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1997-04-10 第140回国会 参議院 逓信委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月十日(木曜日)    午後一時一分開会     —————————————    委員の異動  四月八日     辞任         補欠選任      保坂 三蔵君     佐々木 満君  四月九日     辞任         補欠選任      佐々木 満君     保坂 三蔵君   出席者は左のとおり。     委員長         渕上 貞雄君     理 事                 加藤 紀文君                 陣内 孝雄君                 足立 良平君                 三重野栄子君     委 員                 景山俊太郎君                 北岡 秀二君                 鈴木 栄治君                 畑   恵君                 保坂 三蔵君                 守住 有信君                 魚住裕一郎君                 鶴岡  洋君                 西川 玲子君                 林  寛子君                 松前 達郎君                 上田耕一郎君                 山田 俊昭君                 水野 誠一君    国務大臣        郵 政 大 臣  堀之内久男君    政府委員        郵政大臣官房長  天野 定功君        郵政大臣官房総        務審議官     高田 昭義君        郵政省通信政策        局長       木村  強君        郵政省電気通信        局長       谷  公士君        郵政省放送行政        局長       楠田 修司君    事務局側        常任委員会専門        員        舘野  忠君    説明員        法務大臣官房参        事官       菊池 洋一君        文部省高等教育        局専門教育課長  梶野 愼一君        通商産業省産業        政策局産業構造        課産業技術企画  福田 秀敬君        官        通商産業省産業        政策局産業資金  立岡 恒良君        課新規産業室長     —————————————   本日の会議に付した案件 ○特定通信放送開発事業実施円滑化法の一部を  改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○電波法の一部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付)     —————————————
  2. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  特定通信放送開発事業実施円滑化法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 保坂三蔵

    保坂三蔵君 大臣、連日の御健闘に心から敬意を表します。  きょうは、上程されております開発法改正につきまして何点かお尋ねしてまいりたいと思います。  四月の政府月例経済報告は、景気回復が依然としてテンポは穏やかだけれども続いている、民間需要は特に堅調である、雇用情勢も好転している、こういうようなお話があったわけでございます。昨年の実質経済成長率三・六%、これは先進諸国の中でもトップという実質成長率でありますが、現実に町場の声はなかなか景気回復を体感するに至っていないというような、そういう報道が随分多いわけでございまして、私たち町場に行ってみますとそういう実感があります。先日もテレビで大変うまいジョークを言っていたのでございますけれども景気を計測する計器はないか、こういうようなだれかうわさを言いましたらうまい話だなんて言ったのでございます。実際問題として、三年半続いて、岩戸景気を超すような景気堅調ぶりというのはなかなか実感がない。  そこで、私はつくづく思うのでございますけれども、今日、日本経済閉塞感、あるいはまた構造的、長期的な問題についてどこが打破をしていくか、こういう問題点が必ず出てくるわけでございまして、昨年の十二月にも経済構造の変革と創造のためのプログラム、こういうものが閣議決定されたやに承っています。ニュービジネス創出及び国際的に見ても魅力のある事業環境推進して活力ある経済システムを構築する、改めてこういう閣議決定があったわけでございます。  そういう中で、私ども日本経済の今の現状を見てまいりますと、従来型の製造業日本型の雇用関係だとかそういうものに支えられた従来型の製造業が依然として健闘はしているのでありましょうけれども、実は、アジアなどでのNIES各国の進出はまさにその部分日本とバッティングしておりまして、この部分だけにかけていくと、依然として日本経済構造改革は進んでいかないところか日の目を見てこないようなそんな状況であります。したがって、この部分は、最も弱いと言われている情報通信機器のような新しいビジネス創出というものが実はもう長い間待たれていると思うわけであります。  そこで、そういう機会に今回の郵政省開発法改正、また今日までの開発法役割などが改めて注目をされ期待をされているわけでございますが、ついては、その情報通信産業、とりわけその中でのベンチャー企業中心とするニュービジネスの最近の動向分析をちょっと私どもに教えていただきたいと思います。
  4. 木村強

    政府委員木村強君) 先生指摘、冒頭ございましたように、我が国も昨年の本年度予算概算要求決定に当たりまして、閣議基礎科学研究情報通信基盤整備というものが二十一世紀構造改革のための最重要課題であるということを閣議了解文書でうたいました。文書でうたったということは、その考えを政府として内外に鮮明にあらわしたということでありまして、先生指摘のように、ただいまの閉塞感を一この情報通信産業を核として二十一世紀展望を切り開いていこう、そういう意思を政府としても表明をしたということで、私どもその情報通信を担う立場といたしまして、これからも身を引き締めて緊張感を持って行政展開に当たらなければいけないと覚悟しておる次第であります。  ただいま御案内ございましたように、ベンチャー企業中心とするニュービジネスの最近の動向分析でありますけれども、まず我が国の最近の情報通信ニュービジネス動向といたしましては、インターネット、これが本当に爆発的な普及をいたしております。これに関連をいたしまして、CATV網衛星を活用した高速のインターネット接続サービスというものが具体的な事業として出てきております。さらに、衛星放送を通じますいわゆる通信衛星デジタル化ということで、衛星デジタル放送の開始によりますビジネスチャンスをとらえて多様な専門番組を提供する事業等が出てきておるというのが顕著な例でございます。  ニュービジネスにつきましては、今まで出現をしていない事業でありまして、市場動向あるいはこれからの技術動向に対応して民間事業者創意工夫というのが基本になることでございますので、これからの動向というのは今直ちに私どもも予測しがたい部分はございますけれども一つには情報通信ネットワークを活用しようということで、光ファイバー網あるいはインターネット移動通信網等ネットワークインフラ整備に伴います情報通信に対応するニュービジネスが出てくることが期待をされております。  一つは、各種電子商取引あるいは電子出版電子新聞、PHSを活用した位置探索サービス、迷い子であるとか徘回老人探索等の福祉にも対応できるようなそういったサービスというものが考えられます。  それから、ネットワークインフラの提供に係るニュービジネスといたしましては、インターネット電話あるいはインターネット国際ファクスなどの新しいビジネスに加えまして、次世代の移動体通信あるいは衛星デジタル放送等分野ニュービジネス創出期待をされる。  さらに、ネットワークコンテンツ制作という点につきましても、インターネットあるいは衛星デジタル放送等ネットワークインフラ整備に伴いましてコンテンツソフト重要性は一層高まってくるということで、独創的な各種コンテンツ制作に係るさまざまなニュービジネス創出期待をされるということで、情報通信分野の激しい技術革新もと、新しいビジネスもこれに従って出てくるというふうに非常に期待されている分野だと考えております。
  5. 保坂三蔵

    保坂三蔵君 今お話を承っていただけでもまさしく胸躍る思いでありまして、日本ニュービジネスフロントランナーとして情通世界を切り開いていく、こんな予感を感ずるわけなんですけれども、ただいまの行政施策として決断を下した以外にも検討中のことだとかいろいろあると思うんです。  たまたま昨年の二月には、通産の方で新規事業法が通ってストックオプションなどの導入が現実的に行われたわけでありますけれども、その同じ時点に、通信政策局の方での勉強会情報通信産業に対する公的サポートに関する研究会、これの最終報告書が取りまとめられて、情報通信ニュービジネスの新たな展望というものの明解な分析あるいはまた提言がなされているわけであります。かいつまんで、これがどう現在の郵政省施策の判断の中に取り込まれているのか、このあたりの御評価もいただきたいと思います。
  6. 木村強

    政府委員木村強君) 御指摘ございました情報通信産業に対する公的サポートに関する研究会というもの、これは座長に堀部先生ということで、一橋大学の法学部の教授にお願いをいたしました研究会平成七年四月から約一年間にわたり発足させております。  その研究成果といたしまして、昨年の三月に「情報通信ニュービジネスの新たな展望」と題しまして、情報通信ニュービジネスの育成のための政策的対応方向性あるいは早急に推進すべき施策等提言を盛り込んだ報告書をちょうだいをいたしております。  私ども、このいただいた報告書の中からぜひ最近の状況に照らして必要だと言われるようなもの等を平成年度予算に反映させたいということで取り組んでまいりました。  その結果、一つには、テレコム投資事業組合の設立あるいは本委員会で御審議をお願いしておりますストックオプション制度導入など、具体的な政策支援措置として昨年から取り組んでまいりまして、一定のニュービジネスのための環境整備としての施策を、人的な側面資金的な側面あるいは技術的な側面から総合的にやろうという一つの塊としてのニュービジネス環境整備を、私ども公的な部門でやれる部分というものを九年度に向けて反映させるべく取り組んだということでございます。  そのほか、情報通信技術に関する公設試験研究所設置など、これは地域の新しいニュービジネスに非常に貢献があるだろうということで提案をされております。そういった公設試験研究所設置などにつきましても、これから地域各般にわたってニュービジネス展開されるようなそういう施策についてもさらに引き続き努力をしたいと考えております。  いずれにいたしましても、ニューベンチャーにつきまして人的、資金的、技術的、総合的な施策一つの塊というものが平成九年度から実施できる、このように考えております。
  7. 保坂三蔵

    保坂三蔵君 私もこの報告書は当時から興味深く拝見してきたわけでありますけれども、ただいま局長からお話がありましたとおり、なかなか適切な分析とそれから提言がなされているわけですが、この中で、今お話しいただいた以外に一、二点ちょっと改めてお尋ねしておきたいものがございます。  それは、ニュービジネス創出のためには規制緩和が非常に重要なポイントになってくるということがこの中で触れられておりますが、特に情通世界での規制緩和取り組み状況お話しいただきたいと思います。  またあわせて、例えば地域とのかかわり合いの中において、情通ニュービジネスをどう育てていくかというような問題もこれから地方の時代と言われるような志向の中で非常に重要な位置を占めてくると思うんです。これは既に十年以上前から地方自治体中心になって推進しているものもありますが、いわゆるインキュベーターの問題、これもあわせて現在の進捗状況をちょっと教えていただきたいと存じます。
  8. 天野定功

    政府委員天野定功君) ただいま先生指摘の中の前半の規制緩和取り組み状況について、私の方からお答えさせていただきます。  先ほどから先生指摘のとおり、情報通信は我、が国の今後の経済成長原動力と言われて大変期待も高まっているわけでありまして、郵政省といたしましてもニュービジネス創出あるいは経済構造改革推進を図るため、これまで、具体的に申しますと、携帯電話端末に関する売り切り制導入、これは平成六年四月から実施しております。また、平成七年十月からは第一種電気通信事業料金につきまして事前届け出制導入など、情報通信分野規制緩和にはいろいろ取り組んでまいりました。  先般、三月二十八日でありますが、閣議決定されました規制緩和推進計画におきましても、新たに携帯電話その他移動通信用無線局につきまして、従来個別の無線局免許でありましたものを包括免許制度導入だとか、あるいは第一種電気通信事業参入規制緩和、具体的に申しますと、過剰設備防止条項の削除あるいは外資規制の撤廃、こういつた規制緩和につきまして百三十六項目を掲上したところでございます。  今後とも、内外の意見や要望を踏まえながら積極的にまた着実に取り組んでまいる所存でございます。
  9. 木村強

    政府委員木村強君) 地域におきますベンチャー企業による情報通信ニュービジネス創出という点も非常に大切でございます。情報通信分野は今後の成長性が非常に高い分野だと期待をされておりますけれども、これは地元の既存の産業情報化を促進するということで地域活性化にも非常に重要な役割があるということで、地域日本国全体から情報通信をツールとしていろんなビジネスが起こってくるということがやはり必要でございます。  ニュービジネスというものの現状を見ますと、例えばソフト事業データベース事業等情報サービス産業売り上げ市場を見ますと、やはり全体の五割が東京に集中をしている、大阪も含めますと約六割というのが情報サービス産業売り上げ実態であります。私どもテレコムベンチャー助成制度というものを八年から行っております。これは技術支援ということでありまずけれども、この関係でも東京大阪以外の企業数は、応募段階では約四割、認定段階では約三割ということで、なかなか地域全体の情報通信を使ったニュービジネス展開が難しい、こういう状況に依然としてあろうかと思います。  そこで私ども先ほど先生御紹介いただきました公的サポートに関する研究会等の御提言ども踏まえながら、地域情報活性化もあわせて見ないと、NTT、KDD、こういう大きいところだけに着目するのではなくて、地域全体のニュービジネス立ち上げというものがなければ本当の経済構造改革にはならぬだろう、こういう気持ちで関心を持って地域の対策に取り組んでおるところであります。  この点ひとつ、先ほど申し上げましたように、インターネットというのは世界に直にネットワークが通ずるということでございまして、東京とか大阪の人じゃなくてもパソコンを通じて、インターネットを通じて世界情報がすぐ展開できる、こういう情勢になってまいりましたので、地域情報通信一つの大きな核はやはりCATVでございます。このCATVを使ってインターネット接続をしていこう。そうなりますと、料金も非常に安くなりますし伝送速度も高まるということで、地域CATV事業者が新しいインターネット接続をしていこうという動きが起こっておりまして、これからニュービジネス地域での展開というのは恐らくこういうものが基本になって行われていくだろう、こういうふうに分析をいたしております。  それで私ども地域CATVインターネットを全国的に展開するいわゆる地域マルチメディアハイウェイ実験協議会というものをサポートいたしまして立ち上げました。こういった中には第三セクターども入れて、私どもが既に展開をしております自治体ネットワーク施設整備事業補助対象として拡大をしていこう、こういう施策平成九年度からスタートいたしました。  この実験協議会には地方自治体、それからCATV事業者インターネットプロバイダーあるいはソフト事業者等全国百八十一の団体が参加し、全国的な規模で地域それぞれごとにやっていこう。いわゆるインターネットCATV接続してやっていこうというものが地域ビジネスとして起こりつつある、こういう状況でございます。  これが一つの具体的な例でございますけれども先生質問のありましたインキュベーターというものも非常に大切でございます。これにつきましては我が国ではまだ二十ないし三十のインキュベーターしかございません。神奈川県にございます第三セクターでありますかながわサイエンスパークであるとか大阪市の財団法人であります島屋ビジネス・インキュベータ、こういったインキュベーターオフィススペースパソコン等設備を提供したり、あるいは金融機関から派遣された専属のコーディネーターによる営業とか経営面サポートをしたり、地元の大学や公設試験研究所からの技術支援を行ったり、ベンチャー企業に必要なハード、ソフト両面サポートを行っていく、こういうインキュベーターを各地域に育てていくということも非常に重要なことだと考えております。
  10. 保坂三蔵

    保坂三蔵君 御説明を聞いておりますと、本当に今躍動しているさまが手にとるようにわかるわけであります。  これは、今団体を育てるということも公的サポートの中に、五番目ぐらいの提言に入っていたと思うわけです。今の地域協議会もその一つだと思うのであります。  たまたまこれは通産の所管になりましてここで申し上げるのが適切かどうかわかりませんが、全国ニュービジネス協議会というのがあります。会長はCSKの大川功氏なのでございます。この大川さんが通産の方へストックオプションを早くやれとかそういう陳情を出して、それが現実化してきたわけなんですけれども、この方が話している中で非常に興味のあるお話がありました。  今、株式上場は一部、二部、また店頭合わせて三百社だと。この中で自分企業を目立たさせていくためには大変な思い決断が要るだろう。しかし、その中でベンチャー起業家自分事業の未来に生きようとするならば、株式公開最初から前提にした経済状況をとるべきだ、こうはつきり言い切っているんです。そして、そのことによって資金人材信用力の壁をクリアする、そういうことを早くから言い切っている。  この方は、結果においては、例えば一兆円産業セガを買収した方ですけれども、今度のセガ、バンダイもそうですね、百億で買った会社が一兆一千億というふうに膨らむんですから怖いほどでありますけれども。この方が最初から、投資先の三種の神器はAI人工知能、それからネットワークデータベースだと、もう早い段階からこの人は言っているんです。本当に僕は先見の明がある人というのはいるなと、最近では孫さんみたいな人もおりますけれども。しかし、成功成功にかかわらずきらりと光る人がいる、また行政もその気になっている、こういうふうに両方の方向性が一致したときには一気にやっていかなくてはいけない、こんな今TPOを私たちは感ずるわけなんです。  このお話もとにいたしましてお尋ねしたいのでありますけれどもストックオプションの件で改めて伺いますが、先進国アメリカ実情はどうなのか、それからビッグバンが成功したと言われている英国実態どもあわせて伺った上で、今回改めて開発法改正に踏み切った目的、このあたりもあわせて教えていただきたいと思います。
  11. 木村強

    政府委員木村強君) 米国におきましては、一九五〇年代から既に有能な人材確保役員等への経営インセンティブを付与する非常に有力な手段の一つとしてこのストックオプション制度がスタートするようになっております。最近の調査によりますと、アメリカで八割程度の企業がこのストックオプション制度を採用されている実情にあるというふうに承知をいたしております。  また、一九九六年の調査でありますけれどもストックオプション制度導入しておりますアメリカ企業成長率というものをストックオプションを採用していない企業成長率と比較いたしますと、この制度を採用しております企業成長率は一一二・七%、そうでないところは二二・七%ということで、やはりこのストックオプション導入というものが企業にとりましても成長のパワーの一つになっておるということがうかがえます。これは米国会計監査会社クーパーズ・アンド・ライブランド調査ということではっきりと出ております。  また米国では、小規模のベンチャー企業株式公開意欲が非常に高いということで、未公開段階からこのストックオプションを利用して人材確保を図る例が非常に多うございまして、ネットスケープ社であるとかヤフー社であるとか、そういった例が多々出ておるということであります。  また、英国につきましても、商法上の規制は特になくて、英国国税庁調査結果によりますと、ほとんどの企業導入しておるということで、英国売上高上位百社のうち約九割の企業がこの制度導入しておるというような情報を得ております。  私どもといたしましては、先ほどから情報通信経済構造を変えていくんだ、あるいは二十一世紀経済を支える大きな原動力になるということであります。しかし、アメリカが現在景気を持続して好調な進展を続けております背景には、こういった情報通信、中でも新しいベンチャーあるいはニュービジネスというものがその牽引力だというふうにも伺っております。  先生指摘のように、私ども通信放送分野インターネットであるとかCS放送であるとか、技術革新成果としてこの一、二年急速に環境の変化があったということで、民間の方々からもこういった制度についての照会が多うございます。  それから、日経新聞がベンチャー企業に対するアンケート調査をいたしましたところ、このストックオプション制度の利用に積極的な企業の割合が五二%と高い。日本ではこの新しいストックオプション制度というものがまだ余り周知されておりませんから、知らないという企業も三〇%ある。全体の中では半分以上がこれに対する期待が強い、三〇%が知らないといったようなことで、こういうニーズも踏まえて、そったく同時といいますかタイミングよくこの法案を出させていただきました。こういう次第でございます。
  12. 保坂三蔵

    保坂三蔵君 私がちょうだいしている時間は限られておりますので、まだいろいろ具体的なことを承りたかったのでございますが、周辺の状況を私は承ってまいりまして、守住先輩から突っ込んだ御質問があろうと思うんです。  とは言いながらも、現実的には、一年たった通産新規事業法でも認定件数も八十三件、ストックオプション導入数も十九件だとか、待って待って待りた割にはなかなか促進されていないようなどうも実感なんです。これでは、例えばアメリカの八三%、今言われた英国上位百社中でも九〇%がストックオプション導入している。しかも全従業員対象だとか、上場企業公開企業、どんな会社対象だと。日本よりも一歩も二歩も、十歩も進んでいるというような状況なんです。よっぽど追いついていかなくてはいけない、こう思っております。  しかし、その中で企業はそれぞれ相当の努力をしてまいりまして、例えば分離型ワラント債の発行、これは成功報酬型とも言いますけれども、疑似ストックオプション導入してやってみたり、これはソニーがやったわけです。あるいはまた、その後英国式の純粋なストックオプション、これはNCR、ナショナル・キャッシュ・レジスターがやった全社員対象、これも上場では初めて。いろいろ新規事業法開発法行政の意向を超えて自分なりに企業努力していた部分もある。税制上の恩典もないのにこういういろいろな努力をしてきた。  そこで、最後に行き着くのは商法の改正、二百十条ノ二ということになって、自分会社の株は自由に持てるというような規制緩和が最後に起きなければ、これはビッグバンにもつながっていかない。これが私たち自由民主党の基本的な見解でもありますし、橋本総理も了承いたしまして、大蔵大臣が議員立法でやってもらいたいというようなお話もありまして、今それが進んでいる、こういうふうに聞いております。これは私どもは、政府の方向よりも一年ぐらい早く前倒しにして今度の通常国会でも何とかこれを取り上げてもらいたい、取り上げられるように努力したい、こういうふうに思っているわけであります。  最後に、大臣にひとつお取りまとめで承りたいのは、今言ったような情報通信ニュービジネスを育てるのにはストックオプションなどを含めてほかにも方法があるのではないだろうか。例えば、高いと言われた通信料金、これはNTTの分離・分割がありまして進んでいくとは思いますけれども、こういう問題を含めて、あるいはまたストックオプション自体ももっと手続が煩雑でない方法で普及できるようにやっていくとか、そのあたりをまとめて総括的に、情報通信ニュービジネスのこれからの支援策、このあたりについての基本的な部分を御答弁いただきたいと存じます。
  13. 堀之内久男

    ○国務大臣堀之内久男君) これまで保坂先生の御質問に対しまして、通信政策局長から新しい情報通信産業の育成、あり方について御答弁申し上げたところでありますが、今回御提案申し上げておりますこの法案も、いわゆる人材確保という立場からストックオプション制度をお願いいたしておるわけであります。そして、資金面では、創業段階からのベンチャー企業の投資という立場でテレコム投資事業組合の設立、また、個人によるベンチャー投資のリスクを軽減するということでエンゼル税制の創設をお願いいたしたところであります。また技術面では、基盤技術研究促進センターによる出資制度の創設を今回いたしたところであります。さらに、先進的な技術の研究開発に対する助成制度の拡充もいたしておるところであります。  こういうように、人材面、資金面、あるいは技術面で精いっぱいの支援をしながら有力な情報通信ベンチャーの育成に努力をしてまいりたい、こう思います。  なお、最後にお尋ねになりましたストックオプションの付与の運用につきましてのお尋ねでございましたが、これは最終的には株主総会の責任で決定されるわけであります。国の認定はそのための資格付与であります。認定に当たっては弾力的に運用し、幅広いベンチャー企業の育成に努力してまいりたい、こう思っておる次第でございます。
  14. 保坂三蔵

    保坂三蔵君 ありがとうございました。  私の質問は以上なんでございますが、実は最後に放送行政の問題でちょっと一点だけ要望を申し上げて、質問を閉じさせていただきたいと存じます。  いずれにいたしましても、今お尋ねしてまいりましたのは、日本経済が抱える最大の問題はアジア地域の発展や新しい情報通信技術の発展といった新しい経済環境に対する適切な対応が今こそ必要だ、こういうことを思っているやさきにこのストックオプションのいわば開発法改正が出てきたものでございますから、これにあわせてどんどんと新しい施策を打っていただくことを要望したいと思います。また、小さな会社が大きく成長するということは、国庫にとりましても金の卵を産む鶏をまさしく得ることになるということを私たちは肝に銘じて考えていきたい、こう思っておる次第でございます。  それから最後に、これも本当はもっとお話をしたがったんですが、きょうは違う部分のお尋ねだったものですから要望だけ申し上げますけれども、実は、三月八日に起きました東京電力のOLの殺人事件におきまして、被害者の人権が非常に今侵されているということで、弁護士の一部の方々とか世論、またジャーナリズムの中でも朝日新聞などが取り上げて、実際問題、各新聞社に質問状を送った、あるいはテレビ局に質問状を送った。特にテレビ局に関しては、母親の意向でテレビ四社が入っているんです。  かなり慎重にやったということは私たちはテレビ局の報道を見ていてわかりましたけれども、物すごい、すさまじいと言われるほどの。プライバシーの暴露、人権侵害の報道がなされているわけです。被害者が亡くなっているにもかかわらず、あたかも被害者が犯人であるかのような報道なんです。しかもひどいことには、もう本人かどうか確認できない、取材もしないのにヌード写真まで載っちゃったり、被害者の。これでは死体が凌辱されているようなものだという言葉は、まさしく私たちの胸に突き刺さるわけであります。  特に大変なことは、これはお母さんが、もうやめてくださいと、娘は死んでいて、私の知らない娘の顔がこんなにまで、事実かどうかわからないのに、取材もされないのにどんどんマスコミに報道されて、一体全体そんなことが許されるのかということを言っているわけなんであります。  今、時あたかも私どもは、テレビの中の苦情対応機関の設置を四月中に、特に四月の上旬にということで今までやってきたわけなんでございますけれども、これも何とか今月いっぱいに立ち上がるとは思います。こういう中で人権をどう扱っていくか、あるいは人権侵害に対してどう是正していくのか。これらの問題は非常に重要だと思いますので、ひとつ、きょうの委員会で御答弁いただく立場ではございませんけれども、緊急性がございましたので、あえて東京電力の女性社員殺人事件に絡みまして、被害者の人権はどうなっているのかということをもう一回マスコミ全体が問い直してもらいたいということを所管の放送行政局長に申し上げまして、次の機会にまたこの点については御報告と意見の交換をさせていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  15. 守住有信

    守住有信君 今回の法律は一部改正でございます、御案内のとおり。優秀な人材確保のためのベンチャービジネス等を念頭に置いたストックオプション制度導入、これが主眼でございます。その前に、私も、急におとといから質問をというふうに言われまして、もとへ戻って勉強しようと思ったんです、もとへ。やっぱり原点に戻らにゃいかぬ。そうしましたら、この特定通信放送開発事業実施円滑化法、はるか昔でございます、これはたしか平成二年の六月十九日に成立した法律でございますから、もと基本の法律。この目的のところが非常に政策と哲学がはっきりしておるということで、これは読み直してみて感心したわけでございます。省略しますけれども、ポイントだけ。  情報の流通の重要性の増大、したがって開発事業の円滑化に必要な措置を講じますと。そして、特にその中で新たな通信放送事業分野の開拓等を通じて電気通信による情報の円滑な流通の促進を図り、もって我が国における情報化の均衡ある発展に資することが目的だ、これが一番のもとのいわば基本だ、こうとらえておるわけでございます。  その後、ずっと見ますと、平成二年、三年、四年、五年、七年、七年、七年、八年、そして今回ということで、一部改正はこれは九回目でございまして、その間いろんな時代の変化を先取りしようといろんな手法がどんどん入ってきた、こういうふうにとらえておるわけで、今回はその最後の一つ人材の問題。出資とか低利融資とか債務保証とかあるいは政策減税とか、これはずっと頂上を詰めておるけれども人材確保という一番のマンパワーの、技術力を持った、意欲を持った社員のいわゆる育成といいますか、そして企業自体もベンチャービジネスとして発展させていって、その結果が日本産業構造なり、今お話があったような、最終的には国民の利便あるいは経済効果等々に資するということだと思っております。  もう一つ、一方で通産省の方から、調査室からとってみましたけれども、俗称は新規事業法といいますけれども、これは特定新規事業実施円滑化臨時措置法。特定通信の方は平成二年でございますが、平成元年のときにこれができておるようでございます。  もちろん通産省ですから、非常に分野が広いものですから、新商品の生産、新たな役務の提供、新技術による商品の生産、販売、役務の提供の方法の改善、あるいはまた事業活動や国民生活の向上、こういうことで、その途中の改正の中で能力と成果に応じた成功払い報酬制度導入、これは商法の一部改正にも関係いたしております。あるいはまたいろんな指導、債務保証や出資、特に、新たな通産系の産業界に対する情報の収集、整理、提供。さらにもう一つ追加して、最近は経営指導というものも法律事項の新規追加の中に入っておるようでございます。  それで、今回ストックオプションですから、この面から見てみると、今もお話に出たように、通産省系のやつは平成五年一月現在で認定事業者は六十五社ですか、うちストックオプション導入会社は十三社、うち特別決議を行った会社は四社、一月現在で。通産系が早くスタートしておるけれども実態分析してみるとまだまだこうだと。  したがいまして私は、今回のこの法律、立派なトライする制度ですけれども、二カ月後施行というふうになるわけですけれども、今後のこれに対する一種のPR、啓蒙というか、それが単に一般論的に業界団体にパンフレットを配るとか、それだけで果たして本当にインセンティブを、ベンチャービジネスは小さい企業のあれですから、本当に刺激になり浸透が進んでおるのか。こういうものをただ時間を待つんじゃなくて。  私が非常に感じておりますのは、地方から見ておりまして、例えば熊本の大学、ついこの間も熊本大学の工学部長さんにも電話した。いろいろ地元産業界もありますな。ところが、地方電監なんだ。地方電監というものの局長以下部長クラスの役割、何かみんな集まって勉強会をやるとか講習会をやるとか講演会はやりますけれども、本省からも人が来たり、偉い人を地方へお呼びしまして。だけれども地域では毎日生活しておるわけですから、車で行けばちょっとなんですよ、何もわざわざ東京からとか、こういう感じじゃない。  そういうものに対する新しいやり方というか行動というか、トップとトップですよ。地方の行政のトップが、大学とか共同研究所とかいっぱいありますよ、ローカルにも。国立大学だけじゃない、東海大学もあればいろいろあるんだよ。工学部系、理工系、あるいは地元産業、そことの生きた人間的なパイプ、人間同士、ここから刺激は始まっていき、こういう制度の利活用を浸透させにゃだめだ。東京大阪だけじゃだめなんですよ。  この理念にも地方と、科学技術会議あるいはまたは科学技術基本法、基本計画、あの中にも我々地方ということを絶対入れさせておるんですよ。抽象的に理念的には入っておっても、これを具体的に横へパイプをつくっていく、連携。ただパンフレットをつくっただけではだめなんで、パンフレットも立派なパンフレットができておりますよ。情報通信ニュービジネスに関する支援一覧とか、裏には通信放送機構の場所、電話番号、郵政省通信政策通信事業振興課、あるいは地方電監がずっと並んでいる。一番最後には基盤技術研究促進センター、こういうふうに載っておりますけれども、パンフレットだけでは、あるいはインターネットも話が出ましたけれども、あれだけではね。  もうちょっと生きた人間と人間のコミュニケーションを通じて、それぞれの世界のトップリーダーとトップリーダーが大学や研究所やそして電監、地方ですよ。そことの動き方というか、法律の施行を待たぬでもこれをもう今から、二カ月あっても直ちに行動開始、法律が本会議で成立したらこういうものに入れるようなことをどのような具体的な方法で、本省じゃありませんよ、本省は指導する立場、指揮する立場だから。地方を動かす司令がおるわけですよ、はっきり言うと。電監局長以下各部長とか課長とか、地方にそれぞれおる、北海道、沖縄もありますな。  そういうものをどのようにお考えなのか、いろんなアイデアを入れ込んで、部下のアイデアも入れ込んでどういうふうに、時間がないけれども、片りんだけでもいいですから御説明いただきたいと思います。
  16. 木村強

    政府委員木村強君) ただいま先生、本法案の目的を挙げられました。第一条の最後に、「もって我が国における情報化の均衡ある発展に資する」というところで、地方というものがクローズアップされる分野だと考えております。  具体的なPR、周知の手法ということでありますけれども一つ例に挙げますと、私ども、沖縄の振興策に関連をいたしましてマルチメディア特区構想というものを昨年提案をいたしました。  今、政府の政策協議会で検討中でございますけれども、これは沖縄管理事務所を核といたしまして地元の大学に具体的に当たりまして、所長を中心とするプロジェクトチームをつくりまして、目的意識を持って、大学、特に理工科系の大学、沖縄の雇用産業というものについて、情報通信というものがなかなか新しい分野だということで関心もそう高くなかったというようなこともございまして、そういった地方の私どもございます拠点を核にいたしまして具体的なマン・ツー・マンで役割を分担してやっていくというようなことになりました。  おかげさまで、地元ではこのマルチメディア特区構想というのが非常にマスコミにも取り上げられ……
  17. 守住有信

    守住有信君 いや、沖縄はわかっておるんだ、沖縄以外。これは政府全体が取り組むんだ。それ以外の各地方。
  18. 木村強

    政府委員木村強君) そういうことで、一つのやり方として沖縄という形で、情報通信分野についてそれほど関心のなかった沖縄県が県庁挙げてこれに取り組もうという体制になったという一つの例を申し上げたわけでありまして、そういう面でも、例えば九州であれば九州電監局長を沖縄におけるようなごとく使いまして、これから全国各地のニュービジネスというものを地方の電監を拠点といたしまして具体的な手法をもって役割分担をして当たっていく、こういう体制をしいていこう、このように考えております。
  19. 守住有信

    守住有信君 その点は、実行面ですよ。私は決算委員だから、物事を後の結果から見るんだよ。立派な政策だ。これは幾ら立派な政策でも実行するのは民間のそれぞれのあれです、しかも中小企業の方なんだ、大企業じゃない。それなもので余計この方面に、きょうは法案の審議だけれども、その後の実行面。  大臣の宮崎県だって同じことですたい、同じ南九州同士で、熊本があるなら鹿児島だってどこだってある。鹿児島大学があり宮崎大学もある、それと地元経済界もある、研究所もある。そういうやっぱり人間と人間の、機械だけじゃだめなんだ、最初は。人間と人間なんだ。そして、そういうニュービジネスになっていくというふうなことだと思っております。  もう一つは、もう時間がありませんので、前から思っておることで、京阪奈の基盤技術研究促進センターのあり方の問題。もう十年以上たちました。あれは基盤技術、基礎研究なんだけれども、みんな株式会社方式なんだ。それを当時、こういうふうな科学技術基本法とか政府全体挙げて、党も各党みんな一緒になってというふうなことがまだなかった時代、NTTの株を活用して、こういうことですけれども、あれはみんな株式会社なんだ。応用研究、実用研究ならそれで結構だけれども、基盤、基礎研究もやっているんですね。  それで、実は何回か京阪奈のATRとかああいうところへも参りましたけれども、そのとき阪大の熊谷学長さん、あれをつくったとき参画していただいた方だったようですけれども、もう十年たったと。それで、十周年記念のときの講演、私も行ったんだよ、講演を聞いたんですよ。この株式会社方式自体が限界があるんじゃないか。基盤、基礎研究ですから当然に税金ですよ、他の研究所、国立研究所と同じくこれに準ずるような方式でやってしかるべきではなかろうか。物事は十年たったらやっぱり基礎から見直すべきではないかという御意見もありました。  こういうことに対してもう一つは、これはついこの間、三月一日の朝日新聞に「NTT株配当事業見直し」、そしてその横に「通産省の基盤技術研究支援 新規出資の停止検討」と、通産省側も全部オール・オア・ナッシングじゃないけれども、何か検討に入っておるようにこれでは見えたんですよ。  これは通産と郵政の共同所管ですから、やっぱりそこがどういう、いろんな考え方で水面下であると思いますけれども、この見直しについてもやはり通産とも率直な意見交換をしながら、それぞれの立場、そしてあとは、やっぱり調和せにゃいかぬわけだから、そこを早目に御検討しておいていただきたい、これについてはいかがでございましょうか。
  20. 木村強

    政府委員木村強君) 基盤センターの関係の御質問でございます。  この基盤センターの出融資制度というのは、あくまで民間主体の研究に対しまして、これはハイリスクであるあるいは波及効果が大きいということで、民間がこれは成果が出るなと思いつつも民間だけでやろうとした場合にはなかなかリスクも大きいし時間もかかる、しかし、波及効果もあるしというものを国がサポートをして立ち上げようということで、もともと民間がその行動の契機になる、こういう基盤技術関係について国が支援をしよう、こういう仕組みでございます。  そういう意味で、私ども、今先生からございましたように、株式会社方式ということにつきましてもいろいろ問題があろうかとも思いますけれども民間主体の株式会社方式でということでスタートしたのがこの制度であります。  しかし、いろいろこれからの研究開発の体制というのは、先生も御指摘ございましたように、十年たちました。ひとつここらで基本的にいろんな分野を根っこから洗い直して新しい時代にふさわしい研究体制を確立すべきではないかという点につきましては私どもも全く同感でございまして、そのはしりといたしまして、昨年末の関係当局との折衝によりまして、この基盤技術センターもベンチャー企業に対する出融資なども行おう、あるいは成果が上がらないところについては、不作為でいつまでも置いておくのではなくて早く会社を整理してしまおうといったようなことで、おくればせと言われるかもわかりませんけれども、我々としては関係当局と整理をして一定の改善策も出したということでございます。  さらに、今後の対応につきましては、そういった前向きな気持ち、基礎研究はやはり大切であります。国が税金で完全に分担をするのか、やはり民間中心にしてその立ち上がりを国が支援する方策をとるのか、技術の分野によっても違うかと思いますけれども、そういった点を議論しながら、避けることなく、前向きに新しい時代にふさわしい研究体制あるいは支援体制を構築するということで考えてまいりたいと思います。  いずれにいたしましても、こういった基盤的な研究、基礎的な研究というのは、非常に放送分野も含めて大切な問題だという認識を持っております。
  21. 守住有信

    守住有信君 いや、大切なのは当然だからね。ただ、株式会社というと、どちらかというと応用、実用の方なんだ、すぐ実社会で、ビジネスの方で。ところが、基盤、基礎というのは、五年、十年、二十年、失敗するかもしれない。そういうものだから、国の税金を投下して、国立研究所とか各省庁の研究所とか、これやっておるわけですよ。そういうもののイメージと、ちょっと待てよということを私は感じておったし、前の学長さんの、名誉教授だけれどもお話の中で入っておったものですから、余計その後もよく考えていかぬと、というふうな気がしたわけですよ。民間のような、こういう出資とか低利融資とか人材養成とか税制の特別減税とか、もろもろの手をどんどんとこのように打っていただきたいと思っております。  それからもう一つは、せっかく啓蒙運動をなさるときに、このストックオプション、今回の法律のあれをいろんな世界にやられるときに、やっぱりついでに国立大学等の研究所、国の研究所等とも連携せにゃいかぬわけだから、民間研究マンと。例えば、御承知でしょう、任期つきの任用制度導入するとか、あるいは特許権の研究者個人への帰属の問題とか、兼業、兼職の人事院勧告も出ましたよ、緩和とか。そういう産学官融合のこの制度的な面もあわせて、地方の電監自体にも、このストックオプションだけじゃだめなんだな、そういう若手の研究マングループのあれだが。それと同時に、やっぱり国立研究所の方々ともアクセスせにゃいかぬし、そういうもろもろの世界が横にありますから、同じ地域の中に。そういう制度もどんどんこれは新しい手をぽんぽん改正して打っておるわけだ。今まで考えられなかったこと、特許権は国に帰属する、国家公務員の研究職だ、設備も人件費もみんな国税でやっておる、だから国に帰属する。それに対して、インセンティブを与えるために特許権の半分は研究グループに与えると、半分は国ですよね。そういうふうな導入を、郵政省通信総合研究所がある、各省庁みんなやり出しておるわけだ、科学技術庁中心に。そういう点も地方で知られていないんですよ、はっきり言うと。一般大衆じゃありませんよ。少なくとも科学技術研究開発、こういうものに関心を持っておる方々がみんなどっちかというと専門ばかなんだな。ある自分の専門については実に立派な知識、経験お持ちだけれども、周りからのそういう制度的な変化も含めて啓蒙をやっていただきたい。  もう一つ時間がありませんから最後に、あの京阪奈の話が出ましたから。ATR何回か行きました。日本語を英語へ、英語を日本語へ。どちらかというと、日本語を英語に自動翻訳する、もう十年近くかな、研究開発して成果を上げつつあります。この間行って、直接やっておる研究マンの人に、社長はこっちの方におったけれども、ATR研究所、社長だもんな、研究所長かと思ったら株式会社社長と。まあ社長は横におったけれども、この人に聞いてみたら、いや、英語から日本語へはイギリスでやっております、ドイツ語から日本語へはドイツでやっております、それぞれ相互に共同研究。これは共同研究はいいんですけれども、やっぱりドイツ語は二の次に置いても、日本語と英語、英語が日本語に自動翻訳、双方向ですから、少なくとも通信ならば当然に。それで、研究開発をやられておられたのだけれども、じゃ英語から日本語はどうなんだいと言ったら、イギリスの研究所でやっておられます。それなら、何で英国のそれをやっている研究グループのリーダーを日本に招致して、半年間ぐらいあのATRで一緒になってイギリスの方と共同研究できぬのかいと、こういうふうな私は素人発想ですが、思ったわけですよ。本当に生きた英国の、同じいわゆる音声の自動翻訳機の開発やっておられる英国の方に日本に来ていただいて、日本日本研究マンと一緒に。それで相互交換、より早くできるんじゃないか。これは私のちょっと思いつき、知恵でございますけれども。  時間がありませんから最後に、そういうこともATR任せでなくて、政策局からそういう提言をする、指示をする、それでどうだといって詰めてみる。そして、英国からの招待なら外務省とか何かいろいろやって加勢せにゃいかぬ、行政として。それはATRだけじゃできませんよ。そういうATRはATR、本省は本省、地方の電監は電監としての役割を今後ますますいろいろ組んでやっていかぬとせっかくの法律が、私は成果を上げにゃいかぬという思いがありますので、例えばATRの方はどういう案をお考えですか。
  22. 木村強

    政府委員木村強君) 先生に御指摘されますと、昔、事務次官のときに御指導賜った雰囲気を思い出しまして、身が震える思いでございます。  ただいま御指摘のございましたATRの音声翻訳研究につきましても、先生見学をしていただいたということでありますけれども、もう一九八六年から着手をしまして、これができれば、本当に日本として世界の中で日本人が外に出ていって言語によるハンディキャップを克服して大いに活動ができる、そういうものだということで非常に期待が高まっております。  現時点では、一九九二年には、もうホテル予約等の特定の場面においては定型の文章を音声翻訳することに成功したということでございます。それで、一九九九年には、特定の場面であれば自然な話し言葉についても音声翻訳する技術の確立のめどが得られておるということで、一定の場所であれば普通に話をすれば大体これはもう翻訳ができるめどがつくということで、着実な成果をおさめておる。これは私は非常に期待する分野だろう。これができれば、それこそ資金の回収なども大きな展望が開けるのではないかということで、長い目で見ていただきたいということでお願いをしておるわけであります。  この研究には、今先生指摘ございましたように、確かに日本語から英語というのがベースで研究されておりますけれども、逆に英語から日本語の基礎研究は既に今のATRでもやっておるということであります。基本的にはアメリカだとかドイツだとか一そういうところで共同研究という体制のようであります。  しかし、私どもATRの研究でも、私調べましたところ、米国、それからイギリス、ドイツ、フランス、オランダ、フィンランド、中国、インド、それからオーストラリアの九カ国から十六名の研究者を招聘して、現実に音声翻訳研究の中で今五十一名が研究に従事しておりますけれども、このうち、今申し上げました九カ国の方、十六名が参加、招聘されておるということで、五十一名中三割が外国人研究者ということになっております。そういう事実もございまして、私ども日本人だけでやっておるというわけではございませんが、今先生の御指摘もございました。本当に外国との関係も連携をとってやろうということで、これからいろんな場面でアドバイスもしてまいりたい、このように考えております。
  23. 守住有信

    守住有信君 ちょっと最後に一言。  一般の交流じゃなくて、相手の研究所のリーダーの人ですよ、リーダーでないと。一般の啓蒙運動的な留学生とかその他はあれせにゃいかぬから、それはやっておられるけれども、ここ十年。そのリーダーの人の招聘、これが私は一番大事だと。いろんなグループで研究開発をそれぞれやっておる、そのそれぞれの国、同じですよ、リーダーの人とリーダーの人。これの交流、情報交換をやっていただきたいということを最後にお願いしておきます。  終わります。
  24. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 平成会の魚住裕一郎でございます。  今回新たに新株発行方式のストックオプション制度導入という提案でございますけれども、この法改正の背景というか目的、これをぜひ教えていただきたいと思います。  特に、同じようなスキームであります通産省所管のいわゆる新規事業法、この新規事業法の中ではもう平成七年十一月からストックオプションをやっているわけです。先ほど来から御質問の中でお話ございましたけれども放送とか通信というのは近年最先端の事業である、また将来の雇用とかを考えても一番大事な分野である。そうでありながら、なぜ一年半ばかりおくれた形で今回このような改正案を出されているのか、その辺の背景というか目的についてまず教えていただきたいと思います。郵政大臣、お願いします。
  25. 堀之内久男

    ○国務大臣堀之内久男君) ただいま先生からも御指摘ありましたように、情報通信産業分野我が国のリーディング産業として大変大きな発展をいたしておるわけでございます。  そこで、私どもも、今後の産業構造改革推進するために新しいビジネス、いわゆるニュービジネス創出が極めて大事だと考えておる次第でございます。  米国においては、もう既にストックオプション制度が幅広く普及をいたしております。その結果、米国におきましては有力なベンチャー企業というものが生まれてきまして、今国際競争力の源泉となっておる、こういうように理解をしております。  アメリカ日本の店頭登録関係企業でありますが、アメリカはNASDAQと言っているそうですが、二十社の有力企業の中で約十六社がベンチャー企業、こういうことが言われております。日本の場合は、有力企業二十社のうちわずかに四社が情報通信産業であります。アメリカと比較いたしましても大変な格差があります。  私どもは、人材確保資金調達の困難性から、日本ベンチャー企業の発展が不十分であった、こういうように認識をいたしまして、このような状況を踏まえて、今回、次世代の我が国経済を担う通信放送新規事業を実施するベンチャー企業人材確保を円滑にするためにこのストックオプション制度導入する必要がある、こういうように判断をいたした次第でございます。
  26. 木村強

    政府委員木村強君) 通産省の法律との関係で、郵政関係はタイムラグがあったではないかということに対しましては、通産省は確かに、平成七年秋の臨時国会で先生指摘ございましたように特定新規事業実施円滑化臨時措置法の改正ということで法律を制度化されたところであります。  郵政省の場合には、当時はまだ認定会社も三社ということで非常に少なくて、私どもとしても現実のニーズというものは余り感じていなかったというところであります。しかし、最近の通信放送分野といいますのは、インターネットの爆発的普及というのはこの一年ぐらい目覚ましいものがありますし、さらにまたCSデジタル放送の開始ということで、これに関連をいたしますベンチャー企業というもののニーズが非常に顕在化してきたということで、私どもの役所の方にもそういった事業者からどうかというようなニーズがふえたということで問い合わせ等が多くなってございます。  そういう意味で、この一年ぐらいで特に情報通信分野というのは急激に発展をするというような分野でございます。そういう環境の中で早期に、やはり私どもも新しい時代を切り開く一つの大きな通信放送分野事業であるということで、時宜を失せずにやる必要があるということで、政府部内での調整では、法務省にお話をいたしましたが、通産でもう二年前にやったからということで非常に壁は厚うございましたけれども通信放送のそういった情報通信分野の特性というものをよくお話しして、これからの時代というものを展望して、法務省との折衝を経て、政府部内で調整をして提案をさせていただいた、こういうことでございまして、分野が異なりかつタイムラグがあったというのはそういう事情でございます。
  27. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 特定通信放送開発事業実施円滑化法というのは三つぐらいの分野に分けて事業を規定しております。一つ通信放送新規事業、二つ目が地域通信放送開発事業、三つ目が通信放送共同開発事業、この三つになっていますけれども、今回ストックオプション導入しようというのは一番最初通信放送新規事業という形で提案されているわけです。この三分野とも、やはり先ほど守住先生からも地方とか地域という問題もございましたけれども、どうして地域の開発事業とかではなくして、一番最初通信放送新規事業だけに限定して導入をされるのか、その理由を教えていただきたいと思います。
  28. 木村強

    政府委員木村強君) 今回のストックオプション制度は、商法の特例ということで導入をするということでございます。基本的には株主平等の原則ということに相反する面があるということで、その辺で慎重な対応が望まれるということは一つスタンスとしてございます。しかし、それ以上に実際のニーズが高く、かつ政策的支援の必要性が高いという事業につきましては、あえてこういつた特例をお願いしたいというのが私どもの考えでございます。  次世代の我が国経済を担うベンチャー企業といいますものは、そういう面でも非常にリスクが高いということで人材確保も非常に困難であるということで、早急にストックオプション制度導入することが不可欠だ、こういう状況の中で何から始めるかということで考えたわけであります。  地域通信放送開発事業というものもございますし、通信放送共同開発事業というものもございますが、地域レベルの地域通信放送開発事業といいますのは、新しいその新規事業を全国的に地方に普及をさせていくということでございまして、そういう面では地域においては新規でございますけれども、全国レベルではもう既にそういう事業がスタートをしておるということで、リスクの面から言えばフロントランナーではなくて二番手、三番手と。地域ではフロントでありますけれども、その新規性という面ではもう既に二番手、三番手のそういう事業であるということで、これには郵政大臣認定もかけておりません。あくまで金融支援のそういう措置があるだけでございます。  私どもといたしましては、本当に最初にスタートをするフロントランナーに対して、そのリスクが大きいけれども風に向かってやる、そのための一つ人材確保の手段だ、こういう形で制限的な気持ちも持ちながらぜひ必要な分野ということでこの分野に限ってお願いをしたということでございます。  それからもう一つ通信放送共同開発事業というものもございますが、これは高度な技術の企業化を複数の企業で行おうというようなものでございまして、実施主体としましては主として大企業が想定をされるということでございます。現実にはこの法律ございますけれども大臣認定というのは一件もございません。これからは新しい技術を使って大同団結して新しい展開というのが出てこようかと思いますけれども、現時点ではこの認定に対するニーズもなかったということで、あえて私どもとしましては通信放送新規事業に限ってこの制度をお願いした、こういう理由でございます。
  29. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 確かに我が国で初めてというようなこともあろうかと思いますが、だけれども、二番手、三番手といっても地域、地方にとっては新規だし、また逆に人材確保という面からすれば、やはり地域的な意味合いも多いんではないかと思いましてお聞きしたわけであります。  先ほど平成七年段階でこの新規事業認定会社は三社だというようなお話でございました。平成二年九月にこの法律が施行をされてから現在まで、各年度ごとどのような状況でこの認定がふえてきておるのか、その実績を教えていただきたい。
  30. 木村強

    政府委員木村強君) 通信放送新規事業認定実績数でございます。現時点で十一件でございます。  年度別で申し上げますと、平成二年度一件、平成三年度一件、平成五年度一件、平成八年度八件ということになっております。
  31. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 平成八年度が八件ですか、非常に急激にふえたというのが偽らざる実感でございますが、この理由はどういうところになりましょうか。先ほど何かインターネットが突然この年に爆発的にふえたというようなお話でございますが、もちろんインターネットは前からあるわけですから、それはどういうことなんでしょうか。
  32. 木村強

    政府委員木村強君) 例えば平成八年の十二月に認定をいたしておりますインターネットイニシアティブという会社がございます。これはインターネット接続を行うCATV事業者技術支援等を行うサービスであるといったようなこと。それからもう一つ平成八年の十二月にインターラクティブケーブル通信株式会社というものを認定いたしておりますが、これはCATV回線を借用して行う高速データ通信サービスといったようなこと。それからことしになりまして、二月でありますけれども、武蔵野三鷹ケーブルテレビ、これもCATV網を利用したインターネット接続サービスということです。  インターネットは普及しておりますが、CATVを使ってより安い料金でしかも高速でという、インターネットの普及に伴ってやっぱり不満感が出てくる。これをCATVをもって解消していこうということで、CATVインターネットとがドッキングした一つ事業というのはこの本当に数カ月の間に出てきた話だというようなことをもちまして、こういうニーズを踏まえてこういう会社から認定の申請を受けたというふうに理解をいたしております。
  33. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 この今回のストックオプション制度、これを導入する場合、導入した段階でこの認定会社というんでしょうか、どの程度ふえていくのかということなんですけれども、逆に言えば、今十一社というお話でございましたが、そういう認定会社からこういうストックオプション制度導入してくれよというような具体的な要請とか陳情とかそういうものがあったのかどうかということなんですが。
  34. 木村強

    政府委員木村強君) 既に認定をいたしております会社につきましては、まだストックオプションの法律も成立もいたしておりませんので、事前の申請の段階では特にストックオプションを意識した動きというのは聞いておりません。恐らくこの法律が通りまして施行されるということになりますと、既に十一の認定実績のある会社から、例えば大臣の変更認定をとりまして新たにストックオプション制度導入する会社も出てこようかと思いますし、それから、ストックオプションをねらってこの認定申請をしょうという会社も出てこようかと思います。  そういう面での問い合わせ等は役所の方に最近非常な数が出てきております。技術革新も非常に進んでおりますから、また新しい技術でいろんな動きの中で出てこようかということもありまして、具体的にじゃ将来どれぐらいになるかということは予測はできませんけれども、私ども行政に携わっておる実感からいたしまして、感触からいたしまして、相当な手ごたえはこの法律によって出てくるだろうということで期待をいたしております。
  35. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 通産省の方いらっしゃいますか。  先行されてこのストックオプション制度導入されておりますので、ちょっと参考にお聞きをしたいと思います。  平成元年に新規事業法をつくり、そして平成七年十一月にこのストックオプション制度導入されました。この新規事業法平成元年からで結構ですが、そちらも認定会社というふうになるんでしょうけれども、その推移というか、現在どの程度の会社認定会社となっておるのか、教えていただけますか。
  36. 立岡恒良

    説明員(立岡恒良君) お答えいたします。  特定新規事業実施円滑化臨時措置法、いわゆる新規事業法の運用状況でございますけれども先生指摘になられましたように、平成元年にもともと成立いたしまして、その際の法律上の措置と申しますのは債務保証等の金融措置であったわけでございますが、これを平成七年十一月に改正をいただきましてストックオプション制度導入したということでございます。  この四月一日現在までに認定件数のトータルは八十三件になっております。そのうちストックオプション制度を使うということで認定をいたしておりますものが十九件ございます。さらに、その十九件のうち、実際に株主総会でこの人にストックオプションの権利を付与しようという決議が行われているものが八社ございます。さらに、そのうち一社につきましては去る三月中旬に実際、大阪証券取引所二部特則に上場するというところまで来ております。  私どもとしては、今後とも新規事業の育成、発展のためにこの着実な実施に努めてまいりたいと考えております。
  37. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 一社公開になったというお話でございますが、差し支えなければこのストックオプション付与の時点での価額、それから上場時の株価は幾らだったんでしょうか。
  38. 立岡恒良

    説明員(立岡恒良君) 今ちょっと手元に数字を持ち合わせておりませんので、後ほど先生の方に御報告するなり何らかの形でさせていただきたいと思います。申しわけありませんでした。
  39. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 この約二年というか二年弱というか、やってこられて、通産省としてこのストックオプション、新株発行方式でございますけれども、どういう問題点があるのか。もちろん問題点がないと言えばないで結構なんですが、あるいは、さらに今後配慮すべき点というものがおありでしたら教えていただけますか。
  40. 立岡恒良

    説明員(立岡恒良君) 立法当時、御議論ございましたように、基本的には商法の特例ということでございますので、他の株主との関係でその利益の保護をどうしていくかといったあたり制度的な問題を担保することについていろいろ議論があったわけでございます。そちらにつきましては、例えばディスクロージャーを充実するとかといった措置を講じたわけでございまして、法律ができましてから一年数カ月しかたっておりませんで、先ほども申し上げましたように、実際に上場までいきましたのはまだ一件でございますので、いずれにいたしましても、我々この運用状況はしっかりフォローアップしていきながら、将来に向けて課題を引き続き発掘していきたいと考えておりますが、現時点で特に問題があったというような認識は当方としては持っておりません。
  41. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 先ほどの一社の例、約三十万ぐらいの市場価格がついたというふうに聞いておるんですが、大成功例だと思うんです。これがまさにこのストックオプション制度の意図したところであるし、またそれを見ることによって従業員あるいは役員が会社の業績アップに大変努力する、そういうインセンティブを付与することができる。  逆に、公開しても、その後値下がりをするということも当然あるわけでありまして、幾ら従業員とか役員が努力しても、株価は全然違う要因で変動をすることももちろんあります。株価が下がれば、本来インセンティブを付与するというその目的さえも逆に作用すると思われるんですけれども、その点の配慮はあるんでしょうか、通産省。
  42. 立岡恒良

    説明員(立岡恒良君) ストックオプションという名のとおりオプション権でございますので、将来その株価が下がった場合にどうなるかということにつきましては、まさに先生指摘になられましたように、値上がりした場合に得られるであろうキャピタルゲインがないという状態が生ずるわけでございますけれども、ただ、それは決して下がった分の損をこうむるということではなくて、あくまでもその時点で、オプションとして権利を行使するかどうかは付与された人間の自由だということでございますので、そういった意味でマイナスが生ずるということではないのではないかというふうに理解をいたしております。  ただ、いずれにいたしましても、この制度、新しいビジネスを起こしていく際に、やはり技術、人、お金という三つのネックが新規事業にある中で、なかなかその人材を引っ張っていく上では困難だということでございますので、現在私どもで運用いたしますもとにおきましても、やはりそのストックオプション制度を使いたいという要望は幾つか来ておりまして、現在審査中あるいは審査予備段階といったものも多うございます。そういった意味では、やはり社会のニーズは多いのではないかというふうに認識をいたしております。
  43. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 もちろん、下がったら別に権利行使をする必要はないんですが、権利行使した後、本来このぐらいの家が買えるんじゃないかとか、アメリカの事例を見ますと、楽しみにしていたものが泡と消えちゃうと、そういう事例もあるというふうに聞いているんです。そういう意味でのフォローはどうかという趣旨でお聞きをいたしました。答弁、結構です。  次に、法務省の方いらっしゃいますか。  先ほど保坂先生から質問がございましたけれども、自民党の法務部会の動きは、それはそれとして承知をしておったんですが、四月四日の夕刊を見てびっくりしたんですが、総理が大蔵大臣と法務大臣に対して、改正案づくりで与党側に協力するようにというような、そういう新聞記事が載っておりました。この指示というのは、今議論しているこのストックオプションとはどういう関係にあるのか、教えていただけますか。
  44. 菊池洋一

    説明員(菊池洋一君) お答え申し上げます。  今、魚住委員指摘のとおり、ストックオプション株式会社であればどこの会社でも使えるようにするという意味での一般的な導入を図る、これは商法の改正ということになります。私ども役所の立場といたしましては、役所として検討をして、できるだけ早く結論を得て国会に関係法律案を御提出させていただきたいというふうに考えてきたところでございますけれども、今の問題につきまして、議員立法で事を進めようというお話が進んでおるということはお聞きをしているわけでございます。ただ、議員立法というお話でございますので、その具体的な内容ということにつきましては十分承知をしておりませんので、現在御審議をいただいておりますこの法律案との関係がどうなるかということについてはお答えを差し控えさせていただきたいと思いますが、仮に、政府提案という形でということであれば、ストックオプションを一般的に導入する手法は、複数の選択肢があり得るというのが私どもの考え方でございます。  今回は新株の有利発行、要するに時価よりも安い価額で新株を発行するという手法を活用されているわけでございますが、それとは違う手法で一般的な制度を組み立てるということになりますと、論理的に二つの制度は両立し得るということになるのではないかというふうに考えております。
  45. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 政府としては、三月二十八日に閣議決定規制緩和推進計画の再改定についてということで発表をされました。先ほども御紹介ございましたけれども、その証券部門の中で法務省のことが出ております。「ストックオプション制度の一般的導入」ということで出ておるんですが、この中では、特定新規事業に関する新株有利発行制度の運用実態調査を行って、その調査結果を踏まえてこのストックオプション制度のあり方について検討に着手をする。検討の結果、商法改正が必要であれば、法制審議会の審議を予定しています。平成十年度に早期導入するというようなお話でございますが、今答弁された内容というのは、新株発行以外のやり方、ここに書かれていること、そういうことでよろしいんですか、そういう理解で。
  46. 菊池洋一

    説明員(菊池洋一君) 私どもといたしましては、今御指摘のとおり、政府規制緩和推進計画の再改定におきまして、ストックオプションを一般的に導入するということについて九年度中に結論を得て十年度には導入するということになっておりますので、それに沿って検討を早急にいたしたいというふうに考えてきたところでございます。  具体的にどういう手法でストックオプション導入を図るかということにつきましては、まだそれほど詰めて検討いたしておりません。ですから、新株の有利発行という手法も一つの選択肢かと思いますけれども、そのほかの可能性も十分にあり得るということでございます。
  47. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 現段階での法務省の立場はわかりました。  ちょっと議論が戻るんですが、郵政省通産省、このストックオプション制度導入について、もちろん法務省と御相談の上されているわけでございますが、なかなか法務省の方はシビアな印象を、後でお話を伺うとそういう印象を受けます。確かに私も、この株の問題というのは非常にうさん臭いというか、すぐそういうような感じを持ってしまうんです。例えば、今の新株発行ということであれば、これは要するに未公開株ということでありまして、値上がりというふうに考えれば連想的にリクルート事件をまた思い出してしまうという側面もございます。また、新株発行の方式ではない、要するに自社株、自己株式というような方式をとれば株価操作というかそういうふうにも連なっていくわけであります。  もちろん、先ほどお話出ておりましたけれども、この自社株取引というのは一九二九年の大恐慌の再発防止策としてアメリカでとられて、その後ストックオプションという形で発展してきたように聞いておりますし、また自社株取引のおかげで一九八七年十月のニューヨークの株価暴落、これを二日でとめたというようないい面というか、積極面も当然あるわけです。しかし、きのう夕刊を見て、この株価に関連する記事として鈴丹の自社株売り抜け云々というような記事が載っておって、名古屋地検特捜部が東海銀行の方から事情聴取をしたというような記事が載っておりました。非常にうさん臭さを感じてしまうんです。  また、商法の大原則であります株主の平等原則でありますとか、あるいは資本充実原則があるから自己株式取得は禁止され、さらに有利な第三者発行は特別決議に付されると、そういう手当てをやってきたと思うのであります。だから逆に、ある意味では今までの法務省のシビアなスタンスというのは私としては理解をし得るところでございますけれども、なぜゆえ二年前の通産省の新規事業法、そして郵政省の今回のこのストックオプション、オーケーというか、ゴーサインを出されたのかということを教えていただきたいのですが。
  48. 菊池洋一

    説明員(菊池洋一君) 新規事業法、それからいわゆる開発法につきましては、いずれも新株の有利発行、これは商法でも認められている制度でございますが、その特例を定めるという手法でございます。  具体的には、新株の有利発行をするためには株主総会の特別決議が必要である、ただしその効力は決議後六カ月という限定が商法についておりますが、商法の特例として、六カ月間という期間を十年間に延長するということが特例になっているわけでございます。そういう特例を設けますことにつきましては、委員指摘のとおり、株主の権利という観点から問題なしとしないというのが私どもの考え方でございますが、いわゆる新規事業あるいはベンチャー企業資金力が乏しいために人材を採用することが非常に難しいという実情がおありのようでございますので、ストックオプション導入することによって必要な人材確保することができるようにして、そういう形でベンチャー企業の育成を図るという政策目的を実現するために商法の特例を認めるということで、最初通産省と、それから今回は郵政省お話をしたわけでございます。  その新しい仕組みの中では、株主の権利の保護が図られるように、先ほど郵政省からも御答弁ございましたとおり、ディスクロージャーであるとか、それから株主総会の決議もストックオプションといいますか、新株の発行を受ける者ごとに人を特定して決議してくださいという形で、株主の意思に基づいてこの制度を運用していくという形で、弊害が起こらないような手当ても盛り込んでいるわけでございます。
  49. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 がっちり枠をはめてというような印象を受けたんですけれども、その枠があるから実務界ではいろんな隘路を使って工夫されていると思います。  本来ここで聞くようなお話じゃないかもしれませんが、先ほど言葉が出ましたので。ワラント型ストックオプションというようなことがかなり出ております、先ほどもソニーというような名前が出ましたけれども。物の本によりますと、もう既に昨年の暮れまでの段階で三十二事例ぐらいあるようなんです。いずれもそんなに大手ばかりではなくして、かなり先端に行かれている会社、一生懸命やっているところが利用されている。まさに先ほど来出ている人材確保あるいは労働に対するインセンティブということを図っているわけでございますが、これについて法務省はどのような御意見がありますか、あれば教えていただきたい。
  50. 菊池洋一

    説明員(菊池洋一君) 今御指摘のワラントといいますのは、新株引受権付社債、俗にワラント債と言われているものを活用してストックオプションを結果において実現しているという例だろうと思います。ワラント債といいますのは、ワラント部分と社債部分とを分離することができるということに商法上なっていますので、一たんワラント債を発行して、その後ワラント部分だけ分離をしてストックオプションとして活用するということではなかろうかと存ずるわけでございます。  ただ、これはワラント債の本来の使われ方ではないのかなというのが率直な感じでございますので、実務界でこのワラント債を活用してストックオプションとして利用するというニーズがあるのであれば、そういうことも踏まえまして、私どもとしてストックオプションの一般的な導入を図る際の検討に当たっては考慮いたしたいというふうに考えております。
  51. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 概要は大体わかってまいりました。  それで、また法案にちょっと戻りたいと思うわけでございますけれども、まず人材確保ということでございました。当該事業の実施に必要な人材確保することを円滑にするためにというお話でございましたけれども認定をして、そしてその後またこのストックオプション制度を使うという形になってきますと、その認定事業に係る人材はどの辺まで含むものなのか。開発者というか技術者というのは何となくイメージとしてわかるんですが、それを支えるいろんなスタッフがあると思いますが、その外縁というか、どの辺まで含むのか、教えていただきたいと思います。
  52. 木村強

    政府委員木村強君) 開発法通信放送新規事業認定を受けた実施計画に基づきまして、当該事業を実施するために必要な人材ということであります。例えば、当該事業の実施に必要な専門知識を有する技術者、それから経営管理者であるとか営業担当者等も可能性としては考えられるということでございますけれども、申請に当たりまして新規事業というものに着目をして、その事業展開していくのに必要な人材であるということが私どもとしてわかればいいという判断でありまして、後は株主総会が、具体的にその人がその会社事業にとって必要かどうかというチェックを株主総会で個人名でされるという仕組みになっているというふうに理解しております。
  53. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 そうすると、大きな会社ということは、その新規事業ではない他の部署の人材はいけないということですね。
  54. 木村強

    政府委員木村強君) そのように考えております。
  55. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 それから次に、「特に有利な発行価額で」という文言がございます。この意味内容をお教えいただきたいと思うわけであります。  商法の有利発行を議論する場合には、特に有利なといった場合、公正な発行価額との対比で考え得るわけでございますけれども、公正なというその中身は、通常、取締役会の新株発行決議の日の前日の終わり値、これを基準にして有利かどうかということを考えるというふうに私は思っておりますけれども、今回の条文でいえば、どの時点を基準にして有利か否かということを判断されるのか、その意味内容を含めてお教えいただきたいと思います。
  56. 木村強

    政府委員木村強君) 改正法の八条一項に、先生指摘ございましたように、「特に有利な発行価額」という文言がございます。この「特に有利な発行価額」といいますのは、実際に新株が発行される公開後の時点におきます当該会社の想定の時価と比較をいたしまして特に有利という趣旨と理解をいたしておりまして、これは具体的には会社が判断をされるということでございます。  なお、通常、公開によりまして額面の二十倍以上の株価がつくというようなことも想定をされます。ストックオプションの付与時に会社が特に有利な発行価額と判断する範囲は相当程度広いというふうに理解をいたしております。
  57. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 そうしますと、もちろん未公開株でございますけれども、その未公開株なら未公開株としての発行時というか権利付与時の株式の低額ということが計算できるわけです。それより高くても全然問題ないということですね。そう理解していいんでしょうか。つまり、客観的に計算できる株価よりも高い価額で権利付与をする。そうすると、特に有利なとは言えないわけで、将来何十倍かになった、その予想される価額から見れば特に有利なと、そういう意味でしょうか。
  58. 木村強

    政府委員木村強君) おっしゃるとおりでございまして、これは未公開会社に限るということでありますから、権利付与の段階では当然その価額は非常に安うございまして、それを想定して株主総会で理由を開示して、AさんならAさんに幾らの価額でという権利を決議するわけであります。その後会社努力をして株の公開があれば、これは通常、努力の結果公開ができる基準に達しているということですから、市場がこれを歓迎して株価が上がるということでありますから、先生指摘のように、上がるということを想定しておるということが前提でございます。
  59. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 次に、改正案八条の第五項ですか、十年という期間が書いてあります。どういうところがらこの十年という数字が出てきたのか、教えていただきたいと思います。
  60. 木村強

    政府委員木村強君) 認定会社が店頭公開をし、ストックオプションを付与された者が権利を行使するのに必要と考えられる期間ということで、株主総会の特別決議の有効期間を十年というふうにしたというのが内容でございます。これがいわゆる現在六カ月と定まっております商法の一般原則の特例という意味であります。  この十年ということを決めた私どもの要素でありますけれども一つには、我が国におきます最近の企業の創業から店頭公開に至るまでの期間が約十二年余りであるということ、それから、私ども開発法に基づきます通信放送新規事業の既存の認定会社会社創業から認定までの期間というのが大体平均で約四ないし五年であるということで、認定をしてから十年ぐらいまでの間に店頭公開に至っておると、そういう事実関係を判断要素に入れたというのが一つでございます。  それから二つ目は、未公開企業に投資をし、公開によるキャピタルゲインを得ることを目的として投資事業組合というのが存在をいたしておりますけれども、この契約期間も実務慣行上十年間というふうになっておるということで、要するに新規事業の育成というのは大体十年のスパンで見ておるというような実態があるということであります。  それから第三点目には、米国におきましてもストックオプションの権利を行使できる期間というものは十年を例としておるものが多いというようなことであります。  さらに、通産省の新規事業法におきましても十年ということで、政府としてもこの期間というのは合理的なものだろうということで、私どももこの十年というものを判断の基準にしたということでございます。
  61. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 ある雑誌を読んでおりましたら、先行実施されている通産の新規事業の事例の中で、ストックオプションを活用して事業を伸ばすというような、そしてそれが成功した事例が載っておりました。ただ、その中で、社長のコメントがあったと思うんですが、うまく進んできた、早く店頭公開あるいは上場して株式公開による資金調達をしたいと、しかし一方では、この法律案では未公開会社が大前提でございます。一方では人材確保をしたい、これを使って人材確保をきちっとしていきたい、また離職率を大幅に低下して人材をずっとこの会社で頑張ってもらいたいという両方の要請がある。痛しかゆしというような話が載っておったんでございます。  この八条の第二項、未公開会社に限るというようなところ、この辺のフォローについては郵政省としてはどのようにお考えでしょうか。
  62. 木村強

    政府委員木村強君) 一般的に、新しくベンチャー企業を起こして立ち上がる段階のハイリスクというものに対する支援の一つだということを念頭に置いて、この法律についての折衝をしてまいりました結果でございまして、立ち上がって立派な会社に持っていこう、そのインセンティブを経営者あるいは従業員に与えるというのが眼目でございますので、立ち上がり期の風当たりの強い困難な時期に対する人材、インセンティブ、こういうところに眼目があるということでそういう法制になっておるというふうに理解しております。
  63. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 ちょっと細かいところで恐縮でございますけれども、この八条の三項において「発行済株式の総数の五分の一を超えることができない。」とあります。この五分の一というのはどこから出てきたのか、お教えいただきたいど思います。  通産省の方のいわゆる新規事業法ではたしか三分の一だったと思うんでありますけれども、あえて三分の一じゃなくして五分の一にした理由。逆にいえば、まずいような事例があったのかどうか、あるいは違う配慮から出たものか、お教えいただきたいと思います。
  64. 木村強

    政府委員木村強君) 新株の有利発行に係る株主総会の決議の有効期間について商法の特例を設けることによりましてこのストックオプション制度導入しようというものでありますが、この法律におきましては、ストックオプション導入に関する情報開示の徹底等、株式希薄化への対応策を講じているところであります。あくまで特例ということで、商法の例外措置でございます。株主公平の原則に反する例外措置であるということですから、必要以上の株式の希薄化によりまして一般の株主が不利益をこうむるということをやはり防止しなければいけないということで、ストックオプションの付与総数を一定の限度に制限するというのはそこにございます。  それで、次にその総量制限の具体的な数量はどうかということでありますけれども通信放送新規事業はいわゆる装置産業であるということで、いわゆる認定会社の資本金規模も、すなわち発行済み株式総数でありますけれども、大きくならざるを得ないということで、通産省の新規事業法認定会社の資本金と比較をいたしましても、私ども認定をいたしております会社の資本金規模というのは大きくなっておるということでございます。  したがいまして、人材確保策として有効に機能するには、新規事業法の三分の一よりも小さい範囲でこれは調和を図らなけりゃいかぬわけでありますので、新株ということでストックオプションとして使われる株が余りに多くなり過ぎても株式の希薄化を招く、既存の株主あるいはこれから将来の株主にも損害を与える。余り大きくなり過ぎてもいかぬし、余り少な過ぎても人材確保というために使うストックオプションの数が少なくなるということでありまして、私ども事業は資本金規模が大きいものですから、母数が大きいということで、むしろ通産省よりはストックオプションに充てる新株の発行数というのは少ない方が調和の観点から妥当であろう、こういうふうに判断をいたしまして、発行済み株式総数の五分の一の範囲までストックオプションを付与し得るということがふさわしいだろうということで、あくまで通産省のおやりになった数字に問題があるということではなくて、それぞれの認定をいたしております、あるいはストックオプション導入しようとする会社のこれまでの実績等からして合理的な判断をした結果だというふうに考えております。
  65. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 大体概要はわかりました。  先ほどお話が出ましたけれども、このストックオプション、どうしても商法の株主平等原則との関係で特例を設けるという形になるわけでございますけれども、今回の改正案の中でこの平等原則についてどのような担保措置というんでしょうか配慮がなされているのか、お教えいただきたいと思います。
  66. 木村強

    政府委員木村強君) 株主総会の決議以降に当該認定会社に出資しょうとする投資家等がストックオプションの権利行使によりまして財産的な不利益をこうむるおそれがあるということを考慮いたしまして、当該認定会社株式を取得するかどうか判断する際に、認定会社ストックオプション制度導入していることを認知し得るよう情報の開示を徹底するという仕組みになっております。    〔委員長退席、理事陣内孝雄君着席〕  このような考えで、情報開示を定款であるとか株券へ記載をする、それから認定会社及び郵政省におきます公衆縦覧を行う、それから官報公示等の手段により徹底を図るということで、将来の株主に、その会社ストックオプションを採用しておるということによる不測の損害といいますか、それを知らなかったということによる不利益がなくなるように情報開示を徹底するということであります。あくまで将来の株主に対する対策ということであります。  ストックオプションを発行するかどうかという面では、そのときの株主総会で決議をするわけでありますから、株主の責任においてストックオプション制度導入するかどうか決められるわけですから、その時点で損害はなくなる、このように理解をいたしております。
  67. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 非常に大変な配慮をしながらこの新しい制度導入せんとしているわけでございますが、また一方で、先ほど来話が出ておりますが、このストックオプション制度の一般化という動きが出ております。法務省の態度はまだこれからということでございますけれども、この新株発行方式あるいは自社株方式、どういう形になるかわかりません。また、閣法で出てくるのか議員立法で出てくるのかわかりませんが、このスキームと同じような制度がその中で一般法として出てきた場合、この法律案はほとんど意味をなさないというふうに私は感ぜられるわけでございます。将来もしこれとほとんど同じような、さらに自社株方式も付与されたような、そういう大きなストックオプション制度が採用になった場合、この法律案は廃止というか、このストックオプション部分については廃止するというふうに考えていいんでしょうか。
  68. 木村強

    政府委員木村強君) 将来、商法の改正によりましてこのストックオプション制度が一般化されるということにつきましては、私どももその方向につきましては歓迎をしておるところであります。郵政大臣が個別に認定をして特例措置でやっていくというよりは、むしろこれからの経済活性化には、アメリカ等で普遍的に見られておりますように、こういう制度導入されておるということは新規事業あるいは通信放送事業の発展からも非常に大切なことだろうということで、私どもとしては基本的には歓迎をするという立場でございます。  どのような形で一般的な商法改正によりますストックオプション制度導入されますかどうかは承知をいたしておりませんが、私ども、現下の事情では非常にニーズが高いということで、一刻も早くこの法律を成立させていただきますれば、そのニーズに対応できる。しかも、この法律では税制の特例措置なども既に国会で可決をいただいておりまして、この法律に従ったニーズに的確に対応できるようなものであろうというふうに考えております。  特例部分がなくなるというようなことになるのかどうか、これは予測はつきませんけれども、全体的には整合性のある中で私どもの本来の新規事業が立ち上がるという形ができれば、必ずしも郵政省の特例措置にこだわるものではない。  ただ、通信放送新規事業の特例、あるいはそういった特徴点を勘案した法制度というものが一般法でできるかどうかというのは、私どもも必ずしもそのようなことにならないのではないか。やはりそれぞれの事業の特性というものが通産なり私どもの法律で生かされる部分があれば、これは非常にありがたいことだ、このように考えております。
  69. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今の局長お話を伺っておりまして、非常にこの放送通信分野は一生懸命やっておられ、またかつ、この事業を大きく育てていくそのパイオニアというか、そういう気概で取り組んで一生懸命やっておられる、そういう感じがいたしました。この制度自体、私は非常に有効に生きてくるのではないか。    〔理事陣内孝雄君退席、委員長着席〕  また、先ほど通産省の方からお聞きしましたけれどもストックオプション制度導入した後の方が認定会社が急増したということもございますから、先ほど守住先生からもございましたけれども、この制度の周知徹底というかPR、これをぜひ図っていただきたい。特に、技術者というのは情報に疎いというか、そういう側面がございますのでお願いをしたいと思いますが、この点につきまして何か新たな措置というか方法を考えておられているのかどうか、教えていただきたいと思います。
  70. 木村強

    政府委員木村強君) この法律を議論いたします前段階で私ども内部で議論をいたしました。先ほど日経新聞のアンケート調査にも、御紹介いたしましたように、三二%の方がこういうストックオプション制度になじみがないということでございまして、恐らくこの法律ができて、今情報通信というのは各方面に非常に関心を持たれております。そういう中で、一つ施策だということで、私どものPRの仕方によっては本当に起爆剤の大きな一つのツールになるという可能性を秘めた施策でございますので、あらゆる知恵を絞ってこのPRに努めてまいりたいというふうに考えております。  今、特に具体策をこうだということではございませんけれども先ほどお話もありましたけれどもアメリカでは、ベンチャーというのは、大学の中で研究者が即事業化を図っていくというような、学と産との連携みたいな形の中でのベンチャー企業というものが非常に盛り上がっておるということもございますので、各大学であるとかそれから各企業であるとか、それから中小関係であるとか通産省ともタイアップをいたしまして、こういった情報通信を含めた新規事業立ち上げについてひとつ大きなキャンペーンを図って、情報通信の起爆剤と、閉塞感のある今の国の状況だと言われておりますので、こういった新しい施策を使って情報通信というものについて世の中に展開をしてまいりたい、このように考えております。もちろん、ホームページなども積極的に利用したい、このように考えております。
  71. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 終わります。
  72. 三重野栄子

    三重野栄子君 社会民主党・護憲連合の三重野栄子でございます。  今回の法改正につきまして質問をいたします。  私は、通信放送新規事業者が新しい事業、新しい技術、それも普通の技術ではなくて本邦初公開というようなすばらしい技術を持っている、これを事業化したいと考えている起業家たちに手厚く支援をしていこう、あるいは従来の金融的措置法以上の今度の制度によって新しい人材確保にプラスする、そういうふうに理解をしながらこの法案に賛成をするところであります。  しかし一方におきまして、米国におきましては、先ほどお話ございましたけれどもストックオプション制度を活用してベンチャー企業成功をおさめているということでございます。米国は今、労働者ばかりではなくて、学校あるいは企業役員クラスもちゅうちょなく他企業へ移るというような状況もございますので、人の動きが、自由と言うと語弊があるかもわかりませんが、大変激しい雇用環境であろうというふうに思います。ですから、ストックオプション制度というのを活用してベンチャー企業人材を集め成功している、そういう素地があるだろうと思うんですが、日本の場合はまだまだそういうところに行っていないのではないか、そういう点から質問をさせていただきたいと思います。  今申しましたように、我が国ではまだ終身雇用制というのが大勢でございまして、雇用関係、労働者意識が米国と相当異なっている中でストックオプション制度導入をするわけでありますけれどもベンチャー企業がどれほど活性化できるか、どのように分析しておられるかということを伺いたいのでございます。  米国我が国の店頭市場における登録社数等の現況を含め、御説明いただきたいと思います。
  73. 木村強

    政府委員木村強君) 先生指摘ございましたように、終身雇用といいますか長期雇用、年功序列を基本とする我が国と、契約雇用あるいは業績主義を基本といたします米国とでは雇用環境等が相当異なっております。  また、ベンチャー企業を取り巻く人材環境面でありますけれども日本は横並び、協調重視の教育システムである。アメリカはこの点個性重視の教育システムである。概括的なお話でございますので御了承願いたいと思います。  それから、日本は平均志向である、ゼネラリスト志向である。それに対しましてアメリカはナンバーワン志向である、あるいはプロフェッショナル志向である。  三つ目は、今先生指摘ございました雇用環境でありますけれども、終身雇用あるいは年功序列の人事報酬システムが一般化しておる。これに対しましてアメリカは契約雇用、業績主義の人事報酬システムである。  それから、日本ストックオプションは原則禁止されておる。これに対しましてアメリカストックオプション人材確保の手段として広く普及をしておる。  あるいは、五番目でありますけれども、したがいまして企業間の人材の流動性は日本は極めて低い。それに対しまして米国は流動化が進展をしておるといった、人を取り巻く環境でもこのような環境の相違がございます。  その中で、私どもも、昨今次のような変化が我が国においても見られておるということで、いろんな調査によりまして分析をしております。  一つは、労働省の雇用管理調査でありますけれども、これによりますと、企業の今後の人事・労務管理の基本方針については、能力主義が年功序列主義を上回っているということであります。また、総理府の勤労意識に関する世論調査によりますと、労働者側でも年功序列制から能力中心の賃金制度への切りかえを好ましいと思う傾向が高まっておるという流れが出ております。それから、経済企画庁の国民生活選好度調査というものによりましても、若年層ほど高い能力発揮のための転職意向が強いという結果も出ております。  このように、基本的な環境先ほども申し述べたとおりでありますけれども、今のような状況で、我が国雇用環境につきましても、終身雇用、年功序列から、順次、米国型の雇用契約あるいは能力主義への移行が進んでいくと考えられておりまして、労働市場全体の流動化の動きと相まちまして、ストックオプション制度導入が大企業からベンチャー企業への人材移転を促進する一つのインセンティブにもなるのではないかというふうに考えております。  ベンチャー企業の最大の問題点人材確保ということでありますので、人材確保ストックオプション制度というのが一つの大きな起爆剤になるんではないかという期待でございます。  それから、こういったストックオプションをめぐります米国我が国の店頭市場におきます状況でありますけれども、一九九五年末現在で、日本米国の店頭市場の規模等を比較いたしますと、日本はいわゆる店頭市場ということでありますけれどもアメリカではNASDAQというのがこれに当たりますが、それで比較をさせていただきますと、これらに登録されております会社の数につきましては、米国は五千百二十二社でありますが、日本は六百七十八社ということで、米国日本の約八倍となっております。  それから、年間の売買株式数でありますけれども米国は一千十二億株でありますが、日本では二十四億株ということで、日本の四十二倍の株の取引がここで行われておるということであります。  さらに、時価総額につきましては、米国は百十七兆二千億ということでありますが、日本ではこの分野では十四兆六千億ということで、日本の約八倍という時価総額を持っておるということで、米国のNASDAQは日本の店頭市場に比べまして規模がはるかに大きく、取引も活性化をされておる、そういう市場だと言えます。  この店頭市場におきます情報通信関連に特化をいたしまして見てまいりますと、登録しております会社の数では、情報通信関連の会社でありますけれども米国が千二百社で全体の二三%が情報通信関連だということでありますけれども日本は八十社で全体の一二%となっております。  それから、時価総額に占めます情報通信関連企業の割合は、米国が三五%でありますが、日本は約一八%ということであります。先ほど大臣からも御答弁ございましたが、米国の場合、時価総額上位二十社のうち十五社までがマイクロソフトであるとかインテルなどの情報通信関連企業で占めておるということであります。ところが、日本はソフトバンクなど四社ということであります。  このような状況でございますので、高い成長を遂げて株式公開する情報通信ベンチャー企業というのが極めて日本は少ないというのが実情だということで、アメリカ経済成長一つの大きな牽引力情報通信関連ベンチャー企業だと言われておる実態が浮き彫りになってくる、このように考えております。
  74. 三重野栄子

    三重野栄子君 これからの情報通信のリーダーシップをとるために大変意気込みを感じるわけでございますけれども、今伺いますと、非常にアメリカ日本の差は大きいわけであります。追いつけ追い越せという言葉は余り好きじゃありませんが、これからに向かって、何年ぐらいするとどれぐらいのところまで行くと見当をつけておられましょうか。
  75. 木村強

    政府委員木村強君) 日米の比較を申し上げましたが、我々としてはそれでアウトというんじゃなくて、これからさらに頑張ろうということで、そのような気持ちで取り組ませていただきます。  しかし、米国ベンチャー企業成長、発展が活発化しておりますのは、単にストックオプション制度だけではなくて、恐らく私ども判断いたしますに、個人投資家や、エンゼルでございますが、ベンチャーキャピタルによる資金供給面でもアメリカは非常な太い線が出ておる。それから、いわゆる起業家、そういう方々を輩出する社会風土は先ほど申し上げたとおりであります。それから、大学を中心とした商用化を目指した技術開発ということで、大学との連携というのが非常に、ああいったシリコンバレーで見られますように、大学の学生が研究開発したものをすぐ事業化に持っていく、そういう立ち上げ一つの大きなルートみたいなものがあそこでは定着しておるといったようなことだと思います。  そういうことなども考えますと、私どもなかなか人的、資金的あるいは技術的に、九年度からはひとつニューベンチャー情報通信関連の企業に大きな総合的な政策を打つんだ、あるいはその施策が認められた、こういうことで私ども意気込んでおりますけれども、まだまだアメリカと比べますとやるべきことも多いし、環境整備についてはおくれているところがあるという認識であります。  いつごろまでにということはなかなか断定はできませんけれども、こういう風土、流れが出てまいりますと、日本というのは案外一気呵成に動いていくということもございますし、それから、全体で閉塞感があるようなところに一つの突破口があればかえって集中力も出てくるというようなことで、私どもとしましては、何年というわけにはいきませんけれども、ひとつこの点で持ち場持ち場でしっかりした流れをつくっていきたい、このような気持ちで考えております。
  76. 三重野栄子

    三重野栄子君 それでは、ストックオプションと類似のインセンティブを付与する場合に株保有方式というものもあると伺っておるんですけれども、今回、新株発行方式をおとりになったその理由につきまして伺えたらと思います。
  77. 木村強

    政府委員木村強君) いわゆる成功払い報酬制度ということでございますけれども、これには幾つかの方式がございます。  一つは、ただいま私ども御提案申し上げさせていただいております新株発行方式であります。これは、会社が契約により役員等ストックオプションを付与し、権利行使があれば新株を発行して対応しようというものであります。  それから、自己株式取得方式というのがございます。これは会社が契約によりまして役員等ストックオプションを付与し、権利行使があれば会社があらかじめ市場等から取得しておいた自己株式を譲渡するものということでありますけれども先ほどからお話出ておりますように、これは現下の商法のもとではできないということで、我が国では例がございません。  それから、ワラント債方式というのがございます。これは疑似ストックオプション方式と言われておりますけれども会社が新株引受権付社債、いわゆるワラント債でありますけれども、これを発行し、会社が分離後のワラント部分を買い戻しましてこれを役員等に支給する方式だということであります。これは、現時点ではソニーだとかコナミであるとか三十社程度が導入をいたしております。  こういった成功払い報酬のいろんな方式につきまして、私どもどういう方式がふさわしいかということで検討したわけであります。まず私どもの眼目と申しますのは、主として資金力の乏しい未公開ベンチャー企業人材確保を円滑化するというのが目的でございますので、その点から判断をいたしますと、自己株式取得方式というのは市場等から自己株式を調達することが必要であるということでありますので、会社としてはお金が要るわけです。今回対象としております未公開ベンチャー企業では必要な株式を調達することが困難な場合があるということで、しかもまだ未公開段階でありますから、会社のお金で株式を買って、それを人材のために充てるというやり方には無理があるだろう。  それから、ワラント債方式でありますけれども、ワラント債というのは社債でありますけれども、これを発行できる信用力のある企業に限られるということであります。それと、社債を発行いたしますので社債発行コストがかかる。会社がお金も持ち出さなきゃいけませんし、既に信用力がなければこういつた社債は発行できないというようなことがございますので、資金力の乏しい、これから伸びていこうという会社にとってはこのやり方は不向きであろうということでございます。  そういったいろんな点を勘案いたしまして、この新株発行方式でございますと会社はお金を持ち出すことなく立ち上がっていけるということでございますので、最も利用しやすい、立ち上がり期の会社を支援する方式としては今回御提案申し上げております新株発行方式によるストックオプション制度が最もふさわしいものではないか、こう考えたものでございます。
  78. 三重野栄子

    三重野栄子君 先ほどベンチャー企業として通信放送新規事業認定された分は十一件というふうに伺っておりますんですけれども、その場合、大企業関連の会社とかその子会社とか、その内容につきましてわかっておりましたらお尋ねいたします。
  79. 木村強

    政府委員木村強君) ただいまの御指摘につきましては、通信放送事業分野というのは装置産業的な面があるということでございますので、独立系のベンチャー企業でありましても新規事業の実施のためには大企業等からの外部資本を導入せざるを得ない。装置産業でございますので、自己資本だけで立ち上がるというのは非常に難しい分野だ、そういう面がございます。  したがって、認定をいたしております会社ストックオプション制度を採用されるかどうかはこれからでありますけれども、現在認定をいたしております会社を見ますと、大企業の関連会社となっているものもございますし、資本金規模も一般の中小企業に比べて大きいものが多いということは事実でございます。  しかし、その事業の中身というのは、通信放送の新規事業でありますから、なかなか新しい通信放送新規事業をやる人材というのは確保が難しい。資本金が大きくても人材としてはなかなか難しいという面がございますので、人材確保の手段としてこういう制度をやろうということで、規模の大きい企業であるということで必ずしもこの認定を法律的にできないということにはなっていないということでありますが、基本的には、やはり独立系のそういうところを立ち上げていくというところが眼目であります。
  80. 三重野栄子

    三重野栄子君 私の方で調べたところによりますと、やはり大企業とか資本金が大きいところがこの十一社の中では大部分を占めております。今御説明がございましたけれども、やはりこれからの問題としては、中小企業といいましょうか、新しく立ち上げるところに力を注いでいただきたい。そのためには、先ほど説明になっておりましたけれども、いろんな方法を通じて周知徹底をされるということが重要ではないだろうかというふうに思いました。  次に、ストックオプションにつきまして、権利行使のときの利益及び売却時の利益に対する課税についてお尋ねしたいと思います。  租税特別措置法によって権利行使のときの利益に対して非課税ということは、これはいいといたしまして、売却時の利益に対しては源泉分離課税と申告分離課税と選択ができるわけでございますが、今回は申告分離課税に特定をされておりますけれども、ここらあたりの御説明をいただきたいと思います。
  81. 木村強

    政府委員木村強君) 株式売却時点におきまして、株式の売却価額と権利行使時点の時価との差額分について譲渡益課税が課されるということであります。  それで、基本的にはこういつたキャピタルゲインといいますものは申告分離課税でございまして、源泉分離課税との選択という場合には、株が上がって利益を得るということでございますから、やはり差額に対する申告分離課税が本則であろうということで、この場合にまで源泉分離課税を認めるというのは余りにも優遇し過ぎではないかということで、本則である申告分離課税に限ったということでございます。
  82. 三重野栄子

    三重野栄子君 その場合、アメリカはどういうふうな税制になっておりましょうか。それから、もし権利行使する前に当事者が事故に遭って死亡したとかという場合に、相続税というのはどういうふうになっているか、お調べになっているでしょうか。
  83. 木村強

    政府委員木村強君) アメリカにつきましてもほぼ我が国の税制と同様な税制でございまして、付与時は非課税、行使時も非課税、売却時に税金がかかるということで、私どもの場合には、先ほど申し上げましたキャピタルゲインということで申告分離課税二六%でございます。アメリカの場合には、同じくこの行使価額と売却時の株式時価との差額ということで、キャピタルゲインに対しまして長期キャピタルゲインということで最高二八%がかかるということで、ほぼ私どもと同じような仕組みになっておるというふうに承知をいたしております。  それから、ストックオプションの権利の相続ができるかどうかという点につきましては、ストックオプションを付与された者が死亡した場合、その相続人が権利を相続し、相続人からストックオプションの権利行使があれば会社は新株の発行ができるということで、法第八条第六項におきまして権利について相続ができる、このようになっております。  以上であります。
  84. 三重野栄子

    三重野栄子君 次に、特定通信放送開発事業実施円滑化法におきまして支援対策事業は三つあるわけでございます。このうち通信放送新規事業及び通信放送共同開発事業の二つにつきましては、事業計画について郵政大臣が実施指針に基づきまして認定をされるということでございますけれども、今回のストックオプション導入する通信放送新規事業を行うベンチャー企業は金融支援を受けることが前提となるのでしょうか。それとも、通信放送新規事業を行おうと思う者はストックオプションだけを利用することができるのでしょうか。また、できるとするならば、その際の認定は従来の実施指針に基づくものでしょうか。その点につきましてお尋ねいたします。
  85. 木村強

    政府委員木村強君) ストックオプションだけをその支援策としてこの認定を受けようという場合にも可能でございます。その場合には、従来の実施指針に基づきます共通的事項に加えて、今回この法律を成立させていただきますれば、新たに実施指針の中で人材確保に関する文章といいますものを追加したいと思っておりますけれども、従来の認可のための共通的な認定基準プラス、ストックオプション人材確保のための基準をあわせて審査させていただくということになります。
  86. 三重野栄子

    三重野栄子君 本法第二条第三項に規定されておりますけれども、新たな役務、新技術という場合には、この放送技術関係は日々新たになるわけでございます。もうしょっちゅうフォローアップしなければならない。そのあたりの判断というのは相当難しいと思いますけれども、どのようにして行われますのか、方法につきまして伺います。
  87. 木村強

    政府委員木村強君) 新規事業の実施計画の認定に当たりましての新規性の判断についてのお尋ねでございます。  通信放送事業分野を所管し、朝から晩までこの分野を考えておる我々が、実施指針、これは公開をいたしておりますので、この実施指針の定めるところに従いまして客観的に判断をしていこうということでありますけれども、これは先生おっしゃいますように技術進歩が非常に目まぐるしゅうございます。したがいまして、こういう技術だと決めてもまた次の日に新しい技術が出ておるということで、これを詳細に決めますことはかえって現状にそぐわない、非常に硬直をした形になるということで、その法律の目的としております趣旨にかないませんので、そういったことも考えながら実施指針というのをつくっております。  その中には、例えば新たな役務ということでありますけれども、これは従来提供されていなかった役務、あるいは従来から提供されていた役務でありましてもその利用価値が著しく向上し実質的に新しい役務と同じようになった場合、あるいは、新技術ということでありますけれども、これもいまだ企業化されていない技術を用いたり、既に企業化されている技術でありましても通常の利用関係においてあるいは社会通念により著しく異なる役務の提供に適用される。だから、既存の技術がありましても使い方によってまた別のサービスが出現をした、あるいは同じ技術でありましても工夫をすることによって著しく安く使えるようになったというような場合にはやはり新規性があろうというふうに考えております。  いずれにいたしましても、第三者が客観的に見てこれは新しい技術だなあるいは新しいサービスをして変わったなというものが認められるということであればいいだろうということで、技術の詳細を決めているというわけではございません。
  88. 三重野栄子

    三重野栄子君 二十一世紀のリーディング産業と目される通信放送分野におけるベンチャー企業におきまして、この法律が有効に活用されて発展することを願うものでありますけれども、もう最近は非常に経営側に不祥事が多いわけでございます。この法の制度導入に当たりまして、企業のモラルという点につきまして大臣の所信を伺いまして、質問を終わります。
  89. 堀之内久男

    ○国務大臣堀之内久男君) 先ほどから先生ずっと局長と御質疑を交わされてまいりましたが、このストックオプション制度はもう御案内のとおりでございますから、通信放送新規事業認定を受けた会社人材確保のために認められた制度でありますので、会社一般に認められるものではありません。  したがって、具体的なストックオプションの権利の付与については、株主総会で付与する理由を開示した上で、しかも氏名等を明示して決議をすることが必要でございます。したがって、株主総会による適正な運用のチェックがなされるもの、こう思われます。  また、郵政省といたしましても、株主総会の決議の内容を記載した書面の提出を受けるわけでございますので、この制度の適正な運用をチェックするということにいたしておるところでございます。
  90. 松前達郎

    ○松前達郎君 松前でございます。若干質問をさせていただきます。  今回の法改正先ほどからいろいろと質問が出ていたわけですが、ストックオプション制の導入、これの目的としているのが人材確保及び資金の調達等の支援、通信放送事業活性化を促進させる、こういうふうに理解いたしました。特に、企業が求める人材確保という点で、その根本となる有能な人材の育成の問題、そして国の基礎づくりとなる研究開発の推進の問題こういう面から若干質問をさせていただきたいと思います。  平成七年に科学技術基本法が制定されたわけでありますが、我が国でも科学技術の発展を基盤とした国づくりが進められよう、こういうことになると思います。そういった中の一つ施策として、昨年度から郵政省を含む六省庁によりまして公募型研究助成制度、これが開始されているわけであります。この制度研究開発も国の基礎づくりである、そういうふうな考えに基づいて財源には建設国債を活用する、各省庁傘下の特殊法人等への出資金研究資金に利用できるようにするというのが目的だと思いますが、これによって研究予算が余りなかった大学、国立研究所等の研究者にもこれは歓迎されているのではないかと思います。  郵政省では、本制度によりまして通信放送機構、これは法律がもう前にできておりますが、この通信放送機構が研究開発課題について大学、国立研究機関等へ幅広く公募をする、募集をする。そして、大学等への委託研究あるいは共同研究等を行うことによってすぐれた情報通信技術研究開発を積極的に推進するということで若手研究者の育成を図る、こういうことに努力されている、こう伺っているわけであります。  そこで、その制度について御質問させていただきますが、この制度についての昨年度の応募及び採択の状況並びに本年度の計画等について、まずお伺いしたいと思います。
  91. 木村強

    政府委員木村強君) 八年度の公募につきましては、平成八年七月に公募を行いました。総数百三十六件の応募があったところでございます。その後、通信放送機構内に設置されました外部の有識者から成ります評価委員会の評価を踏まえまして、同機構の理事会におきまして十課題十三件の採択が決定をされたということでございます。  この採択されました課題につきましては、すべて平成九年度への継続課題となっております。三月に行われました評価委員会の継続評価を踏まえまして、既に平成九年度分の研究としてもスタートをいたしております。  他方、平成九年度の新規公募についてでございますけれども、この十四日から五月二十三日まで提案を受け付けまして、七月上旬に十件程度の新規案件を採択する予定ということで取り運び中でございます。その後、同機構と提案機関との間で研究契約を結びまして、順次研究開発を開始するということになっておりまして、平成年度予算ではこのための予算といたしまして四億八千万、平成年度予算といたしまして八億円というものが計上されております。
  92. 松前達郎

    ○松前達郎君 国の資金を利用した研究開発ということになるわけです。今、研究テーマの採択件数等の説明を伺ったわけですが、これについての審査方法、審査の委員会の名称は伺っ.たんですが、審査方法あるいはその過程について、これ透明性がぜひとも確保されなきゃいけないと考えております。郵政省はその点でどういう方策をとっておられるのか、先ほど募集その他についても触れられましたけれども、この点についてもう一度お伺いしたいと思います。
  93. 木村強

    政府委員木村強君) この通信放送機構の公募研究制度におきます研究テーマの採択につきましては、外部専門家から成ります評価委員会もとで評価を行い、実施をしておるということであります。  この採択プロセスの透明性を確保するため、既に私どもは採択の評価基準につきまして提案要領に明記をいたしております。採択結果をまた全提案者にも通知をするというほか、評価内容につきましても提案者からの要請に基づき提示をしておるということでございまして、提案要領についてはオープンにしたところでございます。  それから、現在、評価委員会のメンバーにつきましては、外部からの干渉を避ける観点から非公表ということでございましたが、これは評価委員会のやり方としてそのメンバーを非公表でやる、これが本当に正しくできるという考え方と、やはりだれが評価をしているんだという、その先生方のお名前を発表することによってその評価が正しく行われるように牽制をするべきである、こういう考え方がございます。私ども現時点では、これは非公表というやり方で評価委員先生方のメンバーは公表いたしておりませんけれども、現在、電気通信技術審議会で議論をしていただいております情報通信研究開発基本計画の中では、透明性の確保を徹底するために公表する方がいいのではないかという意見が出ておりますので、こういった御意見なども考えながら、透明性の確保ということを徹底するという方向でもし御議論が得られれば我々としても前向きに対処したい、このように考えております。
  94. 松前達郎

    ○松前達郎君 非公表、公表、これは公表すればそれなりにその委員にアプローチが激しくなるとか、いろいろ今まで問題はたくさんあったわけですから、どちらがいいか、それは簡単には言えないと思いますけれども委員の選定の仕方の問題ですね、適当な委員であるかどうかというぐらいはちょっと、何かその委員の評価をしなきゃいけない、そういう点もあると思いますから、これは今後の課題であろう。  そこで今度は、先ほどお伺いしましたら、幾つかは九年度に継続というお話がありました。今後研究開発を継続していくに当たって、研究結果に対する適正な評価というのがどうしても必要だろう。一年ずつ評価して、まだ一年ではなかなか研究成果は出てこないですから、何年かたったら評価をしていく。普通五年というのが言われておりますが、しかし、そういった評価というものが非常に大切だと思うんです。果たしてその研究成果を上げているかどうかということです。  こういった評価を一体どう評価するのか、だれが評価できるのか、これも大変難しい問題であります。また同時に、研究者の意欲をそぐような形をその評価の結果してしまったんでは、これまた好ましいとは言えませんので、非常に難しい問題であると思います。  首相の諮問機関である科学技術会議においても各省庁共通の評価指針を定める、こういう方針を持っておられる、こういうふうに伺っております。研究開発に対する評価、一体どのようにされるおつもりか。これはひとつ大臣の方から御説明いただければと思います。
  95. 堀之内久男

    ○国務大臣堀之内久男君) お答えいたします。  ただいままで局長の方からも答弁申し上げてまいりましたが、研究開発予算は限られた予算でありますので、重点的にしかも効率的に配分することは当然のことであります。開かれた競争的な研究環境をしっかり実現いたしまして、国民の理解と支持を得るためにも、研究開発が厳正かつ適正な評価のもとに実施されることが極めて重要と考えております。  そのような観点から、先ほど局長も答弁いたしましたが、通信総合研究所においては、昨年の八月から外部有識者による外部評価を導入いたしまして、この評価に当たっては、研究評価委員会と、これは七部門に分けております、さらに運営評価委員会と、二つの体制をもってこの評価を実施していただくことにしております。結果につきましては近々に公表される予定であります。  なお、また科学技術会議では、先ほど先生からも御指摘ありましたように、総理大臣が議長に就任されておりますが、ここでの研究評価の大綱的指針の審議と並行いたしまして、情報通信分野の特徴を踏まえた研究評価のあり方につきましては、私どもの電気通信技術審議会から今月末に答申をいただく予定であります。  一層、透明かつ公正な研究評価を実施してまいりたいと思っております。
  96. 松前達郎

    ○松前達郎君 なかなか大変な問題だと思いますが、今、科学技術に関して国の基本であるというふうなことで施策が進められているわけです。予算を投入するわけですから、当然評価があっていいはずである。我々としましても、これはできればの話ですが、科学技術評価委員会のようなものをつくって、これはお役人は入らないんですが、そういうものをつくって、いわゆるその評価をする中で次のまた投入に関してのめどをつける、めどというか展望を開いていくというふうなことも必要だろうと思っているんです。これはまあこちらの方の話でありまして、しかし、評価は非常に大変ですからひとつしっかりとお願いしたいと思います。  科学技術創造立国と先ほどから申し上げていますが、その研究開発の推進、これについては大学ですとか国立研究機関の研究たち役割というのも非常に重要な役割だ、こういうふうに思っております。特に、新しい産業の芽となる創造的な成果、これを生み出すようなインセンティブを与える施策展開がどうしても必要だろう、これも先ほど来それぞれの委員から述べられたとおりである。  国立大学と民間企業の共同研究制度に乗って年間千五百件ほどの実例があると私聞いているんですけれども一大学教授と学生が共同で会社をつくる例、先ほどアメリカでもそういう例が多いという話がございました。しかし、日本ではまだまだこれは足元にも及ばない実情だと思います。  アメリカの場合、一九八〇年に制定された法律で、政府資金を受けた研究でもその成果として得られる特許権の問題これが大学に帰属できるようになった。そしてその結果、全米の多くの大学に技術移転のための専門組織が設けられる、これを核にしまして事業化を支援する仕組みが整備をされている、こういうふうに聞いております。  最近でも、例えばインターネットのソフトでネットスケープというのがあるんだそうですが、これは有名なソフトであり、また情報検索サービスを提供するようなソフト等もあるいは企業も、これも大学の研究成果から誕生してきた、こういうふうに伺っておりますが、こういったものが業界の活力の源になっていくということだと私は思います。  つい最近の例ですけれども、私のところの大学でも、ハワイ大学それからオーストラリアの大学と提携しまして新しい衛星通信の受信システムの開発というのをやっているんですが、これももうすぐ商用化されていく、企業化されていくということになろうと思います。これは一つの例かもしれません、ごく小さな例でありますけれども。  こういうふうなことで、業界の活力を示すための原動力になるような大学等の研究成果、この特許の問題というのがまた一つ大きな重要な問題だろうと思います。先ほどのいわゆるストックオプションと同じように重要な問題だろう、こういうふうに思いますけれども、現在郵政省推進しておられる公募研究先ほど申し上げた研究制度の場合には、この成果である特許権の帰属についてどういうふうになっているのか、それについてお伺いしたいと思います。
  97. 木村強

    政府委員木村強君) 公募研究制度の場合でありますが、大学等への委託研究におきます特許権の帰属につきましては、国からの出資金という研究資金の性格を踏まえつつも、一方で委託先の研究開発意欲を高めることが必要で、これが大きな成果に結びつくということでございますので、通信放送機構と委託先との両者の五〇%ずつの共有ということで取り運んでおります。
  98. 松前達郎

    ○松前達郎君 通産省お見えですか。  今の特許権の帰属の問題なんですが、通産省では、経団連など経済界、大学側とそれぞれヒアリングを重ねて、この問題に対するガイドラインを作成してルール化をしょうということを今考えておられる、こういうふうに伺っております。現在の検討状況についてお願いします。
  99. 福田秀敬

    説明員(福田秀敬君) 先生指摘のとおり、大学と経済界の連携により、大学の頭脳と経済界の活力とを結びつけて新規産業をつくっていくということは非常に重要なことでございまして、政府としても昨年十二月の閣議決定経済構造の変革と創造のためのプログラムにおいてその点を位置づけておる次第でございます。  このような産学連携を推進していく上で、産学の人材の交流につきましては、兼業規制緩和等いろいろな制度緩和が既に実施されつつございますが、大きなところはやはり知的財産権の問題だと認識しております。これは、権利の帰属、それから帰属された権利をどのように民間企業に渡していくかまで含めて、取り扱いをどういうふうにやっていくかということを大学、経済界それから官側も含めて十分認識を持って対処しなければならない問題だと思っています。  当省としましては、国際的な整合性、それから、現在の大学と経済界における連携の実態等を踏まえまして、知的財産権の今後の取り扱いについてずっと検討を進めてきておりまして、現在、文部省を含め関係省庁それから経済界とさらなる意見交換や詰めを行っている最中でございます。  今後、これらの関係者の理解を得つつ、研究成果たる知的財産の有効的な活用が図れるような取り扱いの一つのルール化とその環境整備、そういうものに注力していきたいと思っております。
  100. 松前達郎

    ○松前達郎君 ぜひ連絡を密にして展開をしていただければと思います。  文部省にちょっとお伺いしたいんですが、今話出ました大学教官の兼業規制緩和、こういうものが行われるようになる、民間企業との共同研究もできるようになる、そういうことなんですが、大学教授の起業家精神、なかなか今の大学教授にはそういう人が余りいないんですけれども、こういった起業家精神の向上あるいは創造的な起業家精神を育成するために一体どういう学校教育をしたらいいか、これもまた非常に難しい問題ですが、この点に関して文部省の見解をひとつお伺いしたいと思います。
  101. 梶野愼一

    説明員(梶野愼一君) 今お話しいただきましたように、私どもの認識といたしまして、我が国が科学技術創造立国として先進諸国に伍した経済競争力を保ち活力を維持していくためには、まず、創造性、主体性に富んだ人材育成をすることが急務であると認識しております。これは大変な難しい問題であるわけですけれども、大学におきましても、このような趣旨から、起業家精神を育成するような教育を実施することが必要と考えております。  文部省関係の政策で申し上げますと、一つには、今お話しいただきましたように、昨年の十二月に大学教官の兼業許可基準を改正いたしまして、本年度から民間企業におきまして研究開発に大学教官が従事できるようにしましたところです。  また、本年四月には、教育公務員特例法の一部を改正させていただきまして、産学の連携協力が推進できるような制度改善も行ったところでございまして、こういつたことで共同研究を通じまして大学の教育研究活動の活性化期待しているところでございます。  また、具体に各大学におきましても、起業家精神に富んだ人材育成に対する社会的な要請を受けまして、学部や大学院におきまして、例えば経営学的側面中心としたものあるいは新規技術の事業化の手法を中心としたものなどの多様な内容のベンチャービジネスに関連いたします授業科目の開設がだんだん進められているところでございます。  また、文部省におきましては、ベンチャービジネスの萌芽となります研究開発の推進あるいは創造的な人材を育成することを目的といたしまして、これまで二十四の国立大学にベンチャービジネス・ラボラトリーというものを設置いたしてまいったところでございまして、このための所要の予算措置も講じているところでございます。  私どもとしては、こういった制度の弾力化や予算措置を通じまして、御指摘のような民間と大学の一層の円滑な協力関係を促すということで、またそれとともに新しい産業創出につながるような人材育成、各大学の取り組みを支援してまいりたいと思っております。
  102. 松前達郎

    ○松前達郎君 今お話がございました産官学の連携というのは非常にこれから重要だと思うんです。これは、大臣が高度情報通信社会推進本部副本部長ですから、私から答弁を要求はしませんけれども、これは今後、それぞれ所管庁の連絡を密にしていただいて、力を合わせてひとつそれを推進していただきたい、これをお願いして、質問を終わります。
  103. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 これまでの審議をずっと聞いていまして私が感じたことの一つは、ストックオプション制度というのは日本企業活動のアメリカ化、投機化のプロセスの一つだという感じです。  日本の商法は自己株式の取得、保有を禁止していたので、このストックオプション制度というのはできなかったのを、九五年十一月に、通産省の新規事業法で商法の改正、税制の特例優遇措置等々を行って、ベンチャー企業に対して始めたわけです。当時、日本共産党は、特にベンチャー成長に寄与するというよりも、ベンチャーキャピタルや関連大企業に巨額のキャピタルゲインを保証するものだ、未公開株の譲渡で大事件になったリクルートコスモスのような事件再発の温床にもなりかねないということで反対をいたしました。それが、今回の法案でいよいよ通信放送分野導入されようということになったので、問題はいろいろ大きいんですけれども、私は、時間の関係もありますので二つの問題を取り上げたいと思います。  第一は、このストックオプション制度そのものの効果です。法律案によると、とにかく当該事業の実施に必要な人材確保することが円滑になると言うんだけれどもストックオプション制度導入でなぜ人材確保が円滑になるんですか。
  104. 木村強

    政府委員木村強君) 端的に言えば、リスクの大きい仕事について専門的に意欲を持ってやろうという人材がその会社に集まる、しかもインセンティブを与えるということだろうと考えております。
  105. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 その人材は、大企業でかなりいいポストにいる、給料も高い、その人を引っ張りたい。うちは給料は安いけれども、うまくいけば百万長者にもなれますよということで引っ張るわけです。  調査室の資料に、額面百円が店頭公開したら二千円になった、こういうグラフが載っています。これ調べてみますと もとは、通産省の担当者が講演をやりまして、それに出ているグラフです。「私のベンチャー企業に来ていただければ、わが社の株式を十年間の間、常に百円で五万株までお売りする」、ぜひ来てくれと、こう書いてあります。そこで行った。それで百円が二千円になった。そうしますと、千九百円がBさんのポケットに入って、五万株だと九千五百万円なんですよ、一億円近い。税金も安くなります。普通なら納税四千七百二十六万円が半分の二千四百七十万円で済む、こういうことになるんです。  先ほど新規事業法で認可された企業が初公開したという例が質問にあって、どれぐらいの価格かという質問があった。通産省の方はデータが今手元にないと言うんだけれども、私はもらってありますので紹介しますと、日本エルエスアイカード株式会社大阪証券取引所の特則二部上場、額面五万円の株、寄りつき二十六万二千円、高値三十万三千円、終値二十九万円、出来高千二十八株。だから、もしこのとき手続すれば、一株二十四万円で、もし十株もらっていたら二百四十万円、すごいボーナスで、もうかるというか、税金も取られますけれども、税金も安くなるというケースも確かにあるわけです。  しかし同時に、局長がリスクも大きいと言われた。ハイリスク、ハイリターンと言われるベンチャー企業世界ですから、また株式の乱高下、今世界的にもいろいろ大変な時期ですからリスクも大きい。  先行しているアメリカはどうなっているか。これは日経ビジネス、昨年九月三十日号の記事で、「ストック・オプションの魅力どこへ 株価を頼む米国企業 ハイテク型ほど危うい」ということで、ストックオプションが紙くず同然になつちゃった実例などがずっと書かれています。それで、ストックオプションの権利をもらった人は、もう株の上昇ばっかり考えちゃっている、自分の老後の生活より毎日の活動が株価を目指すようになるんだと。それがつぶれてきますとどんなことになるかというと、「とらぬ狸の皮算用」なんということも出てくる。  この日経ビジネスの記事は結局、新興企業にとって、「ストック・オプションは欠くべからざる手段である。労務費を低く抑えるためにほかならない。」、だから労務費、人件費を、とにかくうまくいったらすごくもうかりますよということで、低いサラリーで我慢してもらう。しかし、うまくいかないと大変なことになるということで、これは私が言った企業の投機化ですよ。雇用状況の非常に危険なアメリカ化、投機化、やっぱりそれにつながりかねないものだと思うんですけれども局長、そういうリスク、危険、これは今後日本でもこういうものを通信放送産業導入して、そういうことはないとおっしゃれますか。お伺いします。
  106. 木村強

    政府委員木村強君) 今先生からこのストックオプションについてのデメリットといいますか危険な要素ということで御指摘を賜りました。  私どもは全体を見る中で、日本ベンチャー企業立ち上げていこうという中で、人材という点に着目をした新しい風を産業界に引っ張ることが日本経済全体にとってあるいは国民の幸せにとって必要だという観点で、むしろ前向きの面を見て新しいところに立ち向かおうということでございますので、こういう特例法という難しい法律を御審議いただくという立場にあるわけであります。  確かに先生おっしゃるように、これが実際に運用されますと時の経済情勢その他によって難しい面はありますけれども基本的にはこのオプションというのはあくまで権利でございまして、権利行使をしない段階ではこの従業員あるいは経営者は何らマイナス面を持つものではないということでありまして、そのタイミングは一に権利付与者の判断にかかっておるということが一つであります。  それから、賃金との関係でありますと、私ども通信放送新規事業というのは装置産業だということで、外部資本に頼らざるを得ない部分が多いのでありますけれども、その資金はハードのために使うというのが基本でありまして、どうしても人件費であるとか給与であるとかあるいは福利厚生、こういったものは後回しになっていくという部分がありますので、このストックオプション制度というものを使ってそういう経営者あるいは勤労者のインセンティブを高めようということであります。賃金とストックオプションというのは別だという労働省あるいは裁判所の判決もございますので、あくまでストックオプションというのは、賃金は賃金としての形をとった上で、プラスアルファとしての施策だという位置づけにいたしております。  いずれにいたしましても、私どもは前の明るい点を見て新しい風を吹き起こすというのが一つでありますけれども、それに伴う弊害は法制的にもチェックをしていこう。あとは産業界の中で、最近よく言われておりますように、自己責任の原則、これが一番新しい活力を生む源であるという考えのもとに、こういった法案を提案させていただいたということでございます。
  107. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ですから、思慮なしにただアメリカ制度に追随するんじゃなくて、きちんと自主的にやっていかないといかぬと思うんです。  もう一つの雑誌、日経ベンチャー、九六年九月号、アメリカビジネスウイーク誌の特約、「全社員にストックオプションを それで会社成長するのか」、アメリカには全社員にこの制度をやっている会社が推定約二千社あると言うんだ。ところが、この記事には最後、「「株主がこの制度の理解を深めるに従って、反対する人が増えていくはずです」と言うのはワシントンの投資コンサルタント」と、既存の株主にはいろいろ損害を受けることもあるんでね。  だから、こういう新しい制度、我々は反対なんですけれども導入しようとする場合、今局長も言われたように、プラスマイナスの面をしっかり教訓を引き継いで自主的に対処していかないといかぬ。日本の場合、アメリカほど株主の自覚というか株主活動が弱いですからね。株主総会で決議する、個人名をつけて、この人に何株のストックオプションをやるというのを全部株主総会でやるんですからね。そういうことをこれからやることになるので、こういう点についてもぜひ厳正な態度で業界も郵政省も臨まなければならないと思うんです。  第二の問題は、引っ張られる人材の方もこういう問題があるんだけれども、じゃこの制度全体が本当にベンチャー企業にいくのか。我々は、ベンチャーキャピタルあるいは関連大企業、ここがほとんど主体になるんじゃないかという危惧を持っているんです。  結局、先ほど店頭公開まで四、五年かかると言われたけれども、とにかく事業を始めて店頭公開までこぎつけて、巨額のキャピタルゲインを保証できる新規事業者というのはそう多くないんです。むしろ、私はこういう制度を入れますと、ベンチャーキャピタル関連大企業が、そのベンチャー企業は主要な投資先なんです、これは。それからまた、NTTの今度分離・分割で子会社化とか、いっぱい出てくるでしょう。そういう子会社がこれを使う。子会社にどんどん人を移さなきゃいけませんから、子会社に移ると給料減るけれどもストックオプションありますよということになって、そういう大企業、大規模なベンチャーキャピタルがこの制度を利用する可能性も非常に多いんではないか。分社化とか子会社化、これから使われかねないとやっぱり思うんです。  それで、一つ郵政省にお聞きしたい。  この円滑化法、九〇年に施行されてから七年になりました。今認定会社十一社だそうです。出資、債務保証をしているのは三社だというんです。ところが、この出資の基準というのは、この「ニュービジネスの育成を目指して」、これを見ますと、「新設又は設立後三年以内で資本金が十億円以下の法人」となっている。ところが、この三社のうち衛星デジタル音楽放送の資本金は六十億円。最初出資されたのは十億円かもしれぬけれどもたちまちこれ六十億円にふえているんです。オムニトラックス、資本金三十億円。これは基準違反になるんじゃないですか。それとも、最初にとにかく出資をもらうために十億円にしておいて、ぱっとふやしたのかどうか。数年間で六十億円の資本金にできるような企業を何で援助する必要がありますか。これいかがですか。
  108. 木村強

    政府委員木村強君) 先生、今お話のありました出資の場合の基準等でありますけれども、これは通信放送機構によります出資債務保証の基準というものは、郵政大臣と大蔵大臣で認可を受けた業務方法書というもので定めて客観的にやろうという仕組みになっております。  その業務方法書におきましては、今、先生指摘ありましたように、まず出資につきましては、対象は、認定会社のうち新設または設立後三年以内で資本金が十億円以下の法人、第一種電気通信事業者は資本金十五億円以下ということになっております。出資金額は、二億円を限度に資本の額の一〇%までという基準がございます。これは、あくまで認定時、すなわち申請時の状況というものを判断して行うということでございまして、いずれにいたしましても、新規事業が立ち上がっていく、先ほど来話がありましたように、情報通信放送分野日本の国土の均てんある発展を図るというのが法の趣旨でございますから、そういう面で認定時を基準にしておるということでございます。
  109. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ですから、認定時は十億円以下にしておけばかなり大企業でも機構から債務保証までしてもらえるんです。一度してもらったら堂々と資本金をまたふやしていく。三社のうち二社はそうだ、一社は大きくないですけれども。  さて、今十一社に認定会社がふえている。これ何でふえたかといいますと、法改正ストックオプション制度導入が発表されたので続々認定を受けてきたんです。だから去年の十二月以降ですよ、七社は全部。リストがあります。  それで、この七社、どんな企業か我々全部調べました。そちらもお調べになっているかとも思いますけれども、株主とか系列、大企業のところが多いでしょう。特に通産省の新規事業法ベンチャー企業だから小企業が多いんですよ。今度の法改正案はそれと違って限定ないんでしょう、資本金の規模だとか限定ないんでしょう。株式公開だけでいいんじゃないですか。いかがです。
  110. 木村強

    政府委員木村強君) 今先生指摘のとおり、資本金等につきましては特段の制約はございません。
  111. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 例えば十番目の日本デジタル放送サービス、系列、株主は伊藤忠、日商岩井、三井物産等々で、例のパーフェクTVの運営母体、資本金百億円です。それから六番目の関西シティメディア、これは大阪ガス、関西電力、松下電器などが主体になっているところであります。星菱通信、これは三菱商事、三菱電機でしょう。一々挙げませんけれども、私たち全部調べました。  だから、こういうところが今度のストックオプションを利用する計画になっており、それでかなり巨額のキャピタルゲインをねらい減免税を利用しということになっていくと、これ本当に通信放送の新規事業の発展に生かせるかというと、やっぱりなかなか単純でないと思うんです。  逓信委員会でこの円滑化法が審議された際、当時の議事録を調べてみました。中村局長のお答え、「この法案自体は電気通信業あるいは放送業一般の振興を図るというものではございませんで、国際環境との調和を図りつつ」、これはアメリカのことですな、「我が国における情報の円滑な流通の促進に寄与する事業」、つまり開発のトップを走っている事業、これに支援しようと、「寄与する事業を金融的に支援していこうということでございます」と、かなりはっきりお答えになっています。それから、フロントランナーというんだそうです、最先端を走っているランナー、フロントランナーフロントランナーを支援するのが実際は目的なんです。だから、パーフェクTV運営母体の日本デジタル放送サービスなんかも去年の十二月に早くも名乗りを上げて、それで認定を既に受けて、このストックオプション制度を利用する体制を構えているわけです。  だから、全部、私はそういうことにやっぱりなっていると思うんですが、そういう事態を郵政大臣、私が指摘したような問題、事実としてこうなっているんだけれども、本当に国民のための、日本の自主的な情報通信産業の技術の発展に寄与できる制度だと自信を持ってお答えになれますか。いかがでしょう。
  112. 堀之内久男

    ○国務大臣堀之内久男君) ただいま先生の御指摘でありますが、資本金の大きい大企業等が出資をしている会社もあるわけでありますが、しかし、新しく発足する会社においてはなかなか人材確保というのが容易ではない、そういうように我々も想定をいたしておるわけであります。  今後、こうした新しい企業の育成という立場からは、ストックオプション制度を設けることによって役員あるいはまた従業員の確保、あるいはまた将来に大きな夢を持たせるという立場から人材確保に大きく役立つ、そしてまた、こうした新規事業ニュービジネスの育成というか発展に大きな貢献をするものと私どもは一応想定をいたしておるところであります。
  113. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 終わります。
  114. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 本件特別法における立法趣旨は、これまでの先生方の質問でよく理解はいたしました。説明を聞く限りには極めていい法案だと思うわけでありますが、今、上田先生指摘された点を重ねて私なりに、この改正の趣旨の不合理性と、もし改正がなされた後どういう弊害が出てくるかを多少危惧いたしまして、二、三質問させていただきます。  商法第二百八十条ノ二の第二項が、株主以外の者に対して特に有利な発行価額をもって新株を発行する場合には商法第三百四十三条の特別決議を要することとして、かっこの特別決議は、決議後最初に発行する新株にしてその議決の日から六カ月以内に払い込みをなすべき者についてのみ有効として、厳格な要件を課しております。一般株主の利益を害さないための配慮であります。  本件改正は、六カ月を十年にする等、商法の原則を大幅に緩和しようとするものであります。ストックオプション制度導入によって当該事業に必要な人材確保を図るという改正趣旨には大いに首を傾けざるを得ないのであります。すなわち、特に有利な価額での新株購入権を与えられたことによる将来のキャピタルゲインなどに目がくらむような役員や従業員が、当該認定会社にとって必要な優秀な人材かどうか極めて疑わしいのであります。私は、金や利益で人材を釣り上げるという拝金主義的な発想自体にも低俗性を感ずるものであります。  そのようなことで真に優秀な人材確保できるのかどうか、郵政省の御見解をお伺い申し上げます、
  115. 木村強

    政府委員木村強君) これはあくまで、新規に立ち上がる企業が額に汗をして新しい展開をして、事業として成功して、そして成功払い報酬という制度を得ようというものでありまして、この制度ができたからといって直ちにその会社の業績が上がるものではないということが基本であります。  汗を垂らして、汗を流して、ストックオプションを与えられた人たちがその能力を発揮して、会社に貢献をして、会社自体の価値が上がっていく、世の中でそれが認められたときに初めて得られる成功報酬だという認識でありますから、単にこの制度ができたからといって何か特別の利益が与えられるというものではない。自分がみずから開拓をして会社を発展させなければいけないということが前提になっております。
  116. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 しかし、今の答弁は極めて疑問を感ずるんですけれども、株主平等の大原則を破るわけです。  一般株主の利益を害して特定な人たち、役員、従業員だけが利益を得る。それが必ずしも、利益なり価値なり、将来成功するかわからぬというような答弁はいささか問題があるように思うが、いかがでしょうか。
  117. 木村強

    政府委員木村強君) 一般株主との調和というのはあくまで商法の特例でございますから、いろんな箇所で調和を図るための仕組みができておるということであります。  一つは、株主総会で決議をするわけでありますから、そこの会社に現存する株主としては、それを了解のもとにだれだれにこういうストックオプションを与えるということで、自分としては同意をされたということがございます。  それから、新株発行によります株式の希薄化による損害の可能性ということにつきましては、事後に株主になられる方々に対しまして公衆縦覧という形で、株券あるいは定款あるいは郵政大臣その他がこの会社につきましてはストックオプション制度があるんだぞということを周知した上で株主に参加をされるわけでありますから、そういった前提も加味して新しく株主になられたということであります。  それから、この制度によりまして、先ほど申し上げましたように、業績が上がれば会社の価値が上がり、株主全体の利益にもなるというようなことでございます。  それから、希薄化をチェックするということでは、株式発行総数の五分の一を超えない数ということで一定の制約もあるということで、いろんな観点から株主平等の原則を旨といたします現行商法につきまして、それとの調和を図りながら、政策意図といいますか、人材確保のための規制緩和という観点があるということで、十分調和の図られた制度であるというふうに考えております。
  118. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 もしこの法案が可決されますと、役員や従業員のうちのだれに特に有利な発行価額をもって新株を発行するのか、渡すのか。この判断権は認定会社に行くわけです。極めて恣意的な判断が行われる可能性があって、非常にその点を危惧するものですが、この点はどのように考えていらっしゃるんでしょうか。
  119. 木村強

    政府委員木村強君) その点につきましては、まさに自己責任の原則といいますか、会社が自律的に株主総会の特別決議をもってこういう形でやろうという判断があるわけでございますから、まさに会社の責任において行う、こういう中身であるというふうに考えております。
  120. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 そこのところの議論は水かけになるので次に移りますけれども先ほど上田先生からちょっと言われたように、かつてのリクルート事件のように、認定会社に影響力を持つ官僚とか政治家とか総会屋などが未公開株の割り当てを受けて不当の利益を受けた、つい最近の歴史的事実にかんがみましても、この制度の悪用の危険性、おそれは十分にあると考えるものですが、いかがでしょうか。
  121. 木村強

    政府委員木村強君) ストックオプションを付与されます者は、通信放送新規事業の実施に必要な人材でありまして、新株を発行するときに当該会社の役員または従業員であることが必要であるということで法第八条第一項に定められております。  したがって、今、先生が申されましたような方々が当該事業の実施に必要な人材であるかどうかということを考慮して、理由を開示した上で、しかも個人の名前を示された上で株主総会で判断をされるということでありますから、まさにその方が通信放送新規事業に必要な人材であるということが透明性あるいは客観性をもって判断されるという状態になっておるわけでありまして、しかもこの株式は他人に譲渡することができないという形になっておりますので、先生懸念を示されました点はこういうことによっても防げるであろうというふうに考えております。  また、行政といいますのは、こういう問題への関与をできるだけ少なくということで考えておりますけれども、事後的には、そういった株主総会の決議内容を記載した書面の提出を受けますので、そういったもので事後的に郵政大臣がチェックをするという機能もあわせ持っております。もし運用その他、あるいは会社がその本来の目的に従った形で行われていないというふうに郵政大臣が判断をいたしましたときにはこの認定を取り消すということで、総会の決議は無効になるというような担保もございますので、そういった点からも先生指摘の点はなかろうというように考えております。
  122. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 株主総会特別決議で氏名まで当たってだれに新株を引き受けさせるかを決めるのでその心配、危惧は一切要らないというような、しかも、大臣の取り消し権という担保もあるから不正は行われないという御答弁だと伺ったわけですけれども、僕が心配するのは、いわゆるその選ばれた第三者引き受け権が立派な人であればいいんですけれども、そこまで心配したら何もできないとおっしゃるかもしれないけれども、あらかじめ仕組まれた、ストックオプションを利用するという意図のもとに役員と従業員、関連の経営者たちが通謀すれば、幾らでも今局長がおっしゃった答弁は回避して目的が達せられるように思うんですが、そこら辺は限界ですか。そこまでは見られないと、こう答弁されるんじゃないかと思うんですが、今おっしゃったきれいごとのようにいけば私はすばらしいものだとは思うんですが、そこら辺の配慮を十分期待するというところにとどめるべきかもしれません。  それと今、もう一つ関連しての質問ですが、株式会社においては所有と経営が分離するということは当然の原則でありますけれども、役員というのはみずから高給を取っておきながら、株主に対する配当を極力抑えようとする会社役員や高給従業員が多いというのが世相であると思います。アメリカ、イギリスの株式市場における土壌と日本はいささか異なっているように思うんです。私は詳しくは余り知らないので大きなことは言えませんけれども日本の場合、株主に極めてわずかな利益配当を与えているという程度の株主保護しかないわけであります。その上に、さらに株主の犠牲において役員等が不当の利益を受けるようなこのストックオプション制度だと見られる一面があるんですが、こういう日本の悪弊を助長することにさらにこのストックオプション制度はなるのではないかという批判に対して、いかがなものでありましょうか。質問いたします。
  123. 木村強

    政府委員木村強君) 先生の御指摘をされました懸念というものにつきましても、あらゆる制度は人が運用するものでございます。先ほど三重野先生からも企業のモラル等のお話もございました。社会全般にかかわるお話でございますが、私どもといたしましては、役所ができる範囲で今の情報通信ベンチャー企業立ち上げていこうという思いで法務省と難しい交渉をして、ブレークスルーを図ろうということで努めたものでございますので、その政策意図が適切に行われるように、会社並びに行政、限界はございますけれども、よくお互いに研さんをし合って適切な運用が図れるように、あとは一般的な商法その他の世界になろうかと考えておりますので、何とぞ御了解をいただきたいと考えております。
  124. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 次に、法案を離れて二、三質問をさせていただきます。  上田先生と違って私なんか全然資料のない状況の中で、せいぜい新聞ぐらいを引用する程度でありまして申しわけないんですけれども通信放送機構の家賃未払い問題というのが昨年十二月十日の東京新聞に出ておったわけです。いわゆる通信放送機構のリサーチセンターが、神奈川県厚木市などが出資して設立された第三セクター厚木テレコムパークに平成八年三月から平成十年度末まで向こう三年一カ月、無料の契約で入居していると指摘されております。そして、新聞の見出しによりますと、「甘え過ぎの「やどかり法人」」とか「三年間で家賃三億円 公益盾にタダ入居」などとさんざんな批判をされているのは周知の事実であるかと思います。  通信放送機構が郵政省所管の認可法人であり、かつ官僚の天下り先である点を考えると、郵政省としてはこのままただで決め込むことなく、早急に相応な賃料を払う等、国民の批判や疑惑を払拭するための措置を講ずる必要があると思われますが、この点に関する大臣の御所見をお伺いいたします。
  125. 谷公士

    政府委員(谷公士君) ちょっと事実関係の経緯もございますので、私からお答えをさせていただきます。  この厚木リサーチセンターでございますけれども、厚木市から地域情報化の核となる研究開発施設を誘致したいという旨の御要請がございました。これは厚木市が情報化に非常に積極的に取り組んでおられますこと、それから周辺に研究開発力の集積があること等を考慮いたしまして設置されたものでございます。  その際、厚木市からこのセンターに対する支援、協力の一環といたしまして、研究開発の場所につきまして同市の、先生指摘のとおり、第三セクターでございます厚木テレコムパークのフロアを無償で提供する用意があるという旨のお申し出がございました。これを受けまして、通信放送機構と厚木テレコムパークとの間で無償賃貸契約が結ばれたものと承知しております。  このセンターにおきましては、既に地元の協力を前提に研究開発をスタートしておりまして、その後、無償賃貸契約の変更等、特段のお申し出はないものと聞いております。したがいまして、通信放送機構からは現在の場所で引き続き研究開発を進める計画であると聞いております。  郵政省といたしましても、御指摘のように、押しつけのようなことはそれはあってはならないということは当然でございますけれども地域情報化ということもこの施策の効用の一つでございますので、事情の許す範囲で地元の御協力と御理解を得て研究を進め、所期の成果を上げることができればというふうに考えております。
  126. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 別な問題でもう一点だけ。  これも本年二月二十一日の朝日新聞によりますと、政府保有のいわゆるNTT株があるわけです。その配当金で民間の基礎技術研究を支援する通産省と郵政省所管の特別認可法人基盤技術研究促進センターの投資事業をめぐりまして二千二百億円超もの政府資金の回収が不能に陥っている、将来も回収の見込みは立たない、こうされているんです。それにもかかわらず、新年度も新たに二百億円を投入するという。国の財産であり国民の共有財産でもある国が保有するところのNTTの配当金を無為に散財しているとしか思えないのですが、この点についての郵政省の御見解をお伺いいたします。  私、時間がないのでさらに言いますが、研究開発というのは直ちに効果は発生しないかと思うんですが、借金に苦しむ日本ですよ。いわゆる二百四十兆にも及ぶ国債残高があるのに、それへの借金返済に当然返すべきだと思われるのですが、この点もいかがか、含めて質問をいたします。
  127. 木村強

    政府委員木村強君) 基盤技術研究促進センターの関係でございます。  これは昭和六十年度の予算編成過程におきまして、郵政省は来るべき情報通信社会に適切に対応しなければならないということで、当時は、電電公社の民営化に伴いまして政府に無償譲渡される株式の配当益と株式売却収入をもとに創設される基金をもちまして、電気通信基礎技術の研究開発体制の整備を行おうということで問題提起をいたしまして、結果的には通産省の方と共管という形で設立をされた法人であります。  もともと民間企業がその基盤技術ということで研究開発を行おうというものでありまして、しかし民間だけではなかなか立ち上がれない、リスクも大きい、期間もかかる、しかし波及効果は大きいうまくいけば非常な成果が得られる、こういう種類の技術開発につきまして、民間だけでは動けないというものですから国が支援をする、そういうスキームをこういった基盤センターという形で当時設立をしたというものであります。したがって、この基盤センターの研究対象というのは基本的には民間が行うものを国が助ける、こういう形のものであります。  結果的には、当然のことでありますけれども民間がやってうまくいくものであれば民間だけでやる話でありますけれども、なかなかそれができないということで、先ほどの話に通じますけれども、ハイリスクかつ長期にわたる、しかし波及効果が大きい、こういうものでありますから応援をしょうということでできておりますので、もともとこのスタートに当たりましても、すぐに成果が上がって回収ができるということを前提にしたものではございません。  しかし、産投会計からの出資でありますから、リターンがあれば当然国に返していくという仕組みでありますが、発足十年をいたしましたけれども、やっとのこと十三億ぐらいの成果が上がってきたということで、二千億近くつぎ込んだ中では非常に少ないということで、かつて新聞にそのような形で出たということでありますけれども、電気通信関係につきましては最近非常に研究開発の成果が続々とあらわれてきております。  例えば、衛星放送放送スクランブル解除装置、デコーダー、この基盤センターの出資によります研究開発の成果でありますけれども、これがもう二百万台ほど出荷をしております。  それから、衛星デジタル放送に不可欠な画像圧縮伝送ソフトということでMPEG2というものでありますけれども、これは事実上の国際標準になりましたが、こういう技術も開発されておりますし、アルツハイマー診断装置ということで、アルツハイマーかどうかということを診断する装置、最近は各病院でも売れるようになりましてこの装置を備えておりますけれども、アルツハイマー診断装置もこの研究開発の成果であります。  それから、先ほどお話が出ておりました音声翻訳というようなものについてもこのお金がつぎ込まれておるということで、長期的なスパンでやはり日本の国としても民間の技術を立ち上げていくのに応援をするというスキームはどうしても私ども必要と考えております。  そういう意味で、余り性急に、ここ一、二年で全部の投資を回収するということではなくて、むしろ産投会計から、努力した結果返すんだというスキームで一生懸命やるという形で始まったものでありますから、一般会計のお金は非常に今難しい状況であります。一般会計のお金というのはもう基礎みたいな形で、本当にどうなるかわからぬけれども大切だからやれという使いっ放しのお金になりますけれども、ここはむしろリターンを意識しながら、しかし長期な視点で必要だという仕組みでやっておりますので、私どもとしては、長い目で見てこういつた研究開発というものはやはり国として必要だろう、民間からのニーズも非常に強うございますのでそういうスキームが必要だろう、ただ、制度自体の見直しというのはやはり状況に合った形で積極的に行う必要があるというふうに考えております。
  128. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 研究開発にお金がいろいろかかることとか長期的に見ろとかということはもう私自身よくわかるんですが、とにかく二千二百億円投入してわずか七億かそこらしか回収できない。まだ研究途上もあるというふうに言われるんですけれども、国民というのは小額の税金を滞納しただけでも延滞金払ったり差し押さえを受けるとかされるわけです。だから、高度な研究をしているという理由だけで二千二百億円もの未回収金が事実上放置されているという、その矛盾と不平等性をあえて指摘いたしまして、私の質問を終わります。
  129. 水野誠一

    ○水野誠一君 最後の質問者になりまして、きょうの主題でございますこのストックオプションの問題というのは、もう皆さん、各委員からいろんな意味で質問し尽くされているということではございますが、あえて私の視点から御質問をさせていただきたいと思います。  実は、二月二十一日の逓信委員会のときに、私はもう既にこのストックオプション導入について質問をさせていただいておりました。きょうも、いろいろな各委員の中から話題になっておりますこの円滑化法の中にあります認定制度ということが平成二年から施行されていて、これが六年経過をしているんですが、十一件しか認定がない。ということで、本来のストックオプション制度が持っている非常に自由な、まさに先ほども出ておりましたけれどもフロントランナーたちに大きな可能性を与えるあるいは夢を与えるという本来のアメリカ・シリコンバレーなんかで盛んに行われているストックオプション制度のイメージと認定制度というものはちょっと差があるんじゃないだろうか、そういう視点から御質問をさせていただいたわけであります。  それについて、木村局長は、これは商法の特例であるということで、郵政大臣認定がどうしても必要なんだけれども、その運用の中で会社の主体性を発揮できるようにしていきたいという御答弁がありました。木村局長に答えられると、何かそうかなと大変納得をしたわけでありますが、きょうはもう既に上田先生、あるいは今、山田先生からもその御質問の中にありましたように、実はこの十一社の中身というのがやはり問題なのかと。  すなわち、私は、この間の質問でも申し上げたようにフロントランナー、本当にこれから大きな可能性を持っている、しかしまだ未知数の企業というものに対して、まさにベンチャー企業に対して、とりわけ通信分野というものにおいては大きな育成をかけていくということが大切だという視点からいくと、やはりこの十一社というのはどちらかというと大企業の出資会社。電気通信という分野においてハードということからとらえると大きな資本が必要である、あるいはしっかりとしたインフラストラクチャーが必要であるということもわかるんですが、やはり大事な分野というのはこれからソフトの分野でありコンテンツ分野であるということを考えてきたときには、もっともっと未知数の企業に対してその認定が向けられていく、こういう方向性が私は非常に大切だというふうに思っています。  そういう中で、この認定作業というものをしている機関というのはどんな機関なのか、そしてその認定の手続というのがどんな手順で行われているのか。認定された会社というのは、もう先ほども十一社というのが明らかになっているわけですが、逆に私が伺いたいのは、申請はしたあるいは相談には来たけれども認定されなかった会社の中に、これは企業名を挙げるのは問題があると思いますけれども、どんな会社があるのか。逆に言うと、そういうことを伺うことによってこの認定制度というものの問題が浮かび上がってくるのか、そんなふうにも思うんですが、いかがでしょうか。
  130. 木村強

    政府委員木村強君) これまでの認定作業の状況を見ますと、大体三、四カ月かかっております。それで、事前に、これは認定の機関でありますけれども、私ども郵政省通信政策局の事業振興課というところで専門的に審査をするという体制をとっております。そういう中で三、四カ月かかっておりまして、実施指針に基づきまして認定をさせていただくわけであります。  この実施指針といいますのは、法律に基づきまして作成をして、郵政省の告示ということでオープンにしたものでございます。こういった実施指針に基づきまして認定の申請をされる方が実施計画をお持ちになって、私ども事業振興課の担当官と議論をして、いけるかなどうかなという議論の中でいけるとなった場合に初めて申請があり、申請があれば速やかに認可をする、こういう体制をとっております。そういう面で、申請の以前からいろんな相談がございますので、トータルとしては三、四カ月かかっておりますけれども、そういう内容であります。  それで、これまで申請があった中でアウトになったところがあるかということでありますけれども、確かに平成二年にこの制度はスタートいたしましたが、最近に至るまでは三、四件だったということでありまして、アウトというような会社があったのかどうかということは私は承知をいたしておりません。恐らく相談があって要件が整ったものについて作業が始まるということでありまして、そういう事例は承知をいたしておりません。  現在では八件ということで、最近のインターネットあるいはCSデジタル放送等の急激な環境変化によりまして、いろんな引き合いといいますか相談が参っております。具体的には、医療情報番組を制作するサービス提供業であるとか、あるいは広告収入によりまして通信料金の低廉化等、サービスの向上を図っていこうといったようなところだとか、国際電話回線を使用したファクスにかわって、インターネットを活用した国際ファクシミリ通信サービスを行う会社であるとか、やはりこの制度の周知と相まって相談者が多くなっておるということでありまして、むしろこれまでの過程の中では、来られましたけれどもだめだったというものはほとんどなかったのではないかというふうに考えております。
  131. 水野誠一

    ○水野誠一君 これはやはり第三者的な評価機関とかできるだけ客観的な評価というものも必要だと思いますし、また相談段階で一種の行政指導で、もうあなたのところは全然要件にはまらないということで門戸を閉ざしてしまうというようなことがないような、できるだけ新しいフロントランナーが少しでも多くそこの中から生まれ、また育っていくような運用というものが私は必要なんではないか。これが今、各先生から出てきた疑問に対する答えにもなっていくんではないかということだと思っております。  先ほど魚住先生がやはり御質問なさっている点であるんですが、なぜ発行株式の二〇%というところに限定をしているのか、通産省の三分の一、三三%というところとの開きがあるけれどもということで御質問がありました。  そこでのお答えでは、資本金規模がどうしても郵政省対象企業は大きいからというお答えだったというふうに理解しているんですが、やはりここでも認定企業というものがどうしても大企業というか大きな資本金が、さっき十億という規定があるというふうにおっしゃっていましたけれども、大きな企業にどうしても寄っている、あるいはそれを標準としてお考えになっているということがどうもその中にはあるんじゃないか。やはりもっと小さな資本金の、まさに通産省が考えているような中小の企業だけれども大きな可能性を持っている企業というところに、こういう視点からもやはりもっとターゲットを持っていただくということ、これが大事なんじゃないかというふうに思っております。  私、商法との、先ほど保坂先生が冒頭でおっしゃいましたけれども、今、商法改正のプロジェクトチームが与党の中にもできてこれからいろいろ検討していくということで、それとの整合性というような問題も含めて御質問しようと思っておりましたが、この点については省略をさせていただきたいと思います。  次に、今回の改正とは直接かかわりないわけなんですが、ストックオプション制度と同様に、通信放送分野の新規事業の支援策として投資事業組合を活用した投資の促進が新規施策として盛り込まれているわけであります。これについて関連質問をさせていただきたいと思います。  今回の施策は、その趣旨、方向性ということにおいては正しいと思うんですが、実際に投資事業組合を設立しても肝心の民間資金がなかなか集まらないということになってしまうのではないか、それを危惧しております。日本でのベンチャー支援というのも近年盛んになってきているわけですが、なかなか、さっき申し上げているようなまだ海のものとも山のものともつかないようなハイリスクの投資には向かわないという問題があります。  通産省の調査によりますと、設立から五年未満の企業に対するベンチャー投資全体に占めた投資割合は日本が一七%に対してアメリカでは三〇%、それから同じく五年超十年未満の企業に対しては日本が二〇%に対してアメリカは五〇%ということでありました。その理由として考えられますのは、ベンチャーへの投資リスク判定のノウハウがまだ不足しているからだという見方もあるようであります。  そういった状況の中で、テレコム投資事業組合、これは仮称だというふうに聞いておりますが、このテレコム投資事業組合はリスクの高い創業、まさにスタートアップ段階ベンチャー企業にのみ出資をするというふうに聞いているわけでありますが、果たしてハイリスク企業への出資ノウハウが十分とは言えない民間資金が本当にテレコム投資事業組合に集まるのかどうか、また資金が集まった場合でも、郵政省が効果として挙げられているようなベンチャーキャピタルによる投資判断の加味によって投資リスクを軽減するということになるのかどうか、これについて郵政省の見解を伺いたいと思います。
  132. 木村強

    政府委員木村強君) 仮称でございますが、テレコム投資事業組合というものを創設いたしまして、我が国初めての電気通信分野でのそういう政策的なものだということで私ども期待をしておるわけでありますけれども、国のお金、産投出資でありますけれども十億円をいただきまして、ほぼ一対三ぐらいの割合で、したがいまして民間から三十億円程度の出資を仰ぎまして、その中には純粋な民間企業もございますけれども、いわゆるベンチャーキャピタルということでベンチャー投資のためのそういう専門のところの支援を仰ぐ、そして経営のノウハウその他につきましても専門的な立場からこれを見ようということで、ベンチャービジネスに対する資金量をふやすと同時にハイリスクに対応するノウハウを確固たるものにして行おう、こういう制度でございます。  この制度につきましては、通信放送機構からの十億円というものを加味いたしますので、やはりこれを受ける事業というのは郵政大臣認定を受けた通信放送新規事業というスキームにいたしております。  そういう意味で、この新規事業者が新しく資金が必要だというときに、先生先ほど来おっしゃっておりますように、大企業からの外部資本を仰ぐということではなく、独自にそういうベンチャーキャピタルのようなお金が入ってできるだけ大企業からのお金が流れてくるケースを少なくしながら立ち上げていこうという趣旨でございまして、トータル的にはまさにスタートアップ段階のそういったベンチャー企業を支援する、こういう仕組みでございます。  私ども、あくまで国が一定の支援策を講じなければいけないわけでありますけれども、大切な国のお金でありますから、ハイリスク面には向かうという方向ではありますけれども、より安全にやっていこうというスキームでこれを考えたということでございまして、この制度平成九年度からスタートするということで関係省庁と合意を結んでおります。
  133. 水野誠一

    ○水野誠一君 そうなりますと、先ほど来伺っているように、やはり非常に安心性の高い認定企業にどうしても投資対象がいってしまうという、大変これもまた矛盾する問題というのが起きてくる可能性があるというふうに思うんです。  今御答弁にあったように、お金を集めること自体というのはそんなに問題がないということであるわけですが、今度は逆に見ますと、最近日経新聞なんかの記事によりましても、都市銀行などがここ一、二年に相次いで設立した投資事業組合を通じた投資額、これのデータがあります。つまり、一組合当たり年間五億から十億円程度にとどまって当初の目標を下回っているということでございました。逆に、集めた金の投資先がなかなか見つからない、こんな問題もあるようであります。その背景には、ベンチャー投資の供給過剰という問題ということで考えられると思うんですが、昨年の三月末現在で日本には百四十九の投資事業組合がある、そのファンド総額は五千百七十億円、一組合平均が三十五億円ということのようです。  今回設立されるテレコム投資事業組合は、産業投資特別会計、つまり国から十億円を出資しということ、そして民間から三十億円ということで今御答弁があったわけでありますが、その時期が、昨年一月に出たデータによりますと投資事業組合の投資残高は二千六百五十五億円ということで、今お話をした五千百七十億円のファンド総額の大体半分ぐらいしか活用されていないということであります。ということは、完全に自由なマーケットにおいても相当に資金がだぶついている、こういう状態だと思います。  こういう中で、今回の施策が特に投資対象が郵政大臣による新規事業の認可を受けた会社というふうに限られてくるといったときに、逆にこの集めた四十億の資金が実際にどんな形で有効に投資されるのか、その辺がちょっとイメージとしてわいてこないところがあるんですが、そこについてお教えいただければと思います。
  134. 木村強

    政府委員木村強君) この分野は、技術革新が非常に激しくてしかも可能性のある夢の分野だということで、一定の制度ができますと恐らく需要というのは非常にあろうというふうに考えております。  ただいまの先生の御指摘でありますけれども、本投資事業組合からの出資に対する需要も高まるのではないか。と申しますのは、技術革新を使って装置産業だということで、先ほど来ちょっとお話を申し上げさせていただきましたけれども、いろんなところがらの外部資本が必要なそういう仕事が多いわけでありますから、まさに独立したべンチャーというのは、ここに頼れば大企業からの出資も受けなくてもいいというような面もございまして、そういう面でも、こういった大企業とは比較的独立した新しい投資組合を通じた出資のパターンをつくるということが大切だろうと考えております。  それから、本投資組合は十五年間の契約ということで考えておりますので、これから先十五年、何があるかわからぬという分野でもございますので、そういう中でのファンドの消化というのは可能であろう。しかも、これはどんどんふやしていくということではなくて、今の段階ではほぼ一対三の割合ということで、十億対三十億、大体四十億円ぐらいの規模でということを考えておりまして、まさしくこれからのニーズに見合って、本当にこれに対する要請が強ければ私どももこの額について増額の方向で努めなければなりませんし、状況によりましてはよく慎重に対応するということも必要であります。そういう状況を見ながら適切に判断をしてまいりたいということで、当面スタートする段階ではこの程度の規模というのは十分ファンドの消化は可能であるというふうに考えております。
  135. 水野誠一

    ○水野誠一君 私の質問も非常に言い方が悪かったかもしれませんが、ともかく申し上げたいのは、この認定される十一社というのは比較的しっかりとした企業、規模を持った会社であるということに対して、逆に言いますと四十億という資金規模というのは中途半端かもしれない。本当にそういう四十億の金が生きる対象企業というのが、逆に言うと、その認定会社の中に入ってこないんじゃないかというところでの矛盾を私は一番恐れるところであります。大いにこういったベンチャー政府の肝いりでつくっていくということは私は大変評価はしておりますが、ひとつそういった金の多寡ではなく、そういう意志を持ったベンチャーキャピタルが本当に生かされる、そういう体制をぜひおつくりをいただきたいというふうに思っております。  あわせて、先ほどストックオプションのPRについても、守住先生を初め皆さんからもいろいろ御指摘ございましたけれども、私は、まだまだそれが業界といえども十分に知れ渡っていないということから、本当に今後の政府からのPRということの重要性を重ねてお願いをして、質問を終わらせていただきたいと思います。
  136. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  137. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  138. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました特定通信放送開発事業実施円滑化法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。  本法案に反対する理由は、資金力が乏しいベンチャー企業が有能な人材確保する名のもとに、通信放送産業のリーディング企業である大企業に対し、一般の企業には認めていないストックオプションの特典を与えるからであります。  通信放送新規事業認定は、事業の新規性と実現性だけが審査対象であり、大企業であろうと中小企業であろうと事業規模は問われません。株式が未公開であれば大企業でも、リストラや分社化のために設立した一〇〇%出資のその子会社でもストックオプションの特典を得ることができるのであります。円滑化法の目的は、電気通信業、放送業一般の振興を図るものではなく、通信放送事業分野で国際競争力を持つ企業を育成することです。その結果、現実に特典を受けるのは大企業が多くならざるを得ません。  質問でも指摘したとおり、既に認定を受けている企業は、ほとんどが大企業の子会社か系列会社等であります。その中には、伊藤忠、住友商事、三井物産、日商岩井と、世界に通用する商社が共同出資した資本金百億円の衛星デジタルテレビ放送を実施している企業などが含まれています。資金人材もノウハウも潤沢にある大企業が、どうして資金力が乏しいと言えるのでしょうか。このような大企業ストックオプションの恩恵を与える仕組みをつくることは認めることができません。  最後に、人材確保資金力が乏しい中小の独立ベンチャー企業に対する支援、新規事業を起こすことへの支援を否定するものではないことを表明し、反対討論といたします。
  139. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 私は、自由民主党、社会民主党・護憲連合及び新党さきがけを代表いたしまして、ただいま議題となっております特定通信放送開発事業実施円滑化法の一部を改正する法律案に対し、賛成の討論を行うものであります。  我が国においては、これまで大企業中心にして終身雇用制度などの日本的慣行のもと人材企業に定着することにより企業内部における技術の蓄積が行われ、戦後の経済発展に大きく寄与してきたことは異論のないところであります。  ところで、近年の既存産業の成熟化、生産設備の海外移転による産業空洞化の懸念等、経済社会の閉塞感が高まる中、二十一世紀のリーディング産業として情報通信ニュービジネスの果たす役割が注目されております。こうした成長段階にある創造的ベンチャー企業にとっての課題の一つは、優秀な人材をいかに確保し、その定着を図るかという点であります。このため、優秀な人材が大企業に偏らずベンチャー企業にも活躍の場を見出せるような環境整備を図ることが今や喫緊の課題となっております。  このような状況の中、本改正案は、認定計画に係る通信放送新規事業を実施する株式会社が、当該事業の実施に必要な人材確保することを円滑にするため、取締役または使用人に対し、将来の一定期間に特に有利な発行価額で自社株式を購入できる権利を付与する制度、いわゆるストックオプション制度導入し、この課題にこたえようとするものであります。  御承知のとおり、アメリカを初めとする諸外国では、人材確保の有力な手段として多くの企業ストックオプション制度導入し、多大な成果を上げているところであります。  我が国においても、本制度導入により、取締役や使用人はみずからの努力企業業績を向上させ、株価を上昇させればさせるほどより高い利益を得ることができるため、経営努力や勤労意欲へのインセンティブが働き、その結果、企業業績の向上とともに人材の定着に役立ち、ひいてはベンチャー企業の育成につながるものと確信しております。  以上の観点から、本案による所要の改正は必要かつ妥当な措置であると考え、賛成の意を表するものであります。
  140. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  特定通信放送開発事業実施円滑化法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  141. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、足立君から発言を求められておりますので、これを許します。足立君。
  142. 足立良平

    ○足立良平君 私は、ただいま可決されました特定通信放送開発事業実施円滑化法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、平成会、社会民主党・護憲連合、民主党・新緑風会、二院クラブ及び新党さきがけの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     特定通信放送開発事業実施円滑化法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、本法の施行に当たり、次の各項の実施に努めるべきである。  一、特定通信放送開発事業の実施指針について、国民への周知徹底を図るとともに、その関連支援措置の運用に当たっては、柔軟な対応に努めること。  一、特定通信放送開発事業の実施に必要な資金確保・充実を図るとともに、中小の事業者も本法による支援を十分に活用できるよう配意すること。  一、本法に基づくストックオプション制度を有効に機能させるため、制度の啓発・普及に努めること。  右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  143. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) ただいま足立君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  144. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 多数と認めます。よって、足立君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、堀之内郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。堀之内郵政大臣
  145. 堀之内久男

    ○国務大臣堀之内久男君) ただいま特定通信放送開発事業実施円滑化法の一部を改正する法律案を御可決いただき、厚く御礼を申し上げます。  本委員会の御審議を通じて承りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の郵政行政を進めるに当たり御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。  まことにありがとうございました。
  146. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  147. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  148. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 次に、電波法の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。堀之内郵政大臣
  149. 堀之内久男

    ○国務大臣堀之内久男君) 電波法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、最近における無線通信技術の進歩及び我が国内外の国際化の進展にかんがみ、携帯電話等の移動する無線局に関する免許制度の合理化を図るとともに、無線局の検査制度について民間能力をさらに活用したものとする等のため、所要の規定を設けようとするものであります。  次に、この法律案の概要について申し上げます。  第一に、携帯電話等の移動する無線局について、個別の無線局ごとに免許を受けることなく、一つの免許により複数の無線局を開設できる包括免許制度導入することとしています。  第二に、近い将来において導入が予定されている人工衛星を用いた世界的規模の携帯電話等の移動する無線局について、その自由な流通を確保するため、我が国に持ち込まれる場合に個別の無線局ごとに免許取得の手続をとることなく利用できる制度導入することとしています。  第三に、無線局の検査において、民間の能力をさらに活用するため、郵政大臣認定を受けた者が無線設備等について点検を行った結果が提出された場合には、無線局の検査の一部を省略することができる認定点検事業制度導入することとしています。あわせて、無線設備等の点検に用いる測定器等の較正を郵政大臣が指定する者に行わせることができることとしています。  以上のほか、所要の規定の整備を行うこととしております。  なお、この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしておりますが、認定点検事業者が行った点検結果が提出された場合における無線局の検査の一部省略に関する改正規定は、平成十年四月一日から施行することとしております。  以上がこの法律案の提案理由及び内容の概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  150. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五分散会      —————・—————