運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1997-05-29 第140回国会 参議院 地方行政委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月二十九日(木曜日)    午前十時開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         峰崎 直樹君     理 事                 関根 則之君                 真鍋 賢二君                 小林  元君                 朝日 俊弘君     委 員                 太田 豊秋君                 上吉原一天君                 鈴木 省吾君                 谷川 秀善君                 三浦 一水君                 山本 一太君                 牛嶋  正君                 風間  昶君                 吉田 之久君                 大渕 絹子君                 渡辺 四郎君                 有働 正治君                 西川  潔君                 田村 公平君    国務大臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    白川 勝彦君    政府委員        警察庁長官    関口 祐弘君        警察庁長官官房        長        野田  健君        警察庁長官官房        総務審議官    金垂 凱之君        警察庁生活安全        局長       泉  幸伸君        警察庁刑事局長  佐藤 英彦君        警察庁交通局長  山本 博一君        警察庁警備局長  伊達 興治君        自治大臣官房長  谷合 靖夫君        自治大臣官房総        務審議官     嶋津  昭君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤  勝君    説明員        内閣総理大臣官        房参事官     山崎信之郎君        法務省刑事局刑        事法制課長    渡邉 一弘君        大蔵省銀行局総        務課金融取引管        理官       大月 洋一君        厚生省薬務局麻        薬課長      藤井 基之君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○暴力団員による不当な行為防止等に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出、衆議院  送付)     —————————————
  2. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  暴力団員による不当な行為防止等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は去る二十七日に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 山本一太

    山本一太君 きょうは初めて警察行政について質問をさせていただく機会を得まして、どうぞよろしくお願いいたします。  暴対法改正について伺う前に一言伺いたいと思うんです。  先日から大変世間を騒がせております例の神戸市須磨区の小学校六年生の殺害事件、その残虐性とか犯人異常性、そういったことがかなり大きな衝撃を与えているところですけれども、この事件捜査状況について何かつかんでいることがあればちょっと御説明願いたいと思うので、どうぞよろしくお願いします。
  4. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) お尋ねの事件は、一昨日の今月二十七日午前に、二十四日から行方不明になっておりました十一歳になる小学生の遺体の一部が中学校の正門前において発見されたという事件であります。そして、その日の午後になりまして、また遺体の残りの部分を別の場所から発見するに至ったという事件であり、まことに痛ましく残忍な事件であり、許せない犯罪であると思います。そういう事件でありますだけに、兵庫警察におきましては過去に例を見ない捜査体制をとりまして、類似事件発生防止を図るとともに捜査を強力に進めているところであります。  このような幼児をねらいましてしかも遺体をばらばらにするというような事件は、昭和六十三年から平成元年にかけて発生をいたしましたところのいわゆる宮崎事件、これをおいてほかにはございません。あの際におきましても、関係警察の総力を挙げて何とか全容を解明いたしたわけであります。  本件もようやく捜査は緒についたばかりでございますので、今ここで申し上げることのできる内容はございませんけれども、できる限り早い解決を目指しまして引き続き鋭意捜査を推進してまいりたいというぐあいに考えておりますので、御理解をちょうだいしたいと存じます。
  5. 山本一太

    山本一太君 今おっしゃったようにこれは本当に許しがたい事件でございまして、地域の住民の生活にも直接いろんな影響を与えております。父兄が子供に四六時中付き添って通学をするとか、そういう影響も与えておりますので、いずれにせよ全力で捜査をしていただいて、一刻も早い犯人の逮捕に向けて活動していただきますことを強く要望申し上げたいと思います。  きょうは暴対法改正について、その内容をこれから御質問させていただこうと思うんです。せっかくの機会で、三十分しかないんですけれども、後に真打ちの上吉原委員も控えておられますので、まず最初に、私が警察行政について感じていることを一言コメントさせていただいて、それについて国家公安委員長の御見解をいただくところから始めたい、このように思っております。  今の須磨区の事件一つの兆候だと思いますけれども、日本における犯罪年ごとに高度化し広域化しそして凶悪化するという傾向があるわけでございます。数年前の例のサリン事件に見られるようなああいう異常な事件も起こりまして、日本のいわば安全神話も一時崩れたような感があるわけでございますけれども、それでも私は、日本治安状態というのは世界のほかの国に比べても極めていい、ある意味先進国の中で最も治安がいい国であるという事実は、幸運なことにこれはだれも否定できないんではないかというふうに思うわけでございます。  今、日本犯罪状況はどうなっているのかということで、法務省の資料で平成八年版の犯罪白書から、九四年の「殺人及び強盗認知件数発生率検挙率」という表を取り出してここに持ってきたんです。  例えば殺人発生率、これは人口十万人当たりの認知件数ということでいきますと、アメリカが九・〇ということになります。日本は一・〇。これは単純に言ってアメリカで九倍の殺人事件が起こっているということになりますし、比較的治安がいいと言われているヨーロッパでも、ドイツやフランスで日本の四倍から五倍の殺人事件が起こっているということがこの表からうかがえます。  また強盗に至っては、アメリカ発生率は二三七・七ということで、これに対し日本は二・一です。二・一ということは百倍、強盗発生率日本の百倍の事件アメリカで起こっている。これはヨーロッパでも日本の大体五十倍から六十倍という強盗発生率になっております。  検挙率を見ましても、殺人事件についてはアメリカが大体六割ちょっとぐらいなのに対して、日本は九五・八%ということで、恐らくこれは世界でもトップクラス、韓国はたしかかなり検挙率があったと思うんですけれども。九五・八という水準ですし、また強盗の方の検挙率も、アメリカが三割行っていないのに対して、日本の方では八〇%近い検挙率がある。こういうことで、日本西欧諸国の中でもかなり治安のいい国だという一端がこの表からもうかがえると思います。もちろん、犯罪のとらえ方とか統計のとらえ方がやや違いますので一律にはなかなか言えませんけれども、おおむねはこういう数字で推移をしていると言っていいと思います。  治安がいいというのはもちろん文化の違いということもあるかと思いますけれども、何といっても大きな理由警察当局、特に全国に展開している警察関係者警察署、それから交番、ここにおられる警官のお一人お一人がかなり一生懸命やっていただいているからだ、この日ごろの尽力の成果であるということは間違いのないところだ、私はこのように思うわけでございます。  私は何回か、地方警察署ですけれども、夜中過ぎまでそこで状況を見る機会がありました。別に悪いことをして捕まったわけではありませんけれども、いろいろ仕事の都合とかで何回か警察署夜中三時ぐらいまでいたことがあります。そこに夜勤でいる警察官方々が出動する回数の多さに私は大変驚きました。酔っぱらいがけんかしているとか、あるいはうちの前で人が大声を出しているとか、そういうことでも一々出かけていかれるわけですね。やはりこういう地道な活動日本市民の安全を守っているんだというふうに私は素直に感銘を受けました。  私は、国連の仕事ニューヨークに三年、その前に向こうの大学院に三年おりまして、大体六年間アメリカで過ごしたんです。ニューヨークのアパートに妻といたときに、隣の部屋で事件がありまして、結構大変な事件だったんです。その最初どなり声が聞こえたときに、これは尋常じゃないと思ってニューヨーク市警に電話しましたけれども、だれも来てくれませんでした。その程度のことではとても出動する状況ではない、よっぽど殺人事件でも起きない限りは警官が出動するということはなかなかないんだなと思いまして、改めて私の地方警察署での経験を思い出しました。  この点につきましては、先ほど言ったように、安全神話が崩れたり犯罪が凶悪化しているところもありますけれども、この治安のよさというのはやはり警察関係方々努力のたまものだということについては改めて私は敬意を表したいと思います。  しかしながら、敬意を表するだけじゃなくて苦言も呈さなければいけないわけでありまして、大臣御存じのとおり、ここ最近の警察官の不祥事ですね、一昨年ぐらいから、まず例のけん銃のいわゆる偽装工作といいますかそんな事件もありました。私のふるさとの群馬県でもちょっとそういう事件があったんですが、特にこの間起きた例の覚せい剤偽装工作は、罪もない一般市民を巻き込んだという点ではかなり衝撃の大きい事件だと思うんです。  こういう事件がありますと、世界の中でもモラルが高いということをプライドにしている日本警察としてはかなり異常な事態で、幾ら全国で一人一人の警察官警察関係方々努力しても、警察への信頼ということはこの一回の事件で大きく崩れてしまうと思うんですね。こういう一連の事件が起こった背景、いろいろ言われていると思います。評価のシステムがおかしいんじゃないかとか、ちょっと実績主義を改めるべきじゃないかと。  ここら辺のところは、国家公安委員長責任者として十分その原因を洗っていただいて、十分反省をしていただいて、こういうことが二度とないように、文字どおり先進国でも治安のいい日本をこれからも維持していただくために改めて警察行政に取り組んでいただきたいと思います。そこら辺の問題も含めてそれについての、ちょっと長くなりましたけれども、大臣の御決意をぜひ一言お聞かせいただきたいと思います。
  6. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 警察に対する激励やらまた率直な御意見、感謝を申し上げます。  まず一般論として、日本警察の今最大の課題は、山本委員が今御指摘になったように、長い間日本治安はいいんだということがみんなの張り合いでございました。警察だけでなくて国民もそういう気持ちを持っていて、だからこの治安を乱すものにはみんなで当たっていこうという気風が国民の中に全体としてあったからまた日本治安は守られてきたと、私はこう思うわけでございます。  冒頭御指摘があったような兵庫県の男子生徒に対するあのような残虐な事件とかあるいはオウム真理教事件は当然といたしましても、それ以外にも、日本治安はもう外国のように悪くなるんじゃないのかと、そういう気分がどこかで発生しつつあることに私は大変深い危惧を持っております。  そして、そういう特異重大事件一つ一つ確実に検挙していくというのが何といってもまず警察が今やらなきゃならぬことだろうと思っております。そのために、警察官の増強とかあるいは装備、資機材の充実等を含めて改善をいたしているところでございますけれども、一方で私は警察官機会あるごとに申し上げているのは、強い警察でなきゃならない、これは自明の理だけれども、強い警察というのはやはり国民信頼が得られる警察でなきゃだめなんだと、信頼がなければ国民協力は得られません。国民協力が得られない警察活動というのは最後は無力であるわけでございます。  そういう点で、今回、警視庁城東警察署で起きた事件は、委員が御指摘になったとおり、警察への信頼をまさに失わせる事件であった。しかも、一人というのならば二十三万人いる警察官の中でそれは確率論としてないわけじゃないでしょうが、結果としては三人の警察官が意思を通じ合ってこういう挙に及んだということを大変私は重視しております。  この事件が起きた直後の国家公安委員会でもこの問題について報告があると同時に、この問題だけでたしか三十分ぐらい国家公安委員の中でも真剣な議論がなされました。警察官に対する評価基準というようなところに問題があるんじゃないかということが指摘されると同時に、だれか一人そういうことをやろうと思ってもほかの警察官が断固としてそれはだめだと言わなきゃいけないのに、二人も巻き込まれたということは事は重大だから、この問題については警視庁において厳正な対処をすると同時に、この事件を参考にしながら今の考課あるいは評価というようなものの基準について全面的にもう一回見直すようにということで、国家公安委員会から警察庁の方に指示をしているところでございます。
  7. 山本一太

    山本一太君 今、大臣からかたい決意をお聞きして心強く思ったわけです。  あの須磨区の事件を見まして、子供たちに親御さんがぴったりくっついて通学送り迎えをしているというのを見ました。実は欧米の社会では子供の誘拐も多く、また子供をめぐる性犯罪も多いものですから、通学送り迎えは必ず親がやるというのが通例になっていまして、そういう意味で私は、日本犯罪においても西欧型の社会になってしまうのかなという大変な危惧を覚えました。  治安がいいというのは日本国家としての文字どおり強み一つだと思いますし、開発途上国の例を見るまでもなく、治安がいいということは経済活動政治活動社会活動を円滑に進める上の前提条件でございますので、これからもどうぞ大臣が今おっしゃったような決意を持って、日本警察としてプライドを持ってこの治安のいい国日本を維持していただくために努力をぜひとも続けていただきますように御要望申し上げたいと思います。どうぞよろしくお願いします。  それでは、暴対法の中身について少しお聞きをしてまいりたいと思いますが、暴対法平成三年に成立をいたしまして四年の三月から施行されたということで、ことしで五年が経過したわけでございます。  この五年間、暴力団を取り巻く環境がいろいろと変わったわけでございますけれども、この暴対法の五年間の評価、どういう効果があったのか、そしてこの流れを受けて、今回の改正趣旨と要点について、簡潔に一言説明いただければと思いますので、お願いします。
  8. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) 今御指摘のように、この法律を施行させていただきましてから五年を経過いたしました。この間、振り返ってみますと、この法律に基づきまして現時点で二十三の暴力団指定暴力団として指定をいたしております。  その結果、暴力団員数構成員数にいたしまして約八八%の暴力団員についてこの法律適用が可能となったわけであります。その結果、昨年の末までの数字でございますけれども、この法律に基づきまして四千八百四十件の命令を発しております。公安委員会及びその委任を受けました警察署長命令でございますが、四千八百四十件の命令を発しました。  これは具体的にいいますと、この法律制度目的一つでありました民事介入暴力、要するに刑法等の罰則で担保することのできない、防ぎ得ないそういう民事事件介入する暴力団の不当な行為をこれをもって規制することができるようになったということがございます。  また、この法律によりまして暴力団というものはいわば違法な集団であるというような評価を結果的にいただいたということに相なり、国民大変勇気を得まして、暴力団による被害等に関します警察それからこの法律に基づいて設置されました暴力追放運動推進センターに対する相談が飛躍的にふえております。現在、対警察及び対センターに対する相談合わせまして毎年約三万件であります。これはいろいろありますけれども、相談をされ、それを一つ一つ現在解決をいたしているところでございます。  その結果といたしまして、この五年に約一万人の暴力団勢力が減少いたしております。御承知のように、勢力と申しますのは構成員と準構成員、それを合したものでありますけれども、構成員も約一万人減っておりますし、全体としての勢力も一万人ぐらい減ったということでございます。要は、最終的には暴力団を壊滅することが我々警察究極目的でございますので、徐々にではあっても暴力団員数を減らしていくということによってそれを可能とするであろうと思います。  また、大変不安を与えます対立抗争でありますけれども、今委員が御指摘になりましたように、制定されましたのが三年で、施行されましたのが四年であります。それらの前年の二年までは事件としては三十件前後あったのでありますけれども、施行前の制定された段階で既に対立抗争は十件以下に減りまして、現在も十件を超すことはございません。そして、本年はまだ一件も発生をしておらないということで、このようなもろもろの活動によりまして市民に不安を与える抗争事件は激減をしたということなどもこの法律の大きな成果ではないかというぐあいに思います。  しかしながら、彼らは何としてもどういう手段をもっても資金を得ようとするそういう集団でありますから、この法律規制の網をくぐってくるということが散見をされるようになりましたので、今回御提案をさせていただくような改正事項をもってお願いをしておるということでございます。
  9. 山本一太

    山本一太君 今の御説明によれば、暴力団対策法は制定の目的をそれなりにというか十分に果たして機能してきたということだと思います。  おっしゃったとおり、バブル崩壊後、この暴対法効果もあり暴力団資金かなり窮乏しているということもあって、今おっしゃったようなさまざまな規制逃れ方法をあちら側も考えてくるということで、そこに今回の改正によって網をかけるということですから、そういう意味では非常にタイムリーな必要な改正であるという認識を持っております。  そこで、ほかの条項についてもちょっとお聞きをしたいと思うんですけれども、第十二条の五に、指定暴力団ではないが指定暴力団一定関係にある者が指定暴力団威力を示して不当要求を行うことを禁止するという点がございます。これは今回の法律改正一つ目玉だと思いますけれども、この趣旨について改めて御説明いただきたいのと、これは具体的に言うとどういう行為規制しようとしているのか、この具体的なものをお聞きしたいと思いますので、お願いします。
  10. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) 御承知のように、この法律暴力団という組織規制している法律ではございませんで、その組織に所属している構成員一定行為をすることを規制するという法律になっております。したがいまして、あくまでも個々人の行為規制する、そして現在は指定暴力団構成員規制を受けるということになります。  そこで、この法律が施行されましたときにかなり命令を出して規制してまいったわけでありますけれども、彼らは考えまして、構成員だと規制をされるので構成員でない者を使って構成員の命を受けた者が活動する、あるいはその組を抜けた形をとりまして、現在は指定暴力団員ではない状態をつくって規制を受けない形をつくった上で同様の行為をするというようなことが見えてまいりました。  したがって、我々としては、構成員であろうが準構成員であろうが、視察をいたしまして犯罪があれば厳しく取り締まるということをやっておりますけれども、この法律適用についてはそれが逃れられるということが生じたことによりまして、その指定暴力団員と意を通じているような者について同様の効果をもたらすような行為については規制ができるようにしていただきたいというのが趣旨でございます。  具体的に言いますと、ただ一般の人が規制を受けるということがあってはなりませんので、暴力団員一定関係を有する者というのをとらえました。例えば現行法によりまして、指定暴力団員不当要求をいたしました場合にその現場に立ち会っている者についてはこの法律規制を受けますけれども、そういうことをやった経験があるというような者でありますとか、暴力団からその暴力団の看板を使うことを認められた対価として金銭等を上納するというような関係を持っている者が多々おりますけれども、そういう者でありますとか、そういう者が指定暴力団威力を用いまして、現行法第九条各号に掲げております例えば高利債権の取り立てでありますとか、あるいは交通示談介入でありますとか、そういう行為をしたときには規制をすることができるというものでございます。
  11. 山本一太

    山本一太君 大変わかりやすい説明をしていただいたんですけれども、いろんな行為があると思います。  今御説明を聞いてみると、つまり自分の手を汚さずに自分がやりたいことを第三者にやらせる、そこら辺のところにきちっと規制が届くように網をかけると、こういう御趣旨であろうというふうに思うわけでありまして、これも今回の改正の大きな柱だと思いますので、ぜひとも厳格に適用していただくように御要望申し上げたいと思います。  それと、今回の改正一つ気になったことは、例の供託命令制度ですか、これは暴力団のやり得をなくして不当な要求による被害回復を促進するということで改正一つ目玉になるんではないかというふうに言われていたこともありますが、今回は改正案に盛り込まれなかったということだと思うんですけれども、これについて何か経緯、理由がありましたらお聞かせいただけますか。
  12. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) その問題につきましては、もともと暴力団というものは、先ほども申し上げましたけれども、違法、不当な方法によりまして一般国民から不当に資金を得るという集団であります。そういう集団でありますから、彼らが不当に得た収益等につきましては、税を払うとかあるいは被害者に戻すとか、当然もとに帰すべきところに帰すあるいは帰属すべきところに帰属せしめるということが肝要であろうと思いますけれども、それを彼らはマネーロンダリング等をやることによりまして回避してきているわけであります。これを何とか是正したいというのが我々の懸案の課題でございました。  他方、暴力団被害者は、犯罪被害者一般の方と同様の面もございますけれども、特に相手が暴力団であるということによりまして、民事訴訟手続でありますとかあるいは和解等手続でありますとかという現行法で定められた手法というものを用いることについてはなかなかちゅうちょがあったり踏ん切れないというところがございます。  そこで、その両方の問題を解決する方法として今御指摘供託命令という方法を考えたわけであります。そして、その供託された金品を見まして、被害者が弁護士の先生等に依頼をするなどして具体的に被害を回復するインセンティブを与えようというものでございました。  ところが、この課題というのは現行の法制のもとでも非常に難しい面を抱えておりますと同時に、今申し上げましたような被害者一般の問題も他方でございます。といいますのは、被害者が証人として警察捜査、事情聴取を受けることから始まりまして、いろんな刑事手続の中でどのように保護するかという問題もありますし、一般被害者全体が被害回復をいかにスピーディーにできるようにしてやるかという問題もございます。  ちょうどそういう問題を法務省の方も検討されているということでございまして、そうであるならば、被害者全体に関する救済対策というものを検討する過程におきましてこの暴力団被害者の問題を考えていった方がより整合性のとれた有効な手だてが考えられるのではないか、余り拙速をたっとぶよりもその方が正当であろうということで、引き続き検討してまいるということにいたしたわけでございます。
  13. 山本一太

    山本一太君 今の御説明によりますと、被害者一般に係るものを法務省と協議をしながらきちっとまたつくっていこうということでございますので、ぜひとも前向きに検討していただきたいと思います。こうしている間にもいろんな事件があってさまざまな被害者が生まれているわけなんで、一刻も早くこの制度のスタートを切れるようにまた御尽力をいただきたい、このように思います。  その他いろいろ内容について伺いたいこともあったんですけれども、もう時間が余りありませんので、関連の質問をさせていただきたいと思います。  私が最近気になっていることは外国人の犯罪組織状況ということでございます。この外国人の犯罪組織は、特にアジア系の外国人の犯罪組織日本に今随分進出してきている、こう言われております。これは先ほどおっしゃった暴対法かなり効果を上げているのでなかなか日本暴力団の身動きがとれないということも一つの原因かもしれませんけれども、日本の繁華街を中心にどうも外国の犯罪組織が根を張って、なかなか警察庁の手が届かない状況もあるのではないかという懸念も昨今言われているところです。  八年中の来日外国人の刑法犯の検挙状況を調べてみると、十年前と比べて検挙件数が一万九千五百十二件と約八倍になっているわけでして、検挙人数も十年前と比べて三倍以上ということになつ  ております。  いろんな報道等を見ますと、日本活動している外国を本拠とする犯罪組織としては、例の香港の爆窃団とかあるいは韓国暴力すりというのもありますし、ナイジェリア人や中国系の偽造クレジット使用詐欺グループもあるというような情報もありますし、香港の犯罪組織で三合会というものもある、あるいは台湾の犯罪組織なども日本に進出をしてきているというふうに伺っているわけであります。  最近の新聞報道でありましたけれども、香港マフィアの三合会十四Kと言うんだと思いますが、大体構成人数が四十人から五十人という報道で約千人ぐらいが実は日本の中で活動している可能性もあるというような指摘がなされたところであります。  先ほどおっしゃった暴対法指定暴力団が二十三団体ということで、暴力団員数が千人を超える団体に限りますとかなり限られている、六団体ぐらいしかないということから考えますと、日本治安にとってこの外国人の犯罪組織の問題というのは脅威であるということが言えると思いますし、我が国の暴力団の実態に比べてなかなか実態がつかめないという状況があるように思います。  警察庁としても外国人犯罪組織の実態解明のために、九年度予算だと思いますが、警察官の千五百人の増員のうち五百人でしょうか、これを専従捜査班としたやにも聞いております。四月には外国人の窃盗摘発のための通達を出したというようなことも伺っているのですが、現時点で警察庁がこの外国人犯罪組織の実態をどういうふうにつかまえて、どういう対策を考えておられるのかについてちょっと見解を伺いたいと思います。
  14. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) 御指摘のように外国人、特に外国人犯罪組織といいますか、そのメンバーが今我が国の中に入ってきているという形跡があることはそのとおりでございます。ただ、まことに残念ではありますけれども、その全容を我が国警察が掌握し切れているかといいますと、今はその段階にはございません。  御承知のように、ある犯罪が敢行されましたときに、その犯罪日本人によって行われたか外国人によって行われたかというのは発生の段階では通常はわかりません。したがって、その犯罪の実態あるいはそれを敢行している外国人犯罪組織というものを解明するためには検挙しなければならないということで、現在、非常に困難ではありますけれども、その組織犯罪の検挙に向けて増員をいただいたものを含めまして、体制の強化を図るなりあるいは捜査の方向性といたしましてそういうものに重点を置くという運営を行うようにいたしているところであります。  今お話のありました三合会十四K、これはトライアドと言うようでありますけれども、中国では歴史のある系譜を持ったそういう犯罪組織であるようであります。そういうもののこぼれた者が我が国に入ってきているということもありますし、香港爆窃団、爆窃団というのはどうやら日本で言いますと侵入盗犯罪集団というような意味のようでありますけれども、日本の窃盗団と違いまして全く手法が違うと。ビルの壁を横から破って集団で入ってくる、現金には目もくれずに品物を一切合財持って直ちに外国へ輸出してしまうというような窃盗集団でございます。  そうした者を検挙することによって、徐々にではありますけれども実態がわかりつつあります。そういう検挙活動を重ねていきまして解明をし、その組織をつぶし、あるいは日本国内に入れないようなそういう方途というものを外国の捜査機関と連携を強化しながらとってまいりたいというぐあいに考えて、鋭意努力しているところでございます。
  15. 山本一太

    山本一太君 今おっしゃった方向でぜひとも全容解明に向けて御努力をしていただきたいと思いますし、現地の警察当局との協力をぜひ緊密にしながらこの問題に取り組んでいただきたいと思います。  この問題に関しましてもう一つ気になることは、そういった外国人犯罪組織日本暴力団とのつながりの問題であると思います。今、海外からの密入国もふえておりますし、高級車盗難密輸事件みたいなものも多発をしているわけでございますけれども、これらについてはどうも日本暴力団と外国人犯罪組織とが手を組んでいる節があるというふうにも報道されているわけでございます。  暴対法の施行により、暴力団組織の寡占化が進んでいるということが言われておりまして、山口組、稲川会、住吉会ですか、今この重点三団体の寡占化が進む中で、系列を超えてこういった暴力団が連携するという問題もあるんでしょうけれども、特に中国人の密航に見られるように、外国の犯罪組織と結びつきがどうも強まっているというような報道もなされているところでございます。この点についてはどのように把握され、どのような捜査を進めておられるのかということを伺いたいと思います。
  16. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) 御指摘のとおりでございまして、いわゆる蛇頭と言われるもの、蛇頭というのは特定の集団というか組織を指しているものではないようであります。私どもが理解しているものでは、中国人あるいは台湾人がリーダーとなりまして、密航希望者の勧誘をする者、送り出す者、それから運搬する者、受け入れる者、そうしたものを任務分担している、そういう密航にかかわっている者たちを指して蛇頭というぐあいに一般的に呼んでいるということのようでありますけれども、これらと暴力団とがかかわっているという検挙事例が多々出てまいっております。  当然彼らは金目的でありますので、送り出す方の蛇頭それから日本において受け入れる蛇頭、これの金の分担がございますし、日本において受け入れるに当たりまして暴力団と連携した場合には、その暴力団と折半する等の金の分担を行っております。そういう実態も徐々に解明されてきております。  それから、窃盗の場合には、ロシアのマフィアに対しまして高級自動車等を輸出する、これに暴力団がかかわってやった、あるいは輸出のルートを暴力団が築いてそれを流していく、その場合にはAという暴力団内部だけでやるのではなくて別の指定暴力団と連合してやるというような形で、まことに以前には見られないようなそういう動きというものが出てまいっております。  そこで、暴力団と外国組織のつながりにつきましては検挙過程の中でさらに解明をしてまいり、両方とも摘発をしていくという心構えでやってまいりたいというぐあいに思っております。
  17. 山本一太

    山本一太君 もうお聞きしたいことは山ほどあるんですが、時間になりましたので別の機会に、今度はもうちょっと時間をとってじっくりいろいろ質問させていただくこととしまして、一分ちょっとオーバーしましたけれども、上吉原委員に譲りたいと思います。  ありがとうございました。
  18. 上吉原一天

    上吉原一天君 いわゆる暴対法は、今お話がありましたように施行後五年を経過したわけでございますが、この間に一般国民の間では暴力団排除の機運が高まりました。また、警察の方でも従来以上に暴力団対策に力を入れて取り組んでこられまして、その成果も着々と上がっておるというふうに理解をいたしております。  私は、暴力団社会から根絶するためには、その活動の足腰を弱めていくことが効果的であろうというふうに思いますが、もちろん警察の方でもそういった考えに立っていろんな対策を講じているものと思います。この問題は特に資金源の封圧が重要であろうというふうに考えておりますが、そのためには警察だけではなかなか十分の対策が立てられないのではないか、いろんな機関と協力をすることによりまして対策が一層有効になろうかと思います。  そこで、警察では暴力団資金源封圧のためにどのような対策をとっているのか、そして他の機関との連携の状況はどうなっているか、これをまずお聞きしたいと思います。
  19. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) 暴力団は不当に資金を得るための暴力組織でございますから、この資金源の封圧というものが手段でありかつ最終目的だと言ってもよろしいかというぐあいに思います。  したがいまして、私どもはこの資金源の封圧のために、資金を得させないそして得た資金は何とかして取り上げるということで努力をしてまいっておるわけでありますけれども、これまでは彼らは犯罪行為によって得たものが資金源の大半を占めておりました。しかし、だんだん企業活動等を中核とする経済活動へシフトしてまいっておりまして、一方で市民の民事問題に介入をいたしまして民事介入暴力という形で、この分野から得る資金の比率というものが年々ふえているというぐあいに見込んでおります。  したがって、この法律によりまして四千八百四十件の命令を課したということは、それだけこの命令に対してはほとんど違反がございませんので、彼らが手を出し始めた命令を出してとめられた部分については収入を上げることができないという状態になっておりますし、取り締まりも引き続き強化をしているということでございます。  それから、企業を初めといたしまして個人の事業者それから一般市民に対し、暴力団の不当性、危険性というものを知っていただく努力を重ねて、また各般の方々に御支援をいただきまして暴力団の排除運動というのは極めて盛んになってきております。その結果、彼らは孤立をしてまいっておりまして、経済活動に手を出そうとしつつもなかなか出し切れないという部分も多々出てまいっております。したがって、非常にインパクトの強い方法ではございませんけれども、もろもろの方法によりまして彼らの資金源というものは苦しくなってきているというのが実態でございます。  なお、関係機関との連携の問題でありますけれども、特に税務当局との関係というものは重要だということで二十年来良好な関係を築かせていただきまして、所要の通報をさせていただいております。平成八年に関しまして申し上げますと、警察庁に報告のありましただけで約九十億を税務当局に通報いたしておりますけれども、所要の措置がとられているものというぐあいに期待をいたしておるところでございます。
  20. 上吉原一天

    上吉原一天君 暴力を背景としましてみずからの利益を求めるという団体がはびこるということは民主主義の社会では決して許されることではなく、また暴力団をみずからの利益を守るために利用したり、あるいは面倒なことを避けるためにこうした者に金銭を与えるということは暴力を助長するということになるわけでございます。したがって、暴力団社会から根絶するためには一般市民もこれに対し毅然たる態度をとっていかなければならないと思います。  来月は株主総会のシーズンでもございますし、また最近、新聞などで総会屋関係の報道も多数なされているところでございます。そこで、最近の総会屋の動向及び総会屋に対する取り締まり方針についてお伺いをいたします。
  21. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) 現在、警察が把握いたしております総会屋の勢力は、昨年末で約千人ということでございます。このうち明確に暴力団関係者である、すなわち構成員あるいは準構成員であると申し上げることができる者が約九十名でございます。しかし、年々それ以外の総会屋におきましても暴力団との連携を深めてきている、といいますのは、そうしなければなかなか企業から金を取れないというような状況になってまいっておりまして、暴力団との癒着というものを深めてまいっております。  他方で、御指摘のように、商法が改正されまして以降、企業に対しまして特に警察あるいはセンターの方から、暴力団あるいは総会屋からの不当な要求に対して毅然として断るようにということを要請し、またそれに従って徐々に縁を切る企業がふえてまいっております。そういうようなことから、ここ三年間は株主総会の会場におきまして検挙されるに至るような総会屋の暴力的行為というものは発生をいたしておりません。  しかし一方で、引き続き個々に企業に訪問をいたす等のやり方によりまして個別に収益を得るという活動は継続をされておりまして、これを何としても断ち切るということで、なかなか難しい状況もございますけれども、粘り強くその努力を重ねてまいりたいというぐあいに考えております。
  22. 上吉原一天

    上吉原一天君 最近における利益供与事犯、商法四百九十七条ですか、この検挙の状況はわかりますか。
  23. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) 昭和五十七年以降、警察が検挙をいたしました商法四百九十七条違反、利益供与でありますけれども、これは二十六事件でございます。  御承知のように、現在、東京地方検察庁におかれてはさらに別の事件捜査中というぐあいに承知いたしております。特に平成四年でありましたか、大手スーパーに係る利益供与事件を検挙いたしたわけでありますけれども、そのときの事件以降供与額が非常に大きな額が検挙されております。検挙数が徐々に減ってはおりますけれども、供与をしている企業にあっては従前にはない額の供与を引き続きやっているという状況がうかがえるわけでありまして、この事件につきましてもさらに検挙を進めてまいるように努力してまいりたいと思っております。
  24. 上吉原一天

    上吉原一天君 総会屋に対しては厳しい態度で臨んでいただきたいと思います。  次に、今回の改正案内容について数点お伺いをいたしたいと思います。  まず、今回の改正案では、指定暴力団等や指定暴力団員の業務に関して行われる暴力的要求行為防止するため、公安委員会が必要な事項を命ずることができるという規定を新たに設けておりますけれども、これを新たに設ける理由についてお伺いいたしたいと思います。
  25. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) この法律規制をされますのは、実際に特定の行為を行ったその個人ということになります。したがいまして、例えばAという被害者に対しましてXという暴力団員が来ましたときには、その行為についてはXに対して命令を課す。ところが、同じAという被害者に対しまして別のYという暴力団員が来ましたときには、またそのYに対して命令を出さなきゃいけないと、そういう問題が生じております。  他方で、現実の問題といたしまして、暴力団は勝手に個々人がそういう収益活動をやっているわけではございません。親分なりあるいは兄貴分の統制のもとに行っているというのが実態であります。そして、それはあれこれ組織としてはやりますけれども、その組長なりあるいは兄貴分におきましては一定の継続してやっている収益事業がございます。みかじめ料を取りますとか、あるいは用心棒料を取りますとか、あるいは債権取り立てをやりますとか、一定のノウハウを蓄積いたしました継続的事業をやっておりますが、そういうもとでありますから、先ほど申し上げましたようにXとかYとか次々に別の組員が来るということでございます。  したがって、そういう繰り返し行われる行為、そして組織として行われる個々人の行為というものをできる限り減らそうという趣旨改正をお願いしているということでございます。
  26. 上吉原一天

    上吉原一天君 理由はわかりましたけれども、この改正の十二条の二では一定の要件に該当した場合に規制をするということになっていますが、具体的な事例としてどんなものを想定しているんでしょうか。
  27. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) 例えて申しますと、いろんな形態がございますけれども、十二条の二の各号に掲げている行為ということになりますが、第一号では、例えば暴力団全体として用心棒料を徴収することを業としているという組もございますし、あるいは組としてはいろいろやっておりますけれども、別に会社をつくりましてその会社の代表者等に指定暴力団員がおさまりまして、その会社の事業として物品販売をやっているというものもございます。それから、その指定暴力団一つの傘下組織の組長の統制のもとで、縄張り維持のためのみかじめ料徴収をやっているという行為がございます。これらの行為がそれぞれ具体的な対象行為となります。
  28. 上吉原一天

    上吉原一天君 暴力団民事事件介入いたしまして資金を得ているという話があるわけでございますが、その形態として威力を利用して債権の取り立てを行うということでございます。現行法では高利の債権取り立て行為以外は規制がないというふうに理解をしておりますけれども、今回の改正案で新たに不当な債権取り立て行為規制をされております。この禁止する理由をお聞かせいただきたいと思います。
  29. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) 当初は、暴力団といえども債権を有する場合にはその取り立てを行うことは民事上許されている行為だということで、不当に高利の利息を定めた契約に基づく取り立てを規制するということで現行法を規定していただいたわけでございます。  ところが、バブルが崩壊をして以降特にでございますけれども、暴力団自分の債権ではなくて人の債権の取り立てを依頼を受けて、当然金目的でありますから報酬を受けて取り立て業を行うということが非常に目立ってまいりました。そこで、暴力団資金行為一つとして最近目立ってきた債権取り立て行為というものを規制していただけるようにお願いしたということでございます。
  30. 上吉原一天

    上吉原一天君 今お話がありましたように、バブル経済の崩壊の影響もありまして、金融機関の不良債権の処理問題が論じられてきたところでございますが、こうした問題に暴力団が関与しまして資金を得ているという話も耳にしております。改正案に規定されているような不当債権取り立て行為も債権回収などへの暴力団の関与の一形態と言えると思いますけれども、取り組み状況についてお伺いをいたします。
  31. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) 確かに金融・不良債権問題というものが我が国の重要な課題となってきたということで、一方、その過程で回収に暴力団介入してきているという実態も顕著になってきたということでございます。  そこで、昨年の初めに警察庁にこの種問題の対策室というものを設置いたしますと同時に、都道府県警察に対しましてこの種事犯に対する取り締まり及び捜査の強化を指示したところでございます。そしてまた、今年度、長官官房に担当の参事官を設置していただきまして、住管機構でありますとか債権回収銀行等、関係機関との連携を保つことをその任務とするポストを設けていただきました。また、大変厳しい状況のもとではございましたけれども、今年度、この種事犯に当たるべく地方警察官の増員をお認めいただいたところでございます。  このような体制を整備いたしますとともに、大変この種事案は難しいのでありますけれども、その法令等の研究を進めて何としても検挙を進めていくと。そしてまた、執行官等この種の取り立て等に当たりますそれぞれの方々の保護というものを徹底いたしまして、心置きなく債権回収業務が完遂できますように支援をいたしてまいりたいというぐあいに考えているところでございます。
  32. 上吉原一天

    上吉原一天君 我が国の治安については安全神話があり、またそれだけ国民警察信頼しておるということでございますので、ひとつ暴力団対策についても全力を挙げて取り組んでいただきたいということをお願いしまして、終わります。
  33. 風間昶

    ○風間昶君 平成会の風間です。  今回の暴対法改正に関して数点まずお伺いしたいと思います。  暴力的要求行為の再発防止命令を出すに当たりまして、行為を行う者は上位の暴力団とどの程度の関係性があるのか。例えば具体的に言いますと、上位暴力団員がけしかけたり唆すといったことなど意思の連絡は必要あるのかないのか、ちょっと伺いたいんです。
  34. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) この規定は、先ほどもちょっと御答弁申し上げましたように、暴力団一人が勝手にやっているということでは現実にはないと。それは組長なりあるいはその組全体のあるいは自分の兄貴分のそういう統制のもとに継続して行われる事業として展開をされているということでございますので、客観的にそういうものの継続事業に関連して行われているということであれば、この十二条の二の適用を受けるということでございます。
  35. 風間昶

    ○風間昶君 もうちょっとわかりやすく答弁していただきたい。僕は暴力団関係は素人ですから、わかりやすく説明していただきたいんです。  次に、法改正のところでへ指定暴力団員が第三者に対して準暴力的要求行為を唆したりけしかけたりする場合、再発防止命令は促した方の暴力団員の上位の暴力団員に出すことができるのかどうか。促した暴力団員の上位暴力団員がそれを熟知しているような場合、一定要件のもとに上位暴力団員に対する再発防止命令というのを出せるのか出せないのか教えてもらいたい。
  36. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) 説明の便宜上、ちょっと分けて御答弁させていただきたいというぐあいに思いますが、現行法の規定と関連しておりますので、まず現行法の規定から御説明申し上げたいと思います。  十条という規定がございまして、先ほど申し上げましたように、九条で個々の指定暴力団員一定行為をすることを規制されているわけでありますけれども、その行為をすることを何人も要求してはならないという規定が十条第一項にございます。したがって、この何大もというのは指定暴力団員でも該当するわけでありますので、指定暴力団員指定暴力団員に対しそういう要求をすればこの現行の規定の適用を受けるということであります。  ただし、現行規定はあくまでも指定暴力団員に対してございます。したがって、指定暴力団員指定暴力団員以外の者に対して要求をいたしましても現行法では規制を受けません。したがって、それをすり抜ける手法として、指定暴力団員でない者を使って間接正犯的にやる行為が出てまいったということでございます。  そこで、今御指摘の十二条の三という今回の改正規定でございますけれども、今度は「指定暴力団員は、人に対し」ということでございますので、指定暴力団員であろうが指定暴力団員でなかろうが人に対して要求した場合には、その要求した指定暴力団員に対し命令を課そうというものでございまして、要求をされた暴力団員以外の者についてはこの規定によって規制を受けるものではございません。  大変わかりにくくて恐縮であります。
  37. 風間昶

    ○風間昶君 最後のところをもう一回お願いしたい。
  38. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) もう一度整理して申し上げますと、現行法ではあくまでも規制を受けるのは指定暴力団員であると。したがって、その指定暴力団員に対して何人も要求してはだめだということであります。今度の改正規定は、指定暴力団員が人に対してそれを要求してはだめだということでございます。  ただ、してはならないという行為は何かといいますと、それを準暴力的要求行為というぐあいに定めているわけであります。これは定義規定が二条のところにございまして、指定暴力団員以外の者が指定暴力団威力を用いまして九条各号に掲げている行為を行うことが準暴力的要求行為であります。  したがいまして、平たくまとめて申し上げますと、指定暴力団員指定暴力団員でない者に対しましてその指定暴力団威力を用いて債権取り立て等の行為をすることを要求することを禁じたということでございまして、命令を受けるのはあくまでも要求した指定暴力団員でございます。  個々の行為規制するという体系をとっておりますために大変複雑で恐縮でございますけれども、御理解いただければ幸いでございます。
  39. 風間昶

    ○風間昶君 どうもちょっとまだすっきり落ちていないんですけれども。  今もちょっと準暴力的要求行為というお話をされました。おれは風間組だというふうに言うことも準暴力的要求行為になるのか。いわゆる恐喝だとか強要とかということも入ってくるようなニュアンスで受けとめたんですが、準暴力的要求行為というのは定義が二条に書かれているというふうにおっしゃっていますけれども、もうちょっとわかりやすく、準暴力的要求行為とはどんな態様があるのか。
  40. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) ちょっと具体例で申しますと、私は指定暴力団員ではございませんが、例えば私が山口組という指定暴力団威力を使いまして、おれは山口組だという名刺を出します。この九条に書いてございますが、おまえはこういう人物とつき合っているだろう、それをマスコミに公表するぞということを脅迫にならない程度の文言で申しました場合には、これは現行法では規制を受けませんけれども、指定暴力団員でない私が指定暴力団である山口組の威力を用いて九条に規定している規制されている行為というものをやれば、これが準暴力的要求行為であります。指定暴力団員がやりますと、これは現行法の暴力的要求行為であります。したがって、指定暴力団員でないということを表示するために「準」という言葉をつけて表現させていただいたということでございます。
  41. 風間昶

    ○風間昶君 さっきの第一問でもちょっと十二条の話が出ました。この十二条の五で指定暴力団と特定の関係を持っている者の準暴力的要求行為は禁止されていますけれども、この特定性というか、その解釈基準はやっぱり明らかにする必要があるんではないかと思うんです。結局、この一号から五号まで準構成員をも含めたものなのか、あるいはもうちょっと広く、準構成員でなくてもかかわり合いを持っていらっしゃる方がそこの指定暴力団威力をかさに着るような形でやった一般人も含めているのか、その辺はどうですか。
  42. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) 実態から判断をいたしますと、この十二条の五の規定によって規制を受ける人、準暴力的要求行為をすることとなる人は、通常は準構成員であろうと思います。しかし、準構成員というのはこの法律で定めているわけではございませんので不明確だということで、十二条の五の各号によりまして具体的に規制を受ける人を定めたわけでございます。  例えて言いますと、第一号は「十二条第一項の規定による命令を受けた者であって」ということでありますので、先ほど言いました十二条第一項といいますのは、何人も指定暴力団員に対し暴力的要求行為要求してはならないという規制があります。  したがって、例えば事業主が債権の取り立てのために自分が行かずに指定暴力団員を使ったということで規制命令を受けたという経験を持った人、この人はその指定暴力団とのつながりがあるということが具体的に法令上明確になった人と言ってよいと思います。その人が命令を受けた日から起算して三年を経過しない場合ということであります。これも十年前の行為だとかそういうことではなくて、つい三年前以内に指定暴力団員に対して不当行為をすることを要求したということで公安委員会から命令を受けた経験を持つ者。  あるいは、一番最後の五号の規定でございますけれども、これでいきますと「指定暴力団員との間で、その所属する指定暴力団等の威力を示すことが容認されることの対償として金品等を支払うことを合意している者」、端的に言いますと、俗に言う企業舎弟がこれに当たります。  企業舎弟というのは暴力団員が勝手に使っている言葉ですので私どもはこれを使うことをよしといたしておりませんけれども、非常にちまたではわかりいい言葉ということもあるようでありますのであえて申し上げますと、彼らは自分自身は暴力団員ではございません。しかし、企業の代表者としてあるいは実質的な経営者として企業活動を行っております。そして、そのときに自分としての事業活動を円滑に行うために、山口組なら山口組の威力を使っているわけであります。山口組はその威力を示すブランドとして山口組というものがあるわけでありますから、これを勝手に使われることを決して容認いたしておりません。したがって、それが容認されるためには相当の対価を納めなければそれを使うことはできないというのが現実でございます。そういう者をして企業舎弟というぐあいに彼らは呼んでおります。  それが五号の「者」に当たります。これはもう明らかに指定暴力団と具体的に特定の関係を有する者と言ってよろしいだろうと思います。その者が直ちに規制を受けるわけではありません。それが山口組という暴力団威力を用いまして九条各号に掲げてある行為をやればその時点で規制を受ける、命令を受けるということでございます。
  43. 風間昶

    ○風間昶君 そうすると、十二条の一号から五号まで含めると、準構成員だけではなくて指定暴力団威力をかさに着るような一般人も含まれているという解釈でいいんですか。
  44. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) 今申し上げましたような具体例でおわかりいただけるかと存じますけれども、こういう者は、我々が今まで視察をしてまいったあるいは検挙してまいった暴力団の周辺者の中では、我々の言う準構成員以外には現実にはおりません。こういう者を我々は準構成員として把握をしているわけであります。一般の本当に純潔な市井の方がこういう行為をするはずがありませんし、しておりません。  したがって、完全に一致するかと言われますと、厳密の意味ではそうとは言えないかもしれないけれども、実態から申し上げれば、それは我々の言う準構成員以外にはちょっと考えにくいということでございます。
  45. 風間昶

    ○風間昶君 しつこいようですけれども、そういう行為をもし一般人がしたら、それは準構成員の方になるんじゃないんですか、違うんですか。
  46. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) ただその場合にも、今申し上げましたように命令を受けてから三年がたっていないとかそういうことに該当しない限りは、いわゆる一般人であってもこの命令の対象となりませんので、準構成員であるかどうかにかかわらずそもそもらち外だということになります。    〔委員長退席、理事朝日俊弘君着席〕  したがって、この命令の対象にならないからといって準構成員でないというわけではございませんし、準構成員だから直ちにこの命令の対象になるというものでもないということでございます。
  47. 風間昶

    ○風間昶君 わかりました。  対立抗争では極めて銃器の使用の可能性が高いわけですけれども、その場合、警察庁として事務所の使用を制限するだけでなくて、周辺住民の生活の安全というか平穏を保つためには、今回の改正と合わせた形で効果的な銃器摘発体制、密輸の防止策について、今までもやっていらっしゃるようですけれども、さらにきちっとやっていくために、新しい考え方というか対応の仕方等を研究されているかどうか伺いたいんです。
  48. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) 銃に関しましては一般的に銃刀法で規制をされておりますから、銃がそこにある可能性があるということでありますれば、それは事務所であろうが居宅であろうが銃刀法違反として私どもの捜査の対象になるということでございます。  しかしながら、現実にはだれがどこに銃を持っているかということ自体を把握することが非常に困難だということでございますので、その所在がわかれば、あと手法は確保されているということでございますので、問題はその実態の把握と情報の収集ということになろうかと思います。それにつきましては、まことに地をはうような活動によって初めて年間千三百丁あるいは千四百丁という銃を押収することができるに至っているということで、なかなか難しい分野の一つだというぐあいに申し上げなければならないだろうと思います。
  49. 風間昶

    ○風間昶君 もう一つの法の改正要点で「暴力的要求行為に係る行為類型の追加に係る規定の整備」ということで、不当な態様で金品等を目的とする債務履行を要求する行為規制するというふうにありますが、この不当な態様の取り立てというのは訪問と電話ということで規制されていますけれども、例えば電子メールで要求された場合とかあるいはインターネットの掲示板に告知しておくとかということについてはこれから出てくる可能性があると思うんですけれども、どうですか。    〔理事朝日俊弘君退席、委員長着席〕
  50. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) 御指摘のように、そういうことは可能性としてはあり得るというぐあいに考えます。ただ、このお願いをいたしております改正規定におきましても、全くそれが適用の可能性はないかというと、そうではない部分がございますけれども、しかし訪問、電話ということになりますと、それは御指摘のとおりでございます。  ただ、この法律の体系というものは、再三申し上げておりますように、現実にあります暴力団の行っている行為、そしてこれが犯罪として問擬しがたいけれども現実には市民が大変大きな迷惑を受け、かつ彼らとしては極めて大きな資金源となっているというものを定型化しそれを類型化いたしまして規制行為として定めるということでございますので、現在のところこのような手法をもって不当要求をしているという実態は我々におきましては承知いたしておりませんし、また威力を示して不当な要求をするというこの法律規制趣旨から申しますと、多分なかなかそういう行為は彼らはとらないのかなというぐあいに思いまして、今申し上げたような改正規定にさせていただいているわけであります。  したがいまして、今後そのような方法による行動というものが通例化をいたしますならば、それはまた規制の網をかけていかなきゃいけないということになるであろうというぐあいに存じます。
  51. 風間昶

    ○風間昶君 非常に甘いと思いますね、通例化するようになったら対応すると。じゃ、通例化するまでに何人か被害者が出たらそれはどうなるんですか。  だから、そういう意味では、例えば薬物にしたって今携帯電話を介して取引されているということもあるわけですから、いわゆる不当対応での取り立てについて、電子メールあるいはインターネットの掲示板に出るということもあり得る話だから、それに対する対応を予測した上で考えておかなきゃ、今改正する法案では考えていないとしても、これは即時見直しをしていくぐらいのことを考えなきゃならないんじゃないか、私はそういうふうに思います。  そこで、この不当な対応での債権取り立てについて貸金業法の二十一条にも規制がありますね。その規制と今回の法案の規制と、行為態様としてどんな違いがあるんですか、端的に言うと。
  52. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) 委員承知のように、貸金業法の二十一条第一項の規定でございますけれども、これによりますと「貸金業者又は貸金業者の貸付けの契約に基づく債権の取立てについて」とございます。したがいまして、この業法によります取り立て行為規制はあくまでも貸金業者の貸し付けの契約に基づくその債権の取り立てということになります。今回、暴力団について規制をお願いしようというものは、貸金業者である必要はございませんし、必ずしも消費貸借に基づく債権ということに限ったものではございませんので、貸金業の問題よりも非常に対象は広範だということが言えます。  それから二つ目といたしまして、貸金業法の方は「債権の取立てをするに当たって、人を威迫し又はその私生活若しくは業務の平穏を害するような言動により、その者を困惑させてはならない。」というぐあいになっております。この違反に対しましては直ちに罰則が適用されるというようなことでございますが、この改正規定におきましては、そういうような犯罪行為として問擬しなければならないような威迫あるいは困惑を生ぜしめるような行為に至らない行為でもこの規定では命令を課すということで規制をすることができると、この二つの意味におきまして範囲が違っているということでございます。
  53. 風間昶

    ○風間昶君 それでは次に、暴力団資金関連についてちょっとお伺いしたいんですけれども、銀行の不良債権の償却に関して、その二割ぐらい、言われているところは合計で五兆円ぐらいがやみに流れたんではないかと推測する弁護士さんもいるようですが、警察庁として暴力団資金規模をどのように把握しているのか。現在、暴力団資金力について、推計値だと思いますけれども、概要を教えてもらいたいんです。
  54. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) これはあくまでも私どもとしては推計ということにならざるを得ないのでありますけれども、大変な作業量というか事務量を要するということで、平成元年に行った調査が一番規模の大きいものでありました。それによりますと、その当時の暴力団全体の年間収入といたしましては総額一兆三千億円余りであろうというぐあいに推計をしたものであります。これは具体的に個々の暴力団員から聞き取りをいたしました。検挙した暴力団員が中核であります。それによって積み上げていったものであります。  その後の調査といたしましては、例えば暴力団は上納という制度を持っておりまして、要するに集金マシンでありますから、暴力的に金を集めるそういう組織であります。金は下から上へ流れていくということが暴力団の本質でありますが、それを上納という手法によって吸い上げております。その上納金というものは、毎月下から上の組長へ、その組長からまたさらにその上の組長へということで、徐々に上納をしてまいります。  山口組、稲川会、住吉会、この大きな三団体につきまして申し上げますと、最近の我々の推計では、三団体で年間七十八億円が一番上の親分のところに入っていると。そうしますと、その下の二次団体、その下の三次団体のそれぞれの組長にはそれとは別の金が上納されておりますから、その集約された額というものは膨大な金になるということでございます。  そして、これは次々に交付をしてまいりますので、それは一つのマネーロンダリングでございます。したがって、組長のところへ来たときにはどういう方法によって得た金であるかというのは皆目わからない、また知ろうともしない、知らないで済むということで、組織内マネロンを毎月やっているということであります。そういうようなことも最近の調査では推計しております。
  55. 風間昶

    ○風間昶君 今、マネーロンダリングの話が出ましたが、要するに暴力団のような組織犯罪にどういうふうに対処していくかがこれからの刑事行政の大きな課題だと思うんです。特にマネーロンダリングの防止について、法務省に来ていただいていましたら、どういう対応策を検討されているのか、伺いたいと思います。
  56. 渡邉一弘

    説明員(渡邉一弘君) お答えいたします。  まず初めに、組織犯罪対策と申しますか、その検討状況、それからその中で検討されているマネーロンダリングの処罰の状況について御説明申し上げたいと思います。  再三これまでもお話が出ましたように、近年、我が国におきましては、暴力団による暴力事犯にとどまりませず、暴力団あるいはその他の団体による各種犯罪、あるいはオウム真理教事件のような大規模な凶悪重大事犯、さらには会社などの法人組織を利用した詐欺商法等の大型経済事犯等の各種の組織犯罪が多数発生しております。  こうした犯罪情勢にかんがみまして、刑事法の分野において……
  57. 風間昶

    ○風間昶君 御説明は結構です。防止策をどのように考えているのか、お伺いしております。
  58. 渡邉一弘

    説明員(渡邉一弘君) 現在、そのような対策として、法務大臣から昨年の十月に、組織犯罪に対する法整備ということで法制審議会に諮問いたしまして、そこで鋭意審議をいただいているわけでございます。その中で、マネーロンダリングの処罰及び犯罪収益等による事業経営の支配等の処罰が含まれております。  その内容を申し上げますと、マネーロンダリング罪の前提犯罪を、現在は薬物犯罪に限られておるわけでございますけれども、それ以外の重大犯罪に拡大すべきであるというのが国際的な要請であることを踏まえまして、一定の重大犯罪等による犯罪収益のマネーロンダリング罪を処罰するとともに、その重要な目的一つが合法的な経済活動への悪影響防止するということであることにかんがみまして、正常な経済活動に悪影響を与えるような犯罪収益等による法人、会社等の事業経営の支配行為犯罪化することのほか、さらに犯罪収益の没収、追徴の拡大ということが諮問事項の中に含まれているわけでございます。
  59. 風間昶

    ○風間昶君 もう一点、法務省にお伺いしたいんですけれども、今回の法改正で見送られた形の、暴力団の方が何らかの行為をして、それによって被害を受けられた被害者方々に対する救済として供託金制度の創設が議論をされたと思うんです。法務省でこの被害者救済の観点からどういう供託制度を考えられていらっしゃるのか。法務省としていずれ出される予定もあるやに聞いていますけれども、内容とその法案提出時期に関しての御意見をいただければと思います。
  60. 渡邉一弘

    説明員(渡邉一弘君) 御承知のように、暴力団被害者だけではなくて犯罪被害者について言えることでございますけれども、犯罪被害者犯人から任意に被害の回復を受けられない限りは、現行では民事手続により被害回復をしなければならないわけでございます。ところがそうなりますと、その過程で財産が散逸したりあるいは被害者による証拠資料の収集が困難となることなどから、迅速あるいは的確な被害回復を図るには種々の問題があることは否定できないと考えておるわけでございます。  そのために法務省の刑事局におきましては、以前からこの種の問題を重要な課題として考えまして、刑事手続との関連において被害の回復の実現を図る手続などについて検討を行ってきましたけれども、債権者平等の原則とか民事手続との関連がございまして、解決しなければならないさまざまな問題があるため、現在民事局などの関係部局と共同して種々の角度から検討を行っているわけでございます。  できる限り早期に準備作業的な粗ごなしを終えまして、関係各方面の御意見も聞きながら制度の骨子案の作成に向けて鋭意努力しているところでございます。
  61. 風間昶

    ○風間昶君 いつごろになりそうなんですか。
  62. 渡邉一弘

    説明員(渡邉一弘君) 現在、部内で、民事局、刑事局それから司法法制調査部を加えまして、鋭意粗ごなし的な検討をしておりますので、できるだけ早期に制度の骨子案を策定したい、こういうふうに考えております。
  63. 風間昶

    ○風間昶君 それ以上は言えないということだと思いますけれども、わかりました。  マネーロンダリングの防止についてもう一点大蔵省の方にお伺いしたいんですけれども、麻薬特例法五条に基づく不正と思われる取引の金融機関からの報告が法律ができた平成三年以降、金額ベースで幾らあるのか、ちょっと教えていただきたいんです。
  64. 大月洋一

    説明員(大月洋一君) お答え申し上げます。  いわゆる麻薬特例法第五条におきまして、銀行等金融機関がその業務におきまして収受いたしました財産が不法収益等の疑いがあると判断した場合には、先生御指摘のように疑わしい取引として届け出ております。  この法律平成四年の七月から施行されておりますが、これまで大蔵省に提出されております件数を申し上げますと四十四件という形になってございます。
  65. 風間昶

    ○風間昶君 金額。
  66. 大月洋一

    説明員(大月洋一君) 金額の点につきましては、実は今私は手元に資料を持っておりません。  それから、この中身でございますが、私どもでもいろいろ閲覧行為というのを非常に制限してございます。法律七条におきまして閲覧行為を制限しておるということで、大変恐縮でございますが、金額の点については資料を持ち合わせておりませんので、御容赦いただきたいというふうに思います。
  67. 風間昶

    ○風間昶君 きのう、ちゃんと質問通告のときに、どこまでできるのかわからないけれども、金額ベースでどのぐらいなのかということぐらいは教えてもらわぬと困るという話をしているわけですよ。あなたはそれを聞いていないんですか。
  68. 大月洋一

    説明員(大月洋一君) 後日……
  69. 風間昶

    ○風間昶君 十一時五十分まで私の質問時間ありますから、その間に取りそろえてください。よろしいですか。努力してください。
  70. 大月洋一

    説明員(大月洋一君) はい、承知しました。
  71. 風間昶

    ○風間昶君 それでは警察庁に、フロント企業の取り締まり状況について概要を教えていただきたいと思うんです。
  72. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) 平成八年におきます数字でございますけれども、検挙件数は二百六件でございます。事件に関与した企業数は二百五十一企業となっております。ちなみに、この中で非常に多いのが山口組系でございますけれども、それにつきまして付言しますと、検挙件数は百四十二件、これは大体七割弱を山口組が占めておりまして、その関与企業数は百七十七企業、これも約七割でございます。  それで、どういう罪種につきまして検挙しているかということでありますけれども、恐喝が二十七件、詐欺が十八件、競売入札妨害十四件、廃棄物処理法違反十四件というぐあいになっております。  なお、二百五十一企業の業種別でありますけれども、建設業が七十六、不動産業が三十、飲食業が二十九と、この三業種で五四%弱を占めているところであります。
  73. 風間昶

    ○風間昶君 まだまだあると思いますけれども、そういう状況だということは認識させていただきました。  もう一つ、住専の処理はまだまだ続いているわけでありますけれども、住専絡みの暴力団犯罪について検挙の実態を教えていただきたいと思います。
  74. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) 住専に限った数字で申しますと、平成五年から七年までの三カ年では三件でありました。昨年一年間、平成八年中では十五件でございます。そして、本年四月末現在の数字でありますけれども七件ということで、昨年一年分の半分が既に四月までで検挙されているということでございます。これは旧住専に関連する事犯、そのうち暴力団に係りますものは、平成五年から七年まではすべてが暴力団事件であります。それから、平成八年中の十五件のうち九件が暴力団、そしてことしの四月末現在の七件のうちの五件が暴力団ということになっております。
  75. 風間昶

    ○風間昶君 そういう意味では、やはり指定暴力団だけではなくて暴力団が絡んだ住専の処理問題が非常にまだ残っているのではないかというふうに予測されますけれども、引き続ききちっとした対応をとっていただくようお願いいたします。  それでは次に、当然暴力団と絡んできますけれども、薬物、覚せい剤の問題についてお聞きしたいと思います。  新聞にも、二月七日の日経に「覚せい剤の検挙者二年連続二ケタ増」というふうな記事が載っておりますけれども、このふえてきていることに対しての背景を含めた認識をまず当局にお伺いしたいんです。
  76. 泉幸伸

    政府委員(泉幸伸君) 御指摘のように、一昨年、昨年と覚せい剤事犯の検挙人員が急増しており、特に少年、とりわけ高校生の増加が著しいということでございまして、深刻な情勢にあると認識しております。  背景としまして、若者を中心に覚せい剤などの薬物に対する罪悪感が若干希薄化しているのじゃないか、あるいはイラン人密売組織などが街頭で無差別に覚せい剤を売りさばいて、少年にも薬物入手が簡単になっているという環境がつくり出されているんじゃないか、あるいは依然として暴力団等が組織的に密輸、密売を敢行しているという状況によるものと考えております。
  77. 風間昶

    ○風間昶君 今挙げられた当事者の罪悪感が希薄になっている、あるいは売る側の外国人の問題と組織、もう一つ暴力団と、三つ挙げられましたけれども、これだけではないはずなんです。  じゃ、これだけだとしても、それぞれ死力を尽くして対応されていると思いますけれども、この背景に対して警察庁が取り組んでいる取り組みの実はどこが一番大きいのか。暴力団関係、イラン人、それからいわば被害者というか、実際の使用者の罪悪感の希薄さに対しての取り組みの中で、実際に実を上げているのはどこなのかということをお聞きしたいんです。
  78. 泉幸伸

    政府委員(泉幸伸君) 覚せい剤を初めとする薬物対策につきましては、私どもは三つに分けた対策で臨んでおります。  一つは、末端乱用者に対する徹底した検挙でございます。これは少年も含めまして、覚せい剤、薬物使用というものを根絶させるためには乱用者に対して厳しく当たるということが必要だと考えておるところでございます。それから、当然ながら国内における密売組織の解明、密売の徹底検挙でございます。さらに三点目は、国内における薬物の大半が国外からの密輸入によるものでございますから、密輸事犯の徹底検挙ということでございます。これにあわせまして、特に末端乱用者につきましては徹底検挙とあわせまして、それぞれ必要な広報あるいは少年に対する啓発活動等を実施しております。  委員、ただいまその中で実を上げているのはという御質問でございますが、それぞれについて一定成果を上げておるというふうに考えておるところでございますので、御理解願います。
  79. 風間昶

    ○風間昶君 今、イラン人の密売組織の話が出ましたけれども、新聞でも密売イラン人が「クスリはもうかるけど、買った人は幸せにならない」と密売人自身が記者に答えている状態でございます。  イラン人絡みの事案について、覚せい剤の入手先などが解明されているとするならば、わかっただけでもいいですけれども教えていただきたいんです。
  80. 泉幸伸

    政府委員(泉幸伸君) ただいま御指摘のように、最近、イラン人による覚せい剤密売事犯が急増しておりまして、平成三年にはゼロでありましたけれども、昨年は二百十八人が検挙という状況で、イラン人の密売組織の壊滅というのが当面の最重要課題と考えております。  供給源という御質問でございました。実は薬物全般に通ずることでございますが、特に検挙したとしても供述を得ることが非常に困難な場合が多いということで、その点実態解明に苦心しておるところでございます。幾つかの検挙事例でわかったことは、覚せい剤の入手先は我が国の暴力団あるいは密売組織から手に入れているという状況にあろうと見ております。
  81. 風間昶

    ○風間昶君 麻薬の常習者をお客さんとしている客つきの携帯電話の販売や、インターネットを通じた麻薬密売がまた新聞記事にも載っているわけですけれども、実際に記事に載るということはある話ですから、それがどの程度解明されているのか、教えていただきたいと思います。
  82. 泉幸伸

    政府委員(泉幸伸君) まず、携帯電話の関係でございますが、先ほど来申し上げておりますイラン人の薬物密売人を中心に、携帯電話の番号を何らかの方法一般に周知させるということで乱用者が知るところになるわけですが、これによって注文を受けて取引場所等を指定して密売するという方法が見られるところであります。また、ただいま御指摘のように、そのように一般に周知された携帯電話の番号が、この番号にかければ薬物を入手できるという形で広がりますので、その電話自体を引き継ぐというか、引き継ぐに当たって対価を取る、つまり電話自体を売買するというような形態も認められております。  また、インターネットにつきましても、インターネットを悪用して覚せい剤や向精神薬を密売する事犯の認知もしているところでありまして、これらの検挙もしております。  今後、このような新しい情報通信手段を悪用した薬物犯罪というのは当然考えられますので、この点にも十分注意しながらその対応に万全を期してまいりたいと考えておるところでございます。
  83. 風間昶

    ○風間昶君 ぜひ続けてやっていただきたいんですが、新聞には、その電話が使い捨てされちゃってもう次から次と新しく登場しているものですから捜査が撹乱されている、警察も振り回されているという記事なものですから、どういうやり方があるのかわかりませんけれども、ぜひ頑張ってもらいたいと思います。  それで、先ほどの青少年の罪悪感の希薄ということで、政府が薬物乱用対策推進本部で決定しました青少年に対する薬物乱用防止教室という見出しが出ていますけれども、これはだれがやるのか、いつから、小学校は入るのか入らないのか、高校で今年度じゅうにと書いてありますけれども、端的に要点をまとめてどういうことなのか、教えてください。
  84. 泉幸伸

    政府委員(泉幸伸君) 薬物乱用防止教室につきましては、先ほど御指摘のありましたこの四月に政府の薬物乱用対策推進本部において決定されました青少年の薬物問題に対する緊急対策に盛り込まれておるところでございます。  これにつきましては、文部省、厚生省、警察庁関係省庁がそれぞれこれの推進に当たるということでございますが、警察に関して申しますと、学校あるいは教育委員会との協力関係をもとにしまして、警察職員を学校に派遣して薬物乱用防止教室を開催しております。  四月に全国警察においてこのような薬物乱用防止教室を開催しようという施策を推進したわけであります。中学校、高校を中心にやっております。本年四月に実施しましたのは中学、高校合わせて二千九百十校、高校が一千十四校、中学が一千三百五十校という形で、対象参加児童生徒数は約百五万人というような成果を得ております。これにつきましても、なお引き続き全国の高校、中学を中心に実施していこうというふうに考えておるところでございます。
  85. 風間昶

    ○風間昶君 時間が余りありませんので恐縮ですけれども、厚生省においでになってもらっていますので……。  いろいろ手段を尽くしても覚せい剤の乱用に歯どめがかからない場合はもっと罪を重くするということも考えなきゃならないんじゃないかと思うんです。特に現行法上は、麻薬の所持や譲り受けについては十年以下の懲役とされています。また盗品の有償譲り受けについては十年以下の懲役、五十万以下の罰金。単純に比較すると、罰金刑も科されるだけ盗品の譲り受けの方が重罪のように読めるわけでありますけれども、いずれにしてもほかの罪とのバランスも考えなきゃならないでしょう。  覚せい剤の所持については厚生省として重罰化すべきだと私は思うんですけれども、そのことについて御返事いただきたいと思います。
  86. 藤井基之

    説明員(藤井基之君) お答えいたします。  今、先生がお話しになられましたとおり、覚せい剤取締法は過去におきまして、その乱用状況等にかんがみまして罰則の強化等は何回もの法改正によってなされております。  現在の状況で申し上げますと、先生お話しのとおり、みだりに所持した場合におきましては十年以下の懲役ということで、ただこの場合、営利の目的で所持した場合におきましては一年以上の有期懲役、または情状によりまして一年以上の有期懲役及び五百万円以下の罰金に処する、こういう法定が現状の覚せい剤取締法の内容でございます。  先生はこの辺プロでございますけれども、薬物の問題というのは関連している法令が幾つかございます。いわゆる麻薬及び向精神薬取締法、大麻取締法、それからあへん法、覚せい剤取締法等あるわけでございます。現在、私どもの法定しておりますこの覚せい剤の罰則規定といいますのは、いわゆる薬物の中でその依存性とか禁断症状の最も強いと言われておりますヘロインと並びまして、国内におきましては実は一番厳しい法定を科しておるところでございます。そしてまた、この法定の中におきましては、違反の態様、密輸入であるとか製造、それから所持とか譲り受け、または使用等におきまして、その態様に応じて法定の量刑というものは考えなければならないというふうに考えております。  私どもとしましては、この法定刑自体というものにつきましては、必ずしもこれが軽いということは言いがたいのではないかと思っております。また、外国等の事犯の法定刑と比べましても、これも必ずしも我が国の状況が軽いとは言いがたいんではないか、かように考えております。
  87. 風間昶

    ○風間昶君 もう時間がないから、大臣、ずっと議論をお聞きになって感想ということを僕は求めるつもりはありません。  話が全然違いますけれども、救急救命活動大臣は心臓マッサージとか人工呼吸、ダミーを使ってでもやったことがございますか。
  88. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) ございません。
  89. 風間昶

    ○風間昶君 私、提案なんですけれども、運転免許証の更新のときに何らかの形でこの救急救命活動が、人工呼吸でも何でもいいんですけれども、ノウハウの一部かあるいは実習まで行くと大変だと思うんですけれども、ぜひこれを取り入れていただきたいと思うので、検討していただきたいと思います。
  90. 山本博一

    政府委員山本博一君) 応急救護処置につきましては、今日の道路交通の状況を考えますとき、ドライバーがひとしく持ってくれることが非常に好ましいというぐあいに思っておるところでございます。  現在は、平成六年から運転免許を新しく取る段階におきまして講習を義務づけておりまして、既に五百万人余りの方がこの技能を身につけておるわけでございます。その前に免許を取りました人につきましては、現在、先生おっしゃいましたような更新時講習の場におきまして説明をする、さらには「交通の教則」に負傷者の観察、移動、心肺蘇生法等につきまして記述をいたしまして、この知識を持っていただくように努めておるところでございます。  更新時講習の段階におきましてより充実したことを行った方がいいんではないかという御意見もたくさんあるわけでございますが、現在の二時間もしくは三十分という更新時講習の時間を考えますときに若干難しいのかなというぐあいに思っておりまして、今後は与えられました時間の中でより充実した講習が行われるように、例えばビデオを作成いたしましてできるだけ理解をしていただくとかいうこととともに、民間の各種機関、団体におきましていろんな講習が行われておりますので、これをできるだけ実行していただくように勧めてまいりまして、そういう方法によりましてこの普及を図ってまいりたいというぐあいに思っておるところでございます。
  91. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 先ほどの風間君の大蔵省に対する質問につきましては、午後の委員会の冒頭で同省から答弁を求めることにしたいと存じます。
  92. 風間昶

    ○風間昶君 終わります。
  93. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 まず冒頭、先ほど山本委員からもお話がありました去る五月二十七日に起きました神戸市立多井畑小学校の土師淳君に対する本当に言葉では言いあらわせない残虐な殺人行為について、これは国民全体の気持ちも非常に恐怖感を感じておると思うんです。  そういう中で、マスコミ報道によれば、二つの挑戦を突きつけておると。学校の正門には淳君の首を据えて、そしてスクールキル、学校を殺すというようなことを通告しておる。一方、警察の方に対しても何か挑戦状をたたきつけておるというふうなマスコミ報道を聞きました。  國松前長官の狙撃事件警察に対する挑戦である、今度の犯罪警察に対する挑戦だというふうに私自身は実は受け取ったわけです。こういう子供を犠牲にして警察に挑戦をするというようなことについては、だれでもそうですけれども、特に子供を犠牲にしてああいう残虐な行為をやるということについては絶対に許せないという気がしてなりません。  ですから、せっかく組織も変えたわけですから、これは兵庫県警だけでなくて近県の県警にも要請をして、先ほど刑事局長から捜査の経過はお聞きをしましたけれども、新しい長官にぜひひとつ新たな決意をここで聞かせてもらいたいということで、冒頭お願いをしたいと思うんです。
  94. 関口祐弘

    政府委員(関口祐弘君) 委員指摘事件、まことに残忍きわまりない事案でございまして、地元住民はもとよりでありますけれども、国民全体に大きな不安を与えているということであります。  私ども警察といたしましては、いかにしても一日も早く犯人を検挙し事件解決するというかたい決意をいたしているところでございまして、現在、地元兵庫県警におきまして大量の捜査員を動員いたしまして捜査を進めているところでございますが、早期検挙に向けてなお一層の捜査が図られるよう指導をしてまいりたい、かように考えているところでございます。
  95. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 ぜひひとつ強力な捜査をお願いしておきたいと思います。  では、質問に入っていきますが、前段、三名の同僚委員の方からいろいろ質問がなされました。暴力団法が施行されまして五年が経過をいたしました。しかし、確かに先ほど刑事局長のお話にもありましたように、構成員、準構成員を含めて約一万人近くが減員をしていったと、そういう効果等も上がってまいりましたが、近々では、暴力団そのものに対する動揺もありますが、過去になく非常に巧妙になってきたというようなことで、巧妙化し、陰湿化して、そして潜行化し、ボーダーレス化する、あるいは偽装化する、大変な方向で今暴力団そのものが、場合によっては経済的な行為、あるいは建設業とか金融業とか不動産業とかこういう方向に、近代的な企業経営の分野まで傾斜をしておるというふうに聞いております。  一方では、依然として山口組なり稲川会あるいは住吉会を中心とした広域暴力団全国的に勢力の寡占化をねらっておる、こういう動向等もあるわけです。  そういう中でいろいろ努力をしてまいりました。効果も上がっており、先ほども刑事局長の方から成果についてのお話はお聞きいたしましたが、新しい警察庁長官として、この五年間の暴力団法についての見解、所見をひとつお伺いしたいと思います。
  96. 関口祐弘

    政府委員(関口祐弘君) 暴力団対策法が施行されて約五年を経過いたすわけでございますが、現時点におきまして二十三団体が指定暴力団として指定をされておりまして、全暴力団員のうち約八八%の者に本法による規制の網がかけられております。  警察としましては、暴力団を解散、壊滅に追い込むため、総力を挙げまして暴力団犯罪の取り締まり、暴力団対策法効果的な運用、暴力団排除活動の推進ということを三本の柱とした暴力団総合対策を推進しているところでございます。  その結果、例えば暴力団勢力は、法制定時の平成三年末の約九万一千人から、平成八年末には約七万九千人に減少を見ているということでございます。また、暴力団対策法施行から平成八年末までに、警察及び都道府県暴力追放運動推進センター相談活動を通じて暴力団から離脱をさせました暴力団員の数は約三千百五十人に上っているところでございます。  このように暴力団対策法施行後の暴力団対策は一定成果を上げているものと考えるわけでございますが、一方におきまして、現行法では対処できないさまざまな問題も生じており、今回の法改正をお願いすることといたした次第でございます。  警察といたしましては、今後とも全国警察を挙げて暴力団総合対策を徹底いたしまして、暴力団の分断、解体、壊滅を図っていく所存であります。
  97. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 私、時間がわずかしかありませんから、直ちに法案の改正内容に入っていきたいと思います。  さきにも述べましたように、暴力団が変質する中で、暴力団業者に対応するために今回の改正案が提案をされておりますからこの改正案の相当性についてはおおむね理解ができるものの、先ほどから議論がありますように、いわゆる法文上のとり方として、私から見れば非常に不明確な用語といいますか、あるいは非常に解釈が難しいというような点等もあるわけです。そういう点を含めて、と同時に非常に広範に適用することになるものですから、運用についても慎重を期してもらいたいという立場から、若干お尋ねをしてみたいと思うんです。  まず、今回の改正案の九条の六の二を追加して、金品等を目的とする債務履行を要求する行為を暴力的要求行為の一類型として追加をすることになりましたことは非常に結構なことですが、この中で「報酬を得て又は報酬を得る約束をして」の要件は、これは内部事情に詳しくなければ非常にわかりにくいんじゃないかあるいは立証も困難ではないかという気がするわけです。実効性を欠くのではないかという一つの意見等があるわけですが、それについてはどういうふうなお考えか、これが第一点です。  それから二つ目に、法文の中に「粗野若しくは乱暴な言動を交えて、又は迷惑を」云々とあるわけですが、法文上やむを得ない表現かもしれませんけれども、やや意味が不明確ではないか。先ほど風間委員の質問の中で、刑事局長が貸金業法の二十一条の一項の説明をされました。これは確かに「人を威迫し又はその私生活若しくは業務の平穏を害するような言動により、その者を困惑させ」云々とありますから非常にわかりやすいわけですね。ですから、こういう例等もあるわけですから、そこらを含めてもう少しこの二つの点について御説明願いたいと思うんです。
  98. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) まず、最初の御質問でございますけれども、「人から依頼を受け、報酬を得て又は報酬を得る約束をして」という規定に関してでございます。確かにそのあたりを解明するということは非常に困難が伴うことは私どもも承知をいたしております。内心の問題といいますか、取り調べといいますか、事情を聞かなければ、そのあたりのことは当事者間の問題でございますのでなかなか客観的には解明することが難しいという要素がございますけれども、他方でこの法律を制定していただきます際、いろいろ厳しい要件を定めるゆえんというものは、暴力団員以外にこの規定というものが適用されることはないんだという安心感といいますか、そういう人権保護上の配慮というものもいたすべきだという両方の御要請というものがあったかと存じます。  そういうような観点に立って考えましたときに、これは我々の努力といいますか、私どもの捜査手法あるいは行政手法というものの錬磨をすることによってこれを解決すべき段階であろうかというぐあいに考えまして、現在のところ、暴力団の債権取り立ての実態から申しますと、報酬を得て行うのが通例でございますので、とりあえずそれを定型化させていただくことにお願いをしたということでございます。  二番目のお尋ねでございますけれども、この規定、確かに平易ではあってもなかなか具体的にはわかりにくいというところはございます。このように規定をいたしましたゆえんと申しますのは、そもそもこの法律は、これに違反しますと直ちに罰則がかかるというものではございません。これに対して命令をかけまして、その命令に違反すると罰則がかかるということでございまして、そういうような法律の範疇に入る規定というものをやはり参照しなければならないだろうと。  例えて申しますと、酩規法と言われております酒に酔って公衆に迷惑をかける行為防止法あるいは軽犯罪法、これの各規定に同様の表現で規制行為が定められております。それらによりますと、粗野または乱暴な言動を交えてというのは、場所柄をわきまえない、あるいはぶしつけな方法で、あるいは理由もないのに非常に荒々しい言動、動作をいうというようなことで一応この内容が概念規定をされているというぐあいに理解することができるということからこのように定めさせていただいたものでございます。
  99. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 ちょっと一方通行になるかもしれませんが、時間がないものですから。  それから、十二条の関係の部分で「指定暴力団等の業務であって」という用語がありますが、指定暴力団等の業務とは一体何なのか。例えば、会社であれば定款があったりあるいは企業の営業目的等があればわかるわけですけれども、暴力団の場合の業務とは一体何なのか、これが第一点です。  それから、指定暴力団員個人の業務というふうなものがあると思いますが、この個人の業務とは一体どういうふうにして指定暴力団の業務と区別できるのか、そこらについてお聞きをしたいと思います。
  100. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) 業務と言いましたときに、この暴力団の問題に関していいますと何となく違和感を感ずるのが一般的かと存じます。私どももそのように思わないわけではございません。ただ、法令用語ということで申しますと、業務というのは、人が職業その他の社会生活上の地位に基づき継続して行う事務または事業を総称するものというぐあいに理解をされております。その業務あるいは継続して行う事務、事業といいますのは、利益を得るものであるかないかとか、あるいは法令に基づくものであるかないかとか、そういうこととはかかわりがないというぐあいに言われておりまして、事実上、社会実態といたしまして、継続して行われている事務、事業であれば、それを法令上は業務というぐあいに呼ぶということになっております。  したがいまして、私どもは、暴力団というのはこの法律によりまして反社会集団だと、いわば違法な集団だと位置づけていただいたというぐあいに考えております立場でありますけれども、しかしその法令用語の用い方によりますと、暴力団についても業務ということを規定することは適当であろうというぐあいに考えた次第であります。  具体的には、暴力団として、あるいはその組長の統制のもとで、あるいは直属の兄貴分の統制のもとで継続的に行う行為、現在、例えば暴力団が通例行っておりますのは、正月を控えてしめ縄を売りますとか、あるいは植木のリースでありますとか、喫茶店等に対しましてお絞りのリースをしますとか、そういう合法的な通常の取引を装いまして金品等を不当に得るということをやっておりますし、業務が縄張り内で円滑に行われることを担保するというような名目で用心棒料を取っているわけでありますが、そういうようなものが暴力団の業務ということになろうかと思います。また、企業を経営している暴力団の場合には、その企業が行う物品販売等の業務がその暴力団の事業として行われております場合にはその業務ということになろうかと思います。  そして、個人と団体との区別の問題でございますけれども、あくまでも個人としてやっているならばそれは暴力団の業務にはなりません。ただ、通常、暴力団の場合には組長の統制のもとであるいは兄貴分の統制のもとで行われておりますので、そういうぐあいに利益がそこに帰属しているかどうか、あるいはその統制のもとに行われているかどうか、そうした客観的なものによってこれは判断すべき、そういうものになろうかと存じます。
  101. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 その次、二号では「指定暴力団員がその代表者であり、又はその運営を支配する法人」云々とあるわけです。運営を支配するという用語、これは三条三号では「運営を支配する地位にある者」、こういう例がありますし、今度の改正案の十二条の五の二項の二号に同じように「運営を支配する法人」が使われておるわけですが、これはフロント企業なんかに関するものと私自身は思うわけですけれども、余り使われていない用語というふうに感じるものですから、運営を支配するという具体的な内容あるいは基準があればひとつお聞きしたい。  これは一般的に言いまして、代表者、幹部というのは会社を実質的に支配する者でありますし、例えば株を三分の一以上持っておるとかあるいは資本の過半数以上を持っておるとかこういうふうに一般的には言われておりますけれども、余り画一的になると実効性に欠けるというようなこともあるかもしれません。そこらについてひとつ御説明願いたいと思います。
  102. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) まず、運営を支配するという表現の意味内容でございますけれども、これは法令の解釈として、法人その他の団体の活動について主導的な地位に立っていることを指すというぐあいに理解をされております。そして、ちょっと表現は違いますけれども、経営を支配するというような用語も法律上ございます。これは漁業法の規定でございますけれども、これも内容としては今申し上げたような中身として理解されているように承知をいたしております。  そして、具体的にはどういうことかといいますと、今御例示されましたけれども、会社でありますと株式の相当比率を保有しているとか、あるいは役員の相当数を配下指定暴力団員で占めているというようなことが挙げられようかと思います。  さらに、具体的に一例申しますと、これは裁判で認定されたもので住吉会に係るものでありますが、組長が残土搬入作業をある建設会社に請け負わせようとしたというケースのようであります。その組長の妻が代表取締役を務め、その組長が取締役であり、そしてその実質的な経営者であるというようなことを認定いたしまして、その組長が当該建設会社の運営を支配しているというぐあいに認定されたケースがございます。
  103. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 先ほどから議論になっております十二条の五の二項の二号、これは今度の改正目玉でしょうけれども、いわゆる一種のフロント企業対策というふうに先ほど申し上げました。  前段ではそこで働く使用人その他の従業員全部を指すような表現になっておるわけですけれども、後段では指定暴力団員個人の使用人や従業員ということで、例えば運転手とかあるいは指定暴力団員の個人の家に家政婦さんなんかを呼んでおったこういう人まで指すのかどうか、使用人まで含むということになれば。考え方によっては規制の枠が広がる可能性もあるわけですから、その人たちに係る問題を惹起するんじゃないか。それで、その会社の従業員とかあるいは使用人の人たちに対する人権上の問題も出てくるんじゃないかという心配もされておるわけですが、そこら辺についてひとつ十分な配慮をしてほしいというのが第一点。  それから第二点目は、こういうことで規制の枠を広げていくということになるとかなりの苦情が出てくるんじゃないか。今言いましたように、例えば家政婦さんなんかを含めた場合の対応の仕方として、苦情あるいは不服申し立てに対する警察庁としての体制の整備は一体どういうふうに考えておるのか。  その二点をまずお聞きをして、もう時間がなくなったものですから、あとは国際犯罪の問題について少しお聞きをしたがったわけですが、先ほどもちょっと出ておりましたから、最後に大臣の方に。  私は、こういうものと関連して、さきの警察庁組織改正問題の中でもいろいろ議論になりましたけれども、今一般的に国民の目には公安委員会イコール警察というイメージが非常に強いわけですね。そういう現在の関係を、公安委員会そのものが自主的な機能を持ち、警察とは一定の距離を置く組織として独自性といいますか独立性が強化されて、実質的な機能が十分発揮されるような体制の整備が必要ではないかというふうに実は思うわけです。この点について最後に国家公安委員長としての御見解をお伺いしたいと思います。
  104. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) 最初のお尋ねでございますけれども、複雑でございますので、わかりやすく御説明いたす趣旨でちょっと読み上げてみたいと存じます。  御質問の第十二条の五第二項第二号の規定でございますけれども、これは「指定暴力団員がその代表者であり若しくはその運営を支配する法人その他の団体の役員若しくは使用人その他の従業者若しくは幹部その他の構成員又は当該指定暴力団等の指定暴力団員の使用人その他の従業者」と規定されておりまして、今お尋ねのように、そうであれば運転手とかもろもろの人が入るのではないかという懸念が生ずるということでございます。それはまずこの二号だけを見ますとおっしゃるとおりでございまして、これは一応入ります。  しかし、その第二項の柱書きというのがございまして、この部分が同時にかかってまいります。それによりますと「一の指定暴力団等の威力を示すことを常習とする者で次の各号のいずれかに該当するものは」とございます。したがって、例えば運転手というものをとらえました場合に、その運転手が属している会社の社長は指定暴力団員であるという関係であるのを取り上げますと、この二項の柱書きがかかりますから、その運転手が社長である指定暴力団員の属している指定暴力団威力を示すことを常習としている者でなければならない。そうすると、通常の運転手は指定暴力団である山口組の威力を使うことを常習としていないだろうと思います。したがって、まずその部分がかかります。  次の要件として、これは十二条の五の規定「準暴力的要求行為をしてはならない」ということになりますから、準暴力的要求行為というのは何かと申しますと、指定暴力団威力を用いて規制行為をやるということでございます。暴力団威力を使うことを常習としている者が具体的にまた指定暴力団威力を使ってやるということで初めて規制を受けるということでございますので、一般の善良な社員がこの命令の対象になるということはあり得ないというぐあいに考えます。  次のお尋ねの不服申し立ての問題でございます。確かに今回の規定は複雑なところがございますので不服申し立ての可能性は考えられますけれども、当初この法律を制定していただきました折に、私どもはこの命令に対する不服申し立てば非常に多くなるであろう、多いものがあるだろうというぐあいに想像いたしたところでございます。  ところが、先ほど申しましたように、これまで四千八百四十件の命令を発しておりますけれども、今申しましたのはすべての命令ですが、ほとんどが中止命令でございますので、その中止命令に対する審査請求は十件しかございませんでした。そして、命令に違反するということもほとんどないということで、私どもこれは、この法律は強力のように見えないけれども、やはり暴力団に与えている圧力というものは物すごいものがあるんだなというぐあいに痛切に感じた事例でもございます。そのようなことから推しはかりますと、余りふえないであろうというぐあいに思います。  ただ、確かに御指摘のようなことがございますので、この不服申し立てに対応する整備というものにつきましても可能な範囲で整備をしてまいるように努力してまいりたいというぐあいに存じます。
  105. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 公安委員会制度というものが形骸化しているんではないかということと、それに対する何らかの意味での制度的な改正が必要なのではないかという御意見でございます。  まず第一の問題として、確かに何とか委員会とかあるいはおととい議論になりました監査委員制度とかというのも、正直申し上げて日本人はつくることはつくるけれども形骸化してしまうと、どうもそういう民族性があるような気がいたしますが、この公安委員会制度というのはアメリカの一部の地域で行われているものを日本に持ってきまして、しかも国家警察だけではなくて、都道府県警、北海道にあっては方面別にも設置されていると、私はこういう制度をつくり上げたということはまず評価すべきだと思います。  そして、この公安委員会並びに公安委員の先生方がその本来の仕事を一生懸命やっていてくれるかどうかということでございますが、まず私自身が国会に呼ばれる以外は国家公安委員会に出ておりまして、非常に活発に熱心にその仕事をやっておられます。それから、私は地方に出て県警本部長に会うのが仕事じゃなくて、それぞれの都道府県で頑張っておられる公安委員の先生方の御意見をお聞きしたり、またいろんな意味でお仕事をしてもらいたいという意味で会うことを一番優先しているわけでございますが、お話を聞きますと非常にすぐれた方々が選任されて、しかも使命感を持って御努力されている姿を見まして、私は本当にそういう面では形骸化はしていないなという感覚がいたします。  ただ、公正取引委員会などと違って、公安委員会は何か仕事をするために設けられたんじゃなくて、原則的には警察を管理するというのが本来的な仕事でございますので、その点が国民に十分知られていないんじゃないかということがあります。しかし、警察というのは国民、県民の代表がこのように管理しているんだよということを知ってもらうことが大事だと思います。  それを通じてまた公安委員の先生方にもいろんな御注文なりあるいは問題意識が寄せられると思いますので、そういう意味で、この前もお話がございましたとおり、公安委員会がどういうことをやっているかということをできるだけ周知徹底するようにということで、少なくとも国家公安委員会につきましては本年の警察白書からその活動状況を報告するようにしようじゃないかと。また、都道府県の方にはいろんな機会を通じて公安委員会活動等を県民の皆様にも御報告するようにという指導をいたしておるところでございます。  いずれにいたしましても、今ある制度を預かっている者としては、この制度が御指摘いただいたような形骸化をするようなことかあってはならないと、こう思っております。それから、大事なのは与えられた仕事を一生懸命やり抜くこと、これにまず全力を尽くしたい、こう思っております。
  106. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時十五分休憩      —————・—————    午後一時四十四分開会
  107. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、暴力団員による不当な行為防止等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  まず、午前中の風間君の大蔵省に対する質問について、同省から答弁を求めます。
  108. 大月洋一

    説明員(大月洋一君) 午前中の御審議に際しましては大変失礼いたしました。  これまでに届け出されましたものを急いで集計いたしましたところを申し上げますと、四十四件、金額はおよそ二十七億円でございます。
  109. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 風間君、よろしゅうございますか。
  110. 風間昶

    ○風間昶君 はい。
  111. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
  112. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 民主党・新緑風会の朝日でございます。  きょう、既に午前中に今回の改正案についての主要な問題点、幾つか指摘をされております。午前中からの議論とできるだけ重複を避ける形であるいは視点を変えて、幾つか御質問申し上げたいと思います。  まず私は、平成三年に新たに制定されたいわゆる暴力団対策法、これは実際に暴力団によって引き起こされた犯罪に対して刑法など関連法律によって処罰をもってその取り締まりを図るということとともに、その一方で、それらの法律では明確な犯罪行為とは至らないまでも、暴力団によるさまざまな不当行為に対して行政的な命令をかける等の措置によって未然に犯罪防止を期するとともに、暴力団組織の壊滅を目指すものと理解をいたしております。そういう意味で、この法律が新しく制定されてからこの五年間の運用状況等については既に御説明がございました。  そこで、そのことと関連して、特にこういう新しい考え方、新しい発想に基づく法律趣旨市民の皆さんにどの程度理解されてきたのだろうか、あるいはどの程度市民の皆さんからの御協力をいただいてきたのか、こういう点が大変気がかりでもありますし、また一つのポイントだろうと思います。言いかえれば、この暴力団対策法は、企業や個人商店はもちろん、各種の団体、町内会など幅広い市民の皆さんの御協力なしには有効にその機能を発揮できないのではないかというふうに考えております。  そこで、そうした観点からこれまで警察庁としてはどんなふうに具体的に取り組んでこられたのか、どういう御努力をされてきたのか、そしてそういう取り組みについて市民の皆さんからの評価はどうであったのか、あるいは市民の皆さんの協力は果たして期待どおりに得られてきているのかどうか、こんな点についてお伺いしたいと思います。  あわせて、そういう市民の皆さんの反応を的確に把握していくためにも、あるいはむしろ率直な御意見を伺うという意味でも、例えば警察庁として一定の時期に市民の皆さんがどう思っておられるのか意識調査をしたり、そういうようなことを実施していくお考えがあるのかどうか。私自身はそういうこともぜひ一定のサイクルごとにやっていった方がいいんじゃないかと思うんですが、こんな点についてまずお考えをお伺いしたいと思います。
  113. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) この法律の位置づけにつきましては今御指摘のとおりでございます。  この法律、俗に暴力団対策法一般に呼ばれておりますので、私どももついそのように暴力団対策法あるいは暴対法と言ってしまうのでありますけれども、そこから若干誤解が生じるように思います。  この法律の正式名称は暴力団員による不当な行為防止等に関する法律でございますので、略しますと暴力団員不当行為防止法というのが正確な略称なのかと思います。したがって、組織に対して規制を加える法律であるかのような誤解が生じやすくなくはありません。  そこで、この法律が制定をされましていろいろな方法によりまして啓蒙宣伝をさせていただいたのでありますけれども、施行になりましたのが平成四年の三月、そのころにたまたま「ミンボーの女」という映画がつくられまして、その映画を制作いたしました監督が襲撃されるという事件もその後生じたというようなことがありました。それでこの映画がたまたま大変な反響を呼びまして、この法律の中身、それから民事介入暴力、これを略して民暴と言うわけでありますけれども、そういう言葉が広く国民の間に定着することになった一つの大きな契機になったかと思います。  それはそれといたしまして、私どもとしては、今御指摘されましたような町会を通じ、あるいは各業界団体を通じ、また経済団体を通じまして、中央、それぞれの県におきまして、この法律内容趣旨というものを宣伝してまいったように思います。そして、この法律の存在あるいはその意義につきましては相当理解をいただいているように思いますけれども、確かに年を経るとともに認識が薄れたりいたしますし、また国民がどのように警察活動及びこの法律の運用というものを受けとめているかということを十分に的確に理解をしながらその適用を進めていくべきであろうと存じまずので、その国民の意識をとらえる努力をしてまいったところであります。  まだ公表するまでには至っておりませんけれども、例えば平成五年の調査に引き続きまして平成七年から八年にかけて意識調査を行っておりまして、現在その集計をやっていたりしておりますけれども、先ほども申し上げましたように毎年三万件ぐらいの相談警察あるいはセンターに寄せられているということ等にかんがみますと、国民の皆さんの間にかなり浸透している状況は変わりなくあるのかなというぐあいに受けとめております。
  114. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 午前中の議論を聞いていまして、今回の改正点でも具体的にその要件がどうなるのかということになると結構難しい規定がされているようでありますから、ぜひ今後も引き続き市民の皆さんに正確に御理解をいただくという努力を重ねてお願い申し上げたいと思います。  それでは次に、これも既に議論になっておりますが、暴力団資金源の確保の仕方というのが最近随分変わってきているんではないか、そのパターンというか分野というか手法というか、それが変わってきているんではないかというふうに思っております。  先ほどのお話にありましたように、平成五年に警察庁全国暴力追放運動推進センターが行った「暴力団に関する企業アンケート調査」というのがございます。ちょっと古いんですが見てみました。ただ、そこに出ている数字がいま一つ本当かしらという数字になっています。例えば企業の側が答えているわけですが、暴力団から何らかの要求を受けたことがあるというふうに答えた企業が約四二%、約四割、また要求等があった場合でもそれを拒否したという答えが約七六%という数字が報告されております。しかし、最近の一連の事件、報道を見ておりますと、本当に企業の皆さんが正直にお答えになっているんだろうかというふうに少々疑いたくなる数字であります。むしろ実態としては、企業の側にいわゆる総会屋あるいは暴力団とのかかわりを多分に隠そうとする心理が働いた上での答えではないかというふうに思えてなりません。  そこで、特に最近の新しい手法として、暴力団がさまざまにスタイルを変えてあるいは形を変えてあるいは間接的に総会屋などとの関係を深めているという一連の事件が既に最近でも幾つか摘発されております。例えば、最近では味の素の話あるいは高島屋の事件などの事例あるいはつい最近も問題になっているような事件もございます。  暴力団をバックとした総会屋と企業をめぐる文字どおり根深い関係、これはぜひ警察庁長官にお尋ねしたいと思いますが、この点について現時点でどのようにお受けとめになって、今後どのように対処されようとしているのか、ぜひ基本的な考え方をお伺いしたいと思います。
  115. 関口祐弘

    政府委員(関口祐弘君) 暴力団あるいは総会屋と企業との関係についてのお尋ねでございます。  警察は従前より企業との連携を強化いたしますとともに、暴力団、総会屋に対する徹底した取り締まりを行うことによりまして、企業と総会屋等との関係を遮断する方向に向けて努力をしてきたところでございます。  こうした中、昨年六月には大手百貨店の役員らによる商法違反事件というもの、そしてまた本年三月には大手食品会社の総務部長らが株主総会の円滑な進行のために総会屋に対して利益供与を行っていたということが明らかになりました。大変遺憾であると考えているところでございます。この種事件発生の背景といたしまして、企業の中に総会屋等への対応に関し厳しさに欠けるものが一部あり、これらに対して総会屋等が巧妙にアプローチしていることが挙げられると考えているところでございます。  このような情勢を踏まえまして、警察といたしましては引き続き企業と総会屋等との関係の遮断に向けまして企業との連携を一層強化するとともに、総会屋等による不法事案の徹底検挙を図っていく所存でございます。
  116. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 ぜひ徹底的な検挙に向けての取り組みをお願いしたいと思います。  そこでお尋ねですが、今お答えになったようなことを踏まえながら、では今回の改正はこれからの対応に向けてどういう点が改正されており、それがどういうふうにより的確に対応していける手だてとなるのかという点について、改めて今回の提案されております中の幾つかの点について、関連する項目に絞って結構ですけれども、ちょっと御説明をいただければと思います。
  117. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) まず第一点は、この法律で不当行為として規制をいたしております行為が現在十四項目ございますけれども、その一つに、不当な形態によって行われます債権取り立て行為というものを禁止しようとすることがございます。  そして、今お尋ねになりました点について直接的に申し上げますと、企業の形態をとって活動する場合、いわゆる企業舎弟という形で合法的な企業活動をやっている者から収益を恒常的に上納させることを規制するというようなこと、あるいは組織として企業形態をとってその構成員に対して頻繁に不当行為をさせることを規制するということで、十二条の二の規定、十二条の五の規定の二カ条と、九条に追加をいたしますところの第六号の二という規定、これらが今回の改正によって資金源を封圧しあるいは収入実態に即した規制を行おうとする規定でございます。
  118. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 少なくとも今回の改正で、最近の非常に巧妙なやり方あるいは手口に対しても一定の対応ができる手だてが講じられるというふうに理解をしたいと思いますが、その運用に当たってもぜひ的確なかつ厳正な運用をお願い申し上げたいと思います。  それでは次に、今回の法案とは直接的には関連しないわけですが、午前中に風間委員からもお話のあった薬物犯罪のことについて幾つかお尋ねをしたいと思います。  申し上げるまでもなく、この薬物犯罪とりわけ麻薬及び覚せい剤等々の薬物が、そのすべてというわけにはいきませんけれども、相当に暴力団の重要な資金源の一つになっていることは間違いありません。  午前中もこの薬物犯罪の最近の特徴的な傾向について幾つか御説明がございました。実は私も十五年ほど精神科の医療に従事しておりまして、そういう意味ではこの薬物犯罪ではなくて薬物乱用あるいは薬物の中毒者の皆さんとのおつき合いが随分あったわけですが、そういう経験からして、私は日本の薬物乱用の特徴は幾つか指摘できると思います。  まず、基本的にはヨーロッパアメリカと比べて日本は圧倒的に覚せい剤中心の薬物乱用であるというふうに思います。その上で最近の特徴としては、一つは御指摘がありましたように若年化の問題、若い世代、最近では小学生までという話もあったようですが、そういう傾向が一つ。それから国際化の問題、入る出るを含めて非常に国際的になってきているという問題。それともう一つは多剤乱用型というか、例えばある時期シンナーを、そしてある時期アルコールを、そしてある時期覚せい剤をという形で、必ずしも覚せい剤なら覚せい剤だけという形ではない傾向も認められるというのが一つの特徴ではないかというふうに思います。  そこで、この暴力団対策法が制定されたちょうど同じ平成三年に、午前中に風間委員も御指摘がありましたけれども、いわゆる麻薬特例法というのが制定されております。このときには麻薬及び向精神薬取締法の一部改正とあわせて法律が制定されたというふうに伺っております。  では、この麻薬特例法が平成三年に制定されるに至った経緯あるいはそのねらいそして主要な内容等について御説明をいただきたいと思います。
  119. 藤井基之

    説明員(藤井基之君) お答え申し上げます。  今、先生の御質問がございました麻薬等の薬物乱用対策につきましては、以前から国際的な対応が種々検討されておりました。特にその重立ったものとしましては、一九六一年に採択されております麻薬に関する単一条約、また一九七一年に採択されました向精神薬に関する条約等によりまして国際的な統制が図られてきておりましたが、これらの薬物は、御案内のように、その薬物の製造とか流通などいわゆる薬物自体に着目をした国際的な規制、そういったような性格のものでございまして、薬物の不正取引によって得られた利益に対する十分な追及はできていませんでした。  このような状況下におきまして、いわゆる地球規模におきます薬物乱用の深刻化に伴いその規制を強化すべきであるという国際世論のもとに、国連の麻薬委員会の条件採択全権会議におきまして、これは一九八八年でございますが、麻薬及び向精神薬の不正取引の防止に関する国際連合条約、いわゆる麻薬新条約というふうに略されておりますが、これが採択をされました。  さらに時を前後しまして、アルシュ・サミットの経済宣言、これは一九八九年、パリで宣言が出されておりますが、これに基づきまして、FATFと略されます金融活動作業グループによりまして、特にマネーロンダリングを防止するような勧告が出されております。  我が国におきましては、これらの指摘を受けまして、各種薬物に関して直接規制措置を必要とするといった部分につきましては、先生が今御指摘いただきました従来の薬物規制関係四法を改正するということで対応しまして、新たな薬物自体の規制には直接かかわらない部分につきまして、例えばマネーロンダリングでありますとか不正利益の没収等、これらにつきましては単独法として制定して対処する、こういうことになりました。  このような経緯から、麻薬特例法と称されます非常に長い題名の法律、国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律及び麻薬及び向精神薬取締法等の一部を改正する法律、この二法が平成三年の第百二十一国会で成立いたしまして、翌平成四年七月一日から施行されたところでございます。  この二法案のうちいわゆる麻薬特例法におきましては、今お話し申し上げました麻薬新条約において特に義務づけられております措置及びFATFの勧告のうちのマネーロンダリング罪等の新たな罰則規定を設けたこと、そして不正取引等に由来します収益の没収を可能としたこと、またコントロールドデリバリーの手法を導入したこと、また国外犯の処罰規定等を規定したこと、以上のような内容でございます。
  120. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 それで、先ほどちょっと回答に時間がかかりましたけれども、マネーロンダリングのことについては大蔵省の方からお答えがありましたので、この法律に基づいて、これも制定されてから五年ほど経過をしておるわけですが、例えば今御説明のあったコントロールドデリバリー、私もよくわからなくて聞きましたら、要するに麻薬を所持している場合であってもそれを泳がせて、より拠点、本拠に近いところで捕まえるという手法なんだそうでありますが、このコントロールドデリバリーという新たな制度がつくられたというふうにお聞きしております。  これは警察庁にお伺いした方がいいと思いますが、こうした新たな規定がどの程度活用されて、その運用実績といいますか具体的な事例といいますか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  121. 泉幸伸

    政府委員(泉幸伸君) ただいま御質問にもありましたように、麻薬特例法につきましては、私どもは麻薬の密輸・密売組織組織として摘発する、そのために新たな捜査手法が与えられたというふうな理解をしております。  ただいまお話のありましたコントロールドデリバリー、まさしく密輸された薬物につきまして、それを監視下に置きながらそれの配達先等を突きとめて、そこでより根源的なかかわりを持っている者を検挙するという手法でございます。麻薬特例法施行後、現在までに八十件以上実施して成果を上げております。  また、先ほど来お話のありました組織犯罪対策としての一番大きな要件である不法収益の剥奪につきましては、麻薬特例法の構成上これをその前提となる業としての密輸、密売等を立件する、これは従前のように単なる一回一回の売買をとらえて犯罪とするのではなくて、業として行っている旨の立証をし、そしてその期間における収益を剥奪しようとするものでございます。  これにつきましても積極的に取り組んでおりまして、昨年の適用事件二十三事件でありました。本年に入りましても摘発が続いておりますが、ある事件では三千三百万円の追徴判決が出るということで、業としての不法収益の剥奪についても成果を上げつつあるというふうに考えております。
  122. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 なぜこういう質問をさせていただいたのかといいますと、私の問題意識は、薬物乱用対策にかかわる法律も随分と多くて、さらにその所管官庁も随分と多岐にわたってどうも体系立っていないという印象がぬぐえないのであります。例えば麻薬特例法というのがあります。マネーロンダリングについてはどこに聞いたらいいんですかというと、これは法務省かな大蔵省かなと。コントロールドデリバリーについていえば、これは警察庁で答えられますでしょう。じゃ、麻薬Gメンが捕まえたのはどうするか、これは厚生省ですというようなお話でありまして、実はきょうの質問を構成するのに大変苦労したわけであります。  これは御答弁は要りませんが、これからの薬物乱用対策にかかわる法律あるいは所管官庁の体系的な整備といいますか、これをぜひ検討していただきたいということを強く要望しておきたいと思います。  そこで、最後に大臣にお伺いしたいと思います。  たしか国家公安委員長は、この四月から体制が強化されました薬物乱用対策推進本部の主要メンバーでもあるというふうに承知をしております。今までの幾つかの議論も踏まえながら、今後、特にどういつだ面で薬物乱用対策を強化していこうとされておられるのか、大臣のお考えをお聞かせいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  123. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 御案内のとおり、ことしになりましてから内閣総理大臣を長とする対策本部ができまして、私はそこの副本部長ということでございます。  今、各省庁等が集まり、その事務方を集める会は官房長官を中心にいろいろ取りまとめておりますが、いずれにいたしましても、総理みずから薬物対策は橋本内閣の最重要課題一つとして取り組んでいこうということで、今までの体制その他を全部もう一回洗い直して、そして総合的な対策をとろうとしております。  そのときに、おっしゃるとおり、何できょうここに厚生省がいるのかなと思うぐらい、こんな取締法だから警察が所管しているのかなと思いましたら、厚生省の方に失礼でございますが、厚生省の方でこういう法律を扱っているところを見ると、全体で見て、薬物に対する管理というところではなくて、今や薬物というものの犯罪組織社会全体に対して大きな不安を与えるわけでございまして、これはそういう面からも警察が最も力を入れてきたわけですし、同時にそのために一番最前線に立って戦っているわけでございます。  こういうのを全体含めて、法整備から、執行体制、取り締まり体制まで総合的なものでなきゃならぬと思いますので、私ももう少し勉強して、対策本部で私なりの意見を申し述べてみたい、こう思っております。
  124. 有働正治

    ○有働正治君 限られた時間でありますので、法改正関係いたしまして、警察行政にかかわる二つの問題をお尋ねします。  一つは、暴力団対策とのかかわりで、右翼の暴騒音街宣問題についてであります。  暴力団を壊滅させていくには、社会における組織的暴力行為警察が法にのっとって厳正に取り締まって暴力のない社会をつくっていくことが大事だと考えるわけであります。  平成八年版警察白書によりますと、右翼の街頭宣伝活動等に伴う拡声機騒音が社会問題となっているとされて、地域の静穏の保持を目的に四十四都府県で暴騒音規制条例が制定されています。これとは別に、国会議事堂等周辺地域及び外国公館等周辺地域の静穏の保持に関する法律によりまして、静穏を保持すべき地域として毎年指定地域が増加しているとされています。この静穏保持法には、政党事務所についても、政党の申し出に基づいて衆参議長を通して申請があった場合は、総理大臣国家公安委員会と協議して指定するとなっています。  そこでお尋ねします。現在、政党で静穏保持法に基づく指定がされている政党事務所はどことどこかお示しいただきたいと思います。
  125. 山崎信之郎

    説明員山崎信之郎君) お答えいたします。  国会議事堂等周辺地域及び外国公館等周辺地域の静穏の保持に関する法律第三条に基づきまして、公明本部周辺地域、自由民主党本部周辺地域、日本共産党本部周辺地域、新進党本部周辺地域、社会民主党全国連合周辺地域、民主党本部周辺地域、それに太陽党本部周辺地域が指定されているところでございます。
  126. 有働正治

    ○有働正治君 警察庁にお尋ねします。  そういう今の政党はほとんど指定されているようでありますけれども、そういうことを認識して法に基づく対応をされているということでございましょうか、警察庁として。
  127. 伊達興治

    政府委員(伊達興治君) ただいま御答弁にもありましたけれども、日本共産党本部がいわゆる静穏保持法に基づく政党周辺地域の指定を受けていることについては十分承知いたしております。  警察としましては、いかなる立場からするものであれ違法行為は看過しないとの基本方針のもと、右翼に対しても厳正に対処しているところでございます。  日本共産党本部周辺におきましても、右翼の動向に即しまして警察官を配置し、違法にわたる行為があれば音量を下げるよう命ずるなど、必要な措置を講じてまいっているところでございます。
  128. 有働正治

    ○有働正治君 そこで話を進めます。私どもの党本部周辺もこの法律による指定が八九年からされているわけであります。実際はその後も右翼による妨害街宣が続いています。  この間を見てみますと、これは私どもの集計でありますが、ことし二月には七十七回百四十六車両が街宣しながら通過し、そのうち七回二十八車両が本部前、これは玄関の裏口に当たりますが、裏口は明治通りであります、停車し大音響で街宣妨害をしているわけであります。  三月には五十三回八十五車両が街宣しながら通過し、うち十回十八車両が停止し大音響で街宣妨害しています。四月には三十八回六十三車両が通過街宣し、うち十三回二十三車両が停止し大音響で街宣妨害しています。五月は街宣二十回、うち正面玄関二回、五月十日、十三日であります。  私、ここにカレンダーに印をつけてみました。(資料を示す)これは五月でございますけれども、赤丸が街宣二十回やったところであります。本当に連日のように赤丸がついている。それから、四角の囲みは我が党本部の玄関です。本当に道幅が狭い商店街であります。そこでわんわんやるわけであります。これが土曜日の十日と十三日の二回、五月二十八日までに行われている。それから、四月についても念のためお示ししますと、赤丸が本当に多いということは大体御理解いただけると思うのであります。  その上に立ってお尋ねするわけでありますが、本当に一日置きにあるいは五月でいえばもっと比率が高い妨害を私どもは受けている。しかも、停車街宣時間が五分とはいえそれが定期化するとなりますと、地域の静穏を保持し、もって国会の審議権を確保するという静穏法が守られていないということになるわけであります。  先ほど警察としては厳正に対応しておられるということでありますが、今の実態をごらんになって、決意を新たにきっちり対応しなくてはいけないという感じ、その他を含めまして見解を求めるわけでありますけれども、いかがでしょうか。
  129. 伊達興治

    政府委員(伊達興治君) 平成八年中、日本共産党本部周辺の右翼による街宣活動というのは、私どもが把握しておりますものでも明治通りとその  ほかに高速道路からのものとありまして、百一回、そのうち停止街宣まで至ったもの、全部が完全に把握し切れているかどうか、若干ありますけれども、十五回ぐらいというふうに見ております。  いずれにしましても、私どもとしましては、いかなる立場からするものであれ違法行為は看過しないという基本方針のもとに、右翼に対しましては各種法令を駆使して取り締まりに当たっておりまして、今後とも厳正に対処する方針であります。  静穏保持法に関しましても違法な行為があれば今後とも厳正に対処していく、こういうことに変わりありません。
  130. 有働正治

    ○有働正治君 五月十日、土曜日、右翼街宣車三台が共産党本部玄関のある商店街に進入し、玄関前に停車いたしました。百二十五デシベル、これはちゃんと計測器ではかったものであります。異常な暴騒音を出して五分間停車街宣をしましたが、これを警察が許しました。静穏を保持するには、走行中の街宣も停車中の街宣も静穏が破られるという点では同じことになるわけであります。  おっしゃられるように、どの政党事務所が静穏保持法の区域に指定されたか、年一回の更新時に官報で告示されます。同時に、半径五百メートルの静穏保持法指定地域の入り口に、ここからは静穏保持法の指定地域になりますという看板が立てられることになっています。確かに一本立っています。幾つかの道路がありますけれども、道路に面して一本立っています。現場を私も見ましたけれども、奥まったところにあったり、一車線は駐車線になっていたり、その後の道路事情の変更等々ありまして、右翼団体に認識させるのもなかなか実際上は難しい状況にあるというのが現場を見ての実感であります。特に走行している街宣車に認識させるのは大変だという感じがしているわけであります。  警察として法の精神に基づいて対応されていることは前提として私もお聞きしているわけでありますけれども、もうちょっときちっとやるべきところはやる、努力すべきところは努力するという点で、今の点からいったら私は改善点ありゃと思うわけであります。それらを含めて積極的に検討して対応願いたいと思うわけでありますが、いかがでしょうか。
  131. 伊達興治

    政府委員(伊達興治君) 静穏保持法におきましては、その指定地域を官報で告示し周知させるということにはなっております。指定に際して看板等の設置は要件ではありません。しかしながら、地元署の方で先ほど御指摘のありましたような看板を五、六カ所設けているようであります。大きさも大体人間大といいますか、かなり大きなものでありまして、現地の署ではかなり工夫をしながらやっているというふうに私どもは認識しております。  先ほど来御指摘ありますように、今後ともこうした問題に対しては厳正に対処するつもりであります。
  132. 有働正治

    ○有働正治君 本部の裏側の明治通りばかりでなく、本部正面入り口の幅六メートルの商店街にも二月、三月、四月、各一回ずつ、五月二回と右翼車で進入し大音響で停車街宣を五分ほどやるわけであります。これなんかはたまたま通過したということではなくて、全く意図的な暴騒音妨害だと言わざるを得ないわけであります。しかも、そのときに警察は、通報を我が方からもしたり、独自に探知されて対応されています。これはそのとおりであります。  昔は警察の車両の正面に、静穏保持地域ですと大きな垂れ幕を掲げて、そしてきちっと制止するよう対応されていたんです。それは法改正の前後なんです。ところが、そういうものは最近はやられなくなっている。だから、法の厳正な執行の上できちっと以前やられたことも今はやられていない。  あそこは本当に人通りが多くなりました。塾その他がありまして、青年、若者、学生で車が通るのが本当に大変な状況があるようなところで、しかも商店街だということで、そういう点ではかつて規制するために静穏保持地域ですとちゃんと大きな垂れ幕を車に垂らしてやっておられたようなこと、こういうこともやっておられないというのは、私はやはり毅然としていないあらわれではないかと思うわけで、そういう点での改善と厳正な執行を求めるわけでありますが、いかがですか。
  133. 伊達興治

    政府委員(伊達興治君) 表通りであろうと裏通りであろうと、人込みのあるところであろうと閑静なところであろうと、いずれにしましても、当該地域の静穏を害するような方法で拡声機を使用するという点で違法行為があれば、静穏保持法に基づき必要な措置を講じているというのが実態でありまして、それぞれ各政党周辺において地元の署では工夫をしてやっているということを御認識  いただきたいと思います。
  134. 有働正治

    ○有働正治君 その工夫がかつてやっていたこともやらなくなっているという事実があるということ等々を私は指摘したわけですから、そこらあたりの実態もお聞きいただいて、万全を期す上で必要な改善措置、法の執行の上でやるべき点は対応願いたい。その点だけ御答弁いただきたい。
  135. 伊達興治

    政府委員(伊達興治君) 今後とも工夫いたしまして、最適な方法を選びながら努力をしてまいりたい、こう考えております。
  136. 有働正治

    ○有働正治君 国家公安委員長、最後にちょっとお尋ねしたいのでありますが、私の認識では、国会議事堂の前後の道路には右翼の街宣車が入らないように対応されているんではないかと思っているわけであります。余り右翼車が街宣しているのを見かけないわけであります。  ただ、自民党本部の前は通過する場合があるようであります。私は議員会館の七階でありますから、自民党本部が目の前にどんと見える。私は右翼の声を聞いたら、職務上すぐ監視するわけであります。そうしますと、自民党本部の前で停車してがなり立てる大音響というのは、停車してというのは、右翼の車が通ったときには大体通過で、停車した姿をこの数年間で私は見たことがないんです。これは私が見た範囲ということでありますから、統計をとったわけではありません。  これらはひがみというわけではございませんけれども、共産党本部と自民党本部の場合はどうもちょっと違うなということを実感的に目視によって感じているというのが私の体験でございます。公平に警察は対応されるというのが法の精神でありますから、よもやそういうことはないと思いたいところであります。ところが、今申しましたように、共産党本部では玄関を含めましてこのように本当に深刻な状況があって、地域の人も一体法律に対してどう対応しているかということをおっしゃっておられるわけであります。  法のもとの平等、同時に法の厳正な執行という点、そしてまた先ほどの立て看板の場所あるいは垂れ幕等、きちっとやるべき点はやって改善すべき点は改善することを含めまして、国家公安委員長として厳正な取り締まり、法の厳正な執行を求めるわけであります。
  137. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 御趣旨に沿うような形で警察の方で適切に対処するように、また私からも、ここに局長がいるわけでございますので、指導してまいるつもりであります。
  138. 有働正治

    ○有働正治君 次に、長野県警公安警察官窃盗事件についてお尋ねします。  長野県警公安警察官の窃盗事件について、事件が判明した昨年三月に私は本委員会で二回取り上げてまいりました。その後、一年有余経過いたす中で、裁判の判決も出て刑も確定し、県費返還の住民監査請求も行われています。  警察庁にお尋ねします。  元長野県警の岩下公安一課係長の実刑判決の内容はどのようなものでありましたか、お示しいただきたいと思います。
  139. 野田健

    政府委員(野田健君) 長野県警察官でありました岩下元警部補に対する窃盗被疑事件、判決が平成八年八月二十七日に、懲役二年の実刑判決ということで言い渡されて、現在確定しております。
  140. 有働正治

    ○有働正治君 控訴せず刑は確定したわけであります。  岩下は勤務中の犯行を繰り返していたため、住民が長野県に岩下の給与の返還を求める住民監査請求を行いました。その際、県警本部長が監査委員会に提出した岩下の勤務時間中の犯行の件数及び時間、示されているはずでありますけれども、どうなっていますか、報告を求めます。
  141. 野田健

    政府委員(野田健君) 犯行が勤務時間中に行われていたと認められるものが七件でありまして、勤務しなかった時間は九時間十九分と認定しておるところでございます。
  142. 有働正治

    ○有働正治君 これはあくまで警察の資料に基づく報告であります。被害者の人たちが、公安警察官による不法侵入、窃盗事件被害者の会をつくり県警本部長に岩下の犯行時期の出退勤を記録した出勤簿を公開するよう求めました。しかし、ナシのつぶてでありました。これでは犯罪をかばっていると思われても仕方がないという厳しい指弾の声があるわけであります。  公務中の犯行と思われる昨年二月十四日の共産党の野々村長野市会議員宅の昼間の窃盗事件が岩下の代休の日だったとして勤務時間中の事件から除かれていますが、出勤簿が公開されていないため、岩下をかばうため内部処理されたんではないかとの不信の声が被害者の中からも出ているわけであります。  警察は最近、事件被害者に情報をもっと公開して被害者のケアに力を入れると言っているわけでありますが、そういう点からいっても事件被害者に岩下の出勤簿を公開して被害者のケアをやるべきではないか、この点についていかがでしょうか。
  143. 野田健

    政府委員(野田健君) 勤務時間中の犯行を特定するために必要な関係書類等につきましては、長野県監査委員に対する住民監査請求の際に資料を提出し、そして監査結果につきましては平成九年二月二十七日付の長野県報により通知されておりますけれども、その中に犯行日一覧と勤務状況が明示されております。そこで、犯行が行われた時間ごとに勤務しなかった時間というものも認定されておりますので、その点については明らかになっているものと思います。
  144. 有働正治

    ○有働正治君 被害者に直接出勤簿を公開して、そのまま、ありのまま示して初めて不信感その他疑念も解けるわけであります。情報公開の時代で警察もその除外に置かれるべきでないということを指摘しておきます。  いずれにいたしましても、岩下は公安一課係長として公務中に七件、九時間に及ぶ窃盗事件を起こしていたことが明らかとなったわけであります。公務中、外にかかわらず、日本共産党の県議宅、日本共産党の市議宅、日本共産党の県の幹部役員など政党関係者のほか、労働組合、無認可保育園などが被害に遭っているわけであります。  重大問題は、短時間で民家に泥棒に入るために、現職警察官の職務として日常的にこれらの政党、民間団体事務所、個人の自宅までスパイ活動の対象とし、家の所在だけでなく、家族構成、勤務状況まで調査していたことがうかがえるわけであります。  岩下元公安一課係長は、これらの調査活動、職務上知り得た情報をもとに昼間の犯行を繰り返していたことが改めて明らかになったと言わざるを得ないわけであります。警察庁は、この点については今日どのように認識されておられますか。
  145. 野田健

    政府委員(野田健君) 岩下元警部補が所属していた課は警備第一課でございます。  なお、その犯行する場所を選んだというのはまさに現金を欲しいというそれだけでありまして、特別それ以上のことはないというふうに考えております。
  146. 有働正治

    ○有働正治君 こんなでき過ぎた話があり得ないこと、今の答弁が認められないことは明白であります。あくまでもそういう態度をとるべきではない、反省すべき点はきっちり反省すべきであるということを申しておきます。  警察は、被害品は還付するとこの問答弁してきましたが、いまだに被害に遭いましたワープロフロッピー、カメラのフィルム、留守番電話の録音テープが返還されていません。岩下は裁判の中で、カメラのフィルムは証拠に残らないように全部燃やした、フロッピーは子供が使えるように記録されたデータを消したなどと供述していたようでありますが、被害者からは公安の情報活動の資料として公安一課に提出されているのではないかという指摘が出されているわけであります。  刑も確定している中で、被害品は早急に返還すべきではないかと考えるわけでありますが、いかがですか。
  147. 野田健

    政府委員(野田健君) 窃盗被害被害品につきましては被害者に確認をしていただき、確認できたものは既に還付しているところでございます。なお、被害者が確認できなかったものについては検察庁へ送致しております。
  148. 有働正治

    ○有働正治君 そういうものではないと、先ほど述べた点もきちっと返還してほしいということを繰り返し要求しているというのが事実であります。  現職警察官が四十数件、総額一千万円の盗みをしていたわけで、当然警察の責任問題が厳正に問われるわけであります。公安活動の一環として盗みをしていた疑いが濃いので、警察としての責任がもっと問われなければならないわけであります。  長野県警は、昨年三月二十七日、長野区検が岩下を盗みで起訴したのを受けて、同日付で本部長ら六人を戒告、減給処分にいたしました。しかし、この日起訴された事件は、保育園と労組事務所での窃盗事件でいずれも夜間の犯行となっているわけであります。この後、四月十一日、三十日、五月二十七日、六月十二日に四十件が追起訴されました。  私は、本委員会で昨年三月十四日、二十二日、この問題を追及しましたが、このとき警察庁は「昼間に犯罪が行われたのではないかと思われる節はございます。」「昼間の公務中であったかどうかということについては必ずしも明らかではございません。」と、勤務時間中の犯行についてあいまいな答弁でありました。  処分のあった三月二十七日段階では勤務中以外の事件のみ起訴されているわけであります。その後捜査が進展し、次々と追起訴され、警察が勤務中の犯行と判定していると件の窃盗事件も明らかになったわけであります。  市民生活の安全を保証すべき警察官が勤務時間中に七件、九時間も市民の家に泥棒に入っていることがその後明らかになったわけでありますから、処分後に新たに判明した内容について県警としての責任を明確にするということが私は求められていると考えるわけであります。昨年三月二十七日の処分では一部分にすぎない、その点で私は軽過ぎると考えるわけでありますが、この点について。
  149. 野田健

    政府委員(野田健君) 昨年の三月二十七日に長野県警察本部長初め幹部に対する監督責任を問うたところでありますけれども、その時点で起訴された事件についてのみ処分をしたということではございませんで、捜査上判明していた事件につきましても加味して処分をしたところでございます。  なお、当時、勤務時間中に行った犯行ということで警察本部で把握していた事件数は五件でございました。
  150. 有働正治

    ○有働正治君 最後に一点だけ、警察庁長官にお尋ねするわけであります。  なお、今の答弁が納得できないことは言うまでもありません。県民の皆さん、市民の皆さんが納得しておられないことも言うまでもないことであります。  当時の私の質問に対し、國松長官が「事案の解明の結果を踏まえまして、このようなことの起こらないように、長野県警のみならず全国警察におきましても所要の措置をとってまいりたいというふうに考えておるところでございます。」と答弁しておられます。  岩下の勤務時間中の犯罪を含め四十数件、総額一千万円と事件の全体が裁判で明らかとなり、昨年八月二十七日に岩下が控訴を取り下げたため懲役二年の実刑が確定しているわけであります。この段階で全国警察として具体的にどのような再発防止の措置をとられたのか、その点をお答えいただきたいと思います。
  151. 関口祐弘

    政府委員(関口祐弘君) 警察にとりまして規律というものは組織の根幹であろうというふうに思います。昨年発覚をいたしました長野県警の不祥事案、そうしたものも一つの反省材料といたしまして、警察といたしましては、警察職員による非行を防止するために職業倫理の確立を図るための教養の徹底、あるいはまた身上把握、生活指導の徹底等の施策を強力に推進しているところであります。  今後とも、警察官の資質の向上及び適正な人事管理等に配意しまして、国民警察に対する信頼が確保されるよう努力をしてまいる所存でございます。
  152. 有働正治

    ○有働正治君 終わります。
  153. 西川潔

    ○西川潔君 どうぞよろしくお願いいたします。  現在、毎日新聞の紙面ですけれども、連日連載がございます「長命社会を生きる」、さまざまな問題の紹介とともに、問題点の提起もたくさんございます。いつも注意をして紙面に目を通しておるわけです。四月十一日の紙面ですけれども、見出しに「管理人は暴力団幹部」、こう書かれてありました。そして、記事に目を通しますと、内容は九十二歳の男性が家庭の事情で介護つきの老人マンションに七百万円の一時金を支払って入所していたわけです。知らないうちにマンションの経営会社が倒産をいたしまして、管理人が暴力団にかわっていたわけなんです。結果的に、支払った一時金はもちろん一円も返ってきません。そのマンションを出払わなくてはならなくて、そしてさらに管理人に渡していた水道代、電気代、合わせて何と六百万円以上が滞納になっておりました。もちろん四年以上のことですけれども。  何ともやりきれない、本当に切ない思いをした記事の内容でございました。高齢化という時代背景とともに、弱い立場にあるお年寄りが暴力の被害に遭うことが本当にふえなければいいなと大変心配をいたしました、この記事を読ませていただきまして。  この事件については具体的にどういつだ内容であったか、また今後の教訓として得られたようなことがございましたら、あわせてお伺いしたいと思います。
  154. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) お尋ねの事件はちょっと複雑な内容になっておりまして、かいつまんで概要を御説明申し上げたいと存じます。  まず、この建物は昭和六十三年に病院として運営すべく建設をされたもののようでございます。ところが、その工事が完工いたしました時点で施工者が倒産をいたしました。そして、別の所有権者となりましたその者は、介護つきのマンションとしてそれを売り出しになったようであります。ところが、希望入居者が少なくてなかなか運営がうまくいかないということで、その会社も平成三年の七月に倒産をいたしたということであります。そして、さらに別の会社がそれを買い取りまして入居者を募集し、しかし現実には少数の方しか入らなかった、こういう経緯であったようであります。  そして、その管理人の問題でありますけれども、実は今お話しになりましたような管理人の前に、昭和六十三年にできましたそのマンションを次の者が買い取って売り出したときから管理人が別途おりまして、その管理人のもとに集金が行われていたということであります。そして、その管理人は集めました月々の、そのときには三世帯ぐらいしか入っていなかったようでありますけれども、集金をした額の中からその方々の食事については支給をするといいますか、食事代に充てていた。そして、残余の光熱水料の部分につきましては、確かにそれぞれの配給会社に対して支払いをしていなかったという経緯があったようであります。ところが、電気につきましても水道等につきましても給水、給電されていたという状況が続いていたようであります。  そして、平成七年の暮れになりまして管理人がいなくなりまして、そのときに既にそのマンションに入り込んでおりました暴力団員が管理人のような状況でそこに住み始めまして、従前の管理人にかわって集金を始め、従前どおり食事も支給をし、集めていた光熱水料については支払いをしない状態を継続していた、こういう状況であったようであります。  ところが、栃木県警察におきましては全く別途の観点から暴力団取り締まりのため捜査をやっておりましたところ、その捜査対象の暴力団員にかかわります暴力団員が今申し上げましたマンションの中に居住をしているということから、このマンションに関して捜査を始めました。そうしましたところ、そのマンションの中に実は暴力団の事務所のような部屋があるということから、その時点で管理人のような形で入っておりました暴力団員を含めて捜査の対象とし、あわせて暴力団事務所の撤去をさせるべくもろもろの活動をしたようであります。  最終的に事務所は撤去されまして、この管理人につきましてはまた別の詐欺事件がございまして、その詐欺事件をもって管理人として振る舞っていた暴力団員を逮捕したということで、懲役二年六月の刑に処せられたということでございます。したがいまして、こういう過程で経緯も複雑、捜査も複雑でございましたけれども、所要の刑をこの者に対しては科したというぐあいにお受けとめいただければありがたいと存じます。  なお、このような形で暴力団というのは一般のマンションにも入り込んできているということを如実に示した事例でもあり、私どもも今さらながら暴力団のこういう手口というものについて驚くわけでありますけれども、そういうことを教訓といたしまして、さらに暴力団の排除活動に努めてまいりたいというぐあいに考える次第でございます。
  155. 西川潔

    ○西川潔君 ありがとうございました。新聞記事をこのように質問させていただきますと言いましたら、御丁寧に細やかにお調べいただいて恐縮でございます。  一般市民にとりまして毎日の生活の中で暴力団とかかわりのない生活が当たり前ですが、本当に恐ろしい限りです。幾ら自分自身に落ち度がなくても、例えば抗争事件に巻き込まれる、交通事故の示談交渉に暴力団が出てくる、今も御答弁をいただきました地域の中に暴力団の事務所が入ってくるような、やむにやまれず暴力団とのかかわり合いを持たなければならないということもあるわけですけれども、しかしいかに被害を受けることなく解決していくかということは一市民では本当に精神的にも大変な負担となると思います。  そうしたときの警察との連携、協力というものが第一であると思うわけです。今もお伺いしましたけれども、暴力団対策に対する警察とそして市民との関係の現状を国家公安委員長といたしましてはどういうふうにお考えになっているか、お伺いしたいと思います。
  156. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 私は暴力団というのは本当に憎むべき存在だと思っていますが、人間でございますから、心得違いをしてたまに過ちをすること、その過ちが時には法に触れることはそれは普通の人間の場合ないわけではないわけでございます。暴力団員というのはあるいは暴力団というのはそういうことを百も承知で、悪をなすことによってお金を得ようとする。そういう面では同じ悪をなすでも動機、対応、それから経過が違うわけでございまして、暴力団というのはそういう面では憎むべきまさに社会の悪である、私はこう思っております。  ただ、この暴力団を摘発していくためにはまず警察が頑張らなきゃならぬわけでございますが、警察だけの力ではまた残念ながらこれを根絶やしにしていくということができないわけでございます。そういう面では市民との関係は極めて大切だと思っております。そして、市民の皆様方に暴力団と闘ってくれということではなくて、警察が闘うから警察信頼していただいて、そして情報等とか、泣き寝入りをしないということが一番大切だと思うわけでございます。また、警察は万が一にも、例えば警察官に通報したということでもし市民に害を加えるようなことがあったらさらに徹底して取り締まっていくということが警察の方には求められると思います。  いずれにしましても、暴力団を許さないというまず警察の不退転の決意とそして国民との連携がなければ暴力団を根絶する方向には行かないわけでございますので、そういうことで市民の皆様方の暴力団を許さないという形での警察との連携は極めて大切だと思っております。
  157. 西川潔

    ○西川潔君 毎日の生活の中ではなかなかその部分が本当に難しゅうございまして、何かお願いしたいなというときにでも、我々も市民の皆さんも警察は民事不介入という原則があるという強い認識があるものですから、どの時点で相談に行けばいいのか。例えば、明らかに暴力団とわかる不当な行為があれば当然行くわけですけれども、暴力団なのかそうでないのか判断がつかない場合、相談に行ったことで逆にまた仕返しをされるのではないかなという不安が我々にはございます。そうした被害を受ける前の相談というのは非常に判断に迷うという声をたくさんの方々からお伺いします。  こういった点についてはどのような対応を、答弁も難しいと思うんですけれども、あえてお伺いしたいと思います。
  158. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) 案外知られていないところでありますけれども、現行の警察法によって現在の警察は設置をされております。この警察法に定めます警察の設置目的の中には、警察は個人の権利と自由を保護することがその任務だという趣旨の規定が置かれております。一般警察は民事不介入だというぐあいに言われてまいりましたけれども、これは特に学説上そのように言われてきた経緯がございます。したがって、今申し上げました警察の設置目的に照らしますと、確かに個々人の民事的な契約等に警察介入することは本意ではございませんけれども、そこに公的な必要が認められるならば、それは警察として一定の関与をすることは国民の求めるところだというぐあいに理解をするものであります。  したがって、この暴力団対策ということにかんがみますと、暴力団介入しているのに民事だからといって警察がそこにかかわらないということは必ずしも法の求めるところではないということで、民事介入暴力を排除するという趣旨からこの法律も御制定いただいたものというぐあいに理解するものでございます。  ところで、お尋ねの具体的な相談に関する対応の問題でありますけれども、そういう相談の中から私どもは、検挙すべきものであるのか、あるいはこの法律によって命令を発すべきものであるのか、あるいは助言をいたしますれば解決することができるものなのか、さらにはその被害者に対して、被害者といいますかその相談に参った方に対しまして保護等の措置をとるべき内容であるのか、そういうことを仕分けしながら対処しているところであります。  先ほど来申し上げておりますように、現在、毎年三万件ぐらいの相談が参っているところによりますと、以前とは違って警察相談に行きやすいという空気が醸成されているのではないかというぐあいに考えておりまして、そういう市民の声というものを真摯に受けとめて的確な対応をとってまいりたいというぐあいに考えております。
  159. 西川潔

    ○西川潔君 よろしくお願いいたします。  平成五年の一月に総理府が行った「暴力団に関する世論調査」によりますと、「暴力団がなくならないと言われている原因」は何かという質問に対して「問題の解決暴力団を利用する人がいるから」という回答が四九・三%で最も多いわけです。暴力団を利用しないということに対する啓発啓蒙はもちろんのこと、暴対法第十二条第一項の適用についても厳正に対処する必要があると思うんですけれども、いかがでしょう。
  160. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) まさにもう御指摘のとおりでございまして、私どももそのように努めてまいりたいと思いますが、ただそういう暴力団を利用している行為というものは潜っておりまして、我々としてつかむことがなかなか難しいのもまた事実でございます。したがって、この十二条第一項の適用例というのは必ずしも多いものではございませんけれども、今御指摘のような趣旨にのっとりまして努力してまいりたいというぐあいに思います。
  161. 西川潔

    ○西川潔君 次に、暴力団を排除しようとする市民運動の支援策についてお伺いしたいんですけれども、最近は暴力団員犯罪によりまして受けた被害に対して民事訴訟を起こすといった例がたくさんございます。  一九九〇年、沖縄県で敵対する暴力団員と間違われて射殺された高校生の両親が幹部に損害賠償を求めた訴訟、あるいは地域内に存在する組事務所の明け渡しを求める訴訟が全国各地で行われておりますけれども、決してこれは人ごとではないと思うわけです。それだけ市民意識の高まりだと思うわけですけれども、こうした市民活動に対する警察からの支援策というものについてお伺いしたいと思います。
  162. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) これまで私どもが把握いたしておりますところでは、組長等の使用者責任を問う民事訴訟は八件提起をされておりまして、勝訴が一件、和解が二件、現在五件係争中、それから昨年一年間だけで事務所の撤去訴訟というのが五十二件起こされまして、その大半が勝訴をいたしております。  こういう場合に私どもとしては何をやっているかということでございますが、まず警察といたしましては、こういう訴訟をやる場合には暴力団の嫌がらせというものが非常に心配されますので、そういう訴訟を提起されている方及びその代理人としての弁護士の方等の関係者の対策を徹底するようにいたしております。それから、弁護士の紹介をさせていただいております。といいますのは、その種の裁判に通暁された方ということをお求めになりますので、そういう知識というものを提供させていただいている。あるいは、警察の持つ暴力団に関します具体的な情報あるいは資料というものを必要な範囲内で、適法な範囲内でその訴訟に使っていただくことをやっております。  それから、センターの方におきましては、訴訟の遂行に必要な当座の費用、訴訟費用の貸し付けをさせていただいております。これは無利子で貸し付けをいたしておりまして、通常は三十万から五十万ぐらいの額が多いようでありますけれども、それを超す額を貸し付けている例もございます。また、先ほども申し上げた保護との関係で何か不安があるということでありますと、物的な機械によるセキュリティーのあるいはビデオを設置するというようなそういうハードを貸与させていただいております。
  163. 西川潔

    ○西川潔君 今お話に出ましたセンター、私もこんなすばらしい資料をいただいたんですけれども、「民暴相談のしおり」ということでございます。暴力追放運動推進センター、裁判の費用もお借りできるというようなことは皆さん方にお伺いするとなかなか浸透していないということで、一つ私からのお願いです。例えば、献血車のように街頭に車を出していただいて相談に乗っていただくとか、また予算もかかると思うんですけれども、例えば電話機のところにシールのようなものを張らせていただくとか、家庭の中までそういうものが浸透していくようなことを何とかお考えいただけないかと思うんですけれども、いかがでございましょうか。
  164. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) 私どももできる限りこのセンターの存在及びその役割というものを知っていただきまして、大いに活用いただきたいということで努めてまいっておりますけれども、今御示唆いただきましたような方法も取り入れまして、さらにそのような宣伝に努めてまいりたいというぐあいに考えます。
  165. 西川潔

    ○西川潔君 ぜひよろしくお願いいたします。  これを読ませていただいて、見せていただくだけでも何かすごい勇気が出てくるというんですか、こんなにすばらしい頼りになるところがあるんだなというふうな認識を持ちましたので、よろしくお願いしたいと思います。  次に、暴力団員の離脱支援、社会復帰についてお伺いしたいんですけれども、先週土曜日の報知新聞に、福岡市の暴力団組長が、受験など子どもの将来を考えるといつまでも暴力団をやっていられないということで、福岡県警に解散届を出したという記事を読ませていただきました。親にとって改めて子供影響というものは大きいなというふうに感じたわけです。  暴力団をやめたい、社会復帰をしたいとする者の実態、また一方、暴対法に対処するための偽装離脱ということに対して危惧する声も耳にいたします。あわせてお伺いしたいと思います。
  166. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) 私どもの働きかけ等によりまして暴力団を離脱した者は、これまで累計で三千百五十人ほどでございます。そして、それをさらに今御指摘のように社会復帰させなければいけないというようなことで就業について努力しているところでございますが、これまででは累計で四百三十名ばかり就職をさせていただいております。これをやるにつきましては警察だけではできませんで、もろもろの関係機関の御協力をいただいているわけでありますけれども、そのために社会復帰対策協議会というものを各県で結成させていただきました。  ちょっと紹介をさせていただきますと、それは自主的な組織でございますが、例えば警察はもちろんでありますけれども、職業紹介の関係で職業安定行政機関、それから保護対策の関係で各県警察、あるいは離脱者の受け皿というようなことで各企業、そして更生保護の関係団体、あるいは指詰め等をしておる暴力団員につきましてはその手術をする必要があるというようなことなどから整形外科のお医者さんに入っていただいておるところもございます。こういう関係者が集まりまして、離脱し、社会復帰を希望する暴力団員につきまして就職等の世話をし、そして継続して就業できるように支援をしているところでございます。
  167. 西川潔

    ○西川潔君 本当の意味で心から暴力団を抜け出して社会復帰を望む者に対する支援、地味な活動をしていらっしゃる方々に本当に敬意を表します。  支援の具体策としてはやはり再就職先の確保が重要ではないかと思いますし、実際には警察センター、そして関係機関、民間団体との連携による活動が行われているということでございまして、今もお話をお伺いしたんですけれども、支援対策を今後さらに充実していくための課題がたくさんあると思います。そういう新たなお話があったらまたお伺いしたいと思います。  細かなことでまことに申しわけないんですけれども、こういう話も結構私たちは耳にいたします。それは詰めた指の再生手術でありますとか、入れ墨を薄くするための医療技術あるいは費用など、現状について実情を把握している程度で結構でございますので、教えていただければと思います。  おっしゃっておられましたけれども、本当に何が後悔するかといいますと、入れ墨を入れたり、指を落として今さらどうにもならぬことが、最近は再生手術があったり、そういう技術が向上して何とか医療技術でもってということを、僕たちのところにも教えてくれないかとお伺いに来る方もいらっしゃいます。きょうお伺いして、また余りそういうところにお出かけできないような人たちにも、僕たちも啓蒙とか啓発のお役に立ちたいと思いますので、ぜひよろしくお願い申し上げます。
  168. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) 課題というお尋ねでございましたので、それについてまずお答え申し上げたいと存じます。  この活動で一番大事なのは協力をしていただく事業者、特に企業の方々の存在であります。多くの従業員を抱えておりますので、経営者におきましてもそういう気持ちがあってもなかなか踏み切ることができないという方も少なくありません。現在、先ほど申し上げたような協議会等を通じて御支援をいただいている企業が約五千二百社ございますけれども、実態としてはまだまだ足りないというようなことから、これらについての協賛企業というものをもっともっと多くしていく努力をしてまいりたいというぐあいに思います。  指詰め等の再生手術の問題でありますけれども、これは非常に費用がかかります。こう言ってはなんでありますが、これを解決していくことが復帰のための道筋をつくるという意味において非常に重要でございますので、何とかしたいというぐあいには思うのでありますけれども、まずその一つとしてはどこに行ったらいいかということであります。これは警察に来ていただければあるいはセンターに来ていただければ、その傷等に応じたお医者さんを御紹介いたしております。一般的にそれをお示しすることは避けておるのでありますけれども、個別に相談をいただければ御紹介をいたしております。  費用につきましては高額だということもありますけれども、安く上がる方法もなくはないようでありまして、そういう方途を探していただくと同時に、自分の意思で墨を入れあるいは指を落としたということも紛れのない事実でございますので、そういうことを自分の責任において解決するという姿勢もまた必要なのではないかというぐあいに考えるものであります。  なお、最後に、先ほど偽装離脱の問題で答弁漏れをいたしました。これは確かにあろうかと思いますけれども、今のところ、それが明らかに偽装であると我々にわかった状況で離脱をしている者の数はさほどないというぐあいに考えております。
  169. 西川潔

    ○西川潔君 時間が参りましたので、終わります。
  170. 田村公平

    ○田村公平君 午前、午後を通じまして質問通告と大分ダブっているところがあります。なるたけ通告の趣旨に沿って質問をさせていただきたいと思います。  坂上田村麻呂の時代までさかのぼる気はありませんが、ぐれん隊、やくざ、暴力団、いろんな呼び方がありますけれども、私なんかが中学校、高校、大学、地元高知県は暴力団、やくざの非常に多いところでございます。その当時は真っ黒なだぼシャツみたいなのを着て、腹巻きをして、ラッパズボンで、雪駄の後ろに金を打って、チャリンコンチャリンコンと三、四人とか五、六人で徒党を組むというか、明らかにやくざというのは目に見えてわかったんです。    〔委員長退席、理事朝日俊弘君着席〕  組事務所というのも、外から見ると神棚があって、ちょうちんがあって、お灯明が上がっておって、サカキがあって、それで打ち水がしてありまして非常にわかりやすい。あいつはやくざだというのはすぐわかりますし、自分の小学校の同級生でやくざになったのもおりますから、もう死んでしまいましたけれども、非常にわかりやすかったんです。  それが高度経済成長の当時もわかりやすかった。大体パンチパーマで、暗くてもサングラスをしておるとか一目瞭然だったんですが、菅原文太が主演する「仁義なき戦い」のころからやくざ予備軍というんでしょうか、青少年のあこがれというんでしょうか、そういうことでだんだん広域化が始まり、いわゆる抗争事件が起き始めた。本来ですと、うちの豪友会の会長の中山勝正という、これは撃たれて死にましたけれども、これがたしか山口組の四代目になる予定だったんですけれども、なれずに大阪で射殺されました。それほど私にとってはやくざというのは非常に身近だったんです。    〔理事朝日俊弘君退席、委員長着席〕  というのは、競輪場で暴力団がけん銃を発射して殺したとか、盗んできたダイナマイトを丸めてテープでとめて対立する組事務所に火をつけてほうり込むとかという時代から、御案内のとおり暴対法というものができてからだんだん組事務所が消えまして、やくざという形のものが見えなくなった。  そういう意味で、先ほど来お話がありましたように、警察センターに対して年間三万件程度の相談があるということは実は大変大きな数でありまして、かえって暴対法ができたおかげで潜在化というんでしょうか、一般市民の目にとまりにくくなってきたという気がしておったところに、このたびの改正案であります。これは病気で言えば予防医学的なものです。僕が人をたたけば、警察官がもし見ておれば現行犯の傷害なりで逮捕されます。僕がナイフを持ってぶすっとやれば、それで死んだ場合は殺人罪ですぐ逮捕してくれる。それ以外の予防医学的な法律改正だととらえております。  前段どうしてこういうことを申し上げたかといいますと、先ほど刑事局長は、企業舎弟という言葉はやくざの方が使っている言葉だからフロント企業というふうに言うと。わかりやすく言えば、いわゆる企業舎弟が非常にはびこっておるように思いますが、今回の法改正によって本当に暴力団フロント企業、いわゆる企業舎弟を根絶できるような体制になるんでしょうか。
  171. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) なかなか難しいお尋ねだと存じます。  まず、そのお答えを申し上げます前に前提といたしまして、企業舎弟とフロント企業というものの差異でございます。企業舎弟というのは通常準構成員でありまして、つまり構成員ではないのでありますけれども暴力団と近しい関係を維持していると。そして、その準構成員暴力団威力というものを背景といたしまして、合法的な企業の形態を用いて収益を上げる活動をやっていると。そして、通常その収益を暴力団に上納するなりあるいは武器等を購入する資金として充てさせるというような活動をやっているものが企業舎弟というぐあいに我々は認識をしているわけであります。  ところで、フロント企業といいますのは個人ではございませんで、企業体そのものを指して言っております。この場合には、暴力団が経営しているないしは暴力団員資金提供をしてその企業経営を支えているというような企業で、その企業の収益が暴力団に帰属したりあるいは企業舎弟と同様に暴力団の運営に寄与するような諸活動を行うというものでございます。ただ、実態としては非常に近しいものであろうというぐあいには理解しております。  いずれにいたしましても、企業活動という形態をとっておりますので、違法を見つけて検挙するあるいはその資金源を封圧するというのは非常に難しいことでございます。ただ、先ほども申し上げましたように、二百件近くの事件を毎年検挙し、またその企業も摘発をいたしまして、そういう企業については企業体として存続し得ても、その実体、中身として暴力団影響力を排除させるということをあわせてやることにいたしまして、単に捕まえればいいというような措置はとらないように努めているところであります。  そして、今回何件かの改正条項を入れていただくようにお願いをいたしたわけであります。確かに今までできなかったことができるようになりますので私どもとしては大変心強く思っているわけでありますけれども、今申し上げたような実態にかんがみますと、これで本当に万全かと言われれば、それはそうだと申し上げることはなかなかできにくいというのも事実だろうというぐあいに思っております。
  172. 田村公平

    ○田村公平君 九州の政治団体を名乗る北方領土返還とかいう団体が、高知県の土木部や出先の土木事務所あるいは営林局等に、一巻き大体千円のトラロープというのがあるんですけれども、警察もよく使うあの黄色と黒のだんだらの、これを五万円で、県は官官接待はだめですし、裏金があったらおかしいことになりますから、お金がないものですから業者に割り振りました。業者は県とか営林局から仕事をもらわぬといかぬものですから、街宣車に乗りつけられてもうるさいしということで五万円振り込んだ。これは振り込みなんです。二年前にある私の友人が、現物が来ないので何で現物が来ないんだと電話したら、そのうち送りますと言ってそのままになっておる。詐欺になるのか、政治活動なのか。  そういうふうに後ろは政治団体に名をかりた、政治結社に名をかりた暴力団と思うのが極めてリーズナブル、常識的なことではないかと思うんです。これは高知県を対象にしただけじゃなく、恐らく全国の土木請負業をやっている者は、言うか言わぬかは別問題として皆そういう負担を強いられておると思います。  これは僕に言わせると、警察は当然承知しておると思うんです。というのは、人口八十一万五千人程度の高知県で、よそから入ってくる人間はほとんどいなくて、代々土佐の高知に生まれ育った者は、だれが俗に言うやくざ、暴力団で、だれが準構成員で、どういう人脈になっているかというのは承知しておる。警察官も県警本部長及び一部の方を除いて地元の人間です。したがって、情報はかなり持っておると理解するのが非常にわかりやすいと思うんです。  ここで、最近起きた事例で非常におもしろいことがありました。ある町に船券売り場を、船券売り場は場外ですから株式会社です、どうしてもそこに船券売り場をつくりたいと。それで、船券売り場をつくる許可を与えるある役員の方に県立高校の女子高校生を、そのつくりたい建設会社が別会社をつくるんですけれども、その主体になる年間四百五十億円ぐらいの中堅の建設会社の役員が、友人である暴力団幹部に頼んで高校生を抱かせたわけです。ばれたら両方とも捕まる話ですから、ある意味でわいろより、つまり現金よりも、どっちがしゃべっても捕まる話ですから、確実に仕事にするためにそういうことをやりました。  それで、結果として全然別のルートで高校生売春がばれまして、その会社は指名停止じゃなくして県から指名回避となりました。それは民間の仕事だからという判断なのかな、そこらは僕は専門家じゃないのでわかりません。  その建設会社は本社は高知ですけれども、日本全国仕事をしていますから子会社がいっぱいあるわけですね。だから、指名回避といっても、結局同じ仕事はそこの子会社、グループの会社がとってしまいます。余りとり過ぎたものだから、十億円ぐらい完工高があったのに二十五億円ぐらいの子会社というか系列会社になって、俗に言う特Aにまでランクが上がるんです。そういうことが非常におもしろいことがいっぱい絡んでいるんです。おもしろいというのは、法的に言うと暴力団が絡み、淫行罪というのも絡んでおる。  その会社の代表権を持つに近い役員は韓国へ逃げたり、アメリカへ逃げたりして逃げまくって、今また帰ってきて、俗に言う業務の仕事をやっておるんですけれども、その人は暴力団でもないんです。暴力団じゃないけれども幹部を知っている。これは狭い高知県ですから皆知っている。そうすると、いわゆる談合ではないんですけれども、この仕事を僕がとりたいなと思うと、おまえ、月夜の晩ばっかりじゃないよ、そんなに頑張ってええのとかいって、さりげなくこうやると、その企業は、いや、それならちょっと辞退しますというようなこと、それは県警は全部知っておるはずなんですよ。  だから、行ってもだめ、相談に行ってもだめだと。なぜかというと、OBさんがそこの会社へまた天下ったりしているんです、警察やめて。そういうところも信頼関係でいうとちょっと不安なところが僕はあるんです。これは非常にいろんな法律が絡む、つまり一罰百戒にもならなくて、その方は今胸を張ってその会社の役員を続けておられますけれども、そういうことが堂々とまかり通ると、弱い方は指をくわえて見ておって、長いものに巻かれろと、これが実際の地方の現実なんです。  ですから、いつも私は言うんですけれども、霞が関とかそういうところの発想でいろんな審議会を通じて法律をつくっていく、それは内閣法制局やいろんな法をつくるときの整合性はよくわかるんですけれども、なかなかこの十二条の一項から五項を読んでも一般にはわかりづらい。ましてや、第一線の警察学校を出た警察官が、警察官職務執行法等々を果たして完璧に理解しておるか。立法の趣旨はいいんですが、現実問題温度差が物すごくあるんです。  というのは、私の田舎の事務所が二台車を置けるように借りておるんですけれども、二台あって、ここに僕の車があって、朝、出ないといかぬのに、逃げ道ないんです、勝手にここへとめてあるので一一〇番しました。一一〇番すると、それは所轄に電話しろと言うので、所轄の電話番号を教えてくれた。それで、所轄に電話したら、民事不介入だから何ともできぬ、これが現実です。だから、僕は車を置いて、友達の車を借りて回ったんです。  これが東京都高輪警察でありますと、同じような事例が議員になる前にありまして、一一〇番をすると、一一〇番指令がそれを受けてくれて、高輪二号のPCがすぐやってきてくれて、駐車場のケースは全く同じなんですが、何と警視庁警察官は住民に対して親切であります。品川何々の何番の車、困っているから早く出てきてくださいというアナウンスをちゃんとしてくれて、不法に僕の出口をとめておった車の運転手さんが泡食って飛んできて、僕は何とか出ていけた。そういうふうに身近な交通の例でも東京と高知では非常に温度差があります。  したがって、このような難しい、予防医学的だと私申し上げましたけれども、即現行犯にならないようなこういう法律については、刑事局長、二十三万人の一線の、事に当たるのは一線なんですね、一線の警察官によほど周知徹底しないと。私は暴力団に人権を認める気は全然ありませんが、だけれども日弁連は暴力団の人権まで考えている。私は暴力団嫌いですが、人権があると、そうはいっても犯罪者じゃない限りは普通の扱いをせぬといかぬらしいですから。  大体警察もだらしないのは、朝のニュースで何々組へガサ入れやるよなんというのは抜けておるわけです。そして、警察暴力団担当は、新聞なんかよく出るじゃないですか、暴力団何々組何々系の何とか組員がとか、そうすると暴力団という職業が何か法によって認められているような気がする。そういう危惧すら——本当は知っておるんだけれども、なかなかようせぬとかという部分もあるような気がするので、毎週土、日帰って、この逮捕のこともミニ集会でいろいろ言わせてもらうと。そういう意味での不信感というのがあることも一つの側面だと思います。  ですから、これは刑事局長にお願いをしたいんですが、現場が胸を張って堂々と実効が上がるように、でき得ればそういう相談センターに年間三万件が、来年は二万五千になり、年とともにそういう相談事もなくなり、まさに治安国家の宝でありますから、間違えても警察とやくざができているとかいうようなことがないようにお願いをして、ちょっと刑事局長、お答えを願いたい。
  173. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) なかなか難しいお尋ねをちょうだいいたしました。確かにそれぞれの地域によって事情は違いましょうけれども、地元に根づいているそういう暴力団の歴史がございますので、おいそれと現状が打破できるというぐあいには考えているものではございません。  したがいまして、今御紹介いただきましたような実情も私どもしっかり頭に入れてこれから対処していかなきゃいかぬというぐあいに思います。  まず、この法律、確かに難解でございます。したがって、改正事項につきまして現場の末端にまでこれを理解してもらい、そして浸透させるには時間がかかりますけれども、ただ一点だけ御了解いただきたいと思いますのは、この法律は最終的には命令でございます。その命令公安委員会命令ということになっておりまして、急いで命令を出すことが必要な中止命令につきましては、公安委員会の委任に基づきまして警察署長が命ずることになっております。したがって、通常の犯罪行為の摘発等のように個々の警察官に権限を与えているというものとは違いまして、一応行政庁に権限を与えているということになっておりますので、事前の十分な検討をした上で命令を出すというようなことが行われることになっております。難しいことは難しいのでありますけれども、その中にありましても適正な運用というものを何とか確保できるものというぐあいに信じている次第であります。  なお、一点だけ高知県警の名誉のためにというほどではございませんけれども、御紹介をして御答弁を終わりたいと思います。  その筋ではかなり名の通った恐喝を業としているような御仁が高知出身でおりました。その人は十数年前射殺をされましたけれども、この御仁を検挙すべく全国警察は挙げてその情報収集をやった時期がございます。各企業を含めましてあるいは一部の所管庁も含めまして被害届を出さないというようなことがございまして、検挙できなかった悔しい思いがありました。そのときに高知県警が、高知県下でその人物がやりましたロープを売りつける事件、先ほどちょっと御紹介がありましたその事件を掘りまして、そして恐喝罪ないしは詐欺だったかもしれませんけれども、それを適用してようやく検挙したケースがありました。  そのときに、私の記憶に間違いがなければ、ある新聞の見出しがその御仁の名を付して、だれそれロープでお縄というぐあいに報道されて、やんやの喝采を得たという歴史もございまして、高知県警は地道に努力を継続いたしておるものと存じますので、よろしくお願いいたします。
  174. 田村公平

    ○田村公平君 あの当時県警は偉かったんだ、高知県警の名誉のために言います。恐喝されておった四国銀行だって被害届を出さなかった。だから、公判が維持できなかったんです。だから、ロープだけしかできなかったんです。八十人体制をとって、県警の中から抜けるからというので、別に宿を借りたりして大変地道な、現場が本当に恐ろしい命がけの捜査をやっていた。僕はあの捜査記録を持っているんですよ。それは悔しくて悔しくて、もっと上まで行かなきゃならなかったのに、高知県レベルでいうと今の一勧と総会屋みたいなものですよ。だから、そういう努力は認めると。やっぱり癒着はあるんです。その悔しさで、僕のところへこれぐらいの厚い捜査記録が来たんですから。もう時効ですから申し上げます。高知県警の名誉のためにそれを一点だけつけ加えさせていただいて、質問を終わります。
  175. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。——別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  暴力団員による不当な行為防止等に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  176. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  小林君から発言を求められておりますので、これを許します。小林元君。
  177. 小林元

    ○小林元君 私は、ただいま可決されました暴力団員による不当な行為防止等に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、平成会、社会民主党・護憲連合、民主党・新緑風会、日本共産党、二院クラブ及び自由の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     暴力団員による不当な行為防止等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、左記の事項について万全を期すべきである。  一、暴力団対策法の運用に当たっては、所期の目的達成のためその効果的運用に万全を期すとともに、国民の人権の侵害につながることのないよう特段の配慮を払い、いやしくも職権が濫用されることのないよう十分留意すること。    また、警察自らの綱紀粛正及び信頼確保に一層努めること。  二、本法施行に当たっては、事前に、改正趣旨及び内容について、国民への周知徹底を図るとともに、今後とも、国民・自治体・団体と一体となった暴力団排除活動の推進に一層努めること。  三、組織実態を意識的に隠蔽する等による暴力団勢力の不透明化が進んでいる状況にかんがみ、偽装暴力団化等の防止策を一層強化するとともに、不退転の決意をもって、暴力団の解散・壊滅のための総合的かつ有効な対策を推進すること。  四、暴力団資金獲得活動及び組織運営の実態等の把握・解明に努め、資金源の封圧に重点を置いた取締り等を強化するとともに、暴力団に係る不正収益について、関係機関との協議・連携を図りつつ、その剥奪及び被害者被害回復のための強力で総合的な法的仕組みを、速やかに検討すること。  五、来日外国人組織による広域窃盗事件暴力団による組織的なけん銃使用犯罪及び薬物の密売事案など組織を背景とした犯罪が我が国の治安に重大な脅威を与えつつあることにかんがみ、これら犯罪組織化・国際化・高度情報化に対応した総合的施策の構築を検討すること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  178. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) ただいま小林君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  179. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 全会一致と認めます。よって、小林君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、白川国家公安委員会委員長から発言を求められておりますので、この際、これを許します。白川国家公安委員会委員長
  180. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 暴力団員による不当な行為防止等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして大変熱心な御審議をいただき、速やかに可決いただきましたこと、厚く御礼を申し上げます。  政府といたしましては、審議過程における御意見及びただいまの附帯決議の御趣旨を十分尊重いたしまして、暴力団対策の推進に万全の措置を講じてまいる所存でございます。
  181. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  182. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十二分散会