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1997-06-05 第140回国会 参議院 逓信委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年六月五日(木曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  六月三日     辞任         補欠選任      平野 貞夫君     魚住裕一郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         渕上 貞雄君     理 事                 加藤 紀文君                 陣内 孝雄君                 足立 良平君                 三重野栄子君     委 員                 景山俊太郎君                 北岡 秀二君                 畑   恵君                 保坂 三蔵君                 守住 有信君                 魚住裕一郎君                 鶴岡  洋君                 西川 玲子君                 林  寛子君                 松前 達郎君                 上田耕一郎君                 山田 俊昭君                 水野 誠一君    国務大臣        郵 政 大 臣  堀之内久男君    政府委員        郵政大臣官房長  天野 定功君        郵政大臣官房総        務審議官     濱田 弘二君        郵政省通信政策        局長       木村  強君        郵政省電気通信        局長       谷  公士君    事務局側        常任委員会専門        員        舘野 忠男君    参考人        国際電信電話株        式会社代表取締  西本  正君        役社長        国際電信電話株        式会社代表取締  山口 武雄君        役副社長        国際電信電話株        式会社常務取締  安藤  理君        役        国際電信電話株        式会社取締役   塚田 一幸君        日本電信電話株        式会社代表取締  宮津純一郎君        役社長        日本電信電話株        式会社代表取締  林   豊君        役副社長        日本電信電話株        式会社代表取締  宮脇  陞君        役副社長        日本電信電話株        式会社代表取締  井上 秀一君        役副社長        日本電信電話株        式会社常務取締        役再編成室長兼  木塚 修一君        企画室長     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○電気通信事業法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○国際電信電話株式会社法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○日本電信電話株式会社法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る三日、平野貞夫君が委員を辞任され、その補欠として魚住裕一郎君が選任されました。     —————————————
  3. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  電気通信事業法の一部を改正する法律案国際電信電話株式会社法の一部を改正する法律案及び日本電信電話株式会社法の一部を改正する法律案の三案の審査のため、必要に応じ国際電信電話株式会社及び日本電信電話株式会社役職員参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  6. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 電気通信事業法の一部を改正する法律案国際電信電話株式会社法の一部を改正する法律案及び日本電信電話株式会社法の一部を改正する法律案の三案を一括して議題といたします。  三案につきましては既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 畑恵

    畑恵君 自由民主党の畑恵でございます。  本日は、NTT法KDD法、そして電気通信事業法、以上三法の改正に関連しまして、本格的な国際競争時代の幕がNTT国際進出の解禁などによっていよいよ切って落とされました我が国情報通信あり方、つまり、いかに国際舞台でのメガコンペティション我が国が勝ち抜いていくか、その国家戦略などにつきまして、さまざまな方面からるる伺ってまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。  さて、ことし、一九九七年は、日本のみならず世界的な見地からも、情報通信分野にとってエポックメーキングな年と考えられると思います。二月十五日にWTOで基本電気通信交渉が決着いたしまして、いよいよ来年、九八年から加盟各国で各種の通信サービス市場外国資本に原則的に開放されます。相互外資参入することによって、新しい通信サービスや高度で効率的な事業運営グローバルでなおかつボーダーレスに競い合う、いわゆるメガコンペティション、このうねりはいよいよ加速されまして、世界各地で熾烈をきわめることと予想されます。  既に、こうした国際的な大競争動きに合わせて、御承知でございますので繰り返して恐縮ですけれども米国では昨年、約六十年ぶりに通信法改正されまして、地域長距離、そしてCATV相互参入が原則自由化され、また各通信事業者は、例えばナイネックスとベル・アトランティック、それからSBCコミュニケーションズとパシフィック・テレシスがそれぞれ合併しまして、事業規模事業範囲を拡大し競争力を強化しております。  もちろん、こうした合併統合動きというのはアメリカ国内にとどまりませず、去年の十一月に発表されましたイギリスBT、ブリティッシュテレコムアメリカのMCI、この合併によるコンサートの誕生、また、アメリカのスプリント、そしてドイツ・テレコム、フランス・テレコム提携によるグローバルワン、こうしたものなど、国境を越えて、再編統合動きというのは昨今とどまることを知らないと承知をしております。  つまり、長距離地域などの事業形態においても、また各通信業界事業者間におきましても、さらには通信放送など各メディア間に関しましても、世の中の潮流は今や統合の二文字、この二文字に向かっていると思います。  こうした国際状況郵政省はどのように分析して、そして日本通信行政あり方を判断していらっしゃるのか、この統合動きということについてまず御所見を伺いたいと思います。
  8. 谷公士

    政府委員谷公士君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、大変活発な動きがこの分野に見られております。  まず、急速な技術革新社会経済情勢の変化が進展する中で、利用者通信サービスに対しますニーズ高度化、多様化してまいっておりまして、これを受けて通信事業者としましても、地域長距離国際といった従来の業務領域を超えた積極的な事業展開を図りつつあります。  また、国際的に見ましても、社会経済活動グローバル化進展世界的な通信市場自由化の流れの中で、御指摘のようなワールド・パートナーズあるいはグローバルワンコンサートといった国際的な通信事業者の積極的な提携等が行われておりまして、通信サービスワンストップショッピングで行うということを実現して、利用者に対してシームレスなサービスを提供しようという動きがございます。  御指摘統合の問題につきましては、こういった状況が起きているのは主にアメリカでございますけれどもアメリカはさきにベル系会社長距離と七つの地域持ち株会社、そのもとで、当時は二十を超えておりまして、今は二十足らずの事業会社分割されておりまして、この地域持ち株会社間での統合動きが見られております。それから、長距離地域につきましては、統合というよりは相互参入という形、これを御指摘のような新通信法で実現しようとしておるという状況かと思います。  それから、さらにデジタル化技術が急速に進展する中で、通信放送融合といった問題も進展しておりまして、我が国におきましてもCATV電話に見られますような通信放送伝送路共用化、それからインターネット放送のような新しいサービス提供等動きも行われつつあるところでございます。  こうした世界的な通信放送市場動きは、通信放送、コンピューター、コンテンツといった従来の枠を超えた提携等が実現して、新たな事業体が多数誕生いたしますとともに、それらの事業体グローバル競争展開するいわゆる大競争時代の到来を意味するものでございまして、私ども郵政省といたしましては、これに対しまして、やはり国内市場における活発な競争、これが国際競争力につながるということで、国内競争力を持った我が国事業者グローバル市場動向に対応して国際進出等を図っていく、そういう動きが必要であろうと考えておりまして、積極的にこれを支援してまいりたいというふうに考えております。  また、通信放送融合、あるいはその他の競争進展状況等市場実態を踏まえまして、適時適切に制度あり方というものを見直していく必要があるだろうというふうにも考えております。  さらに、新しい技術を育て、ニュービジネスの振興を図るということも大事だろうと思います。  それから、こういつたことに関連して起きてまいりますプライバシー保護等の問題、消費者行政の推進、そういったことにつきましても心を配って取り組んでいかなきやならぬというふうに考えております。  これらのような観点から、今後の政策展開を図っていきたいというふうに考えております。
  9. 畑恵

    畑恵君 ありがとうございました。  先ほど局長お話の中にも、AT&TRBOC合併というお話がございましたけれども、かつて郵政省としてはAT&T分割というのをある意味一つひな型としてNTT分離分割というのを推進してきたという背景があるわけで、そのひな型としていたAT&T分割されたRBOCが今や統合の方向に向かっている。ですから、そういう意味では、今この時期に国際競争の中で日本にとって唯一のナショナルフラッグであるNTTを細分化するということについては、私は若干の疑問というのは否めないところなんであります。  公共事業などと同列に語るつもりは決してないんですけれども、やはりどうしても一度方針が決定しますと、それを取りやめたりあるいは大きく方向転換するということが日本行政はしづらいというのが泣きどころなのかなと思えることが幾つかございます。ただ、情報通信という分野は時々刻々、日進月歩進歩している、そういう分野でございますので、ぜひ世界動向と歩を同じくしながら、迅速な世界潮流の見きわめというのに努めていただきたいと思います。  ただ、とにもかくにも十四年間、生み出したものもあるのかもしれませんけれども、はっきり申しましてかなり不毛の議論だったのではないかと思います。それが終止符を打たれまして、とにかくNTT国際進出というのが認められたということに関しまして、私は大変喜ばしいことだと思っております。  NTT法の今回の改正というのは、そういう意味で、一日も早く法案の案がとれて法律として制定されることを私自身も心から願っております。  ただ、今や六千億ドル余り、西暦二〇〇〇年までには一兆二千億ドルを超える市場にまで成長するだろうと言われていますこの通信サービス分野ですが、各国によって、まさしく国を挙げて国策としての国際通信競争が繰り広げられております。例えばイギリスBT、これは世界のいずれかの市場参入しようとするときには必ず金融市場のシティーが強力にサポートを行って、これから進出するその国の市場のさまざまな情報を提供しましたりあるいは分析して、その会社の、つまりBTのリスクヘッジを図っています。  また、これ以外にも発展途上国での通信インフラ構築に関して、受注を獲得するために、各国では個人的に自分のコネクションのある国のトップ本人が直接現地に飛んで商談を内々にまとめてしまうという動きもあります。先ほど局長お話にもNTT国際進出に対して強力なサポートを行っていきたいというお言葉がございましたけれども日本のみならずさまざまな国が、やはりその国のナショナルフラッグが出ていく背景として、国が総力を結集してバックアップに当たっているというのが実情だと認識しております。  日本でも、今回のNTT国際進出に当たってさまざまなサポートシステムを考えていらっしゃることと思います。特に大臣は先日、ゴールデンウイークでございましたか、シンガポールマレーシア等アジア各国を回られて、NTT参入について強力なプッシュを行われたと伺っております。できましたらばそのときの模様、概要などを御開示いただけるとともに、今後どのような形でこのNTT国際進出をバックアップしていくおつもりであるのか、そして戦略的なものなどございましたらばぜひ御披露していただきたいんですけれども
  10. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) 先ほど谷局長から最近の情報通信グローバル化問題につきましては御答弁申し上げましたが、こうした国際化競争に対応いたしまして、今後NTTKDDを初めとする我が国事業者の積極的な海外進出につきまして一層の努力期待いたしておるわけでありますが、この点は大変重要な政策だと認識いたしております。特に、我が国事業者アジア開発途上国等においてインフラの整備やそしてまた通信事業に積極的に参画することは、国際協力観点からも私は極めて大事だと思っております。  したがって、先般五月の連休を利用いたしまして、シンガポールマレーシアを訪問いたしましたが、特にマレーシアにおきましてはマルチメディア・スーパー・コリドーに対しましてNTT技術あるいはまた大きな人材、こういうものに非常な期待をいたしておられました。したがって、今回の計画に当たってはNTTのマスタープランを採択していただくということで、特にまたマハティール首相は、NTTに限らずKDDを初め日本通信事業者の積極的な進出期待しておるというような発言もございました。  また、シンガポールにおきましても、今回シンガポール政府が第二キャリアと第三の計画を持っておられるところでありますが、これに対しましてNTTが参画するということで、向こうの運輸通信大臣と意見の交換を行いました。非常に大きな期待を持たれておるようでありますが、これもやはりNTTを初めとする日本通信事業者技術力に大きく期待されておったところであります。  これらの訪問を通じまして、アジア諸国が自国のインフラ高度化に向けまして積極的に取り組んでおられるようでございますので、今後ともこうした海外事業への参画については大きな期待を寄せておるところであります。また、こうした各国の要請にもこたえていかなきやならぬということを強く感じたところであります。  このような観点から、今後我が国事業者海外進出につきましては、政府といたしましても、いろいろな機会をとらえまして各国に御助言を申し上げたり、あるいは我が国技術あるいは事業者紹介等を行いまして、これまで以上に積極的に支援してまいりたい、こういうふうに考えておるところであります。
  11. 畑恵

    畑恵君 ありがとうございます。  ぜひこうしたマレーシアシンガポールというアジア各国のみならず、たしか北欧の方でも既にNTTが、これは結局競争入札落札できなかったようですけれども、いろんなところにもう既に営業マン部隊を送り込んでいると伺っておりますので、アジア以外の地域にも大臣みずから率先してお出ましいただいて、日本通信行政も語りながら、なおかつ落札にも貢献していただけるということを願っております。NTTが本当にグローバル企業へと脱皮できるか否か、つまり日本情報通信メガコンペティションに生き残れるか否かということと同じ意味を持ってサポートしていただきたいと思っておるんです。  NTTに限らず日本のこの通信事業というのは、今世界の変革のうねりの中で大きく二つのベクトルがあるとするならば、一つ国境を越えた通信サービスの急激な拡大、もう一つ電話サービスからマルチメディアサービスへの移行という二つの本流にさまざまな規制を受けてきた結果出おくれているという感が私は否めないのでございます。  例えば日本国内市場を見ましても、既に海外メガキャリア勢がかなり食い込んで企業の囲い込みを行っていると聞いております。中でもブリティッシュ・テレコム進出というのは著しいというふうに聞いておるんですけれども、こうした日本国内での海外メガキャリア進出状況、これについてわかる範囲で結構でございますので、お教えいただけますでしょうか。
  12. 谷公士

    政府委員谷公士君) 日本では十二年前の制度改革の際に、二種事業につきましては一切の外資規制を撤廃いたしました、一種事業は三分の一規制ございましたけれども。そういうことで、この両種ともにそれぞれ外国キャリア参入があったわけです。特にこの二種事業につきましては、参入がしやすいということと外資規制が一切ございませんので、BTその他各国キャリア日本子会社をつくって参入するという動きがいろいろございました。  また、今現在はそういった状況に加えまして、さらに先ほど指摘ありましたようなBTでございますとコンサートでございますとか、あるいはワールド・パートナーズ、ちょっとワールド・パートナーズは性格が異なりますけれどもグローバルワンといったような国際の有力な事業者提携をしあるいは共通の子会社をつくるあるいは合併するというふうな形で、さらに各国子会社を設けて進出するという動きが出てまいっておりまして、そういう動きでも日本に対していろいろアプローチがあるようでございます。ただ、まだ具体的にこれらの動きにつきましては本格的な活動を開始するという段階には至っておりません。おおよそそういう状況かというふうに考えております。
  13. 畑恵

    畑恵君 ありがとうございます。  まさに今、局長から御指摘のありました、単に個々の企業の力、技術力というだけではなくて、それぞれが国境を越えて統合して、そしてメガキャリアとして進出しているというそこのところが非常に私自身も脅威だと思っております。多国籍化する日本の中の大企業、こちらに向けてそうしたネットワーク背景として海外メガキャリアがいろいろなサービスを提供しようとしている。しかも、そのシステム構築から一切合財、企業通信を一括して請け負ってしまおうといういわゆるワンストップショッピング・サービスというのでセールスを上げていると伺っておりますけれども、このワンストップショッピング・サービスに対する日本の対応というのは何かとられていらっしゃるんでしょうか。
  14. 谷公士

    政府委員谷公士君) 十二年前の制度改革を申しますと、これはNTTが一〇〇%の事業を行っておりますところへ新規参入が入ってくるという形でございました。  これにつきましては、まず、それぞれの参入が考えられます分野ごと参入をするという形でございましたので、国際分野でありますとか長距離分野あるいは移動体分野というふうに参入が行われたわけでございます。これらの参入が一段落をいたしました段階で、御指摘のようにサービスあり方といたしましても、エンドエンドワンストップショッピング・サービスといった利用者にとっての利便のあり方というものが求められるようになってまいりまして、そういう意味でそれぞれの事業分野を持っております事業者が他の分野へも進出するという動きにもなってまいりました。私どもも、そういう意味でこういつた業務区分はないということを改めて一年前でございますけれども明らかにいたしまして、そういった動きにこたえられるように取り組んできております。  それから、今回のNTT再編におきましても、こういった制約が唯一法律的に残っておりますのはNTTKDDでございまして、それぞれ国内国際を分担して担当するという法的な仕組みになっておりましたので、ここにつきましては、NTTが再編成前は子会社によりまして、再編成後は長距離会社国際業務を行えるようにする、また同時にKDDにつきましては国内業務も行えるようにするという形で、こういったエンドエンドサービスに対応できるような通信事業あり方を受け入れていくという仕組みをとってきているところでございます。
  15. 畑恵

    畑恵君 さまざまな御努力を図られて、そういうワンストップショッピング・サービスに限らず、要するに規制を撤廃する御努力をなさって市場ニーズに合ったサービス展開ができるように努めていらっしゃるというのは私自身承知いたしております。ただ、この後電気通信事業法お話でも幾つか質問させていただきますけれども、さらなる御努力をぜひお願いしたいと思っております。  また国際進出の話に戻りますけれども進出したばかりのNTTも、聞くところによるとアイスバーグ作戦アイスバーグというのは氷山という意味でございますけれどもアイスバーグ作戦と称するプロジェクトを展開していらっしゃるそうで、五十人近くの営業マン米国、ヨーロッパ、アジアなど世界各国に送り込んで日系企業海外現地拠点をそれぞれ先に押さえて、国際回線事業が可能になったその時点で自社回線などで日本現地を結ぶことを目指していると伺っております。  ただし、やはりメガキャリア背景にした先ほどのボーダーレスな通信ネットワーク、これを背景としましたBTですとかAT&Tあるいはシンガポールテレコムなどと競争して入札しますと、なかなかまだ落札がかなわないというところも多々あるようでございます。  繰り返しになりますが、大臣も力を入れていらっしゃいますけれども、まだまだ、NTTは今後コンサートと組むんじゃないかというような専らの見方もございます。また、ワールド・パートナーズグローバルワン、いわゆる国際三大連合、どれと組むのかというのも決まっておりませんし、いやNTTNTT独自の道で行くんだと、そういうことも考えられると思います。  これからのことでございますから、また一つ企業のことでございますので、郵政省からそういうことを言うのは余りふさわしくないのかもしれませんけれども、やはりあくまでも日本国際戦略として郵政省としては、例えば国際三大連合とだったらどういうところと組んでこういう展開をしてもらえたら望ましいとか、あるいはある程度そういう指導をしていらっしゃるとか、そういうことというのはございますんでしょうか。
  16. 谷公士

    政府委員谷公士君) 先生から言っていただきましたように、私どもからは大変申し上げにくいことなんでございます。  今大きな動きといたしましては、先ほども申し上げましたコンサートワールド・パートナーズグローバルワンといった欧米の主要な電気通信事業体がそれぞれこの三つのグループに分かれまして、アライアンスを組んで国際的な市場グローバル通信事業展開をしょうとしておるわけでございます。いずれも有力な事業体でありますし、また、言葉は悪うございますけれども、それぞれの事業体及びその所属国の思惑もあるわけでございまして、それぞれになかなか大変難しい問題も含んでおると思います。  ただ、こういった動きが目指しております方向は将来において実現する方向であるというふうに考えておりますので、注目していくべき動きだと考えておるわけでございます。  そういった中で、我が国通信事業体といたしましては、御指摘ございましたように、やはり国際的な通信市場というものを目指す必要があるわけでございまして、我が国から各国に対する狭義の国際通信を行うだけでは非常に限界があるわけでございます。また、そういった分野にはそれぞれ各国から参入があるわけでございますので、積極的に国際的な場へ出ていきましてそこでも通信事業展開する、その中で我が国との通信回線も結びまして世界的な通信を担当するような方向に進んでいくべきだろうというふうに思っております。  その際に、この三つの動きと、それから独自の動きという可能性があるわけでございますけれども、これにつきましてどのような方法を選択するかは、御指摘のようにもろもろの状況を勘案いたしまして事業者がまずは判断していくべき問題ではないか、私どもは、その事業者活動がしやすいような環境をつくっていくということにあるのではないかと考えております。
  17. 畑恵

    畑恵君 答えにくい御質問をして大変失礼いたしました。  ただ、もちろんこの三つのうちどれと組むということが私としても知りたいことではございません。どういう方向に進むということになりましても、その背景に必ず日本通信ビジョンといいましょうか国際戦略、そうした何かしらのコンセプト、方向性というものは明確に持っておかないと、こちらと組むと収益が上がりそうだとか、ちょうど渡りに船という形でお招きがあったとか、そういう形で場当たり的に物事が進んでいってしまうということは、そういうことはないんだとは思いますけれども、やはり非常に今後の日本国家戦略国際戦略上支障を来すことになると思います。  こういうマクロな話、そして国の一番の方向性というのはなかなか話しづらいこともあるんだと思いますけれども、ぜひ、まず日本の国の中で情報通信分野というのをどういう位置づけをするのか。それによってどういう国づくりをして、そして世界の中で日本情報通信という一つの顔を持って、どのような二十一世紀の日本の存在感といいましょうか、国の一番大きな枠組みというのを世界に示していくのか。そういうようなところまでこの時点で考えておかないと、非常にNTTというのは規模が大きい、規模だけですればもちろん世界一でございますけれども、いつの間にか他のメガキャリアに吸収されてしまうということにもなりかねないのではないかと心配しております。  そういう意味で、たまたま私自身がいろいろなこの分野について指導をいただいておりますアスキーの西社長がかなり強硬に、NTTは決して三大連合と組むことをしないように、NTTというのは独立して国際展開をしていった方が絶対に得であるし、そうできる存在なんだからということを繰り返しおっしゃられるものですからちょっとうがった見方をしたんです。  既に国とNTTとの間にそういう国際戦略のようなものがおありかなと思って伺ったんですけれども、もしこのアスキーの西社長の、NTT国際三大連合と組まないで一社で、自分自身ネットワークを組んでいくべきだということに関しまして、御感想、お考えなどございましたらちょっと伺えますでしょうか。
  18. 谷公士

    政府委員谷公士君) これも大変難しい御質問でございまして、直接のお答えにならないのでございますけれども、基本的な考え方といたしましては、先ほども申し上げましたけれども、やはり国内競争力ということが基本になるということと、それから我が国といたしますと、これからの国際的な動きもどのように展開するかということを予測することは不可能でございますので、我が国自身としても、単一の勢力ではなくて複数の国際的に通用するような選択肢を持って国際の場に臨んでいくということがまずは必要ではないかというふうに思います。  それから、その際にどのような選択をするかということはあるわけでございますけれども我が国国際的な場でもリーダーシップをとれるようなあり方というものは非常に重要でございます。  ただ、そうは申しましても、それでは、これからの国際市場の中で一国の一企業のみが国際的な通信のすべてを賄うことができるかどうかということになりますと、これも非常に難しい問題でございますので、やはりそれなりの協力関係というものも必要だろうというふうに思うわけでございます。  いずれにいたしましても、大変この問題は難しい問題でございまして、こういつたことに対する国内の関係者の基本的な認識の共通性といいますか、共通の意識というものが必要だと思いますので、私どもといたしましても、技術の進歩あるいは世界における事業者その他のさまざまな動き、こういった情報を共有し分析いたしまして、共通の認識を持って当たっていくということが必要ではないかと考えております。
  19. 畑恵

    畑恵君 ありがとうございます。  私自身も、心配もし、また期待をしておりますことというのは、とにかくNTTというのは非常に規模も大きいですし、そして技術力も高い。もっと自信を持って、日本というのは今回の国際進出というものに向かってしかるべきだと思うんです。私も今まで随分出おくれた、おくれた、乗りおくれたという言葉を使ったと思うんですけれども、特に、マスコミを含めて、どうも日本はおくれているんだ、おくれているんだという言い方が余りにも意識の中にはびこり過ぎまして、若干自分をやや卑下し過ぎといいましょうか、過小評価しているところがあるんじゃないか。  私自身は、とにかく国際舞台というのは、もうみんな自信満々で自分が一番だと、たとえそうでなくてももう自分こそ世界のイニシアチブをとれるしとるんだという勢いで臨んできますので、そういう中で日本もかなり強気でいかなければいけないんじゃないかという気をちょっと持っておりまして、宮津社長きょうこれからいらっしゃいますけれども、宮津社長も、インタビューなどを読ませていただきますと、とにかくNTTは今引く手あまたなんだから、安売りせずにどんと構えているんだということをいろんなところでおっしゃいます。そのとおりだと思います。  ただ、今局長の話の中に、世界状況を分析するのは非常に難しいという話がありましたが、難しいけれどもやっぱり分析をして、情報をとにかく収集して、これは、先ほど私もイギリスのシティーの話を出させていただきました。アメリカはもっとですけれども各国とも、これは国の総力を挙げて情報を収集して分析して、そしてナショナルフラッグにそれを提供して、お互いに緊密な連絡を取り合って、そして国家戦略として企業サポートしているということでございます。NTTとしてはどんと構えているかもしれませんけれども、その水面下で、ぜひ郵政省が主導して各省庁からいろいろな情報を上げて、そして分析をして、ぜひ怠りなく、NTTに限らず日本の電気通信事業者世界メガキャリアメガコンペティションを牛耳れるような、そういう勢いでぜひ頑張っていただきたいと期待いたしております。  それでは、NTT法に関して国際進出等さまざま伺ってまいりましたが、ひとまずこれくらいにしまして、かわって電気通信事業法改正について伺ってまいりたいと思います。  今回の法案は、電気通信市場における新規参入の円滑化や事業者間の公正かつ有効な競争の促進に資することを目的とするものであります。それを実行するために、過剰設備防止条項の撤廃、そして接続ルールの透明化、こうした大きな二つの柱があるわけですけれども、どちらも、NTT国際進出そしてKDD国内参入それぞれの解禁と並びまして、全体として大きな規制緩和の一環、まことに望ましいものであると思っております。  先ほど既に述べましたけれども日本の電気通信事業者、やはりさまざまなこれまで規制がかかっている中で、世界的な二つの大きな潮流一つ国境を越えた通信サービスというグローバル動き、もう一つは電話からマルチメディアサービスへの移行というこの二つの方向の中で、やはりこの部分はおくれをとっておりますので、一日も早く世界レベルにキャッチアップするために、規制緩和はより大胆にそしてよりスピーディーに今後も進めていただきたいと期待しております。  ということで、幾つかございますんですけれども、きょうは時間の関係もありますので、大きく二つ御質問といいましょうか、お願い申し上げたいと思います。  一つは、役務規制の見直しでございます。  現在、役務につきましては、電気通信事業法施行規則によりまして、「電話」、「電信」、「専用」、「データ通信」、「デジタルデータ伝送」、「無線呼出し」、そして「その他」、この七つの種類に分類されておりまして、その種類を変更する、つまり新しい役務を提供しようとする場合にも変更の許可が必要となっております。  しかし、こうした七種類の分類ですけれども、これは一九八四年の立法当時に予測できたその範囲での分類であると考えられますため、現状は、技術革新ですとか利用者ニーズ、こうしたものにかんがみまして複数の種類、この七つの種類の中の複数の種類にまたがるサービスが登場する時代になっております。ですから私としては、やはりこの七つの分類というのは現実に即さなくなっているのではないか。  確かに、アナログ交換機の時代にはサービスごとにネットワークの構成、これを変える必要がございました。しかし、デジタル化の時代になった今としては、基本的にネットワーク構成はどれも同じだと思いますので、この役務分類というのはほとんど意味を持たないのではないでしょうか。むしろ複数のサービスを組み合わせた割引サービス、このごろいろいろなものが出てきております。そうしたサービスの円滑な提供というのがこの七種類の分類によって制約されましたり、あとそれこそNTTのOCNですとかISDN、これはできないわけではございませんけれども、こうした非常に時代を画するような重要な新サービスというのがどれも「その他」の部分に分類されております。「その他」というのを見ると、とにかくOCNその他、ISDNその他ということで、どんどん「その他」の部分が細分化されていくというのも余り体裁のよいことではないのではないか。  この際、ぜひ機動的なサービスを提供するのに支障が出ないように、役務については現行の許可制を届け出制に、そして役務区分もできましたら廃止して、原則まず自由と。そのかわり、確かに市場に支配力を持っているそういう事業者がおりますから、そういうところに関しましては、例えば非対称規制をかけるなり、あるいは独占的なサービスについては、これは料金ですとか約款で事後にチェックをしてコントロールしていくと。ですから原則自由、事後チェックと、そういう方針に転換されてはいかがかと思うんですけれども、いかがでございましょうか。
  20. 谷公士

    政府委員谷公士君) 役務の種類の問題でございますけれども、将来マルチメディアサービスの時代になりますと、すべてのサービス事業者の側での選択でできるようなサービスが出てくるということは当然予想されるわけでございますけれども、ただ、現段階におきましては、やはり基本的なサービスは電話であり専用であるという実態があるわけでございまして、そういう実態の中で、例えば料金の扱いにいたしましても、そういうサービスの種類に応じまして料金を定めるという必要もあるわけでございます。  したがって、現在の段階ではこういった区分を設け、おっしゃいましたように新しいもの、あるいは組み合わせたものにつきましては「その他」というところで仮置きのような形にはなっておりますけれども、もちろん私ども、これにつきましては時期を失することなく、利用の実態を踏まえてその役務の種類、内容というものを考えていくべきだろうと思っております。その方向として、最終的にはマルチメディアサービスというものが待っておるわけでございます。  それから、料金の問題につきましてもできる限りこれを緩和していくということで、届け出可能なものの種類をふやしてきているところでございますけれども、さらに平成十一年度を目指しまして、競争の状態を見ながらインセンティブ規制の導入も考えておるということでございます。  いずれにいたしましても、大変変化の激しい分野でございますので、その変化に対して時期を失することなくこういった通信制度仕組みを見直していくということを十分心がけてまいらなければならないというふうに考えております。
  21. 畑恵

    畑恵君 既にさまざまな分野規制緩和が進められている、その御努力というのはよく承知しております。ただいまの局長のお言葉の中にも、要するに時期を見ながら現状に合わせて適宜対応していってくださるという言葉でございますので、ぜひ市場ニーズに合いました、ユーザーがとにかくこうした規制によって不利益をこうむらないような形の機動的な見直しを進めていただければ幸いだと思います。  今の役務規制の見直し、もう一つ実は見直しをお願いしたいという分野がございまして、これは事業区分の第一種と第二種の見直しについてでございます。  やはりこちらも市場ニーズに迅速に対応したサービスを提供するためには、事業者が戦略上最も望ましい形でネットワークを構成できる、このことがこれから、既に今でもそうですけれども、重要なポイントだと思います。現在では、一種と二種の業者が技術的にはもう既に同様のサービスを提供できる状態になっているにもかかわらず、この壁が取り払われないためにネットワーク構築の大きな妨げとなっていると現場から声が上がっております。  先ほどワンストップショッピング・サービスではないですけれども、いろいろな形での新しいシームレスでボーダーレスなサービスをこれから日本としても独自にまた開発して提供していかなければいけない。そういう時期に当たりまして、この第一種、第二種の区分というのはもう既に私としてはやや時代おくれになっているのではないかと思うんですけれども、この区分の見直しということについてはいかがでございましょうか。
  22. 谷公士

    政府委員谷公士君) 確かに現在の仕組みにつきましては、みずから通信回線設備を設置して役務提供を行う者を第一種電気通信事業とし、これは参入に対して許可制をとっております。  このことの理由でございますけれども、国民生活や経済活動に不可欠な役務を提供する極めて公共性の高い事業でございますし、それからすべての電気通信役務を提供する際の基盤となる事業でございまして、いわゆる二種事業もこの一種事業の設備を利用してサービスを提供するわけでございます。そういう意味で、良質で安定的な役務提供を確保する必要がありますことが一つ。  それからもう一つは、それに加えまして、こういった事業の公共性にかんがみ各種の公益事業特権を与えられておるわけでございまして、そういったことで円滑なネットワーク構築が可能となるような仕組みとなっております。そういう特権の付与が無制約に行われるということもまた適当ではございませんので、そういうことから事業計画の確実性でございますとか技術的能力等を審査して許可を与えるという仕組みになっております。  一方、第二種電気通信事業は、先ほども申し上げましたけれども一種事業の設備提供を受けまして、その上でサービスを提供するという事業でございまして、このことにつきましては既に基本的な役務提供についてのチェックを受けておるわけでございますので、その再販ということで、事業開始に際しましても届け出または登録で足りるということにしておりますし、そういう意味で非常に簡便な制度となっておりまして、自由な事業展開が可能となっております。  そういう意味で、現行のこの事業区分といいますものは、それぞれの事業の性格を踏まえ、トータルとしてできる限り自由な事業展開ができるような、あるいは円滑な事業展開ができるような仕組みであるのだろうというふうに思っております。  ただ、いずれにしましても、この電気通信事業分野は非常に技術の進歩、そのほか需要の変化が非常に激しい分野でございますので、この枠組みにつきましても不断の見直しが必要であるということは基本的にそのとおりであるわけでございます。今回お願いしております事業改正におきましても、第一種事業のいわゆる過剰設備防止条項等の許可要件の一部を撤廃するという措置をとっております。今後とも、そういう意味では実態を踏まえて適時適切に時期を失することなく見直しをしてまいりたいというふうに考えております。
  23. 畑恵

    畑恵君 ありがとうございます。  確かに第一種の方にはさまざまな優遇措置がございますし、それをすべてに適用するということ、果たしてそれを実行していいのかどうかといういろいろな問題ございます。ただ、時期を失することなくというお言葉をいただきましたので、随時見直しも視野に入れて対応していっていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  それでは、法案に関します質問というのはこれぐらいにとどめまして、残された時間、関連質問をさせていただきたいと思います。  冒頭にも申し上げましたとおりに、ことしは日本にとって国際進出元年とも言うべき記念すべき年でございますので、そうした観点からぜひ日本世界に誇ります技術開発力、それから、これからボーダーレスになって、すぐにいろいろな問題起きてまいりますけれども、私、一番深刻だと心配しておりますのが法整備なんです。この二点について簡単に伺ってまいりたいと思います。  まず、技術開発についてでございますけれども世界ということに照準を合わせまして、郵政省の方でも既にいろいろな試みをなさっていらっしゃるようですが、デファクトスタンダード、国際基準の獲得について、こちらに向けて御努力をなさっているという記事を先日新聞で拝見いたしました。日本企業主導で開発したマルチメディア技術国際標準化を戦略的に後押しする標準創造型研究開発制度、これを新設なさったと伺っておりますけれども、概要について伺えますでしょうか。
  24. 木村強

    政府委員(木村強君) 先生ただいま御指摘をいただきました標準創造型研究開発制度と申しますものは、本年四月に電気通信技術審議会から郵政大臣あてに答申をいただきました「高度情報社会を展望した電気通信の標準化に関する基本方策」というものの中に、我が国からの国際標準化活動への寄与を拡大するための施策の一つとして提言を受けたものでございます。  具体的には、マルチメディアや移動通信等、国際標準化を推進すべき重要な技術課題につきまして、その標準化活動に貢献し、これをリードしていくために必要な研究開発に対し国が財政支援を行おうという内容になっております。  この御提言は、今先生からもお話ございましたように、基本的にはITUという国際機関で電気通信関係の標準は決まる定めになっておるわけでありますけれども、最近アメリカ等を中心といたしまして、市場競争の中でデファクト、いわゆる事実上の標準という形のものができ上がりつつございます。これは、まさに競争原理の中で標準化が推進されるということでございますので、うかうかしておりましたら、せっかく日本が研究開発に力を注いでいい電気通信関係の製品を開発いたしましても、それが日本国内のみしか通用しない、世界的には通用しない、そういう製品であってはこれからの世界に向けた競争の中でやはり立ちおくれてしまうであろう、こういう発想が非常に強くなっておりまして、こういう観点で私ども余り力を入れてこなかったということにつきまして、この電気通信審議会の中でこういつた例えば標準創造型研究開発制度、研究開発の最初の段階から世界の標準というものを志した、そういう研究開発の仕組みをつくるべきではないか、こういう御提言でございました。  したがいまして、ただいま御提言を受けたばかりでございまして、まだ新設はできてございません。来年度の予算要求に向けまして、どういうスキームでこういつた標準を目的とした創造型の研究開発制度ができるかどうかということを検討いたしまして、ぜひ来年度の概算要求に向けましてはこういう新しい制度ができるように努力してまいりたい、このように考えて今検討しておる最中でございます。
  25. 畑恵

    畑恵君 新設すると伺っていたものですから、まだ概算要求はこれからということでございましたら、これは私どもが強力にサポートさせていただいて、ぜひきっちりとした予算のもとに機動するものをつくっていただきたいと思います。  ただ、実はこの記事を読ませていただいたときに、後半の方に、またぞろですけれども、「行政が過剰に関与すれば公正な競争を阻害するばかりか、通商摩擦の火種になる」などという一文が書いてありまして、いわゆる冷や水を浴びせるようなコメント、必ずどの記事にも載るものでございますけれども、こういうものが書いてありましたが、私は、このような国際競争の熾烈さ、激烈さを認識していないようなコメントというのは全く耳をかすものではないと思っております。  もちろん、局長承知のように、アメリカでは国家主導で開発した国防技術、これを民生に転用してインターネットもCALSもEDIもすべて生まれてきたものでございますし、ヨーロッパにおいては既に官民一体となって標準化機関を設立して攻勢をかけております。戦略的な取り組みを日本がいたさなければ、決してこの国際基準をこれからとっていくというのはもう難しいことだと思いますので、ぜひ頑張っていただきたいと思っております。  同じ技術開発で、もう一つ簡単に伺いたいんですけれども日本は暗号化、認証システム、これについても世界をリードするトップレベルであると伺っておるんです。さまざまなものが電子化、デジタル化されていく中で、最も重要なこの技術課題、これについて今郵政省としてはどのような形でこの位置づけをしていらっしゃるのか、コメントをいただけますでしょうか。
  26. 木村強

    政府委員(木村強君) 電子商取引等、いわゆるこれからのサイバー社会というものを控えまして、技術開発が非常に重要になり、それによる新しい高度情報通信社会というものが形成されつつあるわけでありますけれども、何と申し上げましても、こういった電子的な具体的な商取引というものの中ではセキュリティーの確保、なかんずく認証システムといったようなものが非常に大切でございます。こういったもののキーになるものがいわゆる暗号技術でございまして、米国で開発されております共通かぎ方式のDESというような共通かぎを使った方式であるとか、それから公開かぎ方式のRSAといったような、マサチューセッツ工科大学などで開発されました暗号技術でありますけれども、こういったものが今世界的には非常によく周知といいますか、知られておるものでございます。  ただ私ども、この暗号化技術につきましては、それぞれの国が解読を試みる者との競争の面がありまして、技術開発の結果、こういういい認証システム、セキュリティー技術が開発できても、これは人が開発するものでありますから、必ずそれをまた破ろうとする人もあらわれるということで、技術的には非常にイタチごっこの関係があるわけでございます。そういう面では、この暗号化や認証システム世界の研究開発のレベルというものは、今例えばアメリカの場合を申し上げましたけれども、一般的に外に公開されていないようなものもございまして、世界的にどこが一番進んでいるのかという点ではここだというわけにはなかなか断定しづらいところもあります。  ただ、日本の場合におきましても、NTTとか国内メーカー、日立とか三菱が中心でありますけれども、こういったところが先ほど申し上げましたアメリカのDESやRSAといったものよりも処理スピードが速いといったようなことで、日本の方が優位に立っているというような分野もございます。しかし、さらにアメリカがまた進んでいるかもわかりませんので、一概に日本の方が上だとかアメリカの方が上だということはなかなか申し上げにくいわけでありますけれども、いずれにいたしましても、これから電子商取引などが現実のものとして起こります際には、一番大切なのはセキュリティー技術であるというふうに認識をいたしております。  私どもとしましては、この暗号技術はこれからの我が国にとりましても非常に大切なものでありますし、それから世界に出ていく際にもこれがキーとならなければ安心した形でのそういうネットワークを活用した商取引なども行われない、国民あるいは企業の中にも不安感があるということでありますから、技術的にはさらに精度の高いものということで私どもも予算を計上いたしまして、今通信放送機構などでも、最先端のというところは研究をいたしておるわけであります。どのレベルの研究開発の水準を具体的に世の中に導入するかどうかというのは、今でもやろうと思ったらできるわけです。しかし、やればさらに技術的には高度なものがどんどん進んでいくということで、どの時点の技術を現実の社会に導入するかというのは一つの決断であろうかと思いますけれども、研究開発をする立場からは常に最先端を行こうということで、郵政省も予算を確保いたしまして研究開発に取り組んでいる、こういう状況でございます。
  27. 畑恵

    畑恵君 ありがとうございます。ぜひこのセキュリティーシステム、暗号化、認証システムに関しましては、これは日本のものがいわゆるデファクトスタンダードとなるように、国際的に認められるものとなるように、さらに郵政省の後押しをお願いいたしたいと思います。  時間も大変迫っていて、そこで大きな話を伺って恐縮なんですけれども、けさほど日経新聞の方に、郵政省の方がインターネット上の不正侵入やウイルス感染を防ぐ初の包括的な安全対策に乗り出すということで、「安全基準を強化」という記事が掲載されておりました。既にこのような取り組みをなされているようでございます。最終的には、こうしたさまざまな動きがサイバー法の制定につながっていくのかなと思いますので、まだまだ緒についたところであるのかもしれませんけれども、ちょっと最後にまとめとして一言、このサイバー法の制定の取り組みということについて局長の方からお言葉をいただけますでしょうか。
  28. 木村強

    政府委員(木村強君) サイバー法というのは、各界のお話を承りますと、現在電気通信審議会で議論をいただいております二十一世紀ビジョンの中で言葉としては公式には初めて出たのではないかということで、言葉の意味というものについていろんな御質問等もあるわけであります。  いずれにいたしましても、これからの高度情報社会の中で電子商取引の普及であるとかあるいは認証制度の確立てあるとかセキュリティー対策、ただいま先生から御指摘ございましたこういったもの、暗号政策の確立てあるとか、それからプライバシー保護等を図るため、関係省庁が連携をしていわゆるサイバー法、高度情報通信社会を実現するための環境整備に関する法律の可能性について検討する必要があると言及されたところであります。  このようなお話が出まして以降、今のような議論が出ておるわけでありますけれども、これは今まで高度情報通信社会に対応いたしまして各省が持っております法律一本だけを直せばできるというものではないものですから、これは各省庁がきちっと連携をして新しい来るべき社会に不安なく飛び込んでいけるように環境整備を図るべきではないかという趣旨で御指摘があったものだというふうに考えております。  そういう面では私ども、例えば電子商取引等につきましても、大蔵省であるとか法務省であるとか通産省であるとかあるいは警察庁であるとか、いろんなところでこういう問題についてそれぞれの所管の立場から今研究会等が展開をされておりまして、私ども技術基準を中心にして研究をいたしております。そういったものの成果を見きわめて、各省が連携をして、社会的に普遍的なそういうものをできるところがらでもつくっていこう、こういう気持ちでおりまして、現在そういう面では各省庁とそういうお話についてきっかけをつくった、始めたという段階でございまして、それぞれの省庁の御意見をよく踏まえながら、全体として新しい社会にふさわしい形を政府全体として取り組んでいく必要があろうということで、まさにこういう問題につきましてはただいま端緒についたばかりだという気持ちでこれから努力してまいりたいと思います。
  29. 畑恵

    畑恵君 ありがとうございます。  まさに私自身も、各省庁横断的にこの話というのは進めていかなければいけない、しかも時間が幾らかかってもいいという問題ではなくて、もう喫緊の課題だと思います。  先日、各省庁横断して通信分野については高度情報通信社会推進本部のお話をしていただきましたけれども、どちらでも結構なんですけれども、ぜひワーキングチームのようなものを近いうちに結成していただきまして、それぞれの研究成果を持ち合わせて、すり合わせをして、そして日本のサイバー法ということで、緒についたと申しましても一日も早く、これは形あるものとして政府から御提示いただけることを望んでおりますので、御努力のほどよろしくお願いいたします。  質問を終わります。
  30. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 自由民主党の景山俊太郎であります。  臨時行政調査会が旧電電公社の分離分割と民営化を求めて答申を出してから十四年が経過をいたしました。非常に長い歳月を費やしたわけでありますけれども、このたびこの問題に一応の決着が出されたわけであります。過去三度つぶれております。非常に不思議に思いましたのは、私どものところの方にも、郵政省から分割をぜひお願いします、NTTからは労使挙げて分割は絶対反対です、そういうことをほんの最近まで言われておりましたけれども、まさに急転直下、こういうふうに決まったわけであります。  この決着を見たことに対しまして、郵政大臣、またNTTの幹部の皆さん、今どのような感想を持ったり、これをどのように評価されているか、そしてこれからどういうふうにやるか、再編成の意義を中心に。結局、郵政省は名をとってNTTは実をとったんだという批判もあるわけでありますから、そういう点も踏まえて御答弁をお願いしたいと思います。
  31. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) ただいま御指摘のとおり、非常に長い時間を要しましたが、しかし、私は、時代の変遷を踏まえつつその時代に対応するような形でお互いが結論を導き出したもの、こういうように考えております。  なお、今景山先生御指摘のように、お互いが見識をとったりあるいは実をとったとかいう批判もあるということでありますが、どんな結論を出しましても私は必ず批判というものはあろう、こういうように考えております。  今、情報通信日本の産業、経済のリーディング産業として大きな役割を果たしておる、また通信産業にこれからも大きな期待をいたしておるという問題、さらに今日、情報通信グローバル化していわゆるボーダーレスの時代に突入しつつある、こういう社会的反響というものが今回両方の間に大きな決着の判断を与えた、こういうように私は考えております。  法案は御案内のとおりの状況でありますが、やはりこれからの大競争時代でありますから、資本力は一つの大きな力に持ちながら、さらにまた、グローバル化に対応した国際進出あるいは国際競争力というものをある程度分社化してやっていく。さらに国内においては、地域電話というものはNTTが独占的にできるわけでありますが、長距離通信については公正競争の環境をお互いに確立した、こういう面では大きな意義を持つわけです。そして、この長距離国際進出を可能にして、今後お互いに国内においても大きな競争環境が確立され、さらにそれを通じて国内競争力を持った力で国際進出を果たしていく、こういうことでありますので、私は、時間はかかりましたが、実質的には非常にいい結論を得たと。  特にNTT技術力、人材力、こういうものはやはり一つの形で、特にこの研究開発というもの、これがこれからの欠かすことのできない大事な問題でありますが、これはもう一本化して今後とも強力な研究体制を確立てきるということができたわけであります。  私は、今回の持ち株会社によるこの再編成というのは、長い時間かかった知恵の結集だと、お互いのそうした考えをよりよい方向でまとめ上げた、こういうように評価をいたしております。
  32. 宮津純一郎

    参考人宮津純一郎君) 今度の結論というのは、私どもの方としては最善のものだろうと思っております。  十四年間かかりましたけれども、周りの条件が同じということで議論をずっと十四年間やってきたわけではなくて、最近は特にマルチメディアとか言っておりますが、事業自体の性格が電話の次の時代ということで急速に移ろうとしておりまして、同時に国際問題も相当大きくなってきている、国際市場での競争というのがどんどん進もうとしております。そんなような状況なものですから、十四年間議論している間にもその間に刻々と環境が変化してきたと思います。特に、最近の数年間の変化というのは全く恐るべきものだというふうに思っております。そういうようなものを踏まえて、これから将来一体どうしていくべきかというような観点に立ったときの現在の回答としては、私は今回の案は最善ではないかというふうに思っております。  途中で郵政と口をきかなくなったりしまして何かいろいろ言われまして、当事者なんだからもっと話し合えなんということもございまして、それでずっとやっていまして、どうまとまるかよくわからなかったんですけれども、最終的に、去年の暮れごろに、いろんな議論を郵政の方でまとめられました。いろんな議論はしてきたけれども結局こういうことじゃないか、これでどうだというふうに、何というんですか、まとめる案を出されました。それで、NTTとしてはいろいろ考えた末、のみ込んじゃった、喜んでのんだ、こういうところがら今回の案が具体化されて始まってきたと思います。  それから、大変郵政省も御苦労されましたけれども、いろいろ関係の方面からも相当サポートもいただきましてずっとまとまってきたと思います。  そんな経緯なものですから、今まで十四年間いろいろやってきたけれども余りしこりがあったり根に持ったりということはございませんで、これが最善だということでやっております。
  33. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 社長がおかわりになると随分変わるものだというふうに感じまして、もっと早くから社長になられればよかった。  これは、国際競争の中で我が国日本NTTが勝っていかなくてはいけない、こういうことが大義名分であろうと思いますけれども、両方とも名をとって実をとっていただきたいというふうに思います。  それで、日の丸日本の旗をつけたNTT世界に航海をする。我々は岸壁に立って船出を、門出を祝うということでありますけれども、残された国内の国民や産業というものは今後どういうふうになるんだろうか。国民や特に株主、産業、そういうことに与える今度の再編成というものの影響と意義というのはどういうふうに考えておられますか。
  34. 谷公士

    政府委員谷公士君) お答え申し上げます。  まず、今回の再編成情報通信産業全体に与える影響ということでございますけれども、接続  ルールの確立それから規制緩和と相まちまして、公正競争条件の整備、相互参入の実現などが行われ、これによって競争が一層促進され、情報通信産業全体の活性化が図られるということが一点ございます。  それから二つ目に、我が国の基幹的な事業でございますNTTあり方が決定することによりまして、情報通信産業の基本的な構造が定まることになりますので、おのおのの事業者がさまざまなビジネスチャンスヘのチャレンジを積極的に行い得る環境が整うということがございます。  それから三点目に、NTT国際通信進出することによりまして、情報通信グローバル化に積極的に対応することができ、我が国情報通信分野国際競争力の向上に資するということが考えられるわけでございます。それから、国民・利用者にとってのかかわりということでございますけれども、この点につきましては、競争進展によりまして、多数の事業者の方々が技術革新の成果を活用してさまざまなビジネス展開に挑戦していかれることになるわけでございます。その結果、ニーズに即応した多様なサービスが低廉な価格で提供されることにつながっていくものと期待をしております。それから最後に、NTTの株主にとってどのような意味を持つかということでございますが、今回の再編成によりまして、国際通信分野への進出などNTT事業領域が拡大をいたします。それから経営の効率化の促進が図られるということを考えております。こういった効果が期待できますので、NTTの株主に対しましても再編成の成果の還元が行われていくものというふうに期待をいたしているところでございます。
  35. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 今回の再編成をやって、東と西に分けて地域会社、それと長距離をつくられたわけなんですが、この東西の二つは特殊会社にして、長距離会社を民間会社にしたというのはどういう理由ですか。
  36. 谷公士

    政府委員谷公士君) 今回の再編の形でございますけれども、これによりまして再編後の東西地域会社はそれぞれの地域におきましてサービスを提供することになるわけでございますが、この地域通信市場におきましては競争はほとんど進展しておりません。その中であまねく電話サービスを確保し得る事業会社は当分の間この東西NTTしかないわけでございます。したがいまして、この両社につきましては、国民生活それから社会経済活動に必要な電話サービスを全国くまなく利用者に対して安定的に提供していくという公共的な役割を担っていただく必要がございますので、特殊会社といたしました。  一方、長距離会社につきましては、長距離分野につきましては競争事業者が多数参入しているわけでございまして、この分野につきましては、今申し上げたような実態的な独占といった制約条件がございませんので、この会社については、純粋な民間会社としてその事業範囲も自由にして活動の幅を広げていってもらいたいというふうに考えているわけでございます。
  37. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 ひとまずNTTの問題はおきまして、三法出ていますけれども電気通信事業法の一部改正について伺いたいと思います。  いわゆる過剰設備防止条項に関して伺いたいと思いますけれども、過剰設備防止条項は、電気通信事業法第十条第一号、第二号に定められております。そもそもこの条文の当初の立法の背景と、その後、現在、背景がどのように変化して今回の改正に至ったかということを御答弁お願いしたいと思います。規制緩和ということがあったと思いますけれども、この点をお願いしたいと思います。
  38. 谷公士

    政府委員谷公士君) いわゆる過剰設備防止条項は、事業法制定当時、競争原理を導入するに際しまして、競争がある以上は需要を超える設備が存在するということは当然なわけでございますけれども、ただ、設備投資が著しく過剰となりました場合には、この過剰投資の費用負担が料金に転嫁されましたり、あるいは事業者間で過当競争を招く結果、品質の劣化でございますとか事業者の共倒れが起きるということになりますと利用者に不利益が及ぶということでございますので、こういった事態を避けるために、他の公益事業の例に倣いまして設けられた規定でございます。  事業法制定後十年以上経過いたしまして、この間、電気通信のあらゆる分野におきまして新規事業者参入され、長距離、自動車・携帯電話、それから国際といった分野競争進展をいたしてまいりました。独占体制から競争体制への転換政策が一定の成果を上げてきたわけでございます。その中で、この過剰投資の費用負担の料金転嫁、あるいは事業者の共倒れといった事業法制定当時に懸念いたしましたような事態は生じませんでした。  他方、技術革新が急速に進んでまいりまして、これに応じて参入を円滑化し事業意欲を生かすことによって、より多様なサービスの提供を促進していくことが国民のニーズに適切に対応するために必要とされてきているというふうに考えました。そこで、過剰設備防止条項を設けておく必要はないと判断して、今回これを削除するという御提案をさせていただいているわけでございます。
  39. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 ところが、三十八条二項、これは規制緩和じゃなくて規制強化という感じがするんです。  接続の関係で指定電気通信設備の指定は郵政省令で定める事項が多い。省令の具体的内容を示して、いずれの電気通信設備が指定されるのか伺いたい。規制強化をして最後は規制緩和というようなことを言われておりますけれども、この点どうですか。
  40. 谷公士

    政府委員谷公士君) この接続の関係につきましては、電気通信設備の調達と申しますものは、それぞれの事業者がすべてについて調達をするということはできないわけでございまして、それぞれの分野について調達するわけでございますが、通信サービスはあらゆる分野にくまなく行われる必要があるわけでございます。  そういたしますと、こういった設備が自由に、自在に接続されることによりまして、その上で多彩なサービス展開期待されるわけでございます。この基本的な通信設備につきましては、それぞれの事業者が互いに接続する義務を負うという形にすることによりまして、その上でさまざまな多様なサービス展開していくということを確保いたしますために接続のルールを今回法制化することにしたわけでございます。従来、事業者間の話し合いで決定するという仕組みを義務という形にしたわけでございます。  その中でも、特にいわゆる地域の加入者のネットワークにつきましては、現実にNTTがほとんど独占しているという状態にございまして、この地域ネットワークは、他のあらゆる事業者がこれを利用するという関係に立っておりますので、この設備につきましてはあらかじめ接続に関する条件を定めました約款を設けて、これによって接続をしていただくということが非常にスムーズに通信設備の接続を実現し、その上で多彩なサービス展開を可能とするというふうに考えたわけでございます。
  41. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 今の点で何か具体的にわかりやすい点はないですか。
  42. 谷公士

    政府委員谷公士君) 具体的にこの接続の中身ということでございますか。
  43. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 何か値段が安くなったとか。
  44. 谷公士

    政府委員谷公士君) この接続をすることによりまして、従来ですとこのために非常に事業者間で多くの時間を費やしまして、そのためにサービス展開がおくれるわけでございます。そして、この設備の接続に関する費用の分担をどうするかということにつきまして非常に大きな争いといいますか、見解の相違があるわけでございます。  この点につきましては、欧米等の状況も勘案いたしまして、関係者の合意できるルールを定めることができました。これを今回基本的な部分については法制化をいたしまして、これによりまして円滑に接続を行いスムーズにサービスが提供できるようにするということでございます。したがって、これによりましてサービスの提供が円滑になると同時に、その提供条件につきましても合理的な提供条件が定められることになるというふうに考えております。
  45. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 次に、国際電信電話株式会社法改正によって、国際電信電話株式会社国内電気通信サービスもできるようになるわけです。その提供するサービスの内容についてお話しいただきたいと思います。
  46. 谷公士

    政府委員谷公士君) 今回のKDD法改正につきましては、KDD国内電気通信業務を営むことも可能としょうとするものでございます。  KDDが提供できる国内電気通信業務の範囲でございますけれども、これにつきましては、KDDの本来業務でございます国際電気通信業務の円滑な遂行に支障のない範囲内であればいかなるサービスであっても提供可能であるというふうに考えております。
  47. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 KDDの追加業務、すなわち国内電気通信サービスについて、「国際電気通信業務の円滑な遂行に支障のない範囲内において」という条件がついております。これは、KDDの業務は依然として国際業務にメーンを置いている、力を置いている、主に国際通信の特殊会社としての立場を維持させることではないかと思います。  裏を返せば、今のKDDと同じようにユニバーサルサービスが提供できる国際通信事業を行う会社が出現をしたときには、今のKDD法というのはどうするんですか、廃止するんですか。
  48. 谷公士

    政府委員谷公士君) 御指摘のとおりでございまして、KDDが特殊会社として位置づけられておりますのは、現在、KDDのみが全世界の二百三十三の国、対地との間で国際通信を提供しておりまして、これによりまして国際通信分野におけるユニバーサルサービスが確保されているという事実がございます。そういったKDDの役割といいますか、現実の役割にかんがみまして、KDDを特殊会社としておく必要があると考えるわけでございます。  したがって、その特殊会社としております理由であります国際電気通信業務の提供に支障のない範囲でその他の業務を行っていいという仕組みになっているわけでございますが、そういう事情で特殊会社としておるわけでございますから、将来の状況の変化に応じまして、例えば電気通信審議会の昨年二月の答申の中では、「長距離NTT国際通信市場への参入やNCCの今後の対地拡大の状況を踏まえ、KDD以外の事業者によりKDDにそん色ない対地が安定的に確保された段階で、廃止する方向で検討を行うべきである。 なお、KDD法の廃止を検討する際には、我が国及び国民の安全の確保等についての十分な配慮が必要である。」というふうにされているわけでございます。  私どももこういったような考え方に立っておるわけでございまして、そういった状況の変化を踏まえて、時期を失することなく検討してまいりたいと考えております。
  49. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 KDD国内通信産業に参入するに当たって、事業展開の方針はどのようなものか。KDDの自前の国内通信回線はどの程度あるか教えていただきたいと思います。
  50. 西本正

    参考人(西本正君) KDD社長の西本でございます。お答え申し上げます。  当社は、国内通信事業参入いたしまして、国内から国際まで一貫したサービスを提供することによりまして、お客様のニーズが年々高度化グローバル化しておりますので、これにおこたえするとともに、一貫したサービスということによりましてコストの低減を実現いたしまして、国際競争力を強化してまいる所存でございます。  具体的には、この改正法案が成立いたしました後、まず、お客様からの要望が非常に多い企業向けの専用線サービスや、KDD加入者回線というのがございますけれども、そこからの電話サービス、あるいはKDD専用公衆電話からの市外電話サービスなどの提供から開始してまいりたい。さらに準備が整い次第、順次インターネットサービス、さらには本格的な市外電話サービスへとサービス範囲を拡大して、広く国民の皆様の御期待にこたえていきたいというふうに考えております。  当社自前の国内回線の状況につきましては、当社は、従来から国際通信のための国内伝送路のコストを引き下げるために、東京、大阪、山口、九州を結ぶ陸上のマイクロ波伝送路を持っております。そのほか、千葉県の千倉と宮崎あるいは沖縄を結ぶ海底ケーブルなど、自前の国内伝送路を積極的に建設してまいりました。  また、マルチメディア時代の国際通信事業に対応し、我が国の特にアジア地域での通信のハブ化を進めるために、私ども日本列島の周囲に大容量、高品質の光海底ケーブルを環状に敷設するJIH、ジャパン・インフォメーション・ハイウェーという計画を推進いたしております。  当社の国内通信参入が認められました場合には、これら既存の陸上マイクロ波伝送路あるいは海底ケーブルを有効に活用するほか、JIHケーブルを国内通信サービス提供のための伝送路としても活用してまいる予定でございます。  以上でございます。
  51. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 それでは、NTTの方に返りまして御質問します。  今度のNTT法律が通って実際に施行されるには二年六カ月かかるんです。ところが、国際進出ということを考えておられますから、附則第十四条で、このNTT法の施行前に、「郵政大臣の認可を受けて、国際電気通信事業を営む法人に出資することができる。」、こういうことで、再編を待たずに子会社形態で国際通信業務へ進出可能ということですが、その点につきまして、サービスの提供に縛りがあるとかいろいろな問題があると思いますけれども、この点についてお聞かせをお願いしたいと思います。
  52. 谷公士

    政府委員谷公士君) NTT国際通信分野への進出につきましては、NTTが独占的な地域通信網を有しておりますことから、NTTの再編成前におきましては、NTTと他の通信事業者との公正競争条件を確保するために、本体ではなく子会社方式により行うことができるとしているところでございます。  その際、この国際子会社が行う国際通信業務の範囲でございますけれども、その範囲それから形態、つまり一種、二種といった区分でございますが、こういったことにつきましては特段の制限を行う考え方はございません。
  53. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 それで、問題があるのは、NTT国際進出におきまして、日本国際電話の市場はわずか三千五百億円と言われております。国際通信事業者は、日本にはKDD、IDC、ITJの三社で過密状態ではないかと思います。そう考えますときに、日本外国を結ぶ国際電話に出てくるとしましたら、公正有効競争という問題の中で非常に批判があるんじゃないかと思っております。この点はどうお考えですか。
  54. 谷公士

    政府委員谷公士君) 今回のNTT国際通信市場への参入は、情報通信グローバル化動きに対応しまして、国際競争力の向上を図りますとともに、国民・利用者に対する国内国際一体型のグローバルサービスの実現でございますとか、国際通信料金の低廉化ということをねらったものでございます。  御指摘のように、既に三社による競争市場となっておりますこの市場に巨大なNTT参入することによりまして、公正競争を阻害するのではないかという点につきましては、NTTといえども国際通信市場におきましては新規事業者として参入をするものであります。また、既存の国際通信事業者との間の公正競争に配慮いたしまして、先ほど申し上げましたように、再編成前は国際子会社の形態による参入という形をとっております。こういつたことから、NTT参入自体が公正競争を阻害することにはならないと思っております。  ただ、NTT国際子会社に対して現実に出資を行います際には、他の国際通信事業者との間で公正競争条件が確保されているかといった点につきまして十分配慮して見ていきたいというふうに考えております。
  55. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 今回のNTT法改正の理由は、電気通信市場にさらなる競争促進を図ることを目的としている、こういうことであろうと思います。  ところが、東西地域会社二社はその地域においてはほぼ独占で営業エリアが分かれておる。また地域密着型である。しかも同じ持ち株会社が一〇〇%出している子会社である。サービス地域が重なると二重投資になるんじゃないか、こういうことも考えられます。お互い兄弟のようなものでありますから、まさに歯をむき出して競争するようなことが本当にできるんですか。その点を伺いたいと思います。
  56. 谷公士

    政府委員谷公士君) 今回の再編成に当たりましては、独占的な地域通信部門と競争的な長距離通信部門を別会社によりまして公正競争条件を整備いたしますとともに、地域通信分野におきましてはこの部門を東西二社の地域会社に分けまして、お互いにまずは比較競争をしてもらうということを考えております。これによって市場における競争促進を意図しているわけでございます。  さらに、御指摘のように、この東西二社の地域会社間の相互参入による直接競争も可能となるような法的構成をとっておりまして、そういうことを期待しておるわけでございますが、確かに資本的に独立している場合に比べまして、今回の再編形態では本格的な直接競争が進みにくいという面があるということも否めないところでございます。  しかしながら、この両地域会社におきましては、例えば東NTTよりも採算的に悪いと言われます西NTTにおきましては、高い収益が見込まれる市場でございます例えば関東の地域参入するというインセンティブを持つ可能性というものは一応考えられるわけでございます。また、参入の形態といたしましても、特定のエリアに限定した通信事業を行うこともできますし、それから有線だけではなく無線を活用してネットワークを設置するということも考えられるわけでございます。今後、技術革新の発展に応じましてさまざまな可能性が考えられるのではないかというふうに思っております。  ただ、重要な点は、このようなグループ各社間の直接競争が生ずるかどうかは、先生も御指摘なさいましたように、持ち株NTTがこの両者の自主性、独立制をどの程度まで尊重するかということにもかかわっているわけでございまして、そういう意味で、私どもとしましても再編後の持ち株NTTの対応について注視をしてまいりたいというふうに考えております。
  57. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 いい意味での切礎琢磨をお願いしたいと思います。  西日本地域会社は当初から赤字が見込まれておるという出発であります。三年間に限って東日本地域会社が赤字の補てんをするということでありますが、まず西日本地域会社の赤字体質は何なのか。私は不思議に思いますのは、初めから赤字会社をつくる必要はなくて、小選挙区制でちょうどいいぐあいに票が分かれるように、黒字、黒字会社にして出発させればいいじゃないですか。何も初めからそういう赤字会社をつくって苦労するよりも、黒字会社二つつくってお互いに切瑳琢磨した方がよりユーザーにとったはいいのじゃないか、私はこういうふうに思うわけです。  それから、この特定費用負担金制度の期間を三年間とした、この三年というのはどういう意味ですか。
  58. 谷公士

    政府委員谷公士君) 確かに現在、西NTTにおいては当初赤字が見込まれているわけでございます。  この理由につきましては、地理的条件あるいは東京というマーケット、職員数などの条件の違いが存在しますけれども、本当にこういった収支構造の差が生じておる原因は何かということはまだ特定することは困難でございまして、今後の分析にまつ必要があるだろうと考えております。  それでは、東西二社に分ける際にどちらも赤字とならないように分けられないかということでございますけれども、今回の再編成に当たりましては、事業体としての規模の均衡、それからネットワークの効率性といったことにも配慮しますと同時に、社会経済的なつながりということも念頭に置きまして決定をいたしました。  そういう意味で、現在、世帯数でございますとか、通信の利用機会の数ということを比較しますと大体似たようなものでございますので、こういった中でその地理的な条件も考えてこういう形をとったわけでございます。  それから次に、特定費用負担金制度の期間を三年に限ったということでございますけれども、この制度を設けました趣旨は、再編直後の一時期に再編コストが大きく発生するということが一つございます。それから、今回のこういった再編成によりまして切瑳琢磨により経営の効率化の取り組みを期待するわけでございますが、こういう取り組みが行われましても、それが効果を生んで収支改善につながるまでには一定の期間が必要であろうと考えるわけでございます。そういう意味で激変緩和の措置として今回こういうものを設けております。  そしてこの期間を三事業年度に限りましたのは、三事業年度の経過後であれば、再編コストの方も一応の落ちつきを見ると考えられますし、それから経営効率化の成果も出てくることが期待されます。そういった意味で収支の改善が進むという期待がありますことと、余り長い期間についてこういつた経過的な制度を設けますことは、独立した会社としての改善努力へのインセンティブを発揮させるという観点からは適当でないという判断もしたわけでございます。こういう形で今回考えさせていただいた次第でございます。
  59. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 東西の地域会社の目的は、地域電気通信事業を経営することであります。移動体通信とかCATV、そういうものは目的外の業務で認められておりません。でありますけれども地域会社は今後どういうふうな電気通信サービスを提供できるのか、この点を教えていただきたいと思います。  それから、東西の地域会社で提供するサービスが今後異なってくるのじゃないかと心配をいたしております。そこには地域格差というものが出るのじゃないかと思います。私が住んでいる島根県のような過疎地域または離島、こういうところは西日本会社に入るわけでありまして、そうなりますと、サービスは低下するわ、料金は高くなるわ、また自動車電話はつかないわ、PHSも何でもかんでも全部だめになってしまうように非常に心配をしておるわけでありまして、国民広くあまねくサービスを受けるということから少し外れるのじゃないかと思いますけれども、その点は心配ありませんか。
  60. 谷公士

    政府委員谷公士君) まず地域会社につきましては、地域通信網の独占力が存在する間は、その独占力を理由として、公正競争観点から分離されました移動体通信事業等を行うことはできないと考えております。また、地域会社地域電気通信事業を目的とする特殊会社でありますということから、CATV事業についても行うことはできないというふうに考えております。他方、こういった性格のものを除きますと、地域会社は各種の地域電気通信役務をすべて提供することが可能なわけでございます。  サービス地域格差の問題でございますけれども、この二社おのおのの経営努力によりましてサービス水準が一時的に異なるということはあり得ると考えるわけでございますけれども、それは現在より向上する方向で差異が出てくる。その差異は一時的でありまして、いずれお互いに切瑳琢磨をし、相手を超えようというインセンティブが働きますので、そういう意味地域格差という問題としては考えていないわけでございます。  むしろ、この両者が比較競争の中で切瑳琢磨を通じましていろいろ新しいアイデアを出し、また効率化努力を行いましてサービスの改善にそれぞれ努力される中で、中長期的に見ますとこういった差もよりよい方向で縮小、解消していくものと期待されておるわけでございます。  それから、また東西地域会社地域のそれぞれのニーズに応じた特色のあるサービスを提供するということも考えられます。これもまた非常に好ましいことであると考えております。
  61. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 それから、NTTでは、現在福祉関連サービスの提供をされておられます。  分社化いたしますと、その経営内容によってはシルバーホンの設置がなくなったり、安心を与える緊急連絡ボタンがなくなったり、公衆電話に点字が今ついておりますけれども、これをやめたり、または電話の位置の高低をいろいろ工夫したり、こういうことをやっておられますけれども、そういうものがなくなるのじゃないかというような心配もありますけれども、福祉的観点から見て、どういうふうに今後対応されていきますか。
  62. 谷公士

    政府委員谷公士君) 現在、NTTは、高齢者、障害者向けの電話機の月額使用料、工事料の減額、それから身体障害者等に対する番号案内料の無料化、車いす用公衆電話ボックスの設置といった福祉サービスを提供しておられます。  こういった福祉サービスを提供するための費用の負担でございますけれども、これはNTTの経営の規模から見ましてそれほど大きなものではございませんので、再編成後も東西の両地域会社におきまして、それぞれ現行の福祉サービスを維持することは十分可能ではないかというふうに考えております。  また、私どもといたしましても、東西両NTTにおきまして、引き続き福祉サービスの維持それから向上に取り組んでいただくよう促してまいりたいというふうに考えております。
  63. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 今立派な答弁をしていただいておりますけれどもNTTさんは全然答弁に立たないというのは、やっぱり郵政省に頭が上がらないからということですか。どうですか。
  64. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  65. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 速記を起こしてください。
  66. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 では、先ほど質問しました福祉のことについてはどうですか、NTT
  67. 井上秀一

    参考人(井上秀一君) ただいま谷局長の方からNTTがどんな福祉サービスをやっているかというお話がありましたけれども、我々は、再編成に当たって基本的なサービスの低下をしたくないということで取り組んでいくということで、福祉の問題については我々としても従来から一生懸命取り組んできておりますので、この基本方針、基本精神は変えないということで取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  68. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 持ち株会社地域会社二社、長距離会社との間の人事交流というのはあり得るわけですか。人事交流が公正有効競争に反するようなことがあってはいけないと思います。お互い手の内を知って競争にも何にもならなくなって、こっちの経理課がこっちの会社の経理課に来る、会社の内容が全部わかって、本当に競争になるんだろうかと心配ですけれども、その点はどうですか。
  69. 林豊

    参考人(林豊君) 人事交流についてのお尋ねでございますが、この辺につきましては、今後の実施計画を定めていく中で具体的に考えてまいりたいというふうに考えている問題の一つでございます。私どもNTTとして、再編時点におきまして社員を持ち株会社、それから長距離会社、それから東西二社それぞれに所属させることになるわけでありますが、再編成後におきましても、業務運営上の必要等が出ました場合には人事交流をさせていただきたいという考え方を持っております。  ただ、その場合におきましても、先生御指摘の公正競争条件、この辺のところも十分に踏まえて、そののりの範囲でやっていくという考え方に立って考えてまいりたいというふうに思っております。
  70. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 公正有効競争というのはあくまでもユーザーに対して、国民に対してやらなくてはいけない、あくまでもサービスは国民が受けなくてはいけないということが私は主点だろうと思います。  それで、西日本会社が、今いろいろうわさを聞きますと、本店をどこに置くか、これは大変興味津々の問題であります。その点、例えば中京地区に置くとか大阪地区に置くとか、もうちょっと西に下って広島に置くとかいろいろあろうと思いますが、そのお考えが今どういうふうになっておりますか。
  71. 林豊

    参考人(林豊君) 今、先生御指摘の点につきましても、先ほどの問題と同じように、今後の実施計画の中で決着をつけてまいりたいというふうに考えております。  いずれにいたしましても、私ども、この再編成切りかえに当たってなるべく無用のポストというものがより多く生じないように配慮をしつつ検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  72. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 今回の法改正に伴いまして、NTTデータ通信NTT移動通信、ドコモですね、こういう子会社、関連会社が百三十社今NTTグループにあるわけですが、これらとの関係はそれぞれどういうふうになっていきますか。
  73. 井上秀一

    参考人(井上秀一君) 再編成後の三事業会社以外の子会社の扱いでございますけれども、これについては各社の事業内容だとか特性、こういうものを勘案しながらNTTグループ全体の力がどういうふうにやったらうまく発揮できるかという観点で早急に固めていきたいというふうに考えております。  基本的に見ますと、全国的に事業展開しているような会社、こういうものは今現在本社で持っているのがほとんどでございます、全部といっていいぐらいですが、こういうものについては原則として持ち株会社が株式を所有するということを考えております。したがって、データ、ドコモ、こういうものについては現時点では本社で持つというふうに考えております。  具体的には、これも先ほどから出ている再編実施計画、この中できちっと決めていくということでございますので、その他の会社についてもそれぞれの事業内容それから特性、こういうものを見ながら今フィルターをかけているところでございます。
  74. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 最後に、研究開発について伺いますけれども、研究開発は持ち株会社でやる、ところが応用的な研究開発は地域会社長距離会社がそれぞれ受け持つ形になっておる。そうしますと、確かにそれぞれが研究所を持ってやるわけですが、どこかが仕切らないと何かばらばらになっていくんじゃないか、力が半減していくんじゃないかと思います。研究開発とあわせてその体系、形態というものについてお聞かせを願いたいと思います。
  75. 宮脇陞

    参考人(宮脇陞君) お答えいたします。  先生のおっしゃるとおり、基礎的研究開発は持ち株会社で一元的に実施するということにしております。これには将来の事業に重要な基礎・要素技術に基づく研究開発並びに各事業を行う会社に共通な技術に基づく研究開発がございます。  したがいまして、例えば通信網に使われるシステムでも、各事業会社が共通に使う、そういう技術につきましては再編成後も持ち株会社が、強力という言葉が適切かどうかわかりませんが、強力かつ一元的に研究開発を進めることが可能だと思っております。  一方、応用的研究開発につきましては、基盤的研究開発成果に基づきまして、お客様のニーズを十分に反映しつつ、タイムリーで実情に即した開発を進めていくこととしたいというふうに考えております。
  76. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 終わります。
  77. 足立良平

    ○足立良平君 平成会の足立てございます。  きょうからNTT法KDD法あるいはまた電気通信事業法改正の審議を参議院で行うわけでありまして、一般の法律よりも相当長期間の審議になると思いますが、とりわけNTT、それからKDD参考人の皆さん方、本当に御苦労さまでございます。  私どもの方もこれから精力的に審議を進めていきたいと思っております。この法案を審議いたしますときに、これからの情報化社会というのは一体どうなってくるんだろうか。従来の電話を中心にした情報からマルチメディアあるいはまた国際競争力とか、極めていろんな面で攪拌をいたしていまして、正直に申し上げて、私もこの問題に少し取り組んでまいりましても将来の展望というのが完全につかみ切れない。口では、あるいは観念的にはマルチメディアの時代にこれから突入していく、あるいはグローバル競争がどんどんこれから熾烈な状態になってくるだろうというふうなことはわかるような気がするのですが、それでは具体的に一体どうなるのか、そしてそのときに、これからNTTの再編なりKDDの問題なりあるいはまたその他の問題について一体どうなければならないのかということになりますと、こんなことを言ったらちょっと本来はまずいのかもしれませんけれども、予測しがたい問題も踏まえた議論になってこざるを得ないと思います。  したがって、私もざっくばらんにきょうは少しお聞きをいたしたいと思いますし、また参考人の皆さん方も、あるいはまた郵政省大臣以下、ひとつざっくばらんにその辺のところについてお話しいただいて、そして共通の認識に立って、これから我が国情報化社会というものを発展させていかなげればならない、こういう観点で私どもはひとつ審議に臨んでいきたいと思います。  したがってそういう面では、お聞きをいたしていますと宮津社長は大変雄弁家のようでございますが、失言なされても、それはもう平気で取り消してもらって結構ですから、ひとつ和やかな雰囲気で、しかも真摯に議論をお願いいたしたい、こういうふうに思います。したがって、私の方の認識は間違っている、それはちょっとおかしいよということがあったら、もうどんどんとこれは御指摘願って結構です。そのことを初めに申し上げておきたい、このように思います。  それで、まず第一点目として、今回のNTTの再編問題、先ほど同僚議員からお話ありましたように、郵政省はもう分割だということでずっと今日まできた。NTTはそれは絶対だめだよということできた。そして持ち株会社という魔法を使って、本当にこれは悪魔の知恵であったのかもしれませんけれども、すごい知恵を出してきた。しかも、これはNTTだけに特別に当初はやるんだという、結果としてはこれは独禁法の改正問題に結びつきましたけれども。私はある面においては、現実的な問題として、これはすごい知恵だろうというふうに思うわけであります。  私は、これは郵政大臣と宮津社長にお聞きいたしたいと思うんですが、この再編というものの意義、これを一体どういうふうにお考えになっているのか、評価されているのか、ちょっともう一度お聞かせを願いたいと思うんです。
  78. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) ただいま足立先生から御指摘ありましたように、最近の電気通信分野におきましては、これは本当に革命的な発展をしておると申し上げても過言でないと思います。そして、最近の情報通信我が国の産業構造の改革に大きな役割を果たしつつある、こういうように私どもは認識をいたしております。  そういう観点に立ちまして、何といっても、このNTT日本の電気通信事業の基本をなしておる、こう申し上げても過言でありません。これだけの高い技術力、そしてまた人材、そして資本、こういうものが事業の基本をなしているのがNTTであります。そして今日、情報通信グローバル化して、そしてボーダーレス化のこの時代に、やはり独占で国内だけにということでは、これはもう今後の情報通信に立ちおくれをしていくということから、今日まで十四年間にわたりまして、両者がいろいろな知恵を出しながらこの再編成について検討してまいったわけでありますが、昨年暮れにようやくお互いの意見というものが一致を見まして、今回のような再編成が実現することに相なったわけでございます。  こうなりますと、地域会社長距離会社三社に分割いたしましたが、この高い技術力国際通信に生かすべく、長距離にはこの機会に海外進出を可能にさせたわけでございます。また地域においては、東西二社の分割でありますが、この地域会社では、これはまだ独占的なという面では今日までと変わりませんが、しかし、東西に分割することによって比較競争というもの、また将来は相互参入も可能でありますから、今後、地域の独占解消という面については長い将来の目において可能であろうと。また最近は、地域によってはCATVを活用した電話参入という形で、今CATVが二社ほど申請がなされ、現在計画を進めておられます。そういうことを考えると、将来的には地域の独占解消にも役立ってくる、こう思います。  そういうことで、これから長距離通信においては、これはもう今まで独占、一体でありましたから、ほかの長距離通信会社とはやはり接続の公正、こういう面から非常にいろいろ不満がありました。今度は長距離を分離いたしましたので、やはり公正競争が確保されて、国内競争はもちろんでありますが、今後、さらに高い技術力、人材をもってこの長距離会社には国際進出に大きく努力してもらう、こういう面から、日本の電気通信情報通信産業の発達の上からも大きな成果があるものと、またそういう成果を大きく期待いたしておる次第でございます。
  79. 宮津純一郎

    参考人宮津純一郎君) 今度の仕組みに関してどういう観点からというふうにいいますと、議論というのは、株主の権利の確保の問題とか、お客さんのサービスの問題、それから研究開発力の問題、それから国際競争力、ざっというとそういう四点がポイントだとは思っております。  ただ、今先生がおっしゃったような意味でお答えしますと、個別のポイントはポイントですけれども、一体今何をやろうとしているのかというような意味で先生が御質問なされたと思って、私なりの考えを申し上げさせていただければ、やっぱり電話の時代から次の時代に今産業として物すごく変わろうとしていると。それで、確かに先生おっしゃるように先が見えません、余りよく。見えないんですけれども、今日本にとって、また日本のお客さんにとって大事なことは、そういう混沌とした時代に入りますけれども、その中でやはり最高のサービスが受けられるようにするということは私たちの責務だろうと思っております。それで、先行きが全部読めて、こういう状況市場もこう必ず動いていって次はこうなるこうなると全部読めるんでしたら、ある意味では規制緩和という話も余り要らないのかもしれません。  問題は、事態が物すごく動いていく流動的な中で、うまくいろんなパワーを生かしてサービスにあらわしていくというところだと思いますので、そういう意味で新しい仕組みがやはりつくられているんじゃないかと思います。  私どもは、当事者として申し上げれば、そういう環境が随分整備されてきたというか、難しい時代だけれども、とにかく力を出してやってみろと、こういうふうに環境を整備させていただいて少し元気出てくるかなと、こういう感じでございます。
  80. 足立良平

    ○足立良平君 ありがとうございました。  これは、ちょっと郵政省の方に通告はしていないかもしれませんが、まあその辺はざっくばらんに郵政省に考え方があれば出していただきたいんです。  今、宮津社長も、将来の先行きというのは本当のところは、こういうものだということははっきりわからないというふうにおっしゃっているわけでありますが、今回のこの再編という問題は、これからどんどん変化していく情報化社会の中で第一歩になるんだろうか。あるいはまた、これからさらにどんどん変化していくんだろうか。これはNTTだけの問題でもありません。あるいはまたKDDも含めて、日本情報産業というものが、そういう意味では相当この情報社会というものの大きな変化の中で、これは当然変わっていかなきやならない、その第一歩が今回の再編なのではないかなというふうに私は思ったりいたしているわけでありますが、その辺について、郵政省としては一体どのようにお考えになっているでしょうか。
  81. 谷公士

    政府委員谷公士君) 御案内のとおりでございますけれども、十二年前にNTTの公社からの民営化が行われました際には、戦後の復興の中で努力してきた結果、ほぼ需要を充足するような電気通信設備が完成をいたしました。そして、さらにその次の段階に発展していくために競争を導入する、民営化するということが行われまして、その方式としましては、一〇〇%NTTの独占する分野に新たに新規参入を入れるという形でスタートしたわけでございまして、その際に今後の競争あり方については宿題が残されたわけでございます。  しかし、その後十二年を経過いたしまして、この分野は大部分におきましては非常に競争進展サービスの改善等が行われてまいりました。その中で起きてまいりました事態は、二十一世紀に向けまして通信の役割が質、量ともにさらに進んで、社会、経済、文化、あらゆる活動面において基本的な通信手段になるような時代が来るということでございまして、そのために必要とされますツールとして、まずは大容量、高速の通信を可能とするようなシステムをつくらなければならないということで、基本的なシステムをつくり変えるという必要が出てまいりました。  それから、こういつたことを事業的にも行いますためには、その需要を同時に喚起していかなければなりませんし、こういった仕組みに社会の仕組みそのものを変えていく必要もあるわけでございまして、いわゆるアプリケーションその他、制度の見直しも必要となってまいりました。  また、この時期は同時にさまざまな新しい技術が開発されて、新しいサービスの可能性が生じてくる時代でもあり、同時に国際的にも通信が非常に戦略的な分野として注目され、各国ともこの分野に非常に大きな力を入れ始めた時期でもあったわけでございます。  そういった中で、過去の、第一次と私ども呼んでおりますが、この情報通信改革の仕上げをいたしますとともに、同時に次なる新しい情報通信あり方に向けて制度の枠組みを定めていく必要があるわけでございまして、そういう意味で、先生御指摘のとおり、今回のこういった一連の措置は、今後予想されますこういった時代、私どもはこれに対する対応を第二次情報通信改革と呼んでおりますけれども、その第一段階の措置であろうと思っております。  そして、事業あり方といたしましては、こういう新しい事態に対応して、基本的には競争があらゆる分野で実現し、NTTあるいはKDDあり方も、純粋な民間会社となってお互いに活発な活動を行っていく中で必要なサービスが提供されていくという形を事業あり方としても求めていきたいというふうに考えておるわけでございまして、そういう意味でも、今回の措置は基本的には第一歩であろうというふうに考えております。
  82. 足立良平

    ○足立良平君 よくわかりました。  それでは、これはNTTの方にお聞きをいたしたいと思いますが、再編ということになってまいりますと、これはちょっと私も余りぴんとこないんですけれども、具体的に進めていくのに相当の準備というのはかかるんだろうと思うんです。そういう点では、この準備作業の体制というのは一体どういうふうになっているのかということが一つ。それからもう一つ、これは再編に要するコスト、費用が一体どのくらいかかるんだろうか、これをちょっと一回教えていただきたいと思います。
  83. 木塚修一

    参考人(木塚修一君) お答え申し上げます。  最初に、再編成の準備体制のお話がございました。この問題につきましては、現在、きょうもこのように法案の御審議というものを賜っておるわけでございますが、私どもは一応新年度へ入りまして再編成室という部屋をつくりました。四、五十名でございますが、この部署で今相応の、これからの再編に必要な作業というのがどのくらいになるかということを検討しております。それで、一日も早く法案の早期成立というものをお願いいたしまして、私ども具体的な作業に鋭意取り組みたい、こういう考え方で今待っておるところでございます。  次に、どのくらいの再編の費用がかかるかというお話でございますが、再編につきましては、通信システム、それから手前どもで社内情報システムというものをたくさん持っております、お客様のデータベースも含めて、こういったような社内情報システムをそれぞれ変更するという手続が必要になります。こういったために、ソフトウエアとかハードを中心に設備投資というのが出てくる。それから再編成に伴いまして、やはり営業の関連経費であるとかいろいろな諸雑費が必要になってまいります。そういったものを現時点で大胆に推計いたしますと、まずその設備投資関係では一千五百億ぐらいかかるのではないかなと。それからあと、一時的な経費、これは社名の問題であるとかあるいは引っ越しであるとか債権者への周知であるとかいろいろあるわけでありますが、これらで一時的なものが五百億、その後のランニング経費といいますか、減価償却も含めて営業関連の経費を毎年落としていかなきやならないというのが三百億ぐらいかかるかと。  現在のところ、ざくっとした計算でございまして、今後、郵政省さんから再編成の基本方針が発出されますので、それをお受けいたしまして、私どもは実施計画をつくるわけでございますが、その時点で具体的な金額を正確に把握できるものというふうに考えております。  以上でございます。
  84. 足立良平

    ○足立良平君 NTTの方から、大体概算であろうと思いますが、実際の数字を出していただきました。今お話を聞いておりまして、それに約二年余り、これは相当の従業員、社員が携わっていくわけでありますが、それに携わっている社員の例えば人件費等は入っていないというふうにお聞きしていて私思ったんですが、それが間違いかどうかということ。そして、大体再編コストは幾らと言うたときには、結局設備投資であるとかあるいはまた看板の書きかえとか具体的なものもありますけれども、やっぱり人件費も含めてトータルで幾らだというふうに一般的には考えるんだろうと思うんですが、ざっと三千億と考えていいでしょうか。
  85. 木塚修一

    参考人(木塚修一君) お答え申し上げます。  ただいま御説明しましたのは、先生御指摘のように直接的に把握できるものを計算して、ざつくりした計算でございますが、申し上げたわけであります。  例えば再編室、現在四十名ぐらいの陣容でやっておるわけでありますが、これはこの仕事だけでございますから、人件費的にはこの人たちの経費というものは直接的な経費になります。あとはそれぞれジョブの中で、現状いろんなルーチンワークを持っているわけでありますが、その中でこなしていただくように、できるだけ再編コストを小さくいたしませんと、株主さんにも大変御迷惑をかける結果になりますし、お客様にももちろんはね返る問題にも発展してはならない、こういうことでございますので、できるだけ安いコストで再編を円滑に進めたいと考えております。  なお、再編は、この後二年六カ月以内でございますか、法律公布の日から進めるようにというのが法律案になってございますが、私どももできるだけ早くそういう方針にのっとって再編を進めたいと考えております。
  86. 足立良平

    ○足立良平君 今のお話を聞いておりまして、仮に最低二千三百億といたしますと、例えば一般的に企業が設備投資なりいろんな将来に対して投資を行っていくときに、二千三百億といったら、私どれだけのお金なのかちょっとこれもぴんとこないんですね、大変なお金です。今日の大変長い不況の中で、それぞれの日本の民間企業というものは、今ここで一億とか十億とか、例えば設備投資で百億お金があったら、これから本当に新しい仕事に進出できるんだなと思っている日本企業というのは私は大変に多いと思います。そういう中で二千三百億、二千億を超えるお金を投入して分割をする。いわゆる費用対効果という面からすると、一体それはどういうことになるんだろうかなという感じを私はちょっと率直に言って受けます。そこで、これは郵政大臣に、そういう点でお考えがあればまずお聞きをいたしたいと思います。  それから二つ目に、これも郵政大臣にお聞きをいたしたいと思いますのは、今はNTTを持ち株会社をキャップにして、その下に長距離とそれから東西の地域会社というふうに再編をいたしました。国際通信に仮に進出をするとするなら、ここなんです、NTT分割分割じゃない、NTTを再編しないと国際通信進出できないのかどうなのか。言葉をかえて言うなら、つまり、そのままでも法律さえ変えれば進出できるのではないかというふうに私は一方では思うんです。それを、少なくとも二千億以上の大変なコストをどかんとほうり込んで、そして国際進出をしなければならないという理由は一体どこにあるのかということをちょっと郵政大臣にお聞きいたしたいと思います。
  87. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) ただいま先生の御指摘は、再編に大変な費用を使ってそれでメリットがあるかということでありますが、今日の電気通信世界の実態から考えますときに、これだけの費用は先行投資だと、このNTT本体から考えますときに、私はそういうように理解をいたすわけであります。  そして、NTTをこのままの本体でなぜ国際進出をさせないのか、できないのかという御指摘でありますが、このNTT国際進出させるということは、これは長距離会社にして、いわゆる子会社というか系列を国際事業体進出可能とするわけであります。本体でいきますと、今までもまだ国内業者との接続のルールあるいは公正競争問題、こういうものがいろいろ御指摘されております。その強大な本体で進出ということになりますと、いわゆる現在の国内業者に対して公正競争が確保されない、こういうことから、今回は再編成をして長距離会社国際進出させる。ということは、国内においてはほかの通信事業者と同じような接続ルールとかその他を含めて競争条件が確保されるわけでございますので、したがって、このたびはNTT本体の国際進出ではなくて子会社という方向をとったわけであります。
  88. 足立良平

    ○足立良平君 ちょっと私は理解しにくいんですが。先行投資だというふうに、企業が投資を行う場合の先行投資というのは一般的にあるんですが、将来的にこれは先行投資ということに本当になるのかなという感じ、私もう少しこれは改めて勉強し直して、また議論をさせていただきたいというふうに思うんです。  それで、今大臣お話を聞いておりますと、接続の問題含めてそちらの方をきちんとやるためにNTTを一応再編してそして長距離を云々と、こういうふうに私はお聞きをしたんですが、それは間違いでしょうか。これは局長の方からちょっとお願いします。
  89. 谷公士

    政府委員谷公士君) 大臣からお答えがありましたのは、今回の再編成におきましてなぜこういつたことをとるかという基本でございますけれども、独占状態にございます地域通信分野を抱えておるわけでございまして、これが我が国内における電気通信事業全体の公正競争上の最大の問題になっておる。したがって、この分野を分離することによりまして、切り出しました残りの分野については自由な活動ができるようになるということが今回の眼目でございます。そういったことがありますのに、それを行わずに、さらにこれに加えて国際通信分野をくっつけますと問題をさらに拡大することになるということでございます。  接続との関係につきましては、こういった公正競争を確保するために接続のルールを同時に事業改正でお願いしておるわけでございますが、この接続のルールを生かすためにも、その接続の単位になります事業体会社として分離されておるということがこの接続のルールをより明確に生かすということにつながるという趣旨でございます。
  90. 足立良平

    ○足立良平君 よくわかりました。  それでは議論を一回ひっくり返して、逆の方からちょっと質問させていただきたいと思うんです。  このNTTを再編して長距離国際進出するということになってまいりますと、それは逆に言いますと持ち株会社のもとのNTT長距離、名称はちょっと別として、これは少なくとも資本関係というものを完全に切り離したらもっとそれは徹底するのではないかという議論が私は出てくるのではないか。例えば、今までいわゆるNTT長距離とNCCとの関係の問題も含めて、電通審の審議会なりいろんなところでは、ひょっとしたら本当にフェアな競争関係にあったのかなかったのかというふうな議論もあったやに私は仄聞をいたしているわけであります。そういう面では、この同一資本というもとにNTT長距離があり、そして東西の地域会社があってということになりますと、今局長がおっしゃったような観点で、接続の問題含めてフェアな対応をきちんとするということであれば、先ほど申し上げたように、資本系列から長距離の分については一応全部もう外しちゃう、そして完全にフェアな状態の競争というものができるのではないかという議論については、これは郵政省としてはどのようにお考えでしょか。
  91. 谷公士

    政府委員谷公士君) 御指摘のように、そういう選択肢もあり得ると思います。ただ、今回こういった方式を選択いたしましたのは、この方式によりましても、基本的に分離されましたそれぞれの会社が、独立をした別の会社として公正有効競争条件を確保していくことができるのではないかということが一つ。それからまた、こういった持ち株方式をとることによりましてのメリットといたしまして、あまねく電話の確保についてもより厚い保障を確保することができるということ、それから、基盤的な研究の一元的な運用ができるというメリットもあるということでこういつたことを選択したわけでございます。  なお、長距離会社につきましては、今回の特殊会社仕組みは基本的に独占部門の地域会社にございますので、地域会社と持ち株会社の間におきましては法律的な一〇〇%株式保有の仕組みをつくっておりますけれども長距離会社についてはそこまでの仕組み法律的につくっておるわけではございません。
  92. 足立良平

    ○足立良平君 それでは、これは宮津社長にちょっとお聞きをいたしたいと思うんです。  今の議論をお聞きになっておりまして、ちょっと社長のお考えをお聞きいたしたいと思うんです。考えてみると、これは接続の問題を含めて、いわゆるNTT長距離の問題に絞っていきますと、これは結局、資本を完全に分離するとかしないとか、あるいは局長の答弁からすると、別会社にしているんだからよりフェアは確保できるだろうというふうに一応答弁としておっしゃいました。  ところが、考えてみますと、日本人というのは大変私は情緒的な民族だろう、現実的に。だから、例えば同一資本の中の長距離会社、同一資本の中の東会社地域会社ですね、同一資本の西会社とか、それはもう大変に一体感というものが強い。例えば、欧米人のようにいわゆる狩猟民族とちょっと違う集団主義的発想を日本人というのは農耕民族ですから持っているというなにがある。  それから二つ目に、少なくとも今日まで経営形態としては国営でありあるいはまた電電公社でありあるいはまたNTTでありというふうに、完全に一体として、従業員が今日までNTTになってから大変な努力をして合理化し、リストラをやり、それぞれ皆さん方がずっと努力して今日のNTTというものをつくり上げてきたという経過があります。それは、私は一体感というものが社内の中でも大変に醸成をされてきているのではないかというふうに二つ目に思います。  したがって、そういう点等々を考えてみると、先ほど郵政大臣なりあるいはまた局長からの答弁のように、別会社になって、資本は一緒だけれども、その中で競争関係が生じ、そして完全な競争相手であるNCC、あるいはまたKDDもその中に入るんでしょうが、資本が全く違う完全な競争相手と同じようなフェアな競争というものがどのようにやり得るのだろうか。ちょっと私自身が情緒的な人間であるからそう思うのかもしれませんけれども、そういうことが本当にきちんと担保し得るのだろうかという感じがするわけでありまして、そういう点で社長のお考え方があればちょっとお聞かせを願いたいと思います。
  93. 宮津純一郎

    参考人宮津純一郎君) 担保されていて、それでどうやっても必ずそうなるかどうかというふうな仕組みということは私もはっきり言えませんけれども、相当意思の問題は入ると思います。  それで、今度こういうような制度になってこれでやるということになれば、どういう趣旨でこういうものがつくられたのかということを意識しまして、それで国内国内競争というものをやっぱり活発にしていくというようなことについて、我々もそういう意味努力はしなきやならないんだというふうに思いまして、それに対応するような日々の経営の仕方、運営の仕方というものの中でそういうものを実現させていくような努力はしなきゃいけないと思います。ですから、この仕組みだけでうまく動くかどうかというと、これはやり方次第では骨抜きになっちゃうかもしれません、そこのところは。  ですからその問題は、確かに先生おっしゃるように、担保されているか、どうやっても大丈夫かというふうに言われますと、やはり問題はあるとは思います。ですが、今の時点で、そういうことが実現できるようにやはり努力をしなきやいけないだろうと我々も思っておりますから、ですからそういう意味でうまくいくんではないか、こういうふうに思っております。
  94. 足立良平

    ○足立良平君 うまくいくんではないかとさらっと言われますと、そうかうまくいくのかなと、こう思うんですね。しかし、本当にいくんかいなと、また一方で逆に思う。  これはNTTが作成された資料です。「NTTの再編成について」、平成九年四月三日の資料でありまして、その資料の中に「今回の再編成案に対するNTTの考え方」と、一応今まではNTTとしてはこういうふうに主張してきたけれども、これはこういうふうに評価いたしますよという資料です。社長が見られているかどうかちょっとわかりません。  そこで私は、これはNTTさんにお聞きをいたしたいと思うんですが、ちょっと読みますと、「今後、NTTは持株会社制度の活用により徹底したグループ経営を実施し、国際通信事業マルチメディア事業等を展開することにより」ということになっているんです。これは「持株会社制度の活用により徹底したグループ経営を実施し」と、それはマルチメディアの発展のためにやるということなんでしょうけれども、グループ経営を徹底をするというふうな表現を見ますと、これは本当にうまくいくのかなという感じがちょっと私は受けるわけであります。  これも宮津社長のある雑誌のインタビューを拝見いたしておりましても、これは文責は雑誌の方にあるだろうと思いますから、宮津社長がこのとおりおっしゃったかどうか、これはわかりません。わかりませんけれども、例えばこういう表現がその雑誌には載っております。「マルチメディアならマルチメディアで、東西と長距離の三社がどのように取り組めば全体として効率が高まるかを、まず持ち株会社が考える。」というふうな表現等々があります。  これは持ち株会社というものの概念、あるいは持ち株会社とそれから子会社子会社と言ったらいいんでしょうかどう言ったらいいんでしょうか、その役割分担というものは一体どういうものであるのかということが、実は産業、企業によって全部違う。法律でこういうものだということを規定するわけにもいかないということも私はわかるんですが、このNTTというものが情報化社会の中で一番大きな役割を果たす、まさに巨人だ。その巨人の行動によって、これからの我が国情報化社会がある面においては発展していくか発展していかないかはもう完全な独占体制に陥っていくかどうかという問題にもかかわってくると思いますので、そういう面でもう一度社長のお考え方等があればちょっとお聞かせを願っておきたい、こう思います。
  95. 宮津純一郎

    参考人宮津純一郎君) 今の先生のお話ありますので、もうちょっと根本に返ってというか今度の仕組みについて申し上げますと、一つは、国内競争を活発にするということはございました。これはずっと議論してまいりまして、それで、私ども国内競争だったら接続の問題などが具体的な問題だから、接続が公平にできるような検討というのは現にやっておりますから、そういうものをやれば会社を分けなくたっていいんじゃないかというような議論をしたこともございます、途中。ただ、それをずっと詰めていくと、それだけではやはり不十分であるというような議論が出てまいりまして、会社を分けるべきではないかというような議論が出てきて、今日に至っております。  一方、そういう話とは全く別に今度は国際的な話として、国際競争していくにはどうかという角度からいうと、大体BTとかアメリカのいろんな地域会社とか、ATTもそうでしょうけれども国際競争をしていく相手側のことはいろいろ話題に出てまいります。その相手側というのは大体持ち株会社を持っていて、その下に各地域会社とか国際に出ていく会社とか、こういうふうなものがグループをなしているわけであります。だからそういう意味でいくと、競争相手がそういうことなら、うちの方もばらばらになっているようでは競争できないということもありまして、競争力をつけるという観点からやはりグループとしてまとまっていく必要があるんではないかというような、そういう流れが一つございます。  それから、今言った国内競争問題がある。さらに、国際競争というのは我々が出ていくだけじゃありませんで当然相手も入ってくるわけです。入ってきた方は今度は国内でほかの各業者と競争するわけですから、我々がもしつなぐとした場合にも、またそれはそれで公正競争問題というのはやはり国際で入ってくる側の方に対してもあるわけです。そういうようないろんな条件が、国内だけの話から国際に出ていって競争する話と国際が入ってくるという話、そういうのが一緒になってきますとここでやはり会社として中の構造としては分けるというのも一つ理屈かなと。それから、主に出ていくという観点からすれば、まとまっていないと力を発揮できないなということがございまして、それでこういう格好になっているというふうに思っております。  ですから、何というかいろんな要素を満足させようというか、そういうことで今最善に考えるのはこうじゃないかなということなので、これを本当に生かす上では、仕組みをこうしただけではなくて、それを運用していくときにやはりかなりその趣旨をよく考えてやっていかなきゃいけないということでございます。  先ほど先生おっしゃった、グループとしてまとまっていく必要がある、それで能率よく動かすために持ち株会社が東西も全体を見てどういうふうに動かすかということを考えなきゃいけないという意味は、むしろまとまって動く方が有利であるという局面に関してはそういうような考え方、やはりそういう目で見て合理的に進められるなら進めるような見方というのは必要だということはございます。  それから、あと今度は国内競争の問題なんかで個別の会社を分ける意義というのはありますから、やはりその局面では会社それぞれが独立して動くという局面はございますね。そういうものがそれに徹していくというようなことを多角的に考えていかざるを得ないんではないかなというふう  に思っております。  事ほどさように要素が非常に多いものですから、現実はその中で生きていかなきゃいけないものですから、やはりこういう格好が最善ではないかなというふうに思っている次第でございます。
  96. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十三分休憩      —————・—————    午後一時三十一分開会
  97. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、電気通信事業法の一部を改正する法律案国際電信電話株式会社法の一部を改正する法律案及び日本電信電話株式会社法の一部を改正する法律案の三案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  98. 足立良平

    ○足立良平君 午前中に引き続いて、私の方からさらに質問をさせていただきたいと思います。  一時間ほど休憩をいたしまして、ペースがちょっと戻っておりませんが、午前中の議論で谷局長の答弁をお聞きいたしておりまして、いわゆる地域会社の問題を含めてどのように独自性が保たれるのかということを、表現はちょっと間違っているかもしれませんけれども郵政省としては見守っていきたいというふうな意味で御答弁があったかと思います。  それで、もう少し質問をさせていただきたいと思いますのは、私、午前中に、日本企業の経営というのは極めて情の部分が多いのではないかと申し上げたわけであります。また、それが今日までの日本の経済、企業の発展の一番大きな要素であったことも私は事実だと思うんです。その一番最たるものがいわゆる人事の問題にかかわってくるのではないだろうかというふうに実は思っております。  それで、持ち株会社の下、NTT長距離と東西の地域会社の中で、これからの人事の交流というものがどのように行われていくかということによって、持ち株会社を含めて四社になるんでしょうか、極めて一体的な運営になってくるのか、ある面においては相互に連携を保ちながらもそれぞれ持ち味を生かして一つ企業として発展をしていくのかということが、私は、人事をどういう考え方でこれから進めていくかということによって相当変わってくるのではないだろうかというふうに実は思っているわけであります。  そういう観点でお聞きをいたしたいんですが、まず一つは、持ち株会社NTT長距離とそれから東西の地域会社、この役員については、これは兼職と言うんでしょうか、何と言うんでしょうか、兼業と言ったら言葉悪いですね。これは双方が、いわゆる兼任をするということがあり得るのかどうなのかということが一つ。  それから、例えばそれが役員の場合も、日本の場合には一つ企業の中で昇進過程をずっとたどっていくわけです。その昇進過程が実際的な一種の転勤というなにによってあらわれてきているのが日本の終身雇用を前提にした雇用制度だと思いますので、そういう面で、いわゆる役員の問題と同時に、二つ目には、幹部社員が一体どういうふうな形になってくるのか、この点についてNTTの方のお考えをちょっとお聞きいたしたいと思います。
  99. 林豊

    参考人(林豊君) ただいまの先生の御指摘の点につきましては、これも実施計画の中で詰めていくべきことでありまして、これからの検討事項と理解しております。  ただ、考え方として申し上げさせていただきますと、先ほどもございましたように、グループとしての全体的な機能を生かして、電気通信の私どもの役回りというものをさらに強めていくという観点から申しますと、やはり役員につきましても相互の意志疎通を含めましてお互いに連携を仕事の上で密にするという観点もございますし、それから、状況の変化の中で適材者をまた別のポストへ持っていくという観点も出てくると思いますので、私どもといたしましては、先生のおっしゃった役員の兼任でございますとか交流というものはあり得るものというふうに考えております。  ただ、この場合におきましても、公正競争という問題の観点から、私どもとしては十分配慮をいたしました範囲の中でやっていくことはあり得るものと、こう理解いたしております。  それから、社員の関係につきましてもほぼ同様の理由でございまして、再編成時点におきましてはそれぞれ四社にすべての社員が帰属することになりますけれども、その後の状況の変化を踏まえた業務運営上の要請が出てきた場合に、やはりある程度の異動というものはあり得ると思います。これも公正競争上問題ありということにならない、例えば長距離会社地域会社の間で常態的に交流が生ずるということがないようにというふうなことも配慮しながら、ある範囲ではさせていただくという必要性が出てくるものと考えておりまして、そのような方向で今後の取りまとめに当たっても私どもとしてお願いしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  100. 足立良平

    ○足立良平君 それではもう一つお聞きをしておきたいと思いますが、例えばこれから毎年、日本の場合には四月に一括して採用というのが大体例になっています。これから通年で人の採用というふうに変わってくるのかもしれません。しかし、一応今の段階ではほとんど四月ということになっております。今まではNTTというところに皆さん採用されていたんですね、会社に。そうすると、これから例えば持ち株会社を含めて一応四社に再編がされると、例えば持ち株会社に採用される人あるいは長距離会社に採用される人というふうに、採用のときから、初めから一応固定してくるということも将来的にあり得るのかどうなのかということが一つ。  それから、今私が申し上げたように、これはやはり企業経営というものを考えて、一方ではある程度独自性となり、いわゆる独立性でお互いに競争関係で切礎琢磨していくということが、これは比較競争であるのか相対的競争であるのかは別として、そういうものが一方では求められている。そして一方では、今言ったように、いわゆるそこに働いている従業員、社員の皆さん方がモラールをどれだけ高くしていくかということは、これは大変重要な労務管理の私は要素になっていると。  そのときに、モラールを高めるということは、先ほど申しましたように、終身雇用を前提に置いていきますと、いわゆる昇進を伴いながらの異動ということが当然あり得るわけです。それをしないとまた実際的にはうまくいかない。郵政省にいたしましても、今まで二年くらいですか、一年か二年くらいで大体どんどんかわっていっているわけです。そして、NTTという会社もずっともとをただせば郵政省と似たような官僚の組織の中で、しかも日本の一番トップの大企業でありますから、人事のそういう一つの昇進の問題というのは、昇進と言うと余りよくないかもしれませんけれども、これは一つのパターンというものができているだろうと思うんです。  ですから、それを一挙に崩してしまうと、実際的には企業の内部での秩序というものが保たれない、モラールが極端に低下をしてしまうというふうな問題点を考えてみると、そういう点で、本当に郵政省期待する独自性というふうなものが、頭の中では、言葉の上では整理できるんですけれども、本当にうまくいくのかなと。社長は、最後、うまくいきますというふうに午前中おっしゃったんだけれども企業というのはやっぱり人間が行うわけですから、そういう点で一体どうなのかなという感じを率直に言って私はまだちょっと持つんですが、その点について何か意見ございますか。
  101. 林豊

    参考人(林豊君) 先生の御指摘は、採用の件といわゆるモラール面を含めた昇進の件をお尋ねかと思いますけれども、これにつきましても、これからまだ実施計画を詰めてまいる段階でございますので、まことに申しわけありませんが、断定的なことは今お答えできる状態にはございません。  ございませんが、現時点で考えられる方向というものを申し上げさせていただきますと、採用の件について言いますと、これは再編各社がいわゆる要員管理という観点から必要な要員を確保していくということで、採用につきましてはやはり各社が自発的に必要な人数、必要な適材というものを探すということが原則になるのではないかというふうに思われます。  ただ、いわゆる持ち株会社につきましては、私どもとして、現段階でいわゆる研究開発要員を除きますと必要最低限度のスタッフ、機構でやっていくべきというふうに考えておりますので、こういったところで実際に採用というものを立ててやるというものが、人の数の問題もさることながら、いわゆる適材という意味でなじむかどうかといったような例外的な問題は出てこようかと思いますが、原則的には先ほど申し上げたようなことになろうかと思います。  それから、昇進の件につきましては、先生のおっしゃっておられるいわゆるキャリアパスというものを現在全社的にやっておるところでございまして、これについても今後とも同じように配慮をしていくのかというお尋ねかと思いますが、やはり会社が分かれるわけでありますから、おのずから一般的なキャリアパスという意味でのルートというものについては、私は限度が出てくるというふうに考えております。  ただし、先ほどもお答え申し上げましたように、私どもの再編各社の必要な技能水準でありますとか、それぞれ状況の中で変わってくる可能性がありますので、いわゆる適材をスカウトするというような意味合いで業務運営上A社からB社の方へ移るということ、この場合には、先ほども申したある範囲内で公正競争には十分配慮する、そういう必要性は各社の間で満たす必要が出てくるという状況は考えられると想定いたしております。
  102. 足立良平

    ○足立良平君 これも、いわゆる持ち株会社制度のもとにおける子会社と持ち株会社との関係とか、一般的にこの持ち株会社の長所というのは会社として一体何なのかというふうに言われましたときには、例えばいわゆる企業の経営戦略が持ち株会社の方で行われて、事業経営の戦略はむしろそれぞれの地域会社なり長距離会社子会社で行う。あるいはまた、機動的に対応できるとかリストラがやりやすいとかというふうなことが一般論としてあり得る。  その中で、一つこれも一般論として、例えばそこに働いている従業員の給料とかいうものについても、そういう実態にあわせて云々というふうなことがよく言われているわけであります。しかし、今までNTTという一体的な経営をやってきて、しかもそれは従来の電電公社から新たに民間企業となって、そしてある面においては労使で大変な努力をして今日のNTTというものをつくるために努力をしてきた。ある面においては、労使間の協力なり労使関係というものがそこにあったればこそ今日の姿というものがある、これで完全とは別として。まだこれからの課題はたくさんあると思いますけれども、少なくとも今日の段階まで持ってこられたというのは労使関係が幸いしている、あるいはまたお互い努力してきた結果が今日になったのではないかというふうに私は評価をいたしているわけです。  そうすると、そういう面では、これからの労使関係というものが一体どうなってくるのかということが大変大きなファクターになってくるというふうにも私は実は思っているわけでありまして、そういう点に関しまして、NTTとしてはこれからどういうふうなお考えで臨もうとされているのか、ちょっとお聞かせを願いたいと思います。
  103. 林豊

    参考人(林豊君) 一般論としてお答えさせていただく面、先ほどと同じような理由でございますが、お許しをいただきたいと思います。  まず、労使関係につきましては、いわゆる再編成の時点で私どもとしては基本的な労働関係の整理を再確認する必要はあるというふうに思っておりますが、その方向につきましては、現在ある労働契約というものを原則的に維持していくという方向で臨みたいと思います。  それから、いわゆる労使関係各般に及びます問題についての協議、交渉といったような問題についてのテリトリーにつきましても、この辺はまた個々に詰める必要がありますけれども、基本的に私ども労働組合とも労使信頼の関係に基づいて、その辺に遺漏が出てこないように対応してまいりたいというふうに考えております。  それから、いわゆる労働条件の問題についてでありますけれども、これも今申し上げましたように、再編時点は従来のいわゆる労働条件は継続してまいりたいというふうに考えておりますが、再編以降どうなるかということについてのお尋ねにつきましては、少なくとも基本的な賃金等々、根幹にかかわるものについては今後とも維持していくことになるであろうというふうに想定をいたしております。  各社の事業運営によりまして、あるいはその地域との関係によります仕事の関係の変化でありますとか、先々のことを今ここで申し上げられる立場ではありませんけれども、基本的なものについてはグループとしてなるべく一体的にやってまいりたいというふうに考え方としては持っておるところでございます。
  104. 足立良平

    ○足立良平君 これは、ちょっと郵政省の方にお聞きをいたしたいと思います。  今のやりとりをずっとお聞きになっていて、郵政省としてそれぞれの会社が独自性というものをより発揮できるように、そしてある面においては比較競争というものは行っていくことが望ましいというふうな基本的な姿勢からすると、郵政省としては今のNTT側の考え方についてどのように評価をされるか、お聞かせを願いたいと思います。
  105. 谷公士

    政府委員谷公士君) 今回の再編成の趣旨は、御指摘ございましたように、これによりまして公正有効競争条件を整備する環境を整えていくところに目的がございますので、実態の運用面におきましてこういった実効性を欠くような形になるということはもちろん好ましくないわけでございます。  ただ、具体的に、ではどのような形でこういつた実効性を担保するかということになりますと、再編のあり方といいますものそのものを今後具体的に決めていくことになるわけでございまして、そういった中で、先ほどNTTからも御説明がございましたように、いろいろなことを今御検討になっておられるようでございますので、こういうこともよくお聞きした上で考えてまいりたい。  それから、労使関係の問題につきましては、基本的にNTT労使においてお考えいただくことになるだろうというふうに思っております。
  106. 足立良平

    ○足立良平君 よくわかりました。私もあえて言わせていただくなら、この労使関係というものが、例えば政治的な思惑とかいろんな問題がいっぱいそれに入り込んでくるということは避けなければならない。労使の自主的な判断、あるいはまた労使交渉というものを重視する立場で物事を進めていかなければいけないのではないか、このように私は考えておりますので、あえて申し上げておきたいと思います。  それでは、話を少し違う方に転換をいたしたいと思います。ユニバーサルサービスという問題について少し入らせていただきたいと思います。  ユニバーサルサービスということ、これは質問させていただくと、このユニバーサルサービスとは一体何ですか、この定義は何だと。簡単に今ユニバーサルサービスを確保しなければならないとかいろんなことが言われているんですが、ユニバーサルサービスとは一体何だということなんです。これは郵政省の方にお聞きをいたしたいと思います。
  107. 谷公士

    政府委員谷公士君) 確かに、明確な定義が存在するわけではございません。私どもが一応考えておりますのは、国民生活に不可欠であり、だれもが利用可能な料金など適切な条件で、過疎地域を含むあまねく日本全国における安定的な供給の確保を図るべきサービスというふうなことであろうかと思っておりまして、例えば現在の段階で申しますと、いわゆる電話がこれに当たるのではないかというふうに考えております。
  108. 足立良平

    ○足立良平君 現在の段階では電話ということになると。それではユニバーサルサービスを確保するということは、これはNTTの東西の地域会社がそれを確保する、こういうふうに理解をしていいのかどうかということが一つ。  そしてその上で、例えばKDDにユニバーサルサービスというものが必要なのかということ、これが二つ目。これは郵政省にお聞きをしておきたいと思います。  それから三つ目、これは宮津社長にお聞きをいたしたいと思います。これは午前中にもちょっとお示しをいたしましたけれども、ある雑誌のインタビューを拝見いたしておりまして、私はこれは社長の考え方というのがいい意味も悪い意味も含めまして大変端的にあらわれているなとちょっと思ったりいたしたんです。この中で、これは個人的な見解ということでおっしゃっているわけですが、「個人的には、ユニバーサル・サービスはもういいじゃないか、と言いたいんです。」というふうにおっしゃっているわけであります。今回のNTT法なり一連の法改正の中で、ユニバーサルサービスというものをNTT、特に東西の地域会社期待する、現在の段階では電話役務だと。将来マルチメディアの時代になったらそれはどういうことになってくるのかちょっとこれは別として、少なくとも現在の段階はそうだ。そうすると、社長の分析は別といたしまして、ユニバーサルサービスはもういいんじゃないかと個人的に考えているというふうにおっしゃっているその根拠、考え方、これをちょっと一回お聞かせ願いたいと思います。
  109. 谷公士

    政府委員谷公士君) 御指摘のとおりでございまして、NTTのユニバーサルサービスは、改正法の三条に書いてございます、あまねく電話ということでございまして、したがいましてこれは両地域会社期待をしておるところでございます。  これに二つ目の御質問が関連するのでございますが、このユニバーサルサービスは同時にKDDに対しても期待をしておるわけでございまして、国際的な通信の場におきまして世界の多くの国、地域通信ネットワークを確保し、現在の段階ではそのサービスとしましては国際電話サービスになろうかと思いますが、こういったものを提供するということ、これがKDDに対するユニバーサルサービスの責務と考えておるものでございます。
  110. 宮津純一郎

    参考人宮津純一郎君) 雑誌というのは言ったとおり書かないものですからちょっと困るんですが、そう出ていますのでその文脈ということでお話しさせていただきます。  そのときに頭にあった意味のユニバーサルサービスというのは電話のつもりでした、電話サービス。しかも、今までの世の中での電話、すなわち全国津々浦々、全然採算に合わなくて赤字のところもありました。そこが採算に合わないからもうやめますということはできないでしょうということで、私どもは責務というようなことでユニバーサルサービスの責任を持たされていたという意識がございます。  ところが、電話をつけるのも無線を利用したりなんかしまして、だんだんコストというのは、必ずしも電話をつけるための地域的な要素というのが昔に比べて、昔はもう何もほかにありませんから、線を引いてずっとどこまでも行かなきゃいけないわけですけれども、そういうようなものはかなり技術的にもカバーできてくるというような状況にだんだんなってまいりました。  これから電話からその先にある新しいサービスが出てくると思いますけれども、衛星を使ったり無線を使ったりいろいろすると思います。そうなってきますと、コスト自体はもう全くあきらめるほどいつもいつも赤字ということではないのかもしれません。しかも、今我々がユニバーサルとして何か負担だと思っているようなところに、将来むしろ競争として参入もあるかもしれません。  そういうような意味で、だんだんいろんな意味での、やっぱり技術的にもそれからサービス上の進歩というものも、いわゆるそういう未来永劫赤字であるというふうに思い込んでしまう必要がないような意味でもっと進歩していくんではないか、そういうちょっと前向きのつもりで申し上げました。
  111. 足立良平

    ○足立良平君 今の答弁を前向きに私も理解をいたしたいと思います。  それで、これは郵政省の方にお聞きをいたしたいと思うんですが、少なくとも前向きのものはまさに前向き、少なくとも今現在の話のことでお聞きをするわけでありますが、NTTにこのユニバーサルサービス、あまねく電話の役務というものを一応これは義務づけているということは三条ではっきりしているわけです。  先ほど局長の答弁、お話を聞いておりまして、KDDにユニバーサルサービス、対地数をこれは責務と、私はちょっと聞き漏らしたんですが、初め期待とおっしゃったようであって、後で責務というお言葉を使われたりとこう思ったんですが、KDD法の中にユニバーサルサービスというものを義務づけておりますか。
  112. 谷公士

    政府委員谷公士君) NTTのような形で明文の規定としては義務づけておりません。  ただ、KDDが特殊会社として法律規制のもとに置かれておりますということが、KDDに対してユニバーサルサービスの提供を、ユニバーサルアクセスを期待しているということによるものだというふうに考えております。
  113. 足立良平

    ○足立良平君 それじゃ、もう一つお聞きをいたしたいと思いますのは、それではNTTの東西の地域会社は、今答弁のとおりに、これはユニバーサルサービスを義務化しているから特殊会社になっている、こういうふうに理解してよろしいでしょうか。
  114. 谷公士

    政府委員谷公士君) 義務化は法令法文の規定としてはそのようにしておるわけでございますが、そういう役割を期待するといいますか、担わせるために特殊会社としておるということでございます。
  115. 足立良平

    ○足立良平君 そうすると、KDDにもそのことを義務化というと、ちょっとこれは表現が難しいんですが、期待するということと義務化とは全然違うと思うんですね。一方で、これはあまねく世界いつでもどこでも電話の通じるようなということになるんでしょうけれども、それは法の構成の仕方として、NTTに対しては第三条ではっきりと条文化しておる。そして、KDDに対してはそれは全く条文化せずに責務がありますよということは、これは通るんでしょうか。もう一度お願いします。
  116. 谷公士

    政府委員谷公士君) KDD法がつくられました当時の国会での提案理由説明の中でも、KDDにそういうものを期待するということが説明されておると思いまして、先ほど申し上げましたように、KDDが特殊会社として法律のもとに位置づけられておりますことがそのような国としての期待をあらわしておるのだという意味期待と申し上げたわけでございます。  あとは法令の表現上の問題といたしまして、NTT法のような形の表現ではないということであろうかと思うわけでございますけれども、これはたしか、正確には申し上げられませんが、十三年前にNTT法をつくりました際に、NTTにおきましては具体的に各利用者からの役務提供の申し出を受けてこういつた電話サービスを提供していくものでございますので、具体的にその義務を書いたと思うわけでございますけれどもKDDにおきましては、その当時既に従前来のKDD法のもとでそういった義務の履行が行われてきておりましたので、あえてそういった意味での法改正の整合性の検討をしなかったのではないかというふうに思います。  いずれにいたしましても、表現上の違いはございますが、特殊会社として設けられている趣旨はそのような趣旨であるというふうに考えております。
  117. 足立良平

    ○足立良平君 その点がちょっと私はわかりにくいんですよ、実態的に言うと。今NTT地域の独占的な状態になっている。これは実際問題として、これからどういうふうに情報化社会というものが進展をしていって、地域会社がどれほど競争関係になってくるのかというのはちょっと私、予測はできません。できないけれども、一般的に、私の頭のレベルで想定をするとするなら、例えば各家庭に、地域網にネットを全部張って、それだけの資本の投下をして、そして今NTTが持っているものと全く対抗できるような、あるいはまたそれと十分競争できるような新たな地域網というものを設置するということは、現実的には不可能だろう。  したがって、そういう面では規制がほとんど行われていない諸外国アメリカにしてもあるいはまたイギリスなりその他を見ましても、地域会社というものは大体独占的にならざるを得ないという一面性は私はあるだろうと思うんですね。だから、そういうところにユニバーサルサービスとして責務を負わせるということは、いいか悪いかは別として、後でもう少し議論させていただきたいと思いますが、しつの考え方としては私はあり得ると思うんです。  ただ問題は、KDDの状態を考えてみると、これも後ほどさらに十分議論をさせていただきたいと思いますが、KDDというのはもう既にNCCで、IDC、ITJとの熾烈な競争関係に今なっている、現実的に。事実、郵政省の側も、地域会社は独占的であるけれども長距離会社はこれは競争関係にあるんだからということで、持ち株会社の中でわざわざここだけは、NTT長距離についてはこれは純粋民間にしているわけです。競争関係にあるんだということを前提に純粋民間にしている、これは。  そういう面からいたしますと、KDDが特殊会社として、しかもユニバーサルサービスというものを義務的にするという意味が、私はなぜそういうことになるのかということについてちょっと理解ができないんです。その点について御説明を願いたいと思います。
  118. 谷公士

    政府委員谷公士君) ちょっと正確にお答えできるかどうか自信がないのでございますけれども、両社を特殊会社としている理由でございますが、NTT地域につきましては現に地域において独占状態にあるということでございます。そして持ち株会社は、その会社の株を持つことによって両社によりますあまねく電話サービスの提供をより確実ならしめるということでございます。  KDDにつきましては、現段階におきまして世界二百三十三の国、対地と回線を設定してサービスを提供できますのはKDDだけでございますので、そういった実態にかんがみまして、国際的なユニバーサルサービスの提供をKDD期待せざるを得ないということで特殊会社としております。  一方、NTT長距離会社につきましては、こういった独占分野から切り離しまして自由な民間会社といたしますのは、この分野につきましては既に競争状態ができておるということによるものでございます。  それから、したがいましてKDDも、この分野におきまして他の事業者国際展開もかなり進んできておりますし、また今後NTT長距離等も、子会社長距離も参加するわけでございまして、そういった競争相手によりまして、この分野においてこれに匹敵するようなサービスの提供が確保できるようになれば、当然それは全体として切瑳琢磨をしていただけばよろしいわけでございまして、こういった役割をKDDのみに期待する必要はなくなるわけでございます。
  119. 足立良平

    ○足立良平君 これはさらに議論を進めなきゃならないんですが、実際的にKDDが今対地数としてなにしているのは、今局長の答弁にありましたように世界二百三十三カ所でしょうか。そうすると、IDCが今百九十三カ所、そしてITJですか、これが百七十五カ所。今急激にIDCが対地数をふやしてきております。この一年間だけ見ましてもこれはもう相当どんとふえてきているわけです。  そうしてくると、しかも全通話量の九九%くらいをもうカバーしている、国際通信の。という状態を考えてみるときに、KDDが特殊会社としてそのまま存続させる必要性が本当にあるのかどうか。これは後ほど私は議論させていただきたいと思っておりますのは、特殊会社として存続をさせるということは、例えば役員の選任についても郵政大臣、堀之内さんの認可が要るんですね。あるいはまた事業計画も出さなきゃいけない、あるいは利益の処分についても承認を得なきやならぬとかありとあらゆる、特殊会社というのは一方において大変な制約条件を持っている。  そうすると、NCCのほかの二社は自由に今営業活動をやっている。あるいはまたNTT長距離もこれから国際に入っていったときには、これまた自由に、極端に言うたらおいしいところだけどどっとやれるわけです、おいしいところと言うたらちょっと言葉は悪いかもしれませんが。しかし商売というのはそういうものだ。  そうすると、一方では大変な制約条件を持って、しかも法的にはきちんとした責務というものが表示されなくて、そして身動きがとりにくい状態だと。事業計画をあらかじめ出すといったら、これは一般的に言うなら、私はNTT地域会社についても同じことが言えると思うんですが、これから事業をやろうとして事業計画をやるときに、ある面においては機動性が必要でしょう。先ほど答弁あったように、通信業務、通信関係というのは大変なこれは激変している時代でありますから、やっぱり事業計画というものはもう臨機応変にどんどん変化させていかなきやいかぬ面が出てくるだろう。  あるいはまた、ある面においてはこういう投資をやるとか、こういうサービスをこれからやるというふうなものについては、全部オープンにしちゃって、郵政大臣の認可を受けないとやれませんよと。しかも、それはもう一年くらい前に出さなきゃ、まあ一年前というわけにはいかぬでしょうけれども、少なくともその事業計画をいつごろ出すかは別としても、実際に行うよりも相当以前にそのことがオープンになってくる。  ということになりますと、大臣、これは実際的に本当にフェアな競争長距離の場合においてなり得るのだろうかという私は疑問を持つんですが、これは郵政大臣にひょっとしたら通告してなかったかもしれませんが、何か感想ございませんでしょうか。
  120. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) ただいま足立先生から御指摘の点は十分考えられる問題でございます。したがって、今後KDDあり方につきましては、国際通信市場動向を踏まえながら時期を失することなくタイムリーにこの検討をしてまいりたい、こういうように思っております。
  121. 足立良平

    ○足立良平君 今の答弁は多分衆議院の逓信委員会においての答弁と余り変わっていないんだろうと、変わったらぐあいが悪いのかもしれませんね、ですから変わっていないようにお聞きをいたしました。お聞きをしたんですが、状況に応じてタイムリーにというふうにおっしゃっているわけですが、それでは状況とは一体どういう状況が起きたら変えていくんですよ、あるいは時期というふうな問題が実は私は出てくるんだろうと思います。ですから、この点については、きょうはまだ取っかかりでありますからまた改めてもう少し議論をさせていただきたい、このように思います。  それで、その上で、このユニバーサルサービスについて再度お聞きをしておきたいと思いますのは、先ほど宮津社長お話を私は前向きに受けとめさせていただきますというふうに申し上げたわけです。その意味は何かと申し上げますと、私もやっぱりこれは社長と見解が一緒なんですが、ユニバーサルサービスを実施するということはコストのかかるものだということだと思うんです。それで、逆に言葉をかえて言わせていただくなら、そのコストをだれが負担するのかということをはっきりしていかないといけないのではないかというふうに私は実は思っているんです。NTTが独占的であるから、だから特殊会社にしますよ、そしてそれはユニバーサルサービスのコストを負担させますよという何とはなしの話は、ちょっとこれからのフェアな競争関係をつくっていこうとするときにはこれはそぐわないのではないかというふうに私は思うんです。  それは、事実、アメリカなりそれぞれEUも含めまして、アメリカは別途新規事業者が例えばユニバーサルサービスの経費というものを負担するとか、あるいはまたEUは新たに基金制度というものをつくろうというふうな動きを今しているとかというふうに、ユニバーサルサービスをする場合には、だれがそのコストを負担するのかということをはっきりこれはさせていく必要があるのではないかと思うんですが、その点について郵政省の方はどのようにお考えでしょうか。
  122. 谷公士

    政府委員谷公士君) このユニバーサルサービスに要する費用負担のあり方につきましては、独占的な事業者事業密度が高い地域の収益から不採算地域の費用を補うという内部補助をやるやり方、それから複数の事業者がその費用を負担する基金方式といった外部補助を行うやり方、こういったいろいろなやり方があるわけでございます。  我が国におきましては、従来から、NTTについて申しますと、ユニバーサルサービスとしてあまねく電話サービスということにつきましてはNTTがその責務として確保してきたわけでございまして、現状におきましてもまだNTT地域通信市場の九九%近くのシェアを占めるという独占状態にあることを考えますと、再編成後も同様に東西両地域会社、それからその株式の総数を保有する持ち株会社の責務として確保するということが適当ではないかと考えております。  ただ、我が国における今後のユニバーサルサービスの費用負担のあり方につきましては、地域通信市場における競争進展に応じましてどのような方式をとっていくか検討を行う必要はあろうかというふうに考えております。
  123. 足立良平

    ○足立良平君 今後の課題になってくるかもしれませんが、ただ、そこでコストという面から考えるなら、今、例えば電話料金、これは総括原価方式をとっているわけですね。そうすると、総括原価方式というものをとっている中で、例えばユニバーサルサービスに要する、今局長の話じゃないですが、過疎地というなら、総括原価としてそのユニバーサルサービスのコストというものは一体どれだけ含まれているのかということが明らかになってこなければいけないのではないかと、これから。  それは、NTT地域会社にユニバーサルサービスを義務化させる、負担をさせる、そのコストを。というんなら、今三分十円でありますけれども、それなら三分十円の中に長距離も含めて、それではその原価とコストとで一体どれだけ入っているのかということがきちんとやっぱりそれは位置づけをさせていくということが必要になってくる。  当然これは、これもまた別の日になってしまいますけれども、接続料金をどうするとかこうするとかという問題も含めてこれからずっと出てまいりますけれども、この責務を課すということは、一方においてはそれはそれに相当するものをきちんと裏打ちをしていくという、何とはなしにそれは義務化しますよ、NTTが大きいから義務化しますんですというだけではちょっと私はいけないように思いますので、そういう点ではこれから料金のあり方、現在の総括原価方式というものから例えば一体どういうふうな料全体制が要るのか。プライスキャップとかヤードスティックとかいろんな方法があるわけでありますけれども、そういう面を含めてこれからの課題ということにしていかなければいけないのではないか、このように思っているわけでございます。  その上で、もうあと少ししか時間がなくなってしまいました、これは一つ郵政省の方にお聞きをさせていただきたいと思いますのは、今規制緩和ということが大変叫ばれているわけであります。そして、事実、今回のこの法案の中におきましても、例えば接続の問題についても踏み切ってきておられるわけでありますし、ある面におきましては、過剰設備を含めた参入退出の問題等についてもこれは規制緩和という観点で出されてきているわけでございます。  ただ、それでは、規制緩和というものがもう規制は全部なくしていいんだという立場に立つのか立たないのかという問題になってくる。一般的には、経済的規制というのはもうこれは撤廃、社会的規制というのはこれは必要、こういう概念で私は考えていかなければいけないというふうに思うんですが、さて、その上で一般論として、規制あり方、どういう観点で引き続いて郵政省としては規制が必要だというふうにお考えになっているのか、その点についてお聞きをしておきたいと思います。
  124. 谷公士

    政府委員谷公士君) 御指摘のとおりでございまして、大変大上段な言い方になりますけれども、社会が存在する以上そこに何がしかのルールが必要であるということは当然だろうと思うわけでございます。問題は、そのルールがその社会の存在に必要最小限のものであるかどうかということだろうと思うわけでございまして、特に昨今の電気通信のように変化の激しい分野におきましては常にそのあり方を見直す必要があるわけでございます。  私ども電気通信行政の役割として考えておりますのは、社会が必要とされます電気通信サービスを安定的にかつよい品質で低廉な価格で提供する、そういうシステムを確保するということにあると考えるわけでございまして、基本的には、こういったシステムは自由な、公正な競争の中で市場原理に基づいて実現するということが最も望ましいわけでございますけれども、ただ、電気通信事業の基本であります例えば一種事業のような事業につきましては、相当長期間にわたって膨大な設備投資を要しますし、またその際にはさまざまな公益事業特権も必要となるわけでございます。  そういうことから、必ずしもこの自由で公正な競争が自然に実現するというふうな仕組みにはなっておりませんし、また我が国の場合には公社としてNTTが独占でこういつたサービスを提供してきておりますところから競争が始まっておりますので、そういう実態もあるわけでございます。そういたしますと、私どもといたしましては、公正な競争ができるような環境をつくるということで何がしかの措置が必要になるというのが一つであろうと思います。  それからもう一つは、世の中の進歩に応じまして大変通信サービスの内容が複雑化いたしてまいります。こういった複雑なサービスの内容を利用者の方々がすべて承知をした上で利用するというわけにはまいりませんので、その内容が適正なものであるかどうかということをどこかで調べる必要があるということはあるだろうと思います。また、通信国内だけで終始するものではございませんで、国際的な連携を持って動くものでございます。したがいまして、他国におけるさまざまな状況との関連をどう考えていくかという仕組みが必要であるわけであります。  それから、昨今におきましては、利用に伴いましていわゆる影の部分といったようなものも出てくるわけでございまして、こういうものをどう扱っていくかという観点があろうかと思います。  幾つかの観点を申し上げましたけれども、そういう観点から規制というものも必要な場合がある。ただ、それはその時々の進歩の状況に応じまして必要最小限のものであるべきであるということ、その見直しが規制緩和であろうかと思っております。
  125. 足立良平

    ○足立良平君 今の局長の答弁については私も全く賛成であります。私は、やはり何といいましても市場競争ということがこれからの通信の場合には必要だというふうに思いますけれども、やはり今おっしゃるように、市場での競争を公正なものにしていくということがまず第一に必要だし、先ほど来申し上げておりましたように、ユニバーサルサービス等いわゆる公益を保護していくという観点からの規制ということも、これまた否定することはできないのではないかというふうに私も考えております。そういう観点で、規制の緩和という問題についてももう一度我々としては考えていかなければならないというふうに思っております。  時間ちょうど参りましたのでこれで終わりたいと思いますけれども、ただ正直に申し上げて、私はまだまだ規制緩和というものは生ぬるいのではないかという気持ちを持っているわけであります。先ほど申し上げたように、例えば特殊会社としてNTT東西会社は本当に必要なのか、あるいはKDDは特殊会社として本当に必要なのかというふうな問題を含めて、これはまた別の機会あるいはまた平成会の別の議員からそういう観点でこれから質疑をさせていただくということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  126. 三重野栄子

    三重野栄子君 社会民主党・護憲連合三重野栄子でございます。  電気通信事業法の一部を改正する法律案など三法案を審議するに当たりまして、幾つか質問をさせていただきたいと思います。なお、日本電信電話株式会社につきましてはNTTと呼ばさせていただきたいと存じます。  参考人の皆様方には、午前中から引き続きの御審議への御参加、ありがたく思います。せっかく議論が進んでおりましたところに、また逆戻りという感じの質問をさせていただくわけでございますけれども、御了承いただきまして、お答えいただければ幸いでございます。  まず、十五年ぶりに決着いたしましたNTT等関連法案の意義につきまして質問をいたします。  NTT分離分割問題につきましては、十五年間にわたって賛成派と反対派と国論を二分した議論が繰り返されてまいりました。これにつきましては、午前中お話もございまして、郵政大臣並びに宮津社長からも御答弁をいただきましたけれども、大変時間が短うございますから、もし何か午前中お答えいただきました以外に、これまでの討論あるいは御意見につきまして郵政省としてこの関連法案の意義あるいは目的につきましてお聞かせいただくところがございましたら、お願い申し上げたいと思います。郵政省の方にお聞きします。
  127. 谷公士

    政府委員谷公士君) 昭和六十年の、私ども今からこれを振り返って第一次情報通信改革と申しておりますけれども、この改革の際には、電電公社を全国一社体制で民営化いたしまして、電気通信分野競争原理の導入を図りました。その後、我が国情報通信市場には活発な参入が行われまして、事業者間の競争を通じて低廉で多様なサービスが実現をしてまいったわけでございます。  そういう意味では、この改革は国民・利用者の利便に貢献してきたと思うわけでございますが、地域通信市場におきましては、現在もやはりNTTの独占的な状況が起こっておるわけでございまして、新しい高度情報通信社会への展開に向けまして、情報通信産業のさらなる活性化を図りますために、NTTあり方についてさまざまな議論があったわけでございますけれども、これらの議論を踏まえながら、関係者の意見も聞いて、今回持ち株会社制度を活用する中で、独占的な地域通信部門と競争的な長距離通信部門を別会社とし、これによって公正競争条件を確保する、同時に経営規模の適正化によります経営の向上、それから競争を通じた利用者に対するサービスの改善といったことを図ろうというふうなことを考えたわけでございます。そういう意味では、この仕組みは従来考えられておりました独占部門を分離するということに沿った扱いであるというふうに思っております。  また、これによりまして、あまねく電話サービスの確保と研究開発力の向上等につきましても対応できるというふうに考えておるところでございます。
  128. 三重野栄子

    三重野栄子君 今御答弁いただきました中に、NTTの再編成後における全国あまねく安定的な基本サービスの供給というお答えがございました。  改正法案の会社法第三条におきまして、電話役務のあまねく日本全国における適切、公平かつ安定的な提供の確保の寄与を規定しておりますけれども、基本電話サービスは今や国民生活に不可欠なインフラでありまして、都市部のみならず地方部を視野に入れて、私から申しますと、地方部だからこそ必要であるというふうに思います。特に、私が福岡に住んでいる面もあるかと思いますけれども、全国あまねく安定的な基本サービスの供給を重要課題と位置づけるべきであると考えますので、この点につきましてNTTの見解をお聞かせいただきたいと思います。  午前中は福祉サービスについてはお答えいただきましたのですけれども、それ以外のことにつきまして、どうぞお願いします。
  129. 井上秀一

    参考人(井上秀一君) 午前中からいろいろ議論の中で出てきておりますが、いわゆるユニバーサルサービスと申しますか、電話のあまねく全国における適切かつ公平な安定的な提供、これは我々としても重要な事項ということで、経営としてしっかりやっていかなきゃいかぬということで考えております。再編成後においても、東西会社において持ち株会社の調整機能のもとでいろんな工夫をしながらサービスダウンをしないということに真剣に取り組んでいきたいというふうに考えております。
  130. 三重野栄子

    三重野栄子君 もう少し具体的にお話しいただけますでしょうか。将来のことだからわからないということもあるかと思いますけれども、もし御計画ございましたら、お願いいたします。
  131. 井上秀一

    参考人(井上秀一君) 特にいろいろ議論されておりますのは、再編に当たって東西に格差が出ないのかとか、先ほど出ているように、将来のユニバーサルサービスはコストがかかるからどうなるのかという議論がございます。  我々としては、東西の会社がそれぞれ今後技術開発だとかいろんなサービス開発をやるわけでございますが、従来の一社体制のもとでやっていたものにプラスアルファしまして地域密着型の経営がこれからできるようになります。そこで新たな地域密着型のいろんな工夫をするということ、さらには経営の効率化についていろんな工夫をしながらサービスの提供をして、東西の格差というものが再編に当たっては起こらないというようなことで今後具体的に取り組んでいきたいというふうに考えております。
  132. 三重野栄子

    三重野栄子君 次に、法改正によりまして、国際通信政策への影響並びに将来構想について、郵政大臣の方にお伺いしたいと思います。  先進各国動向は、規制緩和による相互参入によりまして自由市場が実現するなど国際的な大競争に対応した政策を進めています。こうして世界ニーズはますます高まっていますが、例えば六月三日のテレビニュースで報じられておりましたけれども、次世代携帯電話につきまして、音と動画を送ることが可能となる日本方式を国際流通に乗せるためには、欧米方式と共通規格を持つということを、郵政省は来春までに日本案をまとめるという方針を出された。これはニュースで伺いましたものですけれども、これは例えの問題でございますが、このたびの法律改正によりまして、NTTの早期国際通信進出を初めとしまして、厳しい国際競争に対応し得る我が国国際通信政策国際戦略につきまして、わかりやすくお話しいただきたいと存じます。
  133. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) 午前中からもたびたび御質問がございましたが、これからの情報通信産業の発展というか変革は、予測がしがたいような大きな変化をしておるのが実態であります。  したがって、郵政省といたしましても、情報通信は、我が国の戦略産業というような形で期待をいたしておるところでありますが、それだけに国際競争も非常に激しく、いわゆる大競争の時代を迎えておると思います。  今回NTTの再編成をいたすことによりまして、今後NTT国際通信分野へ積極的に参加をしていただくことを大きく期待しております。何といってもNTT日本の電気通信産業の基幹をなしておるし、またそれにふさわしい高度な技術そして人材、こうしたものを持っておるわけでございまして、今後のグローバル化に対応し、そして一層国際競争力の向上を図ることが期待できる、こういうように考えております。  そのほかに、NTTは今後、国際通信事業以外にも、欧米アジアにおける通信事業への出資、参入あるいは国際的アライアンスへの参画、あるいは通信インフラ建設事業への参画といった海外事業にも取り組む意向であると承知をいたしております。  今後、我が国通信事業国際的に飛躍していくためには、NTTを初めとした我が国の電気通信事業者海外事業者に伍して、国際通信市場海外市場において活躍を大きく期待されておるわけでありますが、特にアジア地域におけるインフラ整備についてはさらに一層積極的に取り組んでいただくことを期待いたしておる次第でございます。  先般もマレーシアあるいはシンガポールに参りましたが、国会終了後はまたベトナム等にもお邪魔をいたしまして、ベトナムのインフラ整備について協力を申し上げたいと思っております。  そのように、今後我が国の電気通信事業者国際通信市場あるいは海外市場に取り組まれていくことを期待いたしておりますが、郵政省としてもそのような計画に対しまして積極的に支援をしてまいりたい、こう思っております。
  134. 三重野栄子

    三重野栄子君 将来戦略につきまして、NTTの方には御相談申しておりませんでしたけれども、今、大臣の非常に大きな期待を伺いましたんですけれどもマレーシア、ベトナム方面につきまして何か御見解がございましたら、補足をしていただきたいと思います。いかがでしょうか。
  135. 宮津純一郎

    参考人宮津純一郎君) 最初に、NTTの立場として、国際関係についてちょっと申し上げたいと思います。  業者という立場から見ますと、とにかくお客さんが国際化しているので、国際に出ていかないと商売にならないという要素もあると思います。お客さん自身がこのごろ随分国際的に手広く支店を出したりいろいろしまして、その間をネットワークで結ぶというようなことをやられるようになりましたものですから、どんどん国際的にも商売広げられますものですから、そういうところをお客さんにしようと思うと、そうならざるを得ないという要素が一つございます。  それからあと、世界が平和なせいですか、ほかの国の資源もどんどん自分の国のために使って自分の国が発展しようというふうに、国の中だけで何とかしょうというのではなくて、利用できるものは国の外の物も使ってしまおうかというような、マレーシアなんてそんなところの典型的なものじゃないか、そういう言い方をするとまずいかもしれませんが。頼んで来ているわけです、逆に。  それから、今大臣言われたように、インフラの整備ということが非常に大事な要素になるんだと思うんです。そういうようなわけで、マレーシアの場合なんかは、マレーシアという国がお客さんになってくれているような感じでございまして、そういう見方をすると、国際的にいろんな商売の種というかお客様がどんどん広がってきておるということがございまして、基本的にはそういうことから国際進出というものが出てきているんであろうというふうに思っております。  したがいまして、もちろん国の立場としては、国際的なステータスとか、それから世界のために日本としてお役に立つとか、そういうような立場というのは当然あるとは思いますが、私どもが今直接にかかわっている仕事で申し上げますと、今申し上げたような意味でお客さんからいろいろ仕事を頼まれるというようなことで、おかげさまで繁盛しかかっております。  今大臣おっしゃいましたベトナムとか、ほかにもいろいろありますけれども、その国のインフラを充実するために、国としていろいろ要請を受けるということももちろんございます。それから、国の中でコンソーシアムか何かつくってそれに参加してくれというふうに言われることもございます。いずれにいたしましても、そういう意味で基本的には国際化しているということ。  それから、ちょうど今変わり目で、おくれた国が追いつこうと思うときに、もう全く今からやろうと思ったら先進国と同じものしか残っていなくて、後ろからくっついていくという時代だとまた違うかもしれません。今はうまくやれば、光だろうが無線だろうが先に入れてしまえば、むしろ先進国よりも先を行けるというようなときにも来ているわけでございまして、そういう意味でいろいろと活況を呈しているということもございますので、そういうものにタイミングよく対応していこうというふうに考えております。
  136. 三重野栄子

    三重野栄子君 どうもありがとうございました。  今は国際的なことを伺いまして、今度は国内的なところにつきましてお尋ね申し上げたいと思います。  これは再編成後におきますところの、もう再編前と同じような役務をしていただきたい、その可能性があるかということでございます。これにつきまして再びNTTにお答えいただきたいんですが、NTT再編におきまして、さきにも触れましたけれども会社法第三条によりまして全国的なユニバーサルサービスの確保、ネットワーク高度化サービス開発、大規模災害時の緊急措置など、NTT各社が引き続き提供する役務が規定をされております。  阪神・淡路大震災の折に、NTTの職員が全国から現地に駆けつけられまして復旧をされたわけでありますけれども、器具類などの規格が全国一様であったために戸惑いもなく作業がスムーズにできた、復旧も早かったというふうに伺っているところでございます。したがいまして、今後の問題でありますが、施設整備とともに基本サービス、料金の地域格差が生じないようにするために、基本サービス及び全国一律的な料金体系の維持を図り、全国の利用者・国民が引き続き再編前と変わらないサービスを享受するための適切な対処が必要であると考えますけれどもNTTの構想あるいは見解をお聞かせいただきたいと存じます。
  137. 井上秀一

    参考人(井上秀一君) 基本的な考え方として、再編成に当たってお客さんサービスの低下を来さないということが大前提でございます。その中で、先生今おっしゃった幾つかの項目について、若干具体的にお話をさせていただきたいと思っております。  まず、大規模災害が一番初めに出ましたので、大規模災害のお話をさせていただきますと、神戸の地震のときには、我々確かに全国から人を動員して早急な復旧体制というのを整えて、それなりの成果が出たんじゃないかというふうに思っております。今回の再編に当たって、我々としては、一社でやってきたと同じような災害対策を重要災害についてはとっていかなきゃいかぬというふうに考えておりまして、具体的な役割分担という形になりますと、持ち株会社が国等の対策機関との連携、それから東西、長距離会社、これらが具体的な復旧要員その他を持っておるわけですが、そういうような復旧の人員、それから災害対策用の機器、こういうようなリソースを的確かつ迅速に運んで、今と同様にライフラインというものがきちっと守れるようにしていかなきゃいかぬということで、このサービスの復旧、早期回復、これは最重要事項としてそういうような仕組みをきちっとこれからつくっていくという形で今取り組んでおるわけでございます。  それから、ネットワークとかサービス開発の問題でございますが、先ほどから出ておりますように、電話の世界だけじゃなくて今後の発展するマルチメディアの体制の中で、ネットワーク高度化というものが非常に重要になってきております。我々としても先ファイバーの全国的な展開というのに今取り組んでいるわけでございますが、そういうものを全国的にきちっとやっていくというために、持ち株会社がその全国的なそういうネットワークの基本的な方針、こういうものをつくって、これを踏まえて各事業会社ネットワーク高度化に取り組んでいくということの仕組み、これも今具体的にいろいろ検討しておりまして、再編対策の中で固めていきたいというふうに思っております。  それから、先ほど出ておりますサービスの開発、それからユニバーサルサービスの確保、これは先ほどからも御説明しておりますように、東西の会社が具体的に行う、特に研究開発の応用研究というのは地域で持ちます。地域密着型でいろんなサービス開発を行うということで、従来以上に地域密着型のいろいろなサービスが出てくるというふうに我々も今期待しております。ユニバーサルサービスに当たっては、東西の会社が再編に当たって格差が生じないようにということで今取り組んでおりますが、いわゆる持ち株会社の調整機能といいますか、それから例の三年間の特例措置等負担金制度、こういうものも利用しながら、再編に当たってそういうような問題が起こらないようにということで今取り組んでおります。  今後、お客さんにできるだけいいサービスを安く出すという基本的な事業の本分をやるべく、いろいろな今具体的な対策を練っているところでございます。
  138. 三重野栄子

    三重野栄子君 具体的にお答えいただきましてありがとうございました。それを、今の分をもう少し今度は別の角度から見ていきたいというふうに思います。  今の分は自社内で大変努力をなさっておりましたけれども、それだけで十分であろうかという観点から、NTT並びに郵政省に伺いたいんでございますが、NTTの東西二社に経営格差が生じました場合に、三事業年度に限定して損金算入措置を講ずることとしておりますけれども、ユニバーサルサービス維持のために財政面からの担保が当然必要だろうと思うわけであります。とりわけ基本サービスは、利用者・国民にとって電気やガスと並ぶ生活の基本ラインでございますから、再編成後におきましてもあまねく均一の料金で提供する責務を果たすためには、制度的担保に加えまして、再編成各社の有機的な連携に基づく事業運営が必要不可欠であろうと考えます。  今回の事業法、会社法の改正に当たりましては、ユニバーサルサービスの維持向上を図るために、情報通信政策上の適切な対処が政府に求められていると思いますが、まずNTT、続きまして郵政省の見解を求めたいと存じます。よろしくお願いします。
  139. 井上秀一

    参考人(井上秀一君) おっしゃるとおり、再編に当たって東西の格差を起こさないということで今取り組んでおるわけでございます。確かに西の方は構造的にいろいろな問題があることは事実でございますが、今までの経営努力によってかなり全国地域サービスも改善してきておりますし、西の方もだんだんよくなってきております。  今後再編に当たって、先ほど先生の方からもお話がありました三事業年度の間の負担金制度、こういうものも利用しながら、我々としては、地域それぞれの努力プラスこういう負担金制度という中で、再編に当たっての東西間の格差が生じないような努力をしていきたいというふうに思っております。  さらに、先ほどからユニバーサルサービスの担保に制度的な検討が必要なんじゃないかというお話ございましたが、今までNTT一社の時代、電電公社時代からそういうユニバーサルサービスの担保をずっといろいろやってきておるわけでございますが、大変競争観点、そういうものからいろいろな状況変化が起こっております。そういう中でユニバーサルサービスの問題というのは、再編成問題とは別にしても、こういう問題が一体どういうような形で今後やっていくかというようなことは、確かにいろいろの議論をしていかなきやならぬかなという観点もございます。  我々としては、当然ユニバーサルサービス企業としてきちっと今後とも努力していく覚悟でございますけれども、いろいろな観点での議論、仕組み等については、今後郵政省の方でも、先ほど局長の方からありましたように議論をしていくという形で取り組んでおられるようなんで、我々としても必要なお話はさせていただきたいというふうに思っております。
  140. 谷公士

    政府委員谷公士君) 今回の再編成に当たりましては、基本的なその収支の状況をトータルとして大きく変えないようにするために、移行に当たりましての税制上の特例措置等を設けたわけでございますけれども、しかし、なおやはり再編成に伴う出費というものはあるわけでございます。それからまた、従来一体経営で行われてきました中で東西間に収支構造の格差が生じているということも事実でございます。  こういつたことにつきましては、今後の経営努力の中で解消の方向に向かうのではないかということは、これまでの改善の傾向から見ましても私ども期待しているところではございますけれども、直ちにその効果を上げるということを期待するわけにもまいりません。  それに加えまして、先ほど申し上げました再編成に伴う出費もございますので、三事業年度についての負担金の制度をつくって、基本的に従来どおりの形でトータルとして収支を償えるような形に一応したわけでございます。  それから、さらにそういったことに加えまして、東西両地域会社の株式の総数を保有することとなります持ち株会社につきましては、その株主権の行使を通じてこの両社の支援をすることができる仕組みがございますし、また経営に必要な助言等を行うということも法律に書いてございますので、そういった形の支援も可能かと思っております。  そういう意味で、再編成自体を契機としましてサービスが悪化するというふうな形は起きないだろう。むしろ、こういった再編成の趣旨を生かして経営改善が行われる中で、これからサービスが改善されていくのではないかと期待しているわけでございます。  それから、ユニバーサルサービスを維持するための支援の仕組みでございますけれども、これにつきましては現在独占状態にありますことから、 従来どおりNTTがその経営の中でこの費用を調達していくということが適当だと思うわけでございますけれども、今後この地域競争がだんだん進展いたしてまいりますと、この費用の負担をどうすべきかという問題が出てまいるわけでございます。そういったことにつきましては状況を見ながら検討してまいりたいというふうに考えております。
  141. 三重野栄子

    三重野栄子君 今御答弁いただきましたように、再編成によってしぼむんじゃなくて、さらに発展をするように、NTT自身の経営努力はもちろんでございますけれども政府におきましても支援の方を極力されることによりまして、国際社会における情報通信政策が発展するように御努力をお願い申し上げたいと思います。  最後になりますが、先ほど規制緩和の問題につきまして足立議員が御質問になりまして、次には詳しくとおっしゃっておりましたが、私も一つこの点につきまして質問をいたしたいと思います。  去る二月二十七日の新聞報道によりますと、宮津NTT社長が「昨年十二月に再編方針の合意ができてから、扱いによっては、もめかねない感じもあったが、納得できる形になりそうだ」とした上で、「全般的には規制緩和の方向と言っていいのではないか。点数をつければ八十数点」だという記者会見の記事がございました。その趣旨と残りの十数点について、社長はどこに問題があるとお考えだったのか、その新聞報道がどうかということではありませんが、そこら当たりにつきましてお聞かせいただければと思うところでございます。  移動体通信が急激に増加をしておりますけれども、この点は料金許可などの規制緩和によって自由な競争が促進されて市場が活性化したというふうに論評されておりますけれどもNTT再編法案の国会審議を通じまして、安定的なサービス、料金などNTT会社法にかかわる規制について、特殊法人全般の改革と連動しながら、今後さらに緩和、撤廃を図るべきではないかと私は認識しておりますけれども、これらの点につきまして、NTT並びに郵政省の見解をお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。
  142. 宮津純一郎

    参考人宮津純一郎君) あの八十点云々というやつはどうも済みません。あれはちょっとあのときの記者会見でうまく乗せられたというか、言わされちゃったものですから、後で気がついて、出たときびっくりしたんですけれども、どうも申しわけありません。  それとは別に、事実としてというか、その当時の流れ、それから現在に至る受け取り方ということで申し上げさせていただきます。  十二月の初めにずっといろいろ御心配もかけていた話が郵政省と合意しまして、具体的にそれを実現するための法律上のいろんな手続というようなことに話が入っていきまして、それでNTT法自体も直さなきゃいけないということは当然でございますが、あと独禁法の問題とか税法上の措置とかいろいろございました。そういういろんなものを抱えて動いていたんですけれども、ちょうど二月の末ぐらいに、大体政府としての見通し、どういう対応策をとるかというようなことが固まってきました。  私どもとしては、合意はしましたけれどもどういうふうにやってくれるのかなというようなことで心配しておりまして、そのときいろいろ熱心にやっていただきました。しかも、言うなら言ってみろと、とにかく。そんなに言うのなら聞こうかというような感じで、いろんな法案だの何だのの作業が進められるようになりましたものですから、いささかちょっと乱暴という感じの話なんですけれども、大変よくやっていただいているなという気持ちを持っておりました。  ちょうどそのときに、政府案がまとまったところで感想はなんて聞かれましたものですから、口が滑って八十点と。あれは表現としては合格点と言った方がよかったんだと思うんですけれども、八十点と言ってしまったものだから、ちょっといろんなあれなんで、どちらかというと、よくやっていただいていますというような意味のことを言いたくて申し上げました。  ただ、百点ではないねということもありました。それは今先生がおっしゃったように、やっぱり規制の問題、これからもいろいろ議論が続くと思いますけれども、今の段階では私はこれが精いっぱいではないかと思っております。やはり将来を見れば、規制をもっと緩くしてもうちょっと自由にというふうに希望はしておりますものですから、これからもいろんな議論が続いていくだろうことを期待しまして、百点はつけなかった、こういうような気持ちであれを申し上げました。  全般的には大変熱心に実のある答えが出てきたなというふうに感じております。どうもありがとうございました。
  143. 谷公士

    政府委員谷公士君) 確かにNTTも特殊法人の一角でございまして、特殊法人につきましては、それぞれの公共的な役割を確保いたしますために、役員の選解任の認可でございますとか、事業計画の認可等のいわゆる規制が行われております。  ただ、私ども、今回のNTT再編成におきましては、長距離会社につきましては純粋な民間会社として特殊法人規制から外しました。それから、持ち株会社地域会社の株式の総数を保有しているという特別な関係がございますので、地域会社の役員の選解任、利益処分につきましては規制をいたしませんでした。それから、附帯業務につきましては届け出もやめました。こういつたことで、できる限りNTTの経営の自主性を考えていくという点に立って仕組みをつくるように考えたつもりでございます。  ただ、御指摘ございましたように、特殊法人といいますものの一般のあり方という問題ももちろんございましょうし、それからまた、それは別といたしましても変化の激しい電気通信分野でございますので、状況の変化に応じまして、今後とも適時適切な見直しを行っていくことは必要であろうというふうに考えております。
  144. 三重野栄子

    三重野栄子君 いろいろと答弁、ありがとうございました。特に宮津社長、忌憚なく心をお開き御答弁くださいまして、ありがとうございます。参考人の皆さん、ありがとうございました。  終わります。
  145. 松前達郎

    ○松前達郎君 民緑の松前でございます。  きょうはNTT社長以下たくさんの方、参考人として御出席いただきまして、どうも大変御苦労さまでございます。感謝を申し上げます。  先ほど同僚議員から規制の問題が出たんですけれども、この問題について、やはり自由な競争の中で企業としての会社が発展をする、あるいは国民へのサービスを充実させていく、こういうことになりますと、やはりこの規制問題というのは、先ほど谷さんがおっしゃったように、今後十分これは考えていかなきやならない、一挙にそれを全部撤廃しろとは申しませんが、考えるべき問題だろうと私は思っております。  第十条の取締役及び監査役のところも郵政大臣の認可ということになっています。それから事業計画のところでも郵政大臣の認可、さらに料金も郵政大臣の認可、定款の変更も郵政大臣の認可とたくさんあるんですけれども、今後こういった幾つかの規制が緩和されていかないと、もうがんじがらめに縛られて自由な競争をやれと言われてもなかなか無理かもしれないと思いますので、この辺は私からの要望なんですが、ひとつ今後大いに検討をして規制緩和の方向に向かって御努力をいただければと思うんですが、この点について谷さんの方からお答えいただきたいと思います。
  146. 谷公士

    政府委員谷公士君) NTTを特殊会社としておく必要性につきましては、先ほども御説明を申し上げましたけれども、そういう意味で、特殊会社としての事業の基本を決めます事業計画でございますとか、それからその責任を持ちます役員ということにつきまして、現在の段階におきましては、特殊会社としての活動の基本でありますために、役員の選解任の認可といいますものを、今回これは役員の選解任につきましては持ち株会社のみにとどめたのでございますが、現段階では必要であろうかというふうに思っております。  それから、料金につきましては、これは基本的に利用者の直接的な利益にかかわる分野でございまして、十分な競争進展していない段階におきましてはこの料金の適正なあり方を見る必要があるということでございますけれども、しかし、そのサービスの種類によりましては国民生活に大きな影響のない分野もございまして、こういつたものにつきましては従来から届け出というふうなこと、あるいは一切の規制対象外というふうなことを進めてまいりました。  それから、国民生活に大きなかかわりがありますものにつきましても、競争進展状況に応じまして、市場の原理が働くようになってまいりますれば、これを逐次届け出等に切りかえていくということに取り組んできておるところでございます。先般の移動体の料金がその例でございます。さらにまた、その他の料金につきまして、基本的な料金につきましては現在、平成十一年度に向けましてインセンティブ規制の導入の検討に取り組んでおるところでございまして、こういったことも鋭意研究していきたいと思っております。  総じまして、御指摘ございましたように、変化の激しい分野でございますし、利用者・国民の利益を守る中で事業者ができる限り自由な事業運営ができますように規制の緩和を考えていくべきは当然だと思っておりますので、今後とも取り組んでいくつもりでございます。
  147. 松前達郎

    ○松前達郎君 ぜひその方向でひとつ取り組んでいただければ大変ありがたいと思います。  実は、私もかつて電電公社に在職をしたことがあります、約十一年でしたが。その中でも、特に研究開発関係、この方の仕事をずっとさせていただいたんです。電気通信研究所というのが当時ございました。そういう中から、これから先の企業のパワーというものは、やはり基本になるのはいわゆる研究開発の成果だと私は思っているんですね。お金ですとか物ですとか、そういうものは物質的なものですからこれは手だてがあると思いますが、いわゆるソフトな部分、知識というものが大きな財産になっていくし、これが基本となってパワーが生まれてくる、こういうふうに私は思っております。  かつては、戦争で日本が負けた後、焼け野原になった、東京あたりそうですが、電話は壊滅状態になったんです。その当時から郵政省が一生懸命になって電話の回線網の編成努力をされてきて、次第にそれが充実をされてきた、そういう歴史をたどってきているわけなんですが、当時は電話というものの積滞が非常に多かった。つけようったってつかなかったんですね。そういう時代が一時あったんですけれども、最近では申し込めばすぐつくという状況にまでなってきたので、この努力は大変私は高く評価していいと思うんです。  当時は電話だけだったんですから、個人対個人の情報交換、これに限られた分野であったと思うんです。これがある程度十分に行き渡っできますと、今度はそれに新しい分野が追加されてくるわけです。とれ、郵政省の皆さんに申し上げるのは釈迦に説法ですけれどもマルチメディアといいますか、そういった新しい分野が加わってくるわけで、そういった面でやはり研究開発というものがその分野に対して非常に大きな力を持ってくる、こういうふうに思います。  そういう面から、きょうはいわゆる再編に関しての会社あり方とかあるいは関係する諸問題については先ほど来同僚議員からいろいろと質疑あるいは感想等も含めてあったわけでありますが、私は、まだこれチャンスもあると思いますから、それはそっちの方に譲るにしまして、きょうは研究開発の問題に絞ってお尋ねをしていきたい、こう思っております。  実は、NTTの研究開発に関しては、去る六月三日に当委員会がNTTの研究所の視察を行わせていただいた。その際、特に新しい技術開発の基礎となる研究開発についての説明を幾つかの分野で受けたわけでありますが、研究開発の面ではトップランナーになったんだ、こういうふうなお言葉もあったわけであります。まさに、私もそのトップランナーにもうなったんだろうというふうに思っております。  そういう面からNTTの研究開発について、大きな貢献をしてきているんですけれども郵政省として、NTTが今日まで行ってまいりました研究開発の実績についてどういうふうに評価をされているか、諸外国の研究開発と比較して現在のNTTの研究体制あるいはその成果というものをどういうふうに評価されているか、この点をまずお伺いしたいと思います。
  148. 谷公士

    政府委員谷公士君) 技術のことにつきましては私、不案内でございまして、私の意見と申しますよりは、省内のそれぞれのところの意見を聞きまして、それを集約した形で申し上げる格好になるわけでございます。  NTTは、我が国情報通信分野の研究開発における中心的な存在として幅広い研究をこれまでずっと実施してこられました。例えば、大容量の光通信システムでございますとか、それから最近各国に導入され始めましたPHSのシステムでございますとか、こういった研究開発におきましては世界的に現在もトップレベルの水準にあるというふうに聞いておりまして、このように、これまで我が国情報通信分野の研究開発力の向上に大きな貢献をしてこられたということを基本的な認識として持っております。  それから、その擁しておられます研究開発のリソースにつきましては、研究開発者数約八千五百名、研究開発費は平成八年度で約三千億円ということでございまして、これは諸外国の主要な電気通信事業者と比較しても全く引けをとらない十分な研究開発体制をしいておられるというふうに認識をしております。  さらに、情報通信技術高度化、多様化などの変化に応じまして、みずからが研究開発体制を見直しておられますほか、米国のベンチャー企業を初め、海外企業との共同研究開発等も実施してきておられるというふうに聞いておりまして、グローバル化進展する情報通信分野の研究開発に柔軟に対応してきていただいているものというふうに承知をいたしております。
  149. 松前達郎

    ○松前達郎君 昨年の電気通信審議会ですけれども、この審議会において、我が国情報通信分野技術貿易では輸入超過である、こういうふうなことが言われているんですが、研究開発もまたアメリカに比べると非常に劣勢であると。この根拠がどういうところにあるか僕はわかりませんけれども、今後、現状を改革して積極的に向上させることが必要であるという答申が盛り込まれておると思うんです。  その理由として考えられるのは、私はこれは余り理解できないんですが、郵政省としてどういうふうな御理解をされているか、その点お答えいただきたい。
  150. 谷公士

    政府委員谷公士君) 総務庁の統計資料によりますと、通信・電子・電気計測器工業、これらにおきます技術貿易の収支はここのところずっと赤字の傾向が続いておりまして、その赤字の主なる原因は北米地域からの大幅な技術輸入によるものであると考えられております。このことについての指摘であろうと思うわけであります。  その背景として考えられますことは、米国ではマルチメディア化、ソフト化といった情報通信を取り巻く大きな環境の変化を的確にとらえまして、軍事目的から始まりましたGPSあるいはLEO、インターネットなどの技術の民間転用や、それからベンチャー企業を含めた民間、大学の研究者が活発にダイナミックな研究開発競争を行いまして、インターネット関連技術、ソフトウエアなどの情報通信分野のかぎを握る先端技術をリードしている。そういう意味で、我が国はこれらの技術について米国に大きく依存しているということを言っておるのではないかというふうに考えております。
  151. 松前達郎

    ○松前達郎君 今答弁がありましたけれども、その点について宮津社長、どうお考えでしょうか。
  152. 宮津純一郎

    参考人宮津純一郎君) 残念ながら否定はいたしません。ソフト系はやはりちょっと弱いんじゃないかと思っております。  現実では、最近相当力がついてきて追いついてはいますけれども、ある時期、特にインターネットがアメリカで民間に普及し始めて動き始めたころ、あのころの時点というのは正直言ってかなり日本はおくれていたと思います、将来については悲観していませんけれども
  153. 松前達郎

    ○松前達郎君 先ほどの電気通信審議会の答申なんですが、その中で、今後、自立的に意思決定が可能な多数の組織が多元的、機動的な連携のもとにダイナミックな競争を促進させることが重要である、こういうふうに答申に盛り込まれているわけであります。  これに関して、今回の法改正で、我が国の研究開発が一体ダイナミックな競争展開できるのかどうか、この点について郵政省にお伺いします。
  154. 谷公士

    政府委員谷公士君) 私どもも、通信事業だけではなく研究開発につきましても、ダイナミックな競争の中でさまざまなチャレンジが行われていくことが望ましいということを基本的に考えております。  ただ、今回の再編成に当たりましては、この再編成に際してこれまでNTT情報通信分野の中心的な存在として蓄積してこられました研究開発のリソースの分散を避け、その研究開発力を維持する必要があるというふうに考えまして、そういう意味で、多額の費用と多数の要員を必要とし、直ちには採算ベースに乗らない基盤的研究については持ち株会社で一元的に取り扱うことといたしました。と同時に、やはり競争も大事でございますので、事業に密着した応用的研究につきましては再編各社が相互競争をして研究開発を行い、また事業の内容にもそれを反映できますようにそれぞれの会社において行うという仕組みにしたわけでございます。  このように、今回の再編成案におきましては、NTTとしての研究開発の総合力が維持されます中で再編各社が独自性を発揮することもできるという体制としたところでございまして、これによりまして、リソースの分散を避けると同時に研究開発における競争が活発になることを期待しているというところでございます。
  155. 松前達郎

    ○松前達郎君 NTTとして持ち株会社が基盤的研究を担当する、地域会社が応用的研究を担当する、こういうふうに言われているわけですね。  応用的研究を担当する地域会社、その応用的研究というのは、私にはちょっと具体的に理解できないんですが、幾つかの具体的な例がございましたら教えていただきたい。応用的研究というのは利用者ニーズとの直結した分野であるというふうに解釈してもいいんじゃないかと思うんですが、具体的な何か事例がありますでしょうか。
  156. 宮脇陞

    参考人(宮脇陞君) 御説明申し上げます。  確かに、応用的研究という言葉の定義自体はやや基礎、基盤という言葉と対比して完全に一、ゼロという定義ではないんですが、グレーゾーンもあるわけでございます。私どもの場合、応用的研究開発といった場合には、各事業会社、その事業会社の中には東西の地域会社もございますし長距離会社もあるわけですが、こういう事業会社サービスあるいは事業運営に深くかかわる技術といいましょうか、そういうものは各事業会社が独自に開発を進めるべきであるというふうに考えているわけでございます。  それじゃ、どういうものが中身としてあるのかということなのでございますが、これでも抽象的かもしれませんけれども、例えば地域に密着したマルチメディアサービス、そういうもののアプリケーションの開発、あるいは既に提供しているサービス、それにさらに付加的な、いわゆる新しいサービスをつけ加えたいというような場合がございます。そういう付加的なサービス機能の付与というもの、それから地域会社あるいは長距離事業会社では電気通信設備の施工保守というようなことも行うわけですが、こういう施工保守技術の研究開発、ほかにもたくさんあるかと.思いますが、こういうものがあろうかと存じます。
  157. 松前達郎

    ○松前達郎君 そうしますと、サービスという分野、まずそれが一つあるということ。かつて、電気通信研究所には機材実用化部というのがあったんですね。これは、端末あるいはそれに近い範囲のもの、これを実用化していくという分野がありましたけれども、そういう分野もやはり今地域会社の方がやるということになる、全部じゃないかもしれません。そういうことで考えてもよろしゅうございますか。
  158. 宮脇陞

    参考人(宮脇陞君) 今、先生の申されました対象のものが私どもとして具体的に現在研究開発しているかどうかについてちょっと自信がないのでございます。  といいますのは、私ども、特に端末と我々は申していますが、そういうものの開発につきましては、私ども以外のところで行っていただいているものについてはなるべく重複しないように、ほかで手がけないようなものにより力を入れてやってまいりましたので、先生のおっしゃっていたものを現在もやっているかどうかについてはちょっと自信がございません。ただ、よりお客様に近いもの、お客様が実際にお使いになるもの、そういうものについては地域あるいは長距離会社が、いわゆる事業会社がやるようになるかというふうに考えます。
  159. 松前達郎

    ○松前達郎君 今、細々とお伺いしたんですけれども、端末は、あるいは企業との共同研究とか開発研究というのはあると思うんです、ですからそっちの方でやられてもいいんじゃないかと思うんです。  いろいろお伺いしたいんですが、本来研究開発というとRアンドDという分野があるわけですね。総合的に一つの問題あるいは今後の課題等について取り組んでいくということがどうしても必要である、そういうことから申し上げますと一貫性を持つことが重要なんじゃないか、こういうふうに私は思っておるわけであります。その一貫性を持たすために、先ほど来ちょっと触れました持ち株会社とそれから地域会社、ここに分散をして研究開発部門を置いていくというのが果たしてうまく連結してできるものかどうか。  この辺、私まだ十分理解していないわけなんですけれども、実際に必要なのは、日本で一番少ないのはRアンドDの間に入ったコーディネーターですね。これがやはり推進役になって研究を全体としてまとめ上げていくということになろうと思いますけれどもNTTとして、今後分散をされていくことも含めて、研究開発に一体この再編がどういうふうに影響するのか、どうお考えでしょうか。この点をお伺いしたいと思います。
  160. 宮脇陞

    参考人(宮脇陞君) RアンドDが一貫性を持つべきという点に関しましては、先生御指摘のとおりと存じます。  私どもの研究所では、これまでいわゆる基礎研究から具体的なシステム開発まで一貫して推進してまいりました。これが先生のおっしゃるコーディネーターの役割ということかと存じますけれども、再編後も、将来の事業に重要であるが利用が特定できない基礎・要素技術並びに各事業会社に共通な基盤技術に関する研究開発である基盤的研究開発、こういうものにつきましては研究開発のリソースの分散を避けまして持ち株会社が一元的に推進したいというふうに考えております。例えば、各事業会社が共通に使う通信システム、こういうものにつきましてはシステムの開発まで一貫した研究開発を持ち株会社で行いたいと考えております。  なお、応用的研究開発につきましては、これは基盤的研究開発成果に基づきまして、お客様のニーズを十分反映しつつタイムリーに、しかも実情に即した開発を進めていきたいというふうに考えております。
  161. 松前達郎

    ○松前達郎君 その辺の総合的な体制づくりというものがうまくいくかどうかによって研究の成果がどんどんと伸びていくということになろうと思うんです。この辺はひとつ十分お考えいただいて、ぜひとも今後の高度情報社会の中におけるNTTの役割といいますか、新しい会社の役割等も含めて底力をひとつ技術の面で持っていただくようにお願いをしたい、こう思います。これがある意味でいうと国際競争力等の基盤にもなっていくわけです。そういう面で、大変だと思いますけれども、この辺をうまくまとめていただきたい、これを要望しておきたいと思います。  今御答弁いただいたんですが、今までの研究成果の蓄積があります。これをどういうふうに分けていくか、こういうふうなことは、これは一つ一つ分けられないので、今御答弁いただいたことで理解できましたけれども、そういうものも含めてこれは大切な財産として、今後その財産を基盤とする発展を遂げていただきたい、これを私は希望いたしておきます。  研究といいますと、本来ですと逓信省の電気試験所だったのが、昭和二十七年に分割をされたわけですね。それで一部が郵政省通信総合研究所になり、通産省の電子技術総合研究所にもなった、三つですね、電電公社の電気通信研究所と。この三つの研究所に分けられたわけなんですが、それぞれ得意な面があると思うんです。  しかし、今後の研究開発能力というのはこれは総合的なものだと思うので、そういった研究の成果あるいは開発能力をどういうふうに機能させていくかというのが非常に重要だ、こう思います。研究マネジメントといいますか、こういうものをやはりじっくりとやっていかなきやならぬだろう、こう思うんですが、人材を集めて集団を形成して金を与えれば必ずしもそれだけですべてが解決するわけではない。人材の能力にもよりましょうし、あるいは今申し上げたマネジメントにもよるわけですから。そういうことで総合力という面で研究開発というのが重要な対象になってくるんだろう、こう思います。  頭脳集約型の組織というのは非常に運営が難しいかもしれませんけれども郵政省もさっき申し上げた研究所をお持ちなんですね。特に、これは電波関係が主体だろうと思いますが、経験も十分お持ちだと思うんですけれども、この点、総合的な研究体制ということについての郵政省の御意見をお伺いしたいと思います。
  162. 木村強

    政府委員(木村強君) 先生御指摘ございましたように、研究所としての総合力を発揮させるということ、おっしゃいますように、単に研究人材が集まっているということだけでは不十分だ、まさに研究マネジメントが重要であるというふうに私ども認識しております。  先生御指摘ございましたように、郵政省にも逓信省電気試験所以来、昭和二十七年には郵政省電波研究所として発展をし、さらに昭和六十三年でございますが、現在の郵政省通信総合研究所ということで、電波も含めました情報通信技術全般につきましての総合的な唯一の国立試験研究機関ということで郵政省は運営をいたしております。  その運営方法につきましては、研究所等ともいろいろと議論を交わしておりますけれども、これまでの運営の経験から申し上げますと、まず第一に、研究所の使命、目的、いわゆるミッションでございますが、これを明確にすることが研究マネジメントとして非常に大切だということであります。これによりまして、個々の研究者の研究ベクトルを同じ方向に合わせ、組織としての研究力の充実が実現をするということで、文部省と国立大学で行われております学術基礎とはその辺が趣を異にしておる、ベクトルを同じくするということがまず大切であろう、ミッションを大切にする、明確にするということが大事だということであります。  それから二点目には、具体的研究プロジェクトの推進におきましては、優秀な研究リーダーを選任することが必要であるとともに、その研究リーダーが最大限の能力を発揮できるように、その裁量の範囲をできるだけ大きくしておくということも大切であるということでございます。  そして三番目には、これも当然のことでございますけれども、研究を行うのは研究者個人でございまして、研究者個人の創造性を引き出すことも重要であるということで、そのためには研究施設や研究資金の充実はもちろんのこと、窮屈でない柔軟な研究環境の整備が必要であるということで、ただいま申し上げました三点をメーンに置きながら研究マネジメントというものにも取り組んでおるということでございます。  さらに、最近のことでございますけれども、この通信総合研究所につきましては、他の国立試験研究所に先駆けまして外部評価制度を取り入れました。外部の学識経験者によりまして、研究成果の技術的評価も一つでありますけれども、先生御指摘のような研究マネジメントに対します評価もこの外部評価制度の中に取り入れたということでございまして、第一回目のそういう研究マネジメントに対します研究成果をいただいております。研究へのインセンティブあるいは研究環境の活性化、よりよい成果を出すこと等、研究マネジメントについての評価ないし助言もせんだっていただいたところであります。  そういうようなことで、新しい外部評価制度ども取り入れまして、通信総合研究所におきます研究開発がひとりよがりにならないように、風通しのよい中で真に社会に貢献できるよう、その運営、マネジメントについても配慮するということで、新しい方式なども導入しながらこのマネジメントに組んでおるというのが実態でございます。
  163. 松前達郎

    ○松前達郎君 きょうは研究分野だけに限りまして質問をさせていただきました。チャンスはまたありますので、他のことについては次回の質問に譲りたいと思います。きょうは大変御苦労さまでございました。
  164. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 日本共産党の上田でございます。  この三法案として提出されている今回のNTTの再編問題というのは余りに問題が多過ぎると思っています。私、二月二十一日のこの委員会で取り上げたんですけれども、そのとき指摘しましたように、橋本首相の指示で始まったという非常に異常な経過をたどっています。六月末のリヨン・サミットで橋本首相は屈辱的経験をしたと、クリントン、コール、シラク、メージャーら各国首脳が情報通信国際協力体制の話をしていた、橋本首相はただ一人これにかみ込むことができなかった、仲間外れにされたので、帰国して通産省の堤、郵政省の五十嵐の二人の事務次官を呼んで早くやれと一喝したと、そういう経過です。  これは幾つもの報道がありますので事実だろうと思うんですね。この一喝で十四年間対立していた問題が急転直下妥結した。郵政省が名をとったというんだけれども分割という名がなくなって再編になったので名もとったかどうか怪しい。NTTが実をとったと、そう言われているんですね。  私は、今回のNTTの再編は、主な目的は持ち株会社方式によって長距離NTTを完全民間会社にして国際通信市場参入させるということにあると見ています。これは長距離が完全に民間になっちゃうんですから、電気通信事業の公共的役割は後退します。また、莫大な資金が必要になる国際進出について、その資金を電話を中心にした国内通信事業に負担させる。それと結びついて、国民・利用者に対するサービスのダウンあるいは値上げ、さらにはNTT職員の大リストラ、こういうものと結びつく危険があると思います。ですから、日本共産党はこの三法案に反対でございます。きょうは最初の質問なので、問題点を幾つか質問させていただきます。  第一の問題は、電通審の討議において一回も審議されたことのない持ち株会社の全面解禁の先導役を果たしたという重大問題であります。  独禁法第九条というのは、憲法第九条、武力による威嚇または武力の行使を放棄するという憲法九条と並んでもう一つの九条と言われるほど重要な日本の戦後の経済民主化の柱でございました。公正取引委員会の独禁政策三十年史によりますと、「三井、三菱、住友の三大財閥は、持株会社である財閥本社を頂点とし、株式所有、役員兼任等によって金融業、重化学工業、鉱業、総合商社等の基幹産業部門の主要企業を支配し、それらの企業がさらに多数の企業を傘下に擁するという雄大なピラミッド型の支配網を形成していた」、これが戦前の姿です。これはGHQによって、「日本帝国主義の経済的支柱をなすものとして」ということで、経済の非軍事化、民主化のために財閥解体、経済力集中排除が戦後進行し、一九四七年独禁法が制定され、第九条で持ち株会社は全面禁止になったんです。その後、何回か緩和はされましたけれども、純粋持ち株会社は依然として禁止されていて、財界は強い要求でこれの全面解禁を望んでいたことは御存じのとおりです。  そこへこのNTT問題が出てきました。それで、独禁法の改正という戦後五十年に近い大企業、財界の期待がこのNTTの再編問題を通じて、千載一遇のチャンスという報道さえあるんですよ、ということで今審議になっているんです。  それで、郵政大臣にお伺いします。大臣は、衆議院の逓信委員会、五月十四日にこの持ち株会社問題でこう答弁されました。「最初私どもは持ち株会社を特例法として認めてもらうという形で計画をしたわけでありましたが、与党三党でも高く評価を受けまして、特例じゃなくて、持ち株会社我が国会社全体に導入する、こういう形になりましたので、一応我が国事業経営というか会社形態のあり方について画期的な、大きな貢献をした」、そう答弁された。私は反動的貢献をされたと思うんですけれども、いかがですか。
  165. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) ただいま上田委員から御指摘ありましたように、衆議院ではただいまお読みになりましたように答弁を申し上げました。共産党の上田委員と我々自由主義経済を主張しております自民党のこれはもう経済政策の根本的な違いだと、こういうふうに私は理解をいたしておるところであります。  したがって、今回NTTを持ち株会社の方式に再編成するという案が出てきましたのは、これを完全に三分割ということになりますと資本的には非常に弱くしていく、これが一番NTTとしても今後の国際競争力の中において大きな問題があるということが一つであります。  そして、最近のこの情報通信グローバル化あるいはまた国際化していく段階で、場所によっては、BTアメリカのMCIが合併をするという問題が出てくる。そうなりますと、ある程度の資本力は維持していくことが極めて大事だということで、まず持ち株会社によって一つ事業体としての資本を確保する。  そしてまた、今後NTT国際進出を図っていくためには、このままの独占体制で進出ということでは国内のほかの通信事業者等と比較いたしても公正競争は確保されない。そういう意味で、地域電話会社長距離会社、こういう形に分離をいたしまして、地域会社はこれまでと同じようにユニバーサルサービスを基本として国内通信を確保する。そして長距離会社には国内の現在の長距離通信会社と同じ条件で競争を持たせながらさらに国際通信市場への進出を可能にする。こういう目的を達成する立場から、今回は持ち株会社が一番いい案だなということを考えついて、そして我々は、それぞれ連立三党の与党の皆さん方にいろいろと特例として認めていただきたいということを要請申し上げてきたところでありましたが、たまたまそのことが、連立三党としてもこれからの日本の産業経済を考えるときに持ち株会社はやはり時代の流れだということで、そういう意味で三党の方で意見が一致されまして、独禁法の改正、こういう形になりました。  そういう意味から申しますと、今回のNTT再編成による持ち株会社方式は、ある程度これからの日本の経済構造に大きなインセンティブを与えた、あるいは先導的役割を果たした、そういうふうに私は自負をいたしておるところであります。
  166. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私どもとの経済観の違いだと言われますけれども、独禁法の抜本改悪ですから、独占の強化になるんです。そうすると多国籍企業、大企業の利益拡大に奉仕することになります。それだけではありません。金融持ち株会社まで今度ねらわれておりまして、そうすると、莫大なものがあるという不良債権、それを抱えて困っている金融機関の救済、さらには橋本首相が言い出しているビッグバン、こういうものともつながったものなんですね。ですから、NTTの要求であると同時に日本の財界の共摘要求なんです。  それで、実はこの持ち株会社案というのは、九五年十二月九日号の週刊ダイヤモンドで、きょうもちょっと話が出ましたが、アスキーの西和彦社長が提言したことがあります。持ち株会社方式によるNTTの九社分割私案、こういうものが発表されている。これと似ています。九つ分割で数は違いますけれども、研究開発部門だけを残すと、今度と同じようになっているんです。それで、当時この西社長は興銀の中山素平氏と非常に仲がいいというので、このアスキーの西氏のNTT持ち株会社分割提案というのは中山氏またNTTの児島社長の意を酌んだものだと、そう見られていたということになっています。  そこで、NTTの宮津社長にお伺いします。きょうもちょっと取り上げられましたが、宮津社長はなかなか率直なインタビューをことしの日経ビジネス四月七日号で行われている。こう述べております。「僕らはずっと分離分割に反対してきた」、ところが、「今回は最終的に分割することが決まった。だとしたら、分かれた三社がそっぽを向いて好き勝手に走り出したのでは、全体がめちゃくちゃになっちゃう。それを防ぐために、持ち株会社という仕組みをつくったんです。」と。NTTがみずからつくったと社長が言っているんですから、どうやら今度の妥結については、三社に分けること、最初それで出たらしいですな。NTTとしては持ち株会社をつくる、これを条件に、それなら結構ですということになった経過があるのではないかと思いますが、いかがですか。
  167. 宮津純一郎

    参考人宮津純一郎君) つくったと言ったかどうか、その言葉の細かいところの一字一句のことについてあれこれ、先生もおっしゃることが目的でないと思うのでそこは御勘弁願いますが、基本的にはめちゃくちゃになっちゃうと言ったのは、文脈があるんじゃないかと思いますけれども、その当時、競争の問題でそれぞれ会社を分けた方がいいという議論がありました。一方、国際競争のためには、我々の資源をまとめて動けるようにしないと国際競争上からは弱いんではないかという要素が一つある。それの両方の要素をまとめて、結局今回の持ち株会社制度というふうなものを利用することにしたということだと思います。  めちゃくちゃになっちゃうという意味は、国際競争をやる段階で、持ち株会社も何もない状況でそれぞれが出ていって国際競争をやるということになると、全体の勢力がうまく結集できないんではないですかというような意味でめちゃくちゃになっちゃうというふうに言いました。  以上でございます。
  168. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 言葉は、恐らくこれはテープを起こしたんでしょうから多少あいまいなこともあるかもしれないけれども、めちゃくちゃになるのを防ぐというのは、いろいろあるけれども、事実上は一体化してやっていけるという意味ですか。めちゃめちゃになるのを防いで、事実上一体化しておくと、持ち株会社が司令塔になって。
  169. 宮津純一郎

    参考人宮津純一郎君) 物理的に一体化するとかなんとかということではなくて、我々が個々に持っている資源なるものがうまくまとめて利用できないか、その方法がどうかという観点から申し上げました。
  170. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 さて、分離分割に反対を述べておられたころ、いろんな問題が出されておりました。  昨年の答申の資料のところに再編成に伴う税負担が大変かかるという表がありまして、NTTの試算によりますと、法人税その他で合計一兆八千億円という数字が出ています。  今回、附則の第十二条でNTTの要望を入れて資産譲渡益の免税が認められました。この税額はどのぐらいになりますか。これは郵政省にお伺いします。
  171. 谷公士

    政府委員谷公士君) 譲渡益課税その他、かなりの数の税目について特例措置を設けまして、その内訳というのはちょっと今わかりかねるのでございますが、トータルで申し上げさせていただきますと、影響額、国税で約五千二百億円、地方税で約三千二百億円、合わせますと八千四百億円という試算をいたしております。  今回の措置につきましては、再編成に当たりまして一時的に発生する課税の回避、この中には完全に一過性で免税になりますものもあり、それから譲渡益課税のように、含み益はそのまま会社に引き継がれますので課税時期がある意味でいえば延期されたような効果のものもあるわけでございますけれども、それらをひっくるめて今のような金額でございます。このほかに、特定費用負担金にかかる損金算入の問題がございますが、これはまだ具体的にどう実現するかわかりませんので、この点については試算ができません。  以上でございます。
  172. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 これは特例措置ですからね。一般紙は、普通の民間会社に比べて突出した優遇措置だと。八千四百億、一兆円近い免税ですよ。  さて、NTTはもし分割されると、分割のために費用がうんとかかるということも言っていました。この答申の百五十四ページにいろいろ計算して、NTT再編成コストの試算四千五百億円という数字が出ています。  今回、この再編でどのぐらい費用がかかりますか。試算を教えてください。
  173. 木塚修一

    参考人(木塚修一君) お答え申し上げます。  答申のとき、昨年の二月でございましたが四千五百億という数値を試算いたしました。これは資本関係のない分離分割でございまして、持ち株会社制度を入れることによりまして、例えば新規の株主の関連費用でありますとかあるいは顧客系の社内システム、こういつたようなものの共同利用の範囲の問題でありますとかいろんな関係がございまして、午前中の御質疑の中でお答えいたしましたように、現在では投資が一千五百億、初年度の一時的な経費が五百億、あと定常的な経費が三百億ということで、これは年経費に換算いたしますと千二百億円なのでございますが、この四千五百億円を私どもが昨年の二月申し上げたときと同じベース、つまり投資額も年経費もごっちゃにして初年度経費ということで申し上げれば、今回はトータル二千三百億ということであります。  なお、今後、法案が通りますと再編成の基本方針が郵政大臣からちょうだいできるわけでありまして、これに従いまして実施計画を私どもつくりますから、その段階では非常に細かい問題まですべて節約をしてまいりたいと思っております。そのことによって、お客様あるいは株主様の目減りを防止できるというふうに考えておるわけでありまして、現時点で二千三百億ということで御理解を賜りたいと思います。
  174. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 つまり、総計しますとNTTはかなりプラスですな。分割されると四千五百億かかるぞといったのが、今のお話の二千三百億、半分で済んでいるんでしょう。それで税金は一般民間会社に比べて特別の優遇で八千四百億まけてもらっているんでしょう。物理的に一体じゃないかもしらぬけれども、運営上でばらばらでやれるように、持ち株会社でやれるというんです。こういうことがまず第一の問題点です。  第二の問題。じゃ、何のためにこういう再編が行われたかというと、先ほど申し上げましたけれども、国民や利用者のためではなくて、全世界で数千社と言われております多国籍企業国際展開のためのネットワーク構築、これが国際進出の主目的だと思うんです。結局、分離分割分離分割、再編、再編と言っているけれどもNTT、物理学は別として余り変わらぬのですよ、一体にやれるんです。新たに何が変わったかというと、唯一長距離会社NTT法規制を離れて、それで国際進出ができるようになった。これが変化の本質です。いかがですか、郵政省
  175. 谷公士

    政府委員谷公士君) 今回の再編成におきまして実現される効果といいますものはいろいろあるわけでございますけれども、第一には独占部門であります地域通信部門を別会社とすることによりまして、これからの高度情報通信社会に向かいまして非常に経済全体に対しても大きな役割を担う電気通信産業の、そのまた基本的なところに位置をしておりますNTTがその独占部門を切り離しをしまして、通信仕組み全体として公正競争の条件が整うということが一つでございます。  それから、そういった部門から切り離されることになりまして自由になります長距離会社は、他の一般の会社と同じようにエンドエンド通信需要ということにもマッチする形で、国際も含めた全体的な通信事業展開ができることになり、それが同時に我が国通信事業国際競争力、ひいては我が国産業全体の国際競争力にも資するということもあるわけでございます。出発点は、先ほども申し上げましたように独占部門を切り離すというところにあるわけでございます。
  176. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 先ほど松前議員も研究開発問題を質問されました。  おととい、武蔵野開発研究センタを拝見して大変勉強になりましたけれども先ほどの率直なインタビューの中で宮津社長はこう言っています。「研究開発まで手がける持ち株会社となると、これは世界でも例がないでしょう。」と、世界でも初めての形だと言うんですね。それで、これから世界技術の流れを分析して「将来の研究の課題を設定する。」、「今回の再編のポイントは、そこにある。」と。だから、どういう方向に進んでいくかを見きわめる研究が非常に大事だと言われて、「成功すれば、世界中で真似しますよ。研究開発を持ち株会社に集中する、という仕組みをね。ちょっと危ない面を抱えているんだけれども、ものすごくうまくいく可能性もある。NTT分割に関しては、こう評価しています。」と。  ですから、率直ですよ。結局、今度の再編はやっぱり国際進出、しかも持ち株会社に研究開発をくっつけるというのは世界で初めてなんです。危ないこともあるけれども、うまくいけば世界じゅうがまねするだろうということを率直に述べられておりまして、結局、突き詰めていくと本質はここに、今度の再編成はここに大きな希望と抱負を持っておやりになろうと、そうお考えなんでしょう。
  177. 宮津純一郎

    参考人宮津純一郎君) 今回の再編成の目的というのは、先ほども郵政省からも言っていると思いますが、競争の活発化というのと国際競争だと思います。  それで、RアンドDの問題というのは、むしろそれとはまた別にというか、電気通信産業というのはやっぱりRアンドDというのをもとに動いているわけです。それが一番の原動力になっていると思うんです。そういう意味で、産業の特性としてはそういうことでございますということだと思います。
  178. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 これは二月の質問でも取り上げたんですけれども、「NTTの今後の国際事業への取り組みについて」という文書があります。冒頭に出てくるのは、「多国籍企業向け情報通信システム構築事業」です。私は先ほど数千社と申し上げました。  私も余りそういうことをよく知らないんですけれども、週刊ダイヤモンドの藤井一さんの「分割NTTVS郵政省」という本があります。これにこういうことが書いてあるんです。「多国籍企業にとって、本社と世界中の拠点を直結する通信ネットワーク文字どおりの「命綱」だ。しかし、この「命綱」はグローバル化するほど管理が複雑になり、コストがかさむ。進出した先々で違う通信事業者と契約を結び、膨大な種類の請求書に対応しなければならないからだ。売上高一兆円以上の多国籍企業ともなると、連結決算に占める通信コストは年間数百億円にも上る。」と。この年間数百億円にも上る通信コスト、これを何とかしなきやならなくなっていて、イギリスの「BTは、こうしたニーズに目をつけた。」と。  これなんです。つまり、多国籍企業の拠点のネットワークを結ぶということは、こういう多国籍企業の売上高一兆円以上に数百億円の通信コストを安くしてあげますよ、そのためにネットワークで商売をさせてあげますよ、ワンストップショピングでやろうと。大体こういうことなんでしょう。いかがですか。
  179. 宮津純一郎

    参考人宮津純一郎君) マルチメディアと称している現在の産業の流れというのは、顕在的に今一番最初に需要としてはっきり見えているものということになりますと、今の多国籍企業の問題じゃないかと思います。  ただ、このサービス自体は、今多国籍企業ということが最初に需要としてあらわれていますが、行く行くはこれはずっと広がっていくと思います。個別の企業同士とかということよりは、こういうマルチメディアネットワークというのは世界じゅうにいろんな形で広がっていって、もちろん行く行くは小さい企業とか個人レベルとかというふうにどんどん広がっていく、当然そういう性格のものだと思います。  ただ、今現在あらわれているものは、やはり多国籍企業の、今先生がおっしゃったネットワークの運用費用とかなんとかというようなことが現象面としてはあらわれていると思います。
  180. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 たびたびインタビューが出てきますけれども、そういう国際進出というのはつまり国民と関係ないんですよ。世界で数千社、恐らく最初にNTTがおやりになるのは数百社でしょう。その多国籍企業の莫大な通信コストを何とか助けてあげましょうと。そのためにおやりになるわけだ。じゃ、そのネットワーク構築には金がかかると言うんですよ。これもなかなか率直に話されています。  相手はどこと組むか、「自分の都合のいい相手とその都度、組んでいけばいいんです。口で「協力します」と言ってもしょうがない。具体的にカネを出して、」、それで「初めて、相手もこちらを信用するようになる。やっぱり現ナマを見せない限り、情報だって出てこないわけですよね。」と。だから、NTTが非常な抱負を持っている国際進出は、口ではだめなんだ、現ナマが要るというんです、現ナマが。  だから、我々は、今度のこういうNTT国際進出で、多国籍企業のコストを安くするためにネットワークをつくるんだけれども、どうしても現ナマが要ると。その現ナマは、私、二月二十一日に質問しましたけれども、読売新聞の報道によれば、NTTは二兆円と試算しているという記事があって、それをお伺いしたら、二兆円というのはNTTとして言っていないと言われた。しかし、あれは二月段階ですから。いよいよ本格的にやろうという時期なので、衆議院の議事録、審議を見ますと、どうしてもどのぐらいかかるかということをお答えになっていないけれども、大体こういうことをやるという文書もできているわけだから、こういう国際進出にどのぐらいの原資が必要なのか、現ナマが要るのか、社長、お答えいただきたいと思います。
  181. 宮脇陞

    参考人(宮脇陞君) 衆議院でも私がお答えさせていただきました。そのときも申し上げたわけでございますが、具体的な額については現在検討を進めている段階でございます。さまざまな投資、経費等が必要になることはそのとおりでございます。  しかしながら、そのときも申し上げましたとおり、今後の国際事業展開に当たりましては、あくまでも事業の採算性等を十分検討しまして、国際進出をするからといいまして国内のお客様へのサービスの低下を招く、こういうことはないように十分配慮して進めるつもりでございますので、御了解賜りたいと思います。
  182. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 もう時間が参りましたので、この次にします。  社会党の大出さんだったら、こういういいかげんな答弁だったらもうこれ以上の審議はできないと机を叩いて怒るところで、国会をなめていると思うんですね。これだけの大問題やっているのに、幾らかかるかわからないみたいなことを言っているんですから。  それでは、次回までにもう少し誠意のある資料を出していただきたい。そのことを宮津さんに要望いたしますが、いかがですか。
  183. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 要望ですから、答えられるように準備をして、どういう質問が来るかもわかりませんので、それに答えられるように対応していただくよう要望しておきます。
  184. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 終わります。
  185. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 二院クラブの山田です。きょうは、どうも御苦労さまでございます。  最初に、私は、本改正と株主の権利についてお尋ねをいたします。  独禁法の九条の改正によっていわゆる持ち株会社が解禁されました。NTT法日本電信電話株式会社法によって、このたび持ち株会社が創設されるということになったわけでありますが、持ち株会社制度が採用されることによって従来のNTTの株主の権利がいかなる影響を受けるかという観点から、二、三質問をさせていただきます。  初めに、NTTの株主の総数というのはどれぐらいあって、その比率はどんなものかということをちょっと調べたんです。私どもの資料としては、せいぜい東洋経済社の会社四季報の最新版によるだけでございますので、この数字が正しいかどうか、最初にちょっと確認をさせていただきたいんですが、九六年九月三十日の時点で、NTTの株主総数が百五十三万四千七百四十名というふうに出ているわけでございます。そのうちいわゆる政府所有株、大蔵大臣所有が六五・五、約三分の二がまだ政府に保有されて、三分の一が国民と申しますか、一般の人たちに持たれているという実情だと知るわけですけれども、三分の一が個人投資家だ、こういう一般的理解でよろしいかどうか、いずれにせよ確認でございます。
  186. 谷公士

    政府委員谷公士君) おおむね三分の一が一般の国民の方の所有ということになっております。これは、法律的には国は三分の一まででございますけれども、株式市況等の状況がございまして、現在そこまでしか売却が進んでおりません。
  187. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 それともう一つNTTというのは特別法によって特殊会社という形であるわけですけれども、これは一般の商法上の株主の権利という角度から、NTTのいわゆる特殊会社に関しては一般の商法上の株式会社と差があるかどうか、その点をちょっと確認させてください。
  188. 谷公士

    政府委員谷公士君) 特殊会社とはいえ株式会社でございますので、一般の民間会社と同様に、基本的には商法等の規定が適用されているわけでございます。  それに対して、特殊会社という意味NTT法の規定も付加的に適用されるということはございますけれども、今回の再編に当たりまして、経過的な措置として一部商法の規定の適用除外ということはございますが、そういった経過的なことを別といたしますれば、商法等の規定の適用が免除されるということにはなっておりません。
  189. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 そうすると、NTTの株主も一般の会社と同じように株主代表訴訟権とか帳簿閲覧請求権、配当請求権というような株主固有の権利が、要件を満たした上であるわけですが、認められるということになるんです。  そうしますと、今回の改正によって東と西それからNTT長距離の株が全部持ち株会社によって保有されるということになるわけですけれども、そうすると従来の株主は持ち株会社だけの株主であって、論理的に言うと下の東とか西とか長距離NTTの株主権の行使は当然できないわけですね。
  190. 谷公士

    政府委員谷公士君) さようでございます。
  191. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 そうしますと、従来のNTTの株主というのは大きく広い一切の資産とかいろんなものを持った企業体としてのNTTの株主であったわけですが、今度の改編によって、従来の株主の地位は単なる持ち株会社、いわゆる株式保有と基盤的研究開発のみを目的とする会社の株主の権利ということになると、既存の株主の権利の大幅な縮小と申しますか、随分大きな制限になってきたと思われるんですが、いかがでしょうか。
  192. 谷公士

    政府委員谷公士君) 今回の再編成におきましても、分離されました会社はすべてその株式が持ち株会社に保有されますので、資産あるいは事業全体としては、結局は最終的にこの持ち株会社の株式の中に表章されることになるのだろうと思うわけでございます。  それ以上の問題につきましては、実はこれは先生の御専門の領域でございまして、私から申し上げるのは大変恐縮なのでございますが、私ども承知しております限りでは、例えば株主の会計帳簿の閲覧権、こういったものにつきましては、一般に親会社の株主は、親会社子会社の株式全部を所有しております場合、それからそういう場合以外でも実質上親会社の一部と子会社が認められますような程度に財産的な一体関係にある場合には、子会社の会計帳簿・書類も閲覧できるというふうに解されておるようでございます。  それから、株主代表訴訟ということもあるわけでございますが、この持ち株会社の株主は、確かに子会社の取締役を相手に直接代表訴訟を起こすことはできないわけでございますけれども子会社経営の統括、管理について問題がありますときは、持ち株会社の取締役に対しまして代表訴訟を提起することができるという場合も少なくないのではないかというふうに考えております。
  193. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 今のお話で、帳簿閲覧に関してはいわゆる子会社に対してもできるということは理解できるんですが、代表訴訟に関して、実際不祥事を起こす役員といいますのは、持ち株といわゆる基盤開発だけを目的とする持ち株会社ではなく、実際の業務を執行するところの下の二つ会社だろうと思うわけです。そうしますと、今回の改正で株主の代表訴訟というチェック機能が下の会社に及ばないということになると、役員の事業遂行上の暴走を助長する結果になるのではないかと危惧するわけですが、この点いかがでしょうか。
  194. 谷公士

    政府委員谷公士君) ただいまも申し上げましたけれども、確かに一般的には子会社の取締役に対して代表訴訟を提起することはできないわけでございます。しかし、子会社経営の統括、管理について持ち株会社の取締役に責任がありますような場合には、その持ち株会社の取締役に対して子会社の問題についても代表訴訟を提起することが可能ではないかと考えております。  それからもう一つは、御指摘子会社役員の暴走の可能性ということでございますけれども子会社の役員は一〇〇%親会社でございます持ち株会社によって選任されるということになるわけでございまして、万一、子会社の役員が違法行為等を行いました場合には、持ち株会社が株主として当該役員を解任することがいつでもできるわけでございます。したがいまして、持ち株会社の株主は、持ち株会社への株主権行使を通じまして、事実上子会社の役員についてもコントロールを及ぼし得るという関係にあるのではないかと考えられますことから、子会社役員が暴走してそれが放置され続けるというふうなことは、実態上は考えにくいのではないかというふうに思います。  それからまた、御指摘のこの問題点でございますけれども、これは純粋持ち株会社のみに特有の問題ではございませんで、現に存在しております事業持ち株会社においても共通の問題点でございます。これら事業持ち株会社においてこの点が大きな問題点となったことがあるというふうなことは、余りども承知しておらないわけでございます。
  195. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 ちょっとくどいようで申しわけないんですが、ちなみに日弁連はこのことを非常に、このことというのは持ち株会社制度が採用されることによって株主代表訴訟が制限されるということを非常に憂慮いたしまして、ことしの三月に純粋持ち株会社解禁に関する意見書というものを公表いたしました。その中で代表訴訟抑止効果の問題がはるかに深刻化する、こういう批判をしているわけであります。  商法二百六十七条に基づく株主代表訴訟制度は、一般の株主が巨大企業の取締役の独善と暴走に歯どめをかける唯一の制度であると思うわけであります。この制度を踏みにじってまで、持ち株会社方式によってNTTを再編する必要があるかどうかということに極めて疑念を感ずるわけであります。納得のいく御答弁をお伺いいたします。
  196. 谷公士

    政府委員谷公士君) 実態の問題といたしましては、現に広く行われております事業持ち株会社におきましても、かかる問題は余り生じていないのではないかということは申し上げたわけでございますが、さらに、このNTTそのものにつきましては、持ち株会社それから地域会社ともに特殊会社として国の監督を受けておるわけでございます。また、その上さらに、事業会社につきましては、一〇〇%株主でございます持ち株会社の監督を受けておるわけでございまして、そういう意味で、一般の会社以上にこういった問題が起きる可能性は少ないものというふうに考えております。
  197. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 これだけ株主の権利に影響を及ぼす、いわゆる大手術を行ったとも思われるわけでありますけれども、本改正に当たって、筆頭株主である大蔵大臣政府は当然納得の上でしょうけれども、本改正に対してそれだけ影響力を受けるであろう一般株主との了承と申しますか、対話と申しましょうか、その人たちにどういう配慮をして、従来のNTTの株主の人たちの意見をお聞きになったり、株主に何らかの処置をとられたかどうか、その辺のところをちょっとお尋ねいたします。
  198. 井上秀一

    参考人(井上秀一君) NTTとしましては、経営形態問題につきましては、これまでも株主総会等の場を通じて会社の考え方を述べ、株主様の意見は伺ってきております。  今回の再編案でございますが、先生御存じのように、NTTは現在のNTTを持ち株会社としてそのまま存続する。それから現在のNTTの株主はそのまま持ち株会社の株主となる。さらにNTTの株式は引き続き上場株式として変更はない。それから、先ほどから出ております各種税制上の特例措置によりまして現在の会社資産の減少が回避できるというような形で、株主の権利保護が行われてきたと考えております。したがって、我々としては、そういうものでいこうじゃないかということを決めたわけでございますが、今後におきましても、情報を適宜ディスクローズしていきたいというふうに思っております。  さらに、商法上の手続ということになりますと、今後法案が通りました後実施計画をつくって、営業譲渡という形で具体的な株主総会を、具体的には二年ぐらいかかりますんで、平成十一年度の株主総会になろうかと思いますが、具体的に諮って決議いただくという形で、株主の権利保護は十分できると我々は考えております。
  199. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 NTTにお尋ねをいたしますが、私も余り詳しくはないんだけれども、株価指標の一つに、PERといいますか株価収益率、株価を一株当たりのNTTの年間税引き後利益で割ったものをいうのだそうでありますけれども、それからもう一つPBR、株価の純資産倍率、株式の資産価値の判断基準として言われるものであります。これは株価を一株当たりのNTTの純資産で割ったという概念だそうであります。既存の株主、持ち株会社のみの株主にしかなれないことの結果、これらの指数が今後どのような影響を受けるのか、具体的な数値を示して教えていただきたいと思います。
  200. 井上秀一

    参考人(井上秀一君) 先生今御質問のPER、PBRというものでございますが、今回の再編では、NTTが持ち株会社となって、長距離それから東西の地域会社、これの株を一〇〇%所有するという形になりますので、そういう意味で資産との係数、これは再編成そのものによって変化は来さないわけでございます。株という形に変わるという形でございます。  このPERだとかPBRということでございますが、先生も御説明になりましたように、株価割る利益とか、株価割る資産ということでございますので、株価の変動自体がどうなるかということによって具体的な数値が変わるということでございますので、それが数値的にどうなるかというのは、我々、株価そのものがどうなるかということになりますので、資産そのものは先ほど申しましたように再編成によって変わるものではございませんが、株価そのものが変動するということで、PERだとかPBRというものの数値的なものについてはコメントができないということでございます。
  201. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 何かちょっと私の質問の意図と大分外れた御回答をいただいているのであれなんですが、株価が動く、それはわかるんですが、例えば現在のNTT株が幾らだから今度再編後にはどうなるか。それから、持ち株一〇〇%だから資産に影響ないというお話ですが、素人の私ですけれどもNTTというこういう一つ企業体があって、上だけ持ち株会社になって、資産とか土地とかいろんなものは全部東と西とNTT長距離に分けられるわけですから、おのずと、いわゆる本来あったNTTの株価というものが、今いう株価収益率にしろ株価純資産倍率にしろ、相当減少するんじゃなかろうかというふうに私は思うんですが、今影響ないとおっしゃったその根拠をもう一度ちょっと詳しく説明してくれませんか。
  202. 井上秀一

    参考人(井上秀一君) 今御説明しましたように、言うならばNTTの今の資産、これは確かに東西、長距離に分かれるものもありますが、それは株という形で持ち株会社が持っていくということで、トータルとしての四社の資産は変わらない。  問題は、そういうことによって今後の事業展開がどうなっていくかということの中で、我々としては、今後の国際グローバル競争だとかマルチメディアの中で、こういう持ち株会社の中で十分戦っていけるという観点を持っておるわけでございまして、そういう中で、企業業績が全体としてどうなっていくかということで株価のある部分は決まってくる。もちろん、株価というのは市場動向だとかいろんな要素で決まるもので、どういうことになるかというのを明確に言うことはできませんが、再編によって株価が落ちるという状況、今、去年からこういう方針が出されても、株価自身は非常にある意味で好調の方に動いていると我々は見ておりますので、そういう意味では、ある意味での経営形態の不透明感というのかそういうものがなくなって、株価については、株主の皆さんはある意味でわかりやすく見ていただいてくれるんじゃないかというふうに我々としては期待しておるところでございます。
  203. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 そこのところ、またもう一度私の質問の機会が与えられておりますので、ちょっと勉強して再度そこを質問させていただきたいと思うんです。  一つあれなんですが、持ち株会社の株は従来のNTTのあれなんですが、下のいわゆる子会社は、一〇〇%純粋持ち株会社が持つわけですが、この下の会社の株の発行ということはどうなんですか。引き受けというのを、今いうNTT持ち株会社以外の株主に将来持たれるようなことが考えられるのかどうか、ちょっとその点を質問いたします。
  204. 井上秀一

    参考人(井上秀一君) 法律によって、地域会社は一〇〇%ずっと持つという形で決められております。長距離会社は、当面一〇〇%でいきますが、将来、仮にそれをどこかで市場に出していくということになれば、郵政大臣の認可を得て出していくという形になります。これは、今時点でどうこうするというのはまだ我々としては考えておりませんで、今後の事業展開その他で、事業戦略上非常に有利だとか、やった方がいいとか、いろんなことがあればその時点でいろいろ判断する。今の時点では一〇〇%で進んでいくという形になります。
  205. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 長距離NTTに関しては、何か条文を読んでみると「当分の間」と、こういう表現ですよね。当分の間というのはいつごろのことを指すんですか。
  206. 井上秀一

    参考人(井上秀一君) 我々は、ちょっと当分の間というのは、再編時は一〇〇%持っていくということで、将来どういうふうにするかというのは今時点まだ考えておりません。いつが当分の間でどういうふうにやるかということで、法律的な解釈になりますと、これは我々が言うのもおかしいんですが、我々としては当面一〇〇%でいって、将来の事業展開によって必要性を判断するという形になる、事業者の立場からそういう回答でございます。
  207. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 株価の指標の問題と同じことになるかもしれませんけれども、我々普通の会社という場合、NTTが解散することはないと思うんですが、解散した場合における解散価値というのをよく言うんですね。例えば、今会社を清算した場合、配当して株主に幾らぐらい行くんだろうか、今会社が終わってしまった場合にどう配分されるかということで、解散価値という概念が当然法律用語としてあるわけでございます。  改正後の持ち株会社子会社の株式のみを保有しているという状態になるわけですね。土地とか設備はほとんど持たなくなってしまう。先ほどの議論でちょっと私が理解不十分なんだか、下の子会社に対してすべての一〇〇%持ち株を持っているから総資産において変わらないという御説明なんですけれども、持ち株会社は持ち株会社で独立した会社で存在し、今度新たに三つの会社ができるわけですから。持ち株会社というのは株式の所有といわゆる基盤的研究開発というだけの目的で存在しますと、実質的な施設、資本というようなものは下の会社に行ってしまうわけですね。そういうところがらいわゆる解散価値というのがどうなるのか、そこら辺のところも含めましてお答えいただければ幸いです。
  208. 井上秀一

    参考人(井上秀一君) 解散という事態は余り考えておらなかった概念で、概念上で、これはしっかりした商法上とかそういう形になるかどうかちょっとわからないんですけれども、端的に言って持ち株会社は自分の資産を持っています、研究資産とか。そういう意味での資産、いわゆる具体的な固定的な資産、固定資産とかそういうものをいろいろ持っております。そういうものは資産という形でありますが、当然マイナスの資産もありますから、そういうものを差し引きずることになろうかと思います。それから、地域会社とか長距離会社はどうなるのかということになりますと、それは株を持っておりますので、株をどう処分していくかという形でその株がどうなるか。  したがって、解散というのはどの部分を解散するのかによって、物にもよるわけです。今は仮に持ち株会社を解散するときのイメージで考えると、それぞれの事業会社、これの株をどう処分していくかという形で具体的な資産が決まってくるという形になろうかと思っております。それを数量的にプラスマイナス引いてというのはなかなかちょっと出せませんので、御容赦いただきたいというふうに思います。
  209. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 次にもう一点、先ほども出ていましたけれども、このNTT再編に伴ういわゆる譲渡益課税の優遇措置についてであります。NTTは今回の再編によって、私聞くところによるんですが、正確な資料がなくて申しわけないんですが、六兆円規模の土地や設備があって、それを三社に振り分けるという形をとられているように聞いているんです。この資産の移動によって譲渡益に課税される、本来私は六兆円前提で二兆円ぐらいの譲渡益課税が出てくるんじゃないかとはじいたんですが、先ほど谷局長によりますと八千四百億だということで、減税率が少ないので、私はNTTは二兆円の減税の特例措置を受けるんだと概算していたんですが、それより半分以下であって多少は安心したわけであります。独禁法九条の改正によって持ち株会社が一般的に解禁される中で、なぜNTTだけがこのような税の優遇措置を受け得るのか、納得のいく説明をお願いいたします。
  210. 谷公士

    政府委員谷公士君) 今回の持ち株会社制度によりますNTTの再編成は、企業の自主的な判断による一般の持ち株会社化とは異なりまして、国の通信政策上の理由からいわば国策として立法をもって行われるわけでございます。したがいまして、そういう形で強制されます再編成に伴い多額の税負担が発生いたしますことは、その再編成に係る政策目的の実現を困難とすることにもなりますし、また株主その他関係者に対しても非常に大きな影響を与えることになるわけでございまして、そういう意味で、今回は資産譲渡益課税等について税制上の特例措置を講ずることとしたものでございます。  なお、資産譲渡益につきましては、含み資産分が表に出るということでの課税でございますので、こういったものはそのまま含み資産も含めて承継されることになりますから、そういう意味で課税の機会というものがなくなるということではございません。
  211. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 国策遂行上、今回特別にこういう措置をとられたということでありますが、現在、財政改革が叫ばれております。多くの庶民が消費税の増税によってあえぎ苦しむという実情を考えるとき、原則どおりNTTに対しても譲渡益課税を行って、その分一般国民に減税措置をとられるような方が世のため人のためだと思うんですが、なぜか郵政省は人のためにならないことをされたと思うのであります。  この点ひとつ、十分そのぐらいの税制特例の問題が多々あることを指摘いたしまして、時間が参りましたので、私の質問を終わります。
  212. 水野誠一

    ○水野誠一君 新党さきがけの水野でございます。きょうは御苦労さまでございます。  先ほど来、持ち株会社の問題も含めていろいろ委員から御意見が出ているわけでありますが、私もNTTの単なる分離分割ということに対しては、国際的なメガコンペティションの時代に果たしてふさわしい方策かどうかということでの疑問を大いに抱いております。しかし、一方ではここ二年間、持ち株会社解禁問題ということについては与党の政策担当者として百数十時間にわたる討議をやって、今いろいろ皆さんから疑問が出てきたような例えば個人株主の権利の保護であるとか組合の権利の保護の問題であるとかといったところにも十分配慮をし、また事業支配力の過度の集中というものをいかに防ぐかという大前提のもとでこの持ち株会社解禁問題に取り組んできたということで考えますと、今回のNTTの再編成というものを持ち株会社方式をもってやるということは、大変我々としても認められる方法であるというふうに理解をしております。  そこで、幾つか質問させていただきたいと思うんですが、まず持ち株会社化によって出てくる問題点、不安というのは、これは未経験、未体験なものに対して皆さん不安を持つというのは当然のことでありまして、今、山田委員からも株主の権利という質問があったわけであります。私は、そういう中で東西NTT、つまり子会社になります東西NTT情報開示という問題がどう担保されるのかということについて伺いたいと思います。  つまり、東西NTTの株主というのが持ち株会社ただ一社、一人ということになるわけでありまして、下手をすると情報の公開性ということが担保されなくなるのではないか。とりわけ、今回、再編成においての税制の特例措置として、設立後三年間は東NTTから西NTTへの金銭の交付による資金援助、財政援助が認められているというようなこともございます。こういったやり方というのは、特例措置ではありますが、ややもすると非常に不透明な何かやりとりがあるのではないかというふうに思われがちな部分でもあると思います。特にこういった観点も踏まえて、この情報の公開と透明性というものをどう担保されていくのか、このお考えを郵政省NTT、双方にお聞きできればと思います。
  213. 谷公士

    政府委員谷公士君) 再編各社の経営内容の情報開示ということでございますけれども、これは利用者はもちろんのこと、株主、投資家など広く国民一般に適正な情報を提供するという観点から大変重要な課題であるという認識をしております。再編後、現在のNTTと同程度に開示されることが必要というふうに考えております。東西二社の地域会社の各社別の財務情報につきましても、可能な限り開示されますようNTTに対して求めていきたいというふうに考えております。
  214. 井上秀一

    参考人(井上秀一君) 今、谷局長の方からお話ありましたように、我々も再編後の業績や各種経営施策の成果を正確に御理解いただきたいということで、東西各社を含んだいわゆる再編各社の情報が適切に開示されるということが必要だと我々も十分了知しております。そういう意味で、今お話ありましたように、情報開示の内容は現行の水準を下回らないということで原則的に取り組んでいきたいと思います。さらに、開示の継続性の確保、前向きな情報開示の観点、これを十分考えまして、どういうふうに開示していくか、今具体的に検討しているところでございます。
  215. 水野誠一

    ○水野誠一君 そういう意味では一般会社以上に情報の公開性、透明性ということについては御留意をいただきたい。特に、この持ち株会社の第一番目の例、しかも非常に大きな事例ということになりますので、持ち株会社制度の解禁自体の評価ということにもつながるというふうに思いますので、ひとつよろしくお願いをしたいと思います。  次に、今回のNTT法改正目的というのは、もう既に各委員からお話ありましたように、グローバル化の時代、メガコンペティションの時代に対応していく中で、まさに新しいNTTあり方というものを模索していく大変大きな政策に基づくものであるということはわかるわけでありますが、まず国内市場を活性化させていくという大変大きな目的、ここについて伺ってみたいと思います。  この国内通信事業自体は、一九八五年の市場開放以来多くの事業者参入してまいりました。主に長距離通話に関しては大幅なコストダウンがされてきたわけであります。しかし、インフラ産業としての性格から、市内電話事業については、通話網敷設のコストが大変膨大であるということから現在まだNTTの独占状態が続いているということでありますが、真の国内市場の活性化がなされるか否かはまさにこの市内電話の競争が実現するか否かにかかっているということであるわけです。  五月二十一日の日経新聞、それから同じく五月二十六日の読売新聞に、それぞれこの課題に対して大変興味深い報道がございました。これは一つ、日経の方は、CATV網を活用した電話サービスが開始されるというものであります。もう一つは、これは読売の方でありますが、これはNCC、新電電に対して無線を使った市内通話回線を開放する方針を郵政省が明らかにした、こういうニュースであります。いずれも市内電話における競争のまさに始まりということを示すものだと思います。  この前者、すなわちCATV網を活用することでありますが、これはちょうど今月、六月一日から千葉県柏市において既にタイタス・コミュニケーションズという会社によってサービスが開始されるということであります。また後者の方につきましては、一昨日、郵政省より正式に発表があって、省内に設置しておりました研究会の中間報告書において加入者系無線アクセスシステムについて来年中の実用化の方向が示されたということでございます。まず、この二つの新サービスの概要、料金面での競争性が果たして本当にあるのかどうかということも含めまして、伺いたいと思います。  また後者、これは市内通話回線を新電電に開放するということでありますが、こちらについてはその導入に向けて郵政省はどういう方針で臨まれるのかということをもう少し詳しく伺いたいと思います。  またさらに、これらCATV電話あるいは無線回線による市内電話は、地域通信分野における競争においてどのような意味を持つのか、これはぜひ郵政大臣に伺いたいというふうに思います。
  216. 谷公士

    政府委員谷公士君) まず最初に、千葉県柏市に始まりますCATV電話サービスでございますけれども、御指摘ございましたように六月一日からCATV電話サービスが始まっております。  これはCATV伝送用のケーブルにおきまして、CATVと電話で別の周波数帯域を使用しまして、CATVの映像情報を流しますとともに電話サービスを提供するというものでございます。  これによりますと、基本的な回線はまずCATVのための伝送路として費用の回収が行われているわけでございますので、あわせまして行われますこの電話につきましては設備コストの大きな軽減が図られるわけでございまして、低廉な料金でのサービスの提供が可能となるわけでございます。ただ、これは非常に地域が限られておりますから、NTTネットワークと接続いたしまして、全国的なNTTの加入電話との相互通話を可能とするという仕組みが必要となります。  今後、この会社はさらに来年の七月から神奈川県その他の地域でも電話サービスを行うということを計画しております。また、この会社以外にも杉並区におきまして別の会社で現在試験サービスを提供中でございますが、七月からは電話サービス開始予定と、そういうCATV会社がございます。これらのCATV電話サービスによりまして、地域通信分野における競争の可能性が具体化してきたというふうに考えております。  なお、料金につきましては、個別の会社のことではございますけれども、それぞれ距離の区分あるいは通話時間によりまして違うわけでございます。例えば、通話一分で区域内通話の場合四円で提供できるというふうな料金もあります。これは今申し上げましたように距離その他が延びてまいりますとこの差は縮まってまいりますけれども、全般的にかなり安い料金で提供するというふうなことを考えておるようでございます。  それから二つ目の、無線の関係でございますけれども、これは御指摘ありましたように、研究会を昨年の十月から設けまして、将来のマルチメディアへのニーズに対応した高速な加入者系の無線アクセスシステム地域網への導入のあり方について検討をお願いしておりましたところ、先般報告をいただきました。  この報告では、光ファイバー網の整備ということが今後の情報通信基盤整備の基本となりますけれども地域通信市場における競争の促進、マルチメディアアプリケーションの早期普及、それから地方、ルーラルといいますか地方の地域における地域網の高度化という点で加入者系の無線アクセスシステムが光ファイバー網を補完するものとして有効であるという指摘がなされております。内容的には、主に企業向けには最大百五十六メガビットのシステム、それから一般加入者向けには最大六メガビットの伝送を可能とする新しいシステムを御指摘のように一九九八年中を目途に実用化を図るべきだという提言でございます。  私どもといたしましては、これを受けまして、高速な加入者系無線アクセスシステム技術基準の策定、それから具体的な周波数割り当て方法の検討、これを早急に進めまして、実用化を推進してまいりたいと考えております。  我が国通信市場のあらゆる分野競争が導入されました中で、唯一残っております独占分野、またこの分野が同時に通信サービスが行われます際には一番基本となる分野でもあるわけでございますけれども、この地域通信分野における競争導入ということが最大の通信政策のテーマでもあるわけでございます。これにつきましては、こういったCATV電話という可能性、それから無線系による加入者系システム導入の可能性、それから今回法案でお願いしております東西両地域会社相互参入による可能性、そのほか今後技術の進歩に伴いましてさらに新しい可能性が出てくるということも期待されるわけでございますけれども、それらの可能性につきまして、それぞれその可能性をできる限り伸ばす方向でこの分野における競争の実現に意を用いてまいりたいというふうに考えております。
  217. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) 我が国の電気通信市場は、昭和六十年度の制度改革によりまして市場の全分野競争原理を導入いたしておるわけでありますが、その後活発な新規参入事業者間の競争を通じまして長距離国際等の競争的な分野においては料金の低廉化とサービスの多様化が実現してきたところでございます。  しかし、地域通信市場においては、まだNTTがやはり九九%の独占的なシェアを占めております。したがって、今後NTT地域網に代替する加入者網をNCCが早急に構築することはなかなか期待が難しいところであります。この市場において競争をいかに創出していくかが重要な課題でございます。  このために、郵政省といたしましては、近年活発な新規参入が見られるCATV事業者による電気通信サービスの提供やNCCによる無線を活用した加入者網の構築を促進してまいりたいと考えております。これにより、地域通信市場における設備ベースでの競争が一層促進され、低廉で多様なサービスを国民・利用者が享受することが可能となる、こういうように期待をいたしておるところであります。
  218. 水野誠一

    ○水野誠一君 今、私が取り上げましたような新サービスが普及してまいりますと、究極的な段階ではNTTと一切契約しないで市内通話から長距離通話、そして国際通話まで一貫した通信サービスが受けられるなんという事態も起き得る可能性というのは出てくるんじゃないかと思うんです。これはこれからどんな展開になるか、その行方を見守っていかなければいけないということでありますが、やはり新しい一つの選択肢がふえてきているということで、大変いろいろな意味での可能性を感ずるところでございます。  しかし、そこで問題になってまいりますのがNTTとの新規契約時にかかりますコストとも言える施設設置負担金、いわゆる電話加入権料の扱いではないかと思います。現在、施設設置負担金というのは七万二千円ということで、諸外国と比べてもこれは非常に高い初期投資コストとなっているわけでありますが、一方で携帯電話やPHSは激しい競争の結果加入料が不要になっている。このコストは、今回の法改正の第二の目的である国際競争力の強化という点から見ても大いに問題があるのではないかと思います。また加えて、これは電気通信業界のみの問題ではない、通信コストも国際競争力の一環であるということから考えても、我が国経済力の競争力に大いに問題が出てくるというふうに考えられます。  NTT自身もこの点にはもう十分に気づいておられるわけでありまして、現在加入者が非常にふえているISDNサービス、これはINSネット64というふうに言われておりますが、これについて施設設置負担金が不要な新サービス、これはINSネット64ライトという名前で許可申請中だと聞いております。また、この方法でございますと月々の料金に六百四十円ほど上乗せする方式であるということなんですが、この方式を使っていく場合、この計算根拠がどうなのかということ、これもちょっと後でお答えいただければと思うのでありますが、こういう方式も出てくる。  そしてまた、昨年度の通常回線の新規加入件数が四十二万件ということで、これは伺うところによると一九六〇年度以来の低い水準であるということからも、もはやこの負担金による収入が事業の中核ではない時代になってきているということは明らかだと思います。早急にこの施設設置負担金というものを廃止するあるいは大幅に減額するということが国際競争激化あるいはグローバルスタンダードということから求められると思うわけでありますが、その場合問題になるのは、既に負担金を払っているユーザーとの不公平が生ずるという問題であります。また、企業においては財務評価上電話加入料を資産計上しているということもありまして、この資産価値をどうとらえるかという点でも大きな課題になるというふうに思います。  今後、この問題があります施設設置負担金というものをどう扱っていくおつもりなのか、また会計制度上の措置の必要性というようなことについてもどうお考えなのか、郵政省及びNTTに見解を伺いたいと思います。
  219. 谷公士

    政府委員谷公士君) まず一つは、電話サービスが国民生活に不可欠なサービスでございますことから、国民・利用者が利用しやすい料金体系でなければならないということがございます。  それからもう一つ国際的に見ましても、御指摘の新規加入料として設けられております施設設置負担金は高い水準にあるわけでございまして、そういう観点からも、この料金については基本的にはその水準の引き下げなど新規加入時の利用者の初期負担が軽減される方向で見直していくべきものだというふうに考えております。  ただその際に、これも御指摘ございましたように、この施設設置負担金を支払って加入された既存の利用者の方とそれから見直し後に加入する新しい利用者の方との間の負担の公平という問題もございまして、この点も考慮しながら検討する必要があります。  また、企業財務との関係も御指摘のとおりでございまして、この施設設置負担金を基礎とする電話加入権というものが今認められておるわけでございますけれども、その売買を行う広範な市場が形成をされております。それからまた、そういった中で電話加入権に関する資本投下は、これを譲渡することによりまして回収が可能でありますことから、法人税法上電話加入権については減価償却が認められていないという問題がございます。したがいまして、この見直しが行われます場合には、法人税法上の扱いにつきましても税務当局と十分連携して対応していく必要があるというふうに考えております。
  220. 井上秀一

    参考人(井上秀一君) 施設設置負担金でございますが、これは内容はもう先生御存じのように、電話の需給均衡をどういうようにやったらよいかということで、つかない電話を早くつけようということで、資金調達の形でつくられたシステムでございまして、それがずっと続いて今日に至ってきておるわけでございます。  その実態的運用として、法的にも加入権という形の中で譲渡だとか質権、そういうような加入権という形で存続しているわけでございます。この性格自体というものでございますが、これはいわば預かり金というよりも、加入者に線路設備の建設費用の一部を負担していただくという形で、その受け入れた負担金をいわゆる加入者の設備の投資額から除いてあとの費用で料金を決めているというような形でございまして、そういう意味では現在の基本料金とのセットでずっと動いてきているということでございます。この負担金を返せるかどうかというような性格は、ちょっと生じないような性格のものであろうかと思っておりますが、実際上、この加入権が譲渡されているという実態をどうとらえてこの問題を処理するかという非常に難しい問題がございます。  片一方で、先生おっしゃるように、国際的に見て新規に入るときの費用が高いじゃないかということに対して、これからのマルチメディアの発展という中でどういうふうにしていくかというなかなか難しい問題があります。そういう中で、我々としては初期負担を軽減していくという形で、とりあえずINSネットということで、デジタル型の電話について既存のユーザーとの負担の公平性も考えながら、初期負担の七万二千円を安くする方式を新しく選択性のサービスとして導入していきたいということで、今、郵政大臣の方に認可申請をしておるところでございます。こういう中で、新しいサービスとして御利用していただくということで、何とか利用の拡大を図っていきたいというふうに考えております。  そして、いわゆる従来からの設置負担金については、これはなかなか経過のある問題でございまして、我々事業者だけでなかなか決められない性格の問題でございまして、郵政省の知恵なんかもかりながらこれからいろいろ検討していかざるを得ないかなというふうに思っておるところでございます。
  221. 水野誠一

    ○水野誠一君 なかなか知恵がないということなんですが、ただ、このINSネット64でやった事例というのが恐らくその知恵の部分だと思うんです。  つまり、今までのINSネット64、私も実は事務所にINSネットを引いているんですが、七万二千円もう既に払っているわけです。ところが、現行のものに対して今度の新しい制度でライトというものですと、基本料金が六百四十円だけ高くなるということで、七万二千円のこの施設負担金がないということになるわけです。そうすると、何か通常の我々の常識からいくと、これは七万二千円払わないでもう少し待ってこっちにすればよかったなという感じが実際出てくるところがあるんです。  ともかく、こういう方式も含めて、この七万二千円の意味、この施設設置負担金というものの意味がもう時代的になくなってきているということに対しては、やはり早くその次なる方策を、知恵を打ち出して対応していくべきだというふうに私は考えます。  六百四十円の算出根拠というのはいかなるものなのかというのはちょっと私ももう少し伺いたいところでもあるんですが、次の質問もございますので、それはまた次回に譲りたいと思います。  次に、先ほど景山委員からも御質問があったところでありますが、NTT国際通信事業への進出でございます。このマーケットというものは大体今三千五百億円程度のものであると。そこにNTT参入していくということになると、その規模の大きさということでかなり不公平な競争になるんではないかというような見方もあるわけであります。しかし、それは逆に言えば、競争の原理からいって、非常にメリットの方が大きく出るというようなお話もございました。  そこで、もう少し詳しくお尋ねできればと思うわけでありますが、マルチメディアの時代になってくるということで、恐らくこの三千五百億という今あるパイだけを食い合うということでお考えになっていないだろう。新たなマーケットを創出していく、新たなパイの拡大を図っていくということで当然NTTはお考えなんだろうというふうに思うんですが、その辺について何か具体的なアイデアがあればぜひ伺わせていただきたい。  とはいいながら、一方では、マルチメディアの時代というのは国際電話というものを必要とするかしないかという問題も出てくる。つまり、簡単に言ってしまえば、先ごろ発表された一つのソフトでお話をすれば、インターネットを使って音声を送り合えるというようなものが出てくる。そうすると、完全に国際電話を使わないで、料金を払わないで国際電話が実質的にかけられる、こんなソフトがアメリカでも開発されて、これはアメリカでもATTあたりが大変問題であるということで物議を醸し出したというようなことも報じられておるわけです。そういう時代になれば、逆に言うとパイが必ずしも拡大するだけではない、パイが縮小するという問題も出てくる。  そういう中で、この国際通信事業の中に新たに参入されるNTTとしては、どんな抱負をお持ちになって、あるいはどんな知恵を持って参入をお考えになっているのか、その辺で何か具体的なアイデアがあれば伺いたいと思います。
  222. 宮脇陞

    参考人(宮脇陞君) 重複する部分があるかと思いますが、御容赦願いたいと思います。  今先生もお話しになられましたとおり、私どもがこれからの国際進出ということで考えておりますのは、あくまでも、例えばインターネットもその一つでございますが、いわゆるコンピューター通信等新しい市場マルチメディアという言葉でも代表されるかもしれません。そういう新しい市場を我々は想定しておりまして、既存の電話という、いわゆるベースの事業そのものは先生おっしゃった数値、日米発着の場合はそれぐらいしかないかもしれません。私どもはこれを取り合いするということではなくて、新しい市場に向かって事業展開をしてみたいというふうに考えているわけでございます。  その中には、もちろん国際通信といいますか国をまたがる通信もありますけれども、その上に乗るサービスというのはいわゆるマルチメディア時代のサービスですし、それから、既に始めておりますが、ほかの国での通信事業というようなものも手がけております。  これはあくまでも御参考でございますが、ITUが先般出しました数値によりますと、一九九六年の電気通信マーケットというのは八千億ドルですから約九十兆円ぐらいです。そしてそれが二〇〇〇年には百四十兆円に拡大するというふうに見ておりますが、これはあくまでも国をまたがる通信ということだけじゃなくて、我々はエンド・ツー・エンドのサービスとかワンストップショッピングとかいろんなことを申し上げておりますが、その中で、いわゆるお客様の中に置かれる設備の設置、補修、そういうものまですべてを含めましての市場というものは非常に大きいものがあろうかと思っておりますので、何とか私どもはこのマーケットに食い込んでいきたいというふうに考えているところでございます。
  223. 水野誠一

    ○水野誠一君 また、次の機会に譲りたいと思いますので結構です。ありがとうございました。
  224. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 本日の三案に対する質疑はこの程度にとどめます。  次回は来る六月十日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時散会