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1997-04-10 第140回国会 参議院 商工委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月十日(木曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  四月三日     辞任         補欠選任      今井  澄君     竹村 泰子君  四月七日     辞任         補欠選任      平田 健二君     今泉  昭君  四月八日     辞任         補欠選任      今泉  昭君     平田 健二君      竹村 泰子君     今井  澄君  四月九日     辞任         補欠選任      今井  澄君     小島 慶三君  四月十日     辞任        補欠選任      大木  浩君     依田 智治君      倉田 寛之君     松村 龍二君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         木宮 和彦君     理 事                 吉村剛太郎君                 片上 公人君                 前川 忠夫君     委 員                 倉田 寛之君                 斎藤 文夫君                 中曽根弘文君                 林  芳正君                 平田 耕一君                 松村 龍二君                 依田 智治君                 加藤 修一君                 木庭健太郎君                 平田 健二君                 梶原 敬義君                 小島 慶三君                 藁科 滿治君                 山下 芳生君    国務大臣        通商産業大臣   佐藤 信二君    政府委員        通商産業大臣官        房長       広瀬 勝貞君        通商産業省環境        立地局長     稲川 泰弘君        工業技術院長   佐藤 壮郎君        資源エネルギー        庁長官      江崎  格君        資源エネルギー        庁公益事業部長  岡本  巖君    事務局側        常任委員会専門          員        里田 武臣君    説明員        科学技術庁原子        力局研究技術課        長        國谷  実君    参考人        動力炉核燃料        開発事業団理事  井田 勝久君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○新エネルギー利用等促進に関する特別措置法  案(内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨九日、今井澄君が委員辞任され、その補欠として小島慶三君が選任されました     —————————————
  3. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  新エネルギー利用等促進に関する特別措置法案の審査のため、本日、参考人として動力炉・核燃料開発事業団理事井田勝久君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) 新エネルギー利用等促進に関する特別措置法案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 中曽根弘文

    中曽根弘文君 中曽根でございます。  最初に、この法案意義のようなものについてお伺いをしたいと思いますけれども、世界エネルギー消費量は、開発途上国の爆発的な人口増加生活レベル向上から、今後急速に増加することは目に見えております。特に、アジア地域消費量は激増するものと予想されておりますけれども、日本におきましても過去二度のオイルショックを契機に省エネ努力を進めてきておりますが、依然として、一九九五年時点では、石油換算でアメリカ、ロシア、中国に次いで世界第四位のエネルギー消費大国でありまして、日本世界人口の二・五%を占めておりますが、世界エネルギー年間消費量の六%を占めているというそういう統計もございます。  地球資源、それからエネルギー有効利用、それから地球環境への影響、エネルギーセキュリティー、また開発途上国との資源配分問題等からも、日本がこれ以上大量の石油を消費し続けることはもはや許されない情勢にもなってきておりますし、非常に困難な状況になってきております。  そこで、原子力や天然ガス導入を大いに促進させなくてはならないわけでありますけれども、同時に、新エネルギー開発を進めていくことも重要であることは言うまでもありません。そういう意味で、この法案を制定して、政府方針国民の前に明確に示すということは大変私は意義のあることではないかと、そういうふうに思っております。  総合エネルギー調査会長期エネルギー需給見通しによりますと、一次エネルギー供給に占める新エネルギーのシェアを、西暦二〇〇〇年で二%、二〇一〇年で三%まで高めることを目標としておりますけれども、一九九二年度におけるエネルギー需給実績は一・二%であり、また一九九五年度は一・一%だと伺っております。  そういうことで、この導入が非常に停滞傾向にあるわけでございまして、私は、この原因はやはり経済性の面で新エネルギー関係コストが非常に高い、そういうことだと思っております。この法律が新エネルギー導入促進にどの程度寄与できるとお考えか、最初長官にお答えをいただきたいと思います。
  7. 江崎格

    政府委員江崎格君) 今回審議お願いしております法案でございますけれども、政府国民の新エネルギーに対する取り組み明確化をするための基本方針、それから新エネルギー導入する事業者への支援措置、こういったものを盛り込んでおりまして、これらによりまして新エネルギー導入を加速的に進展させるというふうに思っております。  それから、予算面におきましても、実は来年度、平成九年度の予算でございますが、住宅用太陽光発電システム導入助成措置予算で従来の三倍にしておりますし、また地方公共団体の行います先進的な新エネルギー導入促進策、これらに対しても各種の補助金を用意する、あるいは新エネルギー導入する事業者に対する助成制度、これも新しく予算お願いをしておりまして、こういった立法措置予算措置によりまして新エネルギー導入促進されると思っております。  今、先生のおっしゃいました、これでどの程度寄与するのかという点でございますが、新エネルギー供給量押し上げ効果というものを定量的にはかることはなかなか困難でございますけれども、今申し上げましたような措置、あるいは従来からやっております技術開発、それから制度面規制緩和、こういった措置が相まちまして、今御指摘長期エネルギー需給見通しの二〇〇〇年目標石油換算で千二百十万キロリットル、それから二〇一〇年では千九百十万キロリットルというのを目標に掲げておりますけれども、何とかこれを達成する努力をする、このように考えております。
  8. 中曽根弘文

    中曽根弘文君 コストをどんどん下げて、そして量産効果を上げて普及させるということが最も大切だと思いますし、また国民に対するPRも大事だと思いますが、同時に、地方公共団体がこれらに積極的に取り組むということも大事ではないか、そういうふうに思っております。  地方公共団体が取り組むことにつきましては、この法案では、「地域における新エネルギー利用等促進に資する施策策定及び実施に当たっては、できる限り、基本方針の定めるところに配慮する」、そういう条項以外に規定がありません。政府としてはこの地方公共団体による取り組みをどのように支援をしていくのか。そして、地方公共団体はこの新エネルギー導入に関するノウハウ等は余り有しているとは思えませんけれども、したがいまして、国としてこういう地方公共団体に積極的に情報提供やあるいは人材育成について支援強化をすべきじゃないかと思っております。さらに、地方公共団体が新エネルギー導入する場合に当たっては、財政上の基盤を強化することが重要でありますが、国としても財政面で積極的に支援をしていくべきであると考えますけれども、以上三点についてお伺いをしたいと思います。
  9. 江崎格

    政府委員江崎格君) 新エネルギー導入に際しまして、御指摘のように地方公共団体取り組みは大変重要なものだというように思っております。  確かに、地方公共団体にとりまして新エネルギーはなじみが薄い面があるということもございますので、円滑に導入するためのノウハウ提供が大変重要かと思っておりまして、実はこれまでも私ども地方公共団体の職員を対象としまして講習会とかシンポジウム、こういったものを開催しておりますし、また地方公共団体ヘアドバイザーなどを派遣するということもやっておりまして、こうしたことを通じまして情報提供に努めております。それから、地域への新エネルギー導入に関する計画とかビジョン策定に関しまして補助を行っているというようなことで、こうしたことを通じまして地方公共団体におけるノウハウの蓄積が進むというふうに期待しております。  それから、今回お願いをしております法案でございますが、これに基づきまして、具体的な導入方法などを記載しました新エネルギー利用指針というものを策定し、公表することを考えておりますし、またそれらに基づきまして、指導助言ということを地方公共団体にも行えるようになっておりますので、こうした一連の措置によりまして、情報提供とか人材育成といった面で効果が上がるものというふうに期待しております。  それから、財政面支援ということでございますけれども、これは実は平成七年から地域への新エネルギー導入に関する計画とかビジョン策定に対する補助という制度を行ってきております。平成九年度ではこの予算は前年に比べて約二億円ふえまして六億五千万円の予算を計上しております。  それから、さらにこうした地方公共団体の動きをより活発化させるということで、平成九年度の予算におきまして、地方公共団体に対する新しい補助制度を創設しております。  これは、具体的には地域公共施設ですとか、あるいは地域企業、住民への新エネルギー導入推進する先進的な地方公共団体に対しまして、導入費用に対して二分の一を補助する、それから広報費に対しまして定額の補助をする。こういった資金的な面での援助システムを新しく創設したところでございまして、こうしたことを通じまして、情報提供人材面あるいは財政面地方公共団体取り組みを一層強化したい、このように思っておるところでございます。
  10. 中曽根弘文

    中曽根弘文君 次に、太陽光発電についてお伺いをいたしますけれども、住宅用太陽光発電システム導入促進のために、個人住宅に対しては設備費補助をやっていただいております。平成九年度の予算ではかなり拡充をされまして、たしか平成八年度は千六百件でありましたのに対して、今年度の補助件数は九千四百件と大幅にふやされたわけであります。  最近は、いろいろな住宅でもこれらの太陽光発電導入が目につくようになってまいりましたけれども、ニュータウンなどでまとめて何戸も設置をする例があるとも聞いております。コストダウンのためにも、またPRのためにも大いに結構なことだと思っておりますが、問題は先ほども申し上げましたようにコストであります。  その解決には、量産して単価を下げるしかないわけでありますけれども、住宅以外への導入促進、例えば中央官庁地方の庁舎や学校や公共施設や、そういうところが新たにそういう施設を建設する場合にはある程度の設置というものを義務づけられないか、私はそういうふうに思っておりまして、設置することで建物の建設コスト設備費は確かに増加をいたしますけれども、大命題であります地球環境保護、そういうことを考えれば、できるところから始めなければいけないんではないか、そういうふうに考えております。  住宅以外への導入につきましての現状がどうなっているのか、それから政府の今後のそういう分野への取り組みはどうされるのか、お聞きをいたしたいと思います。
  11. 江崎格

    政府委員江崎格君) 住宅以外への太陽光発電普及でございますが、公共施設とか工場でこうしたものが設置されるということは他者への波及という点で大変意義があるというふうに思っておりまして、平成四年度以降を見てみますと、私どもこれは公共施設用フィールドテスト事業ということで設置促進してきておりまして、現在までに百十三の施設設置されております。この間、量産効果等によりまして設置コスト事業開始時点に比べまして半分以下になってきているという状況でございます。  それから、今回御審議いただいております法案でもちろんこの太陽光発電システム支援対象にするということを考えておりまして、このシステムを大規模に導入する認定事業者に対しまして、債務保証ですとかあるいは導入費用補助といったようなことを考えております。こうした措置を通じまして、御指摘住宅以外の分野も含めまして太陽光発電システム導入促進を一層図っていきたい、このように思っております。
  12. 中曽根弘文

    中曽根弘文君 ところで、太陽光発電あるいは電気自動車ということになりますと、バッテリーの問題がございます。出力天候等自然条件に左右されるわけでありまして、我が国の主要な電源の一つとして今後太陽光発電を位置づけていくためには高性能のバッテリー開発が必要でありますが、現在の蓄電池バッテリー開発状況についてお伺いをしたいと思います。
  13. 江崎格

    政府委員江崎格君) この方面の研究開発では、私どもニューサンシャイン計画の一環としましてリチウム電池開発ということを行っております。これは平成四年から平成十三年にかけてのプロジェクトということで進めているわけでございますが、特に太陽光発電ということで定置型、つまり据え置き型のリチウム電池開発ということで、重点を置いておりますのが長寿命化それから大容量化といったようなことをねらいとした研究開発を行っております。  現在までの研究開発の成果でございますけれども、電池モジュール構成要素であります単電池につきまして、現在世界最高水準貯蔵容量、これは三百五十キロワットアワーでございますけれども、その開発に成功しているという状況でございまして、今後早期にこれを実用化できるようにということでさらに開発推進していきたい、このように思っております。
  14. 中曽根弘文

    中曽根弘文君 そういうことで、最も大事なポイントでありますので引き続いて研究開発努力をしていただきたいと思います。  次に、ごみ発電についてちょっとお伺いをいたします。ごみ発電すなわち廃棄物発電は、廃棄物処理に貢献することはもちろんでありますけれども、環境保全さらにエネルギー多様化あるいは地域分散型電源、そういうことで非常に大きな意義があります。  我が国におきましては、全国で一日に約十四万トンの一般都市ごみが排出されておりますけれども、その約七四%が焼却処理されているとのことであります。この十四万トンのうちの約十万トンのごみで毎日発電を行ったとすれば約六千万キロワットの設備容量となる、そういう調査もありまして、電源不足は一気に解消できるものと思います。  このごみ発電は現在全国で約二百カ所ぐらいで行われていると聞いておりますけれども、全国で二千カ所近くあるごみ焼却場のまだごく一部でありまして、もっともっと普及させることによって石油石炭火力発電を減らすことにつながり、また地球環境保全に大きく貢献することになります。  そこで、ごみ発電導入の拡大についてどういうふうにお考えか、まずお聞きをいたしたいと思います。
  15. 江崎格

    政府委員江崎格君) 先生の御指摘のとおりでありまして、ごみ発電、これはエネルギーセキュリティーの点でもそれから環境保全という意味でも大変重要なといいますか、意義のあることだというふうに思っております。ただ、御指摘のようにまさに発電コストがまだ高いといったようなことが主たる理由で十分に普及が進んでいないというのが現状でございます。  実は、平成六年の十二月に総合エネルギー対策推進閣僚会議におきまして新エネルギー導入大綱というのを決めていただきまして、それに基づきましてごみ発電推進もしているわけでございますけれども、現在発電効率向上に向けました技術開発とか、それから地方自治体による取り組みに対する支援策、これは具体的には施設建設費に対する補助ですとか、それから地方自治体公営企業として行います発電事業に対して出資をするための起債を支援対象にしていくとか、こういったような支援措置でございますが、こういったことによりまして支援をしているところでございます。  それから、今回御審議お願いしておりますこの法案におきましてももちろん廃棄物発電対象にしまして、この法案に基づく支援措置対象にしていきたい、このように思っております。
  16. 中曽根弘文

    中曽根弘文君 私が聞いているところでは、導入を進めていくために、やはりごみ発電コストが非常にネックになっている、そういうふうに今言われております。  私の地元の群馬県の高崎市の郊外に高浜発電所というところがありまして、ここは平成八年十一月に完成をしてスーパーごみ発電をやって今営業運転中であります。これは日本では最初スーパーごみ発電施設でありますが、電力会社との間の売電料金について、当初の契約では、旧電気事業法において公営電気事業としてやっておりましたので総括原価方式でございましたけれども、その後平成七年十二月の電気事業法の改正によりまして独立電気事業者卸電気事業に参入できることになりまして、これによって発電単価算出方法回避可能原価方式、つまりヤードスティック方式での入札というふうに変わりました。  前回電力会社との卸電気入札におきましては、既存の発電インフラが利用できてかつ容易に燃料を調達できる鉄鋼会社とか石油化学会社、そういうところの企業発電にはごみ燃料とした発電は太刀打ちができなかった、非常に厳しい情勢であったと、そういうふうにも聞いております。  そしてさらに、売電価格につきましては、余剰電力購入メニューによりまして売電価格が決められているということで、そこで決められた価格では現在は原価割れ状況になっていると。ほかの発電と違いまして、ごみ発電の場合には灰の処分、灰の処理にかなりの費用を要する、そういうことでなかなか採算に乗らない。電力会社との関係料金の交渉においてなかなか競争力がない、そういうことでございます。せっかく環境問題にも貢献し、またエネルギー多様化という意味でも大きく貢献すると期待されているごみ発電でありながら、そういう形で電力供給者としての役割が価格の問題によりましてなかなかうまくいかないということは非常に重要であると思います。  そこで、前回売電入札において参加をしたごみ発電会社というのは全国でどれぐらいあるのか、そしてその入札の結果はどうであったのかをお聞きしたいと思います。
  17. 岡本巖

    政府委員岡本巖君) 八年度から各電力会社独立電気事業者IPPと申しておりますが、こういう方々からの買電電気を買うということについての入札を始めまして、八年度では各電力合計で二百六十五万五千キロワットの募集をいたしましたが、それに対しまして全体で百件、千八十一万キロワット強の応札があったところでございます。その結果、三百四万七千キロワッ十分の電気IPP方々から各電力が買うというそういう落札結果に至ったわけでございますが、この中で、先ほどお尋ねのいわゆるごみ発電廃棄物発電廃プラスチックでありますとか、あるいはごみを固形化してそれを燃料として発電をするというRDFという形のプラントのもの計二件ございました。これは応札ということで二件あったところでございますが、落札の方にについては八年度については結果としてゼロでございました。
  18. 中曽根弘文

    中曽根弘文君 二件ということでございましたけれども、落札ゼロということです。そこら辺の原因といいますか、先ほど私が申し上げましたような、非常にコスト面競争力がないと厳しい、そういうことについてどういうふうにお考えでしょうか。
  19. 岡本巖

    政府委員岡本巖君) 従来、各電力会社廃棄物発電につきまして、余剰電力購入というそういう考え方のもとで各社が個別に余剰電力購入メニューというものを設定してやってまいっているところでございます。その際に、過度に高い買い入れ価格設定するということは、これは必ずしも適当でないという面があろうかと思いますが、廃棄物発電につきましては環境に資するというその特性を評価した購入単価設定を各社行っているところでございます。そういうことで、普通でありますと余剰電力購入という場合には電力会社のいわゆる燃料費を中心とする変動費見合いということになっているわけですが、環境特性に配慮して、廃棄物発電については安定した電源として評価できる部分については固定費部分も回収できるような料金設定をやるということで従来やっていたわけです。  実は、廃棄物発電につきまして、大臣諮問機関であります電気事業審議会需給部会電力基本問題検討小委員会で議論をしていただきまして、ことし二月に報告書を取りまとめたところでございますが、そこでは、出力が安定し、かつ電力系統の負荷に合わせて夜間に出力を低下させる等の調整力を有するそういう電源については、従来の余剰電力購入よりも結果として現状では高くなろうかと思いますけれども、回避可能原価相当を目安として余剰電力購入単価見直しを行うこと等について検討するということの提言が行われたところでございます。  これを踏まえまして、各電力会社廃棄物発電に係る余剰電力購入単価見直しを今進めているところでございます。
  20. 中曽根弘文

    中曽根弘文君 いろいろ配慮をしていただいているということでございますけれども、先ほどから申し上げておりますように、また皆さん方も御理解いただいているように、この発電ごみ焼却場に隣接して建設できる、そして特に石油とか石炭は使わないということで非常に環境保護に大きく貢献できるということでございますので、ぜひそういう点を高く評価していただいて、電力会社側とすれば一円でも安く電気購入する、そしてこれを供給するというのがまたこれも務めでありますので、難しいところでありますけれども、その辺の間を政府が高い立場からトータルでこのごみ発電支援できるような、そういう施策をぜひ今後も推進していっていただきたい、そういうふうにお願いを申し上げます。  次に、そのほかのエネルギーについてお聞きしたいと思います。  中長期的なエネルギーセキュリティーの確保というものが非常にまた大事になっておりますけれども、現在のこの新エネルギーのほかにもいろいろなエネルギー技術開発が行われていると伺っております。水素エネルギーなどのこういう革新的エネルギー技術について積極的な取り組みも行われていると思いますけれども、今この法案対象としております太陽光発電やあるいは電気自動車ごみ発電や、そういうもの以外にどういうような技術開発が行われているのか、そしてそれらの開発見通し、将来の実用化見通し等についてお答えをいただきたいと思います。
  21. 江崎格

    政府委員江崎格君) より先を見通した革新的な新エネルギーの技術でございますけれども、私どもとしては主としてニューサンシャイン計画などの一環としてこうしたものを進めております。  例えば、今先生がおっしゃったような水素エネルギーでございますが、これは燃焼しても水しか出ないということで究極のクリーンエネルギーと言えるかと思いますが、これにつきましては実用に供し得る効率の高い水素の製造技術ですとか、それからそれらの輸送、貯蔵の方法、それから利用技術につきましては現在研究開発を行っております。これは、予算的には平成九年度で二十五億円の予算を計上しております。  それから、超電導技術によります電力の送電とか、それから電力の貯蔵、つまり電池でございますが、こういったものに応用する研究開発も進めておりまして、これも平成九年度では三十一億円の予算を計上して研究開発を進めております。  それから、太陽光発電でございますが、これも今実用に供されつつあるものよりも、より効率の高いものを目指した技術開発を進めているというようなことでございまして、こうした研究開発によりまして将来的には革新的な技術開発が実現するということを期待しております。  見通し、いつごろ実用化するかということになると、なかなか断定的なことを申し上げるのはちょっと難しい状況でございます。
  22. 中曽根弘文

    中曽根弘文君 ありがとうございます。  次に、ちょっと原子力について伺いたいのですが、いろいろ動燃のことが問題になっております。新エネルギー開発も進んでおりますけれども、これが日本エネルギーの主要な柱となるにはまだまだ時間がかかるようであります。  そういうことで、原子力を有効に活用していくということがやはり一番の重要なポイントでありますけれども、そのためには安全性の確保ということが最重要課題でございます。安全性につきましては、政府地域住民の皆さんに十分理解して協力してもらうためにもいろいろなPR活動といいますか、政府の立場でいろいろな支援も行われております。電源三法によって地元の市町村に対するいろいろな整備あるいは支援も行われておりますけれども、電力会社が独自にやはりそういう安全性についてのPRを行い、あるいは対策を行わなければならないわけで、いろいろやられておりますけれども、現在どういうような対策が行われているのか、お伺いしたいと思います。
  23. 岡本巖

    政府委員岡本巖君) 原子力発電の立地につきまして、その必要性を地元の方々に御理解いただくためのいわゆるPA、パブリックアクセプタンスのためのいろんな広報を初めとする活動については、私ども国としてもできる限りの努力をしてまいっているところでございますが、一義的には各電気事業者が地元の方々にきめ細かな周知、広報の活動をするというのが基本かと考えておりまして、各電力会社はそれぞれ立地予定地に事務所を開設してかなりの人を投入して、個別にあるいは説明会を開催したり、いろんな広報資料をお配りしたりという形でPRの活動をやっているところでございます。それに加えまして、地域方々の福祉とか福利厚生とか、そういう面でもお役に立つべくいろんな活動をやっているということで承知をいたしております。
  24. 中曽根弘文

    中曽根弘文君 大臣、このことでちょっと御見解がありましたらお願いしたいんですが。突然で申しわけありません。
  25. 佐藤信二

    ○国務大臣佐藤信二君) 今、事務方から説明しましたように、原子力発電ということでは安全性第一ということで、これの国民地域住民の理解ということ、これをもちろん求めるわけでございますが、最近の動燃のああしたような不祥事というか事故が相次ぎますと、幾ら口で安全だ安全だと言ってもなかなかやはり理解いただけないのではないだろうかと危惧しております。  そこで、それほど安全ならば、電力会社の幹部、社長さんだとか所長さん、それに対して言葉だけではなくその安全ということ、これをやはり国民地域住民にどういうふうに理解してもらうかという一つの方策としては、発電所管内、近くにそうしたまず幹部社員の保養所なりあるいはまた所長さん、社長さん、そうした幹部の方の住居を移すというようなことも一つの方法ではないだろうか、こんなふうに実は考えております。
  26. 中曽根弘文

    中曽根弘文君 既にいろいろな保養所とかそういう施設も割とあると思いますけれども、やはり今大臣おっしゃいましたように電力会社みずからが安全性について、地域住民の皆さんに本当に信頼していただくための対策というのはいろいろあろうかと思いますので、ぜひそういう点も官民そろってやっていただければと、そういうふうに思います。  それから、ちょっと省エネについてお伺いをいたします。  新エネルギー開発というものも非常に重要でありますけれども、同時に省エネ対策というものが必要でございます。それにはエネルギー消費機器の効率化を図って、そしてどんどん技術開発を行ってエネルギー消費量を少なくするということは当然でありますけれども、同時に国民一人一人がエネルギーを大切にする、省エネ意識を持つということがさらに重要でございます。政府としては四月一日に「二〇〇〇年に向けた総合的な省エネルギー対策」というものを発表しておりますけれども、国民に対する大々的なキャンペーン等を行って、そして国民運動として盛り上げていくことが私は重要ではないかと。ことしの暮れには京都でCOP3もあります。  それから、現実問題として日本エネルギー需給というのは非常に厳しい情勢にあるわけで、どうも今の一般的な様子を見ていますと、エネルギー需給に対する危機意識が国民に余りないのではないか、そういうふうに思っております。オイルショックのころには国民全体にそういう省エネ意識が非常に高まりましたけれども、現在は非常にそういうのが薄い、そういうふうに心配しているところでございまして、この点について御見解をいただきたいと思います。
  27. 江崎格

    政府委員江崎格君) 最近のエネルギー消費の動向を見ておりますと、私どもがエネルギー政策の指針にしております長期エネルギー需給見通しの一%というものをはるかに上回る三%台の伸びということでございまして、こうした状況を放置しますと、エネルギーセキュリティーの面でもあるいは地球環境保全というものにも大変問題があろうかと思っておりまして、まさに省エネルギー対策というのは非常に重要かと思っておりますが、御指摘のように、ややここのところ国民の意識の面でもそうしたものの危機意識といいますか重要性が薄れているというのは否定できないと思っております。  私ども、この問題に今後さらに力を入れようということで、今御指摘のように、四月一日に政府全体として「二〇〇〇年に向けた総合的な省エネルギー対策」というのを関係閣僚会議で決めていただいたわけでございまして、今後これに基づいた対策に力を入れようと思っております。  今まで私どもがやっておりますこと、例えば、これは実は私自身せんだって銀座へ出まして一般の方に向かってパンフレットを配るというようなことをやったわけですが、そうした一日資源エネルギー庁長官デーですとか、あるいは地方公共団体におきまして地域のレベルで住民の方に訴えるということでパンフレットを配布する、あるいはインターネットといったような新しいメディアを活用してこうした必要性を訴えるとか、その他シンポジウムですとか研修制度とか、それから省エネルギーに貢献された人あるいはグループに対しての各種の表彰制度、こういったようなことをやっております。  それから、平成九年度からは、特に省エネ診断といったようなことで工場やビルに対する省エネの強化ということも一層進めていきたいと思っておりますし、また地域における先進的な省エネに対する広報活動これに対しても新しく予算お願いしているところでございます。こうしたいろいろな対策を講じまして、政府一体となって省エネルギーに向かって努力をしたいというふうに思っております。
  28. 中曽根弘文

    中曽根弘文君 夜、街に出ると、もうネオンがごうごうとついておりますし、それから最近はいろんな建物や橋がライトアップということでこれは非常にきれいなんですけれども、かなりの照明を使っているわけです。そういうことから私は、ライトアップ、東京タワーのを見ていましても一定の時間になればもちろん消してあるんですけれども、しかし、そういうものも含めてあるいは屋外の大きなネオンの広告塔も含めて、夜の一定の時間になったら消すようにというそれぐらいのお願いをされたらどうか、そういうふうに思います。  街を走っていますとガソリンスタンドでも明かりがこうこうとしているんで、もったいないんじゃないかなと思うことも多いわけであります。もちろん、営業上明るい雰囲気をつくるということが大事と思いますけれども、なかなか強制的にそういうことをするということは問題もあろうかと思いますし、無理もあろうかと思いますが、そういう観点でこれからはいろいろな指導なり対策をとっていっていただければと、そういうふうに思います。  それから、省エネ対策としては、私はサマータイム制度導入も一つ大きな効果がある、そういうふうに思っておりまして、現在世界の約半分近い七十カ国でこのサマータイム制度導入されております。四月になりまして、今導入している国では一時間時計の針が従来より進んで、そして生活が行われているわけですけれども、昼間の明るい時間がふえることによって余暇活動の時間もふえます。そういうことでありますが、同時に照明等による電力消費も抑えられるわけであります。  逆に、その余暇活動がふえるということによって増エネになる部分も出てきますけれども、試算によりますと省エネ効果が大きいということでございまして、石油換算で年間約六十万キロリットルから七十万キロリットルぐらいに来年ぐらいですとなる、そういうふうにも言われております。これは約四十万世帯の一年分のエネルギー消費量、これに相当するわけでありまして、香川県とか高知県の一県分の全所帯の年間エネルギー消費量に相当するわけです。  そういう意味で、環境保全のためにも省エネのためにもサマータイム制度導入したらどうか、そういうふうに私は思っておりますが、大臣の御見解をいただければと思います。
  29. 佐藤信二

    ○国務大臣佐藤信二君) 今おっしゃるようにこのサマータイム制、夜間における照明需要の削減、そうしてまた省エネ型のライフスタイルへの転換ということで、省エネということにとっては大変大きな意味を持つだろうと思うんです。  今御指摘のように、やはりこれからの日本がとろうとするのは、省エネの強化、そして新エネの開発、それから原子力、こういう三本柱ですが、みんなそれぞれ難しい面を控えているということで、特に私は省エネということをまず第一に考えるべきではないだろうかということです。  今のようにそういうことになるとやはり一つの制度でもって切りかえないと、なかなか口で言ってもいかない。こういうことで、このサマータイム制度導入というのは当省としては非常に積極的な立場をとらせてもらっています。  しかし、戦後一遍我が国でもサマータイムというものが実施されて、それがいつの間にか消えて、そして今あらゆる面で当時とやっぱり生活様式が変わったということで、例えば交通の信号一つとってみても電子化している、こういうことで、それを切りかえるためには何百億かかる、実はこんなことで、まだ省庁の中、また国民の御理解というものがいってない段階だろうと思いますので、この問題に関してはもう少し民間団体の活動というものに大いに期待しているわけでございます。
  30. 中曽根弘文

    中曽根弘文君 今、大臣がおっしゃいましたように、戦後日本でも一時期導入いたしましたけれども、これは廃止されました。それは、戦後のあの食べる物もない時代のとにかく明るいときは働かなきゃならない、そしてそのうち朝鮮戦争が起きまして当時はサマータイム制度を廃止したわけでありますけれども、今世界、OECD加盟国ほとんどやっているわけで、加盟国の中で導入してないのは、夜が白夜のアイスランドと、それからもう一つどこでしたか、ニカ国ぐらいしかありません。  そういうことで、日本導入することによって、日本もこの省エネに本格的に取り組むな、あるいは国際的にいよいよなってきたな、そういう印象も与えることができるんじゃないか、そういうふうに思っておりますし、同時に弱者、お年寄り等にとりましては、帰宅時間のころが明るいということは非常に安全でありますし、そういう意味からいろいろな福祉団体等からも実現の陳情が来ております。  時間がありませんので、このサマータイムについてはこれ以上申し上げませんけれども、ぜひ政府としても、また通産省としても積極的に支援をしていただきたい、そういうふうに思います。  そして最後に、このエネルギーの問題というのは、日本だけが一生懸命省エネとかあるいは新エネの開発をやっていても、これは世界全体の地球環境保護には、もちろん効果はありますけれども、なかなか一国だけではこれは十分でないわけであります。特にアジアの経済発展、そしてこの経済発展に伴うエネルギー消費の増大あるいは環境問題、こういうものの悪化が予想される中で、これらの発展途上国においても利用できる太陽エネルギーあるいは風力、そういう新エネルギー導入というものは非常に重要な課題であると思います。  そういう意味で、日本としてもこれらの途上国等にこの新エネルギーの技術移転等を行って積極的に支援をすべきだと思いますけれども、最後にまたこの件について大臣の御所見を伺いたいと思います。
  31. 佐藤信二

    ○国務大臣佐藤信二君) おっしゃるとおりで、発展途上国というもの、ここのところでもって新エネルギー導入ということがやはり世界全体のエネルギーセキュリティーの確保とか、また地球環境問題、これへの対応とともに大変重要な問題だと思いますし、またそのことによって開発途上国と言われている国々の国民生活の向上というものも図られると思っております。  そういうことで、我が国といたしましては、一九八〇年以来、ODA等によりアジアの発展途上国の電化していないところにおける太陽光発電システム導入というものに協力をしてまいっております。  そして、これからも発展途上国において新エネルギー導入や技術移転に関する要請があれば可能な限りこれを支援していく、こういうことでございます。
  32. 中曽根弘文

    中曽根弘文君 ありがとうございました。終わります。
  33. 加藤修一

    ○加藤修一君 平成会の加藤修一でございます。  私は、まず最初大臣に御答弁をお願いしたいわけですけれども、資源エネルギー庁で出しています「エネルギー・未来からの警鐘」、これを読ませていただきました。これに触発されておりますけれども、時代認識をどうするかということですけれども、シンプルに考えていきますと、私は軍事的な競争の時代あるいは政治的な競争の時代、それから経済的な意味での競争の時代、今がその時期でメガコンペティションと、そういうふうに言われるくらいなわけですけれども、これからの時代をどういう形でその辺を考えていくかということも一つはやはり大切な視点じゃないかなと思うわけです。  例えば人権の問題とか、ごく最近でございますけれども対人地雷のアピールが国会議員によってなされているわけですし、それから環境に対する高い関心、そういう時代になってきている、あるいは生産についても人間的な生産とか、それが高じてそれに関連してPL法ができたとか、あるいはさらに人間的生産ということでゼロ・エミッション、いわゆる廃棄物ゼロ、そういう考え方が強く出てくる時代になってきております。  それから、消費についても人間的消費、いわゆる安い物を大量に購入するという日本の中にあって、安い物がなぜ購入できるかというと、発展途上国の子供たちが非常に安い賃金の中で働いて製品をつくっているという、そういった非常に南北問題が絡まってきている話もございます。そういった意味では、節度ある消費、乱費じゃなくて浪費じゃなくて、そういう視点も必要であるというふうに考えられますし、あるいはちょっと外れた話かもしれませんが、二十一世紀は脳の時代というふうに言われております。  また、アメリカにおいてでしょうけれども、ヒトゲノム計画、そういったいわゆる人間の生命に対する関心が極めて強くなってきている、あるいは人間の生きる権利に対しても極めて関心の度合いが強まっていると。それは、逆に言いますと、人権がかなり侵害される方向にいく部分も出始めているという言い方もできると思います。そういった意味では、これからの時代というのは長期的には人道的な意味での競争の時代と、そういった見方も私はできるんではないかなと思います。  その中にあって、国際社会の中で、要するに我が国としてはどういう位置をきちっと示していくことができるか。もちろん、経済的な力というのは十分考えていかなければいけないし、重要なファクターでございます。  そういったことから、私自身も最近読んだ本の中で極めて関心を持ったわけですけれども、ローマ・クラブが出した「第一次地球革命」という本の中で、創始者のペッチェイ博士が戦後書いた著書の「ザ・ヒューマン・クオリティー」という、人間の質というふうに訳してよろしいんでしょうか、その中で「「公正への愛と暴力に対する憎しみ」を柱とする「新人間主義」を提唱し」というふうに書いてございます。そして、死ぬ寸前に口述筆記した中には「国内、国際的な政治のしくみの改善の必要性」あるいは「社会を動かしていくもとになる倫理観、後の世代のために地球を守っていくための責任感」と、こういう形で残されているわけです。  いずれにしましても、例えばの話ですけれども、我が国が覇権主義をとるかあるいは平和主義をとるか、そういったことによって随分と対応する国政レベルの組織あるいは政策というものは当然変わってくる、そういった点を考えていきますと、やはり人道的な競争の時代という視点も非常に大切ではないかなと思います。  そういった観点から、通産省あるいは大臣として時代認識をどのようにその辺とらえているかという質問でございます。
  34. 佐藤信二

    ○国務大臣佐藤信二君) 加藤委員にお答えいたします。  いつお聞きしても、委員の卓越した先見性というものに感服するわけですが、今おっしゃるように、戦後の日本を初めとして諸外国は第二次世界大戦の後遺症というか、これの克服ということでがむしゃらに先のことを考えずに競争を繰り返してきた。御指摘のように、軍事的な競争は、これは終止符を打ってきた。しかし、我が国なんかの場合には平和憲法のもとにやはり経済というもの、これを中心に競争に参加してまいってきたということは否定できないと思うんです。よく言うように、経済的で、物で栄えて心で滅びるなんという言葉がよくございましたが、そういうようなことで、今やはりそうした実は時期になっている、かように思うんです。  よく大競争時代に突入した、そしてボーダーレスの時代だ、グローバル化とか、かような言葉がございますが、要するに、やはり一応今の場合には経済的成長というものによって物質的な豊かさというものはある程度達成した、こういうふうな見方になって、そしてこれからはやはり国民の心のゆとりというこうした精神的な豊かさ、こういうものを求める時代になった、かような認識を持っております。そういうことがまた国民のニーズであるならば、そういうことを主眼として今直面している大競争時代というものを乗り切っていき、そしてこれからのこの高齢化社会に備えていくことが必要だろうと思います。  私たちの省といたしましては、そういうことがございまして、私の方では経済構造改革というのがございますし、内閣全体としてはほかに五つの構造改革、これを掲げてございますが、これに積極的に取り組んでいくことが必要だと、かように思っております。こうした改革の成功ということによって経済活力があり、そして人間性があふれ、国民のお一人お一人が精神的な豊かさを実感できる、こうしたような社会を目指していくべきだと思います。  ただ、申しわけございませんが、なかなかそうは申しましても現実問題としてはやはりそうした意識というものがなかなか一遍には変わってこない、こういうことだと思いますので、その点に留意しながら政策を進めていきたい、かように考えております。
  35. 加藤修一

    ○加藤修一君 経済の言葉ばかりじゃなくて、やはり生命の言葉、環境の言葉というものを大事にしていくことが大事な時代になっているというふうに考えます。  今後の通産行政ということでちょっと見解をまた同じく大臣お願いしたいと思うんですけれども、スコット・カーロンという方が出した本で「デイバイデッド・サン」という、割れた太陽というのか、サン、太陽が日本だということだと思うんですけれども、この中で、一九七五年以降の通産行政、とりわけ情報関係なんですけれども、一つの非常に示唆に富んだ話を展開しているわけでして、通産がやってきましたビッグプロジェクト、例えば超LSI、スーパーコンピューターあるいは第五世代のコンピューター、トロン。超LSIについてはIBMが当時それなりの力を持っていたわけですから非常にインセンティブとして働いたと、そういうことで非常にいいプロジェクトであるという話ですけれども、スーパーコンピューター以降についてはなかなか難しいうまくいったとは考えていないという認識を示しております。私もそういう認識です。  そして、最後に言っている提言が三つございまして、一つは、産業中心から生活、消費者中心のあり方が大事であろう、それから国内規制の緩和も大事であろう、それからもう一つ最後は、三番目として大企業から小企業へ産業政策の転換をしていく必要があるんではなかろうかと、こういう三点にわたって提言をされているわけですけれども、これについて御見解をお願いしたいと思います。
  36. 佐藤信二

    ○国務大臣佐藤信二君) 全く御指摘のとおりでございまして、今までの行政というのは、一口に言えば各省の傘下の業界の保護育成、こういうことに重点が置いてあったことは否定できないと思うんです。それが今御指摘のように、やはりこれからの行政のあり方の中心は国民、いわゆる消費者だとか生活者、こういうふうな視点に立って物事を判断する、行政を進めていくというふうに実は変わってくることが必要だろう、かように思っております。  そういうことで、今、私の方の省といたしましては、規制緩和推進及び中小企業等の支援ということが大きな柱となってございますが、その中で例えば規制緩和という問題を取り上げましても、これを推進しているというのは、もちろん経済構造改革の重要な柱であるということは言うまでもございませんが、これは高コスト構造の是正等によって消費者や生活者の利益になる、かように実は思っております。  また、強力に施策を展開しております製品の安全行政やそれからエネルギー環境問題、これに対する対応もやはり消費者や生活者の利益につながる、かように思っております。  また、中小企業に関しましては、今後の新規産業創造の重要な担い手というふうに位置づけまして、生産、流通、雇用、こういう方面で我が国において重要な役割を果たしてきたし、これからもやはりそうしたところが担うんだということで、経営基盤の強化や構造改善の支援というものについて万全を期していく、こういうことで今後とも適切に通商産業政策というものの運営に当たってまいりたい、かように考えております。
  37. 加藤修一

    ○加藤修一君 それでは、資源エネルギー庁長官お願いしたいのですけれども、通告はしていないんですけれども、極めて基本的な質問でございますので。  我が国は法治国家であると思います。それで、法治国家ですから、法律に基づいて国家の運営を行っていく、行政をやっていくということですけれども、私はこういうふうに法治国家を簡単に考えていますけれども、これについてお願いします。
  38. 江崎格

    政府委員江崎格君) 私も全く同様な認識であります。
  39. 加藤修一

    ○加藤修一君 それでは、本法律案の基本方針について確認させていただきたいのですけれども、何回か私も通産省の方から説明を受けております。  この法律の必要性ということで二つの柱がある、エネルギー政策をめぐる環境変化ということで、第一の柱としてはエネルギーセキュリティーの確保の必要性の高まり、それが一つありますよと。第二点目については、地球温暖化問題への対応の必要性の高まり、この二つ、これを大きな柱として我々は考えていて、この法案を提出するに至りましたと、そういうふうに説明を受けております。それから、大臣財政投融資計画の中においても、地球環境問題についての説明もございました。  これについて確認をあえてさせていただきたいのですけれども、このとおりでよろしいですね。
  40. 江崎格

    政府委員江崎格君) 御指摘のとおりでございまして、この法案を提出しました背景としまして、最近、エネルギーの消費が非常に伸びていると。ところが、日本環境を取り巻きますエネルギー状況を見ますと、アジアにおけるエネルギー需要の急増の問題あるいは日本自身の石油の依存度が非常に高どまりしているということで、セキュリティーに非常に問題があるということと、それからもう一つがこのところ非常に国際的にも問題になっております地球環境問題で、今のような日本エネルギーの消費構造あるいは供給構造を放置しますとこの点でも非常に問題があるということで、新エネルギー導入促進しようというのがこの法案の背景の趣旨でございます。
  41. 加藤修一

    ○加藤修一君 総合エネルギー調査会の中間報告、先ほど申し上げましたこの本でございますけれども、これは超長期エネルギー見通しというふうに私も理解していまして、二〇三〇年目指してのエネルギー見通しであるというふうに考えていますけれども、この中間報告の意義と位置づけについてお願いいたします。
  42. 江崎格

    政府委員江崎格君) 今の中間報告でございますが、これは昨年の五月から十二月にかけまして総合エネルギー調査会の中にございます基本政策小委員会という場でこの問題を議論したわけでございまして、先生御承知のように、これは一般公開のもとで議論をしてきたわけでございます。  審議は二つに大きく分かれておりまして、一つがエネルギー政策の目標といいますか指針であります長期エネルギー需給見通し、これは二〇〇〇年の中間目標があるわけでございますが、それを達成するための追加施策というものはどうしたらいいのかというのが第一の大きな点でございます。  それから二番目が、今先生指摘の超長期のエネルギー問題について検討の材料を国民提供しようということで、二〇三〇年に向けたエネルギーの需給のシミュレーションをしたわけでございまして、結果として四つほどのシナリオといいますか選択肢を提供しまして、将来に向かって日本エネルギーセキュリティーあるいは地球環境保全の問題、それから日本の一定の適正な成長率、こういったものを達成するためにどのようなエネルギー政策上の選択肢があるのかということの議論を提供するためにこのシミュレーションを行い、公表したものでございます。
  43. 加藤修一

    ○加藤修一君 今回の法案の二つの柱の一つとしていわゆる地球温暖化防止対策、それにかかわってくるという話でございますので、地球温暖化防止対策について焦点を絞って質疑を展開させていただきたいと思います。  まず最初に、大臣にお伺いしたいのですけれども、一人当たりCO2排出量、これを一九九〇年レベル、水準にしなければいけないという国際的な公約がございますけれども、二〇〇〇年の時点でですね、この達成の見込みについてはどのようにお考えでしょうか。
  44. 佐藤信二

    ○国務大臣佐藤信二君) 御指摘のように、一九九〇年に開催された地球環境保全に関する関係閣僚会議というのがございまして、その場でもって二〇〇〇年以降の一人当たりのCO2の排出量、これを一九九〇年のレベルでもって安定させるというふうな目標を掲げました地球温暖化防止行動計画というものをつくったことは御存じのとおりでございます。そのときに、今おっしゃるようにその数値が一人頭二・六トンというのを目標に置いたわけでございますが、今のところは残念ながらこのCO2の排出量が増加の傾向にあるということで、現状では今の計画目標を達成することは大変困難だというのが率直な話でございます。  そういうことで、CO2の排出量、二〇〇〇年の目標達成ということに向けて新エネルギーの一層の導入促進と省エネの強化、それから原子力の着実な推進、こうした三本柱のエネルギー政策を初めとした国内対策を図っているところでございます。
  45. 加藤修一

    ○加藤修一君 十二月にCOP3締約国会議があるわけですけれども、それに向けて各国それなりの議定書になるような案を出しているということでそれぞれに努力をされている、日本環境庁、通産省を初めとして努力をされていると思います。  ただ、WWF、いわゆる世界自然保護基金の方で出された最近の調査によりますと、これは温暖化防止取り組み各国評価通信簿ということなわけですけれども、日本はアメリカに次いでワーストツーにランクされていると。取り組みについては非常に消極的であるという評価がなされているわけですけれども、これについてお願いいたします。
  46. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 御指摘のございましたWWFの方から二月に報告がございました。  各国の温暖化対策に対する評価は四つのクライテリアでなされてございますが、一つは二〇〇〇年の目標達成見込み状況でございます。日本状況につきましては今大臣から申し上げたとおりでございます。それから、第二のクライテリアはCOP3に向けての政府のポジションでございまして、二〇〇五年を含む二〇一〇年、二〇年の将来に向かっての提案の状況でございます。それから、三つ目のクライテリアは一人当たりの排出量でございまして、これは二・六トン、七トンということで世界的に日本の位置づけはかなり高いものでございます。それから、四つ目のクライテリアは国家の総排出量でございまして、アメリカを一位として日本は今世界的には第四番目の排出国になってございます。こういうクライテリアを用いまして、各国の温暖化対策の評価を行った内容でございます。  こうしたWWFの採用したクライテリアが、各国の現状の炭酸ガスに対する取り組みを正確に評価し得るものであるかどうかについてはいろんな議論があろうかと思いますが、いずれにいたしましても一つの報告書として内容を承知いたしてございます。
  47. 加藤修一

    ○加藤修一君 将来のCO2の排出量とかあるいはその排出量を削減する方向でさまざまな議論が展開されている最中ですけれども、今私が調べた範囲で貴重なシミュレーション分析としては、先ほど来からのこの「エネルギー・未来からの警鐘」の中で使われているいわゆるマクロ・エネルギー需給モデルとそれから環境庁がやっているAIMモデル、この二つが著名ではないかなと思います。  それで、環境庁がやっているそのモデルは、「技術選択を考慮したわが国の二酸化炭素排出量の予測モデルの開発」というレポートでございまして、現在アップグレード中であると。しかし、私自身もこれを読んでみまして評価できる内容だと思いますし、国際学会においても評価されているレポートであるというふうに聞いております。  結論は六点ほど書いてございます。炭素トン当たり二万円から三万円程度の炭素税を導入すれば省エネ技術の導入は進むが、トータルとして二酸化炭素排出量を安定できないおそれがある。あるいは追加的な方策を検討する必要があるとか、あるいは今後運輸部門では大きなエネルギー消費の伸びが予想される云々と、そういう形でさまざまな結論が書いてございまして、六点ほど並べております。  これについては通産省、どういう御見解をお持ちでしょうか。
  48. 江崎格

    政府委員江崎格君) 環境庁さんの方で今おっしゃったAIMモデルを使いまして、これは二〇二〇年だったと思いますが予測をされたということを私どもも承知しております。  私どものモデルと、結果あるいは内容が少し違っているわけでございますけれども、それぞれモデルの構造とか前提が違っておりますので一概にそのどちらが正しくてどちらが間違っているというものではもちろんないと思っておりますが、環境庁さんのおやりになったのは、一定の将来におけるエネルギー価格というものを想定しまして、一方、省エネルギーのための初期の投資ですとかあるいはそれらのランニングコストがどのぐらいかということを想定しまして、仮に省エネルギー設備などを導入した方が経済的に有利であるという時点になった場合には直ちにそちらに、皆さんが経済主体はそれに切りかえるという前提のもとでシミュレーションされたというふうに伺っております。一言で言えば、積み上げ型といいますかボトムアップ型と言っていいかと思いますが、そうしたタイプのシミュレーションだというふうに思っております。  それから、私どもの方はどちらかといいますとトップダウン式といいますか、全体で経済のマクロのフレームを想定しまして、そのフレームの中で相関関係からエネルギーの需要量が将来どのように変わっていくのかということをシミュレーションしたわけでございまして、多少手法が違っております。  強いて申し上げれば、このAIMモデル、環境庁さんのモデルは、経済主体が完全に経済合理的な行動をするということを前提にしておられますので、省エネ設備等の導入がやや楽観的に出てくるのではないかというふうに見ておりますけれども、我々のモデルでももちろんそういうことを否定するわけではないわけでありまして、今後の私どもの施策にも十分環境庁さんのモデルも参考にさせていただきたい、このように思っております。
  49. 加藤修一

    ○加藤修一君 もう少し詳しい評価姿勢であってほしいなと。これがアップグレード中でございますので、今後さらに精度の高い結果が出てくると思いますけれども。  それで、中間報告のマクロ・エネルギー需給モデルについてですけれども、もう少し詳しく中身と結果について、いただけますか。
  50. 江崎格

    政府委員江崎格君) このシミュレーションでは四つのタイプの組み合わせを公表したわけでございますが、そのうち、ある意味じゃその両極端のものを御紹介したいと思うんですけれども、一つは、まず省エネとか新エネの施策、これは現在どおりのペースで進む、つまり施策をこれ以上の強化をしないという前提で、つまりエネルギーの伸び率が年率一%ぐらいで二〇三〇年まで行くという想定、これ自身かなり相当政策的努力を要するわけですが、そうしたエネルギーの伸び率、それから新エネルギー導入も相当一生懸命やりまして二〇三〇年時点でその時点エネルギー供給の二%ぐらいを賄うという想定、それから原子力については、原子力委員会の長期計画にございます二〇一〇年で七千万キロワットというのがございますが、そのぐらいでほぼ二〇三〇年時点でも横ばっているというような前提を置きまして行ってみますと、炭酸ガスの排出量は二〇三〇年時点で一九九〇年の約一・五倍ぐらいということでございます。ちなみに、石油の依存度はこの時点で四八%ぐらいということでございます。  一方、かなりそれ以上に政策的努力をするということで、例えばエネルギーの伸び率を毎年〇・七%まで落とす、これは今まで以上にかなり追加的な施策がないとそこまで行かないと思いますが。それから、新エネルギー導入も二〇三〇年時点で一一%という、かなりこれも思い切った想定をしております。それから、原子力発電につきましては、二〇三〇年時点で一億キロワット。これも原子力委員会が二〇三〇年でそのぐらいの数字を挙げておりますので、それを前提にいたしましてシミュレーションしてみますと、これによりますと石油の依存度は四一%まで下がる。それから、炭酸ガスの排出量は一九九〇年の三・二億トンとほぼ同水準ということまで削減できる、こういう結果が出ております。  いずれにしましても、しかし、今申し上げましたような組み合わせをやるといっても、一番炭酸ガスが排出してしまうケースでもエネルギーの伸び率を毎年一%に抑えるというようなことでございますので、相当長期間にわたって政策的な努力が必要ではないか、このように思っております。
  51. 加藤修一

    ○加藤修一君 今のさまざまな結論といいますか結果につきましては、このモデルのそれ自体の精度にも当然よるわけで、精度がかなりいいという判断のもとで行われていると思うんです。  そこで、モデルについて具体的に質問をさせていただきたいんです。  手元にいただいた資料がございます。その中で、五ページを見ていきますと、単一方程式の寄与率が六四%、全情報の六四%しか説明していないと、その方程式によって。それから六ページにおいても約八〇%。七ページ、八〇%、八九%、八九%。あるいは八ページ、七五%。十一ページ、八六%。それから十二ページ、七二%、七五%等々を考えていきますと、まだほかにもずっとあるわけですけれども、その寄与率で見る限りにおいては精度としてはどうなのかなというところが考えられます。  このレポートの中では、パーシャルテストの結果とかあるいはトータルテストあるいはファイナルテストの結果がない。この辺についてどういうふうにお考えでしょうか。
  52. 江崎格

    政府委員江崎格君) 私ども、この作業をするときに、これまで私どもの手に入り得るいろいろなデータをもとにしましてモデルをつくったわけでございます。  何しろ、二〇三〇年というかなり先のことでございますので、正確な予測をするということが目的というよりは、むしろこういう諸前提を置いて、将来の炭酸ガスの排出量とか石油の依存度がどうなるかという組み合わせとしてこういうケースが考えられますということで、むしろ議論の材料を提供するということでございまして、将来の見通しについて細かな数字まですべて正確なものであるというところまでは自信がないわけでございますけれども、議論の材料としてお考えいただくものとしては私どものやりました作業で十分役に立つんではないか、このように思っております。
  53. 加藤修一

    ○加藤修一君 まだまだそういった意味では、このモデルについては改善の余地があるというふうに理解してよろしいですね。  それで、データ期間についても約三十年以上にわたってとっている部分が相当ございます。つまり、オイルショックも含まれている、あるいは高度経済成長のときも含まれているということで、三十年間のデータをもとにしてやるということによって生じてきたいわゆるパラメーター、それ自体が将来にトレンドさせてプロジェクションする場合に安定性のあるパラメーターとして考えられるかどうかというところがまた一つあると思うんですね。  それから、厚生省の人口推計をもとにしていると。その中の中位、高位、低位があって、そのうちの低位をもとにしているということを考えていきますと、中位あるいは高位を使った場合にはもっとこれ以上に厳しい結果が出る可能性があると私は考えていますけれども、その辺はどうでしょうか。
  54. 江崎格

    政府委員江崎格君) その点は御指摘のとおりだと思います。ですから、このモデルをつくるときに、我々としては今の時点では最善だと思っておりますが、先ほどおっしゃったような過去のデータをどこまでとるべきかとか、これからの日本の経済の社会構造がどのように変わっていくかということによりますから、いろいろな意味で、もちろん今後も改善の余地はあろうかと思います。  さっき申し上げましたように、今の時点国民の方にいろいろ議論をしてもらうのに、経済の成長率、それからエネルギー供給源の組み合わせの問題、それから環境保全の問題、こうした問題について非常に今の日本は厳しい情勢にあって、どういう選択を考えなきゃいけないかということの議論の材料を提供するということでございますから、そういう点では今回のシミュレーション結果というのは、その任には十分たえ得るというふうに思っておりますが、先ほども申し上げましたように、個々の数字について一〇〇%自信があるというふうに申し上げているわけではないわけでございます。
  55. 加藤修一

    ○加藤修一君 それでは、次に地球温暖化防止京都会議取り組みについてお尋ねしたいと思います。  昨年、地球温暖化防止行動計画についてかなり予定よりはひどい状態であるという認識のもとに、総理が追加策といいますか、何とかならぬのかと、そういう話をしたというふうに伺っておりますけれども、要するに、その辺の総理の指示に対応した形で、どういう形でその辺の追加策を含めて検討あるいは実際に動いているんでしょうか。
  56. 江崎格

    政府委員江崎格君) 昨年六月に化石燃料の消費の問題につきまして、今御指摘のように総理から指示があったわけでございますが、これにこたえる意味もございまして、先般四月一日に総合エネルギー対策推進閣僚会議の場で総合的な省エネルギー対策というものを決めたわけでございます。  今回の内容は六十六項目にわたりまして、事柄の内容としては政府の各省庁すべてにわたるわけでございまして、分野では産業の分野あるいは民生の分野、運輸の分野といった総合的なものを含んでおります。  主なものを御紹介いたしますと、産業の分野でございますと、工場ごとのエネルギー効率を毎年一%ずつ改善をしていただくという努力目標を掲げていただくとか、あるいは省エネ法に基づく指定工場、現在全国で三千五百ほどありますが、これらに対する指導を強化するといったようなことを内容にしております。  また民生部門対策でございますが、これは住宅の断熱性能の向上に関して、主としてこれは建設省にお願いしましたけれども、誘導基準を策定いたしまして、より断熱性の高い住宅普及を図るとか、あるいは住宅とか建築物につきまして省エネルギーマークという、そういった表示制度導入する。あるいは消費者に対しまして、省エネルギー型の家電製品の選別を促すという観点から、これも表示制度導入したいというふうに考えておりますし、また省エネ法に基づく冷蔵庫などに関しまして省エネ基準を設定する。それから、これはアメリカなどで既に始まっているんですが、省エネルギーサービスをビジネスとして行うというESCO事業者と言っておりますが、こうしたものの支援などを考えております。  それから運輸部門でございますが、これは今までディーゼル自動車は燃費目標を掲げておりませんでしたけれども、今回この省エネ対策に基づきましてディーゼル自動車の燃費目標設定しようということにしております。また非常に広範にわたる総合的な対策でございますけれども、都市圏の交通円滑化総合計画というものを関係省庁で策定いたしまして、交通量を円滑化することによって運輸部門のエネルギー消費を抑制するということでございます。それから、物流についても同様に総合的な対策によりまして交通量の円滑化などによる省エネルギーを図ろうということでございます。  それから、四番目が各部門に共通する横断的な対策ということでございまして、地方公共団体に対しまして先進的な省エネルギー活動に対する支援をする。それから、学校教育の場でエネルギー問題を早くから子供たちにわかってもらうということで、例えばエコスクールといったようなものを推進するということを考えております。それから、政府全般としまして省エネルギーの広報対策の強化を図る。こういったようなことを内容とした総合省エネルギー対策を先般決めたわけでございます。
  57. 加藤修一

    ○加藤修一君 昨年、温暖化防止策に対して政府全体としては十一兆円投入しているという話で、しかしながら、一方で史上最高の三億四千三百万トンにCO2の排出量がなってしまった。十一兆円。この辺の積算の仕方とか、要するに、具体的に施策に対応した形でCO2の発生とか、そういったものがどういう形でやっているのか非常に疑問なんですけれども、その辺はどういうふうに今後対処するおつもりでしょうか。
  58. 江崎格

    政府委員江崎格君) 予算額の数字とそれから炭酸ガスの排出量というものが正確に必ずしも相関関係を持つのはなかなか難しいわけでございますが、いろいろな施策を充実しまして、特に炭酸ガスの問題ですと、化石燃料の抑制ということを中心にしまして各般の施策をやっておりまして、具体的には今申し上げましたような省エネルギー対策ですとか、それから今回御審議お願いしておりますが、新エネルギー導入促進とか、それから炭酸ガスという問題ですと、原子力発電導入といったようなことも大変これに寄与するわけでございまして、こういったことを中心に各般の施策を実施しているということでございます。
  59. 加藤修一

    ○加藤修一君 相関関係じゃなくて因果関係だと思います、私はまさに。そこをきちっとやらないと私はおかしな話だと思いますね。  十一兆円の中には、かなりの額が建設省のいわゆる道路予算が入っているというふうに伺っているんですね。こういう内容がCOP2の事務局の方に渡ったというふうに私も聞いています。こういうのはちょっと恥ずかしいなという思いが非常に私はするんですよね。  ですから、この施策とCO2の発生、その辺のことをきちっと研究、新しい方向というか開発すべきだと私は思いますが、どうでしょうか。
  60. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 御指摘のございました十一兆円は、一九九四年に各国がそれぞれ炭酸ガス対策に対してとりました措置の内容を通報することになってございますが、その中身として通報されたものであろうと思います。その中には道路の整備でありますとか、炭酸ガスに関係をするものがかなり幅広く取り入れられてございますので、そういう観点からの集計の数字でございます。  今後、二〇〇五年、一〇年、二〇年にかけて新たな通報措置をとることになってございます。現在各省集まって相談をしているところでございますが、御指摘のような点も踏まえまして今後検討したいと思います。
  61. 加藤修一

    ○加藤修一君 十二月のCOP3に向けてさまざまな会議が行われている中で、日本の対応が極めて消極的である、日本は具体的な解決策を示していない、あるいは日本政府は自分たちがどうするのかを言わない、これでは偽善者だと、正直に言ってもらいたいとか、あるいは中でも削減量も削減目標年も明らかにしていない日本政府案は集中砲火を浴びたとか、さまざまな形で議長国である日本に対して非難が集中しているというふうに私は印象を受けているんですけれども、大臣どうでしょうか、この辺どういうふうにお考えでしょうか。
  62. 佐藤信二

    ○国務大臣佐藤信二君) 今、委員指摘のような問題、私も大変苦慮しているという一語に尽きます。  と申し上げるのは、この地球環境問題、気候変動問題、これはまさに人類の存続に関するという重要な課題であることは言うまでもございません。しかし片一方では、環境問題というのは経済問題、エネルギー問題、これに非常に関係があるということで、そのはざまにあるのが当省の立場だと言って間違いないと思うんです。  今御指摘ございましたように、CO2という場合では、当省関係電力を初めとして製鉄その他ございますが、同時に運輸部門も非常にあるわけなんで、そこが非常に難しい。今おっしゃった道路の問題でも、道路がよくなって車がさっささっさと走ればCO2の排出量が減ることは言うまでもありません。  そういうところの関係をどうして持ってくるかということで、今おっしゃるように、ことしの十二月の京都会議というのは日本が議長国だと。ある意味では、議長という役目は御案内のごとくいろんな意見を取りまとめるということですから、余り早目に我が国考え方というのを私は出すこと自体が逆に問題ではないだろうかと。  しかし、それに対する対応というものはしないわけではございませんで、先ほど説明しましたように、まず手始めに二〇〇〇年の目標というもの、それが達成できるように新エネの導入促進を初めとして省エネ、こういうものを徹底的に強化することによって、こうしたまず二〇〇〇年の数値というものを確保するということから始めなければいけないだろう、こういうことでございます。そのことが京都のCOP3というものに関して、公平でまたかつ実行可能な枠組みというものを生み出してくるだろう、かように考えております。  同時に、やはり長期的に見て気候変動問題の抜本的な解決ということに関しては、やはり革新的なエネルギーという問題、そうした環境技術の開発普及、発展途上国への技術移転、こういうものに全力を挙げていくということを推進してまいりたい、かように考えております。
  63. 加藤修一

    ○加藤修一君 京都会議を前にして、先進各国は今後のCO2排出見通しを四月中旬まで報告するようになっているわけですけれども、環境庁は太陽電池などの新エネルギー住宅の断熱性向上、省エネルギー技術を導入すれば二〇一〇年では一九九〇年と比較して六・五から八・一%のCO2削減が可能であるというふうに、あくまで試算の段階ですけれども、こういうことを出されている。  これに対して通産省は、何か新聞によりますと反発していると、導入されるかどうか決まっていない技術や政策まで含めているというふうに、そういうお話をしているようですけれども、要するに、通産省としては具体的な削減数値、数値目標年をどのようにお考えでしょうか。
  64. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 御指摘のございました通報は、条約に基づきまして各国が行います二回目でございます。第一回目は条約ができました二年後の九四年九月に行われました。そのときの通報は二〇〇〇年までの見込み、各国のそれに対応する対策を報告するものでございました。  今回議論されておりますのは、二〇〇五年、一〇年、できれば二〇二〇年というタイムスパンを念頭に置きまして、それに対する各国の予測値を報告するものでございます。その予測値の中には、各国がまず一つ既に実施をしておる対策、それから実施をすることを決定しておる対策、その二つによる効果を含むものというのが条約上のガイドラインに示された内容でございます。  したがいまして、きょういろいろ御議論をいただいて、御審議をいただいておりますこういう法律に基づきます効果あるいは暮れに行いました省エネの対策の効果、そういうものを既に決定されたものとして対策を積み上げていく、これにより自然体で発生するであろう炭酸ガスからどの程度削減が図れるか、こういうものを積算しておるところでございます。  したがいまして、これは各国にとっても非常に難しい試算でございます。現在、通報が既に行われているのはたしかイギリスだけであったかと思いますが、各国ともそれなりの今後の対策、しかも既に決定をされた対策として具体的にシミュレーションをしながら積み上げている、かような状況でございまして、環境庁ともよく調整をしておるところでございます。
  65. 加藤修一

    ○加藤修一君 先ほど大臣がおっしゃったように、人類の生存にとって極めて重要な問題はこの問題であると、私も本当にそう思います。今回の新エネルギー法案が出てきた背景の一つとしてこれがあるわけです。新エネルギー開発利用、これは非常に重要である、地球温暖化問題を解決していく上では。  それで、聞きたいことは、通産六法の頭に広瀬官房長が同じように書いています。「地球環境問題等地球規模の人類共通の課題に積極的に関与していくことが必要とされています。」こういうこととか、いろんな場所で地球環境問題については通産さんは極めて重大な問題であるというふうに認識しておられる。  そこで、聞きたいことは、今回の法律案の目的ですけれども、新エネルギー利用等促進に関する特別措置法案関係資料の中にございますけれども、第一の目的、これはなかなか私は理解しづらいんですね。石油代替エネルギー開発及び導入促進に関する法律、昭和五十五年、後に改正されていますけれども、この目的、「この法律は、内外の経済的社会的環境に応じたエネルギーの安定的かつ適切な供給の確保に資するため、」次は「石油代替エネルギー開発及び導入を総合的に進めるために必要な措置を講ずることとし、もって国民経済の健全な発展と国民生活の安定に寄与することを目的とする。」今回の法案も、「この法律は、内外の経済的社会的環境に応じたエネルギーの安定的かつ適切な」云々とあって、中間に、違うんですけれども、「新エネルギー利用等についての国民努力を促すとともに、新エネルギー利用等を円滑に」ということで、ほとんど似たような内容ですね、目的については。石油代替エネルギーの観点から見ますと、酷似率、非常に似通った目的の文章になっている、八四%です。  それはともかくとして、要するに二つの柱と言っているわけですよね。一つはエネルギーセキュリティーです。もう一つは地球環境の問題ですね。地球環境の問題について、この目的の中にどういう形で明示的に入っているか入っていないか、私は入っているとはなかなかとれないんですよ。地球環境、地球温暖化の問題ですよ。この法案を説明されるときに何回もその二点について非常に強く私の方に言ってきました。  じゃ、その地球温暖化防止の件についてはどういうふうに明示的に入っているか、入っていないと私は理解していますけれども、どうですか。
  66. 江崎格

    政府委員江崎格君) 今、委員の読まれましたこの目的の第一条のところの「内外の経済的社会的環境に応じた」というところがございますが、    〔委員長退席、理事吉村剛太郎君着席〕 この中に地球環境問題なども含むということで、私ども政府の中での法制局の審査でそのような議論をして、これでそういうものを読むというふうに理解をして今回御提案をしたわけでございます。
  67. 加藤修一

    ○加藤修一君 私は明示的でないと言っているんですよ。明示的に文言として入れていただきたいという意味なんですよ、そうすべきでないのかと、明示的に。あれほど強くおっしゃっている、それから地球温暖化防止の問題についても深い認識をされている通産省が、なぜ片一方だけ載せて片一方載せていないというような表現がとりにくい文言になっているかというその辺についてもう少し説明を伺いたいと思います。
  68. 江崎格

    政府委員江崎格君) この表現をとりましたのは、平成四年のときに代替エネルギー法を改正しましたが、そのときも実は同様の議論がございまして、地球環境問題をどのように表現するかという議論をしまして、そのときも全くこれと同様な表現をしたわけでございまして、今回の法律におきましてはそれをそのまま採用させていただいたということでございます。
  69. 加藤修一

    ○加藤修一君 前回がそうであったからといって今回がそうだというふうにはならないと思いますね心今回は前回に比べてもっと深刻な状態に一般的にも認識されている。すなわち、IPCCの第二次レポートについては明確に温暖化が進んでいるというふうな表現になっているわけですよ。    〔理事吉村剛太郎君退席、委員長着席〕  こちらの石油代替のときと状況はやっぱり変わっていると思うんですけれども、だから私は明示的にそういう表現を入れるべきであったと思います。どうでしょうか。
  70. 江崎格

    政府委員江崎格君) 立法技術の問題かもしれませんけれども、私ども法律上、地球環境等の問題が含まれている文言が既にある場合にはその文言を採用するのが適当ではないかというふうに思ってこの表現にしたわけでございます。  なお、例えば第三条の基本方針の問題ですとかあるいは第五条の新エネルギー利用指針、こういったところにそれぞれ環境保全に留意するという表現を入れさせていただいております。
  71. 加藤修一

    ○加藤修一君 いや、地球温暖化云々の話は入っていますか、文言として。
  72. 江崎格

    政府委員江崎格君) ですから、その表現は先ほど申し上げましたようにこの第一条の目的のところで、「内外の経済的社会的環境に応じたエネルギーの安定的」供給云々という表現で地球環境問題もこれに含めて読むというふうに私どもは理解をしているところでございます。
  73. 加藤修一

    ○加藤修一君 私は、その辺についてはちょっと納得できないんですね。「内外の経済的社会的環境」なんという、環境という言い方はここで使うべきでないと思うんです。状況と使うべきだと思うんです。内外の経済的社会的状況。あたかもこれは経済的環境、社会的環境、そして自然的環境が含まれているかのような、環境環境でも意味が全然違うんです、ここは。私は、経済的社会的状況に応じたというふうに文言をすべきであって、何かいかにも環境についても扱っていますよということをすぐぱっととられかねないように、こっちの邪推かもしれませんが、そういうふうに受けてしまいますし、私はやはり明示的に地球温暖化という表現を二つの柱として訴えているならば入れるべきであったと。ですから、私は政令等やなんかについてそこは十分留意されてつくっていただきたいと思いますけれども、どうでしょうか。
  74. 江崎格

    政府委員江崎格君) ここで使われている環境という意味は、地球環境とかいう意味にとってもらうように紛らわしくしたという意味では全くございませんでして、今まさに委員おっしゃったように、この状況という意味、法律上そういう意味で使っております。  平成四年のときにこの「経済的社会的環境」という表現に代エネ法を改正したわけですが、そのときも御承知のようにリオデジャネイロにおける地球環境サミットというのがありまして、地球環境問題が国際的にも国内的にも非常に大きな課題になった、それを受けた法律改正でございますので、その状況のもとでそういう表現を使ったというわけでございますので、今回もその点では同様な環境にあるということでこうした法律上の表現を使わせていただいたわけでございます。
  75. 加藤修一

    ○加藤修一君 私はこういう言い方をできればしたいなと思っているんです。第一条、この法律は、我が国経済の石油に対する依存度の軽減の停滞、人の活動による地球全体の温暖化への対応の必要性の増大等内外の経済的社会的状況に応じたエネルギーの安定的かつ適切な供給の確保に資するため、新エネルギー利用等についての国民努力を促すとともに、新エネルギー利用等を円滑に進めるために必要な措置を講ずることとし、もって国民経済の健全な発展と国民生活の安定に寄与し、あわせて環境保全に資することを目的とする、これが私の立場からすればベターであるというふうに理解しておりますけれども、所感をお願いいたします。
  76. 江崎格

    政府委員江崎格君) 所感など申し上げる、そんな失礼な、あれですが、ただ、今先生のおっしゃったような趣旨はまさにここに入ってこういう表現をとらせていただいたということでございまして、法律の目的としては全く私、今先生のおっしゃった内容で異存はないところでございます。
  77. 加藤修一

    ○加藤修一君 そうしますと、法律の件についてはもう私はあきらめていますけれども、政令等できちっとその辺のことを明確にしていただきたいと思いますけれども、お願いいたします。大臣、どうでしょうか。
  78. 江崎格

    政府委員江崎格君) この法案でもいろんなところで政令にゆだねているところがございまして、私、今全部の政令案についてまだ頭に入っているわけじゃございませんので、その政令をつくるときに、今先生のおっしゃったような表現を使うということはもちろん断言できませんが、まさに先ほど冒頭に御質問ございましたように、今度の法案を出す趣旨として、一つはエネルギーセキュリティーの問題、それからもう一つは地球環境保全の問題ということがまさにこの法案をお出しする趣旨でございますので、そういうことを念頭に置いて、政令におきましても国民にわかりやすい形の政令の策定に努めていきたい、このように思っております。
  79. 加藤修一

    ○加藤修一君 よろしくお願いいたします。  最近の企業環境対策が極めて本格的になってきているなという感じがいたします。要するに、主力製品に環境対策のものを盛り込んできている。例えばハイブリッドカーとか、あるいはビール瓶の軽量化、太陽光発電住宅、経済団体も率先的にそれを考えているという記事もございます。ハイブリッドカーについては燃費が半分、すなわち二酸化炭素の排出量も半分になる、さらに有害な一酸化炭素、窒素酸化物、炭化水素がそれぞれ十分の一に減る、そういうことを考え始めているということで、かつてのようにイメージアップ、そういったレベルの対応ではなくて、本当に環境に対してはもう本腰を入れて取り組まなければならない、非常に認識が深くなってきているように私は思います。  そういう観点から考えていきますと、環境の対策を考えることそれ自体がGDPの成長にも寄与するということも考えられますし、それから環境産業あるいは環境ビジネス、そういった面でのGDPの寄与という点も当然出てくるというふうに理解いたします。  それで、長官にお尋ねしたいわけですけれども、産業構造審議会等でいろんな議論がなされていることは私もよく知っております。三月十二日には地球環境部会が開かれて、その中でさまざまな議論がなされたと。三Eという考え方は、私はちょっと思い込みが過ぎるのではないかなという感じがするんです。環境とか生産とか経済とか、それはトレードオフの関係だと言うけれども、そんな簡単なものではない。今言ったように、主力製品を環境化するという話があるわけでして、トレードオフの関係にあるというふうにこの「未来からの警鐘」、これには書いてある。長官のところだったですか、ここには載っていないです、別のところです。  それで、各委員からいわゆる三E、つまり三位一体論こそ見直すべきである、CO2国内対策はパンチに欠ける、議定書交渉に積極姿勢が見られない等の厳しい意見が相次いだというふうに言われているわけですけれども、これは事実確認したいんですが、時間がないですから、とりあえずちょっとその辺について。
  80. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 御指摘のございました地球環境部会、三十数名の委員の皆さんの御意見は非常に百八十度分かれた意見がございました。そういう意見の中で、御指摘のような御意見を述べられた方もいらっしゃいましたし、またそうでない意見を述べられた方もいらっしゃいました。そうした中でこの答申をまとめたところでございます。
  81. 加藤修一

    ○加藤修一君 では、江崎格資源エネルギー庁長官お願いいたしたいんですけれども、「エナジー」という雑誌、一九九七年の一月号ですけれども、対談といいますか質問に対してこのように長官はお答えになっています。   九七年十二月に京都でCOP3が開催され、そこで二〇〇〇年以降のCO2排出量の目標数値設定をどうするかを討議することになっています。ただ、各国の利害が複雑に絡んでおり、適度の経済成長、エネルギー需給の安定、そして環境保全という、いわゆる三Eの同時達成を目指してきたわが国にとって、その結果いかんでは環境だけが突出してしまう可能性があり、経済成長を犠牲にしなければならない恐れが生じるわけで、今後のエネルギー政策への影響が心配されかねません。 ということなんですけれども、最初法案の二つの柱といい、ここで発言していることとちょっと私は違うのではないかなという感じがいたします。  人類の行く末を考えると、ただ単にトレードオフとか経済成長云々というところだけにウエートを絞ることはない、あるいは環境だけが突出しているという、そういう表現というのは僕はちょっと当たらないんじゃないかと。つまり、今まで環境は非常に陥没していた、ようやく平均の方に上がってきたという表現も私は成り立つと思います。環境だけが突出してしまう、あるいは環境が陥没していたという私のその表現あるいは理解についてお尋ねしたいんです。
  82. 江崎格

    政府委員江崎格君) 今引用された発言について、私、そのときにイメージにありましたのは、COP3に対しましてヨーロッパの幾つかの国がかなり極端な、日本にとりましては到底守れそうもないような提案がなされているという情報がありまして、そういったものが仮にそのままCOP3などで各国の合意ができて成立したということになりますと、委員も御承知のように日本はオイルショックの後、国民挙げてあるいは産業界も含めて省エネルギー対策をとってきたわけでございます。  そうした状況を踏まえて、例えば炭酸ガス排出を九〇年に比べて総量で二割カットするとか三割カツトするというようなさらなる目標を掲げるということになりますと、それを守るためには、日本の場合には成長率を下げるとかそういう対応が恐らく必要になるのではないかなということが想像されまして、今引用になられたようなコメントをしたわけでございますけれども、私は、基本的にはもちろん環境が陥没してはならないと思っておりまして、まさにその三つの目的をバランスよく同時に達成するということが一番大事だというふうに思っております。  それから、先ほど委員がおっしゃった中で、省エネルギーとかそういうことをやることによって、むしろ産業もそれと調和した方向で事業活動を展開して、その結果、産業活動が活発になりGDPを持ち上げる部分もあるんじゃないか、これは御指摘のとおりだと思うんです。ですから、まさにそういうふうに産業活動を持っていくということが一番大事だというふうに私ども思っておりまして、非常に矛盾するものだ、相反するものだということをいたずらに強調して、したがって、こっちをとればこっちはできないよということを我々は申し上げるつもりは全くないわけでございます。  例えば、先ほども申し上げましたようなESCO事業とかそういったものも、まさにそういう方向の環境問題と事業活動の調和の一環だと思っておりますけれども、むしろそういう方向の産業活動を私どもとしても今後促していきたい、このように思っております。
  83. 加藤修一

    ○加藤修一君 最後の質問になりまして、途中全部スキップいたします。  発電・送電分離制度、これは英国、ドイツ等々で行われておりますが、大臣にお尋ねしたいわけですけれども、この制度導入について、ここの委員会だったと思いますけれども、改革とかそういうことじゃなくて革命的なという表現もされておりました。この問題についてかどうかわかりませんが、要するに改革についてはもっと積極的な意味で革命的と、そういう表現をとって御答弁されていたように思います。三月であったと思いますけれども、郷里でこの発電・送電分離制度についてだと思いますけれども、政治生命をかけるというふうに新聞記事に載っていたように思います。  この点について、すなわち制度導入について大臣の御答弁をよろしくお願いいたします。
  84. 佐藤信二

    ○国務大臣佐藤信二君) これをちょっと説明いたしますと、御案内のごとく、昨年、経済構造改革のプログラムを閣議決定したことは御存じだと思います。  その中で、国際競争力、そういう観点からいって徹底した規制緩和と高コスト構造を是正するということを二本柱に立てました。その中で、高コスト構造というのは国際的に見て日本の場合には物流問題とエネルギー問題が非常に問題だと、こういうことで、エネルギーの中でも電力というものが諸外国に比べて高いというような批判があるということで、二〇〇一年の段階でもって国際的に遜色がない料金にしようという目標設定したわけです。そのために、今いろんな調査もしております。  実はこうした悩みというのは、米国においても、それから欧州列国においても同じような共通の問題を持っておりまして、今申したように、そうした国々においては分離・分割ということを既にしている国もあり、またそれを今継続している国もある、こういうことでございます。ねらいは今申したように、料金をいかに下げるかということが目的でございます。  ところが、今度は電力の安定需給という問題、御存じのように、新エネというようなものも導入していくというのも世界の趨勢でございます。こういうものは料金を上げるというふうな要素がある、こんな実はある意味では矛盾したこともございます。  そういうことでもって、その一環として分離・分割どうなっているだろうかというと、今のところわかっていることは、分離・分割をして成功したと言われる国はすべて今まで電力会社が国営であった、それを民営化した、こういうことから始まっております。日本の場合は、戦前は別として戦後民営化して分割した、そうした状況が違いますので、そういうことも当然念頭に置いているということではございますが、このことに政治生命を私かけると言ったわけではございませんで、今申したように、料金の値下げというか、これを国際的に遜色がないところに持っていくというものに政治生命をかけたい、かように考えているわけでございます。
  85. 加藤修一

    ○加藤修一君 ありがとうございました。
  86. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時二十分まで休憩いたします。    午前十一時五十二分休憩      —————・—————    午後一時二十分開会
  87. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、新エネルギー利用等促進に関する特別措置法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  88. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 本法律案の提案理由の説明におきましてこう書かれております。「我が国石油依存度は先進国の中で高い状況」にある、「脆弱なエネルギー供給構造を有する我が国としては、資源制約が少なく環境負荷の面で優れているいわゆる新エネルギーについて、今後とも技術開発に努めるとともに、利用段階における促進策を強化することによりその加速的な導入」を促すと述べております。  ちょっとひっかかりますのは「今後とも技術開発」、これまで相当やってきたような表現であります。その点を見ますと、一九九四年十二月に新エネルギー導入に向けた基本指針を作成いたしましたが、長期エネルギー需給見通しによりますと、全エネルギーに占める新エネルギーの割合は一九九二年が一・二%、二〇〇〇年が二・〇、二〇一〇年が三%、こういう形でやりますよと、こう言っておりますが、実際に九五年現在で一・一%のような状況でございます。ふえているどころかちょっと全体の割合が減っているような状況でありますが、この点は間違いないですか。
  89. 江崎格

    政府委員江崎格君) 御指摘のような数字になっておりまして、九二年は一・二%、九五年は一・一%、それに対して目標であります二〇〇〇年は二%のウエート、それから二〇一〇年は三%、こういう目標を持っております。
  90. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 これは今まで、石油ショックの後は省エネに力、新エネルギーに力を入れる、こういろいろ言ってきたけれども、今どっちかというと石油がだぶついているような状況のもとで腰に力が入っていない現象だろうと思います。要するに、二〇〇〇年に二%、二〇一〇年に三%、これはなかなか難しいんではないかという気がしておりますが、大臣の決意を最初伺いたいと思います。
  91. 佐藤信二

    ○国務大臣佐藤信二君) 今の御指摘、私も実はそのところを非常に懸念している一人です。率直に申し上げて、今のエネルギー政策というものは、言うまでもなく省エネと新エネと原子力という三本柱をとっています。これ自体は私は間違いでもないような気がいたしますが、省エネというのも、いわゆる一般の利用者に対して消費者に対して意識の改善というか啓蒙、こんなことに力を入れているわけで一口に言えばお願いベースなんだと、それでもって果たして省エネが完成するかというと甚だ疑問だと私は思います。新エネに関しましても、今御指摘のようにやはり石油というものの価格が安定している、またこれが低位で安定しているということからして、新エネの経済性ということになると大変制約が大きい、こう思うんです。  そこで、私は今度の法律で一番大事なことはやはり新エネの必要性ということ、これでもって政府取り組み方を一応明確化したということだと思います。この点を中心にお考え願いたいと思うんです。そういうことで、この新エネ法自体でもって解決する問題ではない。  要するに、法律をつくって、まず第一段階としては消費者、使用者の方にこの新エネに対する問題を喚起させることに力点を置かなきゃいけないと思うんです。ですから、今度の法律も、よく御存じのように、そうした新エネを導入する事業者に対する助成制度とか、あるいは地方自治体の行う先進的な新エネ導入補助金を新設するとか、また住宅用太陽光発電システム導入の助成を大幅に拡大するとか、こういうふうなことをやって  いることがその証左だと思います。  長い目で見れば、この問題を達成するためには、技術開発の一層の推進という中で、私自身はやはり太陽光というものが一番利用できる、あらゆる問題で一番いい。ただ、これが貯蔵できないというところに難点があるわけで、この方の技術をやはりこれからまず伸ばしていく。それが超電導の開発によって達成できるだろうと思っております。このことは率直に言ってそういうことだから、新エネの技術開発というもので予算を幾らつければいいのか、こういうふうなことを実は工技院なんかにも相談するんですが、こうした新技術というものは一遍に予算をつけたから解決する問題ではありません、年数がかかりますと、実はこんな回答が戻っているということでございます。  そういうことで、非常に難しい条件はございますが、今申し上げたように技術開発の一層の推進だとかそして規制緩和等を通じて導入目標を達成したい、かように考えております。
  92. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 重ねて、答弁もありましたが、省エネのキャンペーンと新エネルギーのキャンペーンのラッパの響きを、今大臣は積極的に取り組まれておりますが、ちょっとここのところずっと下火になっておりましたから、ひとつラッパの響きをもっと大きくしていただきたいなという希望を申し上げて、次に移りたいと思います。  問題は助成措置でありますが、事業者が行う計画に対してNEDO、新エネルギー・産業技術総合開発機構による債務保証を行うというこの債務保証、これは失敗することが多い場合もあると思うんだけれども、その債務保証をする場合の担保、うまくいかなかった場合機構に対して国が一体どういうような措置をしていくのかとか、あるいは何かはかのことがあるのか、そこのところがちょっとわかりにくいというのが一つでございます。  それからもう一つは、中小企業近代化資金等の助成をするという場合に、今度は逆に借りる方からすると、無担保でこういう認められた計画については助成をしていくのかということが大変気になる。  それから、この提案理由によりますと「投資育成株式会社法の特例措置を講ずる」ということでございますが、これは規模を超えても金を出していくというやり方ですが、実際にこういうような投資育成会社を使っているそういうところが具体的にエネルギー関係であるのか、可能性等も、簡単でいいです、時間がありませんので。
  93. 江崎格

    政府委員江崎格君) 今回のこの法律に基づきます制度でございますけれども、債務保証の問題につきましては、これは担保を特に要求しないということにしております。それから、近代化資金の助成法による無利子融資の方ですが、これは制度上どうしても担保をとらざるを得ないという格好になっております。  それから、投資育成会社、これは一億円を超えてもやるということで、実は今度の法律が通った場合に私どもが想定しております、現にこういう事業を行おうとしている事業者、風力発電等でございますけれども、見てみますと全国に今私どもがざっと見ただけでも二、三十候補者がいるわけでございますけれども、いずれも中小企業の資本金の枠で設けてしまいますと中にはそれを超えるようなものもあり得るということでありますから、少しこれをオーバーしても中小企業並みに扱って、採算が非常に不安定で資金の調達が円滑にいかないというのをこうした措置によりまして何とかそれを支援するというふうに思っております。
  94. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 機構が債務保証をするという場合に、これはなかなか今後とも難しいんじゃないですか、今の規制緩和とかあるいは行革とかいう時期に。だから、そういう場合のリスクに対しては、さっき国が見るのか見ないのかというような意味のことを聞いたんですが。
  95. 江崎格

    政府委員江崎格君) 担保をとらないということでございますから、万一資金の返済が滞ったというような場合には、リスクはこの債務保証をするNEDOが負うということになると思います。
  96. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 どこが見るというの。
  97. 江崎格

    政府委員江崎格君) 債務保証をいたしますNEDOがこれを負担するということになるわけでございます。
  98. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 そうすると、そのNEDOに対してはある程度そういう場合は国が見ていくのかどうなのかということ。
  99. 江崎格

    政府委員江崎格君) これは、毎年の予算措置によりまして債務保証に必要な資金は確保したいというふうに思っております。
  100. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 わかりました。そこら辺がちょっとわかりにくかったものですから。これはわかりいいように、今後の措置は、NEDOから幾ら流れているかというのはこれはなかなか我々もぼっと見てわからぬから、扱いというのはそこはもっとわかりいいように工夫をしていただきたいと思います。  次に、世界エネルギー資源の埋蔵量について、うちの調査室の資料もありますが、もう時間の関係で私が申しますと、可採年数で見ますと石油が四十四・九年、天然ガスが六十五年、石炭が二百三十一年、ウランが四十三年、このようになっております。きょう中曽根先生からも質問がありましたが、中国とかASEAN諸国とかインドとか東南アジア、先般私もASEAN諸国五カ国を回ってきましたが、物すごい車のラッシュでありまして、これがやっぱり中国全土やインドにどんどん広がっていく。それをとめるなんといって、日本だけ乗ってよそをとめるわけにもできませんからこれはふえていくだろう。工場の使用量もふえていく。  そういう状況を想定しますと、これから新しい油田を開発するよりもこの消費のふえ方というのはもっと加速度がついてくる。これは、四十四・九年なんて言っているけれども、もう二十年から三十年しますと恐らく油田の底が見えてくる。そういう石油危機を何度か経験して恐らくアウトだ、こういうことに僕はなっていくだろう、このように見ているんです。あと二、三十年たって、あれは違ったことを言っていたなということになるのか、いや当たっているのか、僕はこれは自信を持ってそういう時期になるだろうと。  そのことを考えますと、石油がなくなるような状況というのは、幾らいい政治をしようと幾ら何をやろうたってこれはもう簡単にはいかない、大問題なんですね。だから、私は、本格的なエネルギーに対する取り組みというのをしなきゃ、小手先や小さいことばかりやっていてはこれはだめだと思うんです。  一つは太陽光があると思う。太陽光で資源エネルギー庁の説明を聞きましたら、アフリカの砂漠の八分の一のところに太陽光を受ける施設をつくれば世界の全エネルギー供給をできるような構想もあるやに、そういうことが可能だということを聞いた。それから水素エネルギーについては、たくさん水がありますから、この水素エネルギーを、水素を取り出してこれを使うことをもっと真剣に考えなきゃいかぬ。もう一つは核融合。これも重水素を中心にやるんですが、金はかかるけれども、非常に安全面でもいい。  とにかく、私はこの三つに本格的に金もかけ、国もキャンペーンをして、資源のない国ですから消費国の日本がやらなきゃならない。今やらないと、外国の人たちが開発をしてそのおこぼれを待つようなことではいけないと思うんです。そういう気迫というか、そういう見通しに立って取り組む国の方針というか姿勢というのは私は弱いと思うんです。それは明確に、石油がなくならないんじゃないかというような概念、この考え方がどこかにあるんじゃないかと思うんです。私は、今の消費の状況からいって、地下に何億年かかってできた石油、あの九州の石炭がなくなるなんか戦後だれも考えていなかった、それがなくなる時期が来たんだと、これは石油はもっと早く来るかもわからない、そういう気がしてならないんです。  太陽光、さっき言った砂漠につくればどうかというような話とか、あるいは水素エネルギー、核融合、これらの点に対する今までの取り組みと問題点、どのくらいお金をこれまでかけているのか。時間が余りありませんが、答弁してください。
  101. 佐藤信二

    ○国務大臣佐藤信二君) 今のお話の三つの開発計画、後からエネ庁長官が申しますが、今梶原委員指摘の、ちょっと私と考え方を異にするのは石油の寿命の問題です。  今、確かにあと四十年と、こう言われておりますが、これは今世紀の初めから常に四十年、四十年と言ってきて今日になっている。最近、中東なんかの調査している人の話を聞くと八十年という人もおりますし、私大ざっぱに言って、別に楽観して思うわけじゃございませんが、まだあと百年ぐらい、来世紀いっぱいぐらいは石油だろうと思うんです。  そういうことを申し上げるのは、化石燃料という問題で、そういうことからいって石炭というものが非常に見直されている、埋蔵量が多いと。ところが、きょう問題になっているような地球温暖化でもってCO2ということになると、最もこの中では石炭が多くて、次に石油で、LNGなんというのは中では少ない方だと。そのことを一体どう考えるかということでございまして、今から長官が申し上げる太陽光にしろ、それから核融合にしろ水素にしろ、ある程度長い期間を考えないと、四十年先でもってそこまでに全部開発しろといっても、若干これは無理があるような気がするわけでございます。  あとは長官にさせます。
  102. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 大臣、これだけはちょっと言わせてください。  私が国会に来た十五年前に、大体オイル・アンド・ガス・ジャーナル、要するにアメリカの専門家の意見はどうかと、通産省からいただいた資料等は六十年と言っているんです。今四十四年になっているんです。やっぱりそのとおり進んでいるんですよね。ですから、ここの違いがあれば、八十年や百年というのと四十年と、あるいはもっと短くなるというのと違いがあれば、これはやっぱりここをどうお互いに、私も言った以上これからまた勉強しますが、大臣もそこのところはもう少し勉強していただきたいと思うんです。  私は、これはひらめきなんです。もうそういう声が聞こえてならぬのです。これは二十年か三十年先になってあいつはつまらぬこと言っていたと、大臣の方が当たってたというのか、大臣が当たらぬで私が当たって……
  103. 佐藤信二

    ○国務大臣佐藤信二君) いないから、もう。
  104. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 いや、いなくてもこの議論は後に残る問題ですから、そこのところはよろしくお願いします。
  105. 江崎格

    政府委員江崎格君) 太陽光発電につきまして簡単に予算だけ御紹介いたしますが、太陽光発電ですが、まず技術開発関係は昭和五十五年ぐらいから始まっておりまして、当時は十三億円、それから昭和六十年にはこれが七十八億円になりまして、平成に入りましてからだんだんふえてまいりまして、最近の動きを御紹介しますと、平成七年には六十八億円、平成八年に七十一億円、平成九年には七十億円というような姿でございます。  それから、実用化に向けての導入促進という方の予算ですが、これは平成四年からでございますが、平成四年に八億五千万ございましたが、だんだんふえまして、平成八年度が五十九億六千万、平成九年度の予算は大幅にふやしまして百二十四億六千万という予算お願いしております。
  106. 佐藤壮郎

    政府委員佐藤壮郎君) 水素エネルギーについてお答えいたします。  水素エネルギー研究開発に関しましては、平成五年度からニューサンシャイン計画のもとで推進しているところでございます。予算額につきましては、平成五年度が四・一億円でございましたが、平成九年度、おかげさまで二十四・七億円という大幅増になっております。五年間の累計は約七十億円でございます。  それから、関連して水素エネルギー研究開発についての技術課題でございますけれども、現在ニューサンシャイン計画のもとで水素利用国際クリーンエネルギーシステム技術というプロジェクトを推進しておりますけれども、そのプロジェクトの中で、まず水素の製造技術、これは水力発電あるいは太陽光発電等のクリーンエネルギーをもとにして水の電気分解によって水素を発生させようという技術でございますけれども、これを例えば百万キロワットの大規模の発電所に対応するような装置にするためには、まず電気分解装置の大型化ということが大きな技術開発要素でございます。特に電極の大型化ということが非常に重要だと思っております。  それから二番目といたしまして、できた水素を今度は輸送したり貯蔵したりする技術でございますけれども、これは水素の貯蔵には二つの方法がございまして、一つは液体水素にすること、それからもう一つは水素吸蔵合金でございます。液体水素にした場合には、非常に低温、マイナス二百五十三度という温度が必要でございまして、その低温に耐え得る材料の開発、特に溶接が今非常に問題でございまして、材料そのものはその低温に耐え得るものはあるんですが、それを溶接した場合に溶接部分が非常にもろくなるということがございますので、今それを重点的に研究開発をしているところでございます。それから、水素吸蔵合金につきましても現在重量%にして二%の水素が吸蔵できる合金がございますけれども、これはぜひとも三%程度に伸ばしたいということでございます。  それからもう一つは、水素利用技術でございますけれども、これは水素燃焼タービンでございます。これにつきましては、今度は非常に高温が必要でございまして、例えば二千度Cという温度で燃やせれば非常に効率的なタービンができるわけでございますけれども、これに関するセラミック等の技術開発、これが利用技術に関する技術開発要素でございます。
  107. 國谷実

    説明員國谷実君) お答え申し上げます。  核融合につきましては、先生指摘のとおり、その燃料、材料が非常に地球に広く存在していること、それから原理的には非常に安全性が高いということ、それから発電の過程でも地球温暖化とか酸性雨の原因になるような物質を発生しないということで非常に高い注目を受けておるところでございます。  現在、核融合関係研究開発につきましては、平成七年度約三百六十億円、八年度四百億円、九年度三百七十五億円と基本的にはこのような推移で進んできているところでございます。  特に、核融合の進め方の中で最も有望と言われておりますトカマク型の核融合炉につきましては、現在、日本原子力研究所がJT60と言われる装置を使いまして、世界に伍した非常な大きな成果を上げておるところでございます。世界最高のプラズマ性能ですとかあるいは臨界プラズマ条件を達成しております。  今後は、こういったポテンシャルを十分活用いたしまして、日本、米国、ロシア、欧州、この四極で国際熱核融合実験炉の開発、このような研究にも鋭意推進してまいりたいと思います。
  108. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 時間がだんだん来ておりまして、国際熱核融合実験炉計画、ITER計画、こういうものについてもう少し時間をかけたかったんですが、委員長、もう時間がないからこれは省略しますが、茨城県の那珂町でもうそういう実験炉ができておりまして、我が商工委員会としてもこれは近未来のエネルギーとしてこの実験炉を一回見学をしたいんですが、御検討のほどをお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  109. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) 理事会に諮りまして、なるべく実現できるように配慮いたしたいと思います。
  110. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 じゃ、もう少し水素のことで、私は、今は自動車がどんどん走っておりますが、石油にかわる燃料として水素は何でやれないのかと、素人ですがこう思うんです。それで、昔質問をしたことがあったんですが、熱が高くてエンジンの中がもたないと。例えば今のITERの実験炉計画では、これは一億度の熱に耐え得るような形で対応しているとかなんとかいう話も聞きましたし、そういう水素を取り出して水素で車を走らせるというようなことは、素人考えでは非常に現実味があるような気がするんですが、どこに問題がありますか。
  111. 佐藤壮郎

    政府委員佐藤壮郎君) 今、委員指摘のとおり水素は究極のクリーンエネルギー、要するに燃やしても水しか出ないわけでございまして、これが例えばガソリンのかわりになればCO2問題等に非常に貢献するわけでございます。今おっしゃった高温材料につきましては、自動車に関しましてはある程度技術開発のめどがついております。  ただ、これは私見でございますけれども、水素を利用する一番の問題点は、水素をつくるときにやはりエネルギーが要るということですね。そのエネルギーに例えば化石燃料を使えばこれは元も子もないということでございまして、例えば先ほどニューサンシャインのもとで私どもがやっているプロジェクトというのは、その水素をつくるのに水力発電なり太陽光発電なり、そういうクリーンエネルギーを使うということでございまして、やはり問題は、そういう一度クリーンエネルギーから発電をして、その電気で水素をつくり、それを消費地まで運ぶということで、これまたエネルギーがかかるわけでございまして、トータルとして考えた場合、なかなかエネルギー効率の点でうまくいかないというのが現状ではないかと思っております。
  112. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 ドイツの方で研究しているのは、太陽光を利用して発電をやって、そしてその発電をしたエネルギーで水の分解をやって水素を取り出すという研究をして、僕も新聞でちょっと読んだことはあるんですが、今の段階でそういう問題をやっぱり一々クリアするためにはこれは二十何億とか何億とかというような、そのくらいの額では、もっと国を挙げてあるいは民間企業を挙げて産学協同でもう強引に進めていく、こういう時期に来ている。それは石油が何年ぐらいしたらなくなるかなくならぬかという認識でとらえ方は変わってくると僕は思うんです。私は石油はもう近いうちになくなると、こう予感がしてならないんです。  ですから、もう少し本気で資源の問題についても取り組んでいただいて、水素エネルギーというのをどうすればコストが安くてそしてうまく使用できるのか、もっと真剣に考えてもらいたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  113. 佐藤壮郎

    政府委員佐藤壮郎君) まさに私どもも先生指摘のとおりの気持ちを持っておりまして、私どもがやっておりますニューサンシャインプロジェクトのもとでも、産学官の力を結集して、水素エネルギーを初め革新的な新エネルギー開発に努めたいというふうに思っておりますので、どうぞ今後ともよろしく御支援のほどをお願いいたします。
  114. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 時間がなくなりました。終わります。
  115. 藁科滿治

    藁科滿治君 ちょっと電力のお話なので、まずサンシャイン計画にかんがみましてお尋ねをいたします。  もう既に質疑でも明らかになっておりますように、新エネルギー導入目標、二〇〇〇年が二%、一〇年が三%、この目標は、将来展望や環境対策という観点からは私は決して高い数字ではないと思います。しかし、現実の数字、現在一%そこそこというような実態からすると、通産省初め関係者がよほどの決意と努力をしないとこの目標は達成できない、こういう二面性があるというふうに判断をしております。  そこで、過去に少しさかのぼって、我が国エネルギー政策というものを振り返って見ていきますと、七四年にサンシャイン計画策定されて、九二年に実用化を目指すニューサンシャイン計画が実行をされる、こういう経過がございました。考えてみますと、もう既に最初の年かち二十三年を経過しているわけでございまして、現在の新エネルギー開発、研究、実行などなどを考えた場合に、当初の期待よりも大変大幅におくれているんではないかと率直に私は感じている一人でございます。  例えば、平成二年の「長期エネルギー需給見通し」では、二〇〇〇年には二・九%、一〇年には五・二%と現在の示しておられる数字よりかなり高目に設定されておったわけでございますが、いろんな事情があったと思います。  特に、背景的には石油代替エネルギーとして原子力発電に力を決定的に入れてきたという事情も無視できないと思いますけれども、こういったサンシャイン計画そのものの経過について通産省はどのように総括をされているか、まずお尋ねをしておきたいと思います。
  116. 佐藤信二

    ○国務大臣佐藤信二君) 細かい点は長官の方から答えさせてください。  私も実は今のニューサンシャイン計画、それに若干関係した者として反省する点が多いという一語に尽きるんです。というのは、当時やはりニューサンシャイン計画なんかの場合には、今原子力とおっしゃいましたが、そのほか余り環境というものを実は考慮しなかったんではないだろうかということから、例えば石炭液化、こういうものに力を注いでまいりました。この辺で、そういうことで私自身も、こうした反省でもって今省内でも申し上げているのは、予算が多ければいいけれども、つかない。だから、もう少しやはり重点的な施策というか、一点豪華主義という言葉がありますが、そういうふうに切りかえなければ消化できないだろう。  それから、もう一つ今言われたように、あくまでも産学官ということの連携ということならば、その前にいわゆる役所間の連携というか、同じ予算でも科学振興費でも細分化して、それをまた同じようなことを繰り返していく、この辺のむだを排していかなくてはいけないだろうし、加えて言うならば、こういう問題は日本だけの問題ではない、国際的にも共通の悩みだから、そういう機関でも共同して研究開発するというふうにやはりこれから事を運んでいきたい、かように考えておりますので、御理解と御支援お願いしたいと思います。
  117. 江崎格

    政府委員江崎格君) このエネルギー関係でございますが、今先生指摘のように、通産省は当初はサンシャイン計画ということでスタートいたしまして、当初重点を置きましたのは、一つは太陽光でございますが、そのほかに地熱エネルギー、それからもう一つが石炭関係エネルギー、液化とかそういった関係でございます。  時間が経過してまいりまして、平成五年からニューサンシャイン計画ということに衣がえをいたしまして、現在やっておりますような新しいタイプの新エネルギー開発になったわけでございまして、重点を置いておりますのは、太陽光発電の技術ですとか、それから燃料電池発電の技術ですとか、あるいはセラミックのガスタービンですとか、あるいはスーパーヒートポンプ、こういった各種の技術に重点を置いて最近は進めているところでございます。
  118. 藁科滿治

    藁科滿治君 そこで、導入目標の達成可能性といいますか、そういう問題について、ここでは予算との絡みについてちょっとお尋ねをしたいと思っておりますが、今度の措置法は開発の段階からいよいよ普及への支援と、こういう実行段階に入ったというふうに受けとめておりますけれども、この重要政策の推進という意味では、先ほども梶原委員から指摘されているように、いかにも予算的な措置が乏しいというふうに私も感じます。  この法案に関連する補助金債務保証で十一億二千万円、地方公共団体における新エネルギー利用の補助として二十二億円。これで将来の大事業をやろうというには少しくかけ声倒れ、財政の深刻な状況は十分認識しておりますけれども、これはやはり国家の百年の計の根幹に当たるものですから、いかにも心もとないというふうに私は思います。  その他、住宅用太陽光発電システムに四十億から、ことしは百億を超える数字に増加しているというような面はそれなりに見ておりますけれども、どうも法案の基本的な姿勢の裏づけが大変乏しいということを率直に指摘せざるを得ないというふうに考えますが、通産省としてはどのように受けとめられておりますか。
  119. 江崎格

    政府委員江崎格君) 予算的に見ますと、こうした新エネルギー導入関係予算、一つは技術開発推進で、それからもう一つは、技術開発がほぼ完成に近づいてきて、後はむしろその普及を図るという導入支援策と二つに分かれると思います。  技術開発の方は先ほども御紹介しましたけれども、ニューサンシャイン計画などを中心にしまして相当力を入れてきておりましてやっておりますが、今度は導入支援につきまして、従来からもやっておりますけれども、今回お願いしております新法に基づきまして予算措置などを抜本的に強化したいということでやっているわけでございまして、今先生指摘のように、住宅用太陽光発電システム、これは従来の予算の三倍にいたしましたし、あるいは新エネルギー導入する事業者に対する助成制度ですとか、あるいは地方自治体の行います先進的な新エネルギー導入に対する補助金制度、これは新しくつくったわけでございますが、こうした導入支援策と、それから従来からやっております技術開発、それから予算の問題ではないんですが、各種の規制緩和措置太陽光発電などにつきましては、例えば通常ですと電気事業法によります各種の規制がかかるのでございますけれども、これを家電並みに規制を外すとか、こうした制度面の対策などを一緒に講じまして、これら各種の施策と相まちまして、二〇〇〇年目標あるいは二〇一〇年の目標を何とか達成するべく努力をしたいというふうに思っております。  また予算面も、今これでは足りないという御指摘がございましたが、今後とも厳しい財政事情の中で、こうした分野については私ども重点を置いてさらに予算要求をお願いしていきたい、このように思っております。
  120. 藁科滿治

    藁科滿治君 それでは次に、クリーンエネルギー自動車の普及についてちょっとお尋ねいたしますが、改めて言うまでもなく、国民の健康管理あるいは地球環境というような面から、今排気ガスの問題が大変問題になっております。格別、自動車の排気ガス問題が我が国にとっても喫緊の問題になっているわけでございます。この点に関して、けさ新聞でもあるいはテレビのニュースでも大変大きく電気自動車の問題等は報道されておりましたけれども、一部環境問題に意識の高い企業地方団体は天然ガス自動車や電気自動車普及にかなり積極的に努力をされてきている。  聞くところによりますと、霞が関も公用車の一〇%はこういったものを導入していこうというような方針になっているように伺っておりますけれども、なかなかこういうものが実際には広がっていかない、拡大、浸透していかないということに突き当たっているわけでございますが、こういう状況、特にクリーンエネルギー自動車の普及状況、それから技術開発状況、あわせて、わかれば欧米の先進的な事例について少し紹介をしていただきたいと思います。
  121. 江崎格

    政府委員江崎格君) クリーンエネルギー自動車の導入につきましては、私ども今委員の御指摘のように、エネルギーセキュリティーの問題それから地球環境問題だけではなくて、NOxなどを考えますと、まさにいわゆる通常の公害の面でも非常に重要な、導入について重点を置くべき項目だというふうに思っております。  クリーンエネルギー自動車の普及状況でございますけれども、平成七年度末で我が国におきまして電気自動車が二千五百台、それから天然ガス自動車が七百六十台という状況でございまして、新エネルギー導入大綱で私どもが置いております目標に比べますとまだかなり遠い状況でございます。  それから、クリーンエネルギー自動車に関する技術開発状況ですが、現在、電気自動車用の高性能の電池開発、それとLNG関係で大型、長距離の天然ガス自動車の研究開発というものに重点を置いて行っておりますけれども、いずれにしましても、走行性能ですとか経済性向上に向けまして今後さらに力を入れる必要があるというふうに思います。  それから、外国の事例ですが、これは必ずしも正確なといいますか統一的なデータがないんですが、幾つかの事例で申し上げますと、例えばアメリカにおきましては公的機関によるクリーンエネルギー自動車の購入が実施されておりまして、天然ガス自動車はアメリカの場合既にもう八万台ぐらい入っているという報告がございますし、電気自動車も二、三千台既に入っているという報告がございます。それからフランスなどにおきましては、公営の駐車場におきまして電気自動車の駐車料金を無料にするというような制度導入されていると聞いておりますし、それからスイスなどの観光地の多い国では、一定のエリアの中におきまして一般の自動車の進入を禁止いたしまして、そういうところで電気自動車導入する、こういったような制度もあるというふうに聞いております。  私ども、こうしたクリーンエネルギー自動車の意義あるいは諸外国の例、こうしたものを参考にしまして一層その導入促進に努めたいというふうに思います。
  122. 藁科滿治

    藁科滿治君 次に、少し具体的な質問に入りますけれども、最近のサミットの合意文書を読みましても、環境問題が相当なページ数を使いながらまとめられておりますね。そういうような状況を背景にして、長野オリンピックにおけるクリーンエネルギー自動車の活用問題について少し具体的にお尋ねをしたいわけでございます。  今申し上げましたように最近の国際的な状況を背景として、オリンピックや万国博覧会でもこの環境問題が非常に神経質に留意されてきている。大変重要な流れではないかというように思っておりますが、明年の長野で開催される冬季オリンピックでも、会場移送用に天然ガスのバスを導入しよう、こういう動きがあるやに私どもも大きな報道として受けておりましたけれども、残念ながら幾つかの理由をもってこれが挫折をしたというふうに伺っているわけでございまして、その事情は一体どういったものなのか、わかる範囲でここで明らかにしていただければというふうに思っております。  あわせて、特定の企業名を挙げてちょっと気になるんですが、トヨタがオリンピックに協賛して十億円をかけて天然ガス自動車を貸与するというような流れがあるやに伺っておりますけれども、こういった民間企業の大きなイベントというようなものについては、趣旨からいってもそれから環境対策からいっても、それからオリンピックという国際的な土俵であるというような事情からいっても、ぜひこういうものを通産当局としても支援する措置がとれないものかどうか。私は自動車産業には全く関係ない立場でございますが、あえてお尋ねをしておきたいと思います。
  123. 江崎格

    政府委員江崎格君) クリーンエネルギー自動車の導入を図るのに、今委員の御指摘のように、例えばオリンピックですとかその他の非常に大きなイベントにこうしたものを活用するということが行われますと非常に大きな効果があるというふうに思っております。  長野オリンピックの例では、今おっしゃった自動車会社が無償でこのクリーンエネルギー自動車、主として天然ガス自動車ですが、そのほかにハイブリッド自動車ですとかそれから一部電気自動車もまざっておりますが、合計で百四台、無償で送迎車用として提供するというプランがあるというふうに聞いておりまして、今実現に向けていろいろ準備が進められているというふうに私ども承知をしております。  それから、こういう類似の大きなイベントに関して何か通産省として支援できないかということでございますが、実はこの平成九年度の予算におきまして、地方公共団体が大規模にあるいは率先して先進的なこうしたクリーンエネルギーを活用するということに対して、事業費とか広報費支援するという制度を新しく設けましたので、当然クリーンエネルギー自動車を使って例えばこういう事業を行うという場合に、大いに活用してもらいたいというふうに思っているわけでございます。  それから、今度のトヨタの長野オリンピックの無償提供の件ですが、一つ問題があるのは、提供した後、そのイベントが終わった後、その自動車をどうするかという問題があって、これは後で一般の方がそれを引き取るのについて何か支援ができないかという要請があるんですが、今の私どものクリーンエネルギー自動車に対する支援制度というのは、考え方としては、新車を買った場合に、従来の自動車に比べての改造費の二分の一を補助するという仕組みなものですから、そのままでは適用はできないということがございまして、適用できるかどうか検討してみる必要がある、このように考えております。
  124. 藁科滿治

    藁科滿治君 あと小島委員の御質問も控えておりますので、私は最後に、ガス充てん所のインフラ整備の問題についてお尋ねし、締めくくりにしたいと思っております。  天然ガスバスの導入がなかなか進まないという最大の理由は、充てん所の整備がなかなかうまくいかないというところにあるんではないかというふうに考えております。もともとローカルの民間バス会社は例外を除いて大変厳しい経営状況にあるわけで、この充てん所のコストは一カ所一億円から一億五千万ぐらいかかるというようなことを言われているわけでありますから、これをもって売り上げ、収益、利潤が一気にふえるというような数字があるものでもないわけで、なかなかこういったインフラ整備的なものは、一つの企業でやるということについては非常に無理、限界があるんではないかというように考えているわけであります。  ここらは、大気汚染問題を抱える地方自治体や、先ほども触れましたようにクリーンエネルギー自動車の普及などに非常に積極的な企業等もあるわけで、ぜひこの問題は通産省として環境整備、インフラ整備というような面から特段の配慮、努力が必要ではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。
  125. 江崎格

    政府委員江崎格君) 御指摘のように、こうしたクリーンエネルギー自動車のための燃料の充てん設備というのは、ユーザーにとりましてまさに不可欠のインフラだと思っておりまして、その整備は非常に重要だと思います。  通産省におきまして、従来こうした充てん設備につきまして、例えば天然ガスにつきましては充てん設備の設置費用の三分の二を補助するという制度がございまして、例えば昨年ですと百二、三十カ所補助をいたしておりますし、今年度も大体同じぐらいの数を予定しております。  それから、ガソリンスタンドが電気自動車とかあるいは天然ガス、メタノール自動車用の供給設備を設置するのに対しても補助するという仕組みがございまして、これは昨年ですと二十基程度の補助の実績がございます。本年度もほぼ同じくらいの規模を考えております。  それからもう一つ、今年度から新たに創設しました地方公共団体が率先して新エネルギー供給事業を行うという、これは供給スタンドだけではないんですが、ほかの事業も含めてですが、一般的にそういう地方公共団体補助制度をつくりましたので、その予算を使って地方公共団体がこうしたクリーンエネルギー自動車用の供給施設を整備するということもできますので、ぜひこうした制度を活用していただきたい、このように思うところでございます。
  126. 藁科滿治

    藁科滿治君 最後に一言御要望申し上げて私の質問を終わらせていただきますが、冒頭で申し上げましたように、新エネルギー開発から実践、普及に移行していくと、こういう時代を迎えて、この措置法の意義は十分評価しながら受けとめておりますけれども、いかにもその裏づけがいろんな意味で不足しているんではないかというふうに考えておりますので、ぜひ今後の実効面で一層の努力というものを心から念願いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  127. 小島慶三

    小島慶三君 藁科先生に時間を譲っていただきまして、ごく手短に二、三御質問申し上げたいと思います。  これは昔話になって恐縮ですけれども、昔、私、公益事業委員会というところにおりまして、電力の再編成というのをやったわけでございます。そのときは、日本発送電という発送電一貫の国策会社、それから地区の配電会社、これをつきまぜまして九つの発送配電一貫の今のシステムをつくったわけでございます。  その後、ごうごうたる非難を浴びながら電気料金を三倍にし、そして当時は気違いであると言われた七千七百億の電源開発計画を遂行しまして、それで電力についてはおおむね不便のない体制ができたというふうに思っております。これは大いに日本の経済復興、発展にも役に立ったと、私今でもそう思っておるわけでございます。  ただ、その後で、九つは多過ぎる、四つにしようとかいうふうな再々編成案も出たり、それから配電会社についてもいろんな意見が出たりいたしましたけれども、それから半世紀、長い間発送電を、これを別々に独立させるというふうな考え方は私かつて聞いたことがないというふうに思っているわけでございます。  その点で、通産大臣エネルギーの大専門家でいらっしゃいますから、いろいろのお考えも抱負もおありになると思うんですけれども、この大臣のおっしゃった発送電、発電と送電を分けるという考え方あるいは送電を独立させるという考え方はどういうお考えでおっしゃっておられるのか、伺うことができましたら大変幸せに存じます。
  128. 佐藤信二

    ○国務大臣佐藤信二君) この発想というか、昨年からやっております経済構造改革、この一環としてプログラムを昨年閣議決定いたしました。その中に、高コスト構造の是正という中で物流とエネルギーを取り上げたと。エネルギーの中でまず手始めに、電力料金というのが諸外国に比べて日本の方が高い、ここに着眼しまして、二〇〇一年の段階でもって欧米並みにしようと、こういうことでございます。  その際に、今までそれに対する対策というか、これからの進め方においても、一つは負荷率の改善から始まってIPP導入、そしてまた特定電気事業制度の創設がございますが、その中のIPPにおいての一番の難点というのは、電力会社発電しているところが、競争させればいいんですが、競争の原理が十分に働いていないというのは、電力会社料金に対して安いところが参加できると、こういうことになっているわけです。ですから、自由競争の原理から言えば、電力会社の方もコストがまず動く、原価が動くというふうな仕組みにしなきゃいけないだろう、いわゆる競争の原理ということでございます。  そして、現にイギリスを初めとしてスペイン、そういうところでは発電と送電を分離して、これがやはりコストダウンにつながっていると、こういうことも聞きますので、ここにも注目したい、こんな実は考え方であります。  ただ、委員指摘のように、今、分離・分割している国は、国営であったものを民営化してそのような措置をしていると。日本は今御指摘のように発送電の歴史、こういうことがあるわけでございますから、必ずしもやはり欧米で成功したから日本でもって成功というふうにはうまくいかないだろうということで、その点を中心に今鋭意検討中というか研究中というふうに御判断願いたいと思います。
  129. 小島慶三

    小島慶三君 いろいろお考えがあってのことだと、私そういうふうに感じております。また、欧米諸国のいろんな経験もあるかと思うんですが、ただ、日本のような狭い国の場合と、都市集中で経済が発展している国と、それからアメリカやヨーロッパのように割に広い空漠たる土地で、都市間の送電が非常に問題になるようなそういう土地とは国柄が少し違うんではないかというふうに一つは思っておりますのと、それから何と申しましても原則論みたいなことを言って恐縮ですけれども、やはり発電の立地、それから送電のネットワーク、それから配電の効率化、こういうふうな三つのポイントがそれぞれお互いに作用し合って、一番高い効率が得られるのではないかというふうに思っております。送電だけ簡単に切り離していくということになれば、管理費も二重になりますし、必ずしもコストが下がるという要因になるのかどうか、今お話しのように、IPPとの関係で非常にいい組み合わせができるかどうか、そういう点もこれからの検討事項だろうと思いますけれども、いずれにしても、この問題というのは、いろいろ長い経験を踏まえての話でございますので、慎重の上にも慎重に扱っていただきたい、こういうふうにお願いをいたします。  それからもう一つ、これも原則論になるんですけれども、電力というのは発電即消費なわけであります。もちろん超電導のような、電気を在庫にしようとかそういう考え方もあるし、そういう技術も期待されるわけでありますけれども、根本的には発電即消費ということでありまして、いわばオンサイトの消費といっても間違いないと思うんですね。  だから、そういう点からしますと、例えば今都市の業務需要の一番増加の要因というのはこれはビルでございますから、大きなビルについては自家発電というものを、義務づけるというとちょっと異論があるかもしれませんが、そういう方向に誘導するということはできないものかどうか。そして、これはもう巨大な発電所を何カ所分も使うのがビルでありますから、だからそういう点で、ビルの自己責任としてそういった自家発電を必ず設置するというふうなことができれば、大分電力の需給バランスは変わってくるというふうに思うんですね。だから、そういうところで自家発電をして、コージェネレーションもやって、それで地区の電力と熱の供給というものを十分にするということがあれば、これは全体としての大きな発電所をつくる負担といいますか、そういうものはかなり変わってくると思うんですが、そういう点はいかがでございましょうか。
  130. 岡本巖

    政府委員岡本巖君) 今御指摘の、業務用その他都市での需要地で、コージェネレーションその他の分散型電源設置して電気を賄っていく、これも大いに結構な方向だと私ども考えておりまして、いろんな助成措置あるいは先般の電気事業法改正で、特定電気事業者制度供給地点における、スポットにおける自家用の、自家用と申しますか、電気供給設備一式を用意して地点に対する供給をするという、そういう事業者を新たに法律上位置づけるというようなこともやったわけでございます。  私ども、それに加えまして、ビル等の需要家の方々にぜひともお願い申し上げたいと思いますのは、ただいまの先生の御指摘の中にもございましたように、電力というのはためることができないということもあって、御案内のように、日本発電から送電、配電、変電、一連の設備というのは最大の電力需要に合わせて設備形成をしてまいっております。  その結果、日本電力の負荷率というものが非常に今低下をしてきておりまして、このことが日本電力各社の資本費の増嵩を通じてコストアップをもたらしているという面がありますので、需要家の方々に、夏の冷房需要というピークを押し上げているその需要のできるだけの部分を、夜間の電力を氷なり水なりそういうものにためて、昼間、冷房需要の一番高い時期にそういうためたものを放出して需要を賄うという、これまた需要家の方々にやっていただく一種の揚水発電のようなものでございますが、こういったものの普及の拡大ということについて、先般の総合エネルギー対策閣僚会議でもぜひこういう方向を需要家の方々の御理解をいただいて進めていくという方向を決めたところでございますが、こういったものもあわせて、需要家の方々にできる限りの御協力をお願いいたしたいというふうに考えているところでございます。
  131. 小島慶三

    小島慶三君 お話、私もっともだと思います。キロワットとキロワットアワーの問題というのは、これは本当に電力のある程度の運命かと思いますので、そういった負荷率の問題というのをやはり対策の中に入れていかなきゃならぬ、これはよくわかります。  だから、そういった意味におきましても、私が申し上げましたような分散化という方向がある程度意味を持つのではないかと実は一つは思っておったんです。  こういうふうに考えてまいりましたのは、一つには、発電の立地というのはだんだん難しくなつてくると思うんですね。殊に大発電所の立地というのは、原子力もその中心でありますが、これは非常に難しい。そういう適地を選ぶということはなかなか困難になる、地元の理解も得にくいということになってまいりますと、もうへんぴなところに大発電所をつくって、そして大都市に大送電線を引っ張ってくるという考え方を少し変えた方がいいんじゃないかというのが私のさっき申し上げたようなことであるわけでございます。  これをやりますと、例えば今の太陽光のエネルギーの問題にしても、ビルの屋上にそういうものをつくればいいわけでありますから、これは非常に効率が高いというふうに思いますので、こういった方向というものもやはりひとつぜひ考えていただいたらどうかというふうに思っております。  それから、別の問題に移らせていただきますけれども、最近の動燃の問題というのは、ほとんどこっちがびっくりして物が言えなくなるような、そういうふうな状況にあるというふうに思うのでございます。  私は、きょう本当は科学技術庁長官においでをいただきたかったわけでありますが、せっかく動燃から理事さんがお見えになっておりますので、二、三お伺いしたいと思うのでございます。  一つは、やはりこのような事故が起きるというのは、これは私は、表には余り出てまいりませんけれども、人の問題ではないかというふうに思っているわけでございます。  これは、例えばある機器の設置にいたしましても、その機器の設計の段階、それからメーカーがつくる段階、それからそれを現場で作業して据えつける段階、それからその全体の流れをチェックしていかなくてはならないはずの動燃の仕事、こういうものがうまく組み合わさって初めてこういうことがうまくいくと思うのでございます。  しかし、最近では、例えば動燃の方が二千八百人に対して、外部の作業員が千七百人いると私は聞いております。非常に多くの人間がいるわけでありますが、そういった作業が完全に下請あるいは又請になっていて、上の人の目が届かない、あるいは現場の声が上に上がらない、そういう仕組みになっているのではないかということを私は大変心配するわけであります。  私がいろんなかつての友人からいただいている情報やなんかにいたしましても、この問題を強く指摘する向きがあります。ですから、そういう点の現場の人の扱い方といったようなことについて、あるいは現場の人の動きとトップの判断の間のギャップをなくするにはどうしたらいいか、こういった問題について、動燃では一体どういうふうにお考えになっているのか、お伺いしたいと思います。
  132. 井田勝久

    参考人井田勝久君) まず最初に、三月十一日に発生いたしましたアスファルト固化処理施設の火災爆発事故、そして、その後の不手際につきまして、先生方を初めといたしまして、地元並びに国民の皆さんに大変な御迷惑と不安をかけているということを深くおわび申し上げる次第でございます。  ただいま御質問の点でございますが、先生指摘のとおり、動燃におきましては研究開発を進めるに当たりまして多くの原子力施設が必要でございまして、研究開発を効率的に進めるためには、研究開発分野のみならず、これらの原子力施設の運転、保守分野につきましても外部の方の能力を活用するという観点から、多くの人的協力をいただいているところでございます。したがいまして、この外部の方の協力、いわゆる協力会社の社員と動燃の職員が一体となって業務を行う体制、これが非常に重要じゃないかという御指摘かと思います。  私どもとしましては、これまで従事者の、こういった社員の方の事前の指定教育でございますとか施設別教育、こういうものを職員同様に行うとともに、年間の教育計画をつくりまして、職員と一体になって仕事をするよう努めてまいりましたし、また課のミーティングでございますとか毎日の朝会でございますとか、それから小集団活動を通じていろんな意思疎通を図ってきたというところでございます。  しかし、今回のような事故が起きたということになってみますと、やはりこういった活動がマンネリ化に陥っているんではないのか、あるいは事業所全体として非常事態に即応する体制に問題があったんじゃないのか、情報の流通の問題もございますし、そういった内部の意思統一の問題もあります。こういった問題があったということで、まさに反省すべき点が多々あると言わざるを得ません。  したがいまして、今後徹底的に原因を究明いたしまして、事故防止、安全確保のための組織体制に関する問題点を徹底的に洗い上げまして、鋭意対策を検討してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  133. 小島慶三

    小島慶三君 私は、原子力の問題というのは日本の命運がかかっているぐらいに実は思っているわけであります。その面で、これは日本の自主開発の実は第一発であったわけであります。外国依存から脱却して日本技術開発を進めようというこれは第一発であったんで、私は動燃の使命というのはそういう意味では非常に大きかったと思うのでございます。  そういう意味で、現状のようなことになってきますと、国民の不安感、原子力に対する不安感というものも増してまいりますし、まさにこういうことはいろんな発電立地を進める上でも非常に難しくなるということはあると思うのでございます。そういった意味で、動燃さん、けさの新聞には動燃解体論まで社説として出ております。そんなことにならないように、ぜひ見直すところをきちっと見直していただきたいというふうにお願いをする次第でございます。  それから、もう私に与えられた時間もなくなりましたのでこれは最後になるかと思うんですけれども、先ほど同僚の梶原さんから、今後の日本の大きなエネルギー開発、殊に水素と並んで熱核融合実験炉、この話が出てまいりまして、梶原さんの後で私が反対しますと大変ぐあいが悪いんですけれども、この点お許しをいただいて、実は私は、こういったものをやる場合の技術評価というものが一体どうなっているのかということを大変問題にするわけであります。  これには附属設備を含めて一兆円という金がかかります。それから、毎年六百億という金がかかります。今の財政事情の中でこういうものを推進するというからにはよほどの強力な主張点がなくてはならないというふうに思うんです。また、そういう実験炉なら実験炉を日本に誘致しようという場合に、誘致してきて果たして日本でできるのか、こういう点も私は問題がある。  そういうことを突破して初めてエネルギー危機が打開できるんだという梶原先生の御意見には私は賛成でありますが、今のところの段階でそういうものを果たして進めていいのか。「もんじゅ」で約六千五百億の失敗を生じました。「もんじゅ」は、やがてこれは廃炉にするよりしようがないでしょう。もちろん、一般の原子炉も次々と廃炉になっていく。この廃炉の対策もまだできていない。そういうふうな状態の中で新しい核融合炉を入れてきて、その実験炉ならまだいいですけれども、実用炉まで行くにはさらに何兆かかるかわからぬというのが実情でありましょう。「もんじゅ」一つであたふたしている日本の技術でそういうことができるのか。ある記事には、技術屋さんが「もんじゅ」がだめなら今度は熱核炉だというんで、技術屋さんがいわばおもちゃにしていると。極論でありますが、そんな話も載っております。  ですから、そういうことに対して日本の技術で大丈夫なんだというところを本当は見せてもらいたい。しかし、その前に、いろんなこういったプランを進める場合の技術評価というのをもっときちっとできないのかということを私は非常に憂えるわけであります。  これを質問の最後にしまして、終わりたいと思うので、お答えをいただけますでしょうか。
  134. 國谷実

    説明員國谷実君) 先生指摘の核融合につきましては、エネルギー確保は二十一世紀の大きな課題ということで、エネルギー研究開発基本計画の中でも新エネルギー研究開発として太陽エネルギーなどとあわせまして一応重要な柱の一つとして掲げさせていただいているところでございます。特にトカマクの大型装置につきましては、現在のところ欧米と伍しまして人類未踏の超高温あるいは超高密度も実現しているという状況にございます。  ITERは、こういった実績を踏まえまして国際共同研究開発を提案されております数少ないプロジェクトでございまして、実現すれば人類のエネルギー問題に大きく貢献するものと認識されております。この意味で、現在は工学設計と申します段階、EDAと言われておりますが、この段階を政府間の申し合わせによりまして実施しております。それで、実際の建設に関しましては今後議論されるということで、現在は四極、欧州、米国、ロシア、日本、それぞれ各極内で検討が進められ、日本でも原子力委員会のもとに幅広い学問分野ないしは産業界や一般消費者の方々も入っていただいた懇談会を設けまして御議論いただいているところでございます。  いずれにいたしましても、こういった諸外国の状況、それから工学設計の進捗あるいは国内の議論などを含めまして、ITERに関する状況を十分に見きわめまして、本計画に取り組んでまいるということにしたいと思っております。     —————————————
  135. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、倉田寛之君及び大木浩君が委員辞任され、その補欠として松村龍二君及び依田智治君が選任されました。     —————————————
  136. 山下芳生

    ○山下芳生君 私たち日本共産党は、新エネルギーの利用促進については既に二十年以上前から主張してきたことでありまして、その点ではこの法案は一歩前進であると評価をしております。ただ、その内容が極めて不十分ではないかというふうに思うわけです。    〔委員長退席、理事吉村剛太郎君着席〕  そこで、私からもまず最初に、政府はこの法案によって新エネルギーの利用がどの程度促進されると見通しを持っておられるのか。例えば西暦二〇〇〇年あるいは二〇一〇年の時点長期エネルギー需給見通しの新エネルギー部分を何%ぐらいこの法律に基づいて押し上げるつもりか、見通しをお聞きしたいと思います。
  137. 江崎格

    政府委員江崎格君) この法案でございますけれども、これは政府国民の新エネルギーに対する取り組み明確化する基本方針を決めるとかあるいは新エネルギー導入する事業者への支援措置、これを盛り込んでおりまして、こうした措置によりまして新エネルギー導入を加速的に進展させたいというふうに思っております。  それから、平成九年度の予算でございますが、先ほど来議論がございました住宅用太陽光発電システム導入助成措置ですとか、あるいは地方自治体に対する先進的な事業に対する支援措置とか、あるいは新エネルギー導入する事業者に対する助成措置、こういった施策などを盛り込んだ抜本的な予算を計上しているわけでございます。  今、委員指摘のこの法律によって新エネルギー供給量をどのくらい押し上げられるのかということでございますが、これは定量的に申し上げるのは非常に難しいわけでございますけれども、私どもとしましては、従来からやっております技術開発とか規制緩和措置、こうしたものに加えまして、今申し上げました法律に基づく措置あるいは予算措置などによりまして、二〇〇〇年の千二百十万キロリットル相当、二〇一〇年の千九百十万キロリットル相当の目標を何とか達成したいというふうに考えております。
  138. 山下芳生

    ○山下芳生君 何とか達成したい、加速度的にということをおっしゃいますが、私は、やはり根拠のない非常に甘い見通しというふうにこれは批判されても仕方がないんではないかというふうに思うわけです。    〔理事吉村剛太郎君退席、委員長着席〕  長期見通しによれば、今おっしゃったとおり、新エネルギーは二〇〇〇年にシェアニ%、二〇一〇年に三%ということになっておりますが、しかし現実はどうかというふうに見ますと、九二年の実績でいいますと新エネのシェアというのは一・二%、直近の九五年のデータでは一・一%に落ち込んでいる、これ先ほど質疑でもありました。つまり、加速度的に伸ばそうとしているんだけれども現実は低下していると。二〇〇〇年といえばもうあと三年ですので、どうやってこれを達成するのかということは、私だけではなくて、やはり真剣に心配される声が出ているのは当たり前だと思うわけです。そのときに、この新しい法案を準備されたエネルギー担当省庁が、この法案によってどの程度効果が上がるのかなかなか定量的な見通しを示すことができないというのは、私はいささか担当省庁としては責任ある態度と言えないんじゃないかというふうに感想を持っております。  そこで次に、具体的に、そうしたらこの法案によってどの程度新エネのシェアが広がるのかということについての効果について検討したいと思うんです。  まず、この法案の目的の部分で「新エネルギー利用等についての国民努力を促す」という規定がありますが、しかし、具体的な施策の内容を見ますと、これは一般家庭といいますか消費者は対象から外されております。事業を行う者だけにしか支援対象がないと。何でこういう対象にしているんでしょうか。
  139. 江崎格

    政府委員江崎格君) 今、議員の御指摘の問題というのは認定によって事業を行う者のことをおっしゃったと思うんですが、これは、この制度によりまして新エネルギーの利用の促進効果的なものを支援したいというふうに思っておりますので、相当規模といいますか、一定規模以上の新エネルギー導入をする計画対象として認定するということを考えております。例えば工場の遊休スペースを大規模に使って太陽光発電設置するとか、あるいは風力発電を利用しましてこれを電力会社に売るといいますか売電事業を行うといったような事業者の利用計画考えているわけでございます。  ただ、一般国民に対しての新エネルギー導入というのはもちろん私ども非常に重視しておりまして、これは本法の別のところで予定をしております例えば債務保証などの措置がございますが、こういったものにもなじみにくいということがございまして、住宅用太陽光発電システム設置費の助成制度、これは平成九年度は昨年の三倍ぐらいにしたわけでございますけれども、こうした予算措置ですとか、あるいは住宅金融公庫の低利融資の制度がございますが、こうした制度によりまして新エネルギー導入取り組み支援したいということでありまして、対象によりまして一番効果的な方法をそれぞれ選んで利用していきたい、活用していきたい、このように思っております。
  140. 山下芳生

    ○山下芳生君 太陽光発電システムについては予算措置で前年度の三倍になっているということは承知しておりますが、しかし私は、一般家庭で導入すべき新エネルギーというのを太陽光発電に限定する理由はないというふうに思うんですね。風力発電であるとか水力発電等も一般家庭で使用し得る小型の設備や装置があるわけですので、そういう点では法案支援対象に一般家庭を取り込むということも大事だし、太陽光発電については、これまでは希望者が相当多かったので今回ふやしたとはいえ、そういう支援の枠をさらに拡大する必要があるんじゃないかというふうに思うわけです。  政府は大体これまで最終エネルギー消費については民生部門の伸びが大きい、したがって一般家庭での省エネが必要なんだということをさんざん繰り返し主張されて、国民生活における省エネを強調されてきたわけです。そうであるなら、この新法、新エネルギー導入に当たっても、きちっと一般家庭を対象として法律に位置づけるべきではないかなというふうに私は思っております。  次に事業者の問題ですが、事業者による利用計画というものが八条で定められておりますけれども、この利用計画について具体的にどんな事業を想定しているのか聞きたいと思います。  例えば鉄鋼、化学、セメントなどといったエネルギー多消費産業の生産工程で使う高温大量のエネルギーをこの法律の特別措置で新エネルギーに代替させようと考えているのか、あるいは業務用と言われるいわゆるオフィスビルの冷暖房などのエネルギー需要を対象考えているのか、明確にしていただきたいんです。
  141. 江崎格

    政府委員江崎格君) 今ここで考えております認定の対象にする利用計画でございますが、例えば風力発電を利用して売電事業を行う、電力会社にこれを売るというような事業ですとか、あるいは太陽光発電を自己の工場の遊休スペースに設置をしまして、これを例えば自分で使うとか、あるいは場合によっては他に売るということも考えられますし、それから廃棄物を利用してそれを売電するとかあるいは廃棄物の熱を熱供給する、こういったことを想定しております。  新エネルギーの利用につきましては、自家発自家消費用ですとか、あるは売電事業といったさまざまな形態があるわけでございますけれども、この法律で対象考えておりますものは、特段利用形態を限定するつもりはございませんでして、なるべく対象を広げていきたいというふうに考えております。
  142. 山下芳生

    ○山下芳生君 ぜひ、できるだけ広い対象で運用していただきたいと思います。  次に支援措置の内容なんですが、この法による支援措置、メニューを見ますと、一つはNEDOによる債務保証、もう一つが中小企業者への若干の金融支援ということになっておりまして、極めて限られたものだというふうに思うんです。  仮に中小企業者が利用するとすれば、この程度の支援策ではなかなか利用しにくいんじゃないか、不十分ではないかというふうに懸念をいたしますし、また大企業が利用するのであれば、この支援措置をとるだけではなくて、大きなエネルギー消費をしているわけですので、その事業所のエネルギー消費量の例えば一定の割合を新エネルギーに置きかえる目標設定させるあるいは義務づけるということの措置も必要ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  143. 江崎格

    政府委員江崎格君) 今回お願いしております法律でございますが、これは、それぞれ国ですとかあるいは事業者とか国民一般が努めるべき努力義務といいますかあるいは役割、こういったものを明らかにすることによりまして新エネルギー導入促進しよう、それから特に中小企業に対しては、これを事業として行う場合になかなか資金調達の面で円滑にいかないということで、中小企業に限って金融面での支援措置を盛り込むということにしたわけでございます。  大企業その他一般につきましては、例えば従来から省エネ、エネ革税制とかそういった別の制度がございまして、こういったものを活用することになろうと思いますが、今回の法律ではむしろ、各事業主体あるいは政府地方公共団体も含めまして、それぞれ果たすべき役割を明らかにし、そして基本指針などで新エネルギー導入、ガイドラインに従って導入を図ってまいるということと、中小企業者に対する金融面の支援措置ということが主としたねらいでございます。
  144. 山下芳生

    ○山下芳生君 どうもそのねらいどおりに新エネのシェアというのが引き上がるかどうか本当に不安なんですが、また後でこの点は触れたいと思います。  次に、法案に関連して聞きたいと思うんですが、提案理由で佐藤通産大臣は、エネルギーをめぐる経済的社会的環境に変化が見られているとお述べになっておりますが、この中にはもちろん地球環境問題も含まれているというふうに思うんです。  御承知のとおり、政府は一九九〇年の十月、地球温暖化防止行動計画をつくって、二〇〇〇年時点で一人当たりの二酸化炭素の排出量を一九九〇年レベルで安定化させるということを国際公約にしております。ここで言う二酸化炭素というのは化石燃料の消費に伴う二酸化炭素の排出量のことでありますので、石油石炭の消費を一九九〇年レベルにとどめるということになるわけですが、この国際公約、守れるんでしょうか。
  145. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 御指摘のございました九〇年の関係閣僚会議で定めました地球温暖化防止行動計画の中のこの目標でございます。  エネルギー消費はその後もふえてございまして、現状のままでは地球温暖化防止行動計画目標を達成することは困難な状況でございます。  したがいまして、この目標の達成に向けて新エネルギーの一層の導入促進、省エネの強化あるいは原子力の着実な推進というエネルギー政策を初めとした国内対策を図ることとしているところでございます。
  146. 山下芳生

    ○山下芳生君 あっさり困難ということなんですが、そもそも一九九〇年の気候変動に関する政府間パネル、IPCCの報告では、地球温暖化を防ぐためには温室効果ガスの大気中の濃度を安定化する必要があり、そのためには人間活動に起因するCO2排出量の六〇%以上を直ちに削減することが必要であるという結論が出ております。  日本政府の対応は、先ほどの国際公約も、申しましたとおり、一人当たりの排出量を九〇年レベルにとどめるということでありまして、もう一つ項目として挙げられているところに、革新的技術開発が予想以上に進めば総排出量を二〇〇〇年以降、おおむね九〇年レベルで安定するよう努力するということになっておりまして、ですから、新しい技術開発があった場合は排出量を今よりふえないようにするけれども、開発できなかったら人口増加分は、これはふやすということになるわけです。  二〇〇〇年までの十年間で人口は五・六%増加すると推計されておりまして、これに見合うCO2の年間排出量の増加というのは千七百万トンにもなるわけです。ですから、冒頭聞きました国際公約を守ったとしても、これはCO2の削減はもとより安定化にもならない、人口増加分はふえちゃうわけですので。ですから、あっさり困難だというふうに言っていただくのは極めて国際的にも責任が問われていくんではないかというふうに思うわけです。その点については、きょうはこれ以上議論はいたしません。ですから、国際的にも非常に重たい責任を持っているわけで、どうしても達成に向かって具体的に前進していく必要がある。私は、そのためにはCO2の発生量として大きな比重を占める最大の要因者でもあります発電電気事業におけるエネルギー効率の改善、これが非常に重要ではないかなというふうに思っております。  九五年度の総合エネルギー需給バランスを見ますと、エネルギー転換の過程で、電気事業者は十九万七百六十二掛ける十の十乗キロカロリーの一次エネルギーを消費しながら、七万三千三百六十七掛ける十の十乗キロカロリーの電力しか供給しておりません。つまり、消費した一次エネルギーの三八・五%しか有効に転換していないわけで、残り六一・五%は、これは廃熱として捨てられていることになっております。  このロスというのは最終エネルギー消費の三二・五%に相当する。一般家庭のエネルギー消費の二年分以上のエネルギーをこの発電の過程でロスしていることになるわけです。これはエネルギーの需給にとって非常に重大な問題だと思うんですが、この点で政府はどんな対策をとって電気事業者にどんな指導をしているでしょうか。
  147. 江崎格

    政府委員江崎格君) 私どもとしましても、この主要なエネルギー供給事業者であります電気事業におきまして、エネルギーの転換効率を高めるというのは、これは最も重要な省エネルギー対策の一つだというふうに位置づけております。  電気事業者におきましては、エネルギーの転換効率の向上を図るためにボイラーの蒸気条件の高温高圧化とか、あるいは蒸気タービンとガスタービンの組み合わせによりますコンパインドサイクル発電、こういった技術などを導入しまして効率を高める努力火力発電などでしておりまして、転換効率は、一九五五年では二四ぐらいだったんですが、現在では三八・八とか五とかいうぐらいまで高まってきてはおります。それから、先ほど申し上げましたコンパインドサイクルなどの非常にすぐれた発電設備におきましては五〇に近くなっているものもございます。ただ、全部平均してみますと、今申し上げましたように、まだ四〇に至っていないという、こういう状況でございます。  こうした事態に対しまして、私ども通産省としましても、効率のいい発電導入させるということで、税制上の措置とかあるいは財投などを使いましてこうした効率発電導入を図っておりますし、また将来に向けまして、石炭ガス化複合発電技術ですとか加圧型の流動床燃焼技術など石炭火力の大幅な発電効率を上げる技術開発推進しております。  いずれにしましても、今後ともこの発電効率を上げるというのは非常に有効な省エネルギー対策でありますので、ぜひこうした技術の導入促進していきたいというふうに思っております。
  148. 山下芳生

    ○山下芳生君 電気事業者の対策をぜひ強化していただきたいと思うんですが、さらにエネルギー多消費産業における効率化も取り組むべき重要な問題だというふうに思います。  鉄鋼、化学、紙・パルプ、セメントなどの産業分野におけるエネルギー消費原単位を見ますと、石油危機後減少されてきたわけですけれども、九〇年を境にして増加傾向にあります。  この原因政府の対策、指導、どうなっているでしょうか。
  149. 江崎格

    政府委員江崎格君) 二度のオイルショックの後、確かに日本の産業界は大変努力をし、我々もいろいろな施策を講じたわけでございまして、この結果、産業部門のエネルギー効率は非常に高まったんですが、今御指摘のように、九〇年以降、これが下げどまり、場合によっては、最近はむしろ悪化傾向にあるというのは御指摘のとおりでございます。  その原因でございますが、いろんなことが複合してあると思いますけれども、一つは、エネルギー価格が非常に低位で安定をしておりまして、その意味で、省エネルギー投資の経済性が悪化いたしまして省エネルギー投資の意欲が減退したということが一つあろうかと思います。  それからもう一つは、工場における作業環境を快適化するという傾向がございまして、その意味で、例えば作業場の冷房、空調設備を整えるとか照明の問題とかいろいろございまして、こうした問題も作用しているかと思いますし、それから、製品におきまして高付加価値化の傾向がございますが、これはどうしてもエネルギー多消費型になるという傾向がございます。それから、同様なことかもしれませんが、製品サイクルの短期化というのがございまして、しょっちゅうそのモデルを変えるとか、そういうこともございます。  こういったことによりまして、エネルギー消費原単位が下げどまりあるいは最近はむしろ悪化傾向にあるというふうに見ているわけでございます。
  150. 山下芳生

    ○山下芳生君 ところで、省エネ法に基づくエネルギー管理指定工場における判断基準の遵守の状況はどうなっているでしょうか。
  151. 江崎格

    政府委員江崎格君) これは平成五年と六年の調査というのが残念ながら実は一番最新時点調査なんですが、原単位が二〇%以上悪化しているものを対象にして調査したわけでございますが、この調査によりますと、省エネ法に基づく判断基準、これは省エネの基本的な事項でございますが、これを守っていない工場というのは、調査した対象の中では三割を占めていたという状況でございまして、その主たる原因というのも、先ほど申し上げましたようなエネルギー価格の低位安定ですとかその他もろもろの事情から省エネルギー意識が薄くなって、こうした結果になっているんではないかというふうに思います。  私ども、こうした判断基準の遵守が不十分な工場に対しまして、再度現地調査をする予定でございまして、今後その遵守を強く指導したいと思いますし、それでも足りない場合には、合理化計画の作成を指示するといったような法的な措置を講じていきたいというふうに考えております。
  152. 山下芳生

    ○山下芳生君 もう今の議論を聞いていて明らかですけれども、産業界における省エネの努力というのが、いろんな要因はあるとはいえ、やはり低下している、軽視されてきているというふうにしっかり認識をして指導を強めていただきたいというように思います。  最後に大臣に、地球環境問題が深刻化するもとで、今後のエネルギー政策、ひいては社会のありようについてどうあるべきか、少し所見を伺いたいと思うんです。  私は、CO2の排出量の急増というのは、産業革命以来、化石燃料の膨大な消費に起因をしているというのは言うまでもありませんが、しかし、だからといって、これが人々のより豊かな生活を求めての生産活動の拡大やあるいはエネルギー消費の増大ではあっても、もう今や人類の生存それ自体が脅かされかねない事態に立ち至っているわけですので、こうした状況のもとでは、従来のようなエネルギー消費のあり方を根本的にやはり見直す必要がある、同時にエネルギー政策も転換しなければならないというふうに考えています。  その転換の方向として、私たち日本共産党としても九四年に「日本経済への提言」という本を出しまして、この中で「環境にやさしい低エネルギー社会への転換」という問題を提起させていただいております。  ごく簡単に紹介いたしますと、第一に化石燃料の消費を可能な限り削減すること、第二にエネルギーをいかに有効に効率的に使うかということ、第三にCO2を発生させない再生可能な新エネルギー供給を確保するということであります。私たちのこの提起というのは、これはもう特殊な提案ではないと思っております。  私たちの新聞、赤旗でもこの問題は取り上げておりまして、最近も立命館大学の和田武教授がデンマークの取り組みについて紹介をしております。  デンマークでは、石油ショック後、エネルギー効率を改善しようと個別暖房から地域暖房に急速に転換を図ってきた。地域暖房というのは、御承知のとおり熱供給センターというのをつくって、そこと各家庭を配管で結んで熱水を供給する暖房の仕組みであります。今では地域暖房に加入している住宅がデンマークでは過半数に達しているというふうに紹介されているわけですが、この熱供給センターでは発電も行いながら発電に使った水蒸気からの熱水を供給しているところがふえている。今では発電所の建設をする際、地域に熱水を供給するのでなければその建設が認められないというふうになっているそうです。  また、エネルギー効率を上げる工夫も徹底して行っておりまして、運転条件を改善する、あるいは断熱性にすぐれた配管を使用するなどによって熱水を冷めにくくしている。これらの工夫によってエネルギー効率は九〇%以上に達している。先ほどの三八%等という数字と比べてもかなり高い効率であります。しかも、石油石炭を減らして天然ガスやいわゆるバイオマス、生物資源である木くず、麦わら、ごみなどの燃料利用をふやしている。ごみ処分場や牛のし尿から発生するメタンを集めてパイプラインで送って燃料にすることもやっている。  こうした取り組みの結果、九四年のデンマークの暖房面積は個別暖房も含めて七二年の一・四倍にふえたにもかかわらず、暖房用のエネルギー消費量は三分の二に減るという大きな成果を上げているそうであります。これは政府がかなりCO2排出量を具体的に減らすという目標を持って、それに対して住民の協力も得ながら進めているということであります。  それから、もう一つ御紹介したいのはアメリカの例ですけれども、これは東北大学の長谷川先生が書かれた本の中にサクラメントの電力公社の例が載っておりました。ここは住民投票で原発を閉鎖するということになって、その後どうやって電力供給するのかということで、このサクラメント電力公社の努力を見ますとなかなか示唆に富んでおります。  直ちに電力供給をもとに戻すということはなかなか難しいので、電力の需要を抑えていただこうということで各利用者、家庭に電力消費を抑制するキャンペーンを強められて、その中で、例えば省電力発電に匹敵すると。省電力発電という考え方を導入して、各家庭で省電力をすることは発電所をつくることに等しいんだというキャンペーンをやられたり、あるいは緑のエアコン計画というのがありまして、これは地域に百万本の植樹をして、半分は電力公社が出すそうですけれども、息の長い計画ですけれども、二十年、三十年たてば真夏の気温を何度か下げる効果が必ず出てくる、それで電力の消費を抑えようという計画でありますとか、あるいは電力消費の大きい冷蔵庫を新しい電力消費の少ない冷蔵庫に買いかえる場合にはいろんな形で支援をしようというふうな取り組みであります。  原発が運転できなくなったというかなり強烈なインパクトがあったこととはいえ、こういう形で省エネルギー化というものを電力公社と地域住民が一体になって進めていると。まさに、私たちがこれからどういうエネルギー政策あるいは社会をつくっていくのかという点で非常に示唆に富んだデンマークの例であり、アメリカ・サクラメントの例であるなというように私は思っております。  ぜひ、大臣の今後のエネルギー政策、社会のありようについての所見を伺いたいと思います。
  153. 佐藤信二

    ○国務大臣佐藤信二君) 御指摘のように、これからの地球環境問題の深刻化、これにかんがみればエネルギーの需給両面において環境負荷の少ない経済社会、これを構築していくことが大変大切なことだと、かような認識を持っております。  政策目標としては、地球温暖化防止行動計画と整合的に策定された長期エネルギー需給見通しに基づいて、長期的な視野に立って、適切なエネルギーミックスの構築を推進しているところでございます。  具体的に今御提案がございまして、おおむねというか大筋では賛成でございますが、一カ所だけちょっと異なるところがございます。それは、まず需要サイドにおいては省エネルギーの着実な推進が必要だということは同感でございますし、供給サイドにおいて、今おっしゃるように、環境特性のよいクリーンなエネルギーということで新エネの導入促進、これはもちろん進めていかなきゃいけません。現状としては今の電力を享受している方に一遍に電気が一部でもなくなる、欠落するようなことをなかなか御理解いただけないと思いますので、やはり原子力について徹底した安全の確保ということと、それから平和利用の堅持という大前提でもって、そういうことでもって省エネと新エネと原子力、これを三本柱としたこれからのエネルギー対策というもの、これにやはり国民の御理解と御協力をお願いしたい、かように考えているわけでございます。  ひとつよろしく委員も御理解のほど、お願いいたします。
  154. 山下芳生

    ○山下芳生君 終わります。
  155. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。——別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  新エネルギー利用等促進に関する特別措置法案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  156. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  157. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時八分散会