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1997-03-25 第140回国会 参議院 逓信委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年三月二十五日(火曜日)    午前十時開会     ―――――――――――――    委員異動  三月十八日     辞任         補欠選任      高橋 令則君     林  寛子君  三月十九日     辞任         補欠選任      三重野栄子君     村沢  牧君  三月二十一日     辞任         補欠選任      畑   恵君     佐藤 静雄君      村沢  牧君     三重野栄子君  三月二十四日     辞任         補欠選任      佐藤 静雄君     畑   恵君      松前 達郎君     千葉 景子君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         渕上 貞雄君     理 事                 加藤 紀文君                 陣内 孝雄君                 足立 良平君                 三重野栄子君     委 員                 景山俊太郎君                 北 岡秀二君                 鈴木 栄治君                 畑   恵君                 保坂 三蔵君                 守住 有信君                 魚住裕一郎君                 鶴岡  洋君                 西川 玲子君                 林  寛子君                 千葉 景子君                 上田耕一郎君                 山田 俊昭君                 水野 誠一君    国務大臣        郵 政 大 臣  堀之内久男君    政府委員        郵政大臣官房総        務審議官     高田 昭義君        郵政省簡易保険        局長       金澤  薫君        郵政省放送行政        局長       楠田 修司君    事務局側        常任委員会専門        員        舘野 忠男君    説明員        科学技術庁科学        技術政策局調整  山本 敏明君        課長        郵政大臣官房人        事部長      安岡 裕幸君    参考人        日本放送協会会        長        川口 幹夫君        日本放送協会専        務理事技師長  長谷川豊明君        日本放送協会専        務理事      齊藤  曉君        日本放送協会理        事        中井 盛久君        日本放送協会理        事        菅野 洋史君        日本放送協会理        事        河野 尚行君        日本放送協会理        事        石渡 和夫君        日本放送協会総        合企画室経営  稲葉 和彦君        計画〕局長        日本放送協会経        理局長      酒井  伸君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件理事補欠選任の件 ○参考人出席要求に関する件 ○簡易生命保険積立金運用に関する法律の一  部を改正する法律案内閣提出) ○放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出衆議院送付)      ―――――・―――――
  2. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。委員異動について御報告いたします。去る三月十八日、高橋令則君が委員辞任され、その補欠として林寛子君が選任されました。  また、昨二十四日、松前達郎君が委員辞任され、その補欠として千葉景子君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事三重野栄子君を指名いたします。     ―――――――――――――
  5. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  日本放送協会関係付託案件の審査及び郵政事業、通信、放送及び電波等に関する調査のため、日本放送協会役職員参考人として今期国会中、必要に応じ随時出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  7. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 簡易生命保険積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 西川玲子

    西川玲子君 平成会西川玲子こと松あきらでございます。  簡易生命保険積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案について質問をいたします。  法律改正の目的についての説明によりますと、簡保は現在、直接保有国債等貸付運用を行っていて、その事務が煩瑣であるため、貸付稼働率は低く、その結果、貸付運用収益も低迷しているとのことでした。  事務が煩瑣だ、大変だと申されておりますけれども、その事務内容説明してください。また、運用の担当は何名で、運用額は幾らか教えていただきたいと思います。  また、金融機関債券借り入れを行う理由はどのようなことでしょうか。お願いをいたします。
  9. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) 債券貸し付けを行うためには、債券借り入れ注文を受けるたびに、まず注文債券の有無の確認をする必要がございます。それから取引限度額を決定する必要がございます。これは相手方信用リスクに応じて増減させるというものでございます。それから貸付条件担保条件も設定する必要がございます。貸付条件の中には貸付期間貸付利率、額面等々が含まれているわけでございます。それから貸付債券名義移転手続がございます。簡保が保有しておる国債は、いわゆる登録債でございまして、日銀に登録してこれを保有しているわけでございまして、その名義移転手続が必要だということでございます。また、担保を設定する場合には質権登録手続が必要でございます。  このような煩瑣な事務を行うということでございまして、貸付期間が終了した後にはまたさらに事務が必要でございまして、例えば質権抹消のための登録手続とか貸付債券の受け入れ、それから貸借料の収受というふうなものを行わなければならないということでございまして、一連の事務、非常に多うございます。  それから、次の御質問でございますが、貸し債運用を担当している係は現在三名で行っているわけでございますが、平成七年度の運用額は約二兆円ということでございます。この三名で貸付運用を含めまして年間十兆円を超える簡保資金短期運用全体を担当しているということでございまして、貸し債運用は相当の事務負担となっているということがございます。  それから最後の、金融機関債券借り入れを行う理由は何かということでございますが、金融機関等、これは証券会社等が主でございますが、国債売買業務というものを行っております。国債売買業務相手方と約定した場合に、受け渡しに必要な国債手元にない場合がございます。これにつきまして、相対消費貸借契約によりまして、機関投資家から国債借り入れ受け渡しを行っているということでございまして、売買業務を行うときに手元現物がない場合、これを借りまして、それを相手方に受け渡すということがあるわけでございます。  金融機関は、もちろん借りましたので返さなきゃいけません。一定期間後、貸借料とともに、借り入れ国債と同種、同量の国債現物債券市場から購入するなどして機関投資家等へ返済するという仕組みになっております。  したがいまして、この債券貸借取引というのは、債券売買取引円滑化債券売買取引を裏側から支えているというものでございまして、これを活発に行うことにより債券市場全体が活性化するということでございます。
  10. 西川玲子

    西川玲子君 大変そうですね。  そうしますと、貸し債券に一々担保必要性担保の適否を判断するということで作業が大変だ、また担当する人数も三人ということで限りがあって運用がはかどらない。そうした煩瑣な部分を今回の改正で安全を担保して信託銀行を通して貸せるようにしたいという理解でよろしいんでしょうか。  また、今はどのような形で担保をとっているんでしょうか。また、今までどのようなことに注意を払ってこられたのか、お教えいただきたいと思います。
  11. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) お答え申し上げます。  今回の改正は、信用度の高い信託銀行を厳選して債券を委託するということを考えております。  それから、今度、信託銀行から貸し付けを行う金融機関の方でございますが、金融機関等につきましては、信用度の高い金融機関等に対してのみ債券貸付運用を行わせるということを考えております。  また、担保につきましては、貸付先信用度に応じて取得するという考え方でございます。  このような措置をとることによりまして、安全性を確保しつつ、煩瑣な債券貸付事務を軽減いたしまして効率的運用を行いたいというものでございます。
  12. 西川玲子

    西川玲子君 そうしますと、平成七年度末の国債保有残高が六兆八千七百三十九億円ということですが、それを全部信託銀行等に対して一括して預けてしまうんですか。信託銀行との間に何か契約を交わすとか、そういうことがあるんでしょうか。またそれは、交わすとしたらどんな契約でしょうか。
  13. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) まず、一括して預けてしまうのかどうかということでございますが、簡保有価証券信託を行う保有国債の額でございますが、信託銀行等による貸し付け実績といいますか運用状況、それから貸し債市場がどういうふうになっているかというようなこと、それから、簡保本体においてどの程度規模運用を行うべきかというふうなことを総合的に勘案しながら今後決定していきたいというふうに思っております。  したがいまして、保有国債を一括して信託銀行等に対してすべて預けてしまうというふうなことはやらないつもりでございまして、段階的に実施していきたいというふうに考えている次第でございます。  それから、信託銀行との間に何か契約を交わすのか、それはどんな契約かということでございますけれども、まず基本は、信託銀行とは有価証券信託という契約を結ぶこととなります。この有価証券信託契約内容につきましては、もちろん法律規定にのっとる必要がございます。そういうものにのっとりながら、その内容でございますが、まず、信託された債券売買等に用いてはならないということでございまして、今回、法律上認められますのは債券貸付運用だけでございますので、信託された債券を必ず貸付運用しなければならないという契約を結びます。  それから、国債券貸付先を、現在簡保本体で直接実施しております貸付先範囲と同様にいたしたいというふうに考えております。現在やっている範囲と全く同じ範囲有価証券信託運用を行っていただきたいという契約をいたします。  さらに安全性確保のために、信用度の高い金融機関等貸付先として選別しろと。いろんな調査を行って、金融機関等貸付先として選ぶ場合には、すべてどれでもいいというわけではなくて、信用度の高いものを選べというふうなことを契約内容として義務づけます。  それから、貸付先信用度が落ちる場合、この場合は必ず担保をとれということを規定いたします。  こういうことによって、全体として有価証券信託安全性担保してまいりたい、こういうふうに思っている次第でございます。
  14. 西川玲子

    西川玲子君 今までは、簡保が直接貸し付けをしてました。それはどんな担保をとっていたんでしょうか。無担保もあったんでしょうか。また、無担保にするには何か格付など基準があるのでしょうか。お答え願います。
  15. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) 今までの直接貸し付け簡保本体が行う貸し付けでございますが、どんな担保をとっていたのかという御質問でございますが、現在、簡保が直接行っている国債貸付運用でございますけれども、有担保取引と無担保取引という二つの種類を並行して行っているところでございます。  有担保貸付運用では、これは借り主が保有しております別の銘柄国債、これを担保としてとるということでございます。具体的な方法としては、質権を設定するというやり方によって担保を設定しているということでございます。  それから、債券貸し付けに際して担保をどういう場合にとるのかということでございますが、これは貸付先の、先ほども申し上げましたが、信用度に応じて決定するということといたしております。  なお、信用度をどういう基準で判断するのかということでございますが、貸付先財務状況経営基盤というふうなものを十分考慮するわけでございますが、それ以外にも、最近部外評価機関がたくさんございまして、ムーディーズ等話題になっておりますが、そういうふうな部外評価機関の公表する格付というふうなものも参考にしながら、担保を付すべきかどうかというようなことを決めているわけでございます。
  16. 西川玲子

    西川玲子君 貸し債市場は、平成八年の十月で月間借り入れベースで百六十三兆円あって、そのうち倍入残高が二十五兆円弱という状態だったと聞いておりますけれども、手間が省けた分、運用が楽になった分、余分に貸すことができるんでしょうか。また、どれぐらい貸して、幾らくらいの収益となる見込みでしょうか。
  17. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) 貸し債市場お話しのように、月間借り入れベースで約百六十三兆という現在市場規模になっております。その中で、有価証券信託として簡保としてどの程度貸していくかということでございますけれども平成七年度末におきます簡保国債保有残高は六兆八千七百三十九億ございます。この保有国債の中からどの程度有価証券信託により運用していくかということにつきましては、先ほども御説明申し上げましたように、市場動向等さまざまな状況を考慮しながら段階的に実施していきたいというふうに考えている次第でございます。  信託に当たっては、当然一社ではなくて数行を選んでやるつもりでございまして、相互に競争させることにより稼働率収益率も上げられるというふうに考えている次第でございます。
  18. 西川玲子

    西川玲子君 平成八年度では、一兆九千七百十七億円貸して、同年三月末の貸し債残高が六千五十二億円で、簡易保険収益額が二億一千三百万円だったと聞いております。  収益額の二億一千三百万円は受け渡し実績額一兆九千七百十七億円の実に〇・〇一一%ということですが、少しでも保険加入者に還元しようとしたらこれでも少ないとは言えないかもしれないんですね。ただ、債券を在庫していては一銭にもならないんですから、こうした努力は大切だと思います。  そこで、平成八年九月二十日からの貸し付けに対して、第百六十一回利付国債相対市場での貸し付けば、相対と言うとこれはあなたと私で一対一ということなんですけれども、八%という貸借料率で国会ったというデータがございます。普通は〇・二%から〇・六%あたりを行ったり来たりしているわけですけれども、このとき相対市場に何が起こったんでしょうか。説明をお願いいたします。
  19. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) 簡保有価証券信託による貸し債を増加していこうと、そういう考え方について加入者還元というお話でございましたが、保険特会におきましては利益という概念はございません。年間利益に相当する額は剰余金という表現で言っておりますけれども、その剰余金はすべて加入者に対して配当金として還元するという仕組みになっております。  したがいまして、少しでも運用実績を上げるということは加入者に対して配当金がふえるということになりまして、加入者に対する利益還元としては、私どもはいかなる手段を用いてもその運用利回りを上げていくということが必要であるというふうに理解しているところでございます。そういう視点から、今回の貸し債についての稼働率を上げたいというふうに考えているところでございます。  それから、後段の平成八年九月に貸借料率が八%で国会った、つまり非常に高利回り、高利になったことがあるということでございますが、平成八年九月における貸し債市場相場でございますが、これは機関投資家決算対策によりまして債券貸し出しが一時的に非常に減少した、つまり供給の方が減少したということでございます。それに対応して需要の方でございますが、一部銘柄にこの時期集中したという経緯がございます。そういうことで貸借料率が急上昇したということでございます。  そこで、簡保有価証券信託による貸付運用を開始いたしますと、簡保保有国債は七兆近くございます。そういうことによりまして、極端な債券貸借料の乱高下の可能性を抑えることができるということでございまして、貸借料平準化といった市場ニーズにこたえることができるのではないかというふうに考えている次第でございます。
  20. 西川玲子

    西川玲子君 債券市場相対市場なんですね。もう金融のプロの世界で、なかなか難しい世界ですから、怖くて注文があってもおいそれとは応じられないというところがあります。そういう点では、信託銀行を間に入れるのは一つの安全弁かなとも思いますけれども、しかし、先ほどから信用度が高い信用度が高い、そういうところにしかというふうに何回もおっしゃっていますけれども、今世の中では住友信託銀行だって危ないなんて言われているような時期なんです。だから、一般の国民にすると本当に大丈夫かいなと、そういう不信感もございます。  しかし、今回の信託銀行による貸し債が実現しますと、簡保としては信託銀行に対して一任勘定を与えたような格好になりまして、こうした相対市場動きとは直接関係がなくなる危険はありませんか。
  21. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) 信託銀行に対して一任勘定を与えるということではございませんで、有価証券信託というものを信託銀行に対して委託していくということでございます。  それともう一点の御質問でございますが、有価証券信託導入によりまして、簡保本体貸し債市場から手を引くということで、貸し債市場動き簡保本体で見えなくなるんじゃないかというふうな御懸念かと思いますが、私どもとしては、有価証券信託導入後も簡保本体による直接貸し付け、これは継続したいというふうに考えております。債券市場との関係はこの意味において維持されるということでございます。  簡保本体での債券貸し付けを継続して、貸し債市場との直接関係を維持することによりまして、現実の貸し債市場動向を絶えずフォローして、有価証券信託パフォーマンス分析に役立てていきたいというふうに考えております。  今回の制度を導入いたしましたのは、簡保本体でやれる額、これが非常に事務も煩瑣であるために限定されている、その範囲を拡大していきたいということでございまして、簡保本体でも当然従来の直接貸し付けばやっていきたいというふうに考えている次第でございます。
  22. 西川玲子

    西川玲子君 また仮にですが、直接お客様から簡保信託銀行に、〇・二%でお願いしますという申し込みがあり得るとします、あると思います。そうすると、簡保信託銀行のお客をとってしまって、信頼関係が崩れるということはありませんでしょうか。信託銀行簡保に聞いてみますなんということになっては業務がより複雑になって、事務煩瑣が解消できるとおっしゃいますけれども信託銀行に委託してもそんなに変わらないんじゃないでしょうか、どうでしょうか。
  23. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) 相対取引とはいいましても、貸借料等さまざまな動きについては、基本的には市場需給動向で決まるということでございます。  そういう視点から眺めてみますと、全体の市場規模先ほどお示しがございましたような百六十三兆ということでございますが、簡保本体運用実績は二兆円ということでございまして、市場規模、それから簡保本体運用額、これを勘案してみますと、信託銀行簡保市場で競合するということはほとんど考えられないのではないかというふうに考えている次第でございます。  それから、二点目の質問でございますけれども有価証券信託契約では、貸付先範囲、それから条件というふうなトータルとしての考え方というものは契約で示せますが、信託銀行が個別に行う運用判断、それにつきまして簡保がとやかく言うということはないわけでございまして、個別の運用判断とそれに伴う事務作業というものは信託銀行に任せるということでございます。  したがいまして、有価証券信託導入した場合、債券貸付運用事務量といいますものは大幅に軽減されるということでございます。
  24. 西川玲子

    西川玲子君 そのうちに簡保市場から手を引いて、直接取引を全部一遍に手を引くとはおっしゃっていませんけれども、徐々に引くというようなお話でしたけれども信託銀行一定量債券を割り振ってしまいますと、相対先の情報は信託銀行が握って、簡保はいつも最低の貸借料率信託銀行国債を貸す羽目にならないでしょうか。  また、簡保は、国債にしても、どこよりも一番銘柄をそろえているわけですから、相対先にとつてこんなにいい相手はないわけなんです。お客様信託銀行に頼めば、信託銀行信託された国債を必要なだけ貸してあげればよいことになります。相対、あなたと私ですから、簡保には料率は知れないわけです。信託銀行は有利な料率で好きなだけもうけることができるシステムになるんじゃないでしょうか。  何を基準貸借料率を決めるんですか。一律にして、市場相場動き関係なく貸借料率を決めるのでしょうか。それは安全かもしれませんけれども、何か考え方によっては信託銀行に利用されっ放しになるような気がするんですけれども、いかがでしょうか。
  25. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) 有価証券信託契約信託銀行に対して行う場合でございますけれども、この契約の中で、債券貸付先貸借料というものを事後的に報告するよう義務づけることといたしております。これによりまして、取引内容簡保としてはチェックできるということでございます。  信託銀行の取得する信託報酬でございますけれども、これは簡保信託銀行との間で一定率ということで定められるわけでございますが、通常、貸借料収入の二〇%程度ということになっておりまして、信託銀行はこの手数料をもらうというだけでございまして、残余は当然簡保に戻ってくるわけでございまして、信託銀行が一方的にもうけるということはないということでございます。  それから、もちろん相対取引と申しましても市場実勢相場というものは当然あるわけでございまして、貸借料率につきましては、一定で定めるのではなくて市場状況を踏まえて相対で決めていく方がむしろ市場実勢を反映できるということでございまして、合理的ではないかというふうに私ども思っておりまして、一律に固定するということはできないというふうに思っております。
  26. 西川玲子

    西川玲子君 何か余り得じゃないような気がします。何かそうまでして貸し債信託銀行とする本当の意味は何なのかというふうに思ってしまいますけれども信託銀行にとってはとてもありがたいことだと思いますけれども簡易保険にとっては一億や二億の収益がふえたところで大勢に影響がないんじゃありませんでしょうか。  信託銀行信託物はほかの債権者が手をつけることができないようになっている。信託銀行に何かあっても委託した債券はいつも保全されるから安心というふうにおっしゃっておりましたけれども信託銀行のその先の取引についても、契約書である程度担保など取引基準を決めて守ってもらう必要があるんじゃないでしょうか。もうそういった契約の案文はできているんでしょうか。いかがでしょうか。
  27. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) 簡保でございますが、信託銀行による貸付運用安全性を高めますために、有価証券信託契約の中で貸付先金融機関等信用度の高い法人に限定するということを考えておりまして、もともとそういう信用不安的なものが生じないような前提で進めてまいりたいというふうに思っておりますけれども、しかしながら、信託銀行貸付先との間の契約書の内容につきましては、これはきちんと整理する必要があるというふうにお示しのように私どもも考えております。  そういう意味で、この契約書の案文はまだできておりませんけれども、本改正案が国会において御承認されましたならば、即座にこれについて策定してまいりたいというふうに考えている次第でございます。  もちろんこの契約書につきましては、簡保信託銀行との間の契約の中で、簡保が提示した契約書に基づくよう定めていきたい。つまり、信託銀行貸付先契約する場合には、この契約書によることということを義務づけたいというふうに思っている次第でございます。
  28. 西川玲子

    西川玲子君 しかし、先ほどもちょっと言いましたけれども信託銀行それ自体がだめになっちゃったときはどうするんでしょうか。全く考えられなくはないと思うんです、そういうことも。また、考えれば不安な材料はいろいろあるんですけれども、今回の信託銀行を通しての貸し債は、公共の利益、何回もさっきからおっしゃっています。これは大事なんですけれども、公共の利益という面からどのような価値があるのでしょうか。
  29. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) 信託法の話になるわけでございますが、信託銀行が倒産した場合どうなるかという御質問だと思います。  信託銀行は、信託財産を管理する場合に、自己の固有財産というのは当然ございます。それと、他の信託財産、他から信託を受けた財産、この信託財産とを区別して管理しなければならないというまず法律上の義務を負います。これは信託法二十八条に規定しているところでございます。  また、信託銀行が破産した場合は、信託銀行は受託者たる適格要件を欠くことになりますので、信託財産の名義者でも自動的になくなるということでございます。したがって、信託財産は破産財団に属さないということになります。このため、委託者は当然信託財産に対する取り戻し権を行使してみずからの手にこれを取り戻すことができるということでございます。  また、簡保が保有している国債はすべて登録債ということになっております。日本銀行に保管されておりまして、日本銀行に登録されている、そういう国債でございます。その登録の中に、簡保信託銀行有価証券信託したものであるということがちゃんと登録といいますか記載されておりまして、その点から、現物という点から見ても保全上問題は生じない。つまり、信託財産と固有財産の資産がごちゃごちゃになってしまって、どれが簡保財産なのか固有財産なのかわからなくなるということはない。日銀の中にきちんと登録されているということでございます。
  30. 西川玲子

    西川玲子君 例えば、債券の貸借市場の値動きデータを見ていて、やはり期末、三月とか九月に貸借料率は一般に高くなります。さっきもちょっとおっしゃっていましたけれども、これは何か会社の決算と微妙に関連があるように思えます。  このごろは大会社といえども本当に何が起こるかわからない時代ですから、信託銀行が相手を信用して無担保貸し債を行ったとします。ほんの数日の決算監査のために債券を借りることだって理屈の上ではできるんですよ。簡保から無担保で借り出すことができなかった会社が、今度は、信託銀行が承諾すれば簡易保険の持っている国債は無担保で借り出せることになるんです。借り債券で会社の財務を埋め合わせるなんていわゆる粉飾決算です。それに国が手をかすことにならないように、私はしっかり契約書をつくっていただきたいと思います。  簡保資金は、収益性と公共の利益の両方にいつでも配慮しなければなりません。こういうことは公共の利益にまさに反することですから、私はしっかりお願いいたしたいと思います。ちょっと重複するかもしれませんけれども、いかがでございましょうか。
  31. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) 先ほど質問に戻るかもしれませんが、貸し債有価証券信託により行うことによってどのような公益を確保できるのかということがございました。これは、もちろん金融環境の変化に適切に対応いたしまして効率的な運用ができるということでございまして、収益向上が図れるということが一点ございます。この運用収益が増加いたしますと、先ほど申し上げましたように、簡保には利益という概念がございませんので、剰余金としてすべて加入者に対して配当するという仕組みになっておりますので、簡易保険加入者への配当になるということでございまして、加入者利益につながるという点がございます。  それから、先ほども申し上げましたように、債券貸借取引円滑化といいますか、債券の売買市場を裏側から支えるということになりますので、債券市場が非常に活性化するということがございます。現在、国債発行残高二百兆以上の国債市場にあるわけでございまして、その取引が活発に行われることは、結局国債の発行という面から見ても非常に好影響を与えるのではないかというふうに考えている次第でございます。  それから、違法行為の話でございますが、私どもとしてはそういう違法行為が起こらないような仕組みで今回考えているわけでございますが、万々が一にもそういうことのないように、公共の利益に反することのないよう慎重に行ってまいりたいというふうに考えております。お話しになったとおりのことがあってはならないと私どもも思っております。
  32. 西川玲子

    西川玲子君 そこのところはぜひよろしくお願いいたします。  次に、郵政省所管の財団法人簡保資金振興センターについてお尋ねをいたします。今回の簡易保険運用法律に関連しておりますので、お尋ねしたいと思います。  財団の平成五年度から平成七年度の決算状況によりますと、基本財産運用収入が二千万円から千八百万円と漸減しております。これはどういう原因か把握されておりますか。
  33. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) 簡保資金振興センターでございますけれども、この簡保資金振興センターは、簡保の資金運用の推進に寄与するとともに、簡保事業の発展に協力し、簡保加入者利益の向上及び国民の福祉の向上に貢献することを目的として設立された公益法人でございます。  この簡保資金振興センターにおきましては、基本財産を運用して、その運用収入により事業経営を行っているというふうに基本的になっているわけでございますが、簡保資金振興センターにおきましてこの基本財産の運用収入が次第に減ってきているということ、これはなぜかということでございます。これは、近年の市場金利の低下に尽きるわけでございまして、株価の低迷ということもございます。そういうことで全体として運用収入が減っているということになるわけでございます。
  34. 西川玲子

    西川玲子君 基本財産の運用では経営が大変になっているということなんでしょうか。  賛助会費については規約によれば、「センターの趣旨に賛同する者であって、賛助金を収めた者」となっております。一口二十五万円で、口数は任意となっておりますけれども、二口以上のようです。こちらの方は平成五年度から七年度を見ますと、八千八百万円から九千八百万円となって、順調に伸びておるようです。  事業収入は四億五千万円平均で推移をしております。この事業についてですけれども、主に郵政省との関係簡保資金運用調査研究や講演会の開催という説明になっております。特に、資金セミナーと国際シンポジウムは講師もすばらしいということで人気のようです。したがって、事業収入は四億五千万円程度で推移しているのだそうです。  そこで賛助員ですが、内外の証券会社及び内外の銀行や信託銀行が名を連ねているわけですが、これは今回の法律改正信託銀行への運用とリンクしているんじゃありませんでしょうか。
  35. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) 先ほど申し上げましたが、簡保資金振興センターと申しますのは、簡保の資金運用の推進に寄与するものということでございます。それから、簡保事業の発展に協力するということがございます。これによりまして、簡保加入者利益の向上と国民の福祉の増進に貢献するということを目的として設置されたものでございます。賛助員というのは、基本的にはこの趣旨に賛同する企業等が賛助員となっているということでございます。  有価証券信託取引先につきましては、先ほどから何度も申し上げておりますように、財務内容等の経営状況、それから格付機関による格付有価証券信託運用実績というふうなさまざまな条件、これをクリアした場合に初めて対象として選定するということになっておりまして、簡保資金振興センターの賛助員であるかどうかというふうなことが選定に影響を及ぼすということは一切ないというふうに考えている次第でございます。  また、当然、賛助員の方々はこの法人が設立された当初からずっと賛助員になっている方がほとんどでございまして、今回の法改正とはそういう意味関係がないということでございます。
  36. 西川玲子

    西川玲子君 財団法人による簡易保険の資金運用調査研究及び周知とは、郵政省は所管官庁として何を期待されたんでしょうか。また、賛助会社に加入をまさか義務づけなどされているわけじゃないんでしょうね。
  37. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) この財団法人は、簡保の資金運用について過去かなりの調査研究をした実績がございます。そういう意味で私どもとしては、.この財団法人を利用してさまざまな調査研究を行っていただきたいという趣旨でこの財団に期待しているということでございます。  また、賛助会員に加入を義務づけなどされていないのでしょうねということですが、それは当然のことでございまして、賛助会員になるならないは賛助会員の自発的な意思にかからしめるものでございます。そういう意味で、私ども義務づけるということは一切やっていないということでございます。
  38. 西川玲子

    西川玲子君 役員構成についてお尋ねをいたします。  私は、先日も郵便法のときに申し上げました。ここでも役員は七名ですけれども、監事の方が信託銀行の方で、六名は元事務次官から始まって郵政省の関連の方々が就任されております。政府も所管官庁の関連の方々は役員の三分の一にしようと言っておられるわけです。私もこれは先日も申しましたように非常に大事な点であると、国民はやっぱり今一番こういうことを気にしております。やはり広い人材をという意味で、ぜひ検討していただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  39. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) お示しのように、役員は七名ということになっております。監事の方が信託銀行の方でございまして、六名が郵政省部内者ということでございます。そういう意味で六名ということになるわけでございます。平成八年九月二十日に閣議決定されました公益法人の設立許可基準及び指導監督基準というものがございます。また、それについて運用指針が出ておりますが、その中で考えてみますと、本省課長以上というふうなことでございますが、所管官庁の出身者は四名というふうに考えているところでございます。  簡保資金振興センターの事業は、資金運用に関する調査研究、月刊誌「かんぽ資金」の発行等、簡保事業に対する十分な知識を必要といたします。そういう意味で、簡保について最も知識を有するのはどうしても郵政省のOBになるわけでございまして、理事現在数の大宗を郵政の出身者が占めているということとなっております。  しかしながら、この閣議決定によりまして、所管する官庁の出身者は理事現在数の三分の一以下にするということもまた言われております。もちろん、私どももこの閣議決定の趣旨は尊重する必要がございますので、理事の郵政出身者の割合を減らすよう指導していきたいというふうに思っております。
  40. 西川玲子

    西川玲子君 もう、常套の答えなんです、いつも。専門家じゃなきゃできないから専門家を入れる、こういうことはおかしいと思うんです。それで、いつも検討させていただきますというようなことで終わっちゃう。本当にこういうことに関しては残念だなと。どういうふうに検討して、どういうふうに変わったか、また次の機会にぜひ私は伺ってみたいと思います。  財団法人のあり方ですけれども、公益法人ですから、本来基本金で得た収益で公益活動するのが筋ですけれども、今はなかなかそうはいかないようでございます。どうしても収益事業をやって経営を維持しなければならないという事情でもあるんでしょう。でも、所管官庁からの仕事ばっかり当てにしますと、今いろいろおっしゃいましたけれども、どうしてもやっぱり所管官庁の出身者を多く役員に据えるということになるわけです。幾ら三分の一以下に抑えるといったって、なかなか仕事のことを考えるとそうはいかないというのが現状じゃないんでしょうか。  ところで、郵政省はどんな仕事をやってもらっているのでしょうか。
  41. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) 簡保資金振興センターの事業でございますけれども先ほど申し上げましたような簡保加入者利益の向上と国民の福祉の増進に貢献することを目的として行っているわけでございますが、具体的に申し上げますと、まず簡保資金運用に関する調査研究というのを行っております。それから「かんぽ資金」という月刊誌でございますが、これを発行しております。それからラジオ体操の図解図を作成して発売しております。それから各種セミナー、講演会等の開催と、こういうふうな事業を具体的には行っているわけでございます。  もちろん、郵政省は所管法人でございまして、これを監督するということが本来の職務でございます。それとあわせまして、簡保資金運用に関する調査研究を委託したり、それから「かんぽ資金」誌の監修、こういうことを行っているわけでございます。こういう意味で、同センターとかかわりがあるということでございます。ただ、全体の事業収入の中で郵政省との絡みがどの程度あるかということでございますが、大体郵政省との関係は三割ぐらいでございまして、あとの七割はこの振興センターが独自でさまざまな事業を行っているということでございます。  いずれにいたしましても、郵政省としては、同センターの公益事業が適正に行われるよう、所管官庁として十分指導してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  42. 西川玲子

    西川玲子君 次に、簡保資金運用についてお尋ねをいたします。  簡保資金というのは、保険加入者から払い込まれた保険料は、一部はその年度の保険金等の支払いや事業の運営等に必要な経費に充てられますが、大部分は将来の保険金等の支払いに備えて積み立てられます。この積み立てられた資金が簡保資金というふうに理解をいたしております。したがって、加入者利益のために確実、有利な方法で、かつ公共の利益になるよう運用しているということになっております。  この積立金は、郵政大臣が直接管理、運用しておりますね。そして、郵政大臣は毎年簡易生命保険積立金運用計画というのを立てて、資金運用審議会の議決を経て決定することになっております。  資金運用審議会には七名の委員と専門委員及び各行政機関よりの七名の幹事がおります。大蔵省に伺いましたら、専門委員三十二名が就任したので多角的検討が期待できるということでございましたけれども、本来はこの積立金については郵政大臣の直接管理、運用が建前なんです。ですけれども、何かこれではだんだん大臣の手から管理、運用が外されてしまうんじゃないかと思いますけれども、このことについて、郵政大臣の御感想をお聞きしておきたいと存じます。
  43. 堀之内久男

    ○国務大臣(堀之内久男君) ただいま西川委員の御指摘のとおりでございますが、簡保資金運用に当たっては、簡易生命保険積立金運用に関する法律に基づきまして、郵政大臣が直接管理、運用を行っているところであります。  ただ一方、国の事業として、簡保資金は確実、有利、かつ公共の利益になるように運用しなければならない、そして、その運用が独善的なものにならないように、簡保積立金運用計画あるいは資金運用に関する事項を資金運用審議会に付議しなければならない、そして審議いただくということになっておるところであります。  したがって、先ほど御指摘の、審議会の専門委員が三十二名ということになっておりますが、そのうちの十八名は、財投の改革を推進するという観点から資金運用審議会に懇談会が設立されたところであります。その懇談会発足に当たって新たに任命されたものでありますし、簡保資金運用に関する諮問機関としての運用審議会の委員及び専門委員の数は従来と変わっていないところであります。
  44. 西川玲子

    西川玲子君 そうですが。心配がないということですので、積立金について、平成九年度の運用計画について、また大臣にお伺いしたいと思います。  平成八年度の運用計画と平成九年度を比べてみますと、思い切ってと言っていいほどどこも減額になっているんです。ちょっと読み上げますと、住宅金融公庫五〇%減、国民金融公庫一一%減、中小企業金融公庫一九%減、農林漁業金融公庫三一%減と軒並みずっと減なんです。  何か大臣の方針が大きく変わられたのでしょうか。減額の理由をお示しください。
  45. 堀之内久男

    ○国務大臣(堀之内久男君) 平成九年度の財投運用につきましては、長期、固定の資金を供給することによりまして社会資本の整備を推進するという財投の役割にも十分配意いたしまして決定したところでありますが、その運用額につきましては、平成九年度は全体の財投計画額が対前年度より三%減と過去最大の縮減になっておるところであります。  長期、固定の資金によりまして政策的な機能を果たす財投の役割から見ましても、適合しない分野についてはスリム化を図ったところであります。財投運用等の利回りが低下しておる現状にかんがみまして、事業経営の健全性を確保するという観点から、市場運用の充実を図ったところであります。前年度よりいたしますと、大体二〇・三%減額をいたしておるわけであります。  各財投機関への運用については、簡保資金運用にふさわしいと判断される分野へ配分いたしたところでありますし、今後とも公共の利益に配慮して運用するという基本方針は堅持してまいりますが、今後の自主運用というか、市場運用についてはさらに市場動向を見て検討してまいりたいと思っております。
  46. 西川玲子

    西川玲子君 そうですが。たくさん出し過ぎちゃってそんなに必要ないところもあったからきちんとそういう状況を見て減らしたということで、そういうお答えだと思うんですけれども、大きく減ったところについて二、三お尋ねをしたいと思います。  住宅金融公庫は、八年度六千三百九十五億円から九年度は三千百九十七億円と、まさに五〇%減なんですけれども、もう家を建てる人はいなくなるという、そんな見通しなんでしょうか。
  47. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) 住宅金融公庫に対する平成九年度の簡保資金運用計画額でございますけれども、これをなぜ減額したのかということでございます。  私どもとしては、各財投対象機関ごとにその必要性を厳密に調査し、査定したということがございます。この住宅金融公庫につきましては、平成七年度に非常に多額の不用額が発生しております。驚くほどの不用額が発生しているということでございます。八年度においても不用が発生するということでございまして、その点から、本当に資金需要があるのかどうかということがひとまずございます。  それから、住宅金融公庫の資金需要というのは、もちろん金融・経済動向等により変動が非常に大きいわけでございまして、そういう動向も見きわめながら資金需要を厳密に見積もりまして減額するということでございます。  なお、財投計画におきましては、資金運用部資金と簡保資金を合わせて住宅金融公庫に対して必要な資金を割り当てていくということになるわけでございまして、そのために大蔵省と郵政省が常時調整しているわけでございます。この額について申し上げますと、ほぼ前年度並みの十兆六千四百七十三億円というものを充てているところでございます。同公庫の借入予定戸数そのものが減っているわけではないということでございます。大蔵省としては前年までの推移、過去の経過等々、いろいろお考えになって割り当てられているものというふうに理解しているところでございます。
  48. 西川玲子

    西川玲子君 そうですが。  もう少し国民生活に身近に関連するところのことをお伺いしたいと思いますけれども、中小企業金融公庫も二〇%減、国民金融公庫も一九%減、日本道路公団が二二%減になっているんです。運用がゼロになったところは鉄道整備基金、国鉄清算事業団、中小企業事業団、船舶整備公団などです。  このように、何かマイナス印を眺めていますと、世の中にブレーキがかかってしまうんじゃないかというふうに思うんですけれども、こういうマイナス行進を大臣はどういう調査、政策基準で決められたのでしょうか。昨年は日野郵政大臣でございまして、ことしは堀之内大臣でございます。大臣の政策判断をお伺いしたいと思います。
  49. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) ちょっと事実関係だけをまず御説明申し上げたいと思います。  中小企業金融公庫と国民金融公庫がなぜこれだけ減っているのかということでございますが、御承知のように、平成八年度運用計画の減額補正をこの二公庫については講じております。国民金融公庫につきましては六百十一億という減額補正を組んでいます。中小企業金融公庫については千百十七億という減額補正を組んでおりまして、非常に減っているように見えますけれども、減額補正を組んだ額に対してみますとほとんど減っていないということでございます。  それから、道路公団が二二%減ということでございますが、この道路公団につきましては、簡保の比率が従来六割、資金運用部資金が四割という比率でやっておりましたが、簡保の比率が余りにも高過ぎるということで、今後はフィフティー・フィフティーでやろうということになりまして減ったということでございまして、簡保として日本道路公団そのものは非常に重視しているということでございます。  それから、ゼロになったところについてもそれぞれ事情がございまして、トータルとして減になったところは、減したから必要な資金が賄えないという状況ではなくて、資金需要がそれだけあるのかという視点から個々の財投対象機関を十分査定いたしまして、その枠組みの中で必要な財投計画をつくったということでございます。
  50. 堀之内久男

    ○国務大臣(堀之内久男君) 細部につきましてはただいま局長からもう御答弁申し上げたとおりでありますが、平成九年度の運用計画の策定に当たりましては、財投の必要性やその趣旨にかんがみまして、国民生活に密接なかかわりを持つ分野や社会資本整備を推進する分野等については資金を重点的に配分いたしたところであります。  また一方、財投の本来の趣旨から外れている分野や不用額が多額に発生している機関に対しましては思い切ったスリム化を図ったところであります。
  51. 西川玲子

    西川玲子君 しかし、簡易保険福祉事業団と社債等のところは前年より一八%、六四%と急な増加なんですね。しかも、この二つで十四兆二千九百四十四億円という運用金の六〇%に当たるんです。簡易保険事業団は昨年より三千億円も多いんです。どんな事業になるんでしょうか。  また社債ですが、三月二十一日にアメリカの格付機関ムーディーズが、先ほどもムーディーズのお話出ましたけれども、日本債券信用銀行の金融債などの社債格付を投資不適格に引き下げたと報じました。理由は、不良債権の重い負担に加え、金融債に対する公的保護策にあいまいな点が多いことのようです。二月には、このほか日本興業銀行、日本長期信用銀行の社債格付を格下げを検討すると発表しております。  社債の公的保護といいますと、今回の積立金運用計画にも出てまいりましたが、社債等に積極的に運用するという運用姿勢に見えますが、これはいわゆる公的保護の準備でしょうか。いかがでしょうか。
  52. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) 簡保事業団への運用でございますけれども、これは簡保資金全体の適正なポートフォリオを確保いたしますために、一定額を株式等を中心とした長期運用を行わせることが必要だというふうな判断で行っているところでございます。簡保資金簡保事業団に運用寄託いたしまして、同事業団がその資金を信託銀行に委託し、単独運用して金銭信託という形で運用するものでございます。  一方、社債等への運用でございますが、より有利、確実な運用を目的といたしまして、国債、政府保証債、地方債、社債というふうな金融市場を通じてこれらの債券運用を行っているものでございます。公的保護の準備というふうな御質問でございましたが、特定の企業や個別の金融機関を指示し、買い支えるというふうな視点からの運用簡保としてはやらないという方針で行っておりまして、有利運用という視点から行われているということでございます。  それから、日債銀の金融債の話、それからムーディーズの発表というふうなことがございました。その点につきましては、私どもとしては有利運用という視点から考えていきたいというふうに考えている次第でございます。
  53. 西川玲子

    西川玲子君 もともと、簡易生命保険は国営保険として国民から保険料をいただいているので、できるだけ国民の福祉に役立つ方向で積立金運用を図るという建前がございました。ですから、地方公共団体にも貸し付けたりということになっているわけです。ですが、運用のあり方を見ておりますと、とにかくもう有利にとか、利息を稼ぐという、そういうお言葉、さっきも何回か出てまいりましたけれども、何かそういう傾向が強くて、国民の福祉を増進しながらという理念、公共の福祉に資するという理念に欠けていたのではないかと私は思います。簡保資金にとって収益性と公共の利益は変わらぬ両輪なんです。  今、財投についても多くの声があります。これは別に簡保だけの責任じゃない、それだけが悪いんじゃありませんけれども、ここにありますように、いろいろ「冬眠した「農道空港」」やら「釣り堀になった巨大な港」、「村つぶすダムはムダ」、それから双子の下水処理場、いろいろとあるわけでございます。ともかく私は、こういった中にはまさにこの両輪を忘れた貸し付けがあるんではないかというふうに思います。  さきに、保有国債信託への貸し付けについてはお尋ねをいたしましたが、このことを踏まえたこれからの簡保資金運用について大臣のお考えをお聞きして、質問を終わりたいと思います。
  54. 堀之内久男

    ○国務大臣(堀之内久男君) 簡保資金は、保険金等の支払いに備えて積み立てられた加入者の共同財産であります。したがって、その運用に当たっては確実、有利に運用する必要があるわけでございます。  また、この資金は国の事業を通じて全国の加入者から集められた資金であることに十分配慮をして、公共の利益の観点から社会資本整備等の財投運用に役立てる必要があると考えておりますが、ただいま委員から御指摘がありました個々の事業について、あるいは大きな批判を受けているものもあると思います。その点は私ども郵政省でとやかく言うべきものではなくて、それぞれの事業体で十分これは検討していただかなきゃならぬものと思います。  いずれにいたしましても、簡保としては、簡保資金は社会資本の整備あるいは公共の利益の観点から十分お役に立てるように努力しなきやなりません。また、簡保資金の特性から考えましても、地域振興等に役立てるよう資金の地方還元、いわゆる市町村の地方債等にも今後還元できるように努めてまいりたいと思っております。
  55. 西川玲子

    西川玲子君 ありがとうございました。
  56. 千葉景子

    千葉景子君 既に西川委員の方から幾つかの御質問がございましたので、多少重なる部分がございますけれども、確認の意味も含めながら何点かの質問をさせていただきたいというふうに思います。  今回の改正の目的というのは、金融経済環境の変化に対応して簡易生命保険特別会計の積立金運用の多様化、そして、それによって加入者利益の増進を図るということにあるようでございます。そのために、現在直接実施している保有国債等貸付運用信託銀行等への委託を通じて行う、こういうことでございます。先ほど大臣からも多少御答弁がございましたが、簡保の自主運用能力を高めるということから考えても、本来であれば有価証券信託という手段ではなく直接運用がやはり基本ではないだろうか、このように思うのですけれども、その点について基本的な考え方をお示しいただきたいと思います。
  57. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) お示しのように、簡保平成二年より国債貸付運用を行ってまいっております。  しかし、先ほども御説明申し上げましたように、この貸付事務を行っておりますのは三名ということでございまして、しかも十兆円を超える短期運用をすべてここでやっているというふうなことがございます。また、貸付事務も非常に煩瑣だということでございまして、このために保有国債七兆円近くございますが、受け渡しベースで二兆円程度稼働率しかないということでございまして、保有債券に占める貸付債券の比率、これがなかなか上がらないという状況にございます。  そこで、今回信託銀行債券貸付事務を委託することによりまして、保有国債等貸付稼働率を高めまして、資金運用事務の一層の効率化と運用収益の向上、ひいては加入者利益というものを図ることとしたものでございます。  しかし、本体の運用能力という視点から見てどうかということでございますが、これにつきましては、有価証券信託導入後もできるだけ簡保本体債券貸し付けを継続していきたいというふうに考えている次第でございます。もちろん、要員の数にも限界がございますし、事務が煩瑣であるということで、一定の限界があるということを前提にした上でございます。  これによりまして、運用能力の向上は当然図っていきたい、それから保有国債の有効活用も図っていきたいということでございまして、あわせて有価証券信託というものを行うときのさまざまな分析、みずからやっておりますとよくわかりますので、そういうさまざまな分析に役立てていきたいというふうに考えている次第でございます。
  58. 千葉景子

    千葉景子君 ぜひ、基本を忘れずに今後も取り組んでいただきたいというふうに思うんですけれども、その上で、この有価証券信託という形になりますと、委託者である信託銀行等に対しては何らかのコントロールといいましょうか、どういう形で監視みたいなものを行うのでしょうか。あるいは委託したらもうお任せと、こういうことなのでしょうか。その点についてのコントロールの方式などについて、御説明をお願いしたいと思います。
  59. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) 信託銀行をどのような形でコントロールするかという御質問かと思いますが、有価証券信託におきましては、当然有価証券信託契約というものを簡保とそれから信託銀行等の間で結ぶわけでございます。この契約内容によりまして信託銀行をコントロールしたいというのが基本的考え方でございます。もちろん、信託銀行貸付先との個々の契約内容を私どもがとやかく言うというわけでは全くないわけでございまして、全体としての貸付額とか貸付期間とか貸付先等、そういうふうな基本的事項につきましては、契約の中であらかじめ定めておく、その枠組みの中でしか信託銀行が動けないようにするということでございます。そういうことで、貸し債事務有価証券信託で行う場合の信託銀行のコントロールを行っていきたいというふうに思っております。  また、委託後も、もう一たん委託したから見直さないということではなくて、金融情勢に合わせて貸付先選定等の契約条件は当然見直します。従来いいと思われていた貸付先経営状況が非常に悪くなってきたという場合には、貸付先から排除しなきゃいけませんので、そういうふうな契約条件の見直しというのは当然常時行うということでございます。また、運用実績が非常に悪いということがありますれば、もちろんその契約関係そのものを見直すということもあり得るというふうに考えている次第でございます。
  60. 千葉景子

    千葉景子君 現在、簡保貸付運用しているものでは国債などがございますけれども、それ以外にどんなものが行われているのか、そして、その貸し付け実績などはどんな状況になっているのでしょうか。
  61. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) 有価証券信託を行う債券範囲ということでございます。国債は当然入っているわけです。国債等のこの等は何を指すのかということだと思いますが、この等には地方債、それから政府関係機関債、それから金融債、外国債というものがございます。政府関係機関債というのは、細かく分けますと政府関係機関等債及び特殊法人債というふうになっております。そういうことで、国債、地方債、政府関係機関債、金融債、外国債というものを、この貸し債業務の対象とすることができるということになります。  ただ、市場における貸し債のほとんどは国債取引ということでございまして、有価証券信託による貸付運用もひとまずは国債を考えているところでございます。  簡保本体による債券の貸付実績でございますが、平成七年度は受け渡しベースで約二兆円ということとなっております。貸付債券の種類はすべて国債ということでございます。  これ以外に貸し債市場でどういうものがやられているかということでございますが、政府関係機関債、それから金融債、これにつきましては若干貸し債取引が行われているような気配がいたしますが、しかし、基本は国債ということでございまして、ひとまずは国債というふうにお考えになっていただいていいのではないかというふうに思っております。
  62. 千葉景子

    千葉景子君 今、その中で外国債の問題が触れられておりましたけれども、ちょっとその点についてお尋ねしたいと思うんですが、外国債運用については平成六年度末九千四十二億円、平成七年度末二千二百三十九億円の差損があったと言われておりますけれども、円安が今進んでおりますから、平成八年度はどういう差損になっているのでしょうか。  また、平成八年の国際金融市場を見ますと、先進国の企業や機関の債券だけではなくて、信用度が多少低くても高利回りの、例えばアジア、中南米、アルゼンチン、ロシア、クロアチア、カザフ.スタンなどという、なかなかこれまで耳なれないところではございますけれども、そういう発行の債券機関投資家の資金が向かったということが報道などでも知らされているんですけれども簡保の外貨債の運用状況はどのようになっておりましょうか。ちょっと具体的にお教えいただきたい。
  63. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) 外貨建て債券の為替評価の問題でございますが、簡保といたしまして外債の運用を積極的にやってきたわけでございますけれども、当初は円高が非常に進んだということもございまして、評価損を非常に出したという経緯がございます。平成七年度末は二千二百三十九億の評価損を出しているということでございます。しかし、その後非常なペースで円安が進みまして、昨今の為替レートで試算をしたところによりますと、為替評価損は一切ない、完全に解消したというふうに考えております。むしろ相当の黒字になりつつあるということでございます。  外国債運用状況でございますが、運用残高平成九年二月末現在で四兆二千六百六十三億円ということでございまして、資産運用の四・四%を占めているところでございます。  それから、運用先についてさまざまな国があるじゃないかという御指摘でございますが、運用先につきましては、国際機関のほかカナダ、アメリカ、フランスなど二十の国へ、また運用通貨も米ドル、カナダドルなど十六通貨で分散投資を行っているということでございます。  簡保資金でございますが、もちろん、これは簡保加入者の保険金、それの支払いに備えた共同財産ということでございまして、確実に運用しなければいけないという責務を私ども負っております。そういう意味から、カントリーリスクというものを十分考慮しなければいけませんし、各種債券格付機関の評価、これも十分勘案する必要がございます。  いずれにいたしましても、信用力がありかっ市場流動性が高い、いつでも売れる、そういう債券を選定いたしまして慎重に運用しているところでございます。  今お示しのような多数の国でございますが、これらの国では若干カントリーリスクの点から問題があるということで、現在は運用していないということでございます。
  64. 千葉景子

    千葉景子君 最後ちょっと、運用していないということですね。
  65. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) はい。
  66. 千葉景子

    千葉景子君 わかりました。  ところで、最近の運用利回りを見ますと、簡保は民保より高い利回りになっております。運用先を見ると、制限が比較的多い簡保が何で利回りがよくなるのかということがなかなかよくわからないんですけれども、これはどういう理由で利回りが高くなるのでしょうか。
  67. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) 簡保運用は、基本的にはバイ・アンド・ホールドということでございまして、長期運用を目的として運用いたしております。したがいまして、過去の高い金利の債券をたくさん抱えているという点が一つございます。それから、財投運用を従来五〇%以上ずっとやってまいりました。財投は過去、金利がかなり高かったというふうなこともございまして、全体としては平成七年度末で四・三七という非常に高利で運用できているということでございます。  これに対しまして民間生保でございますけれども、民間生保は株式、それから不動産、企業貸し付けというふうなものを主体にして資産運用を行っておりまして、私どもとは資産運用の対象が全く違うわけでございます。その運用が、全体的な景気動向等から民間生保の方が非常に影響を受けやすい運用対象に運用していたということではないかというふうに思っております。
  68. 千葉景子

    千葉景子君 平成六年六月から債券の先物あるいはオプションが開始をされておりますけれども、その実績はどんなふうになっているでしょうか。
  69. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) 債券の先物とかオプション、これは制度改正によりお認めいただいたということでございます。債券の先物及びオプション、これは原則としては市場における債券価格の変動リスクを回避するための手段であるというふうにこの制度創設時に考えているところでございます。したがいまして、債券オプションまたは先物を行うという場合には、具体的に価格変動の危険がある場合にこれを発動してリスクヘッジをかけるということが前提になっているわけでございます。  そういうことでございますが、その運用実績について申し上げますと、債券先物は八年度四十億円、二件やっております。それから、債券オプションは六年度百九十億円、七年度八百億円、八年度七百五十億円ということとなっておりまして、件数で申し上げますと、六年度十件、七年度十六件、八年度十五件というふうになっているわけでございます。  以上でございます。
  70. 千葉景子

    千葉景子君 今の実績をお聞きいたしますと、いずれも簡保運用額から比べると少ない額のように思えます。せっかく法改正をしてこのような運用ができるようになったわけですけれども、これはどうなんでしょうか。少ないからだめだというふうに考えるべきなのか、あるいはやはり着実に安全な形で運用しているということなのでしょうか。この額が余り多くないと思われるのはどういうことなのか、どんなふうに認識をされているのか。  また、今回新しい制度が導入をされようということになるわけですけれども、この実績から考えると、また余り活用されないのか、こういうこともちょっと予測をされるのですけれども、その今後の点についていかがお考えでしょうか。
  71. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) 先ほども申し上げましたが、この債券先物・オプションということでございますが、これは投機を目的として行ってはならないということになっております。したがいまして、私どもとしては現物債券の価格変動のリスクというもののヘッジをかけようということでこの制度の導入をしたわけでございまして、そういうリスクヘッジという視点から見れば、当然一定の意義を有しているというふうに理解しているところでございます。  それから、今回の有価証券信託導入でございますが、これは信託銀行債券貸付事務を委託することにより保有国債貸し付け稼働率を高めるということでございまして、リスクヘッジのために導入した債券先物とかオプション、こういうものとは運用目的が根本的に異なっておりまして、多々ますます弁ずの世界ですから、多ければ多いほどいいということでございまして、そういう意味でこのリスクヘッジとは少し違うということがあろうかと思います。  それから、債券先物・オプションの運用額がなぜ少なかったのかということでございますが、この制度導入後、超低金利ということもございまして、債券価格はほぼ一貫して上昇局面ということでございました。したがいまして、私どもとしては債券はバイ・アンド・ホールドで持っておれば自然に上がっていくわけでございまして、全然ヘッジをかける必要がなかったということが一つございます。  それから、簡保は長期運用をやるわけでございまして、最後まで持ち切ってしまえば元本が当然返済されてくるわけでございまして、そういう意味でもリスクヘッジの余地が少ない。機動的に運用する場合にこういうものを活用してということになるわけでございますが、リスクヘッジというのは当然必要でございますし、この手段があるということは私どもは非常に心強いわけでございまして、一定の意義があるというふうに理解しているところでございます。
  72. 千葉景子

    千葉景子君 時間もあれなので最後にお聞きいたしますが、簡易保険福祉事業団を通じて単独運用指定金銭信託による運用平成七年度末で十兆円程度になっております。バブルがはじけて以来我が国の株式市場は低迷をしていますけれども、これ実際に運用益があるのかどうか、またその推移がどうなっているのか。その点についてお聞きをして、質問を終わりたいと思います。
  73. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) 簡保事業団に対する運用額平成七年度末において十兆一千二百億というふうになっております。同年度の運用事業の運用益でございますが、平成七年度末で三千百八十三億円の運用益を出しているということでございます。  しかしながら、これは簡保事業団は簡保本体から貸し付けを受けるわけでございますが、それを運用する、また運用寄託で資金を流しましてそれを運用するということになるわけですが、調達コストが非常に高金利時のものが大きいということでございまして、その面から経常損失として千百八十七億円を計上しているということでございます。これは運用益とそれから調達コストの逆ざや現象ということでございます。  このため、私どもとしても手を打つ必要があるということから、従来の財投基準金利による貸付制度というものを変更いたしまして、株式配当利回り並みの低利な運用寄託制度というものを平成六年度に導入した。安い金利で簡保事業団にお貸しするということでございます。これによりまして、調達コストは非常に減っておりまして、多分平成九年度には単年度赤字が解消するというふうに理解しております。数年以内に累積欠損は解消するということを考えている次第でございます。
  74. 千葉景子

    千葉景子君 時間になりました。
  75. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 この法案改正が対象としている債券貸借市場というのは、金融自由化の流れの中で、八九年五月、債券の空売りの解禁と一体になってつくられた市場です。一年後の九〇年六月に法改正になりまして、簡保積立金で保有している国債も使おうということになって、私ども日本共産党は、これは法律第一条の公共の利益になるように運用するに反すると、投機的市場に間接的にも提供することになるんだというので反対した。  当時、債券貸し付けについて二百億円運用して一億円の運用益、そう郵政省は言っていたんですけれども、九五年度の債券貸し付けの実態、運用額収益はどうなっていますか。
  76. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) 平成七年度の簡保本体による債券貸し付け実績額でございますけれども債券貸し付けの額面の合計、つまり受け渡しベースの累積合計でございますが、約二兆円というふうになっております。貸借料収益は約二億円ということになっております。    〔委員長退席、理事陣内孝雄君着席〕
  77. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 そうすると、二百億円運用して一億円の運用益というのが二兆円だから百倍でしょう。百倍運用して二億円というんだから五十分の一なんだな、予想の。こういう実態になっていて、だから、最初の法改正のときにいかに我々にいいかげんなことを言うかと、これは実例だと思うんです。  さて、当時の議事録を調べてみますと、日本共産党の山中委員が参議院逓信委員会でこの問題を取り上げたとき、政府委員松野春樹君と書いてある、法律にもそう書いてありますけれども、第一条が「確実で有利な方法により、かつ、公共の利益になるように運用する」となっているわけね。運用三原則、確実、有利、公共の利益、これが三原則だと言っているわけです。どうも余り確実じゃないですよ、先ほどの五十分の一の運用では。  見ますと非常に動いていますね、九三年には十三兆運用している。収入は二十億近いんですから、そういうときもあります。ところが、今度はがくっと減って九五年には約二兆円で二億円と。今はそういう市場ですから出入りも非常に激しい、そういう市場だと思うんです。                        さて、このときの答弁でなかなかおもしろいことを言っているんですよ。「この三原則それぞれ、中には相矛盾するような意味合いをとれるケースもあろうかと思います」と、自分で認めているわけだ。この原則は相矛盾することもあり得るという答弁だったので、さてまた新しい改正が今度出てきたので、短い時間ですけれども少し質問したいと思います。  さらに金融自由化が進んで、九六年四月からこの市場がいわゆる日本版レポ市場と言うんだそうですな、そういうものに変わった。現金担保債券貸借取引というもので、アメリカのレポ市場とちょっと違いがあるので日本版という名前がついているというんです。これはアメリカと何が違うかというと、アメリカは現物先物取引をやっているんだが、それをレポ市場と言うんだけれども、アメリカには証券取引税がない。日本にはそれがあるので、それを避けるために現物先物取引ではなくて、債券を中心とした貸借取引ということにして、有価証券取引税のかかるのを避けたというんです。  日経金融新聞九六年五月二日号には、「現先取引にかかる有価証券取引税を回避するため、大蔵省の銀行局と証券局が編み出した苦肉の策と言える」と。苦肉の策で日本版レポ市場が生まれたわけね。生まれると、これ物すごい急拡大している。非常に大変な急拡大で、日経の二月二十六日、最近の日経です、「一月末は十一兆円を突破」と、もう各紙急拡大とうんと報道があります。新たに現金担保というのをつけるようにしたわけで、今まで非常に規制が多かったので無担保が多かった。「無担保貸借取引の十二兆五百四十五億円に迫った」と、十一兆円になって、非常な急拡大した。そういう急拡大するけれども、やっぱり投機市場ですからいろいろ危ないことがありますよ。マイナス金利になる例もあるということが新聞には出ている。    〔理事陣内孝雄君退席、委員長着席〕  それから、日経金融新聞九七年一月二十一日号では、「債券揺るがすレポ取引」、価格操作があるというんだな。そういうなかなか危険なこともある市場で急拡大している。それで、この市場に生命保険会社がどんどん参入している。昨年九月末、日本生命保険、十一月、第一生命保険、ことし一月下旬、明治生命保険が参入。今度簡保信託を使っていよいよ大参加をしょうとするように思われますけれども、この法案改正はこの日本版レポ市場、これが開始されたことに伴う法律改正と聞いているけれども、そうなんですか。そこら辺のことを少し説明してください。
  78. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) 現在の簡保が直接実施している貸し債でございますが、これは借り主が保有する別銘柄国債担保といたしまして質権設定をしているということによって担保措置をとっているわけでございます。したがいまして、簡保としてはレポ取引、これはリバーチェスアグリーメントということですが、行っていないということでございます。  現金担保貸し債でございますが、これは通称日本でレポ取引と言っておりますけれども、資金調達を目的とした手段となっておりまして、少しでも低い金利で資金を調達するということを前提にいたしまして貸し債市場を利用しているということでございまして、通常の債券売買に伴う貸し債とは目的が異なるというふうに私どもとしては考えているところでございます。  今回の貸し債のための有価証券信託でございますが、ここで考えております現金担保は純粋に貸し債担保するために行うものであり、金利がマイナスになるというふうな取引は当然行わないわけでございまして、私どもとしては、まずは質権設定による担保設定、それから相手先の信用を十分吟味する。それでもどうしても現金担保をとる必要がある場合も金利情勢を十分把握しながらやっていくということでございまして、私どもは何も資金調達を目的として貸し債をやろうというふうに思っているわけではございません。
  79. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 さて、この債券の空売り、ショートセール、これが解禁されたのでこういう市場ができたというんだけれども、前回のときに郵政省が説明したショートセール、これは空売りですな。債券売却の約定日において、既発行の債券を保有していないのだけれども売却するわけだと、持っていないけれども売却するわけだ。受け渡し日には、その債券がなければ実行できないわけでございますので、その際、買い戻しまたは借り入れ債券受け渡しているわけでございます。これがショートセールだと。だから、債券価格が安くなると思われるときに高い時期に売っておく。それで債券を手当てしてキャピタルゲインを稼げる、逆の場合もあると、こういう取引なんです。これにこの簡保資金で買った国債を大量にやろうという。今まで保有国債の一割だったのを八割、九割まで今度使おうというんだけれども、そうなんですか。
  80. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) 有価証券信託をどの程度行うかということにつきましては、当然、先ほど申し上げましたように、貸し債市場に与える影響というものを十分見きわめながら決定していく必要があるものというふうに思っております。  その決定に当たりましては、当然、相手方である信託銀行貸付運用状況も見ますし、それから貸し債市場動向がどうなっているか、それから簡保本体によってどの程度運用すべきかというふうなことを総合的に勘案しながら段階的に実施していきたいというふうに思っておりまして、一挙にやるということは考えておりません。
  81. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 段階的にせよ、八割、九割までかなり大量に使おうというんですね。  一つお聞きしたいのは、この第三条でずらっと「次に掲げるものに運用する」と書いてあって、今度十八の次に新しい十九を入れるわけですね。十五には、「信託業務を営む銀行又は信託会社への金銭信託で元本補てんの契約があるもの」と、こう書いてあるんです。  今度は金銭信託じゃなくて有価証券信託をやるわけだ。元本補てんの契約、これは法律に今度書いてないのだけれども、元本は必ず保証されるというふうになっていますか。なぜやらないんですか、元本補てんの契約を。
  82. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) この法律によって有価証券信託で行おうというふうに考えておりますのは、基本的には貸し付けという業務だけでございまして、売買ということを念頭に置いているわけではございません。そういう意味で、元本保証ということは私どもとしては考えていないわけでございますが、信用リスクに対する対応といたしましては、従来、簡保が本体で自主的に運用をやっていた範囲内に限定してやっていこうというふうに考えておりまして、貸付先もすべて含めてですね、その枠組みの中でやっておりますので、特にこれによってリスクが増大するというふうに私どもは考えていない次第でございます。
  83. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 しかし、信託銀行信託会社が勝手にやるんですから、現金担保付の場合もあるし、無担保でやる場合もありますよ。  大丈夫大丈夫と言うけれども、有名な例は九五年二月、ベアリング証券、これが破綻しましたな。あれは日本の国債を無担保借り入れて、それで先物取引に使っていてつぶれたんですから。だからそういうケースがあり得るわけです。今度、決済がローリング決済に変わったというのも、本当に相手がつぶれるリスク、決済のときにもうつぶれていたという危険、リスクを避けるためにと言われているんだから、やっぱりこういう世界ですから、投機や何やらで危ないですよ。それで絶対大丈夫なんという保証はどこにもないでしょう。いかがですか。
  84. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) まず、有価証券信託ということでございますので、信託銀行との関係においてどういうふうな整理がなされるかということでございます。これは信託銀行が倒産したときどうなるかということでございますが、その信託銀行の固有財産と信託財産というのはきちんと別経理でやれというふうになっておりますし、破産財団に承継されるものではなくて、私どもは当然これを取り戻せるということになっておりますので、信託銀行との間では問題ない。しかも、私どもが行っておりますのは日銀に対する登録債が主でございまして、保有債券についてはすべて有価証券信託を行った債券であるということを明記した上で日銀に登録されている、そういう仕組みの中で行うこととなっております。  それから先、信託銀行貸付先との関係をどう整理するかということでございますが、これにつきましては、現在私ども簡保本体で行っている貸付運用の対象とこの有価証券信託で行う対象というのは一致させるということを考えているところでございます。したがいまして、従来以上にリスクが発生するということは私どもとしては考えていないということでございます。  また、貸付先信用度調査につきましては、当然外部格付機関の評価等々、経営状況等を十分見まして決定していくということでございまして、リスクの問題は、現在自主運用している以上に有価証券信託を行ったことによって肥大するということはないというふうに考えております。
  85. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 納得いかないけれども、先へ進みます。  当面国債でしょうけれども、今度の法律案を見ますと、「前号に規定する債券の」と書いてある。前号というのは十八ですから、そうすると、「積立金をもって引受け、応募又は買入れを行った債券であって政令で定めるものの」と書いてあるので、国債以外に金融債、地方債、いろいろ持っていますね。こういうものまで段階的に運用対象の拡大を考えているんですか。
  86. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) 法律上、簡保貸し付けを行うことが可能な債券でございますが、国債、地方債、それから政府関係機関等債、それから金融債、特殊法人債、外国債というふうになっております。政府関係機関等債と特殊法人債を合わせまして政府関係機関債というふうに考えておりますが、そういうものを対象にして貸し付けができる、これは法律上の枠組みでございます。  従来から、債券貸し付けにつきましては、簡保としては民間の金融機関等から申し入れがあったものについて当然やるわけでございますが、従来は国債しかなかったということでございまして、実態としては簡保国債貸し付けのみを行ってきたという事実関係がございます。  政府関係機関債とか金融債につきましては、市場において若干取引されているということを私どもも聞いておりますけれども、その実態を正確にまだ把握しておりません。そういうこともございまして、その辺の実態を十分把握した上で、借り入れの申し入れがあれば実施を検討していきたいというふうに思っております。今すぐやるということは考えておりません。
  87. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 局長は実態を把握すると言われたけれども、これは相対取引でやっているんですから、物の本を私も勉強で少し読んだら、この債券の貸借取引の実態というのはなかなかわからないと書いてありますよ。本当に急拡大して次々に参入して、恐らく最大の短期資金をつくる市場になるであろうというものなんだけれども、なかなか実態はわからないんです。そういうところへ簡保資金で積み立てたその積立金で買った国債を段階的にせよ大量に入れようと。  私は、前回の法案のときにも、これは郵政事業の民営化につながるじゃないかと言ったけれども、郵政大臣、郵政事業の民営化、反対反対とあなたはおっしゃるけれども、これも結局、民間の生保会社と同じようなことをやるということなんですよ。民営化の道、民営化した方がいいですよということを自分で示しているようなものですよ。自分でやると事務量が多いし、うまくいかぬ、もうからぬ、だから民間の信託銀行に、信託会社に頼みましょうというのでしょう。民営化の方がいいですよということを御自分で示しているようなものですよ。  そこで、郵政大臣に、もう時間もございませんので、最後にちょっとお伺いしたい。  先ほどちょっと申し上げました日経金融新聞の九七年一月二十一日号、「債券揺るがすレポ取引」、価格操作の監視が課題になっているというんです。それで、先物価格に比べて最も割安で需要の高い銘柄市場から吸い上げるスクイーズという動きがずっと出てきているんですと。これで価格操作をやりかねないというんだな。アメリカでは、こういうレポ市場に対して、「米国では、財務省、連邦準備理事会(FRB)、証券取引委員会(SEC)、商品先物取引委員会(CFTC)、ニューヨーク連銀が市場監視ワーキンググループを構成。レポ市場を含む国債市場を、厳しく監視している」というんです。そういう厳しい監視がないと危ない市場なんですよ。ところが、「日本でレポ取引は昨年四月に始まったばかりで、監視体制やノウハウは米国に比べ後れを取っているのは否めない」と。  こういう非常に急拡大しているけれども、危険で、アメリカではこういう厳しい監視体制ができているような市場に、これはもう大量に、積み立てた生保資金で買い入れた国債その他を大拡大して運用しようというもので、冒頭申し上げました、郵政省自身も確実、有利、それから公共的な運用だという三原則で、私はこれは非常に一層大きく外れかねない危険があると思うんです。  ですから、私どもこの改正にも反対しておりますけれども、郵政大臣、そういう危険が新聞報道で現実に見えているようなものなんだから、そういう点では資金運用の拡大には非常に節度が必要になっているというふうに思うんです、三原則に照らしても、法律第一条の。そういう点で、最後に郵政大臣のお考え、また決意をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  88. 堀之内久男

    ○国務大臣(堀之内久男君) 債券市場は、平成八年十月現在で月間取引高も百六十三兆円に成長しておるわけであります。また、簡保貸し債運用平成二年より行っておりますので、そのノウハウは十分蓄積されていると考えております。  今回の有価証券信託は、現在、簡保がみずから行っている貸し債運用を今度信託銀行を通じて行うというものでございまして、対象有価証券や貸付先金融機関範囲につきましては既に現在実施している範囲内で行う、こういうように考えております。  したがって、今回の改正は、金融環境の変化に適切に対応いたしまして、効率的な運用により収益向上を図ろうと考えております。第二点は、この運用収益の増加は、何といっても簡易保険加入者への配当として、加入者への利益につながる、こういうように考えております。債券貸借取引円滑化に資すると、債券市場の活性化を促すことができるというように理解をいたしておりますので、一応そういう面のメリットもあると考えておる次第でございます。
  89. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 終わります。
  90. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 郵政事業の職員が簡保等の契約を成立させますと保険募集手当というのを受け取るわけでありますが、この保険募集手当を職員がなぜ受け取れるかということでちょっと条文を調べてみましたら、昭和四十九年に制定されております郵政事業職員特殊勤務手当支給規程、これによって特殊勤務手当としての扱いを受けているようであります。  そもそも一般職の職員の給与に関する法律第十三条が定める特殊勤務手当というのは、死刑執行手当や死体処理手当とか有害物取扱手当のように、「著しく危険、不快、不健康又は困難な勤務その他の著しく特殊な勤務で、給与上特別の考慮を必要とし、かつ、その特殊性を俸給で考慮することが適当でないと認められるものに従事する職員」に対して、その勤務の特殊性に応じて支給される手当がこの特殊勤務手当であろうかと思うんです。  しかるに、簡易保険勧誘業務が著しく危険や困難な勤務とは到底思われません。本給の保障がある公務員になぜ高額な歩合給とも思われる保障をされるのか。国民感情にも著しく反すると思われますが、この点の御見解をお伺いいたします。
  91. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) 先生お示しになりましたように、一般職の職員の給与に関する法律の十三条に特殊勤務手当というのが書いてございます。その条文の趣旨は先生がお示しになりましたとおりでございます。郵政省としては、その条文を受けているわけでございますが、まず基本的には、特殊勤務手当の中の貯蓄奨励手当でございますが、これにつきましては、その勤務の特殊性に応じて支給されるものというふうに私ども考えております。  具体的な内容につきましては、郵政事業に勤務する職員につきましては、国営企業労働関係法第八条という規定がございまして、関係労働組合との労働協約で定めるというふうになっております。労働協約で定めたものに基づきまして、先ほどお示しになりました支給規程というものを設けているということになります。  沿革的に見ますと、昭和二十三年に政府職員の新給与実施に関する法律というのができましたが、これに基づきまして政府職員の特殊勤務手当に関する政令というものが制定されております。この政令におきまして貯蓄奨励手当というのが定められておりまして、立法の当初から貯蓄奨励手当というのは当然予定されていたということが言えようかと思います。  それから、簡易生命保険の募集行為でございますが、一般の業務と異なりまして、その効用が主として偶発的な事故が発生した場合に限られている。つまり、死亡された場合とか病気になって入院された場合というふうな平生から予想できないような偶発的な事故、それが発生した場合にその効用があらわれてくるということでございまして、そういう商品の特殊性から積極的な営業活動というのが必要だということでございます。また、営業活動におきましては職員の個々の能力差というものがございますし、この点を考慮いたしまして貯蓄奨励手当は支給しているということでございます。  もう少し詳しく申し上げますと……
  92. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 もうその程度で結構です。たくさんの簡保契約を成立せしめると、成績向上のためだとかいろいろあるとは思われるんですが。  平成八年十二月三十一日の読売新聞の記事によるんですけれども簡保の勧誘を担当する郵便局職員が受け取った簡保の勧誘手当の平成七年度の総額が一千百八十二億円にも上っているんです。一人平均三百十万円、基本給のほかに歩合給としてもらっている。これ一番高い人、二千万円以上の手当をもらっている職員が全国で十数名いるという現状であります。同じ公務員でありながら、集配等の仕事をしている人と保険の勧誘業務をしている人たちの間で収入の格差が極めて大きく開いておる。他の部局の職員をしてやる気をなくさせて、これは行政組織上いささか僕は大問題だと思うんですが、御所見を伺いたい。
  93. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) 郵便局の中には、郵便、貯金、保険のすべてについて総合的に担務しております職員もおります。したがいまして、それぞれの部門ごとに給与を比較するというのは非常に難しいわけでございますけれども、先生お示しのように、保険関係の職員と他の職員との給与格差が存在しているということは私どもも認識しております。  それで、平成九年四月一日からこの貯蓄奨励手当を直していこうということで組合と交渉いたしまして、現在妥結したところでございます。それによりますと、まず総額抑制をやろうというふうに考えております。平年度ベースで貯蓄奨励手当を二〇%縮減したいと考えております。また、余り高額の貯蓄奨励手当を受けるのはいかがかということでございますが、それにつきましては、一定額以上の高額の手当受給者に対しましては削減支給をやろうと考えておりまして、これによりましてある程度事業間の格差は縮小されるものというふうに理解しております。  ただ、実際、職員個々人に支給されますいわば給与の一部を減額するわけでございまして、組合との関係におきましても、私どもとしてはできるだけ先生のお考えになったような考え方をも取り入れながら、全体としてその減額を図る方向で努力しているということでございます。
  94. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 平成七年度に全国の一般職の国家公務員の懲戒処分を受けている統計をちょっと見てみますと、郵政省がもう圧倒的に多いんです。もちろん、数が郵政省が多いことも事実でありましょうけれども、一般職の国家公務員の総数が一千四百十名、そのうち八七・二%を占める千二百二十九名が郵政省関係の懲戒処分者なんです。しかも、この千二百二十九名の全員が郵便とか保険業務等を取り扱う現業職員だという現実であるわけです。  このデータ、なぜ郵政省現場職員の懲戒処分事件が多いのか、その原因も私にはよくわからないんですが、今の職場での所得格差が何らかの因果関係を与えて郵政省の現場職員の懲戒処分数が多いという結果になっているんじゃなかろうかと思うんですが、この点の御見解を伺います。
  95. 安岡裕幸

    説明員(安岡裕幸君) 郵政事業は、約三十万の職員が全国津々浦々の二万四千六百の郵便局ネットワークを通じまして、郵便、貯金、保険等の取り扱いをしておるわけでございますけれども、いずれもこれらの業務は国民の日常生活に大変密着したサービスでございます。  したがいまして、これらのサービスを低下させるということは国民生活に大変大きな影響を与えるということになるものでございますので、服務規律の確保とか、それから綱紀の厳正な保持を大変重要な課題ということで取り組んでおりまして、事故犯罪はもちろんでございますけれども、遅刻、欠勤等の職員の義務違反に対しまして厳正に対処しているところでございます。  その結果といたしまして、懲戒処分等が多くなっているものと認識しておりまして、ただいま先生のおっしゃいます三事業間の収入の格差に対する不満によるというものではないというふうに考えております。
  96. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 数が多いから遅刻、欠席の懲戒が多いということはわかるけれども、収入格差が懲戒処分に何らかの因果関係があるように僕は思うので、十分その点を調査して、何かもう少し是正されることを希望いたします。  一人平均で三百十万円もの簡保の手当をもらっているんです。それだけ払う余裕があるなら保険料をもう少し安くしたらどうかと端的に思うんですが、御所見を伺います。
  97. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) 貯蓄奨励手当をなぜ払うかということでございますが、給与特例法によりまして……
  98. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 払う根拠はわかりましたから。
  99. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) それと、五十八年三月の臨時行政調査会におきましてもメリットシステムということでその有用性が認められております。  しかしながら、より一層の事業の合理化、効率化を図るため、先ほども申し上げましたように、平成九年四月一日から奨励手当の支給総額の抑制ということで総額抑制、平年度ベースで二〇%程度の縮減を図りたいということで、新手当制度を組合と合意し、協約を発効させようとしている、そういう段階にございます。  また、これは事業費の収入保険料に占める割合でございますが、これを事業費率といいますが、平成七年度で見た場合、簡易保険の事業費率は四・三%でございまして、民間生命保険会社の一三・八%というものを大きく下回っております。簡保は民間の生保よりも非常に効率的な事業運営を行っているわけでございまして、その趣旨をより生かしながら努力していきたいというふうに思っております。
  100. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 よくわからないあれだったんですが、この募集手当についてさらにお尋ねします。  普通郵便局と特定郵便局の職員の給与というのは全く同じだと思うわけですし、そのとおりなようなんですが、この募集手当の支給に関しては特定郵便局と普通郵便局と格差があると伺っておるんですが、本当でしょうか。もし本当だとするならなぜ差がついているのか、簡単にお答えいただきたいと思います。
  101. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) 特定局は、普通局と比較いたしまして全体的に市場性の低い地域における設置の比率が高くなっているということがございます。それから、特定局の職員は三事業を取り扱ういわゆる総合担務ということになっておりまして、専門知識等の習得が非常に難しいというふうなこともございます。それから、もちろん沿革の経緯というものもあります。そういうことで、特定局の職員に対する支給率については、現在普通局より若干高目というふうになっております。  しかしながら、最近、市場性や職員の知識の習得度合いについて顕著な差が見られなくなったということから、平成九年四月一日から特定局と普通局間における支給率の格差を廃止するということを考えております。
  102. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 先ほど、収入が職員間によって格差が出てくるから最高受け取る上限を一定額までにしよう、そしてもらう歩合の割合も縮小していこう、こういう努力をなさっている、こういう局長の答弁だったんですけれども、そもそも国家公務員というのは、いわゆる金で魂を売るようなことはない誇りを持った国家公務員を育成すべきであって、同じ公務員でありながら一般の民間企業がやるのと同じような、奨励金制度というと聞こえはいいけれども、いささか非営利を目的とする郵政省のやることではないのではなかろうか。むしろ上限を決めたり歩合の受け取るパーセンテージを下げようなんてみみっちいことを言わずに、この制度はすぐ全廃してしかるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  103. 金澤薫

    政府委員金澤薫君) 奨励手当は、国の経営する企業に勤務する職員につきましては能率というものを考慮するということになっております。いわゆる親方日の丸ではなくて、その職員の能力に応じて給与を支給していく、能率ということを非常に重視した法律体系になっているわけでございます。郵便局職員が積極的に契約を成立させた場合につきましては、その能率を高めたということでございまして、支給していくという仕組みになっているわけでございます。  これはもちろん臨調の場でも、先ほども申し上げましたが、メリットシステムというのは有効なものだということが認められているということでございまして、私どもとしては、国家公務員といえども能力主義、能率というものを考えていくということが非常に重要ではないかというふうに思っておるところでございまして、貯蓄奨励手当は存続する必要があるものというふうに考えておるところでございます。
  104. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 それなりの理由はあるかと思いますが、国家公務員の本来のあり得べき姿という観点からも、金をぶら下げて能率を図らしめるというような国家公務員のあり方は私は疑問と思いますので、さらなる検討を期待するものであります。  最後に、大臣にお尋ねをいたします。  郵政省は、少子化・高齢化社会がやがて到来すると言われているわけでありますけれども、現在、郵政省は健康増進支援事業とかケアタウン構想というものを推進されていると伺っております。私も不勉強でちょっとよくわからなくて申しわけないんですが、こういうようないろんな高齢者向けの構想を郵政省独自で発表されているようでありますけれども、今後、郵政省といたしまして、高齢社会到来に向けての施策と申しますか、どんな政策を展開されようとしているのかお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
  105. 堀之内久男

    ○国務大臣(堀之内久男君) 現在、我が国では少子・高齢化が急速に進展しておるわけであります。豊かで活力ある長寿福祉社会の実現が我が国の重要な政策課題であることはもう御案内のとおりであります。こうした少子・高齢社会の到来に備えるために、国民一人一人の自助努力が必要不可欠であることは当然であります。  簡易保険事業といたしましては、今後とも、国民の自助努力を支えるために、安心して老後を送ることができる保障の提供に加えまして、加入者福祉活動の充実、簡保資金による社会資本の整備を通じて、長寿福祉社会に向けた福祉基盤の整備に努めてまいりたいと思っております。  また、地域拠点としての郵便局を活用することによりコミュニティー活動の充実あるいはボランティア活動の支援など、地域社会への貢献にも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  106. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 終わります。
  107. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  109. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私は、日本共産党を代表し、簡易生命保険積立金運用に関する法律の一部改正法案に反対の討論を行います。  本改正案に反対する理由は、国民の預託金という性格を持つ公的資金である簡保資金運用を、債券の空売りなど投機を促進する債券貸借市場で一層拡大させるからであります。  債券貸借市場は、金融自由化推進策の一環としてショート・セール、いわゆる債券の空売りの解禁と一体で、銀行などの機関投資家債券流通を促進するために設立された市場であり、簡易保険積立金で保有する国債債券貸し付け運用することは、「公共の利益になるように運用する」ことを定めている本法の目的に反することは明らかであります。  過去の運用実績は、年度によりばらつきがありますが、運用実績に比例して運用収入が伸びているわけでもありません。九五年度の収入は、保有している国債の約一〇%を運用して二億円強の収益で、全体の運用収入に占める割合は〇・〇〇五%であります。  今回の改正は、債券と資金を交換する債券貸借市場の短期金融市場への発展に対応して、事務の軽減、稼働率の向上を理由に、郵政省がみずからの責任で実施していた債券貸付運用信託銀行等に委託して運用できるようにするものであります。  審議の中で明らかなように、現在の保有する国債の一〇%程度運用を、将来的には八割程度まで拡大するのであります。大量の資金を大手金融機関等利益追求の債券貸借市場に投入することは、直接の投機には当たらないとはいえ、「確実で有利な方法により、かつ、公共の利益になるように運用する」とする積立金運用法の目的に反することを指摘して、私の反対討論を終わります。
  110. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  簡易生命保険積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  111. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、足立君から発言を求められておりますので、これを許します。足立君。
  112. 足立良平

    ○足立良平君 私は、ただいま可決されました簡易生命保険積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、平成会、社会民主党・護憲連合、民主党・新緑風会、二院クラブ及び新党さきがけの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     簡易生命保険積立金運用に関する法     律の一部を改正する法律案に対する附帯     決議(案)  政府は、現下の厳しい経済情勢と金融環境の国際的変化に適切に対応し、簡易生命保険加入者利益を増進するため、簡易生命保険積立金運用に当たっては、公共の利益に十分配慮するとともに、市場リスクなどのリスク管理の徹底を図り、その一層確実かっ有利な運用に努めること。  右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  113. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) ただいま足立君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  114. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 多数と認めます。よって、足立君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、堀之内郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。堀之内郵政大臣。
  115. 堀之内久男

    ○国務大臣(堀之内久男君) ただいま簡易生命保険積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案を御可決いただき、厚く御礼を申し上げます。  本委員会の御審議を通じて承りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の郵政行政を進めるに当たり御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。  まことにありがとうございました。
  116. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  117. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時八分休憩      ―――――・―――――    午後一時開会
  118. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。堀之内郵政大臣。
  119. 堀之内久男

    ○国務大臣(堀之内久男君) ただいま議題とされました日本放送協会平成九年度収支予算、事業計画及び資金計画の提案理由につきまして御説明申し上げます。  この収支予算、事業計画及び資金計画は、放送法第三十七条第二項の規定に基づきまして、郵政大臣の意見を付して国会に提出するものであります。  まず、収支予算につきまして、その概略を申し上げます。  受信料につきましては、現行のカラー契約月額千三百七十円を千三百九十五円に改める等の改定を行うこととしております。  一般勘定事業収支につきましては、事業収入、事業支出とも六千百九億円となっております。  一般勘定資本収支につきましては、資本収入、資本支出とも七百四十七億円となっており、放送設備の整備など建設費に六百二十二億円を計上しております。  次に、事業計画につきましては、公正な報道と多様で質の高い放送番組の提供に努めること、デジタル放送技術等新しい放送技術の研究開発に取り組むこと等を計画しており、あわせて、経営全般にわたり効率的な業務運営を徹底するとともに、受信契約の増加と受信料の確実な収納に努め、視聴者に信頼され、かつ創造性と活力にあふれた公共放送を実現していくこととしております。  最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に対応する年度中の資金の需要及び調達に関する計画を立てたものであります。  郵政大臣といたしましては、これらの収支予算等につきまして、おおむね適当であると認めた上で、事業計画等の実施に当たっては、事業運営の刷新、効率化を徹底するとともに、配意すべき事項として、受信料収納の促進と経費の節減、財務内容の開示等を指摘した意見を付することといたした次第であります。  以上のとおりでありますが、何とぞよろしく御審議の上、御承認のほどお願いいたします。
  120. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 次に、日本放送協会から説明を聴取いたします。川日本放送協会会長。
  121. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 日本放送協会の川口幹夫でございます。よろしくお願いいたします。  ただいま議題となっております日本放送協会平成九年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして御説明申し上げます。  平成九年度の事業運営に当たりましては、公正な報道と多様で質の高い放送番組の提供に努めるとともに、新しい時代や社会の要請にこたえるため、番組編成の積極的見直しと番組の充実を行い、国民生活に欠かせない公共放送としての役割を果たしてまいります。また、新しい放送技術の研究開発などにも積極的に取り組むことといたします。  あわせて、協会の主たる経営財源が視聴者の負担する受信料であることを深く認識し、経営全般にわたり効率的な業務運営を徹底するとともに、受信契約の増加と受信料の確実な収納に努め、視聴者に信頼され、かつ創造性と活力にあふれた公共放送を実現してまいる所存であります。  平成九年度の主な事業計画につきまして御説明申し上げます。  まず、建設計画につきましては、緊急報道体制強化のための設備の整備を行うとともに、衛星放送やハイビジョン放送設備の整備及び放送会館の整備等を実施することとしております。  次に、事業運営計画につきまして申し上げます。  国内放送におきましては、多様な視聴者の要望にこたえて、番組の充実を図り、信頼感のある公正で的確なニュース、情報番組及び人々の共感を呼ぶ豊かで潤いのある番組の提供に努めるとともに、地域に密着した放送サービスの充実強化、字幕放送の拡充等の福祉番組の充実を行ってまいります。  国際放送におきましては、国際間の相互理解と国際交流に貢献するとともに、海外在留の日本人に多様な情報を的確に伝えるため、音声による国際放送の充実に努め、映像による国際放送を拡充いたします。  契約収納業務につきましては、受信料負担の公平を期するため、受信料制度の周知徹底を図るとともに、効果的、効率的な営業活動を行い、受信契約の増加と受信料の確実な収納に努めてまいります。なお、受信料の月額は、引き続き据え置くことを基本としますが、消費税率の引き上げ及び地方消費税の導入に伴う税負担の適正な転嫁を行うことといたします。  調査研究につきましては、新しい放送技術の研究開発を行うとともに、放送番組の向上に寄与する調査研究を積極的に推進し、その成果を放送に生かし、また、広く一般にも公開することとしております。  以上の事業計画の実施に当たりましては、経営全般にわたり業務の見直しを一層徹底し、要員については、年度内九十人の純減を行い、総員一万二千九百八十六人とし、給与につきましては適正な水準を維持することとしております。  これらの事業計画に対応する収支予算につきましては、一般勘定において、事業収支で収入総額六千百九億九千万円を計上し、このうち受信料については五千九百四十五億円を予定しております。これは、契約総数において四十六万件、衛星契約において八十万件の年度内増加を見込んだものであります。  これに対し、支出は、国内放送費など総額六千百九億九千万円を計上し、収支の均衡を図っております。  次に、資本収支につきましては、支出において、建設費六百二十二億円、出資二十一億一千万円、放送債券の償還等に百四億二千万円、総額七百四十七億三千万円を計上し、収入には、これらに必要な財源として、前期繰越金、減価償却資金及び借入金など総額七百四十七億三千万円を計上しております。  なお、受託業務等勘定におきましては、収入四億九千万円、支出四億一千万円を計上しております。  最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に基づいて資金の需要及び調達を見込んだものでございます。  以上、日本放送協会平成九年度収支予算、事業計画等につきましてそのあらましを申し述べましたが、今後の事業運営に当たりましては、効率的な業務運営を行い、協会に課せられた責務の遂行に努める所存でございます。委員各位の変わらざる御協力と御支援をお願いし、あわせて何とぞよろしく御審議の上、御承認賜りますようお願い申し上げます。
  122. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  123. 鈴木栄治

    ○鈴木栄治君 どうも、森田健作でございます。  大臣、大臣はお孫さんいらっしゃいますね。言うなれば、お孫さんだとか御家族の皆さんと一緒にテレビを見ることがあると思うんでございますが、テレビを見ていてちょっと待てよと、この暴力的なシーンはこれはまずいなとか、例えば、この性的表現はおれは見たいけれども、でもちょっと子供にはまずいなとか、いろいろなテレビに出演していらっしゃる皆さんの言動を見て、これは子供の教育上によくないとお思いになったことがあると思うんでございます。実は、私も自分の子供が五歳なものですから、やっぱりテレビの映像というのは非常に影響力があるんでございます。ですから私は、子供がどんなチャンネルを回すか、どれを見るかというのに非常に神経をとがらせているんです。  私のかねがね言っていることですが、言うなればテレビというのはどんどん入ってくるんだと。しかるに、子供の時間帯といいますか、子供の見られる時間帯と大人の時間帯とある程度区別してもいいんではないか、そう私はいつも言っているのでございます。それはそうでございましょう。例えば、ドラマでもいろんなシーンがあります。それは、大人にしてみればそれがフィクション、作り物であったり、またはこれは冗談だよと理解できても、低学年、小さい子はそれをまともに受け入れちゃうことがある。私、これは非常に考えなきゃいけないんではないかと思うんでございます。  そういう中で、私、これは最近だと思うのでございますが、NHKさんが幼児、小学、中高生向けの番組を時間帯を区切って編成し始めた、そう思うのでございますが、一般視聴者の反応だとかその効果はいかがですか、会長。
  124. 齊藤曉

    参考人(齊藤曉君) 今お話がございましたけれども、教育テレビでは、語学講座番組、福祉番組、趣味実用番組、あるいは文化教養、それから幼児、子供さん向けといろんな番組がございますので、番組の編成に当たっては非常にわかりやすく、視聴者の方がわかりやすいような編成を心がけております。その中で、生活時間帯、それぞれの対象に時間帯を合わせまして、いわゆるゾーン編成、時間帯のイメージをわかりやすくした編成を心がけております。  その結果でございますけれども、これは平成二年に「母と子のテレビタイム」ということで午前八時と夕方の時間四時にそういうゾーンを編成いたしました。順次このゾーン編成の考え方をほかの時間帯にも推し進めているところでございますけれども、その結果、非常に教育テレビにつきましては、いわゆる週間の接触率、これが相当ふえました。年齢別で申し上げますと、七歳から十二歳、それから十三歳から十九歳の男女、これが飛躍的に接触率が伸びております。  そういう意味で、このゾーン編成によってかなり視聴習慣が定着してきているという現実がございますので、これを教育テレビだけじゃなくて、ほかの総合テレビとか衛星とか、そういうところにも今順次拡大しながら、わかりやすい編成を全体に心がけておるということでございます。
  125. 鈴木栄治

    ○鈴木栄治君 そうでしょう。多分これは、私もうちの家庭でも非常によかった、こういうものをよくNHKやってくれた、こう言っているんですよ。だから私、こういうゾーン編成、言うなれば、ある程度この時間帯は子供たちとか大人とか、そういう分けてやったのは成功しているわけですから、これは大臣にお聞きしたいんですが、民放局に対しても、そういうNHKさんのそのもとがあるわけですから、どうだろうと。大きく言えば、子供の時間帯と大人の時間帯ということも考えて、暴力的な表現、性的な表現、そういうことも一考してはいかがかと、そのように進言なさったらどうでしょう。いかがですか、大臣。
  126. 堀之内久男

    ○国務大臣(堀之内久男君) ただいまの放送、教育の実態についていろいろ御意見を述べろということでありますが、NHKの場合は第一放送といわゆる第二放送、二つ放送を持っておられますから、チャンネルを。民間の場合は何といっても一つのチャンネルであります。キー局が大体五つでありますが、それが一つずつ放送のチャンネルを持っておるということで、恐らく民間放送業者の場合は何といっても営業というものが一番最優先するだろう、こういうように考えられます。  しかし、今お話のありましたように、NHKのいわゆる幼児、小学生、中学生等、教育的な番組を時間を区切って放送されておられることは大変大きな評価というか、立派な成果を上げておられることは承知をいたしております。民間放送の立場はよくわかるわけでありますが、その点、これから民間放送業者においてもそうした視聴者のニーズにこたえるような方向で番組等を制作いただけるならばと、私ども期待を持つところでございます。  今後、放送に当たって、暴力的なあるいは性的な非常にいかがわしい放送もあることも、我々も本当に教育の立場から見て余り芳しいことではない、こういうことも考えておりますので、そうしたものもひっくるめて民間放送業者の方に機会を見て要望を申し上げていきたいと思います。  ただ、今度、放送法の一部改正もお願いしておりますが、番組の制作等に当たりましても、これは自主的に放送業者が行われるわけでありますが、今後、番組審議機関においてもオープンに、それから積極的に情報公開していただくということが大きな目的で放送法改正をお願いしておりますので、そういう機会にまた要望を申し上げ、あるいはまたいろんな苦情処理の問題として第三者機関というものを民放とNHKの方でつくっていただくことになりました。自主的にこの苦情処理機関等もつくっていただきますから、そういう立場の中でも、先ほど委員から御指摘のような暴力的なシーンとかあるいは性的な、教育に悪影響を与えるようなものについてはいろいろ要請を申し上げていきたいと思っておるところであります。
  127. 鈴木栄治

    ○鈴木栄治君 テレビはいろんな方が見るわけです。私は、例えばドラマにおいてそういう暴力的なものとか性的なものとか、それは全部だめだとかということを言っているんじゃないんです。要するに、見なきゃいいじゃないかと言う方もいますが、でも子供たちは今、リモコンでパチッとやれば見れるわけです。これをやっぱり私たちは考えていかなければならないんじゃないか。  以前、このようなことを言いましたら、最後はやっぱり表現の自由だとかいろいろな憲法問題が出てくるわけです。それはそれで、やっぱり例えば見たくないやつは見るなとか、いろいろ問題は出てきますが、じゃ今度は受け取る方、私たちも何とかしなきゃいけない、防衛しなきゃいけないんですから。私たちも拒否する形は何かないだろうか。  昨年ですか、アメリカで通信法を改正して、自分の家庭において、過度の暴力だとかそういうものに対して見たくない、そういうものを拒否できる、番組にランクづけがついていて、Vチップを導入することによって拒否ができる、言うなれば、今度は家庭で安心して子供にチャンネル権を任すことができる、そういうことが来年アメリカでは実施されると聞いております。それと同時に、またカナダもことしの秋から見通しがある、そのように聞いておるんでございますが、いかがでございますか。
  128. 楠田修司

    政府委員(楠田修司君) 御指摘のとおり、青少年に不適当な番組といいますか、そういうものについて自動的に見られないようにするということでVチップ、いわゆるバイオレンスチップでありますけれども、これがアメリカ、カナダ等で導入されるということでございます。  この関係でありますが、アメリカでは番組に対して放送事業者がランクをつけるということをやっております。当初は年齢でランクをつけていたようでありますが、年齢でやってもなかなかまとまらない。今はバイオレンスとかセックスとかそういう形でレーティングするかどうか、このレーティングの仕方というものでまだ若干問題が残っておるようでありますが、そういうように動いております。  それから、バイオレンスチップをつけますと、そのテレビを買わなくちゃならないという経済負担という問題も出てまいります。  しかしながら、アメリカ、カナダ等ではそういうような子供たちが見られない番組を親が管理する、見れなくするということで、かなり進んでおるようであります。  じゃ、日本ではどうかということでありますが、これは郵政省の中での懇談会等でも検討したわけでありますが、日本では事前表示、レーティングというものがまだ民間放送事業者でもやられておりません。どういう番組がいいか悪いか、いい悪いといいましょうか、そういうものに当たるかどうかということがまだできておりませんので、アメリカよりその辺のところはおくれている。まずそこから始めまして、それができて初めてVチップというものの導入に入るのではないかと思います。そういう状況で、まだ日本では時期尚早ではないかというふうには思っております。  なお、昨年六月から開始されました衛星の多チャンネルのデジタル放送、これにおきましては、何チャンネルかにおきまして、Vチップではありませんけれども、ペアレンタルロック、親のかぎでありますが、このかぎをかけますと子供が見られない、こういうものは導入されておるという状況でございます。
  129. 鈴木栄治

    ○鈴木栄治君 デジタルの方はわかったんですが、Vチップですね、時期尚早であると。私、正直言って余りそうは思わないんですよ。  これ多分、アメリカのやることの情勢を見てとかカナダの情勢を見て、それからひとつ考えようかという部分もあるんじゃないかと思うんですが、私これ一刻も早くやってもらいたいと思うんです。事実、テレビの影響でそういう犯罪が起きただとか、言うなればまともに低学年の子供たちが受けとめちゃってそういう犯罪に走ったとか、いろいろなものが出ていることは確かなんですよ。その辺どうですか、早めるとか、もう少し研究してどんどんやっていこうとか。
  130. 楠田修司

    政府委員(楠田修司君) 昨年の末に、多チャンネル時代における放送と視聴者の関係の懇談会がありまして、ここの青少年の保護ということは大きな課題でございまして、かなり議論をしていただいたわけであります。  若干御紹介いたしますと、レーティングというものが日本でできていない、それでいきなりVチップというものをつけた受像機を発売する、それを法律で決めるというのは時期尚早ではないか。まずその前に、民間放送事業者とか放送事業者でどういう番組がいいか悪いかということを表示することさえまだしていないわけです。新聞の欄にこの番組はこういう番組でありますという表示もまだないわけで、そういうものもないのにいきなりどうかということも一つありました。  それから、先生御指摘のように、諸外国を見てからでは遅過ぎるということでありますが、日本とアメリカでは事情も違います。だから、やはりアメリカでもいろいろ動いているようであるから、こういう状況も見たらどうかという意見もございまして、そういう中で、私どもといたしましても、直ちにということでは必要ない、必要ないといいましょうか、直ちにVチップを導入することはどうか、こういうふうに思っているわけでございます。
  131. 鈴木栄治

    ○鈴木栄治君 だから、それはもう事情が違うとか、そういうことはいろんな面に、別にこれだけじゃなくていろんなことも僕は当たると思うのでございますが、しかし今、そういう青少年に、特に低学年に与える影響というのは、これは大きいということは皆さんわかっているわけですから、ひとつ、今レーティングという言葉が出ましたが、それがまだできていないとかいろいろあるでしょうけれども、それをより一層早めるように私は指導していただきたい、そう思ったのでございます。  大臣、いかがですか、Vチップのことについては。
  132. 堀之内久男

    ○国務大臣(堀之内久男君) 先ほど局長から答弁いたしておったようでありますが、今すぐ我が国の場合このVチップを導入するということは簡単ではない、こういうように考えております。十分これから放送事業者とも検討、研究をさせていただくということで御理解を賜りたいと思います。
  133. 鈴木栄治

    ○鈴木栄治君 わかりました。  私も一人の親として、何とか一日も早くそういう制度を入れていただきたいと強く思うのでございます。  それから、最近、NHKと民放が番組苦情対策機関ですか、それをおつくりになったと聞いたのでございますが、その辺をちょっとお話しください。
  134. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 先ほど局長お話に出てまいりました多チャンネル時代における視聴者と放送のあり方懇談会というのがありまして、そこの中で、放送機関だけがやるんじゃなくて第三者の機関をつくってそこに苦情を処理させる、つまり放送事業者がやるとどうしても自分に都合のいいように解釈をするので、これは純然たる第三者にそれをさせるべきだという非常に強い御意見がありました。  当初、民放連、いわゆる規制の問題と絡んでそれについては反対の意見を出しておりましたけれども、その後私も民放連の五社長会に出ましていろいろ相談をいたしました。このことについては、やっぱり皆さんが納得のいく形をつくらなければいけないというふうに考え方が変わってまいりまして、ただいま最後の詰めを急いでおりますが、第三者による苦情処理をする機関というものを設けるつもりでございます。  当然、NHK、民放が事務局をつくったり資金を出し合ったりするようなことはいたしますけれども、例えば評議委員とか苦情処理の委員会の委員のメンバーとかいうのは完全に第三者の方でお選びいただいて、そしてきちんとした対応をしていただこうということでございます。その委員会が出された結論、これについては放送局側はそれを重く受けとめて、自分のところできちんと処理をするということになっております。ただ、余り何でもかんでも持ち込まれると大変処理に困りますので、特に放送法上の問題とかあるいは人権の侵害に関する問題等々に限ってそれは苦情処理機関にかけようということになっております。まだ細かいところは詰めておりませんので、間もなくきちんとした形で発表したいと思っております。
  135. 鈴木栄治

    ○鈴木栄治君 よくわかりました。ぜひお願いいたします。  それと、各民放では番組審議会というのがあります。私たちあるということは知っているんですが、それが公になってどうだのああだのとか、どういうものを審査したとかしないとか、そういうものというのは余り伝わってこないのでございますが、その辺の実態はいかがなんでございましょうか。
  136. 楠田修司

    政府委員(楠田修司君) 番組審議会と申しますのは放送法に決められておりまして、各放送事業者が番組の適正を図るために必要な事項を審議、答申あるいは意見の提出をする、こういうふうになっておりまして、放送事業者が外部の方を選びまして審議委員を選ぶ、その審議委員に番組の適正化について意見をもらう、あるいは放送会社が諮問をする、こういうふうになっておるものでございます。すべての放送事業者に義務づけられております。  外になかなか見えないということでありますが、大体ほとんどの放送事業者は月一回これをやっております。そして、十人程度の審議委員がおられまして、大体八割程度の方が参加していろいろ意見を言われるのであります。これまでの問題は、法制上、例えば放送事業者が諮問するものについては意見を言う、こうなっておりますが、この諮問というのが余りない。こういうことでありまして、事実上は何をやっているかといいますと、いろんな放送の番組を見まして、その番組についていろいろ意見を交換する。これも意義のあることでありますが、これは意見の交換でありますから、必ずしもそれを外へ公表するとかそういう必要はないわけでありまして、そういうことでなかなか番組審議機関の実態というのが外から見えなかったという実情がございます。  それから、議題としてどうしても番組についての意見を言うことでありますから、本当に番組の向上につながるようなことが幾つも出されたかというとそれも余りなかったということで、幾つかの問題点が提起されております。詳しくは省略いたしますが、そういう関係で今回、この番組審議機関の活性化を図るということで、今国会に放送法の一部改正案をお願いしておるところでございます。
  137. 鈴木栄治

    ○鈴木栄治君 その先生方が番組に対していろいろ言っていることを公表する必要はないとおっしゃったけれども、私はやっぱりそれは、こういう番組に対してその審議委員の先生たちがどう思っているかということがわかっても別に問題はないと思うのでございますが。わかりました。  ではNHKさん、予算を縮小してドラマをつくる、いろんな歌謡番組をつくる、いろいろ今言われています、NHKさんもよくおっしゃっています。私も自分で映画をつくったことがありますから、やっぱりドラマをつくるのに物すごくお金がかかることはよくわかります。しかし、何でもかんでも縮めればいいということじゃないです。お金のむだ遣いとお金をかけるのと、これは意味が違うと思うんです。ですから、やっぱりお金のむだ遣いがなく、そしてNHKならではの、言うならば国民のニーズにこたえた番組を私はこれからもつとつくっていただきたい。  それと同時に、NHKの番組の中には、例えばNHKスペシャルだとかいろいろ大変いい番組がありますが、再放送が非常に少ないんじゃないかと私は思うんです。ですから、例えばNHKの教育テレビで中学生、高校生向けのそういう時間帯の番組をやっているならば、衛星放送においては言うならば主婦向けとか大人向けとか、そういうものを対象にして再放送だとかをおやりになったらいいんではないかと思います。どうですか、局長
  138. 齊藤曉

    参考人(齊藤曉君) NHKは地上波、衛星を含めて幾つか波がございますから、今お話しのように、まずは各波の特徴を出していくということ、それからわかりやすい編成を心がける、しかも同じような番組が重ならない工夫をして視聴者にいろんな番組を見ていただく。今、いろんな波を越えて、再放送なり、評判のよかったものはかなり放送するように心がけております。  それから、さっきお話が出ましたゾーン編成、これも各波ごとにやっておりまして、総合テレビでも例えば週末では若者向けのゾーンを設定するとか、教育テレビの夜の十時台に教養ゾーンを設定して、「ETV特集」を夜の八時から十時の見やすいところへ移して、その後へ「人間大学」が来るというような形とか、それから衛星でも主婦向けのゾーンを考えて、例えば「素敵な午後」、「エンジョイライフ」といったようなものを設定するとか、ゾーン編成を進めながら全体に効果的な放送を心がけております。  それから、再放送については、今度四月から二十四時間放送がいよいよ総合で始まります。ここでも、評判のよかったものとか再放送希望の多いものは、順次かなり大胆に編成していきたいというふうに思っております。
  139. 鈴木栄治

    ○鈴木栄治君 ありがとうございました。質問を終わります。
  140. 加藤紀文

    ○加藤紀文君 自由民主党の加藤紀文でございます。  私は、まず最初に、衛星放送のデジタル化とハイビジョンについてお尋ねしたいと思います。  去る二月二十八日に、放送行政局長の私的諮問勉強会として設置したBS-4後発機検討会が、西暦二〇〇〇年に始まるBS4後発機による衛星放送をデジタル伝送による高精細度テレビ、HDTVを中心にすることが望ましいという報告をおまとめになったそうであります。  衛星放送については、既に昨年からCSデジタル放送でパーフェクTVが開始し、またディレクTV、JスカイBの二社も開局を控えているということで、まさにデジタル化の環境が整いつつあるわけでありますし、世界的にもデジタル放送が主流になっておるわけであります。二十一世紀にふさわしい放送のあり方としてのキーワードが、まさにデジタル、多チャンネル、HDTVの三つではなかろうかと思うわけであります。  ところが、現在のCSデジタルは、多チャンネルの可能性は秀でているようでありますが、画像が余りきれいでないという難点があり、それならばBSは、CSが多チャンネルを目指すのとは異なり、高画質、高機能を目指すという道もあるのではないのかと思っておるわけであります。視聴者にとっては、多チャンネルという選択肢もあれば、また高品質という選択肢もあった方がよいのではないかと思うわけであります。  検討会の報告書に、BSはデジタルハイビジョン放送が中心となると報告されておりますが、これはBSの独自の道を方向づけたものとして、またCSとはすみ分けを図られたのではないかという意味で、評価できると思うわけであります。  本論に入らせていただきますと、デジタル化一色の路線を考えた場合、気になるのは、今まで多額の投資をし、ある程度のめどが立ってきたハイビジョン放送の将来であります。私は、せんだってNHKの技研で、放送と通信が融合する将来のISDB時代のハイビジョン画面を見る機会がありましたが、なるほどハイビジョンの高精細画というのはなかなかのもので、この技術は情報化社会の武器になるのではなかろうかとの印象を受けたわけであります。  NHKでは、ハイビジョンの放送技術をデジタルハイビジョンに引き継がせる可能性を探っているようでありますが、どのような将来性といいますか方向性を考えられておるのか、まずお尋ねしたいと思います。
  141. 長谷川豊明

    参考人長谷川豊明君) 将来の放送につきましては、デジタルということで、今先生から御指摘がございましたISDB、統合デジタル放送というのを目指してございます。  これは、画像としてはハイビジョン並みの高画質というものを画像の中心に据えまして、そのほかにデータ放送、例えば電子新聞とかあるいは電子番組案内というような文字情報を送るというようなこと、あるいは将来通信とも融合いたしまして電話回線を使って双方向性ということで、いろんなリクエストデータを受信者も放送局側に出すというような展開も将来は考えられると思います。さらに大型の記憶装置、VTRの大きいもの、今のディスクでございますけれども、そういうものができますと、番組を一たんためて、見たいときにまたそれを見るというような、いつでも見たいときに見れるようなシステム、それを私どもはISDBと言っております。それを将来の放送としては、デジタルの中で、今言った高画質、それから通信と放送の融合、それからコンピューターの融合というような高機能の放送を目指すべきだというふうに考えてございます。
  142. 加藤紀文

    ○加藤紀文君 それでは次に、郵政省にお尋ねします。  ハイビジョン自体は、既に二月末で三十四万台、MNコンバーターによるハイビジョン番組の視聴可能台数も含めると八十一万台普及しているということだそうでありますが、昨年十二月には過去最高の月間三万五千台の出荷を記録しているということであります。  来年の長野オリンピックのころには、大画面の壁かけテレビも実用化されるそうでありますが、私は、余りにも郵政省の急激な方向転換で、片一方の選択肢、つまり高品質テレビの技術開発熱を冷ましてしまうのを危惧しているわけであります。  と申しますのは、今のハイビジョン放送が、通例でありますと、本放送化が前提で一年程度の試験放送だと思うんでありますが、もう既に二年以上が経過をしているわけであります。この実用化試験放送を本放送とすることが普及の観点からもまたハイビジョン受信機購入者の不安を払拭するためにも急務であると考えるわけでありますが、郵政省はこの本放送化をどの時点に考えておられるのか、お尋ねします。
  143. 楠田修司

    政府委員(楠田修司君) 今回のBS4後発機のあり方の検討の段階におきまして、先生御指摘のように、日本の高精細、ハイビジョンの技術もデジタルの部分も随分ございます。これは世界のかなり前に行っているものでありますから、これをいかに生かすかということが一つの大きな問題でありまして、そういうスタートをとりましたのは、昨年の四月に電波監理審議会でこの前にありました諮問をもう一度諮問し直したことがございます。去年の四月、そのときに先発機と後発機と分けまして、先発機はアナログでそのまま続ける、これは視聴者のために続けるということを決めていただきました。そのときに申し上げましたのは、実用化試験放送としてハイビジョンは行われておるわけでありまして、これには民放、NHKが相乗りというような形でそれぞれが免許を持っておるわけであります。これで一年ごとに更新しておるわけであります。これは、そういうふうな実用化試験放送をしてやっておるものにつきまして、平成九年度にBS4先発機の関係で本放送の移行に当たって条件整備というのが必要だ、この条件整備について検討するということを申し上げたわけであります。  条件整備は何かということになりますと、一つは、本放送化しますと五年の免許ということになります。そうしますと、それに対しまして財源の問題あるいは料金はどうするのかという問題、本格的な放送になります。それからNHK及び民放が一体的に移行する、これはどうしてやるか、こういうことの条件整備が必要であろうというふうに思っております。  したがいまして、現在NHK及び民放各社に対しましては、この条件整備を検討してくださいということでお願いしておりまして、現在関係者で協議中であるというふうに承知しております。この条件整備が整えば本放送に移行することはできょうか、こういうふうに思っておるわけであります。
  144. 加藤紀文

    ○加藤紀文君 では次に、地上波のデジタル化について、先日十日ですか、放送行政局長の定例記者会見で、現在ある地上波テレビの方式を二〇〇〇年までにアナログからデジタルに切りかえる旨の方針が打ち出され、放送界に大きな波紋を投げかけたようであります。しかし、地上波のデジタル化は余りにも唐突であり、放送事業者はもちろん、視聴者不在の提案じゃないかという意見も聞くわけでありますが、郵政省に地上波のデジタル化の計画について次世代テレビがどのような方向に向かうのかの説明を求めるとともに、なぜ郵政省は地上波のデジタル化をこれほど急ぐのかをお尋ねしたいと思います。
  145. 楠田修司

    政府委員(楠田修司君) 地上波のデジタル化をどうしてこのように急ぐのかという御質問でありますが、ちょっと御説明申し上げますと、昨年の五月に電気通信審議会から答申をいただきました。情報通信高度化中期計画でございます。この中で、「我が国の地上放送については、二〇〇〇年から二〇〇五年までにデジタル放送導入を図ることを目標」と設定しておったわけであります。二〇〇〇から二〇〇五年でございます。この五年間という幅でありますが、これにつきましては、目標にしては幅があり過ぎる、はっきりする方がいいんではないかという意見もございました。  そういう中で、先ほど申し上げましたように、昨今のデジタル放送技術は非常に進歩しております。また、BS4も後発機はデジタルということに決まりました。あるいは欧米におきましては地上デジタルもかなり早く進んでいるところが出てまいりました。アジアでは韓国も地上波のデジタルを二〇〇〇年をめどに進めるというふうに動いているわけでありまして、こういうふうな技術の進歩、それから全体的にデジタル化の中で、郵政省としましてと申しますか行政としまして、この二〇〇〇年から二〇〇五年のポイントを一点にして前の二〇〇〇年にするということにして、この二〇〇〇年に向けて行政上の措置を行っていく、こういう目標にしたわけであります。  行政上の措置とは何ぞやと、こういうことでありますが、一つは、技術基準の策定でございます。そのためには実験をやるということも必要でございます。そして暫定方式も決めていく、こういうことが一つございます。それから、デジタルにしますと周波数の使用計画の案をつくらなければなりません。どのような土地にどのような周波数があるかとか、こういうようなことの計画をつくらなければなりません。これがかなりハードな作業でございまして、そのための調査の必要もございます。こういうことを二〇〇〇年までにやって、二〇〇〇年にはそういうことを全部済ませます、こういうことを発表したわけであります。  しかしながら、それだけでは放送事業者はやれるわけではありません。放送事業者にとりましては、先生御指摘のように投資の問題お金がかかります。それから一体何チャンネルできるのか、こういう問題がございます。そのほか視聴者の問題もある。こういういろんなところで疑問が出てくるわけで、これは本年中にできるだけ早くこの地上デジタルの検討会をつくりまして、放送事業者とか学者の先生方あるいはメーカー、あらゆる分野の方に入っていただいて幅広く検討していく、こういうふうに考えておるわけであります。これはまだやっていないわけでありますが、一応行政上の措置はしまして、あとの分も行政上の措置が必要なんですが、もっと大きな問題は検討会でこれから意見を聞いていく、こういうふうに考えているところでございます。
  146. 加藤紀文

    ○加藤紀文君 今、局長お話にありましたが、よその国の例も挙げられておりましたが、例えば、ドイツではこの一月に試験放送を開始した程度で、イギリスが来年の初頭に予定しているほか、アメリカではFCCが来年をめどにデジタル放送の開始を義務づけようとしたのに対してネットワーク側は六年間の猶予を求めているというような状況の中で、我が国が先ほど局長お話にありました当初二〇〇〇年から二〇〇五年というのが急に二〇〇〇年までにということになって、行政上の措置でこれから検討会でいろいろ検討していくというお話でありました。  私が聞く前に局長お答えになりましたが、これが実現するとなると、例えば送信中継局においても既存の設備の改良には膨大な費用がかかるわけです。NHKだけで七千、民放全体で八千ある中継局を改造したら、その費用は五千億から一兆円かかるという話もあるわけであります。それは当然事業者が負担するんだろうと思いますが、それに対して、例えば優遇税制とか低利融資とかそういった国の方策も含めて検討されるかどうか。また、衛星と同様にデジタルハイビジョン放送を中心とするのか。それと、CS、BSとどんどん多チャンネル化が進む中で、地上でも多チャンネル化を進める意味は何なのか。また、チャンネル数はどのくらいを予想されているのか。  今申し上げましたような問題点のほかに、これだけの大変な経費がかかる。そうすると現行の放送事業者ではなかなか難しくて、そこにやはり新規事業者の参入を考えた上での判断なのかという疑問があるわけであります。それぞれ一つ一つお答えいただきたいんですが、まとめてでも結構ですので、お答えいただきたいと思います。
  147. 楠田修司

    政府委員(楠田修司君) 一言で申し上げますと、それらすべてが検討会の検討事項になるわけでございます。そうはいいましても、例えばの話でありますが、非常に金がかかる。そうすると公的な支援措置はないのかというのは当然検討の課題になっております。低利融資であるとか、そういうことをやる必要があるのではないかということは私どもでもすぐ考えつくわけでありますが、そういうことも考えなきゃいけないと思います。  それから、何といいましても、現在地上波でアナログでやっている人たちがたくさんおるわけでありまして、これをデジタルに移すということはなかなか大変なことでありまして、アメリカにおきましてもヨーロッパにおきましてもこれが一番の課題であります。そうすると、それを移すためのメリットシステムというのは何があるのかとか、そういうようなことも考えなければならない。  こういう意味で、これからこの検討会において検討すべき課題は非常にたくさんあるということでありまして、私どもがさきに言ったのは、技術基準であるとか周波数計画はつくります、あとそれをどうするかという検討はまだ非常に大きな課題として残っておる、こういうことを申し上げたわけであります。
  148. 加藤紀文

    ○加藤紀文君 次に、先ほど同僚の森田議員からも質問がありましたが、いわゆる苦情処理機関、第三者機関、これに対して私は、本来こういった機関なんかつくる必要がないように放送事業者の方がしっかりしていただければいいわけでありまして。そんなことを言ってもこういうことができたわけでありますから。  先ほどの会長の答弁ではこれからいろいろ検討事項もあるということでありますが、やはり一たん放送によって人権を侵害された視聴者に対する権利回復というのはなかなか難しいもので、よく例えに出されますが、松本サリン事件で被疑者扱いされた方なんかがいい例であります。こういうことがないようにするためには、やはり各放送事業者がそのような放送は絶対しないんだという努力が必要だと考えるわけでありますが、NHKにおかれましては、そういった努力をどのような体制で行っておられるか、また職員一人一人が放送倫理の徹底のためにどのような研修を行っておられるか、お尋ねいたします。
  149. 齊藤曉

    参考人(齊藤曉君) 放送倫理に関しまして、私どもはやはりこれは大きなテーマだと思いましてこれまでも鋭意取り組んできたわけですけれども、特に昨年来の流れの中で放送倫理の取り組みをさらに強化して徹底するために幾つかの具体的な方策をとることにいたしました。  まず第一点は、放送現場の倫理に関する委員会、あるいは倫理委員会の作業部会、こういったものを発足させました。これは実際に放送倫理にかかわる問題が生じたときにこれを局内で審議する機関でございます。  それから第二点は、放送法の四条第一項に掲げる訂正放送の請求があった場合、これに厳格に誠実に対応するために四条委員会というのを設置いたしました。それから、請求があった場合の局内の手続とか内規を策定いたしました。  それから、研修等につきましては、外部講師を招くなど各種の講演会、勉強会、それから各段階での職員の研修等でこの放送倫理の問題を繰り返し取り上げております。  さらに、私どもふだんの番組の企画、制作に当たりましては番組基準ハンドブックに沿って番組をつくっておるわけでございますけれども、つい最近、その上にNHK放送ガイドラインというのを作成いたしました。これは、番組の企画、制作、取材、それから放送に至るまで、全工程にわたって私どもが心すべきこと、放送倫理にかかわること、これを細かく具体例に従っていろんな例を挙げて作成したものでございます。これを職員一人一人に配る、あるいは関連団体にも配る、あるいは外部の主なプロダクションにも配るということで、少なくとも制作現場の人たちにこういったことを徹底する作業を行ったところでございます。
  150. 加藤紀文

    ○加藤紀文君 ありがとうございました。  それでは次に、地域放送の充実についてお尋ねいたします。  私は岡山県出身でありますが、四月から「あぐり」という、岡山県津山市出身の作家で、今は亡くなられましたが、吉行淳之介さんのお母さんをモデルにした朝のテレビ小説が始まることになり、番組収録のために現地のロケがありました。地元の人は全国に紹介されるということで大変喜んでおりました。また、大河ドラマの「毛利元就」は、山口県を初めとする中国地方が舞台であり、特に「元就紀行」は、各地を全国に紹介し、地域の活性化にもなり、大変評判がいいと思うわけであります。  NHKでは、新年度番組編成の重点事項の第一として地域放送の充実を挙げ、夕方六時台の地域放送を充実すると聞いております。デジタル化による多チャンネル放送ではますますきめの細かい地域情報発信を可能にすることが考えられますが、このような地域放送の充実について基本的な考え方と、九年度以降の中長期的な取り組みについてお尋ねいたします。
  151. 齊藤曉

    参考人(齊藤曉君) 今お話がございましたように、多チャンネル化が進む中で地域放送を充実させるというのは、逆に私どもNHKにとっても非常に大きな課題だと思っております。その意味で、九年度の重点項目の第一に地域放送の充実というのを挙げております。  地域放送の充実は二つございまして、地域向けの情報を強化する、それから地域から全国向けに情報発信する、この二つとも強化するというのが大事だと思いますが、午後の六時十分から七時まで思い切って五十分の地域放送を新たにつくることにいたしました。それぞれの局が全力を挙げて取り組む中で、今度はそれが全中のニュース番組とかあるいはいろんな番組につながっていくというようなことを私どもはまず期待しております。それから、地域放送の充実の具体的な例として九年度には幾つかの地域発の全中の番組も新しい時間を設けて取り組むことにいたしております。  いずれにしても、今から三年ぐらい、この地域放送を強化するために私どもは地域改革委員会というのを設けまして、地域放送の三カ年の業務計画、どういう体制でどういう資金計画で地域放送の充実に取り組んだらいいかというような検討を始めました。  一年一年、さらに地域放送を強化していきたいというふうに思っております。
  152. 加藤紀文

    ○加藤紀文君 最後に、受信料制度見直しについて会長にお尋ねします。  会長が衆議院の逓信委員会において受信料制度について、時代の推移によってはいろいろな考え方が出るかもしれない、今から十分にあり方を検討したいと発言されておりましたが、視聴者の信頼の上に成り立っている現在の受信料制度は、ある意味では公平中立の公共放送のNHKの根幹だと思うわけであります。  デジタル化への対応とか規制緩和の動き、また特殊法人の見直しなど、先行き大変な課題が待ち受けていると思いますが、新しい時代においても視聴者の信頼で成り立っている公共放送という基本を忘れていただきたくないと考えますが、この点について会長の御見解をお尋ねして、私の質問を終わりたいと思います。
  153. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 先生おっしゃるとおり、私も受信料がNHKの財政の根幹であるという認識をしております。これにまさるものはないという感じがいたします。  ただ、昨年の暮れ近くに規制緩和小委員会の中でこのNHKのBSの受信料のことが問題になりまして、それで、WOWOWという民間放送があるわけですけれども、これと正当な競争をしていないと。一方は受信料で保護されて片方はいわゆる放送することによって放送料をいただくというシステムになっている、これでは正当な競争にならない、ですからNHKもBSだけは受信料と切り離して放送料を別に取るべきだというふうな御発言がありました。  これに対して私は、そのような意見が出てきたことについて非常に大きな問題を指摘されたと思いました。それは、受信料というものが現在は多くの方々に理解され、支持されて成り立っておりますが、遠い将来、例えば十年とか十五年とか先にどのような考え方になるのか、あるいは今の子供たちが育って大きくなったときにそういう支持してくださる大勢にあるかどうか、そういうことも考えなければいけない。それから、今御指摘のあったWOWOWとNHKとの条件を一つにすべきだという御意見は、これは視聴者一般のものなのか、あるいはごく一部の方がそう思っていらっしゃるのか、そこのところについてもきちんと検討、調査をすべきだというふうに思いました。  したがって、一月六日の年頭の会長のあいさつの中にこの問題を入れまして、そしてすぐやるということではないけれども、将来NHKの受信料についていろんな難しい問題が起こってくることも予想される。だから、今から十分に研究し、検討し、そしてもし必要ならばそれに対応する対策をとるというふうなことも必要ではないか、このような考え方で年頭あいさつの中に入れたわけです。  したがって、現在の段階では受信料第一、そしてしかも受信料にまさるものはないというふうに思っておりますけれども、遠い将来でもし考えられる変化が起こったときは、それに対してきちんとした対応をしなければいけないということを考えております。  ですから、どのようなことが起こっても、公共放送NHKは財政的にきちんとひとり立ちができるんだという形をとっておきたいという気持ちでございます。
  154. 守住有信

    守住有信君 自民党の守住でございます。  先ほどは鈴木委員の方から少年といいますか幼年の番組の時間帯の話、Vチップではなくて、Vチップには前提条件、いろいろ習熟したあれが要ると思いますけれども、アメリカがそうだとかどこがそうだじゃなくて。その前にやっぱり番組の時間帯、これを配慮する。NHKは考えておられますな。ところが、民放連に向かってそういう放映時間帯だ。子供は早く寝ますよ。その辺のところの切り分けから、私は、郵政省は民放連に、苦情処理の審議会のこともあるけれども、そういう時間帯で日本の子供たちのあれを考えていくということぐらいは大いに、大臣の発言の中にはそういうニュアンスが入っておりましたけれども、あとずっと聞いておったら局長の方は余り入っておらなかった。Vチップの方ばかりだった。そうじゃない、そのもっと前、前座行為、これを申し上げておきます。  それから、加藤委員からのデジタル化、放送波の特に地上波のデジタル化。ちょっときょう拝見しておりましたら、NHK、日本放送協会説明は「新しい放送技術の研究開発など」、あるいは「衛星放送やハイビジョン放送設備の整備」と、こういう言葉で、とらえ方で入っておりますが、郵政省の方の意見、これを読みますと、放送の国際化、これは当然ですけれども、「デジタル化の進展、放送と通信の融合等」云々でデジタル化の推進等と、非常にデジタル化という言葉が二回も出てくるわけですね。NHKの方では「新しい放送技術」とかいう言葉でございます。言葉というのはやっぱり切り口ですから、コンパクトな言葉ですから、非常に私は両方のとらえ方、認識が何か前から食い違っておるんじゃなかろうか、こういう感じを持っております。  そこで、本論は放送関係の研究開発、技術開発、これに対しての取り組みと申しますか、これを私は指摘したい。というのは、例えば今も加藤さんからお話が出ておったけれども、ISDB、はるか十数年前ISDN、これは電電公社、NTTでございましたな。もっとその前は日電の小林宏治さんがCアンドC、コンピューター・アンド・コミュニケーション、そこから始まる。私はちょうどあのころ役人をしておりましたけれども、CアンドCアンドCと、もう一つCをつけた。もう一つのCは何だというと、コンピューター・アンド・コミュニケーション・アンド・コントロール、センサー、ロボット。もう一つつけましたのがBなんです、ブロードキャスティング。三CプラスB、これがデジタル化を通じての通信と放送の融合から統合へ、こういう時代がいずれ来るだろうと、十年以上前でございましたけれども、そういう時代がまさしくひたひたと急激な動きでやってきておる。その中での私は研究開発、開発投資、これが非常に重要だと思う。  後でも申し上げますけれども、いろいろ調べてみましたら、郵政の、前は電波研究所と言いよった、電波だから、放送波も含めて有無線。ところが、今は総合通信研究所。イメージがどうしても通信重視になる。それから機構もあります、通信放送機構。中身は見てみたらやっぱり通信の方のテーマが多いんですよ、私の受けとめ方ですが。  きょうは科学技術庁の科学技術政策局の課長さんをお呼びしておりますから、第三者としてこの通信の世界放送世界の研究開発投資、これをごらんになっておってどういうふうなデータで見ておられるか。かえって第三者の方からお聞きした方が、私だけが言うとちょっとイメージや偏見が入っておるかもしれぬ気がしますので、まず科学技術庁の方からその点についての認識、とらえ方、御説明をいただきたいと思います。
  155. 山本敏明

    説明量(山本敏明君) ただいま先生から御指摘のございました放送技術分野でございますが、本分野に関しましては、私どもといたしましてはコンピューター技術、通信技術などと同様に情報・電子系科学技術をベースとするものと考えております。  科学技術庁といたしましては、これまでに科学技術会議で御審議をいただきまして、その結果の答申としまして情報・電子系科学技術に関する研究開発基本計画とか、あるいは新世紀に向けてとるべき科学技術の総合的基本方策、こうした中におきまして情報・電子系科学技術の研究開発を積極的に推進しているところでございます。こうしたことを通じまして、これらの成果が放送技術分野におきましても役に立つものと考えるわけでございます。  かかる観点から、科学技術庁に計上されている予算といたしまして、提案公募型の科学技術振興調整費というものがございます。本件は、科学技術会議の方針に沿いまして、科学技術の振興に必要な重要研究業務の総合推進調整のために科学技術庁に一括計上されているものでございます。  こうしたことで、提案公募型の本調整費につきまして、放送技術分野で重要な研究テーマが提案されてくれば、その取り扱いにつきまして科学技術会議としても検討を行っていくということになろうかと思います。残念ながら、これまでのところ、放送技術分野につきましては提案事例がございませんで、そうしたことから本制度によります研究支援実績もない、こういった状況でございます。
  156. 守住有信

    守住有信君 今お聞きになりましたように、放送界、NHKがもちろん中心です、から何の要望、要請もない。やっぱり要望なきところ査定なしだから、これは予算配分の原則なんです。大蔵省でもどこでもそうなんです、要求してこそ。それに対して放送行政局はどういう姿勢でおるんだろうかというのが私の率直な感じでございまして、ちょっと具体的に分析してみた。通信総合研究所。通信というと、電気通信というのは放送も含みます、法律用語は。しかし、世の中では通信といったらやっぱりテレコミュニケーションなんだ、ブロードキャスティングじゃない。やっぱり受けとめ方はそうなんです。  それで見ますと、いろいろ研究テーマありますけれども放送関係した郵政省直轄の国立研究所ですが、その中でわずかに三項目、あとは全部通信なんだな。一々申し上げません、電気通信フロンティア技術とか光領域周波数帯。宇宙通信技術の中に放送が三つ入っておるが、全部で何項目あるか、その他いろいろ研究テーマがありますが。それで、やっとこの最後に情報通信基盤技術に関する基礎的・汎用的技術の研究開発、これが三十一億入っておりますけれども、やっと通信と放送融合の時代。これが元電波研の研究テーマで予算なんですね。それからもう一つあったのが放送用周波数有効利用技術、これが二億ちょっと、そういうあれでございました。  それからもう一つ見ますと、郵政省の通信総合研究所とNHKの放送技術研究所の両方でございますが、郵政の方が研究職職員二百九十九人、NHKが二百七十五人。人件費を除きました研究開発の金額は、郵政が百九億円、NHKが六十五億円、民放はございません。  それからまた、郵政所管の通信・放送機構の研究開発プロジェクト、全体の中で放送に関してはテーマ数で五つ、金額で五十一億円、その他というのは通信中心ですかね、三十二項目で六百二十六億円。だから、放送についてはテーマ数で一三%、金額にして七・五%。直轄の機構ですよ、名前もちゃんと通信・放送機構となっている、放送が入っておる。  こういうことから始まりまして、いろいろいわゆる提案型のあれは機構が代行しておりますから、プロジェクトのテーマもずっと見てみましたら、ちゃんと身障者用の新しい機器の開発、高性能で低廉なあれとか、高度映像通信プロジェクトとか、大阪大学の教授だけれども、そういう方々とか斎藤先生とか入っておりますが、どうもやっぱりNTT系というか、NTTもヒューマンインターフェース何とかといって、もうNTTは通信から放送の方までどんどん動き出しておるんだ。御承知でしょう。そこらの御認識を、技師長さんもおられるし会長さんもおられる、郵政省もおりますから。  どうも通信から放送へ、放送の方からも双方向なんだから、このインテグレーテッドというのは、デジタル化を通じて、そこの問題意識を私は大分前から感じ出しておりますので、そこらあたりをどう現状認識しているか。これ決算で分析できるんですよ、それぞれの。予算だけじゃだめなんだ、結果主義なんだ、結果で。ずっと把握していくと、どうも通信が八割以上、放送の方は一割から二割の間ぐらい、概して言いますと。そういう感じを私は持っておりますので、間違いがあったらばんばん訂正していただいて、現状認識とこれからへの取り組み。  それで、組んでやらなきゃいかぬですよ、行政とも他の研究所とも連携する。大学の研究所であれ、場合によってはNTTの通信研究所とも組んでやるというふうな、それが私は放送行政局の、そういう基礎的な研究開発から応用、実用へ向かっていくという方向だと思っておる。  そうでなければ、何のためにおととし科学技術基本法をつくって、はっきり言って上田先生のところも賛成していただいて、衆参の全党派で基本法をつくった。科学技術創造立国。そして、去年の七月は内閣において基本計画、科学技術会議、その中で情報通信、放送も含めて、こういう流れをつくっていかにゃいかぬし、予算も大蔵省の主計局長とはがんがんやり合いしてふんだくってくれといって、私の独特な言い方ですが、そういうのをやっておるわけだ。その中で通信、コンピューター、通産省初め文部省も大学の研究所もいろいろしておるが、さてその中で放送はという。私自身、井戸の中のカワズになつちゃいかぬわけだ。  そういう私の認識が間違っておればどんどん遠慮なしに訂正いただいて、いろんな各般の面からお話を、御説明をいただきたいと思います。
  157. 楠田修司

    政府委員(楠田修司君) 先生御指摘のように、放送の技術というものはデジタル化を含めまして今急速に必要になってきておるのは事実でございます。郵政省の予算で幾つが御指摘いただきましたが、もう先生御承知のように、郵政省の中での技術の予算も含めまして、長い間シーリングのもとでほとんど伸びなかった、こういう現実はございます。そして、放送分野の研究開発予算は平成五年度以降やっと伸び始めた、こういうことでありまして、ちなみに平成九年度予算案では放送関係で通信総合研究所に十六億円、放送機構に六・五億円、わずか二十数億でありますが、これがかなり伸びてきたという事実はございます。  ただ、じゃ絶対額で通信に比べてどうかと言われますと、大体一〇%ぐらいでございます。これは事実です。しかしながら、これもお言葉を返すようでありますが、通信、いわゆるNTTの通信総合研究所と、放送の技術であるNHKの技研と比べますと一〇%以下でございまして、やはり放送の技術というのは通信に比べてまだ規模は小さいというのは現実でありまして、ただ、今通信と放送の融合によりまして放送の技術がどんどん伸びてきておる、必要になってきておるということで、将来この技術の予算というのは非常に必要になるだろうというふうな認識は十分持っております。
  158. 長谷川豊明

    参考人長谷川豊明君) 今、守住先生から放送関係の研究費が少ないという御指摘がございましたけれども、全体的な分野からいうと、今局長からありましたように一〇%程度というのが事実でございます。  それから、科学技術振興調整費について申請がないじゃないかというような御指摘もございましたけれども、私どもNHKの研究開発は放送法でNHKの必須業務というふうに規定されておりまして、基本的には受信料の中から研究費を捻出するというのが原則というふうに考えてございます。  しかし、昨今、科学技術基本法が平成七年度に成立いたしまして、平成八年には科学技術基本計画が閣議決定されまして、国挙げての科学技術の振興ということに御尽力をいただいております。郵政省関係では平成八年五月に電気通信技術審議会におきまして情報通信技術に関する基本計画というものが答申されておりまして、その中で国の予算で今後取り組むべき七十七項目の研究項目が答申されております。この中には放送に関するものもございまして、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、NHKの研究は受信料の中で賄うというのが原則ということを十分認識しながら、このプロジェクトの中で国全体として取り組む必要があり、かつ視聴者に利益をもたらすような項目がございましたらば、そういうものは郵政省とともどもこの研究プロジェクトに参画していくことを検討している実情でございます。  以上でございます。
  159. 守住有信

    守住有信君 どうも長い間NHKは受信料だけで、これは研究投資なんですよ。国民のためですよ。受信者のためですよ。デジタル化で大きな変化が起こり出した。それに高性能で低廉な、端末機も要るわけですから、放送事業者だけじゃないんだ、放送機器だけじゃないんだ、家庭の端末まで、テレビまで。そこまで、受信料だけで、せっかく政府が支援の制度をつくり予算も大幅に立ててやっておる、それを何で利活用しないんだろうかというのが思いでございます。  一番外側にある通産省と共管の郵政の基盤技術研究促進センター、これの中で出資事業と融資事業がありますけれども、全体の案件は百三件だが、そのうち放送にかかわる案件は八件、金額は百三十六億、これは民放も含むんですよ。それから、電気通信の方は五十六件で九百八十六億。不分明の部分もあります、通信と放送の接点のところの部分もありますから。それから融資事業は、電気通信案件が百八十四件の三百二十八億円。放送にかかわる案件は二十三件の六十五億円。私は、NHKだけ言っているんじゃないんです。民放界も含めて、大衆社会の、家庭の一軒一軒の受信者の受信機の問題も含めて言っておるわけですけれども、これは一番外側の通産との共管の研究促進センターでもこういう結果なんです。  やっぱり今後、さらなる分析もしながら、まず決算主義ですよ、予算だけじゃいかぬ。その結果がどうなっているか、年度末。そして、それを次の手法、新しい意欲とかに向かって結びつけていかぬと、これはますますISDNがISDBになってNとB、放送業者の方がどんどん遅いと、私はそういう感を持っておるわけです。それで申し上げておるんです、がらがら声を立ててなぜ言うかと。それで大衆に、国民のみんながあれなんだから、どんな僻地であれ何であれ。どうもいろいろ言い出すと切りがありませんけれども、こういう幾つかの数字を申し上げました。  今、冒頭に科学技術庁から出た公募型研究、九六年度で言いますと、例えば通産省、研究グループとか学者グループとか各民間の研究所を含めてですけれども、採択件数が、通産は三十件で二十六・五億。文部省は多いな、百十件、百十徳。それから科学技術庁、百五十件で百五十億。厚生省、十件で十・二億。農水省、これはバイオその他で農業の生き残りですから頑張って走っていて、二十件で十九・六億。郵政省五件、四・八億。これが他省庁と比べてもこうだ。私は情報通信、放送の中でもこうなんですよということの大局観から見て、そして技術行政、研究開発やその他、投資に向かって何のために科学技術基本法で目の色を変えてやって、その後も基本計画をやったのか。  はっきり言って、きょうも五時から自民党本部で総裁をお迎えして行財政改革をやろうという。技術だけはちょっと一発言わにゃいかぬと思うので、五時でございますからまだあれでございますけれども、そういう思いに駆られておりますので、どうか幅広い視点で、狸穴村の視点だけではなくて、科学技術庁その他通産省、他の省庁とみんなこういうのは関連しておるんですよ。  NHKはソフトは立派です、番組づくりは。これは立派だけれども、ハード面の、特に研究開発投資、これは五年、十年かかりますから、アメリカ、ヨーロッパに負けぬように、いかに高性能で単価の安い、そしてもっと複合的な情報通信併用の、国民の利用できるようなものに向かって、これは今も頑張っておられますけれども、もっとこれから力を入れていただきたい。デジタル、アナログも今出ておるわけだ。過去のアナログのハイビジョンで家電メーカーとえらい金使ったわけだ。これはあるんですよ、家庭の中に。  それで、今度はこうだから、余計こっちの方もほかへ何か併用できるような何かとか、私は技術はよくわからぬけれども、研究陣と一緒になってやっていただきたい。それでないと、はっきり言って通信事業の方が放送事業へどんどん入ってきますよ。いいですか、放送事業が通信も兼ねてやる、CATVであれ何であれ。どんどんそういう時代の現象が起こり出しているわけなんです。そういう意味で、これから先を思いながら、その点だけをいわばアテンション申し上げまして、終わらせていただきます。
  160. 堀之内久男

    ○国務大臣(堀之内久男君) ただいま守住先生の御指摘の問題、全く同感でありまして、我々郵政省においてこの科学技術振興調整費等を余り活用していなかった、こういうことで大変我々としても反省をいたしております。  今後、せっかくまた守住先生が党の科学技術部会長でもありますから、この点十分お力をいただきながら、研究費の活用、こういう面でこれからも一層努力をさせていただきます。
  161. 林寛子

    林寛子君 きょうはわざわざNHKから大勢の皆さんがお見えいただきまして、御苦労さまでございます。今まで同僚議員から御質問がございましたので、ダブらないようにして簡潔に伺っていきたいと思います。  まず、昨年の十二月十六日、行政改革委員会の規制緩和小委員会でNHKに対しての受信料制度の見直しというものが出ております。これに関して、行政改革が叫ばれて何年もたっておりますけれども、NHKも何らかの体質改善的なものも私は要求されてくるだろうと思います。  そういう意味で、昨年の規制緩和小委員会の中から指摘されております衛星放送での問題もございます。あるいは、今申しました受信料の見直し、そういうものについて、今回消費税率が、私たちは不本意でございますけれども、数によって三%から五%に上げるというような無謀な暴挙に出ておりますけれども、これに対してのNHKの対応を教えてください。
  162. 石渡和夫

    参考人(石渡和夫君) お答えをいたします。  NHKでは七年度、八年度と二年連続の赤字予算をやむを得ず編成しておりました。平成九年度におきましては、デジタル化、多チャンネル化の進展など、放送を取り巻く環境の変化の中で、今後の事業展開に備えるため赤字構造の解消に努め、収支均衡の予算を編成することといたしました。  九年度の予算編成に当たりましては、地域放送の拡充、長野オリンピック放送の実施など、放送サービスの充実に必要な財源を確保するため、収支両面で努力することといたしまして、収入面におきましては受信契約者の増加に八年度を上回る目標、これを設定いたしまして増収に努めることといたしております。  支出面におきましては、要員の効率化を進めますとともに、業務のスクラップ・アンド・ビルドを徹底いたしまして、番組制作体制の見直しなどによりまして思い切った経費の節減に努め、収支均衡予算を編成することといたしました。
  163. 林寛子

    林寛子君 私は、必ずしもNHKの場合は均衡予算でなくても仕方がないと思います。いわゆるNHKの持つ公共性というものを考えますと、あるいは今財政状況を拝見しますと、赤字が続いてきたということもあると思いますけれども、その赤字がどこから出ているのか、あるいは制作面でのむだはないのか、あるいは局内での不必要なあれはないのか、そういうことを含めますと、どの部分が大事でどの部分にもっと予算をしなきゃいけないか。ただ予算の均衡を図るだけではなくて、国民に資する部分あるいは国際的に役に立ってもっと伸ばさなきゃいけない部分の山があって当然だろうと私は思うんです。それがNHKのNHKたるゆえんだろうと思います。何も均衡財政だけがあれではなくて、NHKの公共性から見れば、国民のためには、日本の将来の放送のためにはどっと投資しなきゃいけない。先ほどお話もございましたけれども、私はそういうものがあっていいだろうと思うんです。  ただ、残念ながらNHKが本来は受信料のみによって賄われているということの苦しさ。今ちょっと参考に教えていただきたいんですけれども、受信料の徴収の仕方に関してどれくらい不備があるのか、あるいは徴収できていないのかの数を知らせてください。
  164. 菅野洋史

    参考人(菅野洋史君) 受信契約状況につきましては、平成七年に国勢調査がございまして、その調査に並行いたしまして私どもでもいろいろな実態調査をいたしました。そのデータを使って推定を試みたわけでございます。  全世帯大体四千四百万世帯あると思いますが、そのうちの約四分の三を占めるのが一般の御家庭、二人以上の世帯でございまして、この四分の三を占める一般の御家庭の契約率は、七年度末でおよそれ割に当たる八九%というふうに私どもとしては推定しております。ただ、一人住まいの学生などいわゆる単身世帯、これが残りの四分の一を占めているわけでございますけれども、不在がちでなかなかお会いできないということもあって、契約率は六二%程度になるというふうに推定しております。
  165. 林寛子

    林寛子君 私もちょっとNHKの放送受信料の免除基準というものも拝見させていただきました。この表によりますと、もちろん免除しなければいけないものという規定がございます。きょうは長々とこれを読むつもりもございません。私は一点、この数字をどの程度把握していらっしゃるのかわからないんですけれども、NHKの放送受信料免除基準の中に社会福祉事業施設入居者というところもございます。また、その明細を見ていきますと、一番免除件数の多いところというのはもちろん学校でございます。これは六十一万九千四百五十七校という件数、これが六一・七%を占めているんです。  社会福祉事業施設、これは五万三千四百五十一件あるんですけれども、その社会福祉事業の免除の中に特別養護老人ホームがあるんです。いわゆる特養でございます。私は、今NHKさんが数字が出れば、これ言ってないんですけれども、全国の特養ホームで受信料を免除されている台数がどれくらいあるか、おわかりになりますでしょうか。
  166. 菅野洋史

    参考人(菅野洋史君) お答え申し上げます。  特別養護老人ホームは、身体または精神に著しい障害があって自宅では介護を受けることが困難な方が入所される施設でございますから、社会福祉事業施設に該当します。したがって、これは免除の対象になるわけでございます。  ただ、手元に今その数字は持っておりません。
  167. 林寛子

    林寛子君 これは要求していないからよろしいんですけれども、私は、昨今の特養ホームのあり方というものが国会でも論議されておりますし、皆さんのお耳にも入っていると思います。あるいは国から補助金をもらい、あるいは県からももらい、地域からももらい、そして中はジャグジーのバスがついていたり本当に至れり尽くせりという、お金の額にしますと大変なぜいを尽くしたものが各地域にあるわけでございます。その件数を挙げてみますと、かなりな受信料の免除ということになるんです。私は、これほどぜいたくなお金でもって特養ホームが、厚生省の問題ですからこれは今ここでもう詳しくは申しませんけれども、あらゆるところの特養ホームの放送受信料が免除になっているということは、私は、建物としかもその財政のあり方等からすれば、果たしてこれは免除基準の中に入っていていいものであろうかと。  こういうことは、今後国会の中でも皆さん方にもぜひ、そこから少しでももらえるようにすれば、あるいは部屋についている一台一台を台数に数えぬまでも、一つの特養ホームとしていわゆる五台分なら五台分というようなお金の徴収をしても私はいいのではないか。それも私は、先ほどの行政改革の規制緩和小委員会からの徴収のあり方等々の示唆に適合するのではないかと思いますけれども、その辺のお考えはどう思っていらっしゃいますでしょうか。
  168. 菅野洋史

    参考人(菅野洋史君) NHKといたしましては、かつて国会で附帯決議をいただきまして免除措置の見直しを求められたということがございます。その経緯を受けまして、国などに財源の措置というものを実現していただくように毎年お願いしてございます。社会福祉事業施設を含んで厚生省あるいはその他に要望をしているところでございます。
  169. 林寛子

    林寛子君 これは徴収の仕方でございますけれども、この委員会だけで片づく問題ではございませんので、今後、国会の中でもこういうことのあり方、一部ではあるいは不正にされて、しかもNHKはそれが徴収できないで赤字と、そういう養護という名前のもとに、ただ福祉という名前のもとに、私は逆に不公平が起こっているのではないかということだけは指摘しておきたいと思います。  それから、きょうの川口会長のお話の中に番組編成の積極的な見直しということがございました。どういうふうに見直しをしょうとお思いになっているのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  170. 齊藤曉

    参考人(齊藤曉君) 番組編成に関しましては、一年一年、地上波、衛星を含めまして各波の一層の個性化を図るというのを目標にしまして編成を変えております。それから、視聴者の多様な要望が、要望、質問等を含めまして年間五百万通を超える視聴者の声がございますけれども、こういうものを積極的に番組に生かすという意味で、毎年番組編成を新しく変えているということでございます。
  171. 林寛子

    林寛子君 何となく大ざっぱな御答弁なので姿が見えてこないんですけれども、多岐にわたることなので、後でまとめて伺いたいと思います。  先ほど受信料によってNHKが赤字状態だと、この予算表を拝見させていただいてもそのとおりなんですけれども、私は、受信者の数というものがある程度もう既に飽和状態になっているのではないか、そういう感があるわけでございます。これから受信契約が大きく伸びるということは望めるものなんでしょうか。私は難しいのではないかと。だから、今おっしゃった受信料によってNHKの赤字が続いているということを考えれば、これからの受信料徴収のあり方あるいは伸び方についてどういうお考えをお持ちか、伺わせてください。
  172. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 受信料の伸びは、現在、地上波の方は大体もう飽和状態になっております。ほとんど一年間に〇・一%ぐらいしか伸びません。これに反して衛星の方の伸びは非常に順調でございます。現在、八百五十万という形で契約をいただいておりますが、我々の見込みではまだ向こう三年、つまり二〇〇〇年までは何とかその伸びが続いていくだろう。ただ、それも一千万世帯を超えた段階で相当大きな問題が起こってくるんじゃないか。特に、千二百万世帯というふうになりますと、これから後の鈍化というのは非常に明らかでありまして、そのときにどうするのかという問題が実はこれからのNHK経営の根幹であろうというふうに思っております。  その際に、受信料体制そのものだけでいけるのか、あるいは先ほども申し上げましたけれども、直接BS放送を見ていただいた方から対価としていただくようなことまで考えなければいけないのか、いろんな対応策を考えなければいけないと思っております。  同時に、収入というのは、NHKの場合はほとんど受信料でございますけれども、もう少し、例えばソフトの売買による収入はないか、あるいは出版をすることによって新しい財源は得られないか等々、いわゆる副次収入の増加についても大幅な前進を図ろうとしておりまして、先ほど私が申し上げましたのは、これから十年をめどにして、NHKの将来の発展に対してどのような施策をとるかということをはっきり決めてかかっていきたいというふうに思っております。
  173. 林寛子

    林寛子君 それからもう一つ伺わせていただきたいんですけれども、私ども、本当にNHKの国際放送の役割というのは大きいと思います。  外国にいらっしゃる方、外国への日本からの発信というものが大変おくれております。そういう意味では、国際的に日本の外国への国際放送の現状というものは上中下、どの程度にあるとお思いでしょうか。
  174. 齊藤曉

    参考人(齊藤曉君) 上中下ではなかなか表現しにくいんですけれども、私どもは、平成七年度から国際映像の発信に手をつけまして、三カ年計画で今までやってまいりました。  今、アジア発信は大体十八時間から二十時間になろうとしておりますけれども、ヨーロッパあるいは北米でテレビ・ジャパンを通じての国際映像、国際放送をやっておりますが、そういう意味ではまだ初期段階というふうに申し上げていいかと思います。次の四年度目から、最終的にはグローバルな世界的なネットワーク化を目指して、アジアからの発信というのをさらに強化したいというふうに思っております。
  175. 林寛子

    林寛子君 先進国の中で日本の国際放送の貧弱さというのは、私はやっぱりこれから考えていかなければならないと思います。  今、おっしゃいましたけれども、正直申し上げて、国際放送の国際比較というのがございますけれども、日本は国際放送が四百五十五時間なんです、これは週単位でございますけれども。アメリカは九百四十九、中国は一千三百九、ロシアでさえ六百六十五、イギリスは一千三十六、ドイツが六百五十五、その数字から比べても日本の四百五十五というのは余りにも情けないんですね。  それから郵政大臣、NHKの場合は、国際放送だけが国からの交付金によって行われているわけですけれども、NHKには国際放送に対する交付金は幾らお払いですか。
  176. 堀之内久男

    ○国務大臣(堀之内久男君) 短波放送に対しまして十八億円、今現在予算化しておるようでございます。
  177. 林寛子

    林寛子君 多いとお思いですか、少ないとお思いですか。
  178. 堀之内久男

    ○国務大臣(堀之内久男君) これは恐らく吹田愰さんが通信部会長の時代であったと思いますから、約七年か八年ぐらい前であったかと思いますが、その当時、彼が国際放送ということで大変な努力をしたことを記憶いたしております。その節初めて、一般会計の予算から短波放送に対しての予算化がなされたと思っております。私も、その後研究いたしておりませんけれども、この点精いっぱいまた努力をさせていただきます。
  179. 林寛子

    林寛子君 私は、これだけ国際化と言われる、また先進国と言われる日本の国際放送に対する政府の交付金というものが余りにもお粗末である。これは、NHKが声を大にして政府におっしゃらなければ私はおかしいと思うんです。しかも、このお金を見ておりましても、国際放送費、番組制作に関する国際放送の制作費というものも六十六億円、あるいは給与とか等々全部入れましても百二十二億円ということで、政府からは十九億と。本当に私は、これで日本が国際放送をして世界に貢献し、また海外の外国在住の日本人に対しても満足にしているとは思えない。  そういう意味でも、私は、NHKにかわって郵政省に言うわけじゃございませんけれども、少なくとも国民の一人として、国際放送に対するNHKの負担が大きいわけですから、国際的に世界と肩を並べるくらいの予算というものを郵政省にぜひお願いしたいと思いますので、お答えをいただきたいと思います。
  180. 楠田修司

    政府委員(楠田修司君) 郵政省では、国の重要な政策とか国際問題に関しまして政府の見解を国際社会に発信するということで、NHKに対して命令放送という形で補助金を出しているわけです。十九億五千九百万円が平成九年度の予算の要求でございます。  この金額と、将来は映像国際放送をどうするかという問題がございます、テレビでありますけれども。これにつきましては、まだ世界的に映像国際放送に対するこのような国の補助、命令放送というのがどうあるべきかということの固まった考え方というものができておりません。短波ですと全部世界へ行きますけれども、映像ですと行かないところもある。それから、全部張りめぐらせるには相当金額も張るということでございます。  しかしながら、いずれにしましても、映像の国際放送というものを国としてふやしていくということも一つの大きな課題でございますので、我が国の国際放送の重要性にかんがみまして、必要な交付金も含めまして、最大限努力する気持ちでおります。
  181. 林寛子

    林寛子君 今お話しございましたように、郵政大臣からの命令で行っておる国際放送です。私はそういう意味では、少なくとも郵政大臣が命令する限りはそれに見合った、国際的に少なくとも肩を並べられるぐらいな国際放送というものを実施できるように今後努力していただきたいと思いますし、私たちもそれに協力していきたいと思います。  それから、NHKさんなんですけれども、私は大変努力していらっしゃることも認めますし、私どもも楽しませていただいておりますけれども、NHKに出演している俳優さん等々の立場から見ますと、やはり余りにもNHKと民放との出演料の格差、それが顕著になってきていると私は思うんです。それは一般的に、これは大変俗な言葉で言いますと、民放さんは出ていただきたい、NHKは出してやる、そういう態度だというふうにみんながとっているわけです。そういう感覚があるということと、NHKと民放とのギャラの格差というものをどのようにお考えか、お答えいただきたいと思います。
  182. 齊藤曉

    参考人(齊藤曉君) 俳優さんの出演料を中心に民放とNHKとで確かに格差があるということは存じておりますが、どのくらいの程度かということは比較する材料がございませんのではっきりしたことはわかりませんが、私どもは受信料をお預かりしてそして出演料をお払いするという立場ですから、私どもが出演していただく方に失礼じゃないと判断する範囲で、それをベースにしながらそれぞれの出演者の方とのお話し合いによって出演料を決めていくという方法をとっております。  したがいまして、少なくとも出してやるとか、そういう感じは持っておりません。むしろ私どもは、出演料が少ないだけにいい本をつくるあるいはいい企画をする。それによって、まあ出演料は安いけれどもNHKに出てあげようという方に期待しながら、私どもは番組に取り組んでおります。
  183. 林寛子

    林寛子君 材料がないからおわかりにならないとおっしゃいますので、ちなみに申し上げます。参考でございます。  テレビの出演料というものは、大体テレビ番組三十分が出演料の基準になっております。これは民放もNHKも同じでございます。三十分番組で、NHKでは最低基準が一万七千円でございます。最高基準、上限がございまして、これは十五万円でございます。民放の場合は最低基準が三万二千円、上限は三十万円でございます。それによって、三十分を超えますと三十分ごとにNHKさんは五〇%増し、リハーサル料はそれの三〇%、リピート代、いわゆる再放送料というのが基本の四〇%、大体そういう基準になっているんです。  中堅の俳優さん、まあ普通、主役ではないあるいは端役ではないという中堅の俳優さんの例をとってみますと、NHKさんに一時間番組に出るとします。そうしますと、リハーサルも含めて五日間拘束されるんです、NHKの場合は。そして、一つの一時間番組に出て出演料は中堅俳優さんで十万円でございます。それが、NHKは五日間拘束ですけれども、民放の場合は三日間拘束でございます、リハーサル含めて。けれども、その同じ中堅の俳優さんが民放に出ますと、これは三十万円でございます。約三倍でございます。  そういう意味では、私はこれが一概に比較ということにはならないと思いますけれども、俳優さんというものはギャラの不服を言うと仕事がなくなる。干されるという言葉がございます。干されるというのは、仕事を回してもらえないという意味でございます。そして私は、同じ人間が、民放に出たときは一〇〇%の演技をし、NHKに出たときにはギャラが安いから三分の一の演技をするということは役者はできません。どこへ行っても全力投球でございます。  やはりこういうふうな民放とNHKの格差、今三倍でございます、大ざっぱに言いますとね。少しでもみんなNHKに出たい、NHKは全国放送だから。新人さんはNHKに出ることを名誉とし、NHKに出ることが来年の出演料のアップにはね返るというようなことで、NHKに出たがる、あるいは出たいとマネージャーから言ってくるというのは私はあると思います。  一人の人間が、民放とNHKに出ることによって演技の切り売りはできないということから考えれば、このNHKと民放のテレビのギャラの格差というものは、少なくとも格差がないように努力していただいて、俳優さんが民放に出てもNHKに出ても同じような全力投球ができて、しかも生活に困らないようなある程度の保障がしていただけるように、私は今後努力していただきたいということを要望したいと思いますけれども、お答えをいただきたいと思います。
  184. 齊藤曉

    参考人(齊藤曉君) 俳優さんに限らず、出演料全般につきましては、各種これまで年々努力を続けてまいりました。  今お話しの、俳優さんはランクによって、最低一万七千円とおっしゃいましたけれども、一応ランクがございます。こうした基本的な出演料の決め方につきましては、芸能実演団体の協議会あるいは日本俳優連合とお話し合いをして決めております。私どもが、NHKが勝手に決めているというものではございません。  それから、中堅の俳優さんの出演料ですが、今三倍というお話ですけれども、私どもは、リハーサルにおいでになると二割なり三割基本料金に上乗せしてお払いすると。三回いらっしゃれば……
  185. 林寛子

    林寛子君 それも計算してのお金です。
  186. 齊藤曉

    参考人(齊藤曉君) そういうものを全部上乗せして、それから衣装合わせとか、いろいろおいでになった分も全部きちっと換算してお払いしております。  非常にスター級の方については格差が大きいということは存じておりますけれども、中堅あるいはそれ以下の方については、私どもはそんなに大きな差はないんではないかというふうには思っておりますが。
  187. 林寛子

    林寛子君 思っておりますではなくて、努力してくださいということを要望申し上げているんです。  それから、全く違うことですけれども、もう一つ要望したいんですけれども、これは運輸省きょう呼んでおりませんからわかりませんけれども、NHKさんにぜひ努力していただきたいと思いますのは、危機管理という面から見ましても、新幹線は私ども大変よく利用させていただいておりますけれども、新幹線に乗って、例えば東京から大阪までNHKのニュースなりなんなりNHKが聞けるわけです、第一放送だけでございますけれども。それが大阪から博多まで行きますのに、大阪過ぎるともうぷっつりなくなるんです。この間のように、例えば新幹線でも、雪が降ったり、とまったり、地震があったりということで、新幹線に博多から乗りましても大変情報を知りたいと思いますけれども、東京-大阪間しかNHKが聞けない。これもいろいろ調べましたけれども、きょうは時間がございませんから、私はNHKさんの貴重な放送というものが、ニュースも含めて、私たち国民が新幹線に乗っていて、地震で伊豆あたりでとまった、どうしょうかなんというのもございますので、今のような東海道だけでNHKが聞けるというのを、西日本も全部聞けるように、ぜひその辺のところは努力していただきたいということを一点要望しておきたいと思います。これは要望だけにとどめます。  最後に、先ほどございましたけれども、二十一世紀に向けてどのようにNHKとして国民あるいは世界に対しても歩んでいきたいかという基本的な二十一世紀に対するNHKの基本方針というものを会長に伺って、質問を終わりたいと思います。
  188. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) まさにそこが一番の経営課題であると思っておりまして、ただいま案を練っておりまずけれども、デジタル時代の公共放送のビジョンというものを近いうちに世の中に公にして、それに対する御批判をいただいたり、それから、さらにそれを煮詰めて現実の実施方針を決めるということにしたいと思っております。  もう間もなくできますので、また御批判をいただければと思います。
  189. 林寛子

    林寛子君 終わります。
  190. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 平成会魚住裕一郎でございます。  先週、第七十二回の放送記念日の記念式典がございました。本会議もあってお伺いできなかったんですが、NHKの川口会長のごあいさつの中でも苦情対応機関というようなことが述べられました。また、新聞にも昨年末からたびたび、特に与党自民党の通信放送産業高度化小委員会なるところとの対応は、かなりメディア論として注目され、また報道をされておりました。  余り放送倫理、倫理なんて言われますと、萎縮して、表現の自由、言論の自由を圧迫してくるなと、大変私は苦慮というか憂慮しておったわけでございますが、そんな中、川口会長を初めNHK執行部は、本当に一生懸命対応されてきたというふうに敬意を表する次第であります。  そんな中、三月十三日ですか、十二日ですか、要するに苦情対応機関の設置ということを民放連とお決めになったということでございまして、同僚議員からの質問もございました。そのプレス資料の中で、三月の半ばには民放連との合意書をつくって、四月上旬にはもう立ち上げたいというようなことでございますが、具体的な準備作業としては、今現在どんな状況になっておるんでしょうか。
  191. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) なるべく早くきちんとした形をつくりたいと思っているんですが、民放連の方が傘下に百何十という会社がございます。したがって、理事会そのほかできちんと部内の了解をとらなきゃいけないということがございますので、若干おくれておりますけれども、そんなに遅くない時期にきちんと発表ができると思います。  基本は、第三者がメインになった苦情を受け付ける機関ということで、名前などは今からきちんと決めますけれども、人権という名前を入れることにしようかというのが今おおよそ決まっております。間もなくきちんとした形でもって外部に発表したいと思います。
  192. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 その機関の概要でございますが、新聞報道によると、事務局長には民放のOB、それから予算、運営費約二億円が考えられていて、NHKと民放が負担するという報道がなされておるんですが、もちろんNHKの負担ゼロとは思いませんけれども、大体幾らぐらい負担する形になっているのか。それから四月から立ち上げるということでございますが、今審議しているこのNHKの来年度の予算の中ではどこにそれが入り込んでくるのか、お教えいただきたいと思います。
  193. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) この機関そのものの設置は、ただいま申し上げましたように、今詰めておりますけれども、基本的にはNHKと民間放送連盟各社の個別の放送番組にかかわるもので、放送法令とか番組基準等にかかわる重大な苦情、特に権利侵害、人権ですね、権利侵害にかかわる苦情を受け付けるということにしたいと思っております。  視聴者から苦情が来ますのは、第一義的には事が起こった当該の放送事業者、つまり民放何とかという局あるいはNHKという局に苦情が訴えられるわけですから、それはその事業者がまず真摯に受けとめる、そしていろいろお話し合いをするということが大前提でございます。  そして、その中で、どうしても自主的に解決できない、御納得いただけないというケースの場合に、この苦情処理機関に持ち上げてきちんとした対応をしたい。その際は、放送事業者そのものはもう中に入らないで、委員さんは全部第三者、外部の方だけとして、そこで事情を調べていただき、そして見解もしくは勧告という名前で我々事業者に対してその委員会が見解をお寄せになる。この見解と勧告というのは実は差はありますけれども、非常に重く受けとめよう、放送事業者の方もそこで出された見解に対しては率直にそれを認めよう、勧告されたものについてはできるだけそれに従おうというふうな態度でいこうということは、もう既に決めております。  そして、この苦情処理機関の中で、どうしてもまた両方とも意見が対立して納得できないという場合は、法的手段に訴えて裁判の方に回ることになろうかと思いますけれども、できたらこの苦情処理機関の中で解決することが望ましいというふうに思っております。  事務局等をつくりますのは、何しろこの委員会そのものが、非常に高度に苦情を受け付けるのにふさわしい方々に集まっていただかなければいけません。それから、その人たちを選ぶのに評議委員会というのをつくって、評議委員会の方々が純粋に第三者的にお選びになる委員委員会を結成する。その評議委員会を選ぶためには、また放送事業者側の理事会をつくらなければいけません。そして、理事会は事務局を持つということになりますので、組織的にはちょっとしっかりしたものをつくって、きちんと対応すべきだと思っております。  以上のようなことをやりますと、事務局の局員とそれからお金が必要になってまいりますので、これについては、今どのような形で対応するか民放連とも話し合っているわけですけれども、財政のことは編成企画費として今検討しておりますので、これは財務担当からちょっと御説明いたさせます。
  194. 石渡和夫

    参考人(石渡和夫君) お答えいたします。  この経費につきましては、NHKといたしまして、予算編成いたしまして国会提出後に決まった事項でございます。この経費についての取り扱いでございますが、編成企画費、国内放送費の中に編成企画費というのがございまして、およそ八十七億の予算を組んでおります。  この機関に対する経費というのがまだ確定はしておりませんが、一億円以下、およそ六、七千万であろうかと思いますので、この八十七億円の経費の中で検討していきたいと考えております。
  195. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 会長からは大体この機関の概要をお教えいただいたわけでございますけれども、この報道資料を見ますと、何のためにこの機関をつくるのかというと、放送法令、番組基準にかかわる重大な苦情、特に権利侵害というふうになっておるんです。  じゃ具体的なその権利侵害があったという人が出た場合、松本サリン事件の河野義行さんでも例にとれば、自分がどのように放送されたかというものを見る手続はこの中で書いてあるのかどうか、そういうことも考えられているのかどうかということをお聞きしたいんですが。
  196. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 細かい手順とか手続はこれから決めますけれども、その中にはきちんとどのような形で対応するということを明らかにしておきたいと思います。例えば、ビデオは参考にするとかしないとかいうことについてもきちんとした形でもって書いておかなければいけませんので、それは今詰めております。
  197. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 それからもう一点。この中で、もしそういう苦情の申し入れがあっても、途中でこの苦情申立人が裁判に訴えるというふうになった場合、この機関における審理は中止をするというような方向性だと承知をしておるんです。その確認なんですが、ただ、同じような苦情の処理の問題として放送法上、訂正というものがございます。この訂正制度の中では、訂正の申し入れをしても「損害賠償の請求を妨げるものではない」という放送法第四条三項の規定があるわけでございまして、この訂正放送のシステムよりは一歩も二歩も後退した苦情対応機関になってしまうんじゃないかということを懸念するんですが、この点いかがでしょうか。
  198. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) いわゆる訂正放送につきましては、放送法第四条に規定がございますので、これについての運用はNHKの方では四条委員会というのがございまして、外部の法律家の方を含めて委員会をつくりまして、訂正放送の申し入れがあった場合はその四条委員会を直ちに開いて、そして訂正放送をやる、あるいはやらない、どのような対応をするということをきちんと決めるようになっております。こういうのがNHKの場合はその四条委員会でやるんですが、たくさんの民放と全く同列に同じようにつくるわけにもいきませんので各局の対応は違ってくるわけです。そうすると、違ってくると、おかしいではないか、これでは納得できないという方がやっぱりいらっしゃるわけで、そして第三者の苦情処理機関の方にさらに御提議をなさるということが起こってくるわけです。  そういう二段階の、放送事業者自体が苦情の解決をするのがやっぱり第一義ですから、それは誠意を持って当たりますが、もしそこで対応できなかった場合に第三者の苦情処理機関の方で処理をする。そして、そこでまたどうしても根本的に相入れないという対立した形になりましたら、これは裁判の方に回す以外ないだろうと思っていますが、せっかくそういう機関をつくったんですから、できるだけ機関の中で納得していただけるように事業者としては努力をするつもりでございます。
  199. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 どちらにしても、私の感覚で申し上げると、権利救済というような意味からすれば、同じように訂正放送の制度でも弁護士なり法律家、学識経験者を入れて、かつ保存期間も三カ月に延ばして、ある意味では手厚いというか、そういう制度、システムになっている。  また一方では、この苦情対応機関、人権擁護分野で活動している弁護士だとかあるいは最高裁の判事経験者とか、そういう方に委員になっていただいてそれなりのシステムをつくるという。しかし一方では、実際ビデオを、放送された内容を見せるかどうかもまだこれからだし、もし裁判になったらその審理自体がとまっちゃうというのであれば、権利救済手続としては非常に欠陥だなというふうに私は思わざるを得ないんです。  そうすると、この苦情対応機関の設置の趣旨は、一つは権利侵害に係る苦情の問題を扱うんだと、もう一方は放送法令、番組基準に係る苦情だと。その中に入るというふうにおっしゃいますけれども、どちらかというと放送法令とか番組基準とかそちらの方に重心が移っていくような私は危惧をしております。  それは、まさに国民の権利侵害に対処というよりは番組内容に土足で入ってくる、こういうきっかけをつくってしまうんじゃないだろうか、そういうふうに懸念をしておりますけれども、NHK御当局はこの点についていかがお考えでしょうか。
  200. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 先ほどもちょっと触れましたけれども、この会の名前を放送と人権に関する委員会とか、あるいは放送と権利侵害に関する委員会とか、そういう人権とか権利侵害とかいう名前を直接委員会の名前にしょうということで今話し合っておりますので、やっぱりポイントは権利侵害、人権問題ということになることは間違いないと思います。
  201. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 名前は何とでもつけられるわけで、私もまだ議員経験少ないんですが、今まで名前は立派だけれども、中身が審議会をつくるだけみたいなそういう法律案もありました。今の会長の趣旨を体した形でぜひやっていただきたいというふうに思っております。  このようなNHKあるいは民放の対応に対して、もうじかに放送による権利侵害救済委員会、こういうものをつくったらどうか、そういうふうにおっしゃっているところもございます。私なんぞは逆に、今の川口会長のお話を伺いますと、その方がかえっていいんじゃないかと思っているくらいであります。  ただ、権利救済にしても、何がどのように放送されたのか、報道されたのか、いわゆる多チャンネル懇の中でも指摘ございましたけれども放送というのは一回きり流れたら終わりで固定化していない。だから、権利侵害に遭った人間もどのように侵害されたのか確認できない、そういう特性があるわけなんです。  これは、手元にあるのは昨年、九六年六月の二十五日、六日の朝日新聞の記事の中で「テレビ局にモノ申したら」という記事がございます。  その中で、同志社大学渡辺武達教授の提言という形で、国立国会図書館のような、形ではなりますけれども、国立映像資料館というようなものをつくって、特に視聴者が指定して見られるようにしたらどうかという提言が実はあるのでございます。要するに、公共の電波に乗って放送された番組はもう市民共有の財産だ、だれでも後で自由に見ることができるようにしたらいいのではないか、そうすることによって自分にどのような報道がなされたのか、放送されたのかということが確認できる、そういうような御提言でございますが、この点につきまして、NHK並びに郵政大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  202. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 以前から番組の保存とか、あるいはどのような放送がなされたか、そのことを見るための設備をつくろうということがありまして、NHK、民放が共同出資をしまして財団をつくりました。それが放送番組センターというところでありましたけれども、そこの中で番組ライブラリーという組織をつくりまして、現在もう既に運用を開始しております。  現在のところ、横浜に大きな倉庫と閲覧ができるそういうスペースをこしらえまして、たくさんの民放、NHKの番組を保存し、そして閲覧いただくような形をとっております。まだもちろん数は少のうございますし、本格的に運用するのはもうちょっと先になりますが、今既にもうやってはおります。この形をできるだけスムーズに行くようにしたいと思っております。
  203. 堀之内久男

    ○国務大臣(堀之内久男君) ただいま川口会長の方から大方の御答弁は申し上げたところでありますが、先生御指摘のように、放送番組は文化的、歴史的に価値の高い貴重な映像資料でございますので、これの系統的な保管体制の整備は大変重要な課題であると思います。  ただいま会長からもお話ありましたが、平成元年に放送法改正をいたしまして、平成三年に財団法人放送番組センターというのを指定いたしまして、放送事業者の協力を得まして、放送番組の収集、保管、公開をする放送ライブラリー事業を行っているところであります。現在までのところ、約四千二百本のテレビ番組、そして九百本のラジオ番組を収集しておりまして、年間約三万ないし四万人の方々が利用されております。  この放送ライブラリーに対しましては、先ほど会長からも御答弁ありましたが、放送事業者に約九十二億円の基金を出資いただきまして、その運用利益でこれの運営がなされておるわけであります。  郵政省としては、今後も国民の貴重な文化資産の維持、保存という観点から、この放送ライブラリーの事業の充実に努めてまいりたいと存じます。  ただいま先生の御指摘のような放送番組を網羅的に収集、保管、公開する業務を行うためには、膨大な放送番組の収集と著作権の処理、これが一番大きな問題になると存じますが、これとあわせて大きな資金が必要となりますので、この点は今後の大きな課題として研究をしてまいりたい、こういうように考えております。
  204. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 せっかくの御答弁でございますけれども、この放送ライブラリーというのは、現在のところ教養番組とかあるいはドラマ、こういうものを収集している、これが中心なんです。そうなると、今問題にしているのは権利侵害という問題でございます。これで賄われるのか、そういうことを視点に私は申し上げているわけであります。  今また郵政大臣からもお話ございましたけれども、このライブラリー、その運用の益でとかありましたけれども、著作権の問題もございましょう。しかし、我が国の放送ではまだ基本的な、一回あるいは二回の放送を前提にしたような著作権処理をしている。だけれども、いわゆる多チャンネル懇の報告書にもありますように、アメリカでは多元的利用を前提とした著作権処理が慣行として行われている。だから、それをやっていけば十分に対応できるわけでございまして、あれが難しいこれが難しいということよりも、やはり国民の権利をしっかり守るんだ、こういう姿勢でぜひ取り組んでいただきたいと思います。  この点につきまして、再度郵政大臣の御決意をお聞きいたしまして、私の質問を終わります。
  205. 楠田修司

    政府委員(楠田修司君) 先生御指摘のように、いろんな放送を含めたライブラリーということも必要かと思います。諸外国でもこの放送番組の公的保存といいますのは、ドキュメンタリーであるとかあるいは娯楽番組、そしてアメリカ等ではニュースというものが行われております。日本の場合ですと、一部のドキュメンタリーはありますが、ニュースは行われていない点は御指摘のとおりでございます。  こういうふうなものを集めるライブラリーということになりますと、先ほど大臣が申し上げましたように、非常に大きなお金と著作権の問題がございます。これはもちろん前向きに考えてやっていきたいと思っております。  ただ、権利侵害の問題に関しましては、訂正放送制度におきまして三カ月間放送会社がそれを保存し閲覧させる義務がございますので、三カ月間でございますけれども、その間にやれば、私は権利侵害されたということを要求すれば、その番組は見ることができるという制度は放送法にございます。
  206. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今ビデオを見せる義務があるとおっしゃいましたね、局長。この点だけもう一度確認をしたいんですが。保存期間内です。
  207. 楠田修司

    政府委員(楠田修司君) 真実でない放送がされますと、被害者が放送事業者に放送後三カ月以内の間には訂正放送を要求することができるということでございます。
  208. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 ビデオを見せる義務があるかどうか。義務があると今答えましたよ。
  209. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 答弁者、義務があるというふうに答えたわけですよ。  ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  210. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 速記を起こしてください。
  211. 楠田修司

    政府委員(楠田修司君) 放送事業者は、放送後三カ月間、録音、録画した番組を視聴することにより番組内容を確認するためにこれを保存する、こういうふうになっております。
  212. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) ちょっと速記をとめてください。    〔速記中止〕
  213. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 速記を起こしてください。  ただいまの楠田放送行政局長の発言については、後日理事会を開催して速記録を確認の上、適切な処置をとらせていただきます。
  214. 西川玲子

    西川玲子君 平成会西川玲子こと松あきらでございます。  私は、まずNHKの予算書について二つばかりお尋ねをいたします。  初めに郵政大臣にお伺いしたいと思います。  ここに平成九年度NHK予算に対する大臣の意見がつけられております。「受信料の公平負担と経営の安定化の観点から契約の締結及び受信料の収納を促進するとともに、業務の効率化による経費の節減を図ること」と意見を述べられております。特に、公平負担という視点で受信料の収納促進をどのようにお考えになっておられるか、お伺いしたいと思います。
  215. 堀之内久男

    ○国務大臣(堀之内久男君) NHKの受信料は、NHKがその役割を果たすために必要な財源を広く視聴者全体に求めることによりまして、高度な自主性、中立性を財政面から確保するものでございます。受信料制度は、NHKの事業運営を支える基本的な財源としては引き続き維持されるべきものと考えておる次第であります。そのためにも受信料の公平負担を図ることが最も大事なことだと考えております。  このため、従来から、郵政大臣意見においては、契約の締結及び受信料の収納の促進に努めるよう、特に指摘をしてきておりますし、平成九年度の事業計画等の実施に当たっても引き続き配慮を求めたものであります。
  216. 西川玲子

    西川玲子君 次に、川口会長にお尋ねしたいと思います。  この予算書は例年記述が大体同じだと思うんですけれども、ことしの予算書には繰越金の説明が抜けているんです。ないんです。せめて議事録に残しておきたいと思いますので、繰越金の説明をしていただきたいと思います。
  217. 石渡和夫

    参考人(石渡和夫君) お答えいたします。  NHKの予算書につきましては、放送法施行規則に基づいて調製しております。同規則によりますと、予算書におきましては、決算書と異なりまして事業収支差金に過不足が見込まれる場合にその処分、補てんの方法について記載することが定められております。例えば八年度で申し上げますと、四十八億円の収支不足でございましたので、その措置について記載したものでございます。  九年度予算につきましては、収支均衡の予算を編成いたしたため、繰越金について、予算書には記載しておりませんが、財政上の指標といたしまして種々の資料に記載しております。本委員会にお示ししております説明資料、三十五ページものの資料をお手元にお配りしてございますが、その資料におきましても三ページの下の方に記載して説明しております。  記載内容について御報告いたしますと、繰越金の状況は……
  218. 西川玲子

    西川玲子君 もういいです。  つまり、均衡の予算で繰越金がないからそこには書かなかった、そんな感じでございますね。  四月一日より消費税が上がることになっております。私はやはり消費者として上げてほしくはありません。NHKの予算はその増加分の二%を組み込んで予算をつくったわけでございますけれども、できることなら据え置いてほしい、私はこういう希望でございます。  さて、消費税二%を上げないで受信料を据え置くとどうなるんでしょうか。確認のためにお聞かせていただきたいと思います。
  219. 中井盛久

    参考人(中井盛久君) 中長期計画を担当している立場でお答えさせていただきます。  ただいま御指摘の、万一消費税を上げなかった場合にはNHKの財政に約百十億円の負担がかかってまいります。したがいまして、今現在三百八十四億円の繰越金を持っておりますけれども、約二年少しでなくなる。これは、そのほかにも債務償還が多少入っておりますのでそういう計算に相なります。
  220. 西川玲子

    西川玲子君 要するに、二年続きで赤字で底をついちゃって、繰越金が三百八十四億円あるけれども、受信料を値上げしなくてはならなくなつちゃう、こういう説明でよろしいんですね。確認だけ。
  221. 中井盛久

    参考人(中井盛久君) 簡単に答えれば御指摘のとおりでございます。  我々が苦渋の選択をしたということを多少説明させていただいてよろしいでしょうか。
  222. 西川玲子

    西川玲子君 いや、もういいです。また後ほど伺わさせていただきます。  郵政大臣、郵便料は値上げしませんでした。郵便の消費税分はどうして上げなかったんでしょうか。ちょっとこれ聞かれるとまずいんでしょうか。結局、郵便の貯金がいっぱいあったからだと思うんです。  ここにもありますように、端数のついた料金は国民の皆様にとって煩雑であることも考慮し、新郵便番号制の導入等の経営努力によって料金を据え置くことにしました。とっても親切で、本当に国民にとってはありがたいことなんです。しかも、この切り捨て額が消費税と同じ額になる、こういうふうにも書いてあるんです。  しかしNHKは、三百八十四億円しかない、しかももう底をついている、経営努力もこれじゃできない、ないものは仕方がないということなんでしょうか。NHKも、もし繰越金が二千億ほどあったとしたら、値上げしなかったと言えますでしょうか。お願いいたします。
  223. 中井盛久

    参考人(中井盛久君) 二千億というような大きな繰越金というものがちょっと想像がつきませんので、にわかにお答えできないんですけれども、繰越金というのは極めて貴重な財源であるというふうに思っております。特にこれから、今、デジタル化あるいは多チャンネル化というようなことで時代が非常に大きく変わろうとしているわけでございまして、そういうデジタル化に対してどういう対応をしていくかというようなことで、この繰越金を大事に使っていきたいというふうに考えております。
  224. 西川玲子

    西川玲子君 昨年も私はこの委員会で質問いたしました。先ほども扇千景委員よりちょっとお話がございました。去年、NHK予算を審議いたしましたときに、私は受信料の免除についての質問をしたわけでございます。何かNHKの方はありがた迷惑みたいに思っていらっしゃるのかなという感じがしているんですけれども、私はこれをしつこくまた伺いたいと思うんです。文部省と厚生省と法務省に受信料の免除、もうそういうことなしで受信料を払いなさいと、こういうふうに私申し上げたと思うんです。  これを見ますと、児童福祉施設等全体で百四万件で七・三%増。お金にしますと百七十二億円なんです。それで、先ほどもちょっと出ましたけれども、有料受信契約件数は一・三%増で、もう受信料収入も四・八%しか上がっていないわけです。これから比べると、本当に私はこれどうなのかなと思うわけです。  その後、NHKはどんな働きかけをしたのでしょうか。また、文部省、厚生省と法務省はそれに対して何と言っているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  225. 菅野洋史

    参考人(菅野洋史君) 平成八年七月に文部、厚生、法務各大臣あてに免除措置廃止のための要望書をNHKから提出しております。そして、その廃止に伴う財源措置を要望いたしました。これに対して、文部省等の関係機関は免除措置の継続を要望してきております。そのほか、全国連合小学校長会等からも免除継続の要望を受けているところでございます。
  226. 西川玲子

    西川玲子君 私は、生活困窮者などの方から直接払ってくださいなんて、そんなことはもう一切考えていないわけでございます。  行政関連の施設または学校に設置されているものの免除をやめると幾ら収入がふえるとNHKは計算しておりますか。ちょっと簡単に。
  227. 菅野洋史

    参考人(菅野洋史君) 八年度の予算でお答え申し上げますけれども、施設対象の免除はおよそ七十万件でございまして、百十一億七千万円がそのお金というふうに見ております。
  228. 西川玲子

    西川玲子君 そうなんですよ、ちょうど今回の消費税分とぴったんこしちゃうわけです。ですから、免除をやめて集金すれば値上げしなくてもNHKは立派にやっていけるんです。この三省の言い分は、自分たちは予算を用意していない、だから値上げして視聴者から取ってくれと、こういう論理ではやっぱり一般の国民の方は全く役所のエゴだと、私はそういうふうに思うと思うんです。今、視聴者はリストラに遭ったり不況でとっても苦しんでいるわけです。国民全体が本当に苦しんでいる。せめてささやかなテレビぐらいは値上げしないでほしい、こういう願いがとっても多いわけです。  厚生省の予算は十六兆円、文部省は五兆円の規模なんです。ですから、NHKにとっては百十億円ってとっても大きなお金だと思うんですけれども、文部省、厚生省にとってはそんな私は莫大な負担じゃないと思うんです。それなのに、義務教育学校に設置されているテレビの受信料、社会福祉施設が設置したテレビの受信料は、当然払わなきゃいけないのに払わない。私は、こういうほおかむりをこれ以上させちゃいけない、こういうしわ寄せを国民側にかぶせちゃいけないと思うんです。  今、NHKは消費税の分を下さい、この二%分の値上げは消費税分で自分たちがもうけているわけじゃないんですよ、これはこのままお国に払うんだからこの値上げは勘弁してくださいよとおっしゃっているけれども先ほどからたびたび出ました、ハイビジョン。これはアナログのハイビジョンだから、今度デジタル化になれば莫大なお金がかかるわけです。  ちょっと余計なことですけれども、今フジテレビも新しくつくりました。関西テレビでも新しくつくっています。そういう新しくつくったところでも既に、これじゃもうデジタル化に全部対応し切れない、お金がさらにかかると。民放なんかでも、新しい施設をつくったところですらそう言っているわけなんです。  ですから、NHKはもう目の先に、デジタル化をさらに進めなきゃいけないということでお金が本当にたくさんかかるというのは目に見えている。私なんかでもよくわかるわけなんです。だから、目の先に見えているこのためにも、これをほっておいて値上げしますなんて、そういうわけにはいかないんです。ですから、大臣、こういう状況を受信料の公平負担という観点でどういうふうにお考えになるか、お聞かせいただきたいと思います。
  229. 堀之内久男

    ○国務大臣(堀之内久男君) 先ほども林先生から御質問があったようでありましたが、受信料免除というのは、放送の普及という見地から教育、社会福祉等の分野において行われてきたところでありますが、放送の普及の現状、協会の財政事情の現状にかんがみますと、NHKにおいても見直しを行っていかなきやならぬということで、昭和五十三年から逐次この放送受信料の免除を関係機関と交渉して今日に至っておるわけであります。  郵政省といたしましても、今後、学校や社会福祉施設に係る受信料につきましては、それぞれの行政による財政負担が望ましいと私も考えておりますので、今後、NHKと一緒になって積極的に関係機関に理解を求めていきたい、こういうように考えております。
  230. 西川玲子

    西川玲子君 それはとてもうれしいことですね。今大臣がおっしゃったのはこういうことだと思うんです。各省にこうやって要望書を出している。しかし、この基準の変更の認可権は大臣にあるんです。それは放送法というのに書いてあるわけなんです。ですから、まず、NHKは経営計画にのっとって大臣に免除の廃止の認可を求めるべきだと思うんですけれども、会長、いかがでしょうか。
  231. 菅野洋史

    参考人(菅野洋史君) NHKが受信料の免除規約について郵政大臣に提出して、これを郵政大臣が認可するという決まりになっているわけでございますが、私どもとしては、関係各省庁の御協力も得て財源措置をしていただいて、それを確認の上、免除基準の方の改定というふうに持っていければと考えておるところであります。
  232. 西川玲子

    西川玲子君 何か余りよく、もそもそおっしゃっているし、私よくわからないんです。おわかりになった方いらっしゃいます、内容。ちょっとよくわからないですね。  しかし、とにかく今、郵政大臣が努力をしたいというふうにおっしゃっていただきましたけれども、もしNHKが免除の廃止を申請したら、大臣、認可をしていただけますでしょうか。
  233. 堀之内久男

    ○国務大臣(堀之内久男君) 先ほども御答弁申し上げましたが、私も先ほどから林先生や西川先生の考えに同感でありまして、私も昭和五十三年ごろ逓信委員会理事をしておりましたが、その当時からこれは大きな問題であったわけで、私もきょう御質問いただいて、初めてまだこういうように残っておったのかと痛感をしました。だから、改めて私も局長やら全部、そしてNHKとも相談をいたしまして、この辺はもう、小中学校はこれは市町村で持つべき品物である、あるいはお話しのように特養とかそういう社会福祉施設はやはり厚生省で当然持つべきものだ、こういうように考えております。
  234. 西川玲子

    西川玲子君 すごくうれしいお答えが返ってきまして、私いっぱい文句言おうと思って考えてたのに、もうこれ以降みんなキャンセルしてもいい、質問が短くなりますけれども、ありがたいことでございます。  私は、やはり今本当に大臣がおっしゃったように、当然払うべきであるというふうに思います。大体、義務教育の学校が払わないと。今はもう本を読むよりテレビを見ている方が教育も早い、こういう時代なんですよ。ですから、やはりそれは本当に大臣のおっしゃるように、ぜひこれはNHKのためにもよろしくお願いいたします。そうじやなきゃ、私は、(「任期中に」と呼ぶ者あり)そうです、任期中に、今横から声がありましたけれども、ぜひやっていただきたい。そうじゃないと、次の大臣になりますとまたどうなるかわからない。私は、これはぐじゅぐじゅ言ってたら、もうNHKは未収入金で処理して補正予算で百億円ほどふやしてもらえと、こういうふうに言おうと思ったんですけれども、そういうことを言わずに、何かとても早いんですけれども、私の質問もそろそろ終わりとなっております。  きょうは二十五日でございます。私は、国民のために、視聴者のために、四月一日までに間に合うように、ぜひただいまの免除廃止の認可、承認を早急にやっていただきたいということをお願いしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
  235. 三重野栄子

    三重野栄子君 社会民主党・護憲連合の三重野栄子でございます。  NHKの予算に関連をして質問させていただきます。  情報技術の急速な進歩によりまして、私たちはインターネット等に代表されるマルチメディアの新しい手段を利用して、世界の数多くの情報を瞬時に入手できるというような状況までまいりました。さらに、CSデジタル放送も始まり、日本のテレビは数百チャンネルの時代を迎えようとしています。また、BS放送や地上放送も近い将来デジタル化の計画があるとも聞いておりますが、CATVを含めれば大変多くのテレビチャンネルができるというふうに思います。  と申しましても、テレビチャンネルがどんなにたくさんできましても、日常的に必要とされるものはごくわずかであるのではないかと思うわけです。NHKは、今後ともその必要とされるチャンネルになってほしいと思いますし、そのためには公共放送としてその存在意義をもっともっと明確にしながら頑張っていただきたいと思うのでございます。  それに関連をいたしまして幾つか質問をさせていただきます。  まず、平成九年度予算の特徴と事業計画の問題でございます。既に何人かも質問ございましてお答えいただきましたけれども、私はNHK予算を拝見いたしますと、毎年事業計画の最初の部分にその年度における経営方針というべきものが述べられております。ことしは特に「新しい時代や社会の要請にこたえるため、番組編成の積極的見直しと番組の充実を行い、国民生活に欠かせない公共放送としての役割を果たす」というふうに書いてございます。  ことしはどのような年だろうかと私なりに考えてみますと、日本国憲法の施行五十年の節目でもございますし、この五月には記念行事も行われるようでございます。参議院も開設五十周年を迎えますし、女性国会とかあるいは子ども国会等々も計画されているところでございます。最高裁なども五十周年の行事をされると聞いておりますが、人権や民主主義を定めた憲法の半世紀にわたる歴史というものの中で、放送による表現の自由を守ろうとされてこられましたNHKの皆さんの感慨もひとしおだろうというふうに思います。  そこで、ことしの事業計画からは先見性とか創造性という言葉がなくなっておりますが、歴史を振り返られまして、これから二十一世紀を目指してのビジョン、先ほどこれから間もなくだというふうに会長お答えでございましたけれども、特に今年度の予算にそのような将来にわたってのビジョンはどのように盛り込まれているでしょうか。また、事業計画についてはどのようなことがございますか。特徴的なことをお答えいただきたいと存じます。
  236. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 先見性云々というのは確かになくなりましたけれども、我々は絶えず先を見よう、将来を予知しようということはこれからも大事にしていきたいと思っております。それにかわってことし新しく出てきた言葉が、価値観の創造という言葉を我々の編成は使っております。  価値観の創造というのは何かといいますと、日本人が高度成長の中で価値観を見失ってしまったんじゃないか、あるいは全然違う方に価値観を見出すようになったのではないか。例えばお金万能とか、あるいはこの世の中を支配しているのは結局経済だ、その仕組みの大事なことだけを言って、結果的には人間の心がすさんでいる、あるいは貧しくなっているということはないだろうか。そうならば、我々ができることは、この時代になおかつきちんとした価値観を持つということではないかと思います。そのことをことしはいろんな番組を通じてきちんと訴えたいと思っております。  例えば、人間らしく生きるということはどういうことなのか、人を思いやるということはどういうことなのか、そういったことをきちんと私どものテレビのいろんな形を通じてはっきり皆さんに訴えたい。そのことが日本という国を少しでもいい形に持っていく方法ではないかと思っておりまして、私の国日本というシリーズなんかも今考えておりますけれども、これなんかはシリーズを通じていろんなあり方を尋ねて、これがやっぱり今の日本にとって必要じゃないか、今の日本人はこれを見失ったんじゃないかということをはっきりもう一遍自覚をして、そして新しい価値観をつくっていこう、そういうものになるはずでございますので、基本的にはそういうことを前提にして番組をつくっていこうと思います。  先ほどの地域放送の強化だけではございませんで、番組としてはより深くより広くということを考えております。単に事件が起こった、そのことをお知らせするだけじゃなくで、この事件はなぜ起こったか、その原因をはっきりと究明しよう。そして、それは今どのような形で進行して将来どうなるのかという、幅広い取材から非常に視野の広い番組をつくることを目標にしたいと思っております。
  237. 三重野栄子

    三重野栄子君 大変希望の持てる御所見をいただきまして、心強く存じます。  しかしながら、価値観というのはそれぞれ違うわけでございまして、いろいろ苦情処理等々も出てくると思いますが、先ほど苦情処理第三者機関の設定ということにつきまして、それからその問題が起こったときに事前に局内でどうやっていくかということもお話しいただきまして、大変心強く思っております。NHKと民放連との協議が積極的に進みますように、そしていいものができるように期待をいたしております。  また、別の視点から見まして、取材上の安全や放送の倫理の確立について質問をしたいと思います。  放送局は、報道機関として当然のことでありますけれども、言論、表現の自由が保障されなければなりませんが、その言論、表現の自由を確保するためには、あくまでも視聴者が味方についているような、みずからを律していく努力も必要だと思うわけでございます。ジャーナリストとしては、真実を伝えるのが使命ですから、今の危険を顧みず取材対象に迫ることもある。少なくともそのような意気込みがあることは多といたしますけれども、一方、取材する上での倫理も求められてくるのではないかと思うわけであります。  紛争地域で銃弾が飛び交う状況のテレビを見ておりますと、取材者自身の安全はどうなっているんだろうかと大変心配いたします。また、別のケースといたしまして、ペルーの人質事件は、熱心に取材する行為が人質の皆さんの安全を損なうのではないかとの議論もあったところでございます。  聞くところによりますと、外国人はゲリラに捕まったときに、いち早く自分の身分証明書とか名刺とかをびりびり破ってトイレに捨てるとかいうことで、自分ひとりで立ち向かっていくというふうに伺ったんですが、日本人の場合は、名刺を出してどこどこのだれでございます、会社はどこでございますというようなことで、そういうふうにされると。今度のペルーもそういうことであったと言われております。  どちらがいいか悪いかは、これはまた別の問題でありますけれども、NHKでは、取材者の安全や取材対象に及ぼす影響について、現場に対してはどのような指導や指示をされておられるのか、そこのあたりを伺いたいのでございます。また、取材に当たっての倫理上のガイドラインといったものを何かお決めてございましょうか、お尋ね申し上げます。
  238. 齊藤曉

    参考人(齊藤曉君) 取材する人間の安全については、特に日ごろから注意を喚起してやっておりますけれどもお話しのような海外取材の場合、これにつきましては、危険のある地域あるいは危険が明確に予想される地域には立ち入らない、取材をしないということにしております。また現地に入ってから危険が生じた際、これは速やかにそこから離れる。あるいは東京と現地の間で常時連絡体制をきちっと確保して責任体制を明確にしておく。こういつたことを配慮しながら海外取材の危険には対処するようにいたしております。  それから、放送倫理との関係でございますけれども、これは取材対象者に対しても当然放送の倫理の上から私どもはきちっとした配慮を行うべきだと考えておりまして、取材者ともども放送倫理の問題については、先ごろ、放送ガイドラインというのは非常に手近にすぐ役に立つような具体的な例を挙げまして、それぞれ取材、企画、いろんなケースについての取材のあり方、あるいは取材対象者に対する配慮のあり方、それから今御指摘のような危険に対する身の処し方、こういつたことを全部ガイドラインとして明示して徹底するようにいたしております。
  239. 三重野栄子

    三重野栄子君 普賢岳のときもカメラマンの方が事故に遭われまして、大変お気の毒に思っておりますが、そういうふうに細かい配慮がされていることについて安心したところでありますけれども、くれぐれも命を大切にして頑張っていただきたいというふうに思うわけでございます。  次に、経営委員会の改革について、提言と申しましょうか、質問をさせていただきたいと思います。  経営委員会制度は、視聴者の代表を経営に携わらせるという考え方からNHKを公共放送として位置づけている大きな柱であると私は考えております。放送法第十六条の定めもありまして、視聴者の代表を選ぶに当たっては最大限に努力されているでしょうけれども、人々の意識、それから今もおっしゃいました価値の多様化等々で、社会の状況の中で再検討の余地があるのではないかと思うのでございます。例えば、障害者団体を代表する人、ボランティア団体を代表する人、あるいは労働者団体を代表する人、あるいは在日外国人を代表するような、今日的にメンバーの構成というのが変わっていいのではないかというのが一つでございます。  それから、現在の経営委員会には三人の女性が委員としておいででございますけれども、このたび男女共同参画審議会が法制化されまして、その構成を見ますと、「男女のいずれか一方の委員の数は、委員の総数の十分の四未満であってはならない」と定めています。ここで男とか女とか言わない、男女と言っているところが非常に進歩的だというふうに思うわけでありますけれども、公共放送としては率先してこの男女の比率を検討していただきたいと思うのでございますが、この点が第二の質問でございます。  開かれた経営委員会の体制をつくるためにもう一つ、現在の定員の十二名というのをもっとふやしてもいいのではないかと思うわけであります。どの視聴者から見ましても、自分たちの代表がNHKにいるんだと思いますと、公共放送としての存在感が明確になり、受信料を払う意味も納得されるのではないでしょうか。  さらにもう一つの質問は、経営委員会での審議内容を広く公開していただく努力が必要だと思うわけでございます。  現在、社会的にも情報開示が求められておりますので、経営委員会につきまして、この点につきましては内閣総理大臣の任命事項でございますから、郵政大臣にお答えいただけたらと思いますが、いかがでしょうか。
  240. 堀之内久男

    ○国務大臣(堀之内久男君) NHKの経営委員選任に当たりましては、放送法に基づいて行っておるところでありますが、全国から四人、全国を八地区に分けてありますが、その八地区から八人、教育、文化、科学、産業その他の分野から公平に代表されて選任を行っておるところであります。特にこの八地区は、例えば九州、中国とか住所をそこに有する人でなければならない、こういうようになっておるわけであります。  現在の仕組みは、事業体としてのNHKの最高意思決定機関であるという経営委員会の性格から、おのずと人数も制約があるわけでありまして、十二名は現在の状況からはバランスのとれた人数ではなかろうかと思っております。  経営委員選任に当たりましては、放送に関しまして公正、中立な意見を述べて判断を下せる人物を候補に挙げて検討することといたしております。具体的人選に当たりましては、できるだけ広く各分野の見識のある方々を候補として、バランスのとれた人選となるよう運用してきておるところであり、また今後もそのような体制で努力してまいりたいと思っております。  なお、女性の経営委員をもうちょっとふやしたらという御意見でありましたが、現在のNHKの経営委員につきましては、既に十二名の委員のうち三名が女性委員であります。二〇〇〇年までのできるだけ早い時期に、各審議会委員委員を二〇%に達するようにという政府の方針がございますが、もう既に経営委員の場合は三名でありますから、一応その目標は達成しておる構成でございます。  なお、審議の内容の公開についてでありますが、経営委員会は、受信料を財源とするNHKの公共的な性格から、NHKの運営が広く国民全体の基盤に立って民主的に行われる必要があることを考慮して設置されました最高意思決定機関であります。経営委員会が通常の審議機関と異なりまして、事業体としてのNHKの最高意思決定機関であることから、経営戦略にかかわる事項、あるいは重要大事にかかわる事項など、事柄の性格上、審議内容の公開になじまない事項も多いという事情がございます。したがって、審議内容の公開の是非は、今後経営委員会みずからが決めていただくということに相なろうと存じます。
  241. 三重野栄子

    三重野栄子君 そうしますと、会長いかがでございましょうか、今の御意見につきまして。
  242. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 私は、経営委員会の下で働いておりますので、こちらから注文をつける立場じゃございませんけれども経営委員さん、今全国からお集まりで、特に三人の女性を含めて皆さん非常に放送に対する御理解が深いということ、それから、非常に積極的にデジタル時代にどう対応するか御質問もいただきますし、私どもは今の形はいいと思います。  公表等については、審議が非常に微妙なところもありますので、委員さんに今度はお決めいただく方がいいんじゃないでしょうか。
  243. 三重野栄子

    三重野栄子君 大変苦衷のところを伺いまして、失礼いたしました。大臣、よろしくお願い申し上げます。  特に私ども女性の希望は、人員をふやしてもらいたい、それからジャンルをふやしてもらいたいというのは大変多うございますので、速やかに検討されるように御要望申し上げたいと思います。  番組についても幾つか質問させていただきたかったのでございますけれども、そのうちの障害者、高齢者それから在日外国人への対応について、  一点だけ質問させていただきたいと思います。  地域に密着した放送サービスの充実強化、福祉番組の充実、字幕、手話放送の拡充を行うとありますけれども、この福祉番組、手話ニュース等の充実というのは教育テレビ、それから、在日外国人向け番組を編成するのはラジオ第二放送ということが現状のようでございますが、私としては、やはりそういう特別のではなく、総合放送の中でこういうことが実現されていっていただきたいと思うのでございます。  特に、障害の問題も教育テレビで教育的にというのではなくて、日常のニュースであるいはドラマで、そういう日常的なものの中から障害者を大切にするとか、あるいは高齢者の問題とか、在日の外国人との交わりというものを取り上げていただく方が私どもの理解というのはもっと早くなるのではないかと思います。  それともう一つ、障害者の問題で字幕番組ということについては大変経費がかかるようでございますが、今度は放送法の一部改正がございますし、予算も計上されているようでございますけれども、そういうものになりますとどれぐらいに進展するのか、その点も含めてお答えをお願いします。
  244. 齊藤曉

    参考人(齊藤曉君) 障害者向けの放送でございますけれども、私ども放送を通じて豊かな文化がもたらす恩恵、これをひとしく皆さんたくさんの方々に享受していただくというのが公共放送の使命でありますので、予算、お金もかかりますけれども、最大限の努力をこれまでやってきたつもりではおります。  お話がございました字幕放送を中心とした障害者向け放送でございますけれども、今現在は総合テレビを中心にドラマであるとか一般番組をかなりやっております。時間にいたしまして、週十七時間五十三分という時間をやっておりますが、九年度からはこれが二十時間四十四分というふうになります。教育テレビにつきましてはいろいろ準備もございまして、これは十年度からスタートさせたいと思っております。  今、いずれにしましても、こういう障害者向けの放送の充実につきましては年次計画を立てまして、とりあえず九年度から十三年度まで順次、これは衛星の第二も含めて計画を具体化していこうというふうに取り組んでおります。
  245. 三重野栄子

    三重野栄子君 それでは、最後にもう一問だけ質問させてください。  職員の要員体制についてお尋ねをいたします。いろいろ技術が進みましても、要は人でございますから、そこのあたりをどのようにお考えかということを伺いたいのです。  視聴者からは公共放送に対して多くのさまざまな要望や期待があります。またNHKには先導的な役割も課せられていますから、ハイビジョンを初め地上波のデジタル化やあるいはデータ放送など取り組まなければならない仕事もたくさんあると思います。けれども、今後とも受信料によって安定的な財政運営をしていこうとしますと、公共放送のサービスを拡大基調で進めていきますとどこかに無理が来るのではないかと心配をいたしております。  NHKの放送を支える職員の要員体制につきましては、九七年度の要員効率化が九十人の純減ということを先ほど報告を伺いました。一九八〇年以降三千九百人の要員を削減しておられますけれども、その間に衛星放送が二波二十四時間始めましたし、ハイビジョン放送の実施、総合テレビの二十四時間放送など、要員が大幅に減っている一方で飛躍的に業務が増大しています。  放送は文化を創造する仕事だと思います。視聴者が納得し、今後とも支持してくれるような番組をつくるにはそれなりの要員体制が確保されなければならないというふうに思うわけでございます。公共放送として、今後二十一世紀に向けてどのような事業運営をしていかれるのか、要員の体制も含めまして、最後に会長の回答をお願いしたいと思います。
  246. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 委員御指摘のとおり、放送はそれをつくる人材の問題に結局なると思います。いかにすぐれた人材がニュース、報道、あるいは番組づくりに一生懸命当たるかということですべてが決まってくるような気がいたします。  したがって、どういう人を採用するか、採用したらどう育成していくのか、あるいはそのための処遇の体系はどうするかとかいろんな問題がございますので、これについては私どもも今まで以上に力を尽くしていきたいと思っております。  ただ、先生御理解いただきたいのは、よその企業は幾ら人、金、物をかけてもそれを上回る利益があれば成り立つわけです、それが資本主義社会の一つの原理でありますけれども。私どものところはそうはいきませんで、大体決まった予算で、しかも、今までより以上にいい仕事をしなければいけないということが宿命的に義務づけられているというふうに言った方がいいと思います。  したがって、先ほどもどなたかの御質問に答えましたけれども、これからはできるだけみずからの体をスリムにする。そして、スリムにした中でむだ遣いを廃し、できるだけお金の要るところにお金をかけて、必要でないところは思い切ってこれをやめて、そういう大胆な思い切りが必要になってきました。それと同時に、決まった予算、決まった人間というものを最大限に活用するという姿勢を絶えず持ち続けなければいけないと思っておりまして、なお一層工夫をしたいと思います。  受信者、視聴者は、NHKが幾らでもお金を使って、幾らでも人を使って、何でも好きなことをおやりなさいとは決して言ってくださらない。これしか出さないからこの中でやってくれ、こうおっしゃるような形になっていますので、私どもそこのところはきちんと身に体して、できるだけスリムな体で、仕事だけは大胆に大幅に前進的にやっていきたいと思っておりますので、この覚悟のほどをお伝えしたいと思います。
  247. 三重野栄子

    三重野栄子君 終わります。
  248. 千葉景子

    千葉景子君 大分長時間に質問が続いてまいりましたので、お疲れのところかと思いますけれども、しばらくよろしくお願いをいたします。でき得る限り質問が重ならないようにさせていただきたいと思いますけれども、多少重なりましたら御容赦をいただきたいと思います。    〔委員長退席、理事陣内孝雄君着席〕  まず、郵政省は三月十日、地上波テレビ放送のデジタル化という方針を発表されました。地上波のテレビ放送のデジタル化については、従来は郵政省の放送高度化ビジョン懇談会の最終報告で二〇〇〇年から二〇〇五年の導入というふうにされておりましたけれども、今回の発表では前倒しして二〇〇〇年以前に導入をする、こういう計画を明らかにされたところでございます。  先ごろBS4後発機のデジタル化が打ち出されまして、特定の視聴者を対象とする衛星放送と違いまして、地上波というのはこれまでだれもが見ることができる、そして公共的な側面を非常に持っている、こういうことでございましたので、このデジタル化というのは、圧倒的多数の一般の視聴者を考えますと、いろいろな意味で影響が大きいのではないかと思います。例えば、デジタル対応の新しいテレビとかアダプター、こういうものが必要になってくるということも指摘をされておりますし、また、放送事業者にとってはデジタル化のための設備投資が五千億から一兆だと、こういうことも言われております。私も改めてすごいものだなということを感じたところでございます。  どうなんでしょうか、こういう莫大な投資が必要なデジタル化、視聴者にも当然負担がかかるわけでございますけれども、地上波をデジタル化するメリットというのはどういうところにあるんでしょうか。地上波デジタル放送、これまでと違う新しい位置づけがあるのかどうか、そしてどのような形で普及させていくのか、基本的な考え方を郵政省にお伺いをしたいと思うんです。  欧米がデジタル化をするから日本もデジタル化する、何かこういうことだけではこの意味というのはないというふうに思います。そういう意味では、日本の社会状況や生活環境を踏まえてどういうポリシーを持ってこのデジタル化ということに臨んでいくのか、これについてぜひお聞かせいただきたいというふうに思います。  どうもこの間の推移を見ておりますと、中身の議論が余りなくてハードの部分の議論が先行している、そんな印象が私はしているところでもございます。多チャンネル化政策というのが産業振興政策ということで歓迎する向きもあるようでございますけれども、やはりチャンネルがふえても放送の中身が見向きもされないようでは、これは産業としても発展性がないということになりますので、ぜひ、今後どういうポリシーを持ってこれに対応していくのか、郵政省の基本的なお考えを聞かせていただきたいと思います。
  249. 楠田修司

    政府委員(楠田修司君) 今回、地上波のデジタル化につきましては二〇〇〇年をポイントに、それまでに行政的な技術基準であるとか周波数使用計画の準備をするということを決めたわけでありまして、二〇〇〇年以降、この具体的なデジタル化の動きが場合によっては出てこようかというふうに予想するわけであります。  デジタル化のメリットでありますが、一般的に申し上げますと、先生御指摘のように多チャンネル化ができます。一つの電波でたくさんのチャンネルが使える。それから高画質化といいますか、画質がきれいになる。それから、高機能化、マルチメディア化ということでいろんな使い方ができます。具体的に言いますと、ここが一番大事でありまして、通信とかコンピューターの融合問題が出てまいりますと、これはデジタルでないとできないわけでありまして、そういう意味で、将来このデジタル化に向かうというのは大方の方々が間違いないと言っておられるところであります。  それから、地上波のデジタル化のメリットの一つは、日本の方式でいきますと移動体放送が実現すると言われております。これは、自動車の中に例えばテレビを置きますと、走っておりますとアナログの今の放送では非常に乱れるわけでありますが、デジタルになりますとこれがくっきりと見えるようになってくる。これが一つのメリットでございます。  それから、周波数の有効利用ということで、今のアナログですと、一つの電波を通しますと、もう山の陰へ行きますと違う電波で中継局をやるということでありますから、日本はそういう関係で非常に放送局の中継局の数が多いわけであります。それはそれぞれ違った周波数を使わないと干渉問題を起こす、こう言われておりますが、これがデジタルにした場合、同じ周波数で中継ができるというようなことが言われております。  こういうふうなメリットが幾つかあるわけでありまして、そういうふうなメリットと実際の導入との関係という問題になるわけでありますが、いずれにしましても、衛星関係は大体デジタル化の準備が終わった、ケーブルテレビもデジタル化の準備が終わった、そうしますと、一番大きなアナログでやっております地上波に来ることはこれはいずれ間違いないわけであります。そうしますと、そういう中で技術的な準備とかそういうのを早くやって、早く導入した方がいいというのが一つの課題だと、私どもはそういうことで進めていきたいと思っております。  ただ、こういうふうになった場合の視聴者の問題、それから事業者の問題、いろいろございます。それらにつきましては、これから検討会の中で検討する課題がいっぱいあるわけでありますが、こういう中でスムーズな着地点を見出していきたい。  具体的に言いますと、視聴者の場合ですと、アナログという放送をすぐやめるのではなくて、ずっと十年なり十五年間これは継続しないとアナログ受信機というのはむだになりますから、これは。その中でサイマルという形で同時にデジタルも流していって、徐々に徐々に移すという気の長い仕事になるわけですが、こういうような形で視聴者の保護を図るということも一つの方法でありまして、衛星のBS4後発機ではもう既にそれをやるという方向も決められておりますので、地上波もそういう問題は必ず出てまいろうかというふうに思っております。
  250. 千葉景子

    千葉景子君 メリットというところはわからないではないんですけれども、それぞれのやはり役割分担あるいは特色、そういうものを考えますと、今後どうなっていくのかという若干危惧もするところでございます。ぜひ、これからのいろいろな状況を踏まえて、適切に対応をしていっていただきたいというふうに思います。    〔理事陣内孝雄君退席、委員長着席〕  さて、こういうデジタル化、多チャンネル化ということになりますと、それぞれが非常に情報に対する意識が強まってまいります。生活態様の多様化、価値観の多元化なども相まって、NHKとしては受信料制度を取り巻く環境というのは非常に厳しくなってくるのではないだろうか、こういうふうに思うわけです。  先ほどもNHKはやはり受信料が基本だというお話もございました。そういう中で、今後どういう形でこの受信料制度を維持されていこうとするのか。また、NHKの自助努力も当然必要とされておりますし、その御意見もお聞かせをいただいておりますけれども、何らか補強策のようなものも必要になってくるのではないかというふうに思います。  その点について、NHKの御見解を伺わせていただきたいと思います。
  251. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) おっしゃるように、これからの時代というのはNHKにとって非常に難しい問題がいっぱいございます。私は、この前もある会合で、これからNHKが仕事をしていく上で何と何と何が一番難しいのか端的に言ってくれと言われまして、NHKですと言ったんです。  それは意味がありまして、まず初めのNというのは、これは中身、内容、番組の中身あるいはお伝えするニュースの中身。その中身が問題で、そこで受信者、視聴者の信頼をから取らなければすべてはだめになってしまう、そういう意味で中身の問題を第一に考えたい。  二番目のHというのは、ハイテクノロジーという意味でHという言葉を使ったんですが、このデジタル化という波は、これは当然世界の大勢でございますから、これに幾ら逆らってアナログで頑張ったって、それは追いつきません。したがって、そういうハイテクノロジーが発達したときに、それをいかにうまく使うか、どのように我々の放送の中でその方式をうまく導入するか。例えば双方向というテクニックが使えるわけです。そうすると、その双方向というテクニックを使ってどういうことをやるか、そういう問題がやっぱり非常に重大になります。したがって、ハイテクノロジーはいかにうまく使っていくかという方で私は大事だというふうに申し上げたんです。  それから、最後のKは国際という意味のKで、先ほどからいろいろお話もありましたけれども、日本は日本だけで生きられる時代ではもうありません。常に世界的な規模であるいは地球的なスパンでもって物を考えなければいけないという時代になっております。NHKが日本の放送局であると同時に、これはやっぱり世界放送局でなければいけないと思っておりますので、いかに日本として世界に日本から発信するものをお届けするのか、あるいは世界からどのように情報を集めてそれを整理するのか、そういう問題についてはやっぱりNHKのようなところが一番ふさわしいと思っておりますので、今言ったNHKというものを今後の大きな仕事の目標にしていきたい、こう申し上げました。  その辺が私のこれからの課題でございまして、NHKとしては、この四、五月、いろいろなことを一斉に詰めていきまして、例えば、デジタル時代の公共放送ビジョンというのを五月にはもう出したいというふうに思っておりますけれども、その中でみずからのあり方をきちんと決めていく、そういう姿勢をとりたいと思っております。
  252. 千葉景子

    千葉景子君 基本的な今後の方針というんでしょうか、それから問題点というのをお聞かせいただきました。私はそれを踏まえながらも、先ほどお尋ねした財源といいましょうか、その点について御心配がないかどうか、あるいはどのような形で財政面をきちっと確保していく、そういうことを考えておられるのか、その点についてもあわせてお聞きしたいと思います。
  253. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 財源の問題というのは、これは実にこれから難しくなるだろうというふうに見ております。  といいますのは、現在受信料というものを基本にしてNHKの財政が成り立っているわけです。それは現在のところでは非常に順調に来ております用地上波は先ほど申し上げましたように大体もう飽和状態になっていますけれども、衛星が順調に伸びておりまして毎年大体七、八十万件の増加があるわけです。その分がずっとまだ続くであろうという見込みが立ちますので、二〇〇〇年まではもう受信料は値上げしませんということを宣言しているんですけれども、ただしその後、二〇〇〇年を越えた段階ではどのようなことが起こるのか、これは端視を許さないところがございます。  一つは、やっぱり受信料というものに対する視聴者の考え方が大きく変わってくるんじゃないかということを私は考えます。それは、現在育ち盛りの子供たちがどんどん大人になって、そしてお支払いいただくような形の年齢に達したとき、その考え方はずっと受信料に対して現在と同じような態度を保持していられるだろうか。相当大きな対価という考え方がどんどん浸透してくると、それに対してはなかなか対抗する手段がない。NHKという公共の放送を皆さんで支持していただくための分担金だという説明をしましてもなかなかおわかりいただけない、そういう時代が来るんではないかという感じも持ちます。  ですから、それに対しては、現在の私どもがやっている放送が本当に視聴者にとって信頼すべきもの、価値のあるものだという御認識がないとそれはだめだと思うんです。ですから、私はまず中身の充実ということを第一番に考えるというのはそこなんです。そして同時に、それが受信料という形で公平負担していただければ一番理想的だということをやっぱりどんどん訴え続けたいと思います。  そういう積極的なことをしながら、同時にそれがある限界に達した、これ以上はどうにももう受信者はふえない、あるいは理解もしていただけないということが起こったときにどのような対応策をとるか、そういうことが大事になってくると思っておりまして、できるだけ選択肢の幅を広げていろんなことを考えていきたい。  ただ、やっぱり外国の公共放送が一律に身を誤ったといいますか、おかしくなったのは、いわゆるコマーシャル放送導入して受信料プラスコマーシャルという形でやったのは軒並みに失敗しております。内容も全然悪くなっております。したがって、その轍は絶対踏むべきじゃないと思います。したがって、コマーシャル以外の、例えば公共財源を何とか集めることはできないかとか、それからこれは大したあれにはなりませんけれども、副次収入の増加というものに対してより強力な施策をとっていくとかいうふうなことは当然しなければいけないと思うんです。  同時にこれは、入る方も図らなければいけませんけれども、出る方もどこかで制するということをしなければいけませんで、できるだけ長くスリムな体質というものを堅持する。NHKのお金はすべて受信料から賄ったものだといういわゆる公金意識を職員の一人一人が身につけて、むだ遣いは絶対にしない、有効なことしか使わないというふうな気持ちで仕事をしてくれるように、これはもう二〇〇〇年過ぎても私はずっと言い続けたい――私はいませんけれども、と思っておりまして、そういう状況でNHKが何とか視聴者の皆さんの非常に信頼すべき機関として存在し続けることが、私は日本の国民の皆さんにとっても幸せであるようにしたいと思っております。
  254. 千葉景子

    千葉景子君 そういう信頼を得ていくということを考えますと、先ほどもちょっと御指摘がございましたけれども、やはり生活に密着をしているというか、だれもがやはり信頼するという意味では視聴覚障害者向けの字幕放送等、やはりこういう差別なく情報を得られるという環境づくりというのも大変重要だというふうに思います。  私もこれまでの決議などを拝見いたしますと、どうも毎回放送の充実に努めるということがうたわれておりますし、今回もそれが一つのやっぱり方針になっておられます。来年度からも計画をお持ちだということを先ほどお聞きいたしましたけれども、これから先ほど出ておりますような多チャンネル化というようなことになりますと、これも全体的に普及させるというのはなかなか難しいし、いろいろと困難もおありだというふうに思いますけれども、少し長期的に見て、どんな方向でこのような視聴覚障害の皆さんなどに対する措置をとっていかれようとするのか、改めてお聞きしておきたいと思います。
  255. 齊藤曉

    参考人(齊藤曉君) いわゆる障害者向けの放送でございますけれども、昭和五十二年に手話放送を始め、それから字幕放送につきましては六十年、それからつい最近では解説放送平成二年から始めるというようなことで順次取り組んでまいったわけですが、今一番力を入れておりますのが字幕放送でございまして、これは平成九年度から十三年まで年次計画を立てて、具体的にはその各年度の中で中身を詰めてまいりますけれども、年次計画の中で充実していきたいというふうに思っております。  総合テレビにつきましては、八年度が十七時間五十三分ですから二時間余りになりますが、二十時間四十四分、これは週単位でふやしてまいります。  それから教育テレビで、これは現在放送しておりませんけれども、字幕放送を新たに毎年二時間程度ふやしていきたいというふうに思っております。  それから衛星の第二テレビ、これは難視解消という役割を負っておりますけれども、そういう意味では、衛星の第二につきましては平成九年度から新たに一週間に六時間半、大体そのぐらいの取り組みをしたいというふうに思っております。  手話放送、解説放送についてはよろしゅうございますか。――とりあえず字幕放送だけ申し上げました。
  256. 千葉景子

    千葉景子君 時間がないので、ちょっと衛星放送についてもお尋ねしたがったんですけれども、終わりにさせていただきます。
  257. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 幾つかの問題、質問させていただきます。  まず、消費税の転嫁問題で、きょうもかなり質問がありました。国民の怒りは非常に大きいんですが、景気にも影響があります。きのう、三塚蔵相が再引き上げもあり得るという答弁をしましたら、東証株価大幅下落、五百八十九円下がりましたからね。再引き上げといいますと、例えば加藤政府税調会長は理想は一八%と言っているんですから。ですから、百十億円をNHKが持つか視聴者が持つか、これも大事ですけれども、それだけではなくて、私は、やっぱりこの受信料は消費税の対価じゃないというNHKの立場を改めて貫いていただくことが大事だと思うんです。  消費税導入のとき、参議院逓信委員会で当時の島会長が、「受信料は、公共放送を国民の皆さんから維持してもらうための必要な金である」と考えていると。つまり、NHKという公共放送を負担するための負担金なんです。会長は先ほど、コマーシャルやるともう外国はだめになっているとおっしゃったけれども、ここがいいところなんです。ところが大蔵省は、資産の譲渡等に類する行為だと。ニュース見てドラマ見て、あれ資産をNHKから譲渡していただいているのかと、非常にとんでもないこじつけをやりましてやっているわけです。ですから、私は、受信料にサービスだとか資産の譲渡に当たるといって消費税をかけるのはおかしいというのを国民も強く言わなきゃいかぬし、NHKももっと強く言っていただきたいと思います。それを、二%視聴者から取ればいいというふうに転嫁しますと、大蔵省の方も、NHKは大体もう転嫁しているから、資産に類する、譲渡に類するでいいんだとなりますので、むしろお苦しいだろうけれども、政府に、きちんとこれ消費税になじまないんだ、違うんだということをはっきり主張するためにも、NHKは苦しくとも視聴者には転嫁しないで頑張っていただきたいと思うんですが、会長いかがでしょうか。
  258. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 受信料の性格については全く上田先生のおっしゃるとおりです。それについては私も異議はございません。ですから、初めの消費税が受信料にかかってくるときに、NHKとしてはこれは困るという意思表示を強くいたしました。  ところが、政府の見解としては、やっぱりそれは消費税を取らなければいけない対象のものだというふうになりまして、私どもは敗れたわけです。その後ずっとその解釈を続けてきておりますので、今ここで、じゃ消費税はもう受信料の性格になじまないから全部なしにしてくれと言っても、これは実際上本当にどうにもならないことではないかと思います。そんなに早くあきらめるなとおっしゃるでしょうけれども、私どもとしてはそういう判断をして、そして、それを転嫁するかしないかということについては非常に悩みました。  ところが、私どもの財政事情を申し上げると、平成二年以来ずっと値上げをしないで、それで、恐らく二〇〇〇年までは大丈夫だろうという見通しのもとで財政を運用してきたわけです。それが、年間に百十億というお金がNHKの予算から消えていくことになりますと、その計画は直ちにとんざするわけであります。そのことを受信者に転嫁するかしないかというのは非常に大きな問題で、苦渋の選択と言った方がいいんですが、その結果、転嫁をして負担していただくということにしたわけです。  そのときに、一件当たりの負担料は幾らになるかということで私ども随分考えまして、一番たくさんの受信料をお納めいただく方でも大体月々四十円の御負担をしていただくことによって何とか百十億のNHKから抜けていく予算を食いとめた方が、私どもが今後の計画を立てていく上にやっぱりスムーズに働くのかなというふうに思いましたので、転嫁をさせてもらうという決断をしたわけです。
  259. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 国会でこの消費税増税に対して各党の態度が問われるのは予算案とNHK予算案と二つなんです。ですから、日本共産党はNHKの予算全般については賛成、容認しているんですけれども、消費税増税が入っているということで、反対の態度をとることを表明させていただきます。  次は、川口会長が首相直属機関、行政改革会議の委員に就任した問題です。  これも非常に重大な問題で、川口会長は九四年三月二十五日衆議院逓信委員会で、NHK関係者の政府審議会入りについては慎重に考えたい、地震やお米の専門家が審議会に入ることは大変いいだろうけれども、名前だけで入ることはどうでしょう、お断りすることもやるつもりでございますと。会長は行政改革の専門家なんですか。だれもそう思ってないですよ。それで、十七日に衆議院逓信委員会で新進党の河村たかし議員からその問題を質問された。会長は、文明論、文化史的な検討をということで個人としてお受けした、こういう答弁をされたんです。だれも個人だと思わないですよ。  マスコミ関係者で入ったのは読売の渡辺社長、憲法改悪案を発表しているような人物ですから。その読売、一千万部超えているでしょう。それと公共放送NHKの会長でしょう。このお二人がマスコミ関係者で首相直属機関に任命されている。第八次選挙制度審議会で二十七人の委員のうち十二人がマスコミ関係者で大問題になって、あれが小選挙区比例代表並立制を中心とする答申を出したんですから、その結果はどうです。  私は会長に率直に申し上げたい。個人でなるのならNHK会長をおやめなさい。NHK会長を続けたいなら行政改革会議の委員を即刻辞任なさりなさい。(「それも一つの見識だよ」と呼ぶ者あり)
  260. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 今、一つの見識だよというお声がありましたけれども、私も見識だと思っております。それはどういう見識かといいますと、この話が来たときに私も、それはNHK会長をメンバーに入れたいのですか、それなら私は入れませんということを言ったわけです。そうしたら、それは違いますと。今度の改革は、これまでの日本が歩んできた道をもう一遍きちんと改めなければいけない、それは政治の改革、経済の改革、もうすべての改革につながるわけで、そこには単なる技術的な改革だけではだめなんだ。文化史的、文明論的と言ったのはそこのところでありますが、そういう立場でもってこの行革の行く末をきちんと見詰める必要がある、そういうことでもって意見を言っていただく人が必要なんだ、そういう意味であなたにお願いしたいということを官房副長官がおっしゃいました。  私は、そのことについて多分にそのとおりだろうと思ったんです。ということは、今直面している日本のあるいは日本人の大きな危機というのは、どこかできちんと直さないと非常に危ない感じがしてくるのではないかというふうに思いました。それに対して、私がある程度のこれまでの経験から考えたことを提言する、あるいは自分の意見として申し上げるということがあれば何がしかのプラスにはなるかということを思いましたので、それじゃ個人として入りましょうというふうに申し上げて今日に至っているわけです。  現実には、行革会議では個別のいろんなことが提案もされます。その中で私はやっぱり、文明論的、文化史的と申し上げましたが、そういう立場で、その改革をやったらどういう結果になるかということを前提にしながら発言しているつもりでございます。ですから、決してNHKの会長が入ったんではなくて、ジャーナリスト川口が自分の立場で意見を申し上げるということを貫くつもりでございます。
  261. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 首相が靖国神社に参拝するときに個人の資格だなんと言うのと同じようなもので、全然問題にならぬですよ。不偏不党、公正が求められるNHKの会長が今のようなことにころりと乗っかるんですから、政府の応援団の役割しか果たさないですよ。  そういう意味では根本姿勢が問われる問題だということを指摘して、次にハイビジョンの問題に移りたいと思います。  その前に、文字放送が今度ふえたことは非常に喜んでいるんですけれども、予算の金額はどのぐらいなんですか。簡潔に。
  262. 齊藤曉

    参考人(齊藤曉君) 総合テレビの時間をふやしますけれども、これにつきましては九年度三・三億経費増になります。それから衛星第二で九年度始めます経費が一・四億、これは設備経費だけでございますが。それから、教育テレビは平成十年を予定しておりますけれども、これについては三・七億ぐらい予定しております。
  263. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 字幕放送を期待している方々は、障害者手帳を持っている方だけじゃなくて、高齢者で難聴になった方々を含めますと二百数十万とまで言われているんです。これはふえて三億、教育テレビで三・七億というんでしょ。ところがハイビジョンの方は、なかなかこれは大変です。九年度事業支出で二百十三億円、建設費九十八億円、三百億円です。  しかし、私は、ハイビジョン問題というのは今袋小路に陥っていると思うんです。今までアナログのミューズ方式を進めてきた。これは電機関係の大資本の意向を酌んで郵政省とNHKが進めてきたんです、これで新しい市場が生まれるというので。ところが、技術発展の方向を見誤って、私は素人だけれどもデジタルの方向に技術は進んでいるぐらいわかりますよ。それをアナログを選んで、物すごい損害を業界から視聴者に与えようとして、NHK自身も行き詰まっているんです。どうにもならぬところまで私は来ていると思うんです。  楠田局長は、先ほど加藤委員質問に対して、このハイビジョンの本格放送化は、一、財源、二は料金、三、NHKと民放との関係、一、二、三は僕が言ったんだけれども、大体そういうことを挙げられました、それで条件が整備されるんだと。  局長にちょっとお伺いします。新聞は、郵政省幹部も「民放各社の予想外に強い抵抗、波紋の大きさに困惑、「放送業界の考え方が統一されない限り、本放送に移行できない」と業界にゲタを預けている」という報道がありますが、業界の民放とNHKが一致しない限り秋の本格放送ということはないんですね。これは一致することが条件ですね。
  264. 楠田修司

    政府委員(楠田修司君) ハイビジョンの本放送化につきましては、先ほども御答弁いたしましたように、本放送化するための財源問題、料金設定の有無、それからNHKと民放各社の一体的移行ということにつきまして整備する必要があるというふうに考えております。  現在の実用化実験放送局では一年間の免許、本放送になりますと五年ということになります。実際上の問題はほとんどございませんですが、免許の期間が違うということでありまして、そういう中で、五年の本免許ということになりますとこういう問題の整備が必要だというふうに考えております。したがいまして、そういう条件整備ができた場合、これは本放送に移行するということであろうかと思います。
  265. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 まず、財源、料金、大変ですよ。これまでに千四百七億円使っているんですから、千四百七億円。これから本格放送にいくとなると、これは本格放送だから、再放送で一時間やるだけだなんと言っているけれども、そんなことじゃ済まないですよ。これは金がかかりますよ。  じゃ、財源をどこに求めるのか。今のところ二千六百万の全視聴者の受信料におんぶしているんでしょう。見ている人は三十数万人です。二千六百万の方がお金出して、ハイビジョン見ているのは三十数万人なんですから。  それで、そういう受信料全体によるのか、それとも付加衛星放送の受信料によるのか、これはどっちかにしなきゃいけない、本格放送になれば。開発段階だから今のままでいいというけれども、どっちかに決めなきゃいかぬでしょう。衛星に決めても一千万人です、受信して見ている人は。一千万人の人のお金で三十数万人の人に見せる、これは極めて不公平でしょう。大きな矛盾になるわけ。その矛盾があるために、本格放送になってもお金は制約があってろくに使えないです。そうすると、番組は中途半端ですよ。もし使えば、地上放送、衛星放送の財源が減るんだから。だから、民放との、民放はもうおりるという人も始まっているんだから。大体、二十一世紀型テレビと言っていたのが、二十一世紀になったら使えなくなるんだから。こんなばかな話にみんなを引っ張ってきて、土壇場に今来ているんですよ。撤退論まである。  会長、これは会長がよく御存じか、あるいはどなたかな、これはどうなりますか。来年の長野のオリンピックに向けて秋の本格放送は一体やれるんですか。それとも、財源、料金、どうやるんですか。この見通しなしに何も進まないですよ、撤退論まで出ているんだから。いかがですか。
  266. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) ハイビジョン問題が非常に難しくなったことは事実であります。ただ、一つ先生と私の観点の違いは、ハイビジョン放送というのは近い将来に必ず日本人の大多数に見ていただける媒体になる、そういうことを私は考えます。それは、当然受信機が安くならなきゃだめです。そして、もっと型が小さくならなければだめです、今物すごく大きいですから。その二つの条件があると普及は相当いくんじゃないかと思うんです。ですから、初めからハイビジョンについては別料金を私どもは考えませんでした。  なぜ考えなかったかというと、近い将来に衛星の二波はハイビジョン化しよう。それで、二つの波は地上波と違った価値観、内容、そして鮮やかさといいますか、高品質性を持ったものになるだろう。その段階で初めてハイビジョンというものは日本の視聴者に公認されるんだというふうに思っておりましたから、その方向に向かって初めのスタートはアナログでやりましたけれども、ゆっくり時間をかげながらデジタル化の方にシフトしていけばいいんだろうというぐあいに思っていたわけです。  そこで、これからの対策、方法は、今のデジタル化の進展に対して現在のアナログをどのような形で順応させていくのかという問題と、それからハイビジョン受信機をできるだけ安いお値段で少しでもたくさんの方に買ってもらう、見てもらうということを進めなければいけないと思っております。そのためのいろんな手配はこれから精力的にやってまいりますが、差し当たりは来年の長野オリンピックというものを大きなてこにして現在の三十五万というものを飛躍的に拡大することができるかどうか、それを頑張りたいと今思っております。
  267. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 もう時間がなくなりましたけれども、走査線五百二十五本が千百二十五本になって精密度五倍になるというんだけれども、私もあちこちで見せていただいて、蔵王の霧氷のも見せていただいて、確かにそれはきれいですけれども、白黒がカラーになったりあるいは立体テレビができたときのような、これからなるんでしょうけれども、物すごい大きな革命的な技術革新じゃないと思うんです。私なんかの場合にはニュースその他しか見ないからかもしれないけれども、特別にもっと五倍精密になってほしいなんて余り思わないです、それは人によるんでしょうけれども。  これがデジタルになって全部ハイビジョンになると、皆さんデコーダー買わにゃいかぬ、あるいはハイビジョンテレビを買わにゃいかぬ。視聴者は大変ですよ、聴視者は。しかも、このNHKの中長期経営方針によると、現行衛星二波を二十一世紀の早い時期に全面ハイビジョン化することを目指すんだと。みんなハイビジョンテレビを買わされることになるんですよ。喜ぶのは業界ですよ。それで買ってみても大したことはない、部屋が狭くなるだけだというんじゃ困るでしょう。この衛星放送二波を二十一世紀の早い時期に全部ハイビジョン化、この方針貫くんですか、私はこれ中止を要求したいと思います。
  268. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 今後の経過を見ながらというところがあります。ですが、私は貫くべきだと思っております。これは当初の計画でもあったわけです。そのことによって視聴者がこうむる負担というものをできるだけ軽減したい。ですから、例えば受信機はもうインチ一万円以下になるような形に持っていく、それから大きな大きなずうたいはできるだけ壁かけ型のものにかえていく。そういう工夫をしながら、どこの御家庭でもハイビジョンの映像、音声を楽しめるような、そういう環境づくりをしていく必要があると思っております。  したがってその間は、例えば全部ハイビジョンでごらんいただくわけにもいきませんでしょうから、それはハイビジョンでないところにもアダプターをつければその映像はちゃんと届くというふうなことができるはずです。ですから、多分に紆余曲折はあっても、余り長くない将来にハイビジョンが、さすがに日本のテレビの中身は違うというものを私どもはみずからの誇りとしてそれを示していきたいというふうに思います。
  269. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 終わります。
  270. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 きょうはNHKの予算審議だということで何かいい質問はないかということでずっと考えていたんですが、さすがNHKというか、民放のようにトラブルがないので、NHKを困らせるような質問がないので困っているわけであります。そして、幾つかの質問を用意してきたんですが、ほとんど前の質問者によって質問されているわけでございまして、複雑な心境で、ちょっと重複があるいはあるかもしれませんけれども、できるだけ避けて質問をさせていただきます。  昨年の参議院の逓信委員会で行われたNHKの平成八年度予算審議の際に、各会派の共同提案に係る附帯決議がなされているわけです。毎年同じような内容の附帯決議がなされていますけれども、この一年間NHKとして、その附帯決議で述べられているようなものに対してどう取り組まれたか、非常に抽象的な質問でございますけれども、お答えいただきたいと思います。
  271. 菅野洋史

    参考人(菅野洋史君) 営業活動、特に先生からは衛星の契約状況について御質問いただいたわけですが、現在、私ども営業としては業務改革を精力的に推進しております。そして、その業務改革というものがどうやら本物になりつつあるということでございます。その結果、例えば平成八年度、衛星契約の増加につきましては、当初経営計画では七十五万件の増加ということでございましたけれども、一月末の実績で既に六十八万を超えておりまして、昨年同月比でも約四万件上回るという状況になっております。九年度は、平成八年度の七十五万件にさらに五万件上乗せをした八十万件の衛星の増加を目標として掲げる経営計画として盛り込むことができようかというふうに思っているわけでございます。  また、契約総数の増加につきましても、平成八年度の計画は四十二万件でございましたが、ことしの一月末の実績は三十三万六千件でございまして、平年度に比べましても四ないし五万件実績として上回っております。  こうした業務改革の実をそのまま押し伸ばす形にいたしまして、平成九年度は総数増加を、平成八年度四十二万件に対して四万件さらにプラスした四十六万件を目標に据えているわけでございます。
  272. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 附帯決議での精神的なものの取り組みを聞いたわけですが、今衛星放送が非常によく伸びているという。去年、私はこのNHKの審議の段階で、衛星放送加入者が一千万件になった、一千万。それで、実際その受信料を払っているのが七割にしかすぎないということのお答えだったもので、いわゆる負担の公平という観点から、確実な受信料の徴収をしてほしいという観点から質問をしたわけなんであります。  きょうも受信料については幾つかの質問が出ておりますが、これはNHKにとっては、去年だけで一過性に終わるものでなくて毎年毎年これは論議されなきやならない問題だろうと思うんです。一番最初の鈴木議員の質問に対して、受信料の徴収率といいますか、それが平成七年度で九割だと。ただし単身者の家族に関してはわずか六〇%しか受信料を取れない。平均するとどうなんですか、七、八割しか取れない。約三割の人が受信料を払わないという現状にある。毎年毎年何らかの形で、負担の公平感から、受信契約をしている人からは公平にぜひぜひ受信料を取っていただきたいとお願いをしてきたわけなんです。多少率としては上がっているわけですけれども、NHKとしてはこの受信料を確実に収納するための努力といいますか、どの程度どういう形で毎年改善されているのか、そこら辺のところを改めてお尋ねいたします。
  273. 菅野洋史

    参考人(菅野洋史君) 先生おっしゃるとおり、実は四分の三を占める二人以上の世帯、通常の一般世帯でございますけれども、ここのお客様については九割近い契約率になっておりますけれども、残りの四分の一を占める実は単身者の部分が、これが大きな課題であるというふうに思っています。  ですから、平成七年度の国勢調査に合わせて私どもでもいろいろな調査をいたしました。それから民間会社にもさらにフォロー調査も依頼しまして詳細にその調査をしたわけでございますけれども、どうやら推定するところによりますと、いわゆる契約し残しておられる世帯のうちの約半分が、実は単身者がその半分である。四分の一の比率であるにもかかわらず未契約と言えるところは単身者だということでございまして、その学生を含む単身者の対策というものはこれからの営業活動あるいは公平負担における最大の課題であるというふうに理解しております。
  274. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 二人以上の家族からは九割近い受信料を取ることができるけれども、単身者が半分ぐらいしか払ってないというのが問題だから、NHKとしてはそれをどう取るかという質問をしたら、今後の問題だとおっしゃって具体策はないようなんですが、ぜひぜひ公平の感覚から、受信契約している人から平等に取り立てていただきたいと思います。  それから、これも前に出ていましたけれども、番組審議機関についての質問が出ていまして、これが十分に機能していないということで、この活性化を図るということで今国会で法案としても出ているようでありますけれども、この多チャンネル懇談会報告書に添えられた資料によりますと、平成七年度のNHK中央番組審議会の委員の出席率がわずか六〇%だと。毎週開く会議ならいざ知らず、月に一回程度開く会議でこんなに出席率が低いのはいささか問題だと思うのですが、一体実態はどうなのか、お教えいただきたいと思います。
  275. 齊藤曉

    参考人(齊藤曉君) 番組審議会には、中央番組審議会、国際番組審議会あるいは地方番審と三つございますけれども、今お話がございました中央番組審議会につきましては二十名の委員の方に委嘱しております。それぞれ大変お忙しい方でございまして、御指摘のように、八年度につきましては、出席率といいますか、確かに六〇%台でございました。  ただ、人数につきまして、二十人の委員に委嘱しておりまして、その中から御欠席の方が出たとしても十二、三人の方は常時出ていらっしゃるということで、いつも決まって欠席の方というのはございませんで、何とか熱心にやりくりして出ていただいているというのが現状でございます。
  276. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 二十名で、忙しいから欠席率が高いというのはいささか問題だと思うんですが、どんな基準でこの委員が選ばれているのか、だれがどういう形で欠席しているのか、ちょっと聞きたいところでありますけれども、せっかく今度国会で番組審議機関の活性化のためにいろいろ言われているわけでありますから、ぜひぜひ、せっかくある機関ですから活用されることを期待いたします。  次に、NHKと民放の間の苦情処理のいわゆる第三者機関設立に関していろいろと質問が出て、ある程度理解いたしましたが、その第三者機関の設立のポイントは人権侵害に対するものをどう扱うかを中心にやるんだ、こういうお話でしたので、この番組の苦情処理の人権に対する問題を除きまして、いわゆる視聴者からの一般的な苦情や注文、要望などに対してNHKはどう対応されているのか、お尋ねをいたします。
  277. 齊藤曉

    参考人(齊藤曉君) 日常的には、電話、投書を含めて非常にたくさんの御意見やら御要望が寄せられますけれども、これは第一義的には視聴者センターというところが窓口になりましてそこでお答えをしながら、番組についての具体的な御質問なり御要望については番組現場が直接いろいろお答えをしていくということになります。  それから、そういう御意見を全部まとめて放送として年間三回ないし四回、「あなたの声に答えます」という形で視聴者の御質問あるいは御意見に対して番組でお答えするということをやっております。なお、平成九年度からは、NHKもさらにオープン化といいますか、視聴者との回路をさらに強くするという意味で、この「あなたの声に答えます」というのを定時番組といたしまして、週一回、日曜日の午前中、十時台ですが、一番見やすい時間に視聴者の御意見、御要望にその時間で毎週お答えしていくということにいたしました。
  278. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 いろんな形で番組でそういうものをたくさん取り上げていただいているというのは非常に結構なことだと思います。私、知りませんでしたので、どうも。  これは要望でありますけれども、NHKは総合テレビを二十四時間続けて放送されるということなんですが、深夜の時間帯でも結構でありますが、司法試験みたいな国家試験の締め切り日、試験科目だとか、国家試験といったって千幾つあるそうなんですが、全部はとても無理にしろ、重立ったもののいわゆる受験ガイドを、深夜遅く受験勉強している学生たちが見られるわけですから、案外そういうガイドというものを一般の国民の中では必要としているところがあるかと思いますので、受験情報を放送することを検討するお考えがあるかどうか、お尋ねをいたします。
  279. 齊藤曉

    参考人(齊藤曉君) 視聴者から寄せられます御要望はもうさまざま、非常にたくさんございまして、なかなかそれに一つずつ御期待に沿うというわけにはいかないわけですけれども。  今、二十四時間放送というお話がございましたけれども、この二十四時間放送は、私ども、第一点は緊急災害報道に、これは人命にかかわることですからすぐ対応できる体制をとっておこうということで、放送の灯を消さないでやりながら、すぐ、数分でそれに対応できる体制をとるというのが第一の目標でございます。それからもう一点は、日ごろ大変好評であった番組、あるいは再放送希望の多いものを放送したい。この二つの大きな理由で二十四時間放送を始めました。  深夜でございますので、なかなか人手もかけられない、あるいはお金も現状ではなかなかかけられないという中で再放送を主としてやるという形にしておりまして、お話の御趣旨はわかりますけれども、各番組、各波、それぞれがまだまだそれぞれ充実させなければいけないいろんな課題を抱えておりまして、そういう中でございますので。  御要望は承っておきたいと思います。
  280. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 二十四時間放送の趣旨はよくわかりました。その中に入れてくれということ、ぜひ御検討いただければありがたいと思います。  それから、先般NHKの女性アナウンサーの退職が週刊誌などで話題になりました。民放へ移籍するのではないかという情報もありました。私は職業選択の自由から個人の退職について論評するつもりはありませんが、こうした人材流失とも言える事柄は以前から何度かありました。これについてNHKはどのように考えているのか、お聞かせいただきたいと思います。  また、こうした人材流失と言える事態を防ぐためにどのよう方法をNHKは講じられているか、お尋ねをいたします。
  281. 齊藤曉

    参考人(齊藤曉君) 放送にとりましては、とにかく人がすべてである、非常に個性的で有能な人材をどのくらいそれぞれ育てられるかというのが非常に大きなポイントでございまして、アナウンサーにつきましても各局が自分のところのその局の個性に合った人材の育成の仕方を、しかも時間をかけてやるというのが筋だと思います。そういう意味では、時間をかけて育成した人材が、簡単にといいますか、引き抜かれていくという形は、しかもそれが非常に毎年続くというような現状は大変私どもとしては遺憾に思っております。  それぞれの個性ある人材がそれぞれの局で育ってこそ放送界全体としては非常に豊かになるだろうというのが私どもの考えの基本でございます。これを防ぐ手だてと、今お話もございましたけれども、おっしゃるように職業選択の自由がございますし、それから職業に対する意識が現在ではどんどん変わっておりますので、なかなか具体的に防ぐ手だてというものははっきり申し上げてございません。ございませんが、今申し上げましたような考えに沿ってやっぱり何らかの民放さんとの話し合いはしたいというのが一つ。それから、局内的に働きがいのある職場としてもっと職場環境を改善するとか、総合的に何らかの方法を、手だてを講じたい。今検討している最中でございます。
  282. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 まだ私に与えられた時間があるので、質問通告してなくて申しわけないんですが、日銀総裁初めいわゆる特殊法人のトップの給料が非常に高い、年収が高過ぎるんじゃないかというような指摘がされているんですが、NHKの会長というのは幾らぐらいもらっているのか。  役員の報酬なんかは一般と比べてどうなのか私は全然わかりませんので、突然の質問で申しわけございませんけれども、率直な御感想を述べていただいて、お願いいたします。
  283. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 私がもらっておりますからよく知っているんですが、具体的にこれを答えるのがどうなのかという問題がありますので、ちょっと言葉を濁させていただきますが、会長給与というのは今相当高いです。私はひとり身ですから使い切れないぐらいにあると言ってもいいぐらいです。  ただ、それはもちろん民放なんかに比べると社長さんの半分以下でございますから、それは世間並みの常識からいえばほどほどのという感じじゃないかと思うんですが、私は個人的には高いなと思っておりますけれども、そんなものじゃないのと言う人もいます。自分のことに関係するので、どうも言いにくくて済みません。
  284. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 終わります。
  285. 水野誠一

    ○水野誠一君 私は、衛星放送のデジタル化について伺いたいと思います。  この件は、先月の逓信委員会でも堀之内郵政大臣に質問をさせていただきました。大臣から大変に心強い御答弁をいただいたわけであります。そして、その数日後にBS-4後発機検討会がBS4後発機はデジタル方式が適当であるという答申をまとめたわけであります。これは私見でありますが、我が国の放送戦略の将来を明るくするものである、大変によい方向に向かっているというふうに思っております。  既に諸外国の衛星放送ではデジタル化の動きが加速をしているとともに、そのビジネスもグローバル化をしている。今後は衛星放送市場における世界的な競争がますます激しくなるだろう、活発化するだろうというふうに考えられます。我が国がその流れに乗りおくれないためにBS4のデジタル化は絶対に必要であるというふうに思うわけでありますが、またそれに加えまして、上記報告がデジタル・ハイディフィニションテレビ放送を中心とすることが適当であるという提言をしている点も放送戦略上非常に大きな意味を持っていると私は考えております。  そこで、もう既に何人かの委員からこのデジタル放送化の問題というのが御質問がありました。私は、アナログBS放送を現在視聴している一千万世帯に対して不利益が生じないということは非常に大事だということで、この答申の中でもそれへの移行ということで幾つかの方法が書かれているようであります。一〇〇%サイマル放送あるいはハイビジョン放送端末にアダプターをつけることで対応するというような方法が書かれているというふうに理解をしておりますが、この点について少しわかりやすく御説明をいただきたいと思います。
  286. 楠田修司

    政府委員(楠田修司君) 先生御指摘のように、BSの後発機をデジタル方式とする、そして高精細度テレビジョン放送を中心とするという報告をいただいたわけであります。一方、先発機の方では、アナログで今四チャンネルが放送されておりまして、これがまた先発機を打ち上げますと衛星の寿命からいきますと十年間はこれは継続される、こういうことでございます。そうしますと、今度BSの後発機がデジタルになった場合、先発機を見ておるアナログの受信機の方々がデジタルが見られないという問題が出てまいります。二〇〇〇年以降デジタルの放送が出てくるわけですが、この問題を解決するためにはデコーダーをできるだけ安価にするということが一つの解決方法でございます。一千万の受信機があるわけでありますから、かなり量産効果がきくというふうな報告をいただいておりますので、それを期待しておるところであります。  一方、後発機でデジタルになった場合、デジタルの受信機というものがこれから出てくるわけであります。そうしますと、デジタルの受信機において今度はアナログでやっておるものが見られなくなるという問題が出ます。これはサイマル放送としまして、デジタルのワントラポン、一つの中継器を使いまして先発機と同じ放送をデジタル放送として開始するということになりますので、デジタルの受信機になった場合は先発の放送と後発のデジタルの放送は全部見られるようになるというふうに考えております。
  287. 水野誠一

    ○水野誠一君 次に、デジタルHDTV、つまりハイディフィニションテレビ放送技術というのは非常に我が国が優位性を持っているというふうに思っているわけでありますが、この認識が正しいのかどうかということと、海外への普及戦略ということをどういうふうにお考えになっているか、これは郵政省から伺いたいと思います。
  288. 楠田修司

    政府委員(楠田修司君) デジタルのHDTV、ハイディフィニションテレビの放送技術でございますが、これはこれまでのハイビジョンにおいて取り組まれてきました高精細度映像技術というものがございます。これを生かすことになります。それから、放送の伝送といいますか、放送の方式でありますが、MPEG2という世界共通の技術を用いたデジタル放送技術であります。  我が国の高精細度の映像技術、先ほど申し上げましたが、例えば対応のカメラ、VTR、番組制作技術、それから画面であります高精細度映像対応のディスプレー技術、これは明らかに諸外国に対しまして優位にあるというふうに考えております。  それからもう一つは、いろいろ外国にありますが、実際問題として高精細度の放送、現在はハイビジョンでありますが、実施しているのは日本だけでございます。そういう実態にあります。そして、受信機が平成八年末で既に三十一万台になっているという現実がございます。かつ、受信機も徐々に安くなってきている、こういう現状があります。  こういうふうな状況でありますので、海外に対して我が国も幾つかの優位点を持っている。これをどのように生かしていくかということが、日本のハイビジョンというものを世界に先駆けて実用化して、それを世界の方々が見れば、それがひいては世界の普及につながるというふうに考えられるんではないかと思っております。
  289. 水野誠一

    ○水野誠一君 今までアナログで先行していたものをデジタル化していくということで、その技術、今までの研究成果がデジタルの中でも生かせるということであれば私は大変いいことではないかと思うわけであります。  この報告書の中でもう一つ伺いたい点があるんですが、放送制度についてのあり方ということで、デジタル化をし、そして多チャンネル化をしていく中で、ハードとソフトの分離ということが論じられております。ハード、ソフトの分離をする受託・委託制度というものがこの中で提言をされているわけでありますが、この点について、郵政省、NHK、双方から見解を伺いたいと思います。
  290. 楠田修司

    政府委員(楠田修司君) 現在、日本の放送でハード、ソフトが分離されておりますのはCSのデジタルの多チャンネル放送でございます。それで、このBS4後発機の検討会の報告書におきましては、実はハード、ソフトを一致にするか分離にするかということで意見が分かれまして、両論併記になったわけであります。  いずれにしましても、これは早々に結論を得なければならない問題でありまして、郵政省といたしましては、この両論併記の内容等を吟味いたしまして、BSデジタル放送といった新しい事業を円滑に立ち上げるにはどうしたらいいかということ、それから、将来どちらがいいかという将来の視点も考えまして、鋭意検討いたしております。今月末の電波監理審議会にはそういう形で諮問して、五月には答申をいただきたいというふうに考えております。
  291. 中井盛久

    参考人(中井盛久君) NHKの方は、このハード、ソフトの一致原則がとられてきました趣旨は、やっぱり放送というのがジャーナリズム性だとか文化性というのが非常に高くて、極めて社会的に影響力が強いメディアだという観点からそういう制度がとられてきたと思っておりまして、いずれにしましても、放送事業者が一貫した責任体制を持ってやれるという点にあると考えております。  したがいまして、これを分離するかどうかというのはにわかになかなか判断しにくいのでありますけれども、いろいろな条件が整備されればそういうこともあるでしょうし、それから、その制度がはっきりしない場合には、今のような事態というところで、我々としては、今後具体的にもう少し詰めた結論を出したいと思っております。
  292. 水野誠一

    ○水野誠一君 民放連の氏家会長も今の中井参考人の御答弁と同じようなスタンスをとっておられるわけでありますが、ともかく本当にマルチチャンネル、多チャンネル化する時代においてはそうとばかりも言っていられない事態があるというときに、おっしゃる責任問題ということも含めて、やはり十分な検討をされるということをぜひ郵政省、NHKともにお願いをしておく必要があるのではないかと私は思っております。  次に、地上波のデジタル化の質問なんですが、これも先ほど加藤委員あるいは千葉委員から同等の質問がございました。加藤委員からはデジタル化に対して多少疑問を呈される立場から御質問があったというふうに私は理解をいたします。また、千葉委員からはデジタル化のメリットということでの御質問がありました。私もその辺を踏まえた上で、これは言ってみれば衛星放送のデジタル化よりもさらに大きな影響力のある問題だと。そして、先ほど加藤委員質問の中にも非常にお金がかかる、投資がかかるという御質問がございました。これは確かに、衛星とはけた外れの投資になるだろうということは容易に想像がつくわけであります。そういった投資が、放送業者の負担、それから個人、さらに先には視聴者の負担、特にNHKの場合は視聴者の負担という問題が出てくると思うんです。こういった二〇〇〇年までにという非常に期間がもう迫ってきているわけでありますが、果たして吸収できるものなのかどうか、あるいはどういうふうにそれを乗り越えられるのか、その辺のお考えを伺いたいと思うんですが、いかがでございましょうか。
  293. 楠田修司

    政府委員(楠田修司君) 二〇〇〇年までに三年間あるわけでありますが、この三年間でやることは行政的な措置を準備するということでありまして、何度も申し上げましたが、放送方式であるとか技術基準、それから周波数の計画等をやるわけであります。そして、先生御指摘のようないろんな投資の問題、視聴者の負担の問題、これ等は、それが固まった後でどのようにスタートするかという問題でございまして、そこでは十分な検討が必要であるということは我々も認識しております。特に、視聴者の負担、それから事業者のあり方という問題は非常に大きな問題だというふうに思っております。
  294. 中井盛久

    参考人(中井盛久君) NHKとしましても、先ほど来、放送行政局長からいろいろなこのデジタル化についての問題点、送信側の費用がかかるということ、あるいは受信者側が何しろ受信機を買いかえなければならない。それから、実験をするにいたしましても、電波状況が今の地上では非常に込んでおりまして、北海道は割にすいているけれども瀬戸内海あるいは関西地区では空きチャンネルが非常に少ない。そこで、デジタル化の電波を出してみて、今の現在の放送にどれだけ影響があるのかないのかというような具体的に検討すべきことがまだまだ多うございます。それを慎重に、我々は検討会に参画して、郵政省にも御意見を申し上げていきたい、こう思っております。
  295. 水野誠一

    ○水野誠一君 ありがとうございました。  次に、先日、土曜日だったと思うんですが、NHKスペシャルの中で「新情報革命」という番組がございました。大変おもしろい番組で、私、興味深く拝見をしたんでありますが、そこで出てくる問題というのは、まさに多チャンネル化による放送ソフトの不足と市場価格の高騰という問題が取り上げられているわけでありまして、そこで出ている例というのは、オリンピックと並ぶ非常に人気のあるスポーツのビッグイベントでありますサッカーのワールドカップの放送権料が非常に高くて、それまでの数倍の値段で落札されたという話が紹介をされておりました。これからますます世界のメディア界の優良な放送ソフトをめぐる国境を越えた競争というものが激化していくということは容易に想像できるわけであります。  このレポートの中で、私は非常に重要な問題提起があったと思うんです。一つは、デジタル化が放送のグローバル化を急激に推し進めているということ、これが一つであります。それから二つ目は、規制緩和の流れが巨大な放送メディア複合体を登場させてきているということでありまして、まさにメガコンペティションの時代に入ってきているという認識。それから三つ目が、巨大な優良放送メディアによる放送ソフトの独占が、広くあまねく情報を行き渡らせるという放送の本来的根源概念をどうも揺るがしてきているという点でありました。これは特にペイ・パー・ビューのシステムなんかがもう既に知られているわけでありますが、私も、ヘビー級チャンピオンのマイク・タイソンの復帰第一戦というのがアメリカではペイ・パー・ビューで放送されて、一般放送で見られないというような状況を知りまして、大変これはやっぱり時代が変わりつつあるということを実感した経験があるわけであります。  こういったグローバル化の中、しかも放送自体の概念が非常に変わっていく中で、ソフトの価格が上がってくる。これは昨年のNHKの予算審議のときでも、アトランタ・オリンピックの放送権料というのが予算の中に入っていて、余りの額の大きさに我々もびっくりしたという経験があるわけであります。今後、恐らくそういう問題というのはオリンピックに限らず出てくると思うんですが、それについて、NHKとしてはどういうふうにお考えになっているのかということを例えればと思います。
  296. 齊藤曉

    参考人(齊藤曉君) お話にありましたように、放送ソフトのいわゆる争奪戦、これは確実に起こるんではないかというふうに危惧しております。  現実に今この日本でも、スポーツソフトを中心にかなり囲い込みといいますか、独占しようという動きが具体化しております。こういうことに、私ども公共放送の立場から申し上げますと、今までより例えば十倍の権料で買うというような動きに対しましては、正直申し上げて具体的な対抗策はございません。  これまで全国放送としてNHKがいろんなことで取り組んできた人の関係とか財産を有効に活用しながら、そういうことにどう立ち向かえるかというのが一つの課題でございますが、スポーツ放送に限らず、この先、映画とかあるいは外国の優良ソフト、ドキュメンタリーとか、こういうことへも自然に波及していくんではないかというふうに考えておりまして、今、お話にございましたように、そういうソフトの囲い込みが本当に視聴者の皆さんにきちっと安い値段であまねく行き渡るんだろうか、ここが一番我々が危惧しているところでございます。  NHKとしましては、今私どもの持っているソフトの制作力、これをさらに強化して内容のいいものをつくっていくという方法が一つ。それから今世界各国と、例えば世界四十一の国あるいは六十一の放送機関といろんな協力協定を結んでおりますが、こういうことの中でニュースとかあるいは情報系の番組を交換したり、あるいはアジア地域で十の放送機関といろいろ映像情報を相互に交換しているとか、こういつたことをやっぱりきちんと継続していく努力を重ねて、そういうこれからのマルチメディアの状況に、多チャンネル時代に、何とか対応していきたいと思っております。
  297. 水野誠一

    ○水野誠一君 今のお答えでわかったんですが、ともかく今、デジタル化という大きな流れの中で、著作権の問題、これは特に先日の読売新聞なんかでも、ビル・ゲイツが美術のデジタル化権というものをかなり買い占めているというふうな話もありましたけれども、今までのような著作権とか放送権というようなものの考え方ということ自体が少しずつ変わっていくんじゃないか。やはりそれに対応する新しい概念でそれをとらえていかないと、今もう本当に高騰してきている放送化権自体を適正な価格で買い取るということは非常に難しくなっていく。しかも、それは経営的にも非常に採算のとれないものになっていくということがあろうかと思います。これは私自身も、非常に大きなこれからの検討課題ではないのかというふうに考えております。  最後に、放送番組審議会のことなんですが、これももう既に皆さんからいろいろ出ておりまして、私は、これについては果たして法制化して決めるものなのか、もっと自主的に放送番組審議会というものを活用し活性化させ、それを生かしていくということは、民放の放送局なんかはもう当然のことながらもっと積極的に取り組んでいくべきことであるというふうに考えております。  しかし、その中でNHKというのは、中央放送番組審議会の内容を積極的に情報公開されてきたり、あるいは視聴者会議というようなものも別にお持ちになっているようで、非常に視聴者との接点、あるいは番組審議会の情報の公開というようなことに積極的に取り組んでこられたと思うんですが、そういう視点から、今後さらにどんな形で番組審議の公開性を保っていくのか。あるいはさらに言えば、それが番組にどう生かされてきているのかというあたり、先駆者として、その辺のことを伺って、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  298. 齊藤曉

    参考人(齊藤曉君) 私どもは、番組審議会そのものが実質的に充実した機能を果たすという意味ではかなり真剣に取り組んでまいりました。したがいまして、今後に向けても今までやってまいりましたことをさらに強化していくという取り組みになるわけです。  具体的に幾つかちょっと申し上げたいと思いますが、特に訂正放送あるいは倫理委員会等、私どもが設けておりますこういった倫理に関する問題等の活動につきましては、随時この番組審議会でも報告するという形にいたしましたし、あるいは視聴者からの意見、苦情、こういった概要も審議会で報告する。あるいは、審議内容の公表につきましては今まで以上に積極的に取り組みたいというふうに思っております。それから、審議会の活発な意見の結果の部内へのフィードバック、これをさらに徹底した上でどういうふうに生かされたかということは、もう一度番組審議会に報告するというようなことで全体の活性化に努めていきたいと思います。
  299. 水野誠一

    ○水野誠一君 ありがとうございました。
  300. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  301. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  302. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私は、日本共産党を代表して、一九九七年度NHK予算案に対し、反対の討論を行います。  反対する理由は、国民の受信料収入で運営されている公共放送として、消費税増税について国民大多数の理解が得られていない状況で、消費税の増税分を受信料に転嫁する値上げを行うからであります。  四月からの消費税増税中止を求める国会請願は千百万人を超えており、世論調査でも八三・八%が消費税率引き上げに反対の声を上げております。また、四月一日からの消費税増税には、さきの総選挙で三百人を超える議員が、反対や見直しなどを公約して当選したという公約違反の問題が厳然と存在しております。さらには、消費税増税を含む九兆円の国民負担の増大は、日本経済の原動力である個人消費や中小企業の設備投資を落ち込ませるなど、日本経済に大きな打撃を与えることは間違いありません。このような状況で、直ちに消費税増税分を受信料に転嫁することは認められません。  NHK受信料は、NHKの見解でも公共放送を維持するための負担金であり、放送サービスの対価ではないとされてきました。資産の譲渡や役務の提供の対価等に課税するという消費税の規定からしても、放送法規定からしても、放送サービスの対価でない受信料に課税することは根本的に矛盾するものであります。消費税を受信料に課税する不当性を明らかにし続けることは、受信料制度の根幹を守り続ける立場であることを強調し、消費税施行令を改定し、NHK受信料を消費税課税の対象から外すことを強く要求します。  日本共産党は、消費税増税に反対を貫くことを表明して、討論を終わります。
  303. 陣内孝雄

    ○陣内孝雄君 私は、自由民主党、社会民主党・護憲連合、新党さきがけを代表いたしまして、ただいま議題になっております放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件につきまして、賛成の意を表するものであります。  この日本放送協会平成九年度収支予算、事業計画及び資金計画は、「おおむね適当なものと認める。」との郵政大臣の意見が付されて国会に提出されたものであります。  平成九年度収支予算において、NHKの財政は厳しい状況にありますが、消費税率の引き上げ等に伴う税負担の適正な転嫁を除いて現行受信料を引き続き据え置いております。また、NHKの主たる経営財源が視聴者の負担する受信料であることを深く認識し、業務全般にわたり効率化の徹底による経費の節減を図るとともに、視聴者の負担の公平を図る観点からも、受信契約の増加と受信料の確実な収納に努めるとするなど、おおむね適当な予算と認められます。  事業計画においては、国内放送について、デジタル化、多チャンネル化の進展の中で、公共放送であることを足元から見詰め直し、新たな価値の創造を目指して番組を編集するとし、地域放送の充実強化、ニュース、情報番組の充実、災害等緊急報道に対応し総合テレビの二十四時間放送化を図るほか、衛星第二テレビで字幕放送を開始するなど、情報格差の解消にも取り組んでおります。  また、国際放送については、国際間の相互理解と文化交流の促進のため、映像国際放送放送時間の拡大、番組の充実に努めており、さらに調査研究では、マルチメディア時代に対応したデジタル放送技術の研究開発等にも積極的に取り組むなど、放送を取り巻く環境の大きな変化を見据えた施策を推進していると認めるものであります。  かかる観点から、日本放送協会平成九年度収支予算、事業計画及び資金計画について、その適正な執行を要望し、これを承認することに賛成する次第であります。  なお、本件の審議において、各委員から、NHKの事業全般並びに放送行政の多岐にわたり有意義でかつ示唆に富む質疑が行われましたが、今後ともこれらを的確に反映し、国民の信頼と期待にこたえる豊かな放送文化を創造するよう希望いたしまして、私の賛成討論を終わります。
  304. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  305. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。  この際、足立君から発言を求められておりますので、これを許します。足立君。
  306. 足立良平

    ○足立良平君 私は、ただいま承認すべきものと決定いたしました放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対し、自由民主党、平成会、社会民主党・護憲連合、民主党・新緑風会、日本共産党、二院クラブ及び新党さきがけの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議(案)  政府並びに日本放送協会は、次の各項の実施に努めるべきである。  一、放送に携わる者はその社会的影響力を強く自覚し、放送の不偏不党、真実及び自律の確保に一層努めるとともに、放送倫理の確立を図り、国民の信頼と期待に応える豊かな放送文化を創造すること。  一、協会は、その財政が厳しい状況にあることを深く認識し、今後とも業務全般にわたり抜本的な見直しを行い、効率化の徹底により経費の節減を図るとともに、視聴者の十分な理解と協力が得られるよう、関連団体を含む協会全体の経営内容を視聴者に分かりやすい形で積極的に公開するように努めること。  一、協会は、その主たる経営財源が受信料であることにかんがみ、視聴者の負担の公平を図る観点からも衛星放送を含む受信契約の締結と確実な収納を行い、財政基盤の確立に努めること。  一、マルチメディア時代における放送をめぐる環境の変化に適切に対応し、デジタル放送導入に向けた研究開発等について、視聴者がその成果を十分享受できるよう積極的に取り組むとともに、ハイビジョン放送を含む衛星放送の既存視聴者の利益保護にも十分配慮すること。  一、情報通信を通じた福祉の増進の観点から、障害者や高齢者向けの字幕放送、解説放送等を一層拡充するため総合的な施策を推進すること。  一、放送の国際化に対応し、国際間の相互理解と文化交流の一層の促進を図るため、映像を含む国際放送を拡充するとともに、十分な交付金を確保すること。  一、協会は、地域に密着した放送番組の充実・強化を図るとともに、地域から全国への情報発信を一層推進するように努めること。  右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  307. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) ただいま足立君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  308. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 全会一致と認めます。よって、足立君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、堀之内郵政大臣及び川日本放送協会会長から発言を求められておりますので、これを許します。堀之内郵政大臣。
  309. 堀之内久男

    ○国務大臣(堀之内久男君) ただいま日本放送協会平成九年度収支予算等につきましては、慎重なる御審議の上御承認いただき、厚く御礼を申し上げます。  本委員会の御審議を通じて承りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の放送行政を進めるに当たり御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。  まことにありがとうございました。
  310. 渕上貞雄

  311. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 日本放送協会平成九年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、ただいま御承認を賜りまして厚く御礼申し上げます。  本予算を執行するに当たりましては、御審議の過程で種々御開陳いただきました御意見並びに郵政大臣の意見書の御趣旨を十分生かしてまいりたいと考えております。  また、ただいまの附帯決議につきましては、協会経営の根幹をなすものでございますので、これを体しまして執行の万全を期したいと考えている次第でございます。  まことにありがとうございました。
  312. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  313. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。       午後五時四十四分散会      ―――――・―――――