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1997-04-22 第140回国会 参議院 逓信委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月二十二日(火曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  四月十一日     辞任         補欠選任      三重野栄子君     村沢  牧君  四月十四日     辞任         補欠選任      西川 玲子君     山下 栄一君  四月十五日     辞任         補欠選任      山下 栄一君     西川 玲子君  四月二十一日     辞任         補欠選任      村沢  牧君     三重野栄子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         渕上 貞雄君     理 事                 加藤 紀文君                 陣内 孝雄君                 足立 良平君                 三重野栄子君     委 員                 景山俊太郎君                 北岡 秀二君                 鈴木 栄治君                 畑   恵君                 保坂 三蔵君                 守住 有信君                 魚住裕一郎君                 鶴岡  洋君                 西川 玲子君                 林  寛子君                 松前 達郎君                 上田耕一郎君                 山田 俊昭君                 水野 誠一君    国務大臣        郵 政 大 臣  堀之内久男君    政府委員        郵政大臣官房長  天野 定功君        郵政大臣官房総        務審議官     高田 昭義君        郵政省通信政策        局長       木村  強君        郵政省電気通信        局長       谷  公士君        郵政省放送行政        局長       楠田 修司君    事務局側        常任委員会専門        員        舘野 忠男君    説明員        警察庁交通局交        通企画課長    中川 雅量君        運輸省航空局技        術部航空機安全  平沢 愛祥君        課長        労働省労働基準        局安全衛生部安  南本 禎亮君        全課長     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○電波法の一部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付) ○放送法及び有線テレビジョン放送法の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事三重野栄子君を指名いたします。     —————————————
  4. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 電波法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 北岡秀二

    北岡秀二君 おはようございます。  今回の法律案審議でございますが、電波法の一部を改正する法律案ということで、この法律案自体がもともと規制緩和推進計画にのっとった規制緩和の一環の流れの中での法律案ということで、郵政省の基本的な規制緩和に対する取り組みについてまずお伺い申し上げたいと思う次第でございます。  これは既に御承知のとおり、三月の下旬に推進計画の二度目の再改定ということで新しく見直しがなされたわけでございますけれども情報通信関連規制緩和、いろいろ手直しをしたようでございますが、どのような形で手直しをされたのか。そして今後の見通し、また課題というのがたくさんあるだろうと思います。今後取り組んでいくに当たって、現状ではまだ難しい部分もあるだろうし、そしてまた将来の情報通信分野育成という観点から申し上げると、どうしてもこれだけはやっていかなければならないというのはまだ多々あるだろうと思いますけれども、そのあたり、まずお聞かせをいただきたいと思います。
  6. 天野定功

    政府委員天野定功君) ただいま先生御指摘のように、情報通信我が国経済社会構造変革の原動力と言われておりまして、国民期待も大変高まっている分野でございます。  郵政省としましては、従来から積極的に情報通信分野規制緩和に取り組んできているところでございまして、ただいま御指摘の、去る三月二十八日に閣議決定いたしました政府規制緩和推進計画におきましても、今回御審議をいただきます電波法改正法案内容であります携帯電話その他移動通信用無線局につきまして包括免許制度導入、そして第一種電気通信事業参入規制緩和、具体的に申しますと、過剰設備防止条項等の削除、外資規制の撤廃などが入ります。それから三番目には相互接続基本的ルール策定、そしてまた四番目にNTTの再編成の具体的な内容など、百三十六項目を盛り込んだところでございます。  今後におきましては、規制緩和推進相互接続推進、そしてNTTの再編成の実施ということを三位一体といたしまして電気通信市場改革等に向けて、計画に盛り込んだ事項を積極的、しかも着実に推進していくということが重要な課題認識いたしております。  また、情報通信高度利用を促進するためには、他省庁の関係も多いわけでありますが、教育、医療等利用分野における諸制度見直しが不可欠でございまして、政府一体となって取り組むことが重要と考えておるところでございます。
  7. 北岡秀二

    北岡秀二君 いろいろ御答弁をいただいたわけでございますけれども、よく情報通信産業関連規制緩和成功例を言われるのに携帯電話、これに関連して適切な規制緩和がなされて、爆発的にその市場が膨らんでいった。そういう面で私ども生活自体もいろんな意味で恩恵をこうむったり、また社会システム自体もいろいろ変わっていったということで、今のお話のとおり、規制緩和の果たす役割というのは非常に大きなものがある。  そしてまた、今とらえておられるとおり、情報通信産業というものをこれからの日本の中心的な産業に持っていこう。今経済的に非常に行き詰まっておる状況の中で、その行き詰まりを打破する本当に救世主のような新しい産業として育てていこう。また、それによって社会システム自体もいろいろ変わっていくであろう。さらに国際的に見ますと、非常に厳しい国際競争が今もありますけれども、これから将来を見通すと、さらに非常に厳しい国際競争が展開されるであろう。  ある意味で申し上げますと、情報通信産業のこれからの育成次第が日本の将来の経済力国連自体をも左右するという非常に大きな分野である。また皆さん方もそのあたり認識をされていらっしゃるだろうと思うんですけれども、それにつれて適切に規制緩和を実行していく、そしてまた、今の日本の国の状況というものを的確に把握しながら、規制緩和をむだのない形でやっていくというのは私は非常に重要なことだろうと思います。  ですから、それに関連してちょっと大臣にお伺いしたいんですけれども、基本的に情報通信産業をこれからどういうふうに持っていくんだというしっかりとしたビジョンがなければならないだろうと思います。そしてまた、そのビジョンにのっとって規制緩和も適切に対応していくという一つ姿勢というものが必要だろうと思うんですけれども、そのあたり郵政省の基本的な姿勢についてお伺いしたいと思います。
  8. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) 先ほど官房長からも御答弁申し上げましたが、この通信分野におきましては思い切った規制緩和を進めてまいりました。その結果、情報通信産業が飛躍的な発展を遂げてきたことはもう御案内のとおりであります。  一九九六年、いわゆる平成八年度の情報通信産業投資額を見ましても約四兆八千億円という驚異的な投資がなされております。すなわち、電力産業に次いで二番目、全体の産業の約一割を占めているのが情報通信産業である、こういうように考えております。したがって、今日ではリーディング産業として大きな役割を果たしておるところでございまして、今後、情報通信産業を通じて日本産業経済構造を改革する、そういう大きな役割を持つものと私どもは理解をいたしております。したがって、この情報通信あり方について明確な長期的なビジョンを持つことが極めて重要であると私ども認識をいたしております。  このような観点から、私ども郵政省としては、先般、電気通信審議会に対しまして情報通信二十一世紀ビジョン策定について諮問をさせていただいたところでありますが、去る四月十七日に同審議会通信政策部会中間報告という形で報告をいただいたわけであります。  本中間報告におきましては、NTT編成デジタル時代放送産業政策展開等による第二次情報通信改革推進を初め、トータルデジタルネットワーク、いわゆる総合的なデジタルネットワーク構築や、創造的な研究開発等について御提言をいただきました。  したがって、今後この御提言について国民各層の御意見を求めまして、最終的に答申がまとめられる予定でありますが、郵政省としては、このような長期的ビジョンに立脚をいたしまして、規制緩和を初めとする総合的な情報通信政策推進していく所存であります。
  9. 北岡秀二

    北岡秀二君 もう言わずとも御承知のとおり、過去にあっては、日本の国というのは欧米社会に追いつけ追い越せということで、いろんな意味で具体的なイメージなりビジョンがかなり打ち立てやすかった。具体的に申し上げますと、例えば所得倍増論とかいろいろあるだろうと思うんです。これからこういうふうになっていくんだ、そしてまた、これからこういうふうになりたいんだという一つビジョンのもとに戦略が生まれてくる。そして、その戦略のもとにまた具体的ないろんな施策が生まれてくると。  これからの情報通信産業発展というのは、先端にいらっしゃる方自体可能性の幅が広いだけになかなかそのあたり非常に描きづらいところもあるかとは思います。先ほどから何度も申し上げておりますとおり、これから日本の国の中心的な産業に育て上げていく、そしてまた、それが育て上げられなければ多分日本自体将来に大きな希望が持てないという位置づけのものでございます。  今大臣おっしゃられましたとおり、情報通信二十一世紀ビジョンですか、こういうような形で取り組まれておられますけれども、本当に真剣に取り組まれて、そしてまた、でき得る限り可能な姿というものを、イメージでも結構ですけれども日本国民、あるいはいろんな分野で描けることができるような方向へぜひとも導いていただきたいと思う次第でございます。それがまた、ひいてはいろんな施策、この規制緩和もそうでございますけれども、適切に対応できるということにつながっていきますので、ぜひともよろしくお願い申し上げたいと思う次第でございます。  次に、法案についてお伺いいたします。  三つ改正ということでございますので、三つ一括にお聞き申し上げます。  まず第一に包括免許制度についてでございますが、今まで一局当たり五千八百円の料金をいただいておったということでございますが、これが、包括免許制度ということで手続上もそしてまた料金上も非常に簡略化されるということで、いろいろメリットも出てくるだろうと思います。  ここでちょっとお伺いしたいんですけれども、過去三年間の免許申請手数料収納額、どういう金額であったのか。そして、この法改正によりましてその後の収納額がどのぐらいの見込みになっていくのか。また、この改正によって国民利用者にどのようなメリットが出てくるのか、影響が出てくるのかということをまず第一点お聞きしたいと思います。  そして次に、衛星携帯電話に対応する改正でございます。衛星携帯電話というのは来年の秋ぐらいからサービスが開始されるであろうというような話もございますが、その衛星携帯電話についてのイメージがちょっと私、十分にわかぬのですよ、どういうふうな形にこれから携帯電話世界が、状況が変わっていくのか。ということでございますので、旧来の地上のアンテナを利用しての携帯電話との相互乗り入れが可能なのか。また、衛星携帯電話自体の、会社が何社か衛星を打ち上げるみたいでございますけれども、その横のつながりもできるのか。そしてまた、衛星携帯電話が普及していくに当たって、携帯電話の領域というか社会がどういうふうにこれから変わっていくのかお聞かせいただきたいと思う次第でございます。  それともう一つ認定点検事業者制度導入と。新しく検査についても規制緩和をするということでございますので、この法改正による認定点検事業者制度導入メリットについてお伺いしたい。  この三つについて御答弁をいただきたいと思います。
  10. 谷公士

    政府委員谷公士君) それでは、三点御質問いただきましたので、順次お答えをさせていただきます。  まず最初に、包括免許制度関係でございますけれども、過去三年間の免許申請手数料収納額でございますが、平成六年度で約百四十八億円、七年度で約四百九十九億円、平成八年度につきましては、現在集計中でございまして確定額が出ておりませんが、第三・四半期末の段階で既に前年度を上回ります約五百五億円となっておりますので、六百億円に達するんではないかというふうに考えております。  それから、今後どのようになっていくかということでございますけれども、この包括免許制度をお認めいただきました場合にどのような手数料にするかということについては、現在政府部内で検討中でございまして、いずれにしても実費でございます。そういう意味で、現在確たることは申し上げられませんけれども現行の一局ごとに審査をしております免許申請手数料オーダーと比べてそれほど大きな変わりはないのではないかというふうに思っております。そういたしますと、一つ免許で無数のと書っていいほど多くの、十万台とかそういったオーダー以上の無線局免許申請ができるわけでございますので、一局当たりで見ますとほとんどゼロ円に近いようなものになるのではないかというふうに考えております。  それから、国民利用者メリットでございますが、この改正で一義的には、経済的負担の軽減を受けますのは免許人でございます携帯電話事業者等であるわけでございますけれども、こういつた事業者が受けますメリット加入者に還元されていきますこと、そして一層の電話料金の引き下げが行われることを私どもとしては期待をしておるところでございます。  二点目でございますけれども、現在計画されております衛星携帯電話、いろいろな種類がございますが、これはいずれも、現行地上システム地形等によってサービスエリアが限定されます、制約されますものと異なりまして、世界じゅうのどこからどこへでも通信ができるという特色を持っておる新しいシステムでございます。  ただ、この衛星携帯電話と現在の地上系携帯電話との間でございますとか、それから幾つも計画されております衛星携帯電話システム相互間の接続通話関係でございますけれども、これはいずれも通信方式等について異なる技術的条件を有しておりますために直接異なるシステム間での利用を行うということはできません。ただ、地上システムを介しまして通話の相手としてお互いに通話し合う、これはローミングということでできるわけでございます。  それからもう一つは、現在計画中の衛星携帯電話の場合でございますと、一つ端末の中に衛星携帯電話地上系の現在の携帯電話の両方の端末機能を収納したいわゆるデュアルモード端末が製造される予定でございますので、そういたしますと、こういった端末をお持ちの利用者は、場合に応じまして衛星系にアクセスすることもできますし、また現行地上系の方にアクセスすることもできる、適当な方をお選びになることができるということが考えられるところでございます。  それから、三点目の認定点検事業者制度導入メリットでございますけれども無線局検査、御案内のとおり、大別いたしまして、無線局が常に適法に運用されていることを確保するために、免許する際の最終確認行為として行う落成検査というものと、それから免許を受けました後においても無線局人的要件物的設備の法令への適合性を確認いたします定期検査といったようなものがあるわけでございます。  今回の制度改正におきましては、これらのいずれの検査につきましても一定の能力を有する民間事業者にその認定業務をゆだねるということを考えております。こういう認定点検事業者無線設備について点検を行い、その結果を記載した書類が提出されますと、国といたしましては、実地検査といいますか、実際に無線局に国の職員が出向いて検査を行うということを省略いたしまして、この点検機関書類を審査するだけで検査を終了することができるようにすることになっております。  したがいまして、この制度導入によりまして、無線局検査におきましても、メーカー、ディーラーなどの民間事業者の方による検査を活用することができるようになるわけでございまして、免許人等にとりましては柔軟かつ迅速な無線局の開設、運用が可能となるということでございまして、これによりまして電波利用が一層しやすくなるということで振興が図られ、経済活動発展にも資することになるというふうに期待をいたしております。
  11. 北岡秀二

    北岡秀二君 ありがとうございました。  続いて、今、衛星の話も出てまいりましたので、ちょっと衛星の問題について質問させていただきたいと思います。  中国の方でことしの秋にシノサットという静止衛星を打ち上げる予定であるということでございます。日本の今の衛星軌道上の静止衛星、東経百十度にBS放送衛星、そしてまたCSの打ち上げも予定されておる。中国シノサットというのが百十・五度に打ち上げられるんだということで、これは一部マスコミあたりでちょっと過激な報道もされておりますけれども宇宙版の尖閣諸島問題だということでいろんな影響が出てくるんじゃなかろうか。そしてまた、郵政省自身中国当局といろいろ交渉されておられるみたいですけれども、なかなかそのあたり調整も十分にいっていない。中国サイドシノサットという衛星一つの既成事実として、強行という言葉が適切かどうか知りませんけれども、ことしの秋に打ち上げようということをどうも決定しておるようだと。  まずこの問題について、百十度と百十・五度、宇宙の〇・五度ですから相当距離も離れておるだろうし、そう大きな影響もないだろうとは思いますけれども、仮にこれが強行されて百十・五度の位置シノサットが打ち上げられると、現在日本使用しているBSあるいは将来予定されておるCSに関して何らかの形での影響が出てくるものであるかどうか、そのあたりどうでしょうか。
  12. 谷公士

    政府委員谷公士君) 御指摘のような報道がなされたことがございまして御心配をおかけしたと思うんでございますが、報道は必ずしも正しくございませんでした。  具体的に申し上げますと、このシノサット中国通信衛星でございまして、国際電気通信連合憲章に規定する無線通信規則の規定に基づいて、一昨年に情報の公開ということで、つまり事前公表がなされたものでございます。  これを受けまして、このあたり軌道につきましての優先権を持っております我が国放送衛星BS3等に対して混信可能性がありますので、この無線通信規則に基づきまして、中国に対して打ち上げに当たって我が国調整を行うように申し入れをいたしました。いわゆる二カ国間調整手続を開始するということでございます。  昨年の十二月に中国との間で調整会議を行いました。その際に中国側からは、このシノサットが既に製造中であって、御指摘のとおり本年第三・四半期に打ち上げを行いたいということであったわけでございますけれども我が国からBS3に混信を与えないよう申し入れを行いましたところ、中国側混信回避を約束されました。そして、両国間で我が国衛星影響のないよう具体的な技術的条件について合意をいたしましたところでございますので、今のところ心配ないというふうに考えております。
  13. 北岡秀二

    北岡秀二君 そのあたりの協議は順調に消化をされて基本的な部分心配ないということでございますけれども、ただ、これから放送通信関連衛星を打ち上げようという計画自体はもう本当にメジロ押しで、将来的にはどんどん、アジアだけを見てみましても、それこそ後進諸国も当然これからいろんな計画が出てくるであろう。これはもう一般的な予測でございますけれども、将来そのあたり調整自体大変な作業になってくる。そしてまた、なおかつ国益ということを考えると、その軌道確保することと周波数確保するというのは、これから郵政省としても非常に重要な問題になってくるだろうと思います。  そのあたり中国シノサットについてはそう心配することはないというような状況でございますけれども、これまた中国のことをこういうふうに言うと失礼かもわかりませんけれども、これから将来的ないろんなことを考えてみますと、これは中国の問題だけじゃなくて、国際的にもいろいろな状況でございますので、日本自身、これからその国益を守るという観点で、周波数確保そしてまた軌道確保ということに対して、大臣のそのあたりの所見、どうでしょうか。
  14. 谷公士

    政府委員谷公士君) まず、私からお答えをさせていただきます。  御指摘のとおりでございまして、昨今、衛星利用というものを各国競って利用するようになってまいりましたので、軌道位置周波数、大変錯綜してまいってきております。このことにつきましては、先ほどもちょっと申し上げましたけれども国際電気通信連合によりまして、各国が使用中または使用計画している周波数との調整を行うという国際的なルールがあるわけでございます。  私どもといたしましては、このような国際的ルールに基づきまして、従来から我が国衛星事業者等のニーズを踏まえましてさまざまな衛星計画に必要な軌道位置周波数確保のために時期を失することのないように国際的な手続を開始して二国間、多国間の調整を進めてきております。  それから、全体的な問題といたしまして、ITUにおきましても、十二ギガヘルツ帯使用する放送衛星プラン見直しでございますとか、それから実際に使用する予定がないにもかかわらず権利確保のために申請されますいわゆるペーパー衛星、この排除等を中心といたしまして、より公平で秩序ある電波利用あり方について本年秋に世界無線通信会議検討を行うという運びになっております。  我が国といたしましても、このような形での国際的なルール構築に積極的に寄与をしていくとともに、今後の通信放送発展に支障のないように、我が国衛星軌道位置周波数の権益の確保に努めていきたいというふうに考えております。
  15. 北岡秀二

    北岡秀二君 ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。  もう時間的にもあれですから、最後に、最近よく新聞等に出てまいりますけれども携帯電話使用に伴って交通事故の問題がいろいろ騒がれる。あるいは、もう既にこれも問題化されて、取り組みもされておられますけれども、電磁波が体の健康にいろいろ影響を与えるんじゃないかというような問題等々。  私自身、これから情報通信関連、インターネットもそうでございますけれども情報通信関連がどんどん進化していくにつれて、これは先ほどからの議論のとおり、これからいろんな意味日本の国のリーディング産業に育っていく、そしてまた我々自身の生活も便利になっていく、ある意味でいうとその光の部分でございますけれども、それと同時にその影の部分も発生をしてくる。どんどん進化するにつれていろんな二次的な社会問題と申しますか環境的な問題が起こってくる。今の私自身の受けておる印象は、問題が起こればモグラたたきみたいなもので、その問題に部分的に対処していくというスタイルで進行しておるような感じがするわけでございます。  先ほどから何度も申し上げますとおり、これから社会の中のシステムを変えていこう、そしてまた日本の国の中心的な産業育成していこう。国際的にもそうでございますけれども、非常に大きなウエートを占めておるだけに、今申し上げました高度情報通信が進化していくに当たって、その影の部分をもうそろそろ、トータルでどういうふうな二次的な社会問題が起こるのであろうか、そしてまたそれに関連してどういうふうな対応をしていかなければならないのであろうか。先ほど申し上げましたとおり、後手後手で対応していくんじゃなくて、所管をしておる郵政省が総合的にそのあたりの二次的な問題というものに取り組む時期に来ておるのではないのかというような感じを私は持っておるわけでございます。  つい先日、中間報告で出ております情報通信二十一世紀ビジョンの中にも、もう既にそのあたり、サイバー法の制定ということで一部表現もございますけれども、こういうふうに法制定ということだけじゃなくて、私自身、先ほど申し上げましたとおり、情報通信産業を所管する省庁として、もう本当に各省庁を巻き込んででも、トータルでそろそろ取り組んでみる時期だろうと思います。そのあたりどうでしょうか、大臣郵政省としてのお考え。
  16. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) ただいま先生御指摘のどおりでありまして、情報通信の高度化に伴いまして影の部分が発生するおそれがありますことは我々も十分承知をいたしております。すなわちプライバシーの侵害とか、反社会的な情報流通の問題、あるいは消費者問題で電子商取引における諸問題、いろいろそうした問題が予想されるわけであります。  そこで、去る四月十七日に電気通信審議会通信政策部会から発表されました中間報告においては、そのような情報化に伴う問題点が指摘されておるところであります。この中間報告では、このような問題を解決するために、認証技術等の技術開発の推進、電子商取引の普及、あるいはプライバシー保護を図るためのいわばサイバー法の可能性についての検討の必要性等について、技術的、制度的に御提言をいただいておるところであります。  また、先ほど電磁波の問題が一応御指摘ありましたが、この点については、郵政省としては七月の機構の段階で電波環境課というものを設置いたしまして、いち早く電磁波の諸問題について検討を進めたいと思います。  今後もこのような御提言を踏まえまして、国民がすべてひとしく高度情報通信社会の恩恵を享受できますように環境を整備していくことが極めて大事でありますので、関係省庁と十分連携を深めまして各種施策を総合的に展開してまいりたいと考えておるところであります。
  17. 北岡秀二

    北岡秀二君 もう質問は終わりますけれども、今の部分、私非常に重要なことだろうと思います。もう既にいろんな問題も発生しておる。そしてまた、なおかついろんな形でどんどん進化していくだけに、先ほども話あったかと思いますけれども、電子マネーの問題とか、そのあたりとらえてくると本当に非常にすそ野が広い、いろんな社会的な問題が出てくる可能性がある。  これはもう本当に大事な部分として、産業としてとらえていこうとするだけに、別にそれを阻害するとかあるいはその進展の足を引っ張るとかいう観点じゃなくて、確実に情報通信産業育成していく、そしてまた社会の中に根を張っていただくためにも、そういう総合的な対策というのはこれから必ず必要になってくる。先ほどから申し上げておりますとおり、モグラたたきみたいに、問題が出てくればそれに対応するというスタイルでは、逆に私は情報通信産業発展というものの足を引っ張るようなことになるだろうということを懸念するものでございます。  今の大臣の御答弁のとおり、総合的にこれから郵政省が中心になって、これはもう郵政省の問題だけじゃなくて、社会的なマナーの問題から、あるいはインターネット中毒ですか、ある意味でいうと教育分野の関連領域にも入っていくような本当にすそ野の広い問題でございますので、ぜひともこのあたりも将来に向けて確実に郵政省自身がリードしていって問題対処をしていただきたいと思う次第でございます。  もう時間も参りましたので、以上で質問を終わらせていただきます。
  18. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 最初に、今携帯電話のお話がありましたけれども、急増と今後の動向についてお伺いいたします。  一九七九年十二月に自動車電話のサービスが始まって、そのときには一万六千台、これでスタートしたわけですけれども、以降増加の一途をたどって現在では二千八十七万台、PHSが約六百二万台ですから、合わせて約二千七百万台、こうなっておるわけです。全体の普及率は二一・五%、一億二千万人ですから五人に一人。この携帯電話も初めのころは料金が高いということでなかなかふえなかったけれども、その後NTTの民営化、新規参入もできたと、こういうことで急激に普及し始めた。  加えて、端末機の売り切り制度平成六年四月ですか、これを契機に爆発的に普及し始めたわけです。利用料金も下がってきましたし、まさに規制緩和の優等生と言っていいかもしれません。これはこれでいいとしても、今お話があったように、また影の部分も相当出てきております。これは後でお聞きするとして、急激に増加した携帯電話のこの点について、郵政省はどのようにこれを分析し、これからの普及はどういうことになるのか、推移していくのか、この点について最初にお伺いしたいと思います。
  19. 谷公士

    政府委員谷公士君) 御指摘いただきましたとおりでございまして、この移動体通信市場、模範生のように大変発展を遂げてきております。この原因といたしまして、平成四年にドコモが独占的な地域網を有するNTTから分離されましたこと、それから携帯電話会社が新しく参入をしてまいりました。さらにPHSサービスが開始されまして、あわせまして全国的に各地域において六社ないし七社の競争体制が確立されつつあるということ、それから三つ目には平成六年四月から端末の売り切り制度導入したといったようなこと、こういつたような競争政策を推進してきたわけでございますが、そういうことを反映して五十九年度末に四万台でございました移動電話、これが御指摘のようにPHSを含めますと、現在二千七百万加入というふうになってきております。  それから、料金につきましても、新規の加入料が廃止されましたし、基本使用料や通話料についても大幅な料金値下げが行われてまいりました。そういう意味で、現在この移動体通信市場における競争は順調に進展しつつあるというふうに郵政省としては考えております。  今後の需要動向の予測でございますけれども、去る二月二十四日に電気通信技術審議会から答申をいただきましたが、これによりますと、西暦二〇〇〇年末には携帯電話が約四千五百万加入になるという予測をしております。  それから、PHSはこれとはまた別でございますが、PHSの需要予測につきましては、現在電気通信技術審議会審議をいただいておるところでございまして、問もなく御答申をいただけると思っておりますけれども、大体審議内容から拝察いたしますと、二〇〇〇年度末に千五百万加入から二千万加入という分析を行われるのではないかというふうに考えておるところでございます。
  20. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 電波の問題、端的にお聞きしますけれども、電波というは有限ですか、無限ですか。
  21. 谷公士

    政府委員谷公士君) 大変難しい御質問なんでございますけれども、かたいことを申しますと、現在の電波法では電波の定義といたしまして一応三百万メガヘルツ以下の周波数の電磁波というふうに書いております。国際的には、こういつた数字は当面というふうになっておりますので、固定的なものとは考えておりませんけれども現行の法制ではそういうふうに規定してございます。  その限りでは有限であるわけでございますけれども、各周波数帯における電波の伝わり方でございますとか、電波の有効利用の方策についての研究開発を行うことによりまして、利用し得る周波数の範囲でありますとか、量でありますとか、こういったものを拡大することが可能でございますので、そういう意味では有限ではありますけれども、まだまだ研究の結果によっては使える周波数は幾らでもあり得るということだと思います。
  22. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 そうすると、有限であるけれども、技術開発とかそういうことによってあくまでも無限に近い、こういうことに私はなるんじゃないかと思います。  そこでお聞きしたいのは、平成五年に電波利用制度が施行されましたけれども、もう技術開発によって限りなくできる無限に近い電波であるわけですから、私が思うのには、電波というのはそういう状況にあるために人類共有の財産でもある、こういうふうに思います。この利用制度ができた理由、これ簡単に御説明いただけますか。
  23. 谷公士

    政府委員谷公士君) ただいまの御質問でございますけれども、電波の利用が拡大して無線局数が大変急激に増加いたしておりますことから、電波監理事務が増大をしてまいりました。一方、ルールを守らずに勝手に不法な電波を発射して、消防、救急等の重要無線を初めとする各種の無線通信放送に妨害を与える不法無線局の増加ということも見られまして、円滑な電波利用に重大な支障を来すという現象も出てまいりました。  電波利用制度でございますけれども、こういった問題に対処するために国が行う事務の財源を確保いたしますとともに、このような国の事務によります受益が専ら無線局免許人にのみ及びますことから、その負担の公平性を確保しますために、無線局免許人に一定の金銭的な負担をお願いすることといたしまして、平成五年四月に導入したというものでございます。
  24. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 そうすると、今おっしゃったのは、電波利用制度ができたというのは、いわゆる電波の監視ということもありますし、それにお金がかかる。それから交通整理ですか、電波監理といいますか、これもお金がかかる。それでまた周波数が逼迫している、こういうことも一つの理由と。こういうことで電波料をいただくことになったわけです。  この制度ができたのは、先ほど言いましたように平成五年、電波料の収益のあれを見てみると、平成五年は一億八千万の赤字、最初ですからそういうことに数字が出ておりますけれども、それ以降急激に収益が増加しているわけです。特に予算ベース、これほどの予算を組めば今言ったその三点についてカバーできる、こういうことだったんですけれども、それが決算ベースの方が断然多い、こういう数字が出ているわけです。  そこでお伺いしたいのは、二点ありますけれども、一点は、この膨大な電波利用料収入が郵政省に入ってきているわけです。この利用料が創設されて、それに対してどんな具体的な成果が出ているのか、これが一つ。それからもう一点は、料金を払っている利用者にとってこの費用負担分のメリットがどういうふうに還元できているのか、この二点についてお伺いします。
  25. 谷公士

    政府委員谷公士君) この電波利用料の使途、先ほど指摘いただきましたとおり、電波監視体制の整備、それから無線局管理ファイルの作成、それから技術基準を制定するために行う試験事務といった費用に充てておりまして、九年度予算では総額二百二十億五千万円を必要経費として認めていただいております。  これまでの成果でございますけれども、まず最初の電波監視体制につきましては、最新の電波監視施設の整備を進めておりまして、平成八年度までの四年間で東京及びその周辺、政令指定都市、県庁所在地等の地方主要都市を中心として整備を行っております。これらの施設を活用して不法無線局の迅速な探査等に努めているところでございまして、直ちに今申し上げる数字で効果をはかることはできませんけれども平成七年度における不法無線局に対する措置の件数等は前年度の倍ぐらいになってきておりまして、こういつたこともそのうちにはあずかっておるのではないかというふうに思っております。  それから、総合無線局管理ファイルでございますけれども無線局監理に係る行政の情報化を進めますために、免許を受けているすべての無線局情報をデータベース化してコンピューター管理を行うというものでございまして、平成五年度から整備を開始して、平成八年四月から稼働をいたしております。これによりまして、例えば技術計算の高精度化により混信の少ない周波数の割り当てが迅速に行えるようになりますなど、事務の大幅な効率化、高度化、無線局免許人等への行政サービスの向上が図られていると考えております。  さらに、昨年六月、電波法改正していただきまして、周波数の逼迫状況に対処するために電波の有効利用に資する技術基準制定のための試験事務を行い得るようにしていただきました。これにつきましても、早速にこういった費用に充てさせていただいております。  それから、予算を上回る収入があるわけでございますが、これにつきましては、次年度以降必要があると認められます際には、その次年度以降の費用に充てることができるというふうになっております。
  26. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 次年度に利用できるということは、次年度に利用できるものがどんどんふえていく、最後になったらこれどうなつちゃうのか。  それでは念のために、利用者にとって何か還元があったのかどうなのか。もちろん混信がなくなったということも確かにありますし、それから、取り締まりも強化されて違法電波の取り締まりがふえたというふうにも聞いておりますけれども、念のために、取り締まりをして違法だったというのは数字でいうとこの二、三年どうですか、数字ありませんか。
  27. 谷公士

    政府委員谷公士君) 先ほど申しました七年度の数字でございますが、七千四件の措置をいたしておりまして、そのうち指導が約六千六百六十件、告発が三百五十件ぐらいでございます。もちろん不法無線局はこの何倍もあるわけでございまして、それらに対して捕捉をいたしまして、そのうちこれだけの数のものについて行ったということでございます。
  28. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 それでは、今回の電波法改正によって包括免許に基づき開設された無線局について、電波利用料が一局当たり六百円が五百四十円、一割引き下げられる、こういうことでございます。この算定根拠ですけれども、簡単でいいですから教えてください。  と同時にもう一点、無線局の大幅な増加もあることから、この引き下げ幅をもっと拡大すること、五百四十円じゃなくてもっと下げられないかということですけれども、この二点についてお伺いします。
  29. 谷公士

    政府委員谷公士君) 電波利用料の金額につきましては平成八年度に見直しを行っておりまして、現在適用しておりますものは八年度から平成十年度までの三年間の電波利用共益費用の見積もりを基礎として計算しておりまして、基本的に三年ごとに見直すという考え方でございます。  それから、今回の引き下げの問題でございますけれども、包括免許に係る電波利用料につきましては、個々の無線局のデータを総合無線局管理ファイルに記録する必要がなくなるわけでございまして、個々の無線局ごとの記録をいたしませんので、そういった事務が必要でなくなります。その分を差し引きましたので、この六百円から五百四十円になるという計算になっております。  今後の問題につきましては、今申し上げましたように、この三年間を一応見通して計算しておるわけでございますけれども、その後の状況につきましては、その段階で無線局の局数その他必要とする事務の内容等を前提といたしましてまた見直しを行うということになると考えております。
  30. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 そういうことで、包括免許制度導入されるわけですけれども、もう一つはこの包括の単位、規模はどういうふうになるのか。例えば、NTTドコモは幾つもの包括免許を持つことになると思います、三つか五つか九つか十か、これはわかりませんが、その辺はどうなのか、これが一点。包括制度になるわけですから、手続の煩雑さというんですか、手続は簡単になると思うんですけれども手続の煩雑さというのは今までと変わりはないのか、どういうふうに変わるのか。この二点。
  31. 谷公士

    政府委員谷公士君) この免許の種類といいますか数でございますけれども携帯電話事業者の場合、例えば現在、八百メガヘルツと一・五ギガヘルツと二つの周波数帯を使っております。それから方式としましては、アナログ方式、デジタル方式がございますし、またフルレート、ハーフレートとございます。  そういたしますと、こういったシステムの違いごとに、規格の違いごとにそれぞれ免許を分けていただかなきやなりませんので、ドコモの場合、ちょっと正確に計算できませんけれども、五ないし十ぐらいの種類の免許が出てくるということは考えられるところでございます。
  32. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 煩雑さ。
  33. 谷公士

    政府委員谷公士君) 煩雑さでございますが、今までは一局ごとに免許申請ということでございましたものを、十万局でも二十万局でもこれを一つ免許として申請をすることができるわけでございます。確かにシステムの違いによって免許は別の免許にはなりますけれども、数といたしましては、同じシステムのものであれば何局でも一つ免許として処理することができるわけでございますので、事業者にとっては非常に大きな事務上の軽減と、それから免許申請手数料がほとんどゼロになるという軽減と、この二つの軽減が実現するものと考えております。
  34. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 そこでお聞きしたいんですけれども先ほど北岡さんもお話がありましたけれども、この免許申請手数料の件ですが、現行事業者が一局について五千八百円、これは国庫の方へ納めているわけです。これが今言ったように限りなくゼロ、ゼロではないけれども限りなくゼロに近い、ということはそれだけ事業者が経費を節減できる、こういうことになるわけです。  その全体的な数字としてはどのぐらいになるのか。ゼロになるということは、今まで払っていたものが払う必要なくなるわけですから、国に納める必要なくなるわけですから、それは今度はどこかに還元する。膨大な金になります。改正になりますから毎年毎年というわけにはいきません、五年に一遍ということになりますけれども、この膨大な金、これは事業者にプールされる。それをどういう形で利用者に還元するのか、その辺はどういうふうに考えておるのか、郵政省
  35. 谷公士

    政府委員谷公士君) この軽減でございますけれども、九年度一年間の通年ベースで試算いたしますと、年間約九百万局の開設が見込まれております。これに五千八百円掛けますと、約五百二十億の手数料負担軽減ということになります。  ただ、今年度につきましては、この法律をお認めいただければ、十月一日あたりの施行を予定しておりますので、そういう意味では半年間でございますから、九年度についてはその半分ということになろうかと思います。  そして、メリットの還元でございますけれども、一義的には免許人でございます携帯電話事業者等がこのメリットを受けるわけでございます。当然事業者にそれだけの余裕ができるということでございますから、加入者料金引き下げを通じて還元されていくということを私ども期待いたしておるところでございます。
  36. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 期待しているだけじゃ、私はちょっと余りよくわからないんだけれども、監督官庁としてこれを指導する立場にあるわけですから、これはあくまでも利用者の立場になって、五千八百円を現在いただいているわけですから、それはユーザー料金として、最終的には利用者がこれは負担していたわけです。それがなくなるわけですから、だから何らかの形で利用者に還元されるのが私は当たり前じゃないか、こういうふうに思うんです。今言ったように監督官庁ですから、これは事業者が太るばかりですから、それにはいろいろ事情はあるでしょうけれども、それを具体的にどこでどういうふうに指導していくのか、もう一度それをはっきり教えてもらいたい。
  37. 谷公士

    政府委員谷公士君) 御指摘のように五年間のということであるわけでございまして、どのぐらいのメリットになってくるのかということをちょっと今ここでは私直ちに計算できませんけれども、いずれにしてもこれだけの軽減を受けるということは事実でございます。  携帯電話事業者は、御案内のように大変今厳しい競争にさらされておりまして、料金の引き下げ競争のようなことを行っておるという実態にございますので、恐らくこれだけの余裕が出てくれば、当然それを受けて利用者への還元に取り組まれるものというふうに考えております。  基本的には料金の問題でございまして、現在届け出料金にしておりますので、基本的には事業者の方がまず御判断をいただいて、その事業者の判断が非常に不適切だということになりますれば、私どもとして考えていく必要があるだろうと思っております。
  38. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 そうすると、料金を下げる、こういうことを期待している、こういうことですな。  次は、認定点検事業者についてですけれども、今回の改正で、指定検査機関を廃止してそのかわりに認定点検事業者制度、すなわち指定較正機関、これを導入するということでございます。先ほど規制緩和というお話が出ましたけれども、これは私が思うのにはもちろん規制緩和ということになるんでしょうけれども、まずこの認定点検事業者は、団体といいますか個人といいますか、どんなところが予定されているのか、その辺はどうですか。
  39. 谷公士

    政府委員谷公士君) 指定較正機関のことでよろしゅうございましょうか。——この指定較正機関を求めましたのは、検査機関を廃止して認定点検事業者制度導入して、この点検につきまして能力のある方であれば民間のどのような方でも、どなたでもこの事業を行うことができるようにするということで規制緩和をしたわけでございますけれども、そういたしますと、認定点検事業者使用されます測定器等については、これは非常に正確性を要求されることになるわけでございまして、その使用されます測定器等について標準原器等に照らして較正をして正確なものを使っていただくということが必要になりますので、その較正を行うための機関をつくる必要が出てきたわけでございます。  この指定較正機関につきましては、要件は法律で決めてございますけれども、これから事業者の申し出を受けて指定をしていくということになりますので、具体的にどの事業者が行うかということを私どもの方から決めるというわけにもまいりません。基本的には通信総合研究所でこの較正を行っておりますが、そのほかにも民間の能力を活用して指定較正機関を設けていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  40. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 それでは、認定点検事業者が備えるべき具体的要件、または能力、技術上の基準、これは法律には出ておりませんけれども、この辺はじゃどうなんですか。
  41. 谷公士

    政府委員谷公士君) 認定点検事業者につきましては、メーカーとかディーラーとかそれから事業者の方々等を予定しております。
  42. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 それは先ほどの質問の答え。それはわかるんです。だから、備えるべき具体的な要件、それから能力、技術上の基準というのは、これは法律上出てないんだけれども、どういうものを基準にするのか、それを聞いているんだ。
  43. 谷公士

    政府委員谷公士君) この認定点検事業者の要件でございますけれども無線設備等の点検の能力が、これは省令で定めるわけでございますが、省令で定める技術上の基準を満たしている、そういう設備等の点検能力の問題。それから、郵政省令で定める測定器その他の設備であって、省令で定める期間内に大臣が指定する指定較正機関による正当な較正を受けた無線設備使用して行うものであるという使用する設備の要件でございます。それから、無線設備等の点検を適正に行うのに必要な業務の実施の方法が定められているということでございます。  点検能力があるということ、較正を受けた設備を使用して点検を行うということ、それから業務の実施方法がはっきり定められていると、その三つの要件でございます。
  44. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 わかったようで余りわからないんだけれども、この法案というのは谷さんのところで出したわけでしょう。もうちょっときちっとしておいてもらいたいんです。これが一つ。  もう一つは、今省令という話が出たけれども、こういうややこしいことになると、どの法案も全部そうだとは私は言いませんけれども、難しい問題、それから法案をつくった人にとってちょっと不利になるというか、そういう点は全部省令、政令で逃げていっちゃうんです。このぐらいのことは法律の中にぴしゃっと書いても私は差し支えないと思う、こういう要件であるとかそういうものは。みんな省令、政令で逃げていくような感じがするんです。そういうことですから、その点ははっきりしてもらいたいと思うんです。これはこれでいいとしておきましょう。  大臣に一点だけお伺いしますけれども、これも先ほどお話がありましたが、次世代携帯電話、こういう構想が今どんどん進んでいるように伺います。いわゆる世界じゅうどこでも、まただれでも使用できる、こういう電話ですけれども、本法案でも次世代携帯電話を視野に入れた改正が行われるわけであります。次世代携帯電話について、大臣としてどういう展望を持っておられるのか、御答弁願いたいと思います。
  45. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) 先生も御案内のとおり、移動通信発展状況というのは、最初アナログ時代、これが第一世代、第二世代としてデジタル時代、こういうことになってまいりましたが、いよいよ次世代の携帯電話としては本格的なマルチメディア時代、こういうように予想されるわけであります。  マルチメディア通信時代に備えまして、世界じゅうどこでも使えるグローバルサービスを実現するシステムとするために、ITU、いわゆる国際電気通信連合において一九九九年末を目途に国際標準化作業を進めておるところであります。  したがって、我が国では、昨年十月から次世代移動通信システムに関する調査研究会を開催いたしまして、次世代移動通信システムの標準化のあり方について検討をいたしておるところであります。  今後、郵政省としては、本研究会の結論を尊重しまして、各国政府と連携しながら、ITUにおける次世代携帯電話の標準化作業等に対しまして積極的に貢献してまいる所存であります。
  46. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 それでは、時間も制限されておりますので、先ほど話のあった影の部分について何点かお伺いします。  携帯電話の急速な普及によって、利便性ということでそのメリットもありますけれども、逆に悪影響部分も出てきているわけです。主にそれは使う側、いわゆる利用者側に原因があるようですけれども、第一点は医療機器への影響です。一昨年夏ごろから医療用精密機器が携帯電話によって誤作動することが判明しております。これが問題となっております。  例えば、これは新聞報道ですけれども、患者の携帯電話が発生源と見られるいわゆる電磁波障害によって治療中の輸液ポンプが緊急停止した。また、患者が点滴を受けている途中に突然作動が停止した、そこで看護婦さんがスイッチを入れ直したらもとへ戻った、再始動したと。医療機器メーカーの実験もあります。その結果、ポンプから三十センチから五十センチの距離で携帯電話を使うと誤作動が起きることを確認した、こういう報道があります。  こういう医療機器に対するいろいろな障害が出てきているわけですが、それが今言ったように確認もされているわけです。郵政省としては、このような実態をどういうふうに分析というんですか調査しているのか、それに対してどういうふうにしようとしているのか、対策は立てているのかどうなのか。  話が長くなりますけれども、これも新聞報道です。そういう事態が起きて、病院側としてはまだ国の確固たる対策が出ていないために現時点ではやはり自主規制をする以外にない、こういうことなんでしょうけれども、例えば携帯電話の持ち込みを制限している病院は今百八病院あるわけです。  自主規制の例としては、看護部長がメーカーに問い合わせ病院内で禁止を決めたとか、入院患者からの問い合わせで検討して婦長会で規制を決めたとか、それから、因果関係がはっきりしないのでトラブルが起きてからでは遅いということで検討を始めたとか、いわゆる病院側できちっとした通達というかそういうものがないために、でもやっぱり生命にかかわる問題ですから病院側としては自主規制をせざるを得ない。その自主規制も今言ったように、看護婦が集まってこれは大変だといってやる。それから人から聞いて、じゃうちの方もやろう。そういう状況が現在の状況だと私は聞いております。  郵政省としては、これは早くに何らかの、規制というんじゃないけれども、はっきりした態度を私は示すべきだと思いますけれども、この点いかがでしょうか。
  47. 谷公士

    政府委員谷公士君) 医用電気機器への電波の影響でございますけれども、私ども昭和六十二年から学識経験者の方、それから関係所管庁ということで八省庁ほど入っておりますが、それから業界団体の方々にお集まりいただきまして、不要電波問題対策協議会というものを設けさせていただいております。  この協議会の中で、学識経験者、携帯電話事業者、医療機器関係工業会等から成ります医用電気機器作業部会というものを平成七年十二月に設置をされました。そして、延べ七百二十七機種の医用電気機器につきまして、携帯電話等の無線局からの影響に関して実証実験が行われたところでございます。  この実証実験の中で、携帯電話等の電波によりまして輸液ポンプでございますとかシリンジポンプなどの点滴関連装置に誤作動、動作停止の障害が起こるということが把握されました。この実験の結果に基づきまして、本年三月、この協議会が医用電気機器への電波の影響を防止するための医療機関における携帯電話端末等の使用に関する指針というものを公表されました。  これにつきましては、厚生省もメンバーとしてこの協議会に御参加でございますので、厚生省から都道府県の関係部署を通じまして医療機関に周知されているというふうに私ども承知をしております。  それから、社団法人の電波産業会あるいは電気通信事業者協会等が、病棟内では携帯電話の電源を切るなどの病院内でのマナーを内容とする携帯電話のユーザー向けのリーフレットを六十万部作成して、全国の病院へ配布しておられますけれども郵政省としてもこれらの関係団体に働きかけをしてそういうふうにしていただいておるところでございます。  今後、また厚生省とも十分連携をとりながら、先ほども申し上げました指針の内容が医療機関等で十分守られて問題が生じていないということになっているのかどうか、それを見守っていきたいというふうに考えております。
  48. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 これに関連して電磁波の悪影響でございますけれども、この点については、中にはがんになるとか、がんの進行を早めるとか、白血病になるとか、脳腫瘍やホルモン異常を起こすとか、いろいろ言われているわけです。現代社会の生活の中で、テレビはある、電子レンジはある、電話は二本も三本あるし携帯電話は持っている、そういう中にあって、ひどい人は電子レンジの中に頭を突っ込んで生活しているようなものだ、こう言う人もいるわけです。もちろんいろいろありますけれども、そういうふうに言う人はあるわけです。  この点について、何が理由か、何のためにそういうふうに言っているのか。週刊誌やある雑誌等ではそういうふうに言っている人がいるわけです。大騒ぎしている。私、断っておきますけれども、それをあおり立てて、そして恐怖心を駆り立てたり危機感を駆り立てたりしょうというつもりは私はこれっぽっちもありません、みじんもないんです。ですけれども、現実問題としてそういうふうに大騒ぎしている人がいる。影響があるという現実問題もあるわけです。例えば、アメリカでは携帯電話のせいで脳腫瘍になったという訴訟が起きている、これは事実です。それから、我が国でも昨年、電磁波による健康被害を理由に労災の適用申請がなされている、こういうことも聞いているわけです。  そうすると、現実には何点かあるわけですから、今、谷さんがおっしゃったのは、そのために一生懸命学識経験者だとか機器メーカーだとかが集まってもらって研究している、それで通達も出した、それは当然やるべきことです。やるべきことですけれども、私が言いたいのはもっと早くやりなさいというんです。早くできないのかというんですよ、それを。  それから、私も病院に行きます。病院の中では使っちゃいけない、電源を切れ、こういう掲示もありますけれども、掲示といったって本当に小さな掲示で、要するに知らしめられていないんですよ、わからないんですよ。  去年の三月、いわゆる答申を待ってそれでやったと、その答申の内容というのはいろいろ書いてありますよ。私も読んだけれども、結論から言うと、治療室や何かに入った場合には携帯電話を使っちゃいけない、また電源を切れ、言うならばその二つしかない。ことしの三月も出ていますけれども、それに加えて医療機器はこれだけ影響があるからと、それをプラスした程度の答申しか出ていないわけです。  だから、私結論から申しますと、こういうことは事実として幾つかあるんだから、また生命に関係する問題なんだから、この点は早く結論を出して、それは難しいと思いますよ、難しいと思うけれども、現時点の結論を出して、そしてこれには影響はない、ここは影響がある、だからこうしなさいということを早く出してもらって、そしてそれを国民の皆さんに早くきちっと伝えていただきたい、これをお願いしたいわけなんです。どうですか。
  49. 谷公士

    政府委員谷公士君) この電磁波の問題といいますのは幾つかの分野がございまして、人体に対する直接の影響の問題でございますとか、それから電子機器、とりわけ医療用の機器に対する影響の問題とあるわけでございます。  それで、先ほどの人体に対する問題はちょっと別といたしまして、今の医療機器に対する問題でございますけれども、基本的に私どもの立場といたしますと、携帯電話等の無線機器をどのようにお使いいただくかということを利用者の方々によく御理解いただくということが一つでございます。そして、それぞれの分野でこういつたことの使用ができるかできないか……(発言する者あり)
  50. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 答弁中ですから、お静かに。
  51. 谷公士

    政府委員谷公士君) 例えば、病院内においてこういうものの使用を認めるかどうかということは、これは病院との関係がございます。それから航空機、乗り物の中での利用を認めるかどうかということは、これは乗り物としての立場ということがあるわけでございまして、そういう意味で私どもは所管の省庁ともいろいろお話はしておるわけでございます。  この医療機器等に対する影響につきましては基本的に大変難しい問題がございまして、例えばペースメーカー等につきましては、携帯電話は二十二センチ以上離して使用していただきたいとはっきりするわけでございますけれども、病院内での使用につきましては、どこでは何センチ、何メーターということは非常に難しゅうございまして、したがいまして、基本的に集中治療室には持ち込みはしないでほしいという言い方でございます。それから検査室、診療室等では電源を切ってほしい、それから待合室等病院が特に認められたところでは使ってよい、使い方としてそういう幾つかの段階があるわけでございます。  これらのことにつきましては、携帯電話だけでなく電子機器一般に、非常にこういう電子機器がふえてまいりますほどお互いの干渉、しかも非常に重大性を持つ干渉という問題が出てまいりますので、我々としてもできるだけ具体的な形でこういう問題を把握していきたいわけでございますけれども、強制的に行うということになりますと非常に難しい問題がございまして、この分野におきましては、国際的にもまだ強制的な措置がとられているというところまではいっていないというふうに承知しておるわけでございます。  いずれにいたしましても、私どもとしましては、できる限り利用者の方々にこの携帯電話の及ぼす影響について御理解をいただいて、適正な利用をしていただくように取り組んでまいりたいと考えております。
  52. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 それは難しいのは私もよくわかりますよ。難しいから、答申があったその時点で、人体にはこういうところは影響がない、ここは影響がある、だからそうしてくださいということを私は具体的に話をしなさい、こう言っているわけであって、例えばペースメーカーだって、隣にいる人がペースメーカーを持っているか持っていないか、つけているかどうかわからないわけですから。そういうこともあるし、それから非常に難しいというのは、例えば携帯電話だって、今携帯電話を遊びに使っている人も私は相当いると思います、これはもう必需品になっている人がいっぱいいるわけですから。だから、必需品になっているのを、これは例えば車に乗ったとき使っちゃいけない、こういうことになった場合にはそちらの人は困るわけです。  そういう点で非常に難しい点はあると思いますけれども、事生命にかかわる、人体に影響があるかないかというのは、先ほど言ったように答申が去年の三月に出た、ことしも出たといったって、ただ持ち込むな、それから電源を切れなんてその程度で、これは私はおさまらないと思うんです。今度は逆に、先ほど言ったように恐怖心をあおる人がどんどん出てきたら、これは何のために恐怖心をあおっているのか、危機感をあおっているのか、それは私はわかりませんけれども、お互いに困ることなんです。また、そういうふうに知らしめることは私は監督官庁としての親切さじゃないか、これを言っているわけです。真剣にやってくださいよ、これは。いいですか。
  53. 谷公士

    政府委員谷公士君) 先ほど私、大きく分けて二つの分野ということで、人体の影響のことで御答弁を申し上げませんでしたけれども、御指摘のように、この人体に対する影響の問題ということにつきましても非常に世の中の関心を呼んでおります。影響といたしましては、強い電波による体温上昇ということもございますけれども、今御指摘があったように、がんを誘発するんではないかというふうな御心配もあるわけでございます。  この点につきましては、世界保健機関と協力して検討を進めておられますこの分野の専門組織である国際非電離放射線防護委員会、こちらが昨年四月の声明の中で、電波防護指針値以下の電波によってがんを含め健康に悪影響が発生するとの証拠はないということをおっしゃっておられます。しかし、これは証拠がないということをおっしゃっておられるわけでございまして、非常に重要な問題でございますので、こういう現段階における科学的な証明といいますか状況ということも御承知いただく必要があると私は思いますし、同時にまた非常に重要な問題でございますから、私ども引き続きこういった問題につきましては情報も収集し研究も進めていくということが必要ではないかと思っております。  いずれにいたしましても、真剣に取り組んでいくべき問題ということは重々承知をいたしておるつもりでございます。
  54. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 まだありますけれども、時間が来ちゃったので、警察庁の方、来ておられますね。  一点だけお伺いします。  今申しましたように、携帯電話が非常に普及してきて、自動車運転中の携帯電話使用によって事故が起きているという話も聞いております。数字だとか、それからどういうときに起こるのか、これも聞きたいんですけれども、結論として法規制、これも難しいと思いますけれども、事故発生が非常に多くなっているということで、警察庁としては法規制の点について検討されているのかいないのか、またどういう措置をとったらいいのか、警察庁としてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  55. 中川雅量

    説明員(中川雅量君) 携帯電話に係る交通事故というのは、月にするとおおむね二百件前後で推移している。これは大体この半年ぐらい横ばい状態、こういうことになっております。  事故分析の結果、架電時あるいは受信時という操作時にかなりのものが発生しているということでございますので、我々としては、運転中にはやっぱり絶対に携帯電話使用しない、あるいは車に乗るときはスイッチを切って乗ってくれ、こういうふうなことを盛んに広報、啓発しているわけでございます。これ自身は、自動車運転者一人一人のマナーの向上を図るということがまず第一歩ということでございますので、今後とも、これについてマナーの啓発、広報を尽くしながら、事故状況の推移も見つつ、法規制については検討してまいりたいと考えております。
  56. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 終わります。
  57. 三重野栄子

    三重野栄子君 社会民主党・護憲連合の三重野栄子でございます。  二、三質問をさせていただきます。  このたびの法改正携帯電話の急速な普及に対応するものでございまして、今も特に人体への影響について議論があったところでございますが、私もこれに関連しまして二、三お伺いいたします。  先ほどございましたが、不要電波問題対策協議会で医療機器への電波影響に関して実験をされたと伺っておりますけれども先ほどの御回答で尽きたのでしょうか。それとも、それに加えることがありましたらば、この実験の結果についてお伺いをいたしたいと思います。  それから、昨年の三月に携帯電話等の使用に関する暫定指針がまとめられまして、本年三月二十七日に新たな指針が発表されて、今も議論になりましたのですけれども、PHSについて病院内での使用が条件つきながら解禁された。その条件については、今申された部分があるんではなかろうかと思いますけれども、一見見たところ携帯電話とPHSとなかなか私は見分けがつかないわけであります。そういうことで、先ほど掲示を出すとか、病院内でもいろいろ説明をすると言われておりますが、製造者に責任があるというとちょっと言い過ぎかもわかりませんけれども携帯電話とPHSが一見してわかるような方法にしなければちょっと難しいのではないかというふうに思ったりしております。  それと同時に、やはりこういう便利なものがありますと、特に病院に入院中の者にとっては家族とか友人の声を聞くということは非常に励みにもなるわけでございますので、その場合の携帯電話やPHSというのは大変便利であろうと思いますから、特にPHSの院内使用が原則自由とされたことは望ましいと。  今もいろいろ議論ございましたのですけれども、この医療機関の管理の問題について、あるいはまたそれを使用するについて、やはり責任を持って、例えばインターネットを利用するとか、その他いろいろメディアはあると思いますけれども、厚生省、特に郵政省が責任を持って、毎回といいましょうか、何か定期的に発表していくということも必要ではなかろうかと思いますので、以上三点について質問いたします。
  58. 谷公士

    政府委員谷公士君) 最初の御質問でございますけれども、協議会の中に医用電気機器作業部会を設けて検討を行ってきたということを申し上げましたが、さらにその中で医用電気機器メーカーの団体でございます日本医療機器関係団体協議会、こちらが財団法人無線設備検査検定協会、それから携帯電話事業者の協力のもとに三百六十六機種の医用電気機器を対象にして電波暗室の中で携帯電話等の電波を発射して障害の有無について調査を行い、また、医療現場での実験といたしましては、四つの病院で合わせて百八機種の医用電気機器について携帯電話等を用いて実験を行っておられます。  この実験の内容でございますけれども、これによりますと、携帯電話端末からの電波に起因する一般医用電気機器の障害例といたしましては、動作停止、警報の発生、あるいはモニター画面の波形の乱れ等がある例がございまして、極めて軽微な障害を含めますと医用電気機器の約六六%の機種に何らかの影響を与えたということが報告をされております。これは非常に軽微なものも含めてでございますが。これらを踏まえましてこの協議会において検討がなされてきたわけでございます。  PHSでございますけれども、PHSの端末での実験では、最大で六十五センチメーターの距離で一機種の医用電気機器のモニター画面に乱れが生じるという軽微な障害が起きましたけれども、それ以外ではほとんど二十センチ未満の距離での障害でございまして、また、ほとんどの障害は端末の電源を切りますと回復するというようなものでございました。  それから、ペースメーカ協議会というのがあるのでございますが、ここにおきましても、携帯電話事業者の協力のもとに植え込み型の二百二十八機種、それから体外式の十四機種、合わせて二百四十二機種のペースメーカーにつきまして、食塩水を満たした人体モデルの水槽に機器を入れまして、実際の使用条件を模擬してこの携帯電話等の電波を発射した実験を行っておられます。  この場合につきましては、ほとんどの機種については影響を受ける距離は十五センチ以下ということでございました。このために、指針をつくるに当たりましてはわかりやすさということを考えまして、手を広げましたときのサイズであります約二十二センチ以上離していただければというのが二十二センチでございます。それから、これらの影響につきましては、携帯電話からの電波がとまる、あるいは二十二センチ以上、正確には十五センチでございますが、離れるとなくなりまして、ペースメーカーは正常に作動するという結果でございました。  もう一つ、補聴器に対する影響というものもございまして、これは全国補聴器メーカー協議会におきまして、同様に携帯電話事業者の協力のもとに十一機種の補聴器について携帯電話の電波によって発生する雑音について騒音分析計で測定をされました。この結果は、補聴器を使用しながらデジタル携帯端末やPHS端末を使うというふうにいたしますと、ごく接近した状態で使用いたしました場合には補聴器の回路に影響を与えて低周波の雑音を発生するという結果でございます。  以上が実験をいたしました結果でございます。  PHSについて病院内での使用が条件つきながら解禁されたということの概要でございますけれども、ただいま申し上げましたように、PHSにつきましては影響というのは非常に軽微でございまして、干渉が起きるのはほとんど二十センチ以内に近づいたときである。やや重要な障害が起きるのは最大五センチの距離というふうなものでございましたので、特に人命に影響を与える医用電気機器が多数設置されております手術室でありますとか、集中治療室、それから冠状動脈疾患の監視病室等には持ち込んではいけない。それから、それら以外でも医用電気機器に近づけないということを条件といたしまして病院内での使用を認める。  御指摘ありましたように、PHSにつきましては、やはり患者の方々の外部との連絡あるいは病院内での業務用の連絡ということにも使われるということがございますので、それでこういう範囲内で認めるわけでございますけれども、見かけ上PHSと一般の携帯電話と見分けがつきませんものですから、使用が認められるPHSであるということがわかるようなシールを張るなど、その明確な区別ができるような措置を施しまして管理をしていくというふうなことを考えておるわけでございます。  それから、周知への取り組みでございますが、関係団体等を通じまして事業者の方あるいはメーカーの方にこの指針について国民利用者の方々に周知をしていただくよう要請をいたしております。それから、この指針につきましては、私ども郵政省のホームページで掲載して、インターネットで一般の方にアクセスしていただけるようにしております。それから、社団法人の電波産業会でございますとか電気通信事業者協会もリーフレットを作成して配布する等いたしております。  先生御指摘ございましたような定期的に状況を周知していくということにつきましては、今後検討させていただきたいというふうに思っております。  済みません、ホームページにつきましては、そういうことで今取り運んでおります。近くそういうことができるようにしたいと思っております。
  59. 三重野栄子

    三重野栄子君 それにいたしましても、もう間もなく五人に一人はこういうものを持ち歩くという状況でございますから、現在実験された状況の中と、またたくさん使う人が出てくると、相乗影響と申しましょうか、そういうものもあるんじゃなかろうかと思いますので、こういう実験というのはやはり定期的になされるだろうと思いますけれども、そういうことを続けていただければと要望いたしたいと思います。  次に、携帯電話使用するための基地局ができるわけでありますけれども、この反対運動が全国的に相次いでいるというふうに、これは新聞等々で見たわけであります。私は九州でありますけれども、特に基地局建設に対する住民の反対運動が激しいわけであります。事態の打開がされておりません。  本年二月、全国で初めて事業者報道機関に向けた合同説明会を開催して基地局の重要性の説明に乗り出したと伺っておりますけれども、これらにつきましてどのような対策がされておりましょうか、お伺いいたします。
  60. 谷公士

    政府委員谷公士君) 従来、私どもこの移動通信鉄塔建設に際しまして地域住民等の方々から陳情、要望等を受けました場合には、その都度関係携帯電話事業者の方に内容を連絡しますとともに、地域住民の方々の事情をよくお聞きいただいて、基本的には十分話し合いを行って解決してほしいということを伝えてきたわけでございますけれども、御指摘のように、さらに先般、全携帯電話事業者の方々にお集まりいただきまして、地域住民の方々からの私どもへの陳情状況等全体的な状況を御説明し、土地の選定や地域住民への説明に際しましては、下請工事業者に任せきりにすることなく、携帯電話事業者が責任を持って対応する必要があるということ等をお話し申し上げました。  以上、今の段階の取り組みということではそういうところでございます。
  61. 三重野栄子

    三重野栄子君 人体の電波防護の問題につきまして、少し変化があるのではないかと思う点がございますので、お伺いしたいと思います。  米国では、平成八年八月に連邦通信委員会規則を改正して、携帯電話基地局など幅広い無線局の電磁波からの人体暴露に対しまして規制を導入し、さらに平成九年一月から連邦通信委員会が携帯電話からの電磁波が人体に与える影響について監督に乗り出すほか、ドイツでも、平成八年十一月に国による電波防護に関する規制が導入されたと聞いております。このように、最近の米国あるいは欧米諸国の取り組みを見ますと、従来の民間によるガイドラインから国による規制へと転換しているのではないかと思うわけであります。  我が国におきましても、電気通信技術審議会から出されます答申の指針につきましては、従来の民間によるガイドラインよりも強い拘束力を持たせるために国による規制の必要があるのではないかと思うわけでありますけれども、この点につきまして郵政省の見解をお伺いいたします。先ほど伺いますとなかなか優しい感じがいたしますが、いかがでございましょうか。
  62. 谷公士

    政府委員谷公士君) 御指摘いただきましたように、米国では連邦通信委員会規則が改正されまして義務づけられておりますし、それからドイツでもそういう義務づけが行われる予定というふうにお聞きしております。  我が国では、平成二年に電気通信技術審議会から人体防護指針が答申されたわけでございまして、これに基づいて私どもいろいろ周知をしてきたわけでございますけれども、さらに引き続きまして、昨年同じく電気通信技術審議会に改めて諮問をいたしました。その中に今後の電波防護指針の取り扱いということが入っておるわけでございまして、御指摘のように、我が国においてこの防護指針についてどのような扱いを行っていくべきかということを今諮問申し上げているところでございまして、この御答申を踏まえて検討してまいりたいというふうに考えております。
  63. 三重野栄子

    三重野栄子君 では、最後にお伺いいたします。  いろいろ技術も進んでおるし状況が転々としている中で、大変難しいこととは思いますけれども電波利用の安全性の確保に関しまして今後とも積極的に取り組んでいただきたいわけでありますけれども、郵政大臣のこれからのお取り組みについて所信を伺いたいと思います。
  64. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) 先ほど局長からお答えしたように、電波利用の安全性確保という問題では、それぞれ関係各省と緊密な連携をとりながら検討を進めてまいっておるわけでありますが、今後とも人体の安全にかかわるという観点から、極めて重要な問題と認識をいたしておるところであります。  このため、現在、電波利用における人体防護のあり方についてということで、電気通信技術審議会審議をお願いいたしておるところであります。  また、郵政省としては、今後、電波環境課というセクションを設置いたしまして組織体制面の強化を図っていきますとともに、また平成九年度の予算で御承認いただきましたが、電磁環境試験施設の整備に約十億円、そしてラット等による動物実験の委託研究等で四千六百万円、そしてシミュレーション等による生体安全性の評価という立場で六千八百万円の予算を承認いただいたところであります。電磁環境試験施設を整備するなど試験研究の充実を図るほか、電気通信技術審議会の答申に基づきまして、今後幅広く対応を検討してまいりたいと思っております。
  65. 三重野栄子

    三重野栄子君 終わります。
  66. 松前達郎

    ○松前達郎君 今まで各委員からいろいろと質問があったわけですけれども携帯電話の安全利用の問題、これについて一つだけ、それ以外の問題で、問題といいますか内容として質問させていただきたいんですが、労働省はお見えになっていますか。  ことしの一月に労働省が業務用自動車についての携帯電話使用実態調査ということを発表されたわけです。これによりますと、運転中の携帯電話利用使用については、安全上問題があるというふうに感じている事業場が非常に多い、八五%というふうに伺っております。  今回、また調査されたと思いますが、その後の対応について、まず労働省にお伺いをいたしておきたいと思います。
  67. 南本禎亮

    説明員(南本禎亮君) 自動車運転中の労働者に対する連絡方法として携帯電話使用しますことは、労働者の安全確保に支障を及ぼし労働災害の原因となることも懸念されるところでございます。このため、労働省では、労働災害の防止の観点から、自動車運転中の携帯電話使用実態について、先生御指摘のとおり、昨年、全国の都道府県労働基準局を通じまして実態調査を行い、その結果について本年一月に発表させていただいたところでございます。  調査結果では、調査対象事業場の約八割の事業場で自動車運転業務中の連絡方法として携帯電話使用されていることが判明いたしましたし、そのうち、先生御指摘のように、八五%の事業場において注意力が散漫になるなどの安全上の問題点を感じていることも判明したわけでございます。  このため、労働省では、この調査結果をもとにいたしまして、自動車運転業務中の労働者と事業場との連絡に携帯電話を用いる場合には、自動車運転手側から連絡をとらせることを原則といたしまして、運転中の労働者には携帯電話の発信を行わせないことなど、携帯電話の安全使用につきまして、都道府県労働基準局に対しまして関係の事業場への徹底を指示いたしますとともに、関係事業者団体に対しても要請を行ったところでございます。
  68. 松前達郎

    ○松前達郎君 業務用につきましては、今おっしゃったようなある程度のコントロールができると思うんです。ですから、これはこれとしてひとつ大いにやっていただきたいと思うんです。  先ほども、伺っていますとスイッチを切ればいいという話がありましたけれども、移動電話なんですから、移動しながら使うのが目的であって、スイッチを切るといってもそう簡単にいかないんじゃないか、それでもってすべて事は終わりということにならないと思うんです。ですから、これらについては、大体新しい分野の開発が行われると当然それと並行して社会環境の問題が出てくるわけです。いわゆる開発と環境問題、こういうことになろうと思います。  いろいろ委員の皆さんの御意見も伺っておりますと、新しい分野が広がりますと必ず問題が出てくる、これは当然な話だと思います。そして、先ほど大臣がおっしゃったように、来年度の予算、計画等も伺いましたけれども、やはりこの際、各省庁ばらばらにやるんじゃなくて、総合的にこれに対応していくような研究開発というのをやっていく必要がある。  例えば、郵政省も研究所を持っております。NTTも持っています。その他、医療機関にもあると思います。こういうところを総合して一つの大きなプロジェクトをつくって積極的に具体的に対応するような研究をずっと続ける必要がある。そしてその結果を見て、それに対して対応を考えていく。こういうふうな新しい動きを今していかないと、なかなかこの問題というのはばらばらにやっても解決できない問題だろうと思います。  研究所というと、新しい技術を開発するのが主眼になっているところが多いんです。ところが、こういう社会問題というものに対する研究プロジェクトというのは案外そういうところにないものですから、人体への影響もありましょう、あるいは医療機器に対する影響もありましょう、運転上の問題もたくさんありますけれども、こういうものをひとつ総合的に何らかのプロジェクトをつくって推進するということをこの際具体的な面として考える必要があるんじゃないか、こういうふうに私は思っております。これはそういうものがないわけですから、審議会任せじゃだめだと思うんです。具体的な方策としてそういったことをここで提案をしておきたい、こういうふうに思います。  科学技術の問題ですから科学技術だけにしか予算を出さないということじゃなくて、そういった対応、社会的な問題に対しても研究課題として取り上げるべきだ、こういうふうに思います。  そこで、次は電波資源の有効利用問題なんですが、今回の電波法改正、これは携帯電話等の無線局の急激な増加、これを受けて包括的な免許制というものを採用しようということでありますけれども世界規模での携帯電話サービスもこの中に盛り込まれているわけなんですが、こういった問題等に対応するための施策等、これは規制緩和をするとまたこれが新しい問題を提起してくるだろうと思います。  そういう中で、今後さらなる増加が予想される電波需要、こういうものに対応するために、電波資源というものも有効利用がますます必要になってくるんじゃないか、こういうふうに思うんです。  そこで、郵政省として、電波の公平かっ能率的な利用という観点から、これは前に私質問したと思いますが、オークション方式の導入可能性検討されている、こういうふうに伺っているわけであります。二月にまとめられた報告では、アメリカで導入されているオークション方式、これについて、今の段階では導入には慎重な検討が必要だ、こういうふうな結論を出されたというふうに伺っております。この点について郵政省としてどうお考えでしょうか、お伺いしたいと思います。
  69. 谷公士

    政府委員谷公士君) このオークションの問題につきましては、平成八年四月から九年一月まで、電波資源の有効活用方策に関する懇談会というものを開催いたしまして、割り当て方式のあり方等について御検討いただきました。  この懇談会では、通信放送事業者や主要無線ユーザー等を対象に関係者のヒアリングを実施しました。その成果を踏まえて、オークション制度我が国への導入可能性について詳細な検討をされまして、ただいま御指摘いただきましたとおり、二月四日に報告をいただいたわけでございます。  この中では、オークションにつきまして、迅速かつ透明性の高い選定手続確保等、行政手続として非常にすぐれた点があるということが指摘されておりますが、同時に一方で、コストの増加によって利用者の利便が低下するおそれ、あるいは特定者によって周波数が独占されるおそれという問題点もあるということで、メリット、デメリット指摘されました。それから、オークションの対象となるシステム、このシステムについては当面想定されないということがございまして、そういうことをあわせまして、この導入につきましては将来の課題として検討すべきであるという結論になったわけでございます。  この検討の中で、同時に周波数割り当て手続の透明性の確保というふうなことの必要性も指摘を受けておりますので、当面の措置といたしましてはこういった現行手続の透明性の一層の向上に努めていかなければならぬだろうというふうに考えております。  それから、この報告の趣旨を踏まえまして、規制緩和推進計画にのっとり、周波数の割り当て、それから公開に関係する手続の透明性の向上方策、これも本年度末を目途に講じていきたいと思っております。  このオークションの方式そのものにつきましては、ただいま申し上げましたようにメリットもあるという方式として指摘もされておりますので、今後、この対象となり得るような周波数あるいはシステムというものが検討の俎上に上ってきます段階でまた改めて具体的な検討をしていきたいというふうに考えております。
  70. 松前達郎

    ○松前達郎君 このオークションの対象にならない分野でアマチュア無線というのがあります。この電波の割り当て領域というのは百四十四メガとか四百三十メガあるいはギガヘルツのところが割り当てられている。非常に幅が狭いわけなんですけれども、それなりに非常にこれは混雑しているんです。  私のところに実はこういう手紙が来たんです。ちょっと読んでみますと、小学校五年生なんですが、「ぼくは、お父さんに習ってアマチュア無線の免許を一年生の時に取りました。最初のころは、お父さんに見てもらいながらいろんな人と話ができてとても楽しいでした。その後もいっしょうけんめいに勉強して二級アマチュア無線技士の試験にも合格しました。」、大したものなんですが、「でも、学校から帰って来て無線を始めると、おとなの人が出てきて「子供は遊びでは使ってはいけない。おじさんたちは仕事で使っているんだから。」と言って妨害をしてきます。」、こういうことを言ってきているわけです。「ぼくは、自分のお小使いから電波利用料を払っていますが、五百円はぼくの一ケ月分のお小使いです。お父さんは「妨害する局がなくなるために皆でお金を出さなくてはならないんだよ。」」と、この五百円の使用目的の一つにあるわけですから、そういうことをお父さんは言うんだけれども、実情はこういう状況である。  これはある意味でいうとモラルの問題かもしれません。あるいはこの電波が不法電波であるかもしれません。ですから五百円という、集めたそのお金で今のような問題も含めて不法電波等の監視とかそういうものをやっておられると思うんです。これはなかなか簡単には解決できない問題だと思いますが、これも技術的には解決できるだろうと思うんです。といいますのは、電波を出す側がだれであるかがはっきりとだれでもわかるような、そういう技術的な強制的な信号を出す、そういうことを含めてやれば、やりにくくなるわけです。ですから、そういったようなものも私自身は考えてやったらいいんじゃないかと思うんですが、こういった問題が今手紙で来ているわけです。  とりわけ、アマチュア無線というのはダンプカーが使ったり、これも制限された、決められた出力以上の出力をブースターを使って出したりします。ラジオとかテレビにも影響を与えるような、そのぐらいの強力な電波を出す不法局があるわけですが、これらについての取り締まり、取り締まりといいますか、そういった状況は一体どういうふうな状況でしょうか。ちょっとお伺いしておきたいと思います。
  71. 谷公士

    政府委員谷公士君) 最初に、御紹介いただきましたアマチュアの小学生の方の問題、実は私どもの方にも御本人からお手紙をいただいております。  大体、このアマチュアの世界と申しますのは、今後これからますます情報通信が発達いたしまして、それが経済社会に非常に大きな効果を持っていきます際に、非常に人間的な分野でもまたこういう社会の基盤になってまいりますところを使っていくことの必要性というのはより重要になってくるわけでございます。アマチュア無線につきましては、電波が使い始められましたころから趣味の世界として老若男女を問わず非常に広く使われてまいりまして、そのことがまた無線の発展にも寄与してこられたと思うわけでございます。  そういった中で、こういう心ないアマチュア無線家の方がおられますということは大変残念でもございますし、また厳密に申しますとアマチュア無線局の運用の基本にも反するのではないかというふうに思うわけでございますけれども、この局を特定することは現在できておりませんものですからこのことについての措置はできないのでございます。先生御指摘のように道徳の問題かもしれませんけれども、今後、私どもの指導監督のほかに、アマチュア無線愛好家の中でアマチュア無線の発展のために適切な運用を心がけていただくという機運を醸成していただくことも一つかと思います。  私どもといたしましては、先ほど申し上げました電波利用制度、これによりまして監視システムの整備が図り得るようになってまいりましたので、導入以来この監視システムの整備に取り組んでまいりまして、まだ途中段階ではございますけれども、DEURASというふうに頭文字をつづめて略称しておりますシステムを全国的に整備いたしまして、固定地点で監視をいたしております。それからまた、警察当局に御協力いただきまして路上での取り締まり等の監視についてもいたしておりまして、平成七年度で措置をいたしました件数が約七千件、前年度の倍になっておりますので、そういう意味でこのシステムもそれなりの効果を上げてきているのではないかと思うわけでございます。  今後も関係団体等の御協力もいただきまして周知啓蒙に努めますとともに、DEURASのシステム等を活用いたしまして不法な電波の監視に努めてまいりたいと考えております。
  72. 松前達郎

    ○松前達郎君 将来これからやっていこうということについて今お答えがあったわけですが、社会的モラルの問題とかマナーの問題、これは啓蒙以外ないと思いますから、これをひとつ大いに積極的にやっていただきたい、これが一つ。  それから先ほど来、電磁波の及ぼす影響、人体への影響その他たくさん挙げられたわけですが、これらについては総合的なプロジェクトで、各省庁間あるいはその他研究所等を総合して一大プロジェクトをつくってやっていただきたい、これを一つ最後に要望しまして、私の質問を終わります。
  73. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 今回の改正は、包括免許制度導入、それから認定点検事業者制度導入、外国の携帯電話の移動局の運用許可、この三点ですけれども携帯電話の急速な普及や技術の向上、利用の実態などから、日本共産党は賛成したいと思っております。  手数料や事務手続が非常に軽減されるので、そういうメリット郵政省や業者だけに行くんじゃなくて利用者にも還元されなきやならないと思いますので、その立場から幾つか質問いたします。私も簡潔に質問するつもりですので、答弁もぜひ簡潔にお願いしたいと思います。  まず第一は、周波数資源の有効利用観点から、むだがなくてしかも利用者もパンクも混信もしないように使えるということについて取り上げたいんですが、まず、一回の包括免許申請携帯電話一体何台まで認めるのか。それから、申請手数料は現在一台五千八百円ですけれども、今度一括で幾らにするのか、お伺いします。
  74. 谷公士

    政府委員谷公士君) 今回の包括免許の申請でございますけれども無線局数についてその申請の単位、上限を設けることは考えておりません。したがいまして、同一システムの中であれば十万台でも二十万台でも事業者の御都合でお決めいただけばよろしいわけでございます。  それから、料金でございますけれども、これにつきましては、包括免許として一件の手数料を実費で計算することになるわけでございますが、現在政府部内におきまして内容を詰めておるところでございまして、まだその金額については確定しておりません。ただし、一件としての取り扱いの実費の手数料でございますので、現在一局一局で算定しております金額とオーダーとしてそう大きく変わったものにはならないであろうというふうに考えております。
  75. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 どうも余りはっきり言われないんですが、どうやら一万円から数万円程度、そういうふうに聞いているんですけれども。  そうすると問題が起きるのは、申請する側は、今まで一台当たり五千八百円かかったのが二十万台一遍に申請しても数万円で済むわけなので、どうしても最大限申請しておく、それで実施する台数はまだそこまで行かないという状況が起き得ると思うんです。それで、この電波法改正案の二十七条の四、「周波数の割当てが可能であること」となっておりますし、それから七十六条の二には、特定無線局の数の最大のものが指定無線局数を著しく下回ることが確実であると認めるに足りる相当な理由があるときは削減することができる、こういうのもあるんです。  それで、この申請の数と実施の数の間に余り差があると、これは周波数がむだになります。資源がむだになります。しかし、余りふえ過ぎると今度はパンクする、混信などが生まれるということもあると思うんです。だから申請するときに、その申請の数と実施とは一体どうなのか、その事業者が今後どういうふうに事業を進めようとしているのか、計画はどうなのか、ここら辺も、今まで一台ごとに許可していたのと違って、申請のときにしっかりした対応が郵政省に求められると思うんですけれども局長にその点についてお伺いいたします。
  76. 谷公士

    政府委員谷公士君) 包括免許の申請に当たりましては、目的、開設の必要性、運用を希望する最大無線局数等を申請していただいてそれを審査して、周波数の割り当て可能性を考慮した上で、指定無線局数ということで同時に運用することができる無線局の数の上限を指定して免許するということになっております。基本的には、これは収容可能だということの範囲内で事業者の方の御希望を尊重して決めるということになるわけでございます。  したがって、これが実際、その後事業開始されまして運用されていかれます無線局数、これは同時に営業の成績にもかかわって決まってくることでございますので差が生じてくるということもあると考えられますので、その際には、周波数の有効な利用ということで削減することもあり得るという法の体系になっておるわけでございます。
  77. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私がちょっと心配したような問題が起きないようにしっかりやっていただきたいと思います。  二番目は、節減される経費の利用者への還元の問題です。  包括免許になって、もし現在のペース、年間一千万台携帯電話がふえていくということが続いていくとすると、先ほど携帯電話が二〇〇〇年末に四千五百万台、PHSが千五百万から二千万台という答弁がありましたが、そうしますと事業者の申請手数料が、一千万台とすると約五百八十億円軽くなるということになる。事業者免許申請の事務経費も含めると約一千億円近い経費削減が業界にはもたらされると思うんです。この利益をやっぱり国民利用者側にも還元をぜひしてほしい。その点では、NTTドコモなどの事業者に対して郵政省が、基本料金通話料金の値下げや、それから都市部だけでなくて全国どこでも利用できるために通信の過疎地などの地域間格差是正のために積極的に投資する、国も通信格差是正事業で鉄塔事業に補助もしていますから、そういうふうに約一千億近い経費を国民利用者に還元するようにぜひ指導していただきたい。  この点をひとつ大臣にお伺いしたいと思います。
  78. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) ただいま先生御指摘のとおり、包括免許制になりますと、先ほどから局長答弁申し上げておるわけでありますが、膨大な免許申請手続、いわゆる煩雑さが一応解消されるわけでございます。そしてまた、約九百万件と我々予想しておりますが、これの手数料五千八百円が包括免許制になりますと、正式にはまだ手数料は決めていないようですが、今検討中でありますが、いずれにいたしましても相当な手数料が軽減される。仮に九百万としましても約五百億を超える手数料が軽減されるわけでございますので、まず第一義的には、携帯電話事業者がその負担の軽減を受けるわけでございます。  今後、こうした還元につきましては何としても、業者の皆さんが一括してこれだけの手数料または事務的な煩雑さが解消されますので、相当な負担軽減になることは当然であります。したがって私どもとしては、この電話料金は今のところ届け出制でありますから自主的な業者の判断にまたなきやなりませんが、一応この電話料金というものの引き下げが行われるということを期待いたしておるわけであります。今日までこの業界も大変激しい競争の中で取り組んでおられますので、その点、期待が持てるんじゃないかと思います。  第二点の地域格差是正でございますが、現在、全国で約二〇%の携帯電話の通じない市町村があるわけでございます。郵政省としては二〇〇〇年までに一〇%にまで解消したいということで、先般、予算等でも一応補助金を認めていただいたところあります。私どもは、今回包括免許制になりまして業者にも相当なメリットが出てくるわけでありますから、この機会にやはり、携帯電話事業者にもこの地域格差是正という立場から積極的にそういう面の地域に対する投資というか、これもお願いをしていくべきだ、こういうように考えております。  今後ともそうした意味での地域格差是正を図っていきたい、こういうように思っております。
  79. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 今、携帯電話の通じない地域が二〇%あると言われましたけれども、地域格差是正を進めていく上で一つ問題になるのは、鉄塔建設の問題があります。三番目にこの問題を取り上げたいんです。  約五十メートルぐらいの鉄塔が住宅地に建つわけで、出力は数十ワットで必ずしも大きくないんですけれども、新聞報道によると、全国約二十カ所でいろいろトラブルが住民との間で起きています。  非常に有名になったのは、一つは川崎市多摩区で、これは、NTTドコモがいきなり去年の五月、五十メートルの鉄塔を最も近い家までわずか四、五メートルのところへ建てた。それで大問題になって、住民合意なしに電波を発信させないと、住民の要求に郵政省もそういう態度を言い、NTTドコモも住民と話し合うまでは発信しないというので、去年の五月に建ったまま、三月の新聞でもまだ電波は出てないというんです。そういうことがある。  それからもう一つ有名なのは、千葉の九十九里浜の近くの長生村。これは東京デジタルホン。これは五十二メートル。それで住民が反対運動を結成して、全国初の仮処分申請までやるぞということで、非常に問題になっているんです。郵政省にもこれ持ち込まれて、ようやくここは説明会を開いたということですね。  それで、郵政省も二月二十日に業者三十社を集めて行政指導された。工事業者に任せないで、携帯電話事業者が責任を持って土地の選定、地域住民への説明等をやるようにというのを、これは第一項目に載っているんです。これは郵政省としてはなかなかいいことだと思うんです。  ところが、一つ問題になっているのは佐賀市。四月十四日に質問状が出ている。これも細かく申しませんけれども郵政省がそう指導しているのに、来るのは工事の業者ばっかりだ、NTTドコモはたった二回しか来ないという住民からの手紙がありますので。  二月二十日に業者を集めて説明したことはいいことなんだが、その後きちんと守られていないという点がありますので、ぜひこういう点、この鉄塔の用地の選定、それから説明会を開催して住民合意を進めるという点で、郵政省からさらに強力な指導をお願いしたいと思うんです。  これは要望にとどめて、もう時間も余りございませんので、四番目に一つお伺いしたいのは、郵政省の自動車通信の将来展望に関する調査研究会が「カーマルチメディアの時代へ」というのを去年の五月に発表している。カーマルチメディアというのは、結局自動車通信を大いにもっとやろうというもので、何か片仮名の「マン・マシンインターフェイス」というのが書いてあります。結局ハンズフリー、手は余り使わないでも自動車通信をどんどんやろうというんだけれども、ハンドルは放さないとしても、やっぱり自動車電話を初め自動車通信、運転中にこういうことをやるというのは、先ほどから自動車運転中の携帯電話については警察庁からも話がありましたけれども、ちょっと慎重でないと思うんです。  先ほど警察庁の方は言われなかったけれども、ことしの三月十三日、警察庁交通局の発表によりますと、平成八年下半期、七月から十二月の間に携帯電話での交通事故発生件数千百四十件。死亡事故九件ですよ。負傷者数千六百二十七名。七五%は追突だというんです。  死亡者まで出ているのに、そういう状況を余り考えないで安全、安全と言って、カーマルチメディアというのを進めるのはちょっといかがかと思うんですけれども局長、いかがでしょうか。
  80. 谷公士

    政府委員谷公士君) 御指摘のように調査研究会を設けまして、いろいろ御検討いただいて、報告書もいただいております。この中で、自動車通信などのカーマルチメディアの将来像とその実現のための環境整備ということで、安全性向上のための研究開発の必要性もこの中で指摘はされておるところでございます。  私どもといたしましては、この自動車通信の安全性向上に向けた施策を具体化いたしますために、昨年九月から再び自動車と電波利用の在り方に関する調査研究会というものを開催いたしまして、携帯電話を初めとするカーマルチメディアの安全な利用あり方、操作方法などについて検討を行っております。  いろいろ新しい技術が出てまいりますと、当然その技術といいますものは生活のいろいろな分野で活用されるようになってまいりますが、その際には同時に、新しいシステムでございますからいろいろな問題も出てまいります。そういった問題を克服しながら、安全に円滑に新しい技術が生活の中で使われていきますように取り組んでいくことが私どもの務めだと思っております。  そういう意味で、この携帯電話使用方法につきましても、当面安全な使用方法について周知徹底を図るということのほかに、技術的な解決方策といたしましては、ハンズフリーの方法でございますとか、あるいは音声認識による電話の使用でございますとか、そういったことにつきましても検討していこうということで、こういう研究会でもいろいろ御提言をいただいておるというところでございます。
  81. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 やはり、私は姿勢がよくないと思うんです。自動車通信というのは、カーナビだとか車用テレビだとかラジオだとかカーオーディオとか、どんどんふえる傾向でしょう。これは市場拡大なんですよ、業者の。ところが、車で携帯電話を使うと事故がどんどんふえているという問題が生まれているんで、こういう車の運転中の情報機器の操作あるいはその設置、ただ市場をふやせばいいということじゃないんですよ。そういう点では、人間の命がかかっているわけなので、そういう今のようなハンズフリーなら安全だと、安全安全と言いながら市場ばかり拡大するような傾向については、私は再検討を強く求めまして、質問を終わります。
  82. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 今回の法改正は、無線局検査認定点検事業者制度導入される。これまで国が行ってきた検査民間事業者ができるようになったということで、民でできるものは民でという行政改革の理想に合致する規制緩和の一環として極めて結構な法改正だと思います。  ところで、この法改正によりまして、これまで法定されてきた、いわゆる指定検査機関制度は廃止されることになるわけでありますが、現実にこの業務を行っている財団法人無線設備検査検定協会はこのほかにも小規模な無線局に対して行われている技術基準適合証明ということを行う指定証明機関としての役割を持っているわけであります。この業務の独占によって巨額の利益を得ているとの報道がなされております。  ところで、指定証明機関について、本年三月十七日の東京新聞によるわけでありますが、郵政省は高水準の検査技術を持ち、電波法で指定証明機関の認定を受ければ検査業務には他社も参入でき、法律では一社に限定しない、こう言っておられるわけでありますけれども電波法三十八条の三の指定証明機関の指定の基準を読んでみますと、これはかなり厳格でありまして、事実上参入は不可能ではないかと思われるわけであります。  そこで質問をいたしますが、今回、検査分野において民間の専門的な知識や技能を活用したように、技術基準適合証明についても民間に開放し競争させてはどうかと考えますが、御見解をお伺いいたします。
  83. 谷公士

    政府委員谷公士君) 技術基準適合証明でございますけれども、これにつきましては小規模の無線局につきまして、あらかじめ用いられます無線機が所要の技術基準に適合しているということを確認することによりまして、無線局の具体的な検査を省略して直ちに免許を与えることができるようにするというものでございます。  したがいまして、この証明につきましては、非常に重要な公共的な業務になるわけでございます。そういう意味で、この証明機関になりますものの要件としましては、それなりの公共的な立場にふさわしい要件を課することが必要と考えておりまして、今回の認定点検事業者のように、点検業務につきまして民間の能力を活用していくという業務とは同一に論ずることはやはり難しいのではないかというふうに考えております。
  84. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 検査民間に任せていいけれども、その証明はちょっと公共性があるから民間に任せられないというふうに理解していいかと思うわけですけれども、やはり検査も認めたら、要するにラベルを張るだけでしょう、それが公共性がある、それは天下御免の国が認める証明である、間違いないあれだということで違うんでありましょうけれども。将来的にどうですかね、これはやっぱり公共性の理由をもって、ただ検査だけは認めるけれども、その証明に関してはずっと永久的に民間にこれは与えないというお考えかどうか、そこら辺のところをちょっとお尋ねをいたしたいと思います。
  85. 谷公士

    政府委員谷公士君) 今回の検査につきましては、検査を証明する資料の提出を受けまして最終的な検査の責任は国が持つわけでございます。この技術基準適合証明につきましては、証明されました機器そのものにつきましては無線局検査を必要としないという仕組みにしております。  ただ、いずれにしましても、これらの制度すべてにつきまして先生御指摘のように、将来の問題といたしましては、技術の進歩でございますとか、それに伴っての無線局監理のあり方全体にかかわる問題でございますので、ここで直ちにどうであるべきかということは申し上げられないのでございますけれども、現時点におきましては、この技術基準適合証明制度は国の業務そのものを代行する、先ほどの指定証明機関、最後は国が担保をしておるわけでございます。これにつきましては、国の業務を代行するという性格を持っておりますので、現段階におきましては、一般の民間企業が行う業務と同等にすることは適当でないというふうに考えております。
  86. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 郵政省のお立場なんでしょうけれども、やはり証明についても民間ができるような形へ将来されることを希望いたします。頑として絶対これは動かし得ないものだ、これだけは公共性で確保しなきゃいかぬというようにも思われないように私は考えますので、素人でございますけれども、よろしくお願いを申し上げます。  それから、きょうはやっぱり電波法の一部改正で、携帯電話が終始質問の中に出てきておりますが、私も昨年の二月に本委員会で電磁波が医療機器とか人体に与える影響についてお尋ねをいたしまして、電磁波が人体あるいは医療機器に与える影響の因果関係を実験その他で立証されまして、因果関係を明確にされまして、明らかにしてほしいということを強く要望したわけであります。  きょう伺っておりますと、本年三月に発表になったいわゆる不要電波問題対策協議会からの報告を見ていますと、ほとんど明確なものが出てこない。やはり端末の電源を医療機器のそばに置いたときは切った方がいいとか体から離して使った方がいいという程度のお話なんでございますが、私もよく理解はいたします。極めて電磁波、携帯電話が人体及び医療機器に与える影響の立証というのは非常に大変なことだろうとは思います。ただ、どの程度の悪影響があるのか。疑わしきは罰せずというのは法律の大原則でありますけれども、やはり疑わしきはある程度規制しなきゃいけないのがこの電磁波、携帯電話使用が人体に及ぼす影響度が強いだけに。  率直に申し上げて、先ほど鶴岡先生もおっしゃったように、早目に明確に、私が質問したのは去年の二月です。鶴岡先生と同じ質問を強く質問したつもりでおります。それがきょうに至って同じような形になっているということに対する大きな危惧を持つがゆえに改めて質問をして、郵政省の速やかなる立証と表明を強く申し上げるわけであります。  そんな中で、いわゆる人体と医療機器との影響は問題にされてきたんですが、つい最近の新聞によりますと、今度は航空機に及ぼす影響、いわゆる航空機に対する電磁波の影響の問題が出てきたわけです。昨年の十月にブラジルで発生した航空機墜落炎工事故、これが携帯電話による機器の誤作動が原因ではないかということで、非常に電子機器の機内持ち込みに対していろいろ言われるようになってきているんです。  そこで、きょう運輸省に質問通告しておりますのでお尋ねするんですが、運輸省において電子機器の航空機の影響について、このたび外郭団体の財団法人航空振興財団が調査結果をまとめたということのようですが、その概要についてお聞かせを願いたい。  加えて、電子機器の航空機に与える影響について、これまでどのような対策をとられてきたのか、今後どのような対策をおとりになる御予定なのかをお尋ねいたします。
  87. 平沢愛祥

    説明員(平沢愛祥君) 航空機の機内において旅客が使用する電子機器が航空機搭載の航法用電子機器に及ぼす影響に関しましては、先ほど御紹介がございましたように、財団法人航空振興財団が調査委員会を発足させまして、平成八年度から二カ年の予定で調査研究に着手いたしております。  平成八年度には、代表的な電子機器でありますパソコンであるとかCDプレーヤー、それからビデオカメラ等、そういったものから放射される電磁波の強度の測定を実施いたしました。あわせまして、内外における電磁波障害と想定される事例の収集を行いまして、これを平成八年度の報告書としてまとめているところでございます。  平成九年度におきましては、今申し上げましたような代表的電子機器を実際の環境のもとで作動させまして、電磁波障害の発生のメカニズムの解明に取り組んでいきたいということでございます。  運輸省といたしましては、現時点においても使用制限等の措置を航空会社には指導しておりまして、平成八年度の報告書において電子機器による航空機に対する電磁波の障害の因果関係が必ずしも立証されていないところでございますので、現時点では特段の追加措置は不要と考えておりますけれども平成九年度の当該委員会の調査結果や諸外国の動向、並びに今後出現する電子機器の状況等を踏まえまして、航空機の安全運航の確保には必要な措置を講じてまいりたいと考えております。
  88. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 電磁波が人体、医療機器、航空機に与える影響、その他いろんな問題があるかと思いますが、人間の生命、身体の安全ということで、一つ間違えたなら大変な問題を起こすだけに、因果関係の立証は極めて難しいことを十分理解しながら、私どもは、あえて早急な対策と因果関係がありゃなしやの判断を国民に知らしめていただきたいと強く要望をいたします。  それから、これも携帯電話の件なんですが、携帯電話による緊急時への対応といいますか、昨年これも同じように質問したんですが、携帯電話からの一一九番通報について必要な措置がなされない場合があって、人命の問題であるので早急に対応してほしいと昨年本委員会で要望を申し上げたところ、郵政省と消防庁との間で検討が進んで本年度から対応が開始されるという報道を目にいたしました。  まことに結構なことだと思いますが、一一九番通報をいたしますとトラブルなしに携帯電話でも通報できるようになったという経過を、ちょっと簡単にお教えいただければ幸いかと思います。
  89. 谷公士

    政府委員谷公士君) 御指摘をいただきまして、私ども関係通信事業者それから自治省消防庁、消防関係機関と協議を進めてまいりまして、昨年の九月、関係事業者は、都道府県を複数のブロックに分けて、各ブロックの代表消防本部が一たん通報を受けて、代表消防本部から所轄の消防本部に転送する方式を提案されました。消防関係機関、これは全国消防長会でございますとか全国の消防本部で組織される任意団体でございますが、この機関におきましても本年三月にこの方式を採用するということを決定されました。今後、各都道府県段階で、関係消防本部と関係事業者との間で具体的協議を行いまして、接続を実施していくこととなっております。  郵政省といたしましても、引き続き、自治省消防庁や関係事業者等と調整を図りながら、この一一九番接続の早期実現を促進していきたいと考えております。
  90. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 一一九番については解決をしたわけですが、一一〇番通報、全国の警察に昨年一年間に寄せられた件数、携帯電話を使って一一〇番したのが六百万件を突破したと。これは前年度に比べると二倍になっている。全件数の二〇%が携帯電話で一一〇番通報しているということが報告されております。  ところが、携帯電話からの通報の場合、通話が途中で切れたり、緊急時に突発的事件発生で携帯電話で一一〇番するんだから動転しているんでしょうか、所在なり被害状況なり緊急の必要性、現在位置をうまく説明できないというような問題が起きてきて、実質上携帯電話による一一〇番通報の実績、実益が極めて薄い、こういう指摘がなされているわけであります。これは郵政省の責任じゃない、被害者が自分で注意してかけろということになるかもしれませんけれども、こういう数字から見て携帯電話で一一〇番するケースは多いと思うんです。  したがって、携帯電話で一一〇番した場合、より効果的に携帯電話利用されるということで、郵政省は、あるいは警察庁とも連携してどのような対応を考えておられるのか、お尋ねをします。
  91. 谷公士

    政府委員谷公士君) そもそも、携帯・自動車電話は、移動しながら通話するという利便性があります一方で、電波を利用する特性上、移動しております際には通話が途中で途切れるということもあるわけでございます。  これに対しましては、一般的な対策といたしまして、こういった不感地帯を解消するために、携帯・自動車電話事業者が基地局の増設を精力的に進めていただくということが一つ、それから、郵政省におきましても平成三年度から過疎地においてエリアを拡大するための補助事業を推進しております。基本的には、こういつたことでできる限り設備を増強いたしまして、こういう中断がないような仕組みをつくっていくということが必要なんだろうと思います。  それから、本件の一一〇番の問題でございますけれども、そういう一般的な対応は対応といたしまして、私ども業界に呼びかけまして、本年の二月に社団法人電気通信事業者協会等が、一一〇番通報の場合には途中で通話が途切れないように立ちどまっての御使用をお願いしたいというふうなマナーについてのお願い、ほかのことも入っておりますけれども、マナーブック、これを七十万部ほど作成いたしまして、新規の加入者を中心として今配布をさせていただいております。  非常に緊急の場合でございますので、動転もしておられるかもしれませんけれども、こういう電話の特性についてもお話をして御理解をいただくように努めていくということも必要かと思っております。
  92. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 終わります。
  93. 水野誠一

    ○水野誠一君 さきがけの水野でございます。今回の法改正に関連して伺いたいと思います。  今回の法改正では、今までの無線局検査制度が指定検査機関制度から認定点検事業者制度へと転換されることになりました。これによって、規制緩和あるいは行政改革の一環としてこの制度の転換が有効に働くということを大いに期待しているわけであります。  現行法では、無線局検査は郵政大臣もしくは指定検査機関のみが行うこととなっており、現在、指定検査機関は財団法人無線設備検査検定協会と財団法人海上無線検査協会の二団体のみになっています。この二団体はいわゆる公益法人ですが、広く一般に存在する民法上の財団法人とはその趣を異にしておりまして、いわゆる指定法人と言われているものであります。  これはどういうことかというと、電波法の規定により郵政大臣が業者を指定できるとされている業務、すなわちこの無線局検査等が当たるわけですが、こういう業務が主たる事業となっている。つまり、政府からの出資などを受けてこそいないわけですが、その事業の中心が今お話をしたように電波法に基づいたものであるというところに特徴があるわけです。  また、そういうことを反映してか、無線設備検査検定協会の例を見ますと、会長以下の役員に郵政省の元局長など有力OBが天下っている、こういう事実もあるようでございます。  現在、特殊法人のあり方というのが大きな問題となっておりまして、いわゆる特殊法人ではないんですが、公益法人であっても、今申し述べました二財団法人のように特別法でその事業の根拠を有しておるもの、あるいは政府に指定されることによって事業を行っているこれらの指定法人もまた政府の指定のもとで事実上の独占事業を行っている、あるいは所轄官庁から天下りを受け入れているなどのことを考えると、非常に官の強い影響下にあるということで、私は、これは特殊法人の問題と同様に大きな問題を内包しているんではないかと考えるわけです。これは特殊法人などと違って、法律にその名が明示されていないだけ国民に対しては特にわかりにくい存在であるということも言えると思います。  そこで、ひとつ郵政大臣に、こういった郵政省の管轄下にある指定法人のあり方についてどうお考えなのか例えればと思います。
  94. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) 指定法人は、行政事務の簡素化、迅速化のほか、利用者の負担の軽減を図るために設けられた公益法人でございますが、そのような公益法人の適正化を図るために、平成八年九月二十日に公益法人の設立許可及び指導監督基準及び公益法人に対する検査等の委託等に関する基準を閣議決定なされたところであります。  ただいま先生御指摘のことについては、その閣議決定において理事構成の基準などが定められておりますが、郵政省としても各指定法人に対して、その基準に適合するよう指導してまいっておるところであります。
  95. 水野誠一

    ○水野誠一君 とりわけ、今そういった指定法人の透明性ということについて特に御注意をいただきたいというふうに思うところであります。  その関連で質問を進めたいと思うんですが、認定点検事業者制度導入されるに従いまして指定検査機関制度が廃止されるということは、冒頭申し上げましたように規制緩和の方向として好ましいわけでありますけれども、この制度の転換に伴ってこのたび新たに指定較正機関制度導入されるということであります。どうもこれを見ますと、現在ある指定検査機関制度の規定によく似ているように感じます。  そこで伺いますが、この指定較正機関に今し方取り上げました二つの財団法人が指定されるという可能性があるのでしょうか。また、今回の制度転換の趣旨は、民の検査能力を信頼して、民間にできることは民間にやらせるというところにあると思うのでありますが、そうであるとすれば、この指定較正機関の門戸も、またその趣旨にのっとって、この二団体に限らず広く開放すべきではないかと思うのでありますが、この点はいかがでございましょうか。
  96. 谷公士

    政府委員谷公士君) この指定較正機関の導入の趣旨でございますけれども、今回の改正で、近年の無線通信分野における専門的な技術者の育成でございますとか測定器の操作性の向上等、民間事業者における無線局点検能力の向上を背景といたしまして、無線局検査につきましては基本的に民間事業者の能力を活用して行うことといたそうとしているわけでございます。  その場合に、無線設備点検が適正に行われますためには、事業者において使用されます測定器等が正確なものでなきやなりません。測定器の正確な較正を行うことが必要になるわけでございます。  そういう意味で、この較正、従来は郵政省通信総合研究所で行ってきておるわけでございますけれども、これ以外にも需要もあると思いますので、正確な較正を行い得る者を民間から求めて活用することが適当と考えまして指定較正機関制度を新設いたしました。  どの機関を指定するかということにつきましては、これは申請に基づいて判断をしていくことになりますので、現時点においてどういつだ機関をと決めることはできないわけでございますけれども、法令上は一に限るということにはしておりません。そういう意味で、要件としては公益法人の要件等課されておりますけれども、できる限り申請のありましたところにつきましては内容を覇断して指定する等の措置をとっていきたいというふうに考えております。
  97. 水野誠一

    ○水野誠一君 先ほど山田先生から、指定証明機関制度において、決して一つの団体にそれを限定しているわけではないんだが、実際その法文を読んでいくとなかなか参入が難しい、非常にバリアが高いというような御指摘がありました。  そもそも規制緩和の趣旨から考えても、較正機関を指定すること自体がどうなのか、いかがなものなのかという考えもあると思うんです。せっかく検査制度規制緩和して民間業者を認定していくということにしたわけでありまして、今度は検査機器の較正に指定機関を持ってくるということになると、私はせっかくの規制緩和の効果が減じてきてしまうのではないだろうか、そんな感じすら持っているわけですが、この点について何かお答えがあればお願いをしたいと思います。
  98. 谷公士

    政府委員谷公士君) 最初にお答え申し上げたこととも重複いたしますけれども、今回、検査業務を全面的に民間の能力活用ということで開放いたしますに際しまして、測定器の正確さを確保する必要があるということで、較正につきまして、通信総合研究所だけではなく民間の力も活用ということでこの制度を設けることにしたわけでございます。  しかし、較正につきましては、基本的に郵政省が保有しております原器、この原器から副標準器もつくることができるわけでございますが、そういったものに照らして、その性能が適正であるということを確定する必要がございまして、そういう意味で非常に公共性の高い業務でございますものですから、要件としてはより厳しい要件を課しているというところは事実でございます一  ただ、今回、認定点検事業者の行います業務の量、それから指定較正機関が行います業務の量というものを比較いたしますと、指定較正機関が行います較正といいますものはそうしょっちゅうあるものではございませんで、その測定器について一たん行いますれば一定期間はそれが有効と考えられます。これに対しまして、測定器を用いて行われます検査といいますものは非常に多くの数があるわけでございまして、全体的に申しますと非常に大きな規制緩和になるのではないかというふうに考えておるところでございます。
  99. 水野誠一

    ○水野誠一君 また、先ほど山田先生が御質問なさったところであるんですが、簡易な無線局に対して導入されている技術基準適合証明制度ということで御質問がありました。お答えももう既にいただいておりますので重複する質問としては避けたいと思うんですが、この分野においても先ほど申し上げた二法人のうち無線設備検査検定協会が同様に電波法に基づく指定証明機関となっているということであります。そして独占的に技術基準適合証明の試験業務を行っているということもあって、私は今回の法改正と無関係ではないんじゃないだろうか。やはり一つの方向としては、この制度においても指定較正機関制度導入するというようなことの可能性というのは大いに検討すべきではないだろうか、そういうふうに思う次第であります。  これは、先ほどの山田先生の御質問とも関連をいたしますので、要望としてお願いをして、私の質問を終わりたいと思います。
  100. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。——別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  電波法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  102. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  104. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 次に、放送法及び有線テレビジョン放送法の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。堀之内郵政大臣
  105. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) 放送法及び有線テレビジョン放送法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、視聴覚障害者の利便の増進を図るためテレビジョン放送事業者等は字幕番組等をできる限り多く放送するようにしなければならないこととするとともに、放送番組審議機関の活性化に資するため放送事業者が行う報告及び公表に関する規定を整備するほか、衛星放送技術の進展に伴う有料放送の役務の料金に関する制度の合理化を図る等の改正を行おうとするものであります。  次に、この法律案の概要を申し上げます。  まず、放送法の一部改正内容でありますが、その第一は、テレビジョン放送における視聴覚障害者の利便の増進に関する事項についてであります。テレビジョン放送とは、静止し、または移動する事物の瞬間的影像及びこれに伴う音声その他の音響、文字、図形その他の影像または信号を送る放送をいうこととする等に定義規定を改めるとともに、テレビジョン放送事業者は国内放送による放送番組の編集に当たっては字幕番組及び解説番組をできる限り多く設けるようにしなければならないこととしております。  第二は、放送番組審議機関に関する事項についてであります。放送事業者は、放送番組審議機関の答申または意見を尊重して講じた措置の内容、訂正放送制度の実施状況及び放送番組に関して申し出のあった苦情その他の意見の概要を放送番組審議機関へ報告しなければならないこととするとともに、放送番組審議機関の答申または意見の内容その他放送番組審議機関の議事の概要、放送番組審議機関の答申または意見を尊重して講じた措置の内容を公表しなければならないこととしております。  第三は、有料放送に関する事項についてであります。通信衛星無線局により行われる多重放送以外の有料放送の役務について、認可制を事前届け出制に改めるとともに、有料放送料金を除く役務の提供条件について標準契約約款の制度を設けることとしております。  その他所要の規定の整備を行うこととしております。  次に、有線テレビジョン放送法の一部改正内容でありますが、テレビジョン放送に係る字幕番組及び解説番組の放送努力義務に関する放送法の規定並びに放送番組審議機関の答申または意見を尊重して講じた措置の内容等の放送番組審議機関への報告義務、放送番組審議機関の答申または意見の内容その他放送番組審議機関の議事の概要等の公表義務その他の放送番組審議機関に関する放送法の規定は、有線テレビジョン放送について、準用することとしております。  その他所要の規定の整備を行うこととしております。  なお、この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。  以上が、この法律案を提案いたしました理由及びその内容の概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  106. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十七分散会      —————・—————