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1997-05-29 第140回国会 参議院 商工委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月二十九日(木曜日)    午前十時開会     —————————————    委員の異動  五月十五日     辞任         補欠選任      梶原 敬義君     志苫  裕君  五月十六日     辞任         補欠選任      志苫  裕君     梶原 敬義君  五月二十六日     辞任         補欠選任      竹村 泰子君     小島 慶三君  五月二十七日     辞任         補欠選任      小島 慶三君     竹村 泰子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         木宮 和彦君     理 事                 沓掛 哲男君                 吉村剛太郎君                 片上 公人君                 前川 忠夫君     委 員                 大木  浩君                 倉田 寛之君                 斎藤 文夫君                 中曽根弘文君                 林  芳正君                 平田 耕一君                 加藤 修一君                 木庭健太郎君                 平田 健二君                 梶原 敬義君                 竹村 泰子君                 藁科 滿治君                 山下 芳生君    国務大臣        通商産業大臣   佐藤 信二君    政府委員        通商産業省貿易        局長       伊佐山建志君        通商産業省環境        立地局長     稲川 泰弘君        通商産業省機械        情報産業局長   中川 勝弘君        資源エネルギー        庁長官      江崎  格君        資源エネルギー        庁公益事業部長  岡本  巖君    事務局側        常任委員会専門        員        里田 武臣君    説明員        環境庁企画調整        局環境影響評価  高部 正男君        課長        環境庁企画調整        局地球環境部企  岡澤 和好君        画課長     —————————————   本日の会議に付した案件 ○電気事業法の一部を改正する法律案内閣提出  、衆議院送付)     —————————————
  2. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  電気事業法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 おはようございます。通産大臣にはOECDお疲れさまでございました。昨日帰国と承っておりますが、帰国早々当委員会に御出席賜りまして心から御礼を申し上げます。と同時に、OECDでの御活躍に対し敬意を表したい、このように思っております。  電事法についてでございますが、これに関連いたしまして、これは大変大きな話題になっております中国民江の三峡ダムにつきましてお尋ねをしたい、このように思っております。  三峡ダムプロジェクトは、一九九三年から二〇〇九年までの十七年間をかけて中国揚子江中流の三峡地区に大変大きな規模ダム建設するということでございます。洪水防止発電、また水運の改善というものを目的としておる、このように伺っておりますが、まさに世界最大ダム、かつて古くは中国建国の父と言われております孫文建設を提唱して以来、自来七十年を経過しておるところでございます。  私も読み物その他で知っておるわけでございますが、高さが百八十五メートル、幅が千九百八十三メートル、最大幅が二千三百三十一メートル、大変大きなダムでございます。また、総貯水容量も三百九十三億立方メートルということのようでございます。発電設備容量が千八百二十万キロワット、このように言われており、また水没地区移転人口が百二十万と言われておるわけでございます。  この計画につきましては、通産省もいろいろと関与といいますか興味を持って調査もし、また協力もされておるようでございます。その点につきまして、通産省実施した貿易保険付保観点、また調査その他についてまず御説明をいただきたい、このように思います。
  4. 伊佐山建志

    政府委員伊佐山建志君) ただいま委員指摘のように大変壮大なプロジェクトでございまして、世界水利史上での最大級規模のものでございます。そういうものであるプロジェクトでございますので、大気、水質あるいは生態系といった環境面への影響、あるいは今御指摘ございましたように百万人を超える住民を移転させなきゃいけないというような面がございますので、我々も大変慎重にこの問題について多大な関心を持ちつつ見守ってまいったところでございます。  このプロジェクトのいろいろな観点からの効果でありますとか影響といったものにつきましては、現地調査三回を含めまして専門家の意見を聴取する、あるいは専門家にそれぞれの評価を御依頼するといったようなことをいたしまして検討を加えてまいりましたところでございます。  こうした検証いたしました結果を要約いたしますと、総合的には本プロジェクトは、今まさに御指摘ございましたように揚子江の中下流洪水抑制に大変貢献する。毎年この揚子江洪水によりましてかなりの数の方が被害をこうむっておられる。死者も大変な数の死者を出すようなケースも過去に何回もあったということもございまして、そういう洪水抑制に貢献するということは極めて明らかである。また、水力というクリーンなエネールギーを利用するわけでございまして、この結果、地球温暖化あるいは酸性雨抑制という点におきましても大きな効果があるのではないかというふうに評価されております。  住民移転自然環境の保護につきましては、これも我々大変心配いたしまして、現地調査の際にもいろいろと現地のそれぞれの当局あるいは住民方々実態といったものについて我々なりの観察を加えてまいりましたけれども、とりあえずは中国政府、これは中央、地方合わせてでございますが、そういったところから出てくるマイナスの影響につきましては相応の対策あるいは対応をとっておられる、あるいはこれからとる予定にされているということでございまして、ほかの類似のプロジェクト中国の中あるいは中国以外のケースと比較いたしましてもそれなりの必要な対策というものをきちっととってきておられるという評価をいたしております。  こういうふうなことを踏まえまして、私ども通産省といたしましては、隣国の中国ダム建設という大変意義のあるプロジェクト日本の知見を利用するということも決して悪いものではない、むしろ積極的にそういう問題に取り組んでもいいのではないかというお考えのグループも何人かおられる。あるいは他国の参加状況というものも勘案いたしまして、私どもの持っております政策的なツール、貿易保険、これを利用していただいてこの事業に参画するということを支援するのはよろしいのではないかということで、昨年の十二月に保険付保に対しまして内諾を与えたというところでございます。
  5. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 参考までにお聞きしますが、これは中国の国内の問題でございますが、今日我々はこうやって電事法を審議しておりますし、環境アセス法も今参議院の方に回ってきておるわけでございますが、中国自体はこのようなアセス関係の基準か法律か何か持っておるんでしょうか。
  6. 伊佐山建志

    政府委員伊佐山建志君) 中国におきましてもそれぞれ環境に関する法制度はもう大分前から整備いたしておりまして、特に本件につきましては若干ほかの一般的なものよりも特殊な部分もございますので、その実態に合わせた形で規則を改めて追加するといったようなこともいたしてきております。
  7. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 もう一つ環境庁お見えですか。  これだけの大きなダムでございまして、そういう経済的な面のほか、生態系を含めまして自然環境にも大変大きな影響があろうかと。これは中国大陸のみならずアジア、いや場合によっては地球規模影響があるんではないか、私ども素人でございますが、このように考えるわけでございます。そういう面で、まだまだこれは工事が始まったばかりでございまして何とも言えない面もあろうかと思いますが、予想される環境に対する影響環境庁ではどのように思っておられるか、お聞かせいただきたいと思います。
  8. 岡澤和好

    説明員岡澤和好君) 三峡ダム環境影響に対するお尋ねでございますけれども、私どもこうした海外の建設事業につきまして直接関与するという機会は持っておらない関係から、事業環境影響の詳細な情報ということは必ずしも承知しておらないわけでございます。  ただ、環境庁が入手した範囲情報から判断いたしますと、三峡ダム建設による環境影響ということについて、断定的に申し上げることはなかなか難しいわけですけれども、一般的に以下申し上げるようなことが指摘できるのではないかというふうに考えております。  まず、三峡ダムによる水力発電火力発電から代替した場合と比べてみますと、先ほど通産省の方からも御説明がありましたように、例えば酸性雨とか温暖化というふうな防止対策について貢献できるという一つのいい面がございます。しかし、その非常に大きな建設規模というものを勘案してみますと、ダム建設による水質への影響あるいは動物・植物相など自然環境に対する影響などは非常に大きなものがあるというふうに考えます。特に、揚子江とか東シナ海まで範囲を広げた影響が出るのではないかというふうに懸念するところでございます。また、このダム建設によりまして周辺の開発が進むことによって、さらに環境への影響が生ずるというようなことも懸念されるというふうに考えております。
  9. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 参考までですが、日本列島に対する影響は何か考えられるものはありますか。
  10. 岡澤和好

    説明員岡澤和好君) 私どもの把握しております情報、データというものが非常に限られておりますので、今断定的にそこら辺のところを申し上げることはできませんけれども汚濁が生じた場合、揚子江下流から海域の方に汚濁影響が移ってくるということは考えられます。ただ、海流の関係などを見ますと、日本の本土に直接影響するようなことはなかなか考えにくいのではないかというふうに考えております。
  11. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 この件についてはありがとうございました。  続きまして、これは五月二十七日の日経新聞でございますが、電力十社の決算が出ております。「電力十社すべて減益」、このように言われておるところでございます。これは九七年三月期の決算ですが、前年の九六年に比べまして一七・五%の減、このようになっておりまして、これは電気料金の引き下げ、また円安原油高燃料費が上昇した、このように書かれておるところでございます。いずれにしましても、日本電気料金というのは割高だと、このように言われておりまして、経済構造改革の中で二〇〇一年までには現行より二〇%ダウンさせるということが発表になっております。  そういう中で、電力といいますのはどうしてもピーク時に合わせて設備をつくっておるわけで、蓄電がなかなか難しいわけでございます。それを何とか平準化していくということがコスト削減に  一番大きなウエートを持っておるんではないか、このように言われておるわけでございまして、この負荷率というのが年々低くなってきておると。かつて昭和四十年代では七〇%の負荷率があったのが今日では五五%水準まで低下しておる、このように言われておるわけでございます。  そういう中で、負荷率を上げるということ、これは電気事業者また需要家消費者建築関係それぞれがやっぱり力を合わせて総合的にこの問題に取り組んでいかなければならないであろう、このように思う次第でございますが、この負荷率アップ平準化についての諸施策考え方についてちょっとお述べいただきたいと思います。
  12. 江崎格

    政府委員江崎格君) 電気事業は典型的な装置産業でございまして、今日本の場合ですと、大体電力需要ピークが出ますのは夏の昼間、主としてこれは冷房普及によるわけでございますけれども、そのピークに合わせまして設備をつくっております。そういたしますと、夜間ですとか、あるいは特に冬季になりますと稼働率が下がるということでございます。今先生指摘のように、四十年代はまだ冷房が余り普及していない時代でございまして、稼働率は大体七〇%ぐらいでございましたけれども、現在急激に冷房普及いたしまして、御指摘のように五五%ぐらいという負荷率になっているわけでございます。  現在言われておりますのは、この負荷率というものが一%下がりますと電気事業全体で大体千五百億円ぐらいのコストアップをもたらす、つまり料金でいいますと大体一%ぐらいのコスト上昇につながるという関係があると言われております。  そういうことでございますので、この負荷率を上げるということが大変重要な課題になってくるわけでございますけれども、その一番の対策としては、主たる原因であります夏季冷房需要に対する対応ということで、一つ夜間電力を使いまして氷とかあるいは冷たい水をつくっておきまして、そこで蓄えた冷熱を昼間放出する、これは蓄熱式空調システムと言っておりますが、まだこれは余り普及しておりませんけれども、これを普及促進するということを考えております。  それから、電気に頼らないガス冷房というのがございまして、これも大型のものはぼちぼち普及し出しておりますけれども、この普及をさらに促進したいというふうに考えております。  それから、工場などにおきまして大口需要家夏季ピークの時間帯で電力消費を削減して、オフピーク時に操業を移行するということを促すための需給調整契約というものがございますが、これもさらに契約者をふやしていこうという努力を促したいというふうに思っております。  こうした対策を進めていくために、電気事業者だけでは足りないわけでございまして、今先生指摘のように、需要家ですとかあるいは設備機器のメーカーといった大変広範な関係者努力といいますか協力が不可欠だというふうに思っております。  先般、四月一日に総合エネルギー対策推進閣僚会議という会議の場におきまして全体的な省エネルギー対策などを決めたんですが、その中の重要な柱として、負荷率改善に資する蓄熱式空調システム普及促進に向けまして、各種の環境整備助成事業実施といったようなことを内容とした政府一体として取り組むことを決定したわけでございます。  それから、五月十六日に「経済構造の変革と創造のための行動計画」というものを閣議決定したわけでございますけれども、ここにおきましても負荷率改善に向けまして具体策検討いたしまして、一年以内を目標負荷率改善目標を策定しようというようなことがこの閣議決定の中に盛り込まれております。  今後、通産省としましては、こうした内容につきまして電気事業審議会検討を進めまして、その過程で国民の方々の御理解を得ながら、こうした施策の着実な実施に向けて努力をしたい、このように思っておるところでございます。
  13. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 料金コストダウンについて平準化ということは大変大きな要素だ、このように思っております。もう一方で、今回のOECDでも通産大臣電力分割化、いわゆる発電送電分離ということの提言をなされておるようでございますが、かねてから大臣はこの問題についていろいろなところで発言されておるようでございます。一度、直接大臣のこの問題についてのお考えをお聞きしたい、このように思います。
  14. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 先ほど吉村委員の方から、今度の構造改革でもって日本電気料金が二〇%下がるというお話がありましたが、そうした数字が実は私の方では明確化していないので、一応今の場合には、表現としては二〇〇一年の段階で欧米に比べて遜色のないサービスをする、料金を下げる、こういうことでございます。  実はいろいろ研究させてもらった中でもって、ドイツという国、これが日本とよく事情が似ているということから、ドイツ負荷率日本よりも約二〇%高いというところからそうした数字が出てきた、かように御理解いただきたいと思うので、私の方はあくまで今申したように欧米に比べてやはり遜色がない、こんな表現をさせてもらっております。  さて、今御質問でございますが、その中でもってどうして料金を下げるかという中で、まず負荷率改善という、先ほども質問がございましたその点でございますし、もう一つはやはりlPP導入促進ということでございます。今それのもとになるというのは、発電事業の分野でもって公正な競争というものがなされるかどうか、やはり地域独占ということでどうしてもそういう弊害があらわれているんではないだろうかと、実はこういうふうなことがございます。  そこで、欧米に目を向けますと、アメリカの一部の州あるいはヨーロッパにおけるイギリス、スペイン、そういうところが発送電分離というのをやっている。こういうことで、これが検討の対象になるわけでございますが、この一番大きい違いは、欧米、特に欧州においては今まで国営化していたところが民営にして分離分割する、こういうことで、そこが日本とは大きな差があるわけでございます。  そこで、その中でもってやはり急には発電送電部門分離までいかなくても、経理方面でもって区分経理ということをしているところがあるということで、我が国においてもまず区分経理を研究しようじゃないか、この制度を導入しようではないかということでもって、発電部門送電部門を分けて経理する。そういうことになりますと、九電力の中でも既に施設である発電所というもの、またその中において原子力発電、これを先行している電力会社と、今から原子力発電所考えているところと大分差が出てくるわけでございますが、まずそれを手始めにやっていこう、それでもってどういうふうに下がってくるか、こういうことをよく見よう、こういうことでございまして、こういう方面をこれからの電気事業審議会の方においてお願いする、こういうふうなことになっておるわけでございます。  さらには、やはり各電力会社経営効率化というものを真剣にやってもらおうと。先ほど御質問が出ました電力会社が今減益ではというふうなことが出ておりますが、一部の電力会社では早々と来年度から電力料金を見直す、下げる、こんな実は発言をしておりますのも、これは今までのやはり各社の経営合理化効率化というものの成果だろう、かように考えております。
  15. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 ありがとうございました。  ただいま大臣の方からlPPお話が出たわけでございまして、ここにいただいた資料に平成八年度の卸電力入札リストがございまして、千八十一万キロワットの応札があって、三百四万キロワットが落札されたという数字が出ております。  まずお聞きしますが、潜在供給量というのはどの程度ございますですか。
  16. 岡本巖

    政府委員岡本巖君) 今、先生の御指摘のように、昨年度の募集に対して一千八十一万キロワットぐらいの応募があったわけでございますが、まだもっとたくさんポテンシャルがあるんじゃないかというふうにも言われておりまして、臨海型の立地企業工場拡張用地でありますとか港を初めとするインフラの保有状況でありますとか、そういったものに着目すればもう少しあるんじゃないかと思っておりまして、私ども近々に調査に着手をいたしまして、この秋までにIPPポテンシャルな能力というものを定量的に押さえる調査を進めるべく計画を持っておりまして、その結果を踏まえて各電力会社にできる限り先々IPPを活用するように要請してまいりたいと考えているところでございます。
  17. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 まだ潜在的な供給量は大まかな予測もできませんか。
  18. 岡本巖

    政府委員岡本巖君) 私ども自身調査でしっかりした数字を押さえたいと思っておりまして、これまで民間の一部のシンクタンクなんかが調査をされた結果では二千三百万キロワットというようなそういう数字も出ておりますけれども、私ども自身、各電力に要請するに当たりまして、先々これだけのものがしかと見込めるという、そういう数字を押さえたいと思っておりますので、私どもから自信を持って御説明できる数字調査の結果を待ちたいと思っております。
  19. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 いずれにしましても非常に画期的な制度でございまして、これがコストダウンに何らかのやっぱりいい影響を及ぼすであろう、このように思っておりまして、これをさらに推進していただきたい、このように思っております。  ただ、このリストを見てみますと、やっぱり火力が多いんですかね、火力が。
  20. 岡本巖

    政府委員岡本巖君) 火力は今新規の電源開発全体の中で半分を占めているぐらいでございますが、昨年度から実施をいたしましたIPP入札による卸電力の買い上げということは火力に限ってやるということになりまして、原子力は通常のIPP方々がやるのは難しゅうございますし、水力というのはどうしても場所的な可能な地点というのが物すごく限定されてまいりますので、そういう意味から火力という約半分を占めるものについてこういう制度を導入したところでございます。
  21. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 電力供給ベストミックスという観点からいくと、火力ウエートのある意味では限度というものもあろうかと、このように思っておりまして、私はこのIPP、期待するところは非常に大きいんですが、それはそれでやっぱりある程度の限界があるという量的な面もありますが、ウエートの面でも限界があるというようなことでしょうかね。
  22. 岡本巖

    政府委員岡本巖君) まさに今先生指摘のように、私どもこれからの電源開発に当たりまして、原子力、それから化石燃料水力、それからその他の新エネルギー電源、そういったもののベストミックスというものを追求することにいたしておりまして、これは安定供給という面と、それからもう一つCO2排出抑制という両面からベストミックスを求めていくということにいたしておりまして、そういう中で、火力という場合にどうしても石炭であれ、天然ガスであれ、あるいは残漉油のような石油系火力であれ、CO2の問題というのがございますから、全体のベストミックスの中で一定の位置づけを与えていくべきものというふうに考えているものでございます。
  23. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 実はきょう、衆議院の方で本会議があるということでございまして、大臣はそちらの方に御出席ということもお聞きしておりまして、ただ、それぞれ委員先生方もお忙しいわけでございまして、そういう面では終わりの時間も合わせなくちゃいけないだろうと思って私の質問はここで切らせていただきますが、最後に大臣日本産業にとって大変重要でございます電力供給について、毎年五百六十万キロワットぐらいの供給増をしていかなきゃならない、このようにお聞きしておりますが、大臣の基本的な考え方をお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  24. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今の御質問電力、これは言うまでもなく需要をまずいかに見るかということで、徹底した省エネをしなきゃいけないと。ことしの四月にも省エネ会議を開きまして、今ある省エネ法、これをやはり最大限に活用してまず抑えていく、こういうことだと思うんです。  それから二番目には、やはり新エネということ、こういうことも徹底的に開発しなきゃいけないということでございますが、それからあとは今お話原子力、こういうものとほかとのベストミックスということでございます。  今、委員からの御質問は、この五百六十万キロワットの開発、これを具体的にどういうふうに考えているのか、こういうことだと思いますが、これは今のようにその三つを主体としてやって、その中において特にこれからやはりIPPをいかに活用するかということに実は尽きてくるわけですが、そこでもって、先ほど申したことの繰り返しになりますが、やはり今までのように電力会社の方が一つの基準を設ける、料金を決めてそれに応札するというのは限界があるということで、電力会社とそれからIPPの応札会社と競争させるというふうな思想を持っていかなければ広がらないだろう、こういうことで先ほど申したような区分経理を初めとしてこれからの改革に取り組む、こういうことでございます。
  25. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 終わります。
  26. 加藤修一

    ○加藤修一君 平成会の加藤修一でございます。  五月二十三日、パリで国際エネルギー機関の閣僚理事会が開催されて、佐藤通産大臣も御出席されたということで大変お疲れさまでした。  私は、コミュニケで気候変動のエネルギー面について焦点が合わせられて議論がなされた、そういった点からいわゆるエネルギー関係閣僚としてのメッセージを、いわゆる地球温暖化に向けての阻止のためのCOP3、それに対しての交渉担当大臣に対してそういうメッセージを送ったというふうに伺っておりますし、それについては後ほど通産省に対して御答弁をお願いしたいなと思っています、その一部ですけれども。  それでは、まず最初に発電所アセスメントについて質問をしたいと思います。  通産省電気事業審議会需給部会、審議会の方の関係ですけれども、前に私もこの辺について取り上げて質問をさせていただいた経緯がございますけれども、いわゆる「国の主体的関与による厳格な環境影響評価手続」ということで、中の文書においてもかなりのところで厳格という意味を設けているわけでございます。  それで、今回のアセスメント法案に関連して発電所アセスメント、それの中で、発電所アセスメントの手続の中では三カ所にわたって通産省が審査するところがあるわけですけれども環境庁はある意味で第三者的な公正な評価あるいは意見が言えるというふうな私は理解をしているわけですけれども、許認可等を行う主務大臣、そういった審査に加えていわゆる第三者が審査のプロセスに意見の提出を通じて参画することが非常に大事だと私は思っておりまして、それを環境庁が行う、そういった意味ではより客観的にかつ厳正、厳格な審査を確保することができるでしょう。  その環境影響評価の中で方法書、準備書、評価書の三段階、そういうところについては先ほども申し上げましたように通産省が審査を行う、準備書の件については環境庁が意見を言うところがあると。残りの二カ所については環境庁が意見を言う機会はないんですけれども、より厳格なアセスメントを行うという点では残りの二カ所についても加えるべきであるというふうに私は理解しているんですけれども、その辺について御見解を承りたいと思います。
  27. 岡本巖

    政府委員岡本巖君) 環境庁との関係につきましては、これまでも実は私ども大変綿密な協議をやってきておりまして、省議アセスの段階でも発電所計画はおよそ電源開発調整審議会に上がっていくわけでございますが、環境庁はその法定メンバーでありますので、電調審上程に先立って十分に環境庁との間の協議を整えて、環境庁の御理解を十分にいただいた上で前に進めるということでやってきているわけでございます。  そういう考え方のもとに、今回準備書について法律環境庁長官の意見を伺うということで明定いたしておりますが、それ以外の例えば方法書の段階につきましても、これは調査のやり方について、手法の選定について私ども環境庁長官の意見を聞いた上で一定の指針をつくるということにしておりまして、そういうことを通じて環境庁のお考えというものを調査の手法の段階でも反映できるような仕組みを用意しているところでございます。  それから、評価書についての環境庁長官の意見の規定は確かに法律上書いてございませんが、私ども考えております評価書についての通産大臣の審査なり勧告、変更命令と申しますのは、準備書の段階で環境庁の意見をお聞きした上で、通産大臣が発した勧告に事業者が従って最終的な評価書を仕上げていないという場合に、間違いなく準備書に対する勧告に従って評価書を仕上げていただくというところを担保するものでございますので、内容的には環境庁の御意見というのは準備書の協議の過程で十分にいただいているもの、その実行を担保するというものでございますので、そういう位置づけのものとして評価書の段階ではあえて法律上の規定を置いていないわけでございます。  いずれにしましても、環境庁との連絡協議というのは運用に当たり十分に密なものを図ってまいりたいと考えております。
  28. 加藤修一

    ○加藤修一君 今の御答弁の中で、環境庁の意見を聞いて仕組みを用意している、それは方法書に関してということの答弁でしたけれども、この仕組みを用意しているということをもう少し具体的に御説明いただけますか。
  29. 岡本巖

    政府委員岡本巖君) 環境影響評価法の方にこの手続は規定されているわけでございますが、方法書に関しまして、法律の第十一条の第三項でございますが、その後半の方で「環境影響評価の項目並びに当該項目に係る調査、予測及び評価を合理的に行うための手法を選定するための指針につき主務大臣環境庁長官に協議して定める」という規定がございますが、いわゆる調査のやり方についての手法を事業者が選定するについての指針というものを私ども環境庁長官と協議して定めることにいたしておりまして、こういったものを踏まえながら私ども審査をし、必要があれば勧告をする、そういう運用を目指しているものでございます。
  30. 加藤修一

    ○加藤修一君 それはスコーピングの段階の話ということですね。
  31. 岡本巖

    政府委員岡本巖君) 方法書についての指針ということで今お答えを申し上げた次第でございます。スコーピングでございます。
  32. 加藤修一

    ○加藤修一君 私が先ほど来三段階という話で申し上げているのは、それが決まって、公告がされ縦覧、住民の意見の反映があって通産省における審査が始まる、その段階で環境庁が意見を言えるような明確に示したものがあっていいのではないかという意味合いで先ほどから申し上げているんですけれどもね。
  33. 岡本巖

    政府委員岡本巖君) 調査をどういうふうに進めるかという調査の手法については、先ほど御説明申し上げましたように、指針を策定して、それを踏まえながら私ども事業者に対して審査、勧告をするということにいたしているわけでございますが、そのベースになります指針を策定するに当たりまして、法律環境庁長官の意見を伺って指針をつくるということにいたしておりますので、調査のやり方についての環境庁の包括的なお考えを、この規定の運用を通じて私ども伺いながら進めていくということを考えているものでございます。
  34. 加藤修一

    ○加藤修一君 答弁になっていないという言い方しかできないんですけれども。  要するに、通産省説明で持ってきたこの図表によりますと、いわゆるアセスが始まる手続としてアセス項目、手法等の選定というその箇所で協議という話だと思うんです、先ほど来からお話しされているのは。そうじゃなくて、それが終わった後で今度縦覧に付すわけですけれども、それの段階で、それを終えた後で今度住民の意見を反映しなくちゃいけないという話になって通産省における審査が始まると。その段階で環境庁の意見を伺うということがあっていいんではないかということなんですけれども、私の質問がおかしいですか。
  35. 岡本巖

    政府委員岡本巖君) 調査のやり方については、先ほど来御説明申し上げているように手法の選定の段階の指針でまずやりまして、それからアセス法の中で準備書について環境庁の意見を伺うという協議をやることになっているわけですが、準備書の法定記載事項としましても、まさに調査のやり方というものも法律上明定されておりまして、そういうことを通じて調査のやり方が適切であったか否かということについての環境庁の御意見も伺うようになっておりますので、私ども今言ったような規定の運用を通じて環境庁の意見は十分に伺ってまいりたいと考えております。
  36. 加藤修一

    ○加藤修一君 先ほどから答弁、私は全く内容が同じだと思っているんですよ。私の質問に対しての答弁ではないと。私が言っているのは、公告して縦覧して住民の意見の反映がある。住民がいろいろ意見を言うわけです、住民だけに限らない、ほかのさまざまの方が意見を言うわけですから。それが今度通産省の審査の過程に入ってくる。入ってくるときに、環境庁だってそれは見たいわけですよ、見たいかどうかわかりませんが、要するに意見を言いたい部分があるかもしれない。私は、意見を言うべきであるというふうに理解しているわけなんです。そういうチャンスを環境庁に与えてもいいだろう、環境庁はそういう役割をすべきだと私自身も思っています。その辺についてどうかということなんです。
  37. 岡本巖

    政府委員岡本巖君) これは、環境影響評価法の一般規定にわたる事柄でございますが、発電所に限りませず、各事業者ともいわゆる調査の手法、方法書については環境庁の意見を伺うというようなことにはなっていなくて、むしろ事業者に対して各主務大臣が手法の指針となるべき事項を定めるということにいたしておりまして、その段階で主務大臣環境庁長官と協議するということにいたしているわけでございます。発電所は、それに加えまして準備書の段階で調査の実際のやり方ということについても環境庁と協議マターになっておりますので、その運用を通じて環境庁の御意見というのは十分伺っていくことができるものと私ども考えているところでございます。
  38. 加藤修一

    ○加藤修一君 こだわるわけでも決してなくて、どうも答弁の中身が私の質問に対しては対応した中身になっていないと思うんですよ。法案の説明という段階で終わっているような感じがするんです、法案だけの説明で。政令とかそういった面で何とかそういったことも考えられる余地はあるかもしれないんですね。ちょっと私はわからないので行政に質問しているんです、その辺のことについて。
  39. 岡本巖

    政府委員岡本巖君) 実際の運用ということに即して考えました場合に、環境庁との間で、私どもこれまでもそうでございますが、今後においても同様に臨みたいと考えておりますが、協議の中心になるのは準備書についての協議だと思っております。その中には調査の手法についてもございますし、それからアセス調査の結果、それからそれの評価にわたる部分、これももちろん含まれております。そういったことの環境庁とのすり合わせの中で、調査のやり方を含めて環境庁の御意見というのは一連の手続の流れでございますので、その中で十分に伺ってその意見を私どもの判断に適切に反映するということはしっかりやっていきたいと考えております。
  40. 加藤修一

    ○加藤修一君 答弁になっていないし、私はちょっと納得できないと思っています。質問対応した答弁にはここはなっていないと思います。  要するに、住民意見の反映がなされた後の中身になっているわけですから、手法の選定とかアセスの項目の選定云々のところの話じゃないんです、私の言っているのは。それはもう法律に書かれていて協議することになっているわけですから、それはわかりますよ。その後の話なんです。実際に動き始めて、そのときに環境庁の意見はどうなのかという話をしているわけであって、最後の三番目の審査のところもそうなんですけれども、いずれにしましても、時間の関係もありますし、そこで大臣、この辺について一カ所しか環境庁がかんでいないという話、私はそういう認識でいるんですけれども、三カ所あるところについて大臣はどういうお考えでいらっしゃいますか。
  41. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 実はこの法律をつくるときからの問題だったと思いますが、いずれにいたしましても、通産省環境庁も同じ内閣に入るわけでございます。同じ組織というか、内閣の組織体に入っておりますから、その都度問題があれば、また関心があれば質問があるし注意があるだろう、かように実は考えております。
  42. 加藤修一

    ○加藤修一君 まことに申しわけないですが、最後の方ちょっと聞き取りにくかったんです、申しわけございませんが。
  43. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今の話だと、第一段階でもって準備書があり、それからその次というか、段階で方法書、勧告、評価書、いろいろ分かれているわけでございますが、その都度この法律の中にうたっていないことでも関係があれば、当然環境庁の方から話があろうし、こちらの方からも相談をする、こういうことでございます。
  44. 加藤修一

    ○加藤修一君 それでは、より一層の厳格なアセスが展開できることを期待したいと思います。  今回の法案の中では住民参加といいますか、そういう意見を取り入れる、あるいは参加を原則的に考えていると。例えば第八条と第十八条におきましては、「環境の保全の見地からの意見を有する者は、」というふうになっているわけでございますけれども、この「者」というのは具体的に、例えば住民が入りますけれども、外国人とかあるいは在日米軍基地に住んでいる方々とか、あるいはさらに団体等々については含まりますか。
  45. 岡本巖

    政府委員岡本巖君) 場所的な限定は付しておりませんで、今例示に挙げられましたような方々すべて、御意見をお持ちの方々環境影響についての御意見を幅広く伺うという趣旨でございます。
  46. 加藤修一

    ○加藤修一君 場所的な制約がないという話ですので、海外という話も含めて、海外の環境保護団体が物を申してきたときについても入るということですね。
  47. 岡本巖

    政府委員岡本巖君) 私ども、そういう方々の御意見も伺う用意はございます。
  48. 加藤修一

    ○加藤修一君 それではさらに、国がなった場合はどうですか。国自体がこういう関係でやってきた場合については。
  49. 岡本巖

    政府委員岡本巖君) 先生お尋ねの御趣旨は、外国の政府ということでございますか。
  50. 加藤修一

    ○加藤修一君 ええ、そういう意味です。
  51. 岡本巖

    政府委員岡本巖君) これは、私ども、今の少なくとも法律の規定で予定している範囲の中には入ってこないというふうに考えております。
  52. 加藤修一

    ○加藤修一君 昨日、環境特別委員会があったわけですけれども、同じ質問をいたしました。環境庁が観念上は国が入るという表現をされていましたので、ちょっと私も頭の中が整理できないものですから、これ通産省に確認しようと思って今質問したわけですけれども、統一とれていないという気がちょっといたしますね。  それはともかくとして、ただこういう住民参加というんですか、場所に限らずという話でこういう条項を入れたということについては、私は積極的に評価したいと思っています。同時に、情報公開に関しても細やかな整備を行う必要があるのではないかなと思うんです。  今、「者」という範囲、定義について考えていったときに、海外の諸団体も入るということですから、その意見を伺うに際して、近くの住民は縦覧が一カ月とか意見を言うのが二週間という範囲である意味では対応できると思うんですけれども、海外から云々という話になった場合にそういう余地が極めて少ないように思うんです。  そういった意味で、通産省という省でございますから、この電事法のアセスについて調査、予測、評価、その実施状況並びに結果を例えばインターネット等で公開するとかそういったお考えはございませんでしょうか。
  53. 岡本巖

    政府委員岡本巖君) 調査の結果につきましては、一義的には各発電所の場合には事業者が公告、縦覧を行い、あるいは住民への説明会を行いということで予定されておりまして、事業者における対応として、インターネットの活用を含むいろんな媒体による住民方々への情報提供というものは望ましいものと考えております。  ただ、政府としての情報公開につきましても、私ども極力努めてまいりたいと思いますが、インターネットの活用という特定の手法、方法による情報の提供という点についてはいましばらく勉強させていただきたいと思います。
  54. 加藤修一

    ○加藤修一君 先ほど吉村委員からも話がありましたけれども、ちょっと質問を変えますけれどもIPPによる電源立地あるいはCO2の発生等の話がございました。この質問をしたいと思いますけれども、ちょっと質問をスキップさせていただきます。  IPP関係でさまざまなことが行われていて、いわゆる入札を含めて随分と拡大していく可能性もあり得るということで、例えば電気事業審議会の需給部会によるレポートを見てみますと、「発電市場の自由化に伴う環境保全の確保」ということで、平成七年に改正された電気事業法に基づきIPP入札が行われたわけですけれども、いわゆる対象規模要件、火力発電所の場合は十五万キロワットぎりぎりの火力発電所の計画が多く落札したという話がございます。  要するに、新エネルギーの拡大をするよりも火力発電とか石油エネルギー、そういった方面のものが伸びてしまわないか、あるいはそういったことから結果としてCO2の排出総量も伸びてしまうことが懸念されるわけですけれども、その辺のことについてちょっとお考えがございましたらお願いします。
  55. 岡本巖

    政府委員岡本巖君) 新エネルギーの開発ということについては、電力関係して申しますと、風力でありますとか太陽光発電でありますとか、既に一部そういう試みを実施に移されている方もおりまして、電力会社に対しては余剰電力購入メニューでありますとか、あるいは回避可能原価での買い取りを私ども指導するという形で新エネルギーの発電普及して拡大していくことを側面からお手伝い申し上げているわけでございます。  それから、CO2との関係では、基本的にはこれからの需要増を賄うための電源の開発をどういう燃料種のものによって対応していくかということに大きくかかってまいろうかと思いますが、先ほども御答弁申し上げましたベストミックスというものを追求する中で、CO2排出抑制というのは非常に大事な視点として、私どもそれを踏まえて対応していきたいと思います。  それから、IPP方々の多くが化石燃料ということで、CO2との関係では私どももその問題の所在というのは認識をいたしておりますが、これも全体の電源構成ベストミックス範囲内で火力系の電源の総量というのをめどをつけるという中で、一定の範囲内にとどめるようにこれからも運用してまいりたいというふうに考えております。
  56. 加藤修一

    ○加藤修一君 そういうCO2の総排出量の関係についてさらにお聞きしたいわけですけれどもIPPに限らずいわゆるCO2を発生する発電所、その発電所別にCO2の排出の算定と公表を私はしていただきたい。それはアセスに関してもそうなんですけれども、その辺について伺いたいのですが。
  57. 岡本巖

    政府委員岡本巖君) 中央環境審議会の答申にもありますように、CO2問題のように不特定多数の活動により影響を受け長時間かけて環境保全上の支障に至る性質の問題については、個別の事業環境に及ぼす影響として予測、評価することは一般的に困難であるというふうに認識をいたしております。  このため、現在行っております省議アセスにおきまして、CO2に関連しましては、私ども実行可能な範囲内で排出を低減するという観点から、CO2排出量をできるだけ減らせるような高効率の発電方式の採用というのを検討し、お勧めするということで対応いたしておりまして、これを基本にいたしたいと思っております。それから、日本発電所の単位発電量当たりのCO2排出量というのは、先進六カ国の発電所に比べて約七割ということで低い水準に現状至っております。  お尋ねの個別の発電所でございますが、私ども環境審査の段階でも燃焼効率、熱効率の点というのはできるだけ高いものを採用するようにお勧めいたしたいと思っておりますが、CO2の排出を抑制するという観点からは、むしろ電源構成のベストミックスを追求するというのがどうしても大きな対応の柱になってまいろうかと思いますので、そういう電源種別の選択、それから熱効率の高い発電設備をできるだけ採用するようにという、そのことの対応によって臨みたいと思っておりますので、個別の発電所ごとのCO2の排出量を公表するというようなことについては慎重に考えてまいりたいと思っております。
  58. 加藤修一

    ○加藤修一君 個別事業であるのでということと、中環審の話をもとにして困難であるというような御答弁であったと思いますけれども、いまいち困難であるという理由がちょっとわかりづらいなと思うんですけれども、もうちょっと説明いただけますか。  私が思うには、使われる燃料というのは原単位を考えていけば簡単に算定はできるわけですから、あとそれをもとにして公表するしないということ、私はとりわけ公表すべきだと。公表してどれだけ是正されたか、削減されたかということも明確にその辺についてはわかるように思いますけれども
  59. 岡本巖

    政府委員岡本巖君) CO2の排出ということについては、むしろその総量を私ども極力抑えるということを目標にすべきかと思いますので、これまでも発電所全体についてのCO2排出量がどういうふうにふえたか減ったか、そういったことについての情報の御提供というのは進めてまいっているところでございますが、個別の発電所についてのCO2の排出量というのを測定して公表するということによる効果というのがいかばかりのものがあるかという点について、私ども必ずしも今すぐ理解できないところもありますので、むしろ地球環境問題との関係でまずもって大事なのは総量を抑制するということかと思いますので、日本火力発電所全体としてCO2排出量がどういうふうな推移になっているかということについて国民の方々に適切な情報提供をしてまいりたいと  いうふうに考えております。
  60. 加藤修一

    ○加藤修一君 今御答弁の中にCO2の総量を抑えるということの話がございました。  地球温暖化問題ということを考えていった場合には、主な犯人、主犯というのはCO2がふえてくるということによって地球温暖化が進むという話ですけれども、基本的には温暖化の原因はCO2で、第一段階としては要するに一九九〇年の地球全体の水準にすると、二〇〇〇年までにですね。さらに、第二段階としては二〇〇〇年以降について九〇年水準以下にしていこうという考え方がある。それによって地球の温暖化を阻止するというふうに基本的に考えていいと思いますけれども、これについてはどうでしょうか。
  61. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 現在の条約におきましては、先生指摘のとおり、九〇年レベルに総量を安定化させることを目的として各国がそれぞれの政策措置をプレッジし、実行に移すということにしてございます。  二〇〇〇年以降につきましては、現在の条約を超えた問題でございまして、九五年に開かれましたベルリンでのCOP1締約国会議において二〇〇〇年以降の数量目的と政策措置の内容をことし十二月、京都で開かれますCOP3までに決めるというところまでが各国の合意をしているところでございます。
  62. 加藤修一

    ○加藤修一君 要は、地球温暖化というのは地球全体のCO2が増加するから起こるという理解でよろしいですね。イエスかノーかで。
  63. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 原則的にはおっしゃるとおりでございます。  ただし、炭酸ガスが主要な、世界的には七割程度のシェアでございまして、残り三割は御承知のようなその他のメタンガス等のガスがございます。
  64. 加藤修一

    ○加藤修一君 主犯がCO2の増加であるということですね。  それで、通産省産業構造審議会地球環境部会の中間報告では、いわゆるCO2の排出権の取引、これについては否定的であるというふうに私理解しているわけですけれども、それから環境庁の地球懇の報告書では比較的好意的であると。こういった意味では、政府部内で意見がちょっと合わないなというふうに受け取っているわけですけれども、今回、先ほど冒頭に申し上げましたIEA閣僚理事会でいわゆる排出枠取引を導入する方向に日本も合意した、賛成したと、そういうふうに聞いておりますけれども通産省も排出枠取引に賛成となったと理解していいのかどうか。
  65. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今のおっしゃる会議、私出させてもらいました。集まったのが御存じのように各国のエネルギー担当大臣ということで、中には環境大臣も兼ねている方もいらっしゃいましたが、その中の議論は、今おっしゃるようにEuの意見、これは一律削減というふうな話でありますし、それからアメリカの方は今の排出権の取引、このような話でございますし、それから豪州、ノルウェー、これは差別化ということの主張でありまして、一口に言うと、あの場でははっきりした、どこが何したということは決まったわけじゃございませんが、やはりこれを現実的でそして実行ができるようなことにしようじゃないかと、こういうことで別れたわけでございまして、日本における私の発言というのは、今のヨーロッパの話というのはどうも縫い目があり過ぎて難しい話だと、それからアメリカの話に関しては若干批判めいたことを発言したと、こういうことでございまして、今委員指摘のように、日本がどういう案を出したとか決めたとか、こういうことは一切ございませんでした。
  66. 加藤修一

    ○加藤修一君 コミュニケ、とりわけ「気候変動のエネルギー側面」のところですけれども、その中で六番目、「閣僚は、費用対効果、公平性、国や部門毎の状況の差異を考慮することが数量化された温室効果ガス排出抑制削減目的や政策措置のレベル・内容を定める上で重要であるという認識の下、気候変動に対して採りうるエネルギー関連の対応策について議論し、以下のとおり合意した。」と書いてある。合意したその中身について実は「国際的あるいは国内的な排出権取引や、」云々と書いてありまして、「温室効果ガス排出量をコントロールする効率的な手段となり得る。」というふうに書いてありますから、合意ということから考えていきますと、それは賛成というふうな理解は成り立つんでないかなと私は考えますけれども
  67. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) ちょっと補足的に御説明申し上げますが、今御指摘のありましたコミュ二ケ案の中には、受け入れ可能なシステムが案出されれば、この排出権取引その他が効率的な手段となり得るという指摘になってございます。これは、理論的にはコスト面でこの排出権取引も効率的なシステムとなり得るものではございますけれども大臣から御説明申し上げましたように、各国の各種の主張の中で、例えば排出権の初期割り当ての公平性を必ずしもこの排出権取引は担保するものではございません。また、各国からの意見の中にはあるいは考えの中には、これを実施するためのモニタリングなどの問題点が種々ございまして、こういうものを十分検討することが必要であるというような意見もございます。    〔委員長退席、理事沓掛哲男君着席〕  したがいまして、「受け入れ可能なシステムが案出されれば、」という留保条件の中でこのコミユニケが合意という表現を用いたものでございます。
  68. 加藤修一

    ○加藤修一君 まだ私自身はちょっと今の答弁を聞いて整理できない部分があるわけなんですけれども、要するに受け入れ可能なシステムが案出されればという話で、これは一つ逃げの話になりかねないなというふうに私は理解している部分がございます。要するに、ちょっと理解できない答弁の部分があるということなんですけれども、仮に排出枠取引を行うとすれば、そのためには前提として各国に排出枠を明確に設定する必要があると思いますけれども、これについてはどうですか。
  69. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 排出権売買は基本的にはそれぞれが持っております排出することが可能な枠の売買でございますので、おっしゃるとおり、最初に各国がそれぞれそうした枠を持つということが前提でございます。したがって、それを売買すると。ただし、その枠についてどういう枠配分をするかということはこれからの議論ということになろうかと思っております。
  70. 加藤修一

    ○加藤修一君 通産省は仮に先進国各国がそれぞれ排出量を、二〇〇〇年以降という話になりますけれども、九〇年水準より削減すると、そういった目標がいわゆる京都会議のCOP3で決まった場合、それをやり遂げる自信というのはありますか。    〔理事沓掛哲男君退席、委員長着席〕
  71. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 二〇〇〇年以降のレベルの議論につきましては、今まさに各国が各種の議論をしておるところでございますし、またレベルの議論そのものの前に、どういったフレームワークで検討をするかという議論をしているところでございまして、一概に九〇年レベル以下に抑えたときにどういう対応になり得るかというお答えは極めて難しいわけでございますが、現在の国が持っております目標、一人当たり二・六トンを二〇〇〇年以降安定をさせるという目的でございますけれども、これが現在極めて実現は難しい状況にございます。  これは一人当たりの数量でございますので、合わせて人口を掛けた総量にすればなおさらに難しい状況でございますので、こうした状況を見ます限り、二〇〇〇年以降九〇年レベル以下に抑制するという目標が仮にあったとすれば、その実現は我々としては非常に難しいものと考えてございます。
  72. 加藤修一

    ○加藤修一君 今の御答弁は、自信がないという理解でよろしいですか。
  73. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 大変難しい状況であるというふうに考えております。
  74. 加藤修一

    ○加藤修一君 難しい状況というのは今の状況の中での判断だと思いますけれども、何らかの政策的なことを考えて、何とか自信が芽生えてくるような方法というのは考えられないんですか。全然手放しですか、今の状態では。全然やらない、難しい、困難と。それはできないということと同じだと思いますけれども、要するに、逆に言うと自信があるような形ではやっていけそうもないということですよね。
  75. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 各種の対応措置にそれぞれ社会的な裏づけ、反響などもございますので、そうした措置の難易度などを念頭に置けば、やはり現在の状況では非常に難しいものと理解をいたしてございます。
  76. 加藤修一

    ○加藤修一君 ちょっと話が前後しますけれども、先進国全体としては排出量を減らさなければいけないということは自明なことだと思います。  そうした中で、排出枠の話をしますけれども、我が国に割り当てられる排出枠、これは条約の基準年である一九九〇年の排出量に対してふえることになりますか、減ることになりますか。ちょっとその辺の判断をどういうふうに考えていますか。
  77. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) アメリカの提案しております排出権売買というのは、一つの枠組み、それぞれの排出権の枠が決まった後に売買をしようという柔軟化措置の話でございまして、冒頭の枠そのものについてはどうするかという議論は提案になってございません。それは、むしろこれから各国がどういった目標値を定め、各国ごとにそれを目的とするかということによって決まってくるものでございます。  したがいまして、日本についてお尋ねのようにどのようなものになるのか、これはまさにこれからの京都に向けての議論の内容によって決まるものでございます。
  78. 加藤修一

    ○加藤修一君 何回か温暖化の問題について質問させていただいておりますけれども、大体答弁はそういう話が多いんですね。これから検討これから検討と。ほかの委員会も大体そういう答弁が多いわけなんですけれども、どうもその辺、通産省の判断というのは白黒が全くわからないんです、どっちなのかというのが。そこを明確にしていただきたいというのがあるんです。  要するに、COP3については日本が議長国になっていると。議長国だから言い切れない部分が、非常にセンシティブな問題があるから言えないという答弁は前回か前々回に大臣から伺っておりますけれども、そんな状態じゃないんです。やっぱりリーダーシップをとって、イニシアチブをとってやらなくちゃいけないというふうなことが課せられていると思います、私は、議長国としては。
  79. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 気候温暖化問題というのは、各国のエネルギーにかかわる利害が相当絡まったものであることは御理解のとおりでございます。  我が国といたしましては昨年十二月に提案をいたしてございまして、御承知の複数選択制の提案でございます。この提案に対しまして各国がそれぞれのまた提案をしておるわけでございまして、こういう各国の議論の中で煮詰まっていくべき性格のものと理解をいたしてございます。
  80. 加藤修一

    ○加藤修一君 ちょっと人ごとみたいに聞こえたんですけれども、煮詰まっていくものと考えておりますではなくて、煮詰めていく立場ですよ、日本は。そうだと思います。各国がいろいろ出してくる中で、自分たちも、日本も出しますというんじゃなくて、日本はイニシアチブをとってどういうふうにまとめていくかという話だと私は思います。  一人当たりとか総量の話、昨年出しているという、それは私も存じ上げておりますよ。それについては目標年次も確定していないし、量も確定していない話です、あれは。抽象的な話だと思います、一つは。  私は答弁がなかなか理解というか、すぐ頭に入ってこないんですけれども、要するに通産省としては、日本の排出量を一九九〇年レベルより減らさなければいけないという約束には断固反対の方針なんですか、どうなんでしょうか。
  81. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) これは非常に事務方は話しにくい話でございます。私からあえて申し上げますが、率直に言って、先ほどIEAの各国の閣僚の話を一部紹介いたしましたが、まず大前提は、各国とも地球温暖化、これは何とかして防がなければ大変なことになるなということで、非常に環境問題に関しては我々は前向きでいこうというのが大前提になったわけです。  それからまた、各論に入りますが、その中において一つ先ほどの中で私自身が抜けていたのは、やはり技術の開発というか新エネ、そしてまたCO2が出てくるものをいかにするか、そうした技術的な開発、これを急がなければいけない、こんな話が実はあったわけです。  そして、先ほど申し上げましたように、アメリカ、豪州、それからEUの方の話、いろいろな話があったわけですが、必ずしもEUの中でも今一応決まっている一五%削減ということに関して、EUとしてはそうした結論を出しておりますが、各国はそれぞれ事情が違うような言い方をしておりました。  そこで、私自身率直に言って、これは大変な会議が十二月にあるな、日本は今おっしゃるように議長国だなと。イニシアチブをとるというが、いかにしてとるのか。その前に、議長国とは別に日本としての対応対策というもの、これをやはり早く結論を出さなきゃいけないなと。ただし、CO2ということになりますと、必ずしも通産省管轄ではなく、輸送部門、これも非常に大きな要素がございます。  そして、先ほどから申しているように、前に決めた一人頭二・六トンどいうものも、現在二・七トンであり、達成の見通しが難しいという状況にあるのは、当初考えているほどに省エネという効果もないんでしょうし、そして新エネというものの開発、これもやはり予想よりか進まない、こういうもろもろがあるので、そこで率直に言えば今のように、私自身もきのう帰ってきて、この問題は早くやはり各省との調整というものをやらなければいけない、こう思って実は帰ってまいりました。  そこで、まだ肝心の通産省の内部においてもその話をしてないということで、これからの問題だというふうに御理解いただきたいわけでございますが、今委員指摘のように、これはこのまま人ごとのようなことでは済まされない問題だなと、こうした認識を持っている、こういうことを披露しておきます。
  82. 加藤修一

    ○加藤修一君 大前提としては、環境保全ということを考えていかなければいけないということと、今の大臣の答弁はかなり積極的な意味合いで私は受け取りましたけれども、要するに、要は日本の排出量目標が一九九〇年比で削減になっても、それだけをもって通産省は必ずしも反対しない、そういう理解で受けたんですけれども、よろしいでしょうか。
  83. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) まだどういうふうな結論が出るかということを予測する段階ではないと、こんな認識を持っております。
  84. 加藤修一

    ○加藤修一君 この問題についてたびたび質問している中で、いわゆる過去の省エネ努力が反映されるような公平な約束、こういう答弁を見かけるように私は思うんです。これは言葉として理解できるような感じがしてくるわけなんですけれども、一体、具体的に過去の省エネ努力の大小をどうはかって、しかも目的の中にどう反映させていくか、そういったことも当然考えなければいけないわけですけれども、常に公平な約束云々というふうにおっしゃっているわけですから、その辺のお考え、御見解というのをお伺いしたいと思います。
  85. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 過去の省エネ努力あるいはエネルギー構成にかかわる努力を反映した公平な原則であるべきだという主張の中で、これをどういうふうなフォーミュラで測定をするかということは確かに難しい内容でございます。一般的にこれが象徴的にあらわれてくるのは一人頭の排出量でございまして、現在その一人頭の排出量をもって、それが過去の努力その他が象徴的にあらわれたものとして扱おうという提案をしているところでございます。
  86. 加藤修一

    ○加藤修一君 それが公平というのはちょっとよくわからないんですよね、非常に。何かいろいろと調査のレポートを読んでみますと、多基準分析ですか、そういったものをもとにしてやったり、何かいろいろやっていますけれども、実際問題なかなかこの公平性というのを確保した形で進めていくことは難しいんじゃないかと私は理解しています。仮に公平な国際約束ということが、いわゆる今の答弁にありましたように一人当たりの排出量目標枠について、それが政府の提案に結びつくということになるわけですけれども、大事なのは過去の努力よりもやはり今後のことだと思うんですね。その点で、一人当たりの総排出量、一人当たりの排出量目標、これよほど低い方向にしておかないと大きな問題が生じると思うんです。  例えばどう問題かといいますと、発展途上国は一人当たり二・七トンとか六トンとかそういったところまで段階行ってないと思うんですね、行っているところもあるかもしれませんが。要するに、一人当たりそういったレベルまで大気を汚してもいい、あるいはCO2を排出してもいいというそういう担保を与えてしまうことになりませんか。
  87. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 現在議論しておりますのは先進国の中での義務あるいは排出量の配分の議論でございます。したがって、途上国がこの枠の中から仮に一人頭という基準でやったとしても、義務づけの範囲外であることではあります。  ただし、これは途上国がそれなりに今後経済成長をしていけば、現在の一人頭の排出量よりもどんどんふえていくことは当然でございます。そのときに、今先進国の平均が一人頭三・五トン出しておりますけれども、三・五トンあるいはこれを若干削減して三・〇トンまで途上国が伸ばしていい、炭酸ガスを排出していいという受け取り方もありますが、他方では一人頭で〇・六トンというようなエネルギー消費量を拡大していくプロセスの中で、炭酸ガスを排出していいという表現ではなくてエネルギーの消費はふえていくということだろうと思います。  したがって、我々途上国との対話で今も言っておりますのは、エネルギー消費がふえていくふえ方をエネルギー効率を上げて抑制をしようと。これが途上国にとって経済成長のための原資となるエネルギー費用を削減して経済の発展につながるものではないか、それを裏返せば炭酸ガスの抑制につながるというものでございます。  そういう意味で、汚していいという、炭酸ガスの観点からの議論もありますが、途上国の問題については経済成長のためにエネルギー消費を当然にふやすでしょうと、そのふやし方がエネルギー消費効率を上げることによって大きくふえないものになることが途上国のためにもなるというような表現で対話をしておるところでございます。
  88. 加藤修一

    ○加藤修一君 先進国が今平均で三・五トンということでしたね、一人当たり。
  89. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 現在です。
  90. 加藤修一

    ○加藤修一君 現在ですね。仮にその一人当たりの排出目標を決めたとして、そこまでやっていいんだというとらえ方はできるんじゃないですか、できませんか。いろいろと御答弁ありましたけれども、それは非常にシンプルに受け取られる話だと思いますよ。
  91. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 途上国にして見れば、先進国並みのエネルギー消費量を行って生活を豊かにしたいと思うことは当然であろうと思います。ただし、それを炭酸ガスの表現で、そこまで汚していいんだというのか、それとも途上国が先進国並みの一人当たりエネルギー消費をして生活を豊かにしたいと思うとしても、それ自身を非難することはできないというふうに考えるのか、表現の問題だと思っております。
  92. 加藤修一

    ○加藤修一君 いずれにしても、非常に大きな問題だと思いますし、先進国が二〇〇〇年以降どういう形で削減するかということが、やはり大きなポイントがCOP3だと思います。ですから、通産省の方でも、それについては本当に削減の方向に向けて大きな努力をしていただきたいと思います。  先ほど来、排出枠の取引制度、そういったことを導入する、しないというような議論も出ておりますし、そういったことについてちょっと考えたいんですけれども。先進国全体の排出量を減らしつつ、実は我が国の排出量を減らさないといったことも可能になる場合がある、これを用いれば。このようなフレキシビリティーに富んでいるのがある意味では排出枠取引制度だと思うんですけれども、これについて、この仕組みに対して賛成するということであるならば、我が国としても厳しい削減目標を受け入れてはどうかという考え方も成り立つと思うんですけれども、どうでしょうか、この辺は。
  93. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) この排出権売買構想は効率的に費用効率を高めた削減を進めようというアイデアでございます。したがいまして、この考え方自身に我々特段今直ちに反対とかいう立場ではございませんが、ただその大前提として、先ほど委員からも御指摘がございましたように、当初の排出枠をどう配分するかというところに公平なものがなければならないというのが第一点。  それから、この排出権売買そのものは頭の中で考えられたものではありますけれども、御存じのように炭酸ガスというのは半分以上が非常に小口の排出でございます。自動車から出てくる、家庭から出てくる、そういうものをどうやってモニターするか、しかもそれを各国が売買するときにどういう形で市場を形成するのかというような技術的な問題がございます。  したがいまして、御指摘のような問題を検討する前に現実に実行をどうするか、きっちりした実行が可能かということを検討するべき段階であろうかと思っております。
  94. 加藤修一

    ○加藤修一君 どう整理していいかちょっとわからないんですけれども、なかなか白黒がついてないという感じがするんですね。どうも通産は環境保全にある意味では消極的な部分もあるのかなと思ったり、大臣の話を伺っていますと積極的にやっていくという話で私も受けていますけれども、もう少し踏み込んだ形で議論するということが必要じゃないかなと思います。  我が国が排出量をふやせる余地をあくまで追求するような姿勢を仮に見せたとしたら、どうも伺っている雰囲気では何となくそんなことが考えられるのかなと、オプションとして。この状態でいくと大変だという話もありました。二〇〇〇年以降については自信がないとも自信があるとも、何ともその辺は白黒つけた明確な答弁はいただいていないわけですけれども。要するに、そういったふやせる余地をあくまでも追求するような姿勢を見せたのでは、やはり到底ほかの先進国ともそういった積極的に排出量を減らすということには私はならないと思いますし、まして途上国は今の地球温暖化の問題というのは先進国に責任があると、中国はもう物すごい大きな声を出して言っているわけですよね。要するに自分の責任としては受けとめていないと、発展途上国としては。そういったことから、やはり将来の子孫が苦しむことは当然な帰結なわけです。  通産省はいろいろと経済発展などさまざまなことを考えなければいけない部分がたくさんある。そういうことから考えていきますと、今回行革、いろいろ話が出ているわけですから、環境保全についてはほかの省庁に任せたらどうかなと思うんですけれども、どうでしょうか。
  95. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 地球環境問題の重要性は省としても十分認識をしておるところでございます。ただ、本件、かつて二〇〇〇年目標を現行条約に基づいて各国がプレッジをした中でこれを実現できる国はほとんどないというこの現実を見ながら、今後の問題について実行のできないことを各国は約束し合うような条約交渉にはしたくないという思いを持っております。  ただし、冒頭申し上げましたように、地球環境問題の重要性は省として十分に認識をしているところでございます。
  96. 加藤修一

    ○加藤修一君 私は問題発言があったように思いますけれども、それは別の機会にやりたいと思います。  次に、待機電力についての現状と対策ということで、待機電力説明を含めながら現在の状況と対策についてお伺いしたいと思います。
  97. 江崎格

    政府委員江崎格君) 待機電力の現状でございますけれども、私ども直接調査したデータはないんですけれども、財団法人省エネルギーセンターというところが調査をしておりまして、これによりますと、家庭で消費する電力量の大体一割ぐらいというのが機器を使用しなくても消費し続けるいわゆる待機電力というふうに言われております。  これへの対応でございますけれども、家庭用の機器でありますテレビですとかVTR、これらにつきましては、待機時の消費電力を含めまして、現在省エネ法に基づきます省エネ基準というものを設定しております。  それから、いわゆる複写機などのOA機器でございますが、これにつきましては、待機時の消費電力の少ないOA機器に適用します日米共通のマーク制度、これはエネルギースターマークと言っておりますが、こうした制度を行っておりまして、これ九五年度から実施しておりますが、ユーザーに対して、つまり省エネ効率の高いOA機器かどうかをわかるようにしてそういったものの普及を促すという仕組みをとっております。  それから、政府でいつも年二回、夏季と冬季の省エネルギー対策というものを決めて広報活動をやっておりますけれども、この中におきまして家庭における十の提言というものを出しておりまして、その中で電気製品につきまして極力主電源を切るようにという訴えなどを行っております。  いずれにしましても、当省としましても今後さまざまな機会をとらえまして、待機時の消費電力の削減に向けてなお一層努力をしていきたいというふうに思っております。
  98. 加藤修一

    ○加藤修一君 この待機電力という言葉は、現在の電力消費のむだをあらわすキーワードになっているという意見もございますけれども、それについてはどういうふうな判断をされていますか。
  99. 江崎格

    政府委員江崎格君) 現在、こうした家電の機器メーカーなどにつきましても相当こういった意識が出てまいりまして、極力待機時の消費電力を減らすというような機器開発にも大分力を入れ出しているというふうに伺っております。  キーワードと言えるかどうか、それはわかりませんけれども、相当関係者の間での問題意識は高まっているというふうに認識をしております。
  100. 加藤修一

    ○加藤修一君 十の提言、あるいはその提言の一つとして主電力を切るようにするという努力一つ考えられるという話ですけれども、そもそも一般の家庭で待機電力という需要量、一般の平均的な家庭で何%ぐらいありますか、その辺の調査はございますか。
  101. 江崎格

    政府委員江崎格君) 先ほど申し上げましたけれども、財団法人省エネルギーセンターというところの調査によりますと大体一割ぐらいがこの待機時の消費電力というふうに言われております。
  102. 加藤修一

    ○加藤修一君 これ調査に当然よるわけです。被験者によりますので、それは一概に言うことはできないと思いますけれども、一割といえば相当の量だと思うんですね。熊本大学のある先生調査によると約二五%ぐらいになると。そうしますと、九州電力原子力発電所の比率が発電能力で約二二%だということですから、要するに原発を、単純な見方ですけれども、原発をとめてもいいと。原発がどうのこうのという話を私しているわけじゃなくして、要するに待機電力が極めてそういった意味では大きいという話をしても差し支えないと思うんですね。  ある調査によりますと、待機電力を一戸当たり平均七十ワットとすると、日本全体で出力百万キロワット級の大型発電所三基分の電気をむだ遣いしているという話なんですね。  先ほど来スター云々の話が出てきましたけれども、そういったことについても、あるいはそれを詰めて例えばさまざまな機器の省エネに向けて一生懸命御努力されていると思いますけれども、一層の努力をして、こういった待機電力あるいはむだにエネルギーを使っている部分についてもっと喚起すべきだというふうに考えております。その辺についてもう一度御答弁お願いします。
  103. 江崎格

    政府委員江崎格君) 先ほど申し上げました家庭での一割ぐらいの電力消費量というのは、大体原油換算で二百二十万キロリットルぐらいと言われておりまして、百三十五万キロワットの発電所一基分ぐらいに相当する電力でございます。ですから、そうしたものを仮に完全になくすることができれば、そのぐらいの発電所一つを節約できるということになろうかと思います。  省エネルギー対策でございますが、従来からも家庭向けの日ごろ身近にできる省エネルギー対策というものを、夏、冬、私ども二回に分けまして、政府全体で関係各省協力して訴えるということをやっておりまして、こうした努力を今後とも、特にこの待機電力というものを視野に入れまして、重点を置いて広報活動をやっていきたいと  いうふうに思います。
  104. 加藤修一

    ○加藤修一君 コンピューター二〇〇〇年問題もございますけれども、時間が来ましたので、ここで終了いたします。ありがとうございました。
  105. 梶原敬義

    梶原敬義君 先ほど江崎長官が、一〇%電力会社の操業度が落ちると年間一千五百億ですか、何かコストが違うというお話を承りました。  私は、昼と夜の電力消費量の差等があって、夜電力を使うことを大変奨励している向きもあるわけですが、町のネオンやなんか夜きらきら輝いておるのを見て感ずることは、一体これでいいのか、有限資源の石油やあるいは石炭をどんどん消費していると。一体これでいいのかというのを絶えず感ずるわけです。  だから、どんどん操業を昼も夜も操業度を高めていけばコストが安くなる理屈というのは、もう資源が無制限に無限大にある、そういう立場から考えるとそういう理屈というのは成り立つわけですけれども、資源が有限で、恐らく石油はもうあと二十年もしたら底がちらちら見えてくるようなそういうときが来る、そういうことを考えると、少し考え方を変えて、環境資源という立場に立って、むだな電力は昼でも夜でももう浪費はしないと。北朝鮮のような夜ほとんどついていない、衛星放送で見たら、そういう状況までを言っているつもりはないけれども、何かそこはもっとしっかりした考え方というのが必要じゃないだろうか。先ほどから聞いておりまして冒頭そう感じましたので、大臣いかがでしょうか。
  106. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 全く同感ですと言ったら後の言葉がなくなりますが、今委員指摘の点は、やはり私自身もそれが受けるのも同じ世代の者なのかなと、こんな気がいたしました。  ちょっと私事になりますが、この間パリに行く前にカナダに参りまして、四極通商会議のときに。カナダの町、夜行っても大きいビルディングみんな電気がともっているんです。ここまで残業しているのかなと思って聞いたら、そうじゃなくて、つけっ放しでみんな帰るんだと。電力どうなっているかと聞いたら、あそこは水力が多いということでございますが、今言われたようにほかにもやはり原子力だとかいろんなものでつくっているわけでございますので、考えさせられて、何とも言えない気持ちになりました。  同時に、先ほどから申すように、省エネというのは徹底していかなければいけませんが、さっきの待機電気じゃございませんが、細かいことの積み上げなんだろう、こう思うんですね。ですから、そういうことでは、また片一方では、一たん身についたぜいたくというか、便利さというもの、これをなかなかなくせというのも難しい問題があるなと、かように思って、今おっしゃるのも同感でございますが、果たしてどうすればいいのかと言われると、非常に難問だなと、こんな気がするわけでございます。
  107. 江崎格

    政府委員江崎格君) ちょっと一言だけ。  先ほど夜間電力の問題を申し上げましたが、冷房のためにどうしても電力を使わざるを得ないのであれば、せめて昼じゃなくて夜の電力を使ってくださいと。もちろん、冷房がなくてみんなが我慢できて、昼間も冷房を使うのやめようじゃないか、その分電力を使うのをやめるというんであればなおいいと。それは、国民のコンセンサスができればこしたことはないんですが、やむを得ずどうしても冷房をつけるのであれば、せめて夜間電力を使う、こういう趣旨でございます。
  108. 梶原敬義

    梶原敬義君 本法律案について若干質問をいたします。  平成七年度の電気事業法の改正、私どもも審議をしたんですが、発電事業が自由化をされまして昨年には入札が行われましたが、卸供給事業者による発電所開発動向というのを、若干資料をいただいておりますが、どういうような状況なのか、簡単に。
  109. 岡本巖

    政府委員岡本巖君) 平成七年十二月に施行されました改正電気事業法に基づきまして入札制度が導入されたわけでございますが、八年度に初めての入札が行われました。電力六社が合計二百六十五万五千キロワットのIPPの募集、卸電気事業の募集を行いました。それに対しまして四倍強の一千八十一万三千キロワットの応募がございまして、その中から二土地点、三百四万七千キロワットが落札、決定に至りました。  燃料の種類別に見ますと、石油が九地点で百二十一万七千、石炭が七地点で百四十三万六千キロワット、ガスが三地点で三十四万キロワット。それから、製鉄所の排熱利用のものが一点、五万五千キロワットという内訳になっております。  本年度、九年度につきましては、七つの電力会社で昨年より少し多い二百八十五万五千キロワットの募集を行うという旨が既に発表されているところでございます。
  110. 梶原敬義

    梶原敬義君 これは通告をしておりませんでしたが、もし答えられるなら答えていただきたいのですが、この前、大牟田に行きました。委員長以下、三井の石炭の跡の視察に行きまして、そのときにこの問題聞いたんです。敷地がいっぱいあるから、三井炭鉱はどうしたのと言ったら、応募したけれども全然勝負にならぬかったらしいんですね、コストで。コストで勝負にならなかった。まだあきらめませんというように社長は言っておりました。  今回、三百四万キロワットの落札がありましたが、これらのコスト、今電力会社でやっているコストと、その落札した企業のコストというのは相当開きがあるんですか。要するに、安くつくれるのかどうなのか。その辺はいかがでしょうか。
  111. 岡本巖

    政府委員岡本巖君) 電力会社が既に以前から運転をしております発電所で、償却がある程度進んだものと比較しますと、新規のIPPのものといえども高くなるという場面はございますけれども、フェアに比較するためには、電力会社自身が新規にみずからやった場合の発電コストがどうなるであろうかということで、募集に際しまして各電力会社は、そういうものとして上限の回避可能原価というものを公表いたしております。  その水準は、募集をします発電所をベース、原則二十四時間通じて運転する発電所でやるか、ピーク対応発電所として募集するかによっても違ってまいりますが、大まかに申しますと十円台、中には十一円台というそういうレベルになっているわけでございますが、それに比べまして、平均して申しまして幅で一割から二割五分ぐらいIPP方々の応札価格というのは安いということで、かなりの程度、IPP方々がみずから土地を持ちインフラを持ち、あるいは自家発電の運転を通じて蓄積した、効率的に発電事業をやるというノウハウを活用しながらの計画になっておりまして、これまでのところで見る限りはかなり安いものになっているものと私ども評価をいたしております。
  112. 梶原敬義

    梶原敬義君 わかりました。  次に、卸供給事業者の開発地点は、大都市というかあるいは臨海工業地帯というか、人がたくさん住んでいる地域に比較的近い、そういうところが大体多いと思います。このような都市部で発電所開発、さらにこういう方式で開発を次々にしていくということは、環境の問題、今絶対量がふえていくわけですから、その点が非常に心配になるんですね。  私も大分県で、大分の臨海工業地帯の中に九州石油というのがあるんですが、今回そこが認められているんですね、落札している。たくさん周辺には煙突があって、排気ガスをどんどん出しております。最初からこの法律をつくるときにそういう心配をしておりましたが、この点はいかがでしょうか。
  113. 岡本巖

    政府委員岡本巖君) 発電所開発に当たりまして、昭和五十二年以来、私ども通産省の省議決定に基づきますアセスメントをやっていただいて、日本火力発電所というのは環境対策という面では世界に冠たる実績を上げているものと評価をいたしておりますが、今般の法制化に当たりまして、先ほどの先生の御指摘のございましたIPP、卸発電事業者の方々による発電所計画も含めまして、ひとしくアセスメントの対象にするということで臨みたいと考えております。  その場合に、御指摘の大都市部における発電所開発の場合につきましても、当然のことながらアセスメントの環境への影響調査、予測、評価という作業は、当該地域の環境特性というものに応じて適切になされるべきものと私ども考えておりますので、ある程度の集積があるというような大都市の場合には、そういうものを踏まえた上で適切な環境配慮がなされるというように審査を通じて指導してまいりたいと考えているところでございます。
  114. 梶原敬義

    梶原敬義君 コストの面は今お話がありました、ある程度有利性があると。問題があるのは、やっぱりたくさん煙突があるところの工業地帯につくっていくから、恐らく環境問題だろうと思うんですね。この点は十分これから配意をして行政指導していただきたいと思います。  次に、具体的な環境影響評価の方法について、特に準備書とか評価書の公告とか縦覧等、住民にそれを見せていくと。そこで、私はこれちょっとおたくの方から借りてきたんですが、磯子火力発電所ですか、電源開発環境影響調査書というのを見せてもらって、これはもう見ると頭が痛くなるんです。これの概略というのを、このアウトラインのやつをまたつくって出すようですけれども、なかなか一般の住民というのは、どうもここにまた煙突ができてSO2が出たり何やらするとこれはよくないぞと直観ではわかるのだけれども、こんなものを見てもあるいはそういう資料を見ても、なかなかわかりにくい。そういうものをもっと客観的に、何かどこかの機関でよく審議をしてそして地元で住民に知らせていく、そういうものは形式的だけじゃなくてもっと指導できないものでしょうか。
  115. 岡本巖

    政府委員岡本巖君) 先生の御指摘、まことにごもっともでございまして、実は昭和五十二年以来やっているわけでございますが、各電気事業者がアセスメントをやって、その結果でいわゆる準備書、環境レポートというふうに称しておりますが、これを地元で公告、縦覧いたしますと同時に、多くの発電所の場合一件当たりで数十回から百回以上地元で住民方々への説明会を開いているわけでございますが、そういう際には、御専門の方にはまさに先生今ごらんになっているような分厚い資料というのもお見せするわけですが、多くの住民方々には要約版でありますとかあるいは写真とか図をかなりの程度取り入れたわかりやすいパンフレットというようなもので説明をして、なお詳しく御利用の向きに詳細版でごらんいただくという、そういう対応をやっているところでございまして、いずれにしましても住民方々に御理解をいただくことは非常に大事でございますので、わかりやすい説明ということに向けて私どもも十分意を用いてまいりたいと考えております。
  116. 梶原敬義

    梶原敬義君 よろしくお願いをいたします。  それから、環境アセスに関するこういう資料をつくったりそういう調査をする会社、要するに委託会社の中には、いただいた資料を見ますと、電力中央研究所とか電発環境緑化センターとか、日立製作所とか中電環境テクノスとか、あるいは中電技術コンサルタントとか東電環境エンジニアリング、関電興業とか中電工事株式会社とか非常に関係するところが多いわけですね。  それで、今回のIPP入札、落札した企業の中に、例えば日立造船那珂、それから日立石油精製株式会社横浜、株式会社日立製作所日立、恐らく環境アセスをやったのはどこか日立の関係するところでやっているのではないかなという気がして、そこまで調べる暇がなかったんですが、要するに言いたいのは、そういうアセス会社が、調査会社というのは依頼された会社と非常に近い関係にあるところがやった資料というものは一体どこまでチェックできるのか。通産省がやると言っておりますけれども、どうもそこのところ、こんな資料を一々基礎からなかなか一般住民はわかるわけない。ちょっとそこに心配なところがあるんですが、この点はいかがですか。
  117. 岡本巖

    政府委員岡本巖君) アセスメントに当たっての実際の調査発電事業計画している事業者と関係の深いところに委託をするというようなケースもあろうかと思います。それから、私ども考え方からすれば、当該事業者がみずからやるということも排除はしていないような次第でございますので、関連のあるところとやるというのをあながちそれはおかしいと決めてかかるわけにはいかないかと思うんですが、他方で、先生の御懸念の点については、私どもこれまで通産省で審査を行うに当たりまして、三十数名の各分野の環境専門家方々環境審査顧問という形で委嘱をして、その方々の厳正な審査、御意見というものを伺いながら私どもの担当者がこれまでは厳しく審査をするという形で審査に臨んできておりまして、こういったプロセスを通じてデータあるいはその評価についての客観性というものをこれからも存分に確保すべく、できる限りの努力をしてまいりたいと考えております。
  118. 梶原敬義

    梶原敬義君 もう時間ですからこれで終わりますが、大臣一つは、これはこの有限資源というものの中で電力の供給をやる、非常に難しい問題があるわけでございますが、ぜひその省力、エネルギーの消費を抑えて、資源をどんどん使ってしまうんじゃなくて長持ちさせるような方向をぜひこれから、もう何度も言いますが、やっぱり強く指導していただきたいと思います。それが第一点です。  それから第二点としては、この前の新聞を見ますと、いいことだなと思ったのは、どこかサハリンの方から天然ガスのパイプを引いてこれからやっていくというようなことが出ておりましたが、私は将来の石油資源の限界というものを考えると、あちらの天然ガスを我が国に引いてくるということは、大変将来、今大変かもわかりませんが、やっぱり進めた方がいいんじゃないか、このように思うんですが、これは離れましたが、お聞きして終わります。
  119. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今、委員のおっしゃるとおりで、省エネ、これ大事でございます。ただし、省エネの場合には産業用、家庭用、それから輸送用とございますが、産業用はもちろん、省エネ、一般的にむだを省くことですが、必要なところはやはり確保してあげなきゃいけないだろう、一律全部切るということはいかがなものだろうかと実は考えておりますが、今おっしゃるように、省エネというものがまず大事だということは同意見というか、同じ考え方を持っております。  それから二番目の話ですが、確かに前にも論議しましたように、石油というもののこれからの寿命の問題もございます。そういうことで、化石燃料ベストミックスということで、石炭もこれからふやさなければもちろんいけませんが、そういう中において一番環境的には負荷の少ない天然ガスというもの、これをやはり考えなければいけない。  これが今までどうしても、今の石油も同じですが、石炭もそうですが、これの産出国というのが地球上偏在しているので、日本の場合はそれを広く求めなければいけないという宿命的な問題がございます。そういうことでサハリンの天然ガスというものに関心を持っていることでございますし、同時にロシアの極東部分におけるガス、石油、こういうものにもやはり関心を持っていきたいと思っております。  ただ、先日一部の新聞に出ましたように、通産省の方針というふうに固まってはおりませんので、私は大臣としてそれをこれから取り上げていきたい、かように思っておりますので、先生を初め各委員の御指導、御支援をよろしくお願いいたします。
  120. 梶原敬義

    梶原敬義君 終わります。
  121. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時四十分まで休憩いたします。    正午休憩      —————・—————    午後一時四十五分開会
  122. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、電気事業法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  123. 竹村泰子

    竹村泰子君 私は、環境委員でもありますので、きょうは電気事業法の一部改正についての質問に入る前に、関連事項として大臣環境基本法と生物多様性条約に基づく生物多様性国家戦略について伺いたいと思います。  環境庁もおいでいただいていると思いますが、こんな立派な本を出していらっしゃるんですね。中身を拝見しますとなかなかいいことばかり書いてあるんですけれども電気事業法の第一条の目的で言うところの、いわゆる「環境の保全を図るものとする」、前は「公共の安全を確保し、あわせて公害の防止を図ること」となっておりましたけれども、この「環境の保全を図るものとする」という趣旨、これは環境基本法の四条、八条、二十四条などで言う趣旨、つまり電気事業ということでいいますと、電気事業という経済活動に、その事業活動全般について環境保全への配慮を組み込んでいくということと理解してよろしいでしょうか、どうでしょうか。これは大臣にお伺いしたいと思います。
  124. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今、竹村委員がおっしゃるように、電気事業におきましては、従来から、発電所建設だけではなく、事業全般にわたって環境の保全というものに努めてまいっております。  今般の目的規定の改正は、かかる事業全般にわたっての環境保全への取り組み方、これを明確化したものでございまして、今後とも環境の保全というものには事業全般を通じて努めてまいる所存でございます。
  125. 竹村泰子

    竹村泰子君 第二款の二に「環境影響評価に関する特例」としてこの発電所アセスを入れた趣旨は、生物多様性国家戦略、九五年十月三十一日に決定されておりまして、これは生物多様性条約第六条に国家戦略をつくるべきだという規定があるわけですけれども、それに基づいてつくられ、そして先日、五月二十二日ですか、この関係省庁連絡会議というのが開かれたそうですが、ここで国家戦略の策定以降の国の事業は全般的には環境に配慮されていると考えるというふうなことが出されたようであります。  特例としてこの発電所アセスを入れた趣旨、これは、この国家戦略で言う「人間の活動により生物多様性に不可逆的な影響を与えないようにするため、事業の特性や具体性の程度に応じ、事前に十分に調査検討を行い、悪影響を回避しまたは最小化する等、影響を受ける可能性のある生物多様性に対し適切な配慮を行う。」とするその基本的な考え方を踏まえてのことなのですね。大臣、いかがでしょうか。
  126. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 御指摘のとおりでございまして、生物の多様性、これにつきましても環境保全の重要な要素である、こういうことでございますので、引き続きそれの確保に努めてまいりたい、かように思います。
  127. 竹村泰子

    竹村泰子君 今回の電気事業法の改正によります発電所アセスの法制化、これにつきましては、仮に環境庁が提出しているアセスメント法、統一法と申しましょうか、このアセスメント法ではなくて、これだけを別建てにした独自法で対応した場合と同じと言っていいような制度になっている気がするんですね、私。これまでの省議アセスにスクリーニングとスコーピングを、これ大切なことですけれども、スクリーニングとスコーピングの手順を加えただけといっては失礼でしょうか、いわばこれは統一法とは別の異なった制度をつくることと考えられると思うんですが、どうでしょうか。
  128. 岡本巖

    政府委員岡本巖君) 私ども発電所環境アセスメントについては先生指摘のとおり、昭和五十二年以降通産省の省議決定に基づいてアセスメントをやってまいっておりまして、その間地元の住民方々あるいは自治体への御説明、それから都道府県の意見を聞きながら通産省が審査をして、厳正な環境アセスメント及びそれに基づく対策を講じていただくということで高い実績を上げてまいっておりますので、今回法制化するに当たりまして、基本的には関係者の間で定着をしている今の省議アセスのスキームを基本的に踏襲するという方向で法制化を図ったわけでございますが、中央環境審議会の答申で言われています十の原則というのはすべて発電所のアセスについても漏れなく適用するということにしました上で、発電所の特性にかんがみて必要な固有の手続を電気事業法で規定するという形で今回御提案申し上げているところでございます。
  129. 竹村泰子

    竹村泰子君 地方分権がさまざまな形で分野で具体的に進められようとしているその今日において、この電事法の改正による発電所アセスの法制化の中身が通産省が言うより厳しい制度になるというのは、環境保全という観点からすれば当然のことと言わなければならないと思います。しかし、地元の合意のために何が何でも国が審査をするというのは、地方分権の時代に逆行することになるんではないかと心配するのですけれども、どうでしょうか。
  130. 岡本巖

    政府委員岡本巖君) 今回御提案申し上げているのはアセスメントでございますが、発電所の立地ということについて地元の御理解をいただくことなしに事業を進めるということはできませんので、このことは私ども国もそうですし、事業者みずからも同様に考えているものと承知をいたしております。  それゆえに、地元の御理解をいただくに当たって環境の面で大丈夫かという点は真っ先に御心配なされる点でございますので、これまでの省議アセスメントの手続におきましても、地元の市町村、都道府県への御説明はもちろんですが、住民方々にも縦覧とかそれからいろんな資料の公告とか説明会とかという形で御説明をし、その上で都道府県から御意見をいただいてすり合わせをして初めて前に進めるということでやってきておりまして、今回法制化に当たりまして、従来やっております省議アセスの手続を踏襲するという形で法制化を御提案申し上げているわけでございますが、その中におきましても、事業者は市町村、都道府県に方法書なり準備書を御提出し、それから私どもが審査をするに当たりまして、都道府県は多くの場合は市町村の御意見も聞いて県御自身のお考えを私どもにお出しいただいて、それを十分にしんしゃくをしながら、私ども専門家の意見を聞いて審査をするという形で臨もうといたしておりまして、国が審査をし勧告をするということにいたしておりますが、それに先立つ一連の手順において地方の住民はもとより、公共団体の方々の御意見も十分に伺うように配慮をして制度を御提案申し上げているところでございます。
  131. 竹村泰子

    竹村泰子君 その表面はというか建前はそうだと思います。しかし、これまでもそうだったんですが、発電所アセスではその当該する市町村長の意見が十分にストレートには反映されないと思います。  今度の環境アセスメントの法案、これは環境庁に聞かなければなりませんが、環境アセスメントの法案も県知事の意見とかいうふうになっておりまして、市町村長あるいは住民の意見がストレートには反映されない。より身近な環境保全についての見識は市町村にあると思いますけれども、その点、環境庁の統一法同様、条例アセスとの関係はどうなっているのか。まず通産省から、そして環境庁にお聞きしたいと思います。
  132. 岡本巖

    政府委員岡本巖君) 今回私どもも、市町村それから都道府県ともに厳正な環境影響評価をやっていくに当たってはいずれも重要だと考えておりまして、今回の統一アセス法におきましても、事業者は方法書でございますとか準備書を知事と並んで市町村長にも提出をするという旨の手順を明定いたしているわけでございます。そのことを取っかかりにしまして、これまでと同様に、事業者は市町村、知事部局それぞれとの間で綿密な意見のあるいは情報の交換というのをやりますでしょうし、それから法律の規定に則して申し上げますれば、私どもが都道府県から意見を伺うということにしておりますけれども、都道府県は市町村長の意見を聞いて、それを勘案しながら知事の意見というのを形成されるということになっておりますので、今御説明申し上げましたような手続を通じまして、それからまた実態的には事業者が綿密な意見交換もやるということで臨むことになろうかと思いますので、市町村の御意見なりあるいは環境に関してお持ちになっている情報というのはアセスメントの中で適正に反映するように運用してまいりたいと考えております。
  133. 高部正男

    説明員(高部正男君) 二点お尋ねをいただいたかと思います。  まず一点目でございますが、環境影響評価法案におきまして市町村の意見は知事が集約して述べるという点でございますけれども、これは二つの観点がございまして、一つは、事業者側から見たときに、行政の意見はできるだけ集約された形で述べられるというのが望ましいということでございます。国の場合も、環境庁長官の意見は主務大臣に対して述べられて事業者に伝えられる、このような形になっているわけでございます。  それから二点目は、法案が対象とする事業は広域的な環境影響が懸念されるようなものでございますので、広域的な環境行政に責任を有します都道府県知事が地方公共団体の意見を取りまとめるといったことが適当ではないかといった理由によるわけでございます。都道府県知事が環境の保全の見地からの意見を述べる場合に、都道府県知事は市町村長からの意見を勘案することが求められるわけでございまして、市町村長の意見は都道府県知事によりまして重みを持って受けとめられまして適切に集約されて伝えられる、かように考えているところでございます。  それから二点目でございますが、アセス法によりますアセスと条例アセスの関係といったことでございます。  環境影響評価法案におきましては、既に地方公共団体が広範に環境影響評価に関する施策実施しているといった状況にあること、また国と地方の適切な役割分担を図るといった観点から、規模が大きくて環境影響の程度が著しいものとなるおそれがあり、かつまた国が関与する事業に対象を限定するといった形にしているわけでございまして、具体的に国の制度とそれから条例との関係は六十条に規定するところでございますが、国の対象とする事業以外については条例等により環境影響評価を行わせるかどうかについて地方公共団体に御判断いただく、かようになってございます。また、国の対象事業につきましても、法令に反しない限りで、例えば知事意見形成に際しての審査、勧告ができるといったような形にしているところでございます。  このように、国と地方の取り組みが相まってアセスメント制度が的確に推進されるのではないか、かように考えているところでございます。
  134. 竹村泰子

    竹村泰子君 私ども環境委員会で今アセスメント法案を審議中でありますから、環境委員会で十分やればいいのですけれども、もちろんきょうのこの商工委員会での審議にも非常に関係が深いものですから、少しお許しをいただきたいと思います。  今お答えがありました六十条、ここのところで地方自治体が命とても不安がっていらっしゃることは、国の関与する事業について、これまでは条例に従って非常に詳細なきちんとした環境アセスメントを御自分たちの手でやってこられた。高速道路とかいろんなことについてやってこられた。例えば、進んでいる自治体といいますと、神奈川県とか横浜市とか川崎市とか、北海道も条例を持っておりますけれども、そういう地方自治体で国の事業に対する自分たちのアセスメントができなくなるんじゃないかということで、やっぱり非常な後退となるのではないかという心配がありまして、私どももここのところを非常に重要なところだと考えているんです。それはまたゆっくりやるといたしまして、そうではないという今のお答えですから、本当にこれまでのように一つの国の対象事業についてもきちんとしたアセスが地方自治体でもできるようにアセスメント法案はしていかなければならないと考えます。  先ほど大臣にもお答えいただきましたけれども、原発の立地はもちろんのこと、発電所の立地ということについても必ずしも地方自治体と国の意見が一致する例ばかりではない、そして地方自治体の長が必ずしも住民たちの意見をすべて集約して網羅して持っているわけでもないということが随分ございます。ですから、私はやっぱりこういう念押しをしておかなければいけないのではないかなと思っているんです。  四月十六日の衆議院商工委員会の場で大臣は、今は環境というものが優先する時代だ、環境に対する考え方が公害の防止からやはり非常に広がってきて、人間が生存する上における環境ということで、いわゆる自然の破壊、こういう問題にも留意していかなきゃというふうにおっしゃっておられます。そのような認識の上で今回の電気事業法の改正を提案なさっていると思いますが、中央環境審議会の答申に対する大臣の御見解も含めて、今回の改正についてのお考えをいま一度改めてお尋ねしたいと思います。
  135. 江崎格

    政府委員江崎格君) とりあえず私からお答えいたしますけれども、電源立地を着実、円滑に進めるために環境の保全に万全を期すというのは、これは大前提だというふうに思います。こうした観点から、発電所環境アセスメントというのは私も大変重要な役割を果たすというふうに思っております。  環境アセスメントの発電所についての法制化でございますけれども、これは総理の諮問を受けまして中央環境審議会で答申が出たわけでございますが、この答申を十分踏まえまして、実効のある環境アセスメント制度を設けることにしたわけでございます。具体的には、答申にございますような早期の段階での環境への配慮ですとか、あるいは住民の意見の範囲の拡大の問題ですとか、こうした中央環境審議会の答申で出されました十の原則というものがございますけれども、これをすべて満たす格好で私ども法制化を図るというふうに考えております。
  136. 竹村泰子

    竹村泰子君 大臣、今のお答えでよろしいですか。
  137. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 大変失礼しました。  実は衆議院委員会で申したとおりでございまして、今の長官、これにつけ加えることはございません。
  138. 竹村泰子

    竹村泰子君 中央環境審議会の答申では、発電所アセスを例外とせずに環境アセス法による統一制度の対象にするように提言されていますよね。なぜ通産省発電所アセスを特例としたのですか。
  139. 江崎格

    政府委員江崎格君) この答申にございますように「実効ある環境影響評価が行われるためには、効率性にも配慮しつつ事業の特性や地域の実態に即した対応が可能な柔軟な仕組みとすることが求められる」と。その場合に、「こうした要請に応える場合も、本答申で示す基本原則に」従う必要がある。そして、「基本原則を具体化するに当たっては、統一的で、透明性が保たれ、わかりやすい制度とするよう留意する必要がある。」というふうになっているわけでございます。  私ども先生御案内のように、発電所につきましてこの一般アセス法の対象にする、その上で一般的なアセス法に規定されております一般的なルールを適用するということで、この統一性が保たれているというふうに考えております。なおかつ、電気事業にかかわる特性あるいはこれまでの実績を踏まえまして、その一般ルールにさらにつけ加えるような特例的な部分につきまして電気事業法の改正で規定する、このように考えたものでございます。
  140. 竹村泰子

    竹村泰子君 通産省として省議アセス二十年とさっきからお答えになっておりますが、実績があるわけですね。環境庁は今アセスメントの審議をようやく始めているわけですけれども、二十年の実績がある。それならば、特例として別建てにするのではなくて、この二十年の実績を、環境庁のアセス法案にその経験をもっとしっかりと盛り込んでさらによいものにしようというふうな努力をなさらなかったのかなと。電力の供給という意味では、発電所の推進官庁が積極的にそれも早い段階で関与するこの発電所アセスの特例に固執することはなかったのではないかという気がするのです。環境アセス法そのものへ通産省なりの意見はおありになると思いますけれども、国民の目から見て環境保全のためのアセスメントということで、なぜ発電所だけが特例なのか、いま一つわからないというのが実感なのではないだろうか。  私たちも大分はらはらいたしましたが、マスコミ等で漏れ伝わるところによりますと、環境アセスメントの対象に発電所が入ることに通産省はこれまで徹底的に抵抗してこられたと、違っていたらごめんなきい、そういうふうに聞いております。今回の統一法の中で対象とすることを承認したのはこの特例が入ることになったからなのではないかと、ちょっと皮肉な見方をしたくなるほど、さっきも言ったようにこの特例というのが非常に特別の枠として存在するような気がするのですけれども、どうですか。
  141. 岡本巖

    政府委員岡本巖君) 私ども、今回、大臣の諮問機関であります電気事業審議会需給部会で御審議をいただいた際にも、法制化ということについては前向きに考える。かつ、それに先立って中環審の答申が発表されておりましたので、中環審の答申というのも全面的にこれを尊重するというそういう考え方の上で、まず法制化についてのスタンスを省内で大臣以下議論を重ねて、そういう方針を固めたわけでございます。  その上で、発電所についてどういう法形式なりどういう制度を設計するかというに際しまして、電気事業審議会の報告でも指摘されておりますように、二十年間にわたって高い環境保全の実績を上げてきて関係者の間で定着をしてまいっております従来の省議アセスの手続を基本的に踏襲するという形での法制化を考えたわけでございます。  そうすることは、発電所についてのアセスメントの手続について、例えばほかのものに比して理由なく緩い手続となり規制を適用するということではございませんで、多分先生、法案にお目通しいただいた御印象でも、場合によってはほかのものよりもかなり過重的な手続、厳しい手続を発電所については適用するというぐらいの、そういうつもりで私ども今回の法案を御提案申し上げているわけでございます。  それは、ひとえにこれまで発電所の立地、それに際しましては環境保全というのは非常に大事な論点でございますので、それに万全を期する、それに向けて関係者の間で話し合いを進めていく中の手続として定着をして、その上で高い実績を上げている従来の手続を踏襲するということにしたがゆえに、ほかのもの、一般的な手続より過重の部分、あるいは若干異なる部分があって特例ということになっているわけでございますが、あくまでも実態に御着目いただければ、発電所について万全の環境保全対策を講じるというその気持ちから発した制度であるということについては、ぜひ御理解を賜りたいと存じます。
  142. 竹村泰子

    竹村泰子君 本当のことを言いますと、私ども環境アセスメント法案が今、国会で審議されていることにつきまして本当によかったと思っておりますし、OECDの参加国の中でアセスメントを持っていないのは日本だけだと言われているわけですから大変よかった、でも同じことならもう少し充実した法案を出してもらいたかった、これはいつも思っているわけでして、それで今までお聞きしたような質問になったのです。  もし通産省が、私たちは発電所に対して立派なアセスを、厳しいアセスを二十年やってきたんだと、それを誇りに思われるのであれば、どうしてもっと環境アセスメントを充実させる方向で力を出してくださらなかったのかなと、そういう質問だったわけです。本音を言いますと、今度よくぞ一緒に環境アセスメント法案を出してくださったと、事実そう思っておりますので、今度こそこの環境アセスメントを国会できちんと通過させなければいけないという思いは同じなのでございますけれども、ちょっとそういった不満が余りにも法案に対してあるもので環境庁に厳しいことを言っております。  次に、情報公開に関して伺います。  通産省は、電源立地は電力安定供給のために国が進めている、これは確かにそうですけれども、前述のように通産省の関与することによる発電所アセスの透明性についての担保は何でしょうか。情報公開の保障はどのように図るんでしょうか。それは、従来の商業アセスとどこがどのように違い、環境保全にどのように資するのでしょうか。お答え願いたいと思います。
  143. 岡本巖

    政府委員岡本巖君) 環境アセスメントの手続に関しまして、情報を公開するということは大変重要だと私ども考えております。このために、住民の意見、知事の意見及びこれらに対する事業者の見解、さらには通産大臣の審査、勧告の内容、こういったものにつきましては、準備書及び評価書に記載されて、住民方々に公告、縦覧するという、そういう手続を定めているところでございます。  それから、通産大臣評価書について変更命令を出した場合にも、評価書と一緒にこれを公告、縦覧するという形で、一連の手続の中で情報公開ということには十分意を用いているところでございます。
  144. 竹村泰子

    竹村泰子君 三つお聞きしたんですけれども、それで全部ですか。透明性の担保は何か、保障はどう図るのか、環境保全にどのように資するのかと聞いたんですが。
  145. 岡本巖

    政府委員岡本巖君) 今申しましたように、一連の手続の中で公告、縦覧、それからこれは方法書も準備書も評価書もそういったものすべて公告、縦覧をするということになっておりまして、私どもの勧告とかあるいは大臣の変更命令とか、そういったものもそういう手続を通じて住民方々に広く情報公開されるということになっております。  先生よく御存じのように、アセスメントは、環境影響評価あるいはそれに基づく環境への影響防止するための一連の措置について、多くの方々の意見というものを伺いながらよりいいものに練り上げていくというプロセスでございますので、その過程で情報を公開しながら、あるいはシェアをしながら多くの方々の御意見を承っていくというプロシージャーは非常に大事だと思っておりますので、私ども法律の規定に則して言いますれば、先ほど申しました公告、縦覧の手続を通じて、それから事業者は必ず説明会をやるということで、発電所の場合、これまでも一件当たり数十回から百数十回の住民への説明会というようなことをやって対応してまいっておりまして、そういうことを通じて情報公開の実をさらに高めていくということを私ども目指しているところでございます。
  146. 竹村泰子

    竹村泰子君 それでも、例えば火力であれば温排水が出る、漁業やいろんなことに影響してくる、原発であれば放射能は大丈夫だろうかとか、そういったたくさんの不安を地域住民は持つわけですよね。電気の安定的な供給ということで日本は本当に優等生で、私も世界の先進国の中でも際立って安定供給ということについては優秀な国だというのはお伺いしておりますけれども、やっぱりそういう発電所を設置していく、立地していくということでは大変地域住民が不安に思っている。  そこのところをこれまでの省議アセスとどのように違って環境を守れるんです、今度はこういう違いがあるんですというのはさっきからお聞きしているんですけれども、スクリーニングを取り入れていると。しかし、スクリーニングの段階での住民参加については全く保障されてないんですよね。  これは環境庁にも聞かなくちゃいけませんけれども、なぜスクリーニング段階での住民参加が保障されていないのか。この法律が縛る電気事業のように、地域と非常に密着している、さっきから言っておりますように、地域住民が非常に不安に思う、そういった地域事業では地域の環境問題は重要課題として位置づけられるのはもうこれは当然であり、だとすれば地元住民の参加の視点は必要不可欠なものと考えますが、これについて両省はどのようにお考えなのでしょうか。
  147. 高部正男

    説明員(高部正男君) スクリーニング手続でございます。スクリーニングは、先生御案内のように、事業の種類、規模、それと事業実施予定地とその周辺の環境の状況等から方法書以降の手続が要るのか要らないのかといった判断をする手続でございます。相当早い段階でやられるわけでございますが、このような手続は、できる限り客観的な基準をあらかじめ定めることによりまして、相当程度類型化して判断することが可能と考えているところでございます。  このための判定の基準といたしまして、環境庁長官が基本的事項を定めますとともに、主務大臣がこれを定めるに当たっては環境庁長官への協議を要するということで、基準の客観化を図ることとしておるところでございます。  こうした基準に基づく判定に必要な情報といたしまして、例えば自然環境の復元が著しく困難な地域があるのかないのかといった点、あるいは生活環境の保全上の特に配慮を要する地域があるのかないのかといった地域の基本的な情報を想定しているところでございます。したがいまして、都道府県知事が有する地域の主要な環境情報があれば判定ができるのではないか、このように考えまして制度を仕組んでいるところでございます。
  148. 岡本巖

    政府委員岡本巖君) 先ほどの先生の御指摘の中で、発電所環境影響評価ということでどういう点が改まるのかという、そういうお尋ねもございました。  実は、発電所環境アセスメントというのは外国に比べて対策の方もそうですけれども、アセスメントのやり方、あるいはその丁寧さという点においても、日本発電所は、例えて申しますと、先ほど先生がおっしゃった温排水の拡散ということについて水理模型をつくって拡散予測をするという、そういうコストと時間のかかる影響の予測というのをやっているわけですが、外国ではございませんです。それから、大気への影響ということについても、コンピューターによる数値シミュレーションを行いますと同時に、風洞実験を行ってそれを補完するというような形で、非常に丁寧な環境アセスメントをやってまいっております。これを私どもは今回のアセス法のもとにおいてもぜひ踏襲するということで、環境影響評価を適正にやる、それに基づく厳正な対策を講じていただくということについては、従来に変わらない立派な対応をやってもらいたいというふうに考えております。  それから、スクリーニングに関する手続の点は、先ほど環境庁の高部課長からお答え申したことに尽きるわけでございますが、私ども発電所に関しましては一種事業に準ずる規模の第二種のものについて、本格アセスの要否というのを判定するに際しまして、より丁寧な判定のための材料を集めるべく、この段階でミニアセスと申しますが簡易な方法によるアセスメントをやっていただいて、その結果をも参考にしながら本格アセスの要否を判定するという、そういう手続を発電所については加重するということで御提案申し上げているところでございます。
  149. 竹村泰子

    竹村泰子君 これは政省令の範囲であると思いますのでどうかなと思いましたけれども、ちょっと例を挙げて聞いてみましょう。  今、現実に起こっている問題ですが、もし揚水発電所の立地点にイヌワシの営巣地があったらどうしますか。
  150. 岡本巖

    政府委員岡本巖君) イヌワシを初めとして絶滅の危機に瀕しているような鳥類の保存ということも環境影響評価一つの要素として、私ども発電所については揚水の場合が多いですけれども、これまでも実際に環境庁と協議をする中で、その影響の程度あるいはその影響を回避するためにどういう手だてを講ずるかということで、ケースによりましてはその工事中の道路のルートを当初の計画から変えるとか、そういう個別のケースごとに応じた対応というのを、これまでのアセスメントの中で事業者に対して指導してまいっているところでございます。これからも環境庁との協議のメカニズムを通じて、その方面では環境庁は大変知見が豊富でいらっしゃいますので、環境庁の御意見も伺いながら、適切な対応を図ってまいりたいと考えております。
  151. 竹村泰子

    竹村泰子君 そういった具体例を一つ一つ出していってということは今お聞きしても無理だと思いますから控えますけれども地球規模環境破壊に非常に関心を持っている多くの人々は、NGOの人たちも含めて、やっぱりこういう場合どうなるんだろうかとか、イヌワシは発電所のために殺されちゃうんだろうかとか、営巣地はもう大きな音を立てただけでひなたちはかえらなくなったり落ちてしまったりしますから、そういう審査における透明性というか、どこまでわかりやすくそのことが説明してもらえるのだろうかとか、いろいろ不安に思っていると思うんですね。アメリカなどでは非常に厳しいアセスメント法がありまして、イヌワシの営巣はもちろん、小さな鳥の巣でもあればそこのところの発電所の立地はやめるというふうに聞いたことがありますけれども、これも限界があって、多分大変難しい、例によってケース・バイ・ケース環境庁と相談をしてと今おっしゃいましたけれども、そういうことは随分出てくると思います。  第十二条に環境庁長官の意見反映という項がありますけれども、これは実際にはどの程度のものと考えているのか。通産省がこの発電所アセスを従来より厳しい制度にしたというならば、統一法に対して発電所アセスが特例となったことで環境庁のイニシアチブは発揮されなくなったか、通産省の自画自賛で終わらないようにするためにも具体策一つとしてあえて、大臣いかがでしょうか。
  152. 岡本巖

    政府委員岡本巖君) 私からまず補足的に御説明させていただきますが、環境庁とのアセスメントについての協議というのは、これは大変に濃密なものでございまして、かつ両省の間で協議が調って初めて個別の発電所計画電源開発調整審議会に上程されるという、それがこれまでの運用実態でございます。  これは今回、準備書について環境庁長官の意見というのが法律上も規定されておりますけれども、実は別途、電源開発のプロセスを進めるに当たりまして、発電所計画はすべからく電源開発調整審議会に上程されるわけでございますが、環境庁はその法定メンバーでもいらっしゃいますので、環境アセスメントの点で、環境庁と私どもとの間で十分に意見のすり合わせが了しない限りは前へ進まない、都道府県との関係も同様でございます。そういう形でアセスメントについての環境庁の御意見というのはこれまでと同様に私ども十分に尊重して、両省の間のすり合わせが了して初めて前に進むという、そういう形で運用してまいりたいと考えております。
  153. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 先ほどから委員お話をお聞きしていて、非常に今度の法案に対する御懸念の御指摘ございました。私はそういうふうな御懸念を持たれるのも今までの経験、背景からそういうことかなと思いましたが、今事務当局が説明をしますように、今までの省議アセス、これを今度法制化するということは今までと違ってやはり一段と突っ込んだ話になるだろうと。要は環境庁との連携の問題ですが、これはこうした法律のもとによって従来よりか密接な関係を持ってくるということが言えますし、またもう一方は地域住民の声もこれによってよりょく反映してくるだろうと思っております。
  154. 竹村泰子

    竹村泰子君 諌早の問題が干潟を失うということで今大変国際的にまで発展した大きな問題になっておりますけれども、私ども環境委員会の中でもあるいは建設委員会の中でも環境庁がもっと発言してほしいと思っているんですね。一度失った環境はなかなか復元することが難しいということで、環境庁が非常に控え目でありますために、環境庁応援団としては大変これはもどかしいというとあれですが、そういう思いを今していることが随分多々あるものですから、ここのところは非常に重要だと、閣議とか閣僚懇談会などでもきちんと発言をしてほしかったというようなことからお聞きしているんですけれども環境庁、何か言い分がありますでしょうか。
  155. 高部正男

    説明員(高部正男君) 環境庁といたしまして、これまでも環境庁長官意見という形で必要な意見は申し上げてきたつもりでございます。  今回、アセスの法制化ということが成立いたしますと、これまでの閣議アセスに比べまして環境庁長官は必要に応じて意見を述べることができるという制度になります。私どもの意見の重要性もますます増すというふうに考えておりまして、専門家等の知見等も活用しながら的確な意見を申し述べていきたい、かように思っているところでございます。
  156. 竹村泰子

    竹村泰子君 冒頭、環境基本法について質問しましたけれども、今回の一連のアセスメント法についての時代のコンセプトは環境保全であり、そしてそれも絵そらごとではなくて、具体的に、しかもある程度の緊急性を持って行わなければならない。さっきの地球温暖化ではありませんけれども、やはりそういうことで対処しなければならないと思います。  この発電所アセスの一番の問題は、条文そのものよりも、いわゆる電力安定供給という名目のもとに開発を優先させはしないだろうかと、私の心配性だったらいいんですけれども、そういう心配があるわけです。今提案されております電気事業法の一部改正による発電所アセスの制度では、中身も含めて、運用によっては環境保全と矛盾する行為を行うための便法になりはしないか、ここまで言うと大臣におしかりを受けるかもしれませんけれども、そういう危惧がつきまとう。これは私が勝手に言っているんじゃなくて、これまでにそういう事例が多々ございますので、それでそういう危惧がつきまとうわけです。  現在の閣議アセスではないですけれども、アセスを多分に開発の便法として使ってきたおかげで国はさまざまな行政訴訟を抱えており、行財政改革という観点からいっても、この発電所アセスが法制化されても相変わらず新たに行政訴訟が起きるようなそういう内容のものであれば、国の税金の二重のむだ遣いになってしまうわけです。少し言葉が過ぎるかもしれませんけれども、その辺のところのはっきりした環境保全に向けての通産大臣の御決意を伺いたいと思います。
  157. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) この環境の保全という問題、これは今委員指摘のように、通産だとか環境庁両省だけではなく、国民全般が実は考えるべき問題ではないだろうかと思います。  これはちょっと話が余談になりますが、先日もOECDに参りまして、ヨーロッパの印象でいくと、非常にやはり一般人が自然、また特に小動物を大事にするなという気がいたしました。ドゴール空港に着きまして一番びっくりしたのは、この飛行場というか空港の中に至るところにウサギがいるんです、見えるんですね、野ウサギが。どうしてこの国はいるんだろうかなと思いまして町に出ましたら、今度は鳥でもすぐ近くまで来てくれるんです。それに対して、見る人たち、子供たちでも反応が何もないわけですね。日本だったらすぐ追っかけ回してどこかへ行っちゃうだろうと。その辺が一番、まずそうした国民の協力があるし、それからもう一つ、同時に、今度アメリカなんかの例を申しますと、国土が広いというまるで日本とは違う環境がある、かように思っておるわけです。  しかし、今おっしゃるように今度のアセス法、またこの発電所アセスに関しては、そういうところの反省に立って、やはり今までの実績というもの、これは私が言うまでもなく先ほどから論議がございましたように省議アセスということで、SOxの排出量は二十四分の一とかあるいはNOxが八分の一と世界的な最高水準になっている、こういうことは御存じのとおりでございますが、これからも審査の際には環境庁長官や都道府県知事の意向、これを聞くとともに、やはり環境分野の専門官から成る環境審査顧問会の意見も聞きながら、さらに審査結果を公開する、こういうようなことで客観性の確保を図っていきたいと思うんです。  そういうことでございますから、特に発電所の立地に当たっては地元の理解を得るということが大前提でございまして、そのためには厳格な環境アセスメントとその結果に基づく万全な環境保全対策実施ということが不可欠だと、かように思いまして、今後ともこの法案、それの実施に当たっては発電所アセスというものの厳正な運用に努めて適切な環境保全、これを図っていく、こんな考え方でございます。
  158. 竹村泰子

    竹村泰子君 終わります。
  159. 山下芳生

    ○山下芳生君 私からも、まず発電所アセスについて、環境影響評価法、アセス法本体と電気事業法を改正した新しい法との両建てにする理由をまずお伺いしたいと思います。なぜ発電所アセスについて両建てにするんですか。
  160. 岡本巖

    政府委員岡本巖君) 発電所につきましては、過去二十年間、電源立地の円滑化ということもにらみながら環境保全に万全を期するという観点から、通産省の省議決定に基づくアセスを実施してまいりました。  その間、住民への事業者による説明、それから市町村、都道府県の意見を酌みながら通産省で審査をするという従来の省議アセスメントの手続でやってまいって、その結果として、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、日本発電所というのは例えばNOxとかSOxの排出でごらんいただいた場合に世界最高の環境保全の実績を現に上げてまいっているわけでございます。私どもとしては、こういった発電所のアセスの実績、それからその実績を生むに至りましたアセスメントのこれまでの手続というのが地元の方々、それから環境庁との協議、そういったことを含めて関係者の間で定着をした制度でございます。  それから、二十年間の百二十件の審査を通じて集積されました知見、経験の集積というものも私どもございますものですから、通産省発電所の場合には早い段階から審査をするという形で特例を御提案申し上げているわけでございますが、従来の省議アセスメントを踏襲するという方向のもとで、一般ルールと一部加重的な部分あるいは異なる部分を別法で御提案している次第でございます。
  161. 山下芳生

    ○山下芳生君 七七年の省議決定によるアセスのスキームを踏襲するんだという御説明なんですけれども、これは何遍聞いてもなぜ省議アセスのスキームを踏襲するのかということがよくわからない。国民に対して私は説得力、それだけではないと思うんですね。つまり、省議アセススキームを踏襲する、アセス法本体と両建てにすることによって、アセス法本体のみでやるよりもこれはアセスがより厳しくやられるのか、それとも緩やかになってしまうのか、これはどっちなのかということをきちっと言っていただかないと、これまでやってきたからやるんだでは全く両建てにする理由にはならないと思います。より厳しくなるのか、緩くなるのか、どっちですか。
  162. 岡本巖

    政府委員岡本巖君) 私どもの立場から、ほかの事業の場合に比して発電所のアセスメントが先生お尋ねの厳しくなるか緩くなるかという、その点について正面からお答え申し上げるのは大変難しいわけなんですけれども発電所のアセスメントについて、一件当たり多くの場合で二十億から六十億の費用をかけ、最低でも一年、長ければ二年、三年かけて徹底したアセスメントをやってまいっているわけですが、例えて申しますと、今の環境現況を調査するために発電所は必ずフォーシーズンのデータをそろえる、それから予測手法という点でもコンピューターによるシミュレーションに加えて水理模型だとか風洞実験とかという、そういう非常にお金もかかり手間もかかるやり方をやっているわけでございますが、そういったものを、例えば法律に則していえば調査の方法書という形で必ず発電所の場合には出していただいてそれを私どもが審査するという、そういう考えをいたしておりますが、これはほかの事業にすべからく全部適用するということが果たして可能なのかどかという点は私どもよくわかりませんが、発電所についてはこれまでそういう形でやつ  てまいっておりますので、少なくとも後退するということがあってはならないという考え方から、私ども発電所の場合には必ず方法書を定めて出してきていただいて、それを通産省で審査して、不十分であれば勧告をするという従来行政指導でやってまいったものを、手続を透明化するという意味において法制化をしたわけでございます。  そういう意味において、私ども発電所について引き続き厳正な環境アセスメントをやってまいる所存でございます。
  163. 山下芳生

    ○山下芳生君 つまり、アセス法本体のみでやつちゃうと、これまで省議アセスでやってきた部分が全部踏襲されない場合もある。ですから、あえてアセス本体でやるということに甘んじず、より厳しい道を歩むといいますか、これまでの道を踏襲するということで理解してよろしいんですか。
  164. 岡本巖

    政府委員岡本巖君) アセス本体の事業の方との比較についての答弁は御勘弁いただきたいと思いますが、発電所については従来やってまいっております厳正な手続というのを法制化するに当たっても後退することなく引き続き事業者にやっていただく。それなくしては環境の保全に万全を期し得ない、ひいては電源立地の円滑化も期し得ないということで、私どもといたしましては発電所について御提案申し上げているような厳正な手続をお願い申し上げているところでございます。
  165. 山下芳生

    ○山下芳生君 何遍聞いても、今までやってきたことをやるんだと。しかし一方、新しいアセス法が統一的なわかりやすい透明なものが必要だという答申に基づいて打ち立てられようとしている。しかし、それとはもう一つ電気事業法の改正という法律をつくって法改正をやって、発電所アセスについてはその部分に乗っけようということでしょう。ですから、その相互の関係を問われて、それは勘弁してくださいというのでは一体どうなるのかわからないですよ。これはどうですか。
  166. 岡本巖

    政府委員岡本巖君) 統一アセス法、環境影響評価法案と電気事業法の手続との評価にかかわる部分を発電所のアセスを所管する私どもの立場から双方との比較においての評価を公の場で申し上げることは御遠慮申し上げたいと思いますが、発電所について申し上げますれば、先ほどの調査の方法書について厳正な手続を環境影響評価法とは違った形で必ずつくって、それを審査するという手続を御提案申し上げております。  それから、適切な環境配慮という点に関しましても、電気事業の場合には工事の段階の環境配慮だけでは不十分でございまして、発電所ができ上がってからのその後の運転の段階においても環境配慮が適切に行われるべしということで、この点も一般法とは違った形で電気事業法改正の中では所要の規定を御提案申し上げているところでございます。
  167. 山下芳生

    ○山下芳生君 どうも聞き方が悪かったようです。どちらが強いのかというふうに聞くと答えられにくいようですので、では大臣にちょっと聞きますけれども、少なくともアセス法本体で実施するよりも後退するようなことは通産省としてはあり得ない。それはどうでしょうか。
  168. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) そういうふうに解釈されて結構でございます。
  169. 山下芳生

    ○山下芳生君 そうしますと、私、今大臣の決意を聞きまして、通産省はこれまでの環境問題に対する対応について心を入れかえたのかなという気が率直にするんです。  といいますのは、これまで多くの国民が通産省に対して抱いているイメージというのは、やはり環境問題については非常に消極的な省だと。環境アセスメントの法制化について、表現はどうかと思いますが、これまで妨害してきたんじゃないかという印象も持たれていると。これは私が勝手に独断で言っているんじゃないんです。この間の法制化に当たっていろんな新聞記事を見ますと、やっぱりそういう記事が多いんです。  例えば毎日新聞二月五日付の社説ですが、「通産省は明快に説明せよ」という記事で、   一九八二年、環境アセスメント法案が国会へ上程されたが、自民党の一部、産業界、通産省などの反対で廃案とされた。   一五年たったいま、日本は先進工業国で最も遅れて環境アセスを法制化しようとしている。   ところが、中環審の審議の最終段階で通産省発電所を同法の例外扱いにしたいと主張、アセスの法制化に対抗して電気事業法を改める作業を進めている。この事態は、増大する電力需要に応ずることを至上目的とし、環境アセスの手続きに住民が参加、発電所づくりが遅れることを警戒していた二八年も昔の論議の繰り返しを思わせる。社会状況の変化に目を閉ざす硬直した判断に陥らぬよう私たちは通産省に自戒を求めたい。ということですけれども、大体こんなような基調の記事が多いんですね。  しかし、これは、こういう記事も出て、そういう世論も踏まえて今回の電気事業法の改正案として出されているわけですから、こういう疑念を晴らすために、少なくとも本体よりも後退することはない、本音でおっしゃればより厳密に実施をするんだということになっているのかなと私は理解するんですが、それでよろしいでしょうか。
  170. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 戦後の日本の歩み方を見ると、経済優先でもって日本が今日の国をつくり上げたということはどなたも否定しないと思うんです。ところが、その中にあって反省期に入ってきたというのがやはり今の五十年の歩みじゃないだろうかということで、刻々そうした考え方が違ってくる。だから、先ほどもほかの委員から質問がございましたように、OECDの中で日本が入ってなかったじゃないかと。また、ことしの暮れにはCOP3、地球温暖化環境問題というものに日本が議長国になる、こういうふうにもう時代背景が非常に変わってきたわけですから、通産省というものは時代の先取りをする省だ、こういうふうな自負がございますので当然の結果だと、かように考えております。
  171. 山下芳生

    ○山下芳生君 なるほど、時代おくれじゃなくて先取りする省だというふうに大臣はおっしゃっている。  そこで、その御決意が本物かどうか、今回の改正法案に基づいて少しお聞きしたいと思うんですが、私はアセス法本体とそれから電気事業法の改正案を比べてみてどこが違うのかなというふうに見てまいりまして、一番違うのは国の主体的関与の度合いではないのかなというふうに感じた次第です。  つまり、本体の方ではまずアセスの方法書を作成し公告、縦覧する、それから準備書を作成し公告、縦覧する、それから評価書を作成し公告、縦覧するという三つの段階の最後の段階で初めて主務大臣の審査あるいは意見の表明というものが行われるというふうになっておるんですが、電気事業法に基づくチャートでは、方法書、準備書、評価書、それぞれ三つの段階すべてにこれは通産省が審査をするということが盛り込まれておりますので、国の主体的関与が格段と強まっているというふうに思います。これが僕は最大の違いかなというふうに思っているんですが、これは間違いないでしょうか。
  172. 岡本巖

    政府委員岡本巖君) その点も環境影響評価法の手続と違う一つの点でございます。
  173. 山下芳生

    ○山下芳生君 その点もとおっしゃいましたから、ほかにもあるということの御主張なんでしょうが、私はいろいろほかにもある部分を見ましても、しかしいろんなところも結局国が主体的に関与してくるという、そういう骨格の中でいろいろほかに付随して強められているというか、手続が加えられているというふうに理解をしたわけです。ですから、中心的な一つだということは間違いないと思うんです。  そこで問題は、国の主体的関与をなぜ格段に強めることにしているのか、これが問題だと思うんですが、私は発電所アセスの考え方のもとになっている電気事業審議会需給部会のことし二月に出された小委員会の報告書を見せていただきました。この中に、発電所アセスについて国の主体的関与が必要な理由が幾つか書かれてあります。  かなりいっぱい書いてあるんですが、私はそれを全部読ませていただいて率直に感じたことは、これは発電所のアセスについてより厳しいアセスをすることが必要なんだということよりも、発電所というのは電力供給という非常に大事な役割を担っているその大事な電源立地の促進という一つ通産省としてやるべきことが、環境問題等が理由になっておくれていくということがあってはならない、だから国が主体的に関与して、そういうことがないようにやるんだというのが大体趣旨かなというふうに理解したわけです。  実際、文書の中には、ずらっといっぱい述べた後、まとめ的にこう書いてあるんですね。  発電所に係る環境影響評価の手続を法制化するに当たっては、電力安定供給確保のための電源立地政策の責に任ずる国(通商産業省)が関係者の合意形成プロセスの中軸としての役割を果たすべく、環境影響調査の方法の設定、調査報告書の審査等一連のプロセスに主体的に関与することとすべきである。  ですから、こういうまとめられ方をしますと、大臣がおっしゃった環境問題に対して国民的あるいは国際的な関心が高まってきたからきちっとすべきだという時代を先取りする構えよりも、やはり電源立地を促進する上でこれも今検討しなければならない課題だから国が関与するんだというように、私は素直に読んでそっちの方が強いのじゃないかなというふうに感じたんですが、これはどうですか。
  174. 岡本巖

    政府委員岡本巖君) 私ども発電所についての環境アセスあるいは環境対策を万全のものを講ずべしということで考えます場合に、一つの視点として先生指摘のように電源立地の円滑化という視点があることは御指摘のとおりでございます。  ただ、電源立地の円滑化ということは、そのことのために環境対策をおろそかにするということでは決してございませんで、むしろ電源立地を進めるためには、報告書の中にもるる書いているかと思いますけれども、地元の御理解をいただくことなしにはおよそ事業は前に進まないと。地元の御理解をいただくためには、今日環境保全の面で大丈夫かという点が一番の論点でございますので、その点で十分なまずアセスメントをやり、それから情報を開示し、厳正な環境対策をとる、そういう意味の万全の環境保全対策を講ずるということが必須であるという、そういう考え方に発して、従来やっておりますと同様の省議アセスの手続というものを法制化するということで今回の御提案に至っているものでございます。
  175. 山下芳生

    ○山下芳生君 もう少し突っ込んで具体的にお聞きしますけれども、そういう電源立地という観点をもちろん踏まえて、つまり総合的に見ていくということになると思うんですね。ですから、私はその際、通産省がどんな判断をするのかというのがやはりこれは非常に大事な決定的な要因になっていく、そういう電気事業法の改正に基づく発電所アセスのスキームになっているというふうに思うんです。  その際、私は、今地元の皆さんの意見を十分踏まえることが大事だというふうにおっしゃいましたが、地元の住民の皆さんの意見をよく知っている代表といえば、やはり自治体の首長、都道府県単位では知事だと思うんです。ところが、今度の電気事業法の改正に基づく発電所アセスのスキームを見ますと、都道府県知事の役割が本体の方と比べてみて非常に低められているのじゃないかという心配をします。  環境影響評価法本体では、方法書や準備書に対して都道府県知事が事業者に直接意見を言えることになっておりますが、電事法の改正案では、法律上知事の意見というのは事業者に直接言えない。この場合、電力会社に直接言えない。全部通産省を通して、通産大臣にしか言えなくなっているわけですね。これは本体が直接知事の意見を事業者に言えるようにしているのと比べて、地元の皆さんの意見を十分反映させるという点でいえば後退しているんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  176. 岡本巖

    政府委員岡本巖君) これまでやってまいっております省議アセスの手続におきまして、都道府県知事の意見を私ども電調審の場を介して通産省の準備書の審査に反映させるということでお聞きしてまいっております。  今般、発電所アセスの法制化に当たりまして、私ども、都道府県知事の意見については方法書あるいは準備書の審査に対してちゃんと伺うということで規定をいたしているわけですが、この知事さんの意見というものは、法案に明定いたしておりますように、事業者に対して大臣が勧告等を行う際に事業者に知事意見も送付するということにいたしておりまして、事業者は、そうした場合には環境影響評価法の場合と同様に知事の意見というのを勘案して検討を加えるということで法律上位置づけられておりますので、知事の意見というのは、法律の規定に則して一義的に通産省にまず出していただきますけれども、それは同時に事業者にも送付をされるということで手続を定めております。  それから、実態に即して申し上げますと、今回の方法書とか準備書も市町村長及び知事にも提出するということになっておりますので、そこを出発点としまして、知事部局あるいは市町村の部局と事業者との間では従来と同様に緊密な意見交換が行われるものというふうに私どもは期待をしております。
  177. 山下芳生

    ○山下芳生君 そうじゃなくて、本体、本法の方では直接知事が事業者に意見を言えるけれども電気事業法の改正に基づくとそれができなくなる、これは間違いないですね。  しかし、今おっしゃったように、通産大臣通産省事業者に意見を述べる際に都道府県知事から出された意見も添付して出すと、だから知事の意見もちゃんと事業者に伝わるよということだと思うんですが、しかし、添付される資料と直接知事が事業者にダイレクトに意見として言う重みと、これはやはり開きが出てくるんじゃないかなと私は思うんです。  通産省が都道府県知事の意見を聞いた上で通産省としての意見をまとめて、その意見を出す際に参考資料として知事の意見がそのまま添付資料としてつくと。だから、これは通産省の見解の資料なんですよ。片や、アセス法本体の方では知事の意見として直接事業者に表明できる。これはそういう意味では通産省というフィルターをやっぱり介すということになるんじゃないですか。
  178. 岡本巖

    政府委員岡本巖君) いずれの場合も法律上の位置づけ、規定ぶりといたしましては、事業者が勘案するということで、法律上の規定ぶりにおいては差はございません。  それから、実態に即して考えますと、発電所の立地について電調審に上程する前に発電所計画全般についての知事の同意意見というものがないと電調審に個別の発電所計画は上程されないわけでございますので、知事及び知事部局がアセスメントを中心に持っている意見というものは事業者において十分に尊重されるというような実態にございます。
  179. 山下芳生

    ○山下芳生君 ですから、本体でいけばストレートにいくけれども、そうなっていないというのもこれは事実ですから、法律に基づけばですね。それは私は、通産省発電所の立地については他者に物を言わせない、アンタッチャブルだという一つのやり方ではないかと。ちゃんと知事が直接意見を表明できるようなことを残したまま通産省も知事の意見を聞けばいいわけですから、それをあえて通産省を通してでないと意見が言えないようにしているのは、発電所、電源立地は他者はもう物を言うなという姿勢に受け取られても仕方がないのじゃないかというふうに私は感じます。  次に、この改正電事法実施された場合、どういう発電所について適用されるのかということについてお伺いしたいと思います。  まず、アセスを義務づけられる発電所というのは、これは環境影響評価法の本体の第二条二項、三項の規定で第一種、第二種に分けられておりますけれども、これはどのように区分して、どんな要件になるのか、発電所の場合。これはいかがでしょうか。
  180. 岡本巖

    政府委員岡本巖君) 第一種事業範囲というのは、これから環境庁を初め政府部内での相談もしながら、政令の段階で定めていくということを考えておりますが、発電所につきまして、これまで省議アセスで必ずアセスメントをやっていただく、本格アセスをやっていただくということで線を引いておりますラインは、火力の場合に十五万キロワット、地熱は一万以上でございますが、通常の火力は十五万キロワット以上、水力は三万キロワット以上で環境保全上特に必要と認められるもの、それから原子力発電所はすべてということでやってまいっております。  その結果、発電所の場合には、これまでの実績を見ますと九八%がアセスメントの対象になるという、非常に広いカバレッジになっております。
  181. 山下芳生

    ○山下芳生君 設備容量で区分するということを政令でも踏襲するということだと思うんですが、同時に設備容量が小さくても環境に与える影響が大きい場合もあると思うんです。それから、設備容量が小さいものがたくさん集まっちゃうと、これはまた環境に対する大きな影響が出る、あるいは新たにつくる設備がたとえ小さくても、その地域においては環境の許容容量はもういっぱいになっている場合、たとえ小さくてもそれをつくることによって大きな影響を与えることもあると思うんですが、そういう総体として判断するということは、今度の電気事業法の改正についてお考えなんでしょうか。
  182. 岡本巖

    政府委員岡本巖君) 第一種事業に準ずる規模の第二種事業について、今回スクリーニングの手続というのを導入いたしておりますが、発電所の場合には、スクリーニングの考え方は、およそ本格的なアセスをやるべしという規模に準ずるものであっても、地域の環境特性との関係においては環境への影響が著しい場合があるので、アセスメントをちゃんとやってもらった方がいいという、そういう考え方で設けられている制度でございますので、スクリーニングの運用を通じて、先ほどの第一種事業規模を下回るものについても必要があればちゃんとしたアセスメントをやっていただく、そういう要否の判定をスクリーニングの一連の手続に従って私どももやってまいりたいと考えております。
  183. 山下芳生

    ○山下芳生君 次に、アセスの対象になる発電所についてもう少し具体的に聞きたいんですけれども発電所の目的や形態によってアセスの対象となるのかならないのかという問題ですけれども、例えば電気事業用か自家用か、あるいは公営の発電所なのかそうじゃないのか、あるいはIPP用か余剰電力販売用かなどのいろんな目的や形態によって対象になったりならなかったりするのか、それともそれは関係なし、すべての発電所が対象となるのか。いかがでしょうか。
  184. 岡本巖

    政府委員岡本巖君) 発電所の用途とか事業主体の別にかかわりなく、環境への影響というのは基本的には規模で決まってまいりますので、一定規模以上のものは主体、用途が何であれ、およそアセスメントをやっていただくという、そういう考え方でございます。
  185. 山下芳生

    ○山下芳生君 具体的な問題で確認なんですけれども、私の地元の大阪で、これ一回質問でも取り上げたことがあるんですが、興亜石油という企業の大阪製油所が高度化計画というものを今推進しております。その中で、自家発電設備計画前の一万五千キロワットから十六万四千キロワットに増強して、そのうち十四万九千キロワットをIPPとして関西電力入札する計画がありました。昨年の入札にはこれは入っていなくて、ことしの関電の入札にも応札しないで、余剰電力のメニューで売電するケース考えられているんですけれども、こういう場合でも、この改正電気事業法のアセスの対象になるんでしょうか。
  186. 岡本巖

    政府委員岡本巖君) 第一種事業のラインをどこに引くかということによって第一種になるかどうかということは変わってまいりましょうし、それから御指摘の十五万を少し下回るというものについて、仮に十五万で第一種事業の線を引いた場合には、そこは多分第二種の範疇に入ってまいりますでしょうから、第二種事業ということになってまいりますと、まさにスクリーニングの手続に従って、予定されている立地地点の環境特性との関係において当該計画について本格アセスの要否を判定するということになってこようかと考えます。
  187. 山下芳生

    ○山下芳生君 十四万九千ですから、十万よりは上回っておりますけれども、ぜひそういう問題も、新たな法制度がもし施行される段になりましたら、十五万をぎりぎり下回って省議アセスくぐりみたいなことが随分広がっておりますので、そんなことは許さないということをやってこそ世論に先駆けた通産省だということを実践で示していただけることになるというふうに思いますので、そういう法の運用を期待したいと思います。  最後に大臣に、これは私はこの言葉が非常に大事だと思うんですが、電事審の報告書の中で、電源立地政策の責に任ずる通産省が中軸としての役割を果たすという決意の次に、「国が主体的に関与する手続を採用することによって、いやしくも電源立地推進の立場を環境保全に優先するようなことがあってはならない。」、あえてこういうふうな表現があります。この点、もう一度大臣の決意を伺って質問を終わりたいと思います。
  188. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) その答申のとおりでございますが、先ほどから議論がございますように、これを分けた理由というのも、やはり電力安定供給というもの、どこが責任を持つかという問題もあったわけでございますが、それとのバランスの問題ではないだろうかと思いますが、いずれにいたしましても、今言いましたように、時代の変遷によって環境保全という、これをやはり第一に考えるのがこれからの行政の役目だろうといったように考えております。
  189. 山下芳生

    ○山下芳生君 終わります。
  190. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時七分散会      —————・—————