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1997-06-12 第140回国会 参議院 逓信委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年六月十二日(木曜日)    午前十時開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         渕上 貞雄君     理 事                 加藤 紀文君                 陣内 孝雄君                 足立 良平君                 三重野栄子君     委 員                 北岡 秀二君                 鈴木 栄治君                 畑   恵君                 保坂 三蔵君                 守住 有信君                 魚住裕一郎君                 鶴岡  洋君                 西川 玲子君                 林  寛子君                 松前 達郎君                 上田耕一郎君                 山田 俊昭君                 水野 誠一君    国務大臣        郵 政 大 臣  堀之内久男君    政府委員        郵政大臣官房総        務審議官     濱田 弘二君        郵政省通信政策        局長       木村  強君        郵政省電気通信        局長       谷  公士君    事務局側        常任委員会専門        員        舘野 忠男君    説明員        運輸省鉄道局技        術企画課長    藤森 泰明君    参考人        国際電信電話株        式会社代表取締  西本  正君        役社長        国際電信電話株        式会社代表取締  山口 武雄君        役副社長        国際電信電話株        式会社常務取締  安藤  理君        役        国際電信電話株        式会社取締役   塚田 一幸君        日本電信電話株        式会社代表取締  宮津純一郎君        役社長        日本電信電話株        式会社代表取締  林   豊君        役副社長        日本電信電話株        式会社代表取締  宮脇  陞君        役副社長        日本電信電話株        式会社代表取締  井上 秀一君        役副社長        日本電信電話株        式会社常務取締        役再編成室長兼  木塚 修一君        企画室長        日本高速通信株        式会社代表取締  東   款君        役会長社長        国際デジタル通        信株式会社代表  降旗 健人君        取締役社長     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○電気通信事業法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○国際電信電話株式会社法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○日本電信電話株式会社法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○電気通信事業法及び電波法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  電気通信事業法の一部を改正する法律案国際電信電話株式会社法の一部を改正する法律案及び日本電信電話株式会社法の一部を改正する法律案の三案の審査のため、本日の委員会日本高速通信株式会社代表取締役会長社長東款君及び国際デジタル通信株式会社代表取締役社長降旗健人君参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  4. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 電気通信事業法の一部を改正する法律案国際電信電話株式会社法の一部を改正する法律案及び日本電信電話株式会社法の一部を改正する法律案の三案を一括して議題といたします。  前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 守住有信

    守住有信君 自民党の守住でございます。  きょうは、電気通信事業法、その他コモンキャリアと言われているNTT法KDD法の一部改正、これについて御質疑したいと思います。  その前に、きのう、参考人で三人の方から十分この委員会で御意見等質疑もありましたけれども、聴取したわけでございます。その中で、三番目の方が一橋大学経済研究所の教授鈴村興太郎さん、一方では公正取引委員会情報通信分野競争政策研究会というのがありまして、それの会員もしておられまして、この方の御意見が非常に興味深かったわけでございます。  制度論としての結論はそうなっておりませんけれども、今後この方の御意見郵政省政府側として十分会議録も読んで、今後の法の運用という面で、公正取引委員会根來委員長以下、かつての法務次官でございましたけれども公正取引、公正、透明とか理念がいろいろ言われます、その実行行為をやっている最大のシンボルが公正取引委員会でございます。そのメンバーのお一人でもあり、学問的にも経済政策的にもずっと勉強しておられる方です。結論は別でございますけれども、しかし、特に公正、透明、公平な競争原理の導入どいうものの中で、この方の御意見というものを政府委員以下、各クラス、各課長まで十分読んでいただいて、この法の執行という面で、今後の法の運用、その中でこの方の考え方、御意見というものを十分入れて公正な法の運用に当たっていただきたい。  これは小さい話だけれどもドコモの問題でも公正取引委員会から指摘を受けておることは御承知でございましょう、事実上独占ということでね。子会社の方ですな。データとドコモ二つの大きなNTT子会社だけれども、その運用面において、マスコミ報道ですけれども公取から指摘を受けておる。そういう事実もあるわけで、今後この改正法、大きな基本的な第二の改革でございますけれども、それを公正に行政が執行していくときに、運用面についてですけれども、この方の御意見を十分そんたくして研さんしてやっていただきたいということをまず冒頭お願い申し上げておくわけでございます。  それからもう一つ、この方のレジュメがきのう出ておりまして、「意見陳述 鈴村興太郎」ということでずっとありますが、その最後のところで、   (2)今回の改革の骨格は、世界通信競争に取り残されることを懸念した橋本首相が、NTT国際進出解禁郵政省に指示したことがきっかけとなって、郵政省NTT協議を経て合意した案に沿って作られたと報じられている。規制機関と被規制企業の延々十四年間にわたる不毛な対立に、政治指導力を発揮して終止符を打ったといえば平仄があうが、昨年春の最終答申を作成した電気通信審議会メンバーでさえ、この決着のプロセスと内容を関知していないと聞く。この点からみても、今回の決着方法には、公共的意思決定仕組みとして問題が多い。国政の最高意思決定機関として、重要な懸案事項に関する意思決定規制機関と被規制企業協議に委ねる手続きを看過せず、公開性透明性手続き的公平性を備えた公共的意思決定制度的仕組みを構想・設計する重要な作業に、是非とも今後邁進していただきたい。  こういうのが最後に御意見として書かれていたものでございます。こういうことをお聞きしたり読んだりするにしても、今後の、金融の方はビッグバンに向かっておりますけれども、長い間の情報通信体制の新たな、私も電電公社民営化をやった張本人でございますけれども、それ以降の流れというものが、宮津さん、社長も二代目でございますな、その流れを、電気通信ばかり私はやるわけにいきませんもんですから、地方区議員ですから農業問題や建設地方自治の問題にいろいろ関係してきましたけれども、十四年間、しかし絶えずそれが念頭にあったわけでございます、この問題が。百点かどうか評価は別にいたしまして、やっと今までの状態から一歩脱皮して大きく飛躍するチャンスが出てきた、こういう評価も私はいたしておるわけでございます。  それから、せっかくNTTもお見えですから、私は役人時代から、その後も逓信委員会におりましたときも、一体電気通信スタートは何であったか。実は電信なんですな。電信スタートですよ。郵便前島密といって、非常にいろんな歴史的なあれが絶えず後輩に向かって、後輩もじゅんじゅんと次の世代に申し送りをしております。歴史原点電信スタート志田林三郎、御承知ですな。  私がかつて、電気通信スタートは、最大功績者はどなただと聞いたら余り知らなかったですよ。やっぱり歴史発展形態というものを踏まえて、そして新しい技術革新からこうなっていく高度化時代。しかし、そのときもやっぱり一遍原点に戻る必要があるんですよ。  シンボル的には志田林三郎、御承知かと思いますけれども皆さん方にもお教えしておきます。同じ九州は佐賀県多久市の生まれ、幕末でございます、東大なんかなかった時代、百姓の子の生まれだけれども佐賀藩が学資を出して東大の前身に出してやって、そして電信関心を持たれてイギリスに留学された。郵政大臣にも申し上げておきますけれども、当時、逓信省というのはスタートからあったわけじゃございません。郵便農商務省の一部、農林系、それから電信は今で言う通産ですな、商工の流れの一部。  それで、あの方が局長ぐらいの時代かな、郵便局電信電話との合体の議という提言をなさいました。そして逓信省初代電信局長。事務次官が前島密郵便の父。そして大臣は、例の明治維新のとき御活躍なさいまして北海道でも最後の戦いをやられた榎本武揚大臣で、電信局長志田林三郎。そして、みずからその電信郵便合体の議というものを唱えられまして逓信省ができて、郵便局電信もやる、電話もやるという明治時代発展流れがずっとある。  そしてその後、例の戦後、国鉄公社専売公社公社制度占領時代に導入されました。当時は逓信省から郵政省電気通信省電気通信省がそのまま電電公社になった。  こういうことで私も歴史学関心がありますのでずっと調べていったら、当時郵政省では電気通信監理官監理官というのがありまして、電気通信局じゃないんですよ、監理官。そして、お一人は電電公社から監理官を迎える。もう一人は電波技術屋が参る。二人。それであとは、課長クラス課長と言わないで参事官と言うんです。固有名詞がついたんです。だから、わかっているのは電電公社KDDだけだ。ユーザーの世界も新しい世界も全くわからない。監理官室個人の名前がついておる。何の仕事をしているかわからない。個人参事官固有名詞看板がついておる。  その後私、電気通信初代政策局長になって、例えば大蔵省に行く。主計局がある。運輸郵政担当主計官。廊下に額縁が出ておる、郵政電電係。片や向こう国鉄ですよ。ところが、運輸係運輸国鉄係なんというのは看板も出ていない。電電公社がそのまま直に主計局と予算の編成、こういう時代。だから、監理官制度なんてはっきり言ったら電電公社の上に乗っかっておると私は言っておった。大ガメこけたら子ガメがこけてなんて言い方をしておった。大ガメとは巨大なコングロマリットの電電公社でございます。  時間がないから入り口はこの程度にいたしておきますけれども、やっぱり温故知新で、新しい変革に向かって挑戦していく、国際社会に向かって国際電気通信。そのときに、やっぱり国家、国民、歴史というものを踏まえてやっていただきたい。こういう思いでございますので、それを冒頭申し上げました次第でございます。  今まではNTTKDD参考人でございますけれども、せっかく十二年前から新規参入が、略称して言えばNCCですな、そのNCCにも国際へ出ておられる企業体の方と国内で苦労してやっておられる方と両方おられますので、きょうは、それぞれ代表という意味でお二人、参考人としてお呼びしたわけでございます。  今までは両方から、あるいはきのう三人の学者の方々から、新規参入事業体代表もおられましたけれども。それぞれみずから経営責任をとってこの十年近く社長として、あるいは業界代表としてやっておられる。今度の法律案について、特に今後の法の運用というか運営、これにつきまして、それぞれ政府側なりあるいは今までの巨大な事業体側にいろいろ御意見なり御要望なりおっしゃりたい点を、これは会議録に残りますので、今の瞬間だけじゃありません、後世代に残るという意味で、時間がないから絞って御発言をいただきたい、あるいは御要望をいただきたい、こう思う次第でございます。よろしくお願いします。
  6. 東款

    参考人東款君) それでは、ただいまの御質問に関しまして、私、日本高速通信社長をやっております東でございますが、国内長距離通信を担当している立場から、今の先生の御質問に対して、政府に対して御要望申し上げたいことを取りまとめて申し上げたいと思います。  まず第一に、今回のNTT法及び電気通信事業法改正によりまして公正有効競争ということが実現することが期待されておるわけでございまして、私はその中に三つ効果があるというぐあいに思っております。その第一は、NTTNCC同等性確保ということでございます。  今度の法改正によります再編成によりまして、NTTが独占的な地域部門競争的な長距離部門二つに分かれます。それぞれまた独立した会社となるわけでございまして、そういうことから、NTTのこれまでございました、あるいは言われております内部相互補助とかいろんなそういうようなことが防止をされまして、接続ルールの公平な適用が図られるということが期待されるわけでございます。  効果の第二でございますが、これは相互接続円滑化ということがございます。  地域網を保有しております特定事業者への接続条件が約款化されるということによりまして、また交渉難航時の裁定手続が簡素化されるということによりまして、迅速、公正な相互接続が実現するということが期待されております。  第三の期待効果でございますが、接続料金適正化ということが上げられると思います。  地域網を有する特定事業者さんへの新たな接続会計あるいは接続料金算定方法の義務づけということが行われますので、これまでとかく不透明と言われておりましたNTT接続会計透明性の高いものへと改善されまして、かつ料金算定方法もリーズナブルになるということから、接続料金適正化が図られるということを期待しておるわけでございます。あわせて、この接続料金は約款化することが規定されておりますために、事業者間の公平性確保されるということになるわけでございます。  以上申し上げましたごの三点の効果を本当に実現するために、私ども立場として政府二つ要望申し上げたいと思うわけであります。  その第一点は、今回の改正内容となっておりますNTTNCC同等性確保とか、あるいは接続円滑化及びただいま申し上げました接続料金適正化、それぞれにつきましての適切な運用と、同時に通信事業産業というところは非常に変化が早うございまして、通常の産業の三年分が通信では一年で変わってしまう、それぐらい変化の激しい産業でございますので、そういった状況変化に即応した適時適切な制度の見直しということが行われるということを御要望申し上げたいと思います。  第二点でございますが、法案成立後に政府において検討される予定になっております公正有効条件の具体的な内容につきましてでございます。  具体的な内容決定される際には関係者意見を十分取り入れながらお決めになると伺っておりますが、その際には、私ども事業者意見も十分にしんしゃくしていただいた上で、しかもその手続が透明な場で行われるように特に御要望申し上げたいと思うわけでございます。  公正有効条件確保という点で、私ども立場から、以上三点、御要望申し上げたいと思います。  以上でございます。
  7. 降旗健人

    参考人降旗健人君) 国際デジタル通信社長をしております降旗でございます。  従来は、私ども国際分野ということで、今の東さんのところとは競争が直接ない。またNTTさんとも直接競争はない。競争相手はここにおられる西本社長のところ、こういう位置づけでございました。今後、法案が変わりますと、そうでない、皆競争相手になる、こういうような状況になってまいります。  したがいまして、要望事項というようなことにつきましても、多分東さんが今おっしゃったこととほぼ同じことというふうに思いますが、一部重複をいたしますが三点申し上げます。  法案成立議論がされるというふうに聞いておりますけれども、公正な競争条件の担保といいますか、これの決定ということをなるべく早く決めていただきたい、スピーディーにやっていただきたいということが一つ。二番目は、その議論の過程においてオープンにやっていただきたいということが二番目。三番目は、今度事業区分が変わりますので、今までの公正競争条件というようなものの定義と今度の定義というものは大分変わってくるというふうに思います。その辺の議論を十分させていただきたい。この三点を要望いたします。
  8. 守住有信

    守住有信君 生の声で行政当局がお聞きになったと思います。当然前からの論議の中でもそういう考え方政府側から出てはおりましたけれども、現実のスピーディーな処理の問題ですから、いろいろ会計制度から原価から何からいろいろな作業を的確に、官庁会計じゃありませんので、民間企業株式会社会計だから、その点もよく踏まえて迅速に対処できるように、特に私からもお願いを申し上げておきます。  それからもう一つ、私が関心のあるのが、やっぱり国際的な戦略海外へ、国際通信へという大きな戦略がある、こうとらえております。  昔を思い出しましても、郵政省におったころ、まず私は中国だった。これはKDDだ。当時、まだ日中国交回復ができる前ですから、中国郵電省は帝国ホテルに来ておった。私も何回も行きまして協議しました。そして、当時は外務省反対だったんですよ。そのとき私は郵政省設置法を持ち出した。郵政大臣の任務と権限、第四条。そこには、郵政大臣国際電気通信協定を承認することを得るとはっきり明文があります。  したがって、外交があろうとなかろうと、これは松前先生のお父様の哲学を私は受けておる。国境があろうとなかろうと、言語が違おうと人種が違おうと政治体制が違おうと、通信世界を結ぶ、こういう教育を若いころ受けておりましたので、直ちに外務省とやり合いました。外務省は入れない、郵政大臣固有権限だと。したがって、郵電省外交部を入れるなと。そして郵電大臣中国はプライドの国ですから、権限上海電信局長におろしなさい、上海電信局長KDD社長海底ケーブル敷設を協定する。向こうも立派ですよ、金は半分出すと。日本も半分出す、KDDも。それで、技術がないからこれはKDDにお願いしますと。  じゃどこで陸揚げするかということで、私最初沖縄と。ところが、沖縄アメリカ最大軍事基地だ、とんでもないという反対で、ならどこだ。向こう長崎と言ったんですよ。上海長崎の長い歴史的な貿易交流念頭に置いておる。ところが、長崎の海の下は、KDDが調査してくれた、岩礁がぎざぎざなんだ、だめ。メタリックのケーブルですから、干満の差で動きますから傷がつく。そこで、天草だといって、自分のふるさとの天草上海と陸揚げしてということから日中間のあれは始まりました。  ただ、私が残念なのはその後なんです。ケーブルを結んで国際回線をただつくればいいというのがKDDのあれだ。やっぱりNTTだ。国内網整備電子交換機だってアナログでもうおんぼろ、回線も少ない。それで、中国とも何回もその後人民大会堂とかあちこち行ってやり合ってきましたけれども中国の共産党の中央委員の面々と郵電大臣以下。  そこで、私が思いますのは、NTTは、NTTインターナショナルというのをいち早く使っておられる。私はロンドンに行った、パリに行った、あちこち行った。インドネシアも行きましたよ。ところが、ちゃんとNTTインターナショナルという形でブランチがおるわけだ。KDDの事務所もありますよ。ただし、一方にはNTTインターナショナルがおるんだな、小人数だけれども。そして情報屋、パイプ役をやっておった。  そこで、NTTインターナショナルというものの今の状況通信事業をやっておるわけじゃないですから、相手の国の国内のいわば通信基盤整備の援助もやっておられると思いますので、その辺のところを。まず、国際の問題をやる前にその根っこのNTTインターナショナルの今までの仕事、これをちょっといろんな角度から御説明いただきたいと思います。
  9. 宮脇陞

    参考人宮脇陞君) 御説明申し上げます。  NTTインターナショナルという会社は一九八五年十月に設立されました。そして、業務海外電気通信情報処理システムの設計、建設、保守に関するコンサルティング、それからエンジニアリングというような業務を主体としてやってまいりました。  ちょっと詳しくなりますが、資本金は現在で約六十億円強でございます。そして、現在ではNTTがほとんど九八%を持ちまして、あとグループ会社NTTリースNTTデータ通信NTT都市開発が残りを持っている会社でございます。  ちなみに、平成八年度の収支状況売上高が約百二十五億円、そして利益を五億円強上げております。従業員数は現在三百五十名でございます。  それで、今先生おっしゃいました海外にもいたというお話は、実はタイ、インドネシア、マレーシア、中国などアジアを中心としまして、合弁会社もございますが、現地法人、支店など約二十の拠点を有して仕事をしております。  以上でございます。
  10. 守住有信

    守住有信君 アメリカ、ヨーロッパもあれしましたけれども、やっぱりアジア、特に東南アジアだから。インドネシアに行きましたときも、NTTインターナショナルの職員が四、五十名おりました。何だといったら国内光ファイバー網敷設建設コンサルタント業務をやる、技術指導をやる。  実は私が非常に残念なのは、長い戦後のKDDだ。国際回線で絶えず外国、中には途上国回線数は少ない、利益は余り上がらぬ、それでも特殊会社としての一つ使命感で立派にやっておられるところは高く評価をしておるんです。ただ、せっかく国際回線外国とのあれがありながら、一番最初国際回線でこう行くんですから、そこのところの投資というか技術指導というか、あるいはODAを活用するとかいろいろあるはずだと思っておったんです。そういう思いを実は持っておったんです。  ところがどっこい、NTTの方が逆に、国内回線事業者ですよ。これが子会社の自由ということでそういうものにいち早く十何年前に着目されて、どんどん下から積み上げていっておられるということを、それはもう御承知だったんでしょう。  ついでに言うなら、KDDの株はたしか一〇%近くNTTがお持ちなんです。通信サービスでは競争していくけれども、ナショナル的な視点に立って外国で連携していく。国際回線についてはノウハウを持っているわけだ。こっちは国内回線ノウハウを持っている。それが一緒になって海外で、アジアから始めてもいい、アフリカでも南米でもいいですよ。  そういう仕組み、仕掛けが何でできぬのだろうかと、今まで長い間。それは情報は御承知のはずなんだ。外国においてもブランチがおたくはいつぱいあるからね。そこらのところを、何か自己規制的な、規制緩和と言うけれども、自己規制的なあれがあったんじゃないのかなと。何か役所からもこういうことをやっちゃいかぬと言われましたか。そういうことも含めて、御説明をいただきたいと思います。
  11. 西本正

    参考人西本正君) お答え申し上げます。  KDDは、これまで欧米先進国におきましても、KDD現地法人による通信事業通信機器の販売、保守あるいはハウジングといったような通信サポート事業などを推進してまいっておりますし、アメリカ通信事業者を買収したり出資なども行ってきております。最近では、発展途上国につきましても、ロシアとかモンゴル、こういつた国での通信事業を展開するなど、海外事業を積極的に推進してまいってきております。  私ども、当然国際海底ケーブル敷設しておるわけですけれども海底ケーブルあるいは衛星通信のインテルサット、インマルサットといったような組織への出資額も含めますと、これまでの私ども海外投資総額は約千四百億円に上っております。  それから、現在、光ケーブル時代でございますけれども国際海底ケーブルシステムの建設を行っております私ども子会社KDD海底ケーブルシステム株式会社では、これまでに約千七百億円の受注実績がございます。  ODAというお話もございましたけれども、私ども発展途上国に対しても、アジアやアフリカ地域を中心に、最近五年間だけでも約二十カ国の通信網の整備のコンサルティングをやっております。そのうち十七カ国につきましては、ODAを利用しました一件数十億円にもなるプロジェクトを手がけております。こういったコンサルティングを通じまして、我が国の電気通信メーカーともども相手国現地のインフラ整備には多大な貢献をしてまいったというふうに思っております。  また、人的交流という意味でもかなりやっておりまして、昨年一年間をとりましても、世界四十三カ国から研修生を受け入れるなどの人的交流を積極的に行っております。  今後とも、当社は技術力や海外での実績、知名度等を生かしまして、欧米での電話事業、アジア、中南米での移動体通信事業などを推進してまいる所存でございますけれども、案件によりましては、NTTさんとも協力をいたしまして、いわばオールジャパン方式でやっていくということも視野に入れてまいりたいというふうに思っております。
  12. 守住有信

    守住有信君 今、ODAあるいは技術協力等の問題も出ましたし、一番最後にオールジャパン、海外への、あれは一KDDNTTじゃありませんよ、あるいはNCCじゃない。そういうやっぱり何か思想、哲学、戦略、これをリードするのが私は郵政省だと思っておる。郵政省内にも国際部というのはあるけれども、別のセクションだな。だから縦割りになりやすいんだ省内も、電気通信局、政策局、官房国際部。郵政省もよくそこを踏まえて、そしてその調整推進をやるのが情報通信行政である、国際化の中で。こういうスタンスを持っていただきたいと思うわけでございます。  それから、参考までに申し上げておきますと、私も決算委員会でODAの分析を会計検査院その他使ってやりました。一つ気がついたのが、例えばフィリピン、これは通信じゃありません、鉄道です。陸運の世界であります。鉄道敷設、機関車、客車、貨物、これを物すごくODAでやったんですけれども、後のメンテナンスが、車両が何年かたつと壊れ、さびついたまま引き込み線でずっと置いてあるんですよ。写真まで出ておったんです。  メンテナンス、これをやらぬと、余り先端的企業で新しいシステムの導入導入でいきますと、相手の国のリーダーも上ばっかり見るんだな、新し物好き。あとの国民大衆や企業活動のための相手の国のメンテナンスという問題をよっぽど遠慮なしに提言して言ってやらぬと、ODAというのは相手政府が優先順位をつけて日本の外務省を通じて持ってくるわけですからね、外交交渉だから。そのときに事前にメンテナンスの問題も含めてやっていただきたい。問題意識を持っておいていただきたいということ。  もう一つは、フィリピンは鉄道でしたけれども、アフリカの事例で、国際回線だけはODAで立派な回線ができておる。ところが、国内回線はおんぼろでずたずたで容量も乏しい、こういう例を会計検査院が指摘をしたんです。  これから国際に出られる、ただ通信サービスだけじゃありません。相手の国の社会インフラも我が国のノウハウ、体験を駆使して活用してやっていくわけですから、国内回線のプロはNTTですから、プロは。そこのところを相手の国に対しても国際国内両面から積極的にアプローチしていく、提言していく、コンサルタントしていく。そういうやり方をお持ちいただきたい。時間がないから、質疑じゃなくて私の提言というか注意喚起というか、きょうはもう一時間しかないものですから、そういう時間にさせていただきます。  それから、もう一つの注意喚起が、海底ケーブル上海とやって、その次があれは電電公社の終わりの時代だった。沖縄から九州へは国内回線海底ケーブルがございます、宮崎までね。その次が、あとがフィリピンやインドネシアやシンガポール等々が国際回線海底ケーブル敷設要望があった。そのときに、電電公社の当時の幹部がおれたちの国内回線を利用すればいいと。着想としてはおもしろいけれども国際条約、ITU条約を、海底ケーブルの条約を御承知でないんですな。  これは国際海底ケーブルというのは、こういうあれを思い出すけれども、拒否せざるIRU権と書いてある、それぞれの国の権利を設定してある。五百回線、千回線、それぞれの国が資金を負担して共同でやる。それで、実は権利設定なんですよ。全体はこうだけれども、その何分の一かずつは資金に応じての回線の権利設定。だから、国内海底ケーブルにはそういう権利設定はできないんですよ。ところが、一時、当時の電電公社NTTの初めのころだな、沖縄からせっかくあるわけですから、それを活用してもう一本引けばいいとかね。  だから、やっぱりこれは一つの例ですけれどもNTTはこれから国際に出る以上は、ITU条約とか二国間条約とか、同時に外交の問題ですから。そこをよくふだんから勉強していないと、これは郵政省外務省と一緒に通信外交、条約、それで一方でKDDは体験者なんですから。そこをNTTはよく踏まえて、ここは謙虚にいかぬといけませんよ。外国に目を向けると同時に、国内の長い間の体験ノウハウがあるわけ、あるいは行政的な立場もあります。その調整役として郵政省国際電気通信に向かって調整していく。それと同時にKDDの体験もあるわけだから、そこを踏まえていただきたい。  もう本当に私は体験したんです。それでなかなか我々の言うことを、当時は五十嵐次官が業務課長だった。政策局を最初つくった時代、そのときですがね。当時の公社は頑強に抵抗する。沖縄と九州の間にはせっかく国内線用海底ケーブルがある。それに国際線を乗せればいいという公社の主張。結論は、ちゃんと国際業務KDD国内線陸揚げの九州じゃなくてずっと太平洋の海岸の方に回して、神奈川県だったか、二宮町かなんか、あの辺までで陸地に接続したことを思い出しますけれども、これは一つの先訓なんですよ。  先訓を踏まえて、国際に出る以上は、相手方の事業体との関係だけでなくて、国際条約、ITU条約、東南アジア中心のAPTもありますよ。中国も入っておりますよ。韓国も入っておる。シンガポールだってどこだって、タイだって。タイなんかはモンクット大学、電気通信大学だったんだから。電電公社時代からの歴史が残っておる、人材も。  と同時に申し上げたいのは、国際に出る以上は、そういう国際条約とか二国間条約とか過去のことも十分踏まえて大いにNTT国際部門は挑戦していただきたい。この辺のところをどういうふうに経営トップとして踏んまえておられるのか、その辺のめり張りと、まあ目配りだな、決意のほどをお伺いしたいと思います。
  13. 宮脇陞

    参考人宮脇陞君) ただいま先生が申されました海底ケーブルの例を参考にしますと、正直言いまして、私どもにはなかったノウハウがたくさんございます。したがいまして、今はKDDさんも含めまして教えていただきながらやっているわけでございます。  ただ、御案内のとおり、あくまでも競争分野ということなものですから、相手国とのお話のときには競争と協調ということで御説明申し上げておりますが、最初のうちは協調面が多くて、そのうちに競争が強くなっていくんだろうというふうに御理解賜りたいと思います。  それから、ITUの活動という面では、私ども郵政省さんの御指導のもと、相当の要員、お金を割きまして御協力申し上げているわけでございまして、その活動は今後とも、再編成後も十分御相談しながらやっていきたいと思っておりますので、御了解賜りたいと思います。
  14. 守住有信

    守住有信君 おっしゃた協調と競争、前段の一段ロケットのときはそういう体験ノウハウを得、それで二段ロケットになれば競争だと、私もそうとらえておるんですよ。ただ、スタートのときは余計体験ノウハウを、条約上の知識も得ながら、ただ条文の知識だけじゃだめだからね。これは郵政省も余計に間に立ってのリーダーというか、郵政省行政がコンサルタントにならなけりゃいかぬ。外国とですから、必ず外務省関連も出てくる。二国間もある、アメリカとも。  ついこの間も、私の部屋へカナダ大使館の女性の科学技術担当、参事官、一等書記官その他見えまして、ふっと思ったんです。アメリカとはまだわからぬぞ、カナダと優先的に結べと。カナダはアメリカ大陸で物すごい具体的なアメリカ側との連携のシステム、ネットワークがあるわけだ。そういうことも私は一つ戦略だと。まずカナダと行く。アメリカとの問題がだんだんWTOその他で理解を得ていけば、今度は直に行く、こういうふうな二段ロケット、これも外交上の一つの判断ではなかろうかと思う。  NTTNTTとして、今おっしゃったようにスタートノウハウは十分周りから蓄積して、外国に行く国内的なノウハウも得て、そして二段ロケットになるときは、だんだん独自性というか競争原理を発揮してもらう、こんな気持ちでおります。  そういう海外との関係はますます、もう国際部は解体して、独立した部門じゃなくて電気通信局の一部、政策局の一部、そういうふうにせぬと、何か私は省内もちょっと縦割り過ぎるんじゃないか、三局あるでしょう。  この間も言うたんだ、これはNHKだったけれども、放送行政通信と放送がこうですよ。NTTも放送、映像の研究開発もどんどん進めておられる。NTT研究所はもうクローズドだ。受信料は受信料でございます。科学技術庁の研究調整費も一銭も使うておらぬ、要求もしておらぬ。私は要求なくて査定なしと言って、この間のときは科学技術庁の調整課長も呼んで、研究調整費、各省庁のあるいは民間の研究所にもこうやっておるわけだな。そういうのを放送と通信、そしてそれをアウフヘーベンするのが通信政策局。国際部も含めてそういう政策的な、具体的なリードというかコーディネーター、そういう役割を私はますます今後の郵政省行政部門に期待をしておるわけでございます。  さて、もう一つ話題を変えまして、「通信の矛盾と暗部をつく訴訟」、週刊東洋経済、一九九六年四月-五月号ですか、例の電話加入権の問題、これで裁判が起こっております、大分前ですよ。訴えたのは福井に本社がある電話レンタル会社、日本テレシス。ドコモに対して、いわゆる新規加入料、昔から我々は施設設置負担金、それで裁判が起こって、どうのこうのでね。加入権、権利ですよ、明治以来国民の一軒一軒、企業。企業も台帳に載っておる、財産。個人の家庭も。その料金の七万二千円が、高い問題は別ですよ。これは下げる努力はせにゃいかぬけれども。加入権をなしにするという動きが現に出ておるでしょう。まず、本体でなくてもね、子会社の方から、移動体通信の方から。  そして、質問しようと思うとったら、けさの朝日新聞だ。もっともクェスチョンつけてあるけれども、「消える加入権?業者困惑 NTT、七月から一部の加入料ゼロ 四兆三千億円の価値」。いいですか、郵政省も。これはけんけん明治以来からの国民の加入権。電話債権も義務づけておったんだ。あれは二大目標を達成したが、すぐつく電話、すぐかわる電話、それで民営化株式会社に移るけれども電話債権は日本特有の政策、戦後の。資金量が足らぬ。それなら、電話を引きたい方に利子がついておる電話債権を引き受けてもらって資金を調達して、戦後ずっと設備投資をしてきた。皆さん方の先輩だね、戦後の電電公社。これは電話債権はやめた。しかし、加入権という問題は、これは明治以来の法律制度になります。これは加入権の料金が云々は別ですよ、これは下げていかにゃいかぬけれども。これをゼロにするというのは、何か新しい時代、新しい時代というけれども、過去の蓄積とか、その法的なあるいは歴史的な意味を本当にNTTの経営者は――NTTはインターナショナルとか何かはやっておるけれども、法務部門の応待、裁判を受けたら裁判に対処する部門はあるけれども。それからさらに、こういうものに向かっての郵政省通信行政としての指導、監督、これが要るんですよ。規制緩和、規制緩和ばかりだけれども、社会的規制の問題、個人の資産、明治以来のじいさん、ばあさんの時代から積み上げてきた電話加入権、これが起こる。安くはせにゃいかぬ。七万二千円でいいとは思わぬ。これは五万円でも四万円でも下げる努力はせにゃいかぬ。もう一つは、基本料との関係もあるけれどもね。  これは現象の一端だけれども、朝日は出した。そのほかにも私のところに手紙まで来ておるんだよ。宮津社長、「将来の廃止に含み 一般加入電話の施設設置負担金「どこかでケリ」」。こっちからは「四兆三千億円もの電話資産が無しくずし」言って、日本テレシス株式会社社長。我が家まで実は来ておる。皆さん方来ていますか。――やっぱり、おれは長くやっておるだけにいろんな関連会社が知っておるんだな。  そして裁判までになっておる。そのとき郵政省は、法的な最高の権威は、裁判の前は内閣法制局だ。法制局でも十分法的にも吟味して区分けするなら区分けする。そこをよく早目早目にやっておかぬと。規制緩和で事業体へ任せる、明治以来からの電話加入権、国民一人一人の権利が累積されて四兆何ぼですよ。幾ら新しい時代を迎えたと言っても過去の累積、個人の家庭、会社もあるけれども、これをよく踏まえた勉強を法制局と一緒に、そしてNTTと十分詰めた議論をしていかぬと。  電話は一般大衆ですよ、郵便と同じだ、一軒一軒に届くわけです、出すと。これは受発信機だからね。明治以来の積み重ねの加入権、設置負担金、権利の関係、これは国民の権利ですから。ちょっとビジネス、商売と違うよ。ただ、ビジネス的感覚で規制緩和で、社会的規制の中の権利ですよ、国民一人一人の加入者の。これを守る。私も住まいを守る、一軒一軒の家庭を守る、これが私の政治信条なんだ。余計こうなるんだよ、必ずしもおれだけではなくて。法的にも十分詰めて対処していただかぬと、一々言い出せば切りがないから答弁は求めません。  今度の法律改正のあれをしていて、どなたかおっしゃいましたが、光と影、影の部分。光はみんな意欲を持ってちやほやして負けぬようにということでやっていかれますが、接続料の問題もそうですよ。接続料だけじゃないよ。影の部分の一軒一軒の家庭の権利を守る、明治以来の積み重ね。それはよっぽど法的にもがっちりあれして、国民大衆の方、電話利用の方々によくわかるように、これは行政の責任ですよ。申し上げておきます。  一方的なお話になりましたけれども、これは今後のためを思って、今後の情報通信社会、そのためにはやっぱり光と影、影の部分をがっちり踏まえてきちっとさせていっていただきたいというのを最後の私の要望にいたしまして、ちょっと早いけれども終わらせていただきます。
  15. 林寛子

    ○林寛子君 何時間を要しましたか、いよいよきょう、法案の出口が見えたという状況になってまいりました。今まで多くの質問がありましたし御答弁もたび重なっております、あるいは各委員を必ず全時間拝聴できるスケジュールでもございませんでしたから重なる部分もあろうかと思いますけれども、私は、平成会として最終の質問になりますので、改めてきょうは総ざらいをさせていただく意味も含めてお願いを申し上げたいと思います。  今回の法案に対していろんなことを言われております。けれども、これから申し上げる中で、一体民営化というのは何なんだろうと。私どもの概念の中で民営化というものは、少なくとも資本の過半が私人でありあるいは私企業の所有とならなければならないというのが基本であろうと思うんです。ところが、御存じのとおり、政府は発行済みのNTT株、株式総数千五百六十万株のうち五百四十万株、パーセントにして三四・四%、それを売却しただけで、言えばNTTはまだ民営化の途上会社、私はそう言えると思うんです。私のその解釈、概念が間違っているのかどうかということも含めて、まず御意見を伺いたいと思います。
  16. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 過去の歴史を訪ねますと、この電気通信事業は、国が行い、あるいは公社形態という形で行われてまいりましたけれども、十二年前の公社の民営化競争導入、その時点から基本的にこういった電気通信サービス民間企業において市場原理のもとで提供されるべきものだというふうな考え方に立ってきておるわけでございます。  ただ、この民営化それから競争原理導入は、公社時代からのNTTによる一〇〇%の通信サービス独占からスタートいたしまして、その中に新しく純粋の民間会社の方々が参入してこられたわけでございます。その後十二年を経まして、活発な参入が行われ、多くの分野で競争が出現し、それなりの効果が出たわけでございますけれども、残りましたところが地域通信分野の九九%独占という状態でございました。  したがいまして、NTTにつきましても、将来的な方向といたしましては、純粋民間会社のもとにおける自由な競争ということが究極の願いであるわけでございますけれども、現状におきましては、国民に安定的に必要なサービスを提供する仕組みを国が責任を持つということが基本的な要請でございますので、NTTにつきましては、特殊会社としてその役割を果たしていただく部分を残さざるを得ないということでございます。  ただ、私どもといたしましては、将来の方向に向けてこの独占分野におきましても競争を創出していくような環境を整えることによりまして、その中で、NTTも含めまして民営の方々の努力によってすべての分野が競争下において自由に行われるような、そしてそれによってもなお必要なサービスが国民に提供されますような、そういう仕組みを求めていくということが基本的な方向だと思っております。そういう意味では、先生指摘のとおり、過渡的な段階にあるということは言えると思います。
  17. 林寛子

    ○林寛子君 そのことの基本的認識の上に立って、今回の法案に対して、今まで過去の歴史がるるあったのは御存じのとおりですし、今まで委員からいろんなお声ももう既に出ております。私はこれからいろんなことを申し上げますけれども、一九八二年の第二臨調の答申以来、私は電電公社民営化への道を歩み始めたきっかけだったと思うんです。  その当時、御存じのとおり問題のある人ではありましたけれども、民間から初めて電電公社の総裁になられた真藤さんという方がいらっしゃいました。残念ながら、いろいろと理由があって責任をとられたりありました。私はあの当時を考えてみますと、今までもめていたものというか、もめているというか、発想の転換というものを電電公社というものが持ったのは、その当時の、一九八一年五月十九日、臨調の第四部会での「電話事業は頭打ちで、八五年以降、赤字転落もしかねない財務体質の悪化が進む。これらを克服するためには、何より体質の改革が急務だが、今の公社制度では、予算制度、労務関係、投資、新事業、いずれも機敏な対応ができない。それの総和は、経営者の責任感を奪い、良好な労使関係も阻害される」と、八一年五月十九日、公社の限界について真藤総裁が初めて発言された、それがきっかけなんです。私はそう思っています。  ですから、私は古いことは言いたくありませんけれども守住先生、先ほどから古いこともずっと御記憶ですから講義をしてくださいました。私はそれとまた違った視点で、素人で守住先生のような専門家ではございませんけれども、やはり政策の転換、あるいは企業の経営方針の転換期を、勇断を持ってだれがいつどのように決断するかというのは、その企業が生き残るための大きなきっかけがなければならないと思っております。にもかかわらず、逆に言えば、今日までそれぞれの経過はあったにしろ、十五年間この法案を作成するまでの時間がかかったわけでございます。十四年と言うべきか、十五年と言うべきでしょうね、もう間もなく七月ですから。  その間、世界は大変な大競争時代となった。中でも情報通信分野は、各国は国を挙げて国家戦略を展開しているんです、その間にも。世界状況をこの十四年間、あるいは十五年間と言いかえてもいいこの間、どのようにその世界の情報の動きを認識していらしたのか。今日まで年数がかかったことに、今どういうお気持ちを大臣はお持ちなのか、伺わせてください。
  18. 堀之内久男

    ○国務大臣堀之内久男君) このたびのNTTの再編成法案を御審議いただくに当たりまして、過去十四年間の長い時間を要したではないか、こういう御指摘でありますが、何でも変革をもたらすというときには、それぞれ大変大きな勇断が要ると思います。十二年前に電電公社NTTとして発足をした、それも私はやはりその当時の当事者の大変な御英断であった、こういうふうに思っております。  特に先ほど真藤総裁のお話がありましたが、ちょうど鈴木内閣時代、私も逓信委員会の理事でありました。そのときに、真藤総裁がおいでになられまして委員会で述べられたことはいまだに記憶にあります。  私も日本の電電公社の総裁という大仕事を与えられましたが、ここに来てみたら私の石川島播磨重工の因島工場の工場長の資格しかありません。何一つ総裁に権限がない。ということは、手足をくびって泳げというのと一緒であるというような答弁をされました。我々も改めてびっくりした。賞与一つが決められない、給与一つが全部国会の承認である。これでは私は電電公社の将来はないと。これはもう逓信委員会で言い切られましたので、私どもも改めてとんでもない総裁が来たなということでびっくりいたしたわけであります。  以来、私は、やはりあの真藤総裁が社内の皆さん方民間企業という立場で公社の将来を検討されたものと思います。したがって、今から十二年前にNTTとして、民営企業として発足された、あるいは英断をされたその気持ちは、私は真藤総裁あってできたと思います。当時はまだ黒字経営でありますから、なかなか私は分断はできなかったと思いますが、もう御案内のとおり、今日の情報通信というものが技術の急速な革新によりまして急激な発展をいたしております。我が国においても、この情報通信産業が今やリーディング産業としての大きな役割を果たし、世界各国もまた二十一世紀の戦略産業として大きな努力をしておる今日であります。  したがって、今後のNTTのあり方について、時間は要しましたが、しかし、この前宮津社長委員会で述べられた言葉に、ちょっと時期はおくれたかもしれぬが取り返しのつかない時代ではなかったと、衆議院であったか、こういう答弁をされました。ある程度時間はかかりましたけれども、しかし今日のこの技術革新、そしてそれによるマルチメディア時代を迎えますときに、もうやはり電話だけの時代ではない、この新しい時代に対処して、今後再編成しなきやならぬ、こういう決断をされた今回のNTT皆さん方には私どもは深く敬意を表するわけであります。やはり時間がある程度かかったということが今回の大きな編成の引き金になった、あるいはまたこの技術革新がそうしたことになった、こういうように理解をいたしております。  今後私どもは、NTTの蓄積された技術力あるいは人材というものを十分生かされまして、少しおくれましたが、これからの新しい時代に対応して、やはり日本の電気通信情報産業のかなめとして大きな進展を期待いたすわけでございまして、また、そのことによっていろいろな公正競争確保、すなわち接続ルールその他先ほどからもいろいろ関係の業界の皆さんが御要望されましたが、そういうものが確保されることによって、私はこれからの日本の情報通信産業の大きな発展が期待できる、こういうように思っております。
  19. 林寛子

    ○林寛子君 大臣がおっしゃることはもっともだし、私でもよく理解はできるつもりです。ただ、昨年末のこの法案の合意、この法案は昨年の電通審の答申と私は似て非なるものだと思っています。これで改革の目標、今おっしゃったようなことは達成されたとお考えでしょうか、いかがですか。
  20. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 確かに、今回の再編成案は電通審答申とは異なっているわけでございまして、現在のNTTを純粋持ち株会社のもとに長距離通信会社と二社の地域通信会社に再編成しようというものでございます。  しかしながら、今回の再編成案におきましても、独占的な地域通信部門と競争的な長距離通信部門をそれぞれ独立の会社とすることによりまして公正競争条件が整うということ。それから、地域会社が二社に分けられますことによりまして相互に比較しながら競争するという体制が整うこと。また、NTT国際通信への進出、KDD国内通信への進出を可能といたしまして、国内国際の相互参入競争を活発化させ得ること。またあわせて、国際的な状況変化に対応し得ることなどから、これとあわせて審議をお願いしております事業法改正接続ルールの確立と相まちまして、競争の活性化、またそれを通じた国際競争力の向上、利用者の利便の向上を達成し得るものと考えておりますので、そういう意味では電気通信審議会において御提言をいただきましたことの趣旨を踏まえておるものというふうに考えております。
  21. 林寛子

    ○林寛子君 その辺が、私はいけないということではないんです。私どもの目に見える形で、これなら納得だな、なるほどなというその接点が見えないんです、言葉の上では確かにわかるんですけれども。今回の法案で言われていますこと、もう御存じだろうと思います。今まで分離分割を主張してきた郵政省と、あくまでも一体化を求めてきたNTTの両者の妥協の案だと、この委員会でも先生方の御質問の中にありました。そういう批判が強いんですけれども、実際はそういうことなのかなと。今おっしゃったように、答申と似て非なるものであるがゆえに、これが誤解であるのかあるいは言い当てて妙なのか、いかがですか。
  22. 谷公士

    政府委員(谷公士君) ちょっと今申し上げたこととも重複するところがございますけれども、独占部門と競争部門の分離、あるいは経営規模の適正化、それから競争を通じた利用者への多様で低廉なサービスの実現、そういうことがこの仕組みによって可能となると私どもは考えておるわけでございまして、そういう意味では電通審答申の趣旨を踏まえたものだと考えております。  政府といたしまして、一年前の電通審答申の趣旨に沿って、関係者意見も聞いて案をつくるようにということで、私ども関係者でありますNTT意見も聞いて検討してまいりました。その結果、私どもとしてこういう案を決めまして、NTTにもお示ししたところ、御理解をいただくこともできました。  そういう意味でございますので、私どもとしては、この案につきましては従来のさまざまな御議論を踏まえて私どもが責任を持って考えてきた内容でございますけれども、現在の状況に照らしますとこれは妥当な案であるというふうに考えておるわけでございます。
  23. 林寛子

    ○林寛子君 よく相談をしてとおっしゃいましたけれども、途中経過がこの委員会にかかることもなく、法案として出てくるまで私どもはよくわからなかったわけでございます。与党さんはあるいはおわかりになっていたのかもわかりませんけれども――おわかりになってないとおっしゃっていますから、そういう意味では、途中もっと私たちが理解できるように、またオープンにしていただかなければ国民にも私は理解されないだろうと思うんです。  ちょっと時間をいただきますけれども、今までNTTの経営形態見直しの意見の相違点、いろいろあったわけですね、これだけの歴史があるんですから、十四年になる。そういう意味で、今回の法案が出るまでに今までNTT郵政省接続問題、地域網の独占性、国際競争力、料金値上げ、あまねくサービスの維持、将来のネットワーク構築、研究開発力、そういうものでどこの意見がどう違っていたかというのをもう一度、きょうは両方いらっしゃいますから、なぜこんなに違っていたものがあっという間に合意できたのかというのがまだ理解できないんです、私の頭では。ですから、少なくとも今までどう意見が違っていたかをもう一度聞いていただきたいと思います。なぜ私どもが理解できないのか、なぜ妥協の産物だと世間で言われるのかというのが私はここにあろうと思うんです。  まず、接続問題に対してNTTは何と言っていたのか。「接続問題は、NCC」、さっきもお話がございました新規参入者ですね、「NCCNTT地域網だけでなく、PHS等とNTT地域網の問題ともなっており、長距離網と地域網の構造上の同等性だけを議論する実質的意味は減少している。むしろ、多様な接続ニーズにいかに公平に対応するかが今後の問題」だと。また、「適正な対価を前提に、ネットワークを誰とでも接続すること、相互接続条件を同等にすること(情報開示、料金等)、あらゆる相互接続ポイントを設定することによって、接続問題は解決する。」とNTTさんはおっしゃってきたんです。  他方、郵政省は何と言いましたか。「NTT接続料金のコストは、独占的なNTTの生産性を前提としたものであり、真の「適正さ」の実現が担保されているかどうか分からない。」と。これだけ意見が違った。  続いて、NTT地域網の独占性について、「TTNetなど地域系のNCCの出現、CATV電話、携帯電話、PHSといった競争相手が出現しており、地域網NTTの独占であるという体制は崩れつつある。」とNTTはおっしゃった。  ところが、郵政省は何と言いましたか。「地域系NCC電話を行っているのは一社(TTNet)にすぎず、事業開始後七年になるが、その加入者数はNTTの約六千万加入に対して約一・五万加入(〇・〇二五%)に過ぎない。」とおっしゃった。  これだけ違うんですね。まだたくさんありますよ、違う点。  「NTT地域網は、NTTが独占的に使用しているのではない。現に、各事業者NTT地域網を素材として自由に活用し、事業展開を行っている。」とNTTさんはおっしゃる。  ところが、片方は何と言いました。「NTT地域網を各事業者が自由に活用するのは、接続命令を出すことができるという電気通信事業法の建前から当たり前のことで、それが現在の基本の仕組みである。問題は、かつてのフレームリレーやVPNのようにNTTが各事業者の自由な使用を妨げるような事態が二度と起こらないかどうかである。」と、こうおっしゃるんですね。  これ、言っていると切りがないんですけれども国際競争力についてNTTは何と言っていました。「主要国は情報スーパーハイウェーの整備を図って海外への直接投資を積極的に進めるなど、巨大通信事業者による大競争時代に突入していく。設備投資や研究開発の巨額化に対応するための組織力・資金力や顧客数も競争力の源泉の一つであることは否定できず、NTTの力を弱める分離分割を行ったら、日本は主要国との競争に負けてしまう。」、これがNTTのおっしゃり方。  他方、何と言いました。「情報通信産業国際競争力について言えば、国内競争相手が存在しない巨大企業よりも、国内競争で鍛えられた企業がより強いのが通例である。」、「経営体の競争力の源泉は巨大さでなく、業務の融合や意思決定の迅速さにある。」、「NTTの分離分割は、NTTを活力のある、変化に弾力的に対応できる事業体とするための措置である。」と。これも、真っ向から御発言や今までのおっしゃり方は違うわけであります。  では、料金の値上げ、あまねくサービスの維持について何とおっしゃっていました。NTTさん、「効率の悪い所にもあまねくサービスすることが法律で義務付けられている。地域網を分離分割するなら、各社の状況により、料金の再調整もあり得る。また、サービス面でも会社間格差が生じたり、災害時におけるスムーズな復旧活動が困難になるといった問題が発生する恐れがある。」とおっしゃいました。それも一理あります。  ところが、他方、「基本料、番号案内料、公衆電話料の値上げにより七年度には地域の黒字化が確実視されており、地域網の分離が更なる料金値上げにつながることはあり得ない。」とおっしゃったし、また、「分割すると災害復旧活動が困難というのは、どういう発想から来ているのか。緊急時にも縄張り争いをするというのか。」という厳しい論調までおっしゃいました。全然違うんですね。  あるいは、将来のネットワーク構築について何とおっしゃいました。「地域網を分割すると、将来のネットワーク・インフラ構築が各社の経営に左右され、全国均一の整備に支障をきたす恐れがある。」とNTTさんはおっしゃっていました。  片方、「米国のように一定の規模を持った大括りな分割を行えば、複数会社が競い合いながら効率的経営の下で、全国バランスのとれた形でインフラ整備が促進される。」とおっしゃったんです。  最後に、研究開発に対してもこれだけ違うんです。「今後ますます巨額化すると思われるネットワーク・インフラの研究開発は、基礎研究から商品開発まで一貫して手掛けることが必要であり、NTTを分離・分割すると研究開発力が低下する。」とNTTさんはおっしゃいました。  他方、「マルチメディア時代は、ソフトやアプリケーションのウェイトが増大し、独創的な知恵を競う環境に変化してきている。一か所に要員と資金を集中させる従来と同じような研究開発が最適かどうか疑問である。また、巨大な購買者でもあるNTT一社に研究開発を集中させたことが、我が国の交換機等のメーカーに国際競争力がない大きな原因ではないか。」と。  これは言っていると切りがありませんからやめますけれども、これほど今までおっしゃったことは相対峙し、相入れない立場で今まで頑張ってこられたんです。これらの全く意見の違ったものがなぜ今回の法案になり至ったのか。それが全く私どもには見えないから、ある意味では妥協の産物だというような言葉になってしまうんですね。  私は、そういう意味で、今回の法案に対して、NTTのあり方は当事者のみならず国民全体や関連産業に極めて大きな影響を与えるものでありますから、少なくとも今回の決定過程は私ども国民の側から見て全く不透明であったと言わざるを得ないんです、残念ですけれども、わからないから。  あるいは、純粋持ち株会社制度は電通審で十分に検討されたんでしょうか。これも先ほど申しましたように答申とは違うのではないか。どういう経緯を経て双方の合意に達したのか、明快にしていただきたいと思います。
  24. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 大変先生詳細に御指摘になりましたので、私、今手元にその資料がございませんので正確に一々についてはお答えできないのでございますが、総論的に申しますと、御指摘のありました接続の問題、これは地域の独占の問題にもかかわるわけでございます。これは今回の再編成合意に先行いたしまして、諸外国でもそのような動きがありますので、そういった例に倣いまして接続のルール、制度化ということを検討いたしました。審議会に諮問し、関係者NTT、その他NCCの方々の御意見も伺いまして、このルールについては関係者の合意が得られたものがまとまりましたので、これを今回の事業法改正の中で御提案申し上げているわけでございますが、このことと、さらに地域網の独占その他のことにつきましては、今回のこの再編成案の中で独占部門と地域部門を分離するということをとりますので、このことによって先ほどの接続ルールとあわせて公正な競争確保ができると。  それからまた、御指摘国際競争力それから研究開発等につきましては、持ち株会社のもとにこれらの事業会社を独立させるという形をとりますことによりまして、御指摘のような点についての懸念も払拭されるということがあると思います。  それからまた、料金の問題につきましては、東西の二社に分けるということでその規模をほぼそろえることを一つしております。また、経過的には、これらの間の料金格差の影響が直接的に利用者等に及ぶことを避けるために負担金の制度等を設けましたし、また移行に伴いましての一時的な税の負担についての軽減措置も講ずるような措置をとりました。私どもといたしましては、料金の問題についても、切瑳琢磨の中で低減化の方向は期待できますけれども、これによって料金が上がるという心配はないというふうに思っているわけでございます。  以上、雑駁ではございますけれども、いろいろ意見の対立がありました点につきましても、今回のこの制度の中であればそういった懸念も払拭できるのではないかというふうに考えているわけでございます。  研究開発につきましては、基盤的研究については持ち株会社のもとに、それから応用的研究につきましては事業会社のもとにでありますけれども、これも関連する組織の中で連絡をとって進めることができる仕組みになっておるわけでございます。
  25. 宮津純一郎

    参考人宮津純一郎君) 妥協というと妥協というふうになるのか。その妥協というふうに言われる、本当言うとそこの周りの条件が相当変わりましたということを私は申し上げたいと思います。  それで、真藤さんの話がさっき出ましたけれども、真藤さんがおられたときは、民営化の話、それから今で言う規制緩和の問題、それからあとNTTの自主性みたいなことだと思いますけれども、そういうことについてかなり一生懸命で、それを進めるための競争導入というのが非常に大事だというようなことでやっておられまして、それからずっとその方向で動いてきたと思っております。  ただ、真藤さんのときと今と一番違っているのは、あの時代はまだ電話でした。電話競争というものをやろうということでありまして、真藤さんは、電話時代はその後次には必ず変わってくるんだから、デジタル化というのは金がかかるけれどもこれをやらなければならないというので、真藤さんが残されたものは私どもから見ると二つありました。競争を導入していってそれに対して会社の体制も変えていかなきやならぬということ、もう一つは、将来に向けてこのまま電話をいつまでもやっているわけにいかぬというので、インフラとしてのデジタル化に手をつけなければいかぬと言われまして、こういうようなことでやってまいりました。  それで、あれから十何年たちまして、今の状況だと真藤さんが言っていたデジタル化ももうそろそろ完成に近づいていまして、それで今度は重点が加入者線の光化なんという話にも移ってまいるようになりました。それで、今年度でもうデジタル化は完了すると、局の上の段階は全部日本国じゅうそうなりまして、そういう状況になりました。  それからもう一つは、そういうことが前提になってのデジタル革命というのが世界じゅうに起こり始めて、それでコンピューターのサービスだ何だといろいろ出てくるようになりまして、それで今度は世界じゅうが競争になって、通信競争といっても従来型のキャリアだけの競争じゃございません。今コンピューターが入ってきてやっているわけですけれども、そういうような状況国際化というのが物すごく進んできました。大きく言うと、そういうサービスから見たデジタル革命というのが本当に来たということと、それから国際競争というのが非常に激しくなった、その二つ状況というのはやっぱり真藤さんのおられたときとはちょっと様子が違ってきているように思います。  その後のいろんな議論は、競争という面、主に国内競争という面をめぐっていろいろやってまいりましたけれども、実際にもう実感として時代が本当に変わってきたということはごく最近の数年でございます。そういうことがやっぱり前提になっていろいろ言い合いもしてきましたが、妥協というか新しい方式を発見した、こういうふうに言っていただきたいのでございます。そういうような状況になっているんだというふうに思っております。
  26. 林寛子

    ○林寛子君 私は、それがいけないというんじゃないんですよ。改革することなんですから、それはいいんです。けれども、それが透明性がないと、どこで、いつ、だれが、どのようになってきたかというのが見えないということを申し上げているので、新しい発見があったり、新しく改革することは時代に対応するのに必要なことですから、それをいけないと言っているわけじゃないんですから誤解しないでいただきたいのですけれども。  私は、こういうことは国民の前にも、あるいは職員の中にもやっぱり士気を高揚するという意味でだれにも見える、ああなるほどこういうことがあってお互いが話し合ったらこういう接点があったんだなということをぜひ見えるようにしていただきたいということを注文したいわけなんです。きょうが最終の審議日になりましたけれども、今まで先生方の御質問も聞いておりましてもいまだにこの部分が見えてこないということだけは私は申し上げておきたいと思います。  それから、それほとおっしゃるのであれば、私は今回こういうことで、妥協の産物と言ったら、言葉が違う、新しい発見だというふうにおっしゃいました。それでも結構なんですけれども、それでは世間でどう言っているか。いや、そんなものは天下り先をふやしただけなんだよという厳しい批判もあるんです、お耳に届いているかどうかわかりませんけれども郵政省、新しいポストには天下りしないという断言ができますか。
  27. 堀之内久男

    ○国務大臣堀之内久男君) 天下り天下りというのがよく言われるんですが、私はどこでも、どこの職場といえども、今各役所はほとんど五十歳前後で優秀な人たちが退職をされていきます。私は、これからもこのような五十歳前後の働き盛りの優秀な方々を再就職させるということは、これはまた政治家の大きな務めでもある、こう思っております。したがって、これから先、将来絶対再就職はNTT関連にはしないということはいかがなものかと思います。  やはり、その人の技術力あるいは人材、人格を請われていくならば、その人の能力を生かすことが社会のためにも大変重要なことだ、こう思っておりますので、その辺で御理解を賜っておきたいと存じます。
  28. 林寛子

    ○林寛子君 私、その人の能力を生かしちゃいけないなんという、そんな僭越なことを言うつもりはさらさらないんですよ。能力のある方は天下りであり、天上がりであり、また事実役人から国会議員に天上がりに来た守住先生もいらっしゃるんですから、これ天上がりと言うんでしょうけれども、人材を生かすということに関して日本の発展のためにいかに有効に使えるかということまで私はいけないということではないんですけれども、少なくとも今世間の常識で天下りが問題になっている、天下り禁止という声もある中で、私は、こういうときに少なくとも大臣からもう少し前向きな答弁がいただきたかったなと思います。残念ですけれども、今後見守っていきたいと思います。  余り長くかかりますと法案審議に入れません。少なくとも法案審議に入ります前に、先日法案審議に入りますのに先立ちまして六月の三日、私どもは委員視察という貴重な経験をさせていただきました。  武蔵野開発センタにお邪魔をさせていただきまして、この間も同僚議員からもそのお話が出ておりましたけれども、大変私どもにとってはありがたいことで、こういう部屋で素人が議論をするだけではなくて、実際に見るというといかに大きな収穫があったかということに対して、私は視察に対して御努力いただいた、またお世話をかけた皆さん方に心からまず御礼を申し上げておきたいと思います。  また何かの機会があればぜひ委員会として視察というものが、一研究センターだけではありません、数がございますから、そういう意味では見せていただくということがいかに私は大きな収穫になるかというふうに考えております。  また、視察をさせていただきまして、一つには、ビジネスの国際化というものも目の当たりにさせていただきました。あるいは横須賀研究開発センタと結んで居住地域のフレキシブル化というものも私どもも目の当たりにして、楽しませていただきました。あるいは遠隔教育あるいは遠隔医療、そういうものも今後二十一世紀に向かってどうなっていくのかなという一端もおぼろげながらも自分たちで受け取ることができたということも私はありがたかったと思います。  また、電子図書館、電子美術館ということで、いながらにしていろんなものの収穫があるということは、二十一世紀の高齢化社会にとって、私も、年とって動けなくなっても、これ何とか今のうちに技術を習得しておけばいながらにして楽しめるのになというような、わびしいながらも明るい将来が見えるようなことも経験をさせていただきまして、本当に心から感謝申し上げたいと思っております。  ただ、一番私が大きな問題だと思いましたのは、先ほどもちらっと申しましたように、研究開発ということなんです。私は視察をさせていただきまして、特殊会社での研究開発と、あるいは三つの会社での研究開発とはどのように区別され、またどのように連携するのか、何としても疑問が残りました。私は大変研究開発を重要視しておりますので、その点あの場所で伺っただけではわかりにくかったんですけれども、再度、相互にどのように連携するのか、お伺いしたいと思います。
  29. 宮脇陞

    参考人宮脇陞君) ただいま、研究所を御視察の際に大変勉強になったということで、御利用いただきまして、ありがとうございました。  重複するかもしれませんが、一応基盤的研究開発、それから応用的研究開発という言葉であらわしているわけでございますが、基盤的研究といった場合には、これは持ち株会社がやることにしております。これは一元的にやることにしておりまして、これは将来のあくまでも事業、ですから時間軸の長い中期的といいましょうか、中長期的視点に立ったものが主になるわけでございまして、中身はいわゆる基礎・要素的な技術になるわけです。  そして、私どもとしましては、それ以外にも事業会社が三つできるわけですが、この各事業会社に共通に使われるようなもの、これはやはり持ち株会社の基盤的研究開発ということでやらせていただきたいと思っております。  というふうに、リソースの有効活用という面で、このように持ち株会社が一元的に、基盤的研究開発という名前で代表させていただきますが、それで行うことによって効果的に我々はできるというふうに考えているわけです。  一方、昨日も御質問あったわけですが、もうお客様が実際にお使いになるようなもの、お客様がすぐにお使いになるようなもの、我々としましては商売でお金をいただけるようなもの、そういうものの開発ということが主になると思いますが、そういうものにつきましてはこれは各事業会社それぞれでやっていただこうと思っているわけです。  そして、実は現在も私ども会社の中にいろいろな事業部がございまして、いわゆる実用化に近いものはそちらの方でやっているわけでございます。実際にこの前ごらんいただきました研究所でやっているものは多くは基盤的研究に近いものでございます。  したがいまして今後の、今のところまだ実際にはこれからも検討しなきやならない面があるわけですが、今のところ考えておりますのは、あくまでも共通基盤的なものは持ち株会社でやります。そして今度は、持ち株会社がやる研究いわゆる基盤的研究と事業会社でやる応用的研究というものにつきましては、一応私どもとしては持ち株会社の方に企画部隊を置きまして、そちらの方でグループ全体としての研究開発はまとめていこうと思っております。持ち株会社がお金だけ事業会社からいただきまして独断で研究をするというのじゃなくて、あくまでも相談しながら、それから現場の状況というものをよく知りながら企画をしていこうと思っておりますので、我々としては、こういう形でやらせていただければ十分御期待にこたえるような研究開発をやっていけるというふうに考えております。
  30. 林寛子

    ○林寛子君 運輸省、来ていますか。  ちょっと横道にそれるようですけれども国鉄のことに関しては委員会が違いますからるる申しません。要点だけ運輸省に答えていただきたいと思います。  大きな問題になりましたけれども国鉄民営化が行われました。旧国鉄には幾つ技術研究所がありましたか。また、どのようなものがあったか教えてください。
  31. 藤森泰明

    説明員(藤森泰明君) 旧国鉄には、鉄道技術の基礎分野から応用分野までの研究試験等を行います鉄道技術研究所というものと、鉄道に関する心理学、人間工学面等の調査研究を行います鉄道労働科学研究所の二つの研究所がございました。それ以外にも技術研究部門として浮上式鉄道宮崎実験センターあるいは構造物設計事務所等がございました。
  32. 林寛子

    ○林寛子君 今おっしゃいました鉄道技術研究所、鉄道労働科学研究所、目的を持った研究、宮崎等とは別にしまして、この二つ国鉄の研究所があった。民営化によって、この技術研究はどのように編成されましたか。
  33. 藤森泰明

    説明員(藤森泰明君) 先ほど申し上げましたように、試験研究業務機関としましては、鉄道技術研究所と鉄道労働科学研究所の両研究所がございましたが、これらはいずれの旅客鉄道会社にも附属しない財団法人として独立させるということとされまして、現在、財団法人の鉄道総合技術研究所というものが設立されまして、昭和六十二年の四月に国鉄から事業、資産、権利等を承継いたしまして、研究を進めているところでございます。
  34. 林寛子

    ○林寛子君 そうしますと、二つあった研究所が財団法人鉄道総合技術研究所になったという今のお話ですけれども、旧国鉄当時の先ほどの鉄道技術研究所と鉄道労働科学研究所ですか、その二つ一つになったとき、資産もと今おっしゃいましたけれども、研究員も含めた人数もそれは全部一つにまとめられたんですか。
  35. 藤森泰明

    説明員(藤森泰明君) この新しい財団法人の鉄道総合技術研究所には、従来の鉄道技術研究所、鉄道労働科学研究所の職員も含めまして、さらには先ほど言いました構造物設計事務所あるいは車両の設計関係の方も含みますけれども、そういったところがら職員を採用して研究を行っているところでございます。
  36. 林寛子

    ○林寛子君 人数の変化は。
  37. 藤森泰明

    説明員(藤森泰明君) 昭和六十一年の四月時点での鉄道技術研究所と鉄道労働科学研究所の両研究所の職員は五百六十七人でございましたが、昭和六十二年四月の鉄道総合技術研究所の発足時の職員は五百五十人でございました。
  38. 林寛子

    ○林寛子君 両研究所が一つになって財団法人の鉄道総合技術研究所になったという話ですけれども、人数はわかりました。人数はほとんど大差がないですから、これは問題になるほどの人数ではありません、ほとんどが行ったということですけれども。  財団法人なんですから、その基本財産というのは、だれが、どこから出したんですか。
  39. 藤森泰明

    説明員(藤森泰明君) 鉄道総研の基本財産につきましては、昭和六十一年十二月にこの総研が設立されましたときに国鉄から基本財産として寄附されました有価証券と、それから六十二年四月に国鉄から承継いたしました国立研究所の用地等で構成されているものでございます。
  40. 林寛子

    ○林寛子君 国鉄が新しくJRになりまして、そうすると旧二つあった研究所から、今おっしゃったように有価証券あるいは用地をもらって一つの財団ができたと。  そこで、今、JR七社からどのように研究費を分担しているんですか。
  41. 藤森泰明

    説明員(藤森泰明君) 鉄道総合技術研究所の研究費の分担につきましては、JR七社から前年度の運輸収入の一定割合を負担することとされております。
  42. 林寛子

    ○林寛子君 その割合はどうなっていますか。七社全部平均にしているんですか。
  43. 藤森泰明

    説明員(藤森泰明君) 旅客鉄道六社につきましては各社とも前年度の旅客収入の〇・三五%、それから貨物鉄道会社につきましては前年度の貨物運輸収入の〇・〇三五%をそれぞれ負担することとされております。
  44. 林寛子

    ○林寛子君 そうしますと、旧国鉄時代の研究費と、今おっしゃいましたJR七社の中で、運輸収入の一定割合が旅客鉄道六社からは旅客運輸収入の〇・三五%ですね、今おっしゃいました。貨物が〇・〇三五%ですね。  例えば、JR七社の中で、貨物も赤字、北海道も赤字ですね。赤字でも運輸収入が入ったときのそれから取っちゃうから、赤字の幅が多くなっても、例えば、失礼ですけれども、赤字の北海道も貨物もその赤字に関係なく、運輸収入の中からもう最初に取っちゃうわけですね。
  45. 藤森泰明

    説明員(藤森泰明君) 御指摘のとおりでございます。
  46. 林寛子

    ○林寛子君 そうしますと、民営化の前の国鉄二つの研究所と今回の新しい研究所一つになったのと、この。パーセントは〇・三五と〇・〇三五ですけれども、研究費の金額はJRになる前、旧国鉄とどれくらい違いましたか。差額ありますか。
  47. 藤森泰明

    説明員(藤森泰明君) 昭和六十年度の実績で申し上げますと、旧鉄道技術研究所の研究費は九十一億円、それから旧鉄道労働科学研究所の研究開発費は九億円でございますので、合計百億円でございます。それから、総研ができました初年度の研究費は約百二十億という金額でございました。
  48. 林寛子

    ○林寛子君 金額は減ってもいませんし、むしろ、最初に取っちゃうんですから、微増というところだろうと思いますからいいんですけれども、例えば工業所有権、特許等、これ頭から運輸収入を〇・三五、〇・〇三五取るわけですから、この財団の総合研究所で上がった工業所有権等々は新しくなってからどれくらいあるのか、また所有権の配分というのはあるんですか。
  49. 藤森泰明

    説明員(藤森泰明君) 鉄道総合技術研究所が所有する工業所有権につきましては、平成九年一月現在において見ますと、登録済みのものが千二百八十九件、それから出願中のものが八百七十八件になっているところであります。  そこで、総研の所有する工業所有権の配分につきましては、JR各社は無償でこれを使用することができるということになっています。
  50. 林寛子

    ○林寛子君 日本の国鉄技術というものは世界に冠たるものだと私どもも聞かされてまいりました。そうしますと、旧国鉄時代の工業所有権はどこが持っているんですか。
  51. 藤森泰明

    説明員(藤森泰明君) 旧国鉄が所有しておりました工業所有権につきましては、昭和六十二年四月の分割・民営化に伴いまして、一括してそれは鉄道総研が承継しているところでございます。
  52. 林寛子

    ○林寛子君 わかりました。そうしますと、工業所有権はJR七社、貨物も含めて七社は無償で使用できると。そうすると、例えば外国へ行って、ある国に技術を使った場合の工業権の収入というのがあった場合は、研究費に増額されるだけですか。各JRには、使用権が無料であるということだけで配分はないんですか。
  53. 藤森泰明

    説明員(藤森泰明君) 申しわけございませんが、ちょっと詳細については手元に資料がございませんのでわかりかねますので、また後ほど御説明させていただきたいと思います。
  54. 林寛子

    ○林寛子君 運輸省結構です。ありがとうございました。  今、私がこういうことをくどくどと聞いているように聞こえますけれども、なぜ私がこれを聞いたかと申しますのは、私は視察をさせていただいて、純粋持ち株会社とあるいは西と東、長距離、この研究所のあり方がいまだにわからないんです。わからないというか疑問に思っている大きな心配事の一つなんです。素人が心配するなと言われればそれで結構ですけれども、でも私は、今回のこの法案によって持ち株会社での研究開発と三社での研究開発とはどのように区別されるのか、またどのように相互に連携できるのかという点が、この間現場で質問したときに納得できなかったものですから、もう一度このことに関して、どのように三社が連携していくのか、ちょっともう一遍教えてください。
  55. 宮脇陞

    参考人宮脇陞君) 重複して申しわけないんですが、一応基本的には、持ち株会社としてやっていけるというところに実は御説明させていただく原点がございまして、したがいまして基盤的研究というものを持ち株会社で一元的にやるというふうに申し上げておりますが、その持ち株会社が研究開発に要する費用というものは、これは事業会社の方から出していただくわけでございます。  そしてそれは、先ほどの御説明にもありました一定比率でいただくのか差をつけるのか、その辺のことはまだ実は正直申し上げまして詳細には我々検討しておりませんが、これはあくまでも大臣からの要請がございました後、それは速やかに検討していくつもりでございます。というように、ちょっと言葉が悪いんですが、一番のみそは持ち株会社制度というところにあるというふうにお考えいただければと思うのでございますが。
  56. 林寛子

    ○林寛子君 私がわからないと申しますのは、伺いまして、いわゆる持ち株会社では基盤的研究をするんだという御説明は確かにありました。それはわかっているんです。それは結構なことです。けれども、持ち株会社で基盤的研究をして、例えば厳しい現場に直接接しない部門、いわゆる純粋持ち株会社、そこの研究開発は実用化にどの程度役に立つのか、あるいは実用化は全くそこでは期待しないのか。その辺の関係が、今まだはっきりしておりませんと言われると、私ももっとわからなくなっちゃうんです。そこはどうなりますか。
  57. 宮脇陞

    参考人宮脇陞君) 今、先生がおっしゃられたことがはっきりしていないのではなくて、お金の負担の割合をどうするかとか、そういう仕組みの方はまだはっきりしていないというだけでございまして、あくまでも持ち株会社の研究所がやる中身は、正直言いましてこの前ごらんいただきました研究所がやっているような研究活動をやるのが持ち株会社の研究所と思っていただきたいのでございます。
  58. 林寛子

    ○林寛子君 私はなぜ国鉄のことを聞いたかと申しますと、今皆さんお聞きのように、少なくともJR七社で、赤字であっても何であっても、研究費を旅客運輸収入の〇・三五%片っ方は取る、貨物の方は〇・〇一二五%取るということになりますと、持ち株会社と長距離と東と西、それぞれがこの持ち株会社に対してどの程度研究費の割り当てをJRのようにきちんとはなから割り当てて取っていくのか。  変な話ですけれども皆さん方のせっかく日本の財産であると思っている技術研究、基礎も応用も含めて、それらの研究開発が今度のことによって、私たちの頭では、親会社と長距離あるいは東西に分かれることによって研究も分割されてしまって低下するのではないかという基本的な心配を老婆心ながらしているから申し上げているので、どのような配分になるかもわからない、研究開発をするための研究費は西と東が赤字であっても国鉄のように頭から取るんですというような方式にするのかどうか、すべての研究開発に対する数字を含めた姿が見えないということで心配しているんです。
  59. 宮脇陞

    参考人宮脇陞君) 将来の数値については御容赦願いたいと思いますが、少なくとも現在やっている研究開発活動は維持することは間違いないというふうにお考えいただきたいと思います。  それで、先ほどの御質問で私お答えしていないのがあるんですが、持ち株会社とそれから事業会社との関係、いわゆる基盤的研究をやるところと応用的研究をやるところとの関係、これにつきましては、持ち株会社の方にそういうコーディネートする部門を置きますので、そちらが現場の要請もすべて吸収して調整するように運営していくつもりでおります。したがいまして、これは現在よりも悪くなるということはないというふうにお考えいただいた方がよろしいかと思います。十分に現場の要望を把握し、反映しながら研究開発は進めるつもりでおります。
  60. 林寛子

    ○林寛子君 私、人を疑うわけではないんです。信じたいと思っていますし、ある意味では視察させていただいて信じております。けれども、今のようにはっきりまだわからないんです、今の技術を低下させることはありません、今の研究よりも低下することはありませんという言葉だけでは、これだけ大きなことをやるときに、やっぱりある程度きちんとした姿がこの委員会でこういう論議をする中で見えてこなければ、何となく不安が残るということを言わざるを得ないんです。  どうしても私はその部分が心配だし、まだ視察させていただいて多くの問題等々ございますので、時間でもございます、午後の問題に譲りたいと思います。
  61. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    正午休憩      ―――――・―――――    午後一時開会
  62. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、電気通信事業法の一部を改正する法律案国際電信電話株式会社法の一部を改正する法律案及び日本電信電話株式会社法の一部を改正する法律案の三案を一括して議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  63. 林寛子

    ○林寛子君 午前中に、視察に伺いましたことに関して大変お世話にはなりましたけれども、視察で一番私が疑問に思ったことと、将来に対して今の研究者体制というものが、今回の法律によって持ち株会社、長距離会社、西と東、こういうふうに分割されて果たして今までの研究成果、研究等の維持ができるかということと、よりそれが低下しないかということで、お答えとしては低下しないで維持し得るというお答えをいただきました。  午前に引き続きまして、視察のときのことをもう一度詳しく聞いていきたいと思います。  先ほど、今の現状の研究所より技術の研究低下もあり得ないというお答えをいただきましたけれども、それでは持ち株会社で行う基礎研究というものは、研究費あるいは研究員、現在とどのように変わるかお教えください。
  64. 宮脇陞

    参考人宮脇陞君) 御説明申し上げます。  現在、私どもの研究開発は全体として約八千五百人という研究者で研究開発を行っております。そしてまた、それに使っている費用というのは約二千九百億円、約三千億近くですね、二千九百億円を使っております。  そして、それを現在のところ再編成ということで、応用的研究開発と基盤的研究開発というものに分かれた場合ですが、八千五百人と申し上げましたが、これを大胆に計算しまして、実はことしの秋にソフト会社というのを分社することになっておりまして、そちらに約三千五百名ぐらいが参ることになっております、この八千五百人の中から。それから、応用的研究開発者というのは大体二千名ぐらいになるかと想定しておりまして、あと約三千数百名が基盤的研究開発をやる要員になるかというふうに想定しております。
  65. 林寛子

    ○林寛子君 費用は。
  66. 宮脇陞

    参考人宮脇陞君) 費用は、二千九百億円というものをベースに想定いたしますと、基盤的研究開発には約千六百億円ぐらいを使うんではないかというふうに考えております。
  67. 林寛子

    ○林寛子君 そこなんですね。八千五百人の研究員、今度は秋にソフト会社をつくってそこへ三千五百という今のお答えですけれども、基盤技術に三千人と費用が千六百億。  私、なぜ先ほど国鉄の話を聞きましたかといいますと、お聞きのとおり国鉄の場合は二つあったものを一つにして、しかもそれを財団にして有価証券と用地を一つに、普通の家で言えば遺産相続的なものにしたわけです。そして、その研究費の捻出に関しては、先ほどもございましたように運輸収入の頭から〇・三五%、JR六社。貨物は小さいですから〇・〇三五%と、こう割合を決めて運輸収入の頭から取る、赤字であろうが黒字であろうが取るという、それを私は運輸省を呼んで国鉄状況を聞いたわけです。今おっしゃいました研究費も二千九百億、それは天から降ってくるんですか、どうするんですか。
  68. 宮脇陞

    参考人宮脇陞君) お答えいたします。  今のところ、二千九百億円といった数値は、私ども会社の総売上高の五%弱の数値になっております。そして、これは今度は再編成後になりますが、各事業会社が実は収入を上げるわけですが、その各事業会社が経営の中でこの研究開発費は費用として私どもの方に、私どもというよりは持ち株会社に差し上げることになるわけでございまして、今先生がおっしゃいましたように何%になるかはちょっとまだそこまでは決めておりませんが、費用として研究開発費は事業会社から持ち株会社に出すことになるということでございます。
  69. 林寛子

    ○林寛子君 出すというのはわかりました。言葉どおりでしょう。ただ、どういうふうに取るかということなんです。今、私がJRを例に挙げたように赤字でもはなから取るのか、今言われているように東西は競争しなきゃいけないけれども西は赤字だという風評がある。赤字でもやっぱり取るんですか。パーセントはわからないにしても全部取るんですか、それを教えてください。
  70. 木塚修一

    参考人(木塚修一君) お答え申し上げます。  西が赤字になるというのは先生の御指摘どおりなんですが、赤字でも持ち株会社は取ります、研究開発費を。ですから、西から取りますということです。西の負担において支えますと、こういうことでございます。
  71. 林寛子

    ○林寛子君 そうしますと、こだわるわけでもありませんけれども、旧国鉄からJRになって今のような研究費の拠出方法というものが確立されるようになりましたけれども、今後いつまでにどのような算定方式によって、研究費を取るというのはどういう取り方をするのかということを、いつまでにどのようにお決めになるか教えてください。
  72. 木塚修一

    参考人(木塚修一君) お答え申し上げます。  現在、検討を進めておるところでございまして、国鉄さんのようにいわゆる運賃収入、私どもで言いますと売り上げでございますが、売り上げに帰納させる場合、あるいは固定資産、交換機とか伝送路とかございますが、そういったようなものの研究開発を当然基盤研究として行うわけでございますので、そういった固定資産の額によって負担金を帰納させる部分、いろいろな考え方があるわけでありますが、現在それについてよく検討して、拠出する東西の会社あるいは長距離がやはりリーズナブルだなと思うように、できるだけそういう形で仕組みをつくってまいりたいというふうに思っております。
  73. 林寛子

    ○林寛子君 これにこだわるわけじゃありませんけれども、やはり法案審議の中で将来像が見えないことにはこれは検討できないんですね、はっきり言って。ですからしつこく聞いているんで、この間も視察させていただきまして、どうですかと聞いたら、トップレベルですと、世界のトップレベルの技術ですというお話を聞いて私は大変うれしかったし、またそうあってほしいと願っているんです。みんなもそうだろうと思うんです。  これは今度の一持ち株会社の財産じゃなくて国の財産、国民の誇りにもなるわけですから、それであれば、この間視察のときに世界トップレベルの技術とおっしゃったものを果たして維持できるためにどのような方策が考えられるか。  ただ、会社を持ち株会社、長距離、東西に分ければいいということではなくて、もう一つ私がわからなかったのは、持ち株会社と長距離、西と東、それぞれ全部に研究所を持つということをおっしゃいました。余計わからないんですね。持ち株会社に今おっしゃったものがあって、そして長距離にも東にも西にもそれぞれに研究所を持つ。どこで区別をして、どこで線を引いて、あるいはソフトとハードとするのか、基礎と応用とするのか、線引きなんというものは研究はできないわけですね、変な話が。おたくで見せていただいてきました接続と同じであって、こっちは基礎なんですよ、こっちは応用なんですよと、接点をつなぐところのその継ぎ目が私は研究の中にはないと思うんです。  ですから、今のレベルというものが、持ち株会社と長距離と東西それぞれに研究所を持つということは、国鉄は今まで二つだったのがJRになつて一つにしたと。そうじゃなくて、NTTの場合は一つあったものが今度四つに分かれるわけですね、持ち株と長距離と東西と。私はそれで果たしてうまくいくのかなと。研究費一つ聞いても、いやまだこれからですとおっしゃる。  そういう意味で、やっぱりこの点に関してはこの委員会質疑の中で、適当なあるいはみんなが納得するような、間違いなくやっていくよというような答えが得られないということは大変不満ですし、心配に値しないとおっしゃっても、やはりこういう論議の中で明快にしていただくということがなければ私はおかしいのではないかと思います。  ですから、私たちは視察で設立技術世界トップレベルなんですよということを拝見しましたし、確かにそうだろうと思いました、素人が見ても。けれども、今後これらのその権利、今までの著作権といいますか特許権といいますか、そういうものは今度、この持ち株会社と長距離、東西の中のどれに属するんですか。どこに権利を持っていくのか。これは特許権、所有権がどこに行くのか教えてください。
  74. 宮脇陞

    参考人宮脇陞君) 工業所有権あるいは知的財産権、いろいろ言葉がございますが、そういう権利につきましては再編成前、いわゆる私ども会社を分ける前までのものにつきましては、基礎的なものと、そういう言葉を申し上げてまた混乱させるかもしれませんが、基盤的研究に属するものとそれから応用的研究に属するものというものを分類いたしまして、そして持ち株会社に基盤的研究に属するものはそれを管理させることにしようと思っています。  そして、あと応用的研究につきましては事業会社のほうに譲るつもりでおります。そして、再編成以降の新しく発生するそういう財産につきましては、今度は持ち株会社で行っている研究所、いわゆる基盤的研究所で行っている成果は基盤的研究所が管理しますけれども、それは使用権につきましては、お金は全部事業会社から出ておりますので使用権は全部事業会社に与えます。それから、今度は事業会社生まれる研究成果があるわけですが、それはそれぞれの事業会社で自分で生んだものですから、そちらに属するということになると思います。
  75. 林寛子

    ○林寛子君 今のお話でわからないのは、基礎部分は持ち株会社、応用部分はそれぞれにとおっしゃいました。応用部分の技術というのは、どこか一つが所有権を持っていなければ、それが西なのか東なのか、それぞれにと言うたって、いい方をだれでもとりたがりますからね、遺産相続じゃないけれども。それぞれにというのはどうやって分けるんですか、同じ応用で。西と東、どう配分するんですか。
  76. 宮脇陞

    参考人宮脇陞君) その中身について今まだ検討はしておりませんが、応用的研究といった場合に、これまで、再編成前までのものなんですが、応用的研究というものにつきましては、それぞれの事業会社が、長距離も含めまして三つの事業会社それぞれが全部所有しますし、例えば西会社がこれについては要りませんと言う場合がもしあったとしたら、それは保有しないかもしれませんが、それぞれの事業会社が欲するものにつきましては全部持てるということでございます。説明がよくわかりませんでしょうか。
  77. 林寛子

    ○林寛子君 全部持てるというのは無理でしょう。一つしかないものもありますね。それは希望者があればって、いいものはみんなとりたがりますよ。これは財産分与と同じなんです。だれも要らないというものはみんなも要らないんです。  その辺がちょっと、これを言っているとこれだけで時間を食ってしまいますので困るんですけれども、私から申し上げておきますことは、これ以上わからない話をしても仕方がありません。ただ、わからない話を議論することが委員会なんですね。私たちの審議でわからないところを明快にするというのがこの委員会の意義なんです。ところが、幾ら聞いてもまだ先の話でわからない、現段階で、あるものはということでは、私は大変これはうまくいくのかなと。あえて私はJRがいいとは言いませんけれども、JRの財産分与、事業権分与というものに対して例を挙げたのは、事例としてうまくいっているんです。もともと向こうのものは数を一つにしたけれども、うまくいっている。  ですから、どうしてもそのことに関してぜひ私はこの際お願いしておきたいことは、確かに私どもも、誇りを持って皆さんが世界トップレベルとおっしゃったものを保持し、また今の世界競争時代においてより一歩前進できるような技術をぜひ開発していただくために何とか皆さんのこの研究所の、分割してだめになると言われるんじゃなくて分割しただけの、四つに分割すれば今までのより四倍の力が出るというような研究をしていただきたいためにしつこく伺っているわけでございます。わからない部分はやがてまた何カ月かたったときにまたここで議論することがあろうと思いますから、改めてわかったときには、その方法等々については委員会提出していただくなりお教えいただきたいと思います。  私が申し上げておりますことは、分割することによって四分割で低下するのではなくて、四分割にしたら四倍の研究成果が上げられるというようにしていただきたいということを切にお願い申し上げて、この研究のわからないところもありますけれども、ペンディングにして希望だけ申し上げておきたいと思います。  それからもう一つ、視察で拝見いたしまして大変いいなと思ったことは、光通信整備のことです。いわゆる光ファイバー、本当に私はすばらしいことだと思っておりますし、これから光ファイバーというものがあらゆる産業の先端を行って、私は二十一世紀の日本の明るいといいますか、全く新しい情報分野のものになると思いますけれども、この現状。それから、私たちが拝見させていただきましたのは、むしろ独力で光ファイバー網整備したら一キロで大体一億円から二億円だというお話を伺いました。ところが、御存じのとおり建設省が情報ボックスというものを持っていますね。要するに共有溝です。あれを利用させていただければ、今一キロ一億、二億かかったものが、この建設省のあれに相乗りをすれば、その中を通してさえいただければ一キロ一千万から二千万でできるという大変有効利用ができそうなお話を伺わせていただきましたけれども、これは建設省とどの程度話し合いがついて、どの程度見込みがついているのか教えてください。
  78. 宮脇陞

    参考人宮脇陞君) お答えいたします。  私ども通信事業者ということで、建設省さん、それから郵政省さんが行っているプロジェクトの一員として参加しておりまして、共同溝と我々は申し上げておりますが、ぞれを使わせていただくということになっておりますので、おっしゃられるとおりそれを使うことになれば安いコストで整備ができるというふうに考えております。
  79. 林寛子

    ○林寛子君 せっかくある共有溝ですから、一億、二億かかったものが一千万から二千万で済むという、ぜひこれは早く話をつけて、全国に光ファイバーを網羅するのがこれから先何年だと今計算していらっしゃいますか、全国に張りめぐらすのが。
  80. 木塚修一

    参考人(木塚修一君) お答え申し上げます。  全国は、当委員会でも再三議論がございましたが、二〇一〇年でございますが、これはちょっと先でございますので二〇〇〇年の目標値を申し上げますと、政令都市及び県庁所在地級の都市、このビジネスエリアをおおむね一〇〇%完了したいというふうに考えております。
  81. 林寛子

    ○林寛子君 ですから、今おっしゃったように、全国、二〇一〇年という目標だけれども、二〇〇〇年にという今のお話ですけれども、先ほど申しましたように建設省の共有溝を使わせていただければ一千万から二千万で済むんですから、よりもっと前倒しできるんじゃないかと思いますので、これ頑張っていただきたいということだけお願いしておきたいと思います。  さて、こういう技術の開発で大変心配なのは、やはりこの間の視察の中で私が質問しても余りお答えの中で理解が得られなかった安全性の問題、要するにセキュリティーの問題なんです。私どもICカードを拝見させていただきました。かわいいこういうテレホンカードぐらいの大きさの中のわずか縦一センチ、そして横が二センチ、厚さ一ミリといういわゆるICカードの中のICチップですね。あのかわいい中で全部電子商取引ができるというのを拝見させていただいて、隣にいる女性議員も、買い物をするのにあれで済むの、財布持たなくていいのねなんと言って大変感激して見ておりましたけれども、私もああこれからは大変いいなと。  今の私どもの持っておりますカードというのは、細かいのがなかなかそこでは計算できませんけれども、ICカードで、あのICチップの中で言いますと細かいお金も全部そこで買い物ができるということで、大変将来性、私ども楽しいし、またこのICカードというものはNTTさんがこれから伸びることの大きな財源になるだろうなと思って、うまいものを考えたな、これは大したものだなと思って拝見しておりましたけれども、諸外国ではもう既にやっているところがございます。  そういう意味でICカードで電子取引ができるようになりますと、一番大事なことはやっぱりセキュリティーの問題であろうと思います。私はあそこへ行って質問させていただきましたけれども、プライバシー保護というものがどの程度保障されるのか、これは国際的な問題になると思うんです。ですから、国際的な問題になるときに、新しいものを開発すると同時に、その新しいものがいかに安全に使われるかということには私は二倍ぐらいの労力が要るんではないかなと素人風に考えているんですけれども、安全性についてどのような方策を考えていらっしゃいますか、教えてください。
  82. 宮脇陞

    参考人宮脇陞君) 先生のおっしゃるとおり、技術革新がもたらした結果なんですが、セキュリティーというものは非常に重要な問題だと思っております。そして、これは技術面の問題もありますし、一方制度的な問題もあるわけです。  研究所を訪問していただき、ごらんいただいたものは技術的な面をお見せしたわけでございますが、例えば通信内容を盗聴されないようにするとか、それから本当に通信している相手が、というのは音声じゃなくて情報をやりとりするような場合に、本当に確実に相手なのかどうかという本人性を担保することとか、いろいろな問題についてその要素となる技術につきまして私どもは研究開発を行っております。暗号もその一つでございますが、数々のセキュリティー対策技術を開発し、実際には幾つかの事業にも使っております。ただ、どこにどう使っているかということは実は言わない方がいい場合がありまして、中身については御容赦を願いたいと思います。  いずれにしましても、まだ初期の段階ですけれども技術的にはあらゆる面を考えて開発しており、あとそれを制度的にできれば、制度の方が本当は重要になるかもしれませんけれども、補足して本当にお客さんに使っていただけるようになりたいというふうに考えているところでございます。
  83. 林寛子

    ○林寛子君 私は技術屋じゃありませんから想像がつきませんけれども、この安全性のためにお互いに発信者と受け取る側とで同じキーを持ってそのキーがなければ相手にはそれが開けないというふうな何かそういう技術というものはぜひ研究していただきたいし、それを図っていただきたい。私たちお伺いしたときにワンストップ行政というのを拝見しました。それだって今おっしゃったように本人であるかどうかということもやっぱり確認ができないですね。そういう意味では、ワンストップ行政を実施するためにその行政を行う人物が本人かどうかという確認さえどういう方法をとればいいかということも今おっしゃったようにまだできない、まだ見えないというようなことです。  少なくとも私どもが一番心配しておりますのは、ついこの間も何かどこかの民間放送でニュースの最中にあるわいせつなものが画面に飛び込んできたなんということもございましたけれども、大変反社会的なものがいきなり飛び込んできて、その防止のしょうがないというようなこともこれからはあり得ることでございますので、何としてもこれはぜひ頑張っていただきたいと思います。  また、個人のプライバシーも今少し話が出ましたけれども、そういうものも保護されるようなものの対策を確実に練っていくということでなければ、私はこの情報通信のリーディング産業となり得るかどうかのかぎもあるいはそこにあるんではないかぐらい思っておりますので、ぜひこの点も皆さん方のすばらしい技術によって、世界じゅうが押すな押すなと、それを教えてくれと、それを使わせてくれと言われるようなものを逆に研究開発していただきたいということも、視察をさせていただいた中での要望としてぜひ頑張っていただきたいという頑張れコールを申し上げておきたいと思います。  ただ、一つ心配なことは、先ほど私は研究費の問題の話をしましたけれども、分割されることによって先ほどのお答えでソフト会社に三千五百名あるいは基盤に三千名、応用で二千人という技術者を含めた研究者の配分をおっしゃいましたけれども、私は果たしてそれがうまくいくのかなという一つの疑問を持っております。  それは御存じのとおり、アメリカのATTが分割されたときに多くの優秀な技術者がシリコンバレーへ移転してしまったんです。そういう例があるものですから、何としてもこれは研究者のそれぞれのプライドもありますでしょうし、もちはもち屋もあるでしょうけれどもアメリカのAT&Tの技術者がシリコンバレーに行ったというようなことがNTTさんには起こらないようにと念じていますのですけれども、その辺のお気持ちを聞かせていただいて視察の質問は終わりたいと思います。
  84. 宮脇陞

    参考人宮脇陞君) 大変貴重な御意見をいただきましてありがとうございます。  私どもは、今回の再編成というものを見通した場合、それに伴うこの研究開発体制につきましては、少なくとも従来よりは活気が出てくるんじゃないかというふうに思っているということでございます。  これは再編成ということだけじゃないんですけれども、私ども会社の変革自体がそうであったのかもしれませんが、やはり事業をやりながら研究開発をやるという、多分この前ごらんになっておわかりかと思いますが、それが研究者にとって大変なインセンティブになっておりまして、これからはますます私どもの研究者は従来よりも力を発揮してくれるようになるというふうに私どもとしては確信しております。
  85. 林寛子

    ○林寛子君 その確信を信じて頑張っていただきたいことを申し上げて、私は視察のお礼を申し上げながら今後の発展を祈っておきたいと思います。  ところで、先ほどもちらっとお話が出ておりましたけれどもNTTさんの国際進出ということに関してでございます。  NTTさんの国際進出状況というものは、アジアでは香港とシンガポールに一〇〇%出資の現地法人を設立されました。また、NTT香港では既に香港電気通信管理局に事業免許を申請されておると聞いております。そして、NTTシンガポール、これは企業向けの高速データ通信サービスを国営シンガポール・テレコムに運営委託する準備をしていらっしゃいます。また、フィリピンでは、現地の通信企業と合併会社を設立して事業免許を申請する予定だというふうに私も承知いたしております。  それに関連いたしまして、日本のNTTやシンガポール・テレコム、韓国通信などアジア八カ国の情報産業十七社がシンガポールで十日にAMFの発足総会を開いております。いわゆるAMF、アジア・マルチメディア‘フォーラムが発足したわけです。初代会長にNTT宮津社長が選ばれたと伺っておりますけれども、事実でしょうか。
  86. 宮脇陞

    参考人宮脇陞君) 十日に発足いたしまして、宮津社長が会長に就任しております。この審議がございましたので本人は実は出席できなかったのでございますが、先生のおっしゃるとおりでございます。
  87. 林寛子

    ○林寛子君 私は大変うれしいことだと思います。けれども、果たして今後どうなるのか。ましてこのアジア・マルチメディア・フォーラムの事務局はNTT国際本部内に置かれると言われております。そうしますと、今このNTTが分離分割というようなことになるときに、アジアの拠点がNTT国際本部内に置かれるのはうれしいことなんですけれども、今までNTT国際的に進出することに大変失礼ですけれども私はおくれをとっていると思っています。  今回のアジア・マルチメディア・フォーラムは意義があることだけれども、その中で今回の、先ほど申しました研究の分割によって、四分割が四倍になる力を持つということによって、今まで国際的におくれているというふうな大変失礼な言い方を私はしますけれども、乗りおくれないために今後国際的にどのように前向きに動いていこうと思っていらっしゃるか、お気持ちだけ聞かせておいてください。
  88. 宮津純一郎

    参考人宮津純一郎君) 先生おっしゃるようにちょっとおくれぎみでございまして、それで今度、基本的にはマルチメディアと称している角度から、それから企業通信という角度から東南アジアを中心に活動しようかというふうに思っております。  それで、実際にやる場合は、今度の中でも長距離会社というのができまして、それから直接そういう類のことはあと子会社でいろいろございますけれども国際にも出ていくというようなことになりますものですから、研究のときと同じように持ち株会社戦略的な面で全体をまとめていくというようなことはやはり必要ではないかというふうに思っております。  ただ、個々の具体的なプロジェクトみたいなのがはっきりしてまいりますれば、それぞれについてはそれぞれ担当の会社というようなことで、それが責任持ってやっていく。大体は長距離会社が中心になると思いますけれども、そういう進め方になろうかと思います。  今度のアジア・マルチメディア・フォーラム、AMFと言っているのは、機能としてはマルチメディアをやり始めたときに日本の国の中に相当高速のバックボーンネットワークというのを張りまして、それに皆さん参加していただいて共同利用実験というのをやりました。これが大成功しまして、マルチメディアを立ち上げるのに物すごく有効だったんです。それと同じようなのを、今度は東南アジアにバックボーンのネットワークを張っていろんな国にそれに参加してもらうという、柳の下にドジョウじゃないですけれども、前にやったマルチメディアの共同利用実験みたいなのを今度は東南アジア版でやろうかと、こう思っております。  大体ノウハウは心得ておりますので、具体的なそういう実務的なところは今はNTTですが、再編になれば長距離会社がやるんじゃないかと思いますけれども、プロジェクトとして具体的になってきたものはそういうふうに具体的に会社がやるということになろうかと思っております。  以上でございます。
  89. 林寛子

    ○林寛子君 何かこの委員会があったために現地へ行けなかったと聞いて、大変申しわけないな、こういう大事なときは行っていただくべきだったなというふうに、私ども知りませんでしたから、この委員会のために現地に十日の日にいらっしゃれなかったということは大変お気の毒で申しわけなかったと思います。NTT国際本部内に今度は事務局が置かれるということですから、より一層貢献することもさることながら、正直に社長から今、おくれぎみですというふうなお答えがございましたけれども、ぜひ今後おくれを取り戻して前に出るような成果を上げていただきたいことをお願いしておきたいと思います。  それから、いよいよ中身に入らなければならないんですけれども郵政省及び電通審がいつも指摘しておりましたNTT地域網の独占状態、いわゆるボトルネックというのは今後は解消されるんでしょうか、いかがですか。
  90. 堀之内久男

    ○国務大臣堀之内久男君) 地域独占状態を解消するということは、これはなかなか容易なことではないと考えております。  今回、地域二社に再編成するわけでありますが、この二社間の比較競争、あるいはまた両地域会社の相互参入も認めておるわけでありますので、将来無線を利用した形での相互参入も可能になる、こう思っておりますが、一番手っ取り早いのは今CATV、ケーブルテレビによる参入であります。そういうものの今後の発達を期待いたしながら、少しでも地域網の独占状態の解消に努めてまいりたいと思っております。
  91. 林寛子

    ○林寛子君 努めてまいりたいと思いますというお言葉なんですけれども、例えば今まで言ったことを変えるときには何が原因なんだと、大臣はCATVの参入によってなんというふうに今おっしゃいましたけれども、私は郵政省がボトルネックの解消を強く主張してきたその従来の方針を、CATVの参入だけではなくて、またいつどういう理由で引き下げたのか、そうすると今までの主張は何だったのかという疑問に当たるんです。  CATVの参入によってというお答えだけではちょっと私も納得できかねるんですけれども大臣は納得されますか。
  92. 堀之内久男

    ○国務大臣堀之内久男君) 東西二社間の、これは分離されるだけでありますが、しかし相互参入という将来の競争の相互参入も認めてあるし、さらにそれぞれの会社でいろいろなサービスを提供していわゆる比較競争、間接的な競争を期待すると、こういうように考えております。
  93. 林寛子

    ○林寛子君 私が聞いたことの答えにはなってなくて、ちょっと理解しかねるんです。意地悪するために質問しているわけではありませんので、何とか理解しようと思ってお伺いしているんですけれども、なかなか理解できるお答えがいただけないんで、難しいところです。残念ですけれども、理解ができません。まだ質問がたくさんありますので、次に行きます。  東西の今度の地域会社は、完全分割の二会社制と持ち株会社の下の二会社制とでは、そのどちらの形態がいわゆる比較競争、ヤードスティックが有効に働くんでしょうか。それを教えてください。
  94. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 東西二社の比較競争につきましては、完全分割の場合の二社の制度と同様に今回の再編成でも十分可能と考えております。  ただ、その成否は、持ち株会社がこの東西二社の自主性、独立性をどの程度尊重するかという点にも左右されるわけでございまして、この点でその二社の自主性、独立性が十分確保されれば完全分割の場合と同じ効果を持ち得るわけでございます。そういった意味で、私どもといたしましても再編後のこういった対応について注視してまいりたいと考えております。
  95. 林寛子

    ○林寛子君 あなたがおっしゃる二社の自主性、独立性というものが、本当に私はそうでなければヤードスティックなんてあり得ないと思っています。それは、同じ意見なんです。  そうしたら、東西の会社における例えば役員人事、経営方針、資金調達など、だれがどこでどのようにして決定するんですか。東西の会社間での人事交流はあるんでしょうか。どうなんですか。
  96. 谷公士

    政府委員(谷公士君) これらの会社間における公正有効競争条件の確保ということでいろいろなルールを考えていく必要があると思っておりまして、その中には御指摘ありましたように役員の兼任問題、それから営業のあり方の問題、いろいろあるわけでございます。  例えば、役員につきまして、基本的にこの地域会社の役員を決めるのは株主である持ち株会社になるわけでございますけれども、しかし競争関係にある東西両地域会社の役員が兼任するということは基本的には私どもはそれは公正な競争条件にはかなわないというふうに思っております。公正な競争条件にかなわないと思っておりますが、これらのことにつきましては、今後他の要素も含めてそのルールを関係者意見も聞きながら決めてまいりたいというふうに思っております。  役員の人事の問題だけではございませんで、営業のあり方の問題その他の問題もございますので、それらいろいろな公正競争条件確保するためのルールにつきましては、関係者意見も聞いて今後詰めていきたいと考えておるわけでございます。
  97. 林寛子

    ○林寛子君 ということは、東西が平等にスタートし、東西が同じ土俵から始まるという言い方と理解してよろしいんですか。
  98. 谷公士

    政府委員(谷公士君) そのとおりでございます。東西がそれぞれ独立した会社としてスタートをしていくということでございます。
  99. 林寛子

    ○林寛子君 そうなることを願っております。でなければ、私はもともとヤードスティックなどは言うだけで実行できないと思っていますから、それをお願いしておきたいと思っておりますし、また見守っていきたいと思います。  また、NTTの今回の諸種の決定は組合に当初通知されていなかったと私は伺ったんです。経営首脳と組合との話し合いで合意はどのようにされたんですか、お聞かせください。
  100. 林豊

    参考人(林豊君) 今回の再編成について労使関係でどういうことになっているかというお尋ねだと思いますが、私ども従来より経営の重要問題について意見交換をする労使の間で経営協議会という場を持っております。  今回の場合におきましても、そういう場等を通じましてタイムリーに意見交換を行ってきておりまして、そういった中で組合にも十分理解、納得が得られる、そういった情報の交換が行われたものというふうに私ども考えておるところでございます。
  101. 林寛子

    ○林寛子君 ちょっとお答えが、耳が遠いわけではありませんけれども、はっきり聞こえなかった部分もあるんです。  要するに、経営首脳と組合とはうまく話し合いましたと、お互いに理解し合いましたと、結果的には、そういうお答えですね。そうすると、当初通知されてなかったというのは風評にすぎないんですか。
  102. 林豊

    参考人(林豊君) 先生おっしゃる当初という意味でございますが、前から申し上げておりますように、ことしに入りましてから郵政省との間でこの問題につきましての協議を重ねてきております。そういった状況の節々といいますか、必要な時点では意見交換を重ねてきたつもりでございます。
  103. 林寛子

    ○林寛子君 どっちにしましても、経営者そして労働者ともにお互いに意思の疎通を図っていかなければならないと私は思っていますので、その点はこういうときにはよくあることですから、ぜひそのことをうまくお互いが本音を出してやっていっていただきたいということを要望しておきたいと思います。  それと、さっきおっしゃったように、もう一つ私は経営形態の中でもちょっとわからなかったんです。わからないというか、まだはっきりしないんですけれども、そもそも純粋持ち株会社の下にある東西の会社間で同じ土俵でスタートするようにという、いわゆる経営方針だとか資金調達、人事というのは今公平ですよとおっしゃいましたけれども、果たしてその純粋の持ち株会社の下に行って公平にというけれども競争が生じるんだろうか。どのようにして競争させるように促進するんですか。
  104. 井上秀一

    参考人(井上秀一君) 我々事業者立場で、制度的な話というか仕組みの話は先ほど谷局長の方からされたんで、事業者としてどういうような心構えでそれぞれの会社の独立性といいますか、そういうものをきちっとやるのかという御質問だと思います。  我々、確かに今までも事業部制でいろいろ経営はやってきました。それで、それぞれの事業部制の中でそれぞれの地域なり事業部でいろいろな創意工夫をしながら事業展開をやってくるというのはこれは経験があるわけでございますが、そのときにいろいろ会計的な制度、こういうものについてはどうしても社内取引ということで、我々としては一生懸命わかりやすくし、しかもそれを世の中には事業部制の収支という形でディスクローズしてきたつもりでございます。今回はさらにそれを一歩進めて独立会社という形できちっと独立した経営をやるということになりますと、それぞれの経営単位としての経営の成果といいますか、こういうのは明確に出てくるわけです。  そういう中で、当然のこととして、それぞれの経営というものは独立性をきちっとやっていかないとだめでございまして、それをベースに、例えば今まで接続なんかやってきたものについても内部取引でやっていたものをきちっと契約的なレベルに落とすとか、そういう形できちっとやることによって、先生のおっしゃるいわゆる経営の独立性というのは保てるというふうに考えております。  片一方で、グループ経営という形でどういうふうにグループのリソースを展開していくかというのも重要なものですから、これはまた持ち株会社がグループトータルの経営戦略という形でやらせていただく。そういうことで、リーズナブルにやっているなというのを世の中にわかりやすく経営をやるということが我々の務めじゃないかというふうに考えております。
  105. 林寛子

    ○林寛子君 その競争ということに関しまして、やっぱり東西の会社間での競争を促進するという今のお話と、ユニバーサルサービスを確保するということとは相矛盾するというふうに私なんか考えちゃうんです。矛盾するんじゃないんですか。  だから、地域格差の発生を認めるのか、あるいは格差を認めなかったら東西間の競争というものはどうやって促進するんですか。そこの矛盾はどうなるんですか。
  106. 井上秀一

    参考人(井上秀一君) ユニバーサルサービスというのは何かということで、これはもう先生御存じの電話サービスをどこでもあまねく公平に受けられるということでございまして、制度的にもそれぞれの会社がそれぞれの地域におけるユニバーサルサービスをきちっとやっていく。それを通じて全国的なユニバーサルサービスを守っていこうという形でございます。  確かに、西の方が非常に財務的に厳しいのは事実でございまして、そのために制度的に負担金制度等を設けていただいて、ある準備期間をいただく。その間に、我々としては経営をできるだけうまくやって、そういうユニバーサルサービスが再編によって格差が起こらないようにやっていこうというふうに今取り組んでいるわけでございます。  いずれにしても、ユニバーサルサービスをやるためには、それぞれの企業によって財務的基盤がしっかりしないとできないわけです。そのためには、それぞれの会社で経営をきちっとして、いいサービスをし、お客さんに喜んで使ってもらって利益を上げていくということをやっていかないといかぬので、そういう中ではそれぞれの会社でもそれぞれの地域に合ったようなサービスをやって、東でいいサービスをやったらそれが西にも波及する、そういうような形でいわゆる電話のベーシックなところは、先生のおっしゃるように競争がすぐ起こるのかということになると、これはユニバーサルサービスを担保する形でございますので、競争がすぐあしたからどうこうという話ではないというふうに考えております。  同じ電話でもいろんなサービスがあるわけです、ベーシックなものとプラスアルファのものと。こういうものの中で、いろんな地域に密着型のサービスをこれからやっていく。ましていわんやマルチメディアになりますと、いろんなこれからサービス開発競争でございますから、どちらがいいサービスを先にやっていくかということによって結果的にいろいろなサービスの多様化の競争が起こると我々は考えております。
  107. 林寛子

    ○林寛子君 それですと、利用者である私ども国民が求めるものはNTTの経営形態がどうこうということではなくて、要するに利用者が多様なサービスを低廉で簡便に利用できるかどうかということだけだと思うんです、正直申し上げて。今度のこの再編でそれが可能になるんですか。
  108. 井上秀一

    参考人(井上秀一君) 我々の事業というのは、何しろいいサービスを、使いやすいサービスを安くというのが基本だと考えておりますので、この再編の中で当然この制度をいろいろうまく利用するというか使うという中で、その基本的な事業の命題を今後ともさらにいろんな工夫をして追求できるというふうに思っています。また、果たせると思っていますので、この方式をやっていこうという形でオーケーしたわけでございます。
  109. 林寛子

    ○林寛子君 私どもは、欲張りかもしれませんけれども、どうしてもやっぱり簡便で早く安くというのは希望ですけれども、今の状況を見ておりますと、日本の通信料金が高いために内外格差を利用してATTを初めとする海外通信事業者はコールバック方式を持ち込んでいるんです。  御存じのとおり、航空料金もそうです。航空チケットもそうです。日本で買うよりも、一たん香港に飛んで香港からアメリカへ行くとか、あるいはアメリカに子供がいる人たちは、日本から電話をかけてコールが三つピッピッピッと鳴ったらぱっと切るよと、そうするとすぐ向こうから逆にかけなさいと、いわゆるコールバック方式と言われておりますけれども、そこまで日本の料金が高いためにいろんな手だてを、知恵を出していかに安く、いかにたびたびかけられるかというようなことをみんな考えるんです。  ですから、アメリカのATTを初めとする海外の人たちはコールバック方式というものを持ち込んでいるんですけれども、その状況はどのように  認識されていますか。
  110. 西本正

    参考人西本正君) 国際電話に関するコールバックのお話だと存じますけれどもKDDは昭和五十年代以来十七回にわたりまして料金の値下げを実施いたしてきておりますとともに、さまざまな割引サービスを提供しておりまして、その結果料金的にはコールバックに遜色のない料金で御利用いただけるものとなっておりまして、現在正確な把握は困難でございますけれども、現時点でコールバックサービスによる影響はそれほどないというふうに判断しております。  なお、コールバックサービスのうちで、私どものネットワークに悪影響を及ぼしたり、ただ乗りするというような不当な方式のものがございます。そういったものにつきましては、最終的には善良な一般のお客さまに御迷惑をおかけすることになりますことから、本年一月にはサービスの約款を改正いたしまして通話の停止ができる、そういう措置を講ずることができるようにいたしております。  いずれにしましても、当社といたしましては、今後とも国際競争力の強化に向けて一層の料金の低廉化と割引型サービスの拡充に努めまして、お客さまによりよいサービスを提供してまいりたい  というふうに思っております。
  111. 林寛子

    ○林寛子君 時間がありませんので困るんですけれども、全部うはうはといういい話ばかりではないということも一つ申し上げておかなければならないと思うんです。  NTTの一般加入電話回線休止問題、全国で六千万回線の一%が休止すると。いわゆる携帯電話が急激に普及し始めて、一九九四年には三百三十六万台、九五年には三百七十九万台、九六年には四百三十四万台、これだけ急激に携帯電話が普及してきた。そのために今五百万回線が休止状態と。さっき私は全国で六千万回線と言いましたが、それの約一%が休止状態になるというんです。  そうしますと、休止状態になれば基本料金が伸び悩んでいるんです、休止されているんですから。加入者の回線は設備稼働率も低下し始めているし、要するに収支の圧迫の要因になってくると思うんです。  もう一つ深く聞いてみますけれども、使用しない電話についてはNTTが買い戻して、電話の加入時に支払った施設設置負担金、要するに今現行で七万二千八百円、それを返還するように求める声がもし起きたらどうするんですか。こういう状況は今大変憂慮すべき問題だと私は思うんですけれども、これについて何かお答えがありますか。
  112. 井上秀一

    参考人(井上秀一君) 確かに休止の数は急激にふえております。これは一つは移動体とか携帯電話、これの増加によるものだと思っています。もう一つは新しい電話、ISDNに切りかわっていく、こういう大きな二つ流れがあろうかと思っております。  そういう中で、先生のおっしゃるように例の七万二千円問題、いろいろこの委員会で出ていた、これを返せというようなお話が出るんじゃないかということでございますが、これはもう何回もここで御説明させていただいているように、あくまでも電話の架設の加入者部分の一部をそれで充当させていただいて残りを基本料金でもらっているという仕組みでございますので、二重になっていない。そういう感じの中で、これはお客さんに言われてもお返しできるという性格のものでもございませんし、金額的にも大変な問題でございます。  こういう問題をどうするのかということでございますが、我々としてはできるだけ、また固定電話の方も大いに使っていただくような工夫、移動体等に対抗するようなサービスをいろいろ考えていかなきゃいかぬということで、デジタル型のISDNで今はいろいろなサービス展開をしているわけですから、ぜひ我々としてはお客さんにうんと使っていただくということをこれからも努力する以外にちょっと方法がないので、そういうことでよろしく御理解のほどをお願いいたしたいと思います。
  113. 林寛子

    ○林寛子君 御理解のほどをと言うので、時間が来ましたので残念ですけれども、たくさんの質問状を渡しましたけれども、大半行っていないという状況でございます。  今度の民間会社ということでは、民間会社競争と不即不離なんですね、競争というものがなければ民間会社じゃないんです。そういう意味において、独占で競争のない民間会社は考えられないし、高らかにこれから自由を求めて、十四年前自分で民営化の道を求めたNTTだったんですから、どうぞあの当時の気迫を思い出して、国民が納得できるような競争をみずから受け入れて、それによって完全民営化を完成させ、そして自由な世界で羽ばたいていただきたいということを私は念願する一人でございます。今回のNTTの分離分割の完成というものに対して、日本にとって最も重要な、そして今後の情報通信世界を正常な競争によってのみ発展させるための私は最後の切り札だと思っております。  長々となりますと時間をオーバーしますのでやめますけれども、経済は一流政治は三流、経済大国と言われて経済は一流と言われた経済も、今や日本は経済も三流だと私は思っています。政治は少し二流に一つぐらい上がればいいなと思っています。そういう意味で、経済も三流に落ちたといわれる今日において、この情報社会というものは私どもにとって、国民にとっても日本にとっても希望の星として頑張っていただきたいという要望を申し上げて質問を終わります。
  114. 三重野栄子

    三重野栄子君 社会民主党・護憲連合の三重野栄子でございます。  前回に続きまして、ユニバーサルサービスとNTTの責務並びに役割の今日的意義、マルチメディア時代を展望しての質問を幾つかさせていただきたいと思います。  私は、参議院国民生活・経済に関する調査会に所属しておりますが、今期調査項目を「二十一世紀の経済社会に対応するための経済運営の在り方」と決定しまして、公正で活力ある経済社会と豊かで安心して暮らせる国民生活の実現を目指して、少子・高齢化、国際化、情報化等に適切に対応するための経済運営のあり方について検討を進めてまいりました。  この調査会は、二年目の中間報告として社会資本整備及び社会保障のあり方について取りまとめ、今国会におきまして必要な提言を行うことになっております。会長は鶴岡先生ですけれども、私も一緒に研究をしてまいりました。その中で社会資本整備の現状として、情報通信基盤の整備状況、情報化の進展と国民生活について取りまとめた結果といたしまして、社会資本整備の基本方向として、高度情報化通信基盤の整備、情報通信技術の研究開発の推進、情報通信の高度化に対応した人材の育成、情報通信の利用者保護のための制度整備等を提言することとしているところでございます。  したがいまして、私どもは二十一世紀を目指して、その中でのこの情報化問題をこの中でも中心的課題としてまいったわけでございます。  もう一つ、昨日、社団法人電気通信事業者協会副会長の岩崎克己参考人、大阪大学大学院国際公共政策研究科教授林敏彦参考人一橋大学経済研究所教授鈴村興太郎参考人意見を聴取いたしました。  こういう状況の中で、今日まで法案審議をしてまいりました中での私自身の再考も含めまして、三つの点についてお伺いしたいと思います。  まずは、ユニバーサルサービスとは何か、それから技術開発、それからマルチメディア時代の情報通信の三点でございますが、既にこれらの問題については今までもるる説明を伺いましたのに、また重ねてということで大変恐縮でございますが、最終的にもう一度確認をさせていただくという意味でお伺いをしたいと思います。  まず、ユニバーサルサービスでございますが、ユニバーサルサービスの定義と再編成におけるNTTの責務と役割について、郵政省NTTにお伺いしたいのでございます。  ユニバーサルサービスの定義について、郵政省は、確たる概念はないが現状においては国民生活に不可欠な電話サービスを日本全国においてあまねく提供することと認識しており、具体的には電話サービスであるとの見解を表明されています。また、ユニバーサルサービスの維持向上はNTTの責務との見解が表明されていますが、ユニバーサルサービスの定義並びに再編成後におけるNTTの責務と役割について、郵政省並びにNTTの見解を伺いたいのでございます。  まず、NTTからお願いいたします。
  115. 井上秀一

    参考人(井上秀一君) 我々としては、ユニバーサルサービスというのは、電話サービスを全国に適切、公平かつ安定的に提供するものだというふうに考えております。具体的には東西それぞれのエリアで東西の会社が行うという形でございますが、現在は電話サービスというのは、お客様からお申し込みがあればすぐにそれに応じられるというような、即応体制と俗に言っていますが、そういうような状況になっております。そして、しかも全国いわゆる住めるところ、こういう地域には加入区域という名前で電話を架設するというようなことをやっております。  こういうような基本的な部分、これについては今後も当然あるわけでございますが、ユニバーサルサービスといえば、さらに我々としては基本的料金については、例の住宅用と事務用と分けて、住宅用の料金を割安にしているだとか、それから先生から何回も出ております福祉サービス、こういうものもやっていく。それから災害のときの重要通信確保、いわゆるライフラインとしての性格をきちっと行っていくということだろうと思っております。  そういう意味で、こういうようなユニバーサルサービスについてはいつでもどこでもというようなことで、きちっと今後ともやっていきたいというふうに考えておるところでございます。
  116. 三重野栄子

    三重野栄子君 郵政省、お願いします。
  117. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 先生が先ほどお話しくださいましたとおりでございまして、ユニバーサルサービスという概念につきましては、先ほど先生がお話しになったようなものだと考えておるわけでございますけれども、現行法においてはこういった言葉はございませんで、現在の日本電信電話株式会社法の二条の「責務」の中に、「国民生活に不可欠な電話の役務を適切な条件で公平に提供することにより、当該役務のあまねく日本全国における安定的な供給の確保に寄与」という文言がございまして、この趣旨はいわばNTT特殊会社としてその責務として書いておるわけでございますから、この趣旨がユニバーサルサービスであろう。このことは、現在審査をお願いしております再編法においてもそのまま第一次的には地域会社の責務として、それをフォローする役割が持ち株会社の責務としてそれぞれ書かれているわけでございます。  もちろん現段階においては電話ということでございますけれども、これは時代の変遷に応じまして、国民が真に必要とされます。そういったサービスが変わりますと、それに応じてこの内容も変わってくるというふうに考えております。
  118. 三重野栄子

    三重野栄子君 現在の解釈と申しますか、現状について伺いましたが、もう既にマルチメディア時代へ進行しているというふうに思いますが、その時代は利用者・国民の側がサービスを選択できる時代だというふうに言われておるところでございます。日進月歩、技術革新によってどれぐらい大きく変わっていくのかまるで想像がつかないような状況と言っても過言じゃないと思うんですけれども、こうした中で情報通信サービスに対する利用者・国民のニーズも多種多彩になっていくのだろうというふうに思います。  昨日、林参考人のお話でございますが、電気通信事業の将来像として、経済、生活、文化、政治の分野について選択するというようなお話がございました。特に、文化と政治につきましては、私も追加をして御説明いただきましたけれども、これからの展望というのはすばらしいものだなということを伺うことができました。  マルチメディア時代は利用者・国民の側がサービスを選択できる時代だというものの、ではそれに対応するだけの技術革新も必要であろうというふうに思うわけでありますが、NTT並びに郵政省はこのマルチメディア時代にどのように対応していこうとなさっているのか、その点についてお伺いしたいと思います。どちらでもいいんですが、NTTからお願いします。
  119. 井上秀一

    参考人(井上秀一君) 先生のおっしゃるとおり、今、情報通信市場というものは大きく動いておりまして、デジタル化を中心とした技術革新と、いわゆるパソコン等の情報端末の高度化、低廉化を背景として、インターネットなどに見られるようにいわゆるコンピューター通信の需要を中心に情報通信の利用の仕方が大きく変わってきております。  企業においても、電話を中心とする通信からコンピューター間のデータ通信、さらにはLANだとかそういう新しい企業ネットワーク。一方、家庭でも情報端末、先ほど言いましたけれども、固定型電話だけじゃなくて携帯端末、さらにはパソコン端末ということで、実際に使う端末自体も非常に多様化している。こういうような中で、お客様の利用のニーズといいますか、こういうものは従来の均一的なもの、そしてサービスレベルも高きゃいいというだけじゃなくて、品質が悪くても少々落ちても価格が安い方がいいだとか、サービスはもっとグレードの高い方がいいとか、いわゆる品質自身も多様化ということで、いろんな多様なサービス要求が出てきているというふうに考えております。  さらに、ネットワークだけじゃなくて、そのネットワークを利用する技術、さらにはソフトの問題、コンテンツの問題とか、いろんな形になっているわけでございますが、それらが非常に全体的にうまく利用できるような環境、こういうものが今大変重要になってくるということで、電気通信全体の動きが、従来の電気通信だけじゃなくて情報通信という形で大きく動いてきているんじゃないか。  我々としても、そういう中でNTTとしてやるものをきちっと見定めまして、できるだけ早くそういうものに対応する体制を今とって、いわゆるマルチメディア時代NTTの役割といいますか、こういうものをしっかり果たせるような形で今取り組んでいるところでございます。
  120. 谷公士

    政府委員(谷公士君) まず、サービスの面についてお答えをしたいと思います。  今後、光ファイバー網等の整備が進展していくことによりまして、高速かつ広帯域の電気通信サービスが提供可能となるわけでございます。それと同時に、それを活用した例えば遠隔医療でございますとか遠隔教育あるいはテレワーク等の高度なマルチメディアサービスが利用可能となると考えております。  このマルチメディア時代におきましては、御指摘のとおり高度かつ多様なサービスを国民・利用者がみずからのニーズに基づいて自由に選択をしていただくことが可能となるわけでございます。そういう意味で、国民生活、社会経済の各方面におきまして電気通信に対する依存の度合いが増大してまいるわけでございます。  一方、こういった体制といいますものは、その体制を整備するのに時間を要するわけでございますので、私どもといたしましても時期を失することなく、早目にこういつたことに対する対応の体制を整えていく必要があるというふうに考えております。
  121. 三重野栄子

    三重野栄子君 大変積極的な展開をお伺いしまして、大変心強く存じます。  それに関しましては、やはり技術の開発ということが非常に重要でありますけれども、高度情報化時代は情報通信基盤の整備技術研究開発の推進、人材の育成、利用者保護のための技術制度整備が重要であるということは今さら私が申し上げることもないと思います。昨日の岩崎参考人のお話でございますが、今次法律改正によりまして、NTTの再編を歓迎し、早期に成立、実施させてほしいという要望がございましたが、その上でこのようなこともおっしゃいました。NTT国際的にもすぐれた技術と研究体制等々をお持ちでありますけれども、そういう成果を我々といいましょうか、他のこの情報通信の企業に対しましても積極的に開示をしてもらいたいという要望がございました。  それと同時に、開示をしていただきたいといったそれだけでは不十分じゃないかという質問を私がいたしたんですけれども、例えば協議会を持つとかということでお互いに協議をする場所あるいは連絡、それはいろいろあろうと思いますが、そういうことがあって技術を開示していただけたらいいなという趣旨であったと私は思っています。それと郵政省には、そういう技術開発のためには積極的な資金の援助とか法整備というものもぜひとも要望したいというお話がございました。  このことは私もなるほどというふうに思うわけでございますが、そういう立場に立ちまして、今の技術開示といいましょうか、そういうことにつきましてNTTはどのようにお考えでしょうか。そしてまた、郵政省は積極的な支援だとか法の整備ということはどのようにお考えでしょうか。お伺いいたします。
  122. 宮脇陞

    参考人宮脇陞君) 御説明いたします。  これまでも申し上げたかと思いますが、我が社としましてもマルチメディア時代においてはまさに研究開発が重要なものと考えておりまして、一層力を注いでいくつもりでございます。そして、電気通信の基盤となります電気通信技術に関する研究の成果につきましては、我が国の電気通信の創意ある向上発展に寄与すべく研究成果の普及を図ってまいる所存です。これは、これまでも努力してきたつもりですが、せっかくの成果でございますので、より広く世に使っていただけますように努力してまいる所存でございます。そのような研究成果の普及を通じまして、これからのマルチメディア時代における社会経済の進展に貢献してまいりたいというふうに考えております。  あと協議会あるいは連絡する場所ということにつきましては、それはもちろん御要請があれば事業者の中で相互に切瑳琢磨しながら競争もしていかなきゃいけないんですが、その中で交流も図っていきたいというふうに考えます。
  123. 木村強

    政府委員(木村強君) 先生ただいま御指摘いただきましたように、急速な情報通信発展を支えておりますものは飛躍的な技術革新とそれを実現しております技術開発でございます。情報通信は、特に研究開発、技術開発、オリエンテッドな部分だということで、この部分が本当に基本になっておろうかと思います。これを国民の皆様あるいは企業の皆様にその技術開発の成果を円滑に還元をしていく、使い勝手のいい形で、できるだけ低廉な形で還元をしていくというのがその間に立つ行政の役割であろうと認識しております。  特に、これからのマルチメディア時代におきましては、ネットワークに関する高度化あるいはサービスの高度化技術といったようなものが非常に重要でございますし、またそういったネットワークあるいはサービスの高度化技術に支えられまして具体的な情報通信利用技術、例えば電子マネーなんかにどう応用していくかというそういうものがこれからの時代には非常に重要になってくるというふうに考えております。  それで、私ども郵政省といいますか国の立場先生から技術面あるいは資金面、制度面での支援策というようなお話がございました。まず技術面につきましては、民間企業におきましてはやはり実施が困難で公共性の高い非常に波及効果の大きい、しかもハイリスクで時間のかかる、こういったようなものにつきましては、国といたしまして通信総合研究所、それから通信・放送機構という認可法人がございますが、ここを通じまして研究開発を行うと。こういつた国あるいは認可法人を通じて行いました研究の成果を民間へ技術移転がスムーズにできるようにということで、例えば委託研究あるいは共同研究あるいは助成といったような形、あるいは公募研究といった形で、研究の当初から民間あるいは大学等と一緒になって成果を上げ、その成果を民間にスムーズに移転していく、こういう仕組みをとっております。  それから、資金面、制度面につきましては、通信事業者やメーカー等の民間企業が消費者のニーズを踏まえて行います技術開発に対しまして、税制上の優遇措置、これは国税が中心でありますけれども、たくさんの税制上の優遇措置を毎年政府として行っております。それから財政投融資制度、それからただいま申し上げました通信・放送機構を通じました助成金の交付、それから基盤技術研究促進センターによります出資や融資という形、それぞれ所管の法律がございますけれども、適宜見直して法律などの改正を伴うこともいたしながら、民間へそういった技術がスムーズに移転する方式ということを念頭に置いて取り組んでおります。  いずれにいたしましても、技術移転を推進する過程におきましては、せんだっても御指摘ございましたようにやはり高齢福祉社会でございます。そういった点を頭に置いて、使い勝手のいい形での民間での技術が実用化できるようにということを常に念頭に置きながら行政としても今後とも努力してまいる所存でございます。
  124. 三重野栄子

    三重野栄子君 今NTTとそれから郵政省とお答えいただきました。私はおととい伺っていたらきのう御説明すればよかったというふうに思いますが、そういうことを御存じできのうはそういう御発言をなさったのか、あるいはまだ余り御存じなくてそういうふうにお話しになったのかよくわかりませんけれども、やはり今お話しいただいたことを日常的にそれぞれの業界あるいは研究所等々に広がるようになればいいというふうに思います。  特に、NTTは何といっても中心的な先頭的な企業でいらっしゃいますから、ぜひ同業の皆さんへのそういう点の開示も積極的にいただければというふうに思います。  次に、マルチメディア時代の情報通信のあり方と申しましょうか、このことについてお尋ねしたいと思います。  先ほども郵政省の方から、積極的にマルチメディアが進んでいけばユニバーサルサービスの概念も変わっていくのではないかというふうなことを伺いました。いつでもどこでもだれでもかけられる電話サービスというのが何といいましても現在のユニバーサルサービスの基本概念でございますけれども、マルチメディア時代になりますとこのサービスの概念はどのように変わっていくのか。これはわからないことをお伺いするということは難しいというか失礼かと思いますけれども、こういうことになるであろうかということで想像でも結構でございますので、マルチメディア時代のユニバーサルサービスというのはどうあるべきだろうかということについて、NTT郵政省に伺いたいと思います。
  125. 井上秀一

    参考人(井上秀一君) ユニバーサルサービスというのは、我々事業者から言うのもちょっとおかしいと思うんですが、個人的見解に近くなるかもしれませんけれども、いずれにしてもユニバーサルサービスかどうかというのは、お客様がどういうふうにこういうものを利用していただけるか、また利用したいと思っているのか、こういうものが基盤になってくるんじゃないかというふうに考えております。  確かに、かつては電話は一番始めのスタートは高級品だった。それがどんどん生活の中に密着していってユニバーサルという形で今呼ばれてきていると考えておりますが、マルチメディア時代になるとどうなるのかというと、コンピューター通信だとか映像通信のような音声以外のもの、こういうものがもっと生活に密着し基盤になってくるんじゃないかというふうにも考えております。そういうものがどこでも自由に使えるようになるには、そういう時代がどういう段階でどういうふうに来るかということの中でそういうものをどういうふうに提供していくかということでユニバーサルサービスの概念が醸成されてくるというか、つくられてくるんじゃないかというふうに考えております。  非常に抽象的な話でございますが、なかなか難しい定義なものですから、私はそういうふうに考えております。
  126. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、高速、広帯域の電気通信サービスあるいはそれを活用した遠隔医療、遠隔教育等のマルチメディアサービスということを考えますと、今NTTからもお話がありましたけれども、音声だけでなく画像、場合によっては動画像あるいはさらに非常に精細度の高い画像というふうなことも考えられるわけでございます。いずれにしましても、そういったサービスの普及度合いあるいは社会的なニーズに応じましてマルチメディア時代におけるユニバーサルサービスを考えていくべきだろうというふうに思っております。  特に、このように高度かつ多様なサービスが国民生活、経済に浸透した社会におきましては、情報を持つ人と持たない人との間の格差というのが単に情報の格差にとどまらずに、情報によって支えられますものということで、教育の格差とかそれから医療の格差、雇用機会の不平等さまざまな社会的な格差にも結びついていくおそれがあるわけでございますので、私どもといたしましては、このマルチメディア時代におけるユニバーサルサービスのあり方につきましては、そういうことを十分念頭に置いて取り組んでいく必要があるというふうに思っております。
  127. 三重野栄子

    三重野栄子君 大体において、ユニバーサルサービスというのが変化をしていくだろうというところで意見が一致するんではないかというふうに思うわけでございます。技術も開発されていくし、それから利用者・国民サービスのニーズも変わっていくわけでありますから、そうしますと規制緩和の中で電気通信事業に参加してくる事業者もふえてくるというふうなこともあるかもわからないと思うんです。そういたしますと、ユニバーサルサービスのあり方を一つの企業にその責任を負わせる、現在で言いますと特殊会社に規定するということではちょっといけないんじゃないか。電気通信事業にかかわるすべての事業者がその責務を追うべきであろうというふうに思うわけでございます。  そうしますと、これらは電気通信事業法でユニバーサルサービスというふうなものを規定すべきではないかと思いますが、郵政省の見解についてお伺いいたします。
  128. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 確かに電気通信サービスは、例えばNTTだけではなくていろいろな事業者の方々がそれぞれ単独にあるいは連携して提供するというのは基本でございます。そして、それらのサービスの提供は需要に応じて提供されるということが基本であるわけでございます。  問題は、そういったサービスの出口と入り口の設備であります地域の通信網、これが非常に基本的な部分を占めることになるわけでございまして、そういう意味でこの市場を支配しておりますのは現在におきましてはNTTであるわけでございます。そういったところについて競争で実現するということがかないませんので、こういったところにつきましてはこれを絶対的に確保する必要がありますことから、そういう部分を担当しておられる事業者に対してこの義務を課すという仕組みをとっておるわけでございます。  したがいまして、むしろこういったところが競争の中で機能するようになってまいりますれば、市場の原理の中でおのずとユニバーサルサービスが提供されてくることになるというふうに考えるわけでございます。
  129. 三重野栄子

    三重野栄子君 そうでございますので、NTTだけに規定をしている現在の法律のあり方ということについては今後変える必要はないのかというのが質問でございますが、いかがでしょうか。
  130. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 基本的に、通信仕組みといたしましては自由な競争の中で必要なサービスが提供されるということを考えておりますものですから、独占状態が解消されますと需要に応じてサービスが提供されることになるであろう。ただし、その場合におきましても、地理的条件その他におきまして採算ベースでのサービス提供が非常に困難な部分があるということは考えられるわけでございまして、そういった場合には、そういう部分に対してどのような形で通信確保するかという手だてについてはまた別途考える必要があるだろうというふうに思っております。
  131. 三重野栄子

    三重野栄子君 それでは、最後宮津社長大臣にお尋ねいたしたいと思います。お尋ねというよりも、マルチメディア時代に向かいましての抱負をお伺いしたいと思います。  NTT編成はマルチメディア時代への新しいスタートであると認識をしておりますし、先ほどNTT側からも、このことによってどういうふうに研究していこうかとわくわくしているというような状況についてもお話を伺いました。戦後五十年は追いつき追い越せの時代でございましたが、今やもうトップに立ちまして先頭を行くという状況になっております。そういう中での情報通信を担っておられる宮津社長並びに郵政大臣のそれぞれの抱負を伺いたいと存じます。
  132. 宮津純一郎

    参考人宮津純一郎君) 大変激励をいただきましてありがとうございます。それから、先ほどは林先生から民営化したときの出だしのころの志を思い出せと、元気を出せと、こういうふうに言われました。そのとおりでございまして、お答えするとすれば元気を出しますということになるのでございますが、具体的になると経営としては複雑になってきていていろんな要素がたくさんございます。  ここで一つ漏れなく全部申し上げるということはできませんけれども一つはインフラストラクチャーを時代に応じてちゃんとしたものにしていく。これは、ソフトウェア関係のインフラストラクチャーというのはこれから大事になってくると思うんですけれども、そういう問題が一つあります。  それから、だんだん減ってくるとはいえ電話サービスは非常に大事なんで、これはちゃんと守っていかなきゃいけない。先ほどもユニバーサルサービスという議論がございました。  それから、これからの新しい、今マルチメディアと言っていますけれども通信とかコンピューターとかというのが一緒になっていく、しかもグローバル化していく。こういうことでありますから、こういう新しいサービスに関しては値段を安くして、それでとにかく多彩なサービスを出していくということをやっていかなきゃいけないというふうに思っております。  あと、事業的に言えば公正競争の問題があります。私どもとすればネットワークのオープン化という言い方になるのかもしれませんけれども、そういうものを積極的に進めていかなきゃいけないと思います。それからあと、オープン化といいますと会社全体のオープン化というのも大事で、何だか大きな集団でいろんな人間がいるけれども何を考えているかわからないというんではちょっと困るんで、NTTとしてはこういうふうなことでこれから進めたいと思いますというような意味で、できるだけオープンな社風みたいなものを育ててやっていくということは大事じゃないかというふうに思っております。
  133. 堀之内久男

    ○国務大臣堀之内久男君) ただいま宮津社長から、事業面については非常に大きな心を持って取り組んでいただくというようなことでございますが、御案内のとおり情報通信分野は技術革新が非常に激しいわけでございますので、今後マルチメディア化あるいは国際化という大きな環境変化が起こってまいりますし、そのもとに大競争時代を迎えてくる、こういうように認識をいたしております。しかもまた、この情報通信が、我が国の産業はもちろんでありますが、世界的にも経済のリーディング産業として大きな飛躍が期待され、我が国としてもこの情報通信産業の活性化を図っていくことは重要な政策課題だと思っております。  そこで、それぞれいろいろ事業者においてはそれぞれ努力いただきますが、我々郵政省としても規制緩和の積極的な推進とさらに競争環境の整備を図っていくということ、あるいは全国的な光ファイバー網の早期整備を図っていきたいと思います。さらに、今後は国内だけに限らず海外進出も展開していただかなきやなりませんので、海外進出に当たっては積極的に国として支援をしてまいります。  このような光の部分もありますが、今度は影の部分としては、プライバシーの侵害あるいはまた通信の安全性、信頼性等いわゆる影の問題についても今後我々は積極的に研究を進めていかなきやならぬと思います。  いずれにいたしましても、今後情報通信の発達によりまして、豊かな社会の実現に向かって努力をしてまいりたいと思っております。
  134. 三重野栄子

    三重野栄子君 規制緩和によりまして大変意気が上がって盛んになる状況でございますが、それなりに国内的にも国際的にも競争も激しく大変なことだろうというふうに思います。経営の側もそれから政府の側も、そしてそこに働いている皆さん方も心を一にして頑張っていただきたいというふうに思います。  我が国産業や経済の発展の大きなリーダーシップを発揮されるように期待をいたしまして、長い間の審議に御参加くださいましたことを感謝申し上げます。どうもありがとうございました。
  135. 松前達郎

    松前達郎君 松前です。  もう既に各委員からいろいろと質問が出てまいりましたので、私の方から質問という形でお尋ねすることが少なくなってきたんですけれども、実は、先ほど林委員から宮脇さんに対してですか、特許の帰属問題、先ほどありました。持ち株会社に帰属するのか、東西の会社あるいは長距離の会社に帰属するのか、いわゆる研究成果、この問題が先ほど提起されて、私も何だかまだすっきりしないんです。すっきりしないのは宮脇さんの答え方が悪いんじゃないかと思うんですね、要領が悪いといいますか。  私の意見をここで申し上げたいんですが、これはそんな難しい問題じゃないと思うんです。現在までの組織の中で研究された成果については持ち株会社が全部これを保有する、ただしその結果取得された特許の使用に関しては無償で提供する、提供するのは外にじゃなくて東西あるいは長距離会社に。そういうふうにしてしまえばそんな難しい問題じゃないんじゃないですかね。今後発生してくる研究結果に基づく特許等については発生主義に切りかえる。この二つで割と単純に割り切れるんじゃないかと私は思うんですが、これは私の意見ですからそうしろというわけじゃありませんけれども、その点御感想ありますか。
  136. 宮脇陞

    参考人宮脇陞君) 貴重な御意見ありがとうございます。  これはまだ決定はしてないのでございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、今のところ先生のおっしゃる現在までのものに関しましては、いわゆる応用的と言っていますが、実用化、もう今実際にサービスで使っているようなもの、そういうものにつきましてはそれぞれの事業会社に帰属させてはいかがかと思っております。なお、先生の御意見も参考にさせていただきまして検討していきたいと思います。どうもありがとうございました。
  137. 松前達郎

    松前達郎君 余りややこしいことを言わない方がいいと思うんです。今まで開発された技術を分割される会社が使う場合は、これはもう無料で使わせたらいいんです、別に問題ないですね。ですから、そういうことはもう当然の話で、それをややこしく言うとかえってわかりにくくなりますから私は単純に今申し上げたんです。その辺はまた今後も研究課題としてひとつ御検討いただきたい、こう思います。  それからもう一つ技術の開示というのがあるんです。先ほどからそういう話が出てまいりましたけれども、私は、時と場合によっては開示すべきじゃないと思っている分野もあるんです。そう思います。  というのは、例えば研究成果でもって利益を生んでいるような会社があった場合、開示したら何にもならないですね、ただで奉仕している会社じゃ。そういうことになりますから、やはり研究の成果というのは一つの資産であり、その成果としてできたものは商品としての価値を持っているわけです。だから、この辺を考えながら開示というものに対応していかなきやならない、こう思うんです。  特許をとれば開示していいと思う、特許はもう開示みたいなものですから。特許をとるまでの間は一体どうするのかという問題もありますから、確かに開示することも必要ですけれども、その点も一つ十分考えられるのではないか、こう思いますけれども、御感想とかありますでしょうか。
  138. 宮脇陞

    参考人宮脇陞君) 技術開示という言葉がちょっとあいまいなものですから先生のおっしゃるとおり疑念を抱かれるわけでございますが、おっしゃるとおり、私どもとしては技術開示といいましても、工業所有権として確立しているものにつきましては特許料をいただいて開示するわけですし、それから特許権の確立していないものにつきましてそれを技術開示する場合には、私どもの事業にとって不利にならないということを考慮の上、行うつもりでおりますので、よろしくお願いいたします。
  139. 松前達郎

    松前達郎君 まさにそのとおりなんだと思います。開示することによって、その技術をもとにして利益が生み出されるような利用をされる場合は開示していいんだろうと思うんです。それぞれ研究所にも専門家がおられますから、その点は十分もうおわかりだと思いますけれども。  そこで、法案の方に入りたいと思います。まず最初KDDの問題ですが、KDD法改正によりましてKDD国内電気通信業務を行えるようになるということになると思います。その規定の仕方が、「同社が保有する設備又は技術を活用して行う電気通信業務その他の業務を営むことができる」、こういうふうになっておりますが、間接的な規定にとどまっていると思います。また同時に、その条件として、「国際電気通信業務の円滑な遂行に支障のない範囲内において」、こういうふうに規定されています。  今回の法改正については、KDD国内参入を目的としているように受け取れるわけなんですが、あえて積極的な規定の仕方を行わなかった理由、これは一体どこにあるのか、また国内参入に条件をつけた理由について郵政省にお伺いしたいです。
  140. 谷公士

    政府委員(谷公士君) KDDにつきましては、御案内のとおり、現在、世界各地に対して二百三十三のネットワーク、対地を持っているわけでございます。それによりまして、我が国の国民、企業が世界に対して通信ができる仕組みが整っているわけでございますが、こういった広範な対地を確保してネットワークを持っておりますのは現段階におきましてはKDDしかないということで、特殊会社としております。そういう意味で、KDDに対しましては法律上こういう目的のもとに特殊会社としておりますので、この本来の目的であります業務に支障がない範囲でという建前になるわけでございます。  しかし、実際問題といたしまして、その他の電気通信業務というと国内電気通信業務になるわけでございますけれども、この国内電気通信業務を営みます際に、事実上この規定が支障になるという場合は、実態の問題といたしましてはまずほとんどないのではないかというふうに考えております。形式上としましては、今申し上げましたような法の建前としてそのような形をもって規定させていただいておるということでございます。
  141. 松前達郎

    松前達郎君 そうなりますと、今申し上げたような問題について、将来また法律的な面からも検討をするというふうに受け取ってもよろしゅうございますか。このままでずっと置いておくというんでしょうか、その辺いかがでしょう。
  142. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 一般的には、十分な対地が他の事業者によっても確保されることになれば、特殊法人として置いておく必要がなくなるということにもなります。現在の状況で考えますと、競争者の方々もいろいろ事業展開を活発にしておられますので、恐らくそういう事情の方が早く来るのではないかというふうに思うわけでございます。
  143. 松前達郎

    松前達郎君 そうしますと、現在の法律のもとでの話ですが、今後KDD国内参入に向けて認可申請を行うことも考えられるわけですね。そうしましたときに、条件の審査をめぐってスムーズな認可が行われないという可能性もなきにしもあらず、その点郵政省はどういう対応をされるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  144. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 今申し上げましたように、この法律の建前といたしましては、KDD特殊会社として位置づけております。その本来業務でございます国際電気通信業務の円滑な遂行に支障のない範囲である、あるいはその設備、技術を生かすというふうになっておるわけでございますけれども、実際上国内電気通信業務を営みます際に、こういった事情に支障を及ぼすということは余り現実的には考えられませんので、私どもといたしましても、その申請に対しましては今申し上げたようなことで審査をして、適切に対処してまいりたいというふうに思っております。
  145. 松前達郎

    松前達郎君 そうしますと、スムーズな認可をするというふうに受け取っていいのではないかと思うんですが、これは御答弁要りません。  そこで、今回の法改正によりましてKDD国内への参入が可能となる。KDDとして具体的にどういう計画を現時点でお持ちでしょうか、あるいは将来含めても結構ですが、その内容。またさらに、他の事業者との提携、連携等も考えられるんですね、そういうものを考えておられるとすれば、御説明いただきたいと思います。
  146. 西本正

    参考人西本正君) お答え申し上げます。  当社は、この法改正が行われました暁には国内通信事業に参入いたしまして、国内から国際まで一貫したサービスを提供することによりまして、年々高度化、グローバル化が進むお客様のニーズにおこたえするとともに、コストの低減を実現して国際競争力を強化してまいる所存でございます。  具体的には、本改正法案成立後、まずお客様の要望が多い企業向けの専用線サービス、あるいはKDD直加入者の回線がございますけれども、ルートKDDと申しておりますが、その加入者回線からの国内電話サービス、さらにはKDD専用の公衆電話、ICグローバルホンからの市外電話を開始いたしまして、その後準備が整い次第、順次インターネットさらには本格的な市外電話へとサービス範囲を拡大して、広く国民の皆様の期待にこたえていきたいというふうに考えております。  また、当社は、マルチメディア時代を迎えて急増する国際通信事業に対応するとともに、アジア地域における通信のハブ化というものを進めることを目的として、日本列島の周囲に大容量、高品質の光海底ケーブル、これを敷設するJIH計画というものを推進いたしております。国内参入が認められました場合には、このJIHを国内通信サービス提供のための伝送路としても活用する予定でございます。  それから、他の事業者との提携、連携という御質問でございますけれども、まだ具体的なものはございませんけれども、さまざまな分野での業務提携の可能性について現在検討いたしておるところでございます。
  147. 松前達郎

    松前達郎君 大分広範囲な御計画をお持ちだということですね。  KDD平成九年度の事業計画を見ますと、八年度に比べて減収、減益の見通しということになっていると思います。今後、外資を含めた再販業者の参入も予想されるんです。国際通信料金競争は、そういうことによってさらに一段と厳しい競争時代に入ってくると思うんですが、こういう中でKDDはマルチメディア時代への対応、特に新たな国内業務の展開に当たって設備投資に非常に多額なものが必要となってくるのではないか、こういうふうに想像するんですが、この点についての見通しをお伺いしたいと思います。
  148. 西本正

    参考人西本正君) 私ども平成九年度の国際通信用の設備投資としましては、先ほど申しました日本列島を取り囲むJIHケーブル建設を初めとしまして、総額一千四十億円の投資を見込んでおります。    〔委員長退席、理事陣内孝雄君着席〕  また、その後の計画につきましても、需要動向や、これは諸外国のパートナーとの協議に基づいて通信網の建設計画をつくるわけでございますのでそれに左右されることもございますが、そういうことで、明確な長期見通しというのは立てることは困難でございますけれども、現在のところ、今後三年間で総額二千五百億円程度の設備投資を見込んでおります。これらの所要の資金につきましては、内部留保及び外部からの資金調達によって十分に対応できるものと考えております。
  149. 松前達郎

    松前達郎君 KDDの計画は今お伺いしたんですが、KDD以外の国際通信二社、この昨年度の決算の状況を拝見しましても同様に減益となっていると思います。今後、NTT国際進出もあることですから国際通信分野の競争というのはますます激しさを増してくるだろうと予測されるんですが、そういった中で我が国の事業者はその競争を乗り切っていけるのであろうか。ぜひ乗り切っていっていただきたいんですが、そういう危惧もあるわけです。これについて郵政省としての御見解をお伺いしたいと思います。
  150. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 確かに、八年度の決算におきましては、KDDも含め国際系の三社とも減益というふうになっております。これは、国際電話のトラフィックの方は伸びているわけでございますけれども電話料金の値下げによる収入の伸び悩み等が影響しているものと考えております。  それから、御指摘になりましたように、我が国の国際通信事業者にとりましては、競争がこれからどんどん激化をしてまいりますので経営環境が大変厳しくなってきているということは事実でございます。しかし、これにつきましては、競争の中で力をつけていくということが基本的なあり方と考えざるを得ないわけでございますので、それぞれ経営の効率化、財務体質の強化、サービスの改善、それに一層強く取り組んでいかなければならないということであろうと思っております。  ただ、今回の法改正によりましてKDDにつきましては国内通信分野への参入が可能となります。もちろんその他の二社につきましては現在ももう可能なわけでございますけれども。こういつたことで、ワンストップあるいはエンドエンドサービスという方向が求められておりますので、そういうサービスを提供することができる体制が整うということもございます。こういつたことを使ってさらに競争力を身につけ体制を整備していただきまして、そういう競争力を背景として国際通信市場や海外市場においても外国事業者に伍して活躍していただきたいというふうに期待をしているところでございます。
  151. 松前達郎

    松前達郎君 前々からNTTの分離分割問題が提起をされてきたわけです。その間大分時間が経過をしたわけです。  実はその問題が出たときに私は市民の皆さんにいろいろ聞いてみたんです。NTTが分離分割されるということを御存じですかと言ったら、それはまあ知っていると。それじゃ、それによってどういうことを期待されますかと言ったら、何も期待していないと言うんです。ということは、もつと単純なんです。電話をかけて相手に安くつながればいいんだと。会社がどういう形態になろうがサービスの品質さえ保たれ、しかも価格が安くなればそれでいいんだから、私たちは分離分割というのは余り興味がないんだと、こういうふうな意見が随分あったんです。しかし、それはユーザーとしての意見ですから、すべてそれで片づけてしまっていいかというとそうでもないと思うんですが。  今回、NTT法改正によって、再編成に先立って子会社による国際通信業務を行えるようになるわけですが、当初、NTTは自前の国際回線を持っておられないわけですね。そういうことから、他の事業者所有の専用線を借りていわゆる二種としての参入になるんじゃないか、こういうふうに私は思うんですけれども、今後、国際通信市場の競争に勝ち残っていくため、自社回線とリース回線を効率的に組み合わせて高品質なサービスをいかに安い価格で提供できるか、私はこれが勝負を分けるのではないか、こういうふうに考えているわけです。  こういうふうな中で、我が国では、自社回線で直接つながっている地域が百以上になっている場合に第三国中継を許可するという百対地ルールというのがあります。こういうルールが条件として存在しているわけなんですが、国際通信市場への参入の妨げになるのではないかという指摘もされているようです。こういう条件が存在する理由というのは、もう既になくなりつつあるのか、あるいはまだこれが必要なのかどうか、その理由が一体どこにあるのか、郵政省にお伺いしたいんです。
  152. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 御指摘のとおりでございまして、俗称百対地ルールでございますが、相手国との回線を設定する際に、一種事業者でございますけれども、百対地までは直通回線を設定してほしいということを指導しております。そして、百対地を確保した後は第三国の通信事業者に中継を委託する、いわゆる第三国中継による回線設定でもよいというふうにしております。    〔理事陣内孝雄君退席、委員長着席〕  この趣旨でございますけれども、我が国の国際通信を安定的に確保するという観点から、他の第三国の事業者回線設定を依存することなく、できるだけみずから直通回線を設定することが望ましいという考え方によるものでございます。  それからまた、安定的な直通回線による対地拡大の中で、事業者間の設備ベースでの競争を通じてサービスの高度化、また料金の低廉化を図っていくことができるということもございます。  今後、国内事業者国際通信事業に進出される際に、国際回線をみずから直通回線であるいは第三国中継によって設定するということのほか、対地によりまして我が国の他の国際通信事業者と国際回線接続するというやり方も可能なわけでございます。したがいまして、このことによって直ちに国際通信市場への新しい参入が妨げになるというふうには思っておりません。  そして、このような状況は、これは我が国だけではございませんで、ルールという形でとっておりますかどうかは別といたしまして、AT&TあるいはBT、それからドイツ・テレコム、フランス・テレコム等の状況を見ましても、現在KDD確保しておられます直通対地、これは百四十四でございますが、ほぼこれに匹敵する、例えばAT&Tにつきましてはもう少し多うございますけれども、ほぼこれに匹敵するような直通対地を確保しておられます。また、この二百三十三対地につきましても、これらの主要な事業者は二百三、四十の対地を確保しておられるわけでございまして、そういう意味で、百について絶対的な基準があるわけではございませんが、それなりの合理性があるのかなというふうに思っております。  ただ、将来の問題といたしましては、国際公-専-公の自由化等いろんな状況変化も起きてまいります。そういうことの中で、我が国として、先ほど申し上げましたような観点も考慮しながら、国際通信事業の動向等に応じて必要な場合には見直すということもあるというふうに考えております。
  153. 松前達郎

    松前達郎君 百対地ルールというのが、一体百という数字がどこから出てきたのかというのをお伺いしようと思ったんですが、特にその基準はないとおっしゃいましたからもうそれはお伺いしないことにいたしますが、経営基盤の弱い国際NCCを守るためだというふうなことも言われているわけなんですね。海外のメガキャリアと覇権を争う国際通信市場でこれは余り意味がないんじゃないかということも指摘されていると思います。  これらについて、先ほどからいろいろとお伺いしましたけれども郵政省としても十分お考えの上これらの問題に対応をしていただければというふうに要望をいたしておきます。  国際通信の中で特に国際電話につきましては、料金の内外価格差を利用した、先ほど話が出ましたコールバック、こういうやり方が今、これはサービスというのか何というのかわかりませんが活発に行われているというふうに伺いました。その被害がなくなってきたというふうに先ほどお答えがあったと思うんですが、国際電話網の効率的利用には余りいい影響を及ぼさないんじゃないか、こういうふうに私は思います。これはITUにおいても禁止されるべきであると決議されているんだと思います。  このコールバックサービスについて、KDDはかねてから国際通信の正常な発展を妨げるというふうにおっしゃっていたわけなんで、規制強化を恐らぐ求めてこられたんだろうと思いますけれども、このたびコールバックの大手の会社KDDが出資したという報道があるんです。これはどういう経緯から出資をされたのか。  コールバックサービスについてのKDDのお考えをひとつお伺いしたいと思います。
  154. 西本正

    参考人西本正君) コールバックの会社への出資についての御質問でございますけれども、私どもとしましては、この会社に今後国際通信のみならず国内通信も販売をしてもらうということを考えておりまして、当社の電話サービスを再販してもらうことを目的としまして出資を決めたものでございます。  この会社は今後はコールバック事業から撤退するというふうに申しておりまして、撤退しまして当社が提供しております大口割引などを利用した再販サービスをやっていく会社になるというふうに聞いております。
  155. 松前達郎

    松前達郎君 そうしますと、出資の見返りとしてコールバックをやめたと。そういうことでもないんでしょうけれども、どうでしょうか。それは、結論としてはコールバックから撤退するということですね。ですから、これは結果としてはいい結果になったと思うんです。  NTTにお伺いするんですが、再編成後のNTTの長距離会社、これは純粋な民間会社ということになって特に営業範囲も指定されていないというふうに伺っているんですが、長距離、国際のみならず、地域通信あるいは移動体通信、CATVなどにも参入できるんですね。NTT持ち株会社の傘下に東西二社の地域通信会社があるわけですから、長距離会社がその他の事業分野に進出する計画、これらと絡んでNTTに何か御計画あるのかどうか。ありましたらお伺いいたしたいと思います。
  156. 宮脇陞

    参考人宮脇陞君) 法案では、先生指摘のとおり長距離会社の事業範囲は設定されておりません。ということは何をやってもよろしいというふうに言った方がよろしいのかもしれませんが、当面私どもとしましては、長距離会社業務としまして、県間の通信、それから国際通信、こういう業務を中心に行おうと考えております。  多分、先生はそれ以外の分野はどうだと御質問かと思いますが、そちらにつきましては再編成後の経営戦略の中で検討していきたいと思っております。
  157. 松前達郎

    松前達郎君 まさに企業秘密かもしれないんですが。  NTTの東西地域会社について、法律上相互参入して地域通信業務を行うことが可能というふうにされているわけですね。NTTはこのようなことを行う計画があるかどうか、その点簡単にお願いします。
  158. 木塚修一

    参考人(木塚修一君) お答えいたします。  東西会社の相互参入につきましては、今後お客様や株主への影響もございますので、その辺を考慮して、再編成後の経営の中で総合的な検討を行った上で判断をしたいと考えております。
  159. 松前達郎

    松前達郎君 これも余り細かく突っ込んでお伺いしないことにします。  伝送路の光化による広帯域化が行われているわけですけれども、公衆網を利用した電気通信事業者によるCATV事業の展開が可能である、こういうことになるわけです。NTTはその中で、光ファイバーを各家庭まで引く、ファイバー・ツー・ザ・ホームといいますか、この計画を二〇一〇年とおっしゃっているわけです。将来的には、NTT自身、特に地域会社等によるCATV事業への参入が考えられるんです。  この点について、郵政省がどうお考えか、またNTTがどうお考えか、その点をお伺いしたいんです。
  160. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 地域会社につきましては地域電気通信事業を目的とする特殊会社という位置づけになっておりますので、みずからCATV事業を行うことはできないものというふうに考えております。
  161. 木塚修一

    参考人(木塚修一君) お答えいたします。  CATV事業への進出につきましては、従来、既存の市場秩序と申しますかそういうものがございますものですから進出しないということでずっと続けてまいりました。再編成後も現時点では進出は考えておりません。  ただいま谷局長がおっしゃられましたとおり、郵政省さんの御方針も承っておりますのでそういうもとで進めてまいりますが、将来このマルチメディアというものがどういう動向を示すかということいかんによりましては、改めて政府に対しまして私ども要望をお伝え申し上げていきたいというふうに判断しております。  なお、アクセス網の光化あるいはデジタル技術というものも今盛んに進展してまいっておるわけでありますが、NTT回線をぜひCATVの事業者にお使いいただくということをお願いしたいと思っておりまして、このCATV向けの通信サービスの提供というものについて、今後積極的に検討をし、推進してまいりたいというふうに考えております。
  162. 松前達郎

    松前達郎君 アメリカでは昨年電気通信法の改正があったわけですが、その改正によりまして他の事業分野への参入がより一層活発化している、競争が促進されているというふうに考えていいのではないかと思います。  我が国においても同様に、事業分野を超えた相互参入による競争のさらなる促進が必要となってくるのではないかと思いますが、今回の法改正の後、どのような施策を郵政省として展開されるおつもりか。これは郵政大臣からお答えいただければと思います。
  163. 堀之内久男

    ○国務大臣堀之内久男君) 今回の法改正によりましてNTTあるいはKDD国内国際通信に相互に参入可能となるわけであります。その他の新規参入事業者については、従来より事業分野を超えた相互参入が行われておるところであります。  今後、先ほども局長からも申し上げましたが、地域通信会社あるいはまたNTT長距離通信会社等においても、新たな範囲を超えた、例えばCATV等の事業にも参入の希望もあるかもしれませんが、この辺は、今回の地域通信会社の独占という状態を解消するために今一部の業者にこのCATVの通信網というものを認めておるわけであります、現在のところ三社あるわけであります。こうしたものを新たにまた長距離、地域会社に認めていきますと、同じグループの中での事業者でありますからこの点は問題があると思いますので今後その点は検討してまいりますが、その他の新しい事業分野への参入あるいは提携が今後一層促進されるというように考えております。  そして、今回の再編成は、接続ルールの公正、そしてまた透明化、これが一番大きな期待を持たれておるところでありますので、政府としては、公正競争条件整備、そして規制緩和を積極的に推進してまいりまして、今後この面の情報通信国内競争の一層の活性化を図っていくべきだ、こういうように考えております。
  164. 松前達郎

    松前達郎君 私の質問、以上で終わりたいんですが、もう十数年にわたってぐじゅぐじゅしていた問題がやっとこういう形でもって、非常に、どちらかというと見事なうまい方法と言ったらいいかもしれません、ベストではないかもしれませんけれども。こういうことで一応新しい段階に入っていくというふうに考えているわけですが、新しい段階になればなるほど発想の転換も必要だと思いますので、どうかその辺は英知をもってこの新しい段階に向かって邁進をしていただきたい。これはNTT要望いたしまして、私の質問を終わります。
  165. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 日本共産党の上田でございます。  前回に引き続きまして第四の問題として、今回のNTT再編が国民・利用者、労働者に負担を強いることになるおそれについて質問します。今回は、事業者間の接続問題、光ファイバー網の設置の利用問題、ユニバーサルサービスの大幅ダウン、市内料金値上げ、それから労働問題などについて取り上げます。  接続問題では、NTT電話施設は三つシステムがあって、一つは加入者宅から市内交換機まで、二番目が市内交換機から市内外中継交換機まで、三番目が市内外中継交換機から市外中継交換機までと区分されていますが、事業者間の協議で行われる現行の接続料金は、この一が省かれているわけですね。つまり、加入者間の回線使用料は含まれません。それを今まで話し合いで決めていたのを今度法律で法定化するわけね。そうなりますと、今度の改正では長距離NTTNCCに対して、この加入回線使用料にただ乗りするということを法定化することになると思いますけれども郵政省、いかがですか。
  166. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 各家庭から市内交換機までの加入者回線部分につきましては、通信料の多寡にかかわらず一定のコストが発生するということでございますので、この部分につきましては利用者から、NTTの加入者から定額料金として回収するというふうな方法がとられておりまして、これは合理的であろうというふうに思っております。そういう意味で、現在加入者回線部分のコストにつきましては、毎月の基本料として利用者から回収されておるということでございます。  したがいまして、NTTの中継交換機または市内交換機に接続する他の事業者は、この部分を除きまして接続により使用されますネットワーク部分のコストを負担しているものでございまして、負担のあり方としては妥当であるというふうに考えております。
  167. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 この問題調べましたら、九四年十月二十七日の電通審の答申によるんですね。「加入者回線に係る費用をすべて利用者から定額制の基本料で回収するという考え方には一定の合理性があると考えられる。」ということで省くことになったんですね。  私は、おととしここの委員になってまだ新米なんですけれども、だから電通審の答申なるものは余り読んだことがなかったんだけれども、これ読んであきれましたよ。これ電話料の改定についての答申で、全部一定の合理性があるんですよ。基本料金の値上げも、それから一〇四の値上げもその他も全部一定の合理性がある、一定の合理性があると。私はかなり論理的に詰める方なんだけれども、一定の合理性があるというのは一定の不合理性もあるということですよ。それを一定の合理性がある、全部一定の合理性がある、もう電通審というのはまことにいいかげんな審議会ですな。全部郵政省の考えどおり一定の合理性があるで通しちゃうんだから、ちょっと僕は驚きましたな。電通審もやっぱりもっと利用者の立場に立って抜本的に改組が必要ですよ、こういう審議会は。まじめに仕事していないと私は思います。  さて、この問題はきょうも何回も取り上げられましたが、今後の光ファイバー網の費用をだれが持つかということにもかかわってきます。  やっぱり同じ電通審、この「情報通信基盤整備プログラム」の答申があります。「二十一世紀の知的社会への改革に向けて」と、題だけは立派ですが。これに試算が出ているんですよ。この試算を見ると、加入者線と加入者交換機、中継網、ソフトウェアは大体半々です。それで、ケースAについては、加入者線について十五兆六千五百億円かかるんでしょう。それからケースB、二十六兆五千九百億円かかるんですよ。  そうすると、さっきの電通審答申の、加入者が負担するのは一定の合理性があるとやられたらこれは大変ですよ。これ全部加入者でやってごらんなさい。このときの試算は七千五百万世帯ということになっているけれども、今加入者は減っていますからね。だから、現在の六千万加入者で割りますと、一加入者当たり光ファイバー二十七万円から四十五万円負担になるんですよ。これも答申どおり加入者に負担させる気ですか、二十七万円から四十五万円。そうすると、基本料金の値上げ、あるいは電話料金の値上げは不可避になると思いますけれども郵政省、いかがですか。
  168. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 光ファイバー網整備コストでございますけれども技術開発等によりまして低廉化の趨勢にございます。将来的にはメタルケーブルと同程度のコストで光化が可能であるというふうな見込みが現在ございます。  このような長期的なコストの低廉化を背景といたしまして、NTTにおける光ファイバー網整備でございますけれども、メタルケーブルとのコストの比較を勘案しながら、メタルケーブルの更改時期に合わせまして、主として光ファイバー網に対する需要の顕在化が見込まれます地域から順次進めることとしておられると承知しております。  こういう方法によりますと、現在の光ファイバー網の先行投資は将来十分回収可能であろうというふうに考えております。
  169. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 十分回収が可能であると言うんだけれども、じゃ加入者に対して負担を一切させないで、これ全部で十五年間に三十三兆円から五十三兆円という試算ですよ。一切加入者に負担させないで光ファイバー網の全国設置できると言えるんですか。
  170. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 今申し上げましたような状況のもとで考えますと、二〇一〇年の全国整備完了に向けて、NTTにおいて光化に伴う電話加入者の追加負担を来さないように整備を進めることは可能であるだろうというふうに考えております。  なお、状況に応じて判断していく必要があるだろうと思っております。
  171. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 これは非常に重大問題なんで、これは光ファイバー網設置のときから我々は問題にしてきましたけれども、今の答弁をしっかり覚えておきますよ、状況に応じて判断するというんですから。  だから、やっぱり加入者負担の問題というのは負担がふえるという危険があるんです。アメリカのATTの分割によって地域電話会社の市内電話料金は三五%ないし五二%上昇した、それにアクセスチャージが課せられたというのがアメリカのATTの実績ですから。日本もATTの分割に学んで今度、あやふやなものだけれども、持ち株会社による分割に入りましたけれども、これが市内電話料金の値上げにつながらないようにしっかりNTT郵政省もやっていただきたい、そういうことを要望します。  次に、ユニバーサルサービスの問題。ATTは分割によって今のように市内電話料金の値上げたけでなくて、物すごいやっぱりリストラをやりました。十年間で十二万人人員削減です。ただし、海外駐在員は百人から五万三千人にふやした。イギリスのブリティッシュ・テレコム、これ五年間で約十万人リストラ、人員削減をやったんです。  NTTも、もう何回も取り上げてまいりましたが、民営化前三十二万人が現在では十八万五千人。十三万五千人削減ですね。社員を減らしてコストを下げて値下げやサービスを上昇させるという売り込みだったんだけれども、まるで逆です。  ここに「インフォメーションNTT」があります。まず九五年、二千億円の基本料金の値上げやりました。公衆電話、不採算を理由に何と全体の一四%、十二万五千台、これが撤去されたんですよ、十二万五千台公衆電話撤去。中でもひどいのは電話局を減らしたことです。八五年、千六百の電話局があったのが、何と十五分の一の百十局ですよ。日本の多くの町から電話局が消えたんですよ。この間、私もISDNに申し込みに行ったんだけれども、いろいろ面倒な問題があって電話じゃ済まぬのですよ。電話局へ行っていろいろ相談をせざるを得ないでしょう。これを全国で十五分の一に減らしちゃったんだから。  それから、一〇四、これ五百カ所を百七十カ所、一一三の故障受付、これも千三百を二百三十、どんどんどんどん減らすわけですな。この考え方はユニバーサルサービスなるものを全く無視したやり方ですよ。例えば一〇四というのは百年間無料サービスだったんでしょう、ユニバーサルサービスでね、国民に、番号案内は無料だった。それを大赤字だということで、値上げはするは、夜間はやめるは。  私は国会議員団の障害者対策の責任者やっているんですけれども、九日に障害者団体と懇談やったんですよ。そうしたら、視力障害者の方から必死の訴えがありました。電話帳が読めないから、電話かけるとき、我々は一〇四で聞くしかないんだと言うんです、一々お金をとられると。食堂に行って何が食べるときのメニューと同じだというんですよ、一〇四は。その視力障害者が、お金はとるは、夜はやめるはってね、これは障害者に対する本当の権利じゅうりんだという叫びがありました。  それで、一〇四については我々も調査もしましたけれども、結局コストコストですよ。私たちは情報案内部門に行って聞いた、コストコストっていうんだけれども全部委託してどうなんだと。人件費は三分の一になる、ベテランのオペレーターを委託してアルバイトみたいなのにやらすわけだから。なるほど人件費は三分の一になるというので、大赤字だというので、ユニバーサルサービスをばっさばっさ切っていくわけです。  谷局長、あなた、この電話局を十五分の一にする、こういうユニバーサルサービスの大幅ダウンを全部承認してきたんですか、郵政省としては。
  172. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 私も、昨年の夏に就任したばかりでございまして、過去の状況はつまびらかではございませんが、ただ、そういった事実がございますれば、それは技術の進歩に応じましてサービスの提供に支障を及ぼすことなく、そのシステムの仕組みを変えるということであろうというふうに思います。
  173. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 技術の進歩によると電話局は町からなくなるんだそうですから、それじゃ郵政省として責任果たせませんよ、そんないいかげんな考えでNTTを指導、監督していて。  先日、またちょっと新しいニュースを聞いたんです。守住委員は先ほど歴史を大事にしろと言われていたけれども、銚子の無線局というのは日本の無線電話で物すごい歴史あるでしょう。その銚子の無線局が廃止ですよ。去年二月、私も取り上げた。ところが、今度ただ一つ残った長崎の無線局もどうも一年早く前倒しで廃止になりそうだというニュースを聞いたんですけれどもNTTいかがですか、そうなんですか。
  174. 林豊

    参考人(林豊君) 長崎の無線電報センターを廃止するかどうかということについては、まだ私どもとして決定したものはございません。ただ、無線電報につきましては、いわゆる海事衛星等々、他の通信手段が大分浸透してきているという状況もございまして、通数が年々逓減してきておるという状況がございます。これらの今後の動向も見ながら、さらに検討を進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  175. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 どうもNTTの方ははっきり言わないんだけれども、どうやらKDDNTTに委託して委託料をとってこの国際無線電話はやっているというのですが、それが今度KDDから委託を取り消すという通知があったと。これは通信労働組合からはっきり聞きました。KDDはどうやら外国に今度委託するんですって。今までNTTに委託していたのに今度外国に委託するというので、この委託をやめると。そのためにたった一局残った長崎無線局が一年早く廃止になりそうだというのですけれどもKDDは委託を外国に移すんですか。
  176. 塚田一幸

    参考人(塚田一幸君) お答え申し上げます。  まず、KDDといたしましては、現在の外国籍船舶と我が国の間の国際無線電報サービスそのものにつきまして廃止する計画は当面ございません。  また、現在、当社の国際無線電報サービスにつきましては、現在でも外国海岸局経由で御利用いただくことは可能でございまして、今後ともサービスを維持してまいる所存でございます。
  177. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 計画はないと。じゃ、今までどおりNTT委託は続けるんですか。
  178. 塚田一幸

    参考人(塚田一幸君) お答え申し上げます。  当社では、NTT長崎海岸局につきまして、その廃止を含めてNTTにおいて検討されているというふうに伺っております。  また、電報そのもの、トラフィックも減少していることでございまして、これらの状況を踏まえまして、現在、長崎海岸局経由の取り扱いにつきましては廃止を含めて検討しているところでございます。  ただし、現在でも当社の国際無線電報サービスにつきましては、外国海岸局経由でも御利用いただけるようになっておりますので、今後ともサービスを継続してまいる所存でございます。
  179. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 この問題は複雑なんで、突っ込んでいくと大変なんですけれども、衛星通信によるGMDSSという新しい海難救援の国際条約で、ここで問題になっているそれとの関連なんです。これが九九年二月にその条約が本当に発効して全部終わるんですね。だから、長崎がそこまで続くというはずだったのを、どうも一年早く今のようなお話で外国に、外国ってどうやら韓国らしいんですけれども、そっちの方が安いというんですよ。  しかし、使っている国際無線通信というのは出入港、港に入る検疫、荷役、気象情報など、業務上の非常に重要な手段が多いというんです。もしKDDNTTの委託を取り消しても、今度はNTT国際通信やれるんですからね。こういう大事な情報については、じゃKDDがそういう態度ならそれは自分で引き受けると、日本の通信主権のためにも、また日本の商船の業務上の、いろんな漁船等々の業務を守るためにもそのぐらいの腹で進めるべきだと思いますけれどもNTTの態度はいかがですか。
  180. 林豊

    参考人(林豊君) 先ほども触れましたけれども先生の御指摘のGMDSS導入の動き等も見ながら、今後の需要動向を見ながら対応してまいりたいというふうに考えております。
  181. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 この点、明確な答弁ありませんけれども、やっぱりきちんと日本の通信主権を守るためにも、職員の人たちの雇用を守るためにも、職場を守るためにもぜひきちんとした態度をKDDNTTもとっていただくよう要望をしたいと思います。もうからなければ撤退するというやり方では、先ほどのユニバーサルサービス、これを真っ向からやっぱり裏切ることになると思うんです。  さて、私、今ユニバーサルサービスの大幅ダウン、料金の値上げ、これがリストラの中で進行している問題を幾つか事実として取り上げてまいりました。先ほど答弁にもありましたけれども、このユニバーサルサービスというのは日本電信電話株式会社法の第二条できちんと定められているものです。NTTも口ではこのユニバーサルサービス、第二条の目的の責務は守ると言っているんですよ。ところが、腹は違うんですよ。ユニバーサルサービスを平然とダウンさせる方向に社長を先頭に私はやっていると思う。  証拠があります。第一回のときに取り上げました日経ビジネス四月七日号の宮津社長のインタビュー、「将来は「責務」をなくし 完全に自由にしてほしい」という題でこういうことを言っています。NTTには普通の会社にない責務があると。ユニバーサルサービスと研究開発の成果を他の企業に開放する、二つあるんだと。ただ、個人的にはユニバーサルサービスはもういいじゃないかと言いたいと。今度のNTT分割は活性化がねらいなんだから、責務を背負った今のあり方は本来の姿じゃないと。今は国策の一環として不本意な姿にとどまっているけれども、行く行くは責務を外して完全民営化すると。  「個人的には、ユニバーサル‘サービスはもういいじゃないか」と言っているんですよ。どういう意味ですか。ユニバーサルサービスはもうやめて、法律第二条の目的、責務、これを実際上、もう願い下げにしたいという気持ちなんですか。明確な答弁を求めます。
  182. 宮津純一郎

    参考人宮津純一郎君) この点は、前にもちょっと議論があったとは思うんですけれども、このまま責務というものを今後ともずっと負って、いわゆる特殊会社という格好でいくのかどうかというようなことに関して意見はどうかという文脈でお答えしました。  というのは、今は電話のサービスは辺地というのはコストが相当かかったりしておりますが、将来、無線だとかそれから今後の新しい技術の進歩で、今はユニバーサルサービスとは言っているけれども、将来はそこに参入者も入ってきて、いわゆる一般のサービスというようなことでサービスが提供できるような事態にもこれからなるんではないか。そういうようなことになってくると、いわゆるユニバーサルサービスという特殊の負担を前提にした議論というのはだんだん薄まってくるかもしれない。そういうふうな意味でいくと、行く行くはもう責務というような議論というのはだんだんなくなって、いわゆる完全民営化というんでしょうか、そちらの格好の方に進んでいく可能性はあるんではないかというふうに思いまして、今お答えしたようなことを申しました。
  183. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 我々も、電話以外にマルチメディアが次々発展し、多角化することは当然だと思いますよ。そのことと、第二条で決めてある、「国民生活に不可欠な電話の役務のあまねく日本全国における適切、公平かつ安定的な供給の確保に寄与する」と。将来マルチメディアが広がっても、このユニバーサルサービスは確保し続けなければならないんですよ。それを、もういいじゃないかと個人的には思っているというんだな。だから、そのやり方が、電話局は十五分の一に減らしてしまう、公衆電話は十二万五千台撤去する、平気でやるんですよ。そのやり方にあらわれているじゃないですか。  大臣、この法律九条で郵政大臣が認可した社長ですよ。私は、ユニバーサルサービスはもういいじゃないかと言い放って雑誌で言うような社長は資格はないんじゃないかと思うね。大臣、どう思いますか。こういう人が社長を続けていいですか。
  184. 堀之内久男

    ○国務大臣堀之内久男君) もう上田先生も御案内のとおり……
  185. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 御案内じゃないですよ、これは。何も御案内じゃないです。
  186. 堀之内久男

    ○国務大臣堀之内久男君) 情報通信は急激な技術革新によりまして、もうあらゆる大きな進歩をいたしておるわけです。したがって、そのことによって、昭和六十年に民営化されて以来、料金も遠距離通信あたりは大幅に下がってきた。やはりそういう面で大きな還元もなされる。また、技術革新によっては中継局はどんどん統合されていく、これも当然の時代流れだと思います。それがなければ、サービスの提供というのは不可能になる。  また、公衆電話が廃止になったと言われますが、これだけ移動体通信発展してまいりますれば、使わない公衆電話というのはこれはやはり当然廃止していくべきだと。やはり、利用者があって初めて公衆電話は必要だと思います。今日、御案内のように、二千八百万も移動体通信が発達をしてまいったわけでありますから、私は、今後やはり、その変化に従ってNTTが対処されていくことと。  今、我々に対して、電話でユニバーサルサービスが落ちたあるいは非常に不満があるというような声はほとんど聞いていないわけでありまして、この点は現在でもユニバーサルサービスは十分確保されておる、こういうように私は理解をいたしております。
  187. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 公衆電話のことを大臣言いましたけれども、公衆電話は使われなくなったものを減らしたというんだけれども電話局千六百を十五分の一にして、電話局は使われなかったんですか。そんなことはないですよ。  やっぱり郵政省NTTがユニバーサルサービスと国民のためのそういうサービスを実は真剣に考えていないんですよ。一体になってやっているんだよ。持ち株会社で全部一体にと、何だ郵政省まで一体じゃないか。そういう状況だと思う。それが私は、今度、労働問題、このリストラ問題にもやっぱりそういう姿勢がつながってくると思うんです。  それで、今度は労働問題について少しお伺いしたいと思います。  まず、持ち株会社の問題で、各労働組合がこの持ち株会社並びに三つの会社に形の上で分割された際、どうなるのか。労働時間を初めとする雇用契約の内容はどうか、労働条件はどうなるのか。特に団体交渉権がどうなるのかということが大きな問題になりました。  そこで、宮津社長にお伺いしますが、事実上は司令塔として本社機能を持つわけだ、持ち株会社は。その持ち株会社NTTの各グループの社員によりつくられる労働組合、これとの団体交渉はどういう場合に行うのか、方針を具体的にお伺いします。
  188. 林豊

    参考人(林豊君) 私からお答えさせていただきますが、今先生指摘の点につきましては、その前に、再編各社の仕事の分担関係、それから業務の運営の方法等々を今後、実施計画の中で決めていかなければなりません。この辺を前提にしましてどうだということに順番になってくる問題かというふうに考えておりますけれども、いずれにしましても、団体交渉方式等も含めまして、私ども、現在の労働協約を基本的には引き継いでまいりたいというふうに考えております。  そういった中で、それぞれの仕事の分担にかかわる労働契約、いわゆる先生おっしゃる当事者としての問題かと思いますが、その辺につきましては十分労使で話をいたしまして、すき間のないように相互信頼の関係の中で自主的に解決してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  189. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 労働協約を守って誠実に信頼を続けられるように対処したいという答弁ですが、これまだ抽象的であいまいなんですね。これは、NTTの問題であるだけでなくて、やっぱり郵政省にもかかわりあることなんです。  今度、附則の第三条で、「郵政大臣は、」、「適正かつ円滑な引継ぎを図るため、その事業の引継ぎ並びに権利及び義務の承継に関する基本方針を定めなければならない」となっているんです。これは「権利及び義務の承継に関する基本方針」なんで、特に労働組合との関係なんというのもこういう中に当然入ると思うんで、やっぱり郵政省としても、こういう労働権の問題についてはひとつ基本方針の中でもきっちりと明確な方針を盛り込んでいただきたいと思うんですが、大臣、いかがですか。
  190. 谷公士

    政府委員(谷公士君) この基本方針と申しますものは、本当に大まかな方針を決めるだけでございまして、具体的にはこれを受けましたNTTが定める実施計画の中で定まるわけでございます。  この基本方針の中はそういうことでございますので、債権債務の引き継ぎということにつきましても書きますけれども、それほど具体的なものでもございませんし、また、特に労働条件の問題に関しましては、基本的に労使においてお考えいただくことでございますので、そういったことに触れるということは現在考えておりません。
  191. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 そういうお答えだろうと思う、労使任せだということで。  しかし、やっぱりこういう問題についても、これはNTTの事業全体にかかわるんですから、労使の関係がどうなるか。社員が本当に張り切って気持ちよく生きがいを持って働くようにならなければ会社というのは発展しないんです。どこでも同じですよ。  その点でさらに、じゃ労使の関係だというのでNTTにお伺いしたいんですが、編成のとき、職員が東西地域会社、長距離NTTあるいは関連子会社に分けられることになるかもしれない。その際、行くことを拒否したら、東西の地域会社あるいは長距離会社に私は行きたくないと言った社員は持ち株会社が一体引き取るのかどうかということが第一点。  第二点。今、NTTの現在の社員、十八万二千五百人います。それに在籍出向、三万八千人います。現在ではこの在籍出向というのはNTT業務命令で本人の同意なしに在籍出向させています。これはファシリティーズだとかテレコムエンジニアリングだとかいうところに在籍出向で行ってますね。これは本人の同意なしに業務命令で行くわけですよ。それで、NTTデータやNTTドコモなんかに行く場合は、これは転籍ということになって在籍出向じゃない、籍が変わるわけだ。これは本人の同意が必要ということで今までやつてきたんですね。  もし分割再編のときに、既に在籍出向している社員を転籍ということでNTTの籍をちゃんと移すということに変える場合、あるいは、その転籍には私は同意しないと、やっぱりあくまでNTTの社員でいたいという社員も出てくるでしょう。そういう場合一体どうするんだと。そういう場合、もしNTTの本社が、いや、持ち株会社でも持ちませんということになると、これ国鉄のときと同じようなことになりますよ、国鉄のときと。  そういう労働問題について、やっぱり明確な方針、本当に先ほど誠実な信頼を確保し続ける態度が必要だと言われたんだから、そうした明確な誠実な労働者の権利を守るような態度をとっていただきたいと思うんですが、いかがですか。
  192. 林豊

    参考人(林豊君) 前段の問題につきましては、今後実施計画の中で詰めていく問題でもございますけれども、原則といたしましては、再編成前の所属する組織あるいは担当している業務、それに基づいて再編四社のいずれかに全社員が帰属する、こういうことになるわけでございますから、先ほど申し上げたような労働契約の継続といったようなものも含めまして、十分に社員の理解を得ていくことができるだろうというふうに私ども考えておるところでございます。  それから、後段のいわゆる在籍出向の問題につきましては、いわゆる関連会社、これを再編各社のいずれに帰属させるかということが前段として決定すべき事柄でございます。それが決まりました段階におきましては、そこから在籍出向という形に読みかえられるという形になろうかと理解しているところでございます。
  193. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 本当にNTTの全社員の権利が守り抜かれるようなそういう対処をひとつ要望し、期待したいと思います。  ただ、やっぱり非常に危惧を持ちますのは、NTTの大リストラ計画というのはもうばく進しつつあるんです。昨年九月、マルチメディアに向けての業務運営改革で、二〇〇〇年には十五万人体制にするということを発表されました。それで、新たに五万人削減ということになるんです。分社化とつなげるというのだけれども、実際にはかなりの首切りが進行するだろうと思うんです。  配置転換だって、さっきの一〇四のオペレーターと私たちも話し合いましたけれども、九千人かわるんですよ。九千人かわると、オペレーターの大ベテランの女性たちがまるで経験のない職場に移されるんですから。銚子の無線局の方だってそうですよ。銚子から毎日東京まで通っている人にも会いました。それで、無線の大ベテランたちが営業をやらされているんだから、それをみんな我慢して働いているんです。  そういう状況をさらに進めようということで、六月四日の宮津社長の記者会見では、転進援助制度を拡充して希望退職を募る、二〇〇〇年の社員数は十五万人以下にした方が望ましいと、そういう記者会見をやったということが新聞で報道されて、だから、二〇〇〇年十五万人をさらにもっと削ろうと、そういう計画を社長が明らかにしたというふうに報道されているんです。じゃ、十五万人体制をもっと減らすということですか。先ほどの記者会見、どういう意味ですか。宮津さんの記者会見なんだから、社長
  194. 宮津純一郎

    参考人宮津純一郎君) 昨年九月に、マルチメディアに向けた業務運営の改革というようなことで、二〇〇〇年までに十五万人程度にするということで進めておりまして、今の御質問は、何か記者会見のどき、結果として十五万人より少ない従業員になるということがあり得るのかというような意味質問がありまして、それはそういうこともあり得るだろうということで、ただ、再編成に直接起因して十五万と言っていたものをもっと計画的に減らすとかいうようなことを、そういう意味で申し上げたわけではありません。
  195. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 もう時間が参りました。改正するNTT法の「目的」のところでは、「日本電信電話株会社は、東日本電信電話株会社及び西日本電信電話株会社がそれぞれ発行する株式の総数を保有し、これらの株式会社による適切かつ安定的な電気通信役務の提供の確保を図ること」、これが目的としてはっきりうたわれているんです。NTTは日本最大の企業ですよ。これだけ不況の中で雇用問題が問題になっているときに、その最大の企業の再編でもし失業者を出すようなことになり、雇用の問題で大きな穴をあけるというのは、これ重大問題になると思うんです。先ほど申しましたように、附則三条で、事業の引き継ぎ並びに権利及び義務の承継に関する基本方針を定めることになっている、実施計画もつくると。局長は労使問題は労使関係だと言われましたけれども、しかし、雇用問題というのは国全体の大きな重要な政策の一つですよ、雇用の確保というのは。  ですから、これはもう大臣最後要望したいんです。法律で今度、分割再編するんですから、そうなると、郵政大臣が明確に今の社員の雇用は完全に保障すると、それで、今度持ち株会社を含めて新しい四つの会社になるんですね。本人の意思を尊重して承継するということを国として、郵政大臣として明確に要求をすべきだと思います。  最後大臣の見解をお聞きしたいと思います。
  196. 堀之内久男

    ○国務大臣堀之内久男君) 社員の雇用及び労働条件につきましては、NTTにおいて検討される問題でありますが、基本的には、今回の再編成において、社員は持ち株会社及び事業会社のいずれかに所属することと考えておる次第であります。  なお、事業会社への社員の移行に当たっては、営業譲渡という形で現行の労働契約が承継されるものと考えております。
  197. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 終わります。
  198. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 きのう参考人として出席されてお話を伺いました林敏彦大阪大学教授が、その著書「情報通信発展NTTの今後」という中で、NTTが普通の会社になるためには現行法第十八条以下の収賄罪の規定の全廃が絶対に必要だ、こう書いておられます。  なぜ民営化されて、さらに分割再編されるNTT四社の役職員等に対する収賄罪の規定を削除しないのか、その理由を郵政省にお伺いをいたします。
  199. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 一般に特殊会社につきましては、その公共的な職務の執行の公正さを確保するために、公務員に対する収賄罪に類似する規定が設けられております。現行のNTTにつきましても、国民生活に不可欠な電話の役務を安定的に提供するという特別の公共的な役割を有しているということにかんがみまして、従前より役員、職員について収賄罪の規定が設けられているところでございます。  再編成後のNTTに関しましては、完全民営化される長距離会社につきましては当然に収賄罪の適用対象外となるわけでございますが、持ち株会社と地域会社につきましては、あまねく電話確保等の観点から、特殊会社として引き続き公共的な役割を担うこととなりますので、現行NTT法と同様の規定を存続させることとしたものでございます。
  200. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 ちなみに、NTT民営化後、法第十八条から二十条の規定に基づいて起訴されて、また有罪の判決を受けたNTT職員は何名いらっしゃるか、数字でお答えいただきたいと思います。
  201. 林豊

    参考人(林豊君) 現行NTT法に基づきまして起訴された者は六名、それから有罪が確定した者は五名と記憶しております。
  202. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 起訴六名、有罪五名というのは無罪が一つあったわけですね。それで、一つ二つ具体的に、こういうことをなさったから収賄罪に問われてこういう刑を受けたという、二、三御紹介をいただきたいと思います。
  203. 林豊

    参考人(林豊君) そのうち三名がいわゆるリクルート事件に関連しまして、NTT法十八条に基づいて起訴されたということがございました。
  204. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 民営化、今回の再編で、長距離NTTは一般の会社となったわけですが、特殊法人という性質からみなし公務員の制度というか規定は、今リクルートに絡んでNTT役員の収賄行為に対して罪を問えないというのは多少現時点では問題があるかもしれませんけれども、本来の民営化、いわゆる自由競争だとかいろいろおっしゃっているのであれば、まさしく民営化された会社の役員が、会社の社員が一般の公務員と同じような扱いを受けた処罰を受けるというのはおかしいわけでありまして、極めて論理的矛盾を含んでいる話だと思いますので、ぜひぜひ民営化競争化を実現する意味においてもこのみなし公務員制度が一刻も早く削除されることを期待するものであります。  次に、分割再編によるサービス精神の向上についてお尋ねいたします。  電気通信審議会委員の一人である加藤真代さんという方が、「消費者から見た電気通信市場」という中で、基本料を初め割引制度などの料金がわかりやすく納得のいくものでなけりゃいかぬ、こう指摘されております。その観点から何点かの質問をいたします。  現行NTTは、電話料金の支払いを遅滞したとき、相手方に到達したかどうか確認することなく電話使用中止、一方的に電話がかけられない状態をとられる措置をしておられます。再編を契機に、必ず相手方に到達の有無を確認し、かつ支払い遅滞者がやむを得ないものでない、不可抗力に基づくものでもないと確認した上でそういう措置をとられるべきではないか思うのですが、この点いかがでしょうか。
  205. 林豊

    参考人(林豊君) 私ども、通話いただいたこと等によりまして発生した債権の保全という問題がございまして、いわゆる利用停止ということを約款に定めさせていただきまして、必要な場合それを履行させていただいているところでございますが、私ども、いわゆるお支払いいただく期限が過ぎましてもお支払いがなかった場合には、電話あるいは文書等によりましてまだお支払いいただいていない、お支払いをいただきたいという御催促をさせていただいております。  一般例から申しますれば、いわゆる当月の料金につきましては一カ月半ぐらい先になろうかと思いますが、その時点でなおお支払いがいただけない場合、さらに電話あるいは文書等によりまして場合によっては利用停止をさせていただくということを御連絡させていただきまして、その結果としてなおお支払いいただけない場合、利用停止をさせていただくという手続をとりまして、お客様がその間失念されている等々のケースもあろうかと思いますが、そういう状況におきましても、できる限りお客様とその辺の情報を御連絡させていただきまして、その結果として利用停止をするというような注意を私ども日常払ってきているつもりでございます。
  206. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 NTT電話債権、電話料を払わないからといって差しとめて使用できない状態にしておいて、私が知っているのが偶然たまたま交通事故で入院して、戻ってきたら電話が切られちゃっていて、それはいいとしても、その全く使えない状態の期間の基本料の請求だけが来る。これは一体どういう根拠で請求されるのか、お尋ねをいたします。
  207. 井上秀一

    参考人(井上秀一君) いわゆる電話の契約でございますが、確かに料金をお払いいただかない場合は、今御説明しましたように利用停止といいますか、そういうことをしております。  その間、なぜ基本料を払わなきゃいかぬのかということでございますが、端的に言いまして、利用停止の原因がなくなれば直ちにそういうものを復活する、御利用いただけるようにするということで、設備自身の維持管理、そういうものをきちっとやっているという形でございます。いわゆる休止で、もとにすぐ戻らないということじゃございませんで、お払いいただければすぐもとの状態に戻る、待ち構えているものでございまして、そういう意味でその経費その他含めまして基本料をいただくという形でございます。  ぜひ御理解をいただきたいと思っておるところでございます。
  208. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 今、多分NTTの方は先回の答弁であったように、債権保全のため約款に基づいて強制的にそういうことになっているからそうするんだ、お客さんすべて個別的に契約で判を押してもらっているからNTTはそういうことができるんだ、こういう御答弁をされるかと思っていたんですが、私、約款なるものを取り寄せて一応読んでみたんですが、まさしくそうなっていて、もう百何カ条にわたって極めて小さな数字でそううたってあるんですね。目の見えない人だとか一般の国民は、私の職業は弁護士でありますけれども、弁護士でおいてすらこれは読んだことはございません。まして一般の人はこういう事実は知らないと思いますので、老人も身体障害者も目の見えない人もいらっしゃいますので、そういう人たちにせめてこの内容の告知を、わかるように便宜を図っていただく措置を何らか講じていただきたいということを希望いたします。  その点、いかがでしょうか。普通の人も見ないんだけれども、特に身体障害者、目の見えない人たちには、例えば契約約款を点字にしてあげるとか、何かここら辺のところの優しい措置などをNTTは今後講じられる余地があるのかどうか、お伺いをいたします。
  209. 井上秀一

    参考人(井上秀一君) まず契約約款が非常にわかりにくいというお話がございましたが、確かに、契約約款というのは権利義務の関係なものですから、どうしても法律的な文章にならざるを得ないということはございます。  それで、実際問題、こういう契約約款というのは電気通信事業法の定めによって全国の支店、営業所に置いてあります。我々としても、今、実はちょっと持ってきたんですが、(資料を示す)なるべくこういう形でわかりやすい大きさにはしているつもりでございまして、いわゆるA4判の冊子として新聞と同程度という形にしております。それからまた、活字で窓口に置くだけじゃなくて、お客さんの端末からインターネットを通じて見ていただくというようなこともいろいろ工夫して、できるだけお客様の方にわかりやすい形にしておるつもりでございます。  片一方は、先ほど目の不自由な方たちにうまい工夫はないのか、どういうふうにやっているんだということでございますが、御存じだと思いますが、わざわざ窓口に来ていただかなくても一一六番で引っ越しのときなど注文を受け付けるということをしておりますし、また窓口に御来店いただいた場合はできるだけ丁寧にやるということで、例えば代筆をするだとか、そういうようなことも含めましてやっておるところでございます。  今後とも、先生のおっしゃったような形でストレートにはできませんけれども、そういうことでお客さんにできるだけ不自由をかけないような形で我々として窓口をやっていくということで御理解をいただきたいというふうに思っております。
  210. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 ぜひお願いをいたします。  身体障害者の雇用促進ということに関連して、一点だけちょっと御質問させていただきます。  障害者の雇用の促進等に関する法律十四条は一般事業主の雇用義務ということで、同施行令で一般事業主の場合は一・六%、それから一定の特殊法人、NTTは一・九%と定められているんですが、NTTは、全従業員に対する身体障害者の雇用率はこの基準を満たしているかどうか、ちょっとお答えをいただけますか。
  211. 林豊

    参考人(林豊君) 先生今御指摘されました数値は、障害者の雇用の促進等に関する法律施行令第十条の二というところに定められる特殊法人、これにつきまして一・九%という御指摘であったと理解いたしますけれども、これは別表によりまして一定の特殊法人は対象が具体的に指定されておりまして、私どもNTTはこの対象になっておりません。  したがいまして、第九条に戻りまして一般事業主の雇用義務というところの数値として読んでいただきたいと思うわけでありますが、第九条に基づきます数値は一・六%でございます。  ちなみに、私ども、約半年前の数値で恐縮でありますけれども、現在NTTの身体障害者雇用率は一・七四%ということになっております。
  212. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 いや、ちょっと不勉強で申しわけありませんでした、僕は当然十条の二の適用だと思っていたんですが。不思議ですな、なぜ、NTTは特殊法人だけれども、一般の事業者とみなした一・六%にしているんですか。それをちょっと教えてくれませんか。
  213. 林豊

    参考人(林豊君) まことに恐縮でございますが、法律をつくる立場ではございませんので正確に御説明はできないかもわかりませんが、私の記憶が間違いなければ、私ども会社化されたときに、やはり実態が一般事業の方に近いということで判定されたのではないかというふうに記憶しております。
  214. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 いや、今そのパーセンテージはと聞きますと、一般事業者が一・六%で特殊法人は一・九%が義務づけられているんだけれどもNTTはその真ん中の一・七四%だと、身体障害者の雇用率が。ということで、もし特殊法人だと満たさなくて、一般の事業の適用をNTTは受けるから辛うじてクリアされているということなんですが、満たしているとはいえNTTの置かれている立場から、身体障害者の雇用率をさらに高められますよう努力するよう要望いたします。  次に、NTTにおける女子職員の扱いについてお尋ねをいたします。  昨日、雇用の分野における男女の均等取り扱いを一層促進し、女性労働者の職域の拡大を図るため、募集、採用、配置及び昇進について事業主が女性に対して差別をすることを禁止した雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等のための労働省関係法律整備に関する法律案成立いたしました。差別禁止の観点から、NTTに何点か質問をいたします。  NTTの従業員における男女の比率は現在どうなっているのでしょうか。
  215. 林豊

    参考人(林豊君) 私どもにおきます女性の比率は、およそ一八%でございます。
  216. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 取締役の男女の比率はどうなっているんでしょうか。
  217. 林豊

    参考人(林豊君) 取締役の中には、現在時点で女性の役員はおりません。
  218. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 では、管理職の中ではどうでしょうか。
  219. 林豊

    参考人(林豊君) ちょっと今手元に数字がないんですが、およそ二%が管理者における女性の比率というふうに記憶しております。
  220. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 電話交換業務電話案内は圧倒的に女性が多いわけですけれども、これはどうしてでしょうか。
  221. 林豊

    参考人(林豊君) 先生もお気づきかと思いますが、過去歴史的に私どもの番号案内さらにはその前の女性が交換をする職場、これはやはり応対上女性の応対の方がより望ましいという観点から女性を中心に採用してまいりました経緯がございます。しかしながら、これらの職場が大分人数が減ってきているということが一方にございまして、一方で営業関係等、こういったようなところで男女同じような条件で仕事をしてもらうという観点から、採用等につきましても男女全く同じ条件で採用試験を受けていただくということでやってきておりますので、近年は大分私ども仕事の各般において女性の方が活躍されるという状況が出てきたという経緯がございます。
  222. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 ILOが一九九三年に行ったいわゆる管理的職業従事者の女性比率の調査によりますと、アメリカ、カナダがともに四一%、日本が八・二%と極端に低い水準にあることが明らかになっております。今伺いますと、NTTの取締役が女性はゼロで管理職がわずか二%、日本の平均事業と比べると極めて低いわけであります。NTTは分割再編を機に取締役や管理職にもっと女性を登用すべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  223. 林豊

    参考人(林豊君) 先ほども触れましたように、女性社員につきましても、男性の職場という固定されたものじゃなくて、男女どのような職場においても進出するという状況に最近なってまいっております。そういった中でリーダーシップをとれる人間、こういった人たちが将来男性と肩を並べてさらに管理職の中で比率を高めていっていただくということは私ども非常に期待しているところでございます。  そういったことも含めまして、いろいろ私どもで行っております、例えば通信訓練といったような仕組みがございますが、そういった中の一つのメニューとして、自分の事業以外の業務各般についても勉強できる機会あるいは一般的な素養関係についての勉強をする機会、こういつたようなものもつくっておりますので、意欲的な女性が今後大いに出てくるものだろうというふうに期待しているところでございます。
  224. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 よろしくお願いをいたします。  質問通告していなくて申しわけないんですが、答えられる範囲で結構ですが、極めて個人的なあれで、いわゆる逆探知というのがあって、私どもテレビか映画でしか知識がないんであれですが、何かテレビを見ていると機械を装置してもっと引き延ばせとかなんか言っているんだけれども、あれ何分ぐらい逆探にかかるんですか。もう少し短縮できないのか。あれNTTがやっているのか警察がやっているのか、その辺もわからぬのだけれども、ちょっとこんなところで質問することでないかもしれませんけれども、わかったら教えていただきたい。
  225. 林豊

    参考人(林豊君) 私もそれの専門の立場ではございませんが、例えば一つ電話交換局に終始する場合に法令等の必要な要請があって逆探知する場合の所要時間と、それから例えば東京と青森といったような形での通話を追っかけていく、つまり通話によって中継地点が多いといったような場合とでは、相当程度にやはり逆探知をできる時間というものが長くなるというふうになっているのが実態でございます。
  226. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 それは遠ければ時間がかかるというのはわかるんだけれども、身の代金誘拐とか恐喝とか、今無言電話だとか嫌がらせ電話があるわけです。あれをもっと短時間に、瞬時にかけている方がわかるような技術開発というのはできないのかなという気がするわけであります。身の代金誘拐で青森の犯人が北海道に持ってこいなんてことは言わないと思うので、近くへ持ってくるからもっと短時間で逆探ができるようなことができないのかなという素朴な疑問です。そして、今度東西に分割してしまうと、隣接するところが今までよりはちょっと時間が余計かかっちゃうんじゃないかという素人の考えでございますけれども、その点いかがでしょうか。
  227. 宮脇陞

    参考人宮脇陞君) 難しい質問をいただいて、どうお答えしていいかちょっと迷っているんですが、いずれにしましても技術が大分変わってきておりますので、先生がおっしゃいますように、逆探知といいましょうか、どこからかかってきたかということを知るという意味では相当昔よりは調べやすくなっていることは事実でございます。したがいまして、その時間の話ですが、逆探知をするということの準備をしている場合とそういう準備をしていない場合とでは大分時間が変わりまして、準備をしている場合ですと極端に言えば瞬間にわかる可能性もあるわけでございます。  ただ、これは先生御存じのとおり、そういう逆探知をするということと、それからそれをしてもいいかどうかということとは別の次元の話でございまして、逆探知をしなければならない場合というものは今たしか議論されていると思いますが、そういうところで私どもとしてはできるだけオーソライズしていただいた中で、あるいはそういう指導を受けた中で実施しようと思っておりますので、本音はどのぐらいでできるかということは余りお知らせしない方がよろしいんじゃないかというふうに考えておりますので、それぐらいで御勘弁願いたいのでございますが。
  228. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 連日にわたるNTT関連三法案最後質問としては極めて次元の低い質問であったかもしれませんけれども。  終わります。
  229. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  230. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  231. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私は、日本共産党を代表し、電気通信事業法の一部改正法案、国際電信電話株式会社法の一部改正法案、日本電信電話株式会社法の一部改正法案に反対の討論を行います。  本改正案に反対する第一の理由は、橋本首相の直接の指示でNTT国際進出を果たすため、電気通信審議会の答申も全く無視し、一度も討議されていない持ち株会社方式を導入し、独占禁止法改悪に道を開いたからであります。  情報社会と言われている今日、極めて高い公共性を有している電気通信事業の公共的役割からでなく、財界がかねてから要求していた純粋持ち株会社を独禁法で解禁するために今回のNTT分割再編が戦略的に利用されたことは明白であります。審議でも明らかにしたように、NTTの資産譲渡益課税など税負担を八千四百億円軽減するなどのさまざまな特例措置が持ち株会社方式による金融機関救済にも大いに活用されることは明白であります。  反対する第二の理由は、NTTの分割再編が、国民・利用者のためでなく、多国籍企業の世界戦略に奉仕する国際進出が目的であるからであります。  国際通信事業のネットワークの構築で提供されるサービスで、全世界でも数千社程度の多国籍企業へのサービスを先行させることは、審議の中でNTT社長が認めたところであります。NTT国際進出は、我が国の大企業の多国籍企業化を効率的に進めることと、ワンストップショッピングで多国籍企業の拠点を結ぶ高度なネットワークを提供して、その通信コスト削減など一部の多国籍企業の利益に奉仕することにあります。  反対する第三の理由は、この国際進出にかかる莫大な投資などの経費が、国民・利用者の負担になる危険があるからであります。  NTT国際進出にかかる費用の規模について、審議の中でNTTは二兆円を夢と表明しました。また、堀之内郵政大臣は、NTTが内部留保を活用して海外進出をするのは当然と表明しています。五兆八千億円に上るNTTの内部留保は、電話料金を中心にした公共料金の蓄積であり、国民全体の公共財産であります。公益事業から離脱した完全民間会社の長距離NTTがそれを一部の多国籍企業の国際戦略支援のために活用することは容認できません。  反対する第四の理由は、NTT分割再編が国民・利用者に料金値上げとサービスダウン、NTT労働者にリストラと合理化をもたらす危険が強いからであります。  NTT民営化の十二年間は、基本料金の値上げ、電話局の大幅削減、一〇四番号案内の有料化、公衆電話の撤去など、驚くべきユニバーサルサービスの低下と、十三万人の人員削減など、国民と労働者の負担と犠牲を押しつけてきた歴史であり、さらに繰り返すことは許せません。  持ち株会社方式によるNTTの再編は、公益事業に不可欠な経営の公開、国民・利用者からの監視などを大きく後退させるものであります。長距離NTT国際競争を支えるために回線使用料もただ乗りとなり、今後の光ファイバー網の設置費用が加入者の負担となって、料金値上げにつながるおそれは大きなものがあります。  さらに、持ち株会社方式は、労働組合との団交権など、労働者の権利を大きく後退させる危険を持っており、我が国有数の大企業で公益企業でもあるNTTが先頭に立って実施することは重大な問題と言わざるを得ません。  日本共産党は、国民生活、社会経済の神経系統を支える公共性の高い電気通信事業は、国民・利用者による民主的な規制のもとで豊かに発展させるべきものであることを表明し、反対討論とします。
  232. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 私は、自由民主党、社会民主党・護憲連合及び新党さきがけを代表いたしまして、ただいま議題となっております三法律案に対し、賛成の討論を行うものであります。  我が国は昭和六十年に電電公社民営化電気通信分野における競争原理の導入などにより第一次情報通信制度改革を果たしてから、十年余が経過しております。  この間、情報通信分野では、国内においては活発な新規参入が行われるとともに、競争的な分野における通信料金の大幅な低廉化とサービスの多様化が図られてきました。また、デジタル化等技術革新が進展する中で、社会経済活動のグローバル化やボーダーレス化を背景に、世界的な規模での事業展開、事業提携が行われる一方、欧米諸国においても情報通信制度改革が進展するなど、国際競争は激しさを増し、大きな変化の局面を迎えております。  今後のマルチメディア時代においては、国民・利用者が自己のニーズに合致したサービスを自由に選択できることが望まれているだけでなく、公正有効競争確保と規制緩和の推進、通信料金の一層の低廉化が期待されております。また、我が国においても世界の潮流に乗りおくれることのないよう情報通信産業のダイナミズムを促す政策が何よりも要望されているところであります。  このような状況を踏まえ、電気通信事業法の一部を改正する法律案は、電気通信市場における新規参入の一層の円滑化電気通信事業者間の公正な競争の促進に資するため、第一種電気通信事業の許可の基準である過剰設備防止条項等を撤廃するとともに、電気通信設備の接続に関する制度の充実など所要の改正を行おうとするものであり、適切かつ時宜に適したものと考えられます。  次に、国際電信電話株式会社法の一部を改正する法律案は、国際電信電話株会社国内電気通信市場への進出を果たすことができるようにしょうとするものであり、これにより市場がより活性化し、国内の価格競争が一段と促進され国民の利便の向上に資することになるものと考えております。  次に、日本電信電話株式会社法の一部を改正する法律案は、十四年間の長きにわたり懸案となっていたNTTの分離分割問題の解決として、現行の日本電信電話株会社を持ち株会社と東西の地域会社二社、長距離一社に再編成しようとするものであります。これは持ち株会社方式により、長距離通信、地域通信会社の自主性によって競争の促進を図るとともに、今まで規制されていた国際分野へも進出が果たせるよう、メガコンペティションの時代に柔軟に対応できる制度に改めようとするものであります。また、NTTのすぐれた研究開発のリソースの分散を避けながら、電気通信基盤技術の研究を持ち株会社に行わせ、研究開発の維持向上を図ることとしており、本案による改正は適切なものであると考えております。  電気通信分野は、まさしく二十一世紀の基幹産業として経済成長を牽引するとともに、社会経済構造改革と豊かな国民生活の実現のための原動力となるものであり、今回の第二次情報通信制度改革により、さらなる発展を期待するものであります。  以上、三法律案につきまして賛成の意を表し、討論を終わります。
  233. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより三案について順次採決に入ります。  まず、電気通信事業法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  234. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、国際電信電話株式会社法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  235. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、日本電信電話株式会社法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  236. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、足立君から発言を求められておりますので、これを許します。足立君。
  237. 足立良平

    ○足立良平君 私は、ただいま可決されました電気通信事業法の一部を改正する法律案国際電信電話株式会社法の一部を改正する法律案及び日本電信電話株式会社法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、平成会、社会民主党・護憲連合、民主党・新緑風会、二院クラブ及び新党さきがけの各派共同提案による附帯決議案を提出をいたします。  案文を朗読いたします。     電気通信事業法の一部を改正する法律     案、国際電信電話株式会社法の一部を改     正する法律案及び日本電信電話株会社     法の一部を改正する法律案に対する附帯     決議(案)  政府は、本三法の施行に当たり、次の各項の実施に努めるべきである。一、二十一世紀に向けて情報通信が果たすべき  役割の重要性を強く認識し、今回の法改正を  改革の第一歩と位置付け、今後とも、電気通  信事業における料金算定方式の検討等を行  い、急速に発展する情報通信変化に即応  し、規制緩和の推進等競争の一層の促進によ  り、多様なサービスが低廉な料金で利用でき  るよう環境整備に努めること。一、情報通信分野における公正有効競争確保  するため、新設された接続ルールの機能を十  分発揮させ、接続料の低廉化に努めること。一、急速に進展しつつある情報通信分野の世界  的な大競争に的確に対応するため、グローバ  ルな視点に立った明確な将来ビジョンを提示  するとともに、情報通信技術の研究開発を一  層推進し、我が国の国際競争力の強化に努め  ること。一、NTT及びKDDについて、将来の完全民  営化を目指し、そのための環境条件の整備に  努めること。特に、KDDについては、国際  電気通信の動向を踏まえて、時期を逸するこ  となく検討し結論を得ること。一、NTT編成後の東・西地域において料金  等に不合理な格差が生じないよう十分配意す  るとともに、ユニバーサルサービスの確保に  万全を期すこと。一、東・西地域会社間において競争が促進され  るよう配意するとともに、公正有効競争を担  保するための条件を地域会社と長距離会社と  の間に確保し、各会社の一層の経営の効率  化、経営内容の開示が図られるよう努めるこ  と。一、再編成前のNTT国際進出については、  公正競争確保に十分配意すること。一、NTT編成後も、他の事業者も含め、各  会社が十分な協力体制の下で大規模災害時等  における重要通信確保を図るとともに、福  祉サービスの維持・向上に努めること。一、NTT編成に伴う株主の権利保護に十分  配意するとともに、NTT株の適切かつ着実  な売却を進めること。  右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  238. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) ただいま足立君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  239. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 多数と認めます。よって、足立君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定をいたしました。  ただいまの決議に対し、堀之内郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。堀之内郵政大臣
  240. 堀之内久男

    ○国務大臣堀之内久男君) ただいま電気通信事業法の一部を改正する法律案国際電信電話株式会社法の一部を改正する法律案及び日本電信電話株式会社法の一部を改正する法律案を御可決いただき、厚く御礼を申し上げます。  本委員会の御審議を通じて承りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の郵政行政を進めるに当たり御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。  まことにありがとうございました。
  241. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) なお、以上三案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  242. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  243. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 次に、電気通信事業法及び電波法の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。堀之内郵政大臣
  244. 堀之内久男

    ○国務大臣堀之内久男君) 電気通信事業法及び電波法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、サービスの貿易に関する一般協定の第四議定書の実施に伴い、第一種電気通信事業の許可及び電気通信業務を行うことを目的として開設する無線局等の免許について、それぞれ外国人等であることを欠格事由としないこととする改正を行おうとするものであります。  次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。  第一に、第一種電気通信事業の欠格事由のうち外国性の制限に係るものについて削除することとしております。  第二に、無線局の免許の欠格事由のうち外国性の制限に係るものについては、電気通信業務を行うことを目的として開設する無線局等には適用しないこととしております。  その他所要の規定の整備を行うこととしております。  なお、この法律は、サービスの貿易に関する一般協定の第四議定書が日本国について効力を生ずる日から施行することとしております。  以上がこの法律案の提案理由及び内容の概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  245. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十五分散会      ―――――・―――――