○片上公人君 三井三池炭鉱閉山に伴う地域振興
対策等の実情に関する調査のため、去る四月十五日に行われた
委員派遣について御報告申し上げます。
派遣は、
木宮委員長、林
委員、木庭
委員、梶原
委員、
藁科委員、山下
委員及び私、片上の七名により行われました。
三井石炭鉱業株式会社三池鉱業所は、百二十年余りの歴史を持つ
我が国最大の炭鉱でありましたが、本年三月三十日をもって閉山に至りました。このため、閉山に伴う炭鉱離職者の再
雇用や地域の振興などが大きな問題となっております。
私どもは、このような
状況下で、福岡県大牟田市及び熊本県荒尾市に赴き、
関係者から実情や要望等を聴取するとともに、現地を視察してまいりました。以下、順に御報告申し上げます。
まず、最初の視察先である昭和アルミニウム缶株式会社大牟田工場は、大牟田市が炭鉱離職者の再就職先を
確保するため誘致に取り組んできた
企業の
一つであります。同工場は、第一期建設計画では、約一万三千坪の敷地に四十七億円を
投資して、年間四億缶を生産するためのラインが本年六月に稼働する予定であります。工場の従業員数は五十七名でありますが、そのうち炭鉱離職者の採用は十名程度であるとのことでありました。
次に視察した三池港は、三池炭の積み出し港として三井鉱山の私有港でありましたが、昭和四十六年から福岡県が港湾管理者となっております。しかし、現在までのところ、県による公共バース等の施設はなく、また重要港湾として唯一港湾計画が策定されていない港湾であります。なお、同港については、公共埠頭を
確保するため、会社からの用地の譲渡が懸案事項となっております。
午前中の現地視察を終了した後、大牟田文化会館におきまして、福岡県、大牟田市、高田町、大和町の行政及び議会から、三池炭鉱の閉山に伴う地域振興及び諸
対策に関する要望を聴取いたしました。
まず、麻生福岡県知事から、炭鉱の閉山は、明治以来三池炭鉱とともに
発展してきた地域にとって、
雇用や
産業構造に重大な影響を及ぼす旨の懸念が表明されました。
今後の
対策としては、三千人を超える炭鉱離職者や関連下請
企業離職者の再就職先を
確保するための三井鉱山株式会社等に対する
指導、
政府系
中小企業金融機関の貸し付けについて担保評価等の弾力的運用、産炭地域振興
臨時措置法に基づく財政援助
措置や産炭地域振興
臨時交付金等に対する特段の配慮、地域振興
対策として石炭
産業にかわる
環境、新エネルギー、リサイクル
産業に対する国の支援、大牟田テクノパークの早期分譲、三池港の公共埠頭の整備と第九次港湾整備計画での位置づけ、有明海沿岸道路の整備、有明海の海底陥没の完全埋め戻し復旧に対する
指導等さまざまな要望が出されました。
また、これらの要望事項に対する国の回答は、今月二十三日に開かれる産炭地域振興
関係各省庁等連絡会で出されることとなっており、その実現に向けて特段の配慮をお願いしたいとのことでございました。
その他、大牟田市からは、三池港や有明海沿岸道路に対する前倒しの整備、大和町からは六千六百ヘクタールに及ぶ有明海の海底陥没の完全復旧と菊池川の土砂を活用した海底陥没地の埋め立て等について要望が出されました。
その後、
経済団体から要望を聴取いたしました。
まず、大牟田商工
会議所からは、炭鉱閉山による被害を最小限にするための
金融支援策、町おこしのためのインフラの整備、炭鉱閉山の跡地における大型店の出店が既存商店街に及ぼす影響に対する善処等について要望が出されました。また、荒尾商工
会議所からは、地域振興
対策として荒尾
産業団地等における
企業誘致、国際ハブ空港の荒尾・大牟田沖等への誘致について要望が出されました。さらに、高田町商工会及び大和町商工会からは、町おこしに対する支援等について要望が出されました。
大牟田市における実情
説明の聴取を終了した後、荒尾市に向かい、緑ケ丘リニューアルタウンを視察いたしました。この地域は、炭鉱住宅の跡地を有効活用するため、荒尾市土地開発公社が約二十ヘクタールの土地に一戸建て約三百八十戸、集合約二百戸の住宅を建設するもので、
平成八年五月から分譲を開始しております。
その後、荒尾総合文化センターにおいて、三井石炭鉱業株式会社から
雇用対策について
説明を聴取いたしました。本年四月現在、三千四百名の求人があり、あっせん紹介の結果、就職内定者は約二百六十名となっているとのことでありました。
次に、三池炭鉱の三
労働組合を
代表して三池炭鉱新
労働組合から、離職者の大半が地元への就職を希望しているため、一層の地元
雇用に対する支援や住宅
対策等について要望が出されました。
最後に、熊本県、荒尾市の行政及び議会から実情を聴取いたしました。
まず、福島熊本県知事から、離職者の再就職先については年齢的にミスマッチがあり、閉山の影響が地域の
中小企業にも波及し、離職者が五百人以上に上ることの懸念が表明されました。このため、
雇用対策、民生・教育
対策、中小商業
対策、地域振興
対策等に対する国の十分な支援についての要望が出されました。
また、九州新幹線鹿児島ルートの最優先着工、大牟田・荒尾地先における九州国際空港の誘致、万田坑の文化財指定と財政支援、荒尾
産業団地の早期完成等の要望が出されました。
次に、荒尾市からは、地元
雇用先の
確保に対する
指導、万田坑周辺地域の整備と財政支援、炭鉱跡地の有効利用として荒尾市地域交流館の建設
事業に対する支援等について要望が出されました。
なお、最後に記者会見を行いました。
以上が調査の概要であります。
今回の
委員派遣の目的は、三井三池炭鉱閉山に伴う地域振興
対策等の実情に関する調査でありましたが、県や市などが閉山後の地域振興等について真摯に取り組まれている姿をつぶさに見てまいりました。
現地でお受けした要望事項につきましては、私どもといたしましても、
関係省庁と密接な連携を保ちつつ、その要望にできるだけ沿うよう最善の努力をしていく所存でございます。
最後に、今回の派遣に御協力をいただいた麻生福岡県知事を初めとする福岡県、大牟田市、高田町、大和町の行政及び議会の皆様方、福島熊本県知事を初めとする熊本県、荒尾市の行政及び議会の皆様方、大牟田商工
会議所及び大牟田全市商店連合会の皆様方、荒尾商工
会議所及び荒尾市商店連合会の皆様方、高田町商工会及び大和町商工会の皆様方、三井石炭鉱業株式会社の久保
代表取締役社長を初めとする
関係者の皆様方、三池炭鉱の新
労働組合、職員組合及び
労働組合の皆様方、昭和アルミニウム缶株式会社の大畠取締役社長を初めとする
関係者の皆様方、並びに派遣に終始御同行いただいた井田九州通商
産業局長を初めとする同局の
関係者には大変お世話になりました。この機会をおかりいたしまして御協力に感謝する次第であります。
以上、御報告を終わります。