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1997-06-10 第140回国会 参議院 逓信委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年六月十日(火曜日)    午前十時開会     —————————————    委員の異動  六月十日     辞任         補欠選任      松前 達郎君     伊藤 基隆君   出席者は左のとおり。     委員長         渕上 貞雄君     理 事                 加藤 紀文君                 陣内 孝雄君                 足立 良平君                 三重野栄子君     委 員                 景山俊太郎君                 北岡 秀二君                 鈴木 栄治君                 畑   恵君                 保坂 三蔵君                 守住 有信君                 魚住裕一郎君                 鶴岡  洋君                 西川 玲子君                 林  寛子君                 伊藤 基隆君                 松前 達郎君                 上田耕一郎君                 山田 俊昭君                 水野 誠一君    国務大臣        郵 政 大 臣  堀之内久男君    政府委員        郵政大臣官房総        務審議官     濱田 弘二君        郵政省通信政策        局長       木村  強君        郵政省電気通信        局長       谷  公士君    事務局側        常任委員会専門        員        舘野 忠男君    説明員        内閣官房内閣内        政審議室内閣審  潮  明夫君        議官        大蔵省主税局主        税企画官     川北  力君        郵政大臣官房国        際部長      長谷川憲正君    参考人        国際電信電話株        式会社代表取締  西本  正君        役社長        国際電信電話株        式会社代表取締  山口 武雄君        役副社長        国際電信電話株        式会社常務取締  安藤  理君        役        国際電信電話株        式会社取締役   塚田 一幸君        日本電信電話株        式会社代表取締  宮津純一郎君        役社長        日本電信電話株        式会社代表取締  林   豊君        役副社長        日本電信電話株        式会社代表取締  宮脇  陞君        役副社長        日本電信電話株        式会社代表取締  井上 秀一君        役副社長        日本電信電話株        式会社常務取締        役再編成室長兼  木塚 修一君        企画室長     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○電気通信事業法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○国際電信電話株式会社法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○日本電信電話株式会社法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  電気通信事業法の一部を改正する法律案国際電信電話株式会社法の一部を改正する法律案及び日本電信電話株式会社法の一部を改正する法律案の三案の審査のため、明十一日の午後に社団法人電気通信事業者協会会長岩崎克己君、大阪大学大学院国際公共政策研究科教授林敏彦君及び一橋大学経済研究所教授鈴興太郎君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 電気通信事業法の一部を改正する法律案国際電信電話株式会社法の一部を改正する法律案及び日本電信電話株式会社法の一部を改正する法律案の三案を一括して議題といたします。  前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 北岡秀二

    北岡秀二君 おはようございます。自由民主党の北岡でございます。これから約一時間少々、このたびの関連法案について質疑をさせていただきたいと思います。  既にNTT関連法案改正について多くの議論がなされているわけでありまして、なおかつ我が国にとりましては重要な大きな問題ということで、まず再確認する意味で基本的な事柄を数点お伺いしたいと思う次第でございます。  まず一番最初に、国際競争力強化へ向けての国家戦略ということについて大臣にお伺いしたいと思うわけでございます。  御承知のとおり、我が国の非常に閉塞状態にある経済再生に向けて情報通信産業にかける期待は非常に大きなものがある。それだけに国内においては規制緩和、さらには海外に向けての戦略が迅速に、そしてダイナミックに展開されることが重要なわけであります。紆余曲折はありましたが、このたびの法改正は、おくればせながら国際競争力強化への第一歩としてとらえることができるのではないかと受け取っておるわけでございますが、御承知のとおり、既に国際的にはこの業界は非常に熾烈な大競争展開しておるわけでございます。この機において、郵政省として今後の国際競争力強化に向けての展望あるいは戦略についてお伺いいたします。
  6. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) ただいま北岡先生から御指摘ありましたとおりでありまして、情報通信産業我が国においてもリーディング産業として大変大きな役割を果たしております。また、世界的にもこの情報通信産業を二十一世紀の国家戦略としてそれぞれの国で大変な努力をなされておるところであります。  我が国といたしましても、このグローバルな環境を念頭に置きまして、規制緩和の推進、さらに競争環境整備などを積極的に政策として進めておるわけでありますが、今回のNTT関連法案の再編成もやはりその国際競争力向上の一環として、特に国内通信政策の中でお互いが切瑳琢磨していただく、それによって国際競争力強化を図っていくということが今回の再編成の大きなゆえんであります。今後、海外市場展開を図ろうとされる通信事業者に対しましては、国としてもまた郵政省としても積極的に支援をしてまいりたい、こういうように考えておる次第であります。
  7. 北岡秀二

    北岡秀二君 私、以前からいろいろな質問をいたすたびごとに同じようなことを申し上げておるわけでございますけれども、基本的に一つ産業なり組織の育成という観点から考えてみますときに、しっかりとしたビジョンを持たなければ一つ方向に進んでいけないというような現状があるわけでございます。そういう観点から申し上げますと、まだまだこの業界不透明でなおかつ先が見えないというような状況も多々あろうかと思うわけでございますけれども、優秀な郵政省の頭脳を持ちまして、ぜひとも、できるだけ明確なビジョンを持っていただいてできるだけ積極的な取り組みをしていただきたい、まずこれ前段に申し上げたいと思います。  そういう中で、このたびの、今も大臣答弁にありましたけれどもNTT関連法案改正、意図はどういうところにあるか。そしてまた、なおかつ情報通信産業ということを見渡してみたときに、NTTKDD存在というのは日本国内産業にとりまして非常に大きなウエートを占めておる。そういうことからいたしまして、郵政省として、今後のNTTあるいはKDDに対してどういうふうな期待を持っておるのか、これもあわせてお伺いいたします。
  8. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) 今回の法改正は、現在NTT国内事業に限り、あるいはKDD国際通信だけと、こういうような分野に分かれておるわけであります。今後は、こういう大競争時代に突入いたしますと、NTTの持てる技術力人材というものをやはりこれは国内だけでなくて国際にも進出を可能にする、あるいはKDDにおかれても国際通信分野では大変な実力を持っておられますが、国内通信には参入できない、こういうような大きな制約がありましたが、この国際化時代に対応するためには、今回NTT法KDD法改正をお願いいたしまして、相互に参入できる体制をつくり上げる、これが私どもの最大の目標であります。そして、先ほども申し上げましたが、接続ルールの確立や規制緩和をさらに大きく進めてまいりまして、また国内通信事業者同士国内における切瑳琢磨によりまして国際競争力を養成してもらう、こういうように感じておるわけでございます。  したがって、今後はNTTは三社に再編成されますが、長距離分野においてはやはり積極的に国内通信だけに限らず国際進出をお願いするということを大きな目標にしておりますし、またKDDにおいては、先ほど申し上げましたように国内、国外の両方に進出をしていただきまして、これからの大競争時代に対応していただこう、こういう目標のもとに今回法案審議をお願いいたしておるわけであります。  何といっても、NTTKDDというのは、長年の蓄積した技術力あるいは人材、こうしたものを持つ日本を代表する通信事業者でありますから、今後、両会社に私どもは大きな期待を持ちながら、可能な範囲におきまして支援も申し上げていきたい、こういうように考えております。
  9. 北岡秀二

    北岡秀二君 今の大臣答弁にありましたとおりだろうと思います。  先ほど申し上げましたとおり、国際あるいは国内において両会社NTTKDD存在というのは非常に大きなウエートを占めておる。そしてまた、この二社の動向がこれから我が国経済が活力を復活させるかどうかのかぎを握っておるという観点から申し上げますと、当然両社にはそのあたり自負心もあるだろうと思いますけれども、私ども期待しておりますので、ぜひとも前向きな努力をお願い申し上げたいと思うわけでございます。  次に、NTTにお伺いしたいわけでございますが、このたびの分離分割論争、十数年にわたって本当に激しい論争があったわけでございます。現在に至るまで終始一貫してNTTサイド分離分割に対しては反対だというような姿勢をつい最近まで貫いておられたということでございますが、ここに至ってこういうような形で合意に至った。このたびの分離分割に対するメリットデメリットをそれなりにお考えの上での一つ合意だろうと思うわけでございますが、NTTサイドではこのたびの法改正関連してのメリットデメリットをどのように受けとめておられるのか、お伺いをしたいと思います。
  10. 宮津純一郎

    参考人宮津純一郎君) 当事者としてのNTTといたしましては、今先生の御質問メリットデメリットというお答えに対して、大きな意味で見たときに、NTTもそういう大きな流れに参画して日本通信産業発展のために尽くさにゃならないというような意味一つの見方と、ただ、それをやろうとするときにこういうような欠点があると非常に困るからそれを直してもらいたいという意味とその二つの点になろうかと思います。それをメリットデメリットというふうに言えばそういうことになるんじゃないかと思います。  それで、まず最初、私どもとしては事業として、情報通信産業として、それから国の通信産業というふうに見たときに、現在物すごく大きなデジタル革命とも言える革命の中に入ってきておると思います。それで、これから私どもとしては電話にいつまでもしがみついているわけにはいかなくて、電話の次の時代の新しいサービスというものをどんどん世の中に出していく、そういうことに積極的にかかわっていかなきゃいけないと思っております。そういうものは単語としては今マルチメディア時代になるというような言い方を私どもはしております。そういうものを推進していきたいという強い希望がございます。  それから、マルチメディアになってきますと、当然のことながらネットワークがどんどん国際化していくわけでありまして、新しい時代サービスの本質からいって国際化というのはもう避けられない。したがって、国際化というものにもつと積極的に乗り出していく必要があるというふうに思っておりまして、この二点が一番の大きなポイントだというふうに思っております。すなわち、日本通信産業全体の発展という面から見てポイントだと思っております。  それを実際に具体化しようと思うときに、いわゆる制度面といいますか、市場をどういうふうな構造にしていくかという観点からいくと、一つ国内市場ですけれども、これはやはり競争を活発にする。競争を活発にするという意味国内事業者同士競争の活発でしょうが、これからいろいろ国際的にも入ってくるだろうと思います。だから、そういう業者との間も含めて国際市場というのは活発になっていくということが一つあろうかと思います。  それから国際に関しては、私ども国際進出するという意味で、しかも東南アジアなどはサービスのレベルだけではなくてインフラストラクチャーそれ自体を充実していくという面もございまして、そういうふうに多角的に広い意味国際進出するということが非常に大事な問題ではないかと思っております。  そういうようなことに参画できるような環境が今回のNTT再編問題という、これはただ単にNTT再編だけの議論をやっているとは思えないんです。もっと広い意味議論されていると思いますが、今回のこの機会というのは、それが今申し上げたような意味の今後の方向に対してかなり明るいというか、将来を先取りした方向を出していただいているのではないかというふうに思っております。  もう一つは、事業運営上のもっと次元の低い問題ですが、もう十何年経営形態問題としてあれこれやってまいりました。これはここで恨みを申し上げるわけじゃないが、あれに関して言うと相当の精力をうちの会社も使っておりまして、あれこれの議論はそれはそれで結果的には大変実のある議論になりましたからよかったですけれども、もういつまでも続けられてもかなわないという感じもありまして、今回タイミングもありますが、タイミングという意味は、大きく言うと、インフラストラクチャーの国のデジタル化というのが終わるタイミングというのが結果的には大きなタイミングだったんじゃないかと思います。ちょうどそれに間に合うというか、うまいときにここでこの問題が一応決着して将来が見えてきたというそのこと自体も相当大きな今のメリットではないかと思っております。  なお、デメリットに関して言いますと、ぶつぶつずっと言ってまいりました。分割されたらこういうふうにデメリットになるということは、また言いますけれども、株主の権利の問題とか、それからお客様サービスに関してはユニバーサルサービスだとか災害対策とかそういうものが心配だとか、研究開発力がうまく出るか、分割なんかされたらうまくいかない心配もあるとか、いろいろ申し上げました。  しかしながら、そういうものは今の議論の中で吸収されまして、それでデメリットというものもメリットに変えていけるような格好の再編の形に結果的には出てまいりましたので、そういう意味では、私どもとしては私どもが志としてこれから努力していきたいと思う方向を大変バックアップしていただけるような形に今回法案をつくっていただいたというふうに思っております。
  11. 北岡秀二

    北岡秀二君 非常に的確な表現の御答弁をいただきまして、まことにありがとうございます。  今のお話のとおり、私どもタイミングの問題というのを非常に心配しておりました。片や国際的にはどんどん他の先進国企業が大きな展開をしておる。なおかつそういう状況の中で、我が国はそういう観点から申し上げますとややおくれておるんではなかろうか、このままいけばひょっとしたらもう大変なことになるぞというような心配がございました。そういう観点で今の宮津社長の御答弁、非常に前向きに受け取っておられる、非常に前向きな今後の展開をしていこうという姿勢がうかがわれたわけでございます。ぜひとも今の姿勢で今後の企業展開をやっていただきたいと思う次第でございます。  郵政省にお伺いしたいわけでございますが、今のお話にも多少関連することでございます。今回の再編成のみそというのはやっぱり持ち株会社にあるのではないかというような感じがするわけでございます。持ち株会社によって地域会社長距離会社との資本関係を維持することとした。過去の論争を振り返ってみましても、調整案としてはよりベターな決断だったというような感じがするわけでございます。  しかしながら、この分割した以降の持ち株会社存在等について、今までの議論でも多々指摘されたわけでございますが、まだまだ不明な点、多少の問題点もあろうかと思うわけでございます。このたびのこういう状況に至るまで、最終的に持ち株会社制度を活用するということに至った経緯とその利点をどういうふうに判断されたのか、郵政省の方から御答弁をいただきたい。
  12. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) この持ち株会社制度というのは、私は非常にいい知恵で皆さんが編み出したと思います。というのは、我が自民党では以前から独禁法改正ということで持ち株会社制度というものを相当研究されておったわけです。しかし、なかなか国会内の状況によってこの持ち株会社制度、すなわち独禁法改正というのが一向に進まなかったわけでありますが、今回何としてもNTTの再編成をするためには何かいい知恵を出さなきゃならない。先ほど宮津社長からもお話しありましたように、最初は三社に分割をするという案でありましたけれども、ところが、最近の状況ではBTとMCIが合併をするという状況、世界的には分散、再編成するところもあるが、さらにまた大きな資本の合同を図る、こういうことも世界的な流れにもなりつつあります。  そういう面で、いろいろ知恵を出し合って、初めて私はこの持ち株会社というのが浮かんできた。しかも、最初はいわゆるNTTだけに特例として認めてもらおうという方向で我々はこの再編成の案をつくってまいったわけでありましたが、幸いにこうした時代の要請というか、これによって国会の方で独禁法改正をする、こういう流れになったわけであります。この点からもやはり最近の国際競争という問題、こういう事態を考えるときに、改めてこうした制度というものを理解をいただいたもの、こういうように思っております。  したがって、この持ち株会社によって資本分散を図らない、あるいはNTT研究制度をしっかり守っていける、そして片や三社に再編成することによってスリムな行動力展開できる。こういう面で本当にベターな案をそれぞれ両者の方でよく検討されたものとして、私も高く評価をしておるところであります。
  13. 北岡秀二

    北岡秀二君 今のお話にありましたとおり、私はこのたびの持ち株会社が一応認められた、そしてまた特例としてやろうとしたのが、その結果、独禁法改正につながったということは今の大臣お話のとおり、これはもうこのたびのNTT問題のみならず非常に大きな私は前進を、前進というか貢献をしたのではないか、そういう面で非常に大きく評価するわけでございます。  続いて、NTTにまたお伺いいたします。  NTT国際戦略ということで、先ほどもちょっと一部話がございましたけれども、お伺いいたします。先ほどお話がありましたとおり、NTT存在というのは規模的に、そしてまた組織的にはもう世界最高組織である。ところが、国際的には非常に大きな大競争の中で、ややもするとそういう進出ということに関してはおくれをとっておるんではないか、多くの方々がそのあたりに対して心配をしておった。このたびの改正によって国際進出というのがかなり広い間口で認められたということに至ったわけでございますが、国際進出手法について私はお伺いしたいわけでございます。  既に一部NTTが認めておられましたとおり、第三国に対して情報通信インフラ整備に手をかす、あるいは資本参加をするというような、俗に言う海外通信分野への進出というんですか、海外キャリア事業というか、こういう一つ手法と、今度新たに認められました日本経由国際通信分野進出をするという、この二通りの国際進出手法というのが当然あるわけでございますが、当面、こういう国際情勢の中にあって法改正後、NTTがどちらに力点を置かれるのか。当然この両面やっていかなければならないわけでございますが、どちらに力点を置いて国際戦略に臨んでいくのか、そのあたりのお考えをお伺い申し上げたいと思う次第でございます。特に日進月歩の技術革新の中にあって国際的な主導権争いというのが絡むだけに、将来の展望もあわせてお答えをいただきたいと思う次第でございます。
  14. 宮脇陞

    参考人宮脇陞君) 御説明申し上げます。  先生がおっしゃられましたとおり、既に事業をやっているものもあります。それから、今回新しく認められて参入しようとしているものもあるわけでございます。私どもとしましては、重複するかもしれませんが、当面の国際での参入分野というものはいわゆる国際通信サービス事業でございますね、それが一つ。それから、海外の先進的なマルチメディア事業を含む外国キャリア事業、それからこれも再三申し上げておりますが、多国籍企業向け情報システム構築事業、こういうものがあると思っているわけでございます。  そして、これらの事業を私どもとしては提携したり、あるいは出資をさせていただいて積極的に取り組んでまいる所存でございます。こういうことで海外におけるインフラ整備を含みます外国キャリア事業、これと日本発着を除く相手国での国際通信サービス事業、これがこれまで大体手がけていたものでございます。  それにさらに日本発着を含む国際通信サービス事業、これがお認めいただけるようになるわけですが、こうすれば私どもとしては先生もおっしゃいましたとおり、優先順位は先に述べた方がもう手がけておりますから、そちらに今力を入れているところですが、いわゆる日本を発着する国際通信サービス事業につきましても、これは鋭意準備を進めておりますので、お認めいただいたらすぐにでも充実できるようにということで準備をしておりますので、どちらも何とかして努力して市場を獲得していきたいというふうに考えております。
  15. 北岡秀二

    北岡秀二君 ありがとうございました。  私どもが望みますことは、心配しておることでもありますけれども、いわゆる海外メガキャリアに対して、私どもは、今後日本企業がおくれをとるようなことがないようにということを第一前提として考えておるし、なおかつそれが希望であります。そういう道筋の中での判断をぜひとも間違わないような形で今後展開をしていただきたいと思う次第でございます。  国際進出についてもう一点お伺いしたいわけであります。このたびの法改正、再編成前の国際進出について、法案が通ってから二年六カ月の猶予期間があるわけでございますが、施行日前でも郵政大臣の認可を受けて国際電気通信事業を営む法人出資できるとされておるわけでございます。これは、NTTとしてこの二年六カ月の間に当然国際進出に着手されるだろうと思うわけでございますが、新たに子会社を設立することを想定されていらっしゃるのか、あるいは既存の別会社への出資考えておられるのか、お伺いをいたします。そしてまた、それが再編成後にはどう処理されるのかもあわせてお伺いいたします。
  16. 宮脇陞

    参考人宮脇陞君) 御説明いたします。  先ほどお話しいただきましたとおり、いわゆる国際通信サービスにつきましては、日本発着を除くものにつきましては現行法制度下においても、私ども具体的に申し上げますと、海外の現地に法人をつくりまして、欧米、アジア、そういうところでサービス準備をしている最中でございます。それから、日本発着につきましては、これもおっしゃられるとおりでございますが、この法律を成立させていただきましてそれが公布されて後、子会社によりできるだけ早期にサービスが提供できるよう準備を整えているところでございます。  したがいまして、その子会社をつくるということを準備しておりますが、さらに既存の会社にも出資するのかという御質問でございますが、その点につきましては、現在のところまだ未定というふうにお考えいただきたいと思います。いずれにしましても、必要に応じ提携あるいは出資等によりまして積極的に取り組んでまいりたいという所存でございます。  御質問の再編成時ですね、法律が成立しまして二年ないし二年半後に再編成を行うわけですが、その時点でそれ以前につくった子会社をどうするのかというお話でございますが、これは現時点ではまだちょっと時間のある話でもございまして、検討中というふうに御理解願いたいと思うわけでございます。いずれにしましても、今後の事業の態様、それから経営の効率、そういうものを総合的に判断して決定していきたいというふうに考えております。よろしくお願いします。
  17. 北岡秀二

    北岡秀二君 ありがとうございました。  次に、このたびの再編成ということで、郵政省に公正競争条件の確保という観点からお伺いをしたいと思うわけでございます。  NTTの経営形態についての議論の大きな原点の一つには、公正有効競争の促進というのがあったかと思います。この公正な有効競争を促進することによってこれから将来的に大事な産業の活性化を図っていこうというのが非常に大きな原点としてのねらいの一つであったかと思うわけでございます。しかしながら、既に今までの議論の中にありましたとおり、持ち株会社という存在がその点について一部不明朗な点があるんじゃなかろうかというような危惧もあるわけでございます。  郵政省は、再編成後における公正競争確保のための事項を基本方針として定めることになっておるわけでありますけれども、人事交流や地域会社が保有する顧客情報の取り扱い、営業活動の分離といった点につきまして具体的にどのような措置を講ずるお考えなのか、そしてまた、今後問題が発生するようなことがありましたらどのように対処をしていくお考えなのか、お伺いいたします。
  18. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 御指摘のとおり、現実にNTTは地域電気通信市場におきまして九九%の独占という実態を持っておるわけでございまして、こういった独占部門と競争部門、これを分離することによって公正競争条件を確保していこうということが再編成の非常に大きなねらいの一つであるわけでございます。したがいまして、今後の運用におきましても、こういつたことが実現いたしませんと、制度で予定しておりましたことに大きなそごを生ずることになるわけでございます。  この法改正の実を上げるといいますか、法改正の目的を達成するために、公正有効競争の確保の観点から、例えば長距離会社地域会社との間の役員の兼任問題でありますとか、それからただいま御指摘のありました共同営業等のあり方の問題でございますとか、こういうことに関しましては一定の措置が必要となるというふうに考えております。その具体的内容につきましては、今後関係者の御意見も伺って検討していくこととなると考えております。  そういった場合に、私どもはこういったことが法の趣旨に沿って実現できると今思っておるわけでございますけれども、電気通信分野というのは環境変化が非常に激しい分野でもございますし、仮にその実効が上がらない、この措置が十分機能しないという場合にどうするかということでございますが、その場合には、公正競争条件が確保されるように今検討しまして定めますものをさらにまた見直しをして、手直しをしていくということになるのではないかというふうに考えております。
  19. 北岡秀二

    北岡秀二君 今の公正有効競争ということに関連してもう一点、NTTにお伺いいたします。  これは相反する部分の話でもございますが、今の議論の公正有効競争という部分に加えて、特に東西地域会社においては、これ今まで各委員さんから指摘をたびたびされておられるわけでございますが、性格上ユニバーサルサービスを維持しなければならないという非常に大きな使命もあるわけでございます。公正有効競争がどんどん進化をしていくと、ひょっとしたら地域間格差が生まれるんじゃなかろうかというような危惧もある。ある意味で言うと相反する命題をいかにして両立させていくか、このあたりNTTの覚悟というか決意を再度お伺い申し上げます。
  20. 井上秀一

    参考人(井上秀一君) お答えいたします。  今後ますます競争は大きく進展してくると思っております。そういう中で我々、特に東西会社の問題が今指摘されたわけでございますが、東西会社においてもこれまで以上にユーザーへの、お客様への密着、それから地域への密着という観点で経営を行うということで、その中で意思決定の迅速化、こういうものを図って機動的な経営をやっていきたい。そういうことを通じまして、料金とかサービスについてはその低廉化、多様化、こういうものを今後の競争の中でお客様にサービスの向上として提供をしていかなきゃいかぬということで、そういうものについては積極的に努力していきたいと思っております。  片一方、ユニバーサルサービスの問題でございますが、当然再編後も東西の会社についてはユニバーサルサービスを行うということになっておるわけでございまして、ただいま申しましたようなそれぞれの会社の地域密着型の経営、それから経営改善、こういうような努力によって、我々としては持ち株会社の調整機能もバックにしながら、再編後においてもいわゆるユニバーサルサービスについて再編があったからということで格差が生じないような努力をしていきたいというふうに思っております。
  21. 北岡秀二

    北岡秀二君 今までの中で、過去の審議の中にあってユニバーサルサービス基金の設立の話もあったようでございますけれども、今回はまた違う形で対応するということでございます。本当に多くの委員さんからの御心配の声も重々お聞きだろうと思います。私もちょうど過疎地域に住んでおります。ぜひとも地域間格差が発生することのないような方策というのを、今後一つの永続した大きなテーマだろうと思いますので、会社の大きな使命の一つとして取り組みをいただきたいと思うわけでございます。  次に、NTTが発行している社債、外債についてお伺いいたします。  これまで大量の社債や外債を発行しておるだろうと思うわけでございますが、総額がどのようになっておられるか、そしてまた再編成後において既存の社債権者の保護がどのように図られていくのか、NTTの方から具体的にそのあたりのことについてお聞かせをいただきたい。
  22. 林豊

    参考人(林豊君) 私どもの発行をいたしました社債についてのお尋ねでありますが、御指摘のように、NTTといたしましてこれまで設備投資等に充てるために国債を中心とした資金調達を図ってきておりまして、この平成九年三月末現在の残高で申しますと、およそ一兆九千六百億程度になっております。  今回の再編成に際しまして、その既発債を保有される社債権者の権利保護という問題につきましても十分御検討いただきまして、現在NTT法改正案の附則第九条というところで、再編成後の四社がこれらの既発債につきましていわゆる連帯債務を負うこと、また再編四社の資産がいわゆる一般担保の対象になるということで規定されております。この結果、これらの社債の信用力あるいは流通市場におきます法的地位といったようなものが十分従来どおりの条件で維持されるということで、今後の流通市場においても全く問題はないという措置が講じられているというふうに私どもも理解いたしているところでございます。
  23. 北岡秀二

    北岡秀二君 再編後の問題としてもう一点、これは大きな問題かどうかはちょっとわかりませんけれどもNTTの保有しておりますKDD株、この処遇について聞きたいわけでございます。  今現在NTTKDDの株を約一〇%持っておられる、そしてまた、なおかつ共済組合の保有分を含めますと約一二%ということで、KDDの中にあっての筆頭株主という存在になっておるわけでございます。再編成後にはある意味で申し上げますとNTTKDDはライバル関係になる、そういう状況の中でそういう株の保有関係にあるというのは、これはちょっと多少不自然な、なおかつ無理がある部分もあるのではないかというような印象を私は持つわけでございます。この株保有に対して、NTTとして将来どういうふうに処置をされるお考えがあるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  24. 井上秀一

    参考人(井上秀一君) 確かにNTTKDDの株を持っておりますが、これは、過去に政府の要請によって電電公社時代に政府保有株式を譲り受けたということで、民営化してNTTになった以降もずっと継続して保有してきたものでございます。  今後どうするのか、特に国際通信事業を具体的に展開するに当たってそういうものが問題になるんじゃないかというお話でございますが、株の問題でございまして、市況の問題とかいろいろ難しい問題がございます。そういう意味で、KDDさんの方とも相談しながら今後慎重に検討していかざるを得ないかなというふうに思っておるところでございます。
  25. 北岡秀二

    北岡秀二君 もう一点、これはちょっと法改正には関係ございませんが、NTTドコモの件について。  これはもう既に、先日、公正取引委員会より来年予定されておるドコモの株式上場までにNTT出資比率を現在の九五%から一〇%以下に下げなさいという指導があったやにお聞きしておるわけでございますが、この問題、NTTとしてはどのように受けとめておられるか、そしてまたどのように対処されるおつもりなのか、これもあわせてお伺いいたします。
  26. 井上秀一

    参考人(井上秀一君) 確かに一〇%未満というようなお話があったこともそのとおりでございますが、それ以外に方法がないではないんじゃないかというのが我々の基本的な考えでございます。ドコモというものは、端的に言いまして、当社が開発した技術に基づいてサービスを提供するということで、もともと本体にあったものを分離した分離子会社でございます。そういう意味では、既存の会社を買収したりなんかして競争を制限するというようなものとは違うんじゃないかというような基本的概念を持っております。  それからまた、電気通信事業者間の接続ルールと公正競争のルールも整備されつつあるということで、我々としては、公正競争上実質的な問題はないんじゃないかというふうに考えております。  それで、今後どうするのかということでございますが、今お話がありましたドコモの株式公開等の機会をとらえて出資比率は下げていきたいというふうに考えておりますが、五〇%以下にはならないような形でぜひ公正取引委員会等にも御理解を賜るようにこれから働きかけていきたいというふうに考えております。
  27. 北岡秀二

    北岡秀二君 次に、研究開発の問題について二点ほどお伺いいたします。  これも前段の部分と重なるわけでございますが、今までの分離分割論争の中で、一貫してNTTの主張の中に、分離分割は研究開発の低下を招くんだ、これは非常に大きなハンディを背負うことになりますよ、世界各国と非常に大きな競争をこれからしていかなければならない状況の中で取り返しのつかないおくれを出すんだというような御意見があったわけでございます。  このたび、結果、再編成を一応了承したというようなことで、再編成後には、もう今までの議論の中で報告があったわけでございますが、基礎的研究は持ち株会社あるいは応用的研究は地域会社というように落ちついたわけでございます。NTTとして、前段の主張の絡みの中で、再編成による研究開発力の影響をどのようにとらえておられるのか、ちょっと総論でお伺いしたいと思います。
  28. 宮脇陞

    参考人宮脇陞君) 御説明申し上げます。  今、先生申されたとおりでございます。私ども、いわゆる基盤的研究と申し上げておりますが、この開発を持ち株会社で行うこととしております。基盤的研究の定義の方は省略させていただきますが、いずれにしましても、こういう研究開発を開発リソースの分散をしないで持ち株会社が一元的にできるということで、私どもとしましては、従来どおりあるいはそれ以上の活動ができるというふうに考えております。  一方、応用的研究開発の方は、これは従来も事業部というようなところが分担していた面が多いわけですが、これは各事業会社の提供するサービス事業運営に深くかかわる技術、こういうものの研究開発を行っているわけでございます。これはお客様のニーズを十分反映しつつタイムリーに研究開発を行う必要があるわけでございまして、こういう形で、基盤的研究は持ち株会社のもとで一元的に、そしてお客様に近いところのいわゆる応用的な研究開発は事業会社の方でということで研究開発を進めることによりまして、私どもとしましては、総体として研究開発力の向上につながるということが期待できるというふうに考えております。
  29. 北岡秀二

    北岡秀二君 わかりました。  再編によっていよいよ本格的な国際進出展開されるということで、先ほど何回も申し上げておるとおり、もう大競争の中にどっぶりと入っていくということでございまして、研究開発というのも大きなその中の武器としてというか、大きな要因になってくるだろうと思います。そういう観点から申し上げますと、今後再編成後の研究開発の方針というのが非常に大きなウエートを占めてくるだろうと思います。今後の研究開発方針についてはどういうお考えをお持ちなのか、お伺いいたします。
  30. 宮脇陞

    参考人宮脇陞君) 御説明いたします。  国際的な競争という中では、これは先生御案内と存じますが、私ども基礎研究から開発まで一貫してやっておりましたので、その結果幾つかの分野では世界でトップレベルのものもあるというふうに自負しております。こういうふうにして一貫して推進してまいったということが国際的な競争の中では大変な力になるというふうに考えております。  それで、ちょっと詳細は遠慮させていただきますが、先般も武蔵野で少しごらんいただいたわけでございますけれども、私どもこれからの課題ということで、大きくは三つぐらいの目標を掲げて研究開発活動を進めているわけでございます。  ちょっと難しい言葉になりますが、一つは、サイバーソサエティー、仮想社会というんでしょうか、そういうものの実現に向けた研究。それから、メガという言葉を使っております。今私どもが研究をしています電話は、これも専門用語で申しわけないんですが、せいぜい数十キロビットというような情報量での情報流通をやっておるわけですが、これを千倍あるいは場合によってはもっと大きな倍数の情報量を一気に送るというような、メガメディアと我々は呼ばせていただいておりますが、そういうものの関連の開発。それから、今はファイバーという技術が確かに進展しておりますが、その技術の中身はやはりどこかで電気と光というものを変換して使ってございます。それを初めから終わりまで全部光でつなぐという、フォトニックネットワークと呼んでいますが、大きくはそういう三つぐらいの分野目標にしまして、二〇〇五年ぐらいには現在と同じような電話料金で映像まで見れるような社会が来るということを目指して研究開発を進めているところでございます。  ちょっと長くなりまして済みませんでした。
  31. 北岡秀二

    北岡秀二君 非常に可能性のある、可能性がどんどん広がっていく世界であるだけに、ともすると最近の日本技術力というのは、これはもう全般的な一般論でございますが、おくれをとりがちじゃないかというような議論もあるわけでございます。NTTのそのあたりの研究開発にかかっておる国民の期待、そしてまた使命というのは非常に大きなものがございますだけに、ぜひとも有効な取り組みをしていただきたいと思う次第でございます。  もう一点、光ファイバーの問題についてちょっと郵政省の方にお伺いしたいんですが、もう既に二〇一〇年までに全国光ファイバー網を整備しようという目標が発表されておるわけでございますけれども、このたびのNTTの再編成ということによってこのスケジュール自体はおくれることがあるんでしょうか。それとも、予定どおりその方針で全国的に光ファイバー網を整備するというような姿勢で臨んでおられるのか。そのあたりちょっとお伺いします。
  32. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 二十一世紀における我が国の基幹的なインフラであります光ファイバー網の整備状況でございますけれども、まず現状を申し上げますと、中継系につきましては、今年度中にもほぼすべての交換局に光ファイバーの導入が行われる予定であると聞いております。それから加入者系につきましても、三月末でございますが、人口カバレッジで一六%に達しておりまして、私ども二〇一〇年の全国整備完了に向けた二〇〇〇年までの先行整備期間の目標といたしましては二〇%と考えておりますので、これは確実に達成できるだろうという認識を持っております。  それから、再編後の光ファイバー網の整備でございますけれども、県間の交換局間を結びます中継系につきましては長距離会社が、それから県内の交換局間を結びます中継系及び交換局と加入者の方の間を結びます加入者系につきましては東西の両地域会社によりましてそれぞれ整備が進められることになると考えております。  NTTグループ全体としての財務状況を見ましても、再編後も現在のNTTと同水準の利益水準を確保し得ることが見込まれておりますので、グループ全体の投資能力という観点からは、我が国の情報通信基盤の整備再編後も順調に進展していくものと考えております。    〔委員長退席、理事陣内孝雄君着席〕  それからさらに、東西両地域会社それぞれの加入者系光ファイバー網の整備につきましても、各社の経営努力でありますとか、東会社から西会社への負担金の制度などを通じまして、東西の現に存在しております格差も緩和されますため、いわゆる地域格差が生ずることもないというふうに考えております。むしろ、東西両地域会社が今後事業展開上、創意工夫を凝らし経営の効率化努力をすることによりまして間接競争も刺激されるわけでございますので、そうなりますと、情報通信基盤の整備我が国全体として促進されることにもつながるのではないかという期待をしておるところでございます。
  33. 北岡秀二

    北岡秀二君 今の光ファイバーの敷設に関して、これは実際やっていくのはNTTサイドがやっていくということでございますけれども、採算性がとれる地域に関しては比較的簡単にその設備は十分にできるだろうと思いますが、私ども心配するのは、採算がとれない地域が、果たして目標としておる二〇一〇年までに確実にその事業がなされるのか。そのあたりNTTとして、基本方針に大きな変わりはない、そしてまた今後確実に取り組んでいくんだというようなお考えがあるかどうか、ちょっと再確認でお聞きします。
  34. 木塚修一

    参考人(木塚修一君) お答え申し上げます。  今、谷局長から御答弁がございましたが、全くそのとおりでございまして、アクセス網の光化計画につきましては、再編成後も東西の地域会社の財務体質を十分に改善を図りましてこれまでの方針を堅持したいということで、二〇一〇年までに、お客様の近くの饋線点と申しまして、これは配線ブロックで地下から立ち上げてくるところなのでございますが、あとは配線でございますので実需が出た段階で配線を引くだけなんですが、そういう饋線点のところまで今のメタリックを光ファイバーに引きかえていくということを考えているわけであります。  なお、先生お尋ねの、要するに僻地につきましてもファイバーを入れていくのかということでございますが、これは当社あるいは行政からも既に方針が発表されておりますが、二〇一〇年までにそれを入れていくというお約束に変わりないわけであります。ただ、入れる段階といたしまして、やはり光ファイバーをビジネスにお使いになるケースが非常に多いものですから、そういう大都市からどうしても順番に入っていくというような傾向はこれは否めないわけでございますが、これはお客様の実際の御要望が強いという実需に結びついたニーズでございますのでお許しを賜れるのではないかと。二〇一〇年までに間違いなく日本全国じゅうのアクセス網の光化を行いたい、こういうふうに考えております。  以上でございます。
  35. 北岡秀二

    北岡秀二君 高度情報通信社会というのはもう既に到来しておる部分もありますけれども、本当に急速にこれからやってくる。そういう観点から申し上げると、光ファイバーの整備というのはこれはもう必要欠くべからざるものであり、今の話のとおり、基本的にはユニバーサルサービスという観点から申し上げると、今のところではビジネスサイドの要望ということでございますが、これからはもう本当にごく一般の家庭の中に至るまで光ファイバーというのは必要になってくるだろう。その時代が近々到来するであろうということは間違いないだろうと思いますので、今のお話のとおり、ぜひとも全力を挙げて二〇一〇年までには確実に全国津々浦々目標のところまでは事業がなされることをお願い申し上げたいと思う次第でございます。  NTTについて最後にもう一点、大臣の方にお伺いしたいわけでありますが、設立準備について、東西地域会社の設立についてはNTT法改正案附則第五条により、「郵政大臣は、それぞれの地域会社ごとに設立委員を命じ、当該地域会社の設立に関して発起人の職務を行わせる。」となっておるようでございますが、その設立委員の人選についてどのような考え方で臨むおつもりなのか、大臣のお考えをお聞かせいただきたい。
  36. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) ただいま先生から御指摘になりましたが、基本的には商法の株式会社設立の規定に沿って行われるわけでありますが、他方、また国の意思により設立される公共性の高い法人であります。その設立手続につきましては、郵政大臣が設立委員を任命し、いわば国の意思を代行させるものとして事務を処理させるということになっておりますが、これは電電公社からいわゆるNTTに民営化されるときにもこのような手続がなされ、一応のそうしたモデルもあるわけでございます。  したがって、これら公共性の確保や専門的な知識を有するといった観点から適任者を選んでまいりたいと思います。具体的には今後の検討課題になるわけでありますが、一般論として申し上げますれば、民間の有識者や関係行政機関の代表者の中から任命することを考えておるところであります。  先ほども申しましたように、NTT設立のときの経験がありますので、十分その経過を踏まえて努力したいと思っております。
  37. 北岡秀二

    北岡秀二君 ありがとうございました。  NTT関連についてはこれで終わりたいと思います。  KDDについて数点お伺いいたします。  これはもう前段にNTTについて聞いたのと同じでございますが、このたびの法改正KDDサイドでもプラスマイナス、非常に大きな影響を受ける。ある意味で申し上げると、KDDにとって大きな転換点を迎えるのではないかというような印象を私は持っておるわけでございます。このたびの法改正先ほど聞いたのと同じなんですけれどもKDDとしてメリットデメリット、どのようにお受け取りになっておられるのか、そのあたりをお伺いいたします。
  38. 西本正

    参考人(西本正君) お答え申し上げます。  今回の三法の改正によりまして、我が国の電気通信市場において公正な競争基盤の確立に向けた枠組みが示されたということにつきましては、私ども関係各位の御努力に心から敬意を表したいと存じます。  枠組みはできたわけでございますけれども、今後重要となりますのは、この枠組みの中でいかに法改正の目的でございます公正、有効な競争環境整備するかということでございまして、私ども具体的には次の三点が重要ではないかというふうに考えております。    〔理事陣内孝雄君退席、委員長着席〕  まず第一点としましては、完全民営化されますNTT長距離会社が、人、物、金、情報に関しまして地域会社から名実ともに完全に分離されるということが第一点でございます。これは再編前の、先ほどお話がございました子会社によって国際通信に参入する場合についても同様のことが申せるかと存じます。  また第二点としましては、事業法の改正によりまして接続ルールが厳格に運用されることが必要でございます。そのことによりましてNTT長距離会社と他のすべての事業者が対等な条件でNTTの地域網と接続されることが確保される、これが必要であろうかと思います。  またさらには、第三点としまして、地域会社のネットワーク、地域網に競争が導入されることによりましてコストの低廉化が図られることが必要だと。これがやはりお客様にとって一番大事な点ではなかろうかというふうに思いますので、こういった三点が極めて重要な課題になるというふうに考えております。  また、KDDといたしましては、今後も国際通信に軸足を置いてまいることは当然でございますけれども、今回の改正法成立後直ちに国内通信事業に参入することによりまして、国内から国際まで一貫したサービス提供体制ができる。このことを通じましてお客様のニーズにこたえるとともに、低コストの低廉な料金を実現し、国際競争力強化を図ってまいる、これが実現できるというメリットがあろうかというふうに思っております。
  39. 北岡秀二

    北岡秀二君 今のお話のとおりでございまして、今度新たに国内市場に参入できるという部分が非常に大きなこれからKDDとしての課題になってこようかと思うわけでございますが、私どもからいたすと、KDDがどういう形で国内市場に参入してくるかちょっとなかなか想像しづらい部分もあり、それなりに会社としての一つ戦略をお持ちだろうと思うんですけれども、どういう形を一つ方向性として思っておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  40. 西本正

    参考人(西本正君) 当社の国内通信事業展開についてでございますが、先ほども申し上げましたように、国内通信事業に参入いたしまして、国内から国際まで一貫したサービスを提供するということによって、年々高度化しグローバル化しておりますお客様のニーズにおこたえするとともに、コストの低減化を実現しまして国際競争力強化してまいる所存でございます。  具体的には、本改正法案成立後、まずお客様の要望が多い企業向けの国内専用線サービス、あるいはKDDが持っております加入者回線、ルートKDDと申しておりますけれども、加入者回線からの電話サービス、さらにはKDD専用の公衆電話、現在は国際専用ですけれども、ICグローバルホンと申しておりますが、その公衆電話からの市外電話も開始する。その後、準備が整い次第、順次インターネット、さらには本格的な市外電話へとサービスの範囲を拡大して、広く国民の皆様の期待にこたえてまいりたいと考えております。  また、当社はマルチメディア時代を迎えて急増する国際通信事業に対応するとともに、アジア地域における通信のハブ化を進めることを目的に、日本列島の周囲に大容量、高品質の光海底ケーブルを敷設するJIH計画、ジャパン・インフォメーション・ハイウエーと申しておりますが、JIH計画を推進しておりまして、国内通信業務への参入が認められた場合にはこのJIHを国内通信サービス提供のための伝送路として活用する予定でございます。
  41. 北岡秀二

    北岡秀二君 先ほど申し上げましたとおり、このたびの一連の動きというのはKDDにとって大きな転換期であり、そして大きな正念場だろうと私は思う次第でございます。そういう観点から申し上げますと、一連の規制緩和流れにあって、KDDに対する規制もさらに緩和していかなければならないのではなかろうかというふうに私は考えるものであります。  そういう観点で、本会議の質疑の中で総理の方から、将来のKDDのあり方については、国際通信市場の動向を踏まえつつ、時期を逸することなく検討していきたい、こういう答弁があったわけでございますが、KDD法の廃止も含めて、今後の方針について再度郵政省の御見解をお伺いしたい。これで最後の質問にいたします。
  42. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 総理の御答弁があった後で大変恐縮なのでございますけれども、まず、現在このKDDを特殊会社として残しております趣旨でございますが、我が国及び国民の利益を図りますためには、常に世界とつながるネットワークを有する通信事業者存在が必要であるわけでございまして、現段階におきましては、KDDだけが年間数回しか利用のないようなところも含めまして、全世界二百三十三の国あるいは対地との間で国際通信を提供しているわけでございます。これによりまして、我が国国際通信分野におけるユニバーサルサービスが確保されているわけであります。  そういう観点に立ちますと、現段階ではこういう対応能力にありますのはKDD一社ということになりますので、引き続きKDDにこのような役割を期待しているわけであります。  ただ、そのあり方につきましては、競争相手の国際通信事業者も逐次対象地域を拡大してきておるわけでございまして、状況も変化をしてきておるわけでございます。したがいまして、このあり方につきましては、昨年の二月に電気通信審議会の答申の中で、「長距離NTT国際通信市場への参入やNCCの今後の対地拡大の状況を踏まえ、KDD以外の事業者によりKDDにそん色ない対地が安定的に確保された段階で、廃止する方向で検討を行うべきである。 なお、KDD法の廃止を検討する際には、我が国及び国民の安全の確保等についての十分な配慮が必要である。」という御答申があるわけでありますけれども、私どもとしても同じような考え方に立っているわけでございまして、ここの答申の中で指摘されましたような状況を踏まえて、時期を失することなく検討していきたいという考えでございます。
  43. 北岡秀二

    北岡秀二君 終わります。
  44. 畑恵

    ○畑恵君 自由民主党の畑恵でございます。  北岡議員の関連質問ということで、本日も先週の審議に引き続きまして、今回のNTT法を初めとした三法案の成立によって、情報通信における国際競争に本格的に参入することになります我が国の情報通信国家戦略について伺ってまいりたいと思います。  冒頭、多少のお断りをさせていただきますけれども、前回、今回と恐らく私だけが質疑者の中でNTTKDDの方々に参考人としてのお願いをいたしていないわけでございます。これにつきましては、決してお話伺いたくないのではございません。先ほど宮津社長のお言葉にもありましたように、これ以上つき合わされてはかなわないというそのお言葉に代弁されていると思うんですけれども、十四年間このNTTの経営形態のあり方をめぐって費やされました時間と労力に対して、私の静かなる抵抗と申しましょうか、ささやかな抵抗でございます。  私ごときものの質問に答えていただくよりも、私は、国益を考えますならば、国際競争の中で打ちかっていかなければいけないという国家的な使命を負われているNTTKDDの方々でございますので、本業にいそしんでいただければ幸いだと思います。  それでは、本題の方に入らせていただきます。  前回にもお話しさせていただきましたけれども、米国のNII構想に匹敵するような明確なビジョンに基づいた電気通信関連の大規模基盤整備、これが日本でも必要ではないかというお話、私は委嘱審査の折にいささか詳しくさせていただいたんですけれども、殊にここアジアでは、先日大臣も訪れられましたマレーシアのマルチメディア・スーパー・コリドーですとか、シンガポールのIT二〇〇〇を初めとして、ほかには韓国ですとか香港などでも、アジア太平洋地域というよりも、もう世界全体の情報発信基地、情報通信ハブたらんとして、マハティール首相ですとかゴー・チョクトンなど、各国のリーダーがしのぎを削っております。このMSCやIT二〇〇〇に並ぶような、あるいはそれを凌駕するような情報通信ハブをつくり上げる、これは二十一世紀の我が国にとってサバイバルをかけました大命題だと私自身は認識しております。  そこで、現在沖縄振興策の一環としまして、この沖縄自体マルチメディア・アイランドにしょうという構想が政府と沖縄県との間で話し合われて、沖縄振興特別調査費五十億円のうち、マルチメディア関連事業費として十・五億円が配分されていると伺っております。そのうち六億円がたしか郵政省に配分されて、内訳としては一億円が調査費、五億円が施設整備に回されたということでありますけれども、これは、沖縄をこれまでのアジア太平洋地域における軍事としての基地から情報通信の基地に新しく生まれ変わらせる、そのような沖縄マルチメディア特区構想と言っていいんでしょうか、そうしたかなり大規模な構想の幕あけとまず考えてよろしいんでしょうか。
  45. 木村強

    政府委員(木村強君) 郵政省は、昨年でございますが、沖縄マルチメディア特区構想というものを沖縄政策協議会に提案いたしまして、沖縄県とともに構想の具体化に努めてまいったところでございます。  先生御指摘ございましたように、四月二十五日に至りまして、沖縄特別振興対策調整費五十億円を政府で予算計上いたしておりますが、そのうち約二十七億円が配分をされまして、郵政省のこういった沖縄マルチメディア特区構想につきまして、まず沖縄の情報通信ハブ化に向けた全体構想の策定調査費ということで一億円、次いで内外の研究者が気軽に利用できる共同利用型の研究開発施設の整備ということで五億円、合計六億円が配分をされました。  これによりまして、アジア太平洋地域の情報通信ハブとして機能する国際都市沖縄の形成を目指します私どもの沖縄マルチメディア特区構想の実現に向けまして、具体的な一歩を踏み出すことができた、このように考えております。
  46. 畑恵

    ○畑恵君 本当に、私は大きな一歩だと大変期待しておるんです。そうした中で、郵政省としては独自の沖縄マルチメディア特区構想というのを概要として出されていると伺っておりまして、こちらにペーパーをいただいておるんですけれども、これは衛星通信を使われましたり、単に郵政分野だけでなくて電子美術館や電子博物館といういろいろな幅の広い試みが盛られていて、壮大であり、なおかつ夢と希望にあふれた計画で、私自身、大変これは高く評価されるべきだと思っております。  ただ、それにしましても、一番大事なことは、これは予算の裏づけということだと思うんです。ペーパーをいただいた時点で予算の裏づけはまだですと書き添えられてはあったんですけれども、まだといってもいろいろな程度がございますので、どの程度までこれは、例えば今回は調査費でございますね。郵政省として当然これから幾ばくかの本予算を投入なさる。また当然郵政省だけではとてもできない規模でございますので、各省庁との連携というのは既に話し合われていらっしゃるんでしょうか。
  47. 木村強

    政府委員(木村強君) 沖縄政策協議会の中で、沖縄マルチメディア特区構想につきましては、第三プロジェクトと第六プロジェクトということで内容を整理いたしまして、第三につきましては、特に情報通信基盤整備をメーンに置いたハブ基地化構想の実現ということで、これにつきましては、運輸省とも連携を深めながら対応しようということで進めております。  それから、第六プロジェクトにつきましては、産業の集積ということで、具体的なこういったハブ基地化構想ができましても、それに連なる産業振興あるいは雇用の問題ということが非常に重要でございますので、ここにつきましては、主として通産省との連携を深めておるということで、マスコミ等には各省庁の縄張り争いといったようなことで書かれておりますけれども、去年の夏以来、連携の施策というものは郵政省、通産省を含めまして、各省連携、情報通信の分野につきましては特にそういう形で進められておりまして、日本全体の情報の高度化ということで、各省が一体となって取り組もうという姿勢で取り組んでおります。  この沖縄マルチメディア特区構想につきましても、したがいまして、それぞれのプロジェクトの中でよく連携をとり、しかも沖縄県の意向を聞きながら全体構想を進めるということで進めております。
  48. 畑恵

    ○畑恵君 連携をとりながらということで、これだけの大プロジェクトでございますので、各省庁の壁を取り払う一大試金石として、ぜひそうした試みを強化していただきたいと思います。  今回のこの沖縄のマルチメディア特区構想については、民間の方からもかなり具体的な提案がなされているようでございます。私の手元にございますのは、社団法人ニュービジネス協議会から出されました、こちらは特別区構想となっておりますけれども、この「マルチメディア特別区構想」についての御評価、今後、郵政省が出されたこの特区構想と連動してこういうものを考えていらっしゃるのかということでございます。  特にこの中に、これはちょっと郵政省の方の管轄でない部分かもしれません。その場合には、きょう大蔵省の方も来ていただいているので、できる範囲でお答えいただければと思うんです。  例えば、行政事務のアウトソーシングの可能性について記載されておりましたり、あとNASDAQのアジア拡大阪、ASISDAQというものをここにつくったらという、情報革命から金融改革を促すというようなそういう幅広いプロジェクトの記述がございますけれども、このプロジェクトについての御評価をお聞かせ願えますでしょうか。
  49. 木村強

    政府委員(木村強君) 先生御指摘のございました社団法人ニュービジネス協議会から提案をされております「マルチメディア特別区構想」につきましては、私ども承知いたしておりますのは、沖縄に、アジア太平洋地域におきます構想ということで三つほど大きなことの提案がなされております。  一つは、大規模な国際アウトソーシングセンターを沖縄につくる。これによりまして、官庁であるとか自治体のアウトソーシングということで、行政改革にも役に立つだろう、こういつた発想。それから二点目は、ハイテクトレーニングセンターということで、一万人収容可能な巨大なセンターをつくりアジア振興のために日本の技術を提供するということで、主として人の関係、人材の関係のトレーニングセンター。それから三つ目は、今御指摘ございましたASISDAQということで、NASDAQと同じような仕組みをこの沖縄につくろうということで、ここでは、エンゼル税制であるとか個人の金融資産をこういったアジア太平洋の中心、沖縄でこういったものを構築しようという大変スケールの大きな構想と承知しております。  ただ、社団法人ニュービジネス協議会以外からも、いろいろと多くの民間団体からこのマルチメディアを活用したさまざまな沖縄振興策というものも提案をされ、私どもの手元にも届いておるということでございます。
  50. 畑恵

    ○畑恵君 ありがとうございます。  どのような形の民間のものを導入なさるにしましても、いずれにしても非常に規模の大きなプロジェクトでございますので、一にも二にもこの構想を実現化していく上で担保されなければいけないもの、これが予算、経費だと思います。  ただ、財政引き締めの折、国庫からあらあらいろんな試算が出ているようですけれども、最も骨格の部分をつくるだけでも数千億という話もございますし、郵政省が出されたいろいろな思いを実現させるということになりますと、かけていれば切りがないほどの予算が必要だと思います。ただ、これだけの予算を今後この沖縄マルチメディア特区のために国庫から充てられるというのはなかなか考えられないことだと思います。だとすれば、民間からの投資を促進させられるような思い切った施策をとらなければいけない。つまり、税制の優遇措置を考えていかない限り、私自身はこの構想というのを実現させるというのはなかなか難しいことだ、そのように認識いたしております。  また、この税制優遇策というのは、単にお金を集めるというだけではなく、まだまだ沖縄というのはマルチメディア特区を機能させられるだけの人材ですとか技術の基礎的な蓄積がない地域でございますので、ここにそうした高いクオリティーの人材ですとか、あと技術を擁しました企業を集積するということになると、やはりこの面でも税制優遇の措置というのはぜひともお願いしたいことだと思います。しかも、その規模も、すぐ近くと言っては何ですけれども、MSCでもIT二〇〇〇でもかなり大規模な税制優遇措置が行われていますので、それらと競争していけるだけの規模での税制優遇措置を果たして日本がこの沖縄という地で実施し得るのかどうか、大蔵省の方に伺いたいと思います。
  51. 川北力

    説明員(川北力君) お答え申し上げます。  沖縄振興の観点からの税制についてでございますが、これまでも沖縄振興に関しましては、沖縄振興開発特別措置法といったものに基づきましていろいろと支援策が講じられておりまして、平成九年度の税制改正でも幾つか新設、拡充をさせていただいたところでございます。  御指摘は、新しくマルチメディアという発想でそういう税制の優遇措置を講じたらどうかという御指摘でございました。  沖縄のこのマルチメディア特区構想を含めまして、もろもろの沖縄振興のための施策につきましては、今もいろいろ御議論がございましたように、沖縄政策協議会あるいはその下の各省あるいは沖縄県のプロジェクトチームで今精力的な調査、検討が進められているということでございます。  そうした調査、検討が進みますと、施策が全体として具体化してまいりまして、そうなりますと、税制としてどういったものに乗ることができるのかということが具体的に議論できるようになってくると思っております。そうした中で税制当局としてもよく検討させていただきたいというふうに考えております。
  52. 畑恵

    ○畑恵君 比較的前向きなニュアンスをいただきましたので、多少安心したところがございます。  こうした税制の優遇措置に加えまして、やはりこちらをマルチメディア特区にするとなりますと、通信回線費用をよほど低廉化させなければいけないのではないかという問題もございます。現在、既にいろんな地域でコールバック方式で日本を迂回しているという現象が見えますけれども、少なくとも米国と同じ水準になりませんと、日本を迂回してコールバックで事が済んでしまうという危惧も持たれているようでございます。通信料金について特別な措置をこの沖縄に適用するというお考えはございますでしょうか。
  53. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 通信料金の優遇措置は、沖縄マルチメディア特区に対する有効な方策の一つであるということは、そうだと思います。ただ、そのために必要な負担をだれが負うのかという問題があるわけであります。私ども、一般的に通信料金が国際競争力にたえるようなものとなるよう低廉化を図っていくということは大きな政策課題でもあるわけでございますけれども、この通信料金は一般に電気通信事業者の経営判断によって定められるということになります。その際に、事業者が特定の地域についてのみ特別の優遇を行うということは、利用者間における利用の公平性という観点からなかなか難しい問題を含んでおると思うわけでございます。  一方、特区に立地する企業、研究機関等に対する優遇措置によりまして、実質的に安い費用で国内国際通信を行うことを可能とするという方策もあるわけでございまして、こういった点についても今後検討すべき課題ではないかというふうに考えております。
  54. 畑恵

    ○畑恵君 さまざまな利害関係もございますし、全体の取り決めというのもあると思いますけれども、いずれにしましても、日本の中の情報通信基地づくりということで、それをいかに成功させるかという、その一つの焦点に絞ってぜひ柔軟な措置をお願いいたしたいと思います。  今税制の話、そして通信回線費用のお話をさせていただきましたが、いずれにしましても、今局長の方からもお話がありましたように、ここに特例を適用しなければいけない。いずれにしても、別に沖縄につくらずとも、どこかにこの情報通信ハブというのをつくることになりますと、そこには税制を初めとしたかなり思い切った特例措置というのを適用しなければいけないと思いますので、そういう意味におきましては、もともと歴史的背景からいろいろ特別な条件を今まで余儀なくされてきたこの沖縄という地でマルチメディア特区を始めるということに関しては、私は大変条件がそろっている部分というのはあると思うんです。ただ、その一方で、沖縄という特殊な、いろいろな条件を持ったところでございますので、やはり政府主導で物事を進めるということはいかがなものか。沖縄の総意として、沖縄の方々の心、気持ちを第一にまず考えないと何事も進まないというところがどうもあるように思われます。  仄聞したところによりますと、既に五月に入って沖縄県マルチメディア推進協議会が開かれていらっしゃるようでございます。こちらのメンバーの方々も沖縄県の経済界の重鎮の方々がずらっとお名前を並べられていて、大変お偉い方々だと思うんですけれども、かなり御高齢でいらっしゃいます。別に御高齢だからマルチメディアがわからないとは思わないんですけれども、これもまた仄聞したところによりますと、腹を割って話したところ、なかなかやっぱりこの部分が理解していただけないという話も漏れ伝わっております。果たしてこの沖縄という特殊な地域に、本当に政府主導でかなり思い切った形での情報通信基地というのができ得るのか、そういう危惧もいたしておるんです。その点については、答えにくいところもあると思いますけれども、率直なところ、いかがでございましょうか。
  55. 木村強

    政府委員(木村強君) 昨年の夏に、沖縄振興策を政府として取り組もうというお話が出て以降、沖縄県に対しましてもあるいは地元の方々に対しましても、私ども本省あるいは地元の事務所等を通じまして情報通信の今日的意義、あるいは二十一世紀に向けてというようなお話をるるしてまいりました。  非常に地元のマスコミ等でも取り上げられ、今先生御指摘のように、財界の方あるいは学者の方等を中心とした現地でのマルチメディア推進協議会などもできまして、環境にもよい、青少年にも夢を与える、しかもアジア太平洋、地政学的にも必要だと。これから新しく施策を打つには、東京というよりもむしろ沖縄という地政学的な条件の合致したところがいいんだといったようなこと、あるいはあそこはなかなかいい水が出ませんものですから、産業立地というものが非常に難しくて、工業的な仕事というのはなかなか難しいんですけれども、情報通信であればそれを克服できるといったようなことで、基本的には沖縄県の自立というもの、一時的なお金の投資ということではなくて、それをもとに沖縄県が国際都市を形成して羽ばたいていけるようにという意味では、日本の情報通信ハブ基地化構想といわば沖縄県のそういったこれからの県としての未来志向とがドッキングをしたという形でこのマルチメディア特区構想を進めさせていただいてきたわけであります。  そういう点ではかなりの方々に御理解を得て、政府でも非常に財政が厳しい中でも五億円、調査費一億円。五億円はもう本年度から、研究開発という一環ではありますけれども、調査だけではなくて具体的な施設をつくって、そこで民間の方々が入って研究開発を進めるんだという具体的な施策の経費までついたということでございまして、お金としては非常に厳しい状況にあるわけでありますけれども、これを契機としてそういう方向に進んでいくということは日本の国益にとっても大変重要であろう、このように考えております。
  56. 畑恵

    ○畑恵君 木村局長のお言葉のとおりに、私自身もこの情報通信基地を沖縄に置くということは沖縄自身のために何よりも最適なことだと思っております。  ただ、繰り返しになって恐縮でございますが、マルチメディアという言葉自身を御理解いただくということから始めなければいけないことが多々あると思います。きっと御苦労は今後も山積していらっしゃるんだと思いますが、特にマスコミ関係の方々を大きく巻き込んで、沖縄の中からぜひ、私の同僚議員、若手の沖縄県選出の議員などは、特に若手の経営者などは非常に期待をしておると、ぜひとも推進したいと。ただ、なかなか自分たちのところにおりてこないんだという話もあるようですけれども、そういうもともとベースとして今回のこのプロジェクトに前向きに取り組もうとしている方たちを巻き込んで、沖縄からのまた声というものも連動して起こしていただいて、ぜひ実現に導いていただきたいと思います。  さて、この今回の大プロジェクトなんですが、先ほど郵政省の方が中心になって各省庁と連携を取り合って進めていらっしゃるという話は伺ったんですけれども、やはりこれだけ大規模になりますと、各省庁横断的にプロジェクトを組んで進める必要がある。そうなりました折には、高度情報通信社会推進本部という各省庁横断的に高度情報化を進めるそういう組織がせっかく内閣の中におありでいらっしゃいますので、恐らくこの問題についても何かしらの動きをしていらっしゃると思うんですけれども、ちょっと私不勉強でまだよくその点について勉強しておりませんので、高度情報通信社会推進本部としては、今回のマルチメディア特区構想にどのように取り組んでいらっしゃるんでしょうか。
  57. 潮明夫

    説明員(潮明夫君) 高度情報通信社会推進本部でございますが、これは御案内のように、我が国の高度情報通信社会の構築に向けた施策の総合的な推進ということのために内閣に設けられたものであります。また、高度情報通信社会に向けた基本的な考え方でありますとか、あるいは政府として対応すべき施策の基本的な方針につきまして、高度情報通信社会推進に向けた基本方針という格好でこれを取りまとめるなど、国全体としてこの問題にどう取り組むかについて議論をしているところでございます。  情報通信の高度化のための個別具体的な施策につきましては、この本部で取りまとめました、今申し上げました基本方針に基づきまして、それぞれのところにおきまして取り組みが行われているということであろうというふうに考えております。
  58. 畑恵

    ○畑恵君 要するに、これは個々具体的な問題なので、特に高度情報通信社会推進本部としては取り組んでいらっしゃらないということだと思いますけれども、今のお答えというのは。それでよろしいですか。
  59. 潮明夫

    説明員(潮明夫君) ただいま申し上げましたように、この本部は全体としての方針、それを議論するわけでありますので、個別のものにつきましてはそれぞれのところ、ただいま申し上げましたような沖縄政策協議会でありますとか、そこで議論をされているというふうに承知しております。
  60. 畑恵

    ○畑恵君 私の理解は間違っていないようですけれども、この問題というのは決して沖縄県だけの問題ではないですし、先ほど木村局長の方からもお話ありましたように、各省庁に横断的にまたがるような一大国家プロジェクトだと思いますので、これに今ぐらいのコメントしかお出しにならないということは、私はいささか解せないような気がしていたし方がございません。  この際伺っておきたいんですけれども、この内政審議室の中にございます高度情報通信社会推進本部、このメンバーの中に情報通信分野に関する専門スタッフというのは何人いらっしゃるんでしょうか。
  61. 潮明夫

    説明員(潮明夫君) 事務局の体制についてでございますが、内政審議室におきましてこの高度情報通信社会推進本部の事務局をやらさせていただいております。郵政省、通産省出身の審議官も含めまして四人の審議官、それから五人の主査で事務を処理させていただいているところであります。  専門知識についてのお尋ねであったわけでありますが、内政審議室は、御案内のように各省にまたがります内閣の重要施策につきまして総合調整を行っているわけでございまして、いろいろな事態に適切に対応するために特に専門知識を要するというような場合には、必要に応じまして各省の御協力をお願いいたしております。今御議論をいただいております高度情報通信社会推進本部におきましても、この事務を処理するに当たりましては協力省庁をお願いいたしております郵政省あるいは通産省の御協力をいただきまして、情報通信分野におけるそれぞれの専門的な知識を積極的に活用させていただきながら進めているところでございます。
  62. 畑恵

    ○畑恵君 ありがとうございます。要約させていただくと、要するに専従の専門のスタッフの方はいらっしゃらないということでございますね。
  63. 潮明夫

    説明員(潮明夫君) この本部の事務局の事務だけに専念している職員がいるかということでありましたら、お話しのとおりでありますが、内政審議室は常に柔軟な事務体制をとっておりますので、必要に応じましていろんなところがら知識をかりて処理しているということでございます。
  64. 畑恵

    ○畑恵君 ありがとうございます。  別に私は、意地悪をしてこの質問をしているわけではございません。内政審議室というその組織に各省庁からそれぞれ内政に関するスタッフを出向させていらっしゃるわけでしょうから、この体制そのものが私自身は問題だと思っております、個々の方々の問題ではなくて。  郵政大臣先ほど、前の質疑者に対する御答弁の中で、情報通信分野一つの国家基盤を形成する非常に大きな施策として位置づけていらっしゃるというお言葉を口にしていらっしゃいましたので、これから二十一世紀の日本を盛り上げていこう、守り立てていこうという情報通信分野に関して各省庁横断的に統括していく組織に、情報通信分野に関する専門のスタッフ、専従のスタッフがいないということは、私はやはりゆゆしき問題ではないかと考えてしまいます。  例えば、これは本当に例えばの話でございます。せめて郵政省からは、各省庁もぜひそうしていただきたいと思うんですけれども、この問題について非常にお詳しい方を専従のスタッフとして内政審議室の方に出して、その仕事だけ担当なさらなくても結構でございます。何かしら本当にプロジェクトチームのようなものをおつくりになって、高度情報通信社会推進本部というそのネーミングに適合したような実効性のある組織を、私自身は、やはり情報通信は郵政省が主導でこれから日本の基幹施策として位置づけていただきたいと思いますので、ぜひこのてこ入れをお願いしたいと思うんです。  てこ入れといいましょうか、抜本的な見直しも含めて、ぜひ郵政大臣のリーダーシップを私自身は期待をしておるんですけれども、堀之内郵政大臣に、スタッフを出していただけるか、そういう具体的なことも含めてお尋ねしたいと思います。
  65. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) 基本的な問題につきましては、先ほど内閣の内政審議室の方からも答弁申し上げたとおりであります。  高度情報通信社会推進本部というのは、平成六年八月に閣議決定をされまして設置されておるわけです。その目的は、我が国の高度情報通信社会の構築等を政府として総合的に推進するというのが一つ、そして、情報通信の高度化に関する国際的な取り組みについて我が国が積極的に取り組む、この二つを目的として内閣につくられ、総理大臣が本部長、そして郵政大臣及び通産大臣が副本部長という形になっております。そして、関係閣僚が集まってこの高度情報通信社会推進本部を構成いたしておるわけでございます。  したがって、高度情報通信というのは、これはもう郵政省だけがやる問題ではなくて、そのために総理が本部長ということになり、私ども二人が、直接というか、ハード面、ソフト面で非常に関係の深い郵政大臣と通産大臣が副本部長として総理を補佐している、こうして運営がなされておるわけであります。  したがって、高度情報通信となりますともうそれぞれ関係各省にこれは全部またがっておりますので、各省でいろいろばらばらやってもいけませんので、そのまとめをしていただくのが内政審議室であり、そしてまた、そこでいろんなテーマを出していただく、それに対して各省が研究あるいは開発に取り組んでいくというのがこの情報通信本部だ、そう思っております。そのために、私どももネットワークインフラの整備とか、あるいは公共分野の情報化、あるいはこれに関係する諸制度の見直しというかフォローアップを毎年行っておるわけでございます。  今後は、やはり高度情報通信社会の構築は、何といってもこれは政府だけではなくて民間活力を大きく活用していく、これも最大限発揮されるような形で、政府はその環境整備を行う、あるいは大幅な規制緩和を行っていくという形で、民間の活力が十二分に発揮されるような社会をつくり上げていくということがこの推進本部の大きな役割だ、こういうように思っております。したがって、これからもこの高度情報通信社会推進本部においては、そのような国の基本的な政策を取り決めていくということに主眼を置きながら、各省ともどもに連携をとっていきたいと思います。  そうした意味で、私は今の内政審議室が、専門家をやると自分の偏見に偏ることが出てまいりますので、今の方がまとめ役という意味ではかえっていいんじゃないか、こういうように思っております。
  66. 畑恵

    ○畑恵君 よくよく御承知で今の御答弁をいただいているので大変恐縮なんでございますけれども、私は情報通信のみに詳しい人間を集めろということを申し上げたのではなくて、当然各省庁の御専門の知識があって、なおかつ情報通信というのは非常に専門的な知識を要しますので、そういう知識をお持ちの方々が取りまとめをなさらないと、確かに今の状態では、高度情報通信社会推進本部がなさっていることというのは、例えば各省庁の予算が出ましたら、それを全部数字的に統計として集めて紙をつくられるという、そうした取りまとめだと思います。  私は、やはりこの情報通信分野というのは、アメリカでもマレーシアでもシンガポールでも各国で皆そうでございますけれども、非常に強いリーダーシップのもとに明確なビジョンを持って臨まないと事が進まない、そういうことだと認識しておりますので、単なる取りまとめではなくて、コンセプトづくり、ビジョンづくりというのもぜひこちらで担当しなければ、ほかにつくるところがないのではないかと危惧しておるわけです。  そして、先ほど大臣からもお話がありました民間活力を導入するという、その中できちんと有識者会議というのを持たれていらっしゃいますけれども、若干皆様、上り詰められた大変偉い方々ばかりでございまして、果たして世界の動きを最先端でキャッチしていらっしゃるような、そういう現業に携わっていらっしゃる方なんだろうかという点では、私はいささか疑問に感じております。  アメリカのNII構想というものももう第二期に入っておりますので、そろそろこの高度情報通信社会推進本部、今まできちんと役割を果たしたことは私自身も評価しておりますけれども、抜本的な見直しを図る時期ではないかと思います。この点につきまして、もう一度郵政大臣にお言葉をいただいてよろしゅうございましょうか。
  67. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) 高度情報通信社会推進本部委員は、これは総理大臣が任命されるわけでありますが、非常に学識経験豊かな方ばかりで、一番若いのは四十三歳の方から、やはりそれぞれの専門家あるいはまた学識経験者を委員に委嘱をされておられまして、こういう方々から貴重な御意見等をお受けになられて、さらにその意見等を内政審議室でまとめていただく、それを我々また推進本部の閣僚会議で、それぞれ総理からの指示があるところであります。私の電気通信審議会の委員にいたしましても、若いというか、それぞれ専門家を入れたりお願いをしておりまして、もうほとんど三分の一は五十代であります。  だから、これは何も若いとか年とかいうわけじゃないと思いますが、特にこの高度情報通信社会推進本部というのは、もともと大きな日本の国家的なプロジェクトを検討いただくわけでありますので、そういう意味では経験豊かな方々を御指名されたのだろう、私は、これは総理が指名されるわけでありますので、そのように理解をいたしておるところであります。
  68. 畑恵

    ○畑恵君 時間になりましたので、これで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  69. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十一分休憩      —————・—————    午後一時開会
  70. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  委員の異動について御報告いたします。  本日、松前達郎君が委員を辞任され、その補欠として伊藤基隆君が選任されました。     —————————————
  71. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 休憩前に引き続き、電気通信事業法の一部を改正する法律案国際電信電話株式会社法の一部を改正する法律案及び日本電信電話株式会社法の一部を改正する法律案の三案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  72. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 平成会の魚住裕一郎でございます。午前に引き続きまして、会派は変わりますが、質問をさせていただきます。  午前、北岡委員の方からKDDの西本参考人に、有効な公正競争の条件は何かということで、三点ほど西本参考人は述べられました。完全な会社の分離、それから接続ルールの厳格な適用、それから地域内における有効競争によるコストの低減というようなことでございました。お話を伺って、まさにポイントをついたお話だなというふうに思います。再編成をして有効な競争を確立する、これが一つの今回の法案の趣旨でございますので、今言った趣旨で質問をさせていただきたいと思います。  最初に、今回、長距離、また西、東、それから持ち株会社という形で再編成を行うわけでありますが、NTT、本当に大企業でございますし、大変多くの子会社関連会社を持っておられると思います。持ち株比率が五〇%を超えるのは七十二社ですか、あるいは二〇%以上五〇%以下が六十社、二〇%未満が二百七十八社というふうに伺っておるわけであります。午前中の質問でもございましたNTTドコモ、公取からの指摘があっても五〇%以上を維持するぞというようなお話もございましたけれども、大きな会社もあれば小さな会社もある。傘下も一万社とも言われておりますが、このNTT再編に絡んで、どのような考え方あるいは基準を立ててこの関連会社、子会社を引き継ぐというようなお考えなのか、まずその辺をNTTにお伺いをしたいと思います。
  73. 井上秀一

    参考人(井上秀一君) 再編後、どのように子会社群を持つのかということでございますが、いわゆる三事業以外の会社については今後の再編の実施計画の中で具体的に決めていくという形になって、まだ最終的には決まっておりません。  しかし、どういうような考え方でやろうとしているかということについてお話しさせていただきますと、具体的には、再編各社の業務内容、特性、これを勘案しましてNTTグループ全体として発展できる方向ということで今詰めているわけでございます。その中で若干、こういうものはこういうふうにやろうかという幾つかをちょっとお話しさせていただきますと、例えば全国展開を行っている会社など、今現在NTT本社が管理している会社、こういうものについては原則として持ち株会社が株式を所有していこうかというふうに考えております。  それから、国際拠点となるような海外法人だとかグローバルなネットワーク構築を行っている会社、これについては長距離会社がその株式を所有しようかということで今検討をしているところでございます。  そういう観点からいいますと、大きなドコモだとかデータというのは持ち株会社で持っていきたいなということで今進めておるところでございます。
  74. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 そうしますと、例えばよく想像で物を言いますが、電柱を立てる会社とかそういうものも多分あるんだろうと思います。そういうような会社は、逆に言えば地域会社の方に株を持っていくということになるんだろうと私は思っております。  ちょっと視点を変えて、この長距離会社、当分の間一〇〇%保有するというふうな形になっておりますが、この当分の間というのはいつごろまでを考えておられるのか。抽象的にはいろんな表現ありますが、大体いつをめどに、何年後をめどにこの一〇〇%を解消していくのか。その場合、持ち株比率はどの程度まで下げていくのか、数値的な意味も含めてお聞かせいただきたいと思います。
  75. 井上秀一

    参考人(井上秀一君) 長距離の株式を持ち株会社がどういうふうに持っていくのかという話でございますが、法律的には、売却していくという場合には郵政大臣の認可を必要とするということで、今後具体的な問題としてそういう認可を必要としてやるかどうかという話でございます。何分、今回長距離会社自身が国際通信事業に出ていくということで、グローバルの競争がどうなっていくかということをきちっと見きわめないと、ちょっとそういうような事業展開がどうなっていくかということも見通しがつきませんので、そういうようなものを十分見きわめてやっていかなきゃいかぬということでございます。  当分の間というのは法律的にはいろいろあろうかと思いますが、実際事業者としては、今後のそういうグローバルの競争条件、それによっていわゆる長距離事業者がどういうような事業展開になっていくかということを踏まえながら、企業として発展していくためにはどうしたらいいかという観点で決めていくということで、現時点では全く白紙でございまして、先生お答えできないんでまことに申しわけありませんが、そういうような状況でございます。
  76. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 状況を見て考えるよというような結論だと思いますが、今回じ点につきまして郵政省としてはどのようなお考えで当分の間という形になっておるんでしょうか。
  77. 谷公士

    政府委員(谷公士君) この長距離会社の株式処分につきまして郵政大臣の認可を当分の間というふうにいたしておりますのは、今回の再編成によりまして電話サービスの供給構造の急激な変化が生ずることになるわけでございますけれども、このことがあまねく電話サービスの確保等について問題を生ずることにならないかという懸念があるということでございます。したがいまして、この当分の間は、そういった懸念の内容が明らかになるまでの間、持ち株会社による長距離株式会社の株式の処分を認可にかからしめるという趣旨でございます。  したがいまして、そういう意味から申しますと、具体的にいつごろかということを申し上げるのはなかなか難しいわけでございますが、もしこの認可制そのものを見直すということであるとすれば、それは再編成によりまして別会社となりました長距離会社地域会社との間の連携が十分円滑に機能していくということが見きわめられればよろしいということになろうかと思います。
  78. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今回の再編成におきましても、資本系列を考えると国が大きな株主なわけです。あと持ち株会社、それから順次傘下に入っていくという形になっておるわけでございますけれども、株式いっぱい持っていれば人材を送り込むというのが大体会社の当然の理屈であります。今現在のNTTにおきまして、郵政省OB、人材をたくさん輩出しているわけでありますが、どの程度NTTにおいでいただいているのか。また、天下りという観点でございますけれども、再編成後、このOBの皆様に来ていただく要請というのはあるのかどうか、またその場合の取り扱いはどのようにお考えなのか、この辺につきましてNTTにちょっとお伺いをしたいと思います。
  79. 林豊

    参考人(林豊君) ただいま郵政省を退職されて私ども関連に役員として来ておられる方の数ということでございますが、NTTには郵政省から四名、それからグループ会社には十二名という数字になっております。  それから、後段の御質問につきましては、全く今時点でそういうお話はございません。いずれにしましても、私ども役員を受け入れるに際しましては、従来からさようでございますけれども、十分役員としての適格性を備えた方を役員に配置するということでございますので、一般論として申し上げれば、今度の再編後の各社の責務あるいは業務範囲といったようなものが今後詰められてまいりますので、そういった方向性を見ながら、また役員としての適格性を備えた方を判定していくということになりますので、そのことの考え方が、具体的にどういうふうな人かということについてまでまだ全く今の段階では白紙だということで御理解をいただきたいと思います。
  80. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 ちょっとまた観点は違うんですが、いろいろお客様に対してNTTサービスあるいは料金とかにつきまして情報を提供していると思います。今NTT一社ですから、お客様と一般株主は近いところにいるわけでありますが、東西に分けると事業会社のお客様と株主が分離するわけです。株主にはいろんな情報が入るけれども、お客様にはなかなか情報が入ってこないということもあり得るかもしれない。  例えば、東会社の料金には西会社への負担金もこれだけ入っていますよ、だからあなたの料金は西の会社を支えているんですよというような情報もきちっとお客様に開示されるかどうか、その点はいかがでしょうか。
  81. 井上秀一

    参考人(井上秀一君) 我々、今現在一社の段階で、株主の皆様それからお客様の皆様にできるだけ正確な情報をということで取り組んでいるわけでございますが、今回再編された後どうなるのかということでございます。基本的には、現行の水準を下回らない、情報開示の内容を下回らないということで取り組んでまいりたいというふうに思っております。  確かに今おっしゃられましたように、グループ各社、東西に分かれますと、持ち株会社だけの情報じゃないのか、NTTの今の株主の方が持ち株会社の株主になるということで、東西の状況はどうなるのかということでございますので、東西NTTを含んだいわゆる再編会社、この業績や各種経営状況、こういう成果、こういうものについては再編各社を含んだ情報を十分かっ適切に開示していくということで取り組んでまいります。  そして、具体的なやり方について今検討しておりますが、先ほども申しましたように、開示の内容について現行の水準を下回らないということで、株主の皆様それからお客様の皆様、今までいろんな手法で開示しておりますが、これをしっかり守っていきたいというふうに思っております。
  82. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 ちょっと細かい点に入り込んでいくんですが、今度の再編各社の関係において、持ち株会社地域会社に対していろんな支援策が定められております。助言とかあっせん、その他の援助というような言い方になっておりますが、具体的には、この助言あるいはあっせんというのはどういうことを指しておられるのかということをちょっとお聞きしたいと思います。郵政省お願いします。
  83. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 持ち株会社は、地域会社に対しまして株主権を行使することに加えまして、地域会社が適切かつ安定的に電気通信サービスの提供を行えますように、さまざまな支援業務を行うことが期待されております。  具体的には、御指摘のような「助言、あっせんその他の援助」ということが法文に書かれているわけでございまして、これらについて具体的にどのようなことを行うかということはそのときの事情に応じて会社がお考えになるわけでございますけれども、一応こういう条文をつくりましたときの私どもの予定といいますか考え方についてお答えしたいと思います。  まず、助言といたしましては、例えば損害賠償訴訟等の法務に関するような助言、それからサービスやネットワーク投資の将来方向についての助言、それから、あっせんといたしましては資金調達あるいは資材調達のあっせんが想定されます。それから、その他の援助と申しますのは、これはいろいろあり得ると思うのでございますけれども、例えば事業経営、研究開発についてのいろんな情報提供というふうなことも一つ考えられるというふうに思っております。
  84. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 ちょっと今の特にあっせんというのがよくわからなかったんですが、資金あるいは資材というお話でございました。持ち株会社がなぜ東西の会社に対して、例えば資材調達についてあっせんせにゃならぬのかというのがよくわからぬのです。グループでまとまって買えば安く買いたたけるのかということもあろうかと思うんですね。ただ、それぞれ少しでもよい資材をということ自体もまた競争ではないのか。  また、ことし秋、九月ですか、アメリカとの調達の問題もございます、協定が切れると。その後どうするのかということもございますけれども、そんなことも全部ひっくるめてこのあっせんというかそういうところにかかってくるのか、よくちょっと理解できないことがあるんですが、その辺ちょっと教えていただけますか。
  85. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 確かに一つの例示として申し上げましたが、おっしゃいますように、それぞれの会社、独立した会社となりますので、資金であれ資材であれ、基本的にはそれぞれの会社において調達するということが原則であろうと思います。  この規定は、持ち株会社によって支援を行うことが必要な事情あるいは事態があります際に、これらについての援助を行うという趣旨でございますので、そういう意味で、その状況と申しますのはただいま直ちにこういう状況ということは申し上げられませんけれども、そういう必要がある場合のという意味でございます。  それから、NTTのアメリカとの資材調達取り決め、この関係についてのお尋ねでございますが、再編成後のNTTの資材調達のあり方につきましては、今後NTTにおいて検討されるべき事柄だというふうに基本的には思っております。  ただ、NTTの資材調達につきましては、電電公社時代いろいろ経緯がございまして、日米政府間におきまして交渉の結果、一九八〇年の十二月に当時の電電公社の電気通信設備の調達手続について合意が行われまして取り決めが定められました。NTTは、十二年前の民営化後も、基本的にはこの取り決めに基づきまして内外無差別な調達手続をとってきておるところでございます。  この手続は一九八一年の一月から行われておりますが、ほぼ三年単位で更新をされてきておりまして、ことしの九月末で期限が到来いたします。今後の取り扱いにつきましては、どういう取り扱いをするにせよ、経緯がございましたので、日米両政府間で話し合いを行うことが必要ではないかというふうに考えております。  ただ、米国政府は、先般、NTT及びKDDの米国子会社の認証の条件といたしましてこの問題を持ち出してきたわけでございます。そういう事情、およそ関連のない問題について人質をとるような形で問題提起をしてきたという事情を考えますと、先ほど申し上げましたようには考えておりますけれども、直ちにこの延長交渉、申し入れがあったとしましても応じられる状況にはないのではないか。  私どもといたしましては、まずNTTKDDの子会社に対する認証を速やかに行っていただくことを期待しておるという状況でございます。
  86. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 これ以上細かくなっていくと外交交渉の問題になりますから、ちょっと問題を変えます。  今度のこの法案では、地域会社は移動体通信あるいはCATVの参入は認められないということのようでございますが、去年の電通審の答申では直ちに認めるというようなことではなかったのかと思いますが、何で認めないようになってしまったのでしょうか。
  87. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 答申におきましても、例えば地域会社につきましては地域における競争の進展状況に応じてということであったかというふうに思うわけでございます。  現在のこの再編時の状況で申しますと、地域会社は地域電気通信事業を目的とする特殊会社でございまして、目的が与えられております。その目的を達成するために必要な業務その他を行うことができるわけでございますけれども、そういう観点から、このCATV事業進出することは難しいと考えております。  それから、移動体通信の問題でございますけれども、これはそもそも地域通信網の独占力が存在する間は、その独占力を理由として公正競争観点から問題があるということで分離をされてきている経緯があるわけでございまして、そういう意味で、そういう経緯で分離されました移動体通信事業を行うことも適当でないというふうに考えている次第でございます。
  88. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 本来、この事業会社はいろんな目的を定款に書いて、それに附帯する一切の業務という形でやるわけですね。移動体通信だって通信ですから当然排除するまでもないというように私は思っておるんですが、なぜあえて排除するのか、もう一度お願いします。
  89. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 附帯する業務あるいは目的を達成するために必要な業務は行うことができるわけでございますけれども、そもそも電気通信事業につきましては、NTTがすべての電気通信事業を一方で独占部門を持ちながら営むこと、このことが電気通信市場全体における公正競争上問題があるということで分離という話になってきておるわけでございます。  したがいまして、そういう経緯で分離が行われてきておりますので、それに逆行するようなものはその趣旨からいって、今回の再編成法案自体も独占部門の地域を分離する、そして残された部分については自由にするということではございますけれども、ただその関係につきましてはまだ完全に資本関係が切れているわけではございません。そういう意味で、独占力との関係で公正競争上の観点から分離されましたような事業につきましては、この再編の形の中でもとへ戻していくということは適当でないというふうに考えるわけでございます。
  90. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 そうはおっしゃいましても、やはり移動体通信というのはもうかる部門ではないのか。そうすると、例えば西会社においてもNTTドコモとかあるんでしょうけれども、独自に移動体通信の分野に踏み込んでもいいのではないのかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  91. 谷公士

    政府委員(谷公士君) この地域通信会社でございますけれども、これは基本的に現在九九%の独占度を持っておるということから、それを独立させるということが今回の再編成の趣旨であるわけでございます。  したがいまして、この地域通信網に全く依存しない通信事業であればそういう公正競争上の問題は起きないということは事実でございますから、それが目的達成その他の規定で許されるものであればこの制度の中で認められると思うのでございますけれども、移動体もやはり地域通信網に依存する通信システムの一つでございまして、そういう意味で、今回こういった独占部門の分離を行っておりますという趣旨から考えますと、地域に競争ができるまでの間はそういう意味で競合する形の通信事業を行うことは適当でないということでございます。
  92. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 それから、法案の附則の五条関係でございますが、地域会社の設立に関連して株式の発行価額の二分の一を超える額を資本に組み入れなくてもいいですよということでございます。商法二百八十四条ノ二第二項本文では全く逆の原則になっているわけでございまして、あえて商法の大原則をひっくり返してまでこういうような特則を設ける趣旨をわかりやすく説明してください。
  93. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 専門家でいらっしゃる先生にわかりやすくとおっしゃられると私も非常に困るのでございますが、御指摘のとおり、確かに今回の再編成に伴う会社の設立は基本的に商法に従って行われるということになるわけでございます。ただ、特殊会社でもございますし、それから事業を行いながら再編成をしていくといういろんな事情等から設立手続の面で特例を幾つか設けているということはございます。  御指摘の資本金の組み入れについての特例でございますけれども、今回の再編成が、国が法律に基づきましてNTTに実施させるものであるという性格にかんがみまして、再編成に伴う再編各社の資本金額につきましては、配当負担、これは資本金をどのぐらいにするかということによって配当負担が大きく変わるわけでございます。配当負担の問題でありますとかあるいは他の民間企業、これもスタート時点は別といたしまして実態として出てまいりますいろんな民間企業との比較など、そういったことにつきましてNTTにおいて経営上の判断を柔軟に反映し得るような形にしたい、そういう考え方でございます。  この特例を設けるに当たりましては、今回の再編成においては、持ち株NTT再編各社の株式を一〇〇%保有することになるわけでございますので、そういう意味で二分の一組み入れを義務づける必要性に乏しい。すべて持ち株会社が持っておるという形でございますので、一般的に商法で考えられておりますような会社財産を確保するという観点からの必要性については乏しいということでございます。  それからもう一つは、NTT民営化の際、十二年前にも本特例と同様の措置を講じてきておりまして、これはJR、JTも同様の特例を設けておると考えております。そういう点もございましてこのような形をとっておるところでございます。
  94. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 資本関係はその辺にしまして、今度は地域内の競争についてちょっとお尋ねしたいんです。  一定の地域内において有効公正な競争ができるように、そういう方向性で法案を出されているわけでありますが、自分も電話を持っています、郵政大臣ももちろんお持ちだと思います。郵政大臣のような大物政治家になると、例えば後援者も数十万人になるんじゃないだろうかというふうに思うわけであります。そうしますと、例えば後援会事務所の電話番号というのがあるわけで、選挙になればあちらこちらに電話をするわけですね。そうすると安い料金の電話会社を使いたいという要請が当然出てくるわけであります。ですから、もし数十万軒に電話をかけるとすれば大変な額になるわけでありますけれども、では競争会社がいて、安いからそっちに行くよというときに今度困る問題が実は出るんですね。それは例えば、郵政大臣の後援会事務所が何番としてあって電話番号が変わってしまったら、今度はそれをお知らせするのに莫大な費用がかかる、そういう問題が生じるわけであります。  これは我々政治にかかわる者だけじゃなくて、企業ならもっと大きな、例えば何々株式会社代表番号何番とあるわけで、競争相手の会社に移るだけでその番号が変わるということ自体大変なロスになる。そうすると、実際、地域内において競争ができそうな前提ができても、番号が変わるという大変な障壁が出るわけです。だから、それは番号をそのまま持っていければいいわけで、郵政省の中においても検討はされておられるようでございますけれども、いわゆる番号ポータビリティーというのでしょうか、それが可能になれば大きく私は競争が促進されるというふうに思うのでございますが、郵政大臣のお考えはいかがでしょうか。
  95. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) 突然の質問でちょっと戸惑っておりますが、今先生が御指摘のように、電話番号の変更というのはやはり大きな事業者間においては大変な問題を起こすことは事実でありますが、これからの公正競争を確保するという面からいえば大変これは大事な問題だ、こういうように考えております。
  96. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 それは、番号ポータビリティーが可能な方向性で踏み出しますというふうに受け取ってよろしいんでしょうか。
  97. 谷公士

    政府委員(谷公士君) この問題につきましては、昨年、電気通信審議会で接続の基本的ルールのあり方につきまして御答申をいただきました際にこのことについての言及もいただいております。  具体的には、例えば番号ポータビリティーを確保すべき番号については一般加入電話の番号、ISDNの番号、着信課金サービス用の番号というようなものとすべきでありますということであるとか、それから変更する場合にポータビリティーを認める場合は、同一住所において事業者を変更する場合であるということであります。それから具体的な実現方式につきましては、番号ポータビリティーの導入に際して既存の網サービス、機能、能力が従来どおり提供できる、それから番号資源の効率的利用が図れる、それから番号ポータビリティーの導入に際しては、事業者が提供するサービス品質、ネットワークの信頼性について不合理な低下を来さないと。そういったいろいろな条件といいますか要件を示されて、番号ポータビリティーが確保されることが求められるということを接続の問題に関する答申の中で付言しておられるわけであります。  これを受けまして、私ども研究会を設けまして検討いたしてまいりました。  その結果、昨年の十一月からことしの五月まで、電気通信の番号に関する研究会というものでございますけれども、この結果、番号ポータビリティー実施時における番号管理方式について幾つかの検討をしてもらいました。  例えばその一つを申し上げますと、一般加入電話、ISDNの番号ポータビリティー実施時の番号管理については、番号ポータビリティーによらない番号の管理も含めて、番号割り当てなどの効率的実施、それからルーチン処理の軽減を可能とすることが重要であることから、各地域系事業者ごとに市内番号を割り当てる方式が望ましい。例えばそういったような幾つかの具体的な方法についての研究結果をいただきました。  これを受けまして、私どもといたしましては、先ほど申し上げました電通審答申の中にも書いてございますが、二年ぐらいかけて検討して、さらに二年で実施するようにということがございましたので、私どもはこれを受けまして平成十年を目途にして実現方法を今検討しているところでございます。これができましたならば、十二年を目途に導入を図りたいというふうに今考えているところでございます。
  98. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今、地域別というような言い方がありましたけれども、個々人の加入者あるいは事業者、この番号はいかがですか。
  99. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 失礼しました。言葉が足りなかったと思います。  それを実施するために各地域事業者ごとに市内局番を割り当てなければならないということでございますので、そういった仕組みのもとで、おっしゃいますように同一住所での事業者変更については番号ポータビリティーを確保するという趣旨でございます。
  100. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 それは、答申の中身においては二年を目途に検討しというと、やらないことも検討しているのかなというふうに思ったものですから。逆で、これはやりますということですね。確認です。もう一度お願いします。
  101. 谷公士

    政府委員(谷公士君) その方向で現在検討を進めているところでございます。
  102. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今回、接続に関しましていろんなルールをつくられておられます。今後、地域通信事業競争を促進していくために接続ルール整備することが本当に大事だなというふうに思っております。  アメリカでは昨年の二月に電気通信法が成立して、また八月ですか、接続のルールが決まりました。イギリスでも接続ルール整備されてきておりますけれども、今回のこの法案による接続ルールというものは、諸外国、欧米と比較して遜色ないものというふうにお考えなのかどうかということをお聞きしたいと思います。  これから日本の生き方として、人、物、情報、いろんな分野でのハブとなっていくことが私は日本のために大事ではないか。特に高度情報社会と言われます、情報のハブというような意味日本は生きていくことが大事なのかなというふうに思うんですが、そのためにはルールがきちっと確立してかつ料金が安いということが大事なわけでありまして、ルールの比較という意味でございますけれども、遜色ないものかどうか、その辺、いかがでしょうか。
  103. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 今回の接続ルールにおきましては、まず第一種電気通信事業者の接続の義務化を行いました。それから、一般の電気通信事業者が依存する度合いが高い電気通信設備に関しましては、そういった設備を持っておる事業者が接続約款を作成する義務がある。それから、その接続約款のもととなります接続会計を整備する必要があるということを決めております。また、その約款におきましては、接続会計の結果に基づきまして細分化された単位ごとの料金を定めることが必要ということを決めております。  こういった形で、透明、公平かっ迅速な接続が確保されるような仕組みを考えているわけでございます。  電気通信市場競争を導入しております米国及び英国の接続ルールにおきましても、ほぼ同様に接続義務の明確化、約款化など接続条件の透明化を図る措置、それから公正かつ合理的な接続料金の算定方法等を定めておりまして、内容的にも今回の先ほど申し上げました私ども考えております接続ルールと類似しております。  これらの諸外国の接続ルールと比較いたしまして、ただいま御審査をお願いしておりますものに基づきまして設定してまいりますルールは遜色のないものとなるというふうに考えております。
  104. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今現在、NCCのNTTへの接続料金、平成七年度で見ますと大変な金額を払っているわけです。長距離系事業者でいえば四三%も接続料が占めている。また、PHS事業者二十三社、年度途中からでございますけれども、接続料が計九九%に上っているという数字になっております。  今回の接続ルールというものは、この実施によって接続料金を引き下げることにつながるのかどうか。翻っていえば、NTTは料金が下がるということは逆に収入減になるわけでありますけれども、このルールによって料金が下がるのかどうか、その点はいかがでしょうか。
  105. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 現在、新規参入事業者がNTTに支払っておられます接続料は、平成八年度におきまして全体で約六千億強でございまして、このうちの長距離系の事業者について見ますと、八年度における売り上げの約四割がこれに充てられているということでございます。したがいまして、御指摘のように、接続料の低下は我が国全体の通話料金の引き下げにつながるものと考えております。  と申しますのは、これまでの経緯を見てみますと、NTTと新規事業者の協議におきまして、接続料の算定根拠が明確化されることを通じまして接続料の低廉化が図られているという実態がございますので、今回の接続ルールにおきましても、接続会計制度の導入によって接続料の算定根拠の明確化が徹底されますことから、接続料の一層の低廉化につながるものというふうな期待をしているところでございます。
  106. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今度は公正さをどのように担保するかということでございます。大体ルールが決まってきますけれども、例えばNTTにおいても長距離会社関連会社としてあるわけでございまして、NCCとの対比において不利な条件を課すことがないとは言えないんではないかという懸念があります。この公正さをどのように担保していくのか。約款作成とかありますけれども、そういうことで公正さをきっちり確保できるのか。あるいは交渉事でございますので時間を不当にかけることもあるかもしれません。そんなことも含めて公正さの担保についてちょっとお聞きしたいと思います。
  107. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 御指摘のように、電気通信事業者が、利用者に対しまして低廉かつ多様なサービスを迅速に提供いたしますためには、事業者間の円滑な接続が確保されるということが極めて重要でありまして、特にその中で接続料金の公正さを担保することが重要なわけでございます。  今回の接続ルールにおきましては、先ほどもちょっと申し上げましたけれども事業者間の通信回線の接続に要する費用を明確化するために特別な会計制度を設ける、それからその会計結果に基づきまして接続料を算定する、そして一度定めた接続料につきましては毎年の会計結果に基づいて見直すということをしております。それから、この接続につきまして他の通信事業者がその使用を必要としますような、指定電気通信設備と言っておりますけれども、例えば加入者のネットワークにおけるNTTの今現在持っております加入者網でございますが、こういった設備を持っております事業者につきましては、こういった会計に基づきましてその内容を約款化しなければならないということになっておりまして、あらかじめその条件が公開され定められているわけでございます。  それからまた、この接続会計におきましては、今申し上げましたような指定電気通信設備を持ちます事業者は、この設備を管理運営する部門とそれからこれを利用して顧客にサービスを提供する部門とに会計を区分いたしまして、前者でありますこの指定電気通信設備を管理運営する部門の費用をもって接続料の算定の基礎とするというふうに決めております。  この方式によりまして、接続の対象となる設備に関連した費用というのが非常にはっきりいたしまして、これが接続料の原価となるわけでございまして、コストベースの適正な接続料算定が可能となります。  それから、この接続料につきましては、先ほど申し上げましたように約款として定められるわけでございますから、これもその利用度合いに応じましてNTT長距離会社とNCCとにひとしく同じ条件で適用されることになるわけでございます。そういう意味では、NTTのグループの中における提供条件も、それから外部の新規参入事業者に対する提供条件も、非常に明確な形で同一の条件を適用するということになります。そういう意味で、いろいろな面から見まして公正さが確保できるものと考えております。
  108. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今、指定電気通信設備というお話が出てまいりました。この指定でございますけれども、電通審の答申ではこの指定をどうするか、これは五〇%超というようなお考えのようでございます。だた、欧米では二〇%あるいは二五%というようなことではなかったのかと、ちょっとうろ覚えですが思っております。確かにいろんな事業展開の中で、独占というかその分野を押さえ得るというのは大体二割ではないのか、あえてこれを五〇%超にした理由はどういうことからでしょうか。
  109. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 理由でございますけれども、加入者回線の過半数を有しておりますれば、常に他の事業者より多くの加入者回線を有しているということでございますから、交渉上非常に優位な立場に立つということが考えられます。それから、独占禁止法における独占的状態の基準におきましても五〇%を超えるという基準が採用されております。また、その他のパーセンテージについて意見が出されたこともあるのでございますけれども、なぜそのパーセンテージを選ばなきゃならないかということにつきましては余り明確な議論がございませんでした。  それから、市場支配力という観点から見ますと、独占禁止法における合併の重点的審査対象案件の基準は二五%でありまして、ちょっとお話もありましたヨーロッパ、EUの指令におきましても二五%という基準が設定されておるわけでございます。そういう意味で、五〇%を下回る基準ということもあり得るのではないかという御指摘だと思いますけれども、特別な接続ルールは、独占的なボトルネック、この指定電気通信設備を有して圧倒的な市場支配力を有する事業者に対することが適当であるというふうに考えまして五〇%ということを決めたわけでございます。  また、現実の問題として、この加入者網は基本的に独占で残っている分野でありますけれども、実態として九九%の独占度であるわけでございますので、将来の問題として、事情の変化に応じてどのようなことを検討すべきかというそういった新たな問題の発生ということは別といたしまして、現段階においては、やはりこの圧倒的な市場支配ということを前提とした基準を考えていけばよろしいのではないかというふうに思うわけでございます。
  110. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 本当に競争状態に持っていけば、やがてはきちっと二〇%を超える業者も出てくるんだろうと。局長がおっしゃったように今は九九%、そこから見れば五〇%は低いのかなというか、確かにおっしゃるとおりだと思いますけれども、いろんな事業会社が参入してきてそれぞれ例えば三割ずつ持った、そうすると指定を受ける者がだれもいなくなっちゃうという状態になるのではないのかということで‘私はこれを心配しているんですが、いかがですか。
  111. 谷公士

    政府委員(谷公士君) ちょっと繰り返しになって恐縮でございますが、現在の状況で申し上げますと、先ほど申し上げたような九九%でございます。今後こういった状況が変わってくるということを我々は実は期待しておるわけでございます。その際に、どの程度の状況になってもなおこのような形での指定が必要かということはいろいろな要素を勘案して検討する必要があるわけでございまして、今後御指摘のような状況が出てまいりますれば、あるいは出てまいる可能性が具体化してまいりますれば、その段階において検討していくべきことだというふうに考えております。
  112. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今回、このような接続のルールということをつくるわけでございますが、この分野というのは、例えば携帯電話の加入者もどんどんふえておりますし、またCATVの事業者も参入してくる、ISDNの加入もどんどんふえております。数年で市場環境が大きく変わってくる、また非常に技術革新も早い分野であります。三年後にこのルール見直しというようなことのようでございますけれども、どういう方向で見直しということが想定されるのか。今回は交換器、あるいはケーブルというようなことを前提にした接続ルールのようでありますけれども、無線での接続ということも当然あるわけだろうと思います。そういうことも視野に入れての見直しを図るおつもりなのかどうか、その点お聞きをして終わりにしたいと思います。
  113. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 移動体通信事業者の設備をどう考えるかという御質問だと思いますが、これにつきましては、現在の段階で考えますと、移動体通信事業者によって提供されております通話の全通話に占める割合はまだ一割未満でございまして、しかもその中の九割近くが固定通信事業者との間のもので、片一方は移動でございますけれども、片一方は固定であるという状況にございます。それからまたさらに加えまして、この移動体通信事業者につきましてもネットワークの相当部分は固定通信事業者から伝送路を借りて構築しているという事実もございます。  こういった状況考え合わせますと、通信サービスの利用、それから新規通信事業者事業展開に及ぼす影響は、少なくとも現段階におきましては固定の電気通信設備と比べて大きくないと思われます。  したがいまして、現時点においてはこの固定の加入者回線数のみで決定することが適当だと考えているわけでございますが、将来、その三年後の見直しの際にこの移動体通信の展開がどのようになっているかということも今からこれを確定的に見通すことはできませんので、そのときにもしも今申し上げたような事情が大きく変更いたしまして、これについても考えることが適当だという状況になってまいりますれば、当然そのこともこの検討の対象としていくことになるだろうというふうに思います。
  114. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 終わります。
  115. 西川玲子

    ○西川玲子君 平成会の松あきらこと西川玲子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。  先日はNTTの研究所を拝見いたしまして視察をさせていただきました。本当にすばらしいなというふうに思いました。いながらにしてこれからは電子マネーでお買い物ができて、例えば美術館に行かなくても絵画もすばらしい画像で家の中で見られる、こういう時代、しかもテレビ会議なんというのも経験させていただきまして、ごくごく近い将来にこういうふうになるんじゃないかなという本当に大きな夢が膨らむ思いでございます。  さて、今回のNTTの再編成法案は、電気通信審議会の答申にもない決着で、先ほど宮津社長が、もう十四年間も、これ以上時間がかかっちゃとてもじゃないけれどもかなわない、それにタイミングというものがあるからちょうどよかったんだというふうに御答弁なさっていらっしゃいましたけれども、しかし、ちょっとどう考えても妥協の産物じゃないかなという気がするんですね。それでともかく、ひょうたんからこまみたいに、とにかく十四年間もかかった議論が純粋持ち株会社制ということでこのように簡単に決着がついたというわけでございます。  先日の本会議で私は代表質問させていただきましたけれども、総理は、旧国鉄と違って民営化そのものに反対があり、電電公社の経営は財政的にマイナスではない、このままでいいんだという議論からこの議論が始まっていた上に、東京という都市の通信機能が余りに巨大であったためにバランスのとれた分割案ができなかったことと同時に、旧公社の研究開発機能の、特に基礎研究部門の低下を来さないような形態がうまく見つからなかったからこのように時間がかかったと、こういうふうに申されておりました。  ところで、基盤的研究開発部門は持ち株会社に所属をいたします。先ほども申し上げましたけれども、総理も今回の法案の大きな目的の要素とお考えのようです。しかし、基盤的研究というのは応用研究と違ってすぐに収益には結びつかないと思います、この間拝見してもそう思いました。電電公社以来の基盤的研究開発が持ち株会社にゆだねられることについて、郵政大臣持ち株会社がどのようにこの国家的課題を果たし得るとお考えでしょうか。まずそこをお尋ねしたいと思います。
  116. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) 今回の再編成に当たって一番大きく問題になりました一つは、ただいま西川委員御指摘の研究開発をどういうように維持するか、こういうことであったと思っております。  そこで、NTTの現在持っておられる技術力、研究開発の制度、こういうものを何としても一つ企業体として確保するということが大きな課題であったと思っております。そういう意味では、持ち株会社という新しい制度というか、資本分散しない形でこの研究体制を維持できたということは国家的な課題として私は非常にいい方向で解決を見た、こういうように思っておるところでございます。
  117. 西川玲子

    ○西川玲子君 そこでNTTにお尋ねをいたしますけれども先ほど局長だったと思うんですけれども、基礎は持ち株会社が持つと、基礎研究の部門は。応用の部門は地域会社だというふうに伺ったと思うんですけれども、この基盤的研究開発と応用的研究開発というのはどの辺で仕分けているんでしょうか。例えば、この間拝見したテレビ会議なんというのはどちらの方に所属するわけでしょうか。
  118. 宮脇陞

    参考人宮脇陞君) 御説明いたします。  御案内のように、私ども基盤的研究開発それから応用的研究開発ということで一応はっきり分類したかのごとく言っていますが、今おっしゃられたように、その境目のところはグレーゾーンがありまして、若干どちらでしょうかという議論が起きることは御承知いただけるかと思っております。  それで、私ども基盤的研究開発と言った場合には、いわゆるネットワーク、それからサービスの革新をもたらす新しい原理、それから新しい部品、それから新しい材料、こういう技術。それから今度は新しい通信システムをどうつくるか、あるいは新しいサービスを実現する、そういう新しいシステムやサービスを実現するための共通な技術に基づく研究、こういうものを基盤的研究開発と言わせていただいております。  それで、新部品、デバイスと呼んでいますが、こういうものの研究とかそれから大容量の伝送技術、同時に非常に大きな量の情報を送る、特に光伝送技術というものでよく御存じかと思いますが、そういう技術の研究。あるいはちょっと先ほど触れられたかもしれませんが、音声とか画像認識、あるいはそれを合成する、こういう研究等が基盤ということで言えるかというふうに思っております。  そして、応用的と言った場合には、それでもちょっとおわかりづらいかもしれませんが、応用的研究と言った場合には各事業会社、東西の地域会社、それから長距離の会社ができるわけですが、こういう会社の提供するサービスとか事業運営に直接深くかかわる技術、こういうものに基づく研究開発を言っております。要するに、今提供しているサービスがあるわけですが、そういう提供中のサービスにつきまして、各事業会社がさらに新しい機能を追加するというような、機能アップのようなこと。それから、これも言葉で何回かお聞きと思いますが、マルチメディア、そういうもののアプリケーションと我々呼んでいます。実際にマルチメディアサービスとして実現するためのいろいろな、主にソフトでございますが、そういうことで付与していくわけですが、そういう研究は、これは我々としては一応応用的研究開発と呼ばせていただいております。  ごらんになった映像会議は、ある時点までは基盤的研究で、それが実際に商売に使われるようになりますと、これが応用的研究開発に変わるというふうに御理解賜ればと思います。
  119. 西川玲子

    ○西川玲子君 私が頭が悪いんでしょうね、余りよくその境がわからないというか、でもまあきっとなかなかその境をはっきり分けるというのが難しいというような気がいたします。  ところで、ことし二月の新聞報道に、通産省と郵政省の共管の基盤技術研究促進センターの出資事業をめぐって約二千二百億円が回収困難になっているという問題がありました。この事業NTTの株配当を基盤技術研究支援に向けたものとなっております。センターの出資事業は基礎研究に絞っておりましたので、昭和六十年から約二千二百億円を投資して、ロイヤルティー収入が十三億円ということなんです。だから、回収困難ということが起こっているというわけなんです。今後は、実用化の見込みが高い研究開発に重点を移すということが報道をされておりました。  このように、基礎的研究や基盤的研究というのは、もう御存じのように資金はとてもかかる。しかし、すぐには役に立たないという面があると思います。この基盤技術研究促進センターの場合は、特許料で投下した資金を回収する仕組みになっているわけですけれども、しかし、その特許使用料が入らなければこの仕組みというのは成り立たないわけです。  そこでNTTは、基礎とかいろんなものをひっくるめて年間三千百億円ほどの研究費を今まで使っております。そういうふうに調べましたら載っておりましたけれども。今後、基盤的研究開発には一体幾らぐらいお金をかける予定をしているんでしょうか。  それと一つ伺いたいのは、先ほどから基礎は持ち株会社がやりますと、応用の方は地域会社でございますというふうに御答弁いただいているんですけれども、お金の面で、これはいわゆる基礎研究部門において、地域会社からは研究のためのお金を吸い上げないのか、いわゆる持ち株会社はお金を全部持ちますよと、そして応用の方だけ東西の会社で持ちなさいというんでしょうか。その辺も含めてお答えをいただきたいと思います。
  120. 宮脇陞

    参考人宮脇陞君) 先生の御質問で、最初の基盤的研究に幾ら使っている……
  121. 西川玲子

    ○西川玲子君 今後どれぐらいか、今まではわかっています。
  122. 宮脇陞

    参考人宮脇陞君) 今後ですか。今までの数値はこの前も……
  123. 西川玲子

    ○西川玲子君 だから、今までのはわかっているんです、今後。
  124. 宮脇陞

    参考人宮脇陞君) 少なくともその数値は維持していきたいと思っております。  それで、お金の負担の仕方を御質問かと思いますが、あくまでも持ち株会社で行います基盤的研究開発につきましては東西の地域会社の方から負担していただくつもりでおります。したがいまして、その負担していただいたお金で持ち株会社が一元的に基盤的研究をやっていこう、今のところの考えでございます。
  125. 西川玲子

    ○西川玲子君 いっぱい申し上げたいことはあるんですけれども、では、委託研究という形ですよね。つまり、お金を出していただくわけですから、東西に。  そうすると、しかも東と西は同じところから出発をしていないという現状もありまして、一体東と西にどうやってまずお金の配分を分けるのかということもあります。それは、同じ土俵に乗っかっていれば別ですよ、最初から。だけれども、そうじゃないわけですから、補てんということがあるわけだから。しかも、今は一つですから、今まではこれだけ使っても、要するにそういう実がならなくても将来のために一生懸命研究していたという部分があるわけですけれども、仮に東西でお金を幾らずっと決まって負担になった場合、これ二十年先のその形が成るために負担をし続けていくことに対して不満が出てきたり、あるいはうちの西の方は東から比べてこれだけあれなのに何でこれだけ取られなきゃいけないんだなんということも起こってくると思うんですけれども、そこまできちんといろいろなことでお金の配分等を考えていらっしゃるんでしょうか。
  126. 木塚修一

    参考人(木塚修一君) お答え申し上げます。  先生御指摘のように、基礎・基盤研究というのは時間も息も長くかかるわけでございまして、当然、事業会社、これは東西と長距離に負担を今させるようにルールを考えておりますが、そういうことを考えますと、永続的に果たしてグループ内の結束が守れるかどうかという問題は御指摘のとおりと考えております。  我々は、持ち株会社制度を適用いたしまして今回の再編考えておるわけでございまして、グループが一体となってこの歴史ある基盤・基礎研究の原資というものをひねり出していくと。もちろん私どもの子会社にはいろんな子会社があるわけでありまして、産業の栄枯盛衰と申しますか、絶えず同じ事業で利益が上がっているという実態にはございません、歴史的に。そういった点も踏まえまして、経営の多角化を推進してこれをきっちり支え通したい、こういうふうに今考えております。
  127. 西川玲子

    ○西川玲子君 御立派な答弁だと思うんですけれども、本当にそうなったらいいと思いますね。この先、競争しなきやならない状況で、果たしてそれが本当にずっと続いていくんだろうかという不安は確かに、私でも思うんですから、皆さんもちろんおありだと思うんですけれども。  しかし、この研究成果というものがあらわれてきた場合、これを例えば東だけにあげちゃったら西あるいは長距離が怒るとか、そういうことについてもなかなかこれ難しいと思うんですけれども、その辺についてはいかがでしょうか。
  128. 宮脇陞

    参考人宮脇陞君) この件につきましても私ども鋭意検討中でございますが、現在の考え方では、これまでに、いわゆる再編成時までと言った方がよろしいかもしれませんが、再編成時までに私どもが生み出した成果というものにつきましては、基盤的なものにつきましては持ち株会社に、そして応用的なものについては事業会社に持たせようと考えております。そして、編成後の成果というものにつきましては、東西あるいは長距離会社に負担していただいているわけですから、持ち株会社の成果というのは一応持ち株会社が管理をしますけれども、その成果というものは自由に使えるようにさせたいというふうに考えている次第です。
  129. 西川玲子

    ○西川玲子君 もちろんそうでしょうけれども、私がお尋ねしたのは、自由に使えるにしても、お金の配分でこっちが取っただの、この成果はこっちだなんといういろんなことが起こり得ないかなという心配についてどういうふうに考えていらっしゃるかということを私は伺いたかっただけで、もちろんお金を取っているのにその方たちに出さないなんてことはあり得ないことで、管理をなさっているというのはわかりました。  今後、成ってみなきやわからないと、きっとそういった形ですね。
  130. 木塚修一

    参考人(木塚修一君) これは十分グループ内の意識統一をしていくわけであります。グループ企業経営というものでございますから、当然グループ内に規約等をつくって、そして結束強化を図りつつこれを推進していくということでございますので、できるだけの知恵は絞って合理的に進めさせていただきたいと思っております。
  131. 西川玲子

    ○西川玲子君 御苦労だと思いますけれども、どうぞよろしくお願いを申し上げます。  次に、NTT株式の処分についてお尋ねをいたしたいと思います。  現在、政府の保有する株式は一千四十万四千株と聞いておりますけれどもNTTには百六十万人の株主がおりまして、株の高いときには一株三百十八万円、最低が一株四十五万三千円と、ここしばらく見ておりますとちょっとずつ上がってきたみたいで、百十万円くらいということでございます。長い間の低迷ということですけれども、やはりこの経営形態の問題、どうなるんであろうかという不透明さが大きく響いていたんじゃないかというふうに私は思います。  そもそも今まで売却した売却収入が十兆円ほどありました。NTTの株式は国民の共通の財産という性格ですから、国債の償還に充てるということになっておりまして、いろいろな社会資本整備に使われたのは存じております。このたびNTT株が再度売却されるという方向のようでございますけれども、二十一世紀は情報通信社会の時代でしょうし、また情報通信がこれからの産業のリーダーになっていくのは必然の理であるというふうに私は思います。  これからNTTの株式が売却される場合、今度はその収入を情報通信基盤の整備マルチメディアといった最先端な技術開発に重点を置くべきだと思うんです。道路なんかでもここまでよくなったのはたくさん資本を投下してきたということもあるように。しかし、そう考えてみましても、まだまだ情報通信社会としての環境は整っていないというふうに思います。ですから、そういった意味での社会資本整備を大事にしてもらいたいと思います。二十一世紀の情報通信社会に対する社会資本整備という概念を情報通信インフラと読みかえて関係大臣に迫るべきだと思いますけれども郵政大臣のお考え伺いたいと思います。
  132. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) ただいま西川先生から御指摘されましたように、私も全く同じ考えでございます。今日まで約十兆円処分されまして、約六兆円は御案内のA、B、C、C´という四種類で利用されてまいったわけであります。A、Bの方に、いわゆる道路整備その他に約六兆円使われておるわけであります。  今後の情報通信インフラ等について積極的にこれを活用することが本筋だとは思いますが、最近の国の財政事情その他から、なかなか十分な目的が達成されるかどうか、この点非常に疑問に思っておるわけでございます。  しかし、郵政省といたしましては、今日の高度情報通信時代を迎え、大競争時代を控えておるわけでありますから、今後とも財政当局には積極的に働きかけをいたしまして、情報通信インフラ整備について最大の努力を傾けていきたい、こういうように考えておる次第でございます。
  133. 西川玲子

    ○西川玲子君 ありがとうございました。頑張って分捕っていただきたいと思います。  次に、NTTにお伺いいたします。  今度小さな問題になりまして、この法案からちょっと外れるかもしれませんけれども、いつものように細かいことをお伺いしたいと思います。  NTTサービスのうちに、低速五十ビット専用線というのがあるんですけれども、これはどのような用途に使われているんでしょうか。
  134. 井上秀一

    参考人(井上秀一君) このサービス、いわゆる低速専用線サービスというので、技術的にちょっと言いますと、毎秒五十ビット以下の符号伝送ということで、非常に低速の伝送の機能を持っている専用サービスでございます。  具体的にどんなところで使われているかということでございますが、主な用途としましては、例えば警備会社の遠隔による警報通知等の監視の回線として使われるとか、自治体が行うダムの水位監視、それから交通信号の切りかえ制御、こういうようなところに具体的には使われているというものでございます。
  135. 西川玲子

    ○西川玲子君 ところで、このサービスは低廉な料金水準だったので、赤字なんだそうですね。随分赤字だそうです。そのために、信号監視通信、サービスに移行を進めているようで、中堅の会社がこの専用線を申し込んでも結んでくれないということを聞いたんです。それで、仕方なく大手の会社から数倍高い料金で又借りすることになってしまって、どうしても利用者のための料金が下がらないというふうに聞いているんです。  この件をちょっとNTTにお尋ねをいたしましたら、本当に、なるほど赤字なんですよ、これ。それで信号監視通信サービスに移行をお願いしているし、料金も平成六年に値上げをしましたということなんです。また、この低速専用線は新規に販売していないということはなくて、従来どおり販売を継続しておりますというふうにお返事をいただいたんですけれども、例えば、申し込めば一本でも二本でも嫌な顔しないで売ってくれるんでしょうか。
  136. 井上秀一

    参考人(井上秀一君) 先生のおっしゃるとおり、この五十ビットの専用回線というのは収入百二十四億なんですが、二倍以上の赤字になっておるということで、実はこの収支改善に向けて段階的に料金改定を今実施しております。そういうことで、こういうサービス自身をもっと使いよいサービスに変えていこうということで、代替サービスである信号監視サービスというものをやっておりまして、こういうものをより使ってもらおうという形で今進めておることは事実でございます。  その中で、今ある五十ビットを小規模で使いたいというお客さんに対してどうしているのかということでございますが、当然サービスでございますから、今新規販売もやっております。現実に平成八年度でも七千以上の回線を売っております。先生のおっしゃるような小売のお客さんに対して売っていないんじゃないかというお話でございますが、我々としては、我々のところの営業部隊に聞きましたところ、そういうお申し込みをお断りするというようなことは今現在しておりません。お申し込みがあれば新規の販売を行っております。  それから、関係のところでやっているところはあるんじゃないかというふうに聞いたんですけれども、関係のところに聞いてもそのような実態はないのでございまして、我々の方としては営業の窓口できちっと対応していると。万が一そういうことがないかどうかというのを調べて、一応窓口の方にもチェックしましたが、新規販売としてお申し込みがあれば、現在時点、つけております。
  137. 西川玲子

    ○西川玲子君 ところで、このサービスはどの程度赤字なんでしょうか。ちょっとお願いします。
  138. 井上秀一

    参考人(井上秀一君) 収入百二十四億で、費用が三百四十八億、収支率いわゆる二八〇%という形の赤字サービスになっております。極めて安い形でありますので、料金改定をしてサービスの均衡化を図ろうという形で今までやってきました。ただ、こういうサービスよりもよりお使いいただいている方々の目的に合うような代替サービスとして信号監視サービスを開始して、そちらの方に逐次移っていただいているというのが現状でございます。
  139. 西川玲子

    ○西川玲子君 本当に大きな赤字ですね、やっぱり。収益百十億、費用三百四十六億、差額二百三十六億円の赤字、こういうふうに私の調べた方にも出ておりますけれども、それは大変だと思います。  それで、信号監視通信サービスへの移行を進めていらっしゃるそうなんですけれども、小さいところは新しくなかなかいろんな設備を切りかえることができないというところがあって、今までの機械をそのまま使いたいというところもあるんです。そちらは、お客様に御迷惑をおかけしない段階になったところで新規販売の停止を検討したいとおっしゃっているんですけれども、今後も赤字は続くと思うんですけれども、どんな基準でそのやめるという段階をお決めになるんでしょうか。
  140. 井上秀一

    参考人(井上秀一君) なかなか難しい問題でございまして、今五十ビットそのものの値上げとセットで信号監視サービスの方に移っていただいているという形で進めております。そして、五十ビットの専用線の値上げ自体、いつごろまでで最終値上げが終わるのかと。段階的にやっておりますので、平成十年の十二月を一応予定しておりますので、それ以後逐次移っていただいてということで、それ以降になると。十一年度ぐらいには何かいろいろな状況判断をしていかざるを得ないかなと我々は考えておるところでございます。
  141. 西川玲子

    ○西川玲子君 先ほど、私聞いていたんですけれども、窓口で調べたけれども、そういうことはないとおっしゃいましたけれども、あるんです。  これは私自身もこの前質問のときに、郵政省の方に例の郵便貯金のことで、こういういいシステムができた、為替なんかも全部通帳でできる、すばらしいわね、そういうことを郵便局もしているから褒めてあげようと思って、つくりに行ったら、そんなことしていませんとここの郵便局で言われちゃった。それですから、私は、あなたそんなことを言ったけれどもやれませんよと言ったら、そんなはずは絶対ないとおっしゃったんだけれども、窓口ではそういうことがあったんです。まあそれは違う話ですけれども。  絶対あり得ないといっても、やはり窓口ではそういうことを平気で、もうどこか中堅のところへでも行ってやってきてくださいよなんて言っている人がいるんです。ですから私は、幾らシステムがかわっても、やっぱり窓口は心ですから、心の教育という点に関してもしっかりとやっていただきたいなというふうに、これは要望としてお願いをいたします。  次に参ります、時間がありませんから。  さて、施設設置負担金について今度はお尋ねをいたしたいと思います。電話を引くときに施設設置負担金を七万二千円支払います。また、電話を使用するについて毎月基本料金を支払います。この二つのお金についてその用途をまず説明をお願いいたします。
  142. 井上秀一

    参考人(井上秀一君) ちょっとわかりにくいかもしれませんが、施設設置負担金というのは、新規契約時にお客様のところがらいわゆるNTT局舎までの間にいわゆる設備を引くわけです、線路設備という形で。そういうものの建設に必要な費用の一部を負担していただくという性格のものにしております。  片一方、毎月の基本料でございますが、設置負担金で賄えないその部分の建設費用ですね、これに毎月の料金請求や窓口での受け付けに要する費用、こういうものをプラスしまして基本料金という形で決めております。したがって、まあダブりは基本的にないという形になっております。
  143. 西川玲子

    ○西川玲子君 結局、こういうものあるんですけれども、私も見ましたけれども、簡単に言えば、大体これは市内回線設備をつくるためのお金で、ほぼ同じようなことなんです、結局は。再編に当たって、一体その市内回線設備に幾らかかるのか、なぜまた二つに分けてあるのか、その辺よろしくお願いいたします。
  144. 井上秀一

    参考人(井上秀一君) この施設設置負担金というのは、過去に歴史のあるものでございまして、電話を大量架設するときからずっとこういうふうに続いてきている性格のものでございます。それで今御説明しましたように、施設設置負担金というのは、お客さんの、いわゆる加入者系の設備の一部、建設投資の一部、これを負担している、残りを基本料金で取っているという形でございます。  具体的に、NTTの経理上にもそういうような形で、設置負担金というのは加入者の投資額から控除して、残りの部分で料金を決めている。その料金が基本料金になるわけですが、そういうような形で現実には減価償却費が圧縮されて、その部分について施設設置負担金の部分が減価償却費を圧縮して安くなっているというような形になっておるところでございます。
  145. 西川玲子

    ○西川玲子君 今のお答えでは幾らかかるのかというお答えになっていないと思いますし、なぜ二つに分けてあるのかもちょっとよくわからないんですが、ともかくこの設置負担金なんてアメリカなんかにないんですね、全然。それで世界的に見ましても、ほとんど日本とかほんの少しなんです。世界的に見てもほとんど設置負担金なんという制度自身がないわけです。  しかも、NTTにはこの施設設置負担金について圧縮記帳という制度が認められている、NTTの収入から外れているんです。なぜ収入なのに圧縮記帳を認めているのか。負担金は一般には電話加入権となっておりますけれども、設置負担金をなくすとどういう影響があるんでしょうか。ちょっと手短によろしくお願いします。
  146. 井上秀一

    参考人(井上秀一君) 基本料金をどういうふうに決めるかということに若干絡むわけでございますけれども一つは、基本料金を決める費用の中にいろんな加入者部分の減価償却費が入っているわけです。その部分がふえるという形になります。経理上はそういう形になる。そうすると基本料金を数字的には上げなきゃいかぬという話が一つあります。  もう一つは、資金的な問題があって、この部分を実際上は資金として使って、こういうような基本料金の圧縮をして安くするという形で使われておるという形でございます。
  147. 西川玲子

    ○西川玲子君 ちょっと今の私よくわからないんですけれども、おわかりになりましたでしょうか。圧縮して使っていると、収入なのになぜ圧縮記帳なのかということを伺ったつもりだったんですけれども、わかりやすくお答えいただけますか。  収入なのになぜ圧縮記帳を認めているのか、収入から外れているということに関して外れているのは何でですか、なぜ圧縮記帳になっているのかということなんです。
  148. 井上秀一

    参考人(井上秀一君) いわゆるこれは、経理的に言えば中間的な勘定で通り抜けみたいな勘定にしておるわけですが、それはなぜそういうふうにしているかということになりますと、実際会計帳簿上になりますと、一定の費用を計算して、それをもとに料金を決めるというシステムを今やっているわけですね。その料金からこの設置負担金の部分を除いて費用を少なくする、それに基づいて料金を決めるという形で、いわゆる費用部分を少なくする形で圧縮記帳をしておるという形でございます。  そうしないと、先生のおっしゃる二重取りじゃないかとかいろいろそういう議論が出るものですから、料金の算定の根拠としての費用からその部分を除くという操作のために、費用を小さくするために、その減価償却見合いをこの圧縮記帳をすることによって落としていくという形で整理しております。
  149. 西川玲子

    ○西川玲子君 今のお答えでは私ちょっとわからなかったんですけれども、実はその前に調べておりまして、その方でああそういうものかというふうに私はわかっておりましたけれども、ちょっと今のお答えではわからないんじゃないかなという気がいたします。結局は同じなんですよね。別に得しているわけじゃないということはわかっております。  しかし、この施設設置負担金なんかない方がいいという方が多いわけですよ。何でこんな高いお金があるのか。大体基本料金も高いというのが一般の人の思いなんです。やっぱりこの施設設置負担金を払う方は、その分基本料金や通話料は安くするとか、例えばこの負担金はなくて、あるいはその基本料金をもうちょっと少し割高にしてそちらをなくするとか、そういう選択という方法もあるべき、これから競争時代ですから、やっぱりそういうふうにしていくべきだと思いますけれども、この点に関してはいかがでございましょうか。
  150. 井上秀一

    参考人(井上秀一君) 先生の御指摘のとおり、アメリカなんかは当然ございませんし、世界のいろんなところでないわけでございます。我々としてどういう点で問題になっているかというと、新たに入る初期負担が非常に高いんじゃないか、そういうものについてもっとお客さんが利用しやすいように初期負担を落とせという形でこの設置負担金の問題が取り上げられているということでございます。我々としても初期負担を軽減して外国並みにすべきじゃないかということでいろいろ取り組んでいるわけでございますが、先ほどから御説明しましたように、この設置負担金というのは過去の歴史がいろいろありまして、にわかに今ここの部分をどうするということは非常に難しい状況にあります。  したがって、先生のおっしゃるように初期の負担、これを軽減してサービスをやるためにどういう工夫があるかということで、初期負担は少ないけれども毎月の基本料を若干上げさせていただくという形で、いわゆる選択メニューとして既存ユーザーとの負担の公平性も考慮しながらやるということで、今回、INS関係のINSネット64というサービスについてはライトという名前をつけて、そういう選択制の可能性のあるサービスをぜひ出したいということで、今郵政大臣の方に認可申請をしているところでございます。  今後、こういうような選択制の幅、これをいろんなサービスについて検討していかなきゃいかぬということについては、我々も今そういう方向で取り組んでいきたいというふうに思っております。
  151. 西川玲子

    ○西川玲子君 ありがとうございます。  私も、この設置負担金なんてない方がいいからなくしちゃえばいいと申し上げたら、それを一つの財産のような形にしていらっしゃる方もあったり、いろんな事業等で必要な企業等の資産という形になっているから、これはあしたからというか次の月からなくしますと言ったら、紙くずになつちゃうからそうばいかないということを伺ったので、これを廃止するというのは多分無理なんだろうなと。ですから、今のような形でメニューがふえるということは私どもにとって非常にありがたいことだと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。  NTTは以上でございます。  次に、KDDにお尋ねをいたします。  先ほど来、たしか北岡先生KDDに御質問なさったと思うんですけれどもKDDを取り巻く環境が大きく変わってまいりました。本当に日本の内外から大きな競争相手が出現をいたします。このような事態にどう対応を考えておられるのか、さっきもちょっと伺ったんですけれども、一応伺いたいというふうに思います。
  152. 西本正

    参考人(西本正君) お答え申し上げます。  先生おっしゃいますように、本年予定されております国際公−専−公の開放などによりまして、有力な外国の通信事業者が二種事業者として市場に参入してくることが予想されます。  当社は、これまで四十年以上にわたりまして培ってまいりましたお客さまとの信頼関係をベースに多様化、高度化するニーズに的確、迅速に対応するとともに、引き続き国際競争力のある料金を実現し、あるいは先端的な新サービスの拡充に努めまして、今後の競争市場に対応してまいる所存でございます。  ただ、現在、第一種事業者が提供するサービスの料金は原則として認可制であるのに対しまして、外国から入ってまいります二種事業者は単なる届け出だけでサービスの提供が可能となっておりますが、同じサービスを提供するわけでございますから、この料金規制に関しましては二種事業者との間でハンディキャップがないように一層の規制緩和がなされることを希望しておるわけでございます。
  153. 西川玲子

    ○西川玲子君 大臣KDDのことを考えてあげてくださいよ。私本当にかわいそうだなと思います。だってこれだけ競争が起こってきて、相手は届け出だけで料金を下げられるわけですけれどもKDD郵政省に認可を求めなきゃいけない。例えば、下げていいでしょうかという申請をしている間にどんどん相手にやられちゃいますよ。だから私は、何事に関しても同じ土俵から競争するならわかるけれどもということなんです。値上げをするのに対して認可を求めるというのはわかるんですけれども、なぜ値下げ競争にまで認可が必要なんでしょうか。認可申請をやめて届け出制度にぜひ、改革をお進めの大臣ですから、そういうふうにすべきだと思うんですけれども、いかがでございましょうか。
  154. 谷公士

    政府委員(谷公士君) その前に、制度の設けられた趣旨について少し御説明させていただきたいと思います。  確かに、電気通信サービスは、国民生活、経済に必要不可欠な公共性の高いサービスでございますものですから、その料金につきましては、低廉性とか利用者間の利用の公平性というものが強く求められております。現在、この分野におきましては、ある程度の競争が進展しつつあるという状況はございますけれども国際分野も含めましていわゆる完全な市場価格が形成されている市場はまだ非常に少ないわけでございます。  そういった中で、基本的な料金の、特にKDDの場合には基本的な事業者でいらっしゃるわけですが、そのすべての基本になります料金を値下げする場合については認可不要といたしました場合には、内部相互補助によりまして大口利用者に偏した料金設定でありますとか、略奪的な料金設定といったようなことが生じてくるおそれもあるわけでございます。したがいまして、現段階においてはやはりこういった基本的な料金につきましては認可の制度が必要であろうと思っております。もちろん料金の内容につきましては届け出その他の規制緩和を行っているところでございます。  ただ、今後私どもといたしましては、電気通信市場における公正有効競争条件の整備状況でございますとか競争の進展に応じまして、国際分野も含めて料金規制緩和をさらに進めていくという考え方を持っておりまして、具体的には、NTTの再編成が行われます平成十一年度を目途にインセンティブ規制という形に切りかえていきたいということで今検討を進めておるところでございます。
  155. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) ただいま局長から答弁申し上げたとおりでありますが、今後こうした市場が大変大競争時代に入ってまいりますので、ただいま西川先生の御指摘のように、今後なるべく早くそうした方向を見出していきたいと思っております。
  156. 西川玲子

    ○西川玲子君 どうぞ大臣、省に負けないでよろしくお願いをいたします。  さて、今回の再編に当たり比較競争の可能性に多くの議論がございました。何事も競争というのは同じところがら出発すべきである、同じ土俵から出発すべきであるというのが私の気持ちでございます。ですけれども、はなから、東と西と比べますと東が西に補てんをしなきやならない、こういうような状況で、果たして本当に競争が成り立つのであろうか。日本を半分に分けたということですけれども、例えば東京だけ見ましても、東京の予算が、御存じのようにメキシコですとかあるいはオーストラリア、オーストリア、ほぼ一国の予算と同じぐらいあると、東京だけで一つの国ぐらい大きいわけですね。ですから、東京を除いて半分こして、東京もあるいは半分こして、大田区は西ですよとか、練馬区は東ですよなんということになれば本当の競争になるんじゃないかなと思うんです。  とにかく、再編のスタートからほぼ同等の収支規模を検討して比較競争が実質的に進むようにすべきではないかと思いますけれども、この点で大臣の御所見を伺って、私の質問を終わらせていただきます。
  157. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) 西川先生お尋ねのように、私も最初はそう思ったわけであります。例えば沖縄県をなぜ東にくっつけられないのか、沖縄県をこっちにくっつけ、神奈川県を西にくっつければいいじゃないかというような議論も部内ではいたしたわけでありますが、やはり全体の事業体の規模とか、すなわち売上高、現在の分け方で大体同じような率になっておるわけです。そしてネットワークの効率性、さらには社会経済的なつながり、こういうものを考えると、神奈川県を西に持っていくというのも不合理であるし、沖縄県をこっちにくっつけるというのもこれまただれが見ても不合理だと、こういうように思います。  したがって、なかなか社会的な理解が得られないということで、いろいろな統計をとってみましても、西日本の方が町村数でも千五百で、東日本は千六十。あるいは小学校の数からいっても西日本が多い。こういうものは結果的に西の方が離島とか過疎地が非常に多いという問題があるようです。  これは、無理してそういうように分割する方がいいのかどうか、この点をいろいろ検討した結果、国民・利用者というか、国民の理解を得られる方法としては現在の分割以外に方法がないということで、最初から赤字ということはわかっておりますが、西日本もここ数年間は赤字が出ましても、将来的には企業者の努力あるいはまたこれからの効率化を図っていけば、何とか将来は自立十分可能だ、こういうように私は思いましたので、一応このような案でお願いをいたしておるところであります。
  158. 西川玲子

    ○西川玲子君 ありがとうございました。  終わります。
  159. 三重野栄子

    三重野栄子君 社会民主党・護憲連合の三重野栄子でございます。  前回に引き続きまして五点ほど質問をさせていただきます。テーマといたしましては福祉サービス規制緩和、料金、KDD並びにNTTの完全民営化等々につきましてお尋ねさせていただきます。  まず、福祉サービスの今後の課題でございます。これにつきまして私の考えを少し述べさせていただきたいと思います。  情報通信サービスの動向は、急速な技術革新によりましてマルチメディア化、グローバル化が進展し、多種多様なサービスが可能となってニュービジネスとしても期待されているところでございます。  本年四月、電気通信審議会が発表した二十一世紀に向けて推進すべき情報通信政策と実現可能な未来像、いわゆる情報通信二十一世紀ビジョンでございますが、情報通信分野市場は一九九五年、約二十九兆円でありましたが、二〇一〇年には約百二十五兆円と四倍強に飛躍的に発展するとあります。  一方、高齢化が進みまして、我が国の人口は長寿化が進展し、高齢化人口は一九九四年には約七百五十九万人でありますが、二〇一〇年には約二千七百七十五万人で、四分の一が高齢者となり、高齢化率二一・三%は世界一ということを厚生白書は報告しているところでございます。二十一世紀はまさに高齢者の世紀と言っても過言ではありません。  このような状況におきまして、高齢者や身体障害者が安心して暮らせる社会、生活環境整備の一環として、情報通信が生活のライフラインとして一層重要と考えているところでございます。  また、もう一面申し上げたいのでございます。  情報通信の技術発展は、視聴覚に障害を持つ人と健常者との共生、いわゆる生活や環境面のみならず、学齢前あるいは成人、年齢にかかわりなく教育においても先明を与えるものであると確信しています。  私は昨年、シアトル市の公立学校を訪問しましたが、そのときに健常者と同じように同じ教室で勉強している全盲の学生に会いました。また、それを援助する情報機器を見て驚きましたし、また感動したところでございます。  以上の二点の問題で、まず一点は現在の福祉電話サービスについて、もう一点は教育面についての質問をさせていただきます。  まず、NTTは民営化以来、人間企業NTTをキャッチフレーズに経営に励んでこられましたが、今日における福祉電話サービスの現状について説明をお願い申し上げたいと思います。
  160. 井上秀一

    参考人(井上秀一君) NTTが国等の社会福祉施策に協力するということで各種の福祉サービスを今やっておるわけですが、幾つかの具体的な例を申し上げたいというふうに思っております。  一つは、寝たきり老人の方々、それから耳だとか目だとか手足等の御不自由な方々のための福祉電話用の機器、これを開発しておりまして、それの使用料だとか工事費、これを減額しておるということ。  具体的にどのぐらいそういうものが普及しているかということでございますが、寝たきり老人のための福祉電話用機器でありますシルバーホン、これは「あんしん」という名前で申しておるんですが、それが大体約五万四千台、それから耳の御不自由な方のためのシルバーホン「めいりょう」、これが約二十万四千台であります。それからまた、目の不自由な方たちのために番号案内サービスを無料で提供しておりますが、八年度末における無料の番号案内登録者の方々の数は大体約十一万三千人ほどになっております。そのほか、車いす利用のための公衆ボックス、これが八年度末で約三千台、それから耳や言葉が御不自由な方のために、自分にかわって電話してくれというような方に「電話お願い手帳」というのを無料で配付しているわけでございますが、これが平成九年度版で約三十一万部発行してお使いいただいているということでございます。  このような福祉のサービスについては今後も継続し、積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。
  161. 三重野栄子

    三重野栄子君 どうもありがとうございました。  今、現状を伺いましたが、今後もというお答えでございました。先日、研究所にも訪問させていただきましたんですけれども再編後におきまして、高齢化社会における福祉電話サービスを初め高齢者、身体障害者が安心して暮らせる人に優しい情報通信はどのようにお考えになっているのか。まずNTTにお伺いいたしまして、さらに郵政省の方も、NTTだけではなくて全体の情報通信というかかわりではどのようにお考えであるかということをお尋ねしたいと思います。  まずNTTの方にお願いいたします。
  162. 井上秀一

    参考人(井上秀一君) これからの高齢化社会ということで、福祉問題はますます大変に大切なものになってくるだろうということで、今申し上げました今までやってきたものについては当然継続するという御説明をしたわけです。  今後の方向でございますけれども、具体的に今すぐというような形のものとしましては、例えば非常時の緊急通報が可能で大型のダイヤルボタンというようなものを備えた電話機、我々としてはいわゆる高齢者に優しい機器というふうな形で今考えておるんですが、そういうような機器を具体的に考えております。  今後の高齢化社会に向けて、先ほど先生にも見ていただいた通信技術の基盤を利用しましてお使いいただけるいろんな機器の開発に今後ともいろんな形で工夫していきたいというふうに考えております。
  163. 木村強

    政府委員(木村強君) 郵政行政の立場でございますが、福祉、教育分野につきまして、特に情報格差をなくしまして、だれもが情報通信の利便性が享受できる環境をつくるということが非常に大切なことだ、このように考えております。  特に、これからはフットワーク社会からネットワーク社会ということで、情報通信インフラ整備されますと、今まで、例えば先生御指摘のございましたような高齢者の方あるいは身体障害者の方がネットワーク社会では非常にハンディがありましたことが、情報通信をうまく使えばネットワーク社会におきましてはそのハンディが克服できるというような利点もございますので、そういった意味で、この利点をせいぜい生かせるような、人に優しいインターフェースができるようなアプリケーションを、特に行政の立場からは先端的な、先導的なそういうものに予算その他の施策を使って進めていきたいと考えております。  既に民間では、急病とかけがをした場合などはペンダント型の緊急通報装置によりまして所定の連絡先に緊急通報信号を送信できるような高齢者向け緊急通報サービス、これは既に民間が実用的にサービスとして、料金は取っておりますけれども、実現をいたしております。  また、教育分野では衛星通信を利用したりして遠隔教育サービスなどのそういった電気通信を使った教育なども行われておりますが、これ以外に私どもの立場としては、やはり先端的なアプリケーション、どういう使い方が医療、福祉あるいは教育面でできるかというようなことを特に予算面で確保して進めていくということでございます。  いずれにいたしましても、これからは年齢の差等によります情報弱者が出てはいけませんし、それから教育の差によります情報弱者が出てはいかぬというようなことで、特に福祉あるいは教育といった面で先端的なアプリケーションが開発できて、人に優しくそれが使われていくようなやり方というものを、特に郵政の情報通信行政としては先導的な目的意識を持って対応してまいりたいと考えております。
  164. 三重野栄子

    三重野栄子君 今、郵政省の方から予算とかスタッフの面についてもこれから福祉並びに教育面についての御尽力をいただくという御答弁をいただきました。  そこで、もう少し具体的なことをお伺いしたいと思いますが、NTTの方にもしございましたら伺いたいんです。  福祉サービスといいますと、何といいましてもいわゆる生活面が重んじられるわけでありますけれども、コンピューターとかインターネットが急速に学校教育にも導入されておりますし、先ほどちょっと触れましたけれども、視聴覚に不自由な人々が健常者と同じように勉強ができる、そういうような情報通信サービスというものも積極的にしていただければというふうに思うわけでございます。  研究状況それから機器の普及状況、あるいは支援体制等々につきまして、教育面における課題がございましたら伺いたいと思います。  先日、私がシアトル市で見ましたのは、例えば目が見えない人は点字でやるわけですが、それが全部文字にあらわれてまいりますものですから、そうすると、補助をしている人は、ああこの人はこういうふうに言っているんだな、こういう問題だなということで、すぐできたというのを見てきたんです。それは一つの例でございますけれども、例えばそういう点につきましてございましたらお話しいただければと思います。
  165. 井上秀一

    参考人(井上秀一君) 具体的にサービスしているものだとか使っていただいているものだとか研究開発のもの、幾つかちょっとこんなものを考えているというものを事例的に出させていただきますと、先ほど視聴覚の御不自由な方ということで、例えばライブコンサートを楽しんでいただけるようにということで、骨伝導電話機という電話機が今既に福祉型の電話機であるわけですけれども、そういうような技術を適用したステレオのヘッドホンがありまして、これをイベント等で使っていただくだとか、またISDNビジュアルホンという形で遠隔の在宅ケアだとかリハビリ、こういうものにお使いいただいているケースがございます。  それから、研究開発中のものとしては騒音抑制技術。これは、騒音がわっとあるところでその騒音を抑圧する技術というか、そういうような技術によって耳に優しい補聴器、そういうところでも補聴器を使えるというような技術。それから、音声認識技術の適用でパソコンに向かって声をかけることでキーボード操作なしにパソコンが操作できるシステムだとか、首をわずかに動かすだけでパソコンが入力できるシステム、これは先般、日経でも「首振り動作で文字入力」ということで報道されております。そういうような多くの福祉用のシステム、こういうものを開発していきたいと。  こういうふうな開発のためには、我々としてもお客さんの御意見、これをお聞きして、それを反映しまして操作性の向上だとか使いいい機器、それからサービスの低廉化というような形で研究開発に取り組んでおりまして、今後ともこの方向努力していきたいというふうに思っております。
  166. 三重野栄子

    三重野栄子君 今伺いましたようなことが商業化されていくともっと幼い子供たちも希望が持てるだろうし、それから高齢者でコンピューターはなかなか難しいけれども、首を動かすだけで入力できるとすればまた楽しい世界が広がってくるだろうと思います。  次に、規制緩和についてお尋ね申し上げます。  情報通信をめぐる欧米各国の動向は、マルチメディア化、グローバル化にダイナミックに対応するために、アメリカにおきましては一九九六年、通信法が改正されました。本年二月にはWTO合意、さらには一九九八年EUが完全自由化するというように、規制緩和による自由化が進んでいますが、これに比較して我が国は、今度の法案等々を見ましてもまだまだ規制緩和がおくれているように考えます。現在審議しております改正法案につきましては、現行NTT会社法など既存の法律をベースとした一部改正でありますから、国際競争激化に対応するためには、規制緩和は不十分と言わざるを得ないと思っております。  また、昨年三月に閣議決定されました規制緩和推進計画において、NTTのあり方問題の検討に当たりまして、規制緩和と接続関係の円滑化を積極的に推進するとの決定に照らして判断しましても、規制緩和は不十分と言わざるを得ません。  そこで、三点ほど質問をいたします。  まず、郵政大臣にお尋ねいたします。  電気通信分野におきましては、このところ種々の規制緩和が行われているようですが、情報通信をめぐる国内外の動向を踏まえまして、具体的にどのような規制緩和を行っておられ、今後どのような規制緩和考えておられるか、所感をいただきたいと思います。
  167. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) 規制緩和についてお尋ねであります。規制緩和につきましては、NCCの参入、あるいは料金、接続等の広範な分野にわたりまして積極的に取り組んでおるところでありまして、我が国の現在の制度は先進諸国に比べましても遜色のない水準である、こういうように思っております。しかし、急速な技術革新や社会情勢の変化を踏まえながら、今後も適時適切に規制のあり方については見直しをしてまいりたいと考えております。  詳しくは局長より答弁させます。
  168. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 私ども、この電気通信市場のあり方につきましては、競争を原則として、事業者の自由な競争を通じて利用者に対するサービスの改善が図られる、十分なサービスが提供されるということが基本であるというふうに思っております。ただ、そのために必要に応じて公正な競争を行うための環境を整える必要があるということはあるわけでございます。  そこで、お尋ねの具体的にどのようなことをやってきており、これからどのようなことをやるのかということでございますが、従来から進めてまいりましたものを幾つか申し上げますと、まず昨年から申し上げますと、国内専用線の利用の完全自由化を行いました。それから移動体通信料金、この分野につきましては、競争が完全に行われるようになってきたということで認可制を廃止しました。  それから、今回御審議をいただいております事業法改正法の中におきましては、第一種電気通信事業の参入規制に関しますいわゆる過剰設備防止条項等の撤廃を盛り込んでおります。さらに、現在認可対象とされております料金につきまして、今後、公正有効な競争環境が整い次第認可制を見直すという考え方でおりまして、平成十一年度を目途にインセンティブ規制を導入する、これは言葉としては規制とまたついておりますけれども、イセンティブ規制を導入するというふうに考えております。  それから、国際的に見ましても、我が国の一種事業の参入制度はG7の諸国の中でも最も進んだ開かれたレベルにあるという評価を受けているわけでございます。例えば、具体的にアメリカと比較いたしましても、私どもの場合には許可の審査の基準を公開しておりますとか、具体的にしておりますとか、あるいは標準的な処理期間というものも設けておりまして、その期間の中で実施しておるわけでございます。  アメリカにつきましては、先般、NTTKDDの、我が国で申しますならば二種に相当しますような子会社がアメリカFCCから認証ストップを食っておるわけでございますけれども、その理由と申しますのは、例えば公共の利益といった抽象的な文言から通商政策上の懸念といったようなことを理由とするわけでございまして、しかも処理期間も簡易手続については三十五日、私ども特別認証につきましては十五日でございますが、三十五日の簡易手続だけは期間を示されておりますけれども、本体の手続につきましては全く処理期間が示されておりません。  そういう意味で、私ども制度は欧米に比較いたしましてもそれなりの水準のものであるというふうに考えております。それから、EU諸国につきましては、御指摘ありましたように、来年一月以降本格的な自由化を行うという段階でございます、イギリスは別といたしまして。  ただ、いずれにしましても非常に変化の激しい分野でございますので、適時適切な見直しというのは今後とも取り組んでいくべきことだというふうに思っております。
  169. 三重野栄子

    三重野栄子君 刻々と変化するような情勢でございますから非常に難しいとは思いますけれども、今の御説明いただきまして、規制緩和の問題等々それなりに水準に達しているというふうにお答えでございましたが、十分であるとは思っておられないんだろう、これからもやっぱり状況に応じて変更されていくだろうというふうに理解をいたします。  そこでもう一つお話があったかもわかりませんけれども、重ねて質問をさせていただきます。  郵政省は、競争の進展状況について適時適切あるいは不断に見直すと、今もそういうことがございました。ということでございますけれども、例えば競争が進展した状況とはどのような状況を言われるのか、あるいはその基準設定というのはどうして定められて、それを判定するのはだれが下すのだろうか。  規制緩和の目的の一つとして競争促進があるわけでありますけれども、この競争促進という意味では、今回のNTT再編につきましても、公正有効競争確保の面から懸念があるという話も一方ではまだございます。そういう意味で、郵政省としては今回の問題につきましてどのような評価をしておられるか、お尋ねをいたします。
  170. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 今回のNTTの再編成でございますけれども、公正有効競争の促進ということが非常に大きな柱でございます。現在のNTTを純粋持ち株会社のもとに、独占的な地域通信部門と競争的な長距離通信部門を別会社とすることによりまして公正競争条件を整備いたしますとともに、地域通信部門を東西の二社に分けることによりまして両社間における比較競争を導入する、これによって地域通信市場における競争をも促進していきたいというふうに考えておるわけでございます。  この持ち株会社制度を活用することによりましても、ただいま申し上げましたような、独占的な地域通信部門と競争的な長距離通信部門が独立の会社となりますことから、別に提案をさせていただいております接続ルールの問題と相まちまして、この両社の間に内部相互補助の防止ができてコストの明確化が図られるというふうに考えております。そういう意味で、今回の再編成は、電気通信審議会が昨年答申してくださいました中で目指されております公正有効競争の改善がなされるというふうに考えておるところでございます。  ただ、これらの会社会社として独立しておるわけでございますけれども一つ資本のもとに存在するということもございますので、そういう観点から、それぞれの会社が自主性、独立性を持って運用されるということが非常に重要ともなってくるわけでございまして、そういう意味での独立性、自主性を確保するためのルールについて、いわゆる公正有効競争条件の確保をするためのルールについて十分検討していく必要があるというふうに考えております。
  171. 三重野栄子

    三重野栄子君 同じく規制緩和の一環ではありますけれども、料金について四点ほどお尋ねいたします。  まず、KDDにお尋ねいたします。  西本社長は、本年四月九日の「電波タイムズ」によりますと、国際通信に公−専−公が導入される時点で、国際特別第二種事業者との関係でございますけれども、非対称料金規制を廃止してもらいたいと述べられ、郵政省が、先ほどお話がありましたが、十一年度に予定しているインセンティブ規制では国際通信分野ではおそくなる、一層早期の規制緩和を求められるということでありますけれども、西本社長のこのたびの発言の趣旨ということにつきましてお伺いしたいと思います。
  172. 西本正

    参考人(西本正君) 四月の記者会見におきまして、たしかそのような趣旨でお話をしたかと思いますが、基本的には、公−専−公開放によりまして外国企業が参入してくるという場合に、第二種として入ってくる、それに対しましてはやはり対等な競争条件の整備が重要であるというふうに考えておりまして申し上げたわけでございます。  御存じのとおり、一種事業者はみずから電気通信設備を設置してサービスを提供する事業者ということでございますから、それ相応の規制はやむを得ないかもしれませんけれども、料金規制に関しましては二種事業者との間でハンディキャップがないように一層の規制緩和を、しかも十一年と言わず早期に希望するという趣旨で申し上げたものでございます。
  173. 三重野栄子

    三重野栄子君 今の御発言に関連をいたしまして、先ほども松あきら議員からいろいろ質問ございましたのでございますけれども郵政大臣としてはただいまの御発言をどのようにお聞きになりますでしょうか。KDDの完全民営化等に対する条件ということも含めましてお伺いしたいと思います。  郵政大臣にお願いします。
  174. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) ただいま西本参考人から御答弁がありましたが、そういうようにこれから技術の革新が急速に進んでまいりますので、ただいまの御意向は十分承知をいたしましたので、後でよく相談をして前向きに検討は進めてまいりたい、こう思います。
  175. 三重野栄子

    三重野栄子君 完全民営化はまた後ほど伺います。今の御答弁いただきましてありがとうございました。  次に、マルチメディア時代に対応するサービス、料金のあり方について伺いたいと思います。  一九九六年十月に経済審議会行動計画委員会の高度情報通信ワーキング・グループの報告にありましたように、料金問題は総括原価方式を改め自由にするべきであり、公共性の強い基本電話サービスについてはプライスキャップ制として、その他の競争サービス料金については届け出制とすべきであるというお考えが出ておりますけれども、この点につきまして郵政省の見解をお伺いしたいと思います。  続きましてもう一つマルチメディア時代におきましては、第一種とか第二種という事業区分やあるいは料金に対する認可制は不要と考えますけれども、あわせて郵政省の見解をお尋ねいたします。
  176. 谷公士

    政府委員(谷公士君) マルチメディア時代が近づいてまいりまして、もうその中に入っているのだと思いますけれども、電気通信サービスに対するニーズも多様化しております中で、私ども競争の進展状況等を踏まえまして、順次料金認可制を届け出制に移行する等の措置をとってきております。今後とも、先ほど申し上げましたようなインセンティブ規制の導入でありますとか、もろもろの制度について状況の進展に応じて見直しをしてまいりたい、料金制度のあり方につきましてもそういう意味で引き続き検討していきたいというふうに考えております。  それから一種二種の区分に関連することでございますけれども、これにつきましては、一種事業は国民生活や経済活動に不可欠な役務を提供する極めて公共性の高い事業でございますし、またすべての電気通信サービスの基本となる設備を保有するサービスでもございます。またこのためには、設備を敷設するためにさまざまな公益事業特権も自動的に付与されるような仕組みもございます。こういったことで、円滑なネットワークの構築を可能とするためにこの一種事業につきましては特権の付与をしておるわけでございますけれども、これが無制約に行われるということもまた適当でないわけでございまして、そういう意味事業の確実性や技術的能力も審査した上で事業許可を与えるという仕組みを現在とっております。  他方、第二種電気通信事業につきましては、この一種事業の設備の提供を受けまして役務を提供する再販事業でございますので、非常に簡便な制度として自由な事業展開を可能とするということとしております。そういう意味で、トータルとして考えますと、この現行の制度はそれなりの理由もあり、事業の性格に見合った適切なものではないかというふうに考えているところでございます。  ただ、これも先生お話ございましたように、いずれにしましても、この電気通信の分野は非常に変化の激しい分野でございますし、これからのマルチメディア時代が本格化いたします際にどのような状態が出現してくるかということも十分私ども見ていく必要があるわけでございますので、そういう意味で不断の見直しが必要であるということにつきましては、この点につきましても同じでございます。
  177. 三重野栄子

    三重野栄子君 さらに、今まで伺いましたことを進展させて考えていきたいわけでありますけれどもKDDの完全民営化について先ほどちょっとお答えいただきそうになったのを私が次にと申し上げましたんですが、KDDの場合、具体的にどのような条件が整えば完全民営化するとお考えになるのか、郵政大臣にお尋ねいたします。
  178. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) もう先生も御案内のとおり、KDD国際的通信網を確保する、いわゆるユニバーサル確保の観点から現在特殊会社といたしておるわけでありますが、今回国内通信に参入するというような状態になりますと、大変大きな競争にさらされるわけであります。また、国際通信におきましても第二、第三という国際通信会社も現在相当大きな整備がなされつつありますので、一応私どもも、KDD国内通信参入を機会に、いろいろ前向きな方向でタイムリーにこのKDDの今後のあり方について検討してまいりたい、こういうように思っております。
  179. 三重野栄子

    三重野栄子君 タイムリーに前向きにということで、まだ非常に具体性がございませんが、それなりにまた考えさせていただくことにいたしまして、今のお答えをいただきながら、先ほど西本社長、大変苦衷のところを伺いましたんですけれどもKDDとしては、完全民営化というのはどうあるべきかということについてお述べいただければ幸いです。
  180. 西本正

    参考人(西本正君) 今回このKDD法改正が成立しまして、私ども一日も早く国内通信事業が開始できる、これも自由な競争にさらされるわけでございますけれども、一日も早くそういうことができるように希望しております。  KDD法自体の廃止の問題につきましては、急速に変化しつつあります国際通信市場の動向などを踏まえ、先ほどもございました規制緩和流れに沿って、政府におかれまして時期を失することなく今後検討を進めていただけるものと理解しております。
  181. 三重野栄子

    三重野栄子君 大変謙虚にお述べいただきまして、時期を失することなく郵政省の方にも判断をしていただきたいと思うところでございます。  最後の問題でございますが、NTTの方にお尋ね申し上げたいと思います。  NTT持ち株会社、東西地域会社につきましては、地域通信にかかわるユニバーサルサービスを責務としておりまして特殊会社としておりますが、将来的には完全民営化されることになろうと思いますけれども郵政大臣は、具体的にはどのような条件が整えば完全民営化されるか、そこの点についてお尋ね申し上げます。
  182. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 公共的なサービスを低廉で安定的に提供するに当たりまして、地域電気通信分野のような独占的な状態にあります場合には、サービス提供確保のために特殊会社とすることがやはり必要だというふうに考えております。現在そうなっておるわけでございます。  NTTの完全民営化につきましては、そういった事実上の独占状態にある地域通信市場におきまして、競争が十分に進展するというような状況が整った段階で検討を行っていきたいというふうに考えております。  私どもとしましても、NTTにいたしましてもKDDにいたしましても、基本的には最終的に純粋民間会社になるという方向を目指しておるわけでございまして、ただそのためには、国内地域通信市場におきましては競争の実現、それから国際市場におきましては十分なる対地の確保ということが必要だというふうに考えておるわけでございます。
  183. 三重野栄子

    三重野栄子君 では、大臣の方にも一言お願い申し上げます。
  184. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) ただいま局長から答弁申し上げましたとおりでありまして、NTTの独占状態というものが解消する段階において私はやはり検討すべきだ、こういうように思っております。
  185. 三重野栄子

    三重野栄子君 重ねての御答弁ありがとうございました。  最後になりますが、以上の御答弁をお聞きになりまして、NTTといたしましては完全民営化についてどのようにお考えでございましょうか。宮津社長の御見解をお願い申し上げます。
  186. 宮津純一郎

    参考人宮津純一郎君) 実態としての完全民営化ということには、行く行くそういう方向に向かっていると思います。  法律上からいきますと、今私どもは責務という格好でユニバーサルサービス電話サービスをやることと、それから研究開発すること、この二つがありまして、その二つがあることを理由に特殊会社ということになっていると思っております。したがいまして、その二つのポイントというのが将来に向けてどういうふうに変わっていくかということになろうかと思います。  それで、こっちのユニバーサルサービスの方は、これから技術進歩もいろいろあると思いますし、サービスもいろいろ変わってきます。そうすると、相当いろんな格好で競争力のある事業者というのが入ってくるようになるかもしれません。そうなると、これは明らかに特別の加入者に対しては金がかかるんだというふうに決めつけてしまって、だからユニバーサルサービスが必要だというような言い方が弱まってくるかもしれません。少なくとも、技術の進歩というのはそっちの方向に動いているというふうに思っております、媒体なんかも相当多様化してきますから。  それから研究の方は、ずっと今までのいきさつで、先進国に追いつかなきゃいけないという意味NTT頑張れなんということで研究開発やってまいりましたけれども、だんだんこれからはもう研究開発やらないと食っていけないというか生きていけないんじゃないかと思います、どの会社も。そういうふうになってきて、研究開発自体もいろんなところと連携してやるようになりますし、そうなると、国のためという意味で研究をやるという、義務を課すというような意味じゃなくなってくるんじゃないかと思います。研究開発やらないと自分が生きていけないということになると思うので、そういう状況になってくればその方向にずっと動いていくわけでありまして、いずれにしましても、だんだん方向としては責務というのは外れていく方向になって、完全民営化ということになるのではないかというふうに思っております。
  187. 三重野栄子

    三重野栄子君 完全民営化を目指しまして、NTT並びにKDDの皆さん、これからも頑張っておいでになるわけでございますけれども、その過程におきまして、私といたしましては、生活者とか消費者の立場、あるいはまた事業の皆さん方の経費の節減、あるいはまたそこで働く人々の立場に立ちましての民営化に邁進をしていただきたいというふうにお願い申し上げます。  両社の参考人の皆さん、長い間ありがとうございました。質問を終わります。
  188. 伊藤基隆

    伊藤基隆君 私は、民主党・新緑風会の伊藤でございます。  NTT再編にかかわる関連三法の審議が行われているわけでございますが、十四年に及ぶ関係者の苦労、苦しみ、さまざまな思いというものがここに凝結されているんだと思います。私は、昨年の春、NTTのあり方に対する与党プロジェクトチームの一員として盛んに議論をした経験がございまして、大変な関心がございますので、今回、最終段階の議論ということで差しかえで参加させていただきました。  NTT再編にかかわる関連三法に対する我が会派の基本的な立場というものを、まず冒頭明らかにしておきたいと思います。  電気通信事業法改正案については、電気通信の発展と利用者利便の増進のための今回の改正案の趣旨には基本的に是とする立場でございます。  日本電信電話株式会社法改正案につきましては、新規参入の促進等による我が国の電気通信の発展ユニバーサルサービスの確保、国際競争への適切な対応、研究開発の維持など、多様な条件を多角的に勘案すれば、今回のNTT再編案はおおむね妥当なものというふうに理解するところでございます。  国際電信電話株式会社法改正案については、競争の進展による我が国の電気通信の発展、活性化のために、今回のKDD国内通信参入措置は妥当なものであろうというふうに考えまして、三法案について基本的に賛成の立場をまず明らかにしておきます。  まず、大臣にお伺いしたいわけですが、今社民党の三重野委員NTTの間の応答の中で、責務はなくなるものだろうということが言われました。私は、やや若干違う認識を持っております。今日のこの日本の電気通信事業というものには、私が言うまでもなく、皆さん御存じの非常に長い歴史があります。古くは郵便局時代があるわけであります。電電公社からNTTになって、その間、この経営に携わった人たち、また技術革新のために全力を挙げた人たち、営業の人たち、また保守をやってきた人たち、これらの人々の長年の努力というものの積み重ね、まるで鍾乳洞の石筍が少しずつ高くなるような積み重ねがあって、今これがまた飛躍的に発展するというところに来たんだ、まさに新しい時代を迎えたんだと思います。  しかし、二条にかかわる法改正、三条「国民生活に不可欠な電話の役務のあまねく日本全国における適切、公平かつ安定的な提供の確保に寄与するとともに、今後の社会経済の進展に果たすべき電気通信の役割の重要性にかんがみ、電気通信技術に関する研究の推進及びその成果の普及を通じて我が国の電気通信の創意ある向上発展に寄与し、もって公共の福祉の増進に資するよう努めなければならない。」。これは非常に重要な位置づけを持った法律条文であろうかというふうに思っています。あまねく公平というものがあるがゆえに西日本の経営上の厳しさというものがあるわけでございます。そのことをきちんと我々はとらまえていかなきやならないし、郵政省NTTも、今度新しくできる各社も、ぜひその理念は継承していっていただきたいというふうに思うわけでございます。  さて、日本の情報通信事業がそういう来るべき本格的なマルチメディア時代、厳しい国際競争に耐え得る環境整備するとともに、今申し上げましたように、日本国内におけるユニバーサルサービスの確保も図り、適切かっタイムリーな政策の確立が望まれていると考えます。  今回のNTT再編問題をどう位置づけ、今後どのような情報通信政策を確立しようとしているか、郵政大臣の見解をまずお伺いしたいと思います。
  189. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) 伊藤委員も御案内のとおり、情報通信産業というものは今や我が国リーディング産業として大きな役割を果たしておるところでございます。そして、急速な技術革新によりまして、グローバル化、そしてまた新しいマルチメディア化といった大きな環境の変化を来しておるのがこの情報通信業界であると思います。このようなグローバル化によりまして大競争時代を迎えておる、こういうように考えております。  そしてまた、各国もこの情報通信産業を二十一世紀の戦略産業と位置づけて、その活性化、発展努力をいたしておるのが現状であると思っております。我が国も、今後、経済構造改革の原動力としてこの情報通信分野発展に大きな期待を持っておる次第でございます。  そのような観点から、郵政省といたしましても積極的な規制緩和の推進、そして競争環境整備を進めてまいります。また、全国的な光ファイバー網の早期整備を図ってまいりますし、今後また国内だけに限らず、通信事業者海外進出に当たっては、郵政省としては積極的に支援をしてまいりたい、こういうように思っております。  また、こういう光の部分と、消費者問題あるいはプライバシーの侵害問題、通信の安全性、信頼性、こういう影の部分についても今後一層の研究を進めていかなきやならぬと思います。このような観点に立ちまして、今後、情報通信の健全な発展のために最善の努力をしてまいりたい、こういうように思っております。
  190. 伊藤基隆

    伊藤基隆君 さて、郵政省に、事務当局にお伺いいたします。  先ほど申し上げましたユニバーサルサービスの責務とあわせて、国際競争という厳しい条件があると思います。地球規模の大競争時代、こう言われておるわけですが、これに対応するための規制緩和、なお不十分というふうに言われておりますし、私自身もそういうふうに思っております。  ただ、国際的な状況を見ますと、欧米キャリアのグローバルな提携状況というこの一覧表を私は手に入れたわけですが、アジアにおいてワールド・パートナーズが、AT&Tを中心にしましてアジア各国の通信事業との緩やかな提携というのがあります。これは明らかに将来を見越しての提携が行われているというふうに思うわけでありまして、アジアにおける競争はアメリカの介入によって非常に激しくなってくるんじゃないかというふうに考えております。  これら国内的な責務の遂行と国際競争ということを両立させていかなければならないというときに、規制緩和というものをどのように進めるのか、緩和だけでいいのか、あるいは国際戦略の中である程度物を考えていかなきやならないのかという点について、郵政省並びにNTTの見解をお伺いいたします。
  191. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 私ども、基本的に情報通信分野における仕組みのあり方といたしましては、事業者の自由な競争によってこの分野が活性化され、良好なサービスが提供されますと同時に、産業としても貢献をしていくということを期待しているわけでございますけれども、そういった状態になりますにはなかなか時間と条件の整備が必要なわけでございます。  そういった意味で、公正競争条件を整備していくということが非常に重要な手段であると考えております。こうして国内において十分な競争力を持った通信事業体が複数出現してまいりますことが、通信のグローバル化を通じてこれらの通信事業者国際的にも強力な事業者として育っていくということにもなりますし、またそうすることによってこれらの事業者が提供するサービスを通じて、日本のあらゆる産業がまた国際的にも競争力を持っていくということにもつながるというふうに考えておるわけでございます。  そういう意味で、国内競争力のもとといたしましては環境整備、それからもう一つつけ加えますと、自由であるということが最も望ましいことではありますけれども、現在の世界の状況を見ますと、やはりまだ国というものの存在が基本的な仕切りになっておるわけでございまして、国際的な対応の仕方といいますものはいろいろな観点から十分国内における理解を求めながら取り組んでいく必要がある分野でございます。それからまたもう一つ、通信そのものの機能といたしましても、国際的な連携、連絡というのは非常に重要な分野でもありますので、そういう意味で、国際的な観点からする制度のあり方に対する対応というものも必要であろうかというふうに考えております。
  192. 井上秀一

    参考人(井上秀一君) NTTの立場から規制緩和の話をさせていただきますと、おっしゃるように、電気通信の世界というのは非常に技術革新が激しいということで、特に近年のグローバル化や通信、放送、コンピューターの融合によるマルチメディア化というような急速な進展の中で電気通信事業をより一層活発化していかなきゃいかぬということ、そのためには多数の事業者が自由に競争を通じて料金の低廉化だとか、サービスの多様化をやっていかなきゃいかぬという基本的な方向、これはそのとおりだろうと思っております。そのためにもNTTとしては、従来からいろんな場面で、ヒアリングを受けたときには、競争の進展に応じて、競争が進展している分野サービス、料金、こういうものの規制緩和というものはぜひお願いしたいということで申しております。  そして今後も、そういう意味でこういう激しい電気通信分野でございますので、競争の進展だとか技術革新のもたらす市場動向、こういうものを的確に判断していただいて、規制緩和をより一層推進していただきたいというのが基本的な考えでございます。
  193. 伊藤基隆

    伊藤基隆君 私は、国際競争、大競争時代に対応することと国内におけるユニバーサルサービスを確保するという大変難しい課題を解決することについて、今回の関連三法の改正というのは的確に対応できる素地をつくれるんじゃないかというふうに考えております。  特に、私はかねがね、検討プロジェクトチーム等では言いませんでしたけれども、長距離と国際部門が一体となって軽やかに、技術的に高い地位を持ちながら国際競争に乗り出していくということは必ずや成功するだろうというふうに思っておりました。ですから、東西と長距離・国際持ち株会社でジョイントするということについては、私は全くそのことについては気がつきませんでしたが、大変すばらしい知恵が出て、郵政省NTTの協議が調ったということについては大変よかったというふうに考えております。  しかし、よりこの国際競争に打ちかっていく、ないしはアジアを基盤として国際的にどう活躍するかというときに、経営体を軽やかなもの、行動力のあるものにしなければならないというふうに思います。NTTの取締役、監査役については、会社法第十条により郵政大臣の認可となっておりますが、NTTの民営化の趣旨を踏まえるならば、商法第二百五十四条に基づく株主総会での選任とすべきというふうに考えます。  また、NTTの真の民営化が果たし得たと認識する場合、政府保有株式の完全放出並びに取締役、監査役等の許認可の規制撤廃なくしては、企業活動の軽やかな発展ということはないだろうというふうに思いまして、この点についての郵政省の見解をお伺いいたします。
  194. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 現在、独占的な地域通信部門を持っておるということを別といたしまして、できる限りNTTも自由な経営判断による活動を行って活性化していっていただきたいというのは基本的な私たちの考え方であります。したがいまして、今回の再編成におきましては、基本的に持ち株会社を中心とするNTT全体が現在のNTTのすべての業務を引き継ぐということでございますので、基本的には、この法律的仕組みにつきましても、再編に伴う部門を除きましては従来同様の形を引き継ぐわけでございます。ただ、その中でも、地域通信会社のようにNTTの一〇〇%株式保有のもとにあります会社につきましては、役員の選解任等について認可を必要としないという措置もとっております。  この持ち株会社の役員につきましては、選任、解任の認可がかかっておるわけでございます。これにつきましては、基本的に地域通信市場の独占分野を持っておるということから、公正競争及びユニバーサルサービスの提供ということで特殊会社としておりますので、その特殊会社の基本的な計画を定めます事業計画でありますとか、あるいはこの持ち株会社が主たる仕事といたしますことは、この地域通信会社等に対する株主権の行使ということでございますので、その株主権の行使につきましては、取締役の会議体、取締役会が基本的な方針を決めて当たっていくことになろうと思います。そういう意味で、基本的な会社を構成する取締役については、選任は株主総会で決められるわけでございますけれども、適任者をチェックするという意味大臣の認可制というものを残しているところでございます。
  195. 伊藤基隆

    伊藤基隆君 私はそのことが不十分というふうに言っているわけでありまして、この問題についてはまた後の課題にしたいと思います。  さて、NTT社長にお伺いします。  独禁法改正に伴う純粋持ち株会社制度による労使関係が新たに始まります。我が国においてNTT労使が初めて経験するわけでありまして、私としては、模範となる労使信頼関係に基づく労使関係を確立してもらいたいというふうに思っております。そのためにも、労使関係が、二年後に想定される労使関係のルール、システムの確立の模範となるという意味からすれば、労使自治の原則に基づき決定されるということが非常に意味を持つ、今後を制するといいましょうか、律することとなると考えられますので、この点についてのNTTの見解を確認のためにお伺いしておきたいというふうに思います。
  196. 宮津純一郎

    参考人宮津純一郎君) 議論はこれから相当深めていろいろやらなきゃいけないと思います。今は考え方ということでお話を申し上げます。  再編成後の団体交渉方式等労使関係のその枠組み、これは再編各社の機能とか責任とか、それから運営方法、そういうものを検討しまして、その結論を得た上で進めますが、これまでと同様に、今先生もおっしゃった労使自治の原則というのが大事だと思っておりまして、その原則に立っていろいろ決定していく考えでございます。
  197. 伊藤基隆

    伊藤基隆君 次に、KDD問題について郵政省にお伺いします。  再編成により純粋民間会社となるNTT長距離会社国際分野に参入すると、KDDは特殊会社のままでは競争上不利になるのではないか。これは三重野委員郵政省とのやりとりの中でも出ておりました。KDD法の廃止でございますが、具体的なスケジュールを明確にできないかということでございます。  本会議等において時期を逸することなくという答弁がされていることについては承知しておりますが、そういう時期に関してもう少し踏み込んだといいますか、我々でとらえられるニュアンスは郵政省から言えないものかどうか、この点についてのお答えをいただきたいというふうに思います。
  198. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 先ほどお答え申し上げましたが、世界各国、各地域に対して十分なネットワークを保持するという役割がKDDの役割として、特殊会社として設けられている趣旨になっているわけでございます。この分野におきましては既に他の事業者も参入をして活発に事業展開しておりまして、かなり、KDDの確保しております対地の八割程度までは事業展開をしてきております。そのスピードもかなりアップしてきております。したがいまして、これらの対地につきまして、KDDだけではなく有効な競争といいますか、対地の確保者があらわれてくるというふうな状況になった時点ということでございます。  それはいつ実現するかということになりますと、他の事業者、今度NTTも参入されますのでNTTもその中に加わるわけでございますが、それらの事業者の活動の状況にもよるわけでございますので、時間的に特定することは非常に困難でございますけれども、そう遠い将来ではないというふうに考えております。
  199. 伊藤基隆

    伊藤基隆君 現段階では、総理の答弁にかかわることでもありますから、そう遠い将来ではないということでやむを得ないのかと思いますけれども、当事者間ではもう少し詳しいやりとりをやっておかないと禍根を残すことになりかねないというふうに思っています。  さて、NTT長距離とKDDは相互にそれぞれの市場に参入する、これはそういうことでは対等でございます。二年後に起こることだと思いますが、NTT長距離とNTT地域が一体となって営業展開を行うとなると、KDDにとっては非常な不利な状況でございます。したがって、今後NTT長距離とNTT地域との間で、具体的にお聞きしますけれども、役員の兼任の禁止、設備の共用の禁止、共同営業の禁止、顧客情報の共有の禁止等の措置を講ずる必要があるんだというふうに私は考えます。当面の間ということにもなるかもしれませんけれども、この件についての郵政省の見解をお聞きいたします。
  200. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 今回の再編成の趣旨は、持ち株会社を通じまして資本的には再編各社つながっておりますものの、長距離通信分野を地域通信会社と別会社とすることによりまして公正競争条件を確保しようというものでございます。  したがいまして、公正有効競争条件の整備という今回の再編の趣旨が損なわれないように措置することが必要でございまして、御指摘ありましたように、長距離会社地域会社との間の役員の兼任でありますとか、それから設備の共用、共同の営業、顧客情報の共有、こういったもののあり方につきましては、今後、関係者の意見も聞きながら検討を進めて、公正有効競争条件の整備ということで一つのルールをつくっていく必要があるだろうというふうに考えておるところでございます。  ただ、その具体的な内容につきましては、今申し上げましたように、もう少し時間をいただきたいというふうに考えております。
  201. 伊藤基隆

    伊藤基隆君 ただいまの答弁はよくわかりました。  さて、九七年、ことしの秋、再編成前にNTTが子会社によって国際通信進出を行う際に、このような公正有効競争条件上の措置に、特に今おっしゃったような点に留意する必要があるというふうに考えるわけですが、その点についてはいかがでしょうか。
  202. 谷公士

    政府委員(谷公士君) このNTT国際通信分野への進出につきましては、国際通信分野におけるグローバル化の動きが非常に激しゅうございますので、こういった事態に早急に対応できますように、再編成前におきましても子会社の形によって公正有効競争条件を確保しながら国際通信分野への進出ができるようにすることとしておるわけでございます。  そういう意味で、この子会社方式によります国際通信市場への進出に当たりましても、その制度の趣旨が没却されることのないように、公正有効競争条件について関係者の意見を十分聞きながら検討していかなければならない、先ほど申し上げたところと同じだというふうに考えております。
  203. 伊藤基隆

    伊藤基隆君 最後の質問になりますが、先ほど西川玲子こと松あきらさんから質問がございまして、三重野さんも同様の質問をされましたが、アメリカ等のメガキャリア国際通信分野に第二種電気通信事業者として参入してきた場合、第一種電気通信事業者の規制は厳しいということから、KDDを初めとする国際第一種電気通信事業者競争上不利になるんじゃないか。第一種及び第二種の区分について是正する必要があるんじゃないかというふうに私も考えます。KDDからは早期に解決を望む旨の意思表明がありました。  郵政省は、もう一度この点について、三人の委員からの質問でありますが、私の方は要望も強く出しますので、ぜひその点のお答えをいただきたいと思います。
  204. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 重ねてのお答えで大変恐縮でございますけれども、現在の状況を見ますと、一種事業は大変公共性の高い事業であるわけでございまして、そういう意味で、国民が十分なサービスの提供を受けられるようにこのサービスの提供を確保するということが必要でございます。  その際、一種事業は設備を持っておりますのでいろいろな公益事業特権を付与されなきやならないという構造がございまして、そのためには、また事業の確実性、技術的能力について審査する必要があるということで参入許可制がとられております。  他方、二種事業はこの一種事業の設備に係るサービスの提供を受けまして役務を提供するということでございますので、登録あるいは届け出で非常に自由な簡便な事業展開を可能といたしております。  これらの区分は、今申し上げましたように事業の性格に見合ったものと考えておりますので、現段階では有効な方式ではないかというふうに考えております。ただ、今後非常に変化の激しい分野でもございますし、またサービス自体もグローバル化をしてまいります。いろいろな形での参入が行われてまいりますので、そういったことにつきましては、こういったあり方も含めて枠組みのあり方すべて適時適切に見直しをしていくべきだろうというふうに思っております。
  205. 伊藤基隆

    伊藤基隆君 最後に、これは質問通告してないので大臣には大変申しわけないのでございますが、郵政大臣に、回答というよりは御感想をお聞かせいただきたいと思います。  実は、新聞に報道されてもおりますけれども、全逓信労働組合が共同通信社を通じて郵政事業の経営形態問題についてのアンケートを行いました。郵政事業はどのような形態で行われているかという質問について、税金で事業運営されていると答えた人が一六・七%であります。郵便料金などの収入と税金で事業運営されているというふうに答えた人が四九%おります。郵便料金などの収入で事業運営されていると正確に答えた人が二四%、こういう状況であります。郵政三事業の民営化の是非について、民営にすべきだと答えた人が二六・三%、国営でよいと答えた人が六九・四%でありまして、私は常々恐らくは九〇%が現行を支持しているだろうというふうには言っておりましたけれども、やや私の思惑から二〇%ほど低かったわけでありますが、多くの国民の皆さんからの支持がある、こういうふうに思っております。  常日ごろ大臣は郵政事業に対してさまざまな見解を国会の場でも表明されておりまして、私もお聞きしているわけでありますけれども、このアンケート調査について大臣はどのような御感想をお持ちか、簡単でよろしいですからお聞かせをいただきたいと思います。  以上で質問を終わります。
  206. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) ただいま伊藤先生からお聞きしたところであって、私もまだきょうの新聞を拝見いたしておりません。しかし、ただいまお話ありましたように、基本的には恐らく国民の大部分が現在の経営形態を支持しておるものと、こういうように考えております。  私も日ごろから、この郵政三事業に対して、健全経営をやっておるということについて国民の多数の皆さんが果たして承知しておられるだろうか、こういう国営事業というのは皆赤字を出しておるんじゃないか、こういうことで大変心配されておる方もおられるんじゃないかと思いましたが、ただいま伊藤先生のその数字を聞きましてもやはりそうかなと思いました。  我々は、これからも国民の皆さんに、現実に郵政三事業は健全な経営で国民の税金は一切投入しておりませんということをさらにPRをしながら、国民の理解を得つつ、そしてまた信頼を獲得していきたい、こういうように思っております。
  207. 伊藤基隆

    伊藤基隆君 どうもありがとうございました。
  208. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 日本共産党の上田でございます。  前回、日本共産党がこの三法改正に反対する理由の第一として、電通審の答申を全く無視して一度も討議されていない持ち株会社制度を導入して、財界がかねてから導入を要求していた独禁法の抜本改悪に道を開いたこと、第二に、国民・利用者のためではなく、多国籍企業の世界戦略に奉仕する国際進出がこの再編の目的であることを取り上げました。  きょうは第三の問題として、恐らく膨大になるだろうと思われる国際進出の費用が国民・利用者の負担になる危険があることについて質問します。  前回、この費用問題について質問しましたけれども、明確な答弁がございませんでした。委員長から、要望ですから答えられるように準備してと。どういう質問が来るかもわかりません、それに答えられるよう対応していただくよう要望しておきますと、特に委員長からも要望がございました。お答えいただきたいと思います。
  209. 宮脇陞

    参考人宮脇陞君) 少し詳しく御説明させていただきたいと存じます。  御案内かもしれませんが、NTTではこれまでにタイなどアジア諸国の電話事業等に対し累計で約四百四十億円の投資を行ってまいりました。これは、こういう事業を始めてからまだ数年しかたっていないわけでございますけれども、これらのことをやってまいりました。例えばタイで二百二十億円、それからフィリピンで百二十億円というような投資を行ってまいりました。  それから、平成九年度の事業計画の中では、海外投資ということで約一千億円という見込みで計画を策定させていただいております。具体的案件が確定次第実施していくこととしております。その中身につきましては、現在検討中のもの、あるいは相手方と守秘協定を結んだ中での交渉中のものが多うございまして、金額等については御容赦をお願いしたいと存じます。  それから、国際事業の投資額という点で申し上げますと、その事業の内容、それから規模、そういうものによりまして必要な金額は大きく異なります。また、パートナーと合弁を組むか、あるいは買収によるかといったような手法の違いによってもその金額は大きく異なってくるものと考えられます。  例えばですが、相手国キャリアへの出資あるいは合弁事業を行うという場合の出資比率の交渉等につきましては、相手パートナーとの交渉により大きく異なります。出資金額に大きな差が出てまいります。また、一種事業者として相手国との接続交渉を行う場合、接続料金についても相手国キャリアとの交渉に基づき大きく必要資金が異なってまいります。  それから、海底ケーブル事業をしょうとする場合、これは敷設ルート、陸揚げ地点、こういうものはこのコンソーシアムに参加するキャリアの事情により大きく異なってまいります。  これは例えばとしてお聞きいただきたいんですが、ある大陸間に海底ケーブルを敷設するとした場合、一千億かかるというような算定をしたかと思います。そのときに、一般的には組んだ仲間でその半分ぐらいのお金を出し合い、あとは起債で調達するという場合が多いわけです。その場合でも、五百億円というものに幾つの世界的なキャリアが参画するか、それによって大きく異なってまいります。五つの場合ですと、五百億円の五分の一ですから百億円でございますが、これが例えば二十というようなことになった場合、それは二十五億円というふうに、その金額というものは参加国同士の交渉によって決めるわけでございます。あるいは参加数も交渉で決まってくるわけですが、そういうものによって実は大きく異なってくる場合が多うございます。  こういうように、海外への投資というものについては多額の資金を必要とするものが非常に多いわけですが、見通せないままにまずスタートし、交渉の中で決まっていく場合というのが極めて多いということを御理解賜りたいと思います。  しかしながら、私どもは案件ごとに慎重な検討、評価を行い、実施するか否かを判断することにしております。再三申し上げますが、少なくとも国内のお客様へのサービスの低下を招かないように配慮しながら進めていきたいと思っておりますので、御理解賜りたいと存じます。
  210. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 詳細な説明をいただきましてありがとうございました。  私が二月に質問させていただいたときは読売の記事を使った。読売の記事は署名記事です。責任を持っている。「NTTは、本格的な国際進出に必要な投資額を」、次はかぎです、「「通信会社の買収を含めて二兆円以上」とはじき、」となっていまして、だから署名記事でかぎつき引用なので、恐らく社内文書にあったんじゃないかと想定します。  今のお話でいろいろな規模がほぼ大体出てきましたね。例えば、一つの海底ケーブルを引くのにも一千億で半分五百億、出資の割合によっていろいろ違ってくるという話がありました。それから平成九年度は一千億というお話もありました。  大体どのぐらいかというのに、例えば国際的なメガキャリアの例があります。八七年から九三年までの累計でブリティッシュ・テレコムは一兆円です。ATTが九千二百億円です。だから、大体五、六年でやっぱり一兆円規模ですね。NTTは百億円で百分の一です、この期間は。ブリティッシュ・テレコムがアメリカのMCI買収で四十三億ドル、当時のレートで言って四千三百億円、それからコンサート設立に五年間で十億ドル、やっぱり一千億円。ですから、前回、宮津社長が、これは現ナマが要るというインタビューをされているのを読み上げましたけれども。  ですから、こういう国際的なメガキャリアと対抗して進出していこうとすると、見通しがないまま交渉の中でやっていくこともあるというお話もありましたけれどもNTTとしては事業計画を一月にあれだけ出しているんですから、ある試算はおやりになっているんだと思うんですね。そうすると、読売の記事が引用した「二兆円以上」というのは必ずしも当たっていない。NTT側は私への御答弁で、書かれた方の御判断かと思うと木塚さんが言われていますけれども、書かれた人の判断じゃないですよ。かぎつきですからね。  どうです、一兆円、二兆円、二兆円以上ということもあり得るということは、これは宮津社長、否定できないでしょう。
  211. 宮脇陞

    参考人宮脇陞君) 前に申し上げたことと重複するかもしれませんが……
  212. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いや、もう重複はいいです、否定できるかできないか。
  213. 宮脇陞

    参考人宮脇陞君) 新聞の記事の額につきましては、正直申し上げまして個人的見解も少し入りますが、私どもとしては夢でございます。今のところはまだ夢でございまして、その夢が早く現実になることを祈っておりますが、先ほど申し上げましたとおり、私ども、まだ始めたばかりでございまして、そういう何兆円という額は、今のところは我々社員としては夢の段階というふうにお考えいただいた方がよろしいかと思います。
  214. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それで結構です。夢としてはやっぱり頭の中にあるわけですね。夢として進出しようというのだから、これはそれだけの大仕事だと思うんです。  郵政大臣、この問題はやっぱり重要なんですよ。附則の第三条に、「郵政大臣は、」、「事業の引き継ぎ並びに権利及び義務の承継に関する基本方針を定めなければならない」と決まっているわけでしょう。ですから、こういう具体的な問題については、分割について資産をどうするかあるいは職員をどうするか、引き継ぐ全体を基本方針で決めなきゃいけない。だから、国際進出にどのぐらいの出資額が必要かというようなことも、この基本方針を決める際の大事な要素になってくるわけですね。基本方針のそういう中身は全部政令で決めるから、国会審議しないでいい、国会は全部白紙で任せろというわけにいかないので、それで私、かなりこの問題強く質問をさせていただいたわけです。  長距離NTT進出する際、社員はどのぐらいになるかということがあります。  先日、お伺いしたとき、ほぼ千人ぐらいになるだろうという答弁がありました。ATTの場合は、八四年に海外の従業員が百名だったのが、九四年には何と五万三千人という規模に膨れ上がっているんですね。長距離NTTの場合、この海外進出の社員をどのぐらいに予測しておられますか。
  215. 木塚修一

    参考人(木塚修一君) せっかくの先生のお尋ねなんですけれども、私どもはこれから法案通過後、大臣から再編成の基本方針をちょうだいして、それで実施計画で組む、こういうことになるわけであります。  それで、私どもは今長距離会社というもので国際と長距離と事業を二つやるわけですが、これにつきましてどのくらいの要員規模をこれから出していくかということは、一九九九年度の収支試算というものをやったわけでありますが、そのときは、いわゆる今の一社体制のもとの長距離事業部、この事業部の要員数等を考えて収支を試算しております。具体的にどのぐらいの人数になるかというのは全くこれからのお話でございますので、私どももこれといって今心づもりしている数値はございません。
  216. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 さて、これだけの膨大な費用をどこから出していくかということが大きな問題です。  電通審の答申の百六十一ページに分割した際の試算結果が載っています。長距離NTTは営業収益で九九年度、一兆三千六十八億円、経常利益は九百七十四億円というんです。そうすると、九百七十四億円ではなかなか海外進出の費用は難しい、内部相互補助も禁止されておりますし。一方、長距離NTTは完全民営化されるとNCCとの競争が激化します。この激化の結果、長距離NTTの経営状態は悪化する、そういうふうに見られています。  日経ビジネスの四月七日号には、ソロモン・ブラザーズ・アジア証券によると、今東京−大阪間の昼間料金は三分間百円ですけれども、これが二〇〇〇年には六十円まで料金が下がるかもしれないと。「下がった場合、九二年度に六千八百九十六億円に達していたNTTの市外通話の営業収益は、二〇〇〇年度には千四百六十九億円にまで落ち込む見込み」という予測が載っています。  つまり、こういうふうになってくると、長距離NTTの方は二〇〇〇年までに利益が落ち込みそうだと、九九年度は九百何億円なんですから。海外進出の費用は長距離NTTはどこから生み出すという計算なんですか、方針なんですか。
  217. 林豊

    参考人(林豊君) 今、先生がおっしゃられたような数字については、これから事業の内容が想定される中でまた私どもとしても厳重に検討していかなきゃいけない問題だというふうに考えております。  ただ、先生がおっしゃられたような仮に前提というか方向ということを考える際には、一つは収支の面、一つは資金サイドの面、この両面からおのおの別に見る必要があるのではないかというふうに考えております。  いわゆる国際投資といいますか、国際関係についての投資につきましては、一般的に想定されるところやはり競争が激しゅうございますが、何より私どもは初めて出ていくものでありますから、国内の投資に比べてやや資金の回収には時間がかかるかなということは、私どもも、これはあくまでも感じでございますが、受けとめております。  したがいまして、先ほど申した資金の問題、その間、収支としてどういうふうにつないでいくか、これは両面別々に考えながら、いずれにしましても、国内事業等も含めて全体としてうまくいく方法といいますか、迷惑のかからない方法を考えてまいりたいと思っております。
  218. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 今、全体としてというお話がありましたが、これが持ち株会社のうまみということになるんですね。  郵政大臣は、衆議院で五月十五日、共産党の矢島委員質問に対して、 「これからの国際進出というのは、やはり国内企業である程度内部留保を持ったり資本力を蓄積した者でないと国際進出もできない」ということで、内部留保ということに触れられました。  この問題をさらに矢島委員が五月二十一日、質問しました。木塚再編成室長がこう答えました。NTTの平成八年度中間期末時点での内部留保は、利益準備金が八百七十五億円、任意積立金が八千六百三十一億円、トータル九千五百七億円となっていますと。二つの項目だけ挙げられまして、これが内部留保だと、そう答弁されました。  NTTの労働組合である通信労働組合は、内部留保について、経済学者の間でもいろいろ計算の仕方がありますが、大きなものとして退職給与引当金、資本準備金、これはそれぞれ二兆円を超えている。こういうものも全部入れて九六年度五兆八千六億円というのがNTTの内部留保だと、そういう見解を発表しています。この資本準備金というのは二兆五千億はほとんど変わりがありません。しかし、退職給与引当金は積み増しが非常に次々に毎年ふえているんです。  NTTにお伺いします。  退職給与引当金は八五年度から九六年度の十一年間で幾らから幾らになっていますか。
  219. 木塚修一

    参考人(木塚修一君) 資料を持ってきているんですが、ちょっと今見当たりませんので、後で探します。
  220. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 通告をしてあるんですけれども、私が言います。八五年度一兆六千五百八十一億円、九六年度二兆九百二十二億円、四千三首四十一億円積み増しているんです。二兆円を超す退職給与引当金というのは、今の職員十八万五千人が全部やめても払えるんです。余るんです。計算しました。平均勤続年数二十二・三年、平均給与四十三万千二百五円、これが全部やめると計算して、約一兆七千七百九十億円なんです。これは余るんです。  ですから退職給与引当金といったって、つぶれて全部いなくなってもまだ余るぐらい積み立てているんですから、やっぱりこれは内部留保なんです、明らかに。利益を積み立てている。そういう内部留保というのは、これは国民の財産なんです。NTTの収入の八割から九割は電話料なんですから、だから、皆さんが電話をかけて払った電話料金を積み立てられているのが内部留保でしょう。五兆円を超えているんです。  こういうものを多国籍企業のための国際進出に使う。国際進出の費用を多国籍が持つならいいけれども、国民が払った電話料を積み立てた大きな五兆円も超すものを、全部じゃないですよ、取り崩して国際進出に使うということになると、膨大な国際進出の費用を国民・利用者が負担するということにならざるを得ない、そう思いますけれども、どういう見解ですか、宮津社長
  221. 林豊

    参考人(林豊君) 退職給与引当金についてのお尋ねかと思いますが、先生御指摘のように、退職給与引当金は社員が退職する際、それから退職金相当額を取り崩すというために、税制度上も認められている引当金でございます。  私ども、現在NTTに在職している者は、NTTにおいて働いている者に加えまして出向している者等もございます。引当金の算定は税制に基づいてやっておりますので、決して余るというふうな引当金は設定いたしておりません。これは、あくまでも働く人たちの退職金を確保するという税制上認められた制度でございますし、これにつきまして別途の用に供するということはいささか趣旨が違うのではないかというふうに私ども考えておるところでございます。
  222. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 これはもう見解が明らかに違います。これはもう明らかに内部留保ですね。  それで、こういう内部留保を国際進出に今すぐ使えるかというと、この内部相互補助の禁止ということがありますから、そう簡単には使えないけれども、からくりが生まれるのは、連結納税制度、これの導入です。  昨年十二月の、「NTTの再編成についての方針」の第八項目はこうなっています。「郵政省は、再編成の実施のために、独占禁止法、商法等の関係法令、及び、譲渡益課税、連結納税等の税制上の特例措置について、政府内の調整を進める。」と、こうなっています。  連結納税の問題については、附則の第十一条で、金銭の交付というので、東から西に援助できるということになっていますから、特例というのじゃなくて、独禁法なんかもう改正されましたからね。どうなんですか。九九年度までには税制改正で連結納税制度、これ実現すると、そういう方向で今与党・政府が進みつつあるんですね。そうすると、九九年度に税制改正ができて、連結納税、この再編の約束に入っているんだから、それが実施できることになりますと、この内部相互補助できないという規定はもう骨抜きにされて、利益の相殺によって内部留保を長距離NTT国際進出に使う道が開かれることになる、これは恐らく必至だろうと思うんですね。  それで、ここに、去年の十二月に公正取引委員会が発表した、「欧米における持株会社の実態調査」というのがあります。これを見ますと、総論でも、とにかく持ち株会社になると実態がまるでわからなくなると書いてありますよ。「持株会社を頂点とした複雑に絡み合った企業集団内部で価格維持工作が行われると、情報が隠蔽され、その立証は困難になる。」と、こう書かれています。  それから、子会社経営情報の隠ぺいというところでは、これは欧米の例です。「特に、持ち株会社と子会社の間でのハイドンリザーブ」、ハイドンリザーブというのは隠された積立金ですよ。これはこう書いてあるんです、退職者引当金勘定など貸借対照表にあらわれないものと。「ハイドンリザーブの分配を操作することによって、すなわち、経営が悪化している子会社から他の比較的業績の良い子会社にハイドンリザーブを移すことによって、各子会社の損益状況を平準化し、個々の子会社の実際の経営状況の開示を回避することができる」と。欧米に対する公取の実態調査で書かれているぐらい、これは、持ち株会社になって情報開示は非常に困難でいろんな経営内容を隠せると。しかも、連結納税制度ということになりますと、これは本当にそういう道が明らかに開かれることになるだろうと思うんです。  この問題、答弁を要求しても、私の疑問を肯定するような答弁は恐らく出ないだろうと思いますので、問題点を指摘するだけにとどめまして、次に第四の問題に移ります。  それで、NTT再編、特にこういう膨大な海外進出のための出資の原資、こういう費用を国民・利用者、NTTの職員、労働者に料金の値上げとかリストラ、合理化だとか、こういうことによって負わせる危険が極めて強いという問題です。  ここで、電気通信事業法改正の接続料金の問題、これはボトルネック独占、これを接続のオープン化、ルール化によって是正するという建前になっている問題ですけれども、そこで一つ伺いをしたい。これはこういう接続のルール化、オープン化で、他のNCCあるいは地域の新電電との公正な競争が進むと言われているんですね。そうすると、電話料金は安くなるんですか、公正な競争が進む結果。いかがでしょうか。
  223. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 今回の法改正におきましては、電気通信事業者の接続に関しまして、一種事業者の接続の義務化、それから他事業者が依存する度合いが高い電気通信設備に関する接続約款の作成、接続会計の整備等が盛り込まれておりまして、これによりまして接続の費用が透明、公平なものになりますし、その迅速な接続が確保されるというふうに考えております。  これによりまして、利用者から見ましても、接続によりまして実現されます総合的かつ多様なサービスが迅速かつ公平な条件で提供されるようになるわけでございますので、まずこの点で利益の増進が図られると思います。  それから、透明、公平かつ迅速な接続が確保されることによりまして、事業者間の公正有効競争が一層促進されることになりますので、このことが利用者から見ますと、事業者間の活発な競争を通じた料金の低廉化、サービスの多様化につながっていくものと考えております。  従来の実態を見ましても、接続についての話し合いが行われまして、接続のコストの内容が明らかになってまいりますと、そのことがやがて料金の低廉化につながっておるという実態もございます。  さらに、今回の再編成によりましては、この接続ルールのほか、再編成に伴います競争の実現によりまして全体的な活性化も進むものというふうに期待をしております。
  224. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 長距離はだんだん安くなるだろうと、皆さんもね。これは先ほどもちょっと、東京−大阪で三分百円が六十円に実際になるんじゃないかという見通しも言いましたけれども、市内料金も競争の結果、接続のオープン化、ルール化で安くなるだろうと、局長答弁はそういうことも含まれていると思うんです。  TTNet、これは今度の接続料金の法定化に伴って接続料金が安くなるので、それを見越して、市内料金三分十円を一割安くして三分九円というサービスにすると言われているんです。NTTもどうです、公正な競争でこのNTT六千万の加入者の市内料金、三分九円に下げられるじゃないですか、宮津社長、実行してください。
  225. 井上秀一

    参考人(井上秀一君) TTNetが市内料金三分九円でやるというのは新聞に報道されております。我々も、どういうコスト構造のもとでそういう三分九円というのを実現できるかということについては、ほかの企業の話なんで明確にはわかりません。確かに、我々の市内網の一部を使ってTTNetはサービスします。そのときのアクセスする料金というのは一定の金額になっておりますが、それを使うことによって、自社のコストをそれの上にプラスアルファして一定の料金を決めるというのがTTNetの戦略。TTNetはあくまで後から入ってくるものですから、私のこれは個人的想像ですが、NTTと同じようなサービスではなかなかお客さまをとっていけないということで、かなりの政策的配慮も含めまして、こういうふうな料金を設定してきているんじゃないかというふうに思っております。  我々の、では三分十円はどうかということでございますが、これは先生もよく御存じのように、私は、世界的に遜色のない料金だと思っておりますし、コストというものはトータル的に他と比較して見れば、今までも非常に厳しいコストの改善をやってきておりますが、そういうものに対応した料金であろうというふうに考えております。現時点でどういうような形でこの三分九円に対応するか、またNTTの料金を下げるかということについては具体的な検討を行っておりませんが、三分十円自体は世界的に見ても遜色のない料金ではないかと我々は思っております。
  226. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 もう時間が参りましたし、次の回に質問を譲りますけれども、公正な競争で接続オープン化で料金を低廉化するというのなら三分十円もぜひ下げていただきたいという要望を申し述べて、質問を終わります。
  227. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 前回の委員会で私は株価の指標というものを、いわゆるPBR、それが今回の再編でどう影響するかという質問をいたしまして、今回改めて再度質問させていただくと申し上げておったんですが、私の事務所に書面で懇切丁寧に図解入りで届けていただきまして、よく理解いたしました。どうもありがとうございました。よくわかりました。  きょうの質問でございますが、平成八年度の郵政省の職員録を見ますと、NTTに八名の出向者があるようですが、郵政省からのいわゆる天下りは現在何人いらっしゃるんでしょうか。
  228. 谷公士

    政府委員(谷公士君) NTTの本体に現在、元郵政省の職員であった役員が何名おるかということでございますと、四名おります。それから、NTT関連会社に十二名の元郵政省職員であった役員がいるというふうに承知をいたしております。
  229. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 郵政省からの出向されている人、四名、十二名なんですが、今度再編されることによってその人たちの身分というのですか、どういうことになるのか、お尋ねをいたします。
  230. 谷公士

    政府委員(谷公士君) それぞれの会社の現に役員であるわけでございまして、その大事につきましては、それぞれの会社が関係者それぞれの人の知識、経験、経営手腕等総合的に勘案して人事を行っていくものというふうに考えております。
  231. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 今回の法改正は、持ち株会社の役員、いわゆる監査役、取締役が郵政大臣の認可、一般の事業会社に関してはそれは必要でない、こういうことなんでありますが、これだといわゆる持ち株会社の社員が三つの子会社にいわゆる天下っていくといいますか、天下りを助長して、人事権といいますか、子会社の人事を食い物にしていってしまうんではなかろうかという素朴な疑問を持つものですが、いかがでしょうか。
  232. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) 山田先生から、NTTに限らず、天下りというお言葉をいただきましたが、私は天下りという考えは持っておりません。やはり、これはもう郵政省に限らず今の政府の各省、みんな大体五十前後でいわゆる肩たたきでやめていかれるわけでありますが、この点は、私どもも基本的に余り感心したことではない、こう思っております。しかし、いろいろ役所の人事構成から見れば、どうしてもそういう形をとらざるを得ないのが現在の姿であります。  私は、そのおやめになった方々が、その人の技術あるいは能力、そして人格というもので次の再就職として請われていくならば、これは非常にいいことだと。こういう優秀な人材を活用するのが、私はこの社会で、また今後伸びようとする事業体というものにはいろいろそういうものがあると思います。  今先生からはNTT一つを取り上げられましたが、今通信会社では、例えばDDIの社長あるいはまたあそこの子会社の役員の一部に郵政省の出身の者もおりますが、このDDIというのはもう御承知のとおりの稲盛さんが会長でオーナーであります。ああいう厳しい方々が見込んで社長に迎えあるいは常務に迎えるということは、やはりその人の識見とか人格とかあるいは技術というものを評価されてお迎えになったものと、私はこういうように考えております。  私は、これからもそうした意味で、若い五十代でやめていく人がそのまま埋もれるというのは人材的にも惜しい限りでありますので、やはり再就職の場として、私は大いに今後も活用していただくことを心から期待を申し上げておるところであります。
  233. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 天下りすべからく悪いところばかりだとは、今大臣が言われたように、極めて専門的知識を生かした形で有能な才能が生かされればいいんですが、天下りによる弊害はいろんな形でいろんなところでもう言い尽くされているわけであります。  だから、今、天下りの長所、短所、それによって生ずる弊害、いろんなことを論じてもあれなんですが、私は、今度の持ち株会社郵政大臣の認可によって取締役、監査役が選ばれるという制度は、いわゆる郵政省からまた持ち株会社に適当な人事権といいますか、まさしく今私が指摘して、いい形で天下りがなされればいいんですが、間違った意味でのいろんな弊害、癒着を生む天下りの人事がなされる形になるのではないかというふうに危惧するわけですね。その点を指摘いたしまして、今回の再編による弊害の部分多々あるんでありますけれども、その程度でとどめます。    〔委員長退席、理事陣内孝雄君着席〕  これまで電話加入権の問題についていろいろと何人かの議員が質問をされておりますが、この電話加入権について何点かお尋ねをいたします。  現在、新たに電話を設置するとすると、NTTに設置負担金として七万二千円を払うということになっておりますが、いずれNTTのこの設置負担金が段階的に値下げされたり、最終的には廃止される方向だと伺っているわけであります。  しかしながら、私ども電話をかける施設を設けてくれといういわゆる電話加入権に関しては現在一社NTTだけがあるわけですけれども、これが三つの子会社分割されますと、電話加入権の権利というのはだれに対する権利なのか。その四つの会社分割されてしまうのか、従来のNTTに対する権利なのか、あるいはその地域を所有するところの子会社に対する権利として残るのか、そこら辺のところをちょっと説明していただきたいと思います。
  234. 井上秀一

    参考人(井上秀一君) ちょっと法律的な話もあるわけでございますが、電話加入権というのは電話加入契約に基づいて加入電話サービスの提供を受ける権利ということが定義でございますが、再編成後は東西の地域会社に基本的にその権利は引き継がれるという形になります。そして、これに伴って実は、加入権というのは一つの権利でございますからいろんなものが動いております。  具体的にいいますと、例えば差し押さえだとか質権だとか、こういうような権利がそういうものについて起こっておるわけでございます。こういう権利については、再編成に伴いお客様の所属する電話局の設置場所がどちらのエリアにあるかということで、東に行くか西に行くかという形で引き継がれると。  なお、今現実に、長距離サービスを受ける契約を長距離会社と今一社のときは自動的にされているわけですが、その長距離会社サービスの契約、これはこの加入権とは別に新しい長距離会社に引き継がれていくという形になります。ちょっと法律的にわかりにくいんですけれども、一応そういうような形になります。    〔理事陣内孝雄君退席、委員長着席〕
  235. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 今、電話加入権という権利は財産権として質権の対象になったりいろいろだとおっしゃったんですが、電話加入権というのがだんだん安くなっていくという話で、いずれはゼロにするというふうに聞いているんですが、その点はどうですか。間違いない情報ですか。
  236. 井上秀一

    参考人(井上秀一君) これは何回か御回答させていただいたんですが、電話加入権というのは過去の歴史が非常にありまして、実際に質権だとか譲渡だとかいうのがされております。したがって、片一方で新しく電話をつけるときに初期負担が高いじゃないか、初期負担が安くならないかということで、この加入権のもとになっている設置負担金、これを安くするのかどうかということの御質問だろうと思いますが、それを直ちに安くするといろんな問題が生ずるということで、我々としては新しいサービスとして、その設置負担金見合いの部分を基本料に上積みしていただく新しいサービスをつくろうということで、INSのサービスについてそういうものをつくっております。  そして、そういうサービスを実施すべく今大臣の方に認可を出しておりまして、ぜひ早くサービスをしたいと。言うなれば、初期負担の部分を平均的に後の利用期間で基本料として払っていただくというサービス、初めにばしっと初期負担の金額を出すか、そうじゃなくてある期間、ずっと利用している期間で基本料として払うか、どっちのサービスがいいかということの選択で利用者の方々に選んでもらうというような形のサービス展開をしょうと。  負担金自体を安くストレートにするかどうかという問題は、先ほど申しましたように非常にいろんな問題があるので、どうしたらいいかということで、郵政省ともいろいろ今後御相談しながら、そういう問題はこういう新しいサービスで乗り切っていくのかどうかということも含めまして、いろいろ今後御相談したいということで考えておるところでございます。
  237. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 長い答弁を伺ったんだけれども、加入権はやがてゼロになるかどうかということだけを端的に答えていただければよかったんですが、間違っても加入権はゼロにするわけにいかぬと。  現在、福井地裁で訴訟が起こされているんだそうですね。これは七万二千円の価値が下がっていってしまう、やがてゼロになってしまったならそのお金は大変なものだというんで、ある業者が訴訟を起こして、今係属中だそうなんでございます。これ全国のいわゆる電話加入者が持っている加入権、七万二千円を単純に掛けますと総額四兆三千億円ぐらいになるんだそうですが、その金を払わなきゃならないという法的な必然性があるがゆえに、間違っても加入権をゼロにはできないというNTTの、本来はゼロにできるんだけれども、ゼロにするとそういう問題が生ずるというところから今の苦しい答弁になったんではなかろうかと思うんですが、その点いかがでしょうか。
  238. 井上秀一

    参考人(井上秀一君) 今、訴訟になっているのはNTTグループのドコモでございます。ドコモは一番初め、設置負担金的なものを取っておったんですが、それをなくしたということで訴訟になっているんです。先ほどもちょっと御説明しましたように、設置負担金自身はその金額をいただいて加入者設備の一部にそれを充当して、残りで料金を決めているということで、いわば二重取りみたいな話にはなっておりませんので、この負担金制度を返還するかどうかという性格のものかどうかということについては、我々は返還するべきものではないというふうに考えております。  しかしながら、これを一挙になくした場合に、商売で売買されている現実があるものですから、そういうものとの関係をどうしたらいいのかということでございまして、既存の設備料を払ったお客さんとの均衡を考えながら初期負担をなくすような施策というのはどうしたらいいかということで、実はISDNのサービス、こういうものについてはそういう新しい選択型のサービスを導入してその調和を図ったような形で問題を解決しようという形で今取り組んでおるということでございます。
  239. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 福井地裁のその裁判の進行はどうなんですか。勝てそうなんですか。  今おっしゃったように、いわゆる絶対返還すべきでないという被告の立場でNTTドコモは頑張っていらっしゃるんだけれども、もし負けると大変なことになりますね、今言ったような形で。そこら辺のところ、被告サイドのNTTさんに負けるか勝つかの質問して申しわけないんだけれども、七万二千円の価値を下げない、いわゆる負担金は七万二千円だと、こうおっしゃり続ける限りは返還の義務がないんですが、それがやがてだんだん下がっていかざるを得なくなってきたときにこの問題は必然的に起こってくるんだろうと思うし、福井地裁のドコモの事件は明らかに敗訴の結果になるんじゃなかろうかと思うんですが、その点いかがでしょうか。
  240. 井上秀一

    参考人(井上秀一君) 裁判の行方を勝手に言うことはできません。  それで、ただ、我々の聞いておるのでは、ドコモがこの加入権を値下げしたというのは、コストパフォーマンスがよくなった、コストの低減を図ったと、一定の理屈がきちっとしておる中でそういうものをなくしていったということでございまして、そういうものについて今理解を、裁判の中でお願いしているというふうに我々は聞いております。
  241. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 次の質問に移ります。経営陣に労働組合のことを聞くのも筋違いかと思うんですが、簡単な質問でございます。  NTT再編によって既存の労働組合、全電通があるわけですけれども、この既存の労働組合はどういうことになるのか、これは分割されていくのかへ既存のまま残るのか、お答えいただきたいと思います。
  242. 林豊

    参考人(林豊君) 今の先生の御質問は、労働組合がどうなるかということでございますので、やはり労働組合は労働組合法に認められた正規の法人でございますので、労働組合としてどうするかという問題でございまして、私どもそれに直接関与いたしておりませんので、御回答については御勘弁いただきたいと思います。
  243. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 今までNTTの労働組合がありますね。それが持ち株会社になりまして子会社に分けられますと、いわゆる現場で働くというか子会社の社員の皆さん、従業員の皆さんはかってのNTTのトップ経営陣に対する労使交渉権を失ってしまうわけですね、当然のことながら。それは当事者能力が今回の再編によって回避される結果になるのではなかろうかと思うんですが、この点はどのようにお考えでしょうか。
  244. 林豊

    参考人(林豊君) これは一般論としてお答えさせていただかざるを得ないんでありますけれども、私ども、この再編という段階におきまして、従来労働組合と結んでまいりました労働契約、そういったものはそのままその再編後に基本的に承継していくつもりでございます。したがいまして、その当事者がかわらなければ何も変わりませんが、仮に当事者がかわったとしても基本的なそういった位置関係については大きくこの再編の前後において変わるというふうな形をつくり出す考え方は持っておりません。
  245. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 かつて国鉄の分割・民営化のときには、どの社に配属されるか、今回三つなんですけれども、それによって社員、従業員の希望がかなえられずに生活の本拠地と新配属会社が遠くかけ離れてしまって、実質上退職を余儀なくされたという者が多々あったと聞いておりますけれども、今回のNTT再編に伴ってはそのようなケースは考えなくてよろしいんでしょうか。
  246. 林豊

    参考人(林豊君) これも今後実施計画として詰めていくべきことでありますけれども、基本的に私どもといたしましては、現在私どもに所属する社員はすべて今度の再編後の四社のどこかに帰属することになります。したがいまして、かつてどこかであったようないわゆる余剰人員というような問題あるいは流動といったような問題は原則的に考えておりませんものですから、私ども、いずれにしましても、そういった考え方の前提に立っておりますが、労働不安が生じないようにやってまいりたいというふうに思っております。
  247. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 余剰人員を出さずにうまく配分するということでそういう問題を起こさない、こうおっしゃったので、期待しておりますので、よろしくお願いいたします。  分割されることによって、東日本と西日本で西日本が赤字会社だと、こう言われているんですが、いずれは競争するからおのずと賃金格差が出てくるのでありましょうけれども、これ賃金格差は、東西の会社において賃金格差の問題はどうなんでしょうか、再編後及びその後どうなっていくのか教えてください。
  248. 林豊

    参考人(林豊君) 先ほどお答え申し上げましたように、基本的な労働条件につきましては再編前後において変えるつもりは持っておりません。超長期的にという御質問には私どもお答えはいたしかねますけれども、基本的な労働条件というのは、やはり私どもグループ運営を進めてまいります場合にはいろいろグループとしてのお互いの交流を含めて出てくるかと思いますので、そういった観点から申しましても、基本的な労働条件について大きく変えるという考え方は少なくとも当分の間は出てまいらないだろうというふうに考えております。
  249. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 終わります。
  250. 水野誠一

    ○水野誠一君 私は、まず電気通信事業法改正に関して一つ伺いたいと思います。  今回の改正によりまして、接続約款の認可基準の導入や接続会計の公表の義務づけなど、電気通信事業者間の接続に関する制度整備されるということでありますが、この制度の実効を上げ、接続コストの低減という本来の目的を達成するには接続料の算定をできる限り客観的に行っていく必要があるというふうに思います。  今回は、資料を読みますと、その算定方式として施設の償却費、それから営業費及び一般管理費などの適正な額と、それからそれに加えて新たな資金調達に必要な支払い利子の合計を求めるいわゆる総括原価方式というものが採用されているということであります。この方式は、コス十分類が恣意的になりやすいということ、それから接続に関係ないコストが含まれるおそれがあるというようなことで、この方式のデメリットというものも言われているわけであります。  この点から見ますと、アメリカとイギリスで、事業者のネットワーク費用を実際の費用発生額ではなくて、同規模、同能力のネットワークを新たに構築した場合の費用額に基づいて計算していく、いわゆる長期増分費用方式というものがアメリカ、英国で導入されているということであります。この方式のメリットとしては、接続に直接関係のあるコストだけを抽出して、独占事業体の非効率を排除できることだということであります。  この平成十二年あたりにどうも見直しがあるということでも伺っているわけでありますが、この電気通信業界のいわゆるグローバルスタンダードへの適合の必要性ということから、我が国でもこの長期増分費用方式の導入を検討すべきではないかというふうに思うんですが、この点はいかがでありましょうか。  そしてまた、もう一つ伺いたいのは、英米以外の欧米諸国というものはどういう方式をとっているのか、おわかりになればあわせてお教えいただきたいと思います。
  251. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 御指摘のとおり、これまで接続料に関します事業者間の協議が難航しておりました最も大きな原因は、算定根拠が明確でなかったということにありますことから、今回、接続ルールを定めるに当たりましては接続会計制度を導入いたしまして、接続会計によって把握されます実際の、そういう意味では実績ということになるわけでございますけれども、その費用に基づきまして接続料を算定することといたしております。ただ、その際には、費用を設備の管理に直接要する費用ということで、費用そのものの分類を行いまして、必要なコストというものを明確化した上で制度をつくろうとしているわけでございます。  他方、御指摘のいわゆる長期増分費用方式でございますけれども、これは効率的なネットワークのモデルを用いた想定の費用に基づいて接続料を算定する方式でございますけれども、アメリカにおきましては一部の州において導入され始めた段階でございますし、またイギリスにおきましても導入の方向で検討されているという段階と承知しております。  私ども、この接続のルールを昨年一年かけて検討するに当たりましては、審議会にお願いをしたわけでございますが、このアメリカ、イギリスの状況等も調査をいたしまして、参考とした上で今回の制度を決めたわけでございますが、この長期増分費用方式につきましては、この英米におきましてもまだ導入の初期段階ということで、定着を見ているという状況ではございません。  それから、他の国の状況でございますけれども、ドイツにおきましては、やはり個々のサービスにかかる有効な原価ということでございますので、ヒストリカルなものであろうというふうに思います。それからフランスにおきましては、平均実績費用の見込みというふうなことでございますので、やはり長期増分ではないのであろうというふうに思います。  そして、今後この長期増分費用の導入を検討するということになりますと、現在の設備を新たに設置し直すと仮定した場合の将来指向的なコストデータの収集でございますとか、それからネットワークモデルの構築等の作業や分析を行う必要が生じてまいります。そういう状況でございますので、現在、私ども郵政省におきましては、学識経験者による長期増分費用モデル研究会というものを開催いたしまして、議論をしていただいているところでございます。この研究会の検討結果を踏まえまして、三年後に接続ルールを見直しする予定としておりますので、そのときを目途といたしまして、この方式をルールとして採用すべきかどうか判断していきたいというふうに考えておる状況でございます。
  252. 水野誠一

    ○水野誠一君 よくわかりました。まだ十分に確立していない方式だということでありますが、ひとつ我が国でも積極的な御検討をいただくということで結構だと思います。  次に、FCCの認可基準の緩和措置について伺いたいと思います。  六月五日の日経新聞を拝見しますと、米連邦通信委員会、いわゆるFCCは、「外国企業が米通信サービス市場に参入する際の認可基準を事実上、大幅に緩和する規則改正案を発表した。」ということが載っております。いわゆる相互主義を撤廃して平等な参入条件を適用するということになるんだと思うのですが、この措置の概要をもう少し詳しく例えればと思います。  また、今回の措置が、今話題になっております、また私も五月一日の決算委員会で質問させていただいた件でもあるんですが、NTT及びKDD会社の米国での事業免許の保留問題にいかなる影響を及ぼすのか、この点についても郵政省の御見解を例えればと思います。
  253. 長谷川憲正

    説明員長谷川憲正君) 先生御指摘のアメリカの連邦通信委員会、いわゆるFCCの規則改正案は、今お話もございましたとおり、六月四日に発表されております。この趣旨でございますけれども、御承知のとおりに、ことしの二月十五日にWTOの基本電気通信交渉がおかげさまで合意を見まして、この合意を踏まえまして、関連のFCCの規則、すなわち外国の事業者がアメリカの市場に参入する場合のFCC規則についてこのWTOの合意内容と整合したものに変える、調和のとれたものにする、こういう観点からつくられた改正案でございます。これは、まだ案の段階でございますので、これから国内外の関係者からコメントを受け付けまして、今年いっぱいには採択をされ、来年の一月一日から適用されるという予定になっております。  この改正案の中身でございますが、大幅な規制緩和と新聞等でも言われておる部分につきましては、一番大きなのは、今先生の方からも御指摘のございました、従来FCCが採用しておりました相互主義的な審査制度を廃止するという部分でございます。WTOの加盟国すべてに対して適用されるわけでございますが、外国の事業者がアメリカに参入をしょうとしてFCCに認証を求める場合に、現在のFCCの規則でございますと、この当該事業者の母国においてアメリカの事業者がアメリカで行われているのと同じような実質的な市場参入機会が保障されているかどうかということを審査いたします。これを相互主義的な審査制度ということで、一般にECOテストというふうに呼ばれているものでございますが、これを今回廃止しようとするものでございます。これは、WTOの原則の一つでございます最恵国待遇、これに従っての改正案というふうに承知をしております。  しかしながら、今回の改正案を詳しく見ますと、一方では、外国の事業者がアメリカの市場に参入をいたします場合に、アメリカのマーケットで実質的な競争を行う上で大きな危険がある場合、英語で恐縮でございますが原文で申し上げますと、ベリー・ハイリスク・ツー・コンペティションというものがある場合には、これを理由としてアメリカの関係者等がこの外国の事業者に対する認証の拒否の申し立てができるというふうになっております。これは現在もそういうふうになっているわけでございますが、したがいまして、最恵国待遇をとるというふうには申しましても、実際に認証が自動的に下るわけではないということでございます。その場合の審査の処理期間の明確化等についても触れられておりません。  それから加えまして、FCCは今お話もありましたようにNTTKDDのアメリカ子会社の認証を依然として留保しているわけでございますが、その理由とされました、アメリカのいわゆる通商上の懸念といったような公共の利益の観点から認証を拒否することも依然として可能とされているところでございます。  そういう意味で、今回の規則改正案が実質的にアメリカの相互主義の撤廃になるのか、またその制度の透明性の確保が図られるのか、依然として疑問でありまして、今後制度の改善を引き続き求めてまいりたいというふうに思っております。  それからもう一点お話のございました、今回のFCCのこの措置がNTTKDDのアメリカ子会社の免許の申請にどういう影響を与えるかということでございますが、このNTTKDDのアメリカ子会社の認証の件は、御承知のとおりに、ことしの初め、一月、二月にそれぞれアメリカにおきまして国際通信を行うための認証をFCCに対してこの両子会社が求めましたところ、これが留保されておって、いまだに認証がおりていないということでございます。これにつきましては、アメリカ政府は通商政策上の懸念のためだというふうに言っておりまして、具体的には、NTTKDDの外資規制が本年中に撤廃されること、またNTTの調達取り決めの延長をすること、これをこの認証付与の条件としているものでございます。  これにつきましては、私ども郵政大臣からFCCの委員長あてに二度にわたって書簡を発出していただいておるところでございまして、この中で、アメリカが条件としておりますようなNTTKDDの外資規制の撤廃あるいはNTTの調達取り決めといった問題は今回のNTTKDDのアメリカ子会社の申請とは全く関係のないことでございますので、両者を切り離して速やかに認証を付与するようにというふうに求めるとともに、ことしのWTOの基本電気通信交渉の合意にのっとりましてアメリカの参入手続の透明化を早急に図ってもらいたいということを求めております。  そういう意味で、今回の改正案、来年の一月一日から適用が行われるということでございますので、直ちに今回の認証の留保の問題に影響を与えるとは言えないのではないかというふうに考えております。  加えて、先ほども申し上げましたとおり、まだまだ通商政策上の懸念が免許拒否の理由に維持をされておりますとか、審査の処理期間が明確になっておりませんとか、多々問題がございますので、今後ともこの認証問題については早期に認証ができますように強く求めてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  254. 水野誠一

    ○水野誠一君 大変よくわかりました。ひとつ認証に向けて頑張っていただきたいというふうに思います。  今取り上げましたFCCの措置というのは、非常に活発であります国際通信市場における業者間の連携についても影響があるというふうに思います。例えば国際連携で有名なものの一つにグローバル・ワンというのがあるわけですが、これは現在世界六十二カ国千二百拠点という展開が図られている。そのグローバル・ワンのアメリカにおける提携先であるスプリント社に対するドイツ・テレコムとフランス・テレコムの出資については、やはりこのFCCから反競争的行為防止の名目で厳しい条件がつけられていたわけであります。九五年の十二月に課されたその条件というのは、ドイツ、フランス両国市場が開放されるまで課せられるということになっておりますが、今回の措置が現実になってまいりますと、こういった相互主義ではなくなるということで、国際間の連携は一層加速されていく可能性が高まっていくというふうに考えてよろしいのかなと思っております。  こういう激しい流れの中で、NTTが今回新たに国際通信事業に乗り出していかれるわけでありますが、方向としては、こういった国際連携に加わっていくという考え方と、それから自前で独自に頑張っていくというやり方と二通りのやり方があるというふうに思います。  海外で自前の中継ポイント、いわゆるノードというものを設置してその国の二種事業に相当する免許を得て行っていく場合、この一ポイント当たりにかかる費用は数億円、これどれくらいの数億かということも条件によって違うと思うんですが、かかるということであります。今後、NTT再編時までは出資方式によって、それから再編後は長距離会社によって展開していくこうした国際通信事業事業戦略というものは今後どうなっていくのかということに大変私は興味があるわけであります。  しばらくはその様子を見ながらの助走期間になろうかと思いますが、提携を志向し本格的に乗り出す段階では、できるだけ自前でやっていくといったタイムスパンによる展開戦略をお考えなのかどうか。あるいは国内で厳しい競争にさらされるでありましょう長距離会社にとっては、できるだけ体力を効率的に配分する経営体制が求められるというような面もあるんではないかというふうに思うのでありますが、そこの国際戦略についてのNTTの基本的なお考えをお聞かせいただければというふうに思います。
  255. 宮脇陞

    参考人宮脇陞君) ただいま先生が大体申されたとおりといってよろしいのではないかと思うんですが、当面は自前のサービスといいましょうか、要するにサービスを主体に考えまして、そのサービスを行うために必要な出資、提携を行うという方針で臨む考えであります。グローバル・ワン、ワールド・パートナーズ等のアライアンス、こういうものにつきましては、幾分それぞれのグループによって考え方は異なるんですが、どちらかといいますと包括的かつ排他的な提携を希望する場合が多うございまして、私どもとしては、現時点ではそれらのグループとのアライアンスは考えていないというふうに言ってよろしいかと思います。  いずれにしましても、NTTやそれから競争他社の事業状況等につきまして不確定な面が多いものですから、アライアンス等の提携に関して将来どうなるかということにつきましては未定というふうに御理解賜りたいと思います。
  256. 水野誠一

    ○水野誠一君 これは恐らくこれからの課題であると思いますし、今明確なお答えを引き出すのは難しいと思うのでありますが、ともかくこれは国際競争、まさにメガコンペティションの中で大変厳しい競争にさらされていくこの長距離会社ということから考えますと、やはりその辺の戦略をしっかりと立てて、早く国際的な進出というものを図られていくということが必要かと思います。そういう意味で柔軟な戦略をまさにお立ていただくということが望まれるというふうに思います。  次に、電子商取引と電子認証技術について伺いたいと思います。  申すまでもなく、国際的な電子情報の流通というものはますます増加していくわけでありますが、NTTも今後展開していくのは単なる電話サービスだけではないということであります。その中で現在注目の高いものが電子商取引であるわけでありまして、その技術革新の中心的なものが電子マネーになるわけです。  これは、広義には電子決済システムなどを含む概念でありまして、本質的に全く新しい点は狭義の意味、すなわち貨幣ですね、貨幣価値そのものを電子化して流通させてしまうという点にその新しさがあるのではないかというふうに思います。この広義の部分それから狭義の部分、電子マネーというところには二つあると思うんですが、取りまぜてさまざまなシステムが世界じゅうで研究されているわけであります。これは、NTTも昨年十二月に新電子マネー実験システムを発表されるなど、鋭意研究開発に取り組まれてきているということは周知の事実だと思います。  電子マネーでありますが、電子マネーは電子情報処理技術の革新とコンピューターネットワークの発達がもたらしたものでありまして、テクノロジーの発展のスピードからして技術的な障害がいろいろ今現在あるわけですが、これは近い将来にクリアされていくというふうに思います。問題はむしろ社会制度、金融という問題も含めた社会制度上のバリア、これをどう解決していくかということではないかと思います。貨幣価値を電子化するということになりますと、国家としても大変な影響を受けることになると思います。  例えば、金融機関が電子マネーを発行できるとなりますと、現在国家が独占している通貨発行権というものがまさに形骸化してしまう、あるいは金融政策として認められている預金準備率の調整による景気引き締めあるいは緩和というような政策ができなくなるなどの問題が生じてくるのではないかと思うわけです。  こういった国策としての電子マネーへの取り組み姿勢につきましては、これは通産省は通産省でまたやられているわけでありますが、郵政省としてどういうふうにお考えなのか、特にこれは大臣にその辺に対する御見解を承りたいと思います。  また、今申し上げましたような大蔵省、通産省などとの連携体制がどうなっているのかということについても簡単にお答えをいただければと思います。
  257. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) ただいま水野先生から大臣に意見を述べろ、こういう御指定でございましたが、私はこの電子マネーについて十分知識を持っておりませんので、局長の方から答弁させていただきたいと思います。
  258. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 最近のインターネットの普及に伴いまして、通信ネットワーク上での取引が盛んになりまして、電子マネーはこうした電子商取引の決済手段として大変注目を集めてきているものと思っております。  そこで、私どもは通信を所管するという立場から、認証業務のあり方等につきましての制度面の問題でありますとか、それから電子マネーを安全、確実に伝送する通信技術の面での研究、こういつたことを行ってきております。  具体的には、有識者にお集まりいただきまして調査研究会を開催いたしましたほか、平成九年度予算で認められました次世代インターネットに関する研究開発の一環として、電子マネーの伝送に資する通信技術の研究開発や実証実験に取り組んでいく予定でおります。  それから各省との関連ということでございますけれども、この電子マネーの普及発展のためには、通信ネットワークのセキュリティー技術や暗号・認証技術の確立も基礎的な条件として必要なのでございますけれども、御指摘のように、金融制度、商取引、決済制度における電子マネーの位置づけの明確化といったようなこと、あるいはこういったことが犯罪等に悪用される場合はどうだというそういう法制面での問題というものも必要であるわけでございます。  私どもは、繰り返しになりますが、通信を所管するという観点から、主として電子マネーの技術面について研究しておりますけれども制度面につきましては、事柄の性質上、金融当局、それから法務省あるいは警察庁、通産省、いろいろなところが関連されるわけでございます。そういう意味で、関係省庁との連携が大変重要だというふうに認識しておりまして、私ども郵政省の研究会にも他省庁の関係者の参加をいただいておりますし、私どももまた他省庁の研究会に参加をさせていただくというふうなことで、密接な連携をとっていきたいということで努力をいたしているところでございます。  いずれこういったことが具体的になってまいりまして、全体として具体的な制度化という段階になりますと、もう少し明確な形での連携が必要になってくるんだろうと思いますが、現在段階におきましてはまだ研究開発段階でございますので、こういった形で連携をとっていくという取り組みになります。
  259. 水野誠一

    ○水野誠一君 今の御答弁の中にも暗号技術の問題というのがちょっと出てきたわけでありますが、最後に、この暗号技術について郵政省の見解を伺いたいと思います。  今、暗号技術というのは基本的にはアメリカが大変先行しているということが言われておりますし、またアメリカでは暗号技術というのは一種の武器であるという考え方から対外輸出規制の対象とされておりました。今までは五十二ビット以下のものしか輸出できないという状況だったわけですが、これは五月三十一日の日経の夕刊の中に、この規制を今大幅に緩和していこうじゃないかというような考え方が出てきて、百二十八ビットのものまでがどうも将来的には輸出されるようになってくるということが言われております。こうなりますと、ますますアメリカの暗号技術というものの優位性が出てきてしまうわけであります。  私は以前、たしかあれは決算委員会だったと思うんですが、通産省にも質問をしておりまして、国内開発の暗号アルゴリズムの育成ということが今求められるのではないか、とりわけ防衛庁が軍事秘密の保持ということから国内の暗号技術の採用を検討しているというような動きもあるようでございますが、やはりこのデファクトスタンダードをめぐるこれからの競争ということの中で、とりわけ日本独自の暗号アルゴリズムというものを育成していく、開発していく必要があるのではないかというようなことを質問した経緯があるんですが、郵政省としてこの点について今後どんなお考えを持っているのか最後に伺って、質問を終わりたいと思います。
  260. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 確かに、米国におきましては暗号技術の輸出規制をしております。これは、高度なアメリカの暗号技術が外国の犯罪組織やテロ組織に使用されますと、国家の安全にかかわるということから置かれているんだろうと思います。  しかしながら、御指摘のとおり、最近この輸出規制を緩和しようとする動きがございまして、これはおっしゃるようにデファクトスタンダード的なねらいがあるものかどうか、その辺はつまびらかにいたしませんけれども、いずれにいたしましても、そういうことになってまいりますと、我が国にも米国の高度な暗号技術を初めさまざまな技術が入ってくる、利用可能になるということがございます。  もちろん、我が国独自の開発ということも必要だと思うわけでございますが、実際アメリカは非常に進んだ技術を持っておりますものですから、こういった技術について受け入れていくということは当然考えなきゃならぬことだろうと思います。最近、この暗号技術につきましては、先ほども申し上げました電子商取引の中で問題となります盗聴、改ざん、成り済ましなどを防止する大変重要な技術と認識されておりまして、各国とも技術開発、制度面整備に取り組んでいるところでございます。  私どもといたしましても、通信ネットワークのセキュリティーを向上させて電子商取引や電子マネーの普及発展を図るという観点から、暗号技術の研究開発を促進いたしますとともに、他省庁とともにOECDの暗号政策ガイドラインの策定等に参画をするというふうなことをしてまいりました。  この技術がアメリカの技術を中心に一つに収れんしていくかどうかということにつきましては、まださまざまな技術開発が行われている段階でございますので、将来の見通しということは困難でございます。やはりいろいろな技術をできるだけ開発するということをまずやっていくと同時に、そういった複数の暗号技術がございましても、通信システムが相互に接続、運用できるような仕組みということを考えていく必要があるのではないかというふうに思っておるところでございます。
  261. 水野誠一

    ○水野誠一君 最後に一言。  今の電子商取引あるいは電子マネーのところでいろいろ技術的な面も含めた御答弁があったんですが、一つ重要なことというのは、技術面だけではなく、社会的、倫理的な意味でこれから電子マネーというものが本当に人間にとって大変有効な手段になっていくか、あるいはこれが大きな問題を生む種になっていくかという大きな分かれ道が出てくると思いますので、そういった社会的、倫理的側面からも郵政省にしっかりとした見解をお持ちいただきたい。郵政大臣にもひとつその辺は御認識をいただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。  終わります。
  262. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 本日の三案に対する質疑はこの程度にとどめます。  明日は午後一時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十四分散