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1997-04-08 第140回国会 参議院 地方行政委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月八日(火曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  三月三十一日     辞任         補欠選任      風間  昶君     大久保直彦君  四月一日     辞任         補欠選任      大久保直彦君     風間  昶君  四月三日     辞任         補欠選任      風間  昶君     大久保直彦君  四月四日    辞任          補欠選任      大久保直彦君     風間  昶君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         峰崎 直樹君     理 事                 関根 則之君                 竹山  裕君                 小林  元君                 朝日 俊弘君     委 員                 太田 豊秋君                 上吉原一天君                 鈴木 省吾君                 谷川 秀善君                 山本 一太君                 牛嶋  正君                 風間  昶君                 吉田 之久君                 大渕 絹子君                 渡辺 四郎君                 有働 正治君                 西川  潔君                 田村 公平君    国務大臣        国 務 大 臣        (国家公安委員  白川 勝彦君        会委員長)    政府委員        警察庁長官    関口 祐弘君        警察庁長官官房        総務審議官    金重 凱之君        警察庁刑事局長  佐藤 英彦君        警察庁交通局長  山本 博一君        警察庁警備局長  伊達 興治君        建設省道路局長  佐藤 信彦君        自治大臣官房長  谷合 靖夫君        自治大臣官房総        務審議官     嶋津  昭君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤  勝君    説明員        総務庁長官官房        参事官      楊井 貴晴君        運輸省自動車交        通局貨物課長   福本 秀爾君        運輸省自動車交        通局技術安全部        技術企画課長   下平  隆君        運輸省自動車交        通局技術安全部        保安・環境課長  三宅 哲志君        建設省道路局企        画課道路防災対        策室長      宮本 泰行君        建設省道路局道        路環境課長    原田 邦彦君        建設省道路局国        道課長      城処 求行君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○道路交通法の一部を改正する法律案内閣提出  )     —————————————
  2. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  道路交通法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は去る三月二十七日に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 関根則之

    関根則之君 このたびの人事異動によりまして関口長官就任をされたわけでございますけれども、所管の常任委員会でございますので、御就任に当たりまして、警察行政全般運営最高責任者におつきになったわけでございますので、これからの警察行政運営につきましてどのような考え方をお持ちであるのか、抱負といったようなものをお聞かせいただければありがたいと思います。
  4. 関口祐弘

    政府委員関口祐弘君) このたび警察庁長官就任いたしました関口でございます。  本委員会先生方には、平素から警察行政万般にわたりまして格別の御高配を賜っておりますことに対しまして、厚く御礼を申し上げたいと存じます。  さて、最近、一連のオウム真理教関連事件等日本治安史上過去に類例を見ない重大な事案発生を見ているところであり、かつまた犯罪凶悪化広域化国際化が進むなど、治安をめぐる情勢は極めて厳しいものがあると認識をしているところであります。こうした局面においてこそ、私ども国民のための警察という原点に思いをいたしまして、その実現に向けて地道な努力を積み重ねていかなければならないと考えているところでございます。  このため、交通事故防止対策など市民生活に直結する問題につきましては、必要な方策を積極的に推進していくことはもとよりでありますけれども、現在からさらに将来に向けての治安を見通したとき、最大課題というのは組織犯罪対策であろうと考えるところでございます。  現在、組織犯罪社会的に大きな脅威を与えているところでありますけれども、今後さらに社会変化に応じまして巧みに変容し、さまざまな形で治安を撹乱させるおそれがあります。まさに、テロなり銃器なり薬物等々、各般に及ぶ組織犯罪との対決というものが今後の治安の帰趨を決すると言っても過言ではなかろうというふうに考えているところでございます。  こうした意味におきまして、暴力団対策につきまして、従来にも増して暴力団犯罪取り締まりなり、あるいは暴力団対策法効果的な運用暴力団排除活動の推進、こうした三つを柱といたしまして総合的な対策を推進してまいらなければならない、かように考えているところでございます。
  5. 関根則之

    関根則之君 国民に愛される国民のための警察をしっかりと運営していくんだというお話と、具体的な警察取り組みの中心的な課題といいますか、非常に重要な力点を置いていかなきゃならないものが組織犯罪対策だと、こういうお話がございました。非常に二つとも重要な問題だと思いますので、ぜひひとつそういう考え方でしっかり取り組んでいただきますように、まずお願いを申し上げておきます。  ところで、今我が党もそうですけれども政府最大課題として、日本のいろんなシステムを変えていこうという大改革を、あらゆる行政、政治、経済の分野にわたってなし遂げていかないと日本が沈没してしまうんではないか、そういう一種危機意識まで持ちながら取り組んでいるところなんです。そういう中で、警察も当然、効率的な透明性のある能率のよい警察にしていかなければならない、いわば行財政改革の一環として警察自身もそのらち外には置かれていない、そういうふうに私は考えるわけです。  その中で、特に警察というのは権力機構ですから、機構そのものが上の命令をきちっと下に伝えて、それこそ上から下まで一体となって目的と本当に直接対決していかなければいけない、そういう組織であるはずでございますから、その民主的な手続を下の方から上げてくるあるいは下の意見に丁寧に耳を傾けるということがなかなかやりにくい組織だろうと思うんです、できないということではありませんけれどもね。  したがって、警察はほかの役所以上に風通しをよくしていく、下の意見がずっと上まで上がってくるようにする、しかも中でいろんな情報があるわけですけれども、そういう情報を、もちろん犯罪捜査に直接影響するようなことでは、警察仕事が達成できないというようなことでは困るんですけれども、そうでない限りはできるだけ透明性を高めていくと、そういう努力も必要ではなかろうか。権力構造であればあるほど、そういうことに注意をしていかなければいけないんじゃないか。そういうことをやらないと、長官が今おっしゃった国民のための国民に愛される警察にはなり得ないんじゃないかと思いますけれども、その方面についてはいかがでしょうか。
  6. 関口祐弘

    政府委員関口祐弘君) 先生指摘のとおり、ここ数年来の治安情勢というものを見てみますと、これまでの私どもの知識なり経験でははかることのできないような事案というものが次々と発生をしているところでございます。国民の間には、今後何が起きるかということについての不安というものも存在していることは否定できないところかと存じます。  こうした変化の激しい状況下におきまして、私ども警察としましては変化に即応していかなければいかぬということが大命題でございます。そうしたことにこたえるべく、私、就任に際しまして、変化に即応するしなやかな組織づくりというものを職員にあいさつしたところでございます。組織そのものもそうでございますし、その運用に当たりましても、しなやかに動けるというふうなものにしてまいりたいと考えているところでございます。  そしてまた、先生おっしゃられるように、警察というのは人が財産の組織でございます。そうした意味で、人を生かしていく、そしてまたそのために人を伸ばしていくということが必要なわけでございまして、何よりも組織内部におきましては風通しのいいと申しますか、職員一人一人が生き生きと仕事に精励できるような組織づくりというものに心がけてまいりたい、かように考えているところでございます。
  7. 関根則之

    関根則之君 実はこの間、地行の先生方一緒鮫洲試験場を見せていただいたんです。それで、あそこに配置されている職員もそれから外部委託みたいな形で安全協会の方も働いていらっしゃいます。中の人たち、正規の警察官並びにそういった協会職員含めて、お客さんが多いですから大変忙しいんでしょう、みんな一生懸命やっております。その真摯な姿というのはよくわかるんですけれども、何か暗いんだね、あそこのセンター全体が。刑務所へ来たような気が、そこまではいきませんけれども、何か悪いことをすると縛られちゃうんじゃないかというようなそんな感じがちょっとする。廊下を歩いていても非常に暗い感じがしますね。照明の問題もあるんでしょうけれども、人の関係じゃないかと、一緒おいでになった先生方からもそういう声がちょっとありました。  それで、例えばいろいろ指示をしても、次はあそこへ行ってください、ここへ行ってくださいというのも、くださいじゃないんだね。次はあそこ、八番、次は二十番、こういう割り振りなんですよ。  ああいうところへ行く人は悪いことをしている人も来ているかもしれないですよ、免許停止になっちゃって助けてくれというような人もいるのかもしれない。しかし、あの試験場へ行く人というのは社会の相当上の方の人だって来るわけですよ。だから、それならそれで、そういう人たちも来るんだなということを頭に置いて、普通、社会一般で通用するような言葉遣いというものも必要なんじゃないか。権力構造の中にいますから、何でもかんでも命令をしててきぱきとやりさえすればそれでいいという気になりがちなんじゃないか、そういう風潮がちょっとあるのかなと私は感じました。  しかし、警察はいろいろ努力をしているんだと思いますけれども、何か悪いことをして警察に捕まった人が恐れおののくのは多少必要かもしれませんよ。しかし、警察というのは一般人たちがどんどん出入る民主的な場なんですから、そういうところへ、本当に裸の権力というものを持っている側が注意注意を重ねて、余り権力的な感じを受けさせないで済むような配慮が必要じゃないかというような気がしてしようがないんです。  その辺について、長官にこういうことをお尋ねするのは失礼かと思いますけれども、上がその気にならないと下は警察官というのは偉いものだというような感じになつちゃう心配もあるものだから、長官として何かその辺のところ、いま少し警察を明るく一般国民に親しまれるような警察に持っていくためのお考え方なりそういうものが、もう長いことずっと警察おいでになるんですから、そういうものがおありになったら御所見を承りたいと思います。
  8. 関口祐弘

    政府委員関口祐弘君) 私、何年か前に教養課長というポストにいたことがございますが、そのときに私ども警察官市民への対応と申しますか接遇が必ずしもよくない、暗いといいますか、横柄だといいますか、そんな声が国民の中にあるということを受けまして、当時私ども市民応接という言葉を使いまして、国民の皆さんと接触する言葉遣いなりあるいはその他の環境問題等々につきまして、これを向上させようという運動を全国的に展開し始めたことを今思い出すわけでございます。  かつてよりもかなりよくなりつつあるとは思っておりますけれども先生に御指摘をいただいておりますようにまだまだ改善すべき点もあろうかと思います。先生からの御指摘を十分踏まえながらまた全国警察を指導してまいりたい、かように考えます。
  9. 関根則之

    関根則之君 長官がそういうお気持ちであれば組織全体としても本当に、そういうことをいつも注意していませんとどうしてもマンネリに陥って能率のいい方へ行っちゃうものですから、ついつい言葉遣いも荒っぽくなったり、いわゆる事務的になり過ぎたり、あるいは場合によると一般の人をつかまえて犯罪者に対するような対し方をするということにもなりかねないものですから、ぜひひとつ今のような考え方部下職員の指導をお願い申し上げたいと思います。  せっかく組織暴力のことについて長官が言及されましたので、ちょっとその辺のところをお聞きしたいのですが、このごろは構成員が大分減ってきた、暴対法施行後五年たって大分浸透してきたというようなことも言われておりますが、構成員はその後どうなっておるのか。それから、テレビ報道などでも盛んにこのごろやっています。何か企業舎弟というような形で、構成員からは外れるけれども、実際には住専を初めとする金融の問題に絡んで債権の損切りなどという仕事暴力団まがいの人がやっているというような話も聞こえできます。そちらの方へ紛れ込んできているという話も聞くわけでございますが、その辺のところの実情はどうなっておりますのか、ちょっと御説明いただきたいと思います。
  10. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) 暴力団勢力の推移でございますけれども、まず暴力団と言います場合に、我々は、便宜暴力団勢力という大きなくくりを一つとりまして、その中に暴力団員と準構成員というぐあいに分けております。暴力団員と申しますのは暴力団構成員という意味でございます。これが現在では暴力団勢力七万九千九百人ということで、うち暴力団員は四万六千人でございます。暴対法が施行されましたのが平成四年の三月でございましたから、ちょっと時期をとりにくいのでございますけれども、この前後の時期と比較をいたしますと、暴力団員並びに暴力団勢力、いずれも一万人強減少をいたしております。  なお、減少した暴力団員につきましては、便宜構成員ということで把握をいたしまして引き続き視察をするという仕組みにいたしておりますのでその分準構成員がふえますけれども、にもかかわらず暴力団勢力全体として一万人強減ってきたということでございますので、暴力団としては暴対法を定めていただきます等の効果により着実に減少をさせることができているというぐあいに考えます。  なお、二番目のお尋ねでございます企業舎弟云々でございますが、まず企業舎弟ということなのでございますけれども、以前確かに警察もそのような用語を用いたことがございます。しかし、暴対法が制定をされまして、暴力団というものはいわば違法な集団であるという法律上の位置づけをいただいたことを契機といたしまして、この企業舎弟という言葉暴力団の中において使われている言葉なものでございますから、我々としては使わないようにいたしております。  意味といたしましては、暴力団が合法的な装いをいたしまして収益を上げる企業活動、その中におきまして、暴力団の周辺にありながら、すなわち準構成員であって経済活動を行い、その収益暴力団に上納する等の活動をしている者を総称して言っております。  御指摘のように、この種の活動暴力団は傾斜をしてまいっておりますので、我々としてはバブル崩壊後の現在の経済状況というものを踏まえながら、この種の活動に対する視察取り締まり検挙活動というものを強化してまいらなければいけないというぐあいに考えているところでございます。
  11. 関根則之

    関根則之君 民事への暴力団の介入というのが非常に多くなってきている、それに対応するという意味もあって暴対法というのができたのではないかと、そういう認識を持っておりますけれども、今回もさらに強化していくために暴対法の改正を考えているようですから、それはそちらの審議の方に譲りたいと思います。  暴対法ができて数は一万人ほど減った、それはそれで大変結構なこと、警察も一生懸命やってくれたその効果だと思うんですが、しかし残念ながら、相変わらず日本には三大暴力団というのがあるんですか、それらの組か団か知りませんが、そういう人たちというのは厳然として存在しているんですね。  私どもが選挙区へ入って、一番末端の小さな商売、飲み屋さんや何かをやっている人たちからいろいろな話を実は聞くわけです。何々組の人がこのごろ出てきてこの辺で勢力が強くなったんだということで、しかもバッジをつけたような人を確かに見かけるんですよ。そういう小さいところはどうなのか知りませんが、大きいところが堂々と社会的存在として存在しているんですね。これは暴対法をつくった効果が本当にあるんだろうかということを、社会実態としてはほとんど変化がないんですよ。  だから私は、三大暴力団というのなら、そのうちの一つ暴力団ぐらいは解散しましたというぐらいの実績を上げてもらわなければ本当の暴力団対策にならないんじゃないか、そんな感じがするんですが、どうなんでしょうね、非常に難しいことですか。
  12. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) まさしく御指摘のとおりでございまして、私どももそのために日夜努力をいたしているところでございます。  数字でちょっと恐縮でございますけれども先生の御指摘の三団体、これは山口組、稲川会、住吉会を指しておられることと理解をいたしますが、これが現時点ではおよそ三分の二の勢力を占めております。ただ、この三団体におきましても、暴対法施行前後におきましては三万七千から三万八千強の組員がおりましたけれども、現在それが三万強ということで六、七千人減らすことができております。先ほど申し上げましたように、一万人減の六割はこの三団体の減でございます。  ただ、全体の暴力団が減ってくる、減らざるを得ない、取り締まりあるいは世論等々の効果によりまして減ってくるわけでありますけれども、現在の日本暴力団本質は、国民努力をして得ました所得から理不尽に収奪をしていくということを本質とした団体でありまして、生きんがための違法な集団と言ってよろしいかと存じます。したがって、全体として包囲されてきているという中にあって、何とかしのいでいこうとするために寡占化を進めていくというのはこれもまた自然の成り行きでございます。  したがいまして、我々は引き続きこの三団体を中心に少なくとも減少させ、そしてできるだけ壊滅をすべくまた効果的な手法を編み出して取り締まりを強化してまいりたいというぐあいに考えておりますので、御理解を賜りたいと存じます。
  13. 関根則之

    関根則之君 一生懸命やっていらっしゃるということはわかっているんですよ。ただ、目に見えるような形で実態を変えていくといいますか、そういう一つ戦略なり戦術を持って、一つ戦略目標をきちっと決めてそれに向かって具体的な細かい戦術をしっかり組み上げて、ここのところはつぶしちゃうんだ、それをぜひやってもらいたい。ただ、全般的にいろんなことをやって攻めていって壊滅状態に追い込むんだというのはよくわかるんだけれども、本当にそういう戦略志向というのがあるのかなという気がしてしようがないんですよ。  その辺のところを、せっかく長官が新しく就任されて、抱負の中で組織暴力に対してきちっと対決していくということをおっしゃっているんですから、そういった戦略志向のような取り組み方ができないものか、ちょっと長官考え方をお伺いしたいと思います。
  14. 関口祐弘

    政府委員関口祐弘君) お尋ねの三団体は、ただいま刑事局長が申し上げたとおり、勢力的に全暴力団の三分の二というふうな数を占めておりまして、極めて悪性が高いということでございます。そうしたことで、私どもこの三団体に重点を向けまして、その分断、解体、壊滅へ向けまして全国警察を挙げて取り組んでいるところでございます。  取り締まり方針として私ども内部でかねがね言っていることでございますけれども、人、物、金ということを申します。すなわち、人というのは暴力団の幹部を含めまして構成員を大量に反復検挙するということでありますし、物というのは彼らが所持しているけん銃を初めとする武器を摘発していくということであります。そしてまた、金と申しますのはいわゆる資金源封圧ということであります。  そうした三つ基本方針のもとに進めているわけでございますが、なかんずく暴力団資金源ということで考えた場合に、暴力団というのは金になるものなら何にでも手を出すというのが実態でございます。そうしたことで、私どもはその実態を明らかにしあらゆる刑事法令を使いまして違反行為を摘発していくということ、そしてまた暴対法効果的に活用いたしまして、暴力的な要求行為に対する行政命令というものも発出するというふうな総合的な対策というものを進めてまいりたい、かように考えているところでございます。
  15. 関根則之

    関根則之君 総合的な対策、結構なんですけれども、例えば金融ビッグバンを二〇〇一年からやろうといって橋本総理は大変な目標を掲げて、もう自分自身をそこへ追い込んじゃってやっているわけですよ。だから、暴力団対策だってもうこれは長い長い歴史があるから簡単にはいかない、それはわかるんですけれども、ただ総合的対策じゃなくて、目標を決めて、例えば今世紀中にはこの三大暴力団全部をやっつけちゃう、壊滅状態に追い込むんだ、壊滅させるんだというぐらいな目標設定はできませんか。これは大きな問題でございますので、公安委員長、いかがでございますか。
  16. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 関根委員から暴力団という問題に絞っての先ほどからのお尋ねでございます。  まず、暴力団についての私の一般的な考え方を申し上げますと、こういう組織というのはいつの時代もあったんだ、あるいはどこの国にもあるんだ、イタリアを見てみろ、アメリカを見てみろと、いろんな意見がありますけれども、果たして私はそうなんだろうかなと思っております。暴力団、少なくとも日本で言うようなあんな大きな暴力団というのはある国の方が珍しいんじゃないでしょうか。例えばアルカポネが率いた我々が知っているギャング団、私もシカゴに行ってまいりましたけれども、数百名のならず者の集まりであった、そしてアルカポネがいなくなることによって少なくともそのグループは雲散霧消した、こう聞いております。  ですから、私は国家公安委員長になる前からでございますけれども暴力団というのは警察当局が、そして国家社会が挙げてこういうものは許さないんだという不退転の決意があれば、いずれの日かは必ずなくすることができるんだというのが私の基本的な考え方でありました。  そして、図らずも国家公安委員長就任して以来、実は私もじっとそのことを考えて、刑事局長そしてまた暴力団対策部長と機会あるごとにこの話をし、かつ状況の細かい説明を聞いているところでございます。そして、委員が今おっしゃったような趣旨暴力団対策については万全を期して、最終的には今おっしゃったような組織壊滅に向かってのあらゆる努力をしていただきたい、こういうことを私からも督励しているところでございます。  ただ、ビッグバン、二〇〇一年まででございましたか、というようなそこまでの数値目標というか期限を付すところまでまだ私も考えておりませんでしたが、ひとつ真剣にそういう具体的な目標を設定して努力する、こういうことでまた一生懸命警察当局を督励してまいりたい、こう思っております。  なお、最後に、ちょっと先ほど長官の方から所信の表明がありましたが、つけ加えさせていただきますと、私は就任以来、警察は強い警察であってほしいと、それが一番警察本質だと。これは國松前長官もまた関口長官も同じでありますが、じゃ本当に強い警察とは何なんだろうか、こういうことを私なりに機会あるごとに言っています。それは、国民の信頼があり国民から協力が得られる警察が本当に強い警察だと思う、どうかそのことをいつも忘れずに職務に精励してほしいと、私はこう申し上げております。
  17. 関根則之

    関根則之君 大臣は高い見識をお持ちであるということで私も安心しているわけでございますけれども暴力団といいますか、いわゆる陰の社会と表の行政なり政治というのは常に大昔からいろんな連携がある。幡随院長兵衛じゃありませんけれども、ああいう話もみんなそうなんですね。後ろの世界との連携というものがどうしても表社会へ出てきちゃうという問題がある。  しかし、それはそういうものだからいつまであってもいいんだということにはならないんで、イギリスなんか現にないんですからね、フーリガンとかああいうものはあるんですけれども。そういう社会もあるんですから、日本も、あれほどまでに堂々と表へ出てきて一般国民を困らせるといいますか怖がらせる、そういう団体があるというのはね、アルカポネだってやられちゃったんですから。あれは戦略的に明らかに脱税ということでねらって、脱税を根拠にして逮捕したわけでしょう。  いろんな戦略戦略というかその辺は戦術になるのかもしれませんけれども目標をともかくきちっと据えて、それに向かって戦略戦術をきちっとこしらえてやっていく、そういう手法をとらないと、私は、今の日本のようなあんな大きな暴力団壊滅というのは一般論としてただやっているだけじゃだめだという感じがするものですからね。それこそまさにすべてわかっていらっしゃる白川国家公安委員長が御就任になっているこのときに、長官も新しくなったんですから、ぜひひとつそんな戦略みたいなものをこしらえていただきたいということをまずお願いしておきます。  それから、ちょっと暴力団の話ばかりになつちゃったんですが、暴対法はまだでき上がっておりませんが、今度つくる過程で、いわゆる不正収益の供託制度を設けて供託させようじゃないかと、そういう案を考えたようですね。それが何か途中で消えちゃっているようなんですけれども、どうして今回の改正案の中に盛り込むことを断念なさったのか。  それから、聞くところによると、何か刑事の損害賠償責任のデータといいますか証拠みたいなものを民事にも適用できると、そういうようなことを今法務省の方で考えているんで、そういう関係もあるんだというようなお話をちょっと聞いておるんですが、もしそうなら、そっちの方の話はいつごろでき上がるのか。せっかく今回こういう制度を考えたその供託制度をやめるといってやめたつきりになっちゃって、法務系統の仕事というのは割かし時間がかかりますから、先へどんどん延ばされていったんじゃたまらないじゃないかというような感じがするんで、その辺の見通しがもしありましたら教えてください。
  18. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) 御指摘のように、私ども、この改正案を立案する過程におきまして、大きな課題としてございました暴力団の不正収益の剥奪、あわせて暴力団の被害者の救済を促進する制度というものを何とか構築したいと考えたところでございます。  ただ、被害者対策を考えましたときに、この枠で考えますと、あくまで指定暴力団員による被害ということに限定をされてしまうわけでありますけれども、私どもの考えは、それでもいいからこれから始めていこうというぐあいに考えたわけであります。  お話しのように、協議をいたしました際、法務省におきまして被害者全般に対する刑事手続あるいは刑事政策というものを現在検討中だというお話がございました。それであるならば、それと一緒の中で検討をしてまいって、整合性のとれた制度で、かつ、より有効な制度をつくった方がいいのではないかというぐあいに考えた次第でございます。  なお、法務省におかれましては、今年度中を目途に、とにかく何らかの形で案をつくっていきたいという希望を持って作業を進めておられるというぐあいに承知いたしております。  なお、不正収益の剥奪に関しましては、現在、法制審議会に諮問されているやに伺っておりますけれども組織犯罪法制の検討もあわせて進められているということでございます。同時に、私どもも、この暴対法の中で何ができるのかということも引き続き検討してまいりたいというぐあいに考えております。
  19. 関根則之

    関根則之君 警察と法務省の関係は別問題、別な組織ですから。しかし、犯罪を扱うという点では目標は同じなんですから、警察サイドからも法務省に対して、審議の促進なり制度づくりなりに早く協力していただくように、ぜひひとつ働きかけをお願いしておきたいと思います。  組織暴力の話で、これから大きな問題になってくるのはテロですね。ペルーの問題一つとりましても、あれはたまたま外国で起こったことだからいいけれども日本の中で日本にある外国の公館がテロに襲われたと。これからのテロというのは国際連携しますから、それを考えておかなきゃいけないと思うんで、そういうものに対応するためには特殊部隊がどうしても必要だと思うんですよ。  それで、SATを、今警察の中では前から訓練をしてそういう組織もつくりつつあるということですけれども、今のSATの状況が、例えばペルーの日本大使公邸を襲撃いたしましたトゥパクアマルぐらいの勢力が来たときに対応できるだけの能力を持った組織にまで発展しているのかどうか。それから、もしそうでないということであればこれから強化していく必要があると思うんですね、もっともっと強化しなきゃいけないと思うんですが、その方策について具体策をお持ちであるのかどうか、お尋ねしておきたいと思います。
  20. 伊達興治

    政府委員(伊達興治君) 先生指摘のとおり、我が国内でペルー同様の事案が起こるということを今後十分想定しておかなきゃならないと思うのであります。  おっしゃるとおり、我が国の特殊部隊、SATという名前で呼ばれておりますが、これについて、その訓練の密度、体制、装備等々一層充実していかなきゃならないと、今回発生している事件を見ましてそのことを痛感しているところでございます。  私どもとしては、国内でこうした事態が起きれば何としても目的を遂げなきゃならないわけでありまして、関係機関と十分協力しながら万全の対応をしてまいるつもりであります。  SATにつきましては、現在、都道府県に二百名ほどの要員が用意されておりますが、さらに客観情勢の分析というようなところにも力を入れながら、施設、装備、こうしたものの充実を図り、さらに実戦的な訓練の密度を一層上げていって目的に十分こたえたい、こういうふうに考えているところでございます。
  21. 関根則之

    関根則之君 問題意識は十分認識をしていらっしゃって、そのための対応をしていただいているんだと思うんです。ペルーのあの事件は第一義的には接受国の責任ですから、ペルーを別にどうのこうの言うつもりはありませんが、日本でもし仮に起こったときにあんな状態になってしまったら、日本警察の権威を疑われるといいますか、何をしているんだと言われるわけですよ。一次的には、日本の中にある外国公館だったら日本警察が責任を持って防御していかなきゃいけないわけですから、そのときに対応策、対応手段を持たなかった、準備ができていなかったなんという話になるとこれはもう大変なことになりますよ。  諸外国で起こることをもちろん望んではおりませんが、仮に起こったときに、外国、先進国並みに対応できるような体制というのは早急にぜひきちっとつくり上げていっていただきたいとお願いを申し上げておきます。  一つ、道交法に絡んで、どうも余り時間がないものですから。  今、特殊法人等の廃止、統合、不必要なものはできるだけつくらないようにしよう、公益法人なんかも役所の方から口を出していろんな仕事を独占的にやらせるとかそういうふうなことで、そこにまた多少利権が絡んだりしてやるのはよくないよというようなことで、そういった公益法人の活動の制限といいますか、いわば民営化の方向に持っていこう、余り役所はそういうものに手を出さないでいこうというような動きが全般的にあると思うんです。  そういう中で、今度、都道府県交通安全活動推進センターですか、随分長い名前ですけれども、それをむしろ法律で強化していこうという法律改正が中へ入っているわけです。これは百八条の三十一ですか、センターのやる仕事の項目も大分ふえたようですけれども、どんな仕事がふえているんですか。
  22. 山本博一

    政府委員山本博一君) 今回の法改正によりまして交通安全活動推進センターなるものを指定できるようにお願いをしておるところでございますけれども、これは現在、例えば安全協会とか、こういう民間の交通安全団体が種々の交通安全のための活動を行っているところでございます。これにつきまして法的なきちっとした資格を与えていこうとするものでございます。  具体的に申しますと、例えば安全協会では運転適性指導というものを現在行っているところでございますが、これにつきましても、その業務を通じまして利用者の性格、病気等の個人的な秘密を知ることになりますので、一般団体がやりますにはなかなか問題点があるところでございます。交通安全活動推進センターということになりますと、役職員に守秘義務を課すことができます。これによりましてより効果的にこの種の業務が推進できるようになるわけでございまして、こういうことによりまして、さらに交通安全が図られるということを考えているところでございます。  こういう形で交通安全協会活動がより効果的に行われるようにということで交通安全活動推進センターの指定ということを現在考えておるところでございます。
  23. 関根則之

    関根則之君 この交通安全活動推進センターというのは民間の団体ですから、そういうものがどんどん交通安全のために仕事を広げてやっていかれるということ自身は私は結構なことだと思うんです。ただ問題は、法律にどんどん書き込んでいって、それで法律制度としていろんな仕事をできるようにするという必要が本当にあるのかなという気がするんです。  例えば「交通事故に関する相談に応ずること。」というのが今度一項目入りましたね、追加されて。こんなことは今までもやってきているんじゃないかという気がするんですよ。それから、交通事故に関する相談に応ずる仕事というのは、これは弁護士の本来の仕事の中の一つであろうと思いますし、独占的に交通事故相談をこのセンターに与えるということでもないわけです。何かその辺のところが、法律が少し中へ深入りし過ぎるんじゃないか。一種の規制みたいな感じで、あれをやりなさいこれをやりなさいというようなことを法律で書く必要があるなら、せっかくある民間のそういう団体に対して、一般的に交通安全のためにいろいろやってくださいよというようなことを書いておけばいいんであって、これ十三項目でしょう、こんなふうにわざわざ書いていく必要があるのかなという気がしているんです。  要するに、民間の団体を使うということであればそれはそれで結構なんだから、その民間の団体が自分の創意と工夫、自発的な意思によっていろんな仕事をどんどんできるようなそういう環境さえ整えていけばいいんではないか。むしろ、官側が口を出すことによってかえって不必要な仕事までやらせるあるいは自由な動き方を制限してしまう、そういう結果にならないかということを私は心配しておりますので、そんな心配はないんならないで結構ですから、ちょっといかがですか、感想でもいいですから。
  24. 山本博一

    政府委員山本博一君) 今回、交通安全活動推進センターの業務としまして幾つかのものが追加されておるところでありますけれども、これはその大半が現在民間団体において行われている業務を列挙したものでございまして、これによりまして新たな業務をこの団体にやらせようというものは極めて少ないところでございます。したがいまして、これによりまして業務がどんどん拡大していくということの心配はないんではないかというぐあいに思っているところでございます。  また、指定法人化しようとしております趣旨は、これによりまして位置づけを与えるわけでありますが、同時にこの団体は義務を負うわけでございまして、その義務を負う中で、より仕事がやりやすくなっていくという面もあるわけでございます。この法人が民間活動をよりやりやすくするためにやろうということでございますので、その点よろしく御理解を賜りたいと思うところでございます。
  25. 関根則之

    関根則之君 それはそれで結構なんです。ただ、今民間の公益法人等に対する規制の緩和だとか、官側が余り口を出さないで自由にやらせようじゃないかと、そういう方向との兼ね合いを十分考えて、いやしくも警察が天下り先を強化してつくったんだと、これはできているものだからつくったとは言われないんでしょうけれども、そういうことを言われるようなことのないように御注意をいただきたいということだけお願いしておきます。  せっかく建設省から来ていただいておりますので、道路に街路灯をつけるとき水銀灯とナトリウム灯がありますね、あれはどういう基準で使い分けをしているのか、ちょっと御説明ください。
  26. 原田邦彦

    説明員(原田邦彦君) 道路照明につきましては、夜間におきましてあるいはトンネルのように明るさの急変いたします場所におきまして、道路状況、交通状況を的確に把握するための良好な視覚環境を確保し、道路交通の安全、円滑を図ることを目的として設置されているところでございます。  道路照明の設置に当たりましては、その技術基準といたしまして道路照明施設設置基準がございます。道路交通の安全、円滑が図られますよう照明設計の基準輝度、選定されます光源の種類など基本的事項を定めているところでございます。水銀灯やナトリウム灯などの具体的な光源は、この設置基準によりますほか、気象状況であるとか周辺地域条件などを踏まえまして、合理的かつ経済的になるように選定されているところでございます。
  27. 関根則之

    関根則之君 合理的な基準があって、交通量だとか気象条件とかというもので決まっているんでしょうけれども、不思議なことは都県境でがらっと変わるんですよ。首都高速を走っていて、千葉県に入ると途端に黄色になるんですよ、白銀灯が。全然交通量は変化なしですよ。それから、国道もそうなんです。埼玉へ入る道もそうです。環八が笹目通りと名前が変わった途端にナトリウム灯になつちゃうんですよ。ぐっと暗くなるんです。色がわからなくなる。消防自動車なんか白っぽく見えちゃう。途端にですよ、その県境のところで。笹目橋という荒川を渡る橋がありますけれども、その橋のちょうど真ん中で色が変わるんですよ、ばっと。交通量なんか全然変わらない。  あれは非常に不思議な現象です。埼玉県がひがんで言っているわけじゃありませんが、客観的な基準でやるんだったら、その客観的基準に則してやってもらいたい。県境で変えるなんということはやめてもらいたいと思うんですが、課長さんですからこれは言ってもしょうがないと思いますので、後々また個別問題として究明をしていきたいと思います。  以上で質問を終わります。
  28. 小林元

    ○小林元君 平成会の小林元でございます。  平成八年度の交通事故の状況でございますが、警察庁の資料によりますと、死者数は一万人台を割ったと。これにつきましては、警察の皆さん初め関係者の皆さんの努力、あるいは県、市町村、そしてまた運転者の自覚等相まってそういう結果が出たんだろうと大変実績を評価したいというふうに思っておりますし、皆さんの努力に対しまして心から敬意を表する次第でございます。  しかし、交通事故の発生件数自体は残念ながら増加をしている。発生件数は今年度七十七万一千件でございます。それから、負傷者数は死者数を入れますと九十五万人台ということで、昨年よりも伸び史上最高というようなことで、記録を更新中という状況でございます。  先ほど関口長官は、組織犯罪対策は大変大事だと言いましたが、この一万人を超える死者あるいは九十五万人を超える負傷者の発生というような状況で、最近余り交通戦争という言葉は聞かれませんけれども、一万人の死者が出ているあるいは九十五万人を超える負傷者が出ているということはやはり重大な問題であろうというふうに私は考えております。  そういうことで、交通事故を減らしていこう、交通安全対策に力を入れようということにつきまして新長官のお考えがございましたら、突然でございますが、所信を御表明いただきたいと思います。
  29. 関口祐弘

    政府委員関口祐弘君) 委員御案内のとおり、昨年九年ぶりに交通事故死者数が一万人を割ったということでございますけれども、逆に申し上げるとまだ一万人近くの方が亡くなっているということでございます。私ども交通安全を所管する者としまして、まだまだこれから努力をしなければいかぬということを強く感じているところでございます。  交通安全対策警察がその中心として進めるべきものであろうと思いますけれども警察だけの力ではまたいかんともしがたい。地方自治体の皆さん方、さらに国民一人一人の方々の理解、協力を得まして、これからも死者数そしてけがをする方も含めまして、そうした事態が少なくなるように最大限の力を尽くしてまいりたいと考えているところでございます。
  30. 小林元

    ○小林元君 そこで、これは警察庁の昨年度の死亡事故の分析というんでしょうか状況の資料をいただいておるわけですが、これまで死亡事故を減らすというためにはシートベルトの着用が大変大事であると、そういう方針で来られたと思います。  そういう中で、この事故分析によりますと、非着用死者は運転中で大幅に減少、それから高齢者の着用死者が増加というように、単純な数でいきますと確かに二千百四十五人が二百十一人減った、それから六十五歳以上の高齢者につきまして二百三十二人で着用死亡者が四十五人ふえたと。これは事実でございますけれども、そのようなものを、私は隠せということではありませんが、これではいかにも着用しなくてもいいんじゃないかというふうに受けとられかねないんじゃないかということを大変心配しているものでございます。要するに、もしシートベルトをしていたら死亡事故には至らなかったんじゃないかというようなこともあると思いますし、一般的には四割ぐらいの効果があるというようなことも言われてシートベルト着用運動をやっているんだろうというふうに考えております。  その辺のことにつきまして、警察庁として今後どういうふうに考えておるのか、お伺いしたいと思います。
  31. 山本博一

    政府委員山本博一君) シートベルトの着用が交通死亡事故を減らす上に大きな効果があるということは皆さん方既に御承知のところでございます。私ども、こういう観点から、関係機関、団体等と大いに連携いたしまして、シートベルトの非着用の危険性と、それから着用効果が大いに高いんだということを積極的に広報しておるところでございます。  おかげさまで着用率は年々向上してまいりまして、民間の調査ではございますけれども平成八年度では運転席の着用率がほぼ七二%という数字も出ておるところでございます。こういうこともありまして、昨年度はシートベルト非着用者の死者が大幅に減ったということになったんではないかというぐあいに思っておるところでございます。  ただ、依然として交通事故死者に占める非着用者の割合は非常に高いわけでありますので、今後ともシートベルト着用率の向上ということにつきまして大いに努力をしていきたいと思っておるところでございます。  先ほど先生がおっしゃいましたが、締めておれば大体四割の人が助かったんではないかということも言われておるようでございます。私ども定かな数字は持っておらないところではございますけれども平成七年に調査いたしましたところによりますと、運転席における致死率を見ました場合、着用しておる者が〇・二九%であるのに対しまして、着用していない者は三・二二%というぐあいになっておりまして、着用者の約十一倍に達しておるという数字もあるところでございます。  今後とも、正しいシートベルトの着用ということにつきまして積極的な広報啓発活動を行ってまいりたい、これによりまして一人でも多くの人が交通事故死ということに遭うことがないように努めてまいりたいというぐあいに思っておるところでございます。
  32. 小林元

    ○小林元君 そういう単純な発表の仕方をされると大変誤解をされるんではないか。シートベルトをしないでそういう事故に遭ったという割合は現実には七割近いわけですから、そういうことで今後とも慎重に取り扱いをいただきたいというふうに思いますし、シートベルト着用運動につきましては今後とも推進をしていただきたい、こういうふうに考えているところでございます。  それと、今回の改正案には入っておりませんけれども、現在、少子化時代を迎えて、子供を育てる、子供は貴重な存在ということになっているわけでございます。それで、いわゆるチャイルドシートというんでしょうか、そういうものがあるわけでございます。子供の死傷者も増加をしているというような現状の中で、一月ごろでしたか、NHKのテレビでもチャイルドシートの問題が取り上げられておりますし、欧米ではチャイルドシートを義務化するということで法制化している国もあるやに聞いておりますが、その辺のことについてお考えがありましたらお願いしたいと思います。
  33. 山本博一

    政府委員山本博一君) チャイルドシートの問題につきましては、交通事故発生時における子供の保護に非常に高い効果を有するものであるということがありまして、諸外国でも積極的な活用が図られておるところでございますし、我が国におきましても年々普及が高まってきておるところでございます。  平成八年度には、民間の調査によりますと七・九%の者がチャイルドシートを使用しておるという状況が出てきておるところでございます。外国におきましては、ヨーロッパ、アメリカ等かなりの国におきましてチャイルドシートの着用が法制化されておるところもあるわけでございます。我が国におきましても年々これが高まってきておるところでございますので、着用義務の法制化ということにつきましても今後積極的に検討してまいりたいというぐあいに現在考えておるところでございます。
  34. 小林元

    ○小林元君 どうぞ前向きに検討いただきたいというふうに考えております。  次に、国家公安委員会が交通安全教育指針を作成するということで、今回百八条の二十八の改正案が出ているわけでございます。交通安全対策基本法の二十二条によりますと、基本計画をつくる、それからさらに交通安全業務計画を国家公安委員会が作成するというようなことになっているわけでございます。お経はたくさんあればあるほどいいということもあろうかと思いますけれども、どうも屋上屋というような感じがしないでもないわけでございます。  その辺の関係といいますか、基本計画、業務計画、今度は交通安全教育指針と、そしてまたそういう指針の問題につきましては、基本法では中央交通安全対策会議に報告をするというふうなことになっているわけです。今回の指針については国家公安委員会で作成をするということになっておりますが、この辺のお考えについてお伺いしたいと思います。
  35. 山本博一

    政府委員山本博一君) 似たような用語がたくさん出てまいりまして混乱を招かれるんではないかと思っておりますが、お話しになりました交通安全基本計画というものは、国の交通の安全に関係する行政機関の長で構成されます中央交通安全対策会議というものにおきまして、国及び地方公共団体が行う交通安全対策全般にわたる総合的かつ長期的な施策の大綱を定めるものでありまして、昭和四十六年以降五年ごとに定められておるものでございます。  また、交通安全業務計画と申しますものは、この交通安全基本計画に基づきまして、毎年度関係行政機関の長がその所掌事務に関しまして交通の安全に関し講ずべき施策等を具体的に定めておるものでございます。  これに対しまして、今回お願いしております交通安全教育指針というものは、歩行者や車両の運転者に対しまして交通安全教育を行う者が、それを参考として効果的かつ適切に交通安全教育を行うことができるようにするため、交通安全教育の具体的な内容や方法等について定めようとするものでございます。  抽象的に申しますとこうなるわけでございますが、より具体的に若干説明をさせていただきますと、交通安全基本計画におきましては、例えば生涯にわたる交通安全教育の振興といった総合的かつ長期的な施策の大綱が定められ、交通安企業務計画におきましては、各行政機関の長によりまして、交通安全基本計画に基づきます具体的な施策として体系的な交通安全教育の推進、子供に対する交通安全教育の推進というようなことが定められることになります。  これに対しまして、交通安全教育指針におきましてはさらに細かくなりまして、例えば高齢者に対する交通安全教育においては、昨今の高齢運転者の運転中の交通死亡事故状況、高齢者の加齢に伴う身体機能の低下等の状況を踏まえた高齢運転者の方の運転方法等につきまして配慮していただくことなど、交通安全教育の内容や方法を定めることになるところでございます。それぞれ性格が違っておるということでございますので、よろしく御理解を賜りたいと思うところでございます。
  36. 小林元

    ○小林元君 従来の基本計画あるいは業務計画においても、交通安全教育につきましては相当触れられているわけですね。ですから、その辺もっと具体的に詳しくというお話でありますが、その辺を重複しないといいますか、都道府県の公安委員会がそういうものを見て、それに準拠して交通安全教育をやっていっていただきたいというふうに考えております。  それから次に、百八条の二十七には、都道府県の公安委員会は住民の理解を深めるために交通安全教育を行うように努めるというふうに今度改正されるわけでございます。これは訓示規定といいますか努力規定というようなことで、特に具体的なことは書いてないわけでございます。しかし、先ほどの御答弁にもありましたけれども、交通安全教育というものはひとり公安委員会だけでできるものではないだろうというふうに、先ほど大臣からもそういうお話がございました。これは県、特に基礎的な自治体である市町村の協力というものが非常に大事なところではないか。それからさらに、学校教育というんでしょうか、あるいは生涯学習、社会教育というものを担当されている教育委員会の協力というものがどうしても必要だろうと。  ところが、この百八条の二十七には公安委員会はそういうことをやるというふうにだけ書いてありまして、指針の方では関係機関と十分緊密な協力を図るように努めるというふうに書いてあって、地方の方はその辺が抜けておるというふうにとらざるを得ないわけです。これは自治大臣、公安委員会委員長も兼ねておりますので、その辺の考え方につきまして大臣のお考えがありましたらお聞かせいただきたいと思います。
  37. 山本博一

    政府委員山本博一君) かなり細かい事項でありますので、私の方からまず御答弁させていただきたいと思います。  都道府県公安委員会におきましては、道交法上、従来からも車両の運転者に対しましては安全教育を行うという責務が課されておったところでございますけれども、今日の交通状況を考えますとき、車両運転者に対する講習だけではなしに、広く住民に対する交通安全教育につきましても公安委員会努力義務として道交法上明確化した方がいいんではないかという観点から今回規定をさせていただいたところでございます。  もとより市町村、教育委員会におきましても、例えば学校における生徒に対する交通に係る安全教育など、それぞれの所掌事務に関しまして交通の安全に関する教育を行っておられるところでございまして、またこれも極めて重要なものであろうかと思っております。  決して警察の交通安全教育だけで物事が万全になるわけではありませんで、むしろすそ野の広い各市町村の交通安全教育があって初めて物事が完結するものであろうというぐあいに思っておるところでございます。こういう意味におきまして、私ども当然連携をしていかなきゃいかぬということは考えておるところでございまして、そういう観点からこの連携の規定を入れさせていただいたところでございます。
  38. 小林元

    ○小林元君 交通安全教育というものは、特に住民向けというようなことが今回の改正案の中にも出ているわけでございまして、住民の理解を深めるために住民に対する交通安全教育を行うと。公安委員会だけではこれはなかなか難しいんじゃないかと思うんですね。  ですから、今お話もありましたが、市町村、教育委員会等と、あるいは交通安全団体もあると思いますけれども、その辺と連携をして、運転者だけではなくて一般住民にも理解を深めてもらうというような意味で、公安委員会も、あえて取り締まり対象の運転者や事業者に絞ることなく一般住民に対しても一歩踏み出すということはいいのでございますけれども、その辺十分連携をとりながらやっていただきたいというふうに考えております。要望しておきたいと思います。  それから次に、民間の自主的な組織活動を促進するための措置というようなことで今回改正がされるわけでございます。  これによりますと、民間の自主的な活動を促進すると言いながら「情報の提供、助言、指導その他必要な措置を講ずる」と、こういうふうに規定がされているわけでございます。自主的な活動に対して指導をすると、情報の提供、助言はいいのでございますが、指導をするというのはどうもこれはいささか行き過ぎじゃないかというふうに思うわけでございます。その辺はどのように考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
  39. 山本博一

    政府委員山本博一君) 都道府県公安委員会が行います情報の提供、助言、指導等の措置は、交通安全における民間の自主的な活動の重要性にかんがみ、その自主的な活動の促進を図るために講じようとしているものでございます。したがいまして、都道府県公安委員会が指導を行うに当たりましては、基本的には相手方の自主性に配慮しつつ、相手方の求めに応じて、相手方の意向に沿った指導を行っていくものと認識をしておるところでございます。  相手方の求めがない場合に指導を行うこともあり得ますが、そのような場合の指導は、例えば歩行者の誘導や道路における適切な車両の駐車についての街頭啓発活動が自動車の通行が頻繁な車道上にはみ出して行われているなど、相手方の活動が法令に違反していたり、交通上の危険が極めて高い方法で行われているときといった極めて例外的な場合に限られるものでありまして、民間の自主的な活動に過度に介入することにならないよう今後とも注意をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  40. 小林元

    ○小林元君 自主的な団体といっても、確かにいろいろあるだろうと思うんです。例えば、交通安全協会は我々運転免許証を持っている者の団体で、会員に対していろいろ安全教育をやったりPRをするという仕事もやっているわけでございます。あるいは、交通安全母の会とか緑のおばさんの会とか、そういう会があるかどうかわかりませんけれども、そういうもの、いわゆるボランティアの方の指導というのは、柔道でも教育的指導というのがありますが、これはレフェリーが権限を持っているわけですね、指導とは言いながら。我々一般国民はこの指導という言葉は指導監督なんですよ。  ですから、一般的に教えてあげますというのはおかしいんですが、助言をします、あるいはそういう組織活動を支援するために助言をする、助成をするというふうには受け取らないで、指導監督をするというふうに受けとめるのがどうも普通の感覚だと。ですから、特に先ほど関根委員からもありましたけれども警察はイコール権力ですから、これはどうしても指導監督と受けとめる、そういう感覚、感情があるということを十分理解していただきたい。  ですから、例えばダンプカー協会とかトラック協会とかバス協会とかのいわゆる事業者団体は、確かにこれは自主的に、法律に基づいてつくったんじゃなくて自主的な団体ではあるでしょうけれども、皆さんが交通安全のために指導する指導対象の団体だろうと、これは法律上の権限がいろいろあるだろうと思うんですね。ですが、そういうものと、いわゆる交通弱者が、例えば交通安全母の会のような、被害者の方が自主的に交通事故に遭わないようにというようなところに指導するというのはやはり行き過ぎではないかというふうに考えます。  私はできれば直してもらいたいと思うんですけれども、十分その辺に配慮した運用をしていただくことを要望しまして、私の質問を終わらせていただきます。
  41. 風間昶

    風間昶君 平成会の風間でございます。  まず、過積載についてお伺いしたいんですが、建設省さん、運輸省さんおいでになっていただいていますか。  大型トレーラーの事故が相次いでいることから、運行については、交通の危険防止や道路の傷み防止のために総重量や速度などに厳しい規制があるわけですけれども、しかし車両大型化が進む中で、規制緩和を求める業界の声に押されてほとんど各種の規制はないと同然の状態になっているというようなことを聞きます。つまり道路管理者に申請をして受理されれば、重さでは三十六トンの大型トレーラーまで走行できるなど、もう事実上しり抜け同然だと。車の総重量の制限については一本化されておりません。それが今日の過積載に対する政府の姿勢と見られているところでもあると私は思うんです。  その場合、容易に規制の徹底を図ることは困難と言われています。つまり、道路運送車両法ではトレーラーの総重量の上限は二十八トン、道路法車両制限令においては高速道路で三十六トン、建設省の通達では三十八トンまで許可している。要するに、車両法では二十八トン、制限令では三十六トン、建設省通達では三十八トンと、なぜこんなふうになっているのかよくわからないわけです。縦割り行政の弊害がこの総重量の規制という極めて部分的なところまで波及しているんではないか。ある意味では、今日の交通安全を脅かしている根源がこんなところにもあらわれている。  この法律、政令、通達の間でだんだん規制が緩やかになっている根拠は何なのかということをまず教えてもらいたい。もう規制をするというのならば規制内容を一本化すべきだと私は思うんですけれども、各省の見解を伺いたいと思うんです。
  42. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 速記をとめてください。    〔速記中止〕
  43. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 速記を起こしてください。
  44. 佐藤信彦

    政府委員佐藤信彦君) 細かい数字の資料はちょっとお持ちしておりません。  ただいまの御質問にお答えいたしますが、総重量につきましては道路に与える損傷という観点から一応の整理はされております。それはどういう形で整理されているかといいますと、道路、特に橋梁などに対して、車から橋にどういう形でどういう荷重がかかっていくかといったことの整理がされているわけです。  したがいまして、その中で軸重、軸のあるところの車の荷重が何トンかということが道路とか橋梁に対する影響を与えることになりますので、そういうものについては一応十トン以下ということで規定されております。これがどういう間隔であれば、この道路について損傷を与える度合いは一番マキシマムでもこのくらいといったことは一応計算されております。そういう形での車両は、総重量は一般的には二十トンから二十五トンになっておりますが、車軸の軸重については十トンといった規定になっております。それ以上の車両につきましても、もちろん車で運ぶ場合に分割できないものもございますのでそういったものを一括して運ぶときもあるわけですが、こういうものについては道路に損傷を与えない形での特認制度というのがございまして、その運び方にある限定を与えましてそれ以上のものが取り扱うといった二つの扱い方でそういう重量というのが決められております。それは道路に損傷を与える度合いを画一化するという形での総重量でございます。
  45. 福本秀爾

    説明員(福本秀爾君) 貨物課長でございますが、私どもちょっと担当ではございません。
  46. 風間昶

    風間昶君 今、道路局長から、建設省の関連の部分で御自身の省内での観点からの御答弁でございました。  僕が聞いているのは、要するに道路運送車両法では何トン、そして道路法車両制限令では何トンというふうにトン数を制限、決めている、建設省の通達では三十八トンと、この違いは一体どういうところから出ているのかというその根拠を聞いているんです。
  47. 佐藤信彦

    政府委員佐藤信彦君) 今お話のありました三十八トンの車両というのは、これはちょっと私も資料を持ってきておりませんのであれですが、たしかトレーラーの規定じゃないでしょうか。トレーラーの規定ですと、普通の車、二十トンとか二十五トンと言っている車につきましては恐らく二軸とか三軸ぐらいが限度ですので、おのずからその車体のあれが決まってしまうわけですね。それから、トレーラーになりますとその軸がかなり多数にふえますので、そういうものについては一つ一つ車の必要性から認められているといった方向でございます。
  48. 風間昶

    風間昶君 全然納得できないです。要するに、さっきからトレーラーの話をしているんですよ。  もう一回言います。道路運送車両法による保安基準ではトレーラーの総重量の上限は二十八トン、それが道路法車両制限令においては高速道路で三十六トン、建設省の通達では三十八トンまで許可しているんです。何でこうなっているんですか、その根拠は何なんですかと聞いているんです。
  49. 佐藤信彦

    政府委員佐藤信彦君) 三十八トンの車両というのは特車で決められている車だと思いますが、これは先ほど申しました通る場合に特別な認可を行って、許可を受けて、その許可条件に合った形で通行するという車でございます。したがいまして、全国自由に走るという形のものではないというふうに考えております。
  50. 風間昶

    風間昶君 もう今の答弁納得できませんから、また機会を改めてやります。こんなことで十分もとられていたらかなわないので、同じことの技術的な答弁をやられて。  次に、運輸省も調査しておりますけれども、伝えられるところでは、経費削減のための違法行為は運送業界ではもう公然の秘密とされているようでございます。過積載というのは氷山の一角と承知されているわけですけれども、昨年、全日本トラック協会が運転手さん二千五百人を対象に行った調査でも、六〇%の運転手さんが過積載を強要されている、そして道路公団からも注意を受けていることが判明しているのは御案内のとおりであります。なぜこれだけの実態が判明しているのに運輸省はその正常化に省を挙げて取り組まないのか、伺いたいんです。
  51. 福本秀爾

    説明員(福本秀爾君) お答えいたします。  先生指摘のトラックドライバーに対するアンケートは昨年の五月に実施をいたしておりますけれども、御指摘のとおり約六割の運転手が過積載を強要されたといいますか、そういう調査結果に至ってございます。  ただ、過積載は、御案内のとおり、トラック運転者の責務によってというよりは、むしろその背後にございますトラックの運送事業者やさらにはそれを強要する荷主の方々の責任によるものというぐあいに私ども認識をいたしております。したがいまして、過積載を防止するためにはトラック運送事業者に対する行政処分を厳しくやる、あるいは荷主の方々にも、荷主勧告といったような制度もございますので、そういうものを厳しく発動してまいりたいということでございます。  本年の四月からその処分基準を大幅に強化いたしたところでございますので、今後ともトラック事業者の指導監督に努めてまいりたい、こういうぐあいに考えております。
  52. 風間昶

    風間昶君 今、本年四月というが、まだ八日しかたっていないのにどのぐらい効果が出ているかわかりません。答弁はそういう答弁かもしれないけれども、これまで運輸省はある意味では及び腰だったのかなというふうな印象をぬぐえないのは、一般のドライバーは怖くて走れないという意見が出ているにもかかわらず、この五年間で過積載にかかわる処分基準による事業取り消し処分を受けたのはたった一件ですよ。だから、過積載の取り締まりとか調査の体制に疑問を持つ声が圧倒的に多いわけです。  今の体制の不備を補うためにこの四月からきちっとやるということでありますが、本当に効果が認められるのかというのが甚だ私は、五年間にたった一件しか事業取り消し処分を受けていないという実態からすると極めて疑問視せざるを得ないんですけれども、見直しをきちっとすべきだと思うんです、単なる処分をきつくするという意味ではなくてもう一回この点について御説明を伺いたいと思うんです。
  53. 福本秀爾

    説明員(福本秀爾君) 先生指摘のとおり、事業者の取り消し処分というものはこの五年間一件ということでございますが、それとは別に車両の使用停止という行政処分を実施いたしておりまして、平成七年の年間でございますが、二千五百二十六件過積載を根拠に車両の使用停止をかけてございます。  ことしの四月からは、先生も今御指摘いただきましたように行政処分を大変厳しくするという、特に累犯といいますか、二度も三度も過積載を繰り返す方につきまして許可の取り消しまで至る処分を実施いたすということでございます。ただ、それだけではやはり不十分でございまして、荷主の方々にも協力の要請書あるいは荷主の警告書といったようなものも発出をいたしまして、荷主の方々にも御協力をいただきたいということで、そういう意味では総合的な対策をこの四月から始めたばかりでございますので、私どもも今後も十分にこの過積載の対策は講じてまいりたい、そういうぐあいに考えております。
  54. 風間昶

    風間昶君 わかりました。  関連してですけれども、高速道路における料金所の過積載に対するチェック体制も当然やられていると思います。高速道路の料金所は全国に五百カ所ちょっとあるわけでありますけれども、このうち九割が無人になっております。無人になっていると、重量制限オーバーして通っているときに通行券にただ単にオーバーという印字しかされないわけですね。そこでとめられるということは一切なく印字だけされて、出口のところで印字を見た人は、何も積載オーバーの印字を見るんではなくて料金の方の計算だけしかしないわけですから、全くこれはざるになっている、自動的に通行券が発券されるわけですから。  それからもう一つ、さっき道路局長もおっしゃったけれども、車両総重量のとり方が車軸一本当たり十トンというやり方、これを踏襲しているのは僕は問題だと思うんです。だって、今は単軸車ではないんですから、ほとんどが多軸車が多い中で総重量がチェックできないことは当然であるわけで、こんなことがわからないわけはないわけです。だから、無人化しても、重量違反すれば例えば進入遮断機がばんと出るとか、そういう指摘もあるわけです。  じゃ、なぜ今まで取り締まりをしてこなかったのかということも問題点になるわけですけれども、その件について、道路公団がいいのか運輸省がいいのかわからぬけれども、納得できるようにちょっと説明してください。
  55. 佐藤信彦

    政府委員佐藤信彦君) 過積載車両についてでございますが、これは料金所入り口のこともございますが、一般のところで大型車両の多い路線におきましては、車両制限令違反車の指導、取り締まりを行う車両制限令等違反車両取締隊というのを配置しておりまして、これは警察とそれから関係機関と連携して取り締まりを行っているところでございます。それで、平成八年度では一万二千台を超える違反車両の指導を実施しております。  それから、今お話のございました料金所入り口でございますが、まだ十分には設置が行き届いてはいないかもしれません。軸重計と、それから重さだけじゃなくて高さの問題がありますので車高計、こういった機器はもちろん設置しているんですが、この軸重や車高の違反車の運転者に対しましては、軸重超過進入禁止といったような警告が電光表示板ではっと出るようなところが最近できてきております。  これに加えまして、平成八年の十二月から、厚木インターチェンジにおきまして軸重違反車両につきまして、自動料金所の入り口で通行券が発券されるんですけれども、それが停止して中には入れないといったようなそういう強制排出的な措置を試行的に行っております。ですが、これもそれだけのスペースも必要ですし、それからその結果として渋滞を引き起こすこともありますので、今はまだ試行の段階でございます。そういったことも行っておるところでございます。  さらに、反復違反者につきましては講習会を実施したり、さらに悪質なものについては告発とかそういう厳正な対応を実施していきたいというふうに思っているところでございます。まだそういう途上でございます。
  56. 風間昶

    風間昶君 それでは次に、速度規制についてちょっと伺いたいんです。  豊かさの中のエアポケットとも言うべき交通事故に関して、総務庁が交通安全白書の中で、歩行者や運転者のマナーなどの人的要因のほかに、自動車そのものにも着目した安全対策が必要だというふうに指摘しています。これだけ多くの事故があるにもかかわらず、依然として未来に通用する派手な車の開発に血道を上げて、逆に安全な車づくりに金をかけているという企業の話は余り聞かない。  問題点は、自動車道路において最高速度が決められているにもかかわらず、市販されている自動車の多くははるかに超える車速を出せるようになっている。僕の車だって百七十五キロまでついている。百七十五は出したことがないけれども、下り坂で百六十まで行く、高速道路では。要するに、制限速度を守るというのは運転者次第なんでしょうけれども政府を挙げて交通安全に、年間に二回も交通安全週間を設けてもう至上命題になっているんだから、スピード超過ということを考えますと、自動車の速度規制装置のクルーズコントロールの装着を義務づけるべきではないかと私は思うんです。具体的に道交法二十二条でも、我が国の場合は最高速度百キロメーター以上は出せないというふうになっていることから、これを上限にあとは車種別に規制装置を装着することが大事じゃないか。  問題の根っこを全然いじろうとしないで、幾ら交通安全、ボランティア出てください、何とかセンター、推進センターで教育しますと、そんな話じゃないんであって、むしろ製造物責任法のもう一つの観点もあるわけです。この国内法規に定められている速度制限の観点から見て、現行法上の速度を超える車両の製造は許されてはならないというのは、自動車に乗らない人ならもうなおさらそう思っているわけです。この点について、交通安全の点から早急に対策を準備すべきだと思うけれども、いかがですか。
  57. 山本博一

    政府委員山本博一君) 先生指摘のとおり、現在、我が国ではあらゆる道路を通じまして最高速度は百キロメートル以下となっておるところでございまして、これを上回るスピードで走れるところはないわけでございます。  他方、現在百キロメートル毎時を超える速度で走行することができる車があることもまた事実でございますが、これは走行中に危険を回避したり、上り坂部分などにおきまして円滑に通行するためにはある程度の速度の余裕が必要であるという考え方によるものと私ども承知しておるところでございます。  警察としましては、いずれにいたしましても、この最高速度違反行為は死亡事故の原因として最も多い違反行為であり非常に危険な行為でありますところから、的確な取り締まりを行いますほか、運転者に対する啓発を行うことによりまして交通の安全を図るように努めてまいっているところでございますし、今後ともこのような方向で対処してまいりたいと思っておるところでございます。
  58. 風間昶

    風間昶君 ですから、根っこの部分をどうするかという観点に立って警察庁も考えていただきたいと思うんですけれども、そこをお聞きしているんですよ。
  59. 山本博一

    政府委員山本博一君) 確かに最高速度が百キロである以上、百キロを超えて走ってはならぬわけでございますけれども、そうだからといって必ずしも車の性能としてそれ以上のものであってはいけないことにもならないんであろうというぐあいに思っておるところでございます。そういう観点から、私どもといたしましては、できるだけ規制速度で走ってもらうような指導をしていくという観点で警察としての活動を積極的に行っているところでございます。
  60. 風間昶

    風間昶君 だったら、最高速度を百三十キロまでにすればいいんじゃないんですか、それも一つの選択肢じゃない。そこはどうですか。
  61. 山本博一

    政府委員山本博一君) 自動車をどのような構造のものにすべきなのか、またどのような性能を持たすべきなのか、これはそれぞれの所管の役所におきましていろいろ検討されておるところと存じておるところでございます。私どもとしましては、先ほど申しましたように、安全な速度で走るように運転者に対して働きかけていくということがその責務かというぐあいに思っておるところでございます。
  62. 風間昶

    風間昶君 時間がありません。終わります。  納得できないんで、一問目の質問についてはきちっとまた後ほど、ぜひ委員長の方からも、答弁を、私は質問通告をちゃんとしていますからね、とんでもない話なんです。
  63. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) ただいまの風間委員意見について、これは建設省、再度答弁に立ちますか。
  64. 佐藤信彦

    政府委員佐藤信彦君) いえ、そうではありません。ちょっと資料を持ってきておりませんので、また説明に上がらせていただきます。
  65. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 事前通告してある人に対して適切に答えるように、政府側として最大努力していただきたいと思いますし、今の要望に対してもこたえていただきたいと思います。
  66. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 日ごろ交通安全に携わっている皆さんの御努力に心から感謝を表するわけでございます。  統計表を見て実はびっくりしているわけでございますけれども平成八年度の免許の保有者数が六千九百八十七万四千八百七十八名、そして自動車保有台数は七千百四十五万八千七十二台と、こうなっています。そして、こういう状況の中で、平成八年度は死亡事故というのが非常に減ってまいりました。九千九百四十二名の死者と統計上は出ているわけですけれども、免許人口一万人当たりの死者は一・四二、自動車一万台当たりの死者数は一・三九と、これはもう十年前と比べますと非常に小さい数字になってきている。免許者数とか保有台数がこれほど拡大されているにもかかわらず、事故で死亡する方というのはだんだんと減ってきている状況というのは、関係者の努力を一定程度評価できるのではないかというふうに思うわけでございます。  ところで、本年度なんですけれども、四月二日現在で、前年度と比べると非常に死者数というのがふえている。三・五%ふえて前年度よりも八十一名ふえているというような統計資料を見せられております。せっかく少なくなり始めているのに、またことし増加してしまっては大変なことだなという思いをしながら、春になって新しく免許を取得される方もふえてまいりましょうし、一層の努力をしていただいて重大事故が発生しないように御努力をいただきたいと思います。  そういう観点の中で、今回、道路交通法が改正をされるわけですけれども、しかし改正の中身によって、スピード違反とか過労による居眠り運転が少なくなっていくかどうかというのは、ちょっとこの法案の改正では必ずしも担保できないのではないかという思いがいたします。そういう思いを込めて今回質問をさせていただきますので、的確な答弁をしていただきたいというふうに思うわけでございます。  今回、この法改正の中で第二十二条の二を設けました。そして、第六十六条の二を設けました。そして、七十五条の二でその処分といいますか、それについても規定をされているわけです。車両の運転者が最高速度違反または過労運転をした場合には、公安委員会は車両の使用者に対して必要な指示をすることができることとすると、また指示後一定期間以内に同様違反行為が行われるときは自動車の使用を制限することができるということになったわけです。一見しますと、随分前進したなと思うんですけれども、これは本当に実効性を担保できるのかどうかというところをちょっとお伺いしたいと思います。
  67. 山本博一

    政府委員山本博一君) 今、先生が御指摘になりましたように、今回の法改正におきましては、最高速度違反行為、過労運転に係る車両の使用者に対しましては、必要な指示また車両の使用制限ができるようなことをお願いしておるところでございます。この種の違反行為実態を見ますとき、ひとり運転者の行為だけにとどまらず、車両の使用者が大きくかかわっておる実態が見られるところでございまして、このような違反につきまして、交通安全を図るという見地から私ども強力に取り締まっていく必要があると考えまして、このような規定をお願いしておるところでございます。  成立させていただきました暁には、あらゆる努力を傾注いたしましてこの実効性が担保できるように努力してまいりたいというふうに思っているところでございます。
  68. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 二十二条の二の一項の中に「違反行為を訪止するため必要な措置をとる」というふうに書かれていますが、必要な措置とは何ですか。
  69. 山本博一

    政府委員山本博一君) この必要な措置として考えておりますものは、例えば運転者に対しましてあらかじめ目的地までの経路や所要時間を適切に指導すること、それから最高速度違反が行われることを前提とするような運行計画を是正すること、また運転者に対しまして最高速度を遵守して運転するよう教育を徹底することなどを考えておるところでございます。
  70. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 その運転者の使用者に対して、最高速度違反行為の防止に配意をした運行計画などをきちんと義務づけるということも入りますね。
  71. 山本博一

    政府委員山本博一君) そのとおりでございます。
  72. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 そこを確認させていただいて、過労運転のところも、運転者の過労運転の防止に配慮をした適切な乗務時間の設定等をきちんと義務づけるようにしていただきたい、そこを答弁していただきたいと思います。六十六条関係。
  73. 山本博一

    政府委員山本博一君) そのような内容を考えておるところでございます。
  74. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 ちゃんと言ってください、言葉で。
  75. 山本博一

    政府委員山本博一君) 最高速度違反を行うことを前提とするような運行計画を是正することですね。
  76. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 六十六条の方ですよ。
  77. 山本博一

    政府委員山本博一君) 失礼をいたしました。申しわけございません。  過労運転を防止するための必要な措置といたしましては、あらかじめ運転者に目的地に到達するまでの休憩場所を指導すること、過労運転が行われることを前提とするような運行計画を是正すること、点呼等により運転者の健康状態を常時監視することなどを考えておるところでございまして、このようなことで対応してまいりたいと思っております。
  78. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 ありがとうございました。そこをきちんと踏まえて対応していただきたい。  しかし、それをやったとしても、二十二条の二の二項で、関係官庁の事前協議が必要というところで、それらをやろうとしていることがこれは全部帳消しになつちゃうんです。骨抜きの法律なんですよ。そう思いませんか。答弁願います。
  79. 山本博一

    政府委員山本博一君) 二項の規定の趣旨は、この種の行為に対しましては、自動車運送事業者や第二種利用運送事業者に関しましては、事業監督行政庁であります運輸省におきましても運行管理の実態を把握しており、道路運送法、貨物自動車運送事業法等に基づき行政処分を行っているところでございます。  したがいまして、この種の行為につきましては、警察と運輸省とが密接な連携を図ることによりまして、それぞれ道路交通法や道路運送法によります権限を的確に行使し得るんじゃないかという観点から規定をしたものでございまして、両者が協力して使用者の責任を追及していくことになるんではないか、こういうように思っておるところでございます。
  80. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 表向きはそうなんですね。警察庁と運輸省と協力をしながら的確に取り締まって事故を防いでいくんだということで規定されている。  しかし、道路交通法というのはあくまでも取締法でしょう。そこは警察庁として行いたいということを明快に全面に出して主張しないと、事前協議をしなければならない一項をもってして、スピード違反をしたり過労運転を無理にさせている使用者に対して指導しなきゃならないときに、運輸省に行って、この業者に対して指導してもいいかどうかなんてやらなきゃならない。それで、運輸省側がどうぞと言えばいいですよ。ところがそうはならないのです。  なぜならないかというと、実例がございます。先ほど来、過積載のことでお話がありましたけれども、過積載を規制するために平成元年に荷主に対する勧告制度というのが法律化されたんですね。これは貨物自動車運送事業法の六十四条、「荷主への勧告」、その第二項に「運輸大臣は、前項の規定による勧告をするときは、あらかじめ、当該勧告の対象となる荷主が行う事業を所管する大臣の意見を聴かなければならない。」というのが入っているんです。こういう二項が入っているために、通産省や農水省やそれぞれ関係の荷物を運ぶ業者の荷主を所管する大臣と事前折衝しなければならないという項目が入っているんです。  このことを私たち側は非常に懸念して、この法案の成立過程の中で、この項目があることがこの法の適正な実行を図るための妨げになるんじゃないかということを強力に言った経過があるんです。そのときに答弁された方は、そういうことにはならない、的確に運用して実効性を高めていくと長々と答弁しているんです。  では、運輸省に聞きますけれども、この荷主に対する勧告が発動されたことがこの八年間にございますか。
  81. 福本秀爾

    説明員(福本秀爾君) お答えいたします。  荷主勧告制度がこの八年間に発動された件数は一件もございません。
  82. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 では、この勧告制度を導入する経過は何だったんですか。
  83. 福本秀爾

    説明員(福本秀爾君) 先生指摘のとおり、過積載その他スピード違反等々もございますが、いわゆる運行の安全を確保するためには、トラックの事業者あるいはトラックの運転手だけをいわば規制するということでは不十分である、その背後にございます。そういう過積載あるいはスピード違反を強要する荷主に対しても適切な対処をとる必要があるということでこの条項が設けられたと理解しております。
  84. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 では、平成元年から本日まで、それに当たる事案というのはなかったんですか。
  85. 福本秀爾

    説明員(福本秀爾君) 本件に該当するであろうということは、私どもの各出先の運輸局あるいは陸運支局を通じまして、常日ごろ審査といいますか十分な検討をいたしておりましたが、必ずしも最終的に荷主の責任まで到達し得る案件はなかったということでございます。
  86. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 そんなこと言わないでくださいよ。  では、今回四月から、警告書を出したり協力要請書を出すような行政処分の強化をしなければならないことになったのはなぜなんですか。
  87. 福本秀爾

    説明員(福本秀爾君) 御指摘のとおり、この八年間、荷主勧告という制度が発動されていないということも事実でございます。  私ども、実は一昨年の十二月に、行政改革委員会の方からいわゆる規制緩和につきまして大変厳しい御指摘もちょうだいをいたしたわけでございます。その際に、私どもの貨物自動車運輸行政全般について大幅な再検討といいますか見直しを実施したところでございます。  その際に、この荷主勧告制度が発動されるにはもう少しその手順を明らかにしていく必要があるんではないだろうか、つまり直ちに荷主勧告が出るというのはかなり苦しいんではないかということを部内で検討いたしまして、その結果、本年の四月から、過積載等が行われました場合には荷主の方々に協力要請書をお出しする、あるいはそれがたび重なるようなことでございますと警告書を発出するということからスタートするということでこの制度を設けたということでございます。
  88. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 平成元年十二月五日の参議院運輸委員会の中でも、あなたがおっしゃったようなことは言われているんですよ、具体的に対応すると。そして、過積載も荷主の責任に負うところが十分大きいということの中で行われているんです。そして、あなたがおっしゃるようなことをきちっとやって荷主勧告をやりますと言っているんですね。ところが、この間できなかったということは、この第二項の所管をする関係の大臣あるいは関係官庁と協議をしなければならないという一項目に妨げられたと私は思っているんです。ですから、そのことを、不要な項目であるならば削除するなり、監督する行政取り締まりをやらなければならない官庁としてそこはやっぱり毅然としてやらなければならないと思うんです。  今回、勧告制度を、警告書の制度とか何か新たにつくった行政処分の強化の内容というのをちょっと詳しくここで述べてください。
  89. 福本秀爾

    説明員(福本秀爾君) 具体的に申し上げますと、貨物自動車運送事業法に基づきまして、車両の使用停止、各違反項目がございますけれども、その項目ごとに私ども処分の内容を決めておりまして、それを点数表示いたしております。そういう違反点数が何点かに累積をいたしますと、その段階で車両使用停止からさらには事業停止さらには許可の取り消しという形に至る仕組みが、これも平成二年の十二月から実施をされておったところでございます。  ただ、先ほども申し上げたんですが、許可の取り消しに至った事業者は一件しかなかったということも事実でございます。そういう意味で、過積載等々につきましては、その事業者がたび重ねて違反を犯すという事例がたくさん見受けられるということで、いわゆる累犯の方々を中心に大変厳しく処分をするということで、この四月からその処分内容を大幅に強化いたしたということでございます。
  90. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 少しおくればせながらでございますけれども法律にきちんとうたってある荷主勧告というようなことが行われて、運送に携わっている弱小の人たちが不当な処分を受けるようなことのないようにぜひきちんと対応していただかなければならないというふうに思うんです。  そこで、白川大臣、今度の法改正なんですけれども、当初私たちが説明を受けたときは、この二十二条の二の二項というのは載っていなかったんですね。非常に明快に「最高速度違反行為に係る車両の使用者に対する指示」というところの中で、先ほど私が山本局長に答弁を求めた具体的な施策も盛り込まれて、これを道路交通法の改正の本文にするというふうにして御説明をいただいたんです。そして、何日かたったら修正案というような形で、運輸省の事前協議が必要だという文章が入ったものが私たちの手元に届いた。これは明らかに業界側の圧力としか思えないわけです。  こういう法案づくりをやっていたのでは、国家公安委員会の取り締まり道路交通法が骨抜きにされていくということを私たちは黙って見逃すわけにはいかないんです。それで、きょうあえてこうして取り上げているわけでございます。このことに関して先ほども荷主の勧告の例を申し上げました。これはもう明らかに第二項があるために弊害になったと私は断じてもいいというふうに思います。  そういう状況の中で、この二項は道路交通法取り締まりをする法律としては極めて不似合いな中身になっていると思いますけれども委員長としてはどうお考えですか。
  91. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 私はちょっと性質が違うと思います。というのは、荷主への勧告というのは、運転手が過積載をしてはならないあるいは業として車両を運行する者がそういうことをしてはならないということと、あくまでもそこにお願いをする人が、例えばこれをやらなければ仕事をとるとかとらないとかということで圧をかけるということだと思うんですが、それはかなり性質が違うと思います。そういうことでこういう制度が発動されなかった、だからこれが骨抜きだという委員の御主張は、ちょっと私は今回のこれと同じようにできないと思うのでございます。  というのは、運輸省もよく聞いていてもらいたいんですが、あくまでもこういうことはそちらの業務の話なんです、本来的には。こんなことを守れないようであれば、運送業者等を所管している役所として本来恥ずかしいことなのであります。ですから、警察がやる以前に運輸省としてやらなければならないことだけれども警察としても必要があればやるということでありますが、逆に事前にそういう運輸省としての処分を別途しているかもしれない、あるいは警察としてはするが、そちらはどうなっているんだと、一次的には多分本来は運輸省が監督官庁としてやるべきことだろうと、そういうことを含めてやるつもりでございます。  そういう面では、こんなのがあるから運輸省の方がそういう悪徳業者を守るためにいろんな変な条件をつけさせるなどということに屈するほど警察庁は非力な役所ではありませんから、お任せしていてく、ださい。
  92. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 国家公安委員長の力強い御発言でございますから、ぜひ頑張っていただきたい。ただ、問題点として提起をさせていただいたわけでございます。  それともう一つ行政改革で役所を簡素化していこうという流れの中で、交通安全教育の問題についても、警察庁と運輸省との中で分かれてやりましょうということにこの法案ではなってしまっている。当初は一体化させて、先ほどありました都道府県交通安全活動推進センターですか、そこに統一をさせて、交通安全教育はそこを主体にしてやろうという発想だったと思いますけれども、出てきた法案は運輸省と警察庁で分割をして扱うというようなことになっています。こうなった経過については運輸省、どうですか。
  93. 三宅哲志

    説明員(三宅哲志君) 運輸省といたしましては、事業用自動車の事故防止対策といたしまして、従来から、それぞれの運送事業法に基づき運行管理者制度を設けまして、運行管理者がそれぞれの事業者の運転者の安全教育を行っているところでございます。  具体的な方法といたしましては、一定の条件を備えた者の中から選任されました十一万五千名の運行管理者に対しまして、特殊法人自動車事故対策センターが毎年一回、関係法令、事故事例の解説、一般的な交通安全教育その他運行管理業務について講習を行いまして、この講習を受けた運行管理者がそれぞれの事業者の運転者の安全教育を行っているということでございまして、これを踏襲させていただくということでございます。
  94. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 ぜひ、二重行政的なことにならないように、連携をとりながら適切な交通安全指導ができるような体制づくりをやっていただきたいと思います。警察庁も、自分たちでいいと思って出したことであるならば、毅然としてそこは貫くべきだと私は思うのですけれども、そこでも調整をされてしまったことに対してちょっと遺憾かなというふうに思います。  それから、今回の法文の中で、百二条の二の中で、軽微違反者の扱いについて、ボランティア活動と言ってくれるなということだったですけれども社会活動に参加をするということをもって罪を消されるということが入ったわけです。果たして取り締まり側の法文としてこんなことでいいのかなと思いますね。  軽微な駐車違反であっても非常に重大事故に結びつくということはあるわけでございますし、信号無視なども軽微の中に入っているとすれば重大な事故に結びつく可能性はあるわけです。それらの軽微な違反に対して、社会活動に参加をすれば全く全部免責をされてしまうというような甘い考え方で本当に交通事故の撲滅につながっていくのかどうかということを私はただしておかなければならないと思います。いかがですか。
  95. 山本博一

    政府委員山本博一君) 今回の改正案におきまして、軽微な違反を行った者につきましては、行政処分を課することなく、講習を行い再び道路交通の場に復帰してもらおうということを考えておるわけでございます。これは、比較的軽微な違反を行った者につきましては、過去の蓄積の結果といたしまして、講習によりまして十分安全な運転者に改善ができるということが認識されたことによるものでございまして、これによりましてかえって安易な対応になるということはない、かように思っておるところでございます。  私ども社会参加活動と申しておりますが、これは体験的な交通安全活動をやっていただくことによりましてより交通弱者の立場から物事を見ることができるのではないか、より実践的、体験的な講習だというぐあいに位置づけておるところでございまして、形態におきましてはいわゆるボランティア活動をされる方々と同じような構図になろうかと思いますが、その目的とするところは全く別というぐあいに理解しておるところでござい  ます。
  96. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 もう時間が来ていますが、最後に 一問だけ。  九十条の六項で、欠格運転者に対しては三年から五年の欠格期間というのを設けたということで少しは前進した、よくなっているわけですけれども、欠格運転者というのは運転することに欠落をしている人だというふうに思うんですね。そういう人に、五年後であろうとなぜ免許をまた取れるチャンスを与えるのですか。これはおかしいですよ。被害者の人たちからすれば、日本は全く甘い。まさに運転してはならないような人が運転免許をまた取って、また次の死亡事故を起こすというようなことが明らかになっているにもかかわらず、この欠落者、欠格者に対してもっと厳格に、ドイツなどは永久に免許を取ることができない法律になっているわけで、そういう飲酒運転をして死亡事故を引き起こしたような悪質な運転者についてはもう二度と免許を取らせないぐらいの強力な法体系でなければ、また同じことを繰り返すということがあると思うんです。  だから、今回は一歩前進ですけれども、ここはそういう被害者の方たちの切実な声があるということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  97. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたしたいと思いますが、政府委員の側、答弁の内容をもう少し簡潔に、また要領よくやっていただきたいということをお願い申し上げて、休憩いたします。    午後零時六分休憩      —————・—————    午後一時開会
  98. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、道路交通法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  99. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 民主党・新緑風会の朝日でございます。  午前中に引き続きまして、今回提案されております道路交通法の一部改正案について、幾つかの点についてお尋ねをしたいと思います。  まず冒頭に、私自身は、今回の改正案については、これまで検討されてきた幾つかの課題について一定程度積極的に取り入れる形で改正案が提出されているという点で全体としては評価したいと思いますが、その実施に当たって十分に留意しなければいけない点あるいは今後に残された課題等もあると思いますので、そうした問題についてお尋ねしたいと思います。  まず最初に、今回の改正で、交通の安全と円滑に資するための民間の組織活動等の促進を図るための規定の整備ということで相当部分の新しい項目が盛り込まれております。そこで、ここで言う「民間の組織活動等」とは具体的に今どういう性格の団体活動を想定されているのか、幾つかの例示を含めて現状の概要についてお聞かせいただきたいと思います。
  100. 山本博一

    政府委員山本博一君) 民間の自主的な組織活動とは、地域住民等が組織する民間の団体が自主的に行う交通安全教育、児童、幼児等の歩行者の誘導、広報啓発活動等の交通安全活動のことであります。  具体的には、例えば幼児交通安全クラブが行う幼児、児童に対する交通安全教室、地域の交通安全母の会が行う児童の通学路通行時の誘導活動、また地域の交通安全協会が行います違法駐車防止、シートベルト着用促進のための街頭での広報啓発活動などを想定しているところであります。  警察といたしましては、こうした草の根的な団体活動を活性化するため、交通事故の発生状況等の情報を提供するなどいたしまして、その指導育成を図ってまいりたいと考えておるところであります。
  101. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 ただいま三つほど例を挙げながら御説明いただいたわけですが、こういう幾つかの民間組織と関連する省庁との関係についてお尋ねをしたいと思います。  いただいた資料に基づいて調べましたところ、これらの民間組織に対して関連省庁から補助金などが出されております。全部をお尋ねしてもとても時間が足りないと思いますので、きょうは二つの点に絞ってお尋ねをしたいと思います。  まず、具体的な補助金の問題として、平成八年度補助金として総務庁から交通事故実態調査等委託費が二億四千万計上されておりまして、そのうち一億六千万余が民間調査機関に支出されているというふうに伺っております。どういう団体にどんな調査を委託したのか、これも主なものだけで結構ですのでお聞かせいただきたいと思います。
  102. 楊井貴晴

    説明員(楊井貴晴君) 総務庁では、交通安全対策を推進していく中で、各種民間団体に委託して交通安全に関する事業や調査研究を実施したり、交通安全活動を実施する民間団体に補助金を交付しています。  まず、平成八年度には、地域社会における交通安全運動の推進に重要な役割を果たす母親の交通安全に対する意識の高揚を図るため、社団法人全国交通安全母の会連合会に委託して交通安全母親活動推進事業を実施しております。また、交通安全対策を総合的かつ効果的に実施するために必要な調査研究を民間の調査機関に委託しておりますが、主なものとしては、財団法人交通事故総合分析センターに対して委託した交通安全対策効果評価の充実強化に関する調査研究及び自動車相互の出会い頭事故の防止対策に関する調査研究、財団法人日本交通安全教育普及協会に委託した高齢者の交通安全行動調査などがあります。
  103. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 それでは、もう一つ具体的な問題として、関連する民間団体一つであります社団法人全国ダンプカー協会、この協会には総務庁の交通安全対策費補助金として約三千万、ほぼ同額を地方公共団体が負担する、さらに運輸省の特別会計から約三千万、そしてほぼ同額を地方公共団体からということで、合計しますと約一億二千万円相当が公的な形で補助をされております。  この分について、補助金の目的あるいは政策的な意味についてお尋ねいたします。
  104. 楊井貴晴

    説明員(楊井貴晴君) 総務庁では、交通安全対策費補助金を社団法人全国ダンプカー協会に交付していますが、これはダンプカーによる交通事故の防止を図ることを目的として都道府県のダンプカー協会が行う交通安全教育、広報活動、自主パトロール等の活動に対し補助金を交付しているものです。ダンプカーによる交通事故は、一般の車両による交通事故と比較して保有台数当たりの事故発生率が高く、一たん事故が発生すると重大な結果となることが多いため、ダンプカー協会が行う事故防止への自主的な取り組みを促進することはダンプカーによる交通事故防止に重要な役割を果たしています。
  105. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 今、二つの事例をお伺いしたのですが、お聞きしますと、例えばこの全国ダンプカー協会への加盟率は必ずしも高くなくて、むしろ加盟していないダンプカーの持ち主が多いというふうに伺っております。  この二つの例を取り上げたのは、こういうさまざまな形で総務庁から、運輸省から、あるいは自治体から等々、相当程度の補助金なり委託費が出されているわけですが、そういう財政的な支援措置が本当に目指すべき政策目的に的確に沿う形で活用されているのかどうか、もう少し厳密にチェックをしていく必要があるのではないか、こういうことを申し上げたかったわけであります。  今回の改正で、改めて民間の組織活動の促進を図るための措置を何項目か盛り込まれております。この点についてはきょう午前中に関根委員からも御指摘がございましたが、今回、なぜこういう形であえて法律に明記したのか、その意味といいますかあるいはその意図するところについて、この点はぜひ国家公安委員会委員長お尋ねをしたいというふうに思います。
  106. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 私がちょうど就任しかときが、九年ぶりに交通事故死者を一万人以下に抑えることができるかできないかと警察当局が懸命に努力しているときでございましたので、警察関係の仕事で最初に私自身が取り組んだのはこの課題でございます。  その活動を通じてつくづく感じたことなのでありますが、去年、交通事故死者を一万人以下に抑えるというのは現場の警察官が街頭に立つという非常に単純なことでありますが、それを本当にまめにやりました。それを一生懸命やりますと明らかに交通違反、交通事故が減少するわけでございます。しかし、それには限られたいろいろな制約がありますし、常にというわけにいかないわけでございます。ですから、交通事故を少なくしようというのを国民運動にしなければ到底その目的を達することができないなということを私自身肌で感じました。  そういう面で、ある面では交通安全協会のような形で公的な指定も受けて活動している団体もあるわけでございますが、それ以外にもいろんな形で活動している民間団体を育成していかなきゃならない。育成するだけではなくて、それが実際に効果を発揮することができるように、公安委員会警察として一定の努力もしていかなきゃならない。  そんな意味で、そのような民間の組織活動等の促進を図るために公安委員会情報の提供とか助言、指導その他の必要な措置を講じなさいと、こういうことでこの規定を設けたというふうに私自身は考えております。
  107. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 今、意図するところについて御説明をいただいたわけですが、きょうはこれ以上あれやこれや申し上げません。こういう幾つかの民間の組織活動のあり方について、利用する側あるいは市民の側から間々批判の声も聞かれるわけでありますので、ぜひそういう点に留意しながら活動の促進に当たっていただきたい、こういうこ乏を申し上げておきたいと思います。  次に、別の課題に移りたいと思います。  今回の改正では、もう一つの大きな項目として高齢者の保護を図るための規定に関する整備が盛り込まれております。例えば高齢の歩行者に対する努力規定といいますか、これはあえて法律に書くことでもないのではないかという意見もありますけれども、当然の配慮を法律の中で明記したという点で私は一応評価をしてよいと思います。  ところで、今回の改正点についての新旧対照表を見せていただきました。そうしますと、第十四条には従来から、目が見えない者、幼児等の保護に関する規定が設けられておりまして、今回その第五項に高齢の歩行者に対する努力規定が追加されているわけであります。しかし、よく考えてみますと、この第十四条の中に、例えば障害者に対する配慮、車いすを使って道路で苦労している方も多々見受けられるわけですが、車いすあるいは補装具を使って歩行している障害者の皆さんに対する保護あるいは支援に関する規定が全く明記されておりません。これは明記されてこなかった何らかの理由があるのかどうか。  もし明確な理由がなければ、御存じのように昨年来、障害者プランがスタートをしておりまして、ノーマライゼーションということでこれから障害者の皆さんもどんどん町に出る機会もふえてくるのではないか、またふえてこなきゃいけないというふうに思っているわけです。そういうことを考えますと、道路交通法上障害者に対する保護あるいは支援の規定が何も触れられていないのは問題ではないか、今後検討すべきではないかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  108. 山本博一

    政府委員山本博一君) 近年の交通事故死者数を年齢層別で見てみますと、六十五歳以上の高齢者が四年連続して最も多い層となっており、さらにそのうち歩行中の死者が約半数を占めております。交通事故死者を減少させるためには、この高齢歩行者の保護が大きな課題となっておるのが現状でございます。  また、高齢歩行者の死者のうち八一・二%が道路を横断しているときに事故に遭っているという実態もありますところから 今回の改正におきましては、高齢歩行者が道路を横断しまたは横断しようとしている場合において、高齢歩行者から申し出があったとき等には、警察官等その他その場に居合わせた者等は高齢歩行者を誘導するなどしてこれらの者が安全に道路を横断できるように努めなければならないこととしたものでございます。  身体障害者の通行の安全につきましては「交通の方法に関する教則」におきまして、身体障害者が困っているのを見たときは手をかしてあげましょうというような記述を盛り込んでいるほか、交通安全運動等の機会を活用いたしまして意識の啓発を図っているところでございます。  今後、身体障害者を助けることを法律で規定することにつきましては検討課題として考えてまいりたいというぐあいに考えておるところでございます。
  109. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 今後検討したいということですので、ぜひお願いしたいわけです。教則に書いてあるからということではちょっと不十分ではないか、検討をぜひ期待したいと思います。  それでは次に、七十五歳以上の高齢者の免許証の更新に関する特例ということで、身体機能の低下を自覚していただくための講習を義務づけるという項目が入っております。関連して二、三お尋ねをしたいと思います。  前提として、私自身、何らかの形で高齢のドライバー御自身にみずからの運転能力を適切に自覚していただくことは必要だというふうに思っているわけですが、ただ何で七十五歳からなのかというのがちょっとひっかかりました。恐らく何らかの統計的な数字的根拠等があるのだと思いますが、七十五歳という年齢で区切った理由についてお聞かせいただきたいと思います。
  110. 山本博一

    政府委員山本博一君) 平成八年中における免許保有人口千人当たりの自動車等による死亡事故件数を見てみますと、七十五歳以上の運転者では全免許保有者の約二・三倍であります。七十五歳以上の者は死亡事故を起こす比率が他の年齢層に比較しまして極めて高くなっているという事実がございます。そして、高齢者は一般に加齢とともに身体的機能が低下する傾向を有します。七十五歳以上の者の身体的機能は他の年齢層のそれよりも極めて低いものとなってきており、それが運転に大きな影響を与えているのではないかというぐあいに思うところでございます。  以上のことから、高齢者講習を受けなければならない者の範囲を七十五歳以上としたものでありますが、現行の道路交通法におきましても、七十五歳以上になると身体的機能の低下により運転に支障を生ずる者の割合が高くなるという観点から、七十五歳を超えて免許証の有効期間が五年になることがないこととされているところでもございます。
  111. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 次に、この制度の一番のポイントは、身体的機能の低下を自覚していただくための講習というのをどういうふうにやるかということが一番のポイントだと思います。その講習の具体的な内容についてはどんなことをお考えなのか、ちょっとお尋ねしたいと思います。  実は先日、委員会鮫洲試験場視察させていただきました。その際に、余り時間がなかったんですけれども、高齢者の皆さんがCRT運転適性検査を実際にやっておられる場面を見せていただきました。そのときはなるほどなと思ったんですが、帰りのバスの中で、果たしてこのCRT運転適性検査は適切な検査方法と言えるのだろうかということをやや疑問に感じながら帰ったわけであります。  高齢者のドライバーの皆さんに、みずからの加齢に伴う心身の機能の変化を自覚していただくことが必要だというふうに思うわけです。そういう意味では、今後、具体的な講習の中身については実施段階までにさらに研究や工夫が必要ではないかというふうに感じているんですが、この点はどのようにお考えでしょうか。
  112. 山本博一

    政府委員山本博一君) 委員指摘のとおり、高齢運転者による交通事故を防止するためには、高齢運転者がみずからの身体機能の状況を自覚し、それに応じた運転をしていただく必要があると考えております。  そこで、高齢者講習につきましては、運転適性検査器材等により各種の反応検査や動態視力検査等を行いますとともに、それらの結果をも踏まえ、実際に車に乗っていただく等のこともいたしまして、安全に運転できるようにするための具体的な指導を行うことを現在検討しておるところでございます。
  113. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 これは意見として申し上げておきますが、確かに運転動作ということになると身体機能の低下が問題になると思いますけれども、判断の問題になるとやはり心身総合の機能を的確に評価する必要が出てくると思いますので、余り身体機能だけにとらわれないで、そういう高齢者の実質的な運転能力あるいは運転に際する判断なども含めた具体的な方策をぜひ実施段階までにきめ細かく検討していただければというふうに思います。  関連しまして、私はこういう講習の必要性は認めるわけですが、ちょうど鮫洲試験場にも高齢者相談コーナーというのがありました。何かいろんな講習をやって、いかにみずからの能力がそれだけ低下しているか自覚をしていただくということも必要なのかもしれませんが、むしろ高齢者のドライバーの皆さんのよりきめ細かな相談、支援機能といいますか、そういうことがより充実され活用されてくることが今後さらに重要になってくるのではないかと思います。この点についてはどんなふうにお考えか、お尋ねいたします。
  114. 山本博一

    政府委員山本博一君) 現在、都道府県警察におきましては、運転免許試験場または運転免許センターに運転適性相談窓口というものを設けまして、随時、高齢運転者や身体に障害を有する運転者等からの相談に応じ、運転に関する個別指導を行っているところであります。また、先ほど先生がおっしゃいました、警視庁におきましては高齢者専用の適性相談窓口を設けて対応いたしておるところでございます。  今後、高齢運転者がますます増加することが予想されるわけでございます。高齢運転者の支援方策といたしまして、相談窓口体制の一層の充実ということにつきまして私どもは今後努めてまいりたいと思っておるところでございます。
  115. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 時間が参りましたので終わりますが、一言だけ。  余り指導指導というふうにおっしゃらないで、相談、支援する機能というふうにこれからぜひ配慮していただければと思います。  以上で終わります。
  116. 有働正治

    ○有働正治君 私は、法案に関して幾つかお尋ねします。  一つは、民間非営利団体への交通安全情報提供の問題についてであります。  改正点といたしまして、百八条の二十六に、交通安全のための民間活動を促進するため、関係する機関及び団体活動と調和及び連携を図りつつ、情報の提供、助言、指導その他をすることが盛り込まれているわけであります。民間の非営利団体、NPOが重要な社会的役割を果たす時代になっているわけであります。そういう中で交通安全のために活動する民間団体、グループの役割は大きいわけであります。  そこでお尋ねします。  交通安全協会のみならず、民間の自主的な団体にひとしく情報は提供するという立場にあるのか、現にそうなっているのか、まず基本姿勢をお尋ねいたします。
  117. 山本博一

    政府委員山本博一君) 改正案第百八条の二十六の第一項におきましては、都道府県公安委員会は、道路における交通の安全と円滑に資するための民間の自主的な組織活動の促進を図るため情報の提供を行うものとされているのみでありまして、特定の団体にのみ積極的な情報提供を行う旨の規定は設けておらないところであります。
  118. 有働正治

    ○有働正治君 だから、ひとしく情報はいろいろ積極的に提供するお立場であるということで間違いないわけですね。
  119. 山本博一

    政府委員山本博一君) そのとおりでございます。
  120. 有働正治

    ○有働正治君 さらにお尋ねしますけれども警察に対しまして、交通安全を願う立場から、中には率直に物を言ったり、時にはかなり警察についても改善方を含めまして批判的に意見を述べられる団体もあろうかと思うわけであります。しかし、その中でも情報は大切であるわけですから、本当に交通安全を願う立場から警察に仮に耳の痛い意見を言うような団体があったとしても、そういう団体に対しても分け隔てなく必要な情報、要求される情報、または提示する情報、やるべきだと思うわけでありますが、基本姿勢、結論だけお示しください。
  121. 山本博一

    政府委員山本博一君) 先ほどもお答えしたところでございますが、都道府県公安委員会による情報提供が適切に行われるよう十分指導してまいりたいと思っておるところであります。
  122. 有働正治

    ○有働正治君 次に、「交通の方法に関する教則」という冊子について、「道路を通行する者が適正な交通の方法を容易に理解することができるようにする」、第百八条の二十八の四項の改正に関連してお尋ねするわけであります。  この教則本のことでありますが、私も拝読させていただきました。ここに現物を持ってまいりましたけれども、この教則本は免許センター等へ行きますとかなりごみ箱に捨てられているという状況もあるやに承知しておるわけであります。その中でおもしろくないという意見も出されているやに聞いているわけであります。  この本の発行者は、財団法人全日本交通安全協会と社団法人全日本指定自動車教習所協会連合会、毎年二千万冊ほど発行されているように聞いているわけでありますけれども、非常に膨大な量であります。書店で買えば一冊三百円ぐらい、単純計算しますと六十億ですか、相当の金額に匹敵するんではないかと、そういう計算ですけれども、免許の取得、更新のとき配られるわけですが、その費用は取得、更新の費用に含まれているようであります。  そこで、私はお聞きしたいのであります。  これらの本がもっと読まれ活用されるように、毎年同じ特定の団体につくらせることの再検討を含めて、内容の改善、要はこれが理解され活用されていく、そういう点でかなり御意見もあるようです。この点についてどういうお考えであるか、お尋ねいたします。
  123. 山本博一

    政府委員山本博一君) 「交通の教則」は、法令で定める道路の交通の方法等を平易な用語で表現したものを作成、公表することで、歩行者や運転者の方が適正な交通の方法を容易に理解することができるようにし、適正な交通の方法に関する知識の普及を図ることを目的として作成、公表しているものでございます。  警察庁といたしましては、このような教則の趣旨を踏まえまして、従来より、歩行者や運転者の方々がその内容を容易に理解でき、かつ「交通の教則」を折に触れ活用していただけるよう、平易な表現を用いることに配意するとともに、昨年は携帯電話の使用に関する記述を加えるなど、法令改正やその時々の交通情勢を的確に反映したものとなるよう努めてまいったところでありますが、今後ともその内容の充実に努めてまいりたいと思っております。  なお、「交通の教則」、先ほど先生がお示しになりました普及版でございますが、これは作成団体が任意に作成しておるものでございまして、より内容が充実したものとなるよう、また私どもも機会を見てそのような指導をしてまいりたいというぐあいに思っておるところでございます。
  124. 有働正治

    ○有働正治君 これは警察庁交通局監修とちゃんとなっているんです。だから、皆さんが監修しているんです。  そこで、国家公安委員長お尋ねしたいのであります。  国家公安委員長白川勝彦と達筆でサインして前書きをお書きになっておられます。その中で「この本を常時車に備え、折にふれて活用していただければたいへん幸いです。」と当然のこととしてその旨記載されて、そのことを関係方面に強く要望されておられる。  そういう点で、前書きの筆者として国家公安委員長お尋ねするわけであります。今、担当局長もお述べになりましたけれども、これについて改善していただきたいという要望もかなりあることは事実のようであります。したがって、前書きを書かれました担当大臣といたしまして、その点でも必要な見直し等を行って、検討して善処願いたいと思うわけでありますが、いかがでありましょうか。
  125. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 私も昔、免許証を取ったときに、いろいろな本がありますが、割合にこの教則というのはその後も、免許は取ったけれども実際に運転するとわからぬことというのが結構出てくるので、自分で確認する意味でも読んだなんという記憶があります。  いずれにしましても、物にはベスト、最高というものはないわけでございまして、改善の努力が必要なわけでございます。いろんな御意見を賜り、この発行者において漸次改善をしていただきたいと思いますし、また監修をする立場にある警察庁交通局としましても、いろんな意味で発行先の方にこうしたらどうかというようなことについてはまた率直に提言もさせていただいて、要は交通安全に資する立派な冊子ができることが目的でございますので、努力してまいりたいと思っております。
  126. 有働正治

    ○有働正治君 この本の発行が、警察の外郭団体であります交通安全協会の利権とされている限り内容の改善も難しいんじゃないかと、こういう国民の中から厳しい批判が出ていることも付言して改善方を求める次第であります。  次に、高齢の歩行者の安全対策の問題でお尋ねします。  先ほども御答弁ございましたけれども平成七年中の死亡事故のうち半数近くが交差点及び交差点付近で発生しているという状況であります。その中で高齢者が非常に比率が高いという状況であります。  その安全対策上とりわけ重要な信号機についてでありますが、どうも渋滞対策を優先させるため、交通状況に対応する信号機の時間配分の見直し、調整を行っているのではないかと見ざるを得ないわけであります。政府は、交通管制センターによる信号機の運用や古い信号機を高度な信号機に取りかえることなどを通して歩行者の安全を一定は考慮されていることは知っていますけれども実態に合わない状況、そのために歩行者が交差点を渡り切れないうちに車を通す状況等々、その結果お年寄りの方々が交差点を安心して歩けない状況、こういうのが広がってきているという声が出されているわけであります。聞くところによりますと、歩行者の歩行速度を秒速一メートルとして信号機の時間を設定されているようであります。  今や高齢化社会ということが言われているわけでありまして、歩行者の安全優先、とりわけ高齢者が安心して交差点を歩けるようなゆとりを持った信号機の時間配分を行うという点で、今後十分調査し、必要に応じて実態に合った検討、改善を求めたいわけでありますが、いかがでございましょうか。
  127. 山本博一

    政府委員山本博一君) 委員指摘のとおり、生活にゆとりのある社会を実現するためには、高齢者や視覚障害者を含めた歩行者が安全に通行できる交通環境を築き上げていく必要があるものと考えております。  そのため、各都道府県警察におきましては、現場の信号制御の見直し等につきましても常に実態に合った信号制御を行うよう努めておるところでございます。例えば歩行者用の青信号の長さの設定ということにつきましては、最近では平成七年にその測定を行いまして所要の修正を行ったところでございます。  最近の調査によりますと、十数年前に比べまして高齢者を含めた歩行者の全体的な歩行速度は若干速くなってきておる傾向も出ておるようでございまして、こういう実態調査を踏まえながら調整を行っておるところでございます。
  128. 有働正治

    ○有働正治君 高齢者だけの調査というのはやっておられないのではないかと思うわけであります。そういう点で、交差点内のしかも高齢者の方の事故が非常に多いという現実を踏まえて対処する必要があると私は考えるわけであります。車優先でなくて人間優先、その中で高齢者を位置づけた信号機の時間配分、これも高齢化社会の進行に合わせて対応願いたいという点で大事な点でありますので、大臣にも一言お答えいただければと思います。
  129. 山本博一

    政府委員山本博一君) 歩行者用の青信号の長さにつきましては、歩行者が安全に横断できるように、青信号の表示開始から渡り始めれば渡り切れる秒数を最低限といたしまして、交差点ごとに横断者の人数等をも考慮しながら設定しておるところでございます。  また、最近では高齢者等の交通弱者が押しボタンやペンダントを操作することによりまして歩行者用の青表示時間を延長し、高齢者等が安全に横断できるようにする信号機も整備されてきておるところでございます。  また、信号の各表示の秒数につきましては、安全で効率的な交通処理ができるよう、交差点ごとに車線数等の道路構造や交通量等をもとにしていろいろ設定しておるところでございまして、いろいろ先生が御指摘のありました事柄はそれぞれ各交差点ごとに配慮されておるのではないかと思っておるところでございます。
  130. 有働正治

    ○有働正治君 いや、今後どうするかということです。そんな今までの答弁じゃだめですよ。改善するところは改善するように……。
  131. 山本博一

    政府委員山本博一君) 今後とも実態をよく調査し、実態に合わせた、また歩行者が安全に渡り切れる信号設定ということにつきまして努めてまいりたいと思っておるところでございます。
  132. 有働正治

    ○有働正治君 次に、目の御不自由な方々に対する信号機の設置問題でお尋ねいたします。  一つは国会前の道路です。国権の最高機関としての国会前の道路で、目の不自由な方々に対する信号機、視覚障害者用付加装置が設置されていない。目の御不自由な方々を含めまして、国会に請願をされるあるいはいろいろ要望をされる、そういう点で私はちょっといかがかなとかねがね思っていたわけであります。  そういう点で、国会前の道路につきまして速やかにこれを設置していただく、これは私ひとりだけでなく、また我が党だけでなく、超党派的に一致して国会としても要望していいような内容ではないかとも思うわけでありまして、速やかな善処を求めるわけでありますが、いかがでございますか。
  133. 山本博一

    政府委員山本博一君) 視覚障害者用信号機の整備は障害者の方々の安全確保のためには非常に重要でありまして、警察としましてはこれまでもその整備を積極的に推進してきたところでございます。  議員会館前の信号機を視覚障害者用のものにする件につきましては、現在警視庁において設置を検討していると聞いておりますが、設置に向けてさらなる検討を進めてまいりたいと考えておるところでございます。今後とも視覚障害者用信号機、交通弱者の安全を確保するための諸施策を積極的に進めてまいりたいと思っておるところでございます。
  134. 有働正治

    ○有働正治君 ですから、国会前は大体来年度以降とか、できるだけ速やかにやるような意向で対応願いたい、これは国務大臣としての大臣にも善処願いたいという点と、全国的な設置状況を見ますと、例えば信号機全体の設置数の中で視覚障害者用信号機の比率を見ますと、北海道三・一%、宮城二・六%、東京三・三%、千葉五・六%、神奈川四・三、愛知七・〇、京都一〇・九、大阪六・三、兵庫三・九、広島二・八、福岡三・三と必ずしも十分ではないと見受けるわけで、この全国的な問題を含めまして、大臣、一言お願いできればと思うんです。
  135. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 議員会館前の視覚障害者用の信号機につきましては、私からもまた機会を見て警視庁の方によくお願いをしておきたいと存じます。  全国的に視覚障害者用信号機あるいはお触れになりました高齢者等の交通弱者の安全を確保するためにもいろんな意味で信号機の改善を図らなきゃならないと思っておりますが、鋭意努力してまいりたいと思っております。
  136. 有働正治

    ○有働正治君 次に、エアバッグ問題であります。運輸省にお尋ねします。  エアバッグ、私も九五年四月十三日の本委員会でこの問題を質問し、積極的に対応する旨の答弁もいただいたわけでありますが、現状はどれぐらいの比率になっているのか、お示しいただきたい。  もう一つは、かなり高まったやに聞いているわけでありまして、法律上の義務化への抵抗感もかなり少なくなっているという点からいって、法律上の義務化に踏み切る、その点での積極的な検討を求めるわけであります。この二点につきまして。
  137. 下平隆

    説明員(下平隆君) エアバッグにつきましては、運輸省は従来から、自動車メーカーを指導するあるいはユーザーの皆さんにエアバッグというものについての安全情報を提供するということによりましてその普及を図ってきております。  現在の普及率でございますが、平成八年に生産されました乗用車で見てみますと、運転着席用のエアバッグが七四%の車に、助手席用のエアバッグは三七%の車に装備されるに至っております。これを平成六年と比較いたしますと、それぞれ七%、一%ということでございますので大幅な増加となっておりまして、エアバッグの普及が着実に進んでいるというふうに考えております。  それから、二点目のお尋ねでございますが、このエアバッグを法制的に義務化してはどうかという点でございます。  自動車が衝突をいたしました場合に乗員を保護するという装置につきましてはシートベルト、エアバッグなどがあるわけでございますけれども、シートベルトは車が正面から衝突した場合だけでなく、斜めからぶつかった場合とかいろいろすぐれた効果がございますので、日本だけではなく欧州でもシートベルトの装備を義務化して自動車の安全を確保している、こういう状況にございます。  一方、エアバッグはシートベルトと相まってこれを補完するような機能を有しているものだというふうに私どもは考えております。シートベルトに加えてエアバッグを義務化するという点につきましては、現在の我が国の基準が欧米と比較しても同じ水準に至っているということもございますし、一方ですべてのユーザーにそのコストの負担を強いるということにもなるわけでございます。  今後とも、運輸省としましては、自動車ユーザーが自動車を購入する場合にエアバッグを希望する場合には、これを的確に購入できるように体制を整備して、その普及を図ってまいりたいというふうに考えております。
  138. 有働正治

    ○有働正治君 自治大臣は九五年四月十三日、当時は野中自治大臣でございましたが、このエアバッグの普及を望むという御答弁と同時に、法律上の義務化について、関係省庁、業界等と広く連携をとりながら積極的に検討していく重要な課題だと、こういう答弁をされておられるわけであります。  そこで、白川大臣といたしましても、事故防止とのかかわりでこの有効性、有用性というのは明らかだと考えるわけでありまして、法律上の義務化の問題についても所見を求め、積極的な検討、対応を求めたいわけであります。
  139. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) エアバッグの効果につきましては、そう世間が思うほどエアバッグ万能ではないわけでございまして、シートベルトを着用しないとそんなに効果はないということのようであります。ですから、何よりもシートベルトをきちんと着用するということを前提に、さらにそこにエアバッグがあると非常に万全になるということであります。ただ、一方ではコストも高くなります。先ほどチャイルドシートの話もありましたが、それらもまだ義務化されていない、こういう諸般の段階の中で、いろんな意味を考えながらバランスの問題もあろうかと思います。  そういうことを私は一つ一つ考えながら、義務化ということも非常に大切かとは思いますが、何でもかんでも法律で決めていくということにつきましては、私は慎重であるべきものは慎重であるべきだと思っております。  シートベルトを法定化するときに、私は、みずからの命を守るのは運転者みずからの責任であると同時に、自動車を運転できる人間はその程度のことは自分で判断できるんだから、それを法律で義務づけるのはどうかと、実は反対というか、そういう意見を申し述べたことがございます。  ですから、私自身は、交通事故を防止するということについては有働委員と同じでございますが、あれもせい、これもせいという形で全部法律でがんじがらめに取り締まるというのはちょっと私としては考えを異にいたします。ですから、全体としてのバランス、その他費用等があるんじゃないかなと思っています。
  140. 有働正治

    ○有働正治君 前大臣とは少し後退されているということを指摘せざるを得ません。これは善処方を求めます。  次に、國松長官銃撃事件の捜査状況についてお尋ねします。  小杉元巡査長の供述とのかかわりで、この問題は現在どういう捜査状況になっているか、国民の前に明らかにしていただくということが特に大事であるので、その点が一点。  具体的な問題として、小杉元巡査長は現在どこにいて、どのような状況のもとでどう取り調べを受けておられるのか、しかるべく国民の前に示していただきたいと思うのであります。
  141. 伊達興治

    政府委員(伊達興治君) 警察庁長官狙撃事件につきましては、警視庁南千住警察署に警視庁の公安部長を本部長とする特別捜査本部を設置しまして鋭意捜査を推進してきたところであります。警視庁の小杉元巡査長が本事件の犯行を自認する供述をその後したことから、事案の重大性にかんがみまして、現在は警視庁の総力を挙げて事案の解明に取り組んでいると承知しております。  小杉元巡査長が同事件の犯行を自認する供述をしている事案につきましては、これまで警視庁において事情聴取を進めるとともに、その供述について、目撃者に対する再度の聞き込みやけん銃の捜索等の裏づけ捜査を鋭意進めてきたところであります。  これまでの捜査におきましては、小杉元巡査長が同事件の実行犯であるか否かを判断できる段階ではないのでありますが、事件に関与していた疑いもあるということで、検察当局とも連絡をとりつつ捜査を進め、事案の全容解明を図っているところでございます。  もう一点の後段の部分であります。小杉元巡査長につきましては、都内においてごく普通の生活をしておりまして、弁護人を通じて連絡をとれるような状況にあると承知いたしております。警視庁におきましては、引き続き弁護人または本人と適宜連絡をとりながら所要の捜査を行っていると承知しているところでございます。
  142. 有働正治

    ○有働正治君 最後でございます。警察庁長官お尋ね申し上げます。  新長官としてのこの事件の全容解明への決意と今後の捜査方針、それから白川国家公安委員長に全容解明への決意、この点を最後にお尋ねして終わります。
  143. 関口祐弘

    政府委員関口祐弘君) 警察庁長官狙撃事件は治安に対する挑戦ともいうべき極めて重大な事件である、そしてまた警視庁の元警察官がこの事件の犯行を自認する供述をしておりますことは、全国の警察に対する国民の信頼にかかわる重大な問題であると認識しているところでございます。  本件につきましては、ただいま警備局長が答弁いたしましたとおり、現在警視庁において所要の捜査を鋭意進めているところでございます。これまでの捜査におきましては、元警察官がこの事件の実行犯であるか否か判断できる段階ではありませんけれども、事件に関与している疑いもありますので、警視庁におきましては検察当局と十分な連絡をとりつつ捜査を進めているところであります。  捜査は一つ一つの積み重ねであります。地道な努力を実らせまして、いかにしてもこの事件の検挙、解決を図ってまいりたい、かように考えているところでございます。
  144. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) ただいま警備局長並びに警察庁長官が述べたとおりでございます。  国家公安委員会といたしましても、治安に対する挑戦、また警察への信頼を回復するためにも、一日も早く解決をしてほしいと機会あるごとに督励をいたしているところであります。
  145. 西川潔

    ○西川潔君 よろしくお願いいたします。  毎朝、皆さん方もそうであると思いますが、私も何紙かに目を通させていただくわけです。せんだって、読売新聞の「編集手帳」のコーナーを読ませていただきました。今回の道路交通法に関連した内容で心に深く刻まれた一節がございましたので、ちょっとこちらで御披露させていただきたいと思うわけですけれども、三月二十三日の紙面からです。  その女性がやってきた時、自動車教習所の職員  たちはてっきり痴ほう症による徘徊と思ったと  いう。六十二歳だったが、十歳以上老けて見え  た◆思いつめた表情だったわけは、あとになつ  て分かった。がんで余命六か月との告知を受け  ていたのだ。残されたわずかな時間、施設にい  るご主人を頻繁に見舞いたいと、免許取得を思  い立った◆十月入校。病院に行く木曜日以外  は、一日も休まなかった。仮免まで若い人なら  十数時間ですむ課程に何と百二十時間。雪国の  長い冬、足に霜焼けもできたが「この年になつ  て初めてできた」とむしろいとおしむ風だった  ◆免許証を手にしたのは十か月後の昨年夏。  「十歳以上若返って元気で車を運転して当校に  現れた」。新潟県中央自動車学校の新保芳孝さ  んが雑誌「自動車学校」でこの女性をそう紹介  している◆道路交通法の改正案が今月、国会に  提出された。増え続ける高齢者ドライバーの安  全確保が改正の大きなポイントで初心者用の  「若葉マーク」にあたる「シルバーマーク」新設  も盛り込まれている◆改正案が目指すのはお年  寄りの元気と共存できる社会だ。新潟の女性  は、その後もご主人のもとへ変わらずに通って  いる。免許証は余命宣告を吹き飛ばすお守りに  もなったらしい。と、大変心打たれる紙面でございました。    〔委員長退席、理事朝日俊弘君着席〕  道路交通法には人の生活と車との共存を守るという大きな役割があると思うわけですけれども、今回の改正案が目指すものはどこにあるのかという部分から国家公安委員長にお伺いしたいと思います。
  146. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 現在、国民生活にとりまして自動車はなくてはならない生活手段になったと、こう言って過言ではないと思います。その一方では、年間七十万件以上の事故が発生し、九十万人以上の方が負傷し、御案内のとおり一万人前後の方々が毎年亡くなられている。しかし、この二つの要請を何としても我々は達成していかなきゃいけないということで、今回の改正に当たりましては、成熟した車社会の実現を図ろう、そして歩行者と車、便利さと安全さがともに共存できるようなそういう社会をつくりたいということで、まだまだほかにもあろうかと思いますが、全体としてまずこの程度はどうしてもやらなきゃならないという部分につきまして改正案を提出している次第でございます。
  147. 西川潔

    ○西川潔君 これまで本委員会でも高齢者と交通問題は何回も質問をさせていただきました。その中で、よい意味警察庁は規制には消極的と申しましょうか、それはどういうことかと申しますと、できるだけ規制に頼ることなく人間のモラル、道徳を重視されているように私は感じるわけですけれども、このあたりの基本的なお考えをお伺いしたいと思います。    〔理事朝日俊弘君退席、委員長着席〕
  148. 山本博一

    政府委員山本博一君) 交通の安全と円滑を確保するためには、国民の権利を制限しあるいは義務を課すという規制も重要な手段であると認識しておるわけでありますが、他方、運転免許保有者が七千万人に達し、いわゆる国民皆免許と呼ばれるような現在の車社会の実情を考えますと、規制のみに頼るのではなく国民一人一人が交通安全に関する意識を高めていただくことが重要であると考えておるところであります。  このため、警察といたしましては、従来より関係機関、団体等との連携のもと、年齢別、地域別、職域別等各種の交通安全教育や全国交通安全運動における広報啓発活動等を通じまして積極的に国民のモラルの向上を図ってきたところでありますが、今後ともこれらの施策を一層充実させることなどによりまして国民のモラルのさらなる向上を図り、成熟した車社会の実現に努めてまいりたい、こういうように思っておるところでございます。
  149. 西川潔

    ○西川潔君 次に、午前中に風間先生の方からも質問が出たんですけれども、車は最高でも百キロしかスピードは出せないということです。車にはリミッターという部品がついておるわけですけれども、例えば六十、七十、八十にセットしますとそれ以上は出ないということでセットできるわけです。しかし、そこに規制がない以上は、これは車を運転する者の意識の改革なくして交通事故問題の改善はあり得ないというふうに思うわけです。  今回の改正案には高齢者の保護として、車両等の運転者に高齢歩行者を保護する義務を課すという規定が七十一条の二の二に新たに盛り込まれるとされています。まず、その目的からお伺いします。
  150. 山本博一

    政府委員山本博一君) 最近の交通事故死者数を年齢層別に見てみますと、六十五歳以上の高齢者が四年連続して最も多い層となっております。また、そのうち歩行者の死者が約半数を占めているという現状でありまして、このようなことを踏まえますと、交通事故死者を減少させるためには高齢歩行者の保護が重要な課題認識しておるところでございます。  警察では、従来から弱者感応信号機の整備を図るなど高齢者に優しい道路交通環境の整備に努めてきたところでありますが、高齢者の中には、加齢に伴う運動機能低下等によりまして、近づいてくる車両に気づくのがおくれたり道路を横断する速度が遅くなったりして交通事故に遭う方がおられますので、そのような方の通行の安全を確保するため、運転者に一時停止または徐行する義務を課すこととしたのが今回の改正の目的であります。
  151. 西川潔

    ○西川潔君 きょうこうした内容の質問をさせていただきますということをいろいろなところでお話をさせていただきますと、全国いろいろ声をかけていただいて、講演等にも寄せていただくんですけれども、いろんなことを言われるんです。  時間の関係でお願いはできないんですけれども、例えば今最高齢では百四歳ですか、百四歳とか百五歳の人が現実に運転をなさっているし、個々にそういうことを言うなと、個人個人が違うんだというようなことをいろいろ言われるんです。この間も講演に行きまして、高齢者の方々がと言うと、高齢というようなことを言うなというふうに言われる。どう呼んだらいいんですかと言ったら、老人、もちろんいかぬと言うんですね。どういうふうにお呼びさせていただいたらいいんでしょうかと言ったら、舞台の前まで来られて、人生の先輩と呼べと、こうおっしゃるんです。それが日々本当に現実なんです。  次は、この七十一条の二には障害者の方々や児童、幼児に対する保護規定が既にございます。しかし、そうした中でも、例えば聴覚に障害を持つ方のお話では、運転者からすると、お年寄りや子供が歩いています、あるいは車いすを利用されて いらっしゃる方がありますと当然注意を払います、一方、歩行者としても、エンジンの音やクラクションの音で危険を察知することはできるんですけれども、聴覚障害者の方の場合はそのどちらもあり得ないわけですから、後ろから車が来た場合は横を通り過ぎて初めて気がつく、そして猛スピードで行ってしまう、ああ危なかったなと、こう感じるわけです。  また、子供たちが学校へ通うときなんかでもそうですけれども、おうちから気をつけて行ってらっしゃいと言われて伸び伸びと登下校させてやりたいなと、道の狭い車の多いところなんかでは本当にそう思うわけです。道というものが余りにも車が中心であって、逆に歩く人が車におびえながらの生活を強いられていると言っても僕は言い過ぎではないと思うんです。  そういう意味では、この新たな七十一条の二というものが道路交通法の心臓部分と言えるのではないかと思うわけです。つまり歩行者保護という点については、お年寄り、子供、障害者はもちろんのことですが、歩行者すべてに対する思いやりというよりもむしろ遠慮するぐらいの意識というものが必要ではないか、私も運転者の一人としてそういうふうに感じます。  改めて、車と道、人と車の関係はどうあるべきなのか、その中で七十一条の二が担う役割について、国家公安委員長のお考えをお聞かせいただき一たいと思います。
  152. 山本博一

    政府委員山本博一君) 現在の車社会におきましては、歩行者の安全を図ることは極めて重要な課題であると認識をしておるところでございます。  このような観点から、従来から身体障害者、監護者の付き添わない児童、幼児が歩行している場合における車両の運転者の義務につきましては道路交通法に規定をしてきたところでありますが、今回の改正によりまして高齢歩行者につきましても同様の規定を設けることとしたところでございます。今後は、これらの規定も踏まえまして、車両の運転者が高齢歩行者などに優しい行動がとれるよう意識の啓発に積極的に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  153. 西川潔

    ○西川潔君 どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。  予算委員会等々でも年金の併給のこと、医療のことをいろいろ御質問させていただいたんです。今回の改正を機に、国家公安委員長として、この交通安全に対する呼びかけですけれども、本当にお願いしたいのは、全国津々浦々一軒一軒に配布するぐらいのそんな、何とかしてもらえないかなというふうに思うんです。御無理な点も多々あろうかと思いますけれども、一言御答弁をいただきたいと思います。
  154. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 私は昨年の就任以来、交通事故というのが今改めて大きな問題になっているということを痛感いたしまして、国家公安委員会の場でもまた警察庁幹部にも、現場の警察官が交通安全を取り締まるそして防止をするというこの活動はもちろん一番大切であるけれども、それだけに頼るというのでは不十分であるということで、特に国民の交通安全に対する意識を高めなきゃならないということを機会あるごとに申し上げておりまして、西川委員が今申されたことを実は交通局長を初め関係者に強く要請してきたところであります。  もちろん警察庁自身にそのような費用はないわけでございますけれども、しかしそこは何とか工夫して、交通安全に関するビラ、それもありきたりの交通安全に気をつけましょうというのではなくて、例えば一万人以下になりました、ことしも続けたいとか、子供には子供向けのもの、あるいは保護者には保護者向け、余り細かくはっくれませんが、三タイプか五タイプぐらいをつくって、それを全戸に配れるようなことを真剣に考えようじゃないかということで、警察庁の内部においてもどこから費用を調達するかというようなことを含めて今鋭意努力中であることを申し上げます。指摘されるまでもなく、そういうことをしようということで今努力しています。  ただ、警察庁の取り組みを今申し上げたのでございますが、きのう私、羽田空港で行われました交通安全キャンペーンに出てまいったのでございます。警視庁限りにおいてはもう既に七、八種類のビラをつくってそれぞれ必要なところに今回特に配っておるんですということで、警察庁の要請に基づいて各都道府県では特に広報啓発用のビラを重視している、こういうふうに聞いております。
  155. 西川潔

    ○西川潔君 よろしくお願いいたしたいと思います。  次に、コミュニティーゾーンの形成事業についてお伺いをしたいと思います。  運転者の意識改革という点では、今回、運転者対策として導入される社会参加活動においても大きな期待を抱くわけですけれども、一方、ハード面の整備によって歩車共存を図るというのも重要な問題ではないかと思います。  その中で、車と人がお互いに譲り合って両者を共存させるという考え方が最近大変注目を集めているわけです。車社会の先進国でありますヨーロッパ諸国では、早くから交通の静穏化という考え方が大変重要な都市交通政策の一つとして位置づけられているわけです。例えば、道路におきましては狭窄によって車道の一部を狭くするとか、あるいは路面を盛り上げるハンプなどを活用して自動車の交通を抑制する、日本では十七年前に大阪市が全国に先駆けて取り組んだわけですけれども、その後国の補助事業になりまして全国各地に広がりつつあるわけです。最近では、交通安全対策よりむしろ景観を中心とする道路整備に傾斜する面が強くなってかえって危惧するという一面も出ております。  しかし、人と車が共存していくために住民の声を最大限に尊重しながら地域の道路整備を進めていくという意味でこの事業には期待をするわけですけれども、今後はこういう事業をどういうふうに進めていかれるのか、お伺いをしておきたいと思います。
  156. 山本博一

    政府委員山本博一君) コミュニティーゾーンにつきましては、議員御指摘のような事例が数々積み重ねられてまいりまして以来、このたび初めて第六次交通安全施設等整備事業五カ年計画におきまして重点施策の一つとして位置づけられ、全国的、組織的に展開されることになっておるところでございます。  このゾーンは公安委員会が行う交通規制と道路管理者が行う道路改良を組み合わせて実施するものでありますが、平成八年度を初年度といたしまして五年間で全国約三百カ所の整備を予定しておるところでございます。今後とも建設省と連携を密にいたしまして、積極的、効果的な推進に努めてまいりたいと思っておるところでございます。
  157. 西川潔

    ○西川潔君 次に、交通事故の被害者対策についてお伺いをしたいと思います。  毎年一万人近くの方が交通事故でお亡くなりになるわけですけれども、特に歩行中あるいは自転車乗車中に亡くなる方が四千人近くいらっしゃいます。私も身近に交通事故で御家族を亡くされた方を存じ上げておりますが、その立場になってみないと本当にこの悲しみや苦しみは理解できません。地域によっては家族の会を結成されて支え合ったり、また社会に働きかけたり、亡くされた方は外国にまで家族の方が行かれて勉強されて、また国内で活躍をされておられるような方もたくさんいらっしゃいます。  そうした中で、警察における被害者対策というものも被害者の方々にとりましては心の大きな支えになっていると思います。この点については、近年、警察におかれましても被害者の立場に重点を置いた取り組みが行われていると伺っておりますし、承知もしておりますが、今後とも一層の施策の充実を改めてお願いしておきたいと思うわけですけれども長官、いかがでしょう。
  158. 関口祐弘

    政府委員関口祐弘君) 警察社会秩序を乱す者に対しまして厳然と対処する、その一方におきまして、犯罪の被害者の方あるいはまた事故の被害者の方々には温かい手を差し伸べていかなければならない、かように考えているところでございます。  そのような観点から、先生お尋ねの交通事故の被害者やその遺族の方々に対しましては、被害者連絡制度の実施、自動車保険や福祉に関する制度の紹介などの施策を行ってきているところでありますが、今回の道交法改正におきましては、交通事故相談に応ずることを都道府県交通安全活動推進センターの業務として位置づけることとしております。  今後とも、警察といたしましては、交通事故の被害者の方々と痛みを分け合うような気持ちで被害者対策を真摯に進めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  159. 西川潔

    ○西川潔君 すばらしい御答弁をいただきまして、本当にありがとうございます。よろしくお願いを申し上げたいと思います。  最後の質問にさせていただきます。交通安全教育についてお伺いをしたいと思います。  以前にも、聴覚に障害を持つドライバーへの対応として、手話通訳あるいは字幕スーパーを講習ビデオに入れてもらいたいという質問をさせていただきました。先日、大阪の新聞に、聴覚障害者への対応として交通安全講習の際に婦人警官による手話通訳が行われたという記事をこちらにも持ってまいりましたんですけれども、日ごろから聴覚障害者の方々への講習の開催を要望する声が大変高うございます。ぜひこの場合にも、講習ビデオに手話通訳を入れるなどきめ細やかな配慮を今後もお願いしたいんですけれども長官の御見解をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  160. 関口祐弘

    政府委員関口祐弘君) お尋ねの聴覚障害者に配慮した講習の導入ということでありますが、警察といたしましては、障害のある方々が社会構成員として地域の中でともに生活を送れるように、また障害者の場を広げ自由な社会参加が可能となる社会を構築するために、障害者対策を極めて重要なものとして位置づけまして、その積極的な推進を図っているところでございます。  具体的に申し上げますと、交通安全教育の場におきまして、聴覚に障害をお持ちの方の利便と気持ちに配意した講習が行えるよう、手話による会話ができる警察官等の活用なり、あるいはまた字幕スーパー入りのビデオの整備等の体制の確保に努めているところでありますが、今後さらにきめ細かな対策が講ぜられるよう、引き続き都道府県警察を指導してまいりたいと考えております。
  161. 西川潔

    ○西川潔君 よろしくお願いします。
  162. 田村公平

    ○田村公平君 春というのは人事異動があったり、児童生徒では入学式があったり、まさにこういう時期、交通安全運動が行われております。私も昭和三十八年に免許証をもらいまして、一年間、平均すると多分一方から一万二千キロぐらい今も車を運転しております。そういう意味ではこの時期、出前の交通安全教室だとか、あるいは町内会、関係各位の方々がテントを張って、各交差点、危ないところで大変な運動をしておることについては感謝を申し上げます。  交通事故というのは、加害者も被害者も大変嫌な思いをするものでございます。昔導入されました通称若葉マーク、この若葉マークをつけているために初心者だということで随分いじめられたり幅寄せを受けたりする、かえってない方がいいんじゃないかということであえてつけない人もいっぱいおるのを長い経験で承知しております。  今度、俗に言う高齢者マーク、シルバーマークをつけるがために、他のドライバーから若葉マークと同じような嫌がらせというか、いじめというか、そういうことがないように、保護規定の意味はよくわかるんですけれども、これは新任の山本局長にお尋ねをしますが、実効を担保するためには具体的にどういうことをお考えになっていますか。
  163. 山本博一

    政府委員山本博一君) 高齢運転者が当事者となった交通事故を防止するためには、高齢運転者自身が自分の加齢に伴う身体機能の低下というものを自覚して慎重な運転を心がけることが大切でありますが、このほかに周囲の運転者も高齢運転者に対し思いやりを持って運転することが重要であると考えております。  したがいまして、今後定めることとしておりますいわゆるシルバーマークにつきましては、この様式というもののまず周知徹底を図りたいと思っております。それとともに、運転免許の更新時講習等種々の運転者教育の機会を通じまして、一般ドライバーに対しまして高齢運転者に思いやりを持った運転をする呼びかけということも積極的にやってまいりたいと思っているところでございます。  また、今回の改正案では、シルバーマークを表示した自動車に幅寄せ、割り込み等を行うことを禁止することとしております。このような悪質なドライバーに対しましては、適切な指導、取り締まりを行ってまいりたいと思っているところでございます。
  164. 田村公平

    ○田村公平君 私、記憶が間違っていなければ、ここ十年間ぐらいはスピード違反も駐車違反も捕まっていないはずですが、それ以前に、かつて十七号で後ろからあおられまして、それでスピードを上げたら、ぽこっと覆面パトカーのてかてかがついてスピード違反で捕まりました。そういうケースも間々あるものですから、特に若葉マークと違いましてシルバーマークの場合は高齢者の方であります、間違ってもそういうことのないように御当局の奮起をお願いいたします。  さて、先ほど来いろんな御質問がありましたけれども、お伺いをしておりまして、どうも我が国には道路行政警察行政はあっても、総合的な交通政策がないような気が大変強くしております。  その中で、例えば交差点に行きますと、これは都内でも地方でも同じですが、一般に言う道路標識がいっぱいあります。右へ曲がると何々役場に行くとか、左へ曲がると何々町へ行けるとか、その手前には駐停禁止があったり、速度制限があったり、これがすべて管轄が役場であれば市町村、国の出先機関であればそれぞれ、それプラス民間のいろんな広告物があるものですから、非常に交差点での事故が多いというふうにこの統計にも出ておりますけれども、そういう縦割りの弊害はなるたけ関係各機関で調整をしてきれいにしていただきたいと思います。  今、道路公団総裁をなさっております鈴木道雄さんという方が、かつて四国地方建設局の局長当時、単身赴任なものですから、八十八カ所、いわゆるお四国さんを自分で運転して回ったら、我が省の道路標識を見て行ったらなかなか目的のお寺に着かないという笑えぬ事実があったことも御本人から聞いておりますので、これは関係各位の努力をお願いしたいと思います。  そこでお尋ねをしたいんですが、きょうは建設省にも来ていただいていると思いますが、こういう三角形のマークで、石がころころ転がっておるようなことを図案化して落石注意という標識がありますけれども、落ちてくる石を避けるのには具体的にどのようにしたらいいかということをその標識を出しておるところに聞きたいんです。これは道路防災対策室にお伺いします。
  165. 宮本泰行

    説明員(宮本泰行君) 道路は、先生御存じのとおり、人間の暮らしを支える上で大変重要な役割を担っているということで、安全で安心して利用できる災害に強い道路ネットワークの確保を図ることが大変重要だというふうに認識しているわけでございます。  このために、建設省を初めとしまして、道路管理者においては従来より落石に対する点検を実施しまして、その結果に基づいて重点的に防災対策を実施しているところでございます。特に平成八年と九年度におきましては新たに防災総点検というような形で実施しているところで、その点検結果に基づきまして落石防止対策の一層の充実を図っていきたいというふうに考えております。  今後とも必要な点検対策を鋭意実施いたしまして、安全で安心できる道路ネットワークの確保に努めてまいりたいと考えております。
  166. 田村公平

    ○田村公平君 おたくの前の室長の酒井孝さんという方がおられたときに、私どもの高知県で二名ほど死にましたね。つい最近は高知県の北川村というところで、七十歳の元村議さんが北川村の幹線道路運転中に上から石が落ちてきて直撃弾で死亡したけれども、ほとんどニュースになりません。きのうは鹿児島の方で地震があったので、三十トンの石が落ちてきたというのはちょっと写真入りで出ましたけれども。人間の数が多く死んだからえらいとか一人だからよくないとかいう意味ではありません。十人単位でありますと大きなニュースになりますが、東京あたりでもし三十トンぐらいの石が落ちてきて人が死んだりしたらこれは恐らく責任問題まで発展するのでしょうけれども、地方都市のニュースは都会では大体取り上げられない。  そういう中で、霞が関の論理が働いて施策が行われているような気もしておりますものですから、人が死んでからじゃなくして、関係各機関と、関係各機関というのは特に警察であります、駐在さんとかそういうところと連絡をとり、それからもう一つは、いわゆるワイヤを張って、石が落ちてくればワイヤが切れますから、そうすると信号が発せられるような防災設備もいっぱいあるはずです。どうかそういうことを、これからも道路防災対策室としては、ただ単に建設省の一課内室という考え方でなくして、警察とも連絡をとりながらやっていただきたいと思います。  そこで、時間の関係で三番目の質問に移らせていただきます。  この資料によれば昨年は一万人を切ったということでありますけれども、毎年一万人近い死者が出ている。その発生率じゃなくして件数では、一番がいわゆる一般国道、つまり一番から九十九番、昔で言うところの一級国道、そして三けた国道であります。次が市町村道、それから主要地方道、それからいわゆる一般地方道、それから高規格道というんですか自動車専用道路、それから俗に言う高速道路ということになっております。  そこで、国道課長お尋ねをしたいと思っておりますけれども一般国道、例えばわかりやすくいいますと五十五、五十六号線、あるいは三十二、三十三号線、これは大変格式のある古い国道です、昔で言う一級国道です。自歩道すらない道路なんです。そういうところで、例えば家族連れで運転しておってトイレに行きたい、トイレもないんです。あるいは眠気を催してこのまま行ったら居眠り運転になる、一時的に道路わきに寄せるといっても自歩道すらない一番から九十九番の国道であります。  そういうことで、たしか平成三年十月に一カ月間、高速道路等は御案内のとおり二十キロないし二十五キロ置きにサービスエリア、パーキングエリアがあって情報が得られますけれども、普通の道路にはないものですから、道の駅というのをたしかモデル事業でおやりになって、全国展開をしておるように承知をしております。  そういう道の駅のハード面はよろしいんですが、ソフト面で、いわゆるITSをにらんだ、単なるカーナビとかVICS情報だけじゃなくして、きめ細かいソフトウエアの集積場としての道の駅、どのように取り組んでおられるか、お尋ねをしたいと思います。
  167. 城処求行

    説明員城処求行君) 御指摘をいただきました道の駅の事業でございますが、これは従来ですと、道路の交通機能ということで着眼点が自動車を速く通すんだという方にいささか向きがちであったものを、道路利用者に休むスペースをつくるという交通安全上の視点も加味いたしまして、道路利用者の方に駐車場の休憩施設を提供する、こういったものを基本といたしまして、さらにそれぞれの場所には特徴がございますのでその特徴を生かして、地元の市町村の方々とも協力いたしまして例えば地域振興施設といったものをあわせて整備をしているといったものであります。道の駅を使いまして、道路利用者の方に地域の道路情報でありますとか観光情報を得られるようにしていこうということで、特にこれについては私どもも力を入れてきているところであります。  ただ、御指摘をいただきましたように、必ずしもまだ十分というわけではございませんが、これまでのところ全国で三百十三カ所を整備してまいりました。何らかの道路の情報でありますとか地域の情報を出せるようになっているところが約八割ございますので、そういった基礎的なところを生かしまして、今後さらに、御指摘をいただきました点も含めまして関係の機関の方とも連携しなくちゃいけませんが、道路利用者の方に必要な情報をより充実して提供していくということで努力していきたいというふうに考えております。
  168. 田村公平

    ○田村公平君 過積載の話もこの委員会で出ましたけれども、大体十トン車に十五、六トンから二十トン積んで走る保冷車、冷凍車、うちの方はいっぱいそういうのが走っております。それで、この間のように雨が降りますと、例えば百五十ミリになるとゲートというか通行どめになります。現実問題、軽四輪クラスだと迂回路がありますけれども、そんな大きなトレーラークラスには迂回路がありません。その情報一般国道では全然入ってこないんです。そこまで行ったら通行どめなんです。それで、どしゃ降りの雨で下手をすると追突事故が起きます。そういうことを考えたときに、今三百十三カ所とおっしゃいましたけれども警察の交通管制とのリンケージはどういうふうになさっていますか。  高速道路であれば何キロか置きに電光表示だとかいろんな形で、霧走行注意だとか雨走行注意、五十キロにしろとか、いわゆる可変式の情報が即得られます。もちろんVICS情報も入ってきます。しかし、一番死亡事故の発生件数が多い先ほど申し上げました一般国道や市町村道、主要地方道等にはそういうものが非常に不足をしております。  道路管理者は確かに建設省が上級官庁であり、それぞれの規格に応じて都道府県、市町村であると思いますけれども、所管官庁は建設省であります。警察の所管は警察庁、各都道府県警になると思います。そことの連絡が密にされて、その情報を受けるのは一般のドライバーですから、警察無線なんかないわけですから、そういうことについての協議、今の御説明では道の駅に関しても趣旨はわかるんですが、車が通れないと一番困るわけです。今までの考え方は、A地点からB地点まで可及的速やかに車が通ればいいという発想だったんです、おまえら勝手に走れと。だけれども、そうじゃない時代に入ろうとしているときに、そこらは警察との連携はどういうようになさっていますか。
  169. 城処求行

    説明員城処求行君) 確かに私ども今交通管理をさせていただいておりまして、ある一定の雨が降りますと通行どめにする、そのときのやり方というのは、現地にゲートをつくっておりまして、そこで閉めるということをさせていただいております。  その現地まで行かないと閉まっていることがわからないということではいけないという御指摘だと思います。その場合でもできるだけ早く、例えばラジオ情報等でお知らせするということは御指摘をいただいており、警察の方々とも連携をとってなるべく早く出すということで努力はしているわけでありますが、必ずしも十分ではないのではないかという御指摘だと思いますので、こういった道の駅といった施設を最大限利用して、もう少し手前の方で情報がわかる状況にしていこうということで我々としても努力をしていきたい。情報を出すに当たっては当然私どもだけでは及ばないところがございますので、警察庁の方とも従来からも連絡をとっておりますけれども、より一層その点についても努力をしてまいりたいと考えております。
  170. 田村公平

    ○田村公平君 ちょっと答えになっていない部分があるんです。  七子峠なんというのはゲートがあるんですよ。しかし、そこはラジオが入らないんです。だから、交通制限をする時間当たりの降雨量、平場じゃないんです、迂回路もないんです、そういうことをどうするのかと。
  171. 城処求行

    説明員城処求行君) 説明が稚拙で申しわけなかったと思いますが、おっしゃるとおりのところが現状ではあると思います。したがいまして、そういうところを補完する意味でも、手前の方に道の駅という施設をつくってそこで情報を出す、例えば天気の悪いときにそこに寄れば峠の状況がわかるというような仕組みをつくっていく必要があろうかと思います。  まだ緒についたばかりとは申しませんが、少し経験も浅いところもございまして、幾つかの事例は出てまいっておりますが、全国的にはまだこれからだということで、我々としても努力をしていきたいと思います。
  172. 田村公平

    ○田村公平君 山本局長にお尋ねをします。  そういうことで、今聞いてみたら城処道課長の話はちょっとかみ合わない思いが私はあるものですから、警察としてはそういう情報を道路管理者である、国道であれば建設省の何々事務所、何々出張所とかいろいろ細分化されています、それは縦割りの組織ですけれども、協力していく気はおありでしょうね。
  173. 山本博一

    政府委員山本博一君) 御指摘のように、道の駅という施設におきまして道路交通情報が利用できればこの上ないことであろうというぐあいに思っているところでございます。このようなところから、各地域におきましてはいろんな試みがなされておるところでございまして、現在道の駅と警察の交通管制センターとは直接的につながっているところは余りないわけでありますが、中間機関といたしまして日本道路交通情報センターというものがございます。ここには警察も積極的な情報を提供しているところでございまして、これを利用いたしまして、道路交通情報センターからファクスで道の駅に情報をとりまして刻々と提供をされておる事例も出てきておるようでございます。  非常に効果的な方法でありますので、今後ともこういう方法などを利用いたしまして、より情報が入手しやすくなるように私どもも十分協力していきたいと思っておるところでございます。
  174. 田村公平

    ○田村公平君 各省庁間のセクショナリズムをなるたけ廃止していただいて、そして情報というのは——今情報の話を何でしたかといいますと、ちょっとおもしろい統計を見せてもらったんです。関東地域では五大紙の意見がほとんどでありまして、例えば山形新聞だとか東奥日報だとか高知新聞とかそういう田舎の声というのはなかなか通らないものですから、ぜひそういうことも御留意をしていただいて、立派な交通行政をしていただきたいということをお願いして、私は質問を終わります。ありがとうございました。
  175. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。——別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  道路交通法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  176. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  小林君から発言を求められておりますので、これを許します。小林元君。
  177. 小林元

    ○小林元君 私は、ただいま可決されました道路交通法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、平成会、社会民主党・護憲連合、民主党・新緑風会、日本共産党、二院クラブ及び自由の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     道路交通法の一部を改正する法律案に対     する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の諸点に留意  し、その実効に遺憾なきを期すべきである。  一、最近の交通事故増加の現状にかんがみ、交   通安全施設の一層の整備、道路交通環境の改   善等を図るとともに、交通安全教育の充実、   救急・救助体制の整備等関係機関が一体と   なった総合的な交通安全対策を積極的に推進   すること。  二、現下の交通情勢を踏まえ、交通違反の取締   りは、悪質・危険性の高い違反及び迷惑性の   大きい違反に重点を置き、一層の推進を図る   こと。    特に、凶悪化、粗暴化、非行集団化を強め   ている暴走族に関しては、暴力団対策部門等   との連携強化等を積極的に行うとともに、行   政処分及び再発防止措置の徹底を図ること。  三、軽微な違反を犯した者が講習の内容として   選択できる社会参加活動は、運転者の資質の   向上に資する活動に限定するとともに、学習   効果が上がるよう十分指導すること。    なお、受講に当たっては、受講者の意向を   十分に尊重すること。  四、高齢者の交通事故死者が増加している現状   にかんがみ、高齢者の特性、交通実態等を踏   まえた交通安全教育を一層推進すること。特   に、七十五歳以上の者に対する講習について   は、加齢に伴う心身の変化を自覚できるよう   内容の充実を図ること。  五、交通安全に関する民間団体等に関しては、   主体的な活動効果的に推進されるよう助言   ・援助を行うとともに、政策目的達成の成果   について随時点検を行うこと。  六、速度違反、過積載、過労運転等による重大   事故が多発している現状を踏まえ、使用者、   荷主等の背後責任の追及を含め、再発防止の   ための指導・取締りを一層強化するととも   に、関係機関、団体等と連携した事故防止の   ためのキャンペーン等各種施策を積極的に推   進すること。  七、交通情報の提供に関しては、交通の円滑化   及び事故防止の観点から、交通管制センター   を中心に内容の精度に配意した交通情報の収   集・提供機能の拡充を図ること。    なお、交通情報を提供する事業者に対して   は、地域住民の交通安全及び生活環境に十分   配慮するよう指導すること。  八、チャイルドシートの義務化、運転中の携帯   電話の使用規制等の諸課題について、交通安   全確保の観点に立って、引き続き検討・協議   し、早急に結論を得るよう努めること。  九、本法の運用に当たっては、施行前に国民へ   の周知徹底を図るとともに、本法に係る政令   等の制定及びその運用に際しては、本委員会   における論議を十分踏まえること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  178. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) ただいま小林君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  179. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 全会一致と認めます。よって、小林君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、白川国家公安委員会委員長から発言を求められておりますので、この際、これを許します。白川国家公安委員会委員長
  180. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 道路交通法の一部を改正する法律案につきまして、大変御熱心な御審議をいただき、速やかに御可決いただきましたことを厚く御礼申し上げます。  政府といたしましては、審議経過における御意見並びにただいまの附帯決議の御趣旨を十分尊重いたしまして、交通安全対策の推進に万全の措置を講じてまいる所存でございます。  今後とも御指導、御鞭撻のほどをよろしくお願い申し上げます。
  181. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  182. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時四十分散会