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1997-03-18 第140回国会 参議院 地方行政委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年三月十八日(火曜日)    午前十時二分開会     ―――――――――――――    委員の異動  三月十四日     辞任         補欠選任      山本 一太君     嶋崎  均君      大渕 絹子君     村沢  牧君  三月十七日     辞任         補欠選任      嶋崎  均君     山本 一太君      村沢  牧君     大渕 絹子君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         峰崎 直樹君     理 事                 関根 則之君                 竹山  裕君                 小林  元君                 朝日 俊弘君     委 員                 太田 豊秋君                 上吉原一天君                 鈴木 省吾君                 谷川 秀善君                 山本 一太君                 牛嶋  正君                 風間  昶君                 吉田 之久君                 大渕 絹子君                 渡辺 四郎君                 有働 正治君                 西川  潔君                 田村 公平君    国務大臣        自 治 大 臣  白川 勝彦君    政府委員        警察庁長官官房        総務審議官    山本 博一君        大蔵省主計局次        長        溝口善兵衛君        自治政務次官   久野統一郎君        自治大臣官房長  谷合 靖夫君        自治省行政局公        務員部長     芳山 達郎君        自治省行政局選        挙部長      牧之内隆久君        自治省財政局長  二橋 正弘君        自治省税務局長  湊  和夫君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤  勝君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○地方行政改革に関する調査  (平成年度地方財政計画に関する件) ○地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の  一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付  ) ○地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  地方行政改革に関する調査議題といたします。  平成年度地方財政計画について、政府から説明聴取いたします。白川自治大臣
  3. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) ただいま議題となりました平成年度地方財政計画概要について御説明申し上げます。  平成年度地方財政につきましては、極めて厳しい地方財政の現状を踏まえ、地方財政健全化行財政改革推進が現下の最重要課題であるとの観点に立って、歳入面においては地方税負担公平適正化推進地方交付税所要額確保を図り、歳出面においては経費全般について徹底した節減合理化推進するなど、限られた財源重点的配分経費支出効率化に徹し、可能な限り借入金への依存度の引き下げを図ることを基本としております。  以下、平成年度地方財政計画策定方針について御説明申し上げます。  第一に、地方税については、固定資産税評価がえに伴う土地に係る固定資産税及び都市計画税税負担調整措置不動産取得税課税標準特例措置等を講ずるほか、平成六年秋の税制改革に伴う市町村減収補てんのため、個人住民税及び地方たばこ税税率調整により道府県から市町村への税源移譲を行うとともに、非課税等特別措置整理合理化等のため所要措置を講ずることとしております。なお、個人住民税特別減税は実施しないこととし、また地方消費税平成九年四月一日から導入することとしております。  第二に、地方財政運営支障が生ずることがないようにするため、地方消費税の未平年度化による影響額について臨時税収補てん債発行により補てんするとともに、地方消費税の未平年度化による影響額以外の地方財源不足見込み額についても、地方交付税増額及び建設地方債発行により補てんすることとしております。  第三に、地域経済振興や雇用の安定を図りつつ、自主的、主体的な活力ある地域づくり住民に身近な社会資本整備災害に強い安全な町づくり、総合的な地域福祉施策充実農山漁村地域活性化等を図るため、地方単独事業費確保等所要措置を講ずることとしております。  第四に、地方行財政運営合理化財政秩序の確立を図るため、定員管理合理化及び一般行政経費等抑制を行うとともに、国庫補助負担金について補助負担基準改善を進めることとしております。  以上の方針のもとに平成年度地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出規模は八十七兆五百九十六億円となり、前年度に比べ一兆七千七百四十八億円、二・一%の増加公債費等を除く地方一般歳出は前年度に比べて〇・九%の増加となっております。  以上が平成年度地方財政計画概要であります。
  4. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 次に、補足説明聴取いたします。二橋財政局長
  5. 二橋正弘

    政府委員二橋正弘君) 平成年度地方財政計画につきましては、ただいま自治大臣から御説明いたしましたとおりでありますが、なお若干の点につきまして補足して御説明いたします。  地方財政計画規模は八十七兆五百九十六億円で、前年度に比較いたしまして一兆七千七百四十八億円、二・一%の増加となり、また公債費等を除く地方一般歳出伸び率は前年度に比べて〇・九%の増加となっております。  まず、歳入について御説明いたします。  地方税収入見込み額は、道府県税十六兆七百十四億円、市町村税二十兆九千四百二十九億円、合わせて三十七兆百四十三億円であります。前年度に対し道府県税は二兆二千九百二十八億円、一六・六%増加し、市町村税は九千四百億円、四・七%増加しております。  なお、平成年度においては、最近における社会経済情勢等にかんがみ、住民負担軽減及び合理化等を図るため、平成年度分固定資産税評価がえに伴う土地に係る固定資産税及び都市計画税税負担調整措置新築住宅に係る不動産取得税課税標準特例控除額引き上げ宅地等に係る不動産取得税課税標準特例措置創設等措置を講じるほか、道府県市町村の間で個人住民税及び地方たばこ税税率調整を行うとともに、非課税等特別措置整理合理化等を行うこととし、あわせて国有資産等所在市町村交付金に係る交付金算定標準額特例措置整理合理化等所要改正を行うことといたしております。なお、個人住民税特別減税は実施しないこととし、また地方消費税平成九年四月一日から導入することとしております。  地方譲与税等収入見込み額は、消費譲与税が廃止されることに伴い総額一兆七百三十三億円で、前年度に対し九千二百五十三億円、四六・三%の減少となっております。  次に、地方交付税につきましては、平成年度所得税法人税、酒税、消費税及びたばこ税のそれぞれ一定割合の額の合計額十五兆一千二百十億円に地方交付税法附則第四条の二第二項の規定に基づく加算額六百四十億円、同条第三項の規定に基づく加算額一千九百六十億円及び臨時特例加算額一千億円を加算した額に、返還金四億円、交付税特別会計における資金運用部からの借入金一兆七千六百九十億円、同特別会計における剰余金一千百億円及び前年度からの繰越分二千九百三十一億円を加算した額から、同特別会計借入金利子支払い額五千二百五十九億円を控除した額十七兆一千二百七十六億円を計上いたしました結果、前年度に対し二千八百六十六億円、一・七%の増加となっております。  国庫支出金総額十三兆二千五百八十九億円で、前年度に対し一千九百二十七億円、一・五%の増加となっております。  次に、地方債につきましては、地方消費税の未平年度化による影響額に対処するための地方債を含め、普通会計分地方債発行予定額は十二兆一千二百八十五億円で、前年度に対し八千三百三十五億円、六・四%の減少となっております。  なお、地方債計画全体の規模は十七兆三千六百五十九億円で、前年度に対し七千四百四十四億円、四・一%の減少となっております。  また、使用料及び手数料並びに雑収入につきましては、最近における実績等を勘案した額を計上いたしております。  以上の結果、地方税地方譲与税及び地方交付税を合わせた一般財源合計額は五十五兆二千百五十二億円となり、歳入全体に占める割合は六三・四%となっております。  次に、歳出について御説明いたします。  まず、給与関係経費についてでありますが、総額は二十三兆二千百六十三億円で、前年度に対し三千三百二十九億円、一・五%の増加となっております。職員数につきましては、国家公務員定員削減方針に準じて定員削減を行うとともに、警察官のほか、福祉関係保健等関係職員について所要の増員を見込むことといたしております。  次に、一般行政経費につきましては総額十七兆九千八百三十六億円、前年度に対し四千七百三十二億円、二・七%の増加となっております。このうち、国庫補助負担金等を伴うものは七兆九千八百四十九億円で、前年度に対し三千二百四十八億円、四・二%の増加となっております。国庫補助負担金を伴わないものは九兆九千九百八十七億円で、前年度に対し一千四百八十四億円、一・五%の増加となっております。この中では、基地対策に要する経費地方団体行政改革及び人材育成推進に要する経費を新たに計上いたしております。  また、少子・高齢化進展等に対応した福祉施策の一層の充実を図るため社会福祉系統経費充実するほか、地域産業創造対策に要する経費防災対策強化に要する経費農山漁村ふるさと事業に要する経費農山漁村対策及び森林山村対策に要する経費私学経常費助成に要する経費地域文化振興対策に要する経費地域スポーツ振興対策に要する経費環境保全対策に要する経費国際化推進対策に要する経費地域情報基盤整備対策に要する経費ふるさとづくり事業に要する経費災害等年度途中における追加財政需要に対する財源等を計上いたしております。  公債費総額九兆六千四百三億円で、前年度に対し七千七百八十億円、八・八%の増加となっております。  維持補修費総額九千六百十三億円で、前年度に対し二百六十六億円、二・八%の増加となっております。  投資的経費総額三十一兆六百九十二億円で、前年度に対し四十億円の増加となっております。このうち、直轄・補助事業につきましては十兆九千六百九十二億円で、前年度に対し四十億円の増加となっております。  地方単独事業につきましては、ふるさとづくり事業地方特定道路整備ふるさと農道・林道の整備災害に強い安全な町づくりなど、生活関連基盤整備を重点的に推進することができるよう所要事業費確保することとし、前年度と同額の二十兆一千億円を計上いたしております。  公営企業繰出金につきましては、地方公営企業経営基盤強化、上下水道、交通、病院等生活関連社会資本整備推進等に配意し、総額三兆一千百八十九億円を計上いたしております。  最後に、地方交付税の不交付団体における平均水準を超える必要経費については、税収入状況等を勘案して所要額を計上いたしております。  以上をもちまして、地方財政計画補足説明を終わらせていただきます。
  6. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 以上で説明聴取は終わりました。     ―――――――――――――
  7. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 次に、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案並びに地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  まず、政府から順次趣旨説明聴取いたします。白川自治大臣
  8. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) ただいま議題となりました二法律案につきまして、提案理由趣旨説明をさせていただきます。  まず、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案提案理由とその要旨につきまして御説明申し上げます。  最近における社会経済情勢等にかんがみ、住民負担軽減及び合理化等を図るため、平成年度固定資産税評価がえに伴う土地に係る固定資産税及び都市計画税税負担調整措置新築住宅に係る不動産取得税課税標準特例控除額引き上げ宅地等に係る不動産取得税課税標準特例措置創設等措置を講ずるほか、道府県市町村の間で個人住民税及び地方たばこ税税率調整を行うとともに、非課税等特別措置整理合理化特別地方消費税平成十二年度からの廃止等を行うこととし、あわせて国有資産等所在市町村交付金に係る交付金算定標準額特例措置整理合理化等所要改正を行う必要があります。  以上がこの法律案を提案いたします理由であります。  次に、この法律案要旨につきまして御説明申し上げます。  第一は、地方税法改正に関する事項であります。  その一は、道府県民税及び市町村民税並びに道府県たばこ税及び市町村たばこ税についての改正であります。  個人道府県民税及び市町村民税並びに道府県たばこ税及び市町村たばこ税につきましては、平成六年秋の税制改革に伴う市町村減収補てんのため、税率調整をすることにより、道府県から市町村への税源移譲を行うことといたしております。  その二は、不動産取得税についての改正であります。  不動産取得税につきましては、新築住宅に係る課税標準特例控除額引き上げるとともに、宅地評価土地について、平成九年一月一日から平成十一年十二月三十一日までの間に取得した場合に限り、課税標準を価格の二分の一の額とする特例措置を創設する等の措置を講ずることといたしております。  その三は、特別地方消費税についての改正であります。  特別地方消費税につきましては、平成十二年三月三十一日をもって廃止するとともに、それまでの間、市町村に対する交付金交付率を二分の一に引き上げる等の措置を講ずることといたしております。  その四は、固定資産税及び都市計画税についての改正であります。  固定資産税につきましては、平成年度評価がえに伴い、平成年度から平成十一年度までの間の税負担の求め方について、負担水準均衡化をより重視することを基本的な考え方として、宅地のうち負担水準の高い土地についてはその税負担抑制しつつ負担水準均衡化を図るとともに、あわせて著しい地価の下落にも対応した措置を講ずることといたしております。  また、都市計画税につきましては、従来と同様に激変緩和措置としての税負担調整措置を講ずるとともに、固定資産税において講じられる税負担抑制措置市町村の自主的な判断により行うことができる措置を講ずることといたしております。  さらに、阪神淡路大震災に係る特例措置適用期限を延長するとともに、旅客鉄道株式会社等日本国有鉄道から承継した本来事業用固定資産に係る課税標準特例措置の見直しを行う等の措置を講ずることといたしております。  その五は、特別土地保有税についての改正であります。  特別土地保有税につきましては、三大都市圏特定市において駐車場等の用に供する土地に係る納税義務免除対象要件強化する特例措置適用当該特定市の自主的な判断により除外することができるようにする等の措置を講ずることといたしております。  その六は、自動車取得税についての改正であります。  自動車取得税につきましては、電気自動車等取得に係る税率軽減措置適用期限平成十一年三月三十一日まで延長すること等の措置を講ずることといたしております。  その七は、国民健康保険税についての改正であります。  国民健康保険税につきましては、課税限度額を現行の五十二万円から五十三万円に引き上げることといたしております。  第二は、国有資産等所在市町村交付金法改正に関する事項であります。  市町村交付金につきましては、交付金算定標準額特例措置整理合理化を行うとともに、平成年度から平成十二年度までの各年度分市町村交付金について、平成年度固定資産税土地評価がえに伴う所要措置を講ずることといたしております。  以上が地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨であります。  次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案提案理由とその要旨について御説明申し上げます。  地方財政の収支が引き続き著しく不均衡な状況にあること等にかんがみ、地方交付税総額確保に資するため、平成年度分地方交付税総額について特例措置を講ずるとともに、平成年度から平成十八年度までの各年度における一般会計から交付税特別会計への繰り入れに関する特例改正するほか、各種の制度改正に伴って必要となる経費及び地方団体行政水準の向上のため必要となる経費財源措置するため、地方交付税単位費用改正し、あわせて、平成年度に限り、平年度地方消費税または地方消費税交付金収入見込み額に比して平成年度地方消費税等または地方消費税交付金等収入見込み額が過少であることにより財政の安定が損なわれることのないよう適切な財政運営を行うにつき必要とされる財源に充てるため、地方債特例措置を講ずる等の必要があります。  以上がこの法律案提出いたしました理由であります。  次に、この法律案の内容について御説明申し上げます。  第一は、地方交付税法の一部改正に関する事項であります。  まず、平成年度分地方交付税総額につきましては、地方交付税法第六条第二項の額に、平成年度における法定加算額二千六百億円、臨時特例加算額一千億円、交付税特別会計借入金一兆七千六百九十億円及び同特別会計における剰余金一千百億円を加算した額から、同特別会計借入金利子支払い額五千二百五十九億円を控除した額とすることとしております。  また、平成年度交付税特別会計において借り入れた借入金のうち九千八十二億円については、その償還金に相当する額を平成年度から平成十九年度までの各年度分地方交付税総額に加算することとし、当該加算額一般会計から同特別会計に繰り入れることとしております。  さらに、平成年度から平成二十四年度までの地方交付税総額につきましては、一兆千百三十億円を加算することとしております。  次に、平成年度分普通交付税算定につきましては、自主的、主体的な地域づくり推進等地域振興に要する経費災害に強い安全な町づくり震災対策推進等に要する経費、総合的な地域福祉施策充実に要する経費道路、街路、公園、下水道、社会福祉施設清掃施設等住民生活に直結する公共施設整備及び維持管理に要する経費教職員定数改善義務教育施設整備私学助成充実、生涯学習の推進等教育施策に要する経費農山漁村地域活性化農山漁村対策森林山村対策に要する経費自然環境保全廃棄物の減量化等快適な環境づくりに要する経費地域社会における国際化情報化への対応及び文化スポーツ振興に要する経費消防救急業務充実等に要する経費国民健康保険財政についてその安定化のための措置等に要する経費並びに地方団体行政改革人材育成推進に要する経費財源等措置することとしております。  また、阪神淡路大震災復興基金増額分に係る地方債利子支払いに要する経費措置することとしております。  さらに、基準財政収入額算定方法について、平成年度に限り、平年度地方消費税または地方消費税交付金収入見込み額に比して平成年度地方消費税等または地方消費税交付金等収入見込み額が過少と認められる額として、今回の地方財政法の一部改正後の同法の規定により算定した額の一定割合を加算することとする特例を設けることとしております。  第二は、地方財政法の一部改正に関する事項であります。  平成年度に限り、地方団体は、地方財政法第五条の特例として、平年度地方消費税または地方消費税交付金収入見込み額に比して平成年度地方消費税等または地方消費税交付金等収入見込み額が過少であることにより財政の安定が損なわれることのないよう、過少と認められる額として自治省令で定める方法により算定した額の地方債を起こすことができることとしております。  以上が地方交付税法等の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  9. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 以上で両案の趣旨説明聴取は終わりました。  なお、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案に対する政府委員からの補足説明につきましては、理事会で協議いたしました結果、説明聴取は行わず、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしました。  これより両案に対する質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 小林元

    小林元君 平成会小林元でございます。ただいまの議題につきまして御質問させていただきます。  まず第一でございますけれども、地方税体系というんでしょうか、そのことについてちょっと御質問させていただきます。  県税あるいは市町村税、いろいろ見させていただきますと、これは平成年度見込みの数字かもしれませんけれども、例えば県民税の場合二八・九、あるいは事業税の場合三五・二、それから自動車税といったようなものが一一%、そういうような状況もございます。それから、市町村税につきましては、市町村民税四三%、固定資産税が四四%、大体こういうものが大きいところでございます。  非常に大ざっぱに言いますと、所得関係税金、それから資産関係税金、そして消費税につきましては今回導入はされましたけれども、導入といいますか、我々は引き上げは反対しておりますけれども、そういういわゆる消費課税というんでしょうか、流通過程課税、そういうものを見ますと、所得資産課税で、市町村税の場合には大体八七%、それから道府県税でも大体七五%以上というような状況にございます。  よく税源問題につきましていろんなことが学者の間でも言われておりまして、あるいは行政サイドでもいろいろ議論があるところだと思います。所得資産消費、そういうバランスのとれた税体系というのが望ましいんだと、あるいは最近は消費税導入というようなこともありまして、直間比率というものはどうも直接税に偏り過ぎているんではないかというような議論もあります。また一方では、地方税の場合には地域偏在というようなものがあっては困るという議論もございますし、それから景気に余りにも連動するといいますか影響されやすいというようなことになりますと、県あるいは市町村地方自治体の運営上いろいろ支障が出るというようないろいろな議論があるわけでございます。  大変難しいわけですが、現在の税体系というものについて、地方団体の県なりあるいは市町村税体系というものについてどういうふうに評価をされているのか、税務局長さんの方からお答えをいただきたいと思います。
  11. 湊和夫

    政府委員湊和夫君) ただいま委員からお話がございましたように、現在の地方税収の全体の姿、あるいは都道府県あるいは市町村のそれぞれの地方税構成状況、全体として見ますと、今お話がございましたが、いわゆる直接税であります所得資産、特に都道府県の場合は法人、個人所得課税のウエートが全体の、さっき御指摘ございましたけれども、四分の三ぐらいを占めているという形でございます。  それから、市町村の場合は固定資産税、いわゆる資産課税と、それから法人、個人所得課税を含めました住民税、固定資産税都市計画税のところまで含めますともう全体の九六%近くを資産所得課税で占めておる、こういう形で現在構成されております。  地方税全体で見ますと、所得課税が五三・四、それから資産課税三二・六、それから消費が一四・八と、これは平成年度の決算ベースでございますが、こういう形になっております。過去の地方税のこうした構成の数値の経緯等も見ますと、近年では消費課税のウエートが地方税の場合は落ちてきておるということが特徴として一つ言えようかというふうに思っております。  理由は、御承知のとおり平成年度消費税創設の際に地方の個別間接税がかなり整理されたというようなこともあって、平成年度時点では一二%台にまで消費課税のウエートが落ちておったということでございます。  こうした税体系は、今御指摘ございましたように、全体として一つの税目で、例えば市町村あるいは都道府県それぞれが税を徴収するというには余りにもたくさんの税をいただかないと歳出との見合いでバランスがとれませんので、幾つかの税を複合的に組み合わせて税としていただく形にならざるを得ないわけでございます。  したがって、そういう意味では、都道府県市町村、それぞれがすべて所得資産消費ということが全部バランスのとれた形の税体系をということにはいかないと思いますが、地方税全体としてそういった所得資産消費のバランスも考えながら、そして都道府県市町村の事務の役割等も考えながら、全体としての税の構成をこれからも考えていく必要があると思っております。  その際に、どうしても所得課税のウエートが高いということをかんがみますと、今後の課題としては、この面からだけ率直に言わせていただきますと、間接税のウエートあるいは消費課税のウエートの低さということが一つの課題にはなろうかというふうに思っております。  それから、先ほどの御指摘にございました中で、景気連動性についての御指摘がございました。この点が道府県税について特に指摘される点でございまして、法人課税のウエートが都道府県の場合はやや高いということがございまして、景気の影響を受けがちであるということが言えるわけでございます。  そういう意味で四月から、今回いわゆる地方消費税という形で、偏在性のより少ないそして安定性のある税が道府県税として創設されるということは、全体としての都道府県の抱えておりました税体系の安定性に資する形になっていくものではないかというふうに考えておるところでございます。
  12. 小林元

    小林元君 大変難しい問題だと思います。ただいまのようないろんな評価、問題、そういうこともありますけれども、もう一つは、本会議でも大臣に御質問いたしましたが、実態として地方財源が少な過ぎると、補助金、交付税というようなもので国の財源の移転というような形で最終的にはつじつまを合わせるといいますか穴埋めされているということでありますから、地方分権の時代にどれぐらいの財政需要がふえるのかというような議論は当然あると思いますが、現状のまま推移して、地方団体財源の自主権といいますか、そういうものを与えるんだというような考え方に立てば、やはりこれは税体系というものを見直すべきなんじゃないかと。  もちろん、今度の地方分権推進委員会でも、春というか、ことしの半ばにはそういう考え方もあわせて出てくるのかな、勧告されるのかなというふうに考えておる時期でございますから、大変難しいんですけれども、自治大臣、その辺の地方税源のあり方というか、考え方というか、そういうものがおありでしたらお聞かせをいただきたいと思います。
  13. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 地方分権について、地方分権推進委員会が今本当に広範に抜本的にいろんなことを御議論いただいていることについては大変敬意を表しますし、またこれを機に地方分権というものが本当に大きく変わることを私は期待いたしておるわけでございます。  そして、多くの方が評価されておりますが、上下主従関係のシンボルと言われていた機関委任事務についての原則廃止という大方針が示されたと、こう思っておるわけでございます。  しかし、これらはある面では今まで同じ仕事を、今まではこういうふうに考えていたけれどもこれからはこういう考え方をするよということであって、実際今まで市町村が現実にやっていたことと名前が変わってもやることが特別変わるわけではないわけでございます。そういう面では、物の考え方を変えるというようなことでもあるような気がするわけでございますが、権限の移譲、これはなかなかまた難しいところがあって、御案内のとおり一生懸命に今議論をしている最中でございます。  さらに、今度は皆さんが言われることでございますけれども、それを裏づける財政はどうするんだ、課税自主権をできるだけ多く地方に与えるべきであると、こちらになりますと、だんだん実行ということになってくると困難が伴うのではないかなという感をいたしておるわけでございます。  ただし、委員御指摘のとおり、そこのところがまた実行されないと、本当の意味での地方分権あるいは地方の時代というものは来ないわけでございます。そういう面で、分権推進委員会でも今鋭意議論しておりますが、このように地方行政委員会等でまた真剣に御議論いただくことが極めて大切ではないか、こう思うわけでございます。  ただ、いわゆる自主財源自主財源ということも今大変議論されておりますが、私ども事あるごとに大蔵省と自治省で議論をしておりますことは、地方交付税というものは確かに国税としていただくものであるけれども、これは本来地方固有の財源である。そういう面では地方固有の財源であって、この配分の仕方についてはまたいろんな御議論があろうかと思いますが、私どもは地方の共通の財源であるということは従来もまたそういう立場で努力してまいりましたし、今後とも努力していかなきゃならぬことだと、こう思っております。  課税自主権というのは言葉としては大変みんないいわけでございますけれども、委員などは長年の経験の中でどういう地方税が大きな税目としてあるのかまた御教示をいただきたいのでございますが、一つの税金を立ててそしてそれを事実上執行していただくということは、なかなか口で言うほど簡単ではない話のような気がするわけでございます。  従来ある地方税と同時に交付税というものはいわゆる地方の独自の財源である、こういうことで、あとはこの配分の仕方等につきましていろいろ考えなきゃいかぬところはあると思いますが、そういうことも地方の自主的な財源と、あるいは一方では地方地方の意思で使える財源の一つとして、どうかひとつ大切に私たちは守っていかなければならないのではないかなと、こう思っております。  そういうことを含めますと、地方が独自に持っているというか地方判断で使えるお金というのは、地方交付税を頭に入れますと、必ずしも諸外国に比べて低いものではないのではないかなと、私はこんなふうに一方では考えております。  ただし、委員がおっしゃったとおりでございますので、どのようにしたら自主財源が本当に確保できるんだろうか、これについては幅広い議論がなされておりますが、自治省としてもさらにいろんな意味で知恵を絞ってみたい、こう思っております。
  14. 小林元

    小林元君 大変幅広い御答弁をいただきましてありがとうございました。  本当に国、地方全体としてどういう税体系があるのか、そういう中で地方団体の税のあり方はどうなのかということが多分議論されて振り分けられるということになると思います。  私自身、茨城県職員として三十有余年やってまいりましたが、実は税問題につきましては話で聞いていただけで実務を担当したことはございません。そういうことで実はきょうは勉強したいということで、大臣なり自治省の考え方をお聞きしながら、地方分権の時代を迎えて私自身も真剣に考えていきたいというふうに思っております。言うことは簡単でございますけれども、大臣おっしゃったように本当に難しい問題でございますので、これは自治省初め十分研究していただきまして、ぜひ地方分権にふさわしい税財源のあり方というものを確立していただければと要望する次第でございます。  次に、固定資産税の問題に入らせていただきます。  バブル期を挟みまして地価の高騰あるいは現在の下落というような状況がございます。そういうことに関連して、固定資産税の徴収率でしょうか、たいした変動はないわけでございますけれども、それにしても多少変動しておるようでございます。この固定資産税宅地の、特に商業地、住宅地あるいは農地、山林、そういう地目ごとにいろいろあるんだろうと思いますが、どういう推移をしているのか、あるいはその徴収率が落ちているというようなことに対しましてどういう原因が考えられるのかということがおわかりでしたら、お答えをいただきたいと思います。
  15. 湊和夫

    政府委員湊和夫君) 固定資産税の徴収率でございますが、今回の地価の高騰、バブル前ということになりましょうか、ちなみに昭和六十一年では固定資産税の徴収率は九五・一%という数字でございました。  この数字が地価の高騰期にさらにやや上昇いたしまして、平成年度では九六・二%とかつてに比べましても固定資産税としては本当に高い徴収率を記録いたしたわけでございます。その後、バブル崩壊後、土地に関する問題がいろいろあるわけでございますが、低下傾向を見せておりまして、平成年度では九三・九%、先ほど申し上げました一番高かったという平成年度の九六・二に比べますと二・三ポイント低下というようなことになっておるところでございます。  なお、この期間、市町村税全体、もちろん固定資産税も全体の半分を占めておりますからこの影響もありますが、所得課税を含めまして同じような傾向が見られておるということもつけ加えさせていただきたいと存じます。  この固定資産税の徴収率の低下の状況は、地目別には申しわけございませんけれども私どもちょっとデータを持っておりませんのでお許しをちょうだいいたしたいと思いますが、低下の特徴的なものでございます、これは市町村税全体についても言えることでございますが、固定資産税につきましても地域的に徴収率の低下が目立っている地域がございます。これはもう率直に申し上げて、大都市の徴収率が極めて低くなってきた。  例えば現年分について言いますと、大都市の代表であります東京あたりを見ますと、かつては固定資産税の現年分の徴収率は大都市だから低いということはございませんで、全国平均よりもやや高い徴収の割合を見せておったところでございますが、こうした東京都等を中心にする大都市の徴収率が大分低下を見ております。例えば平成三年の徴収率では、大都市は九七・四、先ほど全国平均の数字を申し上げましたが、この時点は全国平均は九六・二でございましたが、大都市では九七・四でございました。  これが平成七年では九三・七ということで、全体の徴収率の低下が三・七、全国平均では二・三でございますから、倍とまではいきませんけれどもかなり低い落ち込みを見せております。特定の団体を挙げて恐縮ですが、東京都の特別区あたりではさらにこの落ち込み割合が高くなって五%弱、四・八%ぐらいの低下を見ておるというようなことでございまして、こういうところが今回の特徴かと思っております。いわゆるバブルの崩壊に伴ういろんな経済的な事象がこういうところに反映された結果ではないかというふうに考えております。  なお、まだ平成年度の徴収実態等が把握できませんので、七年度分が私どもデータとして分析できる一番新しい数字でございますけれども、既に平成年度、七年度になってきますと、現年課税分の徴収率につきましてはこの低下傾向に足踏み状態がもう見られてきておりまして、これは他の税目についても同じことが言えるわけで、他の税目では一部もう既に徴収率が上昇に転じているものが所得課税等では出てきておるというような状況でございます。  滞納繰越分の徴収率が悪いということで、引き続き全体としてやや足踏みないし低下傾向を見せておりますけれども、この滞納分調定は年を追って整理されてまいりますので、全体としての徴収率の向上も、今の流れからいくとそんなに引き続いての低下ではなくて向上に転ずるのが近いんではないかというふうに感じております。
  16. 小林元

    小林元君 平成年度評価がえに係る不服申し立て状況ですね、全国的に二万件あるというふうに伺っておりますけれども、ただいまの徴収率等に関連をしているかどうか、その辺はよくわかりませんけれども、この不服申し立ての内容は、乱高下が激しかった地域とか、あるいは地域差があるのかとか、あるいは固定資産税評価がえに伴って相当税額の変動があったがそういうものが納得できないというようなことがあって、そういう市町村住民への説明といいますか、その辺に問題があったのかどうか、お考えがあればお聞かせをいただきたいと思います。簡単で結構でございます。
  17. 湊和夫

    政府委員湊和夫君) 平成年度評価がえにおきましては、全国で二万二千件を超えます審査申し出がされたわけでございます。県によりましては、前と比べまして、この審査の申し出の状況が余り変わっていないところもございますし、減ったところもございますけれども、特に大阪、東京、京都、奈良、それから兵庫、この五県で申し出が非常に目立ってきておるということでございます。  特に先ほど二万二千件強と申し上げましたが、大阪でこのうちの九千六百五十四件を占めておりますし、東京が二千五百件、それから京都が約二千三百件、奈良が約二千百件というようなことで、この五県でかなりの部分を占めておるという状況でございます。この県の名前からわかりますとおり、いずれも大都市地域あるいは大都市近郊の地域でございまして、地価の高騰等の問題があらわれた地域の一部であったかというふうに思っております。
  18. 小林元

    小林元君 それでは、土地評価の問題をお尋ねしたいと思います。  法律上は三百四十一条の第五項で「適正な時価」というふうに書いてございます。そして、三百四十九条で課税標準は基準年度の価格ということになっております。それで、その適正な時価というのは大変わかりやすいんですが、実は大変わかりにくいというのが実態でございまして、その辺の適正な時価をどう評価するんだというようなことが大臣の告示ということになって、これは評価基準を示すということになっておるようでございます。  これは本会議でも質問申し上げたんですが、例えば平成年度は事務次官の依命通達で公示価格の七割程度というようなことがお示しをされた。大臣告示の中には地価公示価格の一定割合というような非常に抽象的な定めがされている。ということは、これは住民の方から見ますと、適正な時価というのは一体何なんだというようなことになって、何でこういう税金になるのかというのがどうも納得できない。そういう中で、不服申し出が出るとかあるいは滞納が出るとか、そういう問題が出てくるのかなというようなことを考えるのでございますけれども、その辺はどうなんでしょうか。  これはできるだけわかりやすく、というのは、税法ですから公平公正と厳密に書かなくちゃいけない、そういうこともあると思うんですけれども、やはり基本的なところというのは法律できちんと簡潔明快に書いていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  19. 湊和夫

    政府委員湊和夫君) 地方税法固定資産税につきましても税の仕組みについて規定をいたしてございます。お尋ねのように、具体的な評価についても法律でその基本を書くべきではないかという御指摘でございます。税法の分野におきましては、技術的な面を含めまして、すべて法律で規定することはなかなか難しいわけでございますし、法律の委任を受けて、具体的な取り扱いを下位の規範で規定することが許されているものと私ども解しておるところでございます。  御指摘の依命通達は、固定資産評価基準、これは地方税法によりまして自治大臣が告示によって定めるとされております固定資産評価基準の具体的な運用の指針として示したものでございまして、これは法律の委任の範囲によるものと考えておるところでございます。  なお、こうした評価のあり方を前提に国会でいろいろ御論議をいただきまして、税負担のあり方については地方税法改正によって国会審議を経て取り決めていただいておるところでもございます。この点はひとつ御理解を賜りたいと思います。  ただ、納税者によりわかりやすい形で示すべきであったんではないかという点については、私どもも確かにそういう点について配慮する必要があるというふうにも考えておりまして、平成年度の今回の評価がえに当たりましては、地方税法によりまして自治大臣が告示によって定めるというふうに書いております。その告示である固定資産評価基準に、この七割を基準にして評価を行うということについても明確に今回は規定をさせていただいているところでございます。
  20. 小林元

    小林元君 その評価基準というんでしょうか、それに関連して土地基本法あるいは地価公示法、そういうものを根拠にして決めると、一定割合というようなことになっているんですが、これも大臣の告示あるいは依命通達とだんだんレベルが上がってきたようでありますけれども、法律の中では何にもその辺は規定がないんですね。  土地基本法、これは地価公示法よりも後からできた法律なんですが、土地基本法の中では、適正な地価の形成、課税その他適正化のために土地の正当な価格を公示する、こう書いてあるわけなんですね。そういう法律が後からできたんですけれども、そういう精神でつくったわけですから、そういうものを受けて土地課税というものはやるんだと私は非常に単純に考えるわけなんです。  その辺の規定のやり方につきましても、これは皮肉ではないですが、地方債の許可の規定ではありませんが、例えば公示価格の七割程度というようなことについて、これは当分の間というような規定の仕方もあるのかもしれませんけれども、そういうものでやるというようなことは法律に規定できないことはないんじゃないかというふうに考えるんです。これは自治大臣にも質問をいたしましたけれども、局長さんはいかがでしょうか。
  21. 湊和夫

    政府委員湊和夫君) 評価に関連する事項というのは広範にわたっております。地方税法では、固定資産は適正な時価によると書いておりますし、その適正な時価の評価の仕方は自治大臣が告示で定めるということで、法律上そういう形の構成をとっておるわけでございます。  同じようなことは他の税で、資産課税にもなります相続税についても同じようなことでございまして、法律上は時価によるというふうに規定することで、具体的な評価のあり方については固定資産税の場合と同じように法律では具体的な形は書いてないということでございます。  ただ、土地基本法の成立の際にも大いに議論がありましたように、全体として均衡のとれた評価を行うべきであるという観点から今回の一連の評価の仕方の見直しが行われてきたものでございます。その評価の水準といいますか、水準そのものは確かに七割を目途にするということではございますが、評価の基本的な仕組み、考え方は現行のそれまでの評価基準に基づく評価の仕方を引き続き、その上にこの七割評価というものが行われているわけでございます。  おっしゃられるように宅地のみの事柄だけを書けば済むということであればいろんな選択肢もあり得ようかと思いますが、土地の中で農地、山林あるいは雑種地、いろんな形の土地評価すべてを法律で書くというわけにはなかなかまいらないというようなこともありまして、先ほど申し上げましたような自治大臣の告示で定めるという形で全体の法体系を構成させていただいているところでございます。  私どもとしては、この評価基準等もいろいろ見直しをしたりわかりやすい仕組みに変えていったりという工夫はこれからもしていく必要はあると考えておりますが、法体系上の整備のあり方としては、現行のやり方はそれなりの一つの考え方ではないかなというふうに率直に思っておるところでございます。
  22. 小林元

    小林元君 いろいろ議論はあるだろうと思うんですけれども、いずれにしましても地方税法というのは、国税の方は税目ごとに法律ができている、ところが地方税は県、市町村一本で大変な法律になっているわけです。そういう中で附則がまた後ろの方にあるというようなことですから、実に読みにくいわけですね。一生懸命勉強しようと思うんですけれども、とても一般の住民は、私は住民より上だとは思っておりませんけれどもなかなか理解できない。ですから、一般の住民の方も同様だと思うんですよ。  そういうことになりますと、何かお上の言うとおり納めなきゃならないのかなというような気持ちで納めていただくというのはどうかなと。幾ら納税の義務とはいえ、やはり十分にその辺は、十分にとは言いませんが、およそこんなものかなという理解の上で気持ちよく納めていただくというのが行政のやり方ではないかというふうに考えるものでございます。どうか平易簡明な法律のあり方、つくり方、そういう見直しといいますか、そういうことをぜひ要望したいと思います。  時間もありませんので、次に交付税の財政計画の問題に移らせていただきます。答弁は簡潔で結構でございます。  今回の財源不足額は四兆六千五百億円あるわけでございます。三年連続での収支不足というようなことで、これは本会議でもあるいはもう既に多く議論されてきたわけでございますが、この収支不足額をどうするか。自治省としてはあるいは地方団体としては交付税率をアップしてもらいたいというわけですが、なかなかそうもいかぬと。では、制度改正でやろうというようなことで、六条の三の第二項によって今回もそういう単年度措置がされたわけでございます。  この辺につきましてはちょっとよくわからないんですけれども、地方制度調査会とか税制調査会というのか、あるいは単に大蔵と自治省のせめぎ合いで決まるというのか、その辺を、簡潔で結構でございますから御答弁いただきたいと思います。
  23. 二橋正弘

    政府委員二橋正弘君) ただいまお話がございましたように、平成年度以降、当初から相当多額な財源不足が生じておる状況が続いておるわけであります。年末の地財対策に向けましては、もちろん私ども自治省と大蔵省の相互間でいろんなやりとりをいたしますけれども、その臨むに当たりましての基本的な考え方あるいは現状認識につきましては地方制度調査会でも御議論をいただいて、地方制度調査会から来年度の地財対策についてこういうふうに取り組むべきであるというふうな御意見をいただきます。それから、地方財政審議会でも御提言をいただきまして、来年度の地財対策はこういうことを重点的に取り組むべきだというお話をいただいております。  そういうものを踏まえながら、私どもと大蔵省の方の事務当局同士が、相当長い期間、回数を重ねて議論をいたしまして、最終的に自治大臣、大蔵大臣の大臣折衝が行われて、国の予算編成の原案の内示前日の段階の最終の両大臣折衝で、地財対策あるいは具体的にその財源不足をどうやって補てんするかということが決められるというのがこれまでのやり方でございます。
  24. 小林元

    小林元君 今、国も地方も挙げて財政危機だという認識はあるわけでございます。しかし、地方の方から見ますと、財政計画で収支不足があって、それを交付税特会の借り入れとか、あるいは財源対策をどうするかとか、減収補てん債をどうするかとか、そういうことになって収支不足額の対応が、財源対策ができているということになるわけでございますけれども、国がそういうことをやるということについて地方団体のサイドから見ますとどうもなかなかよく見えないわけですね。  ですから、本当に何でもかんでも国が面倒を見てくれるんだというような意識になりがちなんです。これは地方分権の時代、地方自治という立場にあっては、やはり自分のことは自分で責任を持つ、自分の市町村のことは自分の市町村が決めるというような考え方が望ましいわけでございますけれども、せっかく皆さんが御努力をいただいてもその辺がなかなか見えてこない。  ですから、例えば収支不足が出た場合、今のような制度の議論もありますが、交付税の増額をするかあるいは借り入れをするのか、借り入れした場合、一般会計から借りるのか財投から借りるのか、あるいは国が面倒を見るというか、国の一般会計一般財源一般財源というんですか、そういうものを助成するというか一般会計に繰り入れる、あるいは地方債発行でそれを補うというようないろいろな方法があるんでしょう。  時間もありませんので次の機会に譲りたいと思いますが、そういうことが明らかになるように、そして本当に日本全体が大変な時期なわけでございますから、財政再建に向けて頑張ろう、何とかしなきゃいかぬという気持ちで、そういう一体感を生むように自治省にもぜひ御努力をお願いいたしまして、時間が参りましたので、私の本日の質問を終わります。  ありがとうございました。
  25. 牛嶋正

    牛嶋正君 平成会牛嶋でございます。きょうは、いよいよ四月から地方消費税導入されますので、これに関連いたしまして若干御質問させていただきたいと思います。  当分の間、徴税事務は国が消費税と一緒に行うことになっておりますけれども、地方税にとりましては久しぶりの大型の新税導入でございます。そういう意味では、これからの地方税制のあり方を考える上でも、また国と地方の税源配分を見直していく上でも地方消費税が軸の一つになってくるのではないか、こんなふうに私は考えております。  例えば、全国知事会で長らく議論されてまいりました事業税の外形課税への移行論につきましても、これまでの議論の中で外形標準に付加価値を求める意見が多かったわけでございますけれども、付加価値を課税ベースに置く地方消費税導入はこういった事業税の外形課税論に対しまして今後の議論に一石を投ずるのではないか、こんなふうに思っております。  また、地方消費税の各府県への税収配分が道府県民税事業税の各府県への税収配分に比べて地域格差が小さいといたしますと、国から地方への税源移譲を進める上で障害になってまいりました地域格差は多少なりとも緩和することになり、国と地方の間の税源配分の見直しに当たって好材料をもたらすものであるというふうにも思います。  しかし、地方消費税導入に当たって全く問題がないわけではございません。とりわけ、消費税に関して問題視されてまいりました益税の問題、それから最近非常に議論されております滞納の増加の問題がございます。これらの問題は、地方消費税の実施とともに地方税制に持ち込まれることになるわけでございます。そういたしますと、納税意識に与える悪い影響が非常に懸念されるわけであります。特に納税者にとって身近な地方税においては、徴税に係る不公正が発生するといたしますとその影響は非常に大きいことも想定しなければならないかと思います。  きょうは地方消費税の問題を中心に議論させていただきますが、今申しました地方消費税導入の懸念の問題をちょっと取り上げまして御議論させていただきたいと思っております。  国税庁が昨年十月に公表いたしました平成年度の滞納整理状況という報告書を見ますと、消費税の滞納増加は非常に明確に示されております。平成年度消費税の滞納額は、これは八年度に繰り越される分でございますが、三千八百六十一億円でございます。国税全体の滞納額のうち約三〇%を占めることになります。これに基づいて平成年度消費税の徴収率を算定いたしますと、単純に計算いたしますと九三・三%という数字になります。これは国税の中でも最も低い徴収率ではないかというふうに思います。  自治省はことし四月から地方消費税を実施されるわけでございますけれども、私が懸念いたしますのは、こういった滞納状況地方税の中に持ち込むことになるわけですけれども、この点についてどのような注意を払っておられるのか、まずお聞きしたいと思います。
  26. 湊和夫

    政府委員湊和夫君) 消費税の滞納状況につきましては、徴収決定済み額に対します新規の発生滞納額の割合でございます滞納発生の割合、これを拝見しますと、平成年度から平成年度まで徐々に増加をしてきておりましたけれども、五年度をピークに低下をしてきている状況にあるというふうに承知をいたしておるところでございます。  国税庁におきましても、当然のことでございますけれども、消費税の滞納の未然防止あるいは滞納整理に一生懸命お取り組みをいただいているというようなことでございまして、先ほど申し上げましたような新規の発生滞納額が減ってきておるということは、全体として見れば徴収率は向上の方向に向かうのではないかというふうに考えております。  先ほども論議がございましたけれども、バブル以後の一連の中で、地方税もそうでございましたが、国税も徴収率の低下を全体的に免れ得なかったというような流れの中にあるという点も私どもあわせて考えるべきものかというふうに思っております。
  27. 牛嶋正

    牛嶋正君 この消費税の滞納はほかの税目と違った意味を持っているわけですね。言うならば、消費者から納められた税がそのまま国庫へ行かないで結局納税義務者たる事業者の手元にとどまるということになるわけですから、全くこれは益税と同じ性質を持っている、ここのところを非常に注目しなければならないのではないかというふうに思います。  ですから、益税と同じように、消費税の滞納というのは徴税の段階で極めて重大な不公正を持ち込むことになるわけであります。しかも、消費税の場合は、あわせて事業者とそれから消費者との間に税をめぐった対立関係と申しますかあるいは不信感と申しますか、そういうふうなものまでつくり出していくという懸念もあるわけでございます。そういたしますと、徴税執行上かなり厄介な問題が生まれてくるのではないか、こんなふうな気がするわけであります。  この点について自治省では、徴税の段階での不公正ということについてどのようなお考えをお持ちなのか、お聞かせ願いたいと思います。
  28. 湊和夫

    政府委員湊和夫君) 御指摘の点につきましては、もちろん徴収率の問題は全般的に各税を通じてそうでございますが、課税公平という観点からも問題があるというふうに思っておりますし、今御指摘がございましたように、消費税の場合、最終的に消費者に転嫁される税であるということから、かねてから一般的に益税の問題が指摘されまして、中小事業者に関連するいろんな特例の見直しもこの四月から国税において行うこととし、全体としての益税の発色を抑える努力をするという仕組みがとられつつあるところでございます。  この徴収をめぐっての今御指摘の点については私ども全く異論を挟む点はございませんで、こうした益税問題も含めてより一層徴収の公正な執行ということが重要であるというふうに考えております。したがって、私ども、徴収そのものは国税に地方消費税について賦課徴収を委託する形はとっておりますけれども、一般的な納税者に対する理解を求める、あるいは各都道府県でも納税者の相談に応ずる、あるいは一般的な納税協力を通じてこの徴収の向上に資するためこれから取り組んでいかなければならないと思っておるところでございます。
  29. 牛嶋正

    牛嶋正君 それで、今自治省の方では、地方消費税導入されまして平年度ベースでどれぐらいの税収を見込んでおられるのか、そして四月からは簡易課税方式につきましての見直しが若干ございますけれども、この新しい簡易課税方式に基づいてどれぐらいの益税が見込まれるのか、もし計算をされておりましたらその数字をお示しいただきたいと思います。
  30. 湊和夫

    政府委員湊和夫君) まず、平年度ベースの地方消費税の額でございます。平成年度時点をベースにして平年度化された額は約二兆六千億円となるというふうに見込んでおるところでございます。  なお、益税の額等の推計につきましては、これは国税当局の方もそうでございますけれども、各事業者の転嫁の程度によって変わってくるということもありまして、なかなか正確な把握が困難であるということから、益税額そのものの計算についてはできておりませんで、その点についてはお許しをいただきたいと存じます。
  31. 牛嶋正

    牛嶋正君 そこで、現行の道府県税の徴収率を、私の手元には地方財政白書、平成年度版しかございませんので、これに基づいてお尋ねしていくわけですけれども、幾つか、二十数税目あります。全体の徴収率は平成年度は九五・二%ですけれども、この中で徴収率の低いのを四つ選んでみました。  一つは道府県民税個人分でございまして、これが九〇・六%でございます。それから、二番目は事業税個人分でありまして八九・六%、そして、三番目は不動産取得税の八五・八%、そして消費税と非常に似ております特別地方消費税が八九・五%でございます。  既に七年度の決算が出ておりますので、まず七年度の数字をお聞かせ願いたいと思います。
  32. 湊和夫

    政府委員湊和夫君) 平成年度分の現年課税分それから滞納繰越分も含めました徴収率について申し上げますと、まず個人道府県民税、先ほど平成年度九〇・六%と先生の御指摘がありましたが、これが九一・三%でございます。それから個人事業税、これは八九・五%、六年度に比べて〇・一%下がっております。それから不動産取得税は八四・六%、それから特別地方消費税は八八・七%、不動産取得税特別地方消費税ともに一%前後下がっておるということでございます。
  33. 牛嶋正

    牛嶋正君 今四つ挙げられましたけれども、このうち道府県民税個人分を除きますと、全体の税収構成に占める割合はいずれも五%以下でございます。言うならば、全体の税収から見ますとそれほど大きな構成比ではございません。  しかし、一つの税目を取り上げてこんなに低い徴収率であるとするならば、私は課税公平性というものは保たれていないんではないかというふうに思いますが、この点についての自治省の御見解はどうですか。
  34. 湊和夫

    政府委員湊和夫君) 地方税公平さの確保というのは、当然のことながら重要な課題でございます。税収入確保面でも、今地方団体は大変に厳しい財政状況でございますので、その収入確保努力という意味でも、この徴収率の低下というのはやはり大きな問題があるというふうに考えております。  そういう意味で、私ども、一般的な意味ではもちろん、地方団体に対してこうした執行面における努力についていろんな機会に地方団体の取り組みについて促しておるところでございますけれども、地方団体も、最近新聞等でも幾つか出ておりますけれども、実はいろんな創意工夫をしながら私ども精いっぱい取り組んでいただいていると思っております。  しかし、なおかつ課税公平ということを考えますと、それぞれの各団体の知恵をお互いにまた利用し合ったりして、さらに一層この取り組みに鋭意努力していく必要があるというふうに考えております。課税公平さの観点から問題があるという御指摘については、そのとおりだというふうに考えております。  ただ、一方で、多少弁解がましいことでございますけれども、全体としてどうしてもこれらの税目についても、それぞれ違いはございますけれども、景気の大きな流れの中で徴収率が変動せざるを得ないという面も、これは地方団体の努力にもかかわらずそういう面があるということも事実でございますので、その点はひとつ御理解を賜りたいと存じます。
  35. 牛嶋正

    牛嶋正君 そこで、私も今挙げました四つの税目について、徴収率を引き上げるためにはどうしたらいいのだろうか、あるいはまたなぜ徴収率が低いのかという原因について私なりにいろいろ検討させていただきましたので、順次取り上げていきたいと思います。  まず、道府県民税個人分でございますが、特別徴収と申告納税がございまして、恐らく特別徴収は何とか徴収率は確保できると思いますが、申告納税の方が問題だろうというふうに思います。それはよくわかるんですが、一つ疑問に思われますのは、道府県民税市町村民税と一緒に徴収されております。ところが、六年度でございますけれども、市町村民税の六年度の徴収率を見ますと、均等割それから所得割、いずれも九二・六%というふうなことで二%差があるんですね。  一緒に取っているのに、なぜその徴収率に差があるのかなということで、まずこの点をお聞きしたいと思います。
  36. 湊和夫

    政府委員湊和夫君) この徴収率の差は、一般的に見るともう御指摘のとおりで、何で一緒に取っているのに差があるんだろうかという御指摘、そのとおりだと思います。まず一般的にはそう考えることが自然だと思いますが、これは会計処理上のごく一部の団体の取り扱いによって実はそのほとんどが出てきておるという極めて特殊な要素がございます。  ちょっと細かな話になって恐縮なのでございますが、せっかくでございますので御説明させていただきたいと思います。  特別徴収の方法によって、年度末の三月に徴収されたものまで結果としては通常その年度の税収として入ってくるわけでございます。現実には出納閉鎖期間がありまして、三月分等が五月に納入をされるということになります。それをもう一度細かく申し上げますと、三月末の市町村の徴収分は四月十日までに実際には市町村に納付をされます。これは出納閉鎖期間中でございますから、当然市町村でもその前の三月までの年度の税として入ってくるわけでございます。市町村についてはこれらの取り扱いについて特に問題ございません。ところが、市町村から今度は都道府県にこの個人道府県民税を払い込むわけでございますが、その払い込みは五月十日ということが基準日になっておるわけでございます。  ここで、都道府県の払い込みのその受け方に、実はさっき申し上げましたように、数団体で取り扱いの差があるわけでございます。それは、数団体におきましては出納閉鎖というものを、特に出先機関を通じて上がってくるようなものについて出納閉鎖を四月末としておるというところがございます。結果として、三月の徴収分がその三月までの年度内の収入にならずに、出納閉鎖後に入ってくるという形になるものですから、滞納繰越分として再度調整されて翌年度の収入として入ってくるという形に取り扱いがなっておるようでございます。したがって、本来の年度の三月徴収分が入ります通常の場合でありますと、本来の年度であります。その三月の所属する年度の収入とはなっておりません。  しかし、一方で、その三月の所属する年度の調定額の中には含まれております。したがって、調定のベースは広がっているけれども収入としてはその分三月分のものが入っていないということで、まず徴収率が落ちます。加えて、翌年度は今度は滞納分として再調定をしてそれはほとんどが入ってくるということになるんだと思いますが、そしてその翌年の収入に入ってくるという構成をとっておりますので、形式的に処理しましても、これはどうやっても徴収率が下がるという結果になっております。  これが一番大きな要因で、大半はこれで説明できるんだというふうに思っております。
  37. 牛嶋正

    牛嶋正君 一つの問題は解決いたしました。  次は、事業税個人分でございますけれども、これも恐らく申告納税ということで徴収率が落ちているんだと思いますが、ただ事業税法人分は九六・九%なんですね。ですから、この間にかなり差があるということで、法人分は納税の数からいいましても少ないですし、それから一法人が納める額も多いわけでございますので、恐らくこの差はそういったことで説明されると思いますけれども、それにしてもちょっと差が大きいなというふうに思いますが、これについてちょっと御説明をお願いしたいと思います。
  38. 湊和夫

    政府委員湊和夫君) 個人事業税とそれから法人事業税との間の徴収率の格差についてでございます。  法人事業税につきましては、ちょっと数字を申し上げますと、例えば資本金別の利益を出しておる法人のウエートを申しますと、例えば一億円未満が九七・九%の数を占めておりまして、一億円以上のものが二・一%というように、利益を出している法人の構成からいくと規模ではそういう区分になっております。これが税額ベースでいきますと、九七・九%の法人数であります一億円未満のところで入ってくる税額は三八・九%、それから一億円以上のところで六一・一%という法人の数と税額に相当乖離があるのは、当然のことながら大きな企業はたくさんの税を納めているということでございます。結果として、大規模な法人が納付する納税額が全体としての徴収率の向上に大きく寄与しておるということが最も大きな理由になっておりますし、比較的大規模な法人の場合、利益を出した場合の納税率といいますか、これは極めて高いということもございます。  それからもう一つは、個人事業税は普通徴収でございます。したがって、法人事業税と比べますと、法人事業税は申告納付であるという特徴がございますので、普通徴収の場合は自治体の方で把握したものをとにかく全部調定いたすわけでございますけれども、法人事業税の場合は申告納付でございますので、不申告分が徴収率の算定には結果として入らないと。もちろん、不申告をできるだけないように自治体としてはやっていかなけりゃいけませんけれども、そもそも不申告のものが徴収率の算定に反映されないという両税の徴収の仕方による差異も一部あらわれているのではないかというふうに思っております。
  39. 牛嶋正

    牛嶋正君 今のお話を聞いておりますと、結局徴収率というのは徴税費用、徴税費と申しますか、これとの兼ね合いが非常に強いわけでございますね。ですから、徴収率一〇〇%まで持っていこうとするのには相当な徴税費がかかると。ですから、税の公平化あるいは効率的な徴収化という問題に帰するところがあると思うんですね。そのあらわれが私は個人分等については割合低いところにおさまっているんじゃないかと思いますが、これは税を徴収する場合の非常に基本的な問題でございますので、一番最後のところでまたまとめて御質問したいと思います。  その次は、不動産取得税でございます。  この取得税というのは二つございまして、不動産取得税とそれから自動車取得税でございます。不動産取得税の方は、先ほど申しましたように平成六年で八五・八%であります。一方、自動車取得税の方は九九・九%、もう一〇〇%に近いわけで、同じ取得税でありながらこれだけの差がございますが、これもやはり課税方法のところで大きな違いがあると思いますけれども、御説明をお願いしたいと思います。
  40. 湊和夫

    政府委員湊和夫君) 今御指摘のうちの自動車取得税はほぼ一〇〇%徴収が実行できておる、景気の変動におよそ関係なしと言ってもいいぐらいの徴収実績を上げてきている税でございます。  御指摘ございましたように、この両税の違いはまさに課税方式の違いでございまして、自動車取得税は実際に自動車のナンバーの交付のとき、あるいはその所有者の変更登録を行います場合に、陸運事務所といいますか陸運の支局の近接の場所で、ナンバー登録等の前段階としていわばルール化されて納めていただいているような形になっております。そういう形がとれておるということで非常に課税漏れが起きにくくなっておるということでございます。  それから、不動産取得税は、本来でありますと法律上は不動産を取得したときは申告をすべき義務等を課されておりますが、現実には賦課徴収一で、課税客体を登記所等の登記移転等を把握しながら行っていくというような仕組みの中で行われておりますし、また特に最近土地をめぐっていろんな問題がございましたけれども、そういう土地を中心に、家屋もございますけれども、こういった資産課税であるということもございまして、しかも一件当たりの税額が自動車取得税の場合と不動産取得税の場合は当然異なってまいりますので、納税の容易さという面でもこの両税は相当違いがあろうかというふうに思っております。
  41. 牛嶋正

    牛嶋正君 それでは、最後の特別地方消費税の方に移らせていただきます。  これは以前は料理飲食等消費税でございました。そのときから課税執行上の問題があるとかいうふうに私も聞いておりました。恐らく非常に取りにくい税だろうというふうに思うんですけれども、先ほど七年度を聞きましたが、料理飲食等消費税のときと比較しながら、徴収率が最近どんなふうに推移しているのか、ちょっと教えていただきたいと思います。
  42. 湊和夫

    政府委員湊和夫君) 徴収率の推移についてでございますけれども、平成年度から消費税が入りました際に特別地方消費税と名前を変えて現在の制度で動いておるわけでございますが、平成年度ではこの特別地方消費税の徴収率は九八%でございました。平成二年も九七%とかなり高い徴収率を記録いたしております。  ただ、特別地方消費税は、ある意味で景気といいますか一般的なちまたの景気の動向を最も反映して税の徴収率が増減していったというのが過去の経緯でございまして、平成元年では先ほど申し上げました九八%でしたけれども、これも六十年ごろ、ちょうど不況の時期に当たるわけでございますが、このころには八八・二、それから六十一年でも八八・六というふうに、この不況のときにはやはり徴収率がかなり低かったというような経緯もございます。  それが元年の見直しの際、現在の制度として動きます段階では、景気の回復状況も恐らく反映されたかと思いますが九八%、二年度には九七というような数字で推移しておりまして、ここのところこれが急速にまた低下して、平成七年では八八・七%程度となっているところでございます。
  43. 牛嶋正

    牛嶋正君 徴収率は翌年繰越分を入れると落ちるわけですね。ですから、この切りかえのときは、これまでの料理飲食等消費税の滞納分というのはそこでは入れられなかったんじゃないかと思うんです。だから高い数値になっていると思うんですが、その解釈でよろしいですか。
  44. 湊和夫

    政府委員湊和夫君) おっしゃるとおりでございます。
  45. 牛嶋正

    牛嶋正君 それで、私が特別地方消費税についてもう一つ懸念している面は捕捉率なんですね、きちっと捕捉されているのかどうかということです。これは数字には出てこないわけですね。もし捕捉率が例えば七〇とか八〇なんというようなことになりますと、それに滞納が加わるということになりますとこれはちょっと問題のある税だと思うんですけれども、捕捉率についてはどんなふうにとらえておられますか。
  46. 湊和夫

    政府委員湊和夫君) 捕捉率というような形での統計的な数字を把握いたしておりませんので、その面からのお答えを申し上げることはできませんが、先ほど委員も御指摘になりましたように、もともと徴収コストのかかる税でありまして、地方税らしい地方税であるということはそのとおりなのでございますが、従前から都道府県ではかなりこの徴収の捕捉率向上のために、職員を夜いろんなお店に調査に行かせるというような努力を随分重ねてこられた税でございます。免税点が最近上がったことによりまして、その辺の人の配置等の問題も前に比べればやや少な目になってきているんではないかというようなこともございますけれども、各団体ではこの特別地方消費税の徴収のために相当なエネルギーを現在でも割いておるというふうに承知はいたしております。
  47. 牛嶋正

    牛嶋正君 私はなぜこんなことを申し上げるかと申しますと、特別地方消費税というのは、課税方法から見ますと消費税の小売段階での課税と非常によく似ているんですね。今はこんな状態で国が全部徴収してくれているからいいですけれども、本当に自主財源ということになりますとこれは地方で徴収しなきゃいけません。こんな課税体制で私は地方消費税を実際に徴収できるのかなと。もしそこで課税上の不公正が出てくれば、これは国と地方の税源配分どころの話じゃないですよ。地方税そのものの存立を危うくするような大変な問題になると思うんですね。  そうだとしますと、私は、しばらくどころじゃなくてもうずっとこういった国が徴収する方がいいんではないかなというふうに思っておりますけれども、そうなりますと、課税権から考えましてその自主財源としての意味が非常に問題になりまして、これはまた地方分権の問題とも絡んでまいります。地方消費税というのはそういう非常に大きな問題を抱えておりますので、きょうはこの問題を中心に取り上げさせていただいたわけです。  それからもう一つ、課税方法が徴収率と非常に関係する、したがって課税徴収費ですか、コストとも関係するということですけれども、もう一つ課税根拠が問題ではないか、課税根拠のあいまいさ、不動産取得税に対します課税根拠というのは自治省はどういうふうにお考えですか。固定資産税との関係もございまして、納税者の側からしますとなぜ不動産取得税がかかるのかと、ずっと固定資産税を払っていくのにですよ。ですから、資産課税の中での不動産取得税課税根拠をどういうふうに自治省はお考えですか。
  48. 湊和夫

    政府委員湊和夫君) 不動産取得税課税についてでございますが、土地取得、保有あるいは譲渡、いろんな段階で適切な形で税負担をいただく形になっているというのが現在の全体としての税体系かと思います。  不動産の取得の際、不動産の取得行為というものの背景に担税力があるということと、不動産の持つ地域との受益性、こういった点を勘案して地方税として不動産取得税課税しているというふうに理解をいたしております。
  49. 牛嶋正

    牛嶋正君 不動産取得税につきましては固定資産税との関連がございますね。資産課税のうち固定資産税がこれまで中心だったと思うんです。これに対しまして、固定資産税が全都市町村税に移されたときに、道府県税としてこういった形で不動産取得税が残されたと、私ずっと検討してまいりましてそんないきさつを知っているわけですけれども、そうだとすると、課税根拠というのはいま一つあいまいではないかなというふうな気がいたします。  ですから、私もう一度申しますのは、徴税率を上げて課税の段階での不公正性をできるだけ排除していくためには、もちろん先ほどの自動車取得税のように課税方法を工夫していかなければなりませんけれども、徴収者がちゃんとした考えでもって徴収できるような課税根拠というのがやっぱりもう一つ重要ではないか、その点をもう一度見直していく必要があるんではないかというふうな気がしておりますけれども、きょうはせっかく政務次官がお見えになっておりますので、実は大臣にこのことはお聞きしょうと思っておったんですが、もし何か御意見がございましたら……。
  50. 久野統一郎

    政府委員久野統一郎君) 私も不勉強で余りこういうことはよくわからないんです。  税金は私自身も余り納めたくないものですから、そういうふうな根拠というのははっきり皆さん方に理解していただくように努めていくことが大変大切なことではないかと思います。そのために、私ども自治省の方も一生懸命に今努めているところだと思います。
  51. 牛嶋正

    牛嶋正君 どうもありがどうございました。終わらせていただきます。
  52. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時四十八分休憩      ―――――・―――――    午後一時一分開会
  53. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案並びに地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  54. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 自由民主党の谷川秀善でございます。  平成年度の予算案を見ますと、経常的な収入でございます税収及び税外収入は六十兆五千億しかございませんで、これから地方交付税に十五兆五千億、国債費に十六兆八千億を支出いたしますと、差し引き二十八兆二千億しか残らないわけであります。これに新たに国債を十六兆七千億発行いたしまして、一般歳出の四十三兆円を何とか確保している状況であります。税収の伸びを一二・六%と大変な伸びを見ているように私は思うんですけれども、後ほどまたお話をさせていただきますが、昨年よりも国債発行をこの一二・六%を見込むことによって四兆五千億円減らしているわけですね、伸ばして減らしているわけです。それでも年度末の国債発行残高は二百五十四兆円にも達すると、こう言われておるわけでございます。  地方財政計画も同様に大変苦しいやりくりをしておられるわけです。八十七兆円の歳入歳出規模でございますが、地方税収入は三十七兆円と全体の四二・五%にしかすぎませんで、地方交付税の十七兆一千億、国庫支出金十三兆三千億、地方債の十二兆一千億円に大きく頼っているわけであります。これはまさに厳しい財政状況の結果だろうというふうに思いますし、また地方単独事業等を抑制いたしまして、地方の一般歳出の伸びを対前年度比〇・九%増に抑えた緊縮型の地方財政計画となっているわけであります。  そこで、この計画を取りまとめられるために大変御苦労をされたことだろうと思って高く評価をしているわけでございますが、どういう点に気を使われてこの財政計画を取りまとめられたのか。初め自治大臣にお伺いしようと思っておったわけでございますが、久野政務次官がお見えでございますので、この当時はおられたかどうかちょっと存じ上げませんが、御苦労の成果といいますか、その点をまず初めにお伺いいたしたい、かように考えます。
  55. 久野統一郎

    政府委員久野統一郎君) 先生も御案内かと思いますけれども、徹底した歳出の節減に努めまして、地方の一般歳出伸び率を〇・九%に抑えました。また、財政体質の健全化ということで借入金を二兆七千五百四十二億円減額いたしました。財源の不足の補てんを地方交付税増額をすることによって補ったわけですけれども、その地方交付税増額分を国と地方で半分ずつやっていったということです。そういうことに留意して地方財政計画をつくったわけでございます。  先生からただいまお話がございましたように、国、地方合わせまして五百兆円だとか言われる状況がありまして、人によっては財投なども、公社公団の借金も国の借金と同じじゃないか、一千兆円ぐらいあるんじゃないか、そんなことを言う方もお見えでございます。本当に大変な時代になったわけで、財政健全化というのはこれから大いに進めていかなけりゃならぬのじゃないかなと。政治家として、たとえ国民、市民に嫌われようとも、この健全化というのに努めるべく国民、市民の皆さん方から了解をいただくようなことに努めていかなけりゃならぬと思っております。
  56. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 ただいま政務次官がおっしゃったとおり、本当に国も地方も今大変な財政難に陥っているわけでございまして、これはまた何とかしなきゃならぬということも急務の課題だろうと思います。  そこで、税収の伸びを九・六%と見込んでおられるわけですけれども、国の方も高い見込みをしておられるわけですが、私の実感からいたしますと、九・六%も税収が伸びるのかなというふうに非常に心配をいたしておるわけでございます。税収の伸びを九・六%と見込まれたその根拠と申しますか、なかなかそのとおりは年度末になって見ぬとわからぬことですけれども、根拠がございましたらお教えを願いたい。
  57. 湊和夫

    政府委員湊和夫君) 九年度地方税の収入見込みについて先ほど御指摘ございましたが、三十七兆百四十三億円見込んでおります。  少し特殊事情といいますか、前年との対比増減でいえば二点大きな特徴がございます。その一点は、地方消費税導入されることによってその増収分が平成年度については一兆三十億円、完全に平年度化いたしておりませんので一兆三十億円という額でございますが、これが新たな要因として加わってきております。ただ、見合いでは譲与税の方が一方で減少しておりますので、これは税の上の数字でございます。  それからもう一つは、特別減税を実施しないということによって、平成年度に比べますと平成年度は、もとに戻る分で増収となる分が六千二百三十五億円という数字がございます。この二つによりましてかなりの増分をカバーしているわけでございますので、この二つの特殊要因を除きますと税収の伸びは九・六%から四・八%という伸びになるわけでございます。  加えてもう一つ、来年のこの税収見込みに当たって特殊な要因でございますのは、平成年度中の税収が好調であるということを反映いたしまして、平成年度中に約一兆円の発射台のアップといいますか増が見込まれております。したがいまして、平成年度のこの一兆円もさらに先ほどの数字から除いて、じゃ純粋に平成年度の実質的な増加、八年度の決算見込みと九年度の伸びを幾ら見ておるかということにいたしますと、一・七%程度の実質の税収の伸びを九年度中についていえば見込んでおる、そういうような見込み方になっておるところでございます。
  58. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 そういうことでしたら大体いけるのかなという感じでございますが、これから景気動向がどうなるかわかりませんので、何とか景気を浮揚してもらいたいというふうに思います。  それで、この税収の中に、今お話もございましたように、新しい要素として地方消費税があるわけですが、これは御案内のとおり今度三%から五%にアップするわけであります。そのうち一%が地方消費税として地方に回るわけですが、これをどれくらい見込んでおられるのか今聞きましたので、いわゆる府県と市町村割合はどういうふうになるわけでございましょうか。
  59. 湊和夫

    政府委員湊和夫君) 税収額といたしましては、先ほど申し上げましたが、一兆三十億円が平成年度地方消費税収入見込み額でございますが、都道府県市町村の配分につきましては、各都道府県に収納されました地方消費税相当額を各都道府県間で清算を行います。そして、その清算によって入りました各県の収入額、税額の二分の一をそれぞれの県下の市町村に交付することにいたしておりますが、交付に当たりましては、従業者数とそれから人口に比例いたしまして案分して市町村に交付するということになっております。
  60. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 今回の地方財政計画では、新しく導入されます地方消費税については大変きめ細かい御配慮をなされているわけでございますが、この未平年度化というのはちょっと聞きなれない言葉でございまして、これはどういうことになるのか。大体一兆二千億いわゆる未平年度化による影響で臨時税収補てん債発行するとおっしゃっておられるわけですけれども、この未平年度化という言葉と、どうしてこういう影響が生じるのか、ちょっとわかりやすく御説明をいただけませんでしょうか。
  61. 湊和夫

    政府委員湊和夫君) 先ほど申し上げましたが、九年度の試算ベースで平年度化すれば、税収規模としては国税の推計からいたしますと二兆六千億規模のものになるというふうに思っておりますが、平成年度は、残念ながらまだ税の仕組みの関係から全体の一年分の税収が入る仕組みになっていないということでございます。  その理由でございますが、まず基本は四月からの分について課税されるということでございます。それで、四月から課税されるもののうち、申告の方法あるいは徴収を委託しております国から地方へ納めていただく時期、それから都道府県から市町村に交付する時期、こういうことのタイムラグが全体として影響して全体の平年度化額に達しないと、大ざっぱにはそういうふうなことになるわけでございます。  ちょっと具体的に御説明させていただきますと、まず法人の申告の関係で、法人の譲渡割というものが中心になるわけでございますけれども、平成年度の税収として確定申告分が入ってきますものは四月から十一月の決算法人の確定申告分しか実は入ってこない。という意味は、十二月以降の、十二月から三月までの決算期の分は決算の二カ月後に国に納付され、国からおおむね二カ月後に都道府県に入ってくるという形になりますために、時期的に十二月以降の分は九年度都道府県歳入としては入ってこないという形になるわけでございます。  細かく言えば、そのほかにまた中間申告分についても同じような問題がございまして、十二月から二月までの分について九年度都道府県歳入にならないという点がございます。これらはいずれも翌年以降は平年度化した形で歳入が入ってくる形になるわけでございます。  それから、個人の事業者の場合の譲渡割につきましては申告の期限が三月三十一日というふうに法律で決められておりますので、この分はもうすべて平成年度は入ってまいりません。平成年度から歳入として入ってくるという形になるわけでございます。  なお、貨物割につきましては、譲渡割よりももう少し九年度で入ってくる分の割合が高くなりますけれども、それでも十カ月分の払い込み分しか歳入にならないというようなことがございます。  いずれも、こうした法人の決算、それから申告時期、そして国から都道府県への払い込みの作業等の期間、こういったことによって時期的なずれが生じておる、こういうようなことでございます。
  62. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 今までと違って大分自治省も地方のためにいろいろ御配慮を、普通の場合はこれはもう未平年度化チャラと、大体こういうことを今までだったらおっしゃるんだろうと思いますが、その辺のところは非常に地方をお考えいただいて、こういう臨時税収補てん債発行するということをやっていただいておられるわけで、非常に感謝をいたすところでございます。  この地方消費税とよく似た名前で特別地方消費税という税目があるわけでございます。今、ちょっとほかの委員の先生からもお話がございましたが、これは結局自民党の税調でも、横に山本一太先生がおられますが、大変御苦労されて、これは税の公平とかそういうことからいえば廃止すべきではないかと。特に自民党の場合は、私も選挙に出るときにこれは廃止しますという公約もしたわけでございまして、そういうことで大変議論になったわけですが、これは結局平成十二年度に廃止するということで一応決着を見たわけでございます。  そうすると、平成年度までは消費税が三%、そして特別地方消費税が三%ということで六%であったものが、平成年度から十一年度までは消費税が五%、そして特別地方消費税が三%、それで結局八%ということになり、そして十二年度以降はこの三%がなくなって消費税五%だけになると、このように理解をしていいわけですか、ちょっと念のために確認をいたしたいと思います。
  63. 湊和夫

    政府委員湊和夫君) 委員のおっしゃられたとおりでございます。
  64. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 これは大変議論のあるところだと思うんですよ。この特別地方消費税というのは昔のいわゆる遊興飲食税の流れをくむものでございまして、特に都道府県にとっては数少ない財源、いわゆる自主財源のような財源であったわけです。だから、これを何とか廃止するためには、それじゃ新しい財源を用意しなきゃいかぬということであろうと思いますし、地方課税する側からいえばこれを飛ばされちゃたまらぬということもあるでしょうけれども、今度は課税される側からいうと、二重にも三重にも課税されておると。また、これは名前が悪いですわ、消費税の上に特別がついておるから。あのときにもうちょっと違う名前にすれば、また受ける側も変わったんではないかと、こう思います。  結局、午前中の委員の質問にも、これはいわゆる地方独自の財源みたいなものですから徴収するのに大変苦労しているわけですね。そうすると、これが将来なくなると税務職員も大分減りますね。その辺、なかなか難しいだろうと思いますけれども、これがなくなっていわゆる徴税する職員の人件費と税収額との差というのはどれぐらい、なかなかはっきり計算しにくいと思いますが、大体どれぐらいだとお考えでございましょうか。
  65. 湊和夫

    政府委員湊和夫君) 徴収コスト、地方税全般では百円当たり今は二円台の少し後半になっているかと思います。  各税目についての個別の徴収コストは、例えば各自治体の徴収部門等はもう一括して全税目を扱っているとか、総務的な部門も全体を取り扱っているというようなこともありまして、各税日ごとに、例えば人が何人張りついているかということがなかなか完全に把握できないということで、統一的な調査ができておりません。そのために、結果として、今御指摘ございましたような形で特別地方消費税のコストが具体的にどれぐらいの割合になっているかというのを数字の上でお答えすることは難しいわけでございますが、今御指摘もございましたように、税としての徴収を確保するということで、従前から地方団体ではこの特別地方消費税の徴収には相当な人手間もかげながら、税の公平確保という観点からも取り組んできております。  そういう意味で、一般的な税目に比べれば、この徴収コストは大分高くなっておるというふうに認識をいたしております。
  66. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 将来、いわゆる地方消費税もこれからは国が一括して徴収をしてくれる、こういうことですけれども、恐らくそのうちに地方地方消費税分は徴収しろということになるのかもわかりません。そういう意味からいうと、ここで訓練されているから、またそっちを振り向けりゃいいということにも相なろうかと思います。  いずれにしても、この特別地方消費税、約束どおり、この法案にも書いてございますが、平成十二年度にはもう必ずやめると。また十一年ぐらいに、ちょっと地方財源何とかということにならないようにぜひお願いをいたしたいというふうに思うわけでございます。  以上、地方財政計画、いろいろお伺いをいたしました。大変御苦労をしてまとめられたことだろうと思いますが、平成年度は大体これで何とかやっていけるだろうと思うんです。  ところが、その次の平成年度以降の展望が正直申し上げましてなかなか見えてこないということが問題であろうというふうに思うわけです。各地方公共団体も、今平成年度の予算審議をそれぞれの議会でやっておられると思います。  私は大阪におりましたので大阪の例を申し上げますと、大体平成年度ぐらいが税収のピークでございまして、それ以後、毎年二千億円ずつ税収が減ってきているわけです。そして、結局この五年間で税収の減が大体一兆円にも達しているわけでございます。それで、平成年度予算を編成するのに大変苦労しているということを聞いております。このまま税収減が続けば、景気が回復をしなければ平成年度予算はとてもじゃないが編成できない、全くお手上げの状態だと、こういうことを言っているわけでございます。  そこで、特に東京だとか大阪だとか愛知だとか福岡だとか、いわゆる財政規模の大きい府県は景気のいいときに大分基金をそれぞれ積んでいると思うんですが、平成年度の予算を編成するためにどれぐらい基金を取りましたか、おわかりであればお伺いをいたしたいと思います。
  67. 二橋正弘

    政府委員二橋正弘君) ただいまお話もございましたように、比較的法人関係の税収のウエートの高い大府県あるいは大都市が財政的に大変厳しい状況に置かれておるわけでございます。もちろん各団体、それぞれの事情でいろいろ厳しい状況はございますけれども、今申しました大きな団体がそういう財政の厳しさに直面しているという状況でございます。  平成年度の予算編成状況、私どもが現時点で承知しております限りでは、今お尋ねの大きな県、東京、愛知、大阪、福岡について、九年度予算編成に当たって基金をどういうふうに取りましたか、その取りました後、九年度末でどういう見込みになるかということをちょっと聞いております。  それによりますと、東京都の場合ですと、九年度予算で三千三百五十三億取りまして九年度末の見込みが四千四百六十八億になるだろう、こういう見込みのようでございます。大阪の場合は、千四百八十七億取りまして七百二十七億残るという見込みと聞いております。愛知は、百三十一億取りまして四百億が九年度末の見込み、福岡が、五百十八億取りまして七百一億の残高見込みというふうに聞いております。
  68. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 今お伺いをいたしましたように、東京都の場合はほかの府県と違いましてある程度、いわゆる特別区がございますから市町村的な要素があるわけですね。だから、いわゆる固定資産税だとかそういう要素がありますが、ほかの愛知だとか大阪だとか福岡は、ほとんどの税収をいわゆる法人二税に頼っているわけです。  そういたしますと、今御説明をいただきましたが、愛知県の取りましは百三十一億二千九百万ですね。それで、結局残るのは四百億ぐらいしか残らない。大阪の場合は一千四百八十六億ほど取りまして、結局七百三十七億ぐらいしか残らない。福岡も取りましの額は少ないですけれども、これでずっといくと、平成年度の景気がそう思うように浮上しなければいわゆる税収も伸びない。そして、結局上下違ってくるわけですね。そうすると、同じような調子でいくとしたら大阪なんかは特にひどい。予算は組めないです、実際に。予算はどう考えたって組めないです。これは七百三十七億取りましたって全然間尺に合わないということに相なってくるわけです。  結局、東京だとか大阪だとか福岡だとか愛知だとか、独自の自主財源で、いわゆる法人二税に頼ってきたところほど現在の状況から見ますと大変財政困難に陥っているということであって、そうかといって今急に財政健全化のために体質を改善したり、人員削減をしたり、事業の見直しをしたりということをやっても、まあやっているわけですが、なかなかそんな急に効果はあらわれませんね。  それで、大阪の場合、もう去年一年かかってえらいやったそうですよ、その事務費の見直し。事務費の見直しをやって、二兆何千億の一般会計の中で、私がどれだけ浮いてきたと聞いたら、やっと三十億と。けちけち作戦をきちきちゃって、たった三十億しか浮かない、これではもうどないもならぬわけですわ。  そうすると、中長期的な見直しをして行財政改革地方地方でやっていかなきゃいかぬと思いますが、このままの状態が続くとしたら、恐らく大府県はひょっとしたら赤字債権団体に皆転落してしまうという危険性が多分にあると私は思うんですよ。これも一つの方法かもわかりませんね。改革の時代ですから、もうあかんところは一遍赤字債権団体に転落させて、そこで真剣に考えるというのも一つの方法だろうと思いますけれども、そこまでいくのにはまだちょっといろいろ問題があるのではないかというふうに思います。  私は、来年度予算を考える場合に、中長期的なこともさることながら、いわゆる建設事業を前提としない、何かカンフル剤的な方策を考えていただかないと府県はもたないんではないかなというふうに思うわけです。なかなかこれは難しいと思いますよ。特別の地方債を起こすというのは大変だろうと思います。  なかなかお答えにくいと思いますが、その辺のところ、財政局長、どうお考えでございましょうか。
  69. 二橋正弘

    政府委員二橋正弘君) 今たまたま大府県を例にお挙げになりましていろいろ御指摘がございましたけれども、御案内のように地方財政全般、今大変厳しい状況にございます。国の財政地方財政あわせて抜本的な財政再建を図っていかなくてはいけないということで、財政構造改革会議がスタートして会議を積み重ね、本日もまたその会議がこれから夕方あるわけでございますけれども、そういう会議等を通じて抜本的な財政再建策を打ち出していくということが一番かぎだろうと思います。  特に地方財政の場合で申しますと、国の財政地方財政というのは歳出面では多くの分野で密接にかかわり合っております。と申しますか、それぞれ分野ごとに、公共事業をとりましても、あるいは教育関係をとりましても、あるいは福祉関係をとりましても、国の施策と地方の施策あるいは地方の負担というのはがっちりといわば組み合わさっておるわけでございます。  そういう大きな歳出のところについていろいろこれまでの長期計画等ございますけれども、こういう抜本的な財政再建を図らなくてはいけないという事態になってまいりますと、そういう大きな歳出分野についてやはり思い切った歳出抑制なり削減なりということを図っていかなければ、国、地方を通じての財政再建はなかなかできないんではないかというふうに思います。  地方財政の場合で申しますと、公債費を除きました地方歳出のうち、私どもは大どころ三つといつも言うんですけれども、公共事業の関係、教育の関係、福祉関係、この三つの大どころで約七割の歳出を占めております。もちろんその中には補助事業もあれば単独事業もございます。そういうものについて中長期的に抜本的な歳出抑制あるいは削減を図っていくということで、国民負担の率を上げない中で財政再建を図っていくというふうなことになるんだろうと思います。  そういう過程で、今の歳出構造のままでいけば、今委員御指摘のように、大阪が十年度以降本当に予算が組めるかという事態になってくるということはもちろんあり得ると思います。そのためにも現在の歳出構造のままで、それを前提にして物を考えるというわけにはなかなかいかないんではないかというふうに思っておる次第でございます。九年度は、一番最初に政務次官からお答えを申しましたように、そういう意味での第一歩として歳出を徹底的に抑制しよう、それから借入金についてもできるだけ縮減をしようということで第一歩を踏み出したつもりでございますが、本格的にはまだまだこれからやっていかなくてはいけないということでございます。  その途中過程で、今ちょっと委員の方から、建設の地方債ではなくてカンフル的な地方債を何か考える必要があるんではないかというお話がちょっとございました。改めて申し上げるまでもないのでありますけれども、財政のぎりぎりの節度というのは常に考えていかなくてはいけないことでございますし、それから地方財政、マクロといたしましては全体として交付税特別会計借入金がまだ多額にございます。それから、先ほどお話の出ておりました消費税関係の未平年度化地方債、これは単年度の手当てではありますけれども一兆二千億という地方債を出しております。これらはいずれもいわば地方財政法特例としての赤字要素的な地方債なり、あるいは交付税特会の借り入れでいきますと共通の赤字の借り入れということになるわけであります。  地方財政は全体で、マクロでそういう赤字の要素を抱えておりますので、個別団体のレベルではそういう赤字の地方債というものを発行しないで何とか財政健全化を図って、苦しくても毎年度年度財政運営で工夫をしていただいて、そういうカンフル的な地方債に頼ることのない財政運営をやっていくべきではないかというふうに考えております。  個別の団体の財政運営につきましては、近年、たまたまお挙げになりました大府県はなかなか厳しい状況にございまして、いろんな角度から私どもも御相談にあずかっております。いろんな状況もまた個別に聞かせていただいておりますので、個別の財政運営、そういう御相談にはできるだけ乗ってまいりたいと思っておりますけれども、そのカンフル的な地方債につきましては、今のようなことで御理解をいただきたいと思う次第でございます。
  70. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 個々のケースの場合は、なかなかそういうことで全体としてお答えしにくいだろうと思います。  せっかく政務次官お越してございますので、地方公共団体が平成年度の予算を組むに当たって、平成年度のいわゆる地方財政計画を立てるに当たって、その地方の現実というか実態をよく見ていただいて地方財政計画をお立ていただかないと、もうすぐ概算要求の段階になるわけでございます。その辺のところを今から真剣にお考えをいただかないと、地方の実態、これは市町村もそういう状態になってくると思いますので、地方の実態をよく見ていただいて、思い切った地方財政計画を個別の県についてもお立ていただけるようなお覚悟がございますかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
  71. 久野統一郎

    政府委員久野統一郎君) 先生のおっしゃるとおり、行政が市民、住民との直接接点になっているわけですので、やはりそういうところがきちんとうまく回るように考えていかなきゃならぬことは当然なことだと思います。ですから、その財政状況を十分考える中、手当てをしていかなけりゃいかぬ、そう思っております。
  72. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 大いに期待をいたしておりますので、何とぞよろしくお願いを申し上げる次第であります。  さて、地方が中長期的な視点に立ちまして行財政改革を進めていこうという場合に、一番大きなウエートを占めるのはやっぱり人件費だと思うんですね。だから、人員の削減をしないとこれからの時代を乗り切っていけないというふうに思うわけですけれども、国と地方との違いは、国は計画的にずっと人員を採用してこられて、大体そんなにどこかでがっと膨らんでいるということはないんですが、地方の場合は、大体昭和四十年代後半から五十年代前半にかけてのいわゆる行政需要ががっと伸びてきたというところで相当人を採っているわけです。だから、いわゆる蛇が卵を飲んだみたいにその辺でがっと膨れているということになっているわけでございます。  ところが、そういう職員ももうあと十年ほどするとそろそろ定年を迎え始めるような状況にあるわけですが、この際、何とか若いその辺の層を、どこかへ転職をしたいという人もまたいろいろおるわけでございますので、そういう人たちに自発的に次のところへ行っていただくということで、いろいろと人員削減について努力をしている地方自治体もあるわけです。  大阪府でもいわゆる選択定年制と称しまして、この年度末から、五十歳以上でやめる人に対して二〇%の割り増し退職金を出すことにしているようです。これはよく考えてみますと、五十歳以上でやめるのは何も特別割り増しじゃなくて、私が考えたら国並みになっただけじゃないかというふうに思うわけです。  ところが、ちょっと聞いてみますと、東京都では四十五歳以上でやめる人には五〇%の割り増し制度をつくったというふうな報道を見たことがあるわけでございますが、これはどういう制度なのか。東京都のことですからわからぬかもわかりませんが、もしおわかりになりましたら、ちょっと御説明をいただきたい。  こういったときに、五〇%というような国の制度を超える割り増し基準の制度をつくったときに、退職手当債が発行できないとなかなかこれは実行できないというふうに思うわけです。ところが、この退職手当債というのは、何かいろいろ大変厳しい条件があってなかなか困るんだという話もよく聞くわけでございますので、この退職手当債の発行状況と、それから東京都が四十五歳で、これはどうも現業の方のようでございますが、やめる人には五〇%の割り増しを出す、そのときに二〇%の退職手当債は認められるけれども三〇%は自前でやるのかどうか、その辺も含めてわかりましたらちょっとお伺いをいたしたいと思います。
  73. 芳山達郎

    政府委員(芳山達郎君) お尋ねがありました東京都が現在都議会の方に提案しております改正案の内容でございます。  平成年度限りの早期退職促進のための時限の措置として現在提案をされております。改正理由としましては二つありまして、一つは、大きな偏りがある職員の年齢構成の是正ということで、御指摘もありましたように、高度経済成長のときに行政需要に対応した形で採用しました四十歳代後半の層、いわゆる団塊の世代の層でございますが、それが一つ、また東京五輪開催準備のために採用した五十歳代前半の層が大きな山になっておると、また一方では、昭和五十年代の財政危機により採用が抑制された三十歳代後半の層が谷になっておるというような偏りを是正するというのが一点でございます。二つ目の理由としては、平成八年に策定しております職員定数削減計画の実効性を確保するというのが改正の二つの理由と聞いております。  その早期勧奨特例制度の内容でございますが、自己都合の退職に比べまして五割増し程度の退職金が支給される勧奨退職の対象として、四十五歳以上五十歳未満、勤続二十年以上の区分を新たに設けているというのが一点でございます。二点目は、五十歳以上が対象となっております早期退職の割り増しについて、一年当たり二%の割り増しを、国はそうですけれども、三%とすることを主な内容ということにしております。  現在、都議会において審議中であると聞いております。
  74. 二橋正弘

    政府委員二橋正弘君) 退職手当債の件でございますが、退職手当債は地方財政法五条の特例地方債ということでございまして、地方財政再建促進特別措置法の第二十四条というところにその退職手当債の根拠の規定が置かれております。定数条例の改正によって定数の削減が確実に見込まれて、そのことによって財政構造の健全化が促進される場合に発行できるということになっておるわけでございます。  したがいまして、そういういわば人件費に充てるという地方債でありますので、基本的にはもちろん慎重に取り扱うべきものでありますけれども、今申しましたような定数条例の改正が行われて将来の財政健全化がいわば担保されるというときに許可されるというものでございます。  実際にその退職手当債の対象になります退職金の金額は、退職日の給料月額をベースにして国家公務員の退職手当支給率を乗じて算定した額の範囲内ということにいたしております。退職手当はそもそも国家公務員に準ずるというのが地方公務員法の規定でございまして、そういう趣旨から今申しましたような算定方法で具体の退職手当債の対象金額を定めているということでございます。
  75. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 まあそういうことだろうと思うんです。結局、地方団体が本当にリストラをして行政改革をやろうとした場合に、中長期的に見ますと、特に今、公務員部長さんもお答えいただいたように、団塊の世代で大変なことになるんです。だから、この辺を何とかうまく整理と言うと語弊がございますが、うまく処理できれば大分変わってくるというふうに私は思うわけです。  そういう意味で、世の中が多様化してくるわけでございますから、五十ぐらいでもう役人に見切りをつけて、高齢化社会で七十、八十まで長生きするわけですから五十ぐらいで一区切りして、それから七十ぐらいまでもう一度別の社会で働きたいと。そうすると、二十年あるわけですから、またこれで働けると思うんです。  そういう場合に、それの一つの糧になるというのはやっぱり退職金だろうと思います。だから、まず十分ちゃんと地方公共団体も退職金が支払えるような状況をおつくりいただかないと、小さな地方公共団体で百人もやめられたら、退職金だけでもうその市や町の行政がえらいことになっちゃうというようなことにもなりかねないわけでございますので、退職に当たっての退職手当債の弾力的な運用を何とかお考えいただければ、大分そういう面でもリストラが進むのではないかというふうな感じがいたします。  久野政務次官、どうお考えでございましょうか、お伺いをいたしたいと思います。
  76. 久野統一郎

    政府委員久野統一郎君) 先ほど来お話がございますように、退職手当債というのは、人件費の削減によって将来の財政構造の健全化に寄与する場合に認められているものであります。局長からも話しましたように、一方では人件費に対する地方債という性格から赤字補てん的な要素を持つものであり、その発行額については後年度の償還ということも十分考慮して慎重に対処していかなけりゃならぬことだと思います。
  77. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 今の時代、国も地方も大変な財政困難な状況を迎えておるということで、国も大変だろう、地方も大変だというふうに思うわけですけれども、我々、大阪なり大都市におりますと、特に大阪府民のサイドから言わせますと、税金というのは国税も地方税も納税する側からいいますと同じなんですね。徴収する側からいいますと、これは国税、これは府民税、これは市民税と、こういうことなんですけれども、納税する側からいいますと、税金という一くくりになるわけです。  最近非常に景気が悪うございまして、なかなか大阪も大変でございます。そうすると、私が大阪へ帰りますと、国は何をしてくれているんだと、よくこう言うんです。私らはえらい税金を納めておる、ところが大阪府はなぜ赤字で予算も組めない状況なのかと。非常にこれは素朴な質問なんですが、そういう質問をよく受けるわけです。  それで、地方議員さんとお話をしていますと、特に大阪市内の地方議員の皆さん方とお話をすると、大阪府で国税をざっと五兆円ぐらい納めておるんですね、大阪府民が。それで、いろんなことを計算して、国の出先もありますし、いろいろありますが、ざっと計算したら大体一兆円ぐらいしか返ってきていない、これはもう大阪人らしい発想なんですけれども、一兆円ぐらいしか返ってきてへんと。そうすると、毎年国は大阪府から、府民から四兆円ずつ吸い上げておる、こんなばかなことがあるかと、こういう議論になるわけです。  国もいろいろあるからお金も要りまっしゃろと、こういうわけですね。そやけど、五兆集めて一兆しか返さぬ、四兆取り上げると、悪代官よりひどいと、こう言うんです。こういう議論なんです。せめてあと五千億なり一兆円返してもらいたい、これは非常に素朴な意見なんですよ、大阪府民の側からいうと素朴な意見。これは税源構造とかいろんなことがありまして、それはそうはならぬのです。ところが、納税者側からいうと、我々は汗水垂らして働いてそれだけの税金を納めておる、こう言うんですね。それはそのとおりだと。  これは、恐らく僕は、大阪だけではなくて大都会は皆そうだと思うんですよ。これはしようがないですね。産業が盛んでいわゆる徴税能力のあるところから徴収をする、こういうことになっておるわけです、法人税も赤字の会社からは取れないわけですから。だから、それはよくわかるんですけれども、これをこのままずっといくと、恐らく私は、都市に住んでいる人たちは本当に大変なことになってくると思いますよ。いわゆる重税感だけが残って一つもいいことない、こういうことに相なろうと思うんです。  だから、この辺のところは僕は抜本的な話だと思うんですよ、いわゆる税源構造をどうするかという抜本的な話だろうと思います。もちろん税収の上がらないところから税は取れないですよ。だからそういう意味で、地方交付税ということである程度満遍なくやっているというのはわかるんです。ところが、たくさん納めておる側の住民から言わすと、それはちょっとひどいじゃないかということもまたこれうなずける話なんです。私はそれが国と地方との税源の配分の問題にもかかわってくるんだろうと思いますが、これが一つ。  それと、特に大阪なんかの場合、東京もそうだろうと思うんですが、いわゆる大阪、東京そのものの地方自治体がへたりかかっておる、これが問題だと思うんです。日本の国の側から言わせれば、いわば金の卵を生む鶏でしょう、東京、大阪というのは。そこの都府県の財政状況がへたってきて十年度予算すら組めないというような状況になった場合、これは金の卵は死んでしまいますよ。そうすると、日本国全体の問題にも影響してくるというふうに私は非常に危惧をしているわけです。  そういう点で、最初に申し上げましたように来年度予算が大阪府庁ですら組めなくなるということについて、それは府県のリストラが進んでいないからだとか、知事がちょっとおもしろい人やからとか、そんなことではパンパカパーンというわけにはいかぬのですよ。それは今の状況でしたらだれが知事になったって黄金のなたはないですよ、そういう税源構造になっているんですから。  この辺について、大府県をこれからどう育てようとお考えになっておられるのか、その点についてお伺いいたします。
  78. 二橋正弘

    政府委員二橋正弘君) 地方財政の中では、委員が今御指摘になりましたようないわば地域間の財源の偏在あるいはその調整をどういうふうにするかというのが最も基本的な課題であろうかと思います。  確かに、税源の多いところから見ますと、国税も含めて相当な税金を納めているにもかかわらず、還元される度がその何分の一かになる、それから逆のところでは税源の何倍かが戻ってくるということ、そういう指摘は常にあるわけでございます。  また、逆に、税源の少ないところから私どもがよく聞きますお話は、人口は非常に少ないけれども広大な面積を管理して、それで水源の涵養でありますとかその他いろんなことで国全体の役に立っている地域について、たまたま税源が少ないから、したがって財源が少ないので辛抱しろという話については、やはり国全体として何か調整をして考えるべきではないか、こういうお話が常にございます。  そういうときには、大府県の特に法人関係の税で非常に伸長性のある税を持っておるところに対しては、非常に弾力性に富みまた伸びが大きいということで、そういうところに対する配慮を求めるというふうな意見もまた逆に出てくるところでありまして、そういう双方の主張をどういうふうに調整をとっていくかということが非常に難しい問題であると同時に、大変大事な問題であります。  我が国の場合には、片方でそういう税源の偏在にもかかわらず、国民の側からは重立った行政については同じようなレベルの行政を求める、それが公平でないといけないという要求もまた非常に強いわけでございます。そういたしますと、勢い税源の調整ということをせざるを得ないということになるわけであります。それが今日、交付税の制度になっておるわけでございまして、いろいろその税収が順調に伸びるときと伸びないとき、特に法人所得関係の税が伸びる伸びないのときに今おっしゃいましたような問題が顕在化するということは確かにございますが、基本的にはそういう税源の偏在をどう調整するかという問題が根っこにあるということはぜひとも御理解をいただきたいと思います。  そういうことを前提にした上で、財源調整を図るに当たりましても、私どもは大府県あるいは大都市から大都市特有の財政需要というのをきちんと的確に捕捉すべきであるという主張は常にいただいております。地方交付税算定に当たりましても、そういう大都市特有の財政需要、あるいは相対的に地価が高いという要素を織り込んでそういう増嵩経費を基準財政需要額に反映できるようにというふうな算定をいたしておりますし、それから現に大府県、かつては四府県が不交付団体でずっと来ましたけれども、今は東京都以外はすべて交付団体になって交付税で財源調整がされているというふうな状態にもなっております。  それから、都市特有の事業として、地下鉄の事業でありますとか都市の生活環境の整備といったような事業に対する財源措置というのも近年充実してきているところでございまして、そういう大都市特有の財政需要につきましても私どもなりに算定に当たっていろいろ配慮してきておるつもりでございます。そのことについては、今後とも留意しながら適切な税財政措置を講じてまいりたいというふうに考えております。よろしく御理解をいただきたいと思います。
  79. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 私は、何も均衡ある国土の発展だとか平等のサービスを享受するということを否定するものではないわけです。ただ、こういう状況になってくると、金の卵を生む鶏は殺さぬようにしてもらわぬと日本のためになりませんよと。だからこれは育てる。一つは都市政策だろうと思いますが、これは我々もやらなきゃいかぬと思います。  そういうことで大都市が税源を生んでいるわけですから、だからそれを何らかの形であるときには育ててやるという、そういう意味では少々のことがあっても手当てをするということをしていただかないと、これがへたってしもうたら元も子もなくなってしまうということになりかねませんよ。  同時に、そういう声がもうだんだんと出てきている。これはこのままずっと行ってひどいことになったら、税金を納めぬ運動でも起こそうかとみんな言い出しているんです。そういうことになったらえらいことですよ。それやったら国に納めぬと府に納めようか、大阪市に納めようかと、こういうところまでなってこぬとも限らない。  やっぱりちゃんとしたことをこの際やっていかないと、それは自治体も大いにこれからリストラをしていかなきゃいかぬと思うんですよ、大いにリストラをして歳出も切り込んでいかなきゃいかぬと思いますが、私が今申し上げているのは納税者の側に立ってみるとです。だから、鹿児島に住んでおられる納税者も大阪市に住んでおられる納税者も同じ納税者なんですよ。そうすると、どう享受できるかということも、やっぱり平等に享受しなきゃいかぬ、何か取られ損やということだけはなくしていかないと納税の意識がだんだんと薄まってくるんじゃございませんかと、こういうことでございます。  最後に、政務次官に、地方をどうするのか、大都市をどうするのかという決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
  80. 久野統一郎

    政府委員久野統一郎君) ただいま先生がおっしゃったとおり、一生懸命に努力している人、そういう人にはやはりきちんと報いていかなけりゃいけないでしょうし、税金をたくさん納めてくれる人たちが将来成り立つようなことを考えていかなけりゃならぬと思います。  ただ、一生懸命に働いても収入が得られない人も中には見えるわけで、そういう人のこともあわせて考えていかなきゃならない。大変難しいことだと思いますけれども、これから地域が成り立つようにするためには、そういう税収の道をきちんと考えていくことが大変大切なことだと思います。
  81. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 社会民主党の渡辺でございます。  まず第一点は、昨年の本委員会で、地方交付税法改正案の審議に際して特別決議を行いました。    〔委員長退席、理事朝日俊弘君着席〕これは、特に昨年の地方財政にとって地方交付税法第六条の三第二項に該当する厳しい実態にある、こういう認識のもとに本委員会の中でいろいろ議論をしながら、六項目にわたる内容の地方財政の拡充強化に関する特別決議を行ってまいりました。まず、この決議に対してどういうふうに対処してきたのか。  六項目ありますが、特にその中の財政調整機能の充実の問題で、先ほども谷川先生がいろいろ伺っておりました。局長の方から、現在の歳出構造のままではどうかというような答弁もありましたが、そこらを含めて第一点。  それから、交付税の特会直入問題についてはどうしてできないのかということも二つ目の問題として、六項目の決議の中の一項目にありますから、ぜひひとつお聞かせを願いたいと思うんです。
  82. 二橋正弘

    政府委員二橋正弘君) 昨年三月二十八日の当地方行政委員会で、今お話しの地方財政の拡充強化に関する特別決議をいただきました。一般財源充実強化、あるいは地方交付税の安定確保財政調整機能の充実、交付税特会直入制度の検討等につきまして決議をいただいておるところでございます。  平成年度地方財政対策におきましてはこの決議を踏まえて対処したところでございますが、具体的に今お挙げになりました二つの点について申し上げますと、まず財政調整機能の充実の具体策ということでございますが、平成年度税制改革に伴いまして地方消費税導入を行います。それから、消費税に係る交付税率引き上げを行いまして税財源強化を図ることにいたしております。  それと同時に、第二点として、今回御審議をいただいております地方交付税法改正案にございますように、地方交付税所要額十七兆一千二百七十六億円を確保して地方団体財政運営支障が出ないようにいたしておるところでございまして、またそれと同時に、地方交付税算定方法改正を行うことといたしておるところであります。  また、地方財政計画におきましては、単独事業につきまして前年度同額でございますが二十兆一千億円を確保いたしております。また、一般行政経費の社会福祉系統につきましては特に三・一%増と充実をすることにいたしておりますとともに、防災関係経費についても所要額を計上している等々の措置を講じたところでございます。    〔理事朝日俊弘君退席、委員長着席〕  第二点の、いわゆる交付税特会への国税からの直入の問題でございますが、これにつきましては、交付税の概算要求に当たりまして、必要な場合には法改正あるいは概算要求の修正を行う旨の特記をいたして要求いたしまして、国庫当局とも折衝をいたしたところでございます。  これにつきまして国庫当局の方の主張といたしましては、地方交付税一般会計から除きますと、つまり直入することによりまして一般会計から除いてしまいますと一般会計が国の財政全体を反映しなくなるというふうなこと、あるいはもう一つ、収納実績に応じて交付をすることになりますと交付税の各交付時期に法定額を交付することが困難になるんではないか等々の国庫当局からの主張もございまして、私どもと合意を見るに至らなかったところでございます。  しかしながら、こうした問題点も踏まえながら、今後ともなおその実現に向けて努力してまいりたいと考えておるところでございます。
  83. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 最後の直入方式の問題、大蔵当局と意見が合わなかったということですが、特に国家財政そのものが厳しくなってくればくるほど歳出の部分で地方交付税が非常に大きく見えるというふうなことで、交付税を削減したらどうかという意見等もあるようです。それはたまたま国に一緒に税金を徴収してもらっておるというだけの問題であって、もともと地方の、もう最初から地方税にすればいいわけですね。そういう感覚で攻めていかなければ、今言いましたように、逆に言ったら交付税総額を減らせという格好の意見が出てくるのではないか、そういう心配等もありますから、ぜひ今後とも努力をしていただきたいというふうにお願いをしておきたいと思います。  次に、これも谷川先生を初めいろいろお話がありました。財政の現状に対する認識の中で、特に私は公債費負担比率の上昇と地方財政運営についてこれからお聞きをしてみたいと思います。  現状はもう言うまでもなく、六年度以降、四年間連続して大幅な財源不足を生じてまいりました。ですから、これは以前から言っておりましたけれども、交付税法六条の三の二項の規定に該当するんじゃないかと。昨年の予算編成段階でも確かに自治省は大変な努力をいたしました。単年度に限って二分の一の問題で解決をいたしましたが、ことしも同じような内容の提起になっておるわけです。ですから、この地方交付税法六条の三の二の法文の趣旨からいった場合、四年間も連続してこういう状況が続くということであればもう当然そういう措置をとっていいんではないか、何も大蔵と半々にする必要もない、全額国の方で見るべきではないかという気がしておるわけです。  そういう点で、近々税収も落ち込んでくるし、それから景気対策としての単独事業なんかもどんどんやってまいりましたから、減収補てん債を含めて、あるいは言いましたように追加事業の関係部分等についての起債等も起こしていったわけですから、平成年度末に七十兆程度の借入金残高であったわけですけれども、さっきからお話がありますように九年度末では百四十七兆円になるんじゃないか、実はこんなに急増してきておる、今後も償還に対して地方財政そのものを非常に圧迫して、地方財政の大変大きな負担になってくるということを今から心配しなきゃいけない。  おとといだったですか本会議で、質問に対して大蔵大臣が言ったのが、簡単に言えば国自身が五百兆円の借金を持っておる、五%の金利を払えば利払いだけで年間二十五兆円なきゃいけないというようなお話がありましたけれども、これも百四十七兆円、五%利払いということは利払いだけでも七兆三千億か七兆四千億ぐらいの利払いを生じてくるわけですから、元利含めての償還になってきますと、今の税収の実態の中から見れば大変大きな負担になってくるということを我々自身今から決意をしなきゃいけないんじゃないか。  そういう中で、平成年度末で公債費比率が一五%以上の自治体が全体の四割に達しておると。それから、この中でも特に一割以上の団体が二〇%を超えておる、これは六年度末であったわけですが、七年度の決算状況を見てみますと、三〇%を超える自治体が三十七町村ですか、そして中には五〇%の自治体もあるというふうに聞いておりますし、明らかに自治体の財政の硬直化というのがもう明らかになってまいりました。  経常収支比率なんかを見てみましても、前年よりも非常に高い八一・五%、これはオイルショック当時の八三・四%、これに次ぐ二番目に高い状況に到達をしておりますし、あるいはまた、中でも一〇〇%を超える自治体が十八団体もあるということから見れば、これは何か特別の事業収入かなんかなければ新たな投資的な事業は全くできないんじゃないかというような心配すら実はあるわけです。こういうふうな公債費比率や経常収支の悪化の傾向を見てみますと、地方財政状況はもう限界に近づいておる。  このような傾向に対して実は大臣に聞きたかったわけですけれども、政務次官のお考えがあればひとつお聞きをしたい。自治省の方としてもこれについてはどういう対策を考えておるか、伺いたいと思うんです。
  84. 久野統一郎

    政府委員久野統一郎君) 先生のおっしゃったとおり百四十七兆円の借金を抱えてまさに厳しい状況にあるわけで、このまま推移していきますと、二十一世紀の経済や国民生活地方自治に甚大なる影響を与えることは必至であるわけで、このため政府・与党が一体となって財政構造改革会議を設置いたしまして今検討しているところであります。国、地方を通じ、行政の簡素効率化の方策を講じて、財政健全化に全力を挙げて取り組んでまいる所存であります。
  85. 二橋正弘

    政府委員二橋正弘君) 今、基本的な考え方は政務次官からお話のあったとおりでございます。  先ほどちょっと申しましたように、これから本格的な財政再建に取り組んでいく必要が国、地方を通じてあるわけでございます。平成年度はその第一歩ということで、私どもも歳出全般について徹底した抑制を図る、あるいは借入金依存度の引き下げを図るということをいたしたわけでございますが、これからいよいよ本格的に取り組んでいく必要がございます。  先ほど申しましたように、地方財政の大きな歳出を占めております分野につきまして、既存の制度あるいはこれまでの計画ということにとらわれずに抑制なり削減なりを図っていくということが基本でなくてはいけないんじゃないか。その中にはもちろん補助事業もございますし、地方の単独事業もございまして、そういうところを国、地方を通じて抑制を図り、借入金の依存を計画的に図っていくということに努めなくてはいけないと思います。  地方財政の場合には、加えて三千三百の個別の地方団体それぞれの財政構造、財政状況を持っておるわけでありますので、そういうこともよく踏まえておく必要がございます。先ほど委員がお挙げになりましたように、公債費負担比率をとりましても、平成年度決算の状況では一五%以上団体が団体数で約四五%になる、六年度が四〇%でありますが、さらに上昇するというふうな状況になっておりまして、そういうことも踏まえながら、国、地方一体となった財政健全化あるいは行財政改革に取り組んでいく必要がある。  私ども、そういう趣旨を各地方団体にいろんな機会を通じて徹底をしながら、ともにそういう健全化に取り組んでいく必要があるというふうに考えておるところでございます。
  86. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 今お話がありましたように、ことしの九年度部分についての地方債発行額については努力をして八千三百三十五億円減の十二兆一千三百億円ということで、去年から見れば確かに低下をしておりますけれども、こういう状況の中でこれほど高い地方債依存度についてどのように考えておるのか、これが一つ。  それから、局長からも今ちょっとお話がありましたが、もう一度地方債の位置づけといいますか、三千三百自治体でそれぞれ地域の実情によってどうしてもやらなきゃいけない仕事等もあるわけですから、私も一定量の地方債は必要だと思うんです。そういう部分についてどういうふうに考えておるか、お聞きしたいと思うんです。
  87. 二橋正弘

    政府委員二橋正弘君) 今、委員お挙げになりましたように、平成年度地方債依存度、八年度に比べまして減額をいたしました。地方債依存度は八年度が一五・二でございましたが、それが一三・九というところに下がった形になっております。しかしながら、昭和五十年代以降では二番目に高いという水準になっておるわけでございまして、残高が百四十七兆円に達しておるということと合わせて、非常にこの借金の圧力といいますか、地方財政への圧迫というものは大きいものがあるというふうに認識をいたしておるところでございまして、この借り入れの依存度を下げていくということが一つの大きな課題であろうかと思います。  他方で、地方財政特有の事情といたしまして、財政規模が一つ一つとりますと比較的小さい規模になるわけでありますけれども、そこで例えば義務教育の学校を建てるとか、あるいはごみ処理施設をつくるとかといったような大規模な投資を要するということが何年に一度か必ずあるわけであります。その場合には、その当該年度税金で全部賄うんではなくて、地方債という形の借入金で賄って、その返済をいわば今の世代と後の世代とで分担をして、施設を使うのは後世代も使うわけでありますので、そういうことにするのが財政公平性が保たれるという意味合いで、地方債というのは地方財政の世界では一定量は常にある、ある方がむしろ合理的だという性格のものであります。そういう要素がございますことは、地方財政特有の事情として私どもも常に念頭に置いておく必要があるというふうに思っております。  今、一三・九という非常に高い水準でありますので、当面この依存度の引き下げを図っていかなくてはいけないわけでございます。四十年代ぐらいまでにかけましての段階では一〇%を下回るような水準で推移いたしておりましたことを考え合わせますと、今の水準はまだまだ高くて、この引き下げを図っていく必要があるというふうに認識をしておるところでございます。
  88. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 結論から言いますが、平成年度の地財対策で政府が十二月十九日に閣議決定いたしました財政健全化目標を設定いたしましたが、財政再建初年度にふさわしい数字を示すことができたかどうか、これについて具体的にお聞きをしたいわけです。  政府方針ももう私がここで申し上げる必要もないと思うんですけれども、財政赤字を平成十七年度、二〇〇五年度までのできるだけ早期に国内総生産、GDP比の三%以下に抑えていくというようなことで、債務残高を増加させない、そういう中で財政収支均衡を目指していこうと、こういう閣議決定が発表されておるところです。  そういう中で、財政健全化目標と地方財政のかかわり合いについて、先ほど申し上げましたように、どういうふうな初年度にふさわしい数字を示すことができたかどうか、具体的にお聞きをしてみたいと思うんです。
  89. 二橋正弘

    政府委員二橋正弘君) 昨年の暮れに予算を決定いたします際に、あわせまして財政健全化目標というのを閣議決定したわけでございまして、国、地方を通じての財政赤字の対GDP比を二〇〇五年度までのなるべく早い時期に三%に持っていくというふうな目標をつくっておるわけであります。  この背景は改めて申し上げるまでもなく、国、地方ともに多額の借入金残高を抱えて、ともに非常に大きな財政の圧迫要因になっておりますことから、これを抜本的に再建していく必要があるということからこういう目標が定められたわけでございまして、そういう大きな目標に沿って地方財政についても再建を図っていく必要があるというふうに私ども考えております。  平成年度の国の予算あるいは地方財政計画の策定に当たりましても、もちろんそういうことを念頭に置いて作業をいたしておるわけでございまして、この九年度地方財政計画をつくるに当たりましては、全般的に歳出抑制を図るということから、計画総枠の伸び率を二・一、中でも地方の一般歳出を〇・九という非常に低い、国の一般歳出が一・五でありますから、それを上回るような抑制基調のものにいたしますと同時に、新規の借入金の金額を、地方債交付税特別会計の借り入れを合わせまして二兆七千五百四十二億円縮減をするということにいたしたわけであります。そういうことによりましてこの再建目標に向けての第一歩ということにいたしておるわけであります。  この対GDPの比率、今三%という目標がつくられておりますけれども、九年度の予算編成あるいは地財計画を策定いたします段階では、この対GDP比が国、地方を合わせておおむね七ぐらいの水準にございましたけれども、この予算編成あるいは地財計画の策定を通じてそれが五・四ぐらいの数字になっておる。これは国民経済計算のベースでありますから、この予算の使っております借入残高あるいは新規借入額とはぴたっとは一致いたしませんけれども、おおむね傾向として一致する数字でございます。そういう意味で、九年夏においてもそういう再建目標に向けての初年度の数字というものは示せているんではないかというふうに考えております。
  90. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 大変な借金があるわけですから、今、政府が出しておりますこういう財政健全化目標に向かっては、我々自身も努力をしていかなきゃいけない、これは大きな借金のツケを後世代に残すことをどう最小限に食いとめていくかということで努力をしていかなきゃいけないというふうに思っております。  ただ、地方自治体というのは国民生活に直結する内政の担い手であると、そういうところを大いに期待をされておる一方の役割もあるわけです。そういう点では当然そういう方面の財政運営支障があってはならないわけですから、そういう立場も一方では堅持をしながら、大変厳しいとは思うんですけれども、今後もひとつ努力をしていただきたい、お願いをしておきたいと思います。  次に、国の財政については、大蔵省の試算によりますと、毎年度一兆円ずつ赤字国債を減額した場合に、名目経済成長率は三・五%と仮定しても、九八年度予算では歳入七十八兆六千四百億円に対して歳出は八十二兆六千八百億円で、四兆円の歳入欠陥が生じるとしている。これは新聞報道で恐縮ですが、このため総理が掲げた目標実現のためには増税は政治的にもう非常に困難だと、九八年度予算で一般歳出から四兆円を一挙にカットすることにしたというような報道が実はされました。  さらに、九八年度予算でこうした措置をとれば、その後は毎年度一兆五千億円程度の歳出カットを二〇〇五年まで続けていって、財政赤字のGDP三%以内の抑制が可能になると計算していると発表されておったわけです。  こういう新聞報道の中で、地方の場合は一体どうなるのかと。先ほどから局長の方からもいろいろお話がありますが、地方財政計画というのはあくまでマクロの指標である。三千三百余りの財政力に非常に差のあるさまざまな財政構造を持った個々の自治体の実態を考えますと、財政収支均衡というのは余り意味がないんじゃないか、これはまあ私の考え方ですけれども、こういう点について自治省としては、今後の財政収支の見通し及び、もう一度聞きますが、あの財政健全化目標についてどういうふうに受けとめておるのか、お伺いしたいと思うんです。
  91. 二橋正弘

    政府委員二橋正弘君) 先ほど申しましたとおり、今の国、地方を通じます財政状況、特にその借入金残高の状況を踏まえて考えますと、国、地方を通じて財政健全化を目標を持って行っていくということは必要であるということは、私どももそういうことで考えております。  ただ、地方財政の場合には、これは先ほどからも申し上げておりますとおり、あくまでも三千三百の自治体の個々の財政が本来の地方財政でございまして、マクロの地方財政を集計したものは一つの地方財政という姿が実態としてあるわけではございません。これはあくまでも集計したものであります。そういうところが地方財政特有の事情として、今のような問題を考えていく際に常に私どもも念頭に置いておく必要のあることでございます。その点は、委員が先ほど来、再三御指摘になっているとおりでございます。  しかも、それぞれいろんな財政構造を抱えておりますし、それから個別に見ますと、特に市町村の場合には財政規模が小さくて財政力の弱いところが多いという状況にございます。財政構造改革会議で、最初に現在の財政状況を私どもと大蔵省の方からこの会議のメンバーにそれぞれ説明をいたしましたけれども、その際に、特に私の方から申し上げましたのもそういうことでございました。今、歳入の中で地方税の占める収入が約三分の一ぐらいというのが平均でありますけれども、その三分の一の平均以下といいますか、そういうところの団体が七割以上あるというふうな状況でありまして、個別に言いますと非常に財政力の乏しい団体が多いわけであります。  そういうことでありますので、今の目標を考えるについてもマクロの目標というのを考えるとすれば、今地方財政計画で考える以外にちょっと手段がないんではないかと思われます。その地方財政計画、マクロでそういう目標を考えるということは一つの目安として可能だろうと思いますけれども、具体の個別の団体にそれを当てはめるとか、ましてそれをもって個別の団体の歳出を国の方で直接規制をするということはできないわけでありますので、そこのところはマクロ的な目標を地方財政計画のベースで考えて、それを毎年の地方財政対策なりあるいは地方財政計画を通じてそういうものを折り込んだ対策なり計画なりを策定して、個々の団体にそういう線に、いわばそういうものを指標にして財政運営を図っていっていただくということを通じてその財政健全化という目標に全体として進んでいく、そういう必要があるんではないかというふうに思っておるところでございます。
  92. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 では、少し内容を変えまして、公共事業費の削減と地方の単独事業について、あと十分ばかりしか時間がないわけですが。  自治省の財政課長の内簡も出されて、単独事業をひとつ頑張れよと。確かに単独事業というのは地方自治体にとっては一番、仕事もしたいし、地域の住民のニーズにもこたえる仕事でありますから、やりたい。しかし、財政課長は内簡を出して、頑張るようにというふうに督励をしても、なおかつ昨年と同額で、全体で、先ほどお話がありましたように、投資的経費の場合が三十一兆六百九十二億円ですか、前年比で四十億円ふえておりますけれども、これは全部直轄あるいは補助事業であって単独事業は全くふえていない。だから、それがどういう原因で単独事業がふやせないのか。  それは今、財政局長とやりとりしたような財政事情があると思うんですけれども、そういう点をしっかりかみしめて、そして財政課長の内簡で言うように、単独事業がどんどんやれるような財政状況をどうつくっていくかということがなければ、なかなか私は難しいんじゃないかという気がするわけです。  そういう中で、これは単独事業との関係ということだけでなくて、行財政改革の中での問題、全体的な問題としてあるわけですけれども、地方分権の中で、先ほども言いましたけれども、国と地方との行財政の問題といいますか、特に先ほどからお話がありましたように、税財源の配分の問題をここらで本格的に財政当局を含めてやっていかなければ、どんどん単独事業はしぼんでいくんじゃないか。  そういう私自身の心配ですけれども、心配をする点があるわけですから、これはもう言うまでもなく、今まで各委員からもそれぞれ出されておりますが、そこら辺を、単独事業をどんどんやれるような地方自治体の財政状況をどうつくっていくかということを中心にぜひひとつお願いをしてみたいというふうに思うわけです。  そういう中で、先ほど谷川先生から人件費の削減問題等もたくさん出ましたが、きのうの日経新聞に「地方もゼロ以下」ということで「一般歳出伸び 地方もゼロ以下 政府・与党九八年度目標 交付税改革で誘導」、こういう見出しで、ちょっと読んでみますと「政府・与党は全国二千三百の地方自治体の公債費を除いた政策的経費(一般歳出総額を九八年度に、前年度比で伸びゼロ以下に抑える目標を設ける。」、これはきょう橋本総理が「地方歳出抑制地方交付税制度の改革に取り組む方針を示す。」というふうに新聞に出ておりました。いろいろ探って聞いてみましたけれども、与党内でもこういう話はまだ出されていないというふうなお話でありました。こういう中で出てきますのは、行政改革という中で特に目をつけるのが、何か定数を減らせばすぐにでも金が出てくるんじゃないかと。  ずっと調べてみました。例えば自治省もかなり労働団体との間にやりとりがあったわけですが、人件費関係のラスパイレス指数なんかを見てみますと、四十九年当時が一一〇以上が七百九十三団体あったわけですけれども、これは現在ゼロなんです。一一〇以上のラスを持っておるところはゼロになっておる。逆に、ラスパイレスの一〇〇以下が二千二百六十三団体、全体の六八・五%あるという地方自治体の実態です。その職員の数だって、昭和五十六年の四月から平成七年の四月まで見てみますと、特に増員で多かったのが病院関係が五万三千二百八十一人、その次は消防が二万四千八十七、警察が一万一千四百三、その他の安全、下水道関係が一万一千二百七十四名、こういうふうに、特にスクラップ・アンド・ビルドじゃなくて、非常に住民のニーズが変わりてきておるものですから、そういう部分についてはずっとふやしていっておる。  ところが、一方では、一般事務等を含めて減員関係で特に大きいのが税務、労働、農林水産、一番大きいのが教育関係の一万八千百二十人です。あと、水道とか交通その他が減って五万八千七百四十七人減員になっておるわけです。トータル的に見ますと、平成七年と六年と比べてみますと、全体で四千百六十名減っておるわけです。  ですから、先ほど言いましたように病院だけでも五万三千二百八十一人増員しなきゃいけないという状況の中、あるいは警察職員とか消防職員とかいうのは地方自治体が関係なくこっちの方で決めていくわけでしょう。そういう部分の増員要因があるわけですね。そういう中で、特に一般の行政部門というのは、先ほど言いますように五万八千、教職員も一万八千おりますけれども、それを除いた以外でも四万人を超す減員をしていっておるわけです。こういうリストラを再三自治体もやってきておる。そういう中で、なおかつ今みたいな地方自治体の財政状況だと。ここらをやっぱり十分頭に置く必要があるんじゃないか。  それから、いま一つは各省庁が、私もいろいろ各部会ごとにヒアリングをやりますが、例えば農林省なら農林省が十カ年計画、あるいは建設省が道路を含めて十カ年計画を出すとか、厚生省は厚生省で十カ年計画を出す。少し言い過ぎかもしれませんが、これは地方自治体が財政とは関係なく事業量を組んでいくわけです。それに対しては必ず裏負担が要るわけです。そうしますと、そういうふうに縦割り行政の中で、中央省庁が例えば五カ年、十カ年計画を決めて、これは六百二十兆の公共投資とも関連するわけですが、そのうちに自治体関係も入ってはおりますけれども、そういう関係の部分で裏負担をどんどん出していくという  ことになりますと、先ほどから言いましたように、もう自主財源の全く乏しい中で、地方住民が今非常に求めておる単独事業を中心とした仕事はなかなかできないんじゃないか。  そういう点等を考えた場合に、これから先の行財政改革問題についても、先ほどから言いますように、最大限自治体は今取り組んできておる、リストラもやってきておる。私らも一緒にやってきましたけれども、スクラップ・アンド・ビルドで、その中でシフトがえをやっていきながらビルドの部分にどう職員を向けていくかというようなことで実は対応してきたわけです。  そういうこと等を含めて、これから後の行財政改革を進めなきゃならないわけですから、特に各省庁の関係の事業の部分について自治省も十分配慮しながら、場合によっては物を言う。一方的に決めてもらっちゃ困るわけですから、地方財政との関連を十分検討してもらって事業計画を立ててもらう、あるいは警察にしろ、高等学校の職員数にしろ、そういう部分だって十分自治省の方と協議をしていただいて、もちろん消防もありますし、財政問題とあわせてひとつ検討してもらう、こういうことをぜひひとつお願いしておきたいと思うんです。  そういう点で、これは次官から、大臣があれば大臣からお聞きをしたがったわけですけれども、またの機会があると思いますから、あすにでもまた再度大臣の方にもお聞きをしてみたいと思う。次官、何か感触があればひとつお聞きをしたいと思うんです。
  93. 久野統一郎

    政府委員久野統一郎君) 本当に厳しい時代になってきているわけなんですけれども、今までと同じようなことをしていたのではとてもこれに対応していかれないんじゃないか。ですから、こういうことを言ったんでは大変おしかりを受けるわけですけれども、国民の皆さんからは税金をいただくのも多くしていただかなきゃならない。それと同時に、今までと同じようなサービスをしていたのでは同じようにお金がかかるわけですので、支出を減らすことを考えていかなけりゃならぬじゃないかな、そんな中で国民や市民の皆さん方のためにできる限りのことを私どももしていかなけりゃならぬじゃないかなと、そんなことを思っております。
  94. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 ありがとうございました。
  95. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 民主党・新緑風会の朝日でございます。  既に同僚委員からさまざまな論点にわたって質疑がなされているわけですが、多少重複するかもしれませんが、私からも地方財政計画及び地方交付税法改正案に関連して幾つか質問をさせていただきます。  まず冒頭に、来年度地方財政計画の背景といいますか、特徴点といいますか、あるいは特に留意した点、この点についてできるだけ簡潔に御説明をいただきたいと思います。
  96. 二橋正弘

    政府委員二橋正弘君) 平成年度の地財計画を組むに当たりまして私ども最も大きなポイントと考えました点は、財政健全化にどういうふうに取り組んで、それをどう具体的な数字であらわすかということが第一点。それから、引き続き通常収支の不足が四兆六千億を超える金額で出てくる見込みになりましたので、その財源不足をどうやって補てんするかということが大きな二つの眼目でございました。  第一点につきましては、地財計画全体の規模、あるいはその中でも特に一般歳出伸び率を〇・九という極めて低い率に抑制をするということによりまして、またもう一つは新規の借入金を八年度に比べて二兆七千五百億円程度減額するということで健全化に取り組んだところでございます。  通常収支の不足につきましては、地方交付税増額財源対策債の増発によって補てんをすることにいたしたわけでございますが、そのうちの特に二兆六千六百億円に及びます交付税の増額につきましては、国の財政が非常に厳しい中でございますが、一般会計の加算金三千六百億円とその他を借り入れによって、二分の一は国が責任を持って措置するというふうな形でもって所要額確保したということでございます。  こういうことにつきまして、この計画をつくるに当たりまして最も意を用いたところかと思います。
  97. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 今のお話の後半の部分、来年度財源不足の問題にちょっと絞って、少々初歩的な質問も入るかもしれませんが、幾つか確認をしてまいりたいと思います。  先ほど御議論があった地方消費税の未平年度化による補てんも含めますと、財源不足額は合計五兆八千億円と。さて、その財源不足の補てんをどうするか。今お話があったように、大変意を用いてこの補てん措置をしていただいたと、こういうことでございますが、正直言ってなかなかわかりにくいですね。私どもが見ていますと、何かあっちから借りたりこっちから借りたり、あっちへ回したりこっちへ回したりという印象がどうしてもぬぐえません。  そこで、ちょっと一つ一つ確認をさせていただきたいと思いますが、まず地方消費税の未平年度化による影響一兆二千億円の補てんについて、単年度措置として地方債臨時税収補てん債発行し、この地方債発行限度額を交付税の基準財政収入額に算入するというふうに説明されているんですが、ちょっとこの点、もう少し丁寧に御説明いただけますか。
  98. 二橋正弘

    政府委員二橋正弘君) この地方消費税の関係は、平成年度税制改革のいわば仕上げの段階で出てきた問題でございまして、六年度税制改革では、国、地方がそれぞれ所得税住民税の制度減税を行いまして、その減収に見合って地方消費税導入あるいは消費税率の引き上げということで、その増収が税財源フレームとして見合っているという形で税制改正ができておるわけであります。  しかしながら、平成年度地方消費税導入する初年度でありますけれども、この年に、今の収納の時期等の問題から地方消費税収入が平年度化いたしませんために、平年度で予定されております税収に対しまして一兆二千億円の税収が不足するということが見込まれたわけであります。これにつきましては、地方団体財政にそれだけ穴があきますと支障が生じてまいりますので、何らかの形で補てんをしておく必要があると。ただ、これが税制改正の移行期に一時的に生じた財源不足でありますので、臨時特例地方債により措置をしようということにいたしたのが一兆二千億円の臨時税収補てん債でございます。  そういうふうにいたしまして、この臨時税収補てん債につきましては九年度限りでありますけれども、その補てん債につきましては、普通交付税の九年度算定におきまして、道府県についてはその八〇%を、市町村については七五%を基準財政収入額に加えるということで、今回、交付税法の改正をお願いいたしておるわけでございます。  こういうふうな特例を設けましたのは、この臨時税収補てん債地方消費税の収入のおくれをカバーするために出した地方債でございまして、地方財政法五条の特例という形で発行するという予定にいたしておりますので、地方税と同様に使途が特定されない一般財源ということでありますので、税と同じように八〇%なり七五%なりを地方税収と実質的にみなして、それを基準財政収入額の計算に加算をするということにいたしたわけでございます。
  99. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 地方債発行して影響分を補てんする、そういう点はわかりましたが、じゃ問題はその償還はどうなるのかと、地方債発行してツケが全部自治体に回ってくるというのでは困るわけですから。  ここで一つわからないのは、利払いに要する経費の十分の三相当額を国の一般会計より交付税特別会計に繰り入れるというふうに説明があるんですが、これは何で十分の三なのでしょうか。その理由というか、その点お伺いします。
  100. 二橋正弘

    政府委員二橋正弘君) この臨時税収補てん債の償還でございますが、これにつきましてはその全額を地方交付税算定上基準財政需要額に、この償還が発生する年度に従って需要額に算入することによって財源措置を行うことにいたしております。  それから、今、利払いの十分の三が国の一般会計から繰り入れになっているのはどういうことかというお話でございます。やや技術的な説明になって大変恐縮でありますけれども、基本的には、いわばこういうことによって臨時に地方債を出して、その利払いが生ずる交付団体、交付税の交付団体の半分を国の方で負担していただくという思想でございます。  それがどうして十分の三になるかということでありますが、この地方消費税の未平年度化影響額一兆二千億のうち、平成年度におきましてそのうちの三千億が、これは納期が特例的に動いておるという関係によりまして平成年度に直ちに各団体に入ってくるわけでございます。したがいまして、一兆二千億の臨時税収補てん債を出しますが、そのうちの三千億円につきましては平成年度でそれだけ地方債の縮減ができるということで、実質的に地方の利子負担は三千億分は減ってくるわけであります。  したがいまして、その実際に出します一兆二千億から十年度にすぐに入ってまいります三千億を引きました残りが九千億ございます。その九千億が実質的に利子負担を生ずることになるわけでありますけれども、それのうちの交付団体と不交付団体の分、これは経験的に交付団体と不交付団体の分というのはおおむね八対二というのがいろんな地方財政対策で講じます際の割合でございまして、その八〇%と考えまして九千億の八割、七千二百億円、それの半分を要するに利子の折半で国の方に負担をしていただこうということで、その三千六百億円が一兆二千億円に対しておおむね十分の三になるということを、これは大臣同士の確認でそういう約束をしておるということでございます。
  101. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 そうすると、考え方としては国と地方と半分半分なんだけれども、いろいろ計算をすると結果として十分の三相当額になる、こういう理解でよろしいですか。
  102. 二橋正弘

    政府委員二橋正弘君) 基本的には交付税の交付団体分の影響額の半分という考え方でございまして、それに特則的なことがあるので先ほど申しました十分の三になるということでございます。
  103. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 わかりました。  次に、通常収支の不足分四兆六千億円余についてお尋ねします。  この分の補てんについては、先ほども御説明あったように、地方交付税増額財源対策債の発行で対応する、地方交付税増額分の半分は国、半分は地方、その国が受け持つ分一兆三千億円余のうち三千六百億円は国の一般会計からの加算と、こういうふうに説明されております。  ところで、この三千六百億円という数字がわからぬのです。さらに詳しく見ますと、三千六百億円のうち二千六百億円は法定加算額、この二千六百億円のさらに内訳を見ると、そのうちの六百四十億円は地方交付税法の附則四条の二第二項に定められている金額がそのまま入っておりますので、この六百四十億円はよくわかります。しかし、二千六百億円から六百四十億円を引きますと千九百六十億円という数字が出てくるんですが、何で千九百六十億円になるのか、その根拠がさっぱりわかりません。といいますのは、地方交付税法の附則四条の二第三項に平成年度の加算される額は四千八百十億円というふうに明記されているわけであります。  法律の附則に平成年度加算額として四千八百十億円、こういうふうに明記されているにもかかわらず、今回出されている案ではその分が千九百六十億円になってしまっているんですが、これは一体なぜでしょうか。
  104. 二橋正弘

    政府委員二橋正弘君) 地方交付税の不足額の補てんに当たりましては国の一般会計からの繰り入れが望ましいということ、それから法定加算は法律の規定どおりに加算されるべきであるというのが基本でございます。そういう基本的な考え方のもとに私どもも地財対策に臨んでおるわけでございますが、国の財政が非常に多額の特例国債を発行しているような危機的な状況にございまして、一般会計からの繰り入れというのはそっくりそのまま国の方は特例国債を出さなくては加算できないということになるわけであります。  そういう意味で、その一般会計の加算はどのくらいの金額が可能であるかというのは、私どもと国庫当局との間の大変厳しいやりとりになるわけであります。そういう状況の中で、国の財政状況が許しますぎりぎりの金額を私どもの方と国庫当局が再三にわたっていろいろ折衝しながら決めていくわけではございますが、その金額が平成年度の場合に三千六百億円というふうな金額を双方でいわば合意をいたしたわけであります。  そこで、その金額について過去のこれまでのいろいろな約束事がございまして、それについてどういうふうに当てはめるといいますか、そういうことに当てていくかということでございます。まず平成年度、昨年度地方財政対策におきまして、今年度と同様に六条の三第二項の規定に基づく制度改正として、交付税特会の借り入れの半分を国の方で責任を持ってもらうという制度改正をいたしております。昨年、地方交付税法改正を通じて御審議をいただいたわけでございますけれども、その国の方で責任を持っていただく額の九年度の予定額が先ほど委員おっしゃいました六百四十億でありまして、それはまず六条の三第二項の規定に基づいて制度改正をしたものでありますので、まず優先的に加算すべきであろうというふうに考えております。  それから同時に、臨時特例加算につきましては、これはかつて平成三年、平成年度というのは地方交付税特例減額ということで、地方から国の方にいわばお貸ししたというふうな形になっておるものがございまして、それがまだ残っております。そういうものについてもできるだけ、地方がこういう財源不足という事態に今度は逆になってきておりますので、本来の償還はもう少し後でありますけれども、できるだけ繰り上げて償還していただきたいということを私どもとしては考えておりまして、そういう繰り上げ償還の分として一千億を繰り上げ償還に充てて実施するということにいたしております。そういうふうにいたしまして、残りの千九百六十億につきまして法定加算の一部にそれを充てるということにいたしたわけでございます。  その結果、やや技術的でかつわかりにくくなってまことに恐縮でありますけれども、それぞれそういうことを考えながら、国の方の財政事情の中でぎりぎり双方が折衝して決めた金額を加算するということにいたしたわけでございます。このことを今回の地方交付税法案の中で、その残りにつきまして後年度加算するということを法定するということを今回御審議をお願いしている次第でございますので、御理解いただきたいと思います。
  105. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 御理解をいただきたいという話なんですけれども、そこがよくわからぬのですよ。片方では法定加算分を削っておいて、片方で臨時特例加算分を積んでおいて、足して三千六百億円だと、ここがどうしてもよくわからぬ。  この点は今おっしゃったように国庫当局とシビアな協議をしたということでありますので、一千億円の話も含めて、一つはなぜ法定特例加算分の四千八百十億円が千九百六十億円になったのかということと、臨時特例加算分がもう少し出そうと思えば出せたんじゃないかと思うのになぜ一千億円になったのかということについて、ちょっと大蔵省の方にお尋ねしたいと思います。
  106. 溝口善兵衛

    政府委員溝口善兵衛君) おっしゃいますように、地方財政対策は地方財政事情と国の財政事情が接するところでございまして、それぞれの事情が重なっているという事情がございましてわかりにくいという面が確かにございます。  まず、そういう意味で二つの要素があるわけです。地方財政の要素からしますと、九年度歳出のいろんな節減合理化努力を織り込んだとしても財源不足が相当額ある。この財源不足は建設地方債でやられる分は建設地方債発行し、さらに交付税の役割が財源調整という役割がございますから、交付税総額として大体幾らぐらいが必要かという要素もございます。その結果、交付税の増額措置をしなきゃいかぬというのが決まってまいるわけです。  交付税の増額措置としては二つの方法があるわけです。一つは、一般会計からいわば現金を予算に計上しまして入れる、そこの点につきまして国と地方財政が接するわけでございまして、国の方は他方で赤字特例公債を減額はいたしましたけれども、約八兆円近い特例公債を九年度においても出さざるを得ない状況にございます。さらに、国の一般歳出で申しますと、去年の九月の段階では一兆五千億ぐらいの要求があったわけでございますけれども、それをいろんな節減合理化努力をいたしました結果、それでも六千六百億円ぐらいの一般歳出増加になるわけでございます。この分には消費税引き上げに伴う国の財貨サービスの購入分の消費税のアップ分、約四千億が含まれておりますけれども、そういう意味で一般歳出は二千億ぐらいにとどめておる。  そういう中で、地方団体財政運営支障が生じないようにどれだけ一般会計から現金といいますか、九年度歳出を出せるかというぎりぎりの検討をいたしたわけです。それが全般的な状況から見まして三千六百億円程度にとどまらざるを得ないということであったわけでございます。そこで、三千六百億というのが国と地方財政の絡まるところから決まってまいるというのが第一点目の問題であろうと思います。  そのうちで、なぜ特例加算が千九百六十億円になったかということでございますけれども、その点につきましては先ほど財政局長から御説明がございましたけれども、六百四十億円は八年度の地財対策に伴う借入金の部分の国の負担分でございまして、これは今も交付税法の附則四条の二の第二項にすだれで毎年度加算するというふうに決まっておるわけでございます。これは去年、六条の三第二項の特例措置として行った借入金の国負担分でございますから、法定どおりまず優先的に支出しなきゃいかぬということで六百四十億円というのが出てまいるわけでございます。  それから、四千八百十億は、先生御指摘のように、附則の四条の二第三項で九年度に国が支出すべき額でございます。しかし、そういう国の財政事情が三千六百億がぎりぎりじゃないかということで、四千八百十億も無理だというような状況の中でどうするかということをいろいろ考えたわけでございます。千百十億円は、平成年度、四年度にバブル等の影響がございまして税収が非常に上がったわけでございますけれども、その分を後年度のこういう財政事情が悪いときに加算をしたらという年度間の財政調整、交付税の調整を行ったわけでございますけれども、この法定分を当時減額して後でこういう時期に加算をするといったものでございますから、これはやはりきっちり納めるべきではないか。  ほかに、七年度に補正で減額した分を減額せずに、いわば特例的に加算した分を後年度に減額するという、若干技術的な部分も含まれておりますけれども、そういうものがまずありまして、その部分が千百十億円になるわけでございます。  残り四千八百十億円から千百十億円引きますと三千七百億円残るわけでございます。三千七百億円は九年度一般会計から支出することは勘弁してもらいまして、後年度に加算をするという措置をとらせていただいたわけでございます。  それで、なぜ千九百六十億になったかという部分でございますけれども、その三千七百億円とそれから三年度、四年度、七年度の交付税の特例加減算の残りの部分、九年度の分は千百十億円でございますけれども、残りの部分が十、十一、十二、十三とございまして、その部分が全体で四千六百三十八億円でございます。四千六百三十八億円と三千七百億円足しますと八千億強になるわけでございますけれども、その額を考えまして、四条の二第三項に相当する部分につきまして八百五十億円、それから三年度、四年度、七年度特例措置の加減算に伴う残額に対応するものとして一千億を一般会計から支出するということにしたわけでございます。したがいまして、先ほどの千百十億円と八百五十億円足しまして千九百六十億円という数字が出てまいったわけでございます。  以上でございます。
  107. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 全然わからぬのですわ。後でもう一遍、きちんと個別にレクチャーをしていただきたいと思うんです。  要するに、両省非常に御努力して何かぎりぎりの額、三千六百億円だということなんですが、三千六百億円というのは余り根拠がないんですね。懐事情から考えて三千六百億がぎりぎりの数字だというところがあったんじゃないんですか。どうもそうしか思えない。後でそれをいろいろとあっちからこっちから足したり引いたりしたらこうなったということにしか思えません。これはお答えは結構です。  それで、私が申し上げたいことは、もうこういうことはやめようじゃないかということを申し上げたいわけです。財源不足の補てんのあり方について、例えば法律に加算すべき額が決められているんだったらちゃんとそのとおりを加算するとか、もう少し不足額の補てんする方法について明快にというか、わかりやすくやっていただかないと、ただわからないというだけじゃなくて、一体自治省と大蔵省との間で何やつているんだろうかということになってくるわけでして、このことは国と地方との間の信頼関係を損なうことにもなりかねません。そういう意味で、先ほども申し上げたように、私はこういうことはもう二度も三度もやるべきことではないというふうに思っているわけです。  そこで、仮に再来年度同じような状況が想定されるとしたら、その場合は、今度はもう三度目の正直なわけですから、私としては、この平成年度そして平成年度に、単年度特例措置として今おっしゃったようなやりくりをしてその場をしのぐというやり方はぜひやめていただきたいというふうに思うんですが、この点について大蔵省及び自治省の皆さんに強くお願いをしたいわけですが、現時点で両省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  108. 二橋正弘

    政府委員二橋正弘君) 平成年度以降についてのお話でございまして、平成年度以降の地方財政対策がどういうことになるのかということはなかなか今の時点で見通すことは大変難しゅうございます。しかも、先ほど来お話しいたしておりますような法定加算というのもこれは短期間で出てきた話ではなくて、長い、いろんな補助率カットでありますとかあるいは国保関係でありますとか、いろんな国と地方とのやりとりの結末といいますか、そういうものがすべてここに集約されてこういう姿になっておるわけであります。  確かに非常に複雑になっているというおしかりはよくいただいておるわけでございますけれども、地方団体の皆さん方には、この約束事というのは、こういう理由に基づくこういう金額が、こういういわば年次表といいますか償還計画で、お互いの貸し借りはこうなっているということはいろんな機会に説明し、またもちろん当然オープンになっておる話でございます。それから、大臣間の覚書も結ばれてこれまで来ている話でございまして、そういう点については御理解いただきたいと思います。  私どもとしては、どういう補てん策をとるかということにつきましては、それぞれのそのときそのときの状況を考えないと軽々に申し上げるわけになかなかまいりません。いずれにしても、私どもとしては安定した税財源確保、特に交付税の場合には、交付税の方が地方税よりも収入として多いという団体が半分以上あるわけでございまして、安定した交付税の総額確保ということが非常に大事な課題でございます。そういう安定した財源確保ということを基本にして、私どもの立場としては、当然加算すべきものは加算するというふうなことを基本にしてこれからも取り組んでいきたいというふうに思っております。
  109. 溝口善兵衛

    政府委員溝口善兵衛君) 御指摘のように、地方財政対策は過去のそういういきさつといいますか、その時々で景気がいいとき悪いときございますから、いいときには後年度に加算をするということで減額をするようなこともございますし、それから景気が非常に悪くなって税収が落ち込んだときは地方財政も苦しいですけれども、実は国税も同じでございます。悪いときは両方悪くなるという面がございます。したがって、そこは年度間の調整措置と申しますか、借り入れのような弾力措置を講じないとうまくいかないという面があるわけでございます。したがいまして、そういう複雑な要素が年度間の調整を行うために出てまいるわけでございます。  他方で、複雑なもう一つの理由は、国と地方の関係でございますから、加算すべきものを将来しないということじゃないわけで、そこはきちっといわば貸借関係を法律の審議という形で御審議をいただいて透明性を非常に高くしてやっておるわけでございます。  この地方行政委員会におきましても、そういう単年度措置じゃなくて抜本改革をやるべきじゃないかという御意見もございます。私どもよく承っておりますけれども、経済全体の先行きがまだ不透明な状況でございますし、それからそれに伴いまして将来の税収の動向も不透明でございますし、それから国も地方もこういう財政事情にかんがみまして財政構造の改革をやっていかなきゃいかぬという非常に事態が動いている時期でございますから、後年度も縛るような抜本的な改革を行うというのは今なかなか難しいんじゃないかということで、六条の三第二項の単年度制度改正としてやらせていただいているということでございますので、御理解を賜りたいと思います。  いずれにしても、国と地方は公経済の両輪でございますから、どちらも困ることのないように円滑な運営ができるような道を探っていくべきじゃないかというふうに私どもは考えております。
  110. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 原理としてそういう一定の、あるときプールしたり、あるときまた吐き出したりということが必要だということはわかるんですけれども、それにしてもわかりにくいんですね。  ですから、ことしは平成年度に続いて二度目の単年度特例措置ですから、これはこれでいってやむを得ざる状況があるのかなと思うんですけれども、先ほど私が申し上げたのは、こういうことを何度も何度も繰り返すという心づもりじゃ困るじゃないですかということを申し上げたわけで、せっかく大臣お戻りですから、最後に毒口お伺いしたいと思います。  昨日の本会議でも私は総理にお尋ねをいたしましたが、経済なり税収の先行きが不透明だからと言っていたらいつまでたっても不透明なわけで、去年、ことしと続いているこの単年度特例措置のような形でその場しのぎするのではなくて、既に同僚議員からも指摘されていますように、地方交付税法第六条の三第二項で言うところの制度改正、これに向けてぜひ具体的な検討に着手をしていただきたい。  今ずっと私がお尋ねした幾つかの点は、どうしてもそれをやらずに単年度特例措置で対応しょうとしているところにそもそも無理があるのではないかというふうに考えざるを得ません。この問題の締めくくりとして、ぜひ大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  111. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 衆議院の地方行政委員会でも、ほとんどの質疑、意見はこの点に及びました。  ただ一方、御案内のとおり国も大変厳しい状況の中にあります。そして同時に、地方が自主財源あるいは自分たちのこれは権利であると、同じように国の方もお金があり余っているならばいざ知らず、国の方も本当に自分たちの財源確保しないとますます大変な事態になると、こういうことでございます。  ですから、地方財政が幾ら足らないから何とか都合してくれと、そして国が余っているから、じゃ私たちは抜本的な改正で今は地方が楽だから国の方に差し上げましょうと、所得税初め五税の中で何対何というそれぞれが決まっておりますが、この割合というのは私はそんなに軽いものだとは思っておりません。今まで関係者が必死に努力する中で、所得税法人税、酒税につきましては三二%とそれぞれ決まっておりますが、そのかわり逆に三二%というものは私たちは地方固有の財源と、こういうふうにいつも言わせていただいているわけでございます。これは地方固有の財源であって、国から徴収していただくけれども、本来的には地方財源であると。  さらに、国の方の取り分の中からまた交付税の方には算入されるわけでございまして、国が楽でありそして地方が苦しいという状況ならば各委員の皆さんがおっしゃったように比較的話は簡単なんでしょうが、国は国で極めて厳しい立場にあるわけでございます。  そういうことで、ただいいかげんにやりくりしているという意味じゃなくて、国の方もこれは国の取り分であるということで譲れない一点が正直言ってあるんだと思います。そして、地方の方も、地方が楽だからといって、じゃ簡単にこれ譲れるかというと、そういうことも言えない。地方の独自の財源である、こういうことで厳しいやりとりが事務当局でもなされましたし、同時に大蔵大臣と私の間でもした結果が、今年はこれにてひとつ解決しようということであります。  ただそのときに、私はあえて申し上げたいのは、今地方の自主財源あるいは地方一般財源というものをできるだけ確保するようにしていかなきゃならないというのがこれまた地方分権推進委員会で真剣に議論されているときであります。そして、それに相前後いたしまして、あるいはそれに先立ってと申すべきだと思うのでございますが、国と地方との事務の見直しが今大幅になされているときであります。それらを加味しながら、これらの問題について私たちは一つの結論を得るべく鋭意これからも努力していくつもりでございます。  いずれにしましても、どういう手段をとるにしろ、現実に今は相当大幅に地方に本来交付すべき地方交付税が明らかに足らないわけでございますので、それについては別途大蔵省とも協議しながら、地方に万が一にも負担や迷惑をかけないようにこれまた措置していくということだけはここでお約束を申し上げたいと存じます。
  112. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 ありがとうございました。
  113. 有働正治

    ○有働正治君 本日は、予算委員会で総理出席のテレビ放映の集中審議が行われているわけであります。私は理事としてそこに拘束されているわけであります。席を見回しますと、私のお隣の大渕先生が今質問中であります。それから、私のお隣の二院クラブの西川先生も委員会に拘束されている。従来、こういう集中審議のような大事な予算審議の中で強引に委員運営がなされたというのは私は余り例を知らないわけであります。この点は極めて遺憾であるということを申し述べざるを得ないわけであります。また、私はそういう点でほかの委員の方々の質問も拝聴することができなかったわけであります。あり方として私は非常に遺憾であるということを述べておきます。  まず、質問は固定資産税問題についてお尋ねしたいと思うのであります。  今回の地方税法改正案の中で、固定資産税について多少の軽減措置が盛り込まれているわけであります。それ自体は結構なことでありますが、この問題の根本的な問題点は解決されていない、今後に依然として残っていると考えるわけであります。  私は、九四年六月三日、第百二十九通常国会の本委員会で固定資産税の大幅増税という問題を取り上げまして、固定資産税評価額を公示地価の七割へ引き上げたことの不当性を指摘いたしました。そして、評価がえで大増税となっている実態について政府の責任を追及して対策を要求したわけであります。当時の石井自治大臣は、頭を抱える事態と認識していると苦慮した答弁をなされましたが、その後の経過は私どもが心配した指摘どおりの事態になっていると考えるわけであります。  そこで、まず自治大臣にお尋ねするわけであります。  今日の異常に高くなってしまった固定資産税問題につきまして、大都市部では住み続けたくても住み続けられないという悲鳴が聞こえるわけであります。重税感、重い負担、非常に厳しい御批判もあるわけでありますが、一定の軽減措置がとられたとはいえ、特に大都市部でのこういう批判等について大臣としてどう認識されておられるのか、まずお伺いします。
  114. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 私が昭和六十年に国土政務次官を拝命したちょうどそのころが土地が上昇する最初のころかなと思っています。当時はそれほど大問題ではありませんでしたが、日本列島改造ブームのころがあって、それから一たん平静化し、そして六十年ごろから土地が徐々に上がり出したというようなときでございました。我が党の場合、ああいうことをやりますと何となく土地税制関係、そういうものにずっと配属されるわけでございますが、以来十年余、土地税制について考えるあるいは勉強したりする機会をずっと与えられてまいりました。  委員のおっしゃる意味はわかりますけれども、少なくとも土地税制の専門家が言うことは、日本の場合は保有税が少なくて譲渡のときに取り過ぎると、こういう問題があるために土地の騰貴が起こるのではないかというのが土地税制について議論するときの識者あるいは専門家のほぼ一致した意見でございます。ですから、日本の場合は土地の保有税というものはもう少し適正水準にしなければならないと、こういう一般的な意見が土地の上昇するときにいつも言われることでございます。  さて、そうした場合に、今までとの負担の関係がありますので、小規模宅地等あるいは住居などについては常に特例措置がなされてきたことでございまして、確かに固定資産税がバブルの時期に上がったことは事実でございますが、だから東京に住めない、都市部に住めないというのは、私はそういう現状があるとは承知しておりません。
  115. 有働正治

    ○有働正治君 認識が非常に甘いと思います。民の心知らずと言わざるを得ない状況です。固定資産税、もともと保有を前提としたそういう税を、売買を前提としたような公示価格の七割に一挙に引き上げる、ここにどだい矛盾があるわけであります。  昨年十一月十三日に、異常に高い都心地域の固定資産税と相続税の軽減を求める東京の千代田、中央、港、新宿の都心四区の区民大会が開かれました。そこで、「固定資産税、相続税の大幅軽減を」と、こういう区民の皆さんに、主催として区がそして町の連合町会あるいは住民組織、区議会が一体となってチラシも配られまして、「固定資産税、相続税の大幅軽減を」ということで、何と書いてあるか。「いつまでも住み続けられる町にしよう」と、そういう悲鳴なんです。だから、大臣、その点をよくわきまえていただきたい。  そこで、例えば二十八坪、九十二平米のビルにかかる固定資産税、相続税が年間一千万円となり、生活費が出ない、ビルから飛びおりて自殺したいというのが住民の声だ、これは千代田区神田鎌倉町町会副会長の柴田さんの御発言でございます。祭りに以前の住民が来て、やはりふるさとはいいねと言う。このままでは人が去っていく、なんとかしてくださいというのが実感と、港区の三田商店街振興組合理事の山本さんの発言でございます。高い固定資産税で住み続けられない、町から住民が追い出され、町が壊されていく等々、こういう実態をこもごも訴え、固定資産税などの軽減を要求されたわけであります。  そうした悲痛の叫びというものから見ますと、今回の法改正の中で一定の軽減措置がとられたとはいえ、私はそういう声にきっちり対応したものにはなっていないということを指摘せざるを得ないわけであります。  そこで、自治省にお尋ねします。  負担水準や下落率の指標を導入して軽減措置をとったということでありますが、この結果で全国的にはどういう状況になるのか、全体として固定資産税はふえるのかふえないのか、おおよその見込み、どういう状況になるかお示しいただきたいと思います。
  116. 湊和夫

    政府委員湊和夫君) 固定資産税の今回の改正に伴う税負担の全体としての状況についてでございます。私ども、暮れの段階で試行錯誤しながら見込みもいろいろ立てております。  どうしても抽出的な調査にとどまらざるを得ないということで、この時点で細かな数字を一々申し上げてかえって誤解を招いてはいかぬと思いますが、全体というお話でございますので、例えば宅地の中で、宅地を商業地等とそれから住宅用地に分けておりますけれども、おおむねこの改正によって商業地あるいは住宅用地、それぞれ百億ないし百五十億程度の増になるのではないか。ただ、これはトータルでございますので、大都市地域では逆にマイナスになり、地方部でプラスになるというものが相殺された結果の数字になるんだろうというふうに思っております。
  117. 有働正治

    ○有働正治君 そこで、大都市部の問題でお尋ねしたいわけでありますが、軽減措置をとった後でもなお多くのところで増税となる地域がかなり出るんではないかと推測するわけであります。  けさの朝日新聞に、ふるさと東京を守る会事務局長をなさっておられる梅原さんという方が「私の意・異見」という形で大きく報道されています。  そこでは「都市計画税と合わせ都内の半数以上の地域で、新年度税負担は少し軽減されることになったが、」という言い方をされておられまして、これから推測すると、東京の場合には四割あるいはそれ前後の地域は大体増税になるのではないかと、おおよその推測であります。大阪などの場合も、今回の減税措置をとった後でも四割ほどは実質増税になるということが、私どもその道の人にいろいろお尋ねしますと言われているわけでありますが、ここらあたりはどのように見ておられるのでございましょうか。
  118. 湊和夫

    政府委員湊和夫君) 今回は課税の仕組みといたしまして従前と仕組みを抜本的に入れかえたといいますか、変えた形で負担水準均衡化することを最大の課題として、またその方向に沿った税負担の求め方ということを考えております。  したがって、負担水準の高いところは引き下げないし据え置き措置を入れ、同時に全体の水準是正を図るという意味で、比較的負担水準の低いところについては従前のような形でなだらかな形の段階をつけた負担の上昇を求めるという形をとっております。  それで、大都市につきましては、委員から今御指摘ございましたけれども、こうした据え置きあるいは引き下げの効果はかなり大きなものと見込んでおりますが、ちょっと最終的な数字を私どもが確認できる状況にまだ至っておりませんので、今の数字がそのまま正しいかどうかという確認はできません。  ただ、私ども非常にラフな推計も含めての十二月時点の集計では、やはり大都市部では六割ないし七割が少なくとも何らかの形で引き下げまたは据え置きの対象になるんではなかろうか。これは商業地、住宅用地等を含めましてそんなレベルで物を見ておりましたから、今の御指摘が各団体の最終的な意見かどうかわかりませんけれども、また地域によって大分差がありますので、どこの地域をとらまえるかによっても差がございますので確定的なことは言えませんけれども、大都市部の平均的な姿にほぼ近いような数字をおっしゃっておられるんじゃないかというふうに思っております。
  119. 有働正治

    ○有働正治君 およそ四割ほどは実質増税ではないかということであります。  そこで、評価額が時価を上回る場合は上回った部分は違法との東京地裁判決に対する自治省の態度をお尋ねします。  九四年度固定資産税評価がえにつきまして、東京地裁が、時価を上回る評価額は違法とする判決、九六年九月十一日、これを出しているわけでありますが、この地裁判決について自治省としてはどのように受けとめておられるのか、簡潔にお述べください。
  120. 湊和夫

    政府委員湊和夫君) ただいま御指摘の平成八年九月十一日の東京地裁判決についてでございます。判示事項が幾つかございますが、そのうちまず大事な点を幾つか申し上げますと、一点目として、宅地評価を地価公示価格の七割程度を目途として行うこととした依命通達には合理性があるという判示が一つあります。  それから、賦課期日から評価事務に要する相当な期間をさかのぼった時点を価格の調査基準日とすること、要するに評価期日そのものについては評価がなかなかできないということについての議論でございますが、そのことを法は禁止していないというような判示がされております。  一方で、今御指摘ございましたように、価格調査基準日から賦課期日までの一年間に三割を超えて地価が下落した場合には、当該三割を超える部分が違法であるというふうにされております。私ども、この点につきましては、評価額に形式的な逆転現象はごく一部こういう形で生じたと承知しておりますけれども、税負担の面では特例措置等負担調整を講じておりまして、実質的な逆転が生じないように措置いたしておるわけでございます。こうした点は判決において考慮されていないということについて私どもとしては残念に思っております。  なお、東京都は八年九月二十四日に東京高裁に控訴をいたしておるところでございます。
  121. 有働正治

    ○有働正治君 答弁が非常に長いので、できるだけ簡潔にお願いしたい。私が聞いているのは、その判決の中心点であります。  今の御答弁で、七割への引き上げの妥当性をいわば認めた趣旨の答弁ですけれども、非常に苦しい弁明にすぎないということを指摘しておきます。  時価を上回る評価額について、その部分は違法ということは明確に指摘しているわけであります。それが周知のように、一片の通達で公示価格の七割と評価がえをしたわけでありまして、結果についてのこういう判断というのを重視すべきであると述べておきます。  そこで、この通達とのかかわりでありますが、全国の土地固定資産税は、九三年度が二兆九千七百六十七億円だったものが、九五年度は三兆四千八百九十二億円です。自治省の評価額七割への引き上げによりまして、負担軽減措置をとったといいながら、結果としてわずか二年間だけで五千百二十五億円の増税となっているわけであります。地価が大幅下落を続け、この三年間で、三大都市圏で商業地四〇・七%、住宅地一四・〇%の下落という中で、固定資産税はその分減少するどころか逆に自治省による評価がえにより大増税となったわけであります。問題は、自治省が評価額を公示価格の七割水準に変えたことであります。  こうした中で、九四年の固定資産税評価がえについて東京地裁が、時価を上回る評価額は違法とする判決を出したわけであります。前回の評価がえにより各地で評価額が時価を上回る逆転現象が続出したわけであります。地裁判決は、固定資産税評価額は時価、すなわち売買される客観的交換価値を基準にすべきだと指摘しつつ、評価額が時価を上回る場合は上回った部分は違法との判断を下し、問題の土地評価額を引き下げるよう命じたわけであります。自治省の通達行政のあり方を批判した画期的な判決であることは明白でありまして、自治省の通達に基づく固定資産税評価額の公示価格の七割への引き上げを決めた前回の評価がえについて、大きな矛盾が広がっているということを示しているわけであります。  今、固定資産税評価額は時価、すなわち売買される客観的交換価値を基準にすべきとの指摘があるわけでありますが、これがそのまま自治省通達の公示価格の七割への引き上げを妥当なものと認めたものではありません。なぜなら、自治省通達が出されるまでに行われていた地方ごとにばらつきのある評価政府を含めて長期にわたって合法的とされてきたからであります。  いずれにいたしましても、七割への引き上げ以前の評価方法が合法的であったことを政府は繰り返し国会で答弁してきたのに対して、それが一片の自治省通達でひっくり返され、公示価格の七割に引き上げられたことは憲法の地方自治の本旨に反するものであり、そういう中で地裁の判決が示されたということは非常に重視される事態だと私は考えるわけであります。  そこで、話を通達行政に進めるわけでありますが、引き上げの根拠になった自治省の事務次官通達につきまして、判決は全国統一基準を設けることに一定の理解を示したわけであります。通達等は市町村に対する技術的援助にすぎず、拘束力を有するものではないと言及しているわけであります。この点について自治省の考えはいかがでありますか、簡単に。
  122. 湊和夫

    政府委員湊和夫君) ただいまの点でございますが、先ほども申し上げましたが、判決の部分をそのまま読ませていただきますと、「公示価格の算定と同様の方法評価した標準宅地の価格のおよそ七割をもって、その適正な時価として扱うことは、法の禁ずるものではなく、かかる趣旨において七割評価通達には合理性があり、これに従った評価は適法というべきである。」と。裁判所の判決の中ではこういう形でこの通達について触れてあるところでございまして、先生が今おっしゃられたような判示にはなっていないというふうに理解しております。
  123. 有働正治

    ○有働正治君 そこは全く違うわけであります。通達等は市町村に対する技術的援助にすぎないという立場であります。したがって、拘束力を有するものでないということを私は指摘しているわけであります。七割を目途とするという政府の政策方針を自治省の一片の通達で全国の市町村に徹底させようとしたこと自体が国民の批判を集め、これに対しての態度が問われてきたわけであります。  憲法八十四条は「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。」と定めているわけでありまして、地方税法のどこを見ましても評価の仕方、評価の時点について通達で決めてよいということは書かれていないわけであります。九四年度評価は通達に従ってなされたという点で憲法の租税法律主義に反していると、税法学者、弁護士の中でも批判が出されているわけであります。  この点について、大臣はいかがでございましょうか。
  124. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 地方税法三百八十八条には、固定資産の適正な時価を決定する基準として、固定資産評価基準の制定を自治大臣にゆだねておるわけでございます。これに基づきまして固定資産評価基準というものをいろんな形で今日まで告示をいたしてきたところでございますけれども、そこに地価公示額を取り入れるというようにしたのが前回の評価の問題だと思います。  結局、固定資産税税率というのはあるわけでございます。もちろん上げることもできれば下げることもそれぞれの自治体によってできるわけでございますが、そういうことは余りなさらないで、ある面では評価というものをそれぞれの地方自治体がしておるためにばらつきがあると。こういうところで、固定資産税のもとになる土地評価額というものは全国的にある程度統一的に決めていただいている。それに対して、もし軽減する必要があるんであるならば、例えばそれぞれの自治体で軽減措置等をするというようなことが本来の姿ではなかろうかというような立場から、地価公示額の七割程度というようなものをこれからは固定資産税評価の一つの重要な目安にしていこうじゃないか、こういうことで自治省で決めたわけでございます。それは、今法律条文その他から見て、私は租税法律主義に違反するものとは存じておりません。
  125. 有働正治

    ○有働正治君 全く苦しい弁明としか私には聞こえないわけであります。きっちり法律に基づいて課税をするというものであるわけで、一片の通達でやるべき筋ではないと。  今回の場合、自治省は事務次官通達を大臣の告示の評価基準にどうも格上げするということのようでありますが、これ自体が自治省自身が国民の批判を部分的であるけれども考慮せざるを得なかったということのあらわれだと私は思うわけで、そういう点でも大臣の論拠は非常に薄いと言わざるを得ないわけであります。  しかも、この七割の引き上げの問題を今述べられたわけでありますが、この七割自体についてこの間も議論があったわけであります。自治省の外郭団体の資産評価システム研究センターが九一年にまとめました「土地評価に関する調査研究」報告書がございます。これが固定資産評価七割への引き上げの根拠に使われた文書でありますが、山田二郎弁護士・東海大法学部長は、報告書では引き上げの根拠として昭和五十年代半ばには公示地価の平均七割程度だった過去の事例を挙げているが、数年だけのデータでは理論的な根拠としては不十分と批判しているわけであります。  これは日経新聞に報じられた内容でありますが、自治省ではあの報告書のことは忘れてほしいと逃げムードも漂い始めていると報道されたこともあります。私もこれ自体は根拠がないということを当委員会でかって問題にしたことがあるわけでありますが、大臣、七割の論拠になりましたこととのかかわりで今述べました資産評価システム研究センターがまとめました調査研究報告書の内容等々、この間に何ら問題はなかったと考えておられるのかどうか。いろいろあったからこそいろんな対応措置もやってきたと私は考えるわけでありますけれども、ここらあたりはいかがでございますか。
  126. 湊和夫

    政府委員湊和夫君) センターの調査研究、当時において理論的あるいは実践的な面から調査研究を行っていただいたものと承知しております。全国の代表的な標準宅地百四十一地点について収益価格の精通者価格に対する割合等を調査し、御承知のとおりのような報告をされたというふうに思っておりまして、その地点の調査分析としては私どもとしては丁寧な形で調査が行われたというふうに思っております。  ただ、評価そのものについてはいろんな課題があることも事実でございます。いろんな問題を私どもこれからも弾力的に幅広い観点から絶えず、こういった問題の現時点における妥当性あるいは今後における評価の適正なあり方についての研究といったものは、こういったシステム研究センターの調査結果が出ているからそれですべて事足りるということではなくて、今後ともいろんな角度からフォローも含めて研究調査をしていきたいというふうに考えております。
  127. 有働正治

    ○有働正治君 税の法定主義の原則、地方自治体の課税権を考えまして、一片の通達等々で引き上げるということ自体が問題である、やはりもとに戻す方向で検討すること抜きにこの問題の解決はないということを指摘しておきます。  次に、借地借家法に基づく借地借家人の権利の問題についてお尋ねします。  全国で約一千万世帯以上と言われる借地借家人の皆さんの切実な権利問題でありますが、借地借家人は、地主、家主と地代、家賃の値上げ交渉の過程で、その土地の固定資産評価額とその税額を知る権利があるわけであります。地代、家賃の値上げの理由の中で公租公課が大きなウエートを占めており、値上げが適正か不当かを検討する場合、借地借家人に固定資産税台帳の縦覧、閲覧を認めないとすれば借地借家人には大きな不利益となるわけであります。  固定資産税台帳の縦覧、閲覧を認められるのは利害関係人と規定されているわけであります。借地借家法十一条、三十二条に、賃料の増減を請求できる要因として「租税その他の公課」が規定されていまして、この「租税その他の公課」は、実質的に借地借家人がその税金を払っており、借地借家人こそ利害関係人に含まれることは当然ではないかと思うわけでありますが、これについていかがでありましょうか。
  128. 湊和夫

    政府委員湊和夫君) 現在の固定資産課税台帳は、現行法上は、納税義務者となるべき者またはその代理人等納税義務者本人に準ずる者以外の者に縦覧させることは地方税法上の守秘義務に反するということで最高裁の判断も含めて解されておるわけでございます。したがって、現行法のもとでは、今いろいろ御指摘がございましたし、私どもも借地借家人の皆様方からもいろんな御意見をかねてからいろいろお伺いしておりますけれども、ストレートにこれを縦覧させることは今の法体系ではできないというふうに解釈論としては考えております。  ただ、借地借家人の皆さん方の立場というものも私ども十分念頭に置いて、従前から、直接的には台帳価格の開示はできないけれども、市町村の窓口において適切な措置を講じて、平均的な税負担状況とかあるいは負担調整措置に伴う税負担増加額等の平均的な姿をお示しするなどのそういう対応といったものについても、通達を出しまして指導をしてきた経緯もあります。  同時に、今回特に力を入れて取り組んでおりますのは、台帳そのものはなかなかお見せできないにしても、その価格が決定されたゆえんになります路線価、それから標準地点の価格を今回、平成年度評価がえにおきましてすべて公開するように市町村に対して指導いたしております。これをごらんいただきますと恐らくその地域の価格状況がかなりの精度で御理解いただけるようになるというふうに思っております。  ただ、それだけでは税負担状況はわかりません。今回の場合は、税負担の据え置きあるいは引き下げといった問題も調整措置の中に入っておりますので、その地域がどういつだ形の負担水準でどういつだ形の税負担の動向になるかというようなことを、従前に引き続いて市町村において適切な対応をしていく必要があるというふうに考えております。
  129. 有働正治

    ○有働正治君 今回の評価がえに伴いまして、この二、三月で地代、家賃の便乗値上げの動きも出ているわけであります。これに対する対応が求められているわけでありますが、この便乗値上げが広がる懸念、これについての自治省の対応を簡潔にお述べください。
  130. 湊和夫

    政府委員湊和夫君) ただいま申し上げましたように、今回の場合は従前と違いました税負担の求め方ということをいたしております。したがって、こういった新しい仕組みのもとで地代、家賃の不当な転嫁がなされないように、関係省庁と連絡をとりまして、知事に対して適切な対応を行うよう文書で指導してまいりたい、お願いをしてまいりたいというふうに考えております。
  131. 有働正治

    ○有働正治君 大臣、最後にお尋ねするわけでありますが、前回の評価がえのときに、平成六年四月七日に自治省が「固定資産税及び都市計画税の負担調整措置等の改正に伴う地代及び家賃の不当な引上げの抑止について」という通達が出されているわけであります。今述べられたように、建設省とも相談してそういう方向で検討しているという御答弁であります。きっちり通達も出して、自治省としてそういうことを、便乗値上げ等の動きが出ないように大臣としてもきっちり対応願いたいというのが一点でございます。  それから、先ほどの借地借家人の権利の問題でありますが、先ほど最高裁の判例のことを一言言われました。その最高裁判例というのは昭和六十二年七月十四日のものだと承知するわけでありますが、この司法判断というのは借地借家人が利害関係者かどうかについて判断したものではありません。自治省の先ほど述べられた解釈というのは見当違いだということを私は指摘しておきます。  借地借家問題の実態は複雑で、地主が敷地全体の固定資産税額を示してきたとしても、借地借家人が住んでいるのはその敷地の中のほんの一部の小規模宅地となっている場合などがあるわけでありまして、こうしたケースでは固定資産税台帳の縦覧、閲覧によって実際に借地借家人が住んでいる小規模宅地がどうなっているのかを見なければ、自分たちが借りている土地や建物の地代、家賃が適正なものかどうか検討することはできないわけであります。したがって、固定資産税台帳の縦覧、閲覧が認められなければ借地借家人の利益は守られないということであります。  そこで、第二点目は、自治大臣、自治省として、この借地借家法に基づいて、借地借家人を利害関係人として固定資産税台帳の縦覧、閲覧を認める方向で政府としても前向きに今後の検討課題にしていただき、対応願いたい。この二点について大臣の所見を求めます。
  132. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) まず第一点でございますが、いずれにいたしましても適正な事態が確保されますように、都道府県知事に対して今回の固定資産税評価がえの問題についてきちんとした形で文書でお願いをしなきゃならない、こういうふうに考えております。  それから、むしろ固定資産税の方の条文だと思うのでございます。地交法ではなくて地方税法四百十五条には「市町村長は、」「固定資産課税台帳をその指定する場所において関係者の縦覧に供しなければならない。」と、こう書いてありますので、これの関係者の中に借地借家人が含まれるかどうか、ちょっと私なりに勉強してみたいと思っております。
  133. 有働正治

    ○有働正治君 終わります。
  134. 西川潔

    ○西川潔君 よろしくお願いいたします。  私の方は、まず地方税法改正案について、固定資産評価審査委員会の関係の方から質問をさせていただきます。    〔委員長退席、理事朝日俊弘君着席〕  今回の改正案の中で、この分野につきましての改正点は、審査委員会の委員の選任要件の緩和、委員定数の改正、そして審査委員会を共同設置した場合の委員の任期の特例措置の創設、こうございますが、まずそれぞれに改正を必要とする理由からお願いしたいと思います。
  135. 湊和夫

    政府委員湊和夫君) 固定資産課税台帳に登録されております事項について納税義務者から不服があります場合には、適正公平な処理をするということとそれから迅速に処理する、こういう観点から、評価を最終的に決定いたします市町村長が行うのではなくて、独立した中立的な機関で審査決定を行うことといたしております。そのために、市町村に固定資産評価審査委員会というものを設置いたしております。  平成年度の前回の評価がえにおきまして、宅地評価上昇割合が比較的高かった東京とか大阪の大都市部で多数の不服審査の申し出が出されたわけでございます。これに関連いたしまして、その処理に大変時間がかかるという事態を招来したわけでございます。  こういうことから、昨年、私どもといたしまして、この審査委員会の運営に関しまして総合的な実態調査を行わせていただきまして、幾つか問題点が出てまいりました。これは制度の問題とそれから運営の両面にわたって改善すべき点があるというふうに私ども考えておりまして、既に運用の面につきましては市町村等の取り組みについて指導等も行っているわけでございますが、制度面につきまして、今回幾つかの点についてこの地方税法改正で御提案させていただいているということでございます。  法律の改正としては三点ございまして、一つは評価審査委員会の委員の選任要件を緩和する、これは二番目の問題と関連いたしますので後でまた御説明させていただきます。  それから二番目に、委員の定数というのが法律上定められておりますけれども、定数を増加できることといたしておりますことと、それから現在は町村の場合は定数増加がそもそも法律上できない形になっておりますので、必要がある場合には町村も定数の増加ができるようにという形にしたいというのが二点目でございます。  これに伴いまして、先ほど申し上げましたが、委員確保を容易にする必要があるという観点に立ちまして、委員の選任要件の緩和を一部させていただくというのが一番目の事柄でございました。  それから三番目に、そうは申しましても、町村等によりましては単独で事務局を設けて審査委員、会を運営していくということではなくて、周辺部を含めた共同設置という形で運営することが好ましい形もあり得るというふうに考えております。特に人材の確保等の面でもそういう観点があろうと思いますので、共同設置ができること自体は現行法でも何とか読めるわけでございますが、実際に共同設置をしようとします場合に、委員の任期の特例等の規定を設けないと実際にはどうも動きにくいということで、委員の任期の特例措置を新たに設けるようなこと、そういった角度の改正を今回行わせていただいているところでございます。
  136. 西川潔

    ○西川潔君 御丁寧に御説明いただきまして、ありがとうございます。  そこでお伺いしたいんですけれども、具体的に委員定数の上限を十五名から三十名に引き上げる点についてです。平成年度評価がえによりますと、宅地評価上昇割合の高かった東京、大阪が申し出が大変多いわけですけれども、全国でも二万件弱、東京で二千三百十七件、大阪は何と八千六百四十九件と突出しているわけです。  こうした中で今回の改正案であると思うわけですけれども、当初、この点についての資料を拝見するまでは、相当多くの自治体が現行の十五名  いっぱいの定数であって、十五名ではにっちもさっちもいかない、上限を何とかしてほしい、特に都市部の自治体は悲鳴を上げているんではないかなというイメージを僕は素人考えでそういうふうに持っておりました。資料を拝見いたしますと、委員数十五名という団体はわずか九団体ということでございますので、ある意味では意外に感じたわけですけれども、委員数ごとの自治体の総数について御説明いただきたいと思うんです。
  137. 湊和夫

    政府委員湊和夫君) 委員数ごとの自治体の数ということでございますので、一月末現在の数値で申し上げますと、今御指摘がありましたように最高十五人、三人が一チームになってこの審査委員会を構成いたしますので五チーム編成ということになりますが、十五人の場合の団体が九団体、御指摘のとおりでございます。それから十二人、四組つくれるというところが九団体、それから九人が四十六団体、六人が七十五団体、そして三人というところが三千八十二団体というのが現状でございます。    〔理事朝日俊弘君退席、委員長着席〕
  138. 西川潔

    ○西川潔君 政令都市に限って見てみましても、十五名の数は横浜市だけで、北九州の場合は条例では十五名までですけれども実際は九名、つまり現行の上限にさえも達していないということです。東京都全体の二千三百十七件をも上回る二千五百六十一件の大阪市でも九名ということでございます。そこで、さらに調べてみますと、大阪府枚方市というところがございますが、申し出件数が千九百七十三件もあるわけですけれども、委員数はわずか三名、しかも今後定数をふやす予定も検討されていないということでございます。  もちろん上限を三十名にすることに対して反対するものでも異論を唱えるわけでもございません。しかし、上限枠を倍にすることによって処理期間が短縮されるなど処理能力が高くなることに果たして結びつくのだろうかという疑問を感じるわけですけれども、この上限を三十名にするという基準はどういうところにあるのでございましょうか。
  139. 湊和夫

    政府委員湊和夫君) 上限を三十名にしましたゆえんは、特にこれは大都市部において切実な声として投げかけがございました。  それで、この話ちょっと長くなって恐縮でございます、なかなかふえないという点についてもちょっと触れる必要があると思いますので。  ふえないゆえんは、一つはこれからの処理であるということで、前回確かに二万二千件出ましたが、今回どうなるかということについて確定的ではございませんし、場合によってはその後の対応ということもあり得るのかという気もいたしております。  それからもう一つは、委員の数は確かにふやせるけれども、同時に事務局の体制もしっかりしたものでないと、チームをふやしただけではなかなか対応ができないという問題も小さな市町村では確かにあろうかというふうに思っております。そういう観点から、この枠をふやしたからといって直ちに各団体がふやすということには必ずしもならないとは考えておりますが、ただ自治体が意欲的にそういった対応をしたいということで取り組む場合に取り組み得るようにしておるという意味合いがかなり強いかと思います。  三十人にいたしました理由は、特に大都市地域の皆さんに来ていただいていろいろお話も伺いまして、例えば横浜市なんかはそうでございますけれども、ぜひとも倍程度はふやさせてもらいたいという切実な声等も各団体から、東京を含め各大都市から伺いまして、当面現在の倍程度の数にすることで御提案をさせていただいたというようなことでございます。  数がたくさん出た場合にはこれでは足りないんじゃないかという御議論はありますが、先ほど申し上げましたように、事務局体制とか委員の適格者の選任とかこういった問題も絡んでおりますので、にわかには一遍にたくさんはふやせないんじゃないかという気もいたしております。
  140. 西川潔

    ○西川潔君 そこで、順序立ててお伺いしたいんですけれども、自治体によってさまざまな理由は本当にあろうかと思います。例えば人数をふやしたいという考えがあっても、今おっしゃいましたように現実的に人材の確保が難しい、あるいは財政面もあると思います。  市民の立場から危惧するのは、処理期間が三カ月になろうが六カ月を超えようがそれが当たり前といいますか、件数が多い場合は仕方がないということでお考えになられたのでは困ると思うんですけれども、この点については自治省ではどのような分析が行われているのか、また今回の改正によりどの程度の改善を想定されておられるのかというのをお聞かせいただきたいと思います。
  141. 湊和夫

    政府委員湊和夫君) どの程度の件数等が見込めるかということにつきましては、ちょっと現時点では何ともお答えの申し上げようがないわけでございます。  固定資産評価そのものをめぐっての審査の申し出ということでございますが、先ほどもちょっと御答弁申し上げましたけれども、今回は路線価であるとかあるいは基準値の公開というものを徹底して行うようなこともいたしておりまして、より均衡のとれたあるいは公正な評価が実現できる体制が整ってきたというふうにも考えております。そういう意味では、市町村もかなり責任ある評価ができてきているんではないかというふうに私どもも期待をいたしておるところでございます。  今後どういう見込みになるかについては、ちょっと今の段階ではにわかに何とも申し上げようがないという状況でございます。
  142. 西川潔

    ○西川潔君 いずれにいたしましても、この分野の改正は市民サービスを充実されるものという点では理解させていただきたいと思うわけです。  次に、この評価審査委員会に関連して、委員会の事務局の現状と課題についてお伺いしたいと思います。  資料を拝見いたしますと極端な数字になっているわけですけれども、委員会事務局の担当課の現状をお伺いしたいと思います。
  143. 湊和夫

    政府委員湊和夫君) 平成八年一月の調査によりますと、事務局担当課が課税担当課と同一である団体が三千三十六団体、全体の九三・九%であったと。それから、課税を直接担当している課ではないけれども課税部局の庶務担当課である団体が百十三団体、それから課税部門とは別の部局で事務局の運営を行っているという団体が七十六団体、その他の団体が八団体ということでございまして、多くの市町村におきまして審査委員会の事務局担当課を課税担当課が兼ねているという実態にあったところでございます。
  144. 西川潔

    ○西川潔君 九三・九%の委員会事務局の担当課は課税担当課と同一であるということでございますけれども、税額を決める立場とその税額が公正であるかどうかを審査する立場を同じ方が担当するということですから、市民の立場からすると信頼して審査をお願いするという気持ちには少し疑問が生じると思います。ですから、自治省としてもこの問題意識を当然お持ちであると思うんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。
  145. 湊和夫

    政府委員湊和夫君) これはもう御指摘のとおりでございまして、制度として独立した中立的な機関として審査委員会を設けて審査決定をするという趣旨にかんがみますと、課税担当課が委員会の事務局担当を兼ねることは避けて、公平、公正、中立な審査が行われる体制をつくる必要があると考えております。  ただ、小さな町村になりますと、総務課というところで何でもかんでもいろんな仕事をやっているというようなことがありまして、完全に課を分離するといっても本当に容易でないところもございます。しかし、そういうところでも少なくとも評価を直接担当した方が審査を担当するということにはならないようにというようなことで、基本的なところの線をしっかり守っていただいて対応していく必要がある、一律的に課をすべて変えろということでは現実的な対応ができないというふうに私どもは考えております。この趣旨を体して、同じ人が審査をすることにならないようにということは少なくとも最低限の問題として取り組んでいく必要があると考えております。
  146. 西川潔

    ○西川潔君 よろしくお願いを申し上げたいと思います。  この審査委員会の申し出の件数については、評価がえが行われる年には当然かなりの件数があるとしても、三年に一回ですから、あとの二年は比較的件数が少なくなるわけです。そうした場合に、三年間のうち一年間はてんてこ舞いで忙しい状態、つまり職員を増員させなければいけないと、こういうことになるわけですけれども、あとの二年間、つまり作業量の少なくなった場合に一体どうするんだと。一年間は審査委員会の事務局で、二年間は全く違う分野の担当でいいというのは現状でもなかなか今おっしゃいましたように難しいと思います。このあたり、自治省は通達を出された一方で、具体的には今後どういうふうな方策をお持ちなのかということもあわせてお伺いしたいと思います。
  147. 湊和夫

    政府委員湊和夫君) 六年のケースで見ますと、従前はほとんどなかったところでどっと出たりというようなことがありましたり、それから逆に三年度ではあったけれども六年度ではほとんどなかったとか、県レベルで見ても相当大きな変動がありますし、したがって町村レベルで見るともっと大きな変動があるのだというふうに思っております。したがって、たくさんの職員を恒常的に個々に張りつけるというのは、確かにいろいろ市町村にとっては課題があるというふうに考えております。  限られた人員の中で、応援体制も含めて最大限の努力をしていただくということしか目下は言いようがないわけでございますが、同時にそういった問題もあることから、今回御提案申し上げておりますように、共同設置等の仕組みの活用ということも効果的にぜひ考えていただきたいというふうにも思っております。
  148. 西川潔

    ○西川潔君 前回の委員会でも御質問をさせていただいたんですけれども、当時の改正によって市民生活に混乱が生じないように、できるだけわかりやすく広報なり説明なりに努めていただきたいということをお願いしたんですけれども、現に市民向けにどういつだ内容のパンフレットをおつくりになったかということで実際にこちらの方にもいただいてまいりました。確かに詳しく説明をされています。  しかし、何分にも税そのものの仕組みが大変難しいものですから、幾らわかりやすくといっても限度もあると思います。そうであればこそ、税額に疑問をお感じになった方には御理解をしていただくためにも直接に説明をすることが最善ではないかと思いますし、そのために審査の申し出をするしないにかかわらず相談体制を充実させることが非常に大切ではないかと思うんですけれども、こちらの質問はできたら大臣にお伺いしたいと思うんです。
  149. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 先生おっしゃるとおり、固定資産税課税の仕組みにつきましては、今回なるべく簡素でわかりやすい仕組みにするということを念頭に置いて思い切った見直しを行い、負担水準均衡化を図るという従来とは違う観点を導入したわけでございますが、それでもやはりこれだけ議論になっているわけでございますから、一般の方から見たらまだまだ難しいと感じるのは当然のことだと思うわけでございます。  広報について、当然のことながら十分努力するとともに、縦覧に来られたりあるいは納税に来られた、そういうときをとらえまして担当職員が十分に理解をいただけるように適切に対応していくよう指導してまいりたい、こう思っております。
  150. 西川潔

    ○西川潔君 よろしくお願いいたします。  次に、固定資産税新築住宅に対する税の軽減措置についてお伺いをいたします。  まず、この制度の内容についてお伺いします。
  151. 湊和夫

    政府委員湊和夫君) 新築住宅につきましては、住宅政策の一環ということで、新築当初におきます固定資産税負担の軽減に資するという見地から、一定の要件に該当する住宅につきまして、現在法律上は平成十年三月三十一日までに新築されたものという限定はつけておりますが、一定の要件に該当する住宅について最初の三年間、百二十平米相当分の税額の二分の一を減額するということにいたしております。なお、地上三階建て以上の中高層耐火建築物については、この三年という期間が五カ年という形で特例として認められているところでございます。
  152. 西川潔

    ○西川潔君 そこで、この制度の対象となる要件の一つに床面積が四十平方メートル以上二百平方メートル以下であることが規定されているわけですけれども、この数字の根拠となる基準について、また制度創設後の経緯についてもお伺いしたいと思います。
  153. 湊和夫

    政府委員湊和夫君) 床面積要件を設けさせていただいておりますゆえんでございます。  その前に、床面積の要件は居住する部分の床面積が四十平米以上二百平米以下と、この四十平米というのは共同の貸し家住宅の場合は三十五平米というふうに若干緩和されておりますが、一般的に四十から二百平米までの居住部分の床面積を持った新築住宅ということが対象になっているわけでございます。  それで、この設けられたゆえんは、居住水準の状況を考えまして、住宅政策の観点から講ぜられてきたという視点もございますので、良質な新築住宅の供給に資するという観点に立って上限及び下限を設けているところでございます。  居住水準の状況を見まして、一般的な住宅と比べてかなり広い住宅の所有者に対しましては、通常は比較的担税力があるという観点から上限が設けられておりますし、それから多少狭小な住宅につきましては、住宅政策の観点からも住宅事情の改善に資するというものではないという形から、こういったものについて助成をし建設を促進するということは好ましくないという観点から、四十平米未満のものについては対象にしないというような形になっております。  これが、当初三十九年に設けられたときは上限だけ八十五平米というふうにされておったわけでございますが、その後数次の改正を経まして、四十四年度に上限が百平米になり、五十六年度に百六十五平米という形になりまして、それから六十二年度には二百平米に引き上げられてきたという経緯がございます。なお、下限は五十六年度から設けられたということでございます。
  154. 西川潔

    ○西川潔君 よくお便りをいただくんです。ことしの一月なんですけれども、京都府綴喜郡というところからお便りをいただいたんです。この制度についてのお手紙なんですけれども、少し大臣にも聞いていただきたいなと思うんです。  毎週土曜日にラジオでいろんな福祉の御相談を受けているんですけれども、「此の度は私の不満を聞いて下さい」というお手紙なんです。   平成六年、息子の転勤で一家五人で千葉県か  ら帰って来ました。そこで、家がせまく、平成  七年、ローンで新築いたしました。新しい家は  二百四十八平米になり、二百平米以上のため固  定資産税、取得税の特別控除が受けられません  でした。不満なのは、私ら夫婦と母、息子夫  婦、孫三人、計八人家族です。たとえば、三人  家族で百八十平米の家ですと特別控除が受けら  れて、一人当り六十平米のスペースがありま  す。私たちの家族は一人当り三十一平米で控除  が受けられませんでした。何か矛盾した規則で  納得出来ないまま税金は支払いました。西川様  に不満をぶっつけて税金の事は忘れます。こういうふうに書いてあるわけです、名前は言わないでくれと。ラジオに手紙を出すときだけはペンネーム、一つのラジオネームみたいなものを持っていらっしゃるそうです。山垣外というふうに書いてあるんですけれども、不満をぶつけて税金のことは忘れるというお便りをいただいたんです。  この際、ひとつ紹介させていただいたんですが、法律論とか制度論とかいうものを抜きにしまして、今僕も素直に読ませていただいたんですけれども、大臣、これを聞いていかがなものでしょうか。
  155. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) いつも西川委員の質問にはそういう具体的な国民の声を取り入れた、また指摘していただくという面で、いつも敬意を表する次第でございます。親子三世代同居というようなものを推進していくのは、一方では現在の福祉の上で大きな要素でございます。  さて、二百平米というと、私はどうも平米だとぴんとこないんですが、七十坪弱ということになるわけでございます。私どもの田舎では、七十坪の家ですとそんなに豪邸ではございません、普通の人がつくる家でございます。大阪あたりで七十坪の床面積がある建物というと、やはり相当しっかりした人でないとそれだけの敷地もないし家もつくれないと思うわけでございます。  それらを考えまして、ある程度の税負担能力もあるからそういう大きな家も建てられたのであろう、こういうことで、その方自身も忘れますのでと言ってくれておりますので、まず御理解を賜りたいと思うのでございます。  しかし、一方では、親子三世代同居ということについては、住宅政策上もいろいろな誘導策が現にほかの省庁ではとられているわけでございますので、これもちょっと勉強をさせていただくということにして、お預かりをさせていただきたいと思っております。
  156. 西川潔

    ○西川潔君 御丁寧に御答弁いただいてありがとうございます。  僕も読ませていただきまして、気持ちはわかるなと、自分でもこういうふうな内容で多分送ると思うんです。じっくり考え直してみますと、高度成長の時代に若者は都会へ出ます。お父さん、お母さんはもちろんふるさとに残るわけですけれども、子供たちは都会で就職をしたり、結婚をして家族をつくり家を建てるわけです。それがだんだん核家族化、これは時代の背景でしょうけれども、そこで今日の時代背景といいますと、ふるさとに残ったお父さん、お母さんは年をとるわけですから、年老いた親を都会に呼び寄せるというケースが僕の友人にも何人かおりましたけれども、二週間で四国へ帰ってしまったという両親もおります。こんなうるさい、やかましいところはとてもじゃないけれどもということで、かえって自分たちがおかしくなるからということで帰ったような方もおられます。逆に、ふるさとにUターンをしておじいちゃん、おばあちゃんとこうして一緒に暮らすという今のお便りのようなケースもたくさんあります。  そうした視点から、改めて御意見について考えてみますと、三世代が同居する、しかし家族の中に介護が必要なお年寄りがいらっしゃるような場合に、またそのスペースについてもある程度広いスペースの確保がこれからは、特に三世代の生活になってくる在宅福祉というようなことになりますと、こういう制度の趣旨高齢化に配慮したという視点も大いに必要なことになるんではないかということだと思います。  今すばらしい御答弁をいただいたんですけれども、あえてこの高齢化に配慮したという点をもう一度大臣に御答弁いただいて、質問を終わりたいと思います。
  157. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) おっしゃるとおりでございまして、特に高齢化とかあるいは身障者とかあるいは三世代同居、ですから普通の固定資産税議論でいうと、二百平米以上の家を建てられる方はある程度担税力があるということで御理解を賜りたいと思います。  さらに、固定資産税というのは余り政策的にやらない税制の一つだと、こう言われておりますけれども、特に在宅看護・介護というようなことはこれからまたそれぞれの市町村の事務の中でも一番大きなことでございますので、これは本当に真剣に検討させていただいて、御期待にこたえることができるように事務当局を指導したいと思っております。
  158. 田村公平

    ○田村公平君 初めて三十五分という時間をいただきまして、ありがとうございます。大会派の先生方に感謝申し上げます。  先ほど来、大変格調の高い質疑がなされました。特に谷川先生からは、大阪府は大分国に持っていかれて一兆円ぐらいしか返ってきていないと。お金に、税金に色はついておりませんが、財政力指数で最下位であります私の選挙区の高知県は多分そのお金をいただいていると思います。ありがとうございます。ただ、大都市での地方の予算編成は大変厳しい、と同時に、地方の最貧県というよりも、大都市じゃない過疎地域も実は大変な状況にあります。  と申しますのは、かつて我が国が戦争に負け、その戦後復興の中で、いわゆる高度経済成長政策といいますか、昭和三十年代、私どもの仲間もそうでした、大阪に小学校の仲間が集団就職で行きました。我々の住んでおる田舎は農村地帯です。農村地帯というのは、家族を養う能力、つまり洋服も着なくていい、米俵の上に乗っかっていると言うと語弊がありますが、サラリーマン家庭で扶養家族が一人ふえると大変でございますが、百姓の家は、うちも代々百姓でございますけれども、そういう意味での都市への労働力供給のショックアブソーバーのような、都市が不況になれば田舎に帰る、これは大臣の新潟もかつてはもっともっと寂しいというか悲しい、女工哀史ではございませんが、そういう土地だったと思います。たまたま幸か不幸か田中角栄先生という大変偉大な指導者が出まして、大変恵まれたインフラ整備もできております。  そこで、話をちょっと、皆さん方先輩議員のように私は格調高くできぬものですから、初めて長い時間をいただきましたので、この間うちからの税に関する欲求不満をちょっとまとめて御質問させていただきたいと思います。  三月一日の読売新聞によれば「地方税案が有力」と。「三十兆円市場 自治省、検討着手」という大見出しの上に「パチンコ新税浮上」。  その前に、実は自治大臣はいろんなところで地方分権に絡みながら、幕藩体制、江戸幕府の大体三百諸侯ぐらいをどうも分権絡みでイメージしておられるような気もいたします。それは確かにそのとおりだと私も全く同意見であります。例えば高知県大川村のように人口七百人程度のところで地方分権と言われても、これははっきり言って何もできません。それはそれでいいのでありますが、大臣のお言葉の中に、改革というか明治維新もそうだった、大変地方は痛みを伴うと。本当は地方自治体に痛みがあったら僕は困ると思っていますけれども、それは大臣とは見解の相違ですからこの際深くは触れません。  そういう中で地方が独自に、この前の委員会で例えば教育税という税を持ってもいいんではないかというお話もここでございました。それを受けて「パチンコ新税浮上」と、こう来ましたが、これが三月一日。  そして、同じ読売新聞の三月五日、「白川自治相は四日、閣議後の記者会見で、パチンコ業界への新税創設構想に関連して、「地方税財源強化は大きな課題だが、地方の自主的な税財源強化という問題はまだ見えて来ない」と述べ、自治体財源の拡充に向け、パチンコ新税も含めて多角的な検討を行う考えを示した。」と、こうなっております。  同じ閣議後の会見を日経の方では、地方税の新たな間接税を導入する案が浮上していることについて「地方自治体の税財源強化・拡充には努力したいが、具体的な対応は今後の課題」と慎重な見方を示した。しと。  それで、私はこの意味もよくわかるんです。例えば、自民党単独政権が売上税の問題、まさに参議院で保革逆転したのは記憶に新しいことでもあります。そして、売上税、消費税という過程の中で、時として内閣の一つ二つがぶつ飛ぶような、まさに大平内閣はそういうことでありました。  税金というのは人の財布の中に手を突っ込む話ですから、だれしも――若いと言っては語弊がありますけれども、きょう久野政務次官も税金を取ることについてははっきり言って嫌だというお話もありました。そういう新税を云々という話は、閣僚の一員であっても、よほどの理論武装とよほどの閣内での協議、決意がないと、軽率に新聞に出てみたり、閣議後の記者会見で云々されるべき種類の問題ではないと私は思っております。そういう意味で、僕は慎重なことだと思っております。  「自治省内部の研究会が」とこの日経にありますが、「パチンコなど娯楽施設や携帯電話など新商品を対象にした新税を検討しているが、自治相は「旧娯楽施設利用税を廃止したときは廃止した理由があったはず」「地方財源強化・拡充に向けた議論は、限定した議論ではない」」と述べて、読み方によれば非常に慎重にもとれる。  しかし、本委員会で、教育税という目的税というか地方単独の財源があってもいいというふうにおっしゃられた革命的な、私は明治維新は革命だと思っていないですけれども、意見等々を考えると、何かこの前ちょっと言い足りない部分もあったものですから、大臣として分権絡みで。  しかし、教育税なんというのは非常に難しい問題があると思うんです。その自治体の中に国公立の、例えばうちの国立高知大学にも国立の高知大学附属小学校、中学校があります。私立の中高一貫教育、短大まで持ったのもあります。そうかというと、高知市を例にとりますと、市立もあれば県立高校もある、専門学校もあります。それでいて住民税は払っている。それに、例えば人口三十二万の高知市が独立した教育税を持つと、じゃ隣の春野町との関係はどうなるか。  そういう一つの税を新たにつくるということはよほどのことがないといけないということでこの前ちょっと質問をさせていただいたんですけれども、ちょっとこちらも大臣も言い足りなかったんじゃないかと思います。きょうはまだ三十分ぐらいありますので、大臣、さっきの研究会等を含めまして、もし研究会をやっておるんであれば、せめてその構成メンバーとかそういうことも含めて、お構いなければお教えをしていただきたいと思います。
  159. 湊和夫

    政府委員湊和夫君) ちょっと私の方から事実関係について少し御説明した上で、大臣からお答えをいただいた方がいいかと思います。  三月一日の読売新聞の記事につきましては、土曜日でございましたが、実は私どもも大変びっくりした記事でございました。  わたくしどももいろんなことについて関心は持っております。いろんな方からいろんなサジェスチョンをいただくことも事実でございますので、助言等をいただければ、それに関連することについて調査すること、勉強することは、税務をお預かりしている私どもとしては当然のことだと考えておりますが、そういうレベルの事柄が、例えば政府、新税創設となりますとこれはおのずと次元の違う話だというふうに思っております。  パチンコについて、私ども国会の諸先生方からも、どうだい、ああいうのを検討したらということを言われることは事実でございます。それから、学者の先生方からもそういうお話があることも事実でございます。  ただ、私どもは、現時点においてパチンコに対する新税について自治省が具体的に検討に着手しているというような事実があるような段階では全くないということをまず申し上げておきたいと思います。したがって、この報道について私ども何ら関与いたしておりません。  それで、三月五日に大臣のコメントについて新聞に出ておるということでございました。大臣はこの会見ではこのことを明確にして、今申し上げたパチンコについて、私は責任を持って自治省の仕事について指導してやってきているけれども、私は承知していないし、自治省が具体的に検討に着手したことはないということを明確にお述べになった会見でございました。ただ、一般的な話として、地方分権という議論がある中で地方税充実というのは幅広い観点から検討を行っていく必要があるということを言われたことは事実でございますが、そこにパチンコが入るとか入らないということを大臣自身がコメントされたところではございません。  それから、日経新聞の中で、研究会で自治省がパチンコあるいは携帯電話について検討をしておるという記事が一部出ておりました。これも全く事実に反することでございまして、例えば特別地方消費税の問題が生じましたときに、地方団体全体としてどういうふうに考えるかとかいうような形で実務者を集めて、個別間接税に関連して各課長さん方にお集まりいただいていろいろ実務上の議論をする場は確かに設けております。これは市町村税であれ府県税であれ、しょっちゅう私どもは現場の皆さんの声を聞くという形でそういう組織をつくっておりますが、これは学者の先生が入って要綱をきちっきちっと決めてやっているという性格のものでもございませんで、かなりラフな形で行っているものでございます。新税についてこの研究会で研究しているということは全く今までもございません。  したがって、あの記事には、パチンコ、携帯電話について研究会で研究をしているというお話が出ておりました。いろいろ皆さんが言うから将来勉強してみようかという気が全くないかというと、ないわけじゃございませんけれども、少なくともこの研究会でこれまで検討したという経緯はございません。ましてや、私どもパチンコについては皆さんからいろいろお話を聞いたりすることもございましたが、携帯電話に課税するとかいうようなお話は私どもも全く寝耳に水の話でございまして、こういう話がどうして出たのか私どももなかなかよくわからないという点があるわけでございます。  ちょっと事実関係についてだけ、大臣に先立ちまして御説明させていただきました。
  160. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 教育税という例を挙げて、確かに地方自治体が独自にその地方自治体だけに通用する税を設けることは地方分権が進んだ場合にあり得ることではないかと、こういうことを申し上げたのは事実でございます。  実は私、地方自治については必ずしも造詣が深くありませんでしたので、就任以来、私が比較的懇意に話せそうだという自治大臣経験者などを何人か訪れて御教示をいただいたときに、先輩がそういうことを言ったのが非常に私には印象的でございまして、そんな言葉が出たわけでございます。  しかし、それは特別に革命的なことでも何でもなくて、法定外普通税というのを、私たちの自治体はこれを重点にしたいから例えばこういうものをつくろうということで議会で決めて、そしてほかのところにはなくてもそういうものを私たちはやるんだという地域の合意があれば十分やれることではないかと思っております。法律上は法定外目的税というようなものはないようでございますが、例えばそういうようなスキームをつくってあげることも、それは今後また国会が決めるべきことなんではないのかなと、こう思うわけでございます。  そしてもう一つ、課税自主権ということを随分言われ、それは言葉としてはまことにきれいなのでございますが、例えば今回の地方消費税のように国会が決めて、結果としては地方の自主財源がふえるというのが果たして本当の課税自主権というのか。それはあくまでも国が決めてこれが地方財源だよと。ただ、使い方が、課税も自分たちでして、かつ自分たちで使いやすくなるという話であって、例えば地方交付税との間で違うことは違うわけでございますが、果たしてそれはそれぞれの地方がみずからが決めてみずからが一つの税金住民に課すという本来の、さっきお話をしたがっての日本の藩がやっていたようなことと同じと言えるのかなと。  ですから、私は、地方の自主財源あるいは一般財源強化ということを言うその延長線上には、それぞれの自治体が住民との協議の中で、こういう個性ある地域をつくりたいからこういう税金を認めてくれないかと、こういうことがあって当然のことなんじゃないだろうか、またそうなるのではないかなというようなことを、多分私は若干先のことだと思いますが、そんなに大事件ではなくてあり得ることじゃないのかなと、アメリカなどを見るとそんな感じがいたします。
  161. 田村公平

    ○田村公平君 アメリカは建国は浅くて、しかもヨーロッパから来た時点で特権階級というのが既に生じていまして、ジョージ・ワシントンが幾らいい格好したって、一大プランテーションをつくっていたわけですよ、奴隷を雇って、つまり労賃ただで。それと同時に、日本とは全然地方自治法とかそういうのが違いますから、町じゃないところもいっぱいあるわけです。そして、タックスペイヤーというものに対する考え方が、西部劇に出てくるようにならず者が来たら困るから我々で金を出し合って保安官を雇うと、大変厳しい生い立ちの中で来ている国と、一般的にアメリカがというようなことは、大臣、ちょっと僕は見解が違うと思います。  そして今、地方自治体がそういうことで議会で議決云々というか自主的にというお話もありましたけれども、現実問題として、和歌山県の、名前は定かに記憶しておりませんけれどもある町では、収入役とか助役がぐるになって判こをついて、町の金を億単位でごっそり持っていってどこかへ消えちゃったという事件もありますよ。  実は昨年、地方行政委員会で視察に行ったときに、大分県の町村会の副会長さんだと思いますが、三代も四代も前に縁故で採用した職員がいっぱいいて、四年ごとにこっちも選挙を受ける立場だから、こんな役に立たない職員は首にしたいと思っているけれども、それすらできないと。私も選挙をやる人間だから縁故で雇いたいと思うと。本当に真実の、僕なんか思い当たる節は高知県の五十三市町村いっぱいあるんですよ。  そういう人たちが十年二十年三十年たって、先ほど局長のお話にもありましたけれども、どういうわけか総務課長をやっているとか、建設のことを全然わからなくて建設課長をやっているとか、そういうのが……。だから、そこの町村会の副会長さんは、できたら国なりで、人事院採用じゃないけれども地方公務員の市町村レベルもそういうトータル試験で名簿に登載してもらって、その中で大分県の何々町なら何々長さんを雇うようなことでも考えてもらわぬとたまらぬという悲痛な話もあります。  現実問題として、例えば私どもの高知県レベルでも、五十三市町村プラス県がありますので五十四の自治体、あるトップに言わせますと、県会議員はばかばっかりだと陰で言っている場合もありますよ。ある町では過疎が進んでいますから交流入口をふやさぬといかぬということで、昔の旧家を二カ所、いわゆるボッチャーンのくみ取り式じゃなくて合併浄化槽を入れて、アルミサッシも入れてエアコンも入れて、何年間かの期間そこを自由に使えるように一種の交流プラザと。ところが、一つは物すごく利用されたんです。もう一つは全然利用されていないんです。なぜかというと、それはあるその町の町長の親戚の家を改築しちゃったんです。議会は全くノーチェックです。それが現実なんです。  だから、大臣は冒頭の小林委員の質問に対しても、分権推進委員会それから国の機関委任事務の廃止、非常にいいというふうなお話でしたけれども、私はかつてこの委員会でも、今のような形で分権分権、何かにしきの御旗、それに異論があると言うことは何か国賊的な印象すら受けることが腹立たしいと言ったのは、そういう意味での地方の実態をもう少し知っていただきたい。  この後に質問通告してありました。自治省からの交流人事というか、それは条件つきだと思うんですけれども、そのことに触れるのでちょっと申し上げましたけれども、大臣、そういう地方の自治体の実態、現実問題、高知県の県議会ですらノーチェックのような、前の大臣に僕は申し上げたんですけれども、県税収入が一割しかなくて、県立てこの春オープンしますよ、一期工事分だけで二百五十億円も県費をぶち込んでいるんです。だから、高知県の県単独事業というのは物すごく伸びています、工科大だけで。二百五十億円ですよ。それで、学校ができ上がればどんどんランニングコストが要ります。箱物、おばけみたいなものですから。  そういうことについて高知県の財政、進学率、しかも高齢化社会だけじゃないですよ、高知県は人口自然減が五年続いているわけです。雇用の場もほとんどゼロに等しい。日本全体が少子化時代を迎えているのにノーチェックで通っていくわけです。なぜかというと、知事に人気があるから。そういう人気のある知事に議会で文句言おうといったって現実問題言えないんですよ。  なぜかというと、県会議員にしてみたら知事にぎゅっと絞られたら自分の選挙区の箇所づけが来なくなるじゃないですか。あそこの道路も直しますと言って上がってきているんだから。鉛筆ぱっと投げられたら、知事に逆らったら土建屋だってもう全然文句言えないんですよ。高知県なんかはっきり言って公共事業依存型ですから、だから財政力指数が最下位なんです。これは知事がそっぽ向いたらどんな土建屋でも全部つぶれますよ。現実問題、つぶれている土建屋があるんだから、逆らったために。選挙なんというけれども、そんなきれいな選挙なんかやっていないんだから、干渉選挙だから、現実問題は。そういう実態を本当に大臣はわかった上でおっしゃっているんですか。
  162. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 私も政治の世界に入って二十一年になりまして、当然のことながら地方の議会の方々や地方自治体の長やそういう方々と関与をせずに選挙戦というのは展開できませんでした。そして、そんな建前は建前として、実態は委員が今おっしゃったようであることを否定するものではありません。  ただ、一方で、地方議会、ここをある面では信頼しなければ一体だれを信頼したらいいんだろうか、自治省にやれということなんだろうか、それとも国が、補助金というので非常に評判が悪いんですが、そういうことを通じて各省が全部チェックするということになるんでしょうか。私はどうしてもそうは思えません。三千三百のそれぞれの地方公共団体に議員が六万五千人おります。しかも、高いか安いかは別として、全部俸給、税金を払っているわけでございまして、ここが住民の代表として住民の声を反映しなければ、それ以外の仕組みというのはあるんでしょうか。  ですから、私は真剣に地方分権委員会にもまた行政局長にも命じているのは、地方議会が今持っている権限というのは、委員が今おっしゃったように、首長が文字どおり大統領制でございまして、議会ではまずほとんどチェックできないというのが現状だと思います。ところが、国会は一票でも票が少なければ不信任案が通ってしまって、辞職するか解散するしかないわけであります。ですから、今私は政府の一員におりますけれども、やはり国会というのは非常に緊張して臨みますし、同時にまた私も議員という立場でいて、一年生議員でも役所が随分大事にしてくれたなというのは、たとえ理由はどうであれこの一人の人に刃向かわれたら、与党の中で欠席したら終わりなんです。  そういうような仕組みというのは大事だと思いまして、地方分権委員会は主に地方行政のあり方、行政のあり方だけを問題にしているようでございますが、どうしても地方議会というのが現状のままでいいのかも私は真剣に議論していただきたい、こう思って三議長会の議長の皆さんにはそれぞれ申しております。そして、そこで一つの結論が出たら、私が在任中であれば地方自治法の改正もやぶさかではありません。  そして、最後に、私自身一人の自由主義者として思いますことは、委員が今おっしゃったようなこと、民主主義というのはあるいは今の新しい自由主義体制というのは、当時の支配階級から見たならば、すべての国民と言ったかどうかわかりませんが、すべての構成員に、当時は当然女性なんて入らぬで男だけだったんですが、そこに選挙権を持たせる、そこに主権を持たせるなんということは、それ自体国が大変なことになるということをみんな当時のエリートたちは言ったんじゃないでしょうか、支配者階級は。しかし、多少の行き戻りはあったかもわかりませんが、自由主義体制、国民主権というものを導入しても国が滅びたとは思っておりません。  三千三百の地方自治体をどういうふうにしていくかと、受け皿論というのが随分言われます。しかし、受け皿論、こんな受け皿だからそんなところに任せられるかという議論に立つのか、それともいい悪いは別として、もう三千三百の市町村に我々は権限を移譲する。それを受け取った方が、それは受け取った当事者だけではありません、そこの地域の住民がそれをどう考えて、合併の必要性その他を含めて大運動を起こしていただくしかこの際解決の道はない。その間に多少の混乱なり多少の後退があることは私は当然のことながら承知をしておりますけれども、しかしそれが大勢になるとは思いません。そういうのが一、二割あるかもわかりませんが、半分以上のところはそういうことを契機に地方自治が一層進展するものと私は逆に信じております。ただ、そう期待したいと思っております。
  163. 田村公平

    ○田村公平君 何せうちの高知県知事なんというのは大統領を突き抜けていまして、この前の大臣に対してもそうでしたけれども、国籍条項でも、文句があるのならマスコミ入れてテレビも入って公開討論やろうという、議会も何もあったものじゃない、そういう人もおるということも事実でございます。  そこで、ちょっとお尋ねをしたいんですが、昨日、橋本内閣総理大臣は、厚生省の問題に端を発して、当時の埼玉県のいわゆる茶谷課長の件でしたけれども、それにふえんして、適正な人事交流は国及び地方自治体でもあって当然のことだというふうに言っておられまして、亀井建設大臣は、我が省には優秀な部下がいっぱいおるので、地方自治体から割愛申請があればどんどん出すということでした。  実は昨年の十一月もスーパーハイウェーの件で、私どもの高知県にはそういうインテリジェントワーキングができたり、あるいはマルチメディアとかいうことについての知識がないものですから、大変優秀な方に来ていただきまして、スーパーハイウエーの実現に向けて何とか地方から情報を発信しよう、そういう過疎地域だからこそネットワークづくりをしようということで頑張っておりますけれども、どうも大臣のお話ですと、自治省は部下を僕に言わせると信用していない。連続して、例えば総務部長が連チャンで行くと癒着が起きていかぬと。僕はその癒着が起きるというのはどうも自分の部下を余り信用していないのかなと逆に思ったりもするんです。  うちの高知県でも、高等小学校しか出ていない方が、お給仕さんから入ってたたき上げて総務部長をやられ、そして最後は県議会の同意を得て出納長をやられた。ところが一昨年の十一月に、南国市長をやっておったけれども贈収賄でパクられました。  あるいは、自治省から来られた、名前は言えませんが、副知事で来られた方で、酒を飲み過ぎて勝手にひっくり返って、このけがどうしてくれるんだと言って小児科医へどなり込んだ。おれは副知事だ、おまえ知らないのかと言って、医者がびっくりして、小児科医だったものですから、一一〇番して、結局捕まった、本当に副知事だったのでびっくりしたとか、いろんな人がおられます。  しかし、自治大臣であられる限りにおいては、まさに地方の実態を知っていただくためにも、先ほど来大臣おられぬときにもいろんなお話議論の中で、やはり実態を知るということは大事なことだと私は思います。  現実問題、過疎の村である東津野村に農水省から若い方が来て、森林組合の方と一緒になって、山の木を切る、林道を開設するということはどんなに大変なことか体験している。  そして、交流人事、そういうことを自治省も、県レベルだけではなくて、先ほど申し上げましたような、悪いと言っちゃいけないかもしれないけれども、市町村長もおられます。そこら辺のレベルまで下げると言ったら大変語弊がありますけれども、若い優秀な人をどんどん、役場の職員を、自治省なら自治省の財政課でも交付税課でもいいです、政策立案のところでもいいです、こういう場所でもいいです。あるいは大臣のかばん持ちさせたっていいじゃないですか、事務取扱秘書官と、三六協定も何もないぞと、夜中でも走らぬといかぬぞと、そういう交流はあった方がいいんじゃないか。  何か大臣のお話聞いていますと、癒着というか、非常に連続して行ったらいけないと。僕なんかそういう意味で、中央省庁から来られた方々、特に自治省にはそういう関係の方が多いんですけれども、随分勉強もさせていただきました。そういう意味で、連続云々は別問題として、高知県の恥を言いますけれども、先ほど言いましたように大分県の町村会の副会長もおっしゃっていました、コネで入って困っているわけですよ。  最近の課長補佐から課長クラスが、僕なんかの同年兵ぐらいが、まともに正規の試験を受けてというか、そういう意味では県議会の監査委員の問題にしてもそうなんですけれども、本省から、自治省あたりから総務部長が来られているとか、財政課長が来ておられるとか、地方課長で来ておられるとか、一種の核の抑止力みたいなんですよ、村社会ですから、田舎は。なあなあでいっているのが、ちょっと異質な人が来て、あの人何か東大出ているらしい、これは言っちゃいかぬぞ、ちょっとまじめにやっておこうと、そういう本当に核の、核というのはない方がいいんですよ、だけれども、抑止力なんですよ。  そういう面もあるのを僕は認めろとは言いませんけれども、そういうことも地方自治を、本当に市長が地方の実態を知ってやりたいというんであれば、そこまでの思いは、何も亀井建設大臣のまねをしろと、そういう答弁を期待しているわけではありませんけれども、ちょっと柔軟に対応していただきたいなと思って質問をさせていただきます。
  164. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 率直な御意見でございますので、私もなぜこういうことに至ったか、率直にお話をさせていただきたいと思います。  新潟県では年に二回県の幹部と、与野党含めて全国会議員の、国の予算に対して一種の陳情会というか、そういう打合会があるのでございますが、数年前から第一の課題は地方分権の推進というのが県の要望に書いてありました。そして、ずっと見ると、知事はもちろん県民が選ぶものでございますが、かつては二人の副知事が二人とも自治省というような時代もありました。今は一人は自治省、一人は県のプロパーでございます。あと、だあっと並んでいる者の七割が中央省庁から行った人たちでございます。もちろん自治省だけじゃありません。そういうのを見て、私はこれは漫画ではないかと率直に思いました。  以来、地方分権という言葉は、私のところも二十六の小さな市町村が集まっているところでございまして、そういうところがそれぞれ元気にやってもらいたいと思うときに、そこのある面では頼りにしている県がこういう状況で、いろいろ失敗があるかもわかりません、いろいろ困難があるかもわからないけれども、こういう体制で本当に地方自治の時代というのは来るのかなというのが、国会議員になって特にこの数年間思い続けたことであります。  そして、茶谷問題が起きまして、いろんな方にする中で、少なくともああいう体制をとっていたのでは、例えば私は県しか知りません、また自治省からあるいは中央省庁から来ているのはほんの一、二の市しかありませんが、県の大勢の職員が果たしてこれでやる気になれるんだろうか。  例えば建設部長、建設関係の職員というのは多分建設関係で県の仕事を終わると思うのでございますが、ナンバーワンになれる道があってこそナンバーワンを目指す人が出てきて、そしてナンバーワンにふさわしい人が育ってくるんじゃないだろうか。私が、連続して出向するということを少なくとも自治省はやめた方がいいと言ったのは、一番の理由はそういうことであります。  総務部長というのはいろんな人がなり得るポストだと思うのでございますが、各種の部長の中でも総務部長というのは企画立案の中枢でございまして、私はやっぱり花形の部長なんだろうと思います。例えばそこへいつも自治省の比較的若い者が来てそして総務部長だというのは、知事から見たら助かるかもわかりませんが、そこの都道府県の全職員から見たならば、そこのところはやはりディスカレッジをするんじゃないだろうか。  そういうことでございまして、国の役人はそれぞれ局長にもなれるし審議官にもなれるわけでございます。そこで頑張る目標があるわけでございまして、さらにそのうち地方自治体のある面では花形ポストまで、それも自分たちの活躍の場だと思ったならばいけないんじゃないだろうか。  国の倍以上の地方公務員がいるわけでございますから、その方々が頑張っていただく以外に地方自治の進展はないと私は思いましたので、このことをし、今、官房長隣におりますけれども、ことしは少なくとも、例外というのはあって当然だと思うけれども、特にことしは最初だから例外というのはつくらないでどうか人事を工夫してほしいといって今お願いをいたしているところでございます。
  165. 田村公平

    ○田村公平君 うちの高知県は土本部長にしても総務部長にしても地侍優先で、ただその年次とかいろんな関係の中で欲しいときがあるんです、人事のバランスで。そういう地方の実態、新潟県はそうかもしれないけれども、うちはちょっと変わっていますから、独立国ですから。  そういうことで、時間が来ましたので、またあしたもありますので、これで質問を終わります。
  166. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。  次回は明十九日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十五分散会      ―――――・―――――