてお諮りいたします。  現在理事が三名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事依田智治君、永野茂門君及び瀬谷英行君を指名いたします。     ―――――――――――――
  7. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 国務大臣及び政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。村岡内閣官房長官
  8. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) このたび内閣官房長官を拝命いたしました村岡兼造でございます。内閣官房及び総理府本府の事務を担当し、あわせまして男女共同参画、阪神・淡路復興沖縄担当もいたすことになりました。  微力でございますが、誠心誠意職務の遂行に努めますので、委員長初め皆様方の格別の御指導、御鞭撻をお願いいたしまして、ごあいさつといたします。  どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手
  9. 竹山裕

  10. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) このたび総務庁長官及び行政改革担当大臣を拝命いたしました小里でございます。  私は、経済情勢変化に対応した総合的かつ効率的な行政を実現するために、内閣の最重要課題でございます行政改革推進を初め各般の課題誠心誠意取り組んでまいる所存でございます。  どうか委員長を初め理事委員皆様方の格段の御指導をお願い申し上げます。(拍手
  11. 竹山裕

  12. 額賀福志郎

    説明員額賀福志郎君) ただいま御紹介をいただきました、このたび内閣官房長官を拝命いたしました額賀福志郎であります。  委員長初め各委員先生方の御指導をいただきながら、村岡官房長官を補佐し、全力を尽くして仕事に邁進をしてまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。  ありがとうございました。(拍手
  13. 竹山裕

  14. 熊代昭彦

    説明員熊代昭彦君) このたび総務政務次官を拝命いたしました熊代昭彦でございます。  小里長官をお助けして、行政改革その他総務庁仕事誠心誠意かつダイナミックに取り組ませ一ていただきたいと考えているところでございます。  委員長初め理事委員先生皆様方に、どうかよろしく御指導、御鞭撻のほどをお願い申し上げます。  ありがとうございました。(拍手
  15. 竹山裕

  16. 栗原裕康

    説明員栗原裕康君) 防衛政務次官を拝命いたしました栗原裕康でございます。  我が国の平和と安全を守るという崇高な任務に携わることとなり、その使命と責任の重大さに身の引き締まる思いでございます。久間長官を補佐し、最善を尽くして責務を全うしてまいる所存でございます。郷土の大先輩である竹山委員長を初め委員各位の御指導、御鞭撻を賜りますように心よりお願いを申し上げる次第でございます。  ありがとうございました。(拍手
  17. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 人事院総裁から発言を求められておりますので、これを許します。中島人事院総裁
  18. 中島忠能

    説明員中島忠能君) 去る六月二十四日、国会の御承認をいただき、人事院総裁に就任いたしました中島でございます。  その任務重要性を認識し、誠心誠意努力してまいりますので、委員先生方の御指導をよろしくお願い申し上げます。     ―――――――――――――
  19. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国防衛に関する調査を議題といたします。  まず、一般職職員給与等についての報告及び給与改定についての勧告に関し、人事院から説明を聴取いたします。中島人事院総裁
  20. 中島忠能

    説明員中島忠能君) 人事院が、去る八月四日、国会内閣に対して行いました公務員給与に関する報告及び勧告の概要について御説明いたします。  初めに、職員給与に関して御説明いたします。  本年も、公務員給与に関する判断材料を得るため、民間企業給与を的確に把握するとともに、厳しい経営環境のもとにおける企業の対応について調査を行い、また広く各界から御意見を拝聴し、公務運営改善についてもさまざまな角度から検討いたしました。その結果、賃金については、大部分事業所において低率ではあっても引き上げが行われていることが認められました。  まず、本年四月時点における官民給与の較差は、公務員一人当たり平均三千六百三十二円、率で一・〇二%となっております。本年は、給与改定基本的考え方として、民間動向等を踏まえ、職員職務基本とし、能力実績を重視した給与体系への転換を表明しました。  改定具体的内容について順次御説明いたします。  まず、俸給表につきましては、早期立ち上がり型への昇給カーブの修正を行うことを念頭に置きながら、中堅層職員改善を中心として、全俸給表改定を行うこととしております。  次に、期末勤勉手当につきましては、民間賞与等特別給支給割合との均衡を図るため、期末手当支給月数を〇・〇五月引き上げることとしております。また、管理職職員につきましては、能力実績に応じた給与配分をより重視する必要があることから、期末勤勉手当に占める勤勉手当割合を高め、その分期末手当を引き下げることとし、成績率の幅についても一般職員より広げることとしております。さらに、指定職職員については、懲戒処分を受けるなど勤務成績が明らかに良好でないと認められる場合には減額して支給することができるよう期末手当を改めることとしております。これらのほか、一般職員についても、優秀な成績を上げた職員懲戒処分を受けるなど勤務成績が良好でない職員に対し、それに応じた取り扱いができるよう勤勉手当成績率の幅を拡大するなど、勤勉手当制度についてより適正な運用を図ることとしております。  また、扶養手当特地勤務手当等について改定を行うこととするとともに、米国ハワイ州に国立天文台ハワイ観測所が設置されたことに伴い、同施設で勤務する職員について新たな手当を支給することとしております。  実施時期につきましては、本年四月一日としております。  次に、公務運営改善に関します部分について御説明いたします。  社会経済等のさまざまな分野において従来から続いてきたシステム見直しが求められている状況のもとで、人事院行政を支える公務員人事管理システムについてその見直しを積極的に進める必要があると考えています。  まず、公務におきましては、これまで以上に高い専門的知識能力が求められていることにかんがみ、内外の学位取得者民間企業経験者等部内育成では得られない高度の専門性や多様な経験を有する者を確保するため、給与等処遇を含む弾力的な採用システムについて、平成十年度からの実施めど人事院規則等整備を図ることとしております。  次に、省庁間交流等推進する閣議決定が行われていることを踏まえまして、本省庁課長級以上への昇任等審査選考に当たって、今後、計画的な人事交流等経験を重視することとし、このための具体的な審査選考方法について平成十年度からの実施めど検討を進めることとしており、あわせて民間等から幹部職員に採用する場合の審査選考方法についても整備を図ることとしております。  また、Ⅰ種採用者数の原則三割縮減措置に合わせ、Ⅰ種試験等による採用者からの人材の活用を図るとの閣議決定を踏まえまして、能力適性等に基づく人事管理を徹底していく一環として、Ⅱ種、Ⅲ種等採用職員幹部職員への登用を推進するため、早期選抜に活用できる措置導入について、平成十一年度からの実施めど検討を進めていくこととしております。  このほか、高度の専門的能力を有する職員について、個人の能力と成果を反映させる処遇の仕組み、弾力的な勤務形態などについても整備を図ることとしております。  営利企業への就職制限制度につきましては、昨今、公務公務員を取り巻くさまざまな問題が生じ、公務員の再就職あり方が厳しく問われている状況等を踏まえ、再就職規制を見直すこととしております。所属省庁が強い行政権限を有している営利企業への就職は、局長以上の幹部職員の場合や代表役員へつく場合には認めないものとし、契約関係がある場合についても、承認しない場合の基準を強化することとしています。  一方、資格等を生かした早期退職教育研究職員の再就職については、弾力的に取り扱うこととしております。また、専門的能力知識を有する退職公務員を広く活用するという観点や官民癒着との批判にこたえる面から、透明度の高い再就職の仕組みについても今後検討することとしております。  また、公務における高齢者雇用制度として、定年退職者を再雇用する形態による継続雇用制度導入を図ることとしております。既に、任用勤務時間・休暇、服務等の各制度についてはおおむね検討を終えており、今後、給与について関係者意見を聴取しながら、適正な水準の設定と体系整備に向けて検討を進め、年内をめどに成案を得て、別途、意見申し出を行うこととしております。  最後に、昨今の幹部公務員の不祥事についてはまことに遺憾と存じます。公務員倫理確立のためには、懲戒制度が適切に機能することも肝要でありますから、地方公共団体等へ辞職出向し復職した職員に係る懲戒処分あり方や、人事院の関与を含めた懲戒手続整備等について検討を行っていくこととしております。  人事院といたしましては、公務員あり方に関する各方面の提言や指摘を真摯に受けとめつつ、以上申し上げた施策の着実な実施を通じて、今後とも公務員が全体の奉仕者として国民の期待にこたえ得るよう、人事管理システム全般にわたる改革を進めてまいる所存でございます。  内閣委員会皆様におかれましては、人事院勧告制度が果たしている役割、職員が真摯に職務に精励している実情に深い御理解を賜り、この勧告のとおり速やかに実施していただくよう衷心よりお願い申し上げる次第でございます。  以上でございます。
  21. 竹山裕

    委員長竹山裕君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  22. 依田智治

    依田智治君 自由民主党の依田智治でございます。  大臣、就任早々御苦労さまでございます。  当参議院内閣委員会も、予定によりますと十九日に、一週間前に行われる予定でございましたが、総務庁長官任免等をめぐりましていろいろ異例の事態がございましてきように至ったわけでございます。  そこで、これは人事院制度公務員倫理公務員制度改革というものとまさに密接不可分の問題でございますので、この点に関し若干私見も申し上げ、官房長官並びに総務庁長官の御意見を伺いたい、こう思っているわけでございます。  私は、今回の事件につきましては、やはり政治家政治倫理あり方というものが厳しく問われた問題ではないか。もう一つは、やはりこんなことで政府行政改革はできるのか、自民党、政府行政改革あり方というものについての姿勢が問われたということじゃないかと思います。我々としては、これに対して明確な回答を出していかなきゃいかぬ、こう肝に銘じて感じておるわけでございます。  まず、第一点の政治倫理の問題でございますが、やはり法律的側面とさらにそれより高度な要求というか、そういうものを今後どうしていったらいいのかという非常に難しい問題があるんじゃないか。  私が申すまでもなく、法律的には刑罰制度の中で執行猶予の刑というのはその期間が過ぎれば刑の言い渡し効力を失うという刑法二十七条の規定があります。刑を受けたことがあるという歴史的事実は永久に消えませんが、しかしその執行猶予が経過したときは刑の言い渡しは以後効力を失うということでございます。公務員法上ももちろん三十八条等の身分の喪失条項というのが解消して公務員になる資格も出ますし、公選法上も、平成四年に厳しくなった条項に照らしましても、要するに執行猶予期間が過ぎれば被選挙権があるわけでございます。  佐藤氏の場合には、平成の初めに執行猶予期間が切れた後、この被選挙権によりまして総選挙で三度代表として選ばれてきておる。こういう実績の中で、本人は過去の汚点を返上すべく大変涙ぐましい努力をして、行革推進本部等でも大変に努力されたという実績があるわけでございます。恐らく総理はそのあたりも勘案しつつ、もう許していただけるんじゃないかということで長官任命したんじゃないかと思いますが、やはり国民のリアクションというものは大変なものであり、我々としても政治家に要求される政治倫理というものの厳しさというものを改めて認識したわけであります。  そこで、この問題を政府与党間でいろいろ協議しておるようでございますが、この公務員任用というのは実際上、刑法上も公務員法上も何ら明確な制限はないわけですが、そういう上級のポスト等に採用する場合というのはやはりある程度何らかの基準が必要なのかどうか、明確な倫理基準というようなものをしかるべき機関で研究して、そういうものにできるだけ透明性を持って対応していくということが政治に対する信を取り戻すもとではないか、こんな感じがしております。この点についての御見解も伺わせていただければありがたい。  あと一つ行政改革姿勢が問われている。これは大変なことでございまして、橋本内閣はまさに行政改革断行内閣ということで今回も組閣したんじゃないかと思います。そういう点で、我々も党、政府一体になって死に物狂いになって行革断行し、その結果を国民に見ていただくということが極めて重要じゃないか、こう感じておるわけでございまして、この点に関して、行革主管大臣であります総務庁長官並びに官房長官の御見解なり御決意をお伺いできればありがたい。よろしくお願いします。
  23. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) まず、佐藤総務庁長官任命につきましては、総理記者会見を通じまして、世論の重みに十分思いをいたさなかったと深い反省の念をあらわしておりますが、国民皆様に率直におわびをいたしているところでございます。私も同様の認識でおわびをいたしたい、こう思っております。今後は謙虚に国民皆様の声に耳を傾けながら、行政改革を初めとする六つの改革内閣を挙げて全力で取り組むことによって国民皆様の負託にこたえていかなければならない、こう思っているところでございます。  また、今お尋ねの政治倫理につきましては、与党でも協議を始めておりますので、その結果をお待ちしていきたい。  そして、行革断行についてでございます。御承知のとおり、この行政改革国民が求めるサービスを最小の費用で提供できる行政経済社会変化に柔軟に応ずる行政をつくり上げることが目的でございます。そのためには、内閣機能の強化と中央省庁の再編を断行するとともに、大胆な規制の撤廃、緩和、官から民、中央から地方への業務と権限の移譲を行い、簡素で透明で効率的な行政、時代の変化や危機に対応できる行政を実現しなければならない。行政改革政治責任で実行すべき最重要課題と考えており、内閣全体が一致協力して何としてもやり遂げる覚悟でありますので、私も全力を尽くしてまいりたいと思います。  以上でございます。
  24. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 先生お話しのとおり、政治倫理確立の問題は率直に申し上げまして残念ながら長い間の厳しい指摘事項であると、非常に遺憾にも存じておるところでございます。また、昨今におきましても、ただいま官房長官からお話がございましたように、国民的視野で見ましてもゆゆしく限りなく大きな問題として極めて大きい注意が喚起されておりますこと、本当に遺憾に存じております。  いわんや、先生の方からお話がございましたように、昨今、世紀にまれに見る重大なる行政改革を進展中の今日の折からでございますから、一段と心を引き締めまして襟を正して対処してまいらなけりゃならない、さように思っております。  なおまた、今次の前総務庁長官等云々の問題につきましては、私は当事者として任命を受けたる後任者でございまして、差し控えさせていただきたいと思います。  ただし、このような若干の起伏があったが、こういう重大な改革を進めていく途次である、途中である、これからこそこの問題を積極的に旺盛に、そしてまた不退転の決心で対処しなけりゃならぬことは当然でございますが、しかしながらこのことはただ私どものみが幾ら力んでみても事至らないわけでございまして、関係各位の一層の御啓発と御支援を御期待申し上げながら、さような決意でありますということを御披瀝申し上げる次第でございます。
  25. 依田智治

    依田智治君 ただいま表明されました重大な決意を持ってひとつ行革断行に邁進していただきたい。よろしくお願いいたします。  それでは、人勧に入りたいと思います。  人事院総裁、六月に任命されまして初の人勧を出したわけでございます。先ほど来の説明にもありましたように、現在、未曾有の経済財政事情の中で行財政改革というものが進行しておる。そういう中で、先般の行革会議中間報告の中でも、人事院あり方も含めた公務員制度あり方改革というものも喫緊の課題としてあるわけでございます。こういう中においてこの一・〇二%の人勧を出したわけでございますが、先ほどの説明はずっと平板的ですので、ことしの人勧について特に力点を置いた点とか、総裁として初めて手がけてみた所感とかというのがあればお伺いできればと思います。よろしくお願いします。
  26. 中島忠能

    説明員中島忠能君) 申し上げるまでもなく、人事院には二つの重要な機能がございます。一つは、労働基本権を制約されておるその代償機能というものがございます。もう一つは、公正中立人事行政というものを確保していくという機能がございます。この二つ機能というものを今回しっかり認識して報告し、勧告を出したわけでございます。  まず、第一番目の労働三権制約代償機能としての部分でございますけれども、人事院の毎年行います給与勧告として、ことしは一・〇二%の勧告をいたしました。その内容についての特徴的な点は二つございます。  一つは、民間の最近の動向を見ておりますと、中堅層職員のところに手厚い配分をしておるということでございます。したがいまして、公務分野におきましてもそのことを意識して勧告いたしました。特に高齢職員になるに従いまして昇給カーブをやや緩やかにしていく、寝かせていくという措置もあわせて行っております。これは六十歳代前半雇用というものを見きわめながら昇給カーブというものを修正していかなきゃならないだろうという意識も底辺にはございます。その点が第一点でございます。  もう一点は、やはり成績主義、能力主義というものを給与の面に導入するのが最近の傾向でございます。したがいまして、今回は勤勉手当につきましてその措置導入することといたしました。給与の面についてはその二点でございます。  人事院の第二の大きな機能でございます公正中立人事行政というものを確保していくということに関しまして、今回、報告人事院の将来の人事行政の展望というものを認識しながら幾つかの提言をいたしております。  その一つは、まず最近の経済情勢というのが非常に変わっておりますし、公務に対する行政需要も変わっております。したがいまして、公務の中で直ちに人材が得られないということも考えられますので、いろいろな専門知識を持っておる方あるいは豊富な経験を持っておる方、そういう方を公務の世界に容易に導入していきたいということで、中途採用システムというものをしっかりつくっていこうということを申し述べております。  それからまた、公務の世界の中で能力主義、実績主義というものを徹底するためには、Ⅱ種、Ⅲ種で公務の世界に入ってきた人、そういう方につきましても登用の道あるいはまた昇進、昇格の道というものを大幅に改善していきたいということを提言しております。この点につきましては、総理を初め各大臣から早急に具体化するようにというお話もいただいておりますので、これはすぐに実施してまいりたいというふうに考えております。  それ以外に、公正中立人事行政を確保するために、再就職規制の強化あるいはまた高齢者雇用制度化というものを提言しておりまして、そういうことをあわせまして人事院に与えられました機能というものを十分に果たしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  27. 依田智治

    依田智治君 今、総裁から御説明がございました。私も人事院勧告の詳細を読ませていただきまして、大体改革すべき方向というのは的を射ているのではないか、こう感じております。そこで、今後さらに検討すべき事項等、真剣に研究していただきたいと思っているんですが、いろいろ法律をつくったり具体的にこれを制度化していくというのは総務庁の方の任務になるわけでございます。  民間の方では、この経済構造の転換期の中で、本当に厳しい経営環境の中で、賃金改定というのも本当に厳しい合理化の中からやっておるということでございまして、公務員についても安易にベースアップを考えるというようなことはやっぱり考えるべきでないというように感じております。  去る九月三日に政府行政改革会議中間報告を出して、これを読ませていただきました。最後の方に公務員制度ということで基本的な課題検討の方向を提示されております。これは今後公務員制度調査会を中心に検討していき、いずれ早い時期に結論を出していただくことになるんじゃないか、この中に大変重要な問題が入っておる、こう思っております。  そんなことで、こういう公務員制度改革に関するこれらの問題を踏まえましての総務庁長官基本的考え方、どんな段取りでこの制度改革を考えていくのかという点についての御意見をお伺いしたい。
  28. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) ただいま議員の方からお話がございましたように、目下、公務員制度調査会におきまして、本問題につきまして鋭意集中討議をいたしておりますことは御承知のとおりであります。  そこで、一体公務員制度改革に対する基本的な考え方はどうか、こういうことだろうと思うのでございますが、私は端的に申し上げまして、公務員制度改革は今次の行政改革の中におきまする一つの重要な一環である、そういう位置づけを議員も今指摘をしながらお話しになったと思うのでございますが、全く同感でございます。したがいまして、その調査会の進展を見守りながら、また私どもも所管庁としてその審議の方向がかような一つの集約がなされることを期待も申し上げますが、また関心を持っていきたい、さように思っております。
  29. 依田智治

    依田智治君 先ほど人事院総裁からもお話があり、また総務庁長官からもお話があったわけでございますが、いずれにしても国として一体になって簡素で効率的な公務員制度というものをぜひ目指していただきたい、こう思うわけでございます。  そういう状況を踏まえまして官房長官にお伺いしますが、先ほど人事院総裁から話がありましたけれども、この人勧制度というのは、戦後、職員労働基本権が制約されている代償として制度導入されたわけでございます。そういう点から考えますと、私は大変重い勧告であるというように感じておりまして、基本的には、財政事情がいかに厳しくても、公務員制度の効率化等を目指しつつ並行して人勧の完全実施に努力していくというのが私は政府姿勢であろう、こう感じております。  一方、人勧実施に関しましては、公務員法でも、情勢適応の原則というか、社会一般の情勢に適応するよう随時これを変更できるということがございます。私も総理秘書官をしておったんですが、中曽根内閣の昭和五十年代の後半に一年見送ったというようなこともございます。しかし、これは全くの異例でございます。  やはり公務員も、本当に熱意を持って公務員になり、人事院の方で調査した結果を見ますと、給与とかその他は低いけれども本当に国としてしっかりした仕事ができるから、やりがいがあるから公務員になるという人が多いんですね。そういう点を考えますと、十分公務員諸君の士気の高揚を図る、民間とマッチした適正な給与体系というものをつくる必要があると思っています。  そんなことで、官房長官、ことしの人勧についての取り扱いはこれから政府検討していくことだと思いますが、できるだけ早期に出していただくように現時点におけるお考えなり方針をお伺いできればと思います。よろしくお願いします。
  30. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 先ほど人事院総裁からもお話がございました。人事院勧告制度は国家公務員労働基本権制約の代償をなすものでありまして、政府はこの制度を尊重するという基本姿勢に立っておるわけでございます。  他方、財政構造改革との関連で、先般の閣議決定でございますが、「集中改革期間中、適切な措置を講ずることにより、総人件費を極力抑制する。」とされておりまして、この点についても考慮もしていかなければならない。  この双方の要請を踏まえ、既に一回給与関係閣僚会議を開催されたと聞いておりますが、今後、与党間の協議やあるいは人事院勧告制度尊重の基本姿勢のもと、極めて厳しい財政事情を初めとする国政全般の関連等について十分議論を尽くして検討を行い、適切に対処してまいりたい、こう思っております。今後なるべく近いうちに給与関係閣僚会議を開き、閣僚レベルで議論を進めてまいりたい、こう思っております。
  31. 依田智治

    依田智治君 ひとつ真剣な議論をお願いいたしたいと思います。  きょうは防衛長官はおりませんが、防衛庁の場合は特別職の公務員でありまして、この人勧はもろには適用にならない。それに準じて毎年措置しておるということですが、私も防衛庁におりまして、若年定年退職者給付金制度というようなものも導入されましたし、またPKO手当とかいろんな勤務の特殊性に応じた手当というようなものもございます。  そんなことで、国の方は相当、人事院総務庁等で一般職等、まあ総務庁ももちろん特別職の方に目を光らせていただいているんですが、これから防衛の方もいろいろこの財政事情の中で簡素効率化というか、そういうものを目指していかにゃいけない。しかし、士気の高揚を図りつつ、適正な処遇の保持というのをやっていかにゃいかぬと思っておりますが、防衛庁の方としては、例えば防衛庁独自としていろいろの民間との問題等も意見を聞いたり調査したり、適正な給与あり方を研究しておるんじゃないかと思います。そのあたりの状況をちょっと御報告いだだければありがたい。
  32. 坂野興

    説明員(坂野興君) 部隊で行動いたします自衛隊につきましては、特に組織の基盤は人にある、そして組織の運営なども結局は隊員おのおのの力量にかかっている、このように考えております。このため、良質隊員を保持いたしまして士気の高揚を図ることが必要であります。隊員にとりまして自衛隊をより魅力あるものにすることとともに、誇りとゆとりを持って任務に従事し得るようにすることが肝要である、かように考えております。  このような考え方のもとに、従来から隊員の処遇につきましては、隊舎、宿舎等生活関連施設の整備給与改定、諸手当改善策などを通じまして在職中の処遇を確保いたしてまいりますとともに、自衛隊につきましては、その任務の特性上、若年定年制あるいは任期制、こういったような特殊な任用制度を設けておりますので、退職後の生活に不安を感じさせませんように、先ほど先生の方からも言及がございましたが、若年定年退職者給付金制度就職援護施策の充実などもとってきたところでございます。  平成十年度の概算要求につきましては、現在、財政が大変困難な状態にありますことから、防衛関係費も対前年度同額以下という極めて厳しい状況のもとにあり、あらゆる経費について聖域なく見直しを行うことなどによりまして経費を縮減しているところでありまして、生活関連施設の整備処遇改善等の隊員施策につきましても全体としては事業量を抑制せざるを得なかったところでございますが、その中でも優先度の高いものを吟味いたしまして、隊舎、宿舎、厚生施設等の整備や諸手当改善などの処遇改善に努めることとしたところでございます。  いずれにいたしましても、自衛隊というのは国を守るという大事な使命を担っておりまして、そのためには使命感のある優秀な隊員を確保することが大事でございますので、今後とも事情の許す範囲内でこうした隊員の勤務の実態にふさわしい、隊員の努力にふさわしい処遇の確保のために私どもといたしまして最大限の努力をしていきたいというふうに考えております。
  33. 依田智治

    依田智治君 黙々と任務に邁進している諸君の処遇にひとつ十分意を用いてやっていただくようにお願いしたいと思います。  先ほど人事院総裁から、能力主義、実績主義の一層の徹底ということがありました。非常に結構な方向なのでぜひやっていただきたい。  それから、管理職等についてはいろいろ信賞必罰というようなことで、勤勉手当をふやしたり懲戒になったら減らすとか、非常にそういう方向は結構でございます。早期立ち上がり型、これも非常に結構です。ただ、全体として幹部なんかの場合に民間と比べると相当格差があるというのは人事院勧告の中にも出ております。そういうことで、新規採用から頂点に至るまでの適正な給与体系確立というものに今後とも一層の御努力をいただきたいということで、これは要望しておきます。  最後に、一括採用なり、高齢者雇用というか高齢者の再雇用の問題等も聞きたかったわけでございますが、一括採用という問題は行革会議でも提起されています。人事院のこの間の八百人ばかりの行政研修によりましても、私はこの省庁に入りたい、もしここが落ちたらどこかの省庁に行くというのは物すごく少ないというのを初めて知りました。三%くらいしかない。この省庁を落ちたら私は他の省庁へ行きますなんという、野球のドラフトみたいなわけにいかないんですね。それぞれ人には適性があり、そして志願してやる、そういう意欲を持った職員が適性に応じて勤務するということがいいんじゃないか。  ただ、この中間報告にもありますように、管理職等のデータを一括そろえておいてより一層の交流を図るとか、そういう制度は非常に望ましいことだ、こんなことも考えております。  そんなことで、そしてしかも省庁間の交流、それから民間との交流、これは総務庁の方でも準備しておって、早晩、人事院意見等に基づく実施の関係を秋口には何とかしたい、こういうことも前国会で出ていますので、そういう総合的な施策をぜひひとつやって、適正な公務員制度確立というものに尽力していただければありがたいと思います。  時間がなくなりましたので、以上をもって私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
  34. 荒木清寛

    荒木清寛君 平成会の荒木清寛でございます。まず、官房長官に先ほども御答弁がございました点をお伺いします。  先ほど、この人勧の完全実施に関しまして官房長官からは、人勧尊重という基本姿勢、しかし一方では総人件費を極力抑制しなければいけないというその調和の問題のお話がありました。  確かに国、地方ともに巨額の借金を抱えておりまして、財政再建のためには国、地方を通じました行財政改革断行されなければなりません。その意味では総人件費の抑制、削減ということも例外ではありませんが、それは特殊法人等に対する人件費補助を含めた事務事業の見直しにより総体の抑制として進めるべきであるというふうに私は考えています。一方で、個々の公務員給与というのは労働の対価でありまして、直接的な生活費であります。  今回の人事院勧告民間準拠の原則によって出されておりまして、実際に数字的にも非常に常識的といいますか、そのように感じております。今の景気への影響、個人消費の落ち込みへの影響等を考慮するならば、政府としては今回の勧告につきましては完全実施を行うべきであるというふうに私は強く求めますが、改めて官房長官のこの問題につきましての姿勢というか決意をお伺いいたします。
  35. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 人事院勧告制度については尊重する、片一方におきまして先ほど申し上げましたとおり集中改革期間中総人件費を極力抑制する、こういう二つの事柄がございます。  私も給与関係閣僚会議の座長といたしまして、一回目は既に行ったと聞いておりますが、次にできるだけ早い機会に関係閣僚会議を開催いたしまして十分に論議をし、今の要請もお聞きいたしましたので、十分に論議をしながら適切な対処をしてまいりたい、こう思っております。
  36. 荒木清寛

    荒木清寛君 この問題につきまして総務庁長官にもお伺いをいたします。  総人件費の抑制ということは、もう来年度から待ったなしで行わなければいけないわけです。この点で前の武藤長官は、ことしの五月、国家公務員の新規採用者の半減を各省庁に要請したわけであります。これは言うまでもなくそういう意味での総人件費を抑制しなければいけないという決意であったと思いますけれども、実際にはノンキャリアのⅡ種、Ⅲ種の採用予定数については八・二%減ということであります。武藤長官も、しかし半減と言っただけのことはあったとはおっしゃっていますけれども、実際には半減できなかったわけですね。  私はそういう行政改革の不十分なしわ寄せを個々の公務員給与の抑制という形で押しつけてはいけないというふうに思うわけでありますけれども、この点、長官のお考えもお聞きしておきます。
  37. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 武藤長官の御発言云々につきましては、私も若干アウトラインはお伺いをいたしました。また、その結果、推移の状況につきましては先生お話しのとおりであったろうかと思っております。  要は、行政改革という視点と、それから財政改革推進するという視点もございます。また、先ほど官房長官からお話がございましたように、公務員がきちんと安定して、そして誇りを持って職務に奉仕する、勤務するというその原則も大事にしなければならない、このことはただいま議員も御指摘になったかと思うのでございますが、その辺をよく合理的に総合的に判断して推進されるべきものである、かように思います。
  38. 荒木清寛

    荒木清寛君 近々関係閣僚会議を開くという話でございますが、ぜひ凍結等のことがないように検討していただきたいと思います。  そこで、行革につきましての両大臣の御決意をきょうはお伺いしたいんですが、先般、行政改革会議中間報告、一府十二省庁案が発表になりまして、私も拝見をいたしました。  ただし、率直に言いまして、具体論まで読みますと私は失望した点の方が多いわけです。といいますのは、私はそもそもこの行革の議論の出発点というのは国民負担の増加を求める前にいかにして行政経費を減らすかという視点が一番大きいというふうに考えているわけですね。今回の中間報告につきましては確かに省庁の数は減っていますけれども、そういう経費の節減という意味では、仕事減らし、権限減らしあるいは人減らしという姿にはなっていないというふうに私は思うんです。  そこで、官房長官総務庁長官に経費節減という意味での行政改革に取り組んでいく決意、所見をお伺いしておきます。
  39. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 先ほど行政改革を行う考え方を申し上げました。一府十二省庁で経費節減とかいろいろなものが見えていないじゃないか、こういうお尋ねであろうと思います。  今の中間報告でございますが、私はこのように考えておるところでございます。これからいろいろな御議論があろうと思いますが、私自身いろいろ聞いておりますと、ごみ処理でも四省庁ぐらいが担当しておる、あるいは交通安全運動にいたしましても十以上の省庁がこれに関係している。こういうものをスリムにする必要がある。  そして、先ほども申し上げましたが、規制を撤廃する、あるいは今後緩和をしていく。地方分権推進委員会の結論、三次までだと思いますが、今後四次も出てくる。官から民へ、あるいはまた国から県へ、県から市町村へ、こういうような重複しているものを排除しながらあるいは権限を移譲する、こういうことによって人員というものが節約できる議論がこれから出てくるものと、こういうふうに考えております。  ただ単に一府十二省庁にしたというだけではない、この中から今後、まだ結論を得るまでには、十一月の末と聞いておりますので、そのようなこともしていかなきゃならぬ、こういうふうに思っているところでございます。
  40. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 官房長官の御発言の趣旨と全く同調するところが多いわけでございますが、私はあっさり申し上げまして、今もお触れになりましたように、一府十二省庁というものありきというその前提の升を固定してどうこうするかということよりも、もちろんお断り申し上げておきますが、この際、ここまで進んできた、そしてきちんと固定した計画を一府十二省庁と公表した以上は、また相当な背景もあるわけでございますから、これは聖域であるということは十分わきまえなけりゃならぬと思います。  しかしながら、ただいま官房長官の方からお話がございましたように、本当に国民が求める行政サービスというものを政府として最小の経費で提供できる体制はどういうものなのか、そして新しい時代が求める行政の仕組みあるいは分野というものはどういうものなのか、そして再編後はということを詰めていくところにきちんと結果として整ってくるべきものではなかろうか、さように思います。  そういうような考え方の中におきまして、ただいま議員が御指摘になりましたように、行政経費を縮減するよということも非常に重要な要請である、そういうふうに思います。
  41. 荒木清寛

    荒木清寛君 その点に関して総務庁長官にさらにお伺いします。  今度十一月に最終報告になるわけでありますが、その中に率いて行政経費節減の具体的な姿、何割削減する、あるいは公務員の定数を何割削減する、そういう具体的な姿、目標というのをきちんと盛り込んでいただけるんでしょうか。
  42. 河野昭

    説明員(河野昭君) 私の方からは先生の今御質問の中の定員部門についてお答えさせていただきます。  総務庁が定員管理を行ってございますが、定員管理の目的を一言で申し上げれば、国が実施します行政事務事業を的確に行うための必要最小限の定数を確保するということでございます。  先生御承知のとおり、ただいま行政改革会議の方では、例えば独立行政法人の枠組みをどうするのか、そこにどういう部門を持っていくのか、あるいはそこの職員の身分はどうあるべきか、またさらにはどういう行政部門を今後民間部門に持っていくかということを検討されているわけでございます。そういう議論が詰まってまいりますと、再編後に具体的に国として実施すべき事務事業の範囲が明らかになるわけでございます。私どもは、そういう事務事業に対応していかなる定員規模が的確か、そういう検討を今後進めてまいりたいと考えております。
  43. 荒木清寛

    荒木清寛君 そうしますと、この最終報告を受けまして、当然、総定員法あるいは現行の定員削減計画も行革という視点での見直しをしなければいけないということになりますね。
  44. 河野昭

    説明員(河野昭君) ただいま申し上げましたが、総定員法といいますのは国家公務員の定員の全体の規模がいかにあるべきかという問題でございます。また、定員削減計画といいますのはそのために定員管理をする手法でございます。  したがいまして、行革会議の結論が出まして、先ほどと重複いたしますが、将来、国が実施すべき事務事業の範囲が明確になれば、それに合わせてこれらの見直し検討を進めるということでございます。
  45. 荒木清寛

    荒木清寛君 この点は最終報告を待ちましてさらに議論を深めたいと思います。  そこで、人事院に今回の公務員の再就職規制、いわゆる天下り規制につきましてお伺いいたします。  今回の勧告によりまして、特に幹部職員の天下りについて規制が強化されたということは確かにあるかと思います。ただし、近年の公務員不祥事に端を発するといいますか、それを前後する社会の厳しい天下り批判に対しては十分こたえるものではないというふうに残念ながら私は思うんです。  そこで、今回の再就職規制で、「ア 幹部職員への規制の強化」ということで「所属省庁が事業の許認可等強い行政権限を有している営利企業への就職は、認めないものとする。」という話でございます。これはこれで前進をしているわけでありますけれども、ただ国家公務員法との関係でこの規制も退職後二年間しかかからないわけですね。これで十分なのかということが指摘をされているわけです。  実態としては、各省庁ともそういう監督下にある企業に直接OBを就職させると言うと語弊がありますが、というよりもこの規制の対象外の特殊法人や公益法人を経由してそういう営利企業に再就職するというケースが多いわけでありまして、これでは二年間たって再就職すればいいというわけでありますからやはりまだ抜け道をつくっているのではないか、この際、この二年間という期間もさらに強化する方向での見直しが必要ではないかと思いますが、いかがですか。
  46. 中島忠能

    説明員中島忠能君) 先生お話しになりました再就職規制、この問題を考えるに当たりましては、かねがね御説明申し上げておりますけれども、再就職規制を厳しくすることによって追求しなければならない法益というのが確かにあると思います。一方、退職いたします公務員というのは、退職いたしますと職業選択の自由というものもございます。その両者の法益というものを考えながら、常にこの問題について我々線引きを迫られるわけでございますけれども、ここ一、二年ばかりこの再就職規制については国会を初めいろいろなところで御議論をいただきました。私も総裁に就任いたしまして、そういう国会の速記録等もよく読ませていただきました。  そこで、私自身、経済界に出かけていきまして、経済界の方がどのように受け取っておられるかということもじかに聞いてみました。  そうしますと、やはり先生が今おっしゃいますような御意見もございます。また一方、公務員を退職された方に来ていただきまして大変いい仕事をしていただいておる、したがって再就職規制というものを現在のままにしておいていただいた方がいいんじゃないかという経済界の人の意見もございました。いろんな意見がございます。そういう意見の中で、国会の速記録等を読ませていただきまして、今回、先生が今お話しになりましたような規制を若干強化するということを打ち出したわけでございます。  私たちは今回打ち出しました案というものをとりあえず実施させていただきまして、そしてもう少しいろいろな反響というものを見ながら今後の方針というものを選択させていただけないかというふうに考えております。
  47. 荒木清寛

    荒木清寛君 そういう意味では、ぜひ経済界のみならず国民各層のそういう厳しい意見を十分踏まえてやっていただきたいと思うんです。  確かにそういう方の職業選択の自由ということは大事だと思いますけれども、じゃ一般の今の民間の方がどうかといいますと、六十歳で定年退職をし、まだ元気で働きたいけれどもなかなかそういう場所は見つからないということであります。そういう方から見れば、なぜキャリア公務員の、しかもその中の一部の人だけそういう特権的な扱いがなされているのかということを思っていらっしゃるわけでありますから、そういう国民の声も十分に聞いていただいて、とりあえずは今回の改正といいますか強化で様子を見るということでございますから、さらに状況をよく見ていただきたいと思います。  ただし、もう一点でございますけれども、国家公務員法の再就職規制というのはあくまでも私企業に限っているわけでありまして、特殊法人や公益法人や、あるいは今いろいろと言われております指定法人への再就職につきましてはこういう法律上の制限がないわけですね。私はこの点も大変問題があると思うのでありますが、そういう意味での検討はなされたんでしょうか。
  48. 中島忠能

    説明員中島忠能君) この再就職規制につきまして私たちが仕事をしておりますのは、法律に基づきましてそういう権限が与えられておるというか、そういう義務が課せられておるということが実は根拠にございます。したがいまして、法律上に基づく仕事でございます。  先生が今お話しになりました特殊法人とかあるいは公益法人等に係る再就職につきましては、現在、法律に基づいて私たちの方にいかなる権限も義務も課せられておりませんので、なかなかお答えしにくいのでございますけれども、こういう特殊法人とか公益法人というものがどういうような機能を今まで果たすように期待されておったのか、そしてまた現在いかなる機能を果たしておるのかということをよく考えてみなければならないというふうに思います。  最近は特殊法人あるいは公益法人の中でも民間営利企業仕事の面においては競争するような関係にあるようなものもございますので、確かに一つの問題意識を持ってこういうものについて見ていかなきゃならないというふうに思います。  ただ、今申し上げましたように、法律上権限のないことでございますので、私たちは注意をしてこれを観察していく必要があると思いますけれども、国会でさらに議論を深めていただきまして、人事院の方でどうしてもこの点についてもう少し深めろということでございましたら、私たちの方ではそういうことについて問題意識を持って取り組んでまいりたいというふうに思います。
  49. 荒木清寛

    荒木清寛君 確かに人事院としては法律によって与えられた権限の行使という中で適切な人事行政をという話かと思います。  それでは、総務庁長官にこの点をお聞きいたします。  といいますのは、もう総務庁もこの公益法人や特殊法人、指定法人への再就職につきましては問題意識を持っていると思うんですね。各種の監査の結果が発表になっているわけです。  それで、国所管の公益法人に関して見ますと、この七千三百十八の法人中、所管省庁出身の理事がいる法人は二千二百六十九、三割以上ということですね。理事総数のうち所管省庁出身の理事が占める割合は三・四%という話でございます。この数からしますと、全体の三%しか天下りの理事がいないということであれば、そう問題にすべきではないという話もあるかもしれませんけれども、しかし個々の分野ではいろいろ問題点が指摘されているわけですね。  これは先般の新聞でありますけれども、例えば厚生省社会・援護局、老人保健福祉局の退職者のうち約四割が同省所管の社会福祉法人に天下りをしているという、これはその新聞の独自調査によってそういうことが報道されておりました。この社会福祉法人というのは、当然、設立認可ですとかあるいは補助金の交付につきまして厚生省が大きな権限を持っているわけでありますから、そういうところに関係する局の四割の方が天下っているという実態もある。あるいは郵政省はどうだという、いろんな記事がございました。あるいは特殊法人につきましては、常勤役員中の国家公務員出身者が四五・五%という、これも政府の発表でございます。  あるいは国の検査や試験などの業務を代行している指定法人、これについても総務庁行政監察結果報告書によりますと、こう書いてありますね。「指定法人等全体では、役員総数で一・四倍、常勤役員数で二・七倍と役員数が多く、また、役員に占める元公務員の比率も高く、行政からの人的つながりも密接な傾向がみられる。」、そういう一つの問題点を指摘しているわけでありますから、私は、国家公務員のそういう人事行政を管理している、担当している総務庁長官としては、こういう公益法人や特殊法人やあるいは指定法人に対する再就職につきましても何らかのそういう国民の批判に耐え得るような規律というのを考えていかなければいけない、単に各省庁のそういう綱紀粛正にまつだけでは不十分だと思うんですが、いかがですか。
  50. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 先生お話しのとおり、公務を遂行していく、そしてまたその前後におきまする再就職の問題等、これはやはり公務を厳正に、かつまた国民から信頼される客観的状況というものは非常に大事な話でございまして、そのような意味から行政のいわば総合性の確保、さらにはまた公務の活性化等の観点からも、今天下りをなさった人々の所在、そしてそのことに対しましてただいまいろいろお話がありましたような指摘等もあるわけでございますから、十分その辺を勘案して、この機会にきちんと正すべきは正すべきである、さように思う次第です。  具体的な中身につきましては、関係責任者が参っておりますから、お答え申し上げたいと思います。
  51. 中川良一

    説明員(中川良一君) いわゆる天下り問題につきましては、先ほど人事院総裁の方からもお話がございましたとおり、片方で行政に対する国民の信頼確保の観点というものは当然ございます。他方で退職公務員の職業選択の自由という問題で、その辺のバランスをどう配慮していくかということになろうかと思います。  ちょっと直接的なお答えにはならないかと思いますが、一つにはその背景としてある早期退職慣行の問題でありますとか、あるいは公務員のライフサイクル全般にわたる課題という大きな問題が背景にあろうかと思いますので、私どもとしては、ただいま公務員制度調査会の方でそういった大きな観点から公務員の退職管理のあり方についても御検討いただいているところでございます。  また、先般出されました行革会議中間報告におきましても、例えば各省単位の再就職支援がセクショナリズムの弊害を生むとともにいわゆる天下りの弊害を顕著にしているというような御指摘もございますので、再就職管理を政府全体としてどういった形でやっていくべきかという観点も踏まえまして、公務員制度調査会の方でさらに議論を深めていただきたいというふうに考えておる次第でございます。
  52. 荒木清寛

    荒木清寛君 最後に、人事院に伺いますが、今回の勧告によりまして、能力実績を重視した給与体系への転換を表明されました。具体的には、期末手当につきまして成績率の幅を拡大するということですが、ただどう客観的、公平に業務成績を評価するかは非常に難しいと思います。これは一歩間違うと、上司の顔を見て仕事をする公務員ばかりがふえるということになりかねないわけでありまして、この成績主義導入に当たっての評価の客観性、公平につきましてどういうことを考えておりますか。
  53. 武政和夫

    説明員(武政和夫君) まず、勤勉手当でございますが、勤勉手当民間のボーナスの考課査定分に対する手当でございます。古くから期末手当とあわせまして昭和二十年代半ぱごろからある手当でございます。その手当の性格でございますが、考課査定分ということでございますから、勤務成績に応じて支払うというのが基本であります。したがいまして、これまでも勤務評定及びそれに何らか準じるもの、そういった客観的な評価に基づいて支給するというのが基本になっております。  今回、運用を見ますと、えてして標準的な支給率のところに集中化しがちでございます。したがいまして、私どもとしては、基準をある程度細かく定めまして、それで優秀な場合は標準百分の六十のところを百分の七十とか八十とか、あるいは特に優秀な場合はさらにその上と、そういった形で各省が運用しやすくと、そのような制度内容を考えております。
  54. 荒木清寛

    荒木清寛君 終わります。
  55. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 私は先般就任されました小里総務庁長官にまず伺いますが、総務庁長官仕事は、特別の専門の仕事はこうだというふうに必ずしも限定されていないと思うんです。非常に多岐にわたる仕事だと思うんです。  それで、今までの論議の中で天下りの問題がいろいろ出てまいりました。要するに天下りというのは、俗に言えばうまいことやって閑職について余計な金をもらう、そういうのが多かったのでは国家のためにならないだろうと、こういうようなことなんですね。そこで、そういう意味からすると、マイナス面はそうかもしれないけれども、天下りだけじゃなくて、天上がりという言葉はないけれども、そういうようなことだって考えなきゃいけないんじゃないか。そういう意味では、人事院説明によれば、Ⅱ種とかⅢ種とか、そういうところでもって採用された人たちにも登用の道を開く、こういうふうに聞き取れる解説がございました。  私は、一番最初の採用の段階でⅠ種だ、Ⅱ種だ、Ⅲ種だと決められてしまって、それから後やめるまでそれがずっとついて回るということだと、そこで働く人たちが天井がつかえてしまって、どんなに一生懸命働いたってこれ以上は地位も給与も上がらないということになると仕事に張り合いを失うと思うんです。そこにやはり官僚的な問題が出てくると思うのでありますが、その意味では先般のこの勧告内容等で将来に希望が持てる制度であるかのように思われました。そのように理解をしてよろしいのかどうか、そして具体的にはそれらの人たちを登用する場合にはどういう方法でその認定をするのか、審査をするのか、そういうこともお伺いしたいと思います。
  56. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 先生から後の方で御指摘いただきましたように、やはり将来に向かって同じような条件で希望を持てる、いわゆる同じレベルで持てる、このことは私は非常に大事なことだと思うんです。  しからば、そういうような一つの仕組みのもとにおける最初の採用あるいは出発点はどういうふうに合理的かつまた厳正に担保するのかというお話であろうかと思うのでございますが、ただいま議員のお話をお伺いしながら、確かに極めて専門的でかつまた手がたく整理してかからなければならないお話だなと、そういうことを感じた次第でございます。概して申し上げまして、私はそういう一つ体系というものは言うなれば積極的に対処し、かつまた推進しなければならないお話ではなかろうか、さような感じを持ちます。
  57. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 長官は阪神大震災の際に非常に具体的な問題でもって責任ある立場でお働きになって経験を積まれたと思うのであります。その経験の中から私も若干お伺いしたいと思うのでありますが、災害というのはいつ何どきどこで起こるかわからないですね。したがって、あらかじめ対応策を決めるということは非常に難しいと思うんです。それだけに、これはだれの仕事、これはどこの省の仕事というふうに分けていくというと、いざというときに責任逃れという問題が出てくると思うんです。そういう責任逃れがないように視野を広く持っておく必要があるだろうと思います。  具体的な問題を一つ取り上げますが、例えば海上保安庁で災害の際に役に立つように巡視船にいろいろな仕掛けをつくって、いざという場合にはそれが多岐にわたって役に立つような改装をしたと、こういう記事を私は読んだのでありますが、こういうことは私は災害対策として非常に必要だろうと思うんです。その場合に、例えば保安庁の巡視船ならば、もっとも海のないところで災害が起きた場合には保安庁の巡視船といえども手が出ないかもしれませんが、今までの経験によると、概して地震は海岸べりが多いんですね。余り人里離れた山の中というのはないんですよ、地すべりやら何やらというのはありますけれども。そうすると、船を使うということは非常に有効だろうと思うんです。  その意味では、保安庁は必ずしも長官の指揮下にあるわけじゃありませんけれども、しかし横の連絡をとって海上保安庁の方から出てもらうとか、あるいはタンカーが座礁して油を流したと、これはロシアの油送船による油の汚濁で日本の方まで迷惑をしたという事実があります。あんなときにはそれ相応の船がもう少し余計あったならばという思いが出てくるわけですね。そういう点を考えるならば、やはり長官とすれば関係省庁と密接な連絡をとって、思わざる災害、事故の場合に迅速に行動ができるような方策をとっておく必要があるんじゃないかと思うのであります。  そういう意味で、長官がこの阪神・淡路の大震災からどんなことを具体的に学ばれたかということをこの機会にお伺いしたいと思います。
  58. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 私は、ただいま先生お話をお伺いしながら、直観的にと申し上げますと失礼かもしれませんけれども、次のようなことを感じます。  一つは、神戸震災の経験皆様方と御一緒にさせていただきました。その中の一つは、ただいま先生お話しになりましたように、各省庁ばらばらの体制でそういうまさかまさかと思っていた災害が緊急発生して、なかなか効率的に事が運ばないのではないかなということを懸念してお話がございましたが、まさにそういう感想を持ちます。幸いにいたしまして、神戸震災の場合には政府、関係各省庁がいわゆる私心、省益を一切払拭いたしまして、挙げてあの緊急態勢に取りかかっていた、だいたという強い印象もあります。  それからもう一つは、現地におきまするそれぞれの献身的な、しかも強靭なる一つの連携対策であった、そういう感じを持つところでございます。しかしながら、そういう経験一つの教訓にしながら、ただいま先生が後半でお話がございましたように、まさに今日私どもは行政改革を国の重要施策の最たるものとして御理解をいただき、御支援をいただきながら進めておるところでございまして、その中におきまするいわゆる省庁再編成の中におきまして危機管理というものをどのように位置づけるべきか、そしてまた集中的に政府として総合力を発揮しやすい機能というものをどういうふうに考えるべきか、御指摘の海上周辺対策等も十分念頭に入れて考えるべきものである、さように思う次第でございます。  蛇足でございますが、地震は大体海岸地帯に発生しておるなと、こういうお話でございますが、最近発生いたしました九州の地震におきましても確かに海岸の周辺だったな、そういうことを実は感じた次第でございます。
  59. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 行政改革ということになると、とかくどうやって人を減らすかということが先行してしまうんです。だけれども、角を矯めて牛を殺すという言葉が古来ありますね。この言葉はやはり我々としてはよく考えなきゃならないことだと思う。一生懸命に人減らしばかり考えるとどこかに穴があいて、災害が起こった際に間に合わない、こういうことじゃ何にもならないんです。  だから、あの阪神・淡路の災害の教訓を生かすならば、どういうところに手抜かりがあったか、あるいは及ばない点があったかということを後日の参考にする必要があると思うんです。そういう点で、あの問題を後日の参考にできなければ何の意味もないと思うんです。その意味では、やたらと人間を減らすということが先行するんじゃなくて、必要な人間というのはどこでも十分にそろえておかなきゃならない、どんなことがあっても対応はできるようにしておく必要があるんじゃないかと思うんです。  阪神の場合だって、陸上自衛隊が駆けつけるのに道路が混乱をして大分時間がかかった。その間に火災が発生する。火災というのは大きくなれば手がつかなくなるんですね、山火事でもそうですけれども。そういう場合には初期の段階で消火をするということができれば一番いいわけです。初期の段階で消火をするためには、例えばそういう飛行機を用意しておいて、水をくんで空から水をまくとか、これは航空自衛隊でもそういう飛行機があるそうですけれども、そういったような対応ができれば火災が大きくならないうちに消火をすることができるわけです。大きくなってからではなかなか簡単に消えるものじゃないです。  これは山火事であろうと何であろうとそうです。現に今、山火事でもって大変に混乱をしているというような実例が外国にはあると聞いております。だから、そういう山火事あるいは土砂崩れ、こういうことにそれぞれの部署でもって早急に対応できるような体制をつくっておくということは極めて必要だろうと思います。  それは長官が今までそういうことをやっておられましたからあえてお伺いするわけでありますけれども、そのような点で、一体これからどういうことをやったらいいのか、どういうところに重点的に予算を使ったらいいのかということもお感じになっているんじゃないかと思いますので、その点もあえてお伺いしたいと思います。
  60. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) まず一つお断り申し上げておかなきゃならぬと思うのでございますが、私には総務庁長官として人事管理行政管理あるいは行政監察を通じまして、政府全体の、いわば行政全体の総合管理を円滑に推進するという大きな任務がこざいます。さりとて、ただいま先生から熱心にお聞かせいただきました危機管理、政府としての危機管理という一つ行政組織の視点からいいますと、国土庁を中心に、あるいはまた内閣の内政関係等におきまして、いろいろその後問題を集中的にかつまた系統立った反省と同時に検証を加え、そして相当危機管理という一つの主目的における整理もいたしてまいっておるようでございます。  しかしながら、せっかく先生からただいま御指摘のありましたような反省事項、あるいはまた長所としてこれから拡大して留意するべき事項、あるいは新しくまた企画するべき事項等々たくさんあるわけでございまして、そのようなこと等につきまして、今日私のこの総務庁長官という職責を通しまして、あとう限り御指摘になりましたことを十分留意しながら進言もし、また進めてまいらなけりゃならないと思っているところでございます。  余談でございますが、そのような危機管理の視点からでございますが、例えば今次の行政改革において定員の話が先ほどからいろいろ議論されておるようでございますが、内閣の危機対策強化の面で定員はふやさなけりゃいかぬよと、こういうような話が二、三日前には出てきておりました。私は最も比重をかけて聞くべき話だな、実はそういうことも感じておるところでございます。
  61. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 前回の阪神・淡路大震災のときは、私はたまたま委員会の派遣がありまして、朝、羽田空港に行ったら、そこで入ったニュースはどうも神戸の方では大変大きな地震があったらしいという程度だったんですよ。早朝の飛行機で博多まで飛びました。博多まで飛んで、地震があったらしいというけれども一体どの程度だろうということを同行の人たちと話し合ったのでありますが、かなりなものらしいぞという程度で具体的にはわからなかったんですよ。東京から九州まで行く間に現地はどんどん火が燃え広がったということを後で聞きました。  あんな調子ですから東京ではなかなかわかりにくい、九州だってわかりにくい、しかし現地は大変だと。特に現地の場合は、よもや兵庫県、神戸あたりには地震はないだろうというふうな先入観があったということを聞いております。よもや自分のところには大きな地震はなかろうと思っているところへ大きな地震に見舞われると、これは現地では動転をしてどうしていいかわからなくなるということも十分に考えられます。  自衛隊といえども災害対策の訓練を必ずしもやっているわけじゃない。しかし、いざという場合には、自衛隊にも艦船がある、海上保安庁にも船がある、こういうものを、避難の人たちを何とかしなきゃならぬという場合、あるいは泊まるところがない場合には収容するとか、いろんなことが必要に応じて出てくると思います。その任務は、必ずしも考えていないようなことをやらなきゃならぬわけです。そういう場合に、自分のところの所管じゃないよと言ってそっぽを向いちゃいられないと思うんですよ。そういう意味では、かなり手広くいろんなことができるようにしておく必要があると思う。  例えば陸上自衛隊にしたところで、急の場合に食事をするといったって、ああいう訓練をやっておけばもう自前でもって食事の支度を早急にやるというようなこともできるわけです。普通、仕出しを頼むとか何とかいったら、それは何百人分、何千人分をすぐ頼むといったってできるところはありませんよ。  そういうことを考えると、自衛隊あるいは海上保安庁がそれぞれ飛行機であるとかそういうものを総合的に使って現実の問題に対処するという訓練は、これまた常日ごろからやっておく必要があると思うんです。今まで必ずしも十分ではなかったということは、恐らく大臣も実際の体験からお感じになっておると思うのであります。  だから、そういうことをこれから横の連絡をとってやるということも求められてくると思うのでありますが、それらの点で常日ごろからそういった訓練をやっておく必要があるのかどうか、やっておられるのかどうか、そういうこともあわせてお伺いしたいと思うんです。
  62. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) これは私が承知申し上げておる範囲で、せっかくお話してございますから申し上げるのでございますが、さまざまな政府の機関あるいは組織、団体等が総力を挙げまして発生いたしました地震対策に努力をしていただいたわけでございますが、ただいまお話しの例えば自衛隊の問題一つを考えてみても、初動態勢、そしてその初動態勢における法律上の可能な限界点、これも指摘をされました。  しかしながら、自衛隊はみずから出動して、そしてできるだけ緊急対策に協力しなければならないということを果敢に考えてくれました。そしてまた、半ばそういうことも実践をしてくれたわけでありますけれども、先生指摘のように、関係県、あの場合は関係県でありましたけれども、間髪入れず機動的な出動要請がおくれたという厳然たる事実が出てしまいまして、今お話しのような戸惑い、そして緊急対策が時間的に物理的に大変乖離があったという結果が出ました。  したがいまして、先生からお話がありまするように、そういう教訓を一つ基本にして、きちんと国の制度制度行政行政として訂正をして、そしてより合理的な機敏な対応ができるようにするべきではないかというお話がありましたが、そのとおり自衛隊の出動につきましては、きちんとと申し上げていいかと思うのでございますが、そういう教訓を生かして整備をされました。  こういうふうに御紹介できるかと思う次第でございますが、ただこれだけで決して十分ではありませんから、この機会にもなお一層の努力を政府は傾注するべきである、さように思っております。
  63. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 私は、今の世の中で起こっていろいろんな問題について、基本的には何が大事かということから考えていかなきゃいけない問題がたくさんあると思います。犯罪も非常に多くなっております。あらゆる犯罪が、例えば金融機関にしましても、野村、山一、第一勧銀、後から後からもう億単位の金がどう動いたというふうな一般の庶民には想像できないようなことがいっぱいあります。それから、犯罪にいたしましても、昔は聞いたことのないような年少犯罪であるとか、そういったようなことがふえているように聞いております。  では、これらに対応するために現行法規で間に合うのかどうか、どういう法律が必要なのか、不備な法律は改めなきゃならないだろうと思います。それらの根本的な問題の検討というものが行われないと、いたずらにあれよあれよという間に悪いことばかりが横行する。公務員であろうと会社員であろうと、あらゆる層を横断して犯罪事犯というものがふえているということは極めて憂慮すべきことであります。それから、法の整備も必要になってくるし、それから教育基本方針も十分に考えなきゃいけないんじゃないかという気がいたします。  だから、文部省でもあるいはまた警察庁でもいろいろな官庁も共通して、平和な日本を何とかして築いていくというためには諸悪と戦う必要があると思うんです。諸悪と戦うためにはどういうような法のあり方が必要かということも基本的に考える必要に迫られているという気がいたしますが、それらの点も総務庁長官としては、他の省庁とも関連のあることなのでありますので、どういうふうにお感じになっておるのか、どういうふうに提言をされるおつもりがあるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  64. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 私ども総務庁といたしましては、広く青少年対策も預かっておるところでございます。お話がございましたように、法体制という観点から申し上げますと少年法ということであろうかと思います。  先生も御承知のとおり、現在の少年法は戦後の混乱期、昭和二十二、三年ごろつくられたものではなかろうかと承知をいたしております。もちろん、この法の趣旨は、少年の保護観察あるいは少年保護院と申しましょうか、いわゆる少年院送致などの種々の保護処分を行っておるわけでございますが、環境、社会が大分変わってきておりますことも、そしてまた少年にかかわる犯罪も顕著にふえてまいっておりますこともお話のとおりでございます。  少年法の改正云々については、むしろ法務省でいろいろお考えをいただいておるやに承っておるところでございまして、私どもの立場からもこの問題は真剣に対処していかなければならぬ、さように思っております。
  65. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 昔のことを言うと古いと言われるかもしれませんけれども、私どものような戦中派にとっては、いじめなんという話は子供のころ聞いたことがないんですよ。それはまあ餓鬼大将がいてけんかをするなんということはないわけじゃなかったけれども、何か組織的にいじめをやったり、それから悪事に走るとか、そういうことを聞いたことがない。  それから第一、学校の教育の問題にしましても、夏休みになると宿題は出されるけれども、宿題を出されるとそれさえやればあとはいいやということで、専ら遊んでいたものです。そして、塾へ行って一生懸命勉強するということで、しりをはたかれるという例はなかったんですよ。だから、今は塾へ行って勉強をするのが当たり前になっちゃっているけれども、そういう習慣もなかったですね。だけれども、塾に行かなくたってちゃんと成長して立派に仕事をやっているわけですから、果たしてああいう教育あり方がいいのか悪いのかということを根本的に考えてみる必要があると思うのでありますが、その点どのようにお考えになりますか、お伺いいたします。
  66. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 対策といたしまして、当面の対策、あるいはまた中期的と申し上げましょうか、いわゆる長期的な対策というものがあろうかと思われます。私どもの立場といたしましては、青少年対策推進要綱、これは御承知のとおりことしの七月に改正をいたしたものでございますが、その中におきまして、凶悪そして粗暴な非行の増加への対策を最も重点的に位置づけまして、関係省庁間の連携強化を図りながらひとつ弾力的に積極的に対応していかなければならぬ、そういう一つの方針、施策を決定いたしたわけでございます。  なおまた、いわば長期的な対策といたしましては、御承知のとおり、青少年問題審議会におきまして、去る七月でございましたか、総理大臣から青少年の問題行動への対策を中心とした重点的な検討を願いたい、重点的施策を講ずる検討を願いたい、こういうようなことで目下その協議が進められている、こういう状況でございます。
  67. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 民主党‘新緑風会の齋藤勤でございます。  先週の金曜日に内閣委員会がセットをされておりました。内閣委員会はもう既に予定が決まっていたわけでございますが、過日の内閣改造で有罪確定した議員が総務庁長官につくということで、我が党といたしましては国民皆様とともに強い憤りと罷免を求めてきました。しかし、内閣委員会の時点で佐藤総務庁長官がこの委員会に来るならばということで、私なりの質疑を交わす予定でいましたけれども、きょうに委員会が延ばされました。  そこで、きょうは人事院勧告をめぐるさまざまな質疑をするつもりでございますが、官房長官もおりますので、人勧問題につきましては後ほど官房長官を中心として人事院にも伺いたいと思います。  前段、人事院でも総務庁でも結構なんですけれども、いわゆる運輸政務次官職務にかかわってわいろを受け取って有罪と確定した。政務次官あるいは大臣は特別職の国家公務員であるわけでありますが、例えば汚職で有罪となった運輸省の職員が刑を終えて復帰して、中央省庁のさらに上の地位につくことが可能なのかどうか。あり得ないというふうに思うんです。私は過去にないというふうに思うんですね、一般職公務員のことを言っているんですが。  そこで、これまで一般職公務員がこういうようなケースで再登用されたとか上級職についたとかいうようなことについて、すべて調べるのは大変かもわからないんですが、私は一般的に国家公務員であろうと地方公務員であろうとないというふうに理解をしておりますけれども、ここら辺、再雇用したとかあるいは再雇用した場合さらに別の高い地位についていった、こんなケースはありますか。
  68. 角野敬明

    説明員(角野敬明君) お答え申し上げます。一般職職員が有罪判決を受けたような場合の国家公務員法上の取り扱いでございますけれども、国家公務員法の三十八条に欠格条項の規定がございまして、具体的には第二号に書いてございますけれども、「禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者」につきましては「官職に就く能力を有しない。」という規定がございます。「執行を受けることがなくなるまでの者」ということにつきましては、具体的には、例えば執行猶予を受けた者がその執行猶予期間を満了するまでということでございまして、執行猶予期間が満了した場合には少なくとも欠格条項との関係で申し上げれば就官能力がなくなった者ではなくなっているということではございます。  ただ、そのような形の経験のある者について具体的にどういうふうな任用等の事例があったかという点につきましては、詳細に調べたわけではございませんけれども、私ども知る限りでは具体的な事例を承知いたしておりません。
  69. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 私も短い経験ですけれども、聞いたことはないんですね。いや、そういう人がいますよという方々は、政府委員の方々はお答えいただければというふうに思うんですが、いらっしゃらないですよね。  さて、一般職のそういう事例、法律論もございますけれども、公務員としての身分とか地位というのはそういう意味では国民全体の奉仕者ということで大変重要な地位を占めているということで、慎重にしなきゃならないということが当然あろうかというふうに思います。  小里長官、新聞あるいはテレビでも報道されましたが、新聞によりますと、月曜日でしょうか、熊本県をオートバイでドライブ中に総理から電話があってこういう要請をされたというふうに聞いております。実に突然だったという長官はすぐ東京の方に行くわけで、事前に何かあれば東京にいらっしゃるのじゃないかというふうに思うんです。  ちょっとそこを詳細に伺いたいんですけれども、電話のときには、小里さん、総務庁長官に就任してくださいという、そのときにはもうそういう電話であったのかどうか。そのときに長官はわかりましたというふうに言われたのか、考えさせてくださいと言ういとまもなかった、いや、ノーと言ったけれども再要請されたのか、そんな意思表示の電話の状況なり、やりとりなんかについてお聞かせいただきたいと思います。  最終的に今こうしてお引き受けをされまして、これから総務庁長官として御活躍をされるわけでしょうけれども、行革担当大臣として決断をされたというふうに思いますが、その決意も含めて詳しくお伺いしたいというふうに思います。
  70. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 今お尋ねをお聞きしながら二つだけ感じたわけでございます。  一つは、私も日ごろ国会議員の端くれとして、目下、行政改革というものが我々国会あるいは政治にとりまして最重要な課題であるなと、こういう意識と申し上げますか姿勢は堅持していたと思います。  しかしながら、二十一日と二十三日は休みでございましたので、宮崎県、大分県、そして鹿児島県の県境の、しかも山岳、標高一千メートル以上のところをツーリングいたしておりました。家内を含めまして、マネジャーを入れて五名であったわけです。  ちょうど二十二日の午前十時半ごろであったろうかと思うのでございますが、私の携帯電話に電信が届きました。しかしながら、山岳地帯で標高が相当ある。しかも、山が大変起伏に富んだ谷合い地帯でございまして、大体七十分間前後、正確な電話ができなかったということがあります。阿蘇山頂の火口湖周辺に参りましたときにやっとその電話が通じました。率直に申し上げまして、各方面から私の居所を尋ねておられた、問い合わせを受けていたということがわかったわけです。  そこで、私の方からまず総理官邸に電話すべしという私の東京の事務所の方からの連絡を確認いたしました。そして、総理官邸に連絡をいたしましたところ、これは正確に申し上げた方がいいと思いますが、総理大臣じきじきにその電話にお出になりまして、今どこにいるか、すぐ官邸に来ていただきたいということでありましたが、私は今九州におりますと申し上げ、その距離のあることも率直に申し上げまして、総理も初めて御承知になったかと思います。  いずれにしても早速直ちに東京に来ていただきたい、こういうことでございましたので、私は何か御用でしょうかという意味の問いかけも申し上げました。そのときに、実は君も知っておるように佐藤さん問題を今日処理しておるところだと、ついてはというお話がございましたので、そのとき申し上げましたことは、私は非力でございますと、それからかれこれ御相談申し上げるべき一つのことも感じておりましたから、そういうふうに申し上げたわけでございますが、可能な限り間近な飛行場から直ちに上京されたしということでございましたので、その現場から熊本空港が最も近いわけでございますから、熊本空港の方にそのままサイドカーで走っていきました。  先生も今言外に問いかけておいでになったかと思うのでございますが、あくまで政党政治でございますから、走る途中で政党のその筋の要路の方とも可能な限り携帯電話でいろいろ情報交換しながら空港に参ったということであります。二時三十分の飛行機がおりましたので、いわば作業服でそのまま羽田を経由して総理官邸に直行いたしまして正式の指示を受けたへこれが経緯でございます。
  71. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 官房長官にも後ほど伺いますが、小里長官自身、今回の改造で佐藤孝行さんが総務庁長官として閣僚に入ったというときに、そのときは小里長官はどういうふうに思われましたか。考え方と申しましょうか、これは橋本総理まずかったんではないかとか、いや、いいことをやったとか、国会議員、与党の大幹部でもございますのでそれなりの判断はいろいろあったというふうに思うんですが、そのときの考えについて伺いたいと思います。
  72. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 率直に申し上げまして、まさに青天のへきれきでございました。そして、正式に官邸に直行いたしまして……
  73. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 勘違いしていらっしゃる。その前の佐藤孝行さんが任命されたときの感想、所感を聞いているんです。
  74. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) これは先ほどの先生方の質問にも若干お答え申し上げたつもりでございます。前長官をめぐる去就、進退についての起伏は私も十分存じ上げておるつもりでございますけれども、その評価と申し上げましょうか、あるいは功罪と言っていいんでしょうか、とにかく評価について後任者の私がとやかく申し上げることは穏やかでないのではないか、その立場にないと、そういう私の気持ち、心情をひとつ御理解いただきたいと思う次第です。
  75. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そのときの気持ちは忘れられていないと思うんですけれども、今何回も御質問してもそれ以上出ないようですね。  官房長官がお戻りになりましたので、今の佐藤孝行前総務庁長官のいわゆる内閣改造問題について継続するつもりはあるんですが、人勧の問題について先に幾つか確認させていただきたいと思います。  先ほど来のやりとりの中で、できるだけ早い時期に給与関係閣僚会議を開きたい、こういうことでした。このできるだけ早いというのは、次の閣議がいつなのかというお尋ねをしたいんです。一番直近の閣議なのかどうかということなんですが、直近の閣議というのはいつ予定されているんですか。
  76. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 記者会見でおくれまして申しわけありません。  これは閣議というよりもまず給与関係閣僚会議を開かなければなりません。先ほどもお答えいたしましたとおり、月は変わると思いますけれども、できるだけ早く給与関係閣僚会議を開きたい、こう思っております。
  77. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 この三年の例をとりますと、給与関係閣僚会議平成六年ですと十月四日、そして十月四日に勧告取扱閣議決定、同日ですね。平成七年も九月二十六日に給与関係閣僚会議勧告取扱閣議決定を当然のことしているわけです。十月四日、九月二十六日、そして平成八年が九月二十日と、この間、臨時国会召集前に行っているわけですが、今回の場合は行われていないということになっている。来週月曜日に臨時国会を召集されますが、今の官房長官のお答えですと、来月早々の閣議で扱いを決定したいということでよろしいですか。
  78. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) ただいまお答え申し上げましたが、ここ近年、九月というような状況でございますが、十一月のときもあります。十月のときもございますが、先ほどお答えいたしましたように、財政状況あるいはまた人事院勧告を尊重しながら、関係閣僚会議を開きまして十分に議論をしていきたい、こういうふうに考えているところでございます。それは十月早々、二回目になると思いますが、その中で十分に論議をしていきたい、こう考えております。
  79. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そこで、中身なんですけれども、いわゆる完全実施をするかしないかということが重要になってくるわけであります。先ほどの人事院総裁説明でも、これは公務員労働基本権制約の代償措置として人事院があり、そしてその機能を果たしているということで長い歴史があるわけでございますけれども、完全実施をしていくということについての姿勢、このことについての検討状況も含めて、現在の考え方についてお伺いしたいと思います。
  80. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 先ほどもお答えいたしましたが、尊重するという反面、集中改革期間中総人件費を極力抑制する、この双方の要請を踏まえまして、給与関係閣僚会議で財政事情初め国政全般との関連について十分議論を尽くして検討を行い適切に対処してまいりたい、こう思っております。
  81. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 大先輩に大変恐縮ですが、いわゆる官僚答弁的なお答えしかないのですけれども、公務員労働者が完全実施をしてほしいということ、そしてこのことは言うまでもなく最低賃金制にも結びつきますし、年金、恩給、非常に期待をしているわけなんですね。  完全実施ということが毎年繰り返し指摘をされ、答弁もいただいているんですが、今以上の答弁は出ないのかもわからないんですけれども、完全実施していくということについての方向性をにじませた答弁というのを、単に国家公務員だけではない、地方公務員も、そして多くのそういう人たちがいるんだという気持ちを持ってお答えいただければというふうに私は常々思っていますので、そういうお答えをやはり期待したいというふうに思います。  総務庁は、すぐ法案を出して国会の方に提出をするという御準備、いかがでしょうか。
  82. 中川良一

    説明員(中川良一君) 当然のことでございますが、給与関係閣僚会議におきまして取り扱い方針をお決めいただきまして、さらにそれを閣議決定という形で決定をいたしまして、その後その決定の内容を踏まえまして法案をつくる作業に入るということになるわけでございます。もちろん事前に勉強すべきところを勉強しておくという準備は最大限やっておきたいというふうに思っておりますが、いずれにしても政府としての取り扱い方針が決まった段階で法案化の作業に入るという段取りでございます。
  83. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 官房長官、再度お伺いしたいんですが、閣議決定の日程は言えない、しかし十月早々に第二回目の給与関係閣僚会議だと。スケジュール的に十月早々というような御答弁がありました。  完全実施の方針で臨むということは御答弁いただけませんか。
  84. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 先ほどの私のお答えは官僚答弁だというお話もございました。しかし、私は給与関係閣僚会議の座長でございまして、私から完全実施で臨むとか臨まないとか、この会議を開きませんとできないので、その点はお答えできませんけれども、今の先生お話は十分お聞きしておきたい、こう思っております。  以上でございます。
  85. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そこで、官房長官佐藤総務庁長官内閣改造に当たって同時期に任につかれたわけですけれども、なぜこの時期の内閣改造だったのかというような疑問があるわけです。省庁再編なり六つの大改革をしていこうという橋本総理決意、その継続性、そしてまた充実性ということになっていくんですが、なぜこの時期の内閣改造だったということについてはどういうふうにお考えですか。
  86. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 私は官房長官を拝命いたしましたけれども、これは橋本総理が改造を決意してこのようになったと思いまして、私から推測して申し上げるべきところではない、こう思っております。
  87. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 いや、もっと語ってほしいですね、同じ大臣なんですから。今ここで言っているというのは国民に言っているということですからね。今度の内閣改造というのはこうだった、私は新官房長官についてこういう政治をしていくんだというのが本来の政治家なり大臣姿勢だというふうに私は思うんです。  それで、今回の改造を見ると、また自民党さん派閥の人事じゃなかったのかということがあるわけであります。派閥人事だというような指摘を受ける、あるいは有罪判決を受けた人、確定をした人が総務庁長官に座る。そして昨日は、御健康問題ですからやむを得ないと思いますが、これもやむを得ないと言いつつも、健康診断書を持ってこいというのは別にしても、健康をチェックできなかったのかというふうに私は思いますが、越智前農水相がやめられるということで、この内閣改造への決意というのが伝わってこないんです。  官房長官のお答えでも、胸のうちということになりますと、私にもわからないですね。胸のうちといったって、胸を開いて聞くことはできないわけですから。この辺、私は今ずっと御答弁を聞いていると、内閣改造とは何だったのかと言わざるを得ないんです。  私ばかり話をすると時間がなくなっちゃいますが、佐藤さんの辞任を受けとめて、首相の反省と申しましょうか、国民皆様にということで記者会見をされています。改造後、この間大きな記者会見を二度しているんですが、最初のときに、一度過ちを犯した人がとか、あるいは二度目のチャンスを与えるべきと。この記者会見のときは官房長官も一緒にいらっしゃいましたね。そのときそばに座りていて、総理いいことを言っているなとか、いや、まずいことを言っているよとかあると思うんですね、気持ちとして。それはどうでしたか。
  88. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 先生から最初この改造はどうしてしたのか、こういう話でございますが、これは自民党総裁の再選があり、そして与党でありますいわば自民党でございますが、この方々と御相談をして、この際改造をする、こういうふうに決意をされたものと思います。  私は官房長官になりましたが、決意を出せと言われますとなかなかあれでございますが、私も官房長官になりましたので、六つの改革初め大胆な規制の撤廃等について一生懸命頑張っていきたい、こう思っております。  佐藤総務庁長官の点の御指摘がございました。総理からもいろいろ話があり、その後世論の厳しい御意見もあり、先ほど申し上げましたように、総理記者会見で世論の重みに十分思いをいたさなかったと深い反省もいたしております。国民皆様に率直におわびをしているところでございまして、私も同様の認識を持っているところでございます。  今後は謙虚に国民皆様の声に耳を傾けながら、行政改革を初めとする六つの改革内閣を挙げて全力で取り組むことによって国民皆様の負託にこたえていかなきゃならないと一層気を引き締めて頑張るつもりでございますので、よろしくお願い申し上げます。
  89. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 どうも何か私がいじめているみたいで恐縮なんですけれども、多分答えにくいのかなというふうに思いますが、これは橋本総理指導者としての責任というのが本当に問われている局面だと思います。与党の多くの方々は、これはまずいことをしたというふうに思っても、総理自身の専決事項ですからそれは言えないということでしょうか。  総理佐藤孝行さんを総務庁長官任命したときに二度目のチャンスを与えるべきだということを言っている。そのときの感想を聞いたわけなんで、二度目の記者会見ではないんです、そのときはもう既に官房長官に御就任になっているわけですから。そのときの御感想をお聞きしたがった、できれば聞きたいというふうに思いますが、官房長官、どうですか。  これからいろいろ政界再編でどういうふうに政権が変わっていくかもわかりませんが、有罪議員の登用というのはもう二度とない、あり得ないということは断言してよろしいんですか。それは総理じゃないとお答えできないということになるんですか。
  90. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 今回の出来事に対しまして与党三党でも厳しい意見が出されまして、党首会談も行われております。私が任免権者でありませんからここで断言できませんけれども、今後このようなことは二度としないというつもりでいるところでございます。
  91. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 もう一つお伺いしたいんですけれども、佐藤孝行さんが入閣をすることについて既にもう約束をされていたということがあるんではないか、国民の中では実はそうだったのかということを非常に気にしているわけです。このことに対しまして、橋本総理自身が二度目の記者会見で、行政改革に取り組んで努力をしてもらい、それが認められたら閣僚に起用してもおかしくないという空気が党の中にあったことは事実ということを答えております。  永田町だけの論理だということにつながっていくわけなんですが、これは官房長官小里総務庁長官もそうなんですが、もうそういう空気だった、行政改革を一生懸命やれば、認められたら閣僚に起用してもいいんだというのが自民党の中の大方の空気だったと。これは総理自身が言っている、総裁が言っているんですから、そういうことだったんですね、要は。
  92. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) もう約束していたということについては新聞報道その他ございますけれども、私は存じ上げておりません。私の発言も翌日見ますと相当違っていることを言っているなということがたびたびあるわけでございまして、約束したとかどうかということは私はわかっておりません。  ただ、先生指摘のように、自民党内で一生懸命行政改革をやっておったと、これは引き続きその方面で頑張っていただきたいという空気があったことは事実だと、これは認めます。
  93. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 この間、ロッキード、リクルートあるいは佐川、さまざまなスキャンダルがあったわけで、自民党さんが過半数をなくして、そして連立政権ができて今日に至っていますが、やはり金権腐敗の政官業の癒着の政治を断ち切らなきゃいけないというのが国民の世論であったわけでありまして、そうするとその空気というのは、果たして国民の世論というのを真剣に受けとめていなかったんではないかというふうに私は言わざるを得ないと思うんです。  時間もありませんから、このことは来週から始まります臨時国会の中で衆参両院あわせて我が党のそれぞれの議員が橋本総理の今回の内閣改造に当たっての問題点については厳しく追及をさせていただきたいというふうに思います。  ともかく総務庁長官というのは公務員制度を預かる最高責任者なんです。公務員に対しては、非行のあった職員、そして刑事事件で有罪に問われた職員の処罰のあり方、これはきょうも人事院総裁が、こういうことはこれからきちんとやらなきゃならないし、今までやってきたが、これからもさらに正しい厳しい姿勢で臨むということを言っているわけです。しかも、厳しい財政状況だと、公務員だけではなくて国民生活に厳しいことを率直に言わなきゃならないというときに、そういう行政改革の担当大臣が収賄罪で有罪になった人、法律論とかそういうことではなくて、そんな人を登用するというのは本当に私は神経がおかしいと思います。  今ここに佐藤孝行さんはいらっしゃいませんけれども、検察批判を繰り返して、いろいろ自分の著書で言われているんですが、それならばきちんと司法の場でやればいいわけであります。  新しい長官が就任をされましたけれども、国民無視、政治倫理観の麻痺、このことを払拭する、国民の信頼を取り戻すのは大変なことだというふうに思いますので、ぜひそういうような真摯な立場で臨んでいただきたいということを最後に意見として申し上げさせていただきまして、時間が来ましたので終わりたいというふうに思います。
  94. 橋本敦

    橋本敦君 私も引き続いてこの問題について伺いますが、今回の佐藤孝行議員の入閣、それに続く辞任問題という一連の事件は、言ってみれば橋本内閣と自民党政治の金権腐敗体質の底深さ、そしてまた清潔な政治を求める国民社会通念とは甚だしい乖離があるということをはっきり示したと思います。この点は総理も一部会見で言われたとおりであります。  任命権者である橋本首相に重大な責任があることは言うまでもありませんけれども、基本的にはまさに民主政治の要請である民意の尊重という問題、それからさらに政治倫理について厳しい基準を持っていなきゃならぬという民主政治の根本理念の問題、この点が全く欠落しているというところに私は大きな問題があると思います。だから、これに対する国民の怒りは大変なものでありまして、御存じのように橋本内閣の支持率は一挙に三〇%台に急落をし、不支持率がそれをはるかに上回る、こういう事態にまで至ったわけであります。  官房長官は当時、自民党国対委員長として組閣本部の一員として組閣にも一部関係をされたというように新聞等で理解をしておりますけれども、橋本首相の責任が重大であることはもちろんとしても、官房長官もまたこの点について責任がないわけではないというように私は思いますが、どのように認識されておられますか。
  95. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 先ほど御質問の先生方にもお答え申しておりますが、私も閣僚として責任があると考えております。
  96. 橋本敦

    橋本敦君 先ほど官房長官は、山崎政調会長が新聞で語っておられたように、佐藤氏が行革本部長として全力を挙げて頑張っておられる、そういったことが入閣の一つのシナリオとして党内で言われていたということについて質問がありまして、引き続き佐藤氏に行革全力でやってほしいという話があったことは事実だというお話がありました。しかし、佐藤氏は海部内閣のときにも入閣問題があり、引き続き入閣ということで派閥間の話があったというのも公に言われていることです。したがって、いわゆる自民党内の派閥あるいは永田町の論理として、行革を一生懸命にやれば次は入閣だという話があった、その事実は否定できないんじゃありませんか。
  97. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 先ほどもお答えいたしましたとおり、約束されていたとか、そういうことは私は存じ上げておりません。しかし、後段の方は、これは一人ずつ聞いたわけではございませんけれども、自民党内では一生懸命頑張った人を入閣ということの認識はあったかと思います。
  98. 橋本敦

    橋本敦君 そういったところが永田町の常識は国民から見ればいかに非常識であるかということが言われるといった乖離を生じてくるわけですね。  そもそもこの佐藤氏の問題でありますけれども、佐藤氏が犯した罪というのは、これはまさに政治権力をわいろで汚し、国民政治への信頼を裏切った重大な犯罪であったという事実は、これはロッキード事件を顧みて言うまでもありません。  この点は東京高裁判決が佐藤氏の罪状について次のように言っております。  航空行政という公共性の極めて強い行政部門において運輸政務次官という要職にあった者がその職務権限に直接関係する事項について犯した重大犯罪であると言わなければならない、こう述べています。これに続いてさらに判決は、関係証拠により被告人の罪責は明らかであるのに、事実関係を全面的に否認していたずらに弁解のための虚偽の供述を繰り返しているのみならず、多数の関係者を巻き込んでのアリバイ工作が行われており、反省の情は皆無と認めざるを得ない、また政治の金権腐敗が民主政治そのものに対する国民の信頼を失わせ、民主政治そのものを危殆たらしめるものであること等にかんがみるならば、被告人の罪責は厳しく追及されなくてはならない、このように明快に厳しく判示しているわけです。  したがって、このような人をもともと閣僚にする資格がないということの上に、何の反省もしていないということを加えてみると、二重の意味で閣僚にする資格がないことはもともと明白であったと言わねばならない。  この点について、官房長官、あなたは記者会見で、佐藤氏の問題は法的に終わっているし、党総務会長を経験し、行革推進本部長として立派な仕事をした、御理解願いたい、こう述べておられるのでありますが、それは重大なあなたとしての甘い認識であった、甘い判断であったということを今反省される必要があるんではないでしょうか。
  99. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 後段の私の記者会見での発言はそのとおりでございます。甘い認識であったと、こう言われておりますが、そのとおりであったと思います。国民の世論を真っ正面から受けまして、一生懸命頑張っていきたいと、こう思っております。
  100. 橋本敦

    橋本敦君 みずからの発言と認識の甘さを反省されたわけでありますけれども、問題は、国民は政官財の癒着を断ち切って、清潔な政治を望んでいます。そして、そういう清潔な政治国民に奉仕する政治こそ行財政改革基本的な国民の願いであることも明らかです。  その橋本内閣行革をやる担当の大臣にこのような佐藤氏を据えたということは、これはどう考えてみても、橋本首相の責任というのはまさに政治倫理の最低限のルールさえ踏み越えてしまったという意味で私は重大だと思う。これまでの内閣が、たび重なるいろんな問題があったけれども、佐藤氏を入閣させなかった、その一線を乗り越えたわけですね。だから、ここに重大な問題があるわけですが、この問題について官房長官は今どのように反省しておられますか。内閣の主要な閣僚としての御見解を伺いたい。
  101. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 先ほどから何回もお答えをいたしておりますけれども、今回の佐藤総務庁長官任命につきましては、総理からも、世論の重みに十分思いをいたさなかったと深い反省をして、おわびもいたしております。  私も内閣の一員として国民皆様に率直におわびを申し上げたい。今後は謙虚に国民皆様の声に耳を傾けながら、行政改革を初めとする六つの改革内閣を挙げて全力で取り組むことによって国民皆様の負託にこたえていかなければならないと決意をいたしておりますので、御理解をお願いいたしたい、こう思っております。
  102. 橋本敦

    橋本敦君 これからのことに行く前に、もっともっと私は真剣に反省すべきだという点を指摘したいんです。まさにその点が一つの主要な問題なんですが、佐藤氏の辞任によってこの件は一件落着したとお考えですか。責任の所在について国民の前にもっともっと徹底的に解明する問題があるんだというふうにお考えになりませんか。もう一件落着したとお思いですか。
  103. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) これは総理記者会見おわびをいたしました。また、先ほどの御指摘もありましたとおり、これから臨時国会もございます。総理からもこの点の状況について御説明もあろうかと思います。
  104. 橋本敦

    橋本敦君 今の発言は一件落着したとは到底言えないということであったと思います。  そこで、先ほどもあったんですが、こういった政治権力の座にある者が権力犯罪を犯し汚職を犯したことについて、二度と閣僚に任命することはないということについて、私は大事な一線を踏み破った内閣責任として、やっぱり明確に、官房長官を先頭として、総理と御相談の上みずから明確にすべきだと。与党と協議、相談してじゃなくて、内閣責任として二度とこういうことはやらないということを明言すべきだと、私はそれぐらいの責任でやってもらいたいと思いますが、御決意はどうですか。
  105. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 先ほどもお話し申し上げましたけれども、私は任免権者でございません。しかし、先ほどの先生と今の委員お話を聞きまして、これは総理と相談をして、進言していきたい、こう思っております。
  106. 橋本敦

    橋本敦君 最後になりますが、この問題について私どもは起こったときから志位局長の談話を発表いたしまして、この責任は厳しく追及し、罷免を要求してまいりました。今後、この問題について橋本総理責任を次の国会でも厳しく追及していくという立場を表明して、私の質問を終わります。
  107. 笠井亮

    ○笠井亮君 日本共産党の笠井亮でございます。  きょうは人事院勧告の問題、いろいろテーマがあるんですけれども、その実施問題について先ほど来ありますが、その問題に限って質問をしたいと思います。  さきの給与関係閣僚会議等の報道などを見ますと、部分凍結が落としどころだとか、あるいは本年度は実施するけれども来年度以降はそうはいかないようなことがしきりに言われております。わずか一・〇二%という低率の勧告さえ実施しないということでは公務員の要求からもほど遠く、そしてその生活はもちろん、士気をも損なうことになるということは明確だと思うわけであります。その点で幾つか伺いたいと思います。  まず、人事院総裁に伺いますが、昭和五十九年、一九八四年ですね、ちょうどそのころ人事院勧告の凍結だとかあるいは値切りだとかということが大変な議論になったときでありますが、八四年十一月八日の参議院内閣委員会で、そのときの内海総裁が、人事院勧告制度というものは憲法に保障された労働基本権制約の代償措置であり、勧告制度というもののそもそもの淵源は憲法に由来しているというふうに明確に述べております。  私は、まず再確認したいと思うんですけれども、人事院勧告はそもそも憲法に由来しているものであって、給与についての勧告を尊重することはその関連で極めて重大な要件となるというふうに考えますけれども、その点は今も変わりありませんね、いかがでしょうか。
  108. 中島忠能

    説明員中島忠能君) 先ほども御答弁申し上げましたように、労働基本権というのが国家公務員については制約されております。その代償措置として人事院勧告というのがあるわけでございますから、その人事院勧告につきましては政府の方で尊重していただくというのが法の建前だろうというふうに考えております。そういう意味で内海総裁も答弁なさったんだろうというふうに思います。
  109. 笠井亮

    ○笠井亮君 憲法に由来しているということで内海元総裁の答弁を確認されたというふうに思います。  振り返ってみますと、公務員賃金をめぐっては、言うまでもありませんが、第二次大戦後、越年資金支給だとか最低賃金制の確立などを要求した二・一ゼネストというような運動がありました。それに対して、当時の占領軍当局と政府がマッカーサー書簡及びそれを受けた政令二百一号によって、いわば国内法を超えた形でそういう力に頼って団交権、争議権を制限したことの代償措置として生まれたのが人事院及び人勧制度だったというのは、これはもう紛れもない歴史的事実だと思うわけであります。  人事院がその代償機関たり得るには、私は二つあると思うんですけれども、第一に労使いずれの側に対しても中立的で公正な第三者機関でなければならない、そして第二にその機関の決定が迅速かつ完全に実施されなければならない、この二つのいわば前提条件が当然遵守されるべきだと思うんですけれども、人事院総裁、これはもう当然のこととしてよろしいですね。
  110. 中島忠能

    説明員中島忠能君) 今、議員がおっしゃいましたように、私たちは政府の方でそのような認識を持って対処していただきたいというふうに思います。
  111. 笠井亮

    ○笠井亮君 そうしますと、人勧制度がそもそも憲法の保障する団体交渉権、争議権に由来して、憲法に沿って人勧機能するには迅速かつ完全な給与改定実施が必要だということは筋として明らかだと思うんです。  そこで、総務庁長官に伺いたいんですが、先ほど来この問題で質疑がありました。官房長官給与関係閣僚会議の座長としての立場があるので繰り返し答弁された以上は言えないということを言われましたが、閣僚会議でいろいろ意見を聞きたいと言われました。  総務庁長官は閣僚会議に出席される給与担当大臣としての立場があると思うんです。今、人事院総裁に確認させてもらいましたが、そういうことを踏まえて、給与担当大臣として人事院給与勧告を早急に実施するためにどういう努力をしておられるのか、あるいはこの閣僚会議の中でどのように意見を述べられようとお思いになっているのか、その点を伺いたいと思います。
  112. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 先ほどからしばしば御指摘ございますように、憲法上の労働権制約の言うなれば代償措置の根幹と、さように私も基本的に認識をいたしております。それはいわゆる人事院勧告制度を尊重するべきである、これは私の立場としてはっきり申し上げておきたいと思います。  同時にまた、官房長官も話をしておいでになりましたが、国政全般との関連もこれは考えなければならない一つの要件であろうと思う次第です。殊に目下財政構造改革あるいは財政再建等、背後におきましては強い意気込みで議論が進められておるところでございます。  いずれにいたしましても、総務庁といたしましては、国民あるいは公務員双方の理解を得られるように結論を急がなければならぬと思っております。  殊に人事管理を掌握しなければならない責任ある立場にもあるわけでございますから、私は、先ほど官房長官給与関係閣僚会議も必要だよとおっしゃるそのことも十分理解をしながら、正直申し上げましてけさ方も官房長官に、個別な対話ではございましたけれども、先ほど官房長官から話がありましたように、第二回目の給与関係閣僚会議をできるだけ早く開くように期待を申し上げますがと、また官房長官自身もそういうふうな気持ちをお持ちだということを聞いておりましたがということをあわせてけさ方総理官邸でお話し申し上げたばかりでございました。  申し上げるなれば、総務庁長官としての私どものこれに対する思いを御理解いただきたいと思う次第です。
  113. 笠井亮

    ○笠井亮君 今、憲法上の要請から尊重するのは当然だということはお認めになった。その上で、公務員とともに国民の理解ということと財政構造の問題、財政事情が厳しいということもあるんだということを言われましたので、その辺の問題に関連してさらに伺っていきたいと思うんです。  一つは、国民の理解あるいは公務員の理解との関係に深くかかわると思うんですけれども、この人事院勧告の問題は、直接的には確かに五十万の国家公務員給与に対するものでありますが、給与に対するその影響というのは、全国で数百万と言われる地方公務員を含めた公務員とその家族、さらに民間の学校職員とか医療・福祉従事者、また特殊法人とその関連企業とか、各種団体の職員給与が現状では公務員準拠の形をとらざるを得ないということがあると思うんです。それからまた、人勧は賃金だけに大きな影響をもたらすだけではなく、恩給あるいは各種年金、共済とかあるいは各種の手当等にも波及するということだと思うんですけれども、それらを総合するとその影響は三千五百万人以上にも達するとも言われているというふうに思うんです。  その点、事実の確認ということなんですが、人事院総裁人勧の与える影響というのをどのように考えていらっしゃるか。影響が非常に大きいというのは事実だと思うんですけれども、その規模はどの程度かということについての御答弁をお願いしたいんですが、どうでしょうか。
  114. 中島忠能

    説明員中島忠能君) 数字的に私たちはっきり把握はいたしておりませんけれども、ただいま先生がおっしゃいましたように、国家公務員百十万人、地方公務員三百三十万人、そしてそれに連なる各種団体の職員給与というものに影響を与えるというのが今までの実際の姿でございますので、かなり大きな影響はあるだろうというふうに思います。
  115. 笠井亮

    ○笠井亮君 影響が大きいということをお認めになりました。  そうならば、このような広範な人々の消費を通じて景気そのものにも大変に大きな影響を及ぼすということが言えるんじゃないかと思うんです。  特に人勧を受けとめながらどうするかという政府の対応をめぐって、今日、消費税率の引き上げや特別減税の打ち切りが響いて政府の予測以上に深刻な消費の不振で景気は減速の度合いを強めているという事実があって、これは非常に深刻だと。マスコミにもその点での政府責任指摘が相次いでいる状況が一方であると思うんです。  また、前年比一割あるいは二割減ということで低調だった夏の商戦に加えて、秋にもあるいは冬にも回復の見込みが立たないということで小売業界ではお手上げ状態ということも言われております。そういう点では、早くも来年の春闘で賃上げをもっとやってほしいという期待の声も一方でそういう業界からも上がっているということもあると思うわけでございます。  そうしますと、総務庁長官に伺いたいんですが、そういう状況の中で、この上給与改善を見送るようなことが結果としてあるということになるとすれば、国民の購買力あるいは消費力をさらに低下させてますます景気に悪い影響を及ぼすのは明らかじゃないかと思いますが、この点ではどのような認識を持たれているか、その点についてはいかがでしょうか。
  116. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 率直に申し上げまして、今仮定のお話に思索をめぐらしたり、あるいは想像するような状況にはないと総務庁長官としては考えております。
  117. 笠井亮

    ○笠井亮君 思索をめぐらすとか仮定という問題じゃなくて、景気とのかかわりで影響があるかどうか。つまり、実施するかしないか、あるいは値切りがあった場合ですね。
  118. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 私は専門家ではございませんけれども、先ほども先生若干お触れになりましたように、影響があることであろうと、さように思っております。
  119. 笠井亮

    ○笠井亮君 そうしますと、この間、人勧を受けて政府でも毎年検討がされてきました。例えば九四年、三年前ですが、総務庁の年次報告を見ますと、平成五年ですが、十月八日の第三回閣僚会議においてというくだりの中で、「より確実な景気回復に向けた良好な波及効果等をも勘案し、勧告どおり給与改定を行うことが適当であるとの結論に達し、同日の閣議において政府として完全実施の方針を決定した。」ということがありました。  景気動向との関係で波及効果もあるということを勘案してやったということでありまして、そういう立場でこれまでもやってきたということがあると思うんです。その点では、財政の問題は別として、景気とのかかわりで言うといろんな側面での検討があると思いますが、給与改善の完全実施ということをしかるべしということで長官も認識されるということでよろしいでしょうか。
  120. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 給与関係閣僚会議も私は注目をいたしておるところでございます。率直に申し上げまして、先ほども言葉は違いましたけれどもお答え申し上げておるつもりでございますが、できるだけ完全に近い形で、しかもできるだけ早期にという志を堅持いたしておることだけは御理解いただきたいと思います。
  121. 笠井亮

    ○笠井亮君 志ということは伺いました。ただ、今の問題は一つ重要な問題だと思いますし、それから先ほど来ある問題で官房長官も繰り返し言われ、長官も言われましたが、財政構造の問題、財政が厳しいということが相当議論の中で検討の大きな要素として言われているわけでありますけれども、私は、財政が厳しいという問題を取り上げましても、もしそうであるならば、まずやるべきことはほかにきちっと本筋としてあるんではないかと思います。  今、世の中でも大変に大問題になって、テレビでも先日やっておりましたが、巨大開発中心の公共投資などの見直しの問題を初めとして膨大な浪費にメスを入れるということをやらないままに、財政構造改革だからということで、そういう名前のもとに総人件費極力抑制と、だからそういうことも含めて給与改善についても検討し結論を出すということになりますと、これはちょっとやるべきことが違うんじゃないかということになると思うんです。財政構造改革の名前のもとに、本来やるべきことをやらずに給与勧告実施を凍結するなどということが絶対あってはならないということを私は強く思うわけでございます。今、長官もうなずかれていらっしゃいます。  その点で言いますと、これまで政府としても、いろんな局面がありながら人事院勧告を受けて結論を出すということをやられてこられた。  会議録で振り返ってみますと、大分昔になりますが、例えば一九七〇年のときには、当時の山中総務長官は、それまでの不十分な人勧実施状況について正しいことではなかったということをはっきり述べられまして、「あるべき正常な姿が、財源の都合その他によってできなかったということについては、率直に正しくなかったことを認めております。」、そして「これからはいよいよそのような、あと戻りすることのないようにしていかなければならないと決心いたしております。」というふうに言われたんです。  それから、その後いろんな局面がありながら、また凍結され、実施されない部分実施みたいなことがあったときに、それを受けながら一九八六年十月に、これも当時の玉置総務庁長官がこう言われております。「近年、遺憾ながら勧告を完全実施することができませんでした。来年度以降においても公務員諸君が安心して職務に精励できるように、人事院勧告制度尊重の基本姿勢を堅持して、国政全般との関連を配慮しつつ、勧告の完全実施に最大限の努力を尽くす所存です」ということを述べておられるわけでありまして、人勧制度そのものからも、政府責任から見ても、いろんな国政全般の関連との配慮ということをしつつも、しかしいろいろやってみて繰り返し戻ってきているところは、やっぱりこの制度は大事だし、制度からいっても政府責任からも、早期に給与に関する人事院勧告実施するのは当然だということが基本的には大事な問題としてあると思うんです。  そうしますと、これも総務庁長官に重ねて伺うことになると思いますが、そういった歴代長官の言明があるわけでございまして、まさに今いろんな情勢ということが言われておりますが、その中で給与担当大臣としてそういうかつての言明も真摯に受けとめられて、そして志として持たれるというだけじゃなくて、少なくとも給与改善の完全実施に向けて全力を尽くす、閣僚会議の中でも強くそのことを主張するんだ、そしてそういう結論になるように全力を尽くされるということをぜひともここで明言をしていただきたいというのが私の質問なんですけれども、その点について重ねて御答弁をいただきたいと思います。
  122. 小里貞利

    国務大臣小里貞利君) 歴代の先輩たちの貴重なお話もお聞かせいただきました。  先ほどから申し上げておりまするように、代償措置としての根幹をなすものだと、これは私なりの信念でもあります。  それから、今申し上げていいんでしょうか、財政改革行政改革、いろいろ私どもの周辺には複雑にして高度な、しかも総力を挙げて越えなければならない問題があります。ありますが、そういう問題があるだけに、今度は行政にも民間にも広く国民にも協力をいただかなければならない、あるいはまた御負担をおかけしなければならないもろもろの問題等もあるわけですから、私はきのう、きょうも非公式ではありましたが議論いたしておりますが、いろんな分野の方々に、そういうもろもろの大きなハードルを越えるためにも少なくとも士気を乱しちゃいかぬなと、こういうような話を申し上げましたことも事実でございます。  先ほど申し上げましたように、ぜひ国民及び公務員双方の納得を得られるような努力もしなければならないし、またその努力は相当成果をおさめつつある、私はこういう判断をいたしておりまして、先ほど申し上げましたように、そういう方向で志として持っておりますよと申し上げましたのは、ただ単に言葉で申し上げておるのではありませんでして、かたい意志のもとに志ということを申し上げたつもりであります。  ただ、これは行政でありますから、組織体でありますから、原則がございますので、まず給与関係閣僚会議皆様方の御理解を、関係者の納得を得ることも大きな手続でございますから、さような一つの表現で答弁を申し上げておる次第です。
  123. 笠井亮

    ○笠井亮君 終わります。
  124. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時十八分散会